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唯「もうすぐ、マラソン大会だね」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 12:50:32.09 ID:i8zZT52yP
放課後、教室
唯「もうすぐ、マラソン大会だね」
律「あったな、そんなのも。はぁ」
澪「ずっと部室にこもってるし、運動するのも悪く無いだろ
律「いきなり走る方が、却って危ないぞ」
紬「だったらしばらくの間、練習してみる?」
澪「それも良いかもな。バンドも体力があって、困る事は無いし」
律「やぶ蛇だったか」
唯「ヘビーだね」
紬「唯ちゃん、面白ーい♪」
律「いや。そうは思えんのだが」
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/
ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 12:52:31.56 ID:i8zZT52yP
和「マラソンの練習って、あなた達何部なのよ」
紬「でも私達、いつも遊んでると思われてるでしょ。だったら、たまには頑張るのも良いと思うの」
和「頑張りどころが違う気もするけれど。無理して怪我しないでよ」
唯「そこは軽音部っぽく、ゆっくりまったり練習するから」
和「意味ないじゃない、それ」 くすっ
唯「えへへー♪」
律「和ませる奴め。後は、梓の了承を得ないとな」
澪「梓の性格上、怒りそうな気もするけど」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 12:54:32.60 ID:i8zZT52yP
軽音部部室
梓「皆さん、今日は遅かったですね」
澪「ん、ああ。・・・梓は、マラソンって知ってるか」
梓「それは、まあ」
律「どんな入り方だよ。その、なんだ。練習はするけど、マラソン大会へ向けての練習もしようと思ってさ」
紬「駄目、かしら?」 じー
梓「いえ、私は構いませんよ。体力を付けるのも、バンドにとって良い影響があると思いますし」
澪「悪いな、梓」
梓「でも、急にどうして?」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 12:56:37.96 ID:i8zZT52yP
律「・・・って訳で、一応は体面とかも気にしてる訳さ」
梓「真鍋先輩が言うように、頑張りどころが違う気もしますけどね。確かに、あまり後ろの方を走るのは良くないかもです」
唯「えいえいおーだよ。えいえいおーっ」
澪「掛け声だけ頑張ってもな。それと梓が言ったように、それなりの順位ではゴールしないと」
律「ハードル上げ過ぎじゃないのか?」
唯「マラソンなのに?」
紬「唯ちゃん、面白ーい♪」
律「コンビ芸か、お前ら」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 12:58:38.75 ID:i8zZT52yP
グラウンド外周
律「1、2、3、4っ」
梓「2、2、3、4っ」
律「けいおんっ」
梓「ふぁいおーっ」
律「けいおんっ」
梓「ふぁいおーっ」
澪「妙にはまってるな、二人とも」
律「いやー。たまには体育会のノリも良いな」
梓「同感ですっ」
澪(あずりつのフラグじゃないよな) たらー
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:00:40.05 ID:i8zZT52yP
唯「・・・」
紬「・・・」
澪「こっちは完全に沈黙だな」
梓「無理しないで、自分のペースで走った方が良いですよ。それと、こまめな水分補給も忘れずに」
唯「横っ腹痛くならない?」
紬「だったら普段は、縦っ腹が痛くなるのかしら?」
唯「あははー♪」
紬「あはははー♪」
律「どこへ向かってるんだよ、お前達は」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:02:42.80 ID:i8zZT52yP
夜、平沢家リビング
唯「・・・という訳で、しばらくマラソン大会の練習をするから」
憂「大丈夫?あまり無理しない方が良いよ」
唯「でも軽音部として走るみたいな物だし、学校の行事だから真面目にならないとね」
憂「お姉ちゃん♪・・・ちょっと、横になって。マッサージしてあげる」
唯「ありがとー」 ごろーん
憂「よいしょ、よいしょ。・・・お餅みたいに、ふにゃふにゃしてるね」
唯「あー、極楽極楽♪」 とろーん
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:05:41.88 ID:i8zZT52yP
憂「足はやっぱり、筋肉が張ってるかも」
唯「でもそのくらいやらないと。私が足を引っ張る訳にも行かないし」
憂「私としては怪我をしないでくれれば、それで良いんだけどな」
唯「憂は優しいね。・・・今度は、私がマッサージしてあげる」
憂「う、うん♪」 ごろん
唯「ういしょ、ういしょ」 もみもみ
憂「お、お姉ちゃん。そこは駄目だよーっ」
唯「えー、何がーっ」 もみもみ
憂「お、お姉ちゃーんっ♪」
唯「ういー♪」 もみもみ
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:08:07.55 ID:i8zZT52yP
朝、教室
純「おはよー。・・・ん、どうかした?」
憂「な、何が」 びくっ
梓「さっきから、反応が変なんだよね。怪我でもしてるの?」
憂「何も、全然。本当、全然平気だから」
純「なら良いけど。あー、もうすぐマラソン大会かー。面倒だなー」
梓「軽音部は、しばらく練習するつもりだけどね」
純「・・・マラソン大会の練習って、あんた達何部なのよ」
梓「でも体を動かすのも面白いよ。普段は部室にこもってるばかりだし」
純「そうだけどさ。筋肉痛になったりして、大変そうじゃない。ねえ、憂」
憂「はは、そうだね。はは」 びくびくっ
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:11:35.70 ID:i8zZT52yP
純「もしかして、憂も筋肉痛とか?」
憂「それは無いよ」 びくっ
純「ふーん」 つんっ
憂「ひゃうっ」 がたっ
梓「ちょ、ちょっと。憂、大丈夫っ?」
純「ご、ごめん。やっぱり、怪我?」
憂「い、いや。その。マッサージが、ちょっと」
純「・・・いやらしい話じゃないでしょうね」
梓「何言ってるのよ、もう」 ぽふっ
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:13:59.45 ID:i8zZT52yP
軽音部部室、ドア前
ひぃーっ♪
梓「・・・なんだろう。ホラー映画でも観てるのかな。でも、澪先輩がいるのに」
澪「むひゃーっ♪」
梓「おおよそ、澪先輩とは似つかわしくない悲鳴だし」
澪「で、でもちょっと気持ち良いかも♪」
梓「まさか、純の言った通りとか?・・・済みません、遅れましたっ」 ばたんっ
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:16:08.17 ID:i8zZT52yP
唯「いらっしゃーい」 わしゃわしゃ
梓「いらっしゃいって何ですか。それと、その手付きは何ですか」
律「平沢式マッサージだってさ。梓もやってもらえ」 ぐったり
梓「・・・もしかして、憂にもやりました?」
唯「良く分かったね。涙を流して喜んでたよ」
梓「多分違うと思いますし、私は結構です。澪先輩に続きをやれば良いじゃないですか」
澪「私はもう結構だ。・・・むひゅっ♪」
梓(妙に、にやついてるし。唯先輩、じっと見てくるし)
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:19:15.08 ID:i8zZT52yP
数日後、放課後
唯「1、2、3、4っ」
紬「2、2、3、4っ」
唯「けいおんっ」
紬「ふぁいおーっ」
唯「けいおんっ」
紬「ふぁいおーっ」
律「なんだかんだといって、走れるようになってきたな」
澪「継続は力なりだ」
律「これなら、赤っ恥は掻かなくても済むんじゃないのか」
梓「後は本番を迎えるだけですね」
律「よーし、上位入賞目指して頑張るぞーっ」
唯、澪、紬、梓「おーっ」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:22:21.93 ID:i8zZT52yP
マラソン大会当日
澪「ストレッチも終わったたし、後はスタートを待つだけだな」
紬「暑くもないし寒くもないし、良いマラソン日和になりそうね」
梓「けいおん、ふぁいおーです」
唯「ぜんざいも待ってるしね」
紬「じゃあ、ゼンマイも巻いちゃう?」
唯「ムギちゃん面白ーい♪」
律「もういっそ、落研に行けよ」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:24:34.16 ID:i8zZT52yP
パーン
律「おーし、スタートだ。無理はしないけど、それなりのスピードで走るからな」
澪「みんな、辛くなったらすぐに言えよ。絶対我慢するな」
紬「梓ちゃんもね」
梓「はいです。唯先輩は大丈夫ですか?」
唯「ウサギとカメのノリで頑張るよ。でもリクガメって、結構足が早いよね」
梓「もう、唯先輩ったら」 くすっ
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:26:43.56 ID:i8zZT52yP
梓「あっという間に見えなくなりましたね」
紬「ウサギというより、バックスバニーみたい」
唯「でもあれって、なんて鳴いてるのかな。ミッミッ?」
紬「鳴くのはバックスバニーじゃなくて、ロードランナーよ」
唯「あー、2コンに向かって叫ぶ」
梓「それはバンゲリングベイですよ。何言ってるんですか」
律「お前こそ、何言ってんだ」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:29:24.31 ID:i8zZT52yP
商店街
紬「結構学校から離れたわね」
澪「みんなで走ってて良かったかもな。下手したら、道に迷う」
唯「あー、たまにいるよね。そういうおっちょこちょいな人」
律「突っ込み待ちか、それ」
唯「し、失礼な。私は憂と下見で何度か走ってるから、道は完璧に覚えてるんです」
梓「いつに無いやる気を見せてますね。何かのフラグですか」
唯「もう、あずにゃんはすぐそういう事言うんだから。平沢式マッサージ、やってあげないよ」
梓(その方が助かるんだけどな) たらー
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:31:38.05 ID:i8zZT52yP
済みません 15と16の間に、これが入ります
正門前、塀沿いの道
澪「みんな、結構真剣に走ってるな」
律「私達も負けてられないって事さ」
和「調子はどう?」
唯「あ、和ちゃん。私達はリクガメのように、意外と早く進んでいくよ」
和「・・・全然意味が分からないけど、無理しないでね。私、先行くから」 ぴゅーっ
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 13:32:33.67 ID:Slm5Yc8+o
>>8
ここを詳しく見たかったwwww
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:34:56.78 ID:i8zZT52yP
ぶろろろー
澪「廃品回収の軽トラか。さすがに、あっさり抜かれてくな」
律「逆に言えば、あれに飛び乗ると楽な気もする」
梓「不正以前に、どこへ走って行くか分かりませんよ」
律「風の向くまま気の向くまま、のんびり旅をするのも楽しいだろ」
紬「りっちゃん、恰好良いー♪」
澪「あれに乗って、気ままに旅?無い無い、無いだろそれは」
律「澪はある意味、ムギ以上にお嬢様だからな」
梓「というか、普通誰でも嫌ですよ。ねえ、唯先輩」
唯「え、ああ。そだね。パンにはマーガリンよりバターだよね」
梓(全然聞いてなかったな。パン屋さんが見えたから、それを言っただけかな)
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:36:57.08 ID:i8zZT52yP
唯「私達の順位って、どのくらいかな」
紬「先頭集団ではないだろうど、上位グループには入ってるんじゃなくて?」
律「よーし、この調子で最後まで走り抜くぞ」
澪「練習の甲斐があったみたいだな」
唯「後は、平沢式マッサージのお陰だね」
律、澪、紬、梓(それはない)
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:39:06.88 ID:i8zZT52yP
郊外の急な坂
律「おー、ここは結構な難所だな」
紬「心臓破りの坂ね」
澪「さすがにここは、ペースを落とすか」
律「ひー、きつい」
梓「でも逆に、頑張り甲斐がありますよ」
紬「梓ちゃんは前向きね♪」
律「ちぇー。梓に負けてられるかっ」
澪「全く。・・・唯、どうかしたのか」
唯「え?」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:41:05.47 ID:i8zZT52yP
澪「いや。さっきから、後ろを気にしてるから。誰か待ってるのか」
唯「そうじゃないよ。私は常に前向きだからね」
澪「そういう意味なのか?」 くすっ
唯「たはは。・・・ごめん、靴の紐が解けたから、先に行ってて」
律「先に行く程でもないだろ。待ってるから、早く結べよ」
唯「良いって、良いって。すぐに追いつくから」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:43:08.61 ID:i8zZT52yP
律「まあ、そこまで言うなら。・・・ゆっくり走るから、すぐに来いよ」
澪「待ってるからな」
紬「唯ちゃん、また後でね」
梓「唯先輩。けいおん、ふぁいおーです」
唯「行ってらっしゃーい」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:45:36.64 ID:i8zZT52yP
坂の頂上
律「ひー、どうにか登り切ったな」
澪「・・・唯は、まだか」
紬「もう少し、ゆっくりめに走る?」
律「そうだな。・・・梓、行くぞ」
梓「あ、はい」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:47:43.74 ID:i8zZT52yP
20分後
律「・・・結構追い抜かれたな」
紬「でも、唯ちゃん来ないわね」
澪「どうする。ここで待つか」
律「ただ唯は、先に行けって言ってたしな」
梓「・・・待ちましょう。唯先輩が来るのを」
澪「それはある意味、唯の言葉に逆らう事になるんだぞ」
梓「・・・分かってます。だから私一人でも、ずっと唯先輩を待ち続けます」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:50:17.82 ID:i8zZT52yP
梓「だから先輩達は、先に」
紬「あー、お茶を持ってくれば良かったわね」 ちょこん
澪「そういう問題なのか」 ちょこん
律「どいつもこいつも、全く。・・・唯が来ないと、軽音部が始まらないぜ」 どかっ
梓「律先輩」
紬「そういう事だから、梓ちゃんも座って座って♪」
梓「はいっ」 ちょこん
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:52:57.20 ID:i8zZT52yP
さらに10分経過
律「・・・来ないな、唯の奴」
紬「調子でも悪くしてるのかしら」
澪「そういう様子には見えなかったけどな」
梓「・・・私、戻って見てきます」
律「待て待て。行くなら私達も一緒に行くからさ。・・・ん?」
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:54:59.14 ID:i8zZT52yP
ぱたぱたぱた
憂「・・・みなさん。お姉ちゃんは?」
梓「憂、戻って来てたの?」
憂「うん。学校まで一度行ったんだけど、全然お姉ちゃんが来ないから」
律「坂の下で靴の紐が解けたとか言って、それっきりだ」
澪「まさか、さぼってるとか?」
紬「それはちょっと」
澪「無いよな、いくらなんでも。だったらやっぱり、調子悪くしてるのか?」
憂「・・・坂の手前ですよね。何となく分かりましたっ」 だだだっ
梓「う、憂っ。私も行くからっ」 だだだっ
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:56:33.63 ID:i8zZT52yP
律「憂ちゃん、早すぎだろ。・・・でも、思い当たる事があるみたいだったな」
紬「この坂に、怖い何かが出てくるのがトラウマになってるとか」
澪「出るのはトンネルだろ。トンネルなんてもう、壁から天井から地面から」
律「こっちが怖くなるから、その辺で止めろ。・・・お、見えてきた」
紬「・・・憂ちゃんと、梓ちゃんと。・・・唯ちゃんもいるわっ♪」
律「あの野郎、心配掛けやがって。・・・でも、座り込んでないか」
澪「とにかく、急ごうっ」
律、紬「おーっ」
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 13:58:35.18 ID:i8zZT52yP
坂の登り口
律「唯っ、大丈夫か」
唯「・・・大丈夫。全然平気」 ぐったり
澪「すごい汗だぞ。・・・それにこの脱輪してる軽トラと、散乱してる古雑誌って」
憂「この坂は登り口のカーブがきつくて、たまにその側溝へ脱輪する車がいるんです」
紬「唯ちゃんはそれを知ってて?」
憂「ええ。私達は、何度か見かけた事があるので」
梓「唯先輩は落ちた雑誌や新聞を、脇へずっと寄せてたんですか」
唯「危ないからね。たはは」
梓「唯先輩」 きゅっ
唯「暑いよ、あずにゃん♪」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:00:36.35 ID:i8zZT52yP
律「笑ってる場合かよ、おい」
梓「り、律先輩。唯先輩は遊んでた訳じゃなくて」
律「お前は黙ってろ」
梓「は、はい」 びくっ
律「唯、お前何やってんだ」
唯「ごめん、りっちゃん。私のせいで遅れちゃって。みんなも、ごめんなさい・・・」
憂「済みません、律さんっ。私も謝りますっ」
律「そういう問題じゃないんだよ、この野郎っ」
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:02:38.80 ID:i8zZT52yP
律「・・・お前言わなかったか。全員で一緒にゴールするって」
唯「あ」
澪「困ったならすぐに伝えろとも言ったぞ」
唯「う、うん」
紬「唯ちゃんがいないと、私達一生ゴール出来ないわ♪」
唯「ムギちゃん♪」
律「そういう事だ。全員で新聞を脇へ寄せるぞっ」
澪、紬、梓、憂「おーっ」
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:04:41.14 ID:i8zZT52yP
梓「あー、びっくりした。はぁ・・・」
憂「本当。でも律先輩は、それだけお姉ちゃんの事を思ってくれてるんだね」
唯「りっちゃんは部長だからね♪」
梓「ええ♪」
憂「お姉ちゃんは休んでてね。・・・あ、純ちゃん?うん、やっぱり坂の下だった」
梓「純?」
憂「うん。すぐに迎えに来てくれるって」
梓「純って、そんな体力あったっけ?」
プップーッ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:06:42.74 ID:i8zZT52yP
ぶろぶろー、きゅーっ
さわ子「これはまた、派手にやらかしたわね。運転手はどこに行ったの?」
唯「携帯を忘れたとか言って、公衆電話を探しに行ってるよ」
さわ子「このサイズなら、私の車でも動かせるか。ロープで引っ張るから、バンパーの下に結んで」
憂「もやい結びで良いですね」 するするっ
梓「何結び?」
唯「おむすびでないのは確かだね」
梓「もう、唯先輩ったら。・・・でも、ちょっと元気が出てきたみたいで安心しました」
唯「どして?」
梓「初めに見た時は完全にへたり込んでて、殆ど動いてなかったんですよ」
唯「たはは、ごめん。柄にもなく、張り切っちゃった」
梓「本当ですよ、もう」 にこっ
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:08:44.48 ID:i8zZT52yP
さわ子「じゃあ引っ張るから、誰か運転席に乗って」
唯「仕方ないな。私が最後まで責任を」
律「冗談は良子さん」 ぽふっ
憂「うふふ。山中先生、ハンドルの操作だけで良いですか」 バタン
さわ子「ええ」
憂「サイドブレーキ戻しますね。・・・オーケーです」
さわ子「みんなはどいてて。・・・行くわよ」
ぶろろーっ
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:10:45.78 ID:i8zZT52yP
ぶろろろー、がくん、がくん、ぶろろーっ
さわ子「・・・良しと。憂ちゃん、ありがとう」
憂「いえ。後はサイドブレーキを掛けてと」 ばたん
律「何でも出来るんだな、憂ちゃんって」
憂「大した事じゃないですよ。それよりお姉ちゃん、山中先生の車に乗せてもらったら」
唯「ありがと、憂。でも私は、最後まで走り抜くから」
憂「お姉ちゃん♪」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:12:48.98 ID:i8zZT52yP
律「いや。あれは言葉のあやで、お前はもう無理するな」
唯「大丈夫。でも私はゆっくりしか走れないから、一緒のペースでは無理だけど」
律「この、可愛い奴め」
澪「明日の朝になっても、私達は最後まで唯と一緒にいるよ」
紬「夜空を見ながら走るなんて、ロマンチックねー♪」
梓「けいおん、ふぁいおーです」
唯「みんな♪」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:14:50.47 ID:i8zZT52yP
さわ子「青春してるわね、全く。じゃ、憂ちゃん乗っていく?」
憂「いえ。私も走りますから。では皆さん、失礼します」 ぱたぱたっ
律「本当、どこまでも出来た子だな」
唯「いやー、それ程でも」
澪「お前が言うな」 ぽふっ
さわ子「ふふっ。私もそろそろ行くわね。何かあったら迎えに来るから、今度こそ無理しないのよ」
唯「さわちゃん、ありがとー」
さわ子「みんな、頑張ってね」
ぶろろーっ
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:16:53.05 ID:i8zZT52yP
律「とは言ったもののって感じだな」
紬「坂の下だったわね、ここ」
澪「後悔先に立たずだ♪」
律「笑顔で言うな、笑顔で。・・・唯、大丈夫か?」
唯「平気平気。私はカメのように、ゆっくり確実に進んでいくよ」
律「よし、その意気だ。梓、唯の事ちゃんと見てろよ」
梓「はいっ。唯先輩、最後まで一緒に走りましょうね」
唯「うん。あずにゃん、よろしくね♪」
紬「なんなら、私が背負おうか?」
律「じゃ、頼む」 どたっ
澪「いい加減にしろ」 ぽふっ
唯、紬、梓「あははっ」
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:18:54.87 ID:i8zZT52yP
翌朝、教室
律「おーす。・・・寝てるのか?」
唯「いや、その。筋肉痛でね」 ぐったり
和「走る練習はしても、古新聞を運ぶ練習はしてなかったものね」
紬「でも昨日の唯ちゃんは、大活躍だったわよ♪」
澪「そうそう。やっぱり唯は、ああでなくちゃ」
唯「でも私のせいで、全員最下位だったでしょ。本当、ごめんね」 しゅん
律「その代わり、全員でゴール出来ただろ。私は、そっちの方が嬉しいよ」
唯「りっちゃん♪」
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:20:57.00 ID:i8zZT52yP
紬「本当に唯ちゃん、大丈夫?今日は休めば良かったのに」
和「大丈夫よ。昨日の夜に、しっかり真鍋式マッサージをしてあげたから」
澪「真鍋式?」
紬「マッサージ?」
和「昔から唯が筋肉痛になった時は、私がマッサージしてあげてるの。効果はこの通りよ」
律(和が、諸悪の根源だったか)
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:23:07.97 ID:i8zZT52yP
紬「でも、まだ完全ではないみたいね」 にぎにぎ
唯「へ?」 びくっ
澪「確かにな」 にぎにぎ
唯「な、何の事?」
律「つまりだ。琴吹式と秋山式と、田井中式マッサージをしてやるって事さ」 にぎにぎ
唯「たはは、冗談ばっかり」 だらだら
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:25:21.63 ID:i8zZT52yP
律「ふふふ♪」 にぎにぎ
澪「くすくす♪」 にぎにぎ
紬「むふふ♪」 にぎにぎ
和「みんな、ちょっと落ち着きなさい」
唯「和ちゃーん♪」
和「まずは、私が見本を見せるから♪」 にぎにぎ
唯「ら、らめーっ♪」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:27:23.67 ID:i8zZT52yP
放課後、軽音部部室
梓「それで唯先輩は、私の肩を揉んでるんですか」
唯「だってみんなの肩を揉まないと、真鍋式マッサージの餌食だもん」 もみもみ
律「餌食って言うな」
澪「とはいえ、唯ばかりにやらせてもな」
紬「ああ、そういう事ね」
唯「へ?」
澪「梓、立って」
梓「え?は、はい」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:29:39.46 ID:i8zZT52yP
澪「梓の前に私が立って、私の前にムギが立って」
紬「私の前にりっちゃんが立って、その前に唯ちゃんが立って」
律「これで完成だ」
梓「・・・輪になりましたね」
澪「梓も、この方が良いだろ」
梓「はい、勿論ですっ」
紬「みんなでみんなをもみもみね♪」
律「その言い方はどうかと思うけどな」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:31:40.13 ID:i8zZT52yP
唯「あー、極楽極楽」
梓「物足りないなら、中野式マッサージでも良いですよ」
唯「もう、あずにゃんのいじわる」
律「お前が言うな」 ぽふっ
澪、紬、梓「あはは」
終わり
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/23(日) 14:33:14.87 ID:i8zZT52yP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
アニメでのマラソン大会回における、唯がエスケープした理由。
あれに不満を抱き、自分なりに補完してみました。
テーマとしては、「唯はこういう子であって欲しい」ですね。
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 15:04:55.33 ID:SpB+lIDEo
乙
少し軽トラが脱輪したところの状況が分かりませんでした
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/23(日) 19:47:08.43 ID:9AA4Mz3pP
今回はくんかくんかが速過ぎて見えなかったぜ
おっつ乙
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 17:33:10.77 ID:lOJrE/K+o
唯はトラックが側溝に嵌るのを予想してたってこと?
可愛くて面白かったけどそこがよう分からんかった
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/01/24(月) 19:37:16.67 ID:F4ElBOBXP
>>1
です。
トラックが脱輪した理由について、分かりにくいとのご指摘を受けましたので若干補足を。
全ては私の説明不足によるものですが、基本は
>>31
における憂とムギの会話
憂「この坂は登り口のカーブがきつくて、たまにその側溝へ脱輪する車がいるんです」
紬「唯ちゃんはそれを知ってて?」
憂「ええ。私達は、何度か見かけた事があるので」
これが理由で、また説明不足の要因でもあります。
脱輪する経緯は
登り口のカーブが急なので、、車も急な曲がり方を要求される。
その際オーバー気味に曲がってしまい、道路から逸脱。
結果として道路脇の側溝に脱輪。
という流れになります。
┌───────────────────────────────┐
│ 側溝 .│
│ ↓ ......│
│ \\ \ .│
│ 曲がりすぎて、 \\ \ ...│
│ 左前輪を側溝へ落とす→ \\ \← 坂の入り口(急カーブ │
│ ────┘ └──── ..│
│ トラックのルート→ ↑ ......│
│ ....│
│ 道路 .│
│ ──────────── ......│
└───────────────────────────────┘
この部分をもう少し丁寧に書き、かつ唯がその事実を知っていた事も強調しておくべきでした。
今更ではありますが、大変申し訳ありませんでした
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 21:33:03.90 ID:jDOxBSVLo
わざわざ解説ありがとう
脱輪した際に積んでた古新聞とかが道路に落下、散乱してたのかな
そのままだと後続車がスリップするなどの危険があるから
脇に寄せてたってことでいいんですかね?
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/24(月) 22:55:48.12 ID:F4ElBOBXP
再び、説明させて頂きます。
唯が片付けた理由は、スリップ防止も含めが古新聞などが道路を塞いでしまったため。
坂の道自体がが狭く、その半分を脱輪した軽トラが占拠。
残ったスペースに古新聞が崩れ落ちているため、他の車が通れないと唯は判断。
古新聞を脇へ寄せたようです。
また梓はもしかして
(このタオルは良い匂いだな♪) くんかくんか
などと思っていた可能性もありますが、シリアスな雰囲気に自重したのかも知れません。
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/01/27(木) 10:20:52.69 ID:FSONdFhr0
すごくよかった
もうこれが公式でいいと思う
誰かを思いやってこそ唯だよね
ええ話や
25.16 KB
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