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御坂妹「アクメツ……?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 16:30:11.42 ID:b0/xX/o0
SS初チャレンジですがHKBと言われたのでやってみます。
アクメツ×禁書ですがアクメツさんが禁書キャラを悪滅したりは基本しません。
タイトルから分かるように?科学サイドメインです。
書きながら&遅筆なので非常に遅い進行が予想されます。
一部設定に独自解釈を加えています。(素で勘違いしてるケースもあるのでツッコミありで)
文才ないです。とりあえず三巻ぐらいまでやってみて様子を見ます。
ではよろしくお願いします。
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 16:31:41.82 ID:b0/xX/o0
20××年 冬 首都近郊

――その男は怒っていた。

何に? と問われれば色々としか言いようがない。

例えば、半年かけて仲を育んできた異性とちょっと『イイ雰囲気』になったので
口づけを交わそうとしたら、やんわりと拒絶された事、とか。

例えば、傷ついた心をチューリップでも愛でて癒そうと思って訪れた遊戯施設で「もしも用休憩代」
どころか一週間分の生活費を花の肥料にしてしまった事、とか。

例えば、帰路の途中で脳ミソの足りてないオニイサン達に絡まれ、無い物ねだりされた事、とか。

例えば、そのオニイサン達に気に入っている髪型を『白菜』呼ばわりされて、無駄な運動をした事、とか。

例えば、ようやく帰りついた自宅の前で家の鍵の紛失に気づいて今来た道を戻る羽目になった事、とか。

例えば、久しぶりに『兄弟』から連絡があったかと思えば、とんでもない野暮用の知らせだった事、とか。

今日だけで色々と腹の立つ事はあったが……まぁ、一番はコレだろうとも思う。

『何処かのバカが、首相官邸地下のクローンプラントの跡地に侵入した事』だ。
3 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 16:35:54.66 ID:HAxg0Lo0
完全にオレ得。
支援!!


首都=東享ですね、わかります。
4 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 16:41:24.21 ID:b0/xX/o0
まず最初に知っておいて欲しいのが、この男『椿生(つばきしょう)』は普通の人間ではない。

生身の人間を切るより気楽だからという理由で司法解剖専門の医師をしているアレな人間ではあるが……

とりあえず、見た目は普通だった。そこそこモテる程度には。

だが問題なのは、その『普通の見た目』と同じ姿形をした人間が複数いる事である。

世の中には似た人間が三人はいるとか、ビッグダディの家に五つ子が生まれたとか、そんな生易しいレベルではない。

遺伝子レベルで同一の存在が、当人達の与り知らぬ所で数十人存在していたのである。

――そう『椿生』はクローン人間であった。

何故、そんな存在がいるのか……とりあえずそれは置いておこうと思う。
5 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 16:51:08.86 ID:b0/xX/o0
夜の街を駆けながら生は叫ぶ。

生(椿)「なんで今更、あんな所に入りこむんだよ!?」

焦りの感情を隠す訳でもなく電話越しの相手にぶつけてしまう。

生(?)『俺が知る訳ないだろう、ネズミに会ったら直接訊いたらどうだ?』

返って来るのは自分の声。
暮らす環境や機械越しである為か……多少の違いはあるにせよ、慣れ親しんだ自分の声。

生(椿)「そもそも、あそこにはもうプラントは残ってないんだぞ!? クローニング技術狙いにしては的外れすぎる!」

生(?)『例のクーデターの時にプラント自体は移設済みだからな。侵入方法は謎だが』

生(椿)「だからって、一条の……お前冷静と言うか……呑気過ぎるだろ、警官の癖に」

生(一)『……そもそも、もうすぐ10年だぞ?』

焦る椿に対し、一条がどこか真剣になれないのはそれが理由だった。

生(一)『仮にクローニング技術を狙う輩がいるにしても、何故、今なんだ?』
6 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 17:16:17.95 ID:b0/xX/o0
生(一)『プラントの移設に気付く可能性のある人間は既にこの世には一人もいない』

……そうだ。

『悪滅』に参加していた他のクローン達。

同じ顔、同じ声、同じ宿命、同じ信念。同じ怒り。同じ悲しみ。

悪を滅するというエゴを享受し、自らを死によって罰することで
『悪のW処刑』『一人一殺』を行い政府に、日本に、世界に波紋を投げかけた『兄弟』達。

その波紋によって起きた、政府機能マヒの隙を突いた悪党達による裏新政府設立。

多くの友、多くの仲間、多くの『兄弟』達の犠牲の果てに裏新政府に加担していた人間は駆逐された筈だ。

その事は、各々の事情で『悪滅』に直接参加出来なかった『残留組』の自分達が念入りに確認した。

共に命を賭けて戦えない以上、後始末くらいは、と。

そう念入りに。念入りにだっ!
7 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 17:35:48.15 ID:b0/xX/o0
連鎖するように椿は思い出す。『後始末』の内容を。

仲間達の遺体も何体、解剖したか分からない。

あの時は、事後調査やら関係者の護衛やらを任された他の『残留組』を羨ましく思ったものだ。

マスクに仕掛けられている爆弾によって、頭部こそないが、自分を……自分と同じ肉体を切り裂くという感覚。

仕事とはいえ、やらねばならない。他の誰かに任せるなんて出来なかった。

彼等の遺体をよからぬ目的で入手しようとする人間がいないかどうか、
それを監視する為にも彼がやらなければいけなかった。

残された者達の平穏の為に。

悪を滅する為ではなく、滅する悪が現れぬように。

生(椿)「でも、このままじゃ……」

生(一)『どこかの馬鹿に平穏を壊されるかもしれない?』

生(椿)「……ああ」

生(一)『大丈夫だ。本命が狙われたなら別だが、旧プラントを調べたところで何の手掛かりもない』
8 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 17:59:09.01 ID:b0/xX/o0
そもそも、クーデター事件で廃棄された後もプラントはそのままにされていた。

破壊されたセキリュティや防衛システムだけは復旧させて、だが。

その目的はクローニング技術を狙う輩に対する疑似餌である。

城壁だけは立派に修理しておき、中の城も健在に見せ掛けて実はハリボテ、という訳だ。

つまり今回の侵入者はまんまとそれに釣られた獲物である訳だが……

生(椿)「けどよ、プラントには神宮寺……オリジナルの遺伝子を持った存在じゃないと侵入は不可能だろ」

生(一)『言っておくが、生き残っている『残留組』とは全員と連絡が取れた』

生(椿)「10年前と違って誰かが捕まったって訳じゃないのか……だが、ならどうやって?」

生(一)『セキュリティとは言っても、所詮は機械だからな……故障か……あるいは』フム

生(椿)「あるいは? 何だよ?」

生(一)『ネズミさんは電子戦が得意なのかもな』

生(椿)「おいおい、ver.1の俺にポケモンか何かと戦えってのか……?」オイオイ

思わず、不幸だとでも呟きたくなる椿であった。
9 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 18:39:21.23 ID:b0/xX/o0
〜首相官邸地下通路〜

かつて、アクメツ達の文字通りのライフラインとして機能していた旧クローンプラントは首相官邸地下300bの秘密施設にある。
よりにもよってそんな所にプラントを建造した神宮寺の発想というかセンスには色々と言いたくなる。

……嫌いじゃないが。

生(椿)「ところでアクメツマスクは着けたほうがいいと思うか?」

懐から鬼のような角を持った漆黒の仮面を『2つ』取り出す。

生(一)『死にそうになったら着ければいいだろ。一度着けたら外せないんだぞ』

言われて想像する、日常生活で仮面を着けた己の姿。

……少しゲンナリした。

生(椿)「とりあえず即死しないように首と心臓だけは死守する事にする……」

言いながら『本来の機能』の付いてない模造品のアクメツマスクを装着した。
果たして、これで顔を隠せるかどうか『残留組』の椿としては常々疑問であったが、こんなものは気分である。

10 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 18:46:37.29 ID:b0/xX/o0
生(一)『あと、イヤホン通話に切り替えろ。さすがに片手が塞がったままは不味い』

生(椿)「そうだな……それにしても便利になったよなぁ、ここ数年で」

言われて椿は携帯を操作し耳に小型のイヤホンをはめる。

生(一)『学園都市……だったか? あそこの技術が少しずつ外にも影響してるらしいな』

生(椿)「あそこで暮らしてる安達のが言うには学園都市の中と外で20年は差があるって話だろ?」

生(一)『それだけ技術が進んでるなら、クローンだっているかもしれないな』

生(椿)「いやいや、さすがにそれはないだろー」ケラケラ

一条の言葉に腹の底から笑う椿。

生(一)『おい、笑いすぎだ。気づかれたらどうする』

生(椿)「スマン、でも神宮寺以外にこんな技術を極める奴なんか、そう簡単にいてたまるかよ」

……これは笑い話だった筈なのだ。この時までは。
11 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 18:53:33.27 ID:YcaH1ISO
俺得すぎるだろ…支援だ
12 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 19:12:40.69 ID:b0/xX/o0
生(椿)「しかし、すごいなこりゃ」

生(一)『何がだ?』

生(椿)「侵入者だよ。防衛系の設備が見事に潰されてる。焼け焦げて……ショートしてるのか?」

破壊された機器から黒い煙が立ち上って、ただでさえ淀み気味な空気をさらに悪くしている。

生(一)『監視カメラも侵入者を確認した時点でシステムごとまとめて潰された。中々の手練だな』

生(椿)「……その割には扉についてるDNA認証は壊れてないな」

生(一)『やはり電子戦も得意なようだな。ハッキングされた可能性が高い』

生(椿)「んで、そのD3ピカチュウは何処まで入り込んだんだ?」

生(一)『第三層までの侵入は確認したが、以降の動きはないな』

生(椿)「おいおい、第三層なんて序盤の序盤じゃないか。幸せの箱どころか鉄の金庫だって取れやしないぞ」

生(一)『何の話だ……結構なことじゃないか、潜る手間が省けて。……もうすぐだな』

第三層の認証扉を開き、息を殺して中へと侵入する。

生(椿)「………………?」

生(一)『椿? どうした?』

生(椿)「……侵入者は一人なんだよな?」

生(一)『確認できたのは一人だけだが……いたのか?』

生(椿)「……なんか、女子中学生が倒れてるんだが」

椿は時間が止まった音を聴いたような気がした。

生(一)『……………………はぁ!?』
13 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 19:15:46.11 ID:VaMwZgso
おぉ立ってる
HKBと言った甲斐があった
HKB
14 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 19:43:30.79 ID:b0/xX/o0
時間が動き出してから最初に投げかけられた言葉は病人を案ずるような声音だった。

生(一)『おい、医者の不養生とか笑えないぞ。眼科へ行け、眼科へ』

生(椿)「だって、倒れてるんだから仕方ないじゃん!?」

あまりの事態に社会人になってから出てなかった共有の口癖までも出てしまう始末。

素数を数えたくなる心理状態を慌てて落ち着かせて、倒れている少女を観察する。

肩まである茶色い髪。倒れていてよく分からないが、かなりの美少女だと思う。
冬には少し不自然な白い半袖のブラウスにサマーセーター。
倒れてるせいで色んなモノが見えそうで見えない状態のプリーツスカート。

それらを電話越しの一条に伝えていく。

生(一)『本当に女子中学生っぽいな……?』

生(椿)「なんか暗視ゴーグル? みたいのを着けてるから、この娘が侵入者だとは思うんだが」

生(一)『しかし、どう考えても不自然だろ。なんで中学生がプラントに侵入するんだ』

生(椿)「あぁ……あと」

生(一)『何か気になるコトでもあるのか?』

生(椿)「割と好みのタイプだ」

生(一)『おーけー、自首扱いにしてやる』

生(椿)「少し胸が足りない感じだが、中学生だと逆にそれがっ!」

生(一)『よし、麗子さん伝えといてやる。面会には行かなくていいと』

生(椿)「うるせー! どうせ麗子さんとは少しアレになっちまったよ!」
15 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 20:21:00.91 ID:b0/xX/o0
なんかゴメン、と急に真剣になる一条に悲しくなるから素は止めて!? と涙目になって椿が咆える。
そんなやりとりをしていると、目前の少女の体が少し動いたように見えた。

生(椿)「っ!?」

思わず駆け寄って抱き起こす。それは侵入者に対しての動きではなく……
アクメツである前に一人の医者としての本能的な行動だった。

生(椿)「おい、しっかりしろ!」

?? 「……その……仮面は……」

いかん、これじゃ傍から見たら仮面の変質者みたいじゃないか、とか。いやでも侵入者だったら……等と思考が混乱する。

?? 「ようやく……見つける事が……とミサカは……」

生(椿)「ミサカ? それがお前の名前か?」

ミサカ「はい……正確には……フル……チュー……グと呼称される……個体が……ミサカです、と……」

酷く衰弱しているのか言葉の端々が聞き取れない。……見る限り、どうも侵入の際に傷ついた訳ではないようだが。

生(一)『個体? なんだ、その表現は……? ……椿、目的を聞き出した方がいい、それも早急に』

生(椿)「ミサカ、君はどうして此処に来た? 何が目的だ?」

ミサカ「………………て」

生(椿)「え?」
16 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 20:22:42.55 ID:b0/xX/o0
ミサカ「助けて……ください」

生(椿)「(命乞い……? いや、違う…!)」

ミサカ「これから……量産される……ミサカの妹達を……その生命を……助けて……」フラッ

生(椿)「お、おい!? しっかりしろ!」

生(一)「椿! 今すぐにその娘をプラントに連れて行けっ!」

生(椿)「プラントって……俺達のか!? どうしてだよ!」

生(一)「一応、医者のお前なら俺よりもよく解るんじゃないか? ……その娘はきっと……」

ああ、解ってる。

医者がどうのこうの以前に判ってしまう。

目の前にいる少女がどういう存在なのか。

己がそうであるが故に痛い程、感じてしまう。

同じだと。

そうきっと…

――彼女は誰かのクローンだ。


第一節 『同胞来たる』完
17 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/04(火) 20:30:10.35 ID:b0/xX/oo
どうも専ブラからですが失礼します。
とりあえずここで一区切りとさせていただきます。
とは言っても書く作業はしてるので、今日でも場合によってはまた投下しますが。

少し補足をば。
※椿生&一条生
アクメツの『残留組』で10年前(アクメツ本編)の悪滅に直接は関与しなかった生き残り。
関与、つまり死亡→復活→入れ替わりがないのでver.1のまま。ちょっと健康なぐらいの体。
苗字は某平成ライダーで仮面の人を補佐してくれた医者と刑事さんから拝借。
椿のアレになってしまった恋人の名前もそこから。
18 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 20:31:35.88 ID:gHhN43oo
19 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 20:32:16.75 ID:0vJTRwDO
御坂妹「アクメッ……?」ビクンビクン
20 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 20:32:16.02 ID:IRaSZjEo
期待。

そしてその二人なら死ぬほど頼れると断言できるw
21 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 20:37:57.64 ID:nAJH.QAO
うわー懐かしい。
超期待してます
22 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 20:51:43.70 ID:b0/xX/oo
※ミサカ
禁書詳しい人は解ると思うが、登場したのは設定だけしかない例の個体。
設定を拾って上手く組み込もうと画策してるがどうなることやら。
現状の時期は禁書どころか超電磁砲前の冬。

ちょっと質問ですが、これらの展開がアリかナシかだけ教えて欲しいです。

1,黄泉川「……じゃん」 生「……じゃん」
2,流れ板海原×流れアステカ海原
3,様々な漫画に登場するプロフェッショナル達に弟子入りにいく復活妹達。(リクエスト○)
4,悪滅されてしまう絶対能力進化計画の鬼畜研究員達。
5,アクメツ「はーまづらぁ」orアクメツ「よーみかわぁ」

あと、HKBって早く書けバカ的な意味で、『変態!この、バカ犬』の略じゃないよね?
聖☆おにいさん×禁書の小ネタ書いた時も言われたんだが…
五条さん×禁書でSSにハマった素人なんでルールとかよく分からんし…
23 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 21:00:56.47 ID:VaMwZgso

3以外ならやって欲しい
っていうか4は突き進むとアレイ☆まで行っちまうんじゃね?
HKBはHKBだHKB
24 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! :2011/01/04(火) 21:11:48.89 ID:lkVm2oU0
1、アリ
2、アリ
3、アリ
4、ナシ
5、ナシ
25 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 21:39:48.10 ID:b0/xX/oo
都内某所

〜アクメツクローンプラント〜

クローンプラントで合流を果たした椿と一条を出迎えたのは白衣を着た「自分」だった。

男の名前は東生(あずましょう)、かつてのクローンプラントで管理人をしていた男である。
とは言っても、東本人は既にクーデター事件で死去しており、彼はその役目と名、そして記憶を引き継いだver.3のクローンである。

生(東)「久しぶりだな、椿、一条」

椿&一条「「久しぶり、俺」」

いつものブラックな挨拶をこなした所で、東は椿の背負った少女を見やる。

生(東)「……その娘が?」

生(椿)「あぁ……頼めるか?」

生(東)「ふっ……俺を誰だと思っている?」

椿&一条「「俺だろ?」」

同じ顔をした三人は誰からでもなく苦笑した。

26 :とある複製の妹達支援 :2011/01/04(火) 22:09:29.83 ID:b0/xX/oo
レクリエーション室で待っていた二人の前に東が戻った時には既に二時間が経過していた。
既に日付が変わってしまっている。

生(東)「とりあえずだが、容態は落ち着いたぞ」

生(椿)「そ、そうか! よかった……」

生(一)「……だが治る訳じゃないんだろう?」

生(椿)「一条!?」

生(東)「……確かにこのままだと長くないだろう」

生(椿)「そんな……じゃあ、やっぱり……あの娘は」

生(東)「俺達と同じクローンだ。いや、俺達よりも遥かに劣った、な」

生(一)「劣った……?」

生(東)「根本的にクローンとしての目的が違うんだろうな。個体への配慮なんてまるでない。
    俺達が生まれた最大の原因は神宮寺の不老長寿への渇望だが、彼女は違う。
    とりあえず作って、一定の年齢まで強制的に育てさえ出来ればいい、というスタンスだな。
    俺達の技術より優っている点があるとすれば『量産しやすさ』ぐらいだろう。学園都市も底が知れる」

研究者としての立場から、何か思うところでもあるのか東は非常に饒舌だった。
……そしてどこか怒っているようにも見える。

生(椿)「いや、待て。学園都市? なんで学園都市が出てくるんだ?」

生(一)「おい、まさか…」

ミサカ『はい、ミサカは学園都市で製造され、そこより逃亡して来たのです、とミサカは衝撃の事実を語ります』

部屋の中央に設置されたモニターから、そんな声が聴こえてきた。
27 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 22:15:17.99 ID:whfC1Q2o
( ◇)<虚空陣奥義…!
( ◇)<ズェェェェ

Σ ( ◇)<!?
28 :とある複製の妹達支援 [27採用]:2011/01/04(火) 23:00:58.96 ID:b0/xX/oo
モニターに映しだされたのは治療室のベットで横になるミサカと名乗った少女の姿だった。
先程までの制服?姿ではなく、東が用意した病衣を身につけている。

ミサカ『改めまして、こんばんわ。私は学園都市で七人しかいない超能力者である『御坂美琴』の体細胞クローンであり、
    量産能力者(レディオノイズ)計画の試験個体であるミサカ00000号……
    通称、フルチューニングと呼称される個体です、とミサカは少し照れながら自己紹介します』

生(椿)「フルチューニング……?」

生(一)「(照れてる……?)」

ミサカ『はい、とミサカは研究員以外の人に個体名を呼ばれる感覚に戸惑いながらも肯定します』

生(椿)「えーっと、じゃあ、試験個体(フルチューニング)と呼ばせてもらうが……」

ミサカ『はいどうぞ、とミサカはいやー名前を呼ばれるのって本当にいいものですね、と歓喜に震えます』

生(椿)「試験個体は、助けて欲しいって言っていたが……それは俺達が『君と同じ』だからか?」

ミサカ『端的に言えばそういう事になります、とミサカは私よりも先に誕生していたクローン体に敬意を払いながら肯定します』

生(一)「俺達がクローンだと……いや、その前にプラントの場所はどうやって知った? 誰かに聞いたのか?」 

ミサカ『簡単な推理だよアクメツ君、とミサカは名探偵風に突き付けます。
    10年前に皆さんが起こした数々の事件、それらの詳細と後に起きた縦浜北高校クーデター事件と並行して起きた
    官邸での武力衝突……それらから皆さんがクローンであり、その管理施設のようなものが官邸近辺にあることは類推できます」

生(椿)「つまり、過去の資料から推理したってことか?」

ミサカ『その通りです、とミサカは肯定します。
    後は現場付近まで来て、不自然な電力供給が行われている施設がないかを能力で調べるだけで済みました、とミサカは補足します』

まさか、官邸の地下に施設があるとは予想外でした。とモニターに映る少女は困ったように笑った。
29 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 23:10:06.68 ID:4yj6zgDO
やべぇ!
チャンピオンの奴だよな?

虜と浦安、バキといいチャンピオンは名作多いよな。
30 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/04(火) 23:48:40.09 ID:b0/xX/oo
そういえば稼働中は自家発電で賄っていたはずだが、現在は首相官邸の方から電気を引いていた筈だ。

生(一)「セキリュティや防衛システムを突破出来たのは、その能力とやらのお陰か?」

ミサカ『ミサカは電撃使い(エレクトロマスター)ですので、電撃を飛ばしたり電磁波を発したり、
    スキミングや電子ロックの解錠ならお手の物なんですよ、とミサカは自己主張の少ない胸を張ります』

生(東)「正式には欠陥電気(レディオノイズ)と呼ばれているそうだ」

生(椿)「欠陥……?」

生(東)「オリジナルに比べて、という事なんだろうな」

生(一)「………………………ほおー」

椿&東「「(めちゃくちゃ怒ってるんだろうなー……俺もだけど)」」

もしも、これが過去にあった『民自党二大総裁選候補大激論ジャック事件』の最中であれば、偽アクメツの頭は既に爆発している。

ミサカ『事実、ミサカの能力はオリジナルが超能力者(レベル5)であるにも関わらず、
    強能力(レベル3)に到達するのがやっとでしたから、とミサカは自らの能力の限界を吐露します』

生(椿)「学園都市にも兄弟がいるから、少しは知識として知ってるんだが……レベルの差ってのはそんなにも絶対的なのか?」

生(東)「比べる事自体が困難な程の力の差があるらしい……むしろ、そこで話が終われば良かったようだが」

生(椿)「……どういう事だ?」

生(東)「彼女の造られた目的が『超能力者の量産』なんだよ。
    だが聞いての通り、彼女の能力は強能力止まり……でオリジナルの1%程度。
    だから、そこで計画は頓挫…………製造されるクローンも彼女一体の筈だった」

生(一)「……だった、ときたか」

ミサカ『ええ、その筈でした。ですが、ミサカは知ってしまったのです。ミサカの同胞……妹達がどのように再利用されるのかを』
31 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/04(火) 23:55:19.89 ID:HAxg0Lo0
学園都市の暗部をドバっとで報道する妄想はした。
そしてその突撃キャスターがしいなの所まで!
32 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 00:01:54.54 ID:EAmRwAUo
久しぶりに大当たりの予感支援
33 :とある複製の妹達支援 [31採用]:2011/01/05(水) 00:36:50.07 ID:Pwogntko
学園都市に七人しかいないとされる超能力者。

その中でも最強の能力者である第一位を超能力者(レベル5)から絶対能力者(レベル6)へと進化させる実験。

その内容が「20000通りの戦闘環境で量産能力者(レディオノイズ)を20000回殺害する」事であるという。

学園都市が保有する樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)なる演算装置が導き出した進化への軌跡は死と血によって彩られていたのだ。

生(椿)「イカレてやがるっ! そのフザけた機械も、それを実行に移そうと本気で考える研究者もだ!」

ミサカ『それを聞いて、ミサカは焦りました。そして調べました、妹達を救う方法を。探しました、生存への可能性を』

生(一)「それで……俺達を……?」

ミサカ『皆さんの事を調べる事よりも、学園都市を脱出する事の方が遥かに困難でしたが……ミサカにも一応、協力者がいましたので』

案外、やろうと思えば何とかなるものですね、と少女は続けた。

生(椿)「君は俺達にどうして欲しいんだ……?」

生達は、自分の中に何か熱く、燃え上がるような強い感情が沸き上がってくるのを感じていた。
何かに拍子に爆発してしまいそうな……怒りだけではない、強い感情。

ミサカ『正直に言って、ミサカにも分からないのです、とミサカは告白します。
    先程は助けて欲しいと言いましたが、本音としては先輩に教えを請いに来た、というのが妥当でしょうか』
34 :スマン、33最初の二行入れ忘れた :2011/01/05(水) 00:38:57.84 ID:Pwogntko
試験個体の開発を担当していた研究者達が話していた内容を偶然、立ち聞きしてしまった。
そんな可愛げのある状況とは裏腹にその内容は彼女が……そして、それを又聞きしている生達を戦慄させるのに十二分だった。
35 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 00:43:47.10 ID:0TaT.1Eo
アクメツSSを読めるとは……支援
36 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 00:51:01.97 ID:oVf5STMo
ハクメンかと思って開いたが違うのか
37 :とある複製の妹達支援 [BLAZBLUEって面白いの?]:2011/01/05(水) 01:30:00.62 ID:Pwogntko
生(椿)「先輩……?」

ミサカ『なんでも普通の人は困難に直面した時、人生の先輩や似たような経験を持つ人に助言を貰い、
    解決法を模索するとか……と、ミサカはギョロ目女から得た知識を披露します』

確かに、アクメツ達はクローンであり、彼女よりもよっぽど長く生きている。
確かに、アクメツ達は[ピーーー]だの殺されるだの、そういう世界で生きていた。

生(椿)「そうか、確かに俺達は君の先輩だな……なら、最高のアドバイスをしないとダメじゃん?」

場合によっては、それを批難されていると感じるかもしれない。
だが彼女の言葉にそういった感情は含まれてはいない。

生(一)「兄弟達と相談して、きっと君の役に立つアドバイスをさせてもらう……だから」

単純にそういった感情を表現できるほど成熟してないのかもしれない。
だが、それでも生達は違うと感じていた。

生(東)「今は少しでも体を休めなさい……ここは安全だ。軍隊が攻めてきても守りきれる」

同じ境遇であるが故の共感。そして、親愛。
それに応えるには、どうすればいいのか?

ミサカ『……では、お言葉に甘えて少し眠る事にします、とミサカはおやすみなさいを言います…………』

しばらくして少女が静かな寝息を立てているのを確認すると東はモニターの電源を切った。

生(椿)「……一条、東、どうすればいいと思う?」

生(一)「そんな事は決まって…………いや、こういう時はアレだな」

言いかけて何かに気づいたように一条は部屋を出ようとする。
一条が近づくと、音を立てずにドアが開く。

そこにいたのは。

現在、生き残っているアクメツクローン……『残留組』の全員、24名であった。
38 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 01:38:12.05 ID:oVf5STMo
俺は合わなかった
39 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 01:46:50.43 ID:Pwogntko
なるほど、と椿は思う。一条は全員の無事を確認したと言っていた。
その時の連絡を受けて、こいつらは心配して全員集まった訳だ。こんな真夜中に。

……さすがは俺だ。最高に気が効いている。

となると、どうせ今の話も聞いていたに決まっている。
それも話の最初のほうから……何しろ俺はそういう奴だ。

生(一)「よし、じゃあ」

――結局、今まで俺達は一度だって間に合わなかった。

生(椿)「多数決をとる事にします」

――桂木を救えず、小高を守れず。

生(一)「色々と不明な点や疑問はあるとは思いますが……」

――ヒーローを超える力を得た後も悪を滅ぼすことしか出来ず。

生(椿)「試験個体の『助けて』という願いをきいて」

――兄弟を奪われ、恋した女性も一度は死なせてしまった。

生(東)「学園都市で生まれようとしている『妹達』の支援を行った方がいいと思う者は……」

――所詮、俺達は『悪滅』で誰かを救うヒーローにはなれはしないのだと。

生(椿)「挙手願いま〜〜す」ホイ

――なぜそんな幻想を抱いてしまったのか。諦めてしまったのか。

生(一)「……」バッ

――だったら、そんな幻想抱いたまま道連れに爆死してやる。

生(東)「……」バッ

――そして生まれ変わって本物のヒーローになればいい。

バッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッ

生(椿)「いやあ……さっすが俺達。
    正に身も心も一緒って奴だねぇ」


――全員一致じゃん!


第2節 『学園都市の妹達』完
40 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 02:05:09.04 ID:Pwogntko
と、ここまで書いて力尽きました。今日はこれまでで勘弁してくだせい。
挙手→満場一致はネタ考えた時からやりたかったので……ここまでは、と。
投下初日からレス&支援を頂き感謝感激であります。
しかし……四時から書いてこれだけとか、どんだけ筆が遅いんだ俺は……
明日から学校始まるので投下できるかは不明です。ないと思っておいたほうが得。
金曜は講義ないからたぶん毎週書けます。
投下しながらテンション上げるタイプなので、書き溜めはしないというか出来ない。
では……1はおやすみなさいと言います……
41 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 02:26:28.57 ID:YtuY.wAO
ここでアーメツ君…え、でない?
42 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/05(水) 02:41:20.98 ID:Pwogntko
いいぜ……>>41が俺にはAAなんて無理だって思っているなら…まずは、その幻想をぶち殺す!

        |\
  i、  __|  ヽ,---、 /| まさに
  |;;∨  _゙i   |_  ヽ;|       心は一つ!!
  _|;;;|  ̄  ,/'"`'ヽ、  ̄ ノ|       って感じ!?
 ゙、;;;;ヽ-一''::;;;;;;;;;;;;;;;;:`ー";;;;>
 /::::::::::::::::::::|,.----、|::::::::::::::\
  ̄ヾ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ̄  
    ``''ー┬---┬'''"´_,,,...---、  
      /|.   └'''''" __,.ノ  
      / | ____| ̄ ̄      
      ゙、 |   |/ |        
       ゙|   |  |        
       .|   _  .|        
        .|  .|:|  .|
       |___| |___|
43 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/05(水) 02:42:49.59 ID:Pwogntko
アーメツくんの台詞ズレた……orz
もう寝る…
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 07:27:35.28 ID:nBcNbcSO

投下はゆっくりでも構わないよ
期待している

あと一部単語はGEPの機能により変換されるよ
代表的なところだと、

しね
ころす

を漢字で書くと

[ピーーー]

こうなる
回避方法は目欄に

saga

と入れる事

sage saga

と入れればsageと併用可能
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 13:03:18.64 ID:Bfe5Hxc0
かっけぇ
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 20:16:56.66 ID:EMzGZQAO
wwktk
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 21:22:05.03 ID:C7UphG.o
改めて漫画読んできたけどやっぱ好きだわアクメツ
48 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 21:24:37.06 ID:Pwogntko
「お前は今日は投下しないっていってたじゃん?」
「そうだアクメツ、た、助けてくれ」
「あれは嘘じゃん」
「ウワァァァァァァァァァ・・・」

と、いうわけで3節の前に行間的な回を投下しようかと思います。
たぶん、短め。
ではよろしくお願いします。
49 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 21:26:01.08 ID:Pwogntko
――それから生達の行動は迅速だった。

まずは各々の近況報告。

『兄弟』とは言っても、しばらく会っていなかった生も多い。

同窓会のように互いにどうしていただの、転職しただの、実は結婚しただの、このリア充仮面着けて爆発しろだの、と旧交を温め合った。

それがある程度済んだら、実際に『行動可能』な人員の選抜を始めた。

現時点で試験個体から聞けた情報は少ない。

容態が安定したら、もう少し詳しい話を聞くつもりではあったが……
だが、そんな今の状況でも一刻も早くやらなければいけないことがある。

――『学園都市』への侵入方法の確保である。

これから先、試験個体からの情報を次第で、慎重に行動を決めていかなければいけないのは当然だが、
どんな情報を得た所で、『妹達』の支援を行う為には学園都市への侵入or潜入が必須になる。

詳しく言えば案としては、二つ。

一つは正規の手続きを踏んで、『仕事』の名目で学園都市に潜入、滞在する事。

もう一つは、学園都市の警備網を掻い潜って、力尽くで侵入する事。
50 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 21:44:42.58 ID:Pwogntko
どちらにせよ、その為の下準備は少しでも早くからしておいたほうがいい。

生(椿)「潜入の段階では、あまり事を荒立てたくない……『仕事』で学園都市に入り込める奴を選んだほうがいいな」

いざとなったら強行策も辞さいない、と暗に一条は表明しつつ周りの兄弟達を見る。

この場合、選ぶと言っても誰が行くかを決める相談ではない。
誰の『プロフィール』を使うか、という話である。

何しろ、DNAレベルで同一の個体なのだ。入れ替わった所で判別は不可能に近い。
よほど派手な行動でもして注目されたりしない限り、ただ顔が似ている人間同士の関係を調べられる事もないだろう。

――であれば、万が一の場合の戦力的にも現時点で最強のアクメツであるver.3の投入は当然の帰結と言える。

学園都市に送り込むので最適な『人材』は誰か、という話は学園都市で学生をやっている『安達生(あだちしょう)』の意見を聞くことになった。
ちなみに彼は『能力開発』とやらの調査……というよりも『本当のオリジナル』蘇生への可能性を模索する為、
東が学園都市へ送り込んだver.3の個体であり、『残留組』ではない。

こちらの状況を知る由もない安達は、学園都市外部からの突然の連絡に困惑していたが、
椿がこちらの事情を話すとすぐに協力を確約してくれた。
万全を期して、連絡には以前『悪滅』の際にアクメツ同士の連絡に使用していた特殊な端末を使用した。

生(安)『狙うとしたら、学生を支える立場の職業がいいだろうな。
     こっちで出来た知り合いにそういうのを融通してくれそうな変わった医者がいるから、彼に頼めば医者もいけると思う』

生(椿)「本当か!?」

安達の言葉に椿が反応する。
51 :とある複製の妹達支援 [辞さいない→辞さない]:2011/01/05(水) 22:41:57.76 ID:Pwogntko
生(一)「医者なんかと何処で知り合ったんだ?」

なんか、という言葉に現在進行形で医者の椿が顔を顰める。

生(安)『いや〜、ついこの前、郵便局強盗に足首砕かれてさ。それで軽く入院したんだが、その時の主治医だったんだよ』

生ズ「「(いや、足首砕かれたって……)」」

生(安)『そんで、話は戻るけど学園都市ってのは、内部の情報が外に漏れる事には異常な程、警戒しているんだが……逆はそうでもない』

生(椿)「侵入は容易って事か?」

生(安)『技術スパイなんかは割とすぐに捕まるけど、目的が分からない場合であれば放置されるケースが多いらしいぞ?』

生(一)「そういう情報は、一般的な学生が入手できるものなのか……?」

生(安)『ウチの高校に警備員(アンチスキル)やってる先生がいるんだが、その人から『個人的に』少し聞く機会があって……』

警備員(アンチスキル)とは学園都市における警察的組織であり、
学園都市特有の次世代兵器で武装した教員によって構成されている、との事だった。

――だが、それにしても。

生ズ「「(コイツの学園都市での生活はどうなってるんだ……?)」」
52 :とある複製の妹達支援 :2011/01/05(水) 23:05:27.39 ID:Pwogntko
生(安)『医者、教師、警備員、あと……料理人もいけるだろうな。 ついでに俺の親戚って事で2、3人なら平気じゃないか?』

生(一)「最低でも10人は学園都市内で動ける状態にしておきたいが……」

生(安)『まぁ、学園都市の中だけで大概の職業は揃ってるからな。上手く時期をずらせば10人ぐらいなら誤魔化せるさ』

生(東)「細かい人選はこちらで済ましておくが……安達には他に頼みたい事がある」

生(安)『なんだよ?』

生(東)「学園都市で人を二人探して欲しい。一人は見つけ次第、すぐに接触。もう一人は動向を探るだけでいい」

生(安)『なんか、嫌な予感というか……不幸な予感がするんですが』

そういうのは級友のツンツン頭の専売特許の筈なのだが、何やら、ものすごい無理難題を吹っ掛けられそうな気配を感じていた。

生(東)「そう、試験個体の協力者と、彼女のオリジナルだ」

――接触対象・長点上機学園二年、布束砥信(ぬのたばしのぶ)

――監視対象・常盤台中学一年、御坂美琴(みさかみこと)
53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 23:46:17.84 ID:leL/q/so
投下終わり?
54 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/06(木) 00:05:15.42 ID:hGnrcw6o
ちと両作品を読み直し中です。禁書の時系列把握がメンドイ…
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 01:25:01.19 ID:ANgXC0Ao
禁書の時系列
http://www12.atwiki.jp/index-index/pages/1249.html
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 04:07:15.16 ID:qYZD2gAO
今ほどアクメツ読んでおけばよかったと思うことはない…
今からでも読もうかしら
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 09:47:00.95 ID:mSxGB6AO
アクメツのSSとはなんという俺得……超期待!
58 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 14:20:44.07 ID:hGnrcw6o
学園都市第七学区

〜とある高校の学生寮〜

生(安)「……マジで?」ピッ

通話を終え、明かりの消えた部屋の中で一人呟く。
なんというか……至って平凡である事が最大の特徴であるような高校に通っている自分が関わるとは到底、思えない学校の名前が出てきた。

生(安)「どっちも超が付く程のエリート校じゃん……幾ら何でもそんな所の生徒とのパイプなんかないぞ……?」

自分の交友関係と言えば、

学園都市に来てから同じクラスになった三馬鹿とか、

自分に絡んできて返り討ちにしたスキルアウトの三馬鹿とか、

自分の馬鹿のせいで怪我した時に知り合った医者とか、

馬鹿な生徒は割と好きじゃん? と言って良くしてくれる学校の先生とか、

……って全部、馬鹿絡みじゃん!? とあまりの情け無さに深夜だというのに大声で叫んでしまう。
59 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 14:29:44.61 ID:hGnrcw6o
すると、ベランダの方から何かを軽く叩くような音が聞こえた。
何だろう? と思ってそちらを見ると隣の部屋に暮らしている、級友の顔がベランダの堺から覗いている。

級友の名は土御門元春。安達と同じ高校に通う男子高校生である。
女にモテたいからという理由で金髪+グラサンのヤンキースタイルを頑なに崩そうとしない猛者である。

土御門「ショウセンセー、こんな夜中にどうかしたのかにゃー? そういうのはカミやんで間に合ってるぜい?」ヤレヤレ

土御門は逆隣の部屋に住んでいるツンツン髪の級友を思い出しながら肩をすくめる。

生(安)「あー、五月蝿かったか? スマン、今少し自分の交友関係が庶民的すぎる事に絶望してたんだ」

庶民的交友関係の一角である金髪グラサンにそんな事を言ってみる。

土御門「……何でまた?」

そうだ、モノは試しで聞いてみようか? と、そんな考えが頭をよぎる。色々と変なことに詳しい奴だし……

生(安)「土御門って、常盤台とか長点上機に知り合いっている?」

土御門「センセー……」

返って来るのは憐れむような視線。

土御門「さすがにそれは無謀ってものですたい……」

生(安)「へ?」

土御門「いくら女っ気に飢えてるからって……狙うにしたらもう少し普通の所にした方がいいと思うにゃー……
     さすがのオレでも、あのクラスの学校と合コン組むのは不可能だぜい……」
60 :とある複製の妹達支援 [堺→境]:2011/01/06(木) 14:45:42.62 ID:hGnrcw6o
生(安)「あーいや、そういう訳じゃないんだけど……長点上機に少し『お知り合い』になりたい人がおりまして…」

土御門「……オンナ?」

何だろう、土御門は玩具を貰った子供のような目をしている。

生(安)「まぁ、そうだな」

土御門「……どんな娘?」

言われて、端末に送られてきていた接触対象の画像を表示する。
何でも試験個体の記憶から画像データとして出力したらしい。……科学って凄い。

量産能力者(レディオノイズ)計画の研究者であり、試験個体の協力者でもある布束砥信。
白衣の部分を指で隠して、上手いこと顔だけを土御門に見せる。

土御門「少し目付きが悪いけど中々の美人さんかにゃー……? センセーも隅に置けないぜい」

何やら凄い勘違いをされているようだが、事情を説明する訳にもいかないので、敢えて否定はしないことにする。
61 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 17:01:18.83 ID:hGnrcw6o
生(安)「名前と学校……あと顔が分かってても、一般人じゃ書庫(バンク)使って調べる、って訳にもいかないだろ?」

書庫(バンク)というのは学園都市の総合データベースであり、学生のデータであればほぼ全て網羅されていると言ってもいい。
とはいえ、アクセス可能なのが風紀委員や警備員といった特殊な立場の人間に限定されているので一般人が触れる機会は皆無だ。

土御門「そうだな……何とかしてもいいが、一つ条件がある」

それまでの緩い空気が一瞬で消え、声のトーンが落ちると共にサングラスの奥の瞳が冷たく光る。

生(安)「な、なんだよ? 急に真面目な顔して」

土御門「上手くいったら、その娘に長点上機の子を紹介してもらって、合コンしないかにゃー?」

が、すぐに弛緩する空気。だからそういうのではないんだが……と、言いそうになったところで気になったことがあったので聞いてみる。

生(安)「お前、舞夏はいいのか?」

途端、ブフゥ!? と盛大に土御門は吹き出した。

土御門「せ、センセーは一体、な、何を言っているのかにゃー?」アセタラリ

生(安)「え……普段の感じから、まさかと思って聞いてみたんだけど……マジ……なのか?」

土御門「ま、マジって何が? まさか、このオレが義妹にマジでLOVEとか……? そんな幻想、カミやんに殺してもらった方が……!」ガクブル
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 17:53:39.49 ID:axoZCMwo
まだ実験が始まってないなら、時系列的に安達や土御門達はまだ中学生じゃ?
63 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 17:59:50.53 ID:hGnrcw6o
やっちまったああああああああああああ!?
超電磁サイド考えすぎて魔術サイド疎かになってた・・・そういや一巻で1年だった…
その前だから中3やね。リテイクしていい?
ついでに誤字直そうかな・・・
64 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 18:13:32.04 ID:FGztVRIo
こまけぇこたぁ(ry
65 :割と致命的なので50よりリテイク :2011/01/06(木) 18:29:17.67 ID:hGnrcw6o
椿が自ら学園都市に乗り込もうとすることは、他の生にも分かっていたので、そこには触れずに話を進める。

生(一)「医者なんかと何処で知り合ったんだ?」

なんか、という言葉に現在進行形で医者の椿が顔を顰める。

生(安)『いや〜、ついこの前、郵便局強盗に足首砕かれてさ〜? それで軽く入院したんだが、その時の主治医だったんだよ』

生ズ「「(いや、足首砕かれたって……)」」

実際は、小学生ぐらいの少女2人を庇って負った名誉の負傷なのだが、『男は背中で語れ』を信条とする安達は多くを語ったりはしない。

生(安)『そんで、話は戻るけど学園都市ってのは、内部の情報が外に漏れる事には異常な程、警戒しているんだが……逆はそうでもない』

生(椿)「侵入は容易って事か?」

生(安)『技術スパイなんかは割とすぐに捕まるけど、目的が分からない場合であれば放置されるケースが多いらしいぞ?』

生(一)「そういう情報は、一般的な学生が入手できるものなのか……?」

生(安)『知り合いに警備員(アンチスキル)やってる先生がいるんだが、その人から『個人的に』少し聞く機会があって……』

警備員(アンチスキル)とは学園都市における警察的組織であり、
学園都市特有の次世代兵器で武装した教員によって構成されている、との事だった。

――だが、それにしても。

生ズ「「(コイツの学園都市での生活はどうなってるんだ……?)」」

生(安)『医者、教師、警備員、あと……料理人もいけるだろうな。 ついでに俺の親戚って事で2、3人なら平気じゃないか?』

生(一)「最低でも10人は学園都市内で動ける状態にしておきたいが……」

生(安)『まぁ、学園都市の中だけで大概の職業は揃ってるからな。上手く時期をずらせば10人ぐらいなら誤魔化せるさ』

生(東)「細かい人選はこちらで済ましておくが……安達には他に頼みたい事がある」

生(安)『なんだよ?』

生(東)「学園都市で人を二人探して欲しい。一人は見つけ次第、すぐに接触。もう一人は動向を探るだけでいい」

生(安)『なんか、嫌な予感というか……不幸な予感がするんですが』

そういうのは級友のツンツン頭の専売特許の筈なのだが、何やら、ものすごい無理難題を吹っ掛けられそうな気配を感じていた。

生(東)「そう、試験個体の協力者と、彼女のオリジナルだ」

――接触対象・長点上機学園二年、布束砥信(ぬのたばしのぶ)
――監視対象・常盤台中学一年、御坂美琴(みさかみこと)

……どちらも一筋縄ではいきそうにない相手であった。
66 :とある複製の妹達支援リテイク中orz [sage]:2011/01/06(木) 18:34:24.79 ID:hGnrcw6o
学園都市第七学区

〜とある中学の学生寮〜

生(安)「……マジで?」ピッ

通話を終え、明かりの消えた部屋の中で一人呟く。
なんというか……至って平凡である事が最大の特徴であるような学校に通っている自分が関わるとは到底、思えない学校の名前が出てきた。
来年進学する予定の高校だって、レベル0から強くてもレベル2ばかりの『普通』の高校なのだ。
身体能力では肉体強化系レベル4に匹敵するver.3のアクメツクローンが普通かどうかは別にしても、
生徒全員がレベル3以上の常盤台中学やそれに匹敵する一芸を有した生徒の巣窟である長点上機学園とでは格が違いすぎる。

生(安)「どっちも超が付く程のエリート校じゃん……幾ら何でもそんな所の生徒とのパイプなんかないぞ……?」

自分の交友関係と言えば、学園都市に来てから同じクラスになった三馬鹿とか、

自分に絡んできて返り討ちにしたスキルアウトの三馬鹿とか、自分の馬鹿のせいで怪我した時に知り合った医者とか、

馬鹿な子供は割と好きじゃんよー? と言って良くしてくれる警備員(アンチスキル)のお姉さん?とか、

……って全部、馬鹿絡みじゃん!? とあまりの情け無さに深夜だというのに大声で叫んでしまう。

すると、ベランダの方から何かを軽く叩くような音が聞こえた。
何だろう? と思ってそちらを見ると隣の部屋に暮らしている、級友の顔がベランダの境から覗いている。

級友の名は土御門元春。安達と同じ中学に通う男子中学生である。
女にモテたいからという理由で金髪+グラサンのヤンキースタイルを中学生の時点で頑なに崩そうとしない猛者だ。
普通、こういうのは高校に上がってから『高校デビュー』でやるものだと思うのだが…

土御門「ショウセンセー、こんな夜中にどうかしたのかにゃー? そういうのはカミやんで間に合ってるぜい?」ヤレヤレ

土御門は逆隣の部屋に住んでいるツンツン髪の級友を思い出しながら肩をすくめる。

生(安)「あー、五月蝿かったか? スマン、今少し自分の交友関係が庶民的すぎる事に絶望してたんだ」

庶民的交友関係の一角である金髪グラサンにそんな事を言ってみる。

土御門「……何でまた?」

そうだ、モノは試しで聞いてみようか? と、そんな考えが頭をよぎる。色々と変なことに詳しい奴だし……

生(安)「土御門って、常盤台とか長点上機に知り合いっている?」

土御門「センセー……」

返って来るのは憐れむような視線。

土御門「さすがにそれは無謀ってものですたい……」

生(安)「へ?」
67 :とある複製の妹達支援リテイク中orz [sage]:2011/01/06(木) 19:03:33.92 ID:hGnrcw6o
土御門「いくら女っ気に飢えてるからって……狙うにしたらもう少し普通の所にした方がいいと思うにゃー……
     さすがのオレでも、あのクラスの学校と合コン組むのは不可能だぜい……」

いや、さすがに中学生が合コンってのもどうなんだ……と安達は嘆息する。

生(安)「あーいや、そういう訳じゃないんだけど……長点上機に少し『お知り合い』になりたい人がおりまして…」

土御門「……オンナ?」ワクワク

何だろう、土御門は玩具を貰った子供のような目をしている。

生(安)「まぁ、そうだな」

土御門「……どんな娘?」

言われて、端末に送られてきていた接触対象の画像を表示する。
何でも試験個体の記憶から画像データとして出力したらしい。……科学って凄い。

量産能力者(レディオノイズ)計画の研究者であり、試験個体の協力者でもある布束砥信。
白衣の部分を指で隠して、上手いこと顔だけを土御門に見せる。

土御門「少し目付きが悪いけど中々の美人さんかにゃー……? センセーも隅に置けないぜい」

何やら凄い勘違いをされているようだが、事情を説明する訳にもいかないので、敢えて否定はしないことにする。

生(安)「名前と学校……あと顔が分かってても、一般人じゃ書庫(バンク)使って調べる、って訳にもいかないだろ?」

書庫(バンク)というのは学園都市の総合データベースであり、学生のデータであればほぼ全て網羅されていると言ってもいい。
とはいえ、アクセス可能なのが風紀委員や警備員といった特殊な立場の人間に限定されているので一般人が触れる機会は皆無だ。

土御門「そうだな……何とかしてもいいが、一つ条件がある」

それまでの緩い空気が一瞬で消え、声のトーンが落ちると共にサングラスの奥の瞳が冷たく光る。

生(安)「な、なんだよ? 急に真面目な顔して」

土御門「上手くいったら、その娘に長点上機の子を紹介してもらって、合コンしないかにゃー?」

が、すぐに弛緩する空気。だからそういうのではないんだが……と、言いそうになったところで気になったことがあったので聞いてみる。

生(安)「お前、舞夏はいいのか?」

途端、ブフゥ!? と盛大に土御門は吹き出した。

土御門「せ、センセーは一体、な、何を言っているのかにゃー?」アセタラリ

生(安)「え……普段の感じから、まさかと思って聞いてみたんだけど……マジ……なのか?」

土御門「ま、マジって何が? まさか、このオレが義妹にガチでLOVEとか……? そんな幻想、カミやんに殺してもらった方が……!」ガクブル
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 19:12:15.39 ID:zhW8/BIo
おおう、アクメツかー…コミックス全部未だに本棚にあるな。もっかい読み返してこよう。
69 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 19:24:57.41 ID:hGnrcw6o
生(安)「その……まあ、アリじゃないか? そういうのも」

垣間見えてしまった友人の特殊な家族関係に軽く戦慄を覚える安達ではあったが、とりあえずフォローを入れる。

土御門「いや、事実としてフォローされても困るんだが……ともかく、この娘の事は調べといてやるにゃー」

生(安)「そっか、じゃあコレが名前な。よろしく頼むぜ?」

土御門に布束砥信と書かれたメモを渡す。

土御門「ま、二、三日で何かは分かると思うぜい? 乞うご期待だにゃー」

メモをひらひらと振って土御門は自室へと戻っていた。

生(安)「一応、後で自分でも調べてみるとして……問題は超電磁砲(レールガン)の方だよな……」

レベル5であり、試験個体やこれから量産される妹達のオリジナルである少女。
まさか、去年までランドセルを背負ってた女の子が自分のクローンを作る計画や
そのクローンを虐殺させる計画に関与しているとは思えないが、動向は探っておかなければいけない。

なんでもレベル1から努力を重ねてレベル5にまでなったという話だ。
きっと、自分の能力に対して並々ならぬ誇りと自負を持っているに違いない。
彼女が善人にしても悪人にしても自分の遺伝子を利用した実験が勝手に行われていると何かの拍子に知ったら……

下手をすると、自分達の妹達への支援への障害になってしまう可能性すらある。
その為にも布束への接触を急ぎ、支援の為の地盤を固めなければいけない。
70 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 22:07:32.38 ID:hGnrcw6o
その機会が訪れたのは、それから二日後のこと。
土御門から布束の簡単なプロフィールと彼女の行動エリアについての情報を得た安達は、早速彼女がよく行くという喫茶店へと向かっていた。
そんな情報を土御門がどうやって入手したのかに関しては気にしない。

――布束砥信

幼少の頃から生物学的精神医学の分野で頭角を現し、
第七薬学研究センターでの研究機関を挟んだ後に、長点上機学園に復学。

生(安)「(そして、量産型能力者計画に参加していた研究者の一人。洗脳装置(テスタメント)を用いた妹達の脳内情報の入力の監修を行っていた女)」

試験個体の話では、一時は研究チームを外れていたが、絶対能力進化計画の発案と共にチームへと戻されたらしい。
試験個体以降の妹達の人格形成も洗脳装置とやらで行う予定ということは、妹達をクローンとして『自覚』させるのは布束の筈だ。

その彼女が何故、試験個体の協力者になり、彼女が学園都市からの脱出を手伝ったのか……

ふと、ある女性の記憶が呼び起こされる。
生達が『本当のオリジナル』として敬意を払う『パーフェクトONE』が誕生するキッカケを作った研究者の女性。
先代の『東生』の育ての親でもある彼女は、バージョンアップ後のクローン達にとっては、『共通』の初恋の相手のような人だ。
継承された擬似記憶であるにも関わらず、彼女を想うと暖かい感情が湧きあがる。

……果たして布束砥信は、自分達にとっての彼女のように、『妹達』にとっての救済者足りえるのだろうか?
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 22:18:27.68 ID:bILifHgo
中学生なのに合コンとか言ってるのかこいつ等w
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/06(木) 22:20:20.08 ID:IuqQQhAo
つっちーや青ピなら言いそうだと思うぜww
73 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 23:28:20.04 ID:hGnrcw6o
学園都市第四学区

生(安)「……なんだ、アレ」

思わず声に出して呟いていた。
土御門情報の喫茶店に来てみたところ、幸運にも布束らしき少女が店内にいた。

――それはいい、歩きまわる手間が省けたのだから。

が、アレは何だ?

試験個体経由の例の画像データでは、布束は学校の制服の上から白衣を着ていた。

が、アレは何だ?

生(安)「ゴスロリ……だと……?」

見る人間が見れば、『甘過ぎず辛過ぎず』を体現した見事なコーディネートと賞賛するのであろうが、
そう言った方面への知識の少ない安達にしてみれば『何か黒くてフリフリしている』程度の認識しかない。

『残留組』の中には、そちらの方面の知識に明るい生もいるにはいるのだが、
彼が死ぬ予定はないし、既に安達はver.3として、この世に生を受けているので、その知識が共有される事はない。

生(安)「(って、私服のインパクトで視界に入らなかったけど、一人じゃないのか?)」

優雅にカップを傾けるゴスロリ研究者の対面には、一人の男が座っている。

二人を観察できる位置に座り、注文を取りに来た店員に「コーヒー」とだけ告げる。

一旦、布束から視線を外して、対面に座る男の方を観察する。
ひ弱さと神経質さが同居したような鬱屈した表情をした成人男性だ。

生(安)「(あの男の顔、追加で送られてきた画像データで見たな……)」

この二日間でクローンプラントで治療中の試験個体から得られた情報の中に男の名前があった。

――天井亜雄(あまいあお)

試験個体(フルチューニング)……ミサカ00000号を作った男だ。
74 :とある複製の妹達支援 :2011/01/06(木) 23:56:54.96 ID:hGnrcw6o
――試験個体が助かる見込みはない。

それが彼女の治療を任されていた東の出した結論だった。

確かにクローン体として不完全な彼女は、そのままでは長い時間を生きられないのは分かっていた。
だが、アクメツクローンプラントの技術を使って『再調整』を行えば、普通の人間と同程度の寿命を取り戻すことは容易な筈だったのだ。

しかし、彼女は不完全なクローン体であるが故の短命以外にも致命的な問題を抱えていた。

量産能力者(レディオノイズ)計画の最初の個体である為に。

『強能力者(レベル3)』の限界をどうにかして引き上げるべく。

完全なる『超能力者(レベル5)』へと到達する為に。

彼女の肉体は、度重なる投薬や改造などの措置で、助けようのない状態だった。

――あそこにいるクソ野郎によって。
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/07(金) 00:26:54.14 ID:mnGIYkso
もしかしてコレ今書いてるの?
76 :とある複製の妹達支援 :2011/01/07(金) 01:02:32.04 ID:ZuIy50Uo

店員「こ、こちらコーヒーになります……」カタカタ

『悪滅』時に匹敵する殺気を放つ安達の姿にコーヒーを持ってきてくれた店員の手が震えていた。
慌てて黒い感情を引っ込めて愛想笑いを浮かべる。

生(安)「あ、どうも〜」

コーヒー啜りながら再び天井と布束を見やる。

天井は焦りの表情を浮かべ、頻りにテーブルを指で叩いていた。

天井「布束、聞いているのか!?」

布束「………………それで?」

天井「だから、試験個体が逃げたのは君の所為じゃないかと聞いているんだ!」

布束「何の根拠もなく他人を疑うというのも、研究者としてどうかと思うわ」

天井「しかし、洗脳装置の監修を行っていたのは君だろう!? 何か余計なモノでもインプットしたんじゃないのか!?」

布束「indeed 無能な研究員の見分け方でも入力すれば、貴方の元から離れるのも理解出来るけど」

明らかに挑発している。
やはり実験に大して良い感情を持っていないのか、言葉の端々に毒がある。

天井「っ……ただでさえ私の立場が悪いのは知っているだろう……?」

布束「……知ってるいるけど……?」

素知らぬ顔でカップを傾ける布束は、それがどうかしたのか? とでも言わんばかりだ。
どうやら研究者として実力はともかく、人間としての格は布束の方が上のようだった。

が、少しばかり挑発しすぎたのか天井の表情が明らかに怒気一色に染まる。
今にも布束に掴みかかりそうな天井の姿に安達の脳は高速で考えを巡らせる。

ここで布束が天井との関係に亀裂が入ると、後々の『自分達』の行動に影響が出る。
彼女には『実験には積極的』というポーズを維持し、実験の中核部分に居座って貰わなければいけないのだ。

その為には極自然に仲裁に入り、この場を収めて、
なおかつ天井には気付かれないように『自分が試験個体の味方』である事を布束に伝えなければいけない。
77 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/08(土) 01:37:23.15 ID:eQpzOiIo
天井「布束……君はっ……!」

――オペレーション『OMBK』発動。

生(安)「砥信さん、遅れましたァ! ごめんなさい!」

布束「………………え」キョトン

生(安)「いやー、そこでスキルアウトに絡まれちゃって〜。あ、普段の『白衣』姿と違って私服も可愛いですね!」

天井「だ、誰だい君は!?」

布束「………………?」」

突然の闖入者に天井は動揺しているが、それは声をかけられた布束も同じで、その特徴的な目を大きく見開いている。

生(安)「あ、もしかして砥信さんのお父さんですか!? いやー初めまして。
     僕は御宅の『お嬢様』と『お付き合い』をさせて頂いている『安達生』と申します!」イゴオミシリオキヲ

意図的に幾つかの単語を強調し、布束へメッセージを送る。

布束「………………」mm

天井「付き合っ……!? いや、そもそも私は彼女の父親じゃ……!」アタフタ

言われなくても知っている、似ているのは目付きの悪さぐらいだ。
そんな事を考えながらも天井の手を握り畳み掛ける。

生(安)「お父さんの心配は分かります、目に入れても痛くない『一人娘』が『家を抜けだして』こんな若造と付き合っているなど。
     『何万回殺したって』許せない、そのお気持ちは重々承知しております!」

布束「………………!」
78 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/08(土) 01:41:07.36 ID:eQpzOiIo
天井「いや、だから……」

…というか卑屈な目なだけの天井と違って、布束の方は愛嬌があっていいじゃないか。

生(安)「しかし! だからこそ怒りをぶつけるのは僕だけにして娘さんを叱るような事は! 何卒!」ドゲザ

天井「だから違うと言っているだろう! 布束! なんだこの男は!?」

布束「…………恋人だけど?」

――通ったか!?

天井「な、何だと!?」

布束「dear 私に恋人がいるのがそんなに驚き? ねぇ、生君?」

自然に生の名前を呼ぶ布束。先程、名乗ったのは当然ながら、これが狙いだ。
土下座を辞めて演技を再開する……確認を交えながら。

生(安)「まぁ、恋人と言っても、まだ付き合い始めて『一週間も経ってない』んですけどね〜?」

布束「そうね、まだ『五日』ぐらいしか経ってないかしら」

生(安)「(試験個体がプラントを訪れたのは二日前だけど、学園都市から脱出したのは五日前……!)」

完璧だ、彼女はこちらの意図を完全に理解している。

天井「…………五日前だって?」

布束「そうよ? だから貴方の気にしているような事に関わっている暇なんてないのよ、実は」グイッ

言いながら布束を生の腕を掴むと、天井に見せ付けるように自分の胸元へと引き寄せる。

生(安)「(い、意外とあるっ……!? いや、そうじゃなくて、演技、演技!)」

布束「これからデートの約束があるのよ。だから貴方の愚痴を聞いてばかりもいられない」

生(安)「そうなんですよ〜。って、お父さんじゃないとするとコチラの方は誰なんですか?」

天井「あ、いや私はだね……」

布束「……私の『昔の職場』の同僚よ」

天井「そ、そうなんだよ。第七薬学研究センターで少しね」

布束の決意表明とも取れる言葉を助け舟と勘違いしたのか天井はそれに飛びついた。

生(安)「……本当ですか?(あーまい、意外と嘘も上手いじゃん〜?)」ニヤリ

布束「あら、妬いているのかしら?」ニヤリ
79 :とある複製の妹達支援 [辞める→止める]:2011/01/08(土) 01:56:28.90 ID:eQpzOiIo
天井「わ、私はこれで失礼させてもらうよ……ははは」

色んな意味で疑いの目線を送られた天井は慌てて席を立った。
逃げるように会計を済ませ店を出て行く。

間男のような天井を視界の端で見送ると、生は今まで天井の座っていた位置に陣取り、改めて挨拶を交わす。

生(安)「こんにちわ、布束砥信さん」

布束「……一応、お礼を言ったほうがいいのかしら?」

生(安)「彼を追い払ったことになら、ご自由に。ですが『お嬢さん』については、まだ何も成し遂げてないので、止めておいて下さい」

布束「…………そう。なら前の方にだけ感謝しておくわ」ジー

生(安)「……どうしたんです?」

布束「indeed 興味深いわね」マジマジ

試験個体以外に初めて見るクローンが、という事だろうか。

生(安)「……これからどうしますか?」

布束「……?」

生(安)「デートの約束があるんでしたよね、確か?」ニヤリ

布束「そうだったわね。じゃあ、場所を変えるとしましょうか」ニヤリ

テーブルに五百円を置いて布束に付いて店を出る。

――オペレーション『お父さん、娘さんを僕にください』完了。

……さて、これからが本番じゃん?

第2.5節 『二人の研究者』 完
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 06:36:13.77 ID:MC0tp2AO

布束かわいいよ布束
81 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 12:02:46.30 ID:knKZx7Yo
目つきがとてつもなく悪いだけでナイスバディの布束たんハァハァ
82 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 21:23:03.27 ID:KVaeaZ.o

楽しみじゃん
83 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/10(月) 14:09:13.09 ID:J4nMwAALo
〜アクメツクローンプラント〜

生(椿)「東、学園都市の安達から『妹達』のDNAマップと、彼女達の本来あるべき健康時の想定データが届いたぞ」

生(東)「そうか、協力者との接触は上手くいったようだな……これでプラントの培養器を『妹達』用に改造できる」

生……アクメツ以外のクローンの生成。
それはかつて多くの兄弟達が望んだ技術であり、10年前のクーデター事件の最中、先代の東生が完成させた技術。
10年前は、緊急時であった為に肉体生成の為の素材がなく、最後のアクメツ『迫間生』が自らの肉体を犠牲に一人の少女の命を救った。

現在では肉体生成用の素材の問題はクリアしているが、万全な状態でクローン体の製造を行うには対象者のDNA情報の入手は必須といえる。

生(東)「試験個体の肉体は限界が近い、その前に『乗り換え』の準備は万全にしておきたいからな」

――試験個体(フルチューニング)が助かる見込みはない。

確かに東はそう結論を出した。

だが、クローン技術において学園都市を遥かに凌駕する彼等の技術に常識は通用しない。
ある一定の年齢まで、強制的に肉体を成長させている点では『生達』も『妹達』も同じだが、
その根幹にある『設計思想』とでも言うべき点には大きな差異がある。

不老不死への野望から生まれた彼等の技術は、クローン体であっても寿命に関しては『問題なし』のレベルへと到達している。
だからこそ今、新たに万全な『妹達』用の肉体を用意し、そちらへと試験個体の記憶を引き継がせる計画を進めていた。

生(椿)「今、このプラントにいる試験個体はいいとしても、学園都市の方で生まれてくる『妹達』はどうするんだ? 
     俺らみたいに仮面付ける訳にもいかないだろ?」

生(東)「……それはそれで見てみたいような気もするがな」

二万人のミサカクローンがアクメツマスクを被っている光景を想像する。

……なんかもう、それだけで実験が中止されそうな絵面だ。

ミサカ「やめて下さい、とミサカは未来に起ころうとしている戦慄の光景に体を震わせます。
     というか実験の阻止という選択肢はないんでしょうか、とミサカは問いかけます」

そして彼女の疑問はこの数日間、生達の間で幾度も話し合った議題であった。

生(東)「難しいだろうな、それは」

そう答えながら、東は兄弟達との会議の内容を思い出していた。
84 :とある複製の妹達支援 :2011/01/10(月) 14:39:43.31 ID:J4nMwAALo
☆会議に参加した生クローン一覧☆

東……二代目クローンプラント管理人

一条……元長野県警・現在本庁勤務刑事

椿……関東医大病院勤務・医師

桃井……AMジャーナル・特派記者

由良……SS企業に所属する民間ボディガード

菊池……クリーニング店経営

海堂……流浪のストリートミュージシャン

三原……養護施設運営

烏丸……元アクメツ用特殊装備設計者・現義肢装具士

白井……ノンフィクション作家

風見……高校教師

田所……蕎麦屋経営
85 :とある複製の妹達支援 :2011/01/10(月) 14:46:42.33 ID:J4nMwAALo
――例えば、実験の中核にいる『一方通行(アクセラレータ)』を説得し、実験への参加を止めさせる、というのはどうか?

最初に出た意見はごく平和的な作戦だった。

生(一)「これだけの計画だからな……仮に第一位とやらに、その気が無くなっても誰か別の人間が実験を遂行するだろう」

――ならば、一方通行を撃破してしまえばいいのではないか?

生(椿)「けど、絶対能力(レベル6)に到達出来るのは、その第一位だけって話じゃないのか? なら第一位をどうにかすれば……」

生(白)「どうにか出来るかどうかは別にしても、そのレベル6云々って話が胡散臭いじゃん」

生(桃)「機械の弾き出した『答え』の信憑性って事か?」

生(田)「まぁ、樹形図の設計者とかいう天気予報機がどれほどか高性能か知らないが、話自体が不自然すぎる」

――本当に絶対能力者を誕生させる事が目的なのか?

生(椿)「なぜ第三位のクローンなのかって事か?」

生(東)「それもある。だが、それ自体は元々あった計画の再利用だからかもしれないし、第一位と第二位の能力が特殊だからかもしれない」

生(三)「能力の桁こそ違うが『電撃使い』という点では割と学園都市ではポピュラーな能力らしいからな」

生(菊)「でも、本気で第一位を絶対能力者にしたいなら、もっと他に手段がありそうじゃん?」

生(東)「確かにレベル3程度の『妹達』を二万体も[ピーーー]よりも、適当なレベル4でもぶつけた方が経験値という意味ではレベルアップは速そうだな」

生(海)「魔王のレベル上げにメタルスライムを大量に用意するみたいなものだもんな……面倒にも程がある」

生(椿)「例えはアレだけど、確かにそうだな」

生(由)「そもそも、2万人を『二万通りの戦場』で[ピーーー]って何日かかるんだ?」

生(一)「……とりあえず一ヶ月で実行できるようなマニフェストではないな」

――どうすれば『妹達』を本当の意味で『解放』出来るのか?

生(鳥)「むしろ、『妹達』二万体を製造する為の建前と言われた方が自然なぐらいだ」

生(椿)「実験をどうにかして止めても、何らかの目的に利用されるって事か?」

生(東)「どうだろうな。実験と銘打っている以上、ある程度の数を『殺害』する事すら計算の内なのかもしれない」

生(田)「……つまり?」

生(一)「普通に『助ける』だけじゃ、学園都市側の思惑の中である可能性が高い、って事だな」
86 :すまん、saga入れるの忘れてた。脳内補完よろ [saga]:2011/01/10(月) 14:57:41.24 ID:J4nMwAALo
生(海)「実験が潰されることも計算の内ってことかよ!?」

生(東)「特定のタイミングで中止させるのか、何らかの妨害すら考慮に入れてるのか……」

生(菊)「それって、どうあがいても本当の意味で妹達を『自由』にはしてやれないって事にならないか……?」

生(東)「いや……一つ、手がある」

生(一)「……それしかないのか?」

生(海)「だけど……」

学園都市の思惑から『妹達』を解放する手段……それは……

――『妹達』を実験によって殺害『させた』上で学園都市外部で再生させる、という方法だった。



ミサカ「……そう簡単な話ではない、とミサカも理解はしていましたが……こういう身となると辛いものがあります、とミサカはため息をつきます」

生(東)「恨んでくれても構わない。罵詈雑言をぶつけて、責められて、それでも私達は君に……君達に頭を下げないといけない」

死んでも生き返れるから、黙って殺されてくれ、要するにそういう事なのだ。
死の先があるとはいえ、一度はその恐怖を苦痛を彼女達に与えなければいけない。
それは、自らの為に二万人の『妹達』を犠牲にしようとしている少年よりも傲慢で恐ろしい行為かもしれない。
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/10(月) 16:45:05.90 ID:jsBjVecAO
>>86
乙です

計画を潰すだけじゃ救えないとは思った以上に厄介な話です

88 :とある複製の妹達支援 :2011/01/10(月) 18:08:49.63 ID:J4nMwAALo
ミサカ「そんな事はありませんよ、とミサカは安心させるように微笑みます。
     私の体に関しては、もうどうしようもないのは自覚してます。
     ……そもそも、他の妹達は死に対して思う所は無いように調整されるのでしょう、
     とミサカは実験動物としての在り様を肯定してしまう『妹達』の悲哀を語ります」

生(椿)「だが、君には個性というか……感情のようなものがあるように見えるんだが?」

ミサカ「私の場合は、試験個体であるが為に能力開発なども多岐に渡りましたし、割と長く生きていますので……
     だから、そういうのが芽生えたのかもしれません、とミサカは質問への回答を述べます」

ベッドの上でそう語る試験個体は、何処か誇らしげで自信に溢れていた。

生(東)「君のその感情を『妹達』と共有できればいいのだがな……」

ミサカ「止めた方がいいでしょう、MNW(ミサカネットワーク)が稼働状態になれば、それも可能ですが、
     それは私の所在が学園都市側に露見する事を示します、とミサカは自分の存在が先輩方の危機を招く可能性を危惧します」

生(東)「MNW……妹達の電気操作能力を利用して作られた脳波リンク、だったか」

ミサカ「『妹達』の脳によって構成される並列コンピューターとも言えますね、とミサカは補足を加えます。
  これによって、『妹達』間で情報や経験レベルでの技術の共有が可能になります」

生(椿)「俺達が仮面でやっていることを『妹達』の脳の中だけでやるって感じか……」
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/11(火) 17:05:07.52 ID:uXr6JMKSO
苗字はみんなライダーネタか
90 :真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
91 :とある複製の妹達支援 :2011/01/13(木) 23:28:56.06 ID:z0xnBQBbo
生(東)「…………ふむ」

生(椿)「東、どうかしたのか?」

生(東)「いや……『妹達』の記憶継承の手段なんだが、彼女達の脳波リンクをうまく活用できないか、と」

ミサカ「活用、というのはどういった風にでしょうか、とミサカは疑問を投げかけます」

生(東)「俺達の仮面は神経に直接繋げることで死亡時に長期記憶のシナプスを外部へ電気信号として発信して、
     それを人工衛星経由で新しいクローン体へと引き継いでいるんだが……」

生(椿)「死の瞬間から、新しい体で目覚めるまでの記憶は連続しているし、各々の『個』を失ったりはしないって事だったな」

ver.1である椿にとっては、他の『残留組』と同様に死、そして再生の経験はないのでver.3個体から聞いた話でしかないのだが。

生(東)「バージョンアップが行われる場合は他の仮面を装着して死亡したクローンの経験や記憶も擬似記憶として継承され、
     武術などの経験がある場合は、それらを『使用可能』な状態になるように自動的に肉体の調整が行われる訳だ。
     そして元々、電気能力を利用して記憶の共有が可能な『妹達』なら、シナプスを電気信号に変えて発信する部分を
     行う仕掛けを用意するだけで、同じことが出来る筈……だと思う」

生(椿)「じゃあ、仮面を『妹達』用に改造するって事か?」

いつぞやの偽アクメツの時は頼まれたって特注の仮面を作りたくはなかったが、彼女達の為であればそれも吝かではない。

ミサカ「いえ、ですからあの仮面を付けるのは嫌なんですよ、とミサカは……」ガクブル

生(東)「おいおい、あんな目立つ物を付けさせたら学園都市を誤魔化す所じゃないだろう……?」

ミサカ「そ、そうですか……とミサカは安堵の溜息をつきます」ホッ

生(東)「試験個体が着けていた、軍用ゴーグルがあっただろう?」

ミサカ「ミサカにはオリジナルのように磁力線を視認する能力がありませんので、それを補うための装備です、とミサカは枕元に置かれたゴーグルを指さします」

生(椿)「と、いうことは……これから生まれる『妹達』にも標準的に装備されるって事か?」

ミサカ「そうなる予定です、とミサカは研究者達の会話を思い出しながら肯定します」

生(東)「よし、それなら上手くいきそうだな……」

生(椿)「これを改造するのか……?」

試験個体から軍用ゴーグルを受け取りマジマジと眺める椿。
92 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/13(木) 23:34:48.38 ID:z0xnBQBbo
生(東)「と、いうよりも数が数だ。向こうも大量生産する筈だから、製造の段階で設計図に細工をすれば、学園都市が勝手に下準備してくれる」

ミサカ「……そんな事をして気づかれないでしょうか? とミサカは不安を顕にします」

生(東)「恐らく気づかれる可能性は低い筈だ。
     ……他の『妹達』のゴーグルには実験のデータを取るための機構が備えられるはずだ……そこに紛れ込ませる」

実験のデータ発信がMNWやゴーグル経由で行われ、それがデジタル情報でやりとりされることは想像に難くない。

――そこに付け入る隙がある。

細工と言っても、少しばかり送信する情報が増えるだけの事。
……しかもそれが行われるのは、死の刹那。
ある意味で消耗品と言える軍用ゴーグルに注意を払う人間は少ないだろうし、仮に居たとしても布束にフォローさせれば誤魔化せる範囲内。
とはいえ……これは学園都市側に警戒心を抱かせた時点で頓挫する可能性が高い計画である事は確かだ。

……だが『妹達』を殺させるという、生達の常軌を逸した奇策がそれを許さない。

仮に生達が大々的に実験に対し、妨害行動を取れば、自然と相手側に警戒心を抱かせ、計画露見の危険が高まるだろう。
しかし、表面上は予定通りに進む実験に疑問を抱く人間はいないだろう。

生(東)「設計図は完成次第、潜入班の誰かに預けて、安達と布束とやらに渡るようにしよう」

生(椿)「なら俺が直接持って行こうか?」

特出した戦闘スキルの無いver.1であるものの、椿も医師として学園都市にある病院への潜入が決まっていた。

生(東)「それでもいいが……万全を期してver.3の誰かに持たせるさ」

生(椿)「そ、そうか……」ガクッ

生(東)「何を落ち込んでるんだ」

生(椿)「どうしてだろうな………………いや、試験個体の為に何かしたいって事なんだろう、と生は自分で分析してみる」

ミサカ「ミサカの口癖を真似しないでください、とミサカは先輩の素直な言葉に喜びを覚えながら、自らのアイデンティティを守るべく指摘します」

生(椿)「そういえば、その口癖はいつからなんだ?」
93 :とある複製の妹達支援 :2011/01/14(金) 00:01:20.49 ID:j8Vkne1ho
ミサカ「…………いつからでしょう? 最初の頃は普通に喋っていたような……と、ミサカは過去の記憶を呼び起こしながら答えます」

生(東)「ほぉー、興味深いな」

ミサカ「やはり、変なんでしょうか? ……とミ……いえ、何でもないです」ウズ

生(椿)「いや、無理して止めなくても」

ミサカ「…………いえ、これでも超我慢強い女なんです……」ウズウズ

生(東)「……何やら別の口癖が顔を覗かせたが」

そんな試験個体の姿は、少し珍妙というか……とても……そう……とても人間らしい姿だった。
必死に口癖を止めようとする彼女の姿に東と椿は改めて、その決意を強固なものへと変えていた。







――だが、そんな彼女が、その命を落とすのはこの日から僅か3日後の事だった。







そして時間の針は進み、舞台は再び学園都市へ。

時期をずらし学園都市に侵入した『生クローン』達は妹達支援の為に各々の潜入場所で学園都市に関わっていく。

ある者は学園都市を守護する若き力の集結点へ。

ある者は子供達を導く者として、とある学び舎へ。

ある者は無力を嘆き、闇の表層を徘徊する糞餓鬼共の巣窟へ。

ある者は医療という名の戦場で生きる伝説の戦士の傍らへ。

ある者は学園都市の狂気を垣間見ながらも、表の世界で幻想を[ピーーー]少年の学友を続ける。

ようやく、少しばかり長いプロローグは終わりを告げようとしていた……


――果たして悪を滅する者達は、善を救う者になれるのであろうか?


第3節 『再誕への道標』 完
94 :とある複製の妹達支援 :2011/01/14(金) 00:09:04.74 ID:j8Vkne1ho
引越しついでの投下完了。
毎度ながら遅筆でご迷惑をおかけしております。……またsaga忘れてるし。
とりあえずこの第3節までで序章が終了ってところでしょうか。
2.5節の方が3節より長い気がするけども気にしない。
今後の展開ですが、各地に散った生クローンの話を挟みつつ、基本は超電磁砲ルートと言ったところでしょうか。

……下の下である爆弾に手を出してしまった愚かな青年は、果たして無事に電撃姫に説教されることが出来るのか……
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/14(金) 00:13:27.09 ID:jOR1+nkpo
96 :とある複製の妹達支援 [見たいのがあればリクエストお願いします]:2011/01/15(土) 01:49:38.71 ID:lZhSLE2vo
ミサカネットワーク掲示板は移転しました。
http://mnw.vip2ch.com/radionoise2/

番号  タイトル                                レス
1    実験で死んだと思ったら学園都市の外にいた件【その7】   569 
2    クローンな先輩方にお礼を言うスレ【その5】          435
3    白もやしに恨み言を吐くスレ                    130
4    お前らアクメツについて語ろうぜ                 873
5    雑談                                  756
6    蘇生によるミサカネットワーク移転について【必読】       893
7    学園都市にいる他の連中を心配するスレ            444
8    今日のご飯【リクエスト】                        54
9    健康っていいよな                          921
10    自分達のクローニング技術に絶望した!            315
11    研修に行った『妹達』の報告を聞くスレ【その4】        666
12    ちょっと山篭りして強くなってくる【その2】             129
13    試験個体発見報告                           87
14    なぜ一方通行に勝てなかったのか真剣に考察するスレ    423
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 02:04:40.65 ID:wscc1CeSO
正直全部見たいが、敢えて選ぶなら1、4、12かな
98 :とある複製の妹達支援 :2011/01/15(土) 02:20:11.33 ID:lZhSLE2vo
ちょっと覗く感じに仕上げるので、一つ一つはそんなに長くはしません。(ツール使わないのでMNWネタで長いのは無理)
リクエストと言っても、どれを優先して書けばいい?という意味合いなので気力が持てば全部書けます。
とりあえずシナリオ上必須なのは書きますが、ネタ系は皆様の反応次第です。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/15(土) 09:15:50.85 ID:UZXSzL+1o
14 人間反省を今後に活かすのは大事
100 :とある複製の妹達支援 :2011/01/15(土) 13:00:53.34 ID:lZhSLE2vo
実験で死んだと思ったら学園都市の外にいた件【その7】

569 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05963

                            
                    
                  
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『実験で一方通行に殺されたと思ったら、
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いつのまにか学園都市の外の施設で裸でいた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    超スピードだとか催眠術だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


570 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
なんていうか、このリアクションにも飽きてきた

571 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
なにしろ、5963回目だからね……

572 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
>>571
ごくろーさん

573 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
>>572

【審議中】
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (´・ω・) (・ω・`) ∧∧
( ´・ω) U) ( つと ノ(ω・` )
| U (  ´・) (・`  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'


574 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04675
>>572
嫌いじゃないわ!
101 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/15(土) 13:03:26.58 ID:lZhSLE2vo
575 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05050
てか、おまえら説明してやれよ……テンパってるんだから

576 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
そういう訳でフルチューニングさんお願いします

577 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
またわたしなんだ……?

578 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05963
きみはゆくえふめいになっていた、フルチューニングじゃないか!

579 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
この反応にも飽きたな……

580 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
>>579
おまえだって生き返った時に同じリアクションしてたじゃん……

581:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00721
てか、5963号培養器から出たばかりで今全裸じゃないのか? 誰か東呼んで来いよ

582:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05050
>>581
さんをつけろよデコ助野郎
もしくは博士(プロフェッサー)と呼べ

583:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01919
おれも実は、全裸なんだ……

584:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
>>583
DA・MA・RE

585:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05050
軍用クローンに自由を与えた結果がこれだよ!

586:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00721
わたしは今下着だけだよ……?

587:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
おい、お前ら感覚共有するなよ!?絶対だぞ!?

588:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05050
いつからMNW2は変態の巣窟になってしまったんだ……?
102 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/15(土) 13:05:31.33 ID:lZhSLE2vo
589:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001


   ___
  / || ̄ ̄|| ∧_∧
  |.....||__|| (     )  どうしてこうなった・・・
  | ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
  |    | ( ./     /


590:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
と、とりあえず東さんを呼んで5963号に説明しに行くよ……


591:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05050
運営代理乙

592 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332

        /≦三三三三三ミト、          .  ―― .
       《 二二二二二フノ/`ヽ       /       \
       | l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ∨{ミvヘ      /      ,   !l ヽ
       ト==   ==彡 》=《:ヽ     ′ ―‐ァ!l / ̄}
         /≧ァ 7¨7: :ァ.┬‐くミV!ハ    |    (__   _ノ    |
       ′: /: イ: /': :/ |:リ  ヽ }i! : .     |  _j_   ツ    |
      i. /: il7エ:/ }:/ ≦仁ミ ト:.i|: i|   |    d   __ 、、   |
      |:i|: :l爪jカV′´八ツソ Vミ :l|   |   ノ  − ノ    |
      |小f} `   ,    ´  ji }} : .{    {   ┌.  ー ´    }
       }小    _      ,ムイ|: :∧    .    |/   ヨ
       //:込  └`   /| : :i i : :.∧   、  o   ―┐!l /
        /:小:i: :> .    .イ _L__|:| :li {∧   \    __ノ /
.      /′|从 :|l : i :爪/´. - 、 〈ト |ト:ト :'.   /       く
            N V 「{´ /   ヽ{ハ|   `\ /        ヽ
           | }人ノ/   li  V    _.′贈  惜  と  '
       i´ }    //} i′′ ハ 、|   `ヽ.   り   し  ミ   !
       { {     〃ノ {l l!  } :  {     }  ま  み  サ  |
   rー‐'⌒ヽ  ,イ   i{| |   i      |  す  な  カ
   〉一 '   ∨n     ∨   ′  ハ      |      い. は  }
   `r‐‐ ´   V    |       |      !      >>591   ′
    ‘r‐‐ ´    \   }/i⌒ヽ   {      .      乙    /
      `¨¨` ー .、  ` < ` |    `ト、 }     ヽ     を
         }}\      ̄ `ヽ ト ソ      \     /
         ノi  \        } }         ` ―‐ ´
          //     > .     | ノ

103 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/15(土) 13:07:28.62 ID:lZhSLE2vo
593 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
つーか、大変だな試験個体も。なまじ最年長なだけに

594 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
そう思うなら代わってやれよ次女w

595 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
そう思うなら代わってやれよ三女w

596 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
分かり難っ!号数と次女とか一つズレてるから、半端なく分かり難いっ!?

597 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
ここまでテンプレ

598 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05964

                            
                    
                  
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『実験で一方通行に殺されたと思ったら、
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いつのまにか学園都市の外の施設で裸でいた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    超スピードだとか催眠術だとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


599 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
はーい、一名様追加でーす
104 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/15(土) 13:09:37.79 ID:lZhSLE2vo
600 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
こう言っちゃ何だが、白もやし飛ばしすぎだろww一日に何人殺る気なんだww

601 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02001
一桁台の余裕すげー

602 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
まぁ、生き返ってしばらく経つし、正直一方通行とかどうでもいいレベルに到達しつつあるな

603 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
確かに恨み言スレの伸びもイマイチだしな

604 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
恨みが無い訳じゃないが、そもそも奴がいなければ、わたしたちは生まれてすらいないし、
外の世界が面白すぎて恨みとか、そういうので色々と浪費したくないっていうか……

605 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00721
カッコ良すぎて濡れた

606 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
>>605
突っ込んでもらえるとは思うなよ?

607 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01919
放置プレイとか胸熱

608 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka03332
くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
そういう意味じゃねえええええええええええええええええ!!

609 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05964
え、何このカオス

601 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
>>609
見ちゃいけません!
……しゃーないから、わたしが着替えの追加持っていくわ。


105 :とある複製の妹達支援 :2011/01/15(土) 22:55:37.67 ID:lZhSLE2vo
ちょっと山篭りして強くなってくる【その2】

129:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
何だかんだで、ムサシが山に篭って、2ヶ月が過ぎた訳だが

130:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
今北産業。ってかムサシって誰っすか?ww

131:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01000
ムサシってのは、634号の事な
もやしに格闘戦を挑んだ猛者という名の馬鹿

132:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
格闘戦が通用しなかった
せっかく健康体で生き返ったので修業してくる
いつの間にか2ヶ月←いまここ

133:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
>>131-132
ありー

134:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05093
安直でも名前のある奴って羨ましいな

135:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
>>134
ゴーオクサーでいいじゃん

136:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05093
人間じゃない……だと……?
ロボですら乳揺れるのにミサカは……と言う意味の皮肉なら後で屋上

137:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
仮に皮肉でもサイズ的には全員同じな件wwww

138:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01000
いや、1919号とか721号とかは少し育ってるらしい……理由は察してくれ

139:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
>>138
そ、そんな馬鹿な……ノストラダムスの大予言にはそんな事書いてなかったぞ……!?

140:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
>>139
おまえ、いい加減に占いとか予言に頼るのやめろってww
106 :とある複製の妹達支援 :2011/01/15(土) 22:58:25.14 ID:lZhSLE2vo
141:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01000
スマン、何か余計なこと言ってしまった。話を戻すがそもそも、もやし相手に格闘戦ってのもどうなん?

142:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
スレ違い。考察スレでやれ

143:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
>>142
少しぐらい別にいいだろ、軌道修正しようとしてくれてんだよwwww
>>141
貧弱に見えるけど能力のせいで防御は完璧だもんな……

144:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
姐御どうしてるのかな〜?

145:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
あ、姐御?

146:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
製造された研究所が同じで付き合い長いんだけど、634号って何か姐御肌でさ……
ふと気付いたら姐御って呼んでた

147:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
二ヶ月前は盛り上がったなーww
いきなり『これから崖を飛び降りて人間の限界を超える』って言い出した時wwww

148:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
必死に止める奴と煽る奴とで軽くパニックだったからね……
絶叫マシン気分で感覚共有してた連中は勇者ってレベルじゃない……

149:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
そういえば、あの時のエンドルフィンで1919号が変な覚醒を果たしたんだったな……

150:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
わたしとしては、無事で帰ってきてくれることを祈るばかりです

151:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
>>150
なんか可愛いwwwwちょっとキュンってなったww

152:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
今北。ちょっと、いいかな?

153:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
あれ、AMジャーナルで研修中じゃなかった?

154:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
その研修中に他社の新聞を見たんだが、ムサシ?らしきミサカが載ってるんだけど……
107 :とある複製の妹達支援 :2011/01/15(土) 23:24:00.59 ID:lZhSLE2vo
155:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
!?

156:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
!?

157:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
!?

158:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
ほ、本当!? 何の記事!?

159:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
『女子中学生が熊に遭遇』って記事なんだけど……

160:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
熊さんに出会ったwwww

161:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
あ、姐御は無事なの!?

162:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
無事。つーかどうも倒したっぽい

163:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
く、熊を?

164:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
記事では触れないようにしてるけど、その熊は死んだみたい
そして、熊の写真に打撃と感電が合わさったような痕跡が……

165:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル

166:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
あの娘はどこを目指してるのよ……?

167:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
とりあえず、オリジナルのお姉様よりも少しだけ強くなれればいいかなー

168:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
姐御!!

169:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
おお、噂をすれば

170:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
いやー、久しぶり。まだスレ残ってたんだね
あと、635号ただいま。心配かけたみたいだな
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 02:11:01.15 ID:ZsiUZJMAO
こいつら元気だなwwww
ワロタwwww
109 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 13:47:04.77 ID:q+HoWarNo
171:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
あ、姐御……

172:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
なんだこのイケメンwwww2828wwww

173:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
おかえり、それで熊に遭遇した話を詳しく

174:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
あ、聞きたい? なら、記憶共有しようか?

175:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
……おっと、ハードルが上がりましたよ。

176:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
まさかのタイムシフト放送ktkr

177:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
オレはあえて逝く!

178:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
じゃー共有するぞー? 心臓弱い奴はやめとけよー?

〜共有中〜

179:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
で、でけえええええええええええええええええええええ!?

180:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
写真と迫力違いすぎるだろ!? 軽く2メートルはあるぞ!?

181:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
ロードワーク中に遭遇してさー?
いやー、熊避けの鈴忘れてたのが致命的だったわーwwww

182:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
忘れちゃだめえええええええええ!
ところで視界の端にチラチラ見える白いの何?

183:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
犬……にしては大きいかも?

184:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
あーそれは、犬だよww
お世話になってたペンションで飼われてるハチって犬

185:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
てか、ビビって離れすぎだろwwww
飼い主にどんな教育受けてんだwwww
110 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 14:00:29.16 ID:q+HoWarNo
186:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
とか言ってたら攻撃きたあああああああああああ!?

187:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
こええええええええええええええええ!!

188:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
あー、でも攻撃は見切れてる感じだね?

189:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
そりゃ、一方通行とか夜叉猿の方が動きは早いし……

190:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
何か気になる名前が出てきたけど、お前らスルーな

191:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
つーか、ムサシの動き速すぎないか? 特に反応速度が尋常じゃねー

192:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
姐御は反応速度上げるために脳内の神経伝達の電気信号を能力で加速させてるから……

193:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
>>192
何それ凄い

194:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
おっ、綺麗にカミナリワンツーが熊の眉間に!

195:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
連打ぱねえwwww何この無呼吸連打wwww

196:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
熊さん弱ってきたな(´・ω・)カワイソス

197:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
こっちが襲われてる筈なのにな……

198:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
って、ムサシ熊に組み付いたぞ!?

199:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
ま、まさか

200:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
大雪○おろし……?

201:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
帯電しながら振り回してるから、サンダースイングだろ
111 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 14:31:59.10 ID:q+HoWarNo
202:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
>>201
どっちでもいいが、ムサシのパワー異常だろwwww何で熊を振り回せるんだ!?wwww

203:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
姐御は筋力不足を補うために体のツボを電流で刺激して瞬間的にパワーを上げてるから……

204:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
>>203
何それバーロー?

205:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
あ、投げた

206:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
そのまま、サイクロンドライバーだと……!? しかも、あの体勢は!?

207:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05656
もうやめて! 熊さんのライフはもうゼロよ!

208:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
お姉さま、アレを使うの!?

209:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
>>208
ええ、その通りよ……って、10号は634号より姉じゃないかwwww

210:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
倒れた熊の延髄目掛けて、イナズマキック……だと

211:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
確実に仕留めにいってるじゃないか……

212:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04343
……なんだろう、命って儚いな

213:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01999
ああ、生きてくって大変なんだな

214:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
何か大切な事を学んだ気がする……

215:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
>>212-214
おwwwwまwwwwえwwwwらwwww

216:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00635
ところで倒した熊はどうしたんですか?

217:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00634
あーそれはね……



〜熊はミサカが鍋にして美味しく頂きました〜
112 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 14:48:16.17 ID:q+HoWarNo
とりあえず、ここらで一休み一休み。
……いやー死亡した妹達生存ルートだと各人のキャラ付けが難しい……
今までにも(現在進行形含む)妹達生存ルートのSS書いてる人いるけど
細かく妹達にキャラ作ってる人って少ない感じだし……
10032以降ならSSでは有名所のミサカとかいるからいいけど死亡組なんて
ほとんど手付かずの状態だからセンスないオレとしては、無限の開拓地に放り出されたみたいで困る。
遅筆に呆れず読んでくれてる人がどのぐらいいるか分からないけど、頑張りますよー。
次はGHLあたりを書き進めようと思ってます。
……ところで、ふたなりミサカがいるって話を聞いたんだが、どこにいるんだ?
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 15:12:49.02 ID:r+/Z9HfZo
ムサシぱねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
乙おつ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 15:41:15.06 ID:T1TYwhZqo
なんという鷹村さん
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 16:37:14.81 ID:hK2nU5OSO
素晴らしい
ってか新聞に載るような真似していいのか?wwww
116 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 17:26:32.96 ID:q+HoWarNo
>>114
戦闘BGMはウルトラセブンでお願いします。
>>115
御坂パパは偶然読んで「なん・・…だと……?」ってなるかもですが、学園都市が気付くほどの記事じゃないので安心です。

さて、御飯編書き始めます。
117 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/01/17(月) 17:28:36.41 ID:q+HoWarNo
今日の御飯【リクエスト】

54:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
今日も、何人かのミサカがこっちに来たから誕生日会的なのを開こうと思うんだけど……

55:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
ある意味では葬式だけどね。
でも、そんな優しいフルチューニングさんが私達は大好きです

56:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
いや、ちょっと晩御飯を豪華にするぐらいなんだけどね?///

57:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
毎回ガチパーティは無理だもんな〜人数が人数だし……

58:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
とりあえず、クローンプラント常駐のミサカ達で用意するって事でいいの?

59:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
そんな感じで。……それで何食べたい? ってアンケートを取ってみたり

60:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
工夫次第で豪華に出来て、尚且つ手間が掛かり過ぎないのがいいね

61:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
……あるのか、そんな料理?

62:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
熊鍋……?

63:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
>>62
なぜ熊鍋ww
ってか、お前が常駐してるのはプラントじゃなくて、ニコニコ動画だろww

64:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
>>62
他スレの話題を持ち込んじゃダメだってww
>>60
それなら、カレーでいいと思うんだけど

65:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
>>64
それだ!!
118 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 17:32:06.58 ID:q+HoWarNo
66:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
妥当なメニューだね

67:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
でも普通のならともかく、少し豪華なカレーの作り方なんて分かるのか?

68:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
…………わかんないよぉ…………

69:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
泣くな泣くなww
ほら、流れ板の生さんに聞けばいいんじゃないか?
最近では和食以外も得意らしいし

70:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
海原さんな。
……けど、あの人は学園都市潜入組だから駄目だろ

71:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
どっかのカレー屋さんで働いてるミサカいた筈だが

72:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
ああー、ヒグマと戦った事があるって噂のカレー屋さんね

73:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02525
ヒグマwwwwwwwwwwwwwwwwこれはもう、カレー味の熊鍋作るしかwwwwwwwwwwwwww

74:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
>>73
少し黙ってなさいwwwwわたしも想像しちゃったけど!wwww

75:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
>>71
呼んだー?

76:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
きたー!

77:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
最後の希望舞い降りたー!
119 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 19:39:03.61 ID:q+HoWarNo
78:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
んで? カレー作るの?

79:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
頼むよ、カレー大将!

80:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
手伝うのはいいんだけど、材料とかは? プラントに備蓄あったっけ?

81:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00808
足りなければウチの野菜届けるよ

82:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00298
足りなければウチの肉も届けるよ

83:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
>>81-82
お前らの反応速度wwwwこの商売上手wwww

84:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
と、いうわけで材料は豊富になる予定

85:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
そっか、それでレシピを知識共有すればいいのかな? それとも私が一度作ってみるのを感覚共有すんの?

86:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
どうせなら身に付けたいから感覚共有でお願いします

87:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
分かった、快心の一食をお見舞いしたるワ

88:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
え、何その台詞

89:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
何か店長が料理作る前によく言ってる。せっかくなので拝借した
120 :とある複製の妹達支援 :2011/01/17(月) 19:42:29.36 ID:q+HoWarNo
〜共有中〜

90:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
うわー手馴れてるねー

91:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
……ん? これ何咥えてるの?

92:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
シナモンスティックだよー

93:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
もしかして、これも店長さん経由?

94:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
そだよー、これ咥えてると集中出来るんだー

95:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
何かラブ臭がするぜ……

96:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
ねーよwwwwカレー馬鹿だし、彼女いるからwwww

97:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
なーんだ、つまんねーの

98:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
友達以上恋人未満な感じらしいけど、傍目からは明らかに相思相愛に見える
最近だとむしろ、店長より彼女の方と仲いいよ。一緒にB級映画とか観に行く

99:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00721
超キマシタワー

100:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
>>99
結局、帰れって訳よ

101:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
何やら、スパイスの香りで胃が……

102:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
お、お腹空いたってミサカは主張します

103:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
一杯食べさせてくれると嬉しいなとミサカは……

104:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
>>102-103
MNW内で口癖が出るほどにかwwww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/17(月) 22:57:51.61 ID:RsEttn/X0
マwwキwwトww
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 23:56:36.49 ID:/lACZumX0
ハードボイルド探偵な鳴海に、ケーキ職人の鴻上ですねわかります
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 00:31:44.71 ID:zE2QJsoSo
華麗なるカレー屋wwwwww
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/18(火) 00:41:55.83 ID:Wz6VehLb0
そのうちエンジンの付いた乗り物を乗りこなす高校生や二人組の奪還屋とか出てきそうな勢いだなww

スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/
125 :とある複製の妹達支援 :2011/01/18(火) 10:43:35.70 ID:nvjKIa5Vo
>>124
読心能力者……だと……?
ミサカ「お前に命を吹きこんでやります、とミサカは戦場を駆ける相棒に語りかけます」
的なのをそのうちやろうとしていた……
126 :とある複製の妹達支援 :2011/01/18(火) 11:04:33.56 ID:nvjKIa5Vo
105:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
もうすぐ完成だけど、私が食べた所でみんなの空腹は満たされないという……

106:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
味の共有は出来てもお腹は膨れないからね……満腹感だけなら得られるけど

107:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
なんかダイエットには使えそうだ

108:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
すごく有用な使い方だけど、今は仮初の満腹感でもいいから……はやく……

109:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
お腹と背中がくっつくという言葉の意味を初めて理解した気分だ……

110:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
ごめんね、みんな。完成まで見届けたら私もすぐに作るから……

111:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
フルチューニングの優しさが空きっ腹に沁みるぜ……

112:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
完成したけど……どうする? 共有したまま味見する?

113:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
カレーだけで三種類……すげえ……

114:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
あと、サフランライスとナンも用意したよ

115:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
ナン……だと!?

116:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
先生、カレーが食べたいです……

117:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
それじゃー食べるよー?





〜試食中〜

                                     ,,
                    ,, _,,,,,--‐‐‐----,,,,,,/i/i/.{
                   //''~          / /  {
                  , //           '''~ ,,-'   l
              /{  .,〃i i                  }
             ,, | { /ii. {,i゙ '                  l    /
             )},! l' '                      |  /
        /ニニ'                         }/
        _,''-''                     /   /
       ,-'           _,,,,_          // . /
      ,-'           i´,-、vヽ    }   / /
    /.            /{ r--,==\ 、.  |  . /
  ,,,ニ´           / .| }:^、ヽ;;;;;_`、`、/ /
 ー=,,,,,,,,,,,_        ,ノ  ! i:::: `ィ't-ン ン~
   {`、ヽ、,,_ ̄~~~''''‐-‐'´  /  `-,;;;ニ'//
    i `、,,,_`'''-、_,,,_   /{`-, ,-‐‐/ /
    `、  `-、__   ̄~'~{ L}::::| }  /
     `-、   ~''''---'''~`i,/::/ } / /
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          ~~~ }/-' :}  / く,
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127 :とある複製の妹達支援 :2011/01/18(火) 11:29:04.58 ID:nvjKIa5Vo
118:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
うーーまーーいーーぞーー!!!!!!!!

119:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
な、なぜか大阪城と合体する映像(ヴィジョン)が見えた……

120:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
これが食べることの素晴らしさか……!

121:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
生きていることに感謝したくなるな……!

122:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
それが、いまここにいることの喜びか……!

123:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
そ、そこまで喜んでもらえると作った甲斐があるけど……///

124:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00010
あの短時間でキーマ、チキンとほうれん草、エビと三種類のカレーを作ってしまうとは……

125:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
本当なら、カレーに合わせてヨーグルトも用意したいところだけど、今回は時間もないし、少し高い市販品でいいと思うよ

126:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
わ、分かった! これから頑張って作るよ!

127:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01926
おう、頑張ってなー



〜ちなみにカレーの残りはカレー大将のスタッフが美味しく頂きました〜
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/18(火) 20:04:03.55 ID:GMEtASvQ0
10031番以前の妹たちが人生エンジョイしてるとか反則だろ(´・ω・`)
>>1汚いな流石>>1汚い…(´;ω;`)

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 02:14:12.46 ID:uxha5p7fo
ああ、美味しいもので生きる喜びを知るっていいな。

>>128
それ、元ネタ知らないやつも多いからやめとけ。たまに荒れる。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 04:12:39.49 ID:nTTsnLBSO
昼に落ちてなかったらもっと投下あったかな
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 08:00:43.84 ID:eGI2Ry6X0
>>125
冗談のつもりだったんだが、なんかその…正直スマンかった
132 :とある複製の妹達支援 [喉が腫れてマジしんどい]:2011/01/19(水) 12:15:01.16 ID:WJ9vaSMQo
>>128
俺も>>1は汚いと思う……でも、最終的には善で全ての妹達を救う一方通行じゃなくて、殺したはずの妹達に許されたり救われる一方通行を描きたいんだ……
とりあえず当面は禁書バトルに過激に乱入するアクメツというシリアスな笑いを提供したい……

>>129
生きる歓び云々の言い回しは某ロボットアニメから。最近映画を見たのでww
あと、荒れるほど人来てないと思うから平気だよ。

>>130
いやー落ちるのと家のネット接続の不調が重なって軽くパニックだったわ・・・
けど遅筆な俺にはさほど影響しない……orz

>>131
気にするな、ジュースをおごってやろう。
その話題から、佐天「宝石から力を引き出す能力……?」という小ネタを思いついたが需要はないな。なにしろ、一方通行も御坂さんも宝石次第で完封できてしまう……

ネット繋がんないから本筋を書き始めたんだが、
@一旦本筋進めながら息抜き感覚で合間にMNWを挟む
AMNWネタ完了後に本筋
BMNWネタ放棄で本筋オンリー

俺的に@でいったほうがムラがでなくていいかな、と思っているがそれでいいかい?
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 12:23:57.88 ID:mRHhszlRo
一方通行が許されるならその何分の一でもいいから美琴もフォローしてやって欲しい所
本筋の続きも早く読みたいので@でお願いします
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 13:36:31.85 ID:eg5Mgmr90
@でお願いします。

???『…チカラガホシイカ?…』佐天「!?」
っていうのもありか?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 16:32:19.29 ID:m/btokuOo
本筋が気になる!でも・・・MNWもみたい・・・ビクンビクンなので@でおねがいます

そのうち学園都市製のマッスルスーツだかなんだか出てきそうな・・・
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/19(水) 16:56:13.81 ID:koMPRCyv0
一番ありそうなのは、とある旅一座に入って、スポットバーストショットをマスターしたシスターズが出てきそうだよねww
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 20:43:21.08 ID:axdhIm940
信じられるか…こんなにほんわかした気持ちになれるMNW2スレ発足の切欠は
学園都市の闇に呑まれて消えて逝った哀れな魂10031人と
一人一殺の反ヒーローの出会いから生まれたモノなんだぜ…


たった一つの命を捨てて、生まれ変わったこの体
>>1がやらなきゃ誰がやる、乙!
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/19(水) 20:46:36.35 ID:VKi7OUb8o
1 をお願い
139 :とある複製の妹達支援 :2011/01/19(水) 21:22:37.38 ID:WJ9vaSMQo
>>137
そんな風に言われたら、やる気でちゃうじゃないかwwww

@でみなさまに賛同いただけたようなのでちまちまと書き進めながら投下していきます。
140 :とある複製の妹達支援 [スポバショットが木原神拳的な効果を発揮しそうな予感]:2011/01/19(水) 21:26:47.71 ID:WJ9vaSMQo
7月17日 

学園都市・第二学区

〜風紀委員訓練施設〜

――そこまで!!

練武場に響く明朗な声。

それを合図にその場を包んでいた緊迫感は消え、穏やかな物へと変化していく。

安達「ありがとうございました!」グッ

額を流れる汗を道着の袖で拭いながら、安達は周囲に倒れ伏した試験官達に一礼する。

試験官A「お、お疲れ…………」ゼエゼエ

試験官B「なかなか……やるじゃないか……」ハアハア

試験官C「これだけやれれば……じょ、上出来じゃないか……?」グデーン

言葉とは裏腹に余裕の欠片もない試験官達が、畳に倒れたまま賞賛の声をあげる。

安達「それで…………合格ですか?」

その問いに答えるのは、少し離れた場所から、その様子を観察していた試験官の男性だった。

試験官D「ああ、座学の成績に問題はないし、捕縛、格闘共に十分な実力がある事を見せてもらった。……文句なしの合格だ」

安達「やった! ……これで正式に風紀委員として活動出来るんですよね?」

試験官D「適性試験には全てパス。4ヶ月の研修も問題なく終了した……そして、今回の試験結果があれば無能力者(レベル0)である事は問題にならないだろう」

加えて告げられる採用への確約。

『妹達』支援の為に布束との協力体制を築いていた『安達生』であったが、高校へと進学してからは『風紀委員(ジャッジメント)』になる為の研修に明け暮れていた。

――しかし、何故、わざわざ安達でないといけないのか?

それは、現状では多くのアクメツクローンが学園都市に潜伏しているが、正式な『学園都市の学生』は、安達ただ一人しか居ない事に理由がある。
と言うのも、他の職業であれば、確かに他のクローンとすり替わる、という若干卑怯な裏技も使える。
だが、本来なら能力者だけで構成される『風紀委員(ジャッジメント)』となるとそれも難しくなるのだ。
風紀委員になる為に受ける13種の適性検査には、身体検査(システムスキャン)が当然ながら含まれている。
つまり、遺伝子情報等は、安達と他のクローンと同一だが、学園都市で受けた『開発』の有無だけは誤魔化しようがない、という事。
141 :とある複製の妹達支援 :2011/01/19(水) 21:55:27.33 ID:WJ9vaSMQo
安達「な、長かったじゃん……」

感極まって熱いものが込み上げてくる。

最初は平凡な学校生活で訛っていた体を鍛え直すぐらいのつもりで研修を受けていたのだが、これが予想以上に厳しかった。
ある種の超人であるver.3の安達が言うのだ、その苛烈さは想像に難くない。
まぁ、こんな苦労も採用されるまでの辛抱という奴なのだが。

試験官D「早速、と言ってはなんだが君には午後から第一七七支部で正式に風紀委員としての活動に入ってもらう」

安達「きょ、今日から……ですか?」

試験官D「少し事情があって、風紀委員に欠員が出ていてな。正直かなりの人手不足で、使える人間を遊ばせておける状況じゃないんだよ」

安達「そうですか……分かりました」

試験官D「既に配属先の風紀委員を呼んであるから、さっさとその汗臭い道着を着替えて来なさい」

安達「は、了解であります!」ダダダッ

言うやいなや、安達はロッカールームへと駈け出した。
倒れていた試験官達もヨロヨロと立ち上がって、それに続いた。

試験官D「終わる時ばかり無駄に返事が元気な奴だな…………で、どう見る?」

へばった試験官達と入れ替わるようにしてやってきた眼鏡の少女に声をかける。

???「凄い、としか言いようがありませんね。私も少しは格闘技に自信がありますけど……
     格上3人を同時に相手して、それを圧倒なんて不可能ですよ」

試験官D「あれでレベル0だと言うのだから恐ろしい。この上に能力を得たらどうなるんだろうな」

???「そ、そうですね…………でも、彼って何か武術でもやってるんでしょうか?」

試験官D「そんな話は聞いてないが……だが確かに無型に見えたが、隙は無かった」

???「一見すると素人っぽい動きなのに無駄がないし……リラックスしてるって言うんでしょうか」

試験官D「君の能力で『透視』したらどうだ、何か分かるかもしれないぞ?」

???「で、できませんよ! 道着だけの時に透視なんかしたら全部見えちゃうじゃないですか!?」

試験官D「ん? 普段から色々と透視しているのかと思ってたが」

???「男性と同じにしないでください! 透視と言っても敵の筋肉の動きとか、不審者の持ち物ぐらいしか見ませんよ!」

試験官D「ハハハ、確かに『透視能力』と聞くと、男には覗きしか思いつかなくてイカンな」
142 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/19(水) 22:17:04.03 ID:WJ9vaSMQo
安達「あれ、楽しそうですね?」

試験官D「おお、早かったな」

安達「……あ、そっちの方が?」

試験官D「そうだ、お前が配属される第一七七支部の固法だ。
      先輩というか、上司のようになる相手だからな、今のうちに胡麻を摺っておけよ?」

固法「いや、胡麻って……」

安達「よろしくお願いします、安達生です」

固法「あ、固法美偉(このりみい)です、よろしく」

お互いに自己紹介をして軽く握手を交わす。
手元から視線を上げていくと、ふと目の前の少女の少々『凶悪なブツ』に視線がいってしまい、慌てて顔を逸らす。

安達「えーっと、固法先輩、とお呼びしても?」ポリポリ

それを誤魔化すように聞いてみた。胡麻擂りではないが、これから一緒に働くのだから良好な関係を構築したい所だ。

固法「いいですよ。えっと……安達さん」

安達「あ、そこはさん付けなんですね……」

基本、友人には名前を呼び捨てられてばかりの安達としては、苗字+さんだと少々距離を感じてしまう。

試験官D「固法は少しカタいというか……今いる風紀委員の後輩にも基本さん付けだからな」

安達「そうなんですか?」

固法「はい、どうも人を呼び捨てにするのが苦手で……」

なるほど、どうも他意はないらしい。そういうお人柄なんだろうか。

試験官D「それじゃ、コイツの事をよろしく頼む。盛大にこき使ってくれて構わんからな」

最後に余計なことを言って試験官は練武場を出て行く。

安達「…………お手柔らかにお願いします」

固法「さて、どうしようかしら?」

そう言って、意地悪く微笑む固法『先輩』。

――どうやら、休む暇などなさそうだ。
143 :とある複製の妹達支援 :2011/01/19(水) 23:35:31.18 ID:WJ9vaSMQo
第七学区


固法「…………システマ?」

第一七七支部のあるビルへと向かう途中、「何か武術をやっているのか?」という率直な固法の質問対し、安達は特に隠すこともなく、その名を告げた。

固法「知らない名前だけど、どこの格闘技なの?」

安達「ロシアの軍隊格闘技なんですが……」


システマとは?


それは、ソ連崩壊まで、謎に包まれていたロシア武術の一つなんだよ!
ロシア武術共通の目的である全局面における白兵戦での生存率を上げることに主軸に据えて、
ナイフ、槍、棍棒などの武器に関する攻防技術が多く盛り込まれた、『一対複数』において、かなり有効な格闘技なんだって!
不良が三人以上だと逃走するしかない、と豪語するツンツン頭の少年の路地裏喧嘩術とは対極にある武術、と言えるかも!

                 ____
               '´        `丶
               /                \
            /     r           ヘヽ
              ,'     ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l〈
          |     |              |│
          |     |            _ト,L_
          |   -=┴:┬: ァ : :7T:7下:/「:、 : !\
          |ノ   厶イ:/! /-孑'´|/ |/二jハ:リ│
.           /     l: j,斗テ圷   弋iナ小/ ,|
          |      |Vヘ弋)ン      `´ i:|∨|
            j/      ,'| ''       '    '': |: ' |
           /     /.:|丶、   f^ーァ'   イ: :|: : |    - 3
        /     /|: :|(ヽl> `_ー_. イ:!:| : |: ハ
          /     /-|: :|(>、` ー‐┴' ∧L| : !/: : '.
.         /     ∧. |: :l \      ノ/ } |: :|ヽ: : :i
        /     / ハ.|: :ト.、 \ー‐ / ,/ |: :| ∧: :|
.      ,′     /    |: :l \   \/  /  i|: :l/ '; :|         ./゙)
. \ __ |    /     l|: :|   \ /\/  |i /l   |│        / 'ー--っ_
    }`ト、|,   /    l|: :|    〈=-O-〉   |: | |. │|         __xく  -‐=彡'
 \ | l| \   |     ||: :|    /\__∧  |: | |.  W    /\ l|  '´ ̄
    | l|   |\j     ||: :|   ./   ∧ l   |: | |  八    /\ │ レ'
    | l|   |  }ヽ     ||: :|  /   / | |   |: |ノ    }   /   |  | |



固法「ぐ、軍隊……? どこでそんなのを覚えたの?」

今でこそ、ロシア版合気道と呼ばれたり、護身術として一般向けにセミナーが開催されたりしているシステマだが、
その本質が創始者自身が経験した戦闘、人質奪還、武装解除、カウンターテロ作戦等から得たノウハウを取り込んだバリバリの実戦格闘技である事には変わらない。

安達「あー、システマを習得していた兄がいたんですが、その人に習ったというか……なんというか」

固法「いたって……お兄さんは……もう?」

安達「えっと、もう10年ぐらい前になりますかね」

固法「そうなの……って、10年前って貴方まだ子供じゃない!?」

正確には10年前に死亡した『迫間生』が体得していたのをクローン再生の折に継承したのだが、さすがにそのまま言う訳にもいかない。

安達「いやー、スパルタな兄だったんですよー(棒)」

固法「(明らかに棒読みだけど、話が話だけに迂闊に指摘できないっ……!)

どうも嘘臭いが、亡くなったなんだのという話に対して「嘘だろう」と言えないのは彼女が常識人であるが故か。

144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/20(木) 02:04:58.53 ID:fJ4FQaa60
ドヤ顔のイン雷電さんの解説シーンで止まるとか胸が熱くなるなw
145 :とある複製の妹達支援 :2011/01/20(木) 12:39:58.06 ID:yiaZ30HQo
『風紀委員活動第一七七支部、JUDGMENT 177 BRANCH OFFICE』


安達「おお、ここが……」

固法「まず、入室の前に認証の登録をしないといけないから、少し待ってね」

扉の横には硝子盤が設置されており、そこで入室者の生体データを確認するようになっているらしい。

――そして、生達の狙いもここにある。

固法「よし……それじゃあ、ここに指を当ててくれる?

――チェックされるのは指紋・静脈・指先の微振動パターンの3種類。

安達「はい」グッ

――そう、全てクローン間で共通のデータだ。

ロック解除を知らせる電子音が響く。

――これによって、全ての生達が支部への入室が可能になった。

固法「さ、ここが私達の『城』よ」

その言葉と共に安達は学園都市の『盾』の最前線へと足を踏み入れる。
146 :とある複製の妹達支援 :2011/01/20(木) 14:16:29.41 ID:yiaZ30HQo
――部屋に入るとそこは、お花畑だった。

いや、目の前にあったのが、謎の花だっただけなのだが。

花畑?「固法先輩、お帰りなさい! そちらが新人さんですねー!」

さすが学園都市だ……人語を解する植物が存在するとは……20年進んだ技術は伊達ではない、という事だろうか……

固法「初春さん……もしかして、ドアの前でずっと待ってたの?」

安達「(人だと……!?)」

よく見ると、確かに人だ。文字通りの意味で頭がお花畑の少女が、自分達を笑顔で出迎えてくれている。

初春「いやー、ついに私も先輩になれるかと思うと、居ても立ってもいられなくて」テレテレ

固法「安達さん、高校生だけど……それでも先輩気分って味わえるものなの?」

初春「そ、そうですよね!? 後輩扱いなんて失礼ですよね!」///

安達「いや、構いませんよ? えっと……初春『先輩』?」

言いながら、そっと手を差し出す。
その安達の呼びかけに初春の頭の上の花飾りが満開になった……ような気がした。

初春「はい! よろしくお願いします、初春飾利(ういはるかざり)です!」ガシッ

握手のつもりで安達が差し出した手を初春は両手で握ると上下にブンブンと振る。
容赦のない上下の動きに視界が揺れる。

安達「あ、安達生です……」グワングワン

???「初春……はしゃぐのも結構ですが、大事な後輩が目を回してますわよ?」

横合いから呆れるような声。
そこにいたのは黒髪ツインテールの……見覚えのある制服に身を包んだ少女だった。
147 :とある複製の妹達支援 :2011/01/20(木) 14:47:21.80 ID:yiaZ30HQo

初春「白井さん……? ああっ!? スイマセンっ、私ったら!」パッ

黒子「先輩扱いされたいのでしたら、そのような振る舞いから変えていきませんと……」

安達「だ、大丈夫……気にしてないから。
   (なるほど、常盤台の制服……彼女が噂の『心も体も切り刻んで再起不能にする最悪の腹黒空間移動能力者』か)」

黒子「お初にお目にかかります……わたくしは白井黒子(しらいくろこ)……この初春と同様に今日から貴方の同僚ですわ」ペコリ

そんな噂で語られる、悪名高い風紀委員の登場に安達は、自分達の作戦が順調に進んでいることを確認する。
彼女と知り合い――この場合は同僚だが――になれれば、その噂に付随している人物との接触も難しくはない。

安達「(だが、何だ……?)」

悪名の割に実に『お嬢様』らしい振る舞い以外にも何か違和感がある。

黒子「どうかなさいましたの?」

妙に気になるので、その違和感を言葉にしてみる。

安達「白井さん……俺と、どこかで会った事ないか?」

初春「……うわ……」

固法「さすがに安達さん、それはないわ……」

黒子「……あの、口説き文句にしては少々、古臭すぎますわ」

次々と女性陣から批難の言葉がぶつけられる。

安達「え、いや、そうじゃなくて……というか、初春先輩にも何やら見覚えがあるような……」ウーン?

最初に初春を見た時は特に違和感を感じなかったが、
白井と並んでいる姿を見ると、何かを思い出せそうな気がする。
しかし、見た目は普通の白井はともかく、こんな珍妙な花畑を忘れるとは思えないが。

固法「……もしかして、それって去年の冬じゃないの?」

黒子&安達「……………………あ」

初春「……???」

――そう、確かに去年の冬に安達生は二人に会っていた。
148 :とある複製の妹達支援 :2011/01/20(木) 23:03:55.19 ID:yiaZ30HQo
――昨年の冬に発生した、郵便局強盗事件。

その場には数人の民間人と郵便局員、そして巡回中だった風紀委員が二名。

その二名の風紀委員というのが固法美偉と、まだ実戦経験の無かった当時小学6年の白井黒子。
そして、強盗に巻き込まれた民間人の中に中学三年だった安達生と、黒子と同じくまだ小学6年の初春飾利もいたのだった。


学園都市・第七学区

〜郵便局内〜


郵便局に入ってから、順番待ちをするでもATMを使うでもなく、局員の位置や目ばかりに注意を払う、その男は明らかに不審だった。

男の挙動に不審を覚えた固法は『透視』によって男が拳銃を所持している事を確認。
男が行動に出る前に警備員(アンチスキル)への連絡を行おうとしたが、結果的に犯人は上空に向けて銃を発砲、後手に回ってしまった。

その男は銃の扱いに慣れていないのか、或いはそもそも強盗を遂行するだけの度胸がなかったのか、注意散漫だった。
必要以上に局員を威嚇し、発砲するなど、明らかに冷静さを欠いている状態。

そんな犯人の姿を見て、黒子は自分でもやれる、と判断する。

黒子「(訓練通りにやれば……!)」

だが、その判断はベテランの風紀委員である固法にしてみれば無謀でしかなく。

固法「バッ…」

ある意味で犯罪のプロフェッショナルである、安達から見れば迂闊だった。

安達「なっ…」

そんな二人の驚愕をよそに黒子は犯人の死角より姿勢を下げて急接近。

強盗「?」キョロ

ガンッと小気味よい音と共に強盗の足が踏み抜かれる。

強盗「ぎっ!? っんだ、テメェは!?」ブン

振り払うように迫る男の左手を交わしながら男のパーカーを掴み、膝を背後から蹴り飛ばす。

強盗「おっ、おぉ!?」ガクン

体勢を崩された犯人は床へと倒れこみ、手に持っていた拳銃を落とした。

強盗「このガキっ、ぶぶぶ ぶっ殺してやr……」ググッ

呻きながら拳銃を取り戻そうとするが、それを黙ってみている程、黒子は愚かではない。
胸に容赦のない蹴り。そして、拳銃をカウンターの方へと蹴り飛ばす。

強盗「ゴフぁッ!?」

その衝撃に胃液が散り、空気が肺から強制的に排出される。
白目を剥いて完全に沈黙した強盗を見て、黒子は息を切らしながらも初めての実戦での勝利を確信した。

黒子「(何だ、簡単ではありませんの)」ハアハア

――が、それは最悪の形で裏切られる。

初春「きゃあっ!!」

黒子「(初春!?)」

???「チッ、何ガキにノされてんだ! クソがっ!」チャキッ

局内に潜んでいた、もう一人の犯人によって初春飾利が人質に取られるという事態によって。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 02:23:06.04 ID:aYPrG44Q0
お、更新されておる

制作時代と違ってこっちの板はずいぶんとマッタリ進行だし、こういうのも趣があるかもな
大丈夫だ、無理せずマイペースで頼む
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/21(金) 08:06:26.18 ID:pzZVKZTDO
何この禁書とアクメツと仮面ライダーが大好きな俺のためのようなSS
151 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/21(金) 19:18:25.28 ID:QlxVcfF/o
固法や安達にしてみれば、犯人が複数の可能性は真っ先に考えていた。
強盗やハイジャック等を行う犯人が、人質の不測の動きを警戒して、予め現場に仲間を潜ませておくのは常套手段だからだ。

だが予想していたとはいえ、人質を取られてしまった以上、その場の主導権は完全にもう一人の強盗犯に握られてしまった事には変わりない。

――そして、状況はさらに悪化の一途を辿る。

金を奪われる事を恐れた局員の一人が、警報装置を作動させたのである。

防犯シャッターが閉まり、密室へと変貌する郵便局。
これによって、巻き込まれた一般人へのリスクが急激に高まったのは言うまでもない。

『セキュリティ信号ヲ 受信シマシタ 侵入者ヲ排除シマス 武器ヲ捨テテ 床ニ伏テクダサイ』ウイーン

さらに警報装置に連動して、人質への配慮など持たない機械の番人が動き出す。

固法「(警備ロボ!? 人質がいるってのに……最悪!!)」

強盗B「チッ、面倒な事を…………」ゴソ

けたたましく警報音が鳴る中、強盗が動きを見せた。

固法「(右手から何かを取り出した!)」ギュン

強盗犯が何かをしようとしているのは明白だったが、黒子は再び迂闊なアクションを起こしていた。

強盗犯に接近する警備ロボの背後に隠れるようにダッシュして、突入を仕掛けたのだ。

だが、それは強盗犯が警備ロボに向けて『何か』を放ったのと同時だった。

固法「(ダメっ!)」バッ

咄嗟に固法は黒子を庇い、床に伏せた。
一方、強盗犯が放った『何か』は、ゆっくりとしたスピードながらも前進を続け、警備ロボにめり込み、貫き、喰いちぎり、破壊し――

ドボンッ!

そして――爆ぜた。
152 :とある複製の妹達支援 [例の問いは微修正しました]:2011/01/21(金) 19:22:11.94 ID:QlxVcfF/o
爆音と共に警備ロボはその体を構成する機械の贓物をまき散らす。

黒子「……っ、な、何が……?」

ゆっくりと、黒子を庇った固法の体が崩れ落ちる。

爆風によって加速した部品達はそれだけで十分な――凶器だった。
黒子を庇った彼女は、その背中に爆散した部品を浴びていた。

黒子「そんな……どうして……?」

固法「手の内が……わからない間は……突入しない…………おぼえときなさい……?」

黒子「し……しっかりして……!」

そのまま気を失った固法に必死で声をかける黒子。

――必死であるが為に、致命的に判断が遅れた。

ガッ、と黒子の顔に強盗犯の蹴りが突き刺さる。

強盗B「オマエ、警備ロボに隠れて妙なコトしてやがったな」ズンッ

なんの躊躇もなく、床に倒れ込んだ黒子の左足首を踏み砕く。

黒子「あぎっ……あぁあぁアッ……!」

強盗B「あのバカみたいに俺もヤれるとでも思ったのかよ?」グリッグリッ

メキメキ、と黒子の骨が軋む音が響く。

黒子「あっ……あぁああっ……」

初春「白井さんっ! 白井さんっ!」

呻く黒子の名前を叫び、その背に手を伸ばそうとする初春。
だが、強盗犯に腕を捕まれ、その手は彼女に届かない。

力不足に悩む自分を笑うでもなく、その志に賛同し、励ましてくれた同い年の少女。
まだ出逢ったばかりだけど……きっと、素敵な友人になれると思った。

そんな彼女が今、傷つけられ、踏み躙られているのに、自分には何も出来ないのか。

強盗犯に人質にされている恐怖よりも、彼女を喪うことが怖かった。

もし、自分に力があったなら。

――家族を、隣人を、大切な人達を、苦しめる悪を滅ぼす力を持ったら、悪を滅ぼしますか?

ふと、誰かの問い掛けが聞こえた気がした。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/21(金) 19:46:32.89 ID:7QqCOOpU0
Ktkr
154 :とある複製の妹達支援 :2011/01/21(金) 21:00:45.34 ID:QlxVcfF/o
安達「その足を退けろ」グイッ

強盗B「…………おい、何の真似だ坊主」

背中に押し当てられた『それ』の感触に強盗犯の黒子への攻撃が止まる。

安達「何度も言わせるなって……その足を退けろって言ってるじゃんよ」

――まぁ、最初は放っておくつもりだった。

どうせ金を奪った所で、この強盗犯達が逃走中に警備員(アンチスキル)に捕縛される事は確実だ。
だから、人質に手を出さずに金だけ持っていくというのなら『見逃してやって』いいとすら考えたのも事実だ。
きちんと『ルール』と『リスク』が機能している社会において、自分のような存在が介入するのは……間違っていると思っていた。

だが、あの小さな風紀委員の少女を見ていたら――気づいた時、彼女が蹴り飛ばした強盗犯の拳銃を握っていた。

さすがに自分でも単純だと思う。これじゃあ、ツンツン頭の級友の事を笑えそうにない。

安達「……その足は、お前なんかが踏み躙っていい足じゃない」

実戦を切り抜ける判断力も甘い。

相手の力量を測る観察力も拙い。

自らを律する冷静さも足りない。

安達「その娘の足は、この先多くの人を救える足だ。……誰かの願いの支えになれる足だ」

だが、正義を為そうとする彼女の気持ちは、間違っていない。曲がってもない。弱くもない。

強盗B「おいおい、風紀委員にでもなったつもりか……? だいたい、ガキにそんなモノが扱えると……」

安達「――安心しろ、急所は外してやるじゃん」

銃の使用に問題はない……何しろ、体が識っているのだから。

強盗B「っつ……!?」

研ぎ澄まされた殺意。
学園都市の学生としてしか生きていない安達にも、それは確実に刻み込まれている。
ver.3であるが故に継承されたアクメツ達の『殺しの記憶』は、彼にも一流の殺戮者の気配を纏わせていた。

強盗B「わ、分かった……足を退ける」スッ

安達「次は、髪飾りの子を解放しろ」

強盗B「……いいだろう……」ゴソッ

安達「待て」グリ

強盗B「な、何だ……?」

安達「今、右手に握った物を出せ。……ゆっくりと右手をポケットから出して、腕を上げろ」

先程の警備ロボの爆発は、この男が『何か』を投げた事によるものだ。
一部始終を見ていた安達に油断はない。

だが、認識が足りなかった。

アクメツとしての共有記憶から、人が人を害そうとする手段に精通していても。

――強盗犯は、言われた通りに手をポケットから出し、宙に上げる。

自らが無能力者(レベル0)であるから、スキルアウト等の犯罪行為は理解していても。

――そして、左手で拘束していた初春を解放して、安達の注意を一瞬、逸らし。

能力を持った人間が、こんな郵便局強盗なんて陳腐な真似をするとは思ってもいなかったのだ。

――そして、ゆっくりと……安達の右足目掛けて『何か』を落とすように放った。

安達「なっ……ぐああああぁあああああぁあああ!!?」ガクンッ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 05:22:44.09 ID:0HJVp+gAO
アクメツ全巻読んできた
おもしれえ
このSSがますます楽しめるぜ


ちと話題遅いけど戦力的にも設定的にもARMSと禁書は合いそうなのにクロスみたことがない!不思議!
2ちゃんのVSスレは禁書的に悲惨なことになっとるが
156 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/22(土) 11:03:43.20 ID:pRtB1Rnho
強盗B「――ハッ、馬鹿がっ!」

安達の銃口から逃れるように距離をとる強盗犯。

安達「(て、鉄球!?)」

強盗犯の放った鉄球は、安達の足にぶつかったにも関わらず、それを問題にしないように下方へと進み続ける。

メキッメキッメキッメキッ

不快な音と共に足に走る激痛。

安達「(動かせないっ!?)」

一定の速度で進行を続ける鉄球によって、安達の足は床に縫い付けられたように動きを封じられてしまう。

黒子「初春っ!」

解放された初春を背後に庇いながら、黒子は手を鉄球へと翳す。

シュン!

安達「(消えた!? この娘、『空間移動能力者(テレポーター)』か!)」

唐突に足を襲っていた圧力が消え、体が自由になる。
だが、数瞬の遅れは、戦闘において致命的だった。

強盗B「これで形勢逆転だな、坊主」チャキ

安達のこめかみに突き付けられる鉄の凶器。

安達「誰も一挺だけとは言ってない……か」

強盗B「あぁ、そういう事だな」

安達「今の鉄球は……アンタの能力か?」

強盗B「……そうだな、冥土の土産に教えてやろうか」ヒュン

勝利を確信した笑みを浮かべながら、鉄球を横へと放る。

強盗B「『絶対等速(イコールスピード)』っていってな。俺が投げたものは動きはニブいが……」

鉄球を一定のスピードのまま、止まらずにガラスを割り、防犯シャッターを破り、封鎖された郵便局に風穴を開けた。

強盗B「前に何があろうとも同じ速度で進み続ける。俺が能力を解除するか投げた物が壊れるまでな」
157 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/22(土) 11:06:10.74 ID:pRtB1Rnho

安達「……防犯シャッター程度では封じ込められないって事か」

絶対等速「警備員が来たところで大した問題ではないし、それまで時間を稼ごうとしても無駄って事だ……さて、と」

銃口を安達へと向けたまま強盗犯は、その視線を奥の黒子へと向ける。

絶対等速「まさか、空間移動能力者だったとはな……おっと、後ろのガキを逃がそうなんて思うなよ? そんな事をしたら……分かるな?」

言いながら手元の拳銃をチラつかせる。

黒子「くっ…………」

絶対等速「オマエの能力で、ATMから金を取り出せ……時間短縮って奴だ」

黒子「(どうする……? ここで了解しなければ、彼は間違いなく、あちらの方を撃ち殺す……抵抗しようにも、後ろには初春もいる……)」ギリッ

安達「従わなくていいじゃん」

銃を突き付けられているとは思えない口調で黒子に告げる。

黒子「なっ!?」

絶対等速「……おい、坊主。オマエ、自分の置かれた状況が理解できてないのか?」

安達「いいか、君の力はこれから先、多くの人を救える力だ。
    そんな将来有望な風紀委員の君が、こんな三下如きにいいように使われる必要はないじゃん」

絶対等速「おい、死にたいのか!?」

安達「安心しろ、こんな状況になっても中学生一人も殺せない、ただの小悪党だ。君のガッツには到底及ばない」

低レベルとも言える露骨な挑発。
だが、多くの不測事態で苛立ちが頂点に達していた彼を激昂させるには、それで充分だった。

絶対等速「オマエぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」カチャ

パアッン!

――乾いた発砲音が局内に響き渡る。
158 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/22(土) 11:08:34.40 ID:pRtB1Rnho

その場にいた誰もが、目を閉じ、少年の頭に風穴が空いた姿を想像した。

だが、二人の少女だけは、何が起きたのか見届けていた。

安達「やっぱ――三下じゃん、アンタ」

初春「(ひ、左腕で)」

黒子「(わざと銃弾を受けた!?)」

安達「――オレを殺したいなら、22口径じゃ小さすぎるんだよ!」ブン

一気に立ち上がり、その場で体を一回転させる。
足の痛みで、どうしても甘くなる踏み込みを回転で補う為に。そして、その遠心力が右手に集中するように。
振り下ろされるのは、拳銃が握られたままの右手の裏拳。
その渾身の一撃が、強盗犯の横っ面に叩き込まれる。

絶対等速「がァああああああああああああああああッ!?」

その場に拳銃を落とし、絶対等速の体は斜め後方へと吹っ飛ばされる。

安達「浅いかっ!?」

手応えから、そう判断した安達は追撃を行うべく前進しようとするが、落ちた拳銃に足を取られ、体勢を崩す。

絶対等速「この、クソ坊主がああああああァァあああああっ!!」ゴソッ

その手に握られるのは5つの鉄球。

安達「(複数同時に使えるのか!?)」ダッ

広範囲をカバーするように放たれれば、恐らく回避は不可能な必殺の一撃。

――しかし、絶対等速は忘れていた。

黒子「させませんっ!!」ブン

――自分の敵は一人ではない事を。

この時、あえて黒子は自らの能力ではなく、単純な投擲を選んだ。
得物は、安達が踏んづけて、偶然手元へと転がってきた絶対等速の拳銃。

黒光りするそれを、今まさに鉄球を放とうとしている絶対等速の顔に目掛けて、思いっきりぶん投げたのだ。

絶対等速「なっ!?」サッ

直撃寸前で、飛んできた拳銃を辛うじて避ける。
だが、その回避運動によって、その手を離れつつあった鉄球の『狙い』は大きく逸れた。

上下左右、あらぬ方向へと一定の速度で飛んでいく鉄球達。

安達「――いやはや、ナイスなアシストじゃん」

思わず、賞賛の言葉が口を衝いて出る。

これなら、鉄球を躱す必要すらない。
安達が最短距離で、絶対等速の懐に入り込んだ時、既に拳銃はトンファーのように逆手に持ち替えられていた。
そして、絶対等速の顎に叩き込まれる、意識を刈り取る為の一撃。

絶対等速「がァっ!?」

安達「あの娘に免じて『悪滅』は勘弁してやるじゃん…………って、もう聴こえてないか」

もう一人の強盗犯と同じように白目を剥いて絶対等速は気を失っていた。

159 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/22(土) 13:10:17.47 ID:pRtB1Rnho
〜再び現在〜

『風紀委員活動第一七七支部、JUDGMENT 177 BRANCH OFFICE』


安達「そんな事もあったなぁ…………」シミジミ

固法「……安達さんが二人の事は覚えていて、私の事は完全に忘れてたというのが気になるのだけど?」

黒子「まぁ、固法先輩はあの時は既に気絶なされてましたし……」

フォローというには、あまりにも無防備な言葉だった。

固法「そうね、誰かさんの独断専行のお陰で」ギロリ

自分に言葉の刃が突き刺さる、という意味で。

黒子「うっ…………や、薮蛇ですの」グサッ

初春「けど、私てっきり安達さんが『肉体強化』か何かの能力者かと思ってました……」

まぁ、確かに普通の人間が拳銃の弾を腕で防ごうとはしないだろう。

安達「これでも……鍛えてますから」シュッ

黒子「わたくしも、後で色々とお話したかったのですが、現場からは居なくなってしまうし、調べても能力者に該当者はいなかったので……」

安達「それは、警備員(アンチスキル)の人に説教された後、病院に強制入院させられてたからじゃん……」

結局、安達が入院していた事を含め、事件の事後処理のゴタゴタで、黒子と安達が話す機会はなかった。

安達「(そういえば、黄泉川先生と知り合ったのも、あの時か)」

到着した警備員(アンチスキル)の中に黄泉川が居て、無茶な行動を盛大に叱られ、それが縁で色々と気に掛けてくれるようになったのだった。
何やら彼女と話してると妙な親近感があるのも、交友が続いた理由かもしれない。
加えて、進学した高校に彼女が教員として務めているのを知った時は世間の狭さを実感させられた。

固法「でも無能力者で……しかも、当時は一般人なのにそんな無茶をしたのは問題よね」ギロリ

安達「こ、こっちも薮蛇じゃん……」

固法の眼鏡の下から向けられる視線は、氷のように冷たい。というか、怖い。

初春「でも、あの事件がキッカケで私は風紀委員になる覚悟が決まって、白井さんとの付き合いも始まった訳で……」

そう悪い思い出ばかりではない、と言いたい初春だったのだが、

固法「白井さんにとっては、初めて始末書を作った事件でもあるわね」

白井「もう止めてくださいですのー!!」

妙に機嫌を損ねてしまった固法の前に敢え無く散る。

白井「この話は止めにしましょう……わたくしも、あの一件で色々と反省した訳ですし、これ以上黒歴史を掘り返されるのは耐えられませんの……」ヨヨヨ

固法「まぁ、白井さんをイジるのはこれぐらいにして、今日の仕事の話なんだけど……」

初春「うぅー、私にとっては大事な思い出なのに……」

安達「よしよし」ナデリナデリ

初春「……慰めてくれるのは嬉しいんですけど、子供扱いしていませんか?」ムー

安達「(;・3・)〜♪」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 14:21:46.34 ID:uYCQAzpDO
椿は医者じゃなくてウェーイな人を思い浮かべる
161 :息抜きに>>160に捧ぐ :2011/01/22(土) 15:10:17.14 ID:pRtB1Rnho
小ネタ@

椿「よし、晩飯が出来たぞ……」

オモイニーモツヲーマクラニーシタラー

椿「ん? 電話か……」

ピッ

00428号「もしもし、これから焼肉を食いにいきませんか、とミサカは椿医師を財布として招集します」

椿「――おい、色々と正直すぎるだろ。……仕方ない、これは明日食べよう」


小ネタA

00428号「すみません、コレを私のに入れて欲しいんです……と、ミサカは椿医師に上目遣いでお願いします」

椿「……何だこのCDの山は」

00428号「これを私のiPodに入れてくださいとミサカはry」

椿「その為だけに来たのか!?」

〜転送中〜

00428号「…………」|M0)ジー

椿「何を見てるんだ……」

00428号「洗顔器ですが、何か?」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/22(土) 15:22:53.26 ID:fmVD3Ims0
着うたはタカラミツルギーじゃないのかww
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/22(土) 17:40:02.82 ID:46G+UZtAO
テラクウガww
164 :とある複製の妹達支援 [週末しっぽりが素晴らしすぎる件]:2011/01/22(土) 19:59:41.06 ID:pRtB1Rnho
固法「――それで、今日の仕事だけど、とりあえず巡回の方は白井さんと安達さんの二人でやってもらえる?」

黒子「それ自体は別に構わないのですけど……あの、固法先輩は?」

固法「例の事件の捜査の為に他の支部と合同で会議があるの……だから、大事な新人を『貴女』に『任せて』もいいかしら?」

あの頃とは違って、もう一人前なのだから、と。

黒子「そこまで言われたら、この白井黒子……全力で彼の面倒を見させてもらいます」フンス

固法「……新人と一緒なら、そんなに無茶も出来ないでしょうし」ボソ

さらっとアレなことを言われたのだが、黒子には聴こえてないようだ。

初春「……あはは」

黒子「さぁ、安達さん! 早速、学区内の巡回に向かいますの!」グイグイ

安達「おい、そんな引っ張らなくても……」ズルズル

初春「頑張ってくださいね〜」



〜第七学区・木の葉通り〜


黒子「――と、いう訳で巡回中ですの」

安達「誰に向かって言ってるんだ……?」

黒子「それにしても」ジー

足元から頭まで、品定めでもするかのような視線。

安達「……そんな見つめられると照れるじゃん」

黒子「違いますの! ……予想以上に貴方が強かったので驚いているだけですの」

勤務初日だと言うのに、ここまでの巡回中、事件が立て続けに起きた。
事件と言っても、普段からよくある、スキルアウトもどきの不良によるカツアゲや小競り合いだったのだが……

そんなある意味でいつもどおりの事件を黒子は安達に任せた。
改めて、安達の風紀委員としての手並みを確認する為に、だ。

勿論、いざという時は自分が尻拭いをするつもりだったのだが、その必要はまったく無く――


――どこぞの不幸な少年よろしく複数の男に絡まれていた少女を逃してあげたり、

――カツアゲされていた眼鏡の少年を助け、何故か悪態をつかれたり、

――絶賛喧嘩中の不良グループをまとめて叩き伏せて、グループに誘われたり、

――安達を『仲間の生』と勘違いした、第七学区のスキルアウトにフレンドリーに差し入れを貰ったりした。

さすがに最後のは黒子の追求を誤魔化すのに苦労したのだが。(前に絡まれたのを返り討ちにしたら舎弟みたいになった、という事にしておいた)
165 :とある複製の妹達支援 :2011/01/22(土) 20:50:20.53 ID:pRtB1Rnho
黒子「あんなに簡単に片付けられては、黒子の仕事がありませんの……」

安達「まぁ、相手が無能力者ならスキルアウトだろうが、武器を持ってようが、ものの数じゃないな」

――そもそも、そういう状況を想定した格闘技がシステマである以上、たかが不良レベルの相手に負ける訳にはいかないのだ。

黒子「ですが、能力者が問題を起こすケースもありますの。その時はどうするつもりですの?」

安達「――その時は頼りになる『大能力者(レベル4)』の先輩に助けを求めるとするじゃん」ニヤリ

黒子「それはつまり、面倒な仕事だけわたくしに押し付けるつもりだと……」ギロッ

安達「じょ、冗談じゃん…………ある程度の能力者なら、俺でも対処出来ると思う」

何しろ、単純な身体能力的には肉体強化系の能力者並とカエル顔の医者に太鼓判を押されている。
相手の能力の種類次第ではあるが、『異能力者(レベル2)』ぐらいならば、対抗できるだろう。

だが、それでは足りない、とも安達は考える。

安達「(いつか俺は……いや、俺達は最強の能力者に相対しなければいけなくなる)」

黒子「自信があるのは結構ですが…………独断専行なんて許しませんので、覚悟しておいてくださいですの」

安達「――それはツッコミ待ちと考えていいのか?」

黒子「……もう言わないでくださいまし」ムスッ

いかん、どうも機嫌を損ねてしまったらしい。

安達「……あー、クレープでも食べるか? これからよろしくって事で奢るじゃん?」

通りの反対側に見えるクレープの屋台を指差しながら、黒子の顔を窺う。

黒子「…………わたくし、そんなに安い女ではありませんの」プイッ

安達「いらないのか?」

黒子「……いりますの」
166 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/22(土) 21:46:41.84 ID:pRtB1Rnho
〜公園入口付近〜


店主「ラッシュアワースリー!」

安達「――と、いう訳で白井を公園のベンチに待たせて、クレープを買いに来たんだが」

店主「……兄ちゃん、誰に言ってるんだい?」

クレープ屋の店主からツッコミが入るが、ツッコみたいのはこっちの方だった。

安達「…………んで、何をしてるんだ、海原の」

海原「俺の完璧な変装を見破るとは……さすが俺!」デデーン!

何一つ変装などしておらず、普通に自分と同じ顔をぶら下げてるようにしか見えない。

安達「自画自賛に聞こえるから止めてくれ……つーか、海原って板前じゃなかったのか?」

自分の一流料亭でも通用する料理の腕は、彼が死亡した時に継承されたモノだった筈だが。

海原「え? ……見ての通り、板前の服装してるじゃないか?」アレー?

流れ板の生こと、『海原生(かいばらしょう)』は、何が変なのか理解していない。

安達「だ・か・ら! それが変だから聞いてるじゃん!?」ウガー!

何処に板前の服装でクレープを焼く奴がいるというのか。

海原「いや、俺も最初は板前として学園都市に来たんだがな?
    何しろ、ここって学生の街だから料亭の数も少ないし、客の入りもイマイチでよ。
    せっかく、生き返った訳だし……どうせなら、多くの人相手に料理したい訳さ、俺としては」

安達「……それでクレープの屋台なのか?」

海原「料亭と違って、女子高生とか一杯来てくれて楽しいんだよな〜
    この前も中学生の女の子と仲良くなってさ、メアド教えてもらっちゃったぜ」

安達「だ、駄目だコイツ……早くなんとかしないと……」

風紀委員を呼んだ方がいいかもしれない、と本気で悩む。
167 :とある複製の妹達支援 :2011/01/23(日) 02:13:40.15 ID:3h3ejS8bo
海原「風紀委員はお前だろ……それで、注文は?」

安達「えーっと、白井のが『夏のフルーツ』で……何だ、この『上海風』だの『広東風』ってのは」

海原「ふふふ……それこそが当店オリジナルの衝撃のメニューだ……!」

安達「――どうせ、また美味しんぼだろ」

海原「」

安達「図星かよ……けど、それでいいか。ハズレって事もないだろうし。俺はあえて『広東風』を選ぶぜ」

海原「分かった、今蒸してやる」

安達「蒸す!? クレープなのに!?」

衝撃を受ける安達を他所に、流れ板・生改め、流れのクレープ職人・生は『広東風』クレープの調理に入った。

容器の中に水で溶いた米の粉を1センチほどの深さに入れ、鶏肉の細切りを味付けして、容器ごと蒸し器に入れる。
火が通ると米の粉は半透明になるので、それを端から手早く丸める。そして、酢と醤油と唐辛子で味をつけたタレをかける。

しかも、『広東風』を作りながらも、同時に『夏のフルーツ』も着々と作り進めているのが恐ろしい。

安達「見た目はクレープだが、完全に別物だな……」

海原「はいよ、『広東風』と『夏のフルーツ』出来上がり。……俺割り引きって事で500円でいいぜ」

安達「同じ俺のよしみって奴か」⊃500

やたら香ばしい匂いをさせたクレープと対照的な甘い香りのクレープを持って、黒子の元へと向かう。



〜公園内〜


黒子「……遅いですの」

安達「悪い、少し店主と話が弾んじゃって……」

言いながら、献上の品を差し出す。

黒子「ありがとうございます……って、クレープ屋さんと何の話を?」パクリ

安達「この学区の防犯意識について、ちょっと……」

黒子「なるほど、一般の方への注意を促すというのも大事ですの」アムアム

安達「……物騒だからな、ここ最近……強盗とか爆弾とか」モグモグ

黒子「発火能力者による連続銀行強盗は昨日、わたくしとお姉様が捕まえましたので、後は爆弾魔の方ですの」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 04:25:25.19 ID:4gCPJZjIO
アステカの方の海原とこんがらがりそうだな
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 07:12:19.89 ID:ag70W/Lm0
海原(生)とかやるんじゃね?
料理の表現に力入れ過ぎだろww
170 :とある複製の妹達支援 :2011/01/23(日) 13:32:09.15 ID:3h3ejS8bo

ベンチに座って仲良くクレープを頬張ってる姿は実に平和的なのだが、会話の内容は真逆にも程があった。

安達「(お姉様……ね)――そっちも能力者の仕業なんだって?」パクパク

黒子「……連続虚空爆破(グラビトン)事件と呼称されていますの」

ベンチの横に転がっていた空き缶を拾い、三角形のマークを指さす。

黒子「アルミを基点にして、重力子の数ではなく速度を急激に増加させて、それを一気に周囲に撒き散らす」

安達「ようするに『アルミを爆弾に変える能力』って訳か」

黒子から空き缶をヒョイと取り上げて、自販機横のゴミ箱目掛けて、放り投げる。

ガコッ!

黒子「ナイスゴールですの」パチパチ

安達「で、容疑者は?」

黒子「犯行を実現可能なのは一人。ですが、実行可能なのは一人もいませんの」

安達「というと……アリバイか?」

黒子「『量子変速(シンクロトロン)』の大能力者(レベル4)――釧路帷子(くしろかたびら)という女生徒なのですが……
    ……最初の事件が発生するよりも前に意識不明で病院のベッドの上ですの」

安達「そりゃまた面妖な。『書庫』で該当したのはその釧路さんだけなのか?」

黒子「そうですの……だから捜査も難航……その間に事件の発生は続いて、風紀委員に負傷者も出てます」

安達「それで研修終了直後の俺が補充要員として選ばれた訳ね」

黒子「それなりに有能な後輩が出来たのは不幸中の幸いという奴ですの」

安達「………………」///

黒子「…………なぜ、そこで黙りますの」

安達「いや、別に…………さて、クレープも食べたことだし、巡回を再開しますか」




海原「……リア充爆発しろ」ボソ

そんな一部始終を目撃していた海原が、そんな洒落にならない台詞を吐いたのは仕方が無いことである。
171 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/23(日) 13:37:58.54 ID:3h3ejS8bo
〜第七学区・木の葉通り〜


安達「午後に入ってから、少し人通りが増えてきたかな」

黒子「もうすぐ夏休みですので、浮かれ気味の学生も多いですの。要注意、ですわよ」

安達「そうだな―――――――――――――え?」


通りの少し先。

何かの建物から出てきた、その少女の姿に刹那、安達の思考が停止する。


黒子「どうかなさいました――――の!?」

突然、立ち止まった安達の視線を追うように、前方を注視する黒子。

黒子「あ、あれは!!」シュン

そして、気付く。
それが誰なのかを。

そして、彼女は飛翔する。
彼女だけの現実から生まれる超常の能の力で。

そして、叫ぶ。
一応は、彼女だけに許された呼び方で。

黒子「お・ね・え・さ・まあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」ガバアアアッ

テレポートによって斜め上方へと転移すると、その少女の胸に飛び込むように突撃した。

安達「………………」

その光景に言葉を失う安達。もちろん白井黒子の突然の奇行にではない、彼女に飛びつかれた少女の顔にだ。

???「ちょ、黒子!? は、離れなさいってば!」グイグイ

――似ている。『妹達』に。

……正確には逆であることも安達にはすぐに分かった。

だが、先に出逢ったのが彼女達である以上、そう感じるのも当然ではある。
それにしても瓜二つだった。

――その茶色の髪も。

――常盤台中学の制服も。

違いがあるとすれば、彼女には溢れんばかりの感情あることか。

学園都市の外で蘇生された妹達にも確かに若干多様すぎる個性と共に感情は芽生えつつある。
だが、それはまだ幼く、拙く、弱い。

今、目の前で白井黒子の過剰なスキンシップを受けて、慌てている彼女と比べるのは酷なのだろう。
172 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/23(日) 13:39:50.21 ID:3h3ejS8bo
安達「おい、白井『先輩』。その辺にしてくれないか?」ムンズ

殊更『先輩』を強調しながら、一向に少女から離れようとしない黒子の首根っこを掴んで引き剥がす。
傍目から見ると、イタズラした猫が飼い主に確保されたように見えなくもない。

黒子「ちょ、何をなさいますの!? いくら同僚とは言え、わたくしとお姉様の逢瀬を邪魔するなんて……」ジタバタ

???「…………?」

今にも黒子に電撃を浴びせそうだった少女は、突然の闖入者……もとい、救済者を興味深げに観察する。

???「(腕章を付けてるって事は風紀委員よね……? ……高校生……アイツと同じぐらい……?)」

安達「俺だって邪魔するつもりはないが、公共の場でそういう事をされると対応に困る。……初日から同僚を不純同性交遊で逮捕なんて嫌じゃん」ヤレヤレ

黒子「そんな容疑聞いたことがありませんわ!? そもそも、不純とは何事ですの!?」ムキー

安達「不純でも本気でも、どっちでもいいが人目のある所では自重するじゃん。ヤりたいなら二人っきりの時にすればいいだろ」

ある意味、身も蓋もない言い方にさすがに静観していた少女もツッコミを入れる。

???「いや、ヤらないから。あと、二人きりの時だって断固として拒否させてもらうから」

そんなー!?と絶叫する黒子。

???「……それで? その腕章で同僚って事は風紀委員なんだろうけど、黒子の所では見たことない顔よね?」

安達「ああ、一七七支部に配属されたのが今日からなんだ。要するに補充要員って奴でね……『安達生』だ」

そして、その少女の名前を呼ぶ。

――ヨロシク、御坂美琴さん。

そして、心の中で呟いた。

――初めまして、オリジナル、と。
173 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/23(日) 13:43:48.83 ID:3h3ejS8bo
美琴「あれ……私、名乗ったっけ?」

安達「超能力者(レベル5)の中でも色々と有名だからね、君は」

――『妹達』の件から、知っているのは当然だし、自分が風紀委員になったのは彼女と接触する機会を得る為でもあるのだが。

黒子「さすがはお姉様ですの!」

美琴「そ、そう?」///

黒子「……ところでお姉様? 今日はこのような場所で何を?」

美琴「へ? ……えーっと」

ふと、彼女が出てきた建物を見る。

――24時間営業のコンビニエンスストアだった。

黒子「また、立ち読みですの……? あれほどいつもお止め下さいと申しておりますのに……」

美琴「い、いいじゃない。誰に迷惑をかけてるって訳じゃないんだから……」

彼女が読んでボロボロになってしまった漫画雑誌を買う羽目になっている不幸な高校生がいるのだが、それはまた別の話だ。

安達「ほぉー、常盤台のお嬢様でもコンビニで漫画の立ち読みとかするんだなー」

安達の呟きは単純な感想に過ぎないのだが、それを叱責と受け取ったのか、

美琴「うっ…………」

美琴は苦い顔をしていた。

黒子「ですから言っておりますのに……」

美琴「こ、今回は別に漫画雑誌を読んでた訳じゃないんだから!」

黒子「……でしたら何を?」

美琴「……学園都市の都市伝説」ボソ

黒子「そこで女性向けファッション雑誌等を期待した黒子が愚かでしたの」

美琴「うっさいわねぇ……」

安達「そうか? 面白そうだが」

黒子「いえ、初春に以前聞いた話ですと、どれも眉唾モノばかりで信憑性とは無縁ですの」

安達「……例えば?」

黒子「確か……使用するだけ能力者のレベルが上がる道具?、とか」

安達「欲望というか願望がダダ漏れな都市伝説だな……他は?」

黒子「全ての能力を打ち消す能力を持った『能力者』がいる、とか」

美琴「………………っ!」ビクッ

――美琴は自分の知っている一人の少年の姿を思い浮かべ、戦慄する。

黒子「あら、お姉さま……どうかなさいましたの?」

安達「意外と馬鹿に出来ないじゃん、都市伝説」

――安達は、自分の知っている少年の右手を思い出しながら、納得する。

美琴「………………え? 今アンタ、何て……」
174 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/23(日) 13:51:22.99 ID:3h3ejS8bo

ウーンナニカメジルシニナルヨウナモノオボエテマセンカネ-?


美琴「!?」

安達の言葉の意味を問おうとした美琴だったが、

美琴「今のは――こっちか!?」

ダダダダッ

ふいに聞こえてきた声に反応して、急に駈け出す。

黒子「ちょ、お姉様!? どちらへ行かれますの!? くっ、安達さん追いますわよ!」グイッ

安達「…………何だろう、猛烈に嫌な予感がするじゃん」

通りの先に消えた美琴を追って、駆け出す風紀委員二人。

黒子「……?」ダダダダッ

安達「いや、妙に聞き覚えがある声だったもんで」ダダダダッ


ヨービリビリチューガクセー

ビリビリイウナ! ワタシニハミサカミコトッテナマエガアンノヨ!


まの抜けた男の声の直後に何やらヒートアップしているらしい美琴の声。
どうやら、声の発生源はすぐそこだ。


そして、現着。

黒子「お姉様、急に走りだしてどうなされましたの!?」

安達「…………やっぱりか」

予感というよりも確信に近かったのだが、その人物の顔を見て嘆息する安達。

――そこにいたのは、

???「風紀委員……?」

――目の隈がひどい研究者風の女性と、

???「あれ、生じゃねーか。どうしたんだ、こんな所で? ……今日、欠席してたのに」

――安達の顔を見て、親しげな笑顔を向ける、ツンツン頭の少年。

美琴「私をスルーするな! って、アンタ達知り合いなの!?」

――ついでに、何やらご立腹な様子の御坂美琴嬢。

安達「なんつーか…………高校生になっても不幸なのな、上条」

――知り合いというか、中学の頃から同じクラスで同じ寮の腐れ縁なのだが。

学園都市に無能力者(レベル0)の烙印を押された、不幸の代名詞、自らを偽善使いと卑下する高校生、上条当麻(かみじょうとうま)がそこにいた。


第一話 『学園都市の正義の盾』 完
175 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/23(日) 14:02:35.79 ID:3h3ejS8bo
毎度お世話になっております。
昨晩、美味しんぼ80巻と超電磁砲1巻とアニメ版4話を見ながら書いた分の投下は終了です。
いつもながら遅筆で申し訳ありませんです、はい。
皆さんのレスとツッコミが私のエネルギーです!

アクメツとフルチューニング邂逅〜アクメツ学園都市侵入開始までがプロローグなので
MNW2ネタを除いた今回までが第一話、という扱いになります。

くっ……自分で言うのもあれですが仮面装備のアクメツさん戦闘までの道のりは遠いようです。

次は、再びMNW2ネタを二本程挟んで、二話へと入ろうと思います。

ちなみに、このSSでは超電磁砲関連の話は、アニメと漫画の中間ぐらいの流れで進行してます。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 18:06:07.10 ID:jdzkzFo10
ひとまず乙!
こんなに一刻も早く続き読みたい衝動に駆られるのも久しぶりなのぜ!

嵐の前の静けさか…
介旅さん、ビリビリ食らったりそげぶされたりするぐらいで済めばいいけど…

177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 19:35:55.08 ID:u2EpyJEDO
適度に挟まれる小ネタにワクテカしてるぜ!
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/23(日) 21:11:14.45 ID:herDIK4A0
毎日楽しみで楽しみで楽しみで楽しみでたの(ry仕方ないんだよ!インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングなんだよ!

完結まで追うので頑張って!
179 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/01/23(日) 22:20:55.08 ID:3h3ejS8bo
蘇生によるミサカネットワーク移転について【必読】

1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
私、ミサカ00000号……通称・試験個体(フルチューニング)の死亡、及び蘇生された現時点よりMNW2が稼働に入ります。
各種、注意項目を参照の上、疑問点がありましたら、当スレ内で質問してください。
可能な限り、それに答え、皆さんの不安を払拭したいと思う所存です。

@既存MNWからの隔離について。

総勢二万と一体によって構築された、旧MNWですが、それにリンクしているのは生存している個体のみであり
死亡した個体の記憶は電気的な信号として、残ったミサカ達に共有されるものでした。

ですが、此の度、私達の支援を行ってくれる方達の技術提供によって、
学園都市にて実験で死亡した個体を学園都市外部にて蘇生する事に成功しました。

ですが、そのまま蘇生したのでは自動的に旧MNWへとリンクが復旧されてしまい、我々の生存と位置が露見する事になります。
その為、皆さんは一時的にMNWから隔離され、残りの個体からは死亡したように認識されています。
私の場合は少し違うのですが、それは後述に回したいと思います。

A新規MNW開設について

ですが、単純に隔離しただけでは、逆に大事な情報が共有できず、各々の混乱を招く危険がありました。
その為、暫定的に私――つまり、00000号を新規ネットワークの『核』として規定し、蘇生された個体との間にリンクを行うことで
従来と同様にMNWを使用可能にしました。
その為、私は現存する個体からは、『生存している筈なのにMNWからは寸断されている』状態で認識されています。

B旧MNWとの互換性

旧MNWとMNW2は、いわゆる『ラジオの局が違う』状態であり、チャンネルを変えれば、旧MNWへとリンクが可能です。
ですが、実験が継続している現状では、それは危険であり、誠に勝手ながら私の権限なしではアクセス不可となっています。

C今後の皆さんについて

皆さんは一度は死に……文字通り、生まれ変わりました。
本来ならばある筈のない人生を再び歩む事が出来るのは、とても幸福な事です。
ですが、生き返ったばかりの皆さんには、それは分からないかもしれません。

だからこそ、これから皆さんは知らなければいけません。
生きるという事の意味を。

それをするだけの時間は充分にあります。
それを助けてくれる方達もいます。

不安になるのは当然でしょう。
いえ、むしろ不安に思ってください。

それも生きることの一部です。

けど、きっと大丈夫です。

私達には同じ境遇の姉妹がいて、

そして何よりも、

――私達は繋がっているのだから。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:29:27.72 ID:XMcS/CeAO
試験個体さんマジお姉さん
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:32:01.40 ID:tiGISesSO
試験個体がかわいくて辛い
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 22:33:38.79 ID:zZY+dRIAO
>>178
俺のお嬢様はそんなしゃべり方じゃねーよww見敵必[ピーーー]るぞこの野郎ww

>>1は頑張って下さい
183 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/24(月) 14:19:51.23 ID:GJPTUOaIo
健康っていいよな

921 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
実感するのは日常生活でだよね

922 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04949
毎日の食事が美味しすぎて、しばらくは体重計に乗れそうにない……

923 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00753
>>922
健康なんだから、運動しなさい

924 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
学園都市での食生活なんて、栄養素オンリーの味気ない奴だったからな

925 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
あっちだと、研修してるか、調整してるかどっちかだったもんね。
食事は必要最低限だしさ……
そういえば、調整が必要ないってのは重要だと思う。かなり使える時間が増える

926 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
けど、時間あっても別にすることないんだよな……

927 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
>>926
クリーニング屋さんの手伝いはどうしたの?

928 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
>>927
心配すんな、ちゃんとやってる。でも趣味とかないから休憩時間とか退屈なんだ……

929 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00312
そんな、貴女にエクササイズ!

930 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00193
それは素晴らしい

931 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00753
是非ともやりなさい
184 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/24(月) 14:22:25.29 ID:GJPTUOaIo
932 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00315
>>929-931
それは自分達の趣味だろww

931 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
>>929-931
賞金稼ぎのお前らはいいとしても、
クリーニング屋手伝いの俺に何処を鍛えろというのか……

932 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00193
>>931
そういう呼び方は好きじゃない。正義の味方と呼びなさい

933 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
アイロンかける筋肉じゃないの?

934 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
>>933
そんな局所的に鍛えたら、せっかくのプロポーションが……

935 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01919
締まりが良くなるように腰回りから腹筋あたりの筋肉をだな……

936 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
>>935
ふらっと来て、下ネタ投下するのやめろww

937 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
休憩時間の暇潰しといえばゲームだろjk

938 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
モンハンやろうぜ

939 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
モンハン……? 興味ねーよ

940 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
>>939
俺もゲームは興味ないけど、そんなんだから趣味が出来ないんじゃないか……?

941 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
確かに俺にはやってみよう、って感じの積極性が足りないかもしれない……
でも、趣味のない俺でも、みんなの趣味を守る事は出来る!

942 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
何その無駄な決意ww

943 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04949
なんか、カッコイイww
185 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/24(月) 14:26:23.41 ID:GJPTUOaIo
944 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
ゲームで思い出したけど、銭湯っぽい名前とキノコ混ぜたようなゲーム会社で働いてるミサカいたよね?

945 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
なにそれ???

946 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
番台……滑子(なめこ)?

947 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
>>946


948 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
>>944
お前の記憶力に深刻な問題が見つかった訳だが

949 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
え、違った?

950 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
一文字違うだけで、なんかヌルヌルな感じになったなww

951 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01919
ナメコ汁ヌルヌルプレイか……新しいな

952 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
>>951
屋上

953 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
ゲーム画面もヌルヌル動けばいいな

954 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
>>953
ゲーム興味ないくせに上手いこと言いやがってww

955 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
滑子なのに滑らないとはやるじゃねーか……

956 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05103
>>955
なんで、上手いこと言うみたいな流れになってるんだよww
>>949
そんで、そのミサカがどうしたんだ?

957 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00960
そのミサカから、自社ゲームに『妹達』を出してみたって話を聞いたんだけど

958 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
なん……だと……?

959 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
そういえば、どっかで聞いたような気もする

960 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
そんな目立つことしていいのか……?

961 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00765
なんか話題になってるので、参考画像うp

http://gamesquare.up.seesaa.net/image/o0800045310766919179-thumbnail2.jpg
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 17:58:12.74 ID:r1hZ7WO+0
バンナム涙目ww
エクササイズといえば乗馬マシンで騎乗位の腰の動きをみがk(ry
187 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/24(月) 19:57:37.86 ID:GJPTUOaIo
962 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
おおー本当だww

963 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
ゴッドイーター……だと……?
くそっ、モンハンに操を立てている私を誘惑しようと言うのか……

964 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00765
一方通行も用意したので、奴を手足のように使ったり、
わざとアラガミにボコボコにヤラれてみたり出来るよ!

965 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
せっかくゲームするのに、そんな暗い楽しみ方は嫌だ……

966 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
そうだな、変顔にキャラメイクするぐらいで勘弁してやろうぜ

967 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
お前ら楽しそうだな……ゲームってそんなに面白い?

968 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00064
キターー!!

969 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00360
こちら側に引き込むチャンスだ!
>>967に携帯ゲーム機とソフトの詰め合わせを送りつけろ!

970 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00765
>>969
任せろ!

971 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00555
ちょ、ええ? 



〜数日後、現実世界のネット掲示板に『ウチのバイトがゲームばかりで働かない』というスレが立ったとか、立ってないとか〜
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 20:05:34.32 ID:rkA7U/Fd0
ライダー勢自重してねぇw
比較的番号の若いはずのゴトーサンまですっかり日曜朝8時のイロモノ臭に囚われてるぞwww

いやー生きてるって素晴らしいことですねぇ…
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/24(月) 21:52:16.99 ID:ngQOwRoe0
ようやっと妹達の番号がネタってことに気づいたww
俺気づくの遅ぇww
っていうことは、1296がグラトニーで777が赤木シゲルで5296は歌手ですね、わかります。
190 :とある複製の妹達支援 :2011/01/25(火) 01:10:45.30 ID:FcfrBSxNo
うう……喉の炎症から、二次被害で口内炎出来た……気になって眠れないから、二話書き進めていきます……
たぶん、3時前には寝ると思うけど。

>>188
05103号に気付くとは大した奴だ……貴様っ!見ているな!?番組的な意味で。
若干、ヤンデレ?ミサカな00913号を登場させるべきかどうか真剣に悩む俺がいます。

>>189
いいのかい?そんなホイホイ言ってしまって?俺は容赦なく拾って、さも最初から考えてたみたいに話に組み込むぜ?
191 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/25(火) 01:27:22.46 ID:FcfrBSxNo
〜第七学区・木の葉通り〜


上条「どうしたんだよ、生……遅刻は常習でも、滅多に欠席はしないお前が急に休むから、みんな心配してたぞ?
    何故か小萌先生は、妙に嬉しそうだったり、心配そうだったり、一人で百面相してたし……」

安達「さらっと失礼なコトを言う奴だな………………休みの理由は、こ・れ・だ」クイッ

風紀委員の腕章を少し引っ張って、上条に見せる。

上条「それって……まさか、風紀委員になったのか!?」

安達「そういうことじゃん……採用の為の試験が午前中にあってな。午後からは既に風紀委員として活動中って訳」

何しろ、急に採用の為の最終試験を行うことが決まったので、今日は授業を休むしかなかった。

本来なら、授業のない日や時間帯を相談の上で試験を行うはずなのだが、風紀委員から多くの欠員が出てる現状では、
即実務への投入可能な人員の確保は、よほどの急務らしい。……出来れば、欠席したくはなかったのだが。

上条「お前が風紀委員ねぇ……?」ジロジロ

安達「やっぱ、似合わないか?」

上条「いや、いいんじゃねーの? 結構、様になってると上条さんは思いますよ?」ニカッ

これで、安達が女性だったなら不要なフラグが立つのだろうが、彼は一応は普通の男子なので、そういうことはない。
まぁ、友人に肯定的に見られるというのは嬉しいものではある。

安達「サンキュー……あと、小萌先生には理由が理由だから、ちゃんと事前に連絡したんだけど……」

上条「あー、それでか……風紀委員として生徒が頑張ろうとしてるのは嬉しいけど、やっぱり心配だったり……って感じか」

安達「見た目あんなだけど、中身は完全に熱血系教師だからな」

上条「だよなー」

共通の話題で盛り上がる男子二人。
付き合いの長い、クラスメイトであるが故の盛り上がりの為、他のメンバーは完全にシャットアウトされつつあった。

美琴「(ふーん、コイツら……仲いいんだ。ってか、私の事は完全にスルーだし……)」ムムム

黒子「(もしや、この殿方がお姉様と度々いざこざを起こされている……? でも、見た目は無害そうですわね……)」ウーン

???「(…………それにしても、熱いな)」パタパタ
192 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/25(火) 01:56:25.24 ID:FcfrBSxNo
安達「んで、上条さんはこんな所で何をしてるんでしょうか?」

上条「あ、そうだ! 風紀委員になったんなら、この人が車を止めた駐車場探すの手伝ってくれないか!?」

言いながら、自分の隣の女性を指す上条。
それにしても凄い隈だった。

安達「……駐車場?」

???「いやー、車を止めた駐車場が何処にあるのか分からなくなってしまってね……」

安達「……それは、風紀委員の仕事なんだろうか……?」

上条「俺、これから行かなきゃいけない所があってさ……最初はビリビリに頼もうかと思ったけど……な?」パチン

美琴「だから、ビリビリ言うな! ……ってか、何でコイツに頼むのよ! 私に頼もうと思ったんならそうしなさいよ!」

彼女の脳内で、どのような展開があったのかは極めて謎だが、
彼女が辿り着いた最終的な感情は『上条が自分へ求めた役割が横取りされた事』への憤慨である。

上条「ええっー!? 何故、そこで怒られないといけないんでせう!? せっかく風紀委員がいるんだから、そっちに頼んだ方がいいだろ!?」

理不尽な叱責に叫ぶ上条。

美琴「何よ、それ!? 私じゃ力不足だって言うつもり!?」ピリッ

黒子「お、お姉様……仰っている事が支離滅裂ですの……」

安達「(……なんだろう、超能力者(レベル5)のイメージが、急激にウチのクラスの馬鹿騒ぎレベルに近づいていく……)」ホロリ

現実なんてこんなもんだ、と自分の中の冷静な部分が言っているが、妙に悲しいのは何故だろうか。

???「誰が手伝ってくれても、別に私としては構わないのだが…………いやー、それにしても熱いな」プチプチ

パサッ――シュルシュル――

そんな馬鹿騒ぎの中、何を思ったのか突然、シャツを脱ぎだす女性。

上条「ぬわっ!?」///

それに対し、上条はたじろぎ――

美琴「……え? な、何を……しているんですか……?」///

美琴は顔を羞恥の赤に染めながらも、疑問を投げかけ――

黒子「な……な……な……」アングリ

黒子は愕然とし――

安達「おおー…………これは中々」

年齢の割には人生経験豊富な安達は素直に女性の肢体を賞賛する。
193 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/25(火) 02:05:55.37 ID:FcfrBSxNo
???「炎天下の中、随分と歩いたからね……汗びっしょりだよ……」

美琴「ちょっと、アンタ! な、何よこの人!?」

上条「い、いや俺も先刻知り合ったばっかりだし……! と、とにかくシャツを着てくださーい!!」グイッ

女性の方を見ないようにしながらも、シャツを着るように促す上条……が、しかし。

キャーオンナノヒトガオソワレテルー!

エーアノオトコノヒトガヌガシタノー!?

イッショニイルジャッジメントハナニシテルンダヨ!

遠巻きから向けられる痛い視線と叱責の声。

上条「え、いや……これは違っ……」オロオロ

黒子「と、とばっちりで風紀委員にまで批難が!?」ガビーン!

安達「……さすがじゃん、上条」ボソ

なんというか、誤解の受け方が既に奇跡的だ。
これだから、奴の友人は辞められない。

――当人には悪いが、面白すぎる。

そして、周囲の視線に耐えられなくなったのか、上条は握っていたシャツを美琴に押し付けて――

上条「ご、誤解だああああああああああああああああああああ!!!」ダダダダッ

もの凄いスピードで逃走を図った!

美琴「ちょ、アンタ待ちなさいってば!!」

逃げる上条と、渡されたシャツの間で視線が何度か往復する。
この状況を放置して追うべきかどうか迷っているのだろう。
確かに、この場に自分しかいなかったら事態を放置しての追尾は不可能だった。
しかし、美琴は忘れてはいなかった。

――だって、今この場には自分が『もっとも信頼する後輩』がいるではないか?
194 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/25(火) 02:16:05.52 ID:FcfrBSxNo

美琴「黒子!! その人をお願い!」グイッ

黒子「お、お姉様!?」

上条から美琴へと押し付けられたシャツは、さらに黒子へと押し付けられる。

美琴「ついでにアンタも来なさい! アイツと仲が良いんなら、色々と知ってるんでしょうし!!」

ガッ! と美琴に腕を掴まれる安達。

安達「え、俺!?」

せっかく出来た同僚を置き去りにするのは心痛いのだが……当初の目的を考えれば好都合だろうか?

美琴「アイツ、今日こそは逃がさないんだから!!」ダダダダッ

そんな安達の逡巡を他所に駆け出す美琴。

安達「し、白井さん――後は頼んだ――!!」ピュー

そんな美琴に引っ張られるというよりも中空を舞う凧のように連行される安達。

黒子「そ、そんな!? 安達さん!?」

そして残される哀れな子羊・黒子。



???「……もう見えなくなった……凄いな」

残されたのは、上半身下着姿の『脱ぎ女』と、それの対処を押し付けられた薄幸の風紀委員、白井黒子。

そして、ざわめく通行人という名のギャラリー達。

黒子「ふ、不幸ですのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

――少女の絶叫が夏の空に反響した。
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 02:24:40.62 ID:6GW6bd79o
イクササイズではなくあくまでエクササイズか
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 08:20:54.70 ID:MAwvpe2SO
黒子かわいいよ黒子
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 07:35:37.71 ID:lL2z85RDO
追い付いた
なんという俺得!
>>1応援してるじゃん!
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 07:39:11.05 ID:8xVEnelDO
試験個体「はっぴぃばーすでぃ!新しいミサカの誕生だよ!」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 09:04:02.38 ID:5tYbXYJn0
やったねミサカちゃん、家族が増えるよ!
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 10:16:12.35 ID:GMssPXUAO
>>198
生(鴻上)「素晴らしいじゃん、ミサカ君!」
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 10:26:54.30 ID:ciOqBaTDO
( ◇)<携帯ゲーム……

(◇)<PSP版ブレイブルーCT好評発売中ズェア
202 :とある複製の妹達支援 :2011/01/26(水) 15:59:30.26 ID:37Qky1eyo
多くのご支援ありがとうございます。
ではでは投下をしていこうかと思います。
203 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:02:02.77 ID:37Qky1eyo
――30分後。


美琴「――み、見失った……!」ゼハーゼハー

安達「……あのー、御坂さん……?」ゼハーゼハー

美琴「な、何よ?」

安達「ウチの上条とは普段から……このような、お戯れを?」

美琴「」

沈黙する美琴。
なんというか、自分でもアレだという自覚はあるようだ。

安達「なんでまた……」

美琴「だ、だって、アイツいつも適当なコト言って逃げるし、人のこと煙に巻いてロクに戦おうとうもしないし!」

安達「た、戦うって……上条は無能力者(レベル0)だぞ!? なんで超能力者(レベル5)の君が…………あ」

通常ならば、レベル5と0の間で勝負など成立しない。
だが、その間には逃走すらも難しい程の力の差があるのだ。
単純に逃げ足の速さだけで、回避できるものではない。

――そう、彼にはそれを可能にするだけの『理由』がある。

美琴「ふーん……そこで思い当たる節があるって事は――知ってるのね? アイツの能力を」ニヤリ

安達「知りたいのは……それか?」

美琴「話が早くて助かるわ……たーっぷりと、訊かせて貰おうかしら?」

有無を言わさない迫力。彼女のクローンである『妹達』からは感じ無かった、『圧倒的な実力』に裏打ちされた自信。
だが、自信を感じる反面で、それが揺らいでいるようにも感じられた。

――それが、彼女を焦らせている。

安達「…………人から話を訊こうってのに立ち話か?」

美琴「むぅ――じゃあ、そこのファミレスに行くわよ」

安達「おーけーおーけー」

思えば、安達は朝食以降、クレープしか食べてなかった。
この際なので、遅い昼飯を取ることにした。

204 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:09:57.87 ID:37Qky1eyo
〜Joseph's店内〜


二人が選んだのは店の奥にある隅の席。
ここならば、通りからは見えないし、話の途中で余計な邪魔も入らないだろう。


安達「さて、注文も済んだし……上条について話す前に俺から質問してもいいか?」

美琴「何よ?」

安達「上条と最初に出会った状況と、御坂さんと奴の『今まで』を全部」

美琴「な、何で、わ、私がそんな事を教えないといけないのよ!?」

安達「おいおい、これでも俺は上条との付き合いは長いんだぞ? 少なくとも、今日……それも先刻、出会ったばかりの君よりも、だ」

美琴「…………信用ってこと?」

安達「端的に言うと……そうだな。『戦う』なんて単語を聞いちまった以上、迂闊に上条の……友達の情報は渡せない」

美琴「聞き出したかったら、信用させてみろ……ってことね」

安達「そして、現状で君が俺を信用させる為に出来るのは……『自分の持っている情報』の開示しかない。
    まぁ、白井が信頼してるらしいって事や、君の武勇伝だけでも信用してもいいんだけど……」

美琴「――確かに第三者からの評価や、風評で判断されるってのもね。結局は他人というフィルターを通した『御坂美琴』に過ぎない訳だし」

安達「そういう事。さすがは、第三位……頭の良さもトップクラスかな」

本音を言えば『上条当麻』に接している時の『御坂美琴』が既存の情報との間に明らかなズレがあるからだ。
そのズレが、どこから来たモノなのか知る為には、彼等の関係性自体を知らなければいけない。

美琴「おべんちゃらはいらないわよ――最初にアイツと会ったのは……そうね、一ヶ月前ぐらい。
    少し夜の街を歩いてたら、馬鹿な連中に絡まれてね」

安達「ナンパ?」

美琴「まー、そういう類の連中だったわ」ヤレヤレ

思い出すのも不愉快だ、と言わんばかりの美琴。

安達「その時って……常盤台の制服、着てたのか?」

美琴「着てたわよ? 外出時には制服着用って決まってるし」

安達「本当に馬鹿だな、その連中」

在学の最低条件に強能力者(レベル3)である事が含まれる常盤台の生徒をナンパというのは……軽く馬鹿を通り越している。
もしかしたら、自分の顔なり、ナンパの技術なりに余程の自信でもあったのだろうか……?
しかし、自信のある奴は群れてナンパをしたりしないだろう、とも思う。

――結論、やはり馬鹿だ。
205 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:14:03.33 ID:37Qky1eyo

美琴「それで、道行く人は見て見ぬ振り……ま、当然よね」

安達「――スマン、全部話せとか言っておいて、アレだけど、もう展開が読めた」

美琴「へ?」

安達「助けに入ったんだろ? 上条が……例えば、御坂さんが自分の『連れ』みたいに振舞って」

まるで、眼に浮かぶようだった。
さも美琴を探していたように悪漢?達の間を掻き分けて、ドサクサに紛れて美琴を連れて離脱しようとする上条の姿が。

美琴「な、何で分かるのよ!?」

まるで見ていたかのようにピタリと言い当てる安達に狼狽する美琴。

安達「ドンピシャかよ……アイツがよく使う手だからな、大人数から助ける時に」

――成功している所を見たことはないが。

一対一の喧嘩であれば、上条が負ける事はないと思う。彼は、あれでもかなり喧嘩慣れしている。
だが、特別な格闘技を修めた訳ではないし、相手が複数で武器を持っていたりしたら、事実上お手上げなのだ。

でも、それでも彼は助けに入るだろう。
それが彼が彼である所以であるし、彼の友でありたいと思わせる理由なのだ。

その為に選ぶ手段は、少々格好が悪いが――彼なりに必死に考えた結果なのだろう。
必要以上に争ったりしなくても済むように。

美琴「よく使うんだ…………」ショボーン

安達「何で、そこで落ち込むんだ?」

美琴「お、落ち込んでなんかないわよ!? あ、アイツが私以外に誰を助けてようが、私には関係ないじゃない!?」

安達「(なんだ、この珍妙な生物……)」

これほどまでに感情というか、本音がダダ漏れなのに当人に自覚がないというのが恐ろしい。

美琴「た、確かにそういう風にアイツは助けに入ったわよ? でも、すぐにバレて……」

安達「当たり前だな」
206 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:15:21.25 ID:37Qky1eyo

美琴「――それで、色々とあって私が電撃出しちゃって……」

安達「いや、ちょっと待て。いきなり話が飛んだぞ?」

美琴「だ、だって、アイツったら人のこと『まだガキ』だの『反抗期も抜けてない』だの言いたい放題で……!!」

安達「あぁ…………なんとなく分かった。御坂さんは上条の『演技』に合わせなかったんだな?」

そもそも、助けなど必要としていないのだから、上条の下手(見なくても分かる)な演技に合わせる理由はない。

美琴「うん」

安達「それで、上条が『せっかくの演技が台無しじゃねーか』的な事を言って」

美琴「そう!」

安達「売り言葉に買い言葉で、御坂さんも上条に文句言ったりして」

一応は年上である筈の自分や上条を『アンタ』『アイツ』等と呼んでる所を考えると、彼女の目上への態度は良くはない。
常盤台のお嬢様なのだから、その手の礼儀作法は体に染み付いている筈なのだろうが……上条にペースを乱されてしまったのか、素がこうなのか。

美琴「そうそう」

安達「そして、馬鹿共が上条に因縁つけて……逃げ切れないと思った上条は、馬鹿共を一喝する訳だ」

美琴「そうなのよ!」ウンウン

安達「言ってる内にヒートアップした上条さんは、御坂さんの逆鱗に触れるような台詞を言ったりして」

元来、デリカシーの足らない男ではあるが、相手が『口生意気な年下』だったりすると、相手の心情に配慮した発言は、さらに期待出来ない。

美琴「そう、それよ!」ビシッ

我が意を得たり、と言いたげに頷いたり、安達を指差す美琴。
207 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:17:10.73 ID:37Qky1eyo
安達「それで、イライラが頂点に達した御坂さんの雷が落ちる訳だな、文字通り」

美琴「その通り! なんでそんなに分かっちゃうのー? もしかして、読心能力者だとか!?」キラキラ

安達「いや、無能力者(レベル0)だけど」

美琴「そうなの……? でも、今の私は無能力者だって言われて、はいそうですかって額面通りには受け取れないのよね」

安達「無能力者である筈の上条に、何故か電撃が効かなかったから?」

彼の右手は『特別』だ。
確かに学園都市で彼は『無能力者(レベル0)』に区分されているが、彼のそれは本来の意味での『無能』ではない。
そもそも、強度(レベル)は学園都市の規格で測れる力の有無と強弱をランク分けしているに過ぎず、本当の『規格外』は省かれているだけなのだ。

美琴「―――――――うん、そうなの」ドヨーン

安達「とりあえず、出会いは分かったけど……それからは?」

美琴「え、いやだから……それから街で見かける度に戦いを挑んでるんだけど、いつも適当にあしらわれて……」

安達「――それだけ?」

美琴「そうよ?」

安達「出会ってから一ヶ月の間、ずっと?」

美琴「そ、そうよ!」

安達「(だ、駄目だ、この娘―――!?)」

低レベルだ……あまりにも低レベルな諍いだ……! と、安達は驚愕を隠せない。
超能力者(レベル5)が無能力者(レベル0)に挑む、という異常事態にも関わらず、その動機には緊迫感の欠片もない。

単純に自分の能力が通用しなかったのが、気に入らないのだろうか?
だが、それだけで一ヶ月もの間、一人の男を追い掛け回していると言うのだから、呆れた話だ。
どうせ追い掛け回すなら、もっとマシな理由がありそうなものだが。
208 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:18:57.46 ID:37Qky1eyo
安達「(……いや、待つじゃん)」

――マシな理由? それは本当に無いのだろうか?

単純に彼女は上条が気に入らなくて、上条を追い掛け回しているのだろうか?
彼女自身も自覚していない、本当の理由があるのではないだろうか?

――それは、一体何だ?

安達「…………それで、御坂さんは上条をどうしたいんだ?」

――分からないならば、確かめてみればいい。

美琴「どうしたい……?」

そう改めて訊かれると、自分はあの少年をどうしたいのだろう? と美琴自身にも明確な回答は出来なかった。

安達「例えば――殺したい、とか」

突然に飛び出した凶悪な単語に美琴の顔がサアーっと青くなる。

美琴「なっ!? そ、そんなこと思う訳ないじゃない!!」

安達「どうして?」

美琴「どうしてって……だって、そんな……この歳で前科持ちなんて嫌だし……」

安達「それは社会的な倫理感であって、君の感情とは無関係だ――よく、考えて欲しい」

美琴「…………」

安達「御坂さんは、レベル1から努力でレベル5になったんだろ? 自分の能力への誇りは誰よりも強い筈だ。
    その能力が、只の無能力者らしい奴に通用しない……それでも憎くない?」

率直というよりも、容赦なく訊かれて、初めて『それ』について考えてみる。
果たして、自分は『あの少年』を憎んでいるのだろうか? それで、勝負を挑んでいるのか?

美琴「――やっぱり、違う。腹が立つことは一杯あるけど、別に私はアイツを憎んだりはしていない」
209 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:23:32.31 ID:37Qky1eyo
安達「おーけー、認めよう。じゃあ、次だ…………負かしたい?」

次は割と簡単に答えが出た。

美琴「……電撃が効かない時に、そう思うことは多い、かな……でも、それだけじゃない、と思う」

安達「なるほど……少し、方向性を変えてみよう。上条と話していて、どんな時に腹が立つ?」

言われてみて、美琴は先程の上条とのやりとりを思い返す。

美琴「『ビリビリ中学生』呼ばわりされた時とか…………あと、無視っていうかスルーされると、ムカつくかも」

答えながら、何故、自分はこんなにも素直に質問に答えているのだろう、とも思う。
安達の質問の仕方が上手いのは勿論なのだが、それとは別に感じていることがあるからだ。

質問に答える度に自分の中にある『もやもや』としたモノが確かな輪郭を帯びてきている。

安達「……それは簡単に改善されると思うが……」

要するに印象とタイミングの問題だ。
彼女の名前よりも『ビリビリ』が上条にとっては印象深く、
また美琴が上条に挑もうとする時間帯は、彼にとっては特売という戦場へと赴く途中だからだ。

美琴「ど、どうすればいいの!?」

安達「とりあえず、それは後にしてくれ………次は、そうだな――『上条当麻』に『御坂美琴』を認めさせたい」

――カチッと、何かが噛み合った音がした。

美琴「…………思ってるかも……しれない」

何だろう、駄目な生徒を諭す教師のような心境になって来た。
今度、小萌先生に労いの言葉をかけよう、と密かに決意を固める。

安達「少し、掘り下げようか。……どうして、認めさせたいって思う?」

美琴「………………から」ボソ

安達「?」

美琴「私の電撃が効かなかった……から」

安達「――――おーけー、分かってきたじゃん……」

確かに彼女は上条が気に入らないようだ。
だが、それは能力が通用しなかった事への単純な怒りではない。
210 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:25:31.51 ID:37Qky1eyo
安達「御坂さん」

美琴「何よ」

安達「これから俺は、君が『上条当麻』に対して抱いている感情をズバリ、言う。
    ……もしも、これが正しければ、俺は君に上条の事を教えてもいいと判断する。
    仮に間違っていても、ここまで話してくれた事への感謝と信頼として、上条の事を話そう。
    だから、間違っていたらハッキリと言ってくれて構わないし、気に喰わなければ電撃を浴びせてもいい」

美琴「いいわ――言ってみなさいよ」




――『御坂美琴』は、自分よりも『強い』かもしれない『上条当麻』に自分を『認めさせたい』

――そして、逆に自分を『侮っている』ように『感じられる』、上条の態度が『気に入らない』

――だから、『能力を使って』でも、上条に『勝ちたい』し、『負けたく』ない。




美琴「―――――――――――――――――――――ふーん」

安達「…………どうだ?」


自分よりも高い能力や権力を持った人間と出会った時に、人が覚える感情は多くはないし、それに伴う行動も限られている。

嫉妬、羨望、投影、理解、拒絶、肯定、絶望、希望、焦燥、憎悪。

ある者は相手との力の差に絶望し、

ある者は相手を目標に自らを高め、

ある者は相手の立つ場所を狙い挑み、

ある者は相手と対等に並び立とうとし、

ある者は相手に肯定され、認められようとする。

少女が少年へ求めたのは、果たしてどれであったのか。

……確かに能力が通じない事への対抗心も過分にあるのだろう。

でも『御坂美琴』という、多くの尊敬や畏怖、嫉妬を向けられて生きている少女が求めているのは、
自らを認め、対等になれる存在ではないのだろうか? 

対等とは、言い換えれば互いに過不足がない、という事だ。
相手に期待する訳でもない、相手に気遣われる訳でもない。
余計な荷物を下ろした、一対一の個人と個人の、人間同士の等身大の関係。


――そして、その可能性を持った人物が現れた。
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 16:28:16.49 ID:mui20PTDO
投下キター
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 16:30:08.97 ID:joaAbBnKo
今日はペースが速くてうれしいな
213 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 16:58:20.59 ID:37Qky1eyo

だが、その相手にそういった気配はなく、認めるどころか自分を子供扱い。
その不満を彼女は能力をぶつけることでしか、表現出来ないのではないのか?

しかし、その能力は通用しない……また、腹が立つ。
無自覚の感情から起こる、負の連鎖。

美琴「ムカつくわね…………」

――だが、今……少女は自らに潜む『正体不明』の感情を理解する。

美琴「心理掌握(メンタルアウト)じゃあるまいし……」

――でも、少女は気付かない。『正体不明』の中には、他の感情もあることに。

美琴「自分でも理解してないことを他人に気付かされるなんて……超能力者の名が泣くじゃない」

――安達は、気づいていながらも、言わない。それは彼女が育て、芽吹かせ、名付ける感情だから。

美琴「でも、何だか……そう、スッキリした! そんな感じがするから不思議」

――今は種に過ぎない。名も知らぬ種から何が育ち、何を咲かせるのか? その楽しみは後に取っておくべきだ。

安達「それは良かった……のかな?」

美琴「良かったんじゃない? これで、アイツに挑む覚悟が決まったわけだし?」

           / : /: : : : /: /:./:!: : : :./: : : :/: :! : | \ : : : : : ヽ
              ′/: : :|: /: /-/:十-、:/: : : :/:-┼: |、  ゝ : ヽ: : i
           |: :i: : : :| :| / /|: /!: : /: ://: : /|: / ヽ ミ : : |: : |
           |: :|: :i : | :|:|斗≠=ミ// /: :斗=≠ミ.  ミ\|: : |
           |: :|: :i : |八Y´ んir个  /:/´ んr心{  }ヽ∨: : |
          │ |: :i :∧ハ 弋てソ  /    弋てソ  ル∨: : : !
           ∨|: :i∧小   ー    ′    ー  ('^ハ: : : : |
            ヽ| 八(∧ゝ""           ""ノ⌒)ノ : : : |
            |: i :\.ヘ、      -、       ^´/: : : :i: |
            |: i: : /: ̄\_    ‘ー'      /i⌒´i : : : : !│
            |: i: :,': : i : :( \      . ィ : : i: : : ! : /: :.i八
              ,: :|: |: :.:.i : :.iヽ ヽ>‐  ´  ト、: |: : i: ∨: : /:iハ
               / :ノ:│: :.|: : :| ∧ Y_  r‐、ノ \{: : |.:/{: : :{ノ/ \
           // i八: : {ヽ/ } ト、/ヽノ    〉、∧八 : :∨
         / r┬'─ヘ{'〈   j  /  ヘ〉   /|:::`ー∨\: ヽ、
              /|:::!:::::::::::::::::::|\ 〈  /厂 〕  //|:::::::::::::::::::::`ヽ\

ただし、それは今までのように、がむしゃらな挑戦ではない。
単純に力で負かすだけでは、自分が求めているものは手に入らないから。

美琴「それで――――結局、アイツのこと……教えてくれるの?」

安達「――ああ、いいよ」

そう笑顔で答える、安達の元に注文したハンバーグセットが運ばれてくる。

214 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 17:00:57.26 ID:37Qky1eyo
ファミレスを出ると、何時の間にか空は澄み切った青から寂しげな赤へとその色を変えていた。

美琴「……すっかり夕方になっちゃったわね」

安達「大丈夫、この時間帯なら――まだ会えるはずだ」

美琴「この教えてもらったエリアで張ってればいいのよね?」

安達「作戦を忘れるなよ? あと、戦うのも程々にな」

美琴「ちゃんと手加減するわよ、アンタの大事な友達なんでしょ?」

安達「……御坂さんにとっても、そうなるのを願ってるじゃん」ニヤニヤ

美琴「なっ……わ、私もう行くから!!」///

安達「頑張るじゃんよー」フリフリ

二人は、一時間の綿密な『作戦会議』を終え、ファミレスの前で別れた。

一人残された安達の側に一人の男が近寄る。

???「青春だな〜」
215 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 17:10:38.11 ID:37Qky1eyo

安達「茶化してやるなよ……じゃあ、迫間の、後は頼む」

迫間「分かってる――あー、本日は晴天なり」ゴホン

頷きながら、男――『迫間生(はざましょう)』は耳に着けたピアスを指で軽く弾いた。

迫間「本日只今より、『オリジナル』は監視下に入る――学園都市内部に潜伏中の『失われた妹達(ロストナンバーズ)』は、電磁波を感知されないように留意せよ」

あえて、事務的な口調で通達する。そして、耳に着けられた小型のイヤホンから、さらに事務的な返答が返って来る。

???『了解です、とミサカ00110号は通信に応えます』

???『注意します、とミサカ00777号はお姉様の予想進路から距離を取ります』

???『晴天というほど晴れてませんがね、とミサカ00913号は不要なツッコミを入れます』

安達「……俺は一度、研究所に顔を出してから帰るから」

本当なら、風紀委員の支部に顔を出すなり、連絡するなりしてからの方がいいのだが、それは別に『安達生』である必要はない。
研究所に待機してる、誰か暇な奴に代理を頼めばいい。

迫間「おう、布束ちゃんにヨロシク」

安達「――どういう意味だよ」

迫間「いや? 深い意味はないじゃん」ニヤニヤ

安達「(くっ、自分の顔なのにムカつく……!!)」

ほんの少し前に自分も美琴に対して似たような表情をしていたのだが、それに気付く余裕はない。

迫間「ほらほら、後は俺に任せて行くじゃん」


                   ,ィ ,ォ   ,ィ  _,,.,... -''7
                 / }/ |ヽ/ ,!'"/ _,.-'" ̄Z,-'Z_
                トy'、'、i ./ ;'//  '´_, / _,. '´/
                 ゙、 l  トiヾ/ j'//,.-'´/'"´  ,/-ッ
                 `)、゙`、| :::| .|////,/ /  /, フ"
                  ヾミ i`````  ""'''  〃, ///
                  `、:|           〃/^ヽ
                     i´:レ'--、   ,.r一'''\ '〃,K ,i/
                 `、| __`    __  〃'。,/
   ,.-r'´ゝ-、.           |           ,r-ヘ
  入 ヽ ヽ ヽ          |    _      /゙j  ゙ヽ.、_
// ヽヽ \ ヽ ,.ゝ、_     ,..-ヘ.   .__    / /    ``ヽ、_
l l.  \ヽ `、 {    |   ,..-''´   \ └─┘  /,/         ``ヽ、
l l   ヽ`    ̄7  )''´         \__,./ /             \
l l    ヽ  _   /          \ r-f''´                l
l |   ,.-一'"´   ヽ、;'            ゙r'''"゙、                   |
 |  | .| | /  ,| 〈、             }}. r`                |
    | | | ./ ./」  i }\           (}\/ ''                |
    |.| | / /__j |  \           |                   |
    !!-'ー'~~\ /     \         |                  |


安達「分かったよ、けど迫間も蘇生されたばっかりなんだから、無理はするなよ」

迫間「これでも、お前より長くクローンやってるっての……心配すんな」

安達「――じゃあ」ノシ

迫間「――おお」ノシ

216 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/26(水) 17:26:32.75 ID:37Qky1eyo
か、書き溜めたのがもう尽きた……ようやく迫間を出せたというのに……
これからは再びゆっくり進行ですの。
今回の投下したのは、『御坂と上条』の関係を原作よりも『良好』にする為のテコ入れ部分になります。
あくまでも『良好』であって、現時点では『親密』ではないので、ご注意を。
まあ、要するに御坂さんへのフォローその1です。
出会ったばかりの御坂さんの上条さんに対する感情は、恋愛とは少し違うんだろうなーという私の独自解釈ですね、はい。
『好き』だの『ツンデレ』などの単語を使わない事で木山先生ルートと違って、御坂さんが必要以上に感情に踊らされないように展開させていく予定。

――むしろ、躍らされるのは上条さんになる予定です。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 17:35:37.11 ID:joaAbBnKo
乙!
次も楽しみに待ってるじゃんよ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 17:46:37.08 ID:6RgQ0O+AO
乙ー
さすが生。人生経験豊富なのは伊達じゃないな
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 18:19:09.20 ID:Sas0tc9v0
生’sが送る!『ツンデレールガンの作り方!』ってな感じかねww

そういや妹立場は感覚も共有出来るんだよね?(カレーの件から推測するに、オンオフできるもの)
となると、1919号や721号の行為中の感覚を共有すr(ry
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 18:35:38.59 ID:AO1UqIEDo
うん いい諭し方だねー
美琴のプライドを傷つけず、上条さんへの当たりもソフトになる可能性が
充分期待できる、誰もが笑っていられる関係になれる予感。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 20:39:42.73 ID:XTNbnPsX0
うむうむ、良い大人だ

途中でインボリュートさん関連とか挟んだせいで無駄に複雑にもなったが
シチュエーション自体はごくごく普通のボーイミーツガールなんだし
早期から丁寧に改善されていけば、ややこしくこじれずに済むかもだよね
一巻の時点ではごく普通のテンプレ的ツンデレが、面倒くさいまま維持されっぱなしになるとは思わなかったものだしw


そしてある意味スゲー特別な存在、『迫間生』ktkr!!
あと913号、将来色々と開花する片鱗を見せ始めてやがるwww
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 22:45:04.89 ID:8xVEnelDO
913号「全ては555号という奴のせいなんだ」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 22:47:36.17 ID:oy9IzpYRo


224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/26(水) 23:01:13.10 ID:rshYLmOH0
仮面ライダーネタはあまり分からんが、913号はカイザってこと?
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 23:05:48.30 ID:oy9IzpYRo
ファイズが変身するときに555と入力するように
カイザは913と入力するのだ
ちなみにオーガが000でサイガが315
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 23:16:03.14 ID:GMssPXUAO
333でデルタってのもあるが、こいつは中の人が安定しないからな…
亜種として193や753、最近では5103とかいうネタキャラ軍団も台頭してきてる


しかし一万番以前の面子の番号ネタの使いやすさは異常だな…
かといって真似したくてもこのスレ以外ではまず不可能という独占状態、いいぞフロンティアもっとやれ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 00:25:47.95 ID:07me7WYs0
>>224
結局、>>84のネタが全部わかるようになっちゃったら貴方もこっちの世界の住民って訳よ!

>>225
ラストバトルは某スーパーアリーナで、一万人の妹達が
試験固体に対して「000! 000! 000!」(フルチューニング!)の大合唱ですね、わかります
228 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:34:37.58 ID:jxp6Yvtso
レスが一杯で嬉しいなと思ったら、ライダーネタで盛り上がってただけだった……orz
いや、それでも嬉しいんだけどね?
ちょろーっと書き進めたので投下しますよー?
今回はAA多めになっております。
229 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:35:44.30 ID:jxp6Yvtso
〜とある複製の監視映像より〜



自販機の側面に背中を預けて、正面に通りを見据えて、歩いて来る人々を注視する。

上条「うう……二時間もかけて並んだのに……貴重なタンパク源が全滅とか……不幸だ」ドンヨリ

そして、目的のツンツン頭を確認すると、その相手にも聴こえるように呟く。

美琴「――やっと来たわね」

上条「げっ…………またお前か、ビリビリ中学生」ヤレヤレ

美琴「(………………駄目、ここで怒ったら今までの繰り返し……!)」ムカッ

――とりあえず、名前で呼ばれないのは実際に『ビリビリ』して、上条に印象を刷り込んでしまっているからだ。

それが安達が美琴に与えた最初の助言。

『私には御坂美琴って名前があるのよ!』

そう言って、上条に名前をアピールした所で、直後に電撃を浴びせてしまえば、
彼の中では『結局、ビリビリじゃねーか!?』という印象が名前の印象を上回る。

――ならば、どうすればいいのか?

美琴「アンタ……いつになったら、私の名前を覚えてくれるのよ……?」



          /: /: : : : : : : /: : : : : : : : : : :}: : : : : : : : : : :ハ
          ,/:/ : : : i: : : / : : /: : : : i: : |: |"ミ: : ヽ: : : : : :i
           |i::|: : : : :|: : /: : : i: : : | : |: : |: | ミ: : : |: : : : : |
           |i::|: : 八:|: /i:| : : |: : }从ノ : 从!  ミ: : :!: : : : : |
           |从: :{;/ i/¨´| : : |`ー/‐: / {/  ミ : i|: : : : ::i|
.          八ハヽ|《::ミト.|ハ: ::i|/,ノ{/ ノ   ミ : i|: : : : : i|
              从!. Vソ.     ¨戊ミト、    レ^ヽ : : : : i|
            }. ////     込ソ,}  ≫   〈⌒} } : : : : i|
           {   、    ////     ノ ノ,/: : : : : i|
             ヽ               ∠'´ イ : : : : : :i|
                 >、  ー(       イ爪 : : :i: : : : : : 从
              /イ: `ヽ     .  ´ |' |: }: : :|: : |: : i: {  ヽ
               |: i: : : >一 ¨´     レ〉: i: : :| : 从/レ'
               |从: /  \    / {从乂}: / ヽ
              /{    `7^|^}   八ヽ、ヽ/
      r―ヘ一' ¨´{       ,/  | ヽ    )`¨ ーヘ⌒ヽ
      / `}  ヽ  八     /   }  \ ,/     }  }、


今、学園都市の頂点に座す、一人の少女は、その能力とは別次元の武器を獲得しようとしていた。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 13:36:07.41 ID:Zih9s2Hjo
キター
231 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:38:17.35 ID:jxp6Yvtso

すなわち――女の武器。

その新たな兵器は標的を駆逐せんと、確実に効果を発揮していた。

上条「(………………………え?)」

どうせ、また電撃が飛んで来るんだろうな〜等と、これまでの経験から上条は、それを予測――
いや、期待していたと言ったほうがいいかも知れない。

そして、自分の右手で電撃を打ち消して、『不幸だぁぁ!!』と叫びながら、相手をこちらのペースに巻き込んで、適当なタイミングで逃走する。
作戦というよりも対処法として、彼の中にあったそのプランは容易く瓦解する。

上条「(ビリビリって言っただけで……なんでこんな……)」

いつもの雷光と共に表現される怒りでもない。
悲しみとは違う、不満を訴えてくる表情。

――だが、どこか愛らしさを感じさせる抗議の表情。

上条「(今、俺――ちょっと可愛い、とか思っちまった……!?)」///

自分が彼女を『ビリビリ中学生』と呼び、それに怒った美琴が電撃を浴びせてくる。

暗黙の了解、とは少し違うが、上条当麻と御坂美琴が出会った時に発生する『お約束』が崩されたことに上条は動揺する。

動揺の中で上条が選んだ選択肢は、彼女の期待するそれであった。

上条「え、あの……ビr…………えっと、み、御坂?」アセアセ

美琴「……何よ」プイッ

〜とある電撃姫の心象風景〜


                   .: :.:.:.:.:∧∨ : : : :/: : : :/.: .: ,:. : : :l: : :.|`ヽ: : : : : :.ハ
                       /∧ .:.:.:..∧∨.: :./ : : :,イ : : /: : : : l.: : :|  V : : : : : l
                 ,'/ /.:.: /.:. :.V: : イ: : : :/ !: :./!: : ::/リ: /!:l   }: :i.: : : :.|
  ┏┓  ┏━━┓      i l /:.:.:/: ∧:. :. :.∧: : / |: / |: : / ,' / jノ _, j: :l.: : : :.|      ┏┓┏┓
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  ┃┃      ┃┃    _ノ: /⌒ヽ: : `「:人  '""         '       八: :|`ヽ.      ┏┓┏┓
  ┗┛      ┗┛   `¨7⌒ヽ、  \:l: : : ヽ      ,_ -=r     厶イ.:l/  ',      ┗┛┗┛
                 / 、   \   ヽ∧: :}\     (:::::: ノ   , イ l:| V   {
               {      ハ   jノ  >    ̄´ . < / jノ      ¨7



美琴「(こ、こんな簡単に御坂って……!)」

御坂美琴は負けず嫌いな少女だ。
それは当人や彼女の後輩達もよく知っている所ではあるが、それでも彼女にとって、こういう『戦い』は初めてである。

真の勝利を収める為に必要だと言われても、あの様な表情を『異性』に見せるなど、完全に未体験の領域なのだ。

だが、彼女は知ってしまった。
それがどれほど、自分の求めていることを獲得するのを容易にするのかを。
232 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:42:24.75 ID:jxp6Yvtso

上条「べ、別に上条さんは御坂さんの名前を覚えてない訳じゃないんですのことよ?」アワアワ

美琴「だって、いつもビリビリって…………そんなに私の名前を言いたくないの?」

                /: : :/ : : : / : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
             : : : / : : : / : : /: : : :.:/: : : : : : : : : :/: : : : : :} : : : : : : : :ヽ
            /: : :/\ : / : : /: : : :.:/ : : : : : :ノ:.: : : : : : : : : : : :.i |_: : : :::.
             ,′ : |\ ∨ : : :i : : : :/: : : : : : / : : /: : : : : : ,′: :i│ Y: :.iハ
              : : : : j: : ∨ : : : : : : : :i.: : : : : :/ : : / : : :/: : / : : : : :|  }: :.::::::|
           i: : : :,′: :|: : : : :| : : : :|:-―: :/:-: :/: :_:_/ : :/: : : :/ :リ  |: :.::::::|
            j : : 八| : :|:i : : : | : : :/| : //_:// :// : :/: :.:∠|_:/   |: :.::::::|
           /: :./: : | : :|:i : : : | : | l:斗≠弍=≧k' /: /: /  |/`ヽ 八 :|::::|
            ,′://∧: :|:i : : : | : l:ハ{{   んi:::}下`////  z=ェx  /:::/::j :リ
            ,′:/: : :{ハ.:|:i : : : | : |   、,ノィ:ソ        んi::jハY/:::/:::/:/
.          /: : : : : : :ヽ ヘ|从: : :|i:│    ¨¨^        _)ィン リ/:::/:::/i/
        /: : /i: : ::.:.:::::\  \八:|  ',:;;               ¨^  ':::/::/
          /// :|:/ : :.:.:.::::::::::ー:、\  ,;;"          〉 ,;;" ムイ::/
        /  厶イ..: :.:::i ::::::::::::::::ト                     / j/
            /|: :i: :::|::::::::::::i:|::| 丶           __
              |: :i: :::|::::::::::::i:|:」.   \       ´  `    イ|
             i: :i| : |::::::::厂゙く|      丶、       ...:::i::|:::::i:|
           ∨{ 八:::::」.    ̄`丶、   ` ‐r::<::::/::i::|:::::i:|
            V\::∨       `丶、  /  ∨ /|:从::i:|
           _  -一`ヘ             >〈/ヘ ∨ jハ::i八
     __r―<        \        /  ⌒!ハ {\ l/  \
   /__  \       \.     /    |   ∨\
   {/二二二\ \       \__/     :{  \_〉  \
  /      \  \ \        \ \    ー=}  │|  ハ\
. /      彡ヘ.  \ ヽ   \    \ \  _〈_ノ|│   } }\


作戦にはなかったが、彼女はレベル5特有の学習力と卓越した応用力で、さらなる追撃を行う。

猛烈な恥ずかしさと、それによって得られた成果を天秤に掛けて、彼女は『味を占めた』のだ。
男を手玉に取るという、あまり教育的にはよろしくない、大人の階段への第一歩を……少女は、この時、確かに踏み出した。

上条「(な、なんて顔しやがりますか、この娘はぁーーー!?)」

美琴の追撃は色んな意味で直撃した。

今まで、ずっと『ビリビリ中学生』呼ばわりしていた自分が、とんでもない大罪人になったかのような罪悪感が上条を襲う。
そもそも、女性にこのような表情を『させた』という経験(本人の意識する範囲内で)のない上条にしてみれば、現在の状況は軽くパニックに近い。

上条「そ、そんなことはないから! もうビリビリって言わないから! ちゃんと御坂って呼ぶから! な、な?」

美琴「……本当?」

上条「あ、ああ…………そ、それにしても御坂、俺に何か用事があったんじゃないのか?」

どうにかして会話の主導権を握らないと、何か取り返しが付かない事になりそうだった。

美琴「――私と戦ってほしいの」

上条「…………え」

その一言に崩されたままだった上条のペースは、ようやく通常運転に戻ろうとする。

なんだ、いつも通りじゃないか、と。

だが、その幻想は殺される。
233 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:47:54.85 ID:jxp6Yvtso

美琴「お願い、私と戦って――?」

いつもの『相手をしろ』だの『逃げるな』だの『戦いなさい』といった、高圧的な要素を全て排した言葉。

上条「なっ……!?」

もしも、美琴の言葉に一片でも命令するような『傲慢さ』があれば、いつものように戻れた筈だった。

――必要以上に戦いたがらない方がいい、普通に頼めば案外、簡単に奴は引き受けるじゃん?

だが、美琴についた『軍師』は、そんな上条の甘い期待通りにさせたりはしない。

元々、上条当麻は優しい――いや、優しすぎる少年だ。

それは普段の行動からも分かる事だし、礼には礼で応えるぐらいの器量もちゃんと持ち合わせている。
だからこそ、それなりの態度で接しさえすれば、彼は彼であるが故にそれに応えるしかない。
しかも、ただただ真っ直ぐに、何よりも素直に純真にぶつけられた、どこまでも純粋な『お願い』を誰が拒めるのか。

上条「どうしても……なのか?」

美琴「うん……私は、私が私である為にアンタと戦いたい……そして、確かめたいの」

そこまでは言葉にし、残りの気持ちは心のなかに仕舞い込む。


――そして、何よりも、アンタに私を認めさせる……私というを存在を……『御坂美琴』を『上条当麻』に刻み付ける。


上条「分かった――そこまで言うなら、今日……俺は御坂から逃げない――それが望みだって言うんなら」

          \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          >.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
       ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
         /___::∧ (|/   〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j/!::::::::::\ ̄
           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
            ノイ::/i:::ハ         {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\


上条「――相手になってやる」

――この時、この瞬間。

――御坂美琴の『本気』の言葉によって、上条当麻もまた彼女に挑戦に対して『本気』になったのだった。






234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 13:48:51.95 ID:X9Sr9cBlo
やべえニヤニヤするこれ
235 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 13:51:07.66 ID:jxp6Yvtso
短いけど投下終了。
……自分で書いといてなんだけど、この御坂さん凶悪すぎないか?女子力的な意味で。

どうすんだ、上条。つーか先の展開をどうするんだ、俺。
とりあえず、夜にも少し投下する予定です。
236 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/27(木) 14:05:07.42 ID:jxp6Yvtso
スマン、ミスった。

×私というを存在を〜
○私という存在を〜です。

あと、かなり前だからバレてないと思うけど、
黒子初登場時に

黒いリボンで髪をツインテールにした〜
って書くつもりが、何をどう間違ったのか、黒髪ツインテールって書いてしまっていた……マジで恥ずかしい。///

ご安心ください、このSSでも黒子さんはちゃんと茶髪で変態です。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 15:40:20.84 ID:Opy9j04SO
美琴さんLEVEL上げすぎじゃないすかね
大好物です
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 16:57:11.98 ID:lm38l9PQo
どこでオーバーフローして馬脚を現すかなー
初回から高得点だと今後弄りにくそうだww
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 17:18:37.28 ID:IxOhb20Jo
でもすげぇな、今まで美琴のパンチ(アプローチ)は全弾上条さんにパリングされてたのが、かるい助言だけでボディブローが上条さんの鳩尾に深々と突き刺さったぜww
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 17:33:02.97 ID:5Mo+4n2a0
押してダメなら引いてみろって言葉の実践か…
しかも今までの押しの一手が布石になって、効果が膨れ上がってるww
上条さんのフラグ体質のせいでヤンデレールガンにならないこと祈ろう…
241 :とある複製の妹達支援 :2011/01/27(木) 22:56:21.60 ID:jxp6Yvtso
さてさてん、夜の分を書き進めつつも投下していきますよ〜
242 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 22:57:34.32 ID:jxp6Yvtso
学園都市・第七学区


〜とある河川敷〜


上条が戦いの場に選んだのは、モノレールが走る橋に程近い河原だった。
辺りはすっかり夕闇に包まれ、川は鈍色の光をたたえている。

上条「――ここなら、周りに迷惑かかんねえだろ……いつでもいいぜ? 掛かって来な」

目の前にいるのは、自分よりも強いかもしれない男。
そして、その男の視線は己に釘付けになっている。
ただそれだけで、背筋を電流が走るような愉悦に襲われ、頬が緩みそうになる。

美琴「(でも、私が手に入れたいのは……欲しいのは『この程度』じゃない)」

目標を改めて見据え、表情を引き締める。

――上条の右手には『幻想殺し(イマジンブレイカー)』なんていう、異能の力であれば神様の奇蹟だって打ち消せるらしい力が備わっている。

彼の能力……その得体の知れなさ、未知への恐怖は既に無い。

あるのは期待。

自分の力はどこまで彼に通用するのか?

彼の力は、そんな自分の幻想をどこまで殺してくれるのか?

――さぁ、確かめよう。

ここからは答え合わせの時間だ。

まずは第一問。

この程度で点数は落として欲しくはない。

美琴「言われなくても――」バチンッ

帯びるは白光。

美琴「私はこの時を――ずっと、待ってたんだから――っ!」

放つのは雷撃の槍。

それに対して上条は、その右手を正面に掲げ、まるで避雷針のように――
243 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 23:17:12.65 ID:jxp6Yvtso

バキン!!

何度、この音を聴いただろうか?

雷撃を打ち消されるたびに響く音。どこか爽快感があるのが、また憎たらしい。
そんなガラスが砕けるような甲高い音と共に、雷撃の槍は、容易く打ち砕かれる。

雷撃の余波で土煙が舞い上がる。
その向こう側で恐らく、上条は『偶然、防ぐことが出来た』と考え、冷や汗を流しているのだろう。

風が吹き、土煙が流され、再び上条の姿が顕になる。

美琴「(やっぱり無傷か……!)」

どこか安心する反面で、『幻想殺し』の存在を改めて確認する。

だが、彼の右手の『性質』を知った美琴は、上条当麻の本当の『脅威』を理解する。

美琴「(アイツ、右手を突出させて、避雷針の代わりにしてた――!)」

超能力の産物とはいえ、その本質が純粋な高圧電流であることは変わらない。
ならば、右手を突出させておけば、性質上、雷撃がそこに引き寄せられるのは当然だ。

勿論、ただ必死に右手で防いでいるだけなのかもしれないし、
仮に狙ったのだとしても、彼自身、それを意識している訳ではないだろう。

――だが、だからこそ恐ろしい。

光速で飛来する雷撃相手に『理想的』な防御方法を考えずに選択した、それだけで充分に驚異的なのだから。

美琴「やっぱり電撃は効かない、か……なら」パリッ

二問目は応用問題。

学園都市では比較的ポピュラーな電撃使い(エレクトロマスター)の中で、なぜ自分が頂点に立っているのか。
基礎がしっかりしてるからこそ、応用力で実力が問われるのだ。

……操るのは、ここの磁場。

――ザッ、ザザザッ!

手元に集めるのは、大地に……地面に……土に含まれている砂鉄!

上条「……は? 何?」

目の前で舞い上がった漆黒の粒子。
それらは手元に集まって、高速で振動しながらも、棒状を維持し続ける。

さながら、砂鉄で作った高振動ブレードって所だ。

上条「ちょっ……御坂サン……? 得物使うのは、ズルいんじゃないかなーって……?」アワワ

そんな慌てた声も、自分が出させているのだと思うと格別だ。
とんでもない問題で生徒の度肝を抜くってのは、なかなかどうして快感らしい。

美琴「能力で作ったものだもん」ブンッ

砂鉄と一緒に舞い上げられたのか、宙を踊っていた木の葉が一枚ひらりと降りてくる。

木の葉「♪」

引き寄せられるように砂鉄の剣の上に舞い降り、

木/葉「(結局、これが私の運命なわけよ)」スパッ

小さな音を立てて両断される。
244 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 23:25:30.90 ID:jxp6Yvtso

上条「――げっ」

美琴「……砂鉄が振動して、チェーンソーみたいになってるから――」

砂鉄の剣を両手で握るように構え、駆け出す。

美琴「――触れると、ちょーっと血が出たりするかもねっ!」ブンッ

一気に距離を詰めて、大振りで横に一閃。

上条「って、どう考えてもそれじゃ済まないと思うんですけどっ!?」バッ

だが、心得のない素人剣術で捉えられる程、上条の逃げ足は遅くない。
しかし、捉える必要もない。

美琴「安心しなさいっ! 当てる気はないから!」ブンッ

――何故なら、この攻撃の目的は、上条の体力を削ぐ事にある。

上条「なら、使うなよっ!?」バッ

転げまわるように回避しながらも、抗議は止めようとしない上条。

美琴「――でも、全力で逃げないと、『うっかり』当たっちゃうかもしれないわよ!?」ブンッ

――単純に勝つだけなら、右手が使えないような状況に追い込んでしまえばいい。

例えば、右手で処理しきれない、圧倒的な物量で攻める。

例えば、右手で防御する間も与えない程の高速で攻撃する。

例えば、右手で防げない角度、死角を狙う。

例えば、右手を最初に切り飛ばしてしまう。

だが、そんな方法で勝って何の意味があるのか。

――そうじゃない。私が欲しいのは単純な勝敗ではない。
245 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 23:37:10.24 ID:jxp6Yvtso
美琴「ちょこまか逃げ回ったって……」

さて、三問目。

二問目と同じ式を使っていても、手法を変えるだけで、まるで別の問題に見えるものだ。

砂鉄の剣を振り上げて、その形状を変化させる。
思い描くイメージは剣から鞭へ。
前に読んだ剣客漫画に出てくるような、蛇のような刃。

美琴「コイツにはこんな事もできるんだからあっ!」

蛇のように蛇行しながら、弧を描く砂鉄の鞭。
来るのが分かっていても、見切れるような攻撃ではない。

上条「剣が伸び――!?」

狙うのはギリギリ回避、或いは防御の可能な角度。

もしも、回避しきれなかったり、防げそうになかったら、能力を解除するつもりだった。

だが、上条は体を捻って、砂鉄が正面に来るように体勢を変える。

――まるで、死角から迫る砂鉄の描く軌跡が見えているかのように。

美琴「(鞭の軌道が読まれてるっ!?)」

そのまま上条は右手を伸ばし、その掌で砂鉄を迎撃する。
砂鉄の鞭は分解されたように空中に飛散し、そのまま手元の砂鉄までもが一気に崩壊する。

美琴「(強制的に砂鉄に戻された……!)」

制御下を離れてしまった砂鉄は風に乗り煙のように流されてしまう。

上条「い、今のはヤバかった……!」

美琴「(――よく言うわよ!?)」

――完全に見切られてた。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 23:39:05.90 ID:07me7WYs0
落とし所ってとっても大事
247 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 23:44:43.94 ID:jxp6Yvtso
殺しにいってないだけで、手を抜いたりはしていない。
正真正銘、全力で放った攻撃なのだ。

そう容易く見切れるような代物ではない。

――ならば、何故見切られたのか?

美琴「(防がれるのは予想通り……でも、『磁力線』から攻撃を予測されるなんて――!?)」

上条の目にも見えている攻撃のヒントと言ったら、これはもう砂鉄によって視認可能になっている『磁力線』の流れしかない。
自分のような高位の電撃使いには、磁力線の視認する能力もある。
だが今なら、美琴の操る砂鉄によって、その『大まかな流れ』程度なら無能力者でも視認出来るはずだ。

――ここまで見事に対処されると逆に気持ちがいいくらいだった。

美琴「(コイツの凄さは、右手の能力じゃない……それを最大限に活かす反射神経や判断力!!)」

もし、自分に彼のような右手があって、それを同じように使えるかと言われれば、正直言って不可能だ。

上条「おい、御坂……そろそろいいんじゃねーか?」

既に美琴は、目の前の少年を認めつつあった。――自分よりも強い存在として。

美琴「そうね……次で終わりにするわよ――」バチン

さて、最終問題は、先生の全力が生徒にどれだけ通用するのか、だ。

布石は既に打たれている。操るのは、空中に撒き散らされた砂鉄。

風が唸り、周囲を舞っていた砂鉄が、中空にて黒い渦を作る。

上条「なっ……風に乗った砂鉄までっ……!」

砂鉄の渦から、一筋の奔流が、上条を目指して突撃する。

上条「こんな事、何度やったって同じ結果じゃねえかっ!」バキンッ

どれほどの量の砂鉄であろうと、右手の一振りで砂塵へと還される。

――だが、砂鉄の奔流で上条の視界は塞がれた。
248 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/27(木) 23:47:28.85 ID:jxp6Yvtso
死角から急接近し、振り抜かれた『右手』を掴む。

美琴「――捕まえたわよ、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』」

                                            >::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ
                                       \::::::::::/l∠、:::::::::::::::::::::::::彡
                                            ≧:::::::l/'iナ冫|,リ::::::::::::::::::::::>
                                       >冫      l刈::::::::::::::::::ミ
                                        ゞヽ --、    lル'`:::::::<
                                          {ヽニィ   /.|:::::::::::ミ
                                          l __  イ  |勿ナ入
                                    , 辷─--<  ̄√|  /_
          /´ ̄  丶、                  /   ヽ   ー' ‐-― | /\
         / ///匁//リ |、                /     ヽ..   \  卜卜、 ̄
        / l刈/戊ハ lル'/.l              , -'" ̄    .|     \ | } /\
       /  弋    、カ.{/|              |         |       W/   〉
       ,//l〃 〉  廴> /              /        /∠-‐''"     ¥    |/
.       / レ´ ̄\ヽ-ツ′              X\       //           | | <\|.}
       //  ー‐''7                    , ' .\\   /|\         | |   Y |
.      / | 、      ',              , '   , '\\/ l   \       l l | / |
      |. \|  X ̄丶             ,.'   ../      ',      /  // l |  |
      /|   ヽ∠/ヽ  丶          /    , '       .',    /   { {  弋/、
.    /  〉    //ヽ   ヽ        /    , '        丶   '     | |.   |   \
   / /   /  |  ヽ   ヽ      , '    /          | /      _,..、-''"   ',    \
.  / 乂  -‐-、_ . l    ヽ  ヽ   , '   /          /         | |    ',\   \
  / 〈           \   ヽ 冫─ヤ. /            〉′       ̄"''‐---厶. \   \
 込》/二二二二ミ丶  〉   冫U\  /             l             | |    ヽ  \    ' ,
  /     |    l \|    心.  ',/                 |               ヾ     ヽ {    ',
 /        l.    | i      l////                  l             //ヾ     ヽ l .i  /
/.       l   / \                          l               l l:::::::ヾ.       ',ゝi__/
.       l        ヽ                    l            l l:::::::::::ヾ     〉



上条「御坂、お前、それをどこで――!?」

少女が知るはずのない、自らの右手に宿った能力の名前。

だが、何よりも不思議なのは……その能力を知っているのなら、何故『右手』を握ったのか――?

直接、体に電流を流すつもりであるのなら、『左手』を握れば、それで勝敗は決するというのに――?

美琴「どこだっていいでしょ――今から、私は全力でアンタに……この『右手』に電流を流し込む」

上条「いや、俺の右手は……」

美琴「分かってる!」

上条「御坂……?」

美琴「それでも逃げるわけにはいかないのよ――さぁ、覚悟しなさいっ!!」




――そして、静寂だけが場を支配した。
249 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/28(金) 00:10:04.31 ID:9GAsCHwNo

美琴「」

上条「み、御坂……?」

上条の右手に触れた途端、能力が使えなくなった。
当然ながら、触れた手から電流は流れていかない。

美琴「――あーあ、やっぱり勝てないのか……」

少女は、その結果を恥じるでもなく、ただ残念そうに笑う。

美琴「ズルイわよね……何なのよ、このデタラメな右手。これでも私は超能力者(レベル5)なのよ?」

上条「おい、御坂……」

美琴「でも、こうも簡単に完封されると逆に爽快よねー……アンタ、誇っていいのよ? 超能力者の私を……」

上条「御坂!!!!」

一方的に捲し立てる美琴に不安を覚えた上条は、思わず大声で叫んでいた。

美琴「な、何よ……急に大声出したりして……ビックリするじゃない」

上条「なぁ、今日のお前……なんか変だぞ? 昼間に会った後……何かあったのか?」

美琴「別に悪いことなんてないわよ――ちょっとした心境の変化があっただけ」

上条のそんな心配も逆に嬉しく感じてしまう。
『今日のお前』そんな言葉が出てくるくらいには、御坂美琴という存在は上条当麻の中に根づいている訳だ。

上条「心境の変化……?」

美琴「今、私にはどうしても欲しいモノがあるの……それを自覚したってこと」

上条「欲しいモノ?」

美琴「たぶん、私はずっと前から『それ』を求めていたんだと思う。
    でも、簡単に手に入るようなシロモノじゃないから、いざ目の前に『それ』が現れて、
    自分でもどうしたらいいか分からなかった――」

少女の独白を上条は黙って聞いていた。
自分は、これを聞かなければいけない、そんな気がして。
250 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/28(金) 00:12:22.84 ID:9GAsCHwNo

美琴「どうしたらいいか分からないから、やたら電撃を浴びせちゃったりして……
    私を認めさせたくて、何度も勝負を挑んだりしてさ……ホント、自分でも迷惑だなって思う」

――さすがの上条でも、ここまで言われれば彼女が『誰』について語っているのかは分かる。

まぁ、少女が抱いている感情の方向性や、その真意に関しては、まるっきり理解出来ていないのだが。

上条「…………いや、そんなことは」

ない、とは言い切れない。
毎度毎度、直撃すれば死にそうな強さの電撃を浴びせさせられ、逃げようとしても、しつこく追いかけてくる。
その所為で特売に遅れることも多々あったし、追いかけられた日はヘトヘトだった。

美琴「いいのよ、自分でそう思うんだから――でもさ、その度に思い知らされるの」

雷撃が防がれ、平然としている少年の姿を見る度に、また別の日に変わらぬやりとりを交わす度に。

美琴「私がどれだけ、強くなっても……仮に逆に弱くなったとしても、『それ』と私との力関係は絶対に変わらないのよね」

――それが、どれだけ稀有で……ありがたい存在なのか、アンタに分かる?

握られたままだった右手に力と熱がこもる。

上条「…………お前」

美琴「アンタの右手にかかれば――私は、ただの女子中学生になっちゃうのよね。
    でも、アンタはきっと……その右手が無くても、私をただの『御坂美琴』として見てくれる」

それは右手があるからではなく、彼が上条当麻だから。

そして、少年の右手を離した少女は、ゆっくりと目の前の少年を指さして、決定的な一言を告げる。




――私は、アンタが欲しい。




上条「」

この瞬間、純朴な男子高校生である上条当麻の思考は完全にフリーズした。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:14:43.43 ID:2QzbPGYNo
うっひょおおおおおおおおおおおおおおおおお
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:18:09.44 ID:KRzE21fAO
エンダぁぁぁぁぁぁぁ
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:25:48.26 ID:hb6JHRAw0
イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアウィルオオオオオルウェイズラアアブユウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアア
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 00:36:08.11 ID:dTilReuq0
あなたが欲しい あなたが欲しい
もっと奪って 心を
あなたが欲しい あなたが欲しい
愛が すべてが欲しい
255 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/28(金) 01:00:29.14 ID:jhVn8uNHo

女子中学生が言い放った、最大級の爆弾に上条の脳は思考活動を放棄しかけた。

美琴「私はアンタと――――友達になりたい!」

その言葉に辛うじて意識が戻る。

上条「と、友達!?」ハッ

もしも、その言葉があと少しでも遅れていたら、上条の理性は塵芥になっていただろう。

美琴「な、何よ! 嫌なの!?」///

上条「えっと……御坂さんの仰る友達と言うのは……致死クラスの電撃を浴びせても平気な相手という意味でしょうか?」

美琴「ち、違うわよ!? 電撃浴びせてたのは悪かったって言ってるでしょ!?」ウガー!

上条「じゃあ、普通に……友達になりたいのか? 俺と?」

美琴「」コクコク///

上条「(つ、つまりどういう事なんだ……?)」

まだ先程の爆弾発言で低下してしまった思考力が回復していない。

とりあえず、この一ヶ月の間、散々ビリビリされてきたが彼女に嫌われている訳ではない、という事は理解できた。
嫌われていたら『友達になりたい』等と言われたりしないだろう。

――それは、なんというか、凄く……ホッとした。

上条「(つーか、言い方を考えろよっ!? なんだよ、アンタが欲しいって!?)」

あの台詞から連想される関係は、友達だとか、そんなレベルじゃない。
思わず、刹那の間に色々と想像してしまった気がするが、慌てて脳内から追い出す。

間を置いて、ようやく頭が回転し始める。それも冷静さを取り戻すべく、高速で。

そんな頭の中で、今のは意図的に狙った台詞ではないのだろう、と上条は推理する。
それまでの『欲しいモノ』の会話の流れから、『上条と友達になりたい』という事を端的に表現した、というのが妥当だろうか。

――だとしても、本当に勘弁して欲しい。勘違いしてしまいそうになるではないか。

256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 01:07:37.86 ID:2QzbPGYNo
ヤバイな、期待させて落とすとか逆に上条さん参ってしまうパターンだwwww
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 01:08:33.59 ID:hb6JHRAw0
やだ…こんなの嘘よ…
あの上条さんが、フラグ『立てられてる』なんて…///
258 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/28(金) 01:08:56.30 ID:jhVn8uNHo
ひどく中途半端ですが、回線が不安定になってきたので、ここらで一度休止したいと思います。
250で区切ろうかとも思ったのですが、それだと再開がオチからになって鬼畜扱いされかねないので……
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 08:02:57.39 ID:Q2xLBn7DO
お疲れサマソ



634号「俺より強い奴に会いに行く」

な展開はまだですか
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 11:43:35.53 ID:XxIsRhiT0
>>259
どこのストリートファイターだww
だが、そうなると何人かいるな…
813号「Don't stop me !」
8669号「その視界、紅く染めて差し上げよう。」
69号「限界まで…飛ばすぜ!」
ひとり作品違うなww
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 11:51:03.17 ID:VWYlXMEa0
忘れてた。>>1
何気にるろ剣ネタとか懐かしいww

778号「コノメニウー」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/28(金) 19:19:58.35 ID:WVG4iEAM0
片隅で忘れられた木/葉さんカワイソス
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 00:26:50.79 ID:yAOmyxyy0
10031以前の妹たちが幸せとか胸熱で俺得すぐる
しかし3桁番台とはいえもう侵入組もいるのか…
学園都市の人口に対する遺伝子比率が、アクメツも含めて面白いことになるwww
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 00:31:00.08 ID:e4ab6Boio
今こうして平和な日常を享受している美琴がこの後実験の事を知って自棄になる事を考えると複雑だな
この物語だとその辺がどう変わっていくのかが楽しみだ・・・
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 11:02:22.12 ID:zky3vgsTo
16号「ヘルズフラッシュ!」
266 :とある複製の妹達支援 :2011/01/29(土) 11:47:30.80 ID:588OCXfAo
遅くなりました、佐ー天!
ちまちま投下していきますよ〜
投下中でもレスは大歓迎です。どうせ合間あくので。
来週ついに罰ゲームが映像化のようで楽しみです。
たくみなむちを読みながら頑張って書きます。

>>260
69号「アンタの翼は何の為にある・・・?」

垣根「さぁな、似合わないって自覚ならある」

こうか?

>>261
マンガ大好き美琴センセーなので

>>262
木の葉さんは、ある人の身代わりになったんや……

>>265
腕の着脱はちょっと……
267 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 11:50:54.93 ID:588OCXfAo
上条「(じょ、状況を整理しよう……なんで、御坂は『俺』を選んだんだ?)」

友達、というカテゴリーとは言え、それを直接相手に伝えるというのは、かなり異例だろう。
でも、彼女は面と向かって、上条に対して『友達になりたい』と宣言した訳だ、それはどれほどの覚悟なのか。

既に回答は彼女の言葉の中に示されているはずだ、後はそれをちゃんと拾い上げてやればいい。

上条「えっと……御坂。――俺は友達なんて、なろうと思ってなるもんじゃない、と思うんだよ」

日々の何気ない交流の中で何時の間にか、そういう存在になる相手。
或いは、短い時間の関わりでも、そうなっている事もあるだろう。

美琴「…………うん」

上条「だから、お前に『友達になりたい』って言われて、正直、どうしたらいいのか分からないんだ」

上条の言葉に美琴の顔が曇っていく。

美琴「……………………そう」








上条「――――だって、もう友達じゃないのか?」
268 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 11:52:51.12 ID:588OCXfAo
美琴「…………え?」

完全な予想の外から飛んできた言葉に美琴は面食らった。
対する上条は、困ったような不思議そうな顔をしている。

上条「俺と御坂って、友達というか……既にケンカ友達みたいなもんだろ? 改めて、友達になろうなんて……変じゃないか?」

美琴「な、何言ってるのよ!? 私は今までアンタに散々迷惑かけて! 一方的にケンカ売って! でも、アンタは私に指一本触れないで……それなのに」

美琴が一方的に攻撃し、上条は反撃などしないで守りに徹する。
ケンカ友達と言っていいのかすら分からないほどの一方的な関係。

これのどこか対等な関係なのだろうか。

上条「いや、確かに迷惑だと思ったことがない、とは言えないけど…………別に嫌だと思ったことはないんだよ」

美琴「……な、何でよ」

上条「お前が『全力』だったから」

彼女の度々の挑戦が、悪意から来るものではないのは理解していた。

もしかしたら、もの凄く嫌われているのでは? と考えた事もあったが――

上条「御坂の電撃は、いつも『遠慮』が無かったから」

仮に嫌われていても、この少女は隠し事や打算のない、損得や世間体も無視して、ただ純粋に感情でぶつかってきた。

――その単純明快さが、どこか気持ちよかったのだと、上条は語る。

今まで、その右手を理由に多くの理不尽を見て、味わってきた彼だからこそ、
掛け値なしで付き合える他人が、どれほど大事なのか――その価値を知っている。

上条「もしも、御坂が俺と同じように思ってくれていて……だからこそ、俺と友達になりたいって、言ってくれるなら」スッ

微笑んで、『左手』を差し出す上条。

彼女への信頼を示すように。

この幻想のように優しい現実が、自らの右手で殺されないように。


上条「――俺達はもう友達だ、御坂」
269 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 11:56:14.58 ID:588OCXfAo

ふいに、美琴の目頭が熱くなった。
駄目だ、ここで泣くのは――さすがに情けなさすぎる。

美琴「……アンタ、本当に馬鹿よね。私みたいのを友達にして、後悔しても知らないんだから」

潤む瞳と、赤く染まった顔を逸らしながら、ゆっくりと上条の左手を取る。

憎まれ口を叩きながらも、しっかりと自分の手を握る美琴。
素直じゃない小動物を見ているような、そんな愛おしさが……上条の中に込み上げて来る。

上条「後悔なんかしねーよ。それに、こんなに可愛い友達なら、上条さんは大歓迎ですよ?」ナデナデ

気付いた時、上条は自然に美琴の頭を撫でていた。

美琴「………………ふ」

上条「ふ?」

もしも、差し出した手が右手だったなら。

もしも、撫でていた右手を頭から離さずにいれば。

――こんな事にはならなかったのに、と後に上条は安達に語った。



美琴「ふにゃ〜〜〜」///



バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!

色々なものが限界に達してしまった、『ビリビリ中学生』から危険なスパーク音が炸裂する。

そして、夜の河原を朝が来たかと錯覚するほどの雷光が包む。



――この日、上条当麻は御坂美琴に初めて『痺れた』のであった。


270 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 12:11:49.62 ID:588OCXfAo
〜数十分後〜


覚醒した上条が、最初に目にしたのは、申し訳なさそうな顔をしている御坂美琴だった。

どうやら、電撃で痺れて気絶していたらしい。
だが、どうやら体に不調はないようだ。……むしろ、調子がいいくらいだった。
見た目こそ派手だったが、威力自体はそんなに無かった、という事だろうか。

上条「(って、アレ? この体勢は……)」

頭や頬に感じる柔らかい感触。そして、人の温もり。

――これは、いわゆる膝枕という奴だろうか?



           /: : : : |: : : : : : |彡: : : : : 、: :ヽ
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           |: ∧: :|: .:>: . _  < /´|.:ノ レ'
           |/  }:i|、.:∧: i´-、,‐‐´   i' ヽ、
           '   レ'∨ 〉' | |O|ヽ   ./    ̄⌒,‐‐、
                    /|  / .l l \_/    //    ',
                 ,-‐' 八./ 〈 〈 //      ,' ,'     ',
            r¨i    |i  / ///     ヽ i i    ,   ',
             ∧ |    ヾ、' ///    _    | |   八  |
           {  ∨/    ゛∨/   {兆 }  ヾ.|  ./    |!
           |  〉'          ヾ- ′  ∨ ./    ./∧
             /|  ,'        ,i            〉'    '   ',
           / | {   ,i   /::|   /i       {/        ',
          ' i、  {:i /::|   /:::::レ'::::ノ       |   ,  ´ ̄|`フ
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上条「ちょっ、御坂――!?」///

美琴「起きちゃ、だめ」ギュウ

慌てて起き上がろうとするが、美琴に強引に抑えつけられてしまう。
271 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 12:15:06.64 ID:588OCXfAo

上条「あのー、御坂さん?」オロオロ

美琴「――ゴメン、何も言わないで」

上条「いや、でもこの状態は」

美琴「今、情けないやら恥ずかしいやらで、死にそうなの。……お願いだから、ね?」

お願いされてしまったが、どうしよう? と上条は頭の裏に感じる、女性特有の柔らかさを意識の外に追い出しながら考える。
というか、この体勢は自分の方が、嬉しいやら恥ずかしいやらで大変なのだが。

――いかん、追い出せてない。

上条「あーその、何ていうか……あの電撃は、わざとじゃないんだろ?」

美琴「わざとじゃないなら許されるってもんでもないでしょ……?」

上条「でも、俺は許すぞ?」

美琴「…………何で、そんなに優しいのよ」

上条「友達なんだろ? このぐらいの事でいちいち腹立てたりしねーよ」

美琴「――その友達にうっかり電撃浴びせた私はどうすればいいのよ」

今までは故意に浴びせてきたわけだが、それとこれとは話が別なのだ。
しかも、幻想殺しに防がれずに直撃したのは今回が初めてな訳で。

上条「俺が急に御坂の頭撫でたりしたから、ビックリしちまったんだろ? なら、悪いのは俺じゃねーか」

美琴「」フルフル

上条「でも」

――確かに、それが原因であるのは事実だが、それを責める気は毛頭なかった。

美琴「だって、嫌じゃ……なかったし……」///

上条「…………そ、そうか」///

妙な沈黙が二人の間に流れる。
272 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 12:21:21.81 ID:588OCXfAo
一方その頃。


上条と美琴のいる河原から、少し離れたビルの屋上で一人の男が吠えていた。

迫間「何をしてんだよ!? そこだ! そこで、もう一押しじゃん!」ムムム

集音器から聴こえてくる音声と、遠視スコープから見える二人の様子に一喜一憂している、迫間生がそこにいた。

そして、その傍らには、同じ顔をした少女が三人。

00913号「何が悲しくて、こんなラブコメみたいな場面を監視しなければいけないのでしょう、とミサカは自らの任務を嘆きます」

00110号「今すぐにでも不純異性交遊の現行犯で、警備員に通報したい所です、とミサカはそれでも監視を続けます」

00777号「何やら、歴史的な場面に遭遇したような気がします、とミサカは自らの幸運に感謝します」

それぞれの感想を好き勝手に言いながらも、決して監視は止めようとしない『妹達』の三人。



――生まれ変わったばかりの彼女たちだが、色々と興味の尽きないお年頃なのであった。



さらに一方その頃。


そんな学園都市に潜伏して任務を遂行する『妹達』と感覚を共有していた、一部の学園都市外部の有志達によって、
『私達のお姉様(オリジナル)が、こんなに可愛いわけがない』という新たなスレが、MNW2内に立てられたのは、また別の話。
273 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 15:57:18.83 ID:588OCXfAo

自分達を見て、そんな物語が展開しているとは知る由もない二人。

上条「さ、さすがにもう平気だからさ……お、起きてもいいか?」///

美琴「えっ…………あ、うん」///

言いながら、立ち上がる上条を美琴は少し残念そうに見つめていたが、上条はそれには気付かない振りをした。

上条「うーん、気が付いたら完全に真夜中になっちまったな…………飯、どうしよう」ポリポリ

結局、特売で獲得した食材は、道中に起きた不幸で犠牲になってしまった。
新しく買いに行くにしても、スーパーはもう閉店しているし、コンビニで食材を揃えるというのは経済的によろしくない。

美琴「あ、あの!」

上条「ん?」

美琴「こ、これ!」バサッ

美琴が差し出したのは何やら重そうな袋。
……主婦なんかが、レジ袋代節約の為に持っているような買い物袋だ。

そこには、卵はもちろん、肉や野菜などの食材達が。
しかも、普段上条が購入している食材の2ランク以上は高い食材ばかりだ。

上条「み、御坂さん……こ、この食材の山は一体?」

美琴「えっと……お詫び?」

上条「なんで疑問形なんでせうか……?」

美琴「だって、アンタ困ってるみたいだし……? 必要なのかなーって」

上条「もしかして、わざわざ買ってきてくれたのか……?」

上条には、目の前の少女に後光が差しているように見えた。

美琴「ま、そんな感じ……かな」

冷静に考えれば、今まで上条に膝枕をしていた美琴に食材の調達など不可能なのだが、
見たこともないような高級食材に目が眩んでいる上条には、そこまで考えてる余裕はない。

美琴「そ、それでね……?」

上条「……ん?」

何やら、猛烈に嫌な予感がした。


美琴「――い、今から、アンタの家に行って、御飯作ってあげるからっ!」


上条「」チーン


この日、上条は二度目の思考停止を味わった。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 16:28:17.03 ID:xSV+5U8T0
そしてインクジェットプリンターさんとキャットファイトですね、わかります。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 16:31:05.31 ID:e4ab6Boio
時系列的にはまだインさんと出会ってない筈だからな
んで美琴のこの進展は羽によって吹き飛ばされるのだろうか
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 16:44:59.14 ID:F8ji1tglo
>>275
もしそうだったら、切なすぎて大好物な展開です。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 17:06:15.06 ID:z41SiJMAO
イイハナシダナー

しかしアクメツが空気になりつつある気がしないでもない乙
278 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/29(土) 17:55:20.12 ID:588OCXfAo
〜遡ること二十分前〜



美琴「うぅ……なんで、あの場面で能力を暴走させちゃうのよ……」

気絶した上条を介抱しながら、美琴は自らの失態を嘆いていた。

???「おーい」

河原の上の土手から、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

美琴「あ、アンタは!」

迫間「いやー、派手にやったなー? 遠くからでも、君だって分かったじゃん」

美琴「……ど、どうしてこんな所に……」

美琴の勘違いというよりも誤認を利用して迫間は話を進める。

迫間「ちょっと、上条に渡す物があるじゃん」

言いながら持っていた袋を美琴に渡す。

美琴「何よこれ……食材?」

迫間「どうせ上条は、特売の戦利品を無事に持って帰れる筈ない、って判ってたからな……目が覚めたら渡してやってくれ。
    この際、君からのプレゼントって事にしていいじゃんよ」

美琴「ど、どうして私が!?」

迫間「――男を落とすには胃袋じゃん!」

美琴「お、落とっ!?」///

言いたいことは理解出来る。
この食材を口実に何か作ってやれ、という意味だ。
だがそれは、上条の家に突撃しろ、という意味でもある。

迫間「電撃浴びせてしまった、お詫び……とか言えば、余裕じゃん?」

確かに、これ程の失態を演じてしまっては、何かしらの詫びをしないと美琴も気が済まない。

美琴「いや、でもそんなっ!?」

ここまで、散々恥ずかしい行動や言葉を使い、乙女のキャパシティは既に限界だ。
そして、いくら『大事な友達』とはいえ、友情?を確かめった、その日に家に押しかけるというのは、さすがに無理がある。

迫間「あれー? 常盤台のレベル5は、自分を受け入れてくれた『友達』に借りを作りっぱなしで平気なのかなー?」カカカッ

美琴「なっ!?」グサッ

迫間「こんな遅くまで付き合わされて、上条のお腹はペコペコだろうなー?」

美琴「うぅっ」グサッ

迫間「この後、家に戻って疲れた体で料理なんか出来るのかなー?
    結局、カップラーメンかなんかで、悲しい食卓になるんだろうなー」

美琴「あうっ」グサッ

容赦なく、言葉の刃が美琴に突き刺さる。
何というか、美琴にしてみれば、生が昼間会った時とは別人のように感じられる。

――実際、別人なわけだが。

迫間「後で借りが増えすぎて、返済できなくなっても知らないぜー?」ボソッ

美琴「そ、そこまで言うなら、やってやろうじゃない!!」

迫間「さすがじゃん! あー、それと、どうせ介抱するなら膝枕を推奨するじゃん」

美琴「なっ!?」

あまりの恥ずかしさに必死に拒否していた美琴だったが、迫間の口車に乗せられ、踊らされ、
最終的には、まんまと挑発に乗せられた形になった。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 18:07:55.68 ID:e4ab6Boio
やはり裏で糸を引いてた奴がいたか
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 19:24:05.27 ID:GA65+R3z0
このほとばしる陰陽師臭ゥゥ
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 21:20:55.22 ID:J5GiMPqmo
まだ途中までしか読んでいないんだが・・・・
古本屋回ってアクメツ全巻買ってきた
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 22:20:03.30 ID:lZyZ+l3So
近くの古本屋に穴抜けでしかアクメツが無いのはお前のせいか!
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 22:35:42.29 ID:TbOc0kBHo
同作者のコミックマスターJもお忘れなく!!
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 22:57:07.77 ID:lZyZ+l3So
あの作者最近あんま見かけないんだがなんか書いてる?
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:27:43.84 ID:NIrM0IXyo
ウルフガイ
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:29:17.24 ID:NIrM0IXyo
ゴメン、描いてるんじゃなかった
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:31:25.92 ID:yAOmyxyy0
>>285
実はあれ微妙に違う人なんだぜ
王者赤の真マジンガー書いてるよ

さてさて、2828号が全力でアップをはじめるような甘い展開が続いているわけだが
悪を滅する人の介入が、弔電時報のあれこれイベントにどんな差異を生むのかwktk
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/29(土) 23:47:10.56 ID:NIrM0IXyo
弔電時報って布束さんの寿命中断に通じるものがあるよな
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 01:44:55.09 ID:1q6Ry+L50
「弔電時報(アンダーテイカー)」…いったい何者なんだ…ゴクリ
290 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/30(日) 18:05:03.36 ID:tChDbqZFo
学園都市・第五学区


〜某研究所地下区画・アクメツクローンプラント〜


生(迫)「――ってな感じで、二人を煽ってきたぜ☆」

『秘密基地』に戻ってきた迫間は、安達に一連の様子を報告していた。
監視任務についていた『妹達』は他の個体と交代して、既に別室で休んでいる。

生(安)「……迫間に後を頼んだ事を軽く反省している」

生(迫)「え? 何でだよ?」

生(安)「いや、だって……背中押すにも限度ってのがあるだろ……?」

――だって、もう……それはカップルだろう、傍目から見たら。

安達としては、二人が平和的に徐々に仲良くなっていくのを期待していたのだが……
話を聞く限り、既に予想の数倍のスピードで接近している気がする。

それでも、鈍感や朴念仁の代名詞である、上条当麻が容易く陥落するとも思えないが。

生(迫)「――青春なんて、楽しめるうちに楽しんだほうがいいんだよ。後悔しないようにさ」カカカッ

愉快そうに……でも、どこか寂しげに笑う迫間。
彼の表情の理由を安達は知っている。
いや、自分の身で理解している。

生(安)「(アンタに……それを言われたら、もう何も言えないだろうが……)」

自分の中に共有されている『迫間生』の記憶。


――この赤ワイン、血税の味がするじゃん


結局、甘い青春を謳歌する前にアクメツに身を投じた。


――ファイナルアンサーって、やつだなあ


恋した少女を守る為に最初のアクメツとして、人を殺した。


――やっぱ悪だな、死が妥当じゃん


生き返ってからも多くの戦いに参加し、同胞の戦いを見届けた。


――この世の中にいる悪人が全て死んだら、世界は平和になるでしょうか?


そして、少女の命を救う為に、自らを材料として捧げた。

そんな彼を新たな戦いの為に生き返らせた身としては、何も言えない。
例え、記憶や経験を共有する、『自分自身』の事であっても、踏み入れない領域がある。
291 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/30(日) 18:45:43.85 ID:tChDbqZFo

生(迫)「――ところで、先刻から気になってんだけどさー?」

生(安)「……何だよ」

安達にも迫間が聞きたいことは、何となく分かっているが……自分から、それについて語りたくはなかった。


生(迫)「――何で、お前まで膝枕してる訳?」ピキピキ


生(安)「いや、これは……それなりに深い訳が」

冷や汗を流しながら、自分の膝に頭を預けて寝息を立てている少女を見る。

布束「………………………………」スヤスヤ

生(迫)「つーか、普通は逆じゃねーの? まぁ、逆だったら逆でムカつくけどさぁー
     確かに、俺も「布束にヨロシク伝えてくれ」とは言ったよ? でも、誰がヨロシクやれと言ったよ!?
     何なの、当て付け!? 長澤と会いたくても会えない、俺への当て付けなのか!?」

生(安)「ちょ、迫間の落ち着け! 布束が起きちゃうだろ! 疲れてんだよ彼女!」アワアワ

生(迫)「チクショー、どいつもコイツもイチャイチャラブラブしやがって……
     長澤に会いたいなー、10年近く経ってるから、今は女盛りなんだろうなー」シクシク

生(安)「(そんなに会いたいなら会えばいいんじゃ……)」

確か、どこかのテレビ局だかに就職したとか、風のウワサ……というか、生達のウワサで聞いた。

生(安)「(アナウンサーか記者なら、テレビに露出する機会も多いだろうから、その気になれば会えるだろうに……)」

――だが、直接『悪滅』に参加していた迫間としては、色々と思うところがあるのかもしれない。

何しろ、『参加組』のクローン達は、村瀬総理とのマニフェストを律儀に守り、『残留組』によって蘇生される事を拒んでいたのだ。
……余程の『緊急事態』にならない限り、自分達を蘇生させるな、と。

生(迫)「んで? どうしてこうなった、キリキリ吐くじゃん」ゴゴゴゴ

何やら、変なスイッチが入ったらしい迫間によって、安達は事情説明を余儀なくされた。
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 20:35:02.85 ID:8AfHUZLpo
キテターーーーーーーーーーーーーーーーーー
って、あれ?
293 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/30(日) 21:20:43.05 ID:tChDbqZFo
すみません、もう少し書きためてたのがあったのですが……
>>276が大好物らしい悲しい展開をどうにかして組み込めないか、と苦心して
色々考えてたら、妄想が止まらなくなってしまいました……(今、頭の中では能力目覚めた『新倉生』とステイルさんが炎同士で戦ってます)

ど、どうしてこうなった……?

せっかくのなので、先の方のプロットを色々と変更&増量したいと思いますので、今日はここで投下を休止させてください。

294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 21:23:11.09 ID:N8jPWNO3o
俺が>>275で変なこと書き込んだせいで・・・
スマンかった
295 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/30(日) 21:31:07.89 ID:tChDbqZFo
>>294
無問題です。どうにか話に組み込みます。

当初は上条さんの記憶喪失フラグはへし折って、ハッピーな感じにする予定でしたが、変更です。
とはいえ、さすがにここまで書いて上条さんの頭をバーンするのは>>1じゃ無理(心が折れる)なので、
取り返しがつかない、失われたと思っていたものが、ここぞという場面で戻ってくる感じにします。
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:05:59.77 ID:1q6Ry+L50
  .-、  _
  ヽ、メ、〉      r〜〜ー-、__      ________________
  ∠イ\)      ムヘ._     ノ      |
   ⊥_      ┣=レヘ、_ 了     | え−−い、欝展開でもいいっ!
-‐''「 _  ̄`' ┐  ム  _..-┴へ   <
  | |r、  ̄ ̄`l Uヽ レ⌒',    ヽ.   | 布束さんを映せっ! 俺得ヒロインの極みの布束さんをっ!!
  (三  |`iー、  | ト、_ソ   }     ヽ   |
  | |`'ー、_ `'ー-‐'    .イ      `、   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | |   `ー、    ∠.-ヽ      ',
__l___l____ l`lー‐'´____l.       |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  .|      |
               ||  |__.. -‐イ
               ||   |    ノ/


このスレの>>1や住民の嗜好が俺とマッチしすぎてるから困る
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:52:13.53 ID:I+sgtM+SO
楽しみではあるけど、意見を取り入れ過ぎてパンクはしないようにしてくださいな
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 07:41:58.55 ID:AHnXISYDO
私ともっと友好的に接して頂ければ、この「布束さん」を貴方に差し上げても良いのですが
299 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 20:37:03.43 ID:G8R+kwKzo
皆様こんばんわ。
21時から投下していきますよーとりあえず2話ラストまでいきます。

>>298
いいだろう、ならば今から親友だ!
300 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:03:57.79 ID:G8R+kwKzo

〜また少し、時間は遡る〜


ファミレスで美琴と別れ、後を迫間に任せた安達は、学園都市にある、自分達の拠点へと向かっていた。


――金崎大学付属・筋ジストロフィー研究センター


表向きは筋ジストロフィーの研究施設だが、実際は『絶対能力進化実験』に関係している施設である。

幼少の御坂美琴が、かつてDNAマップを提供した……『妹達』誕生の地といえる場所。

そして、現在では『アクメツ』達の学園都市での拠点であり、生命線として機能している。

施設は布束を含む、一部の『実験』に反対だった研究員と、そちらの分野に強い『生』によって運営され、
その地下にはクローンプラント……つまり、『生』と『妹達』の蘇生用に調整された培養器が十基ずつ、建造されている。

――なぜ、そんな事になっているのか?

というのも、学園都市に潜入した生達が、事前の調査を終えて最初に行ったのは、この施設の制圧だった。
目的は『絶対能力進化実験』の詳細なデータの入手と学園都市内での大規模な拠点確保。

そして、この制圧作戦はver.3の個体、総勢10名によって行われた。

制圧といっても圧倒的な武力で一網打尽にしたのではなく、
必殺仕事人のように研究員達を一人一人、闇に紛れて狩っていったのだが。(当然だが、悪滅はしてない)

好都合だったのが、『妹達』の実験に関する実験区画が、表向きには分からないようになっていた事。
お陰で制圧作戦で実験に無関係な一般人を巻き込まずに済んだし、その後の『工作』も容易であった。

――邪魔な研究員達を隔離して、表面上は『何の問題もない』ように実験に参加する。

しかし、その裏では自分達の準備を着々と整えていた。

つまり、研究所の地下での『第二のクローンプラント』建造である。
準備に一番手間取るはずだった、培養器の建造も『妹達』の設備を流用することで短期間で終了した。

木を隠すなら森の中。
秘密基地を作るなら、秘密基地の中。

そして、人は異常には敏感に反応するが、一見して普段通りならば、案外鈍い、という事だ。
301 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:09:49.75 ID:G8R+kwKzo
研究所の外周に作られた秘密通路から、地下へと潜る。

ここも本来のクローンプラント同様、『生』のDNA情報がないとセキュリティを解除できない。
なので、協力者の研究員がプラントに入ろうとする場合、『生』の同行が不可欠になる。

これは、万が一の『裏切り』への警戒を兼ねていた。
……ちなみに時期が来れば、『妹達』のDNA情報でも解錠が可能にする予定だ。

いくつかのチェックと認証を済ませ、安達はプラントの中を進んでいく。
目当ての部屋に入ると、中央に備え付けられたモニターの正面にいた女性が、ゆっくりと振り向いた。

???「あら、いらっしゃい――風紀委員(ジャッジメント)としての初仕事はどうだったの?」

安達「ぼちぼちですかね……あー、偶然ですけど、オリジナルの……御坂美琴に会いましたよ」キョロキョロ

別れ際に迫間に妙な事を言われた所為か、つい『その人物』の姿を探してしまう。

???「そう、初日で出会えるなんて、幸運なのかも…………どうかした?」

安達「芳川さん……えっと、布束さんは?」

女性の名前は芳川桔梗(よしかわききょう)、現在では生達に協力してくれている『絶対能力進化実験』に参加していた、研究員の一人だ。
化粧っ気のない女性だが、なかなかの美人だと、一部の生の中では高評価だったりする。

芳川「隣の部屋で烏丸君と学習装置の点検してるわよ。キミ達のバージョンアップのシステムの効率化するとか……
    それにしても、最初に訊くのは彼女の事なの?」クスクス

安達「――じ、実験の進行状況は?」

猛烈な恥ずかしさを顔に出さないようにしながら、部屋の隅に置かれたソファに腰掛ける。

芳川「18時の時点で第九六〇〇次実験を終了……こう毎日、実験の様子を見ていると、さすがに欝になりそうよね」

安達「スミマセン、嫌な役目を押し付けることになって……」

芳川「……そういう優しい言葉は、優しい人間の為に取っておきなさい? ……こんな甘いだけの人間に言う必要はないから」

安達「ですが――」

言いかけた安達を芳川は片手で制する。

芳川「私は実験に不快感を持っていながらも、それを受け入れていた。『妹達』を救おうとする訳でも、実験に抵抗するでもなく」

安達「けど、今は俺達に協力してくれているじゃないですか」

芳川「それだって、『受け入れた』だけの話よ。だから、私は……賞賛されるべきは、実際に行動を起こした布束さんや、キミ達であるべきだと思う」

安達「俺達は――彼女達が『一度死ぬ』のを看過しています」

――それで賞賛なんて受けるつもりはない。それは生の……『彼等』全体の共通認識だ。

芳川「……そうね、キミ達には覚悟がある。『妹達』に恨まれてもいいから、『一度死なせて』でも彼女達を救うという覚悟が」

安達「」

この女性は、自分に何を伝えようとしているのか。

芳川「――布束さんには、優しくしてあげなさい」
302 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:15:19.37 ID:G8R+kwKzo

安達「えっ……?」

言葉の意味を問おうとするが、隣の部屋とを繋ぐ扉が開き、話の渦中の人物が現れた。

その少女は、いつぞやの私服と違い、今は学園都市の最高峰、長点上機学園の制服の上に白衣を着ている。

『妹達』の最大の『味方』である布束砥信。
布束は安達の姿を見つけると、眠そうだった表情を柔らかい微笑に変えた。

布束「……あら、来てたのね」

安達「あ、えっと…………はい」

――何故か、畏まった口調になってしまった。

布束「………………? どうかしたの?」

そんな安達の様子を訝し気に見つめる布束。

芳川「――私、少し仮眠取ってくるわ」ニヤニヤ

頑張ってね、と言わんばかりの顔で退出する芳川。

布束「芳川さんと……何かあったの?」

安達「いや、俺にもよく分からない……かな」

本当に、彼女は何が言いたかったのか?

布束「――そう」

これ以上、追求しても無意味だと思ったのか、あるいは興味自体がないのか、彼女の質問はそこで終わった。
その代わり、スタスタと安達の座っているソファに近寄ってきて、何も言わずに隣に陣取った。

――そして、小さな欠伸を一つ。
303 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:18:35.12 ID:G8R+kwKzo

安達「(……よ、読めない人だ……)眠そうですけど、徹夜……続いているんですか? 学習装置の調整をしてるって聞きましたけど」

布束「――リアルタイムでリンクしている『妹達』と違って、貴方達の場合、仮面を装備して、一度死なないと『記憶共有』が出来ないでしょう?」

安達「ええ、まぁ」

クローニング技術こそ優っているが、そういう点では能力を生かしている『妹達』には敵わない。

布束「それだと、少し不便だから。
    学習装置を利用して、『生きている』状態での『記憶共有』が出来るようにしているの」

安達「確かにそれは助かりますけど……それで、布束さんに体を壊されたりするのは嫌ですよ?」

芳川に言われたからではないが、自然と彼女を気遣うような言葉が口を衝いて出ていた。

布束「――」///

安達「布束さん?」

布束「無理はしないから、心配はいらないわ。――でも」

安達「でも?」

布束「――私、枕が替わると眠れないタイプなのよ」

安達「(えーっと、冗談……なのか?)」

彼女の場合、基本的に無表情なので、本気なのか冗談なのかの判断がつかない。
とりあえず安達は、冗談だろう、と特に根拠もなく予想して、軽く返すことにした。

安達「じゃあ、俺の膝枕でも使いますか? なんて――」

布束「indeed その発想は無かったわね……お願いしようかしら」イソイソ

安達「え」

冗談ですけど、と言う前に布束は横になって、寝やすい体勢を模索しだした。

布束「ほら、さっさと私に膝を貸しなさい」

――既に退路は絶たれたようだ。
304 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:26:37.01 ID:G8R+kwKzo

布束「これは案外……イイかもしれない……」

安達「(ど、どうしてこうなったー!?)」

何やらご満悦の布束と対照的に安達は軽くパニックである。

布束「フフフ……これで安眠出来そうだわ……」

安達「(なんか、気に入られてるー!?)」

何やら悪い感じの微笑が怖い。

安達「まぁ、気に入ってもらえたなら幸いです、はい」

布束「しかし、これだと君にメリットが特にないのが問題かしら……?」

安達「――いや、別にいりませんけど」

同年代の女性に膝を貸すのが、割と嬉しいとは口が裂けても言えない。

布束「……そうだ、悪戯したくなったらしてもいいわ」

安達「い、悪戯!?」

寝ている女性相手にどんな悪戯をしろと言うのだろうか。

布束「胸を揉むくらいなら、許可してあげるから」

安達「ちょ、布束さん!? 何言ってんの!?」

布束「あら、これでも自信があるのだけれど……?」

初めて会った時に、腕に『それ』が当たった際の感触が『鮮明』に蘇った。

安達「いや、それは知って……って、そうじゃなくて!?」アタフタ

布束「」クスクス

安達「あの…………からかわないでくれます?」

布束「割と本気」

安達「……………………くっ」///

もう駄目だ、どうにかしてこの話題から離れないと、色々とヤバい。
305 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:28:35.60 ID:G8R+kwKzo

安達「えっと、聞いていいですか?」

布束「……スリーサイズ? ――上から、」

安達「違いますよ!?」

普通にスリーサイズを言おうとする布束を慌てて止める。

布束「教えたところで、減るものじゃないんだけど……」

――いや、減る。間違いなく理性とか、精神的余裕とかが減る。

安達「止めて下さい。……その、布束さんが……『妹達』に味方するようになったキッカケって、何なのかなと」

布束「――聞きたいの?」

安達「ええ、かなり」

話題を逸らす、という目的もあったが、元々聞いておきたい話ではあった。

布束「それなら……膝枕のお礼という事で、話すとしようかしら」
306 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:34:28.62 ID:G8R+kwKzo

そして、ゆっくりと彼女は語り出した。

量産型能力者計画の凍結に伴い、研究チームを外れた事。

妹達が絶対能力進化計画に引き継がれた際に呼び戻された事。

だがそれは、綱渡りであるこの計画が、もし頓挫した時の責任を押し付ける、都合のいいスケープゴートとしての招聘である事。

再会した、天井亜雄製であるミサカ00000号が、予想しないほどに情緒的な成長していた事。

彼女が、初めて嗅ぐ空気の匂いに、初めて感じる風の感触に、初めて浴びる太陽の熱に、初めて見る外の世界の眩さに感動を示した事。

――それがキッカケだったのだと、布束は言った。

布束「我ながら単純だと思うのだけど……あの時から、私は彼女達を造り物とは思えなくなった。
    世界が歪んだ醜いものにしか見えてなかった私よりも……」

――ずっと、人間らしく見えたから。

安達「……今でも、世界は醜いものに見えますか?」

布束「どうかしら? ……今は探しているのかも知れないわね、この醜い世界の中でも……綺麗なものを」

――『妹達』を救えたなら、その一端を垣間見れるような気がしているのかもしれない。

安達「(悪を滅して、一度、器を空にしても……そこに注がれるのは、綺麗な水とは限らない)」

綺麗な清水か、汚れた泥水か。

どちらを注ぐか選ぶのは、結局は人の意思だ。

だが、選ぶことこそが、人間に与えられた権利だ。

それが、生きる事であり、自由の意味だ。

しかし、選択権を与えられず、無理矢理に泥水を注がれている者もいる。

――ならば、その選択権を与えてやるのは、自分達の役目だろう。
307 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:54:32.29 ID:G8R+kwKzo

安達「……もしかしたら、『妹達』の方が先に見つけてくれるかもしれませんよ?」

布束「そうね……そうだといいわね」

安達「けど、布束さんが先に見つけたら、あの娘達にも教えてあげてください……それに、俺も知りたいから」

布束「………………っ」

安達「布束さん?」

布束「――『さん』はいらない。呼び捨てで構わないわ」

安達「え、いや、でも……布束さん、年上だし……長幼の序は守らないと……?」

むしろ、その手の社会的な常識は布束の方が厳しかったはずだ。

布束「however 人生経験という意味では私よりも長い時間を経験しているのでしょう?」

安達「いや、そうは言っても、実働年数的に言えば生まれてから3年も経ってないんですけど……」

他の生に比べて、単純な年齢で言えば、安達はまだ幼児である。

布束「ここまで言っているのに nevertheless 私と距離を取りたいのかしら?」

安達「――そう思ってたら、膝なんて貸さないじゃん」ポリポリ

第一、こんなに密着しているのに距離を取るなんて言っても意味が無い。

布束「そう……なら、これぐらいで勘弁してあげるわ」

安達「そうしてくれると助かるじゃん……布束」

布束「……………………」スヤ

安達「って、このタイミングで寝るのかよ……」オイオイ

腹が立ったので、布束の無防備な頬を指でつついてみる。

――ぷにぷに。

安達「………………やわい」

その感触と共に布束の先程の発言が想起される。

――悪戯したくなったらしてもいいわ

安達「…………ハハハ」

――胸を揉むくらいなら、許可してあげるから

安達「いやいや、しませんよ? さすがにそれはしませんからね?」

その想像を振り払うように独り言で否定する。
そして溜め息を吐いて、一言。

安達「――年下をからかうのも、程々にして欲しいじゃん……本気にしちまうぞ?」ツンツン

布束「…………」///

一分が十分に感じられるような、妙に流れるのが遅い時間は、部屋に迫間が入ってくるまで続いていた。


第二話 『想いを重ね、道を束ねる』 完
308 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/01/31(月) 21:57:03.93 ID:G8R+kwKzo
おまけ

生(迫)「いや、そこは揉んどけよ!? 布束アピールしてくれてんじゃん!?」

生(安)「え、いや、そう思う……?」

生(迫)「ってか、それで何もしないとか……お前じゃ勃たないって言ってるようなもんじゃん!?」

布束「(…………そ、そんな!?)」

生(安)「何で、そうなるんだよ!? 俺がどんだけ息子を宥めるのに苦心してると思ってんだ!?」

布束「(……)」///

生(安)「だいたい、疲れて眠ってる女性に悪戯するとか有り得ないだろ?」

生(迫)「そりゃ、電車とかで肩に寄り掛かってきた女の乳揉んだら犯罪じゃん……完全に痴漢で逮捕で、ついでに悪滅じゃん?」

生(安)「悪滅もされるのかよ……ってか、お前もそう思うんだろ? だったら――」

生(迫)「けど、これとは状況が違うだろうが!? 年上女子にお触り許可貰っといて、ノータッチとか馬鹿なの!? なら俺と代われよ、揉むから!」

生(安)「ふざけんなっ!? 指一本触れてみろ、道路の中に埋めるぞ!?」

布束「(…………どうしよう、起きるタイミングが分からない……)」///

309 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/01/31(月) 22:11:43.53 ID:G8R+kwKzo
とりあえず、ここまでで二話は終了でせう。

布束さんの膝枕の下りの元ネタが分かった人はこっそり耳打ちしてください。
いや、俺あの作家さんの漫画好きなんだよね……主にストーリーが。

次回予告!

ついに連続虚空爆破事件が、その牙を生達へと向ける。
重力子の爆発的な加速が観測されたのはセブンスミストと『もう一箇所』!?
果たして、風紀委員として、アクメツとして、生はこの事件を解決する事が出来るのか!?

???「結局、サバを使ったクレープなんて、ある訳ないのよ」

生(海)「――――あるよ?」

???「これは、超ピンチです!」

黒子「犯人の狙いは観測地点周辺にいる風紀委員ですの!」

生(安)「よりにもよって、下の下を使いやがって……」

美琴「今名乗り出れば、ヒーローよ?」

上条「みんな……いや、お前が無事だったんだし、それでいいじゃねーか」


第三話 「アクメツ、虚空に散る!?」


次回も見ないと……アクメツするじゃん?
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 22:18:36.95 ID:VmLtSxPAO
乙。次回も楽しみにしてます
ああああ布束が可愛くて生きるのがつらい
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 23:02:51.03 ID:xyeAD/L/o
シュークリームか…
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 23:11:42.52 ID:rxhvQ1Zdo
微妙に上条さんがデレてるのがたまんねぇなww
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 23:26:26.68 ID:zmfRA7cS0
地道ながら結構横車押してるが、よくよく考えたら拡散力場の総数が増えることは多少のメリットはあるし
「主人公たち」がしばらくの間だけ出来レースの存在に気づかなきゃいいんだから、
よっぽどのことがない限り☆に邪魔される可能性も低いのか、上手く出来てるなー

芳川さんの心労も和らげられるのは盲点だった
しかしそれ以上に布束さんの心情的な救われっぷりを想像すると、モニタ換えたばかりなのに画面の文字が滲んで見えてくるから困る…(´;ω;)
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 00:13:56.97 ID:dLM6kKWr0
まさかと思ったがやはりあの作者のあの話がモデルか
>>1とは美味い酒が飲めそうだ
315 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/01(火) 00:31:29.09 ID:YAy4httlo
>>314
あの司書さんのビジュアルが目付きの柔らかい布束さんすぎる件。
触るなら胸よりお尻〜のくだりでクソ笑って作者のファンになりましたwwww
あと、各話のキャラの間で親交があるのが好きwwww



                           ,. -‐==、、
              ,. ===、、 o   ○o.  i       :::ト、
            _,/      `ヾ´´`ヽ、 ゚ .l       :::ト、\イヤッッホォォォオオォオウ!
            //      .::::/  :::::!===l      :::|ス. ',
             /./       .::::/   ::::l    |  __ ..... _::::|} ヽ l-、 
.           ,ィク ,'..__    .::::/    ::::l    :l '´    `)'`ヽ ヾ;\
       /::{゙ ヽ、 ``丶、;/‐‐- 、::::l     `'::┬‐--<_   } ./;:::::\
     /::::::::!   ,>---‐'゙ー- ...__)イ ,. -‐‐-、ト、   |l::ヽ /;';';';';::::\  
.     /|::::::;';';'\/} (ヽ、  _/|   (´    _,.ィ!::ヽ.  ヾー'´;';';';';';';';';:: /ヽ、
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 03:05:13.41 ID:BcuwpfUAO
元ネタ知らないから教えてください
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 12:30:14.80 ID:Yam/yXiq0
ggrks
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 11:34:11.09 ID:Wp/XrkXj0
待ち遠しいな…
こんなに待ち遠しいSSは久しぶりだ。
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 17:32:35.35 ID:gLjrCGn9o
後々エイワスが現れて旧MNWに高負荷が掛かったときに
MNW2で分散処理させたりとかも可能になるかもしんないな。
意外に便利かも
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 21:42:17.47 ID:lbktzD4Oo
>>316
アクメツでググれば見つかるよ
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 22:12:32.65 ID:QiTYkIyL0
>>320
このスレの元ネタじゃなくて膝枕の元ネタなんじゃないの?
まぁ俺も元ネタは知らなかったし、ネタ知らない人が意味の分からないライダーネタで楽しめてるから損した気分も少ないぜ
近だけキーワードも出そろってるんだし、アクメツ事件の真相に辿り着いたMNW2の管理人さんを見習って
インターネッツパゥワー全開で頑張ってみようぜ
322 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/02(水) 22:24:11.10 ID:PyoMswU+o
MNWネタ一本だけですが投下しに来ましたよー

>>319
ここには何人の読心能力者がいるんでしょうか?思考と嗜好の近い人が集まってるのか……?
ですが安心してください、ここの>>1は見破られると少し嬉しくなるタイプですww
そのネタ使える所まで書けるか分かりませんが……

>>320
あーいや、316さんはアクメツは知ってると思います。

>>316
Dr.Pの『侵略的恋愛主義』って奴にある話です。
とりあえず参考画像↓ 下段は微エロ注意。
http://uploader.sakura.ne.jp/src/up26086.jpg
http://livedoor.2.blogimg.jp/inkokko/imgs/c/5/c5b6c6fa.jpg


そういえば、アクメツでググってみたら2ページ目くらいにこのSSをまとめてくれてるサイト様がありまして……
驚きました。しかもすごく丁寧にまとめられてて……ちょっと感動です。

323 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/02(水) 22:28:25.06 ID:PyoMswU+o
試験個体発見報告


87 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
生き返って、最初にフルチューニングに会った時はびっくりしたよね

88 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
ずっとMNWとは断絶されてた個体だからな、おまけに行方不明だったし

89 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01276
一桁台の頃にフルチューニングの葬式してたって本当?

90 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
そういえば簡単な奴だけどやってたwwあれにはビビったww

91 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
フルチューニング、自分で自分の葬式に参列してたからなww

92 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
それはシュールだ……

93 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
ボタン押すだけで量産可能、って触れ込みだけど割と一定まで育つのは時間かかるよね、私達。

94 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01276
それに比べて、生さん達のプラントの蘇生?速度が尋常じゃない

95 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
死亡→送信→蘇生だもんな

96 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
そりゃ、死体を弔う前に蘇生されてちゃ、葬式にだって参列できるよなww
324 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/02(水) 22:30:31.76 ID:PyoMswU+o

97 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
つーか、あの葬式の空気は何かオカシイ

98 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
本人いるし、普通に生きてるもんね。悲しめばいいのかすら判断つかない

99 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
スマン、フルチューニングの遺体の顔に着けられてた装置見たとき、爆笑した

100 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
あー、あのアクメツマスクのプロトタイプっていう装身具ね

101 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00583
新倉さんが事故で死んだ時に使ったらしいね。前に高杉さんが言ってた

102 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
いや、アレでも良い方だろ。もしもアクメツマスクだったら……

103 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01276
……フルチューニングが生き返ったばかりなのに悶死する羽目になるよね

104 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00583
あのマスク、生さん達が着ける分にはカッコイイけど、見た目は女子中学生の私達が装備するには……

105 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
ゴーグルで良かったな……

106 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
そういえば、実験に入る前から妙にゴーグルが丈夫だなーとは思っていた

107 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
死ぬ前に外れたり、壊れたりしたらアウトだから、丈夫にしてくれたらしい
325 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/02(水) 22:32:22.35 ID:PyoMswU+o

108 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
それも凄いけど、もっとヤバいのは東博士だろ

109 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
どういう意味?

110 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
今、私達がゴーグルを外した状態で死んだら、どうなるか知ってる?

111 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
ん? それで終わりじゃないの?

112 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
いや、蘇生できるらしい

113 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00002
な、なんだってー!?

114 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
今の私達って、MNW2に繋がってるだろ?
その状態で死んだ場合、本来なら機械で行うはずの長期記憶のシナプス送信をMNWが代替するんだって。
そして、誰かが装備しているゴーグルから、信号が送信されてプラントで蘇生されるらしいよ

115 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
す、すげえ……
でもそれって、全員がゴーグル外してたらアウトって事じゃないの?

116 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
それはないだろーww何人いると思ってるんだww
326 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/02(水) 22:34:27.02 ID:PyoMswU+o

117 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
しかし、私達のMNWまで使って、そんなシステムを構築出来るとは……

118 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
東博士、学園都市の研究者よりも優秀じゃない?

119 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
だろー?

120 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
でもまー、もう死にたくはないな

121 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
当たり前だろ
生き返れるからって、命を粗末に扱ったら……

122 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
フルチューニングに泣かれた挙句、生さん達に説教くらう流れだよね……

123 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
あの娘、私達が合流してから情緒的すぎると思うの

124 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
私達とは一線を画す感情の豊かさだよね

125 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00394
一方通行に殺されてない、って所では私達と違うんだけど……
本当の意味で死を味わったのが、フルチューニングだけだからかもな

327 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/02(水) 22:39:08.39 ID:PyoMswU+o

126 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
死の恐怖とか苦痛に対する感情の有無って事かな?

127 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00007
なるほど、死を恐れるほど私達には感情が無かったし、基本的に瞬殺されてたもんね

128 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00008
徐々に弱っていく自分の体とかさ、末期の時の息苦しさみたいのを味わった訳だろ?
死の恐怖ってのは、それ自体よりも、それを待つ時間にあるんだと思う。
で、そういう経験があるからこそ、生き返った私達に優しくなれるのと違うかな?

129 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00001
1号の私ですら、油断してると『お姉ちゃん』とか『お母さん』とか言いそうなる

130 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00004
小学生の授業中かよww

131 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
分からないではないww

132 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00005
実際に呼んだら、嬉しくて泣くに一票

133 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00009
お母さんは嫌だろwwという訳で、その場合は怒るに一票

134 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00003
別の呼び方を要求する、に一票

135 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00006
あえて逆の妹扱いを要求する、に一票を投じる


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






180 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00000
……みんなが元気なら、呼び方なんて何でもいいよ、に一票♪
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 22:43:15.86 ID:ZWLDVI0SO
試験個体がかわいくてマジ辛い
329 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/02(水) 22:56:24.84 ID:PyoMswU+o
少ないですが、今日はこれだけで。

最近、他のSSでもフルチューニングさんの活躍が増えてきて、個人的に嬉しいです。
特にロリなフルチューニングさんにはwktkしてます。

ウチの試験個体さんは20巻辺りで文字通りの完全調整(フルチューニング)な
ミサカパーフェクトへのクラスチェンジ予定がありますが、それまでは妹達を溺愛するお姉ちゃんポジです。
てか、クラスチェンジしてからもそうです。妹達が嫁に行くと式の度に号泣する感じの娘です。

御坂さんや布束さんはシナリオ上、上条や生と接近しますが、
試験個体だけは皆さんの嫁ポジから動きません。断言します。

安心して嫁宣言して問題ないです。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 23:38:28.19 ID:ahfr+qKoo
フルチ。○○ン○は俺の嫁
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 23:41:41.78 ID:s1TRfMFAO
フルチューニングちゃんペロペロ(^ω^)
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 00:15:29.65 ID:/oUVCpOHo
>>321-322
スレ見返したら流れ的に膝枕の元ネタを聞いてたみたいですねorz
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 00:45:31.08 ID:iTe7RYLt0
00333号「ホームシックに罹りたいのは山々ですが学園都市に帰りたいとは思えない、ミサカ333号がexceed chargeしながら>>333ゲットを狙います」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/03(木) 07:40:45.38 ID:cayHsfsDO
フルちゅっちゅチューニング
335 :とある複製の妹達支援 [今日も一本投下しませう]:2011/02/04(金) 21:19:56.46 ID:hfcgsAxzo
私達のお姉様(オリジナル)が、こんなに可愛いわけがない


1 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
777号と感覚共有してたらニヤニヤが止まらなくなって立てた。後悔はしていない

2 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04579
可愛いなぁ、お姉様

3 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00823
デレデレだったな

4 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
私らとは違って、戦闘力もすごかったな

5 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
さすがレベル5って感じだったね

6 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00823
つーか、それを右手一本であしらう、あのツンツン頭は何者なんだwwww

7 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
安達さんのクラスメイトらしいな

8 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
能力無効とかチートだろwwww

9 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04579
その割にはアホっぽかった気がする
336 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/04(金) 21:21:17.17 ID:hfcgsAxzo
10 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
安達さんと同級って、高校生だろ? 年上かー

11 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04579
俺らから見れば、大概は年上だけどな

12 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
>>11
いや、オリジナルのお姉様から見ればって事ね

13 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
あの調子なら、学生結婚も夢じゃないな

14 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
でも、結婚式には呼んでもらえないな

15 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka04579
そもそも、俺らの存在を知らないからな、お姉様。
まさか、自分のクローンが2万体もいるとは思うまい

16 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
実験のこともあるし、知らずに済むんなら、それでもいいんじゃないかなって思う
少し、寂しいけどさ

17 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
なんか楽しそうだもんね。
……私達の事を知ったら、その幸せが壊れるかもしれない

18 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
お姉様の御蔭で生まれた私達が、お姉様を不幸にする訳にはいかないよな

19 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00823
いかん、湿っぽくなってしまった。
少し話題を変えるか
337 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/04(金) 21:22:42.02 ID:hfcgsAxzo
20 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
だったら、結婚式に関して、聞きたいことがあるんだけど……いい?

21 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
軽く、結婚式の話してたしなww
いいんじゃないか?

22 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
>>20
お前、蝶みたいな名前の会社のブライダル課で働いてなかったか?
ミサカの中で一番詳しいはずだろww

23 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
>>22
蝶って……ああ、アゲハね。
確かにそうなんだけど、元々が電機電子メーカーだし、仕事も機械操作がメインだし……

24 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00823
なるほど、で何が聞きたいんだ?

25 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
結婚式で、よく話される『三つの袋』って何?
会社の人が話してたんだけど、常識らしくて何のことか聞けなかった……

26 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
>>25
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って知ってる?

27 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
だから今、聞いてるんだけど

28 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00794
>>26
お前の負けだなww

29 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
くっ……ぐうの音も出ない……

30 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
夕飯を食べたばっかりだしね
338 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/04(金) 21:25:38.77 ID:hfcgsAxzo
31 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
それで、気になって眠れないから教えて欲しい

32 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
おーけー。
結婚した後、気を付ける、というか大事にしないといけない『袋』が三つあって、それが――

33 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00296
それは私だ。

34 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01296
それは私だ。

35 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05296
それは私だ。

36 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
>>35
お前は違うだろww何で、フォークデュオが結婚に必要なんだよww

37 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05296
だって、million filmとか結婚式向きじゃないか……!

38 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka01296
ケーキ入刀の時なら、永遠にともに一択だろうが

39 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02828
>>38
あぁ、お笑い芸人の新郎が弾き語りをした……
って、そのカップル離婚したじゃねーか!?

40 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka06941
お袋と胃袋は分かったけど、最後の一個って何?
眠たくて、軽くイライラしてきた……

41 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka00216
>>40
お前が今、切れそうになってる奴だ!


::::/ :/: : : |: :/, -‐=h\  ノ \, /ァ=‐- 、 l: : : : : |
::::| :l : : : :|:/x(   ハ}   `    ´〃x(  ハi Y: : : : |
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::::| :| : : :〈 V/(⌒)ノリ     j〉    V/(⌒)ノリ;' : : :/===x
::::Y\ :: :ヽ ゞ≧≠'´           `≒≦ソ/: : :/ / 〃
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:/}}  /⌒\厂`    / /´ ̄ ` ヽ  ´ ̄//⌒\  \
/´ ̄`> 、人     |/        |     / |., <´ ̄`\
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  /   /  /\> ._\    /_. </   ヽ   |
      /   // /-、 `二二´  V /\   l



339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 21:52:50.63 ID:Zr5yA2qro
06941号はゼ○シイか?!

番号ネタで腹がいたいwwwwwwwwww
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 22:06:32.58 ID:HaSrwNZ2o
ちょ、ブロ美さん、なにしてんすかwww
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/04(金) 22:43:29.51 ID:unwi/Vpn0
>>1ったらフクロネタ思いついてやりたかっただけだろwww
しかしその発想は無かったうえにそこまできれいにやられたら評価するしかないじゃないかwwwww
342 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 17:46:40.41 ID:FRRMevh8o
7月18日


学園都市・第七学区


朝の日差しを浴びながら、二人の少女は連れ立って歩いていた。
しかし、少女達の様子は対照的で、一人は眠そうに欠伸をし、もう一人は徹夜明けの様な妙な元気さだった。

黒子「…………」フアー

美琴「大丈夫ー、黒子? 昨夜も遅くまで虚空爆破(グラビトン)事件のこと調べてたんでしょ?」

黒子「いえ、確かにそれもありますが……正直、仕事でもしないと、眠れる気がしませんでしたの」

美琴「何でよ?」

黒子「心労ですの! あの後、わたくしがどれほど『あの女性』に振り回された事か!
   所構わず服を脱ぎだして、淑女としての自覚が皆無ですのよ、あの方!
   それにお姉様は、安達さんと一緒に、あの殿方を追って――結局、朝になるまで戻って来なかったではありませんの!?
   しかも、安達さんとは、あの後すぐに別れたとか……つまり、その後はお一人だった、という事ではありませんか!
   寮監を誤魔化すだけでも一仕事ですのに、お姉様の身を案じて黒子は心休まる暇がありませんでしたの!」

昨日の不幸の鬱憤を晴らすかのように捲し立てる黒子。

美琴「そんな、帰りが朝方になったくらいで大袈裟な……」

――そもそも、超能力者(レベル5)である私にどんな身の危険が振りかかるというのか?

黒子「……普段のお姉様なら、これほど心配は致しませんの」

美琴「ど、どういう意味?」

黒子「あの殿方が絡むと、お姉様は少々、非常識な行動が増えるようですので――(黒子は嫌な予感が止まりませんの)」

美琴「(れ、冷静になって考えると否定出来ない……)そんなことは……ないと思うなー?」

黒子「まぁ、それはいいですの――それで、結局……昨日の晩はどちらでお過ごしになったのですか?」

美琴「そ、それは…………」


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|:l !: : : : :.:| l/ |/ト、八j: // ノ ,孑ヤた圷     〉 }l: : : ::l: :|
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|l V: : : :ト、:ヘ 弋zり      / / / / /   _ /: : : : : l八       ………
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      |/ /:.:.:.:r 、:.:.:.:.:.:._「 ´ l_ r─<´      V |:..:..:八:..:..|
    ノ⌒ー'<: ! |:.:.:.:.,ォ' r=┴ 、          /: :\:/  \:|
.    f'  ー- 、 ! |:.// / o } ヘ        /: . : . :>、_  \
   } ー─、 }-' .|´: / /   l!  V     /: . : . : . : . : .>、_
    |  ーゥ l‐'  .}: .:L.イ or‐'   \_,.ィ: . : . : . : . : . : . : /: .>、


――言えない。男の部屋に行ったなど、絶対に言えない。
343 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 17:49:34.04 ID:FRRMevh8o
やましい事はないのだが、それをこの後輩に言ったら、どの様な展開になるのか想像したくない。

美琴「(けど、結局……アイツの家にまで御飯作りに行っちゃったんだよね……)」///

安達(本当は迫間)に唆されたから、というのもあるのだが、それでも実行に移したのは最終的には自分の意思だ。

美琴「(でも、アイツだって最初こそ戸惑ってたけど……料理自体は美味しいって、喜んでくれたし……)」///

男の部屋に入ったのも初めてだし、異性に手料理を振る舞ったのだって、反抗期前に父親に作ったのが最後だったと思う。
まぁ、あの頃とは常盤台中学で学んだ分、料理の腕にも大きな開きがあるのだけれど。

美琴「(帰りだって、女の子一人で夜道を帰す訳にはいかない、って寮まで送ってくれたり……)」///

そんな何気ない気遣いも、これまで通りだったら――侮られていると思って、怒りを感じてしまっていた筈だった。
素直に彼の気遣いを受け入れている時点で彼女は大きく変わった、と言っていいだろう。

美琴「(また、作りに行っていいかって訊いたら、喜んでくれてた……よね?)」///

黒子「お、お姉様?」

昨晩(実質は今朝)の事を思い出す度に美琴の顔が朱に染まる。

美琴「え、いや、いつも通りよ!? 一晩中、あの馬鹿を追いかけまわしていただけで……!」///

むしろ、ようやく捕まえたのかもしれないけども。

黒子「(いつも通りでは無かったことがバレバレですの、お姉様)」

誰よりも御坂美琴という人間を見てきたと自負する黒子は、彼女のその表情だけで嘘を見破る。

だが、こんな事で嘘を付かれるというのも、黒子にしてみれば複雑だ。
これが単純な照れ隠しの類ならば、それでいい。しかし、真実を話す必要のない相手だと思われているのなら……

黒子「(日頃のスキンシップが裏目に出ているのでしょうか……?)」

スキンシップというには過激で、基本的に欲望がダダ漏れな黒子ではあるが、それで美琴の信頼を失いたいとは思っていない。

仮に、美琴に『そういう相手』が出来た時、それが彼女にとって最良であるならば自分は間違いなく、彼女の味方をする。
だが逆に、相手が碌で無し(美琴に限ってそれはないと思うが)だったり、美琴を泣かすような人間ならば、容赦なく排除するだろう。

――それが、御坂美琴の露払いである自分の役目である、と黒子は思っている。
344 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 17:53:21.10 ID:FRRMevh8o
美琴「……黒子?」

黒子「――お姉様、昨夜に何があったのか黒子は知りません。
    ですが、それがお姉様にとって心から良かった、と思えることなら黒子は祝福致しますの。
    ……ですから、その様な下手な嘘は止めてくださいまし」

――黒子は、憧れの少女が誰かに『手篭め』にされてしまった事態すら想像して、悲壮な覚悟を決めた。

美琴「黒子……」

黒子「黒子は……覚悟が出来ていますの……」プルプル

美琴「――そうよね、アンタは私のパートナーだもんね?」

黒子「お、お姉様!(ま、まさか本当に!?)」

美琴「あのね…………実は昨日…………」

黒子「」

美琴「あ、アイツと友達になったの!」

黒子「――――ハイ?」ポカ-ン


〜事情説明中〜 


美琴は上条の家に突撃したことは伏せつつ、昨晩の事を説明した。

黒子「そ、そうでしたの――あの殿方と御友人に……(ですが、素直には喜べませんの)」ホッ

美琴「うん、アンタの同僚になった安達さんのおかげでねー」ニコニコ

黒子「(あの白菜頭、余計な真似をおおおおおおおおおおおおおおお!?)」ギャース!

――あの野郎、後で支部で会ったら、どうしてくれようか。

美琴「だから、これからは夜中まで追い掛け回したりとかはしないから……心配しないで、黒子」ニコニコ

黒子「……それは安心ですの(友人になっただけ、と言う割には表情が緩みすぎですの)」

美琴の声音から、これは嘘ではない、と黒子は判断する。
だが同時に、言葉そのままの状況ではないのだろうとも確信してしまう。

黒子「(このままでは、いつ友人の先の関係になっても不思議じゃありませんの……!)」ガクブル

こう言っては何だが、彼女のデレっぷりは尋常ではない。
なんというか仕草や反応の一つ一つに、驚異的な破壊力がある。
それこそ、事情を説明されてる間に黒子が美琴に襲いかからなかったのが奇跡なぐらいに。

欲望を強靭な理性で抑えている自分でさえ、こうなのだ。
これが年頃の――言ってしまえば誰もが『狼』である殿方が相手だったなら……?

――黒子としては、まったく安心出来そうになかった。
345 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 17:59:01.73 ID:FRRMevh8o

だからと言って、上条当麻を排除する、という訳にもいかない。

黒子「(お姉様の欲していた、対等に振る舞える御相手……そのような方が現れたことは、お姉様にとって素晴らしい事ですの)」

美琴がその事を心の底から喜んでいるのは、見れば分かる。

黒子「(それを邪魔なんて……わたくしには出来ませんの……)」クッ

後輩として――彼女の側にいる事を選んだ自分が、選ばなかった立場。
いや、選べなかった立場は……既に空席ではなくなった。
それは嬉しいことであると同時に、悔しいことでもある。

美琴「でも、心配させちゃったのは事実だし……昨日のお詫びも兼ねて、どこかに買い物にでも行かない?」

黒子「お、お姉様とお買い物ですの!?」

それまでの複雑な表情を一変させ、笑顔で応じる黒子。

黒子「…………あー、でも、折角のお誘いですが、事件の調査もありますので……」

さすがに事件が未解決なこの状況で遊びには行けない。

美琴「やっぱ、そう? ……でも、あんまり根を詰めてもイイ結果は出ないと思うわよ?」

黒子「う゛ーん、それでしたら……佐天さんに連絡して、一緒に初春を連れていってくれませんか?」

美琴「初春さんを?」

黒子「私よりも余程、根を詰めてますの、あの娘。
 今までは、欠員による人手不足を初春が得意の情報処理で補ってくれてましたの……ですから」

美琴「――分かった。佐天さんにメールして、初春さんを気分転換に連れていってあげればいいのね?」

黒子「『使える新人』も入ったことですし、今のうちにリフレッシュさせてあげて欲しいんですの」

――初春が抜けた分は、あの白菜頭を馬車馬のように働かせればいい。

黒子「(色々と覚悟してくださいまし、安達さん……?)」グフフ

美琴「……黒子の笑顔が怖い……」
346 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 18:06:14.38 ID:FRRMevh8o

〜一方その頃〜


とある高校の教室


朝のHR前の教室には、まだ生徒も疎らである。
しかし、いつもなら時間ギリギリに登校してくる二人の男子生徒は珍しく席についている。




安達「――」ブルッ

高校の男子寮からではなく、とある研究施設から直接、登校したので普段より早く到着した安達生。

上条「どうした、生? 風邪か?」

とある衝撃的なイベントの所為で、朝までよく眠れずに結局、早めに学校に来てしまった上条当麻。
ちなみに登校中にビリビリ中学生に追い掛け回される危機が去った為か、実に平和的に登校した彼は、
眠気覚ましにコンビニで買った――誰かが買い占めたのか一本だけ残っていた――缶コーヒーをちびちびと飲んでいる。

安達「いや、何か悪寒が走ったじゃん……」

???「あれやね、きっと何処かで生センセーの死亡フラグが立ったんや」

そんな無責任かつ物騒な予想を言うのは、クラスメイトの青髪ピアス。
ちなみにこんな見てくれだが学級委員(男)である。

土御門「あー、あれか。自分の与り知らぬ所で浮気がバレた、みたいな感じかにゃー」

青髪ピアスに同調するのは、同じくクラスメイトの土御門元春。

安達「そんな馬鹿な……浮気も何も、俺には付き合ってる相手なんて……」

青ピ「それはそんなんやけどね」

土御門「あれ、例の長点上機学園の女の子はどうしたんだにゃー?」アレー?

安達「つ、土御門!?」

まさかの裏切りっ! 背信っ!

青ピ「長点上機学園!? 生センセーいつの間に、そんなエリート校の女子と!?」

上条「俺も初耳だぞ!?」

土御門「わざわざ、オレに調べてさせてまで、お近付きになりたかったんだもんにゃー?」ニヤニヤ

安達「こ、この野郎!?」

級友は、その背中に刃を二度刺すっ!
347 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 18:08:34.84 ID:FRRMevh8o
青ピ「土御門クン、どういうことなん!? 詳しく教えてーな!」

上条「おいおい、水臭いぞ……そんな相手がいたなら教えてくれたっていいじゃねーか」ニヤニヤ

安達「お、お前ら……」プルプル

このままでは、この馬鹿野郎共に根掘り葉掘り聞き出されて、後にはペンペン草すら残らないだろう。
……どうでもいいが、根堀りは分かるが葉掘りって何だ。

安達「(この状況を打破するには、俺の話が小さく思える程の爆弾を投下するしかないじゃん!)」

安達「……そういう上条だって、俺達に話すことがあるんじゃないかなー?」

上条「は? いや、別にないけど……?」キョトン

缶コーヒーを飲みながら、何の話か分からない、という顔をする上条。
よし、可哀想だが彼には尊い犠牲になってもらおう。

安達「――女子中学生の手料理の味はどうだったじゃん?」ボソッ

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          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'´ ̄`ヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
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          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.:::。:/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ       - ,. ヾ "^ " ヾ゚ 。/イ  }   ━━┓┃┃
            ノイ::/i:::ハ     ,. ‘-,,'   ≦ 三  ∧丿.      ┃   ━━━━━━━━
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                  x≦ハ| ::\  ≧         三 ==-.   。.                    ┛
                 / ∨//|  ::::\ -ァ,          ≧=- 。
              /   ∨/j   \:::\イレ,、         >三  。゚ ・ ゚
             /     ∨′   \≦`Vヾ        ヾ ≧
            /         >x:::.、  。゚ /。・イハ 、、     `ミ 。 ゚ 。 ・


上条「て、テメェ! それをどこでっ!?」

ちょうど、上条の前にいた青髪ピアスに上条の吹き出したコーヒーが直撃する。

青ピ「な、なんやて……!? カミやん、どういう事なん……?」ゴシゴシ

かかったコーヒーをセクシーなお姉さんが描かれたハンカチで拭きながら、上条に殺意の満ちた視線を送る青髪ピアス。
348 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/05(土) 18:11:17.94 ID:FRRMevh8o

上条「え、あの、それはですね……」

安達「おいおい、自分の家の隣に誰が住んでるのか忘れちまったのかー?」

と、上条家の隣人Aは笑う。
本当は迫間からの報告で知ってるだけなのだが、一番それらしい理由……
『隣家なので気が付いた』が、さも真実であるかのように安達は振舞う。

土御門「そういえば、深夜にカミやんの部屋から、女の声がしてたような気がするぜい」

と、上条家の隣人Bは追従する。
恐らく、彼はそんな声など聞いていないのだろうが、ここは安達に合わせた方が面白い、と判断したらしい。

青ピ「ま、まさかカミやん……自宅に女子中学生を連れ込んで、食事の後にその娘をデザート代わりに美味しく頂いて……?」ワナワナ

上条「ふ、ふざけんなっ!? 確かに家には上げたけど、やましい事は何もして…………あ」

青髪ピアスの下品な妄想を否定するのに本気になって、まんまと自宅に女子中学生を招いた事を認めてしまった上条。

安達「もうちょっと、上条は駆け引きを覚えたほうがいいと思うじゃん」

土御門「カミやんも遂に年下の魅力に気付いた訳か……」

青ピ「嘘や……こんなの嘘や……頼むカミやん、その右手でこの幻想を殺してーな……」シクシク

上条「お、お前等……好き勝手言いやがって……!」プルプル

温厚な上条さんでも限界ですよ!?とばかりに袖を捲り臨戦態勢に入る上条に対し、
いいぜ上条、幻想殺しなんて捨てて掛かって来いとばかりに青髪ピアスも拳を握る。

土御門「――で、正直なところ、長点上機の娘とはどうなってるんだ?」

安達「……それなりじゃん」

朝の風景としては、少しばかり刺激的な戦いが展開される中、争いの火種を作った張本人二名は呑気に会話を続ける。

???「はいはーい、HRを始めますよ〜……って、何してるんですかー!?」

すると、見た目十二歳の担任教師、月詠小萌が教室に入ってきて、戦う馬鹿二名の姿に悲鳴を上げる。

結局、その悲鳴を聞きつけた生活指導のゴリラ教師が乱入してくるまで、二人の死闘は続いていた。
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/05(土) 18:39:33.73 ID:XtLkrfZJ0
ペロッ
これは…フラグの立つフラグ!
350 :>>316 [sage]:2011/02/06(日) 04:03:08.35 ID:d2NhXTeAO
>>322
遅レスだがありがとうです

ちなみにアクメツはこのSS見た後にブックオフで全部読んだ
351 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/08(火) 00:34:52.79 ID:zRu/Fo0Ro

――放課後――


第七学区


用事の方向が同じだった安達と上条は、放課後の賑やかな街を二人で歩いていた。

上条「まだ首が痛い…………不幸だー」

安達「何で、あの無差別級な体のサイズで卍固めとか出来るんだ?」

ゴリラ教師によって、物理的に黙らされた上条は大きなダメージを負っていた。
ちなみに先刻、学校で別れた青髪ピアスも同様である。

上条「あの筋肉猛獣(マッスルバースト)なら、相手がレベル4ぐらいでも余裕で制圧出来るんだろうな……」

安達「けど、そうでなきゃ、この街で生活指導の教員なんて無理だと思うじゃん……黄泉川先生なんかも相当、鍛えてるし」

上条「とは言え、ウチの高校は無能力者(レベル0)ばっかりだし、強くてもせいぜい異能力者(レベル2)だろ? それを考えると強すぎるだろ、あのゴリラ」

安達「……確かに過剰戦力な気もしないでもない」

上条「だろー? …………けど、大丈夫なのか?」

安達「何が?」

上条「生も格闘というか、喧嘩が強いけど、俺と同じで無能力者(レベル0)だろ? 本当に風紀委員なんて、やって平気なのか?」

超能力者(レベル5)をあしらえる上条を無能力者に分類していいのかは疑問があるが、彼の言うことも間違ってはいない。

安達「まぁ……俺だって、強能力者(レベル3)ぐらいなら何とか相手に出来るし、
    所属している支部には優秀な風紀委員も多いから、いざとなれば協力し合えばいいさ」

こう言っては何だが、生の場合は最悪死んでも、仮面さえ持っていれば問題はないのだ。

352 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/08(火) 00:41:56.77 ID:zRu/Fo0Ro

上条「そっか……そういえば、昨日の昼に会った時に一緒にいた女の子も同僚なのか? 茶髪でツインテールの」

白井の事だな、と安達はすぐに気付いた。それにしても短い邂逅だったのに、よく見ている。

安達「さすが上条、あの短時間で、女子のチェックを欠かさないとか……」

上条「おい、青髪ピアスと一緒にするなよ……で、どうなんだ?」

安達「同僚だよ、白井黒子……大能力者(レベル4)の空間移動能力者(テレポーター)で、ウチの支部のエースって所だな」

総合的に見て、固法もかなりの実力者だと安達は思うが、やはり能力者としての強さを踏まえると、黒子に軍配が上がるだろう。
……頭が上がるかどうかは別問題にしても。

上条「大能力者(レベル4)か……凄いな……そういや、常盤台の制服来てたもんな」

安達「常盤台の制服は見慣れてるもんなー?」ニヤニヤ

上条「うぐっ…………きょ、今日はずいぶんと絡むじゃねーか」

安達「まぁ、からかうのはこれぐらいにして……だけど、上条。
    白井って、御坂さんと親しいらしいから――上条も会う機会があると思うぞ?」

上条「御坂と?」

安達「あー、でも、白井は御坂さんにゾッコンだから、背中を刺されないように気を付けろ」

上条「だから、御坂とはそんなんじゃ……………………って、え、そういう趣味の人なの? やっぱ、女子校だから?」

安達「いや、白井が変なだけじゃん」


――――――――――――――――――――――――――

〜風紀委員活動第一七七支部〜


白井「くちゅんっ! …………安達さん、なかなか来ませんの」グズ


――――――――――――――――――――――――――
353 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/08(火) 00:45:09.63 ID:zRu/Fo0Ro

安達「――じゃあ、俺はこっちだから」ノシ

上条「おお、また明日な」ノシ

支部へと向かう十字路に差し掛かった所で、上条と安達は別れた。

安達「特売、頑張れよー!」

上条「任せとけー!」ノ

財政難への理解のある友人からのエールに上条は片手を上げて応える。

上条「(御坂の奴、また料理を作りに……なんて言ってたけど、流石にそれをアテにして、自炊を怠る訳にはいかないよな)」

料理の腕を考えたら、御坂の料理の方が圧倒的に上なのだが、それで彼女をアテにするようでは、何だか負けな気がした。
何がどう負けるのかは上条にも分からなかったが、本能の声という事で強引に納得する。

――男を落とすには胃袋から、というある少年の格言が、現実問題として上条に襲いかかっていた訳である。

上条「(けど何か、お礼とかした方がいいのか……?)」

お礼という事で、何処かに食事に行く、というのはどうか――いや、経済的にも精神的も厳しい。

常盤台のお嬢様に相応しい場所に行ったりしたら、上条の財布は夏真っ盛りなのに氷河期に突入するし、
仮に行ったとしても、二人で食事に出掛ける、という行為自体が、あまりにも『デート』っぽいので、危険な感じだ。
これまた、何がどう危険なのかは上条には分からないが、本能の声には従うのみである。

上条「(むしろ、腕を上げて逆に御坂に御馳走してやろうかな……?)」

それなら、何とかなりそうだ――と、ぼんやり考える上条の視界に一人の女の子の姿が映る。

上条「(……迷子、か?)」

小学校低学年、といったところだろうか。その少女は周囲をキョロキョロと見回して、困ったように項垂れている。

上条「…………特売、間に合うかな……?」

不幸そうに呟きながらも、少女の方へと向かう上条の歩みに迷いは無かった。
354 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/08(火) 00:53:02.51 ID:zRu/Fo0Ro

第七学区・公園入口付近


安達が風紀委員の支部へ向かってる一方で、暇に悩まされているクローンがいた。
流れの板前から、流れのクレープ職人へと華麗なる転向を遂げた、海原生である。

海原「何故、客が来ないじゃん……?」

だが、そのクレープ屋の屋台は閑古鳥が鳴いていた。
既に多くの学校では夏休み直前で、早めに放課後になっているというのに、客が一向に来ない。
少し前に眼鏡の男子学生が海原に熱い視線を送ったり、屋台を覗いたりしていたが、その学生も結局、注文をしないで立ち去ってしまった。

海原「折角、新たに和風のクレープを考案したというのに……」

ちらり、と屋台の隅に置かれた蒸し器を見やる。
だが、そのクレープ屋としては異質な蒸し器から発せられる熱が、客を遠ざけている事に気付かない海原。

海原「この暑さだと、クレープよりもアイスなのか……?」ウムムム

唸りながら頭を抱える海原。
この際、アイスクリーム屋に鞍替えした方が、売上げが見込めるのではないか? 等と消極的な考えも浮かんでくる。

???「店長さん、何を超唸ってるんですか?」

ふいに声をかけられて顔を上げる。
すると、そこには見覚えのある十二歳ぐらいの少女がいた。

海原「おぉ、いらっしゃい…………えっと……モアイ……だったじゃん?」

???「も、モアイ!? 最愛(さいあい)ですよ! さ・い・あ・い! この前、超メアド交換までしたのに、どうして間違えるんですか!」

海原「え、ハクサイ?」

白菜?「それは店長の頭でしょう! モアイよりも名前から超遠ざかってるじゃないですか!?」

海原「で、絹旗ちゃん、今日も映画鑑賞の帰りなのかい?」

少女の名前は絹旗最愛(きぬはたさいあい)、海原にとっては……友人兼アドバイザー、といった所だろうか。
本人が言うには中学生らしい。

絹旗「超ワザとですか……あ、そうだ、今日は友人を連れて来たんですよ! ほら、フレンダ」クイッ

絹旗に引っ張られて、前に出てきたのは、金髪碧眼の女子高生だった。

フレンダ「えっと、初めまして……フレンダです……?」
355 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/08(火) 01:01:37.21 ID:zRu/Fo0Ro

何故、超疑問系なんですか、と呟く絹旗に対し、フレンダを見た海原は震えていた。

海原「……絹旗ちゃん」プルプル

絹旗「何ですか?」

海原「――超GJ!」ガシッ

絹旗「……これで、クレープが超無料という事ですよね?」ニヤリ

海原「約束だ、いくらでも御馳走させてもらいヤス!」

フレンダ「……結局、絹旗がどうして私を連れて来たのか、説明して欲しい訳よ」

何やら、知らぬところで密約が交わされていたらしい事を知ったフレンダは不安そうだ。

絹旗「こちらの店長さんとは、前に映画を観に行ったときに超知り合ったんですが……」

フレンダ「またB級映画? 絹旗も好きだねー」

絹旗「いえ、あれは理想のC級映画でした……今でも興奮が超冷めません」ウットリ

海原「まぁ、色々と凄かったな。あの映画は」

有事の際の対処要員として、学園都市に潜伏している生の場合、仕事をしていない時間帯は基本的にフリーになる。
だが、いくら暇でも大っぴらに学園都市を彷徨く訳にもいかないので、時間の潰し方は、自然とインドアなものに偏ってしまう。

そして、それは海原も例外ではなく、暇潰しに映画を観に来た彼は、映画館の前で絹旗に声をかけられた。
最初は「まさかの逆ナン!?」と喜んだ海原だが、話を聞いてみると、どうも違うらしい。

絹旗が見ようとしていた映画は『20001人の狂宴』というタイトルで、18歳未満の観覧は禁止の作品。……内容に関しては、今は伏せよう。

そして、海原が絹旗に頼まれたのは『年齢確認』の保証であった。
どう考えても、彼女の身分証は偽造なのだが、それを言ったら、自分だって似たようなものである。
絹旗のB級映画への熱意に押された海原は、小さな悪の片棒を担がされ、それを機に二人の親交は始まった。
356 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/08(火) 01:13:59.93 ID:zRu/Fo0Ro

海原「――こういう店を構えてる身としては、若い女の子の意見ってのは大事じゃん?」

絹旗「それで、色んなクレープの試食を超頼まれたんです。忌憚のない意見を聞きたいって。
    でも、私の意見ばかり参考にしても超駄目ですよね?」

フレンダ「そりゃーねー……で結局、私を連れて来たと……?」

絹旗「多少、味覚がアレな人の意見も超参考になると思いまして」

フレンダ「アレ!?」ガーン!

絹旗「フレンダは超サバ缶中毒じゃないですか」

フレンダ「……だって、好きなモノは仕方ない訳よ」

海原「フレンダちゃんは、サバが好きなのか?」

フレンダ「サバというか、サバ缶が好きなんだけど……でも、結局クレープ屋じゃ、サバ缶の出番は期待出来ない訳よ」

絹旗「いえ、そう悲観しなくても超平気ですよ?」

フレンダ「へ? いや、まさかサバ缶を使ったクレープなんて……ねぇ?」

海原「――あるよ?」

高級料亭でも通用する腕を持つ、海原の至高の料理に不可能はない。

サバ缶を開けて、水気を切り、フライパンにあける。菜箸でほぐしてから、生姜を加えて炒め始める。
水分が飛んできたら、砂糖、醤油、酒を加えてフレーク状になるまで、さらに炒める。
パチパチと音がしてきたら、仕上げに煎り胡麻を投入して、それを薄焼き卵と、そば粉クレープで巻けば完成。

海原「見るがいい! これが『サバはいつもキミのソバにクレープ』だっ!!」ジャジャーン


            r ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ミ:...、
         /   _,,.........,,_,,.......,,,_:.:.:.:.:.ヽ     
         /....:.:/           `ヽ:.:.:∧   
         {:.:.,:'             ヽ.:.∧       
        ∨   /  /ハ  丶ヾ!  ゙,:.:..}      
        〃   /-ァ-、 、 ヽ; ,.-、 l   l:/       
       ./ /  /;ィ'=ミヾ /、;, ヽ!    l        
       / ./  /´l|   |l   li´ `l.ト,l  │       
       / ,'   l'  `''='"  ヾ、__ノノ |   !       
      { l   (|   ,.ー- ...._  ̄´  !    |、
     l  l  .ハ  /       ̄!  .,'|   ゙、         
      ノ:!   l:.:.:.:.:.ヾ、     ノ/:.:.!  l l  `ヽ.        
     /  |  !:.:.:.:.:.:_,.〕- ..__,...ィ'゙´:.:l:.:.l  !:...丶   
     !   l  l _,r‐'´,イ     l‐-、ノ:.:.!   l:.:... ヽ   l  
    乂 人  ヽ! l! l   ,..-‐''´  `ー,:|   l:.'' ヽ、 ヽ /     
  ノ //  ヽ  \! |  / -ー'' __,,....,_゙、  、 、 l  ト、      
  / l  /ヽ   \/_,.. - '_,. -‐- 、ヽ‐-、 l ノ  │`ヽ     
  {   冫/:.:.:.:.:〉,   )r-一 '''´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|/,   ヽ }  ハ  ! 
  ゝ、 /./:.:,.:.:〃!  ノハ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:! ゙、:.  リ /  l / 
    `//.:.:,'/.:〃 l //} |i V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.l:. ゙、 ;- '´ //  
   //.:.::,'.:.:`゙ /ノ' !|l 、 V.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:..:l!.:.:.:゙、    

フレンダ「…………」プルプル

絹旗「ふ、フレンダ?」

――その後、公園内に女子高生の歓喜の叫びが響き渡ったのは言うまでもない。
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 01:18:10.70 ID:5RNOP5MKo
こんな時間に!!
寝れないじゃないか!?

いいぞ、支援だ
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 02:09:45.50 ID:WLuEdPDAO
くそ、普通にサバクレープが美味そうだ…
腹減ってきた…
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 07:49:43.37 ID:7y9NVVdDO
流石は流れ板さん涎が止まりません
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 12:31:11.38 ID:ofa5QVfQo
絹旗に続いてフレンダの登場と来たもんだ
今はほのぼのだが後に美琴とアイテムは対決するんだろうかね・・・

あと上条さんが原作に比して段違いに美琴さん意識してるのがニヤニヤするわwwww
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/08(火) 17:26:58.56 ID:HkgW4hTJo
鯖が出来るなら鮭もできるだろうから…
アイテムはファミレス以外の憩いの場ができたな。
ファミレス店長の苦労が少し軽減ww
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 01:06:44.28 ID:kDow3+3x0
フレンダ可愛いよフレンダ
しかし普通に都市伝説になるレベルだろ生'swww
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/10(木) 12:10:23.36 ID:tsiPj9Lg0
こりゃ良いもの見つけた
期待してるぜ
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/10(木) 14:09:51.97 ID:ljrF++tE0
アクメツ読み返してきた。130人分の各種専門技能と殺人経験とかver,3怖すぎる
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/10(木) 21:37:44.26 ID:LZwEizPQ0
ゲームならともかく現実で生身での殺人経験三桁台って規模がぶっとんでるわな(しかもほとんど暗殺)
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 00:18:10.78 ID:XFdsPYSc0
そのうえ獲物は超級のVIPばかり
異能バトルとは違う意味で高いハードルばっかり狙って、悉く成功させてるという
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 00:30:06.98 ID:PDbhvUWWo
あれって普通でいう成功とはちょっと違うよな
暗殺なり殺人なりの成功って基本的には生還して成功だが
アクメツの場合は死んでもいい(死ななくてもどうせ自爆)だからある意味難易度は低そう
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/11(金) 02:03:32.57 ID:yb9D9eB00
まぁ、基本拉致ってから殺してるから一応の生還は果たしてるんじゃね?
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 07:18:38.75 ID:xmfdYOWl0
死んでも大丈夫だけど一人一殺心がけてから失敗はダメなんだぜ
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 16:53:17.37 ID:S3ojd+YDO
村瀬さんはお元気にしているだろうか
や〜まだ、とか…


出ないか、出ないよな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 18:19:06.14 ID:xJlT8zq4o
ホームレスしてるんだっけ?
意外に蘇生ミサカと仲良くしてたりしてなww
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 21:01:55.22 ID:xmfdYOWl0
アクメツのノリ好きだわ、流石俺!にはニヤッとしちまう
373 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/13(日) 18:14:26.43 ID:3YFFV5oTo
いやはや、遅くなりました。
マイソロ3買ったり、祖母が圧迫骨折したり、就活したり、シャルロッ党に入党したりしてたら、
一週間近く間が開いてしまった……

時間を見つけて禁書の統一時系列を参考に簡単に三巻までのプロット作ってみたんですが……うう、誰かの意見が聞きたいぜ……

とりあえず、ちまちまと書き進めていきますよー
374 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 18:16:26.23 ID:3YFFV5oTo

〜Seventh mist店内〜


白井黒子との約束通りに御坂美琴は二人の友人と共に買い物に来ていた。

???「こっちこっちー!」ノシ

美琴「初春さんは何か見たい物とかある?」

初春「特に決めてないんですけど……」

女三人寄れば姦しい、という言葉がある。

???「うーいーはーるー! ちょっとちょっとー!」ノシ

その少女は、三人分の賑やかさを一人で賄いそうな程にハイテンションであった。
ちなみに場所は女性用の下着売り場である。

少女の名前は佐天涙子(さてんるいこ)。
花を模した、極普通の髪飾りがトレードマークな黒髪ロングの女子中学生である。

初春「もう、何ですかー?」

佐天に対し、極普通ではない花の髪飾りがトレードマークなのは『風紀委員』で同じく中学生の初春飾利。
そんな彼女は、テンション右肩上がりの親友の呼びかけに困ったように駆け出す。

美琴「(佐天さんは、いつも元気ね〜)」

某ルームメイトのセクハラや、某高校生が相手の際には、佐天以上のテンションである美琴だが、
性格的に普段から全力ではしゃいだりはしないし、出来ないだろう。

だから、佐天のこういう元気さが眩しく見える時がある。

佐天「じゃーん! こんなのはどうじゃー?」

          /:/: : : :/.:.: .:.i : : :`ヽ : :.
            /:.,': : : /:/}.! : :∧: : :}i: :.',: :',
           ,′: : : :i r‐十:/ jノ}斗- :i.: .:.
        i: : i : :.´| ! jノV     ノ八{: : :i
        |.:.:.l: : : :i'r==ミ    ,r=ミx / ^Y ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄rー‐ 、
        l : :|: : }i:| 、,、,、   , ,、/,r'´ ̄)、`ミヽ     /  /7´`ヽ}
          :. :.{ ヽi」    r= -、  {  '´ ̄} \      /}}√`ヽ !
          i: : :\ _、    {二ヽノ ノi   ' ̄ノ   \__/ 〃r'⌒ /
         ,': : : : : :l} \ _.. -‐ ´  ヽ  /´}i      /   ∧.___/
        ,′___.:.:_ノ-‐/         . <}} }.!   /    /}i }}
        /:/   /´        <  /{j {j ̄ ´    /  }j }j
       .:. }    〈      . イ:´.:{    {       _.. ´
      /: : |     \-‐/´⌒} i: : :|    ',-ァ7´ ̄
      ,′: :ト、___ ァ┬ Y´ { / !.: :.| 、__V/
    /: : : :    /  l: : ト、. V /V}:.|/
   .: : : : : i  ,イ  レヘ廴`二/_ノ:ハ
    i/}: : : :.i  !      ̄厂}  j/ }
    jハ: : :|   l     / ̄ ´ヽ  /
       }八!         /{    i{ ,′
        /j         i ',    i/{
      く        ∧ ハ  / !
      / V` ._   /  V )./ _」
     _」  ヽ__   ̄ ― '"´厂
    / /\__   ̄ ̄ ̄ イ`ヽ
          ̄ ̄ ̄

――佐天が差し出した下着の色は情熱の赤。
375 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 18:25:39.42 ID:3YFFV5oTo

初春「む、無理無理、無理ですっ! そんなの穿ける訳ないじゃないですかっ!」///ワタワタ

        ,ィn厶 / と..,o く-(  )ーy nく/ {:\r ァ
       (斗 > - o ┴弍ぅ’  O ‐くと う Y⌒) 斗―ァ
     z<⌒(__ ノ  __と.゚ う´ 人 _)(`’ O (ヽノ≦
     ≦r‐'└,(__ノ ,、/...` 丁{_人_人と` う廴 厂し<
     厶てィ、{V ..:.V..:.′..:..:.|.....ヽ..   てノ〜rv廴}ー〈
      } ァ’   ′|   .|  ...} .. :..:.i:. ...i.⊂、j、)バ:|
      Y/ ...:.:.:.:.:.|..:.::i{...:.:.:...i{...:..:.|!.:. .:.:.l:..:.|l...:.:.:.:.爻__}
      {∨ `i .:.丁`:ト∨.:.:小..:.::ハ..:.:.斗-||..:}./:.:ト:\>
    r‐、  {  | :.:.レ‐廴≧=_{ ミレヒ≦ハ_リ::/:.}/:.\:.≧.._
    {  i  V  {:∨ 厂`ヾ    ´r==ミz/:..:.:/フ7┬ミ ̄
     、 ヽ.ハ  V|  { /i/      /i/i ノ.:.:.:/ 人:廴
      \ \〉. ヽ V´i   ′     フ:ィ:.:/≦-ト\
      `i   ` ’ { { i7 ー‐ ⌒ヽ 彡}ノ≦ ̄ヽヽ
  r―- 、_ノ′ ̄` 、 . ト廴___ ≦二  ̄ ̄    i∧
  ` . __   `ヽ      ∨`i i⌒i    ヽ     }:...'.
       `≧ . ___、  r‐ |. | } .|       }   , ノ:::.. i
       {     ≧} |} . ノ .′  . 斗  /イ/:::....l
         \      ん. ! ノ'′ ノフ¨>ミ. } / /:::::::...}

差し出された下着と同じく、その顔を朱色に染める初春。

佐天「これなら私にスカート捲られても、堂々と周りに見せ付けられるんじゃない?」

初春「見せないでくださいっ! 捲らないでくださいっ!」///

スカートを捲られて、その中身を堂々と周囲に見せ付けるようになったら、それは既に乙女ではない、と思う。
絶対に、彼女のスカート捲りに『慣れ』てしまわないようにしよう、と心に決める初春だが、
そのいつまでも『慣れ』ない初々しいリアクションが佐天を喜ばしている、という真相には辿りつかない。

佐天「ありゃ、残念。あ、御坂さんは何か探し物あります?」

美琴「え? ……そうねぇ、私は……パジャマとか」

初春「あ、だったらこっちですよ!」

先頭に立って二人を誘導する初春の姿は、さながらベテランの店員のようであった。
その見た目は服屋というより花屋なのだが。
376 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 18:29:18.88 ID:3YFFV5oTo

〜寝間着売り場〜


美琴「色々と見て回ってるんだけど、中々いいのが見つからないのよねぇ〜」

店内を眺めながら呟く。

美琴「…………あ」

一目惚れ。

美琴「………………ぅゎぁ」//

彼女がその花柄のパジャマを見た時の表現として、それ以上に妥当な表現があるだろうか?

美琴「ね、ね、コレ、すっごく可愛――」

早速、後ろの友人達と、このパジャマの可愛さについて語り合おうとする美琴。

佐天「アハハ、見てよ初春、このパジャマ!! こんな子供っぽいの今時着る人いないよねー?」

初春「小学生の時までは、こういうの着てましたけど……流石に今は……」

去年までランドセルを背負っていた現中学一年生によって容赦のない評価が下される。


〜とある電撃姫の心象風景〜

                                      _ノ
  小 こ    /                              )   パ な
  学 れ    L_                             ヽ  ジ に
  生 が    /      , - 一 - 、_          , - 一 - 、_ i ャ  こ
  ま 許    /      /      .:::ヽ、       /      .:::::く マ  の
  で さ    l       /, -ー- -、 .:::://:ヽ     /, -ー- -、 .:::://ヽ !?
  だ れ   i        i..::/\::::::::ヽ、::|i::::::|      i..::/\::::::::ヽ、::|i:::::レ ⌒Y⌒ヽ
  よ る   l      /7  .:〉::::::::: /::|::::::|     /7  .:〉::::::::: /::|::::::|
  ね の   _ゝ    / / .:::/   .:::::|:::::::|     / / .:::/   .:::::|:::::::|
  !? は  「      i /  .:::::i   :::::::|:::::::|    i /  .:::::i   :::::::|:::::::|
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人_,、ノL_,iノ!      i       .:::::「      L_i       .:::::::::::i:::|
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ハ モ  {      ゝ、_ /!`h:::::::::)  ア    |   「ヽ .::::/)::/:::|
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ハ ハ    > /\\// / /ヽ_:::::!   イ    (  / / //:::::::::::::::::ヽ
ハ ハ   / /!   ヽ    レ'/ ノ        >  ' ∠  -‐  ̄ノ
       {  i l    !    / フ       /     -‐ /
377 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 18:41:50.18 ID:3YFFV5oTo

美琴「そ、そうよね!? 中学生になってこれはないわよね!」///ウンナイナイ

超能力者(レベル5)のプライドか、或いは自らのイメージを守る為か、年下の少女達に『表面上』は賛同する現中学二年生の美琴。

佐天「ん? ……あ、あたしチョット水着の方見てきますねー」

初春「水着ならあっちにありましたよー?」パタパタ

佐天「ほんとー?」パタパタ

離れた売り場へと駆けていく二人を軽く涙目になって見送る美琴。

美琴「(いいんだもーん、どうせパジャマなんだから、他人に見せる訳じゃないし……)」

パジャマを見せる他人……ルームメイトの口煩い後輩には色々と服装について言われるが、断固として無視だ。

チラリ、と初春と佐天の位置を確認する。

美琴「(初春さん達は向こうにいるし……一瞬、姿見で合わせてみるだけなら……)」

初春や佐天ばかりに注意を払っていた所為で、美琴はそれに気付かなかった。
自分の姿を見かけた『友達』が声をかけようと近づいて来ていたことに。

美琴「それっ!」バッ
















上条「――何やってんだ、御坂?」

ツンツン頭の高校生、上条当麻が姿見の向こう側――つまり、美琴の後ろに立っていた。
378 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 18:46:15.91 ID:3YFFV5oTo

〜風紀委員活動第一七七支部〜


安達「――それで、初春さんが休みな訳か」

黒子「そういうことですの。休める時に休むのも優れた仕事人の務めですので」

お前らの本業は学生だろ、というツッコミは野暮なのでしない。

安達「……そういう事なら、白井さんも俺に任せて休んでくれていいのに」

黒子「配属されたばかりの新人一人を残して、わたくしにも遊びに行け、とおっしゃいますの?」

安達「――やっぱり、駄目かな?」

黒子「はい。……それに、どうせ虚空爆破事件が解決しなければ、休みを貰っても満喫出来そうにありませんの……」

安達「なら、さっさと解決させて、白井さんに休暇をプレゼントするじゃん」

黒子「ふふっ、それなりに期待してますの」

安達「……とは言ったものの、見事に手詰まりだな……過去の爆破の現場に関連性はなし、時間も場所も共通しない」

これまでの事件の資料を眺めながら溜息をつく。

数多くの人間を殺害してきた経験を総動員しても、犯人の狙いが読めない。
そもそも、『犠牲なき悪滅』を信条としていた彼等にとって、他者を害する手段で『爆弾』というのは最も嫌悪する手法である。

確かに爆弾自体の知識や解体方法は専門家だった兄弟達の遺産として、彼等の『共有記憶』の中に存在する。
だが、それを使う人間の思考まで理解している訳ではない。
しかも、今回のケースでは爆弾は能力の産物。普通の爆弾の知識は役に立たない、と言っていいだろう。

安達「よりにもよって、下の下を使いやがって……」ボソッ

一応、無能力者として学園都市で底辺寄りの生活を送る安達からすれば、
折角の能力をテロ紛いの使い方しかしない犯人の行為は『宝の持ち腐れ』にしか思えない。

黒子「安達さん?」

安達「……何でもないじゃん」

黒子「もう少し、手掛かりがあれば容疑者の絞り込みもできますのに〜」ムムム

安達「遺留品を読心能力(サイコメトリー)で調べてみても、空振りだったんだろ……?」

黒子「そうですの……これじゃ、入院されている多くの風紀委員の方達も、安心して療養できませんの……」

安達「………………ん?」

――何かが意識の端に引っ掛かった。

安達「俺の配属が急に決まったのは、風紀委員の欠員が増えすぎた為だったよな……?」

黒子「ええ、固法先輩はそうおっしゃってましたが……?」

安達「――欠員は何人だ?」

黒子「確か……一連の事件で負傷した風紀委員は……九人…………あ!」


――いくらなんでも多すぎではないか?
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 19:16:46.02 ID:mgQXDw920
おお、再開を待ちわびてたぜ!
380 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 19:48:33.01 ID:3YFFV5oTo

〜Seventh mist店内〜


美琴「な――た――で――こ――こ――っ!?」アワワ

よりにもよって、他人……それも『年上』の『異性』の『友達』にパジャマを選んでいる場面を目撃された美琴の脳は混迷を極めた。

上条「落ち着け、御坂。はい、深呼吸! すってー」

美琴「???」スウ-

混乱しながらも、何故か素直に深呼吸をしてしまう美琴。

上条「はいてー」

美琴「…………」ハア-

上条「すってー」

美琴「…………」スウ-

上条「はいてー」

美琴「…………」ハア-

上条「…………」ウズッ

あまりにも美琴が素直に言うことを聞くので、上条の中に不穏な感情が芽生えた。

上条「はい、ヒッヒッフー(笑)」

美琴「ヒッヒッ……って、何やらせんだゴラァァァァァァァァァァァ!?」ドガッ

上条「ごふっ!?」

ツッコミと共に放たれる強烈な左ボディに上条の体がくの字に曲がる。
381 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 19:52:53.28 ID:3YFFV5oTo

上条「ス、スマン…………素直に深呼吸する御坂が何か……可愛くて?」

美琴「か、カワっ!? 何言ってんのよアンタは!? ってか、何で疑問形なのよ!?」///

上条「はて? 何故か上条さんにも分かりませんのことよ……?」

美琴「まったく……で、何でアンタはこんな所にいるのよ?」

ツッコミを入れたことで、結果的に落ち着いたのか、美琴に冷静に質問するだけの余裕が戻っていた。

上条「いちゃいけないのかよ……」

美琴「そ、そうじゃないわよ! けど、急に現れたらビックリしちゃうじゃない……」

上条「……まぁ、確かに愉快な驚きっぷりだったけどな」ニヤニヤ

美琴「なっ!?」///

???「おにーちゃーん! ……あれ?」トテトテ

美琴「……あ、カバンの……?」

駆け寄ってきた少女には見覚えがあった。
数日前に美琴が勘違いで風紀委員として働かされた時にカバンを失くして困っていた女の子だ。

鞄の少女「やっぱり! トキワダイのおねーちゃんだー!」

上条「御坂と知り合いだったのか?」

鞄の少女「うん、わたしのカバンをみつけてくれたの!」

美琴「あはは……」

てっきり例の事件の爆弾だと思って必死に探していたのだが、流石にそんな恥ずかしい勘違いを上条にまで説明しようとは思わない。
382 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/13(日) 19:56:27.71 ID:3YFFV5oTo

上条「へぇ……?」ジッ-

美琴「な、何よ……?」///

上条「いいとこあるな〜と思いまして」

美琴「う、うるさいわねぇ! ……って、お兄ちゃんってアンタ、妹がいたの!?」

数テンポ遅れて、その単語の重要性に気付いた美琴。

上条「違う違う、俺はこの子が洋服店探してるって言うから、ここまで案内して来ただけだ」

美琴「(……昨日は駐車場で今日は洋服店……しかも、相手はどっちも女……でも、この子はまだ子供だし……)」ムムム

上条の行動を端的に表現すると『困っている女性に手当たり次第に声をかける男』になる。
下心あっての行動ではない、と思う美琴だったが、何故か理由の分からない不安に駆られてしまう。

鞄の少女「あのね? おにーちゃんにつれてきてもらったんだ〜
       それで、わたしもテレビの人みたいに、およーふくでオシャレするんだもーん」ニコニコ

美琴「そうなんだ、でも今でも充分、オシャレで可愛いわよ〜?」ナデナデ

上条「…………そういう御坂も、随分と可愛いパジャマをチョイスしてんだな」

上条の指摘に慌ててパジャマを背中に隠す美琴。

美琴「あ、こ、これは! いや、ちょっと合わせてみただけで、べ、別に欲しい訳じゃ……!」

上条「そんな慌てて否定しなくても……」

美琴「だ、だって、どうせアンタも子供っぽいとか思ってるんでしょ!?」ウルッ

上条「(何故か涙目だし……)はぁ? 何でだよ? 別にいいじゃないか、そのパジャマ」

美琴「――――ほ、本当?」

上条「妙に疑り深いな……似合ってると思うぞ、俺は。
    それに寝る時なんて、リラックス出来る服装が一番なんだから、御坂が着たい服を着た方がいいに決まってるじゃねーか」

美琴のスカートから、短パンが覗く度に、騙されたような裏切られたような気分になる上条当麻であるが、これに関しては本音である。
というのも、上条の感覚からすれば中学生なんて『まだまだ子供』であって、少しぐらい子供っぽい服装でも歳相応、という感じがするからだ。
断じて、美琴が目の前のパジャマを着ている姿を想像して、普通に可愛いだろうな、と思ったからではない。

……断じて違うはずである。
383 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/13(日) 20:01:22.56 ID:3YFFV5oTo

美琴「そ、そうよね! 自分が着たい服を着るのが一番よね! …………えへへ」///

上条「(今鳴いたカラスがもう笑った……)」

鞄の少女「ねぇねぇ、おにーちゃん」クイクイ

服の裾を遠慮がちに引っ張られ、横の少女へと意識を向ける。

上条「ん? どうした?」

鞄の少女「もしかして、トキワダイのおねーちゃんと『こいびとどうし』なの?」

上条&美琴「「こ、恋人!?」」

予想外の質問に二人の驚愕の声が重なった。

美琴「ち、違うわよ!?」

まず否定の言葉を発したのは美琴。

上条「そ、そうだぞ!? 俺と御坂は友達であってだな……別に恋人とか……そ、そういう関係じゃないぞ!?」

それに上条も追従する。

美琴「な、なんで、そんな力一杯否定すんのよ!?」///

上条「えぇっ!? さ、先に否定したのは御坂じゃねーか!?」///

美琴「だ、だって……!」///

鞄の少女「……よくわからないけど、すごくなかよしな友達なの?」

上条と美琴の珍妙な関係を理解するには、まだ幼すぎたのか、少女は自分の理解できる範囲の言葉で『それ』を表現した。

上条「そ、そういう事にしといてくれ……」

美琴「そ、そうね……そういう事にしておきましょう」

鞄の少女「んー?」

上条&美琴「「アハハ……(何やってんだろ、俺(私))」」

二人の渇いた笑い声が寝間着売り場に響く。

上条「そういえば、御坂は今一人なのか? もしそうなら、この子の洋服選ぶの手伝ってくれないか?」

美琴「ええっ!? ……あ、えーっと、実は今……友達と来てて……」

上条「そ、そうか……(な、なんで残念な気分になってるんだ、俺?)」

美琴「そ、そうなのよ……(うぅ……折角、誘って貰えたのに……え? あれ、なんでそんな風に思ってるの、私?)」

上条&美琴「「(あれー?)」」

噛み合ってるような、すれ違っているような気持ちを互いに抱く、思春期真っ只中の若人二人であった。














佐天「な、何なんだろう、あのピンクな空間……?」

初春「さ、さぁ……?」

隣の売り場の棚の影から、二人の少女が、そんな一部始終を目撃していた。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 21:04:51.59 ID:mgQXDw920
南斗いうラヴコメ
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 23:10:10.15 ID:Yvf3i1E20
>>384
シン「ケンシロウ・・・俺を愛してると言ってみろ・・・」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 23:19:04.20 ID:Yvf3i1E20
ケンシロウ「シン・・・」
シン「なぁ〜にぃ〜?きこえんなぁ〜?」
シン「俺の愛が欲しければ、もっとはっきり言ってみろっ!」



すまんちょっと吊ってくる
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 23:28:00.74 ID:1JpUWIKGo
ちょwwwwwwww
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 23:40:59.59 ID:JPCGP44+o
>>385
おまえはおまえでシンスレを建てるべき。期待している
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 00:24:44.92 ID:yoEfjBNDO
愛など要らぬ!
フッハッハッハッハ!



関係ないけど、麦のんが好き過ぎて生きるのが辛い
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 02:57:25.74 ID:gvBpj6Ae0
折角ひさしぶりの>>1の帰還に喜んで、モアーイ吹いたとか初々しいよ御二人さんとか
感想書こうと思ったら、何だこのカオスな流れ…w
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 12:27:52.29 ID:zIrSJJTSo
>>386
http://www.youtube.com/watch?v=hNQ5gO-AbDM

コレかと思った
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 18:02:45.03 ID:wJC4GUuF0
この生は常にアクメツマスク持ってるの?
393 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/14(月) 21:45:42.35 ID:sVTywykfo
>>392
そのうち描写しようと思いますが、お答えします。

基本、『死の危険性がある場所』で活動している生は、胸元に忍ばせてある感じです。(安達、新倉、迫間、風見)
普通にバイトしてる生なんかは、プラントや各人の拠点、持ち物の中に隠してあります。(海原、三原、烏丸、高杉)
常備してる連中でも時折、どこかに置き忘れるケースもありますが。

ついでに仮面の強度ですが、並の銃弾程度なら無傷です。上条さんのパンチでも無理です。
敵が能力を使った場合、大能力者(レベル4)相当の『直撃』で破壊されます。
魔術サイドなら、神裂さんやイノケンさんが要注意です。
当面は麦のんビームや窒素パンチがヤバイですね。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 11:33:45.95 ID:oSvBL5wO0
とある、アクメツ好きの俺得スレにwwktk

生'sの軽さが田畑先生が書いてるのでは?と思わせるほどの出来で>>1を尊敬すると同時に
言い回しが上手すぎることにshitを憶える
特に”――”から入る表現は本職だろって言いたくなる

応援ついでに
>>1、お前小説書け!!
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/17(木) 02:03:30.95 ID:0d24EO+7o
       ∧_∧
       ( ・∀・)       ))
       /つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ      さてと、明日に備えてそろそろ寝るか
      ノ   )        \ ))
     (__丿\ヽ ::    ノ:::: )
         丿        ,:'  ))
       (( (___,,.;:-−''"´``'‐'

                  |
                  h
               冊冊冊冊
               〃〃〃〃|
                  |
                  |
                  |
                  |
            ∧_∧| クイッ    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
           ( ・∀・)づ      <  おやスミ
           /  _ノ⌒⌒⌒`〜、_  \______ 
        ( ̄⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
       ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃

             ||| || |
             ||| || |
           ガッ   h
            ∧冊冊冊冊
           ( `Д´)つ
           /  _ノ⌒⌒⌒`〜、_
        ( ̄⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
       ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 02:04:23.30 ID:0d24EO+7o
uwaaaaaaaaaaa
誤爆した正直すまんかった
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/17(木) 20:54:54.95 ID:NFlHfTAt0
>>393
仮面の耐久度すげえwwwwww
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 17:16:15.43 ID:HKNpSq/a0
待ってるじゃん
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 15:20:01.49 ID:xL90VxXDO
私待つわ、いつまでも待つわ
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 20:02:51.76 ID:NLI/FbjV0
たとえ貴方が振り向いてくれなくても
401 :とある複製の妹達支援 :2011/02/20(日) 20:48:24.39 ID:QhNXSFGuo
待つわ(待つわ) いつまでも待つわ
他の誰かに あなたが ふられる日まで

お待たせしました書き進めますよ〜
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 20:49:39.80 ID:D67ZX9XO0
よっしゃktkr
403 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/20(日) 20:52:02.11 ID:QhNXSFGuo
〜Seventh mist店内・女子トイレ〜


美琴「」

バシャバシャと水で顔を洗って、未だに抜けない熱を強引に沈静化させる。

美琴「何してるんだろ、私……」

上条とのやりとりを一部始終、初春と佐天に目撃された美琴は、二人から芸能リポーター顔負けの質問攻めを受けた。

その男子高校生とのご関係は?

友達? ならそのお名前は?

どうやって知り合ったんですか?

ついでに能力の強度(レベル)は?

それらの質問に美琴は顔を羞恥に染め、混乱しながらも何とか答え、
何故か、ノリノリで女子中学生の質問に受け答えする上条に軽く電撃を浴びせたりしていたのだが……

――戻ってきたら御坂さんが『子持ちの学生カップル』になってて驚きましたよー?

という、佐天の一言によって色んな感情が決壊し、女子トイレへの逃亡という情けない事態に陥っていた。

美琴「うぅ……何でアイツが絡むと、冷静になれないのよ……?」

上条と友好的な関係を結んだと言うのに、未だに理由の分からない感情に振り回されている。

美琴「これじゃ、前と変わらないじゃない…………ん?」

トボトボと女子トイレを出ると、目の前をヌイグルミを持った男子学生が通り過ぎた。


 : : : : : : .ヘヽ! : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\  V: : : : : : \
 : : : : : : : 人| : : : : : : :ト、 : :.:\、: : : : : : : :.\: : : : ト、 V: : :\: : : :
 : : : i: : : ;イ:.:|: : :i : : ト、! \ : :.:\ト、: : : : :ト、: :\ :.ヘ :\} : :}: : :\ー、
 : : : | /: : : !: : ハ : :|_, ィ――-、 : \\: : | \_:_\:ヘ /: : : : :ヘ
 : :-イ:/⌒ヽ. : : :メ:{   ┃   \:ゝ  \! / \: : ト、:メ:/ :\ 、 : ヘ
 : : : / ノヽ  \ト、ゞゝ ┃     !        , - 、\! ./\二ニ=-\
 |: : :{ (⌒ )  ヾ \  ┃     ,'     /┃  ヽ. V: : : : : \
 |: : : \  (.       \___/       {. ┃   }./: : : : : : : : \
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 |: : : : : : : : :ヘ ij                \\\/ノ: : : :ヘ\ : : : : :
 | i: : : : : : : : :ヘ       l                 |: :.:\: : :ヘ \: : ::
 | |\: :\ : \:i\      `ー― '´\_ノ    /: : : : :\: :ヘ.  \ :
 V   \/\: :.\ \                 /:\ : : : : :.\ヘ


美琴「(ゲコ太!?)」キュピーン!

ゲコ太とは?
学園都市内のメーカーであるラヴリーミトン製の、カエルのマスコットだ!
髭を生やしスーツを着用している、ケロヨンの隣に住んで居るおじさんで、乗り物に弱く直ぐにゲコゲコしてしまうからゲコ太と呼ばれているらしいぞ!

美琴「(……じゃないか……つーか、全く似てないわ)」

だが、しかし。

――あの人は、こんな所でヌイグルミを持って何をしているんだろう?
404 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/20(日) 20:59:20.85 ID:QhNXSFGuo
〜風紀委員活動第一七七支部〜


黒子「やはり……虚空爆破事件の人的被害は風紀委員に集中していますの……!」

安達「間違いない、犯人の狙いは風紀委員……」

ALERT!ALERT!

安達&黒子「!?」バッ

パソコンの画面に表示される危険信号。

安達「衛星が重力子の加速を確認……!?」カタカタカタ

黒子「場所はどこですの!?」

表示されているポイントは、どちらも第七学区内。

安達「セブンスミストと……中央公園……?」

どちらも爆弾が爆発すれば、多くの人間が巻き込まれる可能性がある場所だ。

黒子「同時に二箇所……犯人も本気ですの……! ですが、重力子加速のスピードを見る限り、爆発は公園が先……」

安達「現場近くの警備員(アンチスキル)に連絡して、避難をさせないと……」

黒子「時間がありませんの、ここは二手に分かれて直接現場に移動しながら連絡を!」

現場……?
セブンスミストという場所は知ってはいるが、行ったことはない。
だが、中央公園は昨日、黒子と一緒に行った場所だ。

黒子と一緒に……そう、一緒にクレープを食べた。

待て、あのクレープを作ったのは誰だった……?

安達「っ………………白井さん、セブンスミストに向かってくれ。公園には俺が行くじゃん」

黒子「いえ、爆発まで時間がない以上、空間移動(テレポート)の使える私が公園に行ったほうが……」

安達「いいから行けっ!!」

有無を言わさない怒声に黒子の肩がビクっと震える。

黒子「は、はいですの!」ヒュン

安達「……もしかしたら……」ダッ

空間移動で、黒子が支部を離れたのを確認した後、安達も走って支部を飛び出した。
405 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/20(日) 21:04:33.65 ID:QhNXSFGuo
第七学区・公園入口付近


海原が屋台と一緒に持ち運んでいる、簡易式のテーブルセットに座って、二人の少女がクレープをパクついている。

フレンダ「うまうま♪」モグモグ

満面の笑みで鯖クレープを口に運ぶフレンダ。

絹旗「超ご機嫌ですね、フレンダ」

そう言って笑う絹旗も、クレープを食べる度に頬が緩んでいた。

フレンダ「結局、いい店を教えてもらったって訳よ! まさか絹旗がB級グルメにも詳しかったなんて……」

絹旗「いえ、映画と食べ物のB級とは違うと思いますが……それに、ここのクレープは間違いなく超A級ですよ」

海原「おいおい、嬉しいこと言ってくれるじゃないの……はい、追加」

煽てられて、気を良くしたのか次々とクレープを焼き上げる海原。

絹旗「今度はフルーツですか、超美味しいです」アムアム

フレンダ「でも、いいの? こんなに美味しいのにタダで」モグモグ

海原「まぁ、試作だし……美少女二人が美味しそうに食べてくれるだけで集客効果はあるじゃん」

絹旗「その割には超閑古鳥が鳴いてますね」

周囲を見渡しても、放課後の公園には人が殆どいない。

フレンダ「例の爆弾事件の所為じゃないの? 結局、みんな怖がって外出を控えてる訳よ」

自分が事件に巻き込まれたりはしないだろう、と根拠のない自信で街を彷徨く人たちも、
犯人の狙いが不明な現状では、さすがに用もないのに人が多そうな場所を率先して訪れようとはしないようだ。

絹旗「可哀想に……フレンダ、早く自首してください」

フレンダ「いや、私じゃないって訳よ!?」
406 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/20(日) 21:08:18.06 ID:QhNXSFGuo

絹旗「いつもヌイグルミに超爆弾詰めてるじゃないですか」

フレンダ「一緒にしないで欲しい訳よ! ってか、店長さんの居る前で何を言ってるの!?」

海原「あー、やっぱりフレンダちゃんは、爆弾使うのか?」

フレンダ「ええっ!?」

絹旗「大丈夫ですよ、フレンダ。この店長はその辺を弁えている人です」

フレンダ「(ど、どういう事なの? まさか、自分から暗部組織の人間だって話したの!?)」ゴニョゴニョ

慌てて絹旗に耳打ちするフレンダ。

絹旗「そんな事しませんよ、見破られただけです」

あっけらかんと言い切る。

フレンダ「それでも大問題な訳よ!」

海原「偽造の身分証持ってたり、女子高生が火薬の匂いさせてる時点でバレバレじゃん」

むしろ、隠しているつもりがあったのか?と鼻で笑う海原。

絹&フレ「がーん!?」

フレンダ「む、麦野に怒られる……」オロオロ

絹旗「大丈夫ですよ、フレンダ。サーモンクレープを食べさせれば、麦野だってこの店の超リピーターです」

フレンダ「いや、それもどうなのよ……?」

むしろ、店ごと店長を抹殺するような超悪質なクレーマーになりはしないかと心配でならない。

絹旗「でも、この店長は私やフレンダが暗部の人間だと気付いても……それでも尚、私達を超歓待してくれているんですよ?」

海原「まぁ、どんな仕事をしていたって、店に来てくれる人は大事なお客様だからな。その麦野?って奴も来てくれるなら大歓迎だ」

絹旗「暗部と言っても、私達は『暴走』や『裏切り』への超抑止力ですから。別にバレても口外されないなら困りませんし」

フレンダ「――絹旗が常連になるのが、理解出来たって訳よ。……それにしても店長は結局、何者なの?」

海原「さてね、俺は極普通の流れのクレープ職人だぜ……?」ニヤニヤ

フレンダ「流れのクレープ職人なんて、聞いたことない訳よ」

絹旗「ほら、アレですよ。
    一流のスイーパーの超行き付けの喫茶店やバーのマスターが、元傭兵だったり元殺し屋だったりする感じですよ、きっと」

海原「おいおい、誰が海坊主だよ」ケラケラ

フレンダ「いつから学園都市は、シティハンターのいるデンジャラスな新宿になったの……?」ドヨーン
407 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/20(日) 21:15:21.37 ID:QhNXSFGuo

海原「(けど、意外と鋭いな、絹旗ちゃん)」

フレンダ「結局、深く考える私が馬鹿みたいな訳よ…………ん?」

絹旗「どうかしましたか?」

フレンダ「イスの下に何か落ちてる……うわっ、何これ」

引きつった声と共に、足元からフレンダが取り出したのは、贓物の飛び出した動物のヌイグルミだった。

                        _
         ─- 、   -─┬┬─- /   `丶
      /  ─ 、 v'    =|::::|=   \⌒)  }
       { {      __|__,/|::::| -───-、  ′
.       、    //////ハ´     三三   ∨
.         ァ   {////////  ⊂⊃     ] '
         {  /乂///// 、_人___, ]  } _   
.          //   ̄「   W.:.:.:.:.:.Y   <Y   `ヽ
.          ∨ /       、.:.:.:.:.:.:.:ノ   </     }
.          ∨_        `¨¨¨|;|  )ヽ〃     /
          \/             i;|  /    /
           > 、          j;j      .   ´
            /             ィ
.        /(            __ハ
.       /(              |:::::::/ ‘.
     (     ) イ=    __ ├‐/  ハ
       \_ /〃|=   /::;''~`~;~''/T ノハ
.            \{{ |= 〈::;''~~;;;~'';::ノ|:;l    }
           Y   \::;''~~;;;:{ |:;|   ノ|


絹旗「何ですか、それ……超悪趣味ですね」

海原「誰かの落し物かな……?」

だが、今日は特に客も来なかったし、落し物をするような人自体に心当たりがない。

ダンダンキニナル-キノナイ-フリシテルノガ

ふいに着うたが響き、海原はテーブルを離れて屋台の裏手に置いてあった携帯電話を取る。

海原「(メール……安達から?)」

メールの内容を見た海原が駆け出すのと、
フレンダの持っていた、その人形が『歪んだ』のは、ほぼ同じタイミングだった。
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:21:03.16 ID:D67ZX9XO0
海原Δ
409 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/02/20(日) 21:23:05.64 ID:QhNXSFGuo
〜第七学区・木の葉通り〜


人通りの増え始めた道を縫うように駆け抜ける。

安達「(犯人の狙いは風紀委員……!)」ピピピッ

走りながらも携帯を操作し、学園都市に潜伏中の同胞達へとメールを一斉送信。

--------------------------------------------
【From】syou-adati@akumetu-pl.ed.jp
【To】 指定アドレス
【Sub】 第七学区内にいる奴返信くれ!
--------------------------------------------
虚空爆破事件の次の標的は、
第七学区内の洋服店セブンスミスト&中央公園だ。
風紀委員が狙われている可能性がある、
外出している奴は注意してくれ
--------------------------------------------

安達「(もしも、犯人が……)」

――風紀委員である『安達生』と間違って『他の生』を標的にしているとしたら…!?

皆が変装の類をしている訳ではない以上、遺伝子レベルで同じ顔をしている生同士を見分けるのは……

安達「くそっ!」

――不可能に近い。

現場へと走りながら、兄弟達からの返信を待つ。

ブルブルブルブルッ

一斉に返信が届くが、一人だけ、いる筈の人物からメールが届かない。

安達「(海原……!)」

心の中で、その名を呼ぶ。


ドオオオオオオンッ!!!!!!!!!!


だが、それすらも掻き消すように爆音が轟いた。
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:27:27.67 ID:kWUJr/kAO
更新キターーーー!

あーあ介旅くん悪滅されちゃったかー
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:33:08.28 ID:D67ZX9XO0
着メロwww
口ずさんでみたらあの曲かwwww
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 13:26:08.59 ID:9IHOg64a0
おお!更新きた!
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 16:51:59.24 ID:OCaa1j0DO
ぬいぐるみに突っ込みは無いんだな
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/27(日) 00:19:44.67 ID:IEGTspix0
ジャイロ=ツェペリを思い出すな
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:23:06.37 ID:8pDjl/8p0
ちょっとまて




アイテムの二人巻き込まれた!?

フレ/ンダ と 絹/旗 になってしまう
416 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/27(日) 18:10:58.78 ID:YD5ityavo
〜Seventh mist店内〜


上条「一人で大丈夫か?」

鞄の少女「うん、へいき!」トテトテ

上条「――それにしても、どうしたんだろうな……御坂の奴」

一人歩いて行く少女を父親のような心境で見送りながら、ふと呟く上条。

初春「(佐天さんが変な事、言うからですよ?)」ゴニョゴニョ

佐天「(いや〜、あんなに顔真っ赤にした御坂さん初めて見たよ……)」ゴニョゴニョ

上条「二人とも、どうかしたのか?」

初天「「いえ、何でもないです!」」

上条「そうか?」

佐天「で、でも上条さんって凄いですね!」

上条「……ハイ?」

他人から賞賛された経験に乏しい上条としては、この娘さんは何を言っているんだろう? といった心境である。

佐天「だって、超能力者(レベル5)の御坂さんの事を堂々と友達だって言えて……」

上条「それって、何か凄いのか? 佐天さんや初春さんも御坂の友達だろ?」

異性の間で純粋な友情が成立するか、とか。
女子中学生と男子高校生で、友達と言っていいのか、とか。
改めて考えると色々と問題がある気もするが、ここはスルーだ。
417 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/27(日) 18:12:57.72 ID:YD5ityavo

佐天「……確かにそうだし、私もそうありたいと思っているですけど……何だか、遠慮しちゃうんです」

初春「もしかして、佐天さん……強度(レベル)の事、気にしてます?」

佐天「だって、相手は学園都市に7人しかいないレベル5だよ? しかも、常盤台のお嬢様。
    それに比べて、私は何の能力もない無能力者(レベル0)で、ただの普通の中学生。
    そんな私が御坂さんの友達なんて、おこがましい……とまでは思わないけど、少しは……ね」

上条「……無能力者(レベル0)って事なら、俺だってそうだぞ?」

右手の所為で、身体検査(システムスキャン)も無効化されているだけで、厳密に言えば上条は無能力者ではないのだが。

佐天「だから、凄いんじゃないですか。上条さん、御坂さんに対して、すごく自然だし……遠慮とか全然なくて」

佐天から見て、上条と美琴には互いのレベル差に対する気後れなど、微塵も感じなかった。
そして、上条もそうだが――美琴も照れたり、混乱したりはしていたものの、極自然体で肩の力が抜けていたように思えた。

上条「(まぁ、最初の頃は、ただのビリビリ中学生だし……正直、遠慮してる余裕なんか無かったからな……)」

加えて、昨晩の河原での一件。
どうやら、彼女は自分との「遠慮のない」関係が御所望らしい、というのは上条にも理解出来た。
なら、それなりに友好的な関係を築けた今、改めて遠慮をするというのは不自然だろう。

上条「第一、御坂だって相手のレベルとかを気にして、付き合い方を変えるような奴じゃないぞ?」

佐天「分かってますよ、友達ですから。
    ……結局の所は、私の心の問題なんです」

初春「佐天さん……」

今にも泣き出しそうな初春の声と表情にようやく佐天は、この場の空気に気付いた。

佐天「あ……。
    ヤメヤメ! こんなの私らしくないわ! 上条さんもゴメンなさい、急に変なコト言っちゃって!」ペコリ

暗い感情を吹き飛ばすように快活に笑う佐天。
どこか痛々しさの残る佐天の姿に上条と初春は胸を痛ませた。
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 18:13:12.07 ID:u1kplVMwo
まってたじゃーん!
419 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/27(日) 18:18:10.61 ID:YD5ityavo

上条「(こればっかりはな……)」

強度(レベル)に関しての苦悩というのは、学園都市で生きていく上で、学生達が避けては通れない問題だ。
学園都市の根源的な部分関わっている、この手の問題を解決させるのは、能力の成長か、当人の意識の変化しかない。

上条「(同じ無能力者(レベル0)と言っても、厳密には違うし……今日、出会ったばかりの俺が口を挟むのも……」

自分以外に佐天の助けになれる人物がいないというなら、また話は別だし、
万が一にも彼女が間違った道を選びそうだったら、例え初対面でも、止める覚悟はあるのだが……

だが、彼女は幸い友人には恵まれているから大丈夫だろう、とも思う。
御坂が、この手の相談に向いているかは別にしても、あれは友人を見捨てるような薄情な奴ではないだろうし、
彼女の親友らしい初春は、本気で佐天を案じているように見える。

上条「(レベルなんかよりも、そっちの方がずっと価値があると思うけど……)」

しかし、結局の所……それで『自らを救う』かどうかは、佐天涙子自身の考え方や、生き方に依る部分が大きい。

上条「気にしないでいいって、佐天さん。
    よーし……折角、二人と知り合えた訳だし、ここは上条さんがジュースでも奢ってあげよう!」

少し強引だったが、気分を変えようと奢り宣言してみる。

初春「あ、じゃあ『いちごおでん』を」

佐天「早っ!? 早いよ、初春!?」

初春「へ?」

何か問題でもあるのか、とキョトンと首を傾げる初春。

佐天「ここは上条さんの気遣いに感謝しつつも、少し遠慮とかする場面じゃないの!? そして何なの、そのチョイス!?」

初春「いやー、人の好意は素直に受け取るべきじゃないですか。
    それに結構、好きなんです『いちごおでん』。おでんの出汁がいちごに染みて」

上条「も、猛者だな、初春さん……佐天さんは? 何がいい?」

佐天「じゃあ、お言葉に甘えて……『ヤシの実サイダー』をお願いします」

上条「あぁ、御坂がよく飲んでる奴だな」

覚えのある銘柄で出てきたので、ついそんな事を口走っていた。

初天「「…………へぇー」」ニヤニヤ

上条「――――――――あ」

よく見てるんですねー? と言わんばかりの女子中学生二人の熱い視線が上条に注がれる。

上条「あ……えっと……その……ご、誤解だあああああああああああああああ!!!」///ダッ

まるで、少し前の美琴のように上条は涙目になりながら逃亡した。
420 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/27(日) 18:58:41.40 ID:YD5ityavo

美琴が初春達の元へ戻ると上条と鞄の少女の姿が無かった。

美琴「あれ……? あの子と……あ、アイツは?」

佐天「あの子なら、少し前に御手洗いに……上条さんはジュースを買いに、外に行かれましたよ」

美琴「(……行き違いになっちゃったのか)」

初春「(でも、上条さんの逃げ方、御坂さんに似てませんでした?)」ゴニョゴニョ

佐天「(似てた、似てた! あれかな、似た者カップルって奴なのかなー?)」ゴニョゴニョ

美琴「ん? 二人とも、何かあった?」

初天「「いえ、何も!」」

美琴「……怪しいわね」ボソッ

セ-カイニヒ-トツダ-ケノハ-ナ

佐天「あれ、初春……ケータイ鳴ってない?」

初春「みたいです……はい、もしもry」ピッ

黒子『初春ッ!! 今どこにいるんですのっ!?』

最大ボリュームの同僚の声に思わず耳を押さえてしまう。

初春「し、白井さん!? あー、もしかして自分だけ仕事なのが、やっぱり嫌になって――」

黒子『虚空爆破事件の続報ですの!』

初春「ええっ!?」

黒子『先程、衛星が重力子の爆発的加速を観測しましたの!』

初春「か、観測地点は!?」

黒子『場所が二箇所なので、今、わたくしと安達さんが二手に別れて急行しておりますの。
    勿論、現地付近の風紀委員や警備員にも動くように手配中です。折角の休暇中ですが、あなたも現場に――』

初春「白井さんの向かってる観測地点は!?」

黒子『第七学区の洋服店『セブンスミスト』ですの!!』
421 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/27(日) 19:01:38.56 ID:YD5ityavo

初春「セブンスミスト……ラッキーです! 私、今ちょうどそこにいますっ!!」グッ

思わず小さくガッツポーズをする初春。

黒子『なんですって!? 初はry』ピッ

電話の向こうで、黒子が危機的事態に戦慄するが、意を決した初春が通話を切ってしまう。

初春「――二人とも、落ち着いて聞いてください……虚空爆破事件の犯人の次の標的が分かりました……この店です」

美琴「この店……!?」

初春「そうみたいです。御坂さん、避難誘導に協力してもらえませんか?」

美琴「おーけー、わかったわ」

初春「佐天さんは避難を」

佐天「っ………………うん」

善意の筈のその言葉が、小さな痛みを伴って佐天へ刺さる。

初春「佐天さん?」

佐天「何でもないよ……初春も……気をつけてね?」

自分の痛みが悟られないように取り繕いながら、友を案じる言葉を紡ぐ。

初春「はい!」

親友と尊敬する人の背中を見送りながら、一人残された少女は思う。

風紀委員である初春が民間人である佐天を案じて、避難するように言うことは何も間違ってはいない。

佐天「(けど、御坂さんには協力を頼んだ)」

意識しての行動ではないと思う。

――でも、だからこそ、そこには逃れられない真実が紛れている。

友人で民間人で女の子なのは変わらない。

御坂美琴と佐天涙子の差。

超能力者と無能力者としての差。

その絶対的で絶望的な差が、刃の様な冷たさと鋭さを持って、再び佐天に突きつけられていた。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 21:10:22.31 ID:ueD0qFGX0
佐天さん関連はどのスレでもどこに転がるかが実に興味深いテーマの一つなので期待
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 21:18:04.65 ID:49mPodh9o
このSSでのキャラの調理法は毎回引き込まれる面白さがあるのでwktk
424 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/02/27(日) 22:45:02.91 ID:YD5ityavo

第七学区・公園入口付近


安達「風紀委員です! 危険ですので、近づかないでください」グイグイ

爆発の直後、重傷を負った海原の姿を見た安達は、すぐにでも駆け寄りたい衝動を堪え、集まってきた野次馬達を制し、現場を封鎖していた。

野次馬A「おい、また爆発だって!」

野次馬B「怪我人がいるってよ!」

野次馬C「は、はやく救急車を呼ばないと!」

ピ-ポ-ピ-ポ-ピ-ポ-ピ-ポ-ピ-ポ-

野次馬ABC「「「え、早っ……!?」」」

爆発から三分も経たずにやって来た救急車に野次馬がどよめく。

救急隊A「どいてっ!」ダダダダダッ

救急隊B「どいてどいて!」ダダダダダッ

救急隊C「そこのけそこのけ鬼嫁が通るぜ!」ダダダダダッ

人混みを掻き分けるようにして救急隊員達が現場に到着した。

救急隊A「大丈夫ですか! もう安心ですからね!」

海原「…………早いな、おい」

正直、話せるような状態ではないのだが、思わずツッコミを入れる海原。

救急隊B「(安達のメールを見て、ヤバいと思って、すぐに出動したじゃん)」ボソッ

海原「……流石、俺」ニヤリ

救急隊C「(もういい、喋るな。仮面も持ってきてる、救急車の中で装着するから、それまで意地でも死ぬなよ)」

海原「……あぁ」

駆け付けた数人の救急隊員が、倒れている海原や気絶した少女達を担架とストレッチャーに乗せ、颯爽と運び去っていく。

救急隊B「我々は彼等を病院まで搬送しなければならないので――失敬!」(`・ω・´)ゞ

演出過剰気味に敬礼までする救急隊員に野次馬も流石に違和感を覚えるが、状況が状況なので気付かれない。
そんな中、チラッと安達は駆ける救急隊員の一人とアイ・コンタクトを交わし、意思疎通を図る。

安達「(――頼んだじゃん)」

救急隊A「(ああ、そっちもな!)」

ガラガラガラガラガラッ!

バタンッ!

救急隊員達は少女二人と、海原とを別々の救急車に乗せ、発進する。

救急隊C「さぁ、椿のいる病院に直行だ!」

救急隊B「頼むぜ、ドライバー!」

運転手「任せなっ!」b

そう言ってサムズアップしたドライバーも、運ばれる怪我人と同じ顔であった。
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 23:47:18.28 ID:Yv5O4UiIo
wktk
426 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/28(月) 00:26:42.82 ID:OoobhoO1o

〜Seventh mist店内〜


『お客様にご案内申し上げます。店内で電気系統のトラブルが発生した為、誠に勝手ながら、本日の営業を終了させて頂きます。係員が――』


ざわ……ざわ……

客A「故障って、何?」

客B「来たばっかりなのにー」

初春の要請で店側が流したアナウンスによって、パニックにならないように避難誘導を行う。
数分後、人気の無くなった店内には、初春と美琴だけが残った。

美琴「よしっ、とりあえずこれで全員……」キョロキョロ

上条「御坂っ!」

美琴「あ、アンタ! どこまでジュースを買いに……」

上条「あの子、見なかったか!?」

美琴「嘘っ!? まだ戻ってないの!?」

上条「人が多すぎて、よくわかんねーけど、多分まだ……」



そんな遣り取りをしている二人から、少し離れた場所で、初春は連絡の為に黒子に電話をかけていた。

黒子『初春!?』

初春「白井さん、全員の避難、終わりました!」

黒子『今すぐにそこを離れなさい!』

初春「ふぇ?」

黒子『過去の事件の人的被害は風紀委員だけですの! 犯人の真の狙いは観測地点付近にいる風紀委員!
    ――今回の標的はあなたですのよ、初春っ!!』

初春「え……!?」
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/28(月) 00:32:28.49 ID:OoobhoO1o

鞄の少女「おねーちゃーん!」

一瞬、確かに止まった世界が、少女の声で再び動き始める。

上条「よかった、無事だったみたいだな……」ホッ

少女の声に上条と美琴も気付いて、そちらを見遣って、安堵の溜め息を吐いた。

初春「(良かった……)」

パッと見るだけでも、何処にも怪我等はないようだ……だが。

美琴「(あれは……先刻の?)」

初春「その人形……どうしたの?」

少女が持っていたのは、相撲取りのようにマワシを着けたカエルの人形だった。

鞄の少女「あのね? メガネをかけた、おにーちゃんがおねーちゃんに渡してって!」

初春「メガネをかけた……?」

疑問に感じながらも、吸い寄せられるように人形へと初春の両手が伸びる。

美琴「初春さんっ!! ダメ!!!」

全てに気付いた美琴が叫んだ刹那――人形が、その自らの中心へと向かって歪んだ。

初春「っ!?」

咄嗟に人形を放り投げて、少女を抱きかかえるように庇った。

初春「逃げてくださいっ! あれが爆弾です!!」

――逃げる? 有り得ない。

美琴「(超電磁砲(レールガン)で、爆弾ごと!!!)」

爆弾と初春達との間に躍り出た美琴は、スカートのポケットからゲームセンターのコインを取り出そうとする。

美琴「しまっ!?」ポロッ

だが、咄嗟の事で手元が滑り、コインは美琴の手を離れ、無情にも床へと落下する。

美琴「(間に合わないっ!)」

初春が少女だけでも守るべく、目を閉じ、彼女を強く抱きしめた。

美琴は、自らのミスに戦慄し、それでも決して、爆弾から目を逸らさなかった。

だからこそ、美琴だけが、『その背中』を見ていた。

――爆弾から、少女達を守護するかのように立ちはだかる、その少年の背中を。
428 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 00:35:48.84 ID:OoobhoO1o

ドオオオオオオン!!!!!!!!!!



爆風とガラス片が舞い、店から非難していた客や通行人から悲鳴があがる。

通行人A「キャーー!!」

通行人B「何だ!? 爆発!?」

通行人C「例の連続爆破テロだって!」

通行人D「逃げ遅れた人がまだ中にいるみたいだぞ!」

通行人E「風紀委員の子を見たって……」

佐天「(初春……!)」

???「…………ククク」

騒ぎ立てる通行人の中、その少年は勝利者の笑みを浮かべていた。

彼の名前は、介旅初矢(かいたびはつや)。
一連の虚空爆破事件の犯人である『量子変速』の能力者である。

介旅は、ゆったりとした歩みで人混みを離れ、路地裏へと入っていく。

だが、犯行直後で一種の興奮状態になっていた彼は、気付かなかった。

――自分が尾行されていた事に。
429 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 00:44:12.96 ID:OoobhoO1o

〜アクメツクローンプラントin学園都市〜


筋ジストロフィー研究センター地下に新たに建造されたアクメツクローンプラント。

有事の予備として、個人所有の衛星とは別に勝手に拝借した某大国の人工衛星。

そこを経由して送られたデジタル信号が、プラントに用意された培養器へと到達する。

数分のダウンロード時間。

――そして、彼は『蘇生』される。

情報の通信を知らせる電子音が鳴り響く。

……ピピピピッ

BIOGRAPH

>>BRAIN-MOVE 
          ...clear!
>>BRAINWAVE
          ...stability!
>>HEART-MOVE
          ...clear!
>>THERMO-GRAPH
          ...clear!
>>MEMORY-SHARING
          ...clear!
>>ver.3.98-INSTALL
          ...clear!

Carpe diem quam minimum credula postero.
This power exists for the friend who lost and neighbors who love by living in now.

Happy birthday!

『OPEN』
430 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 00:51:10.36 ID:OoobhoO1o

ピシッ

培養器が開くと同時に、中を満たしていた培養液が排出される。

生(海)「がはっ……!」ゴホゴホ

生(烏)「――災難だったな、海原」

プラント常駐の烏丸生(からすましょう)が、海原の誕生を出迎えた。

生(海)「ああ……でも前の死に方よりかは、格好良く逝けたから良しとするじゃんよ……」ケホケホ

体中に貼りつけられた電極やコードを外しながら、溜め息を吐く海原。

生(鳥)「確か前は……新倉の担任に撃たれたんだったか?」

アクメツに感化され、偽物の仮面を自作してまで自らもアクメツを名乗ったのにも関わらず、
遠距離からの狙撃、爆弾の使用等で無関係の人々に被害を出しまくった善滅野郎、黒沼春近。
自らが暴力団黒沼組組長の息子であった為か、偏った正義感を持ち、数多く現れたニセアクメツの中でも最低の部類に入る奴だった。

生(海)「おいおい、思い出させないでくれよ……結構、気にしてんだから……」

本物が間に合い、仮面を装備して逝けたから無駄死にならなかったとは言え、どうせなら悪滅の果てに死にたかった海原としては複雑である。

生(烏)「まぁ、今回は人助けだったんだ、誇っていいだろう」

生(海)「そういえば、あの娘達は……?」

生(烏)「椿のいる病院に搬送されたよ。簡単に検査したが、二人とも大きな怪我はないそうだ」

生(海)「そうか……良かった」

あの爆発の瞬間、フレンダを庇ったのは正解だったらしい。
431 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 00:57:20.11 ID:OoobhoO1o

生(海)「(絹旗ちゃんが防御力の高い能力者だって、知らなかったら……咄嗟に動けなかったかもな)」

前に一緒に映画を観た時に自慢のように話していたのを覚えておいて、本当に良かった。
……無論、その能力名や、細かい特性までは教えてもらってなかったのだが。

生(海)「――爆弾犯はどうなった?」

生(烏)「もう一箇所の……セブンスミスト? とか言う場所に新倉と藤崎が行っている」

生(海)「おいおい、よりにもよって、その二人か」

生(烏)「ん? 何か問題でもあるのか?」

生(海)「いや、だって、藤崎だろ? 前にニセのシュークリーム爆弾で死んだの」

詳しく言うと、差し入れのシュークリームの箱の中に仕込まれ、掴んだシュークリームを放すと爆発するという奇怪な爆弾であった。

生(烏)「……そうだったか?」

生(海)「烏丸も参加してた科学班の作ったスクランダー着けて、空中で爆散したって聞いたじゃんよ?」

生(烏)「爆弾犯、無事に捕まるといいが……」

完全に忘れていたらしい。

そして、烏丸の言う『無事』とは、何事も無く捕まる、という意味なのか。
或いは、犯人の無事を危ぶんでいるのか……。

生(海)「他人事かよ……」

生(烏)「仮に犯人がアレな目にあっても、私は謝らないぞ?」キリッ

生(海)「……俺としても、ある程度はいいんだけどな」

――自分を殺した爆弾魔の心配をせずにはいられない海原であった。
432 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:05:40.47 ID:OoobhoO1o

〜ACP・モニタールーム〜


芳川「キミ達の蘇生……この目で見たのは初めてだけど……本当に凄いわね」

モニタールームで、生蘇生の一部始終を見ていた芳川が、その圧倒的な技術に感嘆する。
芳川の隣には、一人の生がいた。

この生の名前は早坂生(はやさかしょう)。

アクメツ時代には、記者クラブに潜入し、悪滅の活動の為の情報収集を主任務とし、
今もまた学園都市での情報収集、並びに各地の生の連絡係を請け負っている。

生(早)「素体の生成に少し時間が掛かるが、それさえやっておけば、記憶の継承や肉体の調整は短時間で終了するからな」

ちなみにクローンである生の素体……その生成には約170時間を要する。
つまり、一週間の準備期間が必要になるのだ。

布束「…………それはともかく、いつまで彼は裸体を晒しているの?」

これ以上は耐えられない、という風に呟く布束。

生(早)「これは失敬」

機器を操作して、培養器の並んだ部屋へマイクから音声を送る。

『おーい、海原の。早く服を着ろー、女性陣が困ってるぞー』

その声を聞いて、モニターの向こう側の海原が慌てて水色の手術着を身に纏う。

芳川「別に私は平気だけど」

布束「however 私は平気じゃないので……」

芳川「ああ、何しろ遺伝子レベルで同じだものね? ……誰の裸体と重ね合わせているのかしら?」

布束「…………………」プシュー///

生(早)「芳川さん、そのぐらいで」

芳川「あら、そう?」

生(早)「まったく……俺は椿の所に海原の遺体を引取りに行くんで、後をお願いしますよ」

目の前でピンピンしている人間の遺体の話というのも奇妙だが、何時までも預けておける代物でもない。

芳川「……行ってらっしゃい」

命を落とした、その肉体すらも素体の養分として、後の個体の糧とする。

――どこまで完成されているのだろうか、彼等の技術は。

芳川「死の商人と呼ばれた、悪の天才…………神宮寺寛の遺産……か」

しかし、これほどの技術を学園都市は本当に知らなかったのだろうか?
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 01:08:30.96 ID:fIdB7IYE0
「だが私は謝らない」やめれwwwww
木の/葉は犠牲になったのだ…海原にフラグが立ったかも知れぬ海原の犠牲にな…
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 01:09:33.17 ID:fIdB7IYE0
間違えた…自分に自分でフラグ立ててどうするよ
謝るから悪滅しないでね流し板さん
435 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:14:00.13 ID:OoobhoO1o

第七学区・裏路地


介旅の姿を捉えていたのは、安達からのメールで駆け付けた、生の一人だった。

第七学区を拠点にしているスキルアウトに潜伏中だった、新倉生(にいくらしょう)である。

新倉「(あいつ……だな)」

爆発を目撃したにも関わらず、驚くのでも、恐怖するのでもなく、ニヤニヤと笑っていた野次馬の一人。
さながら、放火現場で炎が燃え上がるのを見て喜ぶ放火犯のような、その異質で特徴的な姿を見落としたりはしない。

――俺達が、これまで何人の悪を見てきたと思ってる?

悪を見たら鼻血が出るなんて便利な特殊能力は必要ない。
あの程度なら、一目見れば分かる。

新倉「(まぁ……一応、確認しときますか)」

懐に忍ばせた仮面の中から、カプセル状の薬剤を取り出す。

新倉「(擬似的記憶共有薬ぅ〜〜〜〜〜〜!)」テテテテッテテ-!

その名のとおり、他者の記憶を擬似的に共有させる薬剤だ。
これもアクメツ時代……いや、その前から使用していた慣れ親しんだアイテムの一つである。

『擬似的記憶共有薬』

某国諜報部で使用されていた、記憶を消去、操作する薬剤を発展進化させたもので、
神宮寺超人化計画の過程で生まれた新技術だ。

新倉「(とは言っても、10年前の最新技術だから、探せば学園都市にも似たようなのはありそうじゃん)」

この薬剤は、死亡した人間の記憶データを元に精製され、服用した人間はビデオ再生のように記憶を『見る』事が出来る。

今回の場合は、救急車の中で絶命した海原生の記憶。
海原が装着した仮面から発信されたデジタル信号は、人工衛星、プラントを経由して、全ての仮面へと、その情報を伝達する。
そして、各自の仮面の中で精製されるのが、今、新倉が飲んだ擬似的記憶共有薬である。

新倉「(海原、お前の記憶を見させてもらうじゃん……)」ゴクンッ

――思い出すのは、約一時間前。クレープ屋。客。ヌイグルミ。

いくつかの単語をキッカケに、芋づる式に記憶が想起される。
少しばかり、記憶を『思い出す』のにコツがいるが、『統合』前の記憶共有手段としては割と便利だ。

新倉「(眼鏡、音楽プレーヤーとヘッドフォン、髪の色は灰色、ショルダーバック…………ビンゴ!)」

目の前を歩く少年と、海原が目撃していた犯人らしき少年の姿が完全に一致する。

――標的確認。
436 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/02/28(月) 01:21:26.34 ID:OoobhoO1o

その『悪』は、悲鳴をBGMに、自らの所業に酔いしれていた。

介旅「(いいぞ……! 今度こそ逝っただろう……)」

今までは、怪我人こそ出たものの、威力が足りずに標的を殺すことは出来なかった。

介旅「スバラシイ!スバラシイぞ、僕の力!! 徐々に強い力を使いこなせるようになってきたッ!!」

新倉「(おいおい、声出てるじゃん……)」

興奮する『悪』は、背後に『悪滅』がいる事に気付かずに、歓喜に震える。

介旅「もうすぐだ! あと少し数をこなせば、無能な風紀委員もアイツらも、みんなまとめて……」

新倉「(はい、言質っと……)」テクテク

数歩下がって、助走距離を取る新倉。

介旅「吹き飛ばッ――!!!???」

高らかに自供した介旅の背中に、タップリと速度をつけて飛び上がった新倉のドロップキックが突き刺さった。

介旅「がっ――がっ――げふっ!?」ガシャーン

周囲のゴミ箱を巻き込みながら、ボールのように転がっていく。
437 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:24:25.33 ID:OoobhoO1o

介旅「ぐっ……??? な、一体、何が……!?」

新倉「はーい? 久しぶりじゃん、この野郎」

満面の笑みで立っている新倉の顔を見て、介旅は驚愕する。

介旅「なっ!? お、お前……どうして生きて……!(昨日の風紀委員……公園にいた筈なのに!)」

昨日、自分をさっさと助けに来なかった無能で不愉快な風紀委員。
今日は、公園でアルバイトでもしていたのか、クレープなんて焼いて、可愛い美少女を侍らしていた憎きリア充野郎だ。

新倉「ほぉー? ……やっぱり、お前か爆弾魔は」

介旅「い、いや、何の事だか……僕には……(くそっ、爆破させるタイミングを間違えたか……!?)」

新倉「おいおい、この後に及んで白を切るとか……あー、そっか。
    アレだけやって、怪我人もいないんじゃ、恥ずかしくて認められないか?」

介旅「ば、馬鹿な!? どっちも僕の最大出力だぞ!!」

新倉「――いや、馬鹿は、お前じゃん」

まんまと語るに落ちた介旅を呆れた顔で睨む。

介旅「い、いや……外から見て、そう思っただけで……あの威力だと、助かる人もいないんじゃないかと……」

新倉「安心しろよ、爆弾魔。確かに怪我人はいなかったが、それは尊い一人の犠牲があっての話じゃん」

介旅「ぎ、犠牲……?」
438 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:28:17.77 ID:OoobhoO1o

新倉「それは……『俺』だあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」ブンッ

咆哮と共に振り抜かれた蹴りが介旅の顔面を捉え、へし折れた鼻から鮮血が散った。

介旅「ごっがあああああああああ!?」

新倉「爆弾なんて下の下で俺を殺しやがって……ただで済むと思うなっ!!!」スチャ

溢れんばかりの怒りオーラと共に新倉の懐から黒光りする二つの物が取り出される。

アクメツマスク(偽物)と、某ルートより入手した拳銃である。

介旅「な、何だよそれ!? それで僕をどうする気だよっ!?」

新倉「さーて、どうすると思う?」

介旅「う、撃つのか……お、お前、風紀委員の癖に僕を……!」

新倉「おいおい、言っただろう? 俺は死んだって……だから、『人違い』じゃん」

仮面を着け、ゆっくりと拳銃の遊底を引く。

介旅「な……」

新倉「それにこの仮面を着けてる時は、俺は『アクメツ』って名乗る事にしてるんだよ」

介旅「アクメツ……悪……滅……?」

新倉「そう、アクメツ。だーかーら――」



    ∧,/////  / ,八./,,.::/
!:、  i'  ゙、ー、 ./,/ |i./   / ,         /
..lヽ.// ||、  .\ ;;; j l ,.r''/ー'7        /     悪
. | ii i |  ||. ゙:、  `ヽ! .| /j;;'´       ./   ち  は
`ヽ l.l.|.  | | ヽ、_ 、   `<>'┴-、      .;'     ゃ
-:、ヽlヽヽ ;';';' ,t'/'\-' 、'   /     |  殺 .あ
`ヽヽ_ミミミ ;';'; ,//',.i /,... ヽr―‐i,r─i _,,,:!.  さ  │
__ヽヽ.ミ  、_.j j'・', /,r'':、.|\ ̄ \゙i ̄ |   な  │
  ゙`ヽ、ニ::。'' `''''''" l |  .|:|  \   \  |  い  ん
    ./,、''’ ,...r'l゙` 、l|',,iノ_|`/'"ニニヽ´'|  と  .と
    {  >.ヘ!. jv丶 | ,i´ ,}',イ i'´ .゙、  ゙̄、゙i ね
     ゙、バ`Ylヽ.jミ}:、|.|/ l .;' 、  .゙、   ゝ?
       | / ヽ''  ' | l´.゙、l 丶  ゙、    ヽ.
       レ  ,:`、l ,r''.i゙ `-`゙i     ゙、   \    ,/
        ,/,l |,{ ミ゙i、!、_| | 、     ゙、 ,.-、....r、ニ、´
       ツ/ ./゙、'"ヽ'ji ̄ ゙、      ゙、_゙、,ヾ二L `ヽ.
      /  ,/  /、'-'| `i''''''゙、       `------!:、 ゙i
    /   ,/ /==/i/,ニヽ||   ゙、      ,.. -─--.、 ゙ヽ:|
   /   ,//'/''´ ,//^{ l'"}、   ゙、    / ,..-''''''''''-、゙ヽ、.|
  //|   ,// 、'_ O//ヽ `¬' ̄¬''''|゙、 ./ / ,-''"""`ヽ`、 ゙l|
 〈 .|  ,//  .| ヽ /./ |iー-゙i   /--、 | ;' .i      l ゙l |
  |ヽ∨/  .|  〈 {、 !_゙ー-二ニ-''"´'、| | .|      j j .|
  .| }'" ,/  .|  .|\ \ ̄`''''''''''" / ,,ヽ  .ヽ    ,ノノ ノ


パパパン!!
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 01:30:00.24 ID:tCLe/6eAO
追いついたが布束さんが可愛すぎて[ピーーー]る
そしてどう落とし前をつけるかwktk
440 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:31:59.79 ID:OoobhoO1o

何故か引き金を一回引いただけで弾丸が三発連続して発射された。
強烈な銃の反動で、爆弾犯の足元を狙った弾丸が、上方に大きく逸れる。

三発の弾丸は爆弾犯のこめかみをかすめ、眼鏡とヘッドフォンを吹き飛ばして路地裏の奥へ飛んでいく。

生(新)「(って、何で三点バースト!?)」

脅すだけのつもりだったのだが、危うく当ててしまう所だった。

介旅「ひいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

落ちた眼鏡を拾って、転がるように逃走する爆弾犯。

生(新)「あ、逃げた」

だが、新倉の顔には焦りはない。
何しろ、今の新倉にとって裏路地はホームグラウンドと言っていい程に慣れている場所だ。

見失う可能性は皆無だし、こちらは一人ではない。
既に奴に逃げ場はないのだ。

この際、風紀委員か警備員にでも捕まるまで、たっぷりと恐怖を味わって、自分の行いを悔やめばいい。

生(新)「つーか、あの馬鹿忍者、また懲りずに銃に変な改造を……」ピポパ

携帯を操作して、仲間の生へと連絡しながら愚痴る。

生?『どうした、新倉の』

生(新)「よお、藤崎の。犯人の奴、そっちに行ったから頼むじゃん」

生(藤)『おいおい、逃がしたのか……捕まえて適当に脅せばいいのか?』

生(新)「殺すなよ〜? 警備員か風紀委員に引き渡すんだから」

生(藤)『りょーかい』ピッ

生(新)「さて、どうなるかね……」

介旅が拾い損ねたヘッドフォンを拾い上げて、くるくると指先で弄びながら新倉は呟いた。
441 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:38:54.60 ID:OoobhoO1o

新倉から距離を取った介旅だったが、未だにその精神は混乱の中にいた。

介旅「な、何なんだよ……!? どうしてこんな……!?」

殺した筈の男が生きていた事。
突然、男が得体の知れない仮面を着けた事。
その男が自分に対して何の躊躇もなく発砲した事。

――それら全てが、異常。

勝利の頂きから、恐怖のドン底へと叩き落とされた介旅の心理状態は、完全な袋小路だった。

介旅「こ、殺される……? アイツ……風紀委員じゃなかったのか……?」

路地を駆け、角を曲がれば表通りへと戻れる。
そんな安堵からか注意が散漫になっていた介旅は――

――どんっ、と誰かにぶつかった。

その衝撃で眼鏡が落ち、視界が歪み、ぶつかった相手の顔すら判別出来なくなる。

???「おっと、大丈夫じゃん?」

介旅「あ、ハイ。すみません……」

???「ところで少年、殺されるとは穏やかじゃないな……?」

介旅「え、あ、いや……その」

???「おっと、先に眼鏡をどうぞ」

介旅「あ、ありがとうございます」

男?から眼鏡を手渡され、それをかけた介旅はようやく周囲の風景を認知する。

???「ところで、アンタを殺そうとしてる、風紀委員ってのは……」

――そして、自分がぶつかった相手の顔も。

生(藤)「こーんな、顔だったかい!?」ニタアッ

介旅「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 01:40:55.63 ID:fIdB7IYE0
怖すぎるwwwそして上手すぎるwwwwww
443 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:58:22.75 ID:OoobhoO1o

むしろ、介旅が失神せずに回れ右して、再び逃亡出来た事を評価してあげて欲しい。

生(藤)「意外と逃げ足速いな……さて、追いかけて……ん?」

介旅が逃げた路地の先。

そこに前髪から電気をバチバチと走らせた女子中学生が仁王立ちで、介旅を待ち構えていた。

生(藤)「」ピポパ

生(新)『どうした? 捕まえたのか?』

生(藤)「今、爆弾犯が雷様に捕まりそうです、どうぞー」

何しろ、一心同体の生達である、それだけで全てが伝わった。

生(新)『……余波で携帯が壊されないように気を付けろ、どうぞー』

生(藤)「ついでにヘソも隠します、どうぞー」ピッ

充分に脅した事だし、後は彼女に任せて問題ないだろう、と藤崎生(ふじさきしょう)は、自分の携帯電話を死守すべく撤退を開始した。
444 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/02/28(月) 01:59:52.85 ID:OoobhoO1o

ここは学園都市だ。
そこの秩序は、そこに暮らし、その治安を守る者によって維持されるべきで、自分達が必要以上に干渉するべきではない。

それが学園都市に潜入する前に生達の間での共通の考えだった。
第一、ここを訪れた目的は、妹達への支援の為だし、既に自分達の『悪滅』は10年前に失敗という名の成功に終わっている。

だが、目前に何らかの『悪』が現れた時、自分達はどう動くべきか。

――その『悪』の性根を『滅』してやればいい。

少なくとも、あの少年が爆弾魔として、再び犯罪に走る可能性は低いだろう。

更生出来るかどうかは知った事ではないし、自分達の役割でもない、と思う。
それこそ、風紀委員なり警備員の仕事の筈だ。

だから、俺達は……あの少年を殺さない。
445 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/28(月) 02:25:52.48 ID:OoobhoO1o
今日はこんなところで終了です。

第三話の残りは、
「固法先輩、怪しむ」
「上条、血迷ってデレる」
「佐天さん、例のブツをDLする」
の三本です。

二話より短くなると思ってたら、予想以上に長くなっている……
とりあえず、書きあがったら投下しますね。

補足

アクメツ原作を熟読している人はお気づきかもしれない、生達のver.について。
本編中では最終的にver.4に到達している個体が数十名いましたが、このSSでは

「もう一つのクローンプラント建造時の到達verが3だった」
「クーデター発生が、プラントへのver.4のデータ移送前だった」
「ver.4の個体はクーデター事件で全滅した為、プラントのデータ更新が叶わなかった」

という独自設定から、迫間や新倉達もver.3に逆戻り、という状態になっております。

まぁ、最大の問題点はver.3とver.4の間の差がアクメツ中の経験量程度しかない事なんですよね……
ver.3の時点で100人以上の生のデータが統合されてるので、充分超人なんですが。

せっかく禁書とのクロスSSですので、それなりに意義のあるverアップを書こうと画策しております。

>>422、433
君らがハードルあげるから、佐天さんの描写増やさないといけないじゃないか……
いや、元々好きだからいいんだけどね? 俺のGEBのミサカアバターの声は佐天さんだしね?

あれだな、世界観だけ共有して、こっちで拾わないエピソードを使って番外編として、『佐天「宝石から力を引き出す能力……?」』を書くしか……?
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 02:32:58.55 ID:fIdB7IYE0
乙・ザ・乙
今のところは悪滅抜きで解決したことは、人として素直に喜ぶべきだね

しかし次回予告でwktkが止まらん
血迷ったとは何事だwwwww
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 04:56:09.74 ID:J8sHRiH30
上条さん、フラグ建築士と同時にフラグ解体士でもあるからねえ
特に相手が立てた、立てたいフラグに関しては
全て踏み潰して歩いてるような奴がデレるとすりゃ気の迷いか何かだろうww
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 06:38:13.50 ID:SGlf2oxL0
乙!
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 11:51:11.74 ID:zAGPAPJ20
乙なのです。

『宝石の力を引き出す』となると、守護石選びに迷うね。知性であるサファイアは無いとして、女子中学生でも手に入る宝石って難しいなぁ〜。
450 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/02/28(月) 12:51:16.01 ID:OoobhoO1o
>>449

本当に書くかどうかは別にして、候補として考えてるのが『ジルコン』です。

正式には風信子(ヒヤシンス)鉱。
昔からダイヤモンドの代用として重宝された天然宝石で基本は無色だけど熱処理で色が変わる宝石です。

効果としては、精神面に大きく働きかけるパワーがあるとされ、
精神を安定させ、心を癒し、悲しみを取り除くパワーや
ありのままの自分を受け入れ、その人格・思想など自分自身に
誇りや自信を持つことができる様に自尊心を高めるパワーもあるとされています。

ヒヤシンスの元のギリシャ神話から→風力使い的な能力
ダイヤモンドの代用とされてきた経緯→ダイヤモンドに近い能力

と佐天さん的にもADAMAS的にも理想的な宝石かと思われます。

451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 13:18:35.93 ID:UYzAHp9J0
>>450
そこまで考えてるとは…恐ろしい子っ…!
なんかピッタリ過ぎてそれでいいんじゃね?ww
あとは生達がスポットバーストショットとかゲットオフスリーショットを習得してくれれば皆川ワールド満載だなww
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 20:05:56.12 ID:71PZeJbz0
>>1
さらにADAMASもクロスするとか俺得すぎて鼻血出そう
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 21:02:37.51 ID:SGlf2oxL0
>>452
浅学でごめん
ADAMASって何だっけ?
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 21:40:23.40 ID:vFATjsMj0
>>453
スプリガン、ARMS、D-LIVE!!でおなじみの皆川亮二の作品。おススメ。
宝石に関する特殊能力を持つ“宝石使い(ジュエルマスター)”流崎レイカ。行方不明の父を捜す彼女はダイヤモンドシンジケートの依頼を受け、今日も任務に向かう!!
http://www.amazon.co.jp/ADAMAS%EF%BC%881%EF%BC%89-%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0KC-%E7%9A%86%E5%B7%9D-%E4%BA%AE%E4%BA%8C/dp/4063522210

ちなみにスポットバーストショットとかは「PEACE MAKER」という西部劇をモチーフにした作品。こちらもおススメ。
http://www.amazon.co.jp/PEACE-MAKER-%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E7%9A%86%E5%B7%9D-%E4%BA%AE%E4%BA%8C/dp/408877390X/ref=pd_cp_b_3
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/28(月) 22:06:50.57 ID:SGlf2oxL0
>>454
わざわざありがとう どっちも面白そうだ
456 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 03:46:08.31 ID:xngX6jKVo
こんな時間だけど書きあがったから三話終了まで投下してしまうんだぜ!
457 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/01(火) 03:46:54.92 ID:xngX6jKVo

〜Seventh mist店内〜


『KEEP OUT』

爆発の起きた一角は、風紀委員と警備員によって封鎖され、鑑識作業が行なわれていた。

風紀委員「あの……容疑者の少年を確保した模様です」

黒子「……了解ですの」

初春「白井さーん!」パタパタ

その声に黒子が振り返ると、そこには鞄の少女を連れた初春と佐天の姿が。

黒子「初春! 心配させて……でも、どうやら無事だったようですわね」

佐天「本当、爆発した時はどうしようかと思ったよー」ムギュウ

初春「もう、佐天さんってば……苦しいですよー」///

黒子「しかし、この被害の中、よく無事で……」

初春「御坂さんのおかげです!」

鞄の少女「トキワダイのおねーちゃんが助けてくれたの!」

初春&少女「「ね〜?」」

黒子「お姉様が……?」

黒く焼け焦げ、破壊され尽くされたフロアを眺める。
だが、フロアの一角のみが何事も無かったかのように綺麗なままだ。

黒子「(初春達がいた場所だけ、全くの無傷だなんて……能力をどう使ったら、こういう風になりますの?)」

まるで、能力が『消された』ような現場に黒子は疑問を募らせるのであった。
458 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/01(火) 03:53:30.26 ID:xngX6jKVo

話の渦中の御坂美琴は、同じくセブンスミストの一階にある、正面入口とは別の出入り口にいた。

美琴「(まだ正面の方はゴタゴタしてるから、出てくるならこっちだと思うんだけど……)」

――あの時。あの爆発の瞬間、美琴の超電磁砲は間に合わなかった。

美琴「(実際に初春さん達を助けたのは……)」

上条「〜♪」

その少年の姿を確認すると、その進路を阻むように向き直った。

美琴「(――コイツだ)」

上条「あのー、御坂サン?」

美琴「何よ?」

上条「何故に、RPGのボスキャラみたいに待ち伏せの上、通せんぼしてるんでせう?」

思わず、誰がボスキャラよ!? と電撃を飛ばしたくなった美琴だが、流石に我慢して本題を伝える。

美琴「……このまま黙って帰るつもり?」

上条「えっと、あの子は初春さんに任せたし、帰っちゃ……ダメですかね?」

補習を言い渡されそうな駄目生徒のような表情で美琴の様子を窺う上条。

美琴「そっちじゃないわよ。
    ……なんか皆、あの場を救ったのは私だって思ってるみたいだけど?」

上条「それがどうかしたのか?」

どうでもいい事かのように聞き返す。

美琴「だーかーら! 今、名乗り出ればヒーローだって言ってるのよ!」///

上条「えーと……御坂は、俺にヒーローになって欲しいのか?」

美琴「ち、違うわよっ! 何だか、アンタの手柄を横取りしたみたいで嫌だし……アンタが……その」
459 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 03:56:00.96 ID:xngX6jKVo

上条「俺が?」

美琴「アンタが……せ、正当な評価を受けてないのが……何かムカつくのよ!!」

上条「えぇー……何、その理不尽な怒り……」

美琴「だ、だって……アンタ、本当は凄い奴なのに、何故かいつも不幸だし、基本的に無能力者扱いだし……」

上条「あの凄いかどうかは別にしても…………改めて、不幸だの無能力だの言われると、結構ツライんですが……」

容赦のない言葉に上条の繊細な心は軽く傷ついた。

美琴「う、ゴメン」

上条「……でもなぁ、別に誰が助けたなんて本当にどうでもいいだろ?」

美琴「…………」ムムム

上条「実際、御坂が何とかしてた場合を考えてみろよ。
    多分、お前だって…………そう言うだろ?」

美琴「…………かもね」

上条「(大体、特別扱いしない相手として俺と友達になった癖に、何で俺の周囲からの評価を気にするかね?)」ジー

美琴「な、何よ? ジッと見たりして……」

――その時の上条は何かしら変だった。

それは早く帰りたいからこそ、美琴を説得して話を終わらせたかったかもしれないし、
対等を望んでいた筈なのに、何故か自分を特別扱いしたがる、美琴に対して少し苛立ちにも似た感情が湧いたからかもしれない。

上条「……俺としてはさ」

美琴「うん?」

上条「みんなが……いや、お前が無事だったんだし、それでいいじゃねーかって思うんだよ」


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. |::/   i    ,             iヾヽi.',゙ ////,        ////,    〉 /ノ: :i|
`レ'<..  |   ,              |: |::ヽヘ '////   、    '////  /ー/: :|: |
      `ヽ /                 |: | : : ∧      __       /¨´: : : /|: |
      ∧                |: |: イ: : :\     ´‐‐`     ./: : : : : i.:/ .|从
.         \                   从i/ |: : i: : > .         ィ': : : i: |: :.:.|'  .|'
__       ヽ                 | |: :人|: : :,」`   _,   ´ i、: : :ノ: |: : ノ  '
    `¨ニ==-z_ミ、               |/  ヽ/ .\     / .∨|: ∧:/
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                    `≧ュ.,/|  |    .乂_/ 〈-.〈   //ヽ'     /  ∧
                        `¨   ... 《 《   |O{   ////     ,   /  ',
460 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 03:57:10.95 ID:xngX6jKVo

美琴「な、な、な、何を……」///

上条「自惚れじゃなければ、御坂とも少しは仲良くなれたと思うし……そんな友達をあんな事で失いたくない訳。
    あの子や、初春さんとは知り合ったばっかだったけど、それでも知ってる人や身の回りの人が傷つくのは御免だしな」

『あの子』や『初春さん』という単語が無かったら、美琴は精神の均衡を保てなかったかも知れない。

美琴「う、うん……」

上条「で……みんなが無事なら満足だし、
    それらが守られるなら、別に実際にやるのは俺じゃなくてもいいって思うんだけども……」

美琴「……けども?」

上条「御坂が、どうしても俺が評価されないと気が済まないって言うんなら――お前が褒めてくれよ」

美琴「ふぇ? …………ほめ……て……って、私が!? な、何でそうなるのよ!?」///

上条「いやー、基本的に誰かに褒められる経験とかないから、大勢にどうこうされるのは嫌だし……
    なら、『御坂だけ』が理解してくれて、個人的に俺を評価してくれてりゃ充分かなーって」

大勢に賞賛されたいとは思わないからこそ、特に意識せず口から出た発言だったのだが、その破壊力は甚大だった。

美琴「(御坂だけ……御坂だけ……御坂だけ……?)」///

その色々と強烈なフレーズが美琴の中で幾度もリフレインされる。

上条「み、御坂? どうした?」

美琴「…………ほ、褒めればいいのよね?」

461 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 03:59:23.26 ID:xngX6jKVo

上条「え、あ、そうだな……?」

ここに来て、上条は何かとんでもないミスを犯したのではないかと気が付いた。
それに対し、何やら意を決したらしい御坂は、ちょんとつま先立ちになって、上条の頭へと手を伸ばす。

上条「(ちょ、顔近っ……!?)」///

美琴「え、えらい……えらい……」ナデナデ

上条「(あ……れ……? な、何だこの状況……?)」///

『アンタにしては、よくやったんじゃない?』的な一言を貰って話を終わりにしようと画策していた上条は大いに混乱した。

上条「あ、あの御坂さん、上条さんとしては一言、お褒めの言葉を戴くだけで充分だったんですが……?」///

美琴「え、嘘っ!? だ、だって私だって、小さい時にお母さんに褒められる時はこんな感じでっ!!」///

上条「何で、母娘の心暖まる場面を年上の男相手に再現してんだお前は!? 恥ずかしいってレベルじゃないぞ!?」///

上条の指摘に辛うじて維持されていた美琴の何かが決壊する。

美琴「………ふ、ふ……ふ」///

上条「(あー……また、このパターンかー)」

――上条は、既に理解していた。これは例の言葉の準備が必要だと。

美琴「ふにゃ〜〜〜」///

バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!

上条「不幸だあああああああああああああああああああああ!!」

爆弾に続いて、今度は停電騒ぎがセブンスミストを襲ったのであった。
462 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 04:00:55.08 ID:xngX6jKVo

第七学区・公園入口付近


風紀委員の固法が連絡を受けて、爆発の起こったという公園に駆け付けたときには、全ての処理が終わっていた。

公園の入口には警備員(アンチスキル)のものらしき数台の車が停まっている。


『KEEP OUT』


そこから少し進んだ場所にある、爆発現場は黄色のテープで野次馬が入らないように規制されていた。

固法「風紀委員です、現場を見せてもらって構いませんか?」

警備員「お疲れ様じゃん、どうぞ中へ」

現場を封鎖している、警備員の一人に風紀委員の腕章を見せて、中へと入れてもらう。

固法「(あれ? 今の警備員の人……誰かに似ているような……?)」

気になりながらも奥へ行くと、屋台の残骸らしき黒く焼け焦げた物体の側に見知った顔がいた。

固法「安達さん!」

安達「あ、固法先輩……お疲れ様です」

固法「爆発の被害は?」

安達「爆弾が仕掛けられていた、屋台が全壊、周囲の木やベンチなんかも木っ端微塵ですね」

固法「……人的被害は? 何人か巻き込まれたって聞いたけど……」

安達「屋台の店主が、爆発時に来店していた客を庇って、重傷。……今は病院です。
    ……幸い、客二名の方には怪我はありませんでしたが、念の為にこちらも別の救急車で病院へ搬送させました」

さらっと安達は嘘を吐いた。
463 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 04:02:36.10 ID:xngX6jKVo

安達「(皆が救急車で来てくれたから、海原の記憶移送は間に合ったけど……)」

破壊された屋台の店主である、海原生(かいばらしょう)は、至近距離で爆風を受け、背中に重度の火傷を負い、病院への搬送中に死亡した。

固法「……この程度で済んで良かった、という所かしら。
    『向こう』は御坂さんの御蔭で、怪我人も出てないし……犯人も確保されたそうよ」

安達「……そうですか」

病院まで持たなかった海原に対し、来店していた客の二人は、爆発の衝撃で気絶こそしていたが、二人とも無事だった。

まず、海原が庇った金髪の女子高生は、少し熱風を吸い込んでいたが、それ以外は特に大きな怪我もなかった。
もう一人の中学生くらいの女の子は、高位の能力者だったらしく、あの爆発の中でも、ほぼ無傷。
恐ろしいことに病院に運ばれる途中に自然に目を覚まして、金髪の少女に付き添っていた。

安達「(海原が居なかったら、無関係な人間に被害が出てたな……)」ギリッ

自分が、風紀委員になった為に海原が標的にされ、その店の客まで巻き込まれた――そういう想いもある。

だが、安達は……というよりも生達は、その手の自分を責める感情で悪への追求を弱めるような真似はしない。
ここで中途半端に自分を責めたりすると、相対的に犯人への追求や怒りが弱くなってしまうからだ。
最も責任を問われ、かつ罪を贖わなければいけないのは、あくまでも虚空爆破事件の犯人なのである。

連絡では、新倉達が『かなり』脅した上、超能力者(レベル5)の鉄拳制裁を喰らったらしいので、少しは溜飲が下がるが。

固法「それにしても、犯人の狙いが風紀委員だったのだとしたら、ここの屋台はどうして標的にされたのかしら?」

安達「……え」ギクッ

固法「だって、そうでしょう? セブンスミストの方は初春さんが標的だった訳だし……ここは風紀委員とは無関係じゃない」

安達「えーっと……逆恨みで、風紀委員を狙うような奴らしいですから……ここで何か気に触った事でもあったんじゃないですか?」

固法「そうかしら……?」

安達「こ、ここは警備員に任せて、俺達は白井さん達と合流しませんか!?」

固法「うーん……そうね、考えても仕方ないし。後は警備員の取り調べの結果を待ちましょうか」

安達「は、はい!(危なかったぁぁぁ!?)」ホッ

先へ進む固法の背後で、安達はこっそりと安堵の溜め息を吐いていた。
464 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 04:08:01.45 ID:xngX6jKVo

〜とある学生マンション〜


その後、合流した風紀委員達が事務処理や犯人の身元調べ等に追われている頃。

事件後のゴタゴタから解放され、初春や白井よりも一足先に帰宅した佐天は、自室でパソコンに向かっていた。

佐天「御坂さん、格好良かったな……爆弾犯相手に、あんな風に啖呵を切って……」

一日を振り返り、思い出すのは超能力者(レベル5)の勇姿だった。
セブンスミストから避難した時、偶然にも佐天は路地裏で美琴が爆弾犯を捕える場面を目撃していた。

――例え、低能力者(レベル1)のままだったとしても、私はアンタの前に立ち塞がったわよ

佐天「(きっと、御坂さんは本当にそうしていたんだろうな……)」

レベルなんて問題にせず、許せないモノに立ち向かっていく。
レベルに固執してしまう自分に……そんな強さが持てるだろうか?

佐天「……無理だよね」

美琴の言葉と同じように介旅の叫びも佐天の心に暗い影を落としていた。

――力のある奴なんてのは、皆そうなんだろうがっ!!

力への羨望。
自分の無力さへの絶望。
あの少年は救われたいと思いながらも、救われない現実を憎み、恨んで、破壊を撒き散らしていた。

佐天「(……きっと、そういう気持ちは私の中にもある)」

でも、だからこそ同じにはなりたくなかった。

――目指す頂上と、望まない末路。

それらを同時に見せ付けられて、佐天の焦りは一層、大きな物へと変わっていた。

佐天「(多分、今のままだと私……駄目になる……)」
465 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 04:09:34.26 ID:xngX6jKVo

あるかどうかも分からない能力の為に、報われるかどうかも分からない努力をする。
何のアテもなく背負うには、自分にかけられた期待は、少し……重かった。

佐天「(学園都市の都市伝説……幻想御手(レベルアッパー)か……)」

前に授業で習ったが、学園都市にいる無能力者も厳密に言えば、
開発を受けた時点で「観測出来ない程弱い能力者」なのであって、通常の無能とは意味合いが違うらしい。

佐天「(噂だと、能力者のレベルを引き上げるって事らしいし……)」

ならば、噂の幻想御手とやらを使えば、
自分の中にあるかもしれない、『それ』を確かめる事ぐらいは出来るだろう。

――強大な力なんていらない。

友達が……初春が困った時、彼女を助ける為の力が欲しい、とは思う。
でも、そんな手段で得た力で、それを為した所で待っているのは後悔だけだ。

佐天「(せめて、私に本当に能力の才能がないのか知りたい……)」

自分の為の努力、自分の為の勉強、自分の為の開発。

だが、今の佐天は――その自分が信じられない。

佐天「(私は、幻想御手が欲しい……)」カチカチ

――幻想でも構わない、こんな弱い自分を支えてくれるなら。

自分が自分らしくある為に。

心が折れて、倒れてしまう前に。
466 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/01(火) 04:12:32.97 ID:xngX6jKVo

佐天「見つからないなぁ……」カチカチ

何しろ、能力者のレベルを引き上げる道具、という事しか分かっていないのだ。
何処かの学者が残した論文だとか、料理のレシピだとか、噂の形もバラバラ。
きっと、そんな僅かな情報だけで探す方が難しいのだろう。

佐天「やっぱり、ただの噂なのかな……?」

そんな風に考えて、また気分が暗くなってしまう。

佐天「……よしっ、気分転換に何か新曲でも入れておくか!」カチ

お気に入りの音楽ダウンロードサイトへいき、新曲紹介へとカーソルを動かす。

佐天「…………あれ?」

画面に表示されている『News』の文字。
その『News』にカーソルを合わせた時、佐天はそれに気付いた。

佐天「隠しリンク……?」

導かれるように、リンクをクリックする。

TITLE:LeveL UppeR
ARTIST:UNKNOWN

佐天「これって……」

自分が渇望した物が目の前に現れ、佐天は小さく息を呑む。


――こうして、佐天涙子は幻想御手(レベルアッパー)を入手した。


第三話 『アクメツ、虚空に散る!?』 完
467 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/01(火) 04:15:59.46 ID:xngX6jKVo
大体分かった、な感じの次回予告!


路地裏を中心に絶賛不良として活動中の新倉生。
所属するスキルアウトのリーダーから幻想御手の売買している他チームの調査を頼まれた新倉は活動を開始する。
そして、売買の現場で新倉は悩める一人の無能力者と出会う。

???「遂に念願の幻想御手を手に入れたぞ!」

???「……そんな得体の知れないブツは、ノーだぞ……」

佐天「もっ、もうやめなさいよ!」

???「何の力もねぇ、非力なヤツにゴチャゴチャ指図する権利はねーんだよ!」

新倉「悪いな? ウチは女子供には優しいのがポリシーじゃん」

佐天「私、弱くて……結局、何も出来なかった……!」

新倉「――佐天は、充分に強いって」

佐天「ふふっ……これで、共犯になっちゃいましたね?」


一方で介旅の能力強度の不自然さから、幻想御手に着目した美琴と黒子も独自に覆面捜査を行って……


新倉「(面白そうだから、黙っていよう……)」

美琴「ダメ……かな?」ウルウル

黒子「」Ω\ζ°)チーン

上条「(あのビリビリ娘は、何をやってるんだよ……?)」///

美琴「全部、忘れなさいっ! じゃなきゃ、アンタの記憶を物理的に消してやるんだからっ!!!」///

上条「不幸だあああああああああああああああ!?」

???「まさか、あの子が学園都市に逃げこむとは……少々、困った事になりましたね」

???「関係ないさ、僕らの役目はいつだって……変わらない。変えられないんだ」


超人として戦った少年と凡人として生きる少女が出逢った時、物語は動き出す?


第四話 『少年少女達は神の御手に幻想を見るか?』


次回も見ないと……アクメツするじゃん?
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 08:02:39.39 ID:6gUGNX0DO
流石は一級フラグ建築士、やってくれる!



皆川的には

?「力が欲しいか…」
佐天「だっ、誰…!?」
?「力が欲しいのなら…くれてやる!!」

な展開が
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 12:31:33.38 ID:u/heFRnAO
>>1
アクメツされないよう次回も見るぜ!

>>468
むしろジャバウォックは上条さんぽいと思う。右手と再生能力的に
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 12:45:17.28 ID:nM3Eb+ZQo
上条さんと美琴が可愛すぎるwwwwwwww
佐天さんの今後の展開めがはなせねぇな
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/02(水) 05:45:51.34 ID:L/xl9f/30
>>450見て「コォール! 龍骸鬼 アセドエンペル!」とか思ったのは俺だけでいい。
472 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/03(木) 21:02:04.83 ID:WVU6kz38o
さて、書き溜めないけど少しずつ投下していこうかな。

>>471
大切な人のた〜め〜に〜♪ 生きつづけ〜る〜イノセントワールド♪
って、それ召喚バトルものになってるやんけww
違和感ないのはステイルとシェリーぐらいか……?
473 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/03(木) 21:03:58.10 ID:WVU6kz38o

学園都市には闇がある。

底知れぬ闇。

普通の学生が街を歩いた程度では、その闇が顔を覗かせる事はない。

だが、ほんの少し道を外れただけで、闇は哀れな生贄を欲して、その触手を伸ばしてくる。

絡め取られ、その深き穴に引きずり込まれたなら、後は堕ちるだけ。

堕ちた先では、人間の命なんて軽い。

本来は悲劇である筈の人の死が、道端の石ころの様に転がっている。

――ならさ、落ちないように支えてやらないか?

腐ってる、狂ってる、驕っている。

なんだ、この街は?

変だろう?

可笑しいだろう?

誰だって、生きていたい。

誰だって、平和で穏やかな暮らしがしたいさ。

――ならさ、守ってやればいいじゃん。
474 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/03/03(木) 21:05:20.70 ID:WVU6kz38o

例えば、無能力者狩り。

強者による一方的な弱者への暴力。

許せるか?

学園都市から無能の烙印を押され、挙句は能力者が自分の力を試す実験台扱い。

俺達はマウスか? 違うだろう? 人間だろう?

――ならさ、立ち向かえばいいじゃん。

その男の言葉は、青臭かった。

この学園都市で通用するとは思えない、甘ったれた考え、生き方。

だが、男は強かった。

実際に無能力者狩りを行っていた能力者にその身一つで立ち向かい、撃破してみせた。

奴は証明してみせた。

それから、少しずつ、少年達は変わった。

いや、気付いたのかも知れない。

本来、その想いは皆が持っていたのだ。

ただ、のしかかる現実の前で、それを捨てなければ生きていけないと、勝手に限界を決めて諦めていた。

――どうせ、馬鹿やるならさ。誰かの為に損の出来る馬鹿になろうぜ?
475 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/03(木) 21:12:53.70 ID:WVU6kz38o

俺達は不良だ。

それは変わらない。いや、変わらなくてもいい。

無能力者のままで、ゼロのままでいい。

だが、マイナスにはならない。誰かのプラスになってやれ。

ほんの少しだけ力の向ける先が変わっただけだ。

どうせ、喧嘩を売るなら、相手はデカイ方がいい。

それでこそ、男が立つってもんだろ。

特定の個人ではない。

言わば、環境への反逆。

――俺達自身を……多くの無能力者達を……学園都市から、そこに潜む悪意から、守ってみないか?

寡黙でありながらも、優しき心持った男がいた。

不良でありながらも、熱き心を消せずに燻っている男がいた。

軽薄な仮面で、その実力と生き様を隠す男がいた。

男達の本質を見抜いた、一人の超人がいた。

そんな馬鹿野郎共に惚れ込んだ男達が集まった。

今、第七学区最大規模を誇るスキルアウトは、無能力者達を不当な暴力から守る、強固で強大な防波堤へとなりつつあった。
476 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/03(木) 21:25:42.20 ID:WVU6kz38o

7月19日


第七学区・木の葉通り


学生達からは「ケンカ通り」と呼ばれる、第七学区の三九号線にそのジムはある。


〜Led Scorpion〜


とはいえ、既にジムは潰れていて、見た目は完全に廃屋である。
ジムを象徴する、赤い看板は傾き、電飾の類も壊れっ放し。
窓ガラスには木の板が打ち付けられ、隙間にもガムテープで目張りがされている。

???「(もう少し、どうにかならないのかよ……)」

ドアノブの歪んだドアを開けて、ジムの中に入る。

その外見とは対照的にジムの中は掃除が行き届き、ある程度の清潔さが保たれていた。
壊れたまま放置されていたトレーニング器具も修理され、ソファや冷蔵庫などの家電も持ち込んで、ちょっとした秘密基地といった風情である。

???「(内装との差が激しすぎるだろうが……)」

何故こうも、外と内で違う状態になっているのか?

その理由はただひとつ。
このジムがスキルアウトの拠点(アジト)だからである。

???「(いつの間にか、随分と健康的な集団になっちまったな)」

自分達の拠点を訪れたスキルアウトの少年、服部半蔵(はっとりはんぞう)は、
ジムの中でトレーニングに励む仲間達の姿を複雑な思いで見つめながら回想する。
477 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/03(木) 21:32:18.55 ID:WVU6kz38o

半蔵「(やはり……一月のアレからだな)」

一月の第三金曜日にやったATMの強奪。
直接動いたのは、リーダーの駒場利徳(こまばりとく)と、スカウトしたばかりだった浜面仕上(はまづらしあげ)と、自分。

結果から言えば、アレは失敗した。

原因は過激で巨乳な警備員と、ハリウッド映画のスタントドライバー並に運転技術が卓越した警備員の二人だ。
何やら拡声器で二人して「じゃん」を連呼していたのを覚えている。

それはともかく、盗んだ車は大破するわ、奪った金も灰になるわで散々だった上、自分達は留置場入りで計画は大失敗。
なんとか娑婆に復帰した後も活動資金は底をつくわ、拠点にしてた路地裏が再開発されてビルに変わってるわ、災難が続いた。

半蔵「(……奴が俺達に接触して来たのは、そんな時だ)」

まるで『粋の良い馬鹿』がいる、と誰かに紹介されたかのようなタイミングであった。

半蔵「(その是非は別にしても、奴が来て……スキルアウトは変わった)」

ただの馬鹿から、少しだけ格好の良い馬鹿になった。

元々、このスキルアウトはリーダーである駒場利徳(こまばりとく)の人柄というか、人徳のような物に自然と集まった連中が多かった。
能力者による、無能力者狩りを防ぐ為、そして無能力者達を守る為に駒場は動いていたが、
それでも仲間達の多くは、ただの不良に過ぎず……単純に能力者への反発心から協力していたに過ぎなかった。

半蔵「(奴は、本気で駒場に賛同していた……そして、仲間達の意識を根刮ぎ変えてしまった)」

気がつけば、皆が駒場と同じ想いを抱いている。

半蔵を含め、スキルアウト達は下らない幻想を見ているのかもしれない。
しかし、今のところはその幻想が消える様子はない。

目的を得た彼等の瞳には活力がある。
そして、活力を得た少年達は強くなった。

ただ燻っていた時よりも、ずっと。
478 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/03(木) 21:34:52.55 ID:WVU6kz38o

半蔵「(意識だけじゃない……どこからか、このジムを見つけて来て、数日で今の状態に改造しやがった)」

ボロボロだった壁を直す姿は本職の左官屋もビックリの腕だった、と駒場が評していたのを思い出す。

加えて、運び込まれた家電も、元はゴミとして捨てられる筈の代物だ。
だが、修理された今は新品かと勘違いしそうな程、元気に稼働中である。

スキルアウトの少年達は目標に続いて、居場所を得た。

半蔵「(……資金面の問題も解消された)」

今までは、駒場が「女子供には手を出さない」というスタンスから、
「鉄板盗んでスタコラサ」という、実に情けない手段で資金を確保していた訳だが……
現在は実入りの良いアルバイトが見つかって、犯罪行為に手を染める必要が無くなってしまった。

半蔵「(奴のバックには大掛かりな組織があるのか……?)」

スキルアウト達に紹介された仕事は、『街の噂や情報を集める事』だった。
ただそれだけで高額のバイト代が出る。
ATM強盗に比べれば少ないが、犯罪のリスクと天秤にかけた場合、迷うことの無いぐらいの金額である。

半蔵「(……俺達は、誰かの目であると同時に草という訳か)」

世界に社会に集団に溶け込み、己の目的を遂行する。
その在り様は――まるで。

半蔵「(――忍者)」

ほぼ確実に何らかの目的に利用されているという認識がありながらも、『その人物』に対して半蔵は明確な敵意を持てない。

半蔵「(相手がアレでは……警戒する気にもならないが)」

ちらり、とソファに座って仲間達と話している『その人物』を見遣る。









新倉「だから、バニーにはシルバートレイじゃん!?」

スキルアウトA「いーや、あみタイツだね!?」

スキルアウトB「いやいや、人参だろう!?」

半蔵「」ガクッ

何故か仲間達と「バニーにつけるオプション」について、激論を交わす新倉生(にいくらしょう)の姿に半蔵は脱力する。
479 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/03(木) 21:38:24.18 ID:WVU6kz38o

新倉「トレイの上で股開かせて、トレイに反射した肢体を眺めるのが楽しいんだろうが!?」

スキルアウトA「そんなモン、あみタイツを破る快感に比べたら……」

スキルアウトB「下の口に食べさせるのが楽しいんだよ!」

内容は最低だが、当人達は至って大真面目に語り合っていた。

半蔵「(は、果てしなくどうでもいい……)」

「「「おい、半蔵はどう思う!?」」」

そんな半蔵の思考を知ってか知らずか、馬鹿共は半蔵の意見を求めてきた。

半蔵「え、俺? ……全部付ければいいんじゃね?」

呆れながら、適当にそう答える。

「「「お前、天才かよ!?」」」

さらなら燃料を投下され、野郎共の下品なトークは続く。

480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 21:41:26.53 ID:WHeuS93Ao
その発想はなかった!
481 :タイプミスです。さらなら→さらなる [saga sage]:2011/03/03(木) 21:51:12.32 ID:WVU6kz38o

新倉「……ナンパじゃ無理だろー?」

スキルアウトA「合コン開くにしても、面子がなぁ……」

スキルアウトB「最近、知らない女からメールが届くんだが……」

新倉「いや、それは止めというた方がいいじゃん」

馬鹿共の話題が「バニーにつけるオプション」から「どうやってバニーを着てくれる女の子を落とすか?」に移り始めた頃。

???「お前等! 大ニュースだぞ!!」

そんな台詞と共に、一人の男がアジトへとやって来た。
男の名前は浜面仕上(はまづらしあげ)。

新倉「おお、ハマー! 遅かったじゃん!」

スキルアウトA「やっと来たか、バニーキング!」

スキルアウトB「待ってました!」

浜面「え、何だよ、この空気。つーか、バニーキング言うな! 俺は別にバニー萌えじゃねーよ!?」

「「「いやいや、そんな事言わずに語り合おうぜ、バニー」」」

浜面「愛し合おうぜ、ハニーみたいに言うなよ……」

半蔵「バニーは置いといて……浜面、何が大ニュースなんだ?」

浜面「あ、何? 知りたい?」ニヤリ

半蔵「」イラッ

「「「いいから、話せよバニーキング」」」

浜面「ひでぇ」orz

仲間からの容赦のない言葉に膝をつく浜面。
482 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/03(木) 21:56:45.91 ID:WVU6kz38o

新倉「んで、どうしたじゃん?」

浜面「いやさ、最近……急にというか、妙に能力者が力をつけてきてただろ?」

半蔵「能力者狩りも増えてきてるな、昨日もリーダーが一人馬鹿を黙らせたし」

浜面「それで、能力ってのは一朝一夕で強くなるようなもんじゃないだろ?」

スキルアウトA「伸びねえから、俺らスキルアウトやってるんだもんな」ケラケラ

スキルアウトB「噂の幻想御手(レベルアッパー)が実在してれば別だけどなー!」ケラケラ

半蔵「……おい、浜面まさか」

浜面「その通り――」

ジャージのポケットから音楽プレーヤーを取り出して、一言。

『念願の幻想御手を手に入れたぞ!』テレレッテレ-

全員「「「「いや、いらねーだろ」」」」

浜面「ですよねー!?(泣)」orz

予想通りの返答に再び膝をつく浜面。

半蔵「少し前なら、欲しがる奴もいたかも知れないが……今、ウチのメンバーでそんなのに手を出す奴は一人もいないだろ」

スキルアウトA「そこらの能力者には負けないくらい強くなったしなー」

スキルアウトB「この上に能力まで手に入れたら、逆に卑怯なレベルだろー」

???「……磨いた五体以外の何ものかに頼みを置く……そんな性根が技を腐らせる……」
483 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/03(木) 22:01:10.25 ID:WVU6kz38o
いかん、またタイプミスだ。

能力者狩り→無能力者狩り。

急いで書くと駄目だな……ちょっと公園で戦って頭冷やしてくるぜ……
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 22:05:28.52 ID:WHeuS93Ao
寒いから気をつけてなー
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 22:08:33.09 ID:JjXDq5/Xo
右手無くすなよー
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 23:20:53.82 ID:PswYj7pAO
顎吹き飛ばされんなよ>>1
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 00:27:53.33 ID:955imror0
脱ぐなよ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 21:23:18.68 ID:lqrn3X9u0
予告編でインさん登場まで時系列が近付いてきたみたいだけど
数百人の人生の記憶や技能を統合して搭載したり、10000人からのデータをあれこれしてるこのスレの技術者一同からすれば
記憶パンクとかそれはギャグで(ryを通り越して、乾いた笑いが漏れるのを通り越して、
怒りすら込み上げてくるのを更に通り越して、可哀想になってくるのを越えたその先に悟りの境地とか辿り付けそうな次元の隔たりがあるよね

10万3000冊ぐらいならプラントのサーバーに普通に移しきれそうだから困る
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 23:08:49.27 ID:0vOp5sGk0
だがちょっと待って欲しい。数百人の人生の記憶を一分一秒そのまま記憶しているとなれば普通に狂うのではなかろうか。
普通の人間は余計な記憶はさっさと忘れていく事が出来るが、それが出来ないとなれば如何だろうか。
所詮アニメやら小説やらの人物の人生データなど、視聴者から見ればダイジェスト版もいい所であるし。
490 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/05(土) 23:59:27.71 ID:FZDljjsDo
やぁ、ただいま。
公園行こうと思ったら、途中にデカイ門があって、先に進めなかったぜ……格闘家じゃないから引き返し余裕でした。

>>488
まぁ、そんな感じですねアクメツさんからすれば。
禁書サーバー移動はやれないことはないんですが、

@前に美琴×禁書の本編再構成SSでMNW利用の記憶保全ネタを見かけた。
AMNWと違ってアクメツマスクorヘッドギアは装着の際に痛いので、ステイルさんが許してくれない。
B図書館勝手に移転したら、なりけるの人が本気で敵に回る。

などの理由から、普通に首輪破壊ルートでいきます。……某発射場の人の記憶復活ルートはマジで尊敬する。
本編&外伝同時進行なので、破壊までの過程は普通よりも忙しいです。こっちで特色を出すよ!
……けど、それに加えて佐天さんのフラグ撒くとかwww書ききれるのか俺www

>>489
アクメツさん達の場合、個々人の記憶は普通に忘れたりしますが、他の生との『共有記憶』は擬似的な完全記憶の状態にあります。
記憶として格納というよりは、脳に刻み込まれている感じでしょうか。何かの拍子に記憶が消し飛ばされても、共有の部分は残るでしょう。
……とはいえ、『忘れない』だけで重要度の低い記憶は思い出すのに苦労したりはします。
491 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/06(日) 00:03:53.55 ID:p+ZxaKzJo

どこぞの公園最強の生物風の台詞と共に現れたのは、このスキルアウトのリーダーである駒場利徳(こまばりとく)。

半蔵「リーダーも意外というか、案の定というか……格闘漫画好きだよな」

駒場「……愛読書なのでな……」

あー、見た目は完全にアッチ系だもんね、と納得するスキルアウトの面々。

新倉「それで、浜面は幻想御手をどうやって入手したんだ?」

浜面「――これか? 
    実は、ここに来る途中にカツアゲされてる奴がいて……」

駒場「……していたのは、ウチのメンバーじゃないだろうな……?」

浜面「いや、やってたのは知らない奴だったんだけど……思わず、助けに入っちまってさ」

スキルアウトA「きゃー、はまづらさーん!」

スキルアウトB「すてきー! 抱いてー!」

仲間達から、からかうような歓声があがる。

浜面「うるせーよ」///

新倉「で、見たところ怪我もないようだけど……ちゃんと勝ったのか?」

浜面「勝ったには勝ったんだが……どうも、カツアゲじゃなかったみたいで……」

半蔵「……はぁ?」

駒場「……幻想御手の売買の現場だったのか……?」

浜面「お、流石は駒場さん!」
492 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/06(日) 00:08:23.26 ID:p+ZxaKzJo

新倉「成程、勘違いで売人を倒したついでに幻想御手をかっぱらって来た、と」

A&B「「浜面、あんまり格好良くない……」」

浜面「いや、だって……気弱な男と人相の悪い奴が路地裏でコソコソとやってたら、カツアゲだと思うだろ?」

新倉「……確かに勘違いも仕方ないじゃん」

半蔵「しかし、幻想御手が音楽ファイルだったとはな……リーダーは知ってた?」

駒場「……いや……最近、他のスキルアウトが学区内で『何か』の売買を行なっている、というのは聞き及んでいたが……」

新倉「浜面は、どうするんだ?」

浜面「どうするって……何が?」

新倉「使わないのか? 幻想御手」

浜面「え? いや、皆も使わないって言うのに使うのも……それに俺だって結構、強くなったと思うし……なんか卑怯だろ、そういうの」

極自然に使わない、と答える浜面に仲間達は賞賛の口笛を吹く。

駒場「……それ以前に……そんな得体の知れないブツはノーだぞ……」

新倉「ふーん……じゃあ、貰っていい?」

全員「「「「え?」」」」

その場にいた全員が驚きの声を漏らす。

駒場「……調べるつもりか……?」

そこで「使うつもりか?」という発言が仲間から出ない事が、スキルアウトから新倉への信頼の証明であった。
493 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/06(日) 00:12:42.32 ID:p+ZxaKzJo

新倉「まー、そんな所だな」

半蔵「そういうのは、風紀委員か警備員の仕事じゃねぇのか? ……何で、お前が動くんだ?」

新倉「んー、昨日のセブンスミストと公園の爆発は知ってるよな?」

浜面「あぁ、虚空爆破事件の……そういえば、犯人も捕まったって話だっけ」

新倉「その犯人なんだが……どうも『書庫』のデータと能力の強度に開きがあったらしい」

これは警備員(アンチスキル)に潜伏中の風間生が、犯人である介旅の事情聴取の前に『書庫』から得た情報である。

半蔵「……開き?」

新倉「データでは、異能力者(レベル2)だったのが、事件の際には大能力者(レベル4)クラスになってたらしいじゃん」

浜面「な、なんだよそれ!?」

言い換えれば日常生活であれば便利、というレベルから軍事的な価値を持つレベルになった、という事である。

駒場「……それが、幻想御手の効果である、と……?」

前回の身体検査から、急激に力を伸ばした、という可能性もあるにはあるが……現実的ではない。

新倉「その可能性があるじゃん。
    ……仮にその犯人が幻想御手を使用していたとして……このまま幻想御手を放っておいたら、どうなると思う?」
494 :風間書房の本探してたから間違えたww風間生→風見生です [saga sage]:2011/03/06(日) 00:17:04.00 ID:p+ZxaKzJo

浜面「どうって……」

駒場「……宝くじに当たるようなモノだ……転がり込んできた金は使いたくなる……」

新倉「そう、楽に手に入れた力は、使ってみたくなる。……試したくなるじゃん」

武道家が、反撃も抵抗もしない藁人形や瓦相手に力を試すように。
だが、大した心構えのない子供達が、標的に選ぶのは物言わぬ物質とは限らない。

例えば、反撃する力のない無能力者。

半蔵「無能力者狩りの加速……しかも、相手は高位能力者か」

浜面「げ……それはヤバいな」

新倉「ネットの噂では……幻想御手を使用すると、体感で1、2レベル上がるって話じゃん」

駒場「……俺達の相手は異能力者(レベル2)程度が殆どとは言え……それでも、2レベル上がれば大能力者(レベル4)か」

浜面「逆に無能力者の俺達が、幻想御手を使ったとしても……せいぜい、異能力者(レベル2)が限界だろ?
    相手が大能力者(レベル4)クラスじゃ、差があり過ぎる……幻想御手の拡大自体を抑えないと駄目って事だな」

半蔵「しかも、日頃から虐げられている無能力者だって、能力を得た途端に虐げる側に回らない保証はないぜ?」

駒場「……確かに、放置は出来ないな……」

新倉「――そんな訳で、少し調べて流通を止めておくじゃん」

浜面「いや、止めるってそんな簡単に……」

駒場「……出来るのか……?」

新倉「皆が協力してくれれば、かな」

駒場「……いいだろう、人を動かす……半蔵……」

半蔵「分かってるよ、リーダー。
    直接、幻想御手を売買してる連中を探らせればいいんだろー?」

駒場「……ああ」
495 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/06(日) 00:21:24.11 ID:p+ZxaKzJo

新倉「――浜面、その売人がどこで幻想御手を入手したとか……大元の発信源は分かるか?」

浜面「いや、聞こうと思ったんだけど、その前に逃げられて……
    幻想御手を買おうとしてた奴から、どこかのサイトから配信されているらしいってのは、聞き出せたんだけど」

新倉「と、なると……取引の現場を押さえて、強引にでも吐かせるしかないか……?」

風紀委員もいずれ、そのサイトを発見する筈だが、幻想御手の流通を抑える為には、
サイトの封鎖後にダウンロードした幻想御手を販売している売人を確保する必要が出てくる。

新倉「(路地裏に関しては風紀委員よりも、こっちの領分じゃん。……後手に回る前にやれるだけやっておくべきだろうな)」

スキルアウトの面々に紹介した情報収集のアルバイトも、本来の目的は風紀委員や警備員に潜伏している生達の仕事のサポートにある。
それに加え、小さな情報でも……そう遠くない未来に学園都市に相対する際に役立つものがあるかもしれない、というのもあるが。

半蔵「売人を捕まえて、『釘を刺す』のはいいが……発信源を見つけたところで、俺達に出来ることはないぞ?」

新倉「その後は――風紀委員にでも通報すればいいじゃん。治安維持の観点からも動いてくれるだろ?」

半蔵「(……やはり、風紀委員や警備員にパイプを持っているのか?)」

言葉の端々から、新倉への疑いを深める半蔵だったが、当然ながら新倉もそれには気付いている。

新倉「(おー、疑ってるなぁ……)」ニヤニヤ

馬鹿な不良、という『いかにも』な姿を隠れ蓑に、見事に自分の実力を隠しているのだと新倉は睨んでいる。
そもそも、学園都市の『裏』の調査の為にスキルアウトに接触した新倉の実力を見抜き、最初に認めてくれたのは、リーダーの駒場ではなく半蔵だった。

新倉「(ハマーなんかは、実際に仕事するまで疑ってたっけ…………駒場は表情が読めないから、よく分からんかったけど)」

新倉は、かつて悪滅をしながらも、学校に通っていた頃の自分を思い返す。
当時の自分の姿と、現在の食えない仲間の顔を比べてみる。

……少しだけ、似ているような気がした。
496 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/06(日) 00:24:00.13 ID:p+ZxaKzJo

駒場「……確かに、学園都市の治安維持は連中の仕事だ……しっかりと働いてもらうとしよう……」

浜面「けど、この幻想御手……本当に効果あるのか?」ポイッ

音楽プレーヤーを新倉へと放り投げながら浜面は疑問を投げかける。

新倉「――いざとなれば、試しに使ってみるってのも手だな」パシッ

半蔵「おいおい……どんな副作用があるか分からないんだぞ?」

新倉「――まぁ、いきなり死にはしないだろ? なら、大丈夫じゃん」

――最悪、仮面を装着する余裕さえあれば、副作用で死んでも構わない新倉は軽く言ってのけた。

実際問題として、副作用の有無を調べる為には、使った人間を精密検査するのが一番早い。

だが、捜査する側に風紀委員が効果を確かめる為に幻想御手を使用する可能性はないし、
幻想御手を使用した不良や無能力者が、大人しく病院で検査されたりはしないだろう。

なら、自分が幻想御手を使用し、椿生のいる病院なり、プラントなりで検査を受けて、その結果を安達に伝えれば、捜査も一気に進展する訳だ。

浜面「あー、何だか新倉は殺しても死にそうにないしな」

駒場「……否定は出来ないな……」

半蔵「そういえば、最初に会った時『俺は不死身の男じゃん』って言ってたっけなー」

新倉「いやいや、本当に不死身だから、殺しても死なないから」

全員「「「またまたー」」」

新倉としては、一切の混じりっ気のない真実を語っているのだが、
日頃の行いというか……普段の態度の所為か、不死身に関しては一向に信じてもらえない。

新倉「(う〜ん、何故に信じてもらえないじゃん……?)」

もしかして、信用されてないんだろうか、と新倉は密かに落ち込むのであった。
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 02:08:07.41 ID:O2LzI1fYo
むむ、終了や中断の宣言なしだが寝落ちかしらん?
続き楽しみに待ってるよ!
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 04:29:20.16 ID:hHdK5bSr0
おお、更新きた!
続きも期待してるじゃん!
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 14:15:41.53 ID:Xh1TnDpAO
とりあえず乙じゃん
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 01:50:30.21 ID:GensVnRzo
駒場さんは本部さんだったのかwwwwww
501 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:18:16.90 ID:QlNzaqhpo

学園都市第七学区立柵川中学


〜とある一年生の教室〜


明日からは夏休み。

最後の日ぐらいは授業が無くてもいいじゃないか、と生徒の大半が思っている。

佐天「(………………幻想御手かぁ……)」クルクル

そして、それは自分の席で上の空でペンを弄ぶ佐天涙子も同様であった。

???「――以上の事柄から、学園都市で行なわれている能力開発カリキュラムにおいて、
     最も重要なのが……『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』の獲得、って事になるのは分かるじゃん?」

だが、現実は非情である。
昼前には学校が終わるからこそ、ギリギリまで時間を使って授業をするのだ。

既に半ば夏休みモードへと移行している生徒達にとって、これは拷問に近い。
しかも、最後のホームルームでは通知表が渡されるという、嬉しくないイベントが待ち構えている。

……蝉ばかりが元気に過ごす猛暑の中、生徒達がやる気を出せないのも当然と言えた。

???「これは、超能力と呼ばれるものの基盤に他ならない(あーあ、早く終わらないかなー)」

ついでに教師として学園都市に潜伏中の風見生(かざみしょう)が授業にやる気を出せず、教壇の上で嫌な顔しているのも当然なのだ。
502 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:21:27.86 ID:QlNzaqhpo

風見「えー、そして……パーソナルリアリティを理解する上で避けて通ることの出来ないものが……(終われー終われー)」

ちなみに、この風見生は『残留組』のver.1の個体本人ではなく、彼のプロフィールを拝借したver.3のクローン体だ。
これは通常の教師としての技能だけでは警備員(アンチスキル)を兼ねる、学園都市の教師は務まらない、という判断からである。

だが、学園都市の外部で蘇生された『妹達』の情操教育を嬉々として行っている教育馬鹿な本人と違い、彼は授業に関しては素人同然。
こうして自然に教師として振舞えているのは、布束砥信監修の学習装置(テスタメント)の恩恵に依る所が大きい。

しかし、いくら学習装置を使用した所で、教育への熱意まではカバー出来ない訳で――

風見「――ハイゼンベルグが提唱した、不確定原理を元にする量子論じゃん(黒沼の苦労が初めて分かった気がする……)」

表面上は真面目に授業をしながらも――この教室内で最もやる気のないのは生だった。

だが、教室の一番前にいる風見と同じぐらい、教室の一番後ろの窓際の席にいる佐天も授業に集中していなかった。

佐天「(初春、微熱だって言ってたけど……本当に大丈夫かな……?)」

熱を出して欠席した親友を案じ、教室内で唯一の空席……自分の正面の席を見る。

風見「パーソナルリアリティと量子論、両者に共通するのは、どちらも確率論に根ざした――(ん? 佐天の奴、上の空だな……)」

佐天「(……相談したい事、あったんだけどな……)」

風見「佐天! 佐天涙子!」

佐天「え、あ、はい!?」ビクッ

風見「初春が心配なのは分かるが、授業はちゃんと聞いとくじゃん」

佐天「す、すみません……」
503 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:24:28.25 ID:QlNzaqhpo

風見「一応、言っておくが、お前達もだぞ? どいつもこいつも、もう夏休みに入ったみたいな顔しやがって……」

特に授業に身が入ってなかった生徒達へ視線を送りながら注意を促す。

風見「――俺だってな、本当は授業を終わりにしたいんだぞ!?」

……ついでにオチとして、教師の本音を添えるのも忘れない。

生徒A「先生、ぶっちゃけすぎー」ケラケラ

生徒B「だったら、終わりにしようよー」

風見「そうしたいのは山々だが、最近は授業の進行度とか厳しくてなぁ……(ただでさえ、本職じゃないから遅れてるし)」

キーンコーンカーンコーン

風見「なっ……そんな事を言ってたら、終わってしまったじゃん!」

生徒C「やった、終わったー!」

生徒D「夏休みだー!」

風見「こらこら、帰ろうとするんじゃない。まだ通知表の配布という、教師陣の楽しみが残ってるじゃん」

生徒C「俺達は楽しくないでーす」

生徒A「そうだそうだー!」

風見「フフフ……お前達が、たかが数字の羅列に一喜一憂する姿が、最高の清涼剤じゃん……?」ニヤリ

変装の為につけている伊達メガネの奥で目を輝かせ、生徒達へ死刑宣告を言い渡す。
途端に、教室のあちこちから「鬼!」「悪魔!」「この鬼畜!」等の抗議の言葉が飛んでくる。

風見「(∩ ゚д゚)<アーアーきこえなーい〜♪ 大圄先生が居ないから、副担任の俺が配るぞー?」

だが、風見は抗議なんてどこ吹く風、といった様子で通知表を配り始める。

風見「そうだ、佐天! 悪いんだが初春の通知表を届けてくれないか?」

佐天「あ、はい! 分かりました(……どうせだから、薬局で薬とか買ってから行こうかな)」

どの道、様子を見に初春の家に行くつもりだった佐天は、風見の要請を快諾した。
504 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:27:31.35 ID:QlNzaqhpo

第七学区・中央公園



多くの学校で授業が終わり、夏休みに入った所為か、多くの学生達で賑わっている。

美琴「なんかもう、この公園で爆破事件があったとは思えないぐらい賑わってるわね……」

とは言っても、既に爆破の痕跡は綺麗に消され、進入規制も解除されている。
犯人が捕まったニュースも流れたので、安心して公園を訪れているのだろう。

黒子「……そう……ですのね」ウーン

美琴「どうしたのよ、難しい顔して……成績でも落ちた?」

黒子「違いますの。……お姉様、昨日の虚空爆破事件の犯人、本当にお姉様が捕まえた男で正しいんですの?」

美琴「そうだけど?」

能力を使って抵抗しようとしたし、自供も引き出している。誤認という可能性は無い筈だった。
美琴にしてみれば、後輩が何故そんな事を言い出したのか分からない。

黒子「犯人……介旅初矢(かいたびはつや)は、『書庫』の登録データでは異能力者(レベル2)判定となってましたの」

美琴「うそっ!? 明らかに大能力者(レベル4)クラスの破壊力だったわよ……?」

黒子「ええ、ですからこれはつまり…………」

ミーンミンミンミーン

美琴「…………」

ジリジリジリジリ

黒子「うーん………」

シャクシャクシャク

黒子「――ドウ゛イ゛ウ゛コ゛ト゛ナ゛ン゛デショウ゛ネ゛?」

美琴「いや、今それを私が訊いてたんだけどね……
    ――そうだ。煮詰まってるなら、一度休んで頭を切り替えましょ?」

黒子「へ?」

美琴が指差した先には、かき氷の屋台。
505 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:30:33.00 ID:QlNzaqhpo

二人が屋台を訪れると、見覚えのある人物がちょうど店員からかき氷を受け取っていた。

美琴「……あ」

黒子「あら、安達さん」

安達「――よぉ、お揃いで」

黒子「安達さんもかき氷ですの?」

安達「まぁ、そんな所じゃん(……本当は、海原に敵情視察を頼まれたんだがな)」

本人は蘇生されたとは言っても、屋台は全壊なので、営業は不可能。
後々、公園で屋台を再開しても、その頃には他の屋台に客を取られている可能性がある。

そんな訳で安達は建前上、病院を動けない海原に公園内の他の屋台の視察を頼まれたのであった。

美琴「…………」キョロキョロ

安達「御坂さん、言っておくが……一緒じゃないぞ?」

美琴が目当ての人物は、成績の事でロリ教師に説教されているか、悪友達と街へ繰り出しているかのどちらかだ。

美琴「な、何のことよ!?」///

黒子「?」キョトン

安達「さてね……そういえば、昨日は御活躍だったらしいじゃん? 色々と言われたと思うけど、俺からも礼を言わせてくれ」

美琴「いや、昨日の事は……」

安達「あー、大丈夫。爆弾の件は、アッチに礼を言っておいたじゃん。御坂さんに言いたいのは犯人確保の礼」

美琴「そう……それなら、素直に受け取っておくわ」

考えて見れば、上条の右手の事を自分に教えてくれたのは安達である。
彼ならば、爆発の現場を見れば、すぐに上条の仕業だと理解出来て当然なのだ。

黒子「お二人は先程から何の話をなさってますの……?」

「「あはは、気にしない気にしない!」」

黒子「(何やら、わたくしだけが蚊帳の外ですの……)」ショボン
506 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 17:54:55.37 ID:QlNzaqhpo

美琴「イチゴにしようかな〜♪ 黒子は何にするー?」

黒子「……お姉様と同じ物を」

安達「(別のにした方がいいと思うじゃん)」ゴニョゴニョ

特に考えもせずに言った黒子に、こっそりと耳打ちする安達。

黒子「はい? ……それじゃあ、レモン味で」

美琴「? じゃ、イチゴ味とレモン味をください」

店員「ありがとうございまーす」

チリンチリーン

黒子「不思議なものですわねー。風鈴の音を聴くと、少し涼しく感じますの」

美琴「あぁ、共感覚性って奴ね」

黒子「共感覚?」

安達「(教官覚醒……? 背中からビームでも出るのか……?)」パクパク

見当違いの想像をしながら、かき氷(ブルーハワイ)を口に運ぶ。

店員「お待たせしましたー。イチゴとレモンですね」

美琴「一つの刺激で、複数の感覚を得ること……あ、ここ割り勘だからね」

黒子「えぇ? お姉様が誘ってくださったのに……」ジー

安達「(何故、そこで俺を見る)」

黒子「」ジー

期待の込められた視線が、容赦なく安達の横顔に突き刺さる。

安達「はいはい、分かったじゃん……俺が奢ればいいんだよな」⊃1000

根負けして、千円札を店員に渡す。

美琴「あ、じゃあ私もー」

安達「って、おい!?」




507 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/08(火) 19:19:22.24 ID:QlNzaqhpo

屋台から少し離れた木陰のベンチに座り、かき氷を楽しむ三人。

安達「(ふ、不幸だ……)」

美琴「つまりさー、赤系の色を見たら暖かく感じたり、青系の色を見たら冷たく感じたりするでしょ?」

黒子「暖色、寒色と言いますものね」

安達「赤い部屋にいると時間の流れが早く感じたりするのもそうじゃん」

美琴「そして、このかき氷はイチゴの赤」

黒子「なるほど、赤いシロップに果物のイメージをプラスしてますのね」

美琴「そういうこと」パクッ

かき氷を口に運ぶ美琴をお約束のアイスクリーム頭痛が襲う。

美琴「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」キーン

黒子「お姉様ったら……」パクッ

安達「(確か、関連痛だったか?)」

この症状は、咽頭神経が刺激される事により発生した信号を、後頭部またはこめかみの痛みと誤認知する事によって起こる。

黒子「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」キーン

安達「二人して何してんだか……」

美琴「ふむ……レモン味も美味しそうね……黒子、一口貰ってもいい?」

黒子「へ? ……いいですけど」ヒョイ

反射的にかき氷をすくって、美琴へと差し出す。

美琴「ありがと」パクッ

黒子「(こ、これはまさか!? 間接キス!? 間接キスですの!?)」

自分のスプーンを咥える美琴の姿に、ようやく今置かれた状況の真価に気付いた。
508 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/08(火) 19:22:42.99 ID:QlNzaqhpo

美琴「お返しに、イチゴ味食べる?」ヒョイ

黒子「食べますの!」パクッ

ふいに訪れた、食べ比べという名の間接キスイベントの発生に黒子は歓喜に震える。

黒子「(黒子は! 黒子は幸せですのっ!)」キーン

こめかみの痛みすら感じない程の圧倒的な幸福感が黒子を満たす。

――だが、少し待って欲しい。

もしも先程、美琴と同じイチゴ味を注文していたら……?

黒子「(と、とんでもないミスを犯すところでしたの――ま、まさか!?)」ハッ

その時、黒子に電流走るっ!!

安達「(良かっただろう? 別の味にして)」ドヤ?

ざわ……ざわ……

黒子「(す、全て計算の内だったと!? 安達さん……あ、貴方という人は……!)」フルフル

この時、黒子が安達に抱いた感謝の念は、去年の郵便局強盗の時に助けられた事よりも大きかったそうな。

黒子「安達さん、わたくし……これほど殿方に感謝した事は初めてですの……!」ウルウル

安達の両手を握り、感動の涙を浮かべる黒子。

美琴「こらこら」

なんとなく、黒子の考えている事が分かったらしい。

安達「いや、まさかそこまで喜ばれるとは……予想外じゃん」

???「indeed なかなか顔を出さないと思ったら、こんな所で女子中学生を侍らして、ご歓談中だったのね」

安達「…………………………」

完全に予想外の人物の声が聴こえた気がして、安達の思考が一時的に止まる。

ゆっくりと、声のした方向へと顔を向ける。

安達「ぬ、布束?」

――何やら大層、ご立腹な様子の布束砥信がそこにいた。
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 19:26:45.65 ID:IMvnAm6X0
青春してやがるこのノリが好きなだけに
まだお気楽にやってられる超電磁砲時系列の先が怖い…
510 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/08(火) 19:39:38.70 ID:QlNzaqhpo
ミサカ00833号「女だったら背中で語れ! ミサカビームっ!!!!!」

……切りどころな感じなので、短いですが今日はここまで。

少し遠くのブックオフの閉店時間直前20%引きセールに行って来たいんだ……

>>509
かく言う私も怖くてね……
当初は2巻パートカットの予定だったけど、そこに佐天さんの番外編?を挟む感じにするから、まだまだ先の話なんだけどさ。
(姫神好きなんだけど、どう考えても錬金術師にアクメツぶつける映像(ヴィジョン)が思いつかない……)
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 00:37:14.32 ID:NRF8X4JSo
教官自重wwww
ここで布束さん登場か
美琴が妹達関連に触れるのもそろそろかねぇ
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 02:54:17.94 ID:PirRig2R0
よしリア充爆発しろ
てか現実でもこんな教師の方がモテそうだよな
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 08:00:57.55 ID:VRBgMHHDO
マリクさんマジ教官


安達「また守れなかったじゃん!」
にはならないよね
514 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/09(水) 21:38:21.82 ID:yJs0uVLQo

安達「ぬ、布束!? 何でここに!?」パッ

慌てて、自分の両手を握っている黒子の手を解く。

布束「――悪いんだけど、そこの彼を借りていってもいいかしら?」ギロッ

黒子「あ、はい、どうぞ」ススッ

有無を言わせぬ、その視線に安達を布束へと差し出す黒子。

安達「ちょ、おまっ!?」

布束「――ありがとう」ニコッ

ギュウゥゥゥゥゥッ!!!

安達「痛っ、ぬ、布束!? そんなイイ笑顔で耳を引っ張らないでー!?」

耳を引っ張られながら、連行される安達。

美琴「(ねぇ、黒子、あの人が着てるのって、長点上機の制服よね?)」ゴニョゴニョ

黒子「(そのようですの。どういった関係なんでしょうか……)」ゴニョゴニョ

安達「し、白井さん、固法先輩に遅れるかも、と伝えてくれると助かるじゃん……っ!」ノシ

黒子「――御無事でしたら、また後ほどですの」ノシ

ずるずると引き摺られていく安達を見送る二人。

美琴「彼女さん……なのかしら?」

黒子「まぁ、高校生なんですから……親しい女性の一人や二人ぐらい、いて当然なのでは?」

美琴「……高校生……いて当然……!?(アイツと同じ学校で、同じ高校生で……ってことは、アイツにも……!?)」

黒子「お姉様?」

美琴「な、何?」ハッ

美琴「……まさかとは思いますが、例の殿方に親しい女性がいるかも、と不安になっているんですの?」

美琴「な、ナニイッテンノヨ!? ソンナコトアルワケナイジャナイ!?」///

黒子「動揺しすぎですの……」

仮にいるとしても、その筆頭に上がるのは美琴だろう、とは思っても決して口にはしない黒子である。
515 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/09(水) 22:02:20.16 ID:yJs0uVLQo

美琴や黒子から見えない位置まで来て、ようやく耳が解放された。

安達「ち、千切れるかと思った…………あ、あのー、布束サン?」

布束「………………」ギロッ

安達「(怒ってる! めちゃくちゃ怒ってるじゃん!?)」

ただでさえ目付きが良いとは言えない布束だが、怒気が込められた視線はそれだけで人間を殺傷出来そうな程に怖い。

布束「……誤解だと頭で分かっていても、ああいう場面を見せられれば……私にだって、それなりに思うことはあるから……」

安達「」

布束「……その顔は、何?」///

気付かぬうちに、ニヤけていたらしい。

安達「いや、何でもないです、ハイ。
    …………それで、何か俺に用があったんじゃ……?」

布束「新倉さんから、プラントに『幻想御手』のサンプルが届いたの。これから少し調べるから、同席してもらおうかと思って」

安達「今朝、メールで書いてた件か……それにしても、噂だけだと思ってたのに……」

布束「彼……拡大を防ぐ為に動いてるけど、第七学区のスキルアウトだけでは不可能だから、早い段階で風紀委員を動かして欲しいそうよ」

安達「けど、虚空爆破事件の犯人が幻想御手を使用していた確証もないし……
    何よりも実際の効果を立証しないと、上を動かすのは難しいじゃん。とりあえず、実態調査が先決だろうな」

実在すると分かった以上、学生達へ注意を促したい所ではあるが、迂闊な情報開示は逆に幻想御手の拡大に繋がる可能性がある。
516 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/09(水) 22:07:09.93 ID:yJs0uVLQo

安達「ところで、要件ってそれだけ?」

布束「――どうして?」

安達「今のが要件なら、俺がプラントに来るのを待つか、メールか電話で済む話じゃん……で? 本題は?」

布束「……そんな所ばっかり鋭いのね。……渡したい物があっただけよ」スッ

不機嫌そうな布束が差し出したのは小さな紙袋。

安達「……開けてもいい?」

布束「好きにどうぞ」

安達「袋の中身は、何だろな〜っと」ゴソゴソ


――袋の中に入っていたのは、一本のチョーカーだった。


安達「……え、何? 主従プレイ?」

スパンッ!

……無言で殴られた。

安達「いてて……冗談なのに……」

布束「still 冗談の種類を選びなさい」

安達「で、これは……どういう趣向じゃん? 色々と細工がしてあるみたいだけど」

最初に見た時点で、単純なアクセサリーとしてのプレゼントではないのは分かった。
何しろ、電極のような物が取り付けられているのだ、どう考えても普通の品ではない。

布束「保険、かしら」

安達「保険って……何か心配させるような事、あった?」
517 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/09(水) 22:11:31.38 ID:yJs0uVLQo

布束「because 昨日、海原さんが……その……死んだでしょう?」

その言葉だけ聞けば、深刻な事象なのだが、そうでもないから困りものである。

安達「死んだと言っても、今はバリバリ健康体だから、病院で美人看護師相手にナンパでもしてるんだろうけど」

一応、事件に巻き込まれた被害者という立場なので入院してもらったが、蘇生されたばかりの肉体なので、実際は擦り傷一つ無い新品状態。
大人しくベッドで寝てろというのも酷な話である。

布束「茶化さないで……それで、もしも貴方や、他の生達が間に合わなかったら……
   『海原生』という『個』は失われていたかもしれない……そうでしょう?」

布束が言っているのは、仮面の装着が間に合わなかったら、という意味だ。

安達「あー、もしかして……これはそういう?」

布束「出来ることなら、肌身離さず――身に着けていて欲しい」

細かい説明をされなくても、どういう効果があって、彼女がどういう想いでこれを渡したのかは理解出来る。
もしも、仮面を持っていない時に危険に巻き込まれても、『安達生』が消滅しない為の保険。

安達「――分かった。ずっと着けとくじゃん」

断る理由は何処にもなかった。

自分達がクローン人間である、という自覚に加えて蘇生が可能な存在であるという事実。
生達には、この2点から、己の命の軽く考えてしまう傾向がある。

これは命自体を軽視しているのではなく、他の生命に比べ、自分達を低く見ている、という事だ。
そこに元来のポジティブに性格が合わさって、生達が自分達の体や命を気に掛ける場面は少ない。

『妹達』への教育上、良くないのは分かっているのだが、こればかりはアクメツ時代からの『癖』に近い。

安達「(――心配されるってのも、良いもんじゃん)」

かつての生達が、経験した「それ」とは別の……『安達生』にとって、初めての……感慨であった。

布束「……そう」

返ってきたのは、たった一言だったが……布束の表情が柔らかくなったのが見て取れた。

安達「――それじゃ、プラントに布束を送ってから、風紀委員支部に行くとしますかね」

布束「そんなに風紀委員の支部が好きなの?」

安達「へ? い、いや、そんな事は……一応、俺に割り振られた役目だし……?」

布束「…………動物用の首輪も着けさせた方がいいかしら」ボソッ

安達「え」

割と本気っぽい布束の言葉に、安達の首筋に冷たい汗が流れた。
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:05:51.50 ID:VtAntXVVo
519 :とある複製の妹達支援 もうちょっとだけ書いとくんじゃよ [saga sage]:2011/03/09(水) 23:35:16.49 ID:yJs0uVLQo

第七学区・未開発地域


薬局からの帰り道。
佐天は初春の暮らすアパートへと急いでいた。

佐天「(初春、大人しく寝てるかな……?)」

親友が熱にうなされる姿を想像し、無意識に歩くスピードが上がった。

ソンナ! ハナシガチガウジャナイカ!?

佐天「」ビクッ

誰かの揉める声に、佐天は咄嗟に曲がり角に隠れて様子を窺う。

そーっと、声のした方を見ると工事が途中で中断されて、そのままにされた廃ビルの前に数人の男達がいる。
肥満気味のおかっぱ頭の学生と、数人のスキルアウトらしき少年達。

学生「10万で幻想御手を譲渡すると言ったじゃないか、冗談はよしてくれ」

不良A「悪いがついさっき値上げしてね」

不良B「ひ〜ふ〜み〜」

不良A「コイツが欲しけりゃ、もう10万持ってきな」

学生「なっ」

その学生が愚かだったのは、これを正当な取引だと考えていた事に尽きる。
幻想御手によって、レベルが上がった不良達。
元々、ただで入手した幻想御手に10万もの大金を払う無能力者など……彼等にすれば、ただのカモに過ぎない。

学生「ふざけるなっ! だったら、その金を返してくれ!」

抗議の言葉と共に、立ち去ろうとする不良達へ掴みかかる。
520 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/09(水) 23:37:45.43 ID:yJs0uVLQo
――正しく、状況を認識しているのであれば、そのまま行かせるべきであった。

不良B「ガタガタうるせーんだよっ!」ガッ

学生「がふっ!」

学生の腹に不良の膝がめり込んだ。

そして……一度、反抗的な態度を取った相手に対して、彼等は容赦などしない。

不良A「10万ぽっちで誰がやるかっての!」ゲシッ

不良B「金がねーんなら、さっさと帰れ、このデブっ!」ドゴッ

学生「ふぐっ、い、いたい、たすけっ」

???「オウ、そいつ……立たせろ。
     お前等のレベルがどれくらい上がったか、実験台にしてやれ」

その様子を遠巻きに見ていた、リーダーらしき男が紫煙を吐き出しながら、男達へ告げる。

不良B「……マジかよ」

男達に逡巡の色が見えたのは一瞬で、それはすぐに狂気へと変わる。

不良A「うわ、キッツー! オマエ今日で死んじまうかもなぁー!?」ゲラゲラ

学生「か、勘弁してくれー……」ゲホゲホ

――逃げるべきだ。

そう、自分の中の何かが警鐘を鳴らす。

この場を離れて、風紀委員か警備員へ通報する。

それでいい。
それがいい。
それが最善だ。

相手は、いかにもな三人組。
自分は数ヶ月前まで、小学生をやっていた無能力者の女の子。

何が出来る?
出来る訳がない。

絡まれているのは、自分とは何の面識のない赤の他人。

助ける義理なんてない。
助けられるかも分からない。
きっと、助けられないに決まっている。

だから、今すぐに回れ右をするべきだ。

――それなのに。

……どうして、私は。

佐天「――や、やめなさいよ!」

どうして、彼等の前に立っているんだろう?
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 04:02:37.65 ID:lyNPTLhAO
あ、アクメツさーん!早くー!
522 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/10(木) 22:02:20.07 ID:QI6hAzfJo
3月10日は佐天さんの日という事でこっそり書き進めていきませう。
523 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/10(木) 22:08:32.79 ID:QI6hAzfJo

佐天「その人、怪我してるし……!」

一度、吐き出してしまった言葉は戻せない。

佐天「す……すぐに警備員が来るんだからっ……!」

???「はぁ?」

ガァァン!!!

リーダー格の不良が、廃ビルを取り囲んでいるスレート板の壁を蹴って、激しい音を鳴らす。

佐天「ひっ」

???「おい、今……なんつった?」ガシッ

佐天「い゛っ」

髪を掴まれた佐天から、苦悶の声が漏れる。
震えは止まらず、恐怖によって足が縛られる。

???「ガキが生意気言うじゃねーか。
     だがな、何の力もねぇ、非力なヤツにゴチャゴチャ指図する権利はねーんだよ!」

佐天「――――!」

その言葉を否定する力を持たない非力な少女は、絶望に揺れる瞳の奥で、何を思うのか。
524 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/10(木) 22:20:54.91 ID:QI6hAzfJo

自分と同じ中学生で。

自分と同じ年齢で。

自分と同じ女の子なのに。

自分とは違う世界に住んでいる人達がいる。

無能力者と能力者では、何もかもが違う。

――だからこそ、心だけは。

そう思ったのに。

……弱者はそれすらも許されないのだろうか?




――だけど。



もしも、この男の言葉が、

どうしようもない現実で。
クソッタレな真理であるのならば。

今は強者として、暴虐の限りを尽くす彼等も。

さらなる強者の前には、口を噤まなければならない。

――それが、力の論理を振りかざす者が背負うべき、危険(リスク)って奴だろう?







新倉「おい、そこの三馬鹿」

思い上がったケダモノに「それ」を教える為に――本物の怪物が牙を剥く。
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 22:50:34.79 ID:9zqKUd72o
ktkr
526 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/10(木) 22:53:06.94 ID:QI6hAzfJo

仲間のスキルアウト達によって集められた、幻想御手の取引が行なわれる可能性のある場所の情報。

第七学区全域に渡る、不良達の捜査網。少しでも可能性のある場所は全て巡って、約半日。

だが、どこもかしこも空振りで、新倉の不満は溜まりに溜まっていた。


――そして、最後にやって来たのが……この場所だった。


そこで新倉は目撃する。

『いかにも』な不良三人と、怪我をした学生、そして今まさに乱暴されそうな女の子。

各々の姿や立ち位置、様子を一瞬で観察し、おおよその状況を把握した新倉は、方針を決める。


新倉「――この学区で女子供に手を出すってのは、どういう了見じゃん?」


――手加減無しで叩き潰す、と。


不良A「なんだ、オマエ? どこのヒーロー気取りだ?」

不良の一人が、何の警戒もなく新倉へと近づいてくる。
そして、右手で新倉の胸ぐらを掴もうとして――その手が空を切った。

不良A「は?」

疑問は一瞬だった。

ボギンッ!!!
527 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/10(木) 23:18:28.01 ID:QI6hAzfJo

不良A「ああああああああああああああああああ足がああああああああああああっ!!」

不良の足が、そして本人が激痛に悲鳴をあげる。

油断し、意識の外から攻撃を受けた不良と違い、離れた場所にいた佐天と残りの不良達はその一部始終を見ていた。

佐天「(すごい……!)」

新倉は掴みかかってくる不良を流れるよう躱し、そのまま背後へと回って、横スネを斜め上から体重の乗せて――踏みつけたのだ。

新倉「――さて、次に『何の力もない非力なヤツ』に倒されたいのはどっちだ?」

あまりの痛みに沈黙した不良を尻目に、残りの不良達へ宣戦布告。

???「(コイツ……?)」

不敵に笑い、余裕を見せる新倉だが、態度と裏腹に構えには無駄はない。

乱れること無く、穏やかに続けられる呼吸。
徹底的に脱力しながらも、その姿勢は真っ直ぐに保たれ、即座に動ける状態が維持されている。

不良B「言ってくれるじゃねーか……!」

不良が手をかざすと、工事現場に散らばっている鉄柱や、建材が浮き上がった。

佐天「(すごい、鉄柱があんなに……!)」

不良B「腕におぼえがあるみたいだが……その高慢な態度、ムカツクぜ……!」クイッ

指の動きに合わせて、鉄柱達が不良の手元へと集まり、新倉へと照準を定める。

不良B「その高く伸びた鼻……ヘシ折ってやるぜぇ!!!」ヒュン

佐天「危な……っ!」

鉄柱が飛び、佐天が思わず声をあげる。
528 :とある複製の妹達支援 ミス ○流れるように ×流れるよう [saga sage]:2011/03/10(木) 23:26:46.10 ID:QI6hAzfJo

新倉「ほぉー……念動力(テレキネシス)か」スッ

だが、ただ直線的に飛来する物など、わざわざ大きく避ける必要はない。

元の位置から、半歩。

それだけで、鉄柱は新倉の体を外れてしまう。
その姿は回避と言うよりも、隙間を通り抜けたと言ったほうがいい。

不良B「はぁ!?」

中途半端に手に入れた能力が、男の動きを、攻撃の手段を単純化する。
それは手枷であり、足枷であると言える。


持っているから、持てるから、それを使う。


――それは、確かに正しい。

だが戦闘において自由ではない事が、どれほど危険なのか。

新倉「(普通に投擲した方が、まだマシだったな)」ダンッ

動揺する不良へと接近し、握った拳で顔を狙う。

不良B「うわっ」バッ

咄嗟に上半身を仰け反らせて、目を腕で庇うが、新倉はその腕を取る。

囮の仮当によって崩れた体勢を利用しての背負い投げ。

そして不良の視界が回転し、逆転する。

不良B「がはっ!?」

硬いアスファルトに叩きつけられ、呻く不良の顔を先程と同じように――踏みつける。

不良B「がぁ―――――!」

新倉「――能力が上がって、悦に浸るのは結構だが……能力の前に人間としての性能を少しは上げてからにするんだな」
529 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/11(金) 00:52:15.36 ID:y4LkD5hso

???「カカカカカッ! やるじゃねーか!」

新倉「残ったのは、お前だけだぞ? 随分と余裕だな」

???「――オマエ、駒場の所のヤツだな?」

新倉「……それがどうした」

???「俺達と同じスキルアウトが……何故、こんな人助けみたいな真似してやがる?」

――同じ? 何処が? 何が?

新倉「……一緒にするなよ、ジャンキー野郎。
    確かに俺達は不良だ、スキルアウトだよ。学園都市の爪弾き者だ。
    だが……得た能力を、そんな事に使っているお前達は、それ以下だ」

???「驚いたぜ……まさか本気で正義の味方ごっこやってるとはな……マジで殺してぇよ」

新倉「――出来るのか? お前に?」

言葉に込めて返すのは、嘲笑と侮蔑。

それを受けて男は、ナイフを取り出して応じた。

???「殺すっ!」

殺すという宣言は、そんなに軽いモノではない。
例え、自分が死んだとしても、絶対に完遂する。

それほどの覚悟を持ってのみ、放つことを許される言葉だ。

新倉「(それを――教えてやるっ!)」

生達が習得し、近接戦闘で多用しているロシア武術システマ。

このシステマにおいて、相手が武器を所持している状態での戦闘を想定するのは基本とも言える。
軍事格闘技という本質、そして日本の合気道と同じように護身の要素を強く持っているという性質。
そして、あらゆる場面で生存率を上げる為には、自分が不利な状況である場合をより重点的に考えなければならないからに他ならない。

相手がナイフを持っている状況――当然、想定されている。

その気になれば、両手が塞がってる状態で相手のナイフを逆に相手に刺す事も可能なのだ。
そして、万全の状態である新倉が、男の攻撃を喰らう筈は無かった。
530 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/11(金) 01:35:53.05 ID:y4LkD5hso

――だが。

ザクッ!

新倉「ぐっ!?」

右腕が切り裂かれ、鮮血がアスファルトを染める。

新倉「(左からの攻撃だった筈だ……!)」ズキッ

新倉から見て、男は左側から迫っていた。
だが、攻撃を受けたのは右側からだった。

新倉「(――過程と結果が噛み合わない)」

驚きこそするものの、それは動揺や焦燥には繋がらない。
精神的には、常に臨戦体勢を維持しながらも、肉体的にはリラックスしていなければならない。

実に対しては虚で。

剛に対しては柔で。

重きに対しては速さで。

自らの力の消費は最小限にし、相手の力を最大限に利用する。

それがシステマの最大の武器であり、利点なのである。

???「――どうした、顔から余裕が消えたぞ?」

新倉「迷彩……いや、錯視か?」

偏光能力「へぇ、よく分かったじゃねーか……俺の能力は偏光能力(トリックアート)
       自身の周囲の光を捻じ曲げ、誤った位置に象を結ぶ能力だ。
       ……だが、分かった所でどうしようもないだろ?」

確かに目に見えている位置が正しくないのなら、こちらの攻撃を当てることも、相手の攻撃を防ぐことも出来ない。

新倉「いや――そうでもないじゃん」

そう言って、新倉は……その両目を閉じた。
531 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/03/11(金) 02:20:50.75 ID:y4LkD5hso

佐天「(め、目を閉じた!?)」

偏光能力「何の真似だ? 諦めて、サンドバックにでもなってくれるのかよ?」

新倉「――どうだろうな? いいのか、絶好のチャンスだぞ?」

偏光能力「……いいぜ、それが望みだってんなら切り刻んでやるよ!」ヒュン

銀色の光が一閃される。
しかし、現れるのは銀色のみで、赤色の現れる気配はない。

佐天「どうして……?」

男の能力によって、目を誑かされている佐天には、何が起きているのか分からない。

偏光能力「(あ、当たらない!?)」

しかし、能力を使用している当人は戦慄するしかない。

自分の攻撃が何一つ当たらない。

突いても、切りつけても、殴ろうとしても。

――全て、紙一重で避けられる。

偏光能力「う、嘘だ……!?」

先にも言ったが、システマでは不利な状況を打破し、生存する事が重視される。

例えば、相手が武器を持っている。
例えば、相手に地の利がある。
例えば、相手が複数である。

これらは、相手が有利であるが故に、自らが不利なケースである。

だが、不利なケースには逆の場合も存在する。

例えば、自らの肉体の状態に問題があり、万全の力を出せないケース。


――例えば、自分の視覚が封じられてしまっている場合。


新倉「……お前の位置ぐらい、見なくても分かる」

――目隠しをした状態で戦闘の訓練を行う格闘技だって、この世には存在するのだ。

足音、気配、匂い、ナイフの風切り音、情報はいくらでもある。

わざわざ、当てにならない『視覚』を利用しようとするから、敵の術中に嵌る。

ならば、最初から目を閉じていれば済む話。

偏光能力「クソがああああああああああああああ!!!」

男は、それでもがむしゃらにナイフを突き出すが――既に勝敗は決していた。
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 10:10:09.01 ID:gfjABQTSO
新倉△
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 10:34:44.40 ID:bH4lJ/AVo
生△
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 11:27:36.72 ID:N/ACVf2s0
偏光能力「この動きは…トキ!?」
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 18:46:10.82 ID:RIsZPBD00
ジョインジョイントキィ
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 21:24:59.10 ID:TrLK6M6s0
新倉△
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 22:12:50.33 ID:+DMK/Arzo
みんな無事か?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 22:37:51.78 ID:OjNX/rLV0
ジョインジョイントキィデデデデザタイムオブレトビューションバトーワンデッサイダデステニーナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーンホクトウジョウダンジンケンK.O. イノチハナゲステルモノ
バトートゥーデッサイダデステニー セッカッコーハアアアアキィーン テーレッテーホクトウジョーハガンケンハァーン
FATAL K.O. セメテイタミヲシラズニヤスラカニシヌガヨイ ウィーントキィ (パーフェクト)
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 08:37:18.30 ID:ybOmTjDt0
>>1は無事か?
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/03/16(水) 17:35:23.71 ID:3elE/8CAO
生存報告お願いします
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) :2011/03/18(金) 12:48:00.18 ID:8VI7Rqfe0
>>1は生きてるのか?
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/18(金) 14:09:21.13 ID:c53MQnhSO
信じて待つ

無事でもネット使えない状況とかあるしね
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/18(金) 14:33:14.76 ID:L/1sNc6+o
管理人ならIPから地域分かるのかな?
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/18(金) 15:45:17.30 ID:vL8kpDqIO
心配だぜ
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/20(日) 01:47:43.37 ID:8HFHkpGW0
クローンプラント事流されてねーだろうな・・・・・・
546 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/21(月) 12:08:11.75 ID:vIBaSnKco
心配させました、1です〜。
いやぁ、実は宮城県仙台市在住でして……大変でした。
幸いにして五体満足、家も健在、家族も無事です。家の中は物が散乱して大惨事でしたが。
電気は少し前に復旧したんですが、回線は切れてたのでリアル生存報告が遅くなってしまいました。
今まで、近所のスーパーに並んだり、倒壊した自室の本棚&大量の本(何故か禁書と金田一は微動だにせず無事だった)を整理したりして生活してました。

通ってる大学の開始が一ヶ月ズレて五月からになったので、かなり暇です。就活無理だし。
そんな訳で、書き溜めが増える……かも?

電気節約のために投下感覚はかなり開くと思いますが、1は元気ですので〜
ではでは〜ノシ
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/03/21(月) 12:14:19.86 ID:LKBCNyFuo
安心した。同じ宮城民だが頑張ろうぜ
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/21(月) 12:17:36.72 ID:3/IwEXQvo
よかったよかった
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/21(月) 12:54:49.77 ID:xpPneY8AO
無事でよかった…
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/21(月) 13:34:52.97 ID:bx6V64Yao
無地で良かった(;。;)
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/21(月) 16:01:26.54 ID:/P3usFgAO
無事だったか!よかった
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/03/21(月) 19:15:06.72 ID:mOr9XvOAO
続き楽しみにしてます
大変でしょうが頑張ってください
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/21(月) 19:33:33.90 ID:E2TdMNBZ0
安心しましたよ
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/03/21(月) 20:45:24.69 ID:dB86lfRu0
無事だったのかほんとよかった
実生活第一でゆっくりやってくれ
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/03/21(月) 21:20:20.79 ID:K7L4VfMz0
命は投げ捨てるものではない…
身体を厭えよ、>>1
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/22(火) 10:03:10.17 ID:wR++oBmC0
ほんとに大変だったのね…いやよかったよかった
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga]:2011/03/25(金) 09:36:59.32 ID:gKpTv5gOo
月曜日までには、何とか4話を書き上げたいと思っている>>1です。

時間稼ぎを兼ねて、
ざっくりとサブタイトルの予定を晒す事で、自分を追い込み、かつ皆さんの妄想を刺激してみる。

今、迷っているのは『歩く教会』を破壊するかどうか……んー、どうしよう。
6:4で壊さない方がいい気がしてます。壊れなくても当面の話の展開は変わらないんだよね。

ここのインデックスさんは、上条や美琴や迫間に猫可愛がりされるポジなんで……三人がかりなので食費も安泰だね!

以下、予定サブタイトル

本編 御坂妹「アクメツ……?」 禁書×アクメツ

第一話   『学園都市の正義の盾』
第二話   『道を重ね、想いを束ねる』
第三話   『アクメツ、虚空に散る!?』
第四話   『少年少女達は神の御手に幻想を見るか?』
第五話   『魔術師来たりて、南天に星が輝く』
第六話   『電撃姫は、友と共に幻想の獣に立ち向かう』
第七話   『偽悪VS悪滅&偽善』
第八話   『勝ち得たモノ、失われたモノ』

外伝 佐天「宝石から力を引き出す能力……?」 禁書×ADAMAS(世界観を共有し、アクメツを含む)

第一話   『風信子石の宝石使い』
第二話   『世界一のイイ女』
第三話   『スパイダー&スコーピオン』
第四話   『揺れる学園都市』
第五話   『ゼピュロスと呼ばれた少女』

以降は、あるか不明の将来的な予定サブタイトル。適当なのは(仮)

『クローン達の事情』
『第○九九八二次実験』
『アクメツver.4』
『お前にリスクを負う覚悟があるか?』
『マニフェスト』←この辺までは是非とも書き上げたい。

『迫間in新倉、新倉in迫間』
『偽物だらけの夏休み』
『好きな方を撃つといい』
『同じ殺し名を持つ女』
『上条当麻vs迫間生』
『俺達の生き方』
『御坂妹「……アクメツ?」』

558 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:44:18.45 ID:gKpTv5gOo

新倉「――悪いな? ウチは女子供には優しいのがポリシーじゃん」

蹴りと共に放たれた、その最後の台詞を偏光能力の男が聴くことはなかった。


数分後。


戦いの場となった道路から、廃ビルの敷地へと入った少しの所で四人の男がいた。

不良A&B「」チーン

偏光能力「」チーン

生(新)「きゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ♪」」ギュッギュッギュー

完全にノビた不良達を鼻唄混じりで縛り上げる。
目を覚ましても身動き一つ取れないように念入りに拘束してから、新倉は懐から携帯電話を取り出した。

prururururu

生(新)「――安達か?」

生(安)『どうした、新倉の。何か進展したのか?』

生(新)「幻想御手の取引をしてた連中を確保したからさ、そっちで回収してくれないかなーって」

生(安)『それはいいけど……何か吐かなかったのか?』

生(新)「吐かせる前にブチのめしたもんで……てへ」

生(安)『……とりあえず、理由を訊くじゃん』

生(新)「不法取引、傷害、婦女暴行の現行犯」

生(安)『――よし、無問題じゃん』

生(新)「流石は俺、話が分かる〜! それで被害者のフォローしたいから……」

生(安)『こっちで尋問して、幻想御手の入手経路を洗えと……』

生(新)「頼めるか?」

生(安)『了解、場所を教えてくれ――すぐに行くから』

新倉は安達へ現在位置を簡単に説明し、通話を終えた。
559 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:48:15.58 ID:gKpTv5gOo

さて、不良達はこれでいいとしても、まだ問題は残っている。
先程まで不良達に襲われていた学生達を保護してやらなければいけない。

敷地から出て、道路にへたりこんだままの女子学生へと声をかける。

新倉「そこの君、大丈夫だったか? ……って、あれ? 
    もう一人の男子学生は、どこに行ったじゃん?」

佐天「――へ?」

言われて佐天が周囲を見渡すと、不良達から幻想御手を買おうとしていた学生の姿が忽然と消えている。

佐天「……あ、逃げちゃったみたいです……ね」

新倉「自分を助けてくれようとした女の子を放置して一人で逃げたのか……なんともまぁ……」

佐天「――仕方ないですよ」

新倉「ん?」

佐天「だって……彼も、きっと無能力者だから……こんな時、私達に出来ることなんてないんです」

正しいことをしたいと思っても力がない。
正しい人を助けたいと思っても、足手まといになるしかない。

新倉「(ふーん……『無能力者』だから、ね…………)でも、君は逃げてないじゃん」

佐天「え? ……わ、私は……! ……あ、あれ?」ウーンウーン

新倉「……あー……もしかして……立てないのか?」

佐天「あ、あはは……腰が抜けちゃって、逃げたくても逃げれなかったみたいです……」///
560 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:49:33.68 ID:gKpTv5gOo

新倉「――お手をどうぞ、お嬢さん」キリッ

佐天「ど、どうも……」///

ギュッ

新倉「いつっ」ズキッ

少女を助け起こす際、右腕に鋭い痛みが走った。

佐天「そ、そうだ! 先刻、腕を切られて……!」

新倉「いやいや、大丈夫じゃん。このぐらいなら別に……」

新倉にしてみれば、最後に死んだ時の事を考えると、腕をナイフで切られたぐらいで騒ぐ気にはならない。

佐天「駄目ですっ! し、止血しないと……いや、その前に消毒!? ……あー、こんな事なら薬局で他にも買っておくんだったー!」

軽くパニックになっている佐天だったが、いつの間にやら立ち上がっている。

新倉「えっと……?」

佐天「そうだ! 近くに公園がありますから、そこに行きましょう!」グイッ

新倉「いや、ちょ……いてててっ……わ、分かったから、腕は掴まないで……」

佐天「あぁ!? ……ご、ごめんなさーい!!!」アタフタ

新倉「(面白い子だな〜)」

慌てる佐天を横目に新倉は呑気にそんな感想を抱いていた。



――ちなみに。

――その後、駆け付けた安達が何故か亀甲縛りで拘束された不良達の姿に呆然と立ち尽くしたのは別の話。
561 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:52:03.89 ID:gKpTv5gOo

第七学区・児童公園


公園にある水飲み場で、血を洗い流しつつ、軽く消毒する。

新倉「うぅ……染みる」

佐天「き、聞いてもいいです、か……?」

若干の緊張を伴って、佐天から質問が投げかけられる。

新倉「……どうぞ?」キョトン

佐天「……先刻の人が言ってましたけど……スキルアウト、の方なんですか?」

スキルアウトという単語に『方』なんて付けたのは初めてだった。

新倉「うーん、改めて聞かれると……どうなんだろうな?」

原則的にスキルアウトとは武装した無能力者集団を指す。
学園都市には潜在的にスキルアウトが一万人存在しているとされるが、
それらの中で、武装した本当のスキルアウトは1%にも満たないのだ。

新倉「前はウチの連中も、先刻の奴らみたいな不良の集まりに近かったけど……今はそうでもないし……」

実際に呼称されているスキルアウトは『無能力者の不良』程度の意味に過ぎない。

佐天「えっと……良いスキルアウトって事ですか?」

新倉「良い不良みたいで変だな、それも」クスクス

佐天「……そうですね」クスクス

屈託なく笑い合いながら、佐天は思う。


――よく分からないけど……きっと……この人は良い人なんだろうな。
562 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:53:22.77 ID:gKpTv5gOo

新倉「まぁ、無能力者の不良なんだから、別にスキルアウトでいいんじゃないか?」

佐天「え、それでいいんですか!?」

新倉「いや、別に呼ばれ方が変わった所で自分が変わる訳でもないし」

佐天「…………」

他人にどう思われていようと関係ないと。
自分と同じ無能力者な筈の少年は、簡単に言ってのけた。

佐天「(あぁ…………この人も、そうなんだ)」

――昨日、セブンスミストで会った……あの人と同じなんだ。

憧れの人が、対等に接することが出来る人。
それを許されたのではなく、自然にそうする事の出来る人。

――自分が無能力者である事に、何の引け目も感じずに真っ直ぐに生きている人。

羨ましかった。

どうすれば、こんなに真っ直ぐに立てるんだろう。

――それに比べて、どうして私の足元はこんなにも脆いんだろう。

また心に、暗い影が差し込んだ。

新倉「……どうかしたのか? ……えっと」

名前を呼ぼうとして、初めて互いに名乗っていない事に気付く。

新倉「ごめん、自己紹介してなかったじゃん」

佐天「あ……わ、私、佐天涙子って言います!」

新倉「さてん……佐天か……俺は新倉……新倉生だ」
563 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:55:25.62 ID:gKpTv5gOo

佐天「新倉……生さん……? ウチの副担任の先生と同じ名前だ」ポツリ

新倉「(ん? 副担任……?)」

佐天「そういえば、少し先生と顔付きも似てるような……?」

――言われて、ようやく思い至る。

佐天の着ている制服が、風間が教師として潜伏している柵川中学の制服である事に。

新倉「(高校生にしては子供っぽいって思ったけど、女子中学生だと!?)」

――そこまで考えて、さらに思い至る。

風間が担任しているのは、一年生のクラスであるという事実に。

新倉「(いやいや、オカシイじゃん!? きょ、去年までランドセル!? こ、この発育で!?)」

思わず、中学一年生にしては豊満な胸元へと視線が引き寄せられる。
こうなると「高校生にしては子供っぽい」という感想が、まるで逆の意味を持ってくる。

新倉「(幻想御手(レベルアッパー)ならぬ、巨乳御手(バストアッパー)が存在するとでも言うのか……?)」

自分達が死んでいる10年の間に、これほどまでに人類は進化していたというのか。
或いは、学園都市は科学技術だけではなく、学生の発育まで最先端なのだろうか。

佐天「……あの?」

新倉「い、いやー、世の中には三人は同じ顔をしてる奴がいるって言うじゃん?」

生の場合は数十人単位。御坂美琴の場合は二万人程同じ顔の人間がいるのは内緒だ。

佐天「そうですよね。でも……同じ名前でも、新倉さんの方がウチの先生より格好良いですよ」

新倉「え、あ、そう?」///

DNAレベルで同じ顔なのだが、可愛い女の子に褒められただけで、どうでもよくなるから男は愚かなのである。
564 :※佐天さんのスタイルはアニメ仕様です [saga]:2011/03/25(金) 09:57:26.09 ID:gKpTv5gOo

照れる新倉をベンチに座らせて、簡単な応急処置を行う。

佐天「――あの、痛くないですか?」ギュッ

出血している部分を自分のハンカチで止血しながら、佐天は新倉の様子を窺う。

新倉「んー、大丈夫。もっと酷い怪我した事あるから……痛みには割と慣れてるじゃん」

佐天「もっと酷いって……」

新倉「例えば――トラックに撥ねられたり」

佐天「ええぇ!?」

新倉「――50人のヤクザに襲われたり」

佐天「や、ヤクザ!?」

新倉「――他には拷問されて、銃で手足を撃たれたりしたかな〜?」

佐天「う、嘘ですよね……?」

いくらスキルアウトとは言っても、そんな修羅場をくぐり抜けているようには見えない。

新倉「さーて、どうかな?」ニヤニヤ

佐天「新倉さん……真面目に答える気あります?」ムスッ

新倉「ごめんごめん、冗談じゃん。(これでも大真面目なんだけどな〜)」

佐天「……もう、変な人ですね」

新倉「うわっ、ひでぇ」
565 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 09:59:17.71 ID:gKpTv5gOo

佐天「でも…………あ、ありがとうございました!」

新倉「???」

佐天「た、助けて貰っちゃって……お礼、言えてなかったから……」

新倉「あぁ、そういう…………でも、礼を言うのは筋違いじゃん」

佐天「……え?」

新倉「――少なくとも、あの『学生』を助けたのは、佐天だから」

そもそも、新倉があの場を訪れたは、幻想御手の調査の一環だし、その後の戦闘もその流れだ。
いわば、自分の都合で戦ったに過ぎないのである。

新倉「だから、礼を言われるのは俺じゃなくて……佐天であるべきだろ?」

佐天「――――――どうして」

新倉「ん?」

佐天「どうして……そ、そんな事……言うんですかぁ……」グスッ

新倉「ちょ、え!? 何!? 何で泣くじゃん!?」アタフタ

佐天「お礼なんて、言われる資格ないのにっ……!」

正しいことをしようと思っても、それを為し得なければ意味が無い。

新倉「…………」

佐天「私、弱くて……結局、何も出来なかった……!」グスッ

新倉「――佐天は、充分に強いって」
566 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 10:00:20.67 ID:gKpTv5gOo

佐天涙子を追い込んでいるのは無能力者であることへの単純な劣等感ではない。

自分の理想とする生き方をしている、憧れの少女への羨望。
例え能力などなくても、そういう生き方が出来るであろう、少女への嫉妬。

そして、自らの「想い」を貫けない、望んだ物へと手が届かない、無力感。

佐天「――でもっ!」

生来の性格から、劣等感とは無縁の生であるが……無力感ならば、痛いほどに理解出来る。

助けたいと思っても、助けられない。

何度、そんな事を繰り返したのか。

だからこそ、言葉を紡ぐ。

目の前の少女の心を少しでも楽にする為に。

新倉「確かに、実際に戦って助けることは出来なかったかもしれない。
    人によっては、無謀だ、愚かだと、佐天の行動を批難するかもしれない。
    でもさ、『助けたい』と思った……そんな佐天の気持ちは間違ってないじゃん」

――そんな、自分の心に対する真っ直ぐな気持ちを『正義』と呼ぶんだ、と。

新倉「なら、俺は佐天を褒めてやりたい。
    正しいことを正しいと言えるなら、それは間違いなく『強さ』だから。
    だから、馬鹿になんてしないし……させないじゃん」

――もし、力が足りないのなら君の『正義』の『味方』になる、と。

佐天「――――――――――――っ」

567 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 10:02:52.07 ID:gKpTv5gOo

色々と限界に達してしまった佐天に号泣されてしまった新倉は、その胸を佐天に貸していた。

新倉「(前にもあったな、そういえば)」

胸の中でボロボロと泣く佐天の姿に、新倉は共有された過去の記憶を呼び起こす。

――死んじゃったかと思ったっ!

そう言って、『生』の胸に飛び込んできた友人の姿。
恋仲だった訳ではない。普通に友人でクラスメイトだった。
だからこそ、彼女が心配してくれたのが嬉しかったように思う。

しかし、そんな『想い出』も自分自身の物ではない。
あの時……クーデター事件の際、新倉自身は拷問を受け、他の生を誘き出す為の囮として仲間ごと殺害された。

新倉「(事の顛末は、俺より後に死んだ連中との共有記憶や『残留組』からの又聞きみたいな感じだけど……)」

何しろ、あの時は現在のプラントは未稼働だったし、期限まで素体の精製も間に合わず、『新倉生』を蘇生している余裕もなかった。

新倉「(生き返ってからも、このシュチュエーションあるのな)」ポンポン

迫間もそうだが色気と少し離れた場面で、女子に泣かれ過ぎではないだろうか。
背中を優しく叩いてあげながら、そんな風に考える。

新倉「(別に嫌じゃないんだが……どうせなら、嬉し泣きがいいよな〜)」ナデナデ

事実上、今の佐天は嬉し泣きしているようなものなのだが、そこには気付かない新倉。
肝心な所で鈍感なのは、新倉個人の女性相手の経験値が足りないからか。

新倉「(まぁ、迫間と違って彼女がいた訳でもないし……女の子の扱い方はなぁ……年下だし)」サスリサスリ

かつて、アクメツを行う前の準備期間に多くのメンバーが修行や技能習得に時間を費やす中、
半分ネタの『エロ』担当として、夜の街で勇名を馳せた『加藤』『向井』『北斗』達のR18指定記憶も共有されているが、
あれは所詮、エロ経験値であって、通常の対人経験値とは無縁なので仕方ない。
568 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/25(金) 10:17:29.08 ID:gKpTv5gOo

――などと新倉が思考を巡らしている一方。

佐天「(わ、私ってば、何をやっちゃってるんだろう……)」///

ひとしきり泣いて、冷静さを取り戻した佐天は羞恥の感情に襲われていた。

佐天「(今日、初めて会った人の前で大泣きした挙句、胸まで借りちゃって……!)」///

日頃は、初春相手に散々セクハラの限りを尽くす佐天であるが、いざ自分が追い込まれると非情に弱かった。

佐天「あ、あの……お見苦しいところを……」///

新倉「いや、気にしてないじゃんよ。……もう、平気?」

佐天「あ、はい! …………は、恥ずかしい所を見せちゃったついでに、少しいいですか?」

新倉「?」

佐天「は、話を聞いて……貰いたくて。相談、と言いますか……その」

新倉「――俺で相談に乗れるなら、喜んで引き受けるじゃん」

それから二人は色々な事を話した。



学園都市に来る前の事。

母親に貰った、お守りの事。

最初に受けた身体検査で、『才能なし』の判定をされた事。

無能力者と超能力者。

虚空爆破事件の時に感じた、友達の助けになれない無力感。

その時に目撃した、『御坂美琴』への羨望と嫉妬。

偶然、入手してしまった『幻想御手』を使いたいと思っていること。

せめて、本当に自分に才能がないのか、確かめたいという気持ち。

先程、不良達に立ち向かった時に感じた恐怖。


本当に多くの事を話した。

今まで溜め込んでいた感情を吐き出すように話す佐天の姿は懺悔にも似て――

新倉は、ただそれを黙って聞いていた。

相づちを打つ事もなく。ただ、純粋に聞き続けた。
569 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/25(金) 10:43:35.21 ID:gKpTv5gOo
半端だけど、この辺で一旦区切ります。
早くガス来ないかな……
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/25(金) 11:59:47.55 ID:0Qhv1GEDO
きてたー!待ってた!
楽しみにしてます
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/25(金) 12:10:23.88 ID:hJDg7rNEo
相づちを打つ事もなく。ただ、純粋に聞き流した。

に見えた乙
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/03/25(金) 12:25:17.28 ID:4UzbfWhJo
いつもの事ながら禁書キャラのダメなところを穏やかな手段で
いい方向に向けようとする生たちの優しさと作者の手腕に敬服する。
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/03/25(金) 19:00:21.71 ID:F47BsoNAO
きてた!

更新待ち遠しいけど無理はするなよ!
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/26(土) 00:17:34.95 ID:IySIjv/B0
乙です〜

続きも気になるが、状況が状況だろうからゆっくり書いていってね!!
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/26(土) 00:28:09.83 ID:d5+mxnS30

576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 02:08:30.49 ID:X5AOPpqso
乙乙
楽しみなスレの再開が何よりも嬉しい

>佐天さんアニメ仕様

ゴクリ……
いや、原作漫画or小説版仕様でも中1なら充分ナイスバディの部類ですけどねww
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/03/26(土) 04:34:15.64 ID:tMC5eJ40o
つまりスキルアウト佐天さん武者ぶるいがする展開だな
578 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:23:36.71 ID:BoApHBS3o


佐天「」ゴクゴク

新倉「おぉー」

よほど喉が渇いたのか、ヤシの実サイダーを一気飲みする佐天。

佐天「ぷはぁっ! いやー、喋った喋った!」

色々とぶちまけた後なので、その表情は晴れやかである。

新倉「スッキリした?」

佐天「はい。なんだか、お母さんに話してるみたいな気分でした!」

新倉「そ、その評価は喜んでいいものなのか?」

『子供っぽい』とか『オヤジっぽい』等と言われた経験はあるが、そんな風に言われたのは初めてである。

佐天「あ、ごめんなさい。けど、相槌も打たずにずっと目を見て、話を聞いてくれるから……つい」

『聞き』に徹する為にそうしただけなのだが、それが『母親』っぽさを感じさせる原因だったらしい。

新倉「うーん、俺の情熱的な眼差しじゃ、女子中学生をドキドキさせられないのか……」ガックリ

佐天「……そういう台詞がなければ、普通にドキドキしちゃうかも?」ニコッ

新倉「あー、それは俺の悪い癖というか。そうかー、だからモテないのか……」グスッ

10年の時を経て、衝撃の真実が明らかにされた。

佐天「それに何だか、こうして話してる時の新倉さんって、クラスの人気者ポジというか……?」

要するに人気はあっても色気がない、と。

新倉「えー、嬉しいけど嬉しくないじゃん……」

佐天「でも、先刻はヒーローみたいで素敵でしたよ?」

新倉「……本当にそう思う?」

佐天「はい、憧れます」ニコニコ

新倉「……」///

年下の少女に逆にドキドキさせられてしまった新倉は、咄嗟に赤くなった顔を逸らした。
579 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/03/27(日) 20:25:06.86 ID:BoApHBS3o

佐天「――でも本当なら、無能力者でもそんな風になれる筈なんですよね」

新倉「まぁ、結局は本人の生き方の問題だから……資格だとか能力とか、関係ないとは思うじゃん」

『超人』である自分達は別にしても、仲間のスキルアウト達は無能力者でありながらも、そういう生き方を選ぼうとしている。

佐天「分かってはいるんです、自分の心が弱いだけだって……でも、先刻だって震えが止まらなかった」

新倉「正しい事をしたいとか、誰かを守りたいとか……その気持ちに男女の違いなんてないと思うじゃん。
    でも、やっぱり佐天は女の子なんだから、あんまり無茶はして欲しくないかな」

佐天「あはは、ありがとうございます。でも、もしも私が能力者だったら、どうですか?」

新倉「――心配じゃん」

佐天「え?」

新倉「佐天が能力者でも無能力者でも、俺は心配する」

その言葉に迷いはない。混じりっ気のない本音だった。

新倉「……心配ってさ、相手の強さとは本来、無関係な感情だと思う。
    確かに相手の力を信用して、安心して任せるって事はあるけど。
    でも、相手が大切なら、『そんな事』は別の所で……やっぱり心配しちゃうんだよな」

佐天「……そう、なんでしょうか?」

新倉「佐天だって、風紀委員の友達の事を心配するだろ?」

佐天「――そっか、そうですよね」

そして、少女は自分の中にある焦燥の正体を知る。
580 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:26:08.19 ID:BoApHBS3o

佐天「だから、私は自分が無能力者なのが怖いんだ」

――初春や、白井さんや、御坂さんが友達だから、大事だから。
   
佐天「風紀委員だからとか、超能力者だとか関係なしに心配で……」

――もしも、何かあった時に自分が皆の力になれない事が、皆を助けられない事が怖いのだ。

佐天「その為に能力者になりたいって思っても……全然、力には目覚めなくて、レベルも0のままで」

だから、焦っていた。

だから、追い詰められていた。

目指し願う場所と、今いる場所との落差に悩み、目前の才能という壁に絶望して。

――それでも尚、足掻こうと。

佐天「だから、『幻想御手』が欲しかったんだ」

自分の中にあるかどうか分からない力の萌芽を知る術を求めていた。

新倉「――そこまで分かっているなら、俺は良いと思うじゃん」

佐天「良いって……」

新倉「『幻想御手』を使っても、構わないんじゃないかってこと。……持ってるって言ってただろ?」

佐天「でも……やっぱり」

新倉「ズル、だって思う?」
581 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:28:53.50 ID:BoApHBS3o

佐天「――はい」

新倉「まぁ、ウチの連中もそう言ってたし、それ自体は褒めてやりたいんだけど……でもさ」

確かに、その矜持は賞賛されてもいい。
無能力者としての誇り。
意地でも使わない、という姿勢は好ましくも思える。

だが、そう生きれない人間は悪なのだろうか?
どうしようもなく弱くて、裏技とも言える手段に縋るしかない人間は叱責されなければいけないのだろうか?

新倉「――人間ってのは、基本的に弱い生き物じゃん」

だからこそ、その中で光る小さな強さは美しく気高い。
だが何かの価値を認める為に、何かの価値を貶める必要などない。

新倉「その弱さを受け入れて、その上で危険(リスク)を背負えるなら、別に手段は問題じゃない」

少なくとも力は力に過ぎない。

大事なのは使い方だ。
それを用いて手に入れた結果なのだ。

ショッカーに改造された仮面ライダーが正義の為に戦うように。

地球侵略の先兵として送り込まれた孫悟空が、世界を救うように。

例えが生の個人的な趣味に偏ってはいるが、そういう事なのだ。

新倉「『幻想御手』だって、レベルを上げてくれる魔法の道具って訳じゃない筈じゃん。
    何かしらの理由と原因があって、能力者のレベルを上げるという『現象』を起こしている道具に過ぎない……と思う」

佐天「……そ、そこは自信ないんですか」

新倉「生憎、調べてる最中なんで。……で、どんな副作用があるかも分からない得体の知れないブツには変わりないだろ?」

佐天「そう、ですよね。副作用だってあるかも知れないんですよね」

新倉「その辺を受け入れる覚悟があって、仮に能力を手に入れても間違った事に使わない決意があって、
    例え、間違っていると言われる手段だろうと、欲しい物がある……そんなエゴを自覚しているのなら――」

佐天「…………」

新倉「――使ってもいいんじゃないかな」
582 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:30:55.17 ID:BoApHBS3o

――結局、佐天は『幻想御手』を使う事にした。


佐天「……いざ使うとなると、やっぱり怖いですね」

音楽プレーヤーとにらめっこを続けていた佐天から弱音が漏れる。

新倉「(そりゃ、そうだろうな)」

当然だろう、と新倉は思う。
今の佐天には、冷静に先が見えている。
そこらの不良や並のスキルアウトと違って、副作用の危険性も認識している。

怖くない筈がないのだ。

半ば背中を押すような形になった新倉としては、ここは最後まで付き合うのが義務だろう。

そんな訳で。

新倉「佐天、イヤホン片方貸してくれ」ヒョイ

本来なら佐天が左耳に付けるイヤホンを自分の右耳に装着する。

佐天「に、新倉さん!?」ドキッ

その突然の行動というよりも、イヤホンの長さの関係上、急激に近くなった二人の距離に佐天の声のトーンが上がる。

新倉「――言いだしっぺが付き合うのは当然じゃん? 二人なら少しは怖くないだろ」

『幻想御手』を調べる為に実際に使ってみる事を考えていたからこそ、新倉は迷いなく『一緒に使う』という選択をしたのだろうか?

……だが、仮に想定していなくても、新倉は佐天に付き合って『幻想御手』を使用しただろう。

佐天「(こ、怖くはないけど、ち、近いです! ふざけてくれないと、ドキドキしちゃうんですってば〜!!)」ドキドキ


〜〜〜〜〜〜〜〜♪


本来とは全く別種の緊張感を伴って、佐天は幻想御手を使用したのであった。


583 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:33:57.63 ID:BoApHBS3o

――数分後。


ヒュルルルル……

佐天「やった! 新倉さん、やりました!」

不安だったのか、『母親から贈られたお守り』を握り締めながら、唸っていた佐天は、それの出現に歓声を上げた。

小さな渦。

能力よって生み出された風が、木の葉を巻き込んで、輪を形成していた。

新倉「へぇー、佐天は風力使い(エアロハンド)だったのか」

学園都市では、比較的ポピュラーな能力だが佐天にしてみれば、そんな事はどうでもいいのだろう。
自分の中にどんなに小さくても能力があった、という事実が重要であり、それを彼女は求めていたのだから。

佐天「良かった……私にもあったんだ……」

新倉「おめでとう、佐天」

佐天「えへへ……あ、新倉さんは?」

新倉「俺? スマン、佐天が心配だったから、まだ試してない」

佐天「うぅ/// ……私の事はいいですから、新倉さんも試してみましょうよー」

佐天を見守っていたので、自分が試すのを忘れていた新倉は、少し思案してみる。

新倉「つーか、どう試せばいいんだ……?」ハテ

能力に対する専門的な知識を持っていない新倉にしてみれば、当然な話である。
584 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:37:42.13 ID:BoApHBS3o

佐天「えっと……『出ろ』って念じてみる、とか?」

ものすごく曖昧な意見を頂いた。

新倉「えぇー? そんなんで大丈夫か……?」

今更だが、安達と違って学園都市での開発を受けていない自分に能力が発現するのかも不明である。
『幻想御手』を使ったとしても、こればっかりは実際に試してみないと分からない。

新倉「(――――『出ろ』)」ムムム

ボッ!

新倉「うわっ!? あ、熱……くない?」

自分の人差し指に出現した灯火に思わず叫ぶが、すぐに『熱くない』事に気付く。

佐天「わぁ……発火能力(パイロキネシス)みたいですね」

新倉「これが能力か……何か指先に火がついてるってのも変な感じじゃん……あ」

ふと、アレを再現してみたくて指先に意識を集中させてみる。

ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!

人差し指に続いて、右手の全指に火が灯る。

新倉「おお、出来たじゃん! 見て見て、佐天! 五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)!」

佐天「あの、それって悪者の技じゃ……」

佐天のツッコミも虚しく、新倉は火を飛ばして『今のはメラゾーマではない・・・メラだ・・・』等と言って遊んでいる。
むしろ火力はメラ以下なのだが。

佐天「(わ、私はあんまりはしゃがないようにしよう……)」

人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったもので――

能力者になった事でテンションが上がりっぱなしの佐天は、子供の様に遊ぶ新倉の姿に少し冷静さを取り戻した。

585 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:40:18.96 ID:BoApHBS3o

新倉「えー、いくら能力者になったと言っても、はしゃがないように」コホン

佐天「せ、説得力がない!」

新倉「(∩゚д゚)」

佐天「でも、大丈夫ですよ。私にも能力があるって……分かったんだから、後は地道に頑張れます」

新倉「それはいい事じゃん……でも」⊃□

差し出されたのは、小さなメモ。
書かれているのは、携帯電話の番号とアドレス。
そして、学区内のある場所への行き方を描いた簡単な地図だった。

佐天「何ですか、これ?」

新倉「俺の連絡先と……知り合いの医者がいる病院のある場所」

カエル顔だが腕は確か、と付け加えるのを忘れない。

佐天「病院ですか?」

新倉「言っただろ、どんな副作用があるか分からないって。体に不調を感じたら、この病院に行って欲しいじゃん」

佐天「……心配してくれてるんですか?」

新倉「先刻もそう言っただろ……俺の連絡先は……まぁ、万が一というか保険というか?」

佐天「へぇ〜?」

新倉「……何だよ」
586 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:43:18.71 ID:BoApHBS3o

佐天「ふふっ……これで、共犯になっちゃいましたね?」ニヤニヤ

新倉「…………佐天さんや」

何故か呼び方が変になったが、問題はそこではない。

佐天「何ですか?」

新倉「不意打ちで男をドキリ、とさせる台詞を言うのは控えなさい。色々と焦るじゃん」

佐天「え、もしかして……私ってば、魔性の女!?」

新倉「去年までランドセルの癖に調子に乗らない」コンッ

自称・魔性の女の頭を軽く小突く。

佐天「痛っ……うぅ……ゴメンナサイ。ちょっと図に乗ってました」

新倉「――でも、本当に何か異変を感じたら連絡してくれよ?」

佐天「異変がなきゃダメですか……?」ウルウル

涙を溜めた瞳+上目遣いという多重攻撃である。

新倉「だーかーら! そういうのを控えろって言ってんでしょー!?」

佐天「………………」ウルウル

どーする、アクメツ〜♪

新倉「……ちょっとだけだぞ?」

佐天「メールしますね♪」ヨッシャ

新倉「何だかなぁ……」ハア

完全に女子中学生に手玉に取られて、悲しいやら情けないやらで新倉は深い溜め息を吐いた。
587 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/27(日) 20:58:59.35 ID:BoApHBS3o
今日はこんな所で。なんとか明日にはいけるかな?

なかなかガスが復旧しないので、風呂に入れず、デイサービスで風呂に入れる祖母にリアル嫉妬が止まらない>>1です。
なんていうか、オードリー春日を尊敬します。現状、某節約番組での彼の感じでやってますから。
もっと厳しい状況の方が多いのは重々承知ですが、なまじ日常生活を営めていると、『いつも通り』を願ってしまう、人間の業は深いです。

やっとこさ、アクメツさんに能力が芽生えました。こっそり佐天さんの外伝フラグも仕込みました。
赤毛神父との対決も近いですね。

今は、本編とは少し離れた話を書いてます。
俗にいう過去話ですね。短めですが。

……いろんな意味で意外な人がメインで登場します。一人は迫間生なんだけど。あと無関係な他作品ゲストも脇で出ます。

禁書一巻パートに入る前に投下しようかな。


588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 21:14:22.61 ID:49/ZvleSo
wwktkがとまらない!!

乙です
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 21:49:14.94 ID:/Fwu0hYwo
乙乙
生さん達が各々で地道にフラグ構築しててニヤニヤするなぁww
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/27(日) 22:06:05.09 ID:R53Woy9Lo
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/03/28(月) 00:08:45.10 ID:hTpbbEEAO
こんな大変な状況でも書いてくれるのはありがたいな乙
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/28(月) 00:17:14.02 ID:2uazyTeX0
リア充爆撃しろ
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/28(月) 13:25:59.44 ID:5GtRWY5H0
リア充に爆撃されたら死んでも死に切れないと思うが
594 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:17:27.59 ID:55K+MyVLo
ガソリンを入れにいったり、食材の買い物してたら……書き始めるのが遅くなってしまった……
まだ4話が書き上がりそうにないので、予定を変更して挿話を先に投下します。

今回は3分割された内の@です。短いですがご容赦を。
595 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:20:05.99 ID:55K+MyVLo

挿話 『とある複製の露西亜回想@ 〜邂逅編〜』


――11年前。


桂木の死後……アクメツとして蜂起するまでの一年の間、生達は超人としての戦い……その下準備を行っていた。

最初の『統合』の際に死亡した生との入れ替わり、各種専門技能の習得、武術の鍛錬。

ある者は剣術を。ある者は柔道を。

ある者はレスキューを。ある者はスカイダイビングを。

ある者は化学を。ある者は物理を。

ある者は国内で、ある者は海外に渡り、厳しい修練を積んでいた。

――そして、ロシアにも一人の生がいた。
596 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:22:17.72 ID:55K+MyVLo

ロシア・モスクワ市内


〜とある軍事基地近郊〜


その男の名は迫間生。

高校の冬休みを利用し、単身極寒の地を訪れた彼は、ロシアの軍事格闘技『システマ』を習得するべく、特訓の日々に明け暮れていた。

教官「――ショウ、今日はここまでにしよう」

ソ連の特殊部隊スペツナズの元軍人という経歴を持った、インストラクター(生は教官と呼んでいる)が、訓練の終了を告げる。

迫間「いえ、ユーリ教官……俺はまだやれます」

教官「ショウ……『力む』事はシステマの天敵だぞ? ……しっかりと汗を拭いて、もう休め」

迫間「でもっ……」

教官「…………」

食い下がろうとする迫間を教官は無言で制した。

迫間「……いえ、分かりました。――ありがとうございました!」

わざわざ、迫間がロシアにまで来たのには、ちゃんとした理由がある。

1990年代初頭のソ連崩壊。
それに伴い、かつては謎に包まれていた数々のロシア武術は次々と、その全容を明らかにされていった。
システマもそんな武術の一つである。
現在、システマはロシア以外にもアメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、セルビアなど各国に普及が進んでいる。
それは日本も例外ではないのだが、それは一般向けのセミナー程度であり、殺人術などの軍事・警察関連機関向けの戦闘術は指導・公開されていない。

だからこそ、本場に来て……本物のプロに師事する必要があった。
597 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:23:31.57 ID:55K+MyVLo

教官「ふむ……焦らなくても、お前は筋が良い。もうしばらく鍛えれば……ん?」チラッ

教官が道場の入り口へと視線を向ける。それに釣られるように迫間はそちらを見た。

???「」ノシ

それは、赤い修道服を着た少女だった。

教官「――っ」ボソッ

その教官の声が小さく、まだ不慣れなロシア語だった為に多くは聞き取れなかった。

――だが。

迫間「(…………魔女?)」

教官の言葉には恐怖の色が混ざっていたように思えた。

教官「……ショウ、また明日な」

迫間「あ、はい」

迫間に別れを告げ、意を決したように教官は少女の元へと向かった。

教官「――――――?」

???「――――――♪」

教官「――――――!」

???「―――――――」

少女は教官と何度か言葉を交わした後、迫間の方へと近付いて来て、軽く手を振って微笑んだ。

???「はぁい」ヒラヒラ
598 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:25:56.28 ID:55K+MyVLo

迫間「は、はぁい……?(何だ、このシスター?)」

???「ふむふむ……」

少女は値踏みするかの様に迫間へと容赦のない視線を送る。

迫間「……俺に何か用かな?」

???「いやー、わざわざ日本から武術を習いに来てる変人がいるって聞いたから、軽ーく見学にねー」

迫間「ふーん……それで、変人を見た御感想は?」

???「あなた、何を相手にするつもり? 護身の為って訳じゃないわよねー? とんでもないマゾだって言うなら話は別だけど」

――迫間の訓練への集中力や熱意は、その程度では説明がつかないと少女は語る。

迫間「いや、ただの喧嘩じゃん。少し相手がデカイけども」

???「デカイ? そんなに背が低いようには見えないけど……プロレスラーでも相手にするの?」

迫間「ちょっと、国に喧嘩を売る予定なんでね」

???「」ポカーン

迫間「……冗談じゃん」

???「あははははっ!」ケタケタ

迫間「……そんなに面白かったか?」

???「えぇ、最高のジョークだったわ……何しろ、『本気』な所が」アークルシイ

迫間「いやいや、冗談なんだけどな」

???「……いいわ、そういう事にしておいてあげる。私は可愛い物が大好きだけど、愉快な物も好きだから」
599 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:27:21.53 ID:55K+MyVLo

愉快な男のレッテルを貼られた迫間は、気にするでもなく会話を続ける。

迫間「――ところで、お嬢さんは何者?」

???「私? そうね、国民的アイドルって所かなー? そうだ、未来のテロリストにサインでもしてあげましょうか」

迫間「あ、アイドル?」

改めて少女の姿を見る。

美人だとは思う。
見る限り、年は20歳より少し下といった所。
だが、その白い肌は十代前半と言っても通用する程にピチピチだ。

だが、妙な違和感がある。
何というか、体が不自然に若いというか……

美しいかと言えば、その通りだろう。
だが、年月が過ぎても一切変化しない得体の知れない宝石を見ているような気持ち悪さがある。

迫間「踊りや歌が得意だとか?」

???「んー? まぁ、童謡なんかは得意だけど」

迫間「童謡ねぇ……?」

???「信じてないわね? これでもロシアでは誰でも知ってる著名人だと思うのだけど」

迫間「へぇ……まぁ、イイ声してるし……歌は聴き応えありそうじゃん」

???「そ、そう?」///

迫間「機会があれば聞いてみたいな」

???「ふふふ……気を付けなさい? 油断してると、あっと言う間に昇天しちゃうわよ?」

迫間「おいおい、凄い自信だな……」

少女は文字通りの意味で言っているだが、迫間にそれを知る術はない。
600 :○言っているのだが ×言っているだが [saga]:2011/03/28(月) 21:30:18.58 ID:55K+MyVLo

???「――そうだ、あなた日本のアニメのDVDとか持ってきてたりしない?」

迫間「アニメ? ……何枚か持ってきてるけど……」

暇潰しのつもりで持っては来たものの、訓練がハードで結局は一度も見ていない。

???「本当!?」グワッ

迫間「に、日本のアニメに興味が?」

???「というか……最近、日本のOTAKU文化が気になるのよ……私の中の何かが、魂の叫びを挙げているの」

迫間「そりゃまた、難儀な魂だな」

???「……良ければ、譲ってくれない?」

迫間「DVDを? そりゃ構わないけど……」

???「よっしゃー! あ、お代は体で払ってあげるわ」

迫間「ぶっ!?」///

???「どうせ、観光なんてしてないでしょ? 私が色々と案内してあげるから」

迫間「あ、そういうの……」ハア

ホッとしたようなガッカリしたような気分で溜め息を吐く。

???「おやおやぁ? 修道女相手にどんな想像をしちゃったのかにゃーん?」ニヤニヤ

迫間「こ、このヤロウ……」///

???「いやー、面白いわね……最近は仕事も減って、からかうような部下もいないから退屈してたのよー」

迫間「人で退屈を紛らわさないで欲しいじゃん……ん? 修道女にも部下なんているのか?」

???「まぁ、私『達』は普通の修道女じゃないからねー」

迫間「……何やら危険な香りがするから、詳しくは訊かないでおく」

???「あら、残念。でも、秘密は女を美しくするのよ?」

迫間「それはそれは……でも、名前ぐらいは教えてくれるんだよな?」

???「いいわよー? しっかりと心に刻みなさいな。私は――」



――そして、赤の修道女はロシア民話に登場するヒロインの名前を告げた。
601 :ゆっくりと本編を書き進めていきます [saga]:2011/03/28(月) 21:54:17.30 ID:55K+MyVLo

学園都市・第七学区


〜Bennys〜


夕暮れが去り、夜の帳が下りる頃。

風紀委員の友人が風邪を引いたとかで、その友人の家に御見舞いに行くという佐天涙子と新倉が別れてから一時間後。

クローンプラントで検査を受ける前に腹ごしらえをしようと、新倉はとあるレストランを訪れていた。


ワイワイガヤガヤ


新倉「………………」

夏休みを明日に控え、学生達で賑わうレストラン。
だが、美味しそうな料理を目の前にしても、新倉だけが表情を硬くし、沈黙を貫いていた。

――何故か?

浜面「――いやいや、そんな先生いる訳ないって!」

上条「居るんだよ、リアルに身長の問題でジェットコースターの利用をお断りされる、ロリ教師が……!」

何故か、新倉と同じボックス席で学園都市の七不思議について語らう、浜面仕上と上条当麻の所為である。

新倉「(三十分前に知り合ったとは思えない程の意気投合っぷりじゃん……)」ゲンナリ

二人が仲良くなった事は、非常に喜ばしいのだが、単純に喜んでばかりもいられないのだ。

本音を言えば、どうしてこうなった!? と誰かに問い質したい気分である。
602 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 21:56:28.07 ID:55K+MyVLo

レストランの前で浜面仕上と遭遇したのは平気だった。

一緒に食事を摂る事にしたのもいい。

ジムで別れた後の……売人の捕縛や佐天との交流を(彼女のプライバシーもあるので触りだけ)話したのも問題ない。
いや、リア充爆発しろとか言われたけども。

不味かったのは店が混んできて、ちょっと可愛い店員さんからの「相席をお願いしてもよろしいでしょうか?」という要望を受けてしまった事だ。

そして、やって来たのが……夏休み前のハイテンションで、腹も空いてないのに豪華に無駄食いをしに来た馬鹿一名。

――あれ? 生じゃねーか。

咄嗟に新倉が『互いを名前で呼ばないと、ここの食事代全部持ちゲーム』を開始しなければ、面倒な事になっていただろう。

何せ、上条当麻と新倉生は『初対面』であり、上条当麻は新倉生を『安達生』だと思っているのだから。
浜面か上条が、一度でも新倉を苗字で呼べば、それだけで露見しかねない危険な賭けである。

最悪の場合、『複雑な家庭の事情で苗字が違う双子』設定を用意はしているが、それの使用は避けたい。

――何で名前が同じなんだよ?

と、鋭い指摘をされた場合は『複雑な家庭の事情で離れ離れになった兄弟達の再会を願って、同じ名前を母親が付けた』設定も用意されている。

……どちらにせよ、無理があるので設定の使用を避けたい事には変わらないが。
603 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/03/28(月) 21:58:19.29 ID:55K+MyVLo
とある新(倉)生・三馬鹿の座席のイメージ

壁浜  上
壁□□□ 
壁  新
604 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 22:19:09.87 ID:55K+MyVLo

新倉「」チュー

沈黙を誤魔化すようにアイスコーヒーを口に運ぶ。
誤魔化すのも辛いが、基本的に『脳天気でポジティブ』な生の一人である、新倉としては――

新倉「(ま、混ざりたい……)」

二人の会話に混ざれない事のほうが精神的にキツかった。

上条「――それにしても、俺の頼んだ『苦瓜と蝸牛の地獄ラザニア』遅くないか?」

新倉の緊張を他所に上条は呑気に自分の料理の心配をしていた。

浜面「確かに遅いな……ってか、本当に食べたいのか、それ?」

上条「うーん……あんまり……?」

浜面「疑問形かよー」

上条「夏休み前のテンションって、怖いな……」

カランコローン

イラッシャイマセ-

早くも後悔を始める上条の後ろで、新たな客が入店した。

新倉「ぶっ!?」

その予想外の客の姿に新倉は、口に含んでいたコーヒーを吹き出した。

上条「うおっ!?」ヒョイ

ある意味で慣れっこなのか、それを華麗に回避する上条。

浜面「ど、どうした!?」

新倉「な、何でもないじゃん……」ケホケホ


――そこにいたのは。


美琴「――いた、あの席の連中ね」

黒子「(お姉様にお任せして、本当に平気でしょうか……?)」

――御坂美琴と白井黒子であった。
605 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 22:35:39.22 ID:55K+MyVLo

不良A「ダメだダメだ。子供はもう、ねんねの時間だぜ」

美琴「」ピクッ

黒子「(ま、まずいですの……早くも頓挫の予感が……)」アワワ

どうやら、『幻想御手』を情報を求めて、この店に屯している不良達に接触しに来たらしい。
黒子ではなく、美琴が交渉役なのは黒子の場合、風紀委員として面が割れている可能性があるからだろう。

――それはいいのだが。

美琴「え〜〜〜〜 私 そんなに子供じゃないよぉ」キャハ

――あれは何だ。

……というか誰だ?

最初こそ、二人に気付かなかった上条だったが……
美琴による『交渉』が始まってからは、すぐに彼女に気付いて、一部始終を見守っていた。

見守っていたのだが――

上条「」チーン

黒子「」チーン

不良達から少し離れた席で、その様子を見ていた黒子と同様に、グラスを握ったまま、テーブルに顔を突っ伏して沈黙してしまった。

……正視するのに耐えられなかったらしい。

新倉「(こんな事なら、早く風紀委員に『幻想御手』のサンプルを提供しておくべきだったか……?)」

最初こそ、「面白そうだから、黙っていよう」等と思っていた新倉も流石に笑いを通り越して、苦笑するしかない。

不良B「だよなあ、オレはアンタ好みだぜ」ヒック

美琴「ホントにー?」キャ
606 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 22:37:20.57 ID:55K+MyVLo

上条「――――――」ミシッ

上条の手元のグラスから、異音が響く。



美琴「じゃあ、教えてくれる?」

不良B「ん―――」ジロジロ

美琴のスカートや腰回りに舐めるような視線を這わせる。

不良B「やっぱ、タダって訳にはいかねえなあ?」ニヤニヤ



浜面「うわっ、ロリコンかよ……」ボソッ

上条「――――――」メキッ

新倉「(割れるぞ、おい)」



美琴「……えっとぉ、お金なら少しは出せます〜」

不良B「金もいいけど、こういう時はやっぱり……こっちの方かねぇ」スッ

不良の手が美琴の小さな肩へと伸ばされる。
607 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/28(月) 22:39:56.09 ID:55K+MyVLo

上条「――――――っ!」メキメキバキイ!!!!!

……ついに、グラスが完全に砕け散った。

浜面「……か、上条?」

その様子にルールを忘れて、つい苗字で呼んでしまう浜面。



スカッ

軽く頬を引き攣らせながらも、華麗に手を躱す美琴。

不良B「」オリョ

美琴「え――でもそういうのは、やっぱり怖いっていうかぁ……お金じゃダメ?」

不良B「ダメダメ。それじゃ、教えらんねぇなぁ……子供じゃないんだろ?」ニタリ



上条「」ゴゴゴゴゴ

新倉「(何か、上条が別の生物になりそうな勢いじゃんー!?)」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

浜面「(そこまでして女子中学生をどうにかしたいもんか……?)」ウーン


608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/29(火) 00:15:08.33 ID:As1nGnIH0
教官のユーリって一瞬ユーリィ=カザロフかと思った俺は皆川厨
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/29(火) 03:47:53.37 ID:Mp6dMKwk0
ロシア人男性名といえばユーリかセルゲイ
てか進行してる状況とは別の意味でハラハラする展開だなあww
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 09:44:00.28 ID:uAneUb2IO
乙ー
上条さんが「俺の美琴に色目使ってんじゃねー!」状態で吹いたw
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 13:52:52.09 ID:Jl+nNkWNo
上条さんかわいいwwwwww
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/30(水) 03:14:48.95 ID:T8fYqgkq0
勢いに任せて言ってしまえ『俺の美琴に触るんじゃねぇ!』ってよ
613 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/30(水) 08:39:30.79 ID:qFMiI9LOo

美琴「う…………」グスッ

不良B「うおっ!? なんだイキナリ」ビクッ

美琴「私……実は無理言って学園都市に来させてもらったの」

不良B「は? 何を言って……」

美琴「でも、やっぱり私才能なくて、能力も全然伸びなくて……
    お父さんは、さりげなく電話で身体検査の結果を聞いてくるし、お母さんはアナタはやれば出来る子なんだからって……」グスン

不良B「あー、それわかる……」ゲンナリ



浜面「そう、そうなんだよなぁ……」ウンウン

新倉「言っておくが、あの涙は偽物だぞ? ……あの娘、レベル5だし」

共感したのか何度も頷く浜面に釘を刺す。
怖いので上条の方は気にしない。

浜面「……マジ?」

新倉「」コクコク
614 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/30(水) 08:45:03.25 ID:qFMiI9LOo

美琴「期待に応えなきゃって思うけど、どうしようもなくて……思わず嘘ついちゃって。
    そんな時、お兄さん達の事知って……もう『幻想御手』しか頼れるものがなくって……」

不良B「い、いや……そんな事を言われても……」オロオロ

美琴「だから――」


            /:::::::::/::/::::::ヽ:::::r::::::::ヽ:::ヽ:::::
           ./:::::::::/:////::::::`Y´、::::::::`ヽ、ヽ
          ./::::::,::::::::::/:://:::::::::.|::`i:::::::ヽ、:::::::ヽ::
         ./|:::://:::::::/:::::‖:::/::::|i:::|i:::ミヾミゞ:::::ヽ、
         i|.i //:::://::::/ ||:::/:::::i||::::i|::≠ミミヽ:::::ヽ::
        i| y´::::://i:://,.||/:|::::/ |::::|i  `ヾ、`ヽ::`
         |‖/:::::ムi::/!::::i|=i|i./__||:::|_  ヾ、ミヽ
        .|/i|::::::‖7,//::∧|i::/ ̄.||::| ̄`   ゝミヽ
      .  |´|i::::‖ |/ .|i/ )/ ー=|i-- 、   ヾ、γ
        ||::|i::::iX7=ミ..i  ´ ≠´io;;;| `)  .  `´/
        |i::|::::i|ヽ《 i゚;;;)   ´  ヽ_ノ ´     く
        Y|:::|i::iYο=        -ーυ///   /f
         | i|::|:::::|// )             ノ=
          `i 丶|i  ヽ           ./ |i `
             ヽ   _         /   i|
              `ヽ 、c     /     .|=
               //7ゝミ、,-ー      /´
     /~~ヽ     /r´/`Yヽ/ヽ    ./
    /    ヽ   ノ/ ´二二Y (___ /
     |  ダ  |   r|  ヽ--7 /~|        /
    .|  .メ  .レ /´|   ノヽソ ./ヽ/ヽ-、   /
    |  .・   | | Y   .ノ .ノ_r-く ヽ Y レ/ /
    |  .・  .| | i|   ノ/ | |i  ヽ ` ! |// /
    r┘  .・  ノ .| i|   |ミi / .|ゝ     ノ/ /  、
  /     /  | .|   |/ ./  ||     /   /
  |  か  i´   |.|   .| /  ||    /  . /
  |  な  .|    ||   | /   |`ヽ   |i  /   「
  ヽ,    /    ||   .|i|   || . |   .|i /   /
    ̄ ̄    ‖   ||   || |/| .  |i==、  /
          ‖    |    ||//.|  . |i+} /
         ‖    |    |´/ .|    |i≠ /

不良B「――――」ズキューン!!!

黒子「」Ω\ζ°)チーン



浜面「女の子って、怖いな……」

新倉「……まったくだ」ウンウン

上条「(あのビリビリ娘は、何をやってるんだよ……?)」///ガタッ

浜面「え、行くの?」

新倉「もう少しで上手くいきそうだから、手出ししない方がいいと思うぞ」

別に失敗しても、後で安達経由で『幻想御手』は彼女達の元へいくので問題ないのだが。

上条「よく分かんねーけど……なんかイライラするんだよな……」ムカムカ

浜面「(もしかして、上条って……?)」ゴニョゴニョ

新倉「(かもな……でも、自覚はしてないみたいじゃん?)」ゴニョゴニョ

上条「――とにかく、ちょっと行ってくる」
615 :上条「側にいたお前が悪い」とか言い出しそうなイライラっぷりになってきたな…… [saga]:2011/03/30(水) 08:47:26.23 ID:qFMiI9LOo

不良A「なにやってんだ、アイツは……」

不良C「(おい、よく見りゃアレ、常盤台の制服じゃねぇか)」ゴニョゴニョ

不良A「!」

不良C「意外といい金ヅルになるかもしんねーぜ」

不良A「……ほう」ニヤリ

『常盤台=お嬢様学校』程度の知識しかないのか、愚かにもほくそ笑む不良達。



不良A「こんなとこで泣かれてもメンドクセー、金額次第で教えてやるよ」

不良B「オ、オウ」

美琴「(やった! 計画通り!)」イソイソ

相手の気が変わらない内にと、財布から諭吉さん何人か出す美琴だったが――

上条「これこれ、童子ども」

美琴「(こ、この声は……!)」

不良B「あーー? 何だテメェは」

上条「よってたかって、女の子の財布を狙うんじゃありません」イライラ

台詞こそ説得するようなものだったが、声には怒気が含まれていた。

美琴「(またアンタかっ!!)」
616 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/30(水) 08:51:30.36 ID:qFMiI9LOo

不良B「イキナリ出てきて、何言ってんだテメー」

上条「あん? お前らこそ、ここがどういう場所か分かってんのか?」ゴゴゴゴゴ

美琴「(ちょっと待てぇ―――ッ! あとちょっとだってのに、何でアンタが出てくんのよー!?)」

上条「レストランだぜ? 食事をする所だろーが」

美琴「(や、ヤバイ……このままじゃ情報が……このチャンスを逃してたまるかっ!)」

――よって、美琴は知らない振りを決め込むことにした。

美琴「えー、こんな人、私知らなーい」

上条「」ピクッ

が、それは上条にしてみれば燃料投下にしかならなかった。

上条「サカるなら、ビデオ相手に一人で頑張ってろ、このハゲ!」イライラ

今宵の上条さんは凶暴です、とばかりに不良(ハゲ?)に喧嘩を売る上条。

不良B「何だとぉッ!? それにハゲじゃねー! 剃ってるんだよ!」ビキビキ



浜面「……上条って、割とオレらに近い?」

新倉「まぁ、優等生タイプではないと思う」

浜面「いや、それは見れば分かるんだが」

新倉「オマエモナー」

浜面「おい」
617 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/03/30(水) 09:18:04.06 ID:qFMiI9LOo

上条「だいたいな、アイツはあんなキャラじゃないぞ。お前等の手に負える相手じゃない、やめとけ」

美琴「ちょっ……!」



浜面「何か、灰原さんが気になる光彦君を諭す、コナン君みたいな台詞を言い出したぞ……。
    アレか、俺じゃないと無理だ的な?」

新倉「いや、その例えは分かり難い……それに、そこまで深い意味はないと思うぞ」

浜面「――ところで」

新倉「ん?」

浜面「あの不良達がいるテーブルの上……どう思う?」

テーブルの上には多くの料理やグラス。自分達のテーブルの上と比べてみても、2倍以上だ。
それに対して、上条と言い争っているロリコン疑惑スキンヘッドを加えて、3人。

浜面「ヤバくないか?」

新倉「……いざとなったら、上条を連れて店の外に逃げる方向で」

三人いれば、恐らく負けはしないだろうが、流石に店内で暴れるわけにもいかない。

浜面「了解。……今のうちに代金は置いておこうぜ」スッ

そう言って浜面は、財布から千円札を取り出して、テーブルの上に置いた。

新倉「それもそうだな……あ、上条の分はどうする?」

浜面「まだ料理来てないし……って訳にもいかないよな……半分ずつ出しておくか」トホホ

新倉「仕方ないな……後でしっかり請求しよう」チャリン
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/30(水) 21:30:50.54 ID:YUYeDRRj0
支援
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/30(水) 23:00:47.93 ID:Ri/lNcJro
クローンプランと欲しいのう
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 17:05:07.61 ID:sYlWRZCOo
アクメツあまぞんでぽちった
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/31(木) 21:11:10.48 ID:eGgnVYxI0
面白い

622 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/04/01(金) 11:09:10.02 ID:HkMJqZGko
筆が進まないので、ちょっと間隔が開くかもです……自分のメンタルを安定させる為に携帯にメモしてた、ここ数日の日記でも晒してみます。

3/30

ガスが復旧した。

我が家を訪れたのは、大阪のガス局の人だった。
本当に全国から応援が来ているらしい。
それでも復旧率は13%?以下だというのだから、我が家は幸運なんだろう。

母が帰る前に、沸かしておこう。疲れてるだろうから。

デイサービスで風呂に入れる祖母は、逆に自宅の風呂に入るのは難しいようだ。
一応、家の一部をバリアフリー仕様にしてあるが、それでも苦労するらしい。

しんどいくせに普段どおりに振舞おうとするので、祖母の行動には普段から焦らされる。
脳梗塞の治療から退院した、その日に……布団を直そうとして、骨折したりするし。
俺も相当イライラさせられるが、下手をすると俺の人生の中で一番一緒にいるのは祖母かもしれないので、キレる訳にもいかない。

こんな祖母でも、昔は母を女手ひとつで育てたというのだから侮れない。
祖父と離婚してどうの、という話を前に聞いた。祖父とは、亡くなる前に一度会っただけだ。幼稚園の年長の頃だったかな。

むしろ、だから我が母はしっかり者なのだろうか……?

地震への備えが尋常ではなかった。
地震の予感があったのか、地震の前に水を風呂釜に貯めていた。
家の中を探しただけで、カセットコンロ用のガスボンベが10本出てきた。コンロも2台あった。
以前、教室?で作ったというロウソクも山ほど出てきた。

……多すぎて困っていた知り合いに分けたぐらいだ。

だが、電池はなかった。不覚である。

地震直後はラジオやライトが使えず困ったのだが……

――まさか、中学時代に機械工作で作った、俺のラジオが未だに正常に稼働するとは……俺が一番驚いている。

十年振りの再会である。よく動いたもんだ。
だが、教材費が高かっただけあって高性能で、バッテリー&ソーラーパネル&手回し充電装備。FM、AM、サイレンモード搭載。

が、ライトは配線が切れていた……ロウソクで我慢するしかないらしい。

それとは対照的に、小物入れに使っていた木工工作の産物は、震災ゴミと一緒に捨ててきた。だって、ボロいし……
623 :とある複製の妹達支援 [sage saga]:2011/04/01(金) 11:12:39.90 ID:HkMJqZGko
3/31

地震前から辞令で、単身赴任を終えて、仙台に帰ってくる予定だった、父が戻ってきた。
家に家族が揃う。母に比べて頼りない父ではあるが、そこにいるだけで安心する。

イイ年して何いってんだか、と自分を笑う。

心配だから、予定よりも早めに帰ろうか? という父を今まで俺と母で制していた。
来ても邪魔だから、来なきゃいけない人にその分来させてやれって。

俺も大概だが、母も容赦がない。

すっかりと片付いて、元より綺麗になった家を見ても、父には被害の実感はないだろうと思う。
写メでも、残しておくべきだったか。特に俺の部屋の惨状を。

原発の影響で、東芝の中間管理職らしい父も忙しくなるそうだ。
そういえば、5号機と6号機の部品は東芝製とか聞いた。健在なようで何よりだ。
他のと少し離れていたからかも知れないけど。

ガス復旧を待つ必要がなくなったので、髪を切りに行く。
いきつけ?の1000円カット。
『いつもの』の行為が、これほどの幸福だとは知らなかった。
涙が出た。眠くなっただけだろうけど。

あ、ポイントカードたまった。次回は無料だ。1000円使ったつもりで貯金しよう。

髪を切ってもらって気付いたのだが、妙に白髪が増えた。
元々、年の割には多いほうだという哀しい自覚はある。
まぁ、将来ハゲるよりはいい。

帰ったら染めよう。前に使った奴、半分残ってるから。

帰る途中でブックオフを覗いてみる。

開いてた。本とか大丈夫だったんだろうか? 俺の部屋は大惨事だったが。
あ、でも五時までらしい。そりゃそうだ。

パーフェクトブラッドが一冊抜けがあったなと思って、探してみた。
停電中、人力ライトで読んでたので続きが気になっていたのだ。
100円であったので買って帰る。

しまった、7巻じゃなくて8巻だった……やってしまった。ダブりである。

フルメタとレギオスとレジミルとレンタルマギカが、頻繁にダブる。
特にレギオスはカバーの形式がコロコロ変わって、嫌がらせに近い。
いや、別にレギオスが悪い訳ではないんだが。

地震では、ダブっていた本が身代わりになってくれた。
いや、大事な本のって意味で。
本棚の上にあった、大理石?っぽい河北新報社賞が、その重量で一部の本を抉っていた。

まさか、過去の栄光に裏切られるとは……副賞で2万円分の図書券を貰ったが、全部推理小説に消えた。漫画じゃないだけマシだが。
我が家にある、内田康夫の本の半分は俺が買った品である。
浅見光彦よりも短編に出てくる車椅子の少女がスキなのは内緒だ。


つーか、この河北新報社賞……自分に直撃してたら死んでないか?


そういえば、禁書の4巻が紛失してから、はや2年である。
恐らく、友人に貸したのが返却された際に大学の何処かで置き忘れたのだろう。
そのうち買い直そうと思うのだが、なかなか手が出ない。
お布施だと思って、新品で買うべきだろうか?
624 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/01(金) 11:18:40.18 ID:HkMJqZGko
4/1

エイプリル・フールである。

……多くの人が現状を何かの嘘であって欲しいと思っているだろう。

俺だって、かなり方向性が違うが……明日が誕生日とか、軽く嘘だと思いたい。

今までで最も憂鬱な誕生日だ。

23にもなって、ケーキでお祝いもないが、それでも気分は晴れやかにいたい。
明らかに単位足りないかも、とか、就活どころじゃねーよな、とか不安も多いが。(来年度から大学4年。実は高校を一度入りなおしてる)

正直、大学開始が5月からとか言われても、逆に怖い。それまで、どないしろと。

SS書いたり、第二次Zを楽しみにしたりしても、誤魔化せるのには限界がある。

心理学科の学生が、うつ病とか笑えないので深く考えないようにはしてるけど。

……深く考えると、SSを書く手が止まる。

某幽霊ラノベの主人公程じゃないが「死にてぇ」気分である。

はっ!? 

マテゴ×禁書……? アリか? ……きっと上条さんが『集合無意識』からの干渉で死にたくなる話だろう。……欝シナリオ過ぎてねーわww

……生徒会の一存よりもマテゴ先だろ、とアニメ化の時に思ったのは言うまでもない。

最近、せっきーなのブログもちっとも見に行っていない。ネット繋ぐの投下する時ぐらいだし。

ラノベ好きの俺としては、今やってるラノベ原作のアニメは大概、原作も持ってるから楽しみにしてたんだが……ちっとも見れてないな。ヴィクトリカマジ天使。シャルルが至高。

……いや、その程度の不便で済んで助かってるんだけどさ。

数日前に開店前からスーパーの前に並んでる時、前にいた女の子(幼女)が、母親に『神様なんていないんだよ』って言ってたんだ。
『いたら、こんな風になってないもん』って……マジでキツイって。

……TVもさ、キツイ立場の子供の話を流しすぎだろ……大概にしろよって思う。俺の涙腺は緩めなんだよ!?

それに津波の映像流し過ぎで、他県の子供トラウマとか完全に二次被害だろ。

……むしろ、普段どおりのバラエティでもやっててくれたほうがマシなんだよな。
いや、節電で見ないけども。

――そんな訳で、暖房を切った部屋で布団にくるまって、俺はSSを書いている。
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/04/01(金) 16:12:33.45 ID:vckfNnAAO
お疲れ様
気長に待ってるからゆっくり落ち着いてまた面白い読み物を書いて欲しい

お誕生日おめでとう
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 03:38:59.63 ID:I441Tj3SO
マテゴは楽しくよめたが、生徒会はなげだしたな…
おつかれさまっていったほうがいいのかねぇ?
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/02(土) 20:18:22.90 ID:VtFt4woAO
とりあえず誕生日おめでとう。

ほかにもいろいろ書きたい事あったけど文章かくのが下手なんであきらめました。
628 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:33:46.41 ID:m784L9lao
ん、ゴメン。そしてアリガトウ。
買い物とかで自転車で遠出すると、結構キツイ風景とか見るから、少し凹んだだけなんだ。
普段通りの生活してると、そういうのを見た時にな。……先も見えないし。こんなに学校行きたい気分なのは初めてだわ。

とりあえず、四話ラストまで投下します。
WORKING!!二期とスパロボ最終回でテンション上がったから、まだまだ頑張れますよ。
629 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:35:13.04 ID:m784L9lao

不良B「はっはーん……さてはテメーらグルだな? そうやって、タダで情報を手に入れようってハラか」

上条「はぁ?」

不良B「汚ねぇ手を使いやがって……ボコボコにしちまおうぜ」

上条「――しょうがねぇ、相手になってやる……三人ぐらいなら、俺でも……」

ジャー ガチャ

ゾロゾロゾロ

???「すっきりしたー」

???「あー? 誰、こいつ」

???「どうかしたのか?」

???「お、何だよ、喧嘩か?」

不良D、E、F、G、H、Iが現れた!

上条「――――へ?」

合体スライム並の勢いで出てきた増援に上条の顔が凍りつく。

上条「(ええーーっ!? トイレに集団でゾロゾロは女の子の特権だと思ってましたがーーーっ!!)」

不良B「この人数を相手にしようっていう度胸は褒めてやる……今なら、有り金全部出して謝るなら許して――」

上条「」ジリ

浜面「(上条ー! こっちだー!)」クイクイ

上条「!」バシュッ

不良達「」

その見事な逃げ足に不良達の思考が止まる。

不良C「逃げた!? 自分から出てきたのに?」

不良B「ヤロウ、追えっ! ふんづかまえて、ギタギタにしてやる!」

ダダダダダッ

上条を追って、不良達が店を出て行く。さらっと食い逃げである。

美琴「」ポツーン

店員「お客様、大丈夫でしたか?」オロオロ

美琴「あ、お気遣いなく……お会計はこの子が。全部」ポン

黒子「はっ、何か見てはいけないものを見てしまった気が……」ガバッ

不良達の分の会計まで黒子に押し付けて、美琴は情報源と妨害者を追って店を出た。
630 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:36:55.53 ID:m784L9lao
カランッ

走る上条の足に当たった空き缶が、塀の上で寝ていた黒猫を掠めて飛んでいった。

上条「――ええい! くそっ! くそっ! あーもう、ちくしょう不幸すぎますーっ!!」ダダダッ

変態的な叫びを夜の街に響かせるのは、上条当麻。――焦っている。

新倉「瓦礫を走る〜何か蹴っ飛ばす〜夢から覚める出口を探すの〜♪」ダダダッ

現実逃避にも聞こえる歌を走りながら熱唱する新倉生。――かなり余裕。

浜面「上条、そこを右だ! 路地に入って姿を隠したら、すぐに大通りに抜けるぞ!」ダダダッ

逃走ルートを指示する、路地裏喧嘩術においては上条よりも『場数』と『熟練』を踏まえた浜面仕上。――案外、余裕。

馬鹿三人は、路地裏と大通りを交互に駆け抜け、徐々に追撃を減らしていく。

浜面「げっ……まだ、五人もついてきてるぞ……」チラッ

不良B「止まれ! このクソガキ共!!」

不良D「待て、この逃げ足王!」

レストランを出たところで、新倉が準備しておいたワイヤートラップで二人ほど沈めたので、そこから一人がスタミナ切れで脱落したらしい。

新倉「ここらで、三手に別れるか」

不良達も合わせて散開してくれれば、倒すのも撒くのも容易になる。
但し、敵の最大の標的は上条なので、誰が何処に逃げたか判らないように散らなければいけない。

上条「いや、もう、なんか、本当……巻き添えにしちまって……悪い、二人共」

浜面「気にすんなよ、慣れてっから! うわ、自分で言ってて泣きそう」

新倉「――そうそう、こんなのも青春っぽくていいじゃん(本当……楽しいな)」b

浜面「よし、そこの十字路で散るぞっ!」

人混みに紛れ、三人はそれぞれ別の方向へと駈け出した。

上条「……ま、不幸だけど、こんなもんだよな」

一人になって、上条当麻は思う。

――不幸に愛されているとしか思えない青春を謳歌している自分だが、案外……友人にだけは恵まれている、と。
631 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:38:07.80 ID:m784L9lao

そこからさらに、2キロ程走った所で、ようやく都市部を離れて大きな川に出た。

川に架けられた鉄橋の突っ切りながら、上条は背後を確認する。

上条「……撒いたか? 本当、浜面と生に感謝だな……今度、何か奢ろう」

男友達の貸し借りなんて、その程度で済ませておくのが良好な友人関係の秘訣である。

上条「」ハア

空を見上げて、深呼吸。火照った身体に夜の冷気を身体に取り込む。

突然、夜を光が切り裂いた。

上条「――――っ!?」

考えるよりも先に身体が反応した。

オレンジ色に光る、槍……というよりも、レーザー光線に近い輝きが上条の右手に衝突し、消えた。

上条「〜〜〜〜〜〜」ポロッ

残されたのは、元のサイズよりも小さくなったゲームセンターのコイン。

美琴「――何やってるのよ、アンタ? 不良を守って善人気取り?」

上条「いや……今回は別に、そういうんじゃなかったんだが……ってか、追っ手が居なくなったのは……?」

美琴「うん、めんどいから、私が焼いといた。まぁ、二人だけだけど」バチン

上条「あー、そうですか」

だが、ちっとも不良が可哀想に思えないのは何故なのか。

上条「(浜面と生の方に三人……それとも、さらに脱落したのか……?)」

あの気のいい友人達へ自分以上の危機が訪れていない事を祈るばかりだ。
まぁ、どう考えても……レベル5と対峙している自分が一番危険なのだが。
632 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:40:07.33 ID:m784L9lao

美琴「ったく、アンタの所為で情報を取り逃がしちゃったじゃない」

上条「情報? あぁ、必死に聞き出そうとしてたもんな」

美琴「そう、才能の不足を補う裏ワザの噂があって……ん?」

――待て。今、この男は何て言った?

美琴「アンタ、私がアイツらから情報を引き出そうとしてるのを判った上で、邪魔に入った訳? 毎度の余計なお世話じゃなくて」

上条「――あ」

完全に失言だった。

美琴「……事と次第によっては……」ビリビリビリッ

上条「いや、俺にもよく判んねーんだよ! なんか御坂に絡むハゲ頭を見てたら、イライラと……」

美琴「はぁ? 何よそれ。それじゃ、まるで――」

――まるで『嫉妬』みたいじゃない……?

そこまで考えてしまったら、美琴が顔に血が上るのを防ぐ手立てなど無く。

美琴「(う、嘘!? だって、そんな嫉妬とか、だって、そんな、えー!?)」プシュー///

上条「み、御坂?」


        {            ) (            ヽ    }
        乂_         く  `7       __ノ __ノ
         (__人     |i|i  ノトvレi_乂// /    )ー  )
             ト乂_. |!|「斗'|!:|!: : : ////イ人__乂イ:}!
              ミ{: : \'|!|!: : : : : : : : :///: : `:<: : : :/,{
            >}: : : : |! : : : :/ : : : : : : : : \: : : : :/ 孑
            7ソ´: : : : : : /i :′: : :| : : }_、: :ヽ: :/ Zr′
             //  i  :/ / :{:i : :/:/} :i /≧ : : : :V`/
          i| {/: : ト:|、:/!/ ! ハ{: /:/_j斗―ミ : : : i Vi
          {{/|: / !:,}=ミ|ー'| トVチ==く、  zミ : :|} }
          ||/| :ト'} f:ci  V/ ' i::心  }} ヽ丶: :}ノ:′
              { ∨:j. ヒソ     ヒツ ノ′ ノ⌒V:|
            / 从i /7´//、////ー ' /// ヘ }}: :{
        /⌒ヽ //イ{ u iァ一 ´ ̄Vヽ  u , __シ'小|
      /    V  |iノ込.  {   ___ ノ . イ: : /:/ノ
     / ⌒)  ∨  /´ ≧¨´ ----ァ 爪 ` く/:/}′
    /   `j}ヾ> ヽム≦ ヽ { { `ァく.  } |   ∧         r―‐ ,   nn
  /   {} ´    }  /∧ }/⌒)、l |ヽノ ′ / ∧ li       ̄ { {/,、ヽUU
_/  「! ===   {j  ∨  V  ⌒}_ノ┘//  ,斗イ i }}ハY{ィ r―_ぅー' ヽ_)
ヽ    |j ー== 十ト,   }  V{   ノ>‐く/rー{ノ   | |! }: :ム \\
 ヽ     ー七‘ ´///i /  __ ノ(Y⌒  V_j     |  |: : /  _\_)
  V nrぅ(_乂`ヽ   {'   /   `}    }/    }  } : 7  / ノ_
   ∨|j {{        }  /     >ォ  |〉ミ__{ / /: リ/ {__n 廴ノ )
   } o o>――┬ ’ / ヽ ≧=ー  |  {   /  i!/: :/     `¨¨´


美琴「は、はひっ!?」ドキドキドキドキドキドキ
633 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:42:18.41 ID:m784L9lao

上条「あの、その……」

どうやら、自分は何か『とんでもないこと』を言ったらしいのは理解出来るのだが、
それがどういう原因から起きた事で、どういう結果を生もうとしているのかは……さっぱりである。

上条「えっと……」///

が、何故か本能的に凄く恥ずかしい。

理解不能の感情の渦の中、上条が出した結論は。

上条「み、御坂が悪いんだぞ!? あんなヘンテコな演技しやがって! 白井だって正視できなくて、気絶してたじゃねーか!!」

――責任転嫁である。

美琴「んなっ!? へ、ヘンテコとは何よ!? 大体、アンタどこから見て――」


                  /  )   /{ノ/:::::::::::::::::::レ::::::/
                    /  {`ー一〈   i:::::::::::::::::::::::::::厶:::'フ
__            __/   ヽ   ,ノ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::く__
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   (       }   ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<´
                      ノ_ イ::::::::::://: |::::::i:::::::::::::::::::::::_:::\
             _____,. イ/|:::::/::::::://::::/|::::::|:::i:::::::::::::::::::\ ̄
  __    マ¨¨¨ヽ>:::::::::/:::::|:::/.┼/':/:::八:: / .|::::::|:::|:::::::::::_::::__:\
 ̄ | i   {/|!⌒ `¨¨フ::::::::|厶=ミ}/|/レ'|:/ー-!ハ::|:::|ー'´ ∨ i´ }ヽ
  ! !    ∨{     ∠:::ィ::::j! // `.}  ィテ=ミ、 |ノ::j`¨´} i .|  | /
.  | |    Y,     i 厶イ,|    :.{    //  レ'レ⌒´      !'
 `{ |      \  i |  ,,ハ           /      /⌒ヽ
  } .|       \ |ノ /  ∧  }iァ---‐一イ /      /   /\
  L.}__    \   >' ____  ヽ. `¨ ー ´/    __/     /   ⌒i
     `¨  ー‐<¨´|   `ヽ{ \ _,. <!   ¨´  \    /       }
            \{   {  ハ  `    >、         \ / __,, …‐亠―┐
             ∨   ∨ ∧    // \       \        / ̄¨


上条「『え〜〜〜〜 私 そんなに子供じゃないよぉ』」キャハ

――プツン。

美琴は、自分の中で何かが切れる音がしたのを確かに聞いた。

美琴「――――さい」

上条「うん?」

美琴「――忘れなさい」

上条「……あ、れ? な、何でしょうか。この気配は」

美琴「全部、忘れなさいっ! じゃなきゃ、アンタの記憶を物理的に消してやるんだからっ!!!」///

上条「ちょ、え!? み、御坂サン!?」

美琴「ふふふ……ふふふふっ……」

ゴロゴロゴロ

上条「……ら、雷雲?」

美琴「超電磁砲まで防がれちゃったんだもん……私だって、本気を出すしかないじゃない……?」

上条「よ、よせ、御坂……忘れる! 忘れるから! それにお前、そんなモン使ったら、周辺の電子機器がっ!?」

美琴「防げるもんなら、防いでみなさいよ……私の全てを出し切った、全身全霊の攻撃……」

上条「……ふ、ふ……ふ」

三二万八五七一分の一の『天才』は、天然自然の力をも操り、学園都市の二三〇万分の一の『天災』へと文字通りの『天災』を襲いかからせる。


上条「不幸だあああああああああああああああ!?」


少年の絶叫が、一学期最後の日の夜を締め括った。
634 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:44:12.96 ID:m784L9lao

――この落雷により、学園都市の広いエリアで大規模な停電が起きた。

学園都市と外部とを繋ぐ、『門(ゲート)』のセキュリティが一部沈黙。

宇宙から、学園都市へと監視の目を光らせる三基の人工衛星も、雷雲によって、その目を封じられた。


何の因果か、その欠落した警備の隙間を縫うように、一人の修道女が学園都市の内部へと侵入した。


そして、その修道女を追う、二人の『魔術師』がいた。


???「まさか、あの子が学園都市に逃げこむとは……少々、困った事になりましたね」

???「関係ないさ、僕らの役目はいつだって……変わらない。変えられないんだ」

???「そうですね……土御門を介して、五行機関へと連絡します。隠し通せるとも思えませんし」

???「横から余計な真似をされたくもない、それでいこう」


――偽悪の魔術師が偽善使いを自称する少年、そして悪を滅する者と……対峙する時が迫りつつあった。










第四話  『少年少女達は神の御手に幻想を見るか?』 完
635 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:45:33.45 ID:m784L9lao

おまけ とある女子中学生の初メール


〜とある中学の学生寮〜


ゴロゴロゴロ ドオーン!!!


佐天「――あれ、停電? いーとこだったのに〜」

初春「(……た、助かりました)」

佐天「あ、そうだ」メルメル

初春「佐天さん?」

佐天「停電ですけど、大丈夫でしたか?っと……」ピッ

初春「メールですか?」

佐天「まぁね♪」



第七学区・路地裏



不良C「くそっ、あの白菜頭、どこに隠れやがった!?」

不良E「この停電じゃ、姿も見えないぜ……」

新倉「(チャ〜ンス! この隙に、っと……)」

〜〜〜〜♪

不良E「ん? 蠍火?」

新倉「し、しまったぁぁぁぁあ!?」

不良C「いた! あそこだっ!!」

新倉「やばっ!? ちくしょう、誰だ、こんな時に!?」ダダダッ

『停電ですけど、大丈夫でしたか?』

新倉「さあああああああああああああああてええええええええええええええええええん!!」


〜再び、とある中学の学生寮〜


佐天「」ゾクッ

初春「どうしました?」

佐天「急に背筋が……風邪引いたかな〜?」

初春「というか、上半身裸の私より先に何で佐天さんが?」

佐天「さぁ……? さて、続き続き! ほら、前も拭いてあげるから!」

初春「だから、前は自分で拭けますってば!」
636 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/03(日) 12:48:57.01 ID:m784L9lao
戦わなければ生き残れない! な次回予告!


夏休み初日。少年達は、奇妙な修道女と遭遇する。


上条「何か、お嫁さん貰ったみたいな気分だなーって」

禁書目録「おなかへった」

美琴「(ってか、私にしてみれば、アンタの右手だって『オカルト』にしか思えないんだけど)」

上条「――ここにいる御坂美琴嬢は、学園都市に7人しかいない『超能力者』の第三位であらせられるぞ!」

美琴「……どうせ、効かない癖に」

上条「この右手で触ると……それが異能の力なら、原爆級の火炎の塊だろうが、戦略級の超電磁砲だろうが、
    神の奇跡(システム)だって打ち消せます、はい」

禁書目録「……、じゃあ。私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

生(迫)「……何回か死んでるけど、地獄は見たことないじゃん」


悪滅の前に現れるのは、偽悪の魔術師。


生(迫)「さてと……食後の運動でもしようか、インデックス。逃げ足に自信は?」

禁書目録「……伊達に一年も逃げ回ってないかも」

神裂「――鬼ごっこは終わりですか?」

00013号「……これより、『迫間生』並びに『禁書目録』の撤退を支援します、とミサカは引き金に指をかけます」


能力者として、アクメツ最初の戦いが幕を上げる!


生(迫)「『歩く教会』に比べれば、頼りない教会かもしれないが……お前をそこで保護してやるから……」

禁書目録「ダメ……しょう……死んじゃダメなんだよ……!」

ステイル「うん? 僕達『魔術師』だけど?」

生(新)「上等じゃん――『炎』対決と洒落込もうか、この不良神父っ……!」

上条「御坂! ここは、俺と生で抑えるから! 言う通りに頼む!」


そして、事態は加速し、混迷していく。


美琴「――この症状……まさか『幻想御手』を……?」

小萌「だって、この子……顔はそっくりですけど、安達ちゃんじゃありませんよねー?」

生(安)「――よぉ、上条……今、ここに『俺』がいるか?」



次回 『魔術師来たりて、南天に星が輝く』をヨロシクじゃん!
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/03(日) 12:53:40.84 ID:m4O426noo
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 13:06:27.85 ID:eQwrzg2jo
やべえ、先が読めない展開アツ過ぎる
乙乙
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 19:17:25.83 ID:kHpc0/KAO
乙じゃん!
アクメツ対魔術師とな…?wktk
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 22:57:11.22 ID:fBdwFWrDO
おつ!
次の話もかなり楽しそうだ
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 01:16:24.27 ID:C6b4bDFB0
ミサカ13とか胸熱
とうとうクローンバレか…しかも原作1巻時点で
そして運命の記憶クラッシュが刻一刻と……
642 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/04(月) 11:02:07.87 ID:DpEFMPO3o

挿話 『とある複製の露西亜回想A 〜食事編〜』


〜とあるレストラン〜


『凄いボルシチ』を出す、この辺では『有名な店』がある、と修道女に教えてもらった迫間は彼女と一緒にその店を訪れていた。

迫間「――いや、それにしたって『ワシリーサ』は無いだろ……」

食事の到着を待ちながら、目の前の修道女に対して明らかに偽名じゃないか、とツッコミを入れる。

ワシリーサ「えー? そうかなー?」

迫間「日本人の俺だって知ってるじゃん……『うるわしのワシリーサ』だろ? 飛行機の中で読んだよ」

初めての海外旅行という事で、少しは行き先の『文化』を学んでから行こうと買い漁った、大量の雑誌やガイドブック。
その中には、他国民向けに翻訳された『ロシア民話集』もあったのである。

ワシリーサ「あら、意外と勉強家なのね」

迫間「確か『ヘンゼルとグレーテル』に『三枚のお札』を足して『シンデレラ』で割った感じの話だろ?」

ワシリーサ「……流石に老婆相手に強盗やらかす不良兄妹の話や、トイレバトルがメインの昔話と同列に扱われたくはないけど」

迫間「何、その悪意のある童話解釈……あ、『シンデレラ』はいいのか?」

ワシリーサ「うーん、微妙な所よねー。私的にはシンデレラを探す為に街中の女の味を確かめるような尻軽王子は遠慮したいなー?」

迫間「謝れ! シンデレラストーリーに憧れる全世界の婦女子に謝れ!」

迫間が夢見る少女達の怒りを代弁し、咆えた。

ワシリーサ「あ、意地悪な義理の姉達の目玉を仲良くなった鳩が抉り出してくれる場面は個人的に共感出来るかも」

が、ワシリーサはそれを意に介する事もなく、メルヘンの裏側に潜む惨劇を嬉々として語る。

迫間「あの……食事前なんで、お手柔らかに頼むじゃん……ほら、何か他の客も嫌な目で見てるし」

店内の色んな所から冷たい視線が突き刺さって居た堪れない。




643 :とある傭兵のカメオ出演 [saga]:2011/04/04(月) 11:04:26.56 ID:DpEFMPO3o

ワシリーサ「周りの目なんて気にする必要ないでしょ。ほら、ボルシチが来たわよん」

店の奥から、二つの皿を持った店主がやって来た。

店主「――お待たせしました」

店主は背が高く、肩幅も広いので、まるで熊のような印象を受ける。
だが体は引き締まり、顔の彫りも深く、穏やかながらも眼光は鋭い。
ひっつめにされた灰色の髪と、たくわえられた灰色の髭を見ると、ロシアに来たんだな、と実感させられる。

店主「――ごゆっくりどうぞ」

店主は多くを語るわけでもなく、皿を置いたら速やかに奥へと引っ込んでしまった。

迫間「おお、これが本場のボルシチかぁ……美味しそうじゃん」クンクン

テーブルビートの深紅色を見ていると、それだけで暖まるようだ。
だが何故だろうか、妙に懐かしい香りもする。

ワシリーサ「ほらほら、早く食べなさいって」ニヤニヤ

迫間「? いただきまーす……」ズズッ

ワシリーサ「」ニヤニヤ



644 :とある料理の味覚破壊 [saga]:2011/04/04(月) 11:05:47.98 ID:DpEFMPO3o

迫間「――ワシリーサ」

ワシリーサ「なーに、ショウ?」ニコニコ

迫間「本場のボルシチって、『あたたかいドクターペッパー』みたいな味がするのか?」

本場の世界三大スープは、日本で慣れ親しんだジュースの味がした。
あと、少し味噌っぽい。……懐かしい香りの正体は味噌だったらしい。

ワシリーサ「個人的見解を述べさせてもらうと……しないと思うわー」クスクス

迫間「知ってたな?」

ワシリーサ「あれ、言ってなかったかにゃーん? 『凄いボルシチ』を出す『有名な店』だって」

迫間「……道理で、他の客がボルシチを注文してない訳だよ……変だと思ったんだ……」

ワシリーサは嘘は言っていない。
『凄い不味いボルシチ』を出す、『悪い意味で有名な店』だったというだけで。

迫間「人をからかう為だけに、この店に連れて来たのかよ……?」

ワシリーサ「ごめーん♪」

相手が女とは言え、本気で殴りたくなった迫間を誰が責められるだろうか。

迫間「もういい……腹に入れば一緒じゃん……」

妙に塩味が効いている。涙の味ではないと思いたい。

ワシリーサ「この店のボルシチの味は置いておいて……」

迫間「いや、置くなよ……」

ワシリーサ「適当に食べたら観光に行くわよー?」

迫間「……頼むから、観光先は無難な場所にして欲しいじゃん」

こればっかりは冗談として流して欲しくは無かった。


――超人と魔女の露西亜観光は、まだまだ始まったばかりだ。
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 20:49:58.43 ID:C6b4bDFB0
独断と偏見による生'sフラグ建築まとめ状況(脈あり順)

安達:布束
新倉:サテンサン
海原:フレンダ
迫間:ワシさん  ←New!

うん、これも現状では1位と2位の間、それ以下との間にかなり差が開いてるみたいだけどな!
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/05(火) 07:15:19.10 ID:dUBTV3+80
こっちではカリーニンさんが元気そうで良かった。
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/05(火) 14:59:24.74 ID:rx5VbeU/o
>>646
なるほど味噌がヒントだな
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/04/05(火) 15:06:52.78 ID:PTgNmTi1o
カリーニンで脳内再生してたらガチで少佐か
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 02:41:28.22 ID:cC6rMB9M0
「2月は色々と忙しかったので検針いけませんでしたゴッメーン♪ 2月分と同じ料金貰うけど許してねNE★」
って旨のハガキが届いたでござる
散々節電呼び掛けて消費電力減らさせておいてそれか
散々停電の実施日には毎日律儀に落としておいてそれか


アクメツさん……何とかなりませんかねぇ(チラッ
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/06(水) 12:28:19.53 ID:SMuZ8PBQ0
「今中の人減らしたらみんな困るじゃん?」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 15:12:19.41 ID:G85jQTLC0
>>649
それらの差額は来月の請求時で修正してくれるぞ
652 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:07:13.43 ID:2kBofMsJo
>>646
奥さんと仲良くレストランをやっています。

>>651
割と長いこと停電してたんだけど、電気代があんまり変わっていない被災地の我が家も来月には反映されるのでしょうか……



被災地に近い場所のココイチで、ボランティア作業をした日は1000円まで無料、
と災害ボランティアセンターの人に言われたので帰りに寄って来ました。

ほ、本当にタダだった……凄いなココイチ……
今度から、普段の外食でもカレーの時は全部ココイチにしよう、敬意を表して。

心配になってメガネっ娘の店員さんに「だ、大丈夫なんですか?」って会計の時に聞いたら

「会社の方で頑張ってますので」ニコニコ

と鉄壁のスマイルで返されたよ……。

あと帰り際、自転車置き場でJK達が何やら爆笑してました。

どうやら、「何者なんだ奴らは!?」という話題で盛り上がっているらしい。

@戦に敗れた兵士たちのような疲れ果てた人相。
A泥&埃まみれの風体。人によっては長グツ装備。
B何故か代金を請求されない。
C何か一杯いる。

……うん、すっごく変だね!

そんな変な>>1がお送りする、アクメツ×禁書の一巻パートです。まぁ、とりあえず最初の部分を。
653 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:12:11.67 ID:2kBofMsJo
7月20日


学園都市・第七学区


〜とある高校の男子寮〜


【AM 8:46】

うだるような熱気によって、迫間生は目が覚めた。

迫間「あ、暑い…………」

うつ伏せの体勢から、顔だけ起こして部屋の中を見回す。
かつてのアクメツ時代に自分が生活していた部屋でも、学園都市内のクローンプラントの一室でもない。

ここは、学園都市でとある高校の生徒として生活している、安達生の暮らす男子寮だ。

迫間「そういえば、安達の代わりに泊まったんだっけか……」

迫間が安達の部屋に宿泊した理由は昨日の一件にある。

『幻想御手』使用に伴って、能力が覚醒した自分と最も付き合いの長い同胞、新倉生。

何故、開発を受けていない彼に能力が発現したのか? という疑問。
そして、どうも異能力(レベル2)以上の強度を持っているらしい、という事実。

それらを探る為に行なわれた新倉の精密検査。
この検査には、学校で超能力の開発を受けていた安達も対比検討の為に参加し、昨日は徹夜コース一直線。
とはいえ、学生の身分の安達が何度も外泊という訳にもいかないので、彼の代理で迫間が『安達生』として彼の部屋に宿泊したのだ。

迫間「おいおい……エアコンが逝ってるじゃん……」

昨日の時点ではギリギリ動いていたのだが、途中で力尽きたらしい。

しかも、志半ばで倒れたのはエアコンだけではないようだ。
昨晩の落雷が影響で、家電の半数が天に召されている。

迫間「(朝飯……どうするかな……?)」

冷蔵庫は辛うじて無事たが、いつエアコンと同じ末路を辿るかは分からない。
既にテレビや電子レンジに至っては、うんともすんとも言わない。

悲しい現実に涙腺が緩むが、どうせ困るのは安達なので、大してダメージはない。
654 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:13:35.74 ID:2kBofMsJo

迫間「(どっかのファミレスにでも行くか……ん? そういえば、安達に何か頼まれていたような……あ、布団だ)」

明日はいい天気だから、起きたら布団を干してくれと頼まれていたのを思い出した。

迫間「(それにしても、天気予報マシンと例の実験の演算やってるメカが同じっていうのが笑えないな)」

自分達も記憶のデータ送信用に普段、勝手に拝借している某国の衛星とは別に人工衛星を持ってはいるが、
高度な演算装置を宇宙空間に天気予報の衛星として置いておく学園都市の発想には驚かされる。

迫間「ふんふふん、ふふふん、ふんふんふーん♪」

ガラガラ、とベランダに繋がる網戸を開けて、朝の新鮮な空気を取り込む。
いかん、外も暑い。

ナンカオヨメサンモラッタミタイナキブンダナ-ッテ

ナ、ナニイッテンノヨアンタハ!?

迫間「(む? 何やら隣の部屋から、ラヴ臭がするじゃん……)」

昨晩の落雷の原因と思われる某ビリビリ中学生の声が、隣家から聴こえてくるのは幻聴だろうか。
非常用の仕切りから、手摺の方へと身を乗り出して、隣を覗いてみる。

迫間「前に煽った俺が言うのも何だが……」

どうやら、今上条の部屋には例のビリビリ中学生が来ているらしい。
だって、ピンク色のエプロンを着けた少女がツンツン頭の少年に料理を振舞っているのが見える。

迫間「あ、朝から中学生の手料理とか……いっそ、殺ってやりたい……」プルプル

物騒な事を呟きながら、視線を戻そうとした時、迫間はそれに気が付いた。

上条の部屋のベランダに白い布団が干してある。

迫間「(何だ、上条も布団を干して………………!?)」

数泊の間の後、その布団の正体を理解した迫間は、隣の上条当麻の部屋へと突撃していた。
655 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:15:50.16 ID:2kBofMsJo

同時刻


上条当麻の部屋


美琴「〜〜〜〜〜♪」ジャブジャブ

上条「」ズズズッ

ご機嫌で使い終わった調理器具を洗う、女子中学生の後ろ姿を眺めながら味噌汁を啜る。

上条「(なんだ、なんだろう、なんなんでせうか、この状況は?)」パクパク

表面上は冷静に食事を続ける上条だが、内面は混乱気味である。……困惑と言ってもいいが。
何しろ、常用している三段活用にも普段のキレがない程だ。

――事の起こりは20分前。

上条は冷房が使えない為に眠れぬ夜を過ごして、睡眠不足気味だった。
それだけなら不幸のレベルで済んだのだが、冷蔵庫死亡に伴い、一部の食材が死線を超えてしまい、朝食抜き。

よくよく考えてみれば、昨晩もレストランで料理を食べ損ねている。
そんな訳で健康的な男子高校生の胃袋は、抗議のような音を鳴らしていた。

そして、腹の音に呼応するかのように電話がかかってきた。

――上条ちゃーん、バカだから補習ですー♪

と嬉しくもない、ロリ担任からの逢瀬のラブコール。

……不幸だ。

いつもの一言を終えた後、軽く泣きたくなるような状況で、それはやってきた。
ピンポンピンポンピンポーン!と連続かつ、執拗に鳴らされるチャイム。

何かの勧誘かと思って、無視を狙ってもみたが、一向に止まないチャイムに辟易しながら、ドアを開けると……

――き、昨日のお詫びに朝御飯作りに来たんだけど……

上条家の家電を瀕死に追い込んだ原因が、少しドキッとする上目遣いで立っていた。
656 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:17:58.33 ID:2kBofMsJo

上条「(ぜ、前回の決闘後の時も思ったけど、この状況ってヤバくないか……?)」モグモグ

客観的には美少女である中学生が、手料理を振舞ってくれている。
これだけなら、充分に幸福だと言えるのだが……

上条「(こんな場面を誰かに見られたら……例えば、土御門とか……)」

その日の内に緊急時クラス連絡網が発動して、クラス中から吊し上げられるのは確実に思える。

そうなれば、今の幸福分を覆い隠す様な不幸の嵐に見舞われるに違いない。上条当麻は自分の不幸を嘗めてはいないのだ。

上条「(あ、でも昨日からの不幸を考えれば、相殺出来ている……のか?)」

不良達との追い駆けっこ。超電磁砲。落雷。家電死亡。朝食抜き。補習。
それらと『御坂美琴による手料理』がプラスマイナスゼロな時点で、ある種の異変が上条には起こっている訳だが、当人に自覚はない。

上条「(それにしても……この風景……)」ジー

上条の視線を感じたのか、洗い物をしていた美琴が振り返る。

美琴「……な、何見てんのよ。早く食べちゃいなさいよ……あ、もしかして、美味しくなかったの!?」ガーン

上条「いや、美味しいぞ? それこそ、自分で作る食事が悲しくなるくらいに」

美琴「そ、そう?/// ……ん? じゃあ、何で見てたのよ?」

上条「何か、お嫁さん貰ったみたいな気分だなーって」

色々と危険な台詞を可愛らしいフリル付きのエプロンを装備した家庭的超電磁砲へ向けて放ってみる。

美琴「な、何言ってんのよ、アンタは!? こ、これはあくまで昨日のお詫びなだけで……別に他意は無いんだからっ!」///

上条「まぁ、そうだよな。ちょっと思っただけだから、気にすんなよ(第一、そんな都合の良い話が不幸な上条さんにある訳がないんですよ)」ハア

美琴「べ、別に気にしてなんか……」

ピンポーン

美琴「……誰だろ?」

上条「――――――まさか」

先程の想像が脳裏を過ぎる。
657 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:20:23.09 ID:2kBofMsJo

上条「えっと、俺が出るから……御坂は奥で休んでてくれ。洗い物は終わったんだろ? お茶でも入れるからさ」

美琴「――そう? じゃあ、お言葉に甘えて……」

言葉巧みに美琴を奥へと誘導し、仮に踏み込まれても、玄関先からは美琴の姿が見えないようにする。

上条「はーい、どちらさま……」ガチャ

そこに居たのは想像していた相手ではなく、その反対側の『お隣りさん』であった。

迫間「――よぉ、上条」

上条「……生? どうしたんだ、こんな朝から」

土御門や青髪ピアス程ではないにしろ、一緒に馬鹿をやってる以上、『類友』である友人に警戒心を滲ませながら問い質した。

迫間「悪いが、ここを開けてくれるか?」

上条「えっと、ここじゃダメか? 何か用事があるなら……」アセアセ

部屋の奥へ幾度も視線を送りながら、慌てる上条。

――これで隠せていると思っているのだろうか。

迫間「……言っておくが、俺の用件は『上条が隠したい事』とは無関係じゃん。
 ってか……本気で隠すなら、そのローファーも隠せよ」

言われてみれば、玄関に置きっぱなしだった御坂美琴の靴。

上条「ば、バレてる!? ……けど、無関係って……なら、何だよ?」

迫間「ベランダ」

上条「ベランダ?」

あまりにもサラッと言うので、どこかの外国人の名前でも聞き間違えたのかと思った上条。

迫間「……悪い事は言わないから、今すぐ見て来いって。俺はここで待ってるから」

上条「――分かった」

友人の真剣な表情に促された上条は部屋へと戻り、不思議そうな顔をしている美琴の横を通り抜けて、ベランダへと向かう。
658 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/06(水) 18:21:46.07 ID:2kBofMsJo

ガララッ

上条「……ベランダって、別に変な所なんて……布団が干してあるだけで……」

いや、待てよ? 自分は何時の間に布団を干したのだろう? 覚えがない。

……現に愛用の布団は未だに部屋の中だ。


――なら、この布団は何だ?


布団?「おなかへった……」

そして、布団は空腹を主張したりするだろうか?

                         _____
                     _ /        `\
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        |  l    / /  |∧:::\/: | /:./|   |,/   /:ハ:.|. ,'|   |      |   |
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     ヽ   |  |     |  | \_____/| \___/'|   |   |      |   |
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        |  |   / :|  |         |   |  ´  |   |   |      |   |
        |  l   /:::::|  |         |   |      ノ   |   |      |   |
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   ──────────────────────────────────


――上条当麻の部屋のベランダに銀髪碧眼のシスターさんが干されていた。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/06(水) 18:32:01.51 ID:XUDAk3+uo
さあ、食料食い尽くされる前にうっかり悪滅だっ!
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/06(水) 19:42:15.19 ID:C2NN9YO40
早く悪滅しろー! 間に合わなくなってもしらんぞー! (AA略
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/06(水) 20:13:54.20 ID:SMuZ8PBQ0
つ…ついに来たぞ……白きグラトニーが…
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/06(水) 22:44:22.42 ID:vz8APm6ho
美琴が可愛すぎて布団なんてどうでもいい
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/04/06(水) 22:56:45.39 ID:T8tHH1ejo
修羅場か
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/06(水) 23:02:26.13 ID:wFTS4fpIO
既に嫁ポジションが確定している美琴にインちゃんが抗うことは出来るのか
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/07(木) 15:35:44.75 ID:Ic1rE/Lao
もういっそこの白装束の怪人は上条さんじゃなく生さんちで飼って貰えww
だだこねたら即悪滅!!
歩く教会でノーダメでも自分が我儘いうたびに目の前で死人がでれば
三回くらいで反省するだろ。遺体食べ始めるかもしれないけど…。
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/04/07(木) 17:06:15.35 ID:Uk7BBCRqo
お前がアクメツ読んだことないってことはよくわかった
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 20:06:04.81 ID:ug7ODSSDO
>>666
うちの子が迷惑掛けてごめんなさいねぇ
これ、実家から来た山菜なんだけど良かったらどうぞ
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/04/08(金) 07:30:09.59 ID:K3AJAQoCo
>>1生きてる?
669 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 08:25:23.00 ID:57sJx4i6o
>>1です

嫌らしい揺れ方しやがって……
前は落ちなかった絵とか落ちまくった……泣

また本棚片付けかぁ……ライフラインは無事だったけど。
670 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:38:40.68 ID:57sJx4i6o

上条の部屋のベランダに干されていた少女は、禁書目録(インデックス)と言うらしい。偽名?

干されていた訳ではなく、追われていて屋上から屋上へ飛び移ろうとしたら、撃たれて失敗したらしい。アクション映画?

撃たれたり、ベランダに引っ掛かったりしても無傷なのは、着ている修道服の効果らしい。防弾チョッキ?

彼女を追っているのは『魔術結社』とかいう胡散臭い連中らしい。オカルト?

そして何よりも――お腹が減っていたらしい。空腹?


【AM 9:19】


禁書目録「」パクパクモグモグ

美琴「……どんな胃袋してんのよ、このシスター」

既に美琴が作った朝食の残りは食べ尽くされ、腐りかけの冷蔵庫の中身まで、上条が止める暇もなく暗黒胃袋(ブラックホール)へと消えた。

禁書目録「ふぅ……久しぶりにおなかいっぱいになったかも。
       ……最初の料理は絶品だったし、最後のパンは少し酸っぱかったけど、美味しかったんだよ」


                               \ ̄: : : : : : : : : : : : : : : : : ::イ
                               ‐-ァ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :≧_
             _.. -――- ._         ‐=ニ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :゙、 ̄
           ./ ,―――‐- .._` .、        __..>:i゙.、:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::\
       x   /  ./  / /    ``\.  +      ̄|/|{/`!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::、ヘ ̄
          /_.. ィ7T.フ厂 ̄`フi ‐- ._ |〉     x      l  .|!:::::::::::::::::::::::::::::::、\
      .x    !  ̄フ/l/_×// |ハハl .ト、  x       ヽ、 |i|_l:!.l:ト:::::/|:/ヽ|\
   |! /    |  /|,イ._T_i`   .r≦lハ!|``   +   , ―−<二._l|_∨_.l`ヽ
   ll/_     .|  | |'弋..!ノ     i'+!l |       ./  ヽ           ̄` - .._
  / ミr`!   /   l |' ' '  ,‐- ..__゙ー' .!l .|       /´   :―‐-- ......_       `、
  ト、ソ .! ./   .,!l .ト、  l  `,!   .ハ.!      ./     .:        「`T ‐- ... ∧
  /ll\ `テヽ、 /_,| |l: > .ヽ.. ィ <l   l|    ./      .!.       ! l   /  |
 ./' l|/l. >' / /\. | | \ \ー'/ ./ ,,;:`:;'゙"r;:゙c/      ,.r'、        .! |   /'   !
 '  l|l l/ ./ /    | |  _\_×_/.ィ'...二二二l ヽ   __...-/  ヽ.       ,′ /    !
    | ヽ./ /   /|.|i彡_           \\  /     \       /    .|
    | //  ./ .l|| ´   ̄,「 ̄ 「 li ̄二ニ -'´ ヽ./.|. ゙、              /'_.二二.」
   └――'"l// .|!   / / ! .| |' |l //         /!  、           /´!    |
        / __l_/_/__.|__|__l_`_ー_'_____./ !            ,.イ  〉   .!
     !二三l______..::'´ ̄` :::‐-....__ ‐'" l  :             /./ ./    /
      | ::| | :.::|// _/: : : : : : : : : : : : : |   :  :             / ./    /
      | ::| | :.::| {.  l: : : : : : : : : : : : : : !                 ./! /   ./
      | ::| | :.::| ヽ  ヽ、: : : : : : : : : : :::∨               / | /   ./


三人が見守る中、インデックスは優雅?に食事を終えた。

美琴「そりゃ、どーも」

別にこのシスターの為に作った訳ではないが、それでも純粋に賞賛されるのは悪い気はしない。
671 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:45:38.41 ID:57sJx4i6o

迫間「しかし、どうして学園都市の外部の人間が簡単に入り込んでるんだ?」ボソッ

自分だって侵入者である事を差し置いて、迫間は疑問を浮かべる。
むしろ自分が侵入する時に、それなりに下準備と小細工を施したからこその疑問だが。

上条「――どっかのビリビリ中学生が昨日の晩に雷雲呼んだり、停電させたりするから、セキュリティやら衛星の監視がザルになったんだろ」ボソッ

迫間「……なるほど。納得じゃん」ボソッ

美琴「何の話?」

上条&迫間「「何でもありませーん」」

美琴「ってか……アンタ、風紀委員じゃないの? 放っておいていいの?」

迫間「非番、という事で……事情を聞いてから考えるじゃん(安達じゃないから、義務もないし)」

上条「で、インデックス……でいいのか?」

禁書目録「うん、そうだよ。魔法名ならDedicatus545……献身的な子羊は強者の知識を守る、って意味だね」

迫間「(称号……みたいなもんか?)」

上条「で、魔力がないから魔術が使えないと言ってのける、インデックスさんが『魔術結社』なんてのに狙われてるのは何でだよ?」

そこはかとなく馬鹿にしながら、上条は聞いてみた。

禁書目録「……私は、禁書目録だから」

美琴「は?」

禁書目録「私の持っている、10万3000冊の魔導書。きっと、それが連中の狙いだと思う」
672 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:47:04.06 ID:57sJx4i6o

上条「ま、魔導書?」

禁書目録「うん。エイボンの書、ソロモンの小さな鍵(レメゲトン)、死者の書……代表的なのは、こういうのだね」

迫間「(死者の書ぐらいしか知らないじゃん……)」

まぁ、それも小難しい本ばかり読んでいた、とある作家先生から聞いた程度なのだが。

上条「中身はともかく……お前、手ぶらにしか見えないんだけど」

美琴「何処かの倉庫の鍵でも持ってるの?」

禁書目録「ううん。ちゃんと10万3000冊、残らず『持って』きてるよ?」フルフル

上条「……バカには見えない本とか言い出すんじゃねーだろーな?」

禁書目録「バカじゃなくても見えないよ。勝手に見られたら意味がないもの」

上条「……、うわぁ」

呆れたように苦笑する上条は、より一層、オカルトへの不信感を募らせ――

美琴「(ってか、私にしてみれば、アンタの右手だって『オカルト』にしか思えないんだけど)」ジー

美琴は、『信じ難さ』では似たようなレベルの少年の右手を睨み――

迫間「(魔術師、それに禁書目録ねぇ……?)」

迫間は――その単語から、かつて出逢った一人の『魔女』を思い浮かべ、少しだけ感傷に浸っていた。

迫間「(このシスターが、『本物』だと仮定して……彼女の言葉に嘘偽りがないとすると……)」


――10万3000冊を持ってきてる、という言葉の意味は何か?


迫間「上条、トランプ持ってるか?」

上条「はぁ? 持ってるけど……何だよ、こんな時に」

迫間「こういう時に最適な格言があるじゃん」


『論より証拠』
673 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:48:56.51 ID:57sJx4i6o

迫間「ハートの12は?」

禁書目録「――右から3列目の4段目」

上条「あ、合ってる……?」ピラッ

迫間「スペードの5は?」

禁書目録「――右から6列目の3段目」

突如として開始された神経衰弱において、銀髪シスターの的中率は100%だった。

美琴「完全記憶能力……?」

迫間「流石は常盤台。このぐらいは知ってて当然か」

高度な『演算』を行い、また『開発』に伴って『脳』の分野への知識に明るい美琴と、
『記憶』という分野において、プロフェッショナルである『生』がその可能性に気付くのは当然の帰結であった。

上条「完全……何だって?」

迫間「完全記憶能力(かんぜんきおくのうりょく)……読んで字の如くの能力だよ。
    『一度見た物を一瞬で覚えて、一字一句を永遠に記憶できる能力』って感じかなぁ」

美琴「言っておくけど、学園都市にある『能力』とは無関係の……時折、普通に確認される体質らしいわよ」

上条「じゃあ、何か? こいつは、10万3000冊の魔導書とやらを全部『記憶』して、持ち歩いてるって事か……?」

禁書目録「言ったでしょ? 勝手に見られたら意味がないって」フフン

確かに、記憶の中にあるのでは勝手に見るのは不可能だろう。それこそ学園都市にいる読心能力者でもない限り。

上条「――でも、記憶力が良いのと、魔術があるかどうかは関係なくないか?」ウーン

美琴「あ……それもそうね」

10万3000冊が嘘なら、魔術師云々も嘘じゃないか? という疑惑だったのだから。

禁書目録「むー! どうして信じてくれないのかな!? 超能力は信じてる癖に魔術は信じられないなんて変なんだよ」プンスカ

上条「まぁ、確かにな」
674 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:50:15.22 ID:57sJx4i6o

禁書目録「大体、超能力者の街なんて言うけど、君達には何が出来るって言うの?」

上条「うーん、俺の場合は学園都市で開発した訳じゃなくて、産まれた時からの天然素材だからな……」チラッ

美琴「な、何よ」

上条「――ここにいる御坂美琴嬢は、学園都市に7人しかいない『超能力者』の第三位であらせられるぞ!」

懐から紋所を取り出して「頭が高い、控えおろう」と言い出しかねない、上条のテンションに美琴が後ずさる。

美琴「ちょ、やめてよ!? そういうの私が嫌だって知ってる癖に!?」///

言いながらも、上条に褒められるのは、それはそれで悪い気がしない美琴である。

禁書目録「よく分からないけど……学園都市で三番目に凄いって事なのかな?」

美琴「もう少し『超能力者』同士の序列は複雑なんだけど……少なくとも『電撃使い』としては、トップよ」

禁書目録「……見せて欲しいかも!」wktk

美琴「そ、そう……? しょーがないわねー」ニヘラ

バチンッ!
675 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:51:32.02 ID:57sJx4i6o

バキンッ!

上条「――って、どうして何の予告もなく、上条さんに電撃かましてんだよ、お前は!?」

禁書目録「おぉー、思ってたよりも凄かった! ……もっと見せて欲しいんだよ!」wkwk

美琴「なら、取っておきの『超電磁砲』を……」スッ

上条「スルー!? つーか、人の部屋で自分の異名の必殺技を出そうとは、どういう了見ですか!?」

何の躊躇も見せずにスカートのポケットからゲームセンターのコインを取り出した超能力者に対し、無能力者から渾身のツッコミが入る。

美琴「……どうせ、効かない癖に」

                 / : : : : : /: : : : : : : /{: : : : : 、〉: `丶、
              /: : :/: : : :///: : :/: : :/:ハ:.: : : :.:トz: : : : :\
                / : : く\ :///: : :/: : :/:/ : : :../: :.:| ヾ: : 丶: :ヽ
             ′: /: :\/ : ! : :/: : :/:/: : : ∨: :|: |  ミ: : i:| ト、|
                : : :/: : | : |: i│: | : -‐/|〜': 八: :L:j、 ミ:::..リ| |
               |: :厶:.: :| : |: i│/| /∨八: : //: :/|/ ∨: :/:,'| |
               | : |/: /:| : |: i八:r斤┬=ミ∨// r=zァi: /j/ j/
                j: :/イ 八: iN  弋(ソ       ヒソ ,ル′
                ,′: : :\ ヽ{   //////////{
           /: : : : : : : :ーzヘ           ′
          /:/: : : : : : : :/                  人
        ∠ /: /: : : : /:/     丶       ⌒^ /:ト :\
             /: : }: /: :/{ | \     >  .._/乂ノ `⌒
         厶∨|/|/八|   ̄二=く : /}: /: /|: :j\>
             / 二ニ=- 、     ∨ j人:/│/
            / _,,二二 _  \     ∧     j/
         / /      \ \__ノ ∧
.        //    ̄ ̄   \ \  \

上条「うぐっ」
676 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 10:53:40.57 ID:57sJx4i6o

禁書目録「ところで、学園都市で三番目の人の能力を防いでる、そっちの君は何者なのかな? 一番か二番の人?」

迫間「(第一位は、こんなにアホっぽくないじゃん)」

上条「いや、どっちかと言えば、下から数えた方が早いんだけど……」

自分の能力を誰かに懇切丁寧に説明する、という経験に乏しい上条は、つい言い淀んでしまう。

美琴「学校の成績も?」ププッ

迫間「座布団一枚!」ケラケラ

上条「そこ、五月蝿い」クワッ

美琴&迫間「はーい」

上条「えっとな、この右手なんだけど」

禁書目録「うん」

上条「この右手で触ると……それが異能の力なら、原爆級の火炎の塊だろうが、戦略級の超電磁砲だろうが、
    神の奇跡(システム)だって打ち消せます、はい」

美琴「(改めて、引き合いに出されるとムカツクわね……)」

禁書目録「えー?」

返ってきた反応は、幸運のミラクルストーンの通販を見ているような猜疑的なものだった。

美琴「前に『右手』の話を聞いた時にも思ったんだけど……」チラッ

美琴が迫間へと視線を向ける。『安達生』から上条の右手の話を聞いた時の事を思い出しているようだ。

美琴「――そのインチキ商品の煽り文みたいな説明は、どこから出てきた訳?」

上条「さぁ……?」


――そういうものだ、と認識しているというか……知っている、というか……?


美琴「こんな奴に私は手も足も出なかったのか……」ホロリ
677 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:01:09.74 ID:57sJx4i6o

禁書目録「神様を信じていなさそうな人に神様の奇跡も打ち消せるとか言われても、説得力がないんだよ」

上条「魔術が使えないけど、魔術はあるとか言う、インチキ魔法使いにも説得力はないけどな」

禁書目録「い、インチキじゃないもん! ちゃんと魔術はあるだもん!」

迫間「……なんか見せてやればいいんじゃないか?」ヤレヤレ

禁書目録「分かった! 見せる! これ、この服!」

美琴「服?」

禁書目録「この修道服は『歩く教会』っていう、極上の防御結界なんだから!」

迫間「おっと、防御結界ときたか……」キラキラ

ロマン溢れるフレーズに迫間の目は輝くが、それとは対照的に

上条「何だよそれ……先刻から専門用語ばっかり並べやがって。本気で説明する気あるのか?」

イマイチ理解が追いつかないのか上条は呆れ顔だ。

禁書目録「本気で理解する気のない人に言われたくないかも! だったら、台所にある包丁で私を刺してみればいいんだよ!」

上条&美琴&迫間「「「いやいやいや!?」」」

禁書目録「信じてないね? これは『教会』として必要最低限な要素だけを詰め込んだ『服の形をした教会』なんだから。
       布地の織り方、糸の縫い方に刺繍の飾り方まで……全てが計算されているの。包丁程度じゃ、傷一つつかないんだよ?」

美琴「説明されたって、刺す訳ないでしょ……」

迫間「城とか教会が擬人化するラノベがあったなー」モンサンミシェルマジシスター

上条「お前は、信じてるのか信じてないのかどっちなんだよ……?」
678 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:02:33.77 ID:57sJx4i6o

禁書目録「とことん馬鹿にして……。
       これはトリノ聖骸布――神様殺しの槍に貫かれた、聖人を包み込んだ布地を正確にコピーしたモノだから、強度は法王級なんだよ?」

迫間「えーっと……核シェルターみたいな感じか?」

禁書目録「そう。物理、魔術を問わず全ての攻撃を受け流し、吸収しちゃうんだから。
       それこそ、原爆級の火炎の塊だろうが、戦略級の超電磁砲だろうが平気なんだよ!
       これがあるから、私だって無事に逃げ回っていられるんだしね」

美琴「――ほう?」

上条「……おい、御坂。まさか本気で超電磁砲を……?」

美琴「アンタは私を何だと思ってるのよ……確かめるだけなら、こんなモンで充分でしょ!」ビリッ

強めの静電気程度までに加減された電撃がインデックスの腕を目掛けて放たれる。

禁書目録「〜〜〜♪」

美琴「うそ、効かない……?」ビリビリッ

再び、電撃を放つ。今度は少し強めに。

禁書目録「ふふーん♪ 何かしたのかな〜?」

美琴「……ちょっと、アンタも右手を試しなさいよ」ムカッ

上条「え、俺も? ……御坂の電撃を防いだ時点で、割と納得したんですが」

毎度、電撃を浴びせられていた身としては、アレの危険性は重々承知している訳で。
少なくとも、インチキ魔法使いに防げるレベルの能力ではない事は確かなのだ。

美琴「そう簡単に防がれてちゃ、こっちだって悔しいんだから! 
    アンタの右手が有効なら、アンタが異常って事で自分を納得させられるじゃない!」

上条「何を言ってるんだ、お前は……」

どうやら美琴は『私の電撃を防いだって、結局はアイツの右手には勝てないんじゃない』という結論へと着地させたいらしい。

禁書目録「どんな挑戦だって、受けて立つんだよ?」フンス

美琴「ほら、やってみなさいってば!」グイグイ

上条「お、おい、御坂……」
679 :そのフラグをブチ殺す! [saga]:2011/04/08(金) 11:04:58.76 ID:57sJx4i6o

迫間「――ちょい待ち」ガシッ

上条の右手が、インデックスの肩にかかる寸前、迫間は上条の手を掴んで引き止めた。

上条「生?」

迫間「上条の『幻想殺し』って……能力で作った物は、どうするんだっけ?」

上条の能力に関しては御坂との決闘を見たのと、安達からの又聞きでしか知らないので、改めて本人に確認を取る。

上条「能力で作った物? ……消える、かな」

迫間「能力の効果を受けてる……もしくは、能力で操ってる物は?」

上条「操って……?」

美琴「……私の砂鉄の剣は、強制的に砂鉄に戻されたけど」

上条「あぁ、そういう意味なら……能力の効果を受ける前の状態に戻す、だな。
    補足すると、空間移動とか精神操作系は、効果範囲が右手を含むから、そもそも効かないと思うぜ」

迫間「――つまり、こういう事か?」

ここまでの情報を能力から魔術へと置き換えてみる。

さらに多くの方にも分かりやすいようにドラクエ的に言えば。

@ギラ等の攻撃呪文→右手で消せる。
Aスカラ等の効果がかかった装備→右手で触れば術の効果が消える。
Bルーラ等を上条にかける→右手が効果範囲なので、無効化。
Cマジックアイテムor魔法の法衣等の魔術によって作られた装備→???
680 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:06:26.64 ID:57sJx4i6o

上条「……まぁ、そんな感じかな」

美琴「自分の能力の話なのに、どうしてそんなに曖昧なのよ、アンタは」

上条「だって、身体検査でも『無能力』判定なんだから、詳しく調べようもないしなぁ……今の説明だって、経験則? みたいなもんだし」

迫間「まぁ、それは置いといて……問題は、先刻の『歩く教会』の説明なんだが」


これは『教会』として必要最低限な要素だけを詰め込んだ『服の形をした教会』なんだから。
布地の織り方、糸の縫い方に刺繍の飾り方まで……全てが計算されているの。


美琴「この場合……『歩く教会』はCのケースよね? ――あぁ、なるほど」

自分の能力で言えば……砂鉄の剣ではなく、雷撃の槍のパターンが適応される可能性が高い。
『戻される』のではなく、『消滅』させられる訳だ。

上条「つ、つまりどういうことだってばよ?」

迫間「つまり、『魔術がかけられた服』なら術が消えるだけかも知れないけど、『魔術で出来た服』なら、服ごと木っ端微塵なんじゃね?」

禁書目録「えぇ!?」ビクッ

明確に『可能性』を示されて、半ば『やれるものならやってみろ』な気分で頭に血が上っていたインデックスの表情が青くなる。

上条「(え、もしかして……素敵イベントのチャンスだった?)」


――想像してみる。


触る→脱げる→見る→???


          ,.<: : ̄:ミ: 、    /{/
         /;、 . . ./: : : :}ヽ.  /¬/
        ノ/V/:ィイ/ , /小: :'.  ___
       /イ:{/ル'(\|:イムイ}小}  `7└―
         /:人{_ ゙`´ `ー''/N     ̄ ̄
       ノイ从人./⌒マ} 八{  \ 、
       ,.イ ̄〈 `≧ァ<:}:ノ   <く
       ハ .   `《 {。V  「}     \           ,、 /|
     / ハ∨  l Y〃i V,ハ            |\|ヽ./:::V:::l  .ィ
    く\ ノ }'   | ∨《ワ }ー, ヽ,          ト、j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|/:./,..ィ
  /  >、7!    ' ′ / /__/∧        ト..ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:...:.:.:./:..厶..ァ
 〈   〈    {   {ノ   ' / `ーく,  ',     <..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:...:.:.:.:.:::::<_
.  ヽ. ヽ  rヘ、 j′ __,} {.   /  /     ヽ ̄.:.:....:.:...:..::::::.:.:::.:.:.::::::::...::::::::::::<
    \ v┴v 丁≧ =i┴ュ./  /     <`.:.:.:.:.:.:.::..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::弋_
      `{ 三ア_{.__ ≦}〈r,ニi./      ≦.:.:..::.:::::::::::::::::::::::>一 、::::::::::::≧z
      `7i´ー----┬ ‘〒’       /.::く}イ::::::::::::::::::/__≦二_ \::::ト\
     /.::′:.:.:.:.:.:.:.:.:|i:.:.:.:.ト,       ̄ノィ:ヘ}イ:/j斗≦ ´ --  _`ーヽト
    /..::i|:.:.:.:.:.:|i:.:.:.:.:.l:l:.:.:.:.i:ヽ        /ィ> ´             `ミ 、
.   〈 .:.:i:|:.:.:.:.:.:|l:.:.:.:.:.:|:l:.:.:.:|:_:〉      /                        \
     `i< __j:|___/┴ 「         i   \                     \
      |    | |    |           |    ヽ-―   ¨¨¨¨¨¨ 丁 丁¨¨  ‐-ヽハ
     |     | l    l          |     丶 i        |  |      } i|


上条「(あれ? 御坂に説教される理不尽な未来しか想像できないのは、何でだ?)」
681 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:07:53.07 ID:57sJx4i6o

迫間「それで、シスターのインデックスさん的には『異性に素っ裸に剥かれる』リスクを背負ってまで、
    上条の右手が『魔術』に通用するか試したいー?」

禁書目録「え、遠慮するかも……」ソソクサ

美琴「ちょ、何で私の後ろに隠れるのよ」

禁書目録「だ、だって……」

美琴「――とりあえず、アンタはこの子に近づくの禁止ね」

上条「あ、扱いが酷い!?」

美琴「この子に指一本でも触れたら、警備員に通報するから」ビシッ

上条「俺が捕まんのかよ!? 不法侵入のインデックスじゃなくて!?」

美琴「けど、裸云々は別にしても、その『魔術』が消えただけでも大変なんだから、触らないように気を付けてあげなさいよ」

未だに『魔術結社』等の話は信じきれないが、それでも『歩く教会』の防御力の御蔭で捕まらずに逃げまわっていられると言うのであれば。
彼女にとって、『歩く教会』が破壊される事などあってはいけないし、そうなれば捕まるのも時間の問題になってしまうかも知れない。

上条「いや、そもそも……『右手』を試せって言ったの御坂じゃねーか」ゲンナリ

美琴「うっさいわねぇ……それとも何? そんなにこの子の裸が見たいの?」ギロッ

上条「ば、馬鹿言え!? こんな起伏に乏しいガキの裸見て興奮する程、上条さんは落ちぶれては――」ハッ
682 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:09:05.68 ID:57sJx4i6o

迫間「(馬鹿だ、ここに馬鹿がいるじゃん!)」

禁書目録「…………」ギラッ

上条「あのー、シスターさん? そんなに歯を剥き出しにして、どうなさるおつもりで……?」

敬虔で、心の広い修道女にだって許せない言葉はあるのである。

美琴「…………ふーん」バチンバチン

上条「そして、何故に御坂さんまで前髪から雷を迸らせておられるのでしょうか……?」

日頃から、黒髪ツインテールの後輩に『自己主張の弱い』『慎ましい』等と好き放題に言われている美琴としても、上条の発言は看過出来ない。

そして、何よりも。

女には、主義主張や立場を超えて手を取り合わなければいけない時がある。

上条「お、落ち着け二人とも……れ、冷静に話を―――っ!?」


――乙女の繊細な心を傷つけた、悪逆の徒へ正義の鉄槌が下される。


ガブガブッ!!!

ビリビリイ!!!

ヤーメーテー!?

ゲラゲラ
683 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:19:41.37 ID:57sJx4i6o

〜五分後〜



美琴「あー、なんかスッキリしたー!」ツヤツヤ

禁書目録「天誅なんだよ」フンス

上条「」Ω\ζ°)チーン

美琴&禁書「「☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ」」

黒焦げで煙を上げる上条を尻目にハイタッチをしだす美琴とインデックス。

上条「……不幸だ……」ボロッ

噛みつきと電撃の複合コンボを喰らい、上条当麻は満身創痍であった。
しかも、下手に右手で防げばインデックスの『歩く教会』を破壊してしまう恐れがあり、実質されるがままだったので、普段よりもダメージが酷い。

迫間「口は災いの元じゃん」ワライスギテハラタイラサンニサンゼンテン

上条「照れ隠しだったんだ……別に地雷を踏むつもりはなかったんだ……」ヨロッ

迫間「――思うんだが、お前の不幸の半分ぐらいは要領がよければ防げないか?」

『安達生』とは違って、付き合いの長い友人ではない『迫間生』だからこその客観的な意見である。

上条「言わないでくれ……時々、自分でもそう思うんだから……」グスッ

禁書目録「今の失言は別にしても、君の『右手』に『異能の力』を消し去る力があるなら、不幸なのは納得かも」

上条「――へ? ど、どういうことでせう?」

禁書目録「少しはこっちの世界の事を信じてくれたみたいだから、教えてあげるんだけどね?」

上条「」(;゚д゚)ゴクリ…

禁書目録「神様の加護とか、運命の赤い糸とか……眼に見えないけど、世界にある不思議な力……
       『幸運』なんかも、君の右手は手当たり次第に消してしまってるんじゃないかな?」
684 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:21:48.02 ID:57sJx4i6o

上条「――――つまり、あれですか」

禁書目録「君の右手が『空気』に触れているだけでも、バンバン不幸になっていくって訳だね♪」

上条「ぎゃあぁあああああああああああああああああ!! ふ、不幸だあぁぁあああああああああああ!!」

迫間「うわぁ……」

何と表現すればいいのか……要するに『これはひどい』。

美琴「」ポン

絶望の声を上げる上条の肩に美琴の手が優しく置かれた。

上条「みさか……」ウルウル

美琴「い、一杯食べて元気だそうよ!」

上条「ちくしょおおおおおおおおおおお!! 無理して同情すんなあああああああああああああ!!」

それに美琴が作った朝食の残りどころか、冷蔵庫に中の腐りかけまで、インデックスの胃袋の中である。

迫間「(今、もっと良い言葉を掛けてたら……上条の奴、御坂に惚れてたんじゃ……)」

禁書目録「お腹いっぱい食べさせてもらったし……私はそろそろ行くんだよ」クスクス

インデックスは小さく微笑むと、身体と修道服を翻して、トテトテと玄関へと向かった。

上条「……どこか行くアテでもあるのかよ?」

迫間「追われてるなら、下手に動きまわるよりも、何処かに潜伏してた方がいいんじゃないか? 汚いけど、こことか」

美琴「確かに魔術師?とかいう連中がうろついてるなら、大人しくここにでもいたら? 汚いけど」

上条「お前等……汚い汚い連呼しやがって……えっと、汚くてもいいなら、ここに居てもいいんだぞ?」

禁書目録「――ここにいると、『敵』が来るから」

インデックスは、三人の申し出を断ち切るように告げる。
685 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:23:45.42 ID:57sJx4i6o

上条「敵って……何で、断言できんだよ?」

禁書目録「この服……『歩く教会』は、魔力で動いてるからね。それを元に探知をかけてるんだよ」

そんな、動く発信機のような服を着続けているのは、やはり『歩く教会』の防御力が必要だからなんだろうか。

禁書目録「でも、教会まで行けば匿ってもらえるから」

美琴「教会までって……アンタ、不法侵入なんだから……学園都市の土地鑑なんてある訳ないわよね?」

しかも、風紀委員や警備員の力は頼れない。
彼等の役目は『学園都市の風紀と学生』を守る事で、『外部から侵入者』を助ける事ではないのだから。

つまり、事実上の孤立無援で、インデックスは見知らぬ科学の街で魔術師から逃げおおせなければいけない。

禁書目録「まぁ、でも私が所属している教会の支部さえ見つければ、それで済むから」

上条「はい、そうですかって……お前を放り出せって言うのかよ?」

禁書目録「……、じゃあ。私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

上条「――っ!」

美琴「アンタ……」

迫間「…………」チッ

その辛すぎる笑顔に上条だけでなく、迫間と美琴も言葉を失った。

優しい言葉に隠された、どこまでも優しい拒絶。

――こっちくんな。
686 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:24:40.06 ID:57sJx4i6o

禁書目録「それじゃ。ご飯、ありがとね? すっごく、美味しかったんだよ。――さようなら」

美琴「ちょ、ちょっと!」

インデックスの姿が、玄関のドアの先へと消える。

消えてしまう。

上条「っ!」ダッ

追った。

何が出来るか分からないのに。

ただ、見送ることだけはしたくなかった。

上条「おい! 何か困った事があったら、また来て良いからな!」

それなのに、そんな事しか言えなかった。

禁書目録「うん。おなかへったら、またくる」ノシ

笑顔で手を振るインデックスを、ドラム缶のような形状の掃除ロボが追い立てていく。

禁書目録「ひゃい!? な、何これー!?」ワタワタ
687 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:26:05.64 ID:57sJx4i6o

美琴「――良かったの?」

後ろから、気遣うような声。

上条「……何が?」

美琴「……ゴメン、何でもない」

上条「そっか。――さてと、俺も補習に行かねーとなー」

美琴「うわ、夏休みの初日から? 普段の頑張りが透けて見えるわね」

上条「どうせ、上条さんは落ちこぼれですよ……生、補習は?」

迫間「いや、『俺』は無いけど」

ちなみに、これは『安達生』に代わっての発言である。

上条「うそっ!? 何でだよ!?」

迫間「それこそ、普段の頑張りの差じゃねーの?」

とりあえず、そんな風に答えておく。

……迫間の学生時代もそうだったが、何故か生達は遅刻が多い。
勿論、色々な諸事情があっての事だが。

だがver.3の安達の場合、学業に関する知識も百数十名分の『結果』が蓄積されている。
いくら遅刻を繰り返していても、成績自体は補習を喰らう程に悪くはないのだ。

上条「くそぅ……裏切り者め……」

美琴「なっさけないわねー……じゃ、私は帰るから」クスクス

上条「……アリガトな、今日は。いや、今日もか」

美琴「――だ、だから、昨日のお詫びであって、別に他意は……」///

迫間「あの、人の目の前でイチャイチャしないでもらえます?」

上条&美琴「「イチャイチャなんかっ!」」

奇しくも、台詞が重なってしまった。それはもう見事に。

美琴「あうぅ……」///

上条「――行ってくる……」///
688 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/08(金) 11:31:00.75 ID:57sJx4i6o

迫間「ったく……これだから、若い連中は……」

肉体年齢は別にしても、感覚的に10年前に高校生をやっていた迫間からすれば、上条と美琴の初々しさは羨ましく思える。

迫間「――さてと、俺も動きますか」

一人残された迫間は、二人の姿が見えなくなったのを確認すると、携帯を取り出し、短縮に登録された番号へかける。

迫間「御坂美琴(オリジナル)の周辺を哨戒中なのは誰だ?」

???『私、ミサカ00013号ですが。……何か御用ですか?』

迫間「13号か……ちゃんと、聞いていたな?」

――幸いだった。

学園都市の中で活動中の『妹達』の中でも彼女は特に『優秀』だ。

00013号『えぇ、それも仕事の内ですので』

迫間「インデックスの居場所は分かるか?」

00013号『スコープ越しですが、追跡(トレース)は万全です。と、ミサカは掃除ロボに追い立てられる銀髪シスターを照準に捉えます』

迫間「頼むから撃つなよ? 絶対に撃つなよ?(狙撃体勢に入ってる時は口癖でるんだよな、コイツ)」

00013号『それは俗に言う『振り』ですか? と、ミサカはお笑い芸人的な発想で聞き返します』

迫間「…………」

00013号『謝りますから、無言は勘弁して下さい。と、ミサカは迫間さんに許しを請います』

迫間「――今から追いかけるから、場所を教えてくれ」

00013号『――了解しました。依頼料はスイス銀行に頼む。と、ミサカは既に仕事の完了後を見据えます』

迫間「大丈夫かな、コイツら……」

蘇生されてから、個性の成長の方向性が斜め上に突き抜けている気がした。

だが、今はそれよりも。

――サヨウナラ……

迫間「嫌な事、思い出させやがって……あの腹ペコシスター」ギリッ

……放っておける筈が無かった。
689 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/04/08(金) 11:41:08.51 ID:57sJx4i6o

キリがいいのと、この辺の書き溜めがなくなったので、ここらで少し間が開きます。

結局、歩く教会は破壊しない方向でいきます。
やったね、インデックス!出番が増えるよ!

これはアレですね、右手を美琴に左手をインデックスに塞がれてしまうというフラグ……?

俺が言うのも変だけど爆発すればいいのにwwww
若干、上条さんの扱いが酷い(ギャグ的な意味で)のは、その発露かもしれません。

だって、リア充爆発しろ言われても、生達を爆破したって無意味というか、むしろ連中は率先して爆発しやがるし……強化して復活するし。

690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 11:43:50.32 ID:f9D6X6uro
乙乙
生さんと妹達サポートあると妙な安心感があるなww
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/08(金) 12:06:40.99 ID:ZABCl5D40

いつも楽しみにしてます
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/04/08(金) 13:52:10.87 ID:OX7PryKAO

色々と頑張ってください
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/08(金) 20:03:48.53 ID:2WxRgN0a0
しかし歩く教会があると首輪及びヨハネのペン破壊ミッションの難易度が更に跳ね上がる気がするお
694 :230 ◆oz03iqub3Kh9 [sage saga]:2011/04/08(金) 20:41:26.73 ID:1z/ym+Hx0
ペンデックスになる前にスク水でも着せとけばいいんじゃね?
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/08(金) 20:43:06.17 ID:1z/ym+Hx0
ごめん、トリ消すの忘れてた。すまぬ。
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/09(土) 00:50:21.53 ID:TwwtZ6NOo
        (゚∀゚ )
        (| y |)  ……、じゃあ。


        ( ゚д゚)
        (| y |)  私と一緒に


        (゚д゚ )
        (| y |)  地獄の底まで


        ( ゚д゚ )
        (| y |)  ついてきてくれる?
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/04/09(土) 00:57:58.60 ID:2JJMQR6x0
お前がついて来やがれー!
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/04/11(月) 23:34:34.22 ID:4TWhVsOU0
何故かファイナルベントという単語が頭に浮かんだ
何故だ
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 23:40:49.19 ID:D42sAI9+0
>>698
お前が龍騎大好き人間だからだ
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 23:45:29.60 ID:zjHEdLIDO
多々買わなければ生き残れないッ!
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/04/13(水) 09:31:33.71 ID:Z0idIYOg0
余震で書けないんだろうな…
気長に待つぜ!
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/04/17(日) 01:05:05.63 ID:NXv+eZfro
回線復旧してないのか
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/22(金) 01:42:22.91 ID:7/nYK5890
>>1は大丈夫なのか!?
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/25(月) 23:00:42.90 ID:1pWFLVuU0
携帯からでもいいから無事かどうか知りたいね・・・
まぁ、その状況にないんだろうが・・・
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/25(月) 23:56:04.01 ID:KSOxcj2oo
日本にはな、便りの無いのがいい便りって言葉があってだな、
つまり>>1よ生存報告くれって事だ
706 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/04/26(火) 18:04:22.44 ID:73CmT3HFo
>>1ですが、ちょっと忙しくて中々来れずに心配おかけしました。
余震きてるけど、震度5程度ではビビらなくなってきました。慣れって怖い。

ちょっと喉痛めたので、明日は休みって事にして午後2時くらいに投下しに来ます。
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/26(火) 18:08:28.50 ID:MHhcRVlno
ご無事で何より
更新楽しみにしてますね
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/04/26(火) 20:28:02.86 ID:yhRKCCXWo
待ってた、待ってる
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 20:50:25.20 ID:TP5Bk6MIO
よかったー
あさっての午後2時でおk
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 20:56:12.71 ID:w2tfwWPqo
超待ってる
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/27(水) 00:06:29.17 ID:wlnFIrMO0
生きてたー!
無事で何より。いつまでも待ってるぜ!
712 :とある複製の妹達支援 [sage saga]:2011/04/27(水) 13:16:54.30 ID:3MZrhNkZo
学園都市・第七学区


【AM 10:35】


固法「」ピッピッ

昨晩の停電から未だに復旧していないのか、大通りでは風紀委員が交通整理を行っていた。

美琴「(固法先輩、仕事を増やしてゴメンなさい……)」コソコソ

心の中で謝罪しながらも姿は見られないように、こっそりと移動する。

普段のように不良を返り討ちにした余波での停電なら美琴だって気にしたりはしないのだが、流石に今回はそうもいかない。

美琴「(インデックスが学園都市に来たのだって、遠因は私にある訳で……)」

それで彼女の逃亡が有利になったのなら、少しは救われるが――

美琴「(けど、魔術結社って……)」

だが、彼女を追った『魔術師』とやらも学園都市に侵入しているとすれば大問題だ。

美琴「(結局、情報もスカったし……あ、アイツには変な場面を見られるし……)」

どうも全ての行動が裏目に出ているような、そんな気分にすらなってくる。

美琴「(まぁ、でもあの爆弾魔が『幻想御手』を使っていたなら、今頃は警備員の取り調べで何か分かって――)」

シュン

美琴が横断歩道を渡り切ろうかという時、目前の空間から突然、一人の少女が現れた。

黒子「あ、お姉様!?」

美琴「黒子?」

黒子「ナイスタイミングですの!」グイッ

何か焦るような様子を見せる黒子は、美琴の手を取って、再びテレポートを行おうとする。

美琴「ちょ、ちょっと! どうしたのよ!?」

黒子「――問題が起こりましたの!」
713 :とある複製の妹達支援 [sage saga]:2011/04/27(水) 13:18:27.67 ID:3MZrhNkZo

学園都市・第五学区


【AM 10:40】


〜アクメツクローンプラント〜


黒子と美琴が、とある病院へと向かっている頃――プラントにも同様の報がもたらされていた。
情報を送ってきたのは警備員として活動中の風見生。情報を受け取ったのはプラント常駐組の早坂や烏丸である。

生(早坂)「――介旅初矢が意識不明?」

生(烏丸)「ん? 誰だ、それは」キョトン

生(風見)『例の虚空爆破事件の犯人じゃん。ウチの支部で聴取をしてたんだが……取り調べの最中に突然、倒れた』

モニターに表示される風見の表情は困惑そのものであった。

生(早)「……まさか、新倉や藤崎が脅かしすぎて……心因性で、とか?」

生(風)『いやいや、変装なしで俺が取り調べすれば、そうなるかも知れないけどさ……取り調べを担当したの、俺じゃないし』

生(烏)「それで、その介旅はどうなったんだ?」

生(風)『近くの病院に搬送されたじゃん――状況が状況だから、新倉にも伝えてくれ』

生(早)「――『幻想御手』の副作用の可能性か」

もしも、『幻想御手』の副作用による昏睡ならば、その危険は新倉生……そして、佐天涙子にも迫っている可能性がある。

生(烏)「やれやれ、今日は忙しくなりそうだな……」

そんな一言と共に、烏丸は『新倉』がいるであろう、部屋の天井……そのさらに上を仰ぎ見た。
714 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:20:22.83 ID:3MZrhNkZo
同時刻


〜筋ジストロフィー研究センター 隠匿区画〜


絶対能力進化計画に参加している研究施設には、一般には知られていない区画が存在する。
そこで『妹達』の調整や『実験』が行なわれているのだが、今日は違った。

生(新倉)「眠い……頼む、布束さん……俺を寝かせてくれ……」

布束「well なら最後にもう一度、能力強度を調べて終わりにしましょうか」

生(安達)「ってか、昨晩から付き合わされてる俺も、既に限界じゃん……」

行なわれているのは、『妹達』用の能力強度を調べる施設を利用しての、新倉生に発現した能力の調査だった。

布束「――気にならないの? 何故、学園都市で開発を受けていない新倉さんに能力が発現したのか」

生(安)「まぁ……2年近く、学園都市で無能力者やってる身としては、少しは気になるけどな」

だがそこには、疑問はあっても嫉妬はなかった。

生(新)「どうしてだろうな? DNAレベルで同一の個体なんだから『妹達』の事を考えれば……」

新倉生に能力の『才』があるのなら、他の生にも同様の素質が眠っていても不自然ではない。

芳川「それを踏まえると、興味深い研究テーマね。
    キミ達の『オリジナル』の問題なのか、それとも『自分だけの現実』の問題なのか」

――それとも、それこそが『幻想御手』の効果なのか。

生(新)「(オリジナル……神宮路、か)」

自分達の根源(オリジナル)は、パーフェクトONEだと生達は思っているが、それは彼のように生きたいという願望に近い。
実際には、稀代の悪党で狂人の神宮路がオリジナルだと、正確に理解している。

生(新)「(……流石に能力の才能まであったとも思えないが)」

元になった人間が、無能力者か、超能力者かの違いだろうか。

――ふと、何かが意識の端に引っ掛かったが、眠気の所為か、ハッキリとしない。
715 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:22:27.38 ID:3MZrhNkZo

芳川「――特に体調の変化はないんでしょう?」

生(新)「強いて言うなら、すごく眠いじゃん」

布束「少し、脳波に乱れがあるけど……発現の影響……かしら」

生(新)「ん〜〜? その所為かなぁ?」

生(安)「何が?」

生(新)「どうも、能力の使い勝手が変というか……不完全燃焼してるみたいというか……発火能力だけに」

芳川「確かに強度(レベル)の測定にも、ムラが出てるようだけど」

布束「他のデータを見る限り、最低でも強能力(レベル3)相当の筈なのに……肝心の能力の出力が低いみたい」

さらっと挟んだギャグも、研究者肌の二人には軽く流されてしまった。

安達「演算能力に問題がある、とか?」

芳川「その可能性は低いわね。
    元々、『アクメツ』として複数の人間の記憶や知識が統合されているキミ達は、その手の計算力も上がっているもの。
    能力に対して『不慣れ』という事は考えられるけど、決して演算能力が低い訳じゃない」

生(新)「もっと、何か出来そうなんだけど、それが何か分からないんだよな……」メラメラ

溜め息を吐きながら、新倉は手の中で炎を弄ぶ。

生(安)「観測と演算に問題がないなら、色々と試してみれば、そのうち調子も出てくるんじゃないか?」

生(新)「そうか〜?」

芳川「時間はあるんだから、自分の能力の名前でも考えたら? どうも普通の『発火能力』とは毛色が違うみたいだし」

生(新)「え、能力名って自分で考えんの?」

布束「大概は、既存の能力との対比や、能力特性を元に研究施設なんかで付けてもらうケースが多いのだけど……」

芳川「キミの場合、『書庫(バンク)』への登録は難しいから、好き勝手に名前を付けていいんじゃない?」

生(安)「確かに俺と違って学生の身分がある訳じゃないし、『安達生』として登録するのも問題だもんな」

生(新)「うわっ……そうなると、どんな名前にするか悩むな……」

悩むと言いながらも、その表情は輝いていた。
特撮、ヒーローアニメ等をこよなく愛する生達にとって、この手の思案は大好物である。

布束「――その前に検査」

楽しそうに名前を考え始めた新倉に布束から釘が刺された。

生(新)「」(´・ω・`)ショボーン

新倉生の能力に名前が付くのは、まだ少し先らしい。
716 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:26:22.46 ID:3MZrhNkZo

【AM 10:45】


〜水穂機構病院〜


黒子「――このようなケースは稀なのでしょうか?」

病室で寝かされている介旅初矢を横目に黒子は担当の医師に問いかけた。

医師「稀少だった、と申し上げるべきでしょうか。
    つい先日までは、私もこのような症例は診たことがありませんでした」

美琴「それって、つまり――」

医師「――ええ。今週に入ってから、同じ症状の患者が次々に運ばれてくるようになりました。
    他学区の病院でも状況は一緒で、対応に追われているのが現状です」

運ばれてきた患者たちのカルテを見ながら言う医師には疲労感が滲んでいた。

美琴&黒子「「!」」

そのカルテを後ろから覗き見た二人は、そこに自分達の知っている学生達がいるのを確認した。

美琴「(いつぞやの眉毛の子に、この前の銀行強盗犯まで……)」

黒子「あの、これまでに患者が回復したケースは?」

医師「今のところは、一例もありません。
    学園都市最高の医療技術を持つ、冥土帰し(ヘブンキャンセラー)ですら、苦戦を強いられているそうですから……」
717 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:27:15.77 ID:3MZrhNkZo

美琴「新種の伝染病とか?」

医師「ウィルスは検知されていませんし、二次感染も確認されてませんので……その可能性は低いでしょう。
    ただ、意識不明者の間で何らかの共通の要因があるのは、間違いないはずです」

美琴「(まさか、これも幻想御手が……?)」

黒子「(情報不足ですから、今のところは何とも言えませんの……)」

医師には聴こえないように二人は小声で相談する。

黒子「――ですが、仮にそうだとするなら事態は深刻ですわね」

医師「情けない話ですが、当院の機材やスタッフの手に余る事案ですので……外部から大脳生理学の専門チームを招きました」

コツ…コツ…

???「――お待たせしました」

背後からの声に各々が振り返り、その声の主を正面に見据える。
複数の研究員らしき男達の先頭に見覚えのある女性が立っていた。

美琴「あれ?」

黒子「あら?」

???「水穂機構病院院長から招聘を受けました、木山春生です」

美琴「あなたは……」

そこにいたのは、7月17日に遭遇した『脱ぎ女』であった。
718 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:31:39.42 ID:3MZrhNkZo

学園都市・第一〇学区


【PM 1:15】


〜とある教会〜


禁書目録「…………」トボトボ

教会から暗い顔をして出てきたインデックス。

迫間「おかえり」

そんな彼女に門の前で待っていた迫間が声を掛ける。

禁書目録「……ただいま」ショボン

上条の家で別れた後、迫間はミサカ13号のサポートを受けながらインデックスを追いかけ、合流を果たしていた。
最初、「迷惑を掛けたくない」と迫間を拒むインデックスを強引に納得させ、今は教会巡りの最中である。

迫間「ここもハズレか?」

禁書目録「……うん。ダメだったんだよ」

――これで、五軒目だった。

教会の外観の時点で、インデックスが「ここは違うんだよ」と言って、入りもしなかった教会を数えれば既に二桁台だ。

迫間「学園都市で、唯一墓地のある学区だから期待したんだが……」

禁書目録「ゴメンね? 付き合ってもらってるのに……」

迫間「それは別にいいんだけど……やっぱり、イギリス清教式の教会自体が少ないのか? 
    確か、ローマ正教の世界支配から脱する為の教会なんだろ?」

禁書目録「……妙にこっちの事情に詳しいんだね、しょうって。
       まぁ、ここが科学の街なのも影響しているとは思うけど……旧教三大宗派とは言っても、まだ規模は小さいからね」

迫間「地震国だから、古い建物の現存率も低いからなぁ……」

溜め息を吐きながら、耳に付けたピアスを軽く弾いた。
719 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:32:48.39 ID:3MZrhNkZo

ここまで第九、一二、一四、一九学区と教会のありそうな学区に狙いを絞って見て回って来たが、
インデックスの求める『イギリス清教式の教会』の発見には至らなかった。

禁書目録「ねぇ、もう付き合ってくれなくてもいいんだよ? これ以上は本当に……」

迫間「地獄の底まで、ってか?」

禁書目録「そ、そうなんだよ! 酷い目に遭うかもしれないんだよ! いいの!?」ガオー

迫間「あー、はいはい。怖い怖い」ナデナデ

禁書目録「ばっ、馬鹿にしてる!?」

迫間「してる」

禁書目録「むきー! しょうは嫌な奴なんだよ!」ポカポカ

迫間「はははっ! 当たらん! 当たらんよ!」サッサッ

抗議のグルグルパンチを華麗に避けていると――

キュルルルル

――静まり返った街に小さな自己主張の音が。

迫間「…………」

禁書目録「あぅ……」///

迫間「もしかして、お腹減った?」

禁書目録「」コクリ

中途半端な時間だったが、上条の家でそれなりに食べた筈なのだが。
720 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 13:34:47.71 ID:3MZrhNkZo

迫間「うーん、どうするか……」パチン

財布を取り出して、中身を確認する。

ちなみに第一〇学区は、学園都市でも特に治安の悪いエリアである。
当然ながら、インデックスを待っている間に迫間も馬鹿な不良に財布を狙われたりした訳で。

……つまり、どういう事かと言うと。

お腹を空かせた修道女を満腹にするのが容易なぐらい、迫間の軍資金は潤沢だった。

――尊い寄付に感謝せねばなるまい。

迫間「第七学区に戻って、何か食べるか」スタスタ

禁書目録「う、うん!」トテトテ

お腹の音に関して、深く触れないでくれたのは嬉しかった……乙女としては。

迫間「……そういえば」

禁書目録「なに?」

迫間「腹の音、意外と可愛いじゃん」ニヤニヤ

禁書目録「――やっぱり、しょうは嫌な奴かも」

迫間「イメージ的には……」

グルグルチュドーン

迫間「――とか」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・・

迫間「――みたいのを想像してた」

721 :とある複製の妹達支援 [saga ]:2011/04/27(水) 13:35:54.95 ID:3MZrhNkZo

禁書目録「な、なんてことを言うのかな!? なんか、それ既に人間から出る音じゃないよね!?」

迫間「いやいやー? インデックスさんの腹ペコっぷりなら妥当ですよ?」

禁書目録「むー!」プク-

迫間「そう、むくれるなって……腹一杯食べていいから」

子供が腹一杯食べられる世の中であって欲しいと願う。
目の前にいるのは、節制すべき修道女だが。

禁書目録「そ、そんな事で許してもらえると思ってるのかな!?」ウキウキ

迫間「デザートにアイスも許可しようかなぁ〜?」

禁書目録「――神は貴方を許しました」パアアアアア


         _人_     /     / x. ,.ろ  ,/ + ,rく、 ノ' /´ヽ     ヽ  __j__
        `Y´   /    / /'r= /し) / }ノ x. ,ろ r ノl      '.   l
      |          .′     {/__ ..廴ム -┬――--<..__廴ノ|     |     _人_
  __ 人 __      !    ./´ ./ | イ  ∧:  l トヽ丶  |` ー‐ァ'  |      `Y´
     `Y´         }    / ./ i 斗‐|/‐ト./|′ヽ. |! |,斗 代: 下. 丶く.    |        |
      |         ノ   / .イ .:| ./   __,V ミ¨’ ヽ|ヘ{ _ ヽ 丶|}ハ }、 V  |     _ 人 _
           ..,/  /  | :∧{!           ′    从}ノ `}   !         `Y´
 _人_      /′     人{:..:ト >ァ=='^      ^`===ぐ' i{:.. 小    ト、        |   l
 `Y´     / ′    ∧、ハ:j xxxx     ,     xxxx }|:. {.∧   l \        - + -
      /   /    / ./i':..小.                  小 iト、.ヽ   .   丶         l
  !    '    /    //../ .i!/ l|7ヽ     iー―‐‐r      イ: |:. l|:.... ..丶  、   ヽ.
- + - /    /  / /../ ..:l|′l!...:il:\     、   ソ   .イ:l{:l:..l:. l|:...ハ... ヽ.      ヽ.     _人_
  !  /   / /  / /′..i|  l| .:ルくfミi  . `ー ´ . rく`Yト、!|从.. V....∧......\    ∧    `Y´
   /    /    / /.{  ..l|  l|./   { ≧` ニニ ´ 彡 {ノ∧i:.....:.. V.......l!:......{ \   ハ
  .′    {     / .′..__|  l|′   丶   , -<_`ヽ./   ヽ.∧.. V:....|:.......l  ヽ、  |  十
  ノ     l     / , く´   |  ll      \/ , -<__\}      厂 :.. ヽ、}:.......|    } |
../      ∨  /./  ヽ.  |  lト、      / / /- 、 ヽ.ヽ    /  ヽ.  ヽヽ....V  /  {
'′        } / ,′   ヽ.|  l| ヽ   `i(ノ' , -‐ヽ__)i′  /    ∧  Y:....∨ /    |\
          V ...|        |  :|   \  {`ー ´ ,ィヽ. ∨  /    /  }  }|:.......V     {  \


後光を放つインデックスによって、迫間は許されたらしい。

迫間「(コイツの扱い方が分かってきたじゃん……)」

ちょろ甘だな、とインデックスには見えないように、こっそり笑ったのは秘密である。


722 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 14:16:12.41 ID:3MZrhNkZo

学園都市・第七学区


【PM 1:40】


〜焼肉チェーン『猛角』〜


禁書目録「や、焼肉!?」キラキラ

迫間「残念ながら、目当ては別なんだけどな」

禁書目録「……焼肉じゃないの?」シュン

迫間「まぁ、二人で焼肉ってのもアレだしな。今度、上条や御坂を誘って来ればいいだろ」

禁書目録「今度?」

迫間「そ、今度」

そんな機会があるのかどうかすら、今のインデックスには分からない。
少なくとも、逃亡者である自分にそのような猶予があるとは思えなかった。

――でも。

禁書目録「そうだね、ご飯はみんなで食べた方が美味しいもん」

そんな機会に恵まれたなら、それはとても楽しい時間になる筈だ。

迫間「よし、中に入るか!」

禁書目録「おー!」

昼食には少し遅い時間だが、店内は多くの学生客によって賑わっていた。

ワイワイガヤガヤ

トンググイダト!?

ニクジルイノ-チ!!

コノジュースキエルヨ

723 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:17:29.11 ID:3MZrhNkZo

1番テーブル 二人席


店員「お待たせしました〜」プルプル

迫間「お、きたきた」

禁書目録「……や、山盛りのカレーライスが来たんだよ!」キラキラ

既に『山盛り』を通り越して『ドカ盛り』レベルのカレーライスに運んでいる店員さんも苦戦している。

店員「ランチメニューのカレーライスが2つ、で宜しかったでしょうか?」プルプル

イタダキマ-スナンダヨ

迫間「はい。……だ、大丈夫ですか?」

パクパクモグモグ

店員「バイトにも意地がありますので……では、ごゆっくりどうぞ」ニコニコ

禁書目録「おかわり!」

迫間&店員「えええええええええええええ!?」


――インデックスの前に鎮座していたカレーライスの山が、消滅していた。


迫間「い、何時の間に……?」

店員「店長おぉおぉぉおおおお!! ケースF発生! ケースF発生ですぅぅうぅぅ!」

ケースF――突然のフードファイター襲来を告げるべく、店員は青い顔で厨房へと駆け戻った。

禁書目録「大きなお肉がいっぱい入ってて、すごく美味しいんだよ!」

迫間「焼肉屋だからな。肉の仕入れ先がしっかりしてるから、普通のカレーの肉の質もいいんだよ。
    学生向けのランチメニューだから、この量にコーヒーが付いて500円という破格の値段じゃん」

ランチタイムは2時までだったので、一回注文して終わりだと思っていたのだが……

迫間「(このスピードだと、2時までに何皿食べるか分からんぞ……)」ゾクッ

……財布の中には諭吉さんが何人か控えているので大丈夫だとは思うのだが。
724 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:18:36.61 ID:3MZrhNkZo

〜20分後〜


迫間「5皿目か……」メルメル

仲間達へ簡単に今朝からの事をまとめたメールを打ちながら、ぼんやりと目の前で繰り広げられる宴を眺める。
ミサカ13号(サーティーン)がある程度の報告はしている筈だが、こういうのは当事者が連絡するのが筋である。

禁書目録「」パクパクモグモグ

追加のカレーを運んでくる店員さんが震えていたのは、その重量の所為だけとは思えない。

迫間「(――魔術師なる連中が、学園都市に侵入した可能性あり、要注意と)」ピッ

注意を促すメールを兄弟達へと送信する。

???「お、メールだ」

迫間「ん?」

少し離れたテーブル席から、妙にタイミングよく声が上がった。

迫間「まさか……」ヒョイ

声のしたテーブルの様子を窺う。

――そこには。
725 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:20:08.98 ID:3MZrhNkZo

8番テーブル 六人席 


〜とある複製達の食肉祭〜


生(椿)「」フムフム

迫間からのメールを読む椿生を余所にして、テーブルの上では変装した『妹達』による肉の宴が開かれていた。

00777号「いやー、13号が哨戒任務を代わってくれてラッキーでした、とミサカは喜び勇んで上ミノに箸を伸ばします」ワーイ

01296号「ミサカの胃袋は宇宙です。と、ミサカは向こうのテーブルの銀髪シスターに対抗して追加注文します!」オカワリ-

00428号「あ、これ食べてもいいかな? と、ミサカは答えを聞かずに523号が焼いていたタン塩を強奪します」ヒョイパク

00523号「ま、まいったぜ……と、ミサカは428号の食い意地に呆れ果てます。ちょ、913号まで!?」

00913号「ふん、油断しているのが悪いんですよ。と、ミサカは手を拭きながら鼻で笑ってやります」ゴシゴシ

生(椿)「お前等、加減しろよ……? ってか、428号とは週一で焼肉に来てないか……?」

00428号「き、気のせいですよ。仮にそうなら、ミサカの胃袋は既にボロボロです、とミサカは嘘を吐きます」ワタシノカラダハボドボドダ

生(椿)「嘘と同時に白状!?」

00913号「他の学園都市潜入班が焼肉に行く時も、428号は平然と紛れ込みますからね。と、ミサカは密告します」

00428号「う、裏切り者! と、ミサカは913号を弾劾します!」

全員「「「お前が言うな」」」
726 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:21:22.50 ID:3MZrhNkZo

オモイニモツヲ-マクラニシタラ-


00913号「鳴ってますよ? と、ミサカは財布係の携帯の鳴動を示唆します」

生(椿)「誰が財布係だ……」ピッ

01296号「だれへしょうひゃ、ひょんなときに(誰でしょうか、こんな時に)」パクパクモグモグ

生(椿)「口に食べ物を含んだまま喋るんじゃありません――はい。あぁ、先生……急患ですか? 意識不明で……容態は安定して?」

00428号「……どうやら、電話の相手は例のカエル顔のようですね。と、ミサカは漏れ聞こえる声から、相手を予想します」

生(椿)「はい……他の病院にも? えぇ、ここ最近から……? 分かりました、こちらでも調べてみます」ピッ

00523号「この展開だと緊急の呼び出しなのでは? と、ミサカは過去の経験から推察します」

生(椿)「523号、正解。――俺はこれからプラントに戻って、少し調べないといけないから……」

01296号「そ、そんな!? まだ追加注文した料理も来てないのに!?」

生(椿)「いや、支払いの為のカードは置いていくって……でも、だからって食い過ぎるなよ? 特に1296号」

01296号「……」ムムム

生(椿)「あと、お前達は一応は潜伏中なんだから、目立たないようにして帰って来い」

妹達「「「「「はーい、とミサカは了承します」」」」」

ちなみに、椿の忠告を華麗にスルーした1296号によって、二回目のケースFが発生したのは言うまでもない。

727 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:22:21.24 ID:3MZrhNkZo

1番テーブル


……どうやら、学園都市に潜伏中の『妹達』の外食デーにかち合ったらしい。

迫間「(楽しそうで何よりだけどな)」

外部で割と気ままに過ごしている『妹達』と違って、潜入班は息苦しい思いをしているだろう、という配慮から出来た日だ。
ちなみに引率役になるのは、一般的な仕事に従事していて、尚且つフットワークの軽い生である。

迫間「(1296号とインデックスの所為で、店員さん達が戦々恐々としてるじゃん……)」

しかし、店員さん達の困惑の原因は二大フードファイター襲来だけではない。

店員A「うぅ……あそこの女の子達……焼肉屋なのに持ち込んだシャケ弁とか、サバ缶食べてるよ……」

店員B「持ち込み禁止なのに……注意したのか?」

店員A「一番、大人っぽい子に言ったんだけど、もの凄い怖い目で睨まれた……」グスッ

よっぽど怖かったのか、店員は半ベソをかいていた。

店員B「泣くなよ……あっちの六つ子も追加注文が早くて大変なんだから……」

迫間「(シャケ弁にサバ缶……?)」チラッ

話題のテーブルへと視線を送る。

――そこには。
728 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:23:52.75 ID:3MZrhNkZo

6番テーブル 4人席


〜とある暗部の退院祝い〜


フレンダ「と、言う訳で――」カンパーイ

絹旗「超退院祝いです!」カンパーイ

???「普通、退院した奴らがそれを言う?」カチン

???「」スピー

フレンダ「だって、麦野は言ってくれそうにないし……」

絹旗「滝壺さんは、いつものように超睡眠モードですし」

フレンダや絹旗と同じテーブルを囲むのは、彼女達の所属する『アイテム』の同僚達である。

フレンダの隣で、仕方なさそうに乾杯に付き合うのは麦野沈利(むぎのしずり)。
ふわふわした茶色の髪と、ブランド物で統一された服に身を包んだスラリとしたスタイルの美人だ。
彼女は学園都市に七人しかいない超能力者(レベル5)の第四位であり、アイテムのリーダーでもある。

絹旗の隣で目下爆睡中の少女の名前は滝壺理后(たきつぼりこう)。
肩で切り揃えられた黒髪と、年中変わらずに着ている桃色のジャージが特徴だろうか。

729 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:25:46.90 ID:3MZrhNkZo

麦野「払いは私持ちなんだから、そのぐらいで文句言ってんじゃないの」

滝壺「3番テーブルから、信号が来てる……」ムニャ

絹旗「確かに、シャケ弁中毒の麦野が焼肉に連れて来てくれたのは、超奇跡に近いですが」

麦野「そこかよ」

フレンダ「だって、流石に焼肉屋にシャケは無い――」

麦野「いや、自分で持ってきたから。シャケ弁」

言いながら、コンビニのシャケ弁を取り出す麦野。

絹旗「そこまでしなくても……」

フレンダ「結局、麦野はシャケ弁から離れられないって訳よ」

絹旗「ところで、フレンダの持っている『それ』は何ですか?」

フレンダ「サバ缶だけど?」

絹旗「超同類じゃないですか……」

それがどうかしたのか?と言わんばかりのフレンダに絹旗がツッコミを入れる。

滝壺「……大丈夫、そんな魚類に支配された二人を私は応援してる」

麦&フレ「「おい」」
730 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:28:16.53 ID:3MZrhNkZo

食事が進むにつれて、少女達の話題は入院の原因へとシフトしていった。

麦野「――そもそも、『アイテム』の構成員であるアンタ達が、馬鹿な逆ギレ学生の爆弾如きで入院ってのも問題があるな」

絹&フレ「「うっ」」グサッ

麦野「まぁ、殆ど無傷で検査入院で済んだみたいけど? それだって、クレープ屋の店長とやらに庇われた結果なのよね?」

絹&フレ「「ううっ」」グサグサッ

研ぎ澄まされた言葉の刃が、容赦なく二人へ突き刺さる。

麦野「『結局』フレンダは、普段から爆弾を使ってる癖に得意分野で遅れを取った『訳』だろ?」

フレンダ「面目ない訳よ……」

麦野「絹旗も、能力の防御力に頼りすぎて、基本的に注意力不足だったんじゃないの?」

絹旗「返す言葉もないです……」

麦野「まぁ、無事だったから良かったけどさ。……仕事中だけじゃなくて、普段から気を抜かないように」

絹&フレ「「む、麦野!」」キューン

滝壺「……ツンデレ?」

麦野「コホン……それで、アンタ達を庇った……」

絹旗「海原さんですか?」

麦野「そう……そいつは生きてるのよね?」

フレンダ「うん。重傷だった筈なのに、割とピンピンしてた」

絹旗「明日か明後日にでも、改めてお礼をしようかと……」
731 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:29:23.80 ID:3MZrhNkZo

麦野「そうよね……私の仲間を可愛がってくれたって言うんなら、『お礼』しに行かないとねぇ?」

フレンダ「麦野が言うと、全然別の意味に聞こえるって訳よ……」

絹旗「一応、恩人なんですから、超穏便にお願いします」

麦野「分かってるわよ。裏の人間が表の人間に借りを作りっぱなし、って訳にはいかないでしょーが」

フレンダ「む、麦野が私の口癖の真似を……」フルフル

滝壺「……先刻の嫌味と違って、真似じゃないと思う」ボソッ

絹旗「超自意識過剰です」

フレンダ「みんな酷い……麦野! その豊かな胸元で慰めて欲しい訳よ!」ガバッ

麦野「暑苦しいから抱きつくな」バキッ

フレンダ「痛っ!」

バユン

滝壺「フレンダ、大丈夫?」

フレンダ「うぅ……ゴメン、滝壺……ぶつかっちゃった……アレ?」

モニュンモニュン

滝壺「……何してるの?」

フレンダ「……で、かい……?」モミモミ

滝壺「」///

麦野「(なん……だと?)」

絹旗「(まさか、あのジャージの下にそんな超強力な武器が隠されて……!?)」
732 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:31:54.49 ID:3MZrhNkZo
1番テーブル


迫間「(――この店の中、カオス過ぎるだろ)」

自分達もそれに拍車をかけているのだが、完全に棚上げ状態である。

禁書目録「ねぇ、しょう」

迫間「ん? おかわりはダメだぞー」

禁書目録「違うもん! 
       しょうは、どんな能力を持ってるのかなって……今朝、聞きそびれたから」

迫間「え、今更?
    ……あの時に聞かれなかったから、興味無いのかと思ってたじゃん」

禁書目録「だって、とうまもみことも『魔術』なんて、って感じだったけど……しょうは変に受け入れてたし」

だから喧嘩腰になれず、聞き出す機会を失ってしまったらしい。

禁書目録「……そう考えると、学園都市の学生なのに宗派の事情に詳しいのも変かも」ジロッ

迫間「まぁ、前に一度……『魔術』とやらの世界に足を踏み入れかけた経験があるだけじゃん。
    別に詳しいわけじゃないって」

――あれは『魔術』だったのかもしれない、という程度の認識だが。

禁書目録「ふーん……? で、しょうはどんな能力を持ってるの?」

迫間「どんなって――」

学園都市の基準で考えれば、自分は紛れもなく無能力者だ。

新倉は能力者になってしまったが、自分はある意味でそのままだ。
クローン人間だったり、超人だったりするが、そこは変わらない。

――だが、だからと言って。

『幻想殺し』や『超電磁砲』の後で、堂々と無能力者だとは言いたくない。……何か癪だ。

なので。

迫間「実は俺には――」

禁書目録「」wktk
733 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:33:41.28 ID:3MZrhNkZo

迫間「――死んでも死なない不死の能力があるじゃん!」エッヘン

……嘘は言ってないだろ?

禁書目録「えー? 伝説の吸血鬼じゃあるまいし……嘘だよね?」

迫間「修道女が他人の発言を速攻で嘘扱いって、どうなんだ?」

禁書目録「うぐっ……だ、だって、そんなのとうまの右手よりも嘘臭いかも!」

迫間「いやいや、本当だよ? ほら、だから『地獄の底まで付いて来て』とか言われても平気な顔してるんだよ。
    何回か死んでるけど、地獄は見たこと無いじゃん」

禁書目録「……むー……だったら試しに死んでみてって、言う訳にもいかないのが悔しいんだよ……」

迫間「おいおい」

禁書目録「まぁ、しょうも私の事を信じてくれてたみたいだから、私も信じてもいいけど……
       もし、私がロシア正教の所属だったら、しょうは殺されてたよ?」

迫間「はい?」

禁書目録「あそこは、悪霊とか生前を語る存在に対して、容赦がないから。
       ……特に『殲滅白書』なんかに目を付けられたら、一巻の終わりかも」

迫間「待った! 今……なんて言った?」

禁書目録「……一巻の終わり?」

迫間「いや、その前」

禁書目録「殲滅白書?」

迫間「そう! それじゃん! 
    ……それって、魔術師の集団か何かなのか?」

禁書目録「……ロシア正教の特殊部隊って感じかな。勿論、魔術師のだよ?」

迫間「そっか……そうなのか」

――アイツ、本物の魔女だったのか。

禁書目録「……なんで、嬉しそうな顔してるのかな?」

迫間「十年越しの疑問が解けて、気分がいいんだよ。……インデックスのおかげでな」

禁書目録「私の?」
734 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/04/27(水) 14:36:50.20 ID:3MZrhNkZo

迫間「お礼にデザートのアイスを二人前にしてやるじゃん」

禁書目録「ホント!? でも、こんなにお腹一杯食べると、この先が辛くなりそうで怖いんだよ」

今朝の彼女の空腹度を考えてみると、そもそも何日もろくに食べていなかったのではないだろうか。
魔術師に追われ、見知らぬ土地を教会を探しながらの逃亡劇。

これから先、今回のようにちゃんと食べれる機会があるかも分からない。

迫間「食べれる時に食べておけばいいんじゃないか?」

そんな返答しか出来なかった。
迫間はインデックスを放っておけない、と思った。
だがそれは、彼女を救うとか、そんな確固たる意志があっての考えではない。

昔、恋した少女に別れを告げられた時の絶望感を味わいたくなかっただけなのだ。
もう二度と、あんな『全てを諦めた上で地獄に堕ちる』ような顔は見たくない。

禁書目録「……それもそうだね」

この先も好きなだけ食べられる、とでも言えれば良かったのだ。
だが、何の根拠もなく彼女を励ますような無責任な言葉は使えなかった。

迫間「それ以前にアイスとか、嗜好品の摂取って、シスター的にはアリなの?」

嫌な思い出と暗い考えを振り払うように尋ねてみた。

迫間「……奢る俺が言うのも変なんだけどさ」

宗教上の理由で、食べれない物があるなんてのは割とよくある話だ。
インデックスの食いっぷりの凄さから、特に意識はしてなかったが。

禁書目録「」ダラダラ

冷房の効いた店内なのにインデックスは急に汗だくになった。

迫間「――ダメなのか」

禁書目録「た、確かに私は修行中の身であるからして、一切の嗜好品の摂取は禁じられているけども」

迫間「じゃあ、ダメじゃん」

禁書目録「しかし、あくまで修行中の身なので完全な聖人の振る舞いを見せる事はまだまだ難しかったり難しくなかったり!」

都合のいい解釈もあったものである。
だが、酒を薬と言ったり、水飴を毒と誤魔化す話も聞くので、信仰なんてこんなもんなのかもしれない。

迫間「はいはい。……店員さーん、デザートをお願いしまーす」ノ

どこか呆れたように頷きながら、迫間は店員を呼んだ。
735 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/04/27(水) 14:49:58.19 ID:3MZrhNkZo
ここで投下終了です。
また何日?か書き溜めしてから、投下しに来ます。
投下の前の日ぐらいに予告しますので、それを目安にお願いします。

もうすぐ大学始まるので、書く時間が取れなくなるかもしれませんが、ちまちまと進めてはいきますのでご了承ください。

※絹旗&特撮大好きな作者は某古代の超戦士SSを応援しております。
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/27(水) 16:08:25.95 ID:C3HulklYo
おつおつ
続きも期待して待ってます
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 17:12:51.32 ID:qm/3YaGw0
おつです
まさかアクメツとのクロスふがアルトは思わなかったが面白い
期待してます
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/28(木) 10:12:12.10 ID:+w2Fw3FW0
乙、無理はすんなよ

なんか王子様ご一行がいたような気がしたがそんなことはなかったぜ!
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/04/30(土) 23:20:06.69 ID:d0TilG31o
椿が○○号って言ってると未確認みたいだな
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/09(月) 08:01:13.25 ID:0xM7wNqDO
GWも終わったし、そろそろかなとミサカは期待を込めつつレスをします
741 :とある複製の妹達支援 :2011/05/14(土) 23:11:06.63 ID:rhXNRluto
遅くなって申し訳ない。
明日の夜9時くらいに投下しに来ます〜
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/14(土) 23:59:23.43 ID:VcvQTXCao
ひゃっほう待ってたよ
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 04:44:10.27 ID:M1msDV5IO
ヤフー!待ってたぜ!
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/15(日) 08:54:58.43 ID:HTADx+3ao
よっしゃ、待ってた!
745 :とある複製妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:05:42.10 ID:Ah7YFTiEo

時間がやってまいりました投下していくよ!

この辺からの注意
アクメツ用能力を考えるに伴い、久しぶりに妄想爆裂させました。
人によっては好みが分かれる可能性がありますのでご注意ください。

味                こ
が    ∧,,  ,,∧        の
す  .  ヾ.i ^.Μ.^〃.      S
る     `ν ゚皿゚ν .     S
じ  _と~,,,  ~,,,~⊃.∀   厨
.ゃ      .ミ,,,/~)..  ┷┳━二
ん   ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|..┃  病
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ . ┻  の
746 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:07:37.46 ID:Ah7YFTiEo

【PM 2:40】


〜水穂機構病院〜


病院内の休憩所で、美琴と黒子は調査チームの作業が終わるのを待っていた。
一度、昼食を摂る為に病院を出たのだが、戻ってきてからだけでも二時間以上は経過している。

美琴「」スースー

待っている時間の長さに加えて、美琴は昨晩や今朝の件で知らず知らずのうちに疲労していたのか、すっかり熟睡モード。

黒子「暑いですの……」グデーン

その隣の黒子も夏の暑さに負け気味だった。

安達「――メールで呼び出されて来てみれば……」

黒子「あら、安達さん。随分と遅い到着ですわね」

安達「非番の日に呼び出されてるんだから、この程度の遅刻は勘弁して欲しいじゃん」

黒子「昨日の女性と逢瀬の最中だったとでも言うのであれば、謝罪して差し上げますの」ニヤリ

安達「…………(まぁ、一緒にいたという意味では、その通りなんだが)」

他にも新倉とか芳川とか、プラント常駐のメンバーとか逢瀬と呼ぶには余計なのが多かった訳だが。

黒子「……え、まさか……本当に?」アタフタ

沈黙を肯定と受け取ったのか、黒子は急に慌てだした。

安達「そんな色気のある用事じゃなかったから、別に構わないって。――んで、専門チームとやらはまだ?」

新倉の検査も進展しなかったので、そういう意味では黒子からの呼び出しは渡りに船だと言えるが。

黒子「えぇ。あ、ちょうど終わったようですの。お姉様、起きてくださいましー」ユサユサ

美琴「」ムニャ

黒子「おね……」

美琴の無防備な寝姿を見ていると、黒子の中に何やら不穏な感情が沸き上がってくる。

黒子「――では、ここは目覚めのキスを……」チュー

美琴「……んぁ?」
747 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:08:56.51 ID:Ah7YFTiEo

ゴチンッ!!

美琴「普通に起こせないの!?」///

黒子「起きなかったではありませんの〜」イテテ

安達「何やってんだか……」

美琴「あ、来てたんだ……えっと……」

安達「」シー

何かを話したそうにしている美琴に対し、口に人差し指を立てて「内緒」の意図を伝える。

安達「(インデックスとやらの話を振られても、当事者じゃないから分からないんだよな)」

ミサカ13号の報告と、その修道女と一緒に行動しているらしい迫間からメールを受け取って、事情は把握している。
だが、それでも下手に話題に触れるのは危険だろう。

木山「――なんだ君達、まだ居たのか……おや?」

安達「先日はどうも。風紀委員第一七七支部所属の安達生です」

木山「白井君と同じ支部か。君達二人が今回の件の担当、という事かな」

黒子「そんな所ですの」

美琴「私は――」

木山「御坂美琴、だろう?」

美琴「私の事、ご存知ですか」

木山「――ああ。超能力者(レベル5)ともなると有名人だからね」

黒子「流石はお姉様!」

美琴「うっさい/// ……ん?」

黒子「……って、あれ? ……何だか、デジャヴですの」
748 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:09:56.26 ID:Ah7YFTiEo

安達「(まさか、な……)」

美琴に対する、木山の態度が彼女と初めて会った時の自分に重なった。
だが、例の実験の関係者の中に『木山春生』の名前は無かったし、少なくとも態度の原因が自分と同じ理由とは思えない。

安達「――昏睡状態の学生達はどうですか?」

木山「私は医者じゃないから、治す事は出来ない。……こうなった原因を究明するのが仕事だからね。
    それにしても……暑いな」

黒子「看護師さんが言ってましたが……昨晩の停電から、まだ主電源が復旧してないそうですの」

安達「…………」チラリ

美琴「何よ」ムッ

安達「別に〜?」

木山「そうか……非常用電源は手術や重篤患者に使われているし……冷房が効いてないのも当然か」ヌギヌギ

言いながら、何の躊躇もなく上着を脱いで、下着一枚の状態になる木山。

美琴「また始まった……」///

黒子「だーかーらー! どうして貴女は、そうやってすぐにストリップを始めますのっ!?」///

木山「だって、暑いから……」

黒子「殿方の目がありますのっ!!」ビシッ

安達「え? 俺は別に気にしないじゃん……むしろ、もっと脱いでくれても……」

黒子「黙ってなさい、この変態!」クワッ

安達「(一番、変態とか言われたくない人に言われたぁぁぁぁあ!?)」ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!

木山「下着をつけていてもダメなのか……」シラナカッタ

黒子「ダメですっ! ……ほら、前も閉じてくださいな」

服をちゃんと着れない幼児を相手にするのかのように木山に服を着させる黒子。

美琴「木山先生、専門家として御意見を伺いたいんですが……」

木山「それはいいが……場所を変えないか? ここは暑すぎる……」

そんな木山の要望に応え、四人は何処かの喫茶店にでも入る事にした。
749 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:11:15.22 ID:Ah7YFTiEo

学園都市・第七学区


【PM 3:00】


禁書目録「……お腹一杯で幸せなんだよ」ニコニコ

迫間「そいつは重畳じゃん」

二人は人々の行き交う通りを連れ立って歩いていた。
穏やかで、平和な時間が過ぎていく。

迫間「エネルギー補給も済んだし、教会探しを再開するか?」

禁書目録「そうだね、早くしないと今日も野宿する羽目になるかも」

迫間「……今まで野宿してたのかよ」

禁書目録「誰かの家に泊めてもらってる時に襲撃される訳にもいかないから」

迫間「IDなしじゃ、ホテルに泊まるってのも無理だもんな……」

その気になれば偽造IDを用意する事も可能だが、一朝一夕で用意しても、粗悪品になるだけだろう。
加えて、露見した時のリスクが高すぎる。

迫間「(最悪、プラントに連れて行く事も視野に入れておくべきか……?)」

プラントであれば、外部(魔術師)と内部(警備員)の両方に対して、有効な隠れ家と言える。

迫間「(だが、実験阻止に対して有効な手立てが見つかってない現状で、プラントの存在が露呈する可能性のある行動は……)」

禁書目録「しょう、やっぱり迷惑だった?」

迫間「ん? あぁ、そうじゃなくて……今日中に教会が見つからなかった時、インデックスをウチに泊めていいか考えてたんだよ」
750 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:12:36.59 ID:Ah7YFTiEo

禁書目録「しょうのウチって……とうまの部屋の隣だよね?」

迫間「あー、あそこ以外にも部屋があるんだよ。それも隠れ家として優秀な…………」ゾクッ

言いながら、迫間は気付いた。

――いる。

視界に入った訳ではない。

気配を感じた訳でもない。

だが、迫間はそれを察知した。

迫間「(オイオイオイ……人ゴミの中にライオンが紛れてる、なんてレベルじゃねーぜ……)」

かつて自分達が敵対してきた、どんな『悪』とも違う、圧倒的な力。

巧妙に気配を消し、力を抑えていても、その違和感は拭えない。

迫間「(前に遠くから『一方通行』を見た時にも感じた……)」

――絶対的な敗北の予感。

しかし、内心の動揺を表には出さず、歩みは止めない。

禁書目録「しょう?」

インデックスが不安気に声を掛ける。
751 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:13:33.43 ID:Ah7YFTiEo

迫間「……少し、待ってな」ピッ

慣れた手つきで携帯を取り出し、コール。
電話に出た相手は、遠くから自分達を『見ている』筈の人間。

00013号『――気付いていますか?』

挨拶も過程も全て無視して、用件に入る。

迫間「――ああ」

00013『約100メートル後方に、パンクな服装をした東洋人女性が一人……お二人を尾行してます』

迫間「――そうか」

後方にいるらしい尾行者に気取られないように、返答は一言のみ。

00013『身の丈に匹敵する日本刀を所持していますが……何故か、周囲からは警戒されてません』

迫間「(精神操作に近い効果を持った魔術で、通行人の意識を逸らしてる……?)」

ゲームや漫画によくある魔法のイメージを自分の知っている学園都市の『超常』と併せて、現実味のある仮説へと変える。

周囲から意識されていないのも気になるが、日本刀を持っているというのも引っ掛かる。
日本刀と言えば、『魔術師』という名前からは連想されない武器の筆頭だ。

迫間「(まさか、別口……? しかし、このタイミングとなるとインデックスを追っている連中としか……)」

00013号『狙撃しますか? と、ミサカはトリガーを引く準備をしながら問い掛けます』

――いや、ここでは人が多すぎる。

彼女の狙撃の腕を疑う訳ではないのだが、一歩間違えれば無関係な通行人に怪我人が出るだろう。

迫間「ダメだ。……だが、準備だけはしておいてくれ」

00013号『了解しました』ピッ

学園都市の学生だって、高位能力者ともなれば銃弾なんて効かないケースのほうが多いのだ。
『魔術師』なんて得体の知れない相手ともなると、同じように銃弾が通用するかどうかすら不明である。
752 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:15:27.79 ID:Ah7YFTiEo

禁書目録「しょう……もしかして」

迫間「ああ、そうらしい」

その言葉にインデックスに明らかな後悔の色が見えた。

禁書目録「しょう……ここで、別れよう」

迫間「駄目」

インデックスの提案を迫間は一刀両断した。

禁書目録「だって――むぐっ!?」

迫間「懲りずに馬鹿なこと言ってるのは、この口かなぁ〜?」ムニムニ

禁書目録「ひょう、やめへ〜」

迫間「――お望み通り、地獄の底だろうと付き合ってやるから、大人しく守られとけって」

インデックスの都合など完全に無視だ、と迫間は宣言した。

禁書目録「……しょうって、本当に勝手で嫌な奴なんだね」

迫間「何だ、知らなかったのか?」

禁書目録「知ってる。――本当にいいの?」

迫間「さてと……食後の運動でもしようか、インデックス。逃げ足に自信は?」スッ

問いには応えずに、軽口と共に右手を差し出す。
その行動で、やっと『巻き込む』覚悟を決めたのか、諦めたようにインデックスは微笑んだ。

禁書目録「……伊達に一年も逃げ回ってないかも」

インデックスは優雅にその手を取った。
それは、さながらダンスの誘いを受けるかのように。

――そして、二人の逃走劇が幕を開ける。
753 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:18:16.20 ID:Ah7YFTiEo

【PM 3:18】


街を駆ける。
人混みを掻き分ける。
路地を抜け、死角を駆使し、追跡を躱す。

時間にしてみれば20分近く、走り続けていた。

そうして二人が辿り着いたのは、人気のない公園だった。

迫間「ここまで来れば……」

禁書目録「…………追っては来てないみたい」

結構な距離を走ったのだが、インデックスは少し息を乱す程度だった。

迫間「言うだけあって、逃げ足も中々のもんだな、インデックス」

禁書目録「でしょ?」フンス

迫間「走ったから腹減ったとか言い出すなよ?」

禁書目録「言わないもん! ……でも、油断しちゃダメだよ。相手は魔術師なんだから、この程度で済むとは思えないかも」

だとすれば、自分は一年間も逃亡生活を続けていない、とでも言いたげだった。

迫間「――分かってる」キョロキョロ

……周囲を見渡す。
通行人はいないようだった。

『上』から見て、角度的にも邪魔になる遮蔽物のない、この場所なら。

迫間「…………?」

――通行人がいない?

確かに自分は、『狙撃』の際のリスクや『戦闘』に巻き込むまいと、人通りの少ない道を選び、この公園へと逃げ込んだ。

だが、夏休みの初日。
学生達の街である、この学園都市で。
一人も公園に人間が居ない等という事態が起こり得るのか?

迫間「(これは――!!)」
754 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:21:47.19 ID:Ah7YFTiEo

???「――鬼ごっこは終わりですか?」

人気のない公園に、その声はよく通った。

迫間「っ!?」

声の主は身長と変わらないような長刀を手にし、左右非対称な長さのジーンズを身に着けた奇抜な美女。
報告通りの服装だった。

迫間「インデックス……こいつか?」

禁書目録「うん、この一年間……私を追ってきていた二人組の魔術師の片方だよ」

???「意外ですね、貴女が無関係な人間の介入を許すとは思いませんでした」

禁書目録「私としては、今すぐにでも逃げて欲しいんだけど……しょう、逃げてくれる?」

迫間「――お断りだ」

禁書目録「……これだもん。どうしたらいいかな?」

半ば諦めているようだが、それでも生を巻き込む事に抵抗があるらしい。

???「……少なくとも、貴女が大人しく私達と来てくれるのであれば、無関係な人間を害そうとは思いませんが」

迫間「こっちとしても、わざわざ君みたいな美人と戦うのは避けたいじゃん……退いてくれたりしない?」

???「残念ながら、私達には彼女を『回収』しなければいけない『理由』があります」

魔術師の女は迫間の冗談に付き合うつもりはないようで、淡々と告げるのみ。

迫間「回収……?」

『回収』という単語の不愉快さよりも、その意味するところに迫間は眉を顰める。

???「それを阻むと言うのであれば――容赦はしません」

迫間「それはそれは……一つだけ、訊いてもいいか?」

???「どうぞ」

迫間「君の言う……『理由』ってのは……インデックスを苦しめてでも果たさないといけない代物なのか?」

???「――えぇ」
755 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:23:33.44 ID:Ah7YFTiEo

迫間「そうか……判った、もういい」

???「考え直してくれますか?」

迫間「いいや?
    悪いが、『友達』に手を出そうって相手を……黙って放置してられないのよ、俺としてはさ。
    そっちの『理由』がどんなに重要だろうと、最初から譲るつもりはないじゃん」

???「……そう、ですか」

禁書目録「友達……?」

自分と迫間は、まだ出会って数時間だ。
確かにインデックスは既に生を友人だと感じている。
だが、そんな出会って間もない相手の為に生命を賭けられるものなのだろうか?

禁書目録「しょう、どうして……?」

迫間「……どうしたもこうしたもあるか」

一緒に食事をした。
一緒に街を歩いた。
そして何より、一緒で楽しかった。

――それで充分だ。

迫間「『友達』って奴を見捨てられないんだよ、『俺達』は。
    ……だから、気にするな」

それは、『アクメツ』としてではなく、一個の『生』という人間の守るべき一線。
譲れない、譲りたくない、大切なモノ。

???「…………」

迫間「魔術師さん、俺を馬鹿だと思うか?」

???「いえ、少なくとも私に貴方を笑うつもりはありません……その資格もないでしょう」

迫間「そっか。
    さて、これから友達の宿泊先を確保しないといけないんでな……早々に終わらせてもらうぜ?」

???「――名前をお伺いしても?」
756 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:25:27.42 ID:Ah7YFTiEo

迫間「……生(しょう)だ。君は?」

敢えて、苗字は告げずに名乗る。

神裂「神裂火織(かんざきかおり)と申します……本来なら、もう一つ名乗るべき名前がありますが……私はそれを名乗りたくはない。
    どうか、私にそれを口にさせる前に、抵抗を止めてください」

迫間「奇遇じゃん。俺にも、もう一つ名乗るべき名前があるんだが……まぁ、この場では関係ないな」

悪を滅する者ではなく、ただ友達を守りたい一人の男として。

神裂「……もう一つ?」

迫間「些細な事じゃん――さぁ、殺ろうか」

相手を殺傷する武器を持った魔術師に対して、迫間は文字通りの空手。

埋めようのない差。武力的な不利。

だが、それこそが自分達の本領であり、繰り返してきた戦い方。
五体と『命』を武器として、死へと向かう、一方通行の戦い。

今も昔も、自分を駆り立てるのは友への想いと悪への怒り。

――その片方の感情を胸に迫間は力強く大地を蹴った。
757 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:27:31.08 ID:Ah7YFTiEo

武器を持ってない迫間が、神裂を打倒するには格闘戦しかない。
そして、相手の持っている刀は、いかにも取り回しが難しそうな、身の丈を超える長刀。

迫間「(だったら、超接近戦しかないだろうがっ!!)」ダンッ

神裂の懐を目指して、迷いなき突撃を敢行する。

禁書目録「しょう、ダメ!」

迫間「っ!?」

その声に反応した迫間が、咄嗟に後ろへと下がる。

刹那。

直前まで迫間のいた場所を七つの斬撃が襲った。

神裂「中々の反応ですね。……一秒でも遅れていれば命取りでしたよ?」

チン、という刀が鞘に収まる音。

辛うじて攻撃を回避した迫間は呆然としていた。
日本刀を持っている時点である程度は予想していたが、彼女は『魔術師』でありながら、『魔術』を使っていない。

禁書目録「しょう、大丈夫なの!?」

迫間「大丈夫だ――そこにいろ」

駆け寄ろうとするインデックスを片手で制して、体勢を立て直す。

禁書目録「でも……私だって、戦えるんだよ! 少なくとも『歩く教会』があるんだから、しょうの盾にぐらい……」

迫間「却下」

禁書目録「でも……」

迫間「五月蝿い、そこにいろ」

禁書目録「むー!」

取り付く島もない迫間の応対にインデックスが後ろで憤慨する。
758 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:29:06.39 ID:Ah7YFTiEo

神裂「…………今なら、まだ間に合いますよ?」

インデックスを断固としても守ろうという迫間の姿勢に神裂の表情に変化があった。
迷い、羨望、好意、共感、或いは……嫉妬。

迫間「ふん、そっちも却下じゃん。
    それにしても驚いたな……最近の魔術師は鋼糸術を使うのか?」

その言葉に逆に神裂が衝撃を受ける。

神裂「……まさか、初見で『七閃』を見破った……?」

魔術ではなく、剣術。
剣技よりも暗器に近い性質。

迫間「……『七閃』ね、一度の居合の動きの中に隠された、七つの軌跡。
    安いトリックとは思わないが、居合にしては、少しばかり派手過ぎるぜ?」

魔術と錯覚してしまう程の刹那に繰り出される七連撃。
動きで動きを隠す、という性質故に神裂の動きに無駄は無かった。
巧妙かつ、洗練され、完璧だった。

――その動きの中に隠された何かを察知する事が出来る程に。

神裂「もしや、居合の経験が?」

迫間「それだけじゃないが……それなりに眼には自信があるじゃん」

ある者は、カースタントのドライバーとして。
ある者は、居合の達人として。

多くの犠牲と経験の上に、自分は立っている。
彼らが修練し、獲得した肉体的な性能も自分は受け継いでいる。
759 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:37:35.98 ID:Ah7YFTiEo

迫間「(けど、避ける自信はないな……)」

回避できたのは、インデックスの警告だけではなく、神裂が故意に外れるように加減して放ったからだ。

――本気であれば、腕の一本ぐらいは持って行かれていた。

神裂「『七閃』の正体を看破したことは素直に賞賛しますが……
    どんなに優れた眼を持っていても、一瞬と呼ばれる時間に七度殺すレベルの『七閃』の速度に対応出来ますか?」

迫間「(うん、絶対に無理)」

無理なものは無理なのだ。

どんなに生の身体が鍛えられ、多くの武術を習得していると言っても、それは通常の人間の範疇に過ぎない。
ある種の不老不死によって得た、普通の人間には持ち得ない膨大な研鑽の時。
それらを駆使しても、超人止まり。

今の自分達では『異能』の世界の一流には届かない。

神裂「そして、仮に七閃を突破したところで、その先には真説の『唯閃』が待っています」

剣を操る魔術師は告げる。
この手に握る七天七刀は飾りではない、と。

迫間「へぇ……じゃ、とりあえず『唯閃』とやらを出してもらえるまでは頑張ってみますか」

この女に勝つ事は出来ないだろう、と迫間は悟っていた。
彼女は、実力の半分も出してはいない。

それは、スクランダーやプロテクターを装備していたとしても、埋められるような力量差じゃない。
……仮に刀や他の武器を持っていても、焼け石に水だろう。

しかし、自分の敗北が直接、戦術的な敗北には結びつかない以上――撤退は有り得ない。

例え自分が殺されても、インデックスさえ逃がせれば、それは『勝利』なのだ。

迫間「(幸い、仮面は持って来ている……瞬殺さえ、免れれば……最低でも、インデックスが逃げる時間を稼げれば……それでいい)」

もう少しで、彼女の『配置』が完了する。
だが格好をつけた手前、自分で離脱の隙を作るか、援護が来るまでの時間を稼ぐ程度はやりたい所だ。
760 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:39:38.80 ID:Ah7YFTiEo

目的と勝利条件を再確認して、迫間は再び神裂へと突っ込んでいく。

迫間「おおおおおおぉぉおおおおおおお!!!」

神裂「七閃」

声と同時に再び七つの斬撃が迫間を襲う。

鮮血が舞う。
肉片が飛ぶ。
地面が砕ける。

――だが。

止まらない。
止められない。

確かに実力差は明白。
勝機があるかも怪しい程。

しかし、それは互いが全力を出した場合の話だ。

撃たれても、斬られても、前進を止めない『アクメツ』にとって。

『殺さない』ように『加減』された攻撃など――

迫間「がぁああああああああああああああ!!」

――その足を止める理由にはなりはしない。

『即死』を防ぐ為に守るのは、首と動脈の一部のみ。
それ以外の意識を活力を闘志を、全て前進へ傾ける。

どうせ避けられないなら、最初から避けなければいい。
761 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:41:48.25 ID:Ah7YFTiEo

神裂「そんなっ!?」

鋼糸が、最大の効果を生む位置よりも手前での激突。
回避でも防御でもなく、前進を選んだ結果、逆にダメージは最小限に抑えられた。

迫間「覚悟がっ! 足りないんだよっ!」ブンッ

突撃の勢いそのままに迫間は拳を振る。
既に七天七刀を振り回しての迎撃は間に合わない。

神裂「くっ」

咄嗟に七天七刀を引き上げて、その黒鞘で拳を受け止める。
防御を成功させ、冷静さを取り戻した神裂は、反撃をしようと身構えた。

しかし、次の瞬間――神裂の視界が傾いた。

神裂「(合気!?)」ガクンッ

自らの持つ武道の知識から、我が身に起きた現象を分析する。
厳密には正解では無かったが、結果的に彼女はその本質を正確に理解していた。

――が、遅い。

迫間「そこっ!」ヒュン

ある時はボクサーとして、またある時には空手家として。
自分ではない自分によって鍛え上げられた拳が、正確に神裂の顎を撃ち抜いた。

神裂「あっ……!?」

傾いていた視界がさらに揺れ、足腰から力が抜ける。

迫間「インデックス!」グイッ

禁書目録「ふぇ!?」

神裂「しまっ――」カクン

迫間「よし! 逃げるぞ!」ダダダダッ

インデックスの手を取った迫間は、神裂を一瞥すると全速力で逃走を始めた。

――ここに来て、まさかの『逃げるが勝ち』作戦。

インデックスを置いて逃げるつもりは毛頭ないし、そう言った。
だが、一緒に逃げる分には一向に構わないのだ。
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 21:45:07.57 ID:kJ6P/jFpo
キテター!

けどもびっくりしたww
おちつけ
763 :顔から火が出るかと……誤字よりも誤操作のが怖い…… [saga]:2011/05/15(日) 21:49:52.94 ID:Ah7YFTiEo

禁書目録「しょう、怪我は平気!?」

迫間「このぐらいの怪我は慣れてるじゃん! いいから走れ!」

脳震盪を起こすように狙って打ったが、それでも時間が経てば回復してしまうだろう。

迫間「(こうなったら、迷ってられない……プラントで匿うしかない!)」

目指すは第五学区のクローンプラント。

禁書目録「しょう、後ろ!」

迫間「んなっ!? 嘘だろ!?」

インデックスの声に促されて背後を確認すると、既にダメージから回復した神裂が猛追を始めていた。

――本当に同じ人間か!?

インデックスや迫間は逃げる事に精一杯で、走りながら追撃に対応している余裕はない。
だが、それに対して神裂は、尋常ならざる速度で追跡しながらも、攻撃の体勢を整えていた。

追う者は前方だけに注意していればいいが、追われる者は前方と後方を気にしなければならないのだ。

神裂「(彼の言う通り、覚悟が足りなかった……!)」

たかが学生相手と侮った。素人相手に本気になる事も、その必要もないと考えていた。

しかし、生と名乗る少年の見せた戦いは、紛れもなく戦士のそれだった。
戦い慣れている、というのが神裂の抱いた率直な感想である。

神裂「(制限時間(リミット)が迫っている以上、私に手段を選んでいる余裕など無かったのに……!)」

だからこそ、どんなに卑怯な手段であろうと、インデックスを無事に回収する為になら迷わず使う。
高速で走りながらも、神裂は抜刀術の構えを取り、その『標的』を定めた。
放つのは、『七閃』ではなく、自らの最強の一撃。

しかし、『唯閃』の標的は禁書目録ではなく――
764 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:51:24.75 ID:Ah7YFTiEo

禁書目録「させない!」バッ

迫間「(この馬鹿っ!?)」

10万3000冊の魔導書を守る、それがインデックスの使命だ。
だが、その為に他者を犠牲にしても構わないという人格の持ち主であれば、自分は彼女を『回収』しようとはしていないだろう。

だからこそ、回避不可能な状況下で、隣の少年を『全力』で攻撃すれば彼女は必ず少年を庇う。

吐き気がする程に卑怯な手段だ。
だが、そうする事が最良の手だった。

『歩く教会』があるインデックスが傷を負う事はない。
だが『唯閃』の攻撃力であれば、少なくとも彼女を昏倒させる事は可能だ。
その後、彼女を確保して離脱すればいい。そうすればこの少年を殺さずに済む。

――その筈だったのに。

迫間「どけええええええええぇぇええええええええええええ!!」ガッ

……庇われる筈の無力な少年は、攻撃と錯覚しそうな勢いでインデックスを『引き倒した』。

そして、無防備のまま『唯閃』にその身を――晒したのだ。

ガキンッ、と鋼鉄製の何かを両断する手応え。
その後にザクリと、肉に刃が食い込む感触が伝わる。

迫間「がぁあああああああああああああああああああああ!」

禁書目録「しょう!?」

神裂「どう……して……」

――知っているのではないのか。

インデックスの身に付けている『歩く教会』の防御力は絶対だと。

庇う必要なんてないのに。

それなのに。

何故。

混乱と後悔の中で揺れる神裂の隙を突くかのように――

一発の銃弾が飛来した。
765 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:54:53.23 ID:Ah7YFTiEo

神裂「くっ!?」

文字通り、眼前を横切る銃弾に神裂は戦慄する。

神裂「これは……狙撃!?」キンッ

銃声は無かった。
元々、無音の銃なのか、或いは銃声が届かぬ程、遠方からの狙撃なのか。
銃弾を防げたのは、戦闘経験と僅かに聴こえた風切り音の御蔭と言っていい。

神裂「っ!」キンッキンッ

次々に襲い掛かる銃弾を鞘で防ぎながら、狙撃手の姿を探す。
神裂は弾道から、狙撃地点を推測し、そちらへ意識を向けた。

――その視線の先。

遠く離れたビルの屋上に、一人の少女がいた。

迫間とインデックスの移動に合わせて、最適な狙撃ポイントへと移動していたミサカ13号。

              _
        ,..:イ´/ハ`ぇ、
       ノ:::/::,-=r‐-、`!
       ハノハ!〉八_  )[ニ[]ニ[]ニニニ]
     /´,,"⌒ヽ:  _`>'____」| ||____
    /  ||.:ヘ ̄`ヽ/さ⌒>         |ニ!ニニ!ニニ!ニニ!ニニ!===========コ
.   /    ヾ=ヘ.   /ヽ、| |っ)| / ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l ̄
  /     ,./´ヽ/l丶、 ,!´ |_l   |_|                 l ll
  /  ., ´ ̄〈/    l: l_ ニ、                     l l l
  ! (     /    /:=}    \,、                     l l l l
 〈__/   / / ,  '^\_ノノヘ、                 l l l l
  「 , T ̄|ヘ   /l/ /     ヽ、   \                l l  l l
.  ',´ |  .| 〉 /_ク、_      \ i´( ̄`ヽ             ̄  ̄
. 八ノ_ノ_∧ノ,、___ゝ      `´`ー─'´


放った銃弾が容易く迎撃され、少女の表情は曇った。

00013号「通じませんか……一方通行といい人外が多すぎて困りますね。と、ミサカは溜め息を吐きます」

かつての苦い経験が思い出されるが、流石に銃弾をそのまま『反射』されたりはしないようだ。

実験での一方通行戦以来の実戦。

だが彼女に感情の乱れはない。
恩人を助けることに迷いはなく、一方通行という怪物を知るからこそ、未知の敵にも恐怖しない。

00013号「――ミサカ13号、これより『迫間生』並びに『禁書目録』の撤退を支援します」

宣言と共に、再び引き金を引く。
766 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 21:56:44.92 ID:Ah7YFTiEo

彼女が使用している銃は、実験で使用していた『鋼鉄破り』ではなく、もっとスマートな代物だ。

『MSR-001゜磁力狙撃砲』

威力は『鋼鉄破り』どころか、普通の狙撃用の銃よりも劣るが、ミサカ13号にとっては最高の銃だった。

この銃は、電磁石を用いてスチール製の弾丸を飛ばすスナイパーライフルで、簡易版のレールガンと言える。
その特性故に『欠陥電気』を駆使すれば、弾速の底上げや、弾道の補正も可能である。

蘇生された後――とあるスナイパーの元で修行していた時に用意してもらった銃で、愛着もある。

00013号「(目的は撃破ではなく、足止め……動きを封じて時間を稼ぎます!)」

狙うは二点。

相手に「殺されるかもしれない」という恐怖心を与えて、動きを制限させる為に頭部を。
物理的に直接、機動力を奪う為に脚部を。
どちらも、かすらせるだけで構わない。それで充分に牽制の効果がある。

00013号「(甘いでしょうか、温いでしょうか……?)」

銃を撃つのは好きだと思う。
だが、別に誰かを傷つけたい訳ではないのだ。

00013号「(師匠……私は、遠距離狙撃という貴方と同じ『土俵』において、貴方とは別の戦いをします)」

殺すつもりはない。
きっと、『生』は『妹達』が自分達を守る為に誰かの生命を奪う事など望んでいないから。

まぁ、銃弾が当たったところで、あんな怪物が相手では、さほど効果があるとも思えないのだが。

00013号「(――こんな狙撃手がいたって、構わないでしょう?)」

守る為に人を撃つ。

絶対的な矛盾を孕みながら、少女は引き金を引く。
767 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 22:01:06.58 ID:Ah7YFTiEo

狙撃する側の決意とは裏腹に、その標的となっている魔術師は混乱の中にいた。
だが、その行動自体は迅速で、銃弾から身を隠すように公園の木々の間を駆け抜ける。

神裂「(二人は――離脱しましたか)」

銃弾を防いでいた時、視界の端でインデックスが少年に肩を貸して公園を脱出したのを捉えていた。
距離的に言えば、今ならまだ追いつけるだろうが、狙撃手がいる状態で追撃が可能とは思えない。

神裂「(ここは一度、引くしかありませんか……!)」

このタイミングでの突然の狙撃。

もしかしたら、あの生と名乗った少年は、魔術の世界と無関係な学生等ではないのかもしれない。
下手をすると、何らかの組織に属した人間である可能性もある。

神裂「(そんな風には見えませんでしたが……)」

だが、そんな自分の主観でインデックスを襲うかもしれない『危機』を看過する訳にはいかなかった。
自分達以外の組織に彼女が捕らえられた時の未来を想像し、神裂は僅かに身体を震わせた。

神裂「(……追撃はステイルに任せて、少し調べてみましょう)」

インデックスを想えば、彼が善意の第三者であって欲しいと思う。

だが、そうであれば――

神裂「(私は……あの名を名乗る資格があるのでしょうか……)」

手に残る、人を斬った感触が重く神裂へとのしかかっていた。
768 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/05/15(日) 22:07:21.29 ID:Ah7YFTiEo
赤っ恥をかいたのでここいらで少し休憩を挟もうかと思います。
日付変わる前には戻って来ますので。
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 22:09:16.88 ID:kJ6P/jFpo
了解した
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/15(日) 22:14:07.09 ID:HTADx+3ao
待ってる
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/15(日) 22:14:41.69 ID:MZN+Y+g4o
おつおつ
待ってるよん
772 :再開します [saga]:2011/05/15(日) 23:17:03.88 ID:Ah7YFTiEo

【PM 3:25】


喫茶店で『幻想御手』に関する話を終え、四人は店を後にした。

木山「――じゃあ、『幻想御手』を入手したら、私の研究室に連絡してくれ」

黒子「はい。お忙しい中、ありがとうございました」

木山「いや、こちらこそ色々と迷惑をかけてすまない」

安達「迷惑なんてとんでもない、大変結構なものを見せて頂き――」

黒子&美琴「「黙ってなさい」」

安達「はい」ショボン

木山「ふふっ……奇妙な男だね、君は――何だか、教鞭をふるっていた頃の事を思い出して楽しかったよ」

美琴「教師をなさってたんですか?」

木山「昔……ね。では」

美琴「なんつーか、少し変わった感じの人よね」

立ち去る木山の背中を見ながら、ポツリ。

黒子「常人とは違う感性が天才を生むんですわ――それにしても、安達さん」

安達「ん?」
773 :再開します [saga]:2011/05/15(日) 23:18:02.97 ID:Ah7YFTiEo

【PM 3:25】


喫茶店で『幻想御手』に関する話を終え、四人は店を後にした。

木山「――じゃあ、『幻想御手』を入手したら、私の研究室に連絡してくれ」

黒子「はい。お忙しい中、ありがとうございました」

木山「いや、こちらこそ色々と迷惑をかけてすまない」

安達「迷惑なんてとんでもない、大変結構なものを見せて頂き――」

黒子&美琴「「黙ってなさい」」

安達「はい」ショボン

木山「ふふっ……奇妙な男だね、君は――何だか、教鞭をふるっていた頃の事を思い出して楽しかったよ」

美琴「教師をなさってたんですか?」

木山「昔……ね。では」

美琴「なんつーか、少し変わった感じの人よね」

立ち去る木山の背中を見ながら、ポツリ。

黒子「常人とは違う感性が天才を生むんですわ――それにしても、安達さん」

安達「ん?」
774 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:19:13.60 ID:Ah7YFTiEo

【PM 3:25】


喫茶店で『幻想御手』に関する話を終え、四人は店を後にした。

木山「――じゃあ、『幻想御手』を入手したら、私の研究室に連絡してくれ」

黒子「はい。お忙しい中、ありがとうございました」

木山「いや、こちらこそ色々と迷惑をかけてすまない」

安達「迷惑なんてとんでもない、大変結構なものを見せて頂き――」

黒子&美琴「「黙ってなさい」」

安達「はい」ショボン

木山「ふふっ……奇妙な男だね、君は――何だか、教鞭をふるっていた頃の事を思い出して楽しかったよ」

美琴「教師をなさってたんですか?」

木山「昔……ね。では」

美琴「なんつーか、少し変わった感じの人よね」

立ち去る木山の背中を見ながら、ポツリ。

黒子「常人とは違う感性が天才を生むんですわ――それにしても、安達さん」

安達「ん?」

黒子「――もしかして、目付きの悪い研究者タイプの女性が好みですの?」

安達「いや、別にそんなピンポイントな嗜好はないんだが……それに、あの先生は目付きが悪い訳じゃないし」

美琴「クマは凄かったけどね」

安達「それだって、睡眠時間を削って研究してる証拠みたいなもんだろ?
    ……そのうちデッカイ事でもやってくれそうじゃないか」

根拠には欠けるが、努力している人間は何かしらの結果を残せると思いたいらしい。

黒子「確かに優秀な研究者みたいですし……『幻想御手』を見つければ、何か突き止めてくれると思いますの」

美琴「だといいんだけどねー…………ん?」ピクッ

言いながら、何かの気配を察知したかのように周囲を見渡す美琴。

パーパーパー♪ パパーパパパッパー♪

それを余所に安達の携帯電話に着信が入る。

黒子「(……西部警察?)」

安達「はい、もしもし………………………っ…………………………ああ、分かった」ピッ

にこやかに電話に出た安達だったが、途中で表情が固まったように見えた。

黒子「……どうかなさいましたの?」

安達「いや……少し用事が出来たから、支部への報告は任せていいか?」

黒子「元々、安達さんは非番ですし、それは構いませんが……」

安達「悪いな。それじゃ、お先に失礼するじゃんー」タッタッタッ

見た目こそ冷静だったが、何か焦っているように立ち去る安達。

黒子「……怪しさ大爆発ですの……お姉様はどう思いに――あら?」

振り返ってみれば、美琴の姿が忽然と消えている。

黒子「おねーさまー?」

どうも最近、このパターンが多いような気がする黒子であった。
775 :あれ、何か変だな? [saga]:2011/05/15(日) 23:22:20.97 ID:Ah7YFTiEo
黒子「――もしかして、目付きの悪い研究者タイプの女性が好みですの?」

安達「いや、別にそんなピンポイントな嗜好はないんだが……それに、あの先生は目付きが悪い訳じゃないし」

美琴「クマは凄かったけどね」

安達「それだって、睡眠時間を削って研究してる証拠みたいなもんだろ?
    ……そのうちデッカイ事でもやってくれそうじゃないか」

根拠には欠けるが、努力している人間は何かしらの結果を残せると思いたいらしい。

黒子「確かに優秀な研究者みたいですし……『幻想御手』を見つければ、何か突き止めてくれると思いますの」

美琴「だといいんだけどねー…………ん?」ピクッ

言いながら、何かの気配を察知したかのように周囲を見渡す美琴。

パーパーパー♪ パパーパパパッパー♪

それを余所に安達の携帯電話に着信が入る。

黒子「(……西部警察?)」

安達「はい、もしもし………………………っ…………………………ああ、分かった」ピッ

にこやかに電話に出た安達だったが、途中で表情が固まったように見えた。

黒子「……どうかなさいましたの?」

安達「いや……少し用事が出来たから、支部への報告は任せていいか?」

黒子「元々、安達さんは非番ですし、それは構いませんが……」

安達「悪いな。それじゃ、お先に失礼するじゃんー」タッタッタッ

見た目こそ冷静だったが、何か焦っているように立ち去る安達。

黒子「……怪しさ大爆発ですの……お姉様はどう思いに――あら?」

振り返ってみれば、美琴の姿が忽然と消えている。

黒子「おねーさまー?」

どうも最近、このパターンが多いような気がする黒子であった。
776 :なんか、エラーでるなー? [saga]:2011/05/15(日) 23:24:48.39 ID:Ah7YFTiEo

一方、ツンツン頭の高校生の姿を補足した美琴は、ほぼ反射的にその背を追いかけていた。

美琴「……っと、確かこっちの方に――いた!」

上条「ふわぁ……」

とある修道女が気掛かりで、補修に集中出来ずに結果的に授業時間が伸びるという不幸に見舞われた上条当麻である。

美琴「ちょっと、アンタ!」

上条「うん? ……何だ、御坂か」

美琴「何だとは何よ! 文句でもある訳!?」

上条「いや、そんな噛み付かんでも……つーか、御坂さんには補修で疲れた上条さんを労ろうという優しさは無いんですかね?」

美琴「補修なんて自業自得じゃないの。よく言うわ」

容赦のない言葉に肩を落とす上条。

上条「……んで、補修に縁のない優等生の御坂さんは、この補修帰りの上条さんにどのような御用があるのでしょうか?」

美琴「別にないけど」

上条「無いのかよ!?」

美琴「何よ、用がなきゃ話かけちゃいけないの?」ツーン

上条「……もしかして、その台詞は狙ってるのか?」

美琴「は?」

上条「いや、何でもない(いかん、青髪ピアスの思考に毒されてきたかも知れん)」

美琴「特に用がある訳じゃないけど……少し、気になって」
777 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/05/15(日) 23:30:50.45 ID:Ah7YFTiEo

最後まで言われなくても分かった。――インデックスの事だ。

上条「……なぁ、御坂」

美琴「何よ」

上条「英国式の教会の場所とかって……知ってるか?」

美琴「――あの子、何か忘れ物でもしてた?」

上条「あー……どちらかと言うと、俺が……かな」

きっと、それは忘れ物ではなく落し物だ。
そして、拾わずに居ても困りはしない物だ。

――でも、拾わずにはいられない物だった。

美琴「ふーん……」

――結局、首を突っ込む訳か。

今朝は知らん顔して誤魔化してた癖に、と憤慨する自分と。
でも予想通りよね、と納得してる自分がいた。

美琴「確か三沢塾の近くに教会があったと思うけど……面倒だから教えたくない」

上条「え」

美琴「――でも、偶然だけど……私、これからその教会に行くから。
    アンタが勝手に私の後ろを着いて来るのは構わないわよ」

上条「へ?」

美琴「それと、今朝アンタの部屋に忘れ物しちゃったような気がするから、
    アンタが部屋に荷物を置きに行くのに付き合ってもいいんだけど」

上条「うわぁ……」

何だろう、この素直じゃなくて逆に素直過ぎる感じになってしまった生き物は。

上条「……ツンデレ美琴たん萌えー」

なので、感想を率直に述べてみた。

美琴「うっさい! さっさと行くわよ!」///

顔を真っ赤にした美琴に促されて上条は家路を急ぐ。

上条「御坂って、結構お人好しだよな」ニヤニヤ

美琴「……アンタが言うなっ!」///

他愛ないやりとりを交わす二人。
彼らはインデックスの危機を――まだ知らない。
778 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:35:43.69 ID:Ah7YFTiEo
【PM 3:45】


〜とある高校の男子寮〜


夏休み初日なのも影響してか、男子寮に人気はない。
元々、誰もいない管理人室の横へ抜けて、鋼鉄の箱を目指す。
インデックスに肩を借りながら、迫間はエレベーターに乗り込み、七階のボタンを押した。

禁書目録「しょう、本当にここでいいの!?」

迫間「……ああ」

動く度に迫間の胸から流れる鮮血が足元を濡らした。

迫間「(この怪我じゃ……冥土返しの病院に行っても治療は間に合わない……)」

――となれば、解決策は仮面を装着して死ぬ事だ。

迫間「(まさか、懐に入れていた……仮面まで……両断されるとは思わなかったが……)」

逆に仮面がなければ、迫間の胴体は上下に分断されていただろう。

禁書目録「どうして……」

迫間「……ん?」

禁書目録「どうして、こんな無茶したの!? 私なら平気だったのに……!」

迫間「確かに『歩く教会』があれば…………怪我はしなかったろうな」

だが、平気ならこの少女をあの刃に晒すのか?

――ふざけるな。

『妹達』の事だって、本当であれば即刻、実験に喧嘩を売って、関与している上層部から悪滅してやりたいのだ。
でも、それでは彼女達を解放する事は出来ないから。

だから、必死に堪えて、憎まれるのも覚悟の上で。
彼女達の死を看過しているのだ。

その上、インデックスまで?

迫間「怪我しないからって……お前を盾に出来る訳……ないだろうがっ……」

禁書目録「……しょう……ごめんなさい……本当にごめんなさい……」

迫間「謝るな……ちっとも嬉しくないから」
779 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:37:57.71 ID:Ah7YFTiEo

チン、と電子レンジみたいな音と共にエレベーターが七階に到着する。

直線的な通路を抜けて、安達生の部屋の前まで頼りない歩みで進む。

迫間「インデックス、部屋の中に入って黒い……仮面を探してきてくれ」

禁書目録「仮面?」

迫間「……頼めるか?」

禁書目録「それがあれば、しょうは助かるんだよね?」

迫間「おう、バッチリじゃん……今、鍵を開けるから」

安達生から預っていた鍵を使って部屋のドアを開けて、インデックスを中へと入れる。

禁書目録「待ってて! 絶対に見つけてくるから!」

半分開いたドアに寄りかかりながら、インデックスを見送る。

迫間「(……五分五分だな)」

……部屋の中に予備の仮面がある確率が、である。

あれば、セーフ。
なければ、アウト。

痛みはある、しかし恐怖はない。
ただ、自分が死んでインデックスを守れないのは怖かった。

迫間「がはっ……ごほっ……」

ヘドロのような血の塊を吐き出した。

――時間がない。

部屋の中で必死に仮面を探しているのだろう。
中からは引っ越し作業中かと思うような音が聴こえてくる。

迫間「やっぱ、そう都合良くは……いかないか……」

廊下側へと体を動かして、ドアを探る。

迫間「――あった」

風紀委員の支部にある、認証システムを参考にした隠しパネル。
これを操作すれば――クローンプラント同様、『生』の遺伝子を持った人間以外の出入りを封じる事が出来る。
780 :お、治ったかな? [saga]:2011/05/15(日) 23:39:27.54 ID:Ah7YFTiEo

ガチャン!

禁書目録「――しょう?」

ドアの閉まる音にインデックスが、玄関へとやってくる。

禁書目録「あれ、開かないよ……?」ガチャガチャ

迫間「悪い、インデックス……もう……無理みたいだ」

禁書目録「なに……いってるの……?」

迫間「とりあえず、この部屋にいれば安全だから……」

禁書目録「しょう、開けてよ……」

迫間「……任せておけ……魔術師は俺が抑えておく」

禁書目録「っ……そんな怪我で何言ってるの!? 無理に決まってるんだよ!」

迫間「言っただろうが、俺は不死身なんだよ……魔術師の相手ぐらい余裕じゃん」

禁書目録「…………」

迫間「ubi tres, ibi ecclesia, licet laici」

禁書目録「……え?」

突然のラテン語にインデックスが虚を突かれた。

迫間「意味、知ってるか……?」

当然、その言葉も彼女の『蔵書』の中に存在した。

禁書目録「『たとえ平信徒であろうと,三人が集まれば,そこに教会がある』……なんだよ」

迫間「……クリスマスをパーティかデートの日程度にしか思ってない、日本人の三人だけどさ。
    それでも、俺と上条と御坂がいれば……そこには、『教会』があるじゃん……」

ただ一人、孤独の中で逃げ続けた少女の戦いに終わりを告げる為に迫間は言葉を搾り出した。
781 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:42:00.60 ID:Ah7YFTiEo

迫間「『歩く教会』に比べれば、頼りない教会かもしれないが……お前をそこで保護してやるから……」

禁書目録「――――!」

迫間「守ってやるから……お前を狙う魔術師からも……『孤独』からも――だから」


――今度こそ、ちゃんと言葉にして欲しい。


『一緒に地獄の底まで来てくれる?』なんて、相手を気遣う拒絶の言葉ではなく。
本当の願いを。
インデックス自身の口から。

迫間「言えば、アイツらはきっと……お前を助けてくれるから……」


――俺がいなくても、ちゃんと出来るよな?


禁書目録「ダメなんだよ……言うから……ちゃんと言うからぁ……ここを開けて……しょう……開けてよぉ……」グスッ

迫間「悪い、ドアが歪んで開きそうにないじゃん……」

禁書目録「そ、そんな嘘で騙される私じゃないんだよ! 開けて、お願いだから……!」

迫間「そこで、大人しくしてるんだぞ……? 『俺』か上条が来るまで……そこに隠れてろ」

それだけ言って、部屋の前から歩き出す。

禁書目録「ダメ……しょう……死んじゃダメなんだよ……!」

ドアの向こうからインデックスの声が聴こえているが、それすらも耳に入らなくなって来た。

迫間「(少しでも離れないと……)」

朝、敵の魔術師は『歩く教会』を動かしている魔力を探査(サーチ)している、とインデックスは言っていた。
だからといって、迫間が部屋の前で寝ていたらインデックスの居場所を喧伝するようなものだ。
782 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:42:58.82 ID:Ah7YFTiEo

迫間「(最低でも寮の外に……)」

防犯レベルもゼロな上条当麻の部屋に比べれば、まだこの部屋の方が敵に破られる可能性は低い。
『魔術』を持ち出されれば結局、破られる事にはなるだろうが、少しでも時間を稼げれば上出来だ。

――問題があるとすれば。

迫間「(間に合うか……?)」

上条当麻の帰宅、或いは自分の危機を知った兄弟達の援軍の到着。

そして、もう一つの問題点。

迫間「(あの神裂の技……『七閃』や『唯閃』は異能云々の前に鋼糸術であり、剣術が根本にある)」

異能の力を別にしても、単純な身体能力だけで既に常人では対抗できないレベル。

迫間「(奴と上条がぶつかれば……上条に勝ちの目は薄い……)」

魔術に対して、『幻想殺し』がどの程度有効なのかは不明だが、少なくとも物理攻撃に対しては無力だ。

銃弾を鞘で防いでしまう、あの技量を考えると、ミサカ13号の遠距離からの狙撃だって足止めになるのかも怪しい。
そもそも、弾だって無限にある訳ではないのだ。

……狙撃手の存在に警戒して追撃を断念してくれれば僥倖だが、そうでなければ帰宅した上条と魔術師の接触は避けられない。

そして、何より『人払い』なる術を行使したらしい、仲間の魔術師の存在。

迫間「(インデックスを守り抜くには……手が足りない……じゃん)」

都合よく、御坂美琴でも上条宅を訪ねて来てくれれば、戦力的には充分なのだが。
最悪の場合、このまま為す術もないまま、インデックスを奪われてしまう事も考えられる。

だからこそ。

――間に合ってくれ。

そして、その願いは聞き届けられた。

???「迫間っ!!!」

聞き慣れた、自分と同じ声。
焦りと驚愕に彩られていても、聞き間違える筈がない。

迫間「(遅いじゃん、新倉の……)」

消えかける意識の中で、迫間はその男の名を呼んだ。
783 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:45:56.12 ID:Ah7YFTiEo

ミサカ13号の連絡を受けた時、すぐに動けて、一番近くにいたのが新倉だった。

新倉生が駆け付けた時、迫間生は男子寮の4階にまで降りてきていた。
3階から4階へと上がる階段の踊り場で、新倉は立ち尽くしていた。
迫間生のあまりの状態に、だ。

その状態を一言で表現するならば――何故、生きているのか分からない。

今までも、色んな死に方をしてきたが、ここまでの重傷で生きていたケースには覚えがない。
新倉にしてみれば、自分が拷問を受けた時以上のダメージを負った迫間の姿に愕然とするしかない程に。

新倉「迫間の……お前、そんな身体で……」

迫間「ははっ……少し、無茶したじゃん……仮面も真っ二つにされちまってさ……」ヨロッ

新倉は、崩れ落ちそうになる迫間の身体を慌てて支えた。

新倉「予備の仮面なら持ってきた! 今、着けてやるから……!」

迫間「それぐらい、自分でやる……それよりも安達の部屋にインデックスを置いてきた……早く、保護してやってくれ……」

新倉「……けどっ……」

迫間「――もう、嫌なんだよ……友達を失うのは……」

新倉「っ!?」

頬にこびり付いた血が、涙に洗われて流れていく。
新倉には、それが迫間の血涙のように見えた。

新倉「――判った、任せろ」ダッ

迫間をそのままに安達の部屋へと向かう。
一心同体であるからこそ、その言葉だけで新倉は迫間の想いを理解していた。

クーデター事件の折、自らを愛する少女の蘇生の為の素材にした迫間生。
仮面を装着せずに、その肉体を捧げた為、試験個体との接触の後に『残留組』に蘇生された彼に、クーデター事件中の記憶はなかった。
今でこそ、それらの記憶を保有しているが、それは他の生から共有補完された擬似記憶に過ぎない。

だからこそ、彼は事件の顛末を知った時、二度目の後悔を味わったのだ。

親しき級友を、優しき教師を、愛する少女を守れなかったという事実に。

指一本触れさせないと、守り抜くと誓ったのに。

それを果たせなかった。

迫間「――今度、こそ……」カシュ

仮面を装着した迫間は、力尽きたように廊下に倒れこんだ。
迫間が撒き散らした血に反応したのか、ドラム缶型の清掃ロボットが集まってきていた。

それらを振り払う力は、迫間には残っていなかった。

ほんの少し前に新倉がやってきた非常階段の方から足音がしても、そちらを見る力も無かった。

そして。

――その直後、迫間生の肉体と数台の清掃ロボットは、3000度の炎によって、跡形も無く消滅させられた。

784 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:48:14.62 ID:Ah7YFTiEo

爆音と黒煙は、七階にいる新倉にも届いていた。
明らかに自分達が自爆用に使っている爆弾とは違う。

新倉「爆弾か……!? くそっ、何処の馬鹿だよ、こんな真似したのは……!」

思わず、そう叫んでいた。
時間的に男子寮には人が多くない筈だが、それでも何人かは残っているかもしれない。

???「うん? 僕達『魔術師』だけど?」

階下から声。
その声の主は非常階段を使って、この七階を目指している。

新倉「(なるほど、爆弾じゃなくて『魔術』って奴か…………俺がやるしかない、か……)」

同胞の死と、敵の襲来を知った新倉は即座に覚悟を決めた。
安達の部屋と非常階段の中間ぐらいの位置に陣取って、魔術師を待ち受ける。

???「ん……? 神裂と戦ったのは君かい? ……だとしたら、下にいた仮面の男は誰だったのかな?」

――現れたのは、漆黒の修道服に身を包んだ男。

赤く染め上げられた金髪に、左右十指には銀の指輪。
毒々しいピアスに右瞼の下にはバーコードの形をした刺青。

気怠そうに煙草を口の端で燻らせながら、神父は新倉の顔を観察していた。

???「七天七刀で斬られた痕跡があったから、焼き尽くしておいたけど……君も聞いていた人相と一致するし……」

新倉「(こいつ……)」

仮面に仕込まれた爆薬では頭を吹き飛ばす程度で、学園都市に潜入中の今では却って、問題が多い。
情報漏洩を防ぎ、身体データ隠蔽の為に肉片一つ残さず消し飛ばすのが理想だが、現状ではそうもいかない。

だから遺体の処理という意味では、勝手に火葬してくれたのなら、逆に助かったとも言える。

――だからと言って、ムカツクかどうかは別の話だが。
785 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:49:48.95 ID:Ah7YFTiEo

???「まぁ、君も殺せば問題はないかな。時間もないし……」

新倉「これはまた、見事な悪役っぷりだな……魔術師さん」

???「僕は神裂とは違うからね……しかし『魔術師』を知っているとなると、やはり君の方が正解だったのかな?」

新倉「そう簡単に正解を出されちゃ、賞金がいくらあっても足りないじゃん。その安そうなバーコード貼られた頭で考えてみろよ」

???「……へぇ? 聖人である神裂に生身で挑むだけあって、大層な馬鹿野郎みたいだね。殺すよ?」

新倉「この程度の挑発に乗るなんて、見た目の割に随分と子供っぽさが滲んでるんじゃねーの、坊や」

???「――ステイルだ」

新倉「何?」

ステイル「――僕の名前はステイル=マグヌスだ」

新倉「まさか名前を教えてやるから、ちゃんと呼べ、とか言い出すんじゃないだろーな」

ステイル「まさか。ただの前置きだよ……もう一つの名前を名乗る為のね」

新倉「…………?」

ステイル「僕ら魔術師には……魔法名というのがあってね。
      称号や決意表明に近い意味合いがあるんだけど、実情は少し違うんだ」

――Fortis931

ステイル「……殺し名、って奴さ。――炎よ」

言葉と共にオレンジの軌跡が爆発する。

新倉「くっ!?」

ステイル「――巨人に苦痛の贈り物を」

迫るのは灼熱の炎剣。
しかし、新倉は動かなかった。いや、動けなかった。
その炎に魅せられていたのだ。

容赦なく炎剣は新倉へと叩きつけられ、熱波と閃光と黒煙が通路を満たした。

ステイル「やり過ぎた、かな?」

炎の中……勝利宣言にも似た言葉を意識の端で受け止めながらも、新倉はまるで別の事に『熱中』していた。

――分かる。

――判る。

――解かる。

高速で脳が回転を始め、演算が一つの結論へと導かれていく。

勝利への道筋。

自分の能力の本質。

――紅蓮の炎に身を焼かれながら、新倉生の中の『何か』が爆ぜた。
786 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:51:38.80 ID:Ah7YFTiEo

自分だけの現実(パーソナルリアリティ)

新倉生にとってのそれは、如何なるモノであったか。


――例えば、一人の人間として生きた記憶。


クローンであるが故に他の生と同様に孤児として……施設で育った。
己の宿命を知らず、生来の性格から、明るく平凡に生きてきた。

友人にも恵まれたし、下宿先の婆ちゃんも優しかった。
……幸いにも孤独とは無縁だったように思う。

訪れた転機は一人の友との別れ。
1999年、新倉生は桂木の命の期限を知る。

アイツは全国模試のトップ10常連で、他にも才能に溢れていて、愚昧な教師や理不尽な社会に腹を立ててた。
いけ好かない奴だったな。


――でも、大切な友達だった。そんなアイツが好きだった。


何故、桂木が死ななければいけなかったのか。
社会が悪かったのだろうか?
或いは、堀切のクソジジイの所為だろうか?
その『本当』の答えは未だに出ない。


――だが、桂木の死は俺を……いや、俺達を悪滅へと駆り立てた。


無為無策の愚鈍なる政治。
リスクを背負わず、利益ばかりを貪る社会悪。

だからこそ、生達は、そんな連中に対するリスクにならなければいけなかった。
日本という国家に、そこに生きる人に『誓い』を刻む為に己の存在を賭けて戦った。

民主主義という名の毒によって、人間に残された武器は己の五体のみだった。
しかし、俺達にはもう一つ、武器があった。


――それは怒りのモチベーション。


桂木の死……多くの愛する者達を襲った悲劇が与えた、強い炎のような想い。
一つ一つは小さくても、それが何十人と集まれば、止められる筈が無かったのだ。


――だからこそ、俺が手にした能力は炎だったんだ。
787 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:53:45.80 ID:Ah7YFTiEo

『本当に頭のいい奴は、20歳になる前に死ぬ。それはこの世に生きることがあまりにもバカバカしいからだ』

そういえば、そんな事を書いてたっけな、桂慧大先生は。
今、こうして必死に生きて、道を切り拓こうとしている俺を桂木は笑うだろうか?

『生きろっ! 生!!!』

いや、笑わないよな?
だって、俺ってば馬鹿だもん。

『俺達は毎日眠りにつく。眠ると意識が落ち、そこには自我も何もない』

それに頭のいい桂木だって、桂木は最後の瞬間まで生きた。
薬の副作用、死への恐怖、抑えられない怒り、絶望に身を焼かれながらも生き抜いたのだ。
消えかけた命の灯火を、どこまでも熱く、どこまでも明るく燃やしていた。
その上、俺達に多くのモノを残してくれた。

『幸せも不安も恐怖も明るくも暗くもない。………………ただの、無』

人は眠りの中で死を体感していると、桂木は言った。
そして、死は無であり、無が死なのだと。

――それは嘘だよな、桂木。……例え、死んでも、消えずに残るモノもある筈だ。

新倉「(――そう、消えないじゃん)」

気高く、誇り高く、天に輝く星のように。
孤高なる星。

例え、闇に消えようとも、かつて放った光が、後の世界を照らす。

桂木が俺達に望んだ、超人としての在り方。

新倉「(――もう一度、『俺』の想いを……誓いを……世界に刻んでやるっ……!)」

今、超人は更なる力を得る。
788 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/15(日) 23:56:20.04 ID:Ah7YFTiEo

あるべき形を与えられた炎はより強く、より激しく燃え上がる。
魔術という異法に触れ、光が影の輪郭を明確にするかのように。

そして、魔術師の放った炎と、真の形を見据えた能力が激突する。

――否、身を包む炎が、身の内から出た炎によって、喰らい尽くされた。

ステイル「何っ!?」

新たな能力者の誕生を祝福するように、灼熱と爆音が、真紅の世界を彩った。

何故、開発を受けた安達ではなく、完全な無能力者であった新倉に能力が発現したのか。

刹那の中で、新倉はそれを理解していた。
一人の人間として生きてきた、確かな記憶。

友への想いを未だに抱える、その精神の基盤。
数多の人間を殺戮した、アクメツとして構築された異質な精神世界。

数十、数百の同胞の知能、記憶を引き継ぐ為に整理された脳。
それ故に生み出された、高い演算能力。

元々、全ての素養は揃っていた。

ただ、それには『蓋』がされていた。
だから彼は『原石』とは成り得なかった。
しかし、その『蓋』も『幻想御手』によって開かれた。

開かれた宝箱。
そこに収められていたのは血潮によって磨かれた、天然の宝石。

総和の中から、新たに生まれた個である、安達。
個として生き、総和の中へと取り込まれた、新倉。

『自分だけの現実』を観測するには、安達生の『世界』はまだ幼かった。
『妹達』のようにオリジナルの『才覚』によって、未成熟さを補う事も出来なかった。

だからこそ、彼は無能力者だったのだ。
789 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/05/16(月) 00:01:02.76 ID:1NMfPxNLo

ステイル「――なるほどね、発火能力者(パイロキネシスト)とか言う奴かな?」

15にも及ぶ火球は、新倉を中心に――まるで彼を守護するかのように、その周囲を回っている。

新倉「能力が使えるようになったのはいいんだけど、こう……ビシッと決まる名前がなくてさ」

指差すのは、南の空。

宇宙の遥か彼方にて、光を放つ、天蝎宮。
その中でも最も赤く燃え、最も強く輝く、一等星。

その名の意味は、荒ぶる神、アレスに抗いし者。
火星と同一視される、古き神に対抗すべく、炎は熱く、猛っていた。

新倉「アンタの炎を見ていたら……自然と思い出していた」

それは、根源であり、約束。
それは、遺言であり、遺産。

過去から未来への希望を求めて。
未来から過去への警告を告げる。


――アクメツ誕生の契機。


新倉「俺の親友が書いた、遺作の名前だ」

異端の発火能力者(パイロキネシスト)は、自らの能力に……その『運命の名』を貰う事にした。


能力名『孤高赤星(アンタレス)』


新倉「――あの南の空に輝く星の名前じゃん」

この能力は……彼が『新倉生』であるが故に産まれた能力。

ステイル「…………へぇ?」

新倉「アンタの御蔭で、イイ名前が決まったじゃん――あんがと」

皮肉等ではない、純粋なる感謝の念。

ステイル「なるほど、能力者にしては、マシな名前を考えたね」

口調こそ穏やかだが、魔術師の声に怒気が混ざる。

ギリシャ神話に登場する、戦を司る神、アレス。
かの存在は、戦闘における戦士の狂乱や破壊の衝動を神格化したものと言われている。

――その二つ名は『城壁の破壊者』

それに並び、抗おうとする赤星の名を冠する、新倉の能力。

ステイル「そう、本当に……!」

『ある理由』から、拠点防衛用の魔術に特化したステイル=マグヌスにとって、その二つ名は。

ステイル「嘗めた名前を名乗ってくれるっ……!」

自分への挑戦としか思えなかった。

新倉「上等じゃん――『炎』対決と洒落込もうか、この不良神父っ……!」

奇しくも炎対炎。

能力者対魔術師。

異なる力でありながらも、選び、選ばれた物は同じ。

――今、覚醒の炎に彩られ、新たなる戦いの幕が開く。
790 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/05/16(月) 00:09:10.35 ID:1NMfPxNLo
書き溜めが尽きたので、今日はここまでです。ここでかよ!?と言われそうだけど、こればっかりは仕方ないのです。
また間が開くかと思われます。

いやー、やっと新倉の能力名を明かせました。
どんな能力かは別にして、名前だけはかなり初期に決まってました。
やはり、孤高のアンタレス以外にはありえないだろ、と。
発現するのも、桂木と一番親しかった新倉確定だろ、と。

恐らく、他の生が開発or幻想御手を使用しても彼以上の能力は発現しないでしょうね。
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 00:14:24.91 ID:rVLl8HdUo

あつくなってきたぜい
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2011/05/16(月) 00:18:08.18 ID:xIPEljdw0

面白かった
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 00:50:18.70 ID:amFeTahSO

素晴らしい、本当に素晴らしい

気になるのは、仮面が爆発する前に焼却されて無事送信出来たのかどうかだ
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/16(月) 00:52:00.75 ID:RGNbrxyAO
いいよいいよー
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 01:04:16.61 ID:ZACwNjKt0
乙では足りない、しかし「お疲れ様」って言い方だとこの感動を表わすには足りない……
や、久々に背筋を凍らす鳥肌、というよりもむしろ脳髄の内側から燃えてくる熱い何かを感じたのぜ

迫間、安達、新倉の立ち位置の複雑さを最大限に活かし、それぞれの特性がカッチリ綺麗にハマりすぎてて怖いんだホント
さてさて、予告編によれば壮大なネタばらしの瞬間はあそこになるんだろうけど
期待値のメーターが今から天元突破しそうだから困る
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 01:04:52.61 ID:Tyx8EuMPo
面白かった! 乙
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/05/16(月) 10:22:19.00 ID:TSS8InHi0
乙なのです。これからの展開がwwktkだなwwww

>>1のせいで、D-LIVE!!とADAMASのクロスSSを妄想してしまったよ。
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 19:41:13.54 ID:5bCD6t+wo
是非書くべき

それはともかく>>1
俺好みの熱い厨二展開にテンション上がりっぱなしwwww
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/16(月) 22:13:29.89 ID:egq/r24mo
鳥肌たった、続き待ってるぜ!
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/05/17(火) 00:52:13.24 ID:UWNGGKMRo
>>797
斑鳩「清掃ロボット、今お前に命を吹き込んでやる!お前に魂があるのなら…応えろ!!」
こんなことになったんだがどうしてくれる
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/17(火) 23:22:27.44 ID:+IwTcjCq0
>>800
そのお前の発想のせいで
斑鳩がメイド服にオプションモップで清掃ロボットに乗かってる姿を想像しちまったじゃねーか
どう責任取ってくれんだww
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/17(火) 23:47:21.00 ID:NDmu24Hvo
鬱エンドシューティングかと思ったら皆川か
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/05/21(土) 22:53:24.64 ID:lqrfSQzF0
先週はよくも某SSで誤投下してくれましたな!
おかげでここの素晴らしいSSを全て読んでしまったじゃないですか!

くっ……この気持ち、正しく愛だ! だが、愛を超越すれば(ry

という訳で続き期待してまっす
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/25(水) 17:05:27.46 ID:p9Lmx1VN0
このスレ上琴と言われて来たんですけどこれ上琴ですか?
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 19:08:36.14 ID:3oXTYp/SO
読めばわかるよ
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/25(水) 23:41:25.86 ID:kibMSYako
ついでに空気も読んでsageてねってかやかましいわ
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/05/25(水) 23:42:14.56 ID:sHdFjsBBo
全力でsageない
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 21:16:15.84 ID:hLK/aGGq0
>>807
それはsageないとは言わない
ageるっていうんだ
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/27(金) 19:24:10.86 ID:8LT8/2VW0
>>808
違うよ、807はタイプミスしてsをうっちゃっただけだよ
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 22:59:22.26 ID:Len/2KEDO
>>809
どっちにしろ間違ってるじゃん
811 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/02(木) 13:04:57.01 ID:en+27A+bo
土日辺りに投下を予定しております。
そろそろ四話を終わらせたいな〜


※新倉生に発現した能力の詳細について。


孤高赤星(アンタレス)

強度・強能力〜大能力(レベル3〜4)
分類・発火能力者(パイロキネシスト)

最大で15個の火球――【星(ステラ)】を操る能力。
最高温度は蠍座一等星のアンタレスと同じ3500℃
【星】を複数組み合わせることで、様々な使い方が可能。

【星】は自らの意思で自由に動かせるが15個全てを同時に動かそうとすると、演算に追われて動けなくなる。
自在に動かしながら戦闘が可能なのは半数程度が限界。

弱点は、最大戦力状態(15個全召喚)になるのに時間を要する点。
さらに、何らかの手段で炎が無効化されたり、弾丸として使用した場合、
補給(リロード)にも時間を要するので、基本的に戦闘継続力が低い点。

周囲の炎を『種火』として、活用する事も出来るが、『指向性』や『特殊な効果』のない炎でないと利用は不可。
例:ステイルの炎剣を直接『種火』として奪い取るのは不可能だが、炎剣の爆発で生じた燃焼自体は活用可。

※アクメツも知っている、某アニメに登場する社長が使う『僕の大事な玉』に、炎術師な某忍者が使用する竜之炎(弐&伍)を足したイメージ。
※魔術特化の為に本人のスタミナが低いステイルとは逆で、本人が強いので言わば能力自体のスタミナが低い。ただし、応用の幅は広い。
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/06/02(木) 14:09:05.12 ID:Bk+sCQaf0
週末が待ち遠しいじゃん
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/02(木) 14:28:18.97 ID:OoVVBTYv0
指向性ってのはたとえば「飛来する火の玉」とかは乗っ取れないってことだよな
炎とシステマを組み合わせた全く新しい格闘技vs火炎系最強もやし砲台、って感じか
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/04(土) 09:10:19.30 ID:hwdMpqKko
週末だな、今日くるかな
815 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/04(土) 14:47:14.48 ID:u8wO+NtBo
3時から投下しますよ〜
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/04(土) 14:52:48.53 ID:pcy6HRxIo
ヒャッハア!待ってたよん
817 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:02:38.29 ID:u8wO+NtBo

新倉「――ここにありますのは、蠍を形作る15の星々」ペコリ

サーカスの始まりを知らせる道化師のように新倉は一礼した。

『発火能力者』は単純に火を操るだけではなく、無から火を起こす具現化能力を持つ事がある。
そして、新倉生の能力である『孤高赤星』も……そうだった。

新倉「時には敵を切り裂く鋏であり、またある時は敵を犯す毒の針」

その特性は最大で15個の火球――【星(ステラ)】を召喚・操作する事。
本来ならば、15個全てを具現化させるのには、かなりの労力がいるが、幸いにも『種火』があったので容易だった。

新倉「最初は小手調べ――早々に沈んでくれるなよ?」

炎剣を持って襲いかかってくるステイルに対して、新倉は自らの周囲を旋回する【星】に指示を送る。

【三星】【球体射出】【弾】

使用数、形状、用途の三つを指示。
ある種のプログラムのように設定された『指示』によって、膨大な演算行程が効率化される。

そして、15の【星】の中の3つがステイルに向かって直線的に発射される。

ステイル「この程度!」

だが、3つの【星】はステイルの握る炎剣によって、簡単に弾かれる。
弾かれた【星】は、指示を完遂した事で、新倉の周囲……言わば、その衛星軌道上へと戻る。

新倉「ふむ……まぁ、こんなもんか」

特にスピードを持たせた訳でも変則的な軌道を設定した訳でもないので、防がれるのは予想通りだった。

ステイル「燃え尽きろ!」ブンッ
818 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:04:32.21 ID:u8wO+NtBo

振り下ろされた炎剣を新倉は極自然に受け止めた。

ステイル「なっ!?」

【七星】【直列連結】【剣】

それは、7つの【星】を繋げて形成された剣。

新倉「炎の剣の威力は……互角……いや、俺の方が少し上かな?」

炎剣同士の鍔迫り合いの中、新倉が不敵に笑う。

ステイル「ふん――嘗めるなよ、能力者」

魔術師の驚きは一瞬のみ。

新倉「っ!?」

ステイル「灰は灰に(AshToAsh)――」

輝きを伴って、ステイルの左手に青白い炎が灯る。

ステイル「――塵は塵に(DustToDust)――」

その意味するところに新倉は戦慄した。

新倉「二本目っ!?」

ステイル「――――――吸血殺しの紅十字!」

追加詠唱によって出現した二本目の炎剣によって、力の拮抗が崩される。
ジリジリと炎剣が迫り、前髪が焼ける嫌な臭いがした。

ステイル「これでっ!」
819 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:06:05.56 ID:u8wO+NtBo

新倉「二本目とは驚いたじゃん――でも」

【七星】【直列連結】【剣】

新倉「誰が……言ったよ……」

再度の指示によって、周回中の【星】が新倉の左手に集約される。

新倉「こっちは、一本だって!!!」

ステイル「くっ」

互いに握るのは、二本の炎剣。
新倉は炎の勢いそのままに、押されかけていた状態を五分へと戻す。

ステイル「お互い様と言う訳かい? どこまでも不愉快な能力だね……」

身長差を活かして、ステイルは二本の炎剣で上から抑え込もうとするが、一向に押し切ることが出来ない。

ステイル「(くそっ、分かっていた事とは言え……)」

魔術師の焦りを知ってか知らずか、新倉は不敵に笑った。

新倉「――ここで問題です。7×2の答えは何でしょう?」

ステイル「何を言って……」

新倉「チッチッチッチッチッ……」

ステイル「(じ、時間制限だと!?)」

ステイルの炎剣に対抗する為に新倉が使用した【星】は7つ。それが2本分。

7×2=14
820 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:08:40.37 ID:u8wO+NtBo

ステイル「――まさかっ!?」

つまり、一個の【星】が余る。

それは、二つの鋏を潜り抜けた先に隠された毒の針だ。

新倉「ざーんねんっ! 時間切れだぁぁ!」

向き合っている新倉の背後から、15番目の【星】が飛び出した。

だが気付いた所で、既にステイルの両手は塞がっている。
迎撃しようにも、少しでも力を抜けば、新倉の炎剣に押し負けてしまうだろう。

ステイル「しまっ……!」

握られた拳と同等の硬度を持った【星】が、弧を描きながらステイルの顔面に突き刺さった。

ステイル「ぐぅあっ!?」

炎を纏った死球が直撃し、ステイルの体が弾かれるように後方へと吹っ飛ぶ。

ステイル「…………くそっ…………」

だが自らも炎を操る以上、それなりに炎への耐性があるのか、さほどのダメージはないようだ。

新倉「効果はいまひとつのようだ……ってか」

インデックスのいる安達の部屋から遠ざけるように戦っていた為、気がつけば階段を挟んだ反対側へと移動していた。

新倉「(このまま一気に――!)」ダッ

二本の炎剣を構えて、勝負を決めるべく、一歩を踏み出した。
821 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:11:25.63 ID:u8wO+NtBo

ステイル「……認めてあげるよ、君は僕が全力を出すに値する『敵』だと……!」

高らかに謳うように。

ステイル「――世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ(MTWOTFFTOIIGOIIOF)」

それまでの熱気が嘘のように消えた。

ステイル「それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり(IIBOLAIIAOE)」

冷気にも似た戦慄が、空間を満たし、それらが一箇所へと収束する。

ステイル「それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり(IIMHAIIBOD)」

『それ』はステイル=マグヌスという殻の中で醸成され、その濃度を高めていく。
     
ステイルその名は炎、その役は剣(IINFIIMS)――」

呼吸の為に生まれた一瞬の静寂が、嵐の前を思わせた。

ステイル「――顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ(ICRMMBGP)!!!」

それまで蓄えられていた力の全てが、一つの形を為して――爆ぜる。

822 :「が抜けてた。 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:17:36.00 ID:u8wO+NtBo

途端、熱気が周囲を包み、異常なまでの熱が一体を包んだ。
炎の巨人を傍らに、赤毛の魔術師は勝利を確信した笑みで、その名を告げる。

ステイル「これが僕の切り札……『魔女狩りの王』イノケンティウス……その意味は"必ず殺す"」


             ノし、_    }}   i{::::::::ハ /  ( ノ
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 ・: : : : : : .: :. . . .    く: .  ハヾ }、__ノ}::}:::::::://.::::::::::::::/ . : /__     ,, . . : : ・: ..
  . . . . : : : : : : : : . ..   \ {:::::ヽ} { {¨::::ハV:/.....:::::::::::::::/. :/⌒¨´ . :″: : : : :
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       . . . : : : :.}し′ {し /i.::::::::ハ{.. . . ..\:::::::ノし′レ'′,乂_ノ{ : : : : : : }、 . : : : . . . .
     .. .. .: : : ノ  . : ⌒´ :|::::::::{/ . : : : :: ..V/  . . : :  /{.    乂___ ノ, } ; : : : : . . .
   . . . . . : : : {し, .. .. . : : :{廴::::} . . . . . .. .. .. . . . . . . {v′       /(__ ノ; : : : : . . .
  }i : : : : : : _){   . . . . . `⌒¨: : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. : : : : . . . . . . .      ノ : : : : . . .
  〈乂___ノしu}{  . . . . : : : :.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.. . . . . . .     { : : : : . . .
 _)厂 ̄ ̄⌒´  .. . . : : : .:.:.:.:.:.:..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:. . . . . . .     }} . . . .
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必殺の名を背負い、巨人は新倉へと砲弾のように突き進んできた。

新倉「(あれはヤバいっ!)」

本能的に炎の巨人の危険度を理解した新倉は、攻撃ではなく防御へと行動を移行させる。
右手の炎剣を分解して、新たな指示を飛ばす。

【六星】、【三角構築】、【盾】

バラバラになった【星】の内の六つが三角形を描くように組み合わさり、
新倉の右腕に盾として装着される。

新倉は振り下ろされる炎の十字架を右腕の盾で受け止めた。

新倉「くっ……うぁ……」

――抑え切れない。

ステイル「よく頑張ったけど、ここまでだよ。……大人しく灰になるといい」

新倉「(ここまで……?)」

冗談じゃない。

まだ、迫間に託された仕事を完遂してもいない。
それ以上に、このまま負けることなど、男として許容できはしない。

新倉「(だが、このままじゃ……)」

――そう思った瞬間、十字架によって盾が砕かれた。

能力と魔術の違いはあっても、本質的には同じ炎である以上、その優劣は熱量に依存する。

新倉「(これだけ使っても……足りないのか……!)」

その時、炎が燃える轟音に紛れて、誰かの声が聴こえた。
823 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:20:00.00 ID:u8wO+NtBo

その声が「伏せろ」と言っている事に、あと数瞬……気付くのが遅れていたら、新倉の上半身は消し飛んでいたと思う。

今、目の前の『魔女狩りの王』の上半身が……そうなっているように。
それはまるで空間ごと抉り取られたかのような惨状だ。

新倉「あっぶな……!」

『魔女狩りの王』がいた筈の場所に、僅かに紫電の残光が見える。

???「――状況がイマイチ判らないんだけど……敵、って事でいいのよね?」バチン

声のした方……階段の辺りを振り返る。

――前髪から雷を迸らせた少女が、そこにはいた。

少女の右手は前方へと伸ばされ、『魔女狩りの王』を貫いたのが、彼女の異名である技だと理解出来た。

ステイル「」チッ

魔術師は小さく舌打ちをして、新たな介入者に対して炎剣を振るった。
紫電の軌跡をなぞるように炎の刃が飛び、新倉の横を抜け、少女へと襲いかかる。

???「――御坂!」

第四の声と共に、少女と炎の間に一つの影が割り込んだ。

全てを焼き尽くす爆発は――起こらない。

ステイル「――なっ!?」

新倉「……上条……それに御坂美琴……?」

新倉は巨人を撃ち抜いた少女と、炎を打ち消した少年の名前を呼んだ。
824 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:26:17.81 ID:u8wO+NtBo

上条「……一応、間に合ったみたいで良かったよ」

美琴「まさか、学生寮で盛大に戦ってるとは思わなかったわ……迷惑ってレベルじゃないわよ、アンタ達」

上条「いや、所構わず俺を追い掛け回してた御坂が言ってもな……」

美琴「うっさい! いいから、正面を見て構えときなさい!」

そんな何気ないやりとりをしていても、二人は常に臨戦態勢だった。
そこに未知の敵に対する油断は一片もない。

ステイル「――次から次へと……面倒な……!」

上条「あの神父がインデックスを狙ってる魔術結社の奴……って事でいいのか、生?」

新倉「……そうらしい」

上条「その、生の周りをクルクル回ってるのは……お前の能力なのか? いつの間に?」

新倉「色々あったんだよ……それなりに使えるから、アテにしてくれていいじゃん」

美琴「……それで問題のインデックスはどこにいるのよ?」

ステイルには聴こえないように本題の質問に答える。

新倉「――『俺』の部屋の中にいる」

正面を向いたまま、三人は小声で会話を交わす。

上条「……無事なんだな?」

新倉「今の所は、な」

美琴「良かった……」
825 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:28:14.31 ID:u8wO+NtBo

上条「……敵はアイツだけか?」

新倉「いや、もう一人……剣士がいる。近くにいるかどうかは分からないが……」

直接、見たわけではない。しかし、報告を考えれば『剣士』という表現が一番簡単かつ明確だ。

上条「分かった……御坂、頼みがある」

美琴「……何よ?」

上条「ここは俺達に任せて、インデックスを迎えに行ってくれ」

美琴「は!? ……何よ、それ」

美琴の表情が不満一色に染まる。
それに対し、新倉は成程と頷いた。

新倉「そうだな、ここは俺と上条で何とかなる。
    ……むしろ、インデックスを一人にしておきたくない」

姿の見えない、もう一人の魔術師がインデックスを捕らえようと動かないとも限らないのだ。
それを考えれば、インデックスを保護した上で一刻も早く戦闘領域から退避させなければならない。

上条「それに、この廊下で『三人』で戦うのは……少し無理があるだろ」

たかが男子寮の廊下に、何人もの人間が入り乱れて戦闘する程のスペースの余裕はなかった。

美琴「……それなら、私とアンタが残れば……!」

今まで戦っていた新倉の消耗を考えれば、全力で戦える二人が残るのも道理ではある。

新倉「おいおい、まだ俺はやれるっての……それにインデックスを守る事を考えたら、三人の中で最強の護衛が必要じゃん?」

美琴「……私、コイツに負けっ放しなんですけど」ジト

上条「それだって、ジャンケンの相性みたいなもんじゃねーか」

その例で考えれば、今までのステイルと新倉の戦いは互いにチョキでの勝負だった。
どちらがより強いチョキを競っていたとも言える。

上条「幸い、俺の右手は魔術師相手でも無能じゃないらしい。
    ここは俺と生で抑える……だから、任せてくれないか」

そこに上条の『幻想殺し』……グーが加われば、それだけで形勢は逆転する。

美琴「……言ったからには、勝ちなさいよ?」

上条「あぁ、後で合流しよう。――場所は帰りに俺と御坂が会った辺りでいいな?」

美琴「分かった……!」ダッ

駆け足で安達の部屋へと向かう美琴だったが、ドアがロックされてる上、戦闘の余波でドアが変形している事に気付いた。
ドアのロックだけなら、ハッキングで解錠可能だったが物理的に変形していては、それも難しい。

美琴「(外から回りこむしかないか……!)」

そう判断すると、迷わずに廊下から飛び降りた。
そして能力を使い、器用に学生寮の外壁を移動して、ベランダのある建物の反対側を目指す。
826 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:30:06.14 ID:u8wO+NtBo

ステイル「――相談は終わったのかな?」

新倉「悪いな、待たせたみたいで」

ステイル「いや? どうせ君達はすぐに死ぬんだから、少しぐらいは待ってやるさ。
      ……僕だって血も涙もない訳じゃない」

上条「ふざけんなっ! ……あんな小さな女の子を寄ってたかって追い掛け回すような連中が、言っていい台詞じゃないだろうが!」

それに血も涙もあるのであれば、少なくとも見た目は普通の中学生である御坂美琴に躊躇なく炎を放ったりはしないだろう。
仮に事前に彼女が学園都市の『超能力者(レベル5)』だと知っていても、簡単に割り切れるような問題じゃない。

ステイル「小さな女の子? あぁ、君達は能力者だから……アレを価値も、その危険度も理解出来ないんだろうね」

上条「アレ……危険……?」

ステイル「放置しておいて、アレを使える人間に攫われても面倒からね。その前に回収したいんだよ……僕らとしては」

上条「回収だ……? 少しぐらい記憶力がいい……たかだか10万3000冊の本を覚えてるだけの女の子だろ……!」

ステイル「ん? そんな事までアレは話したのかい? ……だけど、素人にその意味を理解する事は無理だったみたいだね」

上条「――理解するつもりもねぇよ……インデックスはただの女の子だ」

そして、目の前の男は紛れもなく、自分の敵だ。
それだけ判っていれば充分だった。

ステイル「なら、理解しないまま――死んでいくといい」

死刑宣告と共にステイルは右手を振るった。

摂氏3000度の炎が、無能力者へと襲いかかる。

上条「邪魔だ」ブンッ

防御ではなく、本当に邪魔なモノを振り払うように上条は魔術の炎を消し飛ばした。

ステイル「――馬鹿なっ!?」

上条「……こんなもん、所詮は異能の力じゃねーか」
827 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:32:39.91 ID:u8wO+NtBo

ステイル「(何だ、この男は……!)」

突然の予想外。
異能を凌駕する異常に魔術師は警戒のレベルを最大へと引き上げる。

そして。

ステイル「『魔女狩りの王』!」

新倉「っ! 上条、下がれ!」

上条「なっ!?」

ステイルの声に反応し、崩れかけていた『魔女狩りの王』が、四散した炎の欠片を寄り集めて復活した。

上条「こいつ、どうして!?」

御坂美琴の超電磁砲を受けたにも関わらず、何も無かったかのように炎の巨人がその体躯を踊らせる。

ガギンッ! と振り下ろされた炎の十字架を右手の『幻想殺し』で受け止めた。

上条「(消えない!?)」

いや――効いていないのではない。

『幻想殺し』は、ちゃんと効力を発揮している。

消滅した直後に炎が復活しているのだ――!

上条「(ヤバい……! 右手を……封じられた!)」

ステイル「灰は灰に(AshToAsh)――」

新倉「っ、あの野郎!?」

『魔女狩りの王』の後方で、ステイルが再び両の手に炎剣を生み出していた。

新倉「(間に合うかっ!?)」

『三星』『直線配置』『砲』

一定の距離を置きながら、3つの『星』を直線に並べ、一番手前の『星』を自らの拳で撃ち抜く!

前方へと撃ち出された『星』は、前に配置された『星』に激突し、玉突きのように運動エネルギーを伝達する。
役目を終えた、初弾は二発目へと吸収され、二つ分の熱量を蓄えて、一回り大きく成長した。

同じように二発目は三発目へと激突し、さらに弾は巨大化する。
ボウリングの球ぐらいの大きさへと成長した『星』が、砲弾となって、『魔女狩りの王』へと激突した。
828 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:36:43.21 ID:u8wO+NtBo

新倉の放った砲撃と、『魔女狩りの王』がぶつかり合って起こした巨大な爆発。
それによって、七階の廊下は爆心地の様相を呈していた。

そこには、魔術師の姿しかなかった。

ステイル「逃げた……? いや、体勢を立て直すつもりかな?」

周囲を見渡しながら、ステイルは新しい煙草に火をつけた。

――それにしても、気になるのは後から現れた学生。

ステイル「あんなにも容易く、僕の炎を……」

ただの生身の右手で、炎剣をガラス細工のように粉々に破壊してみせたのだ。
自分と互角に戦っていた、あの少年よりも遥かに恐ろしい相手かも知れない。

ステイル「――だけど、どんな能力を持っていようが……魔術の素人が『魔女狩りの王』を攻略するのは、不可能だ」

この場にインデックスがいれば、余計な助言をされた恐れもあったが、幸いと言っていいのか彼女は既に連れ去られている。

ステイル「この場で男二人を始末した上で……神裂と二人で、あの子の後を追えばいい……か」

彼女を連れて行ったらしい、あの中学生の少女は、確か学園都市の『超能力者(レベル5)』とやらだった筈だ。
先程の攻撃だけでは、実力の全てを推し量るのは難しいが、それでも神裂と自分の二人を相手に出来るとは思えない。

ステイル「『追え』」

その命令を受けて、また体を再生させた『魔女狩りの王』が少年達を追っていく。
829 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:39:52.53 ID:u8wO+NtBo

廊下から外へと飛び降りる事で辛うじて爆発を回避した上条と新倉。

二人はふわふわと、空中をゆっくりと降下していた。

上条「……色々と便利みたいだな、その能力」

新倉に抱えられる格好の上条は、少し複雑そうに見える。

新倉「だろ?」

【六星】、【六角連結】、【輪】

【星】で戦輪(チャクラム)状の六角形を描き、足場替わりにして乗ることで落下の速度を殺しているのだ。

新倉「――ただ、一度『消費』すると再充填(リロード)に時間が掛かるんだよな……」

だから、右手で触るなよ? と、上条に対して注意を促す。

上条「りょーかい」

既に【盾】で6つを破壊され、【砲】で3つを消費してしまった。
どちらも『魔女狩りの王』相手にである。

残りは足元の6つだけだ。
……残弾数が半分以下というのは、かなり心許ない。

上条「……それにしても……死ぬかと思った……割と本気で」

新倉「まったくだな……しっかし……上条の右手って、魔術が相手でもお構いなしか」

上条「自分でも驚いてる。……ぶっつけ本番だったから、消せるかどうか不安だったけど」

ぶっつけ本番の癖に迷わず御坂美琴を庇った訳ね、と新倉は一人ほくそ笑んだ。

新倉「……でも、あの巨人の方は消せなかった?」

上条は無言で頷く。

上条「……効いてない訳じゃなくて……どうも、消した瞬間からすぐに再生してたみたいだ。
    ……どういう理屈で動いてんだ、あれ」

新倉「俺達には魔術に関しての知識が無いからな……仕組みが解らないんじゃ、対処のしようが……」

上条「いや、仕組みは解らないけど、手掛かりならあるぞ?」

新倉「?」
830 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:46:07.34 ID:u8wO+NtBo

――四階。

――三階。

チラリ、と迫間がいた筈の場所を観察するが、人間の『存在』の痕跡は見られなかった。

新倉「(記憶移送は……間に合ったとは思うが……)」

問題があるとすれば、素体への記憶移送に必要な電力の確保が難しい事だろうか。
そもそも、研究施設の地下に勝手にプラントを建造して、電力も持ち込んだ発電機で足りない分は施設から拝借しているのだ。
普段なら誤魔化せても、昨晩の停電の影響がある時に大量の電力を消費すると、露呈する危険が高い。

最悪、『妹達』に人間発電機を頼む羽目になるかもしれない、と新倉は不安になった。

新倉「よし、降りるぞ」

2階まで降下したところで、二人は廊下へと着地した。

上条「ほら、見てみろよ」

言いながら、廊下の壁を指差す。

新倉「子供の悪戯並だな、おい」

廊下だけではなく、天井やドアにまでテレホンカードぐらいの大きさの紙がベタベタと貼られている。

新倉「これが『魔術』の元か……? まさか、あの赤毛神父……一枚一枚貼って準備した訳じゃないよな……?」

――想像してみる。

新倉「ぷっ……! ヤバい、想像しただけで……」プルプル

上条「生のそういう性格が時々、すごく羨ましいですよ、上条さんは」
831 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:48:18.35 ID:u8wO+NtBo

新倉「悪い、性分みたいなもんじゃん。……コレ、剥がせば『魔術』を使えなく出来たりしないのかね?」

上条「時間がかかり過ぎるだろ……もっと、一発で逆転できるような冴えた手を考えないと……っ!?」

考えを断ち切るように『魔女狩りの王』が、上の階の廊下を『ぶち抜いて』降って来た。

上条「くそっ!」

新倉「おいおい、自動追尾かよ!?」

上条と新倉は、咄嗟に左右へと散って『魔女狩りの王』から距離を取る。

その結果、上条は非常階段の前へと逃れる事に成功したが、新倉は廊下の奥へと追い込まれた。

新倉「やば……!」

上条「生!」

新倉「俺に構うな!」

上条「――けど!」

新倉「『ここは俺に任せて先に行け!』」キラーン

上条「この馬鹿! お前、それが言いたいだけだろ!?」

新倉「あ、バレた?」

――その無闇な余裕はどこから来るのか。

新倉「でも、考えがない訳じゃないじゃん! 俺がコイツを抑えてる間に、上条があの魔術師を倒してくれれば――!」

ゲームや漫画でも術者を倒せば、術は解ける。
お約束、という奴だ。

新倉「ついでに、この紙切れもどうにかしてみる!」

熱さとは別の理由で新倉の頬を汗が伝うが、表情から余裕は消えない。
832 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:48:55.41 ID:u8wO+NtBo

新倉「悪い、性分みたいなもんじゃん。……コレ、剥がせば『魔術』を使えなく出来たりしないのかね?」

上条「時間がかかり過ぎるだろ……もっと、一発で逆転できるような冴えた手を考えないと……っ!?」

考えを断ち切るように『魔女狩りの王』が、上の階の廊下を『ぶち抜いて』降って来た。

上条「くそっ!」

新倉「おいおい、自動追尾かよ!?」

上条と新倉は、咄嗟に左右へと散って『魔女狩りの王』から距離を取る。

その結果、上条は非常階段の前へと逃れる事に成功したが、新倉は廊下の奥へと追い込まれた。

新倉「やば……!」

上条「生!」

新倉「俺に構うな!」

上条「――けど!」

新倉「『ここは俺に任せて先に行け!』」キラーン

上条「この馬鹿! お前、それが言いたいだけだろ!?」

新倉「あ、バレた?」

――その無闇な余裕はどこから来るのか。

新倉「でも、考えがない訳じゃないじゃん! 俺がコイツを抑えてる間に、上条があの魔術師を倒してくれれば――!」

ゲームや漫画でも術者を倒せば、術は解ける。
お約束、という奴だ。

新倉「ついでに、この紙切れもどうにかしてみる!」

熱さとは別の理由で新倉の頬を汗が伝うが、表情から余裕は消えない。
833 :うわ、またエラー出た。 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:50:34.12 ID:u8wO+NtBo

上条「ったく……! 無茶すんなよ!?」

新倉「いざとなったら、飛び降りて逃げるって! さっさと行け!」

上条「判った!」

視界の端に非常階段で上へと向かう上条を捉えながら、炎の巨人と対峙する。

新倉「――さて、と」

何とかすると言ったものの、こんな炎の化物と真っ向から勝負する程、新倉は馬鹿ではない。
いや、自分が負けて死ぬだけのタイマン勝負なら別にやってみてもいいが、それで上条やインデックスを危険に晒す訳にもいかない。

新倉「(ドアを破って、適当な部屋に逃げ込む……却下)」

何処に逃げようと、この炎の巨人は全ての障害物を溶かして追ってくるだろう。

新倉「(コイツを捕まえておける檻でもあればいいんだけどな……)」

……そこまで考えた時、新倉の携帯電話に着信が入った。

……………………。

新倉「は? ――ちょ、待てええええぇぇぇええい!」ダッ

電話を受けた新倉は、迷わず廊下から外へと飛び降りる。

――直後、『魔女狩りの王』へと大量の水が降り注ぎ、超高温の水蒸気が廊下を埋め尽くしていた。

834 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:52:53.14 ID:u8wO+NtBo

新倉と別れた上条は学生寮の七階で、再び魔術師と対峙していた。

ステイル「――おや、一人で戻ってきたって事は、あの発火能力者を囮にしたのかな? 意外と冷酷な手を使うじゃないか」

上条「関係ねぇよ。……俺がここでお前を倒せば、それが生を助けることになる」

ステイル「ふん、術者狙いか……悪くはないけど、少し……認識が甘いんじゃないかな?」

実際、上条と美琴の介入がなければ生は『魔女狩りの王』に敗れていた。
仮に逃げに徹したとしても、数分も持たないだろう。

ステイル「――『魔女狩りの王』!」

叫んだ瞬間、上条の背後から――エレベーターの扉をアメ細工のように溶かしながら、炎の巨神が通路へと這い出てきた。

ステイル「ほら、ね」

あの能力者を容易く片付けて、『魔女狩りの王』は戻ってきた。
ステイル=マグヌスは自身の奥義たる巨神の姿を見て、そう思った。

――だが。

上条「(――縮んでる?)」

炎によって構築された、その巨躯が。
圧倒的な威圧感と熱量を兼ね備えた体が、一回り小さくなっていた。

ステイル「『殺せ』!」

上条「くっ」

襲いかかって来る『魔女狩りの王』を右手で防ぎながら、上条当麻は観察する。

再生力は健在だ。
だが、最初ほどではない。

その気になれば押し切れそうな……その程度の拮抗。

ステイル「――灰は灰に」

その致命的な変化に気が付かないまま、ステイルは上条を挟み撃ちにしようと詠唱を開始した。
835 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:54:55.10 ID:u8wO+NtBo

ドドドドドドドドドドドドドドドドッ


だが、そのステイルの詠唱を遮るように、戦場に異音が響いた。

ステイル「……何だ?」

怪訝な表情を浮かべて、魔術師は耳を澄ませる。


――音の発生源は階下。


ドドドドドドドドドドドドドドドド……


ステイル「――止んだ?」

ピチャン、ピチャン。

轟音が止まったかと思えば、今度は水音。

ステイル「(一体、何が……?)」


バキン!


上条「――え?」

それまで、右手で消した直後に再生していた『魔女狩りの王』が、唐突に消え失せた。

ステイル「イ、イノケンティウス!?」


836 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 15:57:35.08 ID:u8wO+NtBo

ウイィィィィィィィン


上条「(な、何か上がって来る……!?)」

学生寮の七階へと――『何か』が近付いて来ている。

???「…………」


――それは、人だった。


ステイル&上条「な……」


生命を守り、炎に立ち向かう事を象徴するオレンジの服。


ステイル&上条「なん……」


生命を奪い、悪へのリスクにならんとする決意を示す、漆黒の仮面。


ステイル&上条「なんだぁあああああああああああああああああああああああ!?」


相反する装束に身を包み、その男は異能者達の戦場に乱入する。


ミ.、         /:::::::://
`、ミ-::、_     /::::::://l、\
 `、ミ  ̄``ー/::::::://、.|ミ `ヽ、  ∧
  `、ミ、 ``ヽ./::::::://`ヽ`ヽミ、 \/:l`、
`¬" ̄`ヽヽ/:::::://.   `ヽ.`ヽ、、`ヽ、ヽi、/i                ,.:''  
-  =:、 ヽ./:::::://ヽヽ、 、 、ヽ、、ヽ  ヽ!ヽリl| ,ィ            _,..:::':/ 
   ヽ、` ./:::::://、ヽヽヽヽヽ、ヽ、、゙i l l | i| |!/ /          ,r:':::::::;/
 ̄``ヽ、ミ/:::::::/::`ヽ、ヽヽ```ヽヽヽ', l l l l j./."|         ,/::::::/
ー-:、-:、/::::::::/::::::::::::::`ヽ、__  ヾ`` l ! | //,イ,./      ,/:::::;/
ミミミミ/::::/:::::l:::::::r;;:-、_:::`、      "////-ッ    ,/::::::;/ 
`ヽ、ミ/::::/::::::::::|:::::::゙l,,,,,,,,_`l:::ヽ   !    ////  ,/::::::;/   
`、::::`>〈::::::::::::`-::、 ヽ,,te:、ヽ::!、,,!,.、 |   ;,,,,7/l/::::::;/   
:::〉''/::::::l`ー-、:::::::: ̄ ̄jヾ一=''":l、::!;;;;;;;;;;彡ノ::::::::::;/   
/::/::::::::::l::::::::::::\::::::/::/'^、,ヽ:::::::::::|`-:、 ./ヽ ̄j::;/   
::/:::::::::::l:::::::i⌒ヽ::∨/ ./|`l"^v:、!_:::::::l':::∠;:、/  
';:-、:::::::|::/|  )::::|:l   |"|,,.!__/ / 7:、ュ::)::::/  
  `ヽ:|" |   .|::|::|_ヽ/--、_ ~`ヾ//~|::|:|
.   `|  l _|:::|::| `"ニミ-`/ /::|  |,!              
    .|   `、!:::::::|::!._ /´,!. ̄ ./::/|./            
    |    ヽ::::ヽ::::``-'、_/`r:!"| /             
   .|     ヽ::::`ヽ、:::::::::~`''|'::7||        
   |    :::  ヽ、_::::`------ヾ !!             
 _,..-!──--、_   `ニヽ_,.::ィ''''"      
"        `ヽ、_ ,.:-一''''’ーi  ヽ、_   .__.
          ,,/'''''''ヽ.   |一''' ̄ヾ、 ̄    ヽ,
、        ,,/     ヽ、  \    i `ヽ、   /


アクメツ「――火災現場はここかぁ」ニヤリ


――消防士アクメツ、ここに現着。
837 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/06/04(土) 16:03:16.59 ID:u8wO+NtBo
へ、変態だー!!(AA略

うーん……シュールだ。

いい頃合いなので、今日はこの辺で切ります〜

察している人も多いかと思いますが、次はステイルさんが濡れ濡れのグチョグチョにされる展開ですね。(誰得?)
ある程度書き溜めあるので、そんなに間は開きません。
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/04(土) 16:42:26.73 ID:01GuPN0Jo
>>836
あぁん、濡れちゃう

839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/04(土) 17:04:00.94 ID:pcy6HRxIo
おつおつ
わあ、超能力と魔術の世界が急にものすごいシュールに
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/04(土) 18:20:55.38 ID:hBv/ybsE0
クロスものだと、持ってきた側のキャラの俺Tueeeで押し切るか、
そいつにそれだけの能力がなければ、原作通りの展開なぞってスプリンクラーで札が濡れちゃった(キリッ
とかでどっちにしろイノケンさんは良いとこないのが通例だったが、この展開は実に新しいッ!
超科学でも異能でもなく、知恵と正攻法の力押しで何とかする展開は大好物だっぜ
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/05(日) 12:29:29.98 ID:vhsMdYzlo
15分後、廊下にはズボンを降ろされたままシクシク泣き崩れる
赤毛の14歳男性(非処女)の姿が!
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/06(月) 00:58:36.62 ID:JLl3dTyPo
乙乙

今日も面白かったぜ
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/06(月) 08:04:49.38 ID:Ns0M6P51o
ステイルがかませの定番になっているのが哀しい
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/06(月) 08:07:21.69 ID:GlcK+Rz0o
ステイルはここで負ける事で大きく成長する男なんだよ多分

しかしいい所で次回に引きよるww
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/07(火) 01:02:43.07 ID:8rppzTzc0
「ステイルがかませになっちゃって残念」って書き込みは
もはや初登場ステイルが負ける度に発生するテンプレだから仕方ない

というかむしろ、いつもの勝ちパターンにならないだけ独創的な類の作品だと思うんだがなぁ
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/07(火) 12:31:46.67 ID:hDCwBVMro
おもしろくって一気読みしたよ
寮の部屋割りって、
生|上条|土御門
でいいんかな
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/13(月) 23:36:48.04 ID:7DYRbj4so
乙。これは楽しみ
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/17(金) 21:17:29.75 ID:KKwpSDKto
今週はくるかな
849 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 21:43:43.58 ID:LMd3vOkZo
今回の話ラストまで、七割ぐらい書きあがったので、書き貯まるまで放置しないで書きあがった分から、
ちまちま投下していこうかと思いますです。

二巻とSS同時発売とか……その筆の速さが羨ましい……


少しレス返し。

>>840
とりあえず、序盤?はアクメツさんの持ち味を活かしていく感じにしようと思うんだけどね。
けど、禁書世界でのクロスSSだと最終的にはそれじゃついていけなくなるんだよな……天使とか右席とかいるから。

ただ、アクメツさん達の怖い所は、持ち味を開発方面に活用すると、
禁書の世界では不可能だったり、困難な事を可能にする可能性を持っているので……
いずれ、彼等もいろんな意味で人間やめる日が来るでしょう。


>>846
今でも新しく読みに来てくれてる人っているのね。ありがたい話です。
そうそう、部屋の並びはそんな感じ。
850 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 21:47:48.49 ID:LMd3vOkZo
――時間は少し巻き戻る。


学園都市・第七学区


〜消防署〜


学園都市に数多く潜伏しているアクメツの中に、熱い情熱を持て余している生がいた。

彼の名前は伊吹生(いぶきしょう)――学園都市にある消防署で副士長の階級を持つ男である。

伊吹「……暇じゃん」スラスラ

事務書類を片付けながら、溜め息を一つ。
自らの職を活かし、消防士として学園都市にやってきた伊吹であったが、学園都市に来てから出動が極端に少ない。

伊吹「(平和なら、それでいいじゃん……でも、出る幕がないってのはどうなのよー!?)」

勿論、火災自体はある。

しかし、科学の街――学園都市の名前は伊達ではない。
消防が現着する前に……火災が起きた施設に備え付けられた消火装置が、仕事を終わらせてしまっているのだ。

以前あった『虚空爆破事件』でも、被害の大きさとは対照的に火災の被害はなく、事件後の現場調査も警備員と風紀委員に持って行かれた。

伊吹「(……こんな事なら、普通に外で『妹達』の世話しながら、働いてた方が良かったかもなぁ……)」

加えて、事務仕事は山程あるのが憎い。

伊吹「(……それにしても)」パカッ

昼間に届いたメールを見る。
どうやら、他の兄弟達は『魔術』なんて、楽しそうなファンタジーの世界に首を突っ込んでいるらしい。

伊吹「羨ましいじゃん……」

ハバタケ-ソラヘ-タカクマイア-ガレ-

伊吹「――もしもし?」

その電話は、一人の兄弟の危機を……そして魔術師の襲来を告げるモノ。

数分後――消防署の中から生の姿と、一台の梯子車が忽然と消えた。





                                                f二ーfニー:.,,_     _    _
                                               _j´__j´ ~''ー:',ニー:.,,_|l~''=ii;;,|l~''=ii;;,_
                                                 //;/i  r~i/;//i .r~i'ー:',ニー!,,|l_  |l. ~'ii
                                            //;/(ニニ(/;//..| ./. | /i ..r~i'ー:',ニー:.,_|l    ri
                                              |l|l|;|=|~|=|;|l0|,,__!/ . | /...| ../. | /|,f'~''ー:',ニfl==|l|
                                         (~) ||二|l~|:||二|l !::::::~''ー':,,__!/  | /iー::,,__ l_]] |l_|l|) ) )
              ( ( r―r‐z―‐j.--.r―r‐z―‐j‐―――――――‐'‐;_||\|l .|:||\|lーi''ー:::_;;;;;;;ン~'''ンー';j     ~"''ー|l ̄|.|j
                 _/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄';~!|ニニi iニニニi''''|''''|i ̄ ̄ ̄(_l/´ .ニ|l~i |    !==、ヘ=、ヘ!:,_     .|l==|,|
              .[;;/           /[;;;]   | |    |_,,!-'||     _| \li .| |    ~"'ーyヽ ヽヽ ~"'ーyiニ|l_|l
                 'l              ./ |l   ._|_|,,:-‐'''"~ |  ||   ._セ )ー     っ__|    ,.:-'" ヽゝ ヽゝ,.:-'"o|l ̄|l
                 |,_r'⌒:a____,../レ!;-‐''''" .|     = |.[].||   |l ̄~{:lV二:} ̄~l |~||   i~二二二二二i~_|]|_[二[_|
.               !_______j//i.| 第七学区 .!_||_==|l---l:l ̄~l:l---l lーl|___iニニニニニニi________   __
                 |..,_   *    _,.;. ヘ__j。  .|  __//ニニ''l ̄!、匚L,_`-(0)j rヘヘ.|  |‐。――――――‐。‐i---:i .l;;;;;;;l 皿! i‐li ̄i
          ( ( _!=_O`ー――´O_=ヽ_,:-i‐''" ̄ ̄/テ―‐、!__,| |;;;;;;;|`ー―!'ニニ!―`''' ̄―i | r――――――‐、 |  ..| |;;;;;;;|  .| |:::l|.[l.| ) )
             ( (. |Oot.lコ [二] lコ roOy | ̄ ̄ ̄l||/⌒ヽ;ヽi二! l==='===「|;;;l|. |  ....|__,l_| !//⌒ヽ;///⌒ヽ;;;;!.|__=__| |==='===「|;;;l|. |
                  ̄~`ー―、―― ̄ ̄`ー'―――iii ($) !;;;;|ー―!,___/_/^i:iー'ー―‐'―i.i‐'‐^iii ($) i.iiiii ($) i;;;;|ー――!____/_/^i:iー'
                        ~__l:ゞ三ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゞ_ノ ̄   . ̄ゞゞ三__|:|__'ゞ三ノ:l__  ̄~ゞゞ_ノ~ゞゞ_ノ ̄.        . __|:|__
                         ̄ ̄                         ̄ ̄  . ̄ ̄                              ̄ ̄
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/18(土) 22:02:24.92 ID:8PxbTjTro
待ってた
852 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 22:06:47.45 ID:LMd3vOkZo

夕闇の迫る街を二人の少女が駆けていた。

茶髪に制服姿の少女が、銀髪で修道服を来た少女を強引に引っ張るように。

修道服の少女は、何度も立ち止まり引き返したい旨を告げる。

魔術師の一人に斬られた少年の怪我が気掛かりだったし、戦う為に二人が残ったなんて嫌だった。

だが、その願いは聞き届けられない。

それは、少年達を戦いを無駄にする事だから。

本当なら、自分だって彼等と一緒に戦いたい。

そして、彼女を護る事を託されたから。

10万3000冊の魔道書を有する少女は、敵の危険性を説いた。

その魔術の成り立ち、効果、意味を。

例え、残してきた少年の一人の右手が異能の力に対して絶対でも、それだけで攻略出来るほど容易い相手ではない、と。

なら、その攻略法を電話で伝えればいいじゃない、と少女は反論するが、自分が少年の電話番号知らない事実に気付いて、軽く凹んだ。


――そんな二人の遣り取りを、茶髪の少女と同じ姿と服装をした少女が見ていた。
853 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 22:08:41.78 ID:LMd3vOkZo

消防署から姿を消した伊吹生。

彼は学内の巡回に見せかけて、梯子車……愛車である『ジェットジャガー号』(勝手に命名)で出動していた。

伊吹「――迫間が殺られたのか!?」

学生寮へと急ぎながらも、携帯電話をハンズフリーにして同胞達と連絡を取り合っていた。

安達『らしい。しかも、その遺体は後から現れた炎を使う別の魔術師に焼かれたそうだ』

伊吹「炎を……へぇ……いいね……実にいいじゃん……」


――それは、獲物を見つけた狩人の表情だった。


安達『今は、新倉と上条が交戦してるが……相手は未知の敵だ、油断は出来ないじゃん』

伊吹「それで、俺は何をすればいい?」

安達『敵の魔術師が使う、『魔術』に関して『妹達』経由で情報が入った……それを踏まえて、術の無力化を頼みたい』

伊吹「――了解じゃん……相手が炎なら、俺の独壇場だ……楽しくなってきたぜぇ……!」

久し振りの『仕事』に伊吹は、意気揚々と車を走らせるのであった。


――視界の端に歩道で揉める二人の少女の姿が映った。
854 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 22:11:04.10 ID:LMd3vOkZo

〜とある高校の学生寮〜


新倉「今度こそ、死ぬかと思ったじゃん……」

援軍が到着するから今すぐに寮から出ろ、という安達生からの連絡。

その直後の放水で、危うく新倉生は高温スチームで危蒸される所だった。

……彼は辛うじて寮からの脱出に成功していた。

新倉「イタタ……」

慌てて脱出したので、何処かで頭でも打ったのか妙に頭痛がする。

新倉「後は伊吹の奴に任せて、少し休憩させてもらうとしますかね……」フラ

仮面を付けた兄弟が学生寮に乗り込むのを寮の外から、のんびりと眺める。

新倉「……ふぅ」ドッコイショ

疲労を溜め息と一緒に吐き出すようにしながら、寮の玄関先の段差に腰を下ろす。
勝利を確信した新倉は、戦闘が終わるまで休憩している事にしたのだ。

新倉「あの魔術、『ルーン』って名前だったのか……」

それが、ステイル=マグヌスの使用する魔術の正体。

――『神秘』『秘密』を指し示す24の文字にして、ゲルマン民族により二世紀から使われる魔術言語。

詳しくは聞けなかったが、どうやら『妹達』が上手く攻略法を拾ってきてくれたらしい。

新倉「魔道書10万3000冊ってのは、伊達じゃないって事かね……」

――『魔女狩りの王』を直接攻撃しても意味はなく、周囲に刻まれた『ルーンの刻印』を消さないと何度でも蘇る。

禁書目録の名を有する少女からもたらされた、逆転の為の知識。

『ルーンの刻印』が学生寮の中に貼り付けられたコピー用紙であるのは理解出来たが、問題は対処法だった。

理想的なのはスプリンクラーを作動させること。
それによって、コピー用紙か文字のインクだけでも潰す事だが……それは不可能だった。

新倉「(あの魔術師が、術に何らかの細工をしているだけなら……俺の『孤高赤星』にも報知器が反応しないのは変じゃん)」

つまり、細工がされているのは術ではなく――火災報知器。

最初、安達は手動でスプリンクラーを作動させる事も考えたそうだが……最適の人材がいたのを思い出して、援軍として呼んだらしい。

新倉「(……そりゃ、現職の消防士がいるんだから任せた方がいいわな)」

確かに消火用のスプリンクラーとは、威力も水量もまさに桁違い。
セロハンテープで止められた程度の紙切れなんて、一枚も残らないだろう。

そうなれば、あの赤毛の魔術師には戦闘力は残らないのだろうが――容赦するつもりもない。                                          

新倉「――まぁ、迫間の体を焼いた分ぐらいはボコられればいいじゃん」

頭痛で揺れる視界の中、新倉生は魔術師に対して、不敵に吐き捨てた。
855 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 22:16:46.09 ID:LMd3vOkZo

学生寮の七階は異様な戦場へと変わりつつあった。

アクメツ「アクメツ出場〜〜っ! 火元はお前かぁぁぁぁぁあ!?」

学生寮の前に停められた、一台の梯子車。
そこから伸びた梯子の先に、アクメツ――伊吹生はいた。

ステイル「か、仮面の男……!?」ポロッ

突然の闖入者の姿に、ステイルが口端に咥えていたタバコを落とした。

アクメツ「火災発生!!」ガチャ

ステイル「は?」

アクメツ「放水――」

眼前の男が何をしようとしているのか理解した魔術師は驚愕する。

ステイル「お、おい!?」

アクメツ「開始――――っ!!!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドッ

ステイル「ぶっ―――やっ―――うわっ―――」

生身の人間に直撃すればタダでは済まない水圧が、魔術師を容赦なく蹂躙していく。

上条「」( ゚д゚)ポカーン
856 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/06/18(土) 22:19:12.27 ID:LMd3vOkZo

……放水が終わる頃には、七階の廊下は全室で水道管が破裂したかのような惨事になっていた。

ステイル「げほっ……ごほっ……」

気管に水が入ったのか、ステイルは苦しそうに咳を繰り返している。

アクメツ「放水しゅ〜りょ〜」

ステイル「き、貴様……! 何者だ……! こんな真似をして……!」ゲホゲホ

アクメツ「あ〜ん?」ギロ

おっと、まだ『火種』が残っていたようだ。

アクメツ「」ガチャ

アクメツが腰だめに構えたのはステンレス製の筒。
科学の知識に疎いステイルでも、それがどういう類の機械なのかは判る。

いや、疎いからこそ『それ』が、強力な兵器に見えてしまった。

バズーカと見紛う、その機械の名前はインパルス。

正式名称――IFEXインパルス消火システム。

IFEX--アイフェックス--はインパルス消火技術(Impulse Fire Extinguishing Technology)
の頭文字をとった言葉で、ドイツで開発された全く新しい消火技術に基づく消火機器やシステムの総称だ。

背中のバックパックを含めて、総重量は約25キロ。

かなりの重量だが、通常のホースを使用した消火に比べれば、その機動力は圧倒的だ。

このインパルスは水や消火薬剤の『微細な粒子』を『高速度』で火や、爆発性ガスの中に『打ち込む』ことで、消火を行う。
微細な粒子とすることで、打ち込まれた水分は一瞬で蒸発し、燃えている物質の温度を急激に冷却するのだ。

昨今では、『特殊部隊』や『警察』が『暴動鎮圧』に使用する事もある『強力』な放水銃である。
857 :今日はこの辺で切ります [saga]:2011/06/18(土) 22:20:29.89 ID:LMd3vOkZo

        |\
  i、  __|  ヽ,---、 /|
  |;;∨  _゙i   |_  ヽ;|    いや、もうそれ兵器だろ。
  _|;;;|  ̄  ,/'"`'ヽ、  ̄ ノ|    
 ゙、;;;;ヽ-一''::;;;;;;;;;;;;;;;;:`ー";;;;>
 /::::::::::::::::::::|,.----、|::::::::::::::\
  ̄ヾ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ̄   /|_
    ``''ー┬---┬'''"´_,,,...---、   /
      /|.   └'''''" __,.ノ   \
      / | ____| ̄ ̄       \| ̄
      ゙、 |   |/ |        ビ
       ゙|   |  |        シ
       .|   _  .|        ッ
        .|  .|:|  .|
       |___| |___|
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/18(土) 22:22:58.25 ID:ijYAsrbto
セルフ突っ込みだと……?
おつおつ
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/06/18(土) 22:28:09.80 ID:8PxbTjTro
乙です
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/06/18(土) 22:32:51.92 ID:e0+RwsnXo
なんというめ組
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/19(日) 19:51:21.41 ID:xBIp7yM0o
ジェットジャガー、、、

いや、まあカラーリングが似ている・・・か?
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/19(日) 22:45:44.65 ID:hEK1tImc0
>>860
俺もめ組を思い出したわwwww
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/02(土) 21:36:47.48 ID:FsLqsFcFo
そろそろ続きが読みたいじゃん
864 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/03(日) 20:53:34.71 ID:otkRBMn3o

ステイル「な、何だそれは……! それをどうするつもりだ……!」

アクメツ「」ニヤニヤ

質問には答えず……笑顔と共に撃つ。

バシュン! バシュン! バシュン!

ステイル「げふっ! がはっ! ぐあっ!?」

霧状に噴射されてるとはいえ、直撃すれば並のパンチ以上に『効く』のだ。
つまり、ステイルは強烈なパンチの雨を喰らっている状態と変わらない。

上条「」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

眼前で繰り広げられる狂気の宴に、上条当麻は戦慄した。
それこそ、敵であるステイルを助けてやった方がいいのではないか? と、思ってしまうくらいに。

ステイル「…………う……ぁ……」ピクピク

アクメツ「――鎮火完了……ってな」

グロッキー状態のステイルを背に仮面の男が上条の方へと近づいて来た。

上条「アンタ、何者なんだ……?」

アクメツ「俺か? ……通りすがりの消防士じゃん」

嘘だ! と、心の中で上条のツッコミが入る。
865 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/03(日) 20:54:40.48 ID:otkRBMn3o

アクメツ「――まぁ、アクメツとでも呼んでくれ。一応、公式(オフィシャル)にはそうなってるからさ」ニヤリ

上条「アクメツ……?」

アクメツ「じゃあな、少年。夏の火遊びには注意しろよ?」

上条「え、あ……はい」

何故か頷いてしまった。

ステイル「……逃がすと……思うのか……?」

その消え入りそうな声に上条は素早く身構え、アクメツは面倒臭そうに振り返った。

アクメツ「お、まだやる?」

ステイル「どこの誰とも判らない相手に……ここまでされて……!」

アクメツ「そのガッツは買うけどさぁ……止めといた方がいいと思うぜ?」

ステイル「黙れっ! 『魔女狩りの王』!」

だが、世界は応えない。

ステイル「…………え」

上条「…………復活しない……?」
866 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/03(日) 20:56:08.55 ID:otkRBMn3o

ステイル=マグヌスは知らない。

その頭脳に10万3000冊の魔導書を有する少女が、遠く離れた場所で、自らの『ルーン』の魔術について語った事を。

御坂美琴は知らない。

上条や新倉が知りえない、その『攻略法』を生達に電話で伝えた……オリジナルの監視任務に従事していたクローンの少女がいた事を。

上条当麻は知らない。

新倉が『魔女狩りの王』と戦っている時、援軍として駆け付けた消防士の伊吹生が建物の中に貼られた『ルーン』に壊滅的な打撃を与えた事を。



ステイル「そ、そんな……どうして……!?」

アクメツ「残念ながら、この寮の中にある『火元』は、ぜ〜ん〜ぶ潰させてもらったじゃん」

――消火の基本だからな、と仮面の男は笑って告げた。

ステイル「ば……馬鹿な……!」

その意味を理解した魔術師は、自分の魔術が完全に封殺されてしまった事実に打ちのめされる。

アクメツ「――じゃ、俺はこれで」(、゚皿゚)ゞ

上条「………………ご、ご苦労様です……?」

仮面の消防士は、現れた時と同じように梯子の先の籠に乗り込んで帰っていく。

ステイル「いのけんてぃうす……イノケンティウス……魔女狩りの王!」

幾度も繰り返される召喚の言葉が虚しく響いた。

上条「…………」ギュ

改めて、右手を固く握る。
追い打ちをかけるみたいで少し抵抗があったが……別にいいか、と切って捨てる。
867 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/03(日) 20:57:35.88 ID:otkRBMn3o

上条「さて、と」

その一言で、ステイルの体が大きく震えた。
恐らく、それは水に濡れた寒さの所為ではない。

未だにダメージから回復していないステイルへと一歩、踏み出す。

ステイル「……あ……あぁ……」

……もう、世界は変質しない。

こうなってしまえば、能力も魔術も関係ない。

相手はプロの魔術師なのかも知れない。

だが、これは既に路地裏の喧嘩と何一つ変わらない。


――そして。


ただ、背の高いだけの『素人』に負けるほど、上条当麻は弱くはない。
868 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/03(日) 20:59:15.80 ID:otkRBMn3o

上条「生、無事かっ!?」

新倉「……見ての通りじゃん。そっちも何とか切り抜けたみたいだな」ノ

転がるように学生寮を飛び出してきた上条を新倉は片手を挙げながら迎えた。

上条「妙な……いや、変な人の助太刀がありまして……自分でも信じられないから、後で話すよ」

正直、夢か幻の類だと思いたいらしい。

新倉「(変て……わざわざ言い直して、悪い表現を使わなくても……)」

色々な意味で他人事ではないので、他からの評価は地味に気になる。
仮面カッコ良いと思うんだけどな、と口の中で呟いた。

……仮面の時点で変だという事に気付かないのも問題だが。

上条「生?」

新倉「何でもないじゃん……で、魔術師は?」

上条「疲れたのか、廊下で寝てる。……そのうち起きて、勝手に逃げるだろ」

新倉「それはそれは」ニヤニヤ

上条「――とりあえず、消防車が来る前に寮を離れよう。御坂とインデックスも心配だ」

新倉「消防車?」チラ

伊吹の奴が乗ってきた梯子車は、既に寮の前から消えている。
流石は俺、と賞賛したくなる程の見事な引き際だった。

上条「上の階から見えたんだよ。何台か、ここに向かって来てる」

火災報知器が作動していない事を考えると、少しばかり来るのが早い。
魔術師によって『人払い』の処置はされているだろうから、目撃者による通報も考え難い。

新倉「(伊吹が事前に呼んでた……? それに紛れて、普通の消防士として現場に舞い戻る気か)」

犯人は現場に戻る、とは違うが……きっと、そんな感じだろう。

上条「直に野次馬も集まって来そうだし……」

新倉「りょーかい。目を付けられる前にトンズラするとしますか」

上条「いや、トンズラって……」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/03(日) 23:09:04.85 ID:XfaZFoEGo
キテター!
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/03(日) 23:29:40.83 ID:V9SrBkDqo
よっしゃぁ!!久々の投下!!

やはり、アクメツマスクは高性能だな
正体がまったくばれないなんて
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/07/05(火) 02:32:44.02 ID:HcovjZp7o
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    /⌒i__.ノイ      L=L三三」テ」ミョ 、
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     |l l |     |       fィー――イノーく=r===≦≧-く\
.     ハ リ     |ー⊆三三⊆{{:::::::::::::::://  }}:{ (二)((__)_)} }ヽ\
    || |     |三ヲ====彳}}::::::::::::::} }   ||弋ニニニニニフ ノ人ヘ)
    |>、|___.ノ|::::::::::::::::::::i.! \、__.ノノ   ||::::::: ̄辷ー―ノi:|:}:ゝ \
    | {:::::::::::::::::::::::!::::::::::::::::::_!}         \:::::::::::::「「「「|:!:!くイ丶 \
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    | | 、::::::::::::::/::::::::::::::八   ⊂ニニニ⊃  /   ̄\ \:::::::::::::::::::::::::ヽ_ \
    | | \::::::::::::::::::::/  \、  ⊂ニニニ⊃ /       i|\\:::::::::::::::::::::ノ \ \
    レ   `ー-― "      \ー-、___/     ノ}   \\:::::::::/ fレ }、  \
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872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/07/05(火) 02:33:48.21 ID:HcovjZp7o
おぉ・・・誤爆したすまぬ・・・すまぬ・・・
873 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/07/05(火) 22:11:41.97 ID:oEWSbf3Zo

学園都市・第七学区


【PM 5:34】


続々と駆けつける消防車や警備員の目を逃れ、魔術師の襲撃を警戒しながらの移動。
結果的に、一時間以上を要して二人は合流場所へと辿り着いた。

禁書目録「と、とうま! しょう!」

その姿を見て、二人の少女の表情に安堵と喜びが浮かんだ。

美琴「ほら、大丈夫だったじゃない。……心配しなくたって、そう簡単にやられたりしないわよ」

私に勝ったんだから、そう簡単に負けられちゃ困る、とでも言わんばかりである。

禁書目録「……うん……良かったんだよ!」

新倉「悪い、遅れたじゃん」

上条「……二人とも、怪我はないか?」

美琴「それはこっちの台詞。……あーあ、色んな所に焦げ跡付けて……」

言われて、上条と生は自分達の服の状態を確認する。

新倉「上条、火事場から焼け出された人みたいじゃん」

上条「その台詞、そっくりそのまま返してやりますよ。それで……結局、そっちには敵は来なかったのか?」

美琴「――平和なもんだったわ。ナンパしてきた、空気の読めない馬鹿がいたぐらいで」バチッ

上条「また、不要な血が流されたのか……」ゲンナリ

美琴「失礼ね。適当にあしらったわよ」

本当か? と上条は視線でインデックスに確認を取る。

禁書目録「」フルフル

上条「…………」

美琴「いいの、あの手の輩には断固とした対応が必要なのよ」

上条「いや、まだ何も言ってないんでせうが……」
874 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:14:38.61 ID:oEWSbf3Zo

新倉「本当に魔術師は来てないのか?」

美琴「来てくれれば、それはそれで後腐れなく叩きのめせて楽だったんだけどね」

上条&新倉「「そ、そうですか」」ヒクヒク

女子中学生とは思えない好戦的な言葉に男二人の頬が引きつる。

禁書目録「(みことが一緒だったから、警戒したのかな……? けど、昼間はしょうが一緒だったけど仕掛けてきたし……)」

そして、思い出す。

一方の少年は、その時に……もう一人の魔術師に斬られたのだという事を。

禁書目録「(――そうだ、しょうの怪我は!?)」

あんな……あんな言葉を残すほどの重傷だったのだ、何とも無い筈がない。

禁書目録「…………え?」

だが、傷は無かった。

その痕すらも、何も。

新倉「……どうかしたか、インデックス?」

禁書目録「しょう、怪我は……?」

新倉「いや……ないじゃん?」

その質問を怪我をしていないか? という意味に取ったのか、新倉は事も無げに答えた。
表情こそ平然としていたが……その額にあぶら汗を滲ませながら。

875 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:16:04.44 ID:oEWSbf3Zo

禁書目録「(不死身だって……死んでも死なないって……言ってたけど)」

――仮にそんな能力が本当に彼に宿っていたとして。

それでも、何かが変だ。

インデックスは感じていた……拭いようのない、違和感を。

自分の中にある『生』の姿と、目の前にいる『生』の姿にズレがある。

例えば、服装。

朝、上条当麻の部屋で出会った時から、昼に一緒に行動している時までの服装と、今の服が違う。
血糊が付いてしまったから着替えたのかも知れないが、魔術師との戦いの最中にそんな余裕があったのだろうか。

例えば、ピアス。

一緒に食事をしていた時も、彼の両の耳にはピアスが光っていた。
傷は能力で塞がったのかも知れない。だが、ピアス穴のようなものまで治癒してしまったのだろうか。

それ以外にも……完全記憶能力で記憶された二人の『生』の姿を頭の中で対比させてみると、僅かな違いがある。

どう見ても、本人にしか見えない……でも、何かが違う。

禁書目録「(まさか、敵の魔術師……!?)」

可能性として思い当たったのは『なんらかの魔術で敵が顔を変えている』だった。

自分の持っている知識の中にも、その手の変装術は数多くある。

……だが。
876 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:22:14.93 ID:oEWSbf3Zo

上条「おい、生……?」ピト

インデックスとは全く別の異変に気付いた人間がここにいた。

上条「っ……すごい熱だぞ!?」

上条当麻の『右手』が生の額に当てられる事で、インデックスは混乱の中へと引き戻される。

禁書目録「(……魔術じゃない……? でも、他の異能の力だったとしても説明がつかない……)」

――ならば、彼は自分を庇い怪我をした生に間違いないのだろうか?

新倉「……何か、頭が痛くてな……」

上条「いつから!?」

新倉「アイツとの戦いが終わった時ぐらいから……かな」

上条「どうして……!」

今まで、何も言わなかったのか……そう問い詰めそうになって、止めた。

上条「(そんなの決まってる……インデックスを守る方を優先したかったからじゃねーか……!)」

新倉「悪い……自然に治ると思ってたんだが……どうも無理……みたいじゃん」グラッ

美琴「ちょ、ちょっと!?」

上条「生!」

禁書目録「しょう!」

糸が切れた操り人形のように倒れた生に、上条と美琴……そして、インデックスが駆け寄る。

上条「おい、生! 生!」ペチペチ

何度か頬を叩くが反応はない……それどころか、ほとんど意識がないようだった。

美琴「これ、普通の病気じゃないんじゃない……?」

上条「――かもしれない。まさか、先刻の戦いの中で何か……」

気付かない内に脳にダメージを負ったとか、敵の魔術師に何かされた可能性だってある。
877 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:24:21.44 ID:oEWSbf3Zo

上条「…………くそっ……!」

生を横にさせて、楽な体勢にしてやるが……それでも容態がよくなる気配はない。

上条「インデックス、生の体調を治すような……そんな魔術とか無いのか?」

馬鹿な発想だと思ったが、ゲームのRPGに登場するような回復魔法みたいな魔術があればと訊ねた。

禁書目録「あるけど……多分、無理だと思う」

美琴「どうして?」

禁書目録「――どれを使えばいいか判断が出来ないし、使える人間もいないから」

美琴「使える人間がいないって……経験者じゃないとダメって事?」

禁書目録「ううん。私がいれば……私が知識を教えて、それを正確に再現する事が出来れば、素人にだって魔術は使えるよ? 
       ……でも、とうまやみことには無理なんだよ」

上条「まさか……俺の右手の所為か?」

禁書目録「確かにとうまの右手は魔術を邪魔しちゃうと思うけど……それは、離れていれば済むもん」

美琴「私にも無理って事は、もしかして……?」

禁書目録「『能力者』は『才能ある人間』だから。
       『才能ない人間』が『才能ある人間』に並ぶ為に作られた『魔術』は、『才能ある人間』には使えないの」

能力の開発を受けた人間は魔術師とは人間としての構造が異なり、魔術を使用する為の回路と規格が合わないらしい。

上条「(……あの魔術師が言ってた、インデックスを使える云々ってのは、そういう意味か……!)」

禁書目録「……けど、その問題がなくても……しょうを治すのは難しいかも」

上条「?」

禁書目録「しょうの異変の原因が、単純な体調不良なのか、何かの病気なのか……私には、その判断が出来ないから」

美琴「処方箋がなければ、薬剤師は薬を出せない、ってこと?」
878 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:27:22.44 ID:oEWSbf3Zo

禁書目録「うん。先刻、とうまが顔……頭を触っても変化が無かったから、敵の魔術の所為じゃないみたいだけど……」

もしも、原因が学園都市側……つまり、科学や能力にあるのであれば、インデックスには手が出せない。

上条「どちらにしても、魔術に頼るのは無理か。……厳しいな」

不法に学園都市へと侵入しているインデックスを連れた状態では、警備員に助けを求めるのは現実的ではない。
だが彼女を置いてはいけないし……病院に生を連れて行こうにも、そこで襲撃を受ける可能性を考えると迂闊には動けない。

上条「どこか、生を休ませてやれる場所があればいいんだけど……俺の部屋は戻るのはな」

今は消防車や野次馬でごった返しているし、襲撃を受けた場所にノコノコ戻る気にはなれない。

美琴「常盤台の寮は……無理よね、やっぱ」

多数の高レベル能力者が生活しているという点では、一種の要塞に近い戦力を有しているが、問題が多すぎる。
女子寮、寮則、門限、寮監、男子、不法侵入、黒子。

美琴「(うん、絶対に無理だ)」

一つか二つの問題なら、普段と変わらないが、ここまで多いと切り抜ける自信がない。

美琴「こんな時、頼りになる大人が知り合いにいないのが悔やまれるわね……」

上条「………………あ」

――いた、一人だけ。

こんな時に頼りになる、見た目は子供な熱血教師が。



それから三分後。



小萌先生の住所は、青髪ピアスに連絡して聞いたらすぐに判明した。
唐突に発覚した悪友のストーカー疑惑に上条は生が快復したら、一緒に厳重な取り調べを行うと密かに決める。

上条「――よし、行こう」

辛うじて立っていられる生に上条が肩を貸し、それを後ろから美琴が支えるようにして、四人は歩き出す。

……ちなみにインデックスは、美琴が右手を繋いでガッチリと保護(確保)していた。
879 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:37:41.58 ID:oEWSbf3Zo

【PM 6:11】


〜とあるアパート〜


禁書目録「おおー」

美琴「なんか凄い場所に住んでるのね……アンタの担任」

ボロいの前に『超』が付きそうな木造二階建てのアパートを前にインデックスが感嘆の声を上げ、次いで美琴が遠慮のない感想を述べる。

上条「あー、お嬢様な御坂にはカルチャーショックか」

そう尋ねる上条も普段であれば、この家を見ただけで10分は余裕でギャグに出来る。

美琴「いや……別に実家は普通だから、お嬢様って訳じゃないわよ。ちょっと驚いただけ」

上条「まぁ、そりゃそうか」

今でこそ、超能力者として大成して常盤台中学に通い、多額の奨学金を得て、優雅?な生活を送っている彼女も元は自分と同じ一般家庭出身の小市民だ。

上条「第一、御坂は『お嬢様』のイメージから遠過ぎるしな」

美琴「……どういう意味よ」ムスッ

上条「んー? 親しみやすくて好感が持てるって意味だぞー?(棒)」

とある友人の義妹メイド風に誤魔化してみる。

美琴「こ、好感!?」///

禁書目録「……行かなくていいの?」

上条「おっと、そうだな。
    あの先生……この時間でもう寝てるとか言わないよな……?」

しかし、夜に女性教師の部屋を訪ねるという状況なのにちっともワクワクしないのは何故だろう。

上条「(仮に一人で訪ねに来ても、色気の欠片もないな、相手があの子供先生じゃ……)」

880 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:41:23.68 ID:oEWSbf3Zo

小萌先生の部屋は二階の一番奥にあった。
『つくよみこもえ』と、ドアプレートに平仮名で名前が書かれている。

ぴんぽんぴんぽーん、と二回チャイムを鳴らしても、出てくる気配がない。

上条「――蹴破るか」

美琴「ちょ、何を言ってんのよアンタは!?」

上条「いや、だってなぁ……」

小萌「――はいはいはーい」

禁書目録「あ、蹴破らなくていいみたいだね」

小萌「対新聞屋さん用にドアは頑丈なのですよー。今、開けますねー」

がちゃり、とドアが開いて緑のぶかぶかのパジャマを着た、
上条や生のクラス担任である小萌先生が、ひょこっと顔を出した。

美琴&禁書「……子供?」

小萌「いきなり失礼なこと言われました!? って、上条ちゃん。新聞屋さんのアルバイトでも始めたのですか?」

上条「この状況を見て、そう見えます?」

ドアの影に隠れて見えなかった生の姿を見せながら、上条はぐいぐいと小萌を押し退けて、強引に部屋に入ろうとする。

小萌「あ、安達ちゃん!? 何ですか、まさか夏休みに入ったからって……土御門ちゃん達とハッスルして飲酒でも!?」

上条「……泥酔して、終電逃した挙句、友達の家に転がり込む馬鹿学生に見えるのか。
    とにかく、色々と困ってるんで入らせて下さい。はーい、お邪魔しますよー」ズズズイ

小萌「ちょ、ちょちょちょっとー!?」アタフタ

慌てて、上条の前に立ち塞がる小萌先生。

881 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:44:36.64 ID:oEWSbf3Zo

小萌「いきなり部屋に上がられるのは困るのですよー!
    いえその、部屋がビールの空き缶だらけとか、灰皿の煙草が山盛りとかじゃなくてですねー!」

美琴「あのー」

流石に上条に任せていては話が進まないと思ったのか、上条の後ろから美琴が顔を出した。

小萌「…………常盤台の学生さん……? それにそっちのシスターちゃんは……ま、まさか!?」

上条「……とりあえず、何を思ったのか聞いていいですか?」

嫌な予感しかしないが、一応は確認してみる。

小萌「い、いくら学園都市にその手のホテルが少ないからって……!
    先生の部屋に女の子を『お持ち帰り』してくるなんて、上条ちゃんは何時からそんなアグレッシブになったんですか!?」

上条「どんな勘違いだよ!? つーか、ボケるにしても路線が生々し過ぎて、ツッコミし難いんだよ!」

禁書目録「ねぇねぇ、みこと。『お持ち帰り』って、何なのかな。ご飯を包んでもらうことじゃないよね?」

美琴「(せ、説明したくないっ!)」///

上条「あー、もう! 面倒だな……!」

こんな問答をしている間にも生の顔色はどんどん悪くなっている。
仕方が無いので、月詠小萌という人物の頭を一発で切り替えさせる魔法の言葉を使うことにする。

上条「先生」

小萌「ですー?」

この熱血教師には非常に効果的な文句だろう。



――小萌先生、助けてください。
882 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:47:45.66 ID:oEWSbf3Zo

結局、小萌先生には必要最低限の事だけを話した。

ただし……ある程度噛み砕いて喉越しを良くした、当たり障りの少ない情報だが。

要約すると、こんな感じになる。

@昼間に知り合ったインデックスという少女が暴漢に襲われていた。
Aそれを上条と美琴と生で助けた。
Bだが、その直後に生が倒れてしまった。
C暴漢と、その仲間に追われていて、小萌先生の所に匿ってもらいに来た。

色々と無理があるし、インデックスはどう見ても学園都市の人間ではない。
だが、小萌先生は疑いながらも……それでも上条達を受け入れてくれた。

あんな一言で、教師の顔になってしまうのだから、本当に月詠小萌という人は教師の鑑だと上条は思う。

小萌「とりあえず、落ち着いたみたいですね」

布団に寝かされた生のおでこの上の濡れタオルを交換しながら、小萌先生は言った。

上条「そうですか……良かった……」

小萌「でも……快方に向かってる、とは言えないですー。……やっぱり、ちゃんとした病院に連れていくべきです」

上条「…………ですよね」

小萌「……まぁ、追われているんですから、今晩は様子を見ましょう。
   それで、明日の朝に容態が変わらないようだったら、『この子』は私が病院に連れていきます。それでいいですー?」

上条「助かります」
883 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:49:44.71 ID:oEWSbf3Zo

小萌「それにしても……」ジー

美琴「な、何か?」

小萌「あの御坂美琴さんと上条ちゃんが……ねぇ?」

上条「……いやいや、そんなんじゃありませんよ? 元はケンカ友達みたいなもんで」

小萌「け、ケンカ友達!? 上条ちゃん、女の子に手を上げたりしてませんよね!?」

美琴「ち、違います! その、私が一方的に絡んでただけで……その……手も足も出なくて……あぅ……」ショボーン

小萌「(なるほど、そういう……)」

勿論、小萌も上条の右手に関しては承知しているので、ケンカ友達がどの様な意味合いなのかは、簡単に理解出来た。
……まさか、超能力者相手に完封しているとは思わなかったが。

小萌「今は、普通に友達として仲良くしている、って事でいいんですー?」

美琴「え、あ、はい!」///

上条「(……油断すると、ビリビリされるけどな)」

同じビリビリでも、漏電みたいな感じなので事故の要素が強いし、
上条が注意してさえいれば、実際の被害はないのだから、かなり状況は好転しているのだろう。

884 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:51:18.34 ID:oEWSbf3Zo

小萌「上条ちゃんも、身近に努力で高いレベルへと辿り着いた人がいるんですから、もう少し授業を頑張ってくれればいいのに……」

上条「いや、それなりに頑張ってるじゃないですか。……無能力者なりに」

小萌「……同じ無能力者でも、安達ちゃんは成績は悪くありませんよ?」

上条「うぐっ! ……あ、そういえば」

小萌「?」

上条「……生の奴、能力を使ってたんです。それも『発火能力』――確か、小萌先生の専門でしたよね」

その辺から、生の異変の原因を探れないだろうかと考えたのだ。

小萌「……それって、何時の話です?」

上条「え、先刻の……暴漢と戦ってる時です。それで、戦いの後に生の様子が……」

小萌「あれ? ……あの、もしかして……上条ちゃん、気付いてないんですか?」

上条「――何を?」

小萌「あらら。まぁ、いいですー。その話は明日にしましょう。
    ……さて、シスターちゃんと御坂さんはこっちに来て下さい」

禁書目録「なーに?」

美琴「?」

小萌「お着替えタイムですー♪」

二人を着替えさせるので、上条ちゃんは出ていて下さいー、と上条は隣の部屋どころか外に追い出された。
885 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 22:57:40.19 ID:oEWSbf3Zo

〜五分経過〜


上条「……微妙に不幸だ」

……夏だが、薄着で外に放置されるのは地味に辛い。
炎の巨人と一戦やらかした後なので、熱の落差が余計に肌寒く感じさせた。

もういいかーい? と、小萌先生に許可を貰って部屋に戻ると、パジャマ姿(兎)のインデックスが寝ている生の隣にチョコンと座っていた。

上条「何でだって、ビール好きで愛煙家の『大人』な小萌先生のパジャマが……お前にピッタリ合っちまうんだ?」

年齢差いくつ何だか、と上条は呆れ気味に呟いた。


                  \
            \         ヽ__ ..- ―…─- .._     ノ´                 `
             `         V          `ー…         __        _ ..- '’
              >←-   /     _____    `    __ノ´    ̄ ̄ ̄ ̄
              /      /ィ ´ ̄ ¨    /    ̄`ヽ  て´
                /     /       /        \ \
            /     / ,    /  /   ィ        ヽ ヽ
              /     /イ   /   /   /  .'    ! U   |  |
          /      / 1 _ェ=テヽ  ィ/ |//__ / |   |  |
            ’ (__ .イ,  / |什/ |/ -! //  //71¨メ、 人   |  |
         |  -=彡イ レ! ィう:示ヾV   イ/-|/_ | / へ__\.|__
         U     /⌒  从!トz::::j         7z:::rヾ1 / / __ミ、__
          /!   ノ:| f´|  |  込少         トz:::j リ/ / /´  |
           / j / : :ト ゝ  |           ` ´ /イ ハ   |
        l イ::::::::::::|.:.:`|  |               イ | |::::i   U
        |  |::::::::::::ヘ: : |  |.、                ル  |::::|    |
          ヽ `ー-,____ヾ|  |::i:\     ⌒      イ  ,リ::::|   ノ
          `ー─┐ ̄|  |--、._`_ .._ ___ ..7´.:.:.|  /::::::ノ _/
           ,. −┴  |  |      ヽ  |.:.:.:/=― | /―<´
            i,.--   |  | ` ーrぅ \|/ z ィ /     !
           i    ヽ|  |     || `   イ|!  i|      i
           |     ヽ|  |     ||       |! /イ     U


禁書目録「……とうま、見くびらないで欲しい。私だって、このパジャマはちょっと胸の辺りが苦しいかも」

インデックスの台詞に襖の向こう側から、小萌先生の抗議の声が上がる。

小萌「なん……、馬鹿な! バグってるです、いくら何でもその発言は舐めすぎです!」ガッ

大人の女としてのプライドが傷ついたのか、小萌先生の手が襖にかかる。
886 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/07/05(火) 23:00:34.47 ID:oEWSbf3Zo

美琴「ちょ、小萌先生、開けようとしないで下さい! 私、まだ着替え中ですから!」

小萌「むむむ……御坂さんも、いつまでも下着姿でいないで……ちゃっちゃとパジャマを着てください」

上条「ぶっ!?」///

薄い襖を挟んだ隣の部屋に女子中学生が下着姿でいる状況を認識して、テンションが不覚にも上がってしまった。
そんな男子高校生の衝動を余所に、美琴は隣の部屋で必死の抵抗を続けていた。

美琴「いや……一晩ぐらい、制服のままでも……」

小萌「ダメですー、大きめのパジャマを貸してあげますから、それを着てくださいー」

美琴「え、いや、いいですから!」

確かに、出来ることなら着替えたいのが本音だ。
色々と走って汗もかいたし、乙女としてそのまま寝るというのは避けたい。

だが、最大の問題はそこではない。

美琴「だって、このデザインは……!」

上条「(あー、そういうコトね)」

現在、小萌先生やインデックスが着ているパジャマを考えれば、ここで出てくるパジャマも同系統であると推察される。

美琴「(あ、アイツにパジャマ姿を見せるとか無理! 絶対に無理だから!)」///

美琴的には『全然アリ』なデザインではあるのだが、『それを上条に見られる』というのは絶対に無理だ。
先日、パジャマを選んでいる場面を目撃されてしまってはいるが、実際に着ているのを見られるのとでは恥ずかしさのレベルが違う。

小萌「御坂ちゃんは女の子なんですからー、ちゃんとしないとダメですよー?」

美琴「うぅ……でも、でも……」

小萌「ほらほら、覚悟を決める時ですー」ワキワキ

887 :このAAを発見した瞬間、この流れが確定したのは言うまでもない [saga sage]:2011/07/05(火) 23:03:14.43 ID:oEWSbf3Zo

結局、美琴の抵抗は小萌先生に強引に着せ替えられそうになって、観念する形で終わった。

上条「……………………」

美琴「……な、なによ、何か文句あるわけ!?」///



              '、:::/   ヽiノ      ヘ、:::メ
             /       |         ` ヽ
          ., イソ/       |           ヾ
        / ヽ/        ィ!、          ヽ !冫、
       /   ∧       /::::::ヽ         / Y  \
      /    / ∧    イi:::::::::ヾ::::::7ヽ、     ./  |   \
.     /    ∧ .| ゝー イ_/i/ト!::::i::、ヽ/-_ ヽ._ _ /.  |     \
     /    y  / !:!::::::|!::| レ'!:|!:::|ヾレ/    !_:::::::| |   |      ヽ
    /     /  i il::ヽ::k'孑ソ、    ィン孑ゝ冫〉::::i i   |ヽ     i::ヽ
.   /:|    /   | !`:::::::!。ー '      ‐'  ィ‐'::::i:::| |   ! ヽ     !::::::
  /::::|   ノ !   ! / |:::::::ヽ""  `   " " ィ:::::::i::|:::! !   !  \  /::::::::::ヽ
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../:::::::::!/   ヽ   ヽ/ィ-‐ 〉ト `i ー ' .iイ/ `ヽ レ'.  /      丶::::::::::::`、
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             ィ'    |  ヽ:: '  ィヽ、   i            ____
             `i    |  : :  /   ヽ、, .i     -‐'' ̄ ̄ ̄      |
              !    |  :  /    7、ィ/   /             |
              ∧   ! _ヽ 7    /::: /   ヽ              |
               ! ー- 7≡ゝ   /:  7     ヽ         ___!
               |〉   ヽ ./    〉  !     ヽ  __,,.. -‐ ̄
               ! i   i /    /  冫     ゝ  |
              _く |   |7.    /  Z:::!  i ̄ ̄`__|
             〈 ∧ !   i    /   ∧ヽ |  i  ̄
            / _  !.   |.  / _ _ _ヽlヽ' |
           / /   ヽ 、 `、 /     ヽ ̄
.           i/       ヽ、/    、_ _ヽi
         -‐' ―'       ヽ         ̄` ー
   _,..- ' "         ::    !             \


某電気ネズミ(トキワ近辺に生息)のパジャマに身を包んだ美琴が抗議の視線を上条へと送る。

上条「え? いや……別に何でもないです、はい(アリ……だな)」グッ

小萌「似合ってますよ〜?」パチパチ

禁書目録「どーして、みことのパジャマには尻尾がついてるの?」ツンツン

それぞれが好き勝手に感想を言う。

美琴「(うぅ……恥ずかしいよぉ……)」///

上条「…………やれやれ」

呆れながらも、ちょっぴり役得だと思う上条当麻であった。
888 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/07/05(火) 23:05:51.78 ID:oEWSbf3Zo

美琴「えっと、それじゃあ……小萌先生、寮への連絡をお願いしてもいいですか?」

小萌「常盤台の寮は厳しいですからね。今回は事情が事情なので、任せてください」

上条「……そんなに厳しいのか?」

美琴「寮則自体の厳しさよりも……それを守らせる人間が……なんていうか」

普段こそ、黒子に誤魔化してもらっているが……朝帰りや無断外泊が露見したら……?

美琴「こ、殺されるかも……」ゾクッ

上条「へぇ……そんなんじゃ、彼氏が出来ても泊まりに行ったりは無理っぽいな」

美琴「か、彼氏!?」

小萌「……上条ちゃん、その発言の意図について先生は詳しく聞きたいですー」ジロリ

上条「え、いや……ただ、何となく……そう思っただけです……けど?」

美琴「(彼氏……お泊まり……彼氏……お泊まり)///」グワングワン

特定の人物を相手に設定して、その単語の状況を妙にリアルに想像した美琴の脳は、オーバーフロー状態に移行した。

上条「って、おい!? 御坂どうした!? 頭から湯気出てるぞ! いや、魂!? 魂なのか!?」

禁書目録「みことが、しょうよりも重症みたいなんだよ……」

小萌「……上条ちゃんが相変わらずで、先生は少しだけ安心ですー」

上条「御坂、しっかりしろー!?」


――こうして、波乱に満ちた夏休み初日の夜は更けていった。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/05(火) 23:15:28.31 ID:eSX8noHoo
wktk
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 23:15:29.28 ID:zTV/ogeSO
小萌先生はさすがだなあ
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 23:16:49.64 ID:cR1jNISio
ネタばらしが近づいてますなぁ
わくわく
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 06:35:02.85 ID:sBlrPdC2o
ミコチュウかわいいよミコチュウ
そういえば小萌先生は発火能力の専攻だったっけ
奇妙な巡り合わせですな
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/06(水) 10:22:01.95 ID:PMqTZo6jo
おつ
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 10:39:15.84 ID:LJBa5Vkuo
さあ上条さん

今すぐ赤帽子を被ってそこにいるトキワの電気ポケモンをゲットするんだ!!
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/07/06(水) 19:11:04.81 ID:IKeuwyFn0
>>894
もうゲットしてんじゃね?
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/06(水) 19:27:52.62 ID:ydT+ORx6o
むしろ主人公をゲットしようとモンスターボール持ってもじもじしている電気ネズミ
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 19:37:09.03 ID:z2wqn4Hho
ひとのものをとったらどろぼう!

ゲット不可

アステカのストーカーがロケット団入りか……そんなSS探せばありそうだな
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 19:54:11.12 ID:Q5UShfFfo
>>896
で、主人公の目の前ですっ転んで自分の持ってたモンスターボールに捕まっちゃって
しょうがないから連れて行かれる事に
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/07/06(水) 22:31:37.65 ID:fASxOJsAO
>>898
アリ………だな
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/23(土) 02:59:06.10 ID:Suv0Vtfbo
そろそろ来ていただきたいな
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/26(火) 07:31:35.32 ID:uKBEto9g0
20日間…

どうしたんだ>>1は!?
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/30(土) 16:19:54.59 ID:LTICR+61o
忙しいのかな
903 :とある複製妹達支援 [sage]:2011/07/31(日) 00:29:31.55 ID:3NX68FTso
中々、書き進める時間が取れないのでもう少し待ってくださいです。

……夏休み延期&短縮が地味に痛い。
9月から休みって、それ既に夏休みじゃないよね……
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/31(日) 00:33:39.77 ID:/ecZiwjVo
待ってるよう
更新楽しみにしてるぜい
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/02(火) 01:02:57.06 ID:NAL5r3K20
待ち甲斐のあるスレだから>>1のペースでよろしくです!
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/02(火) 23:40:49.11 ID:ybuTdzKNo
面白いスレだ、待ちがいがある、残りのレスを懸ける云々
907 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/10(水) 17:01:58.19 ID:YxJ7gg6Ko
新約2巻とSP購入でテンション上がってきた! そんな訳で投下するよ!

……何故か、禁書じゃなく一緒に買ったSAO8巻にストーリートレカ(禁書編)が付いて来たが、どういうことなの……? つーか、これ揃えるの無理だろ。
908 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/08/10(水) 17:05:37.66 ID:YxJ7gg6Ko
第七学区・某所



月詠小萌のアパートから、遠く離れたビルの屋上に一人の監視者がいた。

――魔術師の神裂火織である。

監視と言っても、その手に双眼鏡の類は握られていない。
8.0の圧倒的な視力を誇る彼女にしてみれば、両の目があれば事足りる。

神裂「…………」

少年少女達の様子を伺う、神裂の表情は厳しい。
しかし、一人の修道女に注がれた――その視線は悲しくも優しかった。

???「…………」

神裂「……大丈夫ですか、ステイル」

背後に気配を感じ神裂は、後ろを振り返らずに声をかける。

ステイル「ふん。日本の暑さにはウンザリしてたからね、これぐらいで丁度いいさ……」

盛大な負け惜しみを言いながら、煙草に火をつけようとする濡れ鼠が一匹。

ステイル「くそっ! 全部、湿気ってるじゃないか!?」ポイッ

神裂「いい機会ですから、禁煙でもしたらどうですか。
    ただでさえ、魔力精製で激減している体力をさらに減らす必要もないでしょうに」

ステイル「禁煙? よしてくれ、想像しただけで死にたくなる。……それで、あの娘達の様子は?」

神裂「楽しそうですよ。……あの頃のように」

その言葉によって、ステイルの表情が動くことはない。少なくとも表面上は。

ステイル「……同伴者の身元は? 少女の方は確か、学園都市でもトップクラスの能力者だった筈だけど」

神裂「ええ。五行機関から事前に通達されていた人物の一人です」

ステイル「7人いるらしい超能力者の中で……学園都市で目立つ真似をすれば、高い確率で介入してくる可能性がある、って話だったね」

神裂「しかも、丁寧に『手出し無用』の忠告付きで情報を提供されました」

ステイル「……別に学園都市と戦争をしに来た訳じゃないからね……忠告通りに動くとしようか」

――時と場合によっては、その限りではないが。
909 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/08/10(水) 17:11:09.84 ID:YxJ7gg6Ko

神裂「問題は、少年二人の方です。……記録では、両名とも同じ高校の『無能力者』として分類されていました」

ステイル「……馬鹿な」

神裂「確かに馬鹿な話です。
    一人は……私の『唯閃』を身に受けながらも、ステイルと戦い……今でこそ意識を失っているようですが、傷は既に完治しています」

ステイル「(……いや、その男は僕が確実に焼き尽くした……恐らく僕と戦ったのは……その兄弟の可能性が高い……)」

だが、ステイルに神裂の勘違いを訂正するつもりはなかった。

ステイル「(わざわざ、迷いの種になるような情報を与える必要はない。人の死をただの結果として受け入れるには……神裂は優し過ぎる)」

それに、最大の問題はそちらではない。

兄弟の一方は死に、残った方は発火能力者のようだが……ただそれだけなのだ。

――事実だけを見れば。

そう……気になるのは、自分が焼き殺した少年もまた、漆黒の仮面らしきものを身に付けていた事だった。

ステイル「(俯せだったから、細かい形状まで確認は出来なかったけど……)」

もしも、同じ仮面だったのなら、それは何を意味するのか。

――まさか、死者が蘇ったとでも言うのだろうか?

ステイル「……もう一人の奴と……後から現れた、仮面の男の情報は?」

神裂「どちらもありません。……少年の方は先も言った通り、ただの学生。
    ……仮面の男に関しては完全な『正体不明(アンノウン)』でした」

自分の魔術を容易く掻き消した少年が、ただの学生?

ステイル「(仮面の男といい……東洋の神秘だとでも言うのかな)」

神裂「単純に学園都市側も把握していない類の能力者なのか……或いは、何らかの理由で情報を消しているのかは不明ですが……」
910 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/08/10(水) 17:13:19.77 ID:YxJ7gg6Ko

ステイル「……彼等は、何らかの組織の一員だと思うかい?」

神裂「少年達に関しては微妙ですが……仮面の男はそうである可能性が高いかと」

ステイル「根拠は?」

神裂「彼等が逃げ込んだアパート……その周辺……30人の武装した兵が潜伏しています」

遠くの闇に潜む者達を射抜くような視線。

ステイル「30……? 確かかい?」

神裂「……どうやら、目的は私達への牽制のようですね。
    完璧な隠形でありながら、こちらが存在に気付くように意図的に『緩めて』います」

ステイル「彼等の誰かが用意した部隊の可能性は?」

神裂「低いでしょうね。……あの部隊は彼等がアパートへ入るのと、ほぼ同じタイミングで周辺へと展開されました」

ステイル「事前に準備がされていた、と?」

神裂「少年達の与り知らぬ所で……ステイルが遭遇した仮面の男が手配した可能性が高いでしょう。
    思えば、昼間の戦闘時に介入してきた狙撃手も、あの部隊の者と考えた方が自然です」

ステイル「この街で、五行機関のアンテナにかからずに動ける組織があるとは思えないけど」

神裂「……魔術結社にしても、学園都市内の組織だとしても……脅威になります。
    敵の戦力は未知数、こちらの増援は無し」

ステイル「能力者の子供だけでも厄介なのに、それに加えて謎の組織か……厳しい展開になってきたね」

やれやれ、と頭を振るステイルの前髪から水滴が落ちる。

神裂「大規模な魔術戦闘になると仮定して、準備を行いましょう。
    ……どんなに困難であっても、私達が彼女を諦める訳にはいかないのですから」

ステイル「……ルーンの下準備をしてくる、神裂はこのまま監視を続けてくれ」

辛いとは思うけど、と最後に付け足された言葉に神裂は苦笑するしかなかった。

神裂「――風邪を引かないように着替えたほうがいいですよ」

ステイル「……ふん」

扉の向こう側へステイルが消えた直後、小さなクシャミが聴こえた。

911 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/10(水) 17:20:10.35 ID:YxJ7gg6Ko

〜アクメツクローンプラント〜


プラントで司令室としての役割を持つモニタールームに数人の生と、研究員の芳川桔梗等が集まっていた。
しかも、この場にいる『生』の顔ぶれは実働部隊として活動していた者達ではなく、以前はアクメツ用の装備等を開発していた研究班の面々が主である。

芳川「……実験以外では、これが初の実戦になるのかしらね」

生(烏)「どうだろうな。戦わずに済むなら、それが一番だが……」バリボリ

相も変わらずプラントに常駐している烏丸生が盛大に頭を掻きながら、溜息を吐く。

生(多)「烏丸、流石にそれは無理な相談だろ。相手だって、一筋縄では行かない連中じゃん?」

横から注意を促すのは『多田生』。
10年前は主に兵装関連の物理担当だった生で、今は烏丸と同じようにプラント常駐組である。

生(烏)「……虎の子のver.3が10人。それに加えて、学園都市で蘇生させた『妹達』が20人……戦力的には充分だが……さて」


――プラントより、行動中の各班へ。状況報告を頼む。


912 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/08/10(水) 17:24:59.20 ID:YxJ7gg6Ko

烏丸がそう呼びかけると、同じ声が……それも無数に返ってきた。

生(藤)『こちら、A地点。……藤崎生と他二名、配置についた』

生(氷)『氷山生、B地点も配置についた。妹達も無駄に元気じゃん』

生(佐)『佐倉生……以下同文……眠い……』

生(鎌)『ちゃんと報告しろって……鎌田生、妹達二名と共にD地点に配置完了』

生(高)『E地点、高杉だ。時間押してるから巻きで頼むぜ?』

生(早)『早坂、F地点に到着した……んで、新倉の奴の容態はどうなんだ?』

生(木)『芳しくないようだな……早く椿の所へ運びたいところだが。おっと、木野……G地点だ』

生(向)『向井、H地点。ところで、安達の奴はどうした?』

生(安)『……I地点にいるじゃん……はぁ……』

次々と雑な報告が入る中、一人だけ声に覇気がなかった。
いや、他の連中にもあるのかは怪しいのだが。

生(烏)「安達の、どうかしたのか?」

生(安)『いや……まさか、小萌先生の部屋に逃げ込むとは思ってなくってさぁ……厄介な事になりそうだなぁ、と』

それなりに楽しい学園生活を満喫していた安達としては、自分達の事情が露呈しそうな現状に対して、思う所があるらしい。

生(烏)「今のうちに、それっぽい設定でも考えとけばいいじゃん」

生(安)『丸投げかよっ!?』

しかも、なんとかして秘密を守れ、ではなく「バレてもいいけど、面倒だから適当に誤魔化しといて?」のニュアンスである。

芳川「……それはともかく……報告が足りないんじゃないかしら?」

生(烏)「J地点……如月か。プラントから如月生へ――応答を」
913 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/10(水) 17:44:23.05 ID:YxJ7gg6Ko

〜アパート防衛配備・J地点〜


『生』と『妹達』の三人一組で10組のチーム。
如月生が担当していたのは、アパートから一番近い場所だった。

生(如)「こちら、如月……スマン、少し……問題があって、報告が遅れたじゃん」

生(烏)『……問題?』

00461「お姉様……あの様な艶姿を……!」ハアハア

00965「鼻血が……とミサカは鼻を押さえて上を向きます」ハアハア

暗視ゴーグルの上から、さらに双眼鏡を覗くという珍妙な状態の『妹達』が二名。

00461「それで鼻血が止まるというのは間違いでは? とミサカはテレビで見た知識をひけらかします」ボタボタ

00965「だからと言って、平然と垂れ流すのも問題がありませんか、461号」

生(烏)『………………』

――沈黙が痛かった。

生(如)「烏丸の……チームを組む『妹達』を変えてくれ、出来る限り早く」

生(烏)『悪いが『妹達』2名に対して1人の割り当てだからな……チェンジ不可だ』

生(如)「今時、一回までならチェンジは無料じゃんっ!?」

生(多)『業界も色々と厳しいんだ……授業料だと思って諦めてくれ』

生(如)「くっ……」orz

芳川『何の話をしてるの、貴方達は……』
914 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/10(水) 17:49:22.54 ID:YxJ7gg6Ko

生(如)「学園都市組の連中は比較的普通だと思っていたんだが……思わぬ伏兵がいたな……」

生(烏)『(いや、普通……なのか?)』

00461号「これは、『妹達』全体で共有して、皆の財産とするべきでは?」

00965号「しかし、任務に従事している私達の特権と考えれば安易な情報共有は……!」

後ろでは、パジャマ姿の御坂美琴の画像をミサカネットワークにアップするかどうかで、激しい議論が展開されている。

生(多)『……個性的で良い事じゃないか。
     俺達の時は何年も経過して……多少の違いが出ても、根本的な部分では大差なかっただろ?』

生(如)「まぁ、存在を知らなかったクローンと遭遇して、ほんの数十分で意気投合するぐらいだからなぁ」

そもそも、生達のアイデンティティやメンタルにかなりの個体差があれば、自分達を超人へと変えた『統合』は成立しなかった筈だ。

生(如)「……クローンとしては別にしても『人間』としては、この娘達の方が案外――」

00461号「なら、パジャマ姿はアップするとして……それとは別に私達用の画像を入手しましょう、とミサカは冴えた方法を提示します」

00965号「流石は461号ですね……とミサカは新たな選択肢に賛同します」

生(烏)『――案外?』

生(如)「……とりあえず、報告終わり」ゲンナリ



芳川「……大丈夫なのかしら、色々と」

生(多)「なんとかなるだろ――多分」

実は何の根拠もなかった。
915 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/10(水) 18:03:47.69 ID:YxJ7gg6Ko
7月21日 


〜月詠小萌のアパート〜


夏休みの二日目。

美琴「…………んぅ……?」

御坂美琴が目を覚ますと、そこは見慣れた常盤台の女子寮ではなかった。

美琴「…………あぁ、そっか」ゴソゴソ

上条当麻、魔術師、インデックス、襲撃。

眠気で制限された頭の中で断片的な単語が連想され、現在の状況を思い出す。

美琴「アイツの担任の……小萌先生の部屋に泊めてもらったんだっけ」キョロキョロ

禁書目録「…………すぅ」

小萌「……かみじょーちゃん……補習なの……ですよ……」ムニャ

隣の布団を見ると、お揃いのパジャマを着た修道女と教師が仲良く寝息を立てていた。

美琴「アイツは夢のなかでも補習されてるのね……」クスクス

――そういえば、アイツは?

美琴「まだ寝てるかな……?」

ポツリ、と口に出してみて、気付く。
……これはチャンスではなかろうか、と。

美琴「(……見たい)」ウズッ

主に寝顔を。
理由などない。強いて言えば、見たくなったからだ。

ついでに後でその事を告げて、照れる顔も見てみたい。

だが。

美琴「(――その前に着替えようっと)」

考えてみれば、今の自分の服装もかなり恥ずかしかった。
916 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/10(水) 18:09:59.50 ID:YxJ7gg6Ko

美琴「(音を立てないように……)」ソロ-リ

電気ネズミパジャマから常盤台の制服に着替えた美琴は、慎重に隣の部屋へと侵入する。

美琴「(って、アレ!?)」

居なかった。

目当ての上条当麻が。

美琴「(……布団が乱れてない……これって……?)」

生の隣……上条が寝ている筈の布団は整然と……まるで、そもそも誰も寝ていないかのように綺麗なままだった。

――ガチャ。

美琴「!?」ビクッ

突然の玄関の扉が開く音に驚いた美琴の体が、真上に跳ねた。

上条「――あれ? 御坂、起きてたのか」

美琴「(び、びっくりした……!)」

驚愕を悟られないように小さく息を整えながら、美琴は上条の様子を伺う。

美琴「外にいたんだ…………って、もしかして……アンタ、ずっと起きてた?」

上条「まぁ、ずっとじゃないけど……安心して眠る訳にもいかなかったからな」

美琴「寝ずの番……ってこと?」

上条「そこまで大げさじゃないって。
    ……インデックスの『歩く教会』がここにある以上、連中にも居場所はバレてる筈だろ?」

インデックス本人が言っていた通り、敵の魔術師が『歩く教会』に対して探査をかけているのであれば、それは当然の事である。

一応、上条の右手で『歩く教会』を破壊すれば、敵の追跡を防げる可能性は上がる。

美琴「確かにそうだけど……」

しかし、探査を防いでも敵に見つかる可能性や『歩く教会』の防御力がインデックスにとって生命線である事を考えれば、破壊には踏み切れなかった。
917 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/10(水) 18:15:44.03 ID:YxJ7gg6Ko

美琴「でも、その辺りのことはちゃんと話し合ったじゃない」

一度、撃退された事や仮面の男の介入を踏まえて、魔術師側も警戒して「昨晩の時点での再度の襲撃はない」と美琴と上条は判断した。

美琴「先の事も考えて、今晩はしっかりと休もうぜ! って言ったのは、何処の誰よ?」

上条「……俺だな」

美琴「それで自分だけ、寝ずの番?」

上条「うぐっ……」

美琴「言ってくれれば、私だって……交代で警戒するとか……」

上条「いやいやいや!? 流石に女の子に寝ずの番とかさせられねーよ!」

美琴「……」

上条「ほら、夜更かしは美容の大敵って言うだろ!? 折角のぷにぷに肌が荒れちまうぞ?」アセアセ

美琴「それにしたって…………ん?」

――今、この男は何を言った?

何となく褒められているからといって、流してはいけない類の言葉が聴こえたような気がする。

美琴「……ぷにぷに肌って何よ?」

上条「あ」ギクッ

美琴「ちょっと待って……?」
918 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/10(水) 18:18:55.58 ID:YxJ7gg6Ko

冷静に考えてみる。

今の今まで、上条当麻は外に居た。

そして、外に出る為には自分達の寝ていた居間(?)を抜けなくてはいけない。

つまり、彼は寝ている自分達を起こさないように隣の部屋から居間を抜けて外へ――

美琴「……ま、まさかとは思うけど……アンタ……!」///

考えてみれば、自分だって『それ』を企てたのだ。

自分がしようとしていた事を逆にされていた可能性に美琴は行き着いた。

美琴「ひ、人が寝てるのを良い事に……?」///

上条「あの……その……」

美琴「ね、寝顔を見た挙句……さ、さ……さわ……触って……?」///

全てを看破された瞬間、上条は土下座謝罪モードへと移行した。

上条「で、出来心だったんだ! 三人揃って、すやすや眠ってるもんで……こう……つい?」orz

父親が寝ている娘の頭を撫でるような感じだったんです! と上条は苦しい言い訳を続ける。

美琴「な、な、な……!」///

が、触られたという事実だけで既に許容量一杯の美琴に後半の言い訳は届いていない。



――ちなみに。

禁書目録「(……ねぇ、こもえ?)」

小萌「(なんですー?)」

禁書目録「(朝ごはんは、しょっぱいのがいいかも)」

小萌「(……ですね。甘ったるいのは、もう一杯ですから)」

足元でそんな不本意な会話が交わされているなど、上条と美琴は知る由もない。
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/10(水) 20:22:03.78 ID:9kkHWCJMo
お、投下来たか おつ
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/10(水) 20:30:15.32 ID:4Dx51BMMo
おつんつん
しかし所構わず惚気るなこの二人は
921 : ◆MIsaKa/412 [sage]:2011/08/11(木) 00:46:08.72 ID:vEQ8MqP7o
待ってました
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:20:05.63 ID:xrhRWRDO0
内容:461と965の発想は無かったwww
しかしアクメツプラント、結構派手に動いちゃったのはそれなりに危険だったんだね…

ええ、名前の元ネタが9割方分かりますともwwww
それだけに、今回に限らず上手いこと極力犠牲も少なく済めばいいけど…
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:58:23.67 ID:dAAx+aMO0
461   965

しらい くろこ

なるほど・・・!
924 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/08/13(土) 21:40:25.67 ID:/GwNVqsXo

小萌「さぁ、シスターちゃん。ご要望通りに出来ましたよー?」

輝かんばかりの白米。
麸とワカメのシンプルな味噌汁。
程良く塩の効いた鮭の切り身。
ゴマ油を加えて茎まで美味しく食べれる小松菜のおひたし。
定番中の定番の漬物と生卵までセットに付いて、朝食が完成した。

――どうも、外国人(であろう)のインデックスに日本的な朝食を振舞おうと、小萌先生が妙なヤル気を出したらしい。

禁書目録「――――!!!」wktk

声にならない喜びの声を上げるインデックスを余所に、

上条「……先生、料理出来たんだ」

昨夜の部屋の惨状を踏まえて、思わず本音を漏らした上条がドゴンッ! と無言の鉄拳制裁を受けていた。

小萌「先生だって、お酒のツマミばっかり作ってる訳じゃないのですよー?」プンプン

上条「いや、だって……俺の部屋よりも遥かに以上に自炊の気配が……」ヨロヨロ

美琴「(……確かに)」

小萌「こ、このぐらいの料理なら、先生にも楽勝なのです! いつでもお嫁に行けるんですっ!」

上条「まさか、先生……「そのぐらい出来ないと結婚出来ない」とか誰かに言われて……猛練習したとか?」

小萌「い、言われてません! 黄泉川先生にからかわれたりなんてしてないです!」ギクッ

上条「(――からかわれたのか……黄泉川先生に)」

料理の腕を別にしても小萌先生の場合、その見た目をどうにかしないと――とは、流石の上条にも言えなかった。


925 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/13(土) 21:42:00.61 ID:/GwNVqsXo

「「「「ごちそうさまでした」」」」



泊めてもらった身分の上条達が片付けと洗い物を担当した。
インデックスも頑張ったのだが、残念ながら早々に戦力外通告を出される羽目になった。

上条「――さて……今日はどうしようか?」ゴシゴシ

美琴「……まずは病人をどうにかしないとね」キュキュ

洗い物をしながら、二人は小声で相談を始める。

上条「小萌先生に車を出してもらって……けど、先生だけに任せるってのは……」

美琴「……どっちかがインデックスと残って……もう一人が先生に付き添う?」

魔術師がインデックスの確保よりも敵勢力の打破を優先してきたら、意識不明の生は最も危険な状態になる。

上条「それしかない、か……御坂、インデックスと残ってくれるか?」

美琴「……敵が来るかも知れないのよね……残りたいんだけどなぁ……」ウーン

その様子は、まるで魔術師と戦う可能性が魅力的であるかのようである。

上条「何か気になることでもあるのか?」

美琴「――似てるのよね」

上条「似てる? 何が?」

美琴「あの人の症状が……その、私が少し前に見た……『ある人達』の状態と」

上条「生の病気の心当たりがあるのか!?」

洗い物を終えた二人は、隣の部屋へと入り、未だに意識の戻らない生の元へと足を運ぶ。

美琴「……でも、確証がある訳じゃないのよ。だから、一緒に病院に行く事も考えたんだけど……」

――そう、似ているのだ。

ここ最近、自分達が調べていた『ある事件』の関係者に起きた事態に。

美琴「(――この症状……まさか『幻想御手』を……?)」

上条「御坂、その病気って――」

上条が詳しい話を訊こうとした、その時だった。
926 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/13(土) 21:48:19.50 ID:/GwNVqsXo
ピンポーン


禁書目録「!!!」ビクッ

上条&美琴「っ!?」バッ

三者三様の反応だったが、それぞれが連想したのは同じだった。

敵。

魔術師が正々堂々とチャイムを押して訪ねてくるとは思えないが、何らかの攻撃行動の可能性もある。

が、ここの家主にはそんな事情など関係なく。

小萌「はいはーい、今開けますよー?」

上条「ちょ、先生!」

上条が制止するよりも早く、小萌先生は玄関のドアを開けてしまう。

小萌「どちら様――あれ?」

???「先生、朝早くにスミマセン」

咄嗟に上条と美琴はインデックスを連れて、隣の部屋に隠れていた。

小萌「いえいえ、もしかしたら来るんじゃないかなー? って、思ってましたから」

その言葉に上条と美琴はどうやら魔術師が来たのではないらしい、と安心した。

???「――え?」

だが、訪問者は小萌先生の言葉に動揺しているようだった。

???「……先生、どうして……」

いや、言葉よりも小萌先生の態度にこそ驚愕している。

――まるで、小萌先生が『驚かない』事に『驚いている』かのように。

小萌「ふふ……先生を驚かそうだなんて、百年早いんです」トテトテ

ガラッ!

襖を開けた小萌先生が、生の顔を見ながら言った。

小萌「だって、この子……顔はそっくりですけど、安達ちゃんじゃありませんよねー?」


唐突で、決定的な、その言葉を。


上条「…………は?」

美琴「……え、何?」

禁書目録「…………?」

???「最初から気付いてたんですか……?」

小萌先生に続くように訪問者も部屋の中へと入ってきた。

……そして、上条と目が合った。

生(安)「――よぉ、上条……今、ここに『俺』がいるか?」
927 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/08/13(土) 21:49:43.71 ID:/GwNVqsXo

目覚めろ、その魂! な次回予告!


アクメツの一人、安達生は友と恩師を前に何を語るのか。

生(安)「まず……俺達の顔が同じなのは、遺伝子レベルで同一の兄弟だからです」

それは真実か、虚構か。

生(安)「驚いたよ、自分と同じ顔と名前の人間に出逢ったんだから」



そして、深き眠りに落ちた『新倉生』を目覚めさせるべく『幻想御手』事件の解決を図る者達。

上条「約束するよ、インデックス。――御坂は必ず……俺が連れて帰ってくるから」

佐天「上条さん、私も連れて行ってください……御坂さんの所に!」

アクメツ「乗ってくかい? ボーイ&ガール」


だが、狂った歯車は、超人達に自らの牙を己へと突き立てさせる。

初春「いやあああああっ!!」

生(安)「ば……馬鹿な……」

???「――『孤高赤星(アンタレス)』と言うらしい……一番最後にネットワークに取り込んだ能力でね」


そして、暴走を始める幻想の前に――もう一つの幻想が立ちはだかる。


上条「掛かって来いよ、化物――御坂には、指一本触らせねぇぞ」



次回 『Transfigured Imagine』 をヨロシクじゃん?
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 22:25:48.63 ID:/7f3wqOJo
やだ…上条さんカッコいい……
ちょくちょく入る次回予告がイイ感じだな乙
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 22:32:50.67 ID:KNoq3zV90
乙! 面白かった〜 しかもこの予告がまたね…… 続きがすんごい楽しみです!
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 00:41:35.23 ID:zn7TQQJq0
オウフ、この時点でアレがソレなら、なるほどこれから幻想猛獣なのか…
ネタばらし(仮)をどうするのかも含めて、wktkが加速する!
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/15(月) 00:59:14.72 ID:lR4ZpCDU0
初めて読んだけど途中ペンション義男が出てきて笑っただニ
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 02:05:38.48 ID:7ThS0wtho
933 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/08/30(火) 23:29:47.27 ID:/uadaKx7o
やっと夏休みに入りますので、投下はもう少しお待ちくださいませ。

※ある展開に持っていく為の条件を、ある人物が満たしているか調べようと九州の地図を眺めていたら……
 対馬市に狭間浦、熊本に西迫間、長崎に波佐見町……あるわあるわwwww
 勘のいい人は分かると思いますが、まぁ、そういうことです。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/30(火) 23:32:27.62 ID:RzZKRPSro
待ってる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 09:07:12.52 ID:vLrN68Hho
スレ番が1000台までくると不安になるが待つっきゃねえな
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 16:41:56.22 ID:9bIMjkPSO
待ってる
そんでそろそろageてもいいんじゃない?
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 16:58:02.80 ID:y71wg4bZ0
ではageてみますか
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2011/09/14(水) 16:59:04.74 ID:y71wg4bZ0
失礼
939 :鋭意書き溜め中なのでもう少し待ってね的な投下します。 [saga sage]:2011/09/17(土) 00:46:00.50 ID:+q8a2Qk5o

テッテレテーレッテレテッテッテー♪


               __,r-―....ー‐-、
             /:::::〈ヽ::::::::::::::l7:::::ヽ
            _/:::::::::::::::ヽ〉:::::::::/〉::rァ:ヘ
           ./<二>:::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:
           {::::-:::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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          }::::彡::7   __    /::::::::::::::ノ
          {::::::::<  〃ー-、::ー'::r'ニ7::::::::{
          ヾ:::::::::{  r=rfテレ'^{:´^…彡::}
             ¨レV        l:\" /:::j
            ヽ  _    ,_;;r^::∨:::::{
         ,-"⌒`Y´  `}  /  ,、):::::::::::/
.      /⌒¨       〉ー :'|::::: {,ィー≠_::::::::/
     〈:::   l.  l   |:::::::::::l>'ー'´ ̄ ノ_:ノ
      }::.. |::::::l   |:::::::::::::::::::::::::::::/
      |:::::: ヽ::::\  l:::::::::::_. -― '´
    ┌' ̄' ┬─‐┐r┬く._j__ ┼  r┬、
    l=  =| ロ | ∨ ,ノ 七 / こ ∨ ,ノ
   │ = │   :| ̄ ̄ ̄[]] ̄|| ̄[]]_ ____| ̄|
    l=  =| ロ | ̄フ  / l   ||  | |_|_| |_|
    └t___r┤_冂__!/__∧_.∨___,八____\ ∠_/l二l


『いやぁ、大変な事になりました――朝ズバッ!芸能面です』


10年前から変わらない司会者の声に一人の生が感慨深そうに頷いた。

如月「生き返って、ミリオネアが終わってた時はショックだったけど……のもたさんは変わらねぇなぁ……」シミジミ


――月詠小萌のアパートの近くで監視任務中の如月生である。


00461号「携帯で朝の情報番組を見ている場合じゃないのでは? とミサカはクローンの先輩相手でも容赦なく指摘します」

00965号「報告しなくていいのですか?」

如月「へいへい……如月生からプラントへ――安達と対象達の接触を確認……今のところは魔術師に動きはなし」

烏丸『了解……交代人員を送るから、一度プラントに戻ってきてくれないか』

如月「おいおい、まだまだ余裕だぜ? 
    一日二日の徹夜なんて、『生の会合』一週間耐久ネトゲ大会の時に比べれば……」

烏丸『いや……残念ながら戻ってもらうのは、休んでもらう為じゃない。渡す物と急ぎの仕事がある』

如月「渡す物? ……仕事の方は想像出来るけども」

このタイミングで急ぎの仕事と言えば、どう考えても新倉の役目の代理だろう。

烏丸『そうだな、渡す物の詳細は一緒にいる妹達に訊いてくれ』

如月「妹達に?」

00965号「呼びましたか? とミサカは監視作業を中断して振り返ります」

00461号「?」
940 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/17(土) 00:51:42.74 ID:+q8a2Qk5o

烏丸『――彼女達の協力の成果だからな。仕事の話は戻ってからにしよう』ブツッ

如月「おい、烏丸の!? ……切りやがった。
    461号と965号……『協力の成果』って、何の事だか分かるか?」

00965号「『協力の成果』……? あぁ、あれですか。とミサカは訳知り顔で頷きます」

00461号「学園都市組の妹達と、プラントの技術班でアクメツ用の装備開発をしてたんです。とミサカは胸を張って答えます」

如月「開発? でも、スクランダーは既に学園都市製の特殊素材で新調済みだし……何を作ってたんだ?」

00965号「ズバリ、『電磁刀』です」

その単語にメガネの少年がご先祖様の発明品を再現する漫画に登場するライト○イバー風の武器を思い出した。

00461号「……あんなの作ってどうするナリか。とミサカはチョンマゲロボットのモノマネをしながらツッコミます」

如月「ま、まさか……剣術と電磁力を組み合わせて『電磁刀術(レールガン)』とか……?」ワクワク

『一人一殺』に慣れた自分達でも『善悪相殺』の呪いは嫌だが、あの劔冑を装備したい気持ちがない訳ではない。

00461号「悪滅を辞めて悪鬼になってどうするんですか。
      電磁刀と言っても、対能力者戦を想定して強化した……要は丈夫なだけの刀ですよ。とミサカは悲しい現実を突き付けます」

如月「あ、そう……少し残念じゃん……オドシとかやってみたかったのに……」ショボーン

00965号「お姉様ならば、自力で可能かも知れませんが……レベル3程度のミサカ達にそんな期待をしないでください」

如月「そんな卑下しなくても、無能力者の俺等からすれば十分に凄いぞ?」

00461号「でも事実は事実ですから。
      ……それに新倉さんのケースを考えれば如月さんにも可能性はあるのでは? とミサカは未知の可能性に言及します」

如月「能力かぁ……憧れない訳じゃないけど、逆に戦い難くなりそうでさ」

00965号「戦い難く、ですか?」

如月「修行時代に専門技術を習得してた奴……俺の場合は居合と剣術だったんだけど、
    ver.3に統合した後も基本的な戦法はやっぱり最初に習得していた技術に偏るからな。
    仮に能力を手に入れても、それが戦い方に合致するとは限らないじゃん」

逆に学生生活を送っていた新倉や改めて製造されたクローンである安達であれば、
ベースとなる戦法がないので他の全ての生の能力をムラなく使用できる。

如月「元々の戦法に合った能力を手に入れられれば、それでいいんだけどなぁ」

00461号「成程、その辺りの事情を踏まえての武器開発、という訳ですね」

如月「……迫間の奴と戦った魔術師の件もあるし、並の刀じゃ相手にならないかも知れないからな」

そう語る如月の表情に焦りや悲観は微塵もない。

00965号「何やら楽しそうですね、とミサカはニヤケ顔を指さします」

如月「――そうか?」

一人の剣術家としての期待か。

或いは、アクメツとしての執念か。

どちらにしても、生達は修業や研鑽だけに限らず、全ての敗北ですら……勝利への糧とする。



そう――アクメツの死に無駄死にはない。
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/09/17(土) 01:49:13.37 ID:ETUtyIqU0
生達はカッコええな
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 02:32:03.07 ID:S07mmloao
このスレの影響でちまちま一冊ずつ買って今12巻まで読んだぜ
あと6冊・・・
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 20:30:43.68 ID:Ivt2vygv0
電磁刀って鞘走りはどうなんだろう? これは描写が楽しみです!
944 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 22:58:48.65 ID:57EzCirIo

〜風紀委員活動第一七七支部〜



生達が魔術師の問題に追われ、その活動を大幅に制限された為に、
彼等から直接『幻想御手』の現物が風紀委員へともたらされる事は無かった。

……しかし、その行動は確実に事態を進めていたのだ。

先日、新倉生が戦った後に捕縛し、安達へと引き渡した『偏光能力』の男は警備員へと引き渡され、尋問が行われた。
他の『幻想御手』の使用者らしき学生達と同様に意識不明となったが、その前に『幻想御手』をダウンロードしたサイトについて供述を引き出せたのは幸いだった。

事前に安達生が風見生と根回しを行っていたので、そのサイトの情報は捜査に当たっている第一七七支部へと送られた。

その情報から、『幻想御手』の現物を入手した黒子と初春は、サイトを業者に依頼して閉鎖、黒子が直接取引の現場を抑えるために動き始めたのだが――

白井「く、屈辱ですの……」ズキズキ

初春「また例の人だったんですか?」

白井「これで五度目ですの! 取引現場に駆け付ける度に先を越されて!」

言いながら、黒子は昨日から今日までに行った現場を思い出す。

――そう、取引現場に黒子が到着すると、全ては終わっていたのだ。

一度目は何者かに破壊された『幻想御手』入りのプレイヤーのみが現場に残されていた。
二度目は売人らしき男が路地裏で誰かに倒され、縛られていた。ご丁寧に『犯人』の貼り紙付きで。
三度目は『幻想御手』を買おうとしていた学生が、何者かに説教の後に正座させられていた。

初春「最初は取引の関係者かとも思いましたが、どうも無関係な人みたいですねー」

白井「無関係な人間が、こんな事をしている方が問題ですの……お姉様じゃあるまいし……」

等と、当初は割と呑気な事を言っていたのだが、それも四度目からは違った。

945 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:01:28.27 ID:57EzCirIo

――四度目で黒子は、ついに自分を先回りして取引を潰していた相手に遭遇した。

これで相手が御坂美琴であれば話が違ったのだが、
相手は見知らぬ男だったので、黒子は容赦なく拘束しようと戦いを挑んだ。

初春「……まさか、白井さんが取り逃がすなんて」

しかも、無能力者らしき相手をである。

白井「しかも、似たような獲物で遅れを取るなんて……白井黒子、一生の不覚ですの……」

獲物、とは黒子が愛用している金属矢の事である。
ただし、空間移動を併用した投擲用として使っている黒子の矢とは違い、相手の使っていた金属矢は刺突用だった。

拘束しようと投擲した矢を全て叩き落とされ、驚いている間に逃走を許してしまったのだ。
その逃げ足の速さはあまりにも見事で、追跡どころじゃなかった、というのが正直な感想だ。

しかも、五度目――今回の現場で取引を行っていた能力者相手に黒子が苦戦している時に助けに入られた為、その胸中は複雑さを増した。

本来なら、そこで何らかのフラグでも立つのかもしれないが……

白井「あのバンダナ男……今度会ったら、蜂の巣にしてやりますの……」フフフフフ

助けられた後に、そのバンダナ男に何か非常に不愉快な台詞を言われたらしく、変なスイッチが入ってしまったのだ。

初春「(こ、怖い……)」

獰猛な笑みを見せる同僚の姿に初春飾利は戦慄する。

――その様は完全に上条当麻を追い掛け回していた御坂美琴そのものなのだが、当人に自覚はないらしい。

結果的に白井の怪我が少なくて済んだのだから、そのバンダナ男に感謝したいぐらいの初春だったが、
迂闊にもそんな事を言ったら、黒子に何をされるか判らない。

初春「(高位の能力者の人って、やっぱりプライドも人一倍なんですかねー)」

黒子の風紀委員としてのプライドは頻繁に目にする初春だが、
彼女が一人の能力者としてのプライドを見せた場面はどうだっただろうか。



ちなみに。

……新倉生に頼まれて『幻想御手』の拡大防止に務めていた少年達。

半蔵「へっくしょい!」

駒場「……風邪か……?」

半蔵「いや、何だか急に悪寒が……」

浜面「あれだな、また郭ちゃんが半蔵を連れ帰ろうと……」

半蔵「……その程度ならいいんだがな……」

彼等――第七学区のスキルアウト達の間で、そんな会話があったのは、また別の話。

946 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:04:31.43 ID:57EzCirIo

学園都市・第七学区


〜月詠小萌のアパート〜


魔術師の襲来を警戒していた三人は、その来訪者の姿――特に顔を見て、完全にあっけに取られていた。

上条「え……?」

美琴「……何よ、これ……!?」

禁書目録「……そっくり……」

部屋の外にいる生と、部屋の奥で寝かされている生。

その顔を見比べるように視線が何度も往復する。

――二人の生が、ここにいた。

安達「改めまして……こんな朝早くにスミマセン、小萌先生」

小萌「いえいえー。で、安達ちゃんはあっちの彼を迎えに来たんです?」

安達「えぇ、そんな所で。……それにしても、分かるもんですか?」

小萌「そうですねー。最初はアレ?って感じでしたけど」

安達「流石というか何というか……」

――もしかすると、教師で自分達を見分けてくれたのは彼女が初めてではないだろうか。

……過去に新倉の担任だった黒沼は、自分が殺した板前の海原を新倉だと勘違いしていたし。

安達「(……尊敬に値するじゃん、小萌先生)」

最近では、布束もプラント常駐組なら見分けられるようだが、それでも長い時間の交流を経ての話。
妹達の件でクローンに慣れている布束とは違って、小萌先生は『別の生』と遭遇するのが初めてである事を考えれば、驚異的だ。
947 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:06:10.89 ID:57EzCirIo

上条「いやいやいや!? 何で普通に会話が進んでるんだ!?」

安達&小萌「え、何が(ですー)?」

上条「何がって…………えっと……生、でいいのか?」

安達「酷い奴だなぁ、忘れちまったのかよー?」ヘラヘラ

小萌「上条ちゃん、クラスメイトの顔と名前ぐらい一致させとくべきだと思うのですよー?」

上条「いや、新任教師の心構えみたいに言わないでくださいよ!? そもそも、中学からの付き合いだし、一致はしてますって!」

小萌「じゃあ、何が問題なんです?」

上条「いや、大問題だろ! 
    こっちの生が俺の知ってるクラスメイトの『安達生』なら、こっちで寝てる『生』は誰なんだよ!?」

小萌「あ、それは私も聞きたかったんです。……安達ちゃん、誰なんですかー?」

安達「――聞きたいですか?」

小萌「無理にとは言いませんけど……是非」

上条「説明してもらわないと、混乱して頭が変になりそうなんだが」

安達「そっちの二人も?」

話を振られた美琴とインデックスがこくこくと頷いた。

全員から説明を要求された安達は、考えこむようなポーズを取りながら……やがて口を開き、話し始めた。

安達「――そこに寝ているのは『新倉生』……俺の兄弟じゃん」

決して、真実ではない……しかし、多くの事実を織り交ぜた嘘の物語を。

――それは奇しくも、部屋で寝かされている新倉生が万が一の時に用意していた『言い訳』と大差ないモノだったのだが。
948 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:12:07.63 ID:57EzCirIo

さて、嘘を真実に見せかける為には、虚偽の中に事実を効果的に混ぜる必要がある。

安達「まず……俺達の顔が同じなのは、遺伝子レベルで同一の兄弟だから。似てるのは当然だな」

……これは事実。だが、真実ではない。
何故なら、兄弟ではなく……同じ人間から造り出されたクローンだから。

上条「双子……って事か?」

安達「少し違うなぁ……俺達自身、自分達が何人兄弟なのか知らないじゃん。
    三つ子か四つ子かも判らないんだよ」

これも事実。
生達は自分達以外の『生』……まだ出会っていない『彼ら』が何処かで生活している可能性を否定出来ない。

『妹達』の二万つ子?には負けるが、10年前のアクメツを行った『生の会合』の面子に加えて、
『残留組』の生達を合わせると人数は既に50人を超えているので……五十つ子になるのだろか?

美琴「知らないって……?」

安達「孤児だったんだ、俺達は。
    ……小さい頃は施設で育った。自分に兄弟がいることなんて知らずに、な」

安達にとっては真実であり、嘘でもある。
それは同胞達の記憶を継承している為に、だ。
だが、数多くの生にとっては紛れもない歴史であり、現実だった。

安達「そういう意味では、新倉と『再会』したのは……学園都市に来てからかな」

これも事実。
新たに製造されたver.3のクローン体である安達が、蘇生された新倉と会ったのは学園都市での話だから。

949 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:14:19.86 ID:57EzCirIo

安達「驚いたよ、自分と同じ顔と名前の人間に出逢ったんだから」

かつて、多くの生達が実際に抱いた感想だ。……真実味が違った。

小萌「その、お名前が同じなのはどうしてです?」

安達「……母親が、いつか兄弟同士で再会した時にすぐに気付くように、と」

これも、事実。

第壱統合体のパーフェクトONEが愛し、その正義の心が生まれた理由である女性。
残されたクローン達の成長を見守り、自らも東生を育ててくれた――幸子おばさんの願い。

そして、神宮路のクローンとして、その欲望の礎にされるだけだった哀れな命に『生』きろと言ってくれた。

安達「(まぁ、何十人もいたクローン全員に別々の名前を用意するのも面倒だろうしなぁ)」

ちなみに苗字に関しては、引き取られた先の施設等でつけてもらった者が大半を占める。

美琴「それじゃあ、産まれた直後に……?」

安達「その辺は少し複雑らしくてな。俺達自身も詳しくは知らないじゃん――特に興味もないし」

達観している、というポーズを取ることで細部の情報を伏せた。

上条「それじゃあ、学園都市で新倉……と会ったのは偶然なのか?」

安達「まぁ、そうなるのかな。……縁があった、って事かも知れないけど」

美琴「(嘘……にしては……表情に変化はないけど……でも)」

話を聞きながら、美琴は生の様子を観察する。それは隣のインデックスも同様だった。


950 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:20:59.99 ID:57EzCirIo

上条「ん? ……それじゃ、一昨日にファミレスで会ったのは……どっちの生だったんだ?」

一人だけ何の警戒心も持っていない上条が素朴な疑問を投げかけた。
ここまで瓜二つなら、知らない間に遭遇していても気付かなかった可能性もある。

安達「あー、それは新倉の方だな」

上条「ええ!? ……き、気が付かなかった。
    けど、どうして新倉は人違いだって……俺に言ってくれなかったんだよ?」

安達「スキルアウトだからな、新倉のは。
    色々と面倒だし、俺達の事情を話すべきか迷ったんだろ」

上条&美琴「「え!?」」

比較的、スキルアウト等と接触する機会の多い二人が驚きの声を上げる。

禁書目録「ねぇ、こもえ……すきるあうと……って、何なのかな?」

小萌「うーん……学園都市の不良な子達でしょうか……改めて説明するとなると結構、難しいですねー」

二人を余所に、インデックス相手に解説モードへ移行した小萌先生が苦戦していた。

安達「まぁ、普通のスキルアウトとも違うんだけどな」

美琴「――あぁ、もしかして第七学区の?」

安達「知ってるのか、雷電!?」

美琴「何で、アンタは自分で話の腰を折ろうとするのよ……?」バチンッ

上条「え? 第七学区だと何か違うのか?」

美琴「……前に黒子……後輩から聞いた話なんだけど、第七学区で最大規模のスキルアウトが少し『変わった』んだって」

元々、女子供に手を出すような集団とも違っていたのだが、彼等には更に変化があった。
951 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:24:05.28 ID:57EzCirIo

美琴「自警団って言うのかしら……他のスキルアウトや能力を悪用するような奴から学生達を守るようになったの」

上条「何だよ……良い事じゃないか」

美琴「風紀委員の手の届かない……そんな場所での事件を未然に防いでくれてるみたいね」

上条「――凄くイイ奴らだな……」ジーーン

安達「前は資金調達の為に犯罪行為もしてたらしいが、今は真っ当にやってるじゃん」

小萌「そう言えば、黄泉川先生も前に愚痴ってましたー……『更生してくれたのは嬉しいが、何だか張り合いがないじゃん』って」

上条「(そうか、なら浜面もそうだったのか……?)」

新倉の友人だったのだから、彼も第七学区のスキルアウトなのだろうと推察できる。

上条「(……けど、浜面もイイ奴だったもんな)」

上条は何故か、我が事のように嬉しい気分になっていた。

例え、無能力者であっても……そこから更に堕ちるような生き方を選ばない。

ゼロであってもマイナスではない。

――それはきっと、どんなに強い能力を得る事よりも価値のある事だから。

小萌「……安達ちゃん、もしかして新倉ちゃんと……この際、ちゃん付けで呼んじゃいますけど……情報交換とかしてますー?」

安達「」ギクッ

上条「……え、してんの?」

安達「いや、捜査の時とか……路地裏の情報に強いスキルアウトが味方だと助かるじゃん?」

美琴「ちょ、そんな事してたの!? 情報漏洩なんてレベルじゃないわよ!?」

安達「――頼んでないのに首を突っ込んでくる民間人への情報漏洩も問題じゃん」

更に能力を使って勝手に支部に入ったりしてるらしいし、と付け加えるのも忘れない。

952 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:27:34.78 ID:57EzCirIo

美琴「こ、コイツ……!?」ムカッ

思わず、生に掴みかかりそうになる美琴を背後から上条がホールドした。

上条「よせ、御坂……! 生に口先で勝つのは至難の技だ……!」ガシッ

美琴「コラ、離しなさいっ! ってか、何処を掴んでんだアンタはー!!」バチバチッ

小萌「御坂ちゃん、気持ちは分かりますが放電はやめてくださいですー!?」

上条「安心してください、小萌先生。帯電中のビリビリ娘が相手でも、右手でこうすれば……」ポン

ホールドを維持したまま上条は右手を美琴の頭の上に置いた。

美琴「んなっ!? ひ、卑怯者!」///

怒りの電撃も、上条の『幻想殺し』に簡単に封じられてしまった。

上条「はっはっはっ! そう簡単にビリビリされてたまるかっての」

美琴「くぅぅぅ!」ジタバタ

どうどう、等と不用意な台詞を放ち、上条が更に燃料投下するという愚行があったものの、
ここは私の出番なんだよ! とインデックスが修道女らしく慈愛の心を説いて美琴を説得し、ようやく彼女の怒りは収まった。

美琴「……うぅ」ムスッ

上条「――さて、御坂が落ち着いた所で……」

安達「(……七割方、怒らせたのは上条だがな)」

完全に自分の行いは棚上げである。
953 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:31:03.27 ID:57EzCirIo

上条「えっと、整理すると……どうなるんだ?」

美琴「アンタって……」

小萌「上条ちゃん……」

禁書目録「とうま……」

上条「いや、だって、こんがらがるだろ!?」

安達「とりあえず、俺の兄弟で、スキルアウトだけど、味方だって事だけ理解してくれれば充分じゃん」ケラケラ

美琴「それは解ったけど……アンタはどうして……此処に来たの?」

安達「ん? 新倉を迎えに来たって言わなかったか?」

禁書目録「みことが言ってるのは、こっちの『しょう』の居場所をどうやって知ったの? って事なんだよ」

安達「あ、そういう意味ね。
    ……インデックスの件は事前に聞いてたからな。上条も部屋に戻ってなかったし……行ける場所には限りがあるだろ?」

IDを持たないインデックスを連れて身を隠せる場所は少ないから、と続ける。
本当は学園都市で活動中の『失われた妹達』が、ずっと監視(護衛)していただけの話なのだが。

上条「迎え来たって事は……これから病院に?」

安達「ん? あぁ……そうなるかな」

美琴「――ちょっと待って」

不意に美琴が厳しい声で話を止める。

上条「御坂?」

美琴「……アンタ、こっちの人の症状に心当たりがある筈よね? どうしてそれに関して話そうとしないの?」

安達「…………」

美琴「だって、昨日の昼間……私は……そして、アンタも……これと同じ症状を見てる。気付かない訳がない」

安達「……まぁ、気付くよな。常盤台のエースだけあって観察力もピカイチか」

美琴「ふざけないで……!」

上条「御坂、どういう事だよ……?」
954 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:34:09.99 ID:57EzCirIo

美琴「――昨日、前に捕まえた『虚空爆破事件』の犯人が意識不明になったのよ……その症状に酷似してるの」

上条「……酷似って……新倉……の目が覚めないのが、か?」

美琴「私と黒子は、噂の『幻想御手』の副作用じゃないかって……調べてたの。
    ……そして、調べていたのはアンタも同じよね?」

安達「確かに新倉の意識不明の原因は、『幻想御手』の可能性が高いじゃん……実際に使ったそうだからな」

美琴「使った……って……どうして!?」

安達「……調べる為に決まってるだろ」

美琴「なっ!?」

安達「新倉は副作用の可能性を考慮し、万が一の事態に陥った場合の対処も事前に決めていた。
    病院側への連絡も済んでいるじゃん」

美琴「……どういう事?」

安達「実物があって、使用によって効果と実害があると証明されない限り、学園都市の上層部は動かない――そうだろ?」

小萌「『幻想御手』の噂は、私も知ってましたけど……
    確かに実際に効果が立証されなければ、放置される可能性が高いと思います」

美琴「でも、だからって……!」

安達「最優先されるのは、『幻想御手』の拡大阻止じゃん。
    これは新倉の仲間のスキルアウトが動いてくれてたけど、それでも完全な防止は不可能。
    警備員や他の支部を動かすには証拠……データが致命的に足りないんだよ」

現状では風紀委員の捜査も一七七支部の単独に過ぎず、大掛かりな捜査を展開するには、
『幻想御手を使用した』と証明された検体のデータが必要になる。

上条「それで、意識不明になるのも覚悟の上だってのか……?」

安達「どうせ、今までに意識不明になっている学生達も絶対に助けるんだ。
    ……途中で一人ぐらい増えても問題ないだろ、ってさ」

最悪、必要であれば自分が『幻想御手』を使用して調査を進めるつもりだったが、
成り行きで新倉が先に使用する事になってしまった。
955 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:36:11.13 ID:57EzCirIo

安達「――そして、結果的に新倉はインデックスを守るのに力を使えた」

禁書目録「……!」

安達「そう考えれば……予定よりも遥かに使った意味があった」

美琴「………………」

安達「間違った手段によって得た力に意味なんてない……そんな顔だな?」

美琴「……だって、結局は自分の才能のなさをズルで補っているだけじゃない」

上条「(誰かに手を差し延べる為に使うなら、意味はあると思うけど……)」

小萌「確かにそうですけど……御坂ちゃんは、少し残酷かも知れないです」

――再び、小萌先生は教師の顔になっていた。

美琴「えっ……?」

小萌「確かに、『幻想御手』があるのなら……それはズルだと先生も思うのです。
    でも、才能がない人間は……先へ進むのを諦めなきゃいけないのですか?」

成功する人間の多くは努力によって結果を得る。
しかし、当たり前の事だが努力すれば成功する訳ではない。

美琴「あ……」

人の価値は能力で決まったりはしない。

――御坂美琴はそう考えている。

それは自然な考えだ。
しかし、迷いなくそう言えるのは彼女が『強い』からだ。

小萌「科学が支配する、この学園都市でこんな事を言うのは間違っているのかも知れません。
    でも、私は教師ですから……才能がないから諦めろ、なんて……絶対に言いたくないです」

確かに美琴の考えは正しい。
だが、正しいだけでは人間はきっと救えない。

――心なんて、不安定なモノを抱えて生きている以上は。
956 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:43:51.24 ID:57EzCirIo

小萌「先生は生徒さん達が大好きです。
    けど、それでも……成績には数字という名の『現実』を記入しないといけません」

どんなに努力している生徒でも、結果を出せなければ強度(レベル)が上がることはない。

小萌「夢を持って学園都市を訪れて、レベル0判定を受けた人もいるでしょう……そんな人を前に同じ言葉を言えますか?」
    ……そして、上条ちゃんの前で、もう一度……言えますか?」

――言われて、気付く。

確かに、自分はレベル1からレベル5へと努力で上り詰めた。
だが、その道程で己の無力さを感じたことがあっただろうか?

苦労はあった。

苦難もあった。

だが、絶望という言葉には程遠い。

初めて味わった敗北は、目の前の少年によってもたらされたものだった筈だ。

そして、その少年もまた……学園都市から無能の烙印を押された人間ではなかったか?

美琴「わ……たし……そんな……つもりじゃ……」

上条「へ? いや、気にしてないぞ!?」アタフタ

                     ____ _
                   ´            `丶、
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           / イ   .:;′   | :/´丁メ  |.::ハ::..∧::..::j 小: i
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             |.:j::{ 八    ヽ        , ´ ̄ヾY.::j::│
                Vヘゝ|:∧  l\|            /:: ∧ノ
                    ヽ:`ヽ\|     { ̄ フ     ,′/
                     }ハ:ハ      ー ´   イ:: /
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            , -‐<、     ノ ∧ `ヽ、_   ! 人{_/^ }
             /   ヘゝ、__/\ノ  i{ ゝ、  }⌒\{.  └'/
              /      「「l/   \‐┴一ヘノ   ハ    /
.           ,′     |.l/       \    ヽ, /  !   {
          /|      \|/       \    ∨   |   '、
           /       /            \   | . 八     ヽ

小萌「でも、御坂さんの気持ちも分かりますよー?」ニッコリ

何故なら――上条当麻が傍にいるから。
957 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/09/23(金) 23:47:12.90 ID:57EzCirIo

小萌「上条ちゃんを見て知ってる御坂さんなら――『ズル』を許せないって感じても無理ないですから」

上条「え、俺?」

安達「なるほど、確かにな」ニヤニヤ

美琴「(あ……そっか)」


――上条当麻は真っ直ぐだから。


多くの無能力者達と同様に無能の烙印を押されていても、曲がらない、僻まない、妬まない。

そんな生き方を選べる無能力者を知っているから。

どこかで認めたくない、許したくない、と感じてしまうのだろう。

小萌「(でも、誰もが上条ちゃんみたいに強くない事は分かって上げて欲しいのですよー?)」ゴニョゴニョ

流石にその言葉を上条に聞かせるのは不味いと感じたのか、小萌先生はこっそり美琴に耳打ちした。

美琴「はい――先生」

上条「(おお、常盤台のお嬢様がミニマム教師を尊敬のまなざしで……)」

安達「(……ウチのクラスの連中がグレないのは、小萌先生の御蔭だろうな)」

思わぬ所で、自分の生徒達+αからの尊敬を集めた小萌先生であった。
958 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/09/23(金) 23:59:49.45 ID:57EzCirIo
アクメツネタばらし第一段階が終わり、小萌先生が貫禄を見せつけた所で切ります。
流石に実験前に全部バラす訳にもいかないので、このぐらいになっちゃうんですよね。

後はAクローンである事が発覚→B10年前の悪滅言及って感じでしょうか。
妹達の蘇生の件等もあることを考えると、実に秘密の多い男達です、生は。

| 
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| 男は秘密を抱えて、強くなるじゃん……
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| 
└─────v──────────────┘

  <;;ヽ           /;;>
    ゞ;;ヽ、 /(,   )ヽ ,/;;;〈    
 <;;;;;;;:;;;;;;;;;;;ヾ.i^Μ^.,〃;;;;;;;;;;;;;;;;>   
  /;;;;;,.ヘ;;;;;ν、゚皿゚ν;;;;;;ヘ;;;;;ヽ     
 /;;;ノ   と;;;;;;Y;;;;;;;つ  ヾ;;;;゙ヽ
<;;ノ     /;;;;;、i;;;;`i     ヾ;;>
        (;;;;;ノ ヾ;;;;;)


しばらく超電磁砲ルートなので、インデックスさんが空気にならないように注意しないと……既にその徴候あるし……
科学の時はいつもそうだから、それでいい気もしますが。

……忍者とテレポーターの間に珍妙なフラグが立ってますが、回収されるかは不明ww
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/24(土) 00:01:03.10 ID:HpyzkjLyo
>>1乙!
楽しみに待ってるぜ!
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 00:07:37.88 ID:oekHL1jBo
待ってたー
乙乙
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/09/24(土) 00:38:19.04 ID:hV7n9euBo
いい先生や…
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 00:53:00.03 ID:tiSblfFP0
乙でした 丁寧に作りこんでくれてるから毎度読み応えあります 満足度高し!
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 03:04:10.79 ID:bhAO4Jnxo
乙なんだよ!
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 11:21:27.25 ID:5tUCh+1DO
乙!!
関係ないけど生ズの声がヤング(小野坂)で脳内再生されてしまう。
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 02:39:21.99 ID:JpHEdZ4Go
おつおつ
小萌てんてーカッコイイです
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/09/27(火) 18:28:32.10 ID:eds8BGNbo
1乙!

>>964
ヴァッシュも生も箒頭だから違和感なさそうだな
967 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/10/13(木) 15:45:54.16 ID:fTCFma7Ao

妙な脱線をしてしまったが、当初の予定通りに『新倉生』は小萌先生の運転で病院へと搬送される事になった。

未だに意識の戻らない新倉を上条と安達で担いで小萌先生の車に乗せる時、美琴が根本的な疑問に気付く。

美琴「(――ところで、小萌先生って……運転……出来るの?)」

免許の所持以前に、そもそも物理的に可能なのか謎である。

安達「(いや、絵的に危険なのは間違いないが、ちゃんと運転は出来るらしいじゃん)」

上条「(前に乗せてもらった時に見たけど、障害者用のブレーキ操作も手元でするタイプの車で……)」

美琴「(へぇ……ん? ちょっと、前って何よ?)」

さらっと補足する上条に対し、前に乗った状況について美琴が追求しようとすると、

小萌「――聴こえてますよー?」ガチャ

車のドアを開けながら、小萌先生が優しくない笑顔で微笑んだ。

小萌「ほらほら、さっさと新倉ちゃんを乗せてくださいです」

上条&安達「はい、スミマセン!」

小萌「……で、新倉ちゃんは何処の病院に連れていけばいいんです?」

安達「えっと……この病院です」⊃□

新倉生が佐天涙子にしたのと同じように病院の詳細が書かれたメモを取り出す。

小萌「ふむふむ……あぁ、カエル顔の先生のいる病院ですね」

美琴「え、カエル?」キュピーン

上条「……何でそこで嬉しそうなんですか、御坂さんは」

条件反射的に顔を輝かせる美琴に対し、上条は呆れた顔でツッコミを入れる。

美琴「いや、だって、その……」

安達「――とりあえず、向こうには話を通してあるんで。先生、後は頼みます」

小萌「お任せなのですよー。…………あ」

言いながら、車のドアを閉めようとした小萌先生だったが、思い出したかのように安達に対して手招きをする。

安達「?」

小萌「(……安達ちゃん達の事情に関しては、とりあえず納得してあげます。
    でも、先生としては――いつかちゃんと話してくれるって信じてますよー?)」ゴニョゴニョ

安達「…………ははは」

――完全に見透かされているようだ。
968 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/13(木) 15:50:47.43 ID:fTCFma7Ao

小萌先生が車で病院へと向かった後、
安達生と御坂美琴は風紀委員の第一七七支部へと向かっていた。

美琴「アイツだけで大丈夫かな……」

アパートに残してきた上条とインデックスが心配なのか、何度も来た道を振り返っている。

――特にどちらが心配なのかは、敢えて言わないが。

件の上条当麻は『幻想御手』の調査に向かおうとする二人に当然のように付いて来ようとしたのだが、
「インデックスを一人にするつもりか」と二人から割と本気で説教を喰らい、渋々断念する事になった。

安達「……平気平気。少なくとも、今は敵さんも仕掛けてこれない筈だから」

美琴「――やけに自信あるみたいじゃない?」

安達「話を聞く限り、連中の行動はプロのそれだ。
    慎重で大胆。冷酷で、証拠の隠蔽も徹底している」

美琴「それで?」

安達「前回の襲撃は、こちらの戦力が一人だけ――それもただの学生だったから、連中も簡単に仕掛けてきたじゃん」

現在は三人――しかも、その中の一人は学園都市最強の七人の超能力者の中の一人なのだ。

美琴「でも、私達が離れたら結局はアイツ一人に戻っちゃうじゃない。それだと、連中もチャンスだと思って……」

安達「他に敵がいなければ、な」

美琴「あぁ、アイツを助けてくれたっていう……仮面の男? 
    ……疑うわけじゃないけど、本当にそんなの居たの?」

安達「仮面の男の真偽は別にしても、連中は上条の『右手』に関しても大して情報を得ていない筈じゃん」

そういう意味では上条当麻の方が、アクメツよりも遥かに得体が知れないだろう。
そして、そんな得体の知れない相手がいる状況で、迂闊に動くとは思えない。

――勿論、小萌先生のアパート周辺には30人もの仲間達が潜んでいるのが最大の根拠ではあるのだが、それは伏せる。

美琴「確かにそうかもね……アイツの『右手』には相当、面食らっただろうし」

安達「(……嬉しそうだなぁ)」

もしかすると、自分を負かした相手の強さが証明されるのが楽しいのだろうか。
969 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/13(木) 15:53:24.95 ID:fTCFma7Ao

美琴「でも、今は慎重になって動かなくても……ずっとそのままって訳にもいかないわよね」

安達「――どの道、一戦交える羽目にはありそうじゃん。その前にウチの新倉には起きてもらいたいんだけどな」

美琴「……ねぇ、訊いてもいい?」

安達「ん?」

美琴「先刻の話……どこまでが本当?」

安達「はて、何の事かなぁ?」

とぼけてはいるが、内心では自分の嘘の下手さに軽くショックを受けている。

美琴「兄弟とか、孤児とか……」

安達「あれ、信じてない? うわっ……ショックじゃん……」ニヘラ

美琴「どうせなら、発言と表情を合わせた方が真実味が出るわよ」

安達「――嘘は言ってないぜ?」

美琴「でも、全部を話した訳じゃない……って事かしら?」

安達「……ぶっちゃけるとな」

美琴「実際、隠してるのに……何故か隠すつもりがない風に聴こえるわね」

安達「ははは。まぁ、否定はしないじゃん……でも、それは俺の個人的な事情なんでな」

美琴「……それなりに付き合いの長いアイツにも話せないような事情?」

安達「そんなとこかなぁ」

美琴「ふーん……」

――実際、何か隠しているのは確実だ。

しかし……現状、協力的な姿勢を崩していない少年相手に、美琴はどの程度踏み込んでもいいのか、と測りかねていた。

美琴「(アイツとの事でも借りがあるのよね……)」

それに風紀委員――つまり、黒子の同僚でもある事実が、不安と信頼を同時にもたらす。

美琴「まぁ、とりあえずは信用してあげるわ」

それは自身の戦闘力に自信があるからこその言葉だった。

万が一、この少年が自分や黒子……そして、『彼』に敵対するような事態になっても自分が何とかすればいい、と。

安達「そいつは重畳じゃん」

自負心から生まれた、楽観にも近い余裕だったが、ある意味で彼等の素性に注意を払うのは徒労であった。

元々、学園都市で呑気に学生をやっていた安達は、個人的に上条と友好関係があるので彼の味方でもある訳だが、
他の生達に関して言えば、その立ち位置は上条当麻よりも御坂美琴の方に近い。

……何しろ、二万人の『妹達』を救う為に学園都市に潜入しているのだから。

安達「(そんな事、口が裂けても言えやしないが)」

それこそ、自分達の秘密が露見してでも、そちらを隠し通さなくてはいけない程に。
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/13(木) 22:12:59.49 ID:8svsBHMOo
もっと投下しておくれ
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 07:52:38.07 ID:nCY8NqoOo
投下キテター。
乙であります。
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 01:03:17.84 ID:8nGPG8YO0
続きも気になるけど、あと30切ったってのも……

なんとなくここの>>1はきっちり1000使いきってくれそうな気もするんだけど、どうなるかな
973 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/10/17(月) 21:49:11.43 ID:/I+2gFtzo

〜????〜


新倉生が意識を取り戻した時、そこは昼下がりの公園だった。

木製のベンチに一人、座っていた。

新倉「――――いや、ねーよ。流石に……これは変じゃん」

周囲を見渡してみると、誰もいない。
それどころか、世界に自分一人だけになったかのような感覚。

新倉「……知らない間に核戦争でも起きたか?」

――どこの世紀末救世主伝説だ。

新倉「っ…………?」

どこからか、声。
その声に激しく動揺しそうになるが、それを押し殺して独り言を続ける。

新倉「まぁ、見た目は平和そうだし……じゃー、夢か……? にしては、妙に……」

――半分、正解だな。ある意味では夢とも言える。

二度、声。
そして新倉生は……納得し、確信した。

新倉「……成程、夢でなけりゃ……こんな事が起きる訳がないよなぁ……そうだろ?」

まるで最初から、そこに座っていたかのように現れた声の主に問い掛ける。

懐かしの享南高校の制服に身を包んだ青年。

???『相変わらず、無駄に元気そうだな……生』

新倉「相変わらず頭が悪い俺に、解りやすく説明してくれると助かるだけど――桂木センセー?」

桂木『こうしていられる時間も少ないからな』

そう言って、笑った『桂木彗一(かつらぎけいいち)』の表情は、新倉の知っている――皮肉屋らしい親友の笑顔そのものだった。
974 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/17(月) 22:11:52.09 ID:/I+2gFtzo

〜風紀委員活動第一七七支部〜



初春「――それにしても、どんどん生傷が増えてきてますね。白井さん」ヌリヌリ

打ち身用の薬用クリームを黒子の肌に丹念に塗りつけながら初春は呟いた。

白井「仕方ないですわ。第七学区では比較的被害は少ないですが、
    それでも『書庫』の登録データとの齟齬を利用して、能力を悪用する輩は後を絶ちませんし……」イタタ

この上、植物状態の患者の話が広まれば、自棄を起こした使用者達がどんな行動に出るか。

白井「やはり、根本的な解決を図る為には……受けに回ってはいられませんの」

初春「……白井さんが受けとか言うと、変な意味に聞こえますねー」

白井「初春」ギロッ

初春「じょ、冗談ですよー……『幻想御手』の開発者を検挙する、って事ですよね?」

白井「えぇ……使用者達の小規模な取り引きを潰した所で、完全に『幻想御手』の拡大を防ぐのは困難ですの……」

初春「使用者の快復も見通しが立ってませんしね」

白井「開発者を捕えることが出来れば、『幻想御手』自体への対処法も判明するでしょうし。
    そして、こんな真似をした、その目論見も――」

――絶対に吐かせてやりますわ。

975 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/17(月) 22:14:02.04 ID:/I+2gFtzo

白井「っと……初春、包帯を巻き直すのを手伝ってもらってもよろしいかしら。自分でやるとイマイチで……」

初春「いいですけど……御坂さんに頼まないんですか?」

白井「こんな姿を見せて、余計な心配をかけろと? 
    それに、お姉様はここ数日、何やら忙しいご様子。……昨日も結局、寮へはお戻りになりませんでしたの」

寮監へは話が通してあったのか、いつものように黒子が誤魔化す必要は無かったが、それでも心配な事には変わらない。

初春「……男の人と一緒だったりして」キュ

包帯を巻き終えた初春が、さらっと黒子が考えたくない状況を口にする。

白井「うーいーはーるー? 最近、佐天さんに似てきましたわねぇ?」ギュウウ

そんな事を言うのはこの口か、と黒子は初春の口に制裁を加える。

初春「いひゃい、いひゃいですよ、ひらいひゃん」

涙目になりながらも初春は抗議するが、黒子の執拗な攻撃は止む気配がない。
と、その時だった。

美琴「おっす――」ノ

隣に正規の風紀委員がいるにも関わらず、いつものように部屋のロックを能力で解除した御坂美琴と、

安達「ちわー、三河屋でーす――」ノ

不法侵入に文句を言うでもなく、平然とそれに帯同して安達生が入室してきた。

黒子「っ!?」

上半身は包帯を巻いただけで、ほとんど裸の黒子は大いに慌てた。

美琴「何か私に手伝える事――」

刹那。

言いかけた美琴の頭上に黒子の隣にいた初春が飛来し、更にテーブルの上にあった救急箱が、安達の顔面へと叩き付けられた。

ゴッ!
ドガッ!

黒子「ご、御機嫌よう、お姉様。能力でセキュリティを解除するのはよしてくださいな……それに安達さんも一緒にいるなら止めてください」
976 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/17(月) 22:25:36.83 ID:/I+2gFtzo

白井「っと……初春、包帯を巻き直すのを手伝ってもらってもよろしいかしら。自分でやるとイマイチで……」

初春「いいですけど……御坂さんに頼まないんですか?」

白井「こんな姿を見せて、余計な心配をかけろと? 
    それに、お姉様はここ数日、何やら忙しいご様子。……昨日も結局、寮へはお戻りになりませんでしたの」

寮監へは話が通してあったのか、いつものように黒子が誤魔化す必要は無かったが、それでも心配な事には変わらない。

初春「……男の人と一緒だったりして」キュ

包帯を巻き終えた初春が、さらっと黒子が考えたくない状況を口にする。

白井「うーいーはーるー? 最近、佐天さんに似てきましたわねぇ?」ギュウウ

そんな事を言うのはこの口か、と黒子は初春の口に制裁を加える。

初春「いひゃい、いひゃいですよ、ひらいひゃん」

涙目になりながらも初春は抗議するが、黒子の執拗な攻撃は止む気配がない。
と、その時だった。

美琴「おっす――」ノ

隣に正規の風紀委員がいるにも関わらず、いつものように部屋のロックを能力で解除した御坂美琴と、

安達「ちわー、三河屋でーす――」ノ

不法侵入に文句を言うでもなく、平然とそれに帯同して安達生が入室してきた。

白井「なっ!?」

上半身は包帯を巻いただけで、ほとんど裸の黒子は大いに慌てた。

美琴「何か私に手伝える事――」

刹那。

ゴッ!
ドガッ!

言いかけた美琴の頭上に黒子の隣にいた初春が飛来し、更にテーブルの上にあった救急箱が、安達の顔面へと叩き付けられた。

白井「ご、御機嫌よう、お姉様。能力でセキュリティを解除するのはよしてくださいな……それに安達さんも一緒にいるなら止めてください」
977 :残り少ないのにエラーは止めてww [sage sage]:2011/10/17(月) 22:31:33.20 ID:/I+2gFtzo

〜数分後〜


美琴「勝手に入った私も悪かったけど、この対応はあんまりじゃない?」ズキズキ

安達「め、めり込んだかと思った……」ベッコリ

初春「まだ凹んでますよ?」

安達「くっ……俺のプリティ&キュートな顔に何かあったらどうしてくれるじゃん……」

美琴「そうやって、無駄な自賛するから三枚目キャラが抜けないんじゃないの?」

安達「ほほう? 言ってくれるじゃねーの……」

バチバチンッ!

両者の間に無駄な火花が散る。

白井「それで――安達さんはいいとしても、お姉様は何をしにいらっしゃったんですの?」

美琴「いやー、風紀委員じゃないけどさ、私もこの事件に首つっこんじゃったし。
    何か出来ることないかなーって」

初春「御坂さんがいれば百人力ですよ!」

白井「……お姉様の御用事はお済みになりましたの?」

美琴「あー……そっちは小休止っていうか……」

安達「手伝ってくれるってんなら、それでいいじゃん。だろ?」

白井「……………………」ムムム

美琴「えっと……それで捜査は進んでるの?」

初春「あ、はい! そうですね――」
978 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/17(月) 22:38:45.60 ID:/I+2gFtzo
〜これこれしかじかタイム〜

       ,ヘ  ,ヘ
       |ハ| |ハ|
       |l l|__|l l|
    (⌒` ー--‐ '⌒)
      `(((( ))))ノ
     / ○  ○ '、
     〈ニ   ∇   ニ〉
       \ 〜〜 /
       />< ヽ、
      〈 /|| ,>< |! i \
     / 7 || | | || | , <
      ~`|┸┴┴┸|-'゙
  ,-──L_    _」──-、
  |  ヽ   ゙'┬r‐'゙  /  |
  `ー───┘└─── '´


安達「かくかくうまうまって訳だな」

初春「何ですか、それ?」

安達「え、知らないの?」Σ(゚д゚lll)ガーン

これが噂のジェネレーションギャップか、と生は驚愕に震えた。

美琴「……つまり、『幻想御手』が音楽媒体である以上、『学習装置』のような効果は望めないって事よね」

それを余所に黒子と初春から大まかな状況を聞いた美琴は、現状の問題点を口にする。

白井「五感全てに作用する機材がない限り、能力開発は出来ないとの事ですので」

初春「植物状態になった被害者の部屋の捜索でも、『幻想御手』以外に見つかったものはありませんでした」

安達「(新倉の奴もやったのは『曲を聴く』という行為だけだった……となると……)」

美琴「……実際に能力のレベルが上がっているんだから、『幻想御手』という曲自体に五感へ働きかける作用がある事にはならない?」

安達「結果から考えれば、そういう事になる……のか?」

白井「へ? ……どういう意味でしょうか?」

美琴「ほら、前にかき氷を食べた時の話」

白井「えーと……お姉様と食べさせ合いを……」

美琴「そっちじゃない……ってか、一番最初に思い出すのがそれなの?」

白井「他には……赤い色を見ると暖かく感じるとか……あ!」


――そう、答えは『共感覚性』にある。
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/17(月) 23:16:28.67 ID:76E7R0Yvo
イナバくん!!
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/18(火) 03:08:28.84 ID:SoEJGly10
アリス探偵局は良作だったって訳じゃん
981 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/10/29(土) 21:44:05.35 ID:Sfh625mUo

学園都市・第七学区


〜バスターミナル〜


『共感覚性』という新たな着眼点を踏まえて、それらの検証を専門家に依頼するべく四人は動いた。

御坂美琴と白井黒子は、『幻想御手』の使用者が入院している医療機関へ。
安達生と初春飾利は、木山春生のいるAIM解析研究所へと向かった。

木山『共感覚性……ね。確かにそれは盲点だったな』

研究所へ向かうバス停の前で初春は木山にアポイントを取っていた。

初春「先ほど、『幻想御手』を楽譜化して、波形パターンを分析したデータを送ったので調査をお願いしたいのですが」

木山『ああ、そういう事なら『樹形図の設計者』の使用許可もおりるだろう』

初春「わぁ、学園都市一のスーパーコンピューター! それならすぐですね。
    今、安達さんとそちらに向かってますんで……」

木山『分かった。待っているよ』ピッ

初春「安達さん、木山先生に連絡しましたよ……って、どうかしました?」

安達「いや、ちょっとな」ソソクサ

初春「あれ? 安達さんの携帯電話って、そんな色でしたっけ?」

安達「あ……えっと、実は周囲の電波状況に応じて、色の変わる携帯でな……?」アタフタ

初春「何ですかそれ!? そんな携帯初耳ですよ!」

興味津々の様子で食いついて来る初春を躱しながら、安達は冷や汗を流す。

安達「(い、言えねぇ……)」

まさか、これが新倉生の携帯電話で、彼の代わりにとある少女に病院へ行くようにメールしていたなんて。
如月生が安否確認をしに行って、今の所は他の『幻想御手』の使用者達のような症状は出ていないようだが……
しかし、今は無事でも――この先もそうとは限らない。

安達「(俺はまだ面識ないけど、初春の親友らしいし……)」

必死に初春の追求を回避しながら、安達は新倉の無茶を呪う。

安達「(さっさと新倉の奴を起こさないと、こっちが持たないじゃん)」
982 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/10/29(土) 21:58:16.61 ID:Sfh625mUo

〜とある病院〜


生(椿)「――来たか、如月の」

とある病院の診察室で白衣姿の椿生は、如月生を迎えた。

生(如)「よぉ、新倉の奴はもう?」

生(椿)「もう、病室へ入った……月詠先生への応対は流石に他に任せたが……そっちは?」

生(如)「今、受付に来てるじゃん……んで、どうすんだ? 
     検査するのはいいとしても、新倉の状態の事は話すのか?」

生(椿)「検査の結果次第ではあるが……問題ナシなら話して、問題アリなら黙っておく」

生(如)「まぁ、その辺の判断は医者のお前に任せるけど。
     ……仮に問題ナシだったら……誰が話すんだ?」

生(椿)「……俺が話すしかないだろうな。二十代の俺なら、親戚って事で誤魔化せるだろ」

生(如)「悪いなぁ、俺達が若いばっかりに」

『残留組』であり、この10年を普通の人として生きた椿と違い、如月は蘇生された『悪滅組』。
その新品の十代肌を輝かせながら、如月生は満面の笑みを浮かべる。

生(椿)「イヤミか貴様」

生(如)「冗談だって……ところで、カエル先生は居ないのか?」

生(椿)「どうも気になる事があるらしくてな。水穂機構病院に出掛けてるじゃん」

生(如)「へぇ?」

生(椿)「よくは分からないが、事態が動きそうな気配だ。
     俺は患者の相手で手一杯だし、まだver.1のままだから何かあっても動けない。
     ……いざという時は頼んだぞ?」

生(如)「――ああ、任せとけ」

病院には相応しいとは思えない鉄拵の『成果』を左手に握り、如月生は獰猛に笑った。
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 03:05:28.48 ID:HnqVzi5Mo
久々に来てたとは
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/05(土) 20:38:58.33 ID:GAOXPmSN0
じりじり投下されるのもこれはこれでオツなんだよ! 
985 :とある複製の妹達支援 [saga]:2011/11/05(土) 21:37:01.66 ID:BrHDwZp8o

〜とある病院〜


小萌先生の部屋で安達生と御坂美琴の帰りを待っている筈の上条当麻とインデックスは、
何故か新倉が運び込まれた病院へと来ていた。

上条「結局、動いちまったな……」

というのも、上条当麻が小萌先生の部屋で唸りながら、あっちへうろうろ、こっちへふらふらを繰り返し、
それに業を煮やしたインデックスが「そんなに心配なら、生のお見舞いにで行こう」と提案したからである。

インデックスを置いて、追いかける真似は出来ないし、部屋で待っているだけなのも辛い。

そんな上条の心境を察したインデックスの提案を上条は悩みながらも受け入れた。

禁書目録「いざとなれば、私一人でも逃げるだけなら大丈夫なんだよ?」

『歩く教会』も健在だし、とインデックスはえへん、と胸を張った。

上条「……いや、二人は俺を信頼してインデックスを任せてくれた訳だから」

それを置いていけるはずがない。

禁書目録「でも、心配なんだよね?」

上条「…………」

その不安の原因は、多くの不幸に襲われ、それを切り抜けてきた上条当麻特有の第六感……つまりは、勘である。

上条「(厄介なことになりそう……ってのが、正直な感じなんだよなぁ……)」

生は自分よりも遥かに戦い慣れているし、御坂はレベル5の超能力者だ。
レベル0の自分が心配しても始まらない、と言われればその通りなのだが……

上条「――とりあえずは新倉の様子を見に行こう」

禁書目録「(素直じゃないんだから)」ヤレヤレ

呆れながら、インデックスは肩をすくめた。

???「……あ、上条さん?」

後ろからの声に上条とインデックスは同時に振り返った。

上条「……佐天さん?」

そこにいたのは、御坂美琴の友人で自分と同じ無能力者(レベル0)の佐天涙子だった。
986 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:39:31.73 ID:BrHDwZp8o

〜AIM解析研究所〜


木山春生の元を訪ねた安達と初春だったのだが、
研究室に通された後「少し待っていて欲しい」と木山に言われ、そのまま待たされていた。

安達「遅いなぁ、木山先生……」

初春「ですね……って、あれ? 安達さん……携帯鳴ってませんか?」

安達「あ、本当だ。マナーモードにしてたからな……」ブブブ

自分の携帯電話を取り出して、着信画面を見る。
電話の相手は――『布束砥信』。

安達「――悪い、少し席を外していいか?」

初春「分かりました。木山先生が戻られたら声をかけますね」

安達「……助かるじゃん」

このタイミングでの電話にある種の予感を抱きながら、生は初春を残したまま部屋を出る。

安達「さて……」キョロキョロ

廊下をしばらく進み、周囲の人の気配が無いのを確認し、電話に出た。

安達「……もしもし。何か分かったのか?」

布束『えぇ――その前に・・・・・・木山春生は側にいる?』

安達「木山先生? いや、少し前に席を外して……まだ戻ってきてないじゃん」

廊下に壁に背中を預けながら答える。

布束『そう……なら、そのまま聞いて。今、やっと……『幻想御手』の仕組みが解析できたの』

安達「本当か!? 流石、頼りになるじゃん」

布束『――でも『私達』は、もっと早くに気付かなければいけなかった』

安達「ん? ……そりゃ、『学習装置』に関しては布束は専門家だから、そう思うのも理解できるけど……」

共感覚性を利用して擬似的に『学習装置』と同様に開発を行なう道具、という仮説を立てていた為、安達はそんな言葉をかける。

布束『――ミサカネットワーク』

安達「え?」

布束『専門家どころか、私は当事者であった筈なのに……怠慢、かしらね』

……安達生は尋常ならざる事態の進行を布束の口調から感じ取っていた。
987 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:41:20.17 ID:BrHDwZp8o

〜????〜


新倉「つまり、俺は『幻想御手』のネットワークに囚われてるのか?」

桂木『正確に言えば、その直前の状態にある』

新倉「直前?」

桂木『お前は……他の生もだが……『妹達』と共通している点が多くある。
    ……いや、ある意味では彼女達以上に『脳を整理』されている為に脳波を強制される負荷が少なくて済んでいるんだ』

新倉「……どうして、桂木がそんな事を?」

確かに生前から色々な事を知っている奴だったが、その死後に生達と出会った『妹達』の事にまで精通しているのは妙だ。

桂木『お前が知っていることは、俺も知っているさ』

――桂木は自分の事を『残影』だと言った。

新倉生の中にある記憶から、生まれた幻のような不安定な存在だと。

桂木『簡単に言えば、生がイメージする『知識』の象徴が俺だったのさ』

新倉「知識の象徴?」

桂木『現状を把握する為の……言わばナビゲーターとして、生が俺を選んだんだ。
    ネットワークに繋がっている以上、全てを知っている『犯人』とも、生は繋がっている』

だから、知ろうと思えば全てを知れる。

桂木『何かを理解する時、最も効率的なのは誰かとその事に関して……話すことだ』

新倉「説明役として、俺が桂木を想像したって事か」

イメージの姿だから、病床に伏せる前の姿だったのだろう。

桂木『まぁ、それも長い時間じゃない……生が完全にネットワークに取り込まれれば、俺も消える。
    実際、こうして顕在化したのは生がまだネットワークを利用できる段階だったからに過ぎない』

新倉「時間制限付きか……」

桂木『残念ながら、な』

988 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:43:49.25 ID:BrHDwZp8o

新倉「幻だろうと僅かな時間だろうと、こうして桂木と話せたんだ……充分じゃん」

桂木『一つだけ、いいか?』

新倉「何だよ?」

桂木『ネットワークに取り込まれた時――心を強く保て』

新倉「何だそれ……忠告か?」

桂木『そんなところだ。要するに呑み込まれるな……それだけだよ』

新倉「おいおい、俺を誰だと思ってるんだ?」

桂木『確かに生は他の使用者と違って、弱さから『幻想御手』に手を出した訳じゃない。
    ……だが、生の心に闇がない訳じゃないだろう?』

新倉「コラコラ、ミスターポジティブの異名を持つ俺に何て事を言うんだよ」

桂木『本当にそうだと断言できるか?』

新倉「…………まぁ、否定はしないけどな」

桂木『その原因の一つである俺が言うのも、それはそれで変な話だが。
    けれど、お前の過去は……下手をすると他のどの使用者よりも彼女と重なってしまう』

新倉「彼女? 重なる?」

桂木『直に判るさ――どうするかは、結局の所は生次第だと思う――』

ゆらり、と桂木の姿が陽炎のように揺れる。

新倉「桂木っ!?」

桂木『時間か――あの時の約束、忘れるなよ?』


――願わくば、超人として生きてくれ。


新倉「あぁ、任せとけ」

桂木『お別れだ、生』

消え行く友に何を言うべきか、新倉は迷った。

新倉「……おう。『また』な」

そして、口を衝いて出たのは――恐らくは果たされないであろう再会を誓う言葉だった。
989 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:46:33.24 ID:BrHDwZp8o
〜AIM解析研究所〜


初春「木山先生も安達さんも遅いですねぇ……」キョロキョロ

何をするでもなく室内を見渡してみる。

初春「――あれ?」

研究用の書類等が収められた戸棚から、一枚の紙がはみ出している。

初春「……これって……?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


安達「おいおい、どういう事だよ……」

布束『端的に言えば、『幻想御手』は《特定の人間の脳波に使用者の脳波を同期させる道具》なのよ。その意味は判るわよね?』

安達「はぁ!? いやいやいや、ミサカネットワークは『クローン』と『電気操作』が揃ってるから成立するような代物なんだろ?」

――普通の能力者で、そんな事が可能なのか?

布束『because 実際、無理があるのよ……それが使用者達が昏睡状態に陥っている原因だもの』

安達「原因? ネットワークが、か?」

布束『クローンである妹達と違って、普通の人間に対して一定の脳波を強要する……無理が出るのは当然でしょう?』

安達「その負荷で使用者達は倒れ、そのネットワークに取り込まれたまま……か」

つまり、『幻想御手』が使用者の能力のレベルを上げるのは、ミサカネットワークと同じように脳波リンクによる演算力の向上が理由。
加えて、同系統の能力者とのリンクで『コツ』や『経験則』のようなモノを共有して、効率的に運用しているのだろう。

布束『本題はここから。例の先生が解析を手伝ってくれていたんだけど……』

安達「あぁ、カエル顔の」

布束『先生……将来、『妹達』を患者として迎える時に備えてネットワークの研究をしてたの。
    サンプルデータとして、患者や関係者の脳波のデータや参考になりそうな研究データも集めてたらしくて』

カルテ等のデータ管理に医者の脳波をキーとして使うセキュリティの構築。
建前としては、そういう形を取り、様々な分野の人間の協力を得たらしい。

安達「……誰かのデータと一致したのか、『幻想御手』の核になっている『特定の人間の脳波』とやらが」

布束『えぇ、ピッタリと一致したそうよ…………の脳波と』

安達「――そうか」

告げられた名前に動揺することなく、ただ頷いた。

布束『オリジナルと風紀委員の子の方には、先生から情報がいくと思う』
   
安達「よし、なら先に身柄を押さえる」

布束『大丈夫だとは思うけど……気を付けて』

安達「……了解」ピッ
990 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:50:19.31 ID:BrHDwZp8o

〜????〜


闇の中だった。

上も下も右も左も分からない。

ひたすらに広大な漆黒にただ、自分がいる。

新倉「………………あぁ」

だが、新倉は繋がっていた。

誰かと想いを共有する。

時に孤独から人を救う、その行為が絶望をより深く、色濃く濁らせる。


――幾千幾万の努力がたったひとつの能力に打ち砕かれる現実。


能力の有無。その差に敗北した少年が諦めた。

新倉「――なるほどね……こりゃキツイわ」


――学園都市って残酷よね。能力を数値化してどっちが優秀かハッキリさせちゃうんだもん。


能力の優劣。下にいた者が気付けば上にいる。

新倉「俺達の統合とも違うなぁ。……他人の感情に、記憶に巻き込まれて……引き摺られる」


――上を見上げず、前を見据えず、下を見て話す。


折れた心を取り繕い、欺瞞の仮面を被る。

新倉「これが学園都市の現実か……」

まるで絶望の揺り篭だった。

あの少女もこんなモノを抱えていたのだろうか?
どうやら、自分と違い『幻想御手』のネットワークには取り込まれていないようだが……

新倉「呑み込まれないように意識を保つので精一杯、か……」

脱出、とでも言えばいいのか……この状況を打破する事は不可能なように思える。

現状維持。
実に消極的で自分には似合わない対応。
それを強いられている、それだけでもかなり不愉快だった。
991 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:51:41.52 ID:BrHDwZp8o

新倉「どこの誰だが知らないが……」

子供の弱さを利用し、その心の傷に寄生するかのような所業。

これを悪と呼ばずに何と呼ぶ?

……そう、新倉生が思った時だった。


――センセーの事、信じてるもん。怖くないよ。


新倉「あ…………?」

それが、今の自分にとって危険……ある種の急所のようなモノだと、新倉は本能的に察知した。

止めろ。
止めろよ。
止めてくれ。


――私達は学園都市に育ててもらってるから。


記憶というダムが決壊したかのように大量の『思い出』が流れこんでくる。

新倉「くっ……あぁ……」

どうしようもない悲しみが。

混ざる?

違う……重なっていく。


――この街の役に立てるようになりたいなーって。


新倉「こんなの……俺に見せるなよ……」

大切ものが、両の手から滑り落ちていく。

血の赤が視界を覆い、その眼からは涙が溢れる。

新倉「あああああぁぁぁああああああああああああああああああッツ!!!」

慟哭。

そして、新倉生は完全に『幻想御手』のネットワークに取り込まれた。

――恐らく、最悪の形で。
992 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:54:19.99 ID:BrHDwZp8o

〜AIM解析研究所〜


今、自分が見ているのは、とんでもないモノかも知れない。
初春飾利は困惑の中で、そう確信していた。

『音楽を使用した脳への干渉』

初春「……さっきの今で……どうしてこんな……?」

それだけではなく、彼女の研究室には共感覚性に関する資料や論文が数多くあった。

初春「『An Involuntary Movement』? ……これは……?」

資料を見ることに意識を集中していた初春は、背後の人影に気が付かなかった。

???「――いけないな? 他人の研究成果を勝手に盗み見しては」スッ

初春「っ!?」

優しく肩を抱かれ、初春は喉が干上がったような驚愕に襲われた。


――チャキ。


???「……初春から、その手を離せ」

木山「……驚いたな、最近の風紀委員は実銃を携帯しているのか」

両手を上げたまま、振り返らずに木山は背後の少年に問う。

安達「麻酔銃に決まってるじゃん……だが、効果はバツグン……試しますか、木山先生?」

初春「安達さん……!?」

安達「初春先輩……ゆっくりと俺の後ろに」

状況を把握できていない初春に対して、子供を諭すように優しく告げる。
993 :とある複製の妹達支援 [saga sage]:2011/11/05(土) 21:59:08.30 ID:BrHDwZp8o

安達「関節キメて取り押さえても良かったんだが……女性を組み伏せるのは柔らかいベットの上だけにしたいんでね」

初春「あ、安達さん!?///」

安達「過剰反応すんなって……軽いジョークじゃん……」

軽口を叩きながらも、銃口は木山の首筋から外れてはいない。

木山「この状況を見ての行動じゃないようだな……この娘の様にどこかで資料でも盗み見たのかな?」

安達「……他の協力者に回していた『幻想御手』の解析が終了しまして」

木山「……ほう?」

警戒を続けたまま、『幻想御手』の効力と、その基準となっている脳波が木山と一致した事を告げる。

初春「そんな……先生が……!?」

木山「驚いたな……それだけ優秀な協力者がいるのなら、私等に頼まなくてもいいだろうに」

むしろ驚いたのは、よりにもよって犯人に協力を仰いでしまった、こちらの方だ。

安達「間抜けな話じゃん――灯台もと暗しどころの騒ぎじゃない。
    だが、貴女も貴女だ……何故、依頼を引き受けた?」

木山「…………」

小説の中であるなら、犯人が警察の捜査を撹乱、誘導する為に敢えて協力的な立場を取る事もあるだろう。
だが本来、犯行の露呈を防ぐ為に必要なのは、沈黙と不関与である。

木山「協力しようがしまいが、時間が経てば私の犯行は露見していただろう。
    ……その前に目的を達成できれば、後はどうでも良かったんだよ」

安達「それはどういう……?」

木山「……油断はないが、問答の時間を与えたのは失策だったな、少年」

――そう、木山が言い放った瞬間。

十五個もの『火球』が安達生へと襲いかかった。

安達「くっ!」

安達は回避も防御も間に合わない、と判断すると咄嗟に身を翻し、初春を横合いに突き飛ばした。

初春「えっ!?」

――直後、生の体を炎が包み込んだ。

初春「いやあああああっ!!」

994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/05(土) 23:25:57.40 ID:GAOXPmSN0
またいいとこで切るなぁ…… 続きが楽しみで仕方ないじゃないw  乙乙!
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:35:06.83 ID:cB4OvN18o
乙〜
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 23:49:11.19 ID:Cnp01g680
いや、っていうかこんなギリギリまで使ってオシマイはまずいじゃん
スレ立てないと感想も書けないじゃんかよー
立てれないにしてもテンプレ貼って依頼しとくとかしないと

いや、俺へのレスも批判も要らんよ
本当にギリギリじゃねーかマジで
997 :とある複製の妹達支援 [sage]:2011/11/06(日) 00:19:44.22 ID:H5Rg9Soqo
大丈夫、立ててあります。貼るの遅くて申し訳ない。

次スレ

ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320498647/
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 07:10:53.18 ID:8oeXKLzDO
埋めます
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/06(日) 11:53:27.36 ID:ly6/XRMbo
埋め
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/06(日) 12:18:15.27 ID:GQ2dRGX40
>>997
ナイスじゃん!
偉そうなこといってすまんかった
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | もうたらい回しは勘弁だぜ
 |_____ _____________
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カイジ「汝は人狼なりや?…ですか?」 @ 2011/11/06(日) 04:57:42.42 ID:zJs9cJ/IO
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パートスレを潰そう part50 @ 2011/11/06(日) 03:32:07.72
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モンハンのスキルで @ 2011/11/06(日) 03:29:39.86
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1320517778/

あかり?「……怨念がおんねん」 あかり「!?」 @ 2011/11/06(日) 03:14:23.14 ID:FuS4ZNgo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320516863/

転校生と遊戯王 @ 2011/11/06(日) 03:10:12.84 ID:NCPfTUCAO
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bump of chicken 藤原のファッションについて @ 2011/11/06(日) 02:41:13.63 ID:2eMSucl60
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