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滝壺「大丈夫。私が、あくせらを守ってみせるから」一方通行「……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/15(火) 18:44:22.22 ID:1l+MHF0DO

 長点上機学園。かの常盤台中学とならび、学園都市の五本指に入る超エリート校である。

 能力開発では学園都市ナンバーワンを誇るこの学校だが、しかし超能力者《レベル5》が在籍しているということを知る者は、学校の内外含めてあまりいない。

 なぜなら、時間割り《カリキュラム》によって超能力者《レベル5》の『力』に目覚めた学生はもれなく、それぞれのための特別クラスが用意されるからである。

 そこにはもちろん、他のクラスメイトなどは存在しない。運動会や文化祭にも参加することはない。狭い教室に、机がポツンと一つ置いてあるだけである。

 そのような扱いを受け、しかし文句を言う者はいない。……それはおそらく、自分の得た『力』は他の能力者とは絶対的に違うのだ、という事を心のどこかで理解しているからであろう。


 これは、そんな強大すぎる『力』を持つゆえの『苦しみ』を抱える少年が、一人の少女と出会う物語。



 ──一方通行《アクセラレータ》と能力追跡《AIMストーカー》が交差するとき、物語が始まる。



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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 18:44:56.02 ID:48kp4wrfo
期待
3 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 18:46:17.50 ID:1l+MHF0DO

一方追跡です

時系列的には原作が始まる三ヶ月前くらいで、まだ一方通行が《実験》に関わっていない設定です

原作で実験がいつから始まったかはわからないので、矛盾は気にしないww

他にもいくつか原作の設定を改変あるいは自己解釈しちゃってます

久しぶりのSSなので、ペースはまったり行きます。文章力は……orz

そんな、完全に自己満な作品ですが、どうぞこれからお付き合いお願いします
4 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 18:49:19.60 ID:1l+MHF0DO


 時は、四月の終わり。学園都市に住むほとんどの学生は、新しい学校または新しいクラスに少しずつ慣れを感じ始め、さらに落ち着きも覚えるこの時期に。

一方通行「どうなってンだよ、こりゃあ……」

 その学園都市のほとんどの学生、という括りから外れている少年の内の一人、一方通行《アクセラレータ》は彼にしては珍しく戸惑っていた。

 彼は、他の学生とは違い、クラス替えなどをすることはない。『力』が目覚めた時からずっと、色々な研究所を転々とし、現在は長点上機学園に落ち着いている。もうこの学校に来て三年くらい経つであろうか。まだ一度もこの教室から移動になったことはない。

 よって、教室を間違えたという事はありえない。しかし、彼にはそれ以外の理由で目の前の光景を説明することはできなかった。

 もう一度、彼はその特有の赤目で、自身の教室を見渡した。そこには、自分の机がある。それは問題ない。別に壁になにかがある訳でもない。むしろなにもない。いつも通りの殺風景である。

 しかし、……なぜ、なぜ。




 ――その机の隣に、もう一つ机が置かれているのであろうか。
5 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 18:52:21.16 ID:1l+MHF0DO


 普段とは違う光景に愕然とする一方通行だが、教室の入り口でただ突っ立っていても仕方がない。

 二つある机の内、おそらく自分の使っていたであろう方へと座る。三年近く使っていれば、自分の机を見分けるなど雑作もないことなのだった。

 はァ、とため息をつくと、一体これはなンの冗談なンだちくしょう、と考え始める。彼の時間割り《カリキュラム》には、机を二つ使うようなものは存在しないはずだ。よって、ここにあの能無しの研究者どもが運んだという可能性は無いはずである。

 ――能無し、というのは別に苛立ちから出た悪口ではない。一方通行をまともに開発できる研究者が一人もいないのだ。そして、ほとんどの研究者は《一方通行》という力に恐れをなし、彼から離れていく。ゆえに、能無し。一方通行の本心からの言葉である。……まぁ、何人か例外もいるのだが。

 では、生徒がここに間違えて運んできたのであろうか、と一瞬考え、すぐにその可能性も否定する。

 ここは、一方通行専用の特別クラスである。自分と一部の研究者以外に、この教室の存在を知っている者はいない。

 では、一体誰が? そしてなぜ? と、そこまで考えた時、教室の扉が開く音が一方通行の思考を止めた。
6 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 18:55:37.92 ID:1l+MHF0DO


芳川「おはよう、一方通行。ご機嫌いかがかしら?」

一方通行「朝っぱらから最っ高に最悪な気分だなァ」

 入ってきた女性の名は芳川桔梗。二○代後半だと言うのに化粧っ気のない顔に、色の抜けたジーンズと擦り切れたTシャツ。その上から羽織る白衣だけはしっかりと整えられている。研究者の誇りからであろうか、と一方通行は適当に推測している。

 彼女は確か、遺伝子方面を専門としている研究者だと一方通行は記憶していた。

 なぜ、確か、なのかというと

一方通行「なンでてめェがここに来ンだよ? てめェは俺の開発には関係してねェはずなンだがなァ」

 そう。彼女は一方通行の開発には参加していないからだ。以前研究所で数回会ったことがあるというだけのつながりではあるが、『優しいのではなく甘い』という彼女の性質からか、一方通行に対して普通に接してくる数少ない研究者の内の一人である。

芳川「ちょっと色々と複雑な事情があるのよ。そんなことよりもあなた、私になにか聞きたい事があるんじゃないかしら?」

 芳川が一方通行を見て微笑みながら言った。

一方通行「……やっぱりてめェらの仕業か。一体なンの真似ですかァ? くっだらねェドッキリ仕掛けてンじゃねェよ」

芳川「ふふ、ドッキリなんかじゃないわよ? 教室に、机が二つあるなら、理由は一つしかないじゃない」

一方通行「あァン?」

芳川「教室には人数分の机があるべきでしょう? つまり、転入生が来る、ただそれだけのことよ」

 思考が、止まった。芳川の言葉が、頭の中で巡る。そして……


一方通行「はァァァァァァァァァ!!?」

 学園都市最強の絶叫が、教室中に響き渡った。




7 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 18:58:26.25 ID:1l+MHF0DO


一方通行「待て待て待て待て!! おかしいだろォ!? 転入生? なンだよそれ聞いてねェぞ!?」

芳川「あら? そんなに取り乱すほどおかしいかしらね? 四月からちょっと遅れて来る転入生、なんて定番じゃない?」

一方通行「どこの世界の定番だ!! 漫画の読みすぎじゃないンですかァ!?」

芳川「だって面白いんだもの」

一方通行「……一つだけ確認しておくが、てめェやっぱり来るとこ間違えてンじゃねェか? それかてめェの頭がイカれたかだなァ。ここに、よりによってこのクラスに、転入生なンか来るはずがねェだろうが」

芳川「残念ながら、間違いはないわね。私の頭も大丈夫よ。じゃあ、さっそく転入生に入って来てもらうわよ?」

一方通行「軽くあしらうンじゃねェェェ!! しかもすでにそこにいンのかよ!?」

芳川「滝壺、入ってちょうだい」

 ガラガラ、と教室の扉が開く。そして、一人の少女が入ってきた。

 肩の辺りで切りそろえられた黒髪に、ピンクのジャージを着ている。どこかぼけーとしている、脱力系というか電波系とでも言うような少女だ。

芳川「じゃあ、まずは自己招待でもして貰おうかしら」

滝壺「私の名前は滝壺理后。よろしくね、えっと、あくせら?」

一方通行「誰があくせらだ略すンじゃねェよコラ。つーかよォ展開が急すぎてついていけねェンだが」

 滝壺の一方通行な自己紹介に、一方通行は頭を抱えたのであった。
8 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:01:53.94 ID:1l+MHF0DO


 滝壺理后と名乗った少女が、一方通行の隣の席に座る。

芳川「じゃあ、担当研究者もいないし、今日はこの時間だけでおしまいよ。あとは二人で親睦でも深めてちょうだい」

 そう言うと、芳川が教室の扉に手をかけた。その動作を一方通行がの言葉が止める。

一方通行「おィちょっと待て。すべてを一からしっかり詳しく説明するまでは逃がさねェぞ」

芳川「……私はね、甘いだけで優しくないから。説明は、また明日担当の研究者にでも聞いてちょうだい。じゃあ、私は研究があるから。ばいばい」

一方通行「ふざけンなァァァァァ!!」

 そう言い残しそそくさと芳川は出ていった。

滝壺「大丈夫だよ、あくせら。私はそんななにがなんだかわからなくて混乱してるあくせらを応援してる」

一方通行「あいつ後で覚えてやがれ……。そして略すなって言ってンだよ」
9 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:05:00.20 ID:1l+MHF0DO


 芳川が出ていった教室で、仕方なく一方通行が滝壺に尋ねる。

一方通行「で、だ。……なンでてめェは、このクラスに来ることになったンだよ?」

 ……そう。それが、一方通行がここまで混乱する理由のすべてであった。

 ここは、一方通行という少年のために作られた特別クラスである。よって、《一方通行》という能力を開発するためだけのクラスなのだ。

 当然、他の能力者に同じ時間割りを組んでも、まったく効果はない。さらに、一方通行は超能力者である。たとえ滝壺が、一方通行と同系統の能力を保持していたとしても、一方通行の時間割りで行うことはできない。……それこそ、彼女が《一方通行》の超能力者でもない限り。

滝壺「……わからない」

 そんな一方通行の疑問に対し、滝壺が簡潔にひとことで答えた。

一方通行「はァ? なンで張本人のてめェが知らねェンだよ」

滝壺「何も聞いてないから。急に昨日、この教室に移動することになったの」

一方通行「……てめェ、能力はなんだ? 強度《レベル》は?」

滝壺「大能力《レベル4》の、能力追跡《AIMストーカー》だよ」

一方通行「能力追跡……?」

 一方通行が、不思議そうな声を上げた。

 学園都市最強の名を持ち、また学園都市で一番の頭脳を持つ一方通行でも、能力追跡《AIMストーカー》という能力を聞いたことなど無かったからである。

一方通行「どンな能力だァ、そりゃ。この俺が知らない能力なァンて聞いたことねェぞ」

 一方通行が尋ねる。しかし、それ以上答える気はないのか滝壺はイスに座りぼけーとどこかを見つめ、

滝壺「……北北東から信号がきてる……」

一方通行「てめェはさっきから俺を舐めてンだな」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:08:25.66 ID:RgZvt6fHP
期待
11 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:17:28.89 ID:1l+MHF0DO


 一方通行が無理矢理問いただそうか本気で悩み始めた瞬間、授業の終わりを告げるチャイムが響いた。

一方通行「チッ、もうこンな時間かよ……」

 言いながら立ち上がる。芳川は、今日はこれで終わりだと言っていた。ならば、これ以上教室にいる意味はない。そして、明日になればわかることをわざわざこれ以上滝壺に聞いてもしかたない。

一方通行「コンビニでコーヒーでも買って帰っかなァ……」

滝壺「私苦いの苦手だよ、あくせら」

一方通行「知らン」

 ったくマジめンどくせェことになったなァ、と呟きながら一方通行が教室から出ていった。滝壺も立ち上がると、一方通行の後ろに続く。
12 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:19:49.75 ID:1l+MHF0DO


 ほぼ同時に教室を出た二人は、そのまま学校を出るのもほぼ同時になった。

 一方通行が、後ろについてきている滝壺を完全無視しつつそのまま寮の方へ向かおうとすると、前方に見知った顔を見つけた。

??「よお色男。女の子はべらせながらもう下校か? まだまだ今日は始まったばかりだぜ」

一方通行「うるせェよホスト崩れのメルヘン野郎。てめェこそとっくに登校時間はすぎてるはずなンだがなァ」

 そこに居たのは、一方通行と同じ長点上機学園の生徒で、さらに一方通行と同じ超能力者《レベル5》の一人、垣根帝督と、

??「垣根にだってメルヘンな自覚はあるから、それは悪口にはならないよ。ね、垣根?」

垣根「オイ、フォローになってねぇぞコラ。つーか俺の首絞める気満々だな。お前はどっちの味方だ」

 垣根といつもツルんでいる少年だった。(一方通行は、彼の名前を知らない。とくに興味もなかった)

垣根「初めましてお嬢さん。俺は、この細くて白いのと同じ、超能力者の一人垣根帝督って言うんだ。君の名前はなんだい?」

 垣根が、まるでホスト崩れのような口調で滝壺に話かける。しかし滝壺は、垣根のことなど目に入っていないのか、明後日の方向を見てぼけーとしている。
13 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:22:26.37 ID:1l+MHF0DO


少年「あはは、フラれちゃったね垣根」

垣根「うるせぇ。つーか第一位さんよぉ、マジでこの子だれ?」

一方通行「てめェみたいな三下に教えることなンざ一つもねェよ。どうしても知りたかったら、そこで土下座しながらメルヘンって三回鳴きやがれ」

垣根「してたまるか。つーかメルヘンって鳴き声どんな鳴き声だコラ。いいぜ、ホントはどっちが上なのか、ここで第一位様に思い知らせてやろうか、あぁ!?」

一方通行「は、弱い犬ほどよく吠えるってなァ。いいか、なンで俺とオマエが第一位と第二位に分けられてるか教えてやる。その間に、絶対的な壁があるからなンだよ」

垣根「知るかよ、んなこと。この俺、未元物質《ダークマター》に常識は通用しねぶふっ!?」

 垣根の隣に立っていた少年が彼の口を無理矢理止める。

少年「ハイハイわかったからそろそろ行くよ垣根ー。もう授業始まるだろ?」

垣根「てめコラ決め台詞中に殴んな引っ張るな引きずんなぁぁ!!」

一方通行「ふン。ぶざまだなあメルヘン野郎」

滝壺「じゃあね二人とも」

垣根「またねーかわいこ子ちゃん!! そしてクソモヤシ後で覚えてろや!!」

 垣根の負け惜しみを完全無視しつつ、一方通行と滝壺は帰路についたのだった。
14 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:24:22.44 ID:1l+MHF0DO


 一方通行は今度こそ自分の住んでいる寮へと向かった。やはり平日のこの時間、街に人影はあまり見当たらない。

 寮まであと少しというところまで来て、ついに一方通行が後ろを振り向き声を上げた。

一方通行「おいさっきからどこまでついてくる気なンですかァ!?」

滝壺「私も、寮がこっちだから」

一方通行「……あァそうですか」

 そのまま、二人はまた無言で歩き始める。気まずい雰囲気が二人を包んでいる気がした。

 普段、一方通行は他人との接触を取ることを極力押さえようとしている。この『力』が目覚めてから自身に誓ったことなのだ。

 一方通行は、あまりに強大な『力』を持っていた。それは、一方通行の意思とは関係なく、周りの人間を傷つけるほどのものであった。しかし、それは一方通行を傷つけることだけは絶対になかった。

 そしてそれは逆に言うと、一方通行以外の人間を守ることは、絶対にできない。

 幼くして『力』を身に付けた一方通行は、周りの人間を傷つけない方法は、自分が人間に近づかなければいいのだ、と結論づけた。

 しかし、学園都市最強と言う名は否応なく一方通行の周りに人を集める。そう、悪意を伴いつつ。

 そんな時、一方通行は自分の力を相手に見せつける。二度と自分に敵対しようと思うこともできないほどに、圧倒的な力をふるう。

 それは……

15 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:26:59.60 ID:1l+MHF0DO


 と、そこまで考えていた一方通行は、突然の悲鳴に我を返させられた。

佐天「引ったくりよぉ!! 誰かそこのやつ止めてぇぇ!!」

 ふと声のした方を見ると、倒れている少女と、バックを持って駆け出す男の姿があった。

一方通行「はァ……。めンどくせェなァ。なンつーか、不幸だァ……」

 一方通行は、極力他人と関わるつもりはない。しかし、目の前で起こった事件を無視するのも後味が悪い。

 男を追いかけようとした一方通行であったが、一歩目ですぐ足を止めさせられた。

一方通行「あン……?」

 男が、見当たらなくなっていた。人ごみはなく、そんなすぐに隠れられるようなところも無いはずなのに。

一方通行「ちっ、光学操作系の能力者か……」

 おそらく、能力を使って体を透過でもしているのだろう。残念ながら一方通行の能力はあくまで《ベクトル操作》。透過を見破る目は持っていない。おそらくすでに遠くまで逃げてしまっているであろう。

一方通行「チッ、無理だなァ、こりゃあ……」
16 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:30:50.01 ID:1l+MHF0DO


一方通行「おィそこのガキ。あン中になに入れてた」

 一方通行がまだ倒れて呆然としている少女に話かける。

佐天「えぇと、バックには今日は財布とかしか入ってなかった、かなぁ……。って、そ、それよりもさっきの奴を追いかけないと!?」

 立ち上がりながら少女が答える。そのまま走りだそうとする少女を一方通行が止めた。

一方通行「今からじゃもう間に合わねェよ。金しか入ってねェンなら諦めるンだな」

佐天「そんな……!? せっかくの創立記念日で休みだから、初春と一緒にガラガラのお店でウィンドウショッピングを満喫するはずだったのに!?」

一方通行「ウィンドウショッピングなら金いらねェだろうが!! だいたい取られンのが悪ィンだろ。それともなにか、お前は姿を透過しながら今も遠くへと逃げ続ける犯人を見つけることができるような能力でも持ってるっていうンですかァ?」

佐天「……ッ!?」

 少女が、悔しそうに唇を結んだ。

一方通行「……はァ。まァ、はした金くらいなら出してやっても……」

滝壺「大丈夫」

一方通行「……はァ?」

 今の今まで傍観を決め込んでいた滝壺が、ポケットからシャーペンの芯のケースのようなものを取り出しつつ言う。

滝壺「私の能力追跡《AIMストーカー》ならば見つけられるよ、あくせら」

 自信に満ち溢れた、しかしどこか辛そうな顔で。
17 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 19:32:34.22 ID:1l+MHF0DO

とりあえず今は以上です。また夜か明日書き溜めて来ます

一回の更新量はだいたいこれくらいの予定です
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:37:33.75 ID:4nR9lIXHo
乙なんだよ!
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:40:01.79 ID:S8wakLI90
これは…ッ!

期待
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:46:33.21 ID:ze/1rmWZ0
一方さんなら光学迷彩ぐらい見破る方法幾らでもあるだろ。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:48:40.97 ID:WlwwdjF60
クソッ!いいところで切りやがる!
とりあえず乙
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 19:56:56.62 ID:aAQAebrSO
そりゃ人の移動による気流変化感知とか、光のベクトルいじって迷彩無効化とかあるだろうけど、めんどくさかったって事でいいんじゃね?
そんな事言ったら、他人との接触嫌うはずなのに人助けする事自体……ってなるし、二次SSなんだから細かい所は目をつぶるべき

とにかく続きwktk
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 21:03:29.51 ID:Ze5qgRaGo
まぁ必死になって追いかける一方さんは
あんま想像できんわなww

乙!
このカップリングは期待せざるを得ない……
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 21:36:29.57 ID:bxz0CSdao
これは期待
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 22:01:54.41 ID:sKRiVptw0
即ブクマ入り
26 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/15(火) 22:45:48.68 ID:1l+MHF0DO
再開しますね
27 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 22:47:45.58 ID:1l+MHF0DO


―――

 結局コンビニに行き忘れてしまった。

 自分の寮に戻った一方通行は、冷蔵庫から買いだめしてあった缶コーヒー取りだして、お気に入りのソファに座る。

 やはり、もうこの銘柄は飽きてしまったらしい。まったくおいしく感じられなかった。まだ同じ物が冷蔵庫に五、六本入っていることを思いだし少しげっそりとする。

 ――あの後、結果だけを言えば犯人は捕まり、バックは少女の元へ取り戻された。

 どうやら滝壺の能力《能力追跡》は、他人のAIM拡散力場を記録・検索・補足するという能力らしい。その力を使い、犯人の居場所を一方通行に伝え、一方通行の力で光を操作し犯人の能力を解除、そして軽く気絶させたのだ。

 ……実際は滝壺の力を使わないでも、犯人を捕まえる事はできたはずであった。一方通行の力を以てすれば、透過を目では見破れなくても、見つける方法ならばいくらでもある。

 それをしなかったのはやはり、一方通行が幼いころ誓った通り、他人とできるだけ関わりたくなかったからである。
28 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 22:51:12.01 ID:1l+MHF0DO


 逃げた犯人を、その場で捕まえることだけならば別に構わなかった。気絶だけさせてすぐに立ち去ればよいのだから。

 しかし、犯人が遠くまで逃げてしまったのならば話は別だ。犯人を捕まえ、少女の元へと戻らなくてはならない。

 一方通行には、それが苦痛なのであった。

 だから、滝壺の力で犯人を見つけ捕まえた後、犯人を彼女に押し付けるつもりであった。

 しかし、そうはいかなかった。いや、できなかった。

 犯人を見つけた後すぐに、滝壺が倒れたのである。

 どうやら、能力を使った副作用らしい。(一方通行は、今まで、能力のによる副作用など聞いたことがなかった)

 結局一方通行が犯人と滝壺を抱え少女の元へと戻り、少女の友達であるらしい、頭がお花畑な風紀委員《ジャッジメント》が来るまで待つことになり、さらには滝壺を家まで送るというはめにまでなったのであった。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 22:55:09.45 ID:Bso87okDO
あぁ……またスレを追い掛ける作業が増えるのか……支援
30 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 22:56:17.10 ID:1l+MHF0DO


一方通行「はァ……。なンなンだよこの不幸は……」

 ぼそりと呟き、再びコーヒーを飲もうとするが、いつの間にか飲み干していたらしい。缶からは数滴たれるだけだった。

 ゴロリ、とソファに横になる。そして、ふと思い出す。

 犯人を少女の元へ連れ戻った時の、少女の言葉を。



 ――ありがとう。



 ……まったく。感謝の言葉など、言われたのはいつ以来であろうか。

 と、そこまで考えていると、部屋の呼び鈴が鳴るのが聞こえた。まったく、今日は何度も思考を邪魔される日だ。

 しかし、一方通行は動こうとしない。普段この部屋に訪れる者などほとんどいないし、今来たのが誰だかは予想がついているからである。

 おかしいはと思ったのだ。滝壺を家まで送る途中、やけに見覚えのある道ばかり通るな、と。





 ……そう。滝壺理后の寮は、一方通行と同じ寮。それも、一方通行の部屋の隣の部屋であった。
31 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 22:57:46.65 ID:1l+MHF0DO



 まったく、何の冗談なんだこれは。

 つい先日まで空き部屋だったはずなのに、いつの間にかクラスメイトが引っ越して来るなんて、何かの悪意を感じる。

 いまだに鳴り続ける呼び鈴がうるさいので、音を反射すると、一方通行は眠りについたのであった。




32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 22:57:50.79 ID:sXUZg0fIO
実に興味深い
33 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 22:58:58.75 ID:1l+MHF0DO



―――



 夢を、見ていた。



 どんな夢かは、思い出せない。



 思い出したく、ない。



34 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 23:00:48.73 ID:1l+MHF0DO


―――

一方通行「ン……?」

 目を覚ました一方通行が最初に見たものは、付けた記憶のない蛍光灯だった。

 疑問に思いながら、音の反射を解除してみる。すると、誰かの寝息が聞こえた。

一方通行「……?」

 立ち上がる。そして、なんとなく自分のベッドを見てみる。なにか、本来自分の部屋にはありえない色が見えた気がしたからである。

 そこには……。




一方通行「なンでてめェがここで寝てンだよ滝壺ォォォ!!」

 すやすやと気持ちよさそうに眠る、ピンク色のジャージを着た滝壺理后がいた。
35 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 23:02:52.88 ID:1l+MHF0DO


滝壺「ふわぁ……。おはよ、あくせら」

一方通行「おゥ、おはよう。……なンて言うとでも思ったかァァァ!!」

滝壺「ひ、ひたひよはふへら……」

 ぐいぐいと、滝壺のほっぺたを引っ張る。おそらく「痛いよあくせら」とでも言っているのであろうが、手を離すつもりはない。



一方通行「で、なンでここにいるンだよ」

 一通り引っ張りを楽しんだあと、まだほっぺたを押さえている滝壺に一方通行が尋ねた。

滝壺「呼び鈴鳴らしても出なくて、鍵が開いてたから……」

一方通行「だからって勝手に入ンじゃねェよ」

 少しすねたように滝壺が言うのに対し文句を言うものの、鍵を閉めなかったのは自分の落ち度である。

滝壺「とりあえず電気つけて、それで、あくせらが寝てるの見てたら私も眠くなっちゃって……」

一方通行「で、ついついベッドで寝てしまった、と。……ふざけンな」

 ちなみに、現在の時間は六時を回っている。完全に眠りすぎである。(寝たのは昼前)
36 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 23:07:38.85 ID:1l+MHF0DO

滝壺「あくせら、お腹へった」

一方通行「わかった。帰れ」

滝壺「うん。じゃあね、あくせら。また明日」

一方通行「おゥ」

 やけに素直だな、と考えつつ、滝壺を見送る。そして、滝壺が部屋が出る瞬間、ふと思った。

一方通行「そういやお前、一体なにしに来たンだよ?」

滝壺「……あれ? なんだっけ……」

一方通行「あァもういいわかったから帰れ」





 こうして、二人の出会いの日は終わる。





滝壺「あ、思い出した……」

 夜、滝壺は部屋で一人呟いていた。


滝壺「部屋まで背負ってきてくれて、ありがと。あくせら」

 その呟きを、聞いた者はいない。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 23:08:58.58 ID:Bso87okDO
あと、ハイパーにチラ裏だが
地の文ありなら、○○「」じゃなく、「」のみのほうが読みやすいし雰囲気出ると思うぞ

偉そうに言ってしまったが
余計なお世話スマン
>>1が一番書き易いように書いてくれ
このスレは随分久しい良スレの予感がする
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 23:10:34.50 ID:jHoCw79K0
そうか?
分かり辛いから名前あってもいいだろ
39 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 23:10:52.66 ID:1l+MHF0DO


行間



 樹形図の設計者《ツリーダイアグラム》。学園都市が誇る、世界で一番賢いと言われているスーパーコンピュータ。

 より完全な天気予報を行うためという名目で作られたこれには、もう一つの顔がある。

 それは、地上から送られる実験を予測演算することだ。

         ・・
 そして今、新たな二つの予測演算の依頼がされた。

 その実験の内の一つの名は、






     レベル6シフト
  ――絶対能力進化






40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/15(火) 23:14:46.55 ID:0hzXpah10
更新キタ!
41 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/15(火) 23:16:29.41 ID:1l+MHF0DO


今日の更新は以上です

>>37
ご指摘ありがとうございます
しかし自分的には名前があった方がわかりやすいので、このままでいこうと思います



ってかレスめちゃくちゃついて感謝感激だ……
期待に応えられるように頑張りまっす

では次の更新はおそらく明日です

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 23:18:20.42 ID:XR1a6Vj1o

いいね、とてもいい
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/15(火) 23:38:25.11 ID:4wSQ8Z1AO
超乙
期待してるぜ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 02:02:54.81 ID:EDT68CNqo
この組み合わせは俺は見るの初めてだな
期待
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 09:12:43.27 ID:mskLF5Dr0
期待するしかないだろ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 11:53:26.03 ID:80Gm+gFl0
一方追跡か、この二人は案外相性が良さそうだな

実はLV6へ進化させるのは一方さんじゃなくて滝壺な予感
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/16(水) 16:32:44.21 ID:V2Dogwg40
>>  ・・
新たな二つの予測演算の依頼

もう一つの依頼内容が気になるな
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 22:17:44.72 ID:+BOfh0pDO
>>46
お前はネタを潰した「かも」しれなくて

>>47
お前はスッカリ忘れてた伏線をハッキリ意識させてくれたね
49 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/16(水) 22:26:29.25 ID:DPsaNitDO

こんばんは

いやーまさか新約の表紙がロリンダとは……って感じですね

番外個体がよかったけど二巻続きじゃさすがに無理かwwwwwwwwww

では再開します


50 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:34:48.67 ID:DPsaNitDO


―――

 次の日。

 昼間の寝すぎによる寝不足が原因で、軽くふらつきながらも、一方通行は学校へと辿り着いた。

 教室に入ると、すでに彼の隣の席に少女が座っているのが見えた。どうやら彼女は昨夜ぐっすりと眠れたらしい。

滝壺「おはよ、あくせら」

一方通行「……おゥ」

 昨日と同じようなやりとりだが、テンションはまったく上がらない。

 時間まで一眠りでもするかなァ、と思ったのだが、無情にも教室の扉が開いた。
51 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:37:06.94 ID:DPsaNitDO


 入ってきたのは二人の男だった。

 一人は、現在一方通行の開発を担当している研究者の内の一人である。

 しかし、もう一人は一方通行の知らない男であった。

一方通行「あァ? 誰だァそいつ」

 一方通行が研究者に訊ねる。研究者は一瞬怯えの表情を見せたが、すぐに表情を消して答える。

研究者A「こちらは、現在滝壺理后の開発を担当している研究者、木原だ」

木原「どうも、木原です。……君が一方通行か。数多に話は聞いているよ」

 木原、と言われた男が答える。すらりとした体型で、やはり白衣を羽織っている。

一方通行「あン? あのびびり野郎の親戚かなンかかァ?」

 数多。フルネームは木原数多と言う。以前一方通行の開発を担当していた研究者の名前である。一方通行の高すぎる才能に恐れを為した無能な研究者の一人だ。まあ、一方通行が知っている研究者という生き物は、ほとんどが木原数多と同じようなものだが。

 例外はおそらく、芳川桔梗くらいであろう。

52 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:41:39.20 ID:DPsaNitDO


木原「ああ、数多とは、いとこ同士でね。いやー君の話はホント色々聞いてるよ。たとえば……」

研究者A「木原、そんな話は後にしろ」

 木原の話を研究者Aが止める。あのインテリびびりくんが、彼にどんなことを話していたのかは少し興味があったが、今はもっと大切なことがある。

一方通行「でェー。その木原くン二号が、なンでここに? まさか、この教室で俺とこのガキの時間割りを別々にやる、ってンじゃあねェよなァ?」

研究者A「……その、まさかだ」

一方通行「はァ!? なンだァそれ。まったく意味ねェじゃねェか。頭イカれたのは芳川だけじゃなくて、てめェら研究者全員だったのかァ?」

木原「しかたないだろ? ……統括理事会直々の命令なんだから、さ」

 統括理事会、とは学園都市の運営に携わる、トップの十二人で構成されている委員会のことである。学園都市の司法や行政、軍事から貿易まで掌握している。しかし……

一方通行「理事会がこンなアホな真似を? あのじじばばどもついにボケやかったのか……?」

 さっぱり、意味がわからない。

 そして、当の本人は……

滝壺「……南南西から信号がきてる……」

一方通行「オマエも少しは人の話聞こうとしろ」

滝壺「あいたっ」

 ぺし、とベクトルチョップを滝壺の脳天に食らわせた。
53 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:45:12.19 ID:DPsaNitDO


―――

 その日の全ての時間割りが終わり、帰り道を進んでいく一方通行と滝壺。

 あの後の、二人から聞いた話をまとめるとこうなる。

 まず、数日前突然一方通行と滝壺理后の研究者の元へと統括理事会から指令があったということ。

 その内容は、滝壺理后を一方通行の特別クラスへと移す。そしてそこで別々の時間割りを受けさせるというものであったらしい。理由はいっさい説明されず、ほぼ強制的だったらしい。

 ちなみに、滝壺の部屋が一方通行の部屋の隣になったのは偶然らしいが、実際は定かではない。

 さて、どうしたものだろうか。いくら学園都市最強とはいえ、一方通行もただの一生徒である。統括理事会に歯向かうのはなかなかめんどくさい。

 そして、まだ奴等の考えが一つも読めなかった。この状況では、下手に動くのは得策では無いだろう。
54 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:49:06.39 ID:DPsaNitDO


 そこまで考えた一方通行は、ふと、昨日コーヒーを買い忘れたことを思い出した。

滝壺「あれ、あくせらどこ行くの?」

一方通行「コンビニ」

 帰り道からはずれた一方通行に疑問を抱いた滝壺が訊ねるのに簡単に答えると、またコンビニのほうへと歩き出した。

滝壺「私も行く」

 一方通行の後ろについて歩く滝壺。一方通行は完全に無視して進む。

 コンビニにたどり着く。そして中に入る二人。すると……

??「なんでカードが認証されないんだよぉぉぉぉ!?」

 ATMの前で絶叫する少年がいた。しかし、一方通行には関係がない。

一方通行「買い終わったぜェ」

滝壺「じゃあ帰ろうか、あくせら」

??「不幸だぁぁぁぁぁぁ!!」

 謎の不幸少年(一方通行命名)の絶叫を完全に無視しつつ、二人はコンビニを後にしたのであった。
55 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:50:30.15 ID:DPsaNitDO


??「あれ、もしかして滝壺さんじゃないですか?」

 再び寮へと向かう一方通行と滝壺に、後ろから突然声がかかった。

 ふと後ろを振り向く一方通行。そこには、見かけ12歳位の大人しそうな少女がいた。服装はふわふわしたニットのワンピースで、なかなか際どい丈の長さである。

滝壺「久し振りだね、きぬはた」

絹旗「やっぱり滝壺さんですか!! ホントに超久しぶりですね。えぇと、滝壺さんが施設から出て以来ですので、ざっと三年ぶりくらいですかね?」

滝壺「そうだね」

一方通行「誰だァこのチビ?」

絹旗「チビとはあなた超失礼ですね。これでも私は超中学生ですから」

 少女の名前は、絹旗最愛。大能力《レベル4》の窒素装甲《オフェンスアーマー》を持つ少女である。
56 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:52:58.39 ID:DPsaNitDO


一方通行「つか、施設だァ?」

絹旗「……この私を完全無視とはやはりあなた超失礼です」

滝壺「置き去り《チャイルドエラー》の施設のことだよ」

 置き去りとは、学園都市における社会現象の一つである。原則、入学した生徒が都市内に住居を持つ事となる学園都市の制度を利用し、入学費のみ払って子供を寮に入れ、その後に行方を眩ます行為のことだ。

絹旗「その施設で、私と滝壺さんは超一緒だったんですよ」

 別に、珍しいことではない。置き去りは年々増加していると聞くからだ。そして、そんな彼らを使い、非人道的な実験を行うチームもいると聞く。

滝壺「私は、この特別な能力を買われて、別の研究所に移されたんだよ」

一方通行「ふゥン……」

 どうやら滝壺は、そんなチームには捕まらなかったらしいなァ、と一方通行は考える。
57 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 22:57:12.66 ID:DPsaNitDO


 ところで、と言いながら絹旗が言葉を発する。

絹旗「滝壺さん、まだ《体晶》を超使ってるんですか……?」

滝壺「きぬはた、私は大丈夫だよ」

 体晶と言う名は前に聞いたことがある。確か、暴走能力の法則解析用誘爆実験に使われた、意図的に拒絶反応を起こさせ能力を暴走状態にする為の薬品だったはずだ。

 絹旗の言った言葉を聞き、一方通行はふと昨日滝壺が持っていたシャーペンの芯のケースのような物を思い出した。同時に、滝壺の昨日の《副作用》に思い当たる。

一方通行「なるほどなァ。体晶を使い暴走状態になることが、お前の能力の使用条件か」

滝壺「うん」

絹旗「でも、あれは滝壺さんの体を蝕んでしまうんですよ!! あまり使わない方が……」

滝壺「大丈夫」

 絹旗が心配そうに声を上げるのを、滝壺が一言で封じた。

滝壺「大丈夫だよきぬはた。……私は、学園都市のための実験体、モルモットみたいなものだから。私が倒れても大丈夫」

絹旗「そう言う問題じゃ……」

滝壺「それに、置き去りになっていた私を救ってくれた学園都市に、恩返しができるから……」

 滝壺が、絹旗を見つめる。その瞳には、強く、しかしどこか諦めたような意思があると、一方通行は気づいた。

絹旗「……まあ、滝壺さんがそこまで言うなら、もう止めはしません」

 と、説得を諦めた絹旗が滝壺に言った。そして、一方通行の方を向く。

絹旗「あなた、一方通行ですよね?」

 なンだァ? と不思議そうに言った一方通行に、まったく予想もしていなかった言葉が告げられる。
58 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 23:00:34.71 ID:DPsaNitDO


絹旗「『暗闇の五月計画』」

一方通行「……!?」

絹旗「……私は、その被験者なんですよ」

 『暗闇の五月計画』。それは、置き去りを使い実験開発等を行っているチームの一つのことだ。一方通行の演算パターンを参考に、置き去りを使い、各能力者の自分だけの現実《パーソナルリアリティ》を最適化しようとしたのであった。

 たしか一定の成果はあげたものの、目標としていた超能力《レベル5》には及ばなかったと聞く。

一方通行「で、だからなンだって言うンだよ。あれか、復讐かァ? 確か被験者の自分だけの現実をメチャクチャにするほどの、つらァい実験だったと聞くからなァ」

 そう。おそらくこの少女は一方通行を恨んでいるはずだ、と一方通行は思う。『暗闇の五月計画』の被験者達は、自分だけの現実を一方通行のパターンに合わせるために物凄く苦しい実験を受けたと聞くからだ。

 しかし、少女は

絹旗「いえ、むしろ超感謝してるくらいですよ」

 一方通行のまったく予想だにしない言葉を告げる。
59 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/16(水) 23:05:18.23 ID:DPsaNitDO


一方通行「は? 訳がわかンねェなァ。恨みこそされ、感謝されるなンつーこったァありえねェだろうがよ」

絹旗「超簡単なことですよ。もしもあなたがいなければ、もしも『暗闇の五月計画』の被験者になっていなければ、おそらく私は『プロデュース』を超受けることになっていましたからね」

 『プロデュース』。これもまた、置き去りを使い実験開発等を行っているチームの一つである。その実験の被験者は、自分だけの現実《パーソナルリアリティ》は脳のどこに宿るのかを調べるために、クリスマスケーキのように脳みそを切り分けられたという。まさにイカれた集団だと聞いている。

一方通行「は、だからって感謝だと……。お前も相当イカれてやがンなァ」

絹旗「それに、『暗闇の五月計画』だってあなたのせいにする気は超ないんです。自分の悲劇を、他人のせいにしようなんて私は思いませんから」

一方通行「……」

絹旗「じゃあ、私はこれから仕事があるんで超失礼しますね。あ、滝壺さんたまには連絡くださいね!! じゃあまた……」

滝壺「うん。じゃあねきぬはた」

絹旗「はい。さよなら滝壺さん。そして一方通行。またいつか超会いましょうね。今度はゆっくりとお話ししましょう」

一方通行「てめェと話すことなンざねェよチビ」

絹旗「やっぱ後で[ピーーー]まじ[ピーーー]超[ピーーー]」

 ボソボソ言いながら走っていく絹旗を見つめながら、ふと、一方通行は疑問を口にする。

一方通行「……仕事、だァ?」

60 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/16(水) 23:09:19.76 ID:DPsaNitDO


今日の更新は終わりです

って>>59間違えた……orz
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 23:15:29.92 ID:cY1T//h80
1乙!!

滝壺通行は殆ど見ないけど、面白い!!

次回も楽しみにしてますぜー
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/16(水) 23:31:27.49 ID:AY+d8T6Go
おつあ

安定のモアイちゃんに木原ファミリーも来たか…
さあここからどうなる
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 19:15:11.28 ID:vYpWB84IO
モアイちゃんテンション高いな
原作よりは幸せな人生を歩んでいそうだ
64 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/17(木) 20:54:13.41 ID:wDny6cLDO


すいません

ちょっと構成を考えなおしているので、今日の更新は無しです

もし書けたら、深夜くらいには更新するかもです


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 21:28:08.59 ID:5/GXqbq30
深夜まで張り付くしかないだろ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/17(木) 21:52:14.75 ID:Vp8kyTVAO
そんな中は俺は能力止めという妄想をしていた
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 00:14:27.33 ID:Bwpoc2010
最近窒素通行はあちこちで見るが追跡通行は初めて見た
いいぞもっとやれ
68 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/18(金) 00:21:44.62 ID:z7dPcu1DO


こんばんは

えーと、行間とほんの少しだけですが更新しますね


69 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 00:26:40.47 ID:z7dPcu1DO



行間


 夜。人がまったく通らないような暗い路地裏。そこを男が必死に走っている。その顔には恐怖のみが浮かんでいる。

 男は振り向かない。ただただ逃げる。逃げる。逃げる。くねくねと路地を走り、後ろの『彼女等』に追い付かれないように。

 そんな男をあざわらうかのように、数多ある障害物を撃ち抜いて、謎の光が男を包んだ――



「ちょっと麦野ー。とどめをさしたからって、お金一人占めはだめだからねー」

「うっさいわよフレンダ。あんたじゃあるまいし、だーれがそんなせこい真似するかっての」

「ちょっと聞き捨てならないよ麦野!! 結局、いくら私だってそんなことしないって訳よ。ってあれ、絹旗なんか機嫌がよさそうだね。なにかあったの?」

「なになに? 彼氏でもできたのかにゃーん?」

「いえいえ、ただ超懐かしい人と、超会いたかった人の両方と出会えただけですよ」

「「??」」




 少女達の会話が響く、学園都市の夜はふけていく――


70 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 00:27:35.86 ID:z7dPcu1DO


―――

 朝日がさんさんと照りつける中を、一人の少年が歩いている。

 眠そうにあくびをしながら歩く彼の名前は垣根帝督。長点上機学園に通う超能力者《レベル5》だ。

 長点上機学園には、垣根を含め三人の超能力者が通っているが、その中でも彼は学園に一番友人がいるであろうと自負している。

 その持ち前の軽さで誰にでもひょうひょうと話しかけるからだ。

 しかしそんな垣根ではあるが、本当に心を許している人間は一人しかいない。

 ……まあ、一人いるだけでも幸運なのかもしれないが。

71 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 00:28:42.76 ID:z7dPcu1DO


 その垣根が唯一心を許す少年とは、実は能力開発を始める以前からの知り合いである。十数年来の友人なのだ。

少年「なにたそがれてるんだい?」

垣根「うぉ!?」

 立ち止まっていてしまったらしい。思考の世界を漂っていた垣根は少年の声で我に帰る。

少年「ほら、そろそろ行くよ。授業までもうすぐだろ?」

垣根「ああ」

 特別クラスに通う垣根だが、始まる時間は他と変わらない。

垣根「さぁて、行くか」

 そういうと、垣根は学校へと向かっていった。彼の唯一無二の親友と共に。







 ――そんな日常が、ずっと続くと、無意識の内に信じて。


72 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 00:31:32.97 ID:z7dPcu1DO


とりあえずいまはこれだけで

また明日からは超更新予定です

……自分の文章力が妄想力に追い付かないのがくやしいwwwwww


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 01:13:49.51 ID:GW4Q7UFdo
まさかこれは暗部落ち前ていとくんか

追跡通行といい、ていとくんの過去といい、目新しいネタが多くてすごく楽しみだわ
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 01:13:54.02 ID:c/b986WAO

楽しみにしてる
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 03:17:19.88 ID:xHL6ING+o
おもしれー!おつ!
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/18(金) 15:15:14.82 ID:D9+BY2rAO
興味深いので、これからも続けてください。
77 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/18(金) 23:54:22.12 ID:z7dPcu1DO


こんばんは

続き投下します

78 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 23:55:12.08 ID:z7dPcu1DO


―――

 人は慣れる生き物だと言う話を聞いたことがあるが、まったくもってそのとおりだと一方通行は思う。

 一人の少女が特別クラスに来て三日目。教室に机が二つ並んでいる光景を見ても新しさを感じなくなっていた。

 そして、机にだらっと手足を投げ出したまま、どことも言えないところへと視線を漂わせるその少女、滝壺理后の姿にも。

滝壺「……南から信号が来てる……」

一方通行「なンだかなァ……」

滝壺「どうしたの? あくせら」

一方通行「なンでもねェよ……」

 教室の扉が開き、今日もまた授業が始まる。
79 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 23:57:35.28 ID:z7dPcu1DO


 一方通行専用の時間割り、とは言っても実はあまりやることはない。

 というより、やれることがない、と言った方が正しいかもしれないが。

 一方通行の能力はつまり《ベクトル操作》。運動量・熱量・光・電気量etcといったあらゆるベクトルを観測し、触れただけで変換する能力。

 その力は絶大で、おそらく核兵器の直撃を受けても傷一つつかないであろう、あまりにも強大で圧倒的な力。

 それゆえ、もうこれ以上の開発はまったくの意味をなさない。そう、もうこれ以上上に行くことはできない、と一方通行は思う。

 一方通行は学園都市、いや地球上でおそらく最強の存在だ。しかし、最強だからこそ、いや、最強ゆえにと言うべきか、彼の敵は多い。一方通行には、どうやったって敵うはずがないというのに―――


80 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 23:58:06.97 ID:z7dPcu1DO


―――

 授業が終わり、寮への道を進む一方通行。昨日と同じく後ろには滝壺がいるが、もはやそれにも慣れたのか歩くペースは滝壺と同じだ。

 しかし、突然一方通行が立ち止まる。

滝壺「ふにゃ!?」

 惚けながら歩いていたのか、目の前に立ち止まる一方通行にぶつかり倒れる滝壺。一方通行は反射によってよろめきもしない。

滝壺「ど、どうしたのあくせら?」

一方通行「おいガキ、先に帰ってろ」

滝壺「またコンビニ?」

 いや、前置きをして一方通行は返事をする

一方通行「ちょっと野暮用思い出したンだよ」
81 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/18(金) 23:59:28.71 ID:z7dPcu1DO


 滝壺が見えなくなったのを確認すると、一方通行は寮とはまったく違う方向へと歩きだした。

 そのまま、路地裏へと歩いていく。そして振り向いた。

一方通行「おィ、ここなら誰も見てねェだろ。早く出てこい」

 一方通行の掛け声とともに、五人の不良のような少年が現れた。

不良B「てめえ何時から気付いていやがった」

不良C「ったくよぉ、女だけ逃がすとかヒーロー気取りかぁ?」

不良D「にひゃひゃ!!」

不良A「かぁくごしてもらうぜ。今日がてめえの命日だ。そして学園都市最強の名はこのおれ不良Aがいただくぜぇ」

不良E「いよっ!! 不良A様かっこいー!!」

 はァ……と軽くため息をつく一方通行。そして空を見上げ言う。

一方通行「やっぱ俺の日常はこっちだよな……」
82 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:00:59.84 ID:2Hy5JusDO


不良A「てめぇら、やっちまえー!!」

 その声を合図に、四人の不良が一方通行に飛びかかる。

 一人は金属バットで。一人はチェーンを振り回し、一人は蹴りを、もう一人は噛みつきで。

 しかし、一方通行にはすべてが届かない。一方通行の《反射》によって四人全員が倒れる。

不良C「くそがぁ!?」

不良D「あひゃあぁぁああぁぁぁ!?」

不良E「歯が、歯がぁぁぁ!?」

一方通行「ふン……。これで終わりかァ? なっさけねェなァ。もっと楽しませてくれよ、あァ!?」

不良A「チッ……。やっぱ無能力者《レベル0》どもは使えねぇなあ……」

 あン? と答える一方通行。

不良A「おれはなぁ。大能力者《レベル4》の電撃使い《エレクトロマスター》だぁ!! さあ[ピーーー]ぇぇぇ!!」

 不良Aの手から、バリバリバリ、となかなか強力な電流がほとばしる。

83 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:02:34.80 ID:2Hy5JusDO


 しかし、当然ながら一方通行には届かない。反射により、電撃は不良Aに向かう。

不良A「ぐわぁぁぁ!? しびれるぅぅう!!」

 どうやら電撃使いだけあって電撃に少しは耐性があるらしく、そこまでのダメージは負っていない。

一方通行「バカかァ、こいつら……」

 一方通行が呟く。

不良A「ひぃ……すいません……」

 体へのダメージは少ないものの、渾身の一撃を軽く返された不良Aはすでに戦う意思を無くしていた。それは彼の仲間も同じである。

一方通行「まァ俺に挑もうとする時点でバカは確定してるかァ……」

 そんな彼等を見下ろしながら、まるで引き裂かれたような笑みを浮かべ


一方通行「そンなバカどもは、しっかりと教育してやンなきゃなァ」

84 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:03:24.07 ID:2Hy5JusDO


―――

 ふゥ、と一息吐くと、自室のソファに座りお気に入りのコーヒーを一飲みする一方通行。

 なんだか、久し振りのような気がした。こんなに暴れたのは。

 なぜだろう、ほんの数日前まではこんな日常を過ごしていたはずなのに。

 それだけ、平和ボケしていたということであろうか。滝壺が現れてからの数日に《慣れ》を覚えていたのはやはり勘違いだったのだろう。

 やはりこれが、一方通行の日常なのか。

一方通行「……一眠りでもすっか」

 と、ベッドへと向かおうとする一方通行の足を、部屋の呼び鈴の音が止めた。

一方通行「あァ……?」

 おそらく滝壺であろうか、と考え鍵を閉め忘れたことを思い出す。

 案の定、扉が開く音が聞こえた。

85 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:04:06.46 ID:2Hy5JusDO


滝壺「こんばんは、あくせら」

一方通行「てめェ、勝手に入ってくンじゃねェよ」

滝壺「だって、鍵が開いてたから……」

一方通行「だからって入ンじゃねェ!! ……で、今日はいったいなンの用だよ。まさか今回も忘れたなンてことはねェよなァ」

 と軽口をたたく一方通行だが、ふと滝壺の目が珍しく真剣なのに気付き、首をかしげる。

 少し溜めて、それから滝壺が口を開いた。

滝壺「さっきの、私見てたよ」

一方通行「あァ?」

滝壺「路地裏まで、あくせらの後をつけたの。そして、見たよ。全部」

86 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:05:22.51 ID:2Hy5JusDO


一方通行「……そうかよ。で、どう思った? こンな人間のそばから逃げ去りたいとでも思ったかァ?」

滝壺「どうしてあんなことするの?」

一方通行「はァ? どうして、だァ? ンなの、あいつらがこの俺に刃向かってきやがったからに決まってるじゃねェか」

 滝壺の問いに、一方通行が答える。いかにも当然のように。

滝壺「じゃあ、なんでかれらが抵抗をやめた後にもあそこまでやったの?」

一方通行「はっ、それこそ決まってンじゃねェか。この俺に、学園都市最強の俺に、二度と挑もうなンて気を起こさせねェようにだよ」

滝壺「あくせらは、間違ってるよ」

一方通行「あァン?」

滝壺「暴力じゃ、なにも解決しないんだよ?」

87 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:07:00.19 ID:2Hy5JusDO


一方通行「ンなの、ただの綺麗事じゃねェか。いいか、教えてやるよ。俺に挑ンだところで、勝てるやつなンざァいねェ。いるはずもねェ」

 だがな、と一方通行は続ける。

一方通行「俺に挑もうとするバカどもはどンどン増え続ける。だからだ、そーいうやつは、二度と俺に挑もうとも思えねェようにしてやる」

 いままで誰にも告げてなかった自分の気持ちを、なぜか不思議とあっさり。

一方通行「そうすれば、俺に近づきさえしなければ、もう誰も傷つかないですむ。もう誰も傷つけないですむ。それが俺のだした結論なンだよ」

 誰も傷つけたくないから、自分に挑む相手を完膚無きまでに傷つける。

 そんな、一方通行の昔からの結論を

滝壺「嘘だよ」

 滝壺理后は、ひとことで否定した。
88 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/19(土) 00:08:27.26 ID:2Hy5JusDO


一方通行「なに?」

 ピクリ、と一方通行が反応する。

滝壺「あくせらは、嘘ついてる。でも、それにあくせらは気づいてない」

一方通行「……なンだと?」

滝壺「人を傷つけたくない。それは本心だよね」

 だけど

滝壺「あくせらは、結局人を傷つけてるんだよ」

滝壺「あくせらは、自分の力によって、自分の意思とは関係なく人が傷つき、そのことで自分の心が傷つくのが嫌なだけなんだよ」

滝壺「だから、自分から、人との距離をとる。襲ってくる人間は、自分の意思で傷つける。二度と近づいてこないように。自分がこれ以上傷つかないように」

89 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/19(土) 00:10:22.22 ID:2Hy5JusDO


今日はここまでです

……今回ほど自分の文章力の無さを恨んだことはない……

ではまた明日(今日?)
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:16:49.62 ID:DyZaMAQv0
大丈夫。そんな>>1を俺はおうえんしてる
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:37:31.22 ID:UvJnL5bAO
>>89
おk 舞ってる
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 00:58:36.08 ID:I7n6+2ZRo
>>91
お前24時間近く舞うのか・・・がんばれ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 01:10:16.40 ID:MYxfJ/0DO
期待大ですこのスレ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 01:40:14.74 ID:VtW5A4wJo
>>1乙!
長点上機学園の超能力者あと一人誰だろうな・・・・気になる
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 02:03:04.13 ID:couGeyWAO
ていとくんの親友が第6位とかな

とにかく続きが楽しみだぜ乙乙
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 02:24:47.19 ID:rCNciN//o
ていとくんの親友は後にゴーグルさんになるとか?
後輩の心理ちゃん、親友のゴーグルくんがていとくんの為に一緒に暗部まで落ちるってのも味があるな
親友死んでていとくん暗部入りの方がドラマチックだろうけど
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 02:49:12.97 ID:VkkIIl3Ao
私だ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 02:53:24.78 ID:7WOUh4wqo
なんだお前だったのか
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 11:09:55.69 ID:Bi5v8SIAO
おっと俺も忘れてもらっちゃ困るぜ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/20(日) 00:31:49.94 ID:XTMz6gpC0
ていとくんの親友が未元物質で作られた「親友役の自動人形」(ただしていとくんにその自覚無し)だったら面白いなと思った俺ぼっち
101 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/20(日) 09:33:24.11 ID:FXqlHrcDO

昨日は体調崩して寝てしまった……

今日の夜にこれたら更新します

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:14:55.60 ID:PV4pWJ6AO
お疲れ
無理は良くないが期待してるぜ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 12:20:38.31 ID:YFLgQp78o
wktk
104 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/20(日) 18:56:30.41 ID:FXqlHrcDO

こんばんは

更新します
105 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 18:57:55.75 ID:FXqlHrcDO


一方通行「てめェに、俺のなにがわかるってンだよ!! 悟ったような口きいてンじゃねェぞガキがァ!!」

 滝壺の言葉に、一方通行が激昂する。

滝壺「わかるよ」

一方通行「あァ?」

滝壺「私の能力は、能力追跡《AIMストーカー》。暴走させないと力の本質は使えないけど、普段の状態でも、この街に充満しているAIM拡散力場を感じることができるの」

一方通行「だからなンだよ」

滝壺「私にも初めてのことなんだけどね。あくせらの感情の波が、あくせらのAIMから感じるんだよ」

一方通行「……なに?」

滝壺「たぶん、あくせらのAIM拡散力場が強すぎるのかな。だからね、あくせらの気持ちがわかるんだ」

一方通行「……」


106 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 18:59:01.95 ID:FXqlHrcDO


一方通行「……どうしろってンだよ。俺の力は、俺しか守れない。周りの人間を傷つけることしかできねェンだよ……」

滝壺「そんなこと、ないよ」

一方通行「あァ?」

滝壺「あくせらなら、人を救える。あくせらなら、人を守ることができるんだよ」

一方通行「ンなこと、できるわけ……」

滝壺「できる。私と会った日にだって、できたもん」

 滝壺と出会った日。

 あの日、少女の財布を取り戻した時。

 少女に言われた言葉。



 ――ありがとう。



一方通行「……」

滝壺「それにね、あの日の夜、あくせらに私はこう言おうと思ってたんだよ」



滝壺「能力を使って倒れた私を、助けてくれて、ありがとう」



107 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 19:00:47.90 ID:FXqlHrcDO


一方通行「でも、でもよォ!! 俺は今まで、数えきれないほどの人間を、ボロボロにしてきたンだぞ」

滝壺「じゃあ、それ以上の人を救えばいい。あくせらならできる」

 どこか、だだをこねるような一方通行の言葉に、滝壺は断言するように答えた。

滝壺「あくせらは、これから傷つけた以上の人を救って。それでもし、あくせらが傷ついてしまうっていうんなら」





滝壺「私が、あくせらを守るから」






108 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 19:02:02.82 ID:FXqlHrcDO


一方通行「……。ふン。ガキが、知ったような口聞いてンじゃねェよ」

 そんな……、と滝壺が反論しようとするのを遮り一方通行が言う。

一方通行「おら、もう時間遅ェぞ。帰れ帰れ」

 そのまま、ずるずる滝壺を玄関まで引きずり外に放りなげる。

滝壺「うぅ……」

 なにか言いたそうにする滝壺を見て、一方通行が頬をかきながら言う。


一方通行「……また明日な」


 はっ、滝壺が一方通行の顔を見上げる。そして……

滝壺「うん。またね」


109 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 19:03:19.36 ID:FXqlHrcDO



―――


 今まで、自分が人を救えるなどと考えたことがなかった。


 今まで、自分が人を守れるなどと考えたことがなかった。


 考えようともしなかった。


 目をそらしていた。


 ―――諦めていた。


 俺は、今まで人を傷つけすぎた。


 それは、自分の諦めが原因だったのか。


 俺は、人を救うことができるのか?


 こんな俺でも。こんなクソッタレな俺でも。



 俺は―――



110 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 19:09:02.79 ID:FXqlHrcDO



行間


 ここは、とある研究所。そこに、一人の男が入っていく。

「やあ、よくあの病院を抜け出してこれたね」

 部屋のデスクに座る男が、入ってきた男へと話しかけた。

「俺の能力なら余裕だ。……にしてもよぉ、あのカエルみてぇな医者はすげえな。もう歩けるまで回復してやがる」

「まああの男も、だてに冥土帰し《ヘヴンキャンセラー》とは呼ばれてないだろうさ」

「まぁこんな話はどうでもいいか。……例のブツ、まじモンなのか?」

「ああ、間違いないよ。これさ」

 男が、デスクからなにかを取り出し、渡す。

「これが、幻想御手《レベルアッパー》か……。まさかマジで存在するとはなあ」

「ああ。これさえあれば、現在大能力者《レベル4》の君でも、一時的にあの超電磁砲《レールガン》を越す力を手にすることができるだろうさ」

「へっ……。これさえあれば、あの白モヤシにきっちりとおかえしができるぜえ。ありがとよ、ホントに礼はいいのかい?」

「ああ。……そうだ、それは使用後短時間しか作用しないから、ギリギリで飲むといいよ。そこに入っているすべてを一度に、だよ」

 まあなにをする気かは知らないが、と男は続けた。

「わかってるよ。じゃあな」

 男はもらったシャーペンの芯のケースのようなものをポケットに入れると、研究所からでていった。




 残された方の男が、外を歩く男を窓から見ながらポツリと呟く。

「実験体をギタギタにぶち壊して、限界を無視することが研究の第一歩、か……」


111 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/20(日) 19:09:51.41 ID:FXqlHrcDO

今はこれくらいで

また夜に更新予定です

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:41:03.89 ID:JRfo0OdAO
節子、それレベルアッパーやない!体晶や!
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 21:53:08.29 ID:K41fvAGAO
舞ってたぞ

乙。お大事にな
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 23:01:57.81 ID:sGphm+Gzo
滝壺限定サトラレータさんかわいい
115 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/20(日) 23:24:10.47 ID:FXqlHrcDO

更新します
116 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:25:43.08 ID:FXqlHrcDO


―――

 次の日。

 一方通行は、寝坊した。夜、なかなか寝付けなかったからである。能力を使い、ギリギリで学校へとたどり着く。サボろうかとも思ったが、滝壺に、『また明日』などと言ってしまった手前来るしかなかった。

 教室へ入ると、すでに滝壺が座っている。

滝壺「おはよ、あくせら」

一方通行「……おゥ」

 短く返事をすると、自分の机に座る。そしてそのまま、二人は無言でいた。

 すぐに教室の扉が開き、二人の人間が入ってくる。

 一人は、いつもどおりの木原。

 そして、もう一人は―――


117 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:27:04.53 ID:FXqlHrcDO


一方通行「……芳川」

 芳川桔梗だった。

芳川「今日は、一方通行は別教室よ」

一方通行「あン?」

 一方通行が疑問の声をあげる。

芳川「付いてきて」

 芳川は、ひとこと言うと教室を出ていく。

一方通行「ちょっと待ておィ。なンでお前はいっつも突然すぎるンだよ!!」

芳川「向こうに着いたら説明するから。さあ来なさい」

一方通行「……チッ」

滝壺「じゃあね、あくせら」

一方通行「おゥ」

 滝壺に返事をし、芳川の後ろについていく。
118 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:27:41.23 ID:FXqlHrcDO


 そのまま、芳川は学校を出ていく。

一方通行「おィ、教室を変えるだけだろ? なンで外行くンだよ」

芳川「さっきのは嘘よ。ホントは、研究所へ向かうわ」

一方通行「研究所、だァ? なンかまた無駄な実験でもすンのかよ」

芳川「ええ。ただ、無駄かどうかはわからないし、やるかどうかは貴方しだいだけどね」

一方通行「あァン?」

芳川「着いたら説明するわ。……っと、話してる間に着いたわね。ここよ」

一方通行「蘭学医療研究所……? なンだよ、俺になァにさせる気だァ?」

芳川「あなたにとって、悪い話ではないはずよ」

 そういいながら、研究所の奥へ進む。そして、とある部屋にたどり着いた。

119 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:29:57.11 ID:FXqlHrcDO


一方通行「さァて、と。一体なンの用か説明してもらおうか」

芳川「ええ」

 と言いながら、二十枚近いレポート用紙を取り出す。

芳川「これに、すべて書いてあるわ」

一方通行「ふン」

 言いながら、渡されたレポート用紙を見てみる。そこには、こう書いてある。




『量産異能者《レディオノイズ》「妹達《シスターズ》」の運用における超能力者《レベル5》「一方通行《アクセラレータ》」の絶対能力《レベル6》への進化法』




120 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:31:56.10 ID:FXqlHrcDO

 それには、一方通行を絶対能力《レベル6》へと進化させる、ということが書かれていた。

一方通行(いつの間にこンな計画してやがったンだ……)

 さらに読み進めていく。

 どうやら、現在の時間割りを二百五十年こなせば絶対能力になれるらしい。

一方通行(じゃあやっぱやってもしかたねェだろうがよ……)

 と、さらに読み進めると一方通行だが、あるところで目が止まった。

 そこには、こう書いてあった。

――超電磁砲《レールガン》を百二十八回殺害する――

121 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:33:47.52 ID:FXqlHrcDO


―――

一方通行「ふゥ……」

 長いレポートをすべて読み、一方通行が一息つく。

芳川「それが、『絶対能力進化《レベル6シフト》』の全貌よ。さあ、どうする?」

 一方通行は答えない。ただ、目を瞑った。

 実験の内容は、とても簡単だった。

 ただ、超電磁砲の軍用クローンを二万回[ピーーー]。それだけで、絶対能力が手に入る、と。


 ――絶対能力。


 今が限界だと思っていた『力』の先にあるもの。

 一方通行が、望んでやまないもの。

122 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:35:55.59 ID:FXqlHrcDO


 ……足音が聞こえた。誰かが入ってきたらしい。どうやら二人のようだ。

 二人が、変わりがわりで言葉を発する。

「君は、今まで苦しんできたね」

「『最強』ゆえの苦痛。自分の力はいづれすべてを滅ぼしてしまうかもしれない、という悩み」

「だが、『最強』の先へと進化すれば何かが変わるかも」

「その為には、計画に従い、実験の遂行を」

 研究者達が一方通行に話かける。いや、もしかしたら一方通行の心の声だったのかもしれない。




―――『最強』ではなく、『絶対』になれば。もう誰かを傷つける事もなく、もう誰かに脅えられる事もなく。自分の存在を、誰かに認めてもらえるのだろうか。




 そこまで考えた時、一つの言葉が一方通行の頭をよぎった。




――あくせらなら、人を救える。あくせらなら、人を守ることができるんだよ――



123 : ◆L7wBXlR/tc [saga]:2011/02/20(日) 23:38:25.82 ID:FXqlHrcDO


 昨日の夜の、滝壺の言葉。

 おそらく、数日前までの一方通行なら、二つ返事で実験を了解していただろう。たとえクローンを何人殺そうと、その先を目指そうとしたはずだ。

 しかし、今。滝壺理后によって、『人を傷つける』とではなく『救う』という『人を救える』という『希望』を与えられた今。

 ――最強ではなく――あくせらなら――絶対になれば――人を救える――


 滝壺の言葉と、心の声が交錯する。

 そして、彼がだした答えは。







一方通行「もう少し、待ってくれ」

 結論を、先延ばしにすることだった。


124 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/20(日) 23:43:53.50 ID:FXqlHrcDO


芳川(……!? へえ……)

研究者A「なにを言ってるんだ!! そんな時間は……」

芳川「わかったわ」

研究者B「芳川!?」

芳川「一日、じっくり考えなさい。そして後悔しない答えを見つけなさい」

一方通行「……わりィ」

 一方通行が答える。二人の研究者達は、ものすごく不満そうな顔を見せているが、一日だけならとしかたなく譲歩する。

芳川「じゃあ、取り合えず今日はもういいわ。また明日、ここに来てちょうだい」

一方通行「あァ」



 一方通行を外まで見送ると、芳川は一人考えていた。

芳川(なによ、あの子変わったわね。……滝壺理后のおかげ、かしら? ふふ、今のあの子なら……)











 ――この日、一方通行はふたたびこの研究所を訪れることとなる。

 一つの答えと共に。

125 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/20(日) 23:48:10.04 ID:FXqlHrcDO


今日はここまでです
また続きはまた明日で

あ、体調はもうすっかり治ったぜよ。心配かけて悪かったなァ……


126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:00:09.96 ID:1ULixhtAO
超乙。
続きっていつになるか分からないが、
舞ってるよ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:19:57.37 ID:mq+5+PHFo

わざとかもしれんけど、メ欄にsaga入れたら?
128 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/21(月) 00:27:58.54 ID:Uq5I1QZDO


>>127
いやー、実はsageをやるとsagaが無効になるの知らなくて……

一回試してみたので、次からは大丈夫だぜェ

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:33:54.30 ID:z7BlzJ2wo
地の文を短文にしてるのはワザとかな?
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 00:35:41.76 ID:mq+5+PHFo
>>128
sage sagaでsageながらできるはず
余計な口だしてすまん
楽しみにしてる
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:02:10.46 ID:bAiWfwFAO
専ブラやら携帯やらの「sage」チェックボックスにチェック入れるとsagaは無効になるはず

メ欄に直接「sage saga」て入力しないとダメよ

でも>>1の投下ならageても別にいいんじゃね?


>>129
短文?
なるべく少ない字数で一文を構成するのは読みやすい文章の基本なのよな
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 07:28:37.60 ID:1ULixhtAO
>>131 が言いたい事を全ていってくれた
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 11:42:16.75 ID:LfJPaQPM0
>>131の言葉が耳に痛い
134 : ◆L7wBXlR/tc :2011/02/22(火) 18:01:16.50 ID:koSLJZ0DO

こんにちは

たぶん明日投下します

135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:10:55.52 ID:uHN9C0IJ0
>>134
生きててよかったです
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 19:16:23.48 ID:ggIO3TRY0
一方×芳川のSS探して
ここにたどり着いたよ
期待
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 23:18:47.44 ID:bYc0/sSuo
マダァ━━━(・∀・ )/凵⌒☆チンチン━━━??
138 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/02/26(土) 19:24:21.04 ID:ov5YiDBDO

こんにちは

ダメだ、展開は思い付いてるのに、筆が進まない……

更新もう少し遅れます

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 19:35:43.13 ID:5WpV+FMlo
いいぜ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/26(土) 20:56:18.50 ID:z93fBAHro
てめえが展開は思いついてるのに筆が進まないってなら
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/02/26(土) 21:03:03.10 ID:SltzSlfV0

滝壺「大丈夫。私が、その幻想を守ってみせるから」一方通行「……」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 00:00:28.43 ID:b4/PLTlUo
気長に待つよん
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 01:29:36.06 ID:er/QSiT1o
マァ( ゚Д゚)⊃旦 チャノメヤ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 01:24:44.18 ID:nhUu/YSu0
>>1
つ草加醤油
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 22:13:40.71 ID:YIbZhDnUo
マダァ━━━(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン━━━??
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 10:36:42.59 ID:mA3LoK5AO
待つわ
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 17:46:22.65 ID:3l22Ef/A0
これは待つ!
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 18:46:31.05 ID:pnhH7d1D0
一方さんが滝壺をガキって呼んでるけど
この2人ってどっちが年上なんだろ?
149 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/05(土) 22:33:26.02 ID:npMgS59DO

長らくお待たせしてすいません

明日か明後日更新予定です
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:35:17.52 ID:UTQ9/1GXo
きたー
楽しみにしてます
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:41:41.26 ID:2D+ZWkb30
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
正座して待ってる
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 15:23:05.22 ID:cwd03G7W0
きたあああああああ!
やったぜ
楽しみ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 16:03:21.62 ID:Vv54kmRD0
>>148
滝壺が年上って気はするけど…どうなんだろうな?
男か女かすらわからない一通さんの年とかわかんねえ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 10:49:37.60 ID:cSjQ9iYjo
明確に年齢分かってるキャラ少ないしね、特に暗部は
155 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:17:39.48 ID:/Xu6NXiDO

こんばんは

一応、このSSでは一方通行と滝壺は同い年と考えています。

では、投下します
156 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:18:19.29 ID:/Xu6NXiDO


―――

 時は過ぎ、下校時間。

 一方通行は長点上機学園の前に来ていた。

 多くの生徒達が、授業を終え学校を出ていく。いくら名門校とは言ってもやはり高校生であり、浮わついた雰囲気がかいま見える。

 そんな中、集団から少し外れたところから、一方通行は一人の少女を探していた。そう、ピンク色のジャージを着たあの少女を。

 しかし、なかなか見当たらない。ふと、集団の中から視線を感じた。見てみると、ギョロ目の少女がこちらを見ていたような気がしたが、すぐに消えていった。

 まぁ関係ないか、とすぐに忘れ、また少女探しを再開する。

 そんな一方通行は気づかなかった。後ろからとある少年が近づいてきていることに。

157 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:19:45.38 ID:/Xu6NXiDO



垣根「よぉ。今日は一人かよ」

一方通行「……」

 なにか聞こえた気がするが気のせいだろう。無視して集団を見つめ続ける一方通行。

垣根「おい、無視すんな」

 気のせい気のせい。

垣根「泣くぞコラ」

一方通行「一人で泣いてろ」

垣根「お、やっと返事しやがったなこの野郎」

一方通行「チッ……」

 あまりのウザさについ返事をしてしまった。反省してる。後悔もしてる。

垣根「おいおい、連れねえなぁ。同じ超能力者仲間だろ? 仲良くしようぜ」

一方通行「誰がするか」

垣根「なんだよー。つまんねー野郎だなー。まあいいか。なあ、あいつ見なかったか?」

一方通行「あいつだァ?」

垣根「俺といつもツルんでる奴」


158 : ◆L7wBXlR/tc [sage saga]:2011/03/07(月) 22:20:27.93 ID:/Xu6NXiDO


あァ、あいつか、と一方通行は思い、少し考え答える。

一方通行「見てねーな」

垣根「そうか……。ったくどこ行ったんだかなー。一緒にナンパしに常盤台に乗り込む予定だったのに」

一方通行「……ロリコンですかァテメェ。中学生なンざナンパしようとすンじゃねェよ」

垣根「は、常盤台ナメンじゃねぇぞ。……それに、かの有名な超電磁砲《レールガン》でも引っ掛かったらいいなー、ってよ」

 超電磁砲、とは常盤台中学が誇る超能力者の通称だ。

 超能力者第一位の一方通行と第二位の垣根帝督があまり目立つ事をしないので、おそらく彼女がもっとも有名な超能力者であろう。

一方通行「ハッ、格下には興味ねェなァ」

垣根「おいおい、たまには下も見ないと足下救われるぞ。主に俺に」

一方通行「寝言は死ンでから言いやがれ」

垣根「……今のはムカついた。殺してやりたいとこは山々だが、今はアイツ探さねえとな。じゃあなモヤシさん」

 垣根が走り去っていった。まったく、めンどうくさい奴だな。と一方通行は考えたが、彼の探し人を見つけ、彼も歩きだした。

159 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:21:16.92 ID:/Xu6NXiDO


滝壺「あれ? あくせらどうしたの?」

 近づいてきた一方通行を見て、不思議そうな顔をした滝壺理后が話しかける。まあ、朝一でほかの教室に移動になり、今の今まで戻ってこなかったのだから、なぜここにいるか疑問に思ってもしかたないだろう。

一方通行「……ちょうどさっき授業が終わってな。それでたまたまお前を見つけたンだよ」

滝壺「そっか。お疲れさまあくせら」

一方通行「……おゥ」

 一方通行は、嘘をついた。しかし、その事に滝壺は気づいてないようだ。どうやら、考えを読めると言っても完璧ではないらしい。

滝壺「じゃあ、帰ろっか」

一方通行「ン」

 そのまま、二人が寮へと向かって歩きだした。そう、ここ数日と同じように。
160 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:21:43.05 ID:/Xu6NXiDO


 一体俺は何をやっているんだろう、と歩み続ける一方通行は自問する。

 わざわざ一人の少女を待って、わざわざ一緒に帰ろうとするなど、昔の一方通行ではありえない。

    ・・
 そう。昔の。

 なにかが、変わったのだろうか。変わったのだとしたら、一体なにが変わったのだろうか。

 実験の話を聞いた時、一方通行は答えを出すことができなかった。以前ならばおそらく答えを出せたであろうに。

 いつの間にか、新たな選択肢ができていた。以前までは気づかなかった選択肢が。

161 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:23:19.78 ID:/Xu6NXiDO


不良A「よぉ一方通行ぁぁぁぁ!!」

一方通行「……、誰だァお前」

不良A「忘れてんじゃねぇよ!! つい昨日会ったじゃねぇかぁぁぁ!!」

一方通行「昨日……、あァあの雑魚Aくンな」

不良A「変な名前つけんじゃねぇ!!」

 そこにいたのは、昨日一方通行がボッコボコにした奴だった。見ると、全身に包帯を巻き歩くのもやっとのようだ。

一方通行「なにしにきたンだよ」

 一方通行は疑問に思う。昨日、あんなに痛め付けたはずなのに。自分に歯向かう気も起きないほど叩きのめしたはずなのに、と。

不良A「なにしに、だぁ? 決まってんだろうがぁ!!」

 一方通行は気づかない。今まで再び襲ってくる者がいなかったことが奇跡であったことを。

不良A「てめぇに復讐するために決まってんじゃねぇかぁ!!」

         ・・・
 一方通行は思い出さない。昨日の滝壺の言葉を。





『暴力じゃ、何も解決しないんだよ』


162 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:24:27.62 ID:/Xu6NXiDO



 不良Aは叫ぶと、ポケットからなにかを取り出した。

滝壺「それは……!?」

 滝壺がそれを見て反応する。一方通行も見たことがある物だった。

 シャーペンの芯のケースのような見た目をした、『それ』は……

不良A「この幻想御手《レベルアッパー》さえあれば……」

 不良Aが、『それ』を開けるといっきにすべてを飲もうとする。

滝壺「駄目っ!! それは幻想御手なんかじゃない!!」

 滝壺が叫ぶ。しかし、時すでに遅く不良Aは『体晶』のすべてを飲み干してしまった。

不良A「がは……!? なんだこれ、ち、力が、制御できな……がぁぁああぁあああぁぁぁあああぁぁああぁあ!!?」

一方通行「なっ……!?」

 不良Aの咆哮とともに、彼の力である『電撃』が、彼を中心に『炸裂』した……。


163 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:25:18.79 ID:/Xu6NXiDO






 その時、周りに一方通行達以外の人がいなかったのは、偶然だろう。



 その時、一方通行がそのあまりにも急な『炸裂』に反応できなかったのは当然だろう。



 その時、常時『反射』を設定してる一方通行には傷一つなかったのは必然だろう。









 では、その隣にいた少女は?




164 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:26:08.16 ID:/Xu6NXiDO











一方通行「滝壺ォォォォォォォォォォ!!」











165 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/07(月) 22:27:03.97 ID:/Xu6NXiDO








 白い少年の叫びが、あたりに響き渡った。

 守りたい者を、しかしまた守れなかった少年の――








166 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/07(月) 22:30:23.42 ID:/Xu6NXiDO


今日はこのくらいで


ちょっと早いですが、もう少しで一つのクライマックスの予定です


ではまた後日



167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 22:32:32.25 ID:GscdF307o
滝壺ォォォォォォォォォォ!!
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 22:37:42.44 ID:LaQczhQSo
ォォォォォォォォォォツ!!
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 23:09:51.52 ID:tUDVCwXW0
ちょっと雑魚Aくんに追い打ちかけてくる
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 23:27:11.51 ID:h9hOKnIbo
>>169
つ鉄バット
171 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/08(火) 00:15:13.34 ID:buaV/27DO


すいません、行間だけ投下しておきます
172 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/08(火) 00:16:00.90 ID:buaV/27DO



行間


 男は、少し離れた建物の中からその顛末を見ていた。

 携帯を取り出すと、男のよく知る医者がいる病院へと電話をかけ救急車を呼ぶ。彼ならば、あの少女――滝壺理后を問題なく助けることができるだろう。

 しかし、これは男にとって予想外であった。まさか滝壺が男の《実験》に巻き込まれてしまうとは。あれが死んでしまっては元も子もない。

 だが、《実験》の方はどうやら成功したようだ。《実験体》は倒れこそしたものの、ここから見る様子だと命には別状はない。

 これでようやく、本命を開始できる。今まで、ずっと待っていた。この時が来るのを。

 男のやり方は、一族の中では出来損ないと呼ばれるだろう。《実験体》の安全を調べるために、わざわざ別の《実験体》を一度使用してみるなど。

 しかし構わない。――《学園個人》を作ることが出来れば、汚名など消し飛ぶだろうと確信しているから。

 数日前、樹形図の設計者《ツリーダイアグラム》の代理演算によって導かれたシュミレート結果は、それまでと同じく絶望的であった。しかし、裏を返せば0%ではない、ということになる。絶望的、とは確定ではないということなのだ。

 万が一失敗しても、《実験体》の命さえ残っていれば、まだまだ別のアプローチで続けることができる。今回は、その確認のための《実験》だ。

 男――、木原は救急車が来たのを確認すると、建物から出ていった。



 ――彼の実験『学園個人進化』の準備をするために。

173 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/08(火) 00:18:24.81 ID:buaV/27DO


では、またあらためて後日

……新約のネタバレが怖くてネットをあまりみれない……
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 00:21:27.50 ID:Prm9jF0v0

やっぱ木原一族ってどこかが狂ってるよな
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 03:27:36.04 ID:XW36I9LB0
>>1大丈夫か
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/16(水) 06:20:28.89 ID:Gqgvrodz0
木ィィィィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
177 : ◆L7wBXlR/tc :2011/03/16(水) 20:15:08.73 ID:OOUdusCDO

報告してないですいません
地震で暇がなくて……
明日か明後日には更新します

178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/03/16(水) 20:23:32.92 ID:q8Qp77dAO
>>1大丈夫だったか
無理しなくていいからとりあえず安全を確保することを第一に考えてくれ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 18:31:45.93 ID:elFtrjs6o
更新まだかー
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) :2011/03/26(土) 14:22:47.88 ID:3tKNsMUb0
支援
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage ]:2011/03/26(土) 21:22:37.86 ID:vHX7HDec0
大丈夫、僕達は>>1をずっと待ってる
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 03:30:40.57 ID:2POmRopco
大丈夫なんだろうか、心配だ
183 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/03/30(水) 21:05:59.13 ID:PZKp0ADDO
更新できてなくてすいません

一人暮らしの準備などで時間が取れなくて……

落ち着いたら更新します
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 21:33:51.08 ID:UTv/3SvIo
生きてたか…

待ってる
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 02:25:16.86 ID:LsEdQWKg0
待ってるぜェヒーローォ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/10(日) 21:45:28.22 ID:Of7sh24So
待つ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 07:01:39.42 ID:S07iE8x10
はりー
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 23:32:45.84 ID:yziZS7zSO
まだか?

待ってるぜ!
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 23:11:51.75 ID:CcausYu10
支援
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/04/26(火) 22:37:38.29 ID:c0URKNVU0
age
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/26(火) 22:41:50.76 ID:gHbO3S8w0
>>190
おいなんでageやがった絶対許さない
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/26(火) 23:40:48.67 ID:LpX6WD9z0
釣られた……
結構凹む
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/04/26(火) 23:48:27.15 ID:A52HsaRAO
>>190
もういい、お前はその場で首でも吊ってろ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/29(金) 19:13:49.82 ID:onZqBEqSO
ageるくらいで騒ぐなよww
まあ確かに期待しちゃうけど
195 : ◆L7wBXlR/tc [sage]:2011/05/01(日) 22:45:50.43 ID:OmJKmWbDO

oh...

新生活に四苦八苦していて書くのをすっかり忘れていました……orz

ちょっと読み直してきます
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 22:49:07.97 ID:M9Ep2ioDo
そんな>>1は応援できない





嘘です応援してます投下待ってるぜ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 22:55:16.30 ID:3wAgBGZSO
>>195

早く続きを書k、いや書いてください
198 : ◆L7wBXlR/tc :2011/05/04(水) 22:21:56.24 ID:2fU5aqMDO

インデックス「前回までのあらすじなんだよ!」

上条「学園都市最強の能力者、一方通行《アクセラレータ》の特別クラスに、一人の少女が転校してきた。彼女の名前は滝壺理后。大能力《レベル4》の能力追跡《AIMストーカー》を持つ、いつもジャージを着た天然電波系少女だ。始めは彼女を煙たがっていた一方通行だが、透過能力者との死闘(?)や、超窒素少女Kとの邂逅を通して次第に心を通わせていくようになっていく。そんなある日、突然の能力者の襲来と暴走で滝壺が怪我を負ってしまった! 失意の果てに落ちる一方通行。そして彼は一つの決断をする……。彼の選択とその末路は!? そして滝壺の安否はいかに!? いっぽう、舞台の裏では滝壺の研究者、木原が暗躍を始めていた……。学園都市最強の能力者一方通行と、天然電波系少女滝壺理后が交差するとき、どこまでも白くどこまでも白い少年の物語が始まる―――。……あれ、俺の出番は?」

インデックス「さすがとうま長台詞を言わせたら超一流なんだよ! そしてとうまの出番はないかも」

上条「……不幸だ」

インデックス「土曜日更新予定なんだよ! 宣伝終わり。さぁとうまごはんとうまごはんとうまごはんごはんごはん!!」

上条「不幸だぁぁぁぁぁああ!!」


小萌「このあらすじはフィクションなのです。当SSは夏休み前の話なので、二人はまだ出会っていないのですよー」

199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/04(水) 22:41:14.40 ID:92/WjqI3o
全裸待機してる
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) [sage]:2011/05/04(水) 22:59:23.62 ID:BB+c9adP0
予告きてれう
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 23:02:00.62 ID:ZvO+3jr6o
楽しみにしてる
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/04(水) 23:45:53.17 ID:fpYVWRGAO
期待
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/04(水) 23:48:32.86 ID:XV2cj0Vz0
待ちまくる
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/07(土) 17:54:10.89 ID:1WNPsb1W0
まだー??
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/08(日) 13:12:15.18 ID:o3X01Lem0
さて…私>>190が華麗にage
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/11(水) 18:57:34.53 ID:auWDZ6wSO
まだでせうか?
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/12(木) 02:38:37.29 ID:ik8BLDHLo
いつの土曜日かは明言していない件
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 15:08:04.44 ID:Kqk1bZtIO
つまり10年後20年後も可能ということ……
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 21:38:42.69 ID:fSg4pPbSO
またこなかったか…
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 02:17:52.54 ID:dYRedDrL0
まだ来ないか・・・
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 02:27:48.49 ID:uFfxWC9DO
これ好きなんだけどな
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 00:57:22.88 ID:PwOieGsC0
またか…
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/05(日) 04:03:26.14 ID:xDn7817wo
来ない…
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) :2011/06/25(土) 17:19:10.16 ID:0mWHRvkf0
来てない・・・・
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 17:23:03.31 ID:1iw6MxWN0
ageんなよ
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 19:08:43.12 ID:3CLpFtzSO
まあもとから期待してなかったけど
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 20:19:15.78 ID:q5vv32LDO
下半期突入…………だと?
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/03(日) 12:25:22.56 ID:d65Wj+YA0
もうあげないからぁ…許してよぉ…
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 01:19:09.08 ID:5DT062Smo
もう諦めた
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 06:40:27.63 ID:G9HqRpRDO
乗っ取ろうと思ったが終着点が見えなさすぎて諦めた
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 12:24:57.51 ID:IvAnfgRSO
……来ないな

忘れちゃってんかな
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