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一方通行「フラグ・・・・・・だろォな」 垣根「ち・・・・・・くしょ・・・・・・う」 -
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1 :
◆3dKAx7itpI
[sage]:2011/01/21(金) 08:05:48.30 ID:dTb1dhIpo
このSSは、とある魔術の禁書目録に出てくるキャラクター、一方通行(アクセラレータ)を中心とした
もうあまりほのぼのとは言えない感じの二次創作物です。
一方通行「フラグ・・・ねェ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285654962/
↓
一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」 風斬「そうですよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1289310136/
↓
一方通行「フラグ・・・・・・じゃねェだろ」 エイワス「まだそんな事を言っているのか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294928027/
上記のスレからの続きとなっています。もしお暇でしたら、ご一読を。
以下、留意点など。
・投下は超スローペースです、多分。そしてかなり気まぐれに投下するので質悪いです。
・第三次世界大戦は終結。その後のお話です。
・キャラ崩壊しまくりな上に、設定も弄りまくっています ←これ一番重要、ご注意ください。
・地の文もありますが、苦手なので台本形式多め・・・・・・のはず
・書き溜めはありますが恐らく速攻で尽きます・・・・・・
・そして私の悪いクセ、ろくに書けもしないシリアス(まがい)展開がたまに入ります
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714194866/
諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/
少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/
渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/
二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/
佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/
全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/
君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
2 :
◆3dKAx7itpI
[sage]:2011/01/21(金) 08:06:38.07 ID:dTb1dhIpo
Q1. 地の文が下手過ぎて萎えるンだが、日本語ちゃンとわかってンのかァ?
A. すみません、精進していくつもりでございます。
Q2. あのー・・・・・・、誤字脱字がよく目立つんですが、注意してもいいですか?
それと、このSSに関して気になることがあったりしたら質問してもいいですか?
A. もし見つけたら厳しく叱ってやってください。
質問は全然構いません。 疑問点があれば聞いてやってください。 すみません。
Q3. 『天使同盟(アライアンス)』(笑)、
>>1
のネーミングセンスどうにかなんねえのか?
A. 基本的に適当ですので・・・・・・、ご容赦ください。 笑ってやってください。
Q4. ふむ・・・・・・正直に言うが、ギャグがスベっているぞ。 これでは価値など到底見受けられない。
A. ギャグセンスなぞ持ちあわせておりません。 頑張ります。
Q5. 何か
>>1
の書くキャラの口調が違う気がするの。 どー読んでも違和感ありありだし。
A. これも注意していただけるとありがたいですが、たまにわざと口調を崩している時もあります。
キャラ崩壊など当たり前のSSですのでその時は見逃してください。
Q6. ・・・・・・二次創作とはいえ読者はいるというのに、二重投稿ミスとは如何なものであるか。
A. わざとじゃないですごめんなさい、あれは本当に申し訳ないです。 直すようにします。
Q7. kergkerohjkoherl私gjiergj彼vcfjrgo恋愛pwtdfn描写wadmlfg要求uygje
A. cjuubwxaez無理pgnsmsizge
3 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:15:04.23 ID:dTb1dhIpo
さっそく前回の続きから投下させていただきます。
4 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:16:29.92 ID:dTb1dhIpo
「いや、完璧な形で現出させる事が出来るのが一隻までなのだろう。
他の船が地面の下に潜んでいるということはないと思われる」
一方通行の心を見透かしたかのようにエイワスが補足を入れる。
「さすがにこれはプライベーティアの所有物じゃねェよな?
ロシア成教の魔術師が引っ張り出してきたンかよ?」
「・・・・・・ロシア成教の魔術師じゃないですよ」
一方通行が振り向くと、レッサーは無言で氷の帆船に向けて指をさした。
帆船の甲板辺りをよく見てみると、誰かが立っているのが分かる。
「・・・・・・誰だアイツ」
5 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:17:34.38 ID:dTb1dhIpo
その人物は、舌をペロッと出してそこに留めているピアスと、そこから腰の下辺りまで
伸びた細い鎖と氷で作られたような十字架を見せつけるようにしていた。
十九世紀頃のフランス市民がよく着ていたような服装だが、その色は全身が黄色という何とも奇妙な服だ。
だが一方通行が視線を釘付けにされたのは、その顔。
顔の至る所にピアスが取り付けられており、目元には京劇のようなケバ・・・・・・ゲフンゲフン、濃い化粧。
まるで意図的に他人から嫌われようとしているかのようなその顔は、
しかし一方通行はその顔を見て少し驚きはしたものの、不思議と嫌悪感を抱くことはなかった。
氷の帆船は『アライアンス』号に寄り添うように近づいてきた。
甲板に君臨しているキレンジャーに向かって、『天使同盟』のジェネラル・マネージャーが挨拶をする。
6 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:18:53.61 ID:dTb1dhIpo
「初めまして、『前方』のヴェント。 おっと、失礼、今はもう『神の右席』所属の
魔術師ではなかったね。 初対面でいきなり失礼を働いてしまい申し訳ない」
「・・・・・・アレイスター・クロウリー? じゃないわよね」
「似てるかね? だが、違うな」
エイワスの姿を見てアレイスターではないかと疑うその女の名は、ヴェント。
元『神の右席』所属の魔術師であり、組織では『前方』を象徴していた存在。
九月三〇日、彼女はたった一人で学園都市を襲撃。ものの数十分で警備員(アンチスキル)の約七割という
人数を、かつて彼女の最大の武器であった『天罰術式』で戦闘不能へと追いやった。
学園都市で上条当麻に敗れ、その後は息を潜めていたが、
第三次世界大戦時に同じく『神の右席』の『右方』を司るフィアンマと激突、
その時にレッサーの前でこの『女王艦隊』を一部だが披露している。
そんな、ヴェントという魔術師が一方通行達を睨みつけながら問いかけてきた。
7 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:19:52.13 ID:dTb1dhIpo
「・・・・・・何者なの? アンタ達」
「あ、あのー! 私のこと覚えてませんかね? ほら、独立国同盟で
フィアンマと争ったときに私もいたんですけど、」
「知らない。 で、そこの白いのは?」
あっさりと流されてしまったレッサーが項垂れている。
そして自分の事について聞かれた白いのは、
「・・・・・・とりあえず独立国に着いてから話し合わねェか?
今は何かとゴタゴタしてるしよ。 それと先に断っておくが、
俺達はプライベーティアじゃねェぞ」
「分かってるわよ、いくらネット募集の即席軍隊だからって、
そこの船首にいる"バケモノ"みたいなのが集まってくるわけないもの。
だから聞いてみたのよ」
バケモノみたいなのはそれを聞き、微小を浮かべるだけだった。
8 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:21:37.93 ID:dTb1dhIpo
――――――――――――――――――――――
「・・・・・・あの氷の船、オマエの仕業じゃねえよな?」
「kgjergex否定vnsdkwrfjg」
垣根帝督とミーシャ=クロイツェフは前方約八〇〇メートル先にある『アライアンス』号と、
それに並んで航行している、地面から飛び出してきた氷の帆船を見つめながら飛行していた。
「あれは恐らく『女王艦隊』だ。 ヴェントという名の魔術師が
繰り出したものだと思われる。 私も実際に見るのは初めてだが、話だけは聞いていた」
ミーシャの翼に乗った魔術師である女は、そう説明した。
ちなみにこの魔術師はさっきのロシア成教の者ではなく、独立国同盟の魔術師だ。
「魔術師が出したのか? じゃあ一応敵じゃねえって事になるのか」
「ヴェント程の魔術師が援護してくれるというなら、
エリザリーナ独立国同盟の安全は保証されたようなものだ」
「そんなにすげえの? そのヴェントってやつ」
「並の魔術師では一〇〇〇人が束になったって敵いはしない実力を持つ魔術師だ」
「ふーん。 ・・・・・・・・・・・・」
9 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:22:19.69 ID:dTb1dhIpo
大して興味ありません、と言いたげな素振りで垣根は氷の帆船を見続けている。
彼が興味を持ったのはヴェントという魔術師よりむしろ『女王艦隊』と呼ばれる魔術の方だろう。
「ま、とりあえずさっさと船に追いつくか。 ミーシャもそいつら乗せてたら
思う存分暴れられねえだろ?」
「ojkofgwf平気vnnegerug」
「・・・・・・すまない、私達のせいで君たちのような強力な戦力の
足を引っ張る形になってしまった」
「馬鹿かお前、元々は俺達っつーか、エイワスの馬鹿が原因でこうなったんだろうが」
「しかし・・・・・・、」
「あーもう、うぜえって。 いいから行くぞ、振り落とされんなよ」
そう言って垣根は飛行速度を上げて飛んでいった。
ミーシャも翼の形を複雑に変形させ、乗せている人間たちが落ちないように
しながら垣根の後を着いて行く。
10 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:23:38.36 ID:dTb1dhIpo
――――――――――――――――――――――
「すごい・・・・・・、水晶かな? 氷・・・・・・?」
そして風斬氷華も、数百メートルは離れているであろう距離で
ヴェントが現出させた『女王艦隊』を確認していた。
周りにはまだ数名のプライベーティアの部隊がいたが、背中から小さいものでも数十メートル、
大きいものになると百メートルは越える翼を生やし、
両手にもまた、数メートルは優に越える巨大な剣を両手に持っている天使を前に
完全に戦意を喪失してしまっていた。
・・・・・・数メートルとか数十メートルとか曖昧な表現ばかりだが、
彼女はAIM拡散力場の集合体であるため、大きさが安定せず計り知れないという言い訳をさせてほしい。
「あの様子だと敵・・・・・・ではないみたいだけど、何なんだろう。
またエイワスさんが何かしたのかなぁ」
『天使同盟』では何かおかしな事が起きた場合、とりあえずエイワスのせいにすることが
お決まり、というかお約束になっている。
11 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:24:30.77 ID:dTb1dhIpo
そんな理不尽な暗黙の了解、いや不文律といってもいい規則でも、エイワスなら、
『常に私に対して猜疑心を抱く、か。 実に興味深い。 今までもそういう事はあったのかも知れないが、
疑われることに対しては私はそんなに気にしていないよ。 気にする価値もないからね。
それと、『女王艦隊』を呼び出したのは私ではないのであしからず』
と、こんなニュアンスの事を言ってくるに違いない。
ていうか実際に言ってきた。お得意の念話能力(テレパス)のような力で。
「・・・・・・了解しました」
風斬は短くため息をつき、既に戦意喪失している地上の残存部隊を片付け(容赦なし)、
殺人的な加速で二隻の船を追いかけていった。
「・・・・・・エイワスさんの仕業じゃないとなると、多分あれは魔術によるもの。
つまり魔術師・・・・・・・・・・・・、また女性の匂いがします!」
どんぴしゃ。
氷の帆船には魔術師の女、ヴェントが乗っている。
女性は勘が鋭いというが、これはもはや予知能力(ファービジョン)といっても過言ではない。
さっきまでの反省心はどこへやら、ここに来て風斬氷華のキャラクターが
『嫉妬深い女』にシフトチェンジしつつあるような気がする。
ともあれ、彼女はあっという間に船の目前まで接近していた。
12 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:26:25.77 ID:dTb1dhIpo
ここらでちょっと回想突入。
――――――――――――――――――――――
「もうダメだ!! あと数分もしないうちにあのクルーザーは独立国に突っ込んでくる!」
「そうなったらもうこの国はお終いだ・・・・・・! せっかく長い年月を掛けてエリザリーナさんが
築きあげてきた国家だというのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・クソッ!!」
独立国同盟の作戦室の一つにいた兵士は、悔しさを吐き出すように木材で出来た長机に
思い切り拳を叩きつけた。置かれていたマグカップが振動し、中のコーヒーが波打つ。
他の兵士たちもどうすることも出来ない自分の無力さに歯噛みするしかない。
13 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:27:08.65 ID:dTb1dhIpo
「しかし、第三の勢力は我々の味方なのでは!?」
「分かるもんか! プライベーティアの目的を知って、便乗してきただけかもしれん」
「だがあれほどの爆破を起こせるほどの連中だ、その気になればいつでもこの国を・・・・・・」
「交渉の場になるであろうこの国を消し飛ばしてどうする、
ヤツらは狡猾なのさ。 きっと情報を取れるだけ取って地図からここを消すつもりだ・・・・・・」
もはや為す術がない独立国同盟。
頼みの聖女、エリザリーナも『少し考えさせて欲しい』と側近の二人を連れて出て行ったきりだ。
この国が滅びれば、自分たちは再びロシア政府が蔓延る国へ戻ることになる。
絶望と顔にでも書いてそうな表情を皆が浮かべていた。
14 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:27:53.97 ID:dTb1dhIpo
――――その時だった。
「私の出番が来たようね!!!」
作戦室の扉をもぎ取らん勢いで開け放ったのは、一人の女魔術師。
全身を黄色い衣服で包み、その顔には多数のピアスが留められている。
「あ、あなたは・・・・・・!」
「話は全て聞かせてもらったわ!! ヤツらが走らせている船に近づいて、
コンタクトをとってきてあげる。 味方ならこっち側に引き込めばいいし、
敵なら・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ふん。 私がチョチョイと蹴散らしちゃうわよ!」
「し、しかしいくらあなたでもたった一人では・・・・・・」
「私を誰だと思っているのかしら?」
「そ、それは・・・・・・」
「そうッ!! 私の名はヴェント!! 元『神の右席』にして、
今はこのエリザリーナ独立国同盟に君臨する、最強の守護神なのよ!!!」
15 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:28:52.89 ID:dTb1dhIpo
某海賊漫画ならここで彼女の後ろに『ドンッ!!』という効果音が書かれているだろう。
ヴェントは見様によっては美乳、見様によっては貧乳な胸を張り、勇ましい顔つきで言い放った。
「おお・・・・・・」
「おおお・・・・・・・・・・・・!!」
「ヴェ、ヴェント様!!」
「我らが守護神!!」
「エリザリーナ独立国同盟の裏の女王!!」
鳴り止まないヴェントコール。
彼女はフフン、と得意げな表情を作り、
「第三の勢力。 首を洗って、待ってろよ☆」
似つかわしくないウィンクをカメラ目線で決めて、戦場に赴いたのであった。
16 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:30:17.67 ID:dTb1dhIpo
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――――――――
――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――
と、いうわけでヴェントは現在、一方通行たちの前に現れ―――――
「んなわけねぇだろぉがあああああああああ!!!!!
私のキャラを勝手に改変してんじゃねええええええええええええええ!!!!」
――――――た訳ではないらしい。
17 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:30:56.84 ID:dTb1dhIpo
「違うのかね? 意味合いとしては間違っていないと思うのだが」
「誰が独立国同盟の裏の女王よ!! そして守護神でもない!
別にこの国がどうなろうが知ったこっちゃないけど、まぁ居心地は悪くないし、
たかがゴロツキの軍人共に魔術だの天使だのの情報を渡したくなかっただけよ。
それと、よく分からない雰囲気を漏らしてるアンタや、天使を見ておきたかっただけ」
ニュアンスとしては合っている気がしないでもないが、
とにかく彼女は『天使同盟』に敵意を向けているわけではないようだ。
「べ、別に独立国がどうなろうと知ったこっちゃないんだからねっ!
私はただプライベーティアの連中が余計な情報を手に入れるのがちょっと癪なだけで、
だからたまたま利害が一致しただけなんだから、勘違いしないでよねっ!
そ、それに、こっちに向かってる天使とかをちょっと見ておきたかっただけだし!」
「私のセリフに気色悪い補正を入れないでよ!!」
18 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:31:53.90 ID:dTb1dhIpo
エイワスがヴェントのキャラ設定を歪ませようとするが、彼女がギリギリのところで制止した。
レッサーと同じく、ヴェントまでもが『天使同盟』色に染まってしまうのは避けなければ
魔術サイドは危機的状況に陥ってしまう。頑張れ。
「・・・・・・ンで、そのツンデレヴェントちゃンは―――、」
「ツンデレじゃねぇっつってんだろうがぁ!!!」
彼女がツンデレという言葉を知っていることに驚きだ。
バチカンにも伝わっている文化なのだろうか。ツンデレが文化なのかどうかはさておき。
「―――ヴェントは独立国同盟側の魔術師なのか?」
改めて一方通行が質問する。
19 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:32:48.17 ID:dTb1dhIpo
「どちらかといえば、ね。 人がせっかく優雅に眠っていたというのに、
三次大戦なんて大きな戦争が起きた後でも懲りないものね、人間は」
と、彼女が質問に答えると同時、『女王艦隊』の帆船の甲板に
軍用ヘリから放たれた対戦車ミサイルが飛んできた。
「ヴェントさん!」
レッサーが咄嗟に『鋼の手袋』を構えるが時既に遅し。
ヴェントを巻き込んで帆船の甲板は派手な音と共に爆炎をあげていた。
「死ンだか?」
「んなわけないでしょ」
一方通行の背後から声がする。ヴェントだ。
彼女は恐ろしいスピードで『アライアンス』号の甲板へと飛び移っていた。
20 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:34:27.36 ID:dTb1dhIpo
「見事な身のこなしだな」
エイワスが全く感情の込められていない賞賛を贈る。
「対戦車ミサイルかよ。 人に向けて撃つモンじゃねェな」
一方通行はニヤニヤ笑いながら言う。
彼は今、バッテリーを温存しているため戦うことが出来ない。
ほんの数秒だけなら最強のレベル5になれるが、彼は動かない。
「・・・・・・やっぱり、どうも科学は好きになれないのよ。
そう簡単に割り切れるほど、私は単純じゃない」
誰にも聞こえないような声で、ヴェントは呟く。
異常な速度で走り続けているクルーザーの甲板に立っているため、
一方通行達には先程から強烈な風がぶつかってきていた。
21 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:35:08.06 ID:dTb1dhIpo
そんな中で、一方通行は異質な風を感じた。
「!」
気がつけば、ヴェントの右手に有刺鉄線が巻き付かれている
一メートルほどのハンマーが握られていた。
プライベーティアの軍用ヘリはミサイルを撃ってきた機体の他に、
もう四機ほどが飛んでいる。
「援護はしねェぞ、ていうか出来ねェ」
「いらないわよ、そんなもん」
ヴェントは手首を微妙に動かした。それに応じてハンマーも僅かに角度を変える。
その直後だった。
22 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:36:21.57 ID:dTb1dhIpo
「きゃっ!」
「ッ!」
隣で煙をあげていた氷の帆船から爆発があった。
否、それは爆発ではなく、帆船から放たれた砲弾だ。
直ぐ側からの砲撃音に、レッサーが短い悲鳴をあげる。
それは見事に軍用ヘリの一機に命中し、ヘリとしての形が無くなってしまうほど変形した機械の塊は
どす黒い煙を吐き出しながら落下していった。
「錨、か?」
「ふうん、よく見えたわね」
氷の帆船から放たれた砲弾の正体は、約三メートルほどの巨大な錨。
帆船と同じような、透明の材質で構成されたものだ。
音速並の威力で放たれ、爆散してしまったそれを捉えていた一方通行に、
ヴェントはほんのわずかに感心する。
そんな錨が直撃してしまったのだ、ヘリの操縦士は間違い無く死んでいると思われるのだが、
なんだかここまで死人ゼロで来てしまったからか、後味が悪い。
「知らないわ、そんな都合」
誰に向けて言っているのかもわからない言葉を言いつつ、
ヴェントは次なる対象に向けて『女王艦隊』を操る。
23 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:45:10.08 ID:dTb1dhIpo
今回はここまでです。ちょっとだけ多めな投下でしたかね。
さて、ヴェントが出てきました。この子はどう『天使同盟』に絡ませるか悩みましたね。
で、悩んだ結果、『前方通行(一方通行×ヴェント)』でいこうかなと考えてますが・・・・・・え、需要ないですか?
いやいや、あるはずです。
次回更新はいつも通りだと思います。
四スレ目までこれたのも皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。
四スレ目もどうかよろしくお願いします。
24 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:45:42.30 ID:dTb1dhIpo
【次回予告】
『違うよ、ぜんぜん違うよ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・エイワス
『えーと・・・・・・、どこかでお会いしましたか?』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
『なんだなんだ、随分賑やかになってんじゃねえか』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・垣根帝督
『おっと、失敬失敬』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』の構成員・レッサー
『ojvsdjgher同行ipdsnvdtkhr』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・ミーシャ=クロイツェフ
25 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/21(金) 08:46:13.41 ID:dTb1dhIpo
『・・・・・・・・・・・・。 くしゅんッ』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
『オマエ、もしかして寒いのか?』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 08:46:23.63 ID:SE3zfwZl0
大層乙でござった
弁当通行か
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 08:49:52.95 ID:XgRAbtoBo
おつ
僕らの冷蔵庫にフラグが立つことはないのか・・・・
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 08:54:30.45 ID:GMJARcSQo
あれ?ヴェントがめっちゃ可愛いよ?
やばいよ?
新スレおめ&おつ!
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 08:56:59.95 ID:5kLSKF8AO
ツンデレヴェントたんかわいいです。これが……恋か………
>>1
乙!
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 09:01:02.67 ID:8RuNB5pIO
時代はヴェントであるか……
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 09:21:52.39 ID:2sU1Ujzho
前方通行とか俺得すぎる
エイワスがマークパンサーェ・・・
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 09:34:02.24 ID:cfPZHiC30
乙
ちょっとSSの書き方変わった?
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 09:52:22.67 ID:fdFG4/0AO
ほんとヴェントたんの時代が来て嬉しい限りだぜぇ
通行止めみたいに意味通るし前方通行よさげ
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 10:08:15.26 ID:oJb5+xWAO
乙カレー
いいよいいよ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/21(金) 10:22:02.01 ID:3WYaMa4DO
くしゅン
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 10:30:35.31 ID:gx2b6s3go
垣根にもフラグを…フラグをっ…
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 11:38:40.12 ID:2NL+1Rwso
垣根は一方さんとフラグ立ってるだろ
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 12:23:17.00 ID:ARXRex1AO
>>1
はホントにうまいよな、特に予告はセンス全開で毎回楽しみだ
あとQ&Aの最後で吹いたwwww
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 12:50:23.00 ID:PFhdrlmAO
前方通行だと……。これが天才か。
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 12:51:18.26 ID:ER+WbldBo
一方前方クルー?
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 13:01:31.97 ID:u3/hyCou0
ところで前スレの
「打き抱える(だきかかえる)」
に誰もツッこんでないようだから俺が言う。
全員あえてスルーしていたのにもかかわらず、空気読まない俺をののしってくれ。
正しくは「抱き抱える(だきかかえる)」
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 13:03:56.26 ID:3WYaMa4DO
>>41
ほうほう、なるほど(ほうほうと抱抱を掛けた高尚なギャグ)
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 15:15:57.06 ID:pxna+st80
1乙!!
毎回このボリュームでかなり面白いです
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 16:26:46.94 ID:tEQfl2wAo
>>42
ほうほう
たくさん読めてうれしいぜ!乙
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 17:09:58.37 ID:V7ncGIw+0
垣根は死亡フラグしか建てない
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 17:20:57.74 ID:mArklGBwo
更新&次スレ乙です
ヴェントたんぺろぺろ
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 17:45:48.36 ID:mVuKCfPIO
>>38
笑い事ではない。
これはこの物語の世界の創造主たる
>>1
がミーシャルートを否定しているとも取れるのだぞッッ
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 18:56:43.23 ID:+MTiMIew0
前方通行かぁ・・・最高じゃないか
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 23:39:55.98 ID:3WYaMa4DO
キャーリサさんといいオルソラさんといいヴェントさんといい、何故一方さんはババァにばかり惚れられるのだろうか
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/21(金) 23:47:31.85 ID:bE8YRmTAO
一方さんの真の恐ろしさは母性本能を無意識にベクトル操作する所だから
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 01:56:56.10 ID:/Fei1Ikko
更新乙!
バナナの妖精さんご登場だなw
そして前方通行……だと……?
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 04:52:23.30 ID:7pLKnjPDO
風斬さんの嫉妬する作業がまた始まるお……
この風斬さんは御琴と仲良くなれそうですね(フラグ乱立男が好き同士として)
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 15:04:13.62 ID:wFhASHeJ0
おいなんで一日で50までいくんだよ
おまえら加減しろ
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 15:17:28.83 ID:M066F9r6o
乙
今回のスレタイが一番いやらしく感じたwww
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 15:34:14.40 ID:ix71zmRDO
>>53
(支援レスしちゃ)イカんのか?
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 15:36:06.29 ID:CMqNHuqdo
誰も駄目と言ってないのにコレ
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 17:30:06.04 ID:hTiz5OUS0
>>54
お前がそんなこと言うから、一方×垣根の絡み合いを想像したじゃねぇか!!
自らが第1位となるべく、一方通行を忌み嫌いながらも、心惹かれる垣根に萌えた
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 18:17:46.04 ID:n1ao4LQS0
>>57
おい、お前…
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 18:21:50.44 ID:d4HzsZojo
某スレの影響がこんなところにも
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 18:45:37.20 ID:Ha5zuMsoo
>>59
某スレkwsk
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 20:17:38.86 ID:3GZUdB1to
>>55
ほどほどにって事だろ、
>>1
だって前スレでロシア編終わらすつもりだったっつってたし
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 22:17:41.65 ID:hTiz5OUS0
エイワスくぅぅぅうううううんが暗黒通行の妄想してくんないかな
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/22(土) 23:05:10.33 ID:zpEVZyvAO
>>60
恐らく、佐天「次第は上条×フィアンマだよねー」のスレ
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 00:07:42.44 ID:rUmVjFdDO
>>55
これにマジレスしてるやつの95割はゆとり
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 00:11:35.51 ID:oEbk5dlQo
95割とか(ry
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 00:59:04.02 ID:4alcX0Ruo
そういうのはVIPでやれ
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 01:29:36.09 ID:9Ex0AxlSO
>>64
の95割がツボってお腹痛いです。
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 01:56:50.52 ID:ZD8qMCih0
長引くとめんどいから言っとくけど
>>64-65
はコピペにマジレスで、それもコピペで、それはVIPでやれってことだ
69 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 06:36:36.99 ID:OJLSaNvgo
伸び過ぎワロタ。内容がどうあれ支援してくださるのはとても嬉しいです。本当にありがとうございます。
>>32
すぐ変わってしまいますよ、なにせずぶの素人なので。
しかも初SSですし・・・・・・安定させるよう頑張ります。
>>41
ご指摘ありがとうございます。本当、こういうところはまだ直らなくて申しわけありません。
>>61
ほどほどなんて言わずどんどん支援してくださればその分私のモチベーションも上がるので助かりますし、
何より嬉しいです。
それと垣根帝督のフラグについてですが、一応デート編の時に建てたつもりなのですが、
あれじゃダメですか・・・・・・? ダメでしたらこのロシア編を楽しみにしていただければ幸いです。
それでは、ニチアサキッズが終わったら投下しようと思います。
失礼しました。
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 08:49:46.58 ID:6MArCuyCo
投下と聞いて飛んできた
ちゃんと見てるよ!
71 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/23(日) 09:05:38.64 ID:OJLSaNvgo
プリキュア熱すぎだろ常考・・・・・・次回作はどうなるのでしょうか。
それでは毎度毎度朝から申し訳ありませんが投下していきます。
72 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:06:47.83 ID:OJLSaNvgo
だが、その必要は無くなった。
「何?」
ヴェントが眉をひそめる。
突然、電撃のような光が飛んできたかと思ったら、それは次々とヘリを落としていったのだ。
蠅のように落ちていくヘリ。だが、そこに光る鱗粉が撒かれていき、
落下速度が急激に下がっていった。
「一方通行さ〜〜〜ん!!」
「風斬か」
鱗粉を纏い、感動すら覚えてしまうような美しい挙動で飛んできたのは風斬氷華だ。
よく見ると、ついさっきヴェントが潰したヘリの操縦士も鱗粉によって保護されている。
73 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:07:37.30 ID:OJLSaNvgo
「学園都市の・・・・・・、『堕天使』!?」
「え・・・・・・? あ、」
『あ、』とは、風斬が学園都市に来たヴェントを思い出しての声ではない。
風斬はヴェントが学園都市に来たことを覚えていない、というか知らないのだ。
(や、やっぱり女の子だ・・・・・・。 また攻略ルートが増えちゃうのかなぁ)
あからさまに悄気てみせる人工天使。
攻略ルートなどという言葉を使っている辺り、やはり『ドラゴン』とどこか似ている節がある。
製造ラインも同じらしいし。
「アンタ達・・・・・・、こんなのまで引き連れてるの?」
ヴェントが上空を飛んでいる風斬を見て驚いている。
彼女は学園都市で風斬を、ヒューズ=カザキリとして目撃したことがあるのだ。
74 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:08:17.07 ID:OJLSaNvgo
「えーと・・・・・・、どこかでお会いしましたか?」
「・・・・・・・・・・・・別に。 一体なんなのよアンタ達は」
「細けェ話は後だ。 風斬、悪いがこのまま援護してくれ。
俺ァバッテリー温存しなくちゃなンねェから今は動けねェンだ」
「は、はい! 分かりました!」
「気をつけたまえ風斬氷華。 その高度だと下着が見えてしまうぞ」
「ひゃうっ!?」
「油断するなよ。 でないと私がこの携帯電話のカメラで君をローアングルで撮ってしまったぞ?」
「過去形!?」
エイワスに指摘され、顔を赤くしながらスカートを押さえる風斬。ドラゴンコントである。
当然だが一方通行は風斬の無様なローアングルを見てはいない。あはぎゃらない。
75 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:09:01.94 ID:OJLSaNvgo
「なんだなんだ、随分賑やかになってんじゃねえか」
続いてやってきたのは垣根帝督だった。
『未元物質(ダークマター)』で作り上げた翼を羽ばたかせながら
ヴェントと『女王艦隊』を交互に見やる。
「あれもアンタらの仲間?」
「仲間じゃねェ、お荷物だ」
「殺すぞ」
そしてトリを務めますは、
「kjtihdogje只今bmjuyyiujyhhn」
「・・・・・・ミーシャ=クロイツェフ・・・・・・!」
76 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:09:46.22 ID:OJLSaNvgo
『天使同盟』のアイドルにしてヒロイン、ミーシャ=クロイツェフだ。
彼女は先の教訓を活かし、今度はゆっくりと甲板に降り立った。
フードを被っているのだが、ヴェントは目の前の存在がミーシャであると看破する。
そんなミーシャの翼から、ひょこひょこと何人もの顔が出てきた。
「賑やかになってンのはそっちもじゃねェか。
なンだよコイツらは?」
「誰かさんのせいで路頭に迷ってた独立国のヤツらだ。
ミーシャが助けてえってんで拾ってきた」
ミーシャの翼に乗っていた独立国同盟の人々が『アライアンス』号の甲板へと降りていく。
各々の表情は、明らかに動揺、恐怖、警戒の色を浮かべていた。
「そォかよ。 まァとにかく、これで一旦全員集合したな?」
「いやいや、待ってください」
レッサーが割って入った。
77 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:10:28.38 ID:OJLSaNvgo
「まだ肝心のサーシャ=クロイツェフを見つけていないじゃないですか」
「そうだったな。 俺とミーシャは見かけてねえ。
お前らはどうだ?」
「えっと、私も見かけていません」
「俺も見てねェな」
「ふむ、仕方がない」
エイワスは船首に立ち、両目を閉じながら、
「私がサーチをかけてサーシャ=クロイツェフは探してみよう。
何、そこまで時間は掛からないだろう」
『天使同盟(アライアンス)』の一同は、独立国同盟まであと数十キロというところまで近づいていた。
78 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:11:16.52 ID:OJLSaNvgo
――――――――――――――――――――――
――メガヨット『アライアンス』号 甲板
ヴェント「何? アンタ達、サーシャに用があるの?」
風斬「は、はい。 色々と聞きたいことがありまして・・・・・・。
詳しく話すと長くなっちゃうんですけど」
垣根「・・・・・・プライベーティアの奴ら、まだまだいやがるな。
ちょっともう一狩り行ってくるわ」ブワサッ
ガブリエル「ojvsdjgher同行ipdsnvdtkhr」パキキキキ
魔術師A「あ、我々は・・・・・・」
垣根「お前らが来たって邪魔なだけだ、ここでおとなしくしてろ」
79 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:12:01.60 ID:OJLSaNvgo
レッサー「もう少し言葉を選んではどうです?」
独立国兵士A「申し訳ない・・・・・・、本当に助かる」
魔術師B「このプライベーティアの数は異常すぎる。 一体、何が目的で
奴らはこんなに集まっているのだ・・・・・・」
一方通行「コイツだろ、コイツ」
魔術師C「?」
ガブリエル「pipbncsfetgj私dytyohjrgi」
風斬「一方通行さん、私たちも行きましょう。 少しでも多く、勢力を
減らしておいたほうがサーシャさんも探しやすいでしょうし」
一方通行「俺は動けねェ。 バッテリーの残量があとわずかしか無くなっちまってな。
だが今は武装も揃ってるし、俺はここで敵を迎撃する」チャキ
垣根「能力使えねえのか? なっさけねえなぁ、ぷぷぷ」
一方通行「コイツの試し撃ちをしてやろォか?」ガチャ
風斬「じゃ、じゃあ私もここに残ろうかな〜なんて・・・・・・」ボソボソ
エイワス「いや、君は出撃してくれたまえ、風斬氷華。
敵が減ったらその分私も探索しやすくなる」
風斬「あ、はい。 わかりました・・・・・・」
エイワス「すまないな、"せっかく"のチャンスを」ニヤニヤ
風斬「そ、そんなつもりじゃないですもん。 ・・・・・・行ってきます!」ドシュ
レッサー「おや、割とあっさり引きましたね、風斬さん」
一方通行「なにが?」
80 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:12:57.95 ID:OJLSaNvgo
――――――――――――――――――――――
一方通行「ヴェント。 独立国同盟まであとどのくらいだ?」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・。 この速度で走っていけば、あと数分で到着するんじゃない?
にしてもこの船、馬鹿げた速度を出してるわね」
エイワス「帆船が着いてこれないか、速度を落とそうか?」
ヴェント「余計なお世話。 この程度ならまだ平気よ。
でもちゃんとブレーキはかけてもらわないと、国が滅びるわ」
グシャァ バッキャァァァン
レッサー「ほいっ。 よ、っと」ブン ブン
81 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:13:33.72 ID:OJLSaNvgo
一方通行「あンまはしゃぐンじゃねェよマセガキ。 戦闘機の破片が
こっちに飛ンできてンだろォが」ヒョイ
レッサー「おっと、失敬失敬」
一方通行「エイワス、戦況はどォなってる?」
エイワス「問題ない。 プライベーティアの連中もだいぶ片付いてきている。
特に風斬氷華が優秀な戦績を残しているよ」
一方通行「あいつ、意外と好戦的なのかな・・・・・・」
ヴェント「・・・・・・ちょっと待って、『エイワス』?」
一方通行「あァ、気にすンな」
ヴェント「いやいや、」
エイワス「このままいけば、独立国同盟の勝利は固いだろう。
もっとも、私にはその後の大規模な情報操作という仕事が控えているから
大変なのだがね」
82 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:15:26.30 ID:OJLSaNvgo
ヴェント「普通に話を進めるな! ・・・・・・アンタ、あの聖守護天使なの?」
エイワス「違うよ、ぜんぜん違うよ」
ヴェント「清々しいまでの棒読みをどうもありがとう」
一方通行「別に隠すこともねェだろ。 もォ面倒くさくなってきちまった」
レッサー「そうですよ。 私も最初は動揺しましたが、
なんかもう逆に納得できました」
一方通行「たくましいな、オマエ・・・・・・」
レッサー「当然です! 女という生き物は得てして逞しいものなのです!」
ヴェント「・・・・・・面白い。 アンタが本当にあのエイワスなんだとしたら、
私はこの出会いを喜ぶべきなのかしら? 嘆くべきなのかしら?」
エイワス「恨むべきだと思うがね。 誰があの魔術師を目覚めさせたのか、
君なら分かっているだろう?」
ヴェント「ふん・・・・・・・・・・・・」
83 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:16:04.27 ID:OJLSaNvgo
一方通行「・・・・・・おし、これで四十機目くらいかァ?」ズドォン
レッサー「能力なしでもやれるもんですね」
一方通行「あンま俺を見くびってンじゃねェぞ」
レッサー「見くびってなんかいませんよ(あんな馬鹿げた力見せられてるんだから・・・・・・)」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・。 くしゅんッ」
一方通行「あ?」
ヴェント「な、なんでもない・・・・・・///」プイッ
一方通行「いや、今くしゃみしただろ?」
ヴェント「してない」
84 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:17:07.84 ID:OJLSaNvgo
一方通行「なンで否定するンだよ、明らかにしてたじゃねェか」ズドォォン
ヴェント「してないっつってんだろ。 ・・・・・・ちょっと、エイワス。
この船速度出しすぎなんじゃないの?」
エイワス「先ほど、速度は問題ないと言ったじゃないか」
ヴェント「チッ、もういいわ」クシュン ズズッ
一方通行「・・・・・・・・・・・・。 オマエ、もしかして寒いのか?」
ヴェント「・・・・・・寒くないわよ、もうここの環境にも慣れてきてるし」
一方通行「じゃあなンでそンな小動物みてェに体が小刻みに震えてンだよ」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・ま、魔力の精製よ。 私の魔術はこうすることで
生み出されるの。 魔術に疎そうなアンタにはわかんないでしょうけど」
一方通行「ふゥン・・・・・・」
エイワス「くく」
85 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:17:58.80 ID:OJLSaNvgo
ヴェント「ここに連れてきた独立国の連中はどうしたの?」
一方通行「あいつらなら船の中に入れてる。 ケガの治療とかもしてェだろォから
大体はラウンジにいるんじゃねェのか?」
ヴェント「そう」ブルブル
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何よ」ブルブル
一方通行「・・・・・・チッ」グイッ
ヴェント「ちょっと、なに人前で服脱いでんのアンタ」
一方通行「ほらよ」ポイッ
ヴェント「!」パサッ
一方通行「着とけ。 見てるだけで寒そォだしよオマエ」
86 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:18:48.53 ID:OJLSaNvgo
ヴェント「・・・・・・会って間もない人間からこんな施し受けて、
私が喜ぶとでも思ってんの?」
一方通行「ごちゃごちゃ抜かしてンじゃねェ。 いいから着てろ」
ヴェント「アンタはどうするのよ、・・・・・・そんなみすぼらしい体つきで
こんなクソ寒いところにいられるのかしら?」
一方通行「どォにでもなるンだよ、そンなモン」フー
ヴェント「馬鹿みたい。 そうやって紳士ぶってればカッコイイとでも思ってんの?」
一方通行「そンなンじゃねェよ。 いちいち癇に障る女だなオマエ。
いらねェンなら返せよ」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・いらないなんて一言も言ってないんだけど」ゴソゴソ
一方通行「結局着てるじゃねェか」
ヴェント「うるせぇな、このヴェントが着てやってんのよ。
少しは嬉しそうにしたらどうなの?」
一方通行「意味がわかンねェよ」
87 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:19:27.09 ID:OJLSaNvgo
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ジー
エイワス「来るぞ」
レッサー「ッ!! うわっと、」ヒョイ
ドドォォォン・・・・・・
レッサー「こんにゃろっ」ブンッ
エイワス「ナイスショット、これで君は十七機目だな」
レッサー「結構爆撃受けてますけど、この船大丈夫なんですか?」
エイワス「大丈夫でないように見えるか?」
レッサー「・・・・・・・・・・・・そういえば、傷ひとつ見当たりませんね」
88 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:20:18.49 ID:OJLSaNvgo
エイワス「私の守護防壁魔術をこのクルーザー全体に施し、コーティングしてある。
今のこの船なら核爆発にも耐えることができるぞ」
レッサー「・・・・・・もうそんな情報では驚けなくなってしまいました」
エイワス「一方通行とヴェントが気になるのかね?」
レッサー「えっ、いや別に・・・・・・」
エイワス「私に隠し事が出来ると思わないほうがいい」
レッサー「じゃあ聞かないでください」
エイワス「おっと、言われてみればその通りだ。 ・・・・・・ふむ、
しかし君は私に対しての態度が強くなっているな」
レッサー「あ・・・・・・、ごめんなさい。 いつもの調子で喋ってました」
エイワス「いや、それでいい」
レッサー「え?」
89 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:21:29.02 ID:OJLSaNvgo
エイワス「君はロシアに入るまで私に対して極度の畏怖を抱いていたな」
レッサー(当たり前でしょ、まさか本当にエイワスなんてものが存在しているなんて、
ヴェントさんだって驚いてたし、魔術師なら誰でも警戒するっつーの・・・・・・)
エイワス「私は、私にそういう感情を向けられるのが悲しいのだよ」
レッサー「悲しい?」
エイワス「私はそんなに大それた存在ではない。 私に対して恐れ慄くなど、
私から言わせればそれこそ恐縮というものだ」
レッサー「はぁ、(うそくせー)」
エイワス「そんな者には、黄泉川愛穂や打ち止め(ラストオーダー)を
もっと見習え、と声を大にして言いたいくらいだよ」
レッサー(ヨミカワ? ラストオーダー?)
エイワス「彼女たちは実に心地いい。 この私でさえも、暖かく迎え入れてくれた。
もちろんそれは私というものを知らないからというところもあるだろうが、
彼女たちはどこか、そういう所に関して寛容的な部分が見受けられる」
90 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:22:24.00 ID:OJLSaNvgo
レッサー「ほー・・・・・・」
エイワス「実に興味深いよ。 人間などという劣等種にも、ああいった存在が
いるというのはね。 知的好奇心をくすぐられる」
レッサー「劣等種・・・・・・」
エイワス「・・・・・・我々のような強大な力を秘めた集団が、
たかがイギリス一国のために力添えなどしてくれるわけがない、か」
レッサー「ッ!」ギクッ
エイワス「果たしてどうかな? 今の彼、一方通行ならわからんぞ?」
レッサー「・・・・・・で、でも」
エイワス「たしかに私にとってはイギリスがこの先どうなろうと、
言ってしまえばこの星がどうなろうと全く興味はないが―――」
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エイワス「―――彼はおそらく、そうは思わないだろう」
レッサー「・・・・・・・・・・・・」
レッサー「・・・・・・・・・・・・もう少し、考えさせてください。
私の帰りを待ってる仲間もいるんです、おいそれと決められることじゃありません」
エイワス「ふふ、賢明な判断だ。 ほんのわずかだが、君にも興味が出てきた」
レッサー「喜ぶところですか、それ?」
エイワス「不幸だと考えるべきだ、くくく」
91 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:23:28.73 ID:OJLSaNvgo
「・・・・・・ふー、これで大体終わったかな」
風斬氷華はエリザリーナ独立国同盟から四十キロ南東の平原にいた。
周りには戦車や戦闘機、武装ヘリの残骸が転がっている。
例に漏れず、その周辺にはプライベーティアの兵士達が意識を失い、倒れていた。
「天使さんと垣根さんはまだ向こうのほうかなぁ。 あの二人、なんだかんだで仲が良いんだ」
風斬がいるポイントの周辺では、もう戦闘が行われている気配は感じられない。
さっきまで嵐のように吹雪いていた天候も、今は落ち着いてきている。
風斬はその両目に意識を集中させ、遠方まで眺めてみた。
「・・・・・・・・・・・・むむ。 あっちのほうで小規模ですが誰かが争ってますね。
ん? あれって・・・・・・修道服? シスター?」
虹色に光る彼女の目に写った光景は、何人かのシスターとプライベーティアの軍隊が
戦闘をしている光景だった。
ここから八、九キロ先ぐらいの距離がある。
92 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:24:07.50 ID:OJLSaNvgo
「・・・・・・す、凄い。 圧倒的・・・・・・」
その場所の戦況はまさに圧倒的だった。修道服を着た魔術師たちは
風斬が見たこともない魔術を駆使し、プライベーティアを次々と打ち倒している。
中には周りの雪を使用し、水の槍を作って攻撃しているシスターもいた。
このロシアという環境を最大限に利用した魔術だ。
「あそこには行かなくても大丈夫かな。 でも、ロシアにもシスターっているんだ・・・・・・。
もしかしてロシア成教の魔術師さんたちかな? ・・・・・・・・・・・・うわ、
また一機ヘリを落とした。 あの赤い修道服の人・・・・・・、なんだろあれ、魔術かなぁ」
その中でも特に暴れまわっているのが、赤い修道服を着た奇妙なシスターだった。
彼女の近くには何やら不気味な老婆もおり、プライベーティアを容赦なく殲滅していっている。
あれも独立国側の人間なのかと思ったが、どうもヒトには見えない。
93 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:24:38.12 ID:OJLSaNvgo
そして、
「・・・・・・・・・・・・え? あれって・・・・・・」
風斬が見た一人の修道女。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もしかして、」
小柄な体躯にウェーブのかかった長い金髪。
極めつけはその奇妙と言ってもいい衣装。
「サーシャ=クロイツェフ!!?」
『天使同盟(アライアンス)』はロシアでの目的をまず一つ、達成した。
94 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:35:31.05 ID:OJLSaNvgo
今回はここまでです。ようやく抗争シーンも終わりが近づいてきましたね。
さて次回でついに役者が全員登場します、長かった・・・・・・。
次回更新はいつも通り三日以内に。
今回もここまで読んでくださった方には頭が上がりません、ありがとうございました。
では、また!
95 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:36:05.98 ID:OJLSaNvgo
【次回予告】
『彼から貰ったジャケットは暖かいかね? ヴェントちゃん』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・エイワス
『おっせぇぇんだよぉぉぉ!!!! もう粉々になっちまったわよ!!!
テメェが船を止めればいいだろうが!!!』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
『何をのんびりしているんですか!! 早くしないと・・・・・・!!』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』の構成員・レッサー
『異例の事態だわ、人間ならともかく、まさか船そのものが不法入国してくるなんて・・・・・・』
―――――――――――エリザリーナ独立国同盟の中心的人物・エリザリーナ
96 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/23(日) 09:36:34.28 ID:OJLSaNvgo
『んんっ? なぁにサーシャちゃん? 何かリクエスト? どこをペロペロして欲しいのかにゃーん?』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『いやそうではなく、あれを見てください』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 09:53:57.87 ID:c8+vtyuSO
乙
サーシャ来た!これでかつる!
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 10:23:19.72 ID:rUmVjFdDO
このスレで完結するんじゃなかろうかと思うと、精神が壊れそうになる
天使同盟は製作の一方禁書だわ
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 10:29:06.61 ID:f2JrzKFAO
>>1
乙
ヴェントちゃんかわええ
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 10:58:00.37 ID:egSesJiE0
やっとサーシャの攻略が始まるな
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 11:14:42.30 ID:ZtVhKysAO
ワシリーサルートキターー!!
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 12:58:37.57 ID:2KZw8uSIO
おつ
とうとうきたか
ぅぇんと可愛すぎだろ
誰か一人とか決められないので全ルートをry
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 14:09:11.34 ID:iuOfb4SS0
>>98
嫌なこと思い出させるなよ
人生の貴重な楽しみが濁るわ
フラグがたってたっぽい垣念魔術ルートもやってくんないかなぁ
とんでも人間大量輸入でww
エリザリーナさんまじ哀れwwww
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 14:12:51.59 ID:83hlF3Oqo
人間ならまだいいだろ
残念ながら半分以上があsdfgぃww
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 16:57:50.40 ID:2t3uZCRHo
ヴェントたんかああわいいいいよおおおハァハァハァペロペロ
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 22:21:52.27 ID:3vKgySr/0
ワシリーサが完全にダメな人になってるwwwwwwwwwwwwもっとやれwwwwwwwwwwww
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 22:44:56.63 ID:haGXKehJo
更新乙
ヴェント、お前がこれから攻略する?壁はどこよりも高いぞ……
エイワスが言ってることって本心なのかどうか、疑ってしまうなw
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 22:56:16.25 ID:Izxt1S4s0
Pixivで挿絵師様発見した
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 23:33:52.13 ID:ZD8qMCih0
>>108
kwsk 絵師様最近見ないと思ってたんだが。
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 00:46:11.22 ID:JeCWU9Oho
ここにURL貼るのは本人に迷惑だから検索ワードか無視するかにしとけな
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 00:48:11.59 ID:PXQh84PBo
晒したら確実に荒れる
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage ]:2011/01/24(月) 02:58:43.61 ID:IPDxIkJK0
ボーリングのボツ絵もあったな
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 03:10:33.04 ID:JeCWU9Oho
>>108
、
>>112
お前らは絶対に許さない
108をみてずっと探して諦めて寝ようとしてリロードした結果
>>112
とかマジふざけてる
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 03:26:09.09 ID:2fMCuo6Po
>>113
なぜ見つけられないんだ?
このスレにいれば考えることもなくわかるただの四字熟語だぞ?
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 03:33:45.19 ID:B4u1xajj0
ああ、○○同盟だな
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 19:02:31.47 ID:IPDxIkJK0
な、なンて難問だァ
117 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/24(月) 19:47:35.96 ID:rGcOT9KMo
相変わらずクオリティの高いイラストで大満足でした、なんであれがボツなんだろ・・・・・・
というわけで今回も投下させていただきます。
なんだかんだで毎日投下しているような気がしないでもないですが気のせいですかね
>>98
結局、このスレでも終われそうにない訳よ
それでは、行きます。
118 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:48:41.86 ID:rGcOT9KMo
風斬氷華がサーシャ=クロイツェフを発見したのとほぼ同時に、
この聖守護天使も彼女を発見していた。
「見っけ」
エイワスはそう言うと、船首から甲板に降り、一方通行たちの方へ歩む。
「どォした?」
「うむ、サーシャ=クロイツェフを発見した。 ここから真っ直ぐ南へ二十キロといったところか。
今すぐに迎えに行ってほしいのだが、チョーカーのバッテリー残量はどうかな?」
「・・・・・・・・・・・・二十キロか。 バッテリーならあと数分は能力が使えるまでには回復してる」
「結構」
エイワスは満足気に頷く。
しかし、どこにでも現出できる力を持ったエイワスだ。
自分でサーシャの元へ向かえばいいのではないかというツッコミは入れたらいけないだろうか。
119 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:49:28.45 ID:rGcOT9KMo
「ちょっと待って。 サーシャの近くにもう一人、シスターがいなかった?」
ヴェントが一方通行に貸してもらったジャケットに身を包みながら尋ねた。
全身真黄色のフランス衣装に黒いジャケットの組み合わせはとても奇妙に見える。
黄色と黒という警告色の組み合わせは、彼女にぴったりかもしれない。
もっとも、和服の上にブルゾンを着こむという奇抜なファッションスタイルの女性が
主人公の人気小説もあるわけだし、ここで衣装についてそんなに追求する必要もないだろう。
話を戻そう。
「ワシリーサか。 いたよ、『一本足の家の人食い婆さん』を行使して
サーシャ=クロイツェフ他、シスター達と共にプライベーティアと交戦していた」
「ふん、やっぱりね。 ロシア成教と接触していたか。
何を考えているのだか、あの変態修道女」
120 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:52:18.53 ID:rGcOT9KMo
一方通行とレッサーには話の内容が理解できなかった。
が、とりあえずサーシャを見つけたとなると出会うべきだろう。
一方通行たち本来の目的である事と、もしかしたらこのプライベーティアの襲撃は
『天使同盟』のヒロインであるミーシャ=クロイツェフが原因で引き起こされたかもしれないのだ。
責任を感じる必要は全く無いのかもしれないが、それでも一方通行は
早いとこサーシャと話をしておきたかった。
「私もついていきましょうか?」
「いや、いい。 俺一人で十分だ」
レッサーの申し出を断り、一方通行は電極チョーカーのスイッチをオンに切り替える。
その瞬間、彼の背中から膨大な質量の『翼』が噴出した。
翼の色は、黒だった。
121 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:53:02.39 ID:rGcOT9KMo
「! へぇ・・・・・・」
一方通行から噴出される翼を見たヴェントが、わずかに驚く。
彼女は風斬氷華やミーシャ=クロイツェフ、そして同じように背から翼を生やす
垣根帝督を見ている。ならばこの一方通行も"そういうもの"なのだろうと予想していた。
「このまま南へ行けばいいンだな?」
「そうだ。 それと、この船は間もなくエリザリーナ独立国に到着する、
私も他の者へ連絡しておこう」
「いよいよですか、まぁ私はこれといってあの国に用は無いんですけど」
「アンタ、このジャケットはいらないの?」
「能力使ってるから寒さなンざ感じねェンだよ、着とけ」
122 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:53:45.97 ID:rGcOT9KMo
言って、一方通行はふわりと甲板から身を浮かせ、轟音とともに南方向へ飛翔していった。
「む、いかんな」
ふと、エイワスが焦燥ともとれる声を出して言った。
「どうかしましたか?」
「ブレーキをかけるのを忘れていた」
「はい?」
「ブレーキをかけることを失念していたと言っている」
「はぁ、なら今すぐにかければいいじゃないですか」
「見たまえ」
エイワスが船首の方へ指をさした。
何事かと思いレッサーとヴェントはその方向へ目を向けると、
123 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:54:30.87 ID:rGcOT9KMo
「あ・・・・・・・・・・・・」
まだ豆粒ほどの大きさだが、建造物がいくつも立ち並んでいる景色が見えた。
だがこうしている間にも、その景色はどんどん大きく見えてきている。
「間もなくエリザリーナ独立国に到着するといっただろう?」
「だ、ちょ、な、なんでブレーキかけないんですか!!?」
「だからそう言ったのだろうに」
「おい!! このままだとこの船、独立国に衝突しちゃうわよ!!?」
「間に合うかなぁ〜」
「何をのんびりしているんですか!! 早くしないと・・・・・・!!」
「チッ!!!」
ヴェントは毒づきながらハンマーを構えた。
124 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:55:25.69 ID:rGcOT9KMo
ヴェントは右手に持っていた有刺鉄線付きのハンマーを忙しなく動かした。
すると、クルーザーの隣で並行して走っていた氷の帆船が速度をグングンあげる。
「コイツをこの船の正面に回して動きを止める!!
アンタは船の中にいる人間たちに衝撃に備えるよう伝えてこい!!」
「は、はいっ!!」
言われるがまま、レッサーは駆け足でラウンジへ向かっていった。
エイワスの姿も見えない、おそらくは整備室へ行ったのだろうが、
今からブレーキをかけても間に合うとは思えなかった。
「コイツら・・・・・・、これじゃやってることがプライベーティアと変わんないじゃないのよ!!」
クルーザーが走るスピードは想像以上に早く、ヴェントが操る『女王艦隊』はなかなか前方に回り込めない。
125 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:56:17.33 ID:rGcOT9KMo
「とりあえず、コイツをぶち込んで軌道を逸らすッ!!」
クルッとハンマーを片手で回すと、氷の帆船から凄まじい勢いで氷の錨が射出された。
それはクルーザーの側面に見事に命中、粉々に砕けた氷の破片がヴェントを襲う。
だが、クルーザーは何事もなかったかのように真っ直ぐ独立国へと向かっている。
「一発でダメなら・・・・・・、何発でも!」
立て続けに錨を射出していくヴェント。その度に飛んでくる氷の破片と粉塵が
やたらと欝陶しい。
だが、それでもクルーザーはびくともしなかった。そんじょそこらの大砲とはわけが違う威力の
錨をぶつけているにも関わらず、だ。
「どうなってんのよこの船―――――、あ」
と、ヴェントはそこでエイワスレッサーと会話をしている時に言っていた事を思い出す。
126 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:57:13.30 ID:rGcOT9KMo
『私の守護防壁魔術をこのクルーザー全体に施し、コーティングしてある。
今のこの船なら核爆発にも耐えることができるぞ』
「あんのクソ野郎・・・・・・ッ!!! 守護防壁解けコラァァァッ!!!!!!!」
もうプライベーティアからの攻撃が無くなった今の状況なら術式を解いても問題ないだろう。
ヴェントは聞こえはしないとわかっていたが、エイワスに向かって叫んだ
だが、
「・・・・・・・・・・・・!」
タイミング悪く、『女王艦隊』がクルーザーの前に回りこんだ。
そして豪華クルーザー『アライアンス』号は、容赦なく氷の帆船を粉々に砕いてしまった。
127 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 19:58:34.83 ID:rGcOT9KMo
『聞こえるかねヴェント。 私が施していた術式はたった今解除した。
君の『女王艦隊』でこの船を止めてくれ。 出来なければ、軌道を逸らして・・・・・・
いや、今更軌道を逸らしても無理か』
「おっせぇぇんだよぉぉぉ!!!! もう粉々になっちまったわよ!!!
テメェが船を止めればいいだろうが!!!」
『たった今、ブースターの噴射を止めたが、やはり急には止まらん。
まぁもっともこの速度で急停止しまったら慣性が働いて、船の中にいる独立国の人間が
大怪我をしてしまうだろうな』
「このまま突っ込んだらもっと多くの犠牲者が出るわよ!!!」
『賭けるしかあるまい』
「何?」
『現在進行形でエリザリーナ独立国に『念話能力(テレパス)』と似たようなものを送っている。
今、君に話しかけているこの力の事だ。 独立国に残っているほぼ全ての国民に
船の進行ルートから避難するように呼びかけている。 うまくいけば、大惨事は免れるだろう』
128 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:00:01.91 ID:rGcOT9KMo
「まず急に頭の中で声がした事に国民はパニックになってるわよ」
『かもな。 まぁそこは、エリザリーナの統率力に期待するしかないだろう』
依然としてクルーザーは独立国に向けて走っている。
もうエイワス特製のブーストエンジンは止めてあるとはいえ、このまま進んで
独立国に入ってしまえば、未曾有の惨劇が起きてしまうことは想像に難くない。
一応、エイワスは一方通行以外の構成員に連絡を入れているが、
彼らがここまで戻ってきて船を止めてくれることは期待できそうもない。
『天使同盟』の面々は、船からかなり離れた位置にいるらしいからだ。
「さっき『女王艦隊』がぶつかったんだけど、中の連中は無事なんでしょうね?」
『私の施した防壁魔術は衝撃も吸収し、霧散させる。
"『女王艦隊』程度の魔術なら"中の人間たちにはなんの影響もない、安心したまえ』
129 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:00:51.35 ID:rGcOT9KMo
自分の『女王艦隊』をこうも簡単に打ち破ってしまったエイワスの魔術(?)に、
ほんの少しだけ歯噛みするヴェントだったが、独立国の国民が無事ならそれに越したことはない。
こんな化物連中のせいで国民に何かがあってしまっては、後味が悪すぎるというものだ。
ヴェントは一方通行から貸し与えられたジャケットを体にギュッと包ませ、
刻一刻と近づいてくるエリザリーナ独立国同盟をジッと見据えた。
『彼から貰ったジャケットは暖かいかね? ヴェントちゃん』
「ッ!! うるっせぇなぁ・・・・・・!!」
他人から、しかも会ったばかりの他人からこんな暖かい施しを受けたこと無いヴェントは困惑していた。
こういう事をされた時、どう対応すればいいのかイマイチわからない。
そんな彼女は、かつての一方通行と重なって見えた。
130 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:01:41.79 ID:rGcOT9KMo
エリザリーナ独立国同盟は、騒然としていた。
「急げ!!! ここは船の直進ルートだぞ!!
荷物なんか捨ておけ、ここにいたら荷物共々ぶっ飛ばされる!!!」
「戦場にいる我々の同志はもう避難しているのか!? なぜ連絡が来ない!!」
「おい! こっちにゃまだ怪我人がいるんだ!! 誰か手を貸してくれぇ!!」
「さっき頭の中に話しかけてきた妙な声を信じるのかッ!!?」
「信じるも信じねぇも、現に船がこっちに猛スピードで向かってきてんだよ!!」
131 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:02:36.07 ID:rGcOT9KMo
独立国の国民たちが、あちらへこちらへと慌ただしく駈け回っていく。
その光景は、プライベーティアが襲撃してきた時とは比べ物にならない程だった。
プライベーティアの勢力が短時間で急激に落ちていっているという情報が入り
困惑していた時に、突如として謎の声が頭に響いてきた。
『監視塔にいる人間に確認してもらえればわかるだろうが、今そちらに巨大なクルーザーが
凄まじい速度で向かっている。 突入ルートを予想し、国民は速やかに避難したまえ。
繰り返す。 今、そちらに巨大な・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
にわかには信じられない情報だが、それ以前にこの声はどこから発信されているのかも分からない。
魔術師に聞いても、ここまで大きな範囲で思念を送る魔術など存在しないの一点張りだった。
132 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:03:35.04 ID:rGcOT9KMo
しかし、監視塔から各地の状況を見ている兵士に尋ねると、遙か遠方から巨大な船が国へ
向かってきていると返事があった。他の監視兵達も同様の事を言っている。
独立国の各部隊は緊急事態の警報を鳴らし、大急ぎで国民たちを避難させていった。
女、子供、老人、紛争に関係ない一般国民を優先し、素晴らしいチームワークで避難活動を行った。
そんな各部隊に的確な指示を送っているのは、独立国の創設者にしてリーダー、エリザリーナである。
「状況は?」
「はい。 ほぼ全ての国民の避難を終わらせています。
国内に残っている兵も今、予測ルートから離れて避難を始めています」
「そう・・・・・・」
戦況などが詳しく記載された紙が乱雑にデスクに散らばっている軍事施設の一室で、
エリザリーナは深くため息をつき、頭を抱えていた。
133 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:04:41.60 ID:rGcOT9KMo
何人もの不法入国者がこのエリザリーナ独立国同盟に向かってくるという状況は、初めてではない。
かの第三次世界大戦においても、上条当麻を初め、一方通行や浜面仕上、その他大勢の人間が
この国に集結したのだ。
「でも、こんなのって・・・・・・。 異例の事態だわ、人間ならともかく、
まさか船そのものが不法入国するなんて・・・・・・。 いえ、これはもはや『侵攻』ね」
彼女は独立国同盟のトップとして、考え得る敵からの襲撃パターンを予測し、
あらゆる戦術をを頭に叩き込んでいる。
だが、まさか船が、それも客船と見紛うほど巨大なクルーザーが直接ここへ向かってくるという状況は
いくら聖女と呼ばれるエリザリーナでも予測できなかった。予測できるわけがない。
しかし、これが独立国同盟でもプライベーティアでもない、謎の第三の勢力によるものだということは
彼女も予想していた。そしてその予想はズバリ、である。
134 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:05:28.74 ID:rGcOT9KMo
(ワシリーサやサーシャはこの事を知っているのかしら? ヴェントは?
国民を避難させるのに精一杯で戦場の状況が把握できない・・・・・・)
何やらワシリーサが戦場にいたロシア成教の魔術師と接触したという情報は入ってきている。
が、それを最後に定時連絡は途絶え、来た情報といえば『プライベーティアの戦力がどんどん減っていっている』、
というもののみだった。
「第三の勢力は間違いなく、この国に用があって来ているのでしょうね。
でなければ私たちを援護する理由がないし、わざわざ船が向かってくることを
教えてくるはずもないもの」
「何者なんでしょうね、ヤツら・・・・・・」
「只者ではないでしょうね、なんて言ったって・・・・・・」
135 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:07:50.16 ID:rGcOT9KMo
"背中から翼を生やした連中"。
第三の勢力について入ってきた情報はこれだけだ。
万が一、いや億が一に考えられることは、このロシアの地に『天使』が再臨したという事。
しかしその天使が人間の味方を、いや、明確にエリザリーナ独立国同盟の味方をするなどという
事は考えられなかった。
しかも、第三の勢力は一人ではない。一人なら『連中』という言い方はしないはずだ。
目を閉じながら思考の海へ潜っていくエリザリーナだが、そこに声がかかる。
「エリザリーナさん、私たちもそろそろ・・・・・・」
「えぇ、そうね」
隣にいた大男、ベラッギに促され、エリザリーナもオフィスから出て行った。
136 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:09:39.39 ID:rGcOT9KMo
――――――――――――――――――――――
「この辺はもうプライベーティアはいませんね」
「ん〜、歯ごたえがないわねぇ。 これじゃちっとも物足りないわん♪」
サーシャ=クロイツェフとワシリーサは独立国から二十五キロほど離れた平原に佇んでいた。
彼女たちの周辺には何人かのシスター、ロシア成教の魔術師達もいる。
「ありがとね、シスターの皆々様。 おかげで助かったわん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ワシリーサがシスターの一人に礼を言うが、シスターはジロリと彼女を睨むだけだった。
それもそのはず、ワシリーサはかつてロシア成教の『殲滅白書(Annihilatus)』に所属していたシスターだ。
137 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:10:25.01 ID:rGcOT9KMo
彼女は第三次世界大戦直前、同じく『殲滅白書』に所属していたサーシャがロシア成教に追われていることを知り
あっさりとロシア成教から離脱した。
そして全面的にサーシャの味方として行動し、終始ロシア成教と対立していたのだ。
「第一の質問ですが、あなた方はなぜ私たちに何の危害も加えようとしないのですか?」
「・・・・・・もう戦争は終わっている。 今更貴様の身をどうこうしようが、意味はなくなった」
ロシア成教のシスターはどこか居心地悪そうにしながら答えた。
彼女たちはサーシャとワシリーサを助けたのではない、むしろ劣勢に立たされていたところを助けられたのだ。
さっきのワシリーサの礼も、彼女は何の悪意もなく言ったものだが、シスター達は礼を言われてどう答えればいいか分からない。
かつての同志であり、今は敵対関係ではないにせよ、余所余所しくなるのも無理はない。
138 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:11:19.21 ID:rGcOT9KMo
「その身をどうこうって・・・・・・、あなた達、私のサーシャちゃんにどんなエロい事をしようとしてたのよ!!?
やっぱりあの時サーシャちゃんの味方をして正解だったわ! この子に"いろんなコト"が出来るのは
私だけの特権なんだからねっ!!」
「第一の否定ですが、私はあなたのものではありませんし、そんな特権もねぇよ」
清々しいほど場違いな発言をするワシリーサに、冷静にツッコミを入れるサーシャ。
ワシリーサはサーシャの事となると、どうしようもないくらいの変態へと成り下がってしまう傾向があった。
・・・・・・いや、成り上がるというのが正しいのかもしれない。
彼女がサーシャを守るときに発揮する力は、そこらの魔術師では束になっても敵わないほど強大なものだからだ。
「第二の質問ですが、聞きましたか? 例の船の話」
「巨大なクルーザーが独立国に向かって走ってるって報告でしょう?
ここ、大地よ? ど〜〜〜〜も眉唾ものなのよねぇ」
二人はその大地を駆けるクルーザーを目撃していない。
途中、凄まじい光が発せられたと思ったらロシアの原野が一部消失したという情報は知っているが、
それとその船が関係があるのかどうか、現状ではよく分からないのだ。
そしてもちろん、その船が独立国に"突貫"しようとしているという情報も、二人は知らない。
139 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:12:50.20 ID:rGcOT9KMo
「ところで、あなた達はどうするのかしら? このまま私たちと独立国同盟に行く?」
「それはこちらの質問だワシリーサ。 お前たちはロシア成教に戻っては来ないのか?」
「第三の質問ですが、我々に戻れる席が残っているのでしょうか?」
「ニコライ司教は、お前たちが戻ってきた暁には是非とも話がしたいと仰られている」
「うわ、あのゲス野郎、まだ生きてたの? しっかりトドメをさしとけばよかったわ。 なんちゃって♪」
元直属上司であるニコライ=トルストイに向かって不謹慎極まりない発言をぶちかますワシリーサ。
ニコライは第三次世界大戦にて『右方』のフィアンマと共謀していた。
だが、フィアンマに利用されるだけ利用され見限られるという哀れな結果だけを残し、
密かに隠し持っていた強大な兵器を使って暴れるなど、見るに耐えない愚行に走る。
そして、彼がモスクワに幽閉していたロシア成教の総大主教、クランス=R=ツァールスキーを救うために
真正面から侵攻してきたワシリーサと対峙、見事にボコボコにされてしまった。
そんな男が、ロシア成教でワシリーサとサーシャを待っているという。
140 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:13:58.30 ID:rGcOT9KMo
「第四の質問ですが、クランス主教が彼をロシア成教に留めておくでしょうか?
幽閉までされ、さらには核弾頭を使おうとまでした男ですよ?」
「人が良さそうだからなぁ〜、あの子。 多分ニコライがそこを突いて
上手いこと言いくるめたんじゃないかしら? あーやだやだ」
「・・・・・・・・・・・・それで、どうするのだ」
「サーシャちゃんに任せちゃうっ」
「・・・・・・第一の回答ですが、私は、今はまだロシア成教に戻るつもりはありません。
エリザリーナ独立国同盟の皆様にも良くしてもらっていますし、私はまだあの国で
やらなければならないことが沢山ありますから」
前髪で隠れて目が見えないが、サーシャの決意は固いものであるようだ。
目を見なくても、それがわかるハッキリとした力強い言葉だった。
「そーいうわけで、私たちは戻りまっせ〜〜〜〜ん!
あ、でもでも、総大主教のカワイコちゃんにはよろしく伝えておいてねん♪
あの子が戻ってきて欲しいって言うなら、サーシャちゃん縛って飛んでっちゃうから!」
「・・・・・・・・・・・・勝手にしろ。 おい、行くぞ」
ワシリーサのまるっきりふざけきった口調にイライラしながらも、
二人の答えを聞いたシスター達は方向を変え、帰路についた。
141 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:15:33.77 ID:rGcOT9KMo
「・・・・・・これでよかったのでしょうか」
「いいのよん、サーシャちゃんが決めたことなんだから。
自分で固めた決意は決して曲げちゃダメ、どこまでも貫きなさい」
たまにこんな風にマジな雰囲気になるからワシリーサは困り者なのだ。
だが、サーシャはそんな彼女の言葉を聞いて、ニコリと微笑み、
「ありがとうございます、ワシリーサ」
礼を言った。
ぺこりと小さく頭を下げて礼を言うというその行為が、
ワシリーサの『邪』の心をどれだけくすぐるのか、サーシャはまだ気付いていないのか。
142 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:16:26.08 ID:rGcOT9KMo
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」
「? ワシリーサ・・・・・・?」
「可愛い可愛い可愛い!! んもぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜う!!
これだからあなたとは何時まで経っても離れられないのよ〜〜〜!!!
だぁ〜れがロシア成教に渡すモンですかッ!! サーシャちゃんはやっぱり私の――」
「あなたのものではありません」
「――ですよね〜。 でもそんなツンツンサーシャちゃんも素敵っ!」
ガバっと抱きついてくるワシリーサに辟易しながらも、その表情は笑顔のままだ。
143 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:17:02.66 ID:rGcOT9KMo
―――そんな時だった。
「・・・・・・? ワシリーサ」
「んんっ? なぁにサーシャちゃん? 何かリクエスト? どこをペロペロして欲しいのかにゃーん?」
「いやそうではなく、あれを見てください」
「んもう、焦らし過ぎは逆効果だぞっ♪ 一体何よ、」
サーシャに促され、クルッと後ろを振り向くワシリーサ。
そこにはただただ白い平原が続いているだけなのだが、彼女が空を見てみると、
「・・・・・・・・・・・・わぁお。 何あれ」
そこには、背中からどす黒い翼のようなものを噴出して飛んでくる、白い悪魔がいた。
144 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:25:32.28 ID:rGcOT9KMo
今日はここまでです。
ようやくサーシャ=クロイツェフと出会う事が出来ました。
読み返してみたら、サーシャに会いに行こうって話は初期の初期から出てたんですね・・・・・・長かったなぁ。
今回もここまで読んでくださった読者様に最大の感謝を。
次回更新は三日以内に行います。
では、本日もありがとうございました。
145 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:26:21.76 ID:rGcOT9KMo
【次回予告】
『仲間なんてもんじゃないわよん。 私はワシリーサ、
サーシャちゃんとは恋仲にある元『殲滅白書』のシスターだにゃん』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『第一の否定ですが、恋仲などではありません。 初対面の相手にそんなウソをつかないでください』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
『まァ信じろっつゥ方が無理だわな。 だが事実だ。
『神の力(ガブリエル)』、ミーシャ=クロイツェフは今、独立国へ向かってる』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
146 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/24(月) 20:26:57.70 ID:rGcOT9KMo
『マジで頭おかしいんじゃねえのかアイツ。 サーシャが見つかったってのはいいが、
ブレーキかけ忘れるとか・・・・・・、ドジっ娘属性でも獲得しようとしてんのかよ』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・垣根帝督
『えっと、彼女一人の手には負えないってさっきエイワスさんから・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
『この独立国同盟で出迎えるのはプライベーティアなんかじゃない。
もっと素敵なお客様よ・・・・・・、まったく』
―――――――――――エリザリーナ独立国同盟の中心的人物・エリザリーナ
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 20:33:24.15 ID:H9qXVM0Jo
乙!
エリザリーナ独立国同盟での「はじめてのおしごと」はクルーザーを止める事か……
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]:2011/01/24(月) 20:43:35.23 ID:rxBQht9H0
乙おつ
ミーシャならクルーザーも止められたんだろうか…
エイワスパワーだから無理なのかな
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 21:03:18.51 ID:0YWWiXEx0
おつおつ
あまりの面白さに昨日の夕方から一気に読んでしまった。
しかし、普通に一通さん呼び戻してベクトル変換してもらえば……げふんげふん
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 21:05:48.94 ID:BJpO6fnDO
ついにサーシャきたわぁ……
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 21:20:12.34 ID:mgYLgysdo
待ち遠しい乙
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 22:29:59.38 ID:B4u1xajj0
これでエリザリーナ独立国同盟の人たちにも大人気だねww
やってやったね、エイワスてめぇww
しかし、この投下速度にはマジで感心するわ
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 22:50:04.00 ID:+fv5oZCoP
乙
投下ペース早くて嬉しいのう
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 00:22:02.39 ID:KqoBcpbHo
乙
やり過ぎだ、エイワス……
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 02:37:19.13 ID:8uFZ0hO5o
天使同盟の内の誰か一人でも船に戻れれば余裕で止められるだろうなww
一方さんなら中の人も全員無傷で救出も出来るだろうしw
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 02:39:34.25 ID:Dw0OJfbwo
全てエイワスの策略通りってことか乙
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 04:46:54.81 ID:tsrgE0GH0
1乙
日曜日きて月曜日もくるとか幸せだわぁ
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 20:24:02.16 ID:fKkzahJDO
今日も来ちゃうんだろうな
159 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/25(火) 22:35:38.74 ID:REaafd2yo
>>158
今日も来ちゃうんですねー・・・・・・あはは
というわけで投下していきますね。これでようやく(自分の中の)遅れを取り戻せそうです。
なんか勝手ですみません。
船についてですが、まぁ要するに『本当に船を止めなきゃいけないのならエイワスがとっくに止めてる』というわけで。
まったくとんでもないヤツですよエイワスは・・・・・・・・・・・・。
では、いきますねー。
160 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:37:12.97 ID:REaafd2yo
「・・・・・・・・・・・・あれか? 二人いるが、どっちがサーシャ=クロイツェフだったかな」
一方通行は純白の雪で染められた平原を上空から俯瞰していた。
そこには二人の女がこちらを見上げている。
一人は下着のようなワンピースに黒のベルトをぐるぐるに巻き付け、
その上から赤の外套を着込むといった、ヴェントなどとは比べ物にならないほど
奇抜な格好をした小柄な少女。
その隣にいるのは赤い修道服で全身を包み込んだ修道女だ。
「・・・・・・・・・・・・確か、あのぶっ飛ンだファッションしてるガキがサーシャだったよォな」
一方通行は第三次世界大戦終了後の帰りに、サーシャを一度見かけている。
その時の記憶はかなり曖昧でボヤケているが、あの妙な服装だけは忘れていなかった。
(降りて確認してみるか)
一方通行は周辺にプライベーティアがいないかどうか確認すると、
彼女らに近づきながらゆっくりと降下していった。
161 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:37:55.57 ID:REaafd2yo
「はぁい、こんにちわ。 どちらさまかしらん?
・・・・・・どう見ても、プライベーティアの連中とは思えないけど」
ワシリーサが話しかけてきた。軽い調子だが、一方通行にはわかる。
この女は手強い、と。
「あァ、プライベーティアじゃねェよ。 通りすがりの観光客だ。
ちと聞きてェ事があンだがよ」
「なんでしょうか?」
「サーシャ=クロイツェフってのがこの辺にいると聞いたンだが、
オマエら知らねェか?」
この二人のどっちか、というか小柄な少女のほうがサーシャだという事は
ほぼ確実なのだが、あえて一方通行は尋ねてみる。
「・・・・・・。 第一の回答ですが、サーシャ=クロイツェフとは私のことです」
「そォか」
やはり、小柄の少女がサーシャ=クロイツェフだった。
確認を終えると、一方通行はワシリーサの方を向き、続けて質問する。
162 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:38:53.18 ID:REaafd2yo
「オマエはなンだ? サーシャの仲間か?」
「仲間なんてもんじゃないわよん。 私はワシリーサ、
サーシャちゃんとは恋仲にある元『殲滅白書』のシスターだにゃん」
「第一の否定ですが、恋仲などではありません。 初対面の相手にそんなウソをつかないでください」
「そんなっ!!? あの時の誓いは偽りだったというのっ!?
ワシリーサ、悲しい!!!」
グスン、と泣きながら崩れ落ちるワシリーサ。
一方通行は彼女に向ける訝しげな表情を隠そうとはしない。
そんな彼女は放っておき、一方通行はサーシャへ言った。
163 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:40:19.21 ID:REaafd2yo
「サーシャ、いきなりこンな事言うのもあれなンだが――――」
「え、何? 告白? ちょっとやめてよ、サーシャちゃんは私が飼ってるんだから!!」
「第一のお願いですが、ちょっと黙っててください」
「・・・・・・いいか?」
「すみません、それで、なんでしょうか?」
「オマエに話がある、それも結構シリアスな話だ。
とりあえず、一度俺と一緒に独立国同盟に行っちゃくれねェか?」
「・・・・・・? あの、第一の質問ですが、あなたは?」
「一方通行(アクセラレータ)、って呼ンでくれりゃいい」
「! ふぅ〜〜〜ん・・・・・・」
ワシリーサが何かに気付いたのか、ニヤニヤとした表情を浮かべた。
164 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:41:21.25 ID:REaafd2yo
「サーシャちゃんにどんなお話があるのかにゃん? 学園都市の第一位ちゃん♪」
「! オマエ・・・・・・、なンで知ってンだ?」
「終戦後にちょいと小耳に挟んだのよん、『神の力(ガブリエル)』を退けたの、
あなたなんでしょう? 白い髪で細身の少年って特徴とぴったんこカンカンよ」
「・・・・・・そォかよ、まァ俺の事なンざどォだっていい。 話ってのはさっきこの変態からも出たが、
『神の力』についての話だ」
「へ、変態ぃ!? サーシャちゃんに言われると興奮しちゃうけど、
あなたからそんな事言われる筋合い無いわよコンチキショー!」
プンスカと怒るワシリーサをよそに、サーシャは首を小さく傾げる。
「第二の質問ですが、『神の力』は第三次世界大戦の時に消滅している天使ですよね?
その天使についてのお話・・・・・・ですか?」
「あァ、その天使が今、この世に存在してる。 つか独立国に向かってンだよ、
俺達と共にな」
サーシャとワシリーサはそれを聞いて固まってしまった。
165 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:42:33.04 ID:REaafd2yo
――ロシア連邦・とある平原
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ポカーン
ワシリーサ「・・・・・・それは学園都市流のジョークというものなのかにゃん?」
一方通行「まァ信じろっつゥ方が無理だわな。 だが事実だ。
『神の力』、ミーシャ=クロイツェフは今、独立国へ向かってる」
サーシャ「だ、第三の質問ですが、なぜあの天使が現世に・・・・・・?」
一方通行「だからその辺を詳しく説明してェから一緒に来いっつってンだよ」
ワシリーサ「・・・・・・・・・・・・さっきあなた、『俺達と共にな』って言ってたわよねぇ?
それはどういう事なのかしら?」
一方通行「そこら辺もあっちについたら話す、だから来い」
166 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:43:35.76 ID:REaafd2yo
サーシャ「第四の質問ですが、仮にその話が真実だったとして、
ミーシャが独立国に攻撃を加えるというようなことは・・・・・・?」
一方通行「ンな事アイツはしたりしねェし、まず俺がそォはさせねェよ」
ワシリーサ「んふ♪ ねぇねぇサーシャちゃん、なんだか面白い展開になってきたと思わない?
私正直、あの国はとても退屈だと感じてたところなのYO。
この第一位ちゃんの話、私にとってはとても刺激的な内容だわ、ムラムラしてきちゃう」
一方通行「どこに欲情する要素があるンだよ今の話に」
サーシャ「第五の質問ですが、この話をそうも楽観的に受け止めてよいのでしょうか?
あなただって本物の大天使の力を知らないわけではないでしょう?」
ワシリーサ「もっちろん、バッチリ理解してるわよんそんな事。
なんたってサーシャちゃんのぽんぽんに入ってた天使なんだもの♪」
167 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:44:35.28 ID:REaafd2yo
サーシャ「ぽんぽん言うな」
ワシリーサ「それを考慮しても、面白そうなお話だと思ったわけだす。
第一位ちゃん、是非ともミーシャ=クロイツェフに会わせてもらえるかしら?」
一方通行「うンだから早く行こォぜっつってンだろ」ガタガタ
サーシャ「第六の質問ですが、なぜあなたはこのような地でそんな薄着なのですか?」
一方通行「っせェな。 オマエにゃ関係ねェだろォが。
(能力オフにした途端、バカみてェに寒くなりやがった・・・・・・)」ガタガタ
ワシリーサ「ふふふ、その白い髪に真っ赤な眼、あなたってまるで、」
一方通行「ウサギみたァい♪ とか言うつもりじゃねェだろォな?」
ワシリーサ「私の思考を!? あなたニュータイプ? それともイノベイター?」
一方通行「超能力者だ。 いやもォホント、行くなら早く行こォぜ。
このままじゃ氷のオブジェになっちまう」ブルブル
168 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:45:41.98 ID:REaafd2yo
サーシャ「了解しました。 ワシリーサ、急いで独立国に戻りましょう」
ワシリーサ「えぇ〜、でもワシリーサ、走るの嫌〜い、苦手なのぉ〜。
サーシャちゃんがちゅっちゅしてくれたら元気百倍かも!!」
サーシャ「一方通行、このバカは放っといて行きましょう」
ワシリーサ「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・、もっと、もっと罵ってサーシャちゃぁん!」ハァハァ
一方通行「本当にシスターなのかよこのババア・・・・・・。 ・・・・・・だが、」
ワシリーサ「うん?」
169 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:46:32.32 ID:REaafd2yo
一方通行「エイワスのクソ野郎と一緒にいたからよォくわかる。
猫かぶってやがンなオマエ」
サーシャ「?」
ワシリーサ「・・・・・・んふふ、意味がわかりかねるわよんウサぴょん君♪」
一方通行「これでも割と魔術師は見てきている方なンだ。 オマエ、相当の手練だろ?」
ワシリーサ「いやんっ♪ サーシャちゃん助けてっ! この子ったら、
私の奥の奥まで覗き見てくるのぉ・・・・・・」ウルウル
サーシャ「はいはい。 もういいから行きましょうよ」
一方通行「ったく・・・・・・、まァいい。 ほら、」トントン
サーシャ「・・・・・・第七の質問ですが、それは何を意味するジェスチャーですか?」
ワシリーサ「『俺の背中に着いて来な』って意味よ。 カッケェっす!
一方通行さんマジパネェっす!!」
一方通行「違ェよクソボケ!! 背中に掴まれっつってンだ!!」
サーシャ「え、えと・・・・・・どうして」
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 22:46:38.39 ID:fKkzahJDO
>>159
>>1
△
171 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:47:31.92 ID:REaafd2yo
ワシリーサ「ちょっと!! 何さり気無くサーシャちゃんのうっすいペタンコお胸を
堪能しようとしてるのよ!! そんなの許さないんだからね!
あ、それと、あとであなたの背中の匂いを嗅がせてください」
サーシャ「殺すぞマジで」
ワシリーサ「ごめんなさい」
一方通行「さっき俺が飛ンでンの見ただろ。 一気に独立国まで向かう。
別に何も起きちゃいねェだろォが、念には念をってやつだ。 だからほら、」トントン
サーシャ「第二の回答ですが、わかりました。 ・・・・・・・・・・・・、
じゃ、じゃあちょっと失礼します」ヨイショ
ワシリーサ「いいなぁ〜、私も飛行術式かなにか覚えちゃおうかしら」
一方通行「よっ・・・・・・と。 軽いなァオマエ、ちゃンと飯食って・・・・・・
俺も人のこと言えねェか。 ・・・・・・オイ、オマエもさっさと乗れよ。
今ならオマエの大好きなサーシャちゃンにしがみつけるぞ?」クカカ
サーシャ「ちょっ・・・・・・!」
ワシリーサ「!!! そこに気付くとは・・・・・・やはり第一位は天才か」
サーシャ「あなた・・・・・・」ギロリ
一方通行「しょォがねェだろ、我慢しろい」
172 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:48:45.73 ID:REaafd2yo
――ロシア連邦・一方通行がいるポイントから北西十キロ先の平原
垣根「お、いたいた。 おい、ミーシャ!!」バサッ バサッ
ガブリエル「okibnnffh垣根fhfgvnbgrjj」ヤッホイ
垣根「もうプライベーティアの連中は大体片付いたみてえだぞ。
そこらにいる独立国のやつから聞いたんだ」
ガブリエル「psfrdfnber了解xeszrdygfl」
垣根「それより聞いたか? さっきのエイワスの通信」
ガブリエル「itydgbvngnj拝聴qaaap済gfhjerhjg」コクン
垣根「マジで頭おかしいんじゃねえのかアイツ。 サーシャが見つかったってのはいいが、
ブレーキかけ忘れるとか・・・・・・、ドジっ娘属性でも獲得しようとしてんのかよ」ハァ
173 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:49:39.00 ID:REaafd2yo
ガブリエル「ugjgigerigds氷華llotisgcbvvndfkb」
垣根「ん?」
風斬「あ、天使さん! それに垣根さんも」フワッ
垣根「上かよ。 お前どこまで飛んでたんだ」
風斬「一応プライベーティアがいないかどうかの確認をしていました。
それよりあの船が・・・・・・・・・・・・」
垣根「聞いてる、ここからじゃもう間に合わねえだろうな、俺達が向かっても」
風斬「このまま船が激突したら、大変なことになっちゃいますよ」アワアワ
174 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:50:16.08 ID:REaafd2yo
垣根「さすがにエイワスもそこまで馬鹿じゃねえ、どうにかすんだろ。
一方通行のヤツが見つけたサーシャがいる場所から船が近けりゃ
あいつがどうにかするだろうしよ」
風斬「大丈夫でしょうか・・・・・・。 やっぱり残っておけばよかったかなぁ」ソワソワ
垣根「ま、なるようになるってんだ。 俺達が心配する事じゃねえよ」
ガブリエル「―――――――――、」ピクン
風斬「? どうしました? 天使さん」
ガブリエル「pdchggdfbef彼vcdgduegfue気配kkdfcfxewxgxz察知ifdfswdwekpfex」キョロキョロ
垣根「?」
ガブリエル「pxvsffrjgrej此方ityscvxnmgvkrg」カモン
風斬「あ、ちょっと! どこ行くんですか? 待ってくださーい!」ビュン
垣根「あーめんどくせえなあの天使は。 どこに行こうってんだ」バシュ
175 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:51:35.26 ID:REaafd2yo
――――――――――――――――――――――
ワシリーサ「ふっふふん、ふっふふん、ふっふっふ〜ん♪」スリスリ
サーシャ「・・・・・・第一の質問ですが、どこを触っているのですかワシリーサ」ピクピク
ワシリーサ「だってだって、ここ持ってないと地面に落っこちちゃうじゃないのよさ。
不可抗力よ、不可抗力!」ムフフフ
一方通行「・・・・・・チッ。 オイ、うっぜェからあンま暴れンじゃねェよ。
振り落とすぞコラ」
サーシャ「それにしても、ロシアの環境には慣れてきたとはいえ、
上空でこれだけの速度を出しながら飛ぶと、やはり寒いですね・・・・・・」ブルブル
176 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:52:55.67 ID:REaafd2yo
ワシリーサ「あ、じゃあ温めて―――」
サーシャ「一方通行、この女をたたき落としてくれますか?」
一方通行「ンな器用な真似出来るか。 あァ、それとこの翼には触ンなよ。
どォなるかわかったモンじゃねェからなァ」
サーシャ「わ、わかりました。 ・・・・・・第二の質問ですが、あなたは今は寒くないんですか?」
一方通行「俺の能力は『ベクトルの変換』だ。 能力を使用している間は
俺に向かってくる寒波は全部遮断してンだよ。 ・・・・・・言ってもわからねェかもしれねェけどな」
サーシャ「・・・・・・寒いのを防ぐことが出来るのはわかりました。
学園都市の技術による『能力』というものがイマイチ理解出来ませんが・・・・・・」
ワシリーサ「ベクトル・・・・・・。 なるほど、魔術風に言うなら大気、もしくは体に流れている魔力の流れを
自由に操作できるって事よん♪ そうなんでしょ? ウサぴょん」
一方通行「ウサぴょん言うな、ブッ殺すぞ。 ・・・・・・まァ、そンなところだ。
魔術は"逸らす"程度にしか操れねェがな」
177 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:53:36.18 ID:REaafd2yo
サーシャ「・・・・・・凄いですね」
ワシリーサ「ねぇウサぴょん。 あなたさっき、エイワスがどうとか言ってたわよねぇ?
もしかしてエイワスも一緒にいるのかしら?」
一方通行「やっぱ魔術師ってのはエイワスを知ってンのか。
あァ、いるぞ。 クソ憎たらしい神様気取りがなァ」
サーシャ「え、エイワスって・・・・・・、法の書を伝えた聖守護天使ですか?
実在しているというのですか、あのような存在が・・・・・・」
ワシリーサ「ヤバイわね。 お姉さんますます興奮してきちゃったわん♪
この様子だと平原の消失や巨大な船の件も全部あなた達が絡んでるって
考えて差し支えないのかにゃ?」
一方通行「差し支えねェどころか、もろに俺たちだぞそれ」
ワシリーサ「きゃー♪ ワクテカが止まらないとはこの事ね!
お肌が更に若返ってきた気がするわ、ねぇサーシャちゃん!」ムギュー
サーシャ「ぐ・・・・・・ぐるじ・・・・・・」ムググ
一方通行「暴れンなっつってンだろ・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・んン?」
178 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:54:40.03 ID:REaafd2yo
ガブリエル「pvmcbdgfoeff貴方iivbbdwdwvkzaswxm」ギュオオオオオオ
一方通行「が、ガブリエル!!? ちょ、待て!! その速度で突っ込ンでくンじゃ―――」
ドッシーーーーーーン ウワアアアアアアアア
垣根「ははははは!! 見ろよあれ、落ちてく落ちてく! はっはは!!」ゲラゲラ
風斬「見てないで助けろ!!!」
垣根「は、はい」ビクッ
179 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:55:22.27 ID:REaafd2yo
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方通行「はァ・・・・・・はァ、『反射』突き破って抱きつこォとするとはな・・・・・・」ゼェゼェ
ワシリーサ「スリリングだったわ、サーシャちゃんの貴重な涙目顔も見れたし」ホクホク
サーシャ「・・・・・・死ぬかと思った」
ガブリエル「pvhfkewdfjw謝々jhuvbcaepws」ペコッ
サーシャ「・・・・・・ミーシャ=クロイツェフ・・・・・・」
ガブリエル「phjfnfhrg久々nmkcsdjwhrihg」ドーブルイ ディェン
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 22:55:52.80 ID:5l7XCT0uo
風斬△
181 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:56:13.52 ID:REaafd2yo
風斬「あの・・・・・・、こんな上空で自己紹介もあれですけど・・・・・・。
風斬氷華と言います。 よろしくお願いします」
垣根「俺は垣根帝督だ」
サーシャ「私はサーシャ=クロイツェフと言います。
そして私の背中に怨霊のように取り憑いているのが上司のワシリーサです」
ワシリーサ「サーシャちゃんの為なら怨霊でも生霊でも何にでもなっちゃう!
ワシリーサよ、よろしくね氷華ちゃん、ていとくん」
垣根「おい・・・・・・」ピキピキ
風斬「それより、急いで独立国に行きましょう!」
一方通行「あァ? (やっぱり)なンかあったのか?」
垣根「エイワスから聞いてねえのか?」
一方通行「何がだ」
182 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:57:24.63 ID:REaafd2yo
風斬「私たちが乗ってきたクルーザー。 エイワスさんがブレーキかけ忘れちゃってて、
もう間もなくエリザリーナ独立国同盟にぶつかっちゃうんですよ!」
一方通行「」
サーシャ「」
ワシリーサ「あらまぁ、それは愉快な状況になってるわね。
エリザリーナはどうしているのかしら?」
一方通行「・・・・・・これで独立国に何かあったらさすがにどォにも出来ねェぞ。
俺達は国の崩壊を背負えるほどでけェ集まりじゃねェ」
サーシャ「だ、第二の質問ですが、ヴェントは・・・・・・?
その、あなた達の船に向かったって連絡を受けているのですが」
風斬「えっと、彼女一人の手には負えないってさっきエイワスさんから・・・・・・」
一方通行「たかがクルーザーにどンだけ手こずってンだよあの顔面ピアス。
・・・・・・とりあえず飛ばすぞ。 後ろ、しっかり掴まっとけ!」
サーシャ「は、はい」
ワシリーサ「はぁい♪」ムギュ
サーシャ「うぐぐぐぐ」ジタバタ
183 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:58:33.37 ID:REaafd2yo
「・・・・・・ふむ。 際どいなこれは」
エイワスの迅速な対応(?)が功を奏したのか、巨大クルーザー『アライアンス』号は徐々に速度を緩めていた。
とはいえ、エリザリーナ独立国同盟はもう残り数百メートルにまで接近している。
そして本来は海の上を航行するために作られるのがクルーザー、船というものだ。
無理に地面を滑走させていた上に、今はエイワスの防壁魔術も解除しているため、竜骨と船底の部分がひどく傷んでいた。
「どこかどう際どいって言うのよ。 独立国への衝突はもう避けられないわね。
今からでもアンタらの仲間を呼んで、国民の避難が完了しているかどうかだけでも
確認させたらどうなの? ていうか仲間に止めさせろよ」
「避難は完了しているよ。 私にはそれがわかる、jhfmgfkpo命体pqsccizの
データ化awqzkfpfoによって・・・・・・、あぁ、ヘッダが足りなくて説明できないな。『命の光』とでも言えばいいのか?
まぁとにかく、それは間違いないから安心していい」
「?」
ヴェントの問いに冷静に答えるエイワスだが、エイワスには確信があった。
この船の突入ルートに『命の光』が見当たらない。
命の光とはエイワス独特の表現で、簡単に言えば人の気配ということだ。
184 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 22:59:40.84 ID:REaafd2yo
つまりこの船がこのまま衝突しても、恐らく被害は出ないだろうという確信だ。
『念話能力』もどきで国民たちに事を伝えておいて正解だった。
恐らくエリザリーナ率いる各部隊が的確な対応をとってくれたのだろう。
「ふぃー。 一応独立国同盟の皆さんは地下のレジャー施設に全員収容しておきました。
あ、そういえばあの中にロシア成教の魔術師もいたんですけど、ヴェントさん知ってました?」
ラウンジへ続く扉から出てきたのはレッサーだ。
彼女は万が一に備え、独立国同盟の国民とロシア成教の魔術師達をこの船の最も安全と言える
地下のレジャー施設へと誘導していたのだ。意外と働き者である。
「知ってたわよ。 修道服着てるのはほぼロシア成教の魔術師とみて相違無いもの。
こんな状況だし、啀み合ってる場合でもなかったからスルーしておいたけどね」
「そうですか。 ・・・・・・・・・・・・ってうわぁ!? もうすぐそこに
独立国が見えてるじゃないですか! 結局間に合わなかったんですね・・・・・・」
「まぁ仕方あるまい。 このルート上に人間はいないし、大規模な被害が出ることはないよ。
建造物は根こそぎ崩していってしまうだろうが、また建てればいいだろう」
「(一方通行さんでも呼んで止めさせればよかったんじゃ・・・・・・、言っても無駄か) はぁ・・・・・・」
レッサーのついたため息は柔らかな白となって消えた。
185 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 23:01:25.13 ID:REaafd2yo
エリザリーナは独立国内にある、今はあまり使用されていない高層ビルの屋上へ避難していた。
彼女の他には側近のベラッギとロンギエ、その他数十人ほどの一般国民がいる。
他の各部隊や一般人も同じように船の直進ルート上に存在しない建造物へと避難しているようだ。
エリザリーナの元へ一人の兵士が向かってきた。
「避難状況は?」
エリザリーナは兵士に尋ねる。
「はっ。 船の進行ルート上にいた国民、及び兵隊は全て退避を済ませております。
あとはあの船が予想外の方向へルートを変更しないでくれる事を祈るのみかと・・・・・・」
「そう。 了解したわ、ありがとう」
彼女たちの視界にも、もう例のクルーザーは見えていた。
聞いた話より速度が遅く見えるのは、船の操縦士がブレーキをかけているからだろうか。
だったらもっと早くかけていてくれたならとエリザリーナは思ったが、時既に遅し。
軍事施設や民家、その他建造物への被害は避けられないだろう。
186 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 23:02:32.77 ID:REaafd2yo
「まったく・・・・・・、どうにかプライベーティアの侵攻は抑えることができたというのに、
あの第三の勢力は次から次へと素敵なサプライズを提供してくれるわね。 嬉しくて涙が出るわ」
「もう間もなく、国防省から派遣された連邦軍によるプライベーティアの一斉摘発が開始されるようです。
プライベーティアの身柄は独立国同盟で引き受けるのかどうか、ロシア政府から返答を求められています」
「あれだけ大勢の人間を収容出来るスペースはこの国にはもう無いわ。
ロシア連邦のほうで引き受けてもらうよう手配しておいてもらえる?」
「了解しました」
「ロンギエ、あなたも同行してあげて。 あなたは顔が広いから、
何かと政府の方にも融通が効くでしょう」
「わかりました」
ロンギエと兵士は彼女の元を離れ、駆け足で去っていった。
「この独立国同盟で出迎えるのはプライベーティアなんかじゃない。
もっと素敵なお客様よ・・・・・・まったく」
本日何度目かも分からない、深い深い溜息をつくエリザリーナ。
―――そして、巨大豪華クルーザー『アライアンス』号はエリザリーナ独立国同盟の領地内へと入っていった。
国の外壁や建造物を次々と破壊していきながら。
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/25(火) 23:09:03.51 ID:t7OkiU3AO
面白いよ〜
188 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 23:11:51.58 ID:REaafd2yo
今回はここまでです。やっと独立国同盟に到着した・・・・・・もう最終回でいいだろこれ。
そしてこれからはもう本当に毎日来れるという事にはならないです、ごめんなさい。
でも三日以内に来ることに変わりはありませんので、どうか楽しみにしていただければと思います。
今回もここまで読んでくださった読者様に最大の感謝を。
支援レスも沢山いただいて嬉しい限りです。
それではまた!
189 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 23:12:32.85 ID:REaafd2yo
【次回予告】
『今までの無茶な航行が出来ただけでも大したモンじゃないですか。
この船なら多分ゴーイングメリー号とタメ張れますよ』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』構成員・レッサー
『どうしようかしら、このジャケット結構暖かいから気に入っちゃった』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』元一員・『前方』のヴェント
『うー、寒。 やっぱ本場の極寒の地は違うな』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』構成員・垣根帝督
『まだ若いんだから、このぐらいで寒い寒い言ってちゃダメダメよ』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『ところで第一の質問ですが、ミーシャはともかくあなたは平気なのですか?』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
『私ですか? えぇ、まぁ寒いとか暑いは私にはあまり関係がないので・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』構成員・風斬氷華
190 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/25(火) 23:13:21.46 ID:REaafd2yo
『よかった。 聞こえてる』
―――――――――――??????
『―――――なンだと? 何を言ってる? 誰だオマエは』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:14:28.05 ID:5l7XCT0uo
二 期 決 定
サーシャちゃんの立ち位置が気になるぜ
おつかれ!
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:21:09.79 ID:MTw0Bm05o
あぁぁ、止まらなかったか
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:23:33.66 ID:wSwPx7Cco
ついに……ついに来るのか
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:30:27.93 ID:/VxHLiWH0
乙
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:33:54.25 ID:8/lcB9hAO
ワシリーサフリーダム過ぎワロタ
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:39:19.27 ID:869wQXh40
いままでが1期で4期まである。まで読んだ
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/25(火) 23:45:13.33 ID:tsrgE0GH0
日月火と連投マジ乙!!
どんだけ喜ばせれば気が済むんだっ
あまり無理せずのんびり投稿してくださいね
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 00:05:28.53 ID:WW+3cuvX0
また新たなフラグですね
ええ、大歓迎ですともw
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 00:50:11.53 ID:z0CfUYgWo
到着乙。
序盤の目的がやっと果たされようとしているな
どんだけ長いクエストなんだw
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 00:56:08.00 ID:EvI6/zuz0
とか言って今日も来ちゃうんだろ?
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 09:42:16.02 ID:JOBIHzIDO
別に、今日来てしまっても構わんのだろ?
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 09:51:21.50 ID:woP3MNowo
>>178
風斬「見てないで助けろ!!!」
ワロタ
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/26(水) 14:20:54.52 ID:VNf8F7kE0
乙!!
レールガンズとの絡みも書いてください
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 17:20:12.07 ID:EvI6/zuz0
まさか今日は
>>1
は来れないって言ってたし来ないだろ
まさか……な………
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 17:55:12.07 ID:t8AaHNrDO
みさか……な。
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 18:22:14.76 ID:zxW3C5D0o
ミサカ……は…
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 18:40:54.95 ID:Qj7u2G/io
ミサカ……は……
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/26(水) 18:56:39.83 ID:9kqGKGvAO
ミサカ……は………
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 18:57:55.15 ID:vF+fsJYBo
ミサカはミサカは流れをぶった切ってみたり!
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 19:00:11.74 ID:G5eszmIAO
アックアはアックアは待っているのである
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 20:08:14.25 ID:hGKcwPaDO
かおりはかおりは待ち続けます!
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 20:13:51.08 ID:DbBgmZAAO
大丈夫。わたしはわたしはそんな
>>1
を応援してる
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 21:23:38.09 ID:xx8Jb3i40
テッラはテッラは禁断症状に苦しみながら待っているんですけどねー
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 21:28:01.62 ID:SgzgsB780
待つ時間が長くなれば長くなるほど
>>1
が来たときの喜びが増しますので!
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 23:07:23.77 ID:brgBQFLAO
唖然。いつの間に打ち止め口調のキャラが増えたか。
と、アウレオスはアウレオスは素直に驚く。
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 23:11:31.02 ID:yfHlXbluo
逆シャアみたいに押し返せばいいんじゃね?
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/26(水) 23:21:31.22 ID:zxW3C5D0o
くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきくこか───────ッ!!
って一方通行は一方通行は無理してみるぜェ
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 09:30:14.97 ID:Kioq831DO
何故だろう?
>>211
が一番痛い子に聞こえる
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 09:36:46.58 ID:jWGuRNxRo
>>218
もしかして:グラビアアイドル
220 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:02:27.18 ID:gMz8LUrzo
お待たせしましたー、今日の投下を始めていきたいと思います。
>>203
そうですね、一応超電磁砲組はゲスト出演していますが、あんなのではなくちゃんと絡ませてみたいですね。
機会があればの話ですが・・・・・・。
アニメ二期を見ました。オルソラが素晴らしかったです。
それではいきまーす
221 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/27(木) 22:03:31.56 ID:gMz8LUrzo
――ロシア連邦・エリザリーナ独立国同盟 国境線付近
風斬「あわわ・・・・・・」
垣根「あーあー」
サーシャ「こ、これは一体どういう・・・・・・・・・・・・」
ワシリーサ「なかなか派手な入国の仕方ね、こういうの、キライじゃないけど」
一方通行「もォ穏便もクソもねェな。 フォローのしよォがねェよ」
ガブリエル「qxbcfekpsy大惨事pmzvefrgjrhi」ガクガク
一方通行「笑い事じゃねェだろクソボケ。 ・・・・・・はァ」
垣根「地獄絵図だな。 でもよ、なんか逆に綺麗じゃねえ?
このまま一枚の絵画に出来そうな光景じゃねえか」ゲラゲラ
サーシャ「第一の疑問ですが、どこに笑える要素があるのですかこの状況に」
222 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:04:54.05 ID:gMz8LUrzo
風斬「エイワスさんは情報操作をするって言ってましたけど、これ隠しきれますかね?」
一方通行「さァな。 俺たちの知ったことじゃねェだろ」
風斬「そ、そんな他人事じゃないんですから」
一方通行「こォなっちまったモンはしょォがねェって。 とりあえず行こォぜ」
垣根「入っていいのかこれ? ここ国境線だろ? 警備とかいねえんだけど」
サーシャ「第一の回答ですが、もし警備担当の人間がここに残ってたら
あの巨大船に轢かれています」
垣根「あぁそうか、そりゃ違いねえや」
ワシリーサ「遠慮せずに入ったら? ようこそ、エリザリーナ独立国同盟へ、ってね♪」
サーシャ「あなたが言うセリフではないと思うのですが・・・・・・」
223 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:05:43.33 ID:gMz8LUrzo
ピピッ
一方通行「あ」グラッ
サーシャ「え、わ、」
ワシリーサ「ちょ、ちょっと何―――」
ドシャッ
ガブリエル「pzmdhwgjh貴方xgdsdhhpwecd」ササッ
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッ!」
風斬「あ、一方通行さん・・・・・・?」アセアセ
224 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:07:27.94 ID:gMz8LUrzo
ワシリーサ「いったぁ〜〜い・・・・・・」サスサス
サーシャ「ちょっと、ワシリーサ・・・・・・どい、て・・・・・・」グググ
ワシリーサ「やんっ、変なとこ触っちゃや〜よサーシャちゃぁん☆」
サーシャ「どけっ」ゲシッ
ワシリーサ「ぎゃふっ」ドサッ
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ジタバタ
風斬「どうしたんですか一方通行さん!? なんで急に倒れて・・・・・・」
ガブリエル「kxkifpehetuk人工呼吸wnuiwptjugnb」ンムー
一方通行「〜〜〜〜〜〜〜〜!!! 〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」ガタガタガタガタ
垣根「あぁ、バッテリーが切れたんだろ」
サーシャ「バッテリー?」
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:08:30.81 ID:aib/IQFDO
すぃえん
226 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:08:35.48 ID:gMz8LUrzo
風斬「あ・・・・・・、そうか。 チョーカーの残量、あとちょっとしか無かったんでしたっけ」
垣根「そうそう。 だからこいつ、今は物一つまともに思考できない人形状態だぞ」
ワシリーサ「あら、じゃあ今なら何やったって抵抗されないって事かしらん?」
サーシャ「ワシリーサ・・・・・・」
ワシリーサ「冗談よ冗談、私はいつでもサーシャちゃん一筋なんだからっ!
浮気されるんじゃないかって心配になっちゃった? 可愛いんだからもぉ」コノコノ
サーシャ「心配したのは一方通行の身なのでご安心を」
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
垣根「ったく、しょうがねえな。 ミーシャ、運んでやれよ」
ガブリエル「―――――――――――」
ガブリエル「jswpxengyurd御意frekpjzuyjwr」ヨロコンデー
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
風斬「なぜお姫様抱っこ・・・・・・」
227 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:09:37.62 ID:gMz8LUrzo
――エリザリーナ独立国同盟・巨大クルーザー型オブジェ『アライアンス』 甲板
レッサー「・・・・・・・・・・・・もう止まりましたか?」ソローリ
エイワス「うむ、問題なく停止したようだ」
ヴェント「これだけ国を破壊して問題ないって言えるなら、この世に問題なんてないわね」
エイワス「・・・・・・だがもうこの船は使い物にならんな、完全に機能停止状態に陥ってしまっている」
レッサー「今までの無茶な航行が出来ただけでも大したモンじゃないですか。
この船なら多分ゴーイングメリー号とタメ張れますよ」
エイワス「ではゴーイングメリー号の最期に則って、このクルーザーは火葬するとしようか。
今までよく頑張ってくれたという感謝の気持ちを込めて」
ヴェント「ここでそんな事したら独立国のこんがりグリルの一丁上がりね」
228 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:10:35.95 ID:gMz8LUrzo
エイワス「ふふ、冗談だ」
レッサー(冗談とは思えなかったんだけど今の表情からして・・・・・・)
エイワス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ん?」ピクン
レッサー「どうしました?」
エイワス「・・・・・・。 ふむ、いかんな」
レッサー「あなたの『いかんな』はシャレになってないんでやめてほしいんですけど」
エイワス「連邦軍がプライベーティアを一斉摘発する動きに入ったという
情報をキャッチした。 これではプライベーティアの連中に情報操作を施せない」
ヴェント「対応が遅すぎるのよ、ロシアの国防省は。
でもプライベーティアの身柄はここで引き受けるんじゃないの?
アンタの言う情報操作の意味はわからないけど」
エイワス「エリザリーナの意向によって、プライベーティアの身柄は全てロシア連邦が引き受ける事に
なったようだな。 これは急がねばなるまい」
229 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:11:19.63 ID:gMz8LUrzo
ヴェント「どこから受信してんのよその情報・・・・・・」
エイワス「レッサー、独立国の入り口付近に一方通行達が来ている。
私が不在している事情の説明は省いても構わないから、少しここを任せたよ。
そうそう、一方通行にコレを渡しておいてあげてくれ。 それじゃあ」ブゥン
レッサー「あ、ちょっ! ・・・・・・消えちゃった。 ・・・・・・なんだろこれ、電池?」
ヴェント「あの白いの、ちゃんと戻ってきたのね。 じゃあ迎えに行ってやるか」
レッサー「あ、はい。 そのジャケット返さなきゃですしね」
ヴェント「どうしようかしら、このジャケット結構暖かいから気に入っちゃった」ホクホク
レッサー「・・・・・・ホントにそれだけの理由ですかぁ?」ニヨニヨ
ヴェント「何よ、うっぜぇ顔しやがって」
レッサー「そうだ、船の中にいる国民の皆さんも出してあげなきゃ」タタッ
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」
230 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:12:43.78 ID:gMz8LUrzo
垣根「うー、寒。 やっぱ本場の極寒の地は違うな」スタスタ
サーシャ「日本人の方には少々厳しい寒さかもしれませんね」
ワシリーサ「まだ若いんだから、このぐらいで寒い寒い言ってちゃダメダメよ」
垣根「ババアみてえな事言うんだなお前」
ワシリーサ「このピッチピチのお肌を見てもそんなことが言えるかしら!?」バッ
サーシャ「あんまり騒がないでください・・・・・・面倒ですから。
ところで第一の質問ですが、ミーシャはともかくあなたは平気なのですか?」
風斬「私ですか? えぇ、まぁ寒いとか暑いは私にはあまり関係がないので・・・・・・。
あ、でも季節によって着る服は変えたりしてるんですよ」エヘヘ
サーシャ「"関係ない"・・・・・・?」
231 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:13:49.98 ID:gMz8LUrzo
垣根「AIM拡散力場は気温とかに影響されねえのな」
サーシャ「えーあいえむ・・・・・・?」
ワシリーサ「よく分からないけど、あなたはやっぱり人間じゃないのね?」
風斬「そうですね、どう説明したらいいのかよくわかんないんですけど・・・・・・」
ワシリーサ「そのAIMなんたらというのは知らないけど、あなたからはヒトの気配が
全く感じられないもの」
サーシャ「あぁ、では先程から風斬氷華から感じていた違和感はそれですね」
ワシリーサ「あなたも学園都市の能力者さんなんでしょ?」
垣根「俺か? そうだよ」
ワシリーサ「『神の力』、聖守護天使、AIMなんたら、そして学園都市の能力者二人・・・・・・。
あなたたち、とっても愉快で素敵な団体なのね」
232 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:15:01.97 ID:gMz8LUrzo
垣根「素敵だなんて言われたのは初めてだな、『天使同盟(アライアンス)』」
風斬「あはは、そうですね」
サーシャ「『天使同盟』・・・・・・」ハテ
ワシリーサ「う〜ん♪ 早いところ詳しくお話を聞きたいZE!」」ワクワク
風斬「一方通行さん、大丈夫ですか? 寒くないですか?
・・・・・・そういえばジャケットはどこに・・・・・・」
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
垣根「話しかけても無駄だ。 今、風斬が言ったことも何一つ理解出来てねえよ、多分。
ミーシャ、うっかり落っことしちまうんじゃねえぞ」
ガブリエル「sgazfwbhyurn了解tfxptggdzczx」コクン
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
ガブリエル「――――――――」
ガブリエル「――――――――――――――――」
233 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:16:24.87 ID:gMz8LUrzo
『あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
―――――?
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 聞こ、える? かな?』
―――――・・・・・・・・・・・・なンだ?
『よかった。 聞こえてる』
234 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:16:59.11 ID:gMz8LUrzo
―――――誰だオマエ? どォやって俺に話しかけてる?
・・・・・・いや、どォして俺はコイツの言葉を"理解出来る"?
『やっぱり、触れ合ってもしばらくその状態を維持しなきゃ声が届かないみたい』
―――――なンだと? 何を言ってる? 誰だオマエは。
『喋り方、変じゃない? 人間語・・・・・・、日本語って言うんだよね、これ』
―――――通じてるから答えろ。 誰だって聞いてンだ。
235 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:17:57.12 ID:gMz8LUrzo
『あ、日本語はね。 jgfgdvsdwqjから教えてもらっ・・・・・・、あれ?』
―――――?
『pbnxxffga・・・・・・、あれ? 名前が言えない。 bhjfsdswdqはjuhbfd在hfweuの事なんだけど・・・・・・』
―――――何を言ってンだ、エイワスかオマエは。
『そうだった、エイワスっていう呼称があったよね。 言葉はエイワスに教えてもらったんだ』
―――――・・・・・・・・・・・・オマエ、まさか、
236 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:19:09.16 ID:gMz8LUrzo
『ごめんね、こうでもしないともう、お話する機会が無いから、きっと』
―――――、待て、俺の質問に、
『ずっと貴方とお話がしたかった。 だからcfmf・・・・・・じゃない、エイワスにずっと前から教えてもらってたんだ。
ふふ、すごいでしょ? みんなが寝たときとか、エイワスと二人になれた時とかにこっそりね』
―――――・・・・・・・・・・・・。
『・・・・・・よくわからないけど、今の貴方は脳が機能していない状態、なの?
なら、回復したらこの事も忘れちゃうかもね』
―――――待て、
237 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:20:25.64 ID:gMz8LUrzo
『だったら・・・・・・今貴方に伝えたい言葉を伝えても意味はないのかな』
―――――オマエは、
『でも、もう私に残されてる時間は無いんだ。 だからghde言わないとodscnh。 あ、』
―――――、
『pgjfsifなんて言うんだっけ、日本語で確か・・・・・・hfifbpwxcあ、あれ、』
―――――もォいい、やめ、
『こ、pxbcgewuんで、タイミングfhewi、悪いなぁ・・・・・・』
―――――待て!!!
238 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:22:04.84 ID:gMz8LUrzo
ガブリエル「―――――――――」フラッ
風斬「?」
サーシャ「あ、」
ドサッ
垣根「おい、落とすなって今言っただろうが。 頭からいっちまったな」
風斬「天使さん・・・・・・?」
ワシリーサ「あら、どうかしたの? 天使でも気分が悪くなることってあるのかにゃん?」
垣根「ったく、今度はミーシャかよ。 おーい、生きてるかぁ一方通行」
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
風斬「一方通行さん、大丈夫ですか? 天使さんも・・・・・・」
ガブリエル「uypdzxjakyhx平気rwdjgyepsacr」メンゴメンゴ
垣根「お前今立ちくらみみたいな感じになってたぞ」
239 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:22:53.59 ID:gMz8LUrzo
レッサー「おーい! 皆さーん!」
風斬「あ、レッサー!」オーイ
垣根「あのガキ、生きてやがったのか」
レッサー「いやー、大変でしたね。 お疲れさまでした」
ワシリーサ「この子は?」
レッサー「あ、えっと、初めまして。 レッサーです」
ワシリーサ「ワシリーサよ、よろしくね☆ あなたも彼らの仲間?」
垣根「あー違う違う」
ヴェント「ちょっと、その白いのどうしたの?」
レッサー「むむっ!? 一方通行さん、どうしました? 誰かにやられたんですか?」
サーシャ「・・・・・・第一の質問ですが、あなたとは一度お会いしていますよね?」
レッサー「ん? あぁ、お久しぶりですねサーシャさん、戦時中はどうもお世話になりました」
240 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:24:52.46 ID:gMz8LUrzo
ヴェント「ねぇサーシャ。 こんなヤツいたかしら?」
サーシャ「第一の回答ですが、フィアンマと邂逅した際に居合わせていたと思います。
覚えていませんか?」
ヴェント「全然」
レッサー「ヴェントさんは冷たい女ですねー」プクー
ヴェント「うるせぇな、アンタちょっと馴れ馴れしくない?」
風斬「あの・・・・・・、一方通行さん、チョーカーのバッテリーが切れちゃってて」
レッサー「?」
ヴェント「?」
垣根「これだよ、コイツの首にぶら下がってるこれ。 これが切れたら人形になっちまうんだ」プラプラ
ヴェント「何それ、面白いわねコイツ」プークスクス
241 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:26:22.45 ID:gMz8LUrzo
ワシリーサ「それで、エイワスっていうのはどこにいるの?」キョロキョロ
風斬「あれ、そういえばいませんね」
レッサー「あぁー、あの人なら情報操作しに行きましたよ。 ・・・・・・ん?」
垣根「マジでやる気かよ、まぁあいつなら出来そうだが・・・・・・」
ワシリーサ「どうやら本当に存在するようね。 あぁ、会ってみたいわぁ」ウズウズ
レッサー「あのー・・・・・・、エイワスさんからこれを渡すよう言われてるんですけど、一方通行さんに」スッ
サーシャ「・・・・・・第二の質問ですが、これは?」
レッサー「さぁ・・・・・・、なんかリモコンっぽくも見えるんですけど、スイッチとか無いんですよね」
垣根「・・・・・・・・・・・・。 それ、コイツのチョーカーの代替え品じゃねえか?」
風斬「外付けHDDを超小型化したような機械にも見えますね」
垣根「ちょっとそれ貸せ」
レッサー「ほい。 学園都市製の機械とかならあなた達の方が詳しいでしょう」
242 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:28:31.79 ID:gMz8LUrzo
垣根「どこかに繋げるのかこれ?」
風斬「ここじゃないでしょうか? 分割線が見えますし、取り外せるようになってるのかも」
一方通行「・・・・・・・・・・・・」
カチャ カチャ ・・・・・・パチン
一方通行「ッ!! うっぐ!?」ビクン ゴチン
風斬「きゃあっ!?」ゴチン
垣根「うおっ!? なんだよ!」
一方通行「がっは、げほっげほっ!」
レッサー「ちょ、ちょっと大丈夫ですか?」
一方通行「痛っ・・・・・・、頭に鋭い痛みが来やがった・・・・・・」ズキズキ
風斬「うぅ〜〜・・・・・・」ズキズキ
243 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:29:34.81 ID:gMz8LUrzo
一方通行「チッ・・・・・・、オイ大丈夫か?」
風斬「は、はい。 良かった無事で・・・・・・」サスサス
垣根「お、バッテリーが全回復してるじゃねえか」
一方通行「何をしたンだオマエら」
レッサー「エイワスさんがあなたに渡せって、それを」
垣根「これ」
一方通行「ンだこりゃ? 見たことねェ機器だな・・・・・・。 またアイツお手製とかか?」
風斬「どうやら替えのバッテリーとかじゃなくて、瞬間的に電源を供給してくれる機械みたいですね。
携帯電話の小型充電器みたいなものでしょうか? 何度も使用は出来ないみたいですけど」
一方通行「・・・・・・クソ、くだらねェ借りを作っちまった」
ワシリーサ「・・・・・・・・・・・・何言ってんのか全然わからないYO」
サーシャ「右に同じです」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」
244 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:30:56.00 ID:gMz8LUrzo
ガブリエル「zaryrkxfnraj貴方ppjabfbpebhu」
一方通行「ン・・・・・・」
風斬「天使さんがあなたを運んでくれてたんですよ」
一方通行「あァ、悪ィな」
ガブリエル「cjhcbyjgzzcu感謝nurhmguttpdx」ガバッ
一方通行「はい久々のお約束。 抱きつくなっつゥの」ゲシッ
サーシャ「天使を足蹴に・・・・・・」
一方通行「・・・・・・そォいや、バッテリーが切れてる間に誰か俺の頭弄ったか?」
垣根「は?」
245 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:31:37.96 ID:gMz8LUrzo
一方通行「いや・・・・・・、なンか頭に直接呼びかけてくるよォな声がしたよォな」
ヴェント「昇天寸前だったんじゃないの?」
一方通行「別に死ンでたわけじゃねェよ。 ・・・・・・気のせい、か」
ワシリーサ「ところでヴェント、そのビジュアル系が着てそうな黒のジャケットは何?」
ヴェント「あん? あ・・・・・・、」
風斬「あ、それ! 一方通行さんが着てたジャケットじゃないですか!」
ヴェント「いや別にこれは・・・・・・」
垣根「一方通行、お前ホンット見境ねえのな」ニヤニヤ
246 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:32:19.04 ID:gMz8LUrzo
一方通行「あァ? 俺ァただコイツが船で寒そォ(ry」
ヴェント「あーうるせぇ!!! こんなモン!!!」ブンッ
一方通行「ぶあっ!?」バッサァ
ヴェント「コイツが無理やり着せてきたのよ」
一方通行「痴呆症ですかァオマエ? 明らかに自分で着込ン(ry」
グシャッ
一方通行「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!(コイツ、足を・・・・・・!!)」ピョンピョン
ワシリーサ「うふふ、ぴょんぴょん跳ねちゃって、やっぱりウサギじゃない」クスクス
ヴェント「はぁ・・・・・・、くっだらない」
垣根「風斬さんよぉ、あんまとろとろしてっと掻っ攫われちまうぞ?」ボソッ
風斬「む・・・・・・。 わ、私は一緒に居られればそれでいいですもん」ムスッ
247 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:33:49.00 ID:gMz8LUrzo
――――――――――――――――――――――
垣根「それにしてもこの辺は人がいねえな」
サーシャ「恐らく国民達は避難をしているんだと思います、あの船から」
一方通行「とりあえずどっか適当に休める場所へ行きてェ。 寒くてしょうがねェよ」
風斬「はい、天使さん。 ここでも一応フードは被っておいてくださいね」サッ
ガブリエル「wgdcfsgjprpx御意gtciezfsdfnw」ゴソゴソ
ワシリーサ「まずはエリザリーナに顔を見せてやったらどうかしら?」
一方通行「ン、それもそォか。 どこにいやがるンだあの女」
248 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:34:33.95 ID:gMz8LUrzo
エリザリーナ「呼んだかしら?」ザッ
サーシャ「エリザリーナさん、お疲れさまでした」
垣根「こいつがエリザリーナか」
エリザリーナ「ん? ・・・・・・あ、あなた、」
一方通行「よォ、クソったれの大戦以来だなァ」
レッサー「お久しぶりです〜」
エリザリーナ「あなたは・・・・・・ごめんなさい、どなただったかしら?」
レッサー「何でみんなして私のこと忘れてるんですか!?」
249 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:35:17.47 ID:gMz8LUrzo
垣根「全然顔きいてねえじゃねえかお前」
レッサー「むぅぅぅ・・・・・・」
エリザリーナ「まさか第三の勢力にあなたが関わっていたなんてね」
ヴェント「なんだ、知った顔なの?」
エリザリーナ「・・・・・・えぇ、まぁ。 ・・・・・・とりあえず、積もる話も沢山あるでしょう? だから、」
風斬「そうですね、だから申し訳ないんですけど・・・・・・」
エリザリーナ「この者達を全員連行しなさい」
ベラッギ「了解です」ザッ
一方通行「えっ」
250 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:41:51.93 ID:gMz8LUrzo
タイ━|Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ|━ホ!
まぁ、当然の処置かなと・・・・・・。抵抗すればあっさりでしょうけどね。
とりあえず今日はここまでです、あまり話進んでなくてごめんなさい。
次回更新も三日以内に。
ここまで読んでくださった読者様に最大級の愛を。
ではまた、よろしくお願いします!
251 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/27(木) 22:42:45.45 ID:gMz8LUrzo
【次回予告】
『無理やり吐かせればいいじゃねェか、拷問でもなンでもしくさってよォ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『エイワスは待たなくていいだろ。 アイツを相手にしてたら埒が明かねえぞ』
―――――――――――『天使同盟』構成員・垣根帝督
『いえ、私たちの中に魔術師はいませんよ』
―――――――――――『天使同盟』構成員・風斬氷華
『サーシャ×ミーシャ・・・・・・? そんな組み合わせは認めないわ!!』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『そうね、全く詳細が掴めない謎の勢力ってだけでも不気味なのに、
それに追い討ちをかけるようにあの原野消失だもの』
―――――――――――エリザリーナ独立国同盟の中心的人物・エリザリーナ
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:44:28.21 ID:iFk3/ySx0
>>1
乙
リアルタイム投下に立ち会ったのは初めて
連行って、あのメンバーに対してできるはずがないwwww
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:44:46.41 ID:U3XHd8w9o
おつー!
ガブリエル… やばいな…
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:46:28.99 ID:aib/IQFDO
ガブリアス……
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:48:21.73 ID:0AdFtPwAO
乙
ガブリエルの独白に目からblhkybhが出たぜ
そしてまさかの逮捕に腹筋崩壊したwww
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 22:54:40.88 ID:tb1O4jEz0
おいおい、ミーシャの口調はなんでそんなに少女チックで可愛げなんだよ ほれてまうやろーー
257 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 23:12:26.58 ID:ThLDYqrIO
ここにきてミーシャ△
ヴェント選手も加わり一方通行争奪戦はさらに混迷の兆しを見せております
まさかの逮捕かよw
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 23:14:24.83 ID:sYnFnUHJo
連行されちゃったか、仕方ないね
しかしガブリエル可愛いなぁ…
乙!
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 23:14:49.08 ID:YI4+FDU9o
ミーシャアアアアアアア
畜生、可愛いじゃねぇか乙
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 23:28:18.85 ID:d3gLisuwo
※ミーシャの言葉はエイワスの仕込みです
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 01:01:47.51 ID:r50h+KRAo
その気になれば第四次世界大戦だ!な連中をタイーホって無理だろwwwwww
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 01:35:25.04 ID:x8qskNnQo
乙
ガブリエルは何を伝えたいんだ……
しかしアレだ。ついに天使同盟(エイワス除く)も逮捕か
あと、サーシャの忘れられっぷりに笑ったw
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 02:05:44.77 ID:2I9Ph3MG0
サーシャじゃなくてレッサーだろ忘れられてんのは。
しかしこいつなんでレッサーって名前なんだろな。下位、下等な。とかいう意味だったはず。
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 02:22:36.65 ID:pBJchX6IO
ミーシャのセリフの絶妙な隠され加減がうますぎて悶絶がやばい
>>261
その気になれば今日からこの地球は俺たちの物だ!!
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 07:59:56.48 ID:FmVcwUZAO
>>254
そういえばエリザリーナってちょっとシロナと似てるな
ていとくんの魔術フラグが気になる今日この頃
インデックスとの出会いが遅すぎたとか「法の書」の件とかな
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 10:40:02.20 ID:Jr4duhDdo
>>265
能力者は魔術を使えない云々の設定も
「常識は通用しねぇ」
で何とかなりそうだ
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 10:48:50.40 ID:kMiXNsuwo
むしろそれがていとくんにとってのレベル6とか
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 12:46:42.10 ID:A2eZt1lAO
セロリさんのフラグまとめ
風斬 本妻候補
キャーリサ 現地妻候補(イギリス用)
ヴェント 現地妻候補(ロシア用)
ガブリエル 現地妻候補(天界用)
番外個体 二号候補
打ち止め 青田買い疑惑
黄泉川吉川 愛人候補(ノーマル用)
垣根 愛人候補(アブノーマル用)
ランベス女子寮 ハーレム候補
エイワス チェンジ要員
あといたっけ?
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 14:44:13.42 ID:oj41YQwDO
>>268
オルソラさんは単独でなにか……
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 14:55:23.87 ID:kMiXNsuwo
垣根 愛人候補(アブノーマル用)
おい
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 15:02:22.53 ID:pBJchX6IO
三馬身リードのオルソラ忘れるとかありえんだろ。
芳川黄泉川が入ってるならアンジェレネ、アニェーゼも入るはず。アニェーゼは微妙か。
神裂さんじゅうはっさいは餌付け済みだし。
騎士団長とウィリアムも捨てがたい。
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 17:47:55.94 ID:7bOwZpkZ0
>>271
最後の一行はない
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/28(金) 18:21:05.32 ID:58V2CtNG0
今日も来るのかな?
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 20:34:41.09 ID:R8Cv+9LN0
むやみやたらにあげてんじゃねぇよ
期待したじゃないかおばか
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 20:50:36.65 ID:quBiKrUs0
そもそも垣根の能力は異界の法則を現界に適用するという極めて魔術に近いものだし。
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/28(金) 23:26:32.26 ID:6tqKZauQ0
魔術ってそんな設定だったっけ?
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/28(金) 23:41:15.89 ID:Lq7FIIVAO
こまけぇこたぁいいんだよ
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 11:40:35.56 ID:xz9z/XrS0
一方さんならサーシャともフラグを立ててくれると信じてる
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 11:45:57.28 ID:QqUYfaUAO
寒いだろうと自分のシャツを渡してやったら何故かワシリーサに激怒される一通さん
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 13:02:35.18 ID:GA65+R3z0
これ以上は一方さん変態になっちまうからやめろww
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 14:04:29.50 ID:8i17wiO9o
ん?一方通行の電池切れって、思考と運動能力があーぱーになるだけで生命維持には支障無いんだっけ?
思考がダメなら呼吸とかもできぬのかね。
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 14:09:13.95 ID:UGVTRJieo
大幅に説明端折って簡潔にいうと
意識して思考する所と臓器の挙動などを命令する所は違う
一方通行が損傷を受けているのは前者の一部
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 14:48:38.86 ID:Bn27qvj6o
ttp://www.sugoren.com/report/post_1257.php
>【2】長時間、外を歩くルートを避ける。
>【7】自分の着ていたコートやジャケットを貸してあげる。
一方さん流石だな……
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 15:02:53.64 ID:ICtDEDuzo
さすがイケメン 俺とは格が違いすぎた
285 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/29(土) 21:13:17.99 ID:xNQiaKzgo
>>281
あ、一方通行の電極バッテリーが回復した際に咳き込んだ描写ですが、意味はありません。
そうですね・・・・・・、ミーシャが本当に人工呼吸しちゃってたって事でご勘弁を・・・・・・wwww
よくわからん描写を入れてしまい申し訳ありません。
では今日の分を投下していこうかと思います。
前回、エリザリーナに連行されてしまった『天使同盟』。
しかしエリザリーナにはある思惑があって・・・・・・?
それでは行きます。ロシア編の一方通行はフラグ立てすぎな展開になるかもです。
286 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:14:13.98 ID:xNQiaKzgo
――エリザリーナ独立国同盟・とある軍事施設 取調室
一方通行「・・・・・・・・・・・・」ガシャ
風斬「て、手錠なんて初めてかけられました・・・・・・」ジャラ
ガブリエル「afpunpcksf連行aybekhthek」タイーホ
垣根「・・・・・・どういうこったよこれは」ガチャガチャ
レッサー「皆さんはともかく何で私まで手錠かけられてるんですか・・・・・・」ジャラ
サーシャ「・・・・・・よくわかりませんが、エリザリーナにも何か考えがあってのことだと思います。
申し訳ありませんが少しだけ我慢してください」
ワシリーサ「ねぇねぇ、にゃーんで私まで手錠がかかってるのかにゃん・・・・・・?」ジャラ
サーシャ「第一の回答ですがちょうどいい機会ですので、あなたは私個人の希望で拘束させていただきました」
287 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:15:12.09 ID:xNQiaKzgo
ワシリーサ「ま、まさかサーシャちゃん、あなたこういう性癖があったの!?
それならそうと早く言ってくれればいくらでも縛られてあげたのに☆
私、受けも好きな方なのよん♪」
サーシャ「手錠じゃ足りませんか・・・・・・?」ギロリ
ワシリーサ「その蔑むような視線もたまんないわぁ・・・・・・」ウットリ
ヴェント「いいザマね、白いの」フフッ
一方通行「言ってろ顔面ピアス」
『・・・・・・それじゃあ、残りの作業の引き継ぎをお願いするわね。
私はベラッギと共に彼らから話を聞いてくるわ』
『わかりました。 お気をつけて』
一方通行「・・・・・・」
エリザリーナ「待たせてしまったわね」ガチャ
垣根「素晴らしい待遇をどうもありがとよ」
風斬「うぅ〜・・・・・・」シュン
288 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:16:23.52 ID:xNQiaKzgo
レッサー「あのー、せめて私だけでも手錠を外してもらうわけには・・・・・・。
私はこの人達とは何の関わりも無いわけですし」
垣根「テメェ、何一人だけ無関係装うとしてんだよガキ」
エリザリーナ「・・・・・・・・・・・・」
一方通行「・・・・・・コイツ、か?」
ガブリエル「――――――――――」
エリザリーナ「そうね、とりあえず手錠の前にフードを外させてもらうわ。 ベラッギ」
ベラッギ「了解です。 ・・・・・・暴れるなよ頼むから」パサッ
ガブリエル「factsefiehq挨拶bssrpyeays」ニーハオ
ベラッギ「うっ・・・・・・!!」ビクッ
エリザリーナ「・・・・・・! 本当に・・・・・・大天使」ゴクッ
289 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:17:17.70 ID:xNQiaKzgo
一方通行「ご対面〜ってなァ」クカカッ
ヴェント「ていうか、アンタわかってる? コイツら、その気になれば
手錠なんかすぐにでもぶち壊して逃げられるって事」
エリザリーナ「もちろんわかってるわよ」
風斬「じゃ、じゃあ何で・・・・・・?」
エリザリーナ「・・・・・・まずは謝罪させてもらうわ。 本当にごめんなさい」
レッサー「ほぇ?」キョトン
垣根「どういうつもりだよ」
エリザリーナ「その前にこちらから質問してもいいかしら?
出来るだけ正直に答えてもらえると助かるんだけど」
一方通行「無理やり吐かせればいいじゃねェか、拷問でもなンでもしくさってよォ」
エリザリーナ「冗談でしょう? 私だってまだ死にたくないわ」
垣根「よくわかってるじゃねえかこの姉ちゃん」ニヤリ
ヴェント「ねぇ、私もう帰っていいかしら? こんな質素な部屋にいつまでもいたくないんだけど」
エリザリーナ「あなたも当事者でしょ、ここにいてちょうだい」
ヴェント「ちっ・・・・・・」
290 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:18:06.75 ID:xNQiaKzgo
ワシリーサ「ねぇエリザリーナ、役者はまだ全員揃ってないわよ?」
エリザリーナ「え?」
サーシャ「第一の補足ですが、彼らにはあと一人、エイワスという者がいるようです。
・・・・・・・・・・・・"あのエイワス"かどうかは実際に見ていないので、
にわかには信じられないのですが・・・・・・」
エリザリーナ「・・・・・・エイワス?」
ヴェント「いるわよ、本当に。 あれが本物だと言うのなら多分本物だと思うわ。
見ればわかる、アレはあまりにも"異質"すぎる」
一方通行「アイツ、例の情報操作とやらに勤しンでやがンのか?」
レッサー「そう言ってましたよ」
垣根「エイワスは待たなくていいだろ。 アイツを相手にしてたら埒が明かねえぞ」
風斬「そうですね、面倒なことになるに違いありません」
291 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:18:56.22 ID:xNQiaKzgo
サーシャ「ボロクソ言われてますね・・・・・・」
エリザリーナ「・・・・・・とにかく、質問させてもらうわね」
一方通行「正直に答えなかったり質問に対して黙秘したりしたら指一本ずつ吹き飛ばす、とか
そォいうのはねェのかよ?」
レッサー「!?」
垣根「まぁその辺りは普通だよな」
エリザリーナ「しないったら、そんなこと。 さっきの私の謝罪の意味がわからなくなるじゃない」
風斬「ほっ・・・・・・。 ふ、二人とも、あまり物騒な事は言わないでください!」
垣根「ちっ、反省してまーす」
エリザリーナ「まず一つ、あなた達は一体何者?」
一方通行「化物」
風斬「一方通行さん!」
一方通行「事実だろォが」
292 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:20:03.15 ID:xNQiaKzgo
エリザリーナ「そういう事じゃなくて、どこから来た組織なのかとか、
・・・・・・・・・・・・あなたがいるって事は、学園都市からの?」
一方通行「いや、学園都市は一切関係ねェ。 俺達は・・・・・・、えェと」
垣根「『天使同盟(アライアンス)』(笑)と名乗ってる集団だ」
一方通行「・・・・・・(改めて言われるとすげェ恥ずかしいな)」
エリザリーナ「『天使同盟』?」
ヴェント「なにそれ、聞いたことない組織ね。 魔術結社なの?」
風斬「いえ、私たちの中に魔術師はいませんよ」
一方通行「大天使が一人、人工天使が一人、マジの化物が一人、ンで超能力者(レベル5)が二人で
構成されてる組織だ。 俺は組織だなンて思っちゃいねェがな」
垣根「残りの半分は?」
一方通行「優しさで出来てる」
293 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:20:46.57 ID:xNQiaKzgo
レッサー「そういうボケ今いらないですから!!」
ヴェント「何よ、じゃあアンタは本当にコイツらと何の関わりが無いじゃない」
レッサー「私はー・・・・・・まぁその、観光です」アハハ
一方通行「観光でわざわざ戦場を通るわけねェだろォがアホ」
レッサー「前に一度ここでお世話になったんでそのお礼をしに来ただけですぅー!」
エリザリーナ「・・・・・・あぁ、思い出した。 あの黒い髪の東洋人の子と一緒にいたわね」
レッサー「思い出していただけましたか!」パァァ
一方通行「まァ、ンな事ァどォでもいいンだよ」
レッサー「なんだとーっ!」ムキー
エリザリーナ「そうね。 あなた達が『天使同盟』という集まりだという事はわかったわ」
レッサー「そうね、って・・・・・・」シュン
294 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:21:51.16 ID:xNQiaKzgo
エリザリーナ「じゃあ、どうして私たちの援護を?」
一方通行「別に援護したってつもりはねェンだけどよ」
風斬「あの、私たち実はサーシャさんに用があってここまで来たんです」
サーシャ「らしいですね」
ワシリーサ「や、やはりこれだけ可愛らしい容姿をしているサーシャちゃんなだけあると、
天使も狙ってくるというわけね・・・・・・・・・・・・」ゴクリ
垣根「頭湧いてんのかこの女・・・・・・」
サーシャ「第一の肯定ですが、湧いてます」
ヴェント「サーシャに何の用なの?」
一方通行「・・・・・・オマエらはわかってンだろ?」チラッ
ワシリーサ「もちよもち。 この天使の事についてでしょ?」
295 :
×湧く ○沸く 失礼しました
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:22:59.06 ID:xNQiaKzgo
ガブリエル「―――――――――――」
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行「ガブリエルがガキの腹の中に入ってたとか言ってたよな」
サーシャ「お腹の中というか・・・・・・」
垣根「え、何? こいつ産んだのお前?」
サーシャ「だ、第一の否定ですが産んでません!」
ワシリーサ「出産・・・・・・だと・・・・・・、いやある意味興奮するが・・・・・・些かアブノーマルな気がしないでも・・・・・・」ブツブツ
風斬「ど、どうですか天使さん、サーシャさんと再会出来て嬉しいですか?」
サーシャ「あのー、別に私とミーシャ=クロイツェフはそういう間柄ではなくてですね・・・・・・」
ガブリエル「―――――――――――」ウーン
サーシャ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」タジ
ガブリエル「zxfpjcrizw嬉々ckfxtrahmh」コクン
サーシャ「あ・・・・・・」
ワシリーサ「サーシャ×ミーシャ・・・・・・? そんな組み合わせは認めないわ!!」
エリザリーナ「あなたちょっと黙ってなさい」
296 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:24:12.07 ID:xNQiaKzgo
――――――――――――――――――――――
一方通行「・・・・・・と、まァそンなわけで俺達は遠路はるばるロシアまで来たって事だ」
エリザリーナ「・・・・・・なるほど」
ベラッギ「信じられん・・・・・・まるでお伽話だ」
垣根「お伽話にしちゃメルヘンチック感が足りねえがな」
一方通行「さっすが、メルヘンの代名詞が言うと説得力が違うぜ」
垣根「・・・・・・・・・・・・(墓穴掘っちまった)」
レッサー「あの、わかっていただけたなら手錠を・・・・・・」
エリザリーナ「え。 あぁ、そうね」
ベラッギ「し、しかしエリザリーナさん! コイツらは船でこの国に・・・・・・!!」
垣根「いや待てよ、それは俺らじゃなくてあのクソ野郎がやったんだぞ」
一方通行「そォいう事だ、拘束するならエイワスを拘束しやがれ。 出来るモンならな」
297 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:25:16.29 ID:xNQiaKzgo
エリザリーナ「待ちなさい。 だから最初に言ったでしょう? ごめんなさいって」
風斬「?」
エリザリーナ「本当にあなた達をこのまま牢に放り込むつもりなんて無かったわよ」
レッサー「えっ」
ベラッギ「えっ」
風斬「・・・・・・もしかしてこの手錠は」
エリザリーナ「えぇ。 国民たちが見ている手前、すんなりとあなた達を国へ通すわけにもいかなかったのよ。
みんな、先の騒ぎであなた達を少し恐れていたわ」
一方通行「そォいう事か、せめて手錠だけでもかけて連行するサマを見せりゃ国民に安心感を与えられると」
風斬「やっぱりあの平原で起きた大爆発が原因で・・・・・・?」
エリザリーナ「そうね、全く詳細が掴めない謎の勢力ってだけでも不気味なのに、
それに追い討ちをかけるようにあの原野消失だもの」
垣根「それもエイワスがやった事だけどな。 あいつ完璧に厄病神じゃねえかクソったれ」
ベラッギ「あ、あの大規模爆破を個人がやったというのか・・・・・・?」
一方通行「アイツはもォ違うンだ。 人間や天使とは違う、更に上の領域に位置するバケモンなンだよ」
ベラッギ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ポカーン
298 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:26:37.49 ID:xNQiaKzgo
エリザリーナ「だから、そういう意味でのごめんなさい、よ」
風斬「そういう事でしたら、私たちは全然気にしませんよ! ね?」
一方通行「・・・・・・ン、まァオマエがそォ言うならそれでいい」
垣根「相変わらず甘ちゃんだなテメェは」
エリザリーナ「・・・・・・それから、ありがとう。 あなた達のおかげで我が同盟は滅びを迎えずに済んだわ。
改めて、私は独立国同盟のリーダー、エリザリーナよ。 よろしくね」
一方通行「礼なンざいらねェっての。 ・・・・・・一方通行(アクセラレータ)だ」
風斬「私は風斬氷華と言います。 よろしくお願いします」ペコ
ガブリエル「uamhxya宜敷yycekicnnj」
垣根「手錠かけたまま自己紹介ってのもオツなもんだな、垣根帝督だ」
レッサー「あ、ついでに私は『新たなる光』に所属しているレッサーと申します。
出来れば覚えて欲しいですね」
299 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:27:25.24 ID:xNQiaKzgo
エリザリーナ「ふふ、よろしく。 ベラッギ、彼らの手錠を外してあげて」
ベラッギ「わかりました」
一方通行「必要ねェよ」カチッ バキャ
風斬「あ、大丈夫です。 これくらいなら・・・・・・」ビキキッ カランカランッ
ガブリエル「mfiwibpyct平気tgminpersm」バッキャァァン
垣根「晴れて自由の身か。 娑婆の空気がどうこうって言いてえ気分だぜ」ブンッ スパッ
ベラッギ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エリザリーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
レッサー「あ、私にあんな芸当は無理なので外していただけますか?」
ワシリーサ「サーシャちゃあん、私の手錠も外してよぉ。 そうでなきゃこのまま攻☆め☆て♪」
サーシャ「第一の返答ですが、あなたは地下一〇五〇年行きです」
ヴェント「ふん・・・・・・」
300 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:28:39.29 ID:xNQiaKzgo
――――――――――――――――――――――
サーシャ=クロイツェフに話を聞く前にプライベーティアの紛争での後始末をしておきたいとエリザリーナが言ったため、
『天使同盟(アライアンス)』はひとまず自由行動という事で解散した。
ミーシャ=クロイツェフは一方通行と行動をともにしたいといったような仕草を見せてきたが、
一方通行は面倒臭がりそれを拒否した。しつこく付きまとってきたが、せっかく新たな登場人物が増えたのだから
そいつらと遊んでこい、と適当にはぐらかして追い払った。
あんなにべたべたと自分にくっついてくるミーシャはずいぶん久しぶりに見る気がする。
そういえばバッテリーの充電が終わって自律行動が可能になった時のミーシャの様子が
何か少しおかしな気がしたが、自分に話でもあるのだろうか?と、一方通行は少し考える。
だが結局答えは出てこなかったので思考を止め、サーシャやワシリーサ、レッサーと話をしている垣根帝督と
渋々随伴する事にしたミーシャを見送った。
301 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:30:26.15 ID:xNQiaKzgo
そして現在、一方通行がいる場所は、エリザリーナ独立国同盟内にある石造りの砦の一室だ。
第三次世界大戦の時もそうだったが、ここは今でも野戦病院のような施設として扱われているようだ。
彼の他には風斬氷華とヴェントとエリザリーナ、大勢の看護師や兵士がいる。
彼らがいる病室は、病室と言うにはあまりにも広い、学校の体育館の内部のようになっており、
怪我を負った兵士たちが均等に寝かされていた。
彼は第三次世界大戦時に一度ここを訪れている。
打ち止め(ラストオーダー)の身体の衰弱を治療する方法を見つけ出すために
エリザリーナに相談を持ちかけたが、結局ここでは治療法を手にすることは出来なかった。
「そういえばずっと気になっていたんだけど、あの小さな女の子はどうなったの?」
プライベーティアとの交戦で重症を負った兵士を治療しながらエリザリーナは一方通行に尋ねてきた。
まだ覚えていたのか、と一方通行は少し驚く。
302 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:31:10.60 ID:xNQiaKzgo
「・・・・・・もォ問題ねェよ。 今じゃクソうぜェくらい元気なクソガキだ」
「そう・・・・・・! よかったわね」
本当に安心したように彼女は微笑む。案外世話焼きなのだろうか。
「あの東洋人の男の子と女の子は? あなたの知り合いなんでしょう?」
浜面仕上と滝壺理后の事だろう。あの二人もここで世話になっており、
滝壺は完治とまではいかずともここで治療を受けたことによりほぼ健康な状態へと回復している。
「めでたく結ばれましたとさ」
「あら、・・・・・・ふふ。 おめでとう、と伝えておいてもらえるかしら」
「気が向いたらな」
一方通行はそう言って、壁に背を預けた。
303 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:32:20.07 ID:xNQiaKzgo
「えっと、この薬を染みこませて傷口に塗ればいいんですね?」
「はい。 トントンと軽く叩くようにお願いします」
「ちょーっと染みると思いますけど、我慢してくださいねー・・・・・・」
「・・・・・・痛ぅ! ・・・・・・」
風斬は病室で傷ついた兵士達の治療を手伝っていた。
看護師と思われる女性にレクチャーを受けながら、適切な処置を施している。
治療を受けている兵士が心なしかニヤけているように見えるのは気のせいだろうか。
「一方通行さんもヴェントさんも、手伝ってくださいよ〜」
「面倒くせェ。 その程度の傷なら放っといても治癒すンだろォが」
「白いのに同じ」
一方通行は壁に寄りかかりながら眠たそうに欠伸をする。
ヴェントも誰も使っていないベッドに腰掛け足をパタパタさせながら暇そうにしていた。
304 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:33:34.47 ID:xNQiaKzgo
「もぉ・・・・・・」
「こンだけ看護師がうじゃうじゃ居やがるンだ、オマエまで手伝う事ァねェだろ」
「そういうわけにはいきませんよ。 私たちだって随分迷惑かけちゃってるんですから」
言って、風斬は治療を続けていった。
「・・・・・・ずいぶん律儀な堕天使もいたモンね」
「堕天使?」
ヴェントの口から出た妙なキーワードに一方通行が眉をひそめる。少し前にも船の甲板で彼女から聞いた言葉だ。
堕天使という言葉は本か何かで見た事があるが、実際に言葉で聞くのは初めてだ。
しかし風斬氷華のどこが堕天使だというのか。どちらかと言えば堕天使は自分の方ではないかと思う。
305 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:34:32.19 ID:xNQiaKzgo
「九月三〇日」
「何?」
「その日、学園都市に『堕天使』が出現した。 それがあの女よ、知らないの?
・・・・・・あぁ、アンタも私の『天罰術式』でオネンネしてたクチ?」
「九月三〇日だと? オマエあン時学園都市にいたのかよ?」
「まぁね。 ちょっとヤボ用で」
一方通行は自身の記憶回路にダイブする。
九月三〇日と言えば、忘れもしない。
一方通行が打ち止めを救うために木原数多と激闘を繰り広げた日だ。
改めて思い返してみると、確かにあの日の学園都市は様子がおかしかった。
猟犬部隊(ハウンドドッグ)というアレイスター直属の暗部が堂々と学園都市を闊歩していたという事
自体もおかしいといえばおかしかったが。
あの日、一方通行の携帯電話にかかってきた電話の内容を思い出してみる。
306 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:35:32.34 ID:xNQiaKzgo
『気をつけろよ。 なんか今日の学園都市は少しおかしい。 変なヤツが街の外から侵入してきてるし、
警備員(アンチスキル)とか街中の人達がバタバタ倒れてるし』
打ち止めの電話を使用し、一方通行へ連絡をとってきたあの男が言うには、
あの日に学園都市の外から侵入者が出現したらしい。
そして原因不明の昏倒現象。
307 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:36:27.21 ID:xNQiaKzgo
「この二つの符号が意味するものは一つ・・・・・・!」
「あ?」
「オマエだろ。 九月三〇日に学園都市へ侵入して、街の人間を昏倒させていったのは」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴェントは相変わらず足をパタパタさせて明後日の方を向いているだけだった。
「俺が猟犬部隊と遊ンでる間にもう一つ抗争があったってのは聞いてたが、
まさかオマエだったとはな」
「だったら何? ていうかアンタ、もしかして天罰術式に引っかからなかったの?」
「"天罰術式"? また魔術か、その魔術で人が倒れていってたのか?」
「・・・・・・そういう事。 そっか、アンタは私を見かけなかったのね」
308 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:37:26.15 ID:xNQiaKzgo
たしかに一方通行は学園都市でヴェントを見かけた事などない。
それにしても、天罰術式。彼女は『女王艦隊』という魔術以外にも色々と行使出来るようだ。
「じゃあ逆に聞くけど、あの日、馬鹿みたいな出力の遠距離攻撃が放たれるのを見たんだけど、
アレはアンタの仕業だったの? ビルが紙くずみたいに吹っ飛んでいったやつ」
ヴェントもまた、学園都市で不思議な現象を目撃していた。
火山でも噴火したのかというような爆音とともに、凄まじい勢いの衝撃波が街を駆け抜けていったあの現象。
その時のヴェントはそれに気を向けていられる状態ではなかったので深くは考えなかったが。
「・・・・・・・・・・・・あァ、あれか。 多分俺だな。 "窓のないビル"にぶち込ンだやつだ」
アレイスター・クロウリーが潜む窓のないビルを破壊するために、地球の自転エネルギーを使用して
ベクトル操作を行い、それをそのまま放つというぶっ飛び理論パンチ。
「アンタもアンタで無茶苦茶やってたってコトね」
ふん、と鼻を鳴らしヴェントはコロンとベッドに転がる。
舌先に付いているピアスで繋がった長いチェーンがジャラリと音を立てた。
309 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:38:42.72 ID:xNQiaKzgo
「・・・・・・待てよ、じゃあ学園都市に向けて光みたいなモンをぶっぱなしてたのは、」
「ん。 そう、堕天使・・・・・・あの女よ」
ヒューズ化した風斬は一方通行も何度も見ているが、初見がまさか九月三〇日だったとは思わなかった。
電話先の男はあの唸る翼を『天使』と呼び、それを止めなければならないと言っていた。
ヒューズ化した風斬を命がけで止めた人物、風斬が『天使同盟』以外に交流を持っている学園都市の人間といえば・・・・・・。
「・・・・・・三下?」
もしそうならば、あの時自分が電話で会話をしていたのは三下。
通称、上条当麻ということになる。
310 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:40:08.99 ID:xNQiaKzgo
打ち止めを救うために必死で自分に協力しようとしてくれたあの男の性格と、
上条当麻の性格は同じな気もする。
「・・・・・・そォか。 そォいう事か、あの野郎・・・・・・」
この日、一方通行は思いも寄らないきっかけから『0930』事件の全貌を知った。
上条当麻、一方通行、インデックス、打ち止め、ヴェント、木原数多。そして風斬氷華。
この六名の出演者によって、あの事件は展開していっていたのだ。
と、いうことは、
「オマエが学園都市に来た理由はあの三下か」
「三下?」
「・・・・・・、上条当麻」
311 :
七名じゃねーかクソボケ
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:41:07.91 ID:xNQiaKzgo
「そうよ。 まぁ、もう今なら何喋ったって関係ないか。
あの日、私は『神の右席』として上条当麻を抹殺するために学園都市へ侵入したのよ」
上条当麻が魔術サイドで様々な事件に遭遇していたという事実は一方通行も何となく分かっていたが、
やはり彼は『神の右席』にも関わっていた。
「・・・・・・ふン」
前は少しでも彼と同じ領域に立ちたいと思ってずっと上条当麻の背中を追ってきた一方通行だが、
今はもう違う。
彼は彼で居場所が出来た、彼独自の領域が完成している。もう、上条当麻にこだわる必要もなくなっているのだ。
だから、
「ま、ンなモンに興味はねェ」
「じゃあ聞くなよ白いの」
一方通行はせっせと治療の手伝いをしている風斬の後ろ姿を見ながら、薄くため息をついた。
312 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:48:57.73 ID:xNQiaKzgo
>上条当麻、一方通行、インデックス、打ち止め、ヴェント、木原数多。そして風斬氷華。
この六名の出演者によって、あの事件は展開していっていたのだ。
Q. 御坂ェ・・・・・・
A. いや、あの、御坂と一方通行はその日に出会ってないからということで・・・・・・
今回ちょっとミスが多すぎましたね、大変申し訳ありません。
次回からは各キャラで場面がころころ変わるので分かりにくいかと思いますが、どうかご容赦ください。
次回更新は三日以内。
今日もここまで読んでくださった読者様に最大級の感謝を。
それではまた!
313 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/29(土) 21:49:49.54 ID:xNQiaKzgo
【次回予告】
『私は実際に確認したわけじゃないけど、テッラならもう死んでるわよ』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
『ここでも手掛かりを掴めなかったら、フィアンマに当たるしかねェって事か。
・・・・・・チッ。 テッラが生きてたら『神の右席』コンプリート出来たのによォ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『え!? わ、私のですか? それは、あの・・・・・・///』
―――――――――――『天使同盟』構成員・風斬氷華
『一人は皆のために、皆は一人のために。 それが我々『天使同盟』だろう?
"私"の責任は、"我々"の責任なのだよ一方通行』
―――――――――――『天使同盟』構成員・エイワス
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 21:50:32.69 ID:ICtDEDuzo
乙!
エイワス戻ってきたかww
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 21:51:20.18 ID:3a7pfVHy0
更新乙!
さすがのエイワスww
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 21:51:54.76 ID:i1pCP1I+o
おつ!
エイワスてめえwwww
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 21:59:21.39 ID:83HBv56v0
乙!
そしてエイワスwwwww
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 21:59:37.20 ID:CuHpAQngo
おつー。
一方さんは積極的かつ無意識にヴェント攻略だ。
しかしエイワスうぜぇwwwwww
319 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 22:08:26.60 ID:UGVTRJieo
エイワスてめぇwwwwww
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 22:18:43.43 ID:d5blWpdHo
エイワスさんマジパネェっすwwwwww
321 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 23:02:30.80 ID:hAI+PDir0
超結局乙なんですよ
まさかの責任転嫁wwww 誰かエイワスを止めれるやつはいないのか?そげぶでも無理なのか?
322 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 23:03:57.42 ID:m23of+YIO
おつ
エイワスって金と権力持ったキングボンビーだよな
323 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/29(土) 23:36:50.80 ID:OlR7/rTDO
エイワス△
324 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:04:20.77 ID:40ZIdK1AO
>>322
なにそれ勝てない
325 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:27:56.40 ID:ndmEA/gGo
乙
なんかSSオリジナルってことでテッラ出てきそう、出てきたら楽しそうだな〜チラッチラッ
326 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:38:20.63 ID:TNXo3tNE0
乙です!一方さんとの会話にいちいち憎まれ口差し込んでくるヴェントが可愛いなww
次はフィアンマか……胸熱
ひさびさ挿絵支援です。前スレの場面ですみません
「知らないですこのウサギバカ!!!」
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1391125.jpg
327 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:42:03.06 ID:PLtZ1klvo
最速にして最高の
>>326
乙を贈る
328 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:47:58.01 ID:OLwpuuqAo
おおおおおお乙!
おっぱいが空を飛んでいるだと?けしからん!
329 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:48:10.83 ID:VgP3ozJAO
きた!挿し絵きた!これでかつる!
330 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 00:53:59.50 ID:2r3U8Kuyo
誰も触れないだろうから言うけど、この飛行機たちかわいい、超かわいい。
なんかすりすりしたくなる。
主翼の裏側とか、尾翼の配置がかわいい。
特に左上の飛行機かわいい。なんかもっさりした顔してて両手で包みたくなるような造形。
飛び出した部分がないせいか、子供っぽさを感じさせる。
かわいい。
331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 01:02:07.60 ID:EkDZ/x4oo
とてもいいおっp挿絵ですね
332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 01:12:56.89 ID:nrKqCM0o0
>>1
と
>>326
に最大の乙
レッサーwwwwww
333 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 02:02:02.86 ID:kw/6Ok78o
>>326
Hey you!
Good Job!
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 02:06:48.05 ID:YnQwoO950
>>330
気持ちはわかるがちょっときもいwwww
レッサーの表情もいいし、風斬たんハァハァ
335 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 04:51:48.95 ID:ydYZR4pB0
レッサーがもっとじゃれてくればいいのに
336 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 06:35:41.21 ID:a7CGiPFk0
神の右席ってポケモンか何かなのか…?
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 08:36:53.80 ID:o6Zn+jZIO
三下、通称上条当麻。
一方さん逆っす!
338 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 18:12:38.30 ID:jH+IdQKPo
>>326
相変わらず凄えええwww
光の早さで保存しますた
339 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 19:12:58.87 ID:0f+LXH7Wo
まったく関係ないけど、風斬の声って、種島ぽぷら先輩だったんっすね。
なんか、全然イメージと違ってましたわ。
ちなみにエイワスの声は、子安で脳内再生させている。
340 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 20:52:01.10 ID:u3qebctAO
エイワスは性別不明な感じだし、個人的には朴ロ美さんなイメージだなぁ……
341 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/30(日) 23:58:43.68 ID:rPXM87A7o
麦人ボイスで再生されてる。最初についたイメージがそれだったから
342 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 00:07:40.06 ID:mr0sfM+DO
エイワスの声がアナゴさんで再生されるのは俺だけだよな
343 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 01:29:29.18 ID:DEN5f7gAO
僕はかないみかちゃん!
344 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 01:34:55.36 ID:yvkhRL5bo
ジョージで再生される
345 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 01:44:47.40 ID:m9e1/DrAO
お邪魔致します
>>326
いきなり不躾で申し訳ありません、この板の看板を描かれてみませんか?
次の様な要項となっております
110:lain. ★ 2011/01/26(水) 22:33:09 .84 ID:???
AAの募集は
>>64
で締め切らせていただいています。ご了承ください。
代わり・・・というわけでも全然ないですが、看板絵の募集を行います。
サイズは500×100ピクセル。多少の変動は構いません。
こちらもランダム表示となりますので、いくつ出していただいても構いません。
募集期間は1週間程度を予定しています。
※24時間以上ファイルが保持されるアップローダを使用していただけると助かります。
120:lain. ★ 2011/01/31(月) 00:56:11 .59 ID:???AA
いっそ自分が読んでるSSを宣伝するくらいの感じでですね。
製作速報なんかは板内で製作中のゲームの宣伝兼ねた絵多いですし。
あと前述の募集期限は取り消しときます。
もし描いて頂けますならば、下記のスレのlain様宛てにお伝え戴ければ、と存じます。
■SS速報の1001とトップ看板絵を決めるためのスレ■
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295010644/
失礼しました
346 :
◆3dKAx7itpI
:2011/01/31(月) 07:44:12.90 ID:HPCy2uIRo
>>326
おおおお待ってました!相変わらずのクオリティで感動です、ありがとうございます!
おっぱいが空を飛んでいる・・・・・・実にいいものだなぁ
と、いうわけで朝っぱらから投下です。出勤、投稿される方はどうかお気をつけて。
エイワスの声を男性声優で脳内再生されている読者様が多いようですね。
口調が女の子っぽくないからでしょうか。エイワスは性別がないので意外と書くの大変だったりします。
それでは行きますね。
347 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:45:54.64 ID:HPCy2uIRo
――エリザリーナ独立国同盟・石造りの砦 即席野戦病院内
一方通行「・・・・・・ところでよ」
ヴェント「なに?」
一方通行「その"白いの"って呼び方やめろ。 あのうざってェ人妻を思い出す」
ヴェント「知らねぇよそんなの。 アンタ白いんだから"白いの"」
一方通行「チッ。 可愛げのねェ女だな、顔面ピアス」
ヴェント「じゃあその呼び方もやめてよ。 何故かはわからないけど、
"顔面ピアス"って名前と酷似してるキャラがいる気がする」
一方通行「あ? ンだそりゃ」
ヴェント「いや、何となくそんな気がして・・・・・・」
一方通行「ワケのわからねェ事を・・・・・・。 ・・・・・・ところでオマエ、
『神の右席』なンだってなァ? 今言ってたが」
348 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:47:08.25 ID:HPCy2uIRo
ヴェント「それが何?」
一方通行「どの方向なンだ?」
ヴェント「方向? あぁ、そういうコトね。 『前方』よ、
言わなかったかしら? ていうかアンタやけに詳しいわね」
一方通行「ガブリエルなンてモンを拾っちまった以上、詳しくならざるを得ねェだろ。
あのアホ天使は『右方』が呼び出したンだろ?」
ヴェント「フィアンマ、ね。 ・・・・・・まぁそりゃそうか、学園都市の人間でも
天使なんて存在を追いかけていけば『神の右席』ぐらい知りうるわよね」
一方通行「もしそのフィアンマって野郎が生きてンなら、いつかは会わなきゃならねェ時が
来るンだろォな。 今そいつがどこにいるとか知ってるか?」
ヴェント「知らないわよ。 大体もう『神の右席』は崩壊したも同然の組織だし、
ローマ正教がフィアンマに対してどう処置をとるのかも私の知ったことじゃない」
一方通行「そォかよ。 『後方』にはもォ会ってきたンだがな」
ヴェント「えっ、アンタ、アックアに会ったの?」
一方通行「あァ。 ここに来る前にイギリスに行っててな、バッキンガム宮殿で会ってきた」
ヴェント「バッキンガム宮殿・・・・・・、ふん。 アイツらしいわ」
349 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:48:27.18 ID:HPCy2uIRo
一方通行「ま、ならフィアンマは保留として・・・・・・、あとは『左方』か?」
ヴェント「『左方』のテッラ」
一方通行「そのテッラはどこにいる? ・・・・・・結構前に"人捜し"の仕事で
アビニョンに『投下』してンだがよ、もしかしてあれは・・・・・・」
ヴェント「アンタって結構あちこち飛び回ってンのね」
一方通行「昔は学園都市の操り人形の如く飛ばされまくってたからなァ。
無論、今は自分の意志だが」
ヴェント「私は実際に確認したわけじゃないけど、テッラならもう死んでるわよ」
一方通行「・・・・・・死ンだ? 殺されたのか?」
350 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:49:19.94 ID:HPCy2uIRo
ヴェント「『C文書』の件でアビニョンにテッラがいて、その時に上条当麻もいたらしいの。
そこで交戦、その後行方不明。 で、結果は死んでました、と」
一方通行「三下の野郎もあン時いたのか!? ニアミス多すぎンだろ・・・・・・。
C文書ってのはどォでもいいが、まさか三下がテッラをぶち殺したなンて事もねェだろ」
ヴェント「誰がやったかは知らないけど、『粛清』とかって聞いてるから、
多分ローマ正教か『神の右席』が始末したんでしょ」
一方通行「・・・・・・チッ。 テッラが生きてたら『神の右席』コンプリート出来たのによォ。
しかしよく考えたらテッラには何の用もねェンだよな。
そいつが何か別の天使召喚に関わってたってンなら話は別だが」
ヴェント「あんなのが天使の召喚なんて出来るわけがないわ。 フィアンマレベルの魔術師じゃないと到底無理。
『御使堕し(エンゼルフォール)』みたいな偶然が起これば別だけどね」
351 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:50:28.21 ID:HPCy2uIRo
一方通行「ここでも手掛かりを掴めなかったら、フィアンマに当たるしかねェって事か。
面倒極まりねェな、第三次世界大戦のトリガーを引いたヤツなンだろ?
素直に話を聞いてくれるとも思えねェ」
ヴェント「無理矢理にでも聞かせたらいいじゃない、アンタらならフィアンマくらいどうとでもなるでしょ」
一方通行「だといいがな。 どォやら『神の右席』で唯一の常識人はウィリアム、
っつゥかアックアだけのよォだからな」
ヴェント「あぁ!? 聞き捨てならないわね、私がその常識人のカテゴリに入ってないようだけど!?」ガルルル
一方通行「顔中にピアス付けてるよォな女が常識人なワケねェだろォが」クカカッ
ヴェント「このヴェントが意味もなくこんなことしてると思ってんの? これは魔術的な要素が
含まれていて、肉体に金属を突き刺すって関連性から『神の子』を十字架に―――」
一方通行「出た、『これには魔術的な要素が含まれて〜』云々。 魔術師ってのはそれを言い訳にして
好き放題オシャレする人間の事なンですかァ? 『必要悪の教会(ネセサリウス)』の
露出狂もそォだったが」ケケケ
ヴェント「最後まで聞けよコラァッ!!!」
352 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:51:23.11 ID:HPCy2uIRo
エリザリーナ「ちょっとヴェント。 ここは病室なんだからあまり騒がないでちょうだい」
ヴェント「私に指図してんじゃないわよ! ていうかコイツが悪いんだろうが!」
一方通行「はいはい静かにしろって。 ガキじゃねェンだからハシャぐンじゃねェよ」
ヴェント「アンタいつかぶっ殺してやるから・・・・・・」グヌヌ
風斬「エリザリーナさん、ちょっといいですか?」
エリザリーナ「どうしたの?」
風斬「治療用のこの・・・・・・、薬草? が、もう無くなっちゃったんですけど
どこかに予備とかありますかね?」
エリザリーナ「もう無くなってしまったの? ・・・・・・困ったわね」
ヴェント「それ、もうストック全部無いわよ。 元々珍しい種類の薬草だし、
この時期にはロシアじゃ手に入らないしね」
風斬「でもまだ怪我人が沢山いるんですけど・・・・・・」
353 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:52:11.22 ID:HPCy2uIRo
一方通行「ツバつけときゃ治るだろ」
風斬「え!? わ、私のですか? それは、あの・・・・・・///」
一方通行「オマエのじゃねェよ、どォいうプレイだそりゃあ」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・//」
一方通行「なンでオマエまで顔赤くしてンだよ?」
ヴェント「あ、アンタのせいで馬鹿みたいな想像したからよクソウサギ!」
エリザリーナ「参ったわね、あれは麻酔の効果も含まれてるから
身体に埋まった銃弾を取り出すのにも便利なのだけれど・・・・・・」
一方通行「・・・・・・・・・・・・チッ、仕方ねェ。 麻酔なら俺の能力で――――」
エイワス「ただいまー」ブゥン
354 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:53:32.74 ID:HPCy2uIRo
エリザリーナ「!!?」ビクッ
ヴェント「!」
風斬「あ、」
一方通行「オマエ!! どの面下げて帰って来やがったンだコラァッ!!」ガァァァ
ヴェント「ここは病室よ? ガキじゃないんだから騒がないでよ」ププッ
一方通行「ぬ・・・・・・」
エイワス「どの面下げて、とは?」
一方通行「オマエが船突っ込ませたせいでこっちは一時大犯罪者になっちまってたンだよ」
エイワス「ふむ・・・・・・。 だが、一人は皆のために、皆は一人のために。 それが我々『天使同盟』だろう?
"私"の責任は、"我々"の責任なのだよ一方通行」
一方通行「死ねカス。 死ね」
エリザリーナ「あ、あなた今どこから・・・・・・?」
エイワス「私はどこにでもいるし、どこにもいない。 初めましてエリザリーナ。
ドラコ=アイワ・・・・・・、いや、もうこの名はここでは意味が無いらしいな」
355 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:54:38.95 ID:HPCy2uIRo
風斬「はい、ここでは"エイワス"で通しても大丈夫ですよ」
エリザリーナ「・・・・・・初めまして、エイワス。 ・・・・・・なるほど、見ただけで分かるとはこういう事ね。
人間でもなければ天使でもない、もっと上位の存在・・・・・・・・・・・・」
エイワス「いやいや、そんな大したものではないのだがね。 だがしかし、今回は流石に大変だったな」
一方通行「情報操作とやらは成功したのか?」
エイワス「そこは大丈夫だ、問題ない、と思う。 今回の一件で我々の存在は
独立国同盟以外には知られていない、という記憶操作、いや歴史改竄を施した」
ヴェント「スケールデカ過ぎるでしょ・・・・・・」
エイワス「ただ改竄対象のプライベーティアとロシアの政治家の人数が多すぎてね。
どこかに見落としがないかの確認作業が多忙を極めたよ」
風斬「なんだか後ろめたいですけど、お疲れ様でした。 ありがとうございます」
エイワス「いたわってくれるのは君だけだよ風斬氷華。 惚れてしまってもいいか?
今の私だと百合になってしまうが、私は一向に構わん」
一方通行「俺が構うわクソボケ」
ヴェント「ねぇ、何その袋」
エイワス「うん? あぁ、これか」ガサッ
356 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:56:01.14 ID:HPCy2uIRo
一方通行「ンだこりゃ、くっせェな」プ~ン
風斬「あ、これ!」
エリザリーナ「治療用の薬草だわ。 こんな大量に・・・・・・」
エイワス「うん? これが入用だったのかね? そうかそうか、それなら丁度いい。
帰り際に花を摘んでいたら"たまたま"これが視界に入ったものでね。
良かったら好きなだけ使ってくれ、我々には必要のないものだ」
一方通行「帰り際・・・・・・?」
エリザリーナ「ありがとう、本当に助かるわ」
エイワス「これでクルーザー衝突の件は帳消しに――――」
一方通行「ならねェよ。 少女やってる暇あったらここのヤツらに土下座でもしてろ」
357 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:56:49.37 ID:HPCy2uIRo
エイワス「――――ふふ、手厳しいな君は」フフ
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エイワス「ん? 私に見惚れているのかねヴェント?」
ヴェント「寝言は寝て言えよ。 ・・・・・・別に、アンタからあの"クソ魔術師"の匂いがしてくる
気がしてね。 鼻につくだけよ」
エイワス「匂い? おかしいな、帰り際にイギリスのコスメショップで購入したブランド物の香水を
使用しているのだが・・・・・・、そんなに匂うかね?」クンクン
一方通行「オマエここ戻ってくる間に観光旅行してンじゃねェよ!!」
ヴェント「あくまではぐらかす気なのね」
エイワス「私とアレイスターが実は同一人物ではないか、という君なりの推理かな。
ふふふ、面白い考え方だが、残念ながら的外れもいいとこだ」
358 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:57:45.09 ID:HPCy2uIRo
ヴェント「! チッ、私の考えなんか全部お見通しってワケ?」
エイワス「今度ここへ我々が来る事があったら、アレイスターの首でも土産に持ってこようか?
その首を『彼』の墓前に捧げるのも、ふむ、まぁ悪くはないかもな」
一方通行「?」
風斬(『彼』・・・・・・?)
ヴェント「・・・・・・・・・・・・クソ野郎」ギリッ
エイワス「冗談だ。 気を悪くしたのなら詫びるよ、ヴェント」
一方通行「コイツとまともに会話出来ると思うな、放っとけよ」
エイワス「冷たいじゃないか一方通行。 そう邪険にしないでくれたまえ。
そんなことより、兵士たちの傷を癒さなくていいのか?」
エリザリーナ「そうね。 風斬、引き続き手伝ってもらえるかしら?」
風斬「はいっ!」ニコッ
359 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:58:53.46 ID:HPCy2uIRo
――――――――――――――――――――――
エイワス「ミーシャ=クロイツェフと垣根帝督が見当たらないが?」
一方通行「あいつらならサーシャとワシリーサと一緒にいる」
エイワス「そうか・・・・・・。 ・・・・・・ふむ」チラッ
一方通行「? 何腕時計気にしてンだよ。 つかオマエそンなの持ってたのか」
エイワス「あぁ、これもここへ帰る際に――、」
一方通行「もォいい、もォわかった」
ヴェント「一つ、気になることがあるんだけど」
エイワス「伺おう」
ヴェント「なんでアンタみたいなのが人間と一緒に行動してるのよ?」
360 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 07:59:23.42 ID:HPCy2uIRo
エイワス「マジレスすると彼らに一定の価値が見受けられたから、といったところかな」
ヴェント「価値・・・・・・?(マジレスって何の呪文かしら・・・・・・)」
エイワス「特に、君の隣にいる一方通行。 彼には眩いほどの秘められた価値がある。
価値観は人それぞれだが、私はそう感じて彼らを観察することにしたのだよ」
一方通行「俺を持ち上げたって何にもやらねェぞ」
エイワス「え、じゃあおだてるのはやめよ」
一方通行「見返り求めてたのかよ!」
エイワス「冗談だよ、冗談」クスクス
361 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:00:17.40 ID:HPCy2uIRo
ヴェント「ふん、気に入らないわね。 神を気取ってるつもりかしら?」
エイワス「どうも私は神だと思い込んでいると言われがちだな」
一方通行「言動がそう思わせるンだろォが。 自覚しろ」
エイワス「先程も言ったが、私は私であり他の何者でもないよ。
神などというつまらない地位は必要ないし興味もない」
ヴェント「怪物のクセにそうやって買い物とかくだらない事を楽しんでるのもその理由?」
エイワス「その通りだ。 君たち人間がくだらないと思う行為こそ、私にとっては価値がある。
こうして長い間jkncsf顕ogpg、こほん、失礼。
長い間現出していると、そういう些細なことに興味を見出してしまうものだ」
ヴェント「ふーん・・・・・・。 私たち人間がそう思えるときは来るのかしら?」
エイワス「ホルスの時代を人類が迎えることが出来れば、或いはな。
私はこの時代の方が愉快だから好みなのだけどね」
一方通行(話についていけねェ・・・・・・)
362 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:01:15.11 ID:HPCy2uIRo
エイワス「君は今でも科学を憎んでいるのか?」
一方通行「?」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」
エイワス「受け入れろとは言わないが、そうやっていつまでも引きずっていては
『彼』も浮かばれないと思うのだがね」
ヴェント「・・・・・・聖守護天使が、私に上から目線で説教?」
エイワス「そんなつもりではないよ。 ただ君がその事ばかり考えているから、つい」
ヴェント「プライバシーの侵害ってレベルじゃないわよ。 いちいち人の思考を
覗き見するなんて」
エイワス「覗いてもらえる程度の価値が君にはある、という事なのだが。
それでは駄目なのだろうか?」
ヴェント「私の価値は私が決めるコトよ、アンタが決めるコトじゃない」
エイワス「なるほど、面白い」
一方通行「散ってンなァ、火花」
ヴェント「そんなんじゃないわよ」
363 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:02:04.82 ID:HPCy2uIRo
エイワス「ところで、一方通行」ヒソ
一方通行「あン?」
エイワス「もう誰かとフラグは立てたかね? ご存知のとおり私は出張っていたのでね。
もし何人かとのフラグを立たせているのであれば教えてほしいのだが」
一方通行「それを本気で聞く辺りがオマエのすげェとこだな。 立ってねェし立たせる気もねェよ」
エイワス「ケチるなよ、少なくとも二人くらいはフラグが成立しているのではないかね?」ニヤニヤ
一方通行「ンなわけねェだろ。 オマエフラグフラグうるせェンだよ」
ヴェント「何話してんの?」
一方通行「なンでもねェよ」
エイワス「・・・・・・・・・・・・ふむ」チラ
一方通行「オマエはさっきからなンで時間を気にしてンだ?」
グリッ
兵士「いってええええええええ!!!」
エイワス「おっと、失敬。 大丈夫かね?」
364 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:03:04.08 ID:HPCy2uIRo
兵士「た、頼むよ・・・・・・俺足の骨折っちゃってるんだからさ。
(な、何だこいつ・・・・・・、ぼんやり光ってる・・・・・・?)」ズキズキ
エイワス「すまなかったね」ポンポン
兵士「だぁっ!! だから足叩くなってぇ!!」ズキン
一方通行「何くだらねェ事してンだオマエは」
エイワス「いやいや、ふふ」
ヴェント「それで、時間がどうかしたの?」
エイワス「うむ。 エリザリーナ」
エリザリーナ「何か用かしら?」
365 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:03:39.74 ID:HPCy2uIRo
エイワス「ここにテレビはあるか? あれば少し見せてもらいたいのだが」
エリザリーナ「テレビ? それなら向こうにあるのが見えるでしょう?
・・・・・・・・・・・・まさか、」
エイワス「察しが良いな。 君も見ていくかね?」
エリザリーナ「・・・・・・そうね。 その方がいいでしょう」
エイワス「風斬氷華。 君もこちらへ」
風斬「? はーい」スタスタ
一方通行「なンだよ?」
エイワス「私の情報操作が正しく機能しているかどうか、テスト結果の発表だよ。
間もなくプライベーティアと独立国同盟の抗争に関するニュースが流れる」
一方通行「! そォいう事か」
風斬「私たちのことが流れたらどうしよう・・・・・・」オドオド
兵士「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
兵士「足の骨折が治ってる・・・・・・」
366 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:04:29.71 ID:HPCy2uIRo
エリザリーナ「これ、テレビのリモコンよ」スッ
一方通行「あァ」
風斬「なんだかドキドキしますね・・・・・・」ドキドキ
ヴェント(私は別に見る必要ないわよね・・・・・・何でここにいるんだろ)
エイワス「垣根帝督達にも連絡しておいた。 彼らは別室で見るそうだ」
一方通行「垣根のヤツ、何やってンだ?」
エイワス「ふふ。 さぁ、そこまでは」
エリザリーナ「始まるわよ」
367 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:05:10.39 ID:HPCy2uIRo
キャスター『――――――本日最初のニュースはエリザリーナ独立国同盟への侵攻事件の続報です。
えー、つい先ほど、プライベーティアと思われる軍隊と独立国同盟の抗争が鎮圧し、
プライベーティアの兵士は全員、国防省の意向で連邦軍によって一斉摘発されました』
一方通行「あれだけの数のプライベーティアを全員お縄にしちまったのか?
しかし国防省が出張ってきたってンならそいつらにも情報操作しねェといけねェが」
エイワス「国防省にももちろん施したが、何しろ膨大な人数だ。
チェック漏れが無いかどうかが問題なのだよ」
風斬「あ、映像が流れてますよ」
エリザリーナ「・・・・・・。 ここの魔術師たちの姿が映ってないわね」
エイワス「魔術師が映りこんでいては何かと面倒だろう?
独立国同盟の魔術師だけでなく、ロシア成教も同様に隠蔽してある」
368 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:06:05.39 ID:HPCy2uIRo
キャスター『この映像は抗争中に突如発生した、原因不明の大爆発です。
連邦軍はプライベーティアが使用した兵器によるものであると推測し、
調査を進めており―――――、』
風斬「・・・・・・プライベーティアが使用した兵器って、これエイワスさんが・・・・・・」
エイワス「さすがにこれを無かったことには出来ないのでね、申し訳ないが
疑惑を全てプライベーティアに押し付けさせてもらった」
一方通行「同情・・・・・・はしねェけどよ、さすがに哀れだな」
ヴェント「アンタ、ロシアの国防相や参謀本部情報局がプライベーティアと繋がってるって知ってる?
ほぼ間違いなく今から国防相の記者会見が放送されると思うけど、
そこでプライベーティアから聞いたアンタ達のコト暴露されたらどうするのよ?」
エイワス「そこが一番のキモだ。 国防相にも情報操作を施したのだが、
果たしてしっかりと機能しているのかどうか」
風斬「も、もし『天使同盟』の事を世間に好評されたら、私たちどうなるんでしょう・・・・・・」
一方通行「もォその時は『天使同盟』五人で第四次世界大戦を開戦するしかねェな」クカカッ
369 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:07:18.05 ID:HPCy2uIRo
キャスター『――――それでは、間もなく"GRU"の情報局長による、今回の抗争についての
記者会見が始まりますので映像を切り替えます。 御覧ください』
風斬「『GRU』?」
一方通行「オイ! 国防相じゃなくて参謀本部情報局じゃねェか!
コイツらにもちゃンと情報操作してンだろォな!?」
エイワス「もしかしたらかなりおざなりな結果になっているかもしれない。
正直GRUはあまり意識していなかった」
ヴェント「今からでも行って記憶改竄してきたら?」
エイワス「いや、こうなったら全てを受け入れ、楽しもうではないか。
せっかく振った骰子を途中で掴みとってしまっては興が冷めるというものだ」
エリザリーナ「よく楽しめるわねこの状況を・・・・・・」
風斬「は、始まりますよ」
370 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:08:10.59 ID:HPCy2uIRo
マスコミ『モスクワ・タイムズです。 情報局長、今回の抗争で
エリザリーナ独立国同盟が秘密裏に所持している何らかの情報を
プライベーティアが手に入れ、世間に公表するとの事でしたが、
その情報は手に入ったのでしょうか?』
情報局長『いいエ。 全てデタらメデス。 我々ハ国防省の一部ノ方達と協力し、
ただ一方的にえりざりーナ独立国同盟へノ侵攻を決定したマデデス』
マスコミ『!? GRUと国防省の一部がプライベーティアを派遣した事を認めるのですね!?』
情報局長『は、はひ』
エリザリーナ「・・・・・・?」
ヴェント「何よ、あっさりゲロっちゃってるじゃない」
風斬「というより、何か変じゃないですかこのおじさん」
371 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:09:02.18 ID:HPCy2uIRo
マスコミ『イズベスチヤです。 国民の声の一部に、抗争の際、プライベーティアと
独立国同盟の他にもう一つ"謎の勢力"が参戦しているとの声もありましたが、
それについては何かご存知ないですか?』
風斬「!」ゴクッ
情報局長『あ、あアイ。 なぞの勢力をわたシは知りまセン。 ア、イ。
例の大爆発も我々ガヤッタとしか思えエエませン。 そのようナ勢力は確認サレテません。
ハ、なのでそれもデタラめだお』
一方通行「完全に操り人形だこれー!!?」ガビーン
372 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:10:11.09 ID:HPCy2uIRo
ヴェント「あっはははは! 何コレ、おっかしい」ァ '`,、'`,、
エリザリーナ「こ、これは大変な事になってるわね」
風斬「・・・・・・エイワスさん、これって」
エイワス「安心していい。 情報操作は無事、成功したようだ」
一方通行「どこをどォ見たらこれが成功なンだよ!? この情報局長のオッサン
完璧にクスリがキマってる常習犯みてェになっちまってるじゃねェか!!!」
ヴェント「あはははははは!」ァ '`,、'`,、
一方通行「笑いすぎなンだよオマエは!! どこがそンなにツボなンだよ!」
373 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:11:01.01 ID:HPCy2uIRo
情報局長『ナオ、えりざりーナ独立国どーめーニハ怪しげな情報ナドは存在しませンデシタ。
ヨっテ、ググ、グ、全てノ非は我々にアルものとシ、ヴヴ、責任をトルものとして、
私は辞任ヲ考えテオリま――――――』
マスコミA『ふざけるなー!! 辞任したくらいでこれほどの責任がとれると思ってるのか!!』
マスコミB『国防相を出せ!!』
マスコミC『独立国同盟に対しては謝罪の一言もないのかー!!』
ギャーギャー ワーワー ヴオオオオオ
プツッ
『しばらくお待ちください』
374 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:11:53.68 ID:HPCy2uIRo
エリザリーナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴェント「ひー・・・・・・ひー・・・・・・、あー笑った、ぷぷぷ」
エイワス「目先の問題はひとまず解決出来た、か」
一方通行「解決出来てンのかこれ・・・・・・」
風斬「あのおじさん、どうなっちゃうんですか・・・・・・?」
エイワス「彼がプライベーティアを秘密裏に動かしていたのは紛れもない事実だよ。
すぐに調べ上げられて身柄を送検、刑務所行きは免れんだろうな。
情報局長だけではない、国防省の一部の人間も芋づる式で同様の末路を辿るだろう」
エリザリーナ「これでプライベーティアは完全に消滅した、と?」
エイワス「そうならざるを得ないだろうな。 こんな事があっては存続も出来まい」
ヴェント「あの情報局長、完璧に目がイッてたわよ」ケラケラ
一方通行「ロシア連邦が大きく変化する瞬間を見たのかも知れねェな俺達は・・・・・・。
なぜか責任を感じちまうぜ・・・・・・」
375 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:22:38.53 ID:HPCy2uIRo
※この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。
今回はここまでとさせていただきます。
ロシアが何だか大変な事になってしまっていますが、まぁなんとかなるんじゃないでしょうか・・・・・・
次回更新は三日以内。
今回もここまで読んでくださった読者様に感謝の祈りを。
それではまたお会いしましょう。
376 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:23:54.69 ID:HPCy2uIRo
【次回予告】
『何か急に垣根さんが『邪魔だから一方通行達のとこ行ってろ』、
とか言って無理やり! なーんか怪しいと思いませんか?』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』構成員・レッサー
『彼も彼なりにこれから起こる事を理解しているのかもしれない。
私も少し手伝ってあげるとしようかな』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』構成員・エイワス
『で、オマエの弟がなンだって?』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『・・・・・・科学は、嫌い。 科学は、憎い』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
377 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/01/31(月) 08:24:44.41 ID:HPCy2uIRo
『ほらよ、魔術師のお前らなら俺が作ったこれが何だかわかるんじゃねえか?』
―――――――――――『天使同盟』構成員・垣根帝督
『あらまぁ。 まさかこんなものが学園都市の能力者から飛び出してくるなんて』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『第一の質問ですが、これって・・・・・・』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
378 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 08:25:59.92 ID:ns54i0cy0
乙
ていとクンがどうみてもフラグ・・・・・・だろォな
そして風斬の舌で傷をぺろぺろとか18禁レベル
もっとやれ
379 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 08:28:06.99 ID:VW0SZWTQo
朝から乙です!
380 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 09:09:16.61 ID:UJ8cWSIYo
>>マジレスすると
エイワスこのスレみてんじゃないか……?
381 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 09:18:52.43 ID:r2DX2whLo
エイワス「私はどこにでもいるし、どこにもいない」
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 10:01:51.21 ID:N7t5UXuAO
ヴェントちゃん可愛すぎて俺の何かがはげた
383 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 11:23:20.12 ID:yJubGvnY0
>エイワス「いたわってくれるのは君だけだよ風斬氷華。 惚れてしまってもいいか?
今の私だと百合になってしまうが、私は一向に構わん」
>一方通行「俺が構うわクソボケ」
おやおやうふふ
384 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 11:45:24.78 ID:Ro1pn7Vf0
>>383
エイワスルートktkr
385 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 12:14:28.55 ID:fT56y0YIO
無邪気に笑うヴェントが可愛いすぎる。
おれに絵心があったら脳内に鮮明に浮かんだこの妄想を形にしたかった
386 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 13:35:47.62 ID:B3MDA5X80
笑ってる対象に邪気がありすぎだろォがww
これ、プライベーティアなる存在と
それを駒として動かす人間がエイワスの機嫌を損ねたようにも読みとれるな
まあ、実際そんなことに義憤を感じたりはしないんだろうけど
387 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 14:49:01.89 ID:NiDqAebAO
弁当さんの好感度が鰻登り
388 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 15:33:13.74 ID:PA/0Rdu80
今のところロシア編でフラグ立ってるのはヴェントだけか
今後立ちそうなのはサーシャワシリーサエリザリーナ、大穴で総大主教あたりかな?
389 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 16:34:13.61 ID:x28ziA9C0
1乙!
エイワスのキャラ崩壊パネーっすww
ヴェントかわいい結婚したい
390 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 19:22:04.04 ID:NiDqAebAO
>>388
サーシャに立っても総大主教に立っても
学園都市最強vsロシア最強が不可避
391 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/31(月) 23:04:08.82 ID:ns54i0cy0
ワシリーサは原書本編で唯一人
『こいつ誰かが自分の禁書SSで無双させるために造ったオリキャラだろ』
と思うぐらい、訳のわからないギャグ風チートキャラだった
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 06:17:46.90 ID:wYZKnKXAO
おいおいヴェントは上条さんにそげぶされてまだそんなこと言ってんのかいww
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 12:14:42.13 ID:3z2cA0HR0
>>384
なぜそうなる
394 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 12:27:50.81 ID:jbJrIy02o
>>393
ドラコを風斬にとられたくないからに決まってンだろォが。言わせんな恥ずかしい。
395 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 12:42:03.35 ID:6eq2Fb5qo
いやいや、風斬をエイワスに取られたくないんだろ
396 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 13:28:02.30 ID:RcbHBpo2o
ネタにマジレス(r
397 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/01(火) 21:56:48.44 ID:TeJyPpkR0
まぁ風斬は俺の嫁だからどっちでもいいことだけどよ
398 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 01:36:25.99 ID:u+jh9s3AO
>>387
鰻弁当とな
399 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 01:39:03.12 ID:veseByIyo
>>396
いやいや、マジレスをするなら、一方さんは「百合」の部分に構うわって言ってるんだろう
400 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 10:17:43.37 ID:K74J1J7AO
ヤるならちゃンとちンこ生やせよォって事か
401 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/02(水) 10:26:51.14 ID:T+OU1AUVo
>>392
やっぱおかしいですよね・・・・・・ごめんなさい。
ヴェントと一方通行はここから絡ませていきたかったのでこういう展開にさせていただいてます。
ご都合主義なSSですので目を瞑っていただければありがたいです・・・・・・、尽力します。
それでは今回も朝っぱらから投下させていただきます。いつもたくさんの支援をありがとうございます。
さっそくですが参りましょう。
402 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:28:00.12 ID:T+OU1AUVo
ロンギエ「エリザリーナさん」タッ
エリザリーナ「ロンギエ、ご苦労様」
ロンギエ「ちょっとお話が・・・・・・」
エリザリーナ「わかったわ。 皆、私はここを少し離れるから、よろしくね」
タッタッタッ・・・・・・
風斬「・・・・・・これで抗争の件は終わりなんでしょうか?」
エイワス「あとは国で勝手にやってくれるだろう。 我々がアクションをとる必要はない」
一方通行「はァ・・・・・・、なンか急に疲れが出てきた。 俺ァ寝るぞ」
403 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:28:39.51 ID:T+OU1AUVo
ヴェント「私も休もうかしら。 寝てるところをこの抗争で邪魔されたから
まだ眠いのよね・・・・・・・・・・・・、ふわぁ〜」ウーン
一方通行「風斬、オマエも少し休ンだらどォなンだ?」
風斬「あ、ありがとうございます。 でも私はもう少しここで皆さんのお手伝いをします」
一方通行「そォかよ、まァ好きにしろ。 なンかあったら起こしてくれ」カツッ カツッ
風斬「はい、お休みなさい」
レッサー「とーうっ!」バッ
一方通行「うおっ!? 急に飛び出してくンじゃねェよマセガキ!!」
風斬「あれ? レッサー、天使さん達と一緒にいたんじゃ・・・・・・?」
レッサー「なんか追い出されてしまいました!」
404 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:29:26.98 ID:T+OU1AUVo
一方通行「はァ? 何やったンだよオマエ」
レッサー「何もしてませんよ! 何か急に垣根さんが『邪魔だから一方通行達のとこ行ってろ』、
とか言って無理やり! なーんか怪しいと思いませんか?」
一方通行「興味ねェ・・・・・・が、まァじゃあ一応様子見に行こ―――」
エイワス「放っておいてあげてはどうかな? 彼もたまには我々から離れ、
一人でいたいと思う時もあるだろう」
一方通行「ンだそりゃ? らしくねェ。 ま、そォいう事なら放っとくけどよ」
レッサー「はぁーまったく・・・・・・、あ。 風斬さん、私もそれ手伝いますー」
風斬「あ、うん。 ありがとうございます」
エイワス「・・・・・・・・・・・・ふふ。 上手くやれるといいが。
彼も彼なりにこれから起こる事を理解しているのかもしれない。
私も少し手伝ってあげるとしようかな」ブゥン
一方通行「あ? エイワスは?」
ヴェント「なんかブツブツ言いながら消えてったわよ」
405 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:30:34.84 ID:T+OU1AUVo
――エリザリーナ独立国同盟・とある住居区前 大通り
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」カツッ カツッ
ヴェント「ねぇ」
一方通行「あァ?」
ヴェント「アンタ何で杖ついてんの?」
一方通行「あァー・・・・・・、説明すンの面倒くせェな」
ヴェント「・・・・・・あっそ」
一方通行「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ウーム
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
406 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:31:08.24 ID:T+OU1AUVo
一方通行「・・・・・・頭をよォ」
ヴェント「?」
一方通行「ここ。 頭を拳銃でズドン、と撃たれちまったンだよ、昔」
ヴェント「へぇ。 アンタはそんなマヌケには見えないけど」
一方通行「まァ今思い返してみても確かにあン時の俺はマヌケだったなァ。
・・・・・・・・・・・・けどまァ、マヌケでよかった」
ヴェント「どういうコト?」
一方通行「俺がバカでマヌケだったから、あのクソガキを救えたンだ」
ヴェント「クソガキ? 子供を救うためにそんな障害を負ったってコト?」
一方通行「そンなところだ。 だから能力オフの時はこの杖が無いとまともに歩けねェンだよ」
407 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:31:56.60 ID:T+OU1AUVo
ヴェント「能力・・・・・・、学園都市の科学によって引き出された力」
一方通行「よくご存知でいらっしゃる。 ・・・・・・そォいやオマエ、科学が嫌いなンだってなァ?」
ヴェント「! ・・・・・・エイワスとの会話を盗み聞きしてたの? 趣味悪いわよアンタ」
一方通行「すぐそこに俺もいたンだから聞こえてるに決まってンだろォが。
・・・・・・暇だから聞いてやる、なンで嫌いなンだ?」
ヴェント「そんなこと、アンタに話す筋合いはない」
一方通行「俺の過去バナ聞いといてそれはねェだろ」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行「・・・・・・『彼』ってのが関係してンのか?」
ヴェント「私の過去なんかに興味あるの?」
一方通行「等価交換ってやつだ、俺の過去も少しだが暴露したンだ。
イギリスの時はほぼ全部ゲロっちまったがなァ。
だからオマエの過去も聞いとこォかなってちょっと思っただけだよ」
ヴェント「何が等価交換だ、アホらし」
408 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:33:48.73 ID:T+OU1AUVo
ヴェント「何で私なのよ? サーシャとかワシリーサとか、エリザリーナだっていいじゃない」
一方通行「別に理由はねェけどよ、ただなンとなくオマエのが聞きてェと思ったンだ」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行「・・・・・・言いたくなきゃ言わなくていいけどな」
ヴェント「・・・・・・科学は、嫌い。 科学は、憎い」
一方通行「『彼』ってのが科学になンかされたのか?」
ヴェント「・・・・・・弟が」
一方通行「? ・・・・・・」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここ、私が使ってる部屋」ガチャ
一方通行「いや、本当に言いたくなきゃ言わなく――――」
ヴェント「アンタが言ってきたんだろうが」
一方通行「・・・・・・・・・・・・」カツッ
パタン
409 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:35:46.45 ID:T+OU1AUVo
――エリザリーナ独立国同盟・とある住居区 ヴェントの部屋
一方通行「・・・・・・なンもねェな」
ヴェント「いちいちうるせぇんだよアンタは」
一方通行(・・・・・・・・・・・・寒ィ)ブルル
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」ポイッ カラン
一方通行「?」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」ポイッ カラン
一方通行「・・・・・・何やってンだ?」
ヴェント「何って・・・・・・アンタも寒いんでしょ? だから薪をくべてるんじゃない」ポイッ カラン
一方通行「このご時世に暖炉かよ。 ここ来る間にも
ファンヒーター使ってる部屋がチラチラ見えたが?」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」ポイッ カラン
一方通行「・・・・・・まァ別に、こォいうアナログな手法を否定したりはしねェけどよ。
機械使わねェのも科学嫌いから来てンのか?」
ヴェント「別に、そこまで意固地じゃないわよ私だって。 携帯電話とか使うしね。
・・・・・・・・・・・・それより座ったら? 立たれてるとうぜぇんだけど」ポイッ カラン
410 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:36:54.69 ID:T+OU1AUVo
ヴェントに促され、一方通行は背後にあった簡素なベッドに腰掛ける。
薪をくべ終え、暖炉に火が灯ったのを確認したヴェントは暖炉から少し離れたところにある
チェアへと腰掛けた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ヴェントは両手を広げ、パチパチと雰囲気のある音を立てながら燃える炎を見つめている。
(おォ・・・・・・暖けェな。 暖炉ってのも悪くねェ・・・・・・、・・・・・・眠たくなってきやがった)
一方通行もその炎をボーッと見つめながらそんな事を考えていた。
・・・・・・話の途中に寝る気じゃないだろうなこいつ。
411 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:38:04.26 ID:T+OU1AUVo
しかし、ついさっきまで一方通行たち『天使同盟(アライアンス)』は戦っていたのだ。
あれが戦いになっていたかどうかは別として、ロシアに(不法)入国していきなりの戦闘だ。
暖炉から放たれる、包まれるような心地良い暖かさを前にすれば睡魔が来てしまうのも無理はない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙。暖炉でゆらゆらと動く炎を除いてこの部屋の時が止まったのではと錯覚してしまう。
このままでは本当に眠ってしまうと思った一方通行は、ヴェントに話を切り出した。
「・・・・・・で、オマエの弟がなンだって?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何も答えないヴェント。やはり他人に話すことに抵抗があるのだろうか。
とはいえ、聞いていけと誘ってきたのは彼女である。
どうしようかと思考を巡らせていた一方通行は、部屋の隅の机に目をやった。
机の上には写真立てが一つ、淋しげにポツンと置いてあった。
412 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:40:01.73 ID:T+OU1AUVo
「あ、・・・・・・」
「?」
一方通行がその写真立てを見ていることに気付いた途端、ヴェントが立ち上がり
いそいそと机に駆け寄り、写真立てをパタンと倒してしまう。
一方通行はその写真に写っていた人物までは見えなかったが、二人の人間が
写っていることだけは確認できた。
今にして気づいたが、この部屋には電気がない。何も無いなとは彼も思ったが、
まさかテレビはおろか電気すらないとは思わなかった。
ヴェントはゆっくりと歩き、再びチェアへ腰掛ける。
「・・・・・・私の弟は、科学によって殺された」
そして彼女は、かつて学園都市で上条当麻に話した過去を、学園都市最強の超能力者へ語り始めた。
413 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:40:44.16 ID:T+OU1AUVo
――――――――――――――――――――――
――一方通行がヴェントの部屋に来た頃より、時間は少し遡る。
「・・・・・・こんなので大丈夫なのかよエイワスの野郎。 適当な情報操作しやがって」
垣根帝督はテレビをジッと睨みつけながら呟いた。
ここはエリザリーナ独立国同盟のとある場所にある軍事施設のオフィスだ。
『天使同盟』の各構成員が自由行動となり、垣根帝督はサーシャとワシリーサと共に
テレビのある部屋へ案内されてきていた。
なぜか一緒にミーシャ=クロイツェフもいる。その様子からして一方通行に追い払われたらしい。
そして特に理由はないがレッサーも垣根帝督に着いて行っていた。
414 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:41:53.98 ID:T+OU1AUVo
「今のって明らかに情報操作と言うよりは人間そのものを操ってる感じでしたよね。
改めてエイワスさんの恐ろしさを確認しましたよ・・・・・・ロシアなだけに"おそロシア"って、あ痛っ!」
心底くだらないダジャレをほざくレッサーにチョップをかます垣根。
垣根帝督達はオフィスのテレビにて今回の抗争の結末をニュースで確認していた。
エイワスの『念話能力(テレパス)』もどきでニュースを見ろと連絡があったのだ。
「まぁでもこれでひとまず抗争は終了したと見ていいんじゃないかしらん?
後始末はエリザリーナがなんとかしてくれるっしょ」
「第一の質問ですが、そんな短絡的な考えでいいのでしょうか?
今回の抗争には一応ロシア成教も絡んでいますし、私たちにも責任が・・・・・・」
「サーシャちゃんはそーんな難しい事考えなくていいの♪
何かあったら私が全部なんとかしてあげるから、ね?」
まだ不安が拭えないサーシャに対してワシリーサが軽い調子でそんな事を言った。
415 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:42:44.57 ID:T+OU1AUVo
確かに短絡的といえば短絡的だが、一応エイワスの情報操作は成功しているようなので
垣根もレッサーもそんなに心配はしていなかった。
あとはのんびりと独立国同盟で過ごせばいい。
「さてさて、これからどうしましょうか? あなた達『天使同盟』はサーシャちゃんに御用が
あるのよねぇ? そこの天使について。 今からでも情報収集、始めちゃう?」
ワシリーサはどこかワクワクした様子で垣根に尋ねる。
「いや、それは一方通行の仕事だ。 俺はミーシャがどうのこうのとか、
そういうのにはあんま興味ねえんだよ。 サーシャへの質問タイムは
抗争の後始末が一段落ついてからでも遅くはねえだろ」
それを聞いたミーシャがどこかホッとしたような仕草を見せたのは気のせいだろうか。
「あらそう? じゃあお姉さん、その時を楽しみにしてるわね☆
でも、それならどうする? この国を観光でもしてみる?
観光するほど賑わった国じゃないけど、それでもいいなら案内しちゃうわよ?」
「ここでお世話になっている立場の人間が言うことじゃないですよ、それ」
サーシャの厳しいツッコミにワシリーサはテヘッ☆と舌を出して見せる。
416 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:44:08.24 ID:T+OU1AUVo
「そうだな・・・・・・」
垣根はこれからの行動を考える。
「私はご飯が食べたいですね。 数時間前から何も食べていませんし、
何か適当につまめる食べ物でもありませんか?」
「第一の回答ですが、恐らく食事はここでの後処理が全て終わってからになると思います。
客人にもてなす料理となると時間もかかりますし、それより先に優先しなければならない
仕事が多数ありますから。 全てはエリザリーナ次第ですが」
そうですか・・・・・・、とレッサーが悄気る。
417 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:45:09.98 ID:T+OU1AUVo
今この瞬間も民間人達はあちらこちらで忙しそうに走り回っていた。
未だ戦場に残っている兵士の回収作業。兵士達の治療。軍事活動の書類手続。etc。
そんな状況ではさすがに自分たちが客人とはいえ、先に食事をするのは忍びない。
レッサーはグウグウと鳴る腹をさすりながらも、グッと我慢した。
「rgnszcnuigpn奇妙waknm衣装cfhgbdvvefoe」
「?」
ミーシャはと言うと、さっきからサーシャの身体をジロジロと観察し、
ノイズ混じりの声でブツブツと何か言い続けている。
サーシャの変態的・・・・・・、もとい、個性的な衣装に興味があるのだろうか。
サーシャは戸惑いながらもそんなミーシャの様子を見ていた。
418 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:45:55.54 ID:T+OU1AUVo
「ところで、これは俺の個人的な興味なんだが、」
ふと、垣根が会話を切り出した。相手はサーシャとワシリーサだ。
「なぁに? 垣根の坊や。 私たちに興味があるのかにゃん?」
ワシリーサはウインク混じりに身体をくねらせてきた。
しかし垣根はそういう意味で話しかけようとしていたわけではないらしく、
「いや別にそういうところに興味があるんじゃねえよ。
お前らって魔術師なんだろ? もちろん魔術とか使えるわけだよな?」
「第二の回答ですが、一応数種類の魔術を会得しています」
「そっか。 おいレッサー」
垣根は『鋼の手袋』の調整を行っているレッサーに声をかける。
「はい? なんですか?」
「お前ちょっとここから出て行け」
「はい。 ・・・・・・、は!?」
突然の退出しやがれ発言に思わず間抜けな声が出てしまうレッサー。
一体どうしたというのだろうか?
419 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:47:44.98 ID:T+OU1AUVo
「な、なんですか突然!? 出て行けって、私があなたに何かしました!?」
「いや別にそういうわけじゃねえんだがよ、お前がいたらちょっと邪魔なんだ」
「なにが邪魔だって言うんですか!! 別に何もしたりしませんよ!」
「『天使同盟』について、いや、ミーシャについて大事なお話があんの、コイツらに。
だからお前は邪魔。 一方通行達のとこ行ってろ。 以上」
「ぬう・・・・・・・・・・・・」
ミーシャについての大事な話と言われてしまうと、部外者であるレッサーは何も言い返せない。
しかし今更レッサーを部外者呼ばわりするのは無理があるような気もする。
420 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:48:35.14 ID:T+OU1AUVo
「ミーシャについては一方通行さんに任せるんじゃなかったんですか?
さっきと言ってることが違うじゃないですか」
「そう思ったが、俺個人からも聞いてみてえ事があるんだよ」
気付けば、垣根の表情はやたら真剣なそれとなっていた。こうしてみると整った顔立ちである。
レッサーは少し考え、仕方なく一歩引くことにした。
「まったく! 仕方ないですねえ、出ていけばいいんでしょ出ていけば!」
「あぁ、一方通行にでも構ってもらえよ」
「私を子供扱いすんなー! ふん!」
レッサーは立ち上がり、ドアを荒々しく閉めて出て行った。
そしてこの部屋に残っているのは、垣根帝督、ミーシャ、サーシャ、ワシリーサの四人だけ。
421 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:50:00.06 ID:T+OU1AUVo
「第二の質問ですが、一体どうしたというのですか?」
サーシャは当然の疑問を垣根に尋ねた。
ミーシャの事について聞きたい事があるという理由でレッサーを追い出すのはあまりにも不自然である。
「あんま人には知られたくねえ事だからなぁ。 無理矢理でも出ていってもらわなきゃ困るんだよ
特にレッサーなんかは、すぐ人に喋りそうな雰囲気のガキだしな」
「なーんかワケありな感じねぇ。 お姉さんで良ければ何でも相談に乗っちゃうわよ?」
他人には知られたくない事。だがミーシャやサーシャ、ワシリーサは部屋から追い出さない理由。
それは一体何なのかとサーシャが考えていると、垣根はコートの懐を探り始めた。
「お前らが魔術師だってのはわかった、まぁ前から聞いてはいたが。
特にお前、ワシリーサ・・・・・・でいいんだよな? お前は相当の使い手と見たぜ」
「おだてたってサーシャちゃんは渡さないわよん?」
「そうじゃねえし、いらねえよ。 ・・・・・・・・・・・・ん、あった。
ほらよ、魔術師のお前らなら俺が作ったこれが何だかわかるんじゃねえか?」
422 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:50:51.42 ID:T+OU1AUVo
目的の物を懐のポケットから取り出し、目の前のデスクに置く垣根。
「ミーシャはもう知ってるよな?」
「wscxpdemzdbr既知ubseshfdksip」
そう聞かれ、コクリと頷くミーシャ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あらまぁ。 まさかこんなものが学園都市の能力者から飛び出してくるなんて」
「・・・・・・第一の質問ですが、これって・・・・・・」
サーシャがそれを"一枚"手に取り、垣根に確認する。
「ルーンの札・・・・・・、ですね?」
垣根帝督が密かに心中で決めていた『覚悟』が今、解放されていく。
423 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:58:05.42 ID:T+OU1AUVo
最後の最後にミスをしてしまった・・・・・・、
>>422
は『第三の質問ですが』、です。
てなわけで今回はここまでです。
ここからは少し場面がキャラごとに二転三転していくかと思います。
非常に鬱陶しく思うでしょうがどうかご容赦ください。
今日もここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
それではまた三日以内にお会いしましょう。失礼します。
424 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/02(水) 10:58:36.27 ID:T+OU1AUVo
【次回予告】
『好きなんでしょ? 一方通行さんの事が』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』構成員・レッサー
『でも一方通行さんは他に好きな人がいるかも・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』構成員・風斬氷華
『英数字では『K』で表すルーン文字なんだけど、ここの文字の角度が他の文字と比べてずれているわね』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『私はルーンに関してはあまり知識は無いのですが、この札から流れてくる魔力に乱れが
あるかどうかくらいはわかります。 ・・・・・・あ、ここ、必要な文字が抜けていますよ』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
『rtjhbef完璧ohjferv完璧ojvdsbd駄目gcfy完璧nhfegf駄目bfcg駄目ihydi駄目qodcv駄目posof完璧bsfavbkh』
―――――――――――『天使同盟』構成員・ミーシャ=クロイツェフ
『ふっざけんじゃねえぞ・・・・・・魔術師ってのはこんなクソ面倒な下準備してんのかよ・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』構成員・垣根帝督
425 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 11:00:35.47 ID:qY3NGbcxo
おつー
ていとくんがかっこよくなる訳ですね
426 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 11:05:49.94 ID:mR9J3iC50
乙
マジ常識の通用しない垣根を応援してる
427 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 11:08:46.03 ID:0kksBU0ho
未現物質でカードを作れば誰かさんみたいに
破られたり準備不足になったりがなくなる訳か…
428 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 12:04:08.41 ID:ImtAKxnNo
ダークマターとスチールの違いはでけーな!
429 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 19:07:04.77 ID:G0o3jXGr0
ついにていとくンにもフラグが……
430 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 20:06:31.87 ID:lhejPN0a0
ていとくんは魔術を勉強して賢者になるんだ
431 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 20:35:08.63 ID:cjc+as+IO
赤ペンミーシャwww
432 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 20:39:30.14 ID:msMHS67+0
何百枚〜何万枚も用意したステイル△
433 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/02(水) 20:50:42.74 ID:GHqG16BA0
>>430
イケメルヘンなのに十数年後には魔法使いとなっているていとくんとな
434 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 00:38:38.93 ID:biYspKqno
がんばれていとくん
メルヘンなお前は魔法と相性がいいぞ、多分w
435 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 19:58:47.70 ID:Xkd3wwH9o
>>1
ってもしかして、一方×佐天書いてなかった?
436 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/03(木) 22:05:47.83 ID:+QMWgHKW0
ていとくん魔術使ったら爆発するんじゃね?
超能力者は魔術使えないし
437 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 22:13:21.68 ID:zkvM8YQNo
元々知らぬ内に魔術サイドに足突っ込んでたっぽいからたぶん大丈夫だよ!
438 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 22:19:28.96 ID:nI+q9xuyo
ていとくんには常識通用しないしな
439 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 22:23:28.94 ID:xgG4q5pko
未元物質に常識は通用しない
あんな量産型未元物質的な仮面を作れるんだぜ、未元物質製の自分の身体を再構成とか肉体再生的効能のドリンクとかも容易
440 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 22:59:35.32 ID:jUGxVqBHo
科学的な脳味噌を持つ超能力者がメルヘンな力を使うと頭がメルヘンになって死ぬ
だが最初からメルヘンなクソメルヘンなら頭がメルヘンになってもメルヘンメルヘン
441 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 23:05:41.14 ID:2onnPIdco
メルヘン^2=スーパーていとくん
442 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 23:07:01.97 ID:OgtghIhYo
なんで魔術使ったら死ぬんだろうな
443 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 23:29:20.95 ID:Z8RjaKIw0
>>442
原作読め
444 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/03(木) 23:49:50.38 ID:ObocYVm7o
>>442
二つ上のレスの1行目くらい読めよ
445 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 00:00:17.40 ID:bQ5E5rfR0
macでwindowsのアプリ走らせるの無理だろ?無理矢理走らそうとしたらフリーズするよ。そういうことだ。
インなんとかさんなら何とかしてくれるかもしれんがな。
446 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 00:21:41.63 ID:OBHFSpmy0
個人的にエリス等の失敗から見ても脳の回路上の問題ってのはブラフで実は虚数学区内で
魔術が使えないのと同じ現象じゃないかと睨んでる。ヴェントと土御門のダメージ描写が似てるし。
447 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/04(金) 00:41:01.70 ID:TELLI/S+0
節分ということでガブリエルが膨大な量の豆を嬉々として貪り食ってる絵を妄想した。
まあもう終わったけど。
448 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 01:12:25.82 ID:R+CVO1Ldo
>>446
海の家でもツッチー血まみれだったけど
449 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 02:27:55.69 ID:+MliIBGLo
議論すんなよ
450 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 15:51:58.30 ID:faE47PMSO
乙
この量…流石だな…
451 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/04(金) 18:23:21.26 ID:DMDEgarPo
追いついた…このスレで、オルソラ通行 風斬通行 エイワスつうgwwrtykmbv
いやいや、ともかく新しいカップリングを見つけちまったぜ
オルソラ可愛いよオルソラ
452 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/05(土) 01:32:12.80 ID:3uO2lwCYo
こんばんわ。今日の分を投下しに来ました。
やはり垣根帝督は人気者なんだなと改めて思いました。
能力者が魔術を使うと云々についての話は大変参考になりました。
一応その辺に関しては原作基準で行きたいと思っております。
>>435
私はこれが初のSSですので、それ以前は何も書いていませんよー。
それではいきます
453 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:33:29.79 ID:3uO2lwCYo
――――――――――――――――――――――
「――――――と、言うことがありまして。 全く、垣根さんのくせに・・・・・・」
と言ってブツクサと文句を言っているのはレッサーだ。
彼女は隣に座って"バイカル"というロシア産のハーブドリンクを飲んでいる風斬に
オフィスでの顛末を愚痴の如く語っていた。
ここはエリザリーナ独立国同盟にある石造りの砦の内部で、野戦病院の代わりとして使用されている
学校の体育館くらいの広さの部屋だ。
一方通行とヴェントが部屋から出て行き、エイワスもその場から消えたのでこの部屋にいるのは
大勢の兵士と看護師、そして風斬とレッサーだけだ。
454 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]:2011/02/05(土) 01:33:40.01 ID:cwllORq40
>>1
がきてる電波を受信した
455 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:34:33.53 ID:3uO2lwCYo
二人は看護師の仕事の手伝いとして兵士たちの治療を行っていた。
そしてついさっきその作業が終わり、二人はその辺にあったイスに座り休憩をしている。
「まぁまぁ。 垣根さんは垣根さんで何か考えがあるんですよ。
ほら、垣根さんって序列第二位だからすごく頭がいいんですよ?
私たちでは考え得ない何かがあるんでしょう、きっと」
とりあえず垣根に対してのフォローをしながらレッサーをなだめる風斬。
こういうところはさすが『天使同盟』の良心、といったところだ。
「第二位とか言われてもよくわかりませんけど、なーんか引っかかるんですよねー。
言ってることがどこかチグハグだったし、それと・・・・・・、」
「それと?」
「・・・・・・あ、いえ。 私もそれ飲んでみようかな」
「うん、美味しいですよこれ。 ハーブが効いててさっぱりしてます」
『それと、垣根帝督から魔力に似た何かを感じた』、と言おうとしたレッサーだったが、
学園都市の能力者である彼から魔力が漏れるわけがないと思い、言うのをやめておいた。
456 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:35:18.53 ID:3uO2lwCYo
レッサーは看護師から風斬と同じドリンクを受け取り、それを一気に煽る。
「ぷっはー! やっぱ仕事のあとの一杯はたまりませんなー!」
「くすっ。 なんだかサラリーマンみたいですよ、それ」
まぁよくそんな表情が出来るなと思うくらい可愛らしい笑顔を見せて笑う風斬。
先ほどの抗争での鬼畜っぷりはどこへやら。
――――先ほどの抗争と言えば。
「あ・・・・・・。 レッサー」
「はい?」
「あの、・・・・・・あの時はごめんなさい」
「ほぇ?」
突然頭を下げて謝ってきた風斬に、キョトンとするレッサー。
さっきまで普通に話していただけなので尚更驚く。
もしかして今飲んでいるドリンクに何か変な物でも入っているのだろうか?
それともさっき垣根が自分を追い出した理由に、風斬が一枚噛んでいる?
それっぽい理由を頭の中で挙げてみたが、どれもイマイチピンとこない。
457 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:36:34.94 ID:3uO2lwCYo
「あの、風斬さん? どうしたんですか急に」
「プライベーティアの抗争の時・・・・・・私、レッサーにひどい事言っちゃって、」
見ているこっちが申し訳なくなるほど、申し訳なさそうな顔をする風斬に
レッサーはどう対応していいのか困ってしまう。
(抗争の時・・・・・・? なんか言われたっけ?)
思い出そうとしても全く心当たりがない。
レッサーはそれでも必死に思考を巡らせていると、風斬はほんのりと顔を赤く染め、
詳細を話してきた。
458 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:37:25.76 ID:3uO2lwCYo
「あの時ですよ・・・・・・えっと、れ、レッサーがその・・・・・・、一方通行さんと
一緒にいる時・・・・・・私、・・・・・・うー・・・・・・」
「・・・・・・? ・・・・・・・・・・・・、あ、もしかして私が一方通行さんに抱きついて飛んでたあれ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
コクコクと黙って頷く風斬。その顔はさらに紅潮していた。
抗争時、空を飛べないことを理由に一方通行と文字通り抱っこにおんぶしてもらっていたレッサーを見て、
風斬は若干ながらレッサーに対して強く当たってしまったのだ。
しかしあれはレッサーがちょっとした悪戯心で挑発していた事にも原因があるわけで、
風斬だけに非があった出来事ではないだろう。
459 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:38:21.22 ID:3uO2lwCYo
そう思ったレッサーは、
「やだなぁ風斬さん。 あんなの私、全然気にしてませんよ。
ていうかあれは全面的に私が悪いっていうか、ああやって怒ってる風斬さんを見るのが
楽しかっただけですから、にひひひ」
そう言って小悪魔のように笑ってみせた。
「え・・・・・・、からかってたんですか? ただ単に?」
「はい」
「・・・・・・・・・・・・もうっ!」
「えへへ」
思わず頬を膨らませて怒る風斬。これが人間じゃなくAIM拡散力場の集合体が見せる
仕草だと言うのだから驚きである。
460 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:38:56.89 ID:3uO2lwCYo
「しかし風斬さん。 あれは明らかに私に嫉妬してましたよねぇ?」
「え・・・・・・?」
「じゃなきゃあなたみたいに優しい人が、あんな風になるわけないじゃないですか」
意地の悪そうな笑顔で問い詰めてくるレッサー。どこかの第一位とは違い、
彼女は風斬の気持ちをすぐに理解出来ていた。
「好きなんでしょ? 一方通行さんの事が」
「あ・・・・・・、え、えっと・・・・・・それは・・・・・・」
「それはぁ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
注意して見てみないとわからないほど微妙にだが、風斬の首は縦に動いた。
461 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:39:43.14 ID:3uO2lwCYo
「えぇっ!? 本当に好きなんですか!? 私、冗談で言ったつもりだったのに!」
「・・・・・・・・・・・・本気で怒りますよ?」
「ウソです、ごめんなさい」
彼女を怒らせたらどうなるかなんて抗争の時に十二分に分かっている。
普段はおとなしい女の子ほど、怒ったら怖いものだ。
「いやーしかし、へぇ〜、ふ〜ん」
「な、なんですか・・・・・・」
まじまじと風斬の顔を至近距離で見つめるレッサーは、どこか楽しそうだ。
楽しそうと言っても、それは『からかいがいがありそう』といったベクトルの楽しそうであって、
どうも素直に応援してくれそうにはない雰囲気がバシバシと伝わってくる。
462 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:40:36.49 ID:3uO2lwCYo
「なんであんな凶暴で狂暴で猛悪で乱暴で粗暴で横暴で暴戻で獰猛で僭越で僣上な人が好きなんですか?」
「あ、あんな人でも温和で温厚で親切で柔和温順で思いやりがあって面倒見がよくて良心的なところがあるからです!」
「でも一方通行さん、あなたの気持ちにこれ〜〜〜〜〜ぽっちも気付いていませんよ?」
「そ、そんな事は分かってます。 だから頑張ってるんです!」
「頑張ってるってどんな風にですか?」
「え、えっと・・・・・・・・・・・・」
どう頑張っているのかと聞かれて言葉が詰まってしまう風斬。
ここ最近はとんだハプニング続きでなかなか一方通行に接近できないでいる彼女は
彼に対してアプローチをかけられないでいる。
463 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:41:16.38 ID:3uO2lwCYo
それを知ってか知らずかレッサーは、
「やっぱりもっと積極的に近付かないと何も進展しませんよ?」
「そうですよね・・・・・・、それはいろんな人から指摘されてますし」
「早く自分の物にしないと、他の人に取られちゃいますよ?」
「う、うぅ・・・・・・」
「私とかに、ね」
「え!? れ、レッサー、あなた・・・・・・」
「冗談ですよ、うけけ」
ポカポカと叩いてくる風斬を軽くいなすレッサー。
・・・・・・本当に冗談ならいいのだが。
464 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:41:54.08 ID:3uO2lwCYo
「もっと他にイイオトコがいるんじゃないですか? 風斬さんほどのスタイルなら、
その辺の男なんてヒョイっと釣れると思いますけど」
「・・・・・・・・・・・・私、人間じゃないんですよ?」
「む・・・・・・、それは、すみません」
レッサーはつい失言してしまった自分に叱咤する。
「いえ大丈夫です。 化物な自分はもう受け入れましたし、そして・・・・・・、
こんな化物でも受け入れてくれたのが一方通行さんで、その一方通行さんが
たまたま男性だっただけであって・・・・・・」
「ほうほう、付き合ってくれる男性はもう一方通行さんしかあり得ない、と」
「そう、なのかなぁ〜と思ってるだけで、でも一方通行さんは他に好きな人がいるかも・・・・・・」
それはないから安心していい。
465 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:43:37.78 ID:3uO2lwCYo
「でも一方通行さんは異性を好きになるような人間には見えないんですけどね〜。
ていうかそれ抜きにしても人間とは思えないんですけど」
「え、それって一方通行さんは男の子が好きって事?」
「いいいいやいやそうじゃないですよ! 話を飛躍しすぎです!」
自分の知らないところでガチホモ疑惑がかけられそうになっている事など、
今の一方通行は知る由もないだろう。
「あの人ってどこか、他人を避けてるような雰囲気があるんですよね」
「確かに最初はそうだったんですけど、二回目のイギリス旅行の時から
だんだんそういう感じは無くなってきてるんですよ」
ちゃっかりイギリス訪問を『旅行』と言っちゃってる辺り、風斬ものんびり屋さんである。
しかし後半の寛容的になってきた一方通行の話は確かに納得出来る部分があった。
466 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:44:43.27 ID:3uO2lwCYo
「でもやっぱり、自分の前に立ちはだかってくる敵とかには容赦ないですけどね・・・・・・」
「そりゃあそうですよ、風斬さんやミーシャさんを守ってあげなくちゃいけないって
彼はきっと思ってるんでしょうから」
レッサーにそう言われてまたも顔を赤くする風斬。
頭の中の三角柱が『もう疲れた・・・・・・』と言っているのが聞こえてきそうなほど激しく動いている。
と、ここで今度は風斬の方からレッサーへ質問をする。ベストタイミングな話題のシフト。
「ところで何でレッサーは私たちに着いてきてるんですか?」
「え・・・・・・? やっぱりお邪魔でしたか?」
「いえ、全然構わないんですけど・・・・・・どうしてかなーって思って」
467 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:45:54.49 ID:3uO2lwCYo
レッサーが『天使同盟』に着いてきたのは二度目のイギリスから帰るときの事だ。
いつの間にか今は独立国同盟のオブジェと化しているクルーザー『アライアンス』号に乗っていて、
そのままここまで一緒に同行している。
「・・・・・・最初に言ったじゃないですか。 皆さんのお手伝いがしたいって」
「どうして私たちを手伝おうと思ったんですか? 船で会ったのが初めてなのに、
事情も知らないで私たちに貢献したいだなんて、なんだかおかしな話じゃないです?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
意外と鋭いところを突いてくる風斬だが、彼女の表情からは悪意は一切窺えない。
全く悪気もなく聞いてきているのだろうが、それが逆に堪えてしまう。
もうこれ以上は騙し通せないし、垣根帝督やエイワスには気付かれている事も考慮し、
レッサーは風斬の目を見ながらゆっくりと口を開いた。
「・・・・・・・・・・・・全部ウソですよ。 あなた達に貢献したいだとか、
何でも手伝いたいとか、全部全部、何もかも虚言です」
「え・・・・・・・・・・・・?」
レッサーはハーブドリンクが入ったコップをギュッと握り締め、
『天使同盟』最後の良心的存在である風斬に自分の真の目的を語り始めた。
468 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:47:20.87 ID:3uO2lwCYo
――――――――――――――――――――――
独立国同盟の軍事施設のオフィスで、垣根はイスに座りながら
静かに彼女たちの様子を見ていた。
「・・・・・・ふうん。 これって結構珍しいタイプのルーン文字ね。
見たことない文字もいくつかあるわ。 まさかあなたが考案したの?」
「いや、そのルーン文字とやらは俺は一切知らねえ、ただ真似て書いただけだ。
文字の意味を知らねえといけねえルールとかあるのか?」
「いいえ別に、この程度の魔術ならそこまで知識がなくても使用は可能よ。
しっかりと正確に手順を踏めば、ね。 ・・・・・・って、ちょーっと待った」
「第一の質問ですが、あなたは魔術師になりたいのですか?」
「サーシャちゃあん! 私がしようとした質問を横取りしなーいの♪
この泥棒猫ぉ〜、うりうり〜☆」
「ちょ・・・・・・頬を擦りつけてこないでください、真面目な話をしてるんですから」
469 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:49:14.24 ID:3uO2lwCYo
垣根帝督は誰にも口外せず、自分ひとりで内密にルーンの札を作っていた。
その事実を知っているのは『天使同盟』の中でもエイワスとミーシャ=クロイツェフのみである。
ワシリーサを凄腕の魔術師だと悟った垣根は、誰にも口外しない事を約束させ、
自作のルーンの札をレビューしてもらっていたのだ。
「どうせこういうのって文字が間違ってたり、魔法陣? ってのが乱れてたりしたら
使えねえんだろ? どうだ? どっか変なとこがあったら教えて欲しいんだが」
「そうねぇ・・・・・・。 文字や魔方陣自体は間違っていないけど、どこもかしこも雑だわ。
これじゃ魔術を使用する際の魔力の精製が無駄に大変になるわよん?」
「魔力の精製・・・・・・? ちっ、やっぱワケわかんねえなオカルトは・・・・・・」
垣根はエイワスから密かに受け取っていた『冷蔵庫でも分かる、魔術の使い方講座(著:ドラコ=アイワズ)』を読み、
自分が一人になった時などに黙々とルーンを作成していた。
このふざけたタイトルの書物によれば、能力者でもルーン文字や魔方陣を書くだけなら身体に負担はかからない、
と記述してあったので何のためらいもなく書き続けていたのだ。
470 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:50:08.77 ID:3uO2lwCYo
「あの、第一の質問に答えていただきたいのですが、あなたは魔術師になりたいのですか?」
同じ質問をしてきたサーシャに垣根は舌打ちをしながら、
「・・・・・・別に魔術師になりてえワケじゃねえよ。 ただちょっとだけ、使ってみてもいいかと
思っただけだ」
適当にあしらうようにそう答えた。
「一つ聞いてもいいかしら? 能力者のあなたが魔術を使用したらどうなるかは知ってるのかにゃん?」
「それはもう散々聞いた、下手すりゃ死ぬんだろ?」
「!?」
それを聞いてサーシャが目を見開く。前髪で隠れてよく見えないが。
「それを覚悟しているのに、『ちょっと使ってみたい』程度の気持ちで魔術を使うというのは
みょ〜〜〜〜〜な話じゃないかしらぁ?」
「・・・・・・別に何でもいいだろ。 俺の個人的な好奇心だよ」
「そ。 ま、あまり深入りはしないけどにゃーん」
ワシリーサはいつもの調子で話題を終わらせ、ルーンの札をまじまじと眺め続ける。
471 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:51:45.81 ID:3uO2lwCYo
「あ、おいミーシャ。 お前も一応見てみてくれよ、天使様の意見を聞いてみてえな」
言って、垣根はルーンの一枚をミーシャに渡す。
ミーシャはロシアで放送されている子供番組を見てキャッキャと楽しんでいたのだが、垣根の頼みを聞くと
すぐにテレビ鑑賞をやめ、ルーンを受け取った。
「―――――――――――――――」
「どうだよ?」
「――――――――、tecdebfbagrt此処ohrfg逆nfede十二度sxpxjd修正vvihvwdfdbv」
ミーシャはジェスチャーを混じえ、垣根に何かを訴えている。
サーシャとワシリーサも彼女のジェスチャーをよく見ながら彼女の言葉を理解しようとする。
「なんだ、なんて言ってんだ? 何かおかしいところがあったのかよ?」
472 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:53:52.17 ID:3uO2lwCYo
「・・・・・・あぁ、なるほど。 そういう意味のジェスチャーね。 天使がなんて言っているのかは
私には分からないけど、ほら、ここ。 英数字では『K』で表すルーン文字なんだけど、
ここの文字の角度が他の文字と比べてずれているわね。 ・・・・・・大体十二、三度ほどかしら。
ていうかよく見たら普通に文字の書き方ミスってるのもあるじゃない」
「何!? その程度のズレでもダメなのかよ!? お前が言ってた雑ってのはこういう事か?」
「第一の解答ですが、その通りです。 補足説明しますと、あなたの作ったルーンの札は
文字の書き方に若干の乱れが見られ、書くべき場所や角度、向かい側の文字に対しての
距離が所々間違っています。 これでは魔力精製が上手くいかず、発動自体出来ない可能性もあります」
それは素人が見ても、資料頼りの垣根が見てもほとんど分からないほどのミスだった。
473 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:55:05.39 ID:3uO2lwCYo
ワシリーサは『この札も間違ってる文字がある。 あとこの札、ここが虫食い文字になってるわよん♪』と、
ぽいぽい垣根に投げ渡してくる。
サーシャもミーシャと共に作業を手伝い、
「第一の私見ですが、この札から流れてくる魔力に乱れがあるかどうかくらいはわかります。
・・・・・・あ、ここ、必要な文字が抜けていますよ」
と、次々にミスを指摘してきた。
特にミーシャとワシリーサのチェックは凄まじかった。
誰がどう考えても見出せないであろうわずかな文字の乱れや角度を素早く指摘していった。
『ここの文字と文字の距離が〇.〇二ミリ違う』と言われた時には思わず笑ってしまったくらいだ。
「ふっざけんじゃねえぞ・・・・・・魔術師ってのはこんなクソ面倒な下準備してんのかよ・・・・・・」
垣根がミスを訂正していきながら漏らした愚痴に、ワシリーサが答える。
474 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:56:01.55 ID:3uO2lwCYo
「魔術にも色々あるけど、ルーンの札を使った魔術は特に下準備を入念にしなきゃいけない類の魔術よ?
これよりもっと簡単で扱いやすい魔術もたくさんあるのに、にゃんでこのルーンを選んだの?」
「これしか知らねえんだよ。 魔術は他にも色々見てきたけど、これ書くだけですっげえ楽じゃん、
って思ってこれにしたんだ。 まさかこんな針穴に糸を通すような精密さを求められるとは思わなかったぜ・・・・・・」
『ルーンは書くだけで使えるからすっげえ楽』という理由での選択はいかにも垣根帝督らしい。
だが本来、彼は一方通行に次ぐ頭脳の持ち主なのだから、効率を考えた場合、もっと簡単な魔術が
ある事に気付いていてもおかしくはないはずだ。
そして垣根はもちろんそれに気付いていた。だが、
「それにそういうもっと簡単な魔術ってよ、いわゆる『殺傷力』がねえだろ。
俺にとってはそれがなきゃ何の意味もねえんだよ」
「第二の質問ですが、あなたは誰かに魔術を行使するために魔術を会得したいのですか?」
「そういう状況になった時に備えて、だ。 俺たちはコイツを連れてんだぞ?
魔術の一つや二つ使ってでも守らなきゃなんねえんだよ」
ミーシャを指差しながら垣根はデスクの上に散らばった大量のルーンの修正作業を続けていく。
475 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:57:55.89 ID:3uO2lwCYo
ワシリーサは先ほどの垣根の発言に疑問を持った。
「天使を守るためなら、あなたが本来持っている超能力で守ればいいじゃない。
何も命をかけてまで魔術を会得する理由にはならないんじゃないのかにゃん?」
「俺の勝手だ。 それに上手くいけば俺の『未元物質(ダークマター)』の法則に
魔術をぶち込めるかも知れねえ・・・・・・。 そうすれば俺は・・・・・・」
魔術を使いたい本当の理由をさりげなくごまかしてブツブツと喋り続けながら
作業をしている垣根の姿に、ワシリーサは生まれたての魔術師の姿を見る。
「なんだかお母さんになった気分、きゃっ///」
「第三の質問ですが、何言ってんですか急に」
476 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:59:00.29 ID:3uO2lwCYo
うふふうふふ、と不気味に笑いながらひたむきにガリガリと文字を書き連ねていく垣根の姿を眺めるワシリーサ。
垣根は修正し終えたルーンの札をどんどん三人に投げ渡していく。
「あ・・・・・・凄い、たった一度修正箇所を指摘しただけで正確に直してしまうなんて」
「この子はまだ素材よ。 知識を加えていけば加えていくほど、輝いていくのよさ・・・・・・」
「口調が乱れていますよワシリーサ」
「rtjhbef完璧ohjferv完璧ojvdsbd駄目gcfy完璧nhfegf駄目bfcg駄目ihydi駄目qodcv駄目posof完璧bsfavbkh」
「おいミーシャ、お前のやってる事はわかったが、ミスのある札をいちいち俺の顔面に叩きつけるのはやめろ」
ミーシャはミスのない札をデスクに、修正が必要な札を垣根の顔に投げつけて仕分けていた。
477 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 01:59:56.33 ID:3uO2lwCYo
「修正箇所は私が垣根の坊やにレクチャーするから、サーシャちゃんと天使は仕分けをしてちょうだいな♪」
「第二の回答ですが、了解しました」
「yyhbeuffwrws御意wbcysehrdfsi完璧phjiff駄目bvhu駄作ghrg糞mxvcfe塵fhewd」
「なんとなくだが、テメェのレビューが酷くなっているように聞こえるぞミーシャ」
文句を言いながらも垣根は作業を続けていく。顔には出さないが、彼はこの状況を楽しんでいた。
異国の魔術師との交流がこんなに楽しいものだとは、第二位でも予想できなかったのだ。
その楽しさは、二度目のイギリス訪問の時に気付くことが出来た。
そしてそれを気付かせてくれたのは、あの憎たらしい第一位であって――――――。
478 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 02:02:09.00 ID:3uO2lwCYo
「ふむ、頑張っているようじゃないか、垣根帝督」
面倒なのがやってきてしまった。
ふと、オフィスで声がしたかと思うと、"それ"は既にルーン作成に勤しんでいる垣根の背後に立っていた。
「え、エイワス!? 急に出てくるんじゃねえよ」
「わぁお♪ あなたがエイワスね? 初めまして、ワシリーサよ」
「だ、第四の質問ですが・・・・・・い、今、どこから・・・・・・・・・・・・?」
「初めまして、ワシリーサ、そしてサーシャ=クロイツェフ。 挨拶もそこそこに、
私も垣根帝督の作業を手伝おうではないか」
「ねぇ、あなたに色々聞きたいことがあるんだけど」
「作業をしながらでも出来る話なら、なんなりと。 ワシリーサ」
そんなエイワスを、垣根はジロリと睨む。
冷蔵庫が翼を生やし羽ばたいているというナメきったカバーイラストの書物を握り締めながら。
479 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 02:10:18.70 ID:3uO2lwCYo
今回は以上となります!
垣根帝督専属魔術家庭教師・ワシリーサ、エイワス、サーシャ、ミーシャ
・・・・・・贅沢すぎるだろ。
次回もこんな感じで進んでいきます。一方通行とベントにもカメラが向きます。
今回もここまで読んでくださった読者様に私の愛を捧げます。返品不可
では、ありがとうございました! また三日以内に!
480 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 02:11:09.45 ID:3uO2lwCYo
【次回予告】
『最初から素直に『イギリスがピンチの際は助けてください』って頼めば、力を貸してくれたんですか・・・・・・!?
貸してくれないでしょう・・・・・・!? あなた達はそれどころじゃないですもんね・・・・・・!』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』構成員・レッサー
『・・・・・・ううん、きっと大丈夫』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』構成員・風斬氷華
『・・・・・・面白いわね。 じゃあ教えてよ。 どうだった、私の悲しい悲しい昔話は?
お涙頂戴の感動ヒストリーよ、ゴールデングローブ賞くらいにはノミネートされるかしら?』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
『オマエのその膨らみまくった反吐みてェな憎悪の塊を俺にも寄越せっつってンだ』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
481 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/05(土) 02:12:18.54 ID:3uO2lwCYo
あとがきで誤字るとか万死に値する・・・・・・。ベン・トーじゃないんだから
×=ベント
○=ヴェント
失礼しました。
482 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:14:13.00 ID:eppmDrcxo
乙
483 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:14:22.31 ID:1MzfeDp6o
おつー
また一方さんが輝いてしまうのか…
484 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]:2011/02/05(土) 02:14:25.01 ID:cwllORq40
投下乙!
ミーシャが垣根に札投げつけてるとこ想像しただけで吹くわww
レッサーとヴェント期待
485 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:14:54.54 ID:Y1ahaYbWo
乙
本のタイトルふざけすぎだろwwww
486 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:26:19.81 ID:1q5R0LqSo
ペロッ…これはフラグを建てるフラグ…!
487 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:31:51.42 ID:wGBv6LQ/o
おつおつ
風斬かわええええ!!!
一方禁書にもでてきたし風斬通行増えねえかなぁぁ!!
あと垣根がんばれ!最近魔術側でいうステイルみたいなポジションになりつつあるから超頑張れ!
488 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 02:41:56.47 ID:tDwOuBmb0
風斬が乙女可愛くて生きていくのが辛い
ミーシャが子供可愛くて明日への希望がわく
489 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/05(土) 03:00:29.27 ID:hJCMTFSQ0
かつて世界最強の魔術師を導いた守護天使(?)に、ローマ成教の魔女に庇護される魔術師
水を司る大天使と、それを身に宿した魔術師。
何を作る気なんだ一体……
490 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 07:01:16.40 ID:5y7MhCZAO
なにさり気なくプロポーズしてんのこのセロリ
491 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 07:53:39.03 ID:5oNqGrTHo
ミーシャの駄目出しが予告よりひでぇwwwwww
492 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 08:36:46.66 ID:JXjZHTPW0
ミ\ /彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
ミ \ / 彡
\ \ / /
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡
ミ____ \ |. .| / ____彡
/ ̄ ̄\|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|/ ̄ ̄\
/ / ̄| || ̄\. \
/ / |〕 帝凍庫クン .|| ´\ \
/ │ ..| || | \
/ /│ |___________j| |\. \
彡 / │ ./..| -―- 、__, |ト、 | ´\ ミ
彡/ │ ../ | '叨¨ヽ `ー-、 || \ | \ ミ
│ / ..|〕 ` ー /叨¨) ..|| \|
r、 |/ ! ヽ, || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | `ヽ.___´, j.| ミ \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ 彡..| `ニ´ i| ミ |\____(、,二つ
| 彡...|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i| ミ |
\彡 | .|| ミ/
|〕 常識は通用しねぇ ||
| ..||
|___________j|
本の表紙はこれに違いない。
493 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 08:46:13.61 ID:XtLkrfZJ0
ミーシャ…さらっと守ってやるって言ってもらってるのになんて扱いだよww
本人すげえ前向きとは言え、ていとくんが哀れでしょうがないわ
494 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 09:00:47.71 ID:NC+UjzkAO
返品不可で笑ってしまったww
495 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 09:31:19.48 ID:3seiGGTSO
>>492
不意打ちやめろwwwwwwwwww
496 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 12:30:31.00 ID:LzgBs3GAO
出張先から乙
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 12:59:40.55 ID:5bEmZNU/0
>>489
エイワスのことだから、ルーン作ってるうちに原書になってるんじゃね?
498 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 17:09:15.36 ID:HEkRbCpSO
>>497
エイワス「っけね〜、ルーンのお札と間違えて原典作っちまったよ」
499 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/05(土) 19:00:39.52 ID:EKE3MItmo
風斬がんばれ、超頑張れ
読者の大半は多分応援してる
それはそれとして垣根はやはり結構考えてるな
身体に負担が少ない+準備さえしておけば発動できる魔術を学ぶ辺り
次回はまたしても一方さんによるベクトルフラグビルディングか……
胸が熱くなるな
500 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 00:05:59.07 ID:WTCKq4jE0
>>492
まさか某所でUPしたこのAAがだされるとはwwwwww
501 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 03:06:19.18 ID:REORND1IO
>>486
あぁ、その次はフラグを建てるフラグが建つフラグが建つんだ……
502 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/06(日) 06:38:00.49 ID:F334hRPxo
明らかに誰もいないような時間帯でも投下する、それが私のジャスティス・・・・・・!
いつものように、朝から投下していきます。
もしよろしければ朝、目が覚めた時にでもサラッと読んでいただければ幸いです。
二日連続投下ですね。
では行きましょう。今回の一方通行は手が早い
503 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:39:10.44 ID:F334hRPxo
「テメェ・・・・・・エイワス、これすっげえ面倒くせえ魔術じゃねえかよ。
何が手軽で簡単、だ。 この本、適当に書いたんじゃねえだろうな?」
「『冷蔵庫でも分かる、魔術の使い方講座』かね? 適当なはずあるものか、
能力者である君の体への負担を極力抑えるためのノウハウを丁寧に記載したものだぞ」
「第一の私見ですが、それでルーンの魔術を選択したのですね」
納得したように言うサーシャ。
「その通り、魔術師の第一歩と言ってもいい。 そのための書物だ
この本があればその辺にいる一般人でも三日で立派な魔術師になれる」
すなわち垣根が貰った本はこの世に存在するどの『原典』よりも扱いやすい、
ある意味魔術の常識を根本から覆してしまう代物だ。
504 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:39:49.23 ID:F334hRPxo
「さすが『法の書』を伝えた聖守護天使だわ。 どうやらモノホンのエイワスのようね」
「第二の私見ですが、信じられません・・・・・・。 ですが、纏っている雰囲気がそうだと言っていますね」
「照れるじゃないか、そんな恐縮せずに、犬のように扱ってくれたまえ」
「犬!? 第五の質問ですが、何故に犬なのでしょうか!?」
「いやぁ、君の首についているリード付きの首輪をみてつい連想してしまってね。
ふむ、噂には聞いていたがかなりぶっ飛んだファッションセンスじゃないか」
「くぅ・・・・・・、あなた達だけには突っ込まれないと思っていたのに・・・・・・」
でもエイワスだけには言われたくない、とサーシャは服と肉体の境界線がないエイワスを見てそう思った。
「つっても、結局は体に負担はかかっちまうわけだ。 完璧に抑えることは出来ねえんだな」
「我儘を言うものではないよ垣根帝督。 このようなメンバーの助力がある以上、
君が魔術師になれる可能性はほぼ一〇〇パーセントと言っても過言ではないのだから。
ただし、我々が行うのはあくまで手助けだけで、結局のところルーンを完璧に作成するのは
君の役割だ。 せいぜい頑張りたまえ」
505 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:40:57.00 ID:F334hRPxo
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全てのルーンの修正が終わった頃には、すっかり夜になってしまっていた。
垣根はその場でデスクに突っ伏して『腹減ったぁ・・・・・・』と弱々しく呻く。
あまりにも指摘が細かすぎて、途中で垣根がぶち切れてしまったがエイワスに一蹴され、
その後は黙々と作業をしているだけだったのだが、遂に修正作業は終了したのだった。
「そろそろ食事の時間かしらね。 もちろんあなた達も食べていくでしょう?」
「いいのかね? いや申し訳ないな、ではお言葉に甘えて頂こうか」
「最初からそのつもりだろうがクソボケ」
「第六の質問ですが、ミーシャも食べていきますよね?」
「sfcuwczicrpg勿論hnziwregfycc」
垣根はうーんと思い切り蹴伸びをし、四人と一緒にオフィスを後にする。
後に待ち受けている恐ろしい試練の事など、何も知らないで。
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 06:41:50.42 ID:yoAG/zlEo
ktkr
507 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:42:00.30 ID:F334hRPxo
――――――――――――――――――――――
「―――と、いうわけです。 真の目的だなんて、そんな大仰な言い方はしません。
単純にあなた達を、まぁ細かく言うと一方通行さんを、我が英国のために利用しようとしただけです。
スパイとは・・・・・・ちょっと違うけど、『天使同盟』程の力を持った組織を手中に
収めれば、国にとっても大きなアドバンテージになりますしね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何でもないように、レッサーは淡々と語った。
既に一方通行とエイワス、垣根帝督に自身の目的はバレてしまっているわけだからと、
レッサーは『天使同盟』をイギリスに貢献してもらうため利用することを企んでいた事を
風斬氷華にも全て包み隠さず暴露した。
二人がいる大広間には未だに多くの兵士と看護師がいる。
兵士は怪我の治療に専念するために寝床に入りっぱなしで、看護師は看護師で
慌ただしく走り回っていた。
508 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:43:16.87 ID:F334hRPxo
そんな中、風斬とレッサーだけは話の途中に看護師から貰ったホットレモンティーの
入ったティーカップを両手で包みこみ、パイプ椅子に座って休憩していた。
「なはははー・・・・・・、幻滅しちゃいました? 怒っちゃいました?
それとも呆れましたか? そうですよね、呆れちゃいますよね、
私たちみたいな弱小の魔術結社予備軍が、あなた達、みたいな次元の違う
組織を手中に収めようと考えてたなんて、片腹痛いってやつですよねー」
あははー・・・・・・と、表面上では明るく振舞ってはいるが、明らかに彼女は沈んでいる。
それをごまかすようにレッサーは湯気がたっているティーカップに口をつけ、レモンティーを飲み続けた。
「・・・・・・・・・・・・うん」
「?」
「怒ってるよ」
レッサーの話を聞いて、風斬が抱いた感情は『怒り』であるらしい。
それを聞いてティーカップに映る自分の顔を見ながら苦笑した。
509 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:44:13.33 ID:F334hRPxo
「あはは・・・・・・、怒ってます、か」
「うん」
「まぁ、当然ですよね。 自分の力はなくて、あくまで『他』の力で
国を守りたいだなんて言っちゃってるんですから。
上条当麻の時もそんな感じで結局失敗しちゃったっけなー」
「・・・・・・・・・・・・」
「笑っちゃいますよね、『お前はそうやって他人の力を借りなきゃ自分の国も守れないのか?』
って感じですもん。 寝言は寝て言えとはまさにこの事! いやはや、自分で言ってて虚しいですよ。
ホント・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 虚しいし、」
レッサーは一拍間を空けて、
「情けない」
はぁ、とため息をついてティーカップを口につけるレッサー。
そのティーカップにはもう、レモンティーは入っていないというのに。
510 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:45:29.88 ID:F334hRPxo
「あ、あれ、もう飲み干しちゃいましたか・・・・・・」
何か言葉に詰まるたびにレモンティーを飲んでごまかしていたレッサーだが、
それが空になった今、どう行動をとればいいかわからないでいるようだ。
「ねぇ、レッサー」
落ち着かない様子のレッサーに、風斬は優しく諭すような声で話しかける。
レッサーは彼女が真っ直ぐこちらを見ていると気づくと、思わず目を逸らしてしまう。
「私、さっき怒ってるって言いましたよね?」
「えぇ、そりゃそうでしょう。 だって―――」
511 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:46:10.15 ID:F334hRPxo
「そう、何で最初からそう言ってくれなかったのかなって、
だから怒ってるんですよ」
「―――――、え?」
最初からそう言え、とはどういう意味だろうか?
レッサーは風斬から放たれた予想外の言葉に呆気に取られてしまった。
「最初からって・・・・・・、会った時から『私はあなた達を利用するために近付きました、
よろしくお願いします』と言えってことですか? 冗談キツイですね〜」
あくまで茶化す風に笑いながら言うレッサーだが、風斬の真剣な表情は変わらない。
あまりにも違うテンション差にレッサーの表情はますます暗くなっていく。
512 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:47:03.96 ID:F334hRPxo
「利用とかそんなんじゃなくて・・・・・・、レッサーは私たちにイギリスのために
力を貸して欲しいって、そう思って着いてきたんでしょう?」
「は、はい。 そうですよ?」
「じゃあ何で最初からそう言ってくれなかったんですか?」
「な、何でって・・・・・・・・・・・・」
まぁ、一理ある。
最初から素直に、前口上など述べずにさっさと自身の目的をぶちまけてしまえば話は早かったかもしれない。
『どうかその力を、イギリスへの貢献のために使わせてください』、とか。そういうニュアンスで
頼んでしまえば、何も再びロシアの地に足を踏み入れる必要は無かったかもしれない。
513 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:47:52.54 ID:F334hRPxo
だが、しかし―――――。
「・・・・・・最初から言えば、力添えをしてくれたんですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「最初から素直に『イギリスがピンチの際は助けてください』って頼めば、力を貸してくれたんですか・・・・・・!?
貸してくれないでしょう・・・・・・!? あなた達はそれどころじゃないですもんね・・・・・・! 私たちみたいな
その辺に転がってるような魔術結社の成り損ないなんかに構ってる暇、ありませんよね・・・・・・!!」
「レッサー・・・・・・」
風斬からはレッサーの表情は窺えないが、ティーカップを持つ手が震えているところを見ると、
容易に彼女の心中を察することが出来た。
「エイワスさんにも言われましたよ、『イギリスがどうなろうと私は全く興味がない』って・・・・・・。
あなただって、あなた達だってエイワスさんみたいにハッキリ言ってくれれば・・・・・・!!」
「・・・・・・それだけでした?」
「・・・・・・?」
「エイワスさんが言った事、それだけでしたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
プライベーティアとの抗争時、エイワスはレッサーにこんな事を言ったはずだ。
514 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:48:55.00 ID:F334hRPxo
『・・・・・・我々のような強大な力を秘めた集団が、
たかがイギリス一国のために力添えなどしてくれるわけがない、か』
『ッ!』
『果たしてどうかな? 今の彼、一方通行ならわからんぞ?』
『・・・・・・で、でも』
『たしかに私にとってはイギリスがこの先どうなろうと、
言ってしまえばこの星がどうなろうと全く興味はないが―――』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『―――彼はおそらく、そうは思わないだろう』
515 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:49:42.83 ID:F334hRPxo
エイワス個人としては、本当にイギリスの行く末など興味はないのだろう。
出会ってからまだそんなに長くはないが、それは分かる。”アレ"は本当に別次元の存在だ。
だが彼なら、
「・・・・・・あ、一方通行さんなら、力を貸してくれるかも、って・・・・・・」
「うん、私もそう思います。 彼ってほら・・・・・・、あぁ見えて結局『お人好し』なところあるから」
そう言って風斬はクスクスと笑う。
「でも、一方通行さんは学園都市の超能力者で・・・・・・、イギリスだとかああいう国には本来無縁に
近い立場の人間じゃないですか」
「・・・・・・ううん、きっと大丈夫」
「え・・・・・・?」
516 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:50:56.09 ID:F334hRPxo
風斬は飛び切りの笑顔を振りまいて、
「一方通行さんは国境なんか超えて、すぐにレッサーのところに駆けつけてきてくれるんですから!
もちろん一方通行さんだけじゃないですよ? ・・・・・・私だって天使さんだって、垣根さんだって。
エイワスさんも嫌だと言っても無理やり引っ張って行きますから、安心してください・・・・・・!」
グッと小さくガッツポーズを決めた。何だそりゃ、五点くらい入るのだろうか。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、あれ」
相手からの反応を待っていたのだが、レッサーはポカンとこちらを見つめたまま固まってしまっている。
その間もガッツポーズは解いていないのだが、そろそろ恥ずかしくなってきた風斬の顔がみるみる赤くなっていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷっ」
517 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:52:02.04 ID:F334hRPxo
「?」
「あははは! なんですかそれ? 何でガッツポーズ? 意味分かんないですよ」
「うぅ・・・・・・なんか間違えたのかな」
頬に両手を添え恥じらいながら呻く風斬を見て、レッサーはひたすら笑った。
周囲の目が微妙に訝しんでいる様子だったが、お構いなしに彼女は笑った。
それに釣られて、風斬も笑う。
「ふふふ、風斬さんって変な人ですね」
「へ、ヘンじゃありません・・・・・・!」
「くす。 ・・・・・・でも、」
「?」
「・・・・・・ありがとうございます、なんだかスッキリしました」
そう言って、レッサーも風斬に負けないくらいの笑顔を振りまいて見せた。
518 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:53:04.01 ID:F334hRPxo
「二人とも、エリザリーナ様が帰ってきたわ。 多分あなた達に食事を振舞ってくれると思うから、
食堂に行ってきたらどう?」
と、何やらクスクスと笑い合っている不気味な美少女二人に、独立国同盟の看護師が話しかけてきた。
「あ、はい。 すぐに向かいます、わざわざすみません」
風斬は看護師に礼を言い、レモンティーを一気に飲み干した。
「慌てなくてもいいですから、あとで一方通行さんにも相談したらいいと思いますよ」
「・・・・・・受け入れてもらえるでしょうか? 私なんかが・・・・・・」
「大丈夫です、私が保証します。 一方通行さんがダメって言っても
私がOKなら良いんです! だから安心してください」
519 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:54:34.89 ID:F334hRPxo
『天使同盟』の裏番長はそう言ってパイプ椅子から立ち上がり、椅子を畳んでいく。
確かに、『アライアンス』号に勝手に乗り込んだレッサーをあっさり迎え入れてくれたのは一方通行だ。
自分が尻込みしているだけで、もしかしたら割と普通に承諾してくれるかも知れない。
しかしそれでも、本当にこんな世界をも飲み込めてしまいそうな巨大で強大な組織が、自分たちのために動いてくれるだろうか。
やはり、一抹の不安は拭いきれない。
「さ、行きましょうレッサー。 私もお腹空いちゃいました」
「・・・・・・あなたはお腹とか減らないんじゃ?」
「あ、・・・・・・こ、こういうのは雰囲気です、雰囲気! 私、空気の読める女性を目指したいんです」
ふーん、とせせら笑ってからかうレッサー。そして、
「風斬さんはちょっと先に言っててください、私もすぐに向かいますので」
520 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:55:30.93 ID:F334hRPxo
「? そうですか・・・・・・? でも、」
「空気の読める女性を目指してるんでしょ?」
「・・・・・・。 わかりました、じゃあ皆で待ってますね!」
風斬はニコッと笑って病院の大広間から出て行った。
「・・・・・・・・・・・・『皆で待ってる』、かぁ」
正直、風斬があと数秒自分の前に居られたら危なかったかもしれない。
「お人好しなのは一方通行さんだけじゃないですね、風斬さん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に、ありがとう」
彼女はまだ、人前で涙を流すことに慣れていない。
521 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:56:58.87 ID:F334hRPxo
――――――――――――――――――――――
――私の弟は、科学によって殺された。
とあるテーマパークの、とあるアトラクションの試運転で悲劇は起こった。
アトラクションのマシンが誤作動を起こし、理論上では考えられない事故が発生した。
絶対に安全だと言われていた技術なのに。
人に笑顔を与えるために生まれてきた機械なのに。
与えられたのは、血濡れの絶望だけだった。
二人の姉弟が犠牲になった。姉弟はすぐさま病院に運ばれたが、治療は困難を極めた。
まず、身体の肉体的損傷は治療できても、意識を取り戻すための血が足りない。
輸血が必要だった。でも、『B型のRh−』という血液型は、病理学的視点から見ても非常に珍しいものであり、
一刻を争う中でそんな血液を姉弟二人分も用意するのは不可能と言ってよかった。
522 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:58:41.95 ID:F334hRPxo
・・・・・・事実、不可能だった。
『・・・・・・お姉ちゃんを、お姉ちゃんを助けてください。 お願い・・・・・・します』
そんな弟の必死の願いは叶った。結論を言えば、姉弟は助かった。
なんとか輸血に必要な量の血液を入手することが出来て、一命を取り留めたのだ。
しかし助かったのは姉弟の内、一人だけ。姉の方だけだった。
姉弟は、科学によって道を閉ざされた。これから先、暖かくて明るい未来が待っていた二人の道を、
科学は無慈悲にも閉ざしてしまった。
お姉ちゃんを助けてください。そう願い続けた弟は、結局見殺しにされた。
科学は、嫌い。科学は、憎い。
口癖のように、呪文のように、姉は繰り返し繰り返し言い続けてきた。
523 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 06:59:52.68 ID:F334hRPxo
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・その姉が、私。 でしたとさ」
めでたしめでたし、なんて言葉が続くはずもない。
ここはエリザリーナ独立国同盟の居住区にある一室。元『神の右席』所属の前方のヴェントが使用している部屋だ。
現在、部屋には主のヴェントともう一人、学園都市最強の超能力者(レベル5)であり、『天使同盟(アライアンス)』の
リーダーでもある男、一方通行(アクセラレータ)がいる。
部屋には電気もない、テレビも無い、冷蔵庫も電子レンジも、エアコンも存在しない。
部屋に明かりを灯しているのは、暖炉でゆらゆらと揺れる暖かくて柔らかい炎だけだ。
ヴェントの部屋はかつて一方通行が住んでいた高級マンションの部屋よりも、もう二段階くらい殺風景だった。
あるのは申し訳程度に並べられた箪笥に、浴室、簡素なベッド、そして部屋の隅にポツンと置かれている木製の机だけ。
524 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:00:51.93 ID:F334hRPxo
まるでこの部屋も『科学が嫌い』だと訴えかけてきているようだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一方通行は彼女の過去をただ黙って聞いていた。口も挟まず、腰掛けているベッドから微動だにせず、
ただただ、黙って彼女の話を聞いていた。
「今の話、上条当麻に話したらなんて言ったと思う?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どォせ、甘ちゃン一直線な事言われたンだろ?」
「その医者だって私の弟を死なせたくなかったかに決まってる。 そのアトラクションの乗り物だって、
悲劇を生むために作られたモンじゃない。 私の弟がどんな気持ちでお姉ちゃんを助けて下さいって
言ったのか考えてみろ。 私の弟はその時、世界で一番凄いことをした。 そんな弟の気持ちを
私が泥で塗りたくってどうするんだ。 私の幸せを誰よりも願っていた弟が、科学に復讐して
喜んでくれるわけがない。 私の生き方は間違ってる。 ・・・・・・・・・・・・笑えるでしょ?」
「ハッ、三下らしい」
一方通行は組んでいた足を入れ替えながらからからと笑う。
525 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:01:57.63 ID:F334hRPxo
ヴェントは舌先から流れ出ている鎖を弄りながらため息をつく。
「私はこう言ったわ。 どんな言葉を投げかけられようとも、私の道は私で決めた。
今ここで話を聞いたばかりのアンタに説教される筋合いはありません、・・・・・・ってね」
腰掛けているチェアをほんの少し前後に揺らしながら、過去の戦いを思い出すように
ボーッと炎を見つめて、ヴェントは言った。
「・・・・・・アンタなら、なんて言う?」
「あァ?」
「アンタなら、もしあの日に私と対峙していたのがアンタだとして、
私の話を聞いてどう言うのかしら?」
526 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:03:30.58 ID:F334hRPxo
もしも九月三〇日に一方通行がヴェントと出会い、その話を聞いたとしたら。
そんな『if』を尋ねられた一方通行は、少しだけ思考する素振りを見せ、答えた。
「・・・・・・もし俺が九月三〇日のあの日にオマエと会っていたら、十中八九オマエと俺は敵対してる。
だからオマエの話なンざ右から左。 即座にミンチでハイ終了、だな。
むしろ三下が言ったことの方がまだマシっつーか、三下のがよっぽどイイこと言ってンじゃねェの?」
「あっは。 そっか、アンタは確かにそういう人間っぽい。
もっとも、私と『敵対』なんてしてたらその瞬間アンタは糸の切れた操り人形状態よ」
後半は意味がわからなかったが、ヴェントは笑った。
恐らく予想していた通りの答えが返ってきたからだろう。
「まぁ別に、誰かに分かって欲しいとか同情して欲しいとか言う理由で話してるわけじゃないしね。
アンタみたいなシンプルで分かりやすい返答のほうが却って気持ちいいわ」
527 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:05:31.76 ID:F334hRPxo
「あァ。 だがよ、今のはあくまで『if』、もしもの話だろォが」
「そうよ、それが何?」
「九月三〇日じゃねェ。 今こォして現実に、俺はオマエの話を聞いたぜ?
それに対しての俺の返事はまだオマエに送ってねェ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
九月三〇日の一方通行なら、問答無用でヴェントに攻撃を仕掛ける。
ならば、『今』の一方通行ならヴェントの話にどう答えるのか?
「・・・・・・面白いわね。 じゃあ教えてよ。 どうだった、私の悲しい悲しい昔話は?
お涙頂戴の感動ヒストリーよ、ゴールデングローブ賞くらいにはノミネートされるかしら?
ここ、ロシアだけど」
528 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:06:25.83 ID:F334hRPxo
「恨めよ」
「え?」
今度は、ヴェントの予想とは違った答えが返ってきた。
「科学を嫌えよ、科学を憎めよ、科学を恨めよ。 嫌って嫌って、憎ンで憎ンで、恨ンで恨ンで、
怨ンで怨ンで、ドロッドロの闇の闇の、そのまた更に奥底の闇まで沈めばいい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふん。 そう来た、か」
そう言いながら、ヴェントは膝を抱えて丸まり、ジトッと一方通行を睨む。
529 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:07:42.80 ID:F334hRPxo
「・・・・・・それで、闇の闇まで沈んで、闇と同化して消えちまえ、ってところかしら?」
「話は最後まで聞けよ。 せっかちな女は可愛げがねェぞ」
一方通行を睨むヴェントの目付きがますます鋭くなる。
この男は自分に対していちいち可愛げがないとかうるさいことを言ってくる。
「そォだな、闇の奥底まで沈んだら・・・・・・何が生まれてきた?」
「生まれるも何も、変わらないわ。 私の胸にはいつでも科学に対する『憎悪』と言う名の
どす黒い塊がへばり付いてるだけよ」
「だろォな。 しかもその塊は、オマエ一人じゃとても背負えねェシロモンだ」
と、一方通行はベッドから腰を上げて立ち上がり、身体を丸めているヴェントの前まで歩いてきた。
530 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:08:54.58 ID:F334hRPxo
「・・・・・・何よ」
「その塊、俺にも寄越せ」
「・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・はぁ?」
何言い出したのこの人、と言わんばかりの声と表情でヴェントは一方通行の顔を見上げる。
一方通行はその不気味ながらも綺麗に透き通った紅い眼で彼女を見下ろしながら更に続けた。
「オマエのその膨らみまくった反吐みてェな憎悪の塊を俺にも寄越せっつってンだ。
いや、なンなら全部俺に丸投げしちまっても構わねェ」
「アンタいきなりナニ言っちゃってんの? 何かの魔術にアテられて頭でもイッちまったか?」
「ほざくなメスガキ。 ンじゃその手は一体なンなンですかァ?」
「え? あ、・・・・・・・・・・・・?」
531 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:10:40.09 ID:F334hRPxo
気付けば、ヴェントはいつの間にか一方通行の方へほんの少し、手を向けていた。
誰が見ても綺麗だと言わざるをえない、そんな綺麗で小さな手を、彼に向かって差し出すかのように。
「な、によコレ・・・・・・、アンタ私に何をしたのよ?」
「なンにもしてねェよクソボケ。 オマエから勝手に手ェ出してきたンだろォが」
ヴェントからすれば一方通行が自分の身体を操ってそう仕向けさせたようにしか思えなかった。
こんな事は初めてで、それはまるで、自ら彼に救いを求めているような―――――。
「―――――ッ! ・・・・・・言ってることは・・・・・・!!!」
ヴェントは咄嗟に手を引っ込め、顔を埋めてしまう。
自分が一体何をしているのか分からなくなり、混乱している。
そして、
「言ってる事は真逆でも、本質はあの偽善者野郎と一緒だろうが!!!」
室内に、彼女の悲痛な叫び声が反響した。
532 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:13:29.52 ID:F334hRPxo
「ふん、上手いことやったわね!! あぁやって話術巧みに私を誘導して、
私が無意識に手を伸ばしたから『それが、お前が助けを求めてる証拠だ』とか
言い出すんでしょう!!? 結局同じじゃない!! アンタだって私が間違えてるって
言うんでしょ!? だったら答えは同じよ! 私の生き方は私が決める!! この胸の
『憎悪』の塊だって、一生私が抱えていくのよ!! 誰がアンタなんかに・・・・・・!!
誰がアンタなんかに渡すもんか!!! 知ったような口を聞くな!!!」
ヴェントの吠えるような激昂に動揺を見せることなく、一方通行は静かに言った。
「あーあーうるせェ。 きゃんきゃん喚くのは勝手だがよォ。
・・・・・・オマエだって俺の事わかってねェだろ」
「・・・・・・?」
「オマエだって、俺の事なンざ一つも知らねェだろ」
533 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:14:47.98 ID:F334hRPxo
「・・・・・・だから何? アンタの事を、アンタの素性を知ったら何か変わるの?
アンタは学園都市から来た能力者、一方通行でしょ? それだけよ!!」
「いいや、それじゃァ五十点だな。 とても完璧な解答とは言えねェ」
「・・・・・・知らねぇよ、そんなコト。 アンタが何者かなんて、それだけ分かってりゃいいでしょ・・・・・・」
震えた声で一方通行を突き放すヴェント。完全に顔を膝に埋めたその仕草が『もう出て行け』と訴えている。
「俺は学園都市の超能力者(レベル5)、序列第一位の一方通行だ」
一方通行はヴェント真っ直ぐ見据えながら、自身の立場を言い放った。
暫く沈黙が続いたが、やがてヴェントはほんの少しだけ顔を覗かせて一方通行を睨み上げる。
534 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:16:29.70 ID:F334hRPxo
「レベル5・・・・・・? 序列第一位・・・・・・? ・・・・・・だから知らないっつってんでしょ。
アンタが学園都市の第一位だから何だって言うのよ」
「わかンねェのか」
「勿体ぶってんじゃないわよ、何が言いたいの?」
「学園都市は科学の街だ、どこを見ても科学、科学、科学。 科学=学園都市って公式が
生まれていてもおかしくねェくらいに科学狂いの街。 それが学園都市だ」
「言われなくても知ってるわよそんなコト。 だから私はあの日、ついでに学園都市を潰そうと・・・・・・」
「そンな学園都市では能力者の開発を年がら年中行ってる。 総人口二三〇万人の中で、
レベル5に辿りつけたヤツはわずか七人。 そして俺はそのレベル5の第一位なンだよ」
「自慢話ならよそですればい―――――、」
「学園都市の最高技術を、最高の科学技術を凝縮し、完成したのがこの俺だ。
オマエが恨ンでやがる科学ってのは、つまり俺にも当てはまるンだ」
「―――――――――――」
ヴェントは一瞬、自分の耳を疑った。
今目の前にいるこの男が、科学の集大成?
自分が憎んで憎んで憎みまくった科学の頂点が、目の前にいるこの男?
535 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:18:37.60 ID:F334hRPxo
「だからそこまで科学を憎むってンなら、まずは俺を憎めよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「『罪を憎ンで人を憎まず』って言葉があるが・・・・・・、この場合は
『科学を憎ンで俺も憎め』、だな」
そう言って一方通行は苦笑する。自分でも言っていることが可笑しいと自覚しているからだ。
しかし、それでも、一方通行はヴェントに声をかける。
「・・・・・・世の中にゃ科学のおかげで幸せになれたり、科学のおかげで毎日を笑顔で暮らせてる人間もいるンだ。
オマエの言い分もわからねェとは言わねェが、科学と共に生きてるヤツらは見逃してやってくンねェか。
それでオマエが納得出来るはずがねェって事は分かってる。 だからよ、科学を、つまりは俺を憎ンで
それで終いって事で手を引いてもらうわけにはいかねェか?」
536 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:19:50.31 ID:F334hRPxo
「・・・・・・そんなんで私が納得すると思ってるのかしら?」
「納得出来ねェなら、納得するまで説得する」
「・・・・・・・・・・・・憎しみの対象を全てアンタに向けろって言ってんの?」
「あァ、そォいうこった」
一方通行はどこか照れくさそうに頭をポリポリと掻きながら、
「オマエが抱えてる憎しみ、この一方通行が全て引き受けた」
ヴェントの眼前にその白すぎるほど白い左手を差し出してきた。
537 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:20:36.20 ID:F334hRPxo
その行為はかつて第三次世界大戦で、一方通行がとあるクローン体に行ったものと酷似していた。
あれはそのクローン体同様、一方通行にとっても勇気のいる行動だったが、
今の一方通行には、その勇気が有り余るほど秘められていた。
「・・・・・・オマエが望むってンなら、俺ァオマエの弟の墓にも行ってやる」
「?」
「オマエの弟の墓前で下げる価値もねェ俺の頭ァ下げてこォ言うンだ。
『俺がオマエの姉ちゃンを泣かせた科学です! 唾でもなンでも天国から吐き捨てて
俺にぶちまけてください!』・・・・・・ってなァ。 クカカッ、どォだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
くす、と小さな笑い声が聞こえた。きっと、気のせいじゃない。
「何ソレ。 アンタやっぱ頭おかしいわね」
538 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:22:15.20 ID:F334hRPxo
「頭おかしくなきゃ第一位なンざ務まらねェンだよ」
「意味分かんない。 ・・・・・・ふん」
ガシッと、ヴェントが一方通行の細い左手を掴みとる。
そしてそのまま倒れこむように一方通行の胸に頭を預けた。
「それでもやっぱり、アンタに私のどす黒い塊を全て渡すわけにはいかない。
・・・・・・・・・・・・だから」
「あァ」
「私とアンタで、一緒に抱えていくって事で・・・・・・、とりあえずは妥協してあげるわ」
「・・・・・・まァ、それでいいってンなら俺もそれでいい」
「今の吐き気がするほどくだらないご高説がどこまで本気なのか、見せてもらうわよ」
そのままギュッと、ヴェントは一方通行の胸に顔を押し付け、彼の肩をそっと掴んだ。
539 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 07:22:30.63 ID:S2eZCa9AO
朝っぱらから来てたー!
540 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:23:43.82 ID:F334hRPxo
(・・・・・・今まで散々鈍感鈍感言われ続けたが、もォ言わせねェぞ)
恐らく周りが言ってくる自分への『鈍感』だという言葉は、こういう時の状況で
何もしない一方通行の事を言っているのだろうと、一方通行は考える。
彼がその答えに辿り着いただけでも勲章モノだが、まだ足りない。
(つまりは、俺にゃ女に対する『気遣い』ってのが足りねェンだろ?)
限りなく正解に近いが、そうではない。だがそこまで行けばあとは自然に解ろうものなのだが・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・オイ、そろそろ部屋出ねェか? メシとか食わなきゃいけねェだろ」
541 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:25:16.00 ID:F334hRPxo
「・・・・・・私に指図してんじゃねぇよ。 アタマ叩き割られたいの?」
「チッ・・・・・・」
ヴェントは一方通行の胸板に顔を埋め、彼の肩を掴んだまま動こうとしない。
風斬氷華は一方通行に対してもっと積極的に接しなければ己の気持ちに気付いてくれないと
読んでいたが、残念。少なくともこうしてヴェントのようにゼロ距離まで密着してもまだダメなようだ。
と、そこで一方通行がアクションを取る。
彼はヴェントの頭にそっと手を乗せ、優しく、柔らかい動作で撫で始めた。
(あのクソガキはこォしたら喜ンでたし、恐らく間違いはねェだろ)
打ち止め(ラストオーダー)とヴェントを一緒くたにしてどうする。
542 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:26:59.44 ID:F334hRPxo
だが、確かに間違いではないのだが、あともうワンステップ欲しいところである。
静かに燃ゆる暖炉の炎、それによって灯りはあるものの、まだ薄暗い室内。
今の二人の状況、そしてすぐ側には簡素ながらもちゃんとした作りのベッド。
メシなんか食ってる場合じゃねえ、である。
(・・・・・・・・・・・・どォすりゃいいンだ。 やっぱわかンねェ。
三下辺りに聞きゃなンかわかンのかねェ)
「・・・・・・・・・・・・、ん」
「?」
「・・・・・・そろそろエリザリーナが戻ってくる頃かしらね。
多分、アンタ達も呼ばれてる。 そろそろ行くわよ」
言って、ヴェントは一方通行から離れて暖炉の火を自慢の風魔術でフッと消した。
543 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:28:12.98 ID:F334hRPxo
「・・・・・・なんで出会って間もないアンタにあんな話して、私の憎悪を一緒に抱える
なんて結託しちゃったのかしらね。 私もどうかしてたのかしら」
「出会った時間だとか期間だとか、ンなモンはどォだっていいンだよ。
俺たち『天使同盟』は結成してまだ一ヶ月経ってねェのにあの有様だぞ」
「なるほど、今のは妙に説得力あるわね」
「ンじゃ、行くかァ。 腹減ってしょうがねェ」
一方通行は杖を引き出し、カツカツと歩いて部屋を出て行く。
(・・・・・・頭撫でられた時はどうなるかと思ったじゃない。 白いののクセに。
上条当麻といい白いのといい、なんなのよ学園都市の人間は・・・・・・・・・・・・)
部屋が薄暗かったおかげで自分の顔が紅潮している事に気付かれずに済んだヴェントは、
静かにため息をつき、一方通行の後を追って部屋を出た。
そんな彼女の表情は、写真立てに飾られていた写真に写っている、二人の内の一人の少女と全く同じ笑顔だった。
544 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:38:17.90 ID:F334hRPxo
うー終わった。今回はちょっと多めの投下になってしまいました。
一方通行は主人公補正に保護されている・・・・・・
さて、次回はいよいよ恒例の星の欠片についてのお話です。
これがこのSSの一番大事なお話なのにイギリス編ではすぐ終わっちゃいますよね・・・・・・
ではロシアでは有益な情報は得られるのでしょうか?お楽しみに・・・・・・
次回更新は三日以内、に出来るかなぁ。
今回は多めの投下でしたが、読んでくれた方にはめいっぱいの感謝と肩たたき券(実行者ミーシャ)を贈呈します。
それではまた!
545 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:39:33.61 ID:F334hRPxo
【次回予告】
『あァそォだな、サーシャ。 オマエ、ガブリエルが喋ってる事とかわかるか?』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『なぜ天使さんがこの世に顕現していられるかは最初のイギリス訪問の時に
予測はついていますよ。 多分、ベツレヘムの星はまだ空中を漂っているんだろうって』
―――――――――――『天使同盟』構成員・風斬氷華
『隠しといてそれを必死に探す俺達を見て楽しんでるんだ』
―――――――――――『天使同盟』構成員・垣根帝督
『でも確かに気になりますね。 それが本当なら、誰が隠してるんでしょう?』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』構成員・レッサー
546 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/06(日) 07:40:17.94 ID:F334hRPxo
『fmsyzbdmjr合掌zdwydpbdwh』
―――――――――――『天使同盟』構成員・ミーシャ=クロイツェフ
『確かにおかしな話ね、儀式場の破壊はともかく、ベツレヘムの星は
もう北極海で海の藻屑になってしまっているわ。 それなのになぜ・・・・・・?』
―――――――――――エリザリーナ独立国同盟の中心的人物・エリザリーナ
『第三の質問ですが、その原因を突き止めるためにここへ来たわけですね?』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
『・・・・・・・・・・・・ふふーん。 お姉さん分かっちゃった♪』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
547 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 07:41:49.55 ID:cBMWfNWp0
何かがあると思って早起きしたら投下だよ
マジ1乙なんだぜ
548 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 07:42:13.54 ID:jl8Im64AO
乙!
初めてのリアルタイム遭遇でwktkさせてもらった
次回も待ってる!
549 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 07:49:32.67 ID:XtSRJNQmo
乙
この一方通行が一位なんだよなぁ学園都市ェ…
あと上条さんに聞いても無駄だ
550 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 07:50:52.14 ID:uljbba8no
全盛期の風斬伝説
・グッとガッツポーズしただけでレッサーが感涙
レッサー可愛いなぁ、加入直後は魚の餌確定だなとか思ってましたすみません
ヴァントちゃンは…これは新たな現地妻登場ですね、たまげたなあ
551 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 08:16:51.75 ID:QoTCjkqDO
現地妻というか、世界中もの凄い速さで飛び回ってて距離感おかしくなってきた。
きもちは風斬を中心にキャーリサとヴェントが一区間両隣の団地妻
552 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 08:17:49.65 ID:4wjOJnZAO
天使同盟も大概だが
現地妻同盟もそろそろ世界滅ぼせるレベルになりつつあるな。
553 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 08:20:02.29 ID:XtSRJNQmo
>>552
☆はこの戦力差を覆せるのか本気で心配になってきた
554 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 08:51:00.01 ID:9NBgeBuwo
一方通行「無理・・・・・・だろォな」 ☆「ち・・・・・・くしょ・・・・・・う」
555 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 09:02:23.95 ID:0rk6TLUgo
一方通行が格好良すぎてもはや笑うしかない
ミーシャの肩叩き券はもらっておきますね
潰れようと本望よ!!
556 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 10:54:12.40 ID:C+0Bg35g0
肩がぶっ壊れた
557 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 10:56:34.57 ID:SNEDMPHao
おつー
一方通行さん、少しで良いから爆発四散してくれませんかね
少しでいいんで
>>554
未元物質吹いた
558 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 11:20:43.20 ID:7cYDn6TH0
そしてさりげに裏番長といわれる風斬
彼女の恋はまだまだ始まったばかりだ!
559 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 13:19:32.63 ID:XNvkDDo/o
肩が二度とあがらなくなりそうな肩たたきだなww
560 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 14:31:14.98 ID:WMaE7tIFo
おつおつ
ゔぇんとちゃん が かわいかった よ!
セロリのくせに…セロリのくせに…
誰かコピペ持ってこいとミry
561 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 14:37:27.97 ID:k+wMYcO+o
>>560
・口調がおかしい
・服装がおかしい
・笑い声もおかしい
・顔が怖い
・いつまでも中2病(※黒い翼が生えます)
・借金八兆円
562 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 14:43:19.63 ID:YXBPIb2Vo
目が覚めた
563 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 14:44:46.66 ID:Jm5xXDSco
・口調がおかしい→皆十分おかしい
・服装がおかしい→皆十分お(ry
・笑い声もおかしい→皆十分(ry
・顔が怖い→だがそれがいい
・いつまでも中2病(※黒い翼が生えます)→皆中二病
・借金八兆円→実質ない
564 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 15:36:13.88 ID:68oPIlxh0
あそこまでやっておいて基本一方さんは鈍感なんだなww
565 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/06(日) 15:50:39.52 ID:WiQHL2SS0
・口調がおかしい→なれるとクセになる
・服装がおかしい→でも不思議と似合ってる
・笑い声もおかしい→ごくまれに無邪気に笑う
・顔が怖い→不器用さが可愛い
・いつまでも中2病(※黒い翼が生えます)→母性本能をくすぐられる
・借金八兆円→その気になれば返せる甲斐性がある
……あばたもえくぼというか、恋は盲目というか、とミサカはもう駄目かも(ry
566 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 18:25:44.75 ID:NeemzZc70
ヴェントフラグを高速で立てるとはさすがは一方さん
567 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 18:37:00.68 ID:5vhVbs360
>>565
14510号さん何やってンすか
568 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 19:42:14.31 ID:XNvkDDo/o
>>565
春厨がお騒がせしました今片付けますんで
569 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:06:48.82 ID:Sp/m9SA60
ところで
>>1
はベン・トー好きですか。
俺も好きだ。マイナーだから嬉しい
570 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 20:16:36.15 ID:mKBCZX+X0
>>1
じゃないけど、少し前にやってた黒子が半額弁当取り合うスレ読んで面白かったからベン・トーも読んだ。
残念だけど黒子のほうが面白かったのはアサウラには秘密だ。
571 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/06(日) 22:22:48.06 ID:miWOTN9DO
ここや某SSのヴェントがあまりに可愛いもんで本来のヴェントのキャラを忘れちまいそうだ・・・wwww
572 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 00:30:06.52 ID:bk44VkMLo
このSS読んだ人達には天罰術式効かないな
普通なら敵意を持つはずなのに「ヴェントたああんnかああいいいいよおおお」とか言われて
とまどっちゃうヴェントたんもええええ新OPのヴェントたんもかあいかったよ
573 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 00:49:28.49 ID:lBENlKfZ0
ヴェントちゃん超かわいい
この一方さんはあれだな。精神的に大人なようで恋愛関係だけ見事に小学生並だな
574 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 01:01:19.61 ID:glUoerh4o
ヴェントたんの舌ピアスカラッカラ言わせてやりたい
575 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 01:36:57.88 ID:2Oylcwdi0
>>「オマエが抱えてる憎しみ、この一方通行が全て引き受けた」
カッコイー!冗談抜きで惚れちゃいそうだぜ一方さん!
というかもう☆詰んだだろ、戦力的に。
576 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 09:11:00.11 ID:zUL+l+vA0
※ここまで全員男
577 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 09:12:02.38 ID:zUL+l+vA0
あ、ごめん
>>565
までの流れのつもりだった忘れて
578 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/07(月) 22:51:14.47 ID:9PINPS/ho
こんばんわ〜、今日も投下しに参りました。
また調子に乗って連日投下ですよ、ごめんなさい。
さてさて、今日のお話はこのSSの核心でもあり定番でもある星の欠片についてです。
・・・・・・え?んなもんどうでもいいからもっとイチャラブ展開を拡げていけ?
建前が無きゃイチャラブ出来ねえんだよここの
>>1
は・・・・・・。
ありがたい支援レスの中にもありましたが、確かにアレイスターさん大ピンチですね・・・・・・。
その辺も一応考えてはいますが。
それではいきます。
579 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:53:02.84 ID:9PINPS/ho
――エリザリーナ独立国同盟・とある軍事施設 オフィスルーム
エリザリーナ「・・・・・・・・・・・・」ハァ
ガチャ
風斬「ここ・・・・・・でいいのかな?」チラッ
エリザリーナ「あら、いらっしゃい」
風斬「あ、どうも。 ここで食事するんですか?」
エリザリーナ「食堂も埋まってて空いてる部屋がここくらいしかないのよ。
書類やらなんやらで散らかってるけど、見逃してちょうだい」
風斬「いえ、全然気にしてませんから! ありがとうございます」
垣根「うらぁ、晩飯に呼ばれて来てやったぞ」ガチャ
風斬「あ、垣根さん」
ガブリエル「ddnatcntum氷華amjnytdjrk」ガバッ
580 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:54:02.86 ID:9PINPS/ho
風斬「きゃっ、もうっ。 いい子にしてましたか?」ナデナデ
垣根「完璧にペット扱いだなミーシャ」
サーシャ「失礼します」
ワシリーサ「今日はここで食事なの? なんだか雰囲気無いわねぇ」
エリザリーナ「我儘言わないで」
風斬「そういえばエイワスさんは・・・・・・?」
垣根「ん、ここに行く途中に消えた。 すぐ戻ってくるとか言ってたぞ」
風斬「そうですか・・・・・・」
垣根「エイワスの野郎、ロシアに来てからなんか落ち着きがねえよな。
あっち行ったりこっち行ったり」
581 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:55:18.46 ID:9PINPS/ho
風斬「なんだか忙しそうにしてますよね。 何か企んでるんでしょうか?」
サーシャ「第一の質問ですが、あと来ていないのは誰ですか?」
垣根「一方通行の野郎とあの変な魔術師女、それだけか」
レッサー「私を普通にスルーするなぁ!」ガチャン
風斬「レッサー、もういいんですか?」
レッサー「はい! 私は今この時より、新生レッサーとして生まれ変わったのです!」ドン!!
ワシリーサ「なんだか楽しそうねぇ。 何かあったのかにゃん?」
レッサー「もう何時までもウジウジしていられないんです!」
垣根「何だコイツ」
風斬「くすっ」ニコッ
582 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:57:08.33 ID:9PINPS/ho
一方通行「ここかァ?」ガチャ
ヴェント「早く入れよ」ゲシッ
一方通行「痛っ」ドテッ
サーシャ「・・・・・・第二の質問ですが、お二人は一緒にいたんですか?」
風斬「!?」
レッサー「むむ?」
一方通行「ってェな、何しやがる・・・・・・。 で、今なンか言ったかオマエ」
サーシャ「えぇ、ですから――――、」
ヴェント「こんなのと一緒にいるわけないでしょ!! 馬鹿なこと言わないでよ」
サーシャ「失礼しました」
ワシリーサ「ふふーん? にゃーんか怪しいわね、あなたがそんな取り乱すなんて」ニタニタ
一方通行「おいヴェント、オマエ何言ってやが――ぷぎゅ!?」グシャ
ヴェント「テメェは黙ってろよ・・・・・・!!?」グリグリ
583 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:57:52.29 ID:9PINPS/ho
垣根「おーおー、来て早々踏みつけプレイを鑑賞出来るとはな。
ディナー前のサプライズかよ?」ケラケラ
ガブリエル「――――――――――――」ナデナデ
一方通行「撫・・・・・・でてねェ、で助けろ・・・・・・!!」ゲシゲシ
レッサー「(大丈夫ですよ風斬さん! 分はまだあなたにあります!)」ヒソヒソ
風斬「(う、うーん・・・・・・・・・・・・)」シュン
エリザリーナ「ヴェント、そろそろ離してあげなさい」
ヴェント「ふん」ヒョイ
一方通行「"そろそろ"ってなンだよ!? こォなった瞬間止めろってンだ!」ウガー
ヴェント「ん? エイワスは来ないの?」
垣根「以下略」
一方通行「アイツはまたフラフラフラフラ・・・・・・何やってンだか」
ワシリーサ「どうするの? 先に食べちゃう? あ、食べちゃうって言うのは―――」
サーシャ「性的な意味でなく、ですね」
ワシリーサ「さっすがサーシャちゃん! よく分かってるわぁ♪」
一方通行「エイワスを女にしたよォなヤツだなオマエ・・・・・・、いやアイツも女なンだっけ?」
584 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:58:46.71 ID:9PINPS/ho
プライベーティアとの抗争が終わり、『天使同盟』が独立国同盟に到着して数時間。
ようやく落ち着きを取り戻した面々は朝から全く摂っていなかった食事を摂ることにした。
場所はエリザリーナがよく使用している軍事施設のとあるオフィスルーム。
食堂はどっかの誰かさんが突っ込ませたクルーザーが原因で避難していた国民が使用しているため、
空きがここしかないとのことらしい。
「失礼します」
「どうぞ、適当に机の上に並べていって」
「了解しました」
恐らくエリザリーナの部下の一人なのだろうロシア人の女性が、パッと見豪勢な料理を並べていく。
585 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 22:59:49.52 ID:9PINPS/ho
各々は適当な席に座っていた。
一方通行が座っている席の左右にはヴェントと風斬がいる。垣根の両隣はレッサーとワシリーサ。
ミーシャとサーシャは隣同士で座り、何か話をしている。会話など出来ないだろうに。
「おー、これって全部ロシア料理か?」
「簡単な物しか用意出来なくて申し訳ないわね」
目の前に並べられた湯気をほかほか立たせているロシア料理に舌つづみを打つ垣根。
エリザリーナは簡単な物しか用意出来なかったと言うが、それでも十分な種類と量のご馳走だった。
「wbdggmessk最高jrzispfani」
「あぁ、ミーシャ、涎が」
586 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:00:36.90 ID:9PINPS/ho
料理を前にして早くも興奮状態のミーシャはだらだらとみっともなく涎を垂らす。
それをせっせとハンカチで拭うサーシャ、どう見ても母娘です本当にありがとうございました。
それを見たワシリーサもミーシャに習って涎を垂らすが、彼女の場合は違う意味で出ている涎な気がする。
しかも拭いてもらえなかった。
「さ、これで全部よ。 好きなだけ食べてちょうだい。 おかわりも多分あると思うけど・・・・・・」
「utuwipjdsn合掌yihmwzmtid」
「え?」
「fmsyzbdmjr合掌zdwydpbdwh」
「??」
「手を合わせていただきますしやがれって事だろ。 コイツ変なとこで律儀なンだよ」
587 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:01:37.35 ID:9PINPS/ho
あぁ、そういうことか、とエリザリーナは手を合わせて食事を始めた。
他の面々も『なんだか合掌しなきゃいけない空気』を察知し、それに習う。
「んー! 美味しいです!」
「第三次世界大戦の時はファーストフードとかしか食べてないですからね。
ロシア料理ってこんなに美味しかったんですねー・・・・・・」
「まァ、悪くねェ」
「ryngdhbxym美味uhgwwznmyf絶品kgdjpwjzci」
「第三の質問ですが、ミーシャ。 素手で食べるならフォークやスプーンを持つ意味が
ないのでは・・・・・・?」
「やばい、めっちゃ美味え。 これなんて料理?」
「それはコトレータっていう、まぁカツレツみたいなものね。
はい、サーシャちゃん、あーん♪」
「こんな騒がしかったら食事なんて出来ないわよ・・・・・・」
各人様々な反応を見せながら、ロシア料理を楽しんだ。
588 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:03:19.18 ID:9PINPS/ho
――エリザリーナ独立国同盟・とある軍事施設 オフィスルーム
エリザリーナ「・・・・・・それで、あなた達は今後の予定はあるの?」
一方通行「あン? あー・・・・・・、どォすっかな」モグモグ
風斬「とりあえずサーシャさんから色々お話を聞きましょうよ」
サーシャ「第一の私見ですが、答えられる程度の質問であれば承りますが恐らく力にはなれないと思いますよ」
ガブリエル「―――――――――」グァフグァフ
垣根「ていうか何で俺たちロシアまで来たんだっけ?」モグモグ
レッサー「えーっと・・・・・・」ムグムグ
ワシリーサ「サーシャちゃんに用があって来たんでしょ?」パクパク
一方通行「あァそォだな、サーシャ。 オマエ、ガブリエルが喋ってる事とかわかるか?」
589 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:04:41.14 ID:9PINPS/ho
サーシャ「第一の回答ですが、彼女の言語はノイズが酷すぎて私でも理解できません。
補足説明しますと、ジェスチャーや雰囲気などで何を伝えたいのかはある程度把握出来ますが、
それは皆さんも同じ事だと思います」
垣根「そうだな」
一方通行「そォか、ありがとよ」モグモグ
サーシャ「いえ。 ・・・・・・・・・・・・」
風斬「・・・・・・・・・・・・」パクパク
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」モギュモギュ
サーシャ「・・・・・・・・・・・・。 あの、第四の質問ですが、他には?」
590 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:05:33.11 ID:9PINPS/ho
一方通行「あ?」
サーシャ「他に質問とかないんですか?」
一方通行「いや、もォ別に・・・・・・・・・・・・」
レッサー「えぇーっ!!?」ブフォ
風斬「ちょ、ちょっと、何言ってるんですか一方通行さん!!!」
一方通行「?」
サーシャ「だ、第五の質問ですが、あなたはそれだけを聞きに遠路遥々ロシアの地へ?」
ヴェント「そんだけならエアメールとかで十分だろうが・・・・・・」
風斬「ちょっと待ってください!! まだ重要な案件が残っているんです!!」アタフタ
一方通行「なンかあったっけ?」ガツガツ
垣根「知らねえな」ムシャムシャ
エリザリーナ「ま、まぁそんなに慌てなくても、私たちはいつでもあなた達の話を聞くわよ?」
591 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:06:44.58 ID:9PINPS/ho
レッサー「一方通行さん・・・・・・ついにボケちゃいましたか」オヨヨ
一方通行「ンだと!? 誰に言ってンだオイ!!」
風斬「あなたに言ってるんですよ一方通行さん!! "ベツレヘムの星の欠片"の件は!?」
一方通行「あァ!!? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、あ」
垣根「あぁ、そうだそうだ、それ聞かねえとダメだろ」ハハハ
レッサー「ハハハじゃないでしょう、全くこれだから能力者は・・・・・・」
ワシリーサ「ベツレヘムの星・・・・・・? あの空中要塞?」
ヴェント「・・・・・・なるほど、なんとなくわかったわ」
一方通行「そもそもオマエら、第三次世界大戦で召喚されたガブリエルが
最後はどォなったか知ってるか?」
サーシャ「第二の回答ですが情報は耳にしています。 消滅したはずですよね?」
592 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:07:46.45 ID:9PINPS/ho
一方通行「そォだ、消滅した。 はずなのに今もこォしてコイツは
幸せそォに大飯食らってやがる」
ガブリエル「xakpscbdea幸福mhstfunfyp」ガツガツ ズゾゾゾゾゾゾ
エリザリーナ「ええ、見事に食い散らかしてるわね」
サーシャ「第六の質問ですが、その原因を突き止めるためにここへ来たわけですね?」
風斬「はい、そうなんです」
ワシリーサ「・・・・・・・・・・・・ふふーん。 お姉さん分かっちゃった♪」
レッサー「え? まだ何も話してませんけど・・・・・・」
ワシリーサ「ベツレヘムの星にはミーシャ=クロイツェフを召喚するために組み込まれた術式が
設けられていたわ。 確か右方の部分にあった儀式場ね。 しかし、何らかの理由によって
儀式場の『門』を司る支え、・・・・・・柱かにゃ? それが破壊された事によって
ミーシャは顕現する力を失い、消滅した。
にも関わらず、今もこうしてこの世に顕現しており、あなた達『天使同盟』に接触、
世界各地を回って原因を探っていたが見つからず、次に目指したのがロシアでした・・・・・・。
と、簡単に言うとこーんな感じになるんじゃないのかにゃーん?」ペラペラ
593 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:08:55.59 ID:9PINPS/ho
風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ポカーン
一方通行「ふざけた女だと思ってたが、・・・・・・この狸が」
ワシリーサ「ウサぴょんに言われたくないポコ♪」
サーシャ(普段からこんな真面目だったら尊敬出来るのに・・・・・・)
ヴェント(私が説明しようと思ったのに・・・・・・)
エリザリーナ「確かにおかしな話ね、儀式場の破壊はともかく、ベツレヘムの星は
もう北極海で海の藻屑になってしまっているわ。 それなのになぜ?」
一方通行「なぜ? はこっちのセリフだ。 なンでこのアホ天使が顕現出来ているのか、
それを聞きに俺達はここに来たンだよ」
エリザリーナ「結論から言うと、わかるわけがないわ」
一方通行「ですよねー」
594 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:10:45.39 ID:9PINPS/ho
風斬「なぜ天使さんがこの世に顕現していられるかは最初のイギリス訪問の時に
予測はついていますよ。 多分、ベツレヘムの星はまだ空中を漂っているんだろうって。
儀式場の一部を残した『ベツレヘムの星の欠片』が」
サーシャ「第二の私見ですが、なるほど、それで欠片ですか」
一方通行「あーそういや、どォやって空中を散歩してるとか、人工衛星の監視網を掻い潜っているかとかは
誰かが特殊な術式を使用しているって考えも出てたな。 ていうか俺達は魔術に
詳しくねェから、それで一応結論付けてたンだがな」
ヴェント「誰かって誰よ? そんな儀式場を隠すような真似、誰が何の得があってするの?」
一方通行「だからそれを調べに来たっつってンだろォが、聞いてた?」
ヴェント「んなコトここに来たって分かる訳ないっつってんだよ白いの」
一方通行「知恵ェ貸せって事だろォが、ンな事もわかンないンですかァ!?」ガタッ
595 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:11:44.88 ID:9PINPS/ho
ヴェント「はぁ!? それが人に物を頼む態度!? 悪いのは顔つきだけじゃなくて育ちもかよ科学野郎が!!」ガタッ
エリザリーナ「はいはい喧嘩しない」ハァ
レッサー「でも確かに気になりますね。 それが本当なら、誰が隠してるんでしょう?」
垣根「どーせエイワス辺りだろ。 隠しといてそれを必死に探す俺達を見て楽しんでるんだ」バクバク
風斬「あり得そうだから困るんですけど・・・・・・、けどこの件に関してだけはエイワスさんは
何もしていないと思うんですよね」
垣根「なんでそう言えるんだよ」
風斬「根拠はないですけど・・・・・・なんでだろ、何となくとしか・・・・・・」
垣根「ハッ、なんだそりゃ」
風斬「ごめんなさい・・・・・・」
596 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:13:41.96 ID:9PINPS/ho
一方通行「・・・・・・船でここに向かう途中に、俺はガブリエル本人が隠してるンじゃねェかと考えた事がある」
ワシリーサ「天使が?」
レッサー「あぁ、なんか言ってましたねそんな事。 たしかエイワスさん曰く、ミーシャさんには
まだこの世でやらなきゃいけない事があって、それまで顕現し続けるために
ベツレヘムの星の欠片を隠してるとかなんとか」
サーシャ「第七の質問ですが、ミーシャがやり残していることとは?」
一方通行「それが『天使同盟』が抱えてる最大の謎だ。ガブリエル本人に聞いても
なぜかこの件にだけはうンともすンとも言わねェし、それを聞き出すために
サーシャに会いに来たンだが、そのサーシャも言語が理解出来ねェと来た」
サーシャ「第三の私見ですが、力になれなくてすみません」
一方通行「責めてるわけじゃねェし、オマエが謝る理由は何一つねェよ。
こっちが勝手に期待膨らませてただけだ」
サーシャ「あ、ありがとうございます・・・・・・」
ワシリーサ「いやん。 ウサぴょんったら優しいのね、これは強力なライバルの出現か・・・・・・!?」
風斬「・・・・・・・・・・・・」
ヴェント「・・・・・・・・・・・・」
597 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:15:03.15 ID:9PINPS/ho
ヴェント「で、やり残してるコトって何よ? そこの犬みたいにメシ食い散らかしてる化物」
ガブリエル「――――――――――――」ムシャムシャ
風斬「どうも、あまり人には言いたくない事らしくて・・・・・・」
ヴェント「埒明かないわね、だったらもうコイツがしたいコトし終えるまで待ってりゃいいじゃない」
垣根「結局はそうなる訳よ。 あ、ヤベ、あの金髪女と口調被った」ズズズ~
一方通行「それしか手がねェンならそれでもいと思ってンだよ俺は。
もォ正直ベツレヘムの星がどォとか、いい加減面倒になって来ちまってなァ」
ワシリーサ「現状でも十分楽しそうだものねぇ、あなた達って」クスクス
垣根「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴクッ ゴクッ ピタッ
風斬「? 垣根さん?」
垣根「・・・・・・だが、楽観視出来る状況でもねえはずだぞ」
エリザリーナ「?」
598 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:15:59.78 ID:9PINPS/ho
一方通行「・・・・・・オマエもエイワスが船で言ってた事が気になってンのか」
レッサー「何か言ってましたっけ? あの人って常に意味深な発言してるからなぁ」
風斬「『我々の星の欠片を巡る旅は、今回で終わりを迎える』・・・・・・、でしたよね?」
一方通行「あァ」
エリザリーナ「そうなの? ロシアが最後の旅ということ?」
垣根「ヤツが言うにゃあそうらしいぜ。 なんかそんな気がするとか言って」
風斬「ロシアで星の欠片が見つかるかどうかはわからないけど・・・・・・みたいな
ニュアンスの事を言ってましたよね。 あの人がそういうと何だか本当にそうなりそうで・・・・・・」
ヴェント「星の欠片が見つかったらアンタらの目的は全て達成された事になるの?」
一方通行「テレビゲームで言うところの『エンディング』は迎えた事になるな。
そっから先の裏シナリオ、『エクストラエピソード』まではいかねェが」
ワシリーサ「とりあえず発見できたら安泰、といったところかしら」
一方通行「どこにあンのかは皆目見当がつかねェけどな」
風斬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」チラッ
ガブリエル「――――――――――――」ングング プッハー
599 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:24:01.19 ID:9PINPS/ho
次回予告ウソついちゃいました、ごめんなさい。
てなわけで今回はここまでです。あまり盛り上がるような場面ではありませんでしたがご容赦を。
次回も引き続き同じような話になりますが、次の投下で終わるでしょう。
今回もここまで読んでくださった読者様にビッグバン級の感謝を。
支援レスにも同じく感謝しています、ありがとうございます。
ではまた三日以内に!
600 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/07(月) 23:24:47.87 ID:9PINPS/ho
【次回予告】
『星の欠片を見つける事くらいなら何とかなるんじゃないかしらん?』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『よくわかんねえけど、ミーシャみてえな天使が精製する魔力ってのは他のと質が違うって事か』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・垣根帝督
『・・・・・・「星の欠片から漏洩している魔力の感知」・・・・・・』
―――――――――――ローマ正教、禁断の組織『神の右席』の元一員・『前方』のヴェント
『ろ、漏洩・・・・・・?』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
『俺の胸で良けりゃあ貸してやンよ』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『冗談は名前だけにしてください』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
601 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:30:21.98 ID:nCZ5RM/AO
1乙
次回も待ってる
てか、またもや一通さんフラグ建てるのか?ww
602 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:32:54.00 ID:h1llIaKO0
乙ー
夜来たり朝来たり神出鬼没過ぎてリアルタイムでなかなか見れないのに
運が良かった
ミーシャかわいい
603 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/07(月) 23:33:38.49 ID:bDtHPOsW0
遭遇しちゃって思わず初書きこみしてしまったよ!
乙でした
604 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:34:12.35 ID:rVmYARcN0
天然ジゴロッぷり、もはや上条さんをも超えて更にエスカレートしていってるな・・・
605 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:46:23.40 ID:FQuwfCGy0
何だかエンディングが見えてきて寂しくなってきたな
606 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:50:32.23 ID:P/6tnqkc0
乙
連日投稿だけど無理はなさらぬように〜
607 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/07(月) 23:56:48.13 ID:iCVB2J+jo
おつおつ
>そっから先の裏シナリオ、『エクストラエピソード』まではいかねェが」
まさか……!?
608 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 00:32:45.43 ID:umai4fuIO
あぁ、凄まじい戦力に……あとはローラさんだ
609 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 01:01:48.27 ID:SoS9x6+Z0
女に気遣いするようになった一方さんのフラグメイカーまじぱねぇ
ていうか現行:風斬ミーシャレッサーエイワス垣根 日本:打ち止め番外(初春?)
イギリス:キャーリサオルソラアンジェレネ(アニェーゼ?)
そしてロシアでヴェントに続きサーシャまで…
各所に最低二人乃至三人が一方さんのノルマなんだろうか?
610 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 02:21:31.50 ID:J2wHs/Mh0
>>609
それも全部エイワスって奴の仕業なんだ
611 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 02:26:03.29 ID:MaZ3LLFIo
>>610
なんだって!それは本当かい?
612 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 21:35:23.04 ID:zjBfQrjO0
そういや合掌でファミレスの窓ガラス全部破壊してたの思い出した
かなり変わったなミーシャ
懐かしすぎるな
613 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/08(火) 23:56:09.03 ID:Xi8xZyjr0
出会った頃のミーシャは、最強の一方さんを抱きしめて殺しそうだったし、
照れて一方さんの胸をトンッてこついて、走馬燈走らせたり、、、楽しかったんだが、、、。
最近ちょっと恋愛要員からも離れつつあるし、ミーなんとかさんになってきたね
614 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/09(水) 09:19:44.13 ID:wK6kFajEo
おはようございます、今日は朝っぱらから投下していきます。
>>613
申し訳ないです・・・・・・、増えていくキャラがキャラなだけに確かにミーシャは最近大人しめです。
しかしミーシャの見せ場はまだまだありますので(なんたってヒロインですから、多分)長い目で見ていただけたらと思います。
見せ場といっても最終章近いのですが・・・・・・
それではいきましょう
615 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:21:00.18 ID:wK6kFajEo
サーシャ「・・・・・・以上、ですか?」
一方通行「あァ、今のが『天使同盟』の活動内容と理由だ。 何か意見は?」
ヴェント「まったくもってふざけてる」
垣根「正解」ハハハ
エリザリーナ「・・・・・・少なくともこの国でしてあげられる事はないわね。
空にあると言っても地球は広すぎるし、ベツレヘムの星は探せないわ」
サーシャ「第一の私見ですが、私にはミーシャの言語は理解できませんし、」
ワシリーサ「天使の真意もわかりません、これが結論よ」
垣根「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
レッサー「手掛かりゼロですかー・・・・・・」ハフゥ
一方通行「ま、予想は出来てたけどな」
616 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:22:18.56 ID:wK6kFajEo
サーシャ「第二の私見ですが、エイワスを待って議論を交わせば新たな活路が見えてくるかもしれません」
一方通行「あいつをアテにはしねェ。 どこまで本当なのか分かりゃしねェからな」
エリザリーナ「・・・・・・・・・・・・、そういえばさっき政府の集まりに参加してた時の事なんだけど」
風斬「?」
エリザリーナ「小耳に挟んだだけだから真偽はわからないけど、学園都市が
放っている気象衛星が結構前から何らかの不具合を起こしているらしいわよ」
垣根「学園都市製っつうと・・・・・・『ひこぼしU号』か」
一方通行「ハッ、"気象衛星"ねェ・・・・・・。 笑わせる」
垣根「確かにな」
エリザリーナ「?」
617 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 09:23:08.03 ID:MfM1NJQNo
こんな時間からかwwwwww
618 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:24:10.68 ID:wK6kFajEo
ワシリーサ「でもでも、星の欠片を見つける事くらいなら何とかなるんじゃないかしらん?」
風斬「え!」
ガブリエル「――――――――――」ピク
一方通行「何?」
サーシャ「第一の質問ですが、何か方法があるのですか?」
ワシリーサ「大天使を召喚出来るほどの儀式場よ? それはもう膨大な魔力が精製された事でしょうね。
そんなものがまだ『欠片』でも残っているのなら、必ず魔術師たちに感知されるわ。
でも感知されず未だこの星を彷徨っているのはさっき話に出たとおり誰かが星の欠片を術式で隠蔽しているから」
レッサー「はい、それは私たちも把握している情報です」
ワシリーサ「でね、ここにいる魔術師たちならわかると思うけど、天使が生み出す魔力ってとても独特なのYO。
例えばね、今この世に存在する魔術師は、水属性の魔術を上手く行使出来ない状態にあるわ。
ここにいる天使が『水』を司る天使だから、彼女がその力を全部吸い取っちゃうのね。
それが大天使特有の魔力たる所以なわけなんだにゃん」
風斬「え? でも私、水の槍を使ってる魔術師を見かけましたけど、抗争の時に」
一方通行(水の槍・・・・・・? どっかで見たことがあるよォな気がすンな)
ワシリーサ「それは多分、天使との距離があまりにも離れてたせいだと思うわん。
距離が近ければ近いほど、吸い取られる量も多いのよ。
実際、あの時のヴォジャノーイの魔術はかなり弱体化していたしね」
サーシャ「第三の私見ですが、私の魔術もかなり弱体化していました」
619 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:25:26.08 ID:wK6kFajEo
垣根「よくわかんねえけど、ミーシャみてえな天使が精製する魔力ってのは他のと質が違うって事か」
ワシリーサ「はい、よく出来ました。 そういう事よ、だから星の欠片に残っている魔力も
天使のそれと同じ性質の魔力のはずよ。 魔術師ならそれは一発で嗅ぎ分けられるわ」
一方通行「魔術師じゃねェから教えろ、何が言いてェ?」
ヴェント「・・・・・・『星の欠片から漏洩している魔力の感知』・・・・・・」
風斬「ろ、漏洩・・・・・・?」
レッサー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、!!」
レッサー「ペカーン!」ヒラメイタ!
一方通行「効果音を口で言うヤツ初めて見たぞ・・・・・・」
レッサー「わかりました! 星の欠片に施され――――、」
620 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:26:09.59 ID:wK6kFajEo
エリザリーナ「星の欠片に施されている術式で星の欠片の視認、発見は出来なくても、
そこから漏れ出している天使特有の魔力までは隠蔽出来ない・・・・・・。
その魔力が漏れ出しているポイントを見つけ、その周辺を隈なく調べていけば
自ずと『ベツレヘムの星の欠片』はその姿を現す・・・・・・というわけね?」
ワシリーサ「さすがは『魔導師』エリザリーナね、花丸をあげちゃうわ」
レッサー「泣いていいですか?」
一方通行「俺の胸で良けりゃあ貸してやンよ」クケケッ
レッサー「何でそういう事が平気で言えるんですかあなたは・・・・・・///」
垣根「しっかしそんな方法があったとはな、言われてみりゃ簡単な方法じゃねえか」
621 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:27:27.39 ID:wK6kFajEo
サーシャ「第四の私見ですが、でもそれ言うのとやるのとじゃまるで難易度が違いますよね?」
ヴェント「そうね。 本体のベツレヘムの星は上空三〇〇〇メートルまで上昇してるんだから、
星の欠片もその辺、いやそれ以上の高度に存在していると見て間違いはないんじゃないかしら。
視認できないソレから漏れてる魔力の感知なんて骨が折れるなんてもんじゃない」
一方通行「なンかこォ・・・・・・ビビッと一発で感知出来るよォな魔術はねェのか?
アンテナを張る要領でよォ」
エリザリーナ「あるにはあるけど、そもそもその魔力が漏れている場所がわからないのよ」
ワシリーサ「そ、だから難易度はベリーハード以上だけど、不可能ではないってことよん♪」
風斬「で、でも・・・・・・・・・・・・」
サーシャ「?」
風斬「でも・・・・・・それで見つけられるならエイワスさんがとっくに見つけてると思うんですけど・・・・・・。
あ、いや皆さんの意見を否定するような言い方で申し訳ないんですが・・・・・・」
622 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:28:12.31 ID:wK6kFajEo
垣根「いや、お前の言うとおりだろ」
一方通行「あの野郎、やっぱ星の欠片を自分でとっくに見つけてて、
俺達がひーひー言いながら探してンのを見て楽しンでるだけかもな」
ガブリエル「―――――――――――――」モグ・・・モグ・・・
ワシリーサ「どうあれ、私たちからあなた達にプレゼント出来る情報はそれくらいよ」
ヴェント「そういうコト。 さ、帰った帰った」
一方通行「ふざけンな、悪いがしばらくはここに居させてもらうぞ?」
ヴェント「は、はぁ? なんで―――」
エリザリーナ「私は構わないわよ。 色々手伝ってほしい事もあるから」
ヴェント「―――ちょっと、何勝手な、」
エリザリーナ「私はこの国の最高責任者よ?」ニコ
ヴェント「ちぃ・・・・・・」プイ
623 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:29:24.82 ID:wK6kFajEo
――――――――――――――――――――――
風斬「ごちそうさまでした、とても美味しかったです」
ガブリエル「tmeasyys満腹aeffpjen」ゲェーップ チッチッ
エリザリーナ「はいお粗末さま。 ・・・・・・五十人分の食料を平らげた上に
器用に爪楊枝まで使うなんて、恐れ入るわね大天使は」
一方通行「ちったァ遠慮しやがれこのクソ天使・・・・・・」
垣根「ふー、食った食った」
サーシャ「ごちそうさまでした」
ワシリーサ「さぁて、食後のデザートにサーシャちゃんでもいただき、ぎゃあ!?」ゴチン
サーシャ「第五の私見ですが、冗談は名前だけにしてください」
レッサー「いやー、ロシア料理ってのも悪く無いですね」
ヴェント「ていうかもうこんな時間じゃない、いつまで喋ってたのよ私たち」
624 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:30:16.01 ID:wK6kFajEo
ワシリーサ「言われてみれば、なんだか眠くなってきちゃったわ・・・・・・」ファーア
エリザリーナ「今日のところは解散ね。 皆、ゆっくり休んでちょうだい。
何かあったら呼ぶから、その時はよろしく頼むわよ」
風斬「わかりました。 あ、私たちはどこで寝ます?」
垣根「適当でいいんじゃねえの」
エリザリーナ「空いてる部屋があったらそこを勝手に使って構わないから。
どこでもどうぞ」
一方通行「至れり尽くせりだなァ、そンな余裕あンのかよ?」
エリザリーナ「その分働いてもらうって言ったでしょ。 それじゃあ、お休みなさい」
ガブリエル「eupmsipy貴方ghjsihej」
一方通行「オマエらは先に休ンでろ。 俺ァちょっとコーヒー探してくる」ガチャ
風斬「あ、はい。 じゃあお先に・・・・・・」ガチャ
625 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:31:36.33 ID:wK6kFajEo
レッサー「あなた、船でもコーヒーばっかり飲んでましたよねぇ。
たまには違うものでも飲んだらどうです? ロシアのジュースは美味しいですよ?」
一方通行「放っとけ」
垣根「俺は先に寝てるからな。 ・・・・・・」ガチャ
サーシャ「あの・・・・・・、ミーシャ」
ガブリエル「hntcjhdy何ejesjuyd」クルッ
サーシャ「第二の質問ですが、よければ私の部屋に来ませんか? もっとあなたのお話を聞きたいです」
ガブリエル「―――――――――――――」ウーン・・・
一方通行「行けよ、せっかくのお誘いだァ。 オマエもたまには『天使同盟』から離れてみろ」
ガブリエル「bzgsngwr了解huhsibte」コクン
サーシャ「ありがとうございます」
ワシリーサ「こ、これは・・・・・・マジでサーシャ×ミーシャなのか・・・・・・!!?
これを私はどう受け止めれば・・・・・・、し、しかしサーシャちゃんが
良ければ私はそれで・・・・・・。 で、でも・・・・・・」ブツブツ
サーシャ「第六の私見ですが、気味の悪いことを言ってないでワシリーサも早く休んだらどうです?」
626 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:32:35.51 ID:wK6kFajEo
――――――――――――――――――――――
どうして、もっと楽しいお話をしないんだろう?
627 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:33:10.37 ID:wK6kFajEo
食事の時間は本当に楽しい。
それはイギリスでも学園都市でも変わらなかった。
ロシアの料理もすごく美味しかった。
でも、みんなが話している事はあまり楽しいお話じゃなかった。
シスター達との食事の時みたいに、もっと面白おかしく騒げばいいのに。
みんな、『入り口』の話ばっかり。
628 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:33:49.92 ID:wK6kFajEo
私のために真剣にお話をしている事はわかる。
『彼』もずっと、私のために国中を渡ってくれている。
他の仲間達も、そう。
でもね、いいんだよ?
もう、そんなに難しい事を考えなくていいんだよ?
もう時間は無いのだから。
629 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:34:17.75 ID:wK6kFajEo
間に合わなくなってしまったのだから。
私の我儘のせいで、時間はもう無くなってしまった。
ごめんなさい。
『クラアトの召使』の言う通りだった。
多分、みんなと遊んで回れる国はロシアが最後。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
嫌だなぁ。
まだみんなと一緒に遊んでいたいなぁ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
還りたくないよ・・・・・・。
630 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:36:13.30 ID:wK6kFajEo
――十一月某日。
このにっきもいつまでかけるだろうか。
きょう私は、ロシアのえりざりーなどくりつ (わすれた。 ごめんなさい) にきた。
ふねが国にはいってみんなおどろいてた。
ところで、ここさいきんはいそがしかったのでございます。(これはオルソラのものまね、すごく似ている)
だからこうして記録をかくのは久しぶりになる。
文字もさいしょのころと比べたらかなり書けるようになってきた。
ここにくるまでに、いっぱいトモダチが出来ました。
631 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:36:55.61 ID:wK6kFajEo
えりざりーなでもトモダチが出来ました。
えりざりーな。
サーシャ=クロイツェフ。
ワシリーサ。 この人間はおもしろい。
べんと。
人とのつながりをたくさん持っておくといい、とエイワスが言っていたのは守れています。
しょくじをいただきました、ありがとうございます。
サーシャが口をふいてくれた、どうしたんだろう?
ていとくんはうまいうまいと言いながら食べました。私のものまねです。
途中で、お話が面白くなくなりました。
632 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:37:42.56 ID:wK6kFajEo
次はもっと面白くしていく。って思ったけどもう次はない。
エイワスがひみつにしていてくれてた事が、もうほぼみんなにバレてしまいました。
アクセラレータ。アクセラレータは私の味方でいてくれるはず。
ひょうかも、ていとくんも、エイワスも、味方なはず。
だから、私があの魔術師を止めないと。
それと、なんだか悩んでいるようだけど、れっさーはとっくに私たちのトモダチ。
それが伝えられなくてざんねん。でもれっさーはもうトモダチ。
今日のところはこれでおしまい。もっとしっかり文章がかけるようにならなければ。
今日はサーシャのおへやで泊まる。色々話す。さよなら。
633 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:38:33.63 ID:wK6kFajEo
居住区のとある一室、サーシャが使用している部屋の窓からぼんやりと光が漏れていた。
「第一の質問ですが、何を書いているのですか?」
床に寝そべって何かをカリカリ書いているミーシャに声をかけるサーシャ。
するとミーシャは慌ててソレを身体で覆い隠し、ヒラヒラとした腰の布のような部分に仕舞い込んでしまった。
まさかそんなところに収納スペースがあったとは。
「あ、見てはいけないものだったでしょうか? でしたらすみません」
「kgvjsfewifg平気jkbgheosjg」
634 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:39:57.18 ID:wK6kFajEo
ミーシャは大袈裟に手を振るジェスチャーをし、謝ってきたサーシャを気遣う。
もはや普通の人間と遜色ない仕草だ。サーシャは思わずクスっと笑みを零す。
「・・・・・・、そうだ。 第二の質問ですが、こんなものがあるのですが食べてみますか?」
「――――――――――」
言って、サーシャが木材で作られた高級そうな机の引き出しから取り出したのは、一枚の薄い板状の何かだった。
「第一の私見ですが、これ、『ガム』って言うんですけど・・・・・・、確か好きでしたよね?
私の中にいた時に気に召してたような記憶があるのですが・・・・・・。
補足説明しますと、私はあまり好きではありません、合成物の塊を口に含むという行為はどうも抵抗がありまして」
「jgfweif頂戴pddncewf」
635 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:40:50.52 ID:wK6kFajEo
ミーシャはちょこんと手を出してガムを要求してきた。
サーシャがその掌にガムを乗せると、ミーシャは包み紙を外しもせずガムを口に放り込む。
紙まで食べてしまって大丈夫だろうかと思ったが、さっきの食事の時に
食器をいくつか一緒に食べていたところを見ると、包み紙くらいなら大丈夫だろうと考えることが出来た。
「第三の質問ですが、美味しいですか?」
「hkeofjcvsbb甘vochsdvbhr」
モムモムとガムを口の中で味わいながらなぜかサムズアップを決めるミーシャ。
やはり大天使として顕現している今も、ガムはお気に入りの食べ物らしい。
一方通行と出会った時期は欲することがなかったのだが、これはミーシャが段々と
元の位階へ近付いている証拠なのだろうか。それは彼女にしかわからない事だ。
636 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:42:12.18 ID:wK6kFajEo
「第二の私見ですが、すごく感情豊かになっていますね。 とても天使とは思えない・・・・・・。
これも、『天使同盟』の彼らと一緒に過ごしてきた事による影響なのでしょうか?」
それでもやはり、ミーシャと通常の会話を行うことはほぼ不可能に近いため、
このサーシャの言葉はただの独り言になってしまった。
ミーシャは口をモゴモゴ動かしながらサーシャの顔をジーッと見つめている。
「第三の私見ですが、いつもワシリーサがいつの間にか部屋の中に入っているから困っていたのですが、
あなたが一緒なら安心ですね。 ・・・・・・まぁ、別にワシリーサを本気で嫌がっているわけでは
ないのですが。 勝手にベッドに入ってきて変なことをしてこなければ別にいいんですけど・・・・・・」
ワシリーサは毎晩毎晩、あらゆる方法を使ってサーシャの部屋に侵入してはサーシャを困らせているらしい。
サーシャはワシリーサの猥褻行為について愚痴をこぼしていくが、ミーシャにそんな事言ってもしょうがないと思う。
それでもミーシャはサーシャの愚痴を黙って聞いていた。話の二割も理解出来ていないかもしれないが、
うんうんとたまに相槌をうつジェスチャーも混じえ、彼女の話を聞いていた。
なぜなら、ワシリーサの話をしている時のサーシャはとても楽しそうだったからだ。
ミーシャが望んでいた楽しいお話とは、こういう事を指すのだろう。
637 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:44:14.69 ID:wK6kFajEo
「kfewfjvmbl許可qqacgfefgbj」
「拝見させていただきます。 ・・・・・・こ、これは」
突然、ミーシャが絵を見せるからあっちを向いていろという仕草を行い、サーシャがそれに習ってから五分後、
呼ばれたのでさっそくミーシャ画伯の作品を観賞してみる事にした。
そこに描かれていたのは『天使同盟ヒストリー』と言っても過言ではない、これまでの彼らの軌跡を
描いたものだった。スケッチブック数十ページにも及ぶ超大作だ。
「第四の質問ですが、これは垣根帝督ですよね? 見たところ場所は空港のようですが・・・・・・、
なぜ垣根帝督は『大きなプレゼントボックスから顔だけを出している』という描写なのですか?」
「snadhjgg贈物sahfeifhg」
638 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:45:35.53 ID:wK6kFajEo
サーシャが見ている絵には、垣根帝督と思われる人物がプレゼント装飾された箱から顔だけ出しており、
それをエイワスが持ち上げて笑っている。一方通行らしき人物がそれを見て怒りを顕にしており、
風斬氷華であろう人物が何か困った表情を浮かべていた。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・カオスすぎる・・・・・・)
ミーシャ画伯の作品は人間であるサーシャにはちょっと理解し難いものだったが、
とりあえず楽しくてしょうがなかったんだろうなという想いはこの絵から伝わってくる。
一体どこに所持しているのか、描かれている絵は全てクレヨンによるものだった。
「次は・・・・・・、おや。 これは随分と家庭的な雰囲気の場所ですね。
頭からドリルが生えた少女や信じられないくらい目付きの悪い少女・・・・・・、
炊飯器の上に乗って坐禅を組んでいる女性と眠っている女性・・・・・・。
これはまた混沌とした状況ですが・・・・・・」
639 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:47:50.23 ID:wK6kFajEo
これは恐らく黄泉川愛穂の家に来たときの描写だろう。
頭からドリルが生えた少女は打ち止め(ラストオーダー)だと思われる、あの見事なアホ毛が
ミーシャ画伯には天元突破したドリルに見えたのだろう。
残りの目付きの悪い少女、炊飯器で坐禅を組む女、眠っている女については語るまでもない。
「次・・・・・・。 む、かなり豪華絢爛な場所になりました。 ちょっと難解ですね。
やたら豪華なドレスを着込んだ女性が沢山います・・・・・・。 おや、これは
一方通行でしょうか? なぜ彼の頭からウサギの耳が生えているかは分かりかねますが。
彼と睨み合っている女性もまるでお姫様・・・・・・、第五の質問ですが、これバッキンガム宮殿ですか?」
食事の時に彼らの大体の経緯は聞いており、イギリスのバッキンガム宮殿に行ったという話もあったはずだ。
サーシャは改めて絵を見直し、豪華な服を着ているのが全員英国の姫であることを認識した。
汗をだらだらと掻きながら呆れたような表情を浮かべている中年の男は誰だろうか。
それと、青い服を着た・・・・・・恐らくこれはゴリラだろう。なぜこの宮殿にゴリラが?とサーシャは訝しむ。
動物園から逃げてきたのがここへ迷い込んだというような事でもあったのだろうか?
640 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:49:37.61 ID:wK6kFajEo
「第四の私見ですが、王族でもお構いなしなんですね、あなた達は・。 次は・・・・・・、おお。
これは私も寄ったことがあるのでわかります、『必要悪の教会(ネセサリウス)』ですね?」
次にサーシャが見た絵には、大勢のシスターが描かれていた。
一方通行が皿でジャグリングを披露し、横にいるやたら巨乳の金髪シスターが拍手をしている。
小柄で三つ編みをしているシスターが袋のようなものを投げ飛ばしており、以上に底が高い靴を履いたシスターが
プロ野球選手の如く杖を構え、それをホームランしようとしている絵もあった。
・・・・・・隅のほうで黒髪の女侍に滅多切りにされている垣根帝督の絵があるが、何かあったのだろうか。
「これは人間には到底理解出来ない絵ですね・・・・・・。 でも、」
サーシャは柔和な笑みを浮かべながら言う。
「第五の私見ですが、本当に・・・・・・、楽しそう」
鼻歌でも歌いながら意気揚々にこの絵を描き上げているミーシャの姿が、容易に想像できた。
641 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:51:16.40 ID:wK6kFajEo
「台六の私見ですが、彼らと一緒に過ごす事はあなたにとってとても有意義なものなのですね」
「jfcdsowpd最高qoguzxvj」
ミーシャは満足そうに頷く。
「くす。 ・・・・・・、あ。 まだ沢山絵がありますね」
一通り『天使同盟ヒストリー』を見終えると、そこから先はスケッチブック一ページにつき
一人の人物が描かれていっている構成になっていた。まるで写真のアルバムのようだ。
ミーシャはその人物の特徴を上手く捉えており、世辞にも絵が上手いとは言えないが、
誰のことを描いているのかはすぐに分かる。
642 :
×→台 ○→第
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:52:56.55 ID:wK6kFajEo
「第七の私見ですが、不謹慎な話になりますけど、これを魔術結社が絡んだ美術館などに持っていけば
とてつもなく貴重な献品として扱われるでしょうね・・・・・・。 何せ本物の
大天使の視点から描かれた人間の絵なのですから」
もちろんサーシャにそんな事をする気持ちはない。あくまで例え話だ。
「・・・・・・・・・・・・? ・・・・・・、あ・・・・・・」
パラパラとスケッチブックをめくっていく内に、サーシャはある事に気がついた。
最初のうちは『天使同盟』の構成員が描かれていたが、途中からほぼ全て同じ人物の絵が続くようになっていた。
「第六の質問ですがこれ・・・・・・、残りのページは全部一方通行ですか?」
「gkerpg照pfutyudvh」
643 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:54:22.03 ID:wK6kFajEo
そう尋ねると、ミーシャは両手を頬に当てて身体をくねくねしだした。照れているのだろうか?
顔は紅潮していないし表情も相変わらずマネキンの如く無表情なので判断が難しいが、恐らくそうなのだろう。
後半の絵は一方通行の絵しか無かった。
クレヨンで描かれた事によってその絵にはより一層の暖かみが生まれている。
やたら悪者っぽく目付きの悪い描かれ方をしている一方通行の絵はとても微笑ましい。
「第八の私見ですが、これはもう恋する乙女と相違ありません。 よっぽど好きなんですね彼のことが」
「qgtiherwgnv当然dmcnbiticn」
「・・・・・・神に操られるだけの人形とも言われてる『天使』がそんな感情を持つなんて・・・・・・、
『天使同盟』は・・・・・・いや、彼は一体何者なのでしょう」
何をしたら天使がこうも変わってしまうのだろうか?一方通行という学園都市の能力者は一体何をしたのか?
第三次世界大戦が終戦した後に聞いた話だが、学園都市の能力者が今目の前にいるミーシャ=クロイツェフと
戦闘をしたらしい。これは恐らく一方通行の事だろう。
その時に何かがあったのだろうか?当事者でないサーシャにはこの程度の予想しか出来ない。
644 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 09:57:25.60 ID:wK6kFajEo
「学園都市の能力者がこうも我々魔術結社の領域に足を踏み入れ、人脈の輪を拡げていく・・・・・・。
一方通行という人物"に"惹かれているのか、一方通行という人物"が"惹かれているのか・・・・・・。
なるほど、第九の私見ですが何だか少し彼に興味が湧いてきました」
「horjodfb好敵手gvernew出現dhbpsckpmq」
「え? 第七の質問ですが、今何か言いましたか?」
「――――――――――――――」
「だ、第八の質問ですが、なぜ私を凝視してくるのですか・・・・・・?」
のっぺりとした無表情の顔が至近距離で自分の顔を凝視してくるのは恐怖でしかない。
何か失言をしてしまったのだろうかとサーシャは焦りを感じ、話題を変えることにした。
「・・・・・・第九の質問ですが、もっとお話を聞かせてくれませんか?
補足説明しますと、あなたが楽しいと思った事なら何でもいいんです」
「pgorjg了解nvgrhg」
『御使堕し(エンゼルフォール)』という摩訶不思議な偶然から出会った、人間の少女と大天使。
ミーシャが描いた絵を眺めながら、彼女たちは夜遅くまでぼんやりとした明かりが灯る部屋で談笑し合った。
そんな二人の姿は、やはり母娘にしか見えず、とても微笑ましいものだった。
どちらが母で、どちらが娘なのかはここでは語らないでおこう。
645 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 10:02:24.40 ID:wK6kFajEo
・・・・・・と思ったらちょうどいい感じでミーシャ主役の投下だったじゃないですか。
サーシャは書くの疲れるなホント・・・・・・。
てなわけで今日はここまでです。ミーシャが完全にいらんフラグ立ててますね、立てちゃいけないフラグを。
さて次回は各々の夜の過ごし方をお送りします、お楽しみに。
今回もここまで読んでくださった方に最大級の感謝と、画伯のイラストを抽選で一名の方に・・・・・・冗談です。
では、また三日以内に。ありがとうございました。
646 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/09(水) 10:03:12.31 ID:wK6kFajEo
【次回予告】
『どォしたってンだ急に。 オマエがこンな風になったらマジで病気かなンかかと思っちまうだろ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行
『ごめんなさいね・・・・・・。 ここ数日で色々な事が起こりすぎたから、
後始末に追われっぱなしだったのよ。 少し疲れてるのかしら・・・・・・』
―――――――――――エリザリーナ独立国同盟の中心的人物・エリザリーナ
647 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 10:10:23.62 ID:eMFIE4AG0
>>1
朝から乙がんがれ! かわいいよミーシャ!
648 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 10:38:32.95 ID:9z8IMCuu0
まったくこんな朝っぱらから
>>1
は投下しちゃって!プンプン
おつ!
649 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 10:55:24.86 ID:0QZWW/72o
あれれれー?フラグの臭いがプンプンするぞー
650 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 11:20:43.99 ID:b3QRqDvDO
あァ、次はエリザリーナだァ
651 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 12:30:02.04 ID:OA+po7fAO
> 一方通行が皿でジャグリングを披露し、横にいるやたら巨乳の金髪シスターが拍手をしている。
これは例のイラストまんまだよな
作・絵のクオリティの相乗効果が不覚にも涙腺に来た
こういう「もう戻らない時間を懐かしむ」系の展開弱いんだよ… 当時は笑わせてもらっただけにな
652 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 12:37:40.22 ID:oAekBF+Jo
みーしゃぁぁぁぁぁぁうわぁぁぁぁぁ
それでも天使同盟なら…天使同盟ならなんとかしてくれる!
おつ!
653 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 16:08:55.13 ID:LikJihjd0
次回「フラグ・・・・・・だろォな」風斬「ち・・・・・・くしょ・・・・・・う」
654 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/09(水) 18:46:05.36 ID:0ckN4Wwm0
>653
風斬さん落ち着いて
1「(また)フラグ……だろォな…」
ミーシャ「bkqmdtgjadl畜qlirhe生akptnegptloy」
655 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 19:19:18.55 ID:h78jmyyG0
>>653
わろたwww
656 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 20:07:27.70 ID:mNC0y2z70
こうなったら神様からの独立戦争だな。上条さん出てくるんだろうか?
657 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 21:19:15.53 ID:oAekBF+Jo
それ最後は上条さんにフラグたててフラグたてられる相思相愛フラグじゃねーか
658 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/09(水) 22:32:29.09 ID:RUA2J+gjo
乙ー
ミーシャの視点からの天使同盟の旅か……
スケッチブックと言う形で見せるっていうのはいいっすね
つか、アックアって天使の眼からは青い服を着たゴリラに見えんのかよwww
659 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/10(木) 19:03:36.76 ID:p9+YTT0IO
いかん。ロシア編になってから続きが気になってしょうがない
660 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/10(木) 21:30:20.43 ID:o7IkK9q10
/| ○ <ジョウシキハツウヨウシネェ
|/_l_
ヽ| l l│
┷┷┷
大←エイワス
ΩΩて
↑風斬とアクセラ
こういう事か
661 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/10(木) 22:07:44.94 ID:wLr+XxoXo
>>660
へーベルハウスからていとくンか・・・
662 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 00:14:47.98 ID:bRSjfv8io
一通弁当くるー?
663 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 01:59:33.25 ID:YykL5/s40
>>662
そう書くと一通さんが半額弁当取り合うような気がしてしまうのは、あのスレが好きだったからだと自己分析してみる。
664 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 08:05:03.51 ID:VCxjvaj/o
>>660
ちょっとズレてるせいで最初はよく分からなかった
665 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 09:00:55.18 ID:6OtWJryDO
っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ追いついたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
セロリたん(*´Д`)ハァハァ
666 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/11(金) 11:29:23.02 ID:jWwx/rwjo
おは・・・・・・いやもうこんにちわですね。こんにちわ
今日は昼間から投下させていただきます。
朝は朝で見てくれてる方がいると分かったのですが、さすがにこの時間帯はいませんかね・・・・・・wwww
ごめんなさい、帰ってきたら暇つぶしでいいので見てもらえたら嬉しいです。
それでは、逝きましょうか
667 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:30:58.19 ID:jWwx/rwjo
――――――――――――――――――――――
「・・・・・・・・・・・・空いてる部屋がねェじゃねェか」
一方通行は杖をつきながらエリザリーナ独立国同盟の軍事施設内を闊歩していた。
食事を終え、一旦解散となり今日のところは特にやることが無くなった一方通行は
コーヒーを飲んで小休止した後、適当に空いてる部屋を見つけ就寝するために居住区へ向かった。
しかしどこもかしこも既に民間人や怪我を負った軍人などで埋まっており、
結局居住区全ての部屋が埋まっていると悟った彼はさっきまで居た軍事施設へ戻ってきたのだ。
668 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:32:15.42 ID:jWwx/rwjo
「あり得るのかよこンな事・・・・・・、一人一部屋で使ってるわけでもねェってのによォ。
・・・・・・まさか俺達の船が突っ込ンじまった時に部屋がいくつかぶっ飛ンじまったかァ?」
その通りだった。
一方通行達『天使同盟(アライアンス)』が乗ってきた巨大豪華クルーザー『アライアンス』号が
突っ込んだ際、民間人が使用しているいくつかの居住スペースが破壊されていたのだ。
民間人の被害者が一人も出なかったのは奇跡に等しい。
しかしそうと分かれば愚痴も言っていられない。自分で撒いた種というやつだ。
もっとも、船を突っ込ませたのはあの金髪の大馬鹿野郎であって、一方通行に全ての非があるわけでもないが。
「クソったれが・・・・・・。 どっか適当な部屋に押し入ってそこで寝るしかねェなァ」
となるとまず独立国同盟の民間人の部屋は無理だろう。
いきなり船で突っ込んできた輩を部屋へ歓迎してくれるわけがないし、一方通行もその気はない。
669 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:33:23.40 ID:jWwx/rwjo
必然的に、顔見知りのいる部屋へ入れさせてもらう事になる。
「しかし誰の部屋へ行きゃァいいンだ? まずガブリエルは論外だろォ・・・・・・、
アイツのとこにゃサーシャのヤツもいるし、何よりそこで寝るとなったら何されるかわかンねェ。
というかまず女がいる部屋で寝るっつうのも気が進まねェしなァ」
しかしそれなら、残る部屋はあの男がいる部屋しかないのだが。
「垣根かァ・・・・・・、チッ。 背に腹は代えられねェってか」
垣根と二人きりになると考えただけでも吐き気を催す一方通行だったが、我儘は言っていられない。
自分の心を無理やり納得させ、垣根の部屋へ向かうために踵を返そうとした時だった。
「待てよ、さっきメシ食ったオフィスで寝ればいいンじゃね?」
別に普通の部屋じゃなくても就寝は可能だ。一方通行は人間が一人寝転がれるスペースが
あればどこでだって寝ることが出来る自信がある。
670 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:34:26.66 ID:jWwx/rwjo
そうと決まればあんなメルヘンが寄生している部屋へ向かう必要はない。
一方通行はそのまま歩を進め、やがてさきほどのオフィスルームへ到着した。
そして扉を開けると、
「あら、一方通行。 どうかしたの?」
そこには独立国同盟を結成した『聖女』、エリザリーナがパソコンとにらめっこしながら事務処理を行っていた。
「・・・・・・・・・・・・チッ」
既に先客がいたことにガッカリした一方通行は毒づき、オフィスから出ようとしたが、
「待って。 眠れないの? 良かったらここで休んでいくといいわ。
ココアを入れるから適当に座っててちょうだい」
「いや別に俺は―――」
「ココアを入れるから適当に座っててちょうだい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
問答無用とはまさにこの事。一方通行はエリザリーナを睨むが彼女は気にも留めず席を立ち、
粉末状のココアをマグカップに入れ始めた。
671 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:35:32.12 ID:jWwx/rwjo
一方通行は仕方なく好意に甘えることにした。その辺に無造作に置かれていたソファに座る。
「眠れねェっつゥか、部屋が空いてなかったンだよ」
「そう、すぐに部屋を確保すればよかったのに」
「まァいいけどよォ、自業自得みてェなとこもあるし」
「そこまで気を詰めなくてもいいのよ? 今は大切な客人として扱って―――あ、」
「! オイ」
ガタッと、ふいにエリザリーナが膝をついた。
672 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:36:32.61 ID:jWwx/rwjo
一方通行は咄嗟に立ち上がり彼女の身体を支える。
ただでさえ顔色の悪い彼女の顔が、三倍増しくらいひどくなっているようにも見える。
「どォしたってンだ急に。 オマエがこンな風になったらマジで病気かなンかかと思っちまうだろ」
「ごめんなさいね・・・・・・。 ここ数日で色々な事が起こりすぎたから、
後始末に追われっぱなしだったのよ。 少し疲れてるのかしら・・・・・・」
彼女が使用しているデスクには書類の山が二、三つ程ずらりと並べられている。
第三次世界大戦で大ダメージを負った独立国同盟に追い討ちをかけるがの如きプライベーティアの襲撃。
そしてそれにトドメをさしたのは『天使同盟』の来訪と言っても過言ではないだろう。
客人として自分たちをもてなすと言っていたエリザリーナだが、実際はそんな余裕などないはずだ。
673 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:37:33.53 ID:jWwx/rwjo
「・・・・・・悪いな。 俺がワケもわからねェ連中を連れてきちまったばっかりに」
「あら、意外ね。 前にあなたがここへ来たときはそんな風に他人を
気遣ってくれるような人には見えなかったけど」
そう言ってクスっと笑ってみせるエリザリーナ。どう見ても無理をしている。
「・・・・・・・・・・・・。 とりあえずソファに座れよ、見てらンねェ」
「ありがとう」
エリザリーナは一方通行の肩を借りてソファに腰を降ろした。
こうして至近距離で彼女の身体を見るとわかるが、本当に細身・・・・・・というにはあまりに生易しい、
痩せすぎな体つきをしている。一方通行も人のことは言えないが。
674 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 11:37:49.04 ID:uerL2wr30
662と663を見た結果一通さんの作った弁当を取り合ってる女性陣が思い浮かんだ
675 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:38:11.21 ID:jWwx/rwjo
「・・・・・・別に気ィ遣ってるワケじゃねェよ。 そンな風に見えンのか?」
「そうね、前に見た時より雰囲気が変わっているように思うわ」
「そォかよ。 ・・・・・・まァ、俺も目ェ背けて生きてくわけにゃいかなくなっちまったからなァ」
「?」
「なンでもねェ。 ココア入れてやる」
「客人にやらせるわけには・・・・・・」
「黙って座ってろクソボケ」
制止しようとする彼女を放って、一方通行は代わりにココアを入れ始めた。
確かに以前の一方通行ならあり得ない行為かもしれない。
676 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:39:35.89 ID:jWwx/rwjo
だが、彼もこれまでの旅で変わったのだ。第三次世界大戦の時とは比にならないほどに。
「・・・・・・国を背負うってのはどンな気持ちなンだ?」
「え?」
唐突な質問に思わず聞き返してしまうエリザリーナ。
「あンだけ大勢の人間を背負ってどォすンだ。 政府のやり方が気に入らなくて云々ってのはもォ聞いたが、
なンでここまでしよォと思ったのか・・・・・・、ちょっと気になってよ」
彼女は逡巡するような仕草をとったが、やがて口を開いた。
「・・・・・・そんな事聞かれたのは初めてだわ。 そうね・・・・・・、私は別にこの同盟を立ち上げる際に
大勢の人間を背負うなんて考え方はしなかったわ。 ただやれる事を、自分で出来ることを全てやってみようって、
そう思って行動に移ったらいつの間にかエリザリーナ独立国同盟なんて大それた同盟が出来てただけよ。
もちろん『魔導師』としての役目を果たすって意味もあったけど・・・・・・そこまで深く思いつめてはいないわ」
「・・・・・・そンなモンか。 ほらよ」
「ん、ありがとう」
一方通行はココアを入れたマグカップをエリザリーナに手渡し、彼女の隣に腰掛ける。
677 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:40:37.80 ID:jWwx/rwjo
「あなただってそうなんじゃないの? 『天使同盟(アライアンス)』・・・・・・だったわよね。
あなたはあの天使の事を背負ってあげようと考えてこの同盟を立ち上げたのかしら?」
「俺の場合は立ち上げたつもりすらねェよ。 ただちょっとした冗談で『天使同盟』だな、
みたいな事言ったら風斬とガブリエルが本気にしちまいやがってよォ・・・・・・」
「どうしてそんな事を言ったの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 別に、ただあいつらはこの世に、人間どもが蔓延るこの世に
居場所がねェとか、そんな事を言ってたからよ。 だったら俺がその居場所を作ってやるって事で
『天使同盟』なンて適当もいいとこな思いつきを発言しただけだ」
「そういう事よ。 私も同じ、路頭に迷っている人々に居場所を与えたかったから・・・・・・。
だから結成したの、この同盟をね」
678 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:41:53.57 ID:jWwx/rwjo
思えばこの二人は、同じ境遇、同じ立場だ。
『同盟』という名で組織を立ち上げ、活動している人間。
一方通行は当初、というか今でも『天使同盟』を組織などとは思っていないが、
エイワスの助力(?)も手伝い、今や立派な大組織に成り上がっている。
「同じったって規模が全然違うじゃねェか、俺ンとこは少数だが、オマエのはもう国だ。
『天使同盟』はそンなでけェモンじゃねェからなァ」
「あら、同盟に規模も何も無いわ。 学校のクラスメート二人が何らかの目的、理想の
一致で協力したり共に歩むことを決めたらその時点でそれも立派な同盟なのよ?」
「けっ、そォかよ」
「それに規模の話をしたら、あなた達の方が遙かに巨大じゃない。 何せ本物の大天使だもの、
あなたはこの地球という星と、ミーシャがいるであろう天界をも背負ってると言っていいわ」
「シャレにならねェ冗談はやめろ」
679 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:42:40.00 ID:jWwx/rwjo
「今のはロシアンジョークでも何でもなく、事実を述べたまでよ。
あなた、その自覚があって?」
「星とか天界なンざクソ食らえだ。 俺ァあいつらがいればそれでいいンだ」
「あら、まぁ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・。 チッ・・・・・・」
小っ恥ずかしさを払拭するように一方通行は熱々のココアをグイッと飲み、その熱さに吹き出しそうになった。
『あいつらがいればそれでいい』。つまり彼が望んでいるのは現状維持だ。
さっきの食事の時もベツレヘムの星の欠片についての情報を聞き出そうとしていたが、
有力な情報が手に入らなくても一方通行、及び『天使同盟』の面々は落胆した様子はあまり見られなかったように思う。
680 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:43:29.41 ID:jWwx/rwjo
エイワスが言っていた、星の欠片を巡る旅はこれで終わるだろうというのはこの事を言っていたのかもしれない。
もうこれ以上の情報収集は行わず、あとは学園都市へ帰り天使を交えた騒がしい日常を過ごしていく。
一方通行はそう考えるだろうと予測してのエイワスの発言だったのではないだろうか。
もしそうなら、エイワスの予言は見事に的中したことになるが、結果はまだ分からない。
分かっているのは、大天使である彼女だけ。
「大変? 辛い? こんな同盟を立ち上げて後悔したことはある?」
「大変なンてモンじゃねェし死ぬほど辛いし、後悔なら現在進行形でしてるってンだ。
だが・・・・・・、もうやめよォとは、不思議と思わねェンだよなァ・・・・・・。
俺の頭も大概イカレちまったのかもな」
「でしょうね、あなたを見てるとそんな感じだわ。 なんだかんだで楽しそうにしてるもの」
「いちいち人の機嫌を窺ってンじゃねェよ」
「私も、あなたみたいに強かったら・・・・・・・・・・・・、・・・・・・」
「・・・・・・?」
エリザリーナの方を見ると、彼女は明らかに表情が沈んでいた。
俯き、マグカップを握り締め、その目は虚空を見つめているようで、『聖女』としての覇気が感じられない。
681 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:44:23.73 ID:jWwx/rwjo
「・・・・・・・・・・・・オマエ本当に大丈夫か? もうさっさと寝た方がいいンじゃねェか」
「寝てなんかいられないわよ。 まだまだやることは沢山あるんだから・・・・・・」
そうは言っても彼女の様子をみる限りでは、とてもこの後仕事が出来るコンディションとは思えない。
このまま仕事を続けたら今度こそ倒れて病院行きになりそうな雰囲気だ。
「強がってンじゃねェよ。 放っといたら自殺でもしかねねェ雰囲気だぞオマエ」
「強がらなきゃいけない立場なのよ・・・・・・、先導者の私がもたついてたら、民間人に不安を植えつけてしまうわ」
「今のオマエの姿を民間人が見ても結局同じことだ、そンな事にまで頭が回らなくなってンのか」
682 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:45:02.20 ID:jWwx/rwjo
とりあえず彼女の体調を回復させようとした一方通行は立ち上がり、エリザリーナに自分のジャケットを
羽織らせる。今にして気づいたがこの部屋は暖房機器が無い、どうりで自分がココアを飲むペースが速いと思った。
「ちょっと待ってろ」
そう言って一方通行はひとまずオフィスを出て行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらくすると一方通行は何かを持ってオフィスに戻ってきた。
683 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:45:46.50 ID:jWwx/rwjo
「それは・・・・・・」
「ファンヒーターだ、垣根の部屋からかっぱらって来た」
いきなり自分の部屋に入ってきた一方通行を見て、垣根は慌てて何かを隠していた気がする。
机の上で何かを書いていたようだが一方通行がさして気にしなかった。
ちなみに垣根の部屋にはヴェントの部屋にあったような暖炉が無かった。
まぁ彼なら自身の能力で寒さを防げるだろうと一方通行は適当に考え、許可もなしにファンヒーターを持っていった。
一方通行はコンセントの穴を見つけるとそこにコードを差し込み、ちょうどいい具合の温風が来るように
エリザリーナとファンヒーターの距離を調節してテキパキと準備をしていった。
自分たちがあの船で突っ込んだ時に電線なんかがやられているんじゃないかと一瞬頭をよぎったが、
居住区のあちこちで電気の光が漏れているところを見るとその心配はないらしい。
このオフィスだって電気やパソコンが付いているのだ。
684 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:46:42.58 ID:jWwx/rwjo
ファンヒーターのスイッチを入れると、一分もしないうちに人工的で温かい風が出てきた。
「この部屋寒すぎンだろォ、これで暖まっとけ」
「・・・・・・・・・・・・あなたって世話焼きなのね」
第三次世界大戦の時、少ししかここにいなかった打ち止め(ラストオーダー)の安否を
いちいち確認してくれた彼女には言われたくないと思った。
「トップだからって張り切るのもいいけどよォ、時には休まねェといけねェって事くらい分かるだろォが」
「・・・・・・・・・・・・そうね。 でも、」
「強くなりたいとかそんなくだらねェ事考えなくていいンだよ。
オマエはオマエだろォが。 強くならなくてもオマエにゃ大勢の人間が着いてきてる。
それは俺も持ってねェ、オマエだけが持ってるモンなンだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
確かに自分は心も身体も弱いが、それでも着いてきてくれる人はいる。
自分でもそれは分かっていた、だから今日まで頑張ってこれたのだが、改めて言われると
それが更に重荷となりのしかかってくるような気がする。
「・・・・・・分かったわ、今日のところはもう休む。 でも、・・・・・・・・・・・・、
こうして少しでも間を空けると、途端に張っていた糸が切れる気がして
どっと力が抜けちゃうのよ・・・・・・」
「どンだけ根詰めてンだよ。 マジで死ンじまうぞ」
一方通行はドカッとソファに座り込み、深くため息をついた。
685 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:48:14.67 ID:jWwx/rwjo
「あなたは姉さんとは全く逆の事を言うのね」
「あ? 姉さン?」
「『傾国の女』とも呼ばれている・・・・・・、フランス国家の軍師よ。 私の姉。
姉さんは血反吐を撒いてでも国を率いていかなければいけない、それが国を背負うということだと
考えているけど、あなたは逆。 端から冷静に見ているからそんな事を言えるのかも知れないけど」
フランス国家の首脳、または軍師とである彼女は、『傾国の女』と呼ばれている。
エリザリーナの姉であり、第三次世界大戦では第二王女のキャーリサとともにミーシャ=クロイツェフへ
デュランダルを片手に応戦した。
「休んでいろだなんて・・・・・・、そんな事言われたのいつ以来かしらね」
「民間人のヤツらだって言わねェだけでそう思ってるに決まってる。
俺だって他人だからこンな事言ってるワケじゃねェよ」
686 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:49:19.79 ID:jWwx/rwjo
「あら、私の事を想って言ってくれているのかしら?」
「・・・・・・・・・・・・だったらなンだ」
「優しいのね」
「こンなのが優しさだってんなら、世の中は善人で溢れかえってる」
だとしたら一方通行にとって『優しさ』とは何なのだろうか。
ミーシャや風斬に居場所を与えたことは、彼にとっては優しさではないのだろうか。
かつては殺しあった間柄の垣根帝督を受け入れたことは、優しさではなく何なのだろうか。
妹達(シスターズ)は?打ち止めは?番外個体は?義務?責務?気紛れ?
独立国同盟でヴェントが抱く闇を一緒に支えることを約束した事も優しさからではないのなら、同情か?
今もこうしてエリザリーナの身体をいたわっている事実も優しさではないのなら、
彼が思い描いている優しさとは、一体―――――。
687 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:50:37.95 ID:jWwx/rwjo
「・・・・・・優しいわよ。 そこまでされると、私だってたまには人に・・・・・・甘えたくなる――」
「自分に正直になって生きればいいじゃねェか。 自分にまで嘘つく必要はねェンだ」
「そうね。 じゃあ、ちょっとだけ・・・・・・、いい?」
「はいはいどォぞ」
エリザリーナは身体を傾け、隣に座っている一方通行の肩にコテン、と頭を預けた。
身を粉にして独立国同盟の人々のために頑張ってきた、戦ってきた。
そうしなければいけない、先導者とは、『聖女』とは、『魔導師』とは、そうあるべきである。
そう考えて生きてきたエリザリーナに、この一方通行というまるで違う領域で生きている男は
自分に正直になれという。
だったら今のこの状態が嫌だとは言わせない。
688 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:51:17.43 ID:jWwx/rwjo
「・・・・・・少しでいいわ、このまま休ませてくれないかしら?」
「・・・・・・・・・・・・好きにしろ」
「・・・・・・それとあの時、あなたに独立国同盟の危機を救ってくれた事に対して礼を言ってなかったわね。
助かったわ、ありがとう」
「なンの話だ」
「忘れているのならそれでもいいわ、私が勝手に礼を言っているだけだもの」
静寂がオフィスを包んでいく。
聞こえてくるのはパソコンからわずかに漏れている起動音だけだ。
「・・・・・・・・・・・・こんな風に人に身体を預けるのも随分久々だわ。
こんなにも気持ちが良いものなのね」
「その相手が俺だってンだからなァ。 いい気分とは言えねェだろ」
「そんな事無いわ、あなたって・・・・・・不思議と落ち着く。 ・・・・・・・・・・・・、
ねぇ、もしかしてあなた、他の女性にもこうしてあげてたりするのかしら?」
689 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 11:52:05.78 ID:jWwx/rwjo
「?」
「そうだとしたら、あなたは罪深い男だわ。 いつか刺されて殺されるわよ?」
「何言ってンのかよくわかンねェが、この俺が刺されて殺されるよォな間抜けに見えンのか?」
見えます。
「くす・・・・・・、鈍い人」
「ま、た、それか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ピクピクとこめかみを震わせて表情を険しくする一方通行。もう認めろ。
「細身の女は好みじゃないかしら?」
「あ? なンだ急に」
「何でもないわ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・」
しばらくすると、彼女の方から静かな寝息が聞こえてきた。
よほど披露が溜まっていたのだろう、少しくらい動かしても全く目が覚めそうにない。
・・・・・・・・・・・・。
いや、『少しくらい動かしても全く目が覚めそうにない』に他意は無いのであしからず。
690 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 12:00:08.58 ID:jWwx/rwjo
Q.このスレでロシア編終わる?
A.無理・・・・・・だろォな
Q.このスレでスレッドタイトル回収出来る?
A.無理・・・・・・だろォな 垣根「ち・・・・・・くしょ・・・・・・う」
垣根クンマジでごめんなさい、このスレでロシア編終わらないどころかスレタイ回収すら無理かも・・・・・・
こんな計画性のない
>>1
で本当に申し訳ないです、頭が上がりません。
それでもここまで読んでくださった読者様には、真剣に感謝しています。
ではまた三日以内に。次回は風斬が意外な人物と戦いを・・・・・・?
691 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/11(金) 12:00:36.97 ID:jWwx/rwjo
【次回予告】
『・・・・・・ん!? ルーン文字がいらねえ札とかもあんのか!?
ふざけんなエイワスの野郎!! そんな大事な情報を「袋とじ」にしてんじゃねえよ!!』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・垣根帝督
『風斬かマセガキか、ヴェントの部屋か・・・・・・・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『す、すみませ〜ん。 ドアが開いてますよ〜・・・・・・って、えぇーっ!?』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
692 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 12:04:10.80 ID:fwbDx346o
>>1
が書くとすべてのキャラが魅力的になって困る
続きが気になるけど終わってもらいたくない…
乙!
693 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 12:11:42.31 ID:zz7UIjuDO
乙
久々にリアルタイムで見たわ
694 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 12:22:04.65 ID:aaUftKAs0
>>1
乙!
695 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 12:28:05.41 ID:ce7NBl7eo
乙
袋綴じwwww
696 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 12:32:42.80 ID:YmOtaruNo
乙!
一通さんもげろ
697 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 15:09:53.03 ID:t9xDiQUf0
乙乙。
一通さんが次のフラグをお探しのようで、、。風斬、レッサー、ヴェントの部屋の3択か?
698 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 15:48:11.09 ID:iPkKi9BDO
僕は細身の女性好きですよ。
エリザリーナさんチュッチュッ。
699 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 16:55:24.51 ID:XyFssISIO
ああ、また戦力増強だ……
700 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 22:59:42.16 ID:AUAaEiQAO
イギリスではキャーリサと清教攻略して来た
これであとワシ様にもフラグ立てればロシアでも最強戦力を確保したことになるな
701 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/11(金) 23:01:30.38 ID:6Ufd4k0+0
「人が来るとあわてて隠す」「袋とじ」
このキーワードから導き出される答えは…ひとつ!
702 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 00:04:53.20 ID:ni11xb9Ho
超能力者と言っても、ていとくんも男だもんな
そんな本読んでても仕方ない
703 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 04:50:36.20 ID:U/Y/ggtIO
エイワス「らめえええぇこれ以上増えたら攻略シミュが追いつかないよおおおぉぉ」
704 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 08:25:21.70 ID:iZmWrcAio
>>701
かいてた訳だな
ナニをとは言わんが
乙
705 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 11:12:14.47 ID:uvjcplCDO
そろそろ
>>1
は魔法少女リリカルドラコのスレを建ててもイインジャナイカナ(チラッ
久しぶりに見直したらエイワスデート編爆笑した
706 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 12:40:47.32 ID:Wpvz2dhCo
ここのSSの一方さんを主人公にした恋愛アドベンチャーができたら、
攻略本が凄いぶ厚くなりそう
707 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 12:59:21.15 ID:e5x2ciUQo
著:エイワス か、魔術要素がありそうだな
708 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 14:30:27.74 ID:tuJXUruSO
原典が市場に周り廃人が量産される訳ですな
709 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/12(土) 16:17:45.38 ID:xjhswNKL0
テクパトル「ふむふむ、これも武器として配布するか」
710 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/13(日) 02:32:45.02 ID:D0FSw57ao
こんばんわ、今日は深夜に投下ということでよろしくお願いします。
>>706
誰が得するんですかそれ・・・・・・、検討しておきますwwww
では、行きますね
711 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:34:09.89 ID:D0FSw57ao
――――――――――――――――――――――
「くっそ、一方通行の野郎・・・・・・ふざけた真似しやがって・・・・・・」
垣根帝督は居住区のとある一室を使用していた。
適当に空き部屋を探していたら運良く一発で見つかったのだ。
そんな垣根の部屋には現在、暖房機器が一切存在しない。
氷点下を軽く突き抜けるこのロシアの地で暖もとらずに部屋で過ごすとは正気の沙汰ではないと思うだろうが、
これにはわけがある。
「あの野郎何だってんだ、いきなり部屋に入ってきたかと思ったらファンヒーターパクっていきやがって・・・・・・」
垣根が机に向かい、ある作業に没頭していると突如として一方通行が部屋に押し入ってきたのだ。
その作業を他人に見られたくなかった垣根は心臓が口から飛び出るのではないかというほど驚いた。
712 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:34:58.18 ID:D0FSw57ao
必死で机の上にある『ソレ』を隠すが、一方通行は見向きもせず、
『これ持ってくからな、答えは聞いてねェ』
と、どこかのイマジンみたいなセリフを吐き、ファンヒーターを持って出ていってしまった。
「ちくしょう・・・・・・・・・・・・」
というわけで、現在垣根の部屋には暖房機器が無いという事だ。
しかしそれでは寒すぎて作業に集中出来ないため、彼は自らの能力『未元物質(ダークマター)』の白い無機質な翼を
身体に纏い、寒気を遮断していた。なんともシュールな光景である。
713 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:35:37.43 ID:D0FSw57ao
だが一方通行にファンヒーターを盗られた事について垣根はあまり追求しなかった。
彼は今、そんな事にかまけている暇は無いのだ。
「・・・・・・えーと、ここのルーン文字は・・・・・・、・・・・・・これか。
チッ、ワシリーサのヤツ、あとは自分で修正しろだと・・・・・・ふざけやがって」
垣根は食事の前に行っていた自作の『ルーン』の札の修正作業を行っていた。
食事が終わった際、密かにワシリーサに修正作業の手伝いをお願いしたのだが、
『その程度も自分一人で出来なければ魔術なんて使えないわよん♪
ちゃんと出来たらお姉さんのところに持っておいで、垣根の坊や』
と言われ、断られたのだ。
714 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:37:04.45 ID:D0FSw57ao
「・・・・・・まぁあの女の言う事にも納得できるが、あぁークソ面倒だなこれ!!
あ、ここ間違ってるじゃねえか。 ・・・・・・ん!? ルーン文字がいらねえ札とかもあんのか!?
ふざけんなエイワスの野郎!! そんな大事な情報を袋とじにしてんじゃねえよ!!」
垣根はエイワスから貰った専用魔道書――魔導書という言い方も大袈裟だが――、『冷蔵庫でも分かる、魔術の使い方講座』の
中間部分にあった袋とじをハサミでチョキチョキと切り、中身を見て激昂した。
ちなみにこの本、最後のページにも袋とじがあり、そこには数枚の美しいルーンの札が入っていた。
完全に某カードゲームのヴァリュアブルブックのノリである。
心を落ち着かせ、白熱電灯が照らす机に向かい続きを行う。
カリカリ、カリカリとひたすら無言で書き続けていく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何やってんだろうな俺は。
垣根は一心不乱にルーンを作り続ける自分を客観的に見る。
確かにこうして魔術で使用するアイテムを作るという行為は、学園都市の能力者には無縁だろう。
ましてや垣根帝督は学園都市の超能力者(レベル5)の第二位に君臨する男だ。
『未元物質』という反則的な能力を持っている彼に魔術など不要と言ってもいいだろう。
715 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:38:23.12 ID:D0FSw57ao
しかし、垣根は作り続ける。
「・・・・・・・・・・・・科学の領域で留まってるだけじゃダメなんだ。 カテゴリは拡げていかなきゃなんねえ。
知っちまったんだ、魔術ってヤツを。 見ちまったんだ、魔術ってヤツを。
こんなもん知っちまったら、もう後には引けねえだろうが・・・・・・・・・・・・!」
脳だけで生きていた状態の自分を無理やり復活させたエイワス。
そして『天使同盟』という理解不能の組織に出会い、気付けば自分もそれに加わっていた。
その時点で魔術についての話は聞いていた。最初は半信半疑だったが、あの時から既に惹かれつつあったのかもしれない。
716 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:39:33.83 ID:D0FSw57ao
エイワスに頼み、魔術のノウハウが書かれた本を受け取った。
そこからは山の斜面を転がるが如くだ。
暇さえあればルーンを作っていた。皆が寝静まったとき、タイミング良く一人になれた時。
間違いがないかどうか逐一確認しながら一生懸命作っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
魔術にのめり込み始めた理由は三つある。
一つは、単なる予感。これから先、自身の能力だけでは太刀打ち出来ない何かが待っているかも知れないという
漠然とした、しかしどこか確信めいた予感。
一つは、一方通行の存在。彼は魔術を用いて打ち止めを救った。その話を聞いて垣根の魔術に対する執着が
更に加速していった。ある意味、一番垣根を魔術にかき立てているのは一方通行なのかもしれない。
垣根の前にはいつも一方通行の背中があった。第二位の『未元物質』では第一位の『一方通行』には敵わない。
ならば魔術で一方通行を超えようと思ったが、それも既に先を越されていた。
どんな時でも立ちふさがる彼に、垣根は単純な悔しさを胸に秘めていた。
717 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:40:15.17 ID:D0FSw57ao
「あんなクソ野郎が使えるんだ・・・・・・、アイツに出来て俺に出来ねえわけがねえ。
『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』とは違う、これなら俺にだって使えるんだ」
能力者が魔術を使えば身体に過負荷がかかり命を落とす危険がある事は承知している。
宗教防壁という術式を使用しないと、使用するたびに宗教毒で精神を蝕まれてしまう可能性があると
エイワスが渡してきた本には書いてあるが、そんなのは知った事ではない。
垣根はやると言ったらやるのだ。子どもっぽいとか、頑固者とか思われようが構わずにやる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そしてもう一つ。垣根帝督が魔術に固執する理由、魔術にのめり込む理由は。
「・・・・・・ここはもうちょっと丁寧に書いたほうがいいのかな。 省略しても問題ねえと
ワシリーサは言ってたが・・・・・・。 もう少し工夫してみるか。
明日、ワシリーサとサーシャにその辺りについて聞いてみよう・・・・・・・・・・・・」
単純に、魔術という世界が楽しかったからだ。
718 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:41:22.49 ID:D0FSw57ao
全く体感したことの無い新たな領域へ足を踏み入れるというのは気持ちが高揚するというものである。
どれだけ手順が面倒でも垣根が作業を継続していられるのも、その何とも言えない楽しさがあるからだろう。
と、
「あん? 何だこりゃ・・・・・・」
冷蔵庫に白い翼が生えて飛んでいるというふざけきったカラーイラストが描かれたカバーを
何の気なしに取り外してみると、表と裏表紙にびっしりと小さな文字が並んでいた。
軽く流し読みしてみると、どうやらそれは『とある魔術』に関する情報のようだ。
最後に、この本の著者から垣根宛へメッセージが書かれていた。
719 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:43:10.90 ID:D0FSw57ao
『こんなところにまで目を通すとは、君の知的好奇心と魔術に対する執着心には感服するよ。
ここに書かれているのは、とある魔術の使用方法だ。 しかし、この魔術は非常に強力で
極めて危険な魔術であり、能力者である君がこれを使用すれば、ほぼ間違いなく死に至るだろう。
それでも興味本位でこの魔術がどういうものなのか、行使はしないもののどのような魔術なのか、
知識として蓄えておきたいというのなら私に声をかけたまえ。 この魔術についての説明をしよう。
その時、魔術に惹かれた君がこの魔術を行使せず我慢できる保証はないがね。
―――――Draco=Aiwass』
「・・・・・・とある魔術、だと? どういうもんなんだよ」
メッセージを読み終えた垣根が改めて裏表紙に書かれている『とある魔術』の説明を読む。
それは―――――――。
720 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:44:15.46 ID:D0FSw57ao
――――――――――――――――――――――
すやすやと眠っているエリザリーナをそっとソファに寝かせ、毛布をかけた一方通行はオフィスを出た。
さすがにこんな無防備な女性の横で眠りにつけるほど一方通行は図太くはないらしい。
「・・・・・・もう廊下で寝ちまうか」
そうも考えたがさすがにロシア連邦、建物の中とはいえ廊下で眠ってしまったらそのまま目が覚めなくなりそうな寒さだ。
試しに床に寝っ転がってみるが、あまりにも冷たくて素っ頓狂な声をあげて飛び上がってしまった。
この男は一人で何をやっているのだろう。
独立国に突っ込んだ『アライアンス』号の部屋で休もうとも考えたが、あの様子じゃ船内は無事とは思えなかった。
建造物の瓦礫が山のように甲板に崩れてきており、中に入ろうにもラウンジへの入り口はその瓦礫で埋まってしまっている。
それにここの民間人の居住スペースをぶち壊した船でのんびりと睡眠をする気にもなれない。
721 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:45:37.87 ID:D0FSw57ao
サーシャはミーシャと共に同じ部屋で過ごしているだろうから入りにくい。
ワシリーサは今日会ったばかりな上に、あんな性格じゃ何をされるか分かったものではない。
サーシャにしか興味がないというような事は言っているが、それでも部屋を訪れる気にはなれなかった。
エリザリーナはさっき先程も述べたとおりの理由で却下。
垣根帝督はあんな事をした後では部屋に入れてくれないだろう。何かを隠していたようにも見えたし、
今は一人にしておいたほうが良さそうだ。
独立国同盟の民間人に頼み込んで部屋に入れてもらおうかとも考えたが、
船で突撃してきた自分を――正確には一方通行ではないが――歓迎してくれるとも思えない。
トイレはさすがに気が進まないので大浴場でもあればそこで夜を明かそうとも考えたが、
いざ行ってみると抗争で傷を負った患者たちでいっぱいだった。
船が破壊していった場所に病室も含まれていたらしい。
722 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:46:16.94 ID:D0FSw57ao
「ちくしょうが・・・・・・エイワスの野郎、やっぱ一辺ぶち殺さなきゃダメだアイツは」
さて、そうなると残る選択肢は三つだ。
「風斬かレッサーか、ヴェントの部屋か・・・・・・・・・・・・」
外から吹いてきた風に身を震わせる一方通行。氷で出来た手で撫でられたかのような冷たさだ。
風斬氷華。レッサー。『前方』のヴェント。
どれも女性であるが、もはや我儘を言っていられる状況ではない。
早いところ身体を暖めないと本気で風邪を引いてしまいかねない寒さだった。
「誰にすっかな・・・・・・、どいつもこいつもすンなり入れてくれるよォなキャラじゃねェだろ・・・・・・」
こうして選択肢があるだけでもありがたいとは思えないのだろうかこの男は。
「チッ・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・」
やがて考えをまとめた一方通行はカツンと床に杖をつき、軍事施設を後にした。
723 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:47:34.95 ID:D0FSw57ao
――――――――――――――――――――――
風斬氷華はエリザリーナ独立国同盟の居住区にいた。
「じゃあこれ、本当に貰ってもいいんですか?」
「ああ、持って行きな。 こっちにゃまだストックは沢山残ってんだ」
「ありがとうございます!」
彼女は居住区の外で独立国同盟の民間人から大量のコーヒーを貰っていた。
何か温かい飲み物が欲しいと思った風斬は外に出てコーヒーか紅茶でも売ってないかと
探し回っていたのだ。彼女に温かい飲み物が必要なのかどうかについて語るのは野暮だろう。
724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 02:48:16.23 ID:uu4xITSjo
どいつもこいつもすンなり入れさせてくれそォだと思うンだが
725 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:48:25.78 ID:D0FSw57ao
そこへ独立国同盟の民間人、男女数人が集まってきてありがたい事に粉末状のコーヒーを
わざわざビン詰めにしてプレゼントしてくれたのだ。
「あんたにゃウチの兵士達が世話になってるからなぁ。 聞いたぜ? 治療を手伝ってくれたんだろ?
噂はあっという間に広まっててさ。 あんた、兵士たちの間じゃかなり評判良かったぞ?」
と、二十代後半くらいの民間人の男はいたずらっぽく笑いながら言う。
「あ、いえ、そんな・・・・・・、お役に立てて光栄です」
「礼儀が正しいのねぇ、今時居ないよこんな子。 アンタも見習いな!」
「この子は女の子じゃねぇか・・・・・・俺が見習ってどうすん―――、いてて! つねんなよっ!」
隣にいるのは恐らくこの男の母親だろう。風斬に柔和な笑みを見せた六十代くらいの女性は
男の太ももを強くつねり折檻した。その光景に思わずクスっと笑ってしまう。
726 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:49:53.05 ID:D0FSw57ao
「じゃあ私はこれで。 コーヒー、本当にありがとうございました!」
「ゆっくり休みなさいねぇ〜」
男の母親は再び柔和な笑みを浮かべ風斬に手を振って見送ってくれた。
(みんな優しい人でよかったぁ・・・・・・、船の件で恨まれてるかと思っちゃったけど、
こんなに沢山飲み物もくれて・・・・・・。 来てよかったかな、ロシア)
風斬だけなぜか白い息が出ていないことに若干不思議がっていた民間人達だが、
それでも自分を暖かく受け入れてくれた事に喜びを隠せない。
居住区で確保――――風斬の場合はこの辺に住んでいる民間人が提供してくれたのだが――――した部屋が見えてきた。
そこで彼女はふと自分の部屋の隣へ目をやる。
727 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:50:38.01 ID:D0FSw57ao
「うん?」
隣の部屋のドアがほんの少しだけ開いていたのだ。
独立国同盟の居住区は全てが『風除室』となっており、扉が二重で構成されている。
だが風斬が見ているその部屋はガラス製の扉も内側の木製の扉も両方開いていたのだ。
(あれじゃ冷たい風が入っちゃうんじゃ・・・・・・、言ってあげないと)
雪で足を滑らせない様に気をつけながらトテトテと歩を進める風斬。
左手に持っているコーヒー入りの瓶が入ったビニール袋がガサガサと揺れる。
「す、すみませ〜ん。 ドアが開いてますよ〜・・・・・・って、えぇーっ!?」
思わず声をあげてしまい咄嗟に口を押さえる。
その部屋には、
「え・・・・・・・・・・・・、エイワスさん?」
『天使同盟』のジェネラルマネージャーにして世界最強の疫病神、エイワスが爆睡していた。
728 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:51:54.35 ID:D0FSw57ao
(い、いつの間に帰ってきてたんだろ・・・・・・、ていうかもしかして寝てる!?)
エイワスが寝ている。
エイワスを知らない者がそれを聞いても『だからどうした』と思うだろう。
人間であれ動物であれ、生物には基本的に睡眠欲というものがある。
そのエイワスだって時には眠ることもあるだろう、とエイワスを知らない者なら誰でもそう思うだろう。
しかし、結論から言うとこれは異常事態だ。『あのエイワス』が就寝している。
これを『天使同盟』の構成員に聞かせたら驚愕では済まないリアクションをしてくれるだろう。
ついにくたばったかと歓喜さえするかもしれない。酷い話だが。
729 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 02:51:56.55 ID:6wWdZ2CDO
こんな時間に……支援
730 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:53:23.67 ID:D0FSw57ao
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・し、失礼しま〜す」
ともあれ、このままでは室内が冷えてしまうと思った風斬は小声で断り、
エイワスが使用している部屋へと入っていった。
(・・・・・・本当に寝てるのかな。 何かの罠だって可能性も十分にあるわけで・・・・・・、
というかその方がむしろ自然というかそうじゃなければ不自然というか不気味というか・・・・・・)
散々な事を言いながら抜き足差し足忍び足で室内に入る。
だが風斬の言う事ももっともで、こうして無事に部屋へ入ることが出来た事が既にエイワスらしくない。
エイワスがただそこにいるだけで何かが起きているのがこの世の摂理なのだ。
大女優も裸足で逃げ出す洗練された『寝たフリ』をかましている可能性だって否定出来ない。
いや、この場合はエイワスが寝たフリをしているという前提を置いて行動するのが自然、常識である。
(・・・・・・・・・・・・室内に変わった様子は無し。 でもエイワスさん、絶対寝たフリだよねこれ・・・・・・。
見た感じは本当に寝ているようにしか見えないけど、あのエイワスさんだもん。
こんな隙だらけで無防備な姿を晒すわけないし・・・・・・。 あ、寝顔すっごい綺麗・・・・・・)
731 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:54:20.07 ID:D0FSw57ao
エイワスの寝姿はまさに明眸皓歯、眉目秀麗。『美しい』以上の表現が必要なのだが言葉が見当たらない。
それくらいに整った姿だった。
ぼんやりと金色に輝く全身。衣服なのか肉体の一部なのかも分からない、見た目はシルクの数千倍は
手触りが良さそうな服。頭からミルキーウェイのように流れる金髪は、少しエイワスの顔にかかっており、
それがまた端麗さと妖艶さを兼ね備えている。
この姿を一枚の絵に描き起こしたら、それだけでルーヴル美術館とメトロポリタン美術館が
その絵を巡って戦争を起こしかねない。レオナルド・ダ・ヴィンチがこのエイワスを目にしていたら
モナ・リザなど放ったらかしで筆を振るっただろう。
そこまで言えるほどに、とにかく睡眠しているエイワスは綺麗だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ」
つい見惚れてしまっていた風斬が正気に戻る。
もしかしたら自分の姿に見惚れてボーッとしている風斬を観察し、愉しんでいるかもしれない。
エイワスはそういうくだらない事に全力を尽くす存在だ、いつの間にか掌で踊らされているのだ。
(ここにいたらされるがままだ・・・・・・、布団をかける必要もないだろうし、
邪魔しちゃいけないから早いとこ自分の部屋に戻ろう)
懸命な判断だ。広いとは言いがたい室内でエイワスと二人きりという状況が
どれだけ危険で魅了的な雰囲気に包まれているか、早く気付いて何よりだ。
732 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:55:55.14 ID:D0FSw57ao
風斬はどこの忍よりも粛々とした動きで踵を返し、百八十度ターンをしようとした。
しかし、風斬のターンはすぐにピタリと止まってしまう。
「ん?」
何かが視界に入った。いや、のちの事を考えると視界に『入ってしまった』と言ってもいい。
或いは視界に『入れることが出来た』、だろうか。
(な、なんだろあれ・・・・・・。 ノート?)
733 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:56:50.14 ID:D0FSw57ao
エイワスは肘をついて寝ているのだが、その肘は小さな木製の机についている。
その机の上に、何かノートのような物が置いてあるのだ。
「・・・・・・・・・・・・」
別に風斬がそれを確認する必要はない。十中八九、そのノートはエイワスの私物であり、
勝手に見てしまってはいくらエイワスでも怒ってしまうだろうと彼女は考える。
ただエイワスの場合、何をしたって怒りを顕にする事など考えられないが―――。
「・・・・・・・・・・・・」
しかし恐ろしきかなエイワスから放たれる謎の魅力。否、風斬から湧き上がる知的好奇心。
734 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:57:50.08 ID:D0FSw57ao
(・・・・・・なんだろあのノート。 すごい気になる・・・・・・)
気にしてはいけないと理解はしている。風斬氷華という女の子は本来、
そんな風に人の私物を勝手に漁ったり覗き見たりはしない、良識ある人工天使だ。
だが今回ばかりは『惹かれる』。とにかく引っ張られる。
エイワスの私物であろうそのノートから溢れでている『魔』と言っていい魅力。
(ちょ、ちょっと見てみるだけ・・・・・・)
定番のセリフを吐き、風斬はどこぞの暗殺一家の如く、暗歩でノートへ近づいていく。暗殺術などどこで覚えたのか。
気配を完全に抹殺し、エイワスの様子を窺いながらゆっくり、ゆっくりと。
735 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 02:59:29.58 ID:D0FSw57ao
そして、
(とった!)
『取った』なのか『盗った』なのかはともかく、風斬はそのノートを手にし、そのまま後ずさっていく。
家具などにぶつかることもなく、何かにつまづいて転んでしまうこともなく、風斬は見事に
目的のノートを手にしたまま、エイワスを起こすことなく部屋から脱出する事に成功した。
ミッションコンプリート。総合評価SSSである。
「何で私、こんなことしてるんだろう・・・・・・。 最低です」
エイワスの部屋の扉を静かに閉じ、後から湧き出てきた罪悪感に苛まれる風斬。
泥棒紛いの事をしてしまった事を悔いているようだが、エイワスだってそれより酷い事を
いくつも行ってきているのだ。これくらいなら見逃してくれてもいいのではないだろうか。
扉の前で意味のない謝罪の意を込めた礼をし、彼女は自分の部屋へ戻っていった。
736 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 03:04:32.87 ID:D0FSw57ao
今日は以上となります。
うん、まぁあれです。某漫画読みなおしてちょっとやりたくなっただけです。
すぐに終わるんでご容赦ください・・・・・・
では今回もここまでお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた三日以内にお会いしましょう、では!
・・・・・・・・・・・・ところで、明日って何かの日らしいのですが、皆さんご存知ですか?
私はまったく存じません、えぇ。
737 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/13(日) 03:05:20.59 ID:D0FSw57ao
【次回予告】
『・・・・・・・・・・・・? フラグ、アーキテクト・・・・・・、・・・・・・?』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・風斬氷華
『部屋に入れろ、どこも空き部屋がねェンだ。 このままじゃ凍えちまう』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
738 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:05:35.53 ID:uu4xITSjo
乙
明日?
もう中の誕生日がどうした?
739 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:05:47.02 ID:8+vyq0vIo
明日はあれだろ。
俺の誕生日まで一ヶ月切ったっていう日だよ。
別に祝ってくれなんて言ってないんだから!
740 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:06:30.43 ID:u/3KfR6yo
おつー
ていとくんの今後を想像すると涙が出そうなんだけど気のせいだよね
明日は木山先生がオレのために頑張ってくれる日らしい
741 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:10:10.20 ID:bhMzqg430
乙。
しっかしこんな時間に投稿されててびびったww
742 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:15:28.29 ID:HoIWFGfd0
>>737
フラグ、アーキテクト・・・ww
743 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 03:17:37.72 ID:ErIqJVR3o
建築のプロですね
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/13(日) 03:24:12.85 ID:eWXEeiU40
乙!
ていとくんの心がとても明るく綺麗だ
745 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 06:04:08.77 ID:kb6GVOsDO
エイワスに一つだけ、
フローチャートというシステムは、とても素晴らしい
是非とも導入しておいてくれ
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 08:48:41.51 ID:m8jGTYp+o
乙ー
エイワスって寝るのかよ!
747 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 08:55:26.39 ID:hxfd9cmDO
ていとくんに「俺自身が未元物質になって魔術と融合する!」なヤバ気な爆散フラグが立ってる気がするんだが…(汗)
748 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 10:39:12.08 ID:Pj6PDiQSO
カザキリといいエイワスといい何やってんだwwwwwwwwww
天使同盟は今日も平和です
749 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 11:37:09.58 ID:dZuy+RXio
エイワスわざとノート見せたなwww
750 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 12:43:31.98 ID:Hhr9lZBDO
乙
明日?たかが俺の誕生日の次の日だろ?
……そうだろ?
751 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 12:52:50.19 ID:nC+KQFCIO
おつおつ!
>>750
おめでとう
752 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 13:28:01.23 ID:6wWdZ2CDO
>>750
しょうがねぇ奴だな
ねことでも遊んでこい
753 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 13:44:59.19 ID:UxJSqtG1o
>>750
プレゼントとして帝蔵庫をやろう
754 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 14:37:56.28 ID:XWjKYC2Zo
>>750
しかたねぇ、明日のおやつ用のチョコレートをくれてやる
755 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 16:24:34.93 ID:/Ddri8n80
何この不穏な空気
絶対何かが起こる
主に悪いことが。
756 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 16:25:17.39 ID:/Ddri8n80
間違えた
主に面白いことが。だった
757 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 16:33:46.11 ID:XWdNzTiQo
それはフラグですかァ?
758 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 17:07:02.78 ID:YsBfR26ho
・・・・・・だろォな
759 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/13(日) 17:08:56.16 ID:+7UzRTmxo
ち……くしょ……う
760 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 17:55:13.13 ID:Fx+SqYi6o
>>753
そいつは貰って行く
代わりにこのイノケンティウスをやろう
761 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 22:20:24.22 ID:Pgz4lnaQo
>>750
奇遇だな俺も今日誕生日だ
762 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/13(日) 23:54:09.83 ID:Jzoe7q7e0
>>761
なんだよなんだよ、俺とおなじ誕生日の奴多いなあ!
後おーつ
763 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 01:34:39.26 ID:MNlASX7AO
皆さんお待ちかねのジャンプ発売日です!
764 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 07:46:31.67 ID:s+Mn80UDO
>>752
し
ね
765 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/14(月) 07:46:34.34 ID:FxEExcVBo
そうか!今日は何人かの読者様のお誕生日だったんですね!おめでとうございます!
それにしても今日はやたらとチョコレートが売れているようですが、はてさてどうしたのでしょうか。
・・・・・・と、そろそろ現実逃避が辛くなってきた
>>1
です。ちくしょう・・・・・・
今日も朝から投下させていただきます。朝の部です。
それでは参りましょう。
766 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:47:31.15 ID:FxEExcVBo
――――――――――――――――――――――
部屋に戻った風斬はぷはーっと大きくため息をつき、へなへなとその場でしゃがみ込んだ。
「これは・・・・・・・・・・・・」
ついさっきエイワスの部屋から『拝借』してきた謎のノートを見つめる。
見た目は普通の大学ノートと遜色ないノートだった。
某人気漫画の黒いノートとかだったらどうしようかと思ったが、周りに死神がいない事を
確認した風斬はホッと安堵する。どういう心配してんだこの子は。
大学ノートと違う点といえば、そのノートは可愛らしい桃色で染められていた。
表表紙も裏表紙も、どういう染料を使えばこんなに鮮やかな桃色に出来るのかと思うほど綺麗だった。
そして表紙にはこう書かれていた。
767 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:48:23.96 ID:FxEExcVBo
『Flag Architect Record Note』
「・・・・・・・・・・・・? フラグ、アーキテクト・・・・・・、・・・・・・?」
表紙にはホログラム仕様の箔押しでそう書かれてあった。
フラグ。
フラグ建築士という意味だろうか?だとしても風斬にはイマイチ理解し難い言葉だった。
フラグを建築するとはどういうことなのだろうか。
768 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:49:16.90 ID:FxEExcVBo
「建築関係の資料か何かかな? エイワスさんがそういうお仕事をしてて、
そのために必要な物だったりしたらどうしよう・・・・・・、本当にいけない事しちゃったな・・・・・・」
アレが仕事なんかしているわけがないだろう。
「でも『フラグ』って・・・・・・、何だか妙に引っかかるなぁ」
フラグとは簡単に説明すると『ある目的を達成するための条件』である。
元々はコンピュータ用語の『フラグ』から転じていった言葉で、今では様々な用法で使用されている。
「・・・・・・・・・・・・よぉし。 中身、拝見!」
ここまで来たらもう言い訳は出来ないと半ばヤケになった風斬は、
アヒル座り――通称女の子座り――で見つめていたノートを床に置き、バッと勢い良く捲った。
769 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:50:14.59 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・あれ? なんだろうこれ。 何か書いてある」
風斬の目に最初に飛び込んできたのは、普通のノートに見られる横罫線入りの真っ白なページではなく、
ノートの外装を同じ桃色のページだった。
ノートの見返しの部分と最初の数ページが桃色で染められており、そこには表紙のタイトルと同じ
ホログラム仕様の箔押しで文字がズラリと並んでいる。
「・・・・・・、『HOW TO USE IT』。 使用方法・・・・・・、全部英語かぁ。
えぇーっと・・・・・・・・・・・・」
どうやらそこにはこのノートの使い方が記載されているようだ。ますます某ノート漫画とカブる。
全て英語で記載してあるため、風斬は翻訳しながら読んでいく。
彼女の場合、翻訳する必要はないのだろうが、長らく日本の学園都市にいた影響からか、
日本語で読むことが自然になっているようだ。
770 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:51:04.67 ID:FxEExcVBo
・このノートに名前を書かれた人間が『対象者』となる。
・このノートに選ばれた『対象者』はフラグ成立の際、このノートに
その時の詳細と『パラメータ』が書きこまれていく。
・このノートは全て自動で書記されていく。
・ノートの所有者は『対象者』にはなれない。
・『対象者』の名前はこのページの隣のページに書き込まなければならない。
その際、『対象者』の名前はこのノートの所有者にしか認識できない。
・このノートの所有権を他の人間、または人ならざる者へ移すことは出来ない。
・・・・・・etc。
771 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:51:34.02 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・他にも色々書いてあるけど、所有者にしか
有益にならない情報ばっかりだなぁ」
一通りルールを読み終えた風斬は『HOW TO USE IT』の次のページに目をやる。
「『The name of the subject』・・・・・・、ここに『対象者』の名前を書くのかな。
・・・・・・本当だ、私にはただの空白にしか見えない」
所有者しか『対象者』の名前が見えないというルール通り、
風斬にはそのページを見ても『The name of the subject』の文字しか見えなかった。
どのような細工で所有者しか見えないようになっているのか、何とも不思議なノートだ。
そしてこのノートの所有者はどう考えてもエイワスだろう。
772 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:52:11.24 ID:FxEExcVBo
「変なノート・・・・・・。 何に使うんだろうこれ?」
誰かが得をしたり損をしたりするような怪しげなノートではないようだ。
さすがエイワスの私物だけあって、これはエイワスにしか理解出来ない物なのかも知れない。
しかし風斬はこのノートのあるルールが気がかりだった。
「この・・・・・・、『このノートに選ばれた『対象者』はフラグ成立の際、このノートに
その時の詳細と『パラメータ』が書きこまれていく』ってルールは何なんだろう。
自動書記で書かれていくなんて凄いなぁ・・・・・・」
恐らく『The name of the subject』のページを捲ったら、そこにパラメータとやらが
書き込まれたページになっているのだろう。
773 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:52:58.86 ID:FxEExcVBo
風斬は一瞬次のページを捲ることを躊躇したが、ここまで見てしまったらあとはなるようになれ、だ。
「何か書いてあるかな・・・・・・」
ゆるりとした動作で『The name of the subject』のページを捲った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
一瞬、風斬の頭にある三角柱の動きがピタリ、と止まる。
風斬自身もまるで蛇に睨まれた蛙のように身動きひとつとれなくなっていた。
「な・・・・・・何、これ・・・・・・・・・・・・!!?」
思わず絶句してしまったAIM拡散力場の集合体の目に飛び込んできた光景とは――――。
774 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:53:41.34 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『ミーシャ=クロイツェフ』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆
〈NAME〉『風斬氷華【ヒューズ=カザキリ】』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆〈MAX〉
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『Owner』
F:☆☆
L:☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆〈MAX〉
775 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:54:20.95 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『垣根帝督』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆
P:☆☆
〈NAME〉『レッサー』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『最終信号【ラストオーダー】』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆〈MAX〉
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
776 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:54:49.87 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『番外個体【ミサカワースト】』
F:☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『黄泉川愛穂』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『芳川桔梗』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆
P:☆
777 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:55:26.96 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『キャーリサ』
F:☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆〈MAX〉
〈NAME〉『オルソラ=アクィナス』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆〈MAX〉
〈NAME〉『アンジェレネ』
F:☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆
778 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:56:24.60 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『アニェーゼ=サンクティス』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『アガター』
F:☆☆
L:☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『カテリナ』
F:☆☆
L:☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆
779 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:56:51.87 ID:FxEExcVBo
〈NAME〉『ヴェント』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『エリザリーナ』
F:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〈NAME〉『サーシャ=クロイツェフ』
F:☆☆☆☆☆☆☆
L:☆☆☆
P:☆☆☆☆☆☆☆
780 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:57:59.57 ID:FxEExcVBo
「これがパラメータ・・・・・・!? 何これ・・・・・・、どういう事なの・・・・・・」
風斬が見たページは、前の桃色ではなく普通の白い横罫線入りのページになっていた。
だが普通のノートと決定的に違う点は、ルールにもあったようにパラメータと思われる情報がぎっしり記載されている点だ。
聞いたことのある名前ばかりが並んでおり、『F、L、P』という謎のアルファベットと、
その三種のグラフがまるで何らかのポイントのように表示されている。
更にページを捲っていくと、名前に該当する人物との出会い、現在までの経緯等、
詳細なデータが閲覧できるようになっていた。G.Iの『人生図鑑』のようなノートだ。
書き込まれている文字はなぜか不自然に、陽炎のように揺れている。自動書記で書かれた文字だからだろうか。
781 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:58:49.73 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタン、と。
風斬はノートを閉じた。その表情はまるで他人の日記帳を興味本位で覗き見し、
そこに衝撃的な出来事が書いてあった時のような、呆然自失といったものだ。
「あ、一方通行さん・・・・・・、オルソラさん、と・・・・・・?」
一体どんな情報を見てしまったのか。風斬の全身を駆け巡ったショックは想像以上に大きいようだ。
無論、他人のプライベートが事細かく記載されているようなノートとわかったら
風斬はそれを面白がってみるような事はしない。
そうと分かり、直ぐ様ノートを閉じようとしたときにたまたま『ソレ』が視界に入ってしまったのだ。
782 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 07:59:27.69 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・相思相愛なのかな」
どこを見ているのかも分からないような、怒っているのかも悲しんでいるのかも分からないような表情で
風斬は固まったままピクリとも動かない。
そしてじわじわと、『こんなノート見なければよかった』という後悔の念が彼女の心を侵食していくのに
そこまで時間は掛からなかった。
その時だった。
「・・・・・・・・・・・・風斬。 いるかァ?」
「ひゃああっ!!!?」
突然耳に入ってきた亡霊のような声に風斬は飛び上がって悲鳴をあげた。
783 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 08:00:17.25 ID:FxEExcVBo
「は、は、えっ!!?」
「俺だ。 なンかあったのか」
「あ、一方通行さん・・・・・・!?」
風斬の部屋にやってきたのは一方通行だった。突然の来訪者に風斬はしばらく無言で
扉をジーッと見つめて動かなかった。というか、動けなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
「オイ、風斬? どォかしたのか」
「・・・・・・はっ。 い、いえ、なんでもないです!」
「部屋に入れろ、どこも空き部屋がねェンだ。 このままじゃ凍えちまう」
「えっ!? へ、部屋に・・・・・・。 あ、いや、はい。 わかりました」
784 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 08:00:50.80 ID:FxEExcVBo
風斬が部屋で一人でいるときにやってきた一方通行。彼は部屋へ入れろと言う。
どこかで聞いたことのあるシチュエーションだと思ったが、これはロシアに来る前に
エイワスが風斬に聞かせた妄想、もとい幻想とほぼ同じ内容ではなかったか。
(でも今回は・・・・・・・・・・・・)
そう、今回ばかりは正真正銘の現実だ。エイワスの幻想でもなんでもない。
しかし一旦思い出してしまうとあのエイワスが語ったあられもない話の内容が
グルグルと頭を回り、顔が真っ赤に染まってしまう。
「い、いい、今開けますから!」
それでも風斬は彼を招き入れる事にした。
ずっと彼と一緒にいると決意しているにはしているが、やはりあんなノートを見てしまったあとだと
焦燥感が出てきてしまう。
風斬は桃色のノートをベッドの下に素早く隠し、鍵を解除して扉を開けた。
785 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 08:06:20.99 ID:FxEExcVBo
ちょっと短めですが、一旦ここで終わります。
Q. まさか今後はあのノートを中心に物語が展開していくのか?
A. それはさすがに野暮ですので、ありません。
ノートネタはちょっとやってみただけですのでご安心を・・・・・・すぐ終わります。
ここまで読んでくださった読者様、ありがとうございます。
次回更新は今夜。起きられればですが。
ではまた後ほど!
786 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 08:06:54.80 ID:FxEExcVBo
【次回予告】
『・・・・・・なんだかあまり楽しそうじゃないなと思ったので、つい・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・風斬氷華
『ンだァ? オマエの部屋で楽しく可笑しくはしゃぎ回る一方通行さンが見てェのか?』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 08:07:07.57 ID:gZC2oyUxo
朝から見れるとは思わなかった
乙
788 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 08:15:14.18 ID:lt0cMVYP0
乙
F:『フラグ』・・・だろォな
L:『好き(like)』ってことだよ言わせんな恥ずかしい
P:『ポイント』が高いのでございますよ〜
であってる?
789 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 08:27:21.14 ID:m7dcWMbAO
友達度とらぶらぶ度じゃないの?
790 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 08:34:15.56 ID:UnkDzzODO
リアルタイムきたあああああああ
791 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 08:52:50.71 ID:hY9JUFCb0
乙!!
オルソラ高すぎて笑った
風斬氷華のやきもき加減が好きだ
792 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 09:16:51.98 ID:x1uNCYgDO
F…FRIEND・友情度
L…LOVE・愛情度
だろうけどPだけがどうしてもわからない
ミーシャが最低で多分エイワスと黄泉川、キャーリサが最高…謎だ
次回でわかるのを期待します乙
793 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 09:43:24.21 ID:5WTr52GDO
Pはparentじゃない?
綴りあってるよね
794 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 09:46:25.58 ID:un3N0GcQo
夫婦は流石におかしいだろ
家族なら兎も角
795 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 09:48:31.81 ID:un3N0GcQo
あ、親か
それでも配分がおかしいだろ
796 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 10:52:56.59 ID:SrLVO/4AO
partner(相棒)か
797 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 11:43:17.19 ID:s+Mn80UDO
paladin
パラディン.義侠的な戦士.
アクセラ姫を守るキャーリサ様、黄泉川せんせー、エイワスさん……
違和感ないな
798 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 11:49:45.52 ID:r1gZcmTAo
protection
保護
つまり「守ってあげたい」だな
799 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 11:58:22.47 ID:4OFCA/cwo
pink
エロエロ度と予想
800 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 12:01:23.82 ID:gR2yYGxeo
風斬を煽るためだけにつくられたエイワスのジョークグッズで意味なかったりしてなw
おつおつ
次回は二人きりか
さて……服なんて着てる場合じゃないな
801 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 12:34:35.90 ID:bk3EeDh90
個人的にはpriorityだと思ったんだがどうかな?
802 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 13:35:28.37 ID:x0OfAOg6o
禁忌?
803 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[ sage]:2011/02/14(月) 13:43:37.84 ID:p/WNQ6QV0
オルソラさんと風斬さんぶっちぎりだな
804 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 15:32:07.21 ID:y/gc9L34o
pray
お互いの間にあった出来事の度合いじゃね?
オルソラの場合、キスまで到達してるからMAXになってるとか
805 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 15:44:35.34 ID:CNUojd4Zo
parentかなぁ…
806 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 17:05:38.16 ID:vZlk9gUYo
また、このシリーズ読み返して気づいたんだけど、
一方さんがやってることって、神裂の魔法名そのままじゃない?
807 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 17:54:18.23 ID:A61f/gmN0
パワー
808 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 20:25:14.01 ID:v5sI9GVSO
painkiller苦痛を除く者か?
オルソラさんMAXだし
809 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:22:08.61 ID:FxEExcVBo
>>806
言われてみれば確かに・・・・・・。まぁでも主人公格のキャラは得てしてそうなりやすくないですか?
上条とかもそうですし。私はそういう話が好きなのかなぁ・・・・・・
と、いうわけで夜の部を投下していきたいと思います。
原作禁書の新刊カバーイラストがもう出回っていますね。
新訳出るまでには終わらせようと思ったんですが・・・・・・ムリかな
それでは行きます。
810 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/14(月) 21:23:01.84 ID:FxEExcVBo
ロシアの清々しいほどの寒気に当てられてふるふる震えながら扉の前で待つこと数分。
ようやく鍵が解錠される音が聞こえた。
「お、お待たせしましたっ」
「どけっ」
「あうっ」
扉を開けるや否や、一方通行は風斬を押しのけ部屋の中へずかずかと入り込んできた。
そして部屋の隅に置かれていたファンヒーターを発見すると素早い動作でファンヒーターの前に迫り、
屈んで暖をとる。
811 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:24:01.76 ID:FxEExcVBo
「はァ・・・・・・、うー寒」
手をスリスリと擦りながら一方通行は人類が作り出した暖房機という文明の利器に感謝する。
暖炉も悪くないと思っていたが、やはり現代人の一方通行にはファンヒーターの方が相性が良いらしい。
「それにしても、どうしたんですか? 空き部屋が無いって・・・・・・」
風斬はある意味で危険なノートが隠されたベッドの下にチラチラと視線を送りながら尋ねる。
成人雑誌をベッドの下に隠している思春期の男性のような仕草だ。
「ちと出遅れちまってよ、うろちょろしてたらいつの間にか何処も彼処も予約済みってなァ。
自業自得と言やァ自業自得だが、・・・・・・ったく、クソ面倒くせェ」
「そうでしたか・・・・・・、・・・・・・そ、それで私の部屋に?」
812 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:25:21.67 ID:FxEExcVBo
「あの三択ならオマエだろォ、ていうかあン中じゃオマエが一番まともだ」
「・・・・・・三択」
三択の内一人は風斬だとして、残りの二人はあのノートに書かれていた女性の誰かだろうか。
風斬は思考を巡らせつつも自分の部屋を選んだ理由が理由なだけにどこか納得できないでいた。
ほんの少しだけムスッとしている。
「・・・・・・まァ、無理やり押しかけてきた俺に非はあるが、嫌なら出ていこォか?」
「あ、え、いや、ダメです。 ここにいていいですよ」
「ダメですってなンだよ・・・・・・俺を閉じ込めるつもりかオマエ」
つい妙なことを口走ってしまった。まだ気が動転している証拠だ。
813 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:26:08.57 ID:FxEExcVBo
一方通行はファンヒーターで暖をとっているため、風斬に背を向けている状態だ。
その細身ながらもどこか大きく見える背中を風斬はジッと見つめる。
「・・・・・・・・・・・・。 あ、そうだ、コーヒー淹れましょうか?
さっき独立国同盟の方々に沢山もらっちゃったんです」
「あっそ、じゃあ淹れてくれ」
「は、はい。 ・・・・・・」
何だか素っ気ない。そんな気がした。
一方通行は基本、誰に対してもこうだったのだが最近は言動に思いやりがあるようにも見えてきていた。
だが相変わらず自分に対してだけは素っ気ない、そんな気がしてならない。
小さなキッチンに置いてあった電動ポットを使ってコポコポとコーヒーを淹れる。
せっかく二人きりになれたというのに、どこか居心地が悪く感じられた。
「あの・・・・・・、どうぞ」
「ン」
こちらの方を見ることなくマグカップを受け取る一方通行。
風斬もベッドに腰掛けちょびちょびとコーヒーを飲む。
814 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:27:09.53 ID:FxEExcVBo
「あの・・・・・・」
「あァ?」
沈黙に耐え切れなくなった風斬はとりたてて話題があるわけでもないのに一方通行に話しかけた。
「えと・・・・・・、お、美味しいですか?」
「コーヒーか? まァ悪くねェ」
出た、『悪くねェ』。一方通行の飲食物に対する評価はいつもこれだ。
ここで『オマエが淹れてくれたモンなら泥水でもブルーマウンテンに匹敵するぜェ』くらいの
気の利いたセリフが言えればいいのだが、生憎彼はそんな性格ではない。
815 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:28:04.43 ID:FxEExcVBo
「そ、そうですか・・・・・・」
「あァ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おかしい。一方通行と二人きりなった自分はこんなに気まずい雰囲気になるものだっただろうか?
もしかしたら一方通行は自分の事をあまり好いてくれていないのかもしれない。
皆と一緒にいるときは仕方なく自分とも会話をしてくれているだけで、
実際はあまり相手にしたくないと思われているのかも知れない。
元々あまり物事をポジティブに考えられない風斬は、しなくてもいい心配ばかりしてしまっていた。
どうしようかと思っていた時、ふいに一方通行が声をかけてきた。
816 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:28:46.07 ID:FxEExcVBo
「落ち着いてコーヒーも飲めねェのかオマエは。 さっきからソワソワしやがって」
「え、あ・・・・・・すみません」
「やっぱ俺なンかがいちゃ欝陶しいか?」
「そんなことはありませんよ、そんなことは・・・・・・」
そう、そんなわけがない。
むしろ今のこの状況は風斬にとっては『嬉しい』という気持ちのカテゴリに当てはまる。
けれど、
「・・・・・・一方通行さんは、私がいたら居心地悪くないですか?」
聞かなくてもいいこといちいち聞く自分に嫌気がさす。
817 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:30:15.38 ID:FxEExcVBo
「はァ?」
「あ、いえ、・・・・・・なんだかあまり楽しそうじゃないなと思ったので、つい・・・・・・」
「ンだァ? オマエの部屋で楽しく可笑しくはしゃぎ回る一方通行さンが見てェのか?」
「そういうわけじゃないんですけど・・・・・・」
「オマエといて居心地悪いなンて思ってたらオマエの部屋に来るわけねェだろォが」
「! ・・・・・・そ、そうですか」
それを聞いて顔を綻ばせる風斬。分かりやすい表情の変化が彼女の可愛らしさを如実に表している。
だがそれも一瞬で、またすぐ表情が沈んでいってしまった。
「相変わらず意味のわからねェ、小せェ事を気にしてンなァオマエは。
それがオマエだって言うなら別に口は挟まねェけどよ、俺とオマエはこォいう感じでいいだろ。
長ェ付き合いってわけでもねェが、今更ぎこちなく会話するってのも変だろォが」
「そうですね、・・・・・・ありがとうございます」
「礼言うところじゃねェよボケ」
と、鼻で笑いながら一方通行は風斬の方に体を向け直す。
自分と二人でいることに対してさして気にしていない事と、やっとこっちを向いてくれた事で
風斬は心の中で少しだけ安堵した。
818 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:31:36.15 ID:FxEExcVBo
「なんだか今日は色々大変でしたね。 無茶な方法でロシアに(不法)入国するし、
プライベーティアと交戦する事になっちゃうし、船が街に突っ込んじゃうし、
エイワスさんのせい・・・・・・というかおかげでロシア政府は大変な事になっちゃうし・・・・・・」
「こンなモンで音ェあげてたら明日持たねェぞ」
「はい、でも大丈夫です。 頑張ります・・・・・・」
「そォかよ」
会話が途切れ、二人はコーヒーを一口飲む。
さっきとは違いこうして会話が途切れてもあまり気まずさを感じることがなかった。
そして風斬はここぞとばかりに一方通行に質問をした。
「あのー・・・・・・、ちょ、ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・・・・・」
「ンだよ」
改まって問いかけてくる風斬に、一方通行は眉をひそめながら応じる。
819 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:32:22.63 ID:FxEExcVBo
「えっと、その・・・・・・一方通行さんって彼女とかいたりしますか?」
瞬間、一方通行は某有名俳優の如くコーヒーを思いっきり吹き出した。
「きゃあっ!? だ、大丈夫ですか!?」
「ぐはっ、ゲホッゲホッ!! ・・・・・・ぷァ、いきなり何言い出しやがンだオマエ!!
ふざけてやがンのか!!?」
「ご、ごめんなさいごめんなさい!!」
凄まじい勢いで謝る風斬に気圧され、一方通行毒づきながらも口を拭う。
人生でそんな事を言われるのは初めてであり、彼もよほど驚いてしまったようだ。
820 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:33:39.53 ID:FxEExcVBo
「クソが・・・・・・。 で、なンだって?」
「あの・・・・・・彼女とかいたりするのかなって」
「分かってて聞いてンんならブッ殺すぞ。 この俺にそンなのがいると思ってンのかァ?」
「いても不思議じゃないと思いますけど・・・・・・」
「本気で言ってンのかオマエ? 愉快な頭の構造してンなァ」
チッ、と舌打ちをしてガリガリと頭を掻く一方通行。
いかにも不機嫌です、といった雰囲気だがそれはそれで彼らしいなと風斬は思った。
「それで・・・・・・・・・・・・、どうなんですか?」
「今のやり取りでわかンないンですかァ? いねェよ、ったく・・・・・・」
「ほ、本当に?」
「しつけェな。 何か俺に彼女が出来るよォな心当たりでもあンのか」
そう聞かれれば『心当たりがありすぎる』というのが正直なところだ。
さっきのノートの内容が真実ならば、彼は何人もの個性的な女性と交流を持っている。
その中にはもちろん風斬自身も含まれているのだが、遺憾千万、他のメンツが魅力的だ。
若干ながら焦燥感にかられてしまうのも無理はない。
821 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:34:48.65 ID:FxEExcVBo
しかし風斬は意を決して一方通行に次々と質問を投げかけた。
レッサーから言われた『もっと積極的に』を心に刻んで。
・・・・・・積極的の方向性が若干歪んでいる気がしないでもないが。
「心当たりっていうか・・・・・・、その、例えば・・・・・・」
「例えばなンだよ、勿体ぶらずに言いやがれ」
「い、イギリスでの事とか・・・・・・」
一方通行は考える。イギリスでの出来事といえば。
822 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:35:31.92 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・イギリスには二度行ってンだろ、どっちの事を言ってやがンだ?」
「二度目の、『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮にお世話になった時です」
「あァ・・・・・・、ついこないだの事じゃねェか。 それがどォした?」
「・・・・・・・・・・・・お」
「お?」
「お、オルソラさんと結構仲良さそうにしてたじゃないですか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そうだったか?と一方通行は自身の記憶回路にアクセスしてみる。
確かに数多くのシスターがいた中で、オルソラ=アクィナスと一緒に過ごしていた時間は多かった。
女子寮に来て最初に出会った人物であり、オルソラの天然っぷりにやたら振り回されていた感は否めない。
823 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:37:43.08 ID:FxEExcVBo
「・・・・・・そンな風に見えたかァ?」
「は、はいっ」
風斬の視線がキョロキョロと忙しなく動いている。
いつの間にか彼女は正座をしており、膝に置いた手の動きがやたらソワソワしていた。
どうやら割と本気で一方通行とオルソラの関係が気になっているようだ。
(・・・・・・・・・・・・。 ハッ、面白ェなコイツ。 つかなンでオルソラがここで出てくるンだ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ったく、しょうがねェ)
風斬に見えないように一方通行は笑みを浮かべた。意地の悪そうな笑みを。
(さっきも少し元気が無かったみてェだし、ここはいっちょ俺がからかって
コイツをいつもの調子に戻してやるか)
完全にそこらの悪戯小僧の発想だった。だがこれも彼なりの励まし方なのだろう。
824 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:38:56.64 ID:FxEExcVBo
一方通行はわざとらしくコホン、と咳をたて表情を窺えないように軽く俯く。
第一位様はこんな演技も出来るのか。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
明らかに訝し気な表情を浮かべる風斬。一方通行が急に黙りこんでしまい
不安になっているようだ。彼が次に何を言い出すのかが怖くてしょうがないと言った様子だ。
「悪いな風斬、前言撤回だ」
「え?」
「コイツは誰にも言ってねェし、言うつもりもなかったンだがなァ。
どォやらオマエは薄々感づいてるよォだし、言ってもいいかもなァ」
「え・・・・・・、え・・・・・・?」
風斬の頭にある三角柱がブレイクダンスを踊っている。人間で言う、『動悸』の状態だ。
体がぷるぷると震え、もうこれ以上は聞かない方がいいと耳を塞ごうとするが、
それより早く一方通行が決定打を放った。
「付き合ってンだ、俺とオルソラ。 一緒に買い物言った時にコクられてよォ」
風斬の内部で踊り狂っていた三角柱の核が、ピタリと動きを止めた。
825 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:40:49.61 ID:FxEExcVBo
念の為に記述しておくが、一方通行とオルソラ=アクィナスは恋人関係ではない。
オルソラはどう思っているのかは定かではないが、少なくとも一方通行は現時点で
彼女に対してそのような感情を―――信じられないことに―――抱いていないのだ。
これは一方通行の演技である。完全なる嘘、虚言、虚説、架空、出鱈目純度一〇〇だ。
一方通行的にはここで風斬が『えぇー!? 本当にそういう関係だったんですか!? 驚きですー』
といったニュアンスの反応を示してくれると予想し、そうなったらそこで速攻ネタばらし。
『騙すなんて酷いです〜!!!』と叱られるという流れで締めくくられてお終いというシナリオだ。
オルソラをダシに使ってとんでもない嘘をついたことで怒られてしまうだろうが、
それでも風斬が明るくなってくれるなら、という一方通行なりの優しさだった。
826 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:41:20.80 ID:gR2yYGxeo
やめろ第一位!
それは死亡フラグだ!
827 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:42:27.52 ID:FxEExcVBo
しかしこの男、学園都市最強にして最高の頭脳の持ち主なのだが、学園都市最大のバカである点が
玉に瑕であって、今回ばかりは脚本の内容がマズすぎた。
「ぎゃはは、驚いたかァ? 驚愕のあまり声も出ませンって・・・・・・、・・・・・・あン?」
なかなか反応が帰ってこないので一方通行は風斬の方をチラリと見てみた。
彼女は完全にフリーズしていた。時が止まっていた。思わずDIOがいるんじゃないかと
室内をキョロキョロと探してしまうほど、風斬は露いささかも動かなかった。
「・・・・・・・・・・・・おォい、風斬さァン? どォしちゃったンですかァ?
電池でも切れやがったか? 充電しなきゃなンねェか? おいィ?」
彼女の目の前で手を振りまくってみるが一向に動く気配がない。
超至近距離まで接近してみても結果は同じだった。いつもなら『きゃあっ』とか
『ひいっ!?』とか言って一歩後退るのが通例なのだが。
828 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:42:28.05 ID:HvTcQ6nqP
アクセラレータェ…
829 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:43:51.35 ID:FxEExcVBo
「オイ、マジで壊れちまったかァ? 風斬、返事をしやがれ。
クソッ、一体全体何がどォなってやがる・・・・・・エイワスの仕業か?」
いつものようにエイワスに責任転嫁する一方通行だが、それは考えにくいと自分で否定する。
エイワスは食事前から帰ってきていないし―――実は隣の部屋にいるのだが―――仮にこんなことをして
エイワスに何のメリットがあるのかが分からない。
『天才バカボン』から『天才』と『ボン』を抜き取ったような男、一方通行は
風斬から身を離し、ジトーっと彼女を見つめる。
(・・・・・・まさかコイツ、本気で今の話を信じちまったってのかァ?
すぐ嘘だとバレると踏ンでたが・・・・・・、仕方ねェ)
これ以上は埒が明かないと、一方通行は風斬にネタばらしを実行しようとした。
830 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 21:45:12.01 ID:OVM91hpW0
一方さんの馬鹿野郎が・・・
831 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:45:40.54 ID:og5RZKS4o
いくら一方さんでも風斬を泣かせたら許さない
832 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:46:08.43 ID:FxEExcVBo
その時、ようやく風斬が声を出した。
「・・・・・・・・・・・・ふっ、・・・・・・うぅっ・・・・・・」
「? あ?」
何か、呻くような声が聞こえた気がした。
呼吸器官でもイカれちまったか?と、一方通行は風斬の顔を覗き込むように動いた。
「ぐっ・・・・・・、うう、・・・・・・ふぅぅぅ・・・・・・ぐすっ、」
「???」
「ふぇ・・・・・・、うううう・・・・・・ぐすっ、うえぇぇぇん・・・・・・」
「!!!??」
泣いていた。風斬氷華は泣いていた。
完璧に、間然するところがないほどに、風斬氷華はその澄んだ瞳から涙を流していた。
正座を崩し、女の子座りになり、天井を仰いで、赤ん坊のように泣いていた。
そんな彼女を見て、学園都市の第一位はひどく動揺した。目をむき、全身からどっと冷や汗が出てくる。
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 21:46:37.84 ID:CDafRyrSO
早くそげぶしてあげて
834 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:47:58.87 ID:un3N0GcQo
動揺してないでさっさとそげぶしろ馬鹿め
835 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:49:09.34 ID:uZYkg3OAO
ちょっと木原神拳習ってくる
836 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:49:59.24 ID:FxEExcVBo
まぁ・・・・・・、ブチコロシカクテイですかねこれは・・・・・・。
今日、2011/02/14の『煮干しの日』スペシャルは以上となります。
さて、ここからどうフォローしていこうかなという感じですかね。
泣いてる風斬が書きたかっただけ、なんて言ったら私も処刑確定でしょうかこれ
次回更新はちょっと未定です、三日以内に来れたらいいなと思ってはいます。
では、一日二回更新にお付き合いくださった読者様に大量の煮干しはプレゼントしましょう。
今日も本当にありがとうございました、ではまた!
837 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/14(月) 21:52:43.20 ID:FxEExcVBo
【次回予告】
『一方通行、君は一回死んだほうがいい』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・エイワス
『・・・・・・・・・・・・そォだな、死ンだほうがいい』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行
『・・・・・・・・・・・・ぐずっ、うゆ・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
838 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:55:25.26 ID:A3bU5W3Co
おつ!
一日二回投下なんて素晴らしすぎる
俺は今でも一方さんはガブリエルとくっつくことを祈ってる
839 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:56:12.18 ID:m7dcWMbAO
なんというバカらしい悲劇……。
エイワスじゃ!エイワスの仕業じゃ!!
840 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:56:51.14 ID:4UmOm/5R0
死なす。第1位と言えども風斬を泣かすなんて絶対にゆるさねぇ。ミジンコ以下だ、この第1位め!!
841 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 21:57:00.05 ID:gR2yYGxeo
乙
歯ぁ食いしばれ最強
風斬を泣かせた罪は重いぞ
842 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:01:53.22 ID:r+zHF5EDO
乙。風斬が安定して人気なことに安心した、泣いてる風斬たん可愛すぎるよ
確かに一方さんも冗談が過ぎたが、これ完璧にエイワスのせいだろww
843 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:02:38.24 ID:EOkM5/QXo
三角柱がブレイクダンスww
844 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:06:53.62 ID:bCNcszbMo
ここから自己嫌悪させたら学園都市一の第一位がどう動くかだ
845 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:19:46.32 ID:HvTcQ6nqP
乙
一方さんが残念な人になっちまった
846 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:20:07.55 ID:FHWL4+7O0
待つんだ皆
些細な誤解から仲違いする、というのは正ヒロインならではのイベントではなかろうか
〜(中略)〜
つまりエイワスの幻想の産物として寸止めされたいつかの風斬√が
次回の投下でいよいよ現実のものとなるという事だったんだよ!!(なんry)
847 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:30:54.19 ID:wykIp2Rfo
/ / `トミ \ \ ヽ
/ / / / // | \ \ ヽ.丶
. , ′ ,:′ / // ハ |! ト、 、トミ:、
/ 厶 イ ∧l l l |l ト. ! ! \V \ '. ━━┓┃┃
. ハ // i/ハハ. | | |l !l ∧ ハ ハVハ i ┃ ━━━━━━━━
// /イ jト7 」_ヽ∧ハ |l ハ l斗 7| | i | ト ┃ ┃┃┃
j∧// l 从′__fノ リtハ l| rノリルリノ/ | | | l l ┛
. / 厶イ l /ハ k j/ ン八 ハ lハ|
//| ハ∧{ === == }/l/ : トv
. /'′八j/ ヾ′ r /' イ/ レ{ \
/ 小 \{ ヾ "^ 彡 j小′ ゚ 。
/ Y ト ト . -‘-,,' ≦ 三
}ハl \r ´_ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
l ,ハ `ト 。≧ 三 ==- ゚。 ゚
j/ }八 { \ -ァ, ≧=- ゚ ゚
} トミ ` イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
ヽハ入、 `Vヾ ヾ ≧
′} ヽ 。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
848 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:36:56.89 ID:00gSqe7AO
>>1
乙!
まさか一日に二度も投下してくれるとは思わなかった
とりあえず、これからどんなフォローがあるか楽しみだ
というかこれもエイワスの仕業だと思う俺がいるw
>>847
やめろww吹いたじゃねぇかwwww
849 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:51:14.47 ID:DiNzyEoC0
「……ただ、テメェがもう一回、オレから大切なものを奪おうって言うなら。今度は覚悟も何も
決まってねぇ、そもそもこれからもオマエと仲良くしていこうって思ってた風斬を泣かそうって言うなら」
「ここでハラァくくってもらうぜ!!最強ォおおおおおおおおおおおお!!」
850 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:54:12.24 ID:Mh6VmJ2B0
乙乙
もげろ第一位と叫びたいところだが
きっとこれもLOVE度をMAXにするための重要なイベントなんですよね!
次回投下を全裸待機して待ってる!
ところでこのスレのせいで新約表紙のロリっ子がエイワスに見えちまったwwww
851 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 22:57:22.11 ID:lt0cMVYP0
まさか上条さん以外の禁書キャラに爆発しろという日が来るとは・・・
852 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 23:27:47.92 ID:oCjcomSX0
ただ一人の男を殴り倒すために木原神拳を習得する俺
853 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 23:29:27.02 ID:GcrndlVm0
これにはさすがのエイワスも苦笑い
一方通行「もう二度と嘘なんてつかないよ」
854 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 23:46:37.83 ID:vZlk9gUYo
上条「今からお前に見せてやる。お前の住んでるこの世界には、まだまだ救いがあるって事を!」
上条さんがログインしました。
855 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 00:15:39.86 ID:01+Zz9qi0
このモヤシ炒めと雌雄同体は一辺死んだほうがいい。
ってか一通三下越えしてますなww いろいろと。ええもう。
856 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/15(火) 02:01:37.11 ID:lQxDEOeV0
カミやん病って鈍感さも伝染するから始末におえないよね……
とりあえず妹達に今回の件をリークするわ。
857 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 02:04:14.75 ID:Bm1haSsto
乙
だが一方通行、お前は許さない
第一位だろうがベクトル操作だろうが黒翼だろうが天使モードだろうが関係ねえ
爆散して果てろ
でも死んだら風斬がまた泣くだろうからその後復活しろ
858 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 03:09:32.53 ID:aq+HTL+a0
乙
風斬を泣かせたことも許せないがそれ以上に
オルソラとあれだけイベント起こしておいて、ちゅーまでされておいて
「そういう感情」を抱いてないってどういうことだ。おい第一位。オイ
859 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 09:37:30.92 ID:Bso87okDO
一方さん弾けろ
すまんが、一方さんと風斬の官能小説(著:エイワス)って何スレ目にあったっけ
860 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 09:45:53.82 ID:BGjSCO6Co
>>859
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294928027/761
一つ前のスレのここからだな
861 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 09:48:01.88 ID:Bso87okDO
>>860
ありがとう、相変わらず怪しからんなエイワスの奴め……
862 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 16:03:11.41 ID:R1MV8F2io
_,-= '' ̄+ ̄''=-,_
 ̄''-=,,,-―-,,,=-'' ̄
.//,,、,,\
.,, 'l yl'oヘolヘ \
// l,=ヘ_-_/ll.lヘミ\ <何か?
.//l /' ̄''ヽ、,リ-、ミllヽ
r( (/ヾ/ , ,).) ヘミリヘ\
/| /え=/,_.| .(/ ,,l V/'=|ヘ,ヽ
./介|/'''/'''=,|=,_  ̄'-.| /∧/| |ミ,ヽ
..// |-'ヘ'/,, | ''-, |//' \,_|ふ)|.)
..ゞ/,,/ .)) .| il ヘ=,_ ,->l/(
(('―-t-,_./ .(( |,._)),-'l'/ゝ/,,_
'_,ノ .| (_/ ` ヘ,,=|/ふlへ, ')
ヽ_/ .' '((ヾ '=-/,
.ノ .八
/ ;; 丶
../ ;; \
ノ ;; ヽ
(,_ ;; _,,,--'''
'--,,_ ;; _,-''''
''-l l⌒i..|
| `l..| |
..ヘ_ノ.| ,|
ty
863 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 17:06:39.85 ID:1YOOqdcD0
一方さん…若年性健忘症にかかって…
864 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 20:16:56.69 ID:doFCR627o
エイワスが正論を言っている・・・だと?
865 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 20:52:45.22 ID:uAxdyNmh0
女の子泣かせた責任とって結婚だな 決定だ。
866 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 21:16:49.30 ID:SAjCVYLho
前スレでプロポーズもしてるしな
867 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/15(火) 22:09:15.74 ID:zY60tOO9o
風斬氷華の人気に嫉妬
てなわけで今日も元気に投下していきます。
次回更新は未定とか言っておきながら結局連日投下ですね
さて、一方通行は風斬と読者にごめんなさいしないといけませんね
これ書いてるの私ですけど
それでは、いきます!
868 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/15(火) 22:10:26.24 ID:zY60tOO9o
風斬氷華の人気に嫉妬
てなわけで今日も元気に投下していきます。
次回更新は未定とか言っておきながら結局連日投下ですね
さて、一方通行は風斬と読者にごめんなさいしないといけませんね
これ書いてるの私ですけど
それでは、いきます!
869 :
やられた!エラー表示の罠・・・・・・。 ごめんなさい
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:11:38.35 ID:zY60tOO9o
「うわあああああああああん・・・・・・、ぐすっ、ひぐっ・・・・・・、うえええええええええん」
「か、風斬・・・・・・!? どォした? なぜ泣く!?」
「ううううううううう・・・・・・ぐすっ、うう・・・・・・うわあああん・・・・・・」
「なンだってンだ・・・・・・!? 風斬・・・・・・しっかりしろ!」
お前がしっかりしろ。垣根辺りからそうツッコまれそうな言葉だ。
「ふぇぇぇん・・・・・・、えぐ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、くしゅんっ」
「え!? 風邪ひいてンのか!?」
「・・・・・・・・・・・・、うあああああああああああああん・・・・・・」
「あああああああ・・・・・・風斬ィ・・・・・・」
870 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:12:52.87 ID:zY60tOO9o
打ち止め(ラストオーダー)だってこんなに泣いたことはない。というか彼女は
基本的に泣いて感情表現をすることが極めて少ない女の子だ。
そして一方通行もここまでストレートに泣かれた経験がない。
学園都市が誇る最高の頭脳に『相手に泣かれた場合』の対処法が存在していなかった。
ポロポロと宝石のように綺麗な涙を流し、その豊満な胸元を湿らせて、尚も泣き続ける風斬。
そんな彼女を見て明らかにおろおろとする一方通行の姿を黄泉川や芳川辺りが見たら
腹を抱えて笑っているだろう。
それほどまでに一方通行は動揺していた。こんな彼の姿は極めて珍しい。
そのまま動物愛護団体に絶滅寸前の希少動物として保護されてもおかしくないレア度だ。
そして一方通行のあまりの鈍感、いや愚鈍っぷりに神すらも呆れ果てたのか、彼を更に
絶望の淵へ追い込むかのような事態が発生した。
871 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:13:38.15 ID:zY60tOO9o
「・・・・・・まったく。 一体何事だこの騒ぎは、これではとても快眠など出来んよ」
その声にビクリ!!と体を強ばらせる一方通行。
恐る恐る振り返ると、一方通行のすぐ後ろに『銀河系宇宙の悪鬼』がいつの間にか佇んでいた。
「え、エイワス・・・・・・・・・・・・!!!?」
「・・・・・・んん? おやおや、これはこれは・・・・・・」
仮に『世界一意地の悪い顔決定戦』という大会があり、それに出場させれば間違いなくブッチギリで
一位になれそうな表情を浮かべていたのは、一方通行からしたら食事前から行方不明、風斬からしたら隣の部屋で熟睡していたエイワスだった。
872 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:14:52.75 ID:zY60tOO9o
「うあああああん・・・・・・・・・・・・、うええええええええん・・・・・・」
「これは・・・・・・至極愉快な状況じゃないか。 どうしたのかね彼女は」
「ち、違う・・・・・・これは・・・・・・。 お、俺は悪くねェ!! 何も悪くねェ!!」
ファブレ公爵家の一人息子のような見苦しい言い訳をする一方通行に、第一位としての威厳は見受けられなかった。
そしてそんなダメ男を見るエイワスの視線は、路地裏の生ゴミを見るかのようだった。
「泣ーかしたー泣かしーたー♪ 一方通行が泣かしーたー♪」
「小学生かオマエは!!! つかいつ帰ってきたンだよ!? 今まで何してたンだ!?」
「一方通行。 今まで私がどこにいたか、今まで私が何をしていたか、」
エイワスは態々と一息吸って、言い放つ。
「そんな些々たる事は全く以てどうでもいい。 都合よく話題をすり替えようとするなど、
愚かさも極まったな、一方通行。 第一位として、いや、それ以前に一人の男として
恥ずかしくないのかね? こんなか弱い少女に涙を流させるとは」
「ぐ・・・・・・く・・・・・・!!」
反論の余地など皆無。ぐうの音も出ないとはまさにこの事。
一方通行はただエイワスの顔を悲痛な表情で見つめる他なかった。
873 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:16:02.40 ID:zY60tOO9o
「こんな事になってしまった顛末を拝聴しようか」
未だにわんわんと泣き叫ぶ風斬を横目に、エイワスは蔑んだ目で一方通行を見下しながら言う。
その視線だけで押し潰されそうな今の彼の、なんと見窄らしい事か。
「て、顛末もクソもねェ・・・・・・! 風斬が何故かやたらに俺とオルソラの仲を気にしててよォ、
その上どこか暗い雰囲気だったからちょっとからかって元気付けてやろォかと思って
『俺とオルソラは付き合ってる』って冗談言っただけだ・・・・・・! そしたら急に・・・・・・」
「ふむ、考慮する価値もない。 極めて王道な茶番というわけだ」
もちろんエイワスは顛末を聞き出すまでもなく、この状況の理由を把握していた。
しかし敢えて一方通行にそれを吐かせる事で彼の様子を見ていたのだが、どうやらひどく落胆したようだ。
874 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:17:05.41 ID:zY60tOO9o
「茶番だと!? 俺はただ風斬を―――」
「元気付けようとした、だろう? その結果がコレなわけだが、
それに対しての異議の申し立てはあるかね? 一方通行」
「・・・・・・・・・・・・ッ、・・・・・・・・・・・・!!」
あるはずもなかった。
風斬を元気付けようとした結果、彼女は『理由はともあれ』泣いてしまっているのだ。
一方通行の非があることは確定的である。
一方通行はそっと風斬に近付き、諄々と諭すように言った。
「風斬・・・・・・、あれは冗談だ。 俺とオルソラは付き合ってなンかいねェ。
俺がそンな男に見えるか? 見えねェだろ? 嘘なンだよ、エイワスが言ったよォに、
ただの茶番なンだ。 オマエがちょっと元気なかったからよ、驚かせてやろォと思って・・・・・・。
い、いや、言い訳はしねェ。 すまなかった、こいつは完全に俺の失態だ」
「・・・・・・・・・・・・ぐずっ、うゆ・・・・・・。 ・・・・・・?」
875 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:18:26.47 ID:zY60tOO9o
風斬がほんの少し、チラッと一方通行の顔を見る。
メガネを上げて涙を拭っているため若干見えにくいが、それでも彼女の表情は窺えた。
瞳をゆらゆらと涙で濡らし、眉を八の字に曲げて悲しんでいる風斬の表情を見て、
一方通行の闇の奥底にある『良心』にナイフで抉られる感覚が走った。
(・・・・・・ノートを見たな、風斬氷華。 だが『最後のページ』を見る前に
こうなってしまったようだな。 ・・・・・・まったく、実に愉快だよ君たちは)
悟られぬようにくつくつと笑うエイワス。やはり風斬がエイワスの部屋に入ったとき、
エイワスは寝てなどいなかったのだ。
「ううう・・・・・・ぐすっ。 ・・・・・・ウ、ソ? ・・・・・・ひっく」
「あァ、嘘だ。 すまねェ、悪かったと思ってる。 だから泣く必要はねェンだ」
普段の一方通行なら絶対に浮かべないような、優しい優しい笑顔で風斬の頭をゆっくりと撫でる。
鼻をすすってはいるが、風斬の慟哭も徐々にではあるが収まってきているようだ。
876 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:19:56.01 ID:zY60tOO9o
「本当に悪かった。 許してくれ、風斬」
「・・・・・・ひっく、・・・・・・ぐす。 ・・・・・・ホント、に、ウソ?」
「嘘だ。 あンなのは嘘っぱちだ。 そしてこれは本当だ、信じてくれ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐすっ、・・・・・・」
一方通行は風斬の頭を自分の胸に優しく抱き寄せ、撫で続けた。
(・・・・・・こ、これは間違いねェよな? こォやって撫でてやりゃ落ち着いてくれるよな?
打ち止めン時もこれでいつも宥めてたし・・・・・・、クソ、わからねェ。 正しいのかこれで・・・・・・)
『最初からそれが出来ていればこんなことにはならなかったものを・・・・・・』
『!!』
877 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:20:52.47 ID:zY60tOO9o
ふいにエイワスが例の『念話能力(テレパス)』もどきで一方通行の頭の中に話しかけていた。
『なぜ、あんな虚言で風斬氷華が悲しんだか、君はわかるかね?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・わからねェ』
『愚鈍が。 それが原因で彼女は涙を流したのだよ』
いつもより一層厳しいエイワスの口調に、しかし一方通行は反論しない。
『もし、仮に君とオルソラ=アクィナスが交際している事が事実だとしたら、彼女は―――』
『・・・・・・・・・・・・、なンだよ?』
『―――――、彼女は君が何処かへ。 そうだな、イギリスにでも定住してしまうのではと考えたのだよ。
そうなってしまったら『天使同盟(アライアンス)』はどうなる? 今でこそこうして風斬氷華は世界を回っているが、
彼女の居場所は君が与えた『天使同盟』であると同時に、学園都市でもあるのだよ。
君が何処かで定住などしてしまえば、彼女は居場所が無くなってしまうだろう』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
878 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:22:16.85 ID:zY60tOO9o
エイワスは少し嘘をついた。
実際は風斬は一方通行がどこかへ消えてしまうのではと考えたのではない。
もっと単純に、もし一方通行が自分ではない誰かと――――――。
『そんな彼女の気持ちも考慮せずにそんな嘘を・・・・・・。 一方通行、君は一回死んだほうがいい』
『・・・・・・・・・・・・そォだな、死ンだほうがいい。 一回で足りればいいが』
一方通行は深く反省した。深く深く、反省した。
今も自分の胸の中で嗚咽している風斬を傷つけてしまった事に、大いに反省した。
自分で同盟宣言をしておきながらこのザマ、一方通行は自分で自分を絞め殺したくなった。
879 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:23:22.97 ID:zY60tOO9o
「・・・・・・風斬」
「・・・・・・っく。 ぐすん・・・・・・」
「風斬、前にも言ったとおりだ。 俺はオマエを置いてどこかに消えたりしねェ。
絶対に、誓って、オマエを置いてけぼりにしたりしねェ。 あァ、誓うぜ。
エイワスにも聞かせてンだ。 嘘偽りなく、堂々と言える」
「確かに。 聞き届けたぞ」
「他のやつにも言える。 オマエだけじゃねェ、ガブリエルも、垣根の野郎も、
絶対に置いていったりしねェし、『逃さねェ』。 約束する」
「一人、忘れていないか一方通行?」
「オマエは置いてったってすぐ来るンだろォが」
「ふふ、相違ない」
気付けば、風斬の嗚咽は止んでいた。
880 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:24:28.79 ID:zY60tOO9o
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・風斬?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐすっ。 じゃあ、・・・・・・特別に許してあげます」
すっかりクセになってしまったのか、例の如く風斬は頬を膨らませながらそう言った。
側でエイワスが『いい話だ、感動的だな。 だが―――』とか言いながらデジイチで二人の姿を連写しているが、
そんな事は今の二人は全く気にしていなかった。
881 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:27:25.50 ID:zY60tOO9o
「すまねェ」
「・・・・・・、ぷい」
謝ってくる一方通行に対して、風斬はそっぽを向いてしまう。
「う、ぐ・・・・・・。 ・・・・・・ごめンなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ふふっ。 ぐすっ。 冗談、です。 もう許すって言ったんですから、謝らないでください」
「・・・・・・あァ」
心の底から安心した。一時はどうなることかと、一方通行は緊張と焦りで心臓が握りつぶされそうになっていた。
それでは、という事で一方通行は風斬を胸から離そうとするが、グイッと彼女は再び胸に顔を寄せた。
882 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:28:33.66 ID:zY60tOO9o
「ど、どォした?」
「も、もうちょっとだけこうしててもいいですか・・・・・・?」
「いや、もういいだろ――――」
「・・・・・・・・・・・・ダメ?」
「どォぞ」
全パーツが揃ったエクゾディアより攻撃力の高い風斬のうるうる上目遣いに、
さすがの鈍感通行もほんの少し粛然としたようだ。渋々彼女の要求を受け入れる。
「・・・・・・・・・・・・、?」
ふと、風斬がエイワスの方へ視線を向けるとエイワスは手に何かを持って指を差していた。
よく見るとエイワスが持っているそれはいわゆる『カンペ』というやつであり、そこには、
883 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:29:23.75 ID:zY60tOO9o
『さぁ、風斬氷華。 ここでキスをするんだ。 何ならそれ以上の情事に至っても構わんよ?
そうなったら私は音も無く、この部屋から消え去ろう』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」
ボンッ!と風斬の顔が真っ赤に染まる。接吻をしろと轟き叫ぶ(カンペが)。
一方通行に動揺を気付かれぬよう慌てて彼を取り繕う。
「どォかしたか?」
「い、いい、いえ。 何でも・・・・・・な・・・・・・」
884 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:30:17.35 ID:zY60tOO9o
様子がおかしい風斬を見てきた一方通行の顔が非常に近い。
危うく本当に"してしまいかねない"状況になってしまった。
チラッとエイワスの方へ向き直すと、エイワスは明らかに動揺している風斬の様子を見て愉しんでいた。
そんなエイワスにムカっときた風斬がとった行動は、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ? オイどォしたンだよ風斬」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
スッと一方通行から身を離し、スタスタと歩を進めてベッドの前に行くとその身を屈ませる。
「?」
885 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:31:08.97 ID:zY60tOO9o
何をしてンだコイツは、と一方通行が訝しむ。
やがて風斬がベッドの下から何かを取り出してきた。例の桃色ノートだ。
「なンだそれ?」
「もう、こんなものに振り回されたりしないです」
「! 待ちたまえ風斬氷華、話せば分か――――」
珍しく慌てたように風斬に声をかけるエイワスだが、時既に遅し。
風斬は自身の力で雷光に似た光をノートに向けて撃ち込んだ。
「何やってンだ・・・・・・? なンでそのノートを燃やした? てかなンだよそれは」
「さぁ。 私にも分かりかねますが・・・・・・、ふふ。 きっとイケナイ物だと思います」
そう言って彼女は満足気に、百点満点の笑みを浮かべた。
それはもう紛う方無き、『天使』の笑顔だった。
886 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:32:30.05 ID:zY60tOO9o
(作成するのに苦労したのだがな・・・・・・、あのノート)
誰が見ても気付くことはないだろうが、エイワスは少しションボリしていた。
ちなみに、燃えゆくノートの最後のページにはこんな事が書かれてあった。
『このノートこそが虚空、幻想。 己の真実だけを見極めよ。
ノートの幻想に囚われているようでは、己が抱く愛は貫けぬと考えるべし。
――――すべての男女の関係は、星の関係である』
887 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:33:35.47 ID:zY60tOO9o
風斬がこのノートの最後のページを見ていたら、今の状況はまた違うものになっていただろうか。
しかしもう、後の祭り。十秒も経たないうちにノートは完全に燃え尽きてしまった。
「灰も残らねェとは・・・・・・、なンだったンだよ? 今のノート」
「君に話してもしょうがない事だ。 まぁいいだろう、では私はこれで―――」
「・・・・・・逃がしませんよ? エイワスさん」
冷たく、鋭く、突き刺さるような声で風斬は言った。
「・・・・・・まだ何か用が? もう君も満足しただろう?」
「予備、こっちに渡してください・・・・・・」
888 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:34:29.79 ID:zY60tOO9o
「?」
「まだもう一冊か二冊くらいあるんでしょう? あのノート。
それを全部渡してください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ふふふ、本当に信用がないな私は。
しかし風斬氷華、これだけは言っておくがもうノートはこの世に、」
「渡せ」
「はい」
ごそごそと懐をまさぐり、エイワスは風斬に全てのノートを手渡した。
その瞬間、風斬は躊躇ゼロでノートを瞬殺する。
889 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:35:28.34 ID:zY60tOO9o
「わ、私の気持ちをあんな物で惑わせて、自分だけ愉しもうだなんてひどいことです!
もしまた似たような物を作ったりしたら、あなたもさっきのノートと同じ末路を迎えますからね!」
(なンか知らねェが怖ェ・・・・・・)
「心得た。 反省しているよ、もう二度とあんなノートは作らん」
「もう・・・・・・本当にお願いしますよ。 私は真剣なんですから!」
「心得たと言った、許してくれたまえ。 検討を祈るよ、風斬氷華」
その言葉を最後に、エイワスは風斬の部屋から姿を消した。
「なンだったンだ・・・・・・・・・・・・」
話の展開についていけなかった一方通行だが、それでもこれで何とか解決したと見做し、
ドカッとベッドに腰掛けて深い深いため息をついた。
890 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:40:14.38 ID:zY60tOO9o
・・・・・・ま、とりあえずはこんなもんで許してやってみてはいかがでしょうか。
え、ダメですか。なら次はもう少し積極的にさせてみましょう。
今日はここまでです。どうやら天使同盟の真の敵が明らかになってきましたね。
アイツはもうどうしようもないやつです
次回更新は三日以内に。
今日もここまで読んでくれた読者様、お疲れ様でございました、ありがとうございます。
ではまた!
891 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/15(火) 22:40:56.81 ID:zY60tOO9o
【次回予告】
『ンなモンどォしよォもねェだろ、生きてる以上寝っ転がってたらちったァ動くわそりゃ』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『いやあの・・・・・・、動かれたらその、こ、擦れて・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・風斬氷華
892 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 22:42:33.36 ID:S8wakLI90
乙!
一方さんマジ一方さん
風斬……ナニが擦れるんだ!
893 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 22:45:06.15 ID:3iGOURtBP
乙
やっぱりエイワスがまともな事言うわけなかった
次回は抜き回ですね準備します
894 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 22:47:51.81 ID:8xhXO+sg0
乙ー
おろおろする一方さん可愛い
そして脅されるエイワスがすぐ脳内イメージできる・・・
次回はR18・・・なわけないよね
895 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 22:53:41.53 ID:c8Hudjjz0
>>890
>・・・・・・ま、とりあえずはこんなもんで許してやってみてはいかがでしょうか。
>え、ダメですか。なら次はもう少し積極的にさせてみましょう。
是非とももっと積極的にして下さるように、“検討”を祈ります。
>>1
896 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:00:36.06 ID:c7iXebsU0
垣根や一方通行はともかくエイワスを殺気で従える風斬△
897 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:03:10.14 ID:ug5gxa/to
俺も検討を祈ってる
898 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:04:08.15 ID:eMWs3mY5o
乙
天使同盟内のパワーバランスが傾いたというかヒレラルキーに変化が見られたというか
899 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:11:28.33 ID:yq5o9rAlo
おつおつ
全ての男女は星である、法の書にも記される正直意味が分からないが良さげな言葉ですな
エイワスさんマジ詩人
900 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:11:57.24 ID:XR1a6Vj1o
乙
風斬強すぎワロタwww
次回はそうか…服なんて着てる場合じゃないようだな…
901 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:14:25.16 ID:SuAHWc6M0
乙
エイワス……せめてアルファベットの詳細を教えてくれww
902 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:17:10.53 ID:IPFiM1Aco
>「渡せ」
>「はい」
怖いわぁ・・・・・
903 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:31:32.46 ID:uAxdyNmh0
ここまでがエイワスの計算通りか・・・ さすがエイワス
しかも、同じベッドで寝る話になってるような・・・
>>901
Friend ,Love ,Partnership が妥当じゃね?
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:41:44.52 ID:yA25vbCIO
「結局、一方通行を攻略するのに重要なポイントだったのが私って訳よ」
905 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 23:41:57.61 ID:ze/1rmWZ0
『クラアトの召使』『銀河系宇宙の悪鬼』『すべての男女の関係は、星の関係である』
ッ!!
>>1
! 貴様まさか既に『解読』を――――――――!?
906 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/16(水) 01:44:46.70 ID:k94XGMtJ0
おつおつ
しかしここの風斬は生き生きとしてるなあ。
907 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 03:05:25.81 ID:F4qqVZTr0
「全ての人は、星である」は法の書にも書いてあった言葉だが、ここだけ聞くといいこと言うなと思うんだが。
前後に何が言われているかで意味合いも変わってくるんだろうケド。
908 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 05:34:49.04 ID:N/0C6svv0
んー
フラグだのなんだのを数値化・可視化すること自体が幻想という文脈から引き継いだ表現だとすると
星とは遠く重力によってのみ干渉し互いに決して触れあう事のない存在なんだけども
いくらなんでも冷たすぎる解釈だよなこれは
909 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 07:41:36.92 ID:i65Cp5FDO
男女関係なんて星の数ほどあるわな
910 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 07:45:26.87 ID:i65Cp5FDO
取り敢えず男女のビッグバン起こして小宇宙を……どうでもいいや!!
911 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 09:50:10.34 ID:U7pCR+yAO
エイワス「(´・ω・`)」
912 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/16(水) 14:14:35.17 ID:Vh4IHtzD0
男と女って陽と陰のことじゃないのか
913 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 14:38:25.96 ID:Jze4Gyg+o
陰デックス「誰が陰だって」
914 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 17:30:17.08 ID:hi4T4b6zo
陰神ってなんかかっこいくね?
915 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 19:31:11.85 ID:uo5MOivw0
星とは結ぶものだよ
星座しかり
916 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/16(水) 22:37:14.68 ID:Qr3JR/FIo
色んな素晴らしい解釈が見れて嬉しいです、ありがとうございます。
ノートの最期のページに書かれていたあの言葉は、今回は独自の解釈を入れさせていただきました。
あんまり詳しく言うと長くなるので割愛しますが、星をアストラル(界)に置き換えて、
現世とアストラルが重なっているように、男女もそう。いつでもどこにでもいるし、会える。
的な意味合いにしてみました。これは虚数学区の住人である風斬氷華に向けたメッセージだからこそ意味があるというわけです。
少し強引ですけどね・・・・・・。
ではでは、あんまグダグダ言ってないでさっさと投下していきます、大変失礼しました。
行きます
917 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:38:52.97 ID:Qr3JR/FIo
愚鈍通行が引き起こした騒動もひとまず収まり、室内に再び静寂が戻る。
事態は収拾したとはいえ、もはや一方通行はこの部屋に居るつもりはなかった。
許してくれたとはいえ、さすがに自分のような男と一緒に夜を明かしたくはないだろう。
「・・・・・・ンじゃ、俺ァここらで御暇させてもらうぞ」
「え!? だ、ダメです、今日は・・・・・・ここにいてください」
「オマエ正気か? 俺はオマエを泣かせたンだぞ?」
「出ていったら泣いちゃいます」
「・・・・・・・・・・・・」
「ふふっ」
918 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:39:48.31 ID:Qr3JR/FIo
コイツ本当は天使じゃなくて小悪魔なンじゃねェか、と一方通行は辟易した。
彼はすっかり涙を流す女の子に弱くなってしまっていた。マイナス耐性のパラメータが付いた。
「汚ェぞ・・・・・・、バカみてェに泣きやがって。 ナケワメーケかオマエは。
・・・・・・いやまァ、全面的に俺が悪いのは間違いねェンだけどよ」
「涙は女の武器って・・・・・・言いませんか?」
「まさか全部計画通り、とか言わねェだろォなァ?」
「さすがにそこまでの演技は出来ません・・・・・・、嘘だったからいいですけど、
あの時は本当に驚いたんですからね」
「はいはい、悪ゥござンした」
だが結局風斬は一方通行に自分の気持ちを気付いてもらえていなかった。
その気になればエイワスはあそこで風斬の本当の気持ちを暴露出来たのだろうが、
エイワスは気遣ってくれたのだろうか?
919 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:40:39.18 ID:Qr3JR/FIo
「ていうかよォ」
「?」
「なンでオルソラだったンだ? 俺にそォいう関係の女はいねェが、
それでも俺たちが出会った女は結構多いじゃねェかよ」
「えっと、それはオルソラさんだけ何だかパラメータがずば抜けてて・・・・・・」
「パラメータァ?」
「あっ、いえ、なんでもないです・・・・・・」
うっかりノートの事を喋りかけてしまう風斬。無理やりな笑顔を作りごまかしている。
「ワケわかンねェ女だな・・・・・・。 ・・・・・・、そろそろ寝よォぜ、もう〇時まわっちまってる」
「そうですね、明日も色々お手伝いしなきゃいけませんし・・・・・・。
・・・・・・え、えっと、どうしましょう?」
「どォしましょうって何がだよ」
「いや、あの・・・・・・・・・・・・、ね、寝る場所」
風斬は顔を赤く染め、もじもじしながら尋ねる。
しかしまぁよく顔が紅潮する娘だな。
920 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:41:45.90 ID:Qr3JR/FIo
「寝る場所? ここだろ? 俺は出ていっちゃダメなンだろ?」
こうなったら外で寝ることも厭わないと考えていたが、風斬に制止されてしまったため
結局ここで寝るしかないのだ。
「ここですけど、べ、べ、ベッドは一つしかないですし・・・・・・」
「ベッドで寝りゃいいじゃねェか。 何言ってンだオマエ?」
「そ、そうですよね! それしかないですもんね!」
「あァ、俺は床で寝るからよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
921 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:42:50.19 ID:Qr3JR/FIo
そう言うと一方通行はそこら辺に置いてあった毛布を一枚手に取り、
ゴロンと床に寝っ転がってしまった。
まぁこれは鈍感とかでもなんでもなく、当然と言えるだろう。
そういう関係でもないのにベッドで一緒に寝るという選択肢は一方通行でなくても選びがたいはずだ。
しかしこの時、風斬はレッサーの言葉を反芻していた。
『やっぱりもっと積極的に近付かないと何も進展しませんよ?』
レッサーだって頑張っているのだ、自分だってここで頑張らなければ彼女にあんな啖呵をきった自分は何なのかという事になる。
風斬はありったけの勇気を振り絞って一方通行に話しかけた。
922 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:43:41.36 ID:Qr3JR/FIo
「あ、一方通行さん・・・・・・」
「なンだよ」
「きょ、今日は随分寒いですよね」
「ロシアだかンなァ」
「・・・・・・・・・・・・だからそんなところで寝てると風邪ひいちゃいますよ」
「ファンヒーターがあンだろォが」
「私も、ベッドで一人だと、あの・・・・・・風邪ひくかも」
「AIM拡散力場の集合体が風邪なンざひくわけねェだろ」
「ひ、ひきますよ! 夏風邪こじらせたことあるもん・・・・・・」
「そォなのか?」
「は、はい・・・・・・、だから・・・・・・・・・・・・」
923 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:44:47.19 ID:Qr3JR/FIo
「きょ、今日は一緒にベッドで寝てくれませんか・・・・・・・・・・・・?」
どう考えても誘ってます、本当にありがとうございました。
一方通行は寝返りをうって風斬の方を見る。彼女は目を閉じ俯きながらわずかに震えていた。
彼はしばらくそのままの状態で動かなかったが、やがて、
「ンじゃ仕方ねェな。 ベッドで寝るぞ」
別になんでもないといった表情で一方通行は起き上がり、ベッドまで歩き布団に潜り込んだ。
「さっさと来い、俺ァもう眠たくてしょうがねェンだ」
「は、はひ・・・・・・・・・・・・」
よろよろとした足取りで風斬もベッドに近付き、一方通行が作ってくれた
もう一人分のスペースの中に潜り込んだ。
924 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:45:48.56 ID:Qr3JR/FIo
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(・・・・・・・・・・・・うわわわ、どど、どうしよ・・・・・・どうすれば・・・・・)
現在、風斬氷華はベッドの中にいる。その目的はもちろん就寝のためなのだが。
彼女は今、それどころではない状態にあった。
「・・・・・・何もぞもぞ動いてやがる」
風斬の目の前、すぐ隣には一方通行という名の男が同じくベッドに潜り込んでいた。
彼は風斬に背を向け、窓がある壁の方を向いて寝っ転がっている。
つまり、風斬の眼前には一方通行の白い白い後頭部の頭髪があるわけだが。
925 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:46:42.41 ID:Qr3JR/FIo
(こ、こんな近くに・・・・・・、ちょっとこのベッド小さいんじゃないですか・・・・・・?)
部屋を提供された身に余る言葉を吐き、まじまじと一方通行の頭を見つめ続ける風斬。
しかし独立国同盟の皆さんに文句をいうつもりはないが、それにしてもこのベッド、確かに小さい。
一人の人間がベッドに入ってちょうどぴったりスッポリサイズといった大きさであるが故に、
こうして二人で入るともう密着せざるを得なくなるのだ。
もっとも、こうして二人も入って寝るために作られたベッドではないのだろうが。
しかしそんな度胸がない風斬は、一方通行からほんの少し身を離して横になっている。
あと数ミリ後ろに動いたら落ちてしまうような状態だ。
926 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:47:35.94 ID:Qr3JR/FIo
「落ち着きがねェな、なンだってンだよ?」
「ああ、あ、いやあのごめんなさい。 ちょっとでも動いたら落ちちゃいそうで・・・・・・」
「だったらもっとこっち寄ればいいだろォが」
「あう・・・・・・、は、はい・・・・・・」
わずかでも寄れば完全密着状態になるというのに『もっと寄れよ』宣言。
完全に誘ってやがると思うかも知れないが、一方通行に限ってそれはなかった。
しかしこのまま寝てしまえば朝目覚めたら確実に落っこちている事は間違いないため、
風斬はごくりと生唾を飲んで深呼吸をしたあと、ズイっと一方通行の方へ身を寄せた。
・・・・・・こういうイベントは漫画やアニメでも見るが、普通男女逆じゃないだろうか。
「し、失礼します・・・・・・」
927 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:48:18.97 ID:Qr3JR/FIo
むにゅ、と。 一方通行の背中に奇妙な感覚が走る。
「あ?」
「えっ?」
「・・・・・・・・・・・・チッ。 あァー・・・・・・仕方ねェか、クソ」
「え? ・・・・・・あ、・・・・・・///」
奇妙な感覚の正体は、学園都市でも違う意味で一、二位を争うであろう風斬のビューティフルな胸だった。
『当ててんのよ』ではなく、『当てざるをえないのよ』状態である。うん、これは彼の言うとおり仕方がない。
にしても男が見たら死ぬほど羨ま・・・・・・けしからんシチュエーションであるというのに舌打ちとは何事か。
「・・・・・・・・・・・・」
「ひゃっ、あ、あんまり動かないでください・・・・・・」
「あァ? ンなモンどォしよォもねェだろ、生きてる以上寝っ転がってたらちったァ動くわそりゃ」
「いやあの・・・・・・、動かれたらその、こ、擦れて・・・・・・」
完全にエロゲだこれ。
928 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:49:49.24 ID:Qr3JR/FIo
風斬のいやに艶めかしい吐息が一方通行のうなじにかかる。
「ンぎ・・・・・・っ!」
「ど、どうかしましたか?」
「いや・・・・・・、なンでもねェからあンま息すンな」
無茶難題を申し出る一方通行。もっともAIM拡散力場の集合体が呼吸をする必要があるのかどうかと言われたら、
恐らくはないのだろうが、それでも彼女は今まで一応呼吸をして生きてきているのだ、癖のようなものである。
(あァー・・・・・・これじゃ寝るに寝れねェじゃねェか、クッソ・・・・・・)
929 :
申し出てどうする・・・・・・。 正しくは言う、です。 すみません
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:51:03.55 ID:Qr3JR/FIo
体勢を整えるためにもぞりと動く一方通行。そうする度にすぐ後ろから『ん・・・・・・』だの『あぅ・・・・・・』だの
囁くような色っぽい声が聞こえてくるのだが、彼はひたすらに耐えた。神の領域に達しているとしか思えない。
風斬は風斬で位置調節のため微弱に一方通行が動くたびに彼の背中で胸が擦られ、眠れないでいた。
(ひぅ・・・・・・、な、なんか変な感じ・・・・・・)
これはまずい、非常にマズイ。これ以上『コト』が進展したらこの物語は伏線放ったらかしで幕を閉じてしまうため
風斬の理性には是非とも頑張っていただきたいところである。
そして彼女もこのままこうしていたらどうなるかわからないと危惧したのか、
少々荒っぽくなっていた呼吸を整え、とりあえず何か話題を持ち掛ける事にした。
930 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:52:00.59 ID:Qr3JR/FIo
「あ、あの・・・・・・一方通行さん」
「・・・・・・ンだよ」
「えっと、ロシアでの用が済んだら今後、私たちはどうする予定なんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
風斬は現時点で考えられる最も無難な案件を一方通行に尋ねた。
「・・・・・・そォだな。 今のところ存在するアテと言やァ・・・・・・、フィアンマか」
「フィアンマ・・・・・・、『神の右席』の魔術師ですよね」
ロシアでも有力な情報は得られなかったため、『天使同盟(アライアンス)』はとにかく僅かな手掛かりでも
すがるしかない。一方通行が次に考えていたアテは、ミーシャ=クロイツェフを召喚した張本人との接触だった。
931 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:53:17.84 ID:Qr3JR/FIo
「ただフィアンマがどこにいやがるのかは皆目見当がつかねェ。 クソ忌々しいが、またエイワスに
探してもらう他ねェかもなァ。 ・・・・・・会ったところで有力な情報が手に入るとは思えねェが」
「・・・・・・でもそれだとエイワスさんが言ってた、"星の欠片を巡る旅はロシアで終わる"って言葉は
無視する事になっちゃいますよね・・・・・・」
"星の欠片を巡る旅はロシアで終わる"。仮にこのエイワスの言葉が真実であると言うのなら、
『天使同盟』はフィアンマを探すこと無く旅を終え、学園都市に帰るはずだ。
「別にあンな野郎の言葉を真に受ける必要はねェだろ。 俺たちがどォするかは俺たちが決めるンだ」
「そうですね・・・・・・、うん。 今までだってそうしてきましたもんね」
しかしフィアンマに会いに行くというのは、正真正銘星の欠片についての情報を手に入れるため"だけ"であり、
イギリスや今回のロシアのように楽しいものにはなりそうもない。
そもそも一方通行たちはフィアンマが生きているのかどうかすら分からない。
もしかしたらその辺の雪山で野垂れ死にしている可能性だってあるのだ。
そう考えると、一方通行はフィアンマ接触にあまり意欲的になれなかった。
932 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:54:26.58 ID:Qr3JR/FIo
やはりエイワスはそういう意味で、あんな事を言ったのだろうか。
もはやベツレヘムの星の欠片を追う必要はない、と。そう考えての発言だったのか。
一番の懸念事項である、アレイスター・クロウリーも何のアクションもとってこない。
やはり、ロシアで終わりなのだろうか。
「・・・・・・まァ、焦る必要はねェわな」
「?」
「フィアンマを探すのは別にいつでもいいってこった。 現状でも何も起きちゃいねェし、
ガブリエルのヤツもすっかり人間界に馴染ンでやがる。 脳天気だと言われりゃ返す言葉がねェが、
もう別にこのままでもいいンじゃねェかって・・・・・・、正直言うが、思ってンだよ」
「一方通行さん・・・・・・」
933 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:55:32.06 ID:Qr3JR/FIo
「ガブリエルが絡ンだ何かが起きりゃ俺は動くが、そォいうのが無けりゃ別にいいンじゃねェか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・そうは思わねェってンならまた考えるけどよ」
「ううん。 あなたがそう言うなら、私もそれでいいです」
「別に無理して俺に付き合う必要はねェンだぞ。 例えばさっき言ったフィアンマの件だって、
相手が相手なだけに今まで通り面白おかしくってわけにもいかなそォだしな。
オマエらが危険な目に遭うと面倒だから、嫌なら嫌で―――――」
「私は、ずっとあなたと一緒にいたいです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あなたがフィアンマに会いに行くというのなら、私も会いに行きますし、
あなたが天界へ行くというのなら、私もそこへ行きます。
あなたが地獄に堕ちるというのなら、私も地獄の底まで堕ちていきます」
934 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:56:20.16 ID:Qr3JR/FIo
「オマエ・・・・・・・・・・・・」
「さっき言ってくれたじゃないですか、『絶対に置いていったりしねェし、逃さねェ』って。
あれは嘘じゃないんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・当たり前だろォが」
「だったら、私はずっとあなたの側にいます。 ずっと・・・・・・」
そう言って、風斬は一方通行を優しく全身で抱きしめた。
この世の物とは思えない、不思議で幻妖な、しかし包まれるような暖かさがあった。
彼女から香る甘い匂いが一方通行の鼻腔をくすぐる。普段の彼なら振り払うところだろうが、
今回ばかりは一方通行は抵抗しなかった。
「・・・・・・わァーったよ、勝手にしろ」
「はい、勝手にします」
935 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 22:57:28.42 ID:Qr3JR/FIo
壁のほうを向いている一方通行に、それでも風斬はにっこりと笑ってみせた。
そして風斬はその全身で彼を感じながら、数分もせずにすやすやと安らかな寝息をたてた。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・クソったれが)
こうして抱きしめられた事など、人生でたった一度しか無い一方通行は、
(もっと・・・・・・女の気持ちってのを考えた方がいいのか俺は。 ガラじゃないなンて言ってる場合じゃねェか?
コイツの気持ちを無視して俺はコイツを泣かせちまって・・・・・・。 ・・・・・・コイツの気持ちってなンだ?)
人生で初めて、『女性』の気持ちをきちんと考えるという、大きな大きな成長を成し遂げた。
(俺がどこかに行っちまうのを恐れてる・・・・・・とか言ってたな、エイワスの野郎は。
それは分かるが・・・・・・、クソ。 風斬の本当の気持ちなンて分かるか、俺は読心能力なンざ持ちあわせてねェぞ)
そこが分かったとき、それがゴールになるのだが。
(・・・・・・他の女たちにも、もう少し優しくしてやりゃいいのか・・・・・・?
あァちくしょう、わかンね。 ・・・・・・・・・・・・寝よ)
そしてこの日、初めて、ほんの僅かに、淡く、淡く、『女性』を意識したのだった。
『天使同盟(アライアンス)』のロシアでの一日は、こうして終わりを迎えた。
936 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 23:01:41.54 ID:Qr3JR/FIo
ちょっと短いですが今回はここまでです。
何時まで経っても成長しない私とは違い、一方通行は少しですが精神的に成長したようです。
え?ここまで来て濡れ場がないのは不自然?私の書く18禁なんて見たくないでしょ・・・・・・
そんなわけで、今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回からはようやくロシア編二日目に突入します。
そろそろ次スレの時期も迫ってきていますね、早過ぎる気がしますが・・・・・・。
では皆様、今日も寒いので風邪には本当に注意してください。
この二人のように誰かと添い寝すると暖かいですよ、私の場合は相手がいませんが。
ではまた三日以内に!失礼しました
937 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/16(水) 23:04:43.29 ID:Qr3JR/FIo
【次回予告】
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・ガキに礼言われる事なンざ俺がいつしたってンだァ?』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『さて、と・・・・・・。 ワシリーサはどこにいやがんだ? 起きてんだろうなあのババア・・・・・・』
―――――――――――『天使同盟』の構成員・垣根帝督
『あなたは善人なんですか? それとも悪人なんですか?』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
938 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/02/16(水) 23:07:52.56 ID:k94XGMtJ0
激しく乙。
ところでやっぱりこの一通さん殴っていい?
もうどうなってもいいから一回思いっきりぶん殴っていい?
939 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:10:24.02 ID:u4JwAeYV0
超乙ですぞ。
おいおい、せめて背中合わせで寝ろよww なんで胸がすれるんだ。
940 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:11:30.24 ID:AY+d8T6Go
うおわぁぁぁぁぁくせられええええたぁぁぁぁぁ!!!かわれええええかわってくれええええ!!!
俺も幻想のつまった風斬クッションでそげぶしたいよおおおおお!!!!
941 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:11:43.28 ID:u4JwAeYV0
超乙ですぞ。
おいおい、せめて背中合わせで寝ろよww なんで胸がすれるんだ。
>938 お前の死に様を見守ってやるよ。
942 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:12:42.86 ID:/GVb0fvDO
乙!
一通さんもげれ!
943 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:18:07.47 ID:iEzgJYZBo
俺どうなってもいいから風斬のおっぱいに顔うずめたい
乙です
944 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:27:25.14 ID:0dqA5oCAO
風斬さんの逆プロポーズktkr!と思ったのに……
くっそ、第一位め
945 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:54:40.30 ID:M4KGM/5p0
これもうガブリエルの件が片付いたあとも同居するよね
946 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/16(水) 23:57:06.33 ID:0yK1bls20
このシリーズで初めて言わせてもらう。
一方さんもげろ
いやもげてくださいマジで
947 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:14:41.42 ID:cpEpGlToo
ちょっとエイワスに頼んでち○この大きさ5cm短くする代わりに1日だけ幻想殺しもらったわ、一方さんなぐってくる
948 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:16:56.41 ID:Q2eJ/P2DO
そういや、幼少期の育て方次第で、恋愛感情が無くなる、又は理解出来なくなるケースがあったっけ。
一方さんは当てはまるから愚鈍でも仕方ないな
949 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:20:40.09 ID:jgUMODWAO
乙
一方さんもげろ
950 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:35:01.55 ID:5jLMAU6AO
ちょっと打ち止め呼んでくる
951 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:35:37.98 ID:FWkpb1a8o
>>947
マイナス何pだよ…
952 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 00:38:02.73 ID:A3+qStl1o
乙乙
一通さんが不能なんじゃないかと焦ったがそうじゃないようだな
よかった……w
953 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 01:20:18.86 ID:Xw49+sIso
一つ分かったことが、
今回の投下で一番楽しんだのが
>>1
ってことかな。
>>1
、GJ!!
954 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 02:48:51.99 ID:p4DxC7Nuo
乙
タイトル回収きつそうだなwwwwww
955 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 11:19:56.46 ID:yXGeiXhAO
ていとくんまた死ぬのか。可哀想に。
956 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 14:50:51.66 ID:edWJfOBvo
垣根帝督は二度死ぬ、か……
957 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 16:25:18.28 ID:W5FsQfcDO
とりあえず風斬さんのおっぱいで一発ヌいてきた
958 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 17:37:41.19 ID:JcqVDpLp0
垣根帝督。彼は、2度目の『死』を迎える事となる
959 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 22:59:47.00 ID:Hsa0WIBG0
オルソラはもう出ないのだろうか
おしい
960 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/18(金) 22:48:15.25 ID:M5zsFO4Eo
>>954
きつそうっていうか無理です。本当に計画性のない
>>1
でごめんなさい・・・・・・
垣根クンもマジでごめんね、君の活躍はまだもう少し先だけどちゃんと用意してるから
さて、どうやら一方通行が読者様に粉々にされてしまったようですね。
ささっと再生して続きを投下していきます。
今回もよろしくお願いします。
961 :
◆3dKAx7itpI
:2011/02/18(金) 22:49:12.93 ID:M5zsFO4Eo
――――――――――――――――――――――
エリザリーナ独立国同盟の朝は早い。
午前四時過ぎには既に独立国同盟の至る所で民間人が活動を始めている。
今回はプライベーティアとの抗争の後ということもあって、尚更だ。
鳥のさえずりが心地良く聞こえて〜だとか、そんな朝らしい朝ではないにせよ、
ロシアの空から降り注ぐ柔らかで暖かな日差しが、学園都市最強の男に差した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ン、ァ・・・・・・」
いかにも鬱陶しいと言わんばかりの表情で一方通行は爽やかな朝を演出してくださった太陽様をギロリと睨み、
布団を乱暴に引き寄せ日差しを拒絶する。
962 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:50:32.05 ID:M5zsFO4Eo
このまま二度寝と洒落込もうとした時、ふと違和感を感じた。
(あ・・・・・・? ンだこの・・・・・・、甘い匂いは)
自分が包まっている布団の中で、なぜか甘美な香りがする。
この布団が何か特別な素材で出来ており、そこから香っているのかと思ったが、
一方通行はその次の違和感で全てを思い出した。
(なンだこの、やけに柔けェ物体は・・・・・・、スライム? マシュマロ・・・・・・? ・・・・・・)
「うお・・・・・・・・・・・・っ!!!?」
ガバァッ!!と、勢い良く跳ね起きる一方通行。
その狂ったように白い右手には、見事に隣で涎を垂らしながら可愛らしい寝顔で寝入っている
風斬氷華のパーフェクトな――右胸の――マシュマロマンが鷲掴みにされていた。
963 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:51:37.72 ID:M5zsFO4Eo
(チッ!! なァにやってンですかァ俺ァ・・・・・・・・・・・・)
バッとその手を離し、彼女を起こしてしまっていないか確認をする。
風斬は昨晩、泣き疲れたせいもあってか、今なら多少の事では起きなさそうな様子だった。
「ふゥ・・・・・・、ったく・・・・・・」
安堵なのか呆れなのか分からないため息をつく。決して賢者にジョブチェンジしたわけではないので勘違いしないように。
「・・・・・・・・・・・・六時前、か。 思った以上に眠れなかったな」
意識が無くなったのが〇時過ぎなわけだから、実質五時間強睡眠出来ているのだ。
かなりの疲れがあっただろうが、それだけ寝られれば十分ではないかと思えなくもない。
964 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:52:32.31 ID:M5zsFO4Eo
風斬を蹴り落とさないように慎重にベッドから降りていく。
よく見てみると―――疚しい意味ではなく―――風斬はいつの間にかパジャマの姿になっていた。
いつの間に着替えたのかと思ったが、よく考えたら彼女は虚数学区の住人であるため
気分によっていつでもドレスチェンジが出来るのだ。
(便利なモンだな)
大して感心もせずに一方通行は思った。
無事にベッドから降りられた彼は、顔を洗い、歯を磨き、第三次世界大戦の時に着ていた
白のダウンを来て杖をつきながら扉を開け、外に出た。
と、そこで急に何かが一方通行にドン、とぶつかってきた。
「あァ?」
「あ、ごめんなさ・・・・・・。 あー!」
「?」
ぶつかってきたのは五、六歳くらいのロシア人の男の子だった。
さらに続いて同じぐらいの歳の男の子と女の子が走ってくる。
965 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:53:34.75 ID:M5zsFO4Eo
「船のお兄さんだ!」
「はァ?」
いきなりそんな事を言われ、キョトンする第一位。
船のお兄さんとは一体何なのか、『歌のおにいさん』と同じようなニュアンスなのだろうか。
しかし生憎、一方通行にNHK番組出演のオファーは来ていない。と、なると、
「あのでっかいお船もってきたの、おにいさんでしょー?」
ちんまりとした金髪の少女が尋ねてくる。でかいお船と言えば、
「・・・・・・クルーザーの事かァ? 正確には持ってきたのは俺じゃねェが、
まァ乗ってきた事には違いねェな」
966 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:56:05.38 ID:M5zsFO4Eo
「やっぱりそうだ! あの光ってるお姉さんが言ってたとおりだね!」
「うんうん! お礼言わないと!」
そう言って三人の子供たちは一方通行の前にきちんと並び、
「「「ありがとーございました!」」」
967 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:57:22.63 ID:M5zsFO4Eo
ペコリと礼をしてキャッキャとハシャぎながら走り去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ガキに礼言われる事なンざ俺がいつしたってンだァ?」
意味が分からない出来事に一方通行はすっかり面食らってしまった。
それにしてもあの超巨大豪華クルーザー『アライアンス』号がどうかしたのだろうか?
てっきりあの子供たちからクルーザーの話が出たとき、『なんてことをしてくれたんだ』と
罵声を浴びせられると身構えていた一方通行だが、結果は真逆だった。
子供たちは何やら嬉しそうに年相応のニコニコとした可愛らしい笑みを浮かべており、
走り去って行く時も『はやくはやくー!』と、まるで楽しい何かがその先に待ち受けているかのような、
そんなテンションだったように思う。
「・・・・・・・・・・・・とりあえず行ってみるか」
風斬も起こして一緒に向かおうかとも思ったが、寝ているところをくだらない理由で起こしてしまうのも
悪いと思った彼は、そのまま一人で杖をつきながら無茶苦茶に荒らされた居住区へ向かうことにした。
968 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:58:43.00 ID:M5zsFO4Eo
――――――――――――――――――――――
エリザリーナ独立国同盟、朝六時前。
学園都市の超能力者、序列第二位の垣根帝督は居住区の一室で朝を迎えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。 こんなもんか」
結局彼は一睡もせずに作業を続けていた。
イメージカラー『白』の化物が自分の部屋のファンヒーターを持っていってしまい、
寒さを凌ぐために『未元物質(ダークマター)』の翼で寒気を遮断し続けていたため、
若干ながら体に疲れが残っていた。
「あー肩も痛えし首も痛えし、おまけに頭もふらふらしやがる。
結局朝までやり込んじまったか、何必死になってんだかなぁ・・・・・・俺」
969 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 22:59:52.32 ID:M5zsFO4Eo
やたら固い椅子から立ち上がり、うーんと思い切り蹴伸びをする。
肩の調子を確かめるためにグイグイと回し、首を二、三回コキコキと鳴らす。
何やら外が騒がしかった。といっても何か事件が起きての喧騒といった様子ではなく、
どちらかと言えば何らかの素敵なサプライズが起きたときのような歓喜の騒ぎだ。
「んん? 何かあったのか? ガキのハシャぎ声も聞こえてきやがるが・・・・・・」
気怠そうに頭をポリポリと掻く。その際に肘にくっついていた自作の『ルーン』が一枚落ちていった。
右手の側面も黒ずんでおり、作業をしていた机の上には山のようにルーンが盛られている。
「笑えるな、漫画家かよ俺は。 風呂入ったら二、三枚くらいルーンが浮かんでくるんじゃねえの?
トーン貼りの作業してて風呂に入ったらトーンが湯船に浮かんできたって話を聞いたことがあるしなぁ」
そう言って、自分に苦笑する垣根。それにしてもこの男、独り言が多すぎやしないか。
970 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:01:09.17 ID:M5zsFO4Eo
「居住区の騒ぎも気になるが・・・・・・、まぁいいや。 さっそく『コイツ』を試してみようかね」
垣根は机の上だけではなく、その周辺にもゴミのように散らばっているルーンをせっせとかき集め、
『冷蔵庫でも分かる、魔術の使い方講座』の付録として付いていた数個のデッキホルダーにセットする。
彼が作成したルーンは既に一〇〇〇枚に達しようとしていた。
「『決闘者(デュエリスト)』かよ俺は・・・・・・。 これで腕に変な機械がついてたら完璧だな」
着込んだジャケットの裏にびっしりと装着されたデッキホルダーは、さながら王国編のバンデッド・キースのようだ。
付録のデッキホルダーはルーンの取り出しが容易に行えるような設計になっており、
"例え急遽戦闘になってしまった場合"や、"大勢の敵と戦闘になった場合"でもすぐに魔術を発動できるような仕組みになっている。
手に取りそのまま使用するタイプのルーンや、予め貼りつけて使用するタイプのルーンなど、
カテゴリによってホルダーを選択し使用できるようになっていた。
その様だけ見ると、垣根帝督は立派な魔術師に見えなくもなかった。
「さて、と・・・・・・。 ワシリーサはどこにいやがんだ? 起きてんだろうなあのババア・・・・・・」
そしてロシア到着から二日目、垣根帝督の最大の試練が幕を開ける。
971 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:02:15.49 ID:M5zsFO4Eo
――――――――――――――――――――――
「くあァ・・・・・・・・・・・・ンァ、眠ィ・・・・・・」
一際大きなあくびをした一方通行は例の船が突っ込んであるポイントへと向かっていた。
他の『天使同盟』の各々の様子を見ようとも思ったがすぐに面倒な気になりそれをやめ、
彼は一人で朝から騒がしい居住区を歩いていた。リーダー失格である。
居住区では一方通行を抜き去るように子供たちが元気に走って行ったり、
彼の姿を見て何やらボソボソと噂をしているような民間人の様子も見られた。
ただ、その様子は悪い意味ではなくまるで有名人が街を歩いていて、
972 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:03:28.25 ID:M5zsFO4Eo
『あれってもしかしてあの人じゃない!?』
『ホントだ〜! 本物だよ本物!』
と、どこか囃し立てるような雰囲気に見える。
(・・・・・・・・・・・・周りの目線がウザくてしょうがねェ。 やっぱなンかあったな)
だが民間人の様子からして、何か悲劇が起きたような感じではない。
中には普通に商売をしている民間人もいたし、軍人は軍人で走りまわる子供たちを
叱っていたりと、至って平和な光景だ。
昨日あんな事があったばかりだと言うのに、独立国同盟の人間は逞しいなと
一方通行が少しだけ感心していると、
973 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:04:28.88 ID:M5zsFO4Eo
「おはようございます、一方通行」
ふいに後ろから声をかけられた。
「オマエか」
「はい。 サーシャ=クロイツェフです」
緩いウェーブがかった金髪で、その瞳は前髪で隠れて見えず、下着と相違ない素材と黒いベルトで出来た
拘束服を着用し、その上から赤い外套を羽織り、リード付きの首輪を装着している元『ロシア成教』の戦闘修道女、
サーシャ=クロイツェフだった。
974 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:05:55.46 ID:M5zsFO4Eo
周りの民間人に比べてあまりにも薄着な彼女の出で立ちに、一方通行は目を細めて言う。
「・・・・・・オマエ、寒くねェのか? ロシアの地でそンな格好たァ、マゾ子ちゃンなンですかァ?」
「第一の解答ですが、長年この格好で生活しているため何の問題もありません。
補足説明しますと、これは決して私が好んで着用しているわけではなく、あくまで
ワシリーサの指示で着用しているだけですので」
そうは言っても彼女の小さな口から漏れる白い吐息と、わずかに震えている指先を見たら
とても強がりにしか見えないし、聞こえなかった。
「他に着るモンねェのかよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第二の解答ですが、あるにはあるのですが・・・・・・、
その、あまりこれと変わらないというか・・・・・・・・・・・・」
ロシア成教から逃亡する際にワシリーサから渡された自作のカナミンスーツを見たときは
本気であの女をぶち殺してしまおうかと考えたものだ、とサーシャはため息をつく。
ようはサーシャはああいったゲテモノ・・・・・・と言ってはあれだが、そういった服しか持っていなかった。
975 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:07:49.84 ID:M5zsFO4Eo
「変態コスプレ嗜好な飼い主を持つと、ペットも大変だなァ」
「第三の解答ですが、私はあの変態のペットなどではありません」
「嫌々でも着てンじゃねェか。 飼い主に忠実な証だァ」
「第四の解答ですが、アレは力業で無理やり着せてくるのです。
補足説明しますと、私は毎回毎回抵抗の意志を見せています」
「オマエだって女なンだろォ? ちったァオシャレしてェとか思わねェのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第五の解答ですが、その気がないわけでもありません」
「ふゥン・・・・・・・・・・・・」
一方通行は何かを考えているかのような仕草を見せながら歩を進めていく。
サーシャもそんな彼と並ぶようにテクテクと歩いていた。
976 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:08:52.96 ID:M5zsFO4Eo
「・・・・・・・・・・・・第一の質問ですが、」
「あン?」
と、今度はサーシャの方から質問をしてきた。
「あなたは善人なんですか? それとも悪人なんですか?」
「は?」
「昨晩、私は部屋でミーシャ=クロイツェフと夜を明かしました。
あぁ、補足説明しますと、今朝起きたら既にミーシャの姿がなかったので
彼女の現在位置は答えかねます」
「とンでもねェチャレンジャーだな。 『天使同盟』を代表して表彰するぜ」
今までどんな困難にも立ち向かってきた一方通行だが、それでもさすがにあの大天使と
二人きりで一夜を過ごそうとは思えなかった。
977 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:10:24.59 ID:M5zsFO4Eo
ミーシャと一緒にロシアから学園都市へ帰った時、彼は何日かミーシャと
『グループ』の隠れ家で共に過ごしたが、あれは地獄としか言えなかった。
「・・・・・・第一の私見ですが、楽しかったですよ」
「何?」
あの化物と『楽しく』同じ部屋で過ごせる方法があるというのなら是非とも伝授していただきたいものだ。
一方通行はサーシャの言葉の続きを待つ。
「・・・・・・ミーシャから口止めをされているので詳しくは語れませんが、
彼女はあなた方と、特にあなたと共に過ごしてきた時間をとても楽しそうに話してくれました」
「直接会話したってンじゃねェだろ?」
「第六の解答ですが、確かにそういった意味でのコミュニケーションはとれませんでしたが、
それでも彼女のあなたに対する大きな好意を確認することは容易かったです」
978 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:11:24.83 ID:M5zsFO4Eo
「・・・・・・ハッ。 ここ、喜ぶところかァ?」
「第七の解答ですが、素直に喜んであげてはどうでしょうか」
サーシャはミーシャの想いを代弁するように語る。
「補足説明しますと、ミーシャはもっと・・・・・・、もっともっと、あなたと触れ合いたい、
分かり合いたいと願っています。 本来『天使』とは神に造られ、神に操られるだけの
傀儡人形・・・・・・。 にも関わらず、彼女はあなたと共にこの世界で生きていきたいと。
第二の私見ですが、私も彼女と話をしてそう思っているのだと解釈しました」
「・・・・・・・・・・・・わかってンだよンな事ァ」
「第三の私見ですが、天使に心を芽生えさせ、この世界に留まりたいと思わせるあなたは・・・・・・、
ある意味ではとんでもない悪人なのかもしれませんね」
「はいはい」
そんな事はいちいち言われなくても理解している、と言わんばかりに
一方通行をその話題を切り上げた。
979 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:12:43.61 ID:M5zsFO4Eo
「生意気な事を言って申し訳ありませんでした」
「ガキは生意気なくらいがちょうどいいンだ」
「第二の質問ですが、そういうあなたは大人なんですか?」
「・・・・・・・・・・・・、ガキだな」
一方通行にとって大人と子供の境界線はどこなのだろうか。
自分自身でもそれは分からないでいた。
「第三の質問ですが、独立国同盟での一日はいかがでしたか?」
サーシャはとりあえず、といった様子で話題を変えた。
980 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:13:55.36 ID:M5zsFO4Eo
「どォって言われてもまだ分かるわけねェだろォが。
第三次世界大戦の時はどいつもこいつも忙しくてのンびりしてらンなかったしよ。
今だってそォじゃねェか。 エリザリーナのヤツも後処理に追われて・・・・・・・・・・・・、
・・・・・・アイツちゃンとしっかり休ンだンだろォな」
「?」
昨晩、多忙を極め体に疲労を蓄積し過ぎて死にかけていた独立国同盟のトップ、エリザリーナ。
一方通行の計らい―――お節介とも言う―――で半ば無理やり彼女を休憩させたが、
今は何をしているのだろうか。
「オイ、今日はエリザリーナを見たか?」
「第八の解答ですが、朝の五時過ぎには既に部下を連れて居住区に向かっていました」
「調子はどォだったンだ、またフラついてたりしてなかったか?」
「第九の解答ですが、『こんなに休息をとったのはいつ以来かしら』などと言っていました。
補足説明しますと、恐らく彼女も昨夜はゆっくり休んだものと思われます」
981 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:15:53.67 ID:M5zsFO4Eo
「そォかよ」
「第四の質問ですが、やたらとエリザリーナの事を気にかけるのですね?」
「・・・・・・チッ。 あいつが多忙に追われた原因に俺らも含まれてンだよクソったれ」
「第四の私見ですが、見かけによらず世話焼きなのですね」
「オーケーオーケー、喧嘩売ってンだなそォなンだろ?」
一方通行は杖を軸にし、器用にサーシャの小ぶりな尻へ小突くように回し蹴りを放った。
突然の攻撃に対処出来なかった彼女はミルクのように白い雪へ顔から突っ込んで倒れる。
「ぷへっ」
「そのまま雪と一体化しやがれ」
982 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:16:44.06 ID:M5zsFO4Eo
「ううううう、冷たい・・・・・・」
「平気なンだろォ? この辺の寒さにゃ慣れてるらしいから」
「第十の解答ですが、寒さに慣れているとはいえ全身を雪に突っ込ませるほど私はバカではありません」
そう言ってサーシャは腰に備え付けてあったL字の釘抜きを一方通行の杖にゴツン!と当てる。
「ぐおっ!?」
ステーンと転ぶ間抜けな第一位を見て、サーシャはニヤリと笑ってみせた。
そんな二人のやりとりを見て周りの民間人達もクスクスと笑う。
「・・・・・・イイ度胸してるじゃねェかサーシャちゃンよォォ・・・・・・、
ここで第四次世界大戦をおっ始めてもいいンだぜェェ・・・・・・?」
「第十一の解答ですが、一発は一発です。 ・・・・・・第五の私見ですが、
あなただって雪に突っ込んだらそのまま同化してしまいそうなほど白いですね」
ふんす、と鼻を鳴らしてL字の釘抜きをギラリと光らせる。
この生意気なガキにお仕置きをしてやろうと一方通行もヨロヨロと立ち上がった。
983 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:18:20.52 ID:M5zsFO4Eo
「いいぜェ、愉快なオブジェにしてやンよ」
「第五の質問ですが、私が酷い目に遭えばワシリーサが黙っていませんが、よろしいですか?」
「そンな時だけ上司を頼んのかよ!!?」
「む、言われてみれば・・・・・・、それでは情けないですね」
ちょっと遊びが過ぎました、とサーシャが釘抜きを腰へ戻した。
「第六の質問ですが、あなたはこれからどこに?」
「第一の解答だが、なンかさっき独立国同盟のガキどもが船がどォこォって騒いでたからな。
なンかあったンだろォから様子を見に行くンだよ」
984 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:20:31.99 ID:M5zsFO4Eo
「第七の質問ですが、他に連れはいないんですか?
補足説明しますと、私は朝の挨拶とのたまって抱きしめてくるワシリーサに会いたくないので
彼女の部屋には訪れず一人で居ます」
「第二の解答だが俺もそンなモンだ。 わざわざ叩き起こして連れてくほどの騒ぎでもねェしなァ」
「第八の質問ですが、いちいち真似しないでくれませんか?」
「第三の解答だが、こンな喋り方面倒なだけだろォ。 何? キャラ作ってンですかァ?」
「むきーっ!」
突然キレだしたサーシャは再び釘抜きを装備するとブンブンと一方通行に向かって乱暴に振り回してきた。
一方通行はカラカラと笑いながら難なく彼女の攻撃を避けていく。
こうして見ると二人はまるで仲の良い兄妹のようだ。
985 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:22:33.55 ID:M5zsFO4Eo
「にしても、結構遠いな・・・・・・。 案外広いンだなこの国」
「第六の私見ですが、船自体はもう見えるはずなんですけどね」
「オマエも船を見に行くのか?」
「第十二の解答ですが、その通りです。 補足説明しますと、私もあなたと同じく
この騒ぎが少し気になったもので」
「騒ぎっつっても至って平和なモンだけどな・・・・・・、何があったってンだ」
「第十三の解答ですが、何でもあなた方が突っ込ませた船で催し物をしているらしいのですが」
「催し物だァ?」
そんな話はもちろん一方通行は耳にしていない。
独立国同盟の居住区をブチ壊しにしたあの船でイベントをやっているなど、
思いつくものと言えば謝罪会見くらいのものだ。
986 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:23:55.67 ID:M5zsFO4Eo
何にせよ、そんな事を率先してやるであろう人物は、
「・・・・・・・・・・・・どォせエイワスのクソ野郎だろ」
そう、エイワスくらいのものだろう。
あの聖守護天使は自分が楽しければ他人の不幸をも酒の肴にしてしまうド外道だ。
昨晩の風斬事件がいい例である。
風斬の部屋から出た際に出会った子供たちの言葉にも『光ってるお姉さん』というワードがあった。
光る女などどこの銀河系を探してもエイワスしかいないだろう。
「これ以上コトを荒立てやがったらあの野郎・・・・・・、タダじゃおかねェ」
「見えてきましたよ」
サーシャが遠方に向かって指を差した。一方通行がそちらに目を向けると、
昨日独立国同盟に突っ込んだほぼそのままの形で、『アライアンス』号が見えていた。
987 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:31:39.24 ID:M5zsFO4Eo
今日の投下は以上となります。
あんまり話進まなかったですね〜・・・・・・
さてさて、そろそろ次スレを立てなければならない時期がやってきました。
次でなんと5スレ目です、これも全て読者の皆様のおかげでございます。本当にありがとうございます!
では、今夜も皆さんがいい夢を見て眠れますように。
『石を動かして登っていく悪夢』など見ませんように・・・・・・
それでは、また三日以内にお会いしましょう。あでゅー
988 :
次回予告はここまでです。
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/18(金) 23:32:32.41 ID:M5zsFO4Eo
【次回予告】
『捜した捜した、捜したよん。 オイ、ちょっと付き合えよ変態女』
―――――――――――『天使同盟(アライアンス)』の構成員・垣根帝督
『サーシャちゃんは返してもらうわよ!! このド悪党がああああああああああ!!!』
―――――――――――元『殲滅白書』のシスター・ワシリーサ
『っぷは。 いやー朝からこんなどんちゃん騒ぎってのも悪く無いですね!
ささ、一方通行さんもいっちゃってください! よっ! 独立国同盟の救世主・・・・・・あ痛ッ!!?』
―――――――――――魔術結社予備軍『新たなる光』の構成員・レッサー
『肉塊にされなかっただけでもありがたく思えこのマセガキ。 一体全体どォいう事なンだァこりゃ?』
―――――――――――『天使同盟』のリーダー・一方通行(アクセラレータ)
『補足説明しますと、このグリルチキンすごく美味しいですよ』
―――――――――――元『殲滅白書』の魔術師・サーシャ=クロイツェフ
989 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/18(金) 23:34:17.06 ID:jugS34vR0
乙〜
ガブリエル可愛い
990 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:46:55.39 ID:Avc6Kir7o
乙
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:49:13.56 ID:Cyy5Oizh0
乙
サーシャまじロシア人形
もう今日中に次スレたてちゃったほうがいいんじゃないかなぁ・・・
992 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:50:07.81 ID:xHL6ING+o
ワシ「最近サーシャちゃんとモヤシが仲いい」
俺「フラグ……だろうな」
ワシ・俺「ち…くしょ…う」
おつかれなんだよ!
993 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:02:52.23 ID:wOQLMFEAO
そろそろ1000とり合戦か…
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:05:56.96 ID:UvJnL5bAO
Ksk
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:08:49.82 ID:wOQLMFEAO
加速
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:11:18.74 ID:m4XneK+go
次スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298041227/
>>1
が自分で貼るかもしれないけど、その前に埋まりそうだから貼っとく
誘導がまだない状態で埋めとか良くないと思うの
997 :
◆3dKAx7itpI
[sage saga]:2011/02/19(土) 00:11:31.16 ID:DwLBiC7ao
レッサー「どうぞ、私と一方通行さんの愛の巣へ♪」
一方通行「ほざいてろマセガキ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298041227/
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/19(土) 00:11:58.76 ID:LnY71TmY0
gjhgj
999 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:15:11.09 ID:olfTVMfDO
1000なら一方さんはエイワスとくっつく
1000 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:16:15.41 ID:k58fWqSQ0
1000なら一方さんは
>>1
が爆発させる
1001 :
1001
:Over 1000 Thread
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渓谷の宿場 @ 2011/02/19(土) 00:07:48.82 ID:N4Y4Pzgyo
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