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佐天「世に鬼あれば鬼を断つ。世に悪あれば悪を断つ。」 其の弐 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 01:31:33.19 ID:4cWeejXh0


前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294925156/


とある魔術の禁書目録・とある科学の超電磁砲×装甲悪鬼村正


このSSは上記作品のクロスSSです



注意

この作品にはオリジナルキャラが登場します

グロテスクな表現が含まれています、苦手な方は注意してください



あらすじ
能力者になることを目指す平凡な少女、佐天涙子
そんな彼女の前に、異世界から自我を持った兵器『劒冑』が現れる
正宗と名乗るその劒冑に共に戦うよう求められるものの、佐天は一度はそれを断ろうとする
それでも、憧れを抱いていた御坂美琴のような英雄(ヒーロー)になりたいという願いを叶え
るために、正宗と共に戦うことを決意した

しかし、彼女が身を投じた戦いは、彼女の思い描いていたようなものではなかった……

理想と現実とのギャップ、正義とは一体何なのか?

数多の苦悩と苦痛を背負いながらも、少女は己の正義を信じて戦いを続ける―――



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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 01:41:49.72 ID:U0igygrAO
次スレ乙
3 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 01:44:12.91 ID:4cWeejXho

人物紹介


佐天涙子 (さてん るいこ)

柵川中学に通う中学一年生
ごく普通の無能力者として平凡な日々を送っていたが、正宗との出会いにより平凡な日常
は終わりを告げ、暗部との争いに巻き込まれていくこことなる
当初は正宗を装甲することを嫌がっていたが、御坂美琴のようになりたいと願い、正宗の仕手
となることを決心した
現在は正宗の指導の下、見よう見真似ではあるが剣術の鍛錬を行っている
しかし、その技量は未だ素人の域を脱しておらず、戦闘は正宗の性能頼りの部分が大きい


正宗 (まさむね) 

正式名は相州五郎入道正宗(そうしゅうごろうにゅうどうまさむね)
様々な最高権力者の間を行き来した、天下一名物と謳われるほどの劒冑
その不可侵性すら感じさせる佇まいから、一度も使用されることなく死蔵されていた
性格は無鉄砲で、かなりの激しい気性の持ち主
己が悪と断じた相手には情け容赦しない苛烈な一面もあったが、現在では多少丸くなった

4 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:01:19.05 ID:4cWeejXho
綾弥一条 (あやね いちじょう)

正宗の以前の仕手
可憐で幼い印象すらある少女だが、その見た目とは裏腹に喧嘩は滅法強く、近隣の人々
からは“寄るなの一条”と呼ばれていた
祖母から吉野御流堂上礼法(よしのおんりゅうどうじょうれいほう)を教わっており、剣術の
腕もかなりのものだった
異常などに強い正義感の持ち主で、正宗の仕手となって以降は正義を貫く戦いに奔走した


御坂美琴 (みさか みこと)

学園都市の第三位
超電磁砲(レールガン)の異名を持つ、常盤台中学に通う能力者
現在は超電磁砲以外に、刀を使った電磁抜刀(レールガン)も会得している
絶対能力進化実験の件で一方通行に対して悪感情を持っていたが、一方通行が
打ち止めを身を呈して救おうとしたことを知り、一方通行と和解した


5 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:07:49.09 ID:4cWeejXho
番外個体 (みさかわーすと)

とある目的により人間に限りなく近く造られた御坂美琴のクローン
他の妹達とは違い、常時ミサカネットワークに接続している訳ではなく、接続時にもネットワーク
上の悪感情を拾いやすいように細工されていた
欠陥電気を石ころ、超電磁砲を宝石と言うなど、自分がクローンであることに強いコンプレックス
を抱いている
天井の起こしたウィルス事件の際に御坂美琴に戦いを挑むが、敗北
現在は冥土帰しの病院に入院している


一方通行 (あくせられーた)

学園都市の第一位
絶対能力者(レベル6)になるために絶対能力進化実験に参加していたが、佐天涙子と正宗
の前に敗北した
結果、実験は凍結され、自分の進むべき道に悩むが、番外個体との戦いを経て、自分なりの
答えを見つけた
現在は黄泉川愛穂宅に居候しながら、打ち止めが住んでいる佐天涙子宅へ通うという生活を
送っている
6 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:20:09.69 ID:4cWeejXho


*注意 以下はオリキャラの紹介になります



木原京 (きはら みやこ)

学園都市に所属する科学者
木原一族の一員で、木原数多の義理の弟にあたる
能力開発の研究者を目指していたが、実験で人間がモルモットのように扱われている様を
目の当たりにし、衝撃を受けた
その出来事を切っ掛けに、兄である木原数多とは不仲になり、決別した
以降は人体実験を行わずに済む工学の分野へと転向した
女のような自分の名前にコンプレックスを抱いている
現在は冥土帰しに匿われている


境此方 (さかい こなた)

暗部に所属している能力者
霧ヶ丘女学院に在籍しており、結標淡希とは旧知の仲
能力名は『終焉境界(ディス・イズ・ジ・エンド)』
暗部の一員として行動する際は、名前で呼ばれることは少なく、ほとんどの場合は能力名
で呼ばれている
任務には忠実で与えられた任務はどのようなないようであれ淡々とこなす

7 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:29:52.40 ID:4cWeejXho
紅宮炸夜 (べにみや さくや)

暗部に所属している能力者
常盤台中学に在籍する中学2年生
髪は短く、私服は動きやすいからという理由で男物を好んで着用している
更に常に帽子を被っているため、しばしば男に間違われる
他人の絆や、幸福を壊すことに快楽を見出し、そのためには労力を惜しまない


日鎖 響 (たぐさり ひびき)

暗部に所属している能力者
長点上機学園に在籍する高校2年生
暗部への勧誘をされた当初は乗り気ではなかったが、その後、暗部が統括理事会の支配下
であることを知った
統括理事会と暗部の実態を知るにつれ、統括理事会に逆らっては学園都市では生きられない
ことを悟り、暗部に入ることを決意した
性格は八方美人で事なかれ主義
殺人などの任務を嫌ってはいるが、上の意向には逆らえず、嫌々ながらも任務に従事して
いる
8 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:38:30.15 ID:4cWeejXho
夏目来見 (なつめ くるみ)

暗部に所属している能力者
書類上は霧ヶ丘女学院に在籍しているが、登校はしていない
能力を行使すると狂乱状態に陥ってしまうという不安定な性格の持ち主
そのため、強力な能力を持ちながらもレベルは4である
この学園都市には無能力者は必要ないという考えを持っており、無能力者には辛く当たる
ことが多い
現在の超新星計画に参加しているメンバーを気に入っており、その繋がりを家族と称する
など、年相応な面も持っている


風嵐砕人 (かざらし さいと)

暗部に所属している能力者
数年前までは暗部とは関わりのない異能力者(レベル2)だった
幼少期から腕っ節が強く、レベルでは格上の相手でも、やり方次第では勝てる、という考え
を持っており、レベルを上げることに関心を持っていなかった
しかし、ひょんなことでレベル5の力を目の当たりにし、その圧倒的な力を前に、己の持論
が間違っていることを思い知らされた
それ以降は真面目に能力開発に取り組んでいたが、思うようにレベルが上がらず、悩んで
いるところへ来た暗部からの勧誘に乗り、暗部に所属することとなった
9 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:44:39.30 ID:4cWeejXho
???

超新星計画に参加している人物
名前、能力名、出自など全て不明
白い外套を着用し、頭までフードで覆ってしまっているため男か女かすらわからない
終焉境界や一部の能力者からは能力者の希望として崇拝されている



10 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:48:26.05 ID:4cWeejXho
人物紹介は以上です

この後、学園都市製の劒冑の紹介もしたかったのですが、あまりの完成度の低さと、
この後の展開で新しい劒冑が登場するため、一緒にしておまけという形で投下すること
にしました

期待してくださっていた方がいたら申し訳ないのですが、ご了承ください
11 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/01/24(月) 02:51:16.06 ID:4cWeejXho
それでは今日の投下はこれで終わりとさせていただきます

こんな遅い時間にも関わらず、見てくださった方、そして前スレをうめてくださった方
本当にありがとうございました
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 03:27:22.87 ID:w5ERQtDDO
超乙
村正知らなかったけど、これは面白く読ませて貰ってる
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/24(月) 15:43:22.52 ID:U77CEtylo
来ていた乙
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/25(火) 23:34:20.92 ID:N+CPecRA0
前スレから読み始めてやっと追いついたわ
続き楽しみに待ってるよ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/26(水) 00:21:02.83 ID:B7ja01qIO
鬼に逢うては鬼を斬る
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/01/27(木) 13:52:49.89 ID:X9Sr9cBlo
乙乙
贅沢を言うとあらすじでもう少し前スレでの話の筋を書いて欲しい所
まあでもそれ書くのも蛇足かな?
17 : ◆JZzNmabVtI [sage]:2011/01/28(金) 02:46:09.73 ID:AhaNSySeo
多くのレスをつけていただき、ありがとうございます。

次回は火曜日辺りには投下できると思いますので、お待ちください。

投下の時間ですが、生活環境が変わったため、23時過ぎになると思います。
これからしばらくの間は早い時間には来れないと思いますが、これからもよろしくお願いします。


>>16
あらすじのことについてですが、あらすじで前スレの話の内容にあまり触れていないのは、
このスレからこのSSに興味を持ってくださった方がいた場合、あらすじに話の内容を
事細かに書いてしまうとネタバレになってしまうかな?と思ったからです。
このスレがageられている時もあらすじの書いてある1は常に表示されていますから、
ネタバレを嫌う人が居る可能性も考慮して、このような内容にしました。




他にも何かご意見や、ご要望があるようでしたら書き込んでいただければ幸いです。

拙い技量ですが、可能な範囲でやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/01(火) 23:21:38.42 ID:fQwj7QELo
まだー?
19 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 00:50:03.88 ID:hfakNvt5o
遅くなりましたが、今から始めたいと思います
20 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 00:57:13.38 ID:hfakNvt5o
これで一件落着かな?

すべて片付いた訳ではないが、誤解は解くことができただろう

ホッと胸をなでおろし

ふと、自分の手に視線を落とす

(男の人の手って……、みんなあんなに大きいのかな?)

男の人と手を繋いでしまった

そう意識した途端、まるで顔から火が出るのではないかと思うぐらいに顔が熱を帯びたのが
わかった

(な、何考えてるのよ、私っ!?)

あれはただの握手で、他に意図があった訳ではない

それでも一度意識してしまったら、もうどうしようもなかった
21 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 01:04:19.07 ID:hfakNvt5o
「ガ、ガラスはちゃんと弁償しますから!」

気恥ずかしい気持ちを誤魔化すために、慌てて別の話題を切り出した

「気にしなくていいよ。ガラスの金はこっちでなんとかするからさ」

「で、でも……!」

窓の方へと視線を移す

勢いよく突入された衝撃で、窓ガラスはおろか、サッシまでもが無残な姿に壊れてしまって
いる

「さすがにここまで壊しちゃったんですから」

これだけ壊しておいて、弁償もしないのでは私の立つ瀬がない

我が家の家計も楽ではないが、弁償のための費用ぐらいは捻出できるだろう
22 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 01:12:19.60 ID:hfakNvt5o
はぁ、とため息をつきたい気分になる

今日は不良と戦ったり、いろんなことがあった

ため息をつくと幸せが逃げるなんて話もあるが、今更一つや二つ逃げたところで大差はない

不幸中の幸いと言えば、現実に引き戻されたことでさっきまでの気恥ずかしさがなくなった
ことであろう

「そっちの奴も悪気があった訳じゃないだろうしな」

上条さんが私の隣の正宗へと視線を移した

そういえば正宗はさっきから一度も口を開いていなかった

「ほら、正宗もちゃんと謝りなさい」

正宗がしたことは私を心配してやったことだし、そもそもの原因は私が正宗をほったらかしに
してしまったことにある

それでも、こんなことになってしまったんだし、一言、謝罪をするのが筋だろう
23 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 01:21:41.32 ID:hfakNvt5o
<吾はまだこやつ等を信用したわけではない。こやつ等が信を置くに値する人間であるか
見極めるまでは、たとえ御堂の頼みであろうとも、吾は頭を下げることはできぬ>

「ちょっと!何言ってるのよ、正宗!?」

すんなりいかないのではないかという予感もあったが、ズバリ的中してしまった

ここへ来て正宗は持ち前の頑固さを発揮してしまったようだ

「そんなこと言わないで、悪いことしたら謝らないと……、ね?」

だからといって引き下がるわけにはいかない

キチンと説得して、自分のしたことをわからせないと

「別にいいさ」

「上条さん……」

正宗を説得しようと試みる私に、上条さんがそう言った

24 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 01:43:42.55 ID:hfakNvt5o
「俺もそいつの気持ちがわかるからな」

<…………>

「俺だって自分の大切な人が危険な目に遭ってるなんて思ったら、後先考えずに飛び出し
ちまう。だから、俺にはそいつがやったことを咎めることなんてできない」

「とうま……」

「俺達が信用できないってのもわかる。でも、まずは俺達の話を聞いて欲しい。お互いの
ことをきちんと伝えることができれば、きっと分かり合えるし、二度とこんなことを起こさずに
済むだろ?」

真摯な態度で、上条さんが言った

<先の言葉通り、吾は貴様等を信用してはおらぬ。吾の考えとしては一刻も早くこの場を
離れるのが最上であると思うておる。だが、御堂が貴様等の話を聞くと言うのであれば吾は
それに従うより他はなかろう>

その言葉の意味を一瞬つかみ損ねたが、これが正宗なりの賛同の言葉なのだと気がついた

(ホントにしょうがないんだから……)

「私は聞きますよ、二人の話。そして、私達のこともお話します」

正宗の代わりに意思表示をする

「そうと決まったら話をする前に部屋の中を片付けるんだよ!このままじゃあおちおち話も
できないんだよ!」

どこか安心した様子でインデックスがそう言った
25 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 01:47:57.13 ID:hfakNvt5o
数分後

辺りに散らばっていた窓ガラスの破片もなくなり、元通りとはいかないまでも大分綺麗に
なった部屋の中央で、私達はテーブルを挟んで向かい合うように座った

構図としては私の隣に正宗が居て、その対面に上条さんとインデックスが居るといった形だ

「まずは私達のことについて話すんだよ」

始めに口を開いたのはインデックスだった

「改めて自己紹介するね。私はインデックス、正式名称は『Index-Librorum-Prohibitorum』。
魔法名は『献身的な子羊は強者の知恵を守る(dedicatus545)』だよ」

26 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/02/02(水) 02:01:32.25 ID:hfakNvt5o
「ええと……、インデックス……、何?」

あまりに長い名前に戸惑ってしまった

正式名称?魔法名?

正式名称は理解できるが、魔法名がなんなのかがさっぱりわからない

というか、人間の名前に正式名称だのなんだのがあることもかなり変わっている

「無理に覚える必要はないんだよ。私のことはインデックスって呼んでくれればいいから」

私の戸惑いを察してか、インデックスは微笑を浮かべながら言った

「話を続けるよ。私はイギリス清教の『必要悪の協会(ネセサリウス)』に所属する魔術師で、
とある理由でこの学園都市に来たんだよ」

「必要悪の教会?」

度々話の腰を折って申し訳ないが、またも彼女の口から出た、聞きなれない言葉について
尋ねてしまった
27 : ◆JZzNmabVtI [sage]:2011/02/02(水) 02:11:12.70 ID:hfakNvt5o
すみませんが今日はここまでとさせて頂きます

話は全然進まず、クオリティの低下も加速していますが、ご容赦ください

それではまた次回
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 06:07:19.70 ID:Oiexyc+SO
朝っぱらから乙
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 16:26:47.86 ID:aukuwROIo
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 19:13:22.86 ID:lFvSz60f0
乙でした

必要悪って正宗さんが荒れそうな感じだな
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/02(水) 22:37:46.31 ID:MoSsCWnD0
ステイルのモーニングビューティータイムまだー?
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/09(水) 20:17:24.61 ID:wAsRs5iIO
まだかな?かな?
33 : ◆JZzNmabVtI [sage]:2011/02/11(金) 23:58:13.72 ID:KoNxjilgo
生存報告です

なかなか更新できなくて申し訳ありません

リアルが忙しいため、しばらく更新できるかどうかわかりません

時間が出来たら投下しに来ますので、それまでお待ちください
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 17:23:21.09 ID:4O8S0AS8o
待ってる
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/12(土) 20:26:40.33 ID:eEc9jZvW0
ショタの言葉攻め以外なら正宗さんは耐えてくれると信じてる
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 16:13:46.26 ID:jGuiG6gIO
まだかなー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 23:12:04.29 ID:jbkpANQAO
木原クンのグローブが劒冑になってそうで恐いです
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 21:50:17.20 ID:/i6W9m84o
気づいたら3月だったでござる
39 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/19(土) 23:12:55.05 ID:bafqHhVGo
生存報告です

長期間に渡り連絡できなくてすみません

まだ続ける意志はありますので、なんとか3月中には続きを書けるように努力します

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/20(日) 01:05:18.30 ID:NZAdQZCTo
待ってるよ
41 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 20:58:53.37 ID:gW499b/oo
かなり間が空いてしまいましたが、今から始めます

久しぶりの投稿なので、感覚を取り戻すために今日はsage進行で行きます
42 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:05:25.40 ID:gW499b/oo
「必要悪の教会っていうのはね、イギリス清教の組織の一つで――まあ今は私が所属して
いる組織だって覚えてくれればいいかな?」

インデックスの説明には全くの落ち度はない

しかし、いかんせん魔術の専門用語だとか組織の名称だとかが出てくるとそれをまったく
知らない私の頭で、それを理解するのはどうにも難しそうだ

まあ、この学園都市の能力に関することだって外部の人間にはわからない専門用語で一杯


私が普段受けている授業ですら外の人間にはチンプンカンプンだろう……
43 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:20:46.50 ID:gW499b/oo
「それで、今は小康状態だけど魔術師と学園都市は敵対関係にあるの。あっ!誤解しない
でね?別に私がこの学園都市に来たのは学園都市の生徒を傷つけるためとかそんなんじゃ
ないんだよ?」

敵対関係……

学園都市と敵対する組織があることなんて表の世界でのほほんと生きていた頃の私はまったく
知らなかった

で、あるならばその魔術師と敵対しているのは学園都市の表ではない組織

学園都市の暗部だと考えるのが正しいだろう

学園都市のどれほどの割合が暗部と関わりがあるのか、その全体像はわからないが暗部
の力は絶大だ

一説によれば、学園都市の技術力は外の世界のそれと比して数十年先を進んでいると
言われている

その技術力は凄まじく、平凡な学生である私の日常生活の中ですら外の世界ではお目に
かかれないようなハイテクな代物が溢れているくらいだ

それほどの力を持った暗部と事を構えることができるということは、インデックスの言う魔術師
とはそれほどの大きな力を持っている存在ということになる

尚且つ、彼女の口振りからするとそれなりの統制を持った組織だと推察できるが……

44 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:24:57.62 ID:gW499b/oo
「るいこ、続けても大丈夫かな?」

随分と深く考え込んでしまっていたようだ

ハッと顔を上げると、ちょっと困ったような顔をしたインデックスが視界に入った

「あ、ごめん……。せっかく説明してくれてるのに……」

「気にしないでいいんだよ。いきなりこんな話をされてもすぐには信じられない話だと思うし、戸惑う
のも無理ないんだよ」

「うんうん。普通はいきなりこんな話をされても信じられねぇよなぁ……」

私達の話を聞いていた上条さんがなぜだかしみじみと言った
45 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:34:02.34 ID:gW499b/oo
「でもるいこはとうまに比べたらずっと優秀な生徒さんなんだよ?とうまは私の話なんか端から
全然信用してなかったもんね?」

インデックスは少し意地の悪い笑みを受けべながら上条さんに向かってそう言った

「インデックス。お前まだあの時のこと根に持ってるのかよ?」

それに対して上条さんは呆れたような口調で応じた

「別に〜?私は全然根に持ってなんかいないんだよ?初対面の私にあんなコトしたくせに
平気な顔しちゃって……。
まあとうまにとってはあんなコト日常茶飯事なんだろうから、気にも留めないのはしかたない
ことかもしれないけどね?」

「あんなコト、ってなんですか?」
46 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:38:05.44 ID:gW499b/oo
「それはね―――」

「うわーーー!!別になんでもないんだよ!なぁインデックス!?」

インデックスの言葉を上条さんがもの凄い勢いで遮った

「その話はいいから、話の続きをした方がいいだろ?な?」

さっきの話も気になるが、上条さんの尋常でない様子を見るに、これ以上首を突っ込むのは
よした方がよさそうだ

「まぁ、とうまの名誉のためにもそうしてあげるんだよ。ただし、今日のご飯は奮発すること、
いい?」

「とほほ、不幸だ……」

上条さんはがっくりと肩を落としながら溜め息を吐いた
47 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:45:35.95 ID:gW499b/oo
「さて続きを、と言ってもこれ以上話せるようなことはないんだけどね……」

「そうなの?」

「うん、さっきも言ったけど魔術側と科学側は今は休戦状態みたいな感じで、たまに一部の
魔術師が先走ったりするくらいで大規模な戦いは起こってないんだよ」

彼女の話を総合すると、魔術師は学園都市と敵対関係にあるが今すぐに大規模な戦闘を
起こそうとは考えていないようだ

実際、私自身が魔術師なる者に攻撃を加えられたこともない

この場は魔術師の存在を知れたことと、インデックスのように敵意のない魔術師がいると
わかっただけで十分だろう

「あっ、でも、もしるいこが聞きたいなら魔術の歴史とか色々教えて話してあげるけど
どうする?」
48 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:52:20.51 ID:gW499b/oo
「う〜ん」

彼女達の素姓についてはこれ以上の突っ込んだことは聞けないだろうし

かといって魔術の歴史について詳しく聞いたところで、それを理解出来るだけの脳味噌は
残念ながら持ち合わせてはいない

インデックスとその横で勘弁してくれと言いたそうな顔をしている上条さんの顔を見比べな
がら思案に暮れていると――

<御堂>

それまで沈黙を貫いていた正宗が口を開いた

「なに?」

「どうかしたの?」

なぜだか不思議そうな顔をして、インデックスがこちらを見て首を傾げた

(あ、そっか)

その反応を見て、先程の声が金打声で私だけに向けられた言葉であったことに気がついた
49 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 21:59:09.09 ID:gW499b/oo
「正宗が私に話があるみたいなんです」

「俺達は席を外した方がいいか?」

そう言って上条さんが立ち上がろうとする

「いえ、大丈夫です」

「! もしかして、そのカミキリムシはテレパシーみたいなことができるの?」

「!!」

インデックスの発言に思わず目を見張った

彼女はこの短い一連のやりとりだけでそれを看過したのだろうか?

私とそう年の変わらない少女であるにも関わらず、その観察眼には脱帽する

「うん、だからちょっと待っててくれないかな?」

「わかった。そういうことならここで待つよ」
50 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:13:32.25 ID:gW499b/oo
<む、あの二人には内密にしておきたかったのだが……まあよかろう>

正宗はきまりが悪そうにそう言った

「それで、どうかしたの?」

<うむ、御堂。あの二人は――といってもインデックスとかいう娘の方であるが……。
あの者等は己の言葉通り説明すべきことを説明し、先の約束を守ったと言ってもよいと
思うのだが>

「?」

正宗にしては珍しく、随分と回りくどいようなそんな言葉だ

(あっ、なるほど……)

少しの間どういう意味なのかと考えたが、なんてことはない

つまり向こうはやるべきことをやったのだから、今度はこちらがそれをしなければ失礼なの
ではないか?と、そう言いたかったようだ

しかし、今更そんなことを言うのは恥ずかしいからこんな回りくどいことをしたのだろう

<…………>

正宗は何も言わない、先程の言葉では私が理解できていないのではないかと思案している
のだろう

<み――>

(心配しなくてもちゃんとわかってるわよ)

<む、意地が悪いぞ。御堂>

(あはは、ごめんごめん。でももうちょっとわかりやすく言わない正宗も反省すること)

<ぬぅ……>

(それから――)

(もう少し、素直になりなさい?)
51 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:21:08.17 ID:gW499b/oo
<善処致す>

短くそれだけ言って、正宗はまた黙り込んでしまった

「お待たせしました」

ともあれ、今度はこちらの素姓をこの二人に説明するのが先決だろう

「もういいのか?」

「はい」

「じゃあどうする?私の魔術についての話を詳しく聞きたいの?」

「ううん、それより。今度はこっちのことを話しておこうと思って」

インデックスは少し残念そうな顔をしたが、正宗のことにも興味があるのか、おとなしく引き下がった


そして私は説明した――

正宗がこことは別の世界から来た存在であること

その世界では劒冑と呼ばれる兵器が存在したこと

正宗がその劒冑であること

そして劒冑が元は人間であることを―――



52 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:26:11.27 ID:gW499b/oo
「別の世界から来た……か」

私の話を聞き終えた上条さんがポツリと呟いた

「なぁ、インデックス。佐天さんの話を信じない訳じゃないんだが、本当に別の世界から何か
がやって来るなんてSFみたいなことあり得るのか?」

やはりこんな話を信じろというのには、さすがに無理があるだろう

魔術云々という話自体が容易に理解出来るような話ではなかったが、異世界なんてのは
それ以上にぶっ飛んだ話だ

上条さんは隣で難しい顔をしているインデックスにそう尋ねた

<貴様ッ!御堂が虚言を弄してでもいるというのかッ!?>

「正宗、今は静かにしてなさい。ね?」

激昂の声を上げる正宗にやんわりと言い聞かせる
53 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:30:48.30 ID:gW499b/oo
「い、いや、俺も別に嘘ついてるなんて思ってる訳じゃないんだ。俺も魔術なんてもんと関わって
“あり得ない”って思うようなことも経験したけど、さすがに別の世界なんてのは半信半疑な
のが正直なところだ」

正宗の剣幕に圧されて、後ろに身を引いた上条さんが弁解の言葉を口にした

「この世界には――」

上条さんの言葉が終わるのを待っていたかのように、インデックスが口を開いた

「この世界には確かに私達が居る場所とは別の階層、世界と言ってもいいものが存在する
んだよ」

「じゃあ別の世界ってのは存在するのか?」

上条さんの問いにインデックスは首を横に振った
54 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:35:54.98 ID:gW499b/oo
「厳密に言うとそれは別の世界ではないんだよ。るいこの話みたいにここと似たような世界で
人間が普通に生活してるなんてのはあり得ないんだよ」

<…………>

正宗は何か言いたそうな雰囲気を出しているが、私の言葉を守り沈黙を貫いている

「それじゃあ、別の世界から何かが来るなんてあり得ないってこと?」

代わりに私がインデックスに質問する

「ううん。あり得ないわけじゃない……と思う。現に私達の目の前にこの世界とは別の世界
のものが存在している以上、それは不可能ではないんだと思う」

再びインデックスはかぶりを振った
55 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:39:31.11 ID:gW499b/oo
「ただ別の世界、よくSFとかでは平行世界だとかパラレルワールドだとか言われているもの
だね。ともかくそのパラレルワールド、この世界とは異なる世界が存在するとして、こっちの
世界とその世界を繋ぐためには莫大な力が必要になる筈なんだよ」

「もし世界と世界を繋げるような魔術があったとして、それを使うためにどれだけの力が必要
になるかなんて想像もつかないんだよ、それこそ―――」




「神様の力でも使わないと不可能かも―――」




56 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:44:04.85 ID:gW499b/oo
<!!>

「正宗……?」

インデックスの神様という言葉を聞いた瞬間

ほんの一瞬だが正宗が動揺したような気がした

「そのカミキリムシに飛ばされて来た時のことを聞いたら、もしかしたら何かわかるかもしれ
ないけど……」

インデックスが躊躇いがちに言った

「正宗、この世界に直前のこと覚えてない?」

<す、すまぬ御堂。この世界に飛ばされた時のことはうまく思い出せぬのだ……>

「別に謝る事なんてないよ」

57 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 22:50:56.61 ID:gW499b/oo
「無理もないんだよ、世界から世界に跳躍するならかなりの衝撃がかかってもおかしくない
んだよ」

<…………>

「その話も気になるけど、それよりも私はこのカミキリムシが元は人間だってことの方が
驚きかも」

「確かに、これが元は人間なんてにわかには信じられない話だよなぁ……」

私の隣に座って(?)いる正宗をまじまじと見ながら上条さんが言った

「実はロボットで、どこかにスピーカーがついてたりなんてことは……」

「それはないんだよ」

半信半疑と言った感じの上条さんとは違い、インデックスは正宗の話を信じているようだ

「このカミキリムシからは凄い力を感じるんだよ。これは科学で造れるものじゃない……
そして、確証はないけど私達の魔術とも違うものなんだよ」
58 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:00:05.31 ID:gW499b/oo
正宗の甲鉄をペタペタと触りながらインデックスが言った

「でもにわかには信じられない、っていうのは私も同じかも。人間が別の存在に姿を変える
魔術は確かに存在するんだよ。
でも魔術では完全に別の存在に変われるわけじゃない。なのにこのカミキリムシ――、
正宗はその存在を根本から全く別の存在に置き換えてるんだよ」

「つまり、こいつは魔術とかで造られているわけじゃなくて。単純にこの形の生物な訳か、
どうりで俺の右手で殴ってもなんともないわけだ……」

「でもちょっと危なかったかも。もしとうまの“幻想殺し”が効いてたら、正宗はバラバラに
なっちゃってたかもしれないんだよ……」

「えっ?どういうことですか?」

「そういや言ってなかったか、俺の右手は触れるとそれが異能の力ならどんなものでも消し
ちまう力なんだ」



「えっ――――?」





“―――”





59 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:08:59.06 ID:gW499b/oo
ザーっと、まるでノイズが走ったかのような感覚が頭の中を駆け巡った

それはたちまち大きさを増し、まるで眩暈のような感覚が私に襲いかかる

(何……これ……?)

それと同時に胸の奥から得体の知れないモノが湧き上がって来るのを感じた


“――――――――――”


(なんだろコレ―――?)


“―――、―――、―――、―――、―――!”


(こんなの嫌だなぁ)

駄目だ――

これを理解しては駄目だ、これを受け入れては駄目だ!

理性ではなく私の心がそう叫んでいる

これを受け入れれば私は――

60 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:16:40.20 ID:gW499b/oo
だというのに、この得体の知れない感覚は一向に消え去らない

ああ、そうか――

これは――

私――――



<御堂、どうしたのだ?心ここにあらず、といった様子だが……>

「へっ?」

正宗の言葉で我に返ると、正宗だけではなく、他の二人も心配そうに私の方を見つめていた

「どうしたのるいこ?具合でも悪いの
61 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:24:32.23 ID:gW499b/oo
訂正

「どうしたのるいこ?具合でも悪いの?」

「大丈夫だよ。ちょっと色々なことがありすぎて整理してただけだから」

「ならいいけど……」

気づけばさっきの嫌な感覚はまるで何もなかったかのように消え去っていた

(なんだったんだろう?)

気にはなるがおそらく思い出さない方がいい類のことだろう

そう結論付け、さっきのことは忘れることにした

「そろそろ私帰りますね。家で二人が心配しているかもしれませんから」

「おっと、もうこんな時間か……。そうだなあんまり遅くなるとその人達も心配するだろう。
途中まで送っていこうか?」

62 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:31:22.22 ID:gW499b/oo
「大丈夫で――」
<貴様に心配されずとも、御堂の身はこの吾が守る。貴様の手助けなど無用だ>

私が断りを入れるよりも早く正宗が上条さんの申し出を一刀両断してしまった

「す、すみません」

「はは、気にすんなって。なんだかこの短時間でこいつの性格は大体掴めたからさ」

<ふん! それでは御堂、吾はいつも通り建物の屋上から御堂に近づく不届き者がおらぬか
索敵を行う故、先に外で待っておるぞ>

言うなり、正宗は割れていた窓からベランダへ出ると、向かいのビルへ向かって飛んで行って
しまった

63 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:37:32.35 ID:gW499b/oo
「それじゃ私も行きますね。正宗を待たせるのも悪いですし」

「玄関までは送るよ。せめてそれくらいはしないとな」

「私も行くんだよ!」

二人と一緒に玄関まで来て、靴を履きながら上条さんに言った

「あの……、ホントにお金はいいんですか?」

「大丈夫!これでも上条さんは甲斐性はある方なんですよ?」

腕まくりをするような仕草をしながら上条さんは笑った

正直な話、我が家の台所事情も中々厳しいものがある

払わないでいいというのはありがたい申し出ではあるのだが……

64 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:46:58.83 ID:gW499b/oo
「るいこは気にしないでいいんだよ。とうまはこうなったら頑固なんだから」

インデックスは両の掌を上に向け、やれやれといった感じのジェスチャーをした

「それで?具体的にはどうするの、とうま?」

「ビリビリにでも頼んで貸して貰おうかなぁー、って」

「さ、最低なんだよ。女子中学生にお金をせびるなんて、さっきの甲斐性って言葉はどこに
行ったの?」

ジトーっとした目をしながらインデックスが非難の声を上げた

「しょ、しょうがないだろ?他に金を貸してくれなんて頼めそうな奴がいないんだよ。
小萌先生には散々世話になってるし、クラスの皆からも無理だろうしな……。青ピの奴に
至っては昨日まで入院してたからそんな余裕自体ないだろうし……」

65 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/27(日) 23:54:26.29 ID:gW499b/oo
「あの〜、そのビリビリさんってどんな人なんですか?」

「ああ、何かと俺に突っかかって来る奴でさ。常盤台のレベル5なんだ」

常盤台のレベル5……

常盤台中学には二人のレベル5がいるという話だが、ビリビリなんて呼ばれそうなレベル5は
一人しか思い浮かばない

「それってもしかして御坂さんのことですか?」

「あれ?佐天さんはビリビリ、いや御坂と知り合いなのか?」

「はい、知り合ったのは最近なんですけど。しょっちゅう一緒に遊んだりする仲で―――」

そこではたと思いついた
66 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:03:11.86 ID:7fZGmwJmo
そうか、レベル5の人なら研究に協力している分他の学生より金銭的に余裕がある筈

もしかして一方通行さんならお金の工面をしてくれるかもしれない

というか以前にも打ち止めちゃんの生活費とその他諸々の費用という名目でお金を渡して
くれたことがあった

その時はまるまると太った茶封筒を渡されて、こんなに受け取れませんと返してしまったの
だが……

あのお金があればガラスの弁償もできるし、これからの生活も楽になるだろうが……

いかんせん、一度それは受け取れないと突っぱねてしまったものを後からやっぱり下さいと
言うのも気が引ける

67 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:16:50.77 ID:7fZGmwJmo
しかし状況はそうも言ってられない

一先ずここは帰って一方通行さんに事情を話してみることにしよう

「あの、もしかしたら私お金なんとかできるかもしれないです」

「だから無理しなくていいって」

「いえ、私じゃなくて。私の知り合いにレベル5の人がいるんでその人になんとかして貰え
ないか聞いてみます」

「その人は御坂とは違う人なのか?」

「そうです」

「その人は男の人?」

「? そうですけど?」

「う〜ん」

それから上条さんは考え込むような仕草をしながらう〜んう〜ん唸っていた

「どうしたんだろ?」

「きっと葛藤してるんだよ。自分でどうにかしたいけど短髪に頼むのは気が引けるし、男の
人ならあんまり気兼ねはないけど、るいこにそれを頼むのは気が咎めるしで……」
68 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:24:35.78 ID:7fZGmwJmo
「はぁー……」

葛藤している上条さんは表情がくるくる変わって少し面白かったが、このまま放置する訳に
もいかない

ここは一つ落とし所を見つけるしかないだろう

「上条さん」

「う〜んう〜ん、って何?」

「とりあえず、私が一回その人に頼んでみて、駄目だったら上条さんにお願いする。ってこと
にしませんか?」

私が考えた結果これがこの場では一番いいと思う落とし所だ

「う……、わかった。それでお願いするよ、でもあんまり無理はしなくていいからな?」

僅かに逡巡したようだが、上条さんはその条件で了承してくれた

69 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:32:15.52 ID:7fZGmwJmo
「それじゃあ連絡先を交換しましょうか?そっちの方が便利ですし」

私は携帯を取り出しながらそう言った

「ああ、それじゃあ、申し訳ないけどよろしく頼むよ……」

「なるほど……、とうまはこんな風にしていつも女の子と知り合いになっている訳なんだね」

インデックスが何か神妙な面持ちで呟いているが、それは気にしないでおこう

「今度こそ行きますね。それじゃ二人ともまたねっ」

携帯をしまい、二人に挨拶をする

「またねー!るいこ!」

「気をつけて帰るんだぞー」

手を振る二人に背を向けて私は駆け出した
70 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:40:13.04 ID:7fZGmwJmo
<遅かったな、御堂>

建物の外へ出ると待ちかねていたかのように正宗が金打声で話しかけて来た

「ごめんごめん、ちょっと話し込んじゃってさ」

<そうか。それでは帰るとするか、家で打ち止めが待っておるやもしれん!>

「そうしよっか。 ん〜!今日はなんだか疲れたなぁ〜!」

勢い良く伸びをしながらそう言った

<そうだな……。よしッ!今宵は吾が御堂の代わりに夕餉の支度をしてやろう!>

「いや、それはちょっと遠慮しとく」

<なぜだ?遠慮はいらぬのだぞ?>

71 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/03/28(月) 00:54:37.98 ID:7fZGmwJmo
「正宗はそそっかしいからなぁ、料理を任せるのはもう少し家事が上達してからね」

<御堂がそう言うのであれば、致し方あるまい。御堂の域に達するまで精進するとするか>

「そうそう、素直でよろしい!」

<やれやれ、御堂には敵わぬな……>

そんな他愛のないことを話しながら二人で茜色に染まる街を家へと向かい歩いて行く

正宗――

私の劒冑――

私を支えてくれる大事なパートナー

一緒にいるのが当たり前になっていた、声をかければどこにいたって応えてくれた

それでいいんだって思ってた、だけど……

今日の話で少し不安になってしまった

正宗はこの世界とは別の世界の存在、私と出会う前はそこでの生活があって、そこでの
友達が居て、そこでの大切な人が居て……


だから不安になってしまった……


正宗は――



本当は元の世界に帰りたい――




そう思っているんじゃないだろうか、って―――




72 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/03/28(月) 00:56:17.25 ID:7fZGmwJmo
随分長々とやってしまいましたが、今日はこれにて終了です

次回はいつになるかわかりませんが気長にお待ちいただけたら幸いです

それでは
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 00:56:36.72 ID:x4gCr0hTo
74 :名無しNIPPER [sage]:2011/04/04(月) 20:41:19.09 ID:RLM1svlDO
乙。 ところでこの正宗はいつの時点から来たんだっけ?普駝楽城のあたり?
75 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/04/08(金) 03:21:20.63 ID:Jd23MeAlo
>>74
正宗がいつの時点から来たかはこれからのストーリー内で書くつもりですので、どうか
それまでお待ちください。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/26(火) 23:18:20.13 ID:MZ0zGX5co
待ってる
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 14:10:12.52 ID:rGDaB3g3o
待ってる
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/02(木) 22:24:24.13 ID:ORFkYvnIo
まだでしょうか?
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/13(月) 23:58:43.16 ID:pcfFTJ1z0
待ってる
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 23:53:51.81 ID:EqddAHE/0
まってるよ、いつまでもまってるよ
だからそろそろ…
81 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/06/16(木) 00:42:23.48 ID:trNbq8jpo
生存報告です

長期間連絡できなくて申し訳ありません

まだ続きを書く気はあるので、もう少しお待ちください

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/16(木) 00:42:38.80 ID:5WU7EMx6o
舞ってる
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 08:56:42.77 ID:L4VstLZfo
待ってる
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 19:59:28.08 ID:qTAnnUyB0
生存報告きた!
よかった、まってるよん
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/19(日) 12:19:04.68 ID:ub49mLgi0
待ってる
86 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/06/21(火) 00:03:34.64 ID:+p/F+l71o
投下予告です

22日の水曜日に続きを投下します

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 15:53:58.69 ID:kXo3t/GVo
待ってた!
88 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 20:52:43.25 ID:X8vEpOkso
随分と久しぶりですが、続きを始めます
89 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 20:57:48.20 ID:X8vEpOkso
「ただいまー」

部屋のドアを開け、私の帰りを待っていたであろう二人に帰宅を知らせる

今日は随分と大変な目にあった……

といっても学園都市の暗部と戦うことに比べればどうということはなかったが……

それでも自分の身が危険に晒されることはそう簡単に慣れてしまえるものではない

「おかえりなさ〜い!!ってミサカはミサカはフライングボディアターック!!」

私がそんなどうでもいいような感傷に浸っていると、打ち止めちゃんがその小さな体で
まるで体当たりでもするかのように私の胸に飛び込んできた
90 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:02:44.41 ID:X8vEpOkso
その小さな体を危なげなく受け止める

そして、その私よりもさらに背の小さな少女の顔を見ると、やっと帰って来れたんだな、
という実感が湧き

自然と笑みがこぼれた

「よォ、随分と遅かったじゃねェか?」

私に抱きついて来た打ち止めちゃんより少し遅れて

杖をつきながら一方通行さんがのそのそと部屋の奥から姿を現した

「ン?お前……、その腕の包帯はどうしたンだ?」

私の姿を見るなり、一方通行さんは私の腕に巻かれている包帯の存在に気づき、怪訝な
顔をした
91 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:08:05.67 ID:X8vEpOkso
「いや〜、ちょっと、色々ありまして……、あはは……」

不意な質問に動揺した私は、ひどくぎこちない返事をした

こんな風にぎこちなく返してしまっては自分から何かありました、と白状しているようなものだ……

「そうか……。オイ、打ち止め。お前はあっち行ってテレビでも見てろ」

「え〜、なんでぇ?ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

「いいから行ってろ」

「ぶ〜〜!!」

有無を言わせぬ一方通行さんの態度に、打ち止めちゃんは頬をリスのように膨らませて
抗議した
92 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:14:12.59 ID:X8vEpOkso
「ごめんね、私ちょっと一方通行さんと話さないといけないことがあるの……。だから悪いん
だけどちょっと席をはずしてもらえないかな?」

私は少し屈んで、打ち止めちゃんと目線を合わせ、優しく諭すように言った

一方通行さんは私に何かあったのだと感づいているのだろう

だったら、ここで変に誤魔化すよりも正直に事情を話した方が賢明だ

どうせ今日中にはこちらから切り出すつもりだったんだし

そう考えれば、むしろいらぬ手間が省けたというものだとポジティブに考えることにしよう……
93 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:20:57.30 ID:X8vEpOkso
「うぅ〜〜……、どんな話かはわからないけど、後でちゃんとミサカにも教えてよ!隠し事は
なしなんだからね!ってミサカはミサカは念を押してみる!!」

「へいへい……」

やる気なさそうに頭を掻きながら返事をする一方通行さんの姿に、打ち止めちゃんは不満そう
な顔をしたが、踵を返すと、トコトコとテレビの前まで走っていった

「悪いことしちゃったかな……」

その後ろ姿に申し訳のないことをしたという自責の念が湧いてきた

「気にすンな、しばらくすりゃ忘れて元気になンだろ」

<打ち止めがテレビの前で不貞腐れておったが、一体どうしたというのだ……?>

いつものようにベランダから入って来た正宗がこちらに向かいながら不思議そうに言った
94 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:31:34.95 ID:X8vEpOkso
「ちょっと佐天と話すことがあるから向こうへ行ってろって言っただけだ」

<そのような物言いは感心せんぞ……、と言いたいところだが……。貴様の常日頃の打ち止め
への態度を見ると、貴様が打ち止めを意味も無くそのように邪険に扱うとは考えられん。
何か理由があるのではないか?>

正宗の問いに、一方通行さんはしばしの沈黙の後

「アイツにはあんまり嫌な話は聞かせたくねェンだよ……。暗部のこととか、そういうのはな……」

所在なさげに視線を逸らし、一方通行さんはそう言った

「…………」

一方通行さんは私が怪我を負ったのは暗部との諍いがあったのではないかと心配している
ようだ……

たとえ暗部が絡んでなくても、打ち止めちゃんにあまり心配をかけたくないと思い、彼女を
遠ざけたのだろう……
95 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:38:20.52 ID:X8vEpOkso
<そうか……>

正宗も一方通行さんの意図するところがわかったのだろう

納得したかのように、静かに呟いた

「話を戻すぞ。佐天、その腕の包帯はどうしたンだ?」

話を逸らすかのように、一方通行さんが話を切り出した

「実は――」

別段、隠すような必要はないだろう

腕の包帯は不良に絡まれていた女の人を助けるときに怪我をを負ったものだということ

そして、その後

上条当麻と名乗る人と会い、その人のお宅でインデックスというシスターに治療を受けたこと
を説明した
96 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:48:43.76 ID:X8vEpOkso
「なるほどねェ……」

私の話を一通り聞いた一方通行さんは呆れたような顔をした

「ったく、何でもかんでも首突っ込むンじゃねェよ……。そういうのは無視しときゃいいンだよ」

<なんだと!?それは聞き捨てならんぞ!>

一方通行さんの言葉に正宗が憤りの声を上げた

<悪漢に怯えるか弱き婦女子を見捨てるなど出来る筈がなかろう!?>

「ハァー……」

正宗の怒声を受けても、一方通行さんは一切動じなかった

「なァ、佐天。その女を助けてどうなった?なンか得たものはあったか?助けたソイツは
お前に何かしてくれたか?」

「それは……」
97 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 21:57:40.59 ID:X8vEpOkso
その問いに私は返答に窮してしまった

「なンもねェだろ?お節介で出しゃばって、ただ怪我しただけじゃねェかよ。それにその不良
が今回のことを根に持って報復しにくるかも知れねェぞ?」

「…………」

確かに……

一方通行さんの言う通りだ

今回のことで私が得たものなんてないのかもしれない

挙げるとすれば上条さん達と出会えたことが挙げられるが、それはあくまで偶然の産物で
あり、私が正義感に駆られて起こした行動の成果だとは言えないだろう……

<ならば、見て見ぬ振りをしてその場を後にすることが正しかったとでも言うのか!?>

やはり正宗は納得がいかなかったみたいだ

もの凄い剣幕で一方通行さんに食ってかかった
98 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:11:05.06 ID:X8vEpOkso
「その通りだな。一つ聞くが、佐天がその女を助けようとした時、他にその女を助けようとして
たヤツが居たか?」

<ふん!そのような気骨のある輩は一人も居らんかったわ。だからこそ、御堂がそのような
附抜け共の代わりに正義を為したのだ!>

誇らしげに正宗が言った

「別にそいつらが附抜けなンじゃねェよ。それが普通なだけだ」

<何?>

「学園都市にはジャッジメントなンてのが居やがるンだからよォ、面倒事はソイツ等に任せときゃ
いいンだよ。下手なことしてジャッジメントに捕まってでもみろ、厄介なことになるのは目に見えて
るじゃねェかよ。ただでさえお前達は学園都市に目ェつけられてンのに、自分で厄介事増やして
どうすンだよ……」
99 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:19:54.60 ID:X8vEpOkso
<ぬぅ……>

そういえば、白井さんにも同じことで注意を受けていた

おそらく正宗もそれを思い出したのだろう

「勘違いすンなよ」

「?」
<?>

「別にもうやるな、って言ってるわけじゃねェ。やるなって言ってもどうせ聞きゃしねェだろうか
らな」

半ば諦めているかのうように一方通行さんが言った

「ただ、必要以上に余計なことに首を突っ込むのはやめろ。お前達の目の前でなンかあった
時にお前達がテメェの考えで動くのは構わねェ、ただ自分から厄介事に首を突っ込みに行く
のだけはやめろ。オレが言いてェのはそンだけだ……」

言い終えると一方通行さんは一呼吸置いて

「それから、ジャッジメントとアンチスキルにも気を付けろ。あいつらは敵じゃあねェが味方で
もねェからな……」

そう付け加えた
100 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:26:17.60 ID:X8vEpOkso
<…………>

正宗は完全には納得できていないようだが、一方通行さんが私達のことを思いやってくれて
いることは伝わったようだ

一応は今の話で妥協したみたいだった

一方の私はといえば、さっきからずっと頭の中で自分の考えをまとめようとしていた


“私が今回のことで得たものは何もない”


その言葉が私の頭の中でぐるぐると回っていた

101 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:39:36.89 ID:X8vEpOkso
不良達を倒した時のことを思い出す……

私に向けられた言葉と奇異の視線を……

「…………」

「オイ、どうした?」

黙りこくったままの私に、心配した一方通行さんが声をかけた

「さっきの話なんですけど……」

「あン?」

「私が今回得たものはない、って話なんですけど……」

「ああ、もう気にすンな。変なこと言って悪かったな、忘れてくれ」

「いえ、有ったんです。私が手に入れることができたもの……」

「?」

102 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:52:35.12 ID:X8vEpOkso
こんなものはただの自己満足かもしれない――

いや、こんなものはただの自己満足だ

でも、それでも……


「私、誰かを救うことができました。こんな私でも、誰かを救うことができたから……」


「…………」

一方通行さんは何も言わなかった

ただ、その顔が少し、悲しそうに見えた

「だから、私、自分の行動が間違ってるなんて思いません。たぶん、また同じことがあったら、
また同じことをすると思います……」


そう、後悔なんてしない……

これは私が望んで、私が決めたことなんだから……


103 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 22:59:44.20 ID:X8vEpOkso
「少しは、他人の気持ちも考えろっての……」

「え?」

とても小さな声

うまく聞きとることは出来なかったが、一方通行さんが何か言った事だけはわかった

「今、なんて言いました?」

「なンでもねェよ……」

そう言って一方通行さんはふい、と顔を逸らした

「?」

一方通行さんは何を言ったのだろうか?

夕日が最後の力を振り絞るかのように赤さを増し、紅に染まった部屋の中で、
私は首を傾げた


104 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/22(水) 23:12:30.46 ID:X8vEpOkso
今日はこれで終了です

土曜か日曜のどちらかにはまた来れると思いますのでよろしくお願いします


追記です
次回か次々回から美琴視点の話を入れるつもりなのですが、グズグスしている間に
そこに登場させる予定だった心理掌握の正式な設定が原作で公表されました。
第五位、第六位ともにクロス元である装甲悪鬼村正のキャラを元にしたオリキャラで
ストーリーを作成していたので、今さらストーリーを大幅に改編するのは私の実力的にも
不可能なので、このまま心理掌握の設定は原作とは別のオリジナルの形で進めさせていた
だきますので、ご了承ください。


それでは、次回もよろしくお願いします
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/22(水) 23:39:08.50 ID:FTqWf65w0

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 23:46:38.09 ID:X7moBdHk0
うおおお、きてたんですね!
乙、次回楽しみにまってる
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 00:04:42.91 ID:FqWtAEdzo
オリキャラもう出てるんだし気にしないよ!
そんな僕は紅宮炸夜ちゃん!
乙!
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 17:00:52.14 ID:EGX9VgMP0
まってたよー次はいつくんのかな?
おつ!
109 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:25:37.77 ID:nbtcZOy3o
もうすぐ日付が変わってしまいますが、今から始めさせていただきます
110 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:29:24.37 ID:nbtcZOy3o



      ・
      ・
      ・

「ったく、なンでオレがこンな説教じみたことを……」

「あの……、実はもう一つ話しておかなきゃいけないことがあるんです……」

オレが小さな声で愚痴っていると、佐天がなんともバツの悪そうな顔をしながら話を切り出した

「あ、なンだ?」

「じ、実はですね。上条さんのお宅にお邪魔した時に……、部屋のガラスを割っちゃって……
それで、弁償するためのお金が必要なんですが……」
111 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:35:33.03 ID:nbtcZOy3o
「ハァ?」

思わず大口を開けたままの間抜けな顔で硬直してしまう

佐天は弁償する金がないからオレに立て替えて欲しいと言っているのだろう……

それは別にいい

しかし、一体全体、どんな理由があれば初対面の人間の家でガラスをぶち割るなんて事態
が起きるのだろうか?

佐天がそんなことをしたとは考えにくい……

そもそも初対面の人間の家でガラスを叩き割るなんてバイオレンス極まりない真似をする
奴なんて聞いたこともない―――

と、そこまで考えて、オレの視界に佐天の隣に鎮座している物体が目に入った
112 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:36:18.27 ID:nbtcZOy3o
「ハァ?」

思わず大口を開けたままの間抜けな顔で硬直してしまう

佐天は弁償する金がないからオレに立て替えて欲しいと言っているのだろう……

それは別にいい

しかし、一体全体、どんな理由があれば初対面の人間の家でガラスをぶち割るなんて事態
が起きるのだろうか?

佐天がそんなことをしたとは考えにくい……

そもそも初対面の人間の家でガラスを叩き割るなんてバイオレンス極まりない真似をする
奴なんて聞いたこともない―――

と、そこまで考えて、オレの視界に佐天の隣に鎮座している物体が目に入った
113 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:42:27.06 ID:nbtcZOy3o
居た……

初対面の人間の家で豪快にガラスを叩き壊しそうな奴が……

「オイ、正宗」

佐天の隣にいる正宗を睨みつける

<なんだ……?>

「テメェ、また余計なことやらかしたンじゃねェだろうな?」

<お主の予想通り、ガラスを割ったのは吾だ>

案の定、正宗の仕業だったらしい

「なンだってそンなことしやがるンだよテメェは……。あンまり佐天に迷惑かけるンじゃねェよ」

114 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 22:50:07.86 ID:nbtcZOy3o
<今回のことに関しては申し開きのしようもない>

「あまり正宗のことを責めないであげてください……。正宗は私が襲われると勘違いして、
それであんなことを……」

「そりゃどういうことだ?」

襲われるというのは随分と穏やかではない

もしかすると、その上条という男は女を騙して部屋に連れ込んでいかがわしい行為をしようと
するような類の輩だったのであろうか?

「上条さん達は暗部のことを知ってたみたいで……。それでその話が出た時に正宗は誤解
しちゃったみたいで……」

「そうか……」

115 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:01:07.10 ID:nbtcZOy3o
大方、その上条とインデックスとかいう二人が暗部に所属する人間で、佐天に危害を加える
のではないかと勘違いしたのだろう

そういう事情があったのであれば、あまり強く正宗を責めることはできない

暗部の存在を知っているということは、どんな形にせよ暗部となんらかの関わりがある人間
だということだ

暗部の存在を知っているような人間が、まったくの一般人であるとは考えにくい

暗部に対して良くない感情を抱いている人間も多少はいるようだが、表立って暗部に対して
反抗しているような人間はほとんどいない

それを考えれば、暗部と半ば敵対関係にある佐天の身を案じた正宗の行為はそう責められ
るものではない……

もっとも、いきなり室内に突入するといった行為自体は褒められたものではないが……

「まあいい、金のことは心配すンな。弁償の金はオレが出してやる。それにいい機会だ、
前に渡せなかった打ち止めの生活費なンかもまとめて渡してやるよ」

116 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:07:47.90 ID:nbtcZOy3o
「いいんですか?」

「変な遠慮なンかするンじゃねェよ。テメェには随分と世話になってンだ、こンくらいは当然だ」

遅かれ早かれこうなるとは思っていた

打ち止めという居候の生活費……

そして、オレも毎日の食事はほとんどここで済ませている……

ほぼ三人分の生活費をごくごく平凡な学生が賄える筈もない

「ただ、一つだけ頼みがある」

「頼み……ですか?」

「ああ、その上条とかいうヤツのとこへ行く時はオレも一緒に連れてけ。その上条ってヤツが
どンなヤツか興味がある」

どうして暗部のことを知っていたのか

上条という男がどんな奴なのか、一度会って確かめておいた方が良さそうだ
117 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:17:03.99 ID:nbtcZOy3o
「大丈夫なんですか?」

佐天が心配そうに言った

大方、オレが能力を使えないことを心配しているのだろう

体の状態だって万全とは言い難い

日常生活には支障はないとはいえ、身一つで戦えるほどには回復はしていない

もっとも、能力なしで戦えるほどの頑強さは元から持ち合わせていなかったが……

「心配すンな。能力なら使えるようになった。テメェのことぐらいテメェで守れらァ」

オレは首に装着されているチョーカーを指差しながら言った

「能力が使えるようになったんですか!?よかったですね!」

「ああ、こいつの電源を入れれば能力が使える。ただし、三十分の時間制限付きだがな」
118 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:24:26.06 ID:nbtcZOy3o
「三十分ですか……」

<その程度の時間しか戦えないのであれば、一騎打ちならまだしも複数の敵と戦うのは
厳しいな>

二人の言う通りこの装置のバッテリーが持つ時間は短い

これでも長くなった方だと木原弟は言っていたが……

やはり正宗の言う通り、複数の敵と戦う等の長期戦には気を付けた方が良さそうだ

なんにせよ、再び能力が使えるようになったことに感謝しなくてはなるまい

時間制限の問題は追々考えることにしよう

119 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:33:12.52 ID:nbtcZOy3o
「打ち止めちゃんはどうしましょうか?」

「打ち止めか……」

さて、どうするか……

超電磁砲か妹達、それとも芳川あたりに預けるのがいいだろうか?

いや、さっきの件もある

一人だけ置いて行くと、仲間外れにされたとか言ってごねるかもしれない……

「一緒に連れて行ってあげたらどうですか?」

佐天の提案にオレは顎に手をあてて考える

オレの能力は戻った

佐天と正宗の戦闘能力もかなりのものだ

暗部の能力者が来ても、そうそう遅れは取るまい……

ならば、オレ達の手の届く範囲に置いておいた方が打ち止めも安全だろう
120 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:44:59.53 ID:nbtcZOy3o
「そうだな、打ち止めも連れてくか。それで、いつ上条ってヤツのとこへ行くンだ?」

「うーん、なるべく早い方がいいかもしれませんね。一方通行さん達の都合は大丈夫ですか?」

「オレ達は大丈夫だ。毎日やることがなくて暇してるくらいだしな……」

能力を失ったことが原因なのか、他の計画が忙しいのが原因なのか……

それはわからないが、最近は実験に参加することもなく、暇を持て余しているような状況だった

「それじゃあ上条さんにメールで確認してみますね」

そう言って佐天は携帯を取り出した

「わかった。オレは打ち止めに話して来る」

「お願いしますね」

オレは佐天に背を向け、居間にいる打ち止めの方へと歩を進めた
121 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/26(日) 23:57:28.01 ID:nbtcZOy3o
「大丈夫だったの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり……」

オレの顔を見るなり、打ち止めは心配そうな顔で尋ねて来た

「どうしたンだよ?そンなしょぼくれた顔しやがって」

「なんだか大きな声で喧嘩してるみたいだったから……、ってミサカはミサカは心配して
みたり」

「ああ、別になンでもねェよ。あのクソ虫野郎がデケェ声出すのはいつものことだろ?」

呆れたような仕草をしながらオレは嘆息した

<貴様!そのクソ虫とは誰のことだッ!?>

「誰もテメェのことだなンて言ってねェだろうが。それとも何か?やっぱり自分自身でも自覚が
あンのか?」

<ぐぬぬ……>

いつもなら憎まれ口が飛んできそうなものだが、今日の出来事を反省しているのか、今日は
随分と大人しいものだった

122 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:08:30.50 ID:jvWEi7dpo
「そ、それで何の話をしてたの、ってミサカはミサカは話題を逸らしてみたり!」

「それなンだがな、近いうちに佐天の知り合いの家に出かけることになった」

「ホント!?」

それを聞いた打ち止めは飛び上がらんばかりに喜んだ

そういえば全員で出かけるのはこれが初めてか……

後で佐天と話して用事が終わった後はどこか買い物にでも行かないかと相談してみるか……

「それでいつ行くの!?ってミサカはミサカは目を輝かせながら尋ねてみる!!」

「それなンだが――」

「一方通行さん」

ちょうどいい所に佐天がやってきた

「連絡はついたのか?」

123 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:15:01.91 ID:jvWEi7dpo
「はい、上条さんは明日は都合が悪いそうなので、行くのは明後日になりそうですね」

「明日はなンかあるのか?」

「いえ、その……」

佐天は言おうか言うまいか迷っているようだ

「?」

「その……、上条さんは明日の放課後は補習だそうです……」

「なンだそりゃ……」

思わず呆れたような顔になってしまう

その上条とかいうヤツはまじめに授業を受けていないのだろうか?

どんな学校にせよ、真面目に授業を受けて入れば補習を受けるなんてことにはならない
筈だが……

「あんまり失礼なこと言っちゃダメですよ?」

124 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:25:54.81 ID:jvWEi7dpo
そんなオレの顔を見た佐天が釘を刺した

「心配すンな」

オレだって誰にでも喧嘩を吹っ掛けるような真似はしない

「じゃあ、明後日はみんなでお出かけなんだね!?ってミサカはミサカは尋ねてみる!」

「まあ、そういうことだな」

「わーーい!!」

打ち止めは今にも駆けださんばかりに喜んだ

「それじゃあ、私は晩御飯の支度をしちゃいますね」

そう言って佐天はキッチンの方へと足を向けた

「ミサカも手伝うー!」

その後を打ち止めがついて行く

「オレ達はどうすりゃいい?」

「うーん、今日は二人で手は足りるだろうし……。そうだ、テーブルの上を片付けてお皿を
並べて置いてください」

125 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:33:06.58 ID:jvWEi7dpo
「わかった。オイ正宗、オレは皿を出すから、お前はテーブルの上を片付けろ」

<承知した。ここで汚名返上せねばなるまいな……>

「気張りすぎて失敗すンなよ……」





一仕事――、といっても子供でもできるような仕事だったが……、ともかく自分に与えられた
役割を終えたオレは、床に腰を下ろした

正宗の奴はというと、二人が料理している姿から料理の方法を熱心に学習しているようだ

見かけや言動に似合わず、勉強熱心な奴だ、とオレは感心する


126 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:41:19.13 ID:jvWEi7dpo
やることの無くなったオレは昔のことを思い出していた……


遠い昔の記憶――


能力者になる前の記憶だ


自分のことであるにも関わらず、もはや鮮明に思い出すことすらできない過去の記憶


能力者になる前、オレは愛されていた


父と母に愛されていた、その時のオレは幸せだった……


ただ、それだけは覚えている

127 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:47:35.11 ID:jvWEi7dpo
力を得たことでオレの幸せは崩れてしまった


母はオレを捨て、父をこの手で殺めた


そしてそれ以降、オレは誰とも距離を近づけることなく生きて来た


知っていたからだ、オレの力はオレの傍にいる人間を傷つけてしまうと……


諦めていた、誰かと一緒に居るという幸せを手にすることを……


しかし――


オレはあの日、能力を失った


ふと、キッチンの方へと目を向ける


そう、オレは再び手に入れることができたのだ、昔と同じような幸せを……

128 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 00:56:37.71 ID:jvWEi7dpo
だが――


そっとチョーカーに手を伸ばす


再びオレは能力を手に入れてしまった


誰かを責めている訳ではない、能力を使えるように尽力してくれたヤツ等を恨む気持ちなんて
さらさらない


しかし、オレが能力を取り戻した以上、運命はオレを放ってはおかないだろう


再び、この力は災いを呼び込むだろう


それだけは嫌だ、オレは、もうオレの大切な人を失いたくない……


だから――


そうなる前に―――


オレはここから去ろう




129 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 01:00:48.91 ID:jvWEi7dpo
そして殺そう


彼女達を害する者達を


彼女達が何も知らなくていいように、彼女達が傷つかなくていいように、彼女達がその手を血で
汚さないでいいように……


オレは一人、闇の世界に堕ちて行こう……


「でも――」


「もう少し……、もうちょっとくらい、いいだろ……?」


130 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 01:05:27.25 ID:jvWEi7dpo
「一方通行さーん、料理運ぶの手伝ってくださーい」

「ああ、今行く……」

「どうかしたの?ってミサカはミサカは首を傾げてみる?」

「なンでもねェよ」

怪訝な顔をする打ち止めに笑顔で返す

「「?」」

そんなオレの様子に佐天と打ち止めは顔を見合わせた




もう少しくらい、いいだろ?




もう少し、この優しい幻想(ゆめ)を見ていても―――





131 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/06/27(月) 01:08:38.05 ID:jvWEi7dpo
今日はPCの調子が悪いのか、金神様の攻撃でも受けていたのかわかりませんが、書き込みの
失敗や二重書き込みが発生して大変でした

ともあれ、今日はこれで終了です

次回からやっと美琴編に入ります

それでは長々と付き合って下さった方々、ありがとうございました
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) :2011/06/27(月) 08:54:43.72 ID:c079dE2Zo

またネガモード入っちゃったか、セロリェ・・・
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 12:49:28.76 ID:OfX3ILSRo
一方さんどこにも行かないで一方佐天でいいじゃない!
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 02:23:57.41 ID:/btRugmg0
おおお!きてらっしゃったのか
おつです
暗部へGOしても佐天さんなら…
佐天さんならどうにかしてくれる!
そして一方佐天が完成するはず
135 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/08(金) 06:14:06.27 ID:MxqBMTPKo
投下予告です

次回は7月10日、日曜日の夜に投下しますので、よろしくお願いします


追記

前回の投下の後に頂いたレスの中に、カップリングに関連するようなレスがあったので、
この作品のカップリングについての注意事項を明記させていただきます

・原作内の組み合わせと同じ、または他の作品内でも見かけるようなメジャーなもの

・オリキャラはカップリングには絡まない

・極一部、他では見ないような組み合わせがある

以上です

最後の項目に関しては、受け付けない方もいるかもしれませんが、どうかご了承ください
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 17:17:40.94 ID:BRM5nFQ+o
どんな組み合わせでも構わないよ
楽しみに待ってる
137 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 21:43:23.79 ID:OA4RNNtao
今から始めます
138 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 21:48:20.45 ID:OA4RNNtao



     ・
     ・
     ・

「…………」

ホームルームが終わり、にわかにざわめき始めた教室で、私はテキパキと素早く帰り支度
をしていた

「あの、御坂様――」

「ごめん!今日は急いでるから!また明日!!」

私は鞄を手に取ると、勢い良く立ち上がり、そのままの勢いで教室から飛び出した

139 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 21:53:19.59 ID:OA4RNNtao
「……何をそんなに急いでらっしゃるのかしら?」

後に残された女生徒は首を傾げながら呟いた

一方、クラスメイトとの挨拶もそこそこに教室を飛び出した私は、廊下を駆け足気味に
走っていた

「やっと、会えるんだから……ッ」

誰に言うでもなくそう呟いた

これほどまでに急いで私が向かう先は、すっかりお馴染みになってしまった、あのカエル顔
の医者の病院だ

目的はつい先日、やっと面会の許可が下りた番外個体に会いに行くためだ

140 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:03:50.86 ID:OA4RNNtao
私達が番外個体と交戦した日から、もうかなりの日数が経過している

番外個体の意識は早いうちから回復していたという話だが、にも関わらず私が未だに番外個体
と一言も言葉を交わせていないのには理由があった

それは、私を番外個体と会わせるのを他の妹達が引き止めていたからだ

そりゃあ、私と番外個体は一度ならず二度までも戦った相手だ

一度目はこっぴどくやられもしたが、私に番外個体を嫌うような感情は一切ない

それは当然だろう、番外個体は私と同じ遺伝子を持った存在

他の妹達と同じ、私の大切な妹なのだから

その気持ちは今もなお変わらない

だから、私は知りたいのだ

なぜ番外個体が私を攻撃したのか

なぜ、打ち止めを殺そうとしたのか……

141 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:08:03.42 ID:OA4RNNtao
と、その時

肩に軽い衝撃が走った

「あっ!ごめんなさい!」

考え事をしながら走っていたせいか、前から来た人と肩がぶつかってしまった

普段ならこんなことはないのだが、考え込んでいたせいで周囲への注意が散漫になっていた
ようだ

私はぶつかった相手に頭を下げ、謝罪の言葉を述べると、その場を後にしようとした

「ちょっと待ちなさいよ」

「?」

その場を後にしようとする私を、ぶつかったであろう相手の人が呼びとめた
142 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:17:39.85 ID:OA4RNNtao
「人にぶつかっておいてそのまま行こうっていうの?それはちょっとないんじゃないの?」

その威圧的な声を聞いて、私は面倒なことにならないといいなぁ、と思った

だが、それを無視するわけにはいかないだろう

私は足を止めると、後ろを振り返った

振り返ると、そこには三人の生徒が立っていた

一人が真ん中で腕を組み、他の二人はその人に付き従うような形で後ろに控えている

その姿だけで、彼女達の関係が手に取るようにわかってしまう

143 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:26:52.90 ID:OA4RNNtao
「…………」

真ん中で腕を組み、高圧的な視線で私を見下している生徒に視線を遣る

おそらく先程の声の主は彼女だろう

(この人は……)

おぼろげであるが彼女の顔には覚えがある

確か三年生で、どこかの派閥のトップを務めているという人物だった筈だ

「あなた、確か二年の御坂さんよね?」

組んだ腕を崩さずに、横柄に彼女は言い放った

「そうですけど……」

「この常盤台のエースを名乗っているクセに……。廊下は走るわ、人にぶつかっても碌に
謝りもしないわ、これが常盤台のエースだなんて……、悪い冗談ですわ」

「――ッ」

144 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:40:47.07 ID:OA4RNNtao
「ふふ、大方能力開発ばかりにかまけて、礼儀作法の勉強をしたことがないのでしょうね」

後ろの取り巻きの一人が鼻につく様な笑いを浮かべながら言った

「すみません、急いでいたもので……」

彼女達の物言いにはカチンと来たが、今ここで騒ぎを起こしたくない

私はグッと堪えた

「急いでいたから?もっとましな言い訳はないのかしら?大体あなたは普段から上級生に
対する態度がなっていないのよ。一体何様のつもりなのかしら?」

「常盤台のエースなどという分不相応な称号を貰って舞上がっているのではないでしょうか?」

「本当に、どうしてこんな粗野な方が、常盤台のエースなのか理解しかねますわ。エースの
称号は、お姉様のような文武両道で、礼儀正しい方にこそ相応しいものですわ」

口々に好き勝手なことをいう彼女達に私は、下を向いて、手を握りしめて耐える

145 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:50:50.15 ID:OA4RNNtao
「…………」

下を向いた私の耳に、周囲のざわめきが届いた

顔を上げ周囲を見渡すと、廊下の離れた場所や教室から大勢の生徒達が私達の姿を
窺っている

常盤台のエース(自分で名乗っているわけではないが)と派閥のトップを務めるような生徒
が廊下でこれだけ剣呑な雰囲気を出しているのだ

注目を集めないわけがない

目の前の上級生もそれに気づいたのだろう

「まあ、私も鬼ではないわ。あなたがキチンと誠心誠意を込めて謝ってくだされば今回のこと
は見過ごしましょう」

「ホントですか?」

私は内心胸を撫で下ろした

これでようやく病院に向かうことができる、そう思ったのだが――



「あなた、ここで土下座なさいな」



彼女の言葉に場の空気が凍りついた
146 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/10(日) 22:58:52.15 ID:OA4RNNtao
「な――ッ!?」

あまりにも理不尽な要求にカッと頭に血がのぼる

怒りのあまり、能力が暴走し、私の体の周りで微細な電流がパリパリっと音を立てた

「あら、どうかしたのかしら?」

なおも高圧的な態度で、上級生は言った

「どうもこうもないわ!なんで私があんたなんかに土下座しなきゃなんないのよ!!」

声を張り上げて、上級生を睨みつける

「いい機会でしょう?少し数値が高いくらいで調子に乗っている猿と、それを崇めている愚民
共に誰が常盤台のトップに相応しいか知らしめるには丁度いいわ、ねぇ?」

彼女は取り巻きたちに賛同を求めるかのように言った
147 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/10(日) 23:08:16.53 ID:OA4RNNtao
すみません、ちょっと席を外します

一、二時間で戻ります、続きはその時に
148 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:07:51.31 ID:bH5cLR9Eo
お待たせしました、再開します
149 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:14:10.66 ID:bH5cLR9Eo
「――え、ええ、その通りですわ!」

「あの、その……」

彼女は取り巻きに同意を求めたが、肝心のその二人はひどく狼狽しているのかしどろもどろ
に回答した

彼女達も、まさか自分達のリーダーがここまでするとは予測できていなかったのだろう

「やれやれ、情けないわね」

そう言って彼女は嘆息した

「あんたはどうするの?お仲間はもうやる気はないみたいだけど?」

嘆息する彼女に、今度は私が強気に出る
150 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:19:28.00 ID:bH5cLR9Eo
強気には出てみたものの、内心、私は彼女がこのまま引き下がってくれることを望んでいた

相手は三人と多勢に無勢だが、いざ戦いとなれば負ける気はしない

そもそも、三人のうち二人は戦意を喪失しているのだ

しかし――

このまま騒ぎを大きくしてしまっては、病院に行くことができなくなってしまう

お説教を喰らうくらいで済めばまだいいが、もし謹慎処分とかの罰を受けてしまったら、
しばらくは番外個体に面会に行くことができなくなる

いや、重い罰則を受けなかったとしても、今日の予定は確実にお流れになるだろう

151 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:26:27.31 ID:bH5cLR9Eo
「本当に粗野なお猿さんね。きっと、あなたの家族もあなたに似て、どうしようもない方達
なのでしょうね?」

「――!」

小馬鹿にしたように笑うその態度に、私の堪忍袋の緒が切れた

今までの態度に加えて、私の家族まで馬鹿にするなんて許せない!

「上等じゃないの……」

「あら、私とやる気かしら?いいのかしら?無様な姿を晒すことになるわよ?」

「どっちが上か下かなんて興味ないわよ!でもね、あんたみたいな奴は一発引っぱたいて
やんないと気が済まないのよ!」

152 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:35:25.22 ID:bH5cLR9Eo




「そのへんでやめときな、超電磁砲」




聞き覚えのあるその声に、私の足がピタリと止まった

「チッ……」

目の前の上級生が、到底お嬢様がするとは思えないような顔で舌打ちをした

同時に、周囲のざわめきが一段と大きくなった

僅かばかりの冷静さを取り戻した私は――

いや、その場のすべての人間がその声の主へと視線を向けた
153 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:42:07.68 ID:bH5cLR9Eo


――常盤台中学


在学条件にレベル3以上が必要という学園都市屈指のエリート校だ

そして、その常盤台の中にあってもなお別格といっていい、『超能力者』の称号を持つ生徒が二人いる

一人は通称『常盤台のエース』こと御坂美琴

超電磁砲の異名を持ち、学園都市の第三位に君臨する彼女は、文字通り常盤台の顔といっていいだろう


しかし――

154 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/07/11(月) 00:48:33.10 ID:bH5cLR9Eo
常盤台でもっとも強い影響力を持つ人間……

常盤台の頂点は誰かと問われれば、常盤台の生徒は別の名前を上げるだろう


最大派閥のトップ

精神操作系能力者の頂点


『常盤台の女王』



「食蜂さん……」


私が振り向いたその先に――


『心理掌握』 食蜂茶々丸が不敵な笑みを浮かべていた


155 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/11(月) 00:54:29.38 ID:bH5cLR9Eo
今回はこれで終了です


今回登場した心理掌握の元ネタは、クロス元である装甲悪鬼村正のキャラである
足利茶々丸です

心理掌握と性格が似ているかはわかりませんが、心理掌握の絵を見るかぎり外見は
かなりそっくりです

ですので、元ネタがわからない方でも、外見は元の心理掌握と同じだと考えて見てください

それでは、次回は未定ですが、一週間以内を目途に考えていますのでよろしくお願いします

156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 01:16:20.34 ID:pAL2aQEM0
乙!!
茶々丸知らないけどかっこいい食蜂さん見れそうで期待
次楽しみにまってます
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 01:34:22.55 ID:fJ+qUAqL0
陛下! 陛下ではありませんか! 確かに陛下ならば「心理掌握」でも問題ないな。

そういえば疑問だったのだけど、能力者が乗れる数打劔冑は、陰義を持ってる真打モドキのようなものだけど、そのあたりのパワーバランスとかって追々明かされる予定ですか?

裏設定のようなら教えていただければ幸いです。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/12(火) 00:29:33.46 ID:/+sS4XIv0
ふむ、なるほどなるほど
「極一部、他では見ないような組み合わせがある」って言う注意書きはこのためか

まさか食蜂×美琴…いや、茶々丸×美琴が来るとは…電磁抜刀繋がりか、何と言う俺得


……あくまで希望的観測って奴ですよ
159 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:05:26.33 ID:CYRnwUrYo
感想を書いてくださった方々、本当にありがとうございます


>>157
学園都市製の劔冑に関しての設定は少しずつ出していく予定でしたが、話の進行が遅いことと、
どのみち補足が必要になるかもしれませんので、この場を借りて説明することにいたします

パワーバランスの説明、というよりは、設定と村正世界の数打と真打との比較になります
160 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:19:16.31 ID:CYRnwUrYo
『学園都市製の劔冑』
能力者の戦闘支援を目的として作られた駆動鎧
既存の駆動鎧の技術をベースとし、機体制御に演算装置(CPU)を使用している
騎航時の姿勢制御等の補助プログラムが搭載されているため、村正世界の数打よりも
操作は簡略化されている


学園都市製の劔冑は専用機と汎用機の二種類に分類される


『専用機』
専用機は高レベルの能力者が使用するためにカスタムされた劔冑
武器や備えた機構の種類は機体ごとに様々
特殊な機構を備えた機体は、別の系統の能力者では力を発揮できない場合もある


『量産機』
量産機は訓練を受けた人間であれば、誰でも使いこなすことができる
特殊な武装はないが、駆動鎧であるため重量のある武器でも使いこなすことができる
防御力も生身と比べると格段に高い
暗部の中でもレベルの低い能力者や無能力者が使用している

161 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:26:53.60 ID:CYRnwUrYo
武装について

既に作中で登場した三体の劔冑はすべて太刀を装備していたが、学園都市製の劔冑は
近接武器よりも銃器を装備している割合が高い
(番外個体戦時、美琴と番外個体の劔冑には銃は装備されていなかったが、もう一人の劔冑
には銃が装備されていた)

理由
・禁書目録の世界は現代日本であるため、剣術等の武術が廃れてしまっている

・そのため太刀や近接武器を主武装として使いこなせる人間がいない

・禁書目録の世界の剣術は地上で戦う一般的な剣術であり、空中戦を主とする劔冑との
相性が悪い

・学園都市では銃器が発達している


武器以外では、索敵用センサー、通信用の無線機を装備している


162 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:35:03.37 ID:CYRnwUrYo
数打との比較

村正世界の数打劔冑と比較した場合

基本的な性能では学園都市製の劔冑の方が優れています

理由

・村正世界の時代設定を現実のものに置き換えると、おそらく第二次大戦前後だと思われ、
作中内の描写を見る限り技術水準はそれほど高くないと思われる

・対して、学園都市は現代の技術力よりもさらに数十年進んでいると言われている

・駆動鎧や演算装置といった劔冑のベースとなる素材が、既に高い水準で存在していた

以上のことから、学園都市の劔冑の性能は村正世界の数打と比べた場合、学園都市の
劔冑の方が勝っているという設定にしました

163 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:41:45.33 ID:CYRnwUrYo
真打との比較

真打との比較ですが、真打劔冑は劔冑ごとの性能の差が大きすぎて具体的なパラメータで
比較ができません
ですので、大まかな特徴の比較だけにさせていただきます


真打劔冑と学園都市製の劔冑を比較した場合、学園都市製の劔冑は真打劔冑に比べて
仕手への依存度が高いです
真打劔冑の場合は能力(陰義)を劔冑自体が持っているのに対し、学園都市製の劔冑は、
それ自体には異能の力が備わっていないためです

さらに、真打劔冑には固有の能力(陰義)以外にも共通する力があります

以下はそれらの比較です


164 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:46:12.24 ID:CYRnwUrYo
能力(陰義)

真打劔冑
劔冑自体が備えている

学園都市製劔冑
劔冑を装甲する仕手が能力を有している
そのため、同じ劔冑に無能力者が乗っても意味はない



仕手への身体能力の補正

真打劔冑
生身の状態でも身体能力向上の恩恵がある
また動体視力にも補正がある

学園都市製劔冑
装甲時には生身よりも強い力を発揮できる
しかし、装甲していない時の恩恵はない

165 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/12(火) 14:50:38.18 ID:CYRnwUrYo
仕手、劔冑がダメージを受けた場合

真打劔冑
仕手、劔冑ともに仕手の熱量(カロリー)さえあれば回復できる
仕手の四肢欠損レベルの深刻な損害でも、時間さえあれば再生できる
また、通常に比べて回復速度も早い

学園都市製劔冑
仕手が傷を負っても回復させることはできない、したがって体が欠損した場合はそのまま
劔冑がダメージを受けた場合は、その箇所を修理、もしくはパーツごと取り換える必要がある


166 : ◆JZzNmabVtI [saga ]:2011/07/12(火) 14:52:34.01 ID:CYRnwUrYo
以上で説明は終わりです


読みにくいなどのご指摘、わからない点、質問などありましたら、遠慮なく書き込んでください

それでは
167 :157 [sage]:2011/07/21(木) 22:15:44.45 ID:guYosAib0
おお、お答えいただきありがとうございます!
なるほど、あくまで劔冑の技術を取り込んだ、飛行可能パワードスーツに過ぎないというわけですね。

これなら能力者の圧倒的有利な展開にはならないかな?
更新待ってまーす。
168 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/07/23(土) 19:33:33.83 ID:aswPjB7/o
生存報告です

次回の日時はまだ未定です

もうしばらくお待ちください
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 23:01:59.81 ID:3TriSW9zo
待ってる
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 02:31:21.57 ID:e5if6j5q0
舞ってるんよ
171 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:40:51.45 ID:6zHtXM3wo
今から始めます
172 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:47:23.24 ID:6zHtXM3wo
窓から入って来た風を受けて、腰まで伸びた金色の髪が翻る

まるで西洋の人形のような整った顔立ち、そして折れてしまいそうな程に線の細い体

その容姿とは対照的に、鞄を男子生徒のように肩に担いでいる

「随分と派手にやってるじゃねぇか?超電磁砲」

呆れたような仕草をしながら食蜂さんが言った

「あら?私はこの礼儀知らずなエース様に礼儀を教えて差し上げようとしていただけですわ」

「はっ、チンピラの真似事してるテメェが礼儀を教えるだあ?寝言は寝てから言うんだな。
それともなにか?チンピラの真似事すんのがテメェの礼儀ってやつなのか?お里が知れる
ってもんだぜ……」

173 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:50:00.57 ID:6zHtXM3wo
「な、なんですってぇ!?」

横槍を入れて来た上級生に対して、食蜂さんは嘲笑するような口調で挑発的なセリフを吐いた

それを聞いた上級生はその顔を歪ませて大声を上げる

「おいおい、図星突かれたからってデケェ声出すんじゃねぇよ。耳障りなんだよ、このデカ女」

「この!一人では何もできない寄生虫無勢が調子に乗って……!」

「なんだ、あてとやるってのか?いいぜ、どっちが身の程知らずか教えてやんよ」

「はっ!何たった一人でいきがってんのよ?謝るなら今のうちよ?」

私達二人を前にしてもこの上級生はまったく物怖じする気配を見せない

それほど自分の力に自信があるのか、それともただの命知らずなのかはわからないが……

彼女の取り巻きは状況を正しく理解しているようだ、その顔からは心なしか血の気が引いているように見える
174 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:53:38.37 ID:6zHtXM3wo
「おい、超電磁砲」

「は、はいっ!?」

いきなり話題を振られ、私は素っ頓狂な声を上げた

「なぁに間の抜けた声出してんだよ……」

食蜂さんは呆れたようにはぁと息を吐いた

「まあいいや、ここはあてに任せてとっとと行きな」

「で、でも……」

「なんだよ、急いでたんじゃねぇのか?それとも、あてに借りを作るのは気が進まねぇってか?」

「そ、そういうわけじゃ……」

食蜂さんに借りを作りたくないと言うのは確かにそうだ……

だが問題はそこではない

目の前の上級生の言葉ではないが、食蜂さんが一人で戦えるとは思えない

食蜂さんの能力が戦闘向きの能力でないことは常盤台の生徒全員が知っているだろう

それに相手のレベルは低く見積もっても3、私に対して喧嘩を吹っ掛けてきた以上かなり自分の力に自信があるのだろう

そんな相手を食蜂さん一人に任せるなんてできる筈がない
175 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:55:42.48 ID:6zHtXM3wo
「別にあてのこたぁ気にすんな。こんなヤツ等に後れを取ったりなんざしねぇよ」

食蜂さんは自信ありげに言い放つ

「でも!食蜂さん一人に任せられないわよ!」

「かかってくるならとっととしなさいよ。まあ一人が二人になっても結果は変わらないけどね?」

上級生は自信満々に言い放つ

「はぁ……」

私達のやり取りを見て、食蜂さんは大きく溜め息を吐いた

「ったく、揃いも揃って……。なぁに勘違いしてんだか……」

「?」

食蜂さんの言葉に私達は首を傾げる

「誰が一人でやるなんて言ったよ……?」

「!!」

弾かれたように上級生が辺りに視線を向ける

それに少しばかり遅れて、私も周囲の状況を把握することができた

いつもまにか、私達は複数人の生徒に取り囲まれていたのだ

「これは……」

そう、彼女は文字通り常盤台の女王なのだ

女王が単身で敵に立ち向かう筈がない

なればこそ、女王である彼女の剣となり、盾となる者達が存在する

それが彼女達、常盤台の最大派閥の長たる女王に傅く、女王の兵隊……

「お、お姉様……。これはさすがに……」

「引き上げた方が……」
176 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:57:19.44 ID:6zHtXM3wo
私達を取り囲んでいる生徒はざっと十人前後であろう

さすがにこれだけの数の能力者に囲まれたとなると、レベル5である私でも物怖じしそうになる

先程から事の成り行きを戦々恐々といった面持ちで窺っていた彼女達にとって、この状況は
かなりの恐怖感を煽るだろう

取り巻きの二人がおそるおそるといった感じで自分達の主に進言する

「――ッ!」

その言葉に彼女はキッと後ろの二人を睨みつけたが、この場はそうするしかないと悟ったのか
ギリッと唇を噛んだ

「……今日はこれで引き上げてあげますわ……」

そう言い残して彼女は私達に背を向けた

「ま、待ってください、お姉様!」

後を追って残った二人もその場を後にした

「おーおー、最後まで小物っぽい台詞を吐きやがんぜ。ま、これにて一件落着、ってとこか?
災難だったな超電磁砲」

177 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 02:59:23.44 ID:6zHtXM3wo
足早にその場を後にする上級生たちの背を見ていた食蜂さんは、こちらに振り向き、
先程とは打って変わって人懐っこそうな笑みを浮かべた

「あの馬鹿はまだここに来て日が浅いみたいだからな、騒ぎを起こしても自分の力でどうとでも
できるとでも思ってるんだろうよ。ったくこっちにゃいい迷惑だぜ……」

まるで外人のように大袈裟に呆れたようなジェスチャーをした

「ありがとう、助かったわ」

「貸し一つな」

私がお礼を言うと、食蜂さんは冗談めいた口調で言った

「…………」

世話になっておいてなんだが、食蜂さんに借りを作ったのは少しまずかったかもしれない

なんというか、食蜂さんは得体の知れないところがある

もし無理難題でも付きつけられたらどうしようか……

「そんなに警戒すんなよ。そんな無茶なこと言ったりはしねぇよ」

「!」
178 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 03:01:14.63 ID:6zHtXM3wo
「別に頭ん中覗いたりなんかしてねぇよ。そんなことしなくてもお前の考えくらい顔見りゃすぐわかるぜ……」

私の反応に呆れたように食蜂さんが言った

「そ、そんなにわかりやすい?私って……?」

「まあ、かなり分かりやすい部類だわな」

「ショ、ショックだわ……」

まさか自分がそんなにわかりやすい性格だなんて……

面と向かって言われるとさすがにショックを隠しきれない

「それより御坂様。こんなところで悠長にしていてよろしいのですか?なにやら急ぎの御用が
あるようでしたけれど……」

私と食蜂さんの会話に割り込んで、食蜂さんの取り巻きの一人が言った

「あぁ!!そうだった!早く病院に行かないと!!」

「あら、誰かお怪我でもなされたのですか?」

「そ、それは……」

まさか、私が戦って怪我をさせた相手に会いに行くなんて、とてもではないが言うことはできない

179 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 03:05:06.65 ID:6zHtXM3wo
「失礼しました。プライベートなことを詮索するべきではありませんわね」

私の反応を見て、彼女は謝罪の言葉を述べた

「ごめんさい。それじゃ私はもう行くわね。食蜂さん、本当にありがとう。このお礼は必ずするわ」

「おう、あんま期待しないで待っとくぜ」

私は食蜂さん達に背を向けて、その場から駆け出した

「おいおい、また誰かにぶつかるんじゃねぇぞ……」

「食蜂様、きっともう聞こえていませんわ」

やれやれといった感じで彼女は呟いた

「しかし……、御坂様は随分と危なっかしいお方ですね」

食蜂の取り巻きが言った

「まあ、今回のことは超電磁砲が招いたことって訳でもねぇさ、ただ――」

食蜂は美琴の去った方へと視線を向けた

「超電磁砲が危なっかしい真似する奴だってのには同意するがな……」

食蜂は小さくそう呟いた
180 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 03:07:24.55 ID:6zHtXM3wo
「うう……、緊張するなぁ……」

誰に言うでもなく私はそう呟いた

今、私はカエル顔の医者の病院へ来ている

あれからの道中は幸いにもなんのトラブルもなく来ることができた

無事に病院に到着した私は、先に待っていた妹達と合流して現在に至るというわけだ

「大丈夫ですかお姉様?と、ミサカはお姉様の体を心配します」

私の呟きに、私の隣に居た妹達、10032号が答えた

「心配しないで、別にどこか具合が悪いわけじゃないから……。それにしても……」

私は目の前の10032号から視線を逸らす

「ちょっと多すぎない?」

181 : ◆JZzNmabVtI [saga]:2011/08/03(水) 03:09:38.66 ID:6zHtXM3wo
病院に到着した私を出迎えたのは10032号だけではなかった

今この場には10032号を含めて計四名の妹達が居る

「もしかすると番外個体が予期せぬ行動に出るかもしれませんから、念のためです、と、ミサカは
ミサカ達がここにいる理由をお姉様に説明します」

「むぅ……」

釈然としないが、確かに10032号の言い分にも一理ある

番外個体とは戦った時以外の面識はないし、戦闘中の彼女の言動からも一筋縄ではいかない
かもしれないというのはわかる

それでも……

「きっと、分かり合える筈だよね……」

なにせ私達は姉妹なんだから……

「わかったわ。それじゃあ行きましょうか?」

そう言って私は一際大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した

「――よし!」

そして、意を決して病室のドアノブに手を掛けた

182 : ◆JZzNmabVtI [saga sage]:2011/08/03(水) 03:14:07.25 ID:6zHtXM3wo
今回はこれで終了です

なんだか登場人物が多くてごちゃごちゃしてきてしまいましたね……

もっと登場人物を絞った作品も書いてみたいです

といいつつ、今回はこれでお別れです

それではまた次回
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 13:01:35.58 ID:EZMExVIJo
乙なんだよ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 02:15:31.84 ID:y3bTY32Q0
週1でみにきてるだけじゃつまらないから保守と言わせてもらおう
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 02:16:39.40 ID:y3bTY32Q0
週1でみにきてるだけじゃつまらないから保守と言わせてもらおう
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 02:18:28.40 ID:y3bTY32Q0
週一で見にきてるだけなのもつまらないので保守とさせてもらおうか
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 02:21:27.90 ID:y3bTY32Q0
連投のせいで一気に賑やかに/(^O^)\
すまんこ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/27(火) 02:29:57.59 ID:iaucvvs00
続き期待
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