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とある世界の大統領 -
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1 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:18:24.93 ID:re6dCOEE0
バレンタイン?
ノンノン、『ヴァレンタイン』!
というわけで『スティール・ボール・ラン(SBR)』と『とある魔術の禁書目録』のクロスSS。
とは言ってもヴァレンタイン大統領以外のSBRメンバーは出ない。
禁書の時間軸に沿って進行する予定。
一応、ストーリーのおおまかな流れは決まってる。
注意:このSSには以下の特徴があります
・基本的に大統領視点
・地の文あり
・死ぬはずのキャラが生きてる/生きてるはずのキャラが死んでる
・出会うはずのないキャラ同士が出会う/出会うはずのキャラ同士が出会わない
・大統領やりたい放題=優遇措置
・独自の理論(笑)解釈(笑)
・その他パロディ、遅筆、誤字脱字、etc...
変に理屈ばっててとっつきにくいはず。
正直、読んでると疲れると思う。
それでも大統領の活躍が見たいという『覚悟』のある人はどうぞごゆっくり。
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/
ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
2 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:20:15.77 ID:re6dCOEE0
0th STAGE プロローグ
1891年 1月18日 未明―天気は快晴
アメリカ東海岸付近の少し開けた荒野
いや、正確に言えば『荒野』ではなく『街』である。
『基本の世界』では確かにここは『荒野』なのだが『この世界では街』だ。
その街のかたわら・・・地面にぽっかりと開いた穴の底のそのまた下
土の中にアメリカ合衆国大統領・・・
ファニー・ヴァレンタインがいた。
「バ・・・バカな・・・」
「閉じて触れた・・・馬車の車体の壁そのものまで・・・」
「どんなエネルギーなんだ?・・・こ・・・この回転は・・・」
ジョニィ・ジョースターの『馬の力を利用した黄金回転』・・・
それは次元の壁をも超え、こうして大統領にダメージを与え続けていた。
3 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:21:13.52 ID:re6dCOEE0
(そ・・・そんな・・・ウソだ・・・無限なのか・・・まさか無限なのか・・・?)
「うが がっ うおおあああああああっ」
「そんな事がッ!うああ・・・」
「まさかわたしは『無限』に『生き埋め』にされ続けていくという事なのかッ!」
『黄金回転』は止まるどころか勢いすら落ちる気配がない。
『無限』・・・『終わりがない』・・・『死に続ける』・・・
メビウスの輪の片面をなぞるように・・・
登った坂をズルズルと落ちていくように・・・
その回転に終わりは無かった。
いや、『終わりがないのが終わり』であった。
(暗闇はもういやだ・・・いったいあと何回こんな土の中に戻されるんだ?もう・・・こんな暗闇は・・・)
「このわたしにこんなことがあああッ!!」
「うあああああああああ!!」
土が大統領を押しつぶす
ドシャドシャと音を立てて大統領を埋めていき、大統領は『また』身動きがとれなくなった・・・
4 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:22:26.01 ID:re6dCOEE0
「うう」
「ううう・・・くっ・・・」
「く・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・う・・・う」
大統領は自分が幼かったころ・・・まだ姓がヴァレンタインでなかったころの風景を見た。
これが走馬灯か、自分は死ぬのか…大統領は父親のハンカチを握りしめながら思った。
「くっ うっ 」
ハンカチ・・・
それは・・・いや、そのハンカチの持ち主の『信条』は大統領の生き方を決めた。
いわば大統領の原点・・・
アメリカ国民の生活と安全を保証するという大統領の『正義』の原点・・・
それを思い出し、大統領は思う。
こんなところで死んでいる場合ではないはずだ。
死ぬのは怖くない・・・だが、『今は死ねない』!!
この回転を止めなければ・・・
隣の世界へ行かなければ・・・
「『基本世界』の・・・」
「ジョニィ・・・ジョースター」
「・・・・・・・・・・・・く」
5 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:26:55.49 ID:re6dCOEE0
さて、場面は変わる・・・
「・・・・・・う・・・」
どこだかわからないとある街。
そこに人が倒れている。
「・・・・・・うぅ」
「こ・・・ここは・・・?」
近未来的作りをしたビルとビルの間。
幽霊屋敷でもありそうなくらい狭い隙間。
倒れていた人物・・・もちろん大統領だ。
「・・・『基本の世界』ではないようだな・・・この建物・・・何でできてるんだ?こんなもの基本の世界では見たことがないぞ・・・」
大統領は振り向いて、自分が『出てきた』場所を見る。
「それに・・・穴もなくなっている。穴がないということは・・・どういうことだ?」
6 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:28:37.66 ID:re6dCOEE0
基本の世界かそうでないか、それは感覚としてわかる。
どんな感覚かは大統領にしかわからない・・・
基本の世界に戻ろうとした大統領だが、意識がはっきりしていなかったせいか目的の世界とは違う世界に移動してしまったようだ。
しかし・・・ジョニィがいない。穴もない。
いったいここはいくつ隣の世界なんだ?
そこまで考えて大統領はあることに気づいた。
「待てよ・・・『ジョニィ』・・・『穴』・・・そして・・・」
「・・・『回転』・・・ジョニィ・ジョースターの『無限の回転』が消えている・・・?」
D4Cに纏わりついてきていた回転が、綺麗さっぱりとなくなっていた。
完成した『黄金の回転』は『無限の回転』だ。
絶対に止まらないはずなのに・・・なぜ・・・?
7 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:34:33.18 ID:re6dCOEE0
「フハ・・・フハハ・・・戻ったぞ・・・我が道を妨げた回転は!!冬のナマズのようにおとなしくなったッ!!ここがどこだか知らんが『基本の世界』でないのなら用はない!!さっさと戻りジョニィを殺す!!そして遺体を再び手に入れ、今度こそアメリカ国民の生活と安全を保証するッ!!」
さっきまで冬のナマズのようだったのは自身であったのに。
「D4Cッ!!」
大統領がそう叫ぶと、『自身の傍に立つ』(stand by me)人影が現れた。
これこそが『D4C』
『dirty deeds done dirt cheep』・・・『いともたやすく行われるえげつない行為』という意味の名を持つ『スタンド』
その能力は『別世界への移動』・・・はさんだ物を問答無用で別世界へ移動させる・・・その名に恥じぬえげつない能力だ
ジョニィとの戦いでズタズタにされたはずだったが・・・今は割れた仮面も、折れた角も元通りになっている。
それを見て大統領は回転を克服できたと確信した。今ならジョニィを殺れる!!
8 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:38:14.76 ID:re6dCOEE0
「しかし・・・何に挟まればいいんだ?」
辺りに手頃な『物』がない。
大統領は路地に出て、なにか挟まるものがないか探し始めた。
しかし『水』だろうが『ガラスの破片』だろうが、挟まることができるのならなんでもいい。
だから『物』はすぐに見つかった
「ちょうどいい大きさだな・・・これを使うとしよう」
それは『自動販売機』だった。
自動販売機の前に立った大統領はD4Cでそれを思い切り手前に引っ張る。
大統領は倒れてくる自動販売機と地面の間に『挟まり』、基本の世界へと『移動した』
しかし・・・話はまだ半分だ・・・いや、始まったばかりだ。
『まだ終わらない』
9 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:39:45.47 ID:re6dCOEE0
自動販売機が初めて登場したのは『紀元前215年頃』だという
これは2000年前から人は『自分は動かないで儲けたいなァ』とか『楽して稼ぎたい』って思ってたってことなのだろうか?
もしそうなら人間は20世紀もの間、まったく進化できていないのではないだろうか・・・
話がそれた・・・今話すべきは『自動販売機』についてだ。
今あるような複数の商品を売る自動販売機は『1925年』にアメリカで開発されたらしい。
そしてSBRは『1890年』に始まったものだ。
ならば大統領は『自動販売機を見ることができない』はずではないのか?・・・
なぜ『自動販売機』に挟まることができたのか?
それはこれから明らかになる・・・
ここからが『この話』の真の本題なのだ!!
10 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:47:10.59 ID:re6dCOEE0
ここは基本の世界―
何の変哲もないごく普通の街中。
その地面から前触れもなく大統領が水のように湧いて出た。
まるでゲブ神のようだ・・・
「・・・戻ったようだな・・・『基本の世界』に・・・」
「しかし・・・『隣の世界』とはいえ基本は変わらないはずだが・・・『ジョニィがいなくなっていた』のはどういうことだ?」
D4Cが移動する『世界』はそのどれもがどこかが少しずつ違ったもので完全に同一のものというわけではない。
しかしどの世界でも変わらない大前提・・・『基本事項』というものはある。
どこの世界でもファニー・ヴァレンタインが『合衆国大統領』だということのような『絶対不変の決定事項』だ。
考える限り『ジョニィと戦う』ことはどの世界でも変わらない『基本事項』だと思われる。
事実、いくつかの世界にいった大統領は形さえ違えど『どの世界でもジョニィと戦っていた』、そしてそのつど『穴に戻されていた』
しかし大統領が目を覚ましたあの世界に『ジョニィはいなかった』(おまけに『穴もなかった』)
友人のかたきである大統領を殺さずに(そのうえ黄金回転を解除して)放置する・・・そんなやつがいるのか?
11 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:52:45.71 ID:re6dCOEE0
「・・・気になるがそんなことより『遺体』だ。ジョニィを見つけなくてはならない」
そういうとグルゥーッと辺りを見回し・・・
ある『異常』に気がついた
「・・・なっ・・・」
「・・・こ・・・これはッ!?一体ッ!?」
┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛
「お・・・同じ光景だッ!!バカなッ!!」
┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛
大統領が見たのはSBR8thステージのニュージャージー・・・ユニオン・ビーチの風景ではなく・・・
見知らぬ別世界で挟まったものと同じ『自動販売機』がある・・・ビルの谷間だった。
12 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 22:59:50.26 ID:re6dCOEE0
「移動に失敗したか・・・!?」
それはありえない。
『自動販売機が倒れていない』からだ
少なくとも『移動には成功している』・・・
「・・・い・・・いや・・・ここは確かに基本の世界だ・・・『感覚』でわかる・・・ジョニィも遺体も存在しないが・・・紛れも無く基本の世界だ」
さらにD4Cを操る大統領にとって基本の世界かそうでないかは感覚や雰囲気でわかる(どんな感覚かは大統領しか知らないのだが)
つまりこの世界は確実に『基本の世界』なのだ・・・
「確かにここは『基本の世界』だが…遺体のある『基本の世界』ではない・・・!?私の知らない『基本の世界』・・・!?」
「・・・理解不能!!理解不能だッ!!」
(くそ・・・落ち着け・・・落ち着いて状況を整理するんだ・・・)
(遺体のない基本の世界だと・・・どういうことだ・・・?)
13 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:03:33.92 ID:re6dCOEE0
大統領は一度落ち着いて、D4Cの能力を振り返る
(D4Cの能力は『基本の世界と隣の世界を行き来する』ものだ・・・いくら基本の世界から離れようとも『基本の世界』に戻れなくなることはありえない・・・)
(・・・例えるならD4Cは『列車』だ。世界は『駅』だ。)
(世界と世界を行き来するD4Cの能力は『一本のレールの上を動く平行移動』なのだ・・・そしてそのレールは『遺体のある世界』を起点として無限に広がっている・・・つまり『全ての世界が繋がっている』・・・だから『基本の世界に戻れなくなることはありえない』!!)
「・・・しかし実際に私は『戻れない』!!それどころかこの世界は間違いなく『基本の世界』だ!!だがこんなこと・・・『基本の世界』が複数ない限りこんな・・・」
そこまで考えて大統領はふと気づく。
『基本の世界』が一つだなんて誰が決めたと言うんだ?
確かに『レール』の上に無限に広がる世界の群れの中にある『基本の世界』は一
つだろう・・・
しかし・・・
『もし、レールが二本あるとしたら?』
14 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:07:32.64 ID:re6dCOEE0
「まさか・・・あるというのか・・・!私のいた『遺体のある世界』とは別の『基本の世界』が・・・!遺体の世界を起点としない『別のレール』がッ!」
「D4Cはレールの上を移動する列車だ!『今走っているレール』と『別のレール』の間を移動することは列車にはできない!『遺体の世界』に戻れないのはそのせいだッ!間違いない!」
「レールは『二本』あった!・・・いや、もっとあるかもしれない・・・D4Cの平行移動とは違うタイプの移動をしなければ行けない世界が・・・!」
そこまで考えてふと大統領は気づく
(まだ仮定だが)この『列車論』で考えると一つ説明のつかないことがある
・・・D4Cの本来の能力が『世界移動』ならこの移動は『軸移動』とでも言うのか・・・
D4Cは一体どうやって『できないはずの軸移動』をしたというのだろう?
遺体で引き出された力はそれとは違った。ならばD4Cや遺体とは『別のもの』が関係しているのか?
そう考えたとき、大統領の中でバラバラだった歯車がガッシリと繋がった。
15 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:12:04.93 ID:re6dCOEE0
「そうか・・・ジョニィ・ジョースターの『無限の回転』だ!あの能力は唯一『D4Cの移動に干渉できた』!あの未知のパワーがD4Cに何らかの影響をもたらしたとしても不思議ではない・・・それで『別のレール』へ移動したんだッ!それによって無限の回転は『パワーを使い果たし消滅した』というわけだ!全て辻褄が合う・・・!」
「なるほど、理解した・・・!」
わけの分からなかったこの現象を理解することができ、多少気分が『ハイ』になった大統領だったがすぐに冷静に状況を分析し始めた。
(しかし・・・こればかりは理解してもどうしようもない・・・この仮定はおそらく合っているが、そうだとしたら私は『元の基本世界に帰れない』じゃあないか)
軸移動には無限の回転が不可欠』だとするなら、ジョニィのいないこの『軸』から移動することは不可能だ。
黄金の回転を操れるのは『(元の軸の)基本世界のジョニィ・ジョースター』以外にいないのだから・・・
「『基本の世界』は今頃どうなっているんだ?スティール・ボール・ランは誰が勝ったんだ?私がいなくなって閉会式で誰が喋るつもりなんだ?スティーブンか?」
「・・・まあアメリカに遺体があるならそれ以外のことはどうでもいいが・・・私はこれからどうすればいいんだ?」
遺体の為・・・もといアメリカの為に動き回っていた大統領だが、この世界にはそれがない。
遺体がないならやることも無い。
大統領は目的を失ってしまったわけだ。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 23:19:45.63 ID:hObj7wWw0
これは期待せざるを得ない
17 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:21:46.51 ID:re6dCOEE0
「戻れないものは戻れない。遺体はDioがなんとかするだろう・・・しかしジョニィ・ジョースターの『爪弾』、あれは『無敵のスタンド能力』だ・・・Dioがしくじっている可能性が無いわけではない。それを確認するためにもなるべく早く戻る必要がある・・・『無限の回転』に代わる物を探してみることにしよう。しかし今、何よりも先に決めるべきことはこれからどうやって生活していくかってことだな・・・」
こうして一応目的が決まった。
『国民の生活』でなく『自分の生活』の保証をする・・・
規模がガクッと縮まったがもはやこの異世界では『大統領』ではないただの一般人なので仕方がない。
自分の生活の保証ができたら『無限の回転』についての研究を始める。
実際にこの身に喰らった技だし、ウェカピポ達から仕入れた情報があるからこちらはなんとかなるかもしれない・・・
しかし命あっての『ものだね』だ。やはり先に衣食住の確保をしなくてはならない。
あてがあるわけではないが、突っ立っているよりはましだろうと大統領は歩き出す。
「浮浪者みたいに川岸とかに住むか?物取りと思われて先客に刺されて死んだりしたら笑えないな・・・この『軸』に本来ならば私はいない。どの世界にも代わりの『私』はいないだろうしな・・・死んだら最後だな。いや、普通はそうなんだが・・・」
大統領は遺体のある『軸』の存在だ。こちらの『軸』にはいない。
だからD4Cお得意の『本体を取り替える』技が使えない。
言ってみるなら残機が無限にある状態から一気にゼロ機になったようなものか?
簡単に死なないという強みが封じられてどうやって戦えばよいのだろうか・・・大統領はそんなことを考えたがそもそもこの世界で戦闘をするのか?という結論にたどり着いたのでこの問題は放棄することにした。
「少しくらいの傷なら心配ないしな・・・」
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/14(月) 23:29:41.20 ID:YUvvQQra0
これは期待。
19 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:34:14.49 ID:re6dCOEE0
「戦闘に巻き込まれる心配が無い・・・考えようによっては最高の『バカンス』じゃあないか。大統領としてのの仕事も忘れられる。外国に旅行しに来たと思うと気が楽だ。背中の傷の戦争の時・・・あのジャングルでサバイバルした時に比べれば何十倍もマシだな。なんだか遺体の世界で暮らすよりもラクな気がするな・・・もう帰る必要はないんじゃあないか?」
未知の世界に飛ばされたなんてスタンドも月までブッ飛ぶ衝撃のはずなのにこの余裕である。さすがは一国の長といったところか。
「・・・冗談はここまでにしよう。何が何でも私は帰る。帰るには生き延びなくてはならない・・・一にも二にもまずは情報だ。この世界で生きていくならこの世界のことを知らなくてはならない。だが、『どうやって』?・・・人に聞いてみるか?しかし・・・いきなり近づいてきて『スイマセンこの世界について教えてください』なんて怪しまれないわけがない。(さすがにそんなストレートな言い方はしないがな)」
「話しかけても逃げたりしないような『お人好し』がいいな。私に助け舟をだしてくれるような『おせっかい焼き』ならなおありがたい・・・誰か来たぞ」
確かに大統領の歩いている路地の向こうから誰かが走ってくる。
遠くてわからないが子供・・・少年のようだ。
少年はなにやら叫びながらどんどん近づいてくる。
「子供・・・これはラッキーだな。だいたい子供はお人好しと相場が決まっている・・・ルーシーは強情な奴だったが・・・まあ、奴が変わっていただけのことだ。そうでなければ40近くも歳の離れたジジイと結婚などするものか・・・さて、あの少年に声をかけてみることにしよう」
20 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:40:55.52 ID:re6dCOEE0
近づくにつれて、少年の姿形がはっきりと見えてくる。
だらりと裾の出たワイシャツに黒いズボン。お世辞にもフォーマルな格好とは言い難い。
ツンツンした髪型は色が黒いこともあってまるでウニのようだ。
・・・なんだか幸の薄そうな顔をしている。
こいつは選ぶ相手を間違えたか・・・と大統領は思ったが他に人もいない。とりあえず捕まえて話してみるしかない。
そんな大統領にお構いなく少年は近づいてくる。
こう叫びながら・・・
「だぁぁーっ!不幸だぁー!」
我々は・・・この少年に見覚えがある・・・
この幸薄そうな少年を知っている。
毎日のように不幸に遭遇するこの少年を!
―NEXT STAGE IS “学園都市”
―to be contined...
21 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/14(月) 23:51:09.07 ID:re6dCOEE0
今日はここまで。
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/14(月) 23:55:47.39 ID:wPTrl6RSO
まぁ…なんつーかよぉ…スッゲー雰囲気出てるんだ…ここまで…ここまでは完璧なんだ…
しかしッ!重要なのはここから先の話なんだ…
ジョジョと禁書!相性サイアクのこいつらをうまくまとめたヤツを俺はまだ見たことがないッ!
とにかく…お前には期待しているぞ
>>1
よ…
言わせてもらおう…乙…と…
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 00:13:41.76 ID:b6RxAktNo
科学サイド
魔術サイド
幽波紋サイド←NEW!!
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 00:17:22.11 ID:r8Ohw0hDO
佐天さんの出番はありますか?
25 :
◆K/7LL5shls
[saga]:2011/02/15(火) 00:54:19.16 ID:8GXP6+Za0
支援するぞ!乙だ!
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 01:17:37.07 ID:fzOGmbcAO
乙 大統領大好きだから頑張ってくれ
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 01:21:10.73 ID:RPTnNhDAO
また新たなジョジョ×禁書とは俺得
でも残機なし・ラブトレインなしの大統領って弱くね?
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/15(火) 22:35:40.50 ID:3iGOURtBP
これは期待する
乙
29 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 00:59:06.64 ID:+ApU1Ag20
―1st STAGE 学園都市
不幸・・・
幸せの逆の状況を表す言葉だ。
例えば『犬のクソを踏んづけた』とか『会計で10円足りなかった』とか。
人はそんなとき「不幸だなあ」と呟いたりする。
しかし同じ不幸でも上条当麻のは年季の入り方が違う。
戦いの年季ならぬ不幸の年季。
生まれつきの『不幸体質』・・・不幸の星の下に生まれたというわけだ。
(それはもうマックィイーンも裸足で逃げ出すレベルである。)
30 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:00:57.61 ID:+ApU1Ag20
上条当麻の生活は植物のように平穏なものではない。
例えば今日の上条の生活を起床から振り返って見てみよう。
7月20日・・・
まず、家中の電化製品のほとんどが壊れていた。おそらく昨晩落ちたであろう雷のせいだ。
そして、それによって冷蔵庫の中身は全滅。数少ない食料をさらに減らし、朝食がカップ焼きそばになってしまった。
だがそれすらも湯切りに失敗し、中身をシンクにぶちまけた。
ならばと外食しようと思い立った矢先にクレジットカードを踏んで真っ二つ。
くさってふて寝をし始めた瞬間に携帯電話が鳴り、担任直々の補習通達。布団を干そうとして焼きそばパンを踏んづける。
あげくの果てにはベランダにシスターが引っかかっていて・・・これが一番意味不明だった。
これ全てが数分の出来事である。
あまりに連続的すぎてわけがわからない。まるで不幸の詰め合わせセットだ。
不幸の一言でこの全ての問題を片付けるのはあまり適切ではない。
しかし、不幸以外にこの状態を表す言葉が無いのもまた事実である。
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 01:04:38.19 ID:8P3kfThKo
ディアボロの奇妙な冒険にネタを被せてくるとは度胸あるな
32 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:05:14.52 ID:+ApU1Ag20
そんな不幸な境遇の上条当麻は今、全力で走っている
シスターに付き合っていたら補習に遅れそうになったのでダッシュで学校に向かわなければいけなくなったのだ。
本当に不幸である。
シスターのことも気になってはいたが、上条はまず補習に行かなくてはならないのだ。
いや・・・さっき全力で走っていると言ったがそれは訂正する。
正確には『全力で走っていた』
しかし今は立ち止まっている。前触れもなく派手に『こけてしまった』からだ。なんとも不幸である。
そのとき、見知らぬ外国人に助け起こしてもらったわけだが・・・その外国人が何か話しかけてきた。
時間が無いこんな時に限って・・・再三言うが、上条当麻は本当に不幸である。同情を禁じ得ない。
33 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:08:19.96 ID:+ApU1Ag20
話しかけてきた外国人は顔の彫りが深く、身長が180くらいあるように見える。
下手したら190はあるんじゃないかというくらいの大男だ。
髪は金髪でベートーベンだかモーツァルトだか忘れたが・・・とにかくそんな感じで毛先にクルクルパーマがかかっている。
この時代にこんな髪型の人間がいるとは・・・
さらに特徴的なのはこの身につけているコートと手袋だ。
コート・・・いやジャケットか?とにかく7月に着るようなものではない。
冬ならわかるが、このくそ暑い時期にこの服装は、いくらなんでもおかしいだろう。
それでも純白の修道服に比べたらまだマシかもしれない。
今朝のシスターに負けないほどのインパクトを持つこの人物はなぜ自分に話しかけてきたのだろう・・・。
まさかこの人も魔術がどうこうなんて話をするんじゃないのか?
(1日に二回も外見のヤバい外国人に絡まれることなんてあるのかよ、あるんですね。ちくしょう・・・不幸だ。)
上条は自分の体質を少し恨めしく思ったが、いつものことなのでやめておいた。
34 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:13:20.24 ID:+ApU1Ag20
(この少年…『スタンド使い』ではないようだな)
(D4Cが見えていないらしい。だから『転んだ』わけなんだろうしな・・・)
大統領がおもむろにD4Cを出現させる。
そして上条の顔面を狙って『D4Cで』殴りかかった。
しかし上条はそれをまったく避けようとしない。
まるで『見えていない』かのように。
その様子を見て大統領は拳を当たる前に寸止めし、やはりな、と呟いた
(見えていない。この少年がスタンド使いでは無いのは確実のようだ・・・『スタンドはスタンド使いにしか見ることができない』からな)
先ほど上条が転んだのは大統領がD4Cで足を引っ掛けたからだ。
スタンドの見えない上条は、哀れにも地面と熱いキスを交わすことになった。
自分で転ばせておいて助け起こす・・・いわゆる自作自演だがそんなのは問題ではない。
過程や方法はどうでもよい。話せればよいのだ。
35 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:17:17.60 ID:+ApU1Ag20
『少年、大丈夫か?』
「え?え?」
『おいおい、錯乱するほど大きな怪我じゃあなかっただろう』
「え、いや・・・え?」
何故か取り乱す上条。
『頭を打ったか?それとも漏らしたか?そうでないなら聞きたいことがあるのだが・・・』
「・・・ふ、不幸だっ」
『・・・!!』
「俺、『英語喋れない』のになあ・・・」
(この少年の言葉・・・どこの言語だッ!?)
36 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:23:46.15 ID:+ApU1Ag20
大統領は『英語で話しかけた』
しかしここは『学園都市』だ
そして学園都市は日本の首都・・・東京にある。
つまりは『日本語が公用語』である。
『日本語が喋れない』(喋れないどころか知らない)大統領にとってこれは厳しい。
まあこの都市のことなので英語くらいは大抵の場所で通じるだろうが、上条にそれを求めるのはいささか酷というものだ。
この二人が会話でコミュニケーションを取るのはどう考えても不可能である。
37 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:33:22.46 ID:+ApU1Ag20
(チッ・・・世界が違うなら言語も違うと考えるべきだったか。英語が通じないとなると状況は変わるぞ・・・)
(俺はどうすればいいんだ・・・?なんかこの人さっき話しかけてきたっきり黙ってるけど怒ってるのか!?怒ってるのか!!)
「・・・ソ・・・ソーリー!アイムソーリー!」
(英語だと!?『この世界にも英語はある』のか!・・・だが何故謝っているんだ?)
「アイキャントスピークイングリッシュ!キャンユースピークジャパニーズ?(オレ英語喋れないって!!あんたは日本語喋れないの?)」
上条は、よせばいいのにたどたどしい英語で大統領との意思疎通を図る。
本来伝えたいことと話す内容が微妙にずれているが、この場にそれがわかる人間はいない。
この微妙なずれがどんどん大きくなっていくというのは、想像に難くない。
『・・・・・・・・・イエス』
(なんだ、喋れないのか・・・ところで今『ジャパニーズ』と言ったのか?ここは日本か・・・?一言ずつ丁寧に言えば英語がわかるだろうか?)
『ここは日本なのか?』
「イ・・・イズ・・・?ここが日本かどうか聞いてるのか!な、なんて答えればいいんだ!?だーっ!真面目に英語勉強しとけばよかったぁー!」
上条はバカなりにアメリカ式の答え方を考えてみた。
行き着いたのは『ハイテンションでごり押し』というバカらしい考えだった
いくらハイテンションで喋っても通じないものは通じない。
不幸というか自業自得というか・・・真面目に勉強するべきである。
38 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:41:25.22 ID:+ApU1Ag20
「オー!イエス!ディスイズジャパン!イッツトゥルー!(そうです!ここは日本!大当たりー!)」
(・・・どうやら『バカ』らしいな・・・言いたいことはかろうじてわかるが)
可哀想に上条当麻は、初対面の外国人にすら『バカ』と認定されてしまった。
英語科の教師に『お前は一生鎖国してろ』とまで言わしめたあの上条なのだから、当然といえば当然である。
上条が読心能力を持っていたら死にたくなっていただろう。今だけは『レベル0』であることに感謝するべきだ。
もっとも・・・読心能力者なら相手の伝えたいことは言葉でなく心で理解できるので、バカよばわりされないだろうが・・・
「アー・・・アイゴートゥ“ホシュウ”!タイム!ディスイズタイム!ヤバイ!タイムイズヤバイ!(オレ補習行かなきゃいけないんだった!時間が!時間がもうヤバイ!)」
『は?』
「デンジャラス!グレートデンジャラス!タイム!(だからヤバイんだよ!かなりヤバイ!時間が!)」
『・・・何が危険だって?(なんて鬼気迫る表情なんだ・・・なにかそうとう危険なことが起こるみたいだな・・・)』
上条の適当な英語のせいでお互いの解釈に修復不可能なレベルの食い違いが生じてきた。
この時ばかりは大統領の鋭い推理力も役に立たない。
むしろその推理力のせいで食い違いに拍車がかかっているようだ。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 01:45:12.81 ID:k+l74iPAO
これはもう圧迫祭を開催するしかない、支援
40 :
◆K/7LL5shls
[saga]:2011/02/17(木) 01:49:02.02 ID:Ljm0z90Z0
ここに『神殿』を建てよう
寝る前に支援
41 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:50:31.73 ID:+ApU1Ag20
「ヒアイズデンジャラス!チコクワンハンドレッドパーセント!ハリーアップ!タイムイズデンジャラス!(ここにこのままいるとヤバイんだって!100%遅刻するから急ぎます!時間がヤバイんで!)」
『あ、ああ・・・』
(なにかはわからないが『ここは危険』『急げ』『時間が危険』・・・)
大統領は上条が『つたない英語で必死に迫る危険について説明しようとしている』と思っている
そのせいで大統領の推理は上条の考えとは180度違う方向に進んでいってしまった。
『ここは危険 急げ 時間が危険』
大統領はこの意味不明の英語をこう解釈した。
『ここにいると危険だ。急いで逃げろ、時間がないぞ』と
(そして今からここで起こる危険な事・・・それがおそらく『ホシュウ』というわけだな)
まあ・・・こう勘違いしてもしかたがない。
42 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 01:56:07.13 ID:+ApU1Ag20
『理解した。ここにいるとなにか危険なことに巻き込まれるのか(この少年が『おせっかい焼き』で助かったな・・・)』
『私には何がなんだかわからないから君についていこう。よろしく頼む』
(何言ってんのかわかんねぇ!でもこのままだと遅刻しちまうし・・・!可哀想だけど置き去りにしよう!)
『オーケーオーケー!ソーリー、ハリーアップ!(あーはいはい!スイマセンけど急いでるんで!)』
なんというひどい勘違いなのだろうか・・・
しかし、上条の英語力のほうがひどいかもしれない。
上条はきびすを返して走り出した。振り返ることもせずに。
その後を大統領が追いかける。急げと言われたから全力で追いかける。
10代の高校生を全力で追いかける40代外人男性。
はたから見るとかなり異様な光景だ・・・
43 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 02:02:05.21 ID:+ApU1Ag20
この一連の勘違いは上条にとっては『不幸』としか言いようがないだろう。
しかし大統領にとっては逆に『幸運』としか言いようのないものだった!
なぜならば、ここで上条に出会えたことによって大統領のこの世界での『生き方』が大きく変わることになったからだ。
ある人間の不幸は、ある人間を幸福にする・・・上条の不幸は大統領にとっては幸福と呼べるものだった。
具体的にどう変わったのか、どんな幸運なのかはこれから先の話となるのだが。
44 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/17(木) 02:09:46.84 ID:+ApU1Ag20
ここまで。
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 02:29:05.33 ID:0wblkEeZo
乙
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 14:16:55.25 ID:QR/U3Kms0
乙!せずにはいられないッ!
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/17(木) 16:16:15.65 ID:sc6lTmi6P
乙
>>40
酉つけたまま書き込むのは売名行為になるからやめた方がいいよ
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/17(木) 23:47:34.30 ID:kNAVB2bd0
いいじゃあないか・・・! 乙。
49 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:17:54.93 ID:XpPCSYzc0
ここは『とある高校』
その中のとある教室で夏休みを返上して補習が行われている・・・はずなのだが。
「すいません!本当にすいません!」
「20分も遅刻ですよー?なにしてたんですか?上条ちゃん」
教師の小萌に怒られている生徒はもちろん上条だ。
結局、補習の開始時間には間に合わなかったらしい。
「外国人に絡まれてたんですよ!しかも立て続けに二人も!小さいと大きいのです!あ、小さい奴のほうが態度は大きかったです。」
「・・・・・・」
今起こったことをありのままに話しているのだが・・・(魔術だのなんだのについてはさすがに黙っておいた)
悲しいかな、上条が言うと真実味が無い。話す内容が現実離れしすぎているのだ。
これも一種の狼少年。なんともかわいそうな話である。
50 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:20:33.94 ID:XpPCSYzc0
「本当ですかー?」
「本当です!朝起きたらベランダに銀髪のちっこいシスターがいて、出かけたら金髪の背のでかいおっさんに呼び止められちゃってですね・・・シスターはともかくおっさんは日本語が通じなくて・・・」
はあ、なるほど と小萌が納得したようにうなずく。
「まあ、バカの上条ちゃんに英語が話せるわけないですからねー。」
「ひ、酷いです・・・その通りだけど・・・」
「カミやーん、流石にその言い訳は苦しいんやないの?この学園都市に日本語が通じない外人なんているかいな。それに金髪と銀髪て・・・アニメや無いんやから。金はともかく銀はないわ・・・」
「それにしてもカミやんついに男にもフラグ立てるようになったのかにゃー?・・・まさかそっちの気があったとはにゃー」
口を挟んできたのは、同じく補習組の青髪ピアス。
そしてその後ろにいる土御門だ。
「そっちの気ってなんだよ土御門!?つーか青髪!嘘じゃないっつーの!そしてその台詞をお前が言いますか!?鏡見なさい!青髪とピンク髪よりは現実的ですよ!?」
「ちょい待ち。ボクはええけど小萌先生を侮辱するのは許さんでぇ!」
「ああもう、絡むな!こっちくんな!」
「上条ちゃん。そこにいらっしゃるのが『でっかい金髪さん』ですか?」
「・・・・・・は?」
でっかい金髪?何を言っているんだ?
そう思って小萌の視線の先を見ると・・・
「・・・ハァー・・・ハァー」
『おい・・・どこまで行くんだ。40半ばに、この運動はキツいぞ・・・』
『でっかい金髪』・・・
もとい、大統領がいた。
51 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:24:30.19 ID:XpPCSYzc0
(なっ・・・なんでいるだぁー!わからん!おいて来たはずなのに!?)
(ここにも英語の通じる奴はいないか・・・)
『あの、どなたですかー?』
『・・・なに?』
声のした方向に大統領が顔を向ける。
目線の先には、小萌がいる。
(まさか・・・こんな子供が英語を喋れるとでもいうのか?)
『・・・喋れるのか?』
『まあちょっとだけですけどねー』
(嘘つけ・・・なかなか流暢に喋っているじゃあないか・・・)
『それはありがたい。そこのウニ頭はほとんどわからなかったからな』
『ああ、上条ちゃんのことですか・・・でも優しい子なんですよー?』
(『でも』・・・)
大統領はちらりと上条のほうを見る
英語がさっぱりなので小萌に通訳を頼んでいるようだ。
(『でも』ということはやはりバカなのか・・・)
(『カミジョー・チャン』といったか?こんな『子供』にフォローを入れられるとは・・・かわいそうな奴だ)
「チャン・・・頑張れよ」
「???」
52 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:27:03.51 ID:XpPCSYzc0
『あの、『ちゃん』は名前じゃないですよー?その子の名前は上条当麻ですー』
『そうなのか?すまなかったな・・・しかし『子供』ですら英語が理解できるというのにトーマは・・・』
『むー!私は子供なんかじゃないですよー!!この子たちの先生です!』
(なん・・・だと・・・)
大統領が絶句する。しかし当たり前の反応である。
どう見ても小学生のようにしか見えないこの人を、初見で成人と気づけというほうが無理だ。
若く見えるなんてレベルではない。実際に若いのだ。
(スタンド攻撃でも受けたのか・・・?そうでなければ怪物か何かか・・・)
『ところでトーマに言われるままついて来たらここにたどり着いたのだが・・・』
『日本語すら危うい上条ちゃんに道案内させたんですか?自殺行為ですねー』
『トーマ・・・なんてひどい野郎なんだ』
『ちなみに、なんて言われたんですか?』
上条のトンデモ英語の数々を大統領は小萌にありのまま話した・・・
小萌はそれを苦い顔で聞きながら実際には何と喋っていた(つもりだった)のかを上条に聞き、大統領に真実を伝えていた。
『・・・これはなかなかヒドイですね』
『そんなにか・・・』
「上条ちゃん・・・英語の補習をもっと追加したほうがいいみたいですね?」
「いっ!?勘弁してください!」
「だめです。後でしっかり英語の担当の先生に報告しておきますねー」
「うぅ・・・不幸だ・・・」
53 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:36:59.97 ID:XpPCSYzc0
『まあそいつの英語力はどうでもいい。いくつか聞きたいことがある』
『なんですかー?』
『そうだな・・・では手始めに・・・』
「やっと見つけたじゃーん?」
その時、教室のドアがガラガラと音を立てて開き、一人の女性が入ってきた。
「え?」
『・・・誰だ?』
いきなり教室に入ってきたのは、体育教師でかつ警備員(アンチスキル)を勤める黄泉川だ。
ずかずかと大統領に近づいていき、小萌と大統領に割って入る形で立ち止まった。
『あれ?英語?・・・私は『警備員』じゃん』
『アンチスキル・・・?(こいつも英語が喋れるだと・・・?今のところ喋れないのはトーマだけじゃあないか・・・)』
「なんだ、黄泉川先生ですか」
「小萌じゃん。ウチの学校に不審者が紛れ込んだなんて連絡を受けたから来てみたんだけど・・・ガイジンさんじゃん」
(アンチスキル?・・・名前ではないだろうな。おそらく肩書きか?それか役職・・・内容がさっぱり思いつかないが・・・ところでなんて言っているんだ?どうせなら英語で言ってほしいんだが・・・)
さすが大統領、いきなりの展開にも驚かない。
そんな大統領をほったらかして黄泉川は小萌と会話を始めた。
54 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:46:49.51 ID:XpPCSYzc0
『あれ?英語?・・・私は『警備員』じゃん』
『アンチスキル・・・?(こいつも英語が喋れるだと・・・?今のところ喋れないのはトーマだけじゃあないか・・・)』
「なんだ、黄泉川先生ですか」
「小萌じゃん。ウチの学校に不審者が紛れ込んだなんて連絡を受けたから来てみたんだけど・・・ガイジンさんじゃん」
(アンチスキル?・・・名前ではないだろうな。おそらく肩書きか?それか役職・・・内容がさっぱり思いつかないが・・・ところでなんて言っているんだ?どうせなら英語で言ってほしいんだが・・・)
さすが大統領、いきなりの展開にも驚かない。
そんな大統領をほったらかして黄泉川は小萌と会話を始めた。
「で・・・このガイジンさんは英語で喋ってるけどなんでじゃん?」
「その人、日本語わからないんですよー」
「んー?・・・この学園都市にそんな人間がいるわけないじゃん?怪しいじゃん」
「そんな怪しいようには見えないんですけどねー」
「人は見かけによらないじゃん(あんたみたいに)」
ここで黄泉川は大統領のほうにくるりと向きを変える。
『あー・・・あんた名前は?』
『ファニー・ヴァレンタイン』
『ここは関係者以外立ち入り禁止じゃん』
『なに?そうだったのか。じゃあサッサと立ち去らせてもらおう』
『ちょっと待つじゃん。『ID』を見せるじゃん?』
『ID・・・?』
ここでいうIDとは、学園都市の内部の者ならだれにも発行されている識別番号だ。
あまりこういうことはないが、外部から一時的に学園都市に入る場合でも『必ず発行される』
つまり、『学園都市内にいるなら絶対に持っている』はず。
逆に言えば『持っていないならば不法侵入者』とみなすことができるというわけだ。
55 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:49:25.71 ID:XpPCSYzc0
『・・・持ってないじゃん。やっぱり怪しいじゃん』
『いや・・・ちょっとどこかに置いてきてしまったかもしれないな』
『言い訳無用じゃん。ちょっと身体検査させてもらうじゃん?』
『それは構わないが・・・』
両手を頭の上に上げて、反抗の意思がないことを示す。
それをみて黄泉川が大統領のボディチェックを始めたのだが・・・
『・・・ん?』
(・・・マズイ)
『これは何、じゃん?』
黄泉川の手に握られているのは・・・
大統領の拳銃だ。
56 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:50:49.54 ID:XpPCSYzc0
『これで何するつもりだったんじゃん?』
「危ないから小萌達は離れてるじゃん、こいつ危険じゃん」
(どうする・・・?)
とっさに思案を巡らす大統領。
このままではまともな生活どころか刑務所行きになりかねない。
ある意味では生活の保障は完璧だが、冷や飯を食い続けるのはごめんである。
ここは覚悟を決めるしかない。どうせこのままでは手に縄がかかるのも時間の問題だ。
要は『拳銃を持っていたという事実』を知る人間がいなくなればいいのだ・・・
(・・・やるか・・・しかし・・・十人以上いるが平気だろうか?・・・だが、やるしかないッ!)
(D4C・・・!)』
大統領がD4Cを出現させる・・・
57 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 22:57:41.58 ID:XpPCSYzc0
ミスが多い
>>53
の
>そんな大統領をほったらかして黄泉川は小萌と会話を始めた。
これは削り忘れたから削除で。
>>56
の
>(D4C・・・!)』
の最後の』も削除で。
58 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 23:01:15.94 ID:XpPCSYzc0
(やはり見えていないな・・・まあ、そちらのほうが都合がいい)
拳銃を持った黄泉川との距離は2mもない。
2m、それは『D4C』の射程距離である。
一般に『近距離パワー型』といわれるスタンドは、大抵射程が2mだ。D4Cも例外ではない。
『・・・これで何をするつもりか、だと?』
(・・・来るじゃん)
『言っていることがわからないな・・・』
『それ以上喋るなじゃん!話がかみ合わないじゃん!』
黄泉川が大統領に拳銃を向ける。
その瞬間、大統領は一直線にD4Cの腕を伸ばした!
黄泉川の手から拳銃をもぎ取り、自らの手中へと引き寄せる!
「あっ!あのオッサン『能力者』だったのか!?」
「まずいじゃん!みんな伏せるじゃん!」
撃たれる!
その場の全員がそう思った。
しかし大統領の考えは違った!
大統領は、取り返した拳銃を・・・
両手で『包み』・・・
『ドジャァァ〜ン・・・』
59 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 23:06:41.01 ID:XpPCSYzc0
「・・・・・・ん?」
「・・・あれ?銃が・・・消えちゃいました?」
「わけがわからないじゃん・・・?」
『おいおい・・・なにを驚いているんだ・・・?拳銃?『そんなもの最初から無かった』だろう?』
『拳銃を持っていたという事実』を知る人間がいなくなればいい。
だがそれ以前に『証拠の拳銃を消してしまえば』?
『拳銃を持っていたという事実』が無くなる。『拳銃を持っていたという事実を知る人間』がいなくなったのと同じだ。
なにも『人間』のほうを消さなくてもいい。(その気になればできたかもしれないが)
(だいたい、こんなところで殺人を犯したらそれこそ刑務所行きだ・・・私だってそのくらい考えて行動している・・・)
『そんなわけないじゃん!確かにこの目で見たじゃん!』
『そう言われても実際に無いんだからしょうがないだろう?』
「空間移動系の能力者でしょうか?」
「でも先生、あのオッサンどう見ても『念動力』にしか見えない能力使ってましたけど・・・」
「・・・さっぱりだにゃー(魔術師ではないよにゃー・・・?)」
各々が好き勝手に感想を述べる中、大統領は涼しい顔をして突っ立っていた。
『能力』を見せるのは、なるべく控えたかったが、使ってしまったのなら仕方が無い。
『・・・身体検査させてもらうじゃん』
『どうぞ、ご自由に』
血眼になって大統領の持ち物を探る黄泉川。
しかし、いくら探っても出てくるはずがなかった。
拳銃は『隣の世界』に送られたのだから・・・
60 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 23:09:55.98 ID:XpPCSYzc0
結局、何も見つけることができなかった黄泉川は、頭を抱えて帰っていった。
しかし、『能力』が使えるのに『ID』を所持していないという不自然極まりない人間ということは明らかだ。
なので、本来なら連行するべきなのだが、運悪く別件の出動要請がかかったそうで、大統領をほったらかしてさっさと出て行ってしまった。
能力者なら逃亡の可能性も無さそうだし、ということなのだろう。(実際には『スタンド使い』なので能力者ではない。)
一応「後で警備員に引き渡しに来るじゃん」と言い残して出て行ったが・・・
なぜその役目が上条に回ってきたのだろうか・・・?
61 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 23:14:39.27 ID:XpPCSYzc0
「先生・・・おかしくないですか。それは」
「なんでですかー?先生はまだ仕事が残ってるし、ヴァレンタインちゃんのことを一番知ってるのは上条ちゃんなんですよー?」
「知ってるって・・・まだ会ってから一時間も経ってないですよ!?それに英語喋れないってーのにどうしろってんですか」
上条にしては至極まっとうな意見。
しかし、それが小萌に通用するわけもない。
「英語に慣れるいい機会じゃないですかー?丁度いいですね」
「それはいささか無理があるんじゃ・・・」
「引き受けてくれるなら・・・ほら、さっきの『英語追加補習』の件、帳消しにしてあげますよー」
「ぜひやる!やりますやらせていただきます!」
(三段活用だにゃー)
(職権乱用やなあ)
補習が終わったら、警備員に大統領を引き渡すという約束の下、上条は英語の補習を追加されずに済んだ。
だいたい大統領がいなければ英語の補習の追加など起こらなかったとは思うが、その辺には上条も気づかなかったようである。
62 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/18(金) 23:20:20.64 ID:XpPCSYzc0
さて、肝心の補習なのだが・・・
実は全く授業にならなかった。
補習が行われている間、ずっと大統領が小萌を質問攻めしていたのだ。
いったいここはどんな世界なのかを始めとして、学園都市について、警備員について・・・などの質問をガンガンぶつけた。
質問されると説明せずにはいられないのが教師である。(世話焼きの小萌だけかもしれない)
あまりに質問しすぎるので、逆に小萌から一体何者なのか、という旨の質問をされた。
さすがに『隣の世界』のことなどは言うわけにはいかないので、気づいたらこの街にいたと言ったら『記憶喪失』かもしれないと言われた。
記憶がないフリをしていたほうが楽だと考えた大統領は、もしかしたらそうかもしれないと答えた。
そもそもこの世界についての記憶など最初から無いのだ。全くの嘘というわけでもない。
こんな感じで白熱した会話を下校時刻まで交わしていたそうで・・・
その場に居た生徒達によると、補習の終了時間まで生徒達を置いてきぼりにして、二人だけの世界に入り込んでいたらしい・・・
しかも補習は延期になったという。
なんともはた迷惑な話である。
―NEXT STAGE IS “エレクトリックガール”
―to be contined...
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:30:07.66 ID:3tbNRGtAO
>>1
に惜しみない『乙』と『支援』を捧げます
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:34:56.23 ID:ER/MD89ho
乙
話が通じないってのはおもしろそうだ
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/18(金) 23:35:10.50 ID:Lp5hJZoqo
乙
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[[sage]]:2011/02/18(金) 23:45:32.08 ID:XkGOg6xu0
乙
面白い
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 00:48:15.51 ID:gFlQ0szDO
日本語が話せなくても問題無い気がしてきた。(上条を除いて)
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/19(土) 01:24:39.75 ID:Wo25Q6PY0
面白いのふ
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/19(土) 03:03:40.34 ID:Pi7poaPIO
これは面白い
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/19(土) 10:30:41.21 ID:HaEnLqQt0
乙。とても面白い
71 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/19(土) 12:06:31.63 ID:83x69jHN0
今更だけど『身体検査(システムスキャン)』って用語があったことに気づいた。
身体検査(システムスキャン)とは?↓
詳細は不明。この検査で生徒の能力のレベルや系統等が分かるらしい。
学園都市の生徒は定期的にこれを受けている。
上条当麻は、この検査では幻想殺しが感知されない為に、何も該当する能力を有していないと判断されレベル0の烙印を押されている。― 禁書wikiより一部抜粋
黄泉川絡みの『身体検査』は『システムスキャン』とは違って字面通りの意味なので注意。
大丈夫だとは思うけど念のため・・・
72 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 18:31:37.60 ID:mFuH8c860
―2nd STAGE エレクトリックガール
「・・・ひどい目にあった。っていうか現在進行形ですけどね・・・はあ、不幸だ」
なんだか今日はいつにもまして不幸な気がする。
なにはともあれ、今日の補習が終わったことには変わりが無い。
上条当麻はいつものように、自宅への帰路を歩いていく。
いつもと違うことがあるとすれば・・・この『金髪』
後ろに大統領がくっついて来ているということだ・・・現在進行形の不幸とはこれのことである。
言葉も通じないというのにどうすればいいのか・・・やはり小萌に押し返そうか・・・
「さすがに、言葉が通じないと無理があるよなあ・・・まあいいや、一旦帰ってから引き渡しに行こう・・・」
今は、昼の熱気がまだ残る夕方。一度帰っても時間は充分にある。
二人とも押し黙ったまま、すたすたと上条の自宅への帰路を急ぐ。
「・・・・・・」
「・・・・・・(なんか気まずいよな・・・)」
上条は、背後からついてくる大統領の方をちらりと向いた。
(そういやこの人、さっき能力みたいなものを使ってたけど『能力者』なのか?)
(離れた場所の拳銃を取り上げるってことは『念動力(テレキネシス)』か?・・・でも、それなら『銃が消えたのはなんでだ?』・・・わからん!)
考えても答えが出ず、がしがしと頭を掻く上条。
(空間移動系の能力なのかもな・・・まあ俺には関係ないか)
73 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 18:36:00.15 ID:mFuH8c860
「・・・・・・(超能力者か・・・)」
大統領は上条のことなど気にせずに、先ほど小萌から聞いた情報を整理していた。
この学園都市には『能力者』というのがいるという。
スタンドとは違う、全く『別のタイプの能力』だ。
別の能力が故に、『能力者にもスタンドは見えないらしい』・・・そうでなければ『補習』の時にD4Cが誰かに見られていたはずだ。
『スタンド以外にも特殊な能力があるとはな・・・』
「・・・はい?」
(しかし・・・『人工的にいともたやすく発現できる』とは・・・『悪魔の手のひら』では命を落とすかもしれないというのに、えらい違いだな。)
(だが、死なない代わりに『能力が得られないこともある』・・・らしい。聞くところによるとこの学園都市の住人の6割が『レベル0』らしいしな。そのうち何人が『真の無能力者』なのか・・・)
(発現方法を除けば『超能力』と『スタンド』はかなり似ている)
スタンドは『一人につき一体』(一種類といったほうがしっくりくるかもしれない)
『スタンド使いにはうまい、ヘタがある』そして『能力はスタンドによって違う』
一方、超能力は『一人につき一能力』『能力に強弱がある』『能力は人によって違う(同じものもある)』・・・かなり似ている。
74 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 18:40:46.99 ID:mFuH8c860
そして一番似ている点は・・・
どちらも『自分だけの現実を外部に投影する』ということ!
精神力を基とし、本来なら『空想に終わる絵空事』を『現実の出来事』として!
精神を物理干渉のできる『ビジョン』として!』
自らの精神の外へエクスポートする!
それが『スタンド』と『超能力』なのだ!
しかし、スタンドはスタンド使いにしか見えないが超能力はそうではない。
つまり『完全に同じではない』といえる。
このような細かい違いこそあれど、SBRの世界における『スタンド』がこの世界では『超能力』になっているはず。
スタンドと超能力は恐らく、同じではないにしても、非常に似ているものなのだろう。
『異世界との意外な接点か・・・』
(独り言・・・だよな?・・・なに言ってんのかさっぱりだけど・・・)
(言語だって同じだった。『他にも何か共通することがあるのではないか?』・・・現時点ではなにもわからないが、もしかしたらそういうこともあるかもしれない)
75 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 18:44:36.46 ID:mFuH8c860
(この世界にも『スタンド使い』がいるかもしれない・・・しかし、『私の世界におけるスタンドがこの世界での超能力』だとしたら『スタンド使い』はいないことになるが・・・おそらく後者だろう)
(この世界にスタンド使いがいないというのなら『D4C』は誰にも認知できない・・・これは戦闘においてはかなり大きなアドバンテージだな。戦闘をするかどうかは知らないが)
(戦闘・・・もし、するとしたら当然『能力者』相手になるだろうな。勝算はあるだろうか?・・・トーマはレベル0だとコモエは言っていた、奴には負ける気がしないが、上位の能力者を相手にするとなるとわからないな・・・そもそも『D4C』は『超能力でいうとレベルいくつ相当』なんだ?)
(レベル0・・・トーマと同じということはないだろうが・・・ん?)
大統領が、ふと立ち止まる。
目線の先にいるはずの人物、上条当麻がいないのだ。
『そのトーマがいないぞ?・・・あの少年、どこへ行った?』
さっきまで前を歩いていたはずの上条がいなくなっている。
まさか置いていかれたのか?しかし大統領の方が歩くペースが早いくらいなのに置いていかれることがあるのか?
『置いていかれたわけでないなら・・・置いていったということか』
大統領が来た道を振り返る。
案の定は上条は、いた。
いることにはいるのだが、いつの間に出会ったのか、『見知らぬ少女』と会話を交わしているようだ。
(知り合いか?・・・どうせ英語は通じないだろう。あまり関わらないほうがいいな)
76 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 18:53:37.50 ID:mFuH8c860
(しかし知り合いにしてはやたらと高圧的な態度で迫られているな。何をやらかしたんだ?・・・まさか『通りすがりに絡まれている』だけなのか?)
もしそうなら面倒だな、と大統領が他人事のようにつぶやく。
もし上条があの少女から全速力で逃げ出したりしたら、追いつける自信はあまりない。
再起不能になって病院送りになられるのも困る。無傷でいてくれないと困るのだ。
なぜなら上条には『ナビゲーター』的な役割をしてもらっている。
ここでトーマと離れることは、未知の世界の案内人を失ってしまうのと同義だ。
知らない道をナビゲート無しで突き進んだら迷子になるのはわかりきっている。
山を登るときにルートもわからない、頂上もわからないのでは遭難するのは確実なのだ。
(トーマ自体は役に立たないかもしれない。だがコモエの膨大な知識はかなり役に立つ。ここでトーマを失うとそのコモエとの繋がりも途切れてしまう・・・それは少し困る。気が乗らないが、助けてやるか・・・)
それに、ここで恩を売っておけば後々利用できる。
なにも悪いことばかりではない
しかしまだ絡まれていると決まったわけではない。
そう思った次の瞬間である・・・
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/21(月) 18:54:52.98 ID:1fzKQ81g0
射程2mの念動力(人間の腕なら切り落とせるくらいの強さ)
+挟んだものを自力では戻ってこれないところまで飛ばす
+どっかにはさまるだけで緊急回避
チート能力ってレベルじゃねーぞ!
スタプラさんも射程は短いけど念動力の類なのかな
78 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 19:00:47.57 ID:mFuH8c860
「っざけてんじゃねーぞアンタぁ!」
少女が怒号をあげながら、路面を舗装しているタイルがめくれあがるくらいに、地面を踏みつけた。
しかし、問題なのはその行動ではなく、むしろ『少女自身』であった。
少女が踏みつけたタイルを中心にバチバチッと青白い閃光が周囲に走る!
『うおッ!?』
おもわず身構える大統領。
どうみてもこれは『電気』である!それが『生身の人間から放出された』ということは・・・
『能力者か・・・!最悪だ。よりにもよって能力者に絡まれているとは・・・!!周りの被害も気にせず能力を発動するようなやつだ。手加減などしないだろう。それに・・・』
大統領は、少女の鬼の形相を見て確信する。
『あの目・・・『トーマを攻撃する気』だッ!まずいぞ・・・!あの電気が直撃したら、さすがに死ぬんじゃあないのか・・・!?』
大統領、走る!
その先にいるのが『レベル5』・・・
学園都市中の電撃使いの頂点に立つ『超電磁砲(レールガン)』こと『御坂美琴』だとは知らずに・・・!
79 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 19:05:53.00 ID:mFuH8c860
一旦中断。
大統領がSBRからの癖で状況を喋りたがるから、気をつけないと地の文の仕事が無くなってしまう。
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/21(月) 19:33:05.99 ID:1fzKQ81g0
こんないいところでおあずけなんて…
ビクンビクン
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 20:01:26.12 ID:gklYWggAO
>>77
平行世界の同一存在を近づけて防御無視の破壊が可能を加えよう
>>1
乙
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/21(月) 20:06:40.07 ID:1fzKQ81g0
隣の世界の一方通行さん連れてこれれば対消滅して勝ちかwwwwww
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 20:52:39.01 ID:6zjPSp9do
>>82
でも挟めないんじゃね?
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 21:28:29.23 ID:/21Vd5LAO
SBR全然知らないんだが面白いな支援
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 22:35:51.10 ID:Xo8QG9c9P
おお来てた
大統領の思考が黒いなwwww
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 22:36:16.08 ID:2AErevFJ0
>>83
おそらく余裕で挟める
禁書の敵キャラは能力での力押しで敵愾心丸出しだけど
ジョジョは隙を突いてくるから、やりようはいくらでもある気がする
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 22:44:13.57 ID:sZKzdw06o
隣の世界なら超能力が存在しない世界もありそう
88 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 22:56:57.65 ID:mFuH8c860
今日中に再開できるだろうか。
寝るまでに2ndステージは終わらせる予定。
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/21(月) 23:09:53.52 ID:2AErevFJ0
>>1
のペースで自由にやればいいと思う
そして楽しみに待ってる
90 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/21(月) 23:57:52.45 ID:mFuH8c860
(まずは、牽制だ)
走りながら、美琴の背後に近づいていき―
「ふん!どうよ、これでようやく腑抜けた頭のスイッチ切りかえ―」
『御高説を垂れているところを悪いが・・・そいつはやらせないぞ』
「うあっ!?」
D4Cを使った挨拶がわりの足払い!
上条しか見ていなかった美琴は、大股開きで派手に後ろにずっこけた。
もちろん無防備だったわけで・・・後頭部をタイルに強打した。
「・・・はっ?」
『・・・やりすぎたか?』
状況の飲み込めていない上条と、状況を勘違いした大統領。
二人して路上に大の字で倒れている美琴を見つめる。
「ヴァレンタインがやったのか・・・?」
『まあ、死んではいないだろう。さっさと行くぞ』
「ちょ、ちょっと待てって!コイツをこのままにするわけにはいかないだろ!?」
そんな上条は無視して(というか言っていることがわからない)大統領が美琴に背を向けて歩き出す。
『アンタ・・・ねぇ。見ず知らずの人間にいきなり『能力』使うなんて・・・』
『なに・・・『英語』・・・!?』
『親にどーいう教育受けたのよォ!!』
大統領が驚いて、振り返る・・・よりも速く美琴の電撃が炸裂!
バァン!というタイヤの破裂するような音と共にすさまじい雷撃が大統領めがけて一直線に伸びていく。
91 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:00:56.71 ID:MuUaKm+90
稲妻の速度は光よりは遅いらしい。
だが・・・それでも『秒速150Km〜200Km』らしい・・・
そんなもの、いくら弾丸が見切れる『近距離パワー型のスタンド』であっても避けられるわけが無い。
『うがぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』
大統領の体がビグンと跳ね、地面に突っ伏す。
まだ一撃目であるのに、すでに肩で息をしている。
(な・・・なんて威力だ・・・!死ぬかと思ったぞ・・・!)
『ちょっと・・・アンタから仕掛けておいて、まさかこれで終わりってことは無いわよね?』
『くそ・・・・・・』
なぜ英語が喋れるのか?上条をどうしようとしていたのか?
聞きたいことは山ほどあるが、今は『勝つことだけを考えたほうがよさそうだ』
だが・・・それは一旦中断せざるを得なかった。
なぜなら・・・
「電波法に接触する攻撃性電波を感知。システムの異常を確認・・・」
『警備ロボット』が美琴の電撃を感知し、けたたましい警報音を辺りに撒き散らしたからだ。
日本語がわからない大統領でも、さすがにこれは理解できる。
三人は仲良く、夕暮れの街を走り抜けていくのであった・・・
92 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:03:06.47 ID:MuUaKm+90
場所は変わって、裏路地の裏の、そのまた裏のさらに裏・・・
ビルの立ち並ぶコンクリートジャングルの中に、ビルひとつ分くらいぽっかりと空いた広場。まったく人気(ひとけ)がない。
三人が逃げてきた場所はここだ。
しかし、たったいま死線を潜り抜けてきたばかりだというのに・・・
大統領と美琴は、お互いに殺気を向けながら、相対している。
『さて・・・ここなら邪魔は入らないだろう?』
『そうね・・・』
「あの・・・一体何を話していらっしゃるのでせうか?上条さんには、どうも話し合いというより殺し合いにしかみえないのですが・・・」
「アンタは黙ってろ」
「はい」
英語のわからない上条にだって、この張り詰めた空気はわかる。この二人はなにかとんでもないことをやろうとしている・・・
だが美琴の一喝に、上条は思わず縮み上がる。なんだか『らしくない』
それほどまでに、この場は『緊張しているのだ』
『さて、始めるわよ・・・!』
『そのことなんだが・・・どうやら私は君とまともにやりあっても勝ち目がないらしい』
『いまさら気づいたの?だったらさっさと降参して・・・』
『だから・・・』
そこまで言うと、大統領はいきなり『上着を脱ぎ、真上に投げた』・・・
『まともにやりあう気は無い』
93 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:05:39.80 ID:MuUaKm+90
まともにやりあう気はない?
どういうことだ?逃げるということか?それともこすずるい手を使ってでも勝つということか?
しかし、それを美琴が大統領に聞くことはできなかった。
『大統領が消えたからだ』・・・
大統領のいたところには、上着が一枚落ちているだけ。
さすがに大統領は、あの下に隠れられるような図体ではない。
『消えた・・・』
しかし美琴は別段驚きもしない。
こんな現象、毎日見ている。
彼女のルームメイト、白井黒子の『空間移動(テレポート)』だ。
(空間移動系の能力者ってとこね・・・ん?)
違う、さっき奴は『私を触らずに転ばせた』
『念動力』のような能力を持っていたのではなかったのか?
まさか多重能力(デュアルスキル)?いや、それは脳への負担が大きすぎるからできなかったはず。
『私の知らない能力ってこと?・・・まあ、問題ないけど』
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 00:06:14.21 ID:V+8JtfNyo
大統領の親を侮辱したらやばいぞwwww
95 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:08:05.17 ID:MuUaKm+90
もちろん大統領は『隣の世界へ行っている』
そして、美琴の死角から奇襲を繰り出し、勝つ・・・これが大統領のシンプルにして卑怯な作戦だ。
この際手段はどうでもいい。勝てばそれでいい。
『奥の手もあるしな・・・』
そういって、取り出したのは・・・『拳銃』
黄泉川の目を欺くために、隣の世界に送った後、しっかりと回収しておいたものだ。
『急所を外して1、2発撃ち込めば、さすがにおとなしくなるだろう・・・丸腰の子供を撃つというのもなんだか気が引けるが・・・能力者相手にのんきなことは言ってられない』
大統領は、近くに転がっていたポリバケツのなかに入っていた空き缶をぶちまける。中身はどうでもいい。
バケツを被り、元の世界に戻る・・・
「そこかあ!」
と、同時に美琴の声。
慌てて隣の世界へと戻る大統領。
大統領が消えたすぐ後に、雷撃がポリバケツを吹っ飛ばした。
『危なかった・・・真正面に出てしまったようだな・・・やはり注意を引く必要があるな。でなければ奴の背後は取れない・・・』
96 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:10:41.92 ID:MuUaKm+90
ガタ、とポリバケツが動く。
美琴が電撃を飛ばそうと、狙いをつける
しかし・・・大統領は『上着の下』から出てきた!
音のするバケツは囮。上着が本命だ。
バケツは美琴の真正面、上着は美琴の背後にある。
これで確実に背後を取れる・・・
そのはずなのに・・・
(なぜ・・・この小娘はこちらを向いているんだ・・・?)
97 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:12:28.89 ID:MuUaKm+90
『・・・くそッ!どういうことだ!あの小娘・・・背中に目でもついてるのか!?』
先ほどから大統領は、このもぐら叩きのようなことを延々続けている。
もう30回ほどやっただろうか。
しかし・・・いくらやっても、囮の数を増やしても『美琴が選択を誤らない』
偶然にしてはできすぎだ。確実に『大統領の位置を把握している』・・・
『やつは電撃使いのはずだ・・・『超能力は一人一能力』・・・未来が見えたり思考を読んでいるわけじゃあない・・・『電気を応用した技術』を使っている・・・』
『・・・・・・何かはわからない・・・だが・・・『もしかして』というものならある』
『・・・一か八か、それに賭けてみよう』
98 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:15:03.08 ID:MuUaKm+90
「出てこないわね・・・」
十分ほどにわたるもぐら叩きに嫌気がさしてイライラしているのは、美琴のほうもである。
さっさと大統領と決着をつける。その次は上条と決着をつける予定なのだから。
ちなみに上条はというと、さっきからこの戦闘を遠巻きに見ている。
近づこうとすると美琴から『邪魔すんなゴラァ!』という罵声と電撃のミックスが飛んでくるので、仲裁は諦めたようだ。
そんな時・・・
空からなにかが落ちてきた。
それが首筋にあたり、すこし冷やりと冷たい感覚が美琴に走る。
「雨・・・?」
いや、雨ではない。『ふわふわと舞っている』・・・
雪?七月に?
一体これは・・・?
その正体は、すぐにわかった。
「・・・しまった!これは・・・」
その声と同時に、大統領が姿を現す。
―『美琴の背後』に、だ!!
99 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:19:44.18 ID:MuUaKm+90
(聞いたことがある、電磁波というものの反射により、物体の動きを捉える技術があると。)
(おそらくあの小娘はそれを使っている。それを妨害するには・・・他に電磁波を反射する物質が大量にあればいいはず)
『そして・・・どうやら大当たりのようだ・・・!』
「チャフ!?」
そう、ふわふわと空中を漂っているのは、『大統領の即席チャフ』(大統領のいた時代に、チャフなどあったのか?)
ポリバケツに入っていた『空き缶』を粉々にしてビルの上からばら撒いた、まさに即席のチャフだ。
本物に比べれば滞空時間も短い上に、素材もスチールとアルミという粗末なものだが、美琴の気を『一瞬』そらすだけの性能はあった。
本当に一瞬・・・だが、それで充分だった。
『詰み(チェックメイト)だ、小娘!』
大統領が美琴に狙いを定める。
一発、二発、銃声が鳴り響く・・・
100 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:25:28.01 ID:MuUaKm+90
だが・・・『弾丸は外れた』
狙いは完璧だった・・・それなのに『弾道が不自然に曲がった』のだ!
それどころかチャフもざらざらと流されていく。
風もないのに!
『なん・・・だと・・・』
『ったく・・・銃撃ってくるってんならこれくらいするわよ』
そう言って、落ちたチャフに近づく。
地面に撒き散らされている金属片が美琴を避けるようにすすす、と動く。
『電磁力よ』
大統領は最初からずっと美琴に銃を向けていた。なら『それを撃ってくるのは明白』
銃撃されることがわかっていた美琴は、あらかじめ自分の周りに強力な電磁力を発生させておき、それで弾道を曲げたのだ・・・
大統領が大統領なら、美琴も美琴である。もっとも、こういう戦い方は『電撃使い』の常套手段ではあるが。
『なんでもありか・・・?なんてふざけた能力だ・・・』
『知らないようだから教えてあげるわ』
そういって美琴が取り出したのは・・・
『コイン・・・?』
101 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:27:55.47 ID:MuUaKm+90
『私は、御坂美琴』
そう言うやいなやピン、とコインを指で弾き遥か頭上へと飛ばす。
それと同時に腕を大統領のほうに突き出す。
手は人差し指だけが伸びて、他は曲げているという形。
(こいつ・・・なにか仕掛けてくる!電撃か!)
身構える大統領。飛び出して殴ったほうがいいのか?
いや、不用意に近づくのも・・・
そう考えている間に、コインが落ちてきた。
そして、美琴がこう伝える。
『人呼んで第三位―『超電磁砲』よ!』
掛け声が終わると同時にすさまじい電撃が放出される・・・
102 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:30:57.58 ID:MuUaKm+90
音速の3倍以上に加速されたコインは、オレンジ色の閃光となり大統領のわずか30cm横を駆け抜けた。
(なんて速さだ・・・銃弾なら掴めるが、あのコインはいささか速すぎる・・・!こいつ、こんな隠し玉まで・・・)
『知らないなら、覚えとくことね』
『第三位・・・七人しかいないという『レベル5』のか?』
『他になにがあるのよ。さて・・・喧嘩をふっかけてきたってことは、自分もボコボコにされる覚悟があるってことよね?』
不敵な笑みを浮かべながら、大統領に近づいてくる美琴。
心なしか全身が青く光っているような・・・
『レベル5がレベル0に襲い掛かるとはな。強者が弱者を虐げるのが普通なのか・・・なんてふざけた街なんだ。ここは。』
『はあ?あんたレベル0なんかじゃないでしょ?寝言だってんなら電気流して目、覚ましてあげるけど?』
『私じゃない・・・あいつのことだ』
そういって大統領が上条を指差す。
103 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:35:41.81 ID:MuUaKm+90
『襲い掛かるですって?』
『忘れたとは言わせない、街中で電気をぶち当てようとしていただろう』
『・・・ん?確かに電撃は出したけど・・・』
『私が止めなければトーマは殺されていたかも・・・』
『ちょっと待って、ちょっと待って、殺そうとした?襲い掛かった?』
『?』
美琴がなにかに気づいたかのように、大統領を制止する。
そして、不審そうにこう質問した。
『あんた・・・日本語わかるの?』
『いや』
『・・・・・・』
『どうした』
『いや・・・なんかあんた・・・勘違いしてるかもしれないわね・・・』
ものすごく。
ものすごく今更である。
血の気が多いというのも、困りものだ・・・
―NEXT STAGE IS “魔術師の炎”
―to be continued...
104 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/22(火) 00:38:44.56 ID:MuUaKm+90
すごく今更なんだけどコンティニューから『u』が抜けてた。
Uは大事だって涙目のルカさんに言われたのになんてザマだ。
ここまで。
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 00:51:17.28 ID:V+8JtfNyo
乙
マジシャンズレッド……だと……
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 00:57:26.45 ID:qBbCMlopP
乙
ステイルとブ男比べるのはやめてやれよ
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 02:04:54.72 ID:QYRR6+7+0
乙
どう考えても美琴クズですね
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 02:40:47.05 ID:+qMgNJ8AO
中学生に本気で発砲した大統領も大統領だけどなwww
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/22(火) 02:44:20.99 ID:i7nHUikY0
乙
鉛玉が電磁力で軌道曲がるのか?
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 03:52:50.32 ID:LN/mnqAAO
>>109
弾くくらいならできんじゃね
それか凄み
111 :
名無しNIPPER
[sage]:2011/02/22(火) 06:55:12.21 ID:/vxA1Y7DO
まあ初期の美琴のKYぶりは異常だからな
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 06:56:18.18 ID:xKchu87So
アヴドゥルさんは強すぎて荒木に消されたキャラだぞ!!ステイルさんじゅうよん才と比べるなしwwwwwwwwwwwwwwwwww
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 08:48:22.02 ID:qBbCMlopP
>>109
公式で銃火器は防げる設定
常に電磁レーダーと電磁バリア張っててスナイパーされても防げる
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 12:47:15.71 ID:3HAOIJS+o
>>109
鉛弾の内部に電流を流す+磁力線をぶつける=弾き飛ぶ
でいいんじゃね?細かいことはおいといて
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/22(火) 14:25:54.12 ID:VAwR9eB6o
MGS2のフォーチュンみたいなもんだろ?ようするに
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/23(水) 19:15:39.85 ID:izVPaLYa0
一通さんスタンドははじけるのっと
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/23(水) 23:44:31.79 ID:OozrkGdAO
>>116
それはまぁ
>>1
が決めることでしょ
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/27(日) 01:37:50.83 ID:7ardAOGh0
大統領なんか弱そうだな
119 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:02:06.78 ID:9qeAiNMb0
―3rd STAGE 魔術師の炎
上条と大統領は、上条の自宅へ向かって、夕暮れの町を歩いていく。
美琴との戦闘は、一時中断・・・というか終了。
美琴が上条を殺そうとしていたわけではないのなら大統領に戦う理由はないし、大統領が誤解で攻撃を仕掛けてきたというのなら、誤解の解けた今、美琴にも戦う理由はないからだ。
上条は「アンタのせいよ!」と美琴に再度因縁をつけられていたようだが・・・大統領の知ったことではない。
だが上条にとっては、無視できるような問題ではない。大統領が早合点しなければ美琴に二度も因縁をつけられることもなかった。(あしらうのに苦労した)
もともと自分は不幸な人間だが、この外国人と出会ってからそれが加速しているような気がする・・・疫病神か・・・それともなにかそれに準じるものではないのか・・・
さっさと家に帰ろう、そして早く警備員に渡してこよう・・・上条はそれ以上考えることをやめ、ただひたすらに自宅を目指した。
そして自宅である、学生寮に到着したのだが・・・
なぜ学生寮に『見知らぬ外国人』がいるんだ・・・?
120 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:06:14.68 ID:9qeAiNMb0
身長は2メートルほどで、かなりの長身。
髪は真っ赤だが、おそらく染めているのだろう。
そして・・・白人。今日に入って3人目の『外国人』だ・・・
不幸だ。いつもの上条ならこう呟いていたところだろう。
しかし、のんきにそんなことを言っている場合ではなかった。
学生寮から出てきた赤髪の外国人は、『血塗れのインデックスを抱えていた』のだ。
「!!・・・どうして・・・!?」
どうしてここに戻ってきたんだ?あの赤髪は誰なんだ?
上条が考えたいことは山ほどあった。
だが今はそれをしている暇は無い、このままでは見知らぬ人物にインデックスがさらわれてしまう・・・
インデックスの味方ならいい。だが、まるで荷物でも担ぐように淡々とインデックスを運んでいく姿は、どうみても味方のそれではない。
まさか、あれがインデックスの言っていた『追手』なのか?
そうだとしたら、『あの外国人にインデックスを連れて行かせるわけにはいかない』
と、その時。
赤髪がこちらの存在に気がついた。
それと同時に、その外人は身をひるがえして学生寮へと戻っていく。
上条は、半ば反射的に駆け出し、得体の知れない外国人を追いかけて学生寮へ入っていった。
121 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:11:58.93 ID:9qeAiNMb0
(なんだったんだ?・・・今の奴は)
学生寮の外に一人残された大統領。
すぐに上条を追いかけようとせず、まずは情報を整理する。
考えもなしに突っ込むのは馬鹿のすること・・・直情的に動けば勝てる戦も勝てなくなる。
(赤髪のあいつ・・・『血塗れの少女を抱えていたが』・・・トーマが追いかけていったのを見ると少なくとも『知り合い』以上の関係だろう・・・)
(なにがあったのかは知らないが『あのままトーマを放置したらヤバイ』ような気がする)
大統領は、八階建ての学生寮を見上げる。
3階と4階の間の踊り場の辺りを赤髪が通るのが見えた。
続いてそのひとつ下の踊り場に赤髪を追いかけている上条の姿。
(あの少女は見る限り『背中を斬られていた』・・・だが、あの服に隠せるサイズの刃物であれほどの切り傷を負わせるのは不可能ではないのか・・・と、なると『なんらかの能力者』だと考えるのが妥当)
(そのような能力を持っているのなら、追っ手を攻撃しながら逃走すればいい・・・私ならそうする。しかしそれをせず、わざわざ建物に入って行ったということは『トラップ』を仕掛けているか『待ち伏せがもっとも効果を発揮する能力者』・・・『別の仲間が居る』という可能性もあるな・・・なんにせよ、ノコノコ入っていくのは危険すぎる・・・)
追い詰められることがわかっているのに、わざわざ建物に逃げ込むということは何か策があるはず。(無いなら無いでいいのだが)
わざわざ見えている罠にかかってやる必要は無い・・・しかしその罠に上条が突っ込んでいった。
美琴の時とは違い『実際に一人やられている』・・・勘違いなどではなく、このままでは確実に好ましくないことになる。
122 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:20:24.18 ID:9qeAiNMb0
(『超電磁砲』には勝てなかった。またあのような能力者だったら・・・)
ここまで大統領が慎重になっているのは、美琴に勝てなかったからだろう。もちろん生来の性格のせいでもあるが。
大統領は決して弱いスタンド使いではない。むしろ『最強』の部類に入るだろう・・・『遺体の世界』でなら間違いなく最強だ。
しかし奇襲が主体の近接戦を仕掛ける大統領に対して、敵の位置を常に捕捉でき、さらに遠近両用の電撃を繰り出す美琴とは相性が悪すぎた。拳銃すら効かないのではどうしようもない・・・
(負けたわけではない。しかしお世辞にも勝っていたとは言えない。)
(美琴はなんだかんだで加減をしていたようだが・・・あの赤髪は何をするかわからない・・・場合によっては本気でかかるしかない・・・)
本気・・・『禁じ手』を使うことも辞さないということ。
『禁じ手』とは・・・もちろん『世界移動』だ。それもただの移動ではない。
『同一の存在が同じ世界に同時に存在する場合、それらは引き寄せ合って崩壊する(大統領本人のみがこの能力の制限を受けない)』
大統領にすら止めることができない『強制的なもの』・・・
これこそ、大統領を最強たらしめる理由。
隣の世界から赤髪を連れてくれば、もともとこちらの世界に居た赤髪と引き寄せ合い、粉みじんになって消える。
防御などは意味が無い。
決まれば必ず死ぬ『えげつない能力』・・・
123 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:25:19.27 ID:9qeAiNMb0
・・・これは、厳密にいうとD4Cの能力ではないはず。『世界が元に戻ろうとする力』とでもいうのか・・・
『同一の存在が同じ世界に同時に存在する』ということは本来ならありえない。その矛盾を解消するために起こる現象なのだろう・・・
(ところで私がこの世界にいるということも『本来ならありえないこと』ではないのか?・・・このままだと私は、一体どうなるんだ?)
(・・・まあ、それは考えても仕方が無いか・・・今やるべきことをせねば・・・)
赤髪を殺すのは極力避ける必要がある。
カワイソーだとかそんな甘ったれたことを言っているのではない。この世界で人を殺すというのはかなりリスクのある行為だからだ。
遺体の世界なら大統領の権力でもみ消すことも可能だったが、この世界でそれはできない。
先ほどの方法を使えば、ほんの破片すら残さずこの世から消し去ることもできる。しかし殺したという事実は消えない。
拳銃を一丁消すのとはわけが違う。消えたのが人間なら警備員だって本格的に動くだろう。
技術の進んだこの世界では、すぐに犯人だとばれてしまうはず・・・
危ない橋は渡らないに限る。
『向こうの出方によっては、そうはいかないかもしれないがな・・・』
大統領は、こうして少し遅れて上条を追いかけるのだった。
124 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:29:37.91 ID:9qeAiNMb0
大統領が追いついた時には、上条と赤髪が『日本語で』会話していた。
会話とはいったもののそんな生易しいものではなく、上条が赤髪を責めるような口調でまくし立てて、それをひょうひょうと赤髪がいなすといったおよそ会話とは遠く離れたものではあったが。
しかし・・・日本語で話されてはまったく内容がわからない。赤髪は白人のようだし、『英語で聞いたほうが早いのでは』?
そう思った大統領は、早速それを行動に移す。
『おい、そこの赤髪』
「・・・その金髪の人は君の知り合いかな?」
「ヴァレンタイン・・・!」
上条の存在を無視して赤髪に近づいていく大統領。
『ストップ、それ以上近づくな』
『やはり・・・喋れるんじゃあないか・・・英語を』
『僕はそこの馬鹿が日本語しかわからなそうだったから日本語を喋ってただけだよ』
日本人が英語を喋り、外人が日本語を喋る・・・ここは一体どうなっているんだ。(実際には、大統領が出会った人間が特殊すぎただけ)
(なかなか常識の通用しない街だな・・・)
125 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:45:00.60 ID:9qeAiNMb0
『で・・・君もインデックスを返せとかいうのかな?』
『インデックス?なんだそれは?』
『・・・ならどうしてこんなところに来たのかな?』
『別にどうってことはない。そいつについて来ただけさ』
大統領が上条をあごで指す。
赤髪は心底どうでもよさげにそれを見ていた。
『それなら僕の邪魔をしようとかは思ってないってわけだね』
『さあな、君の返答によってはそれもせざるを得ない・・・しかしだ』
『しかし?』
『いかんせん事情を知らないんでね・・・説明してくれるとありがたいんだが・・・』
『・・・まあ、そこの馬鹿にはもう話したけどね・・・』
126 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 17:50:11.64 ID:9qeAiNMb0
赤髪が手短に要点だけを大統領に教えた。
しかし、教えられたところで、信じることのできるような内容ではなかったと思う・・・
魔術だの、魔道書だの、完全記憶能力だの・・・
だが、超能力だのなんだのの後に魔術がどうこうと言われても別に驚きはしない。
だいたい大統領だって『スタンド』という能力を持っているのだ。
『・・・そういうわけで、僕はソレを保護しに来たってわけさ』
『保護にしてはずいぶんと荒っぽいことをするんだな』
『仕方ないだろう?本来なら傷ひとつつかないはずだったんだ。だいたい斬ったのは僕じゃないし』
『・・・で、これからどうするんだ?』
まだ出会ってから数分しか経っていないというのに、まるで旧知の仲であるかのように『会話』を交わす二人の外人。
しかし、心を許しているわけではない。話し方はフレンドリーなのに、場の雰囲気は異常なほどに張り詰めている・・・
蒸し暑いこの気候が、さらに不気味さをかもし出す。
『うん?ソレを連れて帰るよ?そのためにわざわざ来たんだしね』
『そうか』
『・・・止めないのかい?』
『なぜ止める必要がある?』
そう・・・引き止める必要は無い。
赤髪は『自分は斬っていない』と言った。つまり『仲間が居るということだ』・・・
この赤髪自体も厄介・・・能力者ではないようだが、その代わりに『魔術師』だという。
魔術がどんなものかは知らないが、なにかしらの能力の類であるというのは想像がつく。
敵を増やすのは避けたい。それにインデックスとやらを助けたところでなんのメリットもない。
ならばここは素直に引くのが得策というもの。
10万3000冊の魔道書とはいうが、魔術など知らない大統領にとっては便所紙と同じくらいの価値しかないのだから・・・
127 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:01:17.46 ID:9qeAiNMb0
『話のわかる人で助かったよ・・・えーと』
『ファニー・ヴァレンタイン・・・お前は?』
『ステイル・マグヌス・・・と名乗りたいんだけどね』
ステイルと名乗った魔術師は大統領の後ろに居る上条を見て、ため息をつく。
『その血の気が多い馬鹿がどうしてもインデックスを渡そうとしなくてね・・・このままだと魔法名のほうを名乗らざるを得ないんだけど?』
『魔法名?』
『僕達魔術師が魔術を使うときに名乗る名前さ』
『なるほど』
ステイルとやらは、やる気が充分にあるようだ。
ここは魔法名とやらを名乗る前にさっさと帰ってもらうのがいい。
知り合いが見知らぬ人間に誘拐されるのを黙って見ている人間はあまりいないだろう。
しかし、ここで余計な揉め事を起こされるのも困る。
上条にはかわいそうだが、ここは手を引いてもらうしかない。
『おい、トーマ。あの子のことは諦めろ』
上条に近づきながら無慈悲なことを言い放つ大統領。
もちろん英語だから上条にはわからない。
しかし、その冷酷な口調で、言わんとしていることはなんとなくわかる。
「・・・ヴァレンタインは諦めろと言っているけど?」
「黙って見てろって言うのかよ!?」
まるで折れる気の無い上条。
赤髪は魔術師だと言った。怪しげな気配がするし、それはおそらく真実だ。
むしろただの人間であそこまでのオーラを放つことができるというのなら、それはそれで一種の能力だろう・・・
とにかく、得体の知れない能力を使うやつと戦うのは馬鹿のやることだ。
あいにく大統領は馬鹿ではない。
128 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:17:48.12 ID:9qeAiNMb0
すう、と大統領の後ろから人影が現れる・・・もちろんD4Cだ。
(ステイルにも見えていないようだな・・・魔術はスタンドの類ではないということか)
大統領は一歩も動かない。
しかしD4Cは別だ、ステイルに向かって今にも飛び掛りそうな上条の後ろに回って羽交い絞めにする。
(勝ち目は無いんだ、諦めておとなしく引き下がるぞ・・・)
「うっ!な、何しやがる!」
「僕は何もしてないよ・・・ヴァレンタインだろ?」
上条がD4Cに掴まれたまま、ずりずりと引きずられていく。
ステイルが階段へ行けるように、大統領が立ちはだかる上条をのけて道を開けたのだ。
これで無駄な戦闘は避けられるし、お互いに最良の策だと言える。
129 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:20:16.04 ID:9qeAiNMb0
だが・・・
「ちくしょう!ヴァレンタイン!お前あんな小さな女の子がボロボロになってるっていうのにおとなしく引き下がるのかよ!それがお前の『正義』なのかよ!」
「ふっざけんなよ!!!」
引きずられながらも、上条は大統領に向かって叫び続ける。日本語は通じないと言うのに・・・
上条は、諦めない。
勝ち目が無くても、自分が死ぬとしても、目の前の女の子を助ける・・・
それが上条の『正義』だからだ
上条は、なんとか脱出しようともがく。
そして・・・
『右手』がD4Cに触れた・・・
130 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:30:07.19 ID:9qeAiNMb0
瞬間!
甲高い鳥の鳴き声のような音と、ガラスの割れる音が混ざったような奇妙な音が鳴り響き・・・
『なッ・・・!?D4Cが・・・!!』
D4Cが消えた!!
大統領の意思に関係なく『強制的にスタンドの発現状態が解除された』のだ!!
「?・・・なにをやっているんだい?君達・・・」
『おい、トーマ。お前・・・一体何をした!』
大統領にすら、今起こったことは全くわからない。
レベル0がスタンドを強制解除した・・・
どういうことだ・・・
しかし、上条にとってそんなことはどうでもいい。
ステイルに向かって一直線に向かっていく。
いや、その後ろにいる『インデックスに向かって』一直線にだ!
『馬鹿野郎ッ!そいつに攻撃するなッ!!』
大統領の叫びも上条の耳には入らない。
走り出した上条は、すでに大統領から『2メートル以上』離れている。
D4Cは届かない。
131 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:31:46.01 ID:9qeAiNMb0
そんな上条を見て、ステイルはやれやれとため息を吐き出す。
「まったく・・・せっかくヴァレンタインが忠告してくれたっていうのに君は馬鹿なのかい?・・・ああ、英語はわからないんだったか・・・」
「うぉぉおおおおおおっ!!」
『ヴァレンタイン、君は逃げたほうがいいよ・・・Fortis931』
雄叫びを上げる上条とは裏腹に、ステイルは静かに『魔法名』をつぶやき、タバコをピンと弾いた。
(まずい・・・あの魔術師の技が来る!)
『トーマッ!さっさと逃げろォォーッ!!!』
「炎よ―」
弾いたタバコの軌跡に沿ってオレンジ色の火の筋が現れる・・・
それは瞬く間に広がって『炎の剣』となり、一端がステイルの手に収まる。
(炎・・・!!こいつはヤバイぞ!!私はともかく生身のトーマは・・・!!)
上条を引き戻している暇は大統領には無い。
せめて2メートル以内なら・・・
「巨人に苦痛の贈り物を!」
ステイルが上条に向かって炎剣を叩きつけ、すさまじい爆発が巻き起こる・・・
132 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/02/27(日) 18:33:04.93 ID:9qeAiNMb0
ここまで。
133 :
名無しNIPPER
[sage]:2011/02/27(日) 18:38:07.16 ID:aVs2r/vDO
乙!
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/27(日) 20:08:40.30 ID:zw2KrAnE0
乙
「トーマ」なんだから「ミコト」って呼んでいいような気もするかも
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/27(日) 20:14:40.20 ID:xQ6MsOPco
良いとこすぎるだろ・・・
乙乙!!
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/02/27(日) 20:18:23.00 ID:9OqkJM61o
>>17
の
物取りと思われて先客に刺されて死んだりしたら笑えないな…
ってディアボロのことだよな?
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/02/27(日) 23:56:55.51 ID:zw2KrAnE0
言わなくても自分で考えればわかる説
そういう時は
>>17
>物取りと思われて先客に刺されて死んだりしたら笑えない
ディアボロwwwwwwww
せめてこれくらいでいい
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/03(木) 23:51:12.68 ID:369CiMJvo
うるせェェェェッ!!2chの先生かオメーはよォォォォォ
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/05(土) 20:42:07.72 ID:j1z/QTbE0
乙!!!
面白い!!!
ポテチ食いながら夢中に見たぜ
140 :
◆R8D4C8B1A2
[sage]:2011/03/07(月) 00:30:26.09 ID:BVts2sUI0
炎と煙の立ち込める中・・・
この惨状を作り出したステイルは立ち尽くしていた。
別に自分のしたことに良心の呵責を感じているわけではない。
人を殺したことにうろたえているわけでもない。
むしろ『その逆』・・・
『殺せなかった』ことにうろたえているのだ・・・
3000度という超高熱の『炎剣』を叩きつけて、即死させたはずの上条当麻が生きている。
生きているどころではなく、傷ひとつ無い。
まともな人間なら焼ける前に溶けてしまうというのに・・・
「な・・・!?」
背中に悪寒が走り、少しの恐怖を感じるステイル。
こいつは一体何者なんだ?この自分の炎を食らって無傷なんてことはありえない・・・
(・・・ありえない!!)
「くっ!!」
ステイルがもう一度炎剣を生み出し、上条に切りかかる。
だが炎剣は上条には当たらなかった。
当たらなかった・・・とはいうが『見る限りは当たっている』・・・むしろ直撃している。
しかし、その瞬間『炎が消える』のだ・・・
上条の右手に当たった炎は一瞬で消滅し、跡形も無く霧散する。
これが上条の右手に宿る能力『幻想殺し(イマジンブレイカー)』
異能の力を問答無用で無効化する能力・・・
それは異世界の存在である『スタンドでさえも無効化する』
141 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:32:47.83 ID:BVts2sUI0
(トーマ・・・こいつ、『無能力者』じゃあなかったのか!?・・・クソッ・・・うろたえるな、大統領はうろたえない・・・)
困惑しているのはステイルだけではない・・・大統領もまた同じだ。
(この世界にスタンドは存在しないはず。それなのに『スタンドに干渉できる能力』が存在している?そもそもトーマは無能力者だったのではなかったのか?)
(・・・いや、D4Cだけではない・・・『魔術師の炎』をも消し去った・・・まさか『能力を無効化する能力』だとでもいうのか?)
その時、三回目の『炎剣』が振られた。
しかし結果は同じ、上条が右手を伸ばして炎剣を受け止め、消し去る。
まるで最初から存在しなかったかのように、炎は消えてしまった。
(やはり『無効化している』!なぜ無能力者と偽っているのかは知らないが、こいつは戦闘においてとんでもない切り札になりそうだ・・・)
そこまで考えて、ふと大統領は気づく。
今、自分はあの魔術師と戦おうと考えていた・・・さっきまで無闇に戦闘はしないと決めていたのに。
しかし・・・あの能力を、『幻想殺し』を見てしまっては・・・
『・・・負ける気がしないな』
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/07(月) 00:34:26.08 ID:Y1BUtLyoo
大統領どこのナチスだよ
143 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:35:09.04 ID:BVts2sUI0
(確かに、私にインデックスを助ける理由はない。だが、トーマと行動を共にするならば『ここで恩を売っておく』のも悪くないんじゃあないか?身内だか知り合いだか知らないが『トーマはインデックスを助けようとしている』・・・それを手伝えば、恩を売ることができる)
(問題は『魔術師に仲間がいる』ということだが能力者や魔術師ならトーマに任せればいい。それ以外の、つまり純粋に肉体能力のみで挑んでくるような奴は私のD4Cで対処すればいい・・・これなら『絶対に負けない』!)
『フフフ・・・ステイル、すまんな』
上条越しに大統領が声を上げる。
薄ら笑いを浮かべながら大統領は続ける。
『止める必要はないと言ったが・・・スマン、あれは嘘だった』
『・・・なんだと?』
言い終わるや否や、大統領はステイルのもとへと全力疾走し、大統領よりもステイルに近づいていた上条をも抜き去る。
それを見た『魔術師』は、かねてより仕込んでおいた『しかけ』を発動させるために呪文を詠唱する・・・
144 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:36:58.74 ID:BVts2sUI0
「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ」
ステイルの判断は正しい。
いま『炎剣』を出して、大統領を潰したところで、『イノケンティウス』を出現させる時間がないので上条に消されてしまう。
ならば再生能力のある『イノケンティウス』は、今出したほうがよい。
「それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり」
それはリスクを伴う行為でもある。
『炎剣』よりも強力な分、『イノケンティウス』は出現させるのに少し時間がかかるのだ。
とは言っても、大統領がステイルの場所に到達するまでには発動できるだろう。
「それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」
しかしだ。
『大統領がステイルの立つ位置まで行く必要は無い』
「その名は炎。その名は剣」
殴るのは、大統領ではなくD4C
つまり『2メートル』離れた地点から、攻撃は始まるということ・・・
大統領の2メートル前方にいたD4Cが、ステイルの腹に向けて渾身の一発を叩き込む。
「顕著せよ!わが身を喰らいつぶぉぉっ!!?!」
145 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:38:45.68 ID:BVts2sUI0
「がっ・・・!?」
無防備な腹部に向かっての強烈な一撃。
ステイルの体が宙に浮き、後ろにどさりと倒れる。
『少し事情が変わってな・・・』
大統領が、倒れたステイルをD4Cでがっしり掴み、無理やり立たせる。
ステイルは、なにが起きたのか理解できないという顔だ。
『時間も取りたくないんでね・・・さっさと終わらせてもらう』
「な!?・・・は・・・灰は灰に!塵は塵に!」
両手からステイルが炎剣を生み出す。
この至近距離でまともに喰らえば生きてはいられないだろう。
・・・『まともに喰らえば』だが。
「吸血殺しの・・・」
『遅いぞ』
炎が発生するのを見るや否や、大統領がステイルの顔面と胴体にD4Cを叩き込む。
魔術師はまるで糸の切れた操り人形のように吹っ飛んでいき、そのまま壁にぶち当たってピクリとも動かなくなった。
146 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:40:24.06 ID:BVts2sUI0
上条たちがステイルと遭遇してからまだ二分も経っていない・・・
それなのに、あまりにもあっけなさすぎる。
まだイノケンティウスすら出していないというのに・・・
その後は、上条がインデックスを背負って、ステイルとやらから離れるために学生寮から逃げ出しそれで一応戦闘終了。
建物中に貼り付けてある印刷物が気になったが、今はそれどころではない。
骨まで到達するほどの攻撃を受け、おびただしい量の血を流しているインデックスの傷を塞がなければならない。
追われているということと、(インデックスが)IDを持っていないということで病院での治療は諦めざるを得ない。
となると、『魔術』での治療を行うべきなのだが・・・
インデックスによると魔術とは『才能の無い者』が『才能の有る者』に対抗する手段として生み出した物で、『才能の有る者』がそれを使うことはできないのだと言う。
才能有る者が無理に魔術を使おうとすると、最悪死に至るという。
つまり、上条を始めとして、レベルに関係なく能力開発を受けた学園都市内の生徒達には魔術を使うことができない。
それは同時に『能力開発を受けていない者』ならば魔術を行使できるということでもある。
そう考え付いた上条は小萌の家へと急ぎ向かい始めた。
その旨はインデックスを通じて大統領に英語で伝えられる。
ここで、上条の後ろをついていく大統領の脳内にある疑問が浮上する。
果たして・・・『スタンド使い』は『才能の有る者』として扱われるのか?
147 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:42:38.92 ID:BVts2sUI0
(スタンドは個人の才能だ。才能が無いなら悪魔の手のひらに入った段階で命を落とす・・・しかし『この世界に存在しない』のなら才能とも言えないのではないのか?・・・)
もしかしたら・・・いや、限りなくゼロに近い確率だが、大統領は『才能の無い者』として扱われるのではないか・・・
もしそうだとしたら魔術を使える・・・『インデックスの命を救うことができる』
インデックスは限界がかなり近いように見える。もしかしたら小萌宅に行く前に息絶えてしまうかもしれない。
小萌に頼まずとも今すぐにここで治療ができるのであれば、手遅れになることはない・・・
しかし、もしスタンドが『才能』であるのなら大統領は、死ぬ・・・
(『もしかしたら』で命を懸けられるほど、私はお人よしじゃあないぞ・・・)
『それに、傷を塞ぐだけなら魔術など必要ない・・・』
そう呟いて、大統領は走りながらポケットの中に入っているものを確かめるように手を突っ込んだ。
148 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:44:34.40 ID:BVts2sUI0
小萌の家にたどり着いた時、幸運にもインデックスはまだ命を落としてはいなかった。
事情の飲み込めない小萌を押しのけ、上条と大統領がずかずかと家に入っていく。
「ひゃいぃ!?な、なんですか上条ちゃん!!この状況は!?・・・というかなんでヴァレンタインちゃんもいるんですか!?」
『なんだ、コモエか』
『なんだじゃないですよ!!なんなんですか!?』
「時間が無いんで、手短に話します・・・」
上条の説明は、本当に手短だった。しかも肝心なところはぼかしていたので、小萌に分かったことといえば『この子の言うとおりにしろ』と言われたということだけ。
そのうえ、死にそうだった少女が先ほどとは打って変わってやたらと饒舌(そのくせ感情は死んでいるよう)になり、魔術だのなんだのわけのわからないことを聞かされ・・・
詳しく聞こうにも、上条は外へ行ってしまったし、大統領に聞いても『何も聞くな、黙って手を動かせ』としか返してこなかった。
小萌には、インデックスの言うとおりにする以外の選択肢が無かったのだ・・・
治療は特に問題も無く進み、インデックスは一命を取り留め当面の心配は無くなった。
大統領と上条、それにインデックスは小萌の家でそのまま一夜を明かした。
しかし・・・朝になってみると、大統領がいなくなっていた。
前の晩には確かに居たはずなのに・・・
149 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:45:27.59 ID:BVts2sUI0
『・・・あそこにいたら、いまごろ一体どうなっていたのだろう』
ぶらぶらと、あてもなく街をさまよっているこの見覚えの有る姿は・・・大統領。
大統領がIDを持っていないことは、小萌にばれている。
あのまま小萌の家にいたら、そのうち警備員を呼ばれてしまうかもしれない。
何も悪いことをしたわけでもないし、拳銃だっていつでも隣の世界に送れる。
だから警備員を呼ばれること自体はどうということはないのだが、さすがに身元不明者はしばらく拘束されるだろう。それはすこし厄介だ。
いろいろと出来事が起こりすぎて感覚が狂いそうだが、大統領がこの世界に来てからまだ一日しか経っていないのだ。
この世界についていろいろ調べたいところなのに、拘留などされたらたまったものではない。
『逃げ出すのは簡単だが、拘置所でそんなことをしてみろ・・・まともな生活はできなくなる』
そういうわけで、『捕まる前に逃げ出した』というわけ・・・
『まあ・・・学園都市とやらを見て回りたいだけだしな・・・数日くらいなら平気だろう』
150 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:46:21.85 ID:BVts2sUI0
小萌なら、事情を聞かずに泊めてくれたはずだが、大統領はそんなことは知らない。
それに、この選択が間違いだったわけでもない。
7月21日・・・この日から、大統領は『学園都市』について、『超能力』について嫌というほど知ることになるのだ・・・!
―NEXT STAGE IS “チープトリック”
―to be continued...
151 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/07(月) 00:46:49.71 ID:BVts2sUI0
ここまで。
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/07(月) 02:17:54.87 ID:mc/vRlmAO
チープトリックだと…!? 1乙ゥ
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/07(月) 15:13:44.90 ID:GscdF307o
乙雅三出るのか?
やばいと思ったら大統領が挟むかそげぶで終わった
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/07(月) 16:04:14.54 ID:RieGTnHFP
乙
大統領手のひら返しはえーなwwwwwwwwwwwwww
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/07(月) 21:47:01.33 ID:6YIxAI3P0
乙。 大統領クール!
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/03/09(水) 16:47:59.30 ID:qHsUG2+Q0
お疲れ様
ステイルは見事鎌瀬犬だったな
次は第四部のキャラが出てくるのかな
157 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/12(土) 14:02:36.19 ID:CPDGUEif0
緊急用ダイヤル
171 + 1 + 自宅の電話番号(市外局番からダイヤル)で伝言吹きこみ
171 + 2 + 自宅の電話番号(市外局番からダイヤル)で伝言再生
東北地方太平洋沖地震に関する情報
警報・注意報 災害掲示板 避難所情報 運行状況 停電情報 消息情報など
http://www.google.co.jp/intl/ja/crisisresponse/japanquake2011.html
yahoo!基金
http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/detail/1630001/index.html
goo募金
http://special.goo.ne.jp/donation_earthquake/
民主党(募金)
http://www.dpj.or.jp/news/?num=19859
東北電力からのお願い
12日12時現在東北地方は停電が続いており、電力が足りていない状況らしいので、電気の来ている世帯は必要最小限の電力のみを使い、極力節電するようにとのこと。
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/12(土) 15:09:16.22 ID:fkB0R9Zf0
>>1
のやさしさに泣いた
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/03/22(火) 22:12:41.33 ID:TDKOuFGU0
>>150
まずは神裂さんと戦わないと
160 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:16:12.11 ID:g+f0itK1o
『やたらと物と人が多い・・・それに治安もいいわけではないらしいな、この街は』
街をぶらぶらと歩いている、やたらと目立つ外人・・・大統領。
朝から昼まで歩き回ってみたが、さすがに東京の3分の1を占める巨大な学園都市はそんなものでは探索しきれない。
『それにしても腹が減ったな・・・何か喰ってから出て行くべきだった。まあ今更後悔しても遅いか』
のんきなものである。
これぐらい肝が据わっていないと、一国の長は務まらないということなのだろうか・・・
『さしあたって急用も無いし、腹ごしらえをしたいところだが・・・金がない』
大統領は、一文無しだ。
ドル札なら何枚かある。だが隣の世界の紙幣がこの世界で使えるとは大統領だって思っていないだろう。
仮にこのドル紙幣がこの世界にも存在していたとしても、1890年に流通していたような骨董品である。使えるような気はしない。
『金が無い。そのうえトーマもコモエも頼れない。となると・・・』
拳銃は持っているが、強盗や泥棒なんてできるわけがない。
この世界では大統領はできる限り平穏に暮らしたい。犯罪はごめんだ。
しかし、他にこの世界に知り合いなど・・・いるのか?
161 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:17:49.84 ID:g+f0itK1o
『ステイルは・・・無理だろうな・・・』
顔は知っている。
ステイルもこちらの顔を知っているのだから一応『顔見知り』となるのだろうが、こんなバイオレンスな顔見知りには会いたがらないだろう。
だいたい大統領も、ステイルにはあまり会いたくない・・・だからステイルは却下だ。
それ以外の知り合い・・・
一応、一人だけいる。
いることにはいるが・・・
『・・・あてになるのか?』
正直、状況を打開できそうな気がしない。
手綱を繰るどころか、握ることさえできないほどの『暴れ馬』という印象しかないからだ・・・
『超電磁砲は・・・』
『しかしそれ以前に、居場所も連絡先も知らないあの小娘に会う方法なんてあるか?・・・思いつかない』
『だいたいあのリスクの塊のような奴に頼みごとなどしたらどんな見返りを要求されるか・・・』
162 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:19:01.00 ID:g+f0itK1o
『・・・ん?』
考えあぐねて、うんうん唸りながら歩き続け何分が経っただろう。
いつの間に大通りから外れたのか、気づけば周囲に人の気配はまるで無かった。
しかし、全く人がいないと言い切るとそれは嘘になる。
大統領の目の前には6人の集団がいた。
とんでもなくちぐはぐで、奇妙な組み合わせ・・・どういう集まりなんだろうか?
髪の長い少女が一人。
あきらかに悪人面なやつが一人、それと似たようなのが更に二人。
ひ弱そうでさえない顔のが一人。
そして・・・ツインテールで、見覚えのある制服を着ている少女が一人。
『あの制服は・・・超電磁砲?・・・まさか、虫が良すぎるぞ』
163 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:21:51.68 ID:g+f0itK1o
『・・・やはり違うな。あんな髪型じゃあなかったはずだ。まず顔が違う・・・気がする』
(と、いうことは同じ学校の生徒と言うことか?あいにく学校の名は聞いていないが・・・ところで何をやっているんだ?)
何をしているのか。それについては聞かずとも、すぐに分かった。
ツインテールの少女と、ガラの悪い男ども3人がみるみるうちに険悪な表情になり、とたんに戦闘が始まったのからである。
『喧嘩か?・・・それにしては随分とわけのわからん組み合わせだな。喧嘩なんてそんなものだが』
掴みかかってくる男を、どうやったのかは知らないが地面に叩きつける少女。
別の男が(おそらく能力で)飛ばした鉄くずを『一瞬のうちに移動する』ことによりかわして・・・
「ふんッ!!」
「うげぁ!!」
持っていた鞄で、顔面を強打。
殴られた男は、派手に吹っ飛んだ。
『ほう、戦いなれているな』
(能力者・・・俗に言う瞬間移動ってやつか、本当に一瞬で移動するものなんだな)
あまりに『一方的すぎる』
ほうっておいても、あの少女は残る一人を華麗にのしてしまうであろう。
大統領の出る幕はない、それに余計な面倒はごめんである。
今は、飯のことだけを考えるべきだ。
164 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:24:15.03 ID:g+f0itK1o
だが・・・
『超能力もそうだが、身体能力もなかなかのものだ・・・強い』
どうにかしてあの少女を味方につけたい。大統領は腹が減っているのも忘れ、昨日の出来事を振り返る。
今は大丈夫だろうが、数日したらステイルが『仲間』を連れてやってくるだろう。
魔術師相手なら上条を戦わせればいいが、身体能力に特化したような人間を連れてこられると少々厄介だ。
D4Cに生身で勝てる人間がいるとは思えない。
だが、『思えないからこそ、対策を練らなければならない!』
D4Cの『次元の壁』をジョニィの『完全なる黄金回転』が突き抜けたときも、その寸前まで『次元の壁を越える存在がいるとは思えなかった』
これから何が起こるかなど、未来が見えるか、未来から戻ってくるかしない限り完全に予想できるわけが無いのだ。
保険をかける必要がある・・・そのための『味方』だ。
それに、美琴と同じ学校に所属しているというのもポイントだ。
もしかしたら『超電磁砲と何らかの接点があるかもしれない』・・・もしそうならば『間接的に超電磁砲に恩を売ることができる』
一石二鳥というわけである。
しかし、だからといって『味方を増やせそうだから』といった理由だけでは大統領は動かない。
少しでもリスクがあるのなら、関わらないほうがいい、そういうスタンスだからだ・・・
165 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:26:32.62 ID:g+f0itK1o
大統領視点のままでは、説明不足な感が否めない・・・
なので、ここで申し訳程度に説明を入れるとしよう。
『やたら強い』と大統領に評されたこの少女・・・
常盤台中学の1年生であり、学園都市の治安を維持する『風紀委員(ジャッジメント)』に所属する。
『空間移動(テレポート)』の能力を持つ『レベル4』・・・白井黒子である。
白井黒子は、とある事件を追っている。
それを解決に導く糸口となる『証拠』を持つとされているスキルアウト(いわゆるチンピラども)をぶちのめし、その『証拠』とやらを頂くためにここに来たのである。
友人を暴力を振るうようなふざけた輩は、遠慮などせずに全力で潰す。もともとする気もなかったが・・・
ついでに、髪が長いという印象だけで終わった少女は『佐天涙子』
柵川中学一年生の『空力使い(エアロハンド)』だが・・・『レベル0』。黒子とは友人同士だ。
通りがかりに人助けをしようとしたらスキルアウトに絡まれてしまった不幸な少女。
『とある事件』に別角度から関わっているのだが・・・それはまた別の話である。
166 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:28:51.99 ID:g+f0itK1o
(あとは、リーダー格らしき奴一人だけですのね・・・さっさと片付けてしまいますの)
「わたくし急いでおりますの、さっさとお縄についてくださいまし」
挑発的な言葉を投げかけるが、黒子は『自分からは動かない』
もともと空間移動という能力の特性上、動き回る必要が無い。
相手の戦意を削ぎ、抵抗できなくさせた後拘束すればいいだけだからだ。
要は向かってくる相手の死角に飛び、ぶん殴ってやればいいだけ。
それでも駄目なら、持参した金属製の針(とはいっても五寸釘ほどのサイズ)を体内に直接転移させ、体力を奪う。
これらが空間移動能力者(テレポーター)・・・白井黒子の基本戦術である。
「言われなくても、こっちから出向いてやるぜぇ!!」
挑発に乗ったスキルアウトがのこのこと向かってきてくれた。
自らを起点として相手の座標を割り出し、相手の背後に現れるように飛ぶ。
風を切る音だけを残して、黒子の姿は消え去った。
それとほぼ同時に、狙った位置へと黒子が出現する。
気絶するくらいに、後頭部を思いっきりぶん殴ってやる・・・そう意気込み思い切り鞄を振りかぶる。
167 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:30:55.62 ID:g+f0itK1o
・・・だが、『男の姿が無い』!
「え!?・・・いませんの・・・」
「どこ見てやがんだぁ?」
(声が『背後から』聞こえてきた・・・そんなバカな!?)
はっと気づくと同時に、男の蹴りが飛んでくる。
空間移動するための座標を割り出す演算が『間に合わない』!
黒子は、直撃を避けるためとっさに振りかぶった鞄を男のほうに向けて、防御の体制をとった。
しかし、当たるはずの男の蹴りはなぜか空を裂いた。
空間移動しなかったはずの黒子が、男から距離をとるように『なぜか移動している』!
なぜなのか?その答えは、黒子の後ろに立つ人物を見れば一目瞭然・・・
「・・・だれですの?一般人はお逃げくださいまし」
『・・・英語で頼む』
・・・大統領である。D4Cで黒子の首根っこを引っつかみ、ぐいっと引っ張ったのだ。
しかし『仲間が増える』といった理由だけで動くとも思えない大統領が、一体なぜ?
168 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:35:08.80 ID:g+f0itK1o
「・・・は?」
『英語だよ・・・わからないのか?だったらどうしようもないな、私は日本語がわからないんでね・・・』
『・・・危ないですの、一般人は逃げてくださいまし』
常盤台の教育レベルは非常に高い。(学費も高い)
レベル3以上で無い限り、通学の許可が降りないというお嬢様学校だ。
その生徒である黒子が英語を喋ったところで何も不自然ではない。むしろ喋れないほうが不自然である。
『なんだ、喋れるじゃあないか・・・危ないだと?その言葉、君にそのまま返す。私がいなければ蹴っ飛ばされていたぞ。』
『それは鞄で受けるからどうでもいいですの。一般人を戦闘に巻き込むわけにはいきませんわ。お逃げください』
『いや、見過ごすわけにはいかんな。その制服・・・ミコトと同じ学校の人間だろう?(だから英語が喋れると思ったんだが)』
何故、大統領は黒子を助けたのか?
それは『必ず恩を売りつけることができる』と踏んだから!・・・
(このツインテール、やたらと強い。おそらく『私が加勢しなくても勝つ』だろう・・・だからこそだ)
大統領は『自分の(遺体の世界ではアメリカの)利益になること』以外の行動はしない。
リスクを最小限に抑え、リターンを得るためには避けることのできない犠牲のみを払う。
だから、スキルアウトの男と黒子・・・二人を比べたときに『加勢してリスクの少ないほう』・・・つまり『勝率が高いほう』・・・黒子に加勢した。
いわゆる強者の味方というやつだ・・・もし、スキルアウトのほうが強そうだったら、そちらに加勢していたかもしれないということだ。
汚いとか、卑怯とか、そんな非難は屁でもない。これが大統領にまでのしあがったヴァレンタインのやり方である。
169 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:37:11.09 ID:g+f0itK1o
『あなた、お姉さまを知ってますの?・・・ってそんなことはどうでもいいですの!ここはわたくしに任せてあなたは逃げるんですの!』
『こんなに頼りなさそうな子供に任せろと言われてもな・・・』
『バ、バカにしないでくださいまし!わたくしこれでも『ジャッジメント』ですの!』
そう言い、黒子は右腕についている青い腕章を指差す。
(ジャッジメントか・・・確かコモエが言っていたような・・・なんでも警備員と同じような治安維持組織だとか・・・)
(それに加入している能力者なのか。強いのも頷ける・・・そして、いっそう味方につけておきたくなったぞ)
「おい・・・無視してんじゃねえぜ・・・なんなんだおまえら?俺達をおちょくりにきたのか?」
イライラとした声をあげたのは、先ほどのスキルアウト・・・唯一残った男だ。
それに気づいた黒子が、既にのされている男達をちらりと見てから男に向かって、吐き捨てるように言葉を投げかける。
「あら、ごめんなさい。別に無視したつもりはありませんでしたの」
「さて・・・丁重にお縄についていただきますわよ。抵抗など考えないほうがよろしいかと。さもないと、あなたもそこの方々のように・・・」
「ヘッヘッヘ・・・」
「・・・なんですの?」
圧倒的劣勢。
その事実を目の前にして、なぜか男が高笑いを浮かべる。
(わけがわからない奴ですの・・・)
『どうしたんだアイツは?・・・恐怖でイカれたか?』
『それなら楽でよろしいんですけどね。むしろそうあってほしいくらいですわ』
170 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:38:39.10 ID:g+f0itK1o
「気にいらねえな・・・実に気にいらねえ、ヘッヘッヘ・・・」
男が、笑いながら黒子に言い放つ。
「気にいらねえんだよ、その上から目線の態度がよぉ・・・てめえらジャッジメントはみんなそうだぜ。上位能力者どもで徒党を組んでザコを痛めつけるのがそんなに楽しいのか?」
「ジャッジメントはそのような機関ではありませんの!」
「口ではどうとでも言えるぜ・・・まあどうでもいいんだけどなあ、そんなことは。」
男はふうっとため息をついた後、黒子をしっかりと見据えてニタニタと笑った。
(わけがわからないし、それになにより不気味なやつですの・・・何をしでかすかわかりませんから、さっさと拘束したほうがいいかもしれませんわね・・・)
じり、と黒子がスキルアウトの男と距離をつめる。
それに合わせて、男のほうも黒子に近づいていく。
大統領は、動かないで黒子の後方2メートルほどの位置に陣取る。
「止まりなさい。それ以上近づくなら少々痛い目を見ることになりますわよ?」
「ほお〜、やってみろよ!!できるんならな!!」
男は黒子に向かって歩くのをやめない。
自信に満ちた足取りで、ずんずんと突き進んでくる。
171 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:41:28.81 ID:g+f0itK1o
「仕方ないですの・・・できればやりたくなかったんですけど」
黒子が少し屈んでスカートの下から手を突っ込み、自らの太ももの辺りをさぐる。
取り出したのは『金属針』だ。
(膝に一本ずつ打ち込めば、さすがに止まるでしょう)
狙いを定めて、一本二本と空間転移。
『だめだな』
「え?」
大統領が、不意に駄目出しをする。
その意図を理解できない黒子の目の前で、さらに理解できない出来事が起こる
放った針が『外れた』・・・!
狙いが外れる、さっきと同じだ!
「なっ!!」
銃撃などとは違い、瞬間移動を利用した攻撃は、文字通り『瞬間的に』攻撃が完了するため『タイムラグ』はない。
故に、座標さえ分かれば『必中』の能力。外れるということは『ありえない』
(ということは・・・あいつの能力のせいですの?一体どんな能力ですの?)
驚きを隠せない黒子を狙って、男が再び蹴りを放つ。
先ほどと同じ軌道。ならば、鞄を使った防御が有効なはずだ。
(こういうときこそ焦ったらいけませんの。おちついて防御すれば・・・)
172 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:50:22.42 ID:g+f0itK1o
・・・しかし、その考えは間違いである。
黒子は、既に敵の術中に嵌っている!
男の足は『本来曲がるはずの無い方向』に曲がり、回り込むような形で黒子のわき腹に直撃した。
「ぐうっ!!」
間接がもう一つ無い限り、あんな動きはありえない。
攻撃を受けた黒子は、勢いよく後ろに吹っ飛ばされ、廃ビルのショーウィンドウをぶち破り転がっていった。
得体の知れない能力を持った『男』が黒子のもとへゆっくりと近づく。
がら空きになった窓枠をくぐって、大統領が黒子に話しかける。
『おいおい・・・なにが鞄で受ける、だ。直撃じゃあないか・・・』
『う、うるさいです、の』
『敵の手の内が分からないうちは不用意に近づくんじゃあない・・・自殺行為だぞ』
『そんなの・・・言われなくても、わ、わかってますの・・・』
手痛い反撃を食らってしまった。
ジャッジメントとはいえ、結局のところ『女学生』であることには変わりない。
いくら鍛えていようが、自分よりもひと回りもふた回りも体の大きい男に本気で蹴りを入れられればたまったものではない。
『だいたい自分ごと飛んだときも狙ったところに飛べなかったんだろう?だったら次もそうなるだろうと食って掛からねばならない。一度喰らった技を二度喰らうな・・・一度でいいことを二度も繰り返すってのは馬鹿のやることだ』
『そのお説教今じゃなきゃだめなんですの?・・・今ちょっと意識がもうろうとしてまして・・・全部聞けそうにないんですけれども』
黒子が脇腹を押さえて、手を床につきながらぐぐっと立ち上がる。
しかし悲しいかな・・・割れたガラスでいたるところを切ってみずぼらしくなったその姿は、まるでボクサーの前のサンドバッグ・・・
ただ打たれるためだけに立ち上がったかの如く、ふらふらであった。
『立てるのか?』
「ヘヘ・・・アバラの2,3本もイッたんじゃねえかあ?」
『奴はなんて言ってる?』
『・・・負け犬の遠吠えですわ。知る必要はありませんの』
173 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:51:56.38 ID:g+f0itK1o
『勝敗が決する前に負け犬呼ばわりか・・・ということは勝つ自信はあるんだな』
『当たり前ですの。このくらいのダメージ、しばらくしたらなんともなくなりますわ・・・でも・・・』
『でも?』
「こねえのか?ジャッジメントさんよお!!こねーんなら、こっちから行かせてもらうけどいいんだなあ!?」
気づけば、割れたショーウィンドウのところまで男が来ていた。
その姿を見た黒子が、『男』に向けて『鉄針』を遠投する。
針は『男に当たる前に軌道を曲げてあらぬ方向へ飛んでいった』
『・・・投げるより『飛ばす』ほうがよかったんじゃないのか?』
『今のはダメージを与えるためではありませんの。あれで充分ですわ』
『ほう・・・』
黒子の言葉を聞いた大統領が、感心したような声をあげる。
(この小娘、意外に冴えているかもしれんな・・・)
174 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:52:45.31 ID:g+f0itK1o
ここまで
175 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/25(金) 04:57:57.14 ID:g+f0itK1o
>>160
の文頭に
―4th STAGE チープトリック
これ入れるの忘れた。
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/03/25(金) 06:07:31.37 ID:XqoCId0No
乙、チープなトリックだったな
177 :
名無しNIPPER
[sage]:2011/03/25(金) 08:04:31.99 ID:XXM8MSUDO
乙。チープトリックってそういう意味かW
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/25(金) 11:57:17.16 ID:jIbxYfgFP
乙
大統領かっけぇな
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/03/29(火) 18:01:23.50 ID:n16Rknt/0
いまさらだけどトリップD4Cふくんでんのなww
180 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:41:18.40 ID:ZCFWY6Lyo
『一般人を巻き込むわけにはいきませんが・・・頼みがありますの。外の男の人と、佐天さんを連れて逃げてくださいまし』
『男はあのさえない奴のことだろう?・・・サテンとは?』
『あの髪の長い女の子ですわ。友人ですのよ・・・なるべく巻き込みたくありません』
(ああ、あの娘か・・・なるほど、『友人』ね・・・)
まったく戦闘に関係なかったから忘れかけていたが、そういえば居たな。と大統領は思い出す。
『だが、なぜそんなことを私に頼むんだ?』
『他に人がいないんですもの』
『味方かどうかもわからないのにか?』
『どうだか。意外と敵でもないんじゃありませんの?』
ふふんと黒子が鼻を鳴らし、得意げな顔で大統領に言う。
自信に満ちていて、かつおどけたようなその顔つきは、どことなくジャイロのそれに似ているような気がした。
(ジャイロと関係ないと分かってはいるが・・・少しムカつくな・・・)
(こいつがジャイロなら、友人の佐天はさしずめジョニィってところか?・・・心底どうでもいいな)
181 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:42:17.33 ID:ZCFWY6Lyo
『わたくしがあいつを引き付けてる間によろしく頼みましたわよ!』
そう言うなり、黒子は身をひるがえす。
そして大統領の返事すら待たずにビルの奥へと駆け込んでいってしまった。
『おい、まだ私は返事をしていないぞ・・・くそ、聞いちゃあいないな』
黒子が階段を駆け上っていく音を聞きながら、なじるようにぼやく。
まあ押し付けられたとはいえ、頼まれたことはこなしておいたほうがいい。そのほうがいい印象も残るだろう。
佐天とさえない男の元に行こうとして振り向くと、ちょうどそこにはあの奇妙な能力を使う男が立っていた。
「なんだテメエ・・・逃げんのか?そいつは許さないぜ・・・と言いたいところだが、俺はあのジャッジメントさえぶっ殺せればお前なんかどうだっていい。怪我したくなかったらさっさと尻尾巻いて逃げるこったな!!」
『演説ご苦労。しかし私は日本語がわからないんだ、残念だったな』
ひらひらと手を振りながら、大統領は男の横を素通りしていく。
「おい、マジで逃げんのか?なんか拍子抜けだぜ・・・味方じゃねえのか?・・・ま、それはそれで俺としても都合がいいんだけどな」
黒子を追いかけ、男が古びたビルの階段を上っていく・・・
『・・・あのツインテール、大丈夫だろうか?まあ、今は外の二人を・・・ん?』
182 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:44:18.39 ID:ZCFWY6Lyo
『逃がすつもりだったんだが・・・いないぞ、勝手に逃げたか?』
『さえない男』と『佐天涙子』
その両方がいなくなっている。
男はともかく、佐天は先ほどまで確かにいたはずなのだが。
しかし、これはある意味で好都合。
大統領は、二人をこの場から逃がせばよかったのだ。
勝手に逃げたのなら、黒子の頼みは既に果たされている。
『時間が余ったな・・・と、くれば加勢するしかないだろう』
黒子の戦い方をもう少し見てみたい、それに『あの奇妙な能力者』とも戦ってみたい。経験は自らを強くする。
そんなわけで大統領は、数十秒前に出て行ったビルに向かってとんぼ返りしていった。
痺れるほどにすばやい決断だ。
しかし、この決断は、すばやく済ませるべきではなかったかもしれない。
「・・・あれって、ちょっとヤバイかな・・・」
物陰から、ひょっこり姿を現したのは『佐天涙子』・・・
大統領は逃げたと思ったのだが、なんだかんだで一部始終を全て見ていたようだ。
183 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:45:30.06 ID:ZCFWY6Lyo
(白井さんはジャッジメントでレベル4だし、大丈夫だとは思うけど・・・どうみてもあのガラの悪い人に押されてたよね・・・)
(そこに金髪の人まで加わったら、もしかしたら白井さんでも勝てないかも・・・)
勘違い・・・!果てしないほどに勘違い!
終始黒子の近くにいたにも関わらず、加勢せずに傍観していた大統領は、佐天には『余裕たっぷりの敵』にしか見えなかったのだ。
佐天が『英語がわからない』というのも勘違いに拍車をかけた。
大統領と黒子のとげとげしい会話は、何を言っているのか分からないにしてもどうみたって味方同士のそれではない。ならば敵であると考えるのが自然。
起こるべくして起こった勘違い。避けることは不可能だった。
その結果、実際には『黒子と大統領対スキルアウト』なのだが、佐天にはこの状況が『黒子対スキルアウト達』に見えていた!
(ど、どうしよう・・・白井さん・・・負けないよね?・・・でも『二人も』いるし・・・もし負けちゃったら・・・それどころか・・・)
(ぶっ殺すとか言ってたし・・・白井さんが死んじゃったりしたら・・・)
佐天は、最悪の事態を想像して顔を青くする。
(・・・白井さんは私を逃がしてくれたのに・・・私は白井さんを見捨てるの・・・?)
(でも私、何の能力も無いし・・・)
「仕方ない・・・よね?・・・無能力者が能力者に勝てるわけないんだから・・・」
184 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:46:21.18 ID:ZCFWY6Lyo
「結構・・・キツイかもしれませんわね」
その頃、黒子は瞬間移動を駆使してスキルアウトの猛追から逃れているところであった。
この廃ビルは、音が響きやすい構造な上、スキルアウト達の溜まり場として使われているとのことだ。
地の利はあちらにあり、瞬間移動しても居場所がすぐにばれる。
先ほどとは一転して、黒子が圧倒的劣勢に追い込まれてしまった。
逃れるのが精一杯・・・攻撃に転じることができない。
そのせいで『追いかけられては逃げる』といった泥沼状態に嵌っている。
このままでは、そのうちスタミナ切れで飛べなくなる・・・そうなったら一貫の終わりだ。
・・・下手をすれば、殺されるか?
そこに考えが行き着きそうになったが、首をぶんぶんと横に振り、両頬を手で叩いて『気付け』をしてなんとか暗い気分を拭い去る。
「・・・最悪の事態とか考えなくてもいいですの!!今考えるべきなのはあの能力を打破する方法ですわ!!」
「とは言っても・・・当たらないんじゃどうしようも無い気がするんですの・・・」
攻撃が当たらないならどうするべきか?
『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』なんてことわざがあるが、『百発百中の攻撃を避ける』ような奴には通用しないだろう。
「まあ、奴の能力については大体の見当がついてますの。おそらく・・・」
185 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:48:33.10 ID:ZCFWY6Lyo
『・・・『自らの周囲の風景を歪める』ような能力だろうな』
時を同じくして、同じ廃ビルのまったく違う階層。
大統領も、あの男の能力は理解していた。
(投げた針の軌道をずらすという点だけ見れば『超電磁砲』のような能力に見えるが、『その能力を攻撃に使わない』のは不自然だ)
(だから奴の能力は十中八九『風景を歪める』ことしかできない・・・それでも、瞬間移動の娘にとってはすこぶる相性の悪い能力だったようだがな)
『つまり・・・ジャイロ・ツェペリがディ・ス・コのチョコレート・ディスコを破ったときの『光の屈折を利用した錯覚』・・・あれに似たようなものだろう・・・射程範囲は2、3メートルってところか・・・でなければもっと大掛かりなだまし方をしてくるはずだ』
『・・・なんにせよ、あの能力がツェペリの錯覚と同じ仕組みなら破る策はある。あんな能力は『座標攻撃』にしか通用しない』
ここで大統領が不意にしゃがんだ。
片膝を床につけ、物音を立てないように脇を締めて、耳をそばだてる。
『あとは、音のする方向に行けばいいだけだが・・・』
186 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:49:49.78 ID:ZCFWY6Lyo
「どこに隠れたんだあ?ジャッジメントさんよー・・・」
さらに同時刻。廃ビルに入った三人目・・・スキルアウトの男も音を頼りに歩き回る。
その眼差しはまるでカエルを追い詰めるヘビのようであり、男が黒子を追いかけるこの構図は野生動物の狩りのようにも見えた。
その時、男の背後で物音がたつ。
手負いの『獲物』にとどめを刺そうと、物音がした方向に男が振り向き、鬼の形相でわめき散らす。
「見ぃぃぃいいっつけたぁぁぁっ!!」
「ひい!?」
・・・しかし、そこにいたのは黒子ではなかった。
廃ビルに入った『四人目』・・・
そこに居たのは逃げ出したはずの佐天涙子・・・!!
187 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:50:20.14 ID:ZCFWY6Lyo
佐天は、逃げなかったのだ。
『レベル0だから仕方が無い』
『相手が能力者では仕方が無い』
・・・それらは全て言い訳。
黒子も相手が一人なら楽勝だろう。しかし『わけのわからぬ外国人』が黒子の敵だったら・・・
友人を助けるのに、『レベル0だから』とかいう言い訳は通用しない。
レベル0というのを『見てみぬふりを正当化する理由』として使っていると気づいたのだ。
(良くも悪くも、大統領が敵だと思い込んでいたからこそここに来たということでもある)
つまりだ、友人を思いやる気持ちが、恐怖心に打ち勝ったのだ。
なんとも泣ける話ではないか・・・立派な美談である。
188 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:52:17.76 ID:ZCFWY6Lyo
しかし・・・
「逃げりゃよかったのになんで戻ってきたんだ?・・・バカかお前」
「ひ・・・」
「逃がさねえよ」
男が逃げようとする佐天の肩をがっしりと掴み、無理やりに体の向きを変えて『佐天の腹に膝蹴りを入れた』!!
「ゔぅっ!!」
形容しがたいうめき声を上げ、佐天が仰向けに床に倒れる。
「友達を助けにきたってか?残念だけどお前にできることは『エサ』になってあのジャッジメントのクソ野郎をおびき出すくらいのもんだぜ?」
「げふっ!!・・・」
現実は非情である・・・
なにがあろうと無能力者は能力者よりも『下』なのだ。このヒエラルキーを覆すことはできない。
黒子がなかなか見つからないことの腹いせだと言わんばかりに、男は倒れた佐天に蹴りを執拗に入れ続ける。
「能力を使わねえってことは無能力者か?おまえ・・・とんだバカだな!?お前ら『無能力者』は俺達『能力者』にいいようにされるだけだってのによお」
「うぐ・・・」
「結局ただのお荷物じゃねえか、こんなアホなお友達を持ってあのジャッジメントさんはさぞかし苦労してることだろうよ・・・」
「レベル0風情がでしゃばんじゃねえよ。『欠陥品』なんだよテメエらは!!」
189 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:53:32.53 ID:ZCFWY6Lyo
欠陥品・・・その言葉が佐天の心をえぐる。
能力者はみんなそう思っているのか?
・・・この男の言うとおり、黒子もそう思っているのか?
「し・・・白井さんは・・・」
「あぁ?」
「白井さんは・・・そんな人じゃない・・・!!」
「しらい?あのジャッジメントの名前か?」
自分に言い聞かせるかの如く佐天は叫んだ・・・叫ぶと言っても、かすれた声しか出なかったが。
そんな今にも泣き出そうな佐天に向かって、男が笑いながら意地の悪い言葉を投げかける。
「・・・さあ?どうなのかねぇ?案外あいつも『無能力者はでしゃばんな』って思ってんじゃねえの?」
「そんなこと・・・言わない!!」
「てめえのいる所で言うわけねーだろうがよ。『一般人はでしゃばんな』って口うるさく言ってたあいつのことだぜ?レベル0に対してそう思ってても不思議じゃねえって」
確かに黒子は『一般人は下がっていろ』という意味の言葉をよく口にする。
しかしそれは『一般人を巻き込まないようにするため』であって、『ちょこまかされて邪魔だから』ではない。
無論、佐天もそれは分かっている・・・分かっているつもりだ。
しかし、それでも心のどこかに『もしかしたら』・・・と考えてしまう自分がいる。
190 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:55:19.69 ID:ZCFWY6Lyo
そんなのは信じられない・・・信じたくない。・・・『信じたくない?』それでは事実は違うのか?
信じられない?信じない?信じたくない?一体どれが本当だ?
もしかして・・・白井も『レベル0を欠陥品扱いしている』というのが本当なのか?
違う・・・騙されてはいけない・・・この男の言うことに惑わされては・・・
その疑惑を払拭するように、佐天は男の言うことを必死に否定する。
「そんなこと・・・そんなことない・・・!!」
「うるっせえなあ・・・」
それを聞いた男はめんどくさそうな顔で佐天の方に向き直り、髪をがしりと掴んだ。
「あぎ・・・」
「わりーけど、お前に付き合ってるヒマはねーんだ・・・しばらく黙っててくんねえ?」
そして、そのまま佐天の額をコンクリートむき出しの床に打ち付けた。
「はぐっ」
一回、二回、三回・・・
壁を殴るような鈍い音と佐天のうめき声が廃ビルの中にこだまし、床が赤く滲む。
10回ほど繰り返したところで声がしなくなり・・・そこには髪を掴まれたまま、力なくだらりとうなだれる佐天の姿があった。
「さすがに気絶したか・・・」
中学生にここまでできるというのもなかなか狂っている・・・
一切容赦しないその姿は本当に『えげつない』
191 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:57:34.26 ID:ZCFWY6Lyo
『しかし、えげつなさでは私が負けるわけにはいかんな・・・・』
「・・・あん?」
『お前を上回るえげつなさを見せ付けなければいわゆる『名前負け』ってやつになってしまうじゃあないか・・・』
いつの間に、ここまで来たのか・・・
男の視線の先には、余裕そうな表情のまま男に話しかける大統領がいた。
しかしその表情は、男の足元でうつぶせの状態のままピクリとも動かない佐天を見たことによって、一瞬にして曇った。
『ん?・・・もしかして、そいつは・・・サテンか?何故ここに・・・』
(厄介なことになった。あのツインテールに逃がせと言われたのに・・・おもいっきり巻き込まれているじゃあないか。どうするか・・・)
「テメー、来たのか・・・英語しか喋れないのか?・・・ってことは『外の人間』かあ?」
『そうだな・・・とにかくお前を佐天の『友人』に代わってぶちのめすことにしよう。今やるべきなのはおそらくそれだ』
仇討ちとかではない。大統領が今やれる行動の中で最良の選択がこれなのだ。
迷うことなく、男に向かってまっすぐに進んでいく。
「お?くんのか!?邪魔するってんなら俺様の『偏光能力(トリックアート)』の餌食になってもらうぜェ!?」
(トリックアート?なんだそれは?・・・まさか、超電磁砲のような『能力名』か?)
『名前からは能力が分からないな・・・そういうものなのか?・・・そういえばまだ名乗っていなかったな』
『ヴァレンタイン・・・いや、『D4C』・・・それが私の能力名だ。覚えておけ、『トリックアート』・・・』
192 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/03/29(火) 23:58:29.91 ID:ZCFWY6Lyo
ここまで
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/03/30(水) 00:02:52.05 ID:kladCpteo
乙乙
続きが気になるでござるの巻
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/03/30(水) 04:56:51.58 ID:QvJ+uNLjo
乙
そういえば俺このスレの住民なのにジョジョ七部読んでないな・・・
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/03/30(水) 11:53:59.81 ID:p7RimUZzP
乙
大統領がイケメンすぎて生きるのが辛い
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/03/30(水) 20:02:36.02 ID:AxJXOf5no
大統領イケメンすぎるだろ・・・
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/03/31(木) 22:44:29.14 ID:qqtnXHEU0
続編が凄い気になる
気になって眠れなくなった
乙で〜〜っす
198 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:50:22.35 ID:VJlQ6zPyo
ここで突然ですが別の世界の様子をご覧下さい。
199 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:51:32.64 ID:VJlQ6zPyo
佐天「あーあ、全然レベル上がらないなー・・・なんか気が滅入るなあ・・・」
佐天「いっそのことレベルアッパー使っちゃおうかなあ・・・」
??「いかん!そいつには手を出すな!」
佐天「え?誰?」
大統領「私はファニー・ヴァレンタイン・・・ただのしがない合衆国大統領だよ」
佐天「へえー・・・どこから来たんですか?」
大統領「お前頭脳がマヌケか?合衆国大統領と言っているだろうが・・・」
佐天「あー、アメリカね・・・」
大統領「そうだ。『隣の軸の世界』のな」
佐天「ちょっと何言ってるかわからないんですが・・・説明してくれませんか」
大統領「その質問に答える必要は無い・・・貴様に説明してわたしになにか得があるのか?」
佐天(なにこの人めんどくさそう)
200 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:53:04.57 ID:VJlQ6zPyo
大統領「ところで・・・レベルアッパーを使おうとしていたな?」
佐天「いや、使おうっていうか、つい呟いちゃったっていうか・・・」
大統領「やめておいたほうがいい・・・そいつは身を滅ぼす・・・かも」
佐天「・・・かも?」
大統領「いや実際のところ、私もよく知らないんだよ・・・なにか止めなければいけない気がしたというか言わされているというか・・・」
佐天(なんか怖い・・・)
大統領「新手のスタンド使いの能力かもしれんな」
佐天「スタンド?なにそれ?」
大統領「答える必要はない」
佐天(うわあ・・・)
201 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:54:10.32 ID:VJlQ6zPyo
大統領「とにかくだ、そんなものに頼るな。頑張れば暗闇の荒野にだって進むべき道は見えてくるはずだ」
佐天「はあ・・・」
大統領「自力でなんとかしてみろ。少し根性が足りないんじゃあないのか?」
軍覇「そうだ!おまえ根性が足りないぞ!」
佐天「なに今の」
大統領「答える必要はない」
佐天「強烈な既視感・・・まさかスタンド攻撃・・・!?」
佐天(・・・ってスタンドってなんなのよ!?つい言っちゃった!なんかこの人のペースに乗せられてる気がする!)
軍覇「おまえこの悪霊が見えるのか!?」
佐天「あーうるさいなあ!もう!」
202 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:55:07.53 ID:VJlQ6zPyo
大統領「なんの話をしていたんだっけ?」
佐天「忘れたんですか・・・レベルが上がらないって話ですよ」
大統領「ああ・・・そうだ、レベルアッパーだったかな」
佐天「そのことなんですけど・・・レベル5になれるって確証もないのに頑張り続けるのにもう疲れちゃったんですよ・・・」
軍覇「諦めたらそこで試合終了だぞ!!気合だすんだ!!根気見せろ!!」
佐天(熱い・・・それと近い・・・ていうかいつまでいるの)
大統領「なるほど、確かにそうかもしれないな・・・だが確証はあるぞ」
佐天「え?」
大統領「隣の世界のお前はレベル0ではない」
203 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:56:16.73 ID:VJlQ6zPyo
佐天「え!?本当!?(あれ?隣の世界ってなに?まあいいや)」
大統領「本当だとも、実際に見てきたんだからな」
佐天「そうなの?うーん、なんか嬉しいな・・・レベルはいくつ?」
大統領「答える必要は―」
佐天「あなたは次に『答える必要は無い』という」
大統領「―ない」
大統領「・・・ハッ!?」
佐天(なんかだんだん分かってきた気がする・・・!)
大統領「この私に一杯くわせるとはなかなかやるじゃあないか・・・」
佐天「まあさっきからそればっかだったしね」
大統領「その健闘を称えて『隣の世界のお前』のレベルを教えてやろう」
佐天「おー!太っ腹!よっ!!大統領!!」
大統領「いや大統領なんだが・・・まあいい」
大統領「レベル5だ」
佐天「」
204 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 16:58:37.69 ID:VJlQ6zPyo
佐天「うそぉぉお!?レベル5!?頑張りすぎだよ隣の世界の私!!」
大統領「たしか『黄金旋風(エアロスミス)』とかいう能力で学園都市第3位に君臨しているとか」
佐天「御坂さんと同じなの!?ていうかエアロハンドじゃなくて固有の能力名乗ってるの!?」
大統領「あ、ちなみに超電磁砲はその世界だとレベル1だ」
佐天「御坂さんに何があったっていうの!?下がりすぎでしょ!!いやまあ私も上がりすぎだけどさ」
大統領「出力は単三電池二個分くらいだったか」
佐天「そうなの!?御坂さん懐中電灯並みの出力なの!?」
大統領「まあ黒子は第一位なんだがな」
佐天「いやいやいやいやいや」
205 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 17:00:51.49 ID:VJlQ6zPyo
大統領「まあ本人に説明してもらったほうが早いだろう。そういうわけでご本人の登場だ、ドジャア〜ン」
黒子「どうも。隣の世界じゃ第一位、されどここではレベル4・・・白井黒子ですの」
佐天「そんな『ちょっと友達呼ぶわ』くらいのノリで隣の世界っていけるもんなの?」
大統領「便利な能力っていうのはだいたいそんなもんだ・・・黒子、お前の能力を説明してやれ」
黒子「はいですの・・・私の能力は『空間掌握(ハンドクリーム)』簡単に言うと空間を自由に支配できる能力ですわ」
佐天「ダサッ!能力凄いのに名前ダサいよ!!・・・ていうか空間を転移するどころか支配しちゃうの?」
黒子「そうですわね、実は詳しいことは私も理解しかねるんですが・・・」
佐天「すごー・・・なんか風起こせる程度で舞い上がってた私が馬鹿みたいじゃない」
大統領「『風だけに』舞い上がってた・・・ってところか?フフフ・・・」
佐天「うまくないよ!?うまくないからそのしてやったりって顔やめて!!」
軍覇「ハンドクリームの意味がわからないやつは根性が足りてないぞ!三部と四部を読むんだ!!」
佐天(あ、まだいたんだ・・・三部?四部?なにそれ?)
206 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 17:03:25.81 ID:VJlQ6zPyo
大統領「で、どうだ?少しはやる気が出たか?」
佐天「いや、どうといわれても・・・でもまあ元気は出た・・・かな?」
黒子「結構なことではありませんの」
佐天「うん、なんかやる気と希望がムンムンと湧いてきたっていうか・・・とにかくありがとう!」
軍覇「礼を言われるようなことはしてないぞ!」
佐天「いや、あなた何もしてないでしょ?」
大統領(なんだかあしらい方がうまくなったような気がするな)
佐天「私、レベルアッパーになんか頼らない!根性出して頑張ってみるよ!」
軍覇「根性出すのか!!よく言った!!じゃあさっそく特訓だ!ついて来い!」
佐天「え?いやあなたじゃなくて・・・」
軍覇「まずはあの夕日に向かって走るぞ!!」
佐天「えぇ!?ちょっと離してくださいよ!!白井さんも見てないで助けてください!!白井さーん!!だいとうりょーう!!」
シライサーン タスケテー
ヨワネヲハクナー コンジョウダー
イヤー ヒトサライー
207 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 17:04:28.90 ID:VJlQ6zPyo
大統領「行ってしまったな」
黒子「そうですね・・・よかったんですの?」
大統領「何がだ?」
黒子「佐天さんがレベル5の世界なんて・・・本当はないんでしょう?私のいる世界でも佐天さんはレベル0ですのよ」
大統領「まあな・・・でも、こうは思わないか?」
黒子「?」
大統領「いつも人を欺く嘘ばかりついているんだ・・・『今日くらい』他人に希望を持たせる嘘をついたっていいんじゃあないか?」
黒子「・・・それもそうですわね」
208 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 17:06:24.80 ID:VJlQ6zPyo
上条「ちょっと待ったぁ!!何いい話っぽく締めようとしてるんだよ!?お前はそれで満足なのかよ!?投げっぱなしジャーマンで納得いくのかよ!!」
黒子「む!!類人猿・・・!!この世界にもいるんですのね!!」
大統領「ちょっと待て、これ以上風呂敷を広げるわけには・・・」
上条「くらえ大統領!!新必殺そげぶゥゥゥゥゥゥ!!」ドグシャァーッ
大統領「グアアアア!!こ、このザ・フジミと呼ばれる大統領のヴァレンタインが・・・こんなクソカスに・・・バ・・・バカなァァァァァッ!!」
一方「大統領がやられたようだな・・・」
垣根「フフフ・・・奴はレベル5の中でも最もメルヘン・・・」
美琴「いやレベル5じゃないし!!っていうかなんで当たり前のように私たち登場してるの!?」
一方「突っ込み所はそこじゃねェぞオリジナルゥ!!ここは『メルヘンなのはテメエの頭ン中だけだぜ』って言うところだろォが!!」
美琴「私はそれよりももっと突っ込むべきことあるだろうがってアンタに言いたいんだけど!?」
垣根「大丈夫だ、自覚はある」
上条「くらええええええええ!そげぶゥゥッ!!」メメタァーッ
一方「グアアアア!!」ピシィー
垣根「グアアアア!!」ガシィー
美琴「グアアアア!!」グッグッ
209 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/04/01(金) 17:07:26.24 ID:VJlQ6zPyo
上条「やった・・・ついにレベル5を倒したぞ・・・!!」
黒子「よく来ましたのね・・・『上条当麻』・・・待っていましたのよ」
上条(こ・・・ここに黒子がいたのか!!感じる・・・奴のAIM拡散力場を・・・)
黒子「類人猿・・・戦う前にひとつ言っておくことがありますの。あなたは私を倒すのにあと1レス必要とか思っているようですけど・・・別に無くても倒せますの」
上条「な、なんだって!?」
黒子「そしてあなたの両親は学園都市の外にいるので最初から無事ですの・・・あとは私を倒すだけですのね!!フフフ・・・」
上条「フ・・・上等だ、俺も一つ言っておくことがある。この俺には生き別れの『シスター』がいるような気がしていたが普通に自宅に居候されてたぜ」
黒子「そうですか」
上条「いくぜ黒子ォォォォォォォオオオオ!!!」
黒子「かかってきやがれですのおおおおおぉぉぉぉぉおお!!!」
上条の幻想殺しが世界を救うと信じて・・・!
トゥービーコンティニュゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!
よっしゃああああッッ第一部未完!!!!!
210 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/01(金) 17:09:38.66 ID:VJlQ6zPyo
以上四月バカでした。
本編とは一切関係ございませんのであしからず。
引き続き「とある世界の大統領」をお楽しみください。
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/01(金) 17:12:12.82 ID:cLNV8OESO
神速のいちおつ
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/04/01(金) 17:39:00.57 ID:XZn2VX7jo
光速のいちおつ
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/04/01(金) 17:40:25.78 ID:P26/2NMa0
ハッ、もしかして探せば■■さんがヒロインしている世界も・・・・・
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東日本)
[sage]:2011/04/01(金) 18:21:02.76 ID:OBtn/oIho
>>213
すぐ隣のディアボロが主役やってる世界でも見て来いよ
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 19:50:51.35 ID:In0KppfDP
乙
作者のイメージが反転する狂いっぷりでクソワロタ
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/04/01(金) 21:09:51.75 ID:HGu3p2owo
乙乙!!
だが3部をよんでもクリームという単語は出てこないッ!!
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/01(金) 23:12:42.00 ID:e3+++voDO
>>216
以外ッ! それは設定ッ!!
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/02(土) 16:08:22.82 ID:N+SSUpZIO
>>216
がガオンされました
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/04/02(土) 19:40:44.79 ID:bkcDwliv0
碧緑色のDISCはなんとクリームのDISCだった!
Vanila ice [ Cream ]
220 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:12:01.53 ID:AMbXPVwyo
「へっへっへ・・・わざわざやられに来てくれるってか・・・」
迫り来る大統領を目前にして、なお余裕の表情の『トリックアート』・・・
考えてみればその余裕も当たり前のものだ。
前にも説明したように学園都市は『日本語』を主軸とした文化の都市である。
ここで生活する以上、日本語が喋れないということはありえない。
だからこの外人は『学園都市の人間ではない』・・・いわゆる『外の人間』である。
つまりそれは『能力者ではない』ということを意味する。
能力者ではないということは下手なレベル0よりも格下ということ。
能力者が能力開発すら受けていない人間に負けるわけが無い・・・
この男の自信は目の前の人間が『格下』だと確信しているからこそ湧きあがってきたものなのだ。
「返り討ちにしてやる・・・その涼しいツラも光みてーに歪めてやるよ!!」
そういってトリックアートはポケットからナイフを取り出し、向かってくる大統領に突きつける。
しかしだ・・・先ほどの言葉を蒸し返す形になるが、言わせてもらう。
『現実は非情なのだ』!!
現実と言うのは、このクソ野郎に対しても平等に非情さを振り撒くのだ・・・
221 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:13:11.00 ID:AMbXPVwyo
『お前の能力は自らの周囲を見た目だけ歪めることだな』
トリックアートが光を屈折させて、向かってくる大統領の目に映る風景を歪める。
まるで荒れる水面に映りこんだ映像のように、周囲の風景がぶれ始めた。
しかし、それがどうしたといわんばかりに大統領はずんずん突き進んでいく。
『おそらく能力の射程は2、3メートルくらいか・・・ごく狭い範囲だけだ。それがお前の弱点』
『自分を中心として数メートル以内に虚像を作り出しているなら、逆に考えれば「虚像の半径数メートル以内に本体がいる」ということだ』
言い終わるやいなや音も無くD4Cが出現・・・
そして一旦立ち止まり、D4Cの両手を前に出すような形でポーズをとる。
『・・・ならば、その範囲内を虱潰しに探る!』
その瞬間、常人には見えないほどの速度でD4Cの両手が『空をかき回す』!!
もともとスタンドは常人には見えないがそんなのは知ったことではない・・・とにかく早いのだ!!
「なんだ?・・・なんだか風が・・・うっ!?」
その手の動きにより発生したほんの少しの『風』にトリックアートも気づいたようだが・・・
どうやら少し遅かったようだ・・・
『掴んだぞ・・・』
222 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:14:30.48 ID:AMbXPVwyo
振り回した両手は『見えない敵を探るため』・・・
トリックアートは存在が消えているわけではない、本来あるべきところにあるはずの姿が見えないだけだ。
『触れられるなら問題は無い』!!
D4Cの半開きの右手は、何も無い空間を掴んでいるようでなんだかマヌケに見えるが・・・奴を『確実に捕らえている』
離れた場所の『虚像』が、腕を掴まれたような格好になっているのを見ればわかる。
こうなってはどうしようもない・・・光の屈折を操る能力は、戦闘能力ではないのだから・・・
2メートル離れた場所の大統領にナイフがあたるわけも無い。もっとも、掴まれているほうの腕で握っているのでまず振ることが不可能だが。
『トリックアートとか言ったか・・・』
「なんで掴まれて・・・!?お前・・・『能力』を!?」
驚きの表情を隠せないトリックアートを無視して、D4Cが空いているほうの手で首を掴む。
D4Cの後ろに立っている大統領は、腰に手を当てつつ『獲物』を睨みつけた。
「うぐぇ・・・っ」
『・・・そんな『安っぽいトリック』は、この私には通用しないぞッ!!』
威勢のいい声と共にパンチを一発叩き込む!!
拳は的確にトリックアートのみぞおちにめり込んだ。
「おぼぅっ!!」
声と唾液を吐き散らし、体をくの字に折り背後に吹っ飛んでいく。
トリックアートは見ていてスッキリするほど綺麗な放物線を描いた後、大の字になって壁に直撃した。
もし大統領が日本語を知っていたのなら『くの字に大の字に忙しい奴だ』との台詞を吐いたに違いない。
223 :
◆R8D4C8B1A2
[sage]:2011/04/04(月) 04:16:59.69 ID:AMbXPVwyo
「ぶ・・・ぉ・・・」
壁から落ちたトリックアートは膝と両腕をつき、四つんばいの格好になる。このダメージではとても立ってはいられない。
背中を強打したが、声はあまり出ない・・・一撃目で既に肺の中の空気は外に追い出されてしまっていたからだ。
そんな息をするのもやっとのトリックアートに大統領が近づき、屠殺場の豚を見るような視線を投げかける。
『もう終わりなのか?さっきまでの威勢はどうしたんだ。風景と一緒に歪んでしまったってわけか?冗談のうまい奴だ』
「ごふ・・・な、なん・・・なんだよぉ・・・お前・・・」
正面に立つ大統領を見上げつつ、咳き込みながらトリックアートが喋りだす。
「『外の人間』じゃねえのかよぉ!?・・・なんで・・・『能力』が使えるんだよ・・・ごほ・・・わけわかんねえよ!!」
『何を言っているか分からん・・・命乞いか?心配しなくても命までは取らないぞ・・・まあ骨格は歪むかもな』
「く、来るな!!」
完全に逃げ腰になってしまったトリックアート・・・
能力すら使わずに大統領と距離を取るようにずりずりと後ろに下がっていく。
そしてそのまま額が床につくほど背中を曲げて『土下座』の姿勢を取る。
224 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:18:27.57 ID:AMbXPVwyo
「ゆ、許してくれ!ソーリー!ちょっとレベルが上がって浮かれてただけなんだよ!!な!?」
『なんだそのポーズは・・・許せということか?』
「頼む!見逃してくれよ!!もうこんなことしねえからさ!!」
大統領が一歩近づくたび、トリックアートもすこし下がる。
その逆でトリックアートが先に下がれば、大統領が距離を詰める。
一定の距離を保ちながら二人の場所はずれていく。
「なあ!!頼むよ!!あの女の子にも謝る!!さっきのジャッジメントにもだ!!」
(おそらくあいつはまだやる気だろうな・・・まあ止める方法があるから別にいいんだが)
やる気がある、と判断した理由・・・
それはトリックアートが『武器を捨てないから』・・・
あれだけ派手に吹っ飛んでナイフを落とさないというわけの分からない根性は少しほめてやってもいいかもしれない。
「抵抗はしねえ!!本当だ!!」
(あのナイフで私に切りかかるわけが無い・・・さっきので『私に近づけばやられる』と分かったはずだ)
「そうだ、あのジャッジメントを呼んできてくれよ!!ちゃんと捕まるからさ!!」
(まだ離さないのだから『投げる』といった武器を手放すような真似もするはずがない。だとしたら使い方はひとつ)
225 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:20:19.24 ID:AMbXPVwyo
と、その瞬間・・・座り込んでいたはずのトリックアートが突然中腰で走り出した!!
向かう先は・・・気を失っている『佐天涙子』!!
ナイフを使って佐天を人質に取り、大統領から逃げようというのだ!!
どこまでクソ野郎なのか・・・名は体を表すという言葉どおり性格まで歪んでいる。
「バカがぁぁぁぁぁ!!とどめを刺すんならもっと早くやるんだったなぁぁぁぁぁああああ!!」
(あと1メートル!!勝った!!あの外人の能力射程は多分『2メートル』!!でもあの距離ははどう少なく見積もっても『3メートル』!!)
殴られるより早く佐天を盾にできる。そして能力を使えば『ジャッジメントが来ても安全』だ。
捨て台詞を吐きつつ、トリックアートがちらりと大統領の方を向くと・・・
「・・・え?」
・・・『こちらに拳銃を向けている』
『能力をさっさと使うべきだったな・・・まあ、能力を使ったらその瞬間に撃つ気だったが』
「ま、待って・・・」
乾いた音が『二回』鳴り響き、ビルの中で反響する。
226 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:21:52.35 ID:AMbXPVwyo
撃ち出された弾丸は二発。
トリックアートが前のめりに倒れると同時に、その後ろの壁に穴があく。
どうやら一発は脚に当たったようだ。
『・・・もう一発は外したか』
「うぐぐぐぐ・・・反則だぜ、そんなの・・・」
自らも卑怯な手を使おうとしていたというのに、トリックアートからそんな言葉が漏れた。一体どの口が言うのだか・・・
地面に転がり足を押さえる『卑怯者』をよそに、満足げな表情をしながらまた別の『卑怯者』が向かってくる。
『どうだ?えげつなさでは私の勝ちかな?・・・まさか拳銃を持っているとは思わなかったろう』
「なにニヤつきながら話してんだ・・・気味わりいぜ・・・お前・・・!!」
『とどめを刺そうと思うが・・・弾をこれ以上使いたくないし、殺すのはマズいんでね・・・』
そこまで言うと大統領は両手を後ろで組み、トリックアートに背を向けた・・・
(な・・・なんだ?とどめを刺さねえのか?マジで見逃してくれるのか?)
『そういうわけで、君に聞きたいんだが・・・掛け声は必要だよな?無言というのも締まらないだろう?』
大統領はそこで振り返り、トリックアートに問いかける・・・英語が通じないのは分かっているはずだが。
「は・・・?なんて?」
『しかしどうもいい掛け声が思い浮かばなくてね・・・あのジャッジメントの娘のを使わせてもらおうかと思っているんだ』
「う・・・な、何をする気だよ」
大統領がトリックアートに話しかけながら『肩をつかんで無理やり立ち上がらせる』
目の前の男に『笑っていない目で笑いかけ』・・・大統領は最後にこう言い放った。
『・・・やはり思い切りブン殴るときには気合を入れたいからな』
227 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:23:10.30 ID:AMbXPVwyo
『ジャッ!!』
「ぶごっ!!」
言い終わるやいなやD4Cの右の拳がトリックアートの左頬を砕く。
だがそれで終わりではない・・・
近距離パワー型スタンドのお家芸・・・スピードに任せた『猛ラッシュ』だッ!!
『ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
腕が何本もあるかのように見えるほど、壮絶な速さで『突き』が繰り出される。
サンドバッグの如くタコ殴りにされているトリックアートにもはや意識は無いようだが、それでもラッシュは止まらない。
『ジャアアアアアアアアアアア・・・アッ!!』
ワンテンポ遅く発音した『ア』のタイミングでトリックアートを高く浮かせて・・・
『ジャッジメント・デスノォォォッ!!!!』
締めの一発で『水平にぶっ飛ばす』!!
また壁に叩きつけられたが『今度は威力が違う』・・・
当たったところを中心としてコンクリート製の壁に放射状に亀裂が走り、上から砕けた天上の欠片が落ちてきた。
ほんの少しビルが揺れたような気がしたが、気のせいではないだろう。
『・・・全然締まらないな・・・あの掛け声は今後使わないことにするか・・・』
228 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:24:59.69 ID:AMbXPVwyo
『コイツはしばらく起き上がれないだろう・・・さてと』
『大丈夫か?おい・・・まだ気絶してるのか』
大統領が声をかけているのは、もちろんトリックアートではない・・・佐天だ。
自分でぶちのめしておいて、大丈夫かなどと聞くわけが無い・・・まあ大統領ならやりかねないが・・・
大統領は、うつ伏せの佐天をゆっくりと仰向けに寝かせて、脈と呼吸を確かめる
『脈も呼吸もある。額が割れているな・・・血は出ているがまあ大したことないようだ』
と、ここで仰向けにしたことにより、額からこめかみにかけてたらりと血が流れ始めた。
あのクソ野郎(トリックアート)はどうでもいいが、年頃の女の子を血塗れのまま放置するのはちょっとかわいそうだ。
そう思った大統領は、拭ってやろうとポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出すが・・・
『・・・このハンカチしかないのか』
大統領の生まれた日付・・・『20 SEP 1847』という刺繍の入ったハンカチ。
父親の形見であり、大統領の原点。
『・・・・・・』
大統領は佐天をちらりと見た後、ポケットにハンカチを再びしまった。
229 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:32:57.93 ID:AMbXPVwyo
「なにごとですの?・・・!!・・・さ、佐天さん!?」
先ほどの銃声を聞きつけて来たのだろう・・・いつの間にか黒子が背後に来ている。
『遅かったじゃあないか・・・飛ばなかったのか?』
『体力を温存したかったんですのよ!・・・そんなことよりなんで佐天さんが・・・!!』
『それはそいつの仕業だ』
大統領が部屋の片隅のトリックアートを指差す。だらしなく四肢が曲がっている様は、なんだか糸の切れた操り人形のようだ。
黒子がそれに近づき、顔を覗き込む。
『ひどい有様ですわね』
『私もそう思う』
『・・・ところでなんで佐天さんがここにいるんですの!?連れ出してくれといったではありませんの!!』
黒子が顔を真っ赤にさせて、大統領に怒鳴り散らす。
まさに鬼の形相、すごい剣幕である・・・下手なことを言えば脳天に針を撃ちこまれそうだ・・・
『いや、私が外に出た時にはもういなかった・・・後から勝手に入ってきたようだ』
『どうしてそんなことを・・・』
『さあな・・・命に別状は無いし、あいつはもう『再起不能』だ。落ち着きを取り戻せ、しゃきっとしろ。騒ぐとサテンの傷に響くぞ』
『そうですわね・・・』
230 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:37:11.47 ID:AMbXPVwyo
少しして落ち着いた黒子が、佐天の傷に薬(聞くと風紀委員専用支給品で、非売品だとか)を塗りつつ、トリックアートをチラ見して呟いた。
『少々やりすぎかと思いましたが・・・妥当な仕打ちですわね』
『そう思うだろう?お前の代わりにブチのめしておいた』
『あら、そうですの?それはただの暴行ですわ、あなたも連行したほうがよろしいですかね』
恩を売ろうとした結果がそれか。
それは恩を仇で返すというやつではないのか・・・その『恩』は無理やり売りつけたものだが・・・
どこの世界にも融通が利かない奴はいるものなのか。
『待て、本気で言ってるのか?』
『嘘をいってどうなるんですの・・・さ、両手を出してくださいな』
『なんてひどい野郎・・・』
『ガタガタ言ってないでさっさとしてくださいまし』
そう言って黒子は大統領の腕をがっと掴む。
そして・・・『飛んだ』
231 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:39:50.47 ID:AMbXPVwyo
『?・・・』
一瞬・・・本当に一瞬である。
捕まれた次の瞬間には、大統領と黒子・・・それに佐天はビルの外に出ていた。
『なにとぼけた顔してるんですの・・・外に飛んだだけですのよ?』
『いや、手錠でもかけられるかと思ったんだが』
『んなことするわけないでしょう・・・友人のあだ討ちをしてくれたってのに』
(なんだ、冗談か・・・なかなか笑えないジョークだ・・・ここで捕まったらコモエのところから逃げてきた意味が無いからな)
とりあえず捕まることもないし、このジャッジメントに恩を売ることには成功したようだ。
そう分かって大統領は、ほっと胸をなでおろす。
『まあ本当は傷害事件なんですけど・・・正当防衛だと報告しておきますの。どちらにせよやりすぎではありますけどね』
『(やりすぎだから)あながち間違ってもいないな』
『(正当防衛に見えないけれど)そうですの?それにしては無傷では・・・あ、アンチスキルですわ』
見ると、紺色のワンボックスバンが数台こちらへ向かってきている。アンチスキルの特殊車両だ。
黒子が呼んだのだろうか・・・しかしやっかいなことになった
(私はアンチスキルに一度は追われた身だ・・・追われたというのもおかしいかもしれないが・・・ちょっとこの状況はマズい)
『わたくしはあのスキルアウトを回収してきますの。すぐに戻るから待っててくださいます?』
『いや待て、私は・・・』
大統領が適当な理由をつけて逃げようとしたが、それよりも早く黒子は飛んでしまった。
はなから答えを聞く気が無いのなら、疑問文の形で会話を投げかけなければいいのに・・・
『くそ・・・超電磁砲といい、あいつといい・・・能力者はみんな人の話を聞かないのか?』
(しかしここで急に逃げ出すのも怪しまれるだけか・・・)
(ヨメ・・・いや、ヨミ・・・なんだったか?とにかくあのアンチスキルがいないことを願うしかない)
232 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:40:52.93 ID:AMbXPVwyo
幸い、この場に来たアンチスキルの中に黄泉川はいなかったし、大統領を見て顔色を変えるような人もいなかった。
黄泉川が報告を忘れたのか・・・まあそれなら都合がいい。大路を大手を振って歩けるというわけだ・・・黄泉川さえいなければ。
そんなことを考えているうちに、黒子がトリックアートをひっつかんで帰ってきた。
「この男はあなたがたに引き渡しますわ、あと『あの女の子』を病院に連れて行ってくれるとありがたいんですが」
「協力感謝しま・・・うわあ・・・派手にやりましたねぇ・・・」
「やったのはこの殿方ですのよ、それに正当防衛ですわ・・・まあ、ちょっとかわいそうかもしれませんわね」
黒子が、トリックアートをまるでぼろ雑巾を扱うように地面に捨て置く。
かわいそうなどと言ってはいるものの、内心ではざまあみろとしか思っていないのだろう・・・
それに、よく見れば『鉄針』が何本か刺さっている・・・
『・・・刺したのか?』
『やらなきゃ気がすまなかったんですのよ。それにいまさら傷のひとつやふたつ増えてもどうってことないでしょう?』
『フ・・・えげつないな』
『あら、あなたほどではないですわ』
二人は顔を合わせて、笑いあう。
そしてしばらくの間・・・沈黙
先に口を開いたのは、意外や意外・・・大統領だった。
『お前・・・いや・・・名前は?』
『白井黒子ですわ』
『クロコね・・・なるほど、覚えたぞ・・・レベルは?』
『4ですの。わかっているとは思いますけど能力は『瞬間移動(テレポート)』ですわ』
ジャッジメント・・・そのうえ大能力者。
異世界の滞在二日目にしてなかなか頼もしい『味方』を手に入れた・・・
233 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:41:43.39 ID:AMbXPVwyo
『それで、あなたの名前は?』
(さて・・・どう答えようか)
黄泉川に名前を言ってしまったので『アンチスキルに名前が割れている可能性がある』
と、なるとその同系列組織のジャッジメントにも情報が言っている可能性がある・・・
(顔を見せても分からないのだ・・・おそらく私に関する情報はジャッジメントどころかアンチスキルにも伝わっていないだろう・・・)
(しかし、名前だけ伝わっている可能性もあるかもしれない・・・危険な賭けはしたくない)
『そうだな・・・』
『大統領と呼んでくれ』
234 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:43:12.74 ID:AMbXPVwyo
『・・・はぁ?ふざけてるんですの?』
『いや、私はいたって真面目だよ・・・』
黒子に驚きというよりも先に呆れの感情が湧きあがってきた。
それもそうだろう・・・名前を聞いて『大統領』と返す奴がどこにいる?
『名前を教えないつもりですの?』
『ヒーローは多くを語らないのさ』
『名乗りすらしないヒーローなんているわけないでしょうに・・・』
こいつには何を言ってもだめそうだ、と黒子が肩を落とした後ため息をつく。
しかしすぐに上体を起こし、真面目な顔つきでこう言った。
『とにかく礼を言いますの。ありがとうございました・・・『ミスター・プレジデント』』
『いや、普通に『大統領(プレジデント)』でいい・・・』
235 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:44:45.10 ID:AMbXPVwyo
「何やってんだろ・・・私」
時間は少し経ち、場所は代わる。
ここは『とある病院』・・・『冥土返し』という異名のついた医者がいることで有名である。
その一室で額に鉢巻のように包帯を巻かれた佐天がうなだれていた。
この病院に連れてこられてすぐに意識を取り戻し、アンチスキルから『黒子と外人の二人組に助けられた』と教えられたのだが・・・
「勝手に一人で息巻いて、それで倒されちゃ世話無いよ・・・ただのお荷物じゃん、私」
助けるはずが、逆に助けられてしまった・・・
ただ相手の仕事を増やしただけという事実は、佐天を『自己嫌悪』に陥らせてしまった。
(結局、どんなにあがいたって能力者には勝てなかったよ・・・)
(どうしてレベル0なんだろう・・・やっぱり欠陥品なのかな?)
(レベル0じゃなければ・・・)
236 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:46:01.36 ID:AMbXPVwyo
欠陥品・・・
トリックアートの放ったその言葉は、まだ佐天の心に突き刺さっていた。
レベル0という宣告・・・それは『お前は役立たずだ』と学園都市から烙印を押されるのと同義である。
『才能があり、努力を積み重ねたもの』が能力者だとしたら、レベル0は『才能も努力も足りなかった』ということである。
すなわち役立たず・・・。そのせいで、一部の能力者はレベル0を『欠陥品』扱いする。
一部のというよりも・・・能力者はだいたいがそうだ。
それでも、レベル0に対しても平等に接する能力者もいる・・・黒子や御坂などだ
そういう能力者達は、大抵同じことを口にする。
学園都市の生徒の実に6割が『レベル0』だ・・・
だから落ち込むことは無い、いつか能力が使えるようになる・・・
・・・決まってこう諭されるのだ
237 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:46:31.80 ID:AMbXPVwyo
・・・だが、『それがなんだというのだ』!!
自分と同じ人間がたくさんいるからといって、それで無能呼ばわりされて荒みきった心の傷が癒えるのか?
頭痛持ちが集まるとその全員の頭痛が和らぐというのか?耳鳴りで悩む者が集まるとその全員の耳鳴りが治まるというのか?
答えは『否』・・・傷をなめあう仲間達がたくさんいるだけ・・・ただそれだけのこと。
いつか能力が使えるようになる?
その『いつか』はいったい『いつ来るんだ』!?
明日か!?違う!!なら明後日か!?そうでもない!!
―『来ない』のだ!!
238 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:47:48.31 ID:AMbXPVwyo
来ない明日に向かって走れというのか!?ふざけたことをぬかすな!!
そんなのゴールの見えないマラソンをさせられているのと同じじゃないか!!
お前ら能力者がゴール地点から「頑張れ」と声援を送るんじゃない!!無能力者からすれば煩わしいだけだ!!
努力すれば誰でもレベル5になれるだと!?嘘を吐くな!!
だったらなんでレベル5が『7人』しかいないんだ!!
なんで学園都市の生徒の6割が『無能力者』なんだ!!
なんで・・・
「なんで私は努力しても努力しても・・・『レベル0』なのよ・・・」
239 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:48:49.43 ID:AMbXPVwyo
来るはずの無い明日を待つのは・・・もうたくさんだ
明日が来ないなら・・・
来ないなら『自分から呼ぶしかない』じゃあないか・・・!!
「・・・明日って・・・『今』なのよ・・・!!」
佐天が固く握り締める拳の中には、音楽プレイヤー・・・
もとい『レベルアッパー』が存在していた・・・
―NEXT STAGE IS “スターリースカイ”
―to be continued...
240 :
◆R8D4C8B1A2
[saga]:2011/04/04(月) 04:49:33.76 ID:AMbXPVwyo
ここまで
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/04/04(月) 10:18:36.47 ID:H7jJ6U9ko
>>1
乙乙!
いつも楽しんで見てますよ
明日って今さ!!
ポコおおおおおおおおおおおお
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/04(月) 12:21:37.67 ID:l+x+/sXuP
乙
超電磁砲編まっしぐらだなwwww
243 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/04/04(月) 13:17:56.95 ID:ioQc9Oss0
終盤の佐天さんのくだりがエグいな・・・
コンプレックスの塊すぎる
244 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/04/04(月) 19:21:48.34 ID:Ffbfz7g60
圧迫祭りだったなあ
245 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/04/04(月) 23:15:23.54 ID:8fSlM58Ro
悲惨な末路のジョジョキャラが学園都市に行くのが最近のトレンドか
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(香川県)
:2011/04/05(火) 15:06:57.23 ID:bHe8kKGDo
文章力やべぇな……
すげぇー物語に引き込まれれる
247 :
◆R8D4C8B1A2
[sage]:2011/04/06(水) 02:11:06.65 ID:meEky9p/o
冥土返し→冥土帰し
佐天の一人称 「私」→「あたし」
投下前に確認するべきだったすまん
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/04/06(水) 19:21:59.16 ID:AxSSPidAO
俺ァ一瞬勇次郎が現れたのかと…
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/04/17(日) 09:02:50.91 ID:dHsUgFAGo
いったい何があったというんだ
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/04/17(日) 22:15:00.13 ID:oQ/kEuMz0
残念
保守だったのだ
251 :
◆R8D4C8B1A2
[sage]:2011/04/19(火) 03:05:51.88 ID:oG646U2Io
6年半に渡る歩みに終止符が打たれる……
ついに最終回ッ!!
『表紙』+『巻頭カラー』!! そして驚きの『49ページ』!!
――ジョジョの奇妙な冒険 第七部『 STEEL BALL RUN 』(荒木飛呂彦)――
ウルトラジャンプ5月号にて『堂々完結』ゥゥゥゥゥーッ!!
特別付録は『SBR完走記念ビッグポスター』『荒木先生メッセージペーパー』の二つを収録ッ!!
『円卓のナプキン』を取るのは一体誰なのか?
『遺体』を制する者は一体誰なのかッ!!
それはその目で確かめろォォォォォオオーッ!!
ウルトラジャンプ5月号
4月19日(火)発売!!
定価570円
※『単行本派』の方の為にネタバレはお控えください・・・
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http://www.araki-jojo.com/
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/19(火) 09:14:59.03 ID:Eno5PwgDO
宣伝乙www
急に最終回かと思ってびっくりしたよ・・・
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/04/21(木) 00:37:09.13 ID:4BTFVUbAO
単行本派だからネタバレはマジ勘べんしてくれ 最新刊はいつでるだァー!
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/04/25(月) 11:02:33.89 ID:qOrbwKPAO
まだか
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/04/25(月) 20:05:15.07 ID:2heRptrI0
保守だ
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/04/26(火) 21:47:27.93 ID:3PIlDvjHo
>>37
すんごい今更だけど英語は「〜できないの?」みたいな質問にも、できるなら「イエス」、できなかったら「ノー」で答えるよ
257 :
◆R8D4C8B1A2
[sage]:2011/04/27(水) 00:15:17.58 ID:n44G75cHo
いつ言われるかヒヤヒヤもんだったが、ついに言われてしまったか
スマン、英語は本当に苦手なんだ……高校時代の成績はおそらく上条より酷かった
4月なので生活スタイルが大幅に変わった
それの影響でこれからの投下速度が以前にまして遅くなると報告
放置して申し訳ない 今週中には投下する
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/04/27(水) 00:42:56.88 ID:kxnOL1lgo
おk
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/05/02(月) 14:03:54.13 ID:1UYGYmcI0
遂に五月に入ったな
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/05/03(火) 20:38:04.15 ID:9iYoOt2Y0
保守ディリアン
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/05/07(土) 18:24:17.56 ID:dntwD1wBo
よっ大統領!その大統力見せてくれよ!
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/05/13(金) 05:06:24.83 ID:oHMoqPTh0
再開するか分からんけど大統領のラッシュっておきまりの「ドジャァァァァァァァァン」でよくね?
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2011/05/14(土) 06:14:51.65 ID:C9awizGAO
まだか
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/05/24(火) 21:08:21.00 ID:HHPPW8bJ0
まだか・・・
まだか・・・・・・・
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/05/27(金) 21:34:13.91 ID:fGRgcbZf0
まだからんぬ
ディスソボティコン
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/06/04(土) 01:48:21.35 ID:zzVI0DO60
まっているぞ
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2011/06/06(月) 11:25:38.11 ID:c0vxbZTAO
SBR完結しましたね
大統領の回想から最期までがすごかった
土の中でハンカチを握りしめて決意を固める辺りなんか特に
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/06/22(水) 20:50:46.48 ID:9m7zaIks0
まだかね?
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/06/30(木) 19:22:31.25 ID:VbShELfN0
保守
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
:2011/06/30(木) 20:31:13.90 ID:HBa6jc7f0
とあるとジョジョのクロスssって面白いのあったっけ?
億泰が学園都市に行くってやつは良かったけど
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/07/01(金) 02:05:48.58 ID:9m+/O3660
あまりに今更過ぎるけど
>大統領がそう叫ぶと、『自身の傍に立つ』(stand by me)人影が現れた。
七部はstand upだった気がするんだけど
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/01(金) 04:04:03.09 ID:69fe1DW/0
『とにかく礼を言いますの。ありがとうございました・・・『ココ・ジャンボ』』
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/01(金) 04:47:00.66 ID:NXSuxZA7o
地の文だからね
どっちの意味でも使える
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/01(金) 16:19:51.44 ID:Do7V66DUo
>>270
有名どころだとディアボロとか
あとは承太郎「やかましい(ryとか
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/01(金) 17:13:37.17 ID:vFzG1Jxqo
なかなかこないもんだな
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/01(金) 21:24:28.51 ID:fP8HYoxDO
吉良がくる話とか露伴がくる話とか
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/02(土) 12:39:22.80 ID:2P+oZ3PVP
まだか
クロスSSだと露伴が取材に来るやつとか承太郎「やかましいry」のやつとか現行だと吉良のやつとか
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
:2011/07/02(土) 21:46:36.18 ID:d9K+4NVz0
>>277
吉良のやつ教えろください
オナシャス!
279 :
◆R8D4C8B1A2
[sage saga]:2011/07/04(月) 05:54:27.91 ID:UVUgS2E3o
生存報告を兼ねた状況報告を箇条書きで
>>1
はSSだけ書いてろっていう人もいるだろうしそういう人は「なんだ生きてんのかさっさとしろもしくは死ね」とでも思ってくれ
以下長いから三行用↓
SBRの大統領が禁書世界に来た
なにもかもここからが本番
だが
>>1
がクソすぎて山場の前に終わりそう
・禁書13巻までの知識しかなかったので先を読んだら練っていた重要な設定が崩れた
・話のつじつまを合わせる作業に大苦戦
・だがそれ以前にいろいろあって時間が足りなくて書き溜めが出来る状況ではない
・禁書現行巻まで追いかける予定だったがもはやペース的に不可能
・このスレは禁書一巻終了時点で一旦HTML化になりそう(ほぼ確定)
・現行巻ではなく途中のどこかで物語を終結させるかもしれない
・重要そうでない巻を大幅にカットするかもしれない
・それどころか一巻で「俺たちの戦いはこれからだ!」で完結するかも知れない(この線濃厚)
・完結しなくても再開時期未定で事実上一巻完結になるかもしれない
・もしくは言いたかないけど最悪の場合3ヶ月放置でエタなるかもしれない
小ネタなら浮かぶんだけど根幹部分が組みあがらない……俺の思考が長編に向いてないのは確定的に明らか
この際、長編諦めて短編を製作する手もある
露伴が学園都市に行くとかなら組みやすいんだが先駆者様がいらっしゃるらしいな
もし短編やるなら別スレだけど……んなこたどうでもいいんだよォーッ
次回投下まで相当時間空くから雑談しててもいいのよ! 残念だけどメイドインヘブン使っても投下は早まらないぜェーッ
>>271
の件だけど違和感が無いようにあえて三〜六部のほうを使わせて頂きましたァん
このSSでこの
>>1
に精神的忘却による記述ミスは決してない!と思っていただこうッ!
ぶっこむ前に原文確認するしね(前述の花京院も然り)……ただしジョジョネタに限る
明日って今なのよみたいに意図的に変える所もあるけど細かいことは気にするなどうせ素人のSSだ
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/04(月) 08:09:42.91 ID:gHRooe5DO
これだ!この生存報告を待っていた!
個人的な願望としては問題と言うのがどういう類のものかわからないけど、根幹と言っても重要じゃないのなら捩曲げてもいいし
練り直すまでいくらでも待つし小ネタで遠回りしまくっても楽しむつもりです
そうするとぐでぐでになってしまってそれはやりたくないなら打ち切るしかないかもしれないし
こうして事情も教えてもらったので
>>1
さんのやりたいようにやればいいと思いますよ
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/07(木) 21:34:01.05 ID:RDV2Ko5r0
>>278
岸辺露伴「学園都市・・・ねぇ・・・」
吉良吉影は学園都市で静かに暮らしたい
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/07/10(日) 21:59:08.28 ID:cbpwc+C/0
1は構想に苦しんでるのか・・・・
酒のむしかねぇな・・・
1さん
酒飲もうか・・
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/07/11(月) 19:29:24.94 ID:OhZu67Zno
ゆっくり書いてくださいな
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
:2011/07/24(日) 08:32:01.45 ID:foBQpEjS0
早く書けよks
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/09(火) 15:43:25.50 ID:646g0ExI0
もう待てないぜ!
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/09/04(日) 21:33:07.96 ID:mKRgokc9o
生存報告が欲しいです
なんか在スレ期間の話も出ているようだし
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
:2011/09/08(木) 23:13:46.88 ID:KHo/sbDD0
やはり
チートすぎる大統領との絡みは難しかったんだろな・・
288 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/09(金) 00:31:30.83 ID:qhGD6Xvvo
二ヶ月に変わったんだっけ?もういつhtml化してもおかしくないな
せめていつか立て直して欲しい……
289 :
!a]シw,L.
[sage saga]:2011/09/16(金) 15:58:27.52 ID:8/xpalAlo
なんでスレ番が444なんだよォ〜ッ
不吉じゃあねぇかぁーッ!オレは「4」が大嫌いなんだッ!
生存報告
PC買い換えたら前に使ってたノートのパスワード忘れてしばらくSSの構成と酉キーを触れなかったので半死状態。そしてふと思い出したので復活
原作一巻終了時点まではやる
1週間以内には進展が見られるようにする予定
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/16(金) 15:59:23.79 ID:8/xpalAlo
酉放っちまったよおい
仕方ないから番外で使ってた方を今後使うことにします・・・
291 :
◆GbS2D4C2K2
[sage]:2011/09/16(金) 16:01:59.70 ID:8/xpalAlo
これだったかな……
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/16(金) 19:59:30.09 ID:hxpTpA1fo
ちゃいます
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/09/16(金) 19:59:58.75 ID:hxpTpA1fo
と思ってたら合ってた
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/09/18(日) 12:31:04.87 ID:87oMNcdAo
買い替え乙かれさまでした
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/27(火) 21:36:07.41 ID:ErFRo6nw0
早く帰ってきてくれー!
>>1
ィーー!
もう限界だ!
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/20(木) 02:00:03.45 ID:gFFTIq5Ko
とうとう一ヶ月落ちが適用されたか
297 :
◆GbS2D4C2K2
[sage]:2011/10/24(月) 02:36:54.51 ID:w8GOFQiao
あら、ローカルルール変わったのか
となると書き溜めるより小出しにしていったほうがいいか……
まあ書き溜めてあるって言えるほど溜まってないから困ってるんだが……背に腹は変えられねえ
298 :
◆GbS2D4C2K2
[sage]:2011/10/24(月) 03:37:40.22 ID:w8GOFQiao
――5th STAGE スターリースカイ
学園都市第七学区……
数多の学校がひしめき合うこの学区を、白井黒子はいつものように巡回警備……いわゆるパトロールをしている途中である。
「なんでこうなったんでしょう……」
しかし、まったくもっていつもと同じというわけでもないらしい。
表情にはどことなく憂鬱さが見て取れ、歩きながらぶつぶつ呟いては時折ため息をついている……。
一体何があったというのか? おそらくその原因は簡単に知ることができるだろう。
時は少し過去へとさかのぼる――
299 :
◆GbS2D4C2K2
[sage]:2011/10/24(月) 03:38:11.43 ID:w8GOFQiao
「初春? いますの?」
ここは風紀委員第177支部。
「偏光能力」との戦闘を終えた黒子が、ちょうど戻ってきたところである。
砂埃にまみれた姿はまるで敗者のそれであるが、手中には勝者の証……「戦利品」が握られている。
「白井さん? ……ってどうしたんですかその傷は!?」
「ちょっと手こずりましてね……そんなことより、ふんだくってきましたのよ! 『幻想御手(レベルアッパー)』!」
「え? 本当ですか?」
目を丸くして驚く初春に、黒子が得意げな顔をしながら「携帯音楽プレイヤー」をちらつかせる。
「それがレベルアッパーですか? 音楽プレイヤーにしか見えないんですが……」
「ご名答。さすが初春ですわね……でも、ただの音楽プレイヤーではありませんわ、この中に『幻想御手』がありますの」
まるで意味がわからない。
いまにもふんぞり返って武勇伝でも語りそうな顔つきの黒子とは対照的に、初春はとぼけた顔で首をかしげる。
「理解不能、って顔ですわね……まあいいですわ、一から説明してあげますの。なにから聞きますの?」
「……えっと。いろいろと聞きたいことはあるんですけども……」
そこで初春は、目の前の音楽プレイヤー……ではなく、黒子の後ろの空間を指差してこう尋ねた。
「……その人、誰ですか?」
300 :
sagaじゃなくてsageだったわ
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/10/24(月) 03:39:28.73 ID:w8GOFQiao
「初春……」
「は、はい!?」
先ほどまでの生き生きとした表情はどこへ行ったのか……
この質問を受けた黒子は途端に死んだ魚のような目つきで初春を睨み、隙間風かと勘違いするほどにかすれた声で話し始めた。
「世の中には知らないほうがいいものってのがありますのよ……というか、聞いてはいけないものですのよ」
「で、でも素性の知れないを支部に入れるというのも……」
「うるっさいですの! 知らない人を家に上げるなって小学生ですかあなたは!」
甲高い声を上げ、急に怒り出す黒子。
なんだかよく分からないが聞いてはいけなかったことらしい……
しかし、だからといって不審人物を風紀委員の支部に入れているとなると上から何を言われるかわからない。初春としては追い出しておきたい。
怒りのオーラを振りまく黒子に物怖じせず、初春が果敢に質問を浴びせかけていく。
「ついこの間まで小学生でしたよ? というか、なんでそんなムキになってるんですか? 何か隠してません?」
「いや、そういうわけでは……」
「怪しい、怪しいです!! 知っていること全て吐いてください!」
これ以上聞くな、というオーラを全開にしている黒子と、根掘り葉掘り聞き出してやる、という意気込みの初春。
そしてこの二人の抗争の原因であり、そのいざこざをすぐ近くで見守っている人物……
当たり前だが、大統領に他ならない。
301 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/10/24(月) 03:40:06.79 ID:w8GOFQiao
(実のところついてくる必要は無かった……むしろついていこうか迷った。私はアンチスキルとやらに目を付けられているからな……)
(しかし『ついていくか』それとも『ついていかないか』を天秤に架けたなら、『ついていく』ほうに傾くのは当然)
ジャッジメントとアンチスキルは住み分けこそ出来ているが、姉妹組織らしい。
ならばジャッジメントに逮捕される危険性もある……それが分かっていながら大統領はここに来た。
勝てると踏んだ博打しかしない大統領にしては随分とリスクの高い行動……
この選択には確固とした理由がある……だがそれを説明する前に、初春の質問攻めが始まる予感がする……
「あのー? もしもし?」
『……は?』
どうせ二人の会話には入れぬだろうと、一人思想にふけっていた大統領に初春が急に声をかける。
自分の世界に入りこんでいた大統領の意識をこちらへ戻すための、奇襲とも言えるこの一声……しかも理解の出来ない言語でだ。
これに驚いた大統領は、普段の落ち着いた様子からは想像もできないくらい間の抜けた声を上げてしまった。
初春はそんな様子の大統領を気に留めることすらなく、続けて話しかける。
302 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/10/24(月) 03:40:36.95 ID:w8GOFQiao
「白井さんに『直接聞いたほうが早い』と言われたので、そうさせてもらいたいのですが……」
「どうせ無駄ですのよ……それとその殿方は英語しか喋れませんの、英語で話しかけたほうがよろしいかと」
(学園都市にいるのに英語しか喋れない? まああり得なくは無いけれど、そんな人ほとんどいませんよね……)
ただでさえ怪しいのに、そのうえ日本語が喋れないときては、疑惑の色は濃くなるばかり。
……しかし、まだ不審者と決まったわけではない。だからこそ初春にはそれを見極める必要がある。
ジャッジメントは頭脳明晰な生徒で大半が構成されている……日本語だろうと英語だろうと優秀な彼らにはあまり関係ない。
そして……無論、初春も例外ではない。
『おほん、それでは気を取り直して聞かせてもらいましょう』
(また英語を喋る子供か……クロコや超電磁砲が聡明なのか、それともトーマがバカだっただけなのか……)
『ちょっと聞いてますか?』
ちらと上条のことを思い出しかけたが、初春の言葉でそれを遮られる。
さもめんどくさそうな顔つきをしながら大統領が言葉を返す。
『聞いているが、私に言っているのか?』
『当たり前でしょう。とりあえず、あなたの名前を教えてください』
『次から次へと注文の多い……名前か?』
『はい』
303 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/10/24(月) 03:41:17.91 ID:w8GOFQiao
『大統領、だ』
「……えっ?」
「だから言いたくなかったんですのよ……」
それを見た黒子は諦めたように首を振り、ため息をついた。
理解不能な答えを投げかけられた初春は、狐につままれたような表情のまま黒子に耳打ちする。
「ふざけてるんですか? この人は……」
「そんなのこっちが聞きたいですわ。会った時からずっとこんな調子ですのよ」
(なんなんですかこの人……)
初春が懐疑心に満ち溢れた目で大統領を見つめ、敵意をあらわにする。
客人として見ていない……この目つきは不審者を監視するときのそれと同じだ。
だが、睨まれている当の本人はというと、なんとも涼しい表情をしている。
(怪しまれている……まあ素性も明かさない奴が相手なのだから当たり前か)
(だがいくら怪しんだところで私を追い出すのは不可能だ……とっておきの「切り札」があるのだからな)
304 :
◆GbS2D4C2K2
[saga]:2011/10/24(月) 03:45:44.69 ID:w8GOFQiao
とりあえずまとめて宣伝
■恥知らずのパープルヘイズ
これは、一歩を踏み出すことができない者たちの物語――
9月16日発売のジョジョノベライズ本……著者は「ブギーポップは笑わない」などの代表作を持つ「上遠野浩平」!!
ジョルノがパッショーネのボスとなった後、五部の後日談を「裏切り者」フーゴを主人公として書いた作品だッ!!
ちなみに……この本かウルトラジャンプ、文庫版死刑執行中脱獄進行中を新宿の対象書店で買うとポストカードがついてくるキャンペーンもやってたんだが……
9月16日からだってのに言い忘れてたぜ……無くなり次第終了だっていうし、さすがにもうねェだろうなァー……すまんね
俺? 俺のことはどうだってイイだろーがッ!
……まあ、新宿まで行ったけどな。UJとパープルヘイズをバラ買いして二枚手に入れる念の入れようだ。ついでに岸辺露伴グッチへ行くも見てきた。
宣伝せずに一人で行きやがってこの裏切り者、だと? 違うッ!! オレはフーゴみてーな裏切り者じゃあねーッ!!
気づいたら終わっていたんだ!! つーかオメーら、荒木公式サイトで情報を確認しやがれッ!! もうしてる? あ、それならイイんですよ。それならね……
■JOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN
12月16日発売予定のジョジョのノベライズ本……だが、タダのノベライズじゃあないぜ……
著者は「戯言シリーズ」「物語シリーズ」などを書き、巧みな言葉遊びで知られる「西尾維新」―そして主人公は……
世界を、そして時間をも支配できる力を持つ悪(おとこ)―― その名は DIO
三部が終わってから二十年近くが経とうとしている今、この時期にまさかのDIOォォォォォォォォ!!
詳細は未だに不明ッ!! 荒木は、そして西尾は一体どんなDIOを描くのか!?
OVER HEAVEN――天国の先には何があるのか? そんなものは自分の目で確かめろッ!! 人に聞いてんじゃあないぞッ!!
■一番くじ ジョジョの奇妙な冒険 第三部 スターダストクルセイダーズ 〜BLACK SIDE〜 ―
http://1kuji.bpnavi.jp/item/318/
ただいま絶賛販売中ゥゥゥゥゥゥゥゥーッ!!!
このスレを覗いている物好きな方ならもうひとつやふたつ引いてるんじゃあないかとは思うが……どうなんだろうね?
A賞は貫禄のDIO様フィギュアだあああァァーッ!! このくじは引くしかねェーッ!! 俺も引くッ!! 引くんだよォォーッ!!
ちなみに俺も引いた……「六枚」な…… 結果は……フフ……A、B、C、「以外」当たったよ……
というか店に行ったらもうABC全部無かったんだよッ!! くじ自体が全部売り切れてる店すらあるしよォオ〜ッ オメーら買い占めてんじゃあねーゼッ!!
売り切れる前に取り扱い店舗に急げッ!! あン? 取り扱い店舗を教えろだあァ〜?
ファミリーマートとか書店とかだよッ!! 一口500円だッ!! 詳しくはURLを見ろッ!! わかったら有り金握り締めてさっさと行けッ!!
■一番くじ ジョジョの奇妙な冒険 アニバーサリーズ ―
http://1kuji.bpnavi.jp/item/354/
なんとA賞からG賞までがすべて1〜7部の主人公の非可動フィギュアという豪勢な一番くじィィィッ!!
ちなみにH賞はグラス、I賞とJ賞はスタンドストラップとなっておりますゥん!!
おっと、あせるんじゃあない……発売予定は2012年12月だぜェ〜ッ?
ああ、それと……このくじは取扱店が「書店限定」だ。間違っても近所のコンビニとかに駆け込むんじゃあないぞ。
これ以外にもイロイロとグッズが発売されてるぜェーッ サッサトアリガネダシヤガレェェェェェ
ここで宣伝したのは本当に一部だ やっぱり公式サイトで確認するのが一番なんじゃあないかな……
荒木飛呂彦公式サイト JOJO.comはコチラ →
http://www.araki-jojo.com/
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/10/24(月) 05:26:36.98 ID:+FJWEbNA0
半年ぶりにくらえっ……乙!
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/10/24(月) 06:16:20.45 ID:S0lznuYI0
乙するのは俺のコメントだ‼
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/24(月) 10:56:14.19 ID:/KeuBoBwo
乙
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/24(月) 17:21:39.69 ID:eRkgwH9wP
乙
今アニバーサリーシリーズのラインナップ知ったけどD4Cストラップなんでこんなにエビぞってるん…?
大統領渾身のギャグなのか?
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/10/24(月) 19:25:29.06 ID:w8GOFQiao
>>308
SBR17巻の表紙がこのポーズのD4C
ついでに世界のポーズは多分花京院が上院議員の運転で追ってくるDIOにエメラルドスプラッシュかましたときに出現したときのだろう
おそらく全部どこかのポーズを再現してるんじゃあないかな
アニバーサリーズの景品が全部豪華すぎて一口800円とかになりそうで怖い
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/24(月) 19:58:20.72 ID:/KeuBoBwo
アニバーサリーズ2011年か
リンク先見るまで本気で来年12月かよ!って思った
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(栃木県)
[sage]:2011/10/26(水) 17:40:48.15 ID:XCTErEUwo
乙
あの学園都市で不審者扱いとか、大統領も相当なもんだ
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/27(木) 01:31:18.35 ID:hwgMTVYRo
乙
ずっと待ってた
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(三重県)
[sage]:2011/11/23(水) 20:26:10.13 ID:9mrlRXwMo
ずっと待ってる
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(チベット自治区)
:2011/11/24(木) 22:06:32.08 ID:IUVR2Djp0
保守
315 :
SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b)
[sage]:2011/12/31(土) 23:23:28.68 ID:zhPVbT15o
来年はきっと来る
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/11(水) 18:45:24.61 ID:i9oNuCK5o
アハッピーニューイヤー
SBRレース終盤の日時も年代わり辺りだっけ
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟県)
[sage]:2012/01/12(木) 15:05:38.76 ID:SaCDijQX0
今年こそ来るはず
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/01/23(月) 20:43:37.26 ID:ZqyssrzDO
そろそろスレの時間が止まってしまうんだが
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