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魔女「私は魔女です!」男「病院行け」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/10(金) 20:22:28.78 ID:giyyd.SO
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VIPでTW ★5 @ 2024/03/29(金) 09:54:48.69 ID:aP+hFwQR0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711673687/

小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

2 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:23:26.53 ID:giyyd.SO
男「ただいまぁ、と」

少女「あ、お帰りなさい!」

男「……誰だよ、お前」

少女「私は魔女です!」

男「そうか、魔女さん。あの一つだけ飛び出てる尖った建物は判るか?」

魔女「はい!」

男「あそこの正面玄関がある側にバス亭がある」

魔女「はい!」

男「そこから出るバスは病院前という場所まで運んでくれる」

魔女「はい!」

男「その病院には精神科というスペースが在る」

魔女「はい!」

男「取り敢えずそこに行きなさい」

魔女「はい!……あの、一つ聞いて良いですか?」

男「手短に」

魔女「信じてませんね」

男「はい」
3 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:25:55.46 ID:giyyd.SO
魔女「証拠を見せます!」

男「必要が無い」

魔女「ありますよ!」

男「君がおれに意固地になる必要も無い」

魔女「ありますってば!」

男「無い」

魔女「あーりーまーすー!!」

男「必死だな」

魔女「必死です!」

男「……仕方ない。話ぐらい聞いてやろう」

魔女「えっ!?」

男「失礼な反応だな」

魔女「だ、だって、さっきまで病院を勧めてきてたから…その………」

男「本気で言ったんじゃない。それに、必死な人を見捨てる程外道じゃないさ」
4 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:28:57.18 ID:giyyd.SO
魔女「なら意地悪したんですね!」

男「不法侵入にイラッとしてたんだ」

魔女「へ?わたし、不法侵入じゃないですよ?」

男「ここで冗談を言うか。ツートーンカラーの車を呼ぼうか?」

魔女「じ、冗談じゃないですよ!だって、ドアが開いてましたもん!」

男「……そうか。戸締まりをしてないと泥棒以外に電波が侵入するんだな。ためになった」

魔女「電波じゃありません!」

男「どーでも良い」

魔女「むー、意地悪です」

男「評価出来る程付き合いが無いだろ。さ、ドアの前から下がれ」

魔女「あ、はい」
5 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:32:41.71 ID:giyyd.SO
男「……何か荒らして無いだろうな」

魔女「してませんよ!私がそんな風に見えますか?」

男「評価出来る程付き合いが無い」

魔女「むぅ…」

男「でも、(漠迦さが滲み出てるから)罠は無いだろうと思えるぐらいはある」

魔女「うーん……信頼されてるってことですか?」

男「幸せな方に解釈して良いよ」

魔女「はいっ!」
6 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:35:15.36 ID:giyyd.SO
――リビング



魔女「……」ソワソワ

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「何でソワソワしてんの?」

魔女「い、いや、えと、緊張するなぁって」

男「そんな難しい話?」

魔女「そ、そういうんじゃなくて、炬燵に一緒に入るのが…」

男「そう」

魔女「………」

男「話さないのか?」

魔女「お、男さんは一人暮らしですか?」

男「こんなアホみたいに広い家に一人で住むかよ。家族と一緒だ」

魔女「家族の人は……今は居ない…ですよね?」

男「そうだな。仕事中だな」

魔女「あ、あの!話すのは皆さん揃ってからで良いですか?」

男「良いよ、別に」

魔女「あ、有り難うございます!」
7 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:37:11.86 ID:giyyd.SO
男「ん……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「……」

魔女「……」ソワソワ

男「なぁ」

魔女「は、はい!」ビクッ

男「変な事考えてるだろ」

魔女「し、ししししてないです!も、もう、なな何を言ってるんですかっ!」

男「……出よう」

魔女「あぁ!違います!違うんです!」

男「ふーん、炬燵は違うのか……」

魔女「あっ……」

男「ふーん…」

魔女「あぅ……」

男「……」ジトー
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:39:19.84 ID:giyyd.SO
魔女「……か、覚悟はしてたんです」

男「何の覚悟?」

魔女「学校で、男の人はせ、せぃ……」カァァア

男「…性欲の塊だから女の子に辺り構わず襲い掛かるモンスターと習った。さっきは外に解放されていることもあり気にしなかったが、今こうして二人きりで部屋に、しかも炬燵によって近づいているため意識してきたと」

魔女「……」コクン

男「失礼だな」

魔女「うぅ…」

男「君の学校は何処にある。保険体育の先生の鼻面殴った後、PTAに連絡しとこう」

魔女「えぇっ!何で急にそんなバイオレンスに!?」

男「女尊男卑教師に制裁を与える。教育が洗脳だと判ってないらしいからな」

魔女「喧嘩はダメですよ!怪我すると痛いんですから!」

男「……無駄なことを、とか言わないんだな」

魔女「何でです?」
9 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:41:24.51 ID:giyyd.SO
男「お前の言う通り、この世に魔法使いがいるなら、普通の人間なんかが喧嘩で勝てるワケが無い」

魔女「……ク、ククク…無駄なことを…」

男「魔女って嘘だろ。ホントは何処の家出少女なんだ?」

魔女「嘘じゃないです!やっぱり証拠を見せます!」

男「必要無い」

魔女「必要無くても見せます!」

男「興味無い」

魔女「み、見ててください!」スチャ

男「紙とペンを取り出した意味は?」

魔女「陣を描きます!」

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……出来ました!」

男「ふわぁ……」
10 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:43:19.78 ID:giyyd.SO
魔女「フフフッ!行きますよ!」

魔女「『瞳を閉じろ。耳を開け。小さな命の爆ぜる声に意識を傾けろ。歓喜の悲鳴を掬えたら、高く高く打ち上げろ。』」パァァア

男「……寝る」ゴロン

魔女「『導となる。それにしたが――ねっ、寝ないで下さいよ!今からぶわぁって魔法が出るんですよ!」

男「面倒」

魔女「酷いです!」

ピンポーン

男「ん、誰か来たな」

魔女「タイミングも酷い!」

ピッ

男「はい、どちらさんですか?」

魔女「わわっ!は、箱の中に急に外の景色が!これが噂に聞くテレビ!」

男「違うし黙れ」
11 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:45:37.72 ID:giyyd.SO
??「私は探偵だ」

男「うわ……」

??「だが、ある時は敏腕講師!」

??「またある時は売れっ子小説家!」

??「凄腕弁護士であり、しがないOLであり、占い師であり、悪の組織でもある!」

??「しかし、その正体は!」

??「息子がコスプレプレイでにゃんにゃんしてるとの連絡を受け有給消費して帰って来た、子供思いの母親だぁ!!」

魔女「わー」パチパチパチ

男「いや、仕事しろよ…」

母「パパとお姉ちゃんにも連絡済みだ!」

男「予定が速まって有難いけど、それは恨むわー」

母「さぁ!ドアを開けなさい!」

男「開いてるし」

母「マジか!確認してなかったわ!」

ガチャ

母「ただいまぁ!へっへっへ、女の子の匂いがするぜぇ」

男「あー、君さ、逃げた方が良いよ」

魔女「え?挨拶するんじゃなくてですか?」

男「うん。っていうか去れ。窓から。命令な」
12 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:49:27.83 ID:giyyd.SO
魔女「でも……」

男「命令だ。さ、去れ去れ」グイ

魔女「きゃっ!」

ガラガラガラ

男「じゃ、後ろを振り向かず、全速力でさ――

??「おーっと、ガバディ!」ズサー

男「……」

??「甘い甘い甘い!ここはお姉ちゃんがガバディ!」

姉「子猫ちゃんをミルクも出さずに追い帰すのかい、少年」

姉「あ!下のじゃないよ!」

母「下でも良いけどね!」

アハハハ!×2

男「下衆だな。勝手口から……」

??「無駄だ!裏門はPAPA小隊が制圧した!逃げ場はないぞぉ!」

男「こいつら…」

父「見たか息子!これが家族の力!」

姉「家族の絆!」

母「家族のワッショイ!」

アハハハハハハ!×3

魔女「えと……挨拶と逃亡のどちらを取った方が良いですか?」

男「なんか…もう……はぁ。幸せな方を選んで良いよ」

魔女「はい!」

魔女「男さんの家族の皆さんこんにちは!私は――
13 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 20:53:29.58 ID:giyyd.SO
今日はここまでです。少なくてごめんなさい



何か問題等有りましたら、知らせて下さい
14 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 21:00:39.54 ID:wKI2VnYo
期待支援
楽しみにしてるから投下早いと嬉しいな
15 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 21:32:19.83 ID:Az2lcAAO
なんか面白いから期待
16 : :2010/12/12(日) 09:02:39.37 ID:59GgIoSO
投下します
17 : [sage]:2010/12/12(日) 09:03:32.11 ID:59GgIoSO
姉「魔女……だと…?」

魔女「はい!」

姉「……流石に…信じられないなぁ」

魔女「そんなに不思議なことですかね?」

母「あぁ……不思議過ぎて吐きそうだよ」

男「母さんにも春風の止む時期が在るんだな」

母「魔女名乗ってるのに全然マジョマジョしてねぇし、普通にポップンな服装だし、そもそも彼女でも無いとか何事だよ…一体さぁ……」

男「……春の嵐だったか」

魔女「あのー、ママさん。マジョマジョって何ですか?」

母「ローブにトンガリコーン型帽子だよ……。モンホノの癖にんなことも知らねぇのかよ。あり得ねぇ……」

魔女「ローブにトンガリ帽子……ですか?それ、15世紀頃のファッションですよ。しかも、黒ミサを行ったりする過激派の。今はハロウィンで仮装に使うぐらいですよ」

母「……かぁーっ、マジかー。でも、そりゃそーかー。文化は変わるもんねー。あー、ショックだわー。現実見せられたわー。かぁーっ」

男「現実も何もこいつ魔女じゃないだろ」

姉「んだな」

母「えっ!?マジで?」

魔女「ち、違います!私は本当に魔女ですよ!」

母「息子!やっぱり、魔女じゃないか!びっくりさせんなっ!!」
18 : [sage]:2010/12/12(日) 09:05:08.35 ID:59GgIoSO
男「どんだけ、人を信じてんだよ」

姉「んだな」

母「けっ!血の腐った息子達だ」

姉「母さんの血だけどね」

母「ごめんね、魔女ちゃん。でも、あたしとパパは味方だからねっ!ね、パパ!」

父「………」

母「…パパ?」

父「………解析完了」

男「急にどうしたんだこいつ」

姉「さぁ?」

父「結論……」

父「………」

父「魔女属性が萌えるから信じる!可愛いから信じる!そして何よりもぉぉぉ!!」

父「ママを信じる!イェァッ!」

母「イェィ!」パチン

男「仲良いね。そのまま仲良く共同作業で風呂掃除でもしてこい」

母「よっしゃぁ!行こうぜパパ!」

父「イェェェェァ゙ッ!」

バタバタバタ

姉「マジで行くのか……」

男「あっちはお風呂じゃないんだけどな」
19 : [sage]:2010/12/12(日) 09:06:38.43 ID:59GgIoSO
魔女「か、可愛いって!男さん!私可愛いって言われました!」

男「ん、そうだね」

魔女「はわぁ〜」キラキラキラ

姉「で、どうするのこの娘?」

男「どうするも何も、この話合いはふけ顔のガキ二人のせいで進展ゼロなんだが」

姉「…!……き、気付かなかった…」

男「うわーさすがはぼくのねえさんだー」

姉「いやぁ〜///」テレテレ

男「さて」

魔女「可愛い、か。えへへ」ニマニマ

男「戻って来い」ビシッ

魔女「痛い!」

男「聞きたいことがある」

魔女「な、何ですか?」

男「一、身の上。二、目的。三、意志。この三つだな」

魔女「えーと……はい?」

男「……お前は何処の誰で何の目的があり、どうしたいのかを知りたい」
20 : [sage]:2010/12/12(日) 09:12:58.51 ID:59GgIoSO
魔女「まず、私は魔女です」

男「そこはもう良いから」

魔女「……面倒と思ってますね」

男「さぁね」

魔女「し、信じさせます!」

男「話が進まないから要らない」

魔女「魔法を認めてくれなきゃ、話も何もないんです!」

男「どーでも良い」

魔女「も、もう一度見せます!」

男「信じてる」

魔女「……ふぇ?」

男「もう既に信じてるから必要無い」

魔女「……はっは〜ん」ニヤリ

男「……何だよ」

魔女「もしかして男さん、魔法を認めるのが怖いんですか?」ニヤニヤ

男「別に」

魔女「じゃぁ、止める理由は無いですね」

男「面倒なんだよ」

魔女「またまた〜。言い訳を言っちゃって〜」

姉「えへ…………今、何の話?」
21 : [sage]:2010/12/12(日) 09:14:51.72 ID:59GgIoSO
魔女「私が魔法を使ってあげようという話です!」

男「必要無い」

姉「えっ!?必要あるじゃん!?見せてよ!ほら!愚弟も見るよ!」

男「ダルい……」

魔女「はい!ではっ!」スチャ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「整いました!」

姉「ナニソレ?」

魔女「陣です!行きますよ!」

魔女「『瞳を閉じろ。耳を開け。小さな命の爆ぜる声に意識を傾けろ。歓喜の悲鳴を掬えたら、高く高く打ち上げろ。導となる。それに従え。皆も続くさ』」パァァア

魔女「『ライウス』」

ピカ−

姉「……か、紙から……光の柱が……」

男「……」

ピカ−

魔女「えへん!凄いでしょ!どうです?認める気になりましたか?」
22 : [sage]:2010/12/12(日) 09:16:12.17 ID:59GgIoSO
男「リビングで途中まで見せただろ」

魔女「……さ、さっきまで否定してたじゃないですかっ!」

男「あそこで魔法スゲー発言してみろ。俺の立場は息子から電波な息子にクラスアップしてる」

魔女「皆さん信じてくれてましたよ」

姉「ほたたたた」

男「少なくとも姉さんは信じてない」

男「確証は無いが、父さんと母さんも信じてなかっただろうね」

魔女「嘘です!」

男「ノリと勢いで生きてるが、考えはしっかりしてる」

魔女「でも!信じるって!」

男「お前が傷付かないよう配慮した行動だったんだろ」

魔女「……ショックです」

男「そうだな。さ、続き話せ」

魔女「……扱いが酷いです。こういう時は慰めるんじゃないんですか?」

男「そこまでのショックじゃないだろ」

魔女「…………」

魔女「私は、魔法が使えます」
23 : [sage]:2010/12/12(日) 09:19:59.68 ID:59GgIoSO
人目に決して付かない。だが、日々の生活のほんの壁一枚向こうに異能者の国がある。

かつて魔女狩りが行われた際の生き残り達が、世界に散らばる仲間を救うために作り上げた国だ。

その成り立ち故に、そこには法や憲よりも重い規律が在る。


『何人も国の枠内に自由に入ることを許す』

『何人も国の枠外に自由に出ることを禁ず』


新たに入って来る者は外の迫害を知っており、新たに芽吹く命は恐怖を聞かされて育つ。

仲間を探して歩く巡礼者と情報を探して歩く配達者の職に就く者以外、外へ出ていく者は歴史上一人も居なかった。


だが、最近になって状況が変わった。

国と言っても、マイノリティの最高峰に連なる異能者の集まり。人口はたかだか数百。

招かれる人々も数年に一人。しかも、異能は遺伝子に刻まれる呪い。系譜を辿れば必ず誰かの親戚に当たる。

必然。長く刻が経ち、血が濃くなり過ぎた。


崩壊を止める為に、国は境の解放を決定した。

しかし、いきなりの解放は両界に大きな歪みをもたらす。

国内で歪んで教えていた教育を修正し、解放に反発する世論を変えている間に、まずは視察団として百名を派遣することとした。
24 : [sage]:2010/12/12(日) 09:22:57.89 ID:59GgIoSO

…………


魔女「そして、その第一陣に選ばれたのが私なんです!」

男「ふーん……」

魔女「で、国使というからには任務がありまして」

魔女「ひとーつ、正しく綺麗な情報を国に送ること!」

魔女「ふたーつ、魔法の存在を広く認識させること!」

魔女「みーっつ、魔法は兵器としての使用には向かないことを判らせること!」

魔女「後は……私には無いんですけど、認識され無かった時のお話とかを聞かされている人も居ます」

男「で、それで何でこの家に来たの?」

魔女「えっ?そ、それはですね、この地区に飛ばされて片端から家々を訪ねていたら、この家だけが私を招き入れてくれたからですよ!」

男「…その認識違いはまだ続いていたのか。先にも説明したが、こちらの不注意でドアが開いていただけで、不法侵入を許すサインじゃないんだ」

魔女「んもう!過ぎたことじゃないですか〜」

男「……そうだな。もう、正式に招き入れたしな」

魔女「そうですよ〜」

男「………これからどうするんだ?」

魔女「あ、えっと……出来れば居候させて欲しいかな……とか…」

男「あ゙?」
25 : [sage]:2010/12/12(日) 09:28:29.58 ID:59GgIoSO
魔女「ほ、ほら!これも何かの縁じゃないですか!それに、私ちゃんと働きますよ!家事は得意ですし、早起きですから男さんのお弁当もパパッと!」

男「……」

魔女「そ、それだけじゃありません!お喋りの相手もしますし、遊び相手だって!魔法もライウス以外に沢山有りますよ!」

男「……ッチ」

魔女「な、なんならよ、よよよ、よとっ、よとよとよとよと……よと……ぎ…だ、だってします!!///」カァァァア

男「……それだけか」

魔女「………」

魔女「…さっ」ジワ

魔女「寂しいんですっ!い、いきなり見知らぬ街で誰も居ませんし!お願いです!小さな縁でも頼らせて下さいよぉぉ!!」ポロポロ

姉「ほたたた………何の騒ぎ?」

男「その下りはもう良いから。全部聞いてたろ」

魔女「うわーん!お姉さぁぁん!男さんが酷いんですぅ!」ポロポロポロ

姉「お、おとぉぉとぉぉお!πタッチでもしやがったかぁぁあ!」

男「面倒だから演技やめろ」

姉「判った」

魔女「うわぁぁん!!」ポロポロポロポロ

姉「聞いてたし、ちょっと信じられないし、あんたの思ってることも大体判るよ」

姉「でも、泣かせなくても良いんじゃない?」ナデナデ

魔女「うぅ……グスッ」ポロポロ

男「泣くとは思わなかった」
26 : [sage]:2010/12/12(日) 09:35:06.21 ID:59GgIoSO
姉「取り敢えず謝んなさい。話の再開はそれから」

男「…あー、魔女さん。泣かせてごめんなサンバルテルミ」

姉「ちゃんと謝れよ、漠迦」ベシッ

男「ぐ…。あー……ごめん!」

魔女「ぅう……」スンッ

男「…でもな、元はと言えばお前が――

姉「男っ!止めろ!」

男「―お前が下らない――

バァァンッ

母「話は聞かせて貰ったぁ!」

父「俺は聞いていなかったぁ!」

男「父さん…母さん……」

姉「ほっ……」

母「息子!てめぇ、ふけ顔のガキ呼ばわりたぁ良い度胸しとるやないけぇ!」

男「そこから聞いてて、何故今出て来た」

父「パパはその発言も知らないけどな!」

姉「お父さん邪魔」

母「そしてπタッチってなんじゃぁぁぁあ!!」

父「は?π?えっ!?π!?ちょ、ちょま、πタッチってなんだおらぁぁあ!」

姉「お父さんマジで邪魔」
27 : [sage]:2010/12/12(日) 09:39:05.99 ID:59GgIoSO
男「長くなる。本題言えよ」

母「……魔女ちゃん」

魔女「……はい」

母「居候して良いよ」

魔女「えっ!?あ、でも……」チラ

男「………」

母「あたしが良いって言ってんだ。ガキなんか関係あるかい」

魔女「でも……」

父「ママー、娘が反抗期だよー」シクシク

母「ッ!大事な話してんだっ!!参加しねぇならすっこんでろ!!」

父「あ、すんません」

姉「ホントにお父さん邪魔しかしねぇ」
28 : [sage]:2010/12/12(日) 09:43:18.02 ID:59GgIoSO
男「……ガキだって関係あるだろ」

母「ん?」

姉「あー、ごめんお母さん。あたしもさ、関係あると思うわ。こいつに賛成」

母「親の意見に逆らうのか。そうか、逆らっちゃうんだぁ。別に良いけど」

男「一晩だけならおれだって良いさ」

男「でもな、家族にするってんなら話は別だ」

姉「うんうん」

母「家族だなんて大げさな。居候じゃんか」

男「同じ家で同じ飯を囲って食うなら家族だ。母さんの考えだろ。下手な逃げ道使うな」

姉「うんうん」

母「……なんだ?いきなりだから嫌がってんのかい?」

父「好き嫌いは良くないぞ」

男「そんなんじゃないの判ってるだろ。おれが嫌なのは別の理由だ」

母「………」

男「情報が少ないからでも無い」

男「おれはな…」

姉「はい、ストップ」

男「………いや、言わせてもらう」

姉「はぁ?止まれよ、おいっ!」
29 : [sage]:2010/12/12(日) 09:45:11.11 ID:59GgIoSO
男「おい、魔女」

魔女「は、はい…」

姉「ストップ!ストップしろ!」

男「家族になるならお互いの距離は嫌でも短くなる」

魔女「……」

男「だが、タダじゃ近づかねぇぞ」

男「安心だって判ってないといけねぇ」

姉「止まれっ!!」

男「てめぇがそんな状態で安心もクソもあるかよ!!」グイ

魔女「っ……」

男「良いか!付け入りてぇのか何なのか知らないが、ふざけんな!!」

姉「このっ…!いい加減にっ――


パァァァンッ


男「……ッ!」

姉「………」

母「……パパ…」

父「急ぎ過ぎだ漠迦息子。彼女のことを考えろ」
30 : [sage]:2010/12/12(日) 09:46:44.82 ID:59GgIoSO
魔女「あ、あの、パパさん!それは、あの……」

父「良いんだ。魔女ちゃんが気に病むことじゃない。こいつの玉が小さいのが悪い」

男「………」ジンジンジン

父「言いたいことは言わせてやる。ただ、俺達は魔女ちゃんを一気に責め立てんなって言ってんだ。判るか?あ?」

男「……」

男「……飯作ってくる」ガタン

父「おぉ、そうしろ」

男「食い終わったら話すぞ……」

父「好きにしろ」

魔女「あの……」

母「あー、驚かせたね」

姉「あいつもまだガキなんだ。許してやってね」

魔女「………でも…」

母「…魔女ちゃんは優しい子だねぇ。あの子も判っているとは思うんだけど」ボリボリ

姉「………」

父「……さ、暫くこの話は終わりだ。金曜ロードショーでも見ようぜ」

姉「うわぁ……その舵取りは無いわ。見るけど」

母「うわぁ……軽蔑するわ。見るけど」

父「見るなら別に良くない!?何で一々刺を刺すのさ!!」

姉「ノーコメ」

母「黙秘権」

父「辛ぇ……。魔女ちゃんも見るだろ?」

魔女「あっ、私は………」

魔女「はい!見ます!」ニコッ

父「………そうか」
31 : [sage]:2010/12/12(日) 09:50:10.44 ID:59GgIoSO
今回はここまでです



何も考えずに書いてたら、ほのぼのしなくなってしまった。何故こうなったし…
32 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 10:08:06.67 ID:8YxO2ASO
会話が狙いすぎててウザイ
テンポ悪すぎる

話自体は面白そーなのに、残念だ
33 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 11:02:36.14 ID:4AJtabAo
>>32
批判するくらいなら書いてみてから言えカス


俺は好きだよ
34 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 11:22:05.37 ID:8YxO2ASO
>>33
書いてるよ
35 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 11:46:51.57 ID:.i5bEcAO
両親基地外か
36 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 11:50:20.34 ID:4AJtabAo
>>34
テストスレで晒してくれ

テストスレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1267190144/
37 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 13:20:16.77 ID:wMwBQ8ko
個人的な感想に一々噛み付くなよ
38 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/13(月) 18:05:01.45 ID:TGiwSZMo
面白い
でも、父母姉は変人だね
魔女は天然すぎる
39 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/13(月) 20:04:15.38 ID:DsNWmwDO
期待
40 : [sage]:2010/12/14(火) 00:08:56.04 ID:UKUifASO
皆さん、支援に感想に評価有り難うございます。とても嬉しいです


>>32さん
おっしゃる通りです。返す言葉もございません。頑張って鍛えます


>>35さん >>38さん
家族はテンション高い+悪ノリぐらいで書いてたんですが、ちょっと飛ばし過ぎましたかね…
えと…ギリギリ常人ということで
41 : :2010/12/14(火) 00:09:28.75 ID:UKUifASO
投下します
42 : [sage]:2010/12/14(火) 00:10:52.58 ID:UKUifASO
魔女「キンヨウロードショーって何か判らなかったんですけど、テレビの中のお芝居のことだったんですね!」

父「楽しかったかい?」

魔女「はい!」

姉「個人的には手榴弾があんな爆炎あげるのは認められねぇ」

父「いや、そこは演出として受け止めろよ」

母「これ、あたしの映画じゃん」

父「ママが出てる映画だから見るんじゃないか!」

母「やだ!恥ずかしいじゃない!」

姉「目が腐りそうだ」

魔女「仲良いですね!」

男「おい、飯出来たぞ」

姉「タイミング良いな。もしかして待ってた?」

男「……さぁな」

姉「ふふふ、ちょっとは反省してるんだね」

男「……良いから運べ」

姉「へいへい」

母「かぁーっ、可愛くねぇの。もうちょい素直になれよ」

男「無理」

母「か〜ら〜の〜?」

男「はぁ……」

母「けっ!ノリが悪い奴!」
43 : [sage]:2010/12/14(火) 00:11:34.12 ID:UKUifASO
魔女「あ、あの……」

男「お前は座っとけ」

魔女「でも……私…」

男「動かれると邪魔だって言ってるんだ。大人しくしとけ」

魔女「えぅ……」

父「こら!」ブンッ

男「…」ヒョイ、ガスッ

父「ぐはっ!まさかの反撃っ!」

魔女「あの…」

父「ぐ……どうしたんだい?」

魔女「……私、出ます」

男「は?」

魔女「…辛いですけど、何処か別の場所に行きます」

男「はぁ?」

魔女「だ、だって……私のせいで家族の雰囲気悪くなっちゃいましたし…それに……」

男「それに?」

魔女「男さんに嫌われちゃいました……」

男「……」
44 : [sage]:2010/12/14(火) 00:13:38.80 ID:UKUifASO
魔女「だから、その……」

男「……ふざけんなよ」

魔女「…真剣に考えました」

男「真剣じゃないだろ。まず、誰が誰を嫌ってるって?あぁ!?」

魔女「だ、だから、男さんが…私を……」

男「嫌える程付き合いねぇだろうが!!」ダンッ

魔女「ひっ」ビクッ

男「それに、何勝手に出ようとしてんだよ!」

男「こっちはなぁ!もう、てめぇの分の夕食作っちまったんだよ!」

男「食材を無駄にする気か、このくそ女!!」

男「良いか!とにかく食え!話はそれからだ!」

魔女「……」ポー

男「返事っ!!」

魔女「は、はいっ!」

男「ふん…」

姉「おーおー、照れとる照れとる」ニヤニヤ

母「ちょっとは素直になったじゃん」ニヤニヤ

男「……準備は出来たのかよ」

姉「皿だけ出しといた」

母「机は拭いといた」

父「大人しく待ってた」

男「盛り付けまでしろよ」

姉「そこはコックの仕事だろうが!」

母「気を利かせてやったんだよ!」

父「感謝しろ!」

男「……はぁ」ガチャガチャ
45 : [sage]:2010/12/14(火) 00:15:44.10 ID:UKUifASO
男「ほら、持ってけ」スッ

姉「おー、カルボナーラか。旨そうだぜ」

男「今の姉さんのな。これが俺と母さんの」スッ

母「ういうい」

男「こいつが魔女の分で」カチャ

魔女「あ、有り難うございます」

男「これが父さんのだ」コトッ

父「………」

父「なぁ、もしかして、突っ張ったこと怒ってる?」

男「別に…」

父「え、いや、だって、お前これ……カップヌードルじゃん」
46 : [sage]:2010/12/14(火) 00:16:28.50 ID:UKUifASO
男「気のせいだ」

父「いやいやいや!お前これ絶対おかしいって!」

男「愛情込めた料理には変わり無い」

父「込めてねぇ!お湯入れて3分じゃねぇか!」

男「……60分だ」

父「え?うわっ!麺ののび具合やばっ!でろでろじゃん!しかも、スープ冷たっ!」

男「さ、いただきますしよう」

父「スルーとはいただけねぇ!」

姉「お父さんうっさい!」

母「パパ、諦めようぜ」

父「………救いが欲しい」

母「それじゃ、両手を合わせて」
母「いただきます!」

姉・男「いただきます」

魔女「い、いただきます!」

父「……いただきます」
47 : [sage]:2010/12/14(火) 00:18:51.14 ID:UKUifASO
ワイワイガヤガヤ


姉「あ、弟、醤油取ってきて」モグモグ

男「俺のカルボナーラに醤油ぶちまける気か」

姉「あんたの味付けが悪いの」

男「……」ガタンッ

母「あ、じゃぁ、私ケチャップ」

父「パパは牛乳かな……」

男「料理人泣かせな奴らだ」

男「お前は?」

魔女「……ふぇ?」モグモグ

男「お前は頼まなくて良いのか?」

魔女「あ、私は良いです。そのままで十分美味しいですから」

男「いい子だ」

母「良くない!十分じゃまだまだ甘い!さらなる高みを目指そうぜ!」

姉「冒険こそ人生じゃないか!」

男「そうか、お前等は冒険心で俺の料理を壊そうとしてたんだな」

姉「いや、味は実際悪い」

男「傷付く」

男「……まぁ、おれが実験したのが悪かったんだけどな」ガチャガチャ

姉「ん?なんつった?」

男「何も。ほら、醤油にケチャップにミルクだ」ストッ
48 : [sage]:2010/12/14(火) 00:20:26.49 ID:UKUifASO
母「………」

母「……これにケチャップかけたら失敗したミートスパみたくなるんじゃないかと今更ながら思ってる」

男「知るか」

姉「醤油をかけてみましたが、何も言えません」モグモグ

男「そうか」

父「……特濃牛乳。やむを得んか…」ドポドポ

魔女「……ぅ…」

姉「お父さん、魔女ちゃんが青ざめてる」

父「……お前達はまだ子供だから判らないだろうが、これは重要なことなんだ」ドポドポ

父「……では」パクッ

男「…どうだ?とんこつ風味になったか?」

父「……おぇ…ゲボマズだ…」

男「全部食えよ」

魔女「…わ……私もういいです……ごちそうさまします…」

男「じゃぁ、おれもご馳走様だ。後片付け頼んだ」

姉「了解。やりすぎんなよ」

母「後から結果聞くからな」

男「ん。ほら、俺の部屋行くぞ」グイ

魔女「ぅう……」
49 : [sage]:2010/12/14(火) 00:21:17.20 ID:UKUifASO
―――男の部屋


男「……てりゃ」ポイッ

魔女「わわわっ!」ドサッ

魔女「ベ、ベッド……?」

男「……」ガチャン

魔女「か、鍵も閉めて……まさか!!」

男「…それ以上ピンクな思考を続けるなら、喉潰す」

魔女「っ!」ビクッ

男「注意事項言っとく」

男「これから先、おれを騙そうとしないことだ。喋れない事情があるなら秘密です、とそう言うんだ」

魔女「……っ」コクン

男「理解が良くて助かる」

男「さて、何から崩したものか……」
50 : [sage]:2010/12/14(火) 00:22:04.03 ID:UKUifASO
男「……まず…お前の言う異能者の国は存在しない。そうだろ?」

魔女「………あ……ありますよ。信じられないのは――

ダンッ

魔女「ひっ…!」

男「嘘一つで拳一つだ。次は当てる」

魔女「……は、はい」

男「……お前の話は穴が多過ぎる」

男「一、少なくとも人口二百人以上の国が6世紀弱で腐る点。もしそうなら、世界に在るムラというコミュニティは崩壊している」

男「二、民族や言語の問題を避けて国が成立している点」

男「三、劣性遺伝子なのに長く異能者の国が続けられている点」

男「どうだ?それとも、こう上げられてもピンと来ないか?」

魔女「…………」

男「黙秘は肯定」
51 : [sage]:2010/12/14(火) 00:23:12.29 ID:UKUifASO
男「でもな」

ドゴッ

魔女「っぅ!!」

男「今はその逃げも無し。とっとと返事しろ」

魔女「………」

魔女「………はい、そうです…」

男「いい子だ」

男「さて、次だが……おれの家には狙って来たろ。で、目標はおれだな?」

魔女「……え…?」

男「え…、じゃない。はいかいいえだ」

魔女「……い、いいえ」

男「…そうか。深読みだったか」

魔女「そ、そうですよ。ホント偶然なんですから」

男「なんて言うかよ。アウトだ」

ドカッ

魔女「ぅぐ!」
52 : [sage]:2010/12/14(火) 00:23:54.44 ID:UKUifASO
男「一々説明挟まないと、諦めが付かないのか?」

魔女「ぅう……」

男「自覚持てよ。単純ガール。判り安すぎるんだよ、お前」

魔女「……ぅぅう」

魔女「………わ、私だって事情が在るんです…」グスッ

男「……」

魔女「な、なのに、悪者みたいに扱われて…殴られるし……」ポロポロ

魔女「し、したくてしたいんじゃないのに……ヒック」ポロポロ

魔女「さっき出ようとしたじゃないですか……グスッ……こ、こんなに怒るならあの時何で引き止めたんですかぁ…」ポロポロポロ

男「魔女が珍しいから」

魔女「ぅ」

魔女「ぅわぁぁぁあん!!」ボロボロボロ

男「……」

魔女「ぁぁぁあぁぁぁあ!!」ボロボロボロ

男「……」

魔女「グスッ……ぅうぁぁあんん!!」ポタポタポタ

男「……やってしまった」
53 : [sage]:2010/12/14(火) 00:25:37.31 ID:UKUifASO
ガチャガキンガチャガチャ

姉「おいこら愚弟!!やりすぎんなっつったじゃん!!開けろこらっ!」

ダンダンダン

姉「開けっ……ちょ、お母さん!止めんな!!」

ドタッバタンッガタッ

母「痛い!親を殴るな!くそっ!」

母「おい息子!マズいと思ってんでしょっ!?自分で責任負えよ!!お姉ちゃん抑えとくから!!」

ガタッガタンダダン


男「……」チラ

魔女「ふわぁぁぁぁあん!!」ポタポタポタ

男「これを……無理だな」

男「……禁じ手使おう」

魔女「びぇぇぇえぇぇ…うぐっ!」

男「…」ギリ

魔女「……!…!」ジタバタ

男「…」ギリギリギリ

魔女「…………!!」ジタバタジタバタ

男「…」パッ

魔女「…!エホッ、ゲホッ、ケホッコホッ……はぁ…はぁ…はぁ………」

魔女「く、首を閉められた……」

男「泣き止んで欲しかった」
54 : [sage]:2010/12/14(火) 00:26:27.63 ID:UKUifASO
魔女「嘘です!今のは殺意がありましたっ!!」

男「……涙を流すことでより深く悲しむ君を救いたかった。助けたかった。雫を……もう、零して欲しくなかったんだ」

魔女「え……」ドキ

魔女「…じゃないです!綺麗に言っても誤魔化せませんよ!!」

男「……ごめん」

魔女「あ、謝ったって許しません!!」

男「……ごめんな」

魔女「……うっ…ゆ、許しません!」

男「……」

魔女「ぐ……」

男「…さて、話の続きだが」

魔女「最低ですっ!!」
55 : [sage]:2010/12/14(火) 00:27:24.00 ID:UKUifASO
男「大丈夫。もう、酷いことは言わない。流石に学習した」

魔女「…信じられません」

男「おれだって女の涙は怖いんだ」

魔女「……本当ですか?」

男「周りの女が敵に回るからな」

魔女「ッ!絶対に喋りませんから!!」

男「……」パキパキ

魔女「あ、喋ります」

男「いい子だ」

魔女「ぅう……鬼がいます…」

男「真実の探求はもうしない。そんなに沢山情報無いしな」

男「今からは質問タイムだ」

魔女「はい…」
56 : [sage]:2010/12/14(火) 00:28:18.08 ID:UKUifASO
男「お前は組織の指示で動いているのか?」

魔女「い、いいえ」

男「親の指示か?」

魔女「…!ひ、秘密です!」

男「……指示は金絡みか?」

魔女「いいえ」

男「じゃあ、おれの命?」

魔女「いいえ」

男「ん?……じゃぁ、おれの存在…か?」

魔女「い、いい言えません!」

男「……」

男「お前みたいな異能者の居候は他にも沢山いるんじゃないのか?」

魔女「も、もくなんたら権です!」

男「………魔法に関係あるだろ?」

魔女「……!」ブンブン

男「以上、終わりだ」

魔女「ほっ」

男「何と言うか……」

男「お前ちょろいな」
57 : [sage]:2010/12/14(火) 00:30:00.24 ID:UKUifASO
魔女「何のことです?」

男「……国の話といい人選といい、上の奴漠迦過ぎるな」

魔女「あの…まだ何かありますか?」

男「……無い」

魔女「やった!じゃ、男さん!お邪魔しました!」タタタ

男「待て」ガシッ

魔女「わっ!な、何も無いんじゃないんですか!?」

男「お邪魔しましたってなんだよ。お前は今日から居候になるんだろ?」

魔女「い、いいい嫌です!こんな酷い人だったなんて聞いて無かったんです!!」

男「凄いボロが出てるな」

魔女「とにかく、出ます!さようならっ!!」タタタ

男「だから、待て」ガシッ

男「お前の任務はおれの監視だろ?」

魔女「し、知りません!」

男「隣近所に住むつもりだろうが、それは面倒だろ?」

魔女「大丈夫ですっ!!」

男「家族の中で唯一反対してたおれが折れたんだ。ここは乗っとけよ」

魔女「無理です!無理です!」

男「じゃあ乗れ。命令だ」

魔女「あ……」

魔女「ぐぎゅぅ……」ヘタリ
58 : [sage]:2010/12/14(火) 00:30:37.03 ID:UKUifASO
男「さて」ガチャン

男「みんな!魔女住むことになったから!!」

\ワカイシタノカ!/

\テマカカリスギダゴミクズ!/

\ォボロロロ/


男「宜しくな」スッ

魔女「貧乏くじ引きました……」
59 : [sage]:2010/12/14(火) 00:34:27.23 ID:UKUifASO
今回は以上です



次からは日常まったりの予定です
60 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/14(火) 03:43:23.56 ID:Xy9wERQo
乙ー
楽しみにしてる
61 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 12:27:35.07 ID:P.gW6WMo
おつおつつ
62 :1 :2010/12/16(木) 00:56:10.52 ID:/C9WywSO
投下します
63 :1 [sage]:2010/12/16(木) 00:56:29.94 ID:/C9WywSO
「きゃぁぁぁあ!!」

男「う……」モゾ

「いやぁぁぁあ!!」

男「……うぅ」モゾモゾ

「こないでぇぇぇぇえ!!」

男「誰だよ……こんな朝早くに悲鳴上げてるの……」

「へるぷみぃぃぃい!!」

男「…あー……魔女か?」

「食べられるぅぅぅう!!」

男「ふわぁ……」ムクリ

男「……ワニスケと挨拶中かな」

「もれなく食べられるぅぅぅう!!」
64 :1 [sage]:2010/12/16(木) 00:57:28.27 ID:/C9WywSO
―――庭


魔女「ひぃぃぃい!!」

男「…おはよう」

魔女「ぁあ!男さん!助けてくださぁぁい!!」ガバッ

男「ぐぇ」

魔女「ワ、ワ、ワワワワニがっ!ワニが庭にっ!!」ユサユサ

男「落ち着け落ち着け」ガクガク

魔女「これが落ち着いてられますか!!」ユサユサユサ

男「ちょ、キツい。朝からこの揺れはキツ…ぉえ」ガクンガクンッ

ワニ「シャー」ノソノソ

魔女「こっちくるぅぅぅう!!」ギュゥッ

男「くっつき過ぎだ」グググ

男「紹介しよう」

男「こいつは我が家のペット兼門番のワニスケだ」

魔女「ふぇ?」

ワニスケ「シャー」
65 :1 [sage]:2010/12/16(木) 00:58:54.48 ID:/C9WywSO
―――食卓


姉「そういえば紹介してなかったね」

父「ごめんな。びっくりしたろ」

魔女「かなり…」シャカシャカ

男「お前等は何故あの悲鳴で起きない」

姉「起きたけど二度寝した」

父「アイポ付けたままだった」

ワニスケ「シャー」

男「母さんは?」

父「寝てる」

男「……」

魔女「あの…起こしてきましょうか?」シャカシャカ

男「良い。お前は朝食作っとけ」

姉「ワニスケの出番だな」

父「よし、ワニスケ行ってこい!」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「か、賢いんですね…」シャカシャカ

男「我が家自慢のペットだ」

\グワァァァア!/

魔女「……今、悲鳴みたいなのが…」ピタッ
66 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:00:22.27 ID:/C9WywSO
男「ワニスケの起こし方は荒い」

魔女「…そ、そうなんですか」シャカシャカ

父「乗っかってるんだろ」

姉「爪じゃない?」

魔女「か、噛んでたりしないんですか?」シャカシャカ

父「しないしない」

男「きちんと躾してある」

魔女「………大丈夫でしょうか…」シャカシャカ

姉「大丈夫だって!ほら、出て来た」

ガラガラ

ワニスケ「シャー」トテトテ

母「あ゙ー、酷い目覚めだ」

男「おはよう、母さん」

姉「おはよう」

父「おっはー」

母「はい、おはよ」

魔女「……あの」シャカシャカ

母「魔女ちゃんもおはよー」

魔女「あ、お早うございます。それで…ケガとか……」シャカシャカ

母「……あれ?ワニスケのこと話してないっけ?」

男「そうらしい」

母「んー、飯食いながら話すか」
67 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:01:00.61 ID:/C9WywSO
魔女「……ご飯…」

魔女「…ワニスケちゃんはやっぱり生肉とかですか?」カチャカチャ

父「銀のスプーンかな」

魔女「えっ?」

父「銀のスプーンだよ」

魔女「はー、ワニって……凄い食生活してるんですね……」カチャカチャ

チーン!

魔女「あ、パンが」トテトテ

男「勘違いしてるな」

姉「別にいーんじゃない?」

男「本気でスプーン出されるぞ」

男「それは困るよなー、ワニスケ」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

カラァァン…

魔女「え…笑顔……」
68 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:01:36.06 ID:/C9WywSO
男「失礼な反応だな」

魔女「あ、す、すみません!あわわ、スプーン落としちゃいました…」

魔女「……」チラ

ワニスケ「シャー?」

魔女「……落ちたスプーン出したら怒りますよね?」

男「大丈夫だ。そもそもそいつを食料にはしない」

魔女「え…でも、銀のスプーンって…」

父「そのスプーンが銀製じゃないから食べないんだよ」

魔女「これ、銀製じゃなかったんですか!」

男「黙ってろ」

母「銀製は左から二番目だから」

魔女「は、はい!」ガチャガチャ

男「やめろ」ビシッ

魔女「痛い!」

男「姉さん、ワニスケにご飯上げといてくれ。お前はとっとと朝飯作りに戻れ」

魔女「うー」シャカシャカ

姉「了解!」ガチャガチャ

男「……」ビシッ

姉「ぎゃおん!」

姉「何をするっ!」

男「真面目にやれ」
69 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:02:32.64 ID:/C9WywSO
姉「はぁ…、ジョークも通じない弟を持って寂しいなぁ」カサカサ

姉「ほら、ワニスケご飯だ」カラカラカラ

ワニスケ「シャー」ガツガツ

魔女「あれ?スプーンじゃないですね」

男「キャットフード銀のスプーン」

魔女「あ、そういう……」シャリシャリ

魔女「…キャットフード?」

男「猫以外が食っても悪いワケじゃない」

魔女「そういえばそうですね」シャリシャリ

魔女「はい、出来ました!」

男「……気合い入ってるな」

魔女「えへへ、凄いでしょ!」

男「さ、持ってくぞ」ヒョイヒョイッ

魔女「あ、男さん。そんなに持つと落としますよ」

男「問題ない」グラグラ

魔女「わー!絶対落ちますって!」

男「心配しすぎだ」グラグラグラ

魔女「きゃー!」

男「さぁ、受け取れ」グラグラ

父「相変わらず無茶するな」ヒョイッ

母「何で落とさないんだよ」ヒョイッ

男「気合いだ」コトッ
70 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:03:09.27 ID:/C9WywSO
姉「うぉっ!メチャンコ豪勢じゃん!魔女ちゃんすごっ!」

魔女「えへへ///」テレ

姉「ホテルみたいだ!」

男「普段の菓子パンから見たらな」

男「じゃ、いただきます」パクッ

魔女「ど、どうですか?」

男「旨い」モグモグ

魔女「本当ですか!」

男「嘘ついてどうするんだよ…」

父「凄いなぁ。インスタントのコーヒーでもこんなに美味しく淹れられるんだな」ズズッ

姉「幸せだー!」ガツガツ

魔女「良ければ、毎日だって作りますよ!」

男「それは結構だ」

魔女「ガーン!」

男「いつも、こんなにゆっくりとした朝じゃないんだ」

魔女「そうなんですか?」

母「平日は仕事や学校が在るしねー」モグモグ

魔女「うー、残念です」シュン
71 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:03:47.99 ID:/C9WywSO
男「故に、普段はお前がどうしたいかにもよるが、ワニスケと二人きりになるワケだ」

ワニスケ「シャー」

魔女「……ふぇ?」

魔女「二人きり……?」

魔女「ワニスケちゃんと…」チラ

ワニスケ「シャー」

魔女「二人きり…」

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「無理無理無理!!」ブンブンブン

男「そこで、流血無しで暮らす為の説明をしようと思う」

母「えー、馴れ初めから話そうぜ」モグモグ

男「時間掛かるから却下」
72 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:04:30.17 ID:/C9WywSO
魔女「流血……」ゾッ

姉「たまに野生だけど、すっごい大人しいから怖くないって」モグモグ

魔女「野生があるなら無理です!食べられちゃいますよ!」

父「ホントに大人しいんだって。齧って来るのは年に数回だよ」モグモグ

魔女「一回でも大問題ですよ!!」

母「大丈夫。魔女ちゃんぐらい大きかったら、丸呑みはされないから」ムシャムシャ

魔女「いやぁぁぁ!!」

男「今の医療技術なら、指ぐらい欠けても生やせるんだ。襲われても、その程度の怪我に収めれば無問題」シャクシャク

魔女「ひぃぃぃ!!」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「きゃぁぁぁ!!!」

男「さて、脅しはこのぐらいにするとして…」

魔女「お、脅し……」
73 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:05:34.12 ID:/C9WywSO
男「ワニスケはまず人には噛み付かない。これは覚えておいてくれ」

魔女「信じられません…」

男「魔法の存在よりは現実的だから、安心して受け入れろ」

魔女「……そう言われると、反論出来ません…」

男「噛み付かない。ただし、例外は存在する」

男「かなり意地悪された時とお腹がどうしようもなく空いている時」

男「この二つはまず無いな。一回だけ、おれの友人が調子乗って突きまくって、ぱっくんちょされたけどな」

魔女「こ、怖いです…」

男「お前に意地悪する勇気があるなら可能性は在るぞ」

魔女「…!」フルフルフル

男「じゃぁ、大丈夫だ」

男「後は、口の中に触れた時かな」

姉「反射で口閉じちゃうんだよねー」シャクシャク

ワニスケ「シャー」

魔女「普通触ろうとも思わないですよ!」

男「なら、無問題だ」

父「きちんと相手を知れば危険は無い。直ぐに仲良くなれるよ」モスモス

魔女「自信がないです……」

男「……」

男「聞いた話しなんだけどな…」

魔女「はい?」
74 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:07:15.46 ID:/C9WywSO
男「動物って人の子供と一緒で、向けられている感情に凄い敏感らしい」

魔女「はあ…」

男「それで、怯えてると肉食の血を焚き付けるとかなんとか…」

魔女「わぁー!わぁー!」

魔女「……ぅう…努力してみます」

男「ちょろいな」ボソッ

母「じゃぁ、まずは挨拶だね。まだ悲鳴しかあげてないっしょ」ヒョイッ

ワニスケ「シャー」

母「ほれ」ズイッ

魔女「ひっ……あ、あの、私魔女とい、いいまして、この度ママさんの家の居候になりました」ビクビク

ワニスケ「シャー」

魔女「よ、宜しくお願いします……」ビクビク

ワニスケ「シャー」

母「ほれ、ワニスケも挨拶しな」ペシッ

ワニスケ「シャー」ペコッ

魔女「…!」ペコッ

姉「さぁ、そこでタッチだ!」

魔女「た、たっち?」

姉「ボディタッチだよ!」

魔女「ぜっったい出来ません!」

男「怯えは肉食の血を――

魔女「わー!わー!!」

魔女「さ、触ります……」
75 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:07:56.20 ID:/C9WywSO
魔女「……」ソー

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ソー

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ツン

ワニスケ「シャー」

魔女「……」ツンツン

ワニスケ「シャー」

魔女「…」ペタペタ

ワニスケ「シャー」

魔女「…」ベタベタベタ

ワニスケ「シャー」トロン

魔女「…!」ナデナデ

ワニスケ「シャ……」ウトウト

魔女「…!!」ナデナデナデ

ワニスケ「zZZ」

魔女「わぁ〜!」キラキラキラ

魔女「可愛く見えてきました!」

男「お前の適応力にはある種感嘆するものがあるな」
76 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:08:45.50 ID:/C9WywSO
母「どう?もう怖くない?」

魔女「はい!牙や目が隠れていたら大丈夫です!後、眠っている時もオーケーです!」

男「全然適応してなかったな…」

魔女「だって、直ぐには慣れませんよぉ」エグエグ

魔女「怖がったら咬まれるって言うから、頑張ったんですよ!」

姉「適応Level.3ぐらいか……」

母「Level.5は欲しいな…」

父「明日にするか?」

男「触れるなら大丈夫だろ」

魔女「な、なんの話ですか?」

男「普通に馴れるだけならこんな荒療治しなくても良かったということだ」

魔女「…?よく…判らないんですが……」

男「後で判る」

姉「取り敢えず、食器片付けるか」ガタッ

母「歯も磨かないとな。あ、これ魔女ちゃんの分の歯ブラシだから」ポイッ

魔女「あ、有り難うございます…」

父「エンジン点けてくる」テクテク

男「ワニスケ、起きろ」ゲシッ

ワニスケ「くぎゅ」

男「トイレ済ませとけ」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「あ、あの…」

男「後で判るって。あ、これ歯みがき粉だから」スッ

魔女「あ、どうも…」
77 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:09:34.13 ID:/C9WywSO
―――車内


ブロロロロ

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「…足がぱっくんちょされそうです……」シクシク

男「馴れといて良かったろ」

魔女「……こういうことだったんですね…」

姉「ワニスケ座席に乗せると爪が引っ掛かるんだよねー」

魔女「だからって足元になんて…」

魔女「後ろにスペース在るじゃないですか……」

男「あそこは荷物が入る」

魔女「……無いですよ?」

男「これから入るんだ」

魔女「ぅう…初めてのドライブがこんなだなんて……」

ワニスケ「シャー」

魔女「あ、何でもないです!楽しいですね!」

魔女「はぁ……」ガク
78 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:10:52.24 ID:/C9WywSO
男「……今から何処へ行くか判るか?」

魔女「いえ…」

父「お買い物だよ」

魔女「何でです?」

魔女「あっ!もしかして私が朝食に材料使い過ぎたからですか?」

母「んー、食材も買うには買うけど、メインは魔女ちゃんかな」

魔女「私…ですか?」

姉「服とか食器とか色々必要でしょ」

魔女「私はこれ一着で大丈夫です」

男「汚ない」

魔女「えぅ…」

男「遠慮するなよ。そっちの方が迷惑だし、失礼だ」

姉「そーそー。我が家は金の心配無いんだから安心してね」

魔女「す、済みません。何から何まで…」

姉「気にすること無し。しっかり楽しもうぞよ」

男「となると、父さん母さんワニスケとは別行動だな」

母「あぁ、下着選びたかったなぁ」ションボリ

父「お菓子買ってあげたかったなぁ」ションボリ

男「軽く変態入ってるな」
79 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:12:09.23 ID:/C9WywSO
魔女「え?ダメなんですか?」

男「ワニスケの居る意味を考えろ」

ワニスケ「シャー」

魔女「な、仲が良いから?」

男「それで一々外に出してたら、門番じゃないだろ」

魔女「確かに…」

姉「ま、言ってみれば虫除けだね」

魔女「虫除け?」

母「変装しても私だって気付く人は気付くのよ。マスコミはネタが欲しい時期だし、しつこいのもいてさ。でも、パパは立場上強く出れない」

父「そこでワニスケだ」

母「本物がワニを引きつれてるワケが無いって思ってくれるし、気付いても声が掛けづらくなる」

父「優秀な子だよ」

魔女「ほへー、ワニスケちゃん凄いですねぇ」

ワニスケ「シャー」
80 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:13:42.78 ID:/C9WywSO
魔女「……あれ?何で一緒に行けないんですか?」

男「お前がびびってるからだ」

魔女「あ……」

魔女「ご、ごめんなさい!!」

母「よかよか。また、今度下着選ばせてね」

父「パパにも選ばせてね」

魔女「はい!」

男「そこは了承したらダメだろ」

キキィッ

父「さ、着いたぞ」

父「ショッピングモール"漆黒の堕天使"だ」

男「そんな痛かったか?」

姉「"血濡られた精霊の饗宴"じゃなかったけ?」

母「"輝ける神々の栄光"だろ?」

ワニスケ「"シャー"」

魔女「か、格好良い名前なんですね!」ドキドキ

男「"モルダ"だろ。看板に書いてあるし」

魔女「カッコ悪いです…」

男「少し病を患ってるみたいだな」
81 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:14:31.38 ID:/C9WywSO
母「ほいじゃ、私達は適当に回っとくから。何か困ったら電話しんさいね」

父「後はお若い者同士ごゆっくり…グフフ」

ワニスケ「シャー」

スタスタスタ


魔女「行っちゃいました」

姉「さて……弟、ちゃんと財布持ってるよね」

男「無論だ」

姉「じゃ、私達も行こうか」

姉「"忘却の都市"へ!」

魔女「はい!」

男「あんま叫ぶな。恥ずかしい」

スタスタスタ
82 :1 [sage]:2010/12/16(木) 01:16:48.35 ID:/C9WywSO
今回はここまでです



ワニ紹介するだけの回です

進みが遅くて申し訳ないです
83 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/16(木) 03:06:09.57 ID:P5/kR9Mo
ギリギリ常人wwww
ちゃうわーwwwwwwwwww
だが、楽しいぞ
84 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/17(金) 08:27:30.00 ID:Vs2OvESO
このノリ大好きだ
85 :1 :2010/12/19(日) 09:32:48.88 ID:ykOfK6SO
皆さん感謝です


では投下いきます
86 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:33:53.28 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈下着売場〉



姉「紐かスケスケか……」

姉「うーん、どっちが良いかな…」

魔女「い、今のトレンドなんですか?」

姉「そうそう」

魔女「だ、大胆なんですね…」

姉「最近の女の子は特にねー」

姉「おい、男代表。あんたはどっちが好き?」

男「解放してくれ」

姉「質問に答えろYo!」

男「何で女性用下着の店にいないといけないんだよ…」

男「視線が痛い……」

姉「気にするなYo!」

男「無茶言うな」

魔女「す、済みません!こんなことにまで付き合ってもらって」

男「……付き合う気は無い」

魔女「えー、そんなぁ」
87 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:34:34.08 ID:ykOfK6SO
男「良いのか?」

魔女「…?」

男「おれに下着姿見られても良いのかってことだ」

魔女「それは…」

魔女「……」

魔女「…ッ!」ボッ

魔女「男さんのエッチ!!」

姉「女の敵!」

男「じゃぁ、出るよ」

姉「それは許さない」

男「理不尽」

魔女「色魔!」

男「随分堅い言葉知ってるな…」

姉「さて、冗談はさておき、とっと選んでしまおう」

魔女「あっ、はい」

男「……」
88 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:35:17.31 ID:ykOfK6SO
男「冗談止めるなら、まずはその紐とスケスケを戻してこい」

姉「結局居るつもり?」

魔女「そんなに見たいんですか!?」

男「目玉抉り取って欲しいなら、そんな遠回しに言わなくても大丈夫だぞ」ニコッ

魔女「ひっ!」ビクッ

姉「魔女ちゃんはもうちょい視界を広く持つべきだね」

魔女「どういうことですか?」

姉「愚弟が覗き魔じゃない可能性を考えろってこと」

魔女「覗き魔じゃない男さん……」

魔女「まさか!」

魔女「女装癖っ!!」

姉「大正解!」

男「だからさ、頭捻じ切って欲しいなら素直にそう言えよコノヤロー」ニコニコ

魔女「ひぃぃっ!」ビクッ
89 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:36:49.80 ID:ykOfK6SO
姉「怒んなよ!魔女ちゃん怖がるだろ!!」

男「はい、黙れ」ゲシッ

姉「痛い!蹴るなよ!」

男「ははは」ゲシッ、ドカッ、ガスッ

姉「痛い痛い痛い!!」

魔女「あわわわわ」

店員「あの…お客様……」

男「何でしょうか?」ゲシッ

店員「お店の中での暴力行為は…その……止めていただけないでしょうか?」

男「暴力ではありません。彼女にどうしても蹴って欲しいと頼まれたのです」ゲシッ

姉「言うかボケッ!」

店員「あの…事情はともかく……他のお客様の迷惑にもなりますし…」

男「判りました」

店員「……はい。では、失礼致します…」

魔女「ご、ご迷惑をかけました!」ペコッ

店員「……」ペコ

男「怒られたじゃないか」

姉「いてて。知るかよ。あー、クソッ、土着いた」

魔女「ごめんなさい。ちょっとはしゃぎ過ぎました……」
90 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:37:21.39 ID:ykOfK6SO
男「とっとと決めるぞ。まだまだ買わないといけないものは腐る程有るんだ」

姉「へいへい」バサッ

男「……」ポイッ

姉「ちょ、おまえっ!折角人が選んだ物を!」

男「紐とスケスケは置いてこいと言った」

姉「お前に取捨選択の権利は一寸も有らず!」

男「姉さんにもな」

姉「私は女だから有るのさ!」

男「酷い男女差別だな」

男「権利を持っているのは魔女だ。あいつに決めてもらえ」

姉「魔女ちゃんなら快諾するに決まってんじゃん!聞くまでも無し!」

男「…と、言ってるがどうだ?」

魔女「あ、あの……お姉さんのオススメですし、着てあげたいんですけど……」

魔女「や、やっぱり恥ずかしいです!」
91 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:38:00.50 ID:ykOfK6SO
姉「は?人に選んでもろぉて恥ずかしいから着れへんやとぉ?」

姉「舐めとんのかワレェ!ゴラァッ!」

魔女「ごごごごめんなさい!」

男「最低な絡み方だな」

姉「ヘヘヘ、言葉じゃ伝わらねぇなぁ。行動で誠意を示して貰おうか?」

魔女「こ、行動で示す……」

姉「なんじゃ、こげなことも判らんがかい。脳の細き女じゃのう」

姉「おら、説明したらんかい!」クイッ

男「何処の人だよお前は……」

姉「今それ話に上がっとらんじゃろがっ!無駄口叩かんとさっさと言わんかいっ!!」

男「面倒臭いな」

男「……えー、まぁ、うん。お前の好きな柄選んで来なさいということだ」

魔女「私の思ってたのと違う……」

姉「私の思ってたんとも違うで……」

男「そういうケースも有る。ほら、行ってこい」

魔女「は、はい…」トコトコ
92 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:38:32.16 ID:ykOfK6SO
姉「ぎぎぎ、おどりゃぁ、ふざけた真似を…」

男「だから、何処の人だよ」

姉「おんしのせいで儂の夢は潰えたがじゃ。魔女をば着せ替えて遊ぶゆう儂の夢がのぉ…」

男「着せ替え人形だけなら、どの服だって出来るだろ」

姉「判っとらん!なぁんも判っとらん!露出の少ないモノは見てて楽しゅう無いんじゃぁ!!」

男「知るか」

姉「同じ血の通う姉弟だがや!おみゃーも疼くものが有るはずだっちゃ!」

男「止めろよ。そう持ち出されると、ついついおれの中に流れる血を呪いたくなるだろ」

姉「むきゃー!!」ダンッダンッ

魔女「男さーん!お姉さーん!」タッタッタッ

男「良いタイミングで帰ってきた」
93 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:39:04.66 ID:ykOfK6SO
魔女「えへへ。ちょっと時間かかっちゃいました」

男「問題無い。見せてくるか?」

魔女「はいっ!」バッ

男「………わぉ」

姉「………わぉ」

魔女「どうですか?」ワクワク

男「うさぎさんか……」

姉「くまさんか……」

魔女「可愛いですよねっ!」

男「……」

姉「……」

男「店員さーん!この娘に似合う下着を十着ぐらい選んで下さーい!」

姉「本人の意志とか無視して良いですから!」

店員「はい……かしこまりました……」

魔女「え?えっ!?」
94 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:40:21.00 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈広場〉


姉「うーん……服は買った…食器も買った…歯ブラシ、クリームにアレも買ったから……後何か必要なもの有る?」

魔女「特には無いんですけど……」チラ

男「ゼェ……ゼェ……」

姉「あ!家具とか?」

男「家具は…ハァ……此処には良いのが…ゼェ……無いだろ…」

姉「そっか。じゃぁ……布団?」

男「布団は…有る……ハァ…」

魔女「あの…一つ持ちましょうか?」

男「結構…ゼェ……だがっ…一旦車に置いてくる……わ…」

姉「鍵有んの?」

男「有る……」

フラフラフラ

魔女「…大丈夫でしょうか?」

姉「問題ないっしょ」

姉「さて、荷物持ち居なくなったけど買い物は続行します」

魔女「勝手に動いて大丈夫なんですか?」

姉「大丈夫大丈夫。何の為の携帯だよ」

魔女「あ、そっか。便利ですね」
95 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:41:05.43 ID:ykOfK6SO
姉「欲しい?欲しいなら買いに行くよ?」

魔女「い、いえ、結構です!つ、使い方覚えられないと思いますし!」

姉「使ってれば勝手に覚えるもんだけどねー。ま、手続き面倒だし今度でもいっか」

魔女「はい」

姉「んー、ならさ、小物でも買う?」

魔女「小物?」

姉「そ。部屋に置いたり何だりするアイテムのこと」

魔女「私は今の部屋でも良いんですが…」

姉「良くない!良くないよ!女の子ならもっとド派手に飾らなきゃ!」

姉「例えば石とか置いたり並べたり飾ったりしてさぁ!」

魔女「石ってパワーストーンですか?」

姉「ぅえっ!?興味有んの!?」

魔女「はい。あの…ダメですか?」

姉「いや、駄目では無いけど……あたしの言う石って原石に裸石だよ?装飾用のキンキラリンじゃないよ?」

魔女「私も裸石の方が良いです」

姉「そ、そう…」

姉「…うん!よし!あたしに着いて来なさい!お気に入りの店を紹介してあげるっ!」ダダダダダ

魔女「えっ…あの、ちょっ、何でそんな全力で走って…」

姉「フハハハハハ!!」ダダダダダ

魔女「ま、待って下さーーい!」タタタタタ
96 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:42:13.50 ID:ykOfK6SO
―――ショッピングモール〈石の宿〉



姉「ここがあたしのお気に入りっていうか、あたしの為のお店よ!」

魔女「いっ…息切れ…ゼェ……一つ起こしていない…ゼェゼェ……」

ガラガラガラ

姉「へい!店主居る?」

店主「おぉ、お嬢じゃないか。久しぶりだね」

姉「うん!久しぶり!相も変わらず会社をクビになり妻にも逃げられ娘に臭いと吐き捨てられ家出され三度の自殺も悉く失敗に終わった……アメフラシを踏み潰してしまったような顔してるね!」

店主「後ろの子は友達かい?」


姉「渾身のネタをスルーされ、いといたずらなりけり」

魔女「あ、どうも!お姉さんの家に居候させていただいている魔女です!」ペコッ

店主「可愛いね。それに礼儀正しい。随分良い拾い物をしたね」

姉「クハハ、もっと褒めろ」

店主「それで、君は石を見に来たのかい?」

魔女「他に何か在るんですか?」

店主「いや、無理矢理連れて来られたのかと思ってね」
97 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:43:00.95 ID:ykOfK6SO
魔女「お姉さんはいい人ですから、そんなことしませんよ」

姉「……ごめんなさい」ガクッ

魔女「えぇ!何で謝るんですか!?しかも土下座!」

店主「ははは!罪悪感だろ」

魔女「顔を上げて下さい!」グググ

姉「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ブツブツ

店主「さて、開店前とはいえ客は客だからな。商品を出してくるから少し待っててくれな」

魔女「か、開店前だったんですか!?ご、ごめんなさい!迷惑…ですよね?」

店主「可愛いお嬢さんが来て迷惑がる親父はどの星の下を探してもいないさ」スタスタスタ

姉「もう!お世辞は止めてよ!」スクッ

魔女「わっ!」ビクッ

姉「あ、もしかしてお世辞じゃなくて本気?いや〜ん、困っちゃう〜!」

店主「ははは。本当に相変わらずだね」ガサガサ

店主「ほら、品物だ」ドンッ
98 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:43:41.53 ID:ykOfK6SO
魔女「わぁ〜!沢山有りますねっ!」キラキラ

店主「そうか?ウチは少ない方だぞ?」

姉「奥にアホみたいな量眠ってんじゃん」

店主「……いつ覗いた」

姉「覚えてな〜い☆」テヘッ

店主「そうか」

魔女「あの…これおいくらでしょうか?」

店主「ん?あぁ、それは500円ぐらいだな」

魔女「これが500円!安いです!」

店主「普通だぞ」

魔女「いえいえ!安いですよ!」

魔女「私達の間なら、この純度だと20万はします!」

店主「そいつはかなりぼったくりだな」

姉「純度って肉眼で確認出来たかいな…」

店主「出来るが……パッと見ただけでそうとは判らないもんだぞ」
99 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:44:18.27 ID:ykOfK6SO
魔女「はー、噂には聞いてましたが驚きです」

店主「噂ねぇ…。たまにお嬢ちゃんみたいに安い安いって興奮する客が来るけど、同郷かい?」

魔女「えっ?どんな方達ですか?」

店主「お嬢ちゃんみたいに左右で目の色が違う外人だよ」

魔女「あー……同業…ですかね…」

姉「もしかして、魔法関係?」

魔女「そ、それは……その…」

姉「魔法使いって皆虹彩異色なの?」

魔女「えと……あの…」

店主「おい、いきなりファンタジーでおじさん着いていけないんだが」

姉「説明してる暇無いの!」

店主「飴やるよ」スッ

姉「魔女ちゃん実はお伽の世界から来た魔法少女なのさ!」コロコロ
100 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:45:06.32 ID:ykOfK6SO
店主「いや、信じられないから」

姉「なんだと!じゃぁ、証拠見せてあげな魔女ちゃん!」

魔女「…!」フルフル

姉「お姉ちゃんの言うことが聞けないってか!」

魔女「い、いや、それよりもですね、こんな所で魔法使ったら…その……」

姉「大丈夫さ!」

魔女「危険というか……その…」

姉「問題無いっ!」

店主「危険なら止めてくれ」

〜〜ぃぎゃぁぁあ♪死ぬぅぅう♪

魔女「な、何の音ですかっ!?」

姉「あ、着信だ」

店主「また、ハイレベルな着信だな」

ピッ

姉「うぇい、もしもし」

男『あっ、姉さん。今何処に居るの?』

姉「今?今は石の宿に居るけど」

男『判った。今からそっち向かう』

ピッ

魔女「ママさんですか?」

姉「んにゃ、弟だにゃ。姉さんと離れて寂しいって」

魔女「男さんにそんな可愛い所が…」
101 :1 [sage]:2010/12/19(日) 09:47:03.60 ID:ykOfK6SO
姉「さぁ、魔女ちゃん。うるさい奴が来ないうちに済ませるんだ」

魔女「あの……危険なんです…」

姉「なんでよ!家では見せてくれたじゃん!」

魔女「こ、ここは…人目も在りますし…」

店主「石か」

魔女「!す、鋭いです…」

姉「パワーストーン?」

店主「オカルトだが、波動が関係してるってことだろ」

姉「そういえば、そんなのが各石に有ったな」

姉「で、実際どうなの?」

魔女「ま、魔翌力なんです」

姉「魔翌力?」

魔女「石には魔翌力が宿るものが有るんです」

姉「成る程。良く判らん」

魔女「説明しましょう!」

店主「ホワイトボード貸してやる」ガラガラ

魔女「有難うございます!」
102 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:48:52.78 ID:ykOfK6SO
魔女「まず、魔力は魂が変化したものです!此処までは良いですか?」カキカキ

姉「基礎知識みたいに聞くな」

店主「超次元だよ」

魔女「むぅ、仕方ないですね」ケシケシ

魔女「この世に生きる全ての生命体は魂を持っています」カキカキ

姉「植物も?」

魔女「生きるもの全てです!」

店主「ウイルスもか?」

魔女「それは良く知りません!」

店主「……」

魔女「魂は皆一様です。種族の間で差は有りません」

魔女「生命体が死ぬと霧散するとか空に帰るとか言われてます」カキカキ

魔女「が!たまに消えないものも在るわけです」カキカキ

魔女「そういったものは、集まり安い所に勝手に引き寄せられます」カキカキ

店主「それがパワーストーンって訳か」

魔女「その通り!判っていただけましたか?」
103 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:50:00.99 ID:ykOfK6SO
姉「それなら、直接魂集めても良くね?出来たての死体から引っ込抜くとかしてさ」

魔女「そう、思いますよね!ところがどっこいなんです!」バンッ

魔女「魂は変化しなきゃいけないんです!長い時間を掛けてゆっくりと……」

魔女「肉体が…アレです……あの…黒くてドロドロしてたりカチンカチンしてたりする……」

姉「石油か」

店主「石炭だな」

魔女「そう!その石油や石炭になるようにです!」ビシッ

店主「精神はどうなるんだ?」

魔女「全く知りません!」

店主「……」

姉「先生、魔力の創られ方は判ったんですけど、どうして此処で魔法使っちゃいけないんですか?」

魔女「はい!それはですね!元が魂だけあって名残として共鳴が在るんです!」

店主「共鳴するとどうなるんだ?」

魔女「普通なら何も起きません!」

魔女「しかしですね、魔力濃度が高い密閉空間なら爆発する危険性があるんです!」

姉「まさに此処じゃねぇか」

魔女「そうなんです!」
104 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:51:51.69 ID:ykOfK6SO
店主「……」

店主「不思議な話だ…」

魔女「嘘じゃないですよ!」

店主「あぁ、信じよう」

姉「おっさん……その顔とその歳でメルヘンワールドへ行くのはヤバイ所じゃ済まないぞ…」

店主「宝石にまつわる奇跡や呪いの類いの話は世界中にごろごろ転がっている。波動よりか魔力と考える方がしっくりくる」

姉「にゃるほど」

店主「それに、無いより有ると思った方が人生楽しいじゃないか」

姉「楽しいじゃないかっ」キリッ

姉「とか、ちょ〜ウケるんですけど〜!!」ギャハハハハ

店主「お嬢は信じてないのかい?」

姉「あたしはばっちりよ!こんな可愛い娘疑うとか有り得ないし!」ギュッ

魔女「はわわ」

店主「じゃぁ、俺が信じても良いじゃないか」

姉「顔が駄目だな」

店主「おじさんもそこまで言われると傷つくな」

魔女「わ、私は信じてもらえて嬉しいですし、店主さんの顔は別に悪く無いと思ってますよ!」

店主「ありがとな、嬢ちゃん。やっぱ、いい子だ」
105 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:53:20.89 ID:ykOfK6SO

ガラガラ

男「迎えに来たぞ」

店主「おぉ、坊主も久しぶりだな」

男「久しぶりだな店主。相も変わらず、ナマコを踏み潰してしまったような顔してるな」

店主「流石、同じ血だな」

男「は?」

店主「何でも無い」

男「そうか」

魔女「あの…男さん?」

男「どうした?」

魔女「私、男さんがシスコンでも構いませんからっ!」

男「……おい、姉さん。どういうことだ」

姉「知らな〜い☆」テヘッ

男「……」ビスッ

姉「ひぎゃぁぁあ!目がぁぁぁあ!!」
106 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:55:17.03 ID:ykOfK6SO
男「ん?何だこのホワイトボード。買い物してたんじゃないのか」

店主「超次元世間話をしてたな」

男「魔力とか書かれてるからな。見れば大体分かる」

魔女「私が講師したんですよ!」

男「はいはい、偉い偉い」

魔女「むぅ」

男「何か買わなくて良いのか?」

魔女「え!じゃぁ、コレとコレとコレ買ってください!」

男「また、随分買うな」

魔女「えへへ」

男「ほら、金だ。釣りはいらない」パサッ

店主「50円足りない」

男「……」チャリン

店主「まいど」

姉「ブワハハハ、だっせぇの!」

男「……」ビスッ

姉「ぐがぁぁぁあ!鼻がぁぁぁあ!!」ドクドク

魔女「わわっ!鼻血が出てます!」
107 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:56:34.44 ID:ykOfK6SO
男「勝手に止まる。ほら、さっさと行くぞ。父さんと母さんが待ってる」

魔女「あ、はい!」

姉「な"、な"んでおどうざんとおがあ"ざんが待っでんの"?」ドクドク

男「今何時か判るか?」

魔女「二時くらいですか?」

男「七時だ。飯にしたいそうだ」

姉「あ"ー、時間がだつの"はばやいね"ぇ」

魔女「そ、そんなに!い、急いで作らなきゃ!」

男「良い。今日は外食の気分らしい」

魔女「外食……」

男「お邪魔したな店主」

ガラガラ

店主「また来いよ」

男「ん…」
108 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:57:43.43 ID:ykOfK6SO
――ショッピングモール〈ちゃんこ鍋の店〉



母「遅いっ!」ガツガツ

父「一体何時間待たせるつもりだ!」モグモグ

ワニスケ「クシャー」バクバク

男「待ってないだろ…」

魔女「美味しそうですね!」

姉「だが、もう殆ど残ってねぇぞ」

母「食うものが無いなら」

父「新しくオーダーすれば良いじゃない!」

ワニスケ「シャー」バクバク

男「……ウゼェ」

姉「仕方ない」カチッ

ピンポーン

トテテテテ

店員「はいっ!お呼びでしょうっかっ!」

男「ちゃんこ四人前追加で」

姉「後、お水下さい」

店員「うっけたまわりました!五番テーブルのお客様ぁ、ちゃんこ四人前追加ー!」

\ウーイ!/

店員「直ぐ持ってまいりMAX!」バァァン

タタタタ

男「居酒屋のテンションだな」

姉「大丈夫か、この店」

魔女「楽しみです!」
109 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:58:50.77 ID:ykOfK6SO
男「で、重大発表が在るとか言ってたが、何だ?」

母「チッ!憶えてやがったか!」

父「ムカつくヤロォだ!」

姉「忘れていればいいものをっ!」

ワニスケ「シャー」バクバク

男「茶番は良いから話せ。後、姉さんはこっち側に戻って来い」

姉「ふぁーい」

父「つれないねぇ」

母「それじゃぁ、話すけどさ。実は母さん達ね、し――

タタタタ
ズザーッ

店員「あいぃ!ちゃんこ四人前お持ちしましたぁ!」

姉「おい、慣性考えろ。もやし飛んだぞ」

店員「おっ鍋の方お汁が少なくなっておりまっすので、こちら新しい鍋と代えさせていただきます!よっろしいでしょぉか!」ガチャ、ドンッ

男「もう代えてるじゃないか」

店員「そしてお冷やでございますぅ!」ダンッ、バシャッ

姉「凄い水が散る」

店員「それでは!」

タタタタ

男「嵐の後みたいだ」

母「よし、食うか」

魔女「お鍋っ!お鍋っ!」ワクワク

男「いや、続き話せ」
110 :1 [saga]:2010/12/19(日) 09:59:44.71 ID:ykOfK6SO
母「途中で遮られたから白けたわ」

男「重大発表じゃなかったのかよ」

父「考えたら、そこまで重大じゃなかったわ」

母「うん。たかだか、ママとパパが昔の仕事に戻るだけだもんね」

姉「なんだよー、そんなことかよー。ビビらせんなよもー。さぁ、入れちまおうぜ」

魔女「はい!」

姉「しかしなー、昔の仕事かー。昔の……」

姉「ぇぇぇえっ!?」

魔女「…!」ビクッ

男「やると思った」

姉「えっ?マジで!?マジで戻んの?」

母「大真面目よー」
111 :1 [saga]:2010/12/19(日) 10:00:55.21 ID:ykOfK6SO
男「しかし、なんでまた急に…」

父「遊ぶのに飽きっ………周りから強く押されてな」

男「飽きたから仕事に戻るのか…。道楽かよ」

母「まぁ、そう言うなよ。真実はうっかり漏らすものじゃないぜ?」

男「せめて、否定して欲しかった」

姉「二年間も休んでて、今さら拾って貰えるのが凄い。主にお父さん」

父「ママは?」

姉「お母さんの仕事では、しょちゅう在るじゃん」

父「なるへそ」

母「皆真面目な理由だけどねー」

男「自分がイレギュラーの自覚はあるのか」

父「まぁ、パパは人望があるってことで」

姉「人望…?」

父「凄い疑いの眼差しだ」

男「理だ」

父「はぁ……本当は二年っていう約束だったんだ」

男「成る程な」

母「ママはパパが戻るならってことで戻ります」

姉「成る程、不真面目な理由だ」
112 :1 [saga]:2010/12/19(日) 10:01:53.61 ID:ykOfK6SO

グツグツ

男「二年なら……おれが春休み入るぐらいか」

父「うん。後1週間ぐらいだ」

グツグツ

姉「二年か……あたしが春の長期休暇に入るぐらいか」

母「そうね。後1週間ぐらいね」

男「何故同じやり取りをした」

グツグツ

姉「同じじゃねーし!オリジナルだし!」

母「寧ろお前のがパクリだし!」

男「はいはい、そうだね」

グツグツ

魔女「そろそろでしょうか…」

男「で、お前は会話に参加する気無しか」

魔女「いや、込み入った話みたいですし……」ヒョイッ、パクッ

魔女「はふっ、暑い!でも美味しいです!」

男「食いたいだけか」

姉「なんて外道なんだ魔女ちゃん!」

魔女「えっ!?」
113 :1 [saga]:2010/12/19(日) 10:03:11.89 ID:ykOfK6SO
姉「私達、まだ日は浅いけど家族じゃないか!魔女ちゃんが関係者じゃないワケが無いじゃない!」

魔女「あぅ…」

姉「それとも、魔女ちゃんは家族と思ってくれてないの?」

魔女「そ、そんなこと在りません!」

姉「なら、一緒に聞こうよ!一緒に考えようよ!それに、魔女ちゃんは……いや、魔女ちゃんだからこそお父さんとお母さんのこと知ろうと思わなきゃ駄目だよ!二人が昔の仕事に戻ったら、家を空けることも多くなっちゃうんだ!その理由も何でで済まして良い筈が無いだろっ!私達が教えてくれるだろうからとか思わないで!二人から聞くから価値が有る!家族として近くなれるんだ!一人だけ呑気に飯食いやがってムカつく!」

男「おい、最後本音漏れたぞ」

魔女「ごめんなさいっ!」
114 :1 [saga]:2010/12/19(日) 10:03:44.71 ID:ykOfK6SO
魔女「私、皆さんの愛を信じれなくて距離を置いてました…」

魔女「そんな自分が恥ずかしいですっ!」

姉「良いよ。これからじゃないか」

魔女「お姉さんっ!」ギュッ

姉「よしよし」ナデナデ

母「うるっ、と来たぜ」スンッ

父「これが……家族愛っ!」ブワッ

ワニスケ「シャー」

男「………」

魔女「パパさんママさんも!」ギュッ

母「ふふっ」ギュッ

父「へへっ」ギュッ

姉「さぁ!魔女ちゃん手を取って!」スッ

魔女「はいっ!」キュッ

姉「一緒に語り合おうっ!」

魔女「はいっ!!」

男「あー、ちゃんこマジうめぇ」モグモグ

ワニスケ「シャー」
115 :1 [saga]:2010/12/19(日) 10:04:49.86 ID:ykOfK6SO
魔女による話のまとめ


・ママさんは元女優さん

・パパさんは元社長さん

・政治家とのいざこざからパパさんが社長を辞める

・社員一同に止められる

・妥協に妥協を重ねて、取り敢えず二年間は絶対に仕事しません宣言

・話を聞いたママさんも折角だからと女優を休業

・遊び回る

・飽きたしモヤモヤも取れたから、契約通り二年で復帰しようとパパさんが決意する

・ママさんも折角だからと女優に復帰することを決意←今ココ

・お姉さんのお気に入りはアンバー

・ワニスケさんは相変わらず怖い

・ちゃんこ鍋は美味しい

・そういえば、男さんが会話に入ってこなかった
116 :1 [sage]:2010/12/19(日) 10:06:37.51 ID:ykOfK6SO
本日は以上です


魔 力って引っ掛かるんですね。びっくりしましたです
117 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage saga]:2010/12/19(日) 10:12:17.61 ID:7Ys.sEDO
目欄にsagaを入れないからそんなことに…

魔力
118 :1 [sage]:2010/12/19(日) 10:35:30.10 ID:ykOfK6SO
気付いたので、誰かに突っ込み入れられる前に言っておきます



前回の歯ブラシはホテルとかに有る使い捨て。今回は専用のを買った。よって、矛盾は無し

そういうことにしておいて下さい!お願いします!
119 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 10:53:39.08 ID:sO24jWYP
いや、許さんニダ
責任と賠償にエロを要求するニダ
120 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 11:14:13.61 ID:lCZneoDO
エルシィで再生されるのは俺だけか
121 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/21(火) 07:49:21.96 ID:dve0Dawo
期待してるぞ┣¨┣¨┣¨┣¨
122 :1 [sage]:2010/12/22(水) 18:51:57.49 ID:VHgBIgSO
>>117

これからはsagaしていこうと思います。sagaして

>>120

エルシィ可愛いですよね。バカの子で

>>121

ありが ドドドド


おまけ

魔女「>>119さん[らめぇぇっ!]でした!あんな[禁則事項です]してしまい[らめぇぇっ!]でした!」

エロってこうですか?良く判りません(^p^)
123 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:10:50.07 ID:7q.mm6SO
―――高校

野球部員「誰か粉塵プリーズ!」カチカチ

男「ほら」カチカチ

野球部員「おい!誰がこやし玉投げろつった!」カチカチ

野球部員「あ、ぎゃぁぁあ!死んだぁぁあ!」

サッカー部員「おい、ふざけんな!二回も死にやがって!」カチカチ

サッカー部員2「後、一回で終わりじゃねぇか!」カチカチ

男「切腹だぞゴラァ!」カチカチ

野球部員「お前等が粉塵使わねぇからだろうが!」

男「うわっ!サイテー!自分のゴキブリプレイを人のせいにしやがった!」カチカチ

サッカー部員「死ねハゲ頭」カチカチ

野球部員「坊主だゴルァァッ!」

サッカー部員2「お前もうこっち来んな。俺等で倒しとくから」カチカチ

男「勿論剥ぎ取りはさせない」カチカチ

野球部員「は?行くし!ガンナーのオレが行かなかったら、部位破壊出来ないだろ?」カチカチ

サッカー部員「バカッ!今来たら!」カチカチ

野球部員「へ?ぁあ!!入った瞬間体当たり食らった!!」カチカチ

ダダーン!

男「そして即死したー!!」

サッカー部員2「あぎゃぁあ!」

野球部員「……皆、ごめんな!」ニカッ

サッカー部員「死ね!ハゲ死ね!何回目だよ!」

野球部員「四回目だ!」

男「学習しやがれ!」

野球部員「もう一回やろうぜ!」

サッカー部員「死ね!」
124 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:11:58.75 ID:7q.mm6SO
金パツ女「ねぇー、邪魔なんだけど。男以外の男子どっか行ってくんない?」

サッカー部員2「何で男は良いんだよ!」

金パツ女子「男だから」

野球部員「分からねぇよ!」

男「クケケケケ!信頼度の違いだ!」

ピアス女子「男は自分の席。あんたらは私達の席占領してんのよ」

サッカー部員「そんなこと気にしてんの?小学生のガキかよ」

金パツ女子「教科書取るんだよ!」

サッカー部員2「うひー!出た!顔の割に真面目人間!」

金パツ女子「なんだってぇ!」ムカ

ピアス女子「ホントッ、あんたら程度が低いわ!男も良くこんなのと付き合ってるね」

男「友情の前にレベルとかそんなのは関係ねぇのさ」フッ

野球部員「良く言った!」

サッカー部員「男格好良いぜ!」

サッカー部員2「漫画の台詞のパクりだけど格好良いぜ!」

男「余計なこと言ってんじゃねぇよ!」

金パツ女子「類トモか」

ピアス女子「セーフじゃない?」
125 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:13:02.35 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「あの…男くん……」

男「んあ?どうしたよ」

オカッパ女子「勉強……」

男「あー、約束してたな。ごめんごめん」ガタッ

野球部員「はぁ?おい、俺達との熱い狩猟ライフはどうするんだよ!」

割れ厨「男抜けんの?なら、俺入るわ」

男「おー、頼むわ」

サッカー部員「どうせなら、もう一人呼ぼうぜ」

サッカー部員2「そうだな」

野球部員「なんで?」

男「答えは唯一つ!てめぇが雑魚だからだ!」

野球部員「なっ!?雑魚じゃねぇし!」

金パツ女子「いいから、さっさとどけぇ!」

オカッパ女子「勉強……」

男「悪ぃ。お前等さ、あっちに移れよ」

サッカー部員「そーするわ」ガタッ

サッカー部員2「女子うるせぇしな」ガタッ

ピアス女子「ウザッ!」

割れ厨「おい、まだかよ」ウズウズ
126 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:14:37.51 ID:7q.mm6SO
男「んで、おーいガリ!」

ガリ「どうした」

男「野球部員の代わりにこいつらと一戦してやれ。おれの貸す」

ガリ「うーい」スチャ

野球部員「男ぉお!俺除けんのか!」

男「てめぇーはちとお手本見せてもらえや」

オカッパ女子「男くん…」

男「うぃうぃ、行こうぜ」

オカッパ女子「うん!」

ショート女子「男ー、何か女の子が呼んでるよー!」

男「なんか今日忙しいな…」

男「だれー?」

ショート女子「知らない子ー!多分別クラスー!」

サッカー部員「男ー!新しい女じゃねぇだろな!」カチカチ

サッカー部員2「このモテモテ野郎ー!」カチカチ

野球部員「爆散しろー!」

割れ厨「主に下半身爆散しろー!」カチカチ

ガリ「去ねっ!」カチカチ

男「うるせぇー!黙ってろ!」
127 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:15:06.58 ID:7q.mm6SO
ショート女子「男ー!早くこーい!」

男「たくっ……」チラ

オカッパ女子「早く行ってあげて…」

男「ん。絶対時間作ってやるから!」タタタタ

オカッパ女子「うん…」

タタタタ

ショート女子「待たせすぎ!」

男「1分2分の遅れだろうが」

ショート女子「女の子にはその1分2分が大事なのっ!」

男「クハッ!男女一号の口から乙女論言われてもねぇ」

ショート女子「ッ!良いから出るっ!」

男「へいへい」

ガラガラガラ

男「お待たせ」

魔女「……」ポカーン

男「……おい、何でお前が此処にいるんだよ」

魔女「わ、私の知ってる冷酷無慈悲な男さんじゃない……」
128 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:17:34.14 ID:7q.mm6SO

…………………


野球部員「はぁーん?居候ぉ?」

サッカー部員「ふざけた真似やがってぇ」

サッカー部員2「何時からだオラァッ!」ダンッ

男「先週の金曜からだ…」

割れ厨「何で黙ってたんだよこの下衆ッ!」

男「言ったらこうなるからだろぉが!」

ガリ「うっわ、逆ギレ。逆ギレしましたよ、奥さん」

野球部員「最近の若い子は嫌ねぇ」

男「てめぇら…」イラッ
129 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:18:30.51 ID:7q.mm6SO
サッカー部員「で、実際何処まで手を伸ばしてんだ?」

男「ぁあ?」

サッカー部員2「セクースはしたかって聞いてんだよ!」ダンッ

割れ厨「どうせ、無理矢理ヤったんだろ?」

男「……」ガッ

割れ厨「痛い痛い!男君っ!腕はそっちに曲がらないと思いますっ!」

男「知るか」ギリギリ

ガリ「レイプじゃないなら……合意か!」

サッカー部員「それだっ!」

男「それだじゃ……ねぇだろうが!!」ブンッ

割れ厨「いぎゃぁぁあ!」ヒュン

ドガッガシャン

ガリ「ひぐぅわぁぁ!」

サッカー部員「ガリぃぃぃい!!」

野球部員「野郎ォ……こうなりゃ力付くで聞き出してやる!」

サッカー部員2「よっしゃぁぁあ!!」

男「やれるもんならやってみやがれぇぇえ!!」

ドガッ、ガシャン、ガスッ、バキッ、グシャッ、バシッ

魔女「……あの…」

ショート女子「気にしないの。バカなのよあいつら」

魔女「男さん、大丈夫でしょうか…」

ピアス女子「本気じゃないから、大丈夫でしょ」
130 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:19:00.77 ID:7q.mm6SO
金パツ女子「しかし、魔女ちゃんだっけ?めっちゃ可愛いじゃん」

魔女「はぅ!有り難うございます!」キューン

ピアス女子「だよねー!ちっこいし、ふわふわしてるしー!」

ショート女子「銀髪にオッドアイなんてお伽噺の妖精さんみたいだよね!」

金パツ女子「相変わらず乙女趣味かよ」

ショート女子「良いじゃんか!」

魔女「あはは…」

ピアス女子「でも、ホントに妖精みたーい!」

金パツ女子「えー、あんたも?」

ピアス女子「だって、それが一番近いじゃん!」

金パツ女子「ま、確かにね」
131 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:19:33.37 ID:7q.mm6SO
ショート女子「ねぇ!魔女ちゃんは何処から来たの?」

魔女「えっ!?えーと……ロシアです!」

ショート女子「ロシアっ!?」

ピアス女子「納得かも。向こうの女の子規格外だもんね」

金パツ女子「にしては、日本語ペラペラじゃん」

魔女「日本人学校でしたから」

金パツ女子「へー」

ピアス女子「そりゃまた何でよ?」

魔女「何ででしょうね」

ピアス女子「…?」

魔女「…?」

ショート女子「親の都合じゃないの?」

ピアス女子「それだ!」

金パツ女子「国籍が日本とか?」

魔女「えーと……良く知らないんです」

ピアス女子「ま、親なんてそんなもんだよね。うちもさー、自分達彫ってんのにダメとかマジウザくてさー」

魔女「は、はあ…」

金パツ女子「ちょい、話題ズレてるって」

ピアス女子「あり?」
132 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:20:15.34 ID:7q.mm6SO
ショート女子「何でこっち来たの?」

魔女「研修です!」

金パツ女子「研修ね。珍しい。普通、その年でこっち来るの留学生ぐらいだよ」

魔女「が、学業は向こうで修めましたから」

ピアス女子「と、飛び級ってこと?」

金パツ女子「頭良いんだね」

魔女「えへへ…///」テレ

ショート女子「やーん、赤くなった!可愛いっ!」

魔女「そ、そんな…///」テレテレ

金パツ女子「魔女ちゃんさ、男に手出されて無い?」

魔女「はい?」

ピアス女子「あー、あいつ手出すの早いって聞くもんねー」

ショート女子「一つ屋根の下だしね。こんなに可愛かったら、直ぐにでも出してそう」

魔女「手を出す……」

ショート女子「そうそう!有るでしょ!」

金パツ女子「無かったら寧ろ男ED説疑うわ」
133 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:21:04.14 ID:7q.mm6SO
魔女「……あっ!在ります!」

ピアス女子「やっぱり!」

金パツ女子「どうだった!?」

魔女「どうって……普通に痛かったです」

ピアス女子「初物か…」

金パツ女子「結構ヤられた?」

魔女「そうですね。何回か」

ショート女子「うっわー!噂に勝る最低ぶりだよ」

魔女「後、首を絞められたりしました」

ピアス女子「ハード!超ハードじゃん!」

ショート女子「それ、合意で?」

魔女「泣いてたら急に……」

ショート女子「男ぉぉお!!」

金パツ女子「男子一端散れぇぇえ!!」

ピアス女子「男を此処に連れて来い!!」

男「なんだよ…」ボロッ

魔女「お、男さん大丈夫ですか?怪我痛く無いですか?」オロオロ

男「痛ぇよ…」

ショート女子「魔女ちゃん!こんな社会のゴミの心配しちゃダメっ!」

男「何時の間にかおれの株が暴落してる…」

ピアス女子「他の男子は?」

男「縛って放置」

金パツ女子「男つぇー……流石クズ」

ピアス女子「喧嘩馴れしてる……」

男「どういう経緯でこうなった」
134 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:22:06.57 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「男くん…」クイッ

男「いてて。何?」

オカッパ女子「…魔女ちゃんに手を出してるって本当?」

男「は?」

ショート女子「そうだ男!聞くと初めて奪ったそうじゃないか!」

男「はぁ?」

ピアス女子「それだけじゃない!首締めプレイまで!」

男「……あ"?」

金パツ女子「し、しかも泣いてる所を無理矢理らしいじゃないか!」

男「……」

男「…おい、魔女。ちょっと来い」グイッ

魔女「痛い!ど、どうしたんですか急に!」

ショート女子「校内で欲を吐き出すつもりか!」

男「…」ギロッ

ショート女子「ひっ!」ビクッ

ガラガラガラ
バァァァアンッ

ショート女子「男怖い…」

金パツ女子「マジギレしてた…」

ピアス女子「近づけねぇ…」

ガタァァン

ショート女子「あ、扉壊れた……」
135 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:23:07.44 ID:7q.mm6SO

ダンッ

男「おい…どういうことだ……」イライラ

魔女「あの…手を出されたか聞かれたので……その…出されたと…」

男「…レイプされたって答えたのか?」

魔女「ぇえっ!///」カァァア

魔女「そ、そんな有りもしないこと言いませ……」

魔女「はっ!先程の会話って、もしかしてそういう話で……」

男「……」

魔女「あぅぅ……男さん、気を悪くしないで下さい。気付かなかったんです…」

男「はぁ……」ガクンッ

魔女「お、男さん!?どうしたんですか!?怪我が痛むんですか?」

男「脱力した…」

魔女「な、なんだ…。良かったです」

男「魔女さ…」

魔女「はい?」

男「どうして、おれの学校に来た。ご丁寧に制服まで着て」

魔女「それはですね……」
136 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:24:24.26 ID:7q.mm6SO

――30分前〈男の家〉


魔女「あっ!男さんお弁当忘れてる!」

魔女「どうしよう…」

ワニスケ「シャー」

魔女「届けに行ったほうが良いんでしょうか…」

ワニスケ「シャー」

魔女「でも、場所知らないし…」

魔女「ワニスケちゃんはどう思います?」ナデナデ

ワニスケ「シャー」トテトテ

ワニスケ「シャー」カリカリ

魔女「電話ですか?」

ワニスケ「シャー」

魔女「うーん、男さんの番号は覚えて無いんです…」

ワニスケ「シャー…」

魔女「お姉さんの番号なら覚えてますし、掛けてみましょうか」

ワニスケ「シャー!」

魔女「えーと確か…090の……」

ピポパピ
プルルル
ガチャッ

魔女「あっ、お姉さんですか?」

姉『お掛けになった電話番号は現在使用されておりません』

魔女「ぇえっ!ま、間違えちゃいました!」

ワニスケ「シャー」
137 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:25:05.98 ID:7q.mm6SO
姉『ヒヒッ…冗談冗談!お姉ちゃんで間違いないよ』

魔女「お姉さん!びっくりさせないで下さいよ!もうっ!」

姉『めんごめ〜ん。で、どうしたの?』

魔女「あ、それがですね、男さんがお弁当忘れて学校に行っちゃったんです」

姉『え?おびぃんとぅ?』

魔女「はい。持って行ってあげたいんですけど、学校までの道知らなくて……」

姉『ふむ……』

魔女「あの…教えて貰えますか?」

姉『………』

魔女「お姉さん?」

姉『魔女ちゃん。そのまま学校行くと捕まっちゃうよ?』

魔女「な、なんでですかっ!?」

姉『最近物騒だからね。警備が厳しいから、学校関係者以外は不審者扱いされちゃうんだ』

魔女「そ、そうなんですか。確かに関係無い人は入れられませんよね……」シュン

姉『その電話、子機?』

魔女「えっ?あっ、はい!子機です!」

姉『だったら、今からお姉ちゃんの言うこと良ーく聞きなさい。学校に入れてあげる』

魔女「ホントですかっ?」

姉『お姉ちゃんに不可能は無いのよ』

魔女「わぁ〜!カッコいいです!」
138 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:26:54.40 ID:7q.mm6SO
姉『ししし、まずはお姉ちゃんの部屋に行きなさい』

魔女「はい!」

ドタドタ
ガチャッ

魔女「着きました!」

姉『押し入れを開けて』

魔女「はい!」

姉『中に有る大きな箱を取り出す。0003と書かれている筈だ』

魔女「0003………あっ!有りました!」

魔女「よいしょ!…うっ……結構重いです…」ズリズリ

ドシンッ

魔女「ふぅ、出せました!」

姉『蓋を開け、中に有るセーラー服と学生鞄を取り出せ』

魔女「鞄は有りましたけど……セーラー服……」ガサガサ

姉『この前君に着せた学校用制服のことだ』

魔女「スカートとポロシャツみたいなので一対を成すあの服ですか?」

姉『そうだ』

魔女「うーん……」ガサゴソ

魔女「有りましたっ!」バッ
139 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:27:05.51 ID:7q.mm6SO
姉『では、それを着たまえ』

魔女「はい!」

魔女「えーと…」ヌギヌギ

魔女「……」モソモソ

魔女「着ました!」

姉『よろしい。鞄を持ち、再びリビングだ』

魔女「はい!」

ドタドタ

魔女「次はどうするんですか?」

姉『メモを取る準備をしろ』

魔女「はい!」スチャ

姉『今から言う番号をメモするんだ。090……』

魔女「ふむふむ」カキカキ

姉『出来たか?』

魔女「バッチリです!」

姉『では、この電話を一旦切り、その番号に掛け、迎えに来るよう言え。それが終わってから、再び私に掛けろ』

魔女「えっ!?あのっ…」

ブツッ
ツーツーツー

魔女「切れちゃいました」

ワニスケ「シャー」

魔女「とにかく、お姉さんを信じて掛けるしかありませんよね…」

ワニスケ「シャー」

ピポパピ
プルルル プルルル
ガチャッ

??「はい。お呼びでしょうか」
140 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:28:38.40 ID:7q.mm6SO
魔女「あ、あの、迎えに来てくれませんか?」

??「聞いたことの無い声ですが……判りました。御自宅でよろしいでしょうか?」

魔女「は、はい!」

??「直ぐ参ります」

ブツッ
ツーツーツー

魔女「き、緊張しました…」

ワニスケ「シャー」

魔女「電話の人は誰でしょうか?ワニスケちゃんは知ってますか?」

ワニスケ「シャー」

魔女「ですよね。さ、お姉さんに掛け直さないと」

ピポパピ

姉『上手く行ったんだね。おめでとう』

魔女「有り難うございます」

姉『鞄の中にお弁当を入れ、待機だ。車が来たら、知らせろ』

魔女「はい!」

魔女「…」ゴソゴソ

魔女「あ、水筒を用意してませんでした」

魔女「ワニスケちゃん、車が来たら知らせて下さい」

ワニスケ「シャー」

魔女「では、水筒の準備をしてきます」トテテテ

ワニスケ「シャー」
141 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:29:15.49 ID:7q.mm6SO
魔女「茶葉入れてー♪」サッサッ

魔女「お湯っを注いでー♪」トポトポ

魔女「ふん♪ふふーん♪」

キキィッ

ワニスケ「シャー!」

魔女「あ、来ましたね」トテテテ

ピンポーン

魔女「はーい!……お姉さん来ましたよ」

姉『私を連れて行け』

魔女「はい!」

トタトタ
ガチャッ

魔女「あ、どうも。こんにちは」
??「おや、やはり知らないお嬢さんだ。一体、何故私の番号を知っているのですか?」

魔女「あの、お姉さん。この人は……」

姉『彼にこの子機を渡すのだ』

魔女「あ、はい」

魔女「あの……これ…」スッ

??「電話ですか?ふむ…」カチャ

??「代わりました」

姉『よー、運転手』

運転手「っ!?お嬢様っ!!」

魔女「へ?」
142 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:30:12.36 ID:7q.mm6SO
運転手「お嬢様、この娘は一体誰ですかっ!」

姉『新しい妹』

運転手「いもぉぉとぉぉお!?聞いていませんよっ!」

姉『そりゃ、言ってないもん』

運転手「はぁ……。私にどうしろというのですか?」

姉『その子をさ、弟の学校まで連れていってあげてよ』

運転手「お坊ちゃまの学校にですか?」

姉『うん。お弁当届けに行くんだって』

運転手「お弁当?確か今日は――

姉『それ以上言ったら眼鏡割っちゃうぞっ☆』
143 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:30:54.84 ID:7q.mm6SO
運転手「うぐっ…。何をお考えかは判りませんが、運びましょう」

姉『しっしっし、そうこなくちゃ』

運転手「帰りもですか?」

姉『んにゃ、行きだけ頼む。帰りは弟が連れて帰るっしょ』

運転手「畏まりました。では、行きだけということで」

姉『うぇーい、任せたよー』

ブツッ
ツーツーツー

魔女「あの、お姉さんは何て…」

運転手「紹介が遅れました。私、父様の専属ドライバーを努めさせて頂いております、運転手です」ペコッ

魔女「よ、よろしくお願いします!」ペコッ

運転手「本日はお嬢様のご要望により、貴女様をお坊ちゃまの御学校まで運ばせて頂きます」

魔女「わぁ!有り難うございます!」

運転手「では、此方へ。車は外に着けておりますので」

魔女「あ、ちょっと待って下さい。水筒の準備がまだでして…」

運転手「そういう事でしたら、私が。貴女様は早くお車へ」スッ

魔女「あ、はい。じゃぁ、お願いします」

運転手「はい」スタスタ

魔女「じゃぁ、ワニスケちゃん行ってくるね」ヒラヒラ

ワニスケ「シャー」
144 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:32:42.46 ID:7q.mm6SO

……………


魔女「……というワケなんです」

男「姉さん…分かっててやったな……」

魔女「男さん、もしかして、もうお弁当食べちゃいました?」

男「一つ言っておく」

魔女「はい」

男「今日は終業式につき、午前終了だ」

魔女「え?」

男「お弁当はいらないんだ」

魔女「私……無駄足ですか?」

男「よく判っているじゃないか」

魔女「そんなぁ」ガクッ

男「恨むなら姉さんだな」

魔女「お姉さんもきっとこの事知らなかったんですよ」

男「幸せな方に考えてろ」

魔女「……突き放した言い方になってきましたね」
145 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:33:28.98 ID:7q.mm6SO
男「教室戻るか」

魔女「あっ、お疲れ様でした。今日はご迷惑をおかけして済みません。私は家に帰っておきますね」タタタ

男「待て」ガシッ

魔女「何ですか?」

男「運転手は多分いないぞ」

魔女「またまたー」

男「というかいない。窓の外見てみろ」

魔女「窓の……」クルッ

魔女「あっ、車が有りません!」

男「よって、お前は帰れない」

魔女「えぇー!」

男「そして何よりも、このままだと禍根を残すことになる」

魔女「…禍根?」
146 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:34:51.03 ID:7q.mm6SO

………………

男「こいつは魔女。先週の金曜日から我が家に居候中。性別は女」

魔女「えへへ、よろしくお願いします」ペコッ

男「質問有るなら手を上げろ」

野球部員「はい。魔女さんのTWBを教えて下さい」

男「ワケが分かりません」

野球部員「身長、体重、バストのことです。判れや」

魔女「測ったこと無いですねー」

野球部員「じゃぁ、今からおじさんと測りに行きませんか?」

男「変態くんは没ッシュートです」パチン

サッカー部員「……」ガシッ

野球部員「え、何?」ズルズル

ガラガラガラ
ポイッ
ガラガラガラ

サッカー部員「没ッシュート完了しました」

男「よろしい。他に質問は?」

ドンドンドン

ガリ「はい。2人の関係は何処まで行きましたか?」

魔女「家族になりました!」

\アケロー!/

ガリ「それは届を書いたと云うことですか?」

男「養子的な家族になりました」

ガリ「判りました」
147 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:35:59.98 ID:7q.mm6SO
男「他に」

ショート女子「はい。過ちは在りませんでしたか?」

男「在りません」

ショート女子「真実ですか?」

魔女「はい!」

男「他」

ピアス女子「はい。先程痛かった等述べていましたが、あれは何だったんですか?」

魔女「普通に殴られました……」

金パツ女子「下衆には変わり無いですね」

男「強姦疑惑よりはマシなので、良とします」

割れ厨「はい。男君は何処がもげますか?」

男「君は今から速やかに臓物ぶちまけて死んで下さい」

サッカー部員2「はい。魔女さんの好みのタイプは俺ですか?」

魔女「タイプ?」

男「第一印象で決める際に恋愛対象として見れる可能性が有るのかってことだ」

魔女「あ、それは無いですね」

サッカー部員2「撃墜されました」

男「良かったですね」

サッカー部員「はい。男は今何人キープしてますか?」

男「零人です」

サッカー部員「セフレはいますか?」

男「はい」

サッカー部員「何人ですか?」

男「企業秘密です」

魔女「セフレって何ですか?」

男「セルフフレンドです」
148 :1 [saga]:2010/12/24(金) 01:36:40.09 ID:7q.mm6SO
オカッパ女子「……」スッ

男「どうぞ」

オカッパ女子「勉強…」

男「誠に申し訳無い」

ガラガラガラ

担任「……お前等、まだ残ってたのか…」

男「こんにちは先生。いつも遅くまでお勤めご苦労サマです」

担任「毒でも盛られたのか?態度がおかしいぞ」

魔女「……」ジー

担任「おっ、誰だこの可愛い子?」

魔女「イ、イケメンです!」

担任「………」ポカーン

担任「……へぇ」ニッ

男「……」
149 :1 [sage]:2010/12/24(金) 01:38:14.61 ID:7q.mm6SO
本日はココまでです!


今回下品で済みませんでした
150 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 23:05:00.97 ID:Sg4O4dQo
セルフフレンド(笑)
それいただきっ!!!
151 :1 [sage]:2010/12/26(日) 10:30:39.91 ID:G8n2dkSO
投下します
152 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:31:22.90 ID:G8n2dkSO
魔女「はー、あんなカッコいい人が居るんですねー」

男「そうだな」

魔女「タレントさんですか?」

男「教員だ」

魔女「先生っ!?あの人先生なんですか!」

男「そうだ」

魔女「勿体ないですねー」

男「そうだな」

魔女「それにしても、男さん酷いですよっ!あの後、担任さんが折角学校紹介してくれるって言ったのに、此処にいろ!だなんて」

男「……」

魔女「オカッパ女子さんとの勉強会見てるだけなんて、退屈だったんですから!」

男「悪かったな」

魔女「え?」

男「担任と回りたかったろ」

魔女「こ、好意を無下にしてしまったのはアレですが……その…」

男「…惚れてはいないんだな」

魔女「な、ななな何でそんな話に!?//」ボッ

男「イケメンイケメン叫んでたから」

魔女「そ、そんなに言ってないですよ!!///」カァァア
153 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:31:53.38 ID:G8n2dkSO
男「良かった。人の恋路ならクソッタレでも邪魔はしたくないからな」

魔女「…?」

男「あいつに警戒しとけ」

魔女「な、何でですか?」

男「お前、多分目をつけられた」

魔女「…それだけで警戒なんて……」

男「意味が判らないワケじゃないだろ」

魔女「……」

男「狙われてんだよ」

魔女「信じられません」

男「おれの方が日が長い。素直に信じとけ」

魔女「だって、あんなに優しそうな人が狙うだなんて!そんな悪いこと!」

男「優しい?第一印象だろ?」

魔女「第一印象で何がいけないんですか!」

男「第一印象なんて、この世で最も信用してはいけないモノの一つだ」

魔女「だ、第一印象だけじゃありません!仕事の合間を縫って学校紹介してくれようとしてくれました!」

男「狙っているなら当然」

魔女「むぐ……」

男「判ったら、あいつに気を許すな」
154 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:32:19.63 ID:G8n2dkSO
魔女「……」

魔女「……嫌ってるからだ」

男「あ?」

魔女「男さんは担任さんを嫌っているんです!だから意地悪なことばっかり言うんですね!!」

男「……よく判ったな」

魔女「やっぱり!」

男「確かにおれはあいつが嫌いだ」

魔女「あの時も邪魔したんですね!」

男「イエス」

魔女「最低ですっ!」

男「だが、嫌うにも理由有り、だ」

魔女「自分よりカッコいいから僻んでいるだけなんじゃないですか?」

男「取られたんだ」

魔女「地位をですか?」

男「彼女寝取られたのさ」

魔女「あ……それは…」

男「おれはな、経験で警告してるんだ。気紛れじゃない」
155 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:32:46.72 ID:G8n2dkSO
魔女「……あ、愛です…」

男「なんの話だ?」

魔女「男さんの彼女が奪われたのが本当の話だとします!」

男「事実だ」

魔女「仮にそうします!でも、その話は男さんの主観です!」

男「成る程…」

魔女「想いは時に残酷なんです!誰かが愛する女性を自分が愛してしまうかもしれません!」

男「……」

魔女「担任さんもきっとそうだったんですよ!」

男「良い返しをするかと思えば、とんだお花畑論だな…」

魔女「良く有る話じゃないですか!」

男「何処の情報だ」

魔女「私の先生です!」

男「あぁ、あの鼻が折れて然るべき先生か」

魔女「む……漠迦にするんですか?」

男「さぁな。あー、そう言えば先生で思い出したな」

男「男は皆獣だったけ?」

魔女「……それは男さんが違うって言いましたよ」

男「……訂正しとこう」

男「下衆もいる」
156 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:33:21.19 ID:G8n2dkSO
魔女「憶えておきます」

男「でも、あいつには当てはまらないってか?」

魔女「それはこれから決めます」

魔女「これから、経験を経て評価しますよ」

男「じゃ、精々歪められないことだ」

魔女「…ッ!いい加減にしてください!」

男「は?」

魔女「悪い情報ばかり流して歪めようとしているのはそっちじゃないですか!」

男「悪くはあるが、歪めてはいない」

魔女「そんなに仲間が欲しいんですかっ!」

男「仲間?」

魔女「担任さん嫌い同盟です!男さんしかいなくて寂しいんでしょ!」

男「てめぇ、おれがそんな下らない理由で言ってると思ってるのか……」ギリ

魔女「違うって言うならどんな理由なんですか!!」

男「…あいつの思惑をぶち壊してやりたい」

魔女「ほら!それです!」

男「あ?」

魔女「本当に担任さんが危険な人なら私が心配だからって言いますよ!」

男「なんで心配なんか…」

魔女「野望を壊すも嫌いを広げるも同じレベルで下らないです!!」
157 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:33:47.90 ID:G8n2dkSO
男「……」

魔女「…沈黙は肯定でしたっけ?」

男「……うるせぇな」

魔女「でも、今日はそれもみ――

男「うるせぇっつってんだよ!!」ダンッ

魔女「っ!」ビクッ

男「決め付けるには情報が少な過ぎんだよ!!」

男「てめぇの本心も野郎の本性も!」

魔女「わ、私は…」

男「黙ってろ!!」

魔女「は、はい!」ビクッ

男「そうだよ!そうだよ!おれは彼女を取られたから嫌ってる!下衆かどうかは所詮後付けの想像だ!」

男「だって、あいつとは何も聞けないまま終わったんだ!」ジワ

魔女「……!」

男「必死に尻尾を掴もうとしても聞く噂聞く噂全部良し!中には辛そうな奴も怯えた奴も居たが、結局聞き出せなかった!」ポロッ

魔女「……男さん?」

男「…!!」グシグシ
158 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:34:18.26 ID:G8n2dkSO
男「…はぁ……悪い。感情的になった」

魔女「い、いえ……私の方こそ……」

男「……お前が決めろ」

魔女「はい?」

男「あいつが優しいかどうか」

魔女「お、男さんがどうしても嫌ならしません……」

男「……権利がない」

魔女「男さん……」

男「結局、お前の言う通り、全ては主観だ。1割以下のおれの意見でお前の交友を止めることは出来ない」

魔女「……判りました。自分で見て決めます」

男「それが良い」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……あっ!」

男「どうした?」

魔女「そもそも、担任さんには会えないことに気付きました」

男「いや、会うだろ」

魔女「だって、お互いの家を知らないんですよ?」

男「…会うさ。あいつはそういう奴だ」
159 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:34:45.09 ID:G8n2dkSO
―――翌日


魔女「今晩何が良いですか?」

姉「何でも良いにゃー」

魔女「何でも……」

男「一番困る返事だな」

魔女「…お、男さんは何か食べたいもの有りますか?」

男「魚。フライ以外の魚が食いたい」

魔女「フライ以外……」

魔女「刺身で良いですか?」

姉「私が断る」

魔女「えぇっ!」

男「何でも良いんじゃなかったのか」

姉「ナマザカナタベルトカドウカシテマース。ニホンジンハバンゾクデース」

男「おい、そこのジャパニーズ」

魔女「お刺身がダメなら……煮魚!」

姉「それも断る」

魔女「えぇぇぇっ!」

男「何でだよ」

姉「あたし今日魚の気分じゃねーから」

男「先に言え」
160 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:35:11.05 ID:G8n2dkSO
魔女「お魚にしたいけどお魚はダメ……うーん」

魔女「あっ!鯨にします!」

男「折衷に近くとも遠い案だな」

姉「ふざけるな!」ダンッ

魔女「ダ、ダメなんですか?」

姉「ダメも何も大ダメだ!あんなに知性が高い生物を食べるとかどうかしてるぜ!!悪魔か!」

魔女「あ、悪魔っ!?」

姉「鯨の気持ちになって考えてみろよ!」

魔女「……うぅ、そう言われると非道いことに思えてきました」

姉「そうだろう!」

男「……姉さん、好物ベスト3を言ってみろ」

姉「麻婆豆腐!シチュー!鯨の竜田!」

魔女「えっ?鯨?」

男「素直で助かる」

魔女「お姉さん、鯨さんを食べるのは可哀相と…」

姉「あんな美味いもの食わないとかどうかしてるぜ!!」

魔女「先程と言ってることが違いますー!」ガーン

姉「迷いこそが人生だよ」

男「百八十度の転換を三秒ですることが人生なら、迷惑極まりないな」
161 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:35:47.72 ID:G8n2dkSO
魔女「えと……結局何を買ってくれば…」

男「鯨か鶏肉」

姉「鶏肉どっから出てきた」

男「個人的な要望」

魔女「魚じゃ無くても良いんですか?」

男「鯨は哺乳類だ。まぁ、あっさりしてたら何でも良い」

姉「諦めるなよ!」

男「……」

姉「どうして諦めるんだよ!お前ならやれる!やれるって!もっと意志を強く持てよ!自分の欲しいままにしろよ!!」

男「じゃぁ、鰤で頼む」

姉「認めねぇ!!」

男「面倒臭いな」

魔女「……ぜ、全部買ってくるというのはどうでしょうか?」

姉「全部だと!?鰤も鯨も鶏肉もアンコウも和牛もキャビアも松茸も雲丹もフォアグラもカキも黒豚もアワビも猪肉も伊勢海老も買うと言うのかっ!?」

男「良く噛まずに言えるな」

魔女「買ってきます!」グッ

男「作る方もだが、食う方も面倒だ。鶏肉だけにしとけ」

姉「認めねぇ!」

男「……そうか。姉さんは今日は断食するのか」

魔女「えっ?そうなんですか?」

姉「初耳だよ」
162 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:36:18.90 ID:G8n2dkSO
男「なら、肉にも魚にも駄目出しするの納得だなー。さぁ、俺達の分だけ鶏肉買ってこーい」

魔女「は、はい!」

姉「……いいぜ。お前があたしの食事を無しにしようってんなら…」

姉「まずはそのふざけた以下略!!」バァァン

魔女「じゃぁ、行ってきます」ペコッ

姉「ふざけた以下略!!」バァァン

男「あっ、ちょっと待て」

魔女「ふぇ?」

姉「略っ!!」バァァン

男「あー、その……チョコレートも頼む」

魔女「また甘いモノですか?」

姉「………」

男「別に良いだろ」

魔女「太っちゃいますよ」

男「要らない心配だ」

姉「オーケー。私が悪かった。頼むから無視は止めてくれ。心がひび割れてしまいそうだ」

男「やっとか」

姉「もう、だだっ子しないからお姉ちゃんの分の鶏肉も買ってきてちょ〜うだい」

魔女「了解しました!」ビシッ
163 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:37:25.68 ID:G8n2dkSO
魔女「では!」スタスタ

男「あ、おい」ガシッ

魔女「…どうしました?まだ他に何か要るんですか?」

男「いや…その……」

魔女「…?」

姉「……」

男「えと…」

魔女「言いにくいことですか?」

男「いや……だが…」

姉「……」

姉「…あー!そう言えば御守りを作ったんだったなー!」

魔女「御守り?」

姉「もー!シャイな弟だ!女の子へのプレゼントだからって意識し過ぎだにゃー!ちょっと取ってくるね!」

魔女「あ、はい」

ドタドタ

魔女「……そうなんですか?」

男「……」

魔女「……」

ドタドタ

姉「ほらっ!これだよ!」スッ

魔女「わっ!ターコイズのネックレスです!」
164 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:37:58.18 ID:G8n2dkSO
姉「付けて貰って良いかなー?」

魔女「は、はい!」

姉「ん、ちょい待ってね」カチャカチャ

姉「ほい!出来たよ!」

魔女「…」シャラン

魔女「えへへ!有り難うございます!」ニカッ

姉「よかよか」

魔女「似合ってますか?」

姉「勿論さ!なぁ、愚弟!」

男「ん、あぁ…。似合ってるな」

魔女「えへへ!///」

姉「服の中にしまっときーね」

魔女「あ、はい」スッ

魔女「じゃぁ、行ってきますね!」タタタ

姉「行ってらー」ヒラヒラ

男「ん」ヒラヒラ

ガチャッ
バタンッ
165 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:38:32.76 ID:G8n2dkSO
男「……」

姉「……心配なら着いていけば良かったのに」

男「……」

姉「恥ずかしいの?」

男「女々しくはあるな」

姉「だっせぇな」

男「判ってる」

姉「不器用」

男「男は皆そうさ」

姉「堅い」

男「悪い」

姉「漠迦」

男「全くだ」

姉「守ってやれよ」

男「愛なら動いたかもな」

姉「ライクでも動けるだろ」

男「動けない」

姉「臆病者」

男「まぁな」

姉「逃げてる」

男「……そうだな」
166 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:39:39.77 ID:G8n2dkSO
姉「……」

男「……」

男「……家族の中であいつだけ力が無い」

姉「当たり前。女の子なんだ」

男「…危なっかしいんだよ」

姉「純情だからね」

男「そんな奴が狙われているかもしれない」

姉「だから心配?」

男「………不安なんだ」

姉「なんか、今日は随分弱ってるね」

男「……普通だよ」

姉「昨日、私に話したこと以外に何か有ったっしょ」

男「……」

姉「そんだけ思ってて動けないのがチキンだけとか有り得ない」

男「……」

男「……魔女にさ」

姉「うん」

男「主観って言われたんだ。で、正鵠を射ていると思った」

姉「うん」

男「おれはあんな事が在ったからあいつを悪者と思い込んでるだけだって気付いたんだ」

姉「悪い事じゃない」

男「悪くはない。でも、正しいワケじゃない」

姉「……成る程ね」
167 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:40:25.46 ID:G8n2dkSO
男「あいつが噂通りの人物なら、付き合いは良い交流になる」

姉「それを止める権利は無いって思ってるワケだ」

男「…1割以下の意見には力が無いんだよ」

姉「………」

男「あぁ、勿論権利もだが…」

姉「卑屈ボーイ!」ベシッ

男「いてっ!」

姉「ヒヒッ、大漠迦野郎だな。てめぇは」

男「……かもな」

姉「そういう意味じゃない。喧嘩一つで何暗くなってんだって言ってんだよ」

男「……暗いか?」

姉「あぁ、暗いね!超ネガティブだ!」

男「……そうか」

姉「考えてみろよ!あんなことあいつが悪人じゃねぇと起きねぇさ」

男「…事故」

姉「たまたま部屋が密室で、たまたま塩素が発生したってか?面白いね」

男「…他に要因が在った」

姉「彼女の様子見てたのに、本当にそう思ってんの?」

男「……」

姉「直感が信じられないなら確立論を信じろよ。一番起こりそうなパターンじゃないか」

男「……正鵠を射ている」

姉「そうこなくちゃ」
168 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:40:55.35 ID:G8n2dkSO
男「そうだな…。うん。有り難う姉さん」

姉「イヒヒ、弟を慰めるのも姉の役目さ」

男「直感も確立論信じてやる」

姉「良し。じゃぁ、迎えに行くか」

男「行かない」

姉「…おい。そりゃぁ、今日いきなりって可能性は低いけどさ」

男「そうじゃない。おれは、大衆論も信じてみようと思う」

姉「皆が良い子良い子するから、釣られてみようとしてるのか」

男「あぁ。全否定も全肯定も愚かなことだからな。まして、人の心だ。どっちかに絞れるワケなかったんだ」

姉「そりゃそうだ」

男「善人、改心、逃避、躊躇。色んな可能性がある以上、今は動かない」

姉「動いても良いんじゃない?」

男「全てが確証するに足りない。それに、お邪魔虫には成りたくない」

姉「成る程にー」

男「これが精一杯」

姉「もし直感が正しかったらどうすんの?」

男「首の骨へし折ってやる」
169 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:41:30.41 ID:G8n2dkSO
姉「怖いねー。でも、あたし達で気付けるかな?魔女ちゃん携帯無いんだよ」

男「おれ達で気付けるワケがないだろ」

姉「じゃ、どうすんの?」

男「何てことは無い。我が家には優秀なゲートキーパーが居るんだ」

姉「そう言えば、最近見ないが良い予言者だったな」

男「家族なら守ってくれるさ」

姉「でもさ、判っても間に合わないかもよ」

男「大丈夫だ。間に合わない予言は予言じゃない」

姉「クハハ、その通りだ」

男「それに、御守りが在る」

姉「魔力付きのね」

男「それを持ってるのが本物の魔女ときたもんだ」

姉「鬼に金棒かな」

男「……だか、虎に翼とまでは行かない」

姉「人だよなー。この曖昧な感じ」

男「100%にならないのがな」

姉「なら、準備だけでもしとく?」

男「無論」スクッ
170 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:42:08.54 ID:G8n2dkSO
―――スーパー



店員「えー、鶏胸肉が3点。白葱が2点。トマトピューレが……」ピッピッ

店員「……が1点でチョコレートが4点。以上で合計6,783円になります」

魔女「7,000円でお願いします」スッ

店員「はい。7,000円お預かりします」ピピッ

チーン

店員「217円のお返しとレシートです」スッ

魔女「有り難うございます」

店員「またのお越しを」ペコッ

魔女「はい!」ペコッ

テクテク
ウィーン
テクテク

魔女「うーん…買い過ぎた感が有りますね……」ズシッ

担任「あれ?魔女ちゃんじゃん」

魔女「え?あ、た、担任さん!」

担任「やっほー」ヒラヒラ

魔女「こんにちは!」ペコッ

担任「こんにちは。昨日ぶりだね」

魔女「は、はい!」

担任「また、随分買い込んでるね」

魔女「あっ、その、特売日で…」

担任「あー、判る判る。安かったら、ついつい手が出ちゃうんだよなー」

魔女「あはは…」
171 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:42:50.51 ID:G8n2dkSO
担任「どう?良かったら送るよ?」

魔女「え?背負うんですか?」

担任「ハハハ、違うよ。向こうに車が有んの」

魔女「あっ、そうなんですか」

担任「どうする?」

魔女「えーと……」

担任「それ重たいでしょ」

魔女「……」

魔女「…じ、じゃぁ、お願いしても宜しいでしょうか」

担任「よしきた。ほら、貸して」ヒョイ

魔女「あ……」

担任「ん、結構重いね」ズシッ

魔女「すみません」

担任「女の子がコレ持つのは辛かったろ」

魔女「はい」

担任「さ、こっちだよ」テクテク

魔女「あの…本当に良いんですか?」テクテク

担任「大丈夫大丈夫。今日非番だしね」テクテク

魔女「はあ…」テクテク

ガチャッ

担任「さぁ、乗った乗った」

魔女「お、お邪魔します」イソイソ

担任「いらっしゃい」

ガチャン
カチッ

担任「男君の家で良いんだよね?」
172 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:43:52.62 ID:G8n2dkSO
魔女「はい」

担任「じゃぁ、行こう」

ブロロロ

魔女「家の場所分かりますか?」

担任「自分の生徒の家ぐらい把握してるさ」

魔女「クラス全員分ですか!?」

担任「まぁね」

魔女「それは凄いです!」

担任「先生なら普通だよ」

魔女「こちらの普通は敷居が高いんですねっ!」

担任「そうかな」

魔女「はい!」

担任「んー、そう言われると照れるね」

キキィッ

担任「着いたよ」
173 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:44:36.79 ID:G8n2dkSO
魔女「あ、有り難うございました!」

担任「良いって」

魔女「何とお礼をして良いやら…」

担任「別にいらないんだけどなー」

魔女「あっ……そうだ……」ガサガサ

担任「でも、折角だからちょっとしてもらおうかな」

魔女「あの、このチョコレ……え?」

担任「魔女ちゃんこの後暇?」

魔女「え、あっ、はい。7時までなら」

担任「そう。ならさ、お茶に付き合わない?」

魔女「お茶……ですか?」

担任「うん。色々聞きたいと思ってたんだ」

魔女「別に良いですけど……つまらないですよ?」

担任「それでも良い」

魔女「うーん…分かりました」

担任「有り難う。じゃ、此処で待ってるよ」

魔女「あっ、はい」

トテテテ
174 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:45:10.82 ID:G8n2dkSO

ピンポーン

魔女「男さーん!お姉さーん!」

魔女「……?」

ピンポーン

魔女「……お姉さーん?」

ガチャッ

魔女「留守……ですね」キョロキョロ

魔女「……」トテトテ

魔女「取り敢えず、お肉を冷蔵庫に入れないと……」

ガサガサ
ガチャガチャ

魔女「……困りました」ガサガサ

魔女「…勝手に出ていったら心配しちゃいますし……」ガチャガチャ

魔女「……」

バタンッ

魔女「…あっ!そうだ!メモを残しておきましょう」スチャ

〜メモ〜

男さん、お姉さんへ

担任さんとお出掛けしてきます。7時までには帰って来ます

お夕飯はそれから帰ってからちゃんと作りますから、心配しないでください

魔女より

魔女「これで良しっ!」
175 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:45:50.39 ID:G8n2dkSO
―――カフェ


担任「席、此処で良い?」

魔女「あ、はい」

担任「此処ねー、俺の行きつけの店なのよ」

魔女「お洒落ですねー」

担任「良い雰囲気だろ。いかにも、カフェ!みたいな」

魔女「はい!」

担任「マスターの入れてくれるコーヒーがまた美味くてね。学生時代に見つけてからずっと通ってる」

魔女「ほへー、そうなんですか」

担任「ま、学生時代からって言ってもほんの八年前だけどね」

魔女「結構前な気がします」

担任「魔女ちゃんはまだ若いから。俺ぐらいおっさんになると短く見えてくる」

魔女「えー、担任さんはまだ若いでしょう」

担任「29のおっさんだよ」

魔女「二十代じゃないですか」

担任「ギリギリで見栄張ってもなぁ」

魔女「二十代って言えるうちはそう言ってた方が良いですよ」

担任「……思ってたより、現実的なこと言うんだね」

魔女「えっ!?そうですか?」

担任「うん。以外だよ。……さて、流石に駄弁で終わるのは店に申し訳無いな」

魔女「そ、そうですね!何か頼みましょう!」パラパラ
176 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:46:26.34 ID:G8n2dkSO
担任「そうだね。俺はコーヒーかな。魔女ちゃんは?」

魔女「あっ、じゃぁ、私も同じで」

担任「良いの?」

魔女「美味しいんじゃないんですか?」

担任「そうだけど……ま、頼んじゃおうか」

魔女「お願いします」

担任「マスター!コーヒー二杯ちょうだい!」

マスター「……」コクッ

魔女「楽しみです」

担任「コーヒーは良く飲む方?」

魔女「一回しか在りません」

担任「それは……こっちで?」

魔女「はい。男さんが一回だけ淹れてくれて、その時飲みました」

担任「へー。でも、インスタントだろ?」

魔女「良く判りません」

担任「あぁ、そっか。別に淹れてるところ見てたワケじゃないんだ」

魔女「はい」

カツカツ

マスター「コーヒーです」コトッ

魔女「有り難うございます」ペコッ

マスター「…」スッ

カツカツ

担任「さ、比べてでごらん」

魔女「あ、はい!」ズズ

担任「どうかな?」
177 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:48:27.88 ID:G8n2dkSO
魔女「……ゥ」

魔女「苦いです…」

担任「ハハハ!深いって言ってほしいな!」

魔女「なんでこんなに苦いんですか…」エグエグ

担任「あいつの淹れた奴は甘かった?」

魔女「はい。甘かったです…」

担任「大分砂糖入れたんだろうな」

魔女「うぅ…」

担任「ミルクとコーヒーシュガー取ってくるよ」スクッ

魔女「…お願いします」

担任「うん」

スタスタ

魔女「はぁ……」

魔女「……男さんは私が苦いと飲めないと判っていたんですかね…」カンカン

スタスタ

担任「カップを叩くのは少し行儀が悪いよ」

魔女「あっ、ごめんなさい!」

担任「なるべくしないようにね。はい、ミルクと砂糖」スッ

魔女「有り難うございます」

魔女「……」ザーッ、トポトポ

担任「ちゃんと混ぜないと意味ないよ」

魔女「そのぐらい判ってます!」カチャカチャ

担任「ごめん。ちょっとからかった」

魔女「むぅ……」ズズッ
178 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:49:21.44 ID:G8n2dkSO
魔女「……ブラックって言うんですよね」

担任「ん?これのこと?」カチャ

魔女「甘くしないと飲めないなんて、なんだか子供っぽくて悔しいです」ズズッ

担任「…コーヒーってね、刺激物なんだよ。本当はミルク入れて飲むぐらいが丁度良い」ズズッ

魔女「でも、ブラック飲んでるじゃないですか」

担任「良い豆に良い淹れ方してたら大丈夫」ズズッ

魔女「私も飲めるようになりますか?」ズズッ

担任「なるなる。皆やせ我慢を積み重ねて、苦味を美味さに変換してきたんだから」カチャ

魔女「修行みたいです」カチャ

担任「上手い例えだね」

魔女「あの…それで聞きたいことって」

担任「色々在るなー」

魔女「色々……」チラッ

魔女「まだまだ時間は有りますね。幾つでもどうぞ」
179 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:50:03.86 ID:G8n2dkSO
担任「んー、なら、男君の家に居候することになった経緯聞いていい?」

魔女「えー……適当に決めました」

担任「……本当に?」

魔女「はい」

担任「いやいや、嘘だろー」

魔女「う、嘘じゃないですよー」

担任「魔女ちゃんは今15、6でしょ?」

魔女「16です」

担任「そんな若い子が学校にも行かないで住み込んでるんだから、何も無いはないでしょー」

魔女「…ないんですよー」

担任「許嫁とか、そういうのじゃないの?」

魔女「違いますけど……許嫁って、また随分発想が古いですね」

担任「最近の子は言わない感じ?」

魔女「本の中で出て来ます」

担任「うーん…そっかぁ。時代を感じるな」

魔女「フフッ、初めて担任さんがおじさん世代に見えました」

担任「おっ、マジで?貫禄感じた?」

魔女「独特の寂しさを感じました」

担任「そっちか。そっちのおじさん化が進んでたか。参っちんぐだね」

魔女「アハハ」

担任「で、付き合ってるワケでもないんだよね」

魔女「はい」

担任「うーん…ちょっとがっかりだなー」

魔女「何でです?」

担任「もうちょっとドラマチックでラブロマチックなのかと思ってたからな」
180 :1 [saga]:2010/12/26(日) 10:50:34.30 ID:G8n2dkSO
魔女「担任さんって以外と……ふわ…」

魔女「あっ!すみません!欠伸が……」

担任「眠たいの?」

魔女「ん……何でしょう…急に眠気が……」フラッ

担任「大丈夫?」

魔女「…昨日……あんまり寝て…ないから……」ウッツラ

担任「寝不足か。気を付けないとダメだよ」

魔女「男さんが……泣いてて……気に……」ガクッ

担任「男君が?何て言ってた?」

魔女「うー……」カクン

担任「……魔女ちゃん?」

魔女「スー…スー……」

担任「寝ちゃった……」

魔女「スー……」

担任「うーん……弱ったな。どうしたら良いんだ?」
181 :1 [sage]:2010/12/26(日) 10:53:00.44 ID:G8n2dkSO
今回はここまでです


フラグビンビンだー
182 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 10:57:05.52 ID:rZYo3kDO
危なっかしいことこの上ねぇ
183 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/26(日) 11:04:25.09 ID:XynmZISO
「おめぇ、……戦略、戦術、…そして戦闘、…全て三拍子揃ってるぜ。 
……お前みたいなヤツが俺の役をやるべきなんだよ…。山狗みてぇなクソどもの隊長をな…!」
「ははん。ごめんだね、あんたらみたいな根暗そうな秘密部隊の隊長なんて!」
 魅音が笑い捨てる。 小此木もそれを笑って受けた。 
謙遜でなく、それは純粋な反応だと思った。
「……へへへ、そうだな。お前ほどの器なら日本の不正規戦部隊長なんてもったいないぜ…。
 SASでもデルタでもスペツナズでも、…どこでも最高の人材になれるだろうぜ。何しろ、」
「はははは、あっははははははは!!! SASぅ? デルタフォースぅ?
 下らないねぇ! そんな退屈なところじゃあ、私を飼いならせやしないよ!!」
「……へっへへははははは! そうだろうな。そうだろうよ。
 ……なら聞かせてくれ。お前ほどのヤツなら、何の隊長を望む!」
「隊長なんて興味ないね。部長でいいね。」
「……部長…。英国情報部辺りってとこか、…ふ、妥当だな。」
「だめだめだめ、なってないね! あのねぇ、私がやりたい部長はたったひとつ!!
 雛見沢分校の我が部の部長だけさッ!! 罰ゲームのない戦いなんてごめんだね!
 口先の魔術師、前原圭一! かぁいいモードの竜宮レナ!
 トラップ使いの沙都子に萌え落としの梨花ちゃん!!
 そして期待の新人古手羽入!! これだけ揃ってりゃ、世界のどこだろうと退屈だねッ!!」
 「…………勝てねぇ…。……勝てねぇよ……。…こんなヤツが隊長だったんじや、
 …勝てるわきゃねぇやな…。へへへへはははははははは!!」


男と姉のやりとりでなぜかこのコピペ思い出した
きめぇ
184 : [sage]:2011/01/01(正月) 10:07:07.97 ID:dEv62.SO
明けましておめでとうございます。今年もハッピーに過ごしましょう

投下はもうちょっと掛かるんです。待たせて済みません


>>118

ひぐらしェ……
185 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 18:31:13.75 ID:d0NNHvUo
かなりのおっとり刀になったがあけおめなんだぜ
展開も佳境でwktkしてる
186 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 09:30:52.36 ID:17TAVcDO
ここにもおっとり刀が…
つか、おっとりし過ぎだろ
187 : [sage]:2011/01/07(金) 11:13:06.49 ID:FvhuqYSO
うわぁぁぁぁぁ!!ごめんなさいぃぃぃ!!投下しまぁぁぁぁあす!!
188 : [saga]:2011/01/07(金) 11:14:21.58 ID:FvhuqYSO

プルルル、プルルル
ピッ

「よぉ、久しぶり」

『久しぶりだな。こんな昼間っからどうしたんだ?』

「いや、休みに入ったし遊びたくなってね」

『遊びつぅと…いつものか?』

「あぁ。そっちは皆いる?」

『いるよ』

「皆、来れそうか?」

『ちょっと待て。聞いてみる』

「ん」

『……行けるみたいだ』

「良かった」

『あ、待て!………後輩呼んで良いかだと』

「あぁ?マジかよ……」

『久しぶりにはしゃぐのも良いんじゃないのか?』

「そうだけど……うーん…」

『なんだよ。大勢は嫌になったのか?』

「そうじゃないが……最上級品が入ったからさ…」

『…嘘だな』

「嘘じゃねぇよ」

『お前が上玉を流した試しがない』

「一回だけあるじゃん」

『……あぁ、あいつ関係か』

「そーゆーこと」

『それでも、お前が手放すなんて考えられないけどな』
189 : [saga]:2011/01/07(金) 11:15:12.13 ID:FvhuqYSO
「俺もさー、最初は正攻法で行きたかったんだけど、どうもあいつから色々聞いてるみたいでな」

『そいつはウゼェな』

「あぁ。アホだが、良いところで身を引くだろう」

『ふーん』

「それに、ブッ壊してみたくなったんだ」

『おいおい、上玉なんだろ?』

「人形みたいにして飼うのさ。そそられないか?」

『……それは…捕まらないか?』

「安心しろ。警察は動かない」

『は?』

「戸籍も無けりゃ、こっち来たっつー正式な記録も無し。法律上人間じゃないのさ」

『……ハハッ、成る程な。そいつは良い』

「だろ?」

『なぁ、やっぱ大勢呼ばねぇか?』

「それだと、右手のお世話になる奴が出てくるぞ」

『だから、他の女も呼ぶのさ。休みだろ?』

「止せよ。価値が薄れちまう」

『バァーカ、寧ろ輝くんだよ。VIPの持ち物らしくな』

「…あぁ、はいはい。分かったぜ。二人占めか」

『上流は高級品。雑魚はジャンクで遊ばせる。良い考えじゃないか?』

「ハハッ、乗った」

『オーケー。先走りすんなよ?』

「分かってるさ」

『楽しみに待ってるぜ』

「おう」

ピッ
190 : [saga]:2011/01/07(金) 11:15:56.20 ID:FvhuqYSO
―――――

ピシッ

魔女「う……」ムクッ

魔女「こ、ここは……?」キョロキョロ

魔女「見たことない……そうだ…私眠って……」

魔女「……眠って?」

ガチャッ

魔女「…!」ビクッ

担任「ん?あぁ、気が付いたのか」

魔女「担任さん?」

担任「そうだよ」

魔女「此処は何処ですか?」

担任「俺の家」

魔女「担任さんの……」サッ

担任「おいおい。そう身構えないでくれ」

魔女「……何をするつもりですか?」

担任「非道いなぁ。君が寝ちゃったから連れて来たんじゃないか」

魔女「それで納得すると思います?」

担任「んー、君が寝て、家に送ってあげようかと思ったけど男君の家には入れない」

魔女「……」

担任「堅い車の座席で眠らせるのも可哀想だから、連れて来た。疾しい気持ちは無いよ」

魔女「信じられません」

担任「まぁ、それが普通だよね。でも、本当に疾しい気持ちは無いんだ」

魔女「……嘘ですね」

担任「…随分態度が変わったね」

魔女「お喋りするのと……家に連れ込まれるのではワケが違いますから」
191 : [saga]:2011/01/07(金) 11:16:51.39 ID:FvhuqYSO
担任「成る程ね。でも、家に入れただけでそこまで嫌われちゃうと、流石に悲しいなぁ」

魔女「なら、せめて同意を得てからにして下さい」

担任「刺々しいね。そんなに状況は変わらないだろう?」

魔女「……何がです?」

担任「俺と家で二人きり。男君と家で二人きり」

魔女「違います!」

担任「違わない。キミにとってはどちらも他人の家で異性と二人きりというシチュエーションだ」

魔女「男さんは家族です!」

担任「他人だよ。血の繋がりも無ければ、書類も無いんだから」

魔女「…心と言葉が有ります」

担任「無いかもよ?」

魔女「えっ?」
192 : [saga]:2011/01/07(金) 11:17:29.63 ID:FvhuqYSO
担任「だって、男君はキミに暴力を振るったそうじゃないか。それも初日に」

魔女「……事実です」

担任「非道い奴じゃないか。そんな奴が親愛を理解しているとは思えないね」

魔女「あれは私が悪かったんです。男さんが最低なワケじゃありません」

担任「いいや、女性に手を上げる時点でクズだよ」

魔女「酷いものなら…そう思うかもしれません……」

担任「あいつはその危険性を持っている」

魔女「……」

担任「その点俺はどうだい?」

魔女「…はい?」

担任「俺は暴力を振るって無いという点で、少なくともあいつよりは安心が出来るんじゃないかな?」

魔女「評価出来る程付き合いが在りません」

担任「例えそれが0であっても評価はしているよ。無意識にね」

魔女「…そうかもしれませんね」

担任「なぁ、魔女ちゃん。男君を捨てる気は無い?」

魔女「捨てる……」

担任「うん。それで、俺の方に来なよ。あいつみたいに酷いことはしないからさ」

魔女「……」

ピシッ
193 : [saga]:2011/01/07(金) 11:18:02.11 ID:FvhuqYSO
―――男の家



ピリッ

ワニスケ「……!」ピクッ

男「ん?」

ワニスケ「シャー!」カリカリ

男「どうしたワニスケ。餌か?」

男「それとも魔女のことか?」

ワニスケ「クシャー!」

男「ハハッ、お前は本当に優秀だよ…」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

姉「やれやれ、早漏極まりないな。昨日の今日で手を出すか、普通」

男「焦ってんのさ」

姉「何に?」

男「さぁな。おれが知るかよ」

姉「そりゃそうだ」

男「それに、手を出したかどうかは判んないな。ワニスケは危機を知らせただけだし」

ワニスケ「シャー」

姉「貞操以外の危機ってあるか?」

男「……無いな」ニッ

姉「ヒヒッ、んじゃ早いとこ行こうぜ」スクッ

男「姉さんは魔女を頼む」スクッ
194 : [saga]:2011/01/07(金) 11:18:37.39 ID:FvhuqYSO
姉「おいおい。ヒーローチャンスを逃すのか?」

男「こういう時は同性の方が安心するだろ」

姉「いや、女の子を救うのは古来より王子様だと相場は決まっている」

男「……服着てなかったら気まずいだろ…」

姉「ブハッ!恥ずかしいから渋るのか!」

男「真っ当な理由だ」

姉「確かにそうだが…ククク……いや、笑わせるね」

男「ギャグじゃないぞ」

姉「解ってるって。まぁ、そういう事情ならお姉ちゃんが魔女ちゃん救うさ」

男「おれは雑魚と住みかを潰す」スクッ

ワニスケ「シャー」トテトテ

姉「ワニスケは此処で待ってな」

ワニスケ「シャ…」ショボン

男「お前は家を守ってくれよ。此処が一番の安全地帯じゃなきゃ困るんだ」

ワニスケ「シャー!」

姉「頼むぜ」

男「これで良いな」

姉「さて…」

姉「……準備万端かい、愚弟」カチャッ

男「勿論……」カチャッ
195 : [saga]:2011/01/07(金) 11:19:25.99 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



魔女「お断りします」

担任「へぇ。暴力振るった奴を取るのか」

魔女「貴方を捨てるんです」

担任「そうかい。まぁ……」

ガンッ

魔女「うっ……!」

担任「拒否権無いんだけどね」

魔女「フー……フー…」ギッ

担任「バカだよなぁ。人が折角最後のお情けでペット以外の道を示してあげたのに」

魔女「どちらもお断りです!」

担任「強気だね。こんな状況なのにたいしたもんだ。或いは本当の阿呆か」

魔女「担任さんは……随分態度が変わりましたね」

担任「そうか?いつも通りだぜ?」

魔女「いつもはこんなに最低な人だったんですね」

担任「そりゃそうさ。女の子に手を上げるからな」

魔女「貴方みたいな人は直ぐに捕まります!」

担任「捕まるのはお前だよ。不法入国者さん」

魔女「…ッ!」

担任「バレねぇと思ってたんだろ。めでてぇなぁ」

魔女「それが……それがどうしたって言うんですかっ!」

担任「あ?」

魔女「貴方が捕まることに変わりはありません!!」

担任「ハハハ、道連れってか。泣かせるねぇ。そのムダな決意」

魔女「ムダ……?」
196 : [saga]:2011/01/07(金) 11:20:41.73 ID:FvhuqYSO
担任「警察は来ない」

魔女「お姉さん達が連絡してくれます!」

担任「バーカ。お前が捕まるリスクが在るのに通報なんてするかよ。あの甘ちょんどもが」

魔女「し、しますよ!」

担任「ねぇよ。仮にするとしてもまだしねぇ」

魔女「え……まさか……い、今一体……」

担任「今か?今は2時だ」

魔女「そんなっ!?」

担任「7時に帰るって言ったんだろ?それまでは誰も怪しみやしねぇよ」

魔女「ぐ……男さんの言ってた通り、最初から狙ってたんですね」

担任「いいや、ただの思い付き」

魔女「お、思い付き!?」

担任「本当はこんなんじゃなくて、ちゃんとした形でキミを手に入れたかった」

魔女「………なら、今は随分落ちぶれたことをしてるんですね」

担任「ハハハ、だからさ…」

ガッ

魔女「カハッ!」シャラン

担任「言葉には……ん?何か出たな」グイッ

魔女「うぐっ……」
197 : [saga]:2011/01/07(金) 11:22:12.84 ID:FvhuqYSO
担任「……ペンダントか」

魔女「そっ…それは……」

担任「ひび割れてるじゃねぇか」

魔女「そんな……」

担任「ダッセェ。何でこんなモノなんで着けてんだ」ブチッ

魔女「あ……」

担任「俺のもんになったら、もっと良いもんで着飾ってやるよ」スッ

魔女「……このっ!」ヒュンッ

パァァァンッ

担任「…!」ジンジン

魔女「返してください!」

担任「ってぇな…」ジンジン

魔女「お姉さん達から貰った大切な物なんです!」

担任「いってぇなこのガキッ!!」ダンッ

魔女「うぐっ!」

担任「決めた。てめぇは向こうに着く前に痛い目見せてやる」

魔女「……やれるものなら」ギッ

担任「良いね。その強気な目。そそるよ」グイッ

チュッ

魔女「んむっ!?」
198 : [saga]:2011/01/07(金) 11:22:41.41 ID:FvhuqYSO

クチュックチュッ

魔女「んんー!!」グググ

クチュックチュッ

魔女「んー!んー!!」グググ

担任「……!!」バッ

魔女「はぁ……はぁ……うぅ……」ポロッ

担任「……」ガタガタガタ

魔女「……こんな…」ポロポロ

担任「……おぃ…」ガタガタガタ

魔女「……?」グスッ

担任「て……め……なに……しやがっ…」ガタガタガタ

ドサッ

魔女「た、倒れた………?」スン

カッ

魔女「……え」ビクッ

ピカァァ

魔女「ま、魔法っ!?」
199 : [saga]:2011/01/07(金) 11:23:11.24 ID:FvhuqYSO
「例の魔法の発現を感知」

「こっちもだ」

「場所、2037-3664-332」

「座標は判るか?」

「教会を0とする座標、12998、55647、12」

「相手はどうだ?」

「少々お待ちを……」

「…」

「魔力の霧散は有りません」

「じゃぁ、問題ねぇな」

「ですが、妙な流れを感じます」

「まー、行ってみれば判るだろ」

「貴方は少々適当過ぎます」

「オレ達に異常はつきもんだ。気にしてびびってたら何もできねぇよ」

「……一理有ります」

「んじゃ、飛ぶぞ」

「はい」
200 : [saga]:2011/01/07(金) 11:23:50.42 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



サッカー部員1「せんぱーい、まだですかー?」

チンピラ1「そうがっつくんじゃねぇよ」

サッカー部員1「えー、だって待ちきれないっすよー」

サッカー部員2「そうそう。もう大分待ちましたよ?」

チンピラ1「まだ、約束の時間まで一時間近く在るんだ。ゆっくりイメトレでもしてろ」

サッカー部員1「そんなぁ。早くしたいっすよ、脱童貞」

サッカー部員2「脱童貞!」

チンピラ2「うるせぇな!」

サッカー部員2「あ、すんません」ペコッ

チンピラ2「ったく……これだから青臭いガキは」

チンピラ1「てめぇもつい最近まで童貞だったろうが。大人ぶってんじゃねぇよ」

チンピラ2「バッ!テメッ!」

サッカー部員1「大丈夫っすよ先輩!オレ達、そんな先輩が大好きっすから!」

サッカー部員2「から!」

チンピラ2「黙ってろ!」

チンピラ1「ハハハ!」

チンピラ2「笑うなっ!テメェ、なんでこんな奴ら連れて来たんだよ!」

チンピラ1「可愛い後輩だからだよ」

サッカー部員1「先輩カッコイイー!」

サッカー部員2「格好良さが留まるところを知らなーい!」
201 : [saga]:2011/01/07(金) 11:24:37.03 ID:FvhuqYSO
チンピラ2「見るからにバカで、お調子者じゃねぇか。しかも、学生だろ?」

サッカー部員1「酷いっ!でも、否定出来ない!」

チンピラ1「まぁ、大丈夫だろ。下手に広めたらどうなるかぐらい、判ってるだろ。なぁ?」

サッカー部員2「そ、それは勿論っす!誰にも漏らしたりしないよな、な?」

サッカー部員1「あ、当たり前じゃないですか!」

チンピラ2「ふーん?本当か?」

サッカー部員1「本当です!」

チンピラ2「変な情とかも湧かないか?」

サッカー部員2「じ、情ってこれから来る女にですか?」

チンピラ2「あぁ」

サッカー部員1「レイプに抵抗あったら、そもそも誘いにもノらないっすよ」

チンピラ2「知り合いでもか?」

サッカー部員2「えっ!?」

チンピラ1「は?知り合いなの?」

チンピラ2「こいつら、あいつんとこの生徒だろ?可能性十分じゃねぇか」

チンピラ1「マジで?」

サッカー部員1「あの……相手って一体誰なんですか?」

コンコン

チンピラ1「あ?誰か来たみたいだな」

サッカー部員1「……」
202 : [saga]:2011/01/07(金) 11:25:14.78 ID:FvhuqYSO

コンコン

チンピラ2「あいつが女連れて来たんだろ」

チンピラ1「そっか」

サッカー部員2「えと……」

チンピラ2「なんだテメェら、今更びびってんのか?」

サッカー部員1「いや、でも……」

チンピラ2「残念。諦めろ。もう、逃げられねぇから」

サッカー部員2「……嫌だなぁ。判ってますよ」

チンピラ2「なら、良い」

コンコンコン

チンピラ1「……あいつら、入って来ねぇな」

ガチャガチャ

チンピラ2「鍵が閉まってんのか?」

コンコンコン

チンピラ1「おい、誰か開けてやれよ」

チンピラ2「後輩、テメェらの仕事だろうが」

サッカー部員1「あっ、はい!開けてきます!」タタタ

ガチャ

サッカー部員1「あれ?鍵開いてる…」

ヒュンッ

サッカー部員1「え?」

ドカッ

サッカー部員1「……ぐえっ」ドサッ

ガスマスクの男「………」
203 : [saga]:2011/01/07(金) 11:25:56.46 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



ピカァァ

魔女「うっ……これ転移の……」

シュンッ
スタッ

ローブの女「転移完了。座標のずれ無し。流石です」

ローブの男「まぁな」

魔女「……!」

ローブの女「ターゲット1確認」チラ

ローブの男「2もいるな」

ローブの女「ですが、様子が変です」

ローブの男「気を失ってるな」

ローブの女「情報では心を喪失するだけの筈。気を失うようなことは書かれていませんでした」

ローブの男「……契約が不完全なのかもな」

ローブの女「……可能性は有ります。ですが、微小なものです」

ローブの男「普通の奴なら、消えるって話だ。こうして、原型留めてるだけで証拠てしては十分だ」


ローブの女「確かにそうですが……ターゲット3の存在も認識出来ませんし……」

ローブの男「漠迦か。こんな場面に第三者を置くワケないだろ」

ローブの女「……そうなんですか?」キョトン

ローブの男「お前はなんか抜けてるよ」
204 : [saga]:2011/01/07(金) 11:27:40.33 ID:FvhuqYSO
魔女「……違う…」

ローブの男「ん?」

魔女「貴方達は本家の人じゃありませんね……」

ローブの女「……黙らせましょう」スッ

ローブの男「まぁ、待て。こいつが気を失うと向こうの束縛が解ける可能性が有る」

ローブの女「なら、早く縛って下さい」

ローブの男「おぉ」

魔女「やれるものなら……」

ガチャッ

ローブの男「……!」バッ

ローブの女「誰か来ましたか…」

魔女「……誰?」

カツカツ

刺青男「おい、迎えにき……!!」

刺青男「担任っ!なんで、お前倒れて…」

ローブの女「彼の友人のようですね」
205 : [saga]:2011/01/07(金) 11:28:24.90 ID:FvhuqYSO
刺青男「……てめぇ等か!てめぇ等が何かしやがったんだな!!」

ローブの男「邪魔だな」

ローブの女「私が殺します」スッ

刺青男「あ?なにざけたこと言ってんだ?痛い目見たいのか?」チャキッ

ローブの女「『短く刈り取られた稲穂。人の手ではない。もっと鋭い何か。』」

刺青男「…ク……ククク……何をするかと思えば……神へのお祈りかぁっ!?」

ローブの女「『常に動く何か。常に駆ける何か。常に遊ぶ何か。常に貴方に付き纏う何か。』」

魔女「あの詠唱………」

刺青男「人を舐めやがって!!」ダダダ

ローブの女「『気紛れに気を付けて。』」

魔女「ダメです!逃げて下さい!!」

刺青男「うるせぇっ!」ダダダ

ローブの女「『ほら、今にも吹き荒れそう』」

ローブの女「『ミンシート』」

シュンッシュンッ
ズバッ

刺青男「……え?……腕が……」ゴトッ

シュンッシュンッシュンッ
ザシュザシュザシュッ

刺青男「カハッ……」

ドチャドチャドチャッ

魔女「ヒッ……」

ローブの男「うへっ、よりにもよって細切れかよ。趣味悪いな」

ローブの女「確かに。臭いが酷い。反省」

ローブの男「いや、そっちじゃなくてさ……」

魔女「酷い……こんな……」ヨロッ
206 : [saga]:2011/01/07(金) 11:28:54.80 ID:FvhuqYSO
ローブの女「次はあっち」

ローブの男「へいへい」

魔女「貴方達一体……」

ローブの男「知った所でどうしようもないだろ」

魔女「……まさか、教会の!」

ローブの男「さぁな……」スッ

バリィィン

ローブの男「ッ!今度は何だっ!?」

ガシャンッ

ローブの女「カメラ?」

ローブの男「は?カメラが投げ込まれたのか?」

カッ

ローブの男「ん?」

ピカッ

ローブの女「うっ!目がっ!」

ローブの男「ぐっ!フラッシュか!」

タタタ
ガシッ

魔女「え?」

タタタ

魔女「わっ!わわわ!ちょ、これ一体!?」

仮面の女「助けに来たんだよ」

魔女「えっ?」
207 : [saga]:2011/01/07(金) 11:29:58.32 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



サッカー部員1「うぐ……」

サッカー部員2「お、おい!大丈夫か!?」

ガスマスクの男「……」

チンピラ1「誰だテメェ」ギロッ

ガスマスクの男「多対一における戦闘方法」

チンピラ1「あ?」

ガスマスクの男「一、多人数であるが故の弱点を突くこと」

チンピラ1「……テメェ、何言ってんだ?」

ガスマスクの男「二……」スッ

チンピラ2「ボール?」

ガスマスクの男「敵から多人数であることをを奪うこと」チンッ

ヒュンッ
パンッ
プシュゥゥゥ

チンピラ1「何だっ!?ガス……ケホッ!」

チンピラ2「エホッ!涙が!目が痛ぇ!」

サッカー部員2「咳もくしゃみも…エッキシ!」

ヒュンッ
パンッ
ブシュゥゥゥ

サッカー部員1「こ、今度は…クシッ!スモーク!?」

チンピラ1「クソッ!…ケホッコホッ!前が!」

ボフッ

ガスマスクの男「……」

チンピラ1「エックシッ!…えっ?」
208 : [saga]:2011/01/07(金) 11:32:42.57 ID:FvhuqYSO
ガスッ

チンピラ1「ッ……!」

バキッ、ドガッ、ゴッ

チンピラ1「ぐぁっ!」

ガスマスクの男「……」ガッ

ミシミシ

チンピラ1「ゴホッ!おい、止めっ……」

ボキッ

チンピラ1「あぁぁあぁぁあ!腕がぁぁ!」

ゴシャッ

チンピラ1「カッ……」ドサッ
209 : [saga]:2011/01/07(金) 11:33:30.22 ID:FvhuqYSO
チンピラ2「おい!何がっ…ハクシュッ!」

ボフッ

チンピラ2「あ?」

ガスマスクの男「……」

ドグッ

チンピラ2「……ッ!」

ガスマスクの男「……」

ヒュンッ
ドシュッ

チンピラ2「ガァッ!!」

グシャッ

チンピラ2「げふっ!」

ドガッ

チンピラ2「おぁ……」ガクッ

バキッッ

チンピラ2「……」バタッ
210 : [saga]:2011/01/07(金) 11:34:36.93 ID:FvhuqYSO
サッカー部員1「い、今何が…ゲホッ」

サッカー部員2「クシュンッ!分からない!」

ボフッ
ガシッ

サッカー部員2「えっ!?」

ガスマスクの男「……」

ゴシャッ

サッカー部員2「ガハッ……!」

ガッガッガッ

サッカー部員2「ぎゃっ!あっ!ぐぇっ!」

ドグシャッ

サッカー部員2「……ぅげ!」ガクッ

サッカー部員1「ヒッ!」

ガスマスクの男「……」ジロッ

サッカー部員1「う、うわぁぁぁぁ!!」ダダダ

サッカー部員1「こっ、殺される!殺されちまう!」ダダダ

ガチャガチャ

サッカー部員1「クソッ!ドア開けっ!開けよっ!!」

ガチャン

サッカー部員1「開いたっ!」ダッ

サッカー部員1「逃げっ――

ザクッ

サッカー部員1「痛っ!」ドサッ

サッカー部員1「え?は?て、鉄線っ!?」
211 : [saga]:2011/01/07(金) 11:35:03.42 ID:FvhuqYSO

カツカツカツ

サッカー部員1「あ……」

ガスマスクの男「……」

サッカー部員1「助け……」

ゴシャッ

ドサッ

ガスマスクの男「……」カチャッ

男「……ふぅ」

男「終わりだな」
212 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 11:36:06.62 ID:17TAVcDO
ファミリービジネスですか
213 : [saga]:2011/01/07(金) 11:37:05.68 ID:FvhuqYSO
―――担任の家



ポイッ

魔女「へぶっ!」ガンッ

仮面の女「そこで待っててね」

魔女「あ、あのっ…」

仮面の女「後で聞くから」

バタンッ

仮面の女「さて……」

ローブの男「クソッ!」

ローブの女「まだ、チカチカする……」

仮面の女「あんたら、随分マジョマジョしてるね」

ローブの男「邪魔が次々と…!」

仮面の女「……」チラッ

仮面の女「この肉塊はあんたらがやったの?」

ローブの女「消えて。貴女もこうなりたくはない筈」

仮面の女「確かに……」

仮面の女「もし、万が一あんたらの攻撃に当たったら嫌かもね」

ローブの女「木刀持ってるぐらいで強気に……」

ローブの男「待て。俺がこのガキ、燃やしてやる」スッ

仮面の女「おっと」ビュンッ

バキィッ

ローブの男「ぐぁっ!」

仮面の女「下手な真似すんなよ?この間合いなら、あたしは拳銃にだって負けない」チャキッ

ローブの男「ガキが……」

ローブの女「……厄介」
214 : [saga]:2011/01/07(金) 11:37:50.78 ID:FvhuqYSO
ローブの男「息づきやがって。ぜってぇ燃やしてやる……」ギロッ

仮面の女「…ッ!」ゾッ

仮面の女「…やってみろよ!」


ローブの男「あぁ!今すぐやってやる!」

ローブの女「落ち着いて」グイッ

ローブの男「止めんなっ!」

ローブの女「彼女は強い。場所も私達には向いていない」

ローブの男「だから俺が負けるってかっ!?」

ローブの女「そろそろ、障壁が崩れる。本家に気付かれる」

仮面の女「……?」

ローブの男「チッ!判ったよ。そいつだけ連れて帰ろう」

ローブの女「最善だね」

ローブの男「今は、下手にリスク負う時じゃねぇしな」

仮面の女「良く判んないけど、何?逃げんの?」

ローブの男「命拾ったな小娘」

仮面の女「あんたがね」

ローブの女「次は邪魔しないようにね。死ぬから」

仮面の女「どうかな?ヒーローは女の子のピンチは見過ごせないから」

ローブの男「けっ!」

カッ

ローブの女「バイバイ」

シュンッ

仮面の女「………」

仮面の女「…危ねー」カチャッ

姉「死ぬところだったわ」
215 : [saga]:2011/01/07(金) 11:38:25.62 ID:FvhuqYSO
姉「…………さてと」

ガチャ

魔女「あ……」

姉「迎えに来たよ、魔女ちゃん」

魔女「お姉さん……」ジワ

魔女「お姉さぁぁぁん!!」ダキッ

姉「おっとと、よしよし」ナデナデ

魔女「ほ、ホントはず、ずっと怖くて……」ポロポロ

姉「うんうん」ナデナデ

魔女「おっ、犯されそうになるし……ひ、人が死んで……」ポロポロ

姉「うん」ナデナデ

魔女「お姉さんもころっ、殺されちゃうんじゃないかって……ふ、不安、でっ……」ポロポロ

姉「うん。ごめんね。怖かったね」ナデナデ

魔女「うわぁぁぁぁん!」ポロポロ

姉「もう、大丈夫だから」ナデナデ

魔女「うぅ……ぁぁぁあ!」ポロポロ

姉「さ、家に帰ろ」ナデナデ

魔女「はい゙っ!」ポロポロ

姉「………」
216 : [saga]:2011/01/07(金) 11:40:12.55 ID:FvhuqYSO
―――町外れの廃屋



バキッ、ベキッ、ボキッ
ガシャンッ

男「これで、携帯は全部だな」

男「他の持ち物は貰っとこ」ガサゴソ

コンコン

男「……!」サッ

男「……」

コンコン

男「どうぞ」

ガチャ

男「…」バッ

??「えっ!?」

ガッ

??「ぅぐっ……」

男「……」ギリギリ

??「っ……!」

男「あれ?」パッ

ショート女子「エホッ!エホッ!」

男「男女一号じゃん」

ショート女子「エホッ………誰?」

男「あー、これ着けてるから判らないか」カチャッ

男「おれ様だよー」

ショート女子「男っ!?」

男「うん。正真正銘、純度120%おれです」
217 : [saga]:2011/01/07(金) 11:42:08.55 ID:FvhuqYSO
ショート女子「そっか……男も呼ばれたんだ……」

男「は?」

ショート女子「とぼけなくて良いよ。それとも驚いてるの?私が相手で……」

男「あー、成る程。玩具の一人ってお前だったのか」

ショート女子「うん……」

男「いやまー、びっくりだわ。何でお前なのかね」

ショート女子「……ごめんね」

男「いや、そういう意味じゃなくてな。お前が屈服するような奴に見えなくてさ」

ショート女子「誰だって……あんな映像撮られたら、従うしかないよ……」

男「裸の映像か?」

ショート女子「……もっと……色々……」

男「ふーん?気にすることないんじゃない?」

ショート女子「え……?」

男「だって、AVの人とかめっちゃ撮られてるじゃん。でも、胸張って生きてるしー」

ショート女子「そんな……」

男「動画サイトにエッチな映像流してる子も多いじゃん。あいつらも、多分気にしてないよねー。あっ、寧ろ一回流されてみたら?」

ショート女子「ッ!」バシッ

男「いてっ!」

ショート女子「私は普通の女の子として生きたいのっ!流されたら……流されたらっ……」ポロッ

男「いてて、今でも普通の女の子じゃないじゃん」

ショート女子「うぅ……ヒック……」ポロポロ

男「やっぱ、辛い?」

ショート女子「づら゙いよっ!!」ポロポロ

男「オーケー」ガシッ

ショート女子「え?」ポロポロ

男「おまけだ。お前も他の奴も助けてやる」
218 : [saga]:2011/01/07(金) 11:43:51.93 ID:FvhuqYSO
―――男の家


姉「……」

魔女「……」

魔女「男さん、帰って来ませんね……」

姉「……うーん」

魔女「もう、5時過ぎたのに……」

姉「何処ほっつき歩いてんだか……」

魔女「や、やっぱり、男さんやられたんじゃ……」ポロッ

姉「あー、もう!泣かないの!あいつなら大丈夫だから!」

魔女「でも!でも!」ポロポロ

姉「多人数相手なら大得意だから」

魔女「もし、魔術士がいたら…」ポロポロ

姉「それは……」


ワニスケ「シャー」ピクッ

姉「…!」

魔女「…!」

ガチャ

男「ただいま」

ワニスケ「シャー!」

男「おー、ワニスケ。お留守番ご苦労な」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

ダダダ

魔女「男さーん!」ダキッ

姉「弟ー!」ダキッ

男「ぐえっ」
219 : [saga]:2011/01/07(金) 11:44:40.38 ID:FvhuqYSO
姉「この漠迦っ!」ギュッ

魔女「心配したんですよ!」ギュッ

男「ちょ、ごめん!謝る!謝るから離れてくれ」

姉「断る!」ギュー

魔女「嫌です!」ギュー

ワニスケ「シャー」カリカリ

男「いたっ!痛いし苦しい!」

魔女「本当に……」

男「ん?」

魔女「本当に心配したんですから…」ギュッ

男「……はぁ」

男「悪かったよ」ナデナデ

魔女「はい……」

男「ちゃんとワケ話すから、一旦離れてくれ」

魔女「……」ギュッ

姉「……」ギュッ

ワニスケ「シャー」カリカリ

男「おい、聞えてたろ」

魔女「もう少しこのまま……」キュッ

姉「ぐひひひ、もう少しこのままでぐひひひ……」ギュッ

男「……」ベリッ

姉「ぁんっ!」

魔女「あうっ!」

男「大概にしろ」
220 : [saga]:2011/01/07(金) 11:45:04.04 ID:FvhuqYSO
魔女「うぅー」

姉「良いじゃんかケチ!減るもんでも無いし!」

男「おれの気力が削がれるわ」

魔女「……あの、男さん」

男「なに?」

魔女「お帰りなさいっ!」

男「はっ、バーカ」

魔女「はうっ!」

男「おれの台詞だよ。お帰り、魔女」

魔女「はいっ!」
221 : [saga]:2011/01/07(金) 11:45:40.37 ID:FvhuqYSO
姉「さてさて、じゃぁ、美少女二人を心配させたワケとやらを聞かせてもらおうか」

男「美少女?姉さん大丈夫か?無茶して頭打ったのか?」

姉「こら」ベシッ

男「あいてっ!」

姉「心配かけさせといて何だその態度はっ!無礼であるぞ!」

男「ごめん。どうしても、見過ごせなかった」

姉「まったく……」

男「でも……うん。まぁ、そうだな」

姉「何が?」

男「何かタダで話すのが癪になってきた」

姉「……条件付けようってか」

男「イエス」

姉「生意気な奴」

男「姉さん達の方も何かあったろ」

姉「……!」

男「それを話してくれ」

姉「あんた、鋭いね」

男「鋭くない。こっちも、そうと推測出来る事態に遭遇したんだ」

魔女「ま、まさか、魔術に……」

男「……そこら辺も向こうでな」
222 : [saga]:2011/01/07(金) 11:46:22.58 ID:FvhuqYSO
―――男の家〈リビング〉



男「さて、何から話そうか」

魔女「……」

男「うーん、敵は弱かった。楽に倒せたな」

姉「そう」

男「で、まぁ、そっからなんだが……ちょっとした気紛れで、あいつに捕まってる女の子を助けたくなって」

男「それぞれの家に押し入って、データ媒体破壊したり、PCにウイルスぶちこんだり、写真燃やしたりして」

姉「うわ……弟が犯罪者だ……」

男「あ、後、大切にしてそうな物盗んで売ったわ」

魔女「やり過ぎな気が……」

男「そんで、最後に担任の家に行ったんだよ」

姉「……酷かったろ」

男「空だった」

魔女「えっ!?」

姉「は?」

男「空っぽだった。完全に空き家状態だよ」

魔女「……」

男「おれからは以上。じゃ、お前達の知ってること話せ」
223 : [saga]:2011/01/07(金) 11:47:17.29 ID:FvhuqYSO
魔女「……担任さんは倒れたんです」

姉「あいつらにやられてだろ?」

魔女「いえ、あの、違うんです。私に……その……」

魔女「その……」

魔女「……キ、キス……したら……」ジワ

姉「な、なんだってぇー!?」

魔女「あっ!ごめんなさい!なんか、ちょっと涙が」ポロポロ

男「……」ナデナデ

魔女「ふぇ」ポロッ

男「ま、今日のことだもんな。嫌なら言うな」ナデナデ

魔女「はい。でも……大丈夫ですから」グスッ

男「そうか」

魔女「そ、それから、魔術士が二人来て…」

姉「あー、うん。そっからあたしが話そう」

姉「多分、担任の友達が来たんだわ。でも、そいつは細切れにされてた」

男「スプラッタだな」

姉「魔術士は二人居て、ローブ着込んだ男と女だった。細切れにしたのは女の方だろうね」

男「趣味の悪い女」

姉「かなり強かった。命落とす可能性もあったよ」

魔女「えぇっ!?やっぱりあの時無茶して……」

姉「いや、まぁ、本気でぶつかる前に本家に見付かるからとか言って、担任持って逃げたんだけどね」

魔女「本家に……」

男「ふむ……」
224 : [saga]:2011/01/07(金) 11:48:35.24 ID:FvhuqYSO
男「なぁ、魔女」

魔女「あっ、はい!」

男「答えれる範囲で良い。久々に質問タイムだ」

魔女「はい」

男「担任の家の中、姉さんの言ってた細切れ死体も含め、全部無くなってた。魔法に因るものか?」

魔女「はい。魔法です」

男「担任が倒れた理由は判るか?」

魔女「判りません」

男「ローブの二人組ってのはお知り合いか?」

魔女「違います」

男「正体は知ってるか?」

魔女「…………恐らくですが、教会です」

男「教会ってなんだ?」

魔女「ごめんなさい。言えません」

男「まったく持って謝る必要は無いんだがな。まぁ、良い。本家ってのは?」

魔女「……私の実家です」

男「かなり強いんだろ?」

魔女「判りません」

男「そうか。次で最後だ」

男「おれ達のことは好きか?」

魔女「……え?」

男「おれ、姉さん、父さん、母さん、ワニスケは好きかって聞いてんだ」

魔女「だ、大好きです!///」カァァア

男「以上だ」

魔女「はい!」

姉「うーん、流石我が愚弟。想像の遥か上を行く」
225 : [saga]:2011/01/07(金) 11:50:53.11 ID:FvhuqYSO
魔女「あの……最後の質問って…」

男「気紛れかな」

魔女「は、はあ…」

姉「まぁ、お姉さん的には幸せなこと聞けたから意味なんてどーでも良いけどねー」

魔女「えへへ///」

男「さ、飯にしようか」

姉「早くない?」

男「今日は早く食って早く寝る!流石に疲れた」

魔女「な、なら、私がご飯作ります!」

男「一緒に作ろう」

魔女「えっ、あ、はい!一緒に作ります!」

姉「私は気持ちだけ送っとくね」

男「絶対に貰わない。風呂沸かしとけ」

姉「お姉ちゃんを働かせるのか!」

魔女「私がします!」

男「お前はおれと飯作るんだよ!」

魔女「えぅ!」ビクッ

姉「こら!苛めるな!」

男「なら、風呂沸かせ!」ヒュンッ

ガンッ

姉「いった!お玉投げんな!」

魔女「け、喧嘩しちゃダメです!」

男「日常風景だろ、こんなの」

姉「そーそー」
226 : [saga]:2011/01/07(金) 11:53:37.80 ID:FvhuqYSO
姉「何て言うかボケッ!」

男「なんでやねん」

姉「それはツッコミ」

男「2ゲット」

姉「それはカキコミ」

男「食べるラー油」

姉「あぁ、あのクチコミの…って、もういいわ!このやり取り!」

男「なんでやねん」

姉「それはツッコミ」

魔女「プッ…」

姉「うぇ?」

魔女「ごめんなさい!でも、面白くて…アハハハ!」

姉「えっ!そうかな?」

男「M−1目指せるかもな」

姉「もう終わったよ」

男「マジで!?」

姉「マジマ…ハハ…アハハハ!ダメだ!何か可笑しくなってきた!」

男「おい、そんなに…ククッ!」

魔女「アハハハ!男さんっ!」

男「何だ?」

魔女「私、今日沢山怖い目に逢いましたけど、こうして無事に皆さんと居られるのが嬉しいです!男さんもですか?」

男「ハッ!」ナデナデ

魔女「わっ!」

男「とびきり良い方に考えとけ!!」

魔女「えへへ!そうします!」ニコッ
227 : [sage]:2011/01/07(金) 12:03:57.92 ID:FvhuqYSO
以上!


自分の中では、これで第一章終了みたいな感じです
これで終わらせた方がぐだぐだしないで済みそうな予感はするのですが、まだまだ続きます


あ、後、ガスマスクの人が使ったモノですが、あれはお手製の催涙ガスもどきです。ご家庭で手に入る刺激物を粉末状にして混ぜてます
228 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 12:07:46.46 ID:17TAVcDO
香辛料とガラスの粉と小麦粉をぶちまけて火をつけるとあら不思議
229 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 12:24:48.42 ID:Gp478AAO
このスレが気になって勉強できないじゃねぇか…
230 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 13:58:35.06 ID:c0SKFoDO
231 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 18:42:02.87 ID:EnY0va.o
やべえ、凄えの投下きた
wktkが止まらないっっ
第一章終了乙なんだぜ!!!
232 :真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 03:07:39.75 ID:qK3BFkrIO
移転乙乙!
続きを楽しみに
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/16(日) 03:36:19.14 ID:yJMAXgwd0
設定すごい好み
第二章できるだけ早くな!!
235 : [sage]:2011/01/16(日) 19:46:15.88 ID:W4mPV/uSO
受験生、浪人生の皆さん。センター試験お疲れ様でした
手応えは如何ほどですか?

俺はもう駄目です

……どうでも良いですね


今回はおまけというか一章その後というか、まぁ、その辺のを投下します
短めです
236 : [saga]:2011/01/16(日) 19:47:08.19 ID:W4mPV/uSO
【その日の夜】



コンコン

男「……?」ムクリ

コンコン

男「誰?姉さん?」

「あ、魔女です」

男「魔女か。どうした?」

「あ、あの……入って良いですか?」

男「……どうぞ」

ガチャ

魔女「えへへ、有り難うございます」トテトテ

男「何か用か?」

魔女「はい!あの……一緒に寝てもらって良いですか?」

男「ブフッ!」ガタッ

魔女「男さんっ!?」

男「ゲホッ!エホッエホッ……」

魔女「だ、大丈夫ですか?」

男「ね、姉さんとこ行けっ!」

魔女「もう行きましたよぉ」

男「……聞くまでもないが結果は?」

魔女「一人が良いからって追い出されました……」

男「……あのアマ……明日辺り天日干しにしてやる……」ギリ

魔女「えっ!?」

男「いや、何でもない」

魔女「そ、そうですか…」
237 : [saga]:2011/01/16(日) 19:48:27.92 ID:W4mPV/uSO
男「それで……何で一緒に寝ようと?」

魔女「…怖いんです。一人で、暗い部屋に居ると、音に怯えて、不安が……不安が這い上がってきて……」

魔女「誰かが自分を狙ってるって……目を閉じているうちに近付いてきてるんじゃないかって……」

男「……なら、おれの所に来るな」

魔女「……安心出来る人の傍に居たいんです」

男「おれはお前を殴ったりしたんだぞ」

魔女「男さん、質問しましたよね。好きか、って」

男「したな」

魔女「私は大好き、って答えました」

男「あぁ」

魔女「殴られたりしたのは良い思い出じゃないですけど、もう昔のことです」

魔女「今は大好きで安心出来る特別な人の一人なんです」ニコッ

男「良く、さらっと言えるな……」

魔女「男さんは、私のこと嫌い…ですか?」

男「いや、好きだよ。好きだけど……添い寝はない」

魔女「どうしても、ダメなんですか?」ウルッ

男「ぐっ……」

魔女「お願いします。今日だけですから……」ウルウル

男「ーーーッ!」

男「ぁぁぁあ!クソッ!」

ダンッ

魔女「……!」ビクッ

男「……はぁ…」

魔女「男……さん…?」
238 : [saga]:2011/01/16(日) 19:49:59.13 ID:W4mPV/uSO
男「……ここ」ボスボス

魔女「え?」

男「此処に来い。さっさと眠るぞ」

魔女「あ、有り難うございます!」パァッ

トテトテ

魔女「えへへ!お邪魔します!」モゾモゾ

男「ん…」

魔女「温かいです…」

男「安心する?」

魔女「はい…」

男「そうか…」

魔女「えへへ…」ギュッ

男「……」

魔女「……」ギュッ

男「おい」

魔女「はい」ギュー

男「抱き付くな」

魔女「嫌ですか?」ギュー

男「寝にくい」

魔女「私は……落ち着きます…」ギュー

男「……魔女」ポン

魔女「はい…」ギュー

男「一緒に寝れるだけでも奇跡なんだから、それ以上にベタベタしてきてんじゃねーよ」ギリギリギリ


魔女「痛い痛い痛い!頭割れます!頭割れちゃいますって!」

男「ったく……」パッ

魔女「うぅ…痛い……」ズキズキ

男「自分の業だ」

魔女「傷心なんですから、もうちょっと優しくしてくださいよ…」

男「これが限界。さっさと、寝ろ」
239 : [saga]:2011/01/16(日) 19:50:47.70 ID:W4mPV/uSO
魔女「ふん!寝ますよーだ!」ガバッ

魔女「……」

魔女「……」

魔女「……あの、男さん?」

男「何だよ……」

魔女「わ、私が眠るまで何かお話してくれませんか?」

男「……幼稚」

魔女「判ってます!でも……やっぱり眠れそうになくて……」

男「はぁ……良いよ。そのぐらいならしてやる」

魔女「わぁ!ありがとうございます!」

男「そうだな……」チラ

魔女「……?」ドキドキ

男「興奮して寝付けないとか笑えないからな。適度な面白さの話をしようか」

魔女「宜しくお願いします」

男「……日本国憲法」

魔女「……はい?」

男「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて……」

魔女「え?あの、適度な面白さって……」

男「再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し……………

…………享受する……

……日本……

…へい…

……


240 : [saga]:2011/01/16(日) 19:53:44.21 ID:W4mPV/uSO

チュンチュン


魔女「んー……」モゾ

魔女「んんー……」モゾモゾ

魔女「……みゅ」ムクリ

魔女「ふわぁ……」

魔女「……朝…」ボー

男「ようやく起きたか」

魔女「……えっ?」

男「あ?」

魔女「えぇぇぇぇええぇぇっ!?///」カァァア

男「がっ……!うるさい!」ガンッ

魔女「いたっ!」

男「おまえが入って来たんだろうが!アホみたいに騒ぐな!!」

魔女「え……あー……そ、そうでした…」

男「ったく。姉さん起きるだろうが……」ガチャ

魔女「ごめんなさい……」

男「気を付けろよ」ガチャガチャ

魔女「……はい。あの、それで、何ですかソレ?」

男「お早うバズーカ」

魔女「おはようばずーか……ですか?」

男「これで、あの漠迦を叩き起こす。その後、ベランダに昼飯まで放置する」

魔女「お外寒いですけど……」

男「大丈夫。姉さんにとっては、ご褒美だ」

魔女「……そ、そういうもななんでしょうか」

男「おれを信じろ。じゃ、行って来る」

魔女「あ、いってらっしゃい」ヒラヒラ

男「ん」

ガチャ
バタン

魔女「……」

ドォォォォン

\ミギャァァア!/

魔女「あっ、悲鳴ですね」
241 : [sage]:2011/01/16(日) 19:56:24.46 ID:W4mPV/uSO
以上
好きだ何だ言ってますが、あくまでも家族としてです
恋愛感情じゃないです

後、もう一本だけ短いの書きます。それから、二章へ進めます
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 20:22:19.69 ID:AbLaxpjyo
こい!
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/16(日) 22:36:29.36 ID:Ly2Zo0SIO
乙!すんばらしい!
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 09:12:15.41 ID:bauBzUkDO
高田純次wwwwww
245 : [sage]:2011/01/17(月) 12:28:37.79 ID:+ZXzgb5SO
その2投下
246 : [sage]:2011/01/17(月) 12:30:40.19 ID:+ZXzgb5SO
【父母】



母「魔女ちゃーーん!!」ダダダ ダキッ

魔女「わっ!ママさん!!お久し振りです!」

母「話聞いたよ!大変だったね!」ナデナデ

魔女「い、いえ、男さんとお姉さんが助けてくれましたから……」

母「漠迦。それで、辛くなくなった訳じゃないだろうに」

魔女「……はい」

母「心配したよ……」ギュッ

魔女「はい…。有り難うございます……」ギュッ

母「……」

母「……」モミッ

魔女「ひゃうっ!?」ビクッ

母「おぉ〜」モミモミ

魔女「あっ、ちょっと、ん…、く、擽ったいです」

母「ふむふむ」モミモミ

魔女「んっ!だ、だから、擽ったいですって!胸揉むの止めて下さい!」

母「ごめんごめん」

魔女「き、急にどうしたんですか?」

母「あたしのビーチクが魔女ちゃんの豊かになりつつある双丘に包まれてムラムラした」

魔女「……次から無しでお願いします」

母「えぇー」ワキワキ

魔女「そ、そのいやらしい手は、ももしかして狙ってるんですか!?」

母「フフフ、どうかな?試してみるかい?」ワキワキ

魔女「お、おおおお断り!お断りの方向でお願いします!」

母「ヒェッヒェッヒェ、遠慮するこたぁ無いよ?」ワキワキ

魔女「ええ遠慮してません!」
247 : [sage]:2011/01/17(月) 12:31:57.08 ID:+ZXzgb5SO

ガチャン
ダダダ

父「魔女ちゃん!!大丈夫だったかい?」

母「チッ……」

魔女「助かりました……」

父「ん?どうした?」

魔女「いえ!何でもないんです!そ、それよりもパパさんもお久し振りですね!」

父「うん。久しぶりだね。それで……魔女ちゃんは……」

母「パパ、ちょいカマンッ!」

父「……?」テクテク

母「それで……」ゴニョゴニョ

父「ふむふむ」

魔女「…嫌な予感がします……」

母「……こうで…」ゴニョゴニョ

父「あー、なる…」

母「……ということ。分かった?」

父「うん。分かった」

魔女「あの……」

父「さて」クルッ

父「ま、ままま魔女ちゃん!ハァ…辛かったね!ハァハァ……パ、パパの胸にとと、飛び込んでおいで……ハァ……ハァ……」ワキワキ

魔女「うぇーん!助かってないですぅぅ!」

父「だだ、大丈夫!パパははは、大人だから…ハァハァ……」ワキワキ

魔女「手をっ!手をワキワキしないでください!!」

ドタドタドタ
ガチャン

男「お?帰ってたのか?」

魔女「助かっ……いや!男さんも可能性が……」

男「何の話だ」

母「息子には関係ない!」ワキワキ

父「保護者には色々秘密があるんだよっ!!」ワキワキ

男「……大体把握した」
248 : [sage]:2011/01/17(月) 12:33:09.77 ID:+ZXzgb5SO
男「おい、魔女」

魔女「ひっ!男さんもワキワキするつもりですね!!」

男「……」

男「父さん、母さん」

魔女「む、無視……」

母「何だ?」ワキワキ

父「『可愛い義娘をワキワキする会』に混ざるのか?」

男「死んでも入らない。なぁ、仕事はどうした?」

母「……な、何のことかにゃー?」

父「さ、最近耳が遠くて聞こえないでやんすねー」

男「母さん、フランスで撮影だったよな?」

母「……さぁ」

男「父さんはアメリカで会食だったよな?」

父「……ぱ、ぱぁどぅん?」

男「サボったな」

魔女「えっ!お仕事休んじゃったんですか!?」

男「おまえが心配だからだろうがな」

魔女「ごめんなさい……私のせいで…」シュン

母「いやいやいや!違うんだ!決してサボタージュした訳じゃないぞ!!」

父「そうだぞ!無断欠席などしていないからな!!」

母「ちゃんと書き置き置いて来たさ!!」

男「スタッフの了承取れよ」

父「ちゃんとメール送っておいたさ!!」

男「軽いわ。取引潰れたらどうするんだ」

母「うるせぇ!バーカ!!」

男「えぇ……」
249 : [sage]:2011/01/17(月) 12:33:38.31 ID:+ZXzgb5SO
母「親が子を心配して何が悪いんだよ!」

男「仕事流してまでする心配じゃないだろ。魔女は無事だったんだし」

父「だから、来ない方がマシってか?」

男「魔女だって家族の危機を自分で巻き起こしたくはないだろ。そうだろ?」

魔女「えっ、あ、いや……心配してくれるのは有難いです。それだけ、大切に思われてるんだって感じれますから……」

魔女「でも、私のせいでママさんとパパさんがお仕事失っちゃったら嫌です……」

母「魔女ちゃん……」

男「ほらな。逆に心配掛けさせる行為なんだよ」

魔女「でも、男さんは少しキツいです。デリカシーと思いやりがもっと必要だと思います」

男「……は?」

父「ってか、お前が俺達を問い詰めるようなことしなきゃ、こうなってないだろ」

男「え……?」

母「普通にお涙ちょうだいなホームドラマ展開で締まってたよな」

男「……」

魔女「男さん?」

男「……ごめんなチャイナ」

母「……」

父「……」

魔女「……」

男「……クソッ」

ガチャ
バタン

母「逃げた」

父「逃げたな」

魔女「逃げましたね」
250 : [sage]:2011/01/17(月) 12:34:25.68 ID:+ZXzgb5SO
以上
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 18:01:57.12 ID:k6pN/A2IO
第2部ktkr!
>>1
男カワイイな、男
252 : [saga]:2011/01/23(日) 17:31:17.67 ID:l/+xuqKSO
投下

二章みたいのが始まります
253 : [saga]:2011/01/23(日) 17:33:24.71 ID:l/+xuqKSO
女1『最近、面白い噂が流れてるの知ってる?』

女2『知ってるー!アレでしょ?神隠しの奴』

女3『半日で家の中身ごと空っぽなんでしょ。怖いよねー』

女1『あぁー、それも有ったね』

女2『違うの?じゃぁ何?』

女3『ローブ着た超能力者の話?』

女1『違うよ』

女3『えぇ……じゃぁ何?』

女2『他に……あっ!分かった!マスクの通り魔!』

女1『いや、それは知らないかな……』

女2『違うんだー』

女3『ギブギブ。正解教えてよ』

女1『じゃぁ、言うね』

女1『あのね……ヴァンパイアが出るらしいんだ』

女2『ヴァンパイア?』

女1『うん』

女3『……』
254 : [saga]:2011/01/23(日) 17:34:04.43 ID:l/+xuqKSO
女1『一番新しい奴だから知らなくても無理ないよ』

女2『ヴァンパイアって……あの血を吸う?』

女1『うん。前さ、近くで変死体見つかったじゃん』

女2『見つかったね』

女1『それさ、全身の血抜かれてたんだって……』

女2『エグッ……』

女1『しかも、首に噛み跡見つかってさ』

女2『うっわー……』

女1『警察はさ……って、大丈夫?』

女3『……えっ?』

女2『あ、顔青いよ?もしかして、グロいの駄目だった?』

女3『そうじゃないんだけど……』

女1『それか、怖くなった?』

女2『マジで?いや、大丈夫だよ』

女1『そうだよ。根も葉も無い噂なんだから』

女3『……うわさ…』

女2『そうそう。実際に居るわけねーじゃん』

女3『うん……』

女1『おっ!元気になった?』

女3『そうだったら良かったのにね……』

女2『……は?』

女3『本当に噂だったら良かったのにネ?』ニタァ

女1、2『『ヒッ!!』』


イヤァァァァァァァァア!!
255 : [saga]:2011/01/23(日) 17:34:59.64 ID:l/+xuqKSO
魔女「キャァァァア!!」

男「……」ブツンッ

魔女「ァァ………」

男「早く寝ろ」

魔女「男さぁぁん!!」

男「早く寝ろ」

魔女「何するんですかっ!?今、良いところだったのに!!」

男「早く寝ろ」

魔女「何でですか!?」

男「魔女、知らなかっただろうから言っておく。休みは今日までだ」

魔女「そ、そうなんですか?」

男「だから、遅寝はもう出来ない」

魔女「なら、仕方ないですね……」

男「あぁ…」

魔女「って、それ男さんの都合じゃないですか!!」

男「残念。お前も俺の弁当を作る為に早起き必須なのさ」

魔女「なるほどー」

魔女「……とは言いませんからねっ!!」

男「……ッチ!」

魔女「さぁ!チャンネル返してください!」

男「分かったよ。ほら」ポイッ

魔女「わわっ!投げないでくださいよ!」パシッ

男「見ても良いがホラー禁止な」

魔女「へ?」

男「うるさいんだ」

魔女「音小さくします」

男「お前の悲鳴な」

魔女「……ち、小さくします」

男「無理だろ」

魔女「努力で……」

男「無理だろ」

魔女「……はい」

男「じゃ、おやすみ」

魔女「おやすみなさい」

ガチャ
バタン
256 : [saga]:2011/01/23(日) 17:38:32.10 ID:l/+xuqKSO
魔女「……」チラッ

魔女「……ち、ちょっとだけなら…」カチッ

シーン

魔女「……あれ?」カチッカチッ

シーン

魔女「……」カパッ

魔女「で、電池が抜かれてます……」

魔女「……」

魔女「フ、フフフ……」

魔女「舐めてもらっては困ります…。こっちには魔法が在るんですから!」スチャ

魔女「えーと……」カキカキ

魔女「……」カキカキ

魔女「良し!」

魔女「『空を砕くまでは望まない。天に馳せる高さも欲っさない。謙虚な力で良い。掴める低さが理想だ』」

魔女「『控えめな我儘を聞き入れてくれるなら、誓約の口付けを甲に落としてくれ。痺れるように甘く』」

魔女「『ハドニング』」

バリバリバリッ

魔女「んー……帯電したら、電池にしたいから……」バリバリッ

魔女「親指と中指を+にして……」バリバリッ

魔女「弱くして……」ビリッ

魔女「これでどうだ!」カチッ

ブゥゥン

魔女「やった!点きました!」

――TV――

ナレーター『身に迫るヴァンパイアの影……』

ナレーター『彼らは何者なのか……』

ナレーター『我ら取材班は彼らの正体を知るある人物とのコンタクトに成功しました……』

ナレーター『それは、また次の時に……』

――――

魔女「……」カチッ

ブツンッ

魔女「終わり……」ガクッ

魔女「……」

魔女「…寝よう」

ガチャ
バタン


………………………ブゥゥン……
………ザッ……
ザザーッ………ザ…………ザザッ………
…ザーッ………
……ザッ…………ミツケタ……………ザザ……
……………ブツンッ……
……………
257 : [saga]:2011/01/23(日) 17:39:23.74 ID:l/+xuqKSO
―――高校


男「いやぁ、今年も同じクラスとは僥幸ですなぁ」

オカッパ女子「うん」

男「いやはや、知らない顔触ればかりだったらと不安だったわー」

オカッパ女子「男くんは友達多い…」

男「それは、どうかなぁ」

サッカー部員1「げ……男……」

男「おやおやぁ、骨折って春休みを棒に振った人じゃありませんかぁ」

サッカー部員1「ぐ……」

男「あなたもご一緒でしたかぁ」

サッカー部員1「……あ、あのさ…」

男「ん?」

サッカー部員1「ごめんっ!」

男「いや、急に謝るなよ」

サッカー部員1「俺っ、ホントに誰が相手かなんて聞かされてなくて……」

男「……」

サッカー部員1「知ってたら、その……ちゃんと断ったし!だから…」

男「おい」トンッ

男「そういう問題じゃねぇだろうが?あ゙?」ギロッ

サッカー部員1「……ッ!」

男「縁もクソもねぇ他人なら良かったってか?ざけんなよ!!」

サッカー部員1「わ、悪い……。そういう意味で言ったんじゃないんだ……」

男「……ま、何も起きてないし、反省してるならそれで良いわ」

サッカー部員1「あ、あぁ……反省はしてるよ…」

男「相方も勿論反省してるんだよな?」

サッカー部員1「別クラスだから此処にはいないが、相当参ってる……」

男「そうか」

サッカー部員1「それで……男…」

男「なんだ?」

サッカー部員1「神隠しって……アレ、お前の仕業?」

男「は?」
258 : [saga]:2011/01/23(日) 17:40:20.94 ID:l/+xuqKSO
サッカー部員1「い、いや、だってお前なら…さ……」

男「しねぇよ。そんな暇ねぇ」

サッカー部員1「先輩達の家も滅茶苦茶にしたみたいだし……」

男「……変な罪被せんなよ。マスク付けた奴が実行犯って話じゃねぇか」

サッカー部員1「だから……それお前じゃん…」

男「……推測?」

サッカー部員1「書いてあったんだよ。あ、でも、多分気付けるの俺とあいつぐらいだか――

男「おい」グイッ

サッカー部員1「うっ…」

男「何処に書いてあった」ボソボソ

サッカー部員1「お、お前の母ちゃんのブログにそれっぽいことが……」

男「え、マジで?」

サッカー部員1「家族の絆万歳ってタイトルで、我が家の息子がなんたらって」

男「あいつ……」

男「マスクした意味考えろっ!!バラしたら駄目だろうが!!阿呆めぇぇぇえ!!」

サッカー部員1「お、おとこ……」

男「おいっ!」

サッカー部員1「はいっ!!」ビクッ

男「他言無用だからな!!バラしたらてめぇらの四肢バラしてやる!!」

サッカー部員1「サ、サーイェッサー!!」

男「んで、おれは担任が消えたのは知らねぇ!分かったか!?」

サッカー部員1「了解です!!」

オカッパ女子「ねぇ」ツンツン

男「あ?」

オカッパ女子「何の話?」

男「内緒のお話だ」

オカッパ女子「教えて欲しい」

男「やだねー!」

オカッパ女子「ズルい……」ムスッ

男「無理は無理でーす」
259 : [saga]:2011/01/23(日) 17:41:03.06 ID:l/+xuqKSO

タタタ

ショート女子「おーとこっ!」ピョコッ

男「……あれ?お前、引っ越すんじゃなかったのか?」

ショート女子「止めた!この町でトラウマ乗り越えてやることにしたんだっ!」

男「そりゃまた、修羅の道を選んだな」

ショート女子「大丈夫だよ!いざとなったら男に助けて貰うから!」

男「漠迦が。てめぇの家族頼れ。おれはおまけ程度だ」

ショート女子「おまけなら頼って良いんだよね?」

男「あぁ。勉強ぐらいは見てやるよ」

ショート女子「ありがとっ!」

男「ハッ!」

サッカー部員1「あ、あの……」

ショート女子「なに?」

サッカー部員1「お前もごめんっ!俺凄い漠迦だった!滅茶苦茶反省してる!!」

ショート女子「ふーん…」

サッカー部員1「気が済まないなら、殴っても良い」

ショート女子「良いよ、別に。きちんと謝ってくれたし、あんたには何もされてないから許したげる」

サッカー部員1「有り難う……」

ショート女子「ただ、もう二度とすんな!」

サッカー部員1「わかってる」

オカッパ女子「ねぇ」グイッ

男「教えないよ?」

オカッパ女子「……」ムッ

男「ごめんにー」
260 : [saga]:2011/01/23(日) 17:43:18.25 ID:l/+xuqKSO

ガラガラ

教師「ほら、席に付けー」

ショート女子「やばっ!また後でね!」

タタタ

男「あいつ別クラスだったのか……」

サッカー部員1「俺たちも座ろう」

男「あぁ」ガタンッ

教師「さて、今日は皆に嬉しいお知らせがある」

教師「転校生だ」

男子1「先生ぇ、美人ですか?」

教師「あぁ」

ザワザワ

教師「おっと、余り緊張させてはいけないな」

教師「君、入ってきなさい」

「は、ハイ!」

ガラガラ

ザワッ

教師「名前を」

「えト……」カッカッカッ

ザワザワ

スゲェ、カワイイ…
ガイジン?
キレー

ロシア少女「皆サン、初めまシテ!えート、ロシアから来まシタ。少女と申しマス」

ロシア少女「今日からこのクラスの一員デス。よろしくお願いしマス!」ペコッ

\ヨロシクー!/

教師「転入生の席はあの一番後ろの席だ」

ロシア少女「ハイ!分かりまシタ!」テクテク

ガタンッ

教師「じゃぁ、今日は解散」

ガラガラ
バタンッ
261 : [saga]:2011/01/23(日) 17:43:52.74 ID:l/+xuqKSO

ワッ

「ねぇ!ロシアの何処から来たの?」
「日本語上手だね!独学?」
「好きなタイプ教えてくれ!」
「日本に来たのってお父さんの仕事?」

ロシア少女「あノ……一辺には答えられないんデスガ……」

「ハーフ?」
「何時日本に来たの?」
「学校案内させてください!」
「今は何処に住んでるの?」

ガヤガヤ

オカッパ女子「きれい……」

男「……」

オカッパ女子「男くん?」

男「オッドアイだ……」

オカッパ女子「えっ?」ジー

オカッパ女子「……本当だ。青と紫だね」

男「偶然か…それとも……」

オカッパ女子「何の話?」

男「……いや、多分おれの考え過ぎだ。何でも無い」

オカッパ女子「そう」

男「それより、ほら!挨拶してこいよ!」ポンッ

オカッパ女子「え、い、良いよ。怖いもん」

男「いつまで人見知りでいるんだよ。話たいんだろ?」

オカッパ女子「……うん」

男「なら行った行った!善は急げ!」

オカッパ女子「大丈夫……かな?」

男「大丈夫だって!」

オカッパ女子「分かった。行って来る」

トテテテ

男「………」

男「……魔法使い…か?」
262 : [sage]:2011/01/23(日) 17:45:28.75 ID:l/+xuqKSO
以上

更新早く出来たら良いなぁ
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 17:46:53.54 ID:g0BIQndIO
乙です
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 17:55:34.75 ID:ZOcDETyI0
o.o.
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 21:19:13.17 ID:kk1CgnoVo
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 23:18:07.11 ID:VHr+jBRIO
まつてるー
267 : :2011/01/25(火) 22:23:44.50 ID:G80dAFHSO
投下しますのでございまする
268 : [saga]:2011/01/25(火) 22:25:34.07 ID:G80dAFHSO
魔女「……」カチッカチッ

魔女「……」カチッカチッカチッ

魔女「……ふぅ」

ワニスケ「シャー」トテトテ

魔女「あぁ、ワニスケちゃん。慰めてくれるんですか?」

ワニスケ「シャー」スリスリ

魔女「ふふっ!有り難うございます」

ワニスケ「シャー」

魔女「でも……はぁ……。解決はしませんよね……」

ワニスケ「シャ、シャー……」

魔女「……」カチッカチッ

シーン

魔女「どうしましょうか、このチャンネル……」

魔女「やっぱり、私が壊したんですよね……」

ワニスケ「シャー」

ガチャンッ

男「魔女っ!魔女居るかっ!?」

魔女「ひゃうっ!!」ビクッ

ワニスケ「シャー」トテトテ

男「ん、ただいまワニスケ」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

男「魔女もただいまな」

魔女「あっ!はいっ!お帰りなさい!!」サッ

男「今何か隠した?」

魔女「い、いや!何も!何も隠していません!」

男「……ふーん」

魔女「そ、それよりも、今日は随分早いお帰りですね!何かあったんですか?」

男「あぁ。ちょっとお前に用があってな」

魔女「私に……ですか?」

男「お前さ、ロシアにオッドアイの知り合い居る?」

魔女「それは……魔術関連ですか?それとも単純に交友関係の疑問?」

男「魔術関連に決まってんだろうが。お前にロシアの友達なんかいないだろ」

魔女「あの、私一応ロシア出身なんですけど…」

男「その設定はもういらないから」

魔女「せ、設定……」

男「お前がロシアにずっと居たなら、日本の終わりかけの冬なんか寒がらない」

魔女「あっ……」
269 : [saga]:2011/01/25(火) 22:29:03.49 ID:G80dAFHSO
男「で、居るのか居ないのか?」

魔女「待ってください!」

男「あ?」

魔女「男さんは人を疑い過ぎです。私は純粋なロシア人ですから」

男「……面倒臭いな。じゃぁ、俺の理論壊してみろよ。出来なかったら、今はぐらかした魔術関連の質問答えて貰うから」

魔女「私は寒がりです。以上」

男「あうとー」

魔女「えぇっ!?」

男「3℃で震える奴が−何十℃で生きられるかアホ」

魔女「……さ、寒がりだから」

男「蹴るぞ」

魔女「……はい。違います」

男「こうして、お前の神秘のベールは一枚一枚剥がされて最後には一糸纏わぬ裸体が現れる訳だ」

魔女「おじさんです。最低鬼畜なおじさんが此処にいます……」

男「さぁ、話してもらおうか」

魔女「はぁ……居ませんよ」

男「そうか。じゃぁ、この地区にお前以外の魔術士が寄越されるってのは聞いてるか?」

魔女「……聞いてません」

男「有り難う」

ガチャ
バタンッ

魔女「……」

ワニスケ「シャー」

魔女「いつも一方的です……」

ワニスケ「シャー」
270 : [saga]:2011/01/25(火) 22:30:08.36 ID:G80dAFHSO
魔女「……ちょっと怒ったので、今日は男さんの嫌いな食べ物で晩御飯作ります!」

ワニスケ「シャ…」

魔女「料理番の特権フル活用です!!」

ワニスケ「シャー」

ガチャ

男「ちょっと言い忘れてた」

魔女「ひゃぁぁ!」ビクッ

魔女「ち、違うんです!い、言ってみただけで、本心ではなくて!」

男「何の話だよ」

魔女「あ、いや…何でもないです」ホッ

男「まー、ジョロキア級の辛さが苦手とだけ言っておく」

魔女「……き、聞いてるじゃないですか…」

ワニスケ「シャー」

男「後一時間ぐらいで電気屋さん来るから」

魔女「……へ?」

男「背中に隠してるリモコンちゃんと見てもらえよ」

ガチャ
バタンッ

魔女「……」

魔女「適いません……」ガクッ

ワニスケ「シャー」スリスリ

魔女「有り難うございます…」
271 : [saga]:2011/01/25(火) 22:31:49.51 ID:G80dAFHSO
―――高校



茶髪男子「少女ちゃーん!」

ロシア少女「ハイ、何でショウカ?」

茶髪男子「今日暇?」

ロシア少女「暇デスヨ」ニコツ

茶髪男子「ならさ!ならさ!俺と出掛けない?」

ロシア少女「うーン、どうしまショウ……」

オカッパ女子「……」ギュッ

ロシア少女「どうしたんデスカ?」

オカッパ女子「私も遊びたい……」

茶髪男子「あ?邪魔だよ、地味女。失せろ」

オカッパ女子「…ぅ!」ビクッ

ロシア少女「大丈夫デスカ?」キュッ

オカッパ女子「うん…」

ロシア少女「ワタシ、暴力的な人好きじゃないデス」

茶髪男子「……ってのは冗談でー」

カツカツカツ

男「クカカカ。人気爆発だな」

茶髪男子「げ……」

ロシア少女「あ、男サン」

オカッパ女子「どうしたの?」

男「おれも転校生に用があんだよ」

ロシア少女「ワタシに?」

男「お前、今日暇らしいな。なら、おれとデートしない?」
272 : [saga]:2011/01/25(火) 22:33:47.92 ID:G80dAFHSO
オカッパ女子「……ッ!」

茶髪男子「はぁっ?」

ロシア少女「……それハ、口説いテ?」

男「幸せな方に考えて良いぜ?」

ロシア少女「……フフッ!面白い人デスネ!良いデスヨ。デートしまショウ」

茶髪男子「おいっ!そりゃマジかよ!?」

ロシア少女「ハイ」

茶髪男子「……男っ!」

男「あ?」

茶髪男子「てめぇ!ふざけんなよ!」ブンッ

男「おっと」ヒョイッ

茶髪男子「人のもんに手ぇだしやがって!」

ロシア少女「人のモノ?」

男「おいおい、暴力的な奴は嫌われちまうぜ?」

茶髪男子「ぐ……」

男「それに、デートぐらいでカッカすんなよ。純情坊やかてめぇ」

茶髪男子「はっ!?ど、童貞ちげーし!!」

男「んなこと言ってないんだけどなぁ」

オカッパ女子「男くん……」グイッ

男「大丈夫。お前の友達取ったりしねぇよ」ナデナデ

オカッパ女子「うん……」

ロシア少女「あの……もめてますガ、良いんデスカ?」

男「心配無し」

茶髪男子「ちょっと待てや!」

男「嫌だね。さ、行こうぜ」

ロシア少女「ハイ」スクッ

男「それでは、皆さまさようなら」ペコッ

ガラガラガラ

茶髪男子「……」

茶髪男子「クソッ!」
273 : [saga]:2011/01/25(火) 22:34:27.05 ID:G80dAFHSO

テクテク

ロシア少女「それデ、アナタは何処へ連れて行ってくれるんデスカ?」

男「んー……何処が良い?」

ロシア少女「まさカ、決めてないんデスカ?」

男「決めてるワケがねぇじゃねぇか」

ロシア少女「デートに誘ったノニ?」

男「ノープランも燃えるだろ」

ロシア少女「アハハッ!成る程!デモ、最初のデートで何も考えていないのはダメデスヨ」

男「そうか?」

ロシア少女「アナタはもうちょっと女の子の扱いを習うべきデスネ」

男「良いよ面倒臭い」

ロシア少女「しっかり楽しませないト、二回目は誘えませんヨ」

男「へいへい。んじゃま、あのゲーセンでも行きますか」

ロシア少女「ロマンチックじゃないデスネ」

男「嫌いか?」

ロシア少女「いいエ。かねてより行きたいと思ってまシタ。日本のゲーム大好きデス」

男「なら文句言うなよ」

ロシア少女「雰囲気デスヨ。雰囲気。初デートなら背伸びでも華やかな場所に行きたいのが乙女デスヨ」

男「知ったこっちゃねーな。入るぞ」テクテク

ロシア少女「ハーイ」テクテク

ウィーン
274 : [saga]:2011/01/25(火) 22:36:31.46 ID:G80dAFHSO
―――ゲームセンター



ガヤガヤ

ロシア少女「うーン、賑やかデスネ」

男「平日の昼間から暇な奴が多いこって」

ロシア少女「ワタシ達もその暇人なんデスネ」

男「漠迦か。おれ達はデートだから違うんだよ」

ロシア少女「あらあラ。視線が厳しくなりましたヨ?」

男「どーでも良い。で、何か遊びたいのある?」

ロシア少女「そうデスネ……アレなんかどうでショウ」

男「クレーンゲームか」

ロシア少女「デートでは抑えたいとこですカラネ」

男「結構楽しんでんね」

ロシア少女「でなきゃ損ですカラ」

男「ふーん」

ロシア少女「アッ、お金はどうしマスカ?」

男「良いよ。おれ持ちで」

ロシア少女「へー、その辺りは理解してるんデスネ」

男「別に。金持ちが賤民に恩恵を与えるのは普通だろ」

ロシア少女「照れ隠しデスカ」

男「勝手に解釈してろ」

ロシア少女「そうしマス」

男「それで、おれはあの不細工極まりないグロテクスの妖精を取れば良いのか?」チャリン

ロシア少女「あんな大きなモノは要りまセン。あっちの小さなパンダ取ってくださいヨ」

男「あいよー」ガチャガチャ

ロシア少女「アッ……もうちょっと右じゃないデスカ?」

男「黙って見てろ」ガチャガチャ

ロシア少女「ハーイ」
275 : [saga]:2011/01/25(火) 22:37:26.98 ID:G80dAFHSO
男「ここだ」カチッ

ウィンウィン
ウィーン
ガシッ

ロシア少女「おオ!掴みまシタ!」

ウィンウィン

ロシア少女「後少シ……」ドキドキ

パッ
ガシャンッ

ロシア少女「ヤッタ!」

男「楽勝だな」ヒョイッ

ロシア少女「上手いんデスネ」

男「普通だな。ほら」ポイッ

ロシア少女「有り難うございマス」ギュッ

男「ん…」

ロシア少女「サァ、次は何処に行きまショウカ」

男「ゲーセン」

ロシア少女「……エ?」

男「動かねぇぞ」

ロシア少女「えェー……」

男「ロマンチックな場所希望なら後で連れてってやるよ」

ロシア少女「……どのくらい後デスカ?」

男「空が薄暗くなるぐらいかな」

ロシア少女「もしかして、夕陽が見える丘にでも連れて行ってくれるんデスカ?」

男「さぁねー」

ロシア少女「……」

ロシア少女「フフッ!楽しみにしてマスネ!」

男「しとけしとけ」

ロシア少女「でハ、そのお楽しみまでアレで時間を潰しまショウ」

男「ガンシューか」

ロシア少女「アナタとワタシならワンコインクリア余裕デス!」グッ

男「最近の日本語学校は下らねぇ言葉ばかり教えてんな」チャリン

…………
………
……
276 : [saga]:2011/01/25(火) 22:42:11.74 ID:G80dAFHSO

テクテク

男「口先だけの漠迦ナリ」

ロシア少女「……」ムスッ

男「金を湯水の如く使うとはあのことナリ」

ロシア少女「……」ムスッ

男「お陰で拙者の財布はすっからかんナリ〜」

ロシア少女「もウ!その話は良いじゃないデスカ!」

男「あそこまで酷いプレイは久しぶりに見た」

ロシア少女「ゲームバランスがおかしいんデス!」

男「てめぇが攻撃避けないのに難有りだ」

ロシア少女「なんであの程度の攻撃を避けないと行けないんデスカ!」

男「おしとやかと思ったら、とんだ熱血野郎だ」

ロシア少女「野郎とはなんデスカ!ワタシは乙女デス!」

男「えらく猪突猛進な乙女がいたもんだな」

ロシア少女「フン!」

男「事実だ。拗ねんな」

ロシア少女「……ところデ」

男「ん?」

ロシア少女「今歩いているのはどう見ても住宅街なんデスガ、本当に夕陽の見える丘なんて在るんデスカ?」

男「ねぇよ」

ロシア少女「エッ!?」

男「もっと良い場所だ」

ロシア少女「こんなとこにそんな場所ガ……」

男「ほら、あそこだ」

ロシア少女「……民家?」

ロシア少女「……ッ!」
277 : [saga]:2011/01/25(火) 22:43:00.77 ID:G80dAFHSO
―――男の家



ギャァァァアアァ♪

姉「おっ、メールだ」カパッ

姉「愚弟からか」

姉「ふんふん……」

姉「魔女ちゃーん!」

トテテテ
ガチャ

魔女「はい。何ですか?」

姉「弟から魔女ちゃんへラブメールだ」ズイッ

魔女「男さんから?」ヒョイッ

魔女「……ふむふむ」

魔女「家の前で待っておけって書いてありますね」

姉「あいつも大きく出たね〜」

魔女「どういうことですか?」

姉「好きな娘によるお出迎えを所望してるってこった」

魔女「……?」

姉「判んないかなー。お帰りなさいあ・な・た♪って奴だよ」

魔女「それ、外で待つ必要がないですよね」

姉「……」

魔女「うーん、男さんのことだから何か善からぬ考えが……」

姉「ごちゃごちゃ言ってないでお外へGO!」グイグイ

魔女「あっ!ちょっと、押さないで下さい!」

姉「せいっ!」ドンッ

魔女「わっ!あの、まっ――

バタンッ

魔女「……」

ガチャ

姉「これ、忘れてた」ポイッ

魔女「何ですかコレ?」

姉「無限プチプチ。暇ならそれで遊んでてね」

バタンッ

魔女「……はぁ」

魔女「……」プチプチ

魔女「……」プチプチ

魔女「……少し楽しいのが悔しいです」プチプチ

魔女「……」プチプチ

アハァーン

魔女「わっ!」ビクッ

魔女「い、今変な音が……」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 22:49:54.54 ID:tZCrFZiSO
ロシア少女のセリフ見てるとファウスト[世とかぶる

CV子安のロシア少女になっちまう
279 : [saga]:2011/01/25(火) 22:52:49.73 ID:G80dAFHSO
\オーイ、マジョー!/

魔女「男さんの声!」

魔女「はーい!お帰りなさ……?」

魔女「あれ?まさか、隣にいるのって……」

テクテクテク

男「ただいま」

魔女「少女ちゃん!」

ロシア少女「……ッ!」

男「無視か」

魔女「あ、男さんお帰りなさい!」ペコッ

男「ん…」

魔女「あのっ!何で少女ちゃんと一緒何ですか!?」

男「……ビンゴ」ニタァ

魔女「へ?」

男「いやぁ、こいつがお前と同郷っての聞いてな。もしかしたら、知り合い同士なんじゃないかと思って連れて来たんだよ」

魔女「そうなんですか!」

男「友達だったのか?」

魔女「はい!仲良くしてました!」

男「当たって良かった。どうだ?異国の地で旧友と再会なんてロマンチックだろ?」

ロシア少女「そ、そうデスネ……」

男「今日はもう遅いし、泊まっていかないか?」

ロシア少女「エッ!?」

男「ほら、お互い話したいことも在るだろうし。魔女もしたいよな?」

魔女「はい!お喋りしたいです!」ニコニコ

男「お前もそうだろ?」ポンッ

男「なぁ、魔法少女……」ボソッ

ロシア少女「貴様ッ……!」キッ

男「おや?顔が怖いぜ?」
280 : [saga]:2011/01/25(火) 22:54:17.70 ID:G80dAFHSO
魔女「ど、どうしました?」

男「びっくりしてんのさ」

魔女「判ります!さ、入ってください!」

ロシア少女「ワ、ワタシは……」

男「あ、もしかしてお泊まりは許可がおりない?」

ロシア少女「そ、そうなんデス!」

魔女「そんなぁ」ガクッ

男「一人暮らしで誰が許可出すのか知らねぇが」

ロシア少女「それを何処デ!」

男「さぁな」

魔女「……あの、お泊まりが嫌ならせめて晩御飯食べていってください!」

ロシア少女「……グ…」

男「良かったな。食費が浮くぜ?」

ロシア少女「他の家族の迷惑ニ……」

ヒュンッ、ダンッ
ゴロゴロゴロ

ロシア少女「!?」

姉「魔女ちゃんの友人と聞いて!」

男「二階から飛び降りて来るとは予想外だ」

魔女「お、お姉さん大丈夫ですか?」

姉「受け身とったから問題ナッシング」

魔女「それなら良かったです」

姉「さて……」

ロシア少女「ア、アノ……」

姉「流石魔女ちゃんの友人。綺麗だわ」ペタペタ

ロシア少女「チョッ…!」

姉「さぁ!行こうぜ我が家!」ガシッ

ロシア少女「ご、ご迷惑ガ……」ズルズル

姉「かからーん!魔女ちゃん!四人分の夕飯の準備だ!」テクテク

魔女「あっ、はい!」トテトテ

男「流石姉さんだな」テクテク

姉「弟、貸し一だからな」ボソッ

男「へいへい」

魔女「一杯話しましょうね!」ニコニコ

ロシア少女「う、うン」

ロシア少女「……」ギリッ
281 : [sage]:2011/01/25(火) 22:55:43.47 ID:G80dAFHSO
以上!
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 22:57:54.53 ID:Xi/C+7LAo
乙!
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/25(火) 23:34:33.24 ID:vPdrlwiqo
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 00:33:31.68 ID:XnlSbR0IO
やるじゃん
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 10:14:24.06 ID:hW6nsyBDO
誰で再生しようかな
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 00:04:44.36 ID:6X4WNKTIO
ロシア娘ktkr!!
287 : [sage]:2011/01/28(金) 18:44:45.75 ID:qC5YyIpSO
書き溜めが消えました……
もう暫くお待ちください
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 19:58:21.61 ID:vH3aChxIO
まつげ
じゃなくて
まつぜ
289 : [sage]:2011/01/30(日) 23:07:36.33 ID:kus2GtHSO
作者は声優に関して疎いので、登場人物達にどのような声を付ける、或いは付けないかは読者の皆様にお任せします
例えっ……それが、子安さんボイスのロシア少女っ……でもっ……!

投下します
290 : [saga]:2011/01/30(日) 23:08:24.23 ID:kus2GtHSO
魔女「腕によりをかけて作りました!」コトッ

ロシア少女「ピザ?」

姉「にしては香が……」

魔女「和風ピザです!」

男「あぁ、だから醤油っぽい匂いが」

姉「弟の実験癖が魔女ちゃんに移ったか……」

魔女「これはちゃんとしたメニューです」チャキチャキ

姉「こんなの在るんだ。何考えて作ったんだか」

魔女「はい!切れましたよ!」スッ

男「ん」ヒョイッ

魔女「少女ちゃんもどうぞ!」スッ

ロシア少女「あ、ありがト…」ヒョイッ

姉「ふむ……」パクッ

魔女「どうですか?」ドキドキ

姉「普通に食える」モグモグ

魔女「普通ですか……」

ロシア少女「美味しイ」モグモグ

魔女「わぁ!有り難うございます!」パァッ

男「……」モグモグ

魔女「男さんはどうですか?」

男「……おれも今度作ってみようかな。和風ピザ」モグモグ

姉「うえっ!?」

男「こう……ピザソース代わりに味噌にみりん、酒、七味、鰹だしを加えたものとか良さそうだな……」モグモグ

姉「そ、想像出来ねぇ……」モグモグ

魔女「生地にお味噌が合うんでしょうか…」

男「作ったらお前も呼んでやるよ」モグモグ

ロシア少女「は、ハァ、有り難うございマス……」
291 : [saga]:2011/01/30(日) 23:10:02.25 ID:kus2GtHSO
男「それで、だ」モグモグ

ロシア少女「何でショウカ」

男「久しぶりの再会でてめぇら二人、話したいこと大盛り大サービスだとは思う」

ロシア少女「ハア……」

男「だが、まずはちょっとした質問をしたい」

ロシア少女「……数ハ?」

男「……二つだ」

魔女「男さん!」

男「あ?」

魔女「お客さんなんですから、いきなりそういう事は失礼だと思います!」

男「こっちは急ぎ情報が欲しいんだよ」

魔女「それでもです!」

姉「悪く思わないでね。もしかしたら、命かかってるかもしんないからさ」

魔女「…!あ……そ、そうですよね。もう、私だけの問題じゃ無いんですよね……」

ロシア少女「……」

男「そういう事だ」

ロシア少女「……良いデショウ。質問に答えマス」

魔女「うぅ……ごめんなさい少女ちゃん。折角来て貰ったのに……」

ロシア少女「いエ、良いんデス。男さん達にも然るべき事情が有るようナノデ」

男「何言ってるんだ、お前?」

魔女「え?」

男「魔女、お前も質問の対象だ」

魔女「えぇっ!私も疑われているんですか!?」

ロシア少女「……ワタシだけでは無いのデスカ?」

男「勿論お前もだが、こっちは疑うよりも魔術に関する情報が欲しいんだ」

ロシア少女「……そうデスカ」
292 : [saga]:2011/01/30(日) 23:12:02.71 ID:kus2GtHSO
男「先に忠告だ」

男「下手に誤魔化すな。こっちは本当の故郷のこととかある程度聞いてる」

魔女「……!」

ロシア少女「……ッ!」

魔女「あ、あの時の同郷って……」

ロシア少女「……」ギロッ

魔女「えっ!どうしたんですか少女ちゃん!?私、何かしましたか!?」

ロシア少女「別ニ……」

男「それじゃ、質問其の一。お前は何でこっちに来た?」

ロシア少女「ワタシは……」

男「観光とか言うなよ」

ロシア少女「……護衛デス」

男「護衛?」

ロシア少女「えェ」

男「……ってことは、教会に本家か」

ロシア少女「……!そこまで知っているんデスカ……」

男「まぁな」

ロシア少女「全ク……お喋りなのは変わらないネ」キッ

魔女「あ、あはは……」

ロシア少女「……本家は教会の動きを察知シ、ワタシに護衛の任を与えたのデス」

男「なら、近くに居た方が得策だと思うがな」

ロシア少女「秘匿任務ですシ、家の知らせを知る為には外へ出なければなりませんカラ」

男「……は?」

姉「灯台下暗しって意味だな」

ロシア少女「……良く判りましたね」

姉「友達に諺マニアが居てね」

男「変な交友してるな」

姉「助かった癖にダメ出しか」

男「意味が判らなくても問題無かった」

姉「我が弟ながらウザい」

男「今更だ。しかし……」ジー

ロシア少女「……?」

男「こんなボロい……間違えた。細い身体で護衛が勤まるとは思えないな」

ロシア少女「ア?」
293 : [saga]:2011/01/30(日) 23:14:13.80 ID:kus2GtHSO
魔女「大丈夫ですよー」ニコッ

男「何で?」

魔女「少女ちゃんヴァンパイアですから、超強いんです!」

ロシア少女「魔女ッ!!」ガタッ

魔女「うえっ!マズかったですか!?」ビクッ

男「……は?」

姉「……え?」

ロシア少女「……」

男「ちょっと、待てってか……いや、それ……は?」

姉「えと、ま、マジ……ヴァ……え?」

ロシア少女「……違いますヨ」ニコッ

魔女「え!違うんですか!?」

ロシア少女「ダマレ」ギロッ

魔女「あ、はい……」

男「……オーケー、落ち着いた」

姉「お姉ちゃんもオーケー……」

男「ヴァンパイア、か……」

ロシア少女「もしかシテ、信じるんデスカ?」

男「魔法以上の衝撃だがな……」

ロシア少女「ワタシ、牙も何も無いんデスヨ?」

カシャッカシャッ

男「魔女がそう言ってるんだ。おれ達はそれを信じる」

カシャッカシャッ

ロシア少女「……信じル?甘いことヲ」

カシャッカシャッ

ロシア少女「……」

カシャッカシャッ

姉「お姉ちゃんフラァァァァァアアアッシュ!!」

カシャッカシャッカシャッ

ロシア少女「何をしてるんデスカッ!?」

カシャッカシャッ

姉「いや、マジモンのヴァンパイア様なら写真に収めとかねぇと女が廃るってか、漢が泣くってか、人間止めちまうから」

カシャッカシャッ

ロシア少女「勝手に撮るナァァア!!」

カシャッカシャッ

姉「……写真、写るんだね」

ロシア少女「あんなクズ共ト……アッ!」

男「一乙だな」

ロシア少女「……ッ」ギリッ
294 : [saga]:2011/01/30(日) 23:16:13.78 ID:kus2GtHSO
魔女「男さん!」

男「何だよ」

魔女「そういう夢だったんです!!」

男「……は?」

魔女「つ、つまり、私が少女ちゃんをヴァンパイア的な――

姉「魔女ちゃん……」ポンッ

魔女「はい」

姉「もう良い……。もう良いんだ……」

魔女「えっ?何がですか?」

ロシア少女「……ハァ。そうですヨ。ワタシは吸血鬼デス」

男「認めたか。何で隠して……っと、秘匿任務だからか」

ロシア少女「そうデス」

ロシア少女「誰かのせいで隠せませんでしたケド」ジロッ

魔女「ごめんなさい……」シュン

ロシア少女「それデ、二つ目とやらハ?」イライラ

男「……ちょっと待て。路線変更する」

ロシア少女「それハ、ワタシが吸血鬼と判ったからデ?」

男「まぁな」

ロシア少女「……ふぅン」

男「さて……二つ目…」

男「……そう言えば」

ロシア少女「何デス?」

男「全身の血を抜かれて殺されるって事件が在ったな」

姉「あぁ、1週間前のやつ」

魔女「昨日テレビでやってましたね!」

男「……」

ロシア少女「その事件が何カ?もしかシテ、それをワタシに聞くんデスカ?」

男「いや、思い出しただけ」

ロシア少女「……そうデスカ」

男「……良し、決めた」
295 : [saga]:2011/01/30(日) 23:19:43.56 ID:kus2GtHSO
男「其の二、ヴァンパイアは本当に血を飲むのか?」

ロシア少女「えェ、血は飲めマス」

男「可能じゃなくて必要かって聞いたんだ。判っててとぼけてんじゃねぇよ」

ロシア少女「……必要は無いデスネ」

男「ま、そう答えるしかないよな」

ロシア少女「……」

男「さ、面倒な事終わりだ。茶でも飲もうぜ」ガタッ

ロシア少女「今ので私への懐疑は晴れたんデスカ?」

男「都合の良い方に考えとけ」ガチャガチャ

魔女「あっ!私も下げます!」ガチャガチャ

男「頼んだ」ガチャガチャ

ロシア少女「ワタシも何かしまショウ」スクッ

姉「まーまー。客人に手伝わせるワケにはいかないのよさ」ガシッ

ロシア少女「へェ。今更、普通の客人扱いするんデスネ」

姉「ありゃ。やっぱ、気分悪くした?」

ロシア少女「魔術と言いながラ、ワタシだけしか攻めませんでしたカラ」

姉「正体割れた時から、ある程度聞かれることは覚悟してたっしょ」

ロシア少女「一応」

姉「二つだけってのは良心的だと思うけど?」

ロシア少女「でモ、曖昧な約束するのは最低デス」

姉「クハッ!そりゃそうだ。乙女の敵だわ」

ロシア少女「全くデス」

カツカツ

男「敵で悪かったな」スッ

ロシア少女「猛省してくだサイ」

男「元々の二つ目は魔女用だったんだよ。変更したけど。……あ、紅茶で良かったか?」コトッ

ロシア少女「……ハイ。頂きマス」
296 : [saga]:2011/01/30(日) 23:23:03.03 ID:kus2GtHSO

トテテテ

魔女「少女ちゃん!ケーキです!ケーキも有りますよっ!」コトッ

ロシア少女「ありがト」

男「それじゃ、後はお二人水入らずってことで」

魔女「あれ?もう、上がるんですか?お茶は?」

男「おれと姉さんは今から宿題する」

姉「茶もケーキも持ってって頂くさ」

男「では」

ガチャ
バタンッ

魔女「宿題なら仕方ないですね」

ロシア少女「……」

魔女「ミルク入れます?」

ロシア少女「魔女……」

魔女「はい、何ですか?」

ロシア少女「男さんのこト、詳しく聞きたいナ」

魔女「良いですよ。と言っても、私もそこまで知ってるワケじゃないんですけどね」

ロシア少女「答えられる範囲で良いヨ」

魔女「判りました」

ロシア少女「そうだネ……弱みとか知ってル?」

魔女「弱みですか……うーん……」

ロシア少女「小さくても良いヨ」

魔女「……あっ!有りました!」

ロシア少女「何?」

魔女「ジョロキア級の辛さが苦手らしいです!」

ロシア少女「……」

魔女「ところで、ジョロキアって何ですかね?」

ロシア少女「自分で調べロ」
297 : [saga]:2011/01/30(日) 23:25:56.83 ID:kus2GtHSO
姉「で、さっきのことだけど」

男「……」スッ

姉「……紙とペン?」

男「……」カキカキ

男【筆談】

姉「……?」

男【ヴァ 能力 不明】

姉「……」カキカキ

姉【OK】

男「……」カキカキ

男【判明】

男【護衛 偽】

姉「……」カキカキ

姉【任務 秘 ×喋る】
 【喋った】

男「……」コクッ

姉【他】

男【故郷 ×ロシア】

姉【両?】

男「……」カキカキ

男【魔女 ○】
 【少女 △】

姉【了】

男「……」カキカキ

男【不明】

男【吸血 事件 目的 組織】

姉【(;°д°)多っ】

男【意見求】
298 : [saga]:2011/01/30(日) 23:28:09.51 ID:kus2GtHSO
姉「……」カキカキ

姉【私見】

姉【吸血 ○】

男【理由】

姉【アイデンティティー】

男「クハッ!」

男【確かに】

姉【理由 不明】

男【仮定 魔力】

姉【×】

男「……?」

姉【吸い出し不可らしい】

男「……」カキカキ

男【仮定 精神】

姉「……」カキカキ

姉【有力】

男【他】

姉【事件 ×】

男【同】

姉【なら聞くな】

男【一応】

姉「……」カキカキ

姉【組織 不明】

男【了 目的は?】

姉【仮定】

姉【お前】
299 : [saga]:2011/01/30(日) 23:29:15.61 ID:kus2GtHSO
男「……」カキカキ

男【理由】

姉「……」カキカキ

姉【接近 好意 本家と教会の標的 確率論】

男「……」

姉【疑え】

男「……」コクッ

男【そっち】

姉「……」カキカキ

姉【判明】

姉【二人 接点 日本】

男「……?」

姉【下】

男「……!」

男【会話 日本語】

姉「……」コクッ

男「……」カキカキ

男【他】

姉【仮定 吸血方法 ×噛む】

男「……」カキカキ

男【魔女 怯え無し?】

姉「……」コクッ

男【仮定 傷作る】

姉【だろうね】

男【他】

姉【なし 情報少ない】

男「……」

姉「……」

男「……」カキカキ

男【助かった】

姉「……?」

男【諺 意味聞く手前だった】

姉「……」コクッ
300 : [saga]:2011/01/30(日) 23:30:13.68 ID:kus2GtHSO
男【頭脳良し】

男【情報引き出し無理】

姉【魔女ちゃんに聞く】

男【× 漏れる】

姉「……」

男「……」カキカキ

男【実験 手探り】

姉「……」カキカキ

姉【ばれるな】

男【ねぇよ】

\オトコサーン!オネエサーン!/

男「……」

姉「……」クイッ

男「……今降りるー!」

ダダダ
ガチャ

男「どうした?」

魔女「あ、それがですね。少女ちゃん話してる途中で眠っちゃったんです」

ロシア少女「スー…スー……」zzZ

姉「あらあら」

男「あー、疲れが溜まってたんだろ。無理に起こすのも悪いし、今日は家で寝かせよう」

魔女「判りました!」

男「魔女は自分の寝室にもう一枚布団敷いて来い」

魔女「はい!」

トテテテ

男「姉さんは少女さん運んでくれよ」

姉「……」カキカキ

姉【実験?】
301 : [saga]:2011/01/30(日) 23:31:27.20 ID:kus2GtHSO
男「……さぁな。早くしてくれ」

姉「へいへい。人使いの荒い弟だこと」

男「おれが乙女の身体を無断で触ったらマズいだろ」

姉「ハハハッ!そりゃそうだ、っと!」グッ

男「力持ちだな」

姉「案外軽い」

男「筋肉無いのか?」

姉「持った感じ無いね」

男「強いって言われてんのにか」

姉「別の力が働くってことだろ」

男「……かもな」

姉「暗器も無いみたいだしな」ペタペタ

男「なら、戦闘は素手か魔法か」

姉「そうなるだろうね」

男「魔法頼りで有って欲しいな……」

姉「ロマンチックだから?」

男「野獣みたいなのは嫌だろ」

姉「見たくないのは確かだ」

男「ゴミはおれが焼却しとくわ」

姉「当然、それぐらいはして貰わないと」

男「任せとけ」
302 : [sage]:2011/01/30(日) 23:34:18.29 ID:kus2GtHSO
本日はここまで

判りにくいとこが在りましたら、是非聞いてください
今回とか、筆談させたせいで特に多いと思うので……
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:40:12.76 ID:fcpn2FkOo
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 00:12:24.52 ID:Oh7tNEXIO
>>302
字の文章というか、もうちょっと情景描写が欲しい
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 00:19:55.10 ID:zgGBCoq4o
実に面白い
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 08:45:56.37 ID:PAUOL5ugo
個人的には解説はいらんなぁ
そのほうが雰囲気でるし

まあSS内でキャラが解説するとかでないなら問題ないといえばないんだが

最低限の言葉だけでの相談というか情報のやり取りというか
好みすぎてヤバイ
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 22:15:08.95 ID:moSh1Ar00
筆談はよく分からなかったけど、後からどんどん分かってくるんだろ?
それなら解説とかはいいから書いて欲しい
308 : [sage]:2011/02/03(木) 22:36:28.36 ID:EtTmLuXSO
>>304
ノリだけで書いていた初期は別として、このSSは地の文無し、心の声無しでいこうと思っているのですが……
下手ですけど、戦闘シーンぐらいは地の文有った方が良いんですかね?


うーむ……悩みますが……取り敢えず投下します
309 : [saga]:2011/02/03(木) 22:37:37.66 ID:EtTmLuXSO
男「芥子マヨネーズ……」カチャカチャ

男「入れるか否か……」カチャカチャ

ドタッドタドタ
ガチャンッ

ロシア少女「コレはどういうことデスカッ!!」

男「おぉ、お早う」

ロシア少女「何故ワタシが此処で寝ているんデス!!」

男「寝たから」

ロシア少女「説明になってまセン!」

男「……あそこにチョコレートが有るの判るか」

ロシア少女「この箱デスネ。それガ、ワタシが眠ったのと何の関係ガ?」

男「酒弱いんだな」

ロシア少女「ハァ!?」

男「それさ、酒入ってるんだよ。結構強いやつ」

ロシア少女「ワタシが記憶する限りでハ、食後はケーキと紅茶しか食べていまセン」

男「ケーキのチョコにそれ使ったんだよ。酒の香りしたろ?」

ロシア少女「……確かにしましたガ、その程度で酔ったりしまセン」

男「疲れてたんだろ」

ロシア少女「疲レ?」

男「日本に来て幾日。慣れない環境で苦労も多い。さらに、昨日はおれが色々つれ回したりなんだり……」

ロシア少女「……」

男「そして、止めにアルコール」

ロシア少女「……それで納得するとデモ?」

男「おれが薬盛ったと疑ってるのか?」

ロシア少女「それが一番の可能性デス」

男「なら、病院で血液検査でも受けに行くか?多分、アルコールしか検出されないぞ」

ロシア少女「……」

男「家の中探索しても良い」

ロシア少女「ハァ……判りまシタ。そこまで自信が有るなら違うのデショウ」

男「そうだよ。こっちはお前を眠らせる理由も無いしな」

ロシア少女「理由なラ……」

男「どうした?」

ロシア少女「いエ、何でもありまセン」

男「そうか。朝食はどうする?」
310 : [saga]:2011/02/03(木) 22:38:16.55 ID:EtTmLuXSO
ロシア少女「結構デス。そこまでお世話になるワケにはいきませんノデ」

男「じゃぁ、もう帰るのか」

ロシア少女「ハイ」

男「なら、これ持ってけ」ヒョイッ

ロシア少女「サンドイッチ?」

男「おれ特製のな。そんぐらいは受け取れ」

ロシア少女「……有り難うございマス」

男「後、洗面所は廊下出て左端だから」

ロシア少女「……?」

男「服は仕方ないとして、乙女が寝起きの顔とボサボサの髪して外出たらたらマズいだろ」

ロシア少女「……お借りしマス」

男「しとけしとけ」

311 : [saga]:2011/02/03(木) 22:39:02.16 ID:EtTmLuXSO
…………………



魔女「えぇー!少女ちゃん帰っちゃったんですか!?」

男「うん」

魔女「そんなぁ……」ガクッ

姉「まぁ、落ち込むなよ。いつでも会えるじゃないか」

魔女「せめて挨拶ぐらいはしたかったです……」

男「早く起きるべきだったな」

魔女「……男さんも悪いです!」

男「……は?」

魔女「男さんがもう少し愛想良くしていれば、少女ちゃんも帰らなかった筈です!」

姉「……一理有る」

男「ねぇよ。そんな仮定の話されても困る」

魔女「昨日も口々、今日も口々!少女ちゃんが可哀想です!!」

男「別に……いや、そうだな。確かに少し意地悪し過ぎた」

魔女「ちゃんと謝らなきゃダメですからね!」

男「判った」

魔女「なら、善は急げです!今から行きましょう!」

男「無理」

姉「まぁ、無理だわな」

魔女「えっ?」

男「家知らないし」

魔女「電話で……」

男「知らないし」

魔女「……」

男「無理」

魔女「……お友達なのになんでそんな大事なこと知らないんですか!!」

姉「また、凄いハンドル操作だな」
312 : [saga]:2011/02/03(木) 22:40:13.67 ID:EtTmLuXSO
男「お前は知ってんのか?」

魔女「……む、昔の家なら…」

男「へぇ、何処?」

魔女「アゼ……あっ!モスクワです!」

男「……そりゃまた大都会だな」

姉「安牌切ってくるか」

魔女「あんぱい?」

姉「気にしなくて良いよ。麻雀の話だから」

魔女「麻雀ってあのじゃらじゃらするやつですか?」

姉「じゃらじゃらがっしゃーん、かな」

魔女「がっしゃーん!?がっしゃーんもするんですか!?」

姉「いや、がっしゃーんなんてモンじゃねぇな。じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりん、だな」

魔女「じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりん!?」

姉「そう!じゃらじゃらがっしゃーんてぃんてぃろりんぷぷっぴどぅ!!」

魔女「じゃらじゃらがっ――

男「ウザい。酷く耳障り。目障り」

魔女「えぅ……」

姉「じゃ――

男「そして癪に障る」ゲシッ

姉「いてっ!蹴るなよ!」
313 : [saga]:2011/02/03(木) 22:40:50.93 ID:EtTmLuXSO
姉「あたしの何が悪いって言うんだよ!」

男「……うーん」

姉「おい、早く言え」

男「……頭?」ニッ

姉「うっ、うわぁぁあん!ちくしょぉぉお!!こんな家出て行ってやるぅぅう!!」ダダダ

ガチャ
バタンッ

魔女「お姉さんっ!?」

男「行ってら」ヒラヒラ

魔女「ちょっ!男さん!今すぐ追い掛けて下さい!!」

男「面倒臭い」

魔女「あのまま帰ってこなかったらどうするんですかっ!!」

男「寂しくなったら帰ってくるさ」

魔女「こう……連れ去られたりするかもしれないじゃないですか!」

男「アハハハッ!姉さんを連れ去ることが出来る物好きな高段者なんていねぇよ!」

魔女「むぅ……上手いフォローが……」

ガチャ

テクテクテク

姉「お財布忘れた」

魔女「……」

男「お前……少しは粘れよ……」

姉「無理な相談だよ、坊や」
314 : [saga]:2011/02/03(木) 22:42:10.86 ID:EtTmLuXSO
―――高校



男「体育はサッカーか」

サッカー部員1「俺達の舞台だな」

男「本職のお前と同じカウントすんな」

サッカー部員1「上手いじゃん」

男「そこそこだ」

茶髪男子「男っ!」

男「どうした?」

茶髪男子「今日の試合、俺はお前に勝つ!」

男「……これ、クラス対抗別の試合だぞ」

サッカー部員1「つうか、そもそもサッカーは団体戦だ」

茶髪男子「甘いな。あいつにチェンジしてもらったんだよ」

野球部員「やぁ、お二方!お久っ!」

男「……クソゴミハゲ野郎のクセに勝手しやがる」

野球部員「坊主です」

サッカー部員1「まぁ、良いんじゃね」

野球部員「そうそう。楽しけりゃ、それで良いんだよ」

茶髪男子「つぅワケで、どっちがより多く点取れるか勝負だ!」

男「良くて一点の勝負なんか盛り上がらねぇよ」

茶髪男子「じゃぁ、こかして泣かす」

男「おい、誰かこの漠迦の両目抉り取れ。五万やる」

サッカー部員1「てか、目的何だよ」
315 : [saga]:2011/02/03(木) 22:42:37.90 ID:EtTmLuXSO
野球部員「漠迦だな。そんなの噂の美人転校生、少女さんの為に決まってるだろうが」

茶髪男子「そう言うことだ!彼女は俺のモン!てめぇには絶対渡さねぇからな!」

男「はぁ……あんなの所有するつもりねぇよ」

サッカー部員1「それで、どうしてそこで勝負なんて発想に至るんだ?」

野球部員「彼女に格好良いとこ見せたいからに決まってる」

男「その彼女もソフトの試合に忙しいから、こっちなんか見てないだろ」

茶髪男子「少女さんは見学だ」

男「……見学?」

茶髪男子「身体が弱いんだろうな。嗚呼、何処までも可憐だ……」

サッカー部員1「ホントだ。ベンチに座ってる」

男「……ふぅん」

野球部員「どうした?」

男「ちょっと会いに行ってくるか」

茶髪男子「はぁ!?」

男「着いて来ちゃダメだぜ、純情ボーイ」

茶髪男子「なっ!てめっ!」

男「心配すんな。謝ってくるだけだ」

茶髪男子「……謝る?」
316 : [saga]:2011/02/03(木) 22:43:40.82 ID:EtTmLuXSO

テクテクテク

男「よぉ」

ロシア少女「……どうモ」

男「身体弱いらしいな」

ロシア少女「まさカ、本気にしているワケではないデショウ」

男「当然」

ロシア少女「でモ、残念。ホントなんですヨ、これガ」

男「……強いんじゃないのかよ」

ロシア少女「日光がダメなんデス」

男「ハッ!皮膚が焼け落ちるってか」

ロシア少女「フフッ!そんな伝承みたいなことは起きませんヨ」

男「なら、気分が悪くなるとかか?」

ロシア少女「そうデス。頭が痛くなるんデスヨ」

男「難儀な身体だな」

ロシア少女「そうは思いませんけどネ」

男「ってことは、体育館で在ったら出るのか」

ロシア少女「出ませんヨ。屋外がダメで屋内は良いなんテ、可笑しな話じゃないデスカ」

男「確かに」

ロシア少女「なのデ、可憐でか弱い乙女で行かせて貰いマス」

男「窮屈じゃないか?」

ロシア少女「いいエ」

男「そうか。他に理由は無いのか?」

ロシア少女「……他の理由?」

男「例えば……怪我をしたくない、とか」

ロシア少女「……どういうことデス?」

男「いや、小説か何かでヴァンパイアは皆して血友病ってのを見た記憶が在ってな」

ロシア少女「……フフッ。おバカさんですネ、男サン」

男「あ?」

ロシア少女「怪我なんテ、何処にいてもしちゃうじゃないデスカ」

男「……あー、言われてみれば確かに」
317 : [saga]:2011/02/03(木) 22:45:26.05 ID:EtTmLuXSO
ロシア少女「それデ、本件は?」

男「気付いてたか」

ロシア少女「アナタが容態を聞くだけなんて無駄を働くとは思えませんカラネ」

男「……良く観察していらっしゃる」

ロシア少女「早くした方が良いデスヨ。お友達が呼んでイマス」

男「そうだな。なら、言わせて貰おうか」

ロシア少女「どうゾ」

男「超ごめーん」

ロシア少女「……ハ?」

男「昨日と今朝のことな。悪いことしたよー、マジでー」

ロシア少女「……謝罪ならバ、もう少し誠意を持った方が良いのデハ?」

男「自分の心に嘘吐きたくない」

ロシア少女「つまリ、謝る気持ちは無いト」

男「うん」

ロシア少女「なラ、何故?」

男「謝っておかないと、魔女に怒られるからだ」

ロシア少女「……フフッ」

ロシア少女「アハハハッ!確かニ!それハ、回避したいデスネ!」

男「イエス。気持ちが無くても事実だけ有れば十分だ」

ロシア少女「分かりまシタ。貴方は誠心誠意謝っタ。魔女にはそう言いマショウ」

男「有り難い」

ロシア少女「それでハ、試合頑張って下さいネ。応援してマス」

男「試合っつう程のモンになるか怪しいがな」

ロシア少女「アナタが盛り上げてくれれば良いんデス」

男「軽く行ってくれるぜ」
318 : [saga]:2011/02/03(木) 22:46:11.97 ID:EtTmLuXSO

テクテクテク

ザッ

茶髪男子「話は済んだのか?」

男「まぁな」

茶髪男子「どうせ、君の為にシュートを決めるとでも言ってきたんだろ」

男「何が悲しくてそんなキザッたらしいセリフ吐かないといけないんだよ」

茶髪男子「だが、俺がそれをさせねぇ!」

男「誰か気付け薬持って来い。この漠迦のアルコール抜く」

茶髪男子「さぁ!キックオフだ!」

男「……パス」ポーン

サッカー部員1「よっしゃ!」タタタ

茶髪男子「……」

男「ほら、良いとこ見せたいなら動け」タタタ

茶髪男子「てめぇ!」ガシッ

男「何だよ」

茶髪男子「ふざけんな!普通勝負するだろうが!」

男「興味無いな」

茶髪男子「このっ!」グイッ

ピピー

茶髪男子「……」

審判役「ファール」

茶髪男子「……え、マジ?」

男「ほら、離せ」

茶髪男子「……まさか、お前此処まで読んで…」

男「ねぇよ!」
319 : [saga]:2011/02/03(木) 22:47:25.20 ID:EtTmLuXSO
………………



男「疲れた…無駄に……」クタッ

サッカー部員1「お前も大変だな」

男「何でアイツあんなに絡んでくんだよ。ウゼェ……」

サッカー部員1「ライバルだからだろ」

男「……さっきも言ったが、別にあの女狙ってるワケじゃねぇんだが」

サッカー部員1「最初のデート発言がマズかったな」

男「失策だ……」

サッカー部員1「何であんなこと言ったんだ?」

男「お前、魔女って憶えてるか?」

サッカー部員1「お前の家の居候さんか」

男「あいつと同郷らしいから、サプライズで会わせてやろうと思ってな」

サッカー部員1「ふーん。お前がねぇ……」

男「何だよ」

サッカー部員1「似合わないと思ってな」

男「何で?おれ超紳士じゃん」

サッカー部員1「えっ!?」

男「おいおい、今更気付いたのかい?」

サッカー部員1「お前……冗談にしてもキツいぞ……」

男「……オーケー、面出ろよ。おれの紳士っぷりを骨髄まで染み込ませてやる」

サッカー部員1「紳士はそんな物騒な言葉使わない」

ロシア少女「そうデスヨ」

男「……人の話に割り込むな」

ロシア少女「すみまセン。目眩のするようなジョークにつイ……」

男「そこまで言うか」

サッカー部員1「寧ろ当然だな」

オカッパ女子「うん……」

男「お前もか」

サッカー部員1「……あれ?二人は一緒に帰んの?」

ロシア少女「ハイ。彼女が美味しいクレープ屋さんを紹介してくれるんデス!」

男「ふーん、仲良いじゃん。良かったな」

オカッパ女子「うん」
320 : [saga]:2011/02/03(木) 22:51:13.46 ID:EtTmLuXSO

ダダダ

茶髪男子「ちょっと待った!」

男「うわ……来たよ……」

茶髪男子「少女さん!今の話本当なのか!?」

ロシア少女「ハイ」

茶髪男子「俺との約束は!?」

ロシア少女「ワタシ、断りましたヨネ?」

茶髪男子「えっ!?」

ロシア少女「流石のワタシでモ、いきなり遊園地は無理だと言っテ」

男「それは断られるわ」

サッカー部員1「誘い下手ってレベルじゃねぇな」

ロシア少女「また今度、普通の場所行きで誘ってくださいネ」

茶髪男子「……判った」

ロシア少女「でハ、行きまショウカ」

オカッパ女子「うん!」

茶髪男子「……」ギロッ

オカッパ女子「……!」ビクッ

ロシア少女「どうしまシタ?」

オカッパ女子「な、何でもないよ……」

ロシア少女「……?」

ガラガラガラ
バタンッ
321 : [saga]:2011/02/03(木) 22:51:53.42 ID:EtTmLuXSO
茶髪男子「……」

男「おい、あいつに変なことすんなよ」

茶髪男子「しねぇよ。ムカつくけどな」

サッカー部員1「へぇ。大人になったな」

茶髪男子「少女さんは暴力が嫌いだ」

男「言ってたな」

茶髪男子「近付かねぇように脅したりは出来ねぇ」

サッカー部員1「まぁ、そうだな」

茶髪男子「勝負なら正々堂々しなきゃいけねぇんだよ!」

男「成る程。それで、最近微妙に熱血なキャラになってたのか」

茶髪男子「好かれる為なら何でもするぜ!」

男「その意気込みや決意は称賛してやる。だがな……」

茶髪男子「ん?」

男「そのキャラでおれに絡むな。ウザい」

茶髪男子「じゃぁ、てめぇとはどう勝敗付けたら良いんだよ」

男「あのな、そもそもおれはあいつを彼女にしたいとか、そう言った願望は無ぇんだよ」

茶髪男子「嘘吐くな!」

男「いや、嘘じゃ――

茶髪男子「デートに誘って、いつも親しげに話しかけ、それで好意が無いワケねぇだろうが!」

男「……」

サッカー部員1「諦めろ。こいつ、根が漠迦で直線的なんだよ」ポンッ

男「そうらしいな……」
322 : [sage]:2011/02/03(木) 22:53:16.50 ID:EtTmLuXSO
今日は此処まで

最後は決まっているのに間が思い付きません
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 23:30:00.77 ID:dJ7f87gho
324 : [saga]:2011/02/06(日) 16:07:33.26 ID:LD6eLgoSO
とんとん投下っ
325 : [saga]:2011/02/06(日) 16:09:09.40 ID:LD6eLgoSO
オカッパ女子「男くん……」グイッ

男「どうした?」

オカッパ女子「取られた……」

男「何を?」

オカッパ女子「少女ちゃん……」

男「……誰に?」

オカッパ女子「……茶髪男子くん」

男「それは……あいつがとうとうデートに誘えたってことか?」

オカッパ女子「……うん」

男「別に良いじゃないか」

オカッパ女子「良くないよ……」

男「彼氏彼女の関係に成ったワケでもなし。独占されることなんかねぇよ」

オカッパ女子「……あの人嫌い…」

男「あー、いや、でも、それでどうこうするってのは間違いだろ」

オカッパ女子「……間違いじゃないもん」

男「いや、他人の交友邪魔すんのはダメでしょう」

オカッパ女子「粗暴だし……」

男「大丈夫。度胸は無いから手は出されねぇ。まぁ、出した所で骨の一、二本折られて終わりだろうが」

オカッパ女子「漠迦だし……」

男「あ、うん。それは、歪み無い事実だけど……」

オカッパ女子「少女ちゃんに悪い影響が出そう……」

男「……」

オカッパ女子「心配……凄く……」

男「母親かっ!」ペシッ

オカッパ女子「いたいっ!」

男「初めて同性の友達が出来てべったりしたいのは判るが、束縛までいっちゃマズい」

オカッパ女子「……」プイッ

男「こっち見ろよ」ギギギ

オカッパ女子「むぐぐぐ」

男「あのな、同性でも異性でも友人は友人だ。諸々の感動は在るだろうが、そこは変わらない」

オカッパ女子「……」

男「ラフで良いんだ、ラフで。おれ達みたいにさ。判るか?」

オカッパ女子「……うん」

男「誰かに……例えばおれに少女さんとお前の交友邪魔されたらどうだ?」

オカッパ女子「嫌……」

男「だろ?だったら、もう誰かを排他するような考えはするな。したら、お兄さん泣いちゃうからな」

オカッパ女子「…………判った……」
326 : [saga]:2011/02/06(日) 16:11:22.15 ID:LD6eLgoSO
男「はい、いい子いい子ー」ナデナデ

オカッパ女子「……」ペシッ

男「おっと。しっかし、何であいつだけなんだ?」

オカッパ女子「……理由はもう言ったよ」

男「お前は嘘を吐いてる。おれには判る」

オカッパ女子「……」

男「優しすぎるんだよ。誰かを嫌いになることが出来ない程に。さっきの陰口も胸痛めながらだろ」

オカッパ女子「違う……」

男「その意固地な反応……もしかしておれに論破されたいのかにゃ?」ニッ

オカッパ女子「言い方がいやらしい……」

男「そりゃ、隠し事聞き出そうとする悪党だし」

オカッパ女子「聞からたくないから隠すのに……」

男「相談持ちかけられて手ぶらってのはどうもね」

オカッパ女子「……その性格、そろそろ変えた方が良いと思う……」

男「無理な相談だぜ、お嬢ちゃん」

オカッパ女子「……」

男「それで、黙り、論破、告白。どれ選ぶんだ?どれ選んでも結果は変わらねぇぞ」
327 : [saga]:2011/02/06(日) 16:12:16.29 ID:LD6eLgoSO
オカッパ女子「……笑わない?」

男「無論」

オカッパ女子「気味悪がったりしない?」

男「しない」

オカッパ女子「言い触らさない?」

男「あぁ」

オカッパ女子「……私を……嫌いにならない?」

男「絶対にな」

オカッパ女子「……」

男「……」

オカッパ女子「……あの人…少女ちゃんのこと好いてる……」

男「好きな奴なら腐る程いるだろ」

オカッパ女子「あの人だけだもん…」

オカッパ女子「本気で……本気で少女ちゃんを彼女にしたいって思ってるの……」

男「……確かに。他の奴等は高嶺の花って見てるな」

オカッパ女子「うん……」

男「で?」

オカッパ女子「……え?」

男「なんでそっから邪魔したいに繋がるんだよ」

オカッパ女子「鈍い」

男「あぁ?」

オカッパ女子「……もん…」ボソッ

男「声小せぇ。モアラウドボイス」

オカッパ女子「好きなんだもん!」

男「お、おぉ?」

オカッパ女子「……うぅ///」カァァア

男「……好きって……ラブ……?」

オカッパ女子「……///」コクッ

男「……」

男「マ、マジ…かよ……」
328 : [saga]:2011/02/06(日) 16:14:23.31 ID:LD6eLgoSO


男「おい」

おさげ女子「……?」キョロキョロ

男「あんただよ」

おさげ女子「えっ、私?」

男「お前」

おさげ女子「……何で?」

男「お前少女さんと仲良しじゃん」

おさげ女子「男くんも仲良しじゃない」

男「別にそう言うつもりで言ったんじゃねぇよ」

おさげ女子「じゃぁ、何?」

男「単純に仲良しだなって話」

おさげ女子「ふーん」

男「お前、少女さん好きか?」

おさげ女子「えっ?」

男「好きかって聞いたんだ」

おさげ女子「……それ、答えなきゃダメ?」

男「ダメですねー」

おさげ女子「……好き」

男「へぇ」

おさげ女子「……」

男「……」

おさげ女子「……ぁぁあ!もう!小恥ずかしい!!これで満足した!?」

男「それ、友達としてだよな」

おさげ女子「……?当然じゃない」

男「そうか」

おさげ女子「……あ!もしかして、男くんって百合萌えなの?」

男「富士樹海に投棄されたいならそう思ってくれても構わないぜ?」

おさげ女子「じ、冗談よ……」
329 : [saga]:2011/02/06(日) 16:16:02.48 ID:LD6eLgoSO


サッカー部員1「好きな奴?」

男「あいつ以外で誰かいねぇか?」

サッカー部員1「うーん……ガリが怪しいが……」

男「あいつ直接に話したこともないだろ」

サッカー部員1「俺の知る限りでは見たことないな」

男「おれが言ってんのは、良く話しをしてて好意持ってる奴だ」

サッカー部員1「ちゃ――

男「そいつ以外っつってるだろうが」

サッカー部員1「なら知らねぇよ。皆が皆、恋心をオープンにしてるワケじゃねぇし」

男「だよなぁ」

サッカー部員1「ってか、お前が知らないのに俺が知ってるワケねぇだろ」

男「何で?」

サッカー部員1「パイプはお前の方が多いよ」

男「そうか?」

サッカー部員1「あぁ、自信持って言える」

男「やっべー、自分の中で当たり前と思ってたから気付かなかったわー。当たり前過ぎてー」

サッカー部員1「カチンと来た」

男「お前はどうなんだ?」

サッカー部員1「俺?俺は彼女いるしなぁ」

男「それ初耳なんだが」

サッカー部員1「あっ、いっけね!周知の事実と思ってたからうっかり言っちまったよー。別に自慢する気無いのにうっかり言っちまったよー」

男「殴って良いか?ってか、殴らせろ。御祝儀代わりにさ」パキパキ

サッカー部員1「骨の鳴らし過ぎは関節痛の元だぞ」

男「んなの気にしていられないよ 若者だもの    みつを」

サッカー部員1「お前、先生に謝ってこい」

男「面倒臭い」
330 : [saga]:2011/02/06(日) 16:18:40.85 ID:LD6eLgoSO
―――男の家



パラッ

男「……」

パラッ、パラッ

男「魔眼、か……」

男「魔術よりもヴァンパイアよりも眉唾物だが……」

パラッ、パラッ

男「……」

パラッ、パラッ

魔女「難しい本読んでますね」ヒョコッ

男「うぉっ!」ガタッ

魔女「わっ!」

男「ま、魔女か……」

魔女「そんなにビックリしましたか?」

男「き、気付かなかった……」

魔女「余程集中してたんですね。何の本ですか?」

男「いや、これは……」パタンッ

魔女「ファンタジー用語辞典?」

男「やべっ!題名見えてる!」サッ

魔女「何で隠すんですか?別に疾しい本じゃないじゃないですか」

男「そうだが……」

魔女「……?」

男「……」

魔女「あっ!もしかして、カモフラージュ!」

男「違う」

魔女「じゃぁ、何でですか?」

男「……はぁ、正直に告白するよ。恥ずかしかったんだ」

魔女「恥ずかしい?」
331 : [saga]:2011/02/06(日) 16:19:22.70 ID:LD6eLgoSO
男「ちょっと物語書いててさ」

魔女「素敵じゃないですか!」

男「それで、魔眼ってのを使おうと思って探してたんだ」

魔女「魔眼……ですか…」

男「あぁ。何せ魔法と違って現実には無い物だから、どうリアリティー出そうかで迷って迷って」

魔女「うーん……確かに難しいですよね」

男「……何か意見くれないか?」

魔女「魔眼ってアレですよね。人を魅了するって言う魔力の瞳」

男「そうだな」

魔女「心にパッと踏み込めるなんて時点で、そもそも非現実的ですからね……」

男「……」

魔女「もう、フィクションとして割り切るしかないんじゃないですか?」

男「やっぱりそう思う?」

魔女「現実性持たせるのはちょっと無理が有りますね」

男「……有り難う。参考になった」

魔女「いえいえ。完成したら見せて下さいね」

男「約束する」

魔女「絶対ですよ」

男「あぁ」

ガチャ
バタン

男「……」

男「無ぇのかよ……」
332 : [saga]:2011/02/06(日) 16:22:16.20 ID:LD6eLgoSO


コンコンコン

姉「誰?」

「おれだ」

姉「愚弟か。さっさと入れよ」

ガチャ

男「いや、着替えかナニ中だったらマズいと思って」

姉「今まで気にしたこと無いクセに」

男「……ホントは姉さん一人か確認したんだ」

姉「……えっ?」ドキッ

男「鎖骨砕かれたくなかったら、その顔を止めるんだな」

姉「つれねぇの」

男「つられてたまるか」

姉「で、何の用?」

男「……恋の話」

姉「うっそぉ!マジで!?相手誰!?お姉ちゃんの知ってる人?」

男「座るぞ」

姉「どうぞどうぞ!あ、お茶注ごうか?」

男「要らない」

姉「そっか。それで、どんな恋?禁断系?許されない系?」

男「……女同士の恋ってどんなの?」

姉「レズ嗜好!?」

男「おれじゃない。友達の話」

姉「あー、うん。友達ね……」シュン

男「何でがっかりしてんだよ」

姉「ま、あたしは女の子に恋したことないから上手く言えないんだけどさ……」

男「うん」

姉「普通じゃないの?」

男「普通、か……」

姉「そこに社会的な障壁が在っても、恋は恋。綺麗で純真だよ」
333 : [saga]:2011/02/06(日) 16:23:09.27 ID:LD6eLgoSO
男「……人付き合いが苦手な子が居てさ」

姉「うん」

男「その子は初めて出来た同性の友達に惚れてるって言ったんだ」

男「それって普通なのか?」

男「唯、舞い上がってるだけとか勘違いしてるだけって可能性が在るんじゃないのか?」

姉「その子は……自分で好きだって自覚してたワケだ」

男「あぁ」

姉「なら、そりゃ恋なんでしょ」

男「でも……」

姉「良い言葉教えてやろうか?」

男「何?」

姉「恋はインフェニティ!」

姉「どんな風に芽生えるかも!どんな風に転ぶかも!どんな風に実かも!それは神さえ知らない!」

姉「それが恋って代物なのさ!!」

男「……」

姉「判ったかい?」

男「言ってて恥ずかしくないか?」

姉「……少し」

男「まぁ、助かったよ」

姉「して、どうすんの?」

男「明日、謝罪と応援かな」

姉「失礼な反応しちゃったんだな」

男「しちゃったんだ」

姉「土下座してこい」

男「どうしようもなかったらな」
334 : [saga]:2011/02/06(日) 16:24:00.30 ID:LD6eLgoSO
―――高校



教師「……では、これで朝のHRを終わる。提出物が有ったら直ぐに出してくれ」

男「先生」スッ

教師「どうした?」

男「三人程来ていませんが、遅刻ですか?」

教師「いや、休みだ」

男「……休み?」

教師「風邪だよ、風邪」

男「風邪って……そんな、休む程なんですか?」

教師「いや、そこまで酷くはないらしい。37度2分ってとこか。明日から中間テストだから用心してんだろ」

男「……成る程」

教師「他に無いか?」

男「有りません」

教師「あー、他の奴等も風邪には気を付けろよ」
335 : [saga]:2011/02/06(日) 16:25:46.66 ID:LD6eLgoSO

男「……偶然…」

男「……」

男「へい!カモンッ!」

テクテク

サッカー部員1「どしたん?」

男「盾役代行」

サッカー部員1「……は?」

男「ウゼェ教師の目からおれを守る仕事を授けよう」

サッカー部員1「何するつもりだ」

男「あの三人がサボりかどうか電話して確かめんだよ」

サッカー部員1「メールじゃダメなのか?」

男「誤魔化しが効くだろうが」

サッカー部員1「電話でも出来るだろ」

男「訓練も積んでねぇ高校生が、素早く完璧な演技をこなせると思うか?」

サッカー部員1「……無理だな」

男「だろ?さぁ、早く教師とおれの直線上に立ち給え」

サッカー部員1「へいへい」テクテク

男「ご協力感謝感激雨霰」パカッ

ピポパピ
プルルル、プルルル
ガチャッ

男「もしもし」

『はい。どちら様ですか?』

男「あー、お宅の娘さんの友達ですかね」

『まぁ!あの子の!』

男「えぇ。風邪を引かれたとの話を聞きまして、心配になって電話をさせて頂きました」

『そうだったの……』

男「娘さんは今、御自宅で?」

『自室の方に』

男「少し声を掛けたいのですが、よろしいですかね?」

『済みません。今、眠ってまして』

男「あぁ、それなら無理に起こすのも可哀相ですね」

『折角お電話してもらったのにごめんなさいね』

男「いえいえ。娘さんによろしくお伝えください」

『分かりました』

男「それでは」

ピッ
336 : [saga]:2011/02/06(日) 16:27:26.16 ID:LD6eLgoSO
サッカー部員1「どうだった?」

男「んー、まぁ、60%だな」

サッカー部員1「何が?」

男「真である確率」

サッカー部員1「……なんか、お前疑い過ぎだよ」

男「そういう立場なんだよ」

サッカー部員1「知ってるけどさ、友達関係はラフでいけよ」

男「残念。それとは別件だ」

サッカー部員1「……?」

男「まぁ、警戒したいお年頃なんだよ」

サッカー部員1「……良く判んねぇ。ってか、他の奴等に電話しなくて良いのか?」

男「意味無いだろうからしねぇ」

サッカー部員1「いや、そんなに手間じゃねぇんだから聞けば良いだろうが」

男「……吾が歩み遅く勘所は遥か遠くに押さえるは及ばず触れさえ出来ぬ也」

サッカー部員1「あー……」

サッカー部員1「電話番号聞いてないのか」

男「……イエス」

サッカー部員1「予想してなくて」

男「……イエス」

サッカー部員1「漠迦だな」

男「全くだよ」
337 : [saga]:2011/02/06(日) 16:28:19.21 ID:LD6eLgoSO
………翌日………



茶髪男子「……」カキカキ

オカッパ女子「……」ススス

茶髪男子「……」カキカキ

オカッパ女子「……」ピトッ

茶髪男子「おい」カキカキ

オカッパ女子「……何?」

茶髪男子「ひっつくな」

オカッパ女子「何で?」

茶髪男子「皆の見てる前だぜ?恥ずかしいじゃねぇか」

オカッパ女子「見せ付けようよ」

茶髪男子「それに、今は勉強だ」

オカッパ女子「後からでも出来る……」

茶髪男子「……」ナデナデ

オカッパ女子「わっ!」

茶髪男子「それこそ後からだっつーの」

オカッパ女子「……?」

茶髪男子「いちゃつく時は誰にも邪魔されたくねぇんだよ」

オカッパ女子「あっ……」

茶髪男子「分かってくれたか?」

オカッパ女子「分かった」

茶髪男子「じゃ、さっさと範囲終わらせちまおうぜ」ニッ

オカッパ女子「うんっ!」ニコッ
338 : [saga]:2011/02/06(日) 16:29:46.75 ID:LD6eLgoSO

イチャイチャ

男「………なんだ…アレ……」

サッカー部員1「……さぁ?」

男「違うじゃん!何か違うじゃん!」

サッカー部員1「分かってる!分かってるよ!違和感バリバリだよ!」

男「だってあいつらあれじゃん!気配は愚か可能性の片鱗すら見せなかったじゃん!」

サッカー部員1「険悪ムード一直線でしたよねぇ!」

男「アルケミストか!アルケミストの仕業なのかっ!?」

サッカー部員1「催眠術師さん出てらっしゃい!」

テトテト

ロシア少女「驚きデスカ?」ヒョコッ

サッカー部員1「当たり前でございます!」

男「……てめぇは驚かねぇんだな」

ロシア少女「知ってましたカラ」

男「知ってた?」

ロシア少女「茶髪クンが好きなのは彼女ってコト」

男「はぁっ!?」

サッカー部員1「えっ!?マジで!?」

ロシア少女「ワタシに近付いたのもその為だったんデスヨ」

サッカー部員1「な、なんで?」

ロシア少女「簡単に言えば仲介人になって欲しかったみたいデス」

男「いや、でもアイツはっ!」

ロシア少女「どんな理屈を付けてモ、二人が恋人同士になったと言う事実は無くなりませんヨ」

男「うっ……」

ロシア少女「それとモ、茶々を入れたいんデスカ?」

男「いや……そうじゃ……」

サッカー部員1「驚いたけど……そう…だよな……。事実は事実だ……」

男「……」

サッカー部員1「な、なぁ!疑ってばっかいないで祝福しようぜ?」

ロシア少女「そうデスヨ。祝ってあげまショウ」

男「……」

男「こ、恋はインフェニティ……なのか?」

ロシア少女「良いこと言いますネ。意味は判りませんガ」
339 : [saga]:2011/02/06(日) 16:30:29.00 ID:LD6eLgoSO
以上
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 16:45:04.51 ID:mp805IzT0
おつん 次楽しみにしてるよ〜
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 17:52:46.81 ID:VRJjP/jDO
インフィニティラブレボリューション
ドキドキして胸が物理的に張り裂ける呪文
相手は死ぬ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 20:00:05.15 ID:QMU8sT11o
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/06(日) 21:35:50.74 ID:YIx3FB7SO
>>341
インフ『ェ』ニティだぜ!
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 01:29:47.10 ID:PNefQMWvo
問題は魔眼が絡んでるのか絡んでいないのかだな
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/07(月) 02:10:07.08 ID:Tle1De7DO

少女あやしすぐる・・・
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:52:46.15 ID:areBSdIho
>>344
なんでお前はそんなに冷静なんだよ
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:56:09.04 ID:rvhrG1nUP
賢者だからさ
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 12:55:11.65 ID:Lq1lDCAA0
あれオカッパ>>325で嫌いって…
こ、恋はインフェニティ……なのか?
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 00:28:19.82 ID:ToB3IBSSO
>>348
付き合ってることを悟られないために嘘ついたんよ
350 : [sage]:2011/02/20(日) 01:14:36.90 ID:NRYq7osSO
Infinityだから[インフィニティ]が正しいですね
済みませんでした

それでは、遅れましたが投下します
351 : [saga]:2011/02/20(日) 01:15:29.41 ID:NRYq7osSO
男「はぁ……」

姉「おろ?学校に行かないのかい?」

男「行くの怖い……」

姉「いじめっ!?」

男「そんなちゃちなモンなら、まだ救いが在ったんだがな……」

姉「ふむ。いじめよりも怖いもの……」

姉「学校の怪談か」

男「何故そうなった」

姉「ならば、学校の七不思議か」

男「違いが判らないが違う」

姉「じゃぁ、何だってんだよ!」

男「ネタ切れ早いな」

姉「これ以外に思い付いたら鬼才の領域に達する」

男「……まぁ、確かにおれの悩みを当てられたら鬼才だな」

姉「ほー、そんなに難解なモンか。その正体は?」

男「……恋の着陸点」

姉「……あ、いや……また、何というか…」

男「……」

姉「え?ロマンチックが怖いの?」

男「変化が怖い……」

姉「……?恋は移るものだろ」

男「急過ぎる。着いて行けねぇよ」

姉「着いて行かなきゃ良いじゃん」

男「……」

男「そうもいかない」

姉「友情かい?」

男「そんな高貴な感情じゃないさ」

姉「ふーん……」
352 : [saga]:2011/02/20(日) 01:17:17.16 ID:NRYq7osSO
魔女「恋のお話しですか?」ヒョコッ

男「うわ……」

姉「おぉ、片付けは終わったのかい?」

魔女「はい!」

男「そろそろ学校行くわ」スクッ

魔女「時間在るじゃないですか。私だけのけ者にしないで、話して下さいよ」ガシッ

男「漠迦に話しても仕方ない」

魔女「酷いです!」

姉「……成る程。ポカミスか」

男「ミスかどうかは60%だけどな」

姉「ふーん。迷ってんだ」

魔女「何の話ですか?」

姉「魔女ちゃん」

魔女「はい」

姉「そういうワケだから」

魔女「はい?」

姉「恥ずかしいってことだよ」

魔女「えー、お姉さんには相談してるじゃないですか。私も男さんの恋をサポートしたいです!」

男「おい、いつか――

姉「愚弟は黙ってろ」

男「……黙ってる」

姉「まぁ、そこはお姉ちゃんだから」

魔女「な、成る程……」

男「それで納得す――

姉「愚弟はお口チャックマンしてろ」

男「……してる」

姉「事情は飲み込めたかい?」

魔女「はい!でも、結果だけは教えて下さいね!」

姉「よかよか」

魔女「じゃぁ、私はワニスケちゃんと遊んで来ます!ゆっくりしてください!」タタタ

姉「うむ」

魔女「あっ!でも、遅刻しちゃダメですからねー!」

タタタ

姉「これで良し」

男「良しじゃねぇよ」

姉「下手に隠しても怪しまれる。これが最善の道だ」

男「おれは面倒事が増えただけじゃないか」

姉「別に面倒でも何でも無い」

男「違ぇよ!解決策ぐらい判る!問題はその後だろうが!」

姉「別に面倒でも何でも無いし」
353 : [saga]:2011/02/20(日) 01:18:05.83 ID:NRYq7osSO
男「面倒だよ!あいつ絶対慰めるぞ!」

姉「慰めてもらえよ。哀れんでもらえよ」ニヤニヤ

男「判ってんじゃねぇか、愚姉っ!」

姉「キヒヒッ」

男「クソッ!学校行って来る」

姉「怖いんじゃなかったのかい?」

男「どーでも良くなったよ!」

姉「そりゃ良かった」

男「……ッチ」

ガチャ

姉「ああ、ちょい待ち」

男「あ?」

姉「あれはちゃんとしたのかい?」

男「したよ。朝一で」

姉「そう。んじゃ、いってらっしゃい」ヒラヒラ

男「……いってきます」

バタン

男「はぁ……」

ロシア少女「朝から大変デスネ」

男「……ッ!」

ロシア少女「お早ようございマス」

男「てめぇ、何時から…」ギロ

ロシア少女「怖い顔しないで下さいヨ。ワタシがアナタを待っていたら変デスカ?」

男「一緒に登校したいってか?」

ロシア少女「登校では無いデス」

男「あ?」

ロシア少女「男サン、一緒に公園に行きまセンカ?」

男「……公園?」
354 : [saga]:2011/02/20(日) 01:20:05.55 ID:NRYq7osSO
―――公園



ロシア少女「ハイ、どうゾ」スッ

男「ん」

ロシア少女「コーラで良かったんデスカ?」

男「コーラ好きだし」

ロシア少女「へェ、初耳デス」

男「嗜好の話なんか振らねぇからな」カシュッ

ロシア少女「そして今飲むト…」

男「目覚ましになる」グビッ

ロシア少女「コーラ程度の刺激で目が覚めるんデスカ?」

男「此処の自販機にレモン果汁100%の飲み物があるんだったら、そっちのが良いんだがな」

ロシア少女「フフッ!失礼しまシタ。確かニ、そんなモノは売っていませんネ」

男「で、目的は何だ」

ロシア少女「……怒りませんカ?」

男「殴りはしねぇ、とだけ言っとく」

ロシア少女「冒険デス」

男「冒険?」

ロシア少女「学校サボってみたかったんデスヨ」

男「おれの役割は?」

ロシア少女「道連れデス」ニコッ

男「帰る」スクッ

ロシア少女「待って下さいヨ。ジュース奢ったじゃありませんカ」

男「返そうか?てめぇにぶっかけて」

ロシア少女「そんな間接キスは嫌ですネ」

男「……ったく」ストッ

ロシア少女「帰らないんデスカ?」

男「少しぐらい付き合ってやるよ。おれも真面目に学生やってるワケじゃねぇからな」

ロシア少女「流石デス」ニコッ

男「感謝しろ」

ロシア少女「アリガトゴザイマス」

男「誠意が足りねぇ。叩頭ぐらいしてみせろ」

ロシア少女「乙女に土下座を強要デスカ。悪趣味な人デス」

男「てめぇ程じゃねぇよ」

ロシア少女「……ワタシが何カ?」

男「サボり場所に公園ってのを選んだ」

ロシア少女「それが悪趣味?」

男「わざわざ人目の多い所で不良行為。居心地悪いのが好きなのか?」

ロシア少女「でハ、他に何処に行けト?」

男「一人暮らしなんだ。自宅にでも籠もれよ」
355 : [saga]:2011/02/20(日) 01:21:27.40 ID:NRYq7osSO
ロシア少女「アナタを無防備にも家に上げろと言うんデスカッ!?」

男「待て。おれが巻き込まれんのが必然みたいになってる」

ロシア少女「必然デス。一人は寂しいですカラ」

男「寝るかテレビでも見てろ」

ロシア少女「そんな非生産的なこと出来ませんヨ」

男「今してることも生産的とは言えねぇがな」

ロシア少女「いいエ。生産的デス」

男「そいつはつまり、大事なワケ有りってことだな。学校サボりたかったってのは嘘か」

ロシア少女「……口が滑りまシタ」

男「そのワケってのは何だ」

ロシア少女「どうしても知りたいデスカ?」

男「知りたいね」

ロシア少女「判りまシタ。言いまショウ」

ロシア少女「二人で行うイケナイ行為!秘密の絆が仲を深メ、親密度は急上昇!クラスの皆も二人揃っての遅れた登校を目撃シ、あれやこれやの大妄想!その内背中を押す仲間も出てきテ、意識していなかった彼もハートがドッキドキ!!」

男「……」

ロシア少女「某乙女ゲームから取りましたこの作戦!その名もトラ!トラ!トラ!」

男「……」

ロシア少女「キャー!言っちゃっタ!恥ずかしイ!」

男「……」

男「子供達元気だなー」

ロシア少女「無視するのはどうかと思いマス」
356 : [saga]:2011/02/20(日) 01:23:34.55 ID:NRYq7osSO
男「うわー、あっちの犬可愛いー」

ロシア少女「ほラ、こっち見て下サイ」

男「おじいさんがランニングしてるわー。元気だわー」

ロシア少女「判りまシタ。ワタシが悪かったデス。謝りマス」

男「ははは、蝶々が飛んでる。綺麗だなー」

ロシア少女「ねェ、謝りますからこっち向きまショウヨ」

男「あ、今あの家の洗濯物が落ちたわー」

ロシア少女「おーイ」ペシペシ

男「……いや、無理。もう、お前を直視できん」

ロシア少女「冗談ぐらい笑って流してくださいヨー」

男「冗談で済ませられる許容範囲を大幅に越えてたなー」

ロシア少女「モウ!心の小さい人デス!」

男「……お前は包帯巻いた腕を抑えて、クッ!鎮まれ!俺の中に眠る野獣よ!、とかやってる人をどう思う?」

ロシア少女「痛い人だなァ、と思いますネ」

男「さっきのお前の痛さはそいつが霞む程の痛さだった」

ロシア少女「そんなにデスカッ!?」

男「いや、もう、本当に……」

男「……ッ!」ガタッ

ロシア少女「どうしまシタ?」

男「……いや、こんな痛いのと一緒にいるおれも痛い奴って思われてるんじゃないかと思ったら、戦慄が走っただけだ」

ロシア少女「酷い人デス」

男「ってなワケでおれは学校に行って来る」スクッ

ロシア少女「待ってくだサイ」ガシッ

男「放せ。もう付き合いたくない」

ロシア少女「先程の一緒にいると言ってくれタ、あの誓いは嘘だったと言うんデスカ?」

男「約束は破棄するためにある」

ロシア少女「それニ、今学校に行ったら一時限目の途中になりマス。気まずくなりますヨ?」

男「大丈夫。お前といる方が気まずい」

ロシア少女「……そうデスカ。そんなに嫌なんデスネ……」

男「あぁ。だから、さっさと放せ」

ロシア少女「それとモ、気付いちゃったんデスカ?」
357 : [saga]:2011/02/20(日) 01:24:56.42 ID:NRYq7osSO
男「…何の話してんだ?」

ロシア少女「とぼけても無駄デス」

男「はぁ?意味判んねぇこと言ってんじゃねぇよ!とっとと帰せ!」

ロシア少女「強情デスネ。まァ、どっちにしろアナタを此処から出しはしまセン」

男「……ッチ」

男「おい、ヴァンパイア」

ロシア少女「何でショウ」

男「こんな人気の無い公園におれを誘って逢瀬でもするつもりか?」

ロシア少女「フフッ、やっぱり気付いているじゃないデスカ」パチン
358 : [saga]:2011/02/20(日) 01:27:01.94 ID:NRYq7osSO


子供達「キャッキャッ!」

パチン

子供達「キャッ……

フッ………

老人「はっ、はっ」タタタ

パチン

老人「は……

フッ………

犬「ワンワン!」

パチン

犬「ワンワ……

フッ………


359 : [saga]:2011/02/20(日) 01:29:18.21 ID:NRYq7osSO
男「……ハッ!見事に全部消えたな」

ロシア少女「しかシ、判りまセン。どうやって幻だと気付いたのデスカ?」

男「おれ達の影と他の奴らの影とじゃ、微妙に角度が違ったんだよ」

ロシア少女「良くそんなことに目がいきますネ」

男「師範から周囲の地形は常に把握しとけと教えられてね」

ロシア少女「目障りな師範デス」

男「全くだ。つうか、良いのかい?こんなに積極的になっちまって」

ロシア少女「構いまセン」

男「誰か来るかもしれないぜ?」

ロシア少女「嫌デスカ?」

男「青姦は好みじゃねぇんだ」

ロシア少女「フフッ!安心してくだサイ。人払いは済んでマス」

男「準備の良いこって」

ロシア少女「そうでショウ」

男「あぁ、凄い策士だよ。だから、尚更気になるね。何故、今崩した」

ロシア少女「何をデスカ?」

男「てめぇ、おれに好いて欲しかったんじゃねぇのか?」

ロシア少女「おやおヤ、そこまで察していましたカ」

男「ハッ!最初の頃の挙動が怪しかったんだよ」

ロシア少女「成る程。でモ、安心してくだサイ。そんな道はとうに捨てていマス」

男「……あぁ、おれも判りやすかったか」

ロシア少女「とてモ」

男「迂闊だったねぇ。もうちょい漠迦を演じとくべきだったか」

ロシア少女「それニ、実験も成功した今、媚びるなんてアホな真似する必要も有りませんしネ」

男「実験……?」

ロシア少女「えェ、実験デス」ピッ

スパッ

男「いつっ!」

ロシア少女「さァ、男サン。無駄話もこれマデ」

ロシア少女「アナタの血、頂きマス」
360 : [sage]:2011/02/20(日) 01:31:31.06 ID:NRYq7osSO
本日は此処まで
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 14:08:15.25 ID:6zvHpkvDO
姫神ちゃん出番ですよー
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:15:06.92 ID:e/zl13OW0
魔法ってすごいですね
乙乙
363 : [sage]:2011/02/21(月) 23:02:11.52 ID:K17Gjf0SO
更新時に聞き忘れていました

そろそろ戦闘シーンに入るワケですが、簡単な地の文くらいは有った方が良いですか?
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 23:49:41.17 ID:ewGpWuVo0
任せるズラ
書きたいように書くズラ
俺等はお前の[田島「チ○コ破裂するっ!」]見て楽しんでる変態ズラ
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 16:41:41.18 ID:hJpXynfn0
生きてる?
366 : [sage]:2011/04/01(金) 17:59:42.93 ID:ozI8AXnSO
報告した方が良いんですかね?
一応生きてます。西日本なので地震の被害も有りません

ただ、ちょろっと躓いているのと、別のを書き始めたので更新はもう暫くかかります
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2011/04/01(金) 21:37:29.66 ID:dfyQyw9do
別のkwsk
368 : [sage]:2011/04/02(土) 16:04:03.15 ID:rByAP4TSO
>>367
安価系スレとだけ言っておきます
369 : [sage]:2011/04/24(日) 11:03:47.53 ID:qGBVxCUSO
半  分  復  活  !
370 : [saga]:2011/04/24(日) 11:11:03.11 ID:qGBVxCUSO
男「けっ、好きにしろ」

ロシア少女「抵抗しないんデスカ?」

男「無駄な足掻きはしねぇ。みっともないだろうが」

ロシア少女「フフッ!良い子ちゃんデス」ペロッ

男「……ッ」

ロシア少女「ン……」ピチャッピチャッ

男「うっ……」

ロシア少女「ンンッ……」チュウ

男「身体が……」ガクッ

ロシア少女「……ッ!?」ドンッ

男「うおっ!」

ロシア少女「カッ……ア……!?」

男「いってぇな。急に突き放すなよ。俺の血はそんなに不味かったか?」

ロシア少女「キッ…サマ……ッ!」

男「そう怒んな。口直しにコーラやるから機嫌直せ」ブンッ

バシャッ

ロシア少女「グッ!目ニッ!!」

男「悪い。手元狂ったわ」スッ

ロシア少女「……ッ!!」

男「このスタンガンはお詫びの品ってこで」ドッ

バチッ

ロシア少女「ア゙ア゙ァァァアアァアアアア!!」

バリバリバリバリッ

ロシア少女「ア゙……アァ……」ガクッ

バチバチッ

男「流石はヴァンパイア様。一万Vでも気絶はしねぇか」

男「なら…」スッ

男「伝承みたいに白木の杭とかだったら効くのかな」チャキッ

ドスドスドスドスッ

ロシア少女「グァッ!」

男「おぉ、刺さるねぇ」

男「なら、お次は銀の銃弾でもぶち込むか」ガサゴソ

ロシア少女「……ッ!キッサマァァァア!!」ビュンッ

男「ッ!はやっ……」バッ

ドゴッ

男「カハッ……」ミシミシミシ

ロシア少女「ラァァァァアアッ!」ブンッ

ドカッ、ドカ、ズザザザザザ

男「ッ……!」

ロシア少女「ハァ…ハァ……クソ…!」ズポッ

ロシア少女「下らねぇ真似しやがっテ……」
371 : [saga]:2011/04/24(日) 11:13:33.17 ID:qGBVxCUSO
男「……………ッ…ゲホッ、ゲホッ!」

ロシア少女「ナッ!?」

男「ハァ、ハァ……、下らなくて…悪かったな……」ムクッ

ロシア少女「……タフな奴」

男「クカカッ…ケホッ!あー、タフなワケじゃねぇよ。てめぇみたいに傷は回復しねぇし」バサッ

パラパラ

ロシア少女「……?」サッ

男「そう身構えんな。これはただの服の破片さ」

ロシア少女「服ノ?」

男「衝撃を受けると硬化する夢の素材を使ったな」

ロシア少女「へェ、便利なモンが有るんですネ」

男「科学サマサマだろ」

ロシア少女「それをネタバレすんのはバカですケド」

男「ふーん、どういう意味で?」

ロシア少女「服にタネが有んなラ、その生意気な面をぶん殴れば良いってワケですヨネ?」

男「クッ…クク……アッハハハハハッ!」

ロシア少女「アァ?何笑ってやがル」

男「てめぇが素直に殴ってくれるんなら、甘んじて受けてやるよ」

ロシア少女「舐めんじゃねぇゾ、ガキ」

男「舐めてねぇよ。素直につったろ?魔力飛ばすなってことだよ」

ロシア少女「……ア゙?」

男「さっきので確信したよ。てめぇのアホみてぇな速さも、漠迦みてぇな力も、全部エネルギーぶんぶん振り回してるだけだ」

ロシア少女「愚弄すんナ。んなモンが吸血鬼の強さなワケ無いだろォガ」

男「そうでなきゃ、ゴリラ並の筋肉隠してるってことになるんだぜ?」

ロシア少女「ふざけた常識に無理矢理当て嵌めようとするからだヨ、下等庶民。ちったァ、頭使って魔法を異能っつうことに目を向けロ」

男「悪いね。こっちは法則に当て嵌めろって科学の洗脳を幼い頃から受けてんだ」

ロシア少女「巻き込まれてるってのに意地張っちゃっテ。救われないネ」

男「結構だ。まだ、誰かの救いが必要な程追い詰められてない」
372 : [saga]:2011/04/24(日) 11:17:23.62 ID:qGBVxCUSO
ロシア少女「……ヘェ」ニッ

ロシア少女「この状況でんな口が利けんのカ。大した自信だナァ、オイッ!」ダッ

男「……チッ!」

ガクン

ロシア少女「エ……?」ドサッ

ロシア少女「エ……ハ…?」

男「……おー、ギリギリだねぇ」

ロシア少女「……ナ、動カ……」ググッ

男「まぁ、何だ。御愁傷様」

ロシア少女「キサマッ!何ヲ……!」

男「勘が冴えないねぇ」

ロシア少女「ア゙?」

男「さっきのほっそいヤツが杭で、おれが何となくで手足にブッ刺したと思ってんのか?」

ロシア少女「……毒針カ」

男「毒じゃねぇ。スキサメトニウムっつう即効性のお薬だ」

ロシア少女「お喋りは時間稼ぎだったワケカ」

男「戦闘中に意味無く駄弁なんかするかよ」

ロシア少女「フフッ、負けたヨ……」

男「へぇ、あっさり認めたな。もうちょい、プライド意識の高いヤツと思ってたが」

ロシア少女「無駄な足掻きはみっともないダロ?」

男「成る程ね」

ロシア少女「……男サン」

男「何だ?」

ロシア少女「ワタシの話を聞いてくれますカ?」

男「それは、どういった心境の変化で?」

ロシア少女「……向こうのヤツラは嫌いでシタ。弱みを握られていなけれバ、居座り続けることもなかったでショウ」

ロシア少女「でモ、もうその束縛も終わリ。任務を失敗したワタシは直ぐにでも消されマス」

ロシア少女「……悲しいじゃないデスカ。悔しいじゃないデスカ。そんナ、タダで使われて、タダで死ぬのハ」

男「……」

ロシア少女「アナタは対象でしたガ、嫌いではありませんでシタ」

ロシア少女「だかラ、残したいんデス。これから巻き込まれるアナタへ情報とワタシの遺言ヲ」

男「そっか……」

ロシア少女「……駄目デスカ?」

男「いや、良いよ」

ロシア少女「有り難うございマス」

男「ただし」

ロシア少女「……?」

男「こいつを打ってからな」チャキッ

ロシア少女「……薬なら既に打っているじゃありませんカ」

男「そのお話ってのは薬の効果が切れる程度に長くするつもりなんだろ?なら、新しいのが必要だと思わないか?」
373 : [saga]:2011/04/24(日) 11:21:05.65 ID:qGBVxCUSO
ロシア少女「……何を言っているノカ……」

男「じゃぁ、解らないまま受け入れてろ」テクテク

ロシア少女「オ、オイッ!待てヨ!!」

男「がっついて悪いな。焦らして楽しむほどの余裕がないんだ」テクテク

ロシア少女「ーーッ!近づけば死ぬゾッ!!」

男「……なんだと?」ピタッ

ロシア少女「キサマ言ったナ!ワタシは魔力の補助を受けているト!」

男「あぁ」

ロシア少女「良く考えロ!魔力だゾ!?身体が動かせなくともエネルギーとして撃つことは出来ル!」

男「……読めないな。何故、おれにそれを教える」

ロシア少女「殺したくないからダッ!殺せばホントに任務が終わってシマウ!」

ロシア少女「だかラ、来るナッ!それ以上近付くなラ、ワタシは自分の身を守る為に力を振るわなければならなくナル!」

男「……分かった。近付けば死ぬんだな」

ロシア少女「そうダ!」

男「だったらさ……」テクテク

ロシア少女「ッ!バカッ!ヤメロ!命が惜しくないのカッ!!」

ザッ

男「殺してみせろよ。ほら、ゼロ距離だぜ?」

ロシア少女「……フザケンナ……ッ!」

男「はぁ、つまんねぇ女だな」プスッ

ロシア少女「ツッ!」

男「色々とハッタリご苦労。さて、これでおれとお前には18時間程度の余裕が生まれたワケだ」

男「さっきのお話の続きをお聞かせ願おうか」

ロシア少女「クソガ……」ギリッ

男「うん、悪くない出だしだ。その表情も良い演技だ。憎しみの程がひしひしと伝わってくる」

ロシア少女「……オーケー、話してやるヨ」

男「30分以内に纏めてくれよ?」

ロシア少女「『Покажите прошлый!』」

男「何だそりゃ?出来れば日本語で頼み…………ッ!」

ロシア少女「『прочаи』」

男「黙れ!」ブンッ

ドガッ

ロシア少女「ガァッ……!」

男「……」ガッ

ロシア少女「……ウッ」

男「……」ギリギリギリ

ロシア少女「……!……ッ!」

男「……」パッ

ロシア少女「ゲホッ!ゴホッ!ゴホッ!!」

男「てめぇ、今魔法使おうとしたな」

ロシア少女「ハァ……ハァ……ッ!だったラ……どうシタ……」
374 : [saga]:2011/04/24(日) 11:25:29.09 ID:qGBVxCUSO
男「一瞬でも化け物に出し抜かれたんだなってムカつくだけさ」

ロシア少女「ハッ!ざまぁ見ロ……」

男「足掻くのはみっともないんじゃなかったのか?」

ロシア少女「嘘ダヨ。最高に格好良いじゃないカ」

男「その意見には賛成だが、てめぇがそれを実行すんな。無駄なじか――

キャァァァァァ!!

男「なにっ!?」バッ

女性「ひっ!」ビクッ

男「……ひ…と?」

女性「う、ウソ……こんなの……」

男「あんた何処から……」スッ

女性「いやっ!やめてっ!来ないで!」

男「分かった!行かない。だから、怖がらなくて良い」

女性「ヒッ!」ビクッ

男「うん、判る。こんな状況だもんな。でも、信じてくれ。おれは君に危害を加えない」

女性「いやっ!誰か!助け……っ」ダッ

男「あ、おいっ!待て!行くな!おれの話を聞いてくれ!頼む!」

女性「イヤァァァァアッ!!」

ダダダ

男「あっ……クソッ!」

ロシア少女「あらラ、見付かっちゃったネ」

男「……お前のせいだろうが」

ロシア少女「誰にでもミスは有ル。人払いは難しい術ダシ」

男「は?人払い?」

ロシア少女「……ハ?」

男「……そっか、人払いだったか」

ロシア少女「それ以外に何ガ……」

男「考え付かなかった……」

ロシア少女「……んだヨ。それだけカ」

男「それだけさ」

ロシア少女「デ?どうすんダ、この状況。とっとと逃げるカ?ワタシを引き摺って帰るカ?それとも警察が来るまでおろおろしてるカ?」

男「……」

男「……まず、お前に感謝しよう」

ロシア少女「アァ?」

男「不思議だった。相手に見せたい幻覚を……しかも、抽象的な色彩イメージじゃなく、偽物とは解らない程に精巧に作られた光景」

男「スーパーコンピューターでさえ処理仕切れないような情報を生物ごときの脳ミソがどうしたら動かせんのかってな」

ロシア少女「……」

男「何てことはねぇ。てめぇの魔法は過去に録画した映像流してるだけだ」

男「ま、それを現実に具象出来るって点は現代科学に勝ってるがな」
375 : [saga]:2011/04/24(日) 11:27:09.15 ID:qGBVxCUSO
ロシア少女「……根拠の無い推測ダナ」

男「……さっきの女性、一ヶ月前に行方不明になった人だろ」

ロシア少女「……!」

男「あの頃流行ってた吸血鬼事件の裏でこっそり取り上げられてたのを憶えてるぜ。新聞の端っこに顔写真と一緒に300程度の文字と一緒にな」

ロシア少女「……クソガ!んな小せぇこと憶えてんじゃねぇヨ……!」

男「てめぇの為さ。有り難く思え」

ロシア少女「お節介ダ!このゴミクズ!!」

男「さじ加減が難しいね」

ロシア少女「……シネ」

男「返しが弱いな。ネタが切れたか」

ロシア少女「ウルセェ……」

男「じゃぁ、そろそろ次のステップに移ってやろう」

ロシア少女「ハッ!ド素人ガ尋問でもすんのカ?」

男「発想が可愛い。流石乙女だ」

ロシア少女「ンダト……」

男「先に言っておく。嘘、偽り、及び怪しい行動はしないこと」

男「さぁ!拷問タイムといこうぜ!しっかり楽しみ、しっかり情報を吐いてくれよ、下等生物」

ロシア少女「ッ!!」
376 : [saga]:2011/04/24(日) 11:28:10.48 ID:qGBVxCUSO
夜にまた来ます。多分ですが
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/04/24(日) 12:07:08.36 ID:WQXjxds90
乙!
次は凌辱ルート化!?
378 :1 [sage]:2011/04/24(日) 22:15:29.96 ID:qGBVxCUSO
ごめんなさい、無理でした。また来週ってことで
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2011/04/24(日) 22:27:53.78 ID:y1Tl9jhBo
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/24(日) 23:33:48.72 ID:njjLEn5Io
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/25(月) 10:10:12.54 ID:c5QTpgtDO
ペロペロ^^
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 13:26:11.94 ID:g8ZuFua00
乙!
凌じょ……もとい拷問wwktk
383 : [saga]:2011/05/01(日) 23:32:10.49 ID:dMiVQ6QSO
中々終わってくれません
こんなに長くする予定無かったのに……
384 : [saga]:2011/05/01(日) 23:33:40.97 ID:dMiVQ6QSO
男「さぁて、何から聞いて欲しい?」

ロシア少女「……………ネェ…」

男「……あ?」

ロシア少女「ワタシを見下してんじゃネェェェェェエエエッッ!!」

男「……ハッ!」ゲシッ

ロシア少女「ウグッ!」

男「見下されたくなかったら此処まで這い上がってみせろよ、なぁ?」グリッ

ロシア少女「グ……」

男「ま、ちょいと難題が過ぎたか」

ロシア少女「……いいヤ、難題じゃネェ……ヨッ!」ガリッ

男「……舌を噛んで自殺か」

ロシア少女「クフッ……」ツー

男「でも、てめぇ傷は再生するよな。ってことは……」

ロシア少女「ペッ!」

男「血を吐きつけるぐらいか。本当に悪あがきだな」ヒョイッ

ロシア少女「ケケケッ、可愛い発想ダナ」ンベ

男「ルビー……ッ!?」

ロシア少女「死ネ」

ピカッ

男「クッ!」ブンッ

ドゴッ

ロシア少女「アガ……ッ!」ポロッ

男「……おっと」パシッ

ロシア少女「チ…ク……ショウ……」ギリッ

男「……周到だな。ヒヤヒヤするぜ。口の中に暗器ってのは俺達の常識にはない戦法だ」パキンッ

ロシア少女「コノ……クソヤロウガッ!素直に死ねヨ!」

男「こんなんでも命は惜しいんだ」

プルルルル

男「……」

男「……緊張感の無い電話だこと」
385 : [saga]:2011/05/01(日) 23:36:15.39 ID:dMiVQ6QSO
ロシア少女「……出ろヨ。もう何も出来やしねぇサ」

男「そうだな」ガッ

ロシア少女「ムグッ!?」

男「まぁ、信用は出来ねぇから、用が終わるまでおれの靴を食んどいて貰うが」

男「さて……ん?あいつ授業中じゃ……」

ピッ

男「もしもし?」

サッカー部員1『おい!お前今何処に居るんだよ!!』

男「あ?なんでんなこと聞くんだよ?」

サッカー部員1『さっさと言えっ!』

男「……公園だよ」

サッカー部員1『良かった!そんなに離れてねぇな!よし!お前今すぐ学校に来い!』

男「おい、サボるぐらい好きにさせて――

サッカー部員1『茶髪が飛び降りた!!』

男「……は?」

サッカー部員1『オカッパは暴れだすし無茶苦茶だよ!誰もそれを止められねぇんだ!先生達もはねのけられてっ!』

男「……」

サッカー部員1『お前があいつを止めてくれよ!このままじゃ死んじまう!!』

男「……何処で暴れてる」

サッカー部員1『あ、あぁ、教室だよ!』

男「……直ぐに向かう」

サッカー部員1『マジで!マジで頼むからな!』

ピッ

男「……」スッ

ロシア少女「プハッ!……ハァ、ハァ……ハ、ハハッ」

男「……てめぇか」

ロシア少女「ハハハハハハハッ!!」

男「てめぇかぁぁぁぁっ!!」

ゴシャッ

ロシア少女「ガッ!」

ドガッ、ゴスッ、バキッ

ロシア少女「ウッ…グッ…ゲッ!……ハハッ!」

男「笑うんじゃねぇっ!!」

ゴッ、ガッ

ロシア少女「ッ……アグッ……ァッ……ハハッ!ヒャハハハハハッ!!」

男「〜〜ッ!クソッ!」クルッ

ロシア少女「オッ?助けに行くのカ?目の前に餌が転がってるってノニ?良いネ!最高だネッ!友情だネェ!ヒャヒャヒャヒャ!」

男「……待ってろ。必ず殺しに戻ってくる」

ロシア少女「オゥ!オゥ!待つサ!待つトモォッ!何たって動けねぇからナァ!!」

ロシア少女「ハハハハハッ!!」

アッハハハハハハハハハハハハハハッッ!!
386 : [saga]:2011/05/01(日) 23:36:49.59 ID:dMiVQ6QSO
―――高校 教室



オカッパ女子「gajpwGmhjアaKntq患Wvs!!」

ガシャンッ

オカッパ女子「あatキマζйやptnkez期しkneqtwgン!!」

ドガッ

オカッパ女子「sдレユбclohqtwdIO戴Lovsワ゛い!?」

バリンッ

オカッパ女子「ェオOZqtUてKstjとぞCo!?」

バキッ

オカッパ女子「Litmp死UPッぉ胼Fapqthbfnャ!!」

グシャァッ

オカッパ女子「キQqィィイapォォォォォォnォォッッ!!」
387 : [saga]:2011/05/01(日) 23:39:13.37 ID:dMiVQ6QSO
―――体育館



野球部員「どうして呼んだんだ!」

サッカー部員1「仕方ねぇだろうが!俺だってテンパッてたんだよ!」

野球部員「だからって何であいつなんだよ!」

サッカー部員1「俺だって判んねぇよ!」

サッカー部員2「……ダメだ、繋がらん。携帯ほったって来てんのかもな」

野球部員「メールは!?」

サッカー部員2「アホ。電話に出ない状態なのにメールを見るワケがねぇだろ」

サッカー部員1「……あ、諦めるとかねぇかな」

ショート女子「このヘタレ。自分の都合の良いように考えんな」

サッカー部員1「……」

ショート女子「はぁ……仕方ない」スッ

金パツ女子「ちょっと待ってよ。何処に行くつもり?」

ショート女子「……教室。分かったらこの手を離して」

金パツ女子「危ないからやめときなって!」

ピアス女子「そうだよ。先生達に任せときなって。それか、あいつ」

サッカー部員1「は、はぁっ?無理だって!」

ショート女子「だってさ」

野球部員「ふざけんな!お前が悪いんだろうが!女の子に危険なマネさせて良いのかよ!」

金パツ女子「じゃぁ、あんたが役を代わるってのは?」

野球部員「えっ?い、いや、俺は……」

ピアス女子「同類かよ」

サッカー部員2「……言っちゃ悪いが、誰も化け物の徘徊してる校舎になんか近づきたくねぇよ……」

サッカー部員1「そ、そうだよ。先生達だってバリケード張るだけじゃん」

ショート女子「だから、私が行くって言ってるんでしょ」

ピアス女子「ごめんけど、友達の自殺を見過ごすほどあたしら非道じゃないんだ」

ショート女子「私だって見過ごせないから行くんじゃんか!」

金パツ女子「向こうは素人じゃないし大丈夫だよ」

ショート女子「そんなの気休めだよ!」

金パツ女子「そう思うしかないって言ってんの!被害増やそうとすんなっ!」

サッカー部員2「おい、お前らちょい落ち着けって。言い争うだけ無駄だし、声に惹かれて来る可能性だってあるんだぞ」

ショート女子「うっ……」

金パツ女子「そうだね……」

サッカー部員1「つうか、何さらっと怖いこと言ってんだよ。シャレになんねぇって」

サッカー部員2「来るかもってだけだよ。まぁ、気付かれやしねぇだろ」

ピアス女子「……もし本当に来たら袋のネズミだね」

野球部員「いや、お前マジでやめ――

ガラガラガラ

一同「ひっ!?」
388 : [saga]:2011/05/01(日) 23:39:39.41 ID:dMiVQ6QSO
男「ハァ、ハァ……状況は……?」

ショート女子「男っ!良かった!こっちに来たんだね!」

男「普通に……声、漏れてたし……」

野球部員「マジかよ……」

男「今、どう……なってんだ?」
389 : [saga]:2011/05/01(日) 23:41:31.45 ID:dMiVQ6QSO
――――――
――――
――



男「……ん、大体判ったわ」

サッカー部員1「ならさ、此処に居ようぜ?」

野球部員「あぁ、折角お前が無事に来たんだ。それに、いくらお前でも適いっこねぇよ」

男「まぁ、大の大人が三人がかりで吹き飛ばされるようじゃぁ、無事には済まないな」

男「おれ、一人だったらだが」

サッカー部員2「……いや、何言ってんだよ」

男「手伝えってこった。そんぐらい理解しろ」

金パツ女子「皆でかかれば止めれるってこと?無理に決まってんじゃん!」

ピアス女子「そうだよ。待ってれば警察も来てくれるだろうし、大人しくしてようよ」

男「勘違いすんな。直接対峙すんのはおれの役割だ。お前らは雑用」

ショート女子「……」

ショート女子「私は何をすれば良いの?」

ピアス女子「はぁっ!?あんた何言ってんの!?」

男「ようやく普通の反応してくれる奴が居たな」

サッカー部員1「何処が普通なんだよ!どうかしてる!」

ショート女子「友達なら助けないと」

金パツ女子「んなもん友達じゃない!友達なら止めるだろ!」

野球部員「傷付けたって知ったらオカッパさんだって悲しむぞ!」

サッカー部員2「男も良く考えろよ!俺たちに呼ばれたからって変な責任感じる必要ねぇんだ!」

男「……ごちゃごちゃとうるせぇな」
390 : [saga]:2011/05/01(日) 23:44:41.87 ID:dMiVQ6QSO
男「こんな所で黙って待ってんのが非生産的なのに何で気付かねぇ!この世に勇者はいねぇんだ!救いが絶対的なワケねぇだろうが!!」

男「友達を殺したくなかったら!自分が死にたくなかったら!後悔したくなかったら!」

男「ぐだぐだと最も納得出来そうな言い訳探してねぇで、おれの手足となって働く覚悟しやがれこのボンクラどもォォオオオッ!!」

サッカー部員1「……んなこと言ったって……」

男「黙れ!弱々しいこと言うんじゃねぇ!!」

男「いいか!良く聞け!」

男「男共は水を集めろ!バケツに汲もうが水筒に汲もうが構わねぇ!とにかく水をありったけ用意しろ!!」

ショート女子「私達は?」

男「糸でも鎖でも縄跳びでも何だって良い!とにかく縛れるモノ掻き集めろ!!」

男「他の暇人のクソッタレの皆様は素直に引っ込んでろ!野次馬に来やがったら前歯全部引き抜いてやる!!」

男「理解出来たか!!」

サッカー部員2「……」

野球部員「……」

サッカー部員1「あ、集めたら……校舎に入るのか……?」

男「あ?怖ぇのか?」

サッカー部員1「……ッ」

男「ッチ!仕方ねぇな!だったらおれがあいつをグラウンドに呼んでやるよ!これなら動けるかァ?ってか、動けよ」

金パツ女子「……そんなの一方的じゃん。あたしは……手伝わないかもよ?」

男「好きにしろよ。支援が無ければ、どうせおれかあいつが殺人犯になるだけさ」

金パツ女子「殺人って……」

ピアス女子「あんた何する気?」

男「てめぇで考えろよ。おれはもう行くぜ」クルッ

テクテクテク

金パツ女子「……」

ピアス女子「……」

ショート女子「……私、倉庫見てくるね」

タッタッタッ

野球部員「……あいつら、ホントにどうかしてる」

サッカー部員1「……」

サッカー部員2「違う。どうかしてるのは……」

野球部員「……」

サッカー部員2「……先輩達とバケツ探してくる」

サッカー部員1「本気か?」

野球部員「……確か、部室に大きい水入れが有ったな。皆を誘って運ぶか」

サッカー部員1「お前まで!」

サッカー部員1「何でだよ!何でそんなに簡単に行けるんだ!!」

サッカー部員1「死ぬかもしれないんだぞ!怖くはないのかよっ!!」

サッカー部員1「俺は……俺はぁぁあああああっ!」
391 : [saga]:2011/05/01(日) 23:47:16.29 ID:dMiVQ6QSO

ゾロゾロ


金パツ女子「……何人か、動いてるね」

ピアス女子「……うん」

金パツ女子「あたし達はどうしよっか……」

ピアス女子「……」

ガラガラガラ

金パツ女子「……!?」

先生「何の騒ぎだ!何勝手に動いてる!!」

ピアス女子「あっ、先生……」

先生「おい!何人か生徒達が居なくなってるぞ!どういうことだ!!」カツカツカツ

ピアス女子「えーと……」

先生「言えないのか?」ギロッ

生徒1「あ、あの……」スッ

先生「ん?どうした?」

生徒1「男くんが皆をけしかけて……その……友達を救うとか言って外に……」

ピアス女子「なっ!?」

金パツ女子「漠迦ッ……」

先生「なんだとっ!?それはホントか!」

生徒1「は、はい……。後、グラウンドに集まるとか……」

先生「良し判った。教えてくれて有り難う。直ぐにそんな漠迦なマネは止めさせよう」

先生「今しがたうろついてたアホ共もだ!何を言われたか知らんが大人しくしとけ!!良いなっ!!」

金パツ女子「……」

ピアス女子「……」

先生「ったく……余計な仕事を増やしやがって」カツカツカツ

金パツ女子「……先生!」

先生「なんだ!用なら後に――

金パツ女子「……えいっ」ガッ

先生「うぉっ!?」ドサッ

ピアス女子「失礼します」ドカッ

先生「うっ……何のマネだ……っ!」

金パツ女子「マネとかそういうんじゃなくて……何て言えばいいんだろ?」

ピアス女子「うーん……まぁ、何です?」

金パツ&ピアス「「私達の邪魔をしないでもらえます?」」

先生「お前ら………ッ!」ギリッ
392 : [saga]:2011/05/01(日) 23:48:31.71 ID:dMiVQ6QSO
―――校舎



男「ゼェッ……ゼェッ……!」タッタッタッ

オカッパ女子「htp這xfkgu/ッギゥィィイ!」ダダダ

男「ハァハァ……ッ!クソッ……合うの早ぇだろうが!」タッタッタッ

オカッパ女子「あひapやぁJぁNはたйロァァア!!」ダダダ

男「ッ!」ズキッ

男「グ……こんな時にッ……鎮痛剤が……切れんのかよ……」ヨロッ

オカッパ女子「Ryyりyyyaアァアaaa!!」バッ

男「……クソッ」

ヒュンッ
バコッ

オカッパ女子「ア唖ァipァjッ!?」ドサッ

男「サッカーボール!?」

サッカー部員1「ダ、ダメダメじゃねぇか……」

男「お前!」

サッカー部員1「さ、さっきの様子じゃ、何か道具が要るんだろ?此処は俺に任せて取りに行けよ」

男「……」チラッ

オカッパ女子「ガgmnァァイooxtp!!」ムクッ

男「……頼めるか?」

サッカー部員1「言っとくが、お、お、お前よりは足速いんだぜ?」

男「……一周だ。校舎一周したらグラウンドに向ってくれ」

サッカー部員1「おう!そんぐらいよ、余裕だ!」

男「……捕まるなよ」ダッ

タッタッタッ

サッカー部員1「ハハハ、心配性だな……」

サッカー部員1「さて……」

オカッパ女子「Oをおォooォヲお圧ッぉ!!」ギロッ

サッカー部員1「……こ、来いよ。鬼ごっこをしようじゃないか」
393 : [saga]:2011/05/01(日) 23:50:58.39 ID:dMiVQ6QSO
―――公園



ロシア少女「ケケケッ……あの顔最高だったナァ……」

ロシア少女「……」グッ

ロシア少女「クソッ……動かねぇカ」

ロシア少女「あいつが帰って来る前に何とかして薬の効果を切らさねぇト……」

ピカッ

ロシア少女「ン?」

カァァァア

ロシア少女「この光……転移カ。本家の連中カ?」

シュンッ

ローブの女「……」スタッ

ロシア少女「何ダ、キサマかヨ」

ローブの女「久しぶり……」

ロシア少女「んなこたァどうだって良イ。ガキに薬打たれタ。多分、筋弛緩薬の一種ダ」

ローブの女「知ってる。見てたから」

ロシア少女「なラ、話は早イ。さっさとワタシを治療するか運ぶかしてクレ」

ローブの女「……見てたから」

ロシア少女「何回も言うナ。言う通りにシロ」

ローブの女「それで、思ったの」

ロシア少女「ア?」

ローブの女「貴女、最悪。本家に感付かれた」

ロシア少女「……オイ、マサカ」

ローブの女「吸血鬼って、どれぐらいで死ぬのかな?」

ロシア少女「ヤメロ!犯した失態は必ず取り返ス!!だかラ!!」

ローブの女「醜い……」スッ

ロシア少女「ヨセェェェェェッ!!」

ローブの女「『潰れろ』」

ローブの女「『ラビリティーグ』」カッ
394 : [saga]:2011/05/01(日) 23:52:26.76 ID:dMiVQ6QSO
続きはまた来週。多分来週。出来たら来週

凌辱じゃなくてごめんね(´・ω・`)
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 23:55:04.34 ID:g8ZuFua00

ロシア少女終了……?
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 23:56:43.80 ID:fEW+QICoo
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 12:02:47.23 ID:NzfOXsjDO
おいしくいただくとしよう
398 : [sage]:2011/05/08(日) 21:05:07.46 ID:DDxeonEI0
書き溜められませんでした。更新は延期という形で…
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/05/08(日) 21:12:59.66 ID:4nOlEoBjo
>>398
うい
まってます
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/10(火) 01:37:19.83 ID:4K9wytYco
待ってるず
401 : [saga]:2011/05/16(月) 22:39:41.75 ID:3uQx2JzSO
オカッパ女子「aaアァaあaaぃあっっtTハgmハはハajハハrtsgn!!」

サッカー部員1「ハッ、ハッ……!」タタタ

グキッ

サッカー部員1「うおっ」ドサッ

オカッパ女子「ひhyeeぃぁhアや唖ぁぁ婀あャァぁあやぁiiあ!」ニィ

サッカー部員1「ひっ……」

『そこの生徒に次ぐ!!』キーン

オカッパ女子「っヴい゛ぃっ!?」バッ

男『喧嘩するならおれにしとけ!愉しませてやるよ!』キーン

サッカー部員1「おっ、男っ!」ヨタタ

男「よぉ。上々じゃないか」ポイッ

サッカー部員1「助かった!マジで助かった!」

男「なら、その運無くさないうちに下がりな」

サッカー部員1「あ、あぁ、そうさせて…………お前、それ……」

男「ちょっとした小道具だ」

サッカー部員1「まさか……」

男「良いから下がれ。おれだって……」

オカッパ女子「オnomォェェアぃぎォアッ!!」

男「あいつと正面きって殴り合えるほど、余裕残ってねぇんだよ……」ズキッ

サッカー部員1「男……」
402 : [saga]:2011/05/16(月) 22:43:34.32 ID:3uQx2JzSO
―――グラウンド



雲一つ無い煩わしいほどに澄み切った青空の中で太陽がギラギラと照り輝き、校庭の砂を容赦なく焼き焦がす。
校舎というコンクリートの壁に阻まれ籠もる熱がもうもうと渦を巻く。

春の終わりよりも夏の到来を思わせる天候の下、少年と少女が対峙していた。
少女は粘つくような敵意と狂気を孕ませて
少年はかつての面影を思い哀れみながら

「異ぎtイッLhvヒxxィィC!!」

突撃を仕掛けたのは少女からだった。
足を前に出すこと以外に意識が向かっていないのではないかと思う走法。
首は座らずボブルヘッドのごとくカクカクと揺れ、力を抜き切った腕は地から伝わる振動で無抵抗に左右に振れる。

だが、人の口から出たと思えぬ煉獄の咆哮を上げて駆ける彼女は恐ろしく速かった。

空気抵抗に重心のブレ。
およそ物理的な障害を悉く打ち破り、地を蹴る脚力だけで跳ねるように進む。

一呼吸の間に目算100mは有った少年との隙間が半分程に埋まってしまう。

更に一歩先へ彼女が前へ足を伸ばしたその時だ。悲痛な面持ちで立っていた少年が遂に構え、そして、ふわりとパスを渡すように下からエタノールの詰まったガラス瓶を少女の進行先に上げた。

高速戦闘に突入していた彼女の集中の矛先は一瞬だけその投擲物体に向けられた。一瞬だけ、対象以外の全てを無視してしまう程の超集中を。

爪先に停止の力を込め直線的なカーブの体勢を取る。身体がその条件反射に従った時には既に回避不能の状態。
剛弓から打ち出された一矢が、光を受けて華やく劇薬入りの硝子細工に黒く重たい鎌首を叩きつけていた。

「Byァおyaにaろろろagiヅジynxiiiii!!」

ガラス片は万の剣となりて降り注ぎ、彼女の日焼けの少ない青白い肌を引き裂き、食い込み、刻んだ。
ぽっぽっと赤いシミが白布のキャンパスへ広がっていく。

追撃は止まない。皮膚という防護服が破られ、むき出しとなった神経に酒精が襲い掛かる。
強い刺激に曝された全身から運ばれる夥しい痛みの信号が脳内で爆ぜた。

響き渡るは無論絶叫。

それを乗り越え、殺意の中で少年に首を向けた彼女の血走った眼に映ったのは

流転せし紅蓮の滝


酸素ガスとライター。それだけで作り上げられた粗末な火炎放射器。

そこから出でた炎は、狂いなく少女をその丸々とした腹の中に呑み込んだ。

「――――!!」

もはや声にすら聞こえぬ苦痛の塊。響き、木霊し、乱反射する。

彼女はこの瞬間全てを忘れていた。殺人欲求、破壊衝動、自傷願望、狂喜、愛情、眼前の敵、全てみな。

ただ視るは赤、赤、赤の熱世界。

出口を探そうと彼女は奇妙なダンスを踊り続けた。


そこに少年が動く。もう一つの槌を利き手に握り締め、40mを全力で駆け抜ける。

砂地を踏み越え、散乱するガラスを踏みならし、燻る火炎を強引に踏み消す。
燃え盛る舞台に突入すると、荒れ狂うダンサーの指先をくぐり抜け少女の側面に並ぶ。

腕を振り上げ、そして

「ごめんな」

一切の感情と慈悲を乗せずに暴威を振るった。
一直線。米噛みに重厚な金属の鎚が吸い込まれる。

何かが割れる音を伴って少女は沈黙に臥した。
403 : [saga]:2011/05/16(月) 22:46:13.29 ID:3uQx2JzSO
男「水だっ!さっさと水を掛けろ!速く!!」

シーン

男「見とれてんじゃねぇぇ!こいつの命が危ないだろうが!働けクズ共!!」

バッシャァァンッ

男「っ、もっと!!俺ごとで良い!用意した分全部ぶちまけろ!!」

バッシャァァン
バシャッ
バチャャン

男「……火は消えたな」

男「おれは……」ペロ

男「流れたみたいだな。よし、縛るモノ」

ショート女子「あっ、うん」

タタタ

ショート女子「これで良い?」

男「半分寄越せ。お前は足を頼む」

ショート女子「う、うん」

男「あ、ただしテープ系はダメだ。下手すりゃ皮膚が剥げる」

ショート女子「わ、分かった」

男「ん……」グルグル

ショート女子「……」グルグル

男「っと、こんだけすりゃ大丈夫だろ」ギュッ

ショート女子「うん……」

ショート女子「……」

ショート女子「ねぇ……」

男「なんだ?」

ショート女子「方法ってこれしか……」

男「……悪い。迎えが来たみたいだ」

ショート女子「えっ?」
404 : [saga]:2011/05/16(月) 22:47:39.59 ID:3uQx2JzSO

ブロロロロ
キキィッ

ガチャッ

運転手「さぁ、ぼっちゃま。早くお乗り下さい」

男「ちゃんと医療用具乗せて来ただろうな」

運転手「漏れなく」

男「よいしょっと」グイッ

男「こいつはおれが預かるから。じゃぁな」

ショート女子「待ってよ!」

ショート女子「ちゃんと私の質問に答えて!こんな酷い方法しか無かったの!?教えてよ!!」

男「……」

男「あいつはどうなった」

ショート女子「え?」

男「茶髪だ。飛び降りたって聞いたが」

ショート女子「あ、す、直ぐに救急車に運ばれてった」

男「そっか、有り難う」

バタンッ

ショート女子「……待ってよ。未だ答え聞いてないって言ってるじゃん」

男「出せ」

運転手「はい」

ショート女子「逃げるなんて卑怯だ!ちゃんと、皆に言って!ちゃんと説明して!!これじゃ救ったなんて言えない!!」

ブロロロロ

ショート女子「話せ!話してよ!何で連れて行くんだよ!!」

ショート女子「男ォォォオ!!」
405 : [saga]:2011/05/16(月) 22:48:30.94 ID:3uQx2JzSO
――――公園



人気を感じない憩いの場

絡み付く臓物の臭気と酸の味、アンモニア、そして鉄臭さが漂う

四方には巨大な爪痕

中央にはクレーター

致死量の血液が鮮やかな池を作り出す

人気は無い

406 : [saga]:2011/05/16(月) 22:49:20.71 ID:3uQx2JzSO
―――男の家



バァァァン

姉「愚弟!家の扉は何時も優しく開けろって言っ…て……」

男「……急患だ」

オカッパ女子「」グッタリ

姉「……!魔女ちゃん!魔女ちゃん居るかっ!?一階に集合しろ!!」

ドタタタ

魔女「は、はい!お姉さん、一体何用でしょうか!」

姉「詳しくはあいつに」

魔女「えっ?」クルッ

男「よぉ」

オカッパ女子「」グッタリ

魔女「っ!そ、その娘!!一体何がっ!い、いや!それよりも!」ワタワタ

魔女「あ、あっ!治療ですよね!ち、ちょっと待ってください!今すぐ回復魔法をっ!」ドタドタ

男「違う!」

魔女「……へ?」

男「これ見ろ!」バッ

姉「腹にタトゥーか」

男「応急措置中に見付けたんだ!心当たりねぇか!?」

姉「趣味じゃねぇの?」

魔女「ひっ!」ガタンッ

姉「……魔女ちゃん?」

男「知ってんだな」

魔女「う、嘘だ……ソレが人に……人に結べるワケ……」ガタガタ

男「んなこたどうでも良いんだよ!この印が一体全体何で!治療出来んのか!それを教えろ!!」

魔女「……」

魔女「……ソレは、服従の印です」

姉「服従……」

魔女「治療は……」

男「治療は?」

魔女「……ごめんっ、なさい」グスッ

男「……!」
407 : [saga]:2011/05/16(月) 22:51:19.25 ID:3uQx2JzSO
魔女「ごめんなさい……、私、私勉強不足で……」ポロポロ

魔女「在るはずなんです!でも、でも!私が漠迦だから……」ポロポロ

男「……」

姉「いや、ちょい待ち。その服従の印が在ったらどうなる」

魔女「そのままです……。主人の命令に絶対服従します……」グスッ

姉「……愚弟、その命令は?」

男「暴れ回れ、だろうな」

姉「ッ!」

魔女「っ!」

男「ハハ、そうか、解けないのか。ハハハ」

男「なら、こいつは精神病院に入れるな。とびきり牢獄みたいな奴に」

男「良かったよ。こいつは自由に暴れ回れるんだ。幸福なことだよな」

魔女「男さん……」

男「本当に……本当に……」

男「……」

男「ックソッタレェェェエエ!!」ガンッ

男「おれの行動は全部悪あがきか!?」

男「巫山戯んなっ!傷付けるまでしたのに!覚悟決めたんだよ!結果も着いてこいよ!!」

男「巻き込んじまった友達一人救うことが出来ねぇのかっ!!」

魔女「違います!私のせいです!」

男「おれだよ!おれが変化を可笑しいと気付けなかったからだ!!おれがっ――

パァァァンッ

姉「うるさいっ!被害妄想でエクスタシー感じたいなら後でしろよ!!」

姉「てめぇ全部の可能性試したのか?どうせしてねぇだろうが!一回失敗したらこの世は終わりか?アホヌカせぇ!!」

魔女「おっ、お姉さん!抑えて!」

姉「シャラップ!!いいか!てめぇのそういう節大嫌いだ!いい加減べそをかくだけのガキは卒業しやがれ!!」

姉「この玉無し野郎!!」

男「っ……」

魔女「男さんを責めないであげてください!何があったかは私達は知ることは出来ません!」

魔女「でも!きっと頑張ったんです!」

姉「今頑張ってねぇから叱ってんだよ!オマエも変なお情けで済ませようとしてんじゃねぇ!甘えんなクソガキッ!」

魔女「ッ!」

男「……言い過ぎだ姉さん」

姉「あぁ?」

男「でも、有り難う。お陰で目が覚めた」

姉「フンッ、今さら立ち上がっても格好悪いんだよ、愚弟」

男「格好つける気無いから良いさ。なぁ、魔女」

魔女「は、はいっ」

男「今、本家ってのと連絡取れるか?」

魔女「えっ?」

男「答えはイエスかノー」
408 : [saga]:2011/05/16(月) 22:52:53.07 ID:3uQx2JzSO
「シャー」

男「……」

トテトテ

ワニスケ「シャー」

魔女「あ、ワニスケちゃん……」

姉「最悪なタイミングだな、お前」

ワニスケ「シャー」

男「ちょっと今立て込んでるんだ。遊んで欲しいなら後にしろ」

ワニスケ「シャー」ノソノソ

男「おい、それはおれの友達だ。見慣れないからって噛むなよ」

ワニスケ「シャー♪」ガブッ

男「……」

姉「……」

魔女「……」

男「噛んだぁぁぁぁぁぁあああ!!」

姉「エンダァァァァァァァッ!!」

魔女「キャァァァァァァ!!」

ワニスケ「シャー」ガジガジ

男「放せ!放すんだワニスケェッ!!」ググッ

姉「ガジガジアウトォォォォォオオ!!」

魔女「イヤャァァァァァァァァァァ!!」

ワニスケ「シャー」パッ

男「よよよよぉぉしっ!いい子だ!」

姉「うわっ!傷深いぞコレ、どうすんだコレ、ヤバイコレ」

魔女「ととっ!とにかくっ!早く止血しないと!」タタタッ

男「運転手っ!」

ガチャッ

運転手「はい、どうしました?」

男「病院だ!病院に向うぞ!」

姉「担架持って来い!」

運転手「かしこまりました」

魔女「包帯持ってきました!」

姉「血がダバダバ出てる時に使えるか!」

魔女「えぇっ!?」

男「そうだ!回復魔法が在るんだろ?」

魔女「あっ、はい!準備します!」カキカキ

姉「取り敢えず傷口抑えよう。愚弟、服脱げ」

男「ほらっ!抑えるぞ!」

姉「オーケー!」

男「ッチ!大した効果ねぇな」
409 : [saga]:2011/05/16(月) 22:56:08.98 ID:3uQx2JzSO
男「やっぱきちんとした道具を」

姉「ちょっと待て」

男「なに?」

姉「服を上げてみろ」

男「……?」ヒョイッ

男「印が消えてる!?」

姉「お前のシャツって落書き消せるのか?」

男「知るかよ!おい、魔女!」

魔女「何ですか?」カキカキ

男「印ってのは自然消滅するもんなのか?」

魔女「しないです!」カキカキ

魔女「良し!出来ました!」

男「消えたんだが」

魔女「はい?」

姉「印がね。消えちゃったの」

魔女「え……えっ?」

男「クソッ!変異したってか」

姉「専門の意見は?」

魔女「えー……と、取り敢えず、回復魔法かけます?」

男「……いや、ダメだ。もし変異してるなら下手な刺激は加えない方が良い」

魔女「わ、分かりました」

姉「経過見ないとな」

運転手「担架を用意、並びに病院側との連絡もつきました。お急ぎください」

男「ん。姉さん、そっち持て。魔女は体を浮かせてくれ」

姉「うい」

魔女「はい!」

ワニスケ「シャー」

男「お前を怒るのは暫く保留だな」
410 : [saga]:2011/05/16(月) 22:57:15.22 ID:3uQx2JzSO
―――???



「許っ……さネェ!」

「ワタシを……コケにした……アイツラ!!」

「絶対ニッ……ゲホォッ!」

ビチャビチャ

「ハァ……ハァ……ッ!」

「死ねッ、るカァッ……!!」

「アイツらを殺、すマデッ!」

「死んデ……ガフッ!」

ビチャッ

「……死んでッ…………たまるかヨォォォォォオオオッ!!」





411 : [saga]:2011/05/16(月) 23:05:18.53 ID:3uQx2JzSO
本日は此処まで。地の文を使ってみました。難しい

そして、ようやっと俺の中での二章終了
これでも20%程削ったんだから驚きですね

更新が滞る中、感想をくれた人にはただただ有り難うと言うばかりです


ほんだらば、ちょいと解説

・衝撃を受けると硬化する素材
『d3o』のことです

・スキサメトニウム
即効性の筋弛緩剤


その他質問有りましたらどうぞ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/16(月) 23:23:54.78 ID:X6jqS96Vo

良い感じに話が進んできたね
413 :1 [sage]:2011/05/17(火) 00:51:09.55 ID:d2GHySQSO
突っ込まれる前に書いておきます

100mや40mは目算です。実際はもっと近いかと
男くんがそれだけ距離を感じているというか、彼女が人間から離れている的な表現



……みたいに誤魔化せませんかね。無理ですか
物理的におかしいので、それぞれ半分以下の長さに脳内置換お願いします
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/17(火) 01:12:02.26 ID:Ppw/mo4ro
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/18(水) 02:13:24.66 ID:JjJaHhuf0

ワニスケ……まさか、な
416 :1 [sage]:2011/05/21(土) 21:21:39.92 ID:jrK/wVTSO
【血の秘密】

※本編とは一切の関わりは有りません



ロシア少女「ねェ、男サン」

男「なんだ?」

ロシア少女「一つ気になっているんですガ、どうして男さんの血はあんな味がしたんデス?」

男「あんな味って?」

ロシア少女「うーン、まァ、辛くて酸っぱい感ジ」

男「あぁ、アレね。アレは血にタネがあるワケじゃないのよ」

ロシア少女「エ?」

男「皮膚さ。皮膚に辛くて酸っぱい液体塗りたくってたのさ」

ロシア少女「そレ、皮膚が焼けませんカ?」

男「ノープロブレム。皮膚には保湿クリーム的な何かで二重三重の膜を敷いておいた」

ロシア少女「全身ニ?」

男「肌が露出してる所と血を吸われそうな部分オンリー」

ロシア少女「そうデスカ」

男「って言っても、この処方はてめぇが吸血鬼と知れた時から続けてたもんでな」

男「流石に皮膚のダメージがやばかった」

男「姉さんに準備すんの面倒くさいって愚痴ってたのもそれだな」

ロシア少女「アレ、伏線カヨ」

男「解りづらいよな」

ロシア少女「他にネタハ?」

男「メタるほど詰め込んでねぇよ。他のはいつか回収しようとしてるし」

ロシア少女「出来なかったらどうするんデスカ?」

男「……もう一回この会が開かれる」
417 :1 [sage]:2011/05/21(土) 21:22:53.31 ID:jrK/wVTSO
完全にバラす機会を失いましたので、こういう形で失敬します

また明日きます
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 15:28:51.22 ID:qGHLXogIO
日曜日に狂って言ったじゃないですか!
419 : [sage]:2011/05/25(水) 22:55:45.40 ID:2aUT8b7SO
【魔眼】



月光に当てられ、歪に湾曲した男の口元が鈍く光り、目は罠にかかったま間抜けな狐を可愛がるように細められている。

成る程、成る程。

確かに、僕は特別に運動が出来る訳じゃない。文字通り人並みだ。

勘や才気に溢れている様子は、散々に攻撃を食らってきて、今現在まんまと術中に溺れているのを見れば、最早疑うことすら漠迦らしいのかもしれない。

総合的な視点、自身への絶対。

そんなものから、ついつい僕を雑魚であり、スナックのように手頃な稼ぎだと認識してしまうのも無理はない。

「もう、逃げ場はないぜ?大人しくくたばりな」

あぁ、しかし。だかしかしだ。

挑発するかのようにねっとりとした動作で銃を引き抜き、わざとらしく弾丸の行く先をフラフラさせる君を見ると胸の内から赤の衝動が湧き出るのだ。

人であった頃の性なのだろう。
今すぐにでもその若さ故の愚かさを塗りたくったような表情を一叩きし、固く冷たい石の上に座らせ、教授をしたくなる。

あぁ、君はどうして教科書に書いてあることに満足してしまうんだ!
経験を積まないと!経験を大人から聞かないと!
でないと、君という人間は型にはまった面白くない生き物に成ってしまう!

何故、人並みしかないヴァンパイアがいることを疑わないんだ!?
僕はちゃんと生かしているぞ!先輩から話を聞いていないのか!?

「なぁ、ヴァンパイア」

引き金が絞られるより早く、僕と赤の視線と彼の緑が交差する。

金属が響かせる悲しい音を立てて、彼の銃は道端へと転がった。

ほら、これで終わりだ。
彼はたちどころに戦意を失うことになる。それどころか、未来永劫僕に牙を剥こうとはしなくなるだろう。

これが魔眼。人より優れた身体を代償にして、授かった悪魔の瞳。
見つめた相手を魅了し、支配する化け物の―――――
420 : [sage]:2011/05/25(水) 22:56:37.61 ID:2aUT8b7SO
魔女「ふぅ……」パタン

男「どうだった?」

魔女「文章に引き込まれるものがありません。強いて評価をつけるなら、平凡です」

魔女「その平凡は飽く迄子供の道楽としてですからね。言っておきますが、プロではこのような甘えは通じませんから」

男「プロになるつもりはないんだが……ってか、何か厳しいな」
421 : [sage]:2011/05/25(水) 22:57:04.88 ID:2aUT8b7SO
【魔眼U】



彼女の腕がびゅおんっ、と迫ってくる。

しゃしゃーっと避けると、背後の壁がばっこーんと崩れた。ぱらぱらと砂煙が巻き上がる。

本気だ

拳圧で裂けた頬からぱーっと流れる血をぐいぐい拭きながら、彼女の覚悟をぴりぴりと感じていた。

「もうやめようよ!」

ズキズキ痛む胸中の思いをばららららっと叫ぶ。

「うるさいうるさいうるさーーいっ!!」

彼女はその思いをぎゃおんと遮り、ごうごうと流れる感情をばちんばちんっとぶつけ始めた。

ぶるんぶるんと身体をしたらめっちゃらに振り回し、ぐるぐる回る暴威が周囲の風景をどっかーんと破壊してゆく。

「あんたなんかに私の何が判るんだっ!!」

ぎりっと歯軋りする。そうだ、分かりっこない。これだこ沢山付き合ってきて、あなたのちょこっとした変化に気付けなかったのだから。
所詮はにへ〜っとしてる愚図なのだ、私は。

でも、それでも

「助けたいの!!」

だから、私は使う。ガシャンガシャンと暴れれば暴れるだけ、ボロボロになるのは貴女だって知ってるから。

私の、私達の奥義を!

瞳を開く!

「ほざけぇぇぇぇえっ!!」

向こうも使う気だ。

開かれた魔眼にみょんみょんと魔翌力が集約しているのが判る。

ぶつかり合う二つの魔翌力の塊はぴしぴしと空間を揺らし始め、私達の力場を危うくしていた。

それでも止まらない。退くことは許されない。

「うわぁぁぁぁ!!」

お互いの魔眼からばっぴょーんと発射された二色のレーザーはドガガガとぶつかり合い、周りの建物がぱらぱらと消え去っていく。

そもそも―――――
422 : [sage]:2011/05/25(水) 22:57:39.72 ID:2aUT8b7SO
男「……」パタン

魔女「どうでした?」

男「えーと、その、だな……」

魔女「はい!」

男「す、凄く前衛的だった……と思う……」

魔女「ソレ、褒めてます?」

男「あー、悪い方に考えとけ」

魔女「はい!」

魔女「……はい?」
423 : :2011/05/25(水) 23:03:01.18 ID:2aUT8b7SO
自己満足のおまけ終了

俺は具体的な約束をしない方が良いのでしょうね
どうにもこうにも意志が弱いもので、ちょっとしたことでも立ち止まってしまいます


というワケではないのですが、次回更新は未定です。申し訳ない
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 08:57:57.06 ID:BDou8u0IO

いつまでも待ち続けるぞ
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 10:56:53.39 ID:7MwGmUSzo
いつまでも待ち続けるぞ!
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/08(水) 20:36:19.47 ID:j872uDLdo
まだかなぁ
427 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:04:23.20 ID:djiJld6SO
この遅延は焼き土下座で済まされるのでしょうか……
428 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:05:16.34 ID:djiJld6SO
男「今日は花を買ってきたんだ」

男「あぁ、大丈夫。勿論、お前の両親の面倒にならないようドライフラワーにした」

男「一応、本物そっくりの香はするがな」

男「そうそう、お前の両親のことなんだが、アレはおれから言わせたら相当な漠迦だ」

男「だってよ、おれにありがとうって言ったんだぜ?お前のこと謝りに言った日にさ」

男「神経オカシイよ。どうかしてる。大事な一人娘に火傷負わせて、意識奪って」

男「綺麗な髪はバッサリ切られて、身体のあちこち傷だらけだ。頭蓋だって下手すりゃ陥没してた」

男「そんな最低で最悪な仕打ちをしたヤツに有難うだ」

男「ホント……どうかしてる……」

男「……せめてさ、嘘でもいい、フリでもいい、だから責めとけよそこは」

男「でないとおれが……」

男「……」

男「……悪い。ただの愚痴になっちまったな」

男「今日はもう良い時間だし、帰るよ。どうにも思考が負に働いてやれねぇや」

男「じゃ、また……」

男「……」

男「……あのさ…」

男「あ、いや、やっぱ今度にするわ。また明日な」
429 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:06:02.40 ID:djiJld6SO
―――男の家前



青年「おかしい……ここの筈なんだ……ここの……」

青年「……間違えた?」

青年「いや、あり得ない。卯まで使ったんだぞ」

青年「あぁ、でも一週間前だ。可能性は……」

青年「クソッ、うろちょろしやがって……!」ギリッ

「おい」

青年「ん?」

男「人ん家の前で怪しい行動とるな。格式と評判が下がるだろうが」

青年「……君は?」

男「知るか」

青年「え?」

男「教えてもらえると当然のように思ってんじゃねぇよ」

青年「き、君は初対面の人に対して少し失礼じゃないかい?」

男「そういう言葉は道理を通せるヤツ限定だ。軽々しく口にするな」

青年「道理って……あ!」

男「……」

青年「え、えーと、此処は君の家……で良いんだよね?」

男「あぁ」

青年「君の家の前で不審な行動を取って大変申し訳なかった。怖かったろう?」

男「……変質者には慣れてます。別に怖くはありません。ただ、邪魔でした」

青年「そ、そうかい……」

男「それで、どのような理由で人家の前であのような行動を?あ、勿論話せなければ無理には結構です」

青年「無理じゃないさ。ちょうどこの家の人に聞きたいと思っていたんだ」

男「そうなんですか」

青年「あぁ。君の家にさ、魔法を使えるとびきり美人な女の子が居候していたり、遊びに来たりしていないかい?」

男「……ま、魔法?」

青年「うん、魔法。一週間前には確かにこの場所に居たのを知っているんだけど、どうかな?」

男「……メモのご用意を」

青年「メモ?うん、判った。これで良いかい?」スチャ
430 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:07:28.46 ID:djiJld6SO
男「まず、この通りをあちらの方向に真っ直ぐ進みます」

青年「真っ直ぐ進む」カキカキ

男「突き当たりを右に曲がり、大通りに出たら公園前というバス停に向かいます」

青年「公園前……バス停……」カキカキ

男「今からでしたら……6時47分の周回バスが有りますから、それに乗車してください」

青年「0647ね」カキカキ

男「バスで七つ先の一丁目で降りまして、赤色で目立つ高い電波塔を目指します」

青年「赤の電波塔……電波塔ってなんだい?」

男「まぁ、大きい塔です。ずば抜けて高いので直ぐに分かると思います」

青年「とにかく高い塔を目指せば良いんだね」

男「えぇ。そして、塔の正面側から左、記念碑のある方向に進んでください」

青年「塔から記念碑の方へ、と」カキカキ

男「三番目の信号で右に進路を変え、ずうっと真っ直ぐ向かうと坂になっているので登ってください」

青年「坂まで登るのか」カキカキ

男「あとは山を一つ越えた先にクリニックがありますので、そちらでごゆっくりどうぞ」

青年「そこに彼女がいるんだね?」

男「良い方向にお考えください」

青年「有難う、少年。感謝するよ」

男「いえいえ」

青年「だが、ちょっと複雑で遠過ぎる気がするんだ。何か簡単に済む方法はないのかい?」

男「タクシーを捕まえて××クリニックまで、と言えば万事解決です。アホみたいに金は飛びますが」

青年「タクシーというのを使えば簡単なんだね。なら、そうさせてもらうよ。体力に自信がなくてね」

男「お金が大丈夫なら」

青年「お金は心配ないよ。タクシーは何処で使えるんだい?」

男「なんなら呼びましょうか?」

青年「良いのかい!」

男「はい。格安のタクシーを一台駅の方に……駅は分かりますよね?」

青年「大丈夫だよ」

男「では、駅の方に手配しておきます」

青年「何から何まで本当に有難う。お礼を述べることしか出来ないのが悔しいよ」

男「困ったときはお互いさまですから」

青年「その年で随分立派だね。僕よりよっぽど凄い」

男「そんなことは……」

青年「謙遜しなくて良いよ。それじゃ、僕は駅に向かうね。さようなら」

男「えぇ、またのご縁を」
431 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:07:59.69 ID:djiJld6SO
男「……」カパッ

ピポパ
プルルル プルルル

男「おれだ」ガチャッ

男「今から駅に向かって、痩身の外国人旅行客をタクシー運転手として捕まえてくれないか?」

男「他の特徴?そうだな、髪は銀で左を眼帯で隠してる」

男「行き先はお前の友達がやってる精神クリニックだ」

男「今から、夢と現実の区別がついていない患者を運びますって伝えときな」

男「それじゃ、頼んだぜ」ピッ

男「……」
432 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:09:38.37 ID:djiJld6SO
―――男の家



魔女「……訪ね人ですか?私に?」

男「お前と同じ銀色の髪の外国人。心当たりあるか?」

姉「おっ、なになに?恋人とか?」

魔女「いいえ。在りません」

姉「なんだよ〜、恥ずかしがんなよ〜。ホントはどうなんだい?」

魔女「違いますから」

男「向こうはお前のこと知ってたぜ?それでもないって言えるか?」

魔女「はい」

姉「分かる、分かるぜぇ、その気持ちぃ。喧嘩してるんだろぅ?気まずくて他人のフリしちゃうよなぁ」

魔女「違います」

姉「でもでもぉ、良い女ならドンと受け入れるぐらいでなぁ。どんなに怖くても、ね」

魔女「ッ!知らないって言っているじゃないですか!!」ドンッ

姉「……!」ビクッ

魔女「なのにどうしてどうして信じてくれないんですか!イライラしますっ!!」

男「そのイライラは、本当におれ達のせいか?おれは違う風に見えるね」

魔女「見えるからなんです!勝手なこと言わないでください!!」

男「知らないのか?お前、顔に―――

姉「知らないの!」バチンッ

男「いってぇ!」

姉「魔女ちゃんごめんね。ないこと攻められたり冷やかされたら嫌だよね」

魔女「あ……い、いえ……」

魔女「私こそ……声を荒げてごめんなさい……」

姉「良いの。起こって当然だもん。な、愚弟」

男「……知るか」

姉「今日はさ、お夕飯何処かに食べに行こ、ね?」

魔女「……はい」

姉「だから、それまで部屋でゆっくりしてなさい」

魔女「そうします……」ヨタヨタ

ガチャッ
バタン

男「……イライラしてんのはおれの方だな」

姉「珍しい。今回は自覚有ったんだ」

男「まぁ、な」

姉「友達が一人と半分死んだんだ。そうなるのは推して計るけどね」

男「……寝る。あとで起こしてくれ」

姉「まったく、世話がやけるねぇ」
433 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:11:02.73 ID:djiJld6SO
―――精神クリニック



医師「つまり、貴方は魔法を使う少女を探していると」

青年「はい。此処に居ると聞いたんです」

医師「此処に……」チラッ

運転手「……」フルフル

医師「あー……幾つか良いかな?」

青年「大丈夫です」

医師「魔法というのは?」

青年「魔法は魔法ですよ。魔力を糧に魔導法則の範囲内で物理原則を越えた現象を引き起こすんです」

医師「成る程……興味深い」

青年「疑わないんですね。此処はそういう場所でしょう?」

医師「そういう場所だから疑いません」

青年「なるほど」

医師「それに、魔法の存在を訴える人は案外大勢居ます。貴方の訪ね人もそうでしょう?」

青年「あぁ、そうでした。彼女は今こちらに?」

医師「先に、貴方と尋ね人の関係を教えてくれませんか?流石に誰も彼にもと言える情報ではないので」

青年「これは失礼。言っていませんでしたか」

青年「彼女は僕の妹ですよ」

医師「妹さん……」

運転手「……」

青年「本当に……本当に大切なね……」
434 :1 [saga]:2011/06/22(水) 22:16:19.08 ID:djiJld6SO
短いですが本日は了

中々投下することが出来なくて大変申し訳ありません
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 22:27:00.69 ID:foVActKMo
会いたかったぞ…
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 23:02:32.06 ID:ddx2R5PIO
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 23:51:20.26 ID:qoFnSW0IO
もっとだ
もっと書け
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/23(木) 01:59:03.80 ID:qBbd1qGbo
今の俺はSSに飢えてるんだ
もっと書いてくれ







書いて下さいお願いします
439 :1 :2011/06/25(土) 22:46:42.59 ID:ihWhHmA00
強い雨が日本全域で降り続く湿った毎日のことですが、皆さんはいかがお過ごしですか?

私はうっかり傘を持たずに自転車で遠出してしまい、すっかり水の中に放り出されてしまいました。
携帯くんもその日から調子が悪く、日本ブランドの耐久性と自然乾燥の偉大さに一縷の望みを託す日々が続いています。

週末に更新したかったのですが、復旧が滞りましたら大幅な延期もあると考えて下さい。

以上、普段の更新速度から鑑みると別段大した問題ではないであろうお知らせでした。
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 22:49:18.87 ID:ZhwT0KTzo
1の携帯が無事であることを祈る…
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/26(日) 01:33:42.93 ID:f3SumXnco
無事でいてくれ・・・
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 11:11:01.37 ID:DG7AO6UIO
待ってるから書きやがれ下さい
応援なんてしてないんだから///
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/26(日) 13:48:53.88 ID:ZjaWey2S0
男がDQNに見えてイケメン…でもない不思議。
なんというか、リアルで居たらめんどくさそう。
こう自分が正しい的な。
男の成長に期待しながら全裸で待機。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/07/09(土) 13:56:33.60 ID:cwN3ga7f0
魔女の声が豊崎愛生で再生されるんだが、
ホントは何で再生すればいい?
445 :1 [sage]:2011/07/10(日) 23:18:14.28 ID:LpXnDVJSO
皆さんご心配かけました

>>443さん
男くんの性格はそれで合ってます。自信過剰なんです。
でも、なまじ力があるせいで大抵のことはどうにかします
苛ついていたり緊急事態でない限りそんな姿はみせないので、学校ではそれなりに人気でした

あと、ずっと全裸で待機させて済みません。風邪を引かれませんでしたか?

>>444さん
声優さんについては全く知らないので、銘々が思うとおりに
446 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:19:12.96 ID:LpXnDVJSO
男「おーおー、また物が増えてる」

男「集めていたっていうマンガの最新刊が出たからってことで、持ってきたんだが……」

男「こりゃ、置場がないな。当ててもらった個室が繁雑とした生活空間化してるぜ」

男「ま、それだけ皆から愛されてるってことか」

男「幸せだったんだな、お前」

男「……」

男「さ、今日も話をしようか」

男「といっても、現実問題ネタ切れなワケよ。謹慎中だから殆ど外になんか出ないもんで」

男「最近はあいつらにメールしても返ってこないしな」

男「だからちょいと趣向変えるぞ。今からは、いままで話してきたような世間様の動向じゃなくて単なる思い出話」

男「ま、構えず聞いてくれ」
447 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:21:17.16 ID:LpXnDVJSO
―――病院 事務室



男「お忙しい中患者でもないのにお時間取らせてしまい、誠に申し訳ありません」

医者「全くだよこのクソガキめ。慣れない喋りしてねぇで、とっとと終わらせろ」

男「じゃ、直球で」

男「アイツの腹には何が有った?」

医者「小腸と大腸に決まってんだろうが。アホかてめぇ」

男「おい、無駄な時間取りたくないんじゃないのかよ」

医者「冗談だよ。ほら、コレが写真。違法行為までしてんだから、ちょっとは労え」

男「……コレ、何時のだ?」

医者「昨日だ」

男「手術の時は有ったか?」

医者「有ったよ」

男「コレについてあんたはどう思う?」

医者「変わった刺青だなぁ、ぐらいだ」

男「刺青ねぇ。本当に刺青なのかどうか」

医者「オレが知るかっての。専門じゃねぇんだ」

男「はぁ……調べてくるだろフツー」

医者「うるせぇ。時間が無いの」

男「冗談、有難うな。有るって知れただけでも前進だわ」

医者「ふーん」

男「それじゃ、また」

医者「あー、あのさぁ」

男「ん?」

医者「オレは彫りの知識はないんだが、あぁいうのって皮が削がれても消えないもんなんだな」

男「……先生、本当に有難う。また何か有ったら宜しくな」

医者「次は普通に患者としてオレの時間を使ってくれ」
448 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:27:51.65 ID:LpXnDVJSO
―――ショッピングモール《石の宿》



姉「うぃーっす、お元気してるぅ?」

店主「今日はもう店仕舞いなんだが」

姉「うん、知ってる」

店主「知ってて来たのか。コーヒーで良いか?」

姉「モカで頼む。豆から挽いてくれ」

店主「相変わらず我が物顔だねぇ」

姉「嫌だなぁ、あたしはちゃんと冗談で聞き流してくれる人を選んでるよ」

店主「嘘付け。俺みたいなお人好しを狙ってるんだろ」

姉「自分で言っちゃうか」

店主「コーヒーだ」コト

姉「ま、間違っちゃいないが」ニヤッ

店主「それで、何を話したいんだ?」

姉「えっ?」バサァ

店主「何勝手にお菓子広げてやがる」

姉「大丈夫、キチンと二人分在るから」

店主「まぁ、別に良いが」

姉「んー、うまいっ!やっぱこれに限るねぇ!」

店主「確かに美味いチョコだな。高かったろ」

姉「談話料ですから」

店主「……込み入った話か」

姉「そーいうこと」

店主「余りに厄介だったら追い返すぞ」

姉「大丈夫大丈夫。近況知りたいだけだから」

店主「近況?」

姉「相変わらずオッドアイのお客さんは足を運んでくるかい?」

店主「そういった話、ね」

店主「あぁ、来るよ。貴重な収入源だ」

姉「最近彼らに変わったことは無い?例えば、やけに買う量が増えたとか、誰かが来なくなったとか」

店主「特に無い。この店での話ならだが」

姉「私生活のただれた性事情ではあるって事か……」

店主「いや、知り合いの話だ」

姉「お知り合いのただれた性事情だとっ!?」

店主「頼むから性事情から離れろ」
449 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:30:45.28 ID:LpXnDVJSO
姉「違うのか。がっかりだよ」

店主「なら、話さなくて良いな」

姉「やぁーん!今のうそっぴー!真に受けちゃいやいや!」

店主「相も変わらずだな。それで、そいつの話だが」

姉「うん」

店主「派手な髪色の外人さんが人を探していたらしい」

姉「髪は何色?」

店主「銀って言ってたか」

姉「銀で人捜し……うーん、あたしその話知ってるかもだなぁ」

店主「おっ、そうなのか。なら、敢えて言う必要はないな」

姉「いや、一応頼む。このままでは採算が取れぬ」

店主「無駄は避けたいんだが……聞く内容が怖いってのは一致してるか?」

姉「えっ、何それ?全然してないし」

店主「……別みたいだな」

店主「あのな、聞く内容が具体的なんだと。その人の喋るクセとか、交友関係、今までしてきたことに職業まで人となりを粗方な」

店主「まぁ、本人に会えよって話で、そいつも実際言ったらしい」

店主「帰ってきた答えは、もうどうしようもない状態だからそれは無理だと」

姉「ふむ……随分と含んだ言い方じゃないか」

店主「詳しいことまで踏み込めなかったらしいが、まぁ実際そうだろうよ」

姉「誰も知らないこと知ってるのに、友達なら知ってて当然を知らない外人さんか……」

姉「ねぇ、その捜し人が誰か分かる?」

店主「いや、そこまではだな。気になるなら、これからアンテナ張っといてやるよ」

姉「有難うさん」

店主「これだけで良いか?」

姉「話はね。本意はまだまだ」

店主「そんなこと言われても、後してやれるのは買い物ぐらいだぞ?」

姉「じゃ、それで」

店主「それならまた明日来い」

姉「お得意様って言葉……知ってるか?」

店主「逆にお前が知ってるのか?」

姉「まぁまぁ、どうせ魔術士ちゃん達魑魅魍魎の有象無象、有形無形の百鬼夜行の皆々様はランダムに来るんだろ?」

姉「品物は欲しいが鉢合わせはしたくないのよ。判ってくれる?」

店主「あいつらに売る用の商品寄越せってことか」

姉「おぉよ。恐らく、高魔力だと思われる品をね」

店主「やれやれ、とんだ無茶を言うが、何せお得意様だ。仕方ないから売ってやろう」

姉「流石だぃ!よっ、この男前!愛してるぜっ!」

店主「はいはい、ありがたいありがたい」

姉「チッ、つれないなぁ」

店主「で、何に使うんだ?あの娘っ子にでもあげるのか?」

姉「ノンノン。センサーボムを作りたいのよ」
450 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:32:17.12 ID:LpXnDVJSO
……………
…………
……





姉「ふんふふふーん♪」テクテク

カツカツカツ

姉「きっみが〜よ〜はっ♪」テクテク

カツカツカツ

姉「千代にや〜ちよにさざれ石のっ♪」テクテク

カツカツカツ

姉「いわおと……んんっ!」ピタッ

カツカ……

姉「とっとと出て来いよバッドボーイ。家まで尾行すんのが目的か?」

ザッ

包帯男「……」

姉「へぇ……包帯プレイたぁ、またハードでロックな趣味してるじゃん」

姉「で、何用だよ?」

包帯男「……」クルッ

姉「あるぇ?」

タッタッタッ

姉「いやいや、ちょっ、何で逃げてんの!?」

タッタッタッ……

姉「えぇー……?」ポツーン
451 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:35:52.02 ID:LpXnDVJSO
―――男の家



姉「ってな感じに私は変態さんとの邂逅を果たしました」

魔女「だ、大丈夫ですか?怪我は有りませんでしたか?」

姉「モチよモチ」

男「こんな時にストーカー拾ってんじゃねぇよ。面倒臭い姉さんだなぁ」

姉「ごめんねぇ。川原で雨に濡れて震えてたからほっとけなくてぇ……ってアホかぁっ!!」

姉「こちとら、拾いたくて拾ってんじゃねぇやい!」

魔女「あの……怖くないんですか?」

姉「んー、全然」

男「昔は生爪とか精液とか送ってくる変態致しな」

魔女「う、うへぇ……」

姉「あぁ、あたしにじゃないよ。そんなに変態さん量産出来るほど可愛くないし」

男「おれでもない。そんなに変態さん集まるほど格好良くないから」

魔女「いやいや、お姉さんはモテるでしょう」

姉「またまたお世辞を〜」

男「おれは?」

魔女「お姉さんとっても男らしくてカッコいいじゃないですか」

姉「漢らしいは嬉しくねぇよ」

魔女「そうですか?私は自分が弱々しいから憧れますけど」

男「おい、聞いてんのか」

姉「お前の話なぞ反応する価値もないってことだよ。気付けバカヤロウ」

男「ほー、好きかって言うな」

魔女「す、すみません。別に男さんの話を無視してたワケではないんです」

男「じゃぁ、どういったワケで?」

魔女「優先的にお姉さんかなぁ、と」

姉「本音は?」

魔女「その通り過ぎて何と反応すれば良いやらで」

男「ちょっと外行こうか……」ガタッ

魔女「な、何する気ですか!行きませんよ絶対に!」

男「なぁに、ちょっと頭蓋凹ますだけさ」

魔女「それはちょっとじゃありません!」

男「時間的にはちょっとだろ」

魔女「状態的にはそうも――

ギャァァァァァ!

魔女「わっ!」ビクッ
452 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:37:30.50 ID:LpXnDVJSO
姉「ワニスケだな」

魔女「ワニスケちゃんが人を襲ってるんですか!?」

男「言ったろ?番犬さ」

姉「何処かの外道めが悪さしようとしたんだろ。大概は中高生の悪戯とか度胸試しだが」

男「賢いから判っちゃうのよ。んで、遊び半分に全力で追っかけ回したりすんの」

魔女「あ……首輪着けてないから……」

姉「そうそう」

魔女「えと、咬みはしないんですね?」

男「よっぽどが無ければな」

魔女「なら、ワニスケちゃんの方は殴られたりしないんですか?」

男「アホ言え。戦闘技術知ってる動物に人間が勝てるかよ」

姉「でもま、念のためがあるから迎えに行くが。愚弟、私の丈は何処だ」

男「玄関だ」

姉「把握。んじゃ、ちょいとひとっ走りだ」

魔女「気を付けてくださいね」

ガチャ
バタンッ

男「さて、今のうちに茶でも汲むか」

魔女「男さん、あの、念のためってやっぱりそう言う……」

男「迷子」

魔女「はい?」

男「追いかけ過ぎて道判んなくなんの。居るだけで恐怖だから、次の日の登校時間はマジ大パニックよ」

魔女「動物って帰巣本能がどうたらって……」

男「賢さの代わりに色々動物としての感覚忘れちまってんだよ、あいつ」

魔女「はー、不思議な子ですね」

男「おれもそう思う」
453 :1 [saga]:2011/07/10(日) 23:39:49.12 ID:LpXnDVJSO
本日は終了です

この章、全体としては凄く短く終わりそうです。でも、凄く長くかかりそうですね
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/11(月) 00:30:58.22 ID:YH+jA+XAO
追いついた
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 00:57:22.70 ID:R45B9xrxo
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/11(月) 02:45:25.04 ID:tdnNZJuso
乙乙
気長に待つよ
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 07:55:43.03 ID:9ncKk8XIO
おっつ!
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/12(火) 22:32:06.94 ID:f40cHAz+0
乙でしたー。
更新されるのを今か今かと待っていたというのは別に秘密にしなくてもいいか。
ちなみに男君の声は中村悠一で脳内再生されます。俺様な所とかアニメハガレン2期のグリードと被る。
459 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 17:53:26.43 ID:BxEIYLeSO
男「今日は……そうだな。家族との思い出でも話そうか」

男「おれの家にワニスケって名前のワニが居るのは知ってるよな」

男「あいつとの出会いというか、まぁ、そこら辺だ」

男「えーと……ちょっと待てよ。今あいつがアレだから……八年前か」

男「あー、八年前の、俺は小4だったんだが、まぁそんなある日だよ」

男「ほら、あの頃って心霊とかUFOとかオカルトが流行ってただろ?」

男「俺も波には随分乗っててね。ちょうどその日は宇宙人が人間を攫うとかそんなTV見たんだ」

男「布団に入っても、もしかしたら攫われるんじゃないかとビビって眠れなかった」

男「そんな時にだ。近くの山に……っと、そう言えばコイツも言い漏らしか」

男「おれの家さ、昔は山の近くにあったんだ。で、その近くの山に発光する謎の飛行物体が出現した」

男「来た!って思ったね。ヤバイ!とも思った」

男「だから、布団に包まってブルブル震えてたんだけど、同じ状況でも真逆の反応する奴が居るんだよなぁ」

男「うん、姉さんだ」

男「向こうはどうも、来た!って思うと同時にチャンスだ!と思ったらしい」

男「捕まえてJAXAに売り捌くんだーっとか言って、嫌がる俺を引き摺って山まで行くのよ」

男「で、俺はぐれたんだ。途中で野生の猪と出会ってパニくって、バラバラに逃げたせいで」

男「一人泣きながら姉さんの名前呼んで彷徨い……ん?」

男「お前の両親だ。今日は随分早いし、大分焦ってるな。何か有ったっかな、こりゃ」

男「その何かが悪いことじゃないと良いが……」

男「じゃ、おれは帰るよ。親御さんの邪魔だからな」

男「話の続きはまた明日だ」
460 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 17:54:08.25 ID:BxEIYLeSO

ガラガラガラ

男「……ふぅ」

「……男くん」

男「えっ、あ、お母さん」

茶髪母「こんにちは。お見舞いに来てたの?」

男「はい。お母さんは休憩ですか?」

茶髪母「……そう、ね」

男「……?」

茶髪母「ねぇ、男くん。少し話したいことがあるのだけれど、良いかしら?」

男「えぇ、まぁ。ただ、この場所は少し都合が悪いので、何処か別の場所でなら」

茶髪母「良いわ。私も此処だとしにくいのよ。人の居ないところに行きましょう」

男「……そういう話ですか。分かりました、移動しましょう」
461 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 17:55:50.38 ID:BxEIYLeSO
―――病院 屋上



男「無理言って解放してもらいました。此処なら良いでしょう」

茶髪母「ありがとうね」

男「いえ、出来る限りのことはしてあげたいんです」

茶髪母「出来る限り、ね。それってどうしてなの?入院費用も出してくれるし……」

男「ははは、深い意味は無いですよ。ただ変化に気付けな――

茶髪母「やっぱり、逃れる為?」

男「……はい?」

茶髪母「いい人ぶって疑いの目から逃れる為なんでしょ?ねぇ、そうなんでしょ?」

男「ちょ、ちょっと待って下さい!どうしたらそんな話に!」

茶髪母「そう……とぼけるの……」スラッ

男「……ッ!お母さん、刃物は洒落になりません。まず落ち着いて」

茶髪母「うるさいこの人殺しぃぃぃぃぃっ!!」ヒュンッ

男「うぉっ!」サッ

茶髪母「うわぁぁぁぁ!!」ヒュンッ

男「ぐっ……」サッ

男「……!だから!なんで!急に!……説明して下さいっ!」

茶髪母「とぼけるなぁぁぁっ!!」ヒュンッ

男「とぼけてっ、ません!」サッ

茶髪母「あなたが息子を殺したんでしょぉぉぉがっ!!」

男「…………は?」

男「死ん……だ………?アイツが……?」

茶髪母「このっ!」ギラッ

男「……あっ」
462 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 17:58:02.04 ID:BxEIYLeSO
―――公園前



姉「でさー、その時はホント負けるかと思ってさー」

姉友「でも勝ったんでしょー?」

姉「相手の得物がすっぽ抜けてね」

姉友「すっぽ抜けるとか有るんだ」

姉「普通は滑り止め巻いとくもんだけど、さぼってたぽい」

姉友「アホな人」

姉「だから、あたしは言ってやったんだよ。これが実戦ならキサマは死んで……」

姉友「……?どうしたの?」

姉「……水筒貸してくれる?」

姉友「えっ、良いけど……。喉乾いたの?」

姉「アリガト。凹ませても構わないよね!!」

姉友「ちょっ!凹ますって何に使うのっ!?」

姉「ヒュー、流石お嬢様。懐広いぜぇ」

姉友「私まだ許可してないしっ!ダメっ!ダメだかんねっ!」

姉「上島さん的なノリと見た」

姉友「ちがーーう!!」

姉「剛速球ぅぅぅ!!」ブンッ

姉友「うわぁぁぁ!やりやがったコイツ!!」

ヒュンヒュン
ゴシャッ

ォォォオオッ!

姉友「ちょっ、ちょっと!誰かに当たっちゃったよ!?」

姉「……ストーカーだ」

姉友「え?」

姉「ここ最近ずっと私たちを尾行してた」

姉友「えっ、ストーカー!ウソッ!?」

姉「取り敢えず警察に連絡頼む。私は様子見てくる。そしてぼこる」

姉友「あ……、あっ、うんっ!無茶しないでねっ!」

姉「ん」
463 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 18:00:02.04 ID:BxEIYLeSO

タッタッタッ

姉「この角の先にっ!」バッ

姉「……ッチ」

姉「逃げたか。なんとも足の速い」

姉友「ね、ねぇ、そっちに行っても大丈夫……?」

姉「ん?あぁ、多分ね」

姉友「……逃げたの?」ヒョコッ

姉「ムカつくことに」

姉友「そ、そう……」キョロキョロ

姉「んー、そう言えばぶん投げた水筒が見当たらない。お持ち帰りされちゃったか?」

姉友「ひっ……!」ビクッ

姉「おい、そんなにビビるなよ。そりゃぁ、生理的嫌悪が湧き出る気持ち悪さだが……」

姉友「う、うえっ!」

姉「あ?」

姉友「あそこ!あそこの屋根の上にっ!」

姉「屋根の上……?」クルッ


包帯男「……」


姉「へぇ、こりゃまた変態さんだわ」

姉友「な、なにあの人……」ギュッ

姉「守ってやる。恐がんな」ギュッ

包帯男「……」

包帯男「……」バッ
464 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 18:00:31.89 ID:BxEIYLeSO
姉友「あ、行った……」

姉「行ったな……」

姉友「はぁー……」ヘタリ

姉「……」

姉友「あ、あははは、なんか腰、抜けちゃった……」

姉「全く、軟弱よのぉ。取り敢えず公園のベンチまで担ぐぞ」ヒョイ

姉友「うん、ごめんね」

姉「ナハハハ、おにゃのこの太ももを合法的にふにふに出来るなら安いものよ」

姉友「バカッ!」ペシッ

姉「はははは」

姉「……」ギリッ
465 :>>1 [sage saga]:2011/08/07(日) 18:01:50.58 ID:BxEIYLeSO
―――病院 屋上



ガシッ

男「……!」

茶髪母「ッ!」

茶髪父「やめないかっ!!」

茶髪母「イヤッ!離して!離してぇぇっ!!」

茶髪父「お前、自分が今何をしようとしていたか分かっているのか!!」

茶髪母「あの子の仇を討つの!!」

茶髪父「巫山戯るなっ!息子は自殺したんだ!彼は関係ない!!」

茶髪母「嘘よ!あの子が自殺なんかする筈ない!」

茶髪母「アイツが殺したのよ!アイツのせいで死んだのよっ!!」

男「ぁ……」

茶髪父「いい加減にしろぉぉっ!!」

パァンッ

茶髪母「うっ……!」ドサッ

茶髪父「……はぁ、こんな刃物まで持ち出して……」

男「……」

茶髪父「男くん、だったか。妻が迷惑を掛けた。怪我は無いか?」

男「あ、はい……」

茶髪父「後日、この詫びは必ずする。だから、今日は済まないがこのまま帰らせていただく」

男「そんな、詫びだなんて……」

茶髪父「必要さ。ほら、帰るよ。立てるかい?」

茶髪母「ウソ……ウソよ……あの子が自殺なんて……」ブツブツ

茶髪父「やれ……」グイッ

茶髪母「ウソ……ウソなのよ……」ブツブツ

茶髪父「それじゃぁね、男くん」

男「……」

男「……あの」

茶髪父「ん?」

男「奥さまを責めないであげて下さい。多分、言ってることは正しいと思うので……」

茶髪父「君、それは……」

男「おれが彼を、あなた方の子息を殺したんです。きっと」

茶髪父「……」

茶髪父「息子はね、自殺したんだよ……」

男「原因はおれですよ、はははは」

茶髪父「……君も疲れているみたいだね。今日はゆっくり休みなさい」
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/07(日) 21:04:50.31 ID:osOe+d14o
来てたーーーーー!!!
467 :>>1 [sage saga]:2011/08/08(月) 00:18:53.51 ID:HH8NiacSO
―――男の家



姉「ただーいまー」

魔女「はい!お帰りなさい、お姉さん!」

姉「んー」

魔女「あの……、お姉さん?」

姉「んー?」

魔女「何か疲れていません?」

姉「……そう見える?」

魔女「はい。顔が少しやつれているような……」

姉「……はぁぁ、魔女ちゃーん、聞いてよぉ〜」

魔女「えっ、は、はい!聞きます!」

姉「お泊まりすることになったの〜」

魔女「別に困ることじゃ……あっ!男の子ですか!?」

姉「ううん、女の子〜」

魔女「なら、何も問題ないような……」

姉「有るよー。有りすぎて困ってんのー」

魔女「はぁ。具体的にはどういう事情なんです?」

姉「ストーカー」

魔女「ストーカー!?」

姉「そうよー。マジ勘弁」

魔女「それ大変なことじゃないですか!もしかして、この前言っていた包帯の人!?」

姉「うん。アレはやっぱり、私を狙ってたみたいだ」

魔女「その人が、今日も現れたんですか……」

姉「友達居るときにね」

魔女「それは大変でしたね」

姉「全くだ」

魔女「アレ?でも何でそこからお泊まりに?」

姉「いやさ、ストーカー野郎に逃げられた後、警察来るのを公園で待ってたのよ」

魔女「追ったんですね、ストーカーさんを……」

姉「私もそこで本当のこと言えば良かったのに、女子大生を無差別で狙う変態の類って言っちゃったのよー」

魔女「あー、それでお友達さんは怖くなっちゃったと」

姉「水筒持っていかれたのも効いたんだろーねー。もう、必死に楽しいお泊まりプランを進めてくんの」

姉「旅行代理店みたいに、何がお得だ、何処が素晴らしいだとか、大切なメモリー云々みたいに」
468 :>>1 [sage saga]:2011/08/08(月) 00:25:18.40 ID:HH8NiacSO
魔女「お姉さん、途中で狙われているのは自分だ!って言いだせば良かったじゃないですか」

姉「無理無理。マシンガン捌くのに精一杯」

魔女「お姉さんのペースを奪うほどのマシンガン……」

姉「その後は警察にあれこれ聞かれるし、あー、だるいっ!」

魔女「お疲れ様です」

姉「というワケで、あたしの分の夕飯要らないから」

魔女「はい、分かりました」

姉「それと、悪いんだけども、宿泊セットを出しといて。私は獲物選んで来るから」

魔女「危ないことしないで下さいね」

姉「それは妖怪包帯巻き巻きの動向次第だな」

魔女「警察さんが動いてくれるなら良いじゃないですか」

姉「動かないよ。明確な証拠が少なすぎる。警察ってのは案外多忙だし、案外怠惰だ」

魔女「でも……」

姉「それに、敵が敵なら動いてもらうとややこしい」

魔女「……?」

姉「あたしをストーキングする奴は限られてんの。前にも言ったけど、大して可愛くないし愛想も尻尾も別段振ってないしね」

魔女「いや、お姉さんは格好良いんです」

姉「良いから聞け。論点じゃない」

魔女「あ、はい」

姉「候補一つ目は、私を後ろから刺そうと狙う憎しみの塊さん」

姉「二つ目は、魔女ちゃん目当てか母さんのファン」

姉「三つ目が魔法使いどもだ」

魔女「あっ……」

姉「分かった?友達の手前ああしたが、本意じゃないんだ」

魔女「済みません」

姉「魔女ちゃんは関係ないよ」

魔女「……はい、大丈夫です」

姉「んー、さてと、武器は決まった。魔女ちゃん、宿泊セットは有ったかい?」

魔女「ここに出してます」

姉「おー、これだコレ。埃も拭いてくれたんだね。感謝だ」

魔女「中のお菓子も詰め替えておきました」

姉「あはは、詰めっぱだったか。こりゃ、失敬」

魔女「管理はしっかりでお願いします」

姉「うん、次からは。それじゃ、行って来るね」

魔女「はい、行ってらっしゃい」
469 :>>1 [sage saga]:2011/08/08(月) 00:26:00.30 ID:HH8NiacSO
姉「あ、そうだ!」

魔女「忘れ物ですか?」

姉「んや、警告」

魔女「警告?」

姉「多分、今日から暫く愚弟は機嫌が悪い。最悪、魔女ちゃん関係には腫れ物注意になるかも」

魔女「な、なんでです?」

姉「それは知らない方が良い」

魔女「知らない方が……」

姉「コレも有るからなるべく一緒に居ようって思ったんだけど、ごめんね」

魔女「いえ……その、まだどうすれば良いのか分からないんですが」

姉「下手に刺激しちゃダメってこと。機械的な受け答え以外は無視も道の一つかな」

魔女「無視……ですか。出来ればしたくありません」

姉「匙は任せるよ」

魔女「分かり、ました……。良く考えます」

姉「うん、1日だけ我が家を頼むね」ガチャ

魔女「任せて下さい」

バタンッ

魔女「……」

魔女「私が知っちゃいけない理由……」


…………………
……………
………
470 :>>1 [sage saga]:2011/08/08(月) 00:28:51.16 ID:HH8NiacSO
男「ただいま」

魔女「お帰りなさい、男さん。今日は…………っ!」

男「どうした?」

魔女「い、いえ、随分憔悴なさっているようなので……」

男「憔悴、ねぇ。そんな酷い顔か?」

魔女「はい……」

男「ははは……、道理で変に同情されるワケだよ」

魔女「男さん……?」

男「魔女」

魔女「は、はい!何ですか?」

男「夕飯は要らない。姉さんと食べてくれ」

魔女「あ、お姉さんは居ないんです。今日はお友達さんの家に泊まりに行くみたいで」

男「ふーん、お気楽なもんだ」

魔女「……ちょっと」ムッ

男「んだよ」

魔女「お姉さんは別にっ…………いえ、それよりも夕飯は要らないって、何処か調子が悪いんですか?」

男「適当に考えとけ。食いたくないもんは食いたくないんだ」

魔女「ならそうします」

男「……」テクテク

魔女「……っ、男さん!」

男「あぁ゙?」

魔女「私に何か出来ることは在りませんか?」

男「何の話だ」

魔女「あの魔方陣を刻まれたお二人の話です」

男「……ッ!」
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 00:30:06.70 ID:kAnzBDHyo
待ってたぜ
472 :>>1 [sage saga]:2011/08/08(月) 00:32:39.73 ID:HH8NiacSO
魔女「考えたんですけど、男さんが機嫌悪くする理由はそれしかないと思ったんです」

魔女「もしそうなら、私にも関係がある話になります。一人で抱えこまないで――

男「無ぇよ!何にも無い!!てめぇみたいな弱者が出来ることなんてハナから存在してねぇっ!!」

魔女「っ!確かにそうかもしれませんが、でも、そんな言い方!!」

男「うるせぇっ!漠迦は関わってくんな!!」

魔女「いいえ、関わります!」

男「足手纏いで障害になんだよ!!」

魔女「男さんに魔方陣が読めるんですかっ!!」

男「読めたところで解けないんじゃ、ゼロと一緒だ無能!!」

魔女「何ですかそれ!男さん!ホントに彼らを助ける気在りますか!?」

男「このっ…………」

男「……いや、確かにお前の言うとおりだ。協力してもらわなきゃダメだよな」

魔女「男さん……」

男「魔女、お前に幾つか頼みたいことがあるんだが良いか?」

魔女「はい!全力で受けます!」

男「有難う。それじゃぁ、取り敢えずお前は……」

魔女「はい!」

男「金輪際、誰かとセックスするな。誰かにキスするな。誰かを好きになるな」

魔女「なっ……!」

男「ついでに、自分にも何か役割が在るんだって思い上がるな。以上」

魔女「ちょ、ちょっと待ってください!そんな協力はしません!!」

男「うるせぇなぁ……」

魔女「どうしてそんな酷いこと言うんですか!!」

男「適当に考えろ。おれは寝る」テクテク

魔女「真面目に答えて下さいっ!」ガシッ

男「……ッ!触れんなぁっ!!」ドガッ

魔女「キャァッ!」

男「あ……」

魔女「う、うぅ……」ドサッ

男「だい…………」

男「……クソッ」クルッ

魔女「ま、待って……うっ」ズキッ

ガチャンッ
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 19:41:42.22 ID:0p+9USqho

のんびり待ってるよ
474 :>>1 [saga saga]:2011/08/08(月) 21:59:06.49 ID:HH8NiacSO

…………………
……………
………


475 :>>1 [saga saga]:2011/08/08(月) 21:59:56.39 ID:HH8NiacSO
魔女「いたたた……青くなってる……」

ワニスケ「シャー?」

魔女「あ、ワニスケちゃん。ちょっと待ってください。薬塗ったらご飯出しますから」

ワニスケ「シャー」

魔女「……」

魔女「……私、ダメな子ですね」

ワニスケ「シャー……」

魔女「お姉さんの忠告は無視しちゃうし、それで得たのは喧嘩だけだなんて……」

魔女「……はぁ、何してるんだろ、一体……」

ワニスケ「シャ……」

ワニスケ「……!」ピクッ

魔女「……ワニスケちゃん、どうしました?」

ピンポーン

魔女「あれ、お客さんかな?」

ワニスケ「シャー!」トタタタ

魔女「あっ!ワニスケちゃん!何処に行くんですか!」

「いい!止まれワニスケ!」

ワニスケ「シャ」ピタッ

男「おれが出る」

魔女「……!男さ――

男「そこの出来損ないもだ。動かず喋らず待ってろ」

魔女「あ……」

男「……」カツカツ

ガチャ
476 :>>1 [saga saga]:2011/08/08(月) 22:02:25.79 ID:HH8NiacSO
男「はい、どちらさま?」

青年「や、少年。また会ったね」

男「てめぇか……」

青年「家の中、何かもめてたけど大丈夫かい?」

男「失せろ」カチャ

青年「……っ、モデルガンかい?」

男「良いから失せろ。おれは今、自分にもてめぇら魔術士にもサイッコウにイライラしてんだ……!」

青年「おや?僕は自分が魔術士だなんて名乗った覚えないけど」

パァンッ

青年「いっ!」

男「失せろって言ってんのが聞こえねぇのかっ!!」

青年「……やれ、怖いね。日を改めようか」

男「とっとと行けっ!!」

青年「……そうだ、最後にちょっとだけ質問」

青年「君の前の担任の先生はどんな人だった?」

パァンッ

青年「うわっ!」

男「……」パァンッ

青年「わ、分かった!去る、去るよ、もう!」タッタッタッ

男「……」カシャッ

男「……」パァンッ

「ォォア゙ッ!?」

男「てめぇもだ、変態野郎……」

包帯男「ぉぉぉおお゙……」バッ

男「……ッチ」

バタンッ
477 :>>1 [saga saga]:2011/08/08(月) 22:03:02.14 ID:HH8NiacSO
魔女「あ、あの……男さん……」

男「ワニスケ、しっかり見張り頼むな」

ワニスケ「シャー」

魔女「男さん!」

男「……」カツカツ

魔女「待ってください、男さん!さっきのこと謝りたいんです!」

魔女「だから――

ガチャンッ

魔女「っ!」ビクッ

魔女「……」
478 :>>1 [saga]:2011/08/08(月) 22:12:09.48 ID:HH8NiacSO
余りに停滞してて申し訳なく、暫く誰にも知られずsage更新にしようかと思っていたのですが、気づく人が居てびっくりしました

700番台なのに、本当にどうやって気付いたのでしょうか。不思議です


多分、多分ですが、スランプは抜けたので、更新もちょっとは早くなりそうです。多分
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/08(月) 22:15:07.14 ID:oRurc8oc0
帰ってきてた!乙!
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 23:09:16.13 ID:9llg6jCIO
待って待って待ったぜ、乙!

そりゃ専ブラでマークして、更新かかったら分かるようにしておいて、1コメでもあればすっ飛んで来てるからだよ。
続きも楽しみにしてんぜ。
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 23:10:03.92 ID:9llg6jCIO
待って待って待ったぜ、乙!

そりゃ専ブラでマークして、更新かかったら分かるようにしておいて、1コメでもあればすっ飛んで来てるからだよ。
続きも楽しみにしてんぜ。
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/08/08(月) 23:16:31.00 ID:uQ/QJEGN0
帰ってキターーーー
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/08/08(月) 23:18:02.88 ID:uQ/QJEGN0
帰ってキターーーー
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/08/08(月) 23:18:33.92 ID:uQ/QJEGN0
帰ってキターーーー
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 23:56:14.64 ID:cSygaEfJo

お前の行動は丸っとお見通しだ!
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/09(火) 05:54:22.01 ID:Uk0ooctAO
追いついたー
487 :>>1 [sage saga]:2011/08/21(日) 00:25:32.05 ID:MVx/43ySO
ゲームは面白さを与えてくれる代償に色んなものを奪っていきますね
例えば、睡眠時間。例えば、執筆時間

更新早くなりそうとかほざいていたのに、この体たらくをお許しください


あと、更新はキリの良いところまでsageで進みませていただきます
488 :>>1 [sage saga]:2011/08/21(日) 00:26:08.51 ID:MVx/43ySO
男「……」

男「……」

男「……」

男「……葬式、行って来る……」

男「……ごめん……」

男「ごめんな……」
489 :>>1 [sage saga]:2011/08/21(日) 00:50:36.97 ID:MVx/43ySO
―――葬式会場



…………ヒソヒソ……


「おい、何であいつが来てんだよ。謹慎中だろ?教師は何か言わねぇのか」

「金持ちだから、何をしても許されると思ってんだろうな」

「マスコミを黙らせてるから、テレビにも新聞にも出ないらしい」

「女の子燃やしたって聞いたけどホント?」

「やだやだ、とっとと死んでくれないかな」

「表情が分からない」

「殺人鬼が。二度と顔見せんな」

「叔母さんから聞いた話だとさ、病院で自分が人を殺ししたこと認めたって」

「おっかねー」

「殺した奴の葬儀に出るとか、どんな神経してんだか……」

「警察も金、金、金ね」

「やべっ、目が合った……」

「カスだよ、カス」

「オカッパのあの子の病室訪れてるらしいけど、今度こそ殺すつもりなのかな?」

「許さない……許さない……」

「ずっと友達面してたんだ。ウザッ」

「キチガイか」

「腹の底では、せせら笑ってたんだろうな」

「昨日も銃発泡してたってよ」

「俺達も狙われるんじゃないか?」

「前から怪しいと思ってたんだ」

「ほら、前の担任の先生。あれの失踪も一枚噛んでるって話」

「今にしてみれば、目がイっちゃってたよなアイツ」

「動機はなんだよ」

「とっとと帰れよ。殺人犯と一緒とか吐き気がする」

ヒソヒソ……ヒソヒソ………
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/21(日) 07:43:18.53 ID:oXSj91iUo
書きたくなったら書け
ここは>>1のスレだC
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 01:46:14.20 ID:hCCulIuIO
いつまでも待つからな!!
492 :>>1 [sage saga]:2011/08/28(日) 21:47:32.73 ID:x/rHWvcSO
―――葬式会場 入り口



男「……」

茶髪父「男くん」

男「え、あ、あぁ、お父さん……」

茶髪父「来てくれたんだね。ありがとう」

男「ははは、来ますよそりゃ」

茶髪父「いや、先日のことが在ったから。もしかしたら、ね」

男「別に恐れたりは」

茶髪父「……男くん、私達家族は君に多大な迷惑と損害を与えてしまった。本当に申し訳なかった」

男「あ、謝らないで下さい」

茶髪父「卑しいと分かっているが、今は他に用意出来なかった。これは少ないが、詫びとして受け取ってくれ」

男「だから、本当に要らないんです。謝罪も、こんなお金も」

男「あなた方の息子さんを殺したのおれです。お母さんの行動は何ら間違ってはいません」

男「社会的な対面なら気にしませんし、こちらも大騒ぎするつもりはありません」

茶髪父「……そんな……そんな悲しいことを言わないでくれ」

男「え……」

茶髪父「男くん。妻はね、ちゃんと自分が何をしてしまったのか理解している」

茶髪父「あの時は錯乱していたと認めているんだ」

茶髪父「君に怪我を負わせなくて良かったと安堵しているし、君に傷を負わせたことを悔い嘆いている……」

茶髪父「……君は、妻が今この場にいないのは、憎んでいるからだと思っているんだろう?」

男「そんな……、ことは……」

茶髪父「違う、違うんだよ。ただ、悲しんでいるだけなんだ」

茶髪父「誰かと話す余裕もないほど深くね……」

男「……」

茶髪父「……あ、済まない。こんな、君に同情を乞うような真似を……」

男「いえ、話してくれて、有り難うございます……」

男「……おれが」

男「おれがガキでした。本当に済みません」

茶髪父「男くん……」
493 :>>1 [sage saga]:2011/08/28(日) 21:48:18.47 ID:x/rHWvcSO
男「先ほどは断りましたが、もしよろしければ、あなた方の詫びと謝罪、受け取らせて下さい」

茶髪父「……有り難う。でも――

男「でも今じゃ在りません」

茶髪父「……それは、また、どうしてだい?」

男「もう自分が皆悪いだなんていじけません。だけど、確かに彼が死んだ一因はおれなんです」

茶髪父「止められなかったからかい?」

男「そうです」

茶髪父「それが罪なら、私達もだ」

男「違います。自惚れでなく、彼の異常に気付けたのはおれ達の世界ではおれだけでした」

男「……いや、気付いていたんです。でも、踏み込むことをしなかった……」


男「……おれは全くの無罪ではないんです。ですから、今の、何もしていないおれにソレを受け取る資格はありません」

茶髪父「……君の意見は分かった。私達は最大限、尊重するよ」

茶髪父「でも、一つ。何時になら受け取ってくれるのかな?」

男「おれが貴方達の前に息子さんの仇を引き摺り出すその時に」

茶髪父「え……かた、き……?」

男「……言って良いものか迷っていましたが、一番の被害者である貴方達にはおれからの詫びも込めて伝えましょう」

男「この件は自殺ではありません。単なる権力争いです。おれも片足踏み入れています」

男「あなた方ともう一組、彼女の方の家族はそれに巻き込まれただけです」

男「貴方の息子は殺されたんですよ」

男「……」

男「……それでは、失礼します」
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/29(月) 01:53:05.80 ID:3w29s5uAO
続き来てましたか
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/29(月) 12:26:18.42 ID:bTSG7zZJo
きてたーーーーーーーー!ー!ー!ー!
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 13:34:17.14 ID:axGF5PDIO
wktktk!
497 :>>1 [sage saga]:2011/08/29(月) 23:12:34.94 ID:lr/NtlUSO
運転手「おや、もうお帰りで?」

男「あぁ。焼かれるまでは付き合いたかったが、色々すること見付かったんで」

運転手「晴れましたか」

男「あ?」

運転手「いえ、先程までは随分不貞腐れていたご様子でしたから」

男「あー……、まぁな」

運転手「それは良かった。正直、多少迷惑では在りましたから」

男「……ハッ、そりゃぁ、悪かったね」

運転手「今後は機嫌が悪くとも、周囲に見せしめることはお止め下さいね」

男「善処するさ」

男「……ん?」

運転手「どうなさいました?」

男「いや、向こうでおれのこと見てる奴らがいるなぁって」

運転手「お友達ですか?」

男「……向こうはもう、そう接してはくれないだろうがな」

運転手「話していないのでしょう?」

男「おれは世間様じゃぁ、すっかりサイコパスよ。そんな奴と関わり持てばどうなるかは、猿でも分かる」

男「存在認知しないのが一番賢いやり方で、一番良い方法だ。おれだって、誰だってそうするさ」

運転手「私は関わり持っていますが」

男「大人はまだ良いさ。でも、学生なんてのは案外容赦が無いし、学校ってのは存外逃げ場が用意されてない」

運転手「そういうものですか」

男「あぁ……」

運転手「月並みな言葉ですが、これから先、大変ですね」

男「自分が撒いたもんだからな。我慢する他ねぇよ」

男「ほら、車出せ。帰るぞ」

運転手「はい」
498 :>>1 [sage saga]:2011/09/04(日) 21:24:30.14 ID:EQ34ZmoSO
―――男の家



男「ただいま」

シーン

男「……?」

男「おーい!ただいまー!誰も居ないのかー?」

トテトテ

魔女「あ、あの……」

男「なんだ、居るじゃんか。魔女、ただいま」

魔女「その……」

男「あ?どうした?」

魔女「ど、どうかしたのは男さんの方ですよ……」

男「はぁ?どういうことだよ?」

魔女「だって……、ここ数日、私から声をかけても無視するか悪態つくだけだったのに、急に、そんな……」

魔女「急にそんな風に親しく接されても、どう反応して良いのか判らないです……」

男「あー、そうだったけか」

魔女「はい……」

男「そっか、うん。ごめんな」ナデナデ

魔女「えっ!」

男「うん」ナデナデ

魔女「あ、あのっ!男さん!?」

姉「すっかり穏やかな顔だねぇ。腐った肉は全部蛆にでも食わせてやったのかい?」

男「姉さん」

姉「全く、魔女ちゃん惑ってんだから、ちょっとは説明してやったらどうだ」

男「ん?あ、あぁ。コレな。コレ、撫でてんのはまぁ、詫びと思ってくれ」

魔女「わ、詫び……ですか」

男「迷惑かけて、傷付けてごめんって意味の。お前、大きさ的に撫でやすいから、ついしちまうんだよなぁ」

魔女「そうですか……。はい、分かりました。それなら、素直に受け取っておきます」

男「ん」

姉「よし。なら、次はアタシだな」

男「……は?」

姉「アタシにも迷惑かけてんだから、同じような処置しやがれよ。おらっ!」

男「……」

姉「おいおい、どうしたぁっ!」

男「……」イラッ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/04(日) 21:27:33.23 ID:FB480rMyo
<◉><◉>いつも見ていますよ!!
500 :>>1 [sage saga]:2011/09/04(日) 21:27:53.24 ID:EQ34ZmoSO
男「はい、なでなでー」ブンッ

バチンッ

姉「ビンタッ!」

男「なでなでー」ブンッ

バチンッ

姉「往復っ……!」

男「もう一回イクかい?」

姉「いやぁ……結構だよ、クソッタレめ……」

魔女「男さん、そこはきちんと謝らないと」

男「大丈夫。家族だから」

魔女「そう……なんですか?家族って凄いんですね」

姉「んなワケあるかアホ。そうなら、世の中離婚だら虐待だらで騒いだりしねぇっつぅの」

魔女「あっ、それもそうですね。全く、危うく騙されるところでした」

男「こういうのは騙された方が……っと。そうだ、話は変わるんだが今日の炊事は当番誰だ?」

魔女「私ですが、何か注文でしょうか?」

男「いいや。最近おれは職務放棄してたから、取り戻さないとって思って」

魔女「おぉ、そういう話ですか。なら、お任せします」

男「あぁ。何か食いたいものあるか?」

姉「特上寿司」

男「ん、二万円。勝手に食いに行け」ポスッ

姉「……冷たい」

男「魔女は?」

魔女「うーん……美味しい煮付けと豚汁が食べたいです」

男「へー」

魔女「ダ、ダメですか?」

男「何というか、そのファンタジーな見目から和風が飛び出る違和感」

魔女「別に良いじゃないですか!」

男「はは、悪いとは言ってない。で、他に無いか?」

魔女「他に?」

男「お前にはかなり迷惑かけたし無理言ったんだ。存分に贅沢してくれ」

魔女「うーん……それなら、美味しいケーキと紅茶を食後に頂いても良いですかね?」

男「了解。というワケだ、姉さん。分かったな?」

姉「ふぇっ!?」

男「……次その癇を突つく声出してみろ。眼腔から硝酸流し込むぞ」

姉「ごめんごめん。で、なに?」
501 :>>1 [sage saga]:2011/09/04(日) 21:30:40.71 ID:EQ34ZmoSO
男「魔女のリクエストに必要なものをその二万円で買ってこい。余った分で特上寿司でも何でも買うと良いさ」

姉「あー、そのことね。そのことなんだけど……」

男「そうだ。そう言えば、姉さんも魔女も何かしらに狙われているんだったな」

姉「いや、そうじゃなくて……」

男「なら、なるべく外出は控えるべきか。うん、そうだよな」

姉「私も寿司より手料理が食べ……」

男「オーケー。俺が買ってくるよ。ちょっと待ってろ」

姉「だから、待っ――

バタンッ

姉「……」

魔女「行っちゃい……ましたね」

姉「はぁ……。ったく、ぐずぐす落ち込んでた割に一瞬でマックスまで元気になりやがって」

姉「ホント、面倒臭いガキんちょだな」

魔女「まぁまぁ、私は男さんが元気になってくれて嬉しいですよ」

姉「無駄にした分取り戻そうとしてあんなに精力的になってんだろうけど、正直こっちは変化の様についてけないよ」

魔女「それはあるかもしれませんね。でも、いつもに近づいたと思えば」

姉「……いつも、か」

魔女「お姉さん?」

姉「何時ものあいつなら、こんなご機嫌取りみたいなことしないんだがな」

魔女「そんな、ご機嫌取りって。普通に謝罪でしょう」

姉「家族に贈り物する時は感謝の時だ。謝罪なら、ただそれだけで以上はいらない。他人行儀すぎるだろ」

魔女「でも、ご機嫌を取られる理由が在りません」

姉「理由はこれから。これから、散々に嫌なこと言われるかもよ?」

魔女「まさか」

姉「どう…………っ!」ピクッ

姉「魔女ちゃん!伏せてっ!!」

魔女「えっ!?」

ヒュンッ

バリーーンッ

魔女「キャァッ!」

姉「チッ!野球のボールが飛んできたって感じじゃないな!誰だ!!」
502 :>>1 [sage saga]:2011/09/04(日) 21:32:47.12 ID:EQ34ZmoSO
姉「……っと言って、ノコノコ出ては来ないか」

姉「魔女ちゃん、大丈夫?ケガしてない?」

魔女「あ……、はい。大丈夫です。お姉さんは?」

姉「大丈夫だよ」

姉「しっかし、一体何が投げ込まれたんだ?音からして質量のある……」

魔女「す、水筒、ですかね?アレ?」

姉「ほぉ、お返しってか……ふざけやがってぇっ!!」ダッ

魔女「あっ、お姉さん!?ちょっと!何処に行くんですか!?」ガシッ

姉「離せっ!!もうブチ切れた!!アイツだけは絶対に殺してやる!!」

魔女「ダメです!危ないですって!!」

姉「このっ……!」

魔女「……ッ」ギュッ

姉「……あぁ、クソッ!!」

姉「近くに居るんだろうから、よぉく聞きやがれ!包帯野郎!!次私の前に姿見せたらその包帯血染めにしてやるからなぁっ!!」

姉「腐りかけの脳髄にメモ帳でも突っ込んで、しっかり記憶しとけ!!」

タッタッタッ……

姉「……ッチ、マジで近場に居たのかよ」

魔女「お、お姉さん?」

姉「魔女ちゃん、今日はもうどっかに行ったりしないから、この手を離してくれ」

魔女「あ、はい……」パッ

姉「あー、クソッ……イライラする……」
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:42:07.00 ID:R+gGnewIO
見てるぞー
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 22:22:50.62 ID:R+gGnewIO


そういえば下に出てたローカルルールの変更の宣伝が消えてるね
書く側の人は何が変わったのか自治スレ覗いといた方がよいかも
505 :>>1 [sage saga]:2011/09/04(日) 23:26:43.19 ID:EQ34ZmoSO
男「窓割れてるし、姉さん機嫌悪くなってるし」

男「おれが出掛けた間に何が在ったって言うんだよ」

姉「ふんっ」

魔女「あ、ああのですね、例のストーカーさんが水筒こちらに投げてきてですね」

魔女「それで窓割れて、お姉さんコロシテヤルーって叫んで」

魔女「私、危ないと思って、その……二重の意味で。それで、止めたんですが、多分それでお姉さん機嫌が悪くなっちゃったんじゃないかと……」

男「そんなことが……。それは災難だったな、二人とも」

魔女「いえ、でも、怪我無く済んだのは運が良かったです」

男「魔女が姉さんをしっかり止めてくれたからだな」

魔女「そんな、私はただ……」

姉「愚弟ぃ、私があんな唸るしか能の無い変態に負けるワケねぇだろぉがぁ」

男「普通の相手なら徒手空拳でもなんとかなるだろうよ」

姉「あぁ?普通じゃないってか?ははっ、そりゃ確かに常時締め付けられてエクスタシー感じちゃってるような奴だもんなぁ?」

男「おれが言うのも何だが、冷静になれよ姉さん。あいつはストーカーじゃない」

姉「てめぇ……いや、確かに。言われてみれば、そうも思えるか」

男「おっ、漸く顔が物騒じゃなくなってきたな」

魔女「えっ、あの、私は全然分からないんですが?」

男「ははは、なに、簡単さ。今回のコレは明らかに挑発だ。姉さんを何処かに誘き寄せようとしている」

魔女「でも、ストーカーさんだってそれぐらいはするような……」

男「そんなアクティブな奴は最早ストーカーとは呼ばない」

魔女「じゃぁ、何と呼ぶんですか?」

男「おれが知るか」

魔女「えぇー」
506 :>>1 [sage saga]:2011/09/05(月) 00:04:35.79 ID:VfcGlexSO
姉「だが、それがどうした。こっちは次会ったら殺すとしっかり約束してんだ」

魔女「お姉さん、罠ですよ?何が有るか分からないんですから、大人しくしていましょうよ」

姉「約束を反古には出来ねぇさ」

魔女「もう!男さんからも何か言ってあげてください」

男「おれは姉さんの自由に任せる。このまま放置しとくのも危険だし、罠と分かって動くんだ。よっぽどがない限り大丈夫さ」

魔女「いやいやいや、危ない橋は避けるべきです」

男「言ったろ?姉さんを倒せるのは武芸の達人レベルさ。罠張るような奴にそんな技量があるともなぁ」

男「それに、だ」

魔女「はい?」

男「おれ達がどう言おうが、姉さんは止まらない。相当キちまってるみたいだからな」

姉「はははっ、流石愚弟だ。良く分かってんじゃないか」

魔女「……はぁ、どうしてそんな危ないことしようとするんですか。私、本当に心配しているのに……」

姉「心配してくれてんなら、現状を打破しようとする私にエールをくれよ」

魔女「あげません!」

姉「はははっ!きっついねぇ」
507 :>>1 [sage saga]:2011/09/05(月) 00:22:15.21 ID:VfcGlexSO
魔女「本当にどうかしてますよ。男さんも、お姉さんも」

男「なぁ、魔女」

魔女「なんです?」ムスッ

男「話し込んだついでに言っておきたいことがある」

魔女「……どうぞ」

男「前に、お前に恋をするな云々言ったことがあるんだが、覚えてるか?」

姉「へぇ、それを言ったのか」

魔女「覚えてますよ。それがどうかしたんですか?取り消してくれるなら喜びますが」

男「取り消さない」

魔女「え?」

男「ただ、乱暴な言い方をしたことは謝る」

魔女「な、何でそんなっ!勢いに任せて言っただけの暴言じゃないんですか!?」

男「実は、ずっと言おうと思ってたことなんだが、酷だろうと躊躇してたんだ」

男「つい、ポロッと零しちまったが、ちょうど良い機会にもなった」

魔女「ずっと……」

男「魔女、お前はこれから誰かとキスしたり、性交したり、恋したりすることはしないでくれ。頼む!」

魔女「……拒否権は?」

男「悪いが与えられない」

魔女「ですよね……」

男「ついでに、理由も教えられない」

魔女「……」

男「悪いな」

魔女「お姉さんも、私にこんな制約かけたいとずっと、ずっと思っていたんですか?」

姉「まぁね」

魔女「……酷いです」フラッ

男「あ、おい!なに部屋に行こうとしてんだ!?ケーキは?」

魔女「……要りません」

バタンッ
508 :>>1 [sage saga]:2011/09/05(月) 00:49:05.79 ID:VfcGlexSO
男「あんなにショック受けるなんて……やっちまったか?いや、でも、必要なことだし……」

姉「なら、堂々としてやがれ」

男「予想外なんだよ。何であんなショックを……」

姉「其の一、お前が散々心労かけた後だから」

男「うっ……」

姉「其の二、昔のチキンと今の焦りで最悪のタイミングで発言しちまったから」

男「ぐはっ」

姉「其の三、私が受け皿にならなかったから」

男「あ、そういうのもあるのか」

姉「後は推測だが、自由を奪われることがトラウマなのかも」

男「おれ嫌われたかなぁ……」

姉「弱気になって謝るんじゃないぞ。魔女ちゃんの為にも、取り消せやしないんだから」

男「分かってるが……はぁ……」

姉「まぁ、精々ご機嫌取りに勤しむこった」

男「……姉さんも嫌われたんじゃないのか?」

姉「はは、んな漠迦な」

男「理由其の三と今日のキレ具合」

姉「……あ」

男「もし、本当にトラウマ背負ってんなら、仲直りは出来ないかもな」

姉「と、」

男「と?」

姉「取り消そう」

男「おいコラ」
509 :>>1 [saga]:2011/09/05(月) 00:54:11.43 ID:VfcGlexSO
キリが良いので揚げます

最近、台詞回しに納得がいかないのですが、気のせいですかね。気のせいだと思いたい。気のせいだきっと、うん
510 :>>1 [saga sage]:2011/09/05(月) 01:07:01.11 ID:VfcGlexSO
レスがかなりあることに気が付きました。まさか、こんなに大勢の方をお待たせしているとは
そしてこんなに監視されているとは


ローカルルールルの変更については把握しています
というか、こう言うと管理人さんに申し訳ないのですが、下の告知があると皆さんが読むのに邪魔だろうと、消えるのを待っていました
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 09:42:51.10 ID:sXhVAzuho
>>509

多分男のぶっきらぼう口調が柔らかくなったからじゃないのかな?
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 01:30:19.89 ID:XEdeiMk70

男の口調については511の言うように
いつもの捻くれた感じとか高圧的な感じがなくなってるからだと思われ
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 08:07:35.84 ID:Etg7K4ZIO
更新あったらいつも見に来るよ。おもろいもん
514 :>>1 [sage saga]:2011/09/07(水) 22:25:24.62 ID:YFAVjdRSO
姉「ややっ、朝ご飯が出来ているっ!」

男「おれ達は今起きてきたばかりだと言うのにっ!」

姉「ということは、論理的に考えて魔女ちゃんが作ってくれたのか!お姉さん嬉しいな」

男「あぁ、いつもいつも有難うな」

魔女「ご馳走さまでした」スクッ

テクテクテク
バタンッ

姉「……死のう」

男「きっついなぁ……。一等堪えるぜ」

姉「作戦6も失敗かぁ」

男「ネタが尽きてきて、作戦なのか瞬劇なのかの違いもそろそろ怪しくなってきたがな」

姉「しかし、交流を止めたら関係も止まるし」

男「おれは寧ろ一回様子見るのも良い手な気がしてきたんだが、どうだ?」

姉「平行線辿って戻れなくなるって言ってるだろうが」

男「もしウザがられてたら下降線を進む」

姉「本人の口から出るまでは分からん」

男「言うか?今のアイツが」

姉「罵詈と文句なら、どんなに嫌ってる相手にでも言える。そうだろ?」

男「的を得てはいるが、正鵠とは言えないな。無視を決め込むことが強いと思っているかもしれない」

姉「怒りは噴火するもんさ。自分でコントロールできるもんじゃない」

男「いやいや、あいつ――

プルルル プルルル

男「っと、電話か」

姉「お前が近い。お前が往け」

男「いっつもおれだろうが。ったく……」ガチャ

男「はい、どちら様でしょうか?」

男「えっ、あ、あぁ、お母さん。こんな時間にどうしたんですか?」

男「はい、はい……」

男「……え、」

男「目を……覚ました……?」
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 09:14:38.68 ID:tn1IyFipo

意外と魔女が強情だなw
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 17:44:23.25 ID:quTZy3jIO
男はオレの嫁!
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/13(火) 21:50:53.28 ID:gD47H6Fg0
>>516
そげぶ
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/14(水) 23:20:11.42 ID:nG3gUE3AO
殺伐とした仲が妙にリアル
519 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:07:31.87 ID:m93a6XQSO
―――病院



コンコン

「どうぞ」

男「……失礼します」

ガラガラガラ

オカッパ女子「おはよう。久しぶり……に、なるのかな?」ニコッ

男「さぁな。少なくともおれは毎日会ってたし、お前も記憶に古いワケじゃないだろう」

オカッパ女子「毎日来てくれたんだ。そっか……うん、ありがとう」

男「ははは、暇人だからな。それより、親はどうした?」

オカッパ女子「仕事だよ」

男「はぁ……お前が行かせたんだな」

オカッパ女子「うん。2人とも、有給使いきってたから。それでも休もうとするんだもん」

男「良いじゃないか、別に」

オカッパ女子「嫌だよ。私のせいでお仕事失わせちゃったら」

男「嫌、か……」

オカッパ女子「……」

男「あー……そ、そうだ。いつ起きたんだ?」

オカッパ女子「多分、昨日。ごめんね。凄く曖昧なの」

男「それは仕方ない。ずっと寝てたんだから」

オカッパ女子「うん、二週間だってね……」

男「あぁ」

オカッパ女子「長い方……だよね?普通、三日とかだもん」

男「永遠よりかは短い。それに、誰も長すぎるだなんて文句は言わねぇよ」

オカッパ女子「分かってる。でも、やっぱり不安で……」

男「……何となく察するよ。軽く言ったが、二週間ぽっかりだもんな」

オカッパ女子「……うん」

男「……」

オカッパ女子「……」

男「…………ごめん」

オカッパ女子「えっ、なに?どうしたの、急に」
520 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:10:54.32 ID:m93a6XQSO
男「今日は上手く話をさ、繋げられないわ」

オカッパ女子「ひ、久しぶりだから?」

男「いいや。まず、嬉しいってのがある」

オカッパ女子「大げさだよ」

男「大げさじゃない。目が覚めてくれて、本当に嬉しいんだ」

男「正直、泣きそうで……」

オカッパ女子「……やっぱり、大げさだよ」

男「後は、まぁ、お前と一緒。凄く打算的な部分が何気ない会話って行為を邪魔してくるんだ」

オカッパ女子「……私と一緒って、どうして?」

男「お前は無理に親を追い出したりしない。よっぽどが無い限りな。そうだろ?」

オカッパ女子「それ、さっき説明したよ?」

男「残念。この二週間、お前の両親は殆ど有給使ってないんだ。代わりに俺が付いてたからな」

オカッパ女子「……男くんのそういうところ、私嫌い」

男「はははっ、言われ慣れてる」

オカッパ女子「でも、私がお父さんとお母さんを追い出したからって、打算的な思いがあるっていうのは納得出来ない」

男「あー、打算は盛りすぎたな。スマートに言うと、相手に悟られず、気付かれずの情報の引き出しか」

オカッパ女子「そんなの、男くんだけだよ」

男「違うね」

オカッパ女子「証拠は?」

男「お前、記憶曖昧だろ」

オカッパ女子「ッ……!」

オカッパ女子「……お母さんに……聞いたの?」

男「お母さんや医者に話したか?話してないだろ」

オカッパ女子「……乗せたのね」

男「確証に近い仮定だ」

男「昨日再起動したばかりで、直ぐにいつも通りとはいかないだろ」

オカッパ女子「……」

男「……ま、起きた時に軽く事情を聞かされたが、でも何となく違和感がある。又は、はっきりとしている記憶とどうも食い違う」

男「それで軽く親と医者に不信が入った。だから、真実を知れる可能性としてのおれを呼んだ」

男「ってのが、おれが組み立てた仮説。有ってるか?」
521 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:19:59.44 ID:m93a6XQSO
オカッパ女子「……そう、そうだよ」

男「認めたな」

オカッパ女子「肝心なことが思い出せない。肝心なことを教えてくれない」

オカッパ女子「皆知らないんだ!憶えていないって凄く、凄く怖いのに!」

男「察するよ。無ってのは確かに怖い」

オカッパ女子「……男くん」

男「どうした?」

オカッパ女子「隠してたのに、此処まで引き摺り出したんだもん。教えて……くれるよね?」

男「悪いが、そいつには乗れないね」

オカッパ女子「……なぁんだ、結局男くんもそうなんだ……」

オカッパ女子「……もう知らない。男くんの打算にも答えないから」

男「おれも今日は自重するよ」

オカッパ女子「え?」

男「お前、自分の体調分かってないな?」

オカッパ女子「私の?」

男「声、擦れてきてる」

オカッパ女子「うそっ!?」

男「本当だ。やっぱり、昨日の今日で万全とはいかない」

オカッパ女子「……」

男「お互いに質問タイムは延期な」

オカッパ女子「……私の体調が気掛かりなら別に心配いらないよ」

男「無理だよ。お前が大事だ」

オカッパ女子「……」

男「焦んなって。日を置けば記憶も戻ってくる。質問はそれからでも問題ない」

オカッパ女子「でも……怖いよ……」

男「幻だ。眠れば消える。んで、起きたら忘れてる」

オカッパ女子「でも……」

男「他に薬は無いぜ?勿論、お前の知りたいことを全部喋るのもだ」

オカッパ女子「……分かった。休む」

男「それが良い。今日は一日中でもお前に付き添ってやるから」

オカッパ女子「ありがとう」

男「あぁ」
522 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:21:19.57 ID:m93a6XQSO
オカッパ女子「……」

オカッパ女子「……ねぇ」

男「ん、なんだ?」

オカッパ女子「一つだけ……良い?」

男「……どうぞ」

オカッパ女子「少女ちゃんはどうしたの?」

男「っ!」

オカッパ女子「お見舞いにも来てないって…お母さんが……」

男「……あいつは」

オカッパ女子「……うん」

男「帰ったよ。ロシアに。お別れ言えなくて凄い悲しがってた。本当だ」

オカッパ女子「帰っちゃったんだ……」

男「大分物騒になったからって、アイツの親が帰らせたんだ」

オカッパ女子「うん……」

男「本当だ……」

オカッパ女子「……お休み、男くん」

男「あぁ、お休み」
523 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:23:34.17 ID:m93a6XQSO
―――男の家



姉「魔女ちゃーん」

魔女「……」

姉「魔女ちゃーん魔女ちゃーん」

魔女「……」

姉「魔女ちゃーんちゃんちゃーん。機嫌治してくれよぉー」

魔女「うるさいっ!」

姉「うおっ!?」

魔女「ふんっ」プイッ

姉「……ったく、ロストヴァージンしたからってずるずる痛み引き摺ってんなや」

魔女「……今、何て言いました?」

姉「処女卒業おめでとう。並びに、破弧の痛みに何時まで喘いでるつもりだって言った」

魔女「馬鹿馬鹿しい!何時!誰が!そんなことしましたかっ!」

姉「したよ。誰かに本気で怒ったの初めてだよねぇ?」

魔女「なっ!」

姉「悪いね。チキンの愚弟が居ないし、いい加減迷惑だから、ちょいとキツめにお説教&手解きだ」

魔女「聞きませんよ、そんなの」

姉「聞け。でないなら、私達の家から出ていけ。貧乏神背負えるほど暇じゃないんだ」

魔女「……ッ」

姉「どうするの?」

魔女「聞きますよ!聞いてやりますよ!」

姉「ハハッ、力強い返事だね。そんなに出ていくのは嫌かい?」

魔女「何でそうなるんですか!仕方なくです!」

姉「仕方なくか。嫌なら義理を通す必要はないんだよ?」

魔女「それが無理だと言っているんです!」

姉「無理じゃないさ。監視の任務が義理だと言うなら、カメラを設置する権利をあげよう」

魔女「えっ」

姉「それで実家に帰るなら路銀をやろう。マンション借りるなら軍資金をやろう。上限は100万まで」

魔女「……正気とも本気とも思えないほど好待遇ですね」

姉「狂ってるからね」
524 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:25:55.58 ID:m93a6XQSO
姉「さぁ、新たに条件を追加したところでもう一度聞こう。聞くor去る、貴女はどっち?」

魔女「……」

姉「おいおいー、クイズ番組じゃないんだから伸ばしは要らないよー。ヘイッ、ハリーハリー!」

魔女「……ああ、分かりました。お姉さん、選ばせる気ないでしょう」

姉「へっ?何言ってんの?」

魔女「どうせ、私がまた聞く選んでも条件を追加して再度、という形にするんでしょう」

魔女「此処から出ていって欲しいなら、回りくどく言わずに真っ直ぐに来て下さいよ!」

姉「……あ、ああー、そう取れるかぁ。じゃぁ、折角だから乗らせてもらおう」

姉「とっとと失せろ」

魔女「……っ」

姉「アッハッハッハッ!冗談!冗談よぉ!そんな泣きそうな顔しないでよー!」

魔女「べ、別にそんな顔してませんっ!」

姉「まぁー、どっちでも良いけどー。ってか、結局曖昧な結果か。愚弟みたいに上手くはいかんねー」

魔女「……はい?」

姉「よーし、もう面倒臭い臭いから単刀直入に聞くわ」

姉「魔女ちゃんの家出を止めたのは、こっちの家が好きっていう思い?それとも、あっちの家が嫌いって思い?」

魔女「はいぃっ!?」

姉「私的には好きが3で、嫌いが6、その他1って感じだと思うんだけど」

魔女「ちょ、ちょっと待ってください!何でそんな話になっているんですか!!」

姉「だってぇぃ、私が聞きたかった本質はこっちだもんだもーん」

魔女「それに、どうして勝手に嫌いか好きかなんて予測立てているんですか!」

姉「何か違うかい?」

魔女「何もかもがです!全くの逆ですよ!」

姉「うっそだー。どうあがいても実家嫌いに成るを得ないっしょ」

魔女「また根拠のないことを!」

姉「んー、証拠はあるよ?」

魔女「え?」

姉「少なくとも、目の前で人がサイコロステーキにされても騒ぎださず、心も病まない」

姉「その程度には死体を見慣れているんだろ?」

魔女「……!」
525 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:28:44.49 ID:m93a6XQSO
姉「そんな生活に加えて自由もなし。心根の優しい魔女ちゃんには、嫌いになる要素しかないじゃん」

魔女「そ、それは……」

姉「違う?」

魔女「……そっ、それよりも!」

姉「おっ、話かえるのかい。良いよ。付き合おう」

魔女「聞きたいことの本質がそれなら、先の怒り云々は嘘ですか」

姉「いえす。大いに嘘だ」

魔女「結局、私じゃなくて私の持つ情報の為に機嫌取りでもしようとしたんですね」

姉「違うよ。怒ってない人間に怒りを鎮めろってのは矛盾してるから嘘なんだ」

魔女「……何のことです?」

姉「魔女ちゃん、もう怒りなんかないっしょ。家事もしてくれるし、愚弟の言い付けも守ってるし」

魔女「そ、そんなこと在りません!!」

姉「その言は偽なり。今の魔女ちゃんの態度の元は……」

魔女「な、何ですか……」

姉「……」

魔女「……あの」

姉「悪いね。急用が出来た」

魔女「はぁっ!?」

姉「話の続きはまたしてあげるよ」

魔女「ちょっとお姉さん!こんな中途半端になんて!」

姉「んじゃ、バイビー」タッ

魔女「あっ」

バタンッ

魔女「……」

魔女「ああぁ……もうっ!」
526 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:31:04.18 ID:m93a6XQSO
―――病院



男「……はぁ」

男「……どっちの恋が本当なんだよ、お前……」

ガラガラガラッ

男「……!」

ショート女子「あの……お見舞いに来たんですけど……」

男「あ、あぁ……どうぞ」

ショート女子「えっ!?な、何であんたが居るのよ!?」

男「いやまぁ、成り行き?」

ショート女子「信じらんない!」

男「おれだってお前がお見舞いするなんてイレギュラーだ」

ショート女子「うっさい!友達の心配して何が悪いってのよ!」

男「友達ならもうちょっと静かにしろよ。寝てるんだぞ」

ショート女子「うっ……ムカつくぅ……」

男「はいはい、そうだね。ムカつくね」

ショート女子「で、なに?直ぐに帰るの?ってか帰ってよ」

男「理由がない」

ショート女子「犯罪者と一緒に居たくないの」

男「人は生きている限り誰かを傷付けるもんさ。つまり、皆犯罪者。仲良しさんだ」

ショート女子「素直に帰りなさいよ。そういう所がウザいって分からないの?」

男「分かってるから言うんだよ。ストレス溜まるだろ?」

ショート女子「このっ……!」

男「病院内では非暴力でお願いしまーす」

ショート女子「本当にムカつく……」

男「はっはっはっ」

ショート女子「……そう言えばさぁ、あんた、魔女ちゃんを監禁してるらしいじゃん」

男「は?」
527 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:32:47.79 ID:m93a6XQSO

ショート女子「あっ、狼狽えた。もしかして、図星ぃ?」

男「いや、おい、ちょっと待て……」

ショート女子「酷い独占欲って言うの?本当に最低。死んだほうが良いよぉ」

男「……誰から聞いた」

ショート女子「あっ、気になる?気になるよね、そりゃ。大丈夫だよ、警察じゃないから」

ショート女子「でも、もしかしたら金で何とかなる警察よりか危険かもね」

男「いいから言え。誰だ、誰に聞かれたんだ!」

ショート女子「ちょっ、必死過ぎるし……。何なの?静かにするんじゃないの?」

男「言えっ!」

ショート女子「……お兄さんだよ、魔女ちゃんの」

男「……!」

ショート女子「中々会わせて貰えないんだー、って嘆いてたよ?」

男「……喋ったのか。魔女が居ること」

ショート女子「当ったり前じゃん」

男「……ッチ」

ショート女子「今頃、ドラマチックな救出劇が始まってるかもね」

男「……!ということは、ついさっきなんだな」

ショート女子「そうだよ。そこで会って話したの」

男「……良し、帰る」

ショート女子「邪魔しに行くの?止めときなって」

男「お前、ペナルティな」

ショート女子「は?」

男「人の家の事情をべらべら漏らした罰だ。おれか親が帰ってくるまでこの部屋で待機」

ショート女子「ちょっと、意味分からないんだけど!」

男「ただ待つだけ。異常が有れば守る。それだけだ」

ショート女子「説明になってない!」

男「任せたぜ」ガラガラ

ショート女子「そんなこと言ったって私かえ――

バタンッ

男「……クソッ、間に合ってくれよ」タッ
528 :>>1 [sage saga]:2011/09/27(火) 23:33:33.65 ID:m93a6XQSO
―――男の家



魔女「……」

魔女「……好きか嫌いか、か」

魔女「……」

ピンポーン

魔女「……?」

ピンポーン

魔女「お姉さん?」

ピンポーンピンポーンピンポーン

魔女「……忘れ物かなぁ」

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

魔女「……」イラッ

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

魔女「ああ、もううるさいっ!さっさと入ってくれば良いじゃないですか!!」

ピンポーンピンポ……ピタッ

「アハッ!その声、魔女ちゃんだね」
529 :>>1 [saga]:2011/09/27(火) 23:40:14.72 ID:m93a6XQSO
書き貯めました 久しぶり
思ったよりも 時かさむ

上手く行けば、後二回の投下でこの章が漸くようやっと終わると思います
ペースあげたい所ですね


男くんを嫁にしたいというコメがありますが……選択肢としては間違って無いと思います
家族を大事にしますし、何より金がありますからね。きっと幸せになれます
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/28(水) 00:09:47.09 ID:nv6eRvhuo

久しぶり次回はバトルパートか
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 00:28:25.36 ID:Hi2EOdoIO
乙!
男キュンはオレの嫁
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/29(木) 22:33:58.39 ID:fTsBZVd/0
>>531
そげぶ
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 10:02:17.43 ID:h44oID+/o
まだか・・・?
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 22:59:46.04 ID:hk56reNMo
まだか・・・?
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 01:02:02.88 ID:hl0TbZpyo
まだか・・・?
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/15(火) 05:18:12.80 ID:rXi4CK8y0
意外とすごい奴だと思ってたショート女子が普通にうざい奴だった

というか焼き土下座とかいいんで早く戻ってきてくださいお願いします
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 07:07:28.56 ID:MhaCYh4IO
リターンプリーズ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/26(土) 19:25:33.06 ID:eXOBnPiho
もう少しで一月か
539 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:29:00.32 ID:BzSPEP8SO
どうして、どうしてこうなった。どうして……
540 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:31:18.36 ID:BzSPEP8SO

「今会いに行くからねぇぇ!」ガキッ

魔女「っ……!」

「んぁぁ?閉まってんじゃねぇか。おい、魔女ちゃぁん、開けてくれよぉぉ!」ドンドン

魔女「……」

「おいっ!聞いてんのかっ!!開けろって言ってんだよ!クソがっ!クソがああッ!!」ドンドンッ

魔女「……あの、少し待って頂いても良いですか?今寝起きのままで、ちょっと人前に出るには……」

「あ?あー、そうなの?何だよ、そうならさっさっと言えっての」

魔女「本当に済みません。服だけ替えてくるので」スッ

「いいよ。魔女ちゃんが俺の為におめかししてくれるってんだ。いくらでも待つさぁ」

魔女「ありがとうございます」カキカキ

「あぁ、でもなるべく早くね。俺短気だからさぁー」

魔女「えぇ」

魔女「『……か………ぶ……』」ボソボソ

魔女「『きま………そ……』」カチャッ

魔女「鍵、開けましたのでどうぞ」

「おっ、そうなの?ならお邪魔しまーす」ガチャッ

魔女「『ミンシート』」

覆面の男「あ?」

シュンシュンッ
ズバッ

魔女「……呆気ない」

魔女「取り敢えず、この物的証拠をお母様の元に……」

ガタッ

魔女「なっ!」

覆面の男「てめぇ!いきなり人様の首落とすたぁ、何考えてやがるっ!」

魔女「……これは、まさか……」

覆面の男「俺がお邪魔ですってかぁ!?嫌いですってかぁ!?変に期待持たせやがってよぉぉぉ!冷水ぶっかける為か!!」

魔女「アンデット……ッ!」
541 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:40:26.96 ID:BzSPEP8SO
覆面の男「アン……何つった?おい!まさか、今の好きな奴の名前か!?」

魔女「は?」

覆面の男「ぁぁぁぁああああ!!それならぁっ!それならぁ、納得が行くぜ!そうか!そういうことかっ!!」

覆面の男「新しく彼氏が出来たから俺を追っ払おうとしたんだな!!ふっざけをなよっ!この尻軽!!」

魔女「こ、これはまた……」

覆面の男「俺がっ!こんなにも!こんなにも愛してやってるってのにぃぃいい!!愛して愛して愛して愛してぇぇええぁぁああ!!」

魔女「……随分不安定な」

覆面の男「ぁあああ、ぅぅううっ、無常だあぁぁ。非道い、非道いよぉぉ」グスッ

魔女「でも……」

覆面の男「こんな、こんな風に終わっちゃうならぁ……」グスッ

魔女「取り敢えずは捕獲、か……」スッ

覆面の男「殺しちゃおっ♪」

魔女「っ!なんでそんな結論――

ドゴッ

魔女「に゙ぃっ……!」

覆面の男「アッハッハッハッ、死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇいっ!!」

ガッ、ゴッ

魔女「か…はっ……」

覆面の男「俺のことが好きじゃなくなったお前に価値はなぁぁぁしっ!!」

バキッ、ガスッ

魔女「ぐぅぅっ……」

覆面の男「泣いて叫んで詫びろぉぉぉ!!詫び続けろぉぉぉおお!!」

魔女「……このっ!」バッ

覆面の男「おろろ?」

魔女「『剣劇が開く』」

魔女「『エアリパ』」

ズバンッ

覆面の男「おろろろ?」ズズッ

覆面の男「あっ、あっ、視界がずれる。また首切りやがったな!」

魔女「ハァ…ハァ……」

覆面の男「てめぇ!今度は許さねぇぞ!」

魔女「クッ、火が……火があれば……」
542 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:41:06.31 ID:BzSPEP8SO


覆面の男「さっき殺すって決めたが、やっぱり本当にマジで偽りなく殺すことに改めて決めたわ!!マジで!マジでな!!」

覆面の男「ハッハハハ!後悔すんなっ……ん?何だコレ?」ペタペタ

魔女「……?」

覆面の男「頭に何か付いてんな……。あっ、そうか!覆面着けたままだったか!」

覆面の男「ってことは、もしかして、俺のことが分からないだけだったの?んだよ、そんなことかよー!」

魔女「……貴方、私の知り合いなんですか?」

覆面の男「知り合いってもんじゃないさ!愛し合って繋がり合った仲だよ!ほら!」バッ

魔女「あっ!」

担任「懐かしくて嬉しくて堪らないだろぉ?愛しのダーリンが帰ってきましたぁっ!」

魔女「……そういう事ですか、お兄様」ギリッ
543 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:43:07.12 ID:BzSPEP8SO
―――



姉「やぁやぁやぁ!久しいかな、カス野郎」

包帯男「……」

姉「さて、契約は憶えているか?」

姉「甲は次に乙の前に姿を見せた時、生命に関する一切の権利を放棄し、一切の抵抗を排し、乙に切り刻まれることを誓いますっていうあの契約だ」

姉「お前はさっき私の家の周りを生意気にもうろつきやがった」

姉「当然、遺書は書いたな。家族にお別れは済ませたな。身辺整理はしてるな」

姉「覚悟を決めてるよな?」

姉「してなくても、今更後悔すんなよ。しても、時間はやれねぇんだ」

姉「さぁ、契約を果たそうか。喜んで刻まれてくれや」

包帯男「……」ダッ

姉「……逃げたか。ハハッ、シャイな奴」

姉「まぁ、今日はストッパーはいないし、何処まででも付いていってやるよ」

姉「何処までもな」ニッ
544 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:45:26.28 ID:BzSPEP8SO
―――二十分後




姉「ゼェ……ゼェ……あいつっ、足っ……速ぇぇ……ウェッ」

姉「ちょっ…ハァ……脇腹っ、痛っ……」

姉「休み……オエッ……」

姉「は、発信機着けといて……良かった……」
545 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:47:14.71 ID:BzSPEP8SO
―――町外れ



タクシー運転手「此処で良いの?」

姉「はい、有り難うございます」

タクシー運転手「じゃぁ、4500円ね」

姉「4500……はい、ちょうどで。帰りも呼びますから」

タクシー運転手「ん、分かった。それじゃ」ブロロロ

姉「達者でー」

姉「……さて、発信機の反応はここら辺なんだが」

ガサガサッ

姉「ん?」

猫「ニャー」

姉「……猫か」

猫「ナー」

姉「クソッ……もうちょい感度が良ければなぁ」ナデナデ

猫「ウナー」

姉「って、なんだよこの猫。あちこち包帯巻いてるし、妙に汚らしいなぁ」

猫「ニャフ」ピシッ

姉「えっ、にゃんこちゃんのご尊顔に亀裂が」

猫「ギニャー」パカァ

バクンッ


546 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:48:13.90 ID:BzSPEP8SO
―――男の家



担任「お、お兄様ぁ?いやいやいや!何言っちゃってんの!」

魔女「本当に悪辣な真似を……」

担任「俺だよ!俺!分からないのか!?」

魔女「どうやって調べたのか知りませんが、その人形では私の動揺は誘えません」

担任「あっ、もしかしてそういうプレイ!?なんだ、そういうプレイね!兄妹プレイ!中々にマニアック突いてくるねぇ!」

魔女「糸を切って出てきて下さい。タネが露見した今、何時までも間接的接触を取るのはお勧めしません」

担任「でもね、前みたいに甘い声で名前を囁いてくれた方がそそるんだよ。最初はノーマルから行こうぜ?」

魔女「あくまでも貫きますか。なら、引き摺り出されても文句は言わないように」

担任「がぁぁぁあああっ!聞けよ!聞けよぉぉぉぉ!!」

ドッドッドッ

担任「……あぁ?何だこの音?」
魔女「駆動音?」

バンッ

男「チェーンソーさ」

ギュイギュィィィン

担任「……!お、お前っぁぃぎゃぁぁぁぁ!!」

男「やぁやぁやぁ、クズ野郎。ゾンビになって再会するなんて、ドラマチックなことしてくれるじゃねぇか!なぁっ!」ギュィィィ

担任「ぁ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁっ!!」

男「首取れても死なねぇようじゃ、何処までやって良いか分からんが……」ギャィィン

担任「やめっ!やめろォォォ!!」

男「取り敢えず、ミンチいってみようか!」ギュィィィ

担任「ゃぁぁぁぁぁああああ!!」

男「クッハハハハハ!!」ギュィィィ

ギュィィィン
ギャィィィ
ギャギャギャ……ギギ…
プシュー……


547 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:51:57.56 ID:BzSPEP8SO
男「ククク、クズ野郎でゾンビのくせに血はしっかり温かいんだな」

魔女「お、男さん……」

男「よぉ、魔女。大事ないか?」

魔女「男さん、どうして此処に……」

男「ハハッ、始めに聞くのがソレか。やっぱお前も異常だな」

魔女「異常とは失礼な」ムッ

男「だってよ、お前今、人体分解ショーを見たんだぜ?叫ぶかおれの狂気を攻めるのが普通よ」

魔女「……あっ!」

男「ん?何だその顔?しまった、って感じじゃないな」

魔女「男さん、後ろ!!」

男「あぁ?後ろだ?」

ドスッ

男「……は?」

魔女「男さん!!」

青年「あぁ、あぁ、可哀相に。ナイフが急所から外れてしまった」ズシャッ

男「ガハッ……」ドサッ

青年「これでは死ぬまで相当苦しむことになる。お前が余計なことを言うからだ、我が妹よ」
548 :>>1 [sage saga]:2011/12/04(日) 20:52:34.95 ID:BzSPEP8SO
とぅびぃこんてにゅぅ
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:01:45.98 ID:6CRL1LE3o
乙乙
久しぶり
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 22:14:08.90 ID:DtLDfoGeo
どんどん書いてくれ!
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/05(月) 15:04:46.55 ID:Ruj79Sqjo

552 :>>1 [sage saga]:2011/12/11(日) 18:49:12.06 ID:DjEiyu8SO
昨日で一周年だったんですねぇ
いやぁ、こんなに嬉しくない一周年もそうそう無いですなぁ、アハハハ

いや、もう、本当にごめんなさい。のろまでごめんなさい。おっとり刀でごめんなさい
更新でもない、通知でもない、ただの愚痴なのもごめんなさい

精進致します
553 :>>1 [sage saga]:2011/12/11(日) 19:13:17.31 ID:DjEiyu8SO
どうせなので。亀ですが

>>536
彼女に限らず学校の皆さんは、「男くんの口車に乗せられて殺人に加担するところだった」と思ってます

噂だけならまだしも大衆の前で実行していますし、本人否定してませんし

つまり何が言いたいかと言いますと、彼女は特別悪いワケじゃないんです。寧ろ普通なんですぃ
554 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 01:44:42.17 ID:uJUPewIUo
見てるから頑張ば!
更新頻度低いと、一周年とか気が付けなくて…
とにかくおめでとう。
555 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 18:26:58.56 ID:PrddV5i60
今更ながら乙
一周年でもいいじゃない
556 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/27(火) 22:40:00.24 ID:0UebtkST0
ずっと待ってまふ!
557 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 18:00:26.77 ID:XhLE1INH0
待てるなら待ちます
558 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:33:27.58 ID:sBHXCZ+SO
書けるなら書きます
559 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:34:21.20 ID:sBHXCZ+SO
魔女「……ッ、男さんっ!!」

青年「うーん、傷付くなぁ。この兄との久しぶりの再会だと言うのに、気にするのは他の雄ばかりか」

魔女「お兄様!コレは明確な妨害であり、裏切りです。そのことが分かっておいでですか!」

青年「妨害って、お前のこの任務のことかい?」

魔女「お母様から聞いているでしょう。今なら報告は避けます。直ぐに失せて下さい」

青年「うーん、気に食わない」

魔女「は?」

青年「母上が最重要と位置付けるこの度の任務。どうしてお前なんだ?」

魔女「……そんなのどうでも良いでしょう。選ばれたものは選ばれたのです。さ、早く消えて下さい」

青年「良くないよ。許せないんだ。お前のような何の取り柄もない、愚鈍なクズが兄姉を、ましてこの秀才を差し置いて任務についていることがな」

魔女「知ったことではありません。私はさっさとどけと言っているのです」

青年「僕は思う、いや、確信している。これは間違いだ。間違いならそれは訂正すべき。そう思わないか?」

魔女「後で好きなだけして下さい!良いから今はさっさとどけぇっ!!」
560 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:35:01.43 ID:sBHXCZ+SO
青年「……やれ、聞く耳もたずか。不肖の妹だな。どかして何とする?こいつを助けるか?」

魔女「当然!」

青年「それはおかしな話だ。この少年を殺した犯人が必死になって命を救おうなどと」

魔女「世迷い言を。例え死んでも手はかけません」

青年「いいや、殺すさ。僕の魔法を知らないワケじゃないだろ」

魔女「……私に殺しをさせる為に私を殺しますか」

青年「母上の為だ」

魔女「……まぁ、お兄様に退く気が見えませんので、私もそろそろ実力行使に移ろうかと考えていたところです」

魔女「物のついでに打ち負かすのも悪くない」

青年「ハハッ、大きく出るなぁ。でもお前、まさか本気じゃぁないだろうね」

魔女「お兄様こそ、未だ落ちこぼれだなんて思わないように。四年の間に腕は磨きましたから」

青年「なら試してみよう」スッ

魔女「望むところ」スッ

青年「『深緑の露を喉に落とす。流れ込む源は血に染み込み、僕の身体を流れる』」

魔女「『源は流れの中で原初の力へと姿を代え、そして貴方を撫でる指の先に集約する』」

青年「『シェイン』」シュィィン
魔女「『シェイン』」シュィィン


カッ……

561 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:36:41.41 ID:sBHXCZ+SO
―――町外れ



バクンッ

猫「フニャー」モグモグ

猫「ナー」ゴクン

猫「……」チラッ

姉「あ、あああ、あたしの……あたしの……」プルプル

猫「フシャー!」ギラッ

姉「あたしの髪に何さらしてくれとんじゃワレェェェェェ!!」

ゴシャァッ

猫「ミ゙ャッ」

姉「このクソ以下の駄猫がっ!色気も可愛げもないあたしが唯一女として誇れんのはこの髪だけだったんだぞ!!」

ガッ、ゴッ

猫「ミ゙ャ、ブミッ」

姉「それをテメェ、右側バックリ喰いやがって!明日からベリーショートだ!どう落とし前付けてくれんだよ!!あぁあ゛ん!?」

ガスッ、バキッ

猫「ミ゙ッ……」ガクッ

姉「…………ハッ!しまった!つい激情に任せて猫ちゃん殴っちまった!」

姉「って、別に猫ちゃんじゃないか。顔が割れる猫なんて居ないもんねー。生き物かどうかも怪しいしー」

ガサッ

姉「ん?」

包帯男「……!」ビクッ

姉「……ヘェ」ニタァ
562 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:37:32.15 ID:sBHXCZ+SO
姉「案外近くに居たね。それとも、わざわざ人気の無い場所で切り刻んで欲しかったのかな?かな?」

包帯男「……」ダッ

姉「おっと」ヒュン

ズバッ

包帯男「……!」ドサッ

姉「甘いねぇ。たかだか数メートル。剣士の範囲だっつぅの」テクテク

姉「さてさて、大人しく這いつくばって貰ったところで、不躾ながら次なるお願いだ」

姉「面ァ、拝ませろ」チャキッ

ズバッ

包帯男「……!」ハラッ
563 :>>1 [sage saga]:2012/01/09(月) 22:40:09.96 ID:sBHXCZ+SO
刺青男「……」

姉「ヘェ、それが素顔かい。しかし……えらく縫い目多いな。サイコロステーキにでもされたのか?」

刺青男「……」

姉「んん?良く見ればお前のその顔のパーツ、どっかで……」

ガサガサッ

姉「……!」ヒュン

ズバッ

犬「キャウン!」ドサッ

姉「……犬!?」

バサッバサッ

姉「チィッ!今度は上かっ!」

ズバッ

烏「ギギァ……」ドタッ

姉「……何だぁ?やけに獣畜生に狙われんな」

ザワ…

姉「……っ!」バッ

ザワザワ

姉「……これは」

ザワザワ
グルルル、ワォォォン、フシュー、コーン……

姉「流石に……」

ガサガサッ
キャオッキャオッ、シャー、ブルルッ、キーキー……

姉「偶然たぁ思えないな……」

バッサバッサ
ケーン、チチチッ、カァーカァー、コカカカカッ……

姉「……囲まれた」

ザワザワザワ……ザワザワザワ……

姉「百……よりは少ない。お前の罠か?」

刺青男「……」

姉「ま、どうでも良いか」チャキッ

ザワザワザワ……

姉「来い。何の因果で森の動物さんが徒党を組んで私を嬲り殺そうとしてるのかは知らねぇが……」

姉「その程度の数でニンゲン様倒せるなんて驕ってんじゃねぇぞ!!」

「グォォォォォオオオォァァア!!」


ザシュッ……!


564 :>>1 :2012/01/09(月) 22:46:26.82 ID:sBHXCZ+SO
いつか後二回で終わるとかほざきましたが、アレは嘘だ!思ったより筆が遅い!そして重い!本日了!
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 22:50:22.12 ID:LiJqqasco
乙!
猫には日本刀をもって初めて対等とかって誰かが言ってた
つまり姉は化け物
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/01/09(月) 23:38:56.31 ID:CbkTSMvf0
それは自分が無傷で済ます場合だろ
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 07:11:38.69 ID:sgmjeoQIO
ガンガン書こうぜ
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 07:50:04.45 ID:CwnUZ+QIO
そろそろ、か?
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 08:22:02.66 ID:E30wNVjIO
言い訳はいいから投下して
せめて生存報告を
570 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:02:39.29 ID:Okpc4uySO
―――男の家



青年「両親は共働きで忙しく家に帰ることは少ない。故に、姉弟と居候の子供たちだけで生活をしていた」

青年「子どもたちと居候の女性との関係は良好。とても仲が良かった」

青年「が、長女がストーカー被害に会い初めてから悪化」

青年「同時期、長男の学友が死亡。その犯人とされてクラスで孤立したことも重なり、不安定な状態になる」

青年「ストレスは立場の弱い居候に向けられ、日々怒鳴り声が絶えなくなった」

青年「そして事件の日、散々に溜まった家族への怒りが爆発し、居候が長男を殺めてしまう」

青年「我に戻った居候は錯乱し、罪悪感と恐怖からその場で自殺」

青年「不運なことに同日、ストーカーを自分で追い掛けて山に入っていった長女も野犬に食い殺されていた」

青年「筋書きとしてはこんなものだ。どうだい?中々に悲劇で美しいだろう?」

魔女「……ハァ……ハァ……ッ!」ギリッ

青年「食指に合わないか。ん?あぁ、そうか。もう一人……いや、一匹忘れていたな」

青年「この家で飼われているペットのワニは、今頃トラックに轢かれている。これで満足かい?」

魔女「満足なワケェ……無いっ、だろうがぁぁ!!」バッ

青年「まだ来るか。分からない奴だ」

魔女「『指の先に集約する』」

青年「『指の先に集約する』」

魔女「『シェイン』」シュィィン
青年「『シェイン』」シュィィン

カッ
バシュッ

魔女「くっ……!」ドサッ

青年「見ろ。同じ魔法でもお前のはこんなにも脆弱で、僕のはこんなにも頑強だ」

青年「そろそろ認めろ。お前は四年経っても変わらない。依然としてクズのままだ」

魔女「お前なんかにっ……」

青年「まだ歯向かうか。しかし、このままだと早くに殺しかねないな。手足を飛ばすのは第三者を疑われるし……」

青年「……そうだ。妹よ、お前の間違いを正してあげよう。うんうん、実によくできた兄だ」

魔女「何の話ですか」

青年「そこに、まぁ、今はチェーンソーで刻まれ肉塊になってしまったが、僕の人形があるだろ」

魔女「……えぇ」

青年「お前は自分を動揺させる為に用意したなんて言ったが、そうじゃない」

魔女「……」

青年「コレはこのガキを動揺させる為に用意したんだ。お前みたいなクズは動揺してなくても、いくらでも殺せる」

青年「ま、ガキがちっとも動揺せず、人形を再起不能になるまで壊してしまったのは予想外だったけどね」

青年「おかげで、押し入った強盗が一家殺害という台本がダメになって、僕が出てくる羽目になったしな」

魔女「……ははっ」

青年「何か可笑しなところがあったかな」

魔女「嬉しいんですよ、お兄様。貴方の計画が貴方の思い通りにいっていないことが」

魔女「そして、決して成し得ないことが」

青年「ここまで力の差を見せ付けられ、ここまでこけにされて尚もそんな大口が叩けるとはね」
571 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:05:10.06 ID:Okpc4uySO
魔女「面白いお話を聞かせてもらったお礼に一つだけ教えます」

魔女「私は愚かですが、お兄さまの時間稼ぎが分からないほど愚かではありません」

青年「それぐらい知ってるよ。お前でも気付くように言ったつもりだ」

魔女「では、私がその間に準備をすることは?」

青年「当然。準備したそれを打ち負かしたら、お前も諦めるだろうと思ってな」

魔女「『気付けばもう過去の遺物、散々に打ち棄てられた城にそれはある』」

魔女「『それは玉座に刺さり抜けることはない、既に途絶えた資格を待ち続ける遺物』」

魔女「『凡たる私に資格は勿論ないけれど、払うべき闇がそこまで来ている』」

魔女「『どうか刹那、伝説を振るう力を』」

魔女「『エヴァ・リル・カークス』」

パキンッ

魔女「これでもですか?」チャキッ

青年「魔法剣か。確かに、無事ではいられないかもな」

青年「僕もお前も」

魔女「目の一つぐらい、安いものです」

男「そいつは……困るな……」フラッ
572 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:11:42.91 ID:Okpc4uySO
魔女「男さんっ!!」

青年「その傷でまだ意識があるのか。君もしぶといな」

男「お前……の…顔に……ゲホッ」

ビチャビチャ

男「クソ……肺…か……」


魔女「血がっ……無理して喋らないでください!」

男「……魔法を……け……ッ、オェッ……」

ビチャッ

魔女「け、消すんですね!分かりました!」シュン

魔女「ほら、消しましたよ!だから、だからもう……もう無理は…………お願いです……」

青年「あぁ、良かった。さすがの僕でもあの魔法を使われたら、大きな外傷無しに妹を止めることは出来なかったよ」

青年「君は僕を手伝おうと、わざわざ立ち上がってくれたのかな?」

男「……ちっ……げぇよ……」

青年「なら、僕を倒すのかな?いいよ。ジャブでもストレートでも打ってきてごらん。避けないから」

魔女「お兄さま!貴方って人はぁっ!!」

男「……ハァ……ワニ…スケっ……魔女を……グッ」

男「……魔女を……守れっ……」

男「……ハァ……ハァ……ッ、オェェェェ」

ビチャビチャッ

男「……ハ…ァ…ぅ…ぁ……」ドサッ

魔女「……っ!男さん!男さん!しっかりして!しっかりして下さい!」

青年「アッハッハッハ!これは愉快だ!そんなことを言うためにわざわざ立ったのか!」

青年「残念だったな少年!今ごろ君のペットは犬を追って――

バリーン

ワニスケ「シャー!」

青年「なっ!?」

魔女「ワニスケちゃん!?」
573 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:19:36.12 ID:Okpc4uySO
ワニスケ「クシャー」タッ

ガブッ

青年「ぐっ」

青年「ぁぁぁぁああああああっ!!」

ワニスケ「シャ」グルン

青年「うぉっ」グラッ

ガッシャーン

青年「……ぃっ!」

青年「ってぇなこの爬虫類がぁっ!」スッ

ワニスケ「……!」ピクッ

青年「『指の先に集約する』」

魔女「ワニスケちゃん、危ない!」

青年「『シェイン』」シュィィン

カッ

ワニスケ「クシャー!」バクンッ

青年「……は?」

魔女「……え?」

ワニスケ「ケフッ」

青年「……なっ、そんな、ウソだ……魔法を」

魔女「魔女を食べ……た……?」

青年「……クッ、クソッ、あってたまるかそんなこと!」バッ

青年「『行儀よく一直線に走る』」

青年「『ランダー』」バリバリ

ワニスケ「シャ」バクンッ

青年「『深く深く潜って』」

青年「『オータウ』」バッシャァッ

ワニスケ「シャー」バクンッ

青年「『疾れ』」

青年「『エスカ』」ヒュンヒュン

ワニスケ「フシュ」バクンッ

青年「クソクソクソクソクソクソォォォォ!ふっざけんなぁぁっ!!」

青年「なんで!爬虫類ごときに!僕の台本が!壊されなきゃいけないんだよ!っがぁぁぁぁぁ!!」
574 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:20:05.00 ID:Okpc4uySO
魔女「……」

魔女「……っ、ぼ、ぼーっとしてる場合じゃない!」

魔女「『古の都の跡を旅してきた』」

魔女「『家屋は荒れ果て崩れさり、草木の全てが枯れていた』」

魔女「『君へのお土産は、そこから拝借してきたものだ』」

魔女「『都の中央広場にあった、酷く錆びた鎖』」

魔女「『幾人モノ悪人、幾人モノ善人を縛り付け』」

魔女「『最後は王さえも縛り付けた、経歴高い拘束具だ』」

魔女「『君にぴったりだと思う、遠慮しないで受け取ってくれ』」

魔女「『ララパ・ファイズ』」バチッ

青年「……!うわっ!」バッ

魔女「上手く避けましたね。でも、次は外しません」

ワニスケ「クシャー!」

青年「……チッ」

青年「最悪だよ!お前たちみたいな屑の集まりに、僕が逃げなきゃいけないなんてな!」

魔女「失せるなら結構。存分に早くに失せてください。あなたの生死より大切なことがありますので」

青年「……舐めやがって。それじゃ、またお邪魔するよ」

青年「『まばたき一つで景色は変わる』」

青年「『テイクノアーザー』」

シュンッ

魔女「……ふぅ」
575 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 12:24:16.46 ID:Okpc4uySO
魔女「男さん、男さん!大丈夫ですか?」

男「……ゲホッ……ぁー、よぉ……無事……みたい…だな……」

魔女「良かった……大丈夫みたいですね。今、救急車を呼びましたから。助かりますよ」

ワニスケ「シャー」

男「……ハハッ……ゴホッ、ゴホッ……ぅ……もう……無理……さ……」

魔女「えっ」

男「……血……出過ぎた……さ……寒いんだ……」

魔女「そっ、そんなこと……い、言わないでくださいよ。せっかく助かるのに、どうして、そんな、諦めるようなこと……」

男「分かるん……だよ……無理さ……間に合わねぇ……奇跡でも……ウッ、ゲホッ…エホッ……」

ビチャツ

魔女「助かります!助かりますよ!絶対に助かりますから!そんなこと……言わないでください……」ポロポロ

ワニスケ「シャー……」スリスリ

男「ハハッ……魔女……そこに……居る…のか……?」

魔女「は、はい!私は居ますよ!男さん!」

男「……うっ……ごめん……な……」ガクッ

魔女「えっ、ちょっと!男さん!?そんなっ!なんで……!」

ワニスケ「シャー!シャー!」スリスリ

魔女「なんで……」

魔女「……ははっ、男さん、助かりますよ絶対に」

魔女「だって、私は魔法使いですよ?奇跡でも何でも起こしてみせます」

魔女「絶対に救ってみせます」

魔女「だから、生きてください」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 12:49:25.69 ID:NV2DDXAIO
待ってたあぁぁ
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 12:54:13.90 ID:2PZg+icIO
待ってたあぁぁけど話忘れてたあぁぁ
578 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:29:42.80 ID:Okpc4uySO
―――



青年「クソッ、あの爬虫類め……足が砕けてる……」ヨタッヨタッ

「ヘイ!そこのお兄さん!ちょっと待ちねぃっ!」

青年「……誰だい?」

姉「クァカカカ、素敵に瀕死じゃありませんか。病院に連れていってやろうか?」

青年「やぁ、これは男くんのお姉さん。折角の心遣いだが、辞退させて頂くよ」

青年「どうにも病院ってのは嫌いでね」

姉「そうかい」

青年「それよりもお姉さん、貴女の方こそ素敵な成じゃないか。病院に行ったほうが良い」

姉「全部かすり傷さ。さっきアルコール浴びといたから、感染症の心配もない」

青年「ははは、随分荒い治療だ。君は病院が嫌いなワケじゃないんだろう?素直に行ったらどうだい」

姉「生憎、病院に行くよりも大事な用があるんでね」

青年「……僕にかい?」

姉「イエス。お兄さん、ちょいとブッた切られてくれねぇか?」スラッ

青年「おぉ、怖い。街中で殺人予告されるとは」

姉「魔女ちゃんから電話で聞いたんだよ。うちの弟が随分世話になったそうで」

青年「確かに」

姉「フランケンなストーカーもフランケンな森の仲間もお前の仕業だと聞いた」

青年「やれ、お喋りな妹だ」

姉「この狼藉、利子付けて一刀両断で返済可能って言ってんだ。安いもんだろう、えぇ?ネクロマンサー」

青年「言いたいことはそれだけだね。なら、僕は行かせてもらうよ」
579 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:32:45.82 ID:Okpc4uySO
姉「待てよ。お兄さんさぁ、殺せるワケがないって思ってんだろ?」

青年「おや、殺せるのかい?君が自ら進んで警察のお世話になりたいなんて思ってもみなかったなぁ」

姉「お世話にゃなりたくねぇなぁ」

青年「そうだろう、そうだろう」

姉「でも、テメェは殺すよ、お兄さん。なんつったって最高にムカつくからな」

青年「正気かい?」

姉「狂気さ」

青年「止した方が良い。君の家族が困るよ」

姉「迷惑を受け止めんのも家族だ。それに思うんだよ」

姉「あんたら魔法使い関係でこっちの警察は動かないんじゃないかって」

青年「根拠がないだろう」

姉「愚弟の担任とそのお友達の行方不明、血吸い虫の行方不明、愚弟のご学友の不自然な自殺と発狂」

姉「そして今回のフランケンパーティー」

姉「警察が騒いでないどころか、周囲の人間の聞き分けが良すぎるのも少々気になる」

姉「今も見てみろよ。片足潰れた漠迦と血濡れの刀持った美少女が仲良くお喋りしてんのに、窓から顔を出す奴さえいない」

青年「証拠足るに及ばないね。偶然だと切って捨てれる」

姉「偶然なら尚更いい!神が殺しの舞台をセッティングしてくれてんのさ!」

青年「ま、まま待て待て!落ち着くんだ!人を殺せば、その後悔は一生まとわりつくぞ!」

姉「今まで散々殺してきたよ。まとわりつくもんが一つ増えたぐらいでねぇ」

青年「そ、そうだ!君は獣たちに怪我を負わされたんだろ!アレには魔法の毒を塗った!解毒薬は僕しか作れない!」

姉「死に怯えるガキは卒業してる」

青年「君の弟を刺したナイフにも塗ったぞ!助けたいだろ!弟を!」

姉「おぉ、なら仇を討たないと」

青年「ぼ、僕は魔女の兄だ!僕が死ねば妹だって悲しむ!」

姉「その命乞いは、今までで一番につまらないな」チャキッ

青年「待て!止めろ!止めてくれ!頼む!助けてくれ!死にたくない!僕はまだ母上に――

姉「サヨナラだ」

ザンッ
580 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:34:13.81 ID:Okpc4uySO
―――2週間後 病院



オカッパ女子「男くん、大丈夫?」


男「あははは、大丈夫だよ。にしても、すっかり立場逆転したな」

オカッパ女子「うん」

男「お前の方こそ大事ないか?」

オカッパ女子「うん」

男「それは良かった。学校、普通に行けてるんだってな」

オカッパ女子「うん」

男「辛いことはないか?その、みんなから距離置かれたり」

オカッパ女子「辛いこと……一つだけあるかな」

男「そう、あるのか」

オカッパ女子「男くんが学校にいないこと」

男「……ははっ」

オカッパ女子「何時から学校に来れるの?」

男「1ヶ月は安静だって聞いたけど、それ以降はどうかな。おれが学校に行ってもって思うし」

オカッパ女子「そんなことないよ。ほら、入ってきて」

男「……?」

ガラガラガラ

男「あっ」

ショート女子「……」

男「お前……」
581 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:36:46.93 ID:Okpc4uySO
ショート女子「えーと……その……」

ショート女子「その……」

ショート女子「……」

ショート女子「こ、この子がさ、その……普段自己主張しないようなおとなしい子の……いや、そうじゃないかって……私たちが決めつけてだけなんだけど……」

ショート女子「とにかくさ、この子がさ、言うんだよ。それも泣きながら」

ショート女子「私たちがあんたの悪口言ってたらさ、その……違うって」

ショート女子「あんたは助けてくれたんだって……」

ショート女子「被害者のこの子が必死に庇うんだもん。私たちもさ、もう一回考えたんだ」

ショート女子「その……あんたが本当に殺そうとしたのかって……」

ショート女子「でさ、その……この子が間違いを犯しちゃう前に必死になって止めたんじゃないかって考えられるなって……」

ショート女子「も、勿論、それでもあんたのやり方は間違ってたって思う。火とか本当に危ないし……」

ショート女子「でも、そういうことなのかなって……」

ショート女子「だから……その……」

オカッパ女子「もう、しゃんとしてよ」

ショート女子「……だからその……その……ごめんっ!」

男「……」

ショート女子「みんな来たかったんだよ!でも、整理がさ……まだ出来てないっていうか、割り切れてないっていうか……」

男「……」

ショート女子「ゆ、許して欲しいワケじゃないよ。でも、一言謝りたくて。ただ、それだけ……」

男「……」

ショート女子「な、何か言ってよ……」

男「はぁ、アホか」

ショート女子「なっ!?」
582 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:39:48.28 ID:Okpc4uySO
男「あぁ、アホだ、アホ。アホ丸出しだよ」

ショート女子「わ、私がどんな思いで謝りに来たと思ってんのよ!もう滅茶苦茶気まずくて、胃が痛くて!」

ショート女子「あんた、それをアホって!」

男「だって、今ごろ気付いたんだろ?おれ、すんげー傷ついたのに」

ショート女子「言っとくけどあんただって悪いんだから!全然否定しないし!やり方過激だし!普段の行い悪いし!」

ショート女子「私たちが疑うのも当たり前だっ――

男「でも、ありがとう」

ショート女子「ぁ……」

男「おれを許してくれて、こいつを信じてやってくれて、本当にありがとう。嬉しいよ」

ショート女子「う、うん」

オカッパ女子「良かったね。仲直り出来た」

ショート女子「した……のかなぁ?」

男「二人とも、本当にありがとう。それから、おれの方こそごめん。みんなにも伝えといてくれ」

ショート女子「うん、分かった。それじゃ、伝えることも伝えたし、私は帰るね」

オカッパ女子「あ、じゃぁ、私も。これ以上長居するのもあれだし」

男「あぁ」

ショート女子「またね。今度はみんなでお見舞いにくるから」

オカッパ女子「早く良くなって、一緒に勉強しようね」

男「あぁ、またな」

ガラガラガラ

男「……」

男「……みんな優しいな。本当に優しい」

男「あんたもそう思うだろ?」

スッ

執事服の男「おや、お気付きでしたか」

男「舐めんなよ、魔法使い。で、何の用だ。おれの息の根っこを抜きに来たのか?」

執事服の男「とんでもない。私たちは貴方様を保護しようと参ったのです」

男「保護だと?」

執事服の男「えぇ。貴方様はこの度、教会の刺客に襲撃を受け、重傷を負った」

執事服の男「私たちの主様がこの状況を憂い、本家の屋敷にて保護することを提唱したのです」

男「なるほどねぇ」

執事服の男「さて、どうなされます。私たちの保護を受けますか?」

男「くっくっくっ、ジジイ、そういうのは拒否権用意してから垂れ流せよ」

執事服の男「なるほど、生意気な小童ですな。手荒いのがお好みと見える」
583 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:41:26.23 ID:Okpc4uySO
―――病院 廊下



姉「魔女ちゃん、ずっと気になってたんだけど、その眼帯は何時になったらとれんの?」

魔女「あー、これですか。これは……いや、そうですね。話しましょうか」

姉「……?」

魔女「実はこっちの目、ガラス状に変化してしまって、義眼ぽくなってるんです」

姉「変化?」

魔女「あはは、魔力切れのサインなんです」

姉「あー、魔力切れね。なんか、ごめんね。うちの愚弟を助ける為に」

魔女「いえ、良いんです」

姉「はー、ありがたやー。魔女ちゃんは良い娘じゃー。で、治るの?」

魔女「それなんですけど、こっちの技術では治らないんです」

姉「マジか。どうすんの?隻眼の美女ってキャラで行くの?」

魔女「いえ。男さんも元気になってきましたし、一旦実家に帰ろうかなって思うんです。確認したいこともありますし」

姉「なーる。珍しく私を呼んだのはそういった大事な話があるからか」

魔女「それもありますけど、お姉さんもお見舞いさせないと男さんが寂しがると思って」

姉「ないない」

魔女「だって、お姉さんまだ一回しかお見舞いしてないじゃないですか」

姉「生きてるって分かったらそれで良いんだよ。変に気を遣う必要無し」

魔女「窮屈な入院生活なんですから、私たち家族がしっかり支えてあげないといけませんよ」

姉「窮屈ねぇ。ま、飯が不味くて泣いていそうではあるかな」

魔女「もう、そんなこと言って。あ、着きましたよ。ここが男さんの部屋です」

姉「知ってるべや」

魔女「男さん、私です。入っても良いですか?」コンコン

シーン

姉「返事がない。昼間っから爆睡してんのか。良いご身分だなぁ」

魔女「うーん、寝てるなら起きるまで待たせていただきましょう」

魔女「男さん、入りますね」

ガラガラガラ

魔女「男さーん?あれ、居ませんね」

姉「トイレなんかね」

魔女「多分そうでしょうね」

姉「……トイレだと、嬉しいんだけどなぁ」

魔女「お姉さん?」
584 :>>1 [saga]:2012/02/19(日) 13:50:50.56 ID:Okpc4uySO
毎度のことお待たせしました。三章的なの(やっと)終わり
次が多分最終章になるです

今更ながら、魔法の設定に苦労してます。素直に英語にすれば良かったんだ
ファイヤーとか

次回更新は3月〜4月のいつかだと良いなぁ。もう月間がデフォです
前回までのあらすじとかつけた方がいいのでしょうかね

それでは
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/02/19(日) 14:42:57.61 ID:Mi896xqu0
いやいや魔法の詠唱ってなぜか日本語のほうがかっこいいよね
今までの忘れてて今のみんながどういう状況かわからないんだけど
魔女は片目失って男は入院してるってことでいいの?
姉はどうなってんのかよくわからないんだよね
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 15:18:10.82 ID:6IXMB48u0
一気に読んだよ、面白いな
来月も見にこよう
587 :>>1 [saga sage]:2012/02/19(日) 15:24:12.35 ID:Okpc4uySO
最初から此処までの簡素なアレ

〈一章〉
・魔女が男宅に居候
・担任が魔女の身体目当てで接近
・魔女を襲おうとした担任、何かしらの魔術が発動して植物人間化
・ちょっと一悶着
・事件後、植物人間になった担任とサイコロステーキになった彼の友人が消える

〈二章〉
・ヴァンパイアが男の学校に編入してくる
・茶髪とオカッパ女子の様子がおかしくなる
・男、二人を狂わした犯人のヴァンパイアと戦闘
・男、ヴァンパイアを追い詰めるも、茶髪とオカッパ女子を助ける為に撤退
・男、凶暴化したオカッパ女子と戦闘
・凶暴化したオカッパ女子を捕獲。お持ち帰り
・オカッパ女子、ワニスケに噛まれる

〈三章〉
・魔女のお兄さん登場
・姉のストーカー登場
・オカッパ女子、正常に戻ってる
・茶髪が自殺
・男くんが二章のアレのせいで殺人犯にしたてあげられる
・家庭崩壊
・姉、ストーカーにぶちギレ追い回す
・魔女、家で一人の時にフランケンと化した担任と戦闘
・男くんが帰宅して、フランケンな担任をチェーンソーでミンチ
・男くん、隠れていた魔女のお兄さんに刺される
・姉、フランケンな森の仲間たちと戦闘し勝つ
・魔女のお兄さん、優位に立つも魔法を食べちゃうワニスケが登場し、フルボッコにあって逃げる
・魔女、男を救う為の魔法で魔力切れを起こして片目失う
・姉、逃走中の魔女のお兄さんと戦闘。これを殺す
・男、魔女の魔法で一命を取り留め入院
・男、魔法使いの本家に連れていかれる
・姉、殺しをしたけどお咎めなし。普通に暮らしてる
・魔女と姉、男が消えたことに気付く


こんなもんです。つうかこう書くと短いですなぁ。もういっそ、最後まで箇条書きにしてしまおうかしら
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/02/19(日) 15:47:56.30 ID:6jkFp/Qjo
頑張れ 見てるよ♪
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 23:31:24.60 ID:E6Ywc6R2o
いつも楽しみに舞ってる
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 06:52:07.35 ID:w08WF7iIO
>>573
>魔女「魔女を食べ……た……?」

ΩΩΩ<ま、魔女が食われたー!!!
591 :>>573の差し替え [sage saga]:2012/02/20(月) 14:02:31.01 ID:CIXqwZTw0
ワニスケ「クシャー」タッ

ガブッ

青年「ぐっ」

青年「ぁぁぁぁああああああっ!!」

ワニスケ「シャ」グルン

青年「うぉっ」グラッ

ガッシャーン

青年「……ぃっ!」

青年「ってぇなこの爬虫類がぁっ!」スッ

ワニスケ「……!」ピクッ

青年「『指の先に集約する』」

魔女「ワニスケちゃん、危ない!」

青年「『シェイン』」シュィィン

カッ

ワニスケ「クシャー!」バクンッ

青年「……は?」

魔女「……え?」

ワニスケ「ケフッ」

青年「……なっ、そんな、ウソだ……魔法を」

魔女「魔法を食べ……た……?」

青年「……クッ、クソッ、あってたまるかそんなこと!」バッ

青年「『行儀よく一直線に走る』」

青年「『ランダー』」バリバリ

ワニスケ「シャ」バクンッ

青年「『深く深く潜って』」

青年「『オータウ』」バッシャァッ

ワニスケ「シャー」バクンッ

青年「『疾れ』」

青年「『エスカ』」ヒュンヒュン

ワニスケ「フシュ」バクンッ

青年「クソクソクソクソクソクソォォォォ!ふっざけんなぁぁっ!!」

青年「なんで!爬虫類ごときに!僕の台本が!壊されなきゃいけないんだよ!っがぁぁぁぁぁ!!」
592 :>>1 [sage saga]:2012/02/20(月) 14:04:57.98 ID:CIXqwZTw0
やっちゃいけないミスをしてしまった……滅びたい…

本当に申し訳ありませんでした
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 14:42:34.58 ID:BM9qvh7IO
ドンマイです乙
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 17:28:40.44 ID:nEuiM7wIO
乙!
             /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____     こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( >). (<)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 21:38:30.12 ID:75SI40jIO
続きが楽しみ!
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/14(水) 22:14:26.78 ID:0CJo42Ono
キニスンナ
597 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:21:59.23 ID:I5CVomXSO
―――八年前



姉「ハァ……ハァ……」

姉「……ッ、ハァ……」

姉「……ハァ……」

姉「ッ……」

姉「……」

姉「……よし」

姉「もう、もう大丈夫。出てきて良いよ」

男「姉さん……」

姉「どうしたよ、そんな顔して。腹でも減った?」

男「さっきの人……その……殺し、たの?」

姉「……」

男「ねぇ、姉さん……」

姉「あぁ」

男「……!ど、どうしてっ!?ひ、人殺しは悪いことなんだよ!悪人さんがやることで、姉さんは――

姉「うるさい!じゃぁなんだ!私が犯されて!犯されて!犯されて!その挙げ句殺されるのを我慢すれば良かったってか!!」

男「うっ……」

姉「……ごめん。あんたにはまだ分からないよね。ごめん」

男「……ううん」

姉「……」

男「……」

男「これから、どうなるんだろう……」

姉「……さぁ」

男「父さんと母さんに……会えるのかな……」

姉「分からないよ。でも、会いたいね」

男「うん……」

姉「……」
598 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:22:54.49 ID:I5CVomXSO
男「えと、姉さん……その……」

姉「さっきさ」

男「う、うん」

姉「さっき死体処理してる時に考えたんだ。父さんと母さんに会うためにどうすれば良いかって」

男「うん」

姉「色々考えて、本当に色々考えて、一番良いと思った結論がコレ。ほら、受け取って」

男「えっ、うわっ、重たいっ!ね、姉さん、これなに?」

姉「銃とナイフ」

男「え……」

姉「銃は私たちの細腕じゃ扱えるものじゃないが、脅しには使える。それか0距離」

姉「ナイフの使い方は師匠に習ったから分かるな。躊躇するなよ」

姉「見つかったら子供であることを活用しろ。犯すにしろ殺すにしろ近づいてくる。その時に切れ」

男「ち、ちょっと待ってよ!どういことだよ!」

姉「……父さんと母さんに会いたかったら、捕まったらダメだ。二人だけで生き残らないといけない」

姉「見つかったら、見つけたられたら、その時は殺さないと」

男「そんなっ、ほごしてもらえばいいじゃんか!」

姉「……してくれる人を見つけたその時にね。少なくとも、あいつらはダメだ」

男「姉さんはそんなに人を殺したいのかよっ!」

姉「バカっ!そんなワケ無いだろ!」

姉「今だってさっきの殺しの後悔が!嫌悪が!感触が残ってる!」

姉「あんたが居るからどうにかギリギリで虚勢はってられるんだよ!一人だったら……とても耐えられないっ……」

男「あっ……ご、ごめん」

姉「……良いよ。私も酷いこと頼んでるって理解してる」

男「……」

姉「あんたにはまだ分からないって言ったよね」

男「……うん」

姉「そんなあんたに進んで殺せなんて言わない」

姉「お姉ちゃんが、頑張って殺すから」

男「それは…………」

姉「でも、お姉ちゃんが何時もいるとは限らないし、何時までもいるなんて分からないでしょ」

男「……っ、いやだよ、そんな話」

姉「甘えん坊め」

男「だけど……うん……覚悟、する」

姉「……うん、それでこそ男の子だ」

姉「じゃぁまぁ、ここで起きてるのが戦争なのか、紛争なのか、抗争なのかは知ったこっちゃないが、頑張って生きような」

男「うん、二人揃って、父さんと母さんにまた会おうね」
599 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:23:40.84 ID:I5CVomXSO
―――本家



「…………さい」

「……き…さい」

「…きて下さい」

「起きて下さい」

男「……んっ、だれっ……いたっ!」

男「あー、クソ、背中痛ぇ。何だよコレ」

侍女「ようやくお目覚めになられましたね」

男「……あ?誰だテメェ」

侍女「館さまより貴方さまのお世話を仰せつかっている者です」

男「館さま?あー、そっか。ここはもう、魔法使いたちの根城ってワケね」

侍女「はい」

男「で、何でおれがこんなベッドの一つもない牢の石床に放り投げられて目覚めなきゃいけねぇんだ」

侍女「さぁ。それは執事さまに聞きませんと」

男「あぁ、あの老害ね。あの程度の軽口でプンプンきちゃったんだ。ハハッ、可愛いねぇ」

侍女「……」

男「で、おれの眠りを妨げた理由は?」

侍女「コホン……、館さまが貴方とお話がしたいと」

男「へぇへぇ。ま、寝覚めは最悪だが、気分は大変によろしい。付き合ってやるよ」

侍女「それはどうも」

男「だが、ちいと腹が減った。話し合いの席には飯を用意してくれ」

男「そうだな、病院食が薄かったからな。味付けは濃い目で頼む。胃にガツンとくるぐらいのな」

侍女「……おい」

男「なんだ?まさか用意出来ない?」

侍女「あんま図に乗ってんじゃねぇよ、人間風情が」

男「おいおい、おれはお呼ばれされたお客様だぜ?噛み付こうとしてんじゃねぇよ、魔法使いごときが」

侍女「……失礼しました。つい暴言を」

男「いいよ。お互い敵意むき出しの方が愉快だ」

侍女「館さまにはそのような無礼を働きませんように」

男「時処位に左右されるかな。確約はしかねる」

侍女「首切り落としますよ」

男「分かった分かった。善処するよ。ハハハ、便利な言葉だ。善処するよ、ハハハ」

侍女「冗談じゃねぇんだぞ、ガキ」

男「いくらおれが凡愚でもな、今はまだおれを殺すことが出来ないくらいは分かるぜ」

男「でなきゃ怖くて煽りなんて無理だって」

侍女「……ッチ、なるほど。小賢しいガキなようで」

男「ほら、疾く疾く館さまとやらのところに案内しな」
600 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:25:17.71 ID:I5CVomXSO
―――本家 食卓



当主「ようこそ、客人。待ちわびたわ」

男「本日はこのような場に至らぬ身を置かせていただき、有難うございます」

当主「あら、驚いた。小生意気だと聞いていたのに、礼儀はちゃんと知っているのね」

男「幼少より父母に厳しく躾けられてきましたので」

当主「出来るなら、私の部下にも礼儀正しく接してくれないかしら」

男「ご婦人、それは出来かねるのです」

当主「どうして?」

男「この小人めは魔法使いが嫌いなのです」

男「それでも貴女に礼儀を振る舞うのは地位があるからこそ。その他有象無象にもだなんて、とてもとても」

当主「ふふっ、ふふふっ。面白い。これは素直な坊やだこと」

男「お褒めいただき光栄です」

当主「あの娘が気に入るはずだわ」

男「あの娘……?誰のことでしょうか……」

当主「そう怖い顔しないの。あなたの考えている人じゃないわ」

男「これは失礼。それでは、誰のことなのでしょうか」

当主「私の娘よ。あなたの家でお世話になっているでしょ」

男「……え」

当主「あら、意外だったかしら」

男「い、いえ、勿論考えの底にはありました。むしろ、何時ものおれでしたら、そうだとしか考えないでしょう」

男「ですが……」

当主「なに?」

男「魔女があなたの娘だというのが、ですね……。血は繋がっているのですよね」

当主「えぇ、正真正銘私の実の娘よ」

男「あまり、似ていませんね」

当主「そうね。本当にそう。父方にも母方にも似ていないのよ」

男「兄弟とも似ていませんでしたね」

当主「そういえば、あなたは上の息子に会っていたわね」

男「えぇ、背中を刺されたので大変印象に残っています。うちの姉が首を切り落としてしまい、文句が言えないのが残念です」

当主「死体なら回収しているわ。唾でもはき付ける?」

男「いや、折角の気遣いですが、またの機会に」

当主「そうね。それじゃ、とりとめのないお喋りはこれくらいで切り上げて、本題に移りましょうか」

男「ありがたい。そろそろ焦れていたところです」
601 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:26:19.29 ID:I5CVomXSO
当主「単刀直入に聞くわ。どうして私の娘とセックスをしなかったの?」

男「……は?」

当主「私の娘と性行為に至らなかったのは何故かと聞いているの」

男「仰っていることの意図を計りかねますが……」

当主「知りたいだけよ」

男「……まさか、それがあいつをおれの送り込んできた目的ですか?」

当主「目標の一つではあるわ」

男「あいつ、セックスのことも男性のことも正しく知っていませんでしたが」

当主「無防備な娘の方が男の子なら劣情しやすいでしょう?」

男「……」

当主「あの娘が嫌い?」

男「いや、好きですけど、それは……その、セックスしたいというような好きではなくてですね……」

当主「別にセックスには拘らないわ。それくらいに欲望を表に出すことが必要なの」

男「それと粘膜接触ですか」

当主「あら、よく分かったわね」

男「まぁ、心当たりが無いでも無いので……」

当主「そう、つまり最低キスでも良かったの。好きだったんでしょ。キスもしなかったのは何故かしら?」

男「だから、それは……。ええと、実の親である貴女の前では大変言いにくいのですが……」

当主「言ってちょうだい」

男「……おれは、あいつが好きです。愛しています。あくまで、家族として。二人目の姉弟として」

当主「それが理由ね」

男「はい」

当主「他人とのセックスやキスを禁止にしたのも?」

男「そんなことまで報告されているのですか」

当主「どうなの?」

男「あいつを守る為に言った、とだけ」

当主「……ふう。そこまで仲良くなるなんて、完全に私の読み違いだったわ」

当主「それとも、それが出来損ないのあの娘が持つ、数少ない才能だったのかしら……」

男「……」

当主「今日の話はこれで終わりよ。部屋に帰ってゆっくりしなさい」
602 :>>1 [saga]:2012/03/22(木) 17:27:01.79 ID:I5CVomXSO
男「あの、質問……よろしいでしょうか」

当主「一つだけなら」

男「魔女の負っている任務がどんなものかは計れませんが、それは重要な任務なはずです」

男「少なくとも、教会という組織の邪魔が入る程度には」

男「それを出来損ないと評するあいつに任せた理由って、やっぱり、目標からして、アレ……ですか?」

当主「えぇ、あなたの読んでいる通り、あの娘が私の使える駒の中で一番可愛かったからよ」

男「……」

当主「話は以上かしら?」

男「……先に言っておきます。今から言うことは、一切の害意も悪意もありません」

当主「随分な前置きね。遠慮せずに言いなさい」

男「では、失礼して」

男「……コホン」

男「お前ら本当にバカばっかだなぁっ!!」
603 :>>1 [sage]:2012/03/22(木) 17:28:43.50 ID:I5CVomXSO
次回は下手すれば二ヵ月後。HTML化されるギリギリになるかもしれません
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 17:50:37.10 ID:vbCr1toIO
あの>>1様、ぜひ生存報告をお願いします
そうすればスレは保たれますので
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 00:06:07.25 ID:AVNqFcuCo
おつんつん
久しぶりに男かっこいい!
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 17:08:36.36 ID:qOfpQ7Rzo
2ヶ月放置宣言って…
こりゃ完結しないな
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/28(水) 19:07:14.64 ID:AYpkhJIZ0
下手すりゃって書いてるだろ

希望を捨てちゃいかんよ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/28(水) 19:42:46.52 ID:1HD0STefo
下手すりゃ、ってことはなにがあっても2ヶ月以内に来るっていう決意表明だよ
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/29(木) 12:11:18.51 ID:ArbEPYT4o
楽しみに待っているぞ
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/31(土) 22:15:24.75 ID:8a+VRLPNo
二ヶ月か…
でも待ってるわ
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 05:43:38.64 ID:UwywVbkIO
まずは一ヶ月か
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 11:19:32.13 ID:Bsp4AXwXo
信じて待とうよ
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 21:04:46.53 ID:6MfQsmoIO
もうすぐ戻ってくる!
614 :>>1 [sage saga]:2012/05/18(金) 18:44:16.33 ID:A4zs6OJn0
ドカッ

男「ぐっ……」

侍女「大人しくしていてくださいね」

男「いってぇなぁ……あんまりな扱いじゃねぇのか?」

侍女「不当かどうか、よく考えてみてくださいね」

男「バカって言っただけだろうが」

侍女「それが駄目なんだよ。無礼は働くなと言ったはずだろうが、えぇ?」

男「ちゃんと断りをいれて言ったんだ。非の打ち所が見当たらないがね」

侍女「断りいれりゃ免罪符の判が押して貰えるなんて考えが甘いんだよ」

男「あぁ、そりゃ貰えないだろうさ。罪ですらありはしない話だ」

侍女「寝言は寝て吐きやがれ」

男「寝言になら文句足れねぇのか。なら寝てやろうか?」

侍女「それは助かります」

男「だが、空腹で眠気が来ないんだよなぁ。おい、メイド。客人に飯を持って来い」

侍女「勝手に飢えてろ」

男「持ってこないのか?」

侍女「こねぇよ」

男「それは、アンタの意思か?それとも当主の意思か?」

侍女「あ?」

男「答えろ」

侍女「……皆の意思ですよ、客人」

男「そうかい。哀れなもんだ」

侍女「はぁ?どこが哀れなんだよ」

男「みんなの意思ってことは、みんなに共通する事情があるってこった」

男「おれの屑っぷりを知らない奴でさえ、客人に料理を出したがらない理由」

男「単純に考えれば財政逼迫」

男「客人に飯を食わせられないほど火の車だなんて、哀れみ以外の感想を抱きようがない」

侍女「……ッチ、何か食べたいものはございますか?」

男「コックの得意料理が食いたいね」

侍女「分かりました。お食事の時間になりましたら、お持ち致します」

侍女「ですので、それまで暫くの間、精々マスでも扱いてやがれ」

男「性器見たら卒倒しそうな顔してよく言うぜ」

侍女「テメェの米粒ごときにゃ驚かねぇから安心しろ」

男「籾と言わないだけ、優しさを感じるね」

侍女「黙らない野郎だ」

侍女「それでは失礼致します」

カツカツカツ

男「……」

男「……ははは、これは良い」

男「何時まで猶予があるのか分かんねぇが、暇はしなくてよさそうだ」
615 :>>1 [sage saga]:2012/05/18(金) 18:45:41.19 ID:A4zs6OJn0
―――二時間後



執事「お食事をお持ち致しました」

男「あれ?お嬢さんじゃねぇの?」

執事「あなたのようなクソ餓鬼のお世話は、一人でするには荷が重すぎるでしょう」

男「だからって、半分骸骨のロートルが来なくても」

執事「女の子でなければ、ご不満ですか?見事に猿ですな」

男「それもある。だが、一番はあんたの血圧を気にしながら煽りを入れないといけないことだ」

男「血を上らせすぎて脳内出血誘発とか、洒落にもネタにも調理できねぇからな」

執事「……ご心配なく。下らない発言を一々気に留めたりはしません」

男「オーケー。あんたがそう言うなら、遠慮せずにガンガン行こう」

男「ま、今はその前に飯を食いたいが」

執事「どうぞ、存分に召し上がってください」カチャ

男「……」

執事「おや、どうしました?」

男「こんな石牢に詰め込んでる割りには、飯は豪華だったんで驚いたんだよ」

執事「当たり前でしょう。貴方は客人で、此処はスウィートルームなのですから」

男「ははっ、そうだったな。寝心地があまりに悪いんで忘れてたよ」

執事「お食事時は一人にした方がいいですか?」

男「居ろよ。コーラを飲みたくなった時に運搬係が居ないと不便だろうが」

執事「分かりました。では、何か有りましたら直ぐにお申し付けください」

男「じゃ、いただきます」パクッ

男「……」モグモグ

男「……おい」

執事「早いお呼びだしですな。どうなさりました?スプーンの使い方が分かりませんか?」

男「これは、作ったんだよな?注文したんじゃなくて」

執事「えぇ、そうですよ。一流のコックが作ったものです」

男「一流ねぇ……。爺さん、紙とペンを用意しろ」

執事「紙とペン……コック宛のラブレターでもしたためるおつもりで?」

男「……そうだな。とびっきり甘酸っぱいラブレターを叩き付けてやる」
616 :>>1 [sage saga]:2012/05/18(金) 18:49:26.58 ID:A4zs6OJno
―――三日後



給仕長「館さま……」

当主「あら、どうしたの?ワインが足りなくなったのかしら?」

給仕長「私は……私は……、この仕事に誇りを持っています。ですが……」

給仕長「今日をもって任を降ろさせていただきます」

当主「……また、随分急なのね。理由くらいは聞いてもいいかしら?」

給仕長「……自信を無くしました」

当主「料理の?大丈夫よ。あなたの料理は文句がつけられないわ」

給仕長「そんなことはありません。私は……余りに未熟でした」

当主「ふぅ……そんなに弱っているなんて、余程ね。誰かに言われでもしたの?」

給仕長「……あの客人です」

当主「……は?」

給仕長「返ってきた食器に手紙が付いているのです」

給仕長「内容は……ただ、その日のメニューの作り方です」

給仕長「でも……!私の作り方とは違うやり方で……」

給仕長「私も多少知識のある素人の戯れ言だと思いました……」

給仕長「試しに書いてある作り方で作ってみて、その考えは変わりました」

給仕長「美味しかったんです!私のやり方より遥かに!」

給仕長「それから、恐かった。彼からの手紙が来るたびに……私のちっぽけなプライドが傷ついて……」

給仕長「……もう、耐えられません。これ以上、自分の至らなさを曝されるのは……」

給仕長「もう……本当に……ううっ……っ……」

当主「……ふぅ、あの子にも困ったものね」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/05/18(金) 18:50:42.22 ID:A4zs6OJno
―――



当主「どうして呼び出されたか分かるかしら?」

男「いきなりですね、御当主。まるで小学校の先生だ」

当主「そうね、確かに幼稚な質問だわ。でも、あなたには十分でしょ?」

男「ははは、こりゃキツい。間違っていないのが、またなんとも」

当主「それで、答えてくれるかしら」

男「まー、分かっていますよ。素人ちゃんへのしごきが強すぎたんです」

当主「しごきが強すぎたのはそう。でもね、彼はプロよ」

男「へぇ、プロだったんですか。いやぁ、実際に会っていないもので、料理は趣味程度の相手かと」

当主「その認識のせいで、彼はコックを辞めてしまいそうだわ」

男「あ、そこまで追い詰めていましたか。これは失策」

男「で、まさか、そんな阿呆な話をする為におれを呼んだのではないですよね?」

当主「責任を取りなさい、客人」

男「……御当主、失礼ですが話が阿呆から変わっていません」

当主「阿呆でいいの」

男「……なるほど。これは上手い逃げだ」

当主「責任の取り方も貴方に任せるわ。一番誠意があると思うやり方を取りなさい」

男「ふむ……」

男「では、こういうのはどうでしょう」

男「今のコックが辞退を取り止める、又は後任が決まるまでおれが料理を作る」

当主「良いと思うわ」

男「……自棄ですか?」

当主「あら、なぜそう思うのかしら?」

男「まともな判断とは思えません」

男「異常な過保護っぷりもそう」

男「罪には罰をが普通でしょう」

当主「あら、叱られることをご所望なの?」

男「そうなのかもしれません。罰の内容で自分の価値の度合いが計れますから」
618 :>>1 [sage saga]:2012/05/18(金) 18:51:57.14 ID:A4zs6OJno
当主「ふふっ、貴方の価値、ね」

当主「そんなに知りたいなら、教えてあげましょうか」

男「本当に、気味が悪くなる羽振りの良さですね。まぁ、だからといって、折角の好意を無下にはしませんが」

当主「はっきり言うわ。貴方はただのオマケよ」

男「オマケ?」

当主「そう、オマケ。貴方みたいな変哲もないただの人間その物に、価値なんてあるはずないじゃない」

当主「それとも、自分は特別だなんて勘違いしていたのかしら。自意識過剰よ、坊や」

男「……はは、確かに仰る通りです。勘違いしていましたよ。いやぁ、お恥ずかしい」

男「で、おれは一体何のオマケなんですか?」

当主「そう怖い顔しなくても教えてあげるわ。勿論、ただではないけど」

男「はっ、忠誠でも誓えと言うのですか?」

当主「そんなことより、もっと素晴らしいことよ」

男「これより素晴らしいとは、余程のことなんですね」

当主「貴方、言うからには相当料理の腕が立つのよね」

男「……?まぁ、フランス料理限定ですが」

当主「それなら、私がびっくりするような美味しい料理を作ってちょうだい」

当主「とびっきりのね」

男「……さすが御当主、吐き気がするような素晴らしさです」

男「えぇ、良いでしょう。作りましょう。とびっきり美味しい奴を」
619 :>>1 [sage]:2012/05/18(金) 18:52:39.02 ID:A4zs6OJno
本当にギリギリでした
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/18(金) 19:17:54.56 ID:u3vYThrUo
唐突に帰ってきた!!
ヒャッホーイ! 乙!!
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/05/18(金) 23:08:59.50 ID:fdLKiVkWo


週末にでもまとめて読み返すとするか
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/19(土) 16:49:09.09 ID:vu2q7DI0o

そして、お帰り
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 07:45:16.58 ID:aA95bfDCo
夫婦のような安定感がある会話だな
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 20:06:43.08 ID:K7+4lm2IO
一ヶ月なんたら防止保守
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 08:13:37.27 ID:ZX4UgzrIO
あと二週間以内に帰って来いよ!
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 00:10:58.73 ID:Hb1Glaelo
sage進行だけあってかなりの深層にあるなこのスレ
627 :>>1 [sage saga]:2012/07/08(日) 12:57:26.46 ID:xDSqafgSO
―――男の家



ガサッガサッ

魔女「……これで良しっと」

魔女「後はどうやって此処を……」

姉「なぁにが良しなのかにゃ〜?」

魔女「えっ!?お、お姉さん!?」

姉「よっ!そんな大荷物抱えて月夜の大飛行でもするつもりかい?」

魔女「か、勝手に部屋に入るのはルール違反じゃありませんでしたか?」

姉「深夜にごそごそ五月蝿くするのもね」

魔女「うっ……」

姉「魔女ちゃん、あたし言ったよね。あいつは探しに行くなって」

魔女「わ、私だってそれに了承した覚えはありません!」

姉「そんなの待ってないよ。命令だもん」

魔女「お姉さんは男さんが居なくなって心配じゃないんですか!!」

姉「心配だよ」

魔女「そうですよね!お姉さんは冷こ……えっ?」

姉「心配だよ。当然だ。家族だもん」

魔女「えっ、な、なら、どうして?」

姉「素人が動いたって共倒れになるからさ。素直に警察に任せた方が良い」

魔女「言ってることは分かります。でも、お姉さんは警察に頼んでいないでしょ!」

姉「おう!今回は犯人は魔法使いだって分かり切ってるかんな!んなイレギュラー、警察さんじゃ探せない」

姉「徒労に終わらせるのは可哀相だ」
628 :>>1 [sage saga]:2012/07/08(日) 12:58:43.44 ID:xDSqafgSO
魔女「そうです。イレギュラーなんです。だから、共倒れを覚悟してでも私たちが動くべきなんじゃないですか!」

姉「言うね。でも、その強気の出所は虚じゃないだろうね」

魔女「お姉さん、犯人は魔法使いです。そして、私も魔法使いの一人です」

魔女「落ちこぼれですが、この件に関して言えば警察みたいな素人より上手くやれます」

姉「ほー、どうするんだい?バックパッカーになって全国行脚しながら探すのか?」

魔女「本家に帰ろうと思います。目のこともありますが、何か教会の動きを掴んでいるかもしれません」

姉「ま、そんなところか。聞けてはっきりしたよ」

姉「やっぱ、絶対に行かせらんねー」

魔女「な、なんでですか!危険だからですか!?」

姉「そう危険だ。うちの可愛い可愛い愚弟が」

魔女「は……はぁっ!?」

姉「魔女ちゃん、あんたどっちの味方なんだい?」

魔女「どっちってそりゃ、お姉さん達ですよ」

姉「仮想敵は?」

魔女「か、仮想もなにも敵は教会でしょう!」

姉「もし、敵が本家だったら?もし、愚弟を攫いやがったのが本家だったら?」

魔女「あり得ません。そうするメリットが見当たりません。私がいるのに」

姉「絶対にか?」

魔女「絶対にです」
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/08(日) 12:59:19.07 ID:cPfXjMUzo
待ってたよ
630 :>>1 [sage saga]:2012/07/08(日) 13:02:08.55 ID:xDSqafgSO
姉「ひひっ、魔女ちゃんさ、酷いこともされたみたいだけど、結局つまり自分の家が大好きなんだな」

魔女「な、何でそんな話になるんですか!そりゃ、愛着が無いと言ったら嘘になりますが……」

姉「良いさ良いさ。責めてるワケじゃない。愛情はバラ撒いてなんぼさ」

姉「愚弟が心配なのは確かだろう。目が、つまり魔力切れが心配なのも確かだろう」

姉「でも、それだけか?違う、違うだろ。もう一つあるだろう」

姉「実家と連絡が取れなくなって不安なんだろ、魔女ちゃん」

魔女「……!お姉さん、知って……」

姉「知ってるさ。魔女ちゃんのお兄さんの死亡を報告したのが最後だったってのもね」

魔女「……盗聴器でも仕掛けてたんですか。私の部屋に……」

姉「いっひっひっ」

魔女「私は……信頼されてなかったってことですか!」

姉「いや、普通に深夜に魔女ちゃんがどうしてどうして、って叫ぶ声が聞こえただけだけど」

魔女「……あ、そ、そうですか……」

姉「ま、私としてはそんな中途半端な奴を愚弟が捕えられているかもしれない場所に送るワケにはいかない」

姉「誰に味方して良いかも分からず、中途半端な助けと中途半端な裏切りで台無しにしてくれかねない」

魔女「だから、本家が攫っているというのは……」

姉「その考えが味方の視点だよ」

姉「私らからすればね、良い魔法使いは魔女ちゃんだけで他はみな敵だし、向こうも同じ考えだろ」

魔女「……じゃぁ、結局、私は帰らして貰えないんですね」

姉「そうなる。なぁに、心配すんなって!眼帯姿の魔女ちゃんもしっかり可愛いよ!」

魔女「そういうことじゃありません!」

姉「……2つほど言っておこう」

魔女「……?」

姉「魔女ちゃんの実家は大丈夫だ。叩けば簡単に潰せるほど小さい組織じゃないんだろう?」

魔女「え、えぇ、そりゃ勿論」

姉「んで、私たちは誘拐された時、一人で脱出出来るくらいの備えは何時だってしてる」

姉「こと奴さんは科学に関しては素人も良いところだ。どっしり構えてりゃ、あのバカはひょっこり帰ってくるさ」

631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/07/08(日) 21:45:24.87 ID:kgE7wvlHo
きてたあああああああ
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 21:49:23.91 ID:JfU8el30o
おお来てた
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 22:22:38.71 ID:T2ro4l9IO
おっす
634 :>>1 [sage saga]:2012/07/10(火) 11:16:27.62 ID:zw0cvp/SO
―――本家



当主「……驚いたわ。貴方、本当に料理が上手なのね」

男「プロにしごかれましたから」

当主「それ、捉え方では凄い皮肉よ。まるでうちのお抱えシェフが素人みたいじゃない」

男「素人ではありませんよ。進化をしていないだけです」

男「まさか、石器時代の調理法を受け継いでる人がいたなんて驚きでした」

当主「ふぅ、辛辣ね。彼が此処にいたら泣き出していたでしょうね」

男「それに関しては残念としか言いようがありません。大の大人の無様な姿は中々見られませんので」

当主「可愛いらしい趣味をしてるわね。それで、私は貴方の料理に大いに満足したわ」

当主「出来ればチップを弾みたいところなのだけど、相場を知らないの。好きな額言ってちょうだい」

男「はははっ、さすが御当主。気前の良さもその器量の良さと負けず劣らずですね」

男「では、あいつの家庭教師を呼んで貰いましょう」

当主「家庭教師を?不思議な頼み方ね」
635 :>>1 [sage saga]:2012/07/10(火) 11:17:35.47 ID:zw0cvp/SO
―――



学士「遅くなってしまって申し訳ございません、館様。本日のご用件は如何なことでしょうか」

当主「私こそ急に呼び出したりしてごめんなさいね。今日はね、貴方にご指名がかかったかかったのよ」

学士「指名と申しますと、誰ぞ私の叡智を聞きつけ、教えを享受したいと言ってきたのでしょうか」

当主「さぁ、それは分からないわ。そこの彼に聞いてみて」

学士「彼……?」

男「おう、おれだ。よろしくー」

学士「は、ははっ、ははははっ!館様、これは何のご冗談でしょうか!」

当主「冗談ではないわ」

学士「冗談ではない!?だって、ただの人間ではありませんか!」

学士「ははははっ!こんな奴が私の高説を聞いても、とんと理解しえないでしょう!まるで無駄ですよ、館様!」

男「ちょっとばかし口を塞げ愚者。アホ面がより輝いて見えて、心底目障りだ」

学士「……なんだと」

当主「こらこら、喧嘩しないの。呼んだ私の顔を潰すつもりなのかしら」

学士「い、いえっ!決してそのようなことは……。ですが、相手はただの人間で……」

男「すみません。可愛いらしかったもので、つい意地悪をしたくなりました」

当主「では、もたつかないで速やかに用事を済ませてね」
636 :>>1 [sage saga]:2012/07/10(火) 11:20:14.30 ID:zw0cvp/SO
学士「……ふぅ、他ならぬ館様の命令だ。話ぐらいはしてやろうじゃないか」

男「やー、どうも」

学士「ふん。それで、何が知りたいんだ。魔法回路第二原理か?錬金術の基礎構築式か?」

学士「何でも私の叡智に聞き給え。もっとも、理解出来るかどうかは知りえるところではないがね」

男「いや、おれバカですから、そういった難しい話はちょっと」

学士「ふははは!まぁ、そうだろうな!だが嘆く必要はないぞ。酷く愚鈍なのが君たちただの人間の持ちえる才能だ」

男「いや、全く。で、おれが頼むことは至って単純。もう少し右に寄って、顎を少し上げてくれ」

学士「ふむ、寄ったぞ。まさか、写生でもしたくて私を呼んだのかな?」

男「あぁ、実に良い感じ……だ!」ブンッ

学士「へっ?」

バキィッ

学士「ひぎゃぁっ!!」

当主「あら!」

学士「ぐぅぅぅ、こ、このぉ!何をするんだ!は、鼻が折れたぞ!」

男「いやぁ、あいつと約束してましてね。下衆のような教育をしてる家庭教師の鼻を折ってやるって」

当主「それだけの為に貴重な機会を使ったの?」

男「えぇ。それにしても、やはり素手で殴ると痛いですなぁ。危うくこっちの骨まで折れるところでした」

学士「ガキぃ!よくも!よくもやってくれたな!」

男「あぁ、お前もう帰って良いよ」

学士「ふざけるな!私の顔を傷付けやがって!ぶっ殺してやる!」

男「折角一発で綺麗折ってやったのに、自分から苦痛を拾いに来るか。ドMさんめ」

当主「……ふふっ、ふふふっ。あっはっはっはっはっ!」

学士「や、館様?」

当主「あー、可笑しい。わざわざ約束を果たす為にですって?貴方は紳士の鑑ね!」

男「止してください。赤面してしまいます」

当主「ふふふっ、確かにこれは思った以上に高くついたわ。でも、払い過ぎでもなかったわよ」

学士「館様、一体何の話を……」

当主「あぁ、貴方はもう帰って良いわよ。ご足労だったわね。でも、傷の治療ぐらいはしていっていいわ」

学士「なっ……!館様、納得いきません!こんなガキに苦汁を飲まされたまま帰るなぞ――

当主「帰れと言ったのよ。喚くなんて命令してないわ。それとも、消えたいのかしら」

学士「うっ……、わっ、分かりました」

カツカツカツカツ

637 :>>1 [sage saga]:2012/07/10(火) 11:30:36.18 ID:zw0cvp/SO
男「……さすが御当主。部下の扱いに慣れておられる」

当主「上に立つ者に必要なことよ。褒めるようなものではないわ」

男「失礼。下に這いつくばる者の目からは余りに鮮やかに映えましたので」

当主「褒め過ぎは毒よ。さて、今日はとても楽しめたわ。ありがとう」

男「いえ、自分は横暴に振るっただけですから」

当主「次もその調子でお願いね」

男「驚いた。次があるのですか。失礼ですが、破綻してしまいますよ」

当主「心配しなくても大丈夫。あと一、二回する余裕はあるわ」

男「おれが破綻してしまいそうです。身に余る金になってしまいます」

当主「貴方だって、後一、二回は節制出来る筈よ。私はそう信じているのだけど」

男「ふふっ、信じるですか。何とか応えてみせましょう」

当主「そうそう、これはちょっとしたお願いなのだけれど」

男「はい、何でしょうか」

当主「此処のコック達を全員しごいてくれないかしら?」

男「ふむ……チップは?」

当主「払わないわ。嫌なら断ってちょうだい」

男「成る程。分かりました。ある程度は無償の愛を捧げましょう。ある程度ですが」

当主「ありがとう。助かるわ」

男「おれも美味しくない料理を流し込むのは苦痛ですからね。利害の一致ですよ」

当主「そうね、利害の一致ね」

男「最も出来るなら受けたくありませんでしたが」

当主「やはり面倒臭いかしら」

男「いえ、この小人には怖いのです。御当主の優しさと信頼が」

当主「無償の愛よ」

男「本当に早くその浅ましい腹の底を見せて貰えれば、こんなに震えなくてすむというのに」

当主「それはお互い様でしょう。貴方だって私たちに底は見せないじゃない。悪態で隠してばかりで」

男「どうですかね。どうも、御当主にはもう一歩のところまで踏み込まれていそうなんですがね」

当主「過大評価よ。それじゃ、明日から宜しく頼むわ、先生」

男「ヤー。任せて下さい」
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 11:46:13.80 ID:xObnEi24o
今回は更新早いな
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 17:28:56.96 ID:vGC2Dr3uo
おかえりー
まってた
いちおつ
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:22:31.49 ID:Xh0l7i8IO
乙だ
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 21:53:10.66 ID:u91m29/IO
どんどん書いておくれやすー!
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 07:06:50.21 ID:qtZo8QLIO
やっと再開した
心待ちにしてたんだず
643 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:02:00.96 ID:FymmFvMSO
―――



男「なぁ、チップはどうやったら貰えると思う?」

侍女「どうしました?急にお金でも欲しくなりましたか?」

男「そうだな。どうせなら、2回分せしめたいなぁって」

侍女「良く分かりませんが……そうですね。三回回ってワンでもしてみたらどうでしょうか」

男「それで貰えてもチップじゃねぇだろうが。真面目に考えてみろよ」

侍女「VIPルームでごろごろするだけの貴方が、チップなぞ貰える訳ないでしょう」

侍女「お金が欲しいなら芸の一つでもするか、無様に乞食でもやってみたらどうですか」

男「きひひ、確かに。チップを受け取る為の前提を忘れてたぜ。上客のうちは貰えないわな」

侍女「話は以上ですね。なら、口を塞いてください、、客人。貴方の声も口調も何も全て真に不愉快ですので」

男「まぁ、ちょっと待てよ」

侍女「なんです」

男「くるくるくる〜」クルクルクル

男「ワンッ!」

侍女「……」

男「へへっ、鳴いたぜ?金はどうした?拍手はどうした?嘲笑はどうした?さっさとしやがれよ、おい」
644 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:05:35.16 ID:FymmFvMSO
侍女「……はぁ、呆れました。金の為ならプライドを捨てれるんですね。なんて卑しい」

男「卑しくても生きれれば金星だワン」

侍女「見世物としては程度の低いものでしたが、まぁ、餌ぐらいはあげましょう。精々の哀れみです」チャリン

男「……へぇ。やっぱりそうか」

侍女「どうしました?まさか、少ないとケチ付けるつもりですか?」

男「いや、十分だ。ただ、通貨は円以外に持ってないのかい?」

侍女「今は持ち合わせていませんね」

男「おやどうして?」

侍女「円以外持っていても使えないからです」

男「ってことは、今居るのは日本か」

侍女「あっ……!」

男「わざわざご教授どーも。脱出した後の不安が少し減ったよ」

侍女「このガキッ……!」

男「おいおいおい、怒るなよ。別に嵌めたワケじゃないだろう。あんたの自爆だ」

侍女「……チィッ、確かにそうだ。まっこと私の自爆だ。クソッ!腹立たしい!」

男「まぁ、安心しろ。楽しめるうちは脱走なんてしねぇ。あんたの自爆は本当に些細なもんさ」

侍女「あぁ、そうかい!」

男「どうした、口数が少ないぞ?ん?」

侍女「……手前は随分頭と口が回る。このまま勢いに乗せられ楽しく談笑なぞ続けたら、何回火消しすりゃ良いか予想つかなくなる」

侍女「なので、沈黙で金を溶かさせて貰います」

男「なんだぁ、つまらん。そっちも随分おれの扱いに慣れてきちまったもんだなぁ」
645 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:10:22.67 ID:FymmFvMSO
―――



執事「感心しませんな、客人。今は就寝の時間の筈です」

男「ん〜?」

執事「どうしてこんな所でワインを傾けているのですかな?」

男「ははっ、初耳だよ。今の時間が就寝時刻だって?なら、太陽さん沈んでからは一体何の時間だ?」

男「ミサでも開いて子山羊の首でも刈り取るのかい?」

執事「太陽が沈んでからは当然就寝です」

男「おかしな話だ。それじゃぁ、一日中寝てなきゃいけないみたいだ」

執事「えぇ、そうです。貴方はあの部屋でずっと大人しくしていなければなりません」

執事「決して許可無しに屋敷をうろついてはいけないのです。ましてワインを飲むなど」

男「あんたはワインに感謝するべきだな。こんなに美味しそうなものが無ければ、おれはこの屋敷からエスケープしてたよ」

執事「どうやって牢から抜け出したのです」

男「ふふん、気合いさ」

執事「教える気が無いのなら無理には聞きません。それに今回のことにも目を瞑りましょう。こちらにも不備があった模様」

男「太っ腹だねー。このワインを分けてやっても良いぞ?」

執事「……次からは容赦なく拘束致しますからな。あと、それ以上ワインを開けぬことです」

男「未成年が酒を飲むのは駄目ってか?」

執事「酒の味も分からないガキに飲まれては、そのワインが可哀想だと言ったのです」

男「失礼な奴だ。ワインの味くらい分かる」

執事「ジュースのようにあおっているうちは、そのような虚勢も張らないことですな」

執事「吹き出しそうになるのを堪えるのも辛いのですから」

男「ご忠告どうも。次からはグラスを回して飲んでみるよ」

執事「簀巻きになるとしても格好付けたいというのなら、お好きに」

男「ほろ酔い気分の時に柔らかな布地で包んでくれるとは。おぉ、実に優しきロートルよ」

男「だが、辞退しよう。布地が一つ減ったら、貴方の寿命も一つ分減ってしまうだろう」

男「自己犠牲は時に美しく、時に醜くある。己を大事にしたまえ、ご老人」

執事「その口に噛ませる布も必要なようなので、二枚減ることになりますなぁ」

男「はぁ〜、涎拭きまで付けてくれるか」

男「赤子扱いには少々戸惑うが、まぁ、眼も頭も枯れ木にて十、二十の齢の差が分からないと思っておこう」

執事「……なんなら、貴方の食事を粉ミルクにしましょうか?」

男「あっはっはっ、分かった。負けたよ。それだけは勘弁だ。素直に部屋に戻ろう」

執事「やれ、ようやくですか。泣き喚いてくれた方が、まだマシに思えますな」

男「これでも夜は故郷を想い、こっそり泣いてるんだぜ」

執事「それはそれは。夜の見回りの楽しみが一つ増えました」
646 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:14:21.58 ID:FymmFvMSO
―――



男「元給仕長。この現状は何だ?」

給仕長「え、いや、何かおかしな箇所がありますでしょうか……」

男「ワイン、バルサミコス、黒胡椒、塩、サフラン、ジンジャー、蜂蜜、砂糖、香草……」

男「前見たときから思ってたんだが……少なくね?」

給仕長「数でしたら、暗室の方にかなり蓄えがあったと思いますが……取って来たほうが良いのでしょうか?」

男「種類だ、バカ」

給仕長「種類が足りないですって?冗談でしょう?それ以上別の物があっても使い道がないですよ」

男「使い道がないとは、随分ほざきやがる。その発想の原点を言ってみろ」

給仕長「だって、本に無いでしょう」

男「あーあ、これだよ。進化っつーか、適応って言葉を知らないなぁ、魔法使いってのは」

給仕長「なっ……!このレシピは我が本家にずーっと受け継がれてきた特別な本ですよ!」

男「そいつをありがたがるのは料理人じゃない。歴史学者だ。つまり、それほどに古いんだよ」

給仕長「古いのが悪というのですか」

男「いいや。掘り起こしたワケでもないのに、古いまんまってのが悪い」

給仕長「古いままは先代の意志を尊重するからこそで……」

男「ドアホ。料理は壁崩しに挑戦し続けるゲームだろうが。素材も器具も何もかも移っていくんだから尚更だ」

男「あとな、ラテンなんぞ読めないから多分になるが、書いてあるのは当時の庶民達の料理な」

男「それでも、ワインと果物が有るのは貴族達への憧れだろうな。そのせいで余計に味が崩壊してる部分もあるし」

給仕長「あ、憧れですって!?私たちは!高貴な魔法使いなんですよ!」

男「テメェら、魔女狩りっつー、大迫害から逃げて来たんだろうが」

男「良いとこ没落貴族か、細々と隠れてた奴らの末裔があんたらなんだよ」

給仕長「と、とても信じられません!与太話です!」
647 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:17:06.13 ID:FymmFvMSO
男「まぁ、予想だしな。信じなくても結構だがね。えーと、何の話してたっけ?」

男「そうそう。レシピ本は使えないって話だったな」

給仕長「あぁ!まだそのことをいうのですか!」

男「これぐらいは折れろ。おれが改変したレシピに勝るものが一つでも有ったか?ん?」

給仕長「そ、それは……」

男「無いよな。だから御当主に泣き付いた。誇りが云々だっけ?」

給仕長「ぅっ……っ……ぅぅ」

男「おい、泣きそうになるなよ。こっちは別に涙が見たいワケじゃないんだ」

男「ったく、あんたは一等煽り辛いなぁ」

給仕長「な、泣きませんよ!こんなことで!」

男「あっそ。ならいいや。で、その本は料理本としての価値は無いってのはもう認めたな?」

給仕長「はい……」

男「じゃぁ、ようやくだ。お料理の話に入ろう。って言っても、まずは調味料揃えないとな」

男「石を買いにくる宛はあるみたいだし、そいつらについでに調味料を買って来てもらうってのは出来るか?」

給仕長「はぁ、それぐらいでしたら。館さまの許可は要りますが……」

男「含んだ言い方だな。何ぞつっかい棒でも掛かってんのか?」

給仕長「その……魔法を使わない貴方たちただの人間の食材は、その……食べて大丈夫なのでしょうか?」

男「……」

給仕長「い、いや、より美味しく料理する方があるのはもう認めます」

給仕長「で、ですが……、えーと、ろくな栽培方法も保存方法もない未開の文明なのでしょう?」

男「ふふっ、冷暗室で喜んでる奴らに言われるとギャグにしか聞こえねぇや」

男「再教育をしてやろう。泣きながら聞け」
648 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:20:06.55 ID:FymmFvMSO
―――



学士「出来た……完璧だ……」

学士「ふふ……、ふふふ、これで、これで私の鼻をあのガキを最大限に苦しませることが出来る……」

学士「あっはははははは!あぁ!楽しみだ!何とも楽しみだぁっ!」

男「へー、そいつは凄い。どんなのだ」ヒョイッ

学士「あっはは…………え」

男「うっわ……ラテンで書いてら。喋りが日の本で書きがラテンって、やっぱり狂ってる気がするんだけどなぁ」

学士「え……え……?」

男「高貴さに強烈な憧憬でも感じてたのかねぇ、昔の魔法使いってのは」

男「あんたはどう思う?」ニッ

学士「ぎ、ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

男「おいおい、おれと会えたからってそんなに喜んでくれるなよ。その、なんだ、照れる」

学士「な、ななな、なんで貴様が此処に居るんだっ!?」

男「散歩の途中に知った声が聞こえたんでね。挨拶しに来たんだ」

学士「監禁中だろうがぁっ!!」

男「監禁なんて酷い誤解だ。オートロックの客室に寝泊まりしてるだけさ」

学士「抜け出たのか!」

男「んー、深夜ってのは不味かったかね」

学士「し、信じられない。あの牢から抜け出るなんて。しかも、逃げるでもなく私のところに……」

学士「……まさか!」

男「何か気付いたみたいだが、残念ながらあんたに告白しに来たワケじゃないぞ」

学士「ふざけた態度を……!だが、その余裕も見せられなくなる!」

学士「ずばり、貴様は私を人質にするつもりだな!」

男「……ん?」

学士「はっはっはっ!その間抜けな顔、図星だろう!」

学士「確かに、私は前回貴様の拳打を受けてしまった。そこから、君は私を弱いと思ってしまったのだろう」

学士「だが、甘かったな。こうして考えも見破った今、不意討ちは受けない」

学士「真っ向に戦えば、ただの人間である貴様が私に勝てることなぞ、万に一つもないのだ!」

学士「仮に負けようとも、私は大人しく人質にはならない。潔くこの命を捨てる覚悟だ」

男「……」

学士「さぁ!どうする、人間!私と戦うのか!」
649 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:21:10.58 ID:FymmFvMSO
男「……ぷっ」

学士「ん?」

男「ぷはっ、あっはっはっはっ!っはっはっはははは!!あはは!」

学士「な、何が可笑しい!!」

男「くっくく、ひ、人質だなんて真面目に言われると予想してなくてっ!」

男「つーか、テメェ、さっきまで隙だらけだったろうが。不意討ちするチャンスが腐るほどあったこと忘れてんなよ」

男「何より、自分に人質が勤まるほどの価値が在ると思ってるのが、もー最高に笑える」

男「いいか、お前にそんな価値は無い。勘違いすんな。自意識過剰なんだよ。恥ずかしい奴め」

学士「この……っ!私を辱めるかガキィ!」

男「テメェの自爆だよ、バカ。くくっ、本当は色々するつもりだったが、此処に居たら笑い死にさせられそうだ」

男「つーワケで、おれ帰るな。いや、楽しい夜を有り難う。hava a good dream」ガチャッ

バタン

学士「……お、」

学士「……おぉぉ」

学士「ぉぉおのれぇぇぇぇ!!あのガキィィィイイイ!!」

学士「一度ならず二度も私をっ!!」

学士「くそっ!くそっ!くそっ!」ダンッダンッダンッ
650 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:27:47.94 ID:FymmFvMSO
―――



当主「随分と楽しんでいるようね」

男「楽しんでいるとは?」

当主「此処での生活よ」

男「はははっ、まぁ、退屈しない程度には」

当主「このまま住んでみるのはどうかしら?」

男「冗談。おれは此処には観光で来ているんです。迎えが来たらそそくさと、おいとまする腹積りです」

当主「そう、残念だわ。上手くやっていけると思ったのだけど」

男「部下のことも考えてあげてください。ストレスフルで病んでしまいます」

当主「あぁ、そうね。一番大切なことを忘れていたわ。貴方、私たちが嫌いだったわね」

男「ギスギスした職場は好みませんし、作りたくありません。他人のままで煽るから楽しいんです」

当主「ねぇ、貴方」

男「はい」

当主「私たちが庶民か没落貴族の流れだと言ったのも嫌悪感からかしら」

男「おぉ、何とも、血潮まで凍てつきそうな眼ですね。震え上がってしまいますよ」

当主「答えなさい、客人」

男「真実を言ってしまえば、嫌悪感云々の嫌がらせではなく、あくまで推論した結果です」

当主「その推論の過程、聞いても差し支えないかしら」

男「第一、食がみすぼらしい」

当主「確かに貴方の料理には劣るけど、それだけで落伍と分かるのものなの?」

男「分かります。庶民の調理に無理矢理上流階級の食材を注ぎこんでいるのがあなた方の料理です」

男「貴族の日々を忘れられなかった没落者か、貴族に羨望を抱いていた愚者の仕業と予想出来ます」

男「第二、未だに日常的な書き言葉がラテン語だということです」

男「ラテンの読み書きは上流の必須ステータスでしたから、また同じ理由ではないかと予想します」

男「もっとも、導ける中であなた方が一番嫌うであろう結論を意図して出している部分はありますが」

当主「……なるほどね」
651 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:29:42.35 ID:FymmFvMSO
男「やはり、気に食わないでしょうか。なんなら、下らぬ妄想でしたと叫んでも良いですよ」

当主「その必要はないわ。ふふっ、貴方は随分優秀ね。本家が必死に隠してきた恥部をこうも簡単に見抜くなんて」

男「単純におれが外部の者であるということと、知識があったからです。普通の教育を受けた人間なら誰でもたどり着くでしょう」

当主「貴方たちにとって当たり前でも、私たちにとっては凄いかとなのよ。今までそんなことを唱える人はいなかったんだもの」

男「唱える先から消していたからでは?」

当主「さぁ?そこは黙秘させてもらおうかしら」

男「非道い人です。生殺しではありませんか。気になって食が細くなってしまいます」

当主「たまには細くしてみるのも悪いことじゃないわ。食べ過ぎの節制よ」

男「そうは言いますがね……」

当主「まぁ、余程聞きたいなら、この事実を本家と教会に漏らさないことを誓えば教えてあげようかしら」

男「うーん、安いですね。別にそこまでの約束を取り付けるほど聞き惚れたいことでもないのです」

当主「別に質問の内容を変えても良いのよ」

男「全く別のことでも?」

当主「えぇ」

男「ならば甘えて問いましょう。魔法使い共で戦争を起こしたことはありますか?」

当主「戦争なら沢山してるわ。今だってそう」

男「慣れない銃と近代装備に身を包み、森林を散兵連れて伸し歩き、人も獣もとにかく殺し回った戦争がありませんでしか?」

当主「えらく具体的ね」

男「よくよく思い出してみると、オッドアイが多かったなぁ、と……」

当主「何のことか分からないけど、私たちは魔法使いよ。貴方が思うよりも誇り高く、不器用で、度し難い」

当主「科学に、私たちを迫害してきた人間の力に擦り寄り尻尾を振るぐらいなら、万年の苦しみの果ての死を選ぶ」

当主「そういう生き物なの。悪いけど、そんな子供の癇癪は起こしたことないわ」
652 :>>1 [sage saga]:2012/07/26(木) 04:31:21.41 ID:FymmFvMSO
男「そうですか。お答えしていただき有り難うございます、御当主」

当主「どうしてこんな珍妙なことを聞いたのかしら」

男「聞きたいことは沢山あります。頼みたいことも。前回はその最たることで、今回は二番目。ただそれだけです」

当主「そう、私も変なことを聞いてしまったわね」

男「おきになさらず」

当主「それにしても、銃、銃、銃ね………」

当主「……」

男「そんなに真剣に考えないでください。ある種の戯れ言です」

当主「……あぁ、……そう……そういうことね……」

男「御当主?」

当主「貴方、八年前のアレに巻き込まれたのね」

男「……!」

当主「ふふっ、それでそうなのね。ようやく疑問が解けたわ」

男「知っているんですね。何があったか」

当主「えぇ、戦争なんてややこしい言い方をするものだから分かりにくかったの」

男「教えてください、御当主。アレは貴女がしたことですか?」

当主「思い出しなさい」

男「思い出す……?」

当主「えぇ、貴方はあそこで魔法を見た筈だわ。それを思い出しなさい。そうしたら、全て語ってあげましょう」

当主「全てね。ふふふっ」
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/07/26(木) 07:44:44.26 ID:/yaCsJXMo
核心に近づいてきたか!!
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/26(木) 23:20:51.52 ID:9sA4D9MIO
おっつっつ
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 07:00:57.94 ID:OjfDsVdIO
乙ん
656 :>>1 [sage saga]:2012/07/27(金) 17:38:15.24 ID:OuHCHz0SO
―――八年前



姉「ねぇ!今の見たっ!?」

男「う、うん、山の方でなにか光ったね」

姉「これきっとアレだよ!UFOだよ!UFOに違いないよ!」

男「ぇぇぇえ!?UFOなの!?」

姉「お姉ちゃんが言うんだから間違いない!だからね、ほら、宇宙人捕まえに行こ!」

男「い、いやだよ!さらわれちゃう!」

姉「バカやろー!ビビってたら他の誰かに先こされちゃうだろ!」

男「だいたい捕まえてなにするの?」

姉「売りさばく!」

男「えぇっ!?宇宙人さんを!?」

姉「うん!きっと高く売れるよ!お菓子買いたい放題だ!だから、早く行こ!」

男「ぅうう、お菓子食べほうだいは良いなぁ。でもやっぱり、怖いよぉ」

姉「男の子が怖がらないの!ほら、早く早く!」

男「や、やだぁ!行けないったら行けない!」

姉「ふん!だったらお姉ちゃん一人で行くもんね!この恐がりんぼ!」スタスタスタ

男「えっ、ちょっと、お姉ちゃん!危ないよ!」

バタンッ

男「あ、ぁぁう、行っちゃった……」

男「……」

ガタッ

男「ヒッ……!だ、誰かいるの……?」

男「……」

ガタガタッ

男「ま、待ってよお姉ちゃん!ひ、一人にしないでよぉ!」タッタッタッ
657 :>>1 [sage saga]:2012/07/27(金) 17:39:21.06 ID:OuHCHz0SO
―――八年前 山中



男「お姉ちゃぁん、もう帰ろうよぉ。もう疲れたよぉ」

姉「あとちょっとだから、泣き言言わない!言わない!」

男「それさっきも聞いた。ちっともちょっとじゃないよ」

姉「もう!文句言うなら何で着いてきたの!?」

男「えっ、そ、それはその…………寂しかったから……」

姉「……はぁ、ったく仕方ないわね。少し休もうか」

男「いいの!?」

姉「私も疲れてきたし、ちょっとだけならね」

男「うん!ありがとう、お姉ちゃん!」

姉「急に元気になるんだから……」

男「えへへ、じつはお家からチョコ持ってきたんだ。半分こしよっ?」

姉「ん、なら貰っちゃおうかな」

男「んーと、今出すからちょっと待って――

ガサガサッ、パキッ

男「……!」

姉「しっ……!静かに。何かこっちにくる。宇宙人かも」

男「……」コクコク

ガサッガサッ

姉「……」

ガサッガサッ

男「……っ」ゴクッ

パキッ、ピシッ

大きな影「……」ガサッ

姉「お、ぉぉぉおっ……!」

男「お化けだぁぁぁぁぁ!!」

姉「に、ににに逃げよう!!」ダッ

男「うわぁぁぁぁぁん!!」ダッ

大きな影(イノシシ)「……?」
658 :>>1 [sage saga]:2012/07/27(金) 17:40:11.69 ID:OuHCHz0SO


タッタッタッ

男「ハァ……、ハァ……ハァ……ッ、ハァ……」

男「に、逃げ……きれたの……?」

男「ハァ……、はぁぁぁ………」ヘタッ

男「こわかったぁ……」

男「……」

男「あ、あれ?お姉ちゃんは?お姉ちゃんがいない?」

男「何で?だって、いっしょに逃げて……」

男「逃げて……えっ、ウソだ!お姉ちゃん!?」

男「お姉ちゃん!?ウソっ!?食べられちゃったの!?」

男「お姉ちゃん!へんじしてよ!お姉ちゃん!お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」ダッ

男「おねっ――

ガッ

男「あいたっ!」コケッ

男「な、なんだよもう!」バッ

男「あれ、石……?これにつまずいたの?」ヒョイッ

男「わぁ……きれい。まっ白でつるつるしてる……」

男「……あっ!お姉ちゃん探さないと!」

男「とりあえず、石はカバンに入れて……よしっ」

男「お姉ちゃーん!へんじしてー!お姉ちゃーん!」

「……i……k」

男「お姉ちゃん?」

「……う……せ……」

男「お姉ちゃんだっ!!」ダッ

男「おーい!お姉ちゃん!」タッタッタッ

男「よかった!お化けに食べられちゃったのかと心配して……」ガサッ

兵士「……?」

男「えっ、お姉ちゃんじゃない……?おじさん、だれ?」

兵士「……殲滅対象一体捕捉。種類、ヒト。子供。アジア系」

男「……?ねぇねぇ、おじさん。ボクのお姉ちゃん見なかった?」

兵士「……」ガチャ

男「え……」

659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/07/27(金) 18:53:50.83 ID:0zR+UW95o
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/28(土) 06:53:01.43 ID:rzpX+UX0o
ガチャ
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 04:44:56.46 ID:n4SCHsmDo
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 12:20:56.97 ID:g+8q1hUZo
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/14(火) 14:32:02.76 ID:GHsjmtP00
664 :>>1 [sage]:2012/08/14(火) 23:20:27.38 ID:V2axreRSO
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 23:32:39.37 ID:QwK/I/SIO
ガチャ
666 :>>え [saga]:2012/08/14(火) 23:52:15.16 ID:V2axreRSO
―――本家



男「失礼します、御当主」

当主「早かったわね。もう、すっかり思い出せたのかしら?」

男「えぇ、何回も思い出しました。それで、やはりあの一つしかないだろうと」

当主「一つ、ね」

男「おや、一つでは足りませんでしたか?」

当主「そんな顔をしないでちょうだい。別に一つでも問題ないわ。そういう可能性もあるもの」

男「と言われましても、一度気になりだしますと集中しきれずに吃ってしまいそうです」

当主「大丈夫よ。お客は私一人だもの。上手く言えなくても恥ずかしくないわ。さ、答えてごらんなさい」

男「だからこそ恥ずかしいのですが……まぁ、今だけは僅かばかりの度胸を掲げましょう」

男「人払いですね。一度だけ、血吸い虫が使ったところを見ました。準備に時間と手間が相当かかる代物みたいですが」

当主「それは、正しくは正解ではないわ。でも、魔法に疎いのだから特別に認めてあげましょう」

男「ご厚意、まこと感謝致します。が、人払いではないならいったい何があるのです?」

当主「この屋敷と同じものを使ったと言えば良いかしら。貴方なら何となく気づいていると思うけど」

男「……なるほど、位相を変えているんですね」

当主「流石ね。正解よ」

男「この建物は巨大です。少なくとも、一国の城ほどの規模でしょう。牢や錠の造りから相当の歴史も知れます」

男「ただでさえ日本では珍しい近代西洋建築物に加えてこの付加価値。個人所有であっても噂になり、有名になるでしょう」

男「ですが、ありません。科学の星の目をもってしても、活発な貴女がたの住みかは発見出来ていないのです」

男「全く不自然極まりないです。外部からは認知不可能であれば別ですが」

当主「ふふっ」

男「正直、いくらなんでも有り得ないと思っていましたよ。魔法というのは、本当に何でも出来るのですね」

当主「何でもは出来ないわ。科学がまだ出来ていないことが、魔法なら少し出来るだけよ」

当主「逆もまたあるわ。そちらで言う冷蔵庫の役割を果たす存在がこちらに無いことからでも分かるでしょ?」

男「成る程。上手に住み分け出来ているものですね」

当主「双方とも認知しあってないもの。住み分けとはちょっと言えないかしら。言うなら、透明な隣人ね」

男「妙な響きですね」

当主「もっとも、日々の進歩で境界は曖昧になってきているようだけど」

男「それはどちらの?」

当主「どちらもよ」
667 :>>え [saga]:2012/08/15(水) 00:04:28.71 ID:/2drfyaSO
男「魔法も進歩するのですね。保守的で変わらないものかと思っていました」

当主「同じヒトなのだから、選択は違えど道は同じよ。少しは魔法に対する偏見が消えたかしら」

男「えぇ、次は科学に対する偏見が減って欲しいですね」

当主「そうね。教育の改善も視野に入れておくとするわ」

男「どうも」

当主「では、約束を守りましょうか。でも、完全な正解で無かったのだから、一部伏せさせてもらうわ」

男「えぇ、構いません。自分の失敗で貴女に八つ当たりをするほど子供ではありませんので」

当主「器が大きくて助かるわ。そうね、何から話そうかしら……」

当主「……貴方が一番聞きたがっていることから始めましょうか」

男「それは何とも嬉しい。好物には真っ先に箸が伸びる性格なんです」

当主「あの虐殺の原因の一つは確かに私たちよ」

男「へぇ」

当主「そして、もう一端の原因であり、実行したのが教会。つまり、私たち本家の敵であり、貴方にちょっかいをかけ続けた相手よ」

男「その原因とは?」

当主「省略させて貰うわ。ただ、下らない小競り合いでないことは私が保証しましょう」

男「貴女がたはおれ達に剣先を向けていない、と」

当主「えぇ。あの場ではね」

当主「それで教会だけど、彼らは貴方たちの社会ともコネがある組織で、科学もある程度受け入れているクズ魔法使いの集まり」

当主「といっても、あの場所にクズはゼロね。居たのは、教会に雇われた人間の傭兵だと思うわ」

男「おれ達の社会の傭兵?それにしては驚異のオッドアイ率でしたが。どういうワケかは知りませんが、オッドアイは貴女達の特徴でしょう」

当主「魔法使いに無理矢理したということよ。実験も兼ねていたのでないかしら」

当主「思い出して考えなささい。なぜ子供の貴方たちが生き残れたか。実力があったから?姉弟の絆が強かったから?日頃の行いがいいから?」

当主「すべて自惚れよ、坊や」

男「……相手が弱体化していたんですね。それも子供に劣るほど」

当主「そうよ。可愛そうに。あの子たちは意識も朧のうちに殺されていったのね」

男「御当主、彼らは本当に無理矢理魔法使いにされただけですか?」

当主「鋭いわね。でも、省かせてもらうわ」

男「これもダメですか。随分とペナルティが多い」

当主「あぁ、安心して頂戴。今省略したところはいずれ話すわ」

男「や、それを聞いて安心しました。赤点ギリギリを叩きだしてしまったのかと、胃の痛い思いでした」
668 :>>え [saga]:2012/08/15(水) 00:08:27.79 ID:/2drfyaSO
当主「次は……そうね。なぜあの場所だったかということだけど、拍子抜けしないでね」

男「どうぞ、精々胆に気合いを込めていますから」

当主「偶然よ」

男「……失礼、クラッと来ました」

当主「巻き込まれた貴方からすればそうよね。でも、本当に偶然なの」

男「位相を変える魔法はそんなに簡単に起こせるものなのでしょうか」

当主「準備自体は本家も教会もあの日の三年前からしていたのよ」

男「本家も、ですか」

当主「えぇ、出来るなら介入したかったわ」

男「ははっ、なら貴女たちがおれとこうして会話出来ているのも偶然ですね。介入していたら問答無用で滅ぼそうと決めてましたから」

当主「それなら偶然を起こす神に感謝しても良いわね。貴方と話せないなんてまったくもって大損だもの」

男「いや、全く。おれも御当主と楽しく会話出来る奇跡を神に感謝しているところです」

当主「他に喋って欲しいことはあるかしら?」

男「一つ。位相を変えたことで長い期間助けが来なかったのも、抜け出せなかったのも分かります」

男「ですが、その後は?あそこでは大量の死体と大量の兵装が取り残されていた筈です」

当主「勿論隠滅したわ」

男「どうやってでしょうか?簡単に出来る話でも無い気がするのですが」

当主「ごめんなさい。話してあげたいのだけれど、こればっかりは企業秘密なの」

当主「ネタが分かってしまえば、私たちがどれだけ貴方達の社会に潜んできたか明かされてしまうわ」

男「残念です。是非とも裸にひん剥いてみたかったのですが」

当主「まぁ、怖い。まるで野獣ね」

男「男の子ですから」

当主「花売りでも当てて、発散させておいたほうが良いのかしら」

男「花売りと言っても、どうせ魔法使いでしょう。喜んで辞退させてもらいます」

当主「一人で寂しくない?」

男「寂しいですね。なに、別に自分はウサギでもないので、そのぐらいは耐えてみせます」

当主「そうやってやせ我慢しちゃうところを見ると、貴方も年相応の男の子ね」

男「ははっ、くすぐったいお言葉です」

当主「それじゃ、今日はもう部屋へ帰りなさい、客人」

男「次のアポイントメントを入れておきたいのですが、何時なら都合が良いでしょうか」

当主「近いうちに私から場を設けるわ。アポは必要なしよ。貴方に対してのアポが必要なら取り付けるけど」

男「おれを暇人と知っての発言ですか」

当主「だって、迎えが来るのでしょう?それまでに最低一回は会えるようにしたいのよ」

男「そのことならご心配なく。迎えは当分先ですから」

当主「その言葉、信じているわ」

男「まぁ、それでも、なるべくお早めにお願いしますね。あんまり待たされると、遊び道具が切れてしまいます」

当主「壊してしまうのでなくて?」

男「人の物を壊していけないと母から教わっていますので、それはあり得ません」
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 06:54:54.81 ID:EQlJh4cIO
壊しちゃうくせにwwww
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/08/15(水) 12:09:16.59 ID:j/Zzntfto
まったくだ
671 :>>1 [saga]:2012/08/19(日) 15:45:22.47 ID:kc3NIZZSO
―――男の家



運転手「……はい、ですから、私に預けて頂きたく」

姉「んー、性能確かめてないからなぁ。ま、確かめる術もないけど」

運転手「お嬢様の勘は何と言っておられますか?」

姉「成功する」

運転手「ならば、大丈夫でしょう」

姉「人らしい部分より、動物らしい部分を評価されてるのって、あんまり嬉しくないにゃー」

運転手「頼りになるのだから仕方在りません。それに、お嬢様には人らしい部分で褒めるところが無いではありませんか」

姉「はっはっはっ、首を飛ばされたいのか、貴様」

運転手「雇い主は飽く迄貴女の父親。貴女にその権利はありません」

姉「だが、私が父さんに泣き付いたとしたら……どうなると思う?」

運転手「そうですね……普段甘えてこない娘の奇行に罠の気配を感じ取り、一歩身を退かれるのではないかと」

姉「……うん、そうね……」

魔女「あれ、ドライバーさん?珍しいですね。どうかしたんですか?」

運転手「おぉ、これは魔女さま。お久しぶりでございます」

魔女「はい、お久しぶりです」

運転手「本日は少しばかりお嬢様に用事がありまして、それで寄らせていただいた次第です」

魔女「はー、お姉さんに……」

姉「ん?何だその視線は」

魔女「いえ、一応お嬢様をしていることもあるんだなぁ、と思いまして」

姉「こら、私は普段からお嬢様らしいだろうが」

運転手「ご安心下さい。今回はお嬢様としての立場に期待したものではございませんので」

姉「なんだすとコノヤロー」

魔女「あぁ、それなら良かったです」

姉「そして、その反応はなんだバカヤロー。泣くぞコノヤロー」
672 :>>1 [saga]:2012/08/19(日) 15:47:36.05 ID:kc3NIZZSO
魔女「……それで、その用事がどういったものなのか聞くのは無礼でしょうか」

運転手「やれ、貴女も賢しくなりましたね」

姉「全くだ。おろおろしていた頃はもう昔か」

魔女「男さんに関係のあることなんですね」

運転手「……私の口から何とも」

魔女「お姉さん」

姉「さぁ、どうだろうね。都合の良い方向で考えていいよ」

姉「ただ、そうだね。魔法に秘密の連絡方法があるように、科学にもいくらでもそんなものはあるのさ」

魔女「やっぱり、男さんの無事が分かっていたんですね……。落ち着きすぎだと思ったんです」

魔女「よくよく考えると、お父さんもお母さんが何も言ってこない時点で気付くべきでした……」

姉「ドンマイ!」

魔女「……」ジト−

姉「な、なんだよぅ。私だって好きで隠してたワケじゃないよぅ」

魔女「……分かっています。私が内通することを危惧したんですよね」

姉「いいや、単純に忘れてたわ」

魔女「はい?」

姉「メンゴ!」

魔女「……ぷっ、あははっ!」

姉「はははははっ!」

魔女「はは……はー……、お姉さん、お話があります」

姉「おっと急用を思い出した!」ダッ

魔女「逃がしませんっ!」ダッ

姉「わざーとじゃないーんだよぅ。許しーてくーれよぅ」タタタッ

魔女「お姉さんのは質が悪いんです!将来の為にもここでお灸を添えさせてもらいます!」タタタッ
673 :>>1 [saga]:2012/08/19(日) 15:49:23.80 ID:kc3NIZZSO


<ワーワーキャーキャー


運転手「……ふむ、仲睦まじく大変によろしいようで」

運転手「それでは、私はこれにて失礼させていただきます」

姉「おうっ!疾く疾く去れ去れ!」ダダッ

魔女「あっ、ちょっと待ってください!お帰りになる前にお姉さんを捕獲してください!」ダダッ

姉「はんっ!バカめ!こいつは私の家の専属ドライバー!つまり、私の味方ァッ!」ダダッ

運転手「それぐらいの助力でしたら」ガシッ

姉「あるぇー?」

魔女「ハァ……ハァッ……、あ、ありがとうございます!」

運転手「お気になさらず」

姉「おいテメー。裏切りとは華やかなことしてくれんじゃねーか」

運転手「先も言いましたが、雇い主は旦那さまです。お嬢様か魔女さまかを選ぶのは私の自由となります」

運転手「ならば、お嬢様より可愛げのある魔女さまを優先させるのは当然のこと。裏切りではありません」

姉「むむっ、貴様のその強気!嫌いではないぞ!」

運転手「お褒めに預かり光栄です」

姉「魔女ちゃん!君も彼みたいな毅然、泰然とした判断を見習い給え!」

魔女「はい!毅然、泰然とした姿勢でお小言を言います!」

姉「正座でかね?」

魔女「もちろんです」

姉「……やれやれね」

魔女「それではドライバーさん、改めてありがとうございました。また、いらしてください」

運転手「はい、それではお嬢様がた、頑張ってくださいね。くれぐれも騒音にはお気をつけて」

魔女「はい!大声を出させないように気をつけます!」

姉「えっ!?私が出すの?な、なにするつもりで?」

魔女「えへへ」

姉「いや、えへへじゃなくて」
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/19(日) 21:52:58.51 ID:YE441LRKo
えへへ
675 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:06:08.66 ID:pHVFkT+SO
―――本家 地下牢



学士「はーっはっはっはっ!寝心地はいかがかな、客人!」

男「今日に関して言えば最悪だな。なにせ、眠りを邪魔されている」

学士「そうか!そいつは重畳だ」

男「一介の家庭教師ごときがこのVIPルームへ何の用だ?」

学士「復讐だよ」

男「中々の冗談だ。堅物かと思ってたが、どうだ、案外話せるじゃないか」

学士「冗談ではない!忘れたワケではなかろう!私の鼻を折ったあの日を!私を侮辱したあの日を!」

学士「私は!あの苦痛への報いを貴様に与えにきたのだ!」

男「そうか、お疲れさん。今日はもう帰って良いぞ」

学士「相変わらず癪に触れてくる奴だ……。だが、それも今に崩れる!」

男「なんか、前にも聞いたぞ、そのセリフ」

学士「うるさい!いいか!よく聞け!今日からこの私が貴様を一睡たりともさせん!」

男「…………ゲイ?」

学士「違う!そういう意味じゃない!睡眠を妨害すると言いたいのだ!」

男「やっぱりゲイじゃねーか」

学士「だぁぁぁぁっ!真面目に聞く気はないのか!貴様に今から降り掛かる恐ろしいことだぞ!?」

男「ねーよ、んなもん。復讐の方法がみみっちすぎる。はっきり言って、興が削がれる」

学士「館さまから貴様を傷つけることを禁止されていなければ、私もこのような恥ずかしい手は使わない!」

男「なるほど、そういった事情か。からかって悪かったな。てっきりジョークかと」

学士「ふん、まぁ、そう取れなくもないからな」
676 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:07:16.63 ID:pHVFkT+SO
男「で、学者先生。おれをどうやって眠らせないつもりだ?添い寝してピロートークでもすんのかい?」

学士「気色の悪いことを言うなっ!」

男「怒るなよ。軽い冗談さ」

学士「……これを見ろ」

男「棒っ切れだな。それとなく気品を感じさせる」

学士「これを使い、貴様をつつく」

男「……」

学士「どうした?そんなに恐ろしいことじゃないだろう。何故なにも言わない」

男「……」

学士「……まさか、眠たいのか?」

男「……」

学士「……」

男「わあっ!!」

学士「うわぁぁぁぁっ!!」

男「そんなにビビってちゃ世話ないな。復讐なんぞ諦めて今日は眠りな」

学士「……」

男「おれももう寝る。日に二回も興を削がれたのは初めてだ。二度と経験したくない」

学士「……す、好き放題言いやがってぇっ!!」バッ

男「よっと」ガッ

学士「あっ!」

男「起きてる時に棒を突き出してどうする。ほうれ見ろ、奪われちまうじゃないか」グイッ

学士「うわっ」ガシャン

男「……はぁ、これで三回目だ。なんというか虚しいなぁ」

学士「……」

男「で、この棒は返した方が良いか?」

学士「い、いるかっ!!クソッ!」

カツカツカツ

男「……愛すべきか、笑うべきか迷うバカだな、あいつ」
677 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:08:58.76 ID:pHVFkT+SO
―――



当主「こんにちは、客人。元気にしているかしら」

男「これはこれは、御当主。わざわざ部屋まで足をくれるとは」

当主「たまには歩かないと、お尻と椅子がくっついてしまうわ」

男「なるほど。それは回避すべきことですね。ささ、どうぞ部屋に入ってきて下さい」ガチャッ

当主「ふふっ」

男「どうしました?何かおれが無作法でも働いてしまったのでしょうか」

当主「いえ、ドアを簡単に開けたのが面白くて」

男「ドアを……済みません、今一要領を得ないのですが」

当主「だって、この部屋のドアは内鍵も外鍵も付いているでしょう」

男「あー、はい、そういうワケですか。いや、難しいことではありません。中で話しましょう」

当主「えぇ、何故かティーポットもあるみたいだし、紅茶を傍らに話して下さるかしら?」

男「大丈夫です。本当に簡単な話なんです。あ、どうぞ、この赤いソファーに」スッ

当主「ありがとう」

男「なに、紳士として当然のことです」

当主「それにしても、随分部屋の様子が変わったわね。最初は簡易トイレとベッドがあるだけだったのに」

男「いやぁ、1人でここまでするのは苦労しました。……えぇと、紅茶、紅茶……」ガチャガチャ

当主「ソファーに椅子にテーブル、絨毯、食器、ワイン、書物……全部私からの借り物だとしても大したものね」

男「埃を被って眠っていた、付喪神になる寸前の品を選んでお借りしました。報告が遅れたことはすみません」カチャ

当主「そう、この子たちにまた使命を与えてあげたの。ありがとう。眠ったままにするよりずっと素敵よ」

男「褒め殺しは止してください。おれは極めて利己的な動機で動いただけです」トポトポトポ

当主「無意識の善意ということね。ただ、このワインだけはもう少し寝かせていて欲しかったかしら」

男「それは失礼。ですが、その子にも罪はあります。色気を放ち過ぎという罪が」カチャ

当主「それでも寝ている生娘を襲うなんて最低よ。今度から自重なさい」

男「ご心配なく。彼女以上の色気を持つ娘っ子が、地下のワインセラーにいないことは確認済みです」

男「どうぞ、紅茶が入りました」コトッ
678 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:11:15.79 ID:pHVFkT+SO
当主「んー、良い香りだわ」

男「ミルクと砂糖はお入れいたしましょうか?」

当主「結構よ。そのままでも美味しいのでしょう?」

男「勿論です。ああ、こちらクッキーとスコーンになります。少々湿気ているかもしれませんが」

当主「ありがとう。では……」コクッ

当主「……」

男「……」

当主「……うん、とても美味しい」

男「ありがとうございます」

当主「クッキーもスコーンも良い出来ね。ジャムか生クリームがあればもっと嬉しかったけど」

男「失礼しました。女性は太ることを気にしているものかと思い、用意をしていませんでした」

当主「あら、そちらでも女の子は痩せたがりなのね」

男「男性の視点から言わせてもらいますと、些か度が過ぎていて少し身を引いてしまいますが」

当主「それは違うわ」

男「違うとは?」

当主「度が過ぎていることにではなくて、度を過ぎようとする必死の顔が怖いから身が引けるのよ」

男「なるほど、言われてみればそうかもしれません」

男「それで、確か……そう、鍵の話をせねばなりませんね」

当主「待っていたわ」

男「簡単な話ですよ。錠を改造したんです」

当主「どのように?」

男「開いているのに外からは閉まって見えるように」

当主「まぁ、そんな単純なこと。奇術士がよく使う手ね」

男「仰る通りです。あ、他の皆への種明かしは止めてくださいね。食いはぐれてしまいます」

当主「勿論しないわ。なにより、皆の楽しみを奪ってしまうもの」

男「これは要らぬ忠告でしたね」
679 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:12:38.11 ID:pHVFkT+SO
男「それで、御当主。おれを訪ねて来た理由はなんでしょうか」

当主「……」コクッ

当主「本当に、美味しい紅茶だわ」

男「どうも」

当主「……ねぇ、客人。貴方、どの程度の痛みなら気絶しない、ないしショック死しない自信があるかしら?」

当主「爪を剥がされる、歯を抜かれる、骨を折られる、皮膚を削ぎ落とされる」

当主「手足をもがれる、目玉を刳り貫かれる、肉を燃やされる、腸を溶かされる……」

当主「ね、どこまでが限界なのか、素直に教えて頂戴」

男「……」

男「……そうですね、髪を引っ張られるくらいでしょうか」
680 :>>1 [saga]:2012/08/23(木) 00:14:47.83 ID:pHVFkT+SO
(^O^) キョウオワリー
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2012/08/23(木) 01:16:07.84 ID:O/9aReSOo
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 01:20:10.40 ID:9FEWHOJIO
御屋形様ご立腹
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 06:59:12.38 ID:LEEkfScIO
ツギモマッテルー
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/08/24(金) 02:57:41.59 ID:IFoRxzESo
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/05(水) 16:44:53.51 ID:jesI4Z9IO
面白いよー
686 :>>1 [saga]:2012/09/13(木) 00:54:08.87 ID:rmnndPTSO
―――本家 祭儀場



「…………さい」

「……き…さい」

「…きて下さい」

「起きて下さい」

男「……んっ、だれっ……いづっ!」ジャラ

男「……あ?」ジャラッ

男「あぁ?……これ……鎖か……」ジャラッジャラッ

侍女「ようやくお目覚めになられましたね」

男「おー、あんたか。相変わらず美人だね」

侍女「ありがとうございます」

男「それで、美人さんにちょいと聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」

侍女「なんでしょうか」

男「なんでおれ、石のベッドに鎖の布団で眠ってるんだ?」

侍女「貴方が暴れ出さない為です」

男「へぇ、今から緑の巨人になる薬でも飲まされるのか」

侍女「まさか。仮に有ったとしても、貴方に飲ませるメリットが一つも無いでしょう」

男「その反応は知ってるな。アメコミにも精通してるとは、お前、本当はおれたちのこと大好きだろ?」

侍女「……胆力だけは褒めましょう。ですが……」ヒュンッ

ドゴッ

男「ぐッ……!」

侍女「場所ぐらいは弁えろよ、ガキ。皆が優しかったサービス期間はとっくに終了したんだ」

男「ゲホッ……ゲホッ……はは、誰が優しかったって?アレで優しくしてたつもりか」

侍女「殴りはしなかったろ?」

男「非暴力が優しさだなんて勘違い、今この場で正しておけよ。子ができた時恥ずかしい親になるぞ」

侍女「皮も剥けきらないガキが、育児論を飛ばしてんじゃねぇ。アホに見えますよ」

男「ばーか。外野の内だから騒げるんだよ」

侍女「おぉ、貴方にしては上等なことを言いますね」

男「中途半端な女だなぁ。褒めるか貶すかどっちか片方だけ取れよ」

侍女「褒めて欲しいのですか?」

男「バカを言え。気色悪い」

侍女「では、貶して欲しいのですか?」

男「アホ言うな。腹立たしい」

侍女「面倒くせぇ奴だ」

男「もぅ、面倒臭い男が好きなくせにぃ」
687 :>>1 [saga]:2012/09/13(木) 00:59:56.33 ID:rmnndPTSO
当主「そうね、何時だって男の子は手間がかかるもの。それに恋する女の子の苦労は分からないでしょう」

男「これは、恥ずかしいことを聞かれましたね。御当主、今のはほんの戯れですのでお忘れ下さい」

侍女「館さま、このような場所に足を運んでもらうことになり申し訳ありません」

侍女「本来ならば、私たちだけで行わねばならないことなのですが……」

当主「私が立ち合わねば客人に失礼になるわ。それより、貴女は準備に取り掛かって頂戴」

侍女「はい。整い次第声をおかけ致しますので」

カツカツカツ

当主「……さて、客人。スイートルームの寝心地は気に入ってもらえたかしら」

男「えぇ、勿論。寝返り一つもうたない眠りを経験させてもらいました」

当主「良かったわ。ベッドが固すぎて気を悪くしていないか心配だったの」

男「今のところは大丈夫です。全く問題ありません。これからどうなるかは、貴女次第ですが」

当主「ふふっ、例えば何を言ったら眉間にしわが寄るのかしら」

男「例えば、拷問だなんて言葉は即時帰宅レベルですね。実に品が無い」

当主「なら大丈夫。私だってそんな品の無い言葉は嫌いだもの」

男「放置や懲罰は下品ではありませんが、気落ちするには十分ですからね」

当主「貴方を魔法使いにするの」

男「……は?」

当主「貴方を魔法使いにするのよ。どう?とても素敵なことでしょう?」

男「御当主、貴女、一体何を……」

当主「そう何度も言わせないで頂戴。聞こえていないワケじゃないでしょ」

男「魔法……使い……。冗談でもデタラメでもなく、おれを魔法使いにする、と……」

当主「その為に私たちは貴方をお招きしたの」

男「…………最悪の気分です。おれがこの世で一番嫌いな生物になってしまうなんて……」

当主「なら、嫌になって帰ってしまうのかしら」

男「嫌がらせ……ではないんですね?」

当主「わざわざ確認するようなことかしら?」

男「……はい、大丈夫です。なら、帰りませんよ。というより、帰れません」

男「施術はこれから直ぐに執り行うのでしょう?迎えは早くて明日の朝なんです」

当主「なるほど、拷問をされても監禁をされても帰宅出来るというのに嘘は無いわね」

男「まぁ、1日は我慢しなければならないものでしたが」

当主「それにしても、随分あっさり受け入れてくれたわね。もう少し暴れるかと思ったわ」

男「だから、この鎖ですか?」ジャラ

当主「その役目もあるのは確かよ」

男「……諦めですよ。受け入れてはいません。騒いでも意味がないと諦めているだけです」

当主「もう、背伸びしちゃって。子供なんだから、しっかり騒ぎなさい」

男「格好つけて大人の真似をするのも子供らしい行動でしょう」

当主「ふふっ、確かにそうね。そこも、可愛いらしいところだわ」
688 :>>1 [saga]:2012/09/13(木) 01:00:55.68 ID:rmnndPTSO
男「それで、御当主、施術の予定を聞かせてもらっても宜しいでしょうか?」

当主「これから準備が整い次第、直ぐに始めるわ。退院は……そうね、何もなければ一週間後かしら」

男「分かりました。では迎えの者には一週間後と伝えておきます」

当主「そうして頂戴。他に何か?」

男「後はわざわざ質問せずともお医者さまが話してくれる。そうでしょう?」

当主「えぇ、その通りだわ」

コンコン

侍女「館さま」

当主「あら、良いところに。準備は出来たのね」

侍女「はい」

当主「アレをここに」

侍女「どうぞ」スッ

当主「ありがとう。他の物もこの部屋に運び入れて頂戴」

侍女「畏まりました」

カツカツカツ
689 :>>1 [saga]:2012/09/13(木) 01:05:25.61 ID:rmnndPTSO
当主「さて客人、この包みの中に何が入っていると思う?」

男「その球形から察するにスーパーボールだと」

当主「残念。惜しいわ。正解はこれよ」パサッ

男「おぉ、これは見事な義眼ですね。鮮やかなブルーの瞳が何とも芸術的です」

当主「この青はアパタイト。意味は――

男「繋がりの強化ですね。それとも、柔らかな惑わしの方が好みですか?」

当主「良く勉強しているわね。感心するわ」

男「敵の武器を熟知しておくのは、兵法の初手ですから」

当主「その敵を殺しきったとしても安心して忘れてはダメよ。石の言葉は魔力の性質に等しいのだから」

男「貴女のご忠告とあれば、記憶に焼き付けています」

当主「本当に頼むわね。せっかく良いものを選んだのに、魔力が馴染まずに両方とも壊れるなんて悲しいわ」

男「おれだってそんな間抜けな死に方は悲しいですよ。魔法使いになるより悲しい」

当主「うん、大丈夫そうね。ところで、私が昨日言ったことを覚えているかしら?」

当主「ほら、貴方が眠る前に聞かせたでしょう?」

男「覚えていますよ。ただ、昨晩はかなり話が弾みましたからね。具体的にはどのお話でしょうか?」

当主「どの程度の痛みに耐えられるかと尋ねたことよ」

男「あぁ、あの。えぇ、大丈夫です。復唱すら出来ますよ」

当主「なら、もう察しているわね」

男「はい」

当主「これから、貴方の目玉を刳り貫くわ」

男「はい」

当主「麻酔は使わずによ」

男「はい」

当主「辛さは、鎖で縛る必要性から判断出来るわね」

男「はい」

当主「髪の毛を引っ張られただけで倒れてしまうような貴方には、かなり苦しい手術でしょう」

当主「それでも、何とか頑張って気を保っていてくれるかしら」

男「はい。一生に一度くらい、そのような男気を見せるのも悪い気がしません」

当主「その男気、部下の見世物にしても大丈夫よね」

男「おれの逞しさに惚れてしまう女の子が出ない保証があるならば、ご自由にどうぞ」

当主「……」

男「……」
690 :>>1 [saga]:2012/09/13(木) 01:15:16.63 ID:rmnndPTSO
当主「……ふぅ、ごめんなさいね。本当は甘やかしてあげたいのだけれど……」

当主「……貴方に迷惑をかけられた部下が納得しないのよ。痛い目を見るべきだって、そう言うの」

男「申し訳ないと思う必要はありません。おれの父も上に立つ人間ですし、少しは事情が理解出来ます」

男「何より、その英断で貴女に対する恐怖心が少し薄れました」

当主「可笑しな子。自分の目玉を刳り貫く鬼が天使に見えてしまうのね」

男「逆です。天使が鬼の面を見せてくれたから嬉しいのです」

男「貴女は優しくするだけの愚者ではなかった。指導者の構えがきちんとあった……!」

当主「ふふっ、なら、不気味なイメージは払拭されたかしら?」

男「まだです。まだですが……」

男「…………この小人に浅ましい底を僅かでも覗かせてくれたこと、まことに感謝しています」

当主「可愛いことを言うのね、貴方。でも、感謝されて悪い気はしないわ」

当主「さぁ、何時までも話していたら貴方の覚悟が鈍ってしまう。手術をしましょう」

当主「身体が内から弾ける事故も起こり得るから、私は立ち合えないけれど、客席から見守っているわ」

男「勿論、無事に終わることを祈ってくれますよね」

当主「きちんと言葉にしないと不安かしら?」

男「たまらなく不安で、どうしようもなく寂しいですよ」

当主「仕方のない子ね。眼を瞑りなさい」

男「はい」

当主「主よ、今から困難に立ち向かうこの者に祝福を与え賜え、アーメーン」

男「アーメン」
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/13(木) 02:13:15.38 ID:JlXK8mdco
アーメン
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/09/13(木) 17:40:00.01 ID:DbzKQFqYo
Amen
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/09/13(木) 19:10:40.61 ID:PY2+lTLto
乙ーめん
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/14(金) 21:42:48.51 ID:wGvv/W8vo
Aman
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/14(金) 23:42:26.23 ID:JSUcIJuIO
エイメン
696 :>>1 [saga]:2012/10/18(木) 00:11:03.33 ID:fpPJjZfSO

―――



「眼球摘出開始」

―――

「摘出完了」

「出血が酷いが、命に関わるほどでなし。このまま続行する」

「義眼へ神経と血管を繋ぐ」

「治癒魔法」

―――

「癒着確認」

「魔力回路の生成に入る」

「術式……」

―――

「失敗。再度試みる」

「患者の失神を確認。このままでは見世物としてつまらない。意識回復をはかる」

「電撃用意」

―――

「意識回復。魔力回路の生成に移る」

「術式……」

―――

―――

697 :>>1 [saga]:2012/10/18(木) 00:11:36.85 ID:fpPJjZfSO
――本家 医務室



男「……うっ………ぁぁ……」

男「ハァッ……ハァ……ッ……」

男「ねぇ……さん……」

男「あつい……あついよ……ねぇさん……」

男「……ぐっ……ぅう……」

男「うぅっ……からだが……あつ……いんだ……」

男「ねぇさん……たすけて……っ」

男「うぅ……ぁぁああっ………」

男「めがっ……めがやけっ………」

男「……いやだっ……うっ……ぅぅ……」

男「……ッ……ハァ……ハァ……」

男「いたいっ……いたい……」

男「ねぇさん……っ」

男「……そばに……そばに……きて……」

男「ハァッ……うっ……ぐぅぅううううっ……」

男「ハァッ……ハァッ………ッ……ぅっ……」

男「さ……びしい……さびしい……よ……」

男「ねぇ……さん……」
698 :>>1 [saga]:2012/10/18(木) 00:12:51.68 ID:fpPJjZfSO
―――


魔女『やっほー!みんなのアイドル!マジカルミミミです!』

魔女『地球の平和を脅かす悪の魔法使いはフィジカルケミカルデストロイ!』

魔女『さぁ、チャッキー!今日の獲物は何処っ!?』

ワニスケ『今日はあそこの民家に住む中年っす!』

魔女『やっぱりね!あいつが学校の先生でありながら、生徒の妹さんを狙おうとしていたあたりからもしやと思っていたんだ!』

ワニスケ『ミミミちゃん、人の行動の善悪如何が魔物の決め手になることはないっすよ!』

魔女『黙れマスコット』

ワニスケ『さぁ、パワーアップとか面倒なことされる前にやろう!』

魔女『うん!そうだね!くらえっ!マジ☆カルパイナップルボム!』ポイッ

チュドーン

魔女『イェイッ!成敗完了!』

『まだダッ!』

魔女『あ、貴女は!転校生!?』

ロシア少女『ふふフ、驚いたカ?実は私は吸血鬼だったのダ!』

魔女『くっ、自己紹介の時の一発ギャグが滑って、高校スタートに遅れたあたりからもしやと思っていたけど、まさか敵だったなんて!』

ワニスケ『ミミミちゃん、人の行動の結果如何が吸血鬼の決め手になることはないっすよ』

魔女『黙れマスコット』

ロシア少女『今日は素敵なプレゼントも用意したゼ!カモン!』

茶髪男子『うー……あ……』

オカッパ女子『かゆ……うま……』

魔女『うわっ、ゾンビってるの私のクラスメイトだっ!これじゃミンチにしたくても世間体が邪魔でミンチに出来ない!』

ワニスケ『くっ、絶対絶命っすね!』

『まてーい』

魔女『はっ、その声は敵に寝返りやがったお兄様!?』

青年『そうだ!何となく妹を倒すのは僕だと言っておかなければいけない気がしてやってきた!』

青年『手土産付きで』

担任「……しゅたーず……」

魔女『げぇっ!?さっきマジ☆カルした筈のおっさん!?』

ワニスケ『ゾンビ被りで戻ってきてマンネリ化を進めようとは、恐ろしい敵っす!』

『待った待った待ったぁ!』

魔女『えっ!そんなっ、お母様!』

当主『娘の危機を察し、マジカルメメメ!ただいま参上!』

魔女『お母様が助けに……ひゃ……』

当主『……り……たお……』

魔女『……――――


699 :>>1 [saga]:2012/10/18(木) 00:13:56.76 ID:fpPJjZfSO
―――本家 医務室



男「はっ…………!」ガバッ

男「……」

男「……」

男「……」

男「……何だ……今の夢……」

ガチャッ

侍女「……!あら、目が覚めましたか」

男「あんたか……。おれは、どのくらい寝てた?」

侍女「三日と十六時間ですね。なんなら、もう少し寝ていても良いですよ」

男「いや、遠慮しとくよ」

侍女「さすがに弱っていますね。まぁ、あれだけ叫んでいたのですから、体力を消耗して当然ですね」

男「……熱がまだあるんだよ。下手くそな手術のせいだ」

侍女「あれでもかなり優遇されてましたよ。ほら、今こうして生きているじゃないですか」

男「されてなきゃ、殺してたってか。物騒だね」

侍女「私たちは貴方を歓迎していませんからね」

男「んー、まぁ、そりゃそうか」

侍女「実は、起きたら館さまが会いたいと言っていました。直ぐにお呼びしましょうか?」

男「思考がまとまらない。頭がぼーっとする」

男「こんな状態であの人に会ったら、ただでさえ掌の上なのに握り潰されちまう。明日にしてくれ」

侍女「分かりました。では、そのように」

男「今日は優しいな。献身のうちに愛でも見つけたか?」

侍女「これは忠義です。館さまも弱った蝿を潰すのはつまらないだろうと考えたのです」

男「くくっ、なるほど、大した忠臣だな、あんた」

侍女「それでは、客人。私はもう出ていきますね。今日はもう眠るが良いでしょう」

男「眠くないんだがね。ま、目を閉じてればいつの間にか寝てるか」
700 :>>1 [sage]:2012/10/18(木) 00:15:40.08 ID:fpPJjZfSO
続きはまた。なんとかして早いうちにします
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 12:28:47.51 ID:7uys6fiIO
お母様はマママじゃないのか
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/18(木) 13:03:58.00 ID:8wYH8X5Yo
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 21:39:38.08 ID:XzijLNQPo
乙乙
なかなかファンシーな夢で
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 23:34:01.26 ID:rbD6+Nsoo
やっときたーーーー!
待ってたよぉ
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/19(金) 00:56:39.73 ID:sMecEo7k0
やっぱこの男ばけもんだわwwww
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/19(金) 07:23:11.31 ID:umGORCeIO
早く早く
707 :>>1 [saga]:2012/10/20(土) 07:28:37.65 ID:UqhPbC7SO
―――



当主「お久しぶり、になるのかしら?」

男「たかが4日です。お久しぶりではないでしょう」

当主「体調はもう良いのかしら?」

男「完全ではないですがね。まぁ、少なくとも貴女に風を移す心配はなくなりましたよ」

当主「昨日起きてたのに会おうとしなかったのは、もしかしてそれが原因なの?」

男「あまり突かないでください。美人の前では見栄をはらせてくださいよ。虚栄でもね」

当主「なるほど、もう大丈夫なようね」

男「お待たせしました」

当主「病み上がりの貴方を無理に引きずり出しておいてなんだけど、今日はそんなに大事な話ではないの」

男「なら、今日は顔合わせですか?」

当主「そうしても良いけど、この前私が伏せた話の続き、聞きたくないかしら?」

男「それは、なんとも、興味がありますね」

当主「本当に魔法使いにされただけなのか。この質問は覚えているわね」

男「はい。問題なく」

当主「貴方は今、魔法使いになったわ」

男「実感ありませんけどね。あるのは身体のだるさと眼の痛みです」

当主「実感がなくて当然。まだ魔法も使えない存在だもの」

男「なるほど、今のおれはただのオッドアイのイケメンなわけですね」

当主「そうね。貴方は本当に不安定な状態のイケメンよ」

当主「そんな不安定な状態の時に、もう一つの眼も刳り貫いて義眼にしてしまうの」

男「そうすると、彼らみたいになるわけですか」

当主「えぇ。軽い洗脳状態ね。思考はあるけれど、意思決定を自由に出来るようになるのよ」

男「それがあの時の魔法使い化の真実なのですね」

当主「良かったら、貴方もしてみない?」

男「両目とも義眼に?」

当主「えぇ」
708 :>>1 [saga]:2012/10/20(土) 07:31:42.57 ID:UqhPbC7SO
男「……あっはっはっはっ!御当主、おれは小心と言ったでしょう?変に脅さないでください」

当主「あら、どうしてそう思うのかしら?」

男「いやだって、そんなお手軽な方法があるなら、誘拐してすぐに行っているでしょう」

当主「言われてみればそうね。もう、準備も無しにからかおうとするものじゃないわね。恥ずかしいわ」

男「おれは良いものが見れて満足ですがね。本音を言うと、先の話をもう少し詳しく教えてもらえるとより満足です」

当主「そんなに話すことはないわ」

男「あるでしょう。おれにその方法を取れない理由とか」

当主「詰まらないわよ」

男「詰まらなくとも、仮に何か条件があるものなら、それに向かいたくないんです」

当主「条件、ね。特に無いわ」

男「ならば、どんな理由で?」

当主「貴方を強く、そして長く使える手駒にしたいという私の願いよ」

男「両目を義眼にしてしまっては、それは叶わぬと?」

当主「力が弱くなるし、魔力が多くなりすぎて1ヶ月程度で身体が崩壊してしまうの」

男「それは確かに使えませんね。精々捨て駒にするしか道がない」

当主「そういうことよ。試してみたくなった?」

男「ご冗談を」

当主「さて、話はこれぐらいで良いかしら」

男「えぇ。取り敢えずは安心しました。今日はこれくらいにしましょう」

当主「貴方から切り出すのは珍しいわね」

男「さすがに病み上がりなので。それで御当主、大事な話は何時してくれる予定で?」

当主「貴方が元気になりさえすれば、明日でも構わないわ」

男「元気になる必要がある、と。それは早く完治しなければなりませんね」

当主「頑張りなさい。といっても、若いから気にせずとも良くなるのでしょうね」

男「特権ですから」

709 :>>1 [saga]:2012/10/20(土) 07:32:28.35 ID:UqhPbC7SO
当主「羨ましいわ。ところで、貴方はこれからコックのところに行くつもり?」

男「胃と舌が美味い飯を求めていますから。……なにかあります?」

当主「いえ、これはほんの親切心なのだけど、先にお風呂に行くことを勧めるわ」

男「そんなに汗臭かったですか。気付かすにとんだ失態を」

当主「そうじゃないの。ただ、顔にね、落書きがされてて」

男「落書き……?」

当主「ラテン語でね。読めない人からすれば格好良いフェイスペイントかもしれないけど、好き放題されているわ」

男「……一つあげてもらえますか」

当主「玉ナシ」

男「なるほど……」

当主「まぁ、どうするかは好きになさい」

男「折角の親切心を無下にする理由もありません。この足でお風呂に入らせていただきます」

当主「そう」

男「御当主」

当主「なにかしら」

男「一つご許可願いたいことが」

当主「言ってごらんなさい」

男「明日までに誰かの顔を腫れさせてよいでしょうか」

当主「私は、その程度の些事は認知しないとだけ言いましょう」

男「それだけ聞ければ充分です」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/20(土) 21:04:19.52 ID:Y3WWsOkAo
イイヨイイヨー
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/20(土) 23:32:12.66 ID:GTDGJh5Ko
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/24(水) 00:16:33.91 ID:EjwpIrlIO
おおー
来てた!
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/10/28(日) 00:24:25.04 ID:uD1gKY66o
乙乙!
714 :>>1 [saga]:2012/10/28(日) 20:05:01.98 ID:SbfcsxHSO
―――



男「……ハッ……ハッ……」タッタッタッ

男「……ふぅー」

男「……うしっ!」

男「絶好調!」

執事「朝から精が出ることですな」

男「ん?おぉ、爺さん。こんなところで散歩か」

執事「散歩ではありません。中庭の掃除をしているのです」

男「落ち葉も風情だと思うがね」

執事「ここが日本庭園なら映えていたでしょうな」

男「にしても、この建物森の中にあんのな。お陰で気持ちのいいランニングが出来た」

執事「何処まで走りましたか?」

男「ぐるっと。まぁ、10qぐらいじゃないか」

執事「良い森でしょう」

男「あぁ、整備が行き届いてる。見事だったよ」

執事「……この際、貴方が牢から出たことは気にしません」

執事「ただ、貴方が勝手にうろついて何を調べているのか。そこが知りたい」

男「……ハッ、ランニングだって言ってんだろ、爺さん」

執事「……」

男「……」

執事「……はぁ、素直に答えてはくれませんか。尋問出来ないのが悔やまれる」

男「ずっと答えてたろ。空見たり木みたりしながら走ってたんだよ」

執事「ふん、戯れ言は結構。それより、折角元気になったんです。さっさと、館さまの役に立ってきなさい」

男「分かってるよ。何時までも穀潰しじゃ恥ずかしいからな」

執事「貴方にも恥があったのですね。少し見直しましたよ」
715 :>>1 [saga]:2012/10/28(日) 20:06:10.90 ID:SbfcsxHSO
―――



男「……といった感じで急かされましたので、朝も早いですがお邪魔させていただきました」

当主「体調はもう良いのね?」

男「えぇ。今なら貴女たちを全員殴り倒せそうです」

当主「血気も戻ったようね。なによりだわ」

男「手厚い看病のお陰です」

当主「それにしても……」ジッ

男「どうしました?」

当主「いえ、手に怪我が見られないと思って。彼の顔は腫れていたのに不思議だわ」

男「あぁ、それは道具を使いましたから」

当主「道具?」

男「風呂場にあったタオルですよ。濡らして石鹸を包めば、簡単な非殺傷の鈍器になります」

当主「殴られた後の不快感も相当ありそうな武器ね」

男「むしろそちらがメインの機能です」

当主「良かった。彼のこと本気で怒っているわけでは無かったのね」

男「そんなに狭量ではありませんよ」

当主「なら、彼を嫌わないでいてくれるかしら」

男「最初から嫌っていますよ。魔法使いは尽くね。これ以上下げようが在りません」

当主「魔法使いになったのに魔法使い嫌いは辞めないのね」

男「身体を売ったからといって、心まで売ったことにはならないでしょう」

当主「魔法使いとしてさらなる高みを目指すことを選択したものだと思ったのだけど」

男「なったからには食らい付くしてしまおうとしているだけです」

当主「そう」

男「生意気だと叱りますか?」

当主「いいえ。素敵よ、その青臭さ」

男「どうも」
716 :>>1 [saga]:2012/10/28(日) 20:09:18.58 ID:SbfcsxHSO
当主「さて、それじゃぁ、魔力を使う練習でも始めましょうか」

男「練習ですか。オマケを鍛えても兵士には使えないと思うのですがね」

当主「まだそのことを根に持っているの?」

男「持っていませんよ。ただ、気になるんです。練習が終わった先が」

当主「言ってしまっていいの?喜びが減るわよ?」

男「ゴールが見えていると士気が上がります」

当主「……貴方が覚える魔法は一つだけ」

男「一つ……。何やらとんでも無さそうなものが来そうですが、その魔法とは?」

当主「召喚魔法よ」

男「召喚というと……異世界から魔物を呼び出す奴ですね」

当主「異世界も魔物も居ないけど、そういうものだと思ってくれて構わないわ」

男「なら、現実に居る何かを召喚するワケですか。一体何を呼び出して欲しいので?」

当主「貴方と契約を結んだ人工生命体」

男「そんな怪しいものと契約者のやり取りをした記憶はありません」

当主「とぼけないで。気付いているでしょう?貴方の家にいるワニのことよ」

男「えっ……!そ、そんな……あいつが……っ!?」

当主「……えっ、本当に気付いていなかったの!?」

当主「人語を理解する知能、無闇に噛み付かない理性、異常なまでに鋭い感覚、習性、雑食、睡眠、体温に筋力」

当主「ワニであるどころか、生き物としておかしな所ばかりじゃない。それでも気付かなかったと言うの?」

男「いや、だって、家のワニスケですし!!それが当たり前でしょう!!」

当主「……」

男「え、というか、本当に?本当にワニスケは人工生命体なんですか?」

男「だって、あんなに可愛くて可愛くていい子なのに……信じられません……というか、はぁぁ……」

当主「……」

当主「なんというか……その……」

当主「貴方もおバカさんだったのね」
717 :>>1 [sage]:2012/10/28(日) 20:10:13.10 ID:SbfcsxHSO
また次回
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 21:42:39.34 ID:9D2cmFQUo
おかしいのが当たり前って凄い!
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 22:19:08.83 ID:nu6ca00IO
わざわざ召喚するってことは普通に捕らえることは出来ないということか
なんという戦闘力
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/10/29(月) 06:28:07.30 ID:RbeaVKyYo
乙乙!
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/29(月) 08:01:32.31 ID:MAkP8guYo
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/29(月) 14:55:45.61 ID:p/tyG4a2o
乙乙
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/31(水) 17:25:30.02 ID:e3c8j+XIO
また来ておくれ!
724 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:43:35.05 ID:H59sldESO
男「……はぁぁ、変に意識しそうだ……」

当主「……話を続けるわよ」

男「うーい……」

当主「そんなにショックを受けることかしら?」

男「今なら……、今なら育ててきた自分の子供が、実は赤の他人の子だと知った父親の気持ちがよく分かります……」

当主「ペットは雑種が一番という質なのね」

男「親元は気にしません。ただ一点、貴女たちが生み出したモノである、ということを省けば」

当主「私たちが生み出したワケではないわ」

男「では教会ですか?ははっ、大して変わりはしませんよ」

当主「教会でもなし。小さな魔法使いのグループよ。錬金術系のね」

男「……もしかして、魔法使いのグループは沢山あるのですか?」

当主「私たちと教会が二大ではあるけれどね」

男「うへぇ……嫌なことを聞きました」

当主「その小さなグループが偶然生み出した兵器」

当主「組まれた魔法を魔力にまで戻し、吸収する。魔法使いを無力化する恐ろしい生き物よ」

男「そうですか」

当主「興味なさそうね」

男「魔法使いが作ったと分かれば、後は別に。貴女たちの効率の悪い自慢を聞いても面白み無いですし」

当主「どういうことかしら?」

男「魔法を無力化するならば、科学なり肉体なり使って捕えれば良いだけでしょう」

当主「知らないの?ある程度の魔法も使うのよ」

男「はぁ?ワニスケが魔法を?」

当主「遠くに逃げた泥棒なんかを捕まえることもあったのでしょ?」

当主「アレは転移魔法で追い掛けたの。ただし、私たちが使うものより、よっぽど高度なモノだけど」

男「……普通に走って追いかけて」

当主「バイクや自転車相手に?」

男「……そ、それでも――

当主「いいの。言わなくて結構。貴方の口からそんなバカなことを何度も聞きたくないわ」

男「……はい、黙っています」

当主「賢明ね」
725 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:45:46.62 ID:H59sldESO
男「……捕らえられないのは分かりました。ですが、腑に落ちません」

男「ピストル一つで倒せる生物が、どうして兵器になるのです?」

当主「死なないから」

男「えっ」

当主「消えるのは契約が果たされた時。つまり、貴方が死ぬまで何度だって蘇るわ」

男「……うわぁ、マジですか……」

当主「魔力で生きている使い魔は、総じてそうよ。生き物でないのだから、死もなくて当然」

男「……なんか、いよいよワニスケにどう接すれば良いか……」

当主「普通に接すれば良いのよ」

男「……使い魔」

当主「……?」

男「使い魔が他にもあるなら、別にワニスケでなくても……。量産して数で押すとか……」

当主「使い魔は本来、頑張っても偵察に使える程度の力しか出せないの」

当主「戦闘能力を有している貴方のが異例よ」

男「……はぁ、逃げ道なしですか」

当主「それに、使い魔はお高いの。一体で百万は飛ぶわ」

男「魔法にお金がかかるので?」

当主「魔力は宝石に宿る。質の良い宝石が、タダで拾える?」

男「無理ですね。ははっ、魔法には夢も希望もなかったワケですか」

当主「全てに対価は必要よ。科学だって、魔法だって」

男「まぁ、精神力だなんてファンシー吹かれるよりかは素敵です」

当主「さて、最後は少し反れたけど、これで貴方の使い魔を狙う理由が分かったかしら」

男「えぇ……、とても良く」

当主「そう。なら、もう練習に入っても良さそうね」

男「モノにするまで時間がかかりそうですがね」

当主「難しいモノじゃないわ」

男「ずっと練習してきたのに、大した魔法が扱えない人間を一人知っています」

当主「あの娘は落ちこぼれなの。あの娘程度なら、1週間練習すれば誰でも出来るのが普通よ」

男「おれが落ちこぼれの可能性は?」

当主「無いわ。むしろ、貴方は才能のある方よ」

男「貴女にそこまで褒められたら、これはもう頑張るしかないですね」

男「さぁ、どんなハードなことでも言ってください」
726 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:46:58.25 ID:H59sldESO
当主「では、まずこれを見て」スッ

男「魔方陣?」

当主「しっかり見なさい。眼に焼き付けるの。義眼の中の魔力回路が陣の形になるわ」

男「それって実感あります?」

当主「眼の中で何かが動いている感覚がする筈よ」

男「な、なかなか嫌な感覚ですね」ジッ

当主「慣れればどうってこと無いわ」

男「だと良いですが……」ジッ

ゥジュルッ

男「ぅげっ……!」ビクッ

当主「きたみたいね」

男「と、鳥肌が……」

当主「初めてなら仕方ないわ」

男「というか、早くないですか?」

当主「遅いものが実戦で使えると思って?」

男「それはそうですが……」

当主「魔力回路が変わったら、次はその戻し方ね」

当主「といっても、何もしなくても陣を暫く見ないだけで良いわ」

男「簡単ですね」

当主「簡単でなければ、魔法は歴史の中で消えていたでしょうね」

男「誰でもお手軽にですか。いやはや、科学技術みたいです」

当主「2つの差の無さには驚くでしょう」

男「えぇ。でも、不思議と相容れないんですよね」

当主「そうそう、良い忘れていたけど、戻る時も感か――

ゥジュル

男「ぃい゙っ……」

当主「……遅かったみたいね」

男「ぅー……次の機会までに改善をお願いします」

当主「練習その一は、ひたすらこれを繰り返すことよ」

男「どの程度ですか?」

当主「貴方が感覚に慣れ、陣を見たその瞬間に魔力回路が形成出来るようになるまでね」

男「今日はもう、それだけで終わりそうですね」

当主「そう?三時間もかからないと思うけど」

男「三時間……ですか。ご期待に添えるよう、最大限に努力はします」

当主「目が疲れたら、適度に休みなさい。無理して得られるものではないわ」
727 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:49:40.47 ID:H59sldESO
―――二時間後



ゥジュル

男「……」

男「……慣れるものですね」

当主「ね?言ったとおりでしょ」

男「気持ちの悪さは変わりませんが、少なくとも一々律儀に鳥肌をたてることはもうありません」

当主「充分よ。それなら、事故も防げるでしょう」

男「事故?」

当主「魔力回路形成失敗による魔力の暴発」

男「……具体的に言うと、どのくらい危険な事故なのですか?」

当主「普通は片目が弾ける程度で済むわ」

男「悪ければ、顔面の半分ですか。危険ですね」

当主「無茶をしなければ、まず起こり得ない事故よ。一年に一回も無いの」

男「魔法で無茶となると、やはり、使いすぎが原因になるのでしょうか?」

当主「それなら、魔力切れを起こすだけよ。この場合の無茶は、詠唱無しの魔法の行使ね」

男「あの詠唱にも一応意味はあったということですか。ただの格好付けかと」

当主「そうね……、基礎的なことぐらいは説明しておこうかしら」

男「お願いします」

当主「はっきり言って、魔法は陣だけでも発動するわ」

男「陣が重要だと」

当主「ただ、ややこしくてね。これを見て頂戴」スッ

男「これも陣ですか。先ほどよりごちゃごちゃとしていますが」

当主「これを見て、魔力回路は形成されそう?」

男「……そういえば、気持ち悪さがいつまで立っても来ませんね」

当主「そういうことよ。複雑過ぎて読み取れないの。相当な訓練を積んでも、素早く正確な読み取りは難しいわ」

当主「陣は、本来義眼から出る筈の魔法の、代わりの出口となる」

当主「けれども、それは双方の形が正確にリンクしてこそ。それが出来なければ……」

男「ボンッ、ですか。なるほど。詠唱は簡略化された分を補う補助であり、構築を安定させると見ても?」

当主「もう少し難しいけれど、そう思ってもらって構わないわ」

男「では、あの妙な言葉は何処から?日本語だというのも気になりますね」

当主「日本語なのは私たちが覚えやすいから。他の言語圏の魔法使いは、別の言語を使っているわ」

当主「詠唱の内容は、補完に使える言葉を組み合わせて、格好良いものを作っているだけよ」

男「くくっ、なるほど。魔法使いらしい理由ですね」

当主「でしょう?だから、詠唱を決めるときは何日も頭を捻らせて決めるの」
728 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:50:53.13 ID:H59sldESO
男「それなら、おれが唱えるモノも当然格好良いのでしょうね」

当主「今直ぐにでも知りたいの?少し休んでからにしようと思っていたのだけど」

男「慣れが消えないうちにしたいのです」

当主「事故は滅多に起きないと言ったのだけれど……、恐がらせちゃったかしら」

男「当方、小心者につき」

当主「ふふっ、良いわ。簡単な方の陣に手を置いて」

男「はい」スッ

当主「私が今から言う言葉に続きなさい」

当主「『隣人よ、我らは離れすぎた』」

男「『隣人よ、我らは離れすぎた』」

当主「『距離を戻し、今一度我が隣に座れ』」

男「『距離を戻し、今一度我が隣に座れ』」

当主「『これは契約に基づく命令だ』」

男「『これは契約に基づく命令だ』」

当主「『来い、ワニスケ』」

男「『来い、ワニスケ』」

カッ

729 :>>1 [saga]:2012/11/06(火) 14:51:33.46 ID:H59sldESO
また次回
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/11/06(火) 16:43:29.77 ID:uuge/zbso
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/06(火) 20:59:19.14 ID:oEkUvl+Ro
乙!!
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/07(水) 00:17:13.97 ID:B5KyHxUIO
QRコードみたいだ
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 19:32:07.73 ID:bF6iaV+IO
>>732
しー!
言っちゃダメ
734 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:40:13.26 ID:XHAlaUUSO
言われてみると確かにQRコードですね

投下します
735 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:42:29.17 ID:XHAlaUUSO


カッ


男「……」

当主「……」

男「……あの、何も起こらないのですが」

当主「おかしいわね。暴走した風でもないし。もう一度お願い出来る?」

男「えぇ、まぁ」

男「『隣人よ、我らは離れすぎた。距離を戻し、今一度我が隣に座れ。これは契約に基づく命令だ』」

男「『来い、ワニスケ』」

カッ

男「……」

当主「……」

男「……何も起こりません」

当主「……そうね」

男「あの……やっぱり、おれって才能が無いのでは?」

当主「間違っているところは無いわ。それでも発動しないのは、何か別の要因が在るはずなのよ」

男「魔力が足りないとか」

当主「貴方の眼は新品よ」

男「なら、単に向こうの都合が悪いとか、電波が悪いとか」

当主「使い魔に拒否の自由は無いし、呼び出す距離の制限もないわ」

男「じゃぁ、やはり、才能不足ですね」

当主「……それは無いわ。才能不足なら、そもそも魔力に侵食されて……」

男「……どうも、相当悩ませているようで申し訳ない」

当主「……それが起きていないなら、本当に拒否を……?」

男「その……、魔法とて全て解析出来ているワケではないのでしょう?」

当主「……魔法は生み出された技術よ。生物みたいに言わないでちょうだい」

男「これは失礼」

当主「と言っても、原因が分からないのは本当のことだし、正直、参ってるわ」

男「まぁ、今日はおれか機材の調子が悪いということにしましょうよ。また明日挑戦すれば、きっと成功します」
736 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:47:23.54 ID:XHAlaUUSO
当主「……待って。一つだけ失敗の説明がつくものがあるわ」

男「本当ですか?それは良かった」

当主「でも……そんなことが……」

男「あの、ご当主?原因があるならば言ってくださいよ。改善しますから」

当主「……有り得ないだろうけど、貴方が使い魔と契約していないことよ」

男「契約……ですか。そういえば、使い魔との契約はどのように結ばれるのですか?」

当主「使い魔の方から魔力の欠片を貰ったでしょう?」

男「魔力の欠片となると、宝石の欠片ですか?」

当主「違うわ。使い魔の身体の一部と言っていいかしら。光るものを体内に送り込んでくるはずなのだけど」

男「誠に残念ながら、そのような奇跡体験をした記憶はありません」

当主「えっ?」

男「ありません」

当主「名前があるのに?」

男「いや、ペットなら普通に名前はつけますよ」

当主「嘘よ。なら、どうして使い魔が大人しく貴方に従っているというの」

男「愛でしょうね」

当主「はぁ……、頭が痛くなるわ」

男「愛はインフィニティですよ、ご当主」

当主「良い言葉ね」

男「そうでしょう」

当主「はぁ、でも本当に困ったことになったわね。まさか、契約していないなんて」

男「契約すれば良いだけの話ではありませんか」

当主「貴方に一端家に帰ってもらうことになるのだけど、またこっちに戻って来てくれるの?」

男「いや、もう飽きてきましたので、帰ったら戻ってはこないと思います」

当主「そうよね」

男「もしかして、おれが此処ですることは無くなってしまった形ですか?」

当主「駒として育てていきたかったのだけれど、残念ながらね」

男「なら、帰らせていただきましょう」

当主「送ってあげなくて大丈夫?」

男「迎えが来ると言っていたはずです」

当主「そうだったわね。迎えの人はいつ頃到着の予定なのかしら」

男「明日には」

当主「ということは、事前に連絡を入れていたのね。最初から帰るつもりだったのじゃない」

男「たはは、まぁ、そうなります」

当主「もう、勝手なんだから。帰る時も私に黙っていたら嫌よ。きちんと挨拶なさい」

男「分かっています、ご当主」
737 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:51:26.00 ID:XHAlaUUSO
―――翌日



学士「おい、起きろ!」

男「……」

学士「起きろと言っている!」

男「うっせぇな、起きてるよ。無視したかったおれの心情ぐらい察してくれ」

学士「このっ……!」

男「で、何しに来たんだ」

学士「監視だ」

男「監視ぃ?」

学士「貴様、帰ると言ったらしいな。館さまに何の恩も返さぬまま」

男「耳の早いこって」

学士「館さまは貴様に甘すぎる。このまま帰らせてやれと言ったが、私は認めぬ」

男「命令違反か」

学士「館さまを想えばだ!それで貴様の監視に来てみれば、なぜ地下牢にいない」

男「迎えが来るってのに地下にいたんじゃ、分からないだろいが」

学士「あそこが貴様の部屋だろう!あそこで縮こまっておけ!」

男「部屋じゃなくなれば良いんだな」

学士「なに?」

男「ほれ、あの部屋の鍵だ。フロントに届けておいてくれ」ポイッ

カシャンッ

学士「ほ、ほぉ、あくまで客人気取りらしいな」
738 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:52:02.18 ID:XHAlaUUSO
男「違ったのか?じゃぁ、囚われのお姫様の方か」

学士「実験体だ!貴様は!」

男「今日はあんまりギャグが冴えないな、お兄さん」

学士「誰がいつギャグを言った!」

男「……おっと。そこから離れた方が良いぜ、お兄さん」

学士「はぁ?なんだ急に?」

男「死にたくないだろ?」

学士「ワケの分からないことを。逃げるつもりだろう」

男「音が聞こえないのか。おれより後ろに下がってろ」

学士「音……?」

……ォォオ

学士「な、なんだこれは!?」

男「あぁ、もう仕方ねぇ野郎だ。こっち来い」グイッ

学士「なっ……!引っ張るな!たかがにんげ――

バガァァアアアンッ!

学士「ひっ!?ひぃぃぃぃっ!?」

男「やれ、これでおれは手前の命の恩人だな。感謝しろよ」

ブォォォォオオオオオ

キキィッ

学士「な、なななななっ!」

男「日本じゃ銃刀法の関係で主砲付けれなくてね。随分と可愛らしくカスタムしちまってるが、英軍偵察戦闘車のフォックス装甲車だ」

男「にひひ、滅多に見れないんだ。びびって目を逸らすんじゃねぇぞ」

ガチャッ

運転手「はぁ、ようやく見つけましたよ、坊っちゃま」

男「遅いんだよ、バカが」

運転手「貴方が寄り道なぞするからです」

男「おっ、言うねぇ」
739 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:54:30.02 ID:XHAlaUUSO

キィィン

男「ん?」

パァンッ

男「チッ……、魔法か。対応早ぇな」

運転手「今のが魔法?ロケット花火かと」

男「まぁ、そう言ってやるな」

タタタッ

戦闘員「そこの侵入者、動くな!」

運転手「色々集まり出しましたね。早くお乗りに」

男「ん〜?まぁ、少し待て」

戦闘員「『アーファロ』放て!」

男「おっと、流石に影に隠れとくか」

キィィン

ヒュンッ、ヒュンヒュン

パァンッ、バババァンッ

運転手「どうして直ぐにでも発進しないので?」

男「約束があってな」

戦闘員「こ、壊れなどころか効いていないのか!クソッ!ただの人間が作ったオモチャのくせに!」

学士「どけっ!私がやる!」

男「あら。腰抜かしているかと思ったら、いつの間にかあんなところに」

学士「散々、私をコケにしてくれた罰を受けよ!」

学士「『トルグニン・サーヴォ』」カッ

ヴァリヴァリヴァリ

ガァァンッ!

学士「はっはっはっ、どうだ!」

運転手「結構威力が出るものもありますね」

男「ま、こいつの装甲ぶち破るには足りないな」

学士「ぎぃっ!このっ!しぶといゴミどもがっ!」

「おやめなさい」

男「ヒュー、来た来たぁ」

戦闘員「館さま!」
740 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 02:57:22.85 ID:XHAlaUUSO
当主「攻撃は止めなさい、貴方たち」

戦闘員「どういうおつもりですか!」

学士「ただの人間に侵入を許したのですよ!?此処で殺さねば災厄を招きます!」

当主「貴方たち、少しうるさいわ。もう邪魔だから下がっていなさい」

学士「館さま!何処まであのガキを甘やかすのですか!」

当主「どのみちアレを壊せる魔法は直ぐには用意出来ない。無力な兵は兵でないわ」

戦闘員「我々は数では圧倒的に勝っています。囲めばあんなオモチャには負けません!」

当主「客人、彼らはこう言っているのだけど、囲まれるまで待ってくれる?」

男「貴女には悪いですが、待ちませんね」

当主「そういうことよ。大人しく下がりなさい」

戦闘員「館さま!」

当主「お願いだから聞いて頂戴。でないと、貴方たち全員殺すことになるでしょ」

戦闘員「……っ。わ、分かりました」

学士「館さま……どうしてただの人間にそこまで……」

スタスタスタ

当主「……ふぅ、お待たせ、客人」

男「えぇ、ご当主」

運転手「……この人は?」

男「偉い人だよ。お前は出てくんな。車の中でクロスワードパズルでも解いてろ」

運転手「やれやれ、呼び出しておいて待たせるとは」スッ

当主「聞き分けの良い部下で羨ましいわ」

男「おれには貴女の部下の忠誠の方が羨ましいですがね」

当主「……良い車ね」

男「余った金の正しい使い道は、こういった有意義な買い物にある。そうは思いませんか?」

当主「此処はいつもかつかつなの。余ったお金が出たことは一度もないわ」

男「それは、壁を壊してしまって悪いことをしました。登場にはインパクトをと思ってしたんですがね」

当主「修理代は出してくれるのでしょ?」

男「魔女がこちらに帰る時に持たせておきます。宿泊代と細やかな気持ちの分もつけておきましょう」

当主「助かるわ」

男「随分とご迷惑をかけましたから、当然ですよ」
741 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 03:00:38.77 ID:XHAlaUUSO
当主「聞いても良いかしら」

男「どうぞ」

当主「どうやって外部と連絡をとったの?」

男「結界の方が短い時間しか展開されてないと気付きましてね。その隙に通信機で。やはり、金がかかるものなのですね」

当主「使い過ぎると、日々の食事の回数が一回になる程度よ。普段はカモフラージュで誤魔化しているの」

男「それについては拝見させていただきました。見事なものです」

当主「ありがとう。通信機は最初から?」

男「ご当主、やはり科学について学ぶべきです。だから、ベロの下や耳のなかに隠していることに気付かないのです」

当主「そうね、検討してみるわ」

男「……」

当主「……」

当主「帰るのね、客人」

男「はい、さようならです」

当主「寂しくなるわね」

男「おれもです」

当主「また会いましょう」

男「えぇ、お元気で」

ガコンッ

運転手「挨拶は済みましたか?」

男「あぁ、出せ」

ゥオンッ

ブォォォォオオオオオ……

ォォォ……ォォ……

……
742 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 03:02:47.63 ID:XHAlaUUSO
当主「……まったく」

当主「来るときは大人しくしてくれたのだから、帰るときも大人しく帰ってくれれば良いのにね」

侍女「あの野蛮人には無理でしょう」

当主「それもそうね」

侍女「あの、館さま……」

当主「なぁに?」

侍女「聞いても宜しいでしょうか?」

当主「何をかしら」

侍女「彼を手放した理由です」

当主「こちらに在ろうが、野に在ろうが、最低限の目的は達成出来るからよ」

侍女「アレが教会を倒しにいくと?」

当主「憎しみもあるでしょうけど、何より安全の為に滅ぼしてくれるわ」

当主「それに、こちらに長く置いていれば、懐く前に私の底を見られていたでしょうから」

当主「そうなれば、私たちも敵と見なしてを潰しにきたでしょう」

侍女「手放した今もその危機は同じ気がしますが」

当主「それは無いわ」

侍女「どうしてです?」

当主「何の為に優しく振る舞ったと思っているの?」

侍女「その……気紛れかと」

当主「優しく振る舞った。それだけでは怯えてしまうでしょうから、残酷さも見せた」

当主「彼は、私を組織のトップとして認識したわ。他方で、あの娘の良い親としてもね」

侍女「つまりは、信頼させたということですか?」

当主「そこまで彼は甘くないわ。でも、此処が家族の一人が安心して帰ってこれる場所だと判断してくれた」

侍女「話が見えません。それだけで、彼が牙を向けてこない理由に?」

当主「貴女、彼のこと何も理解しようとしなかったのね」

侍女「必要がありませんでしたので」

当主「そう。それは残念ね。面白かったのに。家族を必死に守ろうとする姿とか」

侍女「まさか、あの小僧、ご息女を自分の家族だと?」

当主「そう言っていたわ」

侍女「何様のつもりなのか。身の程を弁えて欲しいものです」

当主「あら、私は別にあの娘が何処の家の子になろうと気にしないわよ。そのおかげで、出来損ないが役に立っているのだし」

侍女「……館さまは、ご息女に愛情は無いのですか?」
743 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 03:04:41.96 ID:XHAlaUUSO
当主「今日は随分と踏み込んで来るのね」

侍女「す、すみません!出過ぎました!」

当主「分かるけどね。どう理屈を並べようと、ただの人間を贔屓した私が信じられなくなっているのよね」

侍女「そんなことは……っ!」

当主「嘘、偽りは結構。大丈夫、その程度で優秀な部下を皆殺しにはしないわ」

侍女「は、はい……」

当主「ただ、私を見限って他のグループにつこうとしている人がいたら伝えて」

当主「半年ほど待て、と。そうすれば、私が狂乱したかどうか分かるはずだ、と」

侍女「わ、分かりました。それでは、私はあちらの片付けにいってまいります」

当主「えぇ、なるべく早くお願いね」

侍女「はいっ!」

タッタッタッ

当主「……本当は、手放したくなかったのだけどね。彼なら良い駒になった」

当主「もう少し愚かなら良かったのに」

当主「……言っても仕方ないわね」

当主「ふふっ、それにしても可哀想な教会」

当主「本来私たちと折半する筈の物を一手に受けることになってしまったんだから」

当主「きっと、凄惨なことになるわ。果たして、魔法使い殺しの化け物が数で押せるかどうか」

当主「出来れば、両方ともが死んでくれることを祈っておきましょう」
744 :>>1 [saga]:2012/11/19(月) 03:05:07.63 ID:XHAlaUUSO
ココマデ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/11/19(月) 03:26:11.47 ID:8BUuBPvto
おつおつ
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/11/19(月) 11:29:23.58 ID:rewS5IH5o
おつ
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/19(月) 16:54:42.68 ID:DNPuKvb1o
おつーん
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/19(月) 17:37:01.19 ID:n2CBNzSIO
わにーん
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/21(水) 07:45:29.66 ID:f9IFZ4hIO
相変わらずの良作
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 22:43:32.30 ID:f1fYuveto
今更だが乙
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 02:26:45.25 ID:8W0QMAP0o
乙乙!
そしてまだー?
752 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:41:23.39 ID:IQigyU4SO
―――男の家



パーン

姉「おっかえりー!」

男「……」

姉「おっかえりー!」

男「……チッ」

姉「うわっ、久しぶりなのに可愛げがない」

男「こっちは疲れてんだ。クラッカーとか止めろ。癪に障る」

姉「んだよー、せっかく物置から出してきたのに」

男「どう考えても、見つけたから使ってみただけじゃねぇか」

姉「まぁね」

男「変わんねぇな」

姉「そっちは随分変わったよ。眼とか」

男「こいつか。後で話すさ」

姉「旅行の土産話より大事なことでもあるってか」

男「眠りたいってのもあるが、その前にやらなきゃなんねぇことがあってな」

タタタ

魔女「今、大きな音が……あっ!男さん!」

男「よぉ、ただいま」

魔女「はいっ!お帰りなさい!」

姉「なんか反応がちがーう」

男「クラッカーを鳴らされてないからな」

魔女「さっきの破裂音、やっぱりクラッカーだったんですか」

姉「んじゃ、クラッカー鳴らさないでリトライ」

男「やることあるって言ってんだろうが」

姉「なんだよー、私にもただいまって言えよー」

男「ったく……ただいま、姉さん」

姉「おう、お帰り。心配かけやがって」
753 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:41:58.65 ID:IQigyU4SO
男「連絡は入れてたろ」

姉「それでも、心配するっての」

男「そっか」

姉「それに、魔女ちゃんがね」

男「あー、何も知らせないようにしてたんだっけか。悪かったな」

魔女「いえ、良いんです。こうして、帰ってきてくれましたし」

魔女「その……無事に……とは言えないみたいですが」

男「その話は後でな。今は先に用事を片付けさせてくれ」

魔女「は、はい」

姉「さっきから言ってるが、その用事ってなんだよ」

男「ちょいとワニスケに」

姉「会いたくなった?」

男「それもある。魔女、一緒に来てくれ」

魔女「あっ、はい」

姉「私は?」

男「弟のあられもない姿を見たきゃ来い」

姉「わーい、行く行くー」

男「躊躇しないな、姉さんは」
754 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:43:09.76 ID:IQigyU4SO
男「連絡は入れてたろ」

姉「それでも、心配するっての」

男「そっか」

姉「それに、魔女ちゃんがね」

男「あー、何も知らせないようにしてたんだっけか。悪かったな」

魔女「いえ、良いんです。こうして、帰ってきてくれましたし」

魔女「その……無事に……とは言えないみたいですが」

男「その話は後でな。今は先に用事を片付けさせてくれ」

魔女「は、はい」

姉「さっきから言ってるが、その用事ってなんだよ」

男「ちょいとワニスケに」

姉「会いたくなった?」

男「それもある。魔女、一緒に来てくれ」

魔女「あっ、はい」

姉「私は?」

男「弟のあられもない姿を見たきゃ来い」

姉「わーい、行く行くー」

男「躊躇しないな、姉さんは」
755 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:45:46.30 ID:IQigyU4SO
―――男の家 庭



男「お前も久しぶりだな、ワニスケ」

ワニスケ「シャー」

男「よしよし」ナデナデ

ワニスケ「シャー♪」

姉「おーおー、嬉しそうなこと」

魔女「ワニスケちゃんも会いたがっていましたもんね」

男「なぁ、魔女」

魔女「はい、なんでしょうか」

男「契約ってどうするんだ?」

魔女「……やっぱり、ワニスケちゃんは……」

姉「ん?何の話よ?」

男「姉さんには理解の及ばない、高尚な話だ。口出し禁止」

姉「うわ、うぜぇ」

男「それで、方法は?」

魔女「……使い魔に聞いて下さい。必ず応えてくれます」

男「そうか。それだけか」

魔女「はい」

男「……ねぇ、姉さん」

姉「なに?」

男「ワニスケを戦いに巻き込むって言ったら、どうする?」

姉「殴る。顔面を一直線に殴りぬく」

男「そうか」

姉「でも、双方合意があるなら、それこそ私の口出すとこじゃないね」

男「……そっか」

男「……」

男「ワニスケ」

ワニスケ「シャ?」

男「お前、おれと姉さんの戦いについてくる気はあるか?」

ワニスケ「シャー!」

男「ありがとう。そして、済まない」

男「『契約をしよう』」

ワニスケ「シャ」ピカッ

姉「あわわわ、ワニスケが発光しだした」

魔女「落ち着いてください、お姉さん。大丈夫ですから」
756 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:49:01.31 ID:IQigyU4SO
ワニスケ「シャー」フワッ

姉「あわわわ、ワニスケが浮遊しだした」

魔女「大丈夫ですって」

使い魔「『名を与えよ』」

姉「あわわわ、ワニスケが喋りだした」

魔女「……お姉さん、わざとやってません?」

男「今さら名前かよ。そんなの決まってるだろ」

男「『ワニスケ』だ」

使い魔「『与えられた』」

使い魔「『ここに契約は結ばれた。証を渡そう』」

キラッ

男「これが、魔力の欠片……」

キラキラキラ

男「受け取れば良いのか?」スッ

ヒュンッ

男「!?」

ドスッ

男「ぐふぇっ!」

姉「愚弟が光の玉に攻撃受けてる」

魔女「止めたらダメですよ」

姉「あんな楽しい光景、止めるワケないじゃん」

魔女「そ、そうですか」

男「いってぇぇ……じくじくくる……」

姉「チッ、一回だけか。つまんねぇの」

魔女「私、時々お姉さんが悪魔に見えます」

男「え、なに?これで終わり?この痛みで終わりなの?」

ワニスケ「シャー」

男「あ、元に戻ってる。じゃぁ、本当にこれで終わりか……」
757 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:55:16.79 ID:IQigyU4SO
姉「ういーっす、結局なんだったの?」

男「いや、おれにも良く分からん」

魔女「とうとう、契約結んじゃいましたね」

男「魔女」

魔女「はい、何でしょうか」

男「痛いことなら先に言え」ペシッ

魔女「あいたっ!」

男「あー、まだじくじくする」

魔女「理不尽です!普通、知ってるかと思うじゃないですか!」

男「やり方聞いてくる時点で察しろ」

魔女「うぅ、久しぶりなのに愛がないです……」

姉「何時も通りっていやぁ、何時も通りだけどな」

魔女「それはそうかもしれませんが……」

男「じゃぁ、ハグからの両頬にキッスでもしてやろうか?」

姉「きるゆー」

魔女「きるゆー」

男「分かってはいたが、傷つくなぁ」

姉「で、これからその眼のこととか話してくれんの?」

男「んにゃ、寝る。夕食には起こしてくれ」

姉「あいあい」

魔女「お姉さんが食材大量に買ってきているので、帰宅を祝って豪華な食事にしてあげますね」

男「へぇ、姉さんが」

魔女「仕込みも早くからさせて、何事かと思いましたが」

姉「げへへへ」

男「ん、まぁ、楽しみにしてる」
758 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:57:15.10 ID:IQigyU4SO
―――



男「ご馳走さま」

魔女「どうでしたか?」

男「久しぶりにマシなもん食って、生き返ったって感じだな」

姉「向こうでサバイバルでもしてきたのかよ」

男「違うが、まぁ、こいつが来た当初に驚き受けてばっかだったのが納得出来る暮らしだった」

姉「ふーん、少し興味あるね」

魔女「反論出来ないのが悔しいです」

男「だが、悪いとこじゃなかったな。旅行するだけなら面白い」

魔女「そう……ですかね?」

男「特に、お前のお母さんは大したもんだな」

魔女「男さん、洗脳でもされましたか?」

姉「マジで!よぅし、ここはお姉ちゃんが頭かち割って正気に戻してあげる」

男「されてねぇよ!」

魔女「じゃぁ、どうしてそんなことを?」

男「親として苦手なタイプってのは分かるが、上に立つに相応しい人だ」

男「おれじゃ相手になってなかったな。良いように弄ばれたよ」

姉「そのビー玉も熟女と乳繰り合ってる時につけられたんだな」

魔女「お姉さん、例えが最低です。引きます」

男「高級なワインを一つ空けちまってね。その代金を体で払っただけさ」

魔女「男さん、例えが最低です。引きます」

男「まぁ、向こうで魔法使いに転職させられてきたんだよ」

姉「皮肉にも、か。分かっててやったんかね」

男「さぁね。楽しんでいたのは確かだが」

姉「そうだ、魔法使いになったってんなら、一つ魔法でも見せておくれよ」

男「魔法か……」

姉「気乗りしない?」

男「いや、少しな」

魔女「使えるんですか?」

男「一つだけ教えてもらった」

魔女「一つだけ、ですか」

姉「どうしたん?」

男「なんだ、自分を越えていなくて安堵でもしたか?」

魔女「どうしてそういった見方しか出来ないんですか」ペシッ

男「いてっ」
759 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 00:59:55.66 ID:IQigyU4SO
魔女「本当に……どうして無事で帰ってこれたのか……」

男「おれもそう思うよ。ちょっとお茶目しちゃってたからな」

姉「愚弟、先方に迷惑かけてきたのか。ダメなやっちゃのぉ」

男「詫びは入れる」

姉「山吹色のお菓子を持っていくんだぞ」

男「金色の最中もな。ところで、魔女、聞きたいことがあるんだが?」

魔女「えっ、なんです?言っておきますが、私、まだ美味しい和菓子とか知りませんよ」

男「ちげぇよ。菓子じゃねぇ。魔法だ、魔法」

魔女「あぁ、魔法の」

男「おれは何回魔法を使える」

魔女「魔法が使えなくなるのが怖いんですか?」

男「小心でね」

魔女「50は大丈夫ですから、安心してください」

男「50か。なら、練習がてらに見せても大丈夫だな」

姉「よっ、待ってました」

男「『隣人よ、我らは離れすぎた。距離を戻し、今一度我が隣に座れ。これは契約に基づく命令だ』」

男「『来い、ワニスケ』」

シュンッ

ワニスケ「シャー」

姉「おぉ、ワニスケが突然に。これが手妻なるものなるか」

魔女「男さん、ワニスケちゃんのこと、私も詳しく知らないんです。説明出来ますか?」

男「あぁ、聞いて驚け。こいつ、人工生命体だ」

ワニスケ「シャー」

男「んでもって、魔法使い殺しの最終兵器らしいですよ」

ワニスケ「シャー」

魔女「そうでしたか。魔力を食べたとき、そんな気はしていましたが」

男「姉さんはどうだ?」

姉「人工生命体で魔法使い殺しか……」

男「もっと言うと、肉体は魔力で出来ていて、不死性を持ってる」

姉「……不死持ち……」

男「悪いが、嘘でも冗談でもない」

姉「その肩書き、カッケーな!」

男「は?」
760 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 01:02:17.46 ID:IQigyU4SO
姉「何だよワニスケー!不死だとか人工だとかカッケーの持ちやがってー!このこのっ!」ツンツン

ワニスケ「シャー」

魔女「お姉さん、今けっこう衝撃の事実が明らかになったところだと思うんですけど……」

姉「私にとっては衝撃でもなんでもない。格好良いで片付けられる事実さ」

魔女「う、うーん、お姉さんらしいと言えばお姉さんらしいですね」

男「……なんつーか、器の違いだな。おれはショックだったんだけどな」

姉「何処にショックを受けるんだよ」

男「魔法使いが作ったで一つ。生き物じゃないってところで一つ」

姉「ちっさいねぇ。自分の愛と相手の愛が偽物じゃないなら、そんなことは些事だろうが」

男「そう思えないから小さいんだ」

姉「じゃぁ、そのちっこいのに聞こう。これからどうする?」

男「教会を黙らせたい。一々聖書を読み上げにくるのが、うるさくて適わないんだ」

姉「ふふん、共感できる意見だ」

魔女「教会を黙らせたいって……何をするつもりですか?」

男「理想は皆殺しだな」

魔女「なっ……!?」

男「ま、無理だろうから、組織の体制を壊せたら万歳だな」

魔女「そ、それでも無理ですって!教会の大きさ知らないでしょう!」

男「どのくらいだ?」

魔女「戦闘員だけで5000です」

姉「そりゃ、食いでがあるってもんじゃないな」

魔女「そうですよ!だから、倒そうなんてしないで大人しくしていてください」

男「じっとしてても向こうは来るんだよ。先に討たなきゃこっちがやられる」

魔女「安全の為にってことですよね」

男「一番の理由としてはな」

魔女「だったら、もっと平和な方法を取りましょうよ。逃げるとか、本家に庇護を求めるとか」

男「それは出来ない」

魔女「どうせ魔法使いは気に食わないっていう下らない意地でしょう」

姉「そりゃこいつだけだ。私は違う」

男「おれだって半分の半分さ」

魔女「じゃぁ、何だって言うんです?」

姉「私怨だよ、私怨」

男「おれと姉さんは散々な目に遭わされたからな」

魔女「あぁ……」

姉「私の恨みは極単純。いきなり戦場に叩き込まれたからだ。お陰さまで人殺しの罪を背負ったよ」

姉「きひひ、地獄行きを押し付けられたようなもんだ」

男「襲われて殺されかけた。友達は巻き添えで殺された。それがおれの恨み」

男「なぁ、復讐は下らないか?」

魔女「私に……私にその正否を決めることは出来ません」

魔女「でも、2人が命を落としにいくことは止めさせていただきます」
761 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 01:05:51.28 ID:IQigyU4SO
男「死ぬ死ぬ言ってるが、おれ達は別に死ぬ気はないぞ」

魔女「5000人と戦って勝てる見込みがありますか?」

姉「絨毯爆撃が出来れば簡単な話さ。問題はそのカードが手持ちにないことかな」

魔女「ふざけないで下さい!」

男「なら、真面目に聞こう。ワニスケなら出来るな」

魔女「……!それは……」

男「今一魔法の大事さが分からないから、ワニスケの強さも不死身ぐらいでしか評価出来ないが」

魔女「……」

魔女「……攻撃手段を持たない状態の人が竜と戦うと思ってください」

男「勝てるじゃん」

姉「改めて聞くと、お前チートだな」ペシペシ

ワニスケ「シャー」

魔女「でも!向こうもそれは分かっている筈です。戦おうとはしませんよ」

男「まぁ、おれもワニスケを安易に使いたくはない。こいつに人肉の味なんか覚えて欲しくないからな」

男「どうしようもなくなった時の助っ人って奴だ」

魔女「結局、教会に勝てる方法はないんですね。なら、意地の一つを曲げて欲しいのですが」

男「急くなよ。ちゃんと方法は考えてある。ただ、成功するって確証がない」

男「お前が情報をくれたらその確証を得られる。協力までしてくれたら、安全性もアップだ」

魔女「私が手伝うと思いますか?」

姉「ていっ」パコッ

魔女「いたっ!何するんですか!」

姉「今のを強くしたら魔女ちゃんは気絶する。避けれたと思う?」

魔女「……いいえ」

姉「力不足は一緒さ。ただ、魔女ちゃんが味方してくれたら、こっちはそれが解消される」

姉「どうだい?お一つ噛んでみないか?」

魔女「私の方に味方してくれても、解消されると思うんですけど」

姉「おぉ、返しが上手いね。でも、ダメだ」

魔女「私に味方することはないというこですか?」

姉「バッキャロー!これが普通の話なら、私は魔女ちゃんにしか味方しないよ!愚弟なんぞ知らん」

男「おい」

魔女「そ、そうですか。それはど、どうもです」

姉「ただ、こんな時はより安全なほうを取りたいのが乙女の純情ってやつさ」

魔女「逃げるのが、庇護を受けるのが、戦うことよりも不安に思うと」

男「あー、嫌味な言い方になるから控えてたが、確実性がないんだ」

魔女「確実性……ですか。私だって、別に直感で提案している訳ではありませんよ」

男「なら、言ってみろ」

魔女「探し人を見つける魔法はありません。逃げてしまえば、向こうはこちらを見失います」

魔女「庇護は言うまでもないでしょう」

男「うん、やっぱダメだ」

魔女「……理由、お話ししてくれますか」
762 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 01:10:40.76 ID:IQigyU4SO
男「人探しに魔法も科学もあるか。ただ地道な情報集めだ」

男「5000以上の人員に探し回られたら、かくれんぼのプロでもないおれ達に隠れられる場所なんてねーよ」

姉「海外に足付かずに飛ぶ方法なんて知らないしねぇ」

魔女「なら、庇護はどうダメだって言うんです?」

男「殺される」

魔女「はい?」

男「戻ったらおれが確実に殺される」

魔女「……えーと、な、何してきたんですか?」

男「お茶目したって言ったろ」

姉「具体的に言ってやりなよ。私もあんたの武勇伝に少し興味がある」

男「なら言うが、使用人いびり倒す。使用人を殴る。使用人のプライドを折る。使用人を泣かせる」

男「当主に罵声浴びせる。勝手に物を改造する。高級ワインを無断で空ける。壁を壊す」

魔女「……」

姉「ヒューッ、思っていた以上にダメ人間だったぜぇ」

男「流石に、これで庇護を求めるなんて厚かましいこと願い出した日には、確実に殺されるってワケ」

魔女「つまり、100%男さんが向こうで暴れ過ぎた為に庇護は受けれないんですね」

男「うん」
763 :>>1 [saga]:2012/12/20(木) 01:16:35.03 ID:IQigyU4SO
魔女「このっ……バカーーッ!!」

男「はい」

魔女「不利になると分かっていたでしょう!どうしてそんなことしたんですか!」

男「はい、すみません」

魔女「もう信じられません!いい加減、嫌いを我慢することも覚えてください!」

男「はい、仰るとおりです」

魔女「本当に……もうっ!」

姉「これで分かっただろう?私達には戦うしか道はないんだ」

魔女「えぇ!呆れるほどに分かりました!」

姉「協力してくれるね?」

魔女「しますよ!誰かさんのせいで、それしかないんですから!」

男「ごめんねー」

魔女「……お姉さん、協力する条件として、男さんを一発殴って良いですか?」

姉「構わん、やれ」

男「いやいやいや、ちょっと待てよ。なんで殴られないといけない」

魔女「反省している様子がないので、灸を添えます」

魔女「それに、イラッとしたので」ニコッ

男「いつの間にか良い笑顔するようになったな、お前」

魔女「家族の誰かに似たんでしょうね」

姉「ようし、魔女ちゃん、こいつを付けて一発かましたれ」スッ

魔女「ナックルダスターですか。有難うございます。大事に使いますね」

男「待て、それは真面目に痛いぞ」

魔女「痛くないと意味ないじゃないですか」

姉「愚弟、避けたらあたしが待ってるから」

男「……クソッ、さっさと来い!」

魔女「なら、遠慮なく……っ!」

ゴガッ

男「がふっ……!」

姉「うわぁー、結構面白い音したなぁ」

魔女「や、やりすぎましたかね……?」

男「だ、大丈夫だ……。めちゃくちゃ痛いけどな」

姉「まぁ、内出血で済むだろ」

魔女「良かったです。骨を折っていたらどうしようかと」

姉「君も良い人を脱却しきれないねぇ」

男「これで協力するには十分か?というか、十分だな。十分以外は認めない」

魔女「え、えぇ、十分ですけど……」

男「よし。なら、第一回、教会をぶっ潰そう作戦会議を始める。そんなに時間もない」

姉「うーい」

男「あー……、にしても痛い。鈍く痛む……」

魔女「あ、謝りませんからね」
764 :>>1 [sage]:2012/12/20(木) 01:18:34.54 ID:IQigyU4SO
ここまで。難産でした
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 01:21:21.54 ID:ValOklZX0
何気につい最近2年たったんだな
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 04:46:49.78 ID:8JRQjUDIO
わにーん
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 20:39:37.50 ID:PCavF+Zso
魔女ってかわったよな
いいかわるいかはべつとして
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 02:15:55.31 ID:E8RwQb7io
おつーん
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 02:09:17.55 ID:HgP3d23ho
乙乙!
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 14:28:54.99 ID:XwH5KRgvo
待ってる
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 07:52:54.79 ID:fU7Tlq8yo
おつー
772 :>>1 [sage]:2013/02/12(火) 15:38:05.76 ID:U9yGEtrSO
2ヶ月に間に合わない可能性があるので、生存報告ついでに保守しておきます
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 21:27:46.61 ID:mZKK49q1o
乙乙
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 22:31:01.27 ID:vmi2IAmIO
わにーん
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/25(月) 19:42:30.55 ID:tcPgkX+ao
まつわ
776 :>>1 [sage]:2013/04/01(月) 14:30:34.38 ID:Ir6rv1ZSO
2ヶ月どころじゃありませんでした。すみません
777 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:32:30.69 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「それで、作戦会議で何を話すんです?」

男「まぁ、まずはこれを読んでくれ」パサッ

魔女「いきなりですね。別に構いませんが」

姉「また、えらく古臭い紙だな。ん?これ、書いてあるのラテンか」

男「その通り。ラテン語の書物だ」

姉「魔女ちゃんそんなもの読めるの?」

魔女「読めますけど、これは……」

男「で、何が書いてあるんだ?」

魔女「…………教会のことです」

男「よし、当たりだったな」

姉「ズバリな書物じゃないか。良く持って来た。愚弟も役に立つじゃないか」

男「もっと褒めてもいいんだぜ?」

魔女「……どう手に入れたんですか?」

男「あぁ?んなもん、拝借してきただけさ。無断だけどな」

魔女「貰った、ではなくて?これは教会についての調書です。私の記憶では、他の文書と一緒にまとめて保管されていたはず」

魔女「ラテンの読めないあなたが、これだけを正確に盗めるなんて思えませんね」

男「日本語の案内があったからな。それと間違えるな。借りて来たんだ」

魔女「どうでもいいですよ。それより、案内だなんてものは私の居た頃にはありませんでしたよ」

男「新しく備えたんだろ」

魔女「そうですね。あなたの為に」

姉「はぁー、なるほど。魔女ちゃん、あんたのお母さんは頭の良い人だね」

魔女「今の話でそう思いますか」

姉「魔女ちゃんのお母さんはこのバカの性質を短期間でよく理解してる」

姉「今回のコレはバカに言わせれば、協力じゃないのさ。あからさまな誘いでもね」

男「バカは余計だ」

魔女「……はぁ、どうしようもない人ですね。それに凄く面倒くさい」

姉「全くだよなー」

男「自覚はしてるよ」

魔女「貴方が良いなら進めます。大変に腹の立つ思いではありますが」

男「すまんね。で、何が書いてある?具体的に教えてくれ」

魔女「教会の位置、周囲に張ってある魔法、構成員、判明している拠点の情報ですね」

男「充分過ぎるほどに貴重で使える情報だな。話してくれ」

魔女「うーん、図を描きながらの方が良さそうですね」ガラガラガラ

男「おい、その電子黒板どっから持ってきた」

姉「ん?なんかデジャヴュだな。心なしか進化してるような……」
778 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:35:02.03 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「教会の位置は……うーん……男さん、地図と定規あります?」

男「ん?まぁ、あるが……。姉さん、そこの取ってくれ」

姉「これね。ホレ」

魔女「どうもです」

姉「しかし、地図は分かるが……定規?」

魔女「422.199.27.8.0と言われて分かりますか?」

男「何だそりゃ?」

魔女「魔法使いが使う位置情報のコードです。それを地図上に示すのに定規を使うんですよ」

男「こっちの地図を使って出せるんだな」

魔女「当然じゃないですか」

姉「へぇ、衛星データと肩並べられる測量技術があるんだ。侮れないね」

魔女「ありませんよ」

姉「ん?」

男「まさか、こっちの地図をそのまま使ってんのか?」

魔女「そりゃ、使いますよ。何か変なことでも?」

男「科学がお嫌いなんだろう?魔法使い様って奴は」

魔女「嫌ってはいますが、ある程度の科学性は受け入れています。でないと、生活出来ませんから」

男「んん……あー、そっか、そうだよなぁ。そりゃそうだ。御当主があんまりにも凄むんで、勘違いしてたよ」

魔女「お母様は随分と外聞を綺麗にして、貴方と会っていたみたいですね」

姉「えー、じゃーなんだよー、私が愚弟から聞いた魔法使いの生態も偽であるかもなのかー」

魔女「生態って……。どんな報告を受けていたんですか?」

姉「魔法を至上と考え、やたらめったら過去の栄光をペロペロして喜んでいる集団だって」

魔女「……そんなに的外れなことを言っているわけでもないんですね」

男「情報は正確にだろうが。虚偽報告してもつまらん」

魔女「いえ、もっと酷く評価しているのかと。……はい、場所出せましたよ」

男「どれ」

姉「私も私も」

男「……」

姉「……つまらんな」

男「あぁ、面白みも何もない場所だな」

魔女「いや、そう言われても。狙ってそんな場所にあるんですから」
779 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:36:31.23 ID:Ir6rv1ZSO
男「一応、衛星写真で確認してみるか。姉さん」

姉「ほいほい」カタカタ

姉「あ、出た出た」

男「木しかないなー」

姉「画面が緑一色ぜよ」

男「ここに教会の建物がどう収まってんのか分かるか?」

魔女「はい。記しましょうか?」

男「ん、頼む」

魔女「ちょっとマウスを失礼します」

姉「あいあい」

魔女「倍率はこうで、位置はこう……」カチッ

魔女「じゃぁ、これをUSBに移してください。その間にボードの準備をしておきます」

姉「うーい」

男「……」

魔女「何ですか、その目は?何か言いたいことでも?」

男「いや、お前もすっかりこっちの住人だなと思って」

魔女「……?何でそんな当然のことを」

男「ははっ、当然だってよ、姉さん」

姉「嬉しいね。申し訳なくもあるが。ほら、パス」

魔女「わっとっと。もう!投げないで下さいよ」

姉「ごみんにー」

魔女「全く。では、説明始めますね」

男「うい」

姉「ぼい」

魔女「この地図だと教会はこうなります。四角なのは簡略化してるだけで、実際の形は少し違いますよ」カキカキ

男「普通より少しデカい城ってところだな」

姉「こんなとこに5000以上の魑魅魍魎が詰めれんのかい?」

魔女「普段は世界のあっちこっちの支部にちらばっています」

男「あっちこっちに居んのか。また一つ嫌な情報が増えた」

魔女「組織としては普通のことでしょう」

男「巣が多いと駆除しきれないと思ってな」

魔女「まだ、全滅させる夢を諦めていなかったんですか?良くないですよ、そういうの」

姉「しかしねぇ、魔女ちゃん、残党って凄い怖いんだぜ。恨み辛みを残さん為にも殲滅が最善よ」

魔女「でも、現実それは無理でしょう。どうするんです?」

男「さっきと変わらん。妥協するさ」

魔女「良かった。今さら押し通すなんて言われたら、どうしたものかと悩むところでした」

男「そういう無茶は姉さんの専門な」

姉「おいおい、私は猪女か」
780 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:38:55.62 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「では、説明に戻りますね。横から見ると教会はこうなってます」カキカキ

男「地下はないのか?本家には素敵なもんがあったが」

魔女「あると思います。ワインの保管に必要ですし。ただ、ここには書いていないです」

姉「各部屋の間取りは?」

魔女「書いていませんね」

姉「そっかー」

魔女「では、次いで魔法ですが、1つは色を変える魔法。建物と周囲の道にかかっています」

姉「うわ、地味」

魔女「いや、地味と言われましても」

男「保護色か。成る程地味だが、効く手ではあるな」

姉「でも魔法っぽくなーい」

魔女「お姉さん、魔法に間違った期待寄せてるでしょ」

姉「他〜、他は〜?もっと魔法っぽいの」

魔女「えーと、なら、違う次元へ飛ぶ魔法というのはどうでしょう」

姉「おおー、何かよく分からんけど凄そう」

魔女「位相を変え、こちら側からの物理的及び魔術的干渉を受けなくなります」

姉「スゲー。割とマジで何言ってるか分からんけど、スゲーってことだけは分かるぜ」

魔女「範囲は建物全体が入る球状となってます」カキカキ

姉「しかし、そんなスゲー魔法があったら、攻城戦が挑めないな」

男「その心配はいらないぜ。コストがバカにならんから、頻繁には使えん魔法だ」

姉「マネー?」

男「マネーだ。ドル。ユーロ。円」

姉「うわぁ、一気に現実的に……。萎えるわ……」

魔女「良く知っていますね」

男「教わったんだよ」

魔女「……お母様も珍しいことを」

男「普段、教鞭は振るいにならないのか」

魔女「違います。この話が、魔法使いにとって恥ずかしい類の話だということです」

姉「うん、分かるー。MPがマネーポイントなんてクソゲーにも程があるもんねー」

魔女「別にそこを恥じている訳ではないんですが……」

魔女「まぁ、掘り下げても仕方の無い話題ですし、次行きましょうか」

姉「次って言ってももう、期待できにゃーよ」
781 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:40:54.92 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「そんなことないですよ。次は低コストで効果抜群。防衛の要になっている凄い魔法です」

姉「へー」

魔女「目に見えてやる気が落ちていますね」

男「姉さんには構わず、説明を続けてくれ」

魔女「あぁ、はい。えぇと、この魔法は簡単に言えば獣除けです」

男「ん?」

魔女「ドーナツ型で、かなり広範囲に展開されています」カキカキ

男「なぁ」

魔女「はい、なんでしょう」

男「絶賛の割に獣除けってショボくないか?」

魔女「あー、字面だけならそうですね。でも、動物全般に効果のある魔法なんです」

男「人もか」

魔女「はい」

姉「そりゃ凄い!」

魔女「復活したみたいですね」

姉「魔女ちゃん!その魔法っぽい魔法について詳しく!」

魔女「詳しくと言われても、獣を寄せ付けにくくするで済ませられますし」

男「絶対じゃないのか」

魔女「絶対に奥地に行けない森だなんて、オカルト好きの良い的じゃないですか」

男「ごもっとも」

姉「でも、それはそれで安心じゃない?」

魔女「ラジコンでも飛ばされたらそれで終わりですよ。機械を不調にする魔法はありませんしね」

姉「何か、魔法の世界って悲しいねぇ。木枯らし吹いてる感があるよ」

魔女「現時点で完璧な獣除けの魔法は出来ないという事情もあるんですけどね」

男「最善を尽くしたら、たまたま上手く情勢と合ったってだけか」

魔女「そうですね。偶然です」

姉「で、魔女ちゃん。次の魔法は?」

魔女「終わりです」

姉「えっ」

男「えっ」

魔女「終わりです」

姉「少ない」

男「ショボい」
782 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:42:39.32 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「正確には、私たちに関係のある魔法はこれだけということです」

男「残りは魔法使い用ってか」

魔女「それがメインです。元より普通の人は滅多に入り込まない辺鄙な土地ですからね」

魔女「そうしっかりと対策しても仕方ないんです」

姉「なるほどなー」

魔女「魔法以外にも幾つかありますが、GPSが有れば無視できる物です」

魔女「さて、お次は構成員についてでしたか」

男「それパスな」

魔女「なら、拠点を」

男「それもパス」

魔女「えぇー」

男「世界に散らばってるって分かったからな。さっきも言ったが、そこは諦める。だから情報もいらん」

姉「世界一周の旅をしながらお手軽に殲滅出来るコースが100万円!」

姉「なんてプランがあれば是非にとやるんだけど……あったりする?」

魔女「知りません。旅行会社の人に聞いてください」

姉「あーん、冷たい」

魔女「なら、これで私が説明するべきことは全部ですね」

男「まだある」

魔女「なんです?この調書にはもう何も書いていませんよ」

男「転移魔法ってあるだろ。あれ、何処でも好きなとこに行けるのか」

魔女「行けません。転移可能な場所というのは限られているんです」

姉「魔法の力を持ってしても、どこでもドアは実現出来ないのか……」

魔女「それ、もろに科学の品じゃないですか……」

男「ここらに何処か転移可能だって所あったりする?」

魔女「行きだけなら一ヶ所ほど。こちらに来る側はありませんね」

魔女「そうでなきゃ、私、歩いてこの家探したりしませんでしたよ」

男「確かに」

姉「あの性倒錯教育者のとこあるじゃん」

魔女「あの場所は近所って呼べる距離じゃないでしょう」

男「少なくとも、いきなり現れて刺されるってのは無いわけか」

姉「なんだ愚弟、一回不意討ち食らっただけでトラウマか」

男「あのな、姉さん。あれ結構洒落にならん。凄く怖い。夜道とか泣きそうになる」

魔女「きちんと注意して、人気のない場所には行かないようにすれば大丈夫ですよ」

姉「え、なにその小学生に対する下校時の注意みたいなの」

魔女「教会の使者に襲われたくないならそうしましょうということですよ」

男「まるっきり不審者に対するそれなんだが」

魔女「不審者ですよ。騒ぎを起こしたくなくてこそこそしてる不審者です」

男「そんなもんか」

魔女「後はワニスケちゃんにボディーガードを頼んだら、絶対に寄ってきませんよ」

姉「うん、それ普通の人でも寄ってこないから」

男「ま、考えとく」
783 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:43:47.27 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「もう質問は有りませんね」

男「今のところ」

魔女「なら、次はお二人が説明する番です」

男「説明ってなんかあったっけ?」

姉「さぁ?」

魔女「無策ではないとおっしゃいましたね。その策の説明を」

男「あぁ、それね。爆破解体しようぜってだけだ」

魔女「爆破……えっ!?」

姉「ん?爆破解体知らない?爆弾で建物壊すんだけど」

魔女「知ってますよ。ただ、その……、随分と思い切った作戦だったので少し」

男「シンプルで良い作戦だろ?」

魔女「正面玄関の呼び鈴を鳴らすよりはずっと素敵ですが、目立ち過ぎではないでしょうか」

魔女「人が来ますよ。お札で叩いて黙らせるにも限界があるでしょう」

姉「フフーン、そこはノープロ。誰も爆発音は聞かないし、爆煙も見ない。そういうことになってる」

魔女「消音性の高い爆弾なんてありましたっけ?」

男「無い。だから魔法に頼る。爆発音も何も全部異次元へ運んでくれるんだろう?」

魔女「あぁ、成る程」

男「戻ってきた際の土煙は水と布で抑える。これで外部にバレることはない」

魔女「徹底してますね。やっぱり、お二人でも捕まることは怖いんですね」

姉「いや別に」

魔女「え?」

姉「むしろ、相手が誰だろうと殺生してるんだし、捕まって償い受けるのが良いだろうさ」

魔女「では、どうして?」

姉「愛とだけ言っておこうか」

魔女「……男さん」

男「教えないぞ。気恥ずかしいからな」

魔女「えぇー」

男「別に支障のあるわけでもあるまい」

魔女「無いですけど……」

男「なら良いだろう。この話は終わりだ。分かったな」
784 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:44:41.83 ID:Ir6rv1ZSO
魔女「分かりましたよ、まったく。では、別のことを」

男「なんだ」

魔女「爆弾と言いますが、簡単に手に入るものですか?」

姉「よくぞ聞いてくれた。これがさ、大変なのよ」

姉「少量なら個人でも手に入れられるけどさ、今回は大量にいるんだよねー」

姉「普通に爆破解体する量より桁一つ二つ多い量がさ。設置出来ないから仕方ないけど」

姉「でもね、流石にそんな量の爆弾の材料買うと、お国に目を付けられちゃうの」

姉「だから、父さんの会社のお友達の会社に書類上は使用済みにした物を作ってもらってる」

姉「これと個人で買える範囲の量でかき集めて、現時点で目標値の20%ぐらいかなぁ」

姉「いやー、時間と金が面白いように消えていくよ」

魔女「お、お姉さん、語りますね」

男「交渉を全部やってもらったからな。相当ストレスあったんだろ」

姉「あったよ!社長さんは私が無理お願いした辺りから胃薬買い始めたらしくて申し訳ないし、二親にも……」

姉「おぉ、そうだ。愚弟に朗報があったんだ」

男「今の流れで朗報だとよく言えるな。絶対に凶報だろ」

姉「もうお小遣い無しだそうだ」

男「ほら見ろ。最悪の話じゃねーか」

魔女「いや、それだけで済んでいることに感謝しましょうよ」

姉「ちなみに、魔女ちゃんは対象外です」

男「資本主義の豚め。肥え太って破裂してしまえ」

魔女「お小遣いの有無だけで酷い言われようです。しかも私何も悪くない」

男「妬みはさておき」

魔女「あ、冗談ではないんですね」

男「姉さん、後どれぐらいかかる」

姉「急ぎに急いで4ヶ月。慎重に行くなら冬までかかるかな」

男「そんなもんか。さて、魔女はこれからどうする?」

魔女「えっ、何をです?」

男「おれはワニスケ連れて放浪の旅に出る予定」

姉「私は何時も通りかな。単位落とせないし」

魔女「えぇと……つまり、準備が終わるまでどう過ごすかと言うことですか?」

男「そうそう。実家に帰っても良いんだぞ。片目ってのも不便だろ」

魔女「……いえ、まだ本家には戻りません。私も何時も通りにさせて頂きます」

男「お前がそれで良いなら良いが」

姉「大体決まったね。んじゃ、これにて会議終了。お疲れっしたー」

男「っしたー。会議って言ったけど、普通のお喋りだった気もするな」

魔女「お疲れ様でした。あぁ、結局ボードをあまり使ってないまま終わってしまいました」
785 :>>1 [saga sage]:2013/04/01(月) 14:45:35.15 ID:Ir6rv1ZSO
以上。あと一回か二回で終わらせたいです
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/01(月) 15:46:07.13 ID:e1eFrtbQO
わにーん
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/01(月) 19:48:33.77 ID:CE2qMpldo
魔女本当にかわったな
おつ
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/11(木) 04:30:19.03 ID:/ICe6LXwo

789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/05(日) 13:05:37.54 ID:QR0aeDp4O
















乙!
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/15(水) 14:49:10.48 ID:ZgETe26U0
     _
              //.|
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        | |/.;;;;//.  | ||.         | じゃあ、>>1は死刑という事で・・・。
        | | ;;;;;;//   | |||         |_
        | |.;;;//    | |.||     ∧ ∧  |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        | |//..    | | ||.    ( ・∀・)
        | |/.     | |. ||    (    )           ワイワイ  ガヤガヤ
 ______.| |___//| ||__ / | | |__
        | |   //  |. ̄∠/(__(__) /.|          ∧_∧ ∧_∧ ∧ ∧.
..∧_∧   (| |⌒/. ∧ ∧⊃イヤァァァ.     //|         (´-`;)(@・ )(;´∀)(
( ・∀・).(⌒| |//(;´Д`) ←>>1   //  |        ∧∧ ∧ ∧  ∧_∧. ∧∧
(    )  ̄| |/ (⊃ /  ⊂.⊃.   //   |       (∀・ )( ´,_ゝ)(   )(´∀`
| | |.   | |    /   └─┘ //   /.      ∧_∧ ∧ ∧ ∧ ∧. ∧_∧
(__)_)   | |  /         //   /       <_`  )(´・ω)(д゚` )(
        | |/         //   /.       ∧_∧ ∧ ∧ ∧_∧. ∧_∧ ∧
        ~~         //   /        (   )( ゚∀゚)(`   )(   )(゚д
.                //   /        ∧_∧ ∧_∧  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
.               //   /         (д- )(   )( ´,_ゝ)(TдT)(∀` )
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/26(日) 20:37:30.35 ID:fj6FhZDpo
今更ながら乙
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/29(水) 22:16:05.21 ID:sbS+xJC9o
本当に今更だが乙乙!
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/29(水) 22:19:34.18 ID:+p84/JNiO
わにーん
794 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:35:31.87 ID:pIqykOxSO
投下します
795 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:36:12.13 ID:pIqykOxSO
―――五ヶ月後 教会領前



姉「話ではここら辺に住んでるらしいんだけど」

魔女「家らしきものは見当たりませんね」

姉「葉っぱでも敷いて寝泊まりしてんのかなぁ」

魔女「それか木の上ですかね」

姉「アハハハ、あり得る。上にも注意して探そう」

男「下だ、この馬鹿ども」

姉「おぉ、愚弟。そこに居たか。おひさ」

魔女「どうもお久しぶりです」

男「ん、そうだな」

姉「うーん、何ていうか、変わってないな」

男「そんなに簡単に変わってたまるか」

姉「いやさ、ずっと山籠りだろ?」

男「そうだが?」

姉「もっと野人みたいになってっかとワクワクしてたんだけどなぁ」

魔女「言われてみれば、随分と小綺麗ですよね。本当にずっとここに?」

男「ま、とりあえず家に来てくれ。そしたら分かる」
796 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:38:34.03 ID:pIqykOxSO
―――地下室



姉「何というか、普通の部屋だな。これが山の中にあるってのは異常だが」

魔女「どうやってこんな部屋を。それも地下に……」

男「別に。プレハブ一つを丸ごと地面に埋めただけだ。あぁ、天井は少し弄ったが」

魔女「それはまた、金をかけましたね」

男「悠長に秘密基地作ってる時間も惜しかったからな」

姉「そう言う割りにはゲーム機の姿が見えますなぁ」

男「2週間は確かに激動だったんだが、それ以降は勝手も分かって暇になっちゃったんだよ」

姉「なるほどな。んで、爆薬は何処に」

男「窓の奥だ」

魔女「あ、ここ横穴が掘ってあるんですね」

男「中々の重労働だった」

魔女「見てきても?」

男「好きにしろよ」

姉「なんだ、部屋には置いてないのか」

男「爆発物に囲まれて寝る度胸はねぇな」

姉「スリルのある生活って素敵だと思うの」

男「そこまで人生に飽いてるわけじゃねぇんだが」

魔女「あのー」

男「ん、なんだ?」

魔女「奥にあるのが紅白の粉だけなんですが、もしかしてあれが火薬ですか?」

男「そうだが」

魔女「黒い火薬は今は使われていないんですか?」

姉「黒色火薬?もうお呼びじゃないなぁ」

魔女「そうなんですか。うーん、魔法使いの情報って本当に古い」

男「だからこそ、この作戦が成功するんだがな」

姉「いやぁ、実質彼らのプライドに助けられてるねぇ、私たち」

男「情けないよなぁ。どっちもこっちも」

姉「全くだ」
797 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:40:48.74 ID:pIqykOxSO
魔女「あれ?そういえば、ワニスケちゃんは?」

男「外」

魔女「外?」

男「こんな息苦しい場所で生活させるのは可哀想なんで、近くの川に住まわせてる」

姉「不便させてねぇだろうな?」

男「自然を満喫出来て、毎日が楽しそうだ」

魔女「でも、ご飯は普段と変わらないんですね。あそこに山積みになっているの、ワニスケちゃんのですよね」

男「変なもの食わせられないからな」

姉「うむ」

魔女「寝床までこちらに作っているみたいですし」

男「睡眠は健康の基礎。疎かにさせるなんて出来ん」

姉「うむうむ」

魔女「お二人ってたまにバカですよね。親バカです」

男「それ、お前の母親にも言われたわ。そんなにかなぁ」

姉「ほら、私たちは愛したらたっぷり甘やかすタイプだから」

魔女「ワニスケちゃん限定で?」

姉「何言ってるのー。魔女ちゃんにも愛をあげてるじゃない」

魔女「あははは」

男「乾いた笑いだな」

魔女「私の勘定違いで無ければ、鞭を振るわれた思い出も一つではないんですが」

姉「えー、信じてよー。今だって魔女ちゃんの為にこんなに頑張ってるのにー」

魔女「……そういえば、そんな話でしたね。時間も経ちましたし、教えてくれても良いんじゃないですか?」

男「えー」

魔女「それとも、まだ恥ずかしいですか?」

男「あー、うん、恥ずかしい……が、分かった。教えるよ」

姉「良いのか、ヘタレ」

男「こいつだって安心したいだろうと、穴蔵生活を送る中で結論に達した」

魔女「穴蔵生活ではないですけど」

姉「ま、違うわな。プレハブ小屋だし」

798 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:43:06.31 ID:pIqykOxSO
男「いいか、笑うなよ。怒るなよ」

魔女「聞いてから考えます」

男「あー、その……」

男「……い、一緒に暮らしたいからだ。これからも。家族として」

魔女「はい?」

男「そういうことだ」

姉「よし、お姉ちゃんが詳しく説明しよう」

魔女「はぁ、宜しくお願いします」

姉「魔女ちゃんに魔の手が忍ばないようにする為だ。以上」

魔女「詳しく、お願いします」

姉「やれやれ。ちょいと長いよ」

魔女「持して聞きます」

姉「普通にドカンとやったら、いくら辺境でも人が集まる。それは分かるね?」

魔女「はい」

姉「んで、それで魔法の存在は知られることになる。国には間違いなく。消防か警察は来るだろうし」

姉「知った奴がどうするかは、まぁ、私達が推測出来る範囲ではになるけど、宜しくないな」

魔女「それは、どういったふうに?」

姉「魔法を危険と見なしたら、もう一度魔女狩りだろうさ」

魔女「えーと……魔法が科学の神話を壊してしまうからですか?」

男「なんだ、分かるのか」

魔女「えぇ、まぁ。同じようなお話は散々と勉強させられてきましたから」

男「ふーん、魔法使いも流石にそこらは熱心か」

姉「うん、まー、そーいうこった。科学の神話が崩れる影響は良くは働かないってのは、アホでも分かることで」

姉「次に、友好的な話。魔法は使えそうだ。魔法使いたちと交友しようって考えた場合」

魔女「それで、問題が起こるんですか?」

姉「起こる。さっきの通り、魔法は一般には出来ない。交友もきっと、魔法使いがテリトリーから出ないことが条件になる」

姉「既にこっちに出ている魔法使いは首根っこ捕まれて戻されるワケだ」

魔女「成る程」

姉「魔法が使えるけど、書物が読めるし、何するか分からない生物は邪魔なだけだと思った場合」

姉「ま、これは詳しく言わなくても察せるでしょ?」

魔女「えぇ」

姉「一番良いのは魔法を嫌っての無視だけど、有り得ないわな。科学の世界にちょっかいかけてるのも分かるだろうし」

魔女「そうなったら、やっぱり……」

姉「そりゃ、皆殺しでしょ」

魔女「ですよねー……」

姉「どう行動するに依らず、こっちに出ている魔法使いを捕まえて根城を吐かせるってのが、まず起こるだろうけどね」

姉「有難いことに魔法使いは見事な特徴がある。オッドアイで義眼。探すのに苦労しなくて良いな」

魔女「私はどうしたって詰みですか」

姉「そうだね。他の道もあるかもだけど、皆仲良くな未来は、正直見えないなぁ」
799 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:45:37.87 ID:pIqykOxSO
魔女「話してくれてありがとうございます。……本当に、私の為にこんな面倒臭くて危険なことをしてるんですね」

男「そう言ってるだろうが」

魔女「やっぱり、バカですよ。捨て置けば良いのに。そうすればお二人はもっと安全……ふふっ」

男「なんだよ」

魔女「いえっ、その、ふふっ。怒らなきゃとは思うんですけど、えへへっ」

魔女「大切に思われているんだって分かったら、嬉しくて、つい。あはは」

男「くそっ、だから言いたく無かったんだ」

魔女「私は良かったですよ。ちゃぁんと、お二人の愛が知れて」

男「……チッ」

魔女「私もお二人を、家族を愛しています」

姉「死亡フラグっぽいこと言うの禁止!」

魔女「えぇっ!?」

男「そうだそうだ」

姉「ヘタレは黙ってろ」

男「はい、黙ります」

魔女「私もそれなりには勇気を出して言ったのに……」

姉「さぁ、話は終わりだ。急いで内職をしよう!間に合わなくなるぞ」

魔女「内職?」

男「この小さい袋に爆薬と雷管と信管を詰める内職。賃金は出ない」

魔女「あ、あの量を?何日でやるつもりですか?」

姉「三日かな」

魔女「みっ……!?」

男「徹夜と休みなしのコンボにならなかっただけでも喜べよ」

魔女「そんなことになったら、不注意で吹き飛びますよ!」

姉「いやぁ、先方の都合が取れた日が5日後でねぇ。こんな急ピッチに」

魔女「はぁ、付き合いますけども……」

姉「さすが」

魔女「ここにきて、無茶がまた積まれて行くなんて……」

男「乗り切るしかないさ」

姉「張り切っていこー」


800 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:49:26.11 ID:pIqykOxSO
―――5日後



男「マイクのスイッチを入れてくれ」カチッ

魔女「はい」カチッ

男『あー、あー……。どうだ、感度は良好か?』

姉『私は問題ない』

魔女『私もです』

男『うし、じゃぁ最後の作戦確認を行う』

姉『うーい』

男『目標は教会本部の爆破。ただし、その前後において誰かにバレてはいけない。バレた時点で作戦は失敗だ』

男『まず、射出器を教会正面と背面に設置する。ワニスケが既に結界を破ってくれているルートがある』

男『おれは正面への道を、姉さんは背面への道を』

姉『ういうい』

男『魔女は爆薬を交互に持ってきてくれ』

魔女『はい』

男『使い魔は多くが食われたか、出払っているはずだし、暗色の迷彩柄にフェイスペイントもしている』

男『見付かりにくいとは思うが、数回往復する必要がある為、危険度が増している』

男『転位発動は20時37分15〜30秒と予測されている。少なくともその5分前には設置を完了しておきたい』

男『よって、この作業は慎重かつ速やかにというバカみたいな難しさを要求される。まぁ、祈ろう』

姉『そうだねぇ。祈るしかない。ドジ補正の入らないことにね』

男『以降も別行動となるため、異変が起きた場合はマイクを通して伝えること』

魔女『はい』

男『下らない内容で使うなよ、姉さん』

姉『しないさ。緊張をほぐす小粋なジョークを入れるだけ』

男『するなよ』

魔女『しないで下さいね』

姉『へいへーい。つまらん奴らだ』

男『設置完了後は各自決められた持ち場にて、転位開始まで待機』

男『発射タイミングは、魔女、お前に任せる』

魔女『はい』

姉『魔力の動きなんぞ素人には感じ取れないしね』

男『理想は転位する一秒前だが、多少早いくらいに押して構わない。だから、抜かるなよ』

魔女『大丈夫ですよ、そう心配しなくても』

男『そうは言うが』

姉『なになに、やっぱり私のジョークが炸裂すんの?』

魔女『いりません』

男『いらん』

姉『そんなにバッサリいかなくても』

魔女『適度な緊張があった方が良いんですよ』

姉『ふぅむ、分からんでもない』
801 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:50:01.31 ID:pIqykOxSO
男『爆弾はこちらからの信号が途切れた時に爆発するようになっている。スイッチは転位するまで押し続けるように』

魔女『はい』

姉『ボタン押すのは発射した後で良いからね。発射の衝撃で幾つかはいかれるかもしれんし』

魔女『ただし、時間が無ければ同時でも良い、でしたね。分かっています』

男『無事に爆弾抱えて転位してくれた後には、大急ぎでシーツを張って湿らせないといけない』

男『とにかく大急ぎでな。ここが一番忙しい。なんせ、42秒だ』

姉『もうちょっと時間取ってくれよ』

男『民間衛星に行ってくれ』

魔女『ラジコンでの作業だから大丈夫だとは思いますが、中央には近づかないようにしてくださいね』

魔女『戻ってきた瓦礫に押しつぶされちゃいますよ』

姉『そんな間抜けな死に方は嫌だなぁ』

男『そうしてこうして万事上手くいったら、祝杯をあげて作戦は終了。帰るまでが作戦だよー、ってな』

魔女『安全に帰れてこそ、ですからね』

男『分かってる』

姉『分かってるとも』

男『……ふー』

男『暗視ゴーグルを付けろ。始めるぞ』

姉『了ー解』

魔女『了解』

802 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:51:49.65 ID:pIqykOxSO
―――



男『……あと、5分だ』

姉『ここまでは』

男『順調だな』

魔女『このまま何も起きないと良いですね』

姉『なに?死にたいの?』

魔女『え?』

姉『そういう願いは高確率で壊される。言葉にすれば尚更』

魔女『それ、迷信じゃぁないですか。実際にはあり得ないですよ』

男『この場合に於いてはそうでもない』

魔女『どうしてです?』

男『少なくとも、こうやって話してると見付かるリスクが上がる』

姉『叫ばない限り大丈夫さ。ほら、始まった』

ヒュルルル−

パァーン

男『……あの花火は保険で、話し声を隠すためじゃない』

姉『隠せるんだから、使ってもいいだろう』

男『喋らないと死ぬ病でもあるまい』

姉『用意してやったのも、先方に頭下げたのも私だぞ』

男『それを盾にするのは卑怯だよ、姉さん』

ヒュルルル−

パァーン

魔女『……あの花火はどうやって?お祭ではないですよね』

姉『金持ちがキャンプしてて、その余興ってことになってる』

魔女『そのお金持ちは……』

姉『私の友人。土下座して頼み込みました』

男『……』

ヒュルルルルル

姉『あ、大玉』

ドォーン ドドーン

魔女『こんな状況で言うのも何ですけど……綺麗ですね』

姉『ついでに大玉は二発ね。職人さんに私が頭下げて、どうにかそれだけ用意してもらった』

男『私私と恩着せがましい』

姉『ここぞここぞという時にダメージを与えるのが私の流儀だ』

男『弟に与えてどうする』

姉『楽しむ』

男『相変わらず酷い姉だ』
803 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:52:59.07 ID:pIqykOxSO

ヒュルルル

パパーン

男『……2分30。半分を切った』

姉『半分か。ふふっ、さすがにワクワクしてくるね』

魔女『お姉さんだけですよ。普通はドキドキでしょう』

姉『高揚感が湧いてこない?ほら、こう、今から凄いことするんだって感じで』

魔女『お姉さんはとにかく燃えているタイプなんですね』

男『小胆な奴は胃の腑を冷やしてるんですよー』

姉『ま、どっちが良いとは言えんさ。作戦をこなせる奴が優秀。それだけよ』

魔女『失敗したら?』

姉『次頑張りましょう』

男『次を許して貰えたら、だけどな』

姉『ママにか』

男『取引先のママンにもいる』

姉『それを言ったら、友達のマミーも必要になってくるじゃないか』

魔女『その話、さっきと繋がってます?』

姉『繋がってる』

魔女『そうですか。私にはよく分かりませんね』

ヒューン

パーン

男『……』

姉『……』

魔女『……』

…………、

…………、

…………。

魔女『……来ます』
804 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:56:56.96 ID:pIqykOxSO
姉『了解』

男『カウント』

魔女『……30』

29、28、27、26、25、24、23……、

姉『……』

15、14、13、12、11、10、9……、

男『……』

魔女『5、4、3、2、1……』

魔女『発射します』カチッ

ヒュンヒュン ヒュン

トサ ドサッ バスッ


キィィィィン

魔女『教会本部、転位します』

ピシュン

魔女『……』

ヒュルルル

男『……』

ドドーン ドォーン

魔女『……成功、ですよね……』

男『あ、あぁ……。呆気のない……』

姉『おい、惚けてんなよ。ヘリを飛ばせ。布を張るぞ』

男『おっと、そうだった。魔女、ボタンは押したままな。見たところ、幾つか漏れてる袋がある』

魔女『あ、はい』

姉『あぁ、くそっ、時間がない。爆弾回収は何時になるやら』

男『一仕事終えてからになるな。どうしても。危ないことこの上ないが』

魔女『多少の衝撃では爆発しない爆薬でしたよね』

男『爆薬はな。信管が壊れる可能性はある』

魔女『……祈りましょう、本当に』
805 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:57:38.68 ID:pIqykOxSO

キィィィィン

魔女『戻ってきます!』

ピシュン

ガシャーン!ガラガラガラ……

男『ははっ、こりゃ良い。見ろよ、見事に吹き飛んでる』

姉『ちゃちゃっと放水するぞー』

男『あいあい』

バシャァ

男『よし、布を被せる。これで土煙は大分抑えられたろ』

姉『放水けいぞーく。しっかし、あれだな。こんなんで終わりかー』

魔女『何というか、凄くズルをしたような感じになりますね。楽というか』

姉『骨が無いよ、骨が。結果に見合った苦労をしてない気がする』

男『準備にいくら労と金と時間をかけたと思ってんだ。全ては被害少なく勝つためだ』

男『それに』

魔女『それに?』

男『そう頻繁にピンチになって怪我してられるか。痛いのは嫌いだし、皆に余計な心配させるのも嫌だ』

姉『あっはっはっ、そりゃそうだ。私かてこれ以上髪を短くするはめになったら泣く』

魔女『ふふっ、そうですね。私も痛いのは嫌です。皆さんが傷つくのを見るのも』

男『正々堂々ではないかもしれんが、勝利者に嬉しい結果こそが正義だ』

姉『骨無しチキン的勝利こそ正義か。うん、確かに食べやすいのは正義だな。旨いのも正義だが』

男『それは調理次第だな。』

姉『なら、そろそろ仕上げに移りますか』

魔女『何をするんです?』

姉『いや、爆弾の解除、回収とか、色々残業を』

魔女『あぁ、成る程。お気をつけて。私はしっかりボタンを押していますので』

男『教会に背を向けとくことをお勧めする』

魔女『それはまた、どうしてです?』

男『今からする主なことは、生き残りの殺害だからな。精神衛生上良くない』

魔女『それはっ……』

男『爆弾が爆発した。建物が崩れた。それだけじゃぁ、死なない悪運の強い奴って居るもんだ』

姉『災いの種を見逃す理由も無し。仕事はきっちりやらんとね』

姉『残酷だって止めるかい?』

魔女『いいえ、止めません。どうか、どうかお気をつけて』

キィィィィン

魔女『……!?誰か転移で飛んできます!』

男『なにっ!?』

シュン

806 :>>1 [sage saga]:2013/06/06(木) 16:58:33.52 ID:pIqykOxSO
ここまで
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/06(木) 18:10:58.55 ID:g5bYhxIKo
おつ!!
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/06(木) 18:37:52.38 ID:8C7MV51Xo
来てたか乙
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/06(木) 19:28:36.06 ID:nGackb/Go
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/06(木) 20:33:42.40 ID:TLvqmeA5O
わにーん
811 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:32:28.58 ID:KrH3IVmSO
投下します
812 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:36:45.77 ID:KrH3IVmSO
「子どもは子どもらしく」

当主「もっと明るく生きなさい」

男『なっ……』

魔女『お、お母様っ!?』

当主「えぇ、久しぶりね」

ズザァ

当主「……なに?獣?」

姉『……』

当主「あら」

姉『……敵じゃぁ、ないのか。先手必勝と思ったが』

当主「貴女は……あの子が言っていた優しいお姉さんかしら」

姉『えぇ……っと。もう必要ないか』カチッ

姉「どうも奥さん、魔女ちゃんと不本意ながらそこの野郎の姉をさせて貰っている者です」

当主「これはご丁寧に。私の娘が大変お世話になっているようで、感謝しているわ」

姉「いえ、私の方も愚弟が随分とお世話になったようで」

当主「ふふっ、あんなに手のかかる子を見たのは初めてだったわ。お姉さんも随分と苦労されているのではなくて?」

姉「ははは、いやぁ、アレはアレで可愛いもんですよ」

当主「良いお姉さんね」

姉「あー、そうそう、先程は殺そうとして済みませんでした」

当主「気にしていないわ。元気のあって良いことじゃない」

姉「元気だけは有り余っていますからね」

男『姉さん!』

姉「おぅ、来たか」

男『勝手に通信を切るな』

姉「電話をしながら魔女ちゃんのお母さんと話せと?そんな失礼が出来るか」

男『せめてそうだと言ってから切ってくれ。色々不安になる』

当主「ふふっ、本当に姉弟仲が良いのね」

男『……』カチッ
813 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:40:30.42 ID:KrH3IVmSO
男「……御当主」

当主「なにかしら」

男「なぜ此処に」

当主「貴方達が結界を壊してくれたお陰で、転移が出来るようになったから」

男「その説明では不満です」

当主「なら……そうね、貴方達が子どもらしくないことをしそうだったから、大人として代わりに来た」

男「御当主!」

姉「まぁまぁ。良いじゃないか、そういうことで。しっかり大人の好意に甘えようず」

男「しかしなぁ。分からんのは気味の悪い」

姉「好意なんだから、これは貸しにはならんのだぞ。ね、そうですよね、奥さん」

当主「見返りを求めたら、それこそ大人気ないじゃない」

男「……分かった、甘えましょう。嬉々としてやりたいことでもない」

男「ただし、本当に恩とは思いませんからね」

当主「えぇ。しっかり甘えて頂戴」

男「なんかなぁ……」

当主「さ、許可は取ったわ。瓦礫を掘り起こしてきなさい」

キィィィィン
シュン

従者「はっ」タッ

姉「……兵を近くに忍ばせているので?」

当主「1人でこんな場所まで散歩というのも笑い話でしょ?」

姉「私なら、貴女は随分と健康的な趣味をお持ちだと言いますかね」

当主「ふふっ、貴方も結構ユニークな人ね。弟さんと違って攻撃性はないけれど」

姉「愚弟、お前、割とマジで何をしてきたんだ」

男「うるせー」
814 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:41:42.06 ID:KrH3IVmSO
当主「さて、そろそろ隠れるのを止めて、挨拶ぐらいには来て欲しいのだけど」

魔女『ゔっ……』

男「お前、居ないと思ったら」

魔女『……』テクテク

魔女『……』

当主「……」

魔女『……えぇと、そのっ』

当主「外しなさい」

魔女『えっ?』

当主「そのマイクを外しなさい。礼儀がなっていないわ」

魔女『……!』カチッ

魔女「す、すみません……」

当主「気を付けることね」

魔女「……はい」

当主「……」

魔女「……」

当主「はぁ……うなだれているだけなの?」

魔女「あっ、え、えと……お、お久しぶりです、お母……様?」

当主「……」

魔女「えぇと、その……」

当主「久しぶりね。連絡も急に寄越さなくなるし。その所為で対象を招くことになったわ」

魔女「す、すみません……。魔力切れを起こして……それで」

当主「ふぅん」グイッ

魔女「うわっ!」

当主「確かに、随分と使いきっているようね。でも全部じゃない。後一回は連絡を寄越せるわ」

当主「なのに、どうしてしなかったのか」

魔女「そ、それは……」

当主「あなた、完全に見えなくなることを恐れたのね。それで職務放棄」

魔女「っ……」

当主「本当に、とことん使えない娘」

姉「まーまーまー、良いじゃないですか。誰だって失明は怖い」

当主「家族の話に割って入る無礼は弁えていると思ったのだけど、勘違いだったかしら」

姉「今は私たちの家族でもあることをお忘れじゃぁないですか?家族をバカにするなら、殺しますよ」

魔女「お姉さん……」
815 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:44:26.41 ID:KrH3IVmSO
当主「失礼。そうだったわね。久しぶりの再会で熱が入ってしまったわ」

男「御当主、気持ちは分からないでもありませんが、もう少し愛を持たれても良いのでは?」

当主「それで組織が健全に機能するのなら」

男「しませんか」

当主「しないわね」

姉「一つお聞きしたい。組織にこの子は必要な人材で?」

当主「特別ではないわ」

魔女「……」

姉「ならば、これからも家族の元に置いておくとして、問題有りませんね」

当主「えぇ。あなたもそれを望んでいるのでしょう?」

魔女「あっ、は、はいっ!」

当主「そこまではっきり言われると、少し惜しくなってくるわね」

男「どっちにしろ、今日の所はそちらにお預けすることになりますがね」

魔女「え゙っ……。な、何でです?」

男「お前、その目で実生活送る気か。とっとと治してこい」

魔女「か、片目でも何とか出来てましたし」

姉「これ以上、皿が割れるのも床にジュース零されるのも嫌だなぁ」

魔女「うっ」

姉「それにさ、やっぱり眼帯外した魔女ちゃんの笑顔が見たいよ」

魔女「……はい」

姉「ねっ、だからさ、治して来なよ」

魔女「はい……。分かりました。余り駄々をこねても困らせるばかりですもんね」

男「久しぶりの実家だ。ついでにゆっくりしてくと良い。具体的には2、3ヶ月ほど」

魔女「……まだ、何か考えてますね」

当主「ゆっくりする必要はない。ゆっくりさせる必要もないし」

当主「そうね、3日程度で帰せると思うわ」

男「……御当主、ふざけているのですか。貴女の口からそんな甘い言葉が出るとは」

当主「3日で良いから3日と言ったのよ。何がどう甘いのかしら」

男「分かるでしょう」

当主「分からないわ。もう居ない教会の残党なんか気にする必要があるのかしら?」

男「居ない?」

魔女「残党……。男さん、まさか、私を疎開にでも出そうと」

男「……今は突くな」

男「御当主、居ないとはどういうことですか。まさか貴女が?」

姉「おいおい、間抜け。余り阿呆な質問をするんじゃない。失礼だろうが」

姉「この人は全面戦争がしたくなくて、蚊帳の外のガキの尻に火を付けたんだぞ」

男「む……」
816 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:47:40.34 ID:KrH3IVmSO
当主「お姉さんは随分と私のことを分かっているみたいね。先刻会ったばかりというのが信じられないわ」

姉「まー、お話だけは聞いてましたから」

当主「この理由は分かるかしら?」

姉「それは皆目検討も尽きません」

当主「まぁ、そうね、蚊に噛まれたのよ。自分がつぶし損ねた蚊にね。それで半壊」

男「蚊……、あの血吸い虫の小娘か。やっぱり、生きていやがった」

当主「幾つかの支部が潰されて危機感を持った教会は、残っている司祭を集めて会議を開いていた」

当主「運悪く今日にね。もう教会は切れた尻尾でさえ機能しないの。分かるかしら」

姉「なるほど、今日に大事な会議を……。一つ質問良いですかね」

当主「どうぞ」

姉「花火職人にお知り合いは居ますか?」

当主「えぇ。この前仲良くなったばかりの人が一人」

姉「ははは、それはまた良いタイミングで仲良くなられたもんだ」

男「おれからも一つ」

当主「どうぞ」

男「血吸い虫の居場所を知っていますか。おれも、あいつを潰し損ねた一人なんですよ」

男「あいつだけは、おれの手で殺しておきたい」

当主「残念だけど、今の居場所は知らないわね。彼女と連絡が取れたら教えましょう」

男「……いつ、連絡が取れますかね」

当主「さぁ?彼女の気分が落ち着いたら、じゃないかしら」

男「……クソッ」
817 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:50:41.54 ID:KrH3IVmSO
当主「そうだ、貴方たち、帰りの足はあるの?家の近くまで飛ばしてあげましょうか?」

姉「私は向こうでパーティーやってる友人の所に突撃かましてきます。それで、明日の朝、友人の車で」

男「おれは……いや、おれも姉さんに着いていきます」

姉「えー、マジかよー」

男「知らないところで物事が上手く進みすぎなんだよ。ドキドキしてたことが、虚しくなってきた」

男「飲まずに今日を終わらせることが出来るか、クソッ」

当主「そう。事故と飲み過ぎには気をつけてね」

姉「ご安心を。私が居ますので」

男「姉さんは運転もしないし、酒も特別強くないだろうが」

当主「ふふっ。では、私たちは帰りましょうか。さ、行くわよ」カツカツカツ

魔女「え、は、はい」

姉「しっかり療養してきなよー」

男「じゃーな」

魔女「えぇと、ま、まぁ、楽して勝つのが良い勝利ですよ!元気出して!それでは!」

タッタッタッ

818 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:51:39.78 ID:KrH3IVmSO
男「分かっててもモヤモヤするから荒れてんだけどなぁ」

姉「上手いタダ飯、タダ酒もらってはしゃげば消えるさ。さ、私たちも行こう」

男「あぁ」

男「えーと……」

男「『隣人よ、我らは離れすぎた。距離を戻し、今一度我が隣に座れ。これは契約に基づく命令だ』」

男「『来い、ワニスケ』」

カッ

ワニスケ「シャー」

男「よしよし、待たせてごめんな。何か全部終わったらしいから、飯食いに行こう」

ワニスケ「シャー」

姉「BBQだぜ、BBQ。上手い野菜が食えるぞ」

ワニスケ「シャ♪」

ワニスケ「……」キョロキョロ

ワニスケ「シャ?」

男「魔女?あいつ実家帰ったよ」

ワニスケ「シャー……」

姉「落ち込まない。3日ぐらいで帰ってくるってさ」

ワニスケ「シャシャ」

男「そん時に改めて祝勝会としよう。父さんと母さんにも何とか予定空けてもらって」

姉「久しぶりに家族全員揃ってか。良いね。精一杯賑やかにしよう」

ワニスケ「シャー!」

ヒュー

姉「あ、花火。まだ残ってたのか」

パパーン パーン

男「……お開きの花火じゃないよな」

姉「……」

男「……」

姉「急ごう」

男「おう」

ワニスケ「シャー!」

819 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:52:37.14 ID:KrH3IVmSO
―――三日後



男「ただいまぁ、っと」

魔女「……遅い」

男「ん、あぁ、帰ってきてたの」

魔女「遅すぎです!」

男「え、なに?」

魔女「今日帰ると、そういう予定だったじゃないですか!どうして誰も居ないんですか!」

男「いや、今日平日だし。普通に学校あるし」

魔女「だとしても!」

男「はい」

魔女「せめて置き手紙を残しておくとか、鍵を置いておくとか!」

男「いや、防犯上よろしくないんで、そういうのはちょっと」

魔女「私、何時間待ったと思います?」

男「知らん」

魔女「五時間ですよ!五時間!もう、嬉しさも消えましたよ!ひたすらに孤独ですよ!」

男「五時間か。そいつは少し可哀想ではあるな」

魔女「……」

男「……えーと、茶でも飲むか?」

魔女「もちろん、淹れてくれるんですよね」

男「そりゃ、まぁ。五時間待ちぼうけで機嫌の悪い人間の機嫌をさらに悪くしたくはないし」

魔女「……いま、悪くなりましたよ」

男「そいつは大事だな。ちょっと高いケーキをお茶うけに出そう」

魔女「甘いもので丸められたりはしませんからね」

男「魔女」

魔女「なんです?」

男「お帰り」

魔女「……ただいまです」
820 :>>1 [sage saga]:2013/06/24(月) 23:54:31.65 ID:KrH3IVmSO
以上
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/25(火) 00:05:57.23 ID:CB8p9mU5O
わーにー
822 :>>1 :2013/06/25(火) 00:40:46.74 ID:/kfGg7sSO
一応完結です。遅々としたペースで申し訳ありませんでした

おまけや補足を書きたいと思っているのでHTML依頼にはまだ出しません

以上、ありがとうございました
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/25(火) 08:52:55.30 ID:sakdkQhZo
乙乙。
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/25(火) 10:07:00.66 ID:uQxI8yfKO
わにーん
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/25(火) 22:12:48.89 ID:uYgDPHPZo
なんか最後の会話がすげえ好き
乙!
826 :>>1 [sage saga]:2013/06/28(金) 07:58:34.63 ID:w2CmtYNSO
おまけ
827 :>>1 [sage saga]:2013/06/28(金) 08:00:39.22 ID:w2CmtYNSO
【母娘】



別れた後


魔女「……」

当主「……」

テクテク

魔女「……お母様は」

当主「黙って進みなさい」

魔女「……お母様は愛情の無い人だったはずです」

当主「聞けなかったの?黙って進みなさい、と言ったのよ」

魔女「黙れません。わ、私はもう、お母様の駒でないし、極度の臆病でもなくなりました」

当主「……」

魔女「だから、そのお願いは、き、聞けません!」

当主「なら、親として言うわ。黙りなさい」

魔女「子に愛情を与えられない人は、親でなく他人です」

当主「きちんと与えているわ。でないと、あなたみたいな出来損ない、とっくに処分しているもの」

魔女「ただ、この作戦を為すのに必要だったからでしょう」

当主「最初からあなたを今回の作戦の為に調整してきた、とでも言いたいのかしら」

魔女「幼少の頃より私に与えられていたのは、偏った教育、恐怖、侮蔑、友達、それにほんのちょっとの褒賞」

魔女「出来上がったのは、世間知らずで、臆病で、命令に服従し、でも無口でないし卑屈過ぎもしない」

魔女「そんな人間です。お母様が今回の作戦で理想としていた人材は、どんな人間ですか」

当主「……少し強くなったわね」

魔女「えっ?」

当主「少し賢くもなった」

当主「でも、どれも中途半端。だから、無知で臆病な少女より、余計に愚か」

当主「あなたはそれを聞いて、何が知りたいの?私に愛の在ること?無いこと?」

魔女「……真実が知りたいじゃ、ダメですか」

当主「あなたはね、結局嫉妬しているのよ。自分が貰えなかった優しさを貰った彼に」

当主「自分にも与えられる機会はあるか、と知りたくて急いてる」

当主「今でも私に期待を抱いている辺りが、出来損ないのあなたらしいけれど」

魔女「……分かりません。自分の気持ちなんて。でも、或いは、そうなのかもしれません」

当主「次に口を開くとき、最低でも攻める意味だけは明らかにしておきなさい」

当主「ただ反抗したいだけの子どもは相手にしたくないの。分かる?」

魔女「……はい」

当主「いい子になりなさい」

魔女「……」
828 :>>1 [sage saga]:2013/06/28(金) 08:01:24.64 ID:w2CmtYNSO
以上
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/28(金) 17:02:08.17 ID:VmE+zPtDo
おつ
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 04:51:06.04 ID:Lnk8xPfzo
おつおつ
831 :>>1 [sage saga]:2013/07/04(木) 06:17:14.66 ID:NAuOU+eSO
投下
832 :>>1 [sage saga]:2013/07/04(木) 06:17:59.67 ID:NAuOU+eSO
【ヴァンパイア】



ロシア少女「久しぶりだナ、ゴミヤロウ」

男「あぁ、久しぶりだな、ヒル女」

ロシア少女「本当は話し合いじゃなくテ、テメェをなぶり殺したかっタ」

男「奇遇だなぁ。おれも、お前だけは殺したかったよ」

ロシア少女「ヒハハハ、テメェにゃ無理な話サ」

男「その傲慢で死にかけたことをもう忘れてる。これだから、血を吸うだけの虫は嫌なんだ」

ロシア少女「そういうテメェも随分ト、驕り高ぶっているじゃないカ。自己は省みれない阿呆メ」

男「今は驕るさ。慢心してても殴り合いにはなんねぇからな」

ロシア少女「許可が降りれバ、しても良いんだけどナ。殴り合イ」

男「おれだって許可が欲しいさ。拷問する許可とかな。お前さ、何で本家になんぞ下った」

ロシア少女「吸血鬼は繊細なんだヨ。テメェ等みたいな粗雑な玩具と違ってナ」

男「バグの多すぎで、最初に買ってもらえた家から捨てられたゴミのくせに」

ロシア少女「アリャ、使い方の知らぬバカ共ダ。制裁は与えタ」

ロシア少女「それがテメェの助けになったと聞いた時ハ、腹の虫を鎮めるのに苦労したもんだガ」

男「お前の間抜けが悪い」

ロシア少女「だガ、それでお前がこうして生きていられるってのハ、嬉しい話でもあル」

男「気味悪いな。告白なら同類にしろ。水溜まりの近くに沢山いるぞ」

ロシア少女「愛を語るなラ、テメェよりかはマシな相手だけどナ」

男「虫の目で見ればそうなるだろうさ」

ロシア少女「どの目で見たってそうサ。下衆より虫のほうが愛嬌があル」

男「酷いな。おれは極めて紳士だぞ。化け物退治にだって乗り気だ」
833 :>>1 [sage saga]:2013/07/04(木) 06:20:38.89 ID:NAuOU+eSO
ロシア少女「知識も何も無イ、やる気だけの若者だロ。大丈夫カ?玉が冷えたりしなイ?暖めてやろうカ?」

男「やめてくれ。変な病気移されて腐り落ちちまう」

ロシア少女「落ちて困ることがあるのカ。驚きだヨ」

男「なんだ、必死じゃないか。そんなに玉が触りたいのか?」

ロシア少女「死にゆく奴に良い思い出を作ってやるぐらいの優しさはあるって話サ」

男「相手はスライムみたいなもんだ。下手踏んでも死ねないから、その売女精神はしまっていいぞ」

ロシア少女「アァ、可愛いナァ。バカの倒錯は何度見ても可愛イ。自分が大きく見えてるんだナ」

男「褒めてくれるな。虫酸が走る」

ロシア少女「走れ走レ。そいつは愉快ダ」

男「人の虫酸が愉快か。とんだ性癖だな。恐れ入る」

ロシア少女「愉快なのはそれで歪むテメェの顔が間抜けだからだヨ。分からないかナァ、これくらイ」

男「お前みたいなのがそんな健全な趣味を持ってるだなんて、誰が想像出来るってんだ?」

ロシア少女「おいおイ、失礼だロ。そんナ、まるで自分が民意の代表ですって言い方はサ。バカなんだかラ」

男「思っちゃいないさ。でも、天才が辿り着けぬってのは事実だろ?」

ロシア少女「バァカ、見た目は健全なんダ。心も健全だと思うサ。邪推すんのは変態だけダ」

男「くくっ、自分で分かってるようで何より。そうだな、見てくれは健全だ。見てくれは」

ロシア少女「ハハッ、テメェも同類だロ?ゲロ臭い心をしやがっテ」

男「おぉ、珍しくまともで、正しい切り返しだな。多少は人様の叡智を身に付けたか」

ロシア少女「叡智だっテ?半万年遅れてるサイバリアンの何処に叡智が詰まってんダ」

男「筋弛緩剤とかに、かな。どうだ、股の具合は。まだ、弛んだままか?」

ロシア少女「聞いてどうすル?今晩のネタにでもすんのカ?」

男「ヘドロの塊に欲情なんぞしねーよ。自惚れんな」

ロシア少女「自惚れるサ。結構簡単に釣れるんだゾ。テメェのお友達とかナ。ハハハハッ」

男「ハハハハ、根絶やしにするぞ、化け物」

ロシア少女「怒っタ?怒ったのカァ?アハハハ、悪いこと言ったみたいですまないナァ!」

執事「盛り上がっているところ、失礼します」

ロシア少女「ア?」

執事「面会時間の終了です」

男「……もうそんな時間か」

ロシア少女「チッ、良いところデ」

執事「時間は時間ですので」

男「じゃぁな、ヴァンパイア。中々有意義だったよ。次会う時は殺せることを願ってる」

ロシア少女「アァ、私も楽しかったヨ。次会う時までに殺しの許可を頂いておク。極上のナ。一緒に楽しもウ」
834 :>>1 [sage saga]:2013/07/04(木) 06:22:04.03 ID:NAuOU+eSO
以上
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/04(木) 17:29:44.02 ID:MB21yLr+o
おつ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/04(木) 17:32:12.77 ID:JxL/k2l8O
わにーん
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/05(金) 19:20:42.73 ID:F7oJnPwGo
おちゅちゅ
838 :>>1 [sage saga]:2013/07/07(日) 15:10:13.00 ID:uKLlc5FJ0
HTML化依頼に出してきました
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/07(日) 15:31:23.81 ID:/0n8fNofO
乙わにーん
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/07(日) 20:17:50.50 ID:XeOqGCs8o
マジかさびしくなるな
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/08(月) 00:29:33.13 ID:lsTK1W5bo
お疲れ様でした
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/07/11(木) 14:05:44.92 ID:Ew/ehXvwo
3年か
お疲れさまでした
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