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アルル「ボクは元の世界に戻りたいんだ」 禁書目録「魔導師……?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 01:55:55.42 ID:plVZoWg0
アルル「……また知らない世界にきたのかな」

アルル「カーくんもまたどこか行ってるし……」

アルル「それにしても、すごい町だなあ」ポカーン

アルル「りんごたちの世界とすごくよく似てるんだけど、もっと『ビル』とかがたくさん立ってる」

アルル「それに…あれは学校かな??学校自体はどの世界でもあまり変わらないのか」


アルル「とりあえず、情報収集して、カー君みつけて、帰る方法を見つけよう!」


※※※ご注意※※※

・ぷよぷよ・魔導物語と禁書のクロスオーバー
・書きだめは苦手だからゼロ。頭の中で展開は大体決めてる
・禁書は原作とアニメは全部、漫画は禁書のほうを数巻読んだ
 一方さんと上条さんと出会いのは22巻にあればそれに合わせる。どうせ俺の遅さじゃ発売前にそこまで進まん
・ぷよ魔導はいろいろ変に設定いじってる。コン○イル社時代のアルルと愉快な仲間達がメインだけど、
 フィーバーやら7やらで過ごしたアルル達がもとの魔導世界に帰ってきた時代あたりといえばわかりやすいかな?
 一応、使用魔法はわくぷよを中心に、他作品からちょこちょこ。
・書くのは遅いけど書き終える
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バームくんへ @ 2025/06/11(水) 20:52:59.15 ID:9hFPsRzXO
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秘境 @ 2025/06/10(火) 00:47:53.81 ID:BDVYljqu0
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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
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【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
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貴様たちの整備のお陰で使いやすくしてくれてありがとう @ 2025/06/04(水) 20:56:21.03 ID:QjuK6rXtO
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阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
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レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
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2 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 02:07:00.62 ID:9sAkcEAO
総合のひと?マジで待ってた!!ありがとう

コンパイル厨魔導厨なもんでセガはキャラのさわりと流れくらいしかわからんが、応援してる!
セガが嫌いなわけじゃないしな!
3 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 02:07:47.82 ID:plVZoWg0

アルル「とりあえず、このあたりの探索かなあ?けど世界のことは人に聞いてみないとわからないよね」トコトコ

アルル「けどなんて聞こう?ここってどのあたりですか、かな?だとしたら地図見つけなくちゃ」

アルル「…それだと怪しまれるだけかな……記憶がなくなったことにしてしまうとか」

アルル「うーん…それはちょっとそれで心配かけたら申し訳ないかなあ。素直に『ボク異世界から来ました』って言ってしまおうかな」

アルル「ダメダメダメ!それはただの変な人だから…うーん、どうしようかな」


??「あの、もし?失礼ですが多少お伺いしたいことがあるのですけどよろしくて?」

アルル「あっ、はい!?」

??「風紀委員ですの。あなたは誰の許可でここにやって来られましたの?」

アルル「へっ、え??」
4 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 02:33:16.28 ID:plVZoWg0
アルル「あの、ボクここに来るの初めてで…あっ、ここどこ?
     あとジャッジメントって…本名じゃないよね?君の名前はなに?」

黒子「……訳の分らぬ質問攻めも大概にしてくださいまし。ですが名乗るだけ名乗っておきますと、わたくし白井黒子と申します」

アルル「へえ、可愛い名前だね!くろこって言うんだ。よろしくね」

黒子「ですからいい加減にして下さいと!
    基本的に誰かの許可無く立ち入ることが許されないこの『学舎の園』に貴方が居る理由をお聞きしていますの!誰からのお誘い合わせで此方へ?」

アルル「あぁ……ボク、違う世界から来たから、分からないんだよね。だから誰からも招待されてないし、ここがそのマナビヤノソノのどこかもわからないんだ」

黒子「その話を信じろと?ふざけないでくださいまし」

黒子「大体この科学の街で違う世界の話を持ち出す時点で貴方の頭脳が知れますわよ。風紀委員第177支部に連行いたしますが文句はございませんわね?」

アルル「あるある!すごく文句あるって!!だって本当なんだってば!
     科学はボクの時代じゃたぶん物凄く遅れてるけど…ほら、このアーマーだってここの人たち全員使ってないじゃない!
     けどボクの時代じゃ身を守るために必要なものだから付けてるんだよ…って、おわあぁ!?」


唐突にアルルの反論の言葉は途切れた。黒子が強制的にアルルを連行したからだ。
『空間移動』でもの言う暇も逃げる隙も与えず、80mずつ支部へ移動する。
彼女らが転移していく近くの者たちは彼女らを確かに視界に入れたが、それもほんの一瞬だった。瞬きひとつしたら……とまでは行かないものの、1秒はかからずにまた彼女らの姿はかき消える。

その姿を見つけたのは、黄色いウサギのような生き物だった。額には赤い宝石が埋め込まれていて、太く短い尻尾がわずかにぴょこんと揺れる。

「……ぐ?」

見間違えたのではなかっただろうが、駆け寄ろうとしたらその生き物の主は既にそこから消えていた。だからカーバンクルは間の抜けた声をあげることしか出来なかったのだ。

-----------

今日はこれでおわり
こっから地の文が混ざりだします

>>2
総合の人です。ちょっと魔導を普及させたくてスレ立ててしまった
できる限りセガだけの人も魔導だけの人も禁書だけのひとも大丈夫なように解説入れてくつもりだし
フィバキャラ含むメインキャラ以外はほとんど誰かの回想でしか登場しないかな。
5 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga ]:2010/09/04(土) 05:00:13.56 ID:VGzj3as0
どんなゲーム?タイトルは? あと面白そう
6 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga ]:2010/09/04(土) 05:00:40.58 ID:VGzj3as0
ごめん最初に書いてあった
7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/04(土) 09:55:19.10 ID:lcc8GgDO
モノクロうぜぇ…
8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 10:53:09.63 ID:gf0QzAAO
アルル達の魔法の設定ってどんなの?
ぷよを連鎖で消してたりしたらデカイ魔法が使えるとか?
9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 11:02:53.67 ID:NUuzPYSO
別にぷよを絡めなくても普通に魔法は使えるよ
詳しくはWikiれ
10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 12:41:17.29 ID:9sAkcEAO
ぷよが消えるのはオワニモっつー魔法が世界にかかってるだけ。
ファイヤーとかそこらへんは、あいつら魔導師だから普通に使える

途中を省略させていただいて結論から言うと、今代の闇の魔導師は私のものだということですよ……
11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 12:42:38.30 ID:djEwFyAo
カーバンクルが額からビーム出して、カレー食うゲームだと思ってた
12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 13:16:54.06 ID:TsU7HIDO
白黒の口調がウィッチと被る
13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 13:32:28.76 ID:hjNFGDMo
>>9
むしろぷよはドラクエで言うスライムだしなww
14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 14:01:48.18 ID:xSsGKRIP
白黒は迷い込んだ系のクロスオーバーだとかなりの確立で連行しに来るよね
15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 14:51:27.28 ID:plVZoWg0
白黒ちゃんについてですが、うざく思えた方、ごめんなさい。
ただ別の世界から来たっていうのをいきなり信じれるはずはないと思うんで
白黒ちゃんは至極まっとうな反応を返す常識的な子、というイメージで書いたから、あまり悪く思ってやらないでくれ
>>14についてもそこまでメジャーだと思ってなかった。

多少投下します。飽きたらそこでやめる
16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 14:53:51.84 ID:aIzRNMAo
愛しのルルー様は出そうにないけど期待
17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 14:54:34.88 ID:plVZoWg0
これは一から全部説明して分かってもらうしかないか、とアルルは抵抗をやめた。
未知の空間移動に怯えたわけではない。彼女は以前空間移動を経験したこともあり、だからこそ空間移動中に干渉を行えば術者に大変な負担がかかることを知っていたからだ。
いくら突然連れて行かれたとしても、先ほどの黒子という少女が攻撃に入る様子はなさそうなら彼女を傷つけることはやめておこう、と。

(そういえば、シェゾはどこにいるんだろう。サタンはこの様子に気づいてるかな)



風紀委員第177支部。彼女たちがやってきたそこでは何人かの学生たちが忙しそうに動き回っていた。
アルルは最初、もともといつも忙しいものなのだと思っていた。だが隣の黒子を見るとそうでもないらしく、「何かありましたの?」と近くにいた眼鏡の女性に声を掛けていた。
その女性の奥のほうでは花飾りを付けた少女が懸命にキーボードを叩いていたが、元の世界とこの学園都市の文明の発展度は著しく開きがあるために、それが何をしているのか、アルルにはわからない。

固法「謎の女性が現れたらしいわ。髪は水色の長髪、年齢は20前後、身長は170程度、服装は…チャイナドレスを動きやすくした感じといえばいいかしら。
   言動が変だから声を掛けたら一人変なこと言って逃げたらしいわ」

黒子「はあ。それで彼女の捜索にあたっていますのね。言動が変、とは?」

アルル(……それって)

固法「別の世界からやってきたとの主張をしているそうね。学園都市のことも知らぬ存ぜぬで通していて
    能力とレベルを聞いても何それ?と。ええと、偽名くさい名前なら名乗っているのね。確か」

アルル「ルルーじゃない!?」

突然アルルが会話に参加したことで二人の会話は途切れた。
大声を出した余波として沈黙が漂い、支部の人たちの視線がいっきに彼女に集中する。しかし黒子と固法の驚きは彼女ら以外の支部のものとは別だった。

固法「……え?」

黒子(別の世界と申す方がこの子以外にもう一人……?それに、あの冗談ではなさそうな言動…しかし…)

アルル「ボク、アルルって言うんですけど…ボクも別の世界から来たんです!ええと…けどどうやってそれを証明しよう…?
     とりあえず、ボクとルルーはそこの世界のともだちなんだけど、うーん……」

固法「それで白井さんが連れてきたのね、ルルーさんで間違いないわ。
    けど、あなたが別の世界から来たというのはにわかに信じられないわ。数年前には異世界から来たと主張して無能力者の冠を無くそうとしたスキルアウトたちだって居たのよ」

アルル「…そっか。けど、ボク…!!」

そこにぽつりと投下されたのは黒子の声だ。

黒子「アルルさんとやら」

アルル「え、なあに?」

黒子の心の中に引っかかっているのは、彼女が使用しているアーマーだ。確かに異世界を装うために作るくらいは出来るものの、使い古した感じは服装に違和感を感じさせない。
それに、不本意ながら自分は恐ろしき風紀委員だということで知られているが、スキルアウトではないのならあのなれなれしく話しかけてきた様子も理解できてしまうのだ。
2割くらいなら彼女の言うことが本当だと思える気がする。その物語に引っかかってやりますわ、と彼女は思った。


黒子「あなたが居たと主張される『世界』の事、お聞きしてもよろしくて?」
18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 15:39:40.81 ID:plVZoWg0
支部の端っこで、4人掛けのテーブルに3人の女がつく。…といえば人聞きはいいが、悪く言えば喚問そのものだ。アルルの隣に黒子が座り、彼女らに向かい合って固法が腰掛ける。

アルルは出来る限りの言葉を用いて説明をした。
はじめに簡単に自分について説明した。過去に2回、別の世界に飛んでしまったことがあり、そのうちの一度がこの世界に非常によく似た世界だったこと。
自分が居た世界はもっと森や山や川にあふれていて、モンスターと人間が共存していること。「ぷよ」と呼ばれるモンスターたちがその飛んだ世界に降ってきて困ったこともあったとも伝えておいた。
半魚人たち、耳の長い小人、よくわからないゾウやなすびのモンスター、魔法使いの一族。

と、そこで黒子は遮った。

黒子「……魔法使い、ですの?」

アルル「あっ、魔導について話してなかったか…ってことは、この世界って魔導は存在しないの?さっきのテレポートはなあに?あれすごく精密だったから驚いちゃったんだけど」

魔導とやらは存在しませんわ、と黒子は答えて、続きを促した。自分の空間移動が褒められたことは確かにうれしいが、論点はそこではない。
そして、彼女がこの際空間移動について語らなかったのは一つの理由がある。
彼女はこの街で初めて自分と話したらしいのが、記憶に残っていたのだ。もし、万が一それが本当ならば学園都市のことを知る筈がない。だから学園都市についての話題が出たらその時点で学園都市内の人間とみなし、不法侵入罪で拘束する。学園都市の話題を出さずに彼女の話の正誤や矛盾を確かめる。そのつもりだった。

アルル「魔導っていうのは、人やモンスターが使えるチカラのこと。それを使いこなせる人が魔導師って呼ばれてて、ボクはそれを目指して魔導学校に通ってたの。正確には古代魔導学校っていうんだけどね。
     魔導っていうのは体の中に溢れる魔導力を練って練って1か所に集めて発射する感じかな。いろいろあるんだけど…簡単なのはファイヤーとかアイスとかヘブンレイとか…って、ああ!?!」


突然アルルは絶叫する。ようやく気付いたのだ。魔導が存在しないのなら、魔導を使えばいいこと。黒子や固法も同じことを思ったようで、顔を見合わせた後アルルに言った。

固法「ならアルルさん、魔導を見せてくれるかしら。出来れば何種類か」

アルル「わかった。えっと、じゃあガラスのコップってある?」

黒子「はあ?ありますけど」ヒュン

数歩歩いてガラスのコップに触れ、自慢の空間移動でそれを彼女の前に置いた。

アルル「あれ?テレポートは触れないと出来ないの??ボクはテレポート使えないけど、こっちの世界ではレベルによっては触れなくても出来るんだ…と、とりあえずやるね。」


ホット!と彼女は鋭く叫ぶ。その時突然虚空から水がばっと降ってきた…いや、正確にはコップの上にのみ、熱湯が。コップの半分くらいまで注がれた湯はほかほかと温かい湯気を放っている。
続いて彼女はコールド!と叫んだ。ホット同様に虚空から現れてコップに降り注いだのは、小さな氷の塊だ。何度か落としているうちに湯気はどんどん消えていく。
最後に彼女がショック、と叫ぶと、ばちりと水が帯電してぱりぱりと電気を覆う。

アルル「うーん…こんなもの?」

見ていた二人は言葉もなかった。
19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 15:41:12.99 ID:plVZoWg0
飽きた!おわり!ヒマなら夜に来る。
あとなんか喚問って言葉の使い方間違えたね!一応調べてから訂正しようと思ってたけど忘れてました。
尋問って思っておいてください。
20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 19:32:10.24 ID:AHl0lVA0
さすがアルルさんかわええ
ARSS楽しみにしてるぜええええええ全力で支援
21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 20:10:39.78 ID:qZkeAFA0
支援してやらなくもないんだからね!
22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/04(土) 22:26:18.24 ID:TsU7HIDO
真っ先に気にする人はシェゾなのか
23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 04:22:20.59 ID:X7G4s7g0
こんな真夜中だけど、起きたてです。
2レスかな、投下します
ちょこちょこ投下するのは悪いかなとも思うんだけど、こうでないと書けないんだ。お許しくだせえ

あと意外とレスが多くて驚いてます。
正直こんなに魔導知る人がいるとか思ってなかったので
SS書いて大丈夫だろうかとか思ってたので素直に嬉しい!

>>22
シェゾを真っ先に気にしたのはテレポートを使ってる印象が一番強かったからなので
カップリング的な意味はないよ。シェゾ好きだけど。
小説の真魔導物語でアルル達の移動にシェゾのテレポート使ってる印象が強く残ってるからそのせいかな
24 :完成までかなりかかると思うんだが酉付けたほうがいいかな [sage]:2010/09/05(日) 04:23:45.00 ID:X7G4s7g0
固法と黒子は目をぱちぱちと瞬かせている。
会話の流れに任せて魔導とやらの使用を頼んだのはこちらだが、まさか本当に複数の力を使用してくるとは思ってもいなかったのだ。
ホットとコールドだけなら空間移動や温度変化系能力でギリギリ説明がつくが、仕上げに電撃使いときたら驚くしかない。

アルル「これはごく初歩的な魔法で、わりと練習すればだれでも使えるようになる技かな。
     他には光出したりとか、脳みそぷー…えっと、混乱させたりする技もあるけど…って、聞いてる?」

瞬き以外身動きひとつしない二人にアルルはむくれながら返答を促した。それに応じていち早く我に返った固法は「初春さん!」ととある少女の名を呼ぶ。呼ばれた初春は顔をひょこっと出して、何でしょうと答えた。

固法「調べてほしい能力があるの。彼女、お湯と氷をこのコップの上に連続して投下させたわ。そのあとに発電能力らしきものまで使っている。頼めるかしら」

初春「はい、大丈夫ですけど……多才能力でしたとかいうオチはありませんよね?」

アルル「……○に尽きる?」

黒子「マルチスキルですわ」

我に返った黒子が鋭く突っ込みをいれる様子を見て初春はそれはないかと推測した。

初春(発電が可能で、何もないところからお湯や氷を落とす…)

今までパソコンに向き合ってきて疲れた目をほぐすために目をくりくりとかいて、彼女は本格的に『書庫』の膨大なデータと向かい合う。
25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 04:31:46.20 ID:X7G4s7g0
固法「これで能力が見当たらなかったら正真正銘異世界から来たことになるのかしら……他の能力はどんなものが使えるの?」

アルル「さっき言ったんだけどやっぱ聞いてなかったのかあ…光だしたり、混乱させたり。さっきのと同系統の技で言ったら、炎の渦とか電気で一閃することも出来るよ。
     けどこれ以外はちょっと魔法が大きすぎてここでは使えないと思うけど」

固法「外なら使える?他にも使えるなら知っておきたいわ。」

あの子に検索してもらってるけど、あれだけじゃしばらく時間がかかりそうだから、と固法は付け足した。
初春は真剣にパソコンに向き合っていて、指を指した固法に全く気がついていない。
アルルはパソコンのことがよくわからなかったが、あれで人物を特定しているということに驚いた。学園都市にいる生徒はあっても一つの能力しか持たない、という絶対的なルールを知らないのも大きな理由だったが、あの機械の中に全員の情報が入っているとは信じられなかったのだ。
アルルはパソコンに視線を向けたまま首を小さく傾げた後、会話に意識を向け直す。


アルル「場所の広さにもよるけど、たいていは使えると思うよ」


黒子「外で使えるとおっしゃるなら、わたくしと戦ってみませんこと?」

アルル「え?うん、構わないけど」

唐突に話しかけた黒子は、もちろん傷つけるつもりはございませんわよ、と予め前置きをして、謝罪の言葉とともに右手を差し出す。

黒子「話の真偽はまだ証明しきれておりませんが、今の様子ですと貴方は無理に連行しなくても来て下さったかもしれませんわね。
    派手な連行をしたこと、お詫び申し上げますわ」


小さな右手は、それでも十分に彼女の警戒心が薄れたことを主張していて、また同時に黒子の口元はすこし笑っている。
愛想笑いではなく、自然な微笑みだった。瞳も先ほどの鋭さと比べると非常に優しい光を持っているように見える。
それに気付いたアルルは、にこりと笑って、

アルル「親善試合だね!」

応戦を決めた。
26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 04:32:55.50 ID:X7G4s7g0
おわり!1レス目短かった!泣けた!
今日はまだスレ立てたばかりで創作意欲がものすごいので
また昼ごろに来るかも!けど期待はしないで!
27 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 05:54:32.58 ID:cKjwDwQ0
>>26
期待してやらなくもなくもなくもない
28 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 07:13:45.61 ID:X7G4s7g0
書き貯めをしていると悲しいくらい出来た分から投下したくなるもので…
消費削減のためにもトリ付けて予告なしにぽんぽんと落としていくことにするわ
まあ1回に2レスは最低でも投下出来ると思うけど

ということでまだ朝だけど創作意欲マックスなのでマックスなうちにもう一回投下する
29 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 07:15:06.62 ID:X7G4s7g0

黒子と固法とアルルの3人は広い第七学区をゆっくりと歩いていた。
はじめ黒子は空間移動で連れていくと言ったのに対して、アルルがこの街を見て回りたいから歩かせてほしいと言ったのが理由だ。
そんな訳で3人組はときどき立ち止まりながら最寄りの大きな公園までの道のりを楽しんでいる。

アルル「最初のところ、学舎の園って言うんだっけ?あそことはずいぶんと違うんだね」

黒子「あそこは別の街と思った方がよろしいかと。女子校5つとその寮、日用必需品が売ってる店程度しかありませんが、雰囲気はだいぶ異なりますわよ」

固法「お嬢様学校ばかりだから高級感が漂っているでしょう?白井さんもその学校の一つに通っているのよ」

アルル「へえ、すごーい!そことこことはどれくらい距離があるの?」

黒子「十五回程度は飛びましたから…ざっと600から700メートルですわね。」

アルル「距離を短くして何回かやってるんだね」

アルルのことはだいぶ信頼することができそうになってきたが、学園都市の核心的な部分に触れるのは、黒子にはまだ若干の抵抗が残っている。
初春の結果が出次第全てを話そうとは思っているものの、実際に結果が出ない限りはどうしようもないから、黒子はむず痒い。


それにしても、異世界ときた。
初対面でアルルに言い放った通り、科学の街で異世界の話を持ち出すなんて軽くぶっ飛んでいる。

けれど一人、そのぶっ飛んだ話を語り、証明してみせようとまでするひとが居る。
アルルと名乗る、この少女。
彼女の服のポケットにも背負っていた小さなリュックサックにも、学舎の園に入ってくるときに必要になる学園都市のIDカードが見当たらない、茶髪のポニーテールの女の子。
異世界から来たと主張して、屈託のない笑顔で矛盾ひとつ無い話をぽんぽんと口に出す、この少女は。

黒子(……パラレルワールド?それにしても、そんなこと)

一体何者なのかと問われると、異世界から来たと言った方がしっくりきてしまうのに、非科学的すぎて理解できない。
30 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 07:16:32.79 ID:X7G4s7g0
そんな黒子の様子をわかったのかわかっていないのか、アルルは話題を逸らした。
行き先の斜め右前を指差して二人に尋ねる。

アルル「あそこに見えるひときわ高い建物は何?」

固法「セブンスミスト。ここら一帯ではかなり大きなデパートね」

アルル「でぱーと??塔とは別だよね」

固法「店がいくつも一つの建物の中に入っているものをデパートと言うんだけど……あなたの世界にはなかったの?」

アルル「ん、買い物はほとんど商店街だったかな。ダンジョンの中にもお店はあるけど」

黒子「ダンジョン?」

アルル「遺跡とか洞窟とかのこと。モンスターが棲みついてて、襲ってくるときもあるんだけどね」

さらっと恐ろしいことを説明する彼女に、黒子は思わず歩みが止まりそうになった。



ただでさえ短距離の道のりを会話しながら歩くと本当にあっという間についてしまい、公園のベンチにアルルはリュックをおろす。
もう着いちゃったのか、と彼女は残念そうに呟きながら、大きく身体を伸ばした。

一面野原のこの場所なら問題ないかな、とアルルは思う。黒子は出発する前に自分はかなり優秀なほうのテレポーターだと自負しているから遠慮はせずにどうぞと言っていた。
転移の優秀さは、前の世界にいたアルルも知っている。手で触れてという条件付きとはいえ、自分以外も動かせるならなおさらだ。
きっと大きいものを相手の近くに転移させて動きを封じることもできるし、鋭いものを自分の身体に転移させてダメージを与えることもできる。

アルル(…けど、せっかくの親善試合だもんね。あっけなく負けはしないよ!)

心の中でそう意志表明をしている……はずだったアルルだが、実際にこぶしをぎゅっとにぎっているから周りに感情がバレている。
その様子を黒子は見やって、こちらも負けはしませんわと心の中でそっとメッセージを送る。

さて始めようといったところで、アルルと黒子は試合を始めるタイミングをなかなかつかめない。じゃあ始めようかと言ってもすこし照れくさくて、つい始めづらいのだ。


固法(アルルさんの正体がどうこう抜きに、二人ともすっかり仲良しじゃない)

そんな二人をすこし離れた場所から見つめていた固法は、小さく笑った。
私が合図をしましょう、と声を掛けると、待ってましたと言わんばかりのきらきらとした視線に若干気圧される。


固法「じゃあ行くわよ……試合開始!」


アルルと黒子はようやく同時に動き出すことができた。
31 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 07:53:10.47 ID:X7G4s7g0
転移なんてされたらスピード勝負ではアルルに勝ち目などない。
だから彼女は速さを競うのはもともと諦めていた。

アルル「アイスストーム!」

空間移動でアルルの背後にまわって一気に決着をつけようと思っていた黒子は、強烈な寒さに思わず動きが鈍った。
蹴り上げようとした足は、ギリギリ間に合ったアルルの技の影響で急速に凍えていって勢いは止まる。
アルルは周囲360度に氷雪の嵐を起こして、近づいた黒子に対応させたのだ。

ようやく背後の黒子に気づいたアルルも、ゆるい勢いとはいえ至近距離からの蹴りを防ぐことはできずに立っているバランスを大きく崩される。

アルル「っく、ライト!」

強烈な光が近くで炸裂して、アルルも黒子も視界を一時的に失う。だがその間にアルルは体制を立て直し、黒子は太腿に巻きつけた針を自分の手に移動させる。だが、それだけだった。
黒子は転移に座標を指定する必要がある。アルルの居場所がわからないのにこの針を打ち込むのは非常にまずい。
下手すれば彼女の心臓に突き刺さる可能性だって否定できない。親善試合とやらに殺人はいらないのだ。

そこで黒子に一瞬思考の時間が出来る。

黒子(やはり多重能力者と言わないと説明がつかない……!?威力もきっと今のは牽制程度。想像以上に使用する能力の幅が広そうですわね…!)



アルル「ダイアキュート!」

そこに光の中から一つの声が響いた。
黒子に警戒が走る。
どんな攻撃が来るか、と彼女は攻撃の方向を探すために回復しかけている視界に目を凝らす。
そして影程度しかわからないけれども視界が戻った時、黒子はアルルが両手を大きく上に掲げていることに気付いた。

――攻撃が来る。
急いで黒子は回避のためにもアルルの背後に回ろうとするが。

知らないとはいえ彼女は致命的なミスをした。ダイアキュートは攻撃技ではないこと。そのため、先ほど手を上に掲げていたのはダイアキュートの技のためではないこと。

アルル「ファファファイヤーストーム!!」

ダイアキュートの効果は、次の呪文の威力を増幅させること。
背後にふわりと現れた黒子の周囲は高温の炎に覆われていた。
32 : ◆BOdpUfAi3. [ageさせてねん]:2010/09/05(日) 08:25:01.20 ID:X7G4s7g0

黒子(やはり二度も背後に回っては動きが読まれてましたわね……!)


いきなりの高温に一瞬で汗が滴り落ち出すが、この程度で動きを止められた白井黒子ではない。即座に自分の座標を移動して灼熱地獄から逃げ出す。

それでも、もう少し転移が遅かったらと考えると黒子は少しだけほっとした。今のが転移の限界だ。
あれ以上行動が遅かったら暑さに精神がやられて転移が出来なくなっていただろう。
アルルはスピードに関しては諦めていたものの、結局は完全なるスピード勝負だった。



黒子は先ほどとは異なり、ギリギリまでアルルに近づけるよう転移した。
先ほどの氷雪の嵐が黒子に間に合ったのは、黒子が蹴りを入れるためにアルルと若干の距離をとっていたからにすぎない。
それなら間に合わないようにするだけだ。

ほんの数センチ程度指を動かせばアルルに触れられる距離に現れた黒子は、軽くアルルに手の甲で触れる。
それだけでアルルは気がつけば横になっていた。
アルルはほんの一瞬こそ格闘技の一種かと思ったがすぐに状況を察する。ごく短距離の転移で横にさせられたのだと。
なんだかんだでいろんな危機を乗り越えてきた彼女の状況判断能力はかなりのものだった。

その彼女は、黒子が針を両手に何本か持っていることに気づく。


アルル(やばっ!?そっか、最初にテレポート使えないって言っちゃってたっけか!)

素早く状況を整理するものの、横になっている自分の身体に黒子が馬乗りになっているため、なかなか立ち直れない。

アルル(それなら!)

アルル「アイス!!」

黒子の針が一本ずつ虚空に消えていき、アルルの服のみを丁寧に突き刺していく。
左手だけで辛うじて発動した氷の魔法は威力もだいぶ小さくなっていたが、それでも魔法は発動した。
しかしそれと同時に針は左手のリストバンドにも食い込む。


片方は両手足と腹部の服を針で固定された。
もう片方は腕から先と足を凍らされた。
両方とも次の行動ができなかった。
33 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 08:26:51.59 ID:X7G4s7g0
おわる
自分で書いててなんだが、なんか唐突に白黒ちゃんの可愛さに気付かされた
今までどっちかというとかっこいいだったんだけどな
34 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 09:17:14.92 ID:83WhvsDO
シェゾ「お前が欲しい!」

上条さん「(変態だー!)」
35 :1レス投下するよー ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 10:41:23.89 ID:X7G4s7g0
アルルは攻撃魔法は手を必要とするから拘束を解除する手段もないし、黒子は手が凍らされているために移動は出来てもそこから先が何もできない。
互いにどうしようもなかった。引き分けである。


黒子「……両者とも手詰まりですわね」

アルル「そうだね、引き分けだ」


それを見た固法は、二人だけでは体勢を元に戻せないと知り急いで彼女らの元へ駆け寄る。
黒子はアルルの隣に腰を下ろすように転移して、固法はアルルの服に食い込んでいる針を一本一本抜いていく。
そして自由になったアルルは黒子の両手足を拘束する氷を温かい湯で溶かした。


アルル「えっと…たぶん凍傷出てるよね。ごめんね、ほんとはもっと調節して
     内部は水にするつもりだったんだけど、切羽詰まって強くなっちゃった。痛む?」

黒子「そこまでではありませんが、多少の痺れは……」

アルル「わかった」

ごめんね、と重ねがさね謝るアルルに、黒子は腕のぴりぴりとした軽い痛みを抑えつけた。
しかし、何がわかったのか、黒子が尋ねようとするとアルルは一言、

アルル「ヒーリング」

そう声を出した。すると、ふわりと淡く輝く光が黒子の両手足を包みはじめる。
きれいな光だ、と黒子は素直に思ったが、直後に自分の身体の異変に驚きを隠せなくなる。
痛みは全くなくなっていた。それどころか、空間転移の影響の気疲れすらもほとんど感じないほどに体力がもとに戻っている。


アルル「これ、回復魔法なんだ。もう大丈夫かな?」

本日幾度目かもう数え忘れたが、黒子は驚いた。大丈夫を通り越して完璧な体調だ。
感謝しますわと彼女は礼を言い、固法の方を振り返って言う。


黒子「……これは、本当に異世界から来たのかもしれませんわね。先輩も見ましたでしょう?今の能力、全部」

固法「そうね。最後のヒーリングっていうのなんて初めて聞いたわ」
36 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 14:39:57.54 ID:XGft3YSO
しししししししししししししししししししししししししししししししししえん!
37 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 15:27:28.44 ID:ufmZyoAO
>>1にダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダイアキュート!!!!!
38 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 16:26:06.36 ID:bIQ27Loo
もぉぉぉ、しえんだよぉ……
39 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 17:09:28.33 ID:UNRrGkco
こりゃおもしれー!支援だ!
40 :なんかものすごく増幅かけられたんだよ1レス投下 ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/05(日) 19:13:25.67 ID:X7G4s7g0
アルル「回復魔法にも、アイスとアイスストームみたいな能力の強弱があるんだよ。
     今のは一番簡単なものだけど、出血が止まらなかったりしたらガイアヒーリングってほうを使うことが多いかも」

魔翌力を結構消費しちゃうからヒーリングばっかりだけどね、とアルルは無邪気に笑った。
固法と黒子はいよいよ信じるしかない。二人の戦闘中、固法の携帯に一通のメールが入っていたことも真偽を明かしている。
初春から、「どれだけ甘く検索かけても、やはりそのような能力は見当たりません」と。

ぽつりと黒子は言葉を漏らした。


黒子「……本当ですのね、貴方の話は」

アルル「信じてくれる?まあ、さすがに信じがたい話ではあるよね」

固法「あなたの能力がその話を証明しているのよ、はいどうぞ」


完全に回復した身体で近くのベンチに腰掛け、アルルにも同様に促す。
固法もジュースを黒子とアルルに一本ずつ渡して、黒子の隣に腰を下ろす。

ここではじめて黒子は学園都市について語った。
ここら周辺は学園都市と呼ばれる大きな街だということから、能力を開発すること、それが一人に一つしか宿らないことまで。
七人の超能力者、自分が大能力者であること、約六割が無能力者であることなども触れておいた。
途中、超能力者の件で黒子がとある一人の少女を語りすぎて暴走して固法に取り押さえられるという事態も発生したが。

書庫には生徒たちとその能力がデータ化されて全て登録されていることを話すと、アルルは不思議そうな顔をした。

アルル「データって…テレビみたいなあれ?」

黒子「テレビもデータといえばデータですわね。機械に0と1で記された暗号や赤・黄・青を読みとらせて、色や文字を表示させるのです。
    情報を詰め込んでいるだけなので、紙のようにかさばることもないためにこれくらいの小さなものにも膨大なデータが収まりますの」

アルル「へえ〜、すごいや」

黒子は自分の携帯電話を見せながら解説する。
常識だと思っていることを言葉で説明することは思いのほか難しいが、ギリギリわかってくれているようだ。


アルル「これはだあれ?」

携帯の待ち受けを指差して、アルルは単純に疑問を持ち尋ねたのだが、

黒子「そう!これが!先ほど語りました御坂美琴お姉様ですの!この麗しき瞳と凛々しき表情ッ!!そしてこのぷるぷるの唇…!!ああん、黒子がきっと頂いてみせましょう!そして願わくは(以下省略)」

黒子はマシンガントークモードに入ってしまい、少し質問したことを後悔した。
41 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 19:26:37.95 ID:p8mq1ZQo
ダイ アキュート
di acute
42 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage saga]:2010/09/05(日) 20:08:59.45 ID:cuS9XcDO
ダイアキュート!

ししし支援!
43 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 20:51:08.81 ID:O80TWcDO
しええーん
44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 21:00:41.11 ID:3nazJko0
ばよえーん
45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 21:06:47.24 ID:UNRrGkco
いっくよー!
46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/05(日) 21:19:00.35 ID:3y0kYy.o
もっといくよー!
47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 21:19:33.76 ID:3y0kYy.o
あげてしまったorz
48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/05(日) 21:49:14.33 ID:3VJsaGU0
支援
49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/06(月) 02:09:15.41 ID:kq3c0dso
MSXで魔導物語やったの思い出した
50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 02:41:46.26 ID:Nfze9as0
MSXで魔導物語1-2-3をやりたかったのを思い出した。中古で定価越えしていたから買えなかったんだが
51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 18:51:08.83 ID:YVElXKUo
しえん だいだげきっ!
52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/06(月) 21:29:42.30 ID:djcl5Js0
すけとうだらはインスパイアさんに食われる運命か…
支援する。
53 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/06(月) 22:00:27.36 ID:LUeXVy.0
固法は苦笑しながらアルルに告げる。

固法「白井さんはこうなると止まらないから……私たちは一度支部に戻るけど、貴方も一緒に来てもらえないかしら?」

アルル「うん、行くあてもないし大丈夫だけど。何かあるの?」

固法「先ほども言ったけど、支部では貴方の知り合いらしき女性の捜索が急がれているわ。
    彼女の情報を一番知っているのは貴方じゃないかしらと思って。協力を頼みたいの」


アルルはようやく彼女のことを思い出した。
元の世界の話を信じてもらうのに精一杯で今まできれいさっぱり失念していたことに、心の中でルルーに謝る。
ゴメン、今度カレーおごるから!と。

アルル「それならボクから協力させてもらいたいくらいだよ!
     ボクも元の世界に戻る方法を見つけたいから、こっちに来てる人とは早く合流したいし」


ありがとう、と固法は笑った。
そして「ほら白井さん!!」と花園の世界へ旅立っている黒子の耳を引っ張って現実世界へ呼び戻す。

固法「幸い、うちの支部の近くで姿を見せているそうだからなんとかなるんじゃないかしら。
    もう一度情報を得なおしましょう」


アルル「うん!」
54 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/06(月) 22:03:52.71 ID:LUeXVy.0
これで序章はおわりっ
正直アニメも正確に覚えてないのに固法先輩がこんなに出ると思ってなかった

今後の予定だけど、基本的には>>1のやる気と元気と根気次第でいきます
やっぱ更新は土日が多めかなと思うんだが
9月18日からポケモン白を始めるからしばらく更新が停滞すると思うww
まあスピードには一抹の期待も持たないでね

あと魔導から連れてくるキャラもうちょっと増やした方がいいかなあ…
55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:04:07.96 ID:IngfsnQo
キター!
56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/06(月) 22:07:43.46 ID:8LWVOUDO
>>54
きっちり完結させてくれ
それだけが頼みだ
57 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 03:13:26.02 ID:PSyZAUs0
>>54  正直アニメも正確に覚えてないのに
の件で、魔導ってアニメ化してたっけ? とか思ったんだが、実際どうだったっけ?
58 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/07(火) 07:49:10.60 ID:R9A8pnI0
>>57
魔導はショートのアニメならあるけど放送はされてないと思う
かくいうおいらも魔導アニメはyoutubeで見て知ったんだけどなww
>>54で言ったアニメってのは超電磁砲のほうね

あと完結はさせる
10年超の愛は負けん
59 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 09:54:08.22 ID:rF2LJMSO
しししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししししえん!
60 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/07(火) 21:22:29.41 ID:R9A8pnI0
あっ次の投下は木曜日を目標にしてまっす
61 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 23:40:59.79 ID:F9avx3so
シェゾがいないだと
62 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/07(火) 23:43:03.75 ID:0ZjQHsQo
お前が・・・欲しい!!
63 : ◆plUGdCyWCg [sage]:2010/09/08(水) 20:11:46.39 ID:qEvftLQ0
てす
64 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/08(水) 20:24:06.49 ID:qEvftLQ0
てす失礼
>>1ですo
今実はDSiでかいてるんで
半角とかうまくいってないかもしれない。

パソコンの電源が入らないのです。直ればなんとかなるけど、明日の投下はむりっぽいっす
携帯はパケホじゃないからネット繋がないんで…すまんのう
一応しゅうりにだして、直り次第再当会します。
携帯に書きためはあるので、1ヶ月とかかかるときは
時間かかるがDSから投下させてもらいます

あと、シェゾについては問題ない!何気に一番くらいにすきなキャラなんで
ただまともな出番は10月10日以降の予定

連絡だけでほんとにスマンカタ
65 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/08(水) 20:26:23.54 ID:qEvftLQ0
うわこれ改行できてない?
当会は投下のミスですすまん
66 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/08(水) 22:03:24.29 ID:SyE853g0
しぇん
67 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/08(水) 22:21:35.25 ID:aDNlmgSO
>>62
へんた〜い
68 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/08(水) 22:22:53.19 ID:l3PNUIAo
1にるいぱんこ唱えたやつ誰だよ
69 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 00:48:48.79 ID:Llw5XmYo
アルルはオレの嫁
70 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 01:01:17.05 ID:asv2R1Uo
         _,,,,,ィ=ー-、_      /
       /. : : : : : : : : : : .ヽ     / 
      /. : /: : : : : : : : : : : : .\  /  
      /. : /: : : : ハ: : :}斗、ヽ: : .|    お
      |. : /_: 斗〒\八」 ∨リリ    断
      乂レl;W弋ノ      };l_>    り
    ∠___l;人  , ─ァ  ノ'ノ      し
      |: :从ハ`┼一ィ刋:::\      ま
      |: : : : : : :};Y/ハ{;;;;;;;;ノ     す
      ヽ-‐ァ‐ァ';|l/\∧イ    \ 
        /\/;;|l' ̄ハ }      \
        /  |;;メ二ニ| |
       ャ、__/l;lゝ   ト‐|
      / `/|_,_|;|,_,_,_,_,_ト′
     /  / |==|;|=====|
   ∠、,,ィ〜' └r幵─‐r七
         {Ξ}  匕}
71 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 01:08:27.39 ID:KJFvfRAo
シグきゅんは俺の嫁!
72 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/09(木) 11:16:41.97 ID:0YY/vdIo
改行出来てるよわくてか
73 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/10(金) 18:07:44.84 ID:s2Y0tcSO
どうしてSS書きのパソコンや携帯はすぐ壊れたりデータがとんだりしてしまうのかな?かな?
74 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 19:36:15.08 ID:AZ7HVYAO
書くのに夢中になって無理させてしまうからさ
75 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 19:38:05.63 ID:/eo1KJco
>>70
突っ込まんぞ
76 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 19:57:48.27 ID:UNoFiN6o
>>75
じゃあこっちから突っ込むぜ
77 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/10(金) 20:01:48.17 ID:AoD9wmgo
>>76
俺も混ぜろよ
おらしゃぶれよ
78 : ◆BOdpUfAi3. :2010/09/12(日) 15:01:33.88 ID:.r/EPB.0
>>1です
PCは無事修理に旅立っていきました。大体2週間前後だとか云々
今は帰省中にパソコン借りてます

>>73にはちょっとグサッと来ましたが結局全部自分がバカだったから以外のなんでもないです
ちゃんと修理してから書き出せばよかったのに始めちゃったからなんで。
見てくれている人がどれだけいるのかはわからんけども、初っ端からこんな羽目になって申し訳ない

まだほんの少しですが多少書き溜めたので投下します
79 :sageわすれた・・・ ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/12(日) 15:04:08.28 ID:.r/EPB.0
一方その頃。インデックスは一人の少年を探して第七学区をふらふらと歩き回っていた。
そこまでして探す理由は、空腹に耐えきれなくなったからという単純なものだ。

禁書「うう……とうまひどいんだよ用事あるからっていってお昼ご飯だけおいていっておやつを置いてかないとかありえないのに楽しい楽しいティータイムしたいんだよねぇスフィンクス」

にゃあ、と猫は賢く返答するが、その言葉に同意しているわけではなさそうだ。
むしろ不機嫌なのか、インデックスにしっぽをむけて耳を前足でかりかり掻いている。
それも、空腹に耐えかねたインデックスがスフィンクスの魚肉ソーセージを食べたからなのだが。


そんなこんなで上条を求める一人と一匹はみた。
長い耳、丸っこいを通り越してただ丸い体、額には赤い宝石のような石がついている黄色いものを。

十万三千冊もの知識を有するインデックスの頭に数え切れないハテナが浮かぶ。

インデックス「な……なにあれ?生き物……だよね?」

スフィンクスはにゃあと鳴く。
何を言ったのかインデックスにはわからないが、その声に反応して、黄色い生物はくるりとこちらを向いた。

??「ぐうー」

スフィンクス「にゃあ」

??「ぐぐぐっぐーぐぐー、ぐう」

スフィンクス「にゃあ、にゃー」


禁書「…………全然わからないんだよ」

いくらインデックスといえど人間語以外は理解できず、頭の中のハテナはどんどん増えて行くばかりだ。
そこに、その疑問をどうでもいいと言わんばかりに、彼女の空腹感が自己主張を再開しだした。
80 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/12(日) 15:06:01.59 ID:wQp6XtEo
待ってた!
81 :sageわすれた・・・ ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/12(日) 15:17:24.26 ID:.r/EPB.0
禁書「…けど、おなかへった」グー

??「ぐうー」グウー

禁書「!!きみもおなかへってるの?」

??「ぐう!」

禁書「じゃあ、一緒にとうまを探そうよ。ごはんくれるんだよ」

??「ぐーっ!」




改めて、上条当麻を見つけ隊、一匹(?)プラスアルファバージョンは上条の捜
索に忙しい。
空腹で倒れるまでがタイムリミットだ!いそげインデックス!

……とばかりに自分を鼓舞するものの、空腹で力はどんどん落ちていく。
お昼ご飯はとうの昔に消化されきっていて、胃液だけが痛い。



と、ぐーぐー鳴いている黄色い生き物が動き出した。
ぐ!と一声なにやら叫んだ後、一直線に人ごみの中に走り出す。

??「ぐーーーっ!!」

禁書「!?待つんだよ!わたしはそこまで早く走れないし何よりおなかがすきすぎてこれ以上……」


そんな言葉とは裏腹に黄色い生き物は人ごみに消える。
唯一の情けというべきか、スフィンクスはインデックスの隣に座り、しっぽをゆるく振っていた。


禁書「ううー……」

何やらよくわからない出会いとその直後に訪れた何やらよくわからない別れのせいで、ただでさえ残り少なかったHPは最早ゼロ近い。
インデックスは食い倒れの悪寒に震えたが、そこに二つの影が現れる。

??「ぐうー」グゥー

??「はぁ……カーバンクルが呼んでるからサタンさまだと思ったのにこんなちっちゃい子なの?
    空腹で耐え切れなくて倒れてるってところかしら」


別れたはずの黄色い生き物と、水色の長髪が印象的な女性が彼女の前にやってきていた。
82 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/12(日) 15:23:19.90 ID:.r/EPB.0
うわっ、携帯の文章ってあっけねえ……おわってもうたがな……
中途半端に改行が起こるのを修正してたんですが
>改めて、上条当麻を見つけ隊、一匹(?)プラスアルファバージョンは上条の捜
>索に忙しい。
ここは忘れてたごめんなさい


魔導は最近してないから脳内勘違い補正のためにここ数日小説の真魔導読んでたんだけど
アルルの世界ではワープは遠くから物出す方が簡単なんだね・・・・・・恥ずかしい
けどるるーすぺしゃるって左手限定だっけ?

とりあえずギリギリ設定に矛盾を無くすために、アルルの世界では難易度的に
触れてものを動かす<<触れずに物を動かす(召還)<<生きてるものを動かす(転移)
ってことにしときます。黒子とは2番目と3番目の順序が逆になっちゃってるという。
83 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/13(月) 22:03:11.62 ID:Yfjrs/Mo
カーくん来たか
84 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/16(木) 07:59:17.46 ID:Uf5MA.DO
ぐー
85 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/16(木) 23:58:47.33 ID:C3cSDjQo
>>1にひーりんぐ!
86 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/18(土) 07:10:13.62 ID:4kIjSRwo
叩かれることが多いぷよぷよ〜んだが俺は好きだ
名曲が多い
87 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします :2010/09/20(月) 16:06:46.84 ID:L25bZzM0
>>82
逆は調子が良ければできる
88 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/20(月) 18:36:24.23 ID:Q8CD0QSO
なにこれ面白い
>>1のパソコン早く直りますように支援
89 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/23(木) 15:29:35.77 ID:rgB88.AO
面白いな、射精したいくらい
90 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/23(木) 23:42:38.97 ID:LDxk4EAO
なんだ俺のアルルはこんなところで迷子になってたのか
91 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/23(木) 23:49:03.05 ID:rljDpLko
アルルはオレの嫁だけど、何言ってんの?
92 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 00:44:15.98 ID:yYfrmBo0
>>90 >>91
そげぶ!
93 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 00:58:36.39 ID:Fj8dC.DO
つまりドラコは俺がいただいてもいいと
94 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/24(金) 01:07:50.12 ID:beKJsEYo
ブラックキキーモラさんのお茶はいつもおいしいねえ
95 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/25(土) 01:25:51.05 ID:gCfYN.Qo
まだ治らんかー
96 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/25(土) 22:03:33.64 ID:EAMMsaY0
復活した
ちょっとためてくるね
97 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/25(土) 22:35:03.61 ID:kN1ml7go
うっひょー
98 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/26(日) 12:50:22.88 ID:iINjQZw0
カーバンクルが連れてきた女とカーバンクル自身を何度か見比べて、インデックスはきらきらと効果音が出そうなくらいに瞳を輝かせた。
おなかへった。
何も言わず、けれどぐぅ〜という腹の音は隠せずに、インデックスは言いたいことをきっちりと伝えてくる。

ルルーはあまりの期待のされかたに思わず、――

ルルー「本来貴方を私が助けても何の得にもならないんだけど……カーバンクルが居るのなら放置するわけにも行かないのよね。
     あんたこの街の人?」

禁書「……?違うよ。この街に来てから結構経ってるし、とうまの学生寮に居るけど、ここで育ったわけじゃないかも」

ルルー「まあこの街のことはある程度知ってるのね?ならいいわ。
     私は初めて此処に来たんだけど、何が何やらさっぱりなのよ。それについて教えなさい」

禁書「…………そしたらご飯くれる?」

ルルー「その程度なら構わないわよ。カーバンクルも来なさい」


――インデックスに食事を与えてしまう。それが致命的なことになることも知らずに。
インデックスとカーバンクルは抱き合って大喜びしながらよくわからない歓喜の声をあげて喜んでいる。


ルルー「と、いうわけであんた食事出来るところに案内しなさい」

禁書「…歩けないかも」

ルルー「はあ!?」


とはいえ、まだ食事への道は長そうだ。



アルル・ナジャと白井黒子は不穏な状況での邂逅から一変、町の案内と人探しという小さな冒険を作りだす。
一方で、インデックスをルルーがおんぶした形で、ルルーとカーバンクルとインデックスの食事探しの短い旅は始まる。

この二つが交差する時はじわりじわりと迫っている。
そして、それとは別の新たな交差もまた、この学園都市で始まろうとしていた。
99 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/26(日) 12:53:31.82 ID:iINjQZw0
うわあああああああ
久しぶりすぎて??を名乗る前にばらしてもうた!ドアホ!
もういいやわかってるよね…いずれ自己紹介するし……


反省文。
書きためてくる☆とか言いながら1レス分しかないという大失態を犯したのは
単にポケモンにはまりすぎてるせいですすまんこ。
これもうポケモンじゃねーだろって話だったな!Nはただの電波ちゃんだと思ってたのに…!!
今は図鑑完成目指してるところだー七賢人とかシラネエ

ごめんなさい脱線しました。

うんまた夜に来るね。さすがにこれだけは悲しい
100 :あっあと ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/26(日) 13:12:43.71 ID:iINjQZw0
アルルは俺の嫁だかんな
101 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/26(日) 17:04:04.80 ID:mzZ2Z2SO
>>100
ポケモンはバッチを貰う度に力を増す
そして俺はそのバッチをあと二つ残している
この意味が分かるな?



ネタバレはやめてください><
102 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/26(日) 17:42:49.12 ID:3Ouu62SO
ポケモンなら仕方ない
小さな冒険〜短い旅〜の文章がなんか好きだ
続きも楽しみにしてます
103 :ID変わってるけど ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/26(日) 22:00:24.27 ID:iINjQZw0

ルルー「ここでいいのね?」

禁書「ありがとう!!はいろはいろはいろ〜!!」

カーバンクル「ぐーぐーぐー!!」

ルルー「二重奏しない!ええいさっさと入りなさいよ鬱陶しい!!」



と、なんだかんだでレストラン、ウエイターさんの真ん前にて。
何が食べたいのかとルルーが聞いたら、インデックスは何食べてもいいのかと嬉しそうに尋ね返して。
普通何食べてもいいでしょと疑問に思いながらルルーが肯定の意を返したら、インデックスはメニューを片っ端から指差していった。
思わず絶句しながらもルルーはカーバンクルのためにカレーをとりあえず十皿くらい注文してから、自分のパエリアを頼む。



ルルー(……まあ、お金なら有り余ってるから問題ないもの)

とはいえ、カーバンクルに対抗できる程の大食いなんて初めて見たのだからルルーは驚きを隠せない。

一匹と一人の食事の光景に思わず胃を抑えかけながら、ルルーはようやく本題を切り出すことにした。


ルルー「それで、ここはどこなのかしら」

禁書「んぐんぐ、ほえ?あなたはどこから、んぐっ、来たの??」

ルルー「それが、」


別の世界なのよねえ、と。


ルルーは何気なく、買えばなんとかなる落とし物を探すような口調でとんでもないことを言ってのけた。
インデックスはへえそうなんだと思いながら最後の一口のハンバーグを口に運びかけて、数秒して目の前の女の言葉を理解した後、固まった。

禁書「…………………えっ?」

ルルー「少しばかりインパクトが強すぎたかしら。まあ私も三度目となれば驚かなくなっちゃったのよ」
104 :ごめん、ねむい。これで寝ます ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/26(日) 22:25:39.79 ID:iINjQZw0
禁書「……驚かないどころの話じゃないんだよ?とうまの右手並に信じられないかも」

ルルー「まあとりあえず信じなさい。それで?ここはどこなのかしら」

禁書「…………にわかに信じられないけど……ここは学園都市だよ」

ルルー「学園都市??」

禁書「えっとね、『学園都市とは約230万人の学生と教師による日本国東京都を中心とした巨大な都市であり……」


インデックスは以前調べたり聞いたことのある内容から、学園都市についてのあらゆることをすらすらと述べていく。
ルルーがその言葉を噛み砕く際に何度か呼び止めたこともあったが、彼女の完全記憶能力のおかげか、学園都市の人間ではないインデックスは、それでも何一つ矛盾点や疑問点が浮かばない完璧な解説をしてみせた。

ルルーも、実はこの都市内にいるアルル同様に、二度目に訪れた町を思い浮かべる。
飛んできた場所は違うものの、後にアルルと合流した後に訪れた町はそういえば「ニホン」と呼ばれていた気もするし、町の雰囲気もなんとなく通じるものがある。


ルルー「なるほどねえ……」

禁書「なんか質問とかあったら答えるよ?私は一応ゲスト扱いだから答えられることはあまり多くないと思うけど」

ルルー「大丈夫よ。
     とはいえ、信じがたいわよね。チカラがほとんど全員が頭いじくらないと何かしらのチカラは使えないわけ?それも一種類だけなのね。
     私は使えないけど、私の周りには何種もの魔法を使いこなすやつがわんさか居るのに」


その言葉に再びインデックスは驚きを露にした。

禁書「……え?魔術師………?」


インデックスの中では、魔術と科学は完全に分断されている。
「とうま」こと上条当麻は例外的にそのどちらにも属しているが、学園都市について話すにあたっては完全に科学サイドについてしか考えてなかった。
それなのに、突然「魔法」と、魔術用語が出てきたのだから。
105 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 02:12:27.68 ID:fDp59mMo
キテルー!
106 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/27(月) 14:02:48.44 ID:JHYM6T2o
ウィッチってどういう扱いなんだろうな
魔女と魔導師って違うんだっけ
107 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/28(火) 00:38:59.33 ID:q.DVs0co
>>106
種族じゃね? 魔法を使う人間と、魔法を使う魔女
108 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/29(水) 01:17:58.75 ID:MmY0tQAO
じゃあ魔女ってなんなんだ? 悪女的なもんなのか?
109 :1れすだけ ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/29(水) 22:21:14.19 ID:15y3DYM0
禁書「……?魔術師なの?あなたの知り合いって」

ルルー「? 魔術師って単語は聞かないわ。魔導師、かしら。アルルっていうこの黄色い子の保護者はまだ卵らしいけど」



禁書「…………え」


それなのに魔法はばんばん使ってくるのに、と不平を漏らすようにルルーは、インデックスの変化に気付かず呑気に付け足した。


ここでルルーとインデックスの「魔導師」の解釈は大きく異なっている。
ルルーのいう魔導師とは何かしらの現存する魔法を使いこなすだけでなくさらなる進化を求めて改良を加えていく魔法使いである。
一方でインデックスのいう魔導師とは、原点やその写本などから学び得た知識を後世へ残していくものである。

どちらにせよ魔法を扱う者の中でかなり上位に立つ者、ではある。



しかし、その定義のずれを指摘することは出来るものはこのレストランになんか居るはずもなく、互いに共通した知識があるという勘違いだけがここにある。


ただの学園都市の人間ではないインデックスには問題があった。自身の立場についてだ。
禁書目録として十万三千冊の原点を所有する彼女にとって魔導師は危険な存在だ。


禁書(……どうしよう、別の世界から来ただなんてあまりにも坦々と言ってたから、私の知識に無くても信じかけてたけど、
    魔術を知ってるだなんて…ハッタリだったのかも)



その様子にルルーは気づかない。
インデックスは普段はのんびりとしているように見えても緊急時には冷静な判断を下す。その判断が命取りにならないように思考を隠すことも難しいことではなかったから。


ルルー「そういえばアルルの名前だして思ったのだけれど、まだ名乗っていなかったわね。私はルルーだけど、貴方の名前は?」

禁書「……私は、――――」


けれど、インデックスは言葉に詰まってしまう。


全く別の世界が交差するというとんでもない事実がもたらす被害は大きい。
誰が悪いというわけでもなく、ただ両者に通ずる知識が不足しすぎているだけだった。禁書目録でさえも。
110 :今日も1れす ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/09/30(木) 21:07:30.80 ID:jmHGacM0

ふと言葉を紡ぎだせなくなった目の前の少女にようやく気付き、ルルーは少し驚いた。
あまりこの少女が名前を出せない程の理由があるように見えないのだ。


ルルーはしばらく黙った後、敢えて何も問いたださずに話をそらした。

ルルー「まあどうでもいいことね。とりあえずはカーバンクルが居ることですしアルルを探したいの。
     あんた、この街の案内できる?」

禁書「……ごめんね。とうまに何も言わずに出てきちゃったから、はやく帰らないといけないかも」


その言葉の裏に「アルルという魔導師がもし自分を狙っていて、自分の顔を知っているのなら会いたくない」という意図があるのだが、ルルーはそこまでは気付かない。
インデックス自身も彼女が悪い人だとは思っていないが、万が一を考えると危険は避けて通るべきだ。



禁書(―――それに、何かあったらまたとうまに迷惑かけちゃうしね)

あの一見頼りなさげに見えるがとても心強い少年を思い出しながら、インデックスは別れの道を選んだ。


ルルー「あ、そう。まあいいわ。けれどこのカーバンクルは頂いていくわね」

カーバンクル「ぐぐー」

禁書「うん、また縁が会ったら一緒にごはん食べようね、カーバンクル」

カーバンクル「ぐー」


インデックスは短い時間で知りあった奇妙な仲間と別れを惜しんでいるつもりなのだが、カーバンクルはまだまだ食べられるらしく13杯めのカレーに取り掛かっている。
その様子をみてもう少しカレー食べようかな、とインデックスは何気なく思って。


そこでふと単純な問題に気付いた。
けれど、もしルルーの話が本当なら、とてつもなく重大な問題だ。

禁書「あなたって別の世界から来たの?」

ルルー「はあ?何度も言ってるじゃない。そうよ」





禁書「………おかねは?」
111 :訂正 ◆BOdpUfAi3. :2010/09/30(木) 21:46:58.42 ID:jmHGacM0
〇一見頼りなさげに見えるが、本当はとても心強いあの少年を思い出し
×あの一見頼りなさげに見えるがとても心強い少年を思い出しながら


結構下に来てるんでageさせてくださいな。
書きこんでると落ちないとは聞いたことあるけどちょと怖い

明日も来ますー基本土日水木金は1レスくらいなら投下出来ると思うんだよね
水曜木曜はあやしいけれども。
112 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 22:37:06.07 ID:mVhigPAo
ルルー「お代?ああなぞぷよね」
113 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/09/30(木) 22:42:00.91 ID:l3l4E8co
破岩掌!
114 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/01(金) 13:37:27.24 ID:OWbXbISO
さすが俺のルルー様かわいい
115 :1res ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/01(金) 22:57:27.51 ID:akLQCAY0

ルルー「……………あ」

禁書「…………………………あなたが持ってるお金は使えないのかな」

ルルー「……これは使えるかしら」

禁書「……そんなお金見たこと無いから無理かも」



ルルー禁書「「…………………」」


ほんの数十秒で空気は冷めきって、カーバンクルがたてる皿の音だけがかちかちと響く。


禁書「これって……無銭飲食だよね」

ルルー「……そうね」

禁書「…………どうしよう。ケイタイデンワーっていう連絡するのがあるけど、わたし使い方わからないし」


ルルー「……携帯電話?」


ルルーはふとその言葉に反応した。

そういえば、少し前にこことは別の世界に飛んだとき、皆がその携帯電話なるものを使っていたのだ。
すべての機械に番号が振られており、番号を押すとその番号の者に連絡がかかるらしいが。
ルルーはアルルがとある赤髪の少女のを借りて扱うのを横で見ていただけなので使ったことはないが、わりと簡単な操作だった気がする。


ルルー「それ、私が二度目にとんだ世界で見たことがあるわ。貸しなさい」

禁書「え?うん、いいけど……私に使い方聞かれても何も答えられないよ?」

ルルー「記憶のルルちゃんを舐めないで頂戴」


ぺろりと舌で上唇を舐めて、ルルーはきわめて魅力的に勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
そんなルルーの言葉にインデックスは、むぅ、と頬を膨らませて「私だって記憶力は自信あるもん」とぶつぶつと不平を漏らす。
もっともそのトンデモ記憶力は科学技術に対応しきれていないから意味が無いのだが。
116 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/03(日) 11:05:46.24 ID:hcbjGNIo
サタン様
お金持ってきてー
117 :昨日の分の1res ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/03(日) 13:58:20.93 ID:o1hDmyE0

ルルー「確かこの十字のどれかを押して…と、違うわね。じゃあ次は……あ、これかしら」


機械の扱い方がわからないインデックスも押すボタンしかわかっていないルルーもわからなかったのだが、それは着信記録の一覧だった。

一覧から現れた名前は全てが「上条当麻」だ。
ルルーはその少年が「とうま」と呼ばれていたことからもこれかと推測しつつ、念のためインデックスに確認をとる。
インデックスはそれそれ!と大きく頷き、ルルーによって通話ボタンを押された携帯電話を受け取った。


つー、つー、という音がインデックスの耳に響く。
しばらく機械音が続いた後、ぷつりと音がして、彼女が聞き慣れている少年の声が聞こえてきた。


上条「……インデックス、なのか?」

禁書「あ!とうまだ!うん、私だよ!」

上条「突然どうして……もしかしてまたなんか事件が起こったのか?っていうかお前携帯使えたのか……」

禁書「ケイタイデンワーはね、ルルーにかけてもらったの!
    いろいろあるといえばあるんだけど、とりあえず第七学区のレストランに居るから来てほしいかも。夏休みに読書感想文書いたとこ」

上条「はあ?ルルー??とりあえず俺今から教室掃除してから行くから、30分はかかるぞ」

禁書「うん、じゃあ待ってるね。あのね、お金が無くて食事代が払えないの」

上条「ん、わかった………………って、はあああああああ!?」


ただでさえ貧乏生活を送っている上条がその言葉に反応するのは言うまでもなく。
そもそもなんで払えないのにレストランに入ったんだ、という至極真っ当な疑問すらどこかに飛んで行ってしまっている。


禁書「ルルーがおかね持ってると思ってたら持ってなかったんだよ。だから待ってるね」


インデックスはふと、あの少年がこれだけの食事の代金を払えるのか疑問に思いながらも、ルルーに携帯を渡した。
インデックス限定なら辛うじて行けるかもしれないが、ここにはカーバンクルが居て、二人に比べると少ないがルルーも食事をとっている。

禁書(……無理かも?)

ルルーはそんな懸念も知らず、電話の終了ボタンをよくわからずに長押しして、携帯電話の電源が切られた。
118 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/04(月) 18:06:29.64 ID:.NIo2qQ0

上条「おい、インデックスちょっと話を聞かせろ!だからルルーって――」


携帯電話からはつーつーと、通話が終了した合図しか聞こえない。
上条は財布の中を確認する。三千二百円。

インデックスがただの少女なら問題なく払える額だが生憎と彼女は「ただの少女」どころではすまないレベルの大食らいである。
一つ百円のハンバーガーならともかく、あそこのレストランは子供用メニューでも四百円前後からだ。
誰かにおごってもらうつもりで食べているのなら彼女は遠慮しないだろうからまず三千二百円は飛んでいくし、きっとその誰かの食費も払う羽目になる。


上条(…………死んだ。俺は死んだ!払えるかよチクショー!この三千二百円は安売りのための貯金だったのに……ってそれどころじゃない!)

上条(補助金支給が近いからおろしてくる金もせいぜい五百円程度……か。)


救いを求めるように教室を見回しても、掃除当番だけが残っている教室には土御門も青髪ピアスも居ない。
正確には土御門は当番のはずなのだが、さぼるにゃーよろしくにゃーとニヤニヤとトンズラされている。
姫神も居るが、彼女もそこまで金に余裕があるわけではなさそうだし、それよりも女子から金を借りるということがプライド的にあまり喜ばしくない。

……というか、無能力者ばかりが集まるこの学校で金が有り余ってそうな人など、思い浮かばない。
せいぜい必要悪の教会から金が入ってるかもしれない土御門程度か。ちくしょうあいつなんで逃げやがった、と上条は一人愚痴を吐く。


上条(マジで不幸だ……逮捕か俺)


こんなときほどすぎる時刻は早い。
上条は学校を陰鬱なオーラと共に出て、とぼとぼと行きたくないレストランの方向へ向かう。
待ってるね、と一切の邪気の無い声で言ったインデックスの声と、無銭飲食で逮捕の二文字がちかちかと点滅する。


と、そこに。


「あ、やっほー。なーに普段よりさらに暗い顔してんのアンタは?」

上条には彼女がまぶしい光を放っているように見えた。
先ほど姫神に金を借りることを断った理由は確かに彼女にも当てはまるはずなのに、その理由はどこかに飛んでいっていた。
彼にはブレザー姿のその少女を見て思わず言葉を漏らした。



上条「ああっ女神さま!!!」

美琴「私それ読んだことないんだけ………って、はああああ!?!?!?」
119 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/04(月) 18:11:11.36 ID:.NIo2qQ0
昨日も来れなかったんで。。

と、読んでくださっている人が居たら申し訳ないけれど、ちょっとばたばたとしているので
14日まで更新はお休み。
8日9日は少し時間空くのでその隙にもしできたら投下します。


あと、更新が再開したら22巻で出てくる設定がちょこちょこと入ってくる可能性があるんで
ネタバレにご注意を。今更だけど>>101ごめんなさい!
120 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 18:14:04.24 ID:XuqH6Igo
美琴ちんきたー!
121 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 22:20:56.30 ID:lDRC7OIo
アルルは俺
122 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 22:35:50.47 ID:u982Ldco
>>121
久々にワロタ、面白い冗談だな
アルルはオレの嫁って10世紀前から決まってる

乙!続き楽しみに待ってる!
123 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 22:52:57.99 ID:XuqH6Igo
>>121>>122の結婚式場はここですか
124 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/04(月) 23:14:37.63 ID:iJNTnASO
ご結婚おめでとうございますキリッ

いちおつ
投下再開楽しみにしてる
125 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/05(火) 00:19:56.86 ID:SkyHgVEo
ワロタ
>>122オレだけどなんという勘違い
まぁいいか、結婚できるんなら
126 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 01:37:34.85 ID:h2YQQKg0
>>106
確実にわかっているのは修行の仕方だけ。魔導師は魔導学校で勉強するのに対し、魔法使いは一族の元で修行する。

魔導世界のお金は金だしそれなりに持っているから交渉次第ではいけるかも。
それに美琴に建て替えてもらった後金買取の店に行けば返せると思うんだが…
クロスオーバーの作品見てるといっつもそれを思ってしまう。
127 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 01:59:03.18 ID:uMEAUGQo
んだねぇ
ただ、学園都市はID管理社会だし、ID持って無い外部の人間が換金出来るかとか、
ID持ってる人物に肩代わりさせようにもその出所を探られたらどうする?とかに持ってけば
文無し設定に説得力を持たせる事も不可能じゃあないけどね
128 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/07(木) 20:50:27.16 ID:xuzE5Lg0
今盛大に誤爆してきたので死にたい

投下は出来ないけどちょっとものすごい矛盾してるんじゃないかと思ってやってきてしまったんだw
アルルと黒子のシーンでアルルが携帯知らない描写してたんじゃないかと思って。
なんとかなってて安心した

とりあえず>>126-127についてはID云々よりもただ単に学園都市内に質屋みたいな場所がほとんど無いってのが一番の理由かな
学生にはそういうのが不必要だからね。
と、書いておきながら実を言うと魔導金云々はもうちょっと後で設定を使う予定なんで話はここまでで。


最後に一言。
ごめんなさい魔導メンバーにウィッチの出演予定はありません。おまけあたりで出すつもりは山ほどあるんだけどね、可愛いし。
129 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/07(木) 22:21:31.52 ID:rLjE12AO
>>128
最近の金券ショップ想定してたんだが。
学生が沢山いるなら金券ショップはあるだろう。ファーストフード、ファミレスや牛丼チェーンに行く学生は多いだろうし
130 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 17:49:39.59 ID:xtT6/sSO
>>129
金券ショップなんかで金をお金にできるの?
131 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/08(金) 22:39:12.61 ID:2zHet320
>>130
最近の金券ショップは金買取もドル売買とかもやってるよ
132 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 17:29:16.97 ID:0/WynkUo
こんなとこで安易にアルルを嫁主張するやつは命を落としたいのか?
20年以上前から全くブレずにその道を突き進んできた強者がごろごろいるというのに。しえん
133 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/09(土) 18:16:49.47 ID:g2QOVq6o
じゃあシグきゅんもーらい!
134 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 11:33:28.93 ID:6fc4nCwo
なんだウィッチじゃなくてウィッシュが出るのか
にくいことしてくれるなあもう
135 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/10(日) 18:20:19.47 ID:/FZh9sSO
>>131
そうなのか、サンクス
136 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/13(水) 23:12:41.86 ID:K4ERXMSO
再開明日かwwktk
137 :すんません急いでいるので詳細は夜に ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/14(木) 03:18:15.44 ID:ECRcwpU0
土御門元春はバイブで震える携帯電話の電源を切った。
画面にはメール:上条当麻と表示されている。彼は親友であり見逃すことのできない存在だが生憎と今はそれに構ってる余裕が無い。
バイブレータの音ひとつが命ひとつとイコールマークを結ぶのなら危険はさっさと排除しておくに限る。
てめえ掃除逃げんなとか書かれているのだろうか、と土御門は適当に推測した。



――仕事が入りました。複雑な事情のようで統括理事長直々の依頼です。詳細は全員が集まり次第説明します。


先程授業が終わった途端にかかってきた電話がこれだ。
素顔も知らない上司からの命令も、自分のスパイのスパイという肩書き上へたに逆らうこともできないから、「とりあえず従っておく」ために学校を急いで抜け出す。

掃除当番は彼に任せておけばいい。
彼が万が一暗部組織について知ったらまた一悶着起きることも容易に想像できる。
下手に探らせないためにも、「彼」については短時間でも教室に置いておいた方がいいというのが土御門の考えだった。


そうして「主人公」が知らないまま、グループは今日も動き出す。




日常に紛れ込んで近くをとろとろと走っていた非日常に乗り込むと、既に白い超能力者と露出狂の大能力者が集まっていた。
海原はまだ学校に居るのだろう、ワゴン車は彼の潜入先の学校に向かって静かに動き出す。

そういえばこいつらは引きこもりだったか、と土御門は思わずぼそりと呟くと、結標が唇を尖らせて「公欠よ」と反論を返す。
一方通行は無視してごろごろと簡易ベッドで転がりながら携帯のボタンを連打している。
注意深い土御門ですら「なんとなく」程度しかわからないが、彼はそこまで不機嫌ではないらしいことから、宛先の予想はついた。


土御門「……そろそろ電源を切っておけよ。お前のことだから命取りにはならないだろうが、万が一のためだ」

一方通行「俺がそンなヘマするように見えンのか鬱陶しい」

とはいえ口の悪さはいつも通りであったが、土御門はそこに気にかけもしない。
結局は仲間の無事を確保することで自分の命を保証するという自己勝手な意図しか、このどす黒い暗部にはないのだから。
138 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/14(木) 06:44:34.57 ID:nv5QOEwo
キャーアクセロリータサーン
139 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/20(水) 20:08:11.30 ID:IP6UR.SO
復活記念
140 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/21(木) 23:36:46.68 ID:55MfQJA0
おや復活してた
明日から再開します

ああそう、>>137で夜に書こうと思ってたことなんですが

このSSは原作15巻終了後あたりです。
ロシアから帰還後にするつもりで一方と上条御坂組との応対を考えてたんですがまさかの死亡ときたんで。
いろいろ時系列に矛盾があったらすんません
141 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 00:20:00.07 ID:6b31GFUo
まったくとある系を見たことのないオレに隙は無かった
142 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/22(金) 08:40:05.31 ID:OCcnnESO
下に同じく

すけとうだらは出るんだろうか
143 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/23(土) 03:40:48.76 ID:RWJjIVY0



がたり。




突然静かに進むはずの車が、平坦な道で左右に大きく揺れた。
それもハンドルを切り損ねたようなものではなく、台風に煽られたかのように。


土御門「―――!?」

一方「……」カチリ

結標「――」


だらりとしていた『グループ』の面子に、その刹那緊張が走る。
土御門は拳銃を握り、一方通行はチョーカーのスイッチを最大まで押し上げ、結標は隣に置いたコルク抜きの位置を改めて目で確認しなおす。
彼らが限りある武器や能力の制限時間に躊躇わなかったのは揺れるまで一切の予兆が見当たらなかったからか。


土御門「スピードを落とすな」

土御門は運転手にそう命令した後、一方通行にワゴン車の辺りを確認するよう言う。
一方通行は他人に命令されるのが不服なのかひとつ舌打ちをしたが、車窓をがらりと開けてそこに足をかけ、上半身を乗り出した。
左右には何も見当たらなく、下は乗り出す際に何も見なかった、と車の上を見上げた瞬間に何かが飛んできた。




それが何かを視認する前に、一方通行の視界が闇に覆われる。
身体が思い通りに動かず、彼の身体はワゴン車に振り落とされる。
だが、地に叩きつけられた(と、一方通行は感覚から推定した)身体は何の痛みも発しない。


一方(何、が……?)

恐らく、身体は動かなくても無意識下の反射が適用されているから最小限のダメージに抑えられたのだろうと一方通行は考える。
だがどのようなベクトルをどう操作しても、なぜ身体は動かないのか。視界は戻らないのか。
一方通行は理解できず、頭の中で情報の解析を全力で行う。


だが、その数秒後にふと闇は消える。身体も楽に動く。
一方通行は去っていくワゴン車を注視したが、そこには何の怪しさもなかった。
144 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 13:47:43.01 ID:xgQ32y2o
誤爆?
145 :ごめんね誤爆じゃないの ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/23(土) 15:41:33.39 ID:RWJjIVY0
車道に立ち止まっていた一方通行は軽くジャンプしてその足のベクトルを操作し、歩道まで一歩で移動した。
先程まで乗っていた車は去ってしまっている。何もなかったことにして海原を迎えに行ったのだろうか。

一方通行はため息を吐いた後、携帯電話を開き「いや明日は特に何の予定もな」とまで書いて止まっているメールをボタン2回で放棄したあと、土御門に電話をかける。
しかしツーツーと機械音が流れるだけで電話は繋がらない。
先程土御門は電源を切っていたか、と一方通行が気付いた直後、結標から着信が来た。



結標「もしもし、死んでる?」

一方「お生憎様だがピンピンだ」

結標「あ、そう残念。こちらには何も起こっていないわね。
    とりあえず今引き返して迎えに行っているところよ。もう着くでしょうから適当なところで待っていて頂戴」


何を返させる間もなく通話は終了した。
自分を迎えに来ることに少なからず驚きながらも右を向くと、なるほどワゴン車は間もなくやってきた。
念のため能力使用制限のスイッチを解放したまま乗り込み、車が「静かに」動き出したのを確認してスイッチを切る。



一方「携帯切れっつった後にコレかよ」

土御門「悪いな。想定外だった」


大して悪びれる様子もなく土御門は適当に返しながらも携帯の電源を入れることにした。
メールが一件。内容は「助けて金くれ俺逮捕される」とのこと。上やんらしいにゃあと思いながらも返信はしない。


結標「――何が起こったのよ」

一方「知るかクソボケ」


一方通行の機嫌は素晴らしく右肩下がりだった。
その一番の原因はやはり自分の能力が何も役立たなかったこと、そしてその原因が理解できないことか。
彼の能力にも、窒素や酸素など生命維持に必要なものは普段反射していないから対応がし辛いなどといった穴はあるが、それだけで説明がつくものではなかった。
使用された能力が一方通行にはわからない。


土御門「一方通行が『反射』出来なかったということは…魔術か?」

土御門はぽつりと一言つぶやいた。
146 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/23(土) 15:47:31.30 ID:xgQ32y2o
と思いきや暗部方面まで関わってきよるんか・・・なるほどww
147 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/24(日) 18:24:36.89 ID:57vedQSO
地の文も読みやすいな〜
>>1の他のSSも読んでみたいわ
148 :※15巻終了後です ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/24(日) 23:12:59.78 ID:X7zGfQ60

魔術。

一方通行と結標はその言葉を以前数回聞いたことがある。
海原と土御門の会話に紛れていた単語だ。



――そういえば土御門は別種の異能の力とでも呼んでいたか。

一方通行はとある抗争前の一言を思い出す。
科学的でない方法で得た能力科学の頂点に立つ一方通行としては、ある意味でもっとも厄介な敵になるかもしれない。
もっとも先程の魔術とやらなのかはわかっていないが。土御門も断定はできていないらしい。



いつ再び敵襲が来るかとの緊張感が消えないまま、ワゴン車はいつのまにか海原を拾うポイントまで来ていたらしい。
柄にもなく平和に車は止まり、海原が入ってきた。
彼はいつもと漂う雰囲気が違うことに微かに眉をひそめた。

海原「どうかされましたか?」


それに返答しようと土御門は口を開き、声を出すところでワゴン車に付いているテレビ電話機能に通信が入る。
SOUND ONLYとの画面と共に何時もの電話の男の声が流れてきた。


『彼が説明するより私が説明する方が手っ取り早いでしょうから今回の仕事内容をお話しします』

皆の意識はスピーカーに注目する。
アイドリングストップを知らぬ車のガソリン音はうるさいはずなのに、電話の声以外の音は何も聞こえなくなる。


『学園都市に複数の侵入者が現れているということでその調査と、その侵入者たちの確保が今回の仕事です。
  先程の襲撃の報告も既に受けましたが、それも侵入者の一人によるものだとほぼ確定してよいと統括理事長は判断されました。

  さて、ここからがわざわざ私がこうやって話す理由となりますが……
  襲撃時もこの車内に居た土御門さんは侵入者を魔術師と考えているでしょうが、魔術師ではありません。
  私も俄かに信じがたいのですが、侵入者のうち比較的友好的な者は自身を『異世界からやってきた者』と自称しているようで、
  その言動などからも、今のところはそれが真実だと認めざるを得ないそうです』




しばらくの沈黙後、結標が「はあ?」と思いっきり呆れた声をあげたことで、他三人の硬直もようやく解けた。
149 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/24(日) 23:16:33.83 ID:X7zGfQ60
正直禁書だけをしっていてぷよ魔導を知らない人あるいは両方しっている人しかいないと思っていたので
禁書は全員が読んでいる前提で話を進めていたんですがドウイウコッチャ
ええい、みんな禁書読んでみると良いよ!高いけど。

>>147
禁書総合スレと小ネタスレにこれの前ネタを各1レスずつ書いた以外は他作品はないよ
一応処女作っす
150 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 00:02:00.19 ID:D2vFg/oo
ぶっちゃけ禁書も読んでないし、魔導物語もやったことなくぷよぷよから入った俺でも普通に読めてるから大丈夫だと思うよ
もはやなんでこのスレ見てるんだよってレベルだけどね
151 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/25(月) 02:18:15.51 ID:jdAZdVAo
これどーいうこと!?って疑問も読み進めていけば雰囲気で分かるもんだし大丈夫なんじゃね?
152 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 13:59:40.89 ID:ltOQsQSO
>>149
気にして話を変えたり解説を付けたりはしなくていいと思うよ
禁書SSは大量にあるから全く知らないって人も少ないだろうし
153 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/26(火) 22:32:45.02 ID:QEHhTsg0
禁書のネタバレがどの程度あるか教えてくれ
あんま大量だと読むのが怖い
154 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/27(水) 22:14:26.62 ID:KHmWNbk0
みんなどうも反応してくれてありがとう
とりあえずこのノリで進めていこう

>>153
バレとは22巻のこと?
最初はこの話をロシア編後に組み込もうと思ってたから予めいくらか前置きしておいたんだが
15巻終了後のほうがしっくりくることに気付いたので22巻どころかロシア編のネタバレはほとんど無いんじゃないかな
魔術と科学が勝手にかる〜く交差しちゃったりしてるけどそこはSSということで…
155 :電話の男ってさん付けで呼ぶっけ……? ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/27(水) 22:52:49.29 ID:KHmWNbk0

土御門「……まあ仮に異世界人だとして、そうするとIDカードも無いんだろう?資料はあるのか?」

土御門は驚きつつも表面上の平静を取り戻し、電話の男に問うた。
俄かに信じがたい話を敢えて仮定とする程度までに留めておいたのは、やはり統括理事長からの直接依頼だというのが最も大きい。
一方通行も海原も結標もおそらく同じだろうと土御門は勝手に虫の良いひとりぎめをしておいて、さっさと仕事の実行へ進もうとする。


『そうですね。IDカードは誰一人として持っていません。
 滞空回線から画像と声質、今までの行動パターンなどといった情報を一人ずつまとめていますからそれをお渡しすることになります。
 とはいえ現状では確保すべき人が何人いるかも正確に判明していませんから、まずは大きく行動している三人のみの確保となりますが』


一方「まずは三人って、何人で鬼ごっこしてりゃ気が済むンだよ」

心底面倒くさそうに言い返したのは一方通行だ。
能力の性質と制限時間上、ターゲットを見つけ次第さっさと[ピーーー]ほうが得意である彼としては、怪我をさせない程度の手加減のほうが面倒臭い。
不完全燃焼だろ、と彼は誰に告げているわけでもなくぼやいた。


そんな一方通行の愚痴を聞かなかったことにした電話の男は土御門の望み通りにさっさと話を進めていく。

『まず海原光貴さん。今回は表の人々とのかかわりが予想されますのでこちらで残りの三人の情報整理と送信を。
 土御門さんは現在第七学区の南部に居る二人の女の確保をお願いします。特にうち一人はあなたの知人と現在関わっているようですから。
 それから一方通行さんと結標さんは二人がかりでこの男の確保をお願いします』


突然SOUND ONLYと表示されていた画面は写真画像に切り替わる。

まず表示されたのは茶髪の、まだ十四歳程度に見える少女と青い長髪の成人に近いであろう女性。
全く別のところの写真ではあったが、一度に表示されたことと二人の性別から土御門が受け持つ資料だとわかる。


次に現れた写真に写っていた男は、グループの男三人が思わず結標の髪の長さと見比べてしまうほどの長髪の人物だった。
驚くほどまとまっているストレートの緑色の髪。しかも頭には何か三角のものが付いている。

まるで角のようだ、と一方通行は漠然と感じた。
156 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 23:44:57.00 ID:n/1mAk.o
キャーサタンサマー
157 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/27(水) 23:58:50.25 ID:EwWM8ASO
おつ
わくわくするぜ
にやにやしそうになる
もずく
158 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/28(木) 01:54:56.97 ID:5c1n8fUo
ほのぼのな感じかと思いきや、わりとガチ展開なんだな
159 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 22:46:38.39 ID:Kr5Idiko
早く!早く続きを!
160 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/29(金) 22:51:22.16 ID:kax3XmQo
つーづーきーをー!
161 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/30(土) 01:17:15.26 ID:LSmYiJg0
言葉足らずだったなスマン
原作も漫画も一期アニメまでしか見てないからそれ以降のネタバレがあるならおとなしく去るって事なのよな

アニメ見てから原作読みたい派なもんで
162 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/30(土) 03:05:25.26 ID:NBDHD.k0

結標「……まあ随分とカラフルなお方たちで」

土御門「緑髪に青髪か。青髪は知り合いに居るが……それにしても分かりやすそうな色をしているな」

一方「三人目はわざわざ二人使ってでも探す必要ねェだろ。飛びぬけて見つけやすすぎる」


海原「………………いえあなた方も十分にカラフルでだと思いますが」

海原の必死の突っ込みは一方通行の舌打ちで清々しく霧散した。

ともかく、目立つ色をしていることはすなわち命を狙われやすいことであるとわかっているのか、全員が彼女らの衣装に違和感を覚えたらしい。
自分の命に直結することを第一に考えるあたりが皆暗部にいるからこその思考なのだが。
一人目の少女はアーマーを無くして十歩くらい譲ればまだ許せるとして、残りの二人がさすがに異質すぎる。
それこそどこかのRPGゲームに出てきそうな衣装だ。


『そうですね。その分探しやすいのは利点だと思われます。
 とはいえ三人目を二人がかりで探していただくのはそれなりに理由がありまして……
 彼はどうも翼を出して空を飛んだりテレポートしたりものすごいスピードで走っていったりと、万が一の時に逃げられる可能性が高いのです。
 この方のみ『窓の無いビル』に案内しろとの命令なので結標さんが。空を飛ぶなら空を飛べる一方通行さんがということであなた方二人が必要なのです』


窓の無いビルと聞いて眉を潜めたのは、『案内人』である結標ではなく、学園都市第一位である一方通行でもなく、土御門だ。
スパイとして彼に直接仕える形となっている土御門は二人よりもアレイスターとその綿密な計画をよく知っている。
アレイスターがわざわざ細部が不明の人物を、危険を承知してまで呼ぶ理由がない。
ご自慢の科学で証明ができない魔術サイドの者の可能性があるなら尚更だ。

土御門(……いや)

けれど彼はその答えを知っている。
本当は自分の立場から薄々気付いている。


土御門(異世界などと謳う魔術らしきもの……『計画』の大幅な変更が懸念されるか、あるいは『計画』に予め組み込んでいるか)

土御門は後者と考える。
なにせあのアレイスター・クロウリーだ。演技次第でどうこうなる主張を簡単に真に受ける人物などではない。



『さて。話すことはそれくらいでしょうか。資料を間もなく送りますので、送り次第仕事開始となります。
 その車は土御門さんを送るために第七学区南部へ向かいます。確保したらまずは一報お願いしますね。それではご武運を』


暗部のオシゴトは今日もひっそりと幕を開ける。
163 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/30(土) 03:17:40.65 ID:NBDHD.k0
>>161
すんません去ってもらった方がよろしいと思う
SS巻及び15巻(どっちも三期かなあ)を見ないとわからないと思うので……スンマセン


無理やり終わりまで詰め込んだら改行がものすごく余裕が無くて見えづらくなってキモーイ…
これで暗部サイドの序章は終了。次からまたぐるっと回ってアルル黒子組に戻ります


と、今週末の話ですが。
ハロウィンなんでちょっと本筋とは関係ないハロウィンSSを前半後半に分けて投下できたらなと思ってます。
本編に出ないことになっちゃってるウィッチメイン……になればいいんだけど………
というわけで次の本編は遠くなるかもしれません。
164 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/30(土) 21:47:30.17 ID:yXQvTvw0
レスあり
ぷよも禁書も好きだから読みたかったけど続きは二期と原作踏破してから見ることにするわ
wktkしてるから頑張ってね
165 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 11:08:07.40 ID:Z.w0va20
昨日はつい寝てしまったので今から投下していきます
Macのパソコンの使い方が未だよくわかっておらず、メモ帳がどこにあるかわからないんで
時間かかるけどここでだーっと書いていきます

※禁書はロシア編要素あり注意(22巻はほとんどない)
※時系列的にはこのSSが終わった後なんで若干ばかり当SSの最後に触れます
166 :ティータイムに花瓶を添えて ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 11:51:26.72 ID:Z.w0va20


からんからんからん。


晴れた昼のことだ。
とある少女が経営する小さな小さな店の扉が動いて、客がやってきた。
茶髪の少女と何やら黄色い生き物が姿を現す。

その少女ことウィッチは客の来店にも関わらず、きれいな金髪を指でくるくると弄りながら、もう片方の手でフラスコの中の液体をかき混ぜている。
なにやら怪しげな緑色をしている薬品だが、それが彼女の店の商品だった。


ウィッチ「いらっしゃいませアルルさん。間もなく完成しますので、しばしお待ちを」

ウィッチはちらとアルルを見た後、すぐに瞳をフラスコに戻して、素っ気なく言う。
余程慎重なかき混ぜ方が必要な薬品なのか。そうではないとアルルは知っていた。
むしろ、今までに完成しなかったのすら意図があるのではと思うような簡単な薬品をアルルは注文していたはずなのに。


アルル「……怒ってる?」

ウィッチ「ええそりゃあもう」

アルル「……わあ、ごめんなさい〜」


今回ウィッチがアルルに対して怒っていることには少し前の出来事に起因する。
時間による劣化が激しい薬品のためにアルルはわざわざ日程と時間をを指定して頼んだのに、その日に取りにこなかったどころか連絡一つよこさなかったからだ。

ウィッチ「で、ようやく連絡があった時には既に一週間は経過しており?とっくに劣化してしまった薬品をもう一度作ってくれと?
      いくら優しい私でもさすがに怒りが収まりませんわよ」

アルル「……ごめんなさいっ!色々あったんだよ〜」

頭を下げることしかできないアルルにジトっとした視線を送っていたウィッチだったが、ふと小さな疑問に気づく。
この薬品、魔導学校の授業の補修に使うから作ってくれと言っていたのではなかったか。

それを質問すると、アルルはあっさりとそれを肯定した。

アルル「だから学校も行けなかったんだよ、またよくわからないうちに別世界に飛ばされちゃってさ。
     サタンも一緒に飛ばされてたからなんとかしてもらったけどね」

すまなさそうにしつつも無邪気な笑顔を向けるアルルに、ウィッチはこれ以上責められないように感じて不満をぶちまけようとした口を止める。
167 :ティータイムに花瓶を添えて ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 12:23:30.27 ID:Z.w0va20

ウィッチ「貴女が毎回毎回別世界に飛ばされるのは何か理由がお有りなんですの?」

アルル「ボクもよくわかんないんだよね。結局原因もその時によっていろいろあるからさ、ただたんに運が悪かっただけだと思うんだけどな」

カーバンクル「ぐうー」

アルル「え、カー君のせいなの!?」

カーバンクル「ぐぐぐ」

アルル「……あ、なんだ、冗談かあ。ハハハそうだよね」

カーバンクル「ぐー!」

こうやってアルルを見ていると、ウィッチには彼女が年上だとは思えなくなってくる。
カーバンクルとの会話も自分には理解できない会話だが、楽しそうだ。
なんとなく怒りも治まってきてしまい、ウィッチは先ほどまで掻き回していたフラスコとかき混ぜ棒をアルルに押し付けた。


ウィッチ「今暇です?折角ですからお茶でも入れてきますが」

アルル「じゃあ貰おうかな。これはただ混ぜておいたらいいの?」

ウィッチ「ええ。大分粘り気が出てきていると思いますので腕が疲れると思いますけど、それくらいの報いは受けてもらいますわ」

アルル「はぁーい」


ここのイスに座っていただいて構いませんから、とウィッチは先ほどまで使っていたイスをアルルに渡して店の奥へと入っていく。

表から見えないところは、整理されてはいるものの薄暗くて埃っぽい。
ランプに手をかざして魔法で点火すると、部屋は一瞬でそれこそ「魔法使いの部屋」とでも呼べそうな場所に変貌する。
ドラゴンの爪、とあるモンスターのウロコや毛、マンドレイクの花弁をすり潰した粉。
極度のコレクターでもない限り(ただしウィッチはその中の一人に入るからこそこのような物品を持っているのだが、)見てあまりよい印象を持たない品々ばかりが置かれている。

その中からウィッチは箱にしまわれたティーポットを一つとティーカップを一つ取り出し、瓶に入った小さな粉をひとつまみティーポットに入れた。
魔法で作り出した熱湯をポットに注ぐと、粉はたちまち溶けてお湯はストレートティーへとなっていく。
粒に魔法を与えると姿形を変化するという、一種の召還魔法だった。
168 :ティータイムに花瓶を添えて ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 12:46:10.17 ID:Z.w0va20

実はこの魔法を教えてもらったのもアルルからだ。
アルルも母親から教えてもらったと言っているが、彼女と出会って知ったことはあまりにも多い。
彼女の仲間である(と思われる)女格闘家や闇の魔導師、挙げ句の果てには魔王といった人物とまで知り合うことも出来た。

なんとなく、嬉しかった。
家系故に実力を必要とされるウィッチには、彼らが癒しになって嬉しかった。


それがアルルである必要は無い。
出会いががそこを歩いている少年だったとしても変わらない。
けれどウィッチが出会ったのはアルルで、だからこそアルルの冒険に興味があった。

ウィッチ(……さてさて、今回はどんな方と出会ってきたのやら)

彼女に茶を持ちかけたのもそれが理由である。
ウィッチも以前、一度だけアルル同様に別の世界へ飛ばされたことがある。世界観や文化の違いに目を丸くするほど驚かされたものだ。
きっとあのセンパイは今回も楽しいお土産話をしてくれるに違いない。



ウィッチ「出来ましたわ。どうぞ」

アルル「わあ、ありがと!」


さて、まずはどんな話を聞こうか。
出来た友達のことを聞いてもいいし、魔導世界から何人の人が飛ばされて何人とどのような再会したのかを聞くのも面白いと思う。
ほかほかと暖かい湯気をあげる紅茶に砂糖を足して、ウィッチはそれにそっと口を付けた。
いつの間にか身体が冷えていたようで、染み渡る紅茶がありがたい。



ウィッチ「それで、今回の旅はいかがでした?」

アルル「今回もいろいろあって、すっごく楽しかったよ!なにから話をしようかなあ。最初にボクに声をかけてきてくれたのはわりときみと話し方が似てる女の子でさ………」


アルルの表情を見ると、心底楽しそうであった。
169 :ティータイムに花瓶を添えて in Rosia ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 13:12:09.78 ID:Z.w0va20
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レッサー「あ、これおまけみたいですね」

上条「ん?」

彼女が上条に差し出したのはスクラッチカードだった。
先ほど食べた全世界共通の味の某ファーストフードにおまけとして付いてきたらしい。


上条「って言っても俺ロシア語読めないんだが、ハロウィンの企画か?」

レッサー「もぐ、一等はバリューセットが貰える、もぐっ、みたいですよ。ああ、けどあなたの右手で削っちゃ絶対外れですよね。コイン持ってます?」

上条「さりげなくひでぇこと言うよな……まあ事実なのが悲しいけどさ、ちくしょー」


レッサーはコインを受け取ってかりかりと削りだした。やがてロシア語であろう文字が現れてくる。
彼女はそれを見て目を丸くして、コインを放り出して両手で紙をつかんで叫んだ。
凹んでいた上条も思わず反応する。

レッサー「おお、これは!!」

上条「当たりなのか!?」

レッサー「ズバリ外れです!!!」

上条「てめえ!!」


コイン掴んだの右手だったんじゃないですか?と悪びれずに言うレッサーに上条はむくれながらも、カボチャを眺めながら思い出したように言った。

上条「……ハロウィンって明日か。ブリテンザハロウィンとか言われてたからもう終わった気がしてた」

レッサー「ですねえ。まあこんな戦争の中でハロウィンして何になるって話ですが」


上条にはハロウィンの知識はあってもここで祭りを楽しんだとか、そういう記憶は無い。
その分今年はあらゆる出来事がなんとなく楽しみではあったのだが、何かしらの事件に巻き込まれすぎてしまってそれが堪能できないのが残念でしかたがない。
170 :ティータイムに花瓶を添えて in Rosia ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 13:57:02.59 ID:Z.w0va20

上条「そっか、インデックスもイギリス出身だもんな。やっぱ英語圏のハロウィンって違うのかな」

レッサー「日本のハロウィンを知りませんけど、けっこうあちこちにカボチャやらなんやら。大人もみんな子供のためにお菓子蓄えておきますしね」

上条「なんか楽しそうだな」

レッサー「学園都市はハロウィン無いんですか?」

上条「あ、まぁ、店がハロウィン仕様になる程度だな」


記憶のない上条としては突っ込まれると困る話題ではあったが、なんとかやりすごせたらしい。レッサーはへえと言ってポテトをまたもぐもぐと頬張りだした。
インデックスと比べるとずいぶんとおとなしい食べ方だ。
彼女と比べるのもどうかと思うが、いつも隣に居るのはインデックスだからなんとなく普通に食べる女の子が新鮮だった。
そういえば美琴と食事したときは宿題に必死であまり食事風景を見ていなかったからか。


上条「そういえば、あいつらの世界でもハロウィンは有るのかな…」

レッサー「もぐ?」

いや、なんでもないと上条はすぐに否定をした。思わず声に出てしまった感じだったが、あまり発言の意味がわからずにレッサーの頭には?マークが浮かぶだけだ。

10月の上旬がようやく終わって、それくらいに出会った異世界の人たちを思い出す。
ずいぶんと変わった連中だったが、良い奴らだった。変わった連中どころではなく変わった生物すらも居たが、良い子だった。
インデックスもカーくんとか呼ばれてた奴とすごく楽しそうにしていたな、と彼は今は隣に居ない少女を思い出す。

学園都市に戻りたかった。
無事に、という条件付きで。

上条「唐突だけどさ、言うだけタダだしもう先に宣言しちまおう」

レッサー「はい?」

上条「…………もし、この戦争を今日中に終えることができたら、」

レッサー「……」



上条「ちょっと時間ぎりぎりだけどさ、インデックスと小さなハロウィンパーティしてやる」



無茶な願いであることは百も承知だけど、楽しそうにお菓子を頬張る少女が目に浮かぶようだった。
レッサーは上条の遠い瞳をじっと見つめた後、寂しそうに瞳を伏せて、「彼女も楽しむでしょうね」と同意した。

171 :ティータイムに花瓶を添えて in Rosia ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 14:31:06.48 ID:Z.w0va20

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黒子「ああお姉様!トリックオアトリート!!お菓子、さもないと悪戯、ですわ!!悪戯、そう悪戯!ああんそうですのお姉様はお菓子を常備しているお方では無いでしょうから私はまもなくお姉様に悪戯をそう手取り足取り胸をとり」

美琴「やっかましい!!!」

部屋に入ってきたとたんに抱きついてきた黒子に美琴は反応しきれなかった。マシンガントークが繰り広げられるのを止めきれない。
けれど雷撃は炸裂した。
妙に色っぽい声で黒子が仰け反りふにゃあと崩れ落ちる。これくらいで黒子は落ちないだろうが、と考えて美琴は思わず冷や汗が頬を伝った。
寮監の靴が廊下をたたく音が聞こえてくる。近づいてくる。
恐るべき復活速度で顔を上げた黒子も参ったような声をあげた。



そして美琴が閉めたばかりの扉は再び開かれる。
常盤台中学のお嬢様は、10月30日付けで首を曲げられて落とされた。




黒子「それでお姉様、とりっくおあとり」

美琴「ほい」

しばらくして黒子がようやく声をかけると、ぽんと飴が黒子の手に飛んできた。え、と驚いて目をぱちくりとさせている後輩に美琴は残念だったわね、と言って軽く解説した。

美琴「ほらあの異世界から来た子と居たとき、アイツの近くに居る銀髪の子を見ておく必要があったから。
    あの子よく食べるみたいだしね。こんな時に役に立つなんて思わなかったわ」

絶望の表情を浮かべた黒子の反応を見て、美琴は残念だったわねえとけらけらと笑う。あざ笑っているのではなく純粋に面白そうに。
そこでふと美琴は雰囲気を一変させた。瞳を少し細めて、唇を優しく曲げて、美琴は黒子に言った。


美琴「さてと。私ちょっと用事があるから、また寮監が来たらうまくやり過ごしてくれる?悪いわね」


黒子は止められない。
そういう時に、この先輩は何を背負っているかをなんとなく知っているから。
美琴の知る世界を黒子も知ろうとしていても、やはりこの先輩はあまりにも遠すぎる。だからまだ、止められない。袖を掴んでお待ちくださいなどと言うだけの強さという資格はまだない。

黒子「行ってらっしゃいまし、どちらへ?」

美琴「ちょっと今日までに返さなきゃいけないものがあったのを思い出して」


リュックまで背負っているのに、嘘が下手だと思った。
172 :ティータイムに花瓶を添えて back home ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 14:50:32.36 ID:Z.w0va20

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ウィッチ「……まあ、本当に色々なことが」

アルル「そうなんだよ!それで漸くこの世界に戻って来れたと思ったらさ、ミスが生じたみたいでボクは変な森の中に落とされるしさ!
     戻って来れると思ってたばかりにこの世界かまた別の世界かもわからなくて妙に緊張しちゃってさ、出口もわからないしおなかは減るし」


まあ、いろいろあってなかなか来れなかったんだ、ごめんね。アルルは改めて謝るが、ウィッチはもう気にしていなかった。
彼女の話が楽しくて楽しくて、もうどうでもよかったからだ。

いつのまにか二人のティーカップには何も残っていない。薬もとうに完成されて小さな小瓶に収まっている。
十四時を指していたはずの時計もいつのまにか十五時を過ぎていたようだ。
あまりに夢中になりすぎていることにようやく気づいた二人は、見つめ合って思わず声をあげて笑った。


アルル「これ、薬品代と無駄にしちゃった材料の分ね」

ウィッチ「こちらは頂きますけど材料費はもう結構ですわよ。わりと安価で手に入るものばかりでしたしね」

アルル「そう?ありがとうね。あとほら、これお土産!」


アルルはリュックから小袋を取り出して机の上に置いた。とん、という重そうな質量の音がする。
これは?とウィッチが問うとアルルは見てのお楽しみだと言って袋を開ける。

出てきたのは、五センチ程度の小さなグラスと十センチ前後の何本かのきれいな切り花だ。
全体的にオレンジと白で統一されている中で、一つだけ小さいながらも存在感を主張する小さな紫の花がある。
薬学を学ぶために植物の名をよく知るウィッチには見覚えがあった。


ウィッチ「らっきょの花?」
173 :ティータイムに花瓶を添えて back home ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/10/31(日) 15:14:35.55 ID:Z.w0va20

アルル「うん。でもこれね、すごいんだよ!学園都市ではね、枯れない花があるんだって言うからさ、ついあっちのお金持ってる人に買ってもらっちゃった。
     というか本当は植物じゃないらしいけどね。ぷ……ぷらす、なんとか?を使ってそっくりに作ってるみたい」

ウィッチ「ではこれは飾るための偽物なんですのね、ありがとうございます」

アルル「色合いもちゃんと考えたんだ。ほら、ウィッチ明日誕生日じゃない?無理矢理っぽいけどハロウィーンだからそれらしく!」


明日はこれ使って補修だからお祝いできないからね、と小瓶を振りながら言うアルルに思わず目が丸くなった。
自分でも忘れかけていたことを思い出させてくれた彼女と造花を交互に見つめる。
小さな小さな花は丸い机の真ん中でグラスに美しくおさまっている。まるで本物の花のようだ。


素直に忘れていたことを言うとアルルは照れくさそうに笑って、



アルル「ウィッチも大切なともだちだからね、きみが忘れてもボクはきっと忘れないよ」


ウィッチ「……プレゼントならシェゾさんの服のほうがよろしかったのに」

アルル「きみも相変わらずシェゾ並の変態だよね。ああそういえばシェゾ昨日ここらへんで見たけどなんかルルー怒らせて逃げてたよ」


どうもくさいことを平然という少女だとウィッチは思いながらも、その温かさに瞳を閉じた。
彼女と「ともだち」であって良かったと改めて思った。
照れ隠しも多分アルルにはばれている気がする。彼女は端から見れば失礼極まりない返答にも気にせずに会話を盛り上げてくれている。



ウィッチ「寂しくはありませんの?折角出会えた方々なのに」

名残惜しさはないのか気になって、ウィッチはふとアルルに尋ねた。
聞かれたアルルはほんの、ほんの少しうつむいて肯定する。

アルル「そうだね、寂しいよ。けどさ、ほら、ボクにはラグナスの受け売りがあるから」

ウィッチ「?ラグナスさんですの?」

アルルより一足先に異世界を飛び回っていた、まるでアルルのお兄さんのような存在を思い出しながら、アルルは言った。
ウィッチが見る限り、その瞳に後悔はない。生まれ育ったこの世界に帰ってきたことに対する喜びが素直に見て取れる。


アルル「『大丈夫、きっとまた会える』ってね。そう信じてるからさ、寂しいけどそのときの方が楽しみだよ」



(-fin)
174 :>>171はin Japanですよねー…  ◆BOdpUfAi3. :2010/10/31(日) 15:21:23.16 ID:Z.w0va20
以上がんばって書いたつもりでも8レスしか進まない短編でした!
色々とハロウィン関係なくね?なんかわりとどうでもいい話しかしてなくね?繋がりが微妙すぎね?などなど
突っ込みどころが多いと思いますがそこは頭が足りないのでどうしようもありませんでしたスンマセン

特に美琴サイドはちょっと1レスあたりが薄くなってでももう少し書き足さないとわけがわからなかったような。。
10月30日は禁書はいろいろとありましたなあ…


またこれで本編に戻ろうと思いますが今日は力つきたのでこれまでで
175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 15:24:39.09 ID:MfpEJlko
非常に素晴らしいほのぼのハロウィンでした
乙です
176 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/31(日) 20:56:07.73 ID:yLjp7kSO
良いハロウィン短編でした乙乙
177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 00:31:42.84 ID:ipxiTQSO
まだかなまだかな
178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/05(金) 07:34:00.25 ID:BjQQFMSO
私待つわ
179 :遅くなりました ◆BOdpUfAi3. [sage ]:2010/11/07(日) 01:52:20.83 ID:6wm6gpw0

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アルルは風紀委員の二人とのんびりと、非常にのんびりと風紀委員第一七七支部へと向かう。

足取りは軽いものの、何か店がある度に進む方向があちらへ行ったりこちらへ行ったりしている。
彼女らの詳細な移動記録を取って見れば、きっと蛇のようにぐねぐねとしていることだろう。


アルル「なんか画期的な道具ばっかりだね!削る必要のない鉛筆なんて…!!まるで世界が違うみたいだ!」

黒子「実際に違うでしょうに」


シャープペンシルひとつに驚くアルルを見ていると黒子も固法も自然に昔を思い出してしまう。
まだ学園都市に来る前の頃、科学に疎かった時代を。
素直におばけや妖怪の噂話を信じて怖がっていた過去を。

アルルの話によれば、お化けや亡霊などのモンスターなども出てくるらしい。
それは即ち完全に科学と切り離された世界である。
「科学的に」という言い訳が通用しないのがあたりまえの場所は、見たこともないはずなのに不思議な懐かしさがある気がする。

アルルの言動が幼く見えるのもそのせいか。
そこで黒子はごく自然に、同い年かせいぜい一つ上に見えるアルルに質問した。

黒子「そういえば貴女、年齢はおいくつで?」

アルルは固法に奢ってもらったいちごクレープをのクリームを口に付けながら、もぐもぐと口を動かして答える。

アルル「ん、十六!」


風紀委員の二人が同時に「え」と素っ頓狂な声を出した。

アルルはそれに気付かずクレープの包み紙をゴミ箱に捨てて、新たに目移りしたのか、ショッピングモールの入口にある小さな花屋の花をじっと眺めている。
造花にちょこんと指を置いて、硬質さが意外だったのかおおっと驚いた仕草をしてみせた。



黒子「…………三つ上、ですか」

学校一つ違うと思ってはいなかった黒子は何故か半ば茫然と息を吐く。
つくづく変なお方に出会ってしまった、と思った。
180 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 03:07:59.21 ID:YRb9Y22o
きてたか
181 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 15:06:10.45 ID:ybW6HASO
うひひ
アルルかわいい
182 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/11/07(日) 20:12:18.65 ID:tsp3/Vso
アルルまじかわええ
抱きしめたい
183 :ほんと遅くて申し訳ない ◆BOdpUfAi3. [sage ]:2010/11/12(金) 01:53:57.09 ID:4mEtYck0
気持ちはわかるがここまで奔放に動かれると、風紀委員としての目的も忘れそうである。
ただの観光になっていないだろうか、と固法は残る二人に呼び掛ける。

固法「ほら、ルルーさんを探すんでしょう?」

アルル「ああ、そういえばそうだっけ!忘れてた」

黒子「……友人ではありませんの?」

アルル「あは、友達だけど……つい楽しくて」


うん、そろそろ探そう、とアルルはようやくまっすぐな道を歩き始めた。
時たま興味の惹かれる店でもあるのか、瞳を輝かせて街角を見つめるものの、ぶんぶんと首を振って前方に向き直る。
なかなかオーバーリアクションな少女だった。見ていて飽きない少女だ。


そこで、ふと固法の携帯がかわいらしい着信音を鳴らした。
数歩先歩いていたアルルが反応して首をかしげる。
なんのおと?とアルルは口を開きかけたが、黒子が携帯を取り出している固法を指差したのを見て、納得して何も言わずに口を閉じた。
戻ってきた彼女は固法の隣でじっと携帯を見つめていた。


固法「もしもし?」

初春「あい、私です。アルルさんがそちらに居るのかわかりませんが、ちょっと構いませんか?」

淡々と事務的な調子で告げる初春に固法は眉をひそめた。

固法「どうかしたの?」

初春「ええと、ルルーさんとやらの捜索が突如打ち切りになりました。上の方で特殊な捜索部隊が動くようで。
    それとそちらに居る彼女のことなんですが」


すう、と一息おいて初春は告げる。
固法は空気がしんと凍っていくのを静かに感じていた。10月もまだ前半だというのにいやに肌寒く感じる。


初春「彼女は一七七支部で保護しておいて外出させないようにと。誰かが迎えに来るらしいです」
184 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 03:59:31.34 ID:tTQIdG6o
ある程度まとまってからでもいいぜ?
185 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/11/16(火) 02:47:37.04 ID:blEGYi20

要するに一単語で言いきってしまえば軟禁である。


固法「…………それは、」

初春『あ、ご安心ください。出来るだけ早くに来てもらうよう頼みつけたので、お茶か食事でもしていればすぐかと思いますよ』


どれくらい彼女を閉じ込める必要があるのか。そう聞こうとした固法の質問は、最後まで言わせずに返ってきた。
ほんの数時間なら軟禁というレベルでもなさそうか、と固法は静かに息を吐いた。

そこで、ふと視線を落とすと二人の少女がこちらをじっと見ていることに気付く。
雰囲気がわかったのだろうか、黒子がアルルにちらと視線を向けてなにやらアピールをしている。


固法「これは本人に伝えても大丈夫そうかしら」

初春『大丈夫ですよ。ただ』

固法「ありがとう。じゃあ私たちも帰るわ」

ぷつり。
固法はアルルに薄い愛想笑いを浮かべて、出来るだけ何事もないかのように告げる。

風紀委員は所詮学生の集まりの組織であって、権力は警備員に比べるとはるかに劣る。
その警備員が出ない程の上位組織が彼女のために出ることは、即ち、「風紀委員なんかが出しゃばるな」と。
先程知り合ったとはいえ、彼女のあっけらかんとした笑顔からも内面は容易に想像できる。
きっと害を与えることはないだろうとは思うが、それでも彼女が望むのなら学園都市をせいいっぱい堪能してほしい。


ごめんね、あなたについて調べるための組織が動き出したんですって。急いで支部に戻りましょう。

黒子は視線を地に落として静かにその言葉を反芻した。
186 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 00:55:05.98 ID:32Ab67s0
アルルを閉じ込めるってできるのか?
色気で騙して逃げてしまって、黒幕の首と胴体が別れてしまいそうなんだが
187 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 01:08:35.56 ID:RKrRBKUo
アルル…
188 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/19(金) 06:55:46.63 ID:5Dty7g6o
俺が助けに行くから大丈夫だよ
189 :最近の遅さがマジで笑えない…… ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/11/26(金) 20:52:37.82 ID:V2h7yTQ0
黒子はほんの朧げながらも学園都市の深部を知っている。
自分の尊敬する人物が戦おうとしていた何かしらの理由、一月ほど前に戦った同じ空間移動能力者がかかわっているもの。
最近でいえば、初春の大怪我の原因が意図的に封鎖されていることか。

そうやって過ごしていれば、意外と学園都市というものはどろどろとしていて、裏面はなかなかにどす黒いらしいことは嫌でもわかる。
未知の力の研究という名目があれば何をされるかわからないから恐ろしい、と黒子は思う。


アルル「うん、わかった」

彼女は不安もためらいも一切見せずに肯いた。
そしてふと黒子のやけに固まった無表情の顔に気付くと、笑ってぽんと肩を叩いた。


アルル「大丈夫だよ、ボクもこういうことは何度かされたことあるしね。
     それに万が一のことがあったってボクはきっと切り抜けてみせる」


それは、一見気弱そうだが芯の強い同期の風紀委員や、心底尊敬してやまない中学の先輩が、それでも自分の信念や決意を曲げなかったときに使った表情と全く同じだった。
奇しくも、というわけではない。きっと必然的にそのようなものになるのかもしれない。
ならば、その優しさに甘えてしまおう。
「いつか」借りを返せればいいのだ、そういうものを友情というらしいのだから。


黒子「……勘違いされているのではなくて?この白井黒子がそう及ばない実力を持つ貴女のことなど、心配する価値も御座いませんわよ」

アルル「なんかそう言ってくれるのは嬉しいけど、意外とひどーい!!
     けどけど、ボクもテレポートは対処苦手だから及ばないってわけじゃないと思うよ?」

黒子「個人的にはいくつもいくつも違う能力を使われる方が厄介ですわよ」


独特の明るい会話に戻ってきたところで、支部の姿も大きくなってくる。
きい、と一七七支部の扉を開けると、花飾りを頭につけた少女がちょうど紅茶を入れていた。
ダージリンの優しい香りの中に、もうひとつ甘い匂いが漂っていることに最初に気付いたのは黒子だった。

初春「せっかくですから、ティータイムにしましょうよ。
    ほら、前に白井さんにお嬢様チックなダメ出しを食らったからちゃーんとケーキも買ってきちゃいました」
190 :そういえばセガからもカーくんのぬいぐるみ出てますよね ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/11/26(金) 21:55:42.21 ID:V2h7yTQ0
黒子「それは嬉しいですけど……先ほどアルルさんがクレープ食べておられましたわよ?」

あうっ、とかわいらしい声を出したまま固まる初春に、アルルはあわわと手を振って、食べる食べると主張した。
「私はこれから別件に行かなきゃいけないから食べられないけど、太らないようにねー」と固法が釘をさすと黒子とアルルが同時に固まる。


アルル「………うぅ、食べるもん。絶対食べるもん……元の世界に戻ったらダンジョンに潜って走って痩せるもん……」

黒子「……別に私は先ほどクレープ食べてませんし、カロリー的にはまだ余裕が……」

なんだかんだで二人ともなかなかいいペースでショートケーキを堪能しているのだが、言葉の端々から若干の後悔が滲み出ている。
初春も自分のケーキを頬張りながら、ああそういえばと話を切り出す。



初春「アルルさん、同じ世界から学園都市に来た他の人って誰か知ってますかね?」

アルル「ん〜?ここでルルーのこと教えてもらった以外はだれも知らないかも。カーくんも見当たらないしなあ……居ないのかな」

初春「かーくん?」

アルル「そっか、言って無かったっけ。このくらいの大きさの黄色い……ウサギ?」

黒子「……疑問形?」


どうもアルルはそのカーくんとやらを表現できないのか、身振り手振りで出来る限り説明する。
それでも無理だとわかると彼女はとうとう紙に書いてみせた。

そこから浮かび上がったのはやはり黒子や初春の知る生き物ではない。モンスター、とでも形容するのが一番適切そうにすら思えてくる。
黒子はその紙を手に取り、まじまじと見つめて、とある一点に目を留めた。
指を指したのは両目の間の少し上にある丸模様だ。

黒子「……この丸いのは?」

アルル「それはルベルクラクって言う宝石だね。なんか特殊な力があるらしくて、前にプリンプっていうまた別の世界に飛ばされた時は
     特殊な力を持つメダルにカーくんのそのルベルクラクから光を当てることで元の世界と行き来してたんだ。
     だからボクもカーくん探すのが先決かなと思ってるんだけど、ボクも実のところよくわからないからまた別のサタンって人に聞く必要があるかも」

彼女にはさらりと重要なことを流す癖があるんじゃないかと風紀委員の二人はほぼ同時に思った。
さっぱり理解できないです、と初春は詳細を求める。
191 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/11/26(金) 22:13:11.14 ID:V2h7yTQ0
ここでちょっくらセガ版ぷよについてオリジナル設定をば

フィーバー時代にアルルがプリンプに飛んで来た後、ぷよ!15thで何故か飛んで来た他のサタンルルーシェゾやらと再会しますが
15thの大会の優勝者はアルルという設定になってますが、優勝メダルは彼女の願いどおりにプリンプと魔導世界をつなぐ力を持たせています。

まあカーくんの力が必要ってのは完全に話の都合なんですが。
ラグナスもアゾルクラク(だっけ)で魔導世界に行けることから、世界移動するためには秘宝石の力が必要だってことにしておいてくださいな

明日また来れたらいいんだけどどうだか……
192 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 09:38:33.47 ID:Nir24QSO
面白ければなんでもいいぜ
193 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 23:30:33.08 ID:NYu9MQSO
俺が異端なのか俺以外見てないのか
194 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/28(日) 23:31:03.44 ID:qfEx0HIo
見てるお
195 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 00:17:59.63 ID:GWmw/YAo
大概がROMってるんだよ
196 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/29(月) 21:10:17.56 ID:nNePAoSO
ただ乙とだけ書くのも味気ないし、だからといってなんとレスしたら良いかわからず、結局いつも無言で読んでる
そんな俺みたいな人があと数人はいるはず
197 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/01(水) 02:38:09.60 ID:n9yZN.so
ばよえーん!
198 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/02(木) 22:31:24.45 ID:E15hJzE0
10月あたりからずっとゴタゴタとしていましたが漸く一段落ついたっぽいので
もうちょっとだけまともな投下間隔にしていきたいなあ
想像以上に見てくださってる方が多くて嬉しくてたまりません。ありがとう

--------

アルル「要するに、このメダルとカーくんのルベルクラクの力を合わせれば元の世界に戻れると踏んでるんだ。
     本当にそれでいけるかどうかは自信がないケド」

詳細なんてものは特になくてただそれだけ、とアルルはぺろりと舌を出しながら照れたように笑う。
初春が聞きたかったのは「その力を合わせただけでなぜ帰れるのか」という部分なのだが、この様子からみると彼女も結果しか把握していないらしい。
頭にクエスチョンマークが尽きないまま、初春はとりあえずの結論を導き出した。


初春「……じゃあ、そうですね。まずはそのカーくんを見つけましょう。うまくいけば迎えが来る前に見つかるかもしれません」

アルル「へ?どうやって?」


学園都市は監視カメラで溢れかえっているんですよ、と初春は笑みを浮かべた。
紅茶をお嬢様らしくなく一気に飲み干して、う〜んと身体を伸ばした後、パソコン前に移動する。
アルルも思わず席を立ち後ろからデスクトップを覗き込んだ。

初春はそういう捜索に関しては一流ですからと初春はフォローする。
あまり彼女自身はそういう類は得意ではないのか、呑気にケーキを口に入れている。


初春「この周辺を移動しているようであれば、監視カメラに映ってると思いますから
    そこから白井さんがテレポートで一気に連れてくる、というのはどうでしょう」

アルル「わあ、すっごい!」

初春「ただ、そのカーくんが白井さんを警戒しないといいのですけど」

黒子「何気なく普通のことを言うように見えてこちらをチラチラ覗くのは嫌味ですの?」

初春「御坂さんが居たりしたらドン引きするかもしれませんからね……って、あいたたたた」


瞬間テレポートした黒子が初春の頭を拳でぐりぐりとこねくりまわす。
アルルはアルルでスキンシップと判断したのか、大丈夫だよ〜、と呑気に返事をしながら風紀委員二人を眺めていた。


アルル「カーくんは女の子好きだから君なら喜んで付いていくかも」

初春「それならよかったです。白井さんの邪魔が入りましたが早いうちにパッパと片づけてしまいましょう」
199 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/05(日) 11:56:54.45 ID:U.kYfUSO

出来れば10レス分くらい書き貯めてからきてほしい
出来ればね
200 :>>1991カ月間隔くらいになりそうだけどそのほうがいいかな…? ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/05(日) 18:56:49.50 ID:yWmYA4A0
そんな第一七七支部に一直線に向かうのは一台の黒い大型ワゴンだ。

それに乗っているのは三人の男、正確にはそのうちの運転手を除く二人はまだ少年の域である。
にもかかわらず子供らしさを持たない雰囲気をまとっているのは、暗部特有のものと言えよう。



土御門「たった一人の風紀委員に交渉負けするってどうなんだ……」

海原「まあ、それでも一人を早々確保できた点はかなり喜ぶべきことですよ」


サングラスで鋭い眼光を隠しながら土御門はため息を吐いている。

彼としては無事に場所を固定させることが出来る人間はしばらくそこに置いておいて他の標的を探しに行きたいところだ。
それができなかったのは先述の風紀委員がその固定を条件に最短時間で引き取りに来ることを取り付けたからである。
どうせその近くに居るのだから問題ないように思えるが、交渉を破棄してしまえば彼女らが何かを察して逃がす可能性もある。

それを懸念して交渉に応じた海原だったがそれが土御門には不満らしい。
確かにもう少し上手に出ることもできただろうが、実を言うとその風紀委員がとある少女の知り合いであることが少なからず影響しているのだが。
しかし海原は土御門に言うつもりはない。
「彼女」や彼女の知り合いにこれ以上狙いをつけられることは彼としては決して許さない。
暗部に抵抗したとして何かしらの制裁を受けさせてはならない。

以前、自分が陥れようとしてしまったようなことはもう二度と起こさない。
とある少年が、「彼女」を守ると誓ってくれたのだから。


海原(……そもそもこの暗部に居るのにそんな小さなところまで手を加えるのも馬鹿なものですけれど)

海原は自嘲気味に唇を歪めるが、幸い土御門には気づかれなかったようだ。



運転手は二人に声をかける。


運転手「目的地はもうこの通りにありますから、降りる準備をお願いいたします」

土御門「はいよ」

海原「彼女はこの車に乗せるんですか?」

土御門「いや、数分遅れで護送車がついてきてる。俺は一旦そっちに乗って窓のないビル付近まで行くらしい。
     結標たちもそろそろ緑の男に合流しているだろうから、そいつをビルの中に放り込んだ後
     風紀委員のところのチビさんも続けてビル内に転移させるってところか」


チビさん本人に聞かれたら本気で怒りだしそうな代名詞を使いながら土御門は言う。
201 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/08(水) 23:52:41.43 ID:Q373rSQ0
海原「しかしそれで既に二人が確保出来るなら、僕がアシストに回る必要性は薄いように思われますが」

土御門「それでもいいんだが、多分さっき電話の男が言ってた俺の知り合いってのはかみやん関連だぞ?」


海原は思わずほう、と声を漏らした。
しかしながら感動のあまり出したわけではなく、また彼ですか的なニュアンスが含まれている。
土御門もそれを察したのか、まあアイツだからにゃー、と気軽に言い、

土御門「まあその分、超電磁砲やら禁書目録やらが関わってくる可能性も高い。。
     もともと彼女たちの敵だったお前は大人しくサポートしてくれたほうが何も起こらなさそうだからな」

海原「……それならば」


話はその一言で終了する。
海原にとってもわざわざ危険に会いにいくのは御免だし、それが「少女」に関わるものなら尚更だから。




静かに支部の前に車を止め、少年は軽く片手をあげて降りていく。

土御門を送り出しながら海原は一人ため息を吐いた。
運転手に、連絡があるまで暇ですよね、と話を切り出すと意外と彼も乗ってくれる。

彼は自覚がないが、暗部組織『グループ』の下っ端構成員にとって、メインメンバーに君臨する四人の中では海原が最も……というか唯一まともに話せる人物である。
そのため運転手は少し気が抜けたらしく、ほんの少々気楽に海原に話しかけた。


運転手「とりあえず止まっておくと目を付けられそうですからここから『窓のないビル』まであたりをぐるりと回って構いませんか?
     そうして連絡を待った方が次の行動にも移しやすいと思われます」

海原「ではそれでお願いします」

海原は適当に返して、降りていった土御門や先に降りて行った二人のことをぼんやりと考える。
彼は進みだした車の窓から後ろを眺め、土御門が支部に消えていくのを確認した。





コンコンと軽くドアが叩かれる。
いまだにとある小動物が見つからずにパソコンと格闘していた初春飾利は苦い顔で「どうぞ」と答えた。
隣で初春同様画面とにらめっこしていたアルルに、声を出さずにごめんなさいと口を動かす。


土御門「どうもー。お迎えに上がりましたぜい。そこの彼女さんかい?」
202 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/10(金) 23:50:14.42 ID:4cFHy8.0
それじゃあとりあえず試験的に10日程書きためてきます
20日前後にでも。
何レスになれるかどうかはわかりませんスンマセン
203 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/11(土) 00:03:42.04 ID:9CeL.7.o
いいよいいよーゆっくりでー
生存報告さえあればね
204 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 11:05:47.62 ID:TVOzfzAo
期待してるよー
205 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/20(月) 19:16:21.03 ID:YD1mcgSO
もうすぐかな?wwktk
206 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/21(火) 11:35:55.55 ID:86bSJrEo
ばよえーん!
207 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 00:54:36.81 ID:87ialys0



アルル「――じゃあ、行ってきます!」


せめて別れの挨拶は夢に満ち溢れた言葉を。
黒子と初春は、まるで買い物にでも出かける少女を見送った後、二人で顔を見合わせた。


やってきた人間がにゃーにゃー鳴いていたときはたいそう驚かされたが、口頭ではやはり「異世界なんて話なんで、ちょっと調べさせてもらわないといけないんだにゃあ」なんて言ってるのだから、暗部組織のものと認めざるを得ない。
指紋やら精神能力者やらによる鑑定だけだから安心しろとも言っていた。

しかし二人はそれ以上、否、正確に言うならそれ以下か。ともかく発言より悪い方向に現実は進むのではないかとの懸念が拭いきれない。
それはある意味、望まず知ってしまった暗部の知識が中途半端すぎるからなのだが。


さて。

黒子「……アルルさんが出て行かれるまでにあの子を見つけられなかったようですけど」

初春「…………はい」


悔しそうに唇を噛んで俯く初春の頭を、黒子は花に遠慮しながら数回軽く叩いた。
初春は顔を上げる。
彼女の唇は普段の凛としてお嬢様らしく弧を描いている。


初春が、目の前の女が笑っているのだと理解したのは、しばらく彼女の顔を数秒見つめた後だった。



黒子「ですと、建物の中に居る可能性が高いですわよね。食いしん坊だとおっしゃっていましたから
   スーパーかファーストフード店かレストランかショッピングモールあたりでしょうか?」

初春「……はい!そうですね、他の仕事がないようでしたらさっそく聞き込みと行きませんか?」

黒子「待っていましたわ。どうせ元の世界に戻るときに必要ならいずれ狙われますものね」


最初はぽかんとしていた初春もつられて笑顔になって身体を伸ばした。
アルルの使った食器を片づけながら黒子は着々と準備を進める。

初春「やはり確立が高いのはレストラン街でしょうか?」

黒子「誰かと合流してる可能性が高いですから、それが最善ですわね」
208 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 00:55:34.97 ID:87ialys0


二人の駆ける先は1kmほど北にあるやや大きめのショッピングモールだ。
彼女らの言うレストラン街は地下に展開しているが、地下だけ異様に縦に長いため入口は多い。
しかもレストランに限らずゲームセンターや大型書店、携帯ショップといった若者たちに人気の店も点在している。
出入りしやすく学生が多く集まるそこなら目撃証言も期待できると、彼女らは踏んでいた。

とはいえ、それゆえの欠点も見逃せるものではない。

黒子「彼女に出会ってからだいぶ時間が経っていますから……
   証言を手に入れてから出てしまわれてはタイムロスですわよね」

初春「出口が近くにいくつかある場所はひとつを除いて閉鎖してしまいましょうか?」

黒子「いえ、大きく動いて目を付けられると厄介ですわ」

初春「ですよね……あ、そうだ。もしかしたら」


初春は携帯を出してどこかに電話をかけ始めた。10秒ほど待って、だんだん初春が心細くなってきたあたりで電話がつながる。
聞きなれた音がBGMとして流れてきたのを聞いて、彼女は自分の予想を確信に近いものに変えた。

初春「もしもし佐天さん、突然ですがいまどこにいますか?」

佐天『あっれえ、初春じゃん!お仕事中だと思ってたよ!!あ、今ねえ、』

電話の向こうで佐天は例の地下街の西端のほうに居ることを告げた。クラスメイトと遊び歩いているところらしい。
思わず初春は声をあげて喜び、あと1時間ほどその近辺にいてくれないかと頼んだ。


佐天『ああ、お仕事?わかった!どうせあたしたちずっとこのあたりで遊んでると思うから、人探しなら手伝うからねー』

初春「ありがとうございます!えっと、黄色くてちっちゃい子を探してるんです。
   けど地下街に居るかどうかもまだ定かじゃないので、ある程度時間たったら連絡しますね!!」

佐天『え、ちっちゃくて黄色い?なにそ』

ぷつり、つーつー。
最後の一言は聞き取れなかったが、初春は得意げに満面の笑みを浮かべる。
自信満々に東から入りましょうと告げるものの、黒子は「やる気が出すぎていて空回り気味。減点ですわよ」とぐさりと釘を刺してのけ、初春の心は音を立てて崩れていった。
209 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 00:56:48.01 ID:87ialys0
---------------

アルル「えっと、とりあえず初めまして。ボクはアルル・ナジャ。きみの名前は?」

土御門「ん、初めまして。まーまー名前はそんなに気にするもんじゃないぜい」

アルル「なんで?」

土御門「俺は学園都市の裏世界の人間だから覚えていても殆ど意味がないからにゃー」


アルル「けど、そしたら今ボクは君のことを呼べないじゃない」

きょとんとした表情を浮かべながら、アルルは当然のように言った。
悪気も他意も何も見つからない彼女の黄金の瞳を見て、土御門は内心笑った。


土御門(ずいぶんと面白そうなやつだが、確実にアレイスターは気に入らないだろうな。
     ここまでストレートな動きをするとは……上やん並、ってところかにゃー)



土御門はなんて答えるか、しばらくサングラスの奥で考えた後、

土御門「じゃあお兄ちゃんって呼んでくれ」

アルル「わかった、よろしくねヘンタイさん」

土御門「すまんかった、じゃあ兄貴で構わんぜよ」

アルル「じゃあそっちにしようかな、ヘンタイさんはボクをどこに連れてくの?」

土御門「……オイ」


この手の会話には慣れてきっているかのようなスルーっぷりだ。
もうどうでもよくなって名字だけ本名を告げると、少女は嬉々としてツチミカド、ツチミカドと繰り返し呼んだ。
変な名前だね、と言われもしたが彼にとっては大層心外である。片仮名の方が余程珍しいのに。
210 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 00:57:53.55 ID:87ialys0

土御門「まあ、あれぜよ。この学園都市の市長サンみたいなやつに会いにいくんだにゃー」

アルル「え〜、乗せてもらってるからいいけどさ、せっかくだから直々に会いに来ればいいのに」

土御門「そう出来ない理由があるんですたい」

アルル「むぅ」



一般車に扮した護送車は静かに町の中央へと進んでいく。
その後部座席でしばらく続いていた沈黙を破ったのはやはりというかアルルであった。

ねえねえツチミカド、と少女は窓をぼんやりと眺めながら会話を振る。



アルル「ボクとルルー以外にこの街に来てる人はいるの?」

来ると思った、と土御門は顔をしかめる。
いずれ来る質問だと思っていたし、本名はともかく他の情報は教えるつもりなど全くなかったが、先ほどの名前の件からしても言い包めるのは面倒そうだな、とは思っていた。

しかしここで舞い降りたのはさりげない新たな情報である。


土御門「ルルー?」

アルル「あれ、ルルーは知られてないの?髪の毛青くて身長高いおねーさん」

土御門「あー、……うん居たな。アレイスターの話だと来てるうちのとりあえず何人かだけ集めるって話だったがにゃー」

アルル「ってことは、他に来てる人の特徴ならわかる?」

土御門「残念。あとアンタとソイツともう一人いるが生憎秘密事項だ」
211 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 00:59:47.73 ID:87ialys0


アルル「その人も迎えに行くの?」

土御門「そうだぜい。とはいえこれでも逆らう場合は強制連行だがな」


さらっと告げてのける。

アルルの喉が唾を呑むかのように小さく動いた。
土御門は見逃さない。内心でああ言いすぎたかな、と軽く思った。
面白かったためにからかいすぎたが、やはり表の世界の人間か、とも。

しかしながら彼は目の前の少女をせいぜい米粒程度しか理解していない。
彼女が唾を呑んだのは間違いないが、その理由は恐怖ではなくその相手への純粋な心配であり、また、裏の世界を恐れているわけでもない。
そもそも、裏の世界を知らない彼女には知ることができるはずもない。



アルルが思い出すのは黒子と初めて出会ったときのことだ。
似合わない格好で不審な動きをしていた自分に一切の責任はあったが、一度体験した能力による強制連行は楽しいものではないことを、あのとき知った。
彼女の空間転移だったから穏便に済んだものの、もし炎や氷や雷で拘束する人だったら。


そして、なによりも。
打ち解けてみると心優しかったあの少女の、あの警戒に満ちた瞳と声は忘れられない。


アルル「ボクの知り合いたちは皆強いから大丈夫だと信じてるけど」

打って変って堅く静かな声が小さな車の中に響く。



アルル「……けど、必要以上の攻撃を加えたり、大切な言い分をわざと無視したりしているのなら、

     それなら、ボクは許さないからね」


黒いサングラス越しに眺めた少女は、いつのまにかこちらを向いて強い意志を向けていた。
学園都市第一位すら相手にするつもりなのか、そもそもどうやってその情報を掴むのか。
詳しいことはちっともわかっていないのだろうが、これはなかなかピリピリとして心地よい。


土御門「―――ま、善処するぜよ。余程のことがない限りはそんなこと無いだろうしな」


彼は、普通に笑ったはずの表情が不敵なものになっていることには気づかない。
212 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2010/12/23(木) 01:05:28.41 ID:87ialys0
うん、あれだよね……
自分の指の遅さは昔から変わらず鼻で笑い飛ばされていくレベルだったけど
やっぱりなんとこれで終わり。やっべ言ってて悲しくなってきた

ちょこちょこと視点が変わるのでややこしいなー次からはみんなの上条さんのターンの予定
続々と作中で出したい禁書キャラは揃ってきているのに魔導キャラはマジで少なそうな悪寒
魔術サイドも一応絡ませる、つもり。後半の方にどんと。

というわけでノロノロペースですが、定期的にレスくれる方々に涙が出そうです
こんなんでごめんね、少しでも楽しんでやってくれると嬉しいです。次も急ごう。
213 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/23(木) 12:22:30.00 ID:S/MRQKco
乙!
アルルの「へんたーい」の破壊力は異常
僕もアルルにヘンタイさんって呼ばれたいです><
214 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 08:29:02.31 ID:Sn2vwPko
おつ!だいすき!
215 :Are you enjoying the time of eve? [sage]:2010/12/24(クリスマスイブ) 18:59:34.83 ID:8ZPWnoSO
へぇ…ツチミカドって読むのか
とりあえずドゴモンだと仮定して読んでた
216 :クリスマス終了のお知らせ [sage]:2010/12/26(日) 01:39:33.56 ID:ZOJPpEMo
乙!
楽しみすぎて右往左往
魔導のクロスってあんまりないんだよなー
結構どの世界とも親和性高そうなんだけど
217 :クリスマス終了のお知らせ [sage]:2010/12/26(日) 02:16:25.37 ID:sCDbOsSO

続きもゆっくり待ってます
218 : ◆BOdpUfAi3. [sage]:2011/01/01(正月) 02:02:15.14 ID:F0XbHjg0
あけましておめでとうございます!
そして先日3日間の戦い、お疲れ様でした〜。参戦された方は何人いるのやら。
自分は2日目のみの参加になので魔導方面が漁れなかったのが残念無念…また来年?

ということで現在帰省中なんで、1月4日までは書き貯めもなしに適当にぽんぽん投下していくつもり。
予告もなしに適当な投下となりますがどうぞよろしくお願いします!
え、今日?眠いからもう寝ますごめんね。

※次回から酉が◆jCmkp0hZEA に変わると思います。変わらなかったら笑ってやってくだせー
219 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/01(正月) 11:04:25.73 ID:to0xT4ko
wwktk
220 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/01(正月) 13:17:10.60 ID:F0XbHjg0
そんな土御門とアルルが「向こう」を思っている頃。
少女の懸念する最悪の事態は案外あっさりと回避されていた。




人通りの少ない、……要するに裏の世界との繋がりも少なくはない、第十学区のとある通りにて。


学園都市第一位の超能力者と、超能力者に最も近い大能力者とすら評価される最大の空間転移系の能力者。
以前は敵対する仲ではあったものの、何かあれば互いに全力を引き出しあい捕まえにかかる覚悟でいた。

一方通行はビルの隙間に身を隠しつつ、耳に全神経を集中させ、チョーカーから指を離さずにいる。
結標は能力を見せびらかすことなく、ひとり例の緑の髪をもつ長身の男に近づいていく。
よくよく見るとワゴン車の中で写真に見た角らしきものはそのまま角だった。
内心で結標は何やってるんだコイツ、となんとなく生温い気分になる。
結論から言うと角は本物なのだが、学園都市の常識から判断している結標には痛いようにしか見えないらしい。


近づいてくる彼女に気付いた男が、ふとそちらに首を向ける。
おかしな見た目にも関わらず異様な威圧感を纏う男だ。
血のように真っ赤な瞳と目が合い、結標は微かに唇を歪める。
9月のあの真夜中、絶望にも聞こえる杖の音を響かせながら笑って自分を殴り飛ばした超能力者が重なった。

ああ、やだもうムカつく。本人にも声が出たかどうかわからないくらい小さな声で、結標は小さく呟いた。


結標「学園都市のトップが貴方を呼んでいるから、来ていただきたいのだけど」


男は、雰囲気を一転させおおわかったぞと驚くほどあっさりと了承した。
無意識に警戒していた結標の緊張が一気に解けていく。

お前もこの町の人間か?ほう、学園都市というのか!ところで愛しのカーバンクルちゃんとアルルはどこだ?
今まで誰とも話相手になってくれる人に合わなかったのだろう、想定外のマシンガントークが飛んでくる。
若干引きながらも話を流して流して、ふと後ろを見る。
ビルの陰に隠れていた一方通行も呆れかえった顔をひょこりと出していた。

どうやらこの男は見た目以上になかなかの変人らしい。
221 :東京は何にも金がかかるのお…… ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/03(月) 01:03:32.56 ID:enJvNyw0
話を聞き流すのがだんだんと面倒になってきた結標は途中で男の話を切って話を元に戻す。


結標「それで来ていただきたいのだけど、飛ばしたいから一応私に触れてくれるかしら」

男は「飛ばす」の意味がわからずに首を傾ける。
結標の座標移動は元々、触れていない物も飛ばせるとして空間移動系能力の最上位に相当しているが、移動前の座標の把握が必要となるために危険もその分高くなる。
彼に触れるように言ったのは座標を限りなく自分に近づけることでより正確な座標を知るためだ。


今からテレポートで貴方を連れていくから、移動後に壁に詰められるのが嫌ならさっさと腕を掴んで。
そう言って結標は好意の欠片も見せず、つまらなさそうに腕を男に伸ばす。

しかしながら彼は手をつかむ前に、彼女の後ろを指差して、そこの彼はいいのかと問うた。
指をさした先には誰の姿も見えない。しかし結標は小さく驚く。
やがて10メートルほど先のビルのすきまから姿を現したのは、鋭い眼光を灯したままの白い少年だった。
一方通行は不機嫌そうに舌打ちをした。


結標「あれでも人の動きは見てるのね」

??「なんたって私はサタンさまだからな!私にはできないことなど一つもないのだ!!」

結標「そのわりには元の世界に戻ってないのね」

サタン「まだアルルやカーバンクルちゃんやらを見つけてないからな。大切なものを置いて帰れんだろう」

結標「……そのわりにはまだそのアルルとカーなんとかやらを見つけていないのね」


サタンと名乗る男はぴしりと固まった。
結標は一方通行に軽く手を振り、貴方なんかを運んでやる気はないから自分で窓のないビルまで来てよね、と伝える。
そして返事も聞かず、動かないサタンの髪を引っ張るように持って姿を消した。一方通行は非常に不機嫌そうに舌打ちをした。
222 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/05(水) 02:26:52.42 ID:xoNFWSI0
結標はサタンの緑の髪を強引につかみ、学園都市の空を飛ぶ。

本来結標の移動距離は優に800メートルを超えるが、他のテレポーター同様に長距離になればなるほど精度が甘くなるという欠陥を抱えている。
その上建物の並ぶ視認できない場所に正確に飛ばすとなると尚更だ。
そのため、遠くまで見渡しやすく若干の座標の誤差なら問題ない空を、彼女は常々の転移に利用する。

さらに今のように正確さを必要とするには何度か転移を繰り返す必要もある。
以前は連続移動すら出来なかったのだから十分な進歩と言えるのだが。


結標(それにしても、あの風紀委員と同じことをやるだなんて。全く苛々する)

能力の使い勝手がもう少しよくなれば、と結標は澄みわたる空の中でため息を吐いた。
ふと隣の男がもごもごと動いた。転移後と次の転移前の僅かなラグで言葉を発している。

サタン「それにして、もだ。髪を、掴むのは、痛いの、だが、どうにか…」

結標「ああ、悪いわね。もう着いちゃった」

時間に換算すると二十秒もかかっていない。
窓のないビルを視界の下に収めた結標は、地上に身体を移動させて適当に返答した。


地上には人通りも少ない。
サタンの髪をぱっと話して、少女は上空をぼんやりと眺める。
彼女が眺める北西の方角には、やがて白い点が現れて人の形を成していった。

彼はと言えば髪を整えて、なかなかの空の旅だったぞーと満足げに肯いていた。
そこで空中飛行に驚かないあたり、いよいよ電話の男の情報に真実味が見えてくる気がして、結標はじろりとサタンの容姿を眺めた。

結標(……うん、やっぱり胡散臭い)


結標より長い空の旅を終えて、音も出さずに二人のそばに着地した一方通行は自身の気分を隠そうともせずに言う。
返答する彼女も彼女で、売られた喧嘩を買うような調子だ。

一方「で?これ送った後はどうしろってンだ。一番人手と時間がかかるはずじゃなかったのかよ」

サタン「おいこれ扱いするなこれとはなん」

結標「私に言われても。土御門でも待ってたら?もっとも一時間はかかるでしょうけど、先に土御門に会ったら宜しく」


私はこれを運ばなきゃ行けないし、と彼女は女子高生という響きにそぐわぬ笑みを浮かべた。
だからこれとは、などと言っているサタンとともに彼女の姿が掻き消える。
見えない場所への転移のはずだが慣れているのか、サタンには触れようとすらしなかった。
223 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/05(水) 02:27:48.73 ID:xoNFWSI0

一方通行は何度目かもわからない舌打ちをして、電極のスイッチを元に戻してビルにもたれかかった。


先ほどの発言からしてもどうせ結標はビルの内部の一室かどこかで暇つぶしでもして話が終わるのを待っているのだろう。

人通りも少ないこの道では、通行人を見て暇つぶしなど出来そうにない。
もういっそどこかで食事でも摂ろうかとも考えたが、結標が戻る時間がわからないのでまた何か言われたら面倒くさい。


一方通行は溜息を吐いて独り言を呟く。


一方通行「ったく、マジでつまンねェ」








そうか、と返事があった。
ビル風に酷似した、しかし明らかに不自然なつむじ風が舞う。



いつのまにやら、近くの電灯の上に黒服の男が立っていた。

224 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/05(水) 02:29:40.29 ID:xoNFWSI0
帰省分おわり嘘予告ごめんね上条さんみこたん
視点の変化を抑えたらどんどん後回しになっていくよ…

また4,5レス位貯まったら来ようかなと思いますー
225 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 03:01:30.31 ID:T6PAxyEo
シェゾたんキタ━━(゚∀゚)━━乙
226 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/05(水) 03:47:34.40 ID:2fbq59go
へんたーい!
227 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2011/01/08(土) 16:34:39.74 ID:hc4sQoSO
いいとこで切るなあ!
228 : ◆HDB2DtaO5IC0 [sage]:2011/01/14(金) 00:46:59.84 ID:y5qoBqdt0
あれ?ゴメンナサイ酉テステス
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/

229 :真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/01/14(金) 12:00:27.84 ID:/3ECcm0AO
来てるー
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/15(土) 00:08:44.83 ID:YiI4+YVDO
何故今まで見ていなかったのか…超俺得スレ発見。
ゆっくり期待待機
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/17(月) 04:52:52.39 ID:1/wnrqgeo
やっと追いついた
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/23(日) 17:56:53.73 ID:/2MXDjMP0
>>1 マダー?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 08:37:07.86 ID:u36eI3E2o
wktk
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 12:07:26.59 ID:6GWzcM9a0
もうすぐ一ヶ月だぜェ、>>1ィ・・・。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 15:04:54.61 ID:5l2lM+OMo
続きかかなくてもいいから生存報告がほしい
237 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:41:39.92 ID:8k4adeqc0
驚いた。昨日は確かにレス数は233だったのに。すごく行動を読まれてるくさい。

言い訳するとインフルしてた。
インフルさんの何が怖いって、復帰後の帳尻合わせが大変ですよねー相変わらずの量だけど投下します
238 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:42:36.14 ID:8k4adeqc0


一方「……誰だオマエ」


一方通行は男を強く睨みつけるが、男のほうは動じる様子も見せない。

ふと彼の視界に、風になびく黒いローブの中にある何かが目に入った。
初めは長い棒かと思ったが、よく見るとそれは鞘に収まっている剣である。
それを確認した瞬間、杖を握る右腕に力が籠り、左手が電極のスイッチの方へ動く。

一方(さっきの奴の同類か? ……だが仕事の資料には載って無かったが)


男「名乗る必要もないだろう。少しばかりお前に質問があって来た」

一方「答えてもらう側の態度じゃねェな」

男「それなりの手段も用意しているさ。聞くだけ聞いていけ」


ふと気がつけば男の左手には剣があった。彼は軽く手首を振り、一度それで風を斬る。
一方通行はいつの間に鞘から抜いたのかわからず、小さく唇を噛んで左手の人さし指に意識を集中させる。




男「アクセラレータ。学園都市の第一位、で間違いないな。
   ラストオーダーの司るミサカネットワークによって超能力の補助を受けている、そうだな?」


一方通行は答えない。表情も男から見れば何も変わらないように見える。
だがたった一人の少女の名前が出たとき、彼の眉は小さく動いていた。

ああ、傷つけるつもりはない、と彼は思い出したように前置きした。
それが一方通行に対するものなのか、はたまた他の誰かへのものなのかはこの流れからは読めない。


――それが打ち止めに対するものであるのなら。
――あるいは、打ち止めには傷つけるつもりがあるのなら。
239 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:43:37.21 ID:8k4adeqc0

彼は、「万が一」のために、話の流れを一度切る。

一方「――いや、二つほど答えてもらわねェといけないンだが」

男「……ものによっては答えようか」

一方「一つ。オマエは別の世界の人間なのか?」

男「ああ」


返答は拍子抜けするほどあっさりと返ってきた。
男は存外つまらない質問だとでも言いたげに右手で剣を軽く撫でる。
剣と指が触れ合って音が立ち、その音は一方通行の耳にもしっかりと届く。

出会って一分も経っていないのに、それだけ緊迫した空気が辺りを覆う。



一方「二つ」

窓ひとつないビルの隣で静かな空気のなか、少年は低く尋ねる。


一方「……さっき俺を襲ったのはオマエか」


ああ、とやはりあっさりとした肯定の返事が返ってくる。
目の前の少年が一方通行だということは答えずとも理解しきっているらしい。
男は剣を軽く振りながらご丁寧に解説を加えた。

男「反射、だったか。それがどこまで通用するのか一度確かめておく必要があったからな。
   流石に俺の魔導が全部反射されるようじゃ勝ち目が無い」

それは、裏を返せば反射が出来ないのだからと勝ち誇っている。
一方通行はふざけンなと呟いた。


一方「攻撃加える気満々じゃねェか」

男「お前の回答次第だがな」

240 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:44:59.64 ID:8k4adeqc0

男はさて、と小さく息を吐いた。
一方通行は腰を低く下ろし、殺し合いにかかる準備は万端になっている。

男「虚数学区、ってのがあるらしいな」

一方「……来たばっかなのに何処で知ったンだよ」

男「お前たちのお陰さ」

一方「はァ?」



男は「俺はそっちの匂いに敏感なもんでな」と前置きして、


男「最近この街の暗部で大きな騒ぎがあったんだってな。偶然だがこの世界に来てから最初に訪れたのが
  壊滅した組織の下っ端が溢れてるところだったんで手っ取り早く情報が得られた」

スクールって言ったか、と小さく男が漏らしたのを聞いて一方通行はようやく納得した。
自分を殺しにかかったあの第二位の組織だ、下っ端たちにある程度の下調べを任せていたのだろう。
それにしてもこの男はその下っ端たちとどのような交渉を行って自分の情報を手に入れたのか。
よっぽどの話術か、あるいは強行突破か。


男「話を戻すか。虚数学区というのがあるらしいが、通常の場合はそこに出入りできないらしいな。
   噂としては相当広まっているらしいが」

一方「当たり前じゃねェか。聞いた話じゃAIMの塊だろ」

男「俺はそこに入った」


さらりと男は一方通行の発言をすべて覆す。
241 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:46:05.24 ID:8k4adeqc0

男「そう長い間居たわけじゃない。たった数秒間だ。それでも来たばかりの俺にすら異常性は理解できた。
   ……一秒も経たずに街並みがどんどん変わっていった」

一方「……」

男「この街の一番偉い奴はそれを利用しようとしてるんだって? そしてそれにシスターズとやらが絡んでいるとか」

結構重要な話らしいからなかなか聞きだすのに苦労したぞ、と男は溜息を吐く。
一方通行は嫌な予感がした。

男「お前、流石にシスターズ全員の居場所はわからないんだよな?」


いい加減先は見えた。
チョーカーのスイッチをすっと右へスライドさせる。
フルに演算を必要とする、能力使用モードへ。
男も少し離れた電灯の上で剣をとうとう一方通行の方向へ向けた。



男「だからラストオーダーの居場所を知りたいんだが……やはりそう簡単に教えてくれそうにないか」


ずっとつまらなさそうだった男の表情が、不敵に笑ったものになる。
黒のローブがはためき、男のオーラが変わる。


一方通行は、杖を投げ捨てた。


オーラとしか一方通行には表現のしようがない。
具体的に言うなら本気の海原光貴が纏うそれに似ているが、あの胸への妙な圧迫感は全くない。
それが学園都市とは違う世界の、魔法や魔導というものなのだが。
242 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:47:17.01 ID:8k4adeqc0

一方通行は手始めと言わんばかりに小さく足先で地面を叩く。
それだけで突然、男の立っている電灯が凄まじいスピードで折れ曲がる。

しかし男の姿はそこに無い。
一方通行は驚かなかった。最初に現れたとき、唐突過ぎると思ったのだ。
あの静けさでの登場は、自分の移動速度をもってでもまずありえない。
よって空間転移だと一方通行は結論付け、視界を広げるために地面を蹴って空へ飛び立つ。

明らかに自然風でない風が一方通行の周りに渦巻く。
先ほどと違うのは、それが一方通行自身が出したものであるということだ。
攻撃手段でもあり防御手段でもあり飛行手段でもある竜巻を、一方通行は攻撃手段に展開する。


こうして攻撃に移るまで、実は一秒も経っていない。

地上近くにようやく現れた男は一方通行の姿が消えていることに気付くが、もう遅い。
台風を超える速さの風が襲いかかり、男の身体は近くの建物のほうへ飛んでいった。
瓦礫と土煙が溢れるその中に一方通行は突っ込んで、手っ取り早く首根っこでも掴んでやろうとしたが。


伸ばした右手に異常な冷気を感じ取り、一方通行は一瞬呆気に取られた。
無論反射は機能している。いくら別の世界の異能の力とはいえ、単純な温度変化なら反射圏内に入るはずだ。

しかし、それ以上のことは何も起こらない。
警戒心から失速した一方通行は男の転移を許してしまう。


男「……一定以上の攻撃翌力がないと傷は与えられないのか」

背後から現れた声は、驚きのものだった。
しかし困っているようには全く聞こえない。むしろこの状況を楽しんでいるようにすら見える。

一方(ふざけンじゃねェぞ)

ぶつかり合いを楽しむ余裕など一方通行にはない。
打ち止めがかかっているのだ。手っ取り早く倒すに限る。
幸いなのは、人通りの少ない道だという点か。

男は剣を肩の高さまで持ってきて、一方通行は鉄骨で出来ているはずのビルに手をやる。
それなのに、それだけで彼が触れた場所はどんどん崩れ落ちていった。

彼はさらに風を操り、それを男へと向ける。


男が何かを呟いてそれを回避したところで、一方通行の姿は消えている。
男は舌打ちをした。
243 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:47:58.15 ID:8k4adeqc0
男(ッチ、リバイアはでかすぎたか)

本来攻撃をそのまま相手に返すための魔法をとっさに防御に使ったせいだろうか。
派手に返しすぎて一方通行を見失ってしまったのだ。



そんな男を、一方通行は一部崩れ落ちたビルの陰で見ていた。
窓の桟に腰を下ろして、ズボンのポケットから黒く光る武器を取り出す。

一方通行には地の利があった。いくら下調べが出来ていたとしても、十年そこら住んだ街の情報戦なら負けるはずがない。
なァ、この場所ってそこからじゃ見えねェだろ。内心でそう嘲笑して、拳銃のスライドを引く。

一方(……反射が効かなくても行ける)


一方通行は微かに口角を吊り上げる。
そして、あの黒いローブに覆われた背中の、無防備そうな下腹あたりに拳銃の標準を当てて。


この場で引くわけにもいかない。彼が打ち止めの場所を探し出す可能性は十分にある。
それなら、ここで仕留めておくしかない。

この一発で決める、と唇を動かさずに小さく呟く。
そして、人差し指に力をかけた。



……だが、一方通行は頭に疑問符を浮かべる。


引き金は確かに引いたはずなのに、確かに途中までは引けた感触があったのに。
途中でそれは空を掻くように軽くなったのだ。

コンマ一秒もかからない時間の中、彼は男から拳銃に視界を切り替える。





拳銃は、真っ二つになっていくところだった。


遅れて現れた、拳銃の先と共に地上に落ちてゆくそれは、よくわからない瘴気を放つ不気味な剣だ。

244 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:51:11.92 ID:8k4adeqc0

そして、剣は再び姿を眩ませる。

一方(……遠隔転移!)


なぜこの場所が割れたのか。ばれた今は最早どうでもいい。
一方通行は壁を蹴って、自身の全ての運動量を下方向へ変換し、驚くべき速さで降下する。


――それが正しい選択肢だったか否かと問われても、決められないのかもしれない。


男「闇の剣よ――――」


男の漆黒のローブがぶわっと持ちあがる。
一方通行は地上に足が着くと同時に、今度はそのベクトルを地面からビルへと伝えた。
地面が割れ、近くのビルのありとあらゆる窓ガラスが辺りに降り注ぐ。

男は頬に傷を作りながらも、朗朗と叫ぶ。
一方通行は直感だけでまずいと感じた。


男「――――切り裂けぇッ!!」

しかし、それと同時に衝撃波が一方通行に襲いかかってきた。
反射は、機能している。

245 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:56:43.92 ID:8k4adeqc0
相変わらずの量の少なさ!
一年くらいかけて終える予定だったのにまだ1/3も進んでない。さすが俺。ごめんなさい。

戦闘シーンが味気ないSSだけはやめようと思ってたのにねーHAHAHA
虚数学区云々を一方さんが知ってるのは原作では言及されてないけど、まあご愛嬌で。
まあ何で虚数学区が関わるのかなんでこの黒いの入れたのとかは今後に関わるのでパス。
禁書原作をよく知らない方がいらっしゃいましたらごめんなさい虚数学区はぐぐってください。
アルルちゃんかわいい


スレタイが遠い
246 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/01/30(日) 21:58:10.57 ID:8k4adeqc0
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄


SAGA忘れたAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 22:23:58.48 ID:i+/YsyY9o

翌あることだ、気にすんなwwww
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/30(日) 23:29:42.69 ID:5l2lM+OMo

おもしろかったww
またいいところで切るなww

インフルは熱もだけど関節痛がぱねぇ
体調完全に戻るまでしばらく気をつけて
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/31(月) 02:43:11.05 ID:24kxaDUO0
ktkr
>>1乙です
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2011/01/31(月) 17:58:29.19 ID:0ReY6jUAO
よいSSだな。
ageさせて貰うぞ。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/01(火) 14:15:18.34 ID:uY9njQYDO
来てた!次回も超期待です!
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 11:26:09.86 ID:LALEqkm9o
wktk
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 23:44:01.50 ID:nTKxc9EIo
wwktk
254 : ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/02/22(火) 04:53:49.95 ID:LpSJeIN50
酉変えたい
とりあえず生存報告したほうがよさそうなんでご報告
今週末に投下出来る…と思うんだけど。というか今週投下しなければ3月中盤まで伸びる悪寒ががが
立て込んでて本当申し訳ない。こんなスレにでもwwktkしてくれる方々が居て本当に嬉しいです、ありがとう。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 20:58:50.89 ID:ivSrJ/V1o
まあ第一優先はリアルだ
私待ーつーわー
いつまでも待ーつーわー
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 00:01:54.30 ID:VgRD63DSO
生存報告してくれるから安心して待っていられる
マイペースで頑張って下さい
257 :次レスで酉変える!この酉よく被るんだね ◆jCmkp0hZEA [sage]:2011/02/27(日) 00:31:23.90 ID:oTg0PLr/0

それは先ほどの一方通行とと同じレベルか、あるいはそれ以上の威力を持つ衝撃波だった。
ただ攻撃と違うのは、攻撃範囲が絞られているか絞られていないか。


男から一方通行へ直線状に伸びた攻撃は、一方通行を吹き飛ばそうとする。
本来なら反射が機能して一ミリも動かないはずの彼の身体は、崩れかけた地から離れまいと必死になっている。

浅い痛みが左の腹部に走った。思わず一方通行が視線を落とすと、さくりと切れた服の間から赤い液体が垂れているのが目に入る。
予想は出来たことだが、反射が中途半端だ。痛みは適当に自分の神経を弄ればなんとかなるだろうが、それ以上に踏み込めない。



と、刹那にそこまで一方通行が思考したところで身体が妙に軽くなる。
痛みで集中が途切れたからだ。

乱暴に吹き飛ばされた身体は自身のベクトル制御をうまく受け付けなかった。
本来なら致命傷レベルだっただろうに、軽く飛ばされる程度で済むのは一方通行の能力あってこそに違いない。
続けて足や左腕などを切り刻まれながら十メートルほど吹き飛ばされながら彼は男を見る。
この衝撃波もある程度は反射されているのだろう、苦悶の表情を浮かべた男の額に、一筋の血が流れていた。
男の銀髪が、青いバンダナを失って彼の瞳を半分ほど隠す。


風がおさまるころ、宙を舞いながらもなんとか一方通行は地に手を伸ばす。
中指がコンクリートに触れたと同時、少年の身体はその格好のまま静止した。
やがて風に身を任せて足から体勢を立て直す。


そこで、一方通行の首元に冷や汗が伝い落ちた。男の姿が消えていることに気付いたのだ。
男の奇妙な、殺気と言うには大人しすぎるけれど敵意と言うにはどこか残酷なあのオーラとやらが、自分に嫌というほどぶつかってくる。

自身の気配を全く否定していなかった。
それなのに、数秒たっても次の攻撃が来てない


一方通行は、最強の名に似合わず小さく唾を飲み込み首を後ろへ動かす。


男「動くな」

首を動かす途中で低く呟かれ、反射的に行動を留める一方通行。
左目の左端、やけに近くにぼんやりと映ったのは、クリスタルの剣。

258 :このレスで酉変える! ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/02/27(日) 00:32:25.80 ID:oTg0PLr/0

男にとっても賭けだったのだろうと一方通行は妙に冷静な頭で推測する。
反射がどこまで適用されるのか、彼らは二人とも正確に理解していない。

一方通行なら首を動かさずとも少し足の親指を動かすだけで攻撃手段になりうる。
単純な剣とも思えない。けれど下手に出て首を刎ね飛ばされるなど彼にとっても真っ平御免である。

一方通行は平静を努めて、しかしながら低い声で言葉を出した。
結局は博打勝負である、と結論づけて。


一方「イイのか」

男「何がだ?」

一方「俺の能力は知ってンだろ? 迂闊に俺に触れればその剣、下手すりゃお前の腕も折れるンじゃねェの」

男「そうだな」


男は驕らない。
一方通行には見えていないが、男のローブも一部が破れ、額からは血が一筋流れ落ちている。


男「想像以上だ、アクセラレータ。想像以上の力を見せてもらったぞ。
  俺もここまで苦戦するとは思わなかった」

一方「第一位ってのも随分と舐められたモンだ」

男「というわけでお前から単に聞き出すのは不可能らしいな」

一方「……何が言いたい?」


すうと一方通行の肩が数センチ上がる。
彼の視界から剣が忽然と消えた。


男「他の方法でラストオーダーとやらを探してみるとするさ。
  二度と出会わないことを祈っているぞ、アクセラレータ。安心しろ、目的は情報だけだ」

259 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/02/27(日) 00:32:57.47 ID:oTg0PLr/0


そのとき一方通行は男の声と同時に地を軽く踏みつけていた。
ドンという轟音が彼周辺に炸裂したが、男の声はしかしながら途切れることは無かったのだ。


男の居たと思われる場所には、誰も居ない。
一方通行が起こした風以外に静かにつむじ風が舞っている。


あの男が付けていた、最後の衝撃波の余波で真っ二つに裂けた青いバンダナ。
若干量の血の染みが残るそれだけが、風に吹かれてゆらゆらと踊っていた。



白い少年はそれをしばし茫然と見つめた。
ゆっくりと男の最後の言葉を反芻する。


――安心など、どうして出来ようか。


一方「クソったれが……!!!」


電極のスイッチを通常モードに戻して、窓のないビルにとりあえずは身体を預ける。



打ち止めがどこに居るか、結局同居していない一方通行は把握していない。
あの活発なクソガキのことだから毎日のように他の妹達にでも遊びに付き合ってもらっているに違いない、と彼は推測する。
一番の安全地帯である家に居る可能性は低い。

彼女の携帯電話の電話としての機能はほぼ彼女からの一方的な通話専用でしかない。
一応、打ち止めの弁解によればちゃんと音が鳴るようにはしているらしい。
だが実際に彼が電話をかけてもミサカネットワーク上の会話や他の興味のあることに意識を持って行かれているのか気付かないことも多いのだ。


携帯を取り出して電源を入れて、着信履歴に飛んで通話ボタンを一度押す。
たった数秒の作業が、異様に長く感じられた。
260 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/02/27(日) 00:33:36.35 ID:oTg0PLr/0
1回、2回、3回。
ぽたり、赤い血が地に一滴落ちたと同時に電子音に変化が起こる。
電波の繋がる音に続いて現れた声は、案の定彼が期待した少女のものではなかった。
落ち着いた女の意外そうな声が挨拶もなしに飛んでくる。


芳川『あなたから此処にかけてくるなんて随分と珍しいわね。どうかしたの?』

一方「……打ち止めは」

芳川『10032号と一緒に第七学区周辺で遊びまわってるらしいわね。
   携帯を置いていってるようだから、長居はしないはずだけど』

一方「……それじゃ遅ェンだよクソが!!」


それだけ叫んで電源を切った。
予想に反して電話を一本回さずに済んだが、状況が悪いことには変わりない。

一方通行も流石に八つ当たりでしかないことくらい理解している。
彼女の居場所の見当も付けられない今、空間転移の力を有するあの男に先を越される可能性も低くはない。
男がどこまで打ち止めの情報を把握しているかはわからないのがネックだった。

つい無力の拳でビルの壁を軽く殴りつける。しびれるような痛みがやがて手に伝わり、一方通行はようやく平静を取り戻した。


とりあえずこう悩む前に動きだすかと能力使用モードへ電極のスイッチを切り替えたそのとき、一方通行はふと思いついた。


脳裏に浮かんだのは、車の中で見た一人の少女。
そして、九月三十日の、冥土帰しの言葉。


一方「…………あはっ」


賭けの成功率は、六割くらいか。それに、男の言葉を加えると。


一方「……ハハハ!首曝け出して俺に刎ね飛ばされるのを待っていやがれクソ野郎」


それでも、ちくりと。一方通行の心の中で何かが痛んだ。
奥底で、少女の名を呟く。最後の希望の名を。
261 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/02/27(日) 00:35:32.39 ID:oTg0PLr/0
投下途中なんだけどちょっと事情でここまでで止めさせてくださあばばばば
明日続き投下出来たらいいんだけど……多分無理かもゴメンナスァィ

アホな黒服男(仮)を書きたい
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 01:28:15.83 ID:0b4EGdv9o

続き期待したいが…無理はすんな
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 14:29:52.37 ID:VsYxEs6AO
変態魔導師は変態だけどスキルも変態だからな

1フロアの敵全部を一撃で消し飛ばせるのは変態だけ!
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 22:37:13.66 ID:2qzjIHI0o
now waiting...
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 12:13:28.75 ID:FUw58RMAO
そろそろ変態の迷ゼリフの出番か…?

私生活は大事だから無理すんな
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 19:52:59.86 ID:fVTlXS1bo
                ∧_∧_∧
            ___(・∀・≡;・∀・) ドキドキドキ
             \_/(つ/と ) _
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/

                       _∧_∧_∧_
        ☆ パリン 〃   ∧_∧   |
          ヽ _, _\(・∀・ ) <  マ
             \乂/⊂ ⊂ ) _ |_ _ _ __
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/| .  ∨ ∨ ∨
        |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
        |           .|/



   _  ___
   \>,\/

          <⌒/ヽ-、_ _
          <_/____ノ
267 : ◆kQbqnex3XI [sage]:2011/03/07(月) 04:22:23.13 ID:rWxFGdKX0
割ったら修理しなさいコラー!!
ごめんなさい。次の投下は13日を予定してます!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 10:27:34.69 ID:n6jEpxIuo
楽しみにしてます
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 13:14:23.65 ID:7g3ACDkqo
>>1地震は大丈夫だったか?
270 : ◆kQbqnex3XI [sage]:2011/03/13(日) 00:55:33.45 ID:ZQTtuwlZ0
俺は無事です。
ちょっと落ち着いたかと思ったら福島原発やら、想像以上に大変なことになってるけど皆さんは大丈夫でしょーか。
ここで心配してもこのスレ見てくれてる人は無事な人なんだろうから無意味だと思うけども心配

ぼちぼち「イヤコレ超まずすぎる」みたいな描写を入れちゃってるので削れ次第投下しますが無理があったら落ち着くまで自粛も考え中、なう
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 01:29:35.73 ID:9ejAZO1Ko
読むことで
気がまぎれることもある
なう
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 02:08:13.69 ID:TWKYhlxTo
だね
とにかく無事でよかったです
273 : ◆kQbqnex3XI [sage]:2011/03/13(日) 17:06:48.40 ID:ZQTtuwlZ0

一方(――生きてあのガキを帰すことだけを考えろ。命さえあれば、冥土帰しが居る)


打ち止めは仮にも逃走マニュアルを埋め込まれたクローンだ。
そう簡単に口を割るとは思えないし、それなら男がそう簡単に[ピーーー]とも思えない。

それに、先程の力。
男と下手に打ち止めの居る場所で遭遇してしまったら、打ち止めを守り切れる保証が無い。
それなら、と一方通行は考えていた。

打ち止めを見捨てているわけではない、と自分に何度も言い聞かせながら、一方通行はビルを蹴って学園都市を舞う。
まともに機能しているのか怪しいビルから、だんだんと人の気配が漂うビルへ。

前方のビルの位置をちょくちょく確認しながらも、一方通行は地上を眺める。
跳んでいる一方通行の姿に気付いて驚く学生たちも居るが、今の彼の視界には入らない。
探しているのは、男と、クローンの少女と、そして。


一方(賭けだが、服装は似ている)

黒いワゴン車の姿を捕捉した一方通行は一気に急降下する。

びゅうと冷たい風を受けながら、車の助手席に当たる場所に手を触れて。
車の屋根が紙のようにめくれあがって、白い少年の体はぽすりと助手席に着席した。


土御門「……は?」

アルル「へ?」

一方通行は、運転手にそのまま進めと命令した。男は小さく息を呑む。

後部座席で呆然とした声をあげる二人を無視して、一方通行は拳銃を向ける。
先程戦いを繰り広げた男と、同じ世界に居たと推測される少女に向けて。

一方通行は、土御門に気付かれないようにかちりとチョーカーのスイッチを元に戻した。

一方「下手に動いたら撃つ」

274 :>>273訂正 ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/03/13(日) 17:07:14.57 ID:ZQTtuwlZ0

一方(――生きてあのガキを帰すことだけを考えろ。命さえあれば、冥土帰しが居る)


打ち止めは仮にも逃走マニュアルを埋め込まれたクローンだ。
そう簡単に口を割るとは思えないし、それなら男がそう簡単に殺すとも思えない。

それに、先程の力。
男と下手に打ち止めの居る場所で遭遇してしまったら、打ち止めを守り切れる保証が無い。
それなら、と一方通行は考えていた。

打ち止めを見捨てているわけではない、と自分に何度も言い聞かせながら、一方通行はビルを蹴って学園都市を舞う。
まともに機能しているのか怪しいビルから、だんだんと人の気配が漂うビルへ。

前方のビルの位置をちょくちょく確認しながらも、一方通行は地上を眺める。
跳んでいる一方通行の姿に気付いて驚く学生たちも居るが、今の彼の視界には入らない。
探しているのは、男と、クローンの少女と、そして。


一方(賭けだが、服装は似ている)

黒いワゴン車の姿を捕捉した一方通行は一気に急降下する。

びゅうと冷たい風を受けながら、車の助手席に当たる場所に手を触れて。
車の屋根が紙のようにめくれあがって、白い少年の体はぽすりと助手席に着席した。


土御門「……は?」

アルル「へ?」

一方通行は、運転手にそのまま進めと命令した。男は小さく息を呑む。

後部座席で呆然とした声をあげる二人を無視して、一方通行は拳銃を向ける。
先程戦いを繰り広げた男と、同じ世界に居たと推測される少女に向けて。

一方通行は、土御門に気付かれないようにかちりとチョーカーのスイッチを元に戻した。

一方「下手に動いたら撃つ」

275 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/03/13(日) 17:08:10.35 ID:ZQTtuwlZ0

アルル「……キミは誰なの」

ゆっくりと確認をとるような形で、アルルは白い少年を見つめた。
黄金の瞳と深紅の瞳とが、互いに逸れることなく真っ直ぐにぶつかる。

一方通行は、露骨に舌打ちをして後部座席に乗り込んだ。


そこでようやく土御門は気づく。
最強の名を冠し、余程の敵でない限り傷一つ負わない一方通行の現在の姿を。
白と灰を基調にした服はところどころ破れ、右足には赤い跡すら残っている。

土御門が仕事仲間の名を呼ぶ。
彼はアルルの膝に膝を乗せ、片手で強引に少女の日本の手首を掴む。
華奢な体躯とはいえ、一か所に全体重をかけられたアルルは小さく苦痛の声をあげた。
土御門には視線もくれず、右手で拳銃を向けて牽制した。


一方「答えろ。オマエの世界で使われる『異能の力』、その力の発現方法と使用し得る能力を全て。
    まともな説明をしねェようならその場でぶち殺す」

やけに沈黙した車の中で、低い彼の声が一人の少女に向けられる。
その様子にも決して動じず、しっかりと落ち着いた声でアルルは訊ね返した。

アルル「…………使える魔法は、人それぞれ。
     初歩的な魔法も使い手によって発展していくから、全てっていうのは説明しきれないと思うよ」

一方「そっちの世界の奴らは皆魔法とやらを使うのか」

アルル「ヒトは魔力次第。うろこさかなびとや小人とかの亜人は大概一部に特化してるかな」

一方「ベテランのヒトだったら使う魔法の種類は何種類くらいある?」

アルル「んー……上級魔法と下級魔法を区別すると五十くらい?」

アルルの回答を耳に入れながら、一方通行は内心でその前のアルルの一言に心を奪われていた。
亜人、なんぞこの世界では考えられる話ではない。
ましてや鱗魚人など科学的にありえないとツリーダイヤグラムがぼやいていたような覚えがある。
276 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/03/13(日) 17:10:23.58 ID:ZQTtuwlZ0


一方「なら剣を使ったメジャーな魔法ってのは何かあるか」

そこで、アルルがぴくりと、何かに気付いたかのように肩が揺れる。
両腕を拘束されたまま、アルルは少女はそこで質問を遮った。

アルル「って、ちょっと待ってよ」

一方「あ?」

アルル「傷ついてるみたいだけど、その剣を使った人か誰かと戦ったの?」

一方「関係ねェだろ。良いから答えろ」

アルル「……関係なくない! 剣士には二人くらい心当たりがあるもん。
     どうなって戦うことになったのか知らないけど、倒すっていうのならボクは口を割らない」


殺すなんて話になるのならなおさら。そう言った少女の意志は固いようだった。
それに応えるかのように、一方通行の唇が釣り上がる。
土御門は他人事のように二人を見ながら、ヤバいことになったにゃーと内心呟いた。


―――――



そんなこんなでびくびく進んでいくワゴン車の位置を、男はぼんやりと観測していた。
車にはサーチの魔法を取り付けており、二人の会話は男に筒抜けになっている。
一方通行が乗り込んだ後、外部に

男「――アルル・ナジャ」

落ち着き払った声で、誰にでもなく男は声に出す。

男「それに、アクセラレータにラストオーダーか」



??「……ぐ。お、おい」

背後から男に声がかかる。
振り向くと数分前に適当に倒したはずの少年だった。
277 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/03/13(日) 17:11:26.75 ID:ZQTtuwlZ0
彼はどうやら先日の抗争で壊滅した組織の下っ端らしい。
もう少し情報を貰っておこうと男は暗部の溜まり場に単身で突っ込んでいたのだが、結果は明らかである。
ひっそりと生活していたと思われる、廃れたホテルのような一室は破壊の限りを尽くされていた。


男「なんだ、もう起きたのか」

視線を向けず、どうでもよさそうに男は軽く手を振る。
途端にその手に氷の塊が集い、意識を取り戻したばかりの少年に襲いかかった。

少年「ぐ、うあああああああああああああああ」

男「早く口を割らないと凍傷で死ぬぞ」

四肢を凍らされて動けない少年は、冷酷な裏に見える救いの手を見た。
「口を割ったら溶かしてやる」、その言葉に乗せられた少年は苦痛に顔をゆがめながら、喘ぎ喘ぎ言葉を紡いだ。

少年「ぁぐ、あ、言うから……! だから早くコイツを」

男「溶かすのは聞いた後だ」



情報を右から左へ聞き流しながら、男は溜息を吐いた。
「スクール」とやらの残党であることを期待していたのだが、残念ながら彼の所属は「ブロック」らしい。

もういい、と男は遮る。
すると一筋の光が見えたかのように、涙まみれの顔を期待に輝かせながら少年は言った。

少年「ぁ、いい、のか……。……なら、早くコイツを!」

男「だから眠れ」

少年の体に、虚空から熱湯が降り注ぐ。再び叫び声が響き渡ったが、それは数秒ですぐに途絶えた。
申し訳程度に顔に直撃させるのは避けたが、意識を取り戻してもしばらくはまともに動かないだろう。
凍傷か火傷か、どちらが重症になるんだろうなと男は適当に考えた。





男「シェゾ・ウィグィィに対してのその行動は正解だが、しかし――」

瞳を細めて、決して穏やかとは言えない笑みを浮かべる。
彼は、額のバンダナを脱ぎ捨てて、壊れた一室から転移した。
278 : ◆kQbqnex3XI [sage saga]:2011/03/13(日) 17:16:06.42 ID:ZQTtuwlZ0
>>276も訂正。
×一方通行が乗り込んだ後、外部に
○一方通行が乗り込んだ後、車の外部に取りつけておいたのだ。
 そもそも外部の人間である彼にとっては、他の学生たちの目など気にする余地もない。


ごめんね上条さんみこたん(二回目)
一応これくらいなら問題ないかなレベルに落としたんですが、内容がうっすいうっすい
少年はモブ。アレ?って思った方はニヤリ。
次は一週間以内に来れると思います。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 01:19:12.65 ID:BiGLP0mAo

続き楽しみにしてる!
シェゾは結構初期魔導に近いんだな
アルルもぷよぷよ後期じゃなくてよかった
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 18:32:05.77 ID:wW78FERSO
乙!
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 17:21:02.98 ID:XwJIdh5DO
ぬおー来てたのかー!乙!
はたして魔法は一方さんが理解し、完全に跳ね返しても大丈夫なのか。次回も楽しみにしてるんだぜ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/20(日) 22:02:21.86 ID:zQAYxl55o
wwktk
283 : ◆kQbqnex3XI [sage]:2011/03/22(火) 00:27:24.04 ID:8CJltbAE0
大変申し訳ない。投下予定だったんですが、投下できそうにありません。
地震の影響でしばらく出張が入りまして、数か月投下をお休みさせていただきます。
一応投下が出来るようになったときにはageで始めようと思ってますので、忘れたころにスレタイに気づいていただけたら嬉しいなあ、と……
出来る限り貯めてきます。本当に申し訳ない
確か3カ月ルールだったっけここ。それまでには戻ってくるはず

そういえば数日前に静岡周辺にすごい地震雲が出てたとか。
今は関西圏に居るんですが、実家は東京だわ行き先は東北だわでちょっと心配。
その辺りに住んでる方も多いのではと思います。お気を付け下さいませー


あと参考資料が真魔導やらSS魔導やらはめきんやら、コンパイル終期作ばっかりなんで
どうも魔導陣は後期くさい。ごめんなさいっ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/22(火) 00:35:09.41 ID:388wbwOyo
おk、把握した
ゆっくり舞ってる
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/22(火) 01:08:46.00 ID:aLHjh+CWo
がんばれ
待ってる
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 22:40:59.22 ID:lvk+D4NSO
おk、仕事お疲れ様がんがれ
また二、三ヶ月したらワクテカしながら覗きに来ます
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/29(火) 20:56:46.18 ID:X5Gin5huo
乙です、懐かしくて一気に読みました!
了解です、お待ちし取ります〜
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/04/27(水) 07:56:56.07 ID:mZwJ6E9AO
保守してやんよ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/09(月) 11:17:27.27 ID:Uh//Wmado
コンパイル厨の俺歓喜
ずっと待ってる
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/23(月) 09:08:34.58 ID:oFFbOXEAO
宜しい、ならば保守だ。
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/25(水) 14:11:35.57 ID:YMydTRvR0
謐墓焔
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/25(水) 21:15:55.95 ID:9ZwDknlho
恐らく来ないだろう
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/27(金) 19:42:10.07 ID:4v6V40bKo
ばよひひひー
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