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一方通行「30人くらいまでは数えてたけどなァ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:41:09.48 ID:44UTjPSg0
  
総合で投下した分から始まります 
 
途中にAAがありますので、読んだことある人はそこからどうぞ 
 
R30くらいのガチエロ描写があります 
文の構成など叩いてくれると嬉しかったりします(修正できる保障はないですが) 
 
俺設定、俺解釈 
時系列無視 
キャラ崩壊あり 
 
【注意】 
エロとバトルの描写ができる程文才が無いので、抜けるSSではないです 
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:41:52.59 ID:44UTjPSg0
 
打ち止め「ふぁ〜ってミサカはミサカは眠い目をこすってあくびをしてみる」 
 
黄泉川「そろそろ寝るじゃん」 
 
芳川「あらもうこんな時間なのね、最近時間の感覚がおかしくなってるわ」 
 
黄泉川「働くと時間の感覚養えるじゃんよ」 
 
芳川「……じゃあおやすみ」 
 
黄泉川「スルーすんなじゃん!」 
 
一方「寝る前にガチャガチャ騒ぐンじゃねぇよ 
   クソガキの目が冴えるだろォが」 
 
芳川「そうよ愛穂、明日早いんでしょ」 
 
黄泉川「なんで私が悪いみたいになってるじゃんよ?」 
 
一方「どォでもいいからさっさとクソガキベッドに連れてけ、俺も寝るわ」 
 
黄泉川「部屋のゴミ廊下に出しといてくれじゃん」 
 
一方「へいへい」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:42:21.42 ID:44UTjPSg0
 
――――― 
――― 
― 
 
一方「――っっ!……ふぅ」 
 
(ティッシュティッシュ)フキフキ 
 
(ゴミだしとけっつってたな)ガサガサ 
 
(このティッシュはいつも通りトイレに流すか) 
 
ガチャ ゴミブクロドサ 
 
トイレ 
 
ティッシュポイ 
 
(あー、出した後ってなんでションベン出にくいんだろォな…)ジョジョッ ジョボジョボ 
 
(本日の日課は終了ォっと)ジャー 
  
ガチャ 
 
一方「――ッ! 起きてたのかお前」 
 
打ち止め「トイレで目覚めちゃったのってミサカはミサカは夜更かしなあなたに報告してみる」 
 
一方「早く寝ろよ」 
 
打ち止め「はーい」バタン 
 
(コーヒー飲んで寝るかァ) 
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:42:51.58 ID:44UTjPSg0
打ち止め「あれ?トイレ流れてないよ……」クイ 
 
ジャー 
 
打ち止め「わわわ!水が流れないで溢れてきたあああってミサカはミサカは大混乱!」 
 
ガチャ 
 
打ち止め「黄泉川あああ!!助けてえええ!!」 
 
(何騒いでやがんだあのガキは…) 
 
一方「うるせェぞ! 静かにしやがれェ!!」 
 
打ち止め「あなたも夜中にだす声量じゃないよってミサカはミサカは注意してみる!」 
 
黄泉川「ちょっとお前ら騒々しいじゃん」 
 
打ち止め「黄泉川ああ、トイレの水が溢れたよってミサカはミサカは現状報告」 
 
黄泉川「はぁ!? うっわ、なんか詰まってるじゃんこれ 
    打ち止め、トイレットペーパー使いすぎじゃん?」 
 
打ち止め「ミサカじゃないよ! あの人の後に入ったらもう詰まってたんだもんってミサカはミサカは自己弁解してみる」 
 
一方「あァ!?」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:43:18.45 ID:44UTjPSg0
(――っ! まさかティッシュが……) 
 
黄泉川「一方通行いい年して何してるじゃんよ」 
 
(くそ! やべェ……。どうやって切り抜ける……) 
 
一方「ンな簡単に詰まるようなトイレが悪ィンだよボケが」 
 
(いやいやァ!? 解決になってませンよこれじゃあ) 
 
(考えろォ、学園都市第一位の頭脳で切り抜けるンだ…) 
 
黄泉川「とにかく掃除するじゃんよ」カッポンソウビ 
 
一方「おう、さっさとやっとけよ」 
 
黄泉川「お前のせいだろ! 一方通行は床拭きじゃん」カッポンカッポン 
 
一方「あァン!? なんで俺がしなきゃならねェンだコラァ!」 
 
黄泉川「ごねてないでさっさとしないと打ち止めがお漏らしするじゃんよ」カッポンカッポン 
 
一方「チッ!おいクソガキ、雑巾持って来い」 
 
(お漏らしさせるのは可哀想だなァ) 
 
打ち止め「あなた達に言いたいことがいっぱいあるけどって、ミサカはミサカは尿意を堪えながら言いたいことを飲み込んでみる」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:43:44.75 ID:44UTjPSg0
黄泉川「お、取れた」ゴボゴボ 
 
黄泉川「――んん? これトイレットペーパーじゃなくてティッシュじゃんよ」 
 
一方「――っ!! おい!! 取れたンなら早く流しやがれェ!!」 
 
黄泉川「一方通行……、お前なんでトイレにティッシュ流した?」 
 
(ばれたか? この俺がシコシコしたティッシュを下水道という闇に葬ってきた事実がァ…) 
 
一方「あァ!? 意味分からねェことほざいてンじゃねェ! 
   さっさと流せっつってンだよォ!!」 
 
黄泉川「…………まぁいいけど、ちょっと後で話しがあるじゃん」 
 
一方「なんだ?なんだよ、なんなんですかァ!?」 
 
黄泉川「……いや、打ち止め戻ってくるしいいって言ってるじゃん。な? 
    流したらまた詰まるからこれは別に捨てるじゃん」 
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:44:16.80 ID:44UTjPSg0
(ぐぬぬ…… 毎日一億以上の種を抹殺してきた俺の悪行がこんなところで晒け出されるなンざ納得いかねェ!)カチ 
 
一方「きええェェェェェえい!!」レバー クイ 
 
ジャー 
 
黄泉川「お前!また詰まるって言ってるじゃんよ!!」 
 
一方「だまってろォ!! 黙らねェと二度と口きけねェ様にするぞォ!!」 
 
(水流のベクトルを解析ィ! そのまま闇の底まで俺の罪を流し込む!!) 
 
ジャーーーーーーー    ゴボゴボ 
 
一方「ハッ! 俺の能力を持ってすればこんなもんだっつーの」 
 
黄泉川「……まぁいいけど、床拭いたらリビングにこい 
    お前の部屋のティッシュの減りとゴミに出されるティッシュの量について話があるじゃん」 
 
一方「」 
 

 

―― 俺ァどこで間違ってたンだろォな…… 
    お前なら分かるんじゃねェのか?教えてくれよ ヒーロー ――  
 
 
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:44:44.88 ID:44UTjPSg0
時刻は深夜二時、丑三つ時とでもいうのだろうか 
学園都市のとあるマンションのリビングでLEVEL5の序列第一位、一方通行は気まずい気持ちでソファーに腰掛けていた 
 
(ちくしょう……。なンで俺がこンな目に会わなきゃならねェンだァ…) 
 
外界よりも科学技術が数十年進歩したこの街のトイレが、あんなにも脆弱だったとは夢にも思わなかった 
家主の黄泉川愛穂は打ち止めを再度寝かしつける為に寝室へ向かっている 
夜の静寂が支配するこのリビングで独り憂鬱な気持ちで待っていた 
 
(しかし…。なンかうまい言い訳はねェもンかなァ…) 
 
自分のしてきた事は明白 
だが自尊心の高い性格がそれを認めない 
なんとかして誤魔化すなりしないと、一生弱みを握られる事になる 
最も家主の性格を考慮するなら一方通行を恐喝するなど考えられないのだが 
残念なことにそういった余裕のある思考ができないでいた 
 
寝室のドアが静かに閉まる音がする 
静かな屋内だからこそ聞こえた、眠りに着いた少女に気を使う閉め方だ 
家主は子供に対して極めて甘い考えを持っている 
何かしらの因果を感じる発言を聞いたことはあるのだが、今はどうでもいいと思った 
出来るならば、その甘さと優しさどっちでもいいから、自分に向けて見逃して欲しいと切に願うばかり  
ドアを閉める音と並ぶくらい静かな足音がこちらへ向かってくる 
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:45:10.20 ID:44UTjPSg0
 
(うおお、お、お?お! きやがったァ!!) 
 
何も考えが纏まらぬまま家主がリビングへ到着した 
気まずいまま、彼女の顔がまともに見れない 
普段からまともに顔を見て話してないのだが、今の心境からはそんな日常の自分の対応すら分からない 
 
「コーヒー飲むじゃん?」 
 
第一声は優しさととれる言葉だった 
だがその裏を考えると、すぐに終わる話ではなく 
少なくともコーヒーを飲む程度の時間、話が続くことを示していた 
 
「あァ…」 
 
キッチンに立ち黄泉川がコーヒーを淹れる  
ピッピと電子音が鳴る 
炊飯器のスイッチを入れたようだ 
普段ならばそんな邪道な行為は即座に怒鳴り散らして咎めるのだが、……何も言えない 
  
(説教か? 説教だろうなァ……) 
 
カチャカチャとカップとソーサーのぶつかる音を聞きながら更に憂鬱を加速させていた 
消えてしまいたい気持ちに駆られるが、生憎空間転移系でも視覚を誤認させる能力はない 
黄泉川の記憶を消してしまいたいが、記憶操作や精神感応もできない 
学園都市第一位、万物のベクトルを操作する最強の超能力者 
 
(なンて不便な能力なンだよ、これ……) 
 
首についたチョーカーのスイッチを入れる 
光を操作し、自分に纏わせ姿を隠そうとする 
物が見えるのは各々が光を吸収反射しているからだ 
 
(今見えねェのかな……?) 
そのどこかで聞いた理論を元にすれば自分の能力でも視覚誤認、あわよくば透明になれるのではと咄嗟に考えた
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:45:40.36 ID:44UTjPSg0
 
「あんた何光ってるじゃん?」 
 
全身の血流が逆流するかと思った  
実際逆流はしていないが、過去に自分がしたことのほんの序章を垣間見て恐怖する 
連鎖的にその時の記憶も蘇り憂鬱度は更に加速した 
心臓は早鐘を打ち、精神は憂鬱、思考は混乱 
最悪のコンディションだ 
 
「あァ!? べ、別になンもしてねェよ!! ……ちっと能力で遊ンでただけだァ」 
 
即興で試した能力実験は失敗に終わったどころか、独り深夜のリビングで全身を発光させるという無様な結果を残し中断された  
一方通行の奇行にさして興味を示さず、淹れたてのコーヒーが目の前に置かれる 
淹れたてと主張するかの様な湯気と香りが堪らない 
気まずさと緊張で手持ち無沙汰な少年はカップを取り口に運ぶ 
 
「熱っ!」 
 
熱々のコーヒーが唇を刺激し、反射的にコーヒーを遠ざける 
揺れたカップから中身が零れ、ズボンへ落下する 
 
「あちあちっ!」 
 
慌ててカップをソーサーに戻し、立ち上がってズボンを肌から離す 
 
「何してるじゃんよ!」 
 
「うるせェ…! ……なンか拭くものねェか?」 
 
「待ってろ」 
 
キッチンへ布巾を取りに行く、水で濡らすのも忘れていない 
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:46:06.25 ID:44UTjPSg0
「ほら」 
 
布巾を奪い取ると付着した部分をゴシゴシ拭き取る 
 
「おいおい、そんな拭き方じゃ濡らした意味ないじゃん 
 ちょっと貸してみろ」 
 
一方通行から布巾を奪い取り、しゃがんでシミの部分を引っ張り、水で中和するように揉む 
 
「オイ、自分でやるからいいって」 
 
一方通行が腰を引いて立ち、前でしゃがんだ黄泉川が太もも部分を引っ張りズボンを揉んでいる 
お互いの体制が恥ずかしくなり中断を申告するも黄泉川は聞かない 
 
「お前のやり方じゃシミが残るじゃんよ 
 少しでも処置してたら漂白剤で完璧に落ちるからな」 
 
「あゥ…」 
 
力任せに振りほどくといういつもの彼らしい選択支が思考に浮かばない 
反論するにも黄泉川の言い分が正しいのでそれも行えない 
つまり現状言われるがままに、されるがままになるしかなかった 
 
(はァ…、何でこンな羽目になってンですかねェ…。 あン?)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:46:36.50 ID:44UTjPSg0
ズボンのシミポイントから視線を少しずらすとそこには黄泉川の胸部の谷間が覗き見えた 
警備員の任務以外では常にジャージを着用している彼女 
ジャージのジッパーは半分開いており、襟口のゆったりしたシャツの隙間から見えるそれ 
緑のジャージという見るものを諦めさせる深い大森林の奥 
抜けた先に待ち構えるアンダーシャツという名の壁 
最大の難関たる大魔神の如き秘宝の所持者 
幾多の試練を乗り越えて拝顔が許される大秘宝が絶妙な角度で垣間見えた 
 
(オォ? ………もうちょっと角度を変えれば…) 
 
悟られない様に顔を前に突き出し鋭角を意識する 
学園都市最強の頭脳は、刹那に絶好の角度と体勢を演算し回答を出す 
下半身を動かさず、どっしりと固定し、重心も移動させずに顔だけ前へ前へと突き出す 
所持者の腕の動きにあわせて突破口の襟口が歪みを作りやきもきさせられる 
 
(くそ、焦るな俺ェ… もうちょい前へ……) 
 
焦るなという心の指示とは裏腹にぐぐっと顔を見下ろす形に持っていく 
 
「よし、終わったじゃnあいた!!」 
 
「ぐおォ!」 
 
鼻への鈍い衝撃と音 
立ち上がる黄泉川の頭が前のめりで見下ろしていた一方通行の顔に衝突 
目の前の秘宝に心を奪われていた彼はこの不意打ちにソファーに倒れ込む 
 
「あいたた、あんた何してるじゃんよー」 
 
「お、おゥふ」 
  
痛みのあまり声にならない声をあげ鼻を押さえる 
後頭部をさすりながら黄泉川がソファーに倒れた一方通行を見下ろす
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:47:08.73 ID:44UTjPSg0
「な、なンでもねェよ……」
 
慌ててごまかす 
黄泉川は何も言葉を発しない 
 
「ああ、シミ取れたなありがとさン」 
 
さらに追撃、礼をいい機嫌を取ろうとする 
黄泉川は依然として言葉を発しない 
 
「突っ立ってねェでどけ、コーヒーが飲みてェ」 
 
早く状況を動かす為に強い言葉を使う 
言葉を発しない黄泉川が口を開いた 
 
「えらく饒舌じゃんよ…」 
 
「はァ?」 
 
何を言うんだとばかりに発言者を見上げるが、顔を見らずに先ほどから気を取られた胸に目が行く 
その視線に気付き、ジャージのジッパーを少しあげる黄泉川 
 
(ァ……) 
 
目の前の事態に心で絶望の声がでる、ひょっとしたら声にでていたかもしれない 
ジッパーを上げられてこれ以上のお楽しみが消えたからではない 
自分の行為が悟られたと自覚してしまったからだ 
心臓がバクンバクンと鳴っているのが痛い程分かる  
  
「一方通行…、お前私の胸見てただろ…」 
 
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:47:54.05 ID:44UTjPSg0
豪雪吹き荒れる山から噴出した冷水を、頭から掛けられた感覚が襲う 
 
 
「――っみ、見てねェよ!! バカじゃねーかお前、糞ババァふざけンな!!」  
 
自分がどこを見ているのか分からないまま反論をする 
捲くし立てる一方通行を見てため息をつく黄泉川 
用意した自分のカップを引き寄せ一方通行の隣に座る 
 
「まぁ…、いいよそれで」 
 
「なンだそりゃ!? ざっけンな! 勝手に納得してンじゃねェ!」 
 
「あーあー分かった分かった、ごめんごめん」
 
「チッ」 
 
子供をあやすかの様な態度に益々腹が立つが、事実がある後ろめたさでその言葉で妥協してしまう 
 
コーヒーを飲み、一呼吸置く二人 
一方通行としてはこの場から早く立ち去りたいが、立ち去るには黄泉川の話が終わらないことにはできない 
その話自体に触れられたくないので、自分から振ることも出来ない 
つまりこの酷く勝手の悪い空間に、真綿でゆっくり絞め殺されるという八方塞の状態だった 
 
(―――――もういやだァ……助けてヒーロー……) 
 
来るはずの無い少年に心底救って欲しいと願う 
彼ならばこんな悪夢の様な幻想もあの右手で撃ち殺してくれるだろうと、行く当ての無い希望をため息と一緒に吐き出す 
一方通行の心は六割程折れていた 
自分の自慰行為が発覚し、ばれない様にティッシュをトイレに流すという小賢しい行為も発覚 
挙句に説教の為に呼び出されたにも関わらず、家主兼保護者の胸の谷間を覗き込むという卑劣な行為まで見破られる 
 
(最低だ……俺……) 
 
思い返しただけで七割折れになってしまった 
精神が螺旋を描き、真逆さまに落ちていく鬱スパイラルである 
 
「そろそろ本題に入るけど…」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:48:30.22 ID:44UTjPSg0
 
一拍の間 
  
  
 
「お前童貞じゃん?」  
  
―― バギンっという音と共に一方通行の心が一割残し粉々になった 
 
 
 
「………な?なンなんですか?いきなり。……バカなンですか?」 
 
「いやな、恥ずかしいかもしれないけど、恥じることじゃないじゃん 
 誰だって最初は未経験から始まるじゃんよ」 
 
諭すように優しい声 
 
「童貞とかじゃねーぞ、俺を誰だと思ってンだァ!?」 
 
優しい声に対して余裕の感じられない声 
 
「じゃあ今まで何人抱いたじゃんよ?」 
 
「あァ!? いちいち数えてねェよ、……まァ30人くらいまでは数えてたけどなァ」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:49:02.87 ID:44UTjPSg0
「ふぅん……、まぁいいじゃんよ」 
 
「だからさっきから何なンですかァ?その癇に障る言い方はァ!! 
 人をガキみたいな扱いしやがって! 殺されたいンですかァ?」 
 
「いやいや、別に子供扱いはしてないじゃんよ 
 気に障るなら謝る、ごめんじゃん」 
 
「私もこういう時はどうしていいか、どう言っていいか分からないじゃん」 
 
「はァ?」 
 
黄泉川の意図が全く掴めない 
自分の遥か上から包み込まれる様な物言いに苛立ちが募るばかりだ 
高すぎる自尊心がそれを受け入れない、高すぎる自尊心が童貞ではないと嘘を吐く 
 
「うーん、何からどう話せばいいのか……」 
 
「話すことねェなら俺ァもう寝るぞ」 
 
我ながらいい返し方だと思った 
自然且つ大胆、迷いの生じた相手の隙を突く鋭い斬り込みの如き裂帛の一撃 
 
「それはダメじゃんよ」 
 
あっさり返された
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:49:38.30 ID:44UTjPSg0
「こうしよう、私がお前のことに限らず、今から独り言を言う 
 お前は適当に聞いててくれればいい、なんなら聞き流してもいいじゃん」 
  
「あン? 壁にでも呟いてろよ、バカか?」 
 
「空気読めじゃんよ…… 
 大体夜中のリビングで独り言なんて、能力使って全身発光させるくらい痛いじゃんよ」 
 
(ぐぬぬ…) 
 
真新しい傷をザクっと抉られ沈黙を余儀なくされる 
それでも一割の心が砕けないのは、黄泉川の意図を探ろうと思う好奇心からだ 
 
(どうせ説教だろ…、こいつ熱血ババァだからなァ…。煩悩滅却とか言いながら寺みてェな事やりそうだァ…) 
 
座禅を組んで動いたらバシっと肩を叩かれ、たまに動いてなくても叩かれる風景を思い浮かべる 
当の黄泉川住職(仮)は何から言おうかと、頭の中で言葉を整理しているのか、うんうん頷いている 
 
「もうどうでもいいから、さっさと言えよ住職」  
 
「住職って何じゃんよ。ちょっと待て、……よし」 
  
発言の整理が終わったのか一方通行の目を射抜くような決意に満ちた目 
その視線にも後ろめたい気持ちで、サっと目を逸らす 
黄泉川はその行為を咎めずに言葉を紡ぐ 
 
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:50:07.05 ID:44UTjPSg0
「さっきも言ったがこれは私の独り言だ 
 ラジオ感覚で聞いてほしいじゃん」 
 
「へいへい…」 
 
ソファーの背もたれに体を預け、ゆったりとした姿勢にする 
傍からみれば不貞腐れている様にしか見えないのだが 
 
「私はお前たちを守ろうと思って保護者になることにしたんだ 
 それがお前たちにどう思われても結果としていいことだと思ったじゃん」 
 
「でも気がかりだったことがあった、…そしてその事が現実になったじゃん」 
 
「お前が男の子だということ 
 …別に私や桔梗は気にしてないし、打ち止めはマセてるけどまだまだ子供じゃん」
  
「でもお前は年頃の男の子で…… 
 …今まで人付き合いもないし、勉強はできるし能力開発はすごい成績じゃん 
 でも性教育なんて受けてないじゃん」 
 
「私の年になれば男の子が、…その、……オナニーすることなんて当たり前だと分かってるじゃん」 
 
若い女の保護者の口からでた、ある言葉にピクっと反応する 
 
「別にそれを悪いことなんて全然思わないし、気にもしていない 
 だからああいう風に隠す必要はないじゃんよ」 
 
声のトーンが変わってきた、優しく諭す声から、何かを堪えるような震える声 
 
「私は女だから、……どういう風にお前に言えばいいのか分からなくて色々考えてて 
 …もしかしたら男の保護者を見つけるべきなのかとか悩んだりしてたじゃん」 
 
「いざこの状況になるまで踏み込めなくて、……お前が傷つくことになったじゃん…」 
 
「情けない保護者でごめんな……」 
 
「……ごめんなぁ、一方通行」 
 
「………………」 
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:50:39.37 ID:44UTjPSg0
黄泉川が泣いている 
言葉が出ない、実質未経験だがそれを決め付けている黄泉川に反論したいが 
ここまで考えていてくれた黄泉川に対して感謝の気持ちもある 
自尊心と謝罪と感謝が鬩ぎ合い沈黙の形になってしまう 
何か言い返さないと、何か言わないと……… 
 
(傷ついたのは俺だけじゃねェ、黄泉川が泣いてるじゃねェかよ…) 
  
己の情けなさが身にしみる、こんな自尊心の塊は全て砕け散ってしまえばいい 
嘗て自分の暴走を止めてくれたヒーローに、跡形もなく粉々にぶち砕いて欲しい気持ちだ 
目の前にいない英雄に縋っている根性に気付き、ふぅっと息を吐く 
 
(いつまでもアイツに頼っちゃいけねェ…、これは俺の戦いだァ!!) 
 
 
「黄泉川ァ……。俺もすまねェ 
 どうしたらいいのか、分からねェンだ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:51:12.51 ID:44UTjPSg0
たどたどしく言葉を紡いだ一方通行の気持ちに眩い光が差す 
素直な気持ち、嘘偽り、誤魔化し  
邪魔なもの全てを取り払った言葉が心地よい 
なんと晴れやかな気持ちだろうか 
素直な言葉が与える快楽に扇動され、自然と口から零れる素直な気持ち 
 
「お前がそこまで考えてくれてるなンて思ってなかった 
 正直嬉しいって思った、まァ、……ちっと恥ずかしいけどなァ…」 
 
「一方通行…!」 
 
話してよかった、話せてよかった 
一方通行の名前の通り、この話も自分から伝えるだけだとも思っていた 
しかし返ってきた、素直に気持ちを返してくれた 
黄泉川はありがとうと一方通行に心から感謝していた 
 
「ありがとう、…ありがとう一方通行」 
 
「泣くなよ…」 
 
「うるさいじゃんよぉ…」 
 
涙を拭い、一方通行を視線を交わし笑顔を見せる 
一方通行もその視線を受け取り、へっと口を歪める 
 
「まだ全然至らないところがあるけど 
 こんな私でよければ、して欲しいこととか遠慮せずいうじゃん!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:51:51.62 ID:44UTjPSg0
  
(………して欲しいことォ?) 
 
目の前には健康的且つ豊満な女体… 
自分の恥ずかしい行為を許し、認めた女性 
涙を浮かべ、願望があれば何でも言えと言っている…… 
 
先ほど見下ろしていた絶景が脳裏でリピートされ血が滾る 
生唾を飲み込み一歩踏み込んだ言葉を吐き出す 
 
 
 
 
 
「なァ……  

 
 
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 22:52:41.48 ID:FsObtoGJo
この一方さんは鬼畜だな
支援
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:52:57.75 ID:44UTjPSg0
     |  |  | l l::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
        |,. ''´ ̄`ヽ l :::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
     rヘ/       \::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
      | ,l   /´⌒ヽ  ヽ ::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
      | |  / /⌒ヽ   ゙ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
      | | ,'  l    }   |'  〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j/!::::::::::\ ̄
      | | {  l  、 ー-ノ l    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
     |ハ ヽ ヽ ヽ__ イ   |      \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
     | ヽ  \ `ー ヽノ   l             ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
     |   ヽ  ` 、___ノ l、           {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
     |     \      l::::\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/ 俺の話はまだなのかな?
     {     l:::..`ヽ.______,ノ/| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
       |::.   }::/    l///|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
      }::    }::.     / ∨/l   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
      |    ;:   /   ∨′    \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
      |     ;:  l´    .>x::、    \::::::::::::::::::::{'/////////\

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:53:47.11 ID:44UTjPSg0
これから続きです 
 
できたところまで投下します
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:54:18.00 ID:44UTjPSg0
 
 
 
         翌朝! 
 
眠れないまま一夜を過ごした学園都市最強 
枕に顔を埋め陰鬱を一晩中咀嚼しては、ため息と一緒に吐き出していた 
吐き出しても吐き出しても、新たに湧き出るこの感情 
 
(何で俺ァあンなことしちまったンだァ……) 
 
彼の短い人生において、後悔ランキング第一位への挑戦権を得た出来事を思い出す  
昨夜の浅はか、短絡的、平たく言えばバカな行為 
その後の惨めな猿以下の行為…… 
 
自己嫌悪の渦に飲み込まれ、自殺願望に駆られる 
 
(あんだけ人様に迷惑掛けて、殺した人数五桁超える俺が自己嫌悪で死にたいか……) 
 
(しかもまだ生きてやがる、身勝手すぎて情けねェ、笑えねェ……) 
 
部屋の外で打ち止めの声が聞こえてくる 
気付けばもう朝だった 
バタバタと走り回って忙しない、普段は五月蝿いと部屋から怒鳴るのだがそんな気にもなれない 
 
(ガキは気楽でいいなァ…。羨ましいぜ) 
 
廊下でガサガサという音が聞こえる 
出しておいたゴミ袋を誰かが回収しているのだろう 
 
(はァ……) 
 
音は止んでも気配は動かない、ドアの前で停止したまま  
その気配が死神で自分を向かえに来てくれればいいのにとも思った 
何度も吐いたため息と一緒に、何度も思い返した昨夜の出来事を脳が再生する 
 
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:55:09.81 ID:44UTjPSg0
―――― 
―― 
― 
 
「なァ……、黄泉川…」 
 
言うのと同時に黄泉川の手を握りズイっと体を寄せる 
踏み込んだ言葉はすでに口から出た、行動も起こした 
もう後戻りはきかない 
 
黄泉川の手が震える 
一方通行の急な態度の変化に戸惑う 
右手を黄泉川の肩に回し体を密着させる 
急接近した二人の顔 
お互いの吐息が交差する距離 
 
「ちょっ、…おい、おm」 
 
家主の口を自分の口で塞ぐ 
左手はジャージのジッパーを下ろし、シャツの上から超弩級を冠するに値する乳房を掴む 
過去にちょっとした手違いで裸体を見たことがあったが 
今手にしたこの感触は、前回斥候の調査を上回る度肝を抜く圧力だった 
百聞一見にしかずという言葉があるが、百見一触にしかず 
しかもこの柔らかさ、柔軟材を使っていない 
 
――否ノーブラだった 
 
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:55:43.54 ID:44UTjPSg0
僅か布一枚越しに伝わる弾力。いや弾力と書き表すのは適切な表現ではない 
文字では表現するのに到底難しく、完全に伝えるには最低五十一行を要する 
つまり一レス分を一行超えて改行しすぎの文字を見る 
舌打ちしながらどこを削ろうか悩んでしまうくらいの圧倒的存在感  
一方通行はその、例えて言うなら【神の感触】を己の気の向くまま、欲の進むままに悦しむ 
 
口付けというには荒々しく、思いやりのない、舌を暴れさせるだけの行為 
接吻、口付け、キス、ちゅー。類似表現は多岐に渡るが今行われているのは【口内蹂躙】。この言葉が最適だろう  
相手の意思を無視し、舌で唇を割り侵入、歯という名の門が閉じられているので、その門を徹底的に付け根の歯茎ごと舐める 
 
数秒で黄泉川の硬直が解ける 
 
「んぶっ! お前っ!ふざけんなじゃん!!」 
  
突き飛ばされた  
勢いよくソファーから落ち、床に転がる 
 
床に手をつき、黄泉川を見上げる 
ソファーから立ち上がり着衣を整え一方通行を見下ろす 
 
互いの口は閉ざされたまま…… 
 
 
「……もう寝るじゃん」 
 
一方通行の返答を聞かず、踵を返しそそくさと寝室へ戻る 
 
――― パタン    
 
打ち止めを寝かし付けた後よりも大きな音を立て、ドアが閉まる 
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:56:14.23 ID:44UTjPSg0
 
(俺は何してンだ………) 
 
足元が崩れる感覚 
恋を煩う人間が告白を躊躇う理由の多くは、告白し断られた場合、今までの関係が壊れるのを恐れるからである 
浅はかな行動だと今更ながら思う 
黄泉川と自分の関係など同居人以上でも以下でもない 
その場の雰囲気と自分個人の劣情に流されて取り返しの付かないことをしてしまった 
 
涙を流す程自分のことを思い悩んだ人間を裏切る行為 
冬のリビングの冷たい床に額をつけ、後悔する 
 
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:57:06.46 ID:44UTjPSg0
 
ふらふらと自室に戻りベッドにその身を沈める 
黄泉川の優しい顔、泣いた顔、驚いた顔、怒ったような悲痛な顔 
先ほどの表情が目まぐるしく脳裏を過ぎり、手に入れた初めての感触も思い出す 
手を握った感触、冷え性なのか指先が冷たかった  
肩を抱いた感触、体育会系なのに思った以上に華奢だった 
唇をつけた感触、舌と唇で唾液を貪り、淫靡な音を奏でた 
胸を揉んだ感触、見て分かる豊満な乳房の圧力と一瞬手のひらに感じた突起物 
 
興奮が収まらない 
絶望希望陰鬱興奮快楽歓喜 
たった一晩、一時間足らずでこんなにも感情の起伏が行われたのだ 
脳内分泌物がどうかしているのだろう 
一方通行は勝手にそう決め付けてズボンと下着を脱ぎ、ぬらぬらと輝くそれを出す 
 
(ほンとどうかしてる、狂ってるンだ俺は……) 
 
手に入れた感触を脳内でリピートさせリズミカルに陰茎を扱く 
にじみ出た粘液がちゃっちゃっと音を立て、陰茎はより硬度を増し 
手の動きは激しく強く、握力は更に強く… 
狂った自分に狂い、酔い痴れ、自室で独り行われる狂乱の宴 
臀部に力を込め保護者を脳内で犯し尽くす 
脳内の保護者が痙攣を起こした頃に、彼自身も限界が訪れる 
枕元のティッシュを数枚取り、黒いシーツの上に広げる 
門渡りにぎゅっと力を入れ、無意識に顎が上がる 
脳内の保護者が絶頂を迎えたと同時に射精する 
唸りに似た声を出しティッシュの上に子種をばら撒いた 
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:57:46.42 ID:44UTjPSg0
射精感の余韻を軽く悦しみ、息を切らしながらティッシュを丸める 
二回目ながら量は一回目よりも多かった  
余韻が収まる頃に包まれたティッシュを見る 
 
(これがなかったらこンな事になってねェよな……) 
 
興奮が収まるとまた後悔の念が湧き上がってくる 
だが一段落した後、つまり賢者タイム発動中なので落差は可愛いものだった 
 
(まァなるようになるしかねェなァ……、最悪この家出ていくかァ……) 
 
精神が驚く程に安定し楽観的になり、脳と体が寛ぎの一時をとばかりにコーヒーを欲する 
冷蔵庫へ缶コーヒーを取りに行き、開けて一口 
適度な苦味が口内に染み渡り、続いて喉、胃へと独特の香りを撒き散らす 
ハァっと一息つきリビングのソファー、先ほど座っていた場所を見る 
四人の住人がいて二人は寝ている、残りの自分と家主の痴態 
……いや痴態というよりも一方通行の暴走が正しい 
 
(ハッ! 一方通行とは我ながらよく言ったもンだなァ……) 
 
自虐し、苦笑いを浮かべる 
缶コーヒーの残りを飲み干し、空き缶を濯ぎゴミ箱へ 
胸いっぱいに深呼吸をして自室へ戻る 
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:58:16.18 ID:44UTjPSg0
寝ようと明かりを消し、ベッドに入る 
暗闇で目を閉じるが寝付けない 
瞼を閉じると黄泉川の悲痛な顔と、突き飛ばされた時の状況が浮かぶ 
罪悪感を感じて尚、部屋に戻り自慰行為に及んだ過程… 
 
(なンてクズ野郎だ……) 
  
賢者タイムが解除され、考える程悪い方向へ思いを馳せる 
朝日が遮光カーテンの隙間から差し込むのすら気付かず 
独り自己嫌悪の沼でもがき続けたのだった
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:58:44.84 ID:44UTjPSg0
寝室のドアを閉め、部屋の明かりをつけ、ベッドに腰掛ける 
対面のベッドで寝ている打ち止めを見るが、変わりなく夢を見ている様だ 
高鳴る胸を撫で下ろし呼吸を整える 
乱暴にされたのだが不思議と嫌悪感は無かった 
唇をそっと指でなぞり先ほどの出来事を確認する 
 
自分の独白じみた告白 
黄泉川にしてみれば懺悔の意味合いも込められていた 
正確に通じた、通じ合えたと思ったがどこを間違えたのだろうか 
一方通行の行動の真意が全く分からない 
 
(軽い女に見られたか……?) 
 
話した内容を思い出すが、そんな要素は無かったと断言できる 
想像以上に繊細な心を持つ少年の心境は理解し難い 
ただ確定している事はまたあの少年を傷つけたことだろう 
床に手をつき、驚いた顔で自分を見上げた彼を思い出す 
 
(結局…、完全に力不足じゃんよ……) 

何かしらの期待をさせてしまったのか、分からないが 
結果は一方通行を拒絶してしまい、また追い込んでしまった 
 
乱れた打ち止めの布団を整え、照明を消す 
明日、正確には四時間後は出勤しなければならない 
寝不足でイライラしそうだと考えながら、アラームをセットし眠りについた  
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 22:59:22.06 ID:44UTjPSg0
 
 
「――かわ、黄泉川!」 
 
耳障りなアラーム音と喧しい呼び声で、まどろみから強制的に引き上げられる 
  
「黄泉川!起きる時間だよ、ってミサカはミサカは寝坊した黄泉川を起こしてみる!」 
 
「んう? おはようじゃん……」 
 
軽い頭痛を伴うが、アラームを止め起こしてくれた打ち止めを見る 
 
「打ち止めに起こされるとか今日は雨が降るじゃんよ…」 
 
「むー!そんなことないよ!! あんまりアラームがうるさいから起きちゃったの!、ってミサカはミサカは猛抗議!」 
 
軽い感謝の声を掛け立ち上がり、背伸びをする 
夕べの出来事を考えたが、ごちゃごちゃ考えても仕方が無いと切り替えリビングへ 
時計を改めて見ると、出勤まで時間があまり無いことに気付く 
 
「こりゃやべぇじゃん」 
 
カーテンを開けることもせずに準備に取り掛かる 
買い置きのあんぱんを口に咥えながら寝室に戻り、着替えを始める
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 23:00:30.58 ID:44UTjPSg0
「もう仕事行くの?ってミサカはミサカは自分の朝ごはんの心配をしてみたり」 
 
「悪い、時間が無いじゃん! 芳川かあいつ起こして作ってもらえ」 
 
「あの人に作ってもらうよ、ってミサカはミサカは芳川を起こして作ってもらうまでの手間を考慮してみる」 
 
「……ああ、すまんじゃんよ」 
 
「?」 
 
食事を用意できなかったこともあるが、恐らく自分のせいで機嫌が悪いだろう少年からの八つ当たりを危惧する 
 
「一方通行も夕べドタバタして疲れてるだろうから、あまり我がままは止めとくじゃん」 
 
「はーい、ってミサカはミサカは聞き分けのいい子を演じてみたり」 
 
語尾にツッコミを入れそうになるが、時間が押しているので言葉をあんぱんと一緒に飲み込む 
着替え終わり打ち止めを連れて歯磨きと洗顔 
打ち止め一人でもできるのだが、目を離すとたまにサボるので 
誰かがするついでに一緒にさせて、習慣付けようと決めた過去がある 
提案したのは超能力者序列第一位、なんとも合理的な考えである 
 
黄泉川が一足早く終わらせ、リビングへ足早に行く 
テーブルの上で芳川へ書置き、帰宅予定時刻と子供達の世話の要請 
それから仕事、検索。二言だけのポストスクリプトを添える 
芳川もそれなりの研究者であったので、貯蓄はあり、生活費も入れているが 
あまり無職期間が長引くと、再就職の気概が薄くなっていくので常に尻を叩くことにしている 
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 23:01:06.14 ID:44UTjPSg0
リビングのソファーを見てもやっとした気持ちになり、一方通行を思い出す 
しかし歯磨きと洗顔を終わらせた打ち止めが、前髪を濡らしたままバタバタと走って来たので 
思考は深いところまで行かず、現実へ引き戻された  
 
「こら、髪は濡れたら拭くじゃんよ」 
 
「後でやるもん、ってミサカはミサカは冷蔵庫から牛乳を取り出してみる」 
 
「私はもう仕事行くから、後は頼むじゃん」 
 
「うん、いってらっしゃい!」 
 
肩に荷物を担いで、リビングの隅に置いておいたゴミ袋を持ち 
一方通行の部屋の前のゴミを回収する 
 
ドアの向こうに気配はない、寝ているのか出かけているのか分からない 
開けて確認することも考えたが、起きていたらどんな顔をして会えばいいのかも分からない 
 
「……仕事行ってくるじゃんよ」 
 
自分でも弱い声だと思った 
ドアの向こうの部屋の主に聞こえたかも定かではないが、確認を取るのも憚られた 
玄関へ向かう途中、早く起きろと言わんばかりに芳川の寝室のドアを蹴りそのまま外に出る 
 
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 23:02:54.29 ID:44UTjPSg0
 
「――打ち止め……、雨降ってるじゃんよ……」 
 
言いたい人物に聞こえるはずもなく呟く 
天候は雨 
小さくはない雨音が静かな学園都市の朝を支配していた 
自分の心は曇り空、濡れるのは嫌だが心情的には悪い天気でもないなと思い直し 
傘を取り職場へと向かった 
 
 
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/19(土) 23:06:30.29 ID:44UTjPSg0
とりあえずここまで 
 
後味の悪いお話になるかもしれませんがご容赦を 
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 23:09:07.39 ID:knVWr6q80
昨晩どんなにリロードしても読めなかった続きが読めるなんて感激過ぎる
しかし黄泉川、一方さん……乙です
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/19(土) 23:29:34.19 ID:nHhSYgZn0
乙です。黄泉川には恋する心はもう無いのだろうか、、。家族愛だけなのかなぁ・・・
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 00:14:14.40 ID:nTjrZM+zo
残念だがNIPは81行までだ。
だから早く表現!表現!
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 04:15:03.94 ID:VVMgSAHfo
こっからどうなる!
ところでまだまだ寒いですね
おつ!
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 07:29:39.79 ID:ZtW6vRRSO

シリアスっぽいのになんかギャグっぽい変な気分だ

つか[田島「チ○コ破裂するっ!」]描写が絡みより濃いぞwwwwww
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 08:13:49.32 ID:PV4pWJ6AO
>>37
どういうベクトルで後味が悪いかをだな
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:17:31.37 ID:6Oq2Y1TIo
>>39
まともな教師なら、相手が学生の年齢ってだけで自制が働きますから。
よほどの展開がない限りは恋愛対象にはなりませんでしょ。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 10:50:10.11 ID:6aSsB60k0
>>43 あれだよきっと。黄泉川と芳川との三角関係じゃね? このあと芳川との絡みが・・・
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 12:20:07.55 ID:9HxLRG/DO
取り敢えず幼女犯そうぜ!
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 14:49:37.56 ID:PV4pWJ6AO
>>45
それだと後味悪いどころかのどごし最高だ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 17:58:11.08 ID:g+YTUdij0
        ト、 ∧  /|  /| /|  _/|
        |:.:∨:.:ヽ./:.:.:.:!'´:.:.:.:.:.::.:.!'´.:.:.:/
     |\ |:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::. ̄ ̄ ̄ ̄/
     |:.:.:.V:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:/
    ト、|:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::∠ _
 __}:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.<¨
 \:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.__:>
   >:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.!:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:>
 <_:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:!:.:.:.:.小:.:.:.:.:.:|ヽ:.:.!:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:\
  /:.:./:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.::./!:.:./  !:.:.:./  !ハ:.:.:.:.:.::.:.:.:.ト 、>
  厶イ:.:.:.:.:.::.:.:|:.:.:.:.:.::/ V   |:.:/  |/ \:.:.:.:|ヽ|
   厶イ:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:/―- 、_  |/  ィ佗¨> |Tヽ\
     /:.:.:.:.:/|:.:.:.:./ r ' 丐}ヾ’    ヾ''¨  ! トミ.ヾ}
    ,厶ィ:.:.:| 从:.:.|  ` '"          |ノ
     ムィ人  V          !    ノ}
        |7>へ u             /V       俺の話題が全然無ぇ・・・
         _|/   ヽ     ,. -‐ァ  /::: `ー-、
       //     `  、 `' ´  ィ \_::::::::::::\
     /::::い         ` r- く/      ̄ ヽ:::::\
   /::::::::::::\\    ヽ     //        !\:::ハ
. /::::::::::::::::/ \\    \  //         !  Vハ
:::::::::::::::::/     ヽミ二二二二/         !   |:::|
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:50:13.14 ID:g+YTUdij0
 
「……仕事いってくるじゃんよ」 
 
ドアの前の気配から発せられるか弱い声 
気配の主が分かり身を硬くする 
ドアを見つめ、神経を集中し相手の動きを探る 
だがそれ以上は何もせずに、去っていった 
数秒後にドンっという音が聞こえドキっとする 
恐らく芳川の部屋を蹴ったのだろう 
家主の朝の日課になりつつある行動だと思い出しほっと胸を撫で下ろす 
 
やがて玄関のドアが閉まる音が聞こえ息を吐く 
 
(やりきれねェ……) 
 
本気で出て行こうかと考え始める自分がいることに気付く 
 
――なんのかいけつにもならない 
 
寝不足も加味された低速回転の思考から答えが出される 
打ち止めはどうする? 出て行くというより逃げ出すが正しい 
あんなつまらない思いをさせてそんまま放置か? 
恩は返さないのか? 俺は生まれ変わるんじゃないのか?  
 
次々に出される問いと回答 
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:50:38.68 ID:g+YTUdij0
 
(あァ!! うざってェ!!) 
 
どれくらいの時間、自問自答が続いたか分からない  
起き上がり、晴れない気持ちをシャワーで洗い流すことにした 
部屋のカーテンを開け外が雨だと知る 
雨は嫌いではない、常に罪悪を感じている自分にお似合いの天気だ 
雨音を聞いてるだけで安らぐ事を理解している 
窓を開け湿った空気を胸いっぱいに吸い込む。吐き出す 
マンションから見える学園都市の景色をぼーっと眺める 
 
この街には二百数十万の人間が生活している 
自分程、陰鬱な気持ちで朝を迎えた人間はそのうち何人いるだろうか… 
学園都市最強、LEVEL5序列第一位の人間がこんな下らないことを考えているなんて 
この街で誰が想像できているだろう? 
我ながら本当に下らないと思いながら数十回目の溜息を吐く 
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:51:10.69 ID:g+YTUdij0
 
トントンっと部屋のドアがノックされる 
雨に感化された空想から戻り、返事をする 
声に力が入らない 
 
「おじゃましまーす、ってミサカはミサカは礼儀よくおじぎをしてみる」 
 
「なンだ?」 
 
「ありゃ!? 本当に雨降ってるんだね!ってミサカはミサカは黄泉川の言ってることが当たってビックリしてみる!」 
 
黄泉川の名前が出て苛立ちが募る 
 
「何の用だァ!?」 
 
つい声を荒げてしまった、打ち止めには本当に関係の無い事なのに 
八つ当たりも甚だしい  
 
「――っ、あのね、黄泉川が仕事に行っちゃったから、…その、朝ごはん作って欲しいの、って
 ミサカはミサカは機嫌の悪いあなたにお願いしてみる」  
 
「あン?」 
 
「黄泉川寝坊しちゃって、作れなかったの、ってミサカはミサカは朝の出来事を説明してみる」 
 
「……チッ」 
 
この悪態をなんとかしたいと、話を聞いてる時から切に願った 
その思いと口からでる言葉は裏腹 
朝食の準備くらい簡単なものだ、すぐ終わる 
分かったの一言でいいのに…… 
 
「芳川はァ?」 
 
何故かそれが出ない 
 
「芳川はまだ寝てると思う、ってミサカはミサカは芳川の生活習慣を嘆いてみる」 
 
「あンのクソ無職がァ……」 
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:51:53.56 ID:g+YTUdij0
  
窓を閉め無言で打ち止めを素通りし、キッチンへ行く  
指に付いていたティッシュは擦って落としたが、入念に手を洗う 
キッチンの時計は十時過ぎだった 
黄泉川が出勤する頃から起きているから、空腹を我慢していたのだろう  
 
(早く呼びに来るか、芳川起こしやがれってンだ) 
 
冷蔵庫と炊飯器の中身を確認し、献立を考える 
 
「軽いモンでいいか?」 
 
「うん」 
 
ベーコンを適当に切り、塩コショウをさっと振る 
家主に使われることのない可哀想なフライパンを出し加熱 
野菜室にあったほうれん草、これも適当に切る 
玉ねぎをみじん切りにする 
フライパンに油を敷き、ベーコンとほうれん草を手際よく炒め 
溶いた卵をいれ、炒めたものを包み込みオムレツを作る 
炊飯器の中にあったスープの残りを温め 
パンを皿に載せ打ち止めを呼ぶ 
 
「運べ、落とすなよ」 
 
「あなたは一緒に食べないの?ってミサカはミサカは一人で食べる朝食を暗に嫌がってみる」 
 
「腹減ってねェ……」 
 
冷蔵庫の中から牛乳を探すが見当たらない 
夕べコーヒーを飲みに来たときはあったのだが 
 
「おい、牛乳はどうした?」 
 
「朝起きてから飲んじゃったよ、ってミサカはミサカは目覚めの牛乳の良さをあなたにアピールしてみる」 
 
「ンだそりゃ…」 
 
無いものは仕方がないので、缶コーヒーを開け、カップに注ぎ温める 
そしてクリームと砂糖を入れてやれば打ち止めも飲むだろう 
健康的ではないが、飲み物の無い食卓も可哀想だ 
 
「オラ」 
 
愛想も無い置き方で、食事中の打ち止めに出してやる 
口の端にケチャップをつけ礼を言う打ち止め 
 
「風呂入ってくる、食器は流しに置いとけ」 
 
礼を満足に聞かずに自室から替えの下着を衣服を取り、風呂へ向かう  
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:53:00.49 ID:g+YTUdij0
 
 
堅く閉ざされた芳川の部屋を尻目に脱衣所へ入る 
脱いだ服をカゴに入れ、隣のカゴに目が留まる 
女物の下着が脱衣カゴに入っている 
男物と女物では洗濯方法が異なる為、自然と脱衣カゴは二つあり 
別々に洗濯される 
小さな白い下着は打ち止めのだろう 
 
(………………) 
 
 
 
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:53:30.08 ID:g+YTUdij0
手にとってみる 
きゃっきゃ暴れて回るので打ち止めのパンチラは珍しくないので別段興奮もしない 
それにまだまだ子供だ 
下着の胴部分を広げて覗き込む 
ちょうど女性器があたる部分、わずかな染みがついている 
 
(…………………) 
 
 
 
 
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:54:41.05 ID:g+YTUdij0
染みの部分を嗅いでみた、別段臭くは無い 
一日肌に触れていたからか、若干汗の匂いがする程度 
だがその男とは異なる僅かな甘い香りが、鼻腔を突き抜け脳からどろっとした指令が出される 
その指令に応えるかの様に下腹部がビクンビクンと隆起する 
染みの部分を鼻からさらに深く吸い込む  
鼻腔から脳へ、そして肺へ貯まっていく 
背中を脱衣所の壁に預ける 
自然と右手は己の陰茎を刺激していた 
 
鼻から、見た目十歳程度の少女の下着を離し 
亀頭の先端を染みの部分に宛がう 
右手が陰茎を扱く反動で、染みの部分に擦れ快感が加速する 
ただの接触による刺激だけでは無かった 
自分が保護すべき対象、打ち止め 
【超電磁砲】御坂美琴のクローン体、妹達の安全装置 
自分が一万人以上殺し、残る役一万人の妹達の同胞 
絶対にこんな事をしてはいけない最上位の対象 
そんな打ち止めを脳内で犯している自分 
 
その背徳感が最凶のスパイスとなり、先走りが股間部分の染みを濡らす 
息が荒くなり、陰茎が硬さを増す 
射精感が込み上げてくるが、……陰嚢を引っ張り辛うじて堪える 
お預けを食らった陰茎はピクンピクンと軽く痙攣を起こし、先走りをさらに分泌させる 
 
(何してンだ…俺ァ……、まだ速ェ…他のは無ェのかァ…?) 
 
先走りによって新たな染みを、打ち止めの下着に作ってしまったがカゴに戻す 
右手で軽く陰茎を刺激しながら、他の下着を物色する 
黒のレースの下着が目に留まる 
大人物だが黄泉川の物か、芳川の物かが分からない 
両手に取り、打ち止めの時と同様に女性器が密着する部分を覗き込む 
 
黒い生地なので染みの存在が分かりにくいかと思ったが 
薄っすらとその存在を確認できた 
早速嗅いでみる 
打ち止めが清楚な甘いストロベリーと例えるならば 
これはなんと表現すればいいのだろうか 
甘く熟した濃厚な匂い、鼻腔が溶ける様などろ甘さ 
濃厚重圧、清楚さの微塵もなく、香りなどという表現は適切ではない 
匂い、咽かえる匂いと言った方がいい 
昨夜黄泉川に近づいた時の匂いがする 
だが断然密度は高く、女の匂い… 
否、雌の匂いだ 
 
軽く嗅いだつもりが無意識に肺一杯嗅いでいた 
右手も正直で扱く速度を速めている 
打ち止めの時の様に、亀頭に宛がい刺激をするのが勿体無い 
この匂いに包まれて果てたい 
射精感が込み上げる 
ハッハッっと犬の様に息を切らし、残った思考でどこへ射精するか迷う 
刹那の思考の末、浴室のガラス戸を開け壁にドンっともたれ掛かる 
左手に持った下着を鼻と口に押し付け、頭の中でまた家主を犯し尽くす 
堕落した犬の如き呼吸で雌の匂いを存分に嗅ぎ 
妄想で家主を雌犬の様に犯し、陰茎が最硬度に達し 
 
「ァアッ!! ――くゥ!! アッ…ァ…」 
 
ビクンビクンと脈打ち、大量の精を浴室に撒き散らす 
昨晩に負けず劣らずの量が放出される 
鏡にまで飛んだそれを見て、虚ろな表情で息を吐く 
 
「……ふゥ」 
 
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:55:21.23 ID:g+YTUdij0
軽くヒクついている竿に残った汁が垂れるのを、右手で拭い 
下着を元あったカゴに戻し、配置も物色前と寸分変わらない状態に戻される 
学園都市第一位の頭脳が配置を記憶しており、意外なところで生かされる 
 
風呂のガラス戸を閉め、シャワーで自分の出したものを流す 
熱いものを掛けると蛋白質が固まり、流れにくくなるので水で流す 
鏡も丁寧に洗い流し、念のためにボディーソープを付けて擦り洗う 
粗方流し終えて、湯を出し頭から被る 
賢者タイムの余韻を湯を被りながら悦しみ、シャンプーで洗髪する 
 
脱衣所のドアが開く音がし、打ち止めの声が聞こえる 
 
「ねぇねぇ、ミサカも入っていーい?ってミサカはミサカは背中も流すよってお得条件も提示してみる」 
 
(チッ……) 
 
「後にしろォ」 
 
言ったと同時にガラっとガラス戸が開かれる 
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:55:53.86 ID:g+YTUdij0
「もう入る準備万端でしたー!ってミサカはミサカは突入を試みる!」 
 
泡が目に入らない様に目を開け、声の主を睨むが 
いつも通りタオルを巻いて浴室に遠慮無しに入ってくる 
 
「後にしろって言ってンだろォが」 
 
「もう入って来ちゃったもん、ってミサカはミサカはあなたの意見を却下してみたり」 
 
「あれ? お湯溜めてないの?」 
 
「今入ったばっかだ、クソったれ」 
 
「結構時間立ってるからお湯溜めてると思ったのに…、ってあなた今髪洗ってるの? ってミサカはミサカは 」 
  
「うるせェ! 入るなら黙ってろ!!」 
 
声を荒げて黙らせる 
打ち止めが入浴開始時間と入浴進行時間に疑問を持ったのが分かったからだ 
打ち止めは賢い、ここまでは疑問に思うだろうが 
いくら耳年増で聡いと言えども、実際一方通行の行っていた事は想像できないだろう 
それは一方通行も容易に推測できるが、先の妄想の種が種なだけに気まずい思いがある 
最悪、打ち止めがこの状況を同居する二人の大人に喋られては叶わない 
あの二人は容易何をしていたか想像するだろう 
黄泉川に至っては昨夜の事を考慮して、確固たる自信をもって断定するに違いない 
 
ここでまた黄泉川を思い出し、陰鬱な気分になってきた 
さっきも妄想で散々好き勝手に汚しておいて、尚且つ下着を嗅ぎながらだ 
自分の節操の無さというか自制心の無さに呆れる 
 
(つーか俺……、変態じゃねェか?)
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:58:34.78 ID:g+YTUdij0
今更ながらの疑問 
思春期の少年ならば特段変わりはない 
目の前にあれば頂く、手の届くところにあれば手にする 
問題の無い行為だが、若干加速しすぎな面がある 
性に目覚めたのは別段遅いわけでもないが、女に極端に免疫がない 
対人関係においても免疫は希薄である 
性知識に関してはそういった関連の雑誌で独学だ 
育った環境が彼をそうさせてしまったのだ 
幼い頃から開発、実験、勉強、実戦 
友達と呼べる者すらなく、まして恋人などいようはずもない 
その代わり育ったものは異常なまでの自尊心の高さ 
黄泉川に引き取られてからも、それが邪魔をしてうまく自分が出せないでいる 
 
昨夜、黄泉川の前で素直な気持ちで話せたのが最初ではないだろうか 
必要以上に恥ずかしいと思う部分を隠し、何事も興味が無い素振りを見せる 
心ごと自尊心の壁をぶち壊し、優しさが彼の本心を包み込んだ 
だが自分の欲望にも素直になりすぎて暴走してしまった経緯 
結果は拒絶され散々な思いをしているのだが、彼を含めそれに気付いてるものはいない
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:59:00.31 ID:g+YTUdij0
「ねー、いつまで頭洗ってるの? ミサカも洗いたいんだけど、ってミサカはミサカはあなたの毛根を心配してみる」 
 
「あン?」 
 
湯を張り続ける量の低い浴槽に入り、一方通行の洗髪が終わるのを待つ打ち止めが声を掛けてくる 
 
「……あァ…」 
 
自分の節操の無さの反省をしていて、洗髪中だったのを忘れていた 
湯の出先をシャワーに切り替え泡を洗い流す 
 
「ぶわっ!! つめてェ!!」 
 
「きゃははは!引っかかったー!ってミサカはミサカは我慢して水に浸かっていた自分の狡猾さを見せ付けてみる!」 
 
「てンめェ……」 
 
湯に戻し、体を温める一方通行 
打ち止め自身も一方通行を騙す為に、寒いのを我慢し水に浸かっていたので 
ミサカにも掛けてとせがむが、お仕置きとばかりに無視を決め込む 
 
「ごめんなさい〜、ミサカ風邪引いちゃうよぉ〜、ってミサカはミサカは涙目で反省を示してみる」 
 
「チっ!」 
 
顔面に掛けてやる 
咽て両手で顔を覆うが、鼻に入ったと騒ぎ立てる 
 
(あァ〜うるせェヤツだな…まったく) 
 
頭から掛けて全身に暖を取らせる、今度はきゃっきゃ騒ぎだす 
 
(ほンとうるせェ……) 
 
五月蝿い五月蝿い言う割りに、どこか居心地の悪くない状況 
 
(ガキは気楽でいいなァ…ほンと……) 
 
 
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 18:59:45.28 ID:g+YTUdij0
打ち止めが頭を洗う間、一方通行が体を洗い湯船に浸かる 
体を洗うから向こうを向いてて、と言われる 
向きはしないがへいへいと返事をし、目を瞑る 
何かやんやんと文句が聞こえるが、さっさとしろと言えば、これ以上言っても無駄と悟り急いで洗う 
 
(基本コイツァ言うこと聞くから楽だなァ…、言えばだが…) 
 
湯に体を深く沈め、打ち止めのことを考える 
親バカの様に見えるが、そこら辺の子供よりもずっと聡いと一方通行は思っている 
絶対口にしないが心の中では、褒めている自分に気付いている 
 
洗い終わった打ち止めがザブンと飛び込んでくる 
顔に湯が掛かり、足をちょっと踏まれた一方通行が怒る 
打ち止めは反省しているが、恐らく次回も相変わらずの繰り返しだろう 
 
(前言撤回だァ……、クソったれ) 
 
打ち止めがこちらに背中を向けて、また座る 
足を広げて、間に迎え入れる 
栗色の濡れた髪が、シャンプーの香りを振りまき鼻腔をくすぐる 
 
(――チッ!) 
 
ザバっと勢いよく立ち上がりシャワーで全身を洗い流す 
 
「もう上がっちゃうの?ってミサカはミサカはちゃんと百まで数えたのか聞いてみる」 
 
「あァ、数えた数えた」 
 
体も打ち止めの言葉も適当に流し、足早に浴室から出る 
腰に巻いたタオルを取ると、普段よりも膨らんだ陰茎があった 
 
(ロリコンじゃねーか!、クソがァ!!) 
 
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 19:00:35.09 ID:g+YTUdij0
勝手に反応した自身のそれに一喝し、体を拭く 
打ち止めのから発する香りを嗅いだ瞬間に、入浴前の出来事を思い出した 
当然何をしたか、何を妄想したか…… 
後、数十秒一緒にいたら、取り返しの付かない事をしていただろう 
それこそ死んでも死にきれないコトを  

体を拭き、ドライヤーで髪を乾かす 
浴室からバタ足をする音が聞こえるがもう何も言わない 
何度言い聞かしても次の日にはまたやっているからだ 
 
(考えたら、聞くのはその場限りじゃねェか) 
 
洗濯を終えた前衛的な模様、言い換えれば変な柄のシャツを着る 
このシャツを着こなせるのは、世界広しを言えども彼だけであろう  
 
 
杖をつき、覚束ない足取りで 
リビングを見るが、まだ芳川の姿が無い 
 
(部屋で死んでるンじゃねェかアイツ……) 
  
無職ニートの自殺を報道でみたのをふと思い出すが、一瞬でその想像を打ち消す
  
(あいつはそンな繊細でもねェな……) 
 
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 19:01:09.59 ID:g+YTUdij0
キッチンの冷蔵庫から缶コーヒーを取り出しグイっと飲む 
時刻は十一時半 
特段することもないのでリビングのソファーに座りテレビをつける 
午前中の下らない番組が放映されている 
最も下らなくない番組をついぞ見た事がないのだが 
 
夕べ黄泉川を傷つけたソファーの上で横になり 
言われたことを思い返す 
 
(今考えると……、いやどう考えても俺が悪ィな…) 
 
完全にあの時の雰囲気と色香に流されていた事を自覚する 
して欲しいことは遠慮せずに言えって…… 
 
(そりゃ保護者としてのセリフだったろォが……) 
 
「女として何でも言え」では無く、あくまでも「保護者としての何でも言え」だった  
冷静に考えればそんなこと分かりきってるが 
雑誌で学んだ拙い知識では、あの場面はイケルパターンに分類されていた 
 
(黄泉川帰ってきたら謝ろう……) 
 
一つの決意をした直後、遠くのドアが開く音がした 
パタパタとスリッパで歩く音がする 
 
「おはよう」 
 
芳川だ、時刻は十二時前、夕べは二十三時には寝室に入っていたはずだ 
 
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 19:01:43.10 ID:g+YTUdij0
「やっと起きやがった…」 
 
「え? 何か用事でもあったの?」 
 
「寝すぎなンだよてめェ」 
 
「好きで寝てるんじゃないわよ、眠いんだから仕方ないじゃない」 
 
「…はァ?」 
 
「大体、愛穂も毎日毎日出かける前にドア蹴っ飛ばさなくていいじゃないの 
 おかげで一回、目が覚めちゃったし」 
  
「いや起こしてンだろそれ、つか目覚めたなら起きろよ」 
 
「愛穂今日は定時で帰ってくるってさ」 
 
一方通行の追求は流し、テーブルの上の書置きを読んでいる 
最後のポストスクリプトに目を通し、書置きを折りたたむ 
 
「あなたご飯は?」 
 
「食欲ねェ」 
 
「どっか悪いの?」 
 
「べっつにィ……」 
 
「打ち止めのご飯は?」 
 
「ミサカは一方通行に作ってもらったよ、ってミサカはミサカは起きるのが遅い芳川に報告してみる」 
 
風呂から上がった打ち止めがリビングへ来ていた 
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 19:04:42.47 ID:g+YTUdij0
「あらお風呂入ってたの?」 
 
「うん、一方通行が一緒に入ろうって言うから仕方なくね、ってミサカはミサカは無かった事をあったかの様に報告してみる」 
 
「バカかクソガキ」 
 
「ふーん、私のご飯は?」 
 
「はァ!? ふざけんなよお前」 
 
「芳川は自然とお昼ご飯担当だね、ってミサカはミサカは子供の特権を行使しながら押し付けてみる」 
 
芳川の顔が歪む 
言葉に出さなくても言いたいことが伝わる程の表情表現だ 
 
「え〜?私がやるのぉ〜?」 
 
言わなくても伝わるが、言うとそれはそれで腹が立つ 
 
「お前以外誰がいるンですかァ?」 
 
「めんどくさがりが日を追って酷くなってるかも、ってミサカはミサカは芳川の進化の過程を恐ろしく思ってみたり」 
 
「めんどくさがりじゃなくて、私は甘いだけよ…」 
 
「ンなもンどうでもいいから、なンか作れよ」 
 
「はぁ〜、はいはい、……仕方ないわねぇ」 
 
諦めた様子で立ち上がり、自室へ向かう 
携帯とチラシを持ってきて、プッシュしている 
 
「ラーメンでいい? ここ結構早く持ってくるし」 
  
(散々ごねて出前かよォ……) 
  
下らないテレビをBGMに、空から降りしきる雨を窓越しに眺め、憂鬱を持て余していた 
 
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 19:13:26.55 ID:g+YTUdij0
ここまでです 
 
>>43 
やるせない話や鬱っぽい雰囲気が読むのも、書くのも好きなのです 
この話の着地点は数パターン考えてて、まだ迷っていますが 
どうなるんでしょうね   
とりあえず次回で童貞卒業させようと思います 
 
つか81行は知らなかったです 
【神の感触】=やわらかい+もちもち+ぷよん+手のひらに感じる突起+甘い匂い+ 
 
って感じに分解していってください……
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 19:30:29.92 ID:sdAAbM8Xo
芳川ェ…毎朝壁ドンされるとか心が痛くなるな
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 19:59:52.05 ID:/HUY8KUTo
一方さん…変態じゃねえか……
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 20:31:25.67 ID:iF1EkUpm0
乙です 童貞卒業だと……
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 20:32:36.09 ID:VVMgSAHfo
毎日ナイスバディのお姉さん(裸体確認済み)と過ごしてるんだもんな…
そりゃぁなぁ…

え…次回…
なん…だと…?
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/20(日) 21:10:21.09 ID:g+YTUdij0
総合スレ24の>>36さん見てますかね? 
見てたらレスいただけると嬉しいです 
書いてる動機があの人のレスにあるようなものなので  
 
次回は明日か明後日投下になります 
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/20(日) 22:50:17.32 ID:PV4pWJ6AO
いよいよこの支配からの卒業と聞いて

それにしても着地点が数パターンとなると…
@「これからもよろしくなァ」→黄泉川通行グッドEND
A「ここにはいられねェ」→愛しさと切なさのトゥルーEND
B「30回くらいまでは数えてたけどなァ」→黄泉川家ハーレムEND

こんな感じか
出来れば幸せになって欲しいがどんな結末でも受け入れる覚悟はしておく
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/20(日) 22:53:05.37 ID:p5zaRADd0
えっ もう卒業!?
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:17:33.35 ID:E882xyqU0
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   'l¬―--ニ ......,,,,,__、      _..-‐'″ _..-'"゛  _/´  .,/    ,/ /   `ハ ,,、  .`'''ー ..,,, ヽ ヽ  てめぇが俺に 
''''"´ .l,           ̄ ゙゙̄'''''''''――-..........,,,,,___.゛   ."     /  /   /   ./`゙'ー ,,_    `゙''ー ミ,,,
    l,     (^o^) 三  出番を与えないって言うんなら    ̄ ゙゙̄'''''''¬―--..........,,,,,,__  .′ ′ ! `'''- ,,、    .`゙''ー    /
     .l,    (\\ 三                                   ̄ ゙゙̄"'''''''――- ニニッ   (^o^)/
      l    < \ 三                                                /(  )
. _,, -'"゛ ..l                   : 、―ー―――--------________________   / / >
     ._..- l               \./  ../  ./        ,i'  ./  ,i  .,i  .i   .、  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ._.. ‐'″   l                \ /  ./   ./      ./   /   !  │  !   .|      ヽ
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      .,/´  l                        \ /      /    /   /   |   .!    l
   .,/゛    ..l,                      \      /    !   l    !   .|     !
.._/゛        ヽ            \            \   /    /   . l   │   l     .l
゛        . /  l        (/o^)   まずは     \ /      l゛   /   │   .|     !
       .,/    l        ( /   そのふざけた \   ./   /    .,!    .|     .!
     .,/     ,/..l         / く   構成をぶち殺す  \  ′   ,!    !    ,!     .!
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:25:47.12 ID:E882xyqU0
次回卒業と言ったがあれは嘘だ 
 
というか筆が遅い+書きたいことが増えてしまいましたごめんなさい  
 
新しく書いた分だけ投下します 
 
>>71 
予想歓迎 
だけど>>1が逃亡するENDが入ってないですよ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:26:51.58 ID:E882xyqU0

黄泉川愛穂 
とある高校で体育教師をしている 
警備員第七十三活動支部所属 
性格は基本的に几帳面且つ情熱的、熱血教師をイメージさせる 
日々生徒の手本と成らねばと精進を重ねるが… 
 
今日はそんないつものイメージとはかけ離れた自分を晒してしまった 
出勤は遅刻ギリギリ、寝癖を完全に整えておらず 
いかにも寝坊して走ってきましたと言わんばかり 
職員室で月読小萌に珍しいですねと驚かれた 
たはは、と笑って誤魔化すも今度は授業も失態を犯す 
雨の為にグラウンドの予定を体育館に変更する連絡を忘れる 
一方通行の事をぼーっと考えており、生徒に指示ができず 
何度も思考の海から呼び出される 
生徒に謝った回数も今日が最高記録だろう 
 
溜息交じりに体育準備室で昼食を取り、睡眠不足も相まって雨の音を聞きながらうとうとしてしまう 
五限開始のチャイムが目覚ましになり慌てて準備する 
月読小萌のクラスの委員長が呼びに来て、何やら自分をネタに浮かれ騒いでいるが 
落ち度がある為怒れない 
 
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:27:17.85 ID:E882xyqU0
男子はバスケ、女子はバレーと至ってシンプル 
今日はあまりでしゃばるまい審判も生徒に任せ、授業を進行させる 
滞りなく進行する授業風景を眺めていたが 
女子の悲鳴と共にアクシデントは突然やってくる 
黒髪の少年、たまに学外でも事件に首を突っ込んでいるのを目撃、共闘したが、今は違う 
なぜか女子の胸部に首を突っ込んでいた 
ボールが飛んでいかない様にネットで仕切っているのにも関わらずだ 
確かにボールと見間違いかねない大きさだが、どういう過程でそうなるのかほとほと不思議である 
被害者の女子に頭突きを連発され、断末魔を上げ冷たい体育館のフロアに沈む 
それを見て嫉妬と揶揄を混ぜた言葉を投げかける彼の親友二人も、例外なく沈められる 
やれやれとばかりに負傷者三名を体育館の隅に放り投げ 
チームを再編成させゲームを再開させる 
 
(全然私らしくないじゃんよ……) 
 
積み重ねられた負傷者三名を眺め息を吐く 
誰かに相談するも内容が繊細なだけに人を選ばなければならない 
 
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:28:13.70 ID:E882xyqU0
授業が終わり、職員室へ戻る 
月読小萌は六限まで授業があるらしく、隣の席は空いていた 
 
(明日、月読先生に相談してみようかな) 
 
こういった事は早い方がいいのだが、今日は何をやっても上手くいかないだろうと思いながら日誌を書く 
隣の机に明日飲み会じゃんっと書置きをし、帰宅準備に取り掛かる 
外は相変わらずの雨 
朝は気分的に悪くないとは思ったが、基本雨は嫌いだ 
濡れるし、湿気を含んだ空気が陰気な気持ちにさせる 
 
(あー…、傘が無くなってるじゃんよぉ……) 
 
最悪だ、教員用昇降口なので生徒ではなく教員だろう 
ありふれた安物のビニール傘なので間違って持って行ったか 
安物だからいいだろうと勝手に拝借したか…… 
とにかく分かっている事は車まで、濡れなければいけないこと 
 
「不幸だー、ってか…?」 
 
先ほどの騒ぎの張本人の断末魔を呟いてみる 
 
――雨は嫌いだ 
 
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:29:37.76 ID:E882xyqU0
 
走ってずぶ濡れとは言わないが、無視できない不快感がある 
キーを回しエンジンを掛ける、出勤途中に掛けていた洋楽の続きが流れる 
 
タオルをバッグから取り出し適度に拭き 
バックミラーで前髪を軽く整えシートベルトを締める 
ゆっくりと駐車場を出て、帰途に着く 
  
(買い物して帰るか) 
 
冷蔵庫の中身を思い出し、切れた食材や飲料を頭の中で整理する 
恐らく牛乳が切れているだろう 
体の発育にいいと聞いた幼い少女が、必死に飲んでいるはずだ 
体の成長を科学的に促進され、今度は科学的に遅らせる 
大人の身勝手な都合で生まれた子供 
その普通の環境にない子供が早く大人になりたいと夢を見ているのだ 
その根幹には自分を救った口の悪い少年がいるのだろう 
専門家の芳川が何も言わないので、健康には問題無いのだろうから何も言わない 
大人に散々振り回された分、今度は大人がフォローしてやらねばならない 
本来の正しい世界に戻れる様に、自分達が守ってやらねばならない 
子供達が世界に絶望しないように… 
 
買い物リストを考えていると携帯が鳴る 
着信音は警備員絡みの人間からの音だ 
ハンドルに付けられているボタンを操作する 
 
「どうした?」 
 
『お、お疲れ様ですぅ、非番なのにすみません〜』 
 
鉄装綴里、同じ支部に所属している後輩だった 
声は慌てていて、非番なのにという事から何となく内容は分かった 
 
「どこで何があったじゃん?」 
 
報告内容を簡潔にできる様に先を促す 
 
『えっと、第七学区で強盗なんですが、…その、すでに他に人が出払ってて初動が私しかいないんですよ…』 
 
「他でって何があってるじゃんよ」 
 
『スキルアウトの暴動があったみたいでそっちの鎮圧で…、私は今支部に来たところなんです』 
 
「分かった、私の装備…、銃器だけで構わんから現場にすぐ持って来い 
 こっちはこのまま向かうじゃん」 
  
『りょ、了解』 
 
電話を切り息を大きく吸い込む
 
「うおああああああああぁぁぁああああ!!!!」 
 
陰気な自分を吹き飛ばさんと、運転しながら腹のそこから声を張り上げアクセルを踏み込む 
平和な学校とは違い、ミスを犯したら自分の命はおろか隊員の命、住民の命、犯人の命まで吹き飛んでしまう 
学園都市の、人間の闇の部分と戦う為 
スイッチを切り替える 
 
(だらだらすんのは終わりじゃんよ!) 
 
車は迷いを振り切った主を乗せ、高スピードで現場へと急ぐ 
  
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:30:25.50 ID:E882xyqU0
 
 
(え……っと、私、黄泉川愛穂は、っと) 
 
警備員第七十三活動支部の机の上で、黄泉川は始末書を書いていた 
何度も書きなれた文面、もう案件の所を以外コピーでも取っておこうかと思う 
 
(大変反省しております。 あとはえーっと) 
 
現場に着いた時にちょうど犯人が車で逃走するところだった 
鉄装からライフルを受け取り、即座に実弾を装填する 
急発進した車両の前輪に、銃弾二発打ち込み停止させるつもりだったが 
逃走車両は雨で滑りやすい路面で迷走し、尚且つタイヤが破壊され暴走 
ガードレールをぶち抜き、道路脇の店舗に突入してしまった 
鉄装が事前に交通規制と住民の避難をさせていたので大事には至らなかったが 
 
(今後とも学園都市の治安維持に全力を注がせていただきます。っと…) 
 
 
書き終えてペンを机に投げ、背もたれに体を預ける 
時刻は十九時過ぎ
今日は定時で帰る予定だったのに散々だ 
 
(あいつら晩飯どうしてるかな……) 
 
携帯を取り出し、自宅の電話に掛ける 
遅くなる事と食事を自分に構わず食事をとること 
コールがなる時、できるなら打ち止めか芳川が出て欲しいと心の隅で思った 
 
しばらくコールが鳴る 
 
(出かけてるのか……?)
 
数回待って出なければ携帯に掛けようと思った時 
繋がった 
 
『はい、もしもし黄泉川だァ』 
  
「――っ」 
 
不機嫌極まりない声が電話にでる 

(まぁ、今日はそんな思い通りにならない日だからな……) 
 
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:31:09.17 ID:E882xyqU0
十八時を少し回った頃 
打ち止めの一人語りとテレビのニュースがリビングを賑わせていた 
 
「それでね、ミサカは10032号と20000号にこう言ったの、ってミサカはミサカはちゃんと聞いてるのか二人に聞いてみる」 
 
「あァ…」 
 
「聞いてるわよ?」 
 
「ならいいんだけど、だからね10032号と20000号は同じミサカなんだけど、他のミサカより似て………・・・・  
 
打ち止めはどうやらミサカネットワークの出来事を事細かに話しているようだ 
正直あまり興味はないが、完全にスルーすると脹れるので相槌だけは返し 
意識をニュース40%、打ち止めの話に30%、芳川の行動に20%、朝からの憂鬱の相手に10%向けていた
対面の芳川は手持ち無沙汰なのか、黄泉川の書置きで折り紙をしていた 
形から察するに鶴の様だ 
最後に翼を広げて形を整える段階だが、開いた右の翼に黄泉川のポストスクリプトが出ていた 
それを見た芳川は眉間にシワを寄せ嘴を整えないまま、ポイっとテーブルに投げる 
一方通行は芳川の一連の行動をちょうど見ていたので、笑いがこみ上げる  
 
「愛穂遅いわねぇ…、お腹空いてきちゃったわ」 
 
「芳川今日そこから動いてないじゃない、ってミサカはミサカは働かないで食べるご飯はおいしいのかの意味を込めてみる」 
  
「皆して無職だのニートだの…、私は生活費もちゃんと払ってるのよ?」 
 今はちょっとした充電期間なの」 
 
「そう割り切ってるにしちゃあ、その翼の文句が気になってるみたいじゃねェかァ。あァン?」  
 
ニヤニヤ笑いながら一方通行が追い討ちを掛ける 
見られていた事に気がつき、ばつが悪そうにテレビを見る 
打ち止めが折鶴を取り、翼の文字を見る 
 
「ミサカ達が頑張って(笑)応援してるよ、ってミサカはミサカはネットワークの最新状況を報告してみる」 
 
「なんか引っかかるわねそれ……」 
 
「大体、黄泉川もお前の事心配してンだろォ 
 お前の言い分も分かるが、ちっと応えてやれよ」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:32:02.13 ID:E882xyqU0
一方通行の一言に目を丸くして、発言者の顔を見る二人 
 
「なンだァ?」 
 
「いや、あなたからそんな言葉がでるとは思わなかったわ」 
 
「ミサカも芳川に同意って、ミサカはミサカはあなたが黄泉川の肩を持った事に複雑な気持ちだったり」 
 
「はァ?何いってんだ。バカじゃないンですかァ? …常識だろ」 
 
その常識がこの少年の口から出た事に二人が驚いているのを、イマイチ理解していない様だった 
二人は顔を見合わせ釈然としない様子だった 
 
「芳川…、ゲームでもしない?ってミサカはミサカは変な空気から脱出を提案してみる」 
 
「そ、そうね…。行きましょう」 
 
いそいそとリビングから芳川の部屋へ行く二人を視線で見送り、舌打ちをする  
 
(意味わかンねェ…) 
 
発言内容と今までの自分の態度を比較すれば分かりそうだが 
客観的に正確な自分を見る事が未だに苦手な少年には理解が及ばない 
 
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:32:40.84 ID:E882xyqU0
ニュースも終わりバラエティ番組の時間になった 
定時で帰ると宣言しておきながら、買い物して帰るにしても、だいぶ遅い 
携帯を開いて時間と着信を確認する 
時刻は十九時前 
着信は入っていない 
この携帯は基本的に鳴らない 
用事のある者が連絡事項のみ伝えるだけの者 
その用事のあるものも、十人にも満たない 
登録してある個人の番号もそれと同じ数 
同年齢の少年に比べ、人間関係が薄く狭い 
闇に堕ちた悪党だから仕方の無い、当然の状況だと自分で思う 
しかし寂しさが心のどこかで主張する 
そんな温い気持ちを持つ自分を殺し、携帯をパタンと閉じる 
 
(……くだらね) 
 
己の弱い部分だと思い込み嘲笑して誤魔化す 
 
(しっかし…、黄泉川にいつ謝ろうかなァ) 
 
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:33:56.58 ID:E882xyqU0
昨夜の事を謝罪したいが、同居人が二人いる 
黄泉川だけに話したいが、その状況をどうやって作るかが問題だ 
 
呼び出すにしても、不自然だ。二人の前じゃ話せない事だって言ってるものだ 
手紙…ガラじゃないと却下される 
メールは誠意が伝わらない様な気がする 
皆が寝た後、昨日みたいにリビングで…、謝る状況がその時の状況なのも気まずい… 
 
等と色々思案していると家の電話がなる 
 
(あン?) 
 
リビングはもちろん家中に聞こえる呼び出し音 
数コール目 
 
「おォい!! 電話だァ!!」 
 
芳川の部屋まで十分聞こえる声量で、電話に出ろの意味を込めて叫ぶ 
…遠くで打ち止めの笑い声が聞こえ、芳川の悲鳴が聞こえる 
ゲームに夢中なのだろうか  
息を吸い大声を出す 
 
「おいこらァ!! 電話だっつってンだろォがァ!!」 
 
「そっちにいるんだったら出なさいよ!!」 
 
怒鳴り返された 
ゲームで打ち止めに負けていイライラしている様だ  
 
「チッ」 
 
舌打ち。杖をついて立ち上がり固定電話へ向かう 
受話器を取る前、以前黄泉川に言われたことが頭を過ぎる 
 
――固定電話は誰から掛かるか分からないから、でる時は丁寧な言葉使いをするじゃんよ! 
 
警備員の上司からの電話に出た後に言われた言葉だ 
 
(俺の知り合いじゃねェンだから、別もンで考えられねェのかよ…) 
 
人付き合いの柵にムシャクシャしながら受話器を取る 
 
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:34:34.02 ID:E882xyqU0
 
「はい、もしもし黄泉川だァ」 
  
一拍の間 
 
(あァン?) 

『…ああもしもし?私じゃん』 
 
黄泉川からだった 
一気に気まずい気持ちになり、固まってしまう 
 
『もしもし?』 
 
「ああ、なンだ?」 
 
『あー、ちょっと警備員の急な任務があって遅くなるじゃん 
 ご飯は何かありあわせで作るか、出前とって欲しいんだけど…』 
 
「ああー…、出前は昼したから、なンか作るわァ」  
 
昼に取ったラーメンを思い出し、適当に済ませることを伝える 
 
『すまんな、私は食べて帰るから器にしなくていいじゃんよ』 
 
「分かったァ」 
 
『じゃあ…頼むぞ』 
 
「黄泉川!」 
 
『ん!?どうしたじゃん?』 
 
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:35:01.59 ID:E882xyqU0
これが好機だと思った 
恐らく夜遅くに帰宅し、今日言う機会は訪れないだろう 
昨夜の理性ある素直な気持ちを思い出しながら口を開く 
 
「…あ、昨日はほンとすまねェ…」 
 
『………うん』 
 
「俺、…お前に言われた感じだし、……なんつーか悪ィ 
 裏切る様な真似して……。ほンとどうかしてると思った」 
 
『……そんなことないじゃん…』 
 
「いやマジですまねェ…、お前が出て行けって言うンなら出て行く」 
 
『それはダメじゃんよ 
 打ち止めは誰が守るんだ?』 
 
「……それは何とかする、……お前に合わせる顔がねェンだァ…」 
  
『私なら気にしなくていいじゃんよ…、そんな蕾の初心な少女でもないんだし 
 私は怒ってないじゃんよ。一方通行』  
 
「……すまねェ」 
 
『……でもそうやって言ってくれて安心したじゃん 
 私は結果的にお前を傷つけた事を謝りたいじゃんよ』 
 
「なンでお前が謝るンだァ?」 
 
『私が大人だからじゃんよ。きちんと子供をリードする役目があるじゃん?』 
 
「ガキ扱いしてンじゃねェ…」 
 
『そうやって強がるのがお前じゃんよ 
 だから気にするな。分かったじゃん?』 
 
「……あァ…。…後、」 
 
『ん?』 
 
「俺ァ…、その…人付き合いってのが未だに分からねェ… 
 なンつうか、距離感?みてェなもンが…」 
 
「だからそういった事……、教えてくれねェか?」 
 
『ああ、お安い御用じゃんよ、まかせろ』 
 
「すまねェ」 
 
『そういう時はありがとうじゃん? ほれ』 
 
「あァ……?」 
 
「…………ァりがと」 
 
『まぁ今日はそれでいいじゃんよ!』 
 
「チッ、るせェ…」 
 
『んじゃ、家のこと頼んだぞ』 
 
「あァ、……気をつけてなァ」 
 
『―――っ! ああ! ありがとな!』
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:35:40.13 ID:E882xyqU0
電話を切り思いっきり息を吐く 
顔が熱い、心臓の鼓動が聞こえる 
手で実際顔を触ってみるが、やはり熱い 
 
(終わったァ……) 
 
贖罪、罪の告白と懺悔 
傍から見て簡単な行為だが、いざやるとなると相当な勇気がいる 
自分の卑下する部分を曝け出し、それを認めた上で謝罪する 
相手の罵倒等を覚悟し、心を砕かれることを恐れながら踏み込まねばならない 
許しを得られなければ、許しを得られるまで同じ事を繰り返す 
仮にそれを得ても、個人差はあるが、今度は永劫、自分の罪の意識と戦うことが始まる 
自分が自分を許す、一方通行には過大な過ちがある為。そういったことができない性格だ 
仮に万人がもう許すと言ったとしても、闇に堕ちた人間は…等といい生き方を変えないだろう 
一生背負い、贖罪とばかりに打ち止めを始め、妹達の笑顔の為に生きる事を決めたあの日から 
 
冷蔵庫から缶コーヒーを出し飲む、中身をチェックするが食材が不足していて大した物ができそうにない 
戸棚の中身もダメだ 
 
(めンどくせェ…) 
 
芳川の部屋へ行き、出前か外食を提案しよう 
溜息まじりの杖をついた覚束ない足取り 
 
 
だが不思議とその足取りは軽やかにも見えた…… 
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:37:12.08 ID:E882xyqU0
始末書と報告書を書き終え、背伸びをする 
 
(気をつけてな……かぁ…) 
 
一方通行の意外な一言に驚き、気持ちが晴れた気がする  
時刻は二十時過ぎ 
明日提出できる様にまとめ、机の上に整理しておく 
ついでに机の上を整理し、引き出しの中身を出し整理する 
始末書を書いた自分にケジメをつけ、気持ちを新たに切り替える一種の儀式である 
 
黄泉川流の儀式を終わらせ 
支部の置き傘を持ち、荷物をまとめ外に出る 
だが雨は止んでいた 
 
(お、ラッキーじゃん!) 
 
わざわざ傘を持ってのが無駄になるが、降っているよりは幾分もマシである 
車に乗り込み、まっすぐ帰るか、買い物をして帰るか迷う 
 
(どの道明日行く羽目になるなら、今日しとくか) 
 
まだ夕食もとっていなかったので、何か適当に惣菜でも買って帰ろう 
とにかく疲れた一日だった 
集中を切らすと居眠りしそうになるので、窓を開け風を入れる 
 
(買い物して…、帰って…、風呂入って…今日はすぐ寝よう) 
 
もっとハードな一日は多々あるが、こういった精神的な疲れは苦手だ 
もちろんそれで一方通行を疎ましく感じたりは無い 
ただ苦手なだけ、それを克服しなければいけないとさえ思う 
実際さっきの電話のやり取りで、好感触が掴めた 
自分の気持ちを素直にちゃんと伝えてくれた 
これ以上にない手ごたえだ 
あの少年が照れながら、感謝の言葉を述べたかと思うとつい笑ってしまう 
バックミラーで自分の顔をちらっと確認すると、なんと気持ち悪いのだろうか 
夜の幹線道路で運転しながら独り妄想笑い 
昨夜の一方通行の全身発光を笑えない 
 
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:38:20.79 ID:E882xyqU0
 
 
(……いや、あれには流石に負けるじゃん) 
 
思い出して噴出してしまう 
あいつは何がしたかったのだろうか? 
一方通行の能力はなんとなく知っているが、まったく意味不明の奇行だった 
場所が違えば追求していたが、TPOを弁えた結果自重した 
 
「…………ぶふっ」 
 
駄目だ、噴出す。頭から離れない 
 
 
――信号待ちしていた、とあるドライバーがツボに入り爆笑する黄泉川に驚き、街の新しい語り草になるのは後の話―― 
 
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 01:41:38.93 ID:E882xyqU0
ここまでです 
 
13レス書くのに4時間掛かってる^q^遅すぎワロエナイ 
 
ぼちぼち書いていきます
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 01:49:37.55 ID:LWjNENDao

やったね三下、出番があったよ!

こうやって二人はわかりあって行くんだな…感動した
闇に落ちた記憶もないのに俺のアドレス帳の件数が少ないのは納得がいかない
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 02:15:57.79 ID:ApJygnQAO
乙乙
着実に好感度が上がってるなァ
書きたいことが増えるのはいいことだ

>>74
そのENDだけは拒否する
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 13:53:58.57 ID:dke25BRs0
全身発光がいまいち想像できないんだぜ
ホタルのようにパッと光ってるのか
ギンギラギンにさりげなく輝いているのか
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 14:47:03.73 ID:jlBDQFyAO
???「私以外にも身体を発光させられる輩がいたとは驚きでゲソ。さてはお前もこの星を侵略しに来たでゲソね?」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 16:33:46.59 ID:HpN3dxCAO
>>93
そげぶ
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 16:49:57.84 ID:u1eV5ylKo
あのかっこいい一方通行さんがこんなに思春期な筈はない・・・
しかし、考えてみたらお年頃の男子が血縁関係にない女性に囲まれて生活してれば当然といえば当然か・・・
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 17:44:45.32 ID:KWJjVaF50
>>92
スーパースター取ったマリオみたいになってるのを想像した
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 17:49:47.04 ID:dke25BRs0
>>96
あの状況でそんなふうにテラテラ光られたら笑っちまうわw
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 18:13:31.87 ID:5ap4T7oEo
テッラがどうしたって?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 18:27:44.09 ID:KPresajHo
>>97
じゃあ
一方通行「俺の身体が光って唸る!」
ならどうだ?
これじゃ第七位か
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 18:42:21.15 ID:dke25BRs0
>>99
一方通行がモビルファイターか
スーツ着る時点でリタイアだな
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 19:40:17.42 ID:ZixxWg3do
全身発光シュールすぎて駄目だwwww
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 20:41:38.22 ID:+8ASbEu00
全身発行って新しい能力みたいだな
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/21(月) 21:10:57.76 ID:jvXW/zUMo
可視光全反射だとしたらぬめぬめのミラーボールみたいになってたんじゃないかww
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 21:14:40.83 ID:nVFnIwYl0
  てめぇらずっと待ってたんだろ!?本編主人公の俺が活躍する、インデックスだって小萌先生に預 
  けて空気化しないですむ・・・そんな誰もが笑って、誰もが望む最高な王道SSってやつをよ!!
  今まで待ち焦がれてたんだろ?上琴的展開を・・・何でこの俺がちょい役の引き立て役なんだよ! 
  大体固有名詞がチラっとも出てきてねぇじゃねえか!何で吹寄の胸に顔埋める役なんだよ!?そ 
  んな脇役じゃなくてもっとかっこいい見せ場があるんだろ!?出し惜しみしてねぇで早くだせよ!! 
  読み手だって俺が主人公の方がいいだろ!?体育の一場面の背景で満足してんじゃねぇ、命を懸け
  て説教する俺に憧れてんじゃねぇのかよ!?だったら、それはまだ全然おわっちゃいねぇ・・・   
  始まってすらいねぇ・・・ちょ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ っとくらい長いプロローグで絶望してんじ
  ゃねぇよ!構想修正すれば|  スレ違いだ、帰れ  |できるんだ!いい加減に始めようぜ、>>1!!  
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\_______/ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                           ∨      (゚д゚ )
                          <⌒/ヽ-、__ノヽノ |
                        /<_/____/ < <
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 21:26:01.36 ID:nVFnIwYl0
まだ全然進んでないです 
 
今から書き溜め、たぶん明日投下になります 
 
>>92 
なんとなくぼやーっと誤魔化したい様な光り方…かな? 
口半開きにして、挙動不審な感じで、夜中アニメで寝てたあのソファーで独り光ってる感じ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/21(月) 21:28:15.50 ID:dke25BRs0
>>105
把握したthx
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/21(月) 21:35:01.84 ID:nVFnIwYl0
ああ、スターの無敵は近いかもしれない 
もっとゆっくり滑らかに光ってる、メガテンifのハザマのアストラル体って言って分からないかもしれないけど 
あれをさらに滑らかにゆっくりしたような光り方…うん分かりにくいな 
 
まぁ適当に補完お願いします 
 
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 01:18:55.41 ID:CNO06MOAO
あれかww
ハザマと聞いて白学ランの一方さんが思い浮かんだ

黄泉川先生自慢の( Ξ )の活躍に期待
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 07:12:09.77 ID:VDr2chyDO
一方通行「だンだンなンか簡単になったン」キラキラ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:23:20.60 ID:oUpZkePw0
          \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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        ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |::::: ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
         /___::∧ (|/   〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j /!::::::::::\ ̄
           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
            ノイ::/i:::ハ          {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/    待たせたな皆
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/      投下スタートだ            
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\            
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:24:02.39 ID:oUpZkePw0
 
スキルアウト達が女の子を囲んでいた 
常盤台中学の制服を着ている 
そうあのレベル5の御坂美琴だった 
御坂は追い詰められていた 
 
「へっへっへ、イイコトしようじゃねーか」 
 
「触らないで!」 
 
「待てええええ!!」 
 
「なんだ?」 
 
慌てるスキルアウト達 
 
「こっちだ!」 
 
建物の上から見下ろす一人の男 
 
「ア、アンタ!来てくれたのね!」 
 
「颯爽登場!上条当麻!!」 
 
スキルアウト達の前に立ちはだかり、やっつける 
 
「大丈夫か?ビリビリ!」 
 
「ビリビリっていうなー、……美琴って呼んでよ…///」 
 
照れた美琴の顔が真っ赤になる   
 
こうして俺達は付き合い始めた 
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:25:01.57 ID:oUpZkePw0
               
          >.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、         
       ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/     `ヽノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二三三三三三三三三
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/   `ヽ/ ´`ヽ _  三,:三ー二二二ー二二二ー
         /___::∧ (|/     ノヽ--/ ̄ ,    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           /.:::::ハ ∧     ミ }  ...|  /!ヘ;;;;丿         
          ∠::::::::::::八 :.     _}`ー‐し'ゝL _
           厶イ:::::::::ーヘ     _,:ヘr--‐‐'´}    ;ー-------------------
            ノイ::/i:::ハ     _,:ヾ:::-‐'ーr‐'"==-───────
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/  
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\ 

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:26:22.33 ID:oUpZkePw0
茶番も済んだので、本編を投下します
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:27:15.42 ID:oUpZkePw0
実験協力という名目で最新設備が満載された、教員用の4LDKマンションの一室 
空しくラーメンを啜る音が木霊する 
黙々とどんぶりの中身を片付ける三名 
未成年の二人には、言いたいことはあるが口に出さない 
 
「…しかし昼も夜もラーメンって、なんか途中で飽きるわね…」 
  
二人の心中のひとつを代弁してくれた大人、元科学者、現在就職活動中、芳川桔梗 
少年と少女の箸が一瞬止まる、…がまた新たに生まれた不満を胸に、作業を再開させる 
餃子をひとつ、口に放り込みスープを飲む芳川 
水を飲み小さくおくびを出す 
 
「あらごめんなさい」 
 
音に反応し、また箸を止める二人に謝罪をする 
生理現象だ、謝罪もしたし咎めはしない 
また再開される作業 
 
「あなたたち、よく夢中になれるわね……」 
 
少年の箸だけ止まり、悪たれと表現するに相応しい目つき 
だが口からでる言葉、それは正論 
貯まった不満を言葉に乗せ、吐き出す 
 
「お前が言うなァ!」 
 
怒声を上げる学園都市第一位、一方通行 
彼の怒りを買い、比喩等ではなく命を落とすものさえいる 
それを知る者は、自分の力に過信や、絶対の自信がない限り 
怒りを買った時点で両膝をつき、命乞いをするだろう  
芳川はそんな彼の顔を、…正確には下唇の辺りを眺め反論する  
 
「何怒ってるのよ、注文になにか不満あるの? 
 あなたは私に任せたんだから、後から文句言われても困るわよ」 
 
「昼ラーメン食ったのに、夜もラーメン頼むとは思わねェだろォがよォ!! 
 しかも店も食いもンも昼間と一緒ってなァ、どォォいう神経してンですかァア!?」 
 
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:27:44.78 ID:oUpZkePw0
時間は少し巻き戻る 
家主から夕食の手配を任された少年は、出前か外食かを提案しに他二名の下へ行く 
 
どっちがいいかという質問に 
少女は外食!と元気よく手を上げて主張 
女は外出が面倒だから出前にしましょうと主張 
意見が割れ、決定権は少年の裁量に委ねられる 
外は雨が降っていた、女の尻を叩き外出準備をする手間が面倒 
この二点が天秤を大きく傾け、出前にするぞと言った 
ついでに出前の手配を女に押し付け、部屋を出る 
少女は意見が通らなかったことへ不満を零し、少年の後に続く 
 
洗面台で二人は手を洗い、リビングへ向かう 
女はキッチンで昼に出前を取ったどんぶりと皿を洗っていた 
その行為に珍しいと思いつつ、ソファーに座る 
デビューしてはすぐに消えて行くタレント達の狂宴を眺めていると、女が対面のソファーに座った 
 
女が座ってから時間にして、十分経っただろうか 
いつ出前注文するんだ?と疑問に思った時部屋のチャイムが鳴る 
女が対応し共用玄関のロックを解除する 
キッチンからどんぶりと皿を持って、玄関へ向かう 
ここでまさかと思った、しかし注文するにしても何も相談せずにするのか? 
閃きと疑問が交互に沸きあがる 
遠く、玄関の方で昼間聞いた威勢のいい声が聞こえる 
どんぶりを下げに来たのだろう、そうであってくれ 
淡い幻想を胸に女を待つ 
 
岡持ちを提げた女がリビングに入ってきて、その幻想はぶち殺された 
結構重い、などと言いながら、テーブルに岡持ちの中身を出していく 
昼間と寸分違わぬメニューに少年と少女は固まる 
岡持ちを配達人に返す為、玄関へ向かう女 
心なしか涙目になっている少女の頭にポンと手を置き 
女に任せた自分が悪いと謝罪した 
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:28:19.04 ID:oUpZkePw0
そうした経緯があり、我慢していたのだが 
その元凶からの発言に我慢できなくなった 
 
「だってここ早いし、出前なんてどこも大して味変わらないわよ 
 お腹いっぱいになればいいじゃない?」 
 
一方通行の口元についている小ネギの破片を凝視し、自分の弁を論じる 
元科学者だったからであろうか、効率重視の意見だ 
最強の怒りを前にしても、小ネギのせいで正直まったく怖くない 
あっても無くても、芳川は恐れたりしないのだが… 
 
「根本的にそこがおかしいンだよ!!」 
 
口の動きにあわせて小ネギが踊る 
隠密任務を受けた忍者が断崖絶壁のガケに手を掛け、落ちまいと必死に耐えている様だ 
心の中で勇敢な忍に頑張れとエールを送りながら少年の意見を聞く 
 
「昼と同じじゃ飽きないかなーとか思わなかったンですかァ? 
 クソガキを見ろよ、飯だってのに全然はしゃいでねェだろ!」 
 
「いつも静かにしろって言ってるのに、意味分からないわよ」 
 
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:28:59.72 ID:oUpZkePw0
油のせいで張り付いていられるのか、油で滑りやすいのかどっちだろう 
未だにその姿勢を崩さない忍に、科学者としての単純な興味、好奇心を擽られる 
世紀の大発明などは、こういった何気無いことが切っ掛けになったりする 
 
「静かにするのベクトルが違うだろォがよォ! 
 これは落ち込んでンだよ!昼と同じもンに失望してンだろォがよォ!」 
 
ベクトル操作を主体とした能力者の意見 
自分の能力で変えてあげればいいのに、あなたなら打ち止めの涙も笑顔に変えれるわよ 
…等と心で呟きながら、耐える忍から目を離し、隣で黙々をラーメンを啜る少女を見る 
少女の下位個体たちと似たような表情でもさもさ咀嚼している 
 
「ミサカはいいよ、気にしてないから、ってミサカはミサカは小ネギを口元につけて憤慨しているあなたを収めてみる」 
 
「あン?」 
 
本人に知れたと同時、任務失敗とばかりに落下する忍 
あっ!ばれちゃったわね…お疲れ様と心の中で労う芳川 
彼は落下先のどんぶりで、再度機会を窺っているのだろうか 
当人は手で口元を探っているが、すでに忍の姿は無い 
 
「今落ちたよ、ってミサカはミサカはちょっと恥ずかしそうにしてるあなたを見てにんまりしてみる」 
 
「チッ…」 
 
舌打ちしながらラーメンを啜る作業に戻る 
 
(なンか人の目見て話さねェと思ってたが、…クソがァァア!!) 
 
羞恥心を誤魔化す様に勢いよく啜る 
その食べっぷりは豪快、流石第一位である 
美食倶楽部のボスもそれを見て、感嘆の声を上げるかもしれない 
 
 
食卓が一人を除いて和みを戻した 
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:30:06.68 ID:oUpZkePw0
「…ねみィ」 
 
昨夜一睡もしていないので、満腹感招きよせられた睡魔が一斉に襲ってきた 
大好きなコーヒーもあまり飲む気がしない 
 
「もう寝ちゃうの?ってミサカはミサカは早寝なお子様に聞いてみる」 
 
「あァ?……っせェ」 
 
挑発にまったく乗ってこない、かなり眠いようだ 
昨夜から陰鬱を抱え心の中でもがいていたが、その心労からの解放もあった 
自室に入りベッド脇の灯りを点け、ベッドに沈む 
昨夜からの出来事を回想し、自業自得ながら散々だったと思う 
 
(変われるかなァ……) 
 
黄泉川に人付き合いのなんたるかを教えてくれ 
赤面してしまうことを良く言ったものだ 
冷静に分析すれば、今までの自分ではありえない事を言ったと思う 
だが、冷静に分析するからこそ、自分に足りない物を補う為の適切な処置だったとも思う 
 
(まァ…、どうにでもなれェ……) 
 
黄泉川のこれからのレッスンを想像し、ちょっと面倒に思えてきた 
学校へ通えなどと言い出すかもしれない 
自分の学校に通えなど言い出すかもしれない 
ヒーローや土御門がいる 
その中へ放り込んで友達になってやってくれと紹介されでもしたら、恥の極みだ 
地球を逆回転させて逃げてやる等と、そら恐ろしいことを考える 
  
人と人の距離 
言葉も概念も理解はできるが、計りきれない、怖い 
沢山の人間を望む望まず傷つけてきた 
 
自分に近づいて傷つけるのが怖い、傷つけて恐れられるのが怖い、恐れられて自分が傷つくのが怖い 
だから自分には誰も近づかないでほしい 
 
幼い頃からの経験則からの答え 
夏までは唯一絶対の答えだと思っていた 
結果として不思議な右手にその歪んだ達観をぶち殺されたが 
  
(ただの臆病もンだな…、バカやろォ…)  
 
自嘲し寝返りを打つ  
大きく息を吐き、枕元の雑誌を手に取り捲る 
ファッション雑誌だが、特集ページで【気になるあのコへのアプローチ10の法則】と書いてあった 
人付き合いが上手になる方法という本もあったが、買ったら負けな気がして買わなかった 
書かれている法則の一つが昨夜あったが、首を吊りたくなる結果だった 
 
(※保護者は除くって書いとけよ…。クソが…) 
 
記事を纏めた人間の名前を記憶し、会ったらぶん殴ろうと固く誓いを立てる   
名前も覚えた所で、はたっとページを捲る手が止まる…… 
 
(俺ァ黄泉川が好きなのか……?) 
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:30:45.42 ID:oUpZkePw0
――不意に湧き出た一つの可能性 
どうも昨夜から黄泉川のことばかり考えている 
恋愛がどういったものか、余り分からない 
好きになる以前にそういった距離まで人と接していない 
 
(アァ?……わからねェ……) 
 
女性に好意を抱いたことはあるが、それは好意というよりも 
メスがオスに盛る様な感覚だった気がする 
所謂ヤリたいといった感じだ 
開発と実験ばかりでそういった機会も少なく 
ある程度自由行動ができる頃は絶対能力進化計画がスタートした 
対峙する妹達に卑猥な言葉を投げかけながら、スカートを捲ったりもした 
殺すことに絶望しながら、感情希薄な妹達にわざと接触し女性の感触を少し味わったりした 
過程の記録が残るので、ほんの軽いお触り以上の直接性交渉などはしていないが 
 
帰宅した後、殺した感触と女体の柔らかな感触でハイになった心が劣情を咲かせていた  
人形の様に虚ろな目をした妹達 
顔形は見目麗しく、当時まだ見ぬオリジナルにも興味を少し持ったくらいだ 
実験開始当初は負けてしまおうかとも考えたが、負ける要素は皆無 
諦めて実験中止をさせたかったが、感情の無い彼女達にその意思が無い 
卑猥な言葉を投げかけ、侮辱し、殺す作業が続いた 
血と肉の匂いを手につけ、女の感触を記憶しベッドで独り慰める日々 
乾いた心にどろりとした劣情を染み込ませ、硬くなった陰茎を扱いていた 
 
 
 
 
 

――ちょうど今の様に  
 
 
 
 
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:31:26.80 ID:oUpZkePw0
その当時と違うことは、血と肉の匂いの記憶を頼りにするのでは無く 
朝嗅いだ下着の匂いの記憶 
下着の匂いだけであそこまで興奮するのだから、直に匂いを嗅いだらどうなるのだろうか 
文字通り、鼻腔も脳も溶けてしまい死んでしまうのではないだろうか 
妄想が加速し、手の動きも加速する 
前回、前々回と黄泉川を脳内で犯し尽くしていたが、今回も黄泉川だ 
シャツの上から揉んだ乳房の感触を思い出し、以前見た乳房を脳に描く 
乳首に吸い付き、入念に嘗め回し喘がせる 
硬くなった乳首を舌先で遊び、自分の下半身を激しく家主の下半身に打ちつける 
頭の中で激しく激しく、何度も何度も、何度も何度も腰を振る 
手の動きもそれに連動して激しくなる 
先走りが人のそれよりも多い一方通行 
淫靡な音が頭の中にも、現実の室内にも響く 
黄泉川の耳元で卑猥な言葉を呟き、さらに行為が激しくなる 
イクっイクっと黄泉川が言えば、自分もイク、中で出すぞと応じる 
ティッシュを素早く用意し、次の行動に備える 
 
「――っくゥ!!」 
 
陰茎を引き抜かず、黄泉川の膣奥に深く沈めたまま射精する 
ティッシュの上に自分の精を吐き出す 
ドクンドクンと黄泉川の子宮へ注がれる子種 
ティッシュに広がる精液 
 
夢と現が交錯し、そのまま眠りについてしまった 
 
 
 
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:31:58.25 ID:oUpZkePw0
「ただいまじゃんよー」 
 
買い物袋を提げた黄泉川が帰宅する 
廊下の照明を点け靴を脱ぐ 
全員分の履物があることから外出していないことを確認 
 
「おかえりなさいー、ってミサカはミサカは元気よくお出迎え!」 
 
「ああ、ただいま」 
 
リビングにいたのは打ち止めだけだった  
袋から食材を取り出し冷蔵庫へ、惣菜をレンジに入れて温めのスイッチを押す 
 
「あいつらは?」 
 
一方通行と芳川の事だ 
 
「芳川はお風呂、あの人はご飯食べたら『…ねみィ』って言って寝たみたい、ってミサカはミサカは早寝なあの人の物真似を交えながら報告してみる」
  
口調がちょっと似ていたのでクスっと笑い、そうかと相槌を打つ 
 
やはり牛乳が無くなっていた、二本買って来たがまたすぐに消化されてしまうだろう 
缶コーヒーの残数が少ない、どうせ明日にはまた大量に場所を取られる訳だが 
食材をいれ終わるとレンジから工程終了の合図が鳴る 
 
「お惣菜にしたの?ってミサカはミサカは黄泉川よりもマシだった食事を思い出しながら聞いてみる」 
 
「食べる時間が無かったじゃん、今日は何食べたじゃんよ?」
 
朝食からの今日の献立を報告し、芳川の言動を私情も交え逐一黄泉川に報告した  
 
「あいつは……まったく…」 
 
我が友人ながらどうしてああも浮世離れしているのか…、ある意味尊敬の域でもある  
基本太陽の下で活動しない職に長くついていたので、それっぽいと言えばそうだが 
毎日何かしらのアプローチを掛けるが、中々実を結ばない
 
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:32:43.41 ID:oUpZkePw0
これまた打ち止めの私情を交えた、本日の芳川と一方通行の愉快なエピソードを聞きながら食事を進める
件の折鶴を手に取り笑う 
皮肉に近い自分の大きなお世話を、皮肉で返そうとしたのだろうが見事な墓穴だ 
その時の芳川の顔が見れなかったことを残念に思う 
 
「お前は風呂に入ったじゃん?」 
 
午前中に一方通行と一緒に入ったきりだというので、後で一緒に入ることにする 
食後にちょっとゆっくりもしたいが、寝てしまいそうなのでさっさと惣菜の容器を洗い、ゴミ箱へ 
テレビを見ながらぶつぶつ言っている打ち止めに声を掛け、入浴を促す 
恐らくミサカネットワークで交信しながら、見ていたのだろう 
独りでいる時よく同じ事をやっている 
同年代の友達もいないし寂しいのだろう 
子供のおもちゃにしては随分と強大な代物だが、あってよかったとは思う 
少なからず打ち止めもその他の妹達も独りの寂しさを、少しでも紛らわせられるのだから 
彼女達の今の狭い世界を少しでも広げてやりたい 
打ち止めの替えの衣服をタンスから取り出し、黄泉川は切に思う 
 
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:33:14.54 ID:oUpZkePw0
脱衣所で服を脱ぎ、洗濯ネットに女性カゴに入っている下着を入れて洗濯機へ突っ込む 
打ち止めは先に入って体を洗い、芳川は湯船に浸かっていた 
 
「おかえりなさい」 
 
「ただいまじゃんよー」 
 
打ち止めからボディタオルを奪い背中をごしごし洗ってやる 
小さい背中だ 
お尻の割れ目を洗おうと、突っ込んだら身を捩って逃げる 
 
「そこは自分でするからいいの!!ってミサカはミサカは黄泉川からタオルを奪い返してみる!!」  
 
「へいへい、寒いから早くしてくれじゃん」 
  
「なんか疲れてるわね」 
 
「あー、なんか……、色々あったじゃんよ」 
 
「ふぅん、まぁ困ったら何でも言いなさい 
 溜め込むと体に毒よ」 
 
「同居してる友人が、人の好意を折鶴にして墓穴掘るじゃんよぉ〜 
 桔梗なんとかならないじゃん〜?」 
 
ニヤニヤして芳川見ると、心ここにあらずといった感じで大変ねと返してきた 
 
「まぁ、その友人も色々あるのよ、…色々」 
 
言いながら湯船から上がり、打ち止めからシャワーを奪い体を流す 
 
「ゆっくり疲れをとってね、愛穂」 
 
優しい言葉を残し、そそくさと浴室から出て行く 
打ち止めと顔を見合わせ、ニヒヒと笑いあう 
多少悪戯がすぎるかもしれないが、甘やかすとどんどん身も心も浮世離れが酷くなる気がするので 
これくらいがちょうどいいのだ 
 
長い髪を洗髪し、顔を洗う 
腰まである髪を洗うのは慣れたとはいえ、一苦労だ 
体を洗っていると、お返しに打ち止めが背中を洗うと名乗り出た 
お願いして洗ってもらう 
洗い終えたのか立ち上がってみてとせがむので、仕方なしに立ち上がる 
先ほどのお返しがしたかった様で、お尻の割れ目にタオルを突っ込んできた 
思いっきり力を入れて、臀部の筋肉を引き締める 
現役体育教師、第一線警備員の鍛えられた筋肉で悪戯っこの指を挟む 
びっくりして慌てて引き抜く打ち止め 
まだまだ甘いと頭にチョップをする 
 
湯船に二人で浸かり、体の芯から温まる 
湯に浮かぶ黄泉川の超弩級戦艦ニ隻を枕にする打ち止め 
 
「黄泉川はなんでこんなに大きいの?ってミサカはミサカは自分のと比べてみる」 
 
「そりゃ打ち止めはまだ小さいからじゃんよ。年取ったら自然と大きくなるじゃん」 
 
「ふーん、でもお姉さまはそんなに大きくないよ、ってミサカはミサカは自分の未来予想図を思い出し黄昏てみる」 
 
「まぁ個人差はあるけど、御坂もまだ中学生じゃん。まだまだ成長期じゃん」 
 
また風呂上がったら牛乳を飲みだすだろうなと思い、打ち止めがのぼせる前に風呂からでる 
 
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:33:47.84 ID:oUpZkePw0
「私はもう寝るから、歯磨きするじゃんよ」 
 
「今日はなんだか皆寝るの早いね、ってミサカはミサカは早寝ブームなのかと案じてみる」 
 
「寝る子は育つっていうじゃん」 
 
「おお、それはいい事を耳にした、ってミサカはミサカは早寝遅起き習慣を採用してみたり」 
 
「それじゃ桔梗じゃんよ…」 
 
「あう…、ミサカはミサカは早速採用された習慣を却下してみる」 
  
「早寝早起きしたらいいじゃん?」  
 
うーんと唸る打ち止めに歯磨き粉を渡し、自身の歯を磨く 
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:34:23.04 ID:oUpZkePw0
芳川は自室にいる様だった 
歯磨きを終え、リビングの電気を消し、キッチンへ 
打ち止めが牛乳をガブガブ飲んでいるので、おねしょするぞと注意する 
それは嫌だと言い、先に寝室へ向かう打ち止め 
 
朝に米が炊ける様にタイマー設定を入れる、すなわち正式な使い方だ 
特段遣り残したこともないので、キッチンの電気も消し、寝室へ向かう 
 
途中一方通行の部屋の前で立ち止まる 
寝ているのか、物音がしない 
今日はまだ顔を見ていないので、寝顔だけでも見ようかと思ったが 
 
「…おやすみ、一方通行」 
 
ドアの前で就寝のあいさつだけし、自室へ向かった 
この時ドアを開け、室内の様子を見たら大変な事になっていたのだが 
幸運の女神は一方通行に味方したようだ 
 
「打ち止め、寝るの早すぎじゃんよ…」 
 
分かれて十分も経たない内に、寝室の灯りを点けたまま寝ている 
布団を掛けなおし、照明を落とす 
 
(はぁ〜、色々あったな…今日は……) 
 
 
 
一日の反省をする間もなく、意識が枕に深く沈んだ  
  
 
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:35:57.37 ID:oUpZkePw0
 
「ンァ?」  
 
寒さで目を開ける、頭にもやが掛かった様な目覚め 
 
(さみィ…) 
 
何か違和感を感じる 
 
(―――げェッ!!) 
 
下半身丸出しだった 
ティッシュに精液が出されていることから、射精してすぐ寝てしまったのか 
だが一番気がかりなのは… 
 
(誰も部屋に入ってねェだろォなァ………) 
 
一方通行は寝起きの頭をフルの活用して考える 
打ち止めには寝ると言ったから、緊急の用事や、朝自分を起こしにくるくらいだろう 
何より打ち止めが見たなら、騒ぎになって起こされているはずだ 
芳川はこの部屋に来ない、来たとしたら自分を起こすだろう 
黄泉川はどうだ……?自分の行為を認めている 
見て見ぬ振りをするか、別に気にせず起こすか 
 
(ぐおおお………、不覚だぜェ……) 
 
ドアに鍵付けようかなと思いながらティッシュ包み、ゴミ箱へ投下 
外の気配はまだ夜、時刻を確認したら深夜三時半 
下着を履き、冷えた体を布団の中へいれ温める  
丸まって目を閉じる 
 
(打ち止めと芳川はねェな…。間違いねェ。 黄泉川ァ……) 
 
 
 
 
悶々とする思考を他所に、一方通行は意外とあっさり眠りに落ちた 
 
 
深夜の黄泉川家 
それぞれが思い思いの夢を見て、静かに朝を迎える 
 
  
 
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 10:39:35.36 ID:oUpZkePw0
ここまでです 
 
あと数回の投下で終わればいいなぁ…と思います 
 
抜けるSSにはならないが、抜いてるSSになってる現状 
このまま操を守らせるのもアリかなと思ったり思わなかったり…
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 14:04:52.65 ID:5b8KuZpq0
>>127
そげぶ
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 16:48:21.88 ID:ZwbhzZly0
一方通行って屍姦してなかったっけ
オレの思い違いならすまん
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 17:16:12.95 ID:H/eLHtRAO
カニバリズムはしてたがエロいことはしてない希ガス
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 17:35:59.42 ID:1IiTZetSO
一方さんの自慰に体が反応して男に目覚めたのかと結構不安だ
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 17:39:06.47 ID:5b8KuZpq0
>>131
あわきん「ようこそ…『男の世界』へ…」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:28:05.30 ID:ZRWqO1vjo
えと、一方さんは妹達に痴漢したうえ、その死体をオカズにしていたと。

うわぅ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 18:54:28.87 ID:91K2I1hk0
乙なんです。童貞捨てるって話はまだですか?

>>129 それって、他所のSSじゃね?ナナの話だろ?原作には死姦は無かったような カニバリズムはあったけど
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 18:58:10.12 ID:ZwbhzZly0
>>131
食べちゃうほうか
>>134のナナの話ってのが分からんから単なる思い違いだったようだ

...あれ、屍姦よりひどくね?
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 19:31:40.03 ID:er4ToN960
        \: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \_,.-'": : : : : : _,.-'"
       ,.-'": : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : _,.-'"
      /: : : : : : : : :/: : : : ,イ: : :∧: : : : : : : : : :k: : : : : : : : : `ヽ、_
.   / _,.ィ : : : : : : l,.-‐/¨l‐-メ、 ヽ: : :l>=‐'"¨l゙',: `ヽ、: :/: : : : :\
.  /-‐'"/ : : : : : /l/   l;/   ヽヽ/l  `ヽ、l ',: : : :ィ': : : : :-、---ヽ
    /: : : : : : :/           Y ヾ      ',/ l: : : : : : :\
   /: : :_:_: : : : :{       ・     }     ・     }: : : : : : : : :ヽ、
 ィ=-‐'"/: : : : ::ヘ           ∧         ,イ/´`ヽ===
    / :_:_:_:ァ'"ヽ/ゝ、         / ヽ、       / ',   〉 食べるとかないわー!
     ̄   〈  .{   `ー-=====f´    ゙jー-===‐'"___ ',_ノ   _ 物語の主人公として失格だろそれ!!
   _    ゝ=ィ _,. -‐───-≧==≠-‐'"´ ̄ ̄  `ヽ   f´ `フ_ これは大きく問題を取り上げて
  (   ヽ___/´                        ゙i_,.-'"\  く【本編主人公】の俺と変わるべきだわー!!
  f´ /    /                           i     >=‐''【本編主人公の俺】とさぁ!!
. _> f゙_       l                            /    /
 ゝ-'' ` ー 、_ ',      _,. -‐───- 、          ノ   /
         ヽ`ー-‐'"´          ¨ー--------‐'"ヽ./

--------------------------------------------------------------------------------
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 19:41:21.90 ID:er4ToN960
お気づきの方もいるかもですが 
実は>>1は原作未読ですと今更カミングアウトしてみます 
 
>>133死体をオカズというより、この話の中では、体に付着した匂いですね 
痴漢といってもちょっとパイタッチとか、羽交い絞めにして密着したり 
殺害する背徳とエロスの狭間で悶々としていた感じです 
  
ナナってなんか最後にパスワード入力するやつだっけか 
いいお話だったと記憶してます 
 
他のSSの話も雑談とかも全然OKです 
それで書きにくいとかないし、私も勉強になりますし 
 
>>134 
もうちょい日常ダラダラさせてくだしい
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 19:42:17.66 ID:er4ToN960
今から書き溜め投下は日を跨ぎます
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 20:06:36.82 ID:ZRWqO1vjo
>>137
否定はしないが、堂々と言うなよ(汗
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/22(火) 21:38:24.34 ID:i4goQaPDO
未読かよ[ピーーー]
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 21:40:14.23 ID:oX8ZfwSpo
アニメ派?
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 21:49:00.65 ID:MaRA1nPAO
コミック派かもしれんぞ。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/22(火) 22:09:50.92 ID:er4ToN960
アニメ生まれのSS育ちです 
 
まとめやここのSSを読んでて、自分も書いてみたいなと思い去年あたりからちょこちょこと邪道なもの書いてます 
 
にわか臭が一気に押し寄せてきたけど、適当にお付き合いお願いします 
 
このカミングアウトも後の伏線だったり、違ったり… 
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:06:41.42 ID:CNO06MOAO
どういう反応されるか分かった上でカミングアウトするなら別にどうということはない
とりあえず二人で幸せになってくれ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/22(火) 23:57:23.79 ID:WgWHHmgNo
小ネギの辺りがすごく素敵だった
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 00:36:48.05 ID:iKBfu4HFo
原作未読ならこのあとまた闇堕ちする一方さんみてないのか
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/02/23(水) 00:38:39.39 ID:MiLk5GpDO
最初は
なんだクソあくせらぁipjmagpmたさんかと思ったが
そうでも無かった
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 15:16:43.92 ID:vz34xJRSO
>>1さん日付変わってますよ^^
邪道なSSってなんだ?
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 16:57:20.15 ID:bKcnBrVPo
>>148
SS知識だけで書いてる部分があることを言ってるんじゃね?
アニメだけじゃ全然進んでないし
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:01:33.82 ID:/QCLJBKo0
  /    「´
 {     `ー──────- 、
  ``ヽ.               ヽ___
   { ヽ_,.-‐----- 、._     / ,.----ミ 、                     上条当麻 高校一年 冬
    ` ´          ̄`V /   /::| ,.イ
                /、⊥_  |::::レ':::::| _,. -‐ァ           己のアピールとこのSSの出番に限界を感じ
               / /_>::`::::/::::::::|'´:::::::/            悩みに悩みぬいた結果(さき)は
              ヽ<:::::::-=='::v::::::!/::/ `ー―‐z__     
              、-≧=:::>:::::::::::::::::::: ̄ ̄///             感謝であった
                  フ ̄ ̄::7:::::::::::::::::::::::::::::::::\<
              ,〃::::::/:::://:|::ハ::::::::::::::::::::::::::::::::`Z         自分を生み出してくれた蒲池、はいむらへ
              _'ニイ:_:/:/|::|::!:::vヘ:::::::::::::::::::、_ア´
                ̄レ代ミ!:| |:::ト、:::::::::::::::ト、:ト、          自分自身を育ててくれたファン達への限りなく大きな恩
                   く ∧ ` j! |代ヾラ:ト、:::::|' ヽ!`ー-、   
                     /`ーヽ ` ヽ「´ ヽレ!::ト! |  /  \     _  自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが  
                |   /.ハー-   ,.イ ヽ! / /      ̄`< \
                |  \ |`ーァ'´⌒ヽ / /      /    ヽ ヽ    一日一万回感謝のそげぶ!!
                |    Y´    /V  /       /      }  }
                ∧  ! | /  /     {     /       / /      気を整え 拝み 祈り
                | |   / /  ト、     ゝ          /  /
                   | |  |. |  ヽ. ー┐  /  /⌒ヽ    /  / \       構えて突く
                ∧ | |. |      ̄    ハ   \__/___/   \
                     | i r' ノ          / |         ヽ     '. 一連の動作を一回こなすのに当初は5〜6秒
               ,.イ  | | |\          「 ̄\         |     i
                / |    | |  `ー- 、_     !   ヽ     |     |  一万回を突き終えるまでに初日は18時間以上を費やした
           /   |    | ト、                `ー┐ |     |
           ヽ   |    ヽ | ヽ                /  |      !    山を降りた時上条の拳は
            |  !      i |ヽ ヽ\             /  |    ,'
            |       | |:::::\ \ ー-  _        /   |     i      音を置き去りにした
            |           |::ヽ:::::>.、     ``ヽ _,. -‐'     !.    |
            /ヽ      | |:::::::::::::::::::::>、       |\    /    !
              /::::::>.-、._  ! !,. ----、::::::::::::\   |::::∧  /     '.
          /:::::::::::::::::::::::`>..、!     \:::::::::::::\/:::::::∧ i        '.
            /:::::::::::::::::::::::::::::::/       \:::::::::::::::::::::::::::∧ |       `ー┐
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:04:29.81 ID:/QCLJBKo0
ちょっと職をゲットしてその準備でわちゃわちゃしてました  
 
手法としては>>149が主でwikiやINDEXINDEXで補強してます 
後は内容も思いつきの変な自分設定が多いです 
万人向けじゃないですって意味合いが強いかな 
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:05:04.56 ID:/QCLJBKo0
早朝六時 
黄泉川の枕元でアラームが鳴り、目が覚める 
今日は時間通り朝を迎えられた 
向かいのベッドでは打ち止めがまだ寝ていた 
布団から肩が出ていたので掛けなおしてやる 
背伸びをして、体を覚醒させる 
 
まずは脱衣所へ、洗濯機を回しキッチンへ 
炊飯器一号で米が炊けているのを確認 
続いて冷蔵庫から食材を取り出す 
小ネギを小口に切り、タッパで保管 
炊飯器二号に鰹節を入れスイッチオン、ダシを取る 
乾燥ワカメを水に浸け戻す 
炊飯器三号に油を薄く引き、白身魚の切り身を四枚、重ならない様に配置。スイッチオン 
醤油、みりん、酒、酢を適当にボールで混ぜ合わせ乾燥昆布を浸けておく 
豆腐を四等分、皿に盛り。その上に生姜と削り節を乗せ冷奴完成 
二号の蓋を開け、鰹節を掬い、味噌を溶き合せる。味噌汁完成 
 
ここまでやってリビングのカーテンを開けに行く 
天気がいい、新しい決意をした朝に相応しい 
 
(一方通行を明るくするじゃんよ!) 
 
取り立てて緻密な作戦は考えていない  
自分を変えたい、性格にしろ、ダイエットにしろ、一番肝心なことは本人のやる気だ 
もうやる気がでている時点で、難関は突破している 
後は周囲の人間がやりやすい様に、フォローしてやればいいんじゃないかなと考えた 
一癖ある性格の持ち主だが、多少強引にでも引っ張って、後ろからおしてやろう 
朝日が昇る学園都市を眺めながら漠然と考え、黄泉川愛穂は大きくあくびをした 
 
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:05:35.93 ID:/QCLJBKo0
リビングのフローリングの掃除をしながら考えた 
問題は性教育をどうするか 
学業的な保健体育は分かるが、そういったことではない 
どっちかと言えば情操教育的な方面でだ 
道徳や自己の表現等、それをどうすればいいのか一方通行は悩んでいる 
それをどう教えていけばいいのか、黄泉川も悩む 
 
(困った時の月読先生頼みじゃんよ) 
 
自分よりも遥かに年下に見える年上に意見をもらおう 
今日は飲み会の誘いをしていたので、その時にでも…… 
掃除を終え、時計を見る 
時刻は七時 
 
打ち止めを起こしに行く 
  
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:06:02.61 ID:/QCLJBKo0
(あいつの調整って今日だっけ?明日だっけ?) 
 
寝室のカレンダーで日取りを確認する 
ちょうせいの日と書かれた日付は… 
 
(明後日じゃんよ) 
 
まったく記憶の情報と違えた結果に苦笑いし、布団を剥ぎ取る 
 
「おら!打ち止め!! さっさと起きるじゃんよ! 朝だぞ」 
 
「――うー!寒いよー、ってミサカはミサカは容赦の無い黄泉川を恨めしく思ってみる」 
 
「はい、おはよう!」 
 
「……おはよう、ってミサカはミサカは眠い目を擦りながらおじぎをぺこり」 
 
「打ち止め、芳川を起こしにいくじゃん」 
 
「まだ七時だよ?ってミサカはミサカは何か緊急なのかなって推測してみる」 
 
「朝食はみんなで食べることにするじゃん、行くぞー!」 
 
「何か黄泉川のテンションが高いよ、ってミサカはミサカはちょっと焦ってみたり」 
 
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:06:32.64 ID:/QCLJBKo0
芳川の部屋の前に来た黄泉川は、迷わずドアを蹴る 
ドガンっと音がした後、ノブを開けて中へ入る 
 
「警備員だ!神妙にするじゃん!! 打ち止め隊員、対象を拘束するじゃん!!」 
 
ベッドに入っている芳川が、眉間にシワを寄せ首だけこっちに向けている 
 
「……なによぉ………」 
 
「らじゃー! ってミサカはミサカは芳川の布団の中に潜ってもぞもぞしてみる」 
 
「――きゃっ、ぁん! ちょっと…、あっ! ぅん… 打ち止め止めなさい」 
 
「もぞもぞもぞもぞもぞ、ってミサカはミサカは無慈悲な仕打ちを芳川に……ってあいたたたたた!」  
 
「や・め・な・さ・い!って言ってるでしょ!!」 
 
拳を頭にぐりぐり押し付けられ打ち止めが喘ぐ 
 
「おはよう桔梗!いい朝じゃんよ!」 
 
寝起きから軽く息を切らせた芳川が、髪をかきあげ騒ぎの元凶であろう家主を見る 
 
「……おはよう、何かあったの?」 
 
「朝食はみんなで食べるじゃんよ!」 
 
「…はぁ?」 
 
自分の友人らしい発言とはいえ、その真意が見えない 
 
「……一応聞くけど、なんで?」 
 
「みんなで食べると美味しく感じるじゃん!」 

もう理解するのは諦めよう、そして芳川は再び夢の中へ… 
 
「行くなじゃん!」 
 
「あーん、まだ眠いいいい!!」 
 
布団を剥ぎ取られ、体を引っ張られるが、シーツにしがみ付き抵抗する 
 
「打ち止め隊員!」 
 
「らじゃ!!ってミサカはミサカは芳川のわき腹をつんつんしてみる」 
 
反射的に脇を締め、シーツから手が離れる 
 
「いやああああああ!!」 
 
現役警備員の腕力でそのままリビングへ引きずられていく…… 
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:07:29.51 ID:/QCLJBKo0

 
「私は朝食を仕上げるから、本作戦の指揮は打ち止め。お前に任せるじゃんよ」 
 
「おお、ミサカが隊長なんだね、ってミサカはミサカは自分のスピード出世に大感激!」 
 
「じゃあ打ち止め隊長、一方通行を起こしてくるじゃん」 
 
「らじゃー」 
 
皆で朝食を食べる作戦 
作戦の成功条件は全員の起床 
二つの難関の一つは今、洗面台で顔を洗っている  
残る一つをクリアする為に打ち止め率いる部隊(※総員一名)は、一方通行の部屋へ突入する 
  
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:08:10.67 ID:/QCLJBKo0
ガチャっと勢いよくドアを開け、遮光カーテンの閉まった暗い部屋へ押し入る 
家具などは最低限のものしかないが、黒を基調とした部屋はなおさら暗く見える 
 
「とーう、ってミサカはミサカは寝ているあなたへダーイブ!」 
 
「――ォギャッ!」 
 
仰向けの体に、勢いをつけた打ち止めが圧し掛かる 
 
「ッッ!何してやがンだァ!!クソガキィ!!」 
 
「おはよう!ってミサカはミサカは予測していたあなたの言葉を聞き流してみる!」 
 
「ざっけンなァ!さっさとでて行けボケ!」 
  
一方通行の定型文句に応えず、遮光カーテンをシャっと開ける 
朝日が暗い部屋を照らす 
 
「まぶしィバカ、閉めろォ…」 
 
寝起きの目にはきつかったのか、日の光が弱点かの如く目を瞑り弱い声をだす 
 
「みんなでご飯を食べるんだよ、ってミサカはミサカは司令部からの指令をあなたへ伝えてみる」 
 
「あァン?」 
 
「ほら!早く行こうよ!ってミサカはミサカはベッドから出ないあなたの手をグイグイ引いてみる」 
 
「オイ、止めろ!」 
 
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:09:27.57 ID:/QCLJBKo0
ベッドから出ない、正確には出れない 
男性ならば経験があるだろう、寝起きのアレだ 
その硬度は寝起きだとは思えない程のモノを誇っている 
そんな事情があるとは知らず、はしゃぎながらグイグイ引っ張る打ち止め 
打ち止めは弱って嫌がっている一方通行に、悪戯気分でやっているだけだが 
当の本人は布団からでると、ガチガチになったものを嫌でも晒してしまうので必死に抵抗する 
  
「止めろっつってンだろォがァ!」 
 
割りと本気で怒鳴る一方通行  
家中に響いたその声を聞き、黄泉川が様子を見に来る 
 
「おはよう一方通行、何してるじゃん」 
 
あの時以来会ってない二人がお互いの顔を見合わせる 
 
(黄泉川っ……) 
 
視線を僅かにそらした一方通行が口を開く 
 
「クソガキがしつけェンだが、お前の仕業か?」 
 
「HQ!この人が駄々をこねて布団から出てきません!ってミサカはミサカは報告をしてみる」 
 
「今日から朝食はみんなで取るじゃんよ、早く来い」 
 
「あァ?いいよ後で食うから…」 
 
「一方通行」 
 
再度声を掛けられ、観念する
 
「……ああ、分かったァ。行くからクソガキ連れていけ。ちゃんと行くから」 
 
言いながら毛布を引き寄せる一方通行 
その何気ない仕草に黄泉川は、なるほどと察する 
 
「打ち止め、こっち手伝うじゃん、一方通行は治まったらちゃんと来るじゃん」 
  
言わなくていい一言まで付け、打ち止めを呼ぶ 
言葉に何を含んでいたかを知る一方通行は顔を赤くする 
 
「さっさと行け!クソッタレ!!」 
 
やり場の無いムシャクシャを暴言で誤魔化し、二人を部屋から追い出す 
 
(あああああ!!くそおおおおお!!)  
 
二人が出て行ったあと、一方通行は己の羞恥心でもがき、枕に顔を埋めバタバタと足を動かしていた 
 
 
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:10:06.67 ID:/QCLJBKo0
炊飯器三号の蓋を開け、焼き色を見る。表面がカリっと焼けている 
仕込んでおいたタレを流し蓋を閉め、蒸す 
ソファーに座っている芳川と打ち止めを呼び、出来たものを運ばせる 
一方通行がリビングに来て、ギョっとした顔をする 
視線の先は、この時間リビングにいるはずの無い芳川がいる 
 
「お前何してンの?」 
 
「お手伝いよ、愛穂が変なやる気をだしちゃって、…どうにかならない?」 
 
「ハッ!肩書きに家事手伝いって書けるじゃねェか。よかったなァ」 
 
「上手いこと言ったって顔しないで。余計に腹が立つわ」 
 
「一方通行はこれ運ぶじゃん」 
 
二人のやり取りを聞きながら、黄泉川が指示をだす 
 
「湯のみ四ついらね、俺コーヒーな」 
 
「和食だからお茶にするじゃん」 
 
反論しようと口を開こうとするのを見て 
 
「みんなでお茶にするじゃん」 
 
言葉で先に塞ぐ 
 
「チッ、わーったよ」 
 
片手で杖をつき、片手で盆を持ちテーブルへ向かわせる  
クソガキ湯のみ取れ、と片手しか使えない一方通行が打ち止めに言う 
ついでに熱いから気をつけろとも 
 
(時間が押してきたな、明日からもっと早く行動しないとじゃん) 
 
自分の出勤時間が気になってきた 
皿に付け合せのサラダと香の物を盛り付け 
三号炊飯器から白身魚を崩さないように盛る 
 
「おーい持ってってじゃーん」 
 
誰とは言わず呼びかける  
おい呼んでンぞ。天気予報に夢中なの、ってミサカはミサカは一週間の天気を記憶してみる。若い者が動きなさいよ 
三者三様の発言が飛び交う 
 
「誰でもいいからさっさと取りにこい!」 
 
きつく言うと打ち止めがごめんなさいーと、走って取りにくる 
打ち止めに自分の分だけ持たせ、三枚の皿を器用に両手に持ち、テーブルへ向かう 
動かなかった二人の前にほらよ、と乱暴に皿を置き、手を合わせる 
 
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:10:38.03 ID:/QCLJBKo0
 
「ほらほら全員で合掌するじゃん」 
 
……ノリの悪い二人が嫌そうな顔で渋々手を合わせる 
 
「いただきますじゃん!」 
 
思い思いの言葉を出し、朝日の差し込むマンションの一室 
皆で朝食を食べる作戦は成功を収めた 
 
「ミッションコンプリートだね、ってミサカはミサカは黄泉川に同意を求めてみる」 
 
「ああ、ご苦労だったじゃん!」 
 
小さな部隊長(※)を労い、笑顔を浮かべる黄泉川 
 
 
 
 
 
――全然血の繋がりは無いが、そこには確かに家族の団欒があった 
 
 
 
 
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:11:07.02 ID:/QCLJBKo0
 
(……暇だァ…) 
 
朝早く起き、いや起こされた一方通行 
リビングのソファーに寝そべり、暇つぶしに携帯サイトを眺めている 
 
朝食後、黄泉川は洗濯等の家事を他三名に任せて仕事へ向かった 
今日は飲み会があるらしいので遅くなるらしい 
自然と夕食の手配をしなければならない 
 
(芳川のやつには任せられねェからな…) 
  
自分も職はあるのだが、最近連絡が全く無い 
人に言える仕事ではないので、無いに越したことはないし 
進んでやりたいとも思わない 
洗濯物を干している芳川と打ち止め 
昨日、一方通行を興奮させた二枚の下着が、洗濯バサミに挟まれ揺れている 
 
(洗ったらもうあの匂いしねェンだろォな) 
 
記憶にある匂いを掘り起こし、感傷に浸る 
脱衣所でのあの行為も、とことん迂闊だった 
もし打ち止めがもう少し早く来ていたら洒落ではすまなかった 
 
(ひょっとして俺って結構マヌケなのか?) 
 
下半身を露出したまま、寝ていたこともあり 
気をつけねばと引き締める 
 
(どっか行こうかな…) 
 
たまには街を当てなく、ぶらついてみるのもいいかもしれない 
数日前とは違う世界が見えるかもしれない。淡い期待を抱く 
 
とりあえず匂いの記憶のせいで燻っているものを吐き出しにトイレへ 
こうして小まめに排出しておけば、理性的な人間になりそうな気もする 
 
おかしな発想を、一人心中で笑いトイレのドアを閉め鍵を掛ける 
 
 
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:13:22.21 ID:/QCLJBKo0
 
ズボンと下着を同時に下ろすと、七分勃ちの陰茎がびよんと出てくる 
携帯で見ていた、アダルト成分を含んだサイトを見ながら右手で弄り、便座に腰掛ける 
イラストや画像、色々なシチュエーションをテキストで記載されたそのサイトは少し前から利用している 
 
以前仕事中、車内待機時に土御門が一人でペラペラ喋っていた事があった 
本人の何気ない一人語り、待機だから気を抜いていたのか知らないが、ふざけた喋り方をしていた 
海原はあーそうですか、と適当に流し。結標は下らないと吐き捨て。自分は興味の無さそうに無視していた 
しかし相手にされないから寂しかったのだろうか 
徐々に一人語りが自分語り、果ては下ネタになり、一方通行の聴覚が研ぎ澄まされる事となる 
彼の青い髪の友人の話から始まり、土御門の性癖から、自慰の際のネタ、そして今一方通行が見ているサイトの話 
サイト名が聞こえると同時に脳に刻み込むかの様に記憶した。直後任務が開始されたが、早く帰りたい一心で即座に片付け 
能力を使用したまま、歓喜の奇声を上げながら文字通り飛んで帰った 
サイト名を検索し、発見したその日は仕事以上に奮闘し、計四回戦うことになった 
 
それ以来ここにアクセスして行う事が多い 
お気に入りはテキスト部門だ、たまにその情景が挿絵として投稿される 
妄想をかき立てられ興奮を促す、手軽ですばらしいシステムだと思う 
いくつかあるタイトルで、女とルームシェアという状況を示すものがあった 
ちょうど今の自分にあっている気がして、右手を動かしながら開いてみる 
 
ルームシェアに至る経緯や、小難しい身辺状況が書きつねられている。正直どうでもよかった 
 
(濡れ場はまだかよっ!濡れ場はよォ…!!) 
 
スクロールを速め流し読みする、脅威の動体視力で淫猥な単語を確認する 
そこには女性と同居する際に、自慰の慰みものにした事を書いていた 
洗濯前の下着を嗅ぎ、嘗め回した事 
 
(やっぱ誰でもやるンだな…) 
 
ネットの落書きを真に受ける一方通行 
続いてトイレの汚物入れの中身を嗅ぎ、それも嘗め回したと記してあった 
 
(汚物入れ?) 
 
テキストによると、それはトイレの一角にあり 
女性の月のものを処理したものが入ってるらしい 
キョロキョロと床を見渡す 
便器の横に白いプラスチックでできた、蓋付きの小さな箱があった 
手に取り、ゴクリと喉を鳴らす 
 
 
開けてみた 
 
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:13:50.25 ID:/QCLJBKo0
廃棄しやすい様に、ビニール袋が仕込まれている 
その中、白く丸められた紙おむつの様な物体が一つ入っている  
 
(これか……) 
 
女性の体の仕組みはなんとなく知っている 
月に一度の感覚で、膣から血が出てくる。広く使われる言葉では生理だ 
手に取り鼻に近づける 
時間は経っているが、日は経っていないだろう匂い 
血の匂いがしっかりとする 
テープで封印されたそれを広げる 
少々黒ずんでいる、直に嗅ぐと昔匂った妹達の血の匂いを思い出した
 
(あ……ああ…) 
 
脳が麻痺する、あの時自分が殺した。死体達…口に入った血と肉の味と匂い 
心に開いたままの穴が軋み、広がる。悲しい過去が過ぎり涙が頬を伝う 
その悲しく、寂しい心の穴を埋めるべく、脳が指令を出す 
白地に広がる赤を、滴る程の涎を纏った舌が通過する 
背徳に酔いしれ、経血を貪る。陰茎を扱く手も速度を速める 
誰の血かは知らない、黄泉川か芳川か、ひょっとしたら打ち止めかもしれない 
身近な人間の物、他の妹達よりも、自分が殺した人間よりも、心の距離が近い者の血 
赤の中心部に噛み付き啜ろうとする、乾燥しているので血液は流れないが気分が高まる 
痛いくらいに膨張した亀頭から先走りが垂れ、ローションを塗った程の潤滑に恵まれる 
滑る右手に快感を損なわせないよう力を入れる 
 
「……アゥッ、ァゥフ」 
 
噛み付いたナプキンの奥からくぐもった声を出し、絶頂へ向かう 
左手でナプキンを力任せに顔に押し付け、息を殺す 
呼吸が止まり、頭が芯から痺れる 
右手で自身のそれを強く扱き、精を解き放つ 
 
 
「――、ッ!グッフッ!ゥッ!」 
 
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:14:18.70 ID:/QCLJBKo0
便座に座ったまま射精したので、正面の壁に飛び散っている 
壁からゆっくりと垂れるそれを、肩で息をしながらで眺める 
 
「……はァ…」 
 
一呼吸、興奮はするが、危険な興奮だ 
あの頃が鮮明に思い出されズキズキと心が痛む 
 
(ちといただけねェな…こりゃァ) 
 
シャツの袖で涙を拭う。快感ももちろんあるが、虚無感が大きい 
心の穴が広がりすぎて、死神が活躍する漫画の敵キャラになりそうだ 
トイレットペーパーと巻き取り、自分の出したものの処理に追われる 
ナプキンも元通り。使用前の状態に戻す 
自分の性器も軽く拭き、口を拭う 
全てトイレに流し、流れきるのを見守る 
ティッシュペーパーではないが、油断できない 
 
(第一位足る者、二の轍は踏むべからずってなァ…)  
 
 
反省と進歩、破壊と再生 
万物の進化の一つの定理を、こんなところで生かす最強の超能力者 
だからこそ彼が最強たる所以かもしれない
 
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:15:16.77 ID:/QCLJBKo0
頼りにしていた月読小萌から飲み会延期のお知らせを、出勤するなり受ける 
何やら生徒の友人を、一日預からないといけないらしい 
その生徒は学校を休み、連絡も取れないので明日に変更になった 
早々にご意見を仰ぎたいところだが、現状そこまでせっぱ詰まってないので良しとした 
 
(鉄装も誘うか…) 
 
携帯を取り出し、目的の番号を呼び出す 
コール、今はあちらも昼休みなので大丈夫だと思うが出ない 
 
(メール送っとくか……、めんどくさいじゃん) 
 
基本メールは嫌いだ、指でコチコチとめんどくさい 
電話で用件を述べて返事をもらう、これだけで済むのに 
文面を考えるのもめんどうだ……っと思っていたら掛けなおしてきた 
 
「もしもーし」 
 
『すみません、席外してて。どうしました?』 
 
「明日飲み会な、いつもんとこでよろしく〜」 
 
『え?明日ですか?』 
 
「そそ、んじゃなー」 
 
『あ、黄泉川せんs』 
 
――通話終了 
 
至ってシンプル。 
連絡事項は分かりやすく手短に、警備員としても心がけるべきだ 
一人で体育準備室でうんうん頷く 
今日は授業のミスも無く、体調もいい 
背もたれに体を預け、両腕を高く挙げ、背筋を伸ばす 
 
(今日は警備員も事件が無ければ巡回だけだし、楽勝じゃん!) 
 
夕食はあいつらに任せてしまったから、たまには食べさせてもらおうかな 
一方通行に作らせてもよさそうだ 
言えばブツブツ言いながらでもしてくれるだろう    
 
「さてと…」 
 
気分を入れ替え、五限の授業の準備に取り掛かる  
 
 
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:15:48.32 ID:/QCLJBKo0
 
トイレでの独りの情事を済ませ、昨日入浴していないのを思い出し風呂へ 
湯船には浸からず、体だけ洗い流す 
 
 
風呂から上がり髪を乾かし、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出す 
 
(あ?、もうねェじゃねェか…。出たついでに買ってくっかァ) 
  
この体になってから、重いものをあまり持ちたくないのが本音 
だが買い溜めておかないと、いざ飲もうとして無いと嫌なのも本音 
打ち止めと芳川はまた二人でゲームをしている 
そのまま玄関へ向かい靴を履く……… 
 
「チッ」 
 
舌打ちして靴を脱ぐ 
廊下を引き返し、芳川の部屋へ入る 
 
「ちっと出てくるわ。夕方にゃ帰る」 
 
「えー?どこに行くの?ってミサカはミサカは尋ねてみる」 
 
「ぶらついて、コーヒー買うだけだァ」 
 
「危ないことしないよね?」 
 
打ち止めが不安そうな顔で尋ねてくる 
 
「コーヒー買うのが危険ってどンな街だよ…バカか」 
 
うーん、と唸り打ち止めが沈黙する 
 
「気をつけていくのよ」 
 
こちらをチラっと見て芳川が言う 
打ち止めがモニターを見ていないのをいい事に、有利に立とうとしている
 
(なンて大人だァ……) 
 
その浅ましさに呆れ、じゃあなと玄関へ戻る 
ドアが閉まった後残される二人 
 
「今まで何も言わずに勝手に出かけるのに、どういった風の吹き回しかしらね」 
 
芳川の声が玄関まで微かに聞こえた 
 
「――クソッ!」 
 
ドアを足で蹴り閉め、街へ繰り出す 
その顔は日の光を浴び、赤らんでいるのがありありと分かった 
 
 
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/23(水) 20:21:28.06 ID:/QCLJBKo0
ここまでです 
 
次回は早くて明日です 
話の展開もAAも決めたので後はとっとと書くだけです 
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 20:35:46.03 ID:iKBfu4HFo
ァゥフ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 21:10:45.83 ID:mL7/HovRo
一方通行さんの感覚がわかるような・・・それにしては変態すぎるような・・・
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 21:15:56.83 ID:MiLk5GpDO

セロリ「ロリが好きなんとちゃうでロリも好きなんやでェ」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/23(水) 23:13:21.02 ID:JALn0BRR0
お盛んにもほどがあるんだぜ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:53:01.07 ID:UaiNq7IZ0
              ,.  '  ̄ ̄`¨¨ ヽ、
            , '            \__
           /     /         ヽ }
           /     / -‐‐ ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉}
          /     !:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. : | .|
         ,'      |  _,  --r― r――‐ヘハ
         i      |/: :!: : : ハ:.!.| ヽ」」:_: : :.ト、
         |      |: : 斗ヤT ヽヽ´___VV!从
         |      |:NV  ___    ⌒`i: |  !    とうまがでばんっていうのもらったらしくて
     __,ノ      ハ:ハ  ' ̄`   ,   i:.:{  |       朝からすごくはりきってたんだよ
   //     /    人 |: |         人:.',  \     
   |:::レ    /    /:/Y|:.:ト、    ー ' ,.イハ: ハ   \         今日はとうまが居ないから 
  r::::/        /イ:. リ: :!` ミ - rく:| `ヽV:.',    !\   インデックスはこもえの家にお世話になるんだよ
  |::::|  /    /  ヽ/:./\   ̄ イ:.!    Vハ    |:::::|   とうまが嬉しいとインデックスもうれしいかも
  |::::|/    /    /:/ヽ::::::\−  |:.:|   /\\  |::::| 
   Y:|    /: :.|\  /V   \::::::\_/::::|     !\\ム:/        がんばってねとうま♪
  /:::|   /: : : : |   {: |     \::::/::\!  ',   !  \\
  |:.:::\_/: : : : : |    ヾ      \::Vハ  ',   ',   ヽ::ヽ
  ∨:::/: :/: : :|     \      |:::::!::::',  ',  ∧   ノ∨
   ∨_/: : /:∧      ヾ、   |::::::!:::::',  |   ∧
   /: : : :∠ イ  ∨     }ハ   |:::::::!::::::! |    ヽ
  /イ´ ̄      |     ノ  !  /:::::ハ::::| /     }

173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:55:06.95 ID:UaiNq7IZ0
>>171 
もちょい一方通行と>>1をオナらせてください 
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:55:32.80 ID:UaiNq7IZ0
街をぶらぶら歩く、宛は無い 
地下街の本屋で雑誌を立ち読みし 
立っているのが疲れたのでカフェでコーヒーを飲む 
 
(………何しに来てンだ俺ァ…) 
 
コーヒーを啜り、独りで街をぶらつくのがこんなにも退屈だとは思わなかった 
いや、以前から独りで行動はしていた 
決定的に以前と違うことがある 
何かを期待して出てきたことだ
家を出たときのワクワク感が段々薄れ、連れ立って歩く人々が疎ましく思う 
 
(おっとォいけねェよォ? 人を妬んじゃいけねェ…) 
 
これは自分にとって、在って然るべきハンデなのだ 
宗教に夢中になっていれば、神の試練とでも言うのかもしれない 
これが現実、人との距離を開け、本音を出さず生きた人間の現実 
 
何かを発見、誰かと出会う 
気持ちを切り替えれば、新しい人生の展開を切り開ける 
 
(……そう思ってた時もありましたってかァ?) 
 
溜息を吐き、飲食の清算を済ませ 
また宛のない旅路へ…。否、徘徊する  
 
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:56:25.42 ID:UaiNq7IZ0
地下街から出て帰宅の算段を立てる 
家の近くのコンビニに寄るだけなのだが 
必要以上に、どこを通って帰るか綿密なルートを考える 
 
……思考の海から一旦引き上げる 
どうやら後ろから自分を後を跡ける輩がいるようだ 
 
(二人かァ?) 
 
店の前で立ち止まったり、角を曲がったりするが 
一定の距離で追跡を受けている 
二十メートル先に三人組、腰に差した拳銃をチラっと見せてくる 
 
電極のスイッチを入れるが、歩調は変えない 
サッと人気の無い路地へ入り走る 
 
(そォいや…、コーヒー買うのも危険な街だったな!ここはよォ!!) 
 
学園都市の闇を知る一方通行 
追跡者も走って追いかけてくる 
 
(チッ…めんどくせェ…) 
 
拳銃に頼っている弱者如き、数秒で挽肉に替えることができる 
昔の自分なら路地に誘い込んだ時点で、血だまりを作っていただろう 
だがそれを良しとはしない 
暗部の仕事でも、余程の悪党で無い限り、出来れば殺したくは無い 
 
能力で形成された反射膜。顔面部分に何かが当たる  
 
(前から三人、計八名様ご来店ですかァ?……あァ、今ので一人減ったから七か) 
 
配置を考えるとどうやら、ここに誘い込むのが目的だった様だ 
大通りで駆除されるとは考えて無い作戦に些か腹が立つ 
 
(まぁ…、人前で愉快に殺しまくるのは御免だけどなァ) 
  
「なンだァ?お前ら。ゴミくせーから見逃してくれませンかねェ?」 
 
前に立ちふさがった男に声を掛けると同時に、反射の設定を少し変える 
完全反射にすると、銃弾がそのまま相手に命中する為 
前方でのたうち回る男の様になれば、幸い 
動かなくなれば、残念。といった具合だ  
これが返事だとばかりに拳銃を構える男達 
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:57:06.40 ID:UaiNq7IZ0
 
「あ、そォですか」 
 
相手を小ばかにした物言いで薄ら笑いを浮かべる 
刹那、前後から銃弾が向かうが、一方通行に触れる瞬間、全て空へ向かう 
 
「安心しろ、殺しはしねェよォ!!」 
 
前方二人に飛び掛り、手で体をはたく 
至って普通の動作、常人が行うなら大した痛みも無いだろうが 
この少年がすると結果は異なる 
軽い力で叩かれた体は、ビルの外壁へ叩きつけられ 
衝突部分から鈍い音が響く 
 
「なンか奥の手とかねェのかよ?」 
 
なんらかの能力者、もしくは自分と対峙できると勘違いする秘策を用意していると思っていた 
痙攣を起こし呻き声を上げるだけで、返事はない 
 
「じゃあ、お前らに聞こうかねェ…。あァン!?」 
 
後方に居る五人。銃弾が空しく上空に反らされている事を理解していないのだろうか? 
右足で軽く地を蹴り、高速で接近する 
動作の因果が一致しない、第一位の能力 
万物のベクトルを解析し、操作する 
 
「逃げンじゃねェぞォ!?」  
 
弾切れになるまで撃ちつくした彼らの眼前で、顔を歪め笑う 
先の二人と同じ要領で、体を叩き、骨をへし折る、彼だから出来る単純な作業
 
だが一人残す  
 
短い悲鳴を上げる男 
やっと自分達の愚かさに気付いたのだろうか? 
学園都市二百三十万人の頂点というものが、予測できなかったのだろうか? 
はたまた、予測はしたが何とかなるとでも、幸せな期待を抱いたのだろうか? 
 
(こういった勘違いをするバカ共がいるせいで…。俺ァ……) 
 
一方通行の胸中など毛ほども理解しない、男は必死に命乞いをする 
無様極まりないその姿に呆れ、嫌なことを思い出させた代償として男の足を踏み砕く 
当然上がる悲鳴 
だが誘い込んだ当人達が意図した様に、多少五月蝿くても誰も来たりはしない 
少なくとも銃声が鳴り響いたり、恐怖や苦痛の絶叫を上げたくらいでは 
 
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:58:27.33 ID:UaiNq7IZ0
「あァっと、ちっと機嫌悪ィからさっさと応えろォ。目的はなンだァ?」  
 
男の口が素早く動く、緊張と興奮で視点が反復横とびをしている様だ 
ペラペラと喋る姿を見て一方通行はそんなどうでもいい事を考えていた
 
途中まで聞いて自分の予想通りの結果だったからだ 
第一位が負けた、弱っている 
都市伝説の様に囁かれる噂を聞き、結託し 
拳銃を手に入れ、気が大きくなり 
稚拙な作戦で、いざ決行 
 
実に短絡的で幸せな脳みそが詰まっているようだ 
そんな幸せな脳みそが八人分詰まった、このハッピーセット 
付いてくるおもちゃはチンケな拳銃 
もうどうでもいいとばかりに、男の襟首を掴み引きずる 
 
殺されると思っているのだろう、必死に命乞いをする 
 
「…だから殺さねェっつの」 
 
言っても聞かない駄々っ子と変わらないなと思い 
能力で穴を掘り、投げ入れる 
穴というより大穴だろう 
そこに一人ずつ放り込んで行く 
 
「警備員さンが迎えに来っから大人しくしとけよ」 
 
全員穴に入れ、その辺のコンクリートを剥がし蓋をする 
空気穴を開けてやるのは、彼なりの優しさ 
 
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 02:59:14.01 ID:UaiNq7IZ0
携帯を取り出し、黄泉川を番号を……止める   
危険と自分は思わないが、黄泉川は怒るだろう 
余計な説教を食らうのは御免だ、と一方通行は思うが 
余計な心配を掛けるのは御免だ、とも言い替えがきく事を彼は知らない 
 
しばしの逡巡… 
数少ないメモリから一つの番号を呼び出し、コール 
 
しばらくなり続ける呼び出し音 
 
『なんだ?』 
 
でた 
 
「あァー、ちょっとお願いがあるンですけどォ…。いいかなァ?」  
 
『なんだ!?早く用件を言え!こっちは今授業中だ』 
 
出るのが遅かったのは意外な人物からの電話で 
緊急だと思い授業中、外に出てきたのだろう 
  
電話の相手の土御門をわざと焦らす物言いで、続ける 
 
「あァーすみませンねェ…。忙しかったですかァ?」 
 
『黙れ。用件を言え』 
 
「シャレの通じねェヤロォだな」 
 
『お前程じゃないがな』 
 
口で一方通行が土御門に勝てるはずも無く、あっさり皮肉を返される 
 
「チッ、いつかその口ドリルみてェに捻巻いてやる」 
 
『だから用件はなんだ!? 暇人か!?』 
 
「まぁいい、よく分からねェヤツらに襲われたァ」 
 
いきなりシリアスな話になり、息を飲む気配が電話越しに伝わった 
 
「結果は楽勝だったンだが、裏がねェかそっちで回収、調査してくれや」 
 
『そういうことなら早く言えバカ、位置情報を送れ。他には?』 
 
「いや…、そンだけ」 
 
『分かった、じゃあな』 
 
「土御門」 
 
『―なんだ?』 
 
「……なンでもねェ」 
 
言うと同時に電話を切る 
この男たちの背景は分かっているのだが、ああ言えば後は土御門が全て手配するだろう 
何も無い事が分かれば、銃刀法違反か何かで警備員のお世話が結末だ 
 
最後土御門を呼び止めたのは、仕事以外の会話がしてみたいと思った 
前半のやり取りが、あまり認めたくないが少し楽しかった 
 
(でも、あいつァ駄目だな…、全然掴める気がしねェ) 
 
科学の世界と魔術の世界の二重スパイ、Fallere825。その意味は背中刺す刃 
そんな彼との距離感を掴んでいる者など、一方通行の電話帳のメモリより少ない 
切り忘れていた電極のスイッチをオフへ 
来た道を戻り、大通りへ出る 
 
―――っ!! 
 
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 03:00:49.39 ID:UaiNq7IZ0
衝撃が体を襲う 
杖で歩行を助けられている体は、いとも簡単に吹き飛ぶ 
 
「ぐがっ!」  
 
外壁に激突し頭部を打つ 
地面に転がされた体に、容赦なく爪先がめり込む  
 
(――ックソ!! まだ残ってやがったかァ!) 
 
発砲してこないので拳銃は持っていないのだろう 
手配できなかったのか、他の役割があったのか 
一方通行にしてみればそんなことはどうでもよかった 
幾度と無く蹴られる体を捩り、電極へ手を伸ばす
このスイッチを入れた瞬間、この男の足は使い物にならなくなるだろう 
生身の一般人にここまでやられたのは、彼を暴走から救ったヒーロー以来だ 
 
(ゴミクズがァァア!! グッチャグチャにしてやンぜェ!!!)  
 
男の命を消し飛ばす電極に手が掛かる 
 
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 03:01:43.17 ID:UaiNq7IZ0
 
 
「おい、やめろよ!!」 
  
 
 
――突然聞こえた第三者の制止にその手が止まる
 
 
 
「もう決着はついてるだろ!」 
 
 
 
――他人のピンチに颯爽と現れた少年   
 
 
 
「杖ついた人間にひでぇ仕打ちじゃねーか」 
 
 
 
――右手を握り締め、声に怒気を孕む  
 
 
 
「それ以上やるってんなら俺が相手になるぜ!!」
  
 
 
――襲ってきた伏兵と、それに立ちはだかる少年 
 
 
 
「ヤるってんだな……。かかってこいよ!」 
 
 
 
――汚れたジーンズにジャージの上着姿
 
 
 
「これでもチームのリーダーやってたんだぜ?」 
 
 
 
 
 
 
 
 
――その少年の名は浜面仕上 
 
 
 
  
 
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/24(木) 03:06:23.73 ID:UaiNq7IZ0
ここまでです 
 
次は明日?かな 
近日中に終わらせて 
HTML依頼する前に一度上げるので、その時でもよかったら立ち寄ってください
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 03:12:32.41 ID:1DeDsYzgo
はまづらかっこいいよはまづら
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 04:55:33.37 ID:vG2mgkbSO
はまづら△
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 07:42:47.99 ID:KedarB6AO
これはモテざるをえない
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 10:19:42.09 ID:dR1IPvDV0
まさかの浜面
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 17:50:31.15 ID:/2hNd5h4o
はまめん原作初登場時はクズやろーだと思っててごめんなさい
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/24(木) 21:59:20.60 ID:HDWD1ya00
超そげぶです >>1
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 06:13:19.03 ID:mGrDmu0IO
言い回しで上条さんかとおもったらまさかの浜面さんでしたか・・・
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:10:18.77 ID:SY6YSBwAO
はまづらなら一方さんにとって近所の頼れるお兄さんなポジションになれる(エロ方面的な意味で)
同年代でシモネタ話するのが一番の情操教育だと思うわけよ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 13:41:41.22 ID:rXtoikJSO
このまま一方さんの更正話なのかな
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 16:27:49.47 ID:WYhTq/BJo
アッー
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/25(金) 19:13:47.03 ID:CftNmzbAO
浜面△

一方通行と浜面が仲良しとか超俺得
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/02/27(日) 01:54:38.19 ID:7EGXuiOk0
ちょっと重労働の疲労が麦のんの可愛さと同じくらいなので筆が進みません 
 
アニメも見逃してしまいました 
 
今週半ばには投下したいです 
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 03:06:18.01 ID:7ByQGRyEo
過労死するレベル
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 08:41:16.40 ID:Fw9axc0L0
どうでもいいけど月『詠』先生な
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/27(日) 18:04:06.57 ID:wM5sik2DO
おっぱいジャージーまだ−
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:28:38.76 ID:1vUqTqiw0
        ,、    /i/| /|   イ'  ィ'
         j::\   /:::::::::|/:::::::|/:::::| /:::|
       ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|__,.ィ
    `ミ ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::厶___
     \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
 弋 ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/__
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≦:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://::::/::: |:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::ミ三
   ̄/::::::::::::::::::::::::://__//|/:::::/|::::::::/|:::::::::|::::::::::::::::ミ、
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 フ::::::|厶〈|::::::|/   ヾ じ ̄` ヽ .|/,≦__|/::::::::::::::::::ト、 
∠:::::::∧. { |/|/.    `ー       ´じ ̄'/::::::::::::\ ̄  
  ̄/:::\                  `ー' |::::::::::::弋    
  ,.イ::::::::::::|、           i     /::::|\|            ┼
   |/|::::: | \         ´ /     /lル'               ┼
.     川/   \.    ,-――ァ  ./                 
    __/.     \   `ー―' ./                    | |
.   /  `ー――‐ 、 >、_ , ´                     ノ ツ
  /              \/
  7 ̄ ̄ ̄ `ヽ.     \           おいやめろよ!
  /ヽ_,/    \      \_       決着はついてるだろ?
. /              \       /   杖ついてるやつにそれ以上やっていいなんて
/.      /´  ̄\ .\  .∧,      ふざけた幻想抱いてるなら………
                ヽ \/\| 
.   /               ヘ    |  そんな幻想、この俺がぶち殺してやる!!
  /             !    |
.  |         \    | .   |
. ̄|          \   |   .ト、  よしセリフも完璧だな。アドリブも入れたし
.  | /             .\.j     i
.  レ               \   |   ん?……なんか向こうの通りが騒がしいな 
  {                ヽ  |
 
 
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:29:19.17 ID:1vUqTqiw0
ある程度書き溜めできたので投下します
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:30:02.93 ID:1vUqTqiw0
 
「オラ立てよ。チンピラァ」 
 
「イテテ。そんな言い方ないだろ!? ピンチだったじゃねぇか!」 
 
「テメェのマヌケ面が登場しなきゃ、一秒後にそいつァミンチだったっつーの」 
 
先ほどの出来事を見て納得せざるを得ない浜面 
 
LEVEL0同士の戦闘、お互いの生身の肉体をぶつけ合う完全泥仕合だった 
怒声を上げながら揉み合いになり、殴りあう 
目の前で行われるそれに、呆気に取られていた一方通行が我に返り 
自分を襲った伏兵の骨を数箇所へし折り、路地の奥へと投げ捨てたのだった 
 
浜面に救われたというならば、それも正しいのかもしれない 
登場とグダグダの戦いを見せられ、毒を抜かれた 
彼が来なければ次の瞬間。言葉の通り一秒後は惨劇が始まっただろう  
結果。新しい何かを求めて街に繰り出して、人を殺して帰らなくて済んだ 
 
「……まァいいけどよ」 
 
「お前が無事だったならいいや、そんじゃな」 
 
踵を返し、去ろうとする浜面。一瞬の逡巡、そして発声 
 
「……待て」 
 
「な、なんだよ?」 
 
「……め、め、飯でも食わねェか?」 
 
「はぁ?」 
 
「ァ、なンか用事でもあンのか?」 
 
「いや、別に無いし。今から帰るところだけどさ」 
 
「じゃあ来いよ、飯くらい奢ってやらァ」 
 
「え?」 
 
「黙って着いて来い、行くぞ」 
 
一方的な誘いに渋々同行する浜面 
過去に自分の勘違いの末、完全敗北しているので頭が上がらない 
彼の知るLEVEL5は一貫して短気且つ危険なので、無暗に逆らわない方が身の為だ 
前を歩く一方通行の背中を見て、行動の真意を探ろうとするが分からない 
 
(結構自然に誘えたンじゃないですかァ? オイィ! チャンスさえありゃこンなもンだっつーの!! キッヒ!) 
 
背中からは真意は読み取れないが、正面から見れば嬉いのかな?と思えるかもしれない 
疑問系なのは、ほくそ笑んでも一方通行  
一種の諺になりそうな言葉だが、その顔は笑っていても一般人からは怖顔に分類される 
 
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:30:34.27 ID:1vUqTqiw0
「お前どっか飯食うとこしらね?」 
 
振り返り浜面に問う 
 
「え?誘っててそれかよ」 
 
(――しまったァ!飯食うとこ知らない=友達いない と思われちまうンじゃ) 
 
「あー…っと、そこ曲がったとこに牛丼屋あっけど?」 
 
一方通行の懸念は他所に、庶民的な答えが返ってくる 
 
(待て。普通、複数人で牛丼食いに行くのか?一人で行くとこじゃね? 男同士だからアリなのか?) 
 
人付き合いの無さ、雑誌からの知識、自尊心の高さから生まれる虚栄心 
ひょっとしたら今自分は、浜面に試されているのではとさえ思ってしまう 
疑心暗鬼の沼 
 
「……も、もちょいメニューがあるとこねェのか?」 
 
どっちとも取れる無難な回答、これでどうだとばかりに浜面を見る 
 
「おう、そこの牛丼屋結構メニューあるぜ?」 
 
(拘りすぎだろォがよォォおおお!?) 
 
心の中で叫ぶが、返す言葉は見つからない 
 
「しゃーねェ、そこで我慢しといてやンよォ」  
 
「あ…、ああ」 
 
へッと笑う一方通行に違和感を拭えない浜面 
 
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:31:01.39 ID:1vUqTqiw0
互いに注文をする 
ごはん並、肉大盛りの一方通行。ご飯、肉大盛りの浜面 
最初遠慮して浜面は並を頼んだのだが、あからさまな遠慮だったので見破られた 
 
「結局、お前も牛丼頼むんだな…」  
 
メニューがどうのこうの言ってたので、なんとなく呟く浜面 
 
「あァン? 俺が牛丼頼ンじゃ悪いンですかァ?」 
 
「いや、悪くないから…さ。そんな怒るなよ」   
 
別に怒ってはいないのだが、言い方が悪い 
さらに言えばメニュー云々言った手前の注文した牛丼が気恥ずかしい 
 
(味噌汁でも頼むか…) 
 
「お待たせしましたー」 
 
「ァ……」 
 
追加しようと思ったらもう出てきた 
完全に自分のペースを崩され、閉口したまま受け取ってしまう 
 
箸を割り、食べる 
同年代の少年との食事 
もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐもぐもぐ 
もぐもぐもぐ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐ 
もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐ 
もぐもぐもぐ、もぐ、もぐもぐもぐもぐ、もぐもぐ 
 
――沈黙の食卓 
 
(なンかしゃべれやァァああああ!!!) 
 
自分が誘っておきながら、浜面を責める 
こういう時打ち止めが居たならば、場を和ませ、誰を問わず会話を振ってくるのだが… 
少なくとも誰でもいいから後一人いれば、場の雰囲気は違うものになっていただろう 
カウンター席で男二人、黙々と牛丼をかき込む 
 
浜面にしてみれば口を開くと怒られる様な気がするので、迂闊に話せない 
一方通行は自分より、力も地位も雲の上の存在  
何の気まぐれでこの場が設けられたかは、彼には定かではない 
正直、居心地が悪いと言いたい……が 
言えばどんな目に合うか分からない、最悪見る目が無くなってしまうかもしれない  
浜面は無言で牛丼を咀嚼する一方通行を横目で見る  
 
―――っ!? 
 
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:32:05.97 ID:1vUqTqiw0
無言の会食の為、もうお互い食べ終わるだろう 
それはそれでどうでもいい、浜面としては早々にお開きにして帰りたいのだ 
だが、目の前の学園都市第一位のかき込む七味たっぷりの牛丼 
そこでもない。白い肌に映える星が一つ。ここだ 
牛丼の汁を吸い、若干色を帯びた楕円の星 
完全な白米であったなら肌と同化し気付かなかっただろうそれを、浜面は不幸にも気付いてしまった 
 
元来、普通の人間であればついてるぞと言えばそれで済む 
しかしこの相手の怒りの沸点が見えない 
指摘した時点で死ぬ事になりかねない 
そんなことを本気で悩む浜面 
 
自分も気付かないフリをする、まぁまぁいい対処方法だろう   
どこの世界でもお人よしはいる 
 
年頃の娘の誕生日プレゼントを悩んだあげく、買いに行くおっさんがいたとしよう 
おっさんは研究所勤めで、中々家族サービスもできず。家でちょっぴり孤独 
年頃の娘が何を欲しがるのかよく分からず。同年代から利用されているセブンスミストへ探しに行く 
娘と同年代の若者の視線に、気恥ずかしさを感じながら店員と相談し 
多少値が張ったが、自分でも喜んでくれるだろうと思える物が買えた 
プレゼントを小脇に抱え、愛する家族の待つ家へ帰る 
家路につくおっさんは、渡した時の娘の表情と包みを開けた時の表情を想像し、さぞ幸せそうな顔だろう 
 
そこにやたら不機嫌そうな隣のこの男に会う 
彼の口元には飯粒がついている 
幸せのお裾分けとばかりに、教えてやるだろう 
「君、ご飯粒ついてるよ」とにこやかに指摘する 
 
そしておっさんのプレゼントは、遺品として娘の手に渡ることとなる―― 
 
「そんなのってねぇよ!」 
 
ドンとカウンター席を叩く浜面と突然のことに驚く一方通行 
 
「いきなりなンだ?お前……」 
 
(なンで泣いてンだァ…?) 
 
丼と箸を持ったままキョトンと浜面を見る 
 
「なんでもねーよ」 
 
ジャージの裾で涙を拭い、俺がここで止めると決意する浜面 
自分もおっさんも犠牲にならなくて済む方法 
皆が笑ってハッピーエンドを迎える方法 
 
一方通行にそれとなく気付かせればいい 
彼が自分で気がついた様に仕向ける 
どこかのヒーローの精神が憑依したかの如く覚醒する 
楽勝だぜLEVEL5、どこかで言ったことのあるような言葉を胸に、浜面仕上の挑戦が始まる 
 
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:32:49.43 ID:1vUqTqiw0
お互い牛丼を平らげ、爪楊枝で突付いたり、暖かいお茶で食事の余韻を悦しんでいた 
 
「紙ナプキンで口拭いとこーっと」 
 
とてつもなくワザとらしい 
食事の間、終始無言の二人の間で沸いて出た言葉 
さり気無さの欠片も無い 
どうだ釣られて拭きたくなるだろ、とばかりに横を見る 
 
「ほらよ」 
 
紙ナプキンを差し出された 
 
「あぁ…サンキュ」  
 
何でそこで優しいんだよ!!これが必要なのはお前だっ!! 心の中で叫ぶ 
もらっておいて拭かないのも、あれなのでとりあえず拭く 
 
「しかし、あれだなー。こーやって男二人で牛丼も悪くねーな」 
 
「あァ…」 
 
(会話はねぇけど、まぁ駄弁る場所でもねェし。人付き合い若葉マークの俺は助かったなァ…) 
 
顎肘を着いてお茶を啜りながら、結果オーライだったと思う一方通行 
 
「思いっきり丼かき込んで、ガツガツ食えるのがいいなー。おしぼりで顔も拭けるし、飯粒が飛んでも気にならねーし」 
 
「…そォかい」 
 
「そうそう…、ハハハ…」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:33:43.35 ID:1vUqTqiw0
(ンだこいつ、さっきから挙動不審だな) 
  
さっきから一人浮ついている浜面をチラっと見る 
 
(あン?なに人の顔見てンだァ? ――ッ!!) 
 
一閃の電気信号が全身を貫く 
この視線を合わさずに、こっちの顔の一部を凝視する展開を知っている 
正確には昨日経験している 
 
(……ま、まさかァァア………) 
 
右手で口元を触る 
 
――無い 
 
ほっぺたを触る 
 
――あった 

指先に触れた感触がそのまま指に残る 
 
「てめェ…気付いてたなら言いやがれェェ…」 
 
浜面の妙な態度に納得がいく 
危機を感じ立ち上がる浜面 
 
「い、いや…。あの、言おうと思ったんだけどさ?それとなく知らせた方がいいかなと思ってさ」 
 
「気付くか、…バカ」 
 
羞恥で白い頬を染め。指先についた米粒をぱくっと食べる  
 
「………ああ、ごめんな」 
 
さっきまで恐怖と居心地の悪さを受けていた対象 
なぜかそれを あれ?可愛い? と思ってしまった浜面 
 
「なに突っ立ってンだ、行くぞォ」 
 
「気の迷いだああああ!!」 
 
「はァ??」 
 
彼の言動に疑問の表情を浮かべ清算をする 
 
 
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:34:13.10 ID:1vUqTqiw0
 
「ゴチっした!」 
 
「…おォ」 
 
牛丼屋の前でおじぎをする浜面 
空は段々と雲行きが怪しくなってきた 
 
(雨降るンかねェ?) 
 
「雨降りそうだなー」 
 
心の中で呟いた事に、浜面の口から同意として出てくる 
 
「へっ」 
 
「なに人の顔見て笑ってんだよ」 
 
「別にィ…」 
 
「うっわ感じ悪、なんだよそれ」 
 
「うっせェ」 
 
先ほどのやり取りで打ち解けた感をお互い感じていた 
恥ずかしい自分を見せた事で、妙な壁が無くなった一方通行 
お茶目なところもあるもんだと、分かり難い彼の人間味を垣間見た浜面 
 
「お前帰ンのか?」 
 
「まーそのつもりかな、帰ってもすることねーけど」 
 
「じゃあ、、……いやいいわ、やっぱ」 
 
「なんだよそれ、さっきから歯切れ悪いなおい」 
 
「いや俺ンちこねェかなと思ったけど。いいわ」 
 
「え?お前んち?」 
 
(まともに会話した初日に誘うこっちゃねェわな) 
 
「行ってみてーな」 
 
「え?来ンの?」 
 
「駄目なのに誘おうとしたのかよ」 
 
「あ、駄目じゃねェけど…来ンの?」 
 
「じゃあいいじゃねーか、学園都市第一位の部屋なんて、滅多にお目に掛かれないだろ」 
 
「しょーがねェなァ…」 
 
「何笑ってんだよ?…まさか俺を監禁しようとかじゃねーだろーな」 
 
「してなンか得になンのかよ…?」 
 
「悲しいことにねーな」 
 
並んで笑う二人 
そう遠くない空で雨雲が学園都市を見下ろしていた 
 
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:34:40.85 ID:1vUqTqiw0
「ここだァ」 
 
「やっと着いたか……」 
 
顎でクイと自宅を指す一方通行。息を切らす浜面 
 
女がいるけど気にすンな、話も聞かなくていい 
道中、一方通行が浜面に伝えた 
彼女か? との問いに そんなンじゃねェ との答え 
ただの同居人だそうだ 
年上が二人と小さい子供が一人、そこに男が一人 
胸のトキメクドラマがありそうで羨ましがる浜面 
その足取りは軽く羽が生えた様だった 
 
 
コンビニに寄るまでは…… 
 
 
なンか買おうぜと言う一方通行の提案 
コンビニに寄り買い物を 
おかしと飲み物、缶コーヒーが二箱と冷蔵庫に入っていた分全部 
じゃあ行くぞォ、おかしと飲み物の袋を持ちさっさと出る一方通行 
自然と缶コーヒーを持つ事になる浜面 
その重量は滝壷理后よりもある  
箱は構わないが、指先に引っ掛けた袋が持ちにくい 
浜面の指がヤバイ 
 
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:35:34.63 ID:1vUqTqiw0
玄関を開け、中に入る 
 
「おじゃましまーす」 
 
マンションの外観から広いだろうとは思っていたが、やはり広い 
 
「まァ上がれよ」 
 
自分の荷物(浜面が持っているのも一方通行の荷物だが)、だけ持ちさっさと中へ入る 
芳川の部屋の前を通る 
まだゲームをしている様子だった 
 
「まだやってンのかよ…。暇人どもが」 
 
扉を開け、ただいまも無しに毒を吐く 
 
「おかえりー、ってミサカはミサカはあなたを出迎えてみる」 
 
「画面から目ェ離さねェで何が出迎えだ、クソガキ」 
  
「だって目を離すと芳川がズルするんだもん、ってミサカはミサカは芳川の大人気なさを宣伝してみる」 

「ちょっと、あなた玄関ちゃんと閉めた?風が入ってくるわよ」 
 
「あン?」 
 
玄関を見ると、浜面が荷物を抱えたまま、靴を脱ぐのに必死だった 
 
「おい、玄関閉めろってよ」 
 
「ちょっとこれ持ってくれよ!靴が脱げねえ」 
 
「誰か来てるの?ってミサカはミサカは疑問に思いながら、貧乏神を芳川に押し付けてみる」 
 
「………」

「ただの荷物持ちだァ、気にすんな」 
 
「ひでえ! 弄んだのね!」 
 
「馬鹿言ってねェでさっさと上がれカス」 
 
「あいよ…。よっとぉ」 
 
体勢を崩しながらも、なんとか靴を脱ぐ  
 
「こっちだ」 
 
二人でキッチンへ 
やっと重労働から解放された浜面 
その心は、過酷な地下カジノの建造工事から解放された漫画主人公の様だった
 
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:36:33.73 ID:1vUqTqiw0
打ち止めと芳川がリビングへ来る 
 
「あなたのお友達?ってミサカはミサカは初めましてとばかりにおじぎをしてみる」 
 
「…トモダチィ?」 
 
「おう、よろしくな。浜面だ。名前なんてーの?」 
 
友達という言葉の肯定に躊躇うが、浜面があっさり肯定するのに心が躍る 
 
「ミサカは打ち止めって呼ばれるよ、ってミサカはミサカは自己紹介をしてみる」 
 
「あなたが友人を連れてくるなんて珍しいわね」 
 
「っせェ、いちいち反応すンじゃねェよ」 
 
缶コーヒーで冷蔵庫の内容量を圧迫しながら毒づく 
 
「はいはい、ごめんなさい。それよりお腹空いたんだけど…」 
 
時刻は二時を回っている 
食事を取らずにゲームをしていたようだ 
 
「お前バカじゃねェか!? クソガキの飯はァ!?」 
 
「ずっとゲームしてて、ミサカも忘れてたの、ってミサカはミサカは負債を抱えて苛立っていた芳川を庇ってみる」 
 
「今日は体調が悪いのよ…」
 
「――! …ンだそりゃ、なンか出前でも取れよ。俺ら食ってきたし」 
 
今日は体調が悪い 
その言葉から、トイレにあったあれを思い出す 
ついでに血の匂いの記憶まで呼び出される。……が、缶コーヒーを空け、呷る様に押し流す 
 
「じゃあ出前にしましょうか」 
 
言いながら携帯の発信履歴から、昨日二度掛けた番号を呼び出す 
 
「ちょっと芳川!?ってミサカはミサカは嫌な予感を胸に止めてみる」  
 
「ラーメン止めろォ! 他のにしろ!!」 
  
憮然として発信を中断させる芳川 
 
「なら打ち止めの好きなのでいいわよ」 
 
「わーい、ってミサカはミサカは出前表を片手にはしゃいでみる」 
 
「なんかお前ん家って賑やかだな」 
 
「うるせェだけだァ。部屋行くか、ここうるせェし」  
  
適当な飲み物とおかしを持って自室へ案内する 
 
浜面が一方通行の部屋に入った感想は、物が無いといった印象だった 
必要最低限の物だけ置いてある。タンス、ベッド、ゴミ箱、カーテン 
その全て黒一色。綺麗に片付いている。いや寧ろ散らかりようがないが正しいが 
 
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:37:02.64 ID:1vUqTqiw0
「なんか、物がねぇな」 
 
「そォかァ?別に困らねェけど」 
 
ベッドに腰を掛ける一方通行 
ぼーっと立ちっぱなしで部屋を見渡す浜面  
 
「まァ座れや」 
 
「え…っと、…おう」 
 
座布団もソファーも絨毯も無いので、固い床に座る浜面 
 
「あ、すまねェ」 
 
部屋の主が一言残し立ち去り、すぐ戻ってきた 
クッション持参で 
 
「こンなンしかねェけど使えよ」 
 
「あぁ悪ィな」 
 
「……………」 
 
「……………」  
 
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:38:15.50 ID:1vUqTqiw0
言葉が続かない 
実際、何故ここにいるのかと、浜面は今更ながらに後悔した 
つまり、話すことがない 
正しくは無い事もない、しかし地雷原の中心にいる気分で動けない
だがそれは目の前の最強も同じ気分だった 
 
(ぐおおおォォ、まァた沈黙ですかァ?? ……ここは俺の部屋だから俺の動き待ってるとかかァ……?) 
 
しばしの静寂が続き、ついに部屋の主の口が開いた 

「お前彼女いンの?」 
 
「ひぇ!?」 
 
沈黙で喉が油断しているところに、唐突の質問と内容 
 
「いるっちゃいるけど……なんで?」 
 
「いや、なンとなく聞いてみただけだァ」 
 
「ああ…、そうか…」 

「………………」 
 
「………………」
  
(あン!?止まっちまったじゃねェかよ!! あれェ? 話振ったンだから自分語りとかしろよオイ) 
 
「お前はいるんだろ?」 
 
「ゥァン!?」 
 
「変な声出すなよ。いや第一位ともなると女も選り取り見取りなんだろうなーって思って」 
 
 
 
 
 
「……まァな」 
 
 
 

 
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:38:55.77 ID:1vUqTqiw0
「やっぱそうかー!すげぇなぁおい!!」 
 
(ゥゥ…、また嘘ついちまったァ……) 
 
本当は友達は君だけなんです、あれ?友達だよね?なレベルの一方通行の現実
浜面に彼女が居て、自分は彼女はおろか友達もいない。そんな現実を許さない己の自尊心 
その自尊心が負けたと思いたくないばかりに、虚栄心を生み出し自己防衛の為に嘘を吐く 
 
(今なら間に合う、冗談だよォン、彼女とかいねェし! これでオッケーだァ) 
 
「何人くらいと付き合ったんだ?」 
 
「あァ…っと、30人くらいまでは数えてたけどなァ」 
 
「ひゅー!すっげぇな!! 俺もそんなこと言ってみてぇぜ!!」 
 
「ヘヘッ、まァがンばりなァ」 
 
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:40:17.35 ID:1vUqTqiw0
 
(オイオイオイオイオイオイオイオイィィィィ!!?? なァにサラサラお茶漬け食うみたいに嘘吐いてンですかァ?俺ァ!!!) 
 
余裕の上から目線でホラ貝を吹き続ける一方通行 
しかもあったかの様に過去を顧みる演技付き 
その音色は空気が抜けたように軽く薄っぺらい 
合戦で吹いても全軍( ゚д゚)ポカーン状態。誰も動かない 
だが学園都市最強。LEVEL5.序列第一位。二百三十万人の頂点の威光が脚色、味付け、嵩上げの役を織り成す
浜面には重厚な音色となり、気勢を上げさせ。未知の境地を見た錯覚を起こさせる  
 
「やっぱ女の良し悪しとか分かるわけ?」 
 
「ンー、まァ……。女ソムリエって資格があったら第一号で取得だろォな」 
 
「うっほ!ちなみにどんなのが一番だった?ソムリエ的にさ」 
 
「俺が相手しちまうと、大体従順になっちまうからなァ…。多少じゃじゃ馬みてェなのがいいわ」 
 
ホラ貝が止まらない 
 
「やっぱあっちのテクもすげぇのかよ!顔もいいし、テクもすげぇ第一位とか無敵だなオイ!」  
 
「最初は素でやってたンだが、めんどくさくなってな。最近は能力使ってるわァ」 
 
「お前の能力ってベクトル操作だっけか? どうやってやんの?」 
 
「アソコに指当てるだろ? ンでビビビってやンだよ」 
 
「ビビビってなんだよ?」 
 
「え?…っとクチュクチュって感じか?」 
 
「表現曖昧すぎるだろ!」 
 
笑って乗ってくる浜面だが、ホラ貝の演奏者は焦っていた 
何せ彼はソレを見たことが無い 
動画や本、もしくは同居人の裸は見たが、肝心な部分は全て黒く線が入ったりモザイクだ 
 
(やべェリア充に追求されちまったら、ばれちまう……)  
 
童貞の悲しい嘘が明るみに出てしまう 
危機を感じた彼の背筋に冷たい汗が流れる 
 
「もっと分かりやすく表現してくれよ」 
 
「――下ネタ止めようぜェ……。女をこンな風に言うのは粋じゃねェよ」 
 
「おっっとぉ?ソムリエの拘りってやつか?」 
 
「そンなとこだァ。ガっついてると今の女にも愛想尽かされるぜ?」 
 
「ふむふむ、反省するとこだなこりゃ。勉強になるわー」 
 
「そォかい」 
 
童貞から何かを学んでしまうリア充浜面 
興奮冷めやらぬ浜面はその勢いを維持し、緊張していたのが嘘の様に口を開きだした 
 
年頃の男の子談義が花を咲かせたのだった 
 
 
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:40:51.05 ID:1vUqTqiw0
一日の授業が終了した黄泉川は警備員の詰所へと向かう 
学園都市で生活する大人の、完全ボランティアによる組織である 
それに従事する理由は各々違う 
子供の為に、子供に侮られない為にこの二者が多数を占める 
黄泉川は前者が理由である 
侮られるのは自分がだらしないからだ 
弱い自分を隠す為に子供を理由にする。その軟弱な心持を嫌っていた 
 
仕事の内容としては治安維持が主目的である 
その為の手段として、街頭巡回、有事の際の武装、交通規制、人身拘束等の権利を持つ 
専門的な知識を欲する場合は、その専門家を招聘し会議の設営、進行等など。やることは多岐に渡る
 
ハンドルのボタンを操作し、自宅へ連絡する 
月詠小萌らとの飲み会が明日になった為だ 
 
すぐに電話にでた 
 
『はい』 
 
「もしもしー。私じゃん」 
 
『どうしたの?』 
 
「飲み会が明日になったから、なんもなけりゃ巡回して帰るじゃんよ」 
 
『あら、そうなの。ちょうどよかったわ』 
 
「なにが?」  
 
『…気にしないで。ご飯用意してるからお腹空かせて帰ってきてね』 
 
「え?…ああ」 
 
電話を切り、歯切れの悪い芳川にもやもやする黄泉川 
 
(まっいっか。ちゃっちゃっちゃーと済ませて帰るじゃん) 
 
 
どんよりした雲が学園都市に迫り 
幹線道路に雨粒をポタポタ落とし、アスファルトに黒いシミを作っていた  
 
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:42:32.58 ID:1vUqTqiw0
 
 
「ねぇ…。おすし取ったんだけど、食べない?」 
 
ノックもせずに部屋に入ってくるなり、芳川が二人に話しを持ちかける 
 
「あン? 別に腹減ってねーけど」 
 
浜面の話を聞いてて、暗にカルチャーショックを受けていた一方通行が言葉を返す 
 
「お前腹減ったかァ?」 
 
「いやー?そこまではないけど?」 
 
「そう、でも目の前に置いてたら摘むわよね。持ってくるわ」 
 
(なンで聞いたンだよ……)   
 
会話の流れとまったくの逆方向の結論を出し 
リビングへと戻る芳川 
 
皿に盛った寿司と小皿を持ってくる 
ネタから察するに特上だろうか 
部屋にテーブルもないので、床に置かれる寿司セット 
 
「それから愛穂。飲み会が明日になったから早く帰るって」 
 
黄泉川からの連絡を伝えて、部屋を出る 
 
「……テーブル持ってくるわァ」 
 
「俺は別にいいぜ?このままでも」 
 
「いンや、行儀悪ィのは駄目だ」  
 
書斎。と家主本人は呼称しているが、通称空き部屋に入る 
電極のスイッチを入れ、片手でテーブルを持ち上げる 
 
「ほらよ」 
 
自室の中央に置き、床に鎮座していたものを並べる 
 
(テーブル置こうかなァ) 
 
なんだかんだで食べている浜面の話を聞きながらそんな事を考える 
一つ二つ食べ、あまり食べると夕食が入らないなと考え箸を止める 
浜面は清貧な暮らしと、時折滝壺やアイテムのご相伴に頼っている身なので 
うましうましと連呼し、これならいくらでも食えるぜ。とここぞとばかりに食べている 
そんな食べっぷりを見て、自分たちの分まで頼んでくれた芳川に感謝する一方通行であった 
 
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:43:20.43 ID:1vUqTqiw0
 

「たっだいまーじゃん」 
 
黄泉川帰宅。 
巡回した結果ゲームセンターで遊んでいた、常盤台の学生に完全下校時刻に関して注意しただけ  
クレーンゲームの投入口横に硬貨を山積みし、カエルのぬいぐるみの確保に熱をあげていた  
止めて帰る様に促すと、もうちょっとで取れるからとしつこく抵抗するが 
数回見ていて取れないので、諦めて帰れときつく促した 
学園都市屈指のエリートお嬢様学校、常盤台の超電磁砲。超能力者序列第三位。御坂美琴
あれを見ると、もっと年相応の環境に身を置くべきではないかといつも考える 
 
(うちの子たちにも言えることだけどねぇ……) 
 
見慣れない靴が一足 
 
(誰か来てるじゃん?) 
 
家に上がり、リビングへ 
打ち止めと芳川がテレビを見ながらまったりしている 
 
「おかえりー、ってミサカはミサカはお疲れの黄泉川を笑顔で癒してみる」 
 
「おかえりなさい愛穂。お疲れ様。お風呂入ってくる?」 
 
「あ…ああ、ただいまじゃん」 
 
違和感がある 
二人の張り付いた笑顔 
特に芳川がおかしい 
最初に変に感じたのは電話の時からだ 
 
(何かやらかしたな、こいつら) 
 
発覚した時の怒りを和らげる為のご機嫌取りだろう 
黄泉川の冴えた勘が二人の態度に警鐘を鳴らす 
ニコニコ笑う二人のことは措いておいて、靴の所有者について 
この場にいないのは一方通行だ 
 
「あいつは?」 
 
「あの人なら部屋でお友達とお話してるよ、ってミサカはミサカは部屋に来るなって言われて悲しかったり」 
 
「友達……?」 
 
(あいつ友達いたじゃん?)
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:43:48.52 ID:1vUqTqiw0
考えるよりも確認だと、一方通行の部屋へ行く 
コンコンとノック、返事を待たずにドアを開ける 
 
「入るじゃん」 
 
「お前せめて返事聞いてから開けろォ」 
 
「あ、お邪魔してます。自分浜面っていいます」 
 
顔も見ずにまずは頭を下げる 
聞いていた家主との対面、否再会 
 
「浜面?……うちにATMはないじゃんよ」 
 
この声、しゃべり。聞き覚えのある浜面は顔が見る見る血の気が引き白くなる 
顔を見ると白から青へ変わる 
相変わらず重厚な胸を見て赤くなる 
 
「よ、黄泉川ぁ…!?」 
 
「なンだァ?知り合いかよ」 
 
「知り合いってか、コイツは昔私がとっ捕まえたじゃん」 
 
「あうぅ」 
 
「まさかお前が一方通行と友達だとは知らなかったじゃん。学園都市も狭いもんじゃん!」 
 
「今日知り合ったんだよ」 
 
「ふーん、そうかそうか。他の悪ガキ達はどうしてるじゃんよ?」 
 
「……まぁ色々あってバラバラになっちまったよ」 
 
犯罪グループに加わっており、その活動を阻止、鎮圧、解体するのが黄泉川の仕事だ 
その行為は憎むべきであるが、個人個人にそこまで悪い感情は抱いていない 
 
(色々ねぇ…。若いなりに修羅場潜ったのかね…) 
 
「そうか。ま、会えて嬉しいじゃんよ。ゆっくりしていけ」 
 
「おう、ありがとな」 
 
疲れた大人の表情を浮かべた浜面に労わりの言葉を掛ける 
一方通行の部屋から出て、風呂へ 
 
(あいつが友達なら、一方通行をうまくリードしてくれるかもな。浜面もあいつと一緒じゃ悪いことはできんだろうし)  
 
浜面の小悪党染みたことは一方通行が制止し、一方通行の危険な面は浜面がブレーキを掛ける 
 
悪と分類される性質としても、お互いのベクトルが異なれば、牽制しあう 
結果行動不可能になった悪はその性質を否応無く変えてしまう
だが問題はパワーバランスが全然違うこと 
一方通行が強すぎる。極論だが反対する浜面を暴力で黙らせればいいだけ 
 
(そこは私たちがフォローするじゃん)  
 
シャワーを頭から被り、黄泉川愛穂は一日の汗を流す 
 
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:44:20.49 ID:1vUqTqiw0
暗くなった外から聞こえる微かな雑音 
窓を開けると小雨が降っていた 
湿気を多量に含んだ空気を胸いっぱいに吸い、気分を落ち着かせる一方通行 
 
「雨ふってンなぁ」 
 
「まじかよ…。げぇっ!かなり降ってんなー」 
 
「どうせなら晩飯も食ってけェ」 
 
「なんか悪いなぁ」 
 
「気にすンなァ。クソガキがはしゃぐからその相手すりゃいい」 
 
「打ち止めちゃんって何歳なんだ?」 
 
「あァ…? ……十歳くらいだ」 
 
「くらいってなんだよ」  
 
一瞬どう答えようか迷う。本当の事を言っても浜面は気にしないだろうが 
 
「まぁそのうち話すわァ」 
 
自分たちに気を使われるのは、何となく場を濁すような気がしたので適当に答えた 
 
「…そっか」 
 
そことなく空気を読む浜面 
 
「あっち行くか」 
 
浜面の分の食事を用意しないといけないのでキッチンへ行く 
それに追従する浜面 
 
「あら、どうしたの?」 
 
「浜面も飯食ってくからな。黄泉川はどこだァ?」 
  
「愛穂はお風呂よ」 
 
「浜面もご飯食べるの?ってミサカはミサカは丁度よかったと喜んでみたり」 
 
「はは、お世話になります」 
 
打ち止めの歓喜に応える浜面だが、一方通行はその言葉に疑問を持った 
 
(丁度よかったァ……?) 
 
疑問を胸に抱えたまま、冷蔵庫を開ける 
疑問はすぐに解消される事になった 
 
「……ンだこりゃァ!!」 
 
冷蔵庫を圧迫している寿司桶 
桶の中身は多少減りはしている 
恐らく芳川、打ち止め。そして先ほど二人に出された寿司もここからだろう 
減りはしているがそれは一部と言っていい程度 
 
(浜面ァ、よかったなァ…。今日は寿司三昧だぜェ……) 
 
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:44:48.40 ID:1vUqTqiw0
ガチャっとリビングのドアが開き黄泉川が来る 
 
「お腹空いたじゃん〜。桔梗ご飯は?」 
 
「これだろォな」 
 
「――。桔梗ぉ?説明してもらっていいじゃん?」  
 
「……打ち止めがラーメンは嫌だって言ったから、じゃあ好きなの頼みなさいって言ったのよ」 
 
「お寿司が食べたかったの、ってミサカはミサカは黄泉川が提示しているであろう論点をずらしつつ回答してみる。あいた」 
 
語尾に突っ込む様に芳川が打ち止めにチョップする 
 
「じゃなくて、なんでこんなに頼んでるんだ」 
 
「ネタ数と食ったの計算すりゃァ、十四人前かァ?頼んだのはァ」 
 
「え?なにそれ!?」 
 
一方通行の出した数字に驚く浜面 
 
「……打ち止め説明しなさい」 
 
誤魔化すのを諦めた芳川が打ち止めを促す 
打ち止めの口から真実が語られる  
 
一方通行の帰宅と浜面の来訪。あれから二人は出前を取った 
好きなものを頼めと渡された携帯電話で寿司を取ることにした打ち止め 
芳川の特上と自分の山葵抜きの特上を一人前ずつ 
確かにそういった筈だった 
だが実際きたのは、特上七人前、特上山葵抜き七人前の計十四人前 
こんなに頼んでないと抗議したが、芳川がもういいと代金を支払った 
そして今に至る 
 
「――、ってミサカはミサカは〔いち〕と〔しち〕の聞き間違いに関して日本語の難しさを熱く語ってみたり」 
 
状況を把握できた黄泉川と一方通行が溜息を吐く 
 
「頼んでないから突き返せばいいじゃんかよ」 
 
「なんか悪いじゃない、せっかく持ってきてくれたのに。言うのもめんどくさいし」 
 
「結局面倒なだけじゃねェか。つか寿司屋も注文確認くらいしろっつーンだ」 
 
「確認はされなかったよ、ってミサカはミサカはミサカの正当性を主張してみたり」 
 
自分が悪いわけじゃないと主張する打ち止め 
件の寿司屋。出前の注文間違いを避けるために確認を取ることにしている 
普段ならばだ 
打ち止めからの電話は普段ではなかった 
 
「ミサカはお寿司の配達をお願いしたいんだけど、ってミサカはミサカはお昼を作ってくれない物臭な芳川に代わって電話してみる」 
「芳川の特上とミサカの山葵抜きの特上を一人前ずつお願いします、ってミサカはミサカは特上という大人の響きと山葵抜きの子供の響きの狭間を漂ってみたり」 
「ミサカの住んでる場所は○○マンションの○○○○号だよ、ってミサカはミサカはミサカのお家を高らかにお伝えしてみる」 
 
必要な情報と、不必要な情報が早口で捲くし立てられ 
電話に出たアルバイト店員を困惑させた。必死に取捨選択された情報。ここまではよかった 
アルバイト店員の調子を最大に狂わせた原因 
 
ミサカはミサカは、ミサカ、ミサカは。ミサカ!ミサカ?ミサカ!?ミサカの。ミサカー、ミサカ☆ミサカ(笑)………… 
 
頭に渦巻くミサカという単語 
アルバイト店員のミサカがゲシュタルト崩壊 
ミサカってなんだっけ? そんな非常にどうでもいい思考の渦に巻き込まれ、電話を切ってしまった 
 
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:45:56.96 ID:1vUqTqiw0
「お腹空いたからもういいじゃん」 
 
「昼と夜が二日連続一緒だー、ってミサカはミサカは食生活の偏りに危険を感じてみる」 
 
「明日からしっかりした食事しような」 
 
言うは易し、行うは難し。 
できていない浜面からの説得力ないありがたいお言葉 
 
寿司の残数はざっと十人前。一人二人前の計算だが 
空腹の黄泉川は二人前は軽く食べれるが 
昼食の遅かった芳川、打ち止め 
昼食に加え、先ほど寿司を食べた一方通行、浜面 
 
黄泉川の前に三人前出され、打ち止めと芳川、一方通行の前に一人前 
 
「ほらよ」 
 
残り四人前を全て浜面の前に出す一方通行 
 
「いや……、流石にこれは……」 
 
「さっきいくらでも入るって言ってただろォ? 遠慮してねェで食えよォ」 
 
「それは無理じゃん、後で汁物持って来てやるじゃんよ」 
 
分量を減らすという選択支は無いらしい 
 
 
「では合掌!いただきますじゃん!」 
 
 
 
二度目の全員揃っていただきます 
 
今回は一方通行の友達の浜面を交えてだ 
重ねる毎に進歩が見える事に黄泉川は小さな幸せを感じる 
 
 
 
外の雨は先ほどよりも激しくなり、本降りになっていた 
 
 
 
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:46:23.16 ID:1vUqTqiw0

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 l ゜  ゚           。゜    i / u  。<一>:::::<ー>。 ! ゚弄ばれたっ………………!
    i   ゜     |           |:j ° .:::。゚~(__人__)~゚j  出番なんてなかった…… ゜ ゚ l        。i
  |。     !          i    !  \、 u ;゜.` ⌒´,;/゜   ゜ i     l    ゜ i     l
    !            l       。i      /゚:j⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。     !   ゜    。i
       。  ゚:     ! ゚    l   / ,_ \ \/\ \゜      !        ゜ i  ゚
  、i;,  、|;      、i;, 。  ゜ ;゚ 、i;,と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._ 。  l  。i ゜    ;゚ 、i;,   ゜ ;゚ 、i;,
´´ ゙ ´ ゙ ´ ``" ´ ´ ` ~ " ゙ ゙" ゙ ´ `"  ゙ ´´ " ´ ' ´ ´ ´ ' " " ゙ ゙ ´ ゙ ´ `" ´ ゙ "´´ ゙ ゙` ´ '  ´ " ´ ´
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:49:29.97 ID:1vUqTqiw0
ここまでです 
 
山場の頂点、後は下るだけです 
 
話の展開が変わります 
エロに加え軽いグロ描写も入りますので、何が起きても動じない方はお付き合いお願いします 
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 17:52:29.47 ID:1vUqTqiw0
後、月詠なんですね。すみませんでした。指摘ありがとうございます 
どうでもよくないのです。ドンドン言って欲しいです 
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 18:04:06.18 ID:YnImrie+o

一方さんがDTのクセに見得はったところはこっちまでハラハラして息苦しくなっちまったぜ…
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 18:13:55.16 ID:u47fQemIO

もういいじゃねえか…許してやれよ!
なあ…同じ童貞からのお願いだ…
第一位を許してやってくれ…
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 19:05:05.19 ID:Qtw7tfEX0
一方さんが浜面と親睦を深めていくのが何とも言えず微笑ましかった
いつか色々と腹を割って話せる日が来るといいなぁ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 19:29:55.15 ID:ov50Fk29o
乙ー
思春期の少年達の間に現れるという嘘ヤリチンか…頑張れ一方さん
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 19:57:45.10 ID:71WLZd3N0
エロ孔明一方さん…
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:16:33.11 ID:4ux1/qVu0
次章の導入まで投下しておきます 
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:17:01.39 ID:4ux1/qVu0
 
 

                     /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
                    /           \ もう何も信じられねぇ…
                       /:::::             \ 
 _______ +      /:::::::::                 ヽ
 |i:¨ ̄ ,、    ̄¨.: i       |:::::::::::                    |  出番貰えるって聞いて
 |i: /ヘ:\     :i|     _ |::.:. : :     ,,ノ:..:ヾ、       |  朝から待機してたのに……
 .|i:〈`_、/´_`>.、  :i| ,.r:;'三ヽ:: :: . ー'"´   ,,、  ー‐‐,,     /`、 インデックスに何て言えばいいんだよ…
  |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:":::::::::::\;;。(ー一)   (ー一)。;:;:. /::::: ヽ
  |i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──〜 、(___人___,)"⌒;;::/::|:::::〆::\
  |i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::..    " ニニヽ、⌒ij~";_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~   ̄       ̄




                        ____
                      /;;;::::::::::::::::  ̄ ヽ
                     /::::   ,,ノ:..:ヾ、   \   場面は通りの反対側…
                        /;;;;;ー'"´   ,,、  ー‐‐,,   \ しかも原作未読のくせに浜面起用だぜ…
  _______ +      /;;;;;( (;;;;;) );;;;;;;;;;;((;;;;;) )    ヽ 
  |i:¨ ̄ ,、    ̄¨.: i       |;;;;;;;;;;;;;;::::::::::               | 
  |i: /ヘ:\     :i|     _ |;;;;;;;;;;::::::: (___人___,)       | なんで浜面なんだよ…
  .|i:〈`_、/´_`>.、  :i| ,.r:;'三ヽ:;;;;;;;;;;;;;;;  ヽ、⌒ij~"       /`、
   |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:";;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;         。;: /::::: ヽ
   |i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──〜 、;;;;;;;;;;:::::::;;;;;"⌒;;::/::|:::::〆::\
   |i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::..    " ニニヽ;;;;;::::;;;;;;;_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
 ─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐






                     /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
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  |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:":::::::::::\;;。(ー一)   (ー一)。;:;:. /::::: ヽ
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230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:17:47.84 ID:4ux1/qVu0
 
「……っ。苦しい……」 
 
リビングのソファーにだらしなく座る浜面 
服の上からでも分かるくらい腹が膨らんでいる 
結局打ち止めが少し残してしまい、それは一方通行が食べたのだが 
黄泉川も三人前は無理があったようで、半人前は浜面に回ってきた 
昼から牛丼大盛り、特上四人前半食べたことになる 
腹を落ち着ける為の熱いお茶ですら飲むのが億劫だ 
 
「しかし食いきれるのは、若さじゃんよ」 
  
芳川と晩酌のビールを飲みながら、苦しそうな浜面を見てカラカラ笑う黄泉川  
方や浜面は、腹を落ち着ける為の熱いお茶ですら飲むのが億劫だ 
黄泉川と芳川。二人は入浴を済ませ、今は一方通行と打ち止めが風呂に入っている 
雨も強くなってきたので、今日はお泊りになった 
 
「お前も二十歳になったら一緒に酒飲もうじゃんよ」 
 
成長した子供といつか飲みに行く 
教師としての楽しみの一つだ 
 
「はは……。そうッスね……」 
 
とにかく苦しいの一言に尽きる浜面は適当に相槌を打つしかなかった 
 
 
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:18:17.97 ID:4ux1/qVu0
全員風呂からあがり談笑 
黄泉川と芳川が浜面に質問をし、話は盛り上がり、打ち止めが興奮する。それを一方通行が嗜める 
浜面が芳川の仕事に関して質問すると、芳川が何とも言えない表情を浮かべ。他三人がニヤニヤする 
黄泉川がそれで思い出したかのように詰問し、芳川がすっ呆ける 
内容はどうあれ楽しい団欒だった 
 
打ち止めの欠伸がお開きに合図となり 
寝る準備に取り掛かる 
芳川がそそくさと打ち止めを歯磨きに連れて行き 
一方通行は空き部屋から自室に布団を運ぶ
 
友達が自分の部屋に寝泊りする 
 
この一見どこにでもある話。 
それが嬉しくてワクワクして堪らない 
早くて幼稚園、小学生で体験している者もいるだろうが 
そんな当たり前の環境で育っていない彼の表情は緩んでいた 
 
「お前寒がり?」 
 
「いんや、普通?だと思うけど」 
 
「そォか。寒かったら言えよ?」 
 
「おう。さんきゅな」 
  
時刻は二十三時五十分 
どうせ明日も朝食を全員で取るだろう 
そういった掟があることを浜面に伝え灯りを消す 
 
興奮して眠れない、自慰をしていないから寝つきが悪いかとも思ったが 
外からのザーっという音が心を落ち着かせ、早々に眠りについた  
 
 
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:18:54.51 ID:4ux1/qVu0
キッチン等の点検を済ませリビング、キッチンの灯りを落とす 
 
(廊下は浜面がいるから点けておくか…) 
 
今日は朝からとてもいい一日だったと、ベッドに潜り一人反省会をする黄泉川 
 
「ねぇねぇ黄泉川ー」 
 
「ん?起きてたのか。どうしたじゃん?」 
 
「今日楽しかったね、ってミサカはミサカは寝ようとしている黄泉川に同意を求めてみる」
 
「ああ、あいつにも友達ができたしな。嬉しいことじゃん」 
 
「そうだね。ミサカにもお友達できるかな?ってミサカはミサカは少し不安に思ってることを打ち明けてみる」 
 
「打ち止めは人懐っこいからすぐできるじゃんよ」 
 
「…クローンでも?ってミサカはミサカは自分の生い立ちを気にしてみたり」 
 
「打ち止めの性格は生い立ちなんかに負けないじゃん」 
 
「環境が落ち着いたら学校にも行こう。友達がいっぱいできるじゃん」 
 
「うん! …黄泉川いつもありがとう。ってミサカはミサカは本心からお礼を伝えてみる」 
 
「――ふふっ。そろそろ寝るじゃんよ打ち止め。明日もみんなで朝飯じゃん」 
 
「了解。ってミサカはミサカはおやすみなさい〜〜zzzz」 
 
「はや! おやすみじゃん」 
 
 
時刻は二十三時五十五分 
雨の音が少々耳障りだが、一日の疲れと幸せな気分が相まって早々に眠りについた 
 
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:19:40.50 ID:4ux1/qVu0
 
 
 
  
 

 
―――そして時刻は午前零時 一方通行と黄泉川愛穂を歪ませる一日が始まった 
 
 
  
 
 
 
 
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/03/01(火) 20:21:05.83 ID:4ux1/qVu0
次回投下は来週になるかもです 
時間と体力に余裕あるときに書きます 
 
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 20:46:02.10 ID:9ADLtlSdo
一方さんの過剰な肉摂取は筋肉じゃなくて全部精液に行ってるんだと思うよ
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 20:57:02.52 ID:AT7ng80L0
乙です。精力も付けてかいてください。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 21:00:02.96 ID:vSnvVhCV0
やだこの浜面かっこいい...///
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:50:05.95 ID:6sKqcRwmo
今回も面白かったわ、楽しみにしてる。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 05:38:13.76 ID:ejFctpkho
なンだなンだ…一体何がどォなるって言うンですかァ?
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 03:34:39.39 ID:JttJ5FyV0
新訳でも二人が楽しみだな
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 22:29:21.02 ID:oixZTTFV0
一週間経っちまうぜ...
生殺したぁこのことか!
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 21:01:43.74 ID:crCUOoQAO
ここの一方さンは、立派な男の子だなァ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:17:51.07 ID:1c0agUmL0
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      |:::ハ:::::iヽ ―       _______           /::::::从
.     ノイ |::::| ヽ       /7ー――::‐'⌒ヽィ\        ′::::|:::|ヽ、
       |:: ′ |\    V´i::::::::::::::/::::::::::::::::::〉/     /.  |:::ハ:|
       |/    i  \  ヽヽ、:::::::::::::::::::::::,:イ/   / |  |/  `
おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず「クソスレ」を英字で表記する
『KUSOSURE』
これを逆にすると、
『ERUSOSUK』
そしてこれを更に日本語に直すと
『エルソサク』
スレを立てたのが>>1と言う事を考えれば末尾に『クソスレ』を加えるのが当然だ。
すると導き出される解は
『エルソサククソスレ』
そして最後の仕上げに意味不明な文字『エルソサク』
これはノイズと考えられるので削除し残りの文字を取り出す。
するとできあがる言葉は・・・・・・『クソスレ』。

つまり!『クソスレ』とは上条当麻が出演しないこのSS『まさにこのスレッド』を表す言葉だったのだ!!
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:20:35.97 ID:1c0agUmL0
すぐに終わらせるつもりが… 
 
クギリのいいところまで投下します
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:21:05.90 ID:1c0agUmL0
換気口から入ってくるのだろうか、湿った空気が寝室を満たしている 
 
(むぅ…。何時じゃん?) 
 
時刻は五時半 
 
(ちょっと早いじゃんよ……。あーでも寝たらまた起きれないかなー)  
 
布団の中でもぞもぞ動く 
 
(起きるか! 明日は休みだし、仕事ささっと終わらせて飲んで寝るだけじゃん) 
 
僅かな睡眠不足感を吹き飛ばすように布団から出て、大きく伸びをする 
カーテンを開け、まだ明るくなりきれていない外を見る 
雨は昨日と変わらず降り続けている 
遠くの雲の重さから察するに一日中こんな天気だろう 
 
(飲み会日和とは言えないじゃん…) 
 
天気には逆らえないので渋々寝巻きのジャージから、部屋着のジャージに着替える 
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:21:36.72 ID:1c0agUmL0
洗濯物を放り込んで洗濯機のスイッチを入れる 
 
キッチンへ行き、冷蔵庫から食材を取り出す 
卵、ベーコンブロック、鶏肉、野菜各種、1.4mmパスタ 
下ごしらえをして炊飯器へポポイと投げ込みスイッチオン 
 
フローリングをモップで拭き掃除 
 
六時十五分 
打ち止めを起こしに寝室へ 
 
「打ち止めー」 
 
耳元でヒソヒソ呼びかけるが目を覚まさない 
 
「打ち止めー」 
 
またヒソヒソ呼びかける 
眉がぴくぴく動く 
可愛い反応を楽しみ、本格的に起こす 
 
「打ち止め!!」 
 
パチっと目が開き、黄泉川を見る 
 
「うにゃ!?黄泉川顔近いよぉ〜…、ってミサカはミサカはzzzz」 
 
「寝るな。起きるじゃんよ」 
 
「うぅ〜、今日はちょっと冷えますなぁ、ってミサカはミサカは老け込んでみる」 
 
「雨降ってるからじゃん。さっそく全員を起こしてこい」 
 
「むむ。任務了解、ってミサカはミサカは隊員の居ない部隊長を演じてみたり」 
 
(今日はあいつ一人で大丈夫じゃん) 
 
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:22:07.85 ID:1c0agUmL0
勝手に目が覚めた 
 
(――ンン? 何時だァ?) 
 
時刻は六時三十分 
 
(…早起きしすぎだろォ。ジジィかっつーの) 
 
肩まで布団を被りなおし 
ベッドの下を見る 
浜面が寝ていた 
 
(なンつーアホ面してンだァ?) 
 
何か夢を見ているのだろうか、半分ニヤケ顔で左目が薄っすら開いている 
寝顔が正直キモイ  
あまり使われる事のない携帯のカメラを起動し、顔を撮る 
自分の携帯の中に初めて登録された友達の顔 
 
(まァいいかァ) 
 
もっとまともな顔であった方がよかったが、この顔を消すのも勿体無いので保存する 
 
布団から手を伸ばし、薄っすら開いている瞼を広げてみる 
目がゆっくり回っている  
 
(ほォー、寝てると目がこんな感じになンのかァ) 
 
眼球が乾燥してきたので、脳が瞬きしようと指令を出しているのだろうか 
瞼がピクピク痙攣している 
 
(クカカ、おもしれーなァ) 
 
反応を楽しんでいたが、乾燥に耐え切れないのか寝返りを打ち、離れてしまった 
布団に潜りなおし、外の雨音を聞いていた 
 
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:22:58.77 ID:1c0agUmL0
ッチャっと静かにドアが開き、そろ〜っと打ち止めが入ってくる 
どうやら自分たちを起こしにきたのだろう 
何か悪戯でも考えているのか、忍び足でこちらへくる 
声を掛けずに薄目で、行動を見守る 
 
(そォだァ、もっとこっち来いやァ…クソガキィィ…) 
 
息を殺し、近づいたところで驚かそうとする第一位 
浜面と一方通行の間に立ち、一方通行と浜面の顔を交互に見ている 
得物を見定めているのだろう 
一方通行のベッド足を掛け 
 
(キタキタキタァァァア!!) 
 
 
―――そのまま浜面の上に倒れこむ 
 
(ェ?) 
 
鈍い音。刹那。呻き声 
レスラーがトップロープから倒れた相手に追撃をかけるが如き無慈悲な一撃 
声を出し切った浜面は悶絶し、のた打ち回る  
 
「おはようー、朝だよ!ってミサカはミサカはちょっとやりすぎたかもって反省してみる」 
 
悶絶している浜面を見て笑い転げる一方通行 
 
「ギャハハ、やりすぎっ!やりすぎだろォがクソガキィ!!」 
 
「あなたはやっぱり起きてたんだね、ってミサカはミサカは浜面にしておいて大正解」 
 
「あン? 起きてンの分かってたンかァ?」 
 
「うん、寝息がいつもと違ったもん!ってミサカはミサカはあなたの第一人者であることを誇らしげに語ってみる」 
 
「チッ」 
 
自分の謀が打ち止めに見破られていたことが、どこか腹立たしい 
 
「ぅう…。お前らなんなんだよぉ……。俺が何したんだよ…」 
 
割りと本気で泣きが入っている浜面。しかも寝起きから 
 
「ごめんね、ってミサカはミサカは鼻水のでてる浜面に今更ながら謝ってみる」 
 
「え…?」 
 
先ほどよりも盛大に笑う一方通行。軽く呼吸困難を起こしている 
ティッシュで鼻をかむ浜面の頭を撫でる打ち止め 
 
「いてて…もういいよ、次からはちゃんと起こしてくれよ」 
 
次から。という言葉に一方通行はちょっと心躍る 
今日だけでは無く、また別の日にも友達が家に来る 
至って普通のことが途轍もなく嬉しい  
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:23:30.54 ID:1c0agUmL0
「じゃあ次はみんなで芳川を起こしにいこー!ってミサカはミサカは隊員達に命令をだしてみる!」 
 
「誰が隊員だァ。勝手に行けよ」 
 
「まぁまぁ。行こうぜ」 
 
「お前いけよ、俺ァ歯磨きタイムだァ」 
 
「浜面隊員、一方通行準隊員はもう手遅れだ!ってミサカはミサカはこっそりあなたを降格させてみたり」 
 
「なンで俺が浜面よりも下なンだコラァ!」 
 
「命令違反だからだよ!ってミサカはミサカは厳しい上官を演じてみる」 
 
「おもしれェ。芳川十秒で起こしてやンぜェ…。行くぞおらァ!」 
 
勇んで部屋を出て行く一方通行 
  
「部下をやる気にさせるのもなかなか大変、ってミサカはミサカは上に立つものの愚痴をこぼしてみる」  
 
「第一位動かすとかすごいな打ち止めちゃんは……」 
 
二人はのんびり一方通行の後を追う 
 
「まだか三下どもォ!突撃すンぞォ!!」 
 
律儀にドアの前で待っていた 
 
「よーし突撃ー!ってミサカはミサカは大号令!!」 
 
盛大に突撃する二人と大人の女性の部屋に若干緊張している浜面 
打ち止めの攻撃で痛むわき腹を擦っている 
 
「うるさいわよ…。あなたたち」 
 
「芳川が起きてる!ってミサカはミサカは動揺を隠せなかったり」 
 
「あ、おはようございます」 
 
「今目が覚めたのよ、ドアの前で大声ださないの」 
 
「目ェ覚めてンならさっさと起きやがれェ」 
 
バサっと布団を剥ぎ取る 

「ぉおーぅ」 
 
感嘆の声を上げる浜面   

「ァン?」 
 
睡眠を阻害しないゆったりしたシャツ。大きい襟口から見える谷間 
 
(オッほゥ……) 
 
「ちょっ!寒いわよ!」 
 
自分の肩を抱き寒さをアピールするが、それが逆に谷間を強調させる 
 
「……チッ。早く来いよ」 
 
バサっと毛布を投げる様に被せ、さっさとリビングへ行く
 
「ゴチソウサマデシター」 
 
その後に続く浜面 
打ち止めは?を頭に乗っけてそれらを見送る 
 
「打ち止め、すぐ行くからもう少し寝かせて…」 
 
「うん!了解!ってミサカはミサカは分かった振りをしながら毛布を剥ぎ取ってみる」 
 
「いやあぁぁぁああ寒いぃぃぃいい!!」 
 
今日も芳川の悲痛な叫びが家に木霊する 
 
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:25:07.46 ID:1c0agUmL0
炊飯器調理も慣れれば簡単だ 
ささっと五人分の蒸し鳥冷製パスタとベーコンのコンソメスープを作る 
 
「出来たから運んでじゃーん」 
 
ごにょごにょ相談する声が聞こえる 
 
「いいから早く来い!」 
 
浜面と打ち止めが小走りでくる 
遅れて一方通行 
 
運ばれる朝食 
黄泉川はバスケットにパンを適当に入れ、キッチンの各スイッチのきり忘れがないか点検する 
  
「オラ、黄泉川早く来い」 
 
「はいはい」 
 
パンを持ってテーブルにつく 
 
「はィ合掌ォ。イタダキマス」 
 
自然にそれに追従する他三名 
黄泉川がきょとんとして一方通行を見ている 
 
(今いただきますって……) 
 
「なァに見てンだァ?」  
 
また顔に何かついているのかと右手でペタペタ確認する一方通行 
 
「いや…。何でもないじゃん!いただきます!!」 
 
黄泉川の笑顔の理由など露知らず、眉間にシワを寄せパンを千切る一方通行だった 
 
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:25:37.96 ID:1c0agUmL0
 
 
「ほんじゃ行ってくるじゃん。浜面は帰るじゃん?」 
 
「ああ、もうちょいしてから帰るよ」 
 
「そか、また遊びにくるじゃんよ。あともううちらの世話になる様なことはするなよ」 
 
「…おう」 
 
「行ってらっしゃい!ってミサカはミサカはお見送りー」 
 
今日は遅くなるから、と言い残しリビングを出て玄関へ  
一昨日よりも強い雨が降っている 
 
(こりゃ、屋台やってねーじゃんよ。場所変更だな) 
 
寒い中で、おでんで熱燗を呷ろうと思っていたが、この雨の所為で台無しである  
 
傘を手に取り、外へ出る 
柄によみかわあいほと子供の字で名前が書かれてある 
前回の雨で傘を無断拝借されたので気を利かせたのだろう 
 
(でもちょっと恥ずかしいじゃんよ…、打ち止めぁ…) 
  
警備員の備品なので、代わりの傘を買っておいて置こう 
もうこの傘はよみかわあいほだけの物になってしまったのだから 
 
天気への恨み言を言う割にはにこやかな表情で駐車場へ向った
 
 
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:26:18.43 ID:1c0agUmL0
「そろそろ帰ろっかな」 
 
「あ?雨まだ強えェぞ」 
 
雨の勢いは未だに弱らない 
 
「明日まではこんな感じだよ、夜はまだ強いかも、ってミサカはミサカは記憶した天気予報の情報を報告してみる」 
 
「うへ、これ以上酷くならないうちに帰るわ」 
 
「傘、玄関にあるから使いなさい」 
 
「助かります、ちゃんと返すんで」 
 
「別にいらねェよ傘くらい」 
 
「警備員の家の傘パクるとかATM強盗より重罪だぜ」 
 
「へっ、好きにしろォ」 
  
「んじゃお世話になりました」 
 
「またいらっしゃいね」 
 
「浜面またねーってミサカはミサカは名残惜しそうに手を振ってみたり」 
 
「ほら、これ土産だァ」 
 
ポイっと放り投げられた缶コーヒーが二本 
 
「荷物もちの報酬だァ」 
 
「なぜ二本?」 
 
「お前とお前の女の分だろォ」 
 
「はは、ありがたくいただくよ。あっそうそう」 
 
「ン?」 
 
「番号教えてくれよ」 
 
「携帯か?」 
 
「そそ」 
 
「……ぉぅ。赤外線で送っとけ」 
 
浜面が携帯を取り出し、一方通行の携帯へデータを送信する 
 
「きたぜ。ンじゃァな」 
 
「おう、またな」 
 
まだ痛むのだろうか、わき腹を庇うように歩く 
パタンとドアが閉まる 
 
(またな…かァ。悪くねェ…悪くねェなァ) 
 
浜面の残した言葉の余韻に浸る 
自室へ行き、ベッドに横たわり携帯を開く 
登録されたデータを友達というグループに分けようかと逡巡し 
 
(俺に友達…か。似合わなさすぎだなァ) 
 
溜息ひとつ。携帯を閉じる 
枕に顔を埋め。自嘲染みてはいるものの、顔は皮肉がなくどことなく幸せな笑みを浮かべる
平和な日常に身を染める幸せ 
 
昨日部屋に持ち込んだテーブルの上で鳴らない携帯が鳴る  
これが鳴るときはあまりいいことではない 
ディスプレイが表示する名前を見て予想通りだと溜息を吐く 
  
「なンだァ」 
 
『仕事だ』 
 
(現実ってなァ…、どうしてこうも厳しいのかねェ…) 
 
手短に話される要件を聞きながら一方通行は頭の片隅でそう考えていた 
 
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:27:30.14 ID:1c0agUmL0
合流地点で他のメンバーを待つ 
 
(早く来すぎたかァ…?) 
 
時刻を確認するがそう早くもない。十分前だ

(十分前行動も出来ねェのかよ。クソどもがァ…) 
  
……さらに五分経過 
一人で何もせずに立っていると時間の経過を遅く感じ苛立つ 
  
「あァ!!もうめんどくせェ!!」 
 
不満をいい終わらぬ内に視界はおろか立っている場所も変わる 
 
「何言ってるんだ?」 
 
「はァン?」 
 
見渡すと薄暗い照明、さして広くない空間 
体感で車内だと分かる 
広くない空間に座する二人の男と一人の女 
土御門元春、海原光貴、結標淡希
暗部グループの自分たちが使う偽装車の中だ
 
納得した。どうやら結標の能力でここに転移させたのだろう 
得心と共に苛立ちが怒りに、独り言も聞かれた羞恥も怒りに変わる 
 
「何勝手に人様の体、転移させてンですかァ?バカなンですかァ!?」  
 
座標移動の眼前まで顔を寄せ、思いっきり睨み付ける 
 
「反対車線からサイン送ってるのにぼーっとしてるからじゃない。大体、土御門の指示よ」 
 
「任務はもう始まっているんだ、呆けるなよ第一位」 
 
「チッ。今度やったら許さねェぞ」 
 
「はいはい」 
 
「おお怖い」 
 
適当な返事をする結標とおどけて見せる海原 
 
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:28:42.74 ID:1c0agUmL0
「もうそれくらいにしろ」 
 
サングラスの奥の瞳を険しくさせて、制止をかける
 
「要点だけ説明したが、今回の任務の詳細だ」 
 
土御門から配られる一枚の紙 
目を通して頭に入れ、紙は即処分される 
 
お題目は技術流出の阻止 
学園都市のあらゆる科学技術は外界には宝になる 
裏でこっそり流し、財を成す 
至ってシンプルな発想だが、未然に防ぐ事は難しい 
だが躊躇わせることはそう難しくは無い 
 
――実行し、ばれれば殺される  
 
そういう噂を流せば大多数は間違いなく躊躇う 
ただしそれでも危険を顧みずに実行する蛮勇もいる 
そういった輩には噂ではない現実が突きつけられる 
この任務が終われば、このターゲットの周囲の人間はただの噂ではないと知り 
新たな噂を流し、抑止力となる 
 
(簡単に言やァ見せしめに殺すってこったなァ) 
 
くしゃくしゃに丸めた資料に載っていた写真の男をご苦労さンと弔い、結標に投げる 
飛んできた紙をどこかへ転移させ、呆れた顔で一方通行を見る 
そして溜息一つついてそっぽを向く 
 
(ンだァ? 言いたいことあンなら言えよクソが!) 
 
その言葉がそっくり自分に返ってくることも気付かずに心中毒づく 
 
結標が全員分の資料を地中に転移させ、一行を乗せた車は目的地へ向かう 
 
 
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:29:09.28 ID:1c0agUmL0
「さて…、さっさと終わらせるぞ」 
 
雨の降りしきる昼間 
とあるオフィスビル 
標的の男はただ一人で事務所にいるという 
暗殺ならば夜がセオリーだろうが、警戒の薄い白昼堂々実行する 
事の最中に妨害が入る可能性、また追撃に備え、一方通行がビル入り口で退路を確保する算段だ 
男一人暗殺、関連資料の回収 
内容の割りに豪勢なメンバーだと海原が笑う 
 
「さっさと行って来い」 
 
ビルの入り口に腰掛け、缶コーヒーを口につける 
 
三人が中に入る 
 
(わざわざ俺が来る必要あンのか…?) 
 
海原の言葉を思い出し、口に含んだコーヒーを胃に流し込む 
カフェインが体内に染み込む 
 
(今日は黄泉川は遅くなるっつってたなァ…) 
 
手持ち無沙汰故、色んな事を考え始める 
 
(浜面なにしてっかなァ…。メールしてみっか) 
 
携帯を取り出し、先ほど登録されたアドレスを呼び出しメールをしてみる 
 
(あァー、拝啓…。ちげェな。友達にメールって何送りァいいんだァ?)  
 
用件を簡潔にほぼ一言で済ませてきた過去 
用事も特に無い友達へのメール等初めての体験だ 
 
(今なにしてんだ?…いやいや聞いてどォすンだよ…) 
 
思ったことをそのまま送ればいいものを、考えすぎて纏まらない 
 
(お前の趣味って何? …う〜ん見合いじゃねェンだから) 
 
あれこれ考えていると自分の横にダンボールが現れる 
 
(うお!?) 
 
急に現れたダンボールに驚き尻を浮かす 
証拠資料を詰め込んだものを結標が転移させたのだろう 
 
(あンのクソアマァァ……) 
 
本日二回目の転移ドッキリに苛立つ 
虚空からふいに現れては驚かされ、急に移動させられては驚かされる  
 
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:31:34.03 ID:1c0agUmL0
「終わったぞ」 
 
半開きの口でダンボールを見つめていたら声が掛かる 
開始から十分足らず  
 
「結標ェ!!次やったら許さねェっつったよなァァア!?」 

「え?ダンボールも駄目なの?」 
 
「驚かせるなってことじゃないですか?」 
 
ニヤニヤ笑う海原と結標 
 
「おいおい、第一位が何度もビックリするわけないだろ」 
 
諌める口調で土御門も口を挟む 
 
「ところでなんでお前はポカンとダンボールを見つめていたんだ?」 
 
にやけた顔に変え三者一様の表情になる 
 
「ぐぬぬゥ…」 
 
驚かせるなとも、能力使うなとも言えず歯軋りをして耐える第一位 
 
「帰るぞォ!」 
 
八つ当たりでダンボールを蹴っ飛ばし、一人タクシーを拾う 
 
「ちょっと、揶揄い過ぎたかしら…?」 
 
「結標さん反省してください」 
 
「お前もだろ海原」 
 
「確か土御門の指示だったかと記憶してますが…?」 
 
心配そうにタクシーを見送る結標を他所に、未だににやけている男二人  
八つ当たりで転がされたダンボールが雨に濡れ、悲壮感を漂わせていた 
 
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:32:25.80 ID:1c0agUmL0
「黄泉川先生、今日はどこにしましょうかねぇ?」 
 
職員室で仕事を片付け、早いけど詰所に行こうかと思案しているところに声が掛かる 
 
「あー、ですねぇ。この雨で流石に屋台はキツイじゃん」 
 
「こないだオープンした串焼き屋さんに行ってみますか?」 
 
「お!そこにしましょうじゃん!」 
 
「んじゃ警備員のお仕事終わったら電話くださいなのです」 
 
「りょーかいじゃん」 
 
黄泉川の頭の中ではすでに風呂から上がったさっぱりした体で、ビールを呷る姿が想像されている 
やきとりささみねぎまぼんじりすなぎもつくねとりかわせせりてばさきぎゅうぶたばらればーはつなんこつあすぱらべーこんえのきべーこんそーせーじほたてさーもんしいたけぴーまんながねぎししとうタレ焼き塩焼きトッピングでめんたいおろし小ネギ辛ミソ  
腹が減っている訳ではないがゴクリと生唾を飲み込む  
鼻の下を伸ばしてへらへら笑いながら廊下を歩く 
すれ違う生徒が黄泉川を怪訝な顔で見つめ体一個分遠ざける 
 
教職員用昇降口 
今日は傘は無事だった 
流石に名前を書いた傘は持っていかないだろう、しかも黄泉川の名前が書かれているのだから 
車に乗り込み、浮ついている気持ちを落ち着かせエンジンをかける 
 
(相談する必要も無くなったし、軽い気持ちで楽しむじゃんよ) 
 
天気は豪雨の一歩手前、視界が悪くなりフロントガラスでワイパーが忙しく動いていた 
 
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:33:17.19 ID:1c0agUmL0
 
結局、浜面に送る文面も決まらないままだった一方通行 
メールを送るのを諦め。仕事の電話がきた時の様にベッドに横になり、帰りに買った雑誌を見ている 
 
(ナンパかァ…。金にァ余裕あっし出来なくもねェかなァ) 
 
己の意思伝達能力不足を思考の外に棚上げし、成功しているイメージを楽しんでいた 
 
(ヤリコンだとォ……!? こンな淫らな会合があンのかよォ……) 
 
雑誌の記事に翻弄される第一位 
女達を侍らせ、フィーバーしている姿を妄想する 
 
(悪くねェなァオイ) 
 
第一位の権威と大金を動かせるので、あながち不可能な事でもない 
 
(おっ!これを浜面に聞けばいンじゃね?) 
 
早速携帯を開き浜面のアドレスを引っ張り出した……ところで手が止まる 
 
(駄目だ!!) 
 
自分は浜面に嘘をついているのを思い出す 
見栄を張って女に不自由なんてしていないとホラを吹いたのだった 
呼び出したアドレスを消し、待ちうけ画面に戻す 
待ち受け画面の時刻は十八時過ぎ 
 
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:34:40.90 ID:1c0agUmL0
 
ブーン 
 
「へァ!?」 
 
手の中の携帯が震え、驚き手を離す  
メールの着信を知らせるウインドウを開き、見る 
登録はされているものの、一度たりとも連絡を取ったことのない結標淡希からだった 
 
――今日はごめんなさい。―― 
 
最初に浮かんだ言葉は ? だった 
鳴らない携帯が鳴ったと思えば宛先間違いかとも思った 
無視をしようかとも思ったが、返信する 
  
(何が? …っと) 
 
送信間もなく着信 
 
――悪ふざけが過ぎたからさ…。ほんとごめんね。―― 
 
得心がいった 
能力を使って自分を驚かせていたことかと 
忘れていたが、言われて思い出しふつふつと怒りが蘇ってきた 
 
(マジでふざけンなよ! テメェの能力は完璧じゃねェンだから危ねェだろォォがよォォ!! っと) 
 
思ったまま、怒りのままに送信 
 
――本当にごめんなさい。――
  
予想以上にしおらしく詫びてくる結標に、何かこっちが悪いことをしている気持ちになってくる 
 
(まァ反省してンならいいけどよォ、次は勘弁してくれや …っと) 
 
――うん。ごめんね。―― 
 
本当に結標だろうかと疑う程のしおらしさだ 
 
(……。お前今一人? っと) 
 
もしかしたら誰かが、例えば土御門なり海原なりが代わりにメールしてるのではと思った 
しかしこの質問にも即返信がくる 
 
―― 一人よ。今日は家主が飲み会で遅くなるからご飯も一人なのよ。買ってきたからいいんだけど――  
 
(へェ…、ウチの家主も飲み会だァ。奇遇だなァ っと) 
 
――そうなんだ。奇遇ね。別に深い意味はないんだけど、あなたって普段何してるの?―― 
 
(あン?なんだ…?普段の行動?……何してるっけ?) 
 
いつもの日常を振り返るが特段面白くも自慢もできるもない 
他人からすれば特異な生活だが、本人の価値観からすれば地味な生活だ 
 
(なンでお前に教えなきゃならないンですかァ? っと) 
 
送った後に後悔する 
 
(愛想もクソもねェな……)
 
しばらくした後に着信 
 
――ちょっと興味があったからよ。教えたくないならいいけどさ。―― 
 
ちょっと脹れた感じが伝わる文面だった 
 
(あァ、俺の言い方が悪かったなァ…。別に面白いこともねェよ っと) 
 
――そう。あなたに謝られることなんて今後無さそうだから貴重な体験だわ。特別に許してあげるわ(^ω^)b――  
 
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:36:00.70 ID:1c0agUmL0
(おォォ!?こりゃすげェな) 
 
顔文字が入ってきたことに感動を覚える一方通行 
自分の携帯に備わっている顔文字を初めて確認してみる 
 
(結構あンじゃねェかよ。 そりゃありがたいこって( ´_ゝ`) っと) 
 
なんとなく使ってみる。ほんの気まぐれ。試験的なもの 
顔文字の意味も知らずに使う
 
――顔文字使うとか意外すぎるんだけどΣ(゚д゚lll)ガーン  つかなんで上から目線なのよー(゚Д゚;≡;゚д゚) ――  
 
(はァ?なんで上から目線に見えんだよ! キョロキョロしててかわいいなこれ) 
 
ネット初心者が始めて一行AAに邂逅した反応をする一方通行 
 
(別に上から目線とかじゃねェよ(*´Д`)ハァハァ っと。…涼しい顔が駄目だったかァ?これならチョイと必死な感じがするかな)
 
――ちょっとなに興奮してんのよヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ―― 
 
(えェェ!? なンか伝わってねェぞこれ。結標ってアホの子かァ?)  
 
「ごはんだよー!ってミサカはミサカは部屋に篭りっきりのあなたに呼びかけてみたり」 
 
「あン?……もうこんな時間か」 
 
(ちっと飯いってくらァ…。またな'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、(ノ∀`)'`,、'`,、'`,、'`,、'`,、 っと) 
 
笑ってる顔文字なら流石に勘違いはしねェだろ、と思い携帯をベッドに置きリビングへ行く 
その返信を受け取った結標は第一位の見えない底に畏れを抱いていた 
 
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:36:58.00 ID:1c0agUmL0
警備員の仕事は何事も無く終了 
この雨じゃ学生も出歩く気はないようで、ゲームセンターで【超電磁砲】に会うこともなかった 
 
銭湯の湯船に浸かり、体の底、魂の芯から息を吐く。三者一様のリアクションを取る
熱い湯に浸かり首をコキッコキと鳴らす鉄装 
その音に釣られて二人も首を鳴らす 
二度目の深い吐息 
 
「極楽とは昔の人もよく言いますねー」 
 
「そうですねー」 
 
「確かに極楽じゃんー」 
 
 
風呂で流した汗と水分を補給する為に牛乳を買おうとする鉄装 
 
「鉄装ぉ!!……ちょっと待つじゃんよ……」 
 
いつもと違う黄泉川に緊張が走る鉄装 
 
「…汗を掻いて、喉渇いて…。その喉にビールをぶち込みたくはないか?」 
 
「「――!!」」 
 
その言葉に鉄装はもちろん小萌にも電撃が走った  
いつもならば風呂上りに牛乳を飲み、マッサージチェアでうだうだするところだ 
しかしビールの味わいをより高めるには、乾いた体を維持したまま店に行ったほうがよい 
付け加えるならば今日は串焼き。ビールとの相性も申し分なく、抜群の料理だ 
 
ゴクリ… 
 
誰のものかは分からないが脱衣所に響く音 
 
「分かってくれたみたいじゃん…」 
 
「黄泉川先生ぇ……。早くっ早く行きましょう!」 
 
「そうなのです!早く行きましょうなのです!!」 
 
黄泉川とて早く行きたいのだ 
だがその長い髪を乾かすには今暫く時間を要する 
三人掛かりで黄泉川の髪をドライヤーで乾かし終えた頃 
これならば最初の一口は存分に美味かろうとばかりに、各々の唇は乾燥していた 
 
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:37:40.85 ID:1c0agUmL0
喉を鳴らし黄金色の液体が胃へ流される 
 
「「「カッハー!!」」」 
 
カウンターに座った三人の教師が我慢の末に吐いた爽快感 
新規店だけあって油汚れの無い綺麗な店内 
焼き台では三人が注文した串焼きが並び、備長炭に炙られ煙をもうもうと上げている 
お通しの生キャベツ一枚で生お替りする黄泉川と小萌 
この二人は恒例なのだが、鉄装もあと一口でお替りになる 
どれだけ喉が渇いていたかが窺い知れる 
 
「ところで今日の集合はただの飲み会なのですか?」 
 
「?」 
 
お替りの生が届いたところで小萌が切り出す 
鉄装はその発言の意図が読めず、黙っている 
 
「え?あー。月詠先生はすごいじゃんよ…」 
 
「そりゃ黄泉川先生があれだけ調子悪そうな時に、飲み会のお誘いがありましたしねー 
 何か相談があるんじゃないかなーって思ってたのです」  
  
「そんな日があったんですかー」 
 
「おとといでしたかねー。黄泉川先生が遅刻ギリギリで職員室に飛び込んできたのですよー。 
 昨日は研究所の会合の後に懇親会がありましたから、ごめんなさいなのです」 
 
「いえいえ。相談はあったんですけどもう解決しちゃったじゃん」 
 
「おとといって強盗があった日ですね」  
 
「そうそう、私らしくないミスばっかりだったじゃんよ…」 
 
「え…?」 
  
捕縛したのに始末書コース。いつも通りだったじゃないですか 
喉から出そうになった言葉を生ビールを呷り、心の奥に流し込む 
口からでていたら、お替りの生も一気で飲み干す事態になっていただろう 
 
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:38:07.12 ID:1c0agUmL0
「まぁ、当面は解決したじゃん」 
 
「そうなのですかー」 
 
「前から失礼しまーす。温かいうちにどうぞー!」 
 
焼きあがった串焼きが並べられ、舌鼓を打つ 
 
「年頃の男ってのにどう接していいか分からなくなったじゃん」 
 
「「え!?」」 
 
「え?」 
 
黄泉川の発言に裏を感じてしまった二人が驚きの声をあげ、それに対して黄泉川が驚く 
 
「まさか…。年下に恋したのですかー?」 
 
「いや!違うじゃん!? 月詠先生も知ってるじゃんよ。うちに住んでる一方通行のことじゃん」 
 
「第一位が彼氏ってことですか?」 
 
「おい鉄装!?全然違うじゃんよ」 
 
「私は黄泉川先生を信頼していますので、節度あるお付き合いができると思うのですよー」 
 
「こらこらこらこら…。話のベクトルが全然違うじゃんよー!」 
 
「確か第一位ちゃんの能力はベクトル操作…」 
 
「黄泉川先生の恋のベクトルも思いのまま…」 
 
「お待たせしました月見つくねですねー」 
 
(なんでこうなるじゃんよ……) 
 
妄想に花を咲かせる二人はしばらく放置し、つくねに卵黄をたっぷり付けて口に運ぶ 
 
(あ、おいしー) 
 
黄泉川を挟んで在りえない話を繰り広げる二人 
時刻は十九時半 
まだまだ始まったばかりだ 
しばらく続きそうなこの話題を打ち切らんばかりに生を飲み干し、三人分のお替りを頼むのだった 
 
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:46:24.18 ID:1c0agUmL0
ここまでです 
 
――馴れない仕事―― 
   
     ――発売日に購入したまま未開封のDDFF―― 
   
          ――致命的な遅筆―― 
 
  ――展開しすぎた構想―― 
    
             ――また迷い始めた話の着地点―― 
 
      ――後半になると早く終わらせたくなる衝動と端折る話―― 
 
 
次もまた来週になると思います  
そして次で一方通行が卒します
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/09(水) 04:48:26.62 ID:1c0agUmL0
★壁殴り代行/説教代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、説教したいけど度胸がない、一方通行の童貞卒業を邪魔したい、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフが一生懸命あなたの代わりに壁を殴って、叫んで雰囲気をぶち壊しにしてきます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフが壁を幻想殺しで殴り、卒業できる幻想をぶち殺します!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休! 
 
                           、__}\}\ }ヽ.
                        ____N ̄ミ:.:ヽ:.:\:.\:∨|
                    \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|/|
                    ___.ゝ-.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.弋__
                       `フ.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'マ
                   '⌒7.:./.:.:.:./.:./.:.:/.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:Z
                    /イ.:/:.:.!7!:./.:.:/.:/|‐|:.:|:.:.:.:.:.弋
                     '|/|:.|:.i'立|/|'立|/|爪:.:.:.:.:`ト|
                        |人{   ,     iン人:.|:.ト|
                         人  __ _,   イ:./:.ハ|
                             \__ ┌─|/|八                                   
                         人    人り_.. ッ". -'''" ̄ ̄^ニv..........,、
                     ,.. -―'''';;]_,゙二二__,,/  _..-''" ゙゙゙̄''ー     `'-、
               ,,-'"゙゙,゙ニ=ー''''"゙゙シ'"_,゙,゙,,,,,,,_     `'''T゛                 \   
           /_..-'"″  '''^゙>'''"゛     ´                        `!、       
           _..イ'"゛       ./                  \       ,..-''''''''''''''ー..,   .l
          / /         ./                  `゙''‐  .、        \.,,,│
        /  l         「                       l          " .`''、
      /   l゙         i                    !  .,!             .  .,!
        ! ./│      ._/ .ヽ,_,                   ,│ │         !   .!、
,, -ー¬'''" ./   .ヽ  _.. ‐″ .`'. "   `゙''―- ....,,,_       _.../ │  l           丿   .′
      ′   .i゙'''゛                 `'''r‐―‐'´    ヽ  .l   _,.        .ヽ
          |,     _,,,,,....、        /    .‐ ,   .`'i  .`'' .″             ヽ
        ,,.. .  .ヽ. .ン._,,,,,,...  .、,`'ー、、  ,.       _..l,   │  /             ヽ .../ '
            ゙l、.i ′      ゛   `"´       '"´ ,.ゝ   !   .|                 l/
             ‐'│゙.l   i                 ,r'" "  l    .l               ,, 'ソ゛ `
             ,i゙.l .\  ‐- ........ ‐'    、         ,r‐''   |,    .ヽ          _,, イ゛ .'、
         /  l. | _i,,,...... -----.... ....;;_  /      "     ....l    .ヽ    .,/´   .ゝ  .ヽ
      _,,, ‐"   l",゙,,...... ---――ー- ....,,,,,,_"'''ー ..,,_      ,L-'゛ ヽ    }  /     / ヽ  `
-'" ̄ ̄゛     .!.´                   `"'ー ..,゙.\.l .,/     ヽ   ゙./       .l   .`_,,,,,
             | /´'i     Й      /゙''i      `'-/           \ ./     _.. -''"  ./
          | .ゝ′          ! ./         |            ゙'l゙   .,/゛  ._,,、l゙
             ,|  ._,,..........--―¬''''¬- ....,,,,_      .|          ヽ ,/   .,..-"  . l

壁殴り/説教代行では同時にスタッフも募集しています 筋肉と説教に自身のあるそこのアナタ!
一緒にお仕事してみませんか? 壁を殴って説教するだけの簡単なお仕事です!


266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 05:18:07.55 ID:26qL+eYSo
こんなのに殴られたら一方さん死んじゃうううう
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 05:22:56.09 ID:oGpwjeXKo
この上条さんなら一人でアックアに勝てる
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 09:03:49.32 ID:H0UHYox7o
だからwww上条さんをちょくちょくいれるなwwwww

しかし一通さん可愛いな
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 09:16:44.04 ID:lcmVSTdao
ちょっwwwwwwww上条さん必死すぎワロタwwwwwwww
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 09:54:56.08 ID:754z4zo6o
圧倒的な強さを誇る第一位なのに浜面や結標とのやりとりで地雷踏みそうでドキドキハラハラする。
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 10:30:50.27 ID:diA+uyFb0
あわきんお茶目
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 13:40:22.13 ID:5AeWIvCAO
あわきんかわいい
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 17:27:08.17 ID:xs/nnOgX0
一方さん人間臭くてよいなwwww
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 04:05:18.58 ID:z8jsIiW40
浜面が朝帰りでジト目の滝壺に誤解を解こうとする、とこまでは考えた
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 15:51:30.82 ID:bw4WKcGAO
>>274
そして一方さんを呼び出して、なんやかんやあって3Pですね
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 03:23:36.52 ID:oxovUgFKo
>>275
一方さん総受け、まで読んだ
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/11(金) 05:59:46.34 ID:IWhIYW0K0
>>276  
滝壺が仰向けになって、第一位が挿入 
第一位のケツを浜面がFUCK 
あわきんが一方通行の髪を掴んで 
結標「ほら、舌もちゃんと動かしなさい?」くぱぁ  
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 13:23:44.61 ID:gdoTKssSO
あわきんに髪掴まれてペロペロ強要とか御褒美すぎる
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 16:09:36.32 ID:i5AnXWes0
>>1が音信不通なわけだが大丈夫か?
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/17(木) 00:39:41.38 ID:K9m1HBNs0
大丈夫だ。問題ない 
 
今週中には投下します
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 11:15:21.87 ID:FYiZdUjy0
おお良かった無事だったか
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 23:13:43.56 ID:UvSv3Uj30
おい 祝日も終わっちまうぜよ
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:01:15.64 ID:TwM22EGX0
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;  ;; ;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.: ;:;ヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;; .;; ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`;   ;;:;ヽ;;  .`´;`’ ;:;:;  .:;:.:; ;:::::::::::::::::::::::そんな幻想は俺がぶち殺してやる……
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284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:04:26.40 ID:TwM22EGX0
まだ俺の週末は終わってない!! 
 
っていうのは言い訳っすねごめんなさい 
心配してレス頂けるとは思わず、生存報告も怠ってしまいました 
地震関連やら仕事やらでちょっと立て込んでました。すみません 
 
 
つかなんで俺だけ県名表示されてんだろ……
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:05:02.84 ID:TwM22EGX0
散々喋り倒してガスが抜け、本題が終わる頃には生ビールから冷酒に変わっていた 
 
「そんなことがあったのですかー」 
 
「ひゃ〜……」 
 
黄泉川は全て話した 
小萌は当たり前なことだと言い放ち、一方通行を軽蔑する様な素振りもない 
だが鉄装は深夜のプチ情事と第一位の自慰行為などに顔を赤らめ、若干鼻の下が伸びている 
 
(こいつ年下好きなのか?) 
 
「そういったケースは多い訳ではありませんが、間違った情報を鵜呑みにしやすいので気をつけないといけません」 
 
小萌流ありがたいお言葉の時間が始まる 
 
「黄泉川先生は芯の強い方なので、彼を引っ張ることができますが。 
 いつまでも引っ張りっぱなしになると依存してしまいます」 
 
「ふんふん」 
 
「なので彼の自立ラインを見定めて、後は放任して影から見守ってあげるのがいいと思うのですよ」 
 
「それってどこなんでしょう?」 
 
聞いていた鉄装が質問する。黄泉川も同じことを考えていた 
 
「自立のラインですか? それは彼と話したのは一度きりなので先生には分かりませんが 
 男子も女子も大して変わらないと思いますよ?」 
 
「うーん…」 
 
「自分と周りを照らし合わせて、落とし所とでも言うんでしょうか 
 まぁ適当でいいと思いますよ? 彼が今までの培った他の経験則も補助してくれるでしょうし」 
 
「なるほどねー」 
 
なんとなくだが概念的なものがぼんやり見えてきた気がする 
 
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:05:29.66 ID:TwM22EGX0
「ただ一つ気をつけないといけないのは、一方通行ちゃんが第一位ということです」 
 
「「?」」 
 
「遺憾に思われるかもですが、彼は男の子です。そして学園都市はおろか世界でも最強クラスに入る個体だと思います」 
 
小さな教師が緊張した面持ちで語る 
 
「彼がその気になれば他人を生かすも殺すも自由。暴力でことを済ませてしまうという可能性もあるのです」 
 
「――それはっ!!」 
 
提示されたひとつの可能性に黄泉川が非難の声を上げるが、小萌がそれを制する 
 
「あくまで可能性の一端なのです。だからそうならない様に大人の私たちがしっかりと、その点だけは導かないといけません」 
 
「道徳の時間ですねぇ」 
 
教師らしい発言をする鉄装の言葉に頷く小萌 
 
「一方通行ちゃん自身も、大きな力を持ってしまった事に色々思うところはあると思うのです 
 だけど安易で愚かな方向に行かない様に、周りも支えてあげないと生き詰まってしまいます」 
 
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:05:58.24 ID:TwM22EGX0
芳川から一方通行の実験の話は聞いていた 
あの少年が自分の力、そしてそれに対する愚行 
どれだけ思い悩んだかを考えるだけで胸が痛む 
もう一度そんな思いをさせない為に支えてやらねばならない 
成人にも満たない彼の心は一度黒く染まってしまっている
なんとかその心を漂白する糸口が見つかったのに、もう一度黒く染まってしまったら居た堪れない 
特例能力者多重調整技術研究所を制圧する際に見たもの、そしてあそこにも一方通行が居たこと 
少年の周囲には彼に道徳を説く人間が皆無だったことさえ推測される 
 
ずっと独りで、善と悪の境界で頭を抱え続けた少年 
最強の能力と繊細な心 
取り扱い注意、危険物、天地無用、割れ物注意 
それらの札がベタベタと貼り付けられそうな存在  
そんな彼を導けと小萌は言う 
 
(私みたいなちっぽけな存在でできるのか……?)  
 
「まぁ黄泉川先生以外に彼を導ける人は学園都市には居ないと思いますよー」 
 
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:06:30.98 ID:TwM22EGX0
「ふぇ?」 
  
心の声に答えた様に小萌が語る 
 
「今…、口にでてたじゃん?」 
 
「話さなくても顔に書いてましたー」 
 
あっけらかんと答える小萌 
 
「隠し事が苦手な黄泉川先生だからこそ!なのですよー」 
  
「うーむ…」 
 
「私も黄泉川先生以外には居ないと思います!」 
 
酒で頬が染まった鉄装が背中を押す 
 
「根拠はあるじゃん?」 
 
「ありません!!」 
 
「なんだそりゃ……」 
 
酒の勢いか何かは分からないが、やけに自信たっぷりの大宮ジェイミー 
 
「まっいっちょやってみるじゃん!」 
 
思い悩む人間を解放するのに思い悩むなんてどこか変だ 
自分らしくないなと割り切り、グラスを呷る 
 
「そんな感じでいいと思いますよー」 
 
とくとくと注がれる冷酒と焼き野菜を塩でいただく 
 
「カレイの干物お願いしますー」  
 
小萌が酒の肴を追加注文し、威勢のいい返事が店内に木霊する
 
時刻は二十一時を回る 
まだまだ酒は入りそうだ 
 
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:07:25.37 ID:TwM22EGX0
 
 
「ふぁ〜。ねむーい」 
 
「ミサカも…。ふぁ〜っ、眠いかもー、ってミサカはミサカは芳川のあくびが移ってみたり」 
 
「まだ八時過ぎだぞお前ら」 
 
家主不在のマンションの一室 
やればできるが、やろうと思い実行に移すまでが大変な芳川の手料理を平らげ 
三人食後のお茶とコーヒーとホットミルクを飲んでいた 
 
「最近朝が早すぎるのよ…」 
 
「確かに……ミサカの年で睡眠時間が六から七時間は酷かも、ってミサカはミサカはお昼寝の時間を考慮してみたり」 
 
「朝は早ェが夜遅くまでたァ言われてねェだろ」 
 
「あんまり早く寝ると勿体無い気がするのよね…」 
 
「どの道明日も早ェンじゃねェの?」 
 
「たぶん早いよね…、ってミサカはミサカは明日は調整だったって思い出してみたり」 
 
「ンじゃ風呂入ってもう寝ろォ。」 
 
欠伸をしながら浴室へ行く二人 
 
(片付けてけよ……) 
 
テーブルの上に飲みかけのお茶とホットミルク 
そこまで気が回らないくらい眠かったのかもしれないと思いなおし 
流しへ持っていってやる
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:07:51.00 ID:TwM22EGX0
ベッドに置いてきた携帯を持って来て、メールチェック 
結標から返信が来ていた 
 
――あなたがよく分からないわ(´・ω・`) ―― 
 
(はァ?なんて打ったっけ?俺…) 
 
送信済みのメールを確認するがおかしいと思うところは無かった。一方通行の中では 
 
(”俺ァお前がわかんねェよ”…っと)  
 
すぐに返信がくる 
 
――それならもういいわ…。ごはん食べ終わったの( *‘∀‘ )?―― 
 
(”食った。珍しいやつが作ったから明日は嵐がくるぜェ”…っと) 
 
――私は今買ってきたお弁当食べてる。寂しいわ。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン―― 
 
(”カカカ。独りで寂しいですねェ。何弁当食ってンだァ?”…っと) 
 
――ウルサイ(*゚д゚) 、ペッ  しょうが焼き弁当よ―― 
 
(こいつの顔文字バリエーション豊富だなァ…) 
 
コーヒーに口をつけ感心する 
誰も見ていないテレビが空しく賑わせる空間で他愛のないメールのやり取りを続ける 
 
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:08:25.05 ID:TwM22EGX0
「黄泉川先生そろそろペースを落としたほうがいいんじゃ……」 
 
「そ〜んな弱気だから、鉄装はダメじゃん!気合いれてグイっと飲め! ほらこういう感じに!!」 
 
言葉どおりグイっと酒を飲み干す黄泉川 
酒も進んで段々と絡み酒になりつつある 
その隣では黄泉川と変わらない、もしくはそれ以上飲んでいる小萌 
だがその顔は依然として素面に見える 
 
「お酒は個人差があるので無理しちゃいけませんよー」 
 
「カー!月詠先生は優しいじゃん。なぁ鉄装?」 
 
「えぇ…」 
 
小萌の頭をポンポンと叩きながら同意を求めてくるが、正直無礼講なんてレベルではない 
 
「もー!子供みたいにしないでくださいなのです!」   
 
「賢いしかわいいし優しいし。持って帰りたいじゃんよ。なぁ鉄装?」 
 
小萌の頬をスリスリしながらまた意味不明な同意を求めてくる 
適当に相槌を打ち、やり過ごす以外手はなかった 
 
「黄泉川先生も吹っ切れた感がありますねー」 
 
「そうですねー」 
 
「吹っ切れたっちゃ吹っ切れたじゃん。これも二人のおかげじゃんよ……」 
 
急にシンミリとする。この酔っ払いのテンションの切り替えに翻弄される鉄装綴里 
 
「すみませーん、あのー。お水をいただけますか?出来れば水差しで」 
 
声のトーンを落とし、隣にばれない様注文する 
こっそり黄泉川の酒を水とすり替える作戦を結構する時だと直感した 
 
「はいよぉー!カウンターさんに水差しお願いしまぁっす!!」 
 
無駄に威勢のいい掛け声が店内に響き…… 
 
「みずぅ〜?」 
 
当然の如く黄泉川にばれてしまい、頭を掴まれる 

「鉄装ぉ〜!酒の席で水を飲むとはどういう根性してるじゃん?」 
 
「あうあう…!私じゃなくて黄泉川先生に飲んでもらおうかなぁっと……」 
 
「ほうほう…。つまり鉄装先生は酒の弱いやつは水でも飲んでろとおっしゃるわけじゃん?」 
 
言うが早いかまたグラスを空にしてしまう 
ズイっと顔を鉄装に近づけ 
 
「なら月詠先生潰そうじゃんよ」 
 
「どうしてそういう流れになるんですか……」 
  
その心中を隠すことなく口からでる 
飲み比べで全敗中。黄泉川の隣で未だに涼しい顔で飲んでいる 
 
予想される結末に備え、鉄装は酒のペースを更に落とすことに決めた 
 
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:09:44.28 ID:TwM22EGX0
風呂から上がった二人は大して一方通行と話すことなく、寝室へ向かった 
睡眠時間を六時間から八時間と考えると、二十三時くらいには寝ないといけない 
 
携帯が振るえメールの着信を知らせる 
 
――だから私はそんな性癖なわけじゃないってばΣ( ̄□ ̄lll)!! ―― 
 
まだ結標とメールをしていた  
他愛のない話から下ネタを経由し、だいぶ砕けた話へ 
 
(”じゃあ子供に興味ねェの?”っと) 
 
今の話題は以前から囁かれている結標のショタ話について 
 
――興味の方向性が違うっての。抱きたいの一つでも恋愛的なものと保護的なものあるでしょ? 
  それを一緒にしないでぇー!ヽ(`д´)ノヽ(д´ )ノヽ(´ )ノヽ( )ノヽ( `д)ノヽ(`д´)ノ――
 
(”かわいいなそれ、まぁそういうことにしといてやンよォ”っと) 
 
――なによぉ(*`д´)―― 
 
かわいいという返信にドキっとしてしまう 
無論結標もかわいいのだが、一方通行のこの場合は顔文字についての発言だ 
 
(”いや、お前じゃねェし顔文字がかわいいつったンだよ”っと)
 
あっさり何かをヘシ折る童貞通行 
 
――ОοβακαУαЯο..._〆(゚▽゚*) ―― 
 
「ぷっ!」 
 
返信に噴出す 
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:10:53.38 ID:TwM22EGX0
(なンだ?なンだよ!なンなンですかァ!? このかわいい顔文字はァァ!? ウィットに飛んでるなンてもンじゃねェぞォ!!) 
 
結標から飛び出す一行AAが楽しくて仕方がない 
奇術師の繰り出すマジックを見ている子供のような表情だ 
 
(拗ねるなよ。お前もかわいいぜ(笑)っと) 
 
――むかつく(ノ゚д゚)ノ 彡┻━┻  ヤッテラレルカ !! そんな感じじゃ彼女できても嫌われるわよ――  
 
メールの後半部分で手が止まる 
 
(……………う〜ン?) 
 
浜面には見栄を張り女には困っていないと言ったが、女にそういう事を言ってれば一生独りになるではないのか…? 
湧き上がった疑問 
 
(彼女いないっつってバカにされンのもむかつくしなァ…。いるっていうのもなンだしなァ……) 
 
彼が連想する女に困らない人種の多くは居ても居ないと言ったりもするのだが、その発想のカケラもなかった 
 
(”嫌われても別の女探すから問題ねェよ”っと。まァ無難な答えだろォな) 
 
無難(笑)な返信をし、反応を待つ 
 
――嫌われてもって今彼女いるの?―― 
 
顔文字の無いメールが届く 
 
 
ピンポーン 
  
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:11:27.89 ID:TwM22EGX0
(あン?) 
 
携帯の示す時刻は二十三時二十五分 
 
(誰だこんな時間に……) 
 
チョーカーを一度指でなぞり、呼吸を整え、表情を替える 
 
 
ピンポーン 
 
 
(あァ!うっせェ!!クソガキが起きンだろォがよ!!) 
 
ソファーから立ち上がり、杖をついてインターフォンの受話器を取る 
カメラの映像に移っているのは二人 
メインで眼鏡をかけた女、その女に背負われている見慣れたジャージ女 
 
『あの…、黄泉川先生が潰れちゃったので運んできたんですけど…』 
 
(なにしてンだあいつァ…) 
 
「あァすまねェな…」  
 
眉間に皺を寄せ、言うのと同時に一階のオートロックを解除する  
開いたドアへ入って行く二人を見送り、後ろに誰も着いて来てないのを確認し受話器を置く 
 
キッチンへ行きグラスに氷をいれ、ミネラルウォーターを二つ注ぎ玄関へ 
インターフォンを鳴らされない様に、玄関を開けて待つことにした 
 
 
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:12:07.72 ID:TwM22EGX0
「すみませんー」 
 
伸長差がある為、足を引きずりながら運んでくる鉄装 
 
「迷惑かけたなァ」 
 
「いえいえ…」 
 
話にあった第一位の顔をチラチラ窺う 
一方通行が首のチョーカーのスイッチをオンにする 
 
「ソレもらうわァ」 
 
「え?いえ中まで運びますよ…」 
 
重いですし。寝てるのをいいことにそう続けようとしたところで黄泉川を片手で担ぎ上げる一方通行 
 
「こいつは飲めそうにねェな、ほらよ」 
 
鉄装に差し出された水 
グラスに浮かぶ氷二つが気遣いを窺わせる 
 
「あ…。ありがとうございます」  
 
「結構飲ンだのかァ?」 
 
「月詠先生と飲み比べになりまして…、返り討ちに…。私はお冷に切り替えたんで大丈夫ですけど」 
 
(月詠ってェとあのチビ教師かァ…。酒強ェのかよ……) 
 
彼女の第一印象は二五〇年法や不老実験の完成体だと思った程、見た目年齢が幼い 
黄泉川と同じくお節介焼きの属性を感じた 
類は友を呼ぶというやつだろうか 
ならば目の前で水を一気飲みしているこの眼鏡教師も同類なのだろうか
  
「ごちそうさまでした!」 
 
グラスを差し出され、思考の海から引き戻される 
 
「…おォ。ンじゃ気をつけて帰れよ」 
 
「はい!ではおやすみなさい」 
 
どっちが年上なのか分からないやり取りを重ね、鉄装綴里は踵を返し帰途に着いた 
 
(ヤレヤレ…) 
 
肩に担いでいた家主を両手で抱え、つまりお姫様抱っこで家の中に入るが、両手が塞がって鍵が掛けられない 
 
「チィッ!」 
 
舌打ち。黄泉川の両腕を自分の首に回し左手で支え鍵を掛ける 
 
(……………) 
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:13:30.45 ID:TwM22EGX0
 
 
自分の胸に感じる弾力 
傍から見れば恋人が玄関先で抱き合っている風に見えなくも無い 
半端に知っている者から見れば教師と学生の禁断の仲 
さらに知っている者から見れば教師で警備員で保護者の黄泉川と第一位で絶賛同居中の一方通行との情事 
 
弾力を意識したら、黄泉川という個体に意識が高まる 
髪から香る甘い匂い、胸の柔らかさ、彼女のちょっと酒の匂いを交えた寝息 
体に回した左腕で軽く揺するがまったく動じない黄泉川 
首に鼻を埋め女の匂いを嗅ぐ 
飲み会の前に銭湯に行ったのでクセのない香りが鼻腔を擽る 
頭がふわっとした感覚に陥る 
 
(ぬわァァァァ!!何してンだ俺ァ!!) 
 
先日の過ちを思い出し踏みとどまる 
 
(あぶねェ…。もうちょっとで警備員犯しちまうとこだァ…。あっぶねェあっぶねェー!) 
 
疼きだした下半身に自制を掛ける 
抱きかかえ、黄泉川と打ち止めの寝室へ運ぶ 
 
打ち止めが寝ているのでそっとドアを開け、灯りを点けベッドに横たわらせる 
寝返りで布団を乱した打ち止め 
そっと掛けなおし、頭を軽く撫でる  
起きている時には絶対にしないことだ 
 
(よく寝てやがるなァ…。ガキは暢気なのが一番だァ…) 
 
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:14:44.44 ID:TwM22EGX0
続いて黄泉川にも布団を掛けてやる…が 
 
(……………ちょっと触っても文句はねェよなァ…?) 
 
これは夜中に手間掛けさせた報酬だと言い訳をする 
 
軽く指先を胸に沈めてみる 
もう一度。もう一度 
続いて手のひらで揉んでみる 
黄泉川が起きない様に細心の注意を払い、生体電流の信号変化にまで気を配りながら 
豊満極まりないソレに少しずつ圧力を加える 
信号に全く変化が見られないので、普通に揉んでみる 
積乱雲が掴めるとしたらこんな感触だろうか 
いや弾力に欠けるだろう 
先日よりも些か感触の違う乳房を揉みながら思考する 
 
(そォいやァ…こいつァ寝るときァノーブラだったなァ……) 
 
そうこれは普段と同じ環境で快眠を提供する為だ 
万が一起きても十二分に通る理由だと言い訳をしながら、部屋の照明を最小に落とす 
小さな光源が薄く室内を照らす 
ベッドに戻り、黄泉川の背中を浮かせホックに指を掛ける
ホックの構造を指先で把握し、的確且つ最も黄泉川に違和感を与えない外し方を計算する 
学園都市第一位の脳がはじき出した結果は素早くふわっとだった 
生体電流の信号の観測もしながら、ブラのホックを外す複雑な計算を行い。的確且つ困難な指令を指先に出す 
これらを全て同時進行できる人間は聖人の数を下回るだろう 
 
窮屈な拘束具から解放された魔性の双丘が自由を謳歌する 
 
(これでこいつも快眠だァ……) 
 
そしてこれはその謝礼だとばかりに解放された乳房に手を添えるがブラが邪魔だった 
 
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 05:15:56.79 ID:5Y4LPbNIO
なんて時間に書き込んでいるんだwwwwww
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:16:27.02 ID:TwM22EGX0
寝苦しいであろう外行きのジャージを取り合えず脱がせる 
この寒さで半そでTシャツとジャージなのだから季節感がないというレベルではない 
血流操作で左手を暖める 
冷たい手が肌に触れ、せっかくの快眠が阻害されてしまってはいけないからだ 
 
(いざ!) 
 
Tシャツの中にぽかぽかの左手を忍ばせ、ブラを摘む 
少しずつ……少しずつ下にずらす 
緊張と興奮、背徳感と妙な義務感が入り混じる精密作業 
記憶にある人はもう少ないかもしれないが、その姿は伝説のパンツ職人を彷彿させる 
十センチほど下げたところでその作業が中断させられる 
何かに引っかかったように動かないブラジャー 
 
(あァン!?) 
 
クイックイっと若干勢いをつけても状況は変わらない 
 
(まさかァ!!) 
 
黄泉川の肩に手を当て、脳裏に過ぎった存在を確認する 
 
――あった 
 
その名は肩紐。役はカップが下に下がらぬように固定すること 
魔法名をつけるならばbracehium 081(主の乳を守る者)といった具合だろうか 
 
(ぐぎぎィ……) 
 
思わぬ強敵に歯軋りをし、作戦の変更を余儀なくされる一方通行 
この時点で彼に撤退という言葉はなかった 
いかにこのやっかいな魔術師の防御をかいくぐり黄泉川の乳房を堪能するか 
いや…、いかに起こさずにブラを外し、黄泉川に快眠を提供するかだった 
 
頭を振り、自分の思考に理性を加える 
 
次にとった行動は上にずらす 
肩紐を外すには腕を通さねばならない 
不可能ではないだろうが目を覚ますリスクは格段に上昇する 
僅かでも危険な道は避けるのが懸命だろう 
肌寒さを感じさせないように黄泉川の上体に毛布を掛け、手を突っ込みTシャツをめくり上げる 
その際にも慎重さは欠かさない 
 
Tシャツを鎖骨辺りまで捲くり上げ、ブラもゆっくり上にずらす 
 
「ふゥ〜」 
 
心臓が跳ね上がる 
自分の吐いた息は、マンションの壁と窓を叩く雨音に掻き消えることなく室内に驚くほど響いた気がした 
緊張の所為で聴覚が鋭敏になっているので高鳴る心音すら、起床のアラームになりそうだ 
 
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:18:09.37 ID:TwM22EGX0
気を落ち着かせ、毛布の中に手を入れる 
 
(――――!!!)  
 
生の直触り乳房のなんと心地よいことか… 
その衝撃の感触は左手から脳へ、脳から脊髄を通り自身の陰茎へ、そして足を振るわせた 
ひたりと吸い付くフィット感は言うまでもなく至高 
学園都市の科学技術でも再現できないだろう、心を高揚させつつも安らぎを与える温もりある柔らかさは究極 
東西新聞と帝都新聞のいがみ合いも、父と息子の蟠りもこの感触を堪能すれば快く和解できるだろう 
まさに神の感触 
黄泉川の乳房ならばボリュームもあり、大勢でも不足も不満もないだろう 
一方通行の赤い瞳から涙は零れなかったが、彼の亀頭先端からはトランクスを濡らす勢いで感涙を流した 
そのまま右手も毛布の中へ入れる 
 
ぴとっと触り、ゆっくり揉みしだく 
冷たい手で触れた為に、黄泉川の右乳首が生理現象で硬度を増す 
巨乳所持者の乳首は変わった形が見受けられるイメージだが、彼女のは見事な形だった  
左手のみ暖めていたが、乳房の温もりと興奮ですぐに上昇を余儀なくされる 
ゆっくり揉み、乳頭を指先で転がす 
 
ごくりと生唾を飲む音が響き 
毛布がゆっくりとめくられる 
 
ご尊顔の時が来た 
 
風呂上りに見た時と同じものなのに、雰囲気の差だろうか 
淫猥な表情を浮かべた様な黄泉川の豊満なそれに唾液の分泌が加速される
まるで獲物を目の前にした獣 
しかしもう例えではなくなっていた 
最初に言い訳がましく乳房を指で触れた時から理性など無かったのだ 
全て言い訳、黄泉川に快眠を与えるなども言い訳。嘘 
ただ触りたかった、揉みたかっただけだった 
 
(もう止まれねェなァ……) 
 
口を開き、舌で乳首を舐め、吸い上げる 
たわわに実った果実を貪る獣がそこにいた  
 
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:18:53.96 ID:TwM22EGX0
ぴちゅぴちゅ音を立てて乳首を舐め転がし、歯を立てずにあむっと口に含んで吸ったり 
思いつくがまま悦しむ一方通行 
両乳首がその存在を主張し、少年も満足げに舌で愛でる 
右手で自分の陰茎をゆっくり擦り、直接的な快感で自身を肥大させていた 
 
生体電流に変化はまったく見られない 
余程深酒をしたのだろう 
何をしても起きなさそうだった 
 
 
(…………………) 
 
 
左手が黄泉川の体を這い、締まった腹部を撫で、更に下へ…下へ 
ジャージのズボンの中へ………。下着のラインに触れ、そのまま下着の上から黄泉川の女の部分をなぞってみる 
足が僅かしか開いてないので手が動かし辛い  
一旦手を引き抜き、両足を開く 
泥酔の彼女のだらしなく開かれた肢体はなぜか妖艶な色を醸し出している 
 
再度下腹部へ侵入を試みる 
汗ばんでいるのかしっとりとした触り心地の下着 
下着の内部から指先に触れるザラザラしたものは陰毛だろう 
柔らかな恥丘を下着越しに触り、縦割れしたクレバスをなぞる 
 
 
(おやおやァ……?) 
 
 
 
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:20:26.77 ID:TwM22EGX0
女性が性的興奮を感じると起きる生理現象 
経験の無い一方通行も知識はあった 
下着が汗ばんで湿っているのではない、明らかに濡れている 
足の付け根から下着の内部に指を潜り込ませ、早急に確認する 
 
乳房とはまた違った感触がそこにあった 
人体の神秘 
表面は柔らかいのだが、こしこしとした、まるで高鮮度の魚介類の様 
全ての生物は海から始まったという説も今ならば納得ができる 
人間の本能。生物としての大事な機能を保持し続ける器官  
割れ目をなぞり指を更に奥へと侵入させる 
拒むどころか黄泉川の女性器は潤滑を促す体液を出し、一方通行の指を歓迎している 
 
 
(濡れてやがったかァ……ヒャハ!) 
 
 
寝ていても反応している体に喜びを見出す 
その彼は次の行動へ移す為に左手を戻し、自身の先走りでぐちゃぐちゃになった陰茎から右手を解放させる 
秘所をまさぐった指を嗅いでみる 
芳醇且つコクのある、酸味を帯びた雌の匂いが鼻腔を突き抜ける 
二日前に嗅いだ脱衣後の下着が貧弱に思える 
所詮あの下着は副産物に過ぎないことを確信する 
 
掛けていた毛布をゆっくり剥ぎ、緑のズボンに手を掛ける 
 
 
(外行きのジャージじゃ寝にくいだろォ…?) 
 
 
もはや言い訳できない状況に、言い訳を重ねゆっくりと下にずらす 
黄泉川の自重でヒップに圧力が掛かり中々下がらない 
速やかに最強の頭脳で打開策計算をする 
引っかかっているズボンの部分をベッドに押し付け、ゆとりを持たせる解答をだす 
黄泉川が腰を浮かせてくれるのがベストなのだが、起こして腰浮かせてくれと言うわけにもいかない 
一気にずり下ろした方がいいような気もするが、万が一それで目が覚めたら台無しになる 
亀のようにゆっくりゆっくり尻肉をなぞるようにジャージを下げる 
 
(よォし!!) 
 
難関を突破したジャージはそのままするすると足首まで下げられる 
足首を持ち上げ、体とジャージの別れを促す 
 
下着一枚に、乳房を放りだし、捲り上げられたブラとTシャツ 
そして当人は熟睡中 
どこから見ても犯罪である 
一方通行も言い訳が聞く状況ではないのは心のどこかで分かっている 
だが黄泉川の体が受け入れる準備をしていることを考慮する……が、それも言い訳に過ぎない 
ただ単純に自分の欲望なのだ 
相手がこうだから。じゃあこうしてやろう 
総じて言い訳。純粋に自分の欲を満たしたい 
好奇心と異性への渇望が理性を破壊し。 
寝ている保護者を相手に興奮し、打ち止めが寝ている横で淫らな姿を晒している背徳が性欲を増大させる 
 
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:22:19.35 ID:TwM22EGX0
辛うじて身に着けていると言える下着に手を掛け 
ズボンと同じ要領で下げる 
一度通った道、ジャージよりもゴムが伸びないが難なく尻肉を回避する 
下げている途中、黄泉川の茂みに目を奪われる 
男の気配の無い彼女でも剃毛され、綺麗に整えられていた 
もちろんそこまで一方通行は考えが及んでいないが…… 
初めて目にする女性器 
開いた大陰唇の中、人差し指で小陰唇をなぞる
微かな光量に愛液が照らされ、ちゅっと淫靡な音を立てる 
初めて見るそれをまじまじと観察するように眺め、指で探る 
 
 
(これがクリトリスってやつですかァ!? クキキ) 
 
 
皮に包まれた小さな突起を指でつんつん弄び、包皮を剥き芽を露出させてみる 
 
 
 
(仮性包茎ェ?) 
 
 
 
男性器に使われる呼称を当てはめてみるが、それは勘違いだった 
顔を近づけ、嗅いでみる 
男の理性を消滅させるに十分なむせ返る雌の匂い 
文字通り次の瞬間一方通行は唾液の滴らんばかりの舌を出し、陰核をちろちろ舐めていた 
数秒間舐めていると生体電流に変化が見られ、黄泉川の腰がピクっと動いた 
顔を離し、様子を見るが、起きる気配は無かった 
念のために浜面にやったように瞼をこじ開け、眼球運動を確認する 
ゆっくりと狐を描く様に動いている 
 
再度茂みに顔を埋め、舌を蠢かせる 
膣から湧き出る愛液を舌で掬い、陰核を舐め唾液と混ざった物が滴り落ち、雄を受け入れる潤滑液になる 
指で膣口をなぞり、沈める 
にゅるんとすんなり飲み込まれたことに驚く 
もっと抵抗があるものだと思っていた少年はそれだけ感じているのだと結論付けた 
まるで久方ぶりの来訪者を歓迎するかの如く、膣壁が指に吸い付きぴくぴくと蠢く 
指の腹を上に向け、ゆっくり抜き刺しをする 
膣内上部にぶつぶつとした部分があり、指に腹で撫でる 
根元まで入れ、奥まで探る 
 
 
 
(…………………) 
 
  

 
指を脱ぎ、膝立ちする 
ズボンとトランクスに手を掛けずり下ろす 
暴発せんばかりのいきり立った陰茎が露になる 
先走りを涎の様に滴らせ、ぬらぬらとてかる陰茎に右手を添え膣へと誘う 
 
部屋に響くのは一方通行の心音と外の雨音のみ 
例え外でマンションの壁をご自慢の右手で殴って、血の涙を流し絶叫するツンツン頭の変質者が居てもここには届かない 
 
 
 
(愛してるぜ黄泉川ァ……) 
 
自身の勃起した陰茎を黄泉川の膣へ沈める 
情愛と性欲の混同された感情に溺れ、一方通行な肉体関係が結ばれた
 
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:24:22.04 ID:TwM22EGX0
 
避妊具未装着の性行為 
性肉が擦れ合うに十分なお互いの潤滑液 
亀頭の先から雁首、竿に至るまで締め付ける膣内 
抜き差しのピストン運動を十度ほど行うが、よろしくない 
ギッギッギっとベッドのスプリングが軋むのだ 
冷静さを取り戻すほどの大きな音に、腰の動きを止め 
出来る限り音を出さない様にする動きを計算した   
 
試しに力強く陰茎を膣壁に擦り付ける 
腰を大きく動かさず、蜜壺の中で狐を描く様にかき回す 
これならばシーツの布擦れの音程度だ 
 
黄泉川の生体電流が活発になってきた 
腰も僅かに動いている 
自身に挿入された異物に不快感を表現しているのか、快感を表現しているのか分からない 
だが、寝息も段々と変化し、覚醒が近いことだけは一方通行は理解していた 
起こさない様に腰の動きを止めるどころか、逆に更に力強くかき回す 
 
黄泉川の体がビクっと固まる 
今までのまどろみの中での動きではなく、意思を持った動きだった 
 
 
 
「え?――何してんじゃん!?」 
 
 
 
口をついてでる当然の疑問 
一方通行は信号の変化から予測された展開に素早く対応する為、耳元へ顔を近づけ 
 
 
 
「クソガキが起きンだろォ。静かにしろォ…」 
  
 
 
 
「な?――――!!??」 
 
 
 
 
 
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:25:37.44 ID:TwM22EGX0
黄泉川も自身の今の環境を理解した 
寝室で夜、打ち止めが隣で寝ているのが薄明かりに見える 
そして一方通行が自分の膣内で肉棒をかき回している 
 
 
 
(何?何で?どういうことじゃんよ!!??) 
 
 
 
寝ている隙に保護すべき対象に犯されている 
暴れて大声も出せるが、打ち止めが目を覚ます 
こんな姿見せたくもないし見られたくない 
泥酔と寝起きの脳で理性的にと懸命に思考するが、別の波が押し寄せる 
 
 
 
(何でこいつ勝手なことしてるじゃんよ!!) 
 
 
 
寝ている隙に行われていた卑怯な行為に腹が立つが 
 
 
 
 
 
(…何で私はこんなに感じてるじゃんよぉ……) 
 
 
 
 
 
口に出して文句を言わないのも、足を閉じて拒絶もしていないのも 
乳首が痛いくらいに勃起して天井を向いているのも、膣が一方通行の陰茎を締め付けて離さないのも 
体が一方通行を受け入れてしまっているからだ 
   
 
 
「んっ!……―ぁっ!……っ!」 
 
 
 
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:27:52.78 ID:TwM22EGX0
絶えず掻き回され、声を抑えても呼吸と一緒に漏れてしまう 
微かに聞こえる喘ぎを聞き、一方通行は勢いを更に増す 
陰茎の根元を起点に置いた円運動からピストン運動に切り替えた 
またギッギッギっとベッドのスプリングが軋むが、構わず自分の腰を黄泉川の開かれた股へ打ち付ける 
溢れ出た黄泉川の愛液がぺちゃっぺちゃっと淫らな音を立てる 
 
 
 
「――ふっ…、っく!――うっ――ぅっ!」 
 
 
 
子宮口をコツコツと亀頭の先端でノックされ、声を抑えるのが余計に困難になってきた 
 
 
 
「くゥッ……」 
 
 
 
パンパンに脹れた亀頭が子宮口を突き上げ、腫れ上がった雁首が膣壁を抉る 
射精感が込み上げ硬度を増した陰茎 
二人の声を押し殺した吐息が重なり黄泉川が弓なりに上体を反らす 
 
 
 
「――うァッ!」  
 
 
 
射精寸前 
急激に締め付けられた膣から引き抜き、自らの右手で扱く  
膣内での射精だけは避け、下腹部へ先端を向ける 
 
 
 
「――ハッハッハッハッ。―ッウ!」 
 
 
犬の様な呼吸 
僅かに放たれた透明度の高い精液が黄泉川の締まった腹部を汚す 
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:29:28.90 ID:TwM22EGX0
お互いのはァーはぁーっと深い呼吸と、むせ返る性行為の匂いが室内を支配する 
膝立ちのまま、黄泉川を見下ろす 
右腕で目を覆っている為、表情は読めないが絶頂を迎えた様な気配は感じた   
体を重ねた事によってぽっかり空いていた心の穴が埋められた気がする 
黙って立っていれば凛とした彼女の長い髪が可愛らしく、愛らしく見え 
手を伸ばし、小さな声で囁き掛ける 
 
 
「黄泉川ァ……聞いてくれ」 
 
 
髪に触れた瞬間、左手で伸ばした手をバシっと払われた 
 
 
 
(――ァ……?) 
 
 
 
ドクンと揺れる心臓 
黄泉川の口から言葉が放たれる 
 
 
 
「触るなっ……」 
 
 
 
小さい声だったがはっきり聞こえた 
 
 
 
「あ……ァ……」 
 
 
 
下半身を露出したまま、拭ってもいない垂れ下がる陰茎から尿道に残った精液がだらしなく滴る 
黄泉川が起き上がり、自分の下着とジャージを掴み呆然とした一方通行を押しのけ部屋を出る
 
 
心の空洞に冷たい風が通り抜け、一方通行は何も考えられないでいた 
 
 
 
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:30:21.80 ID:TwM22EGX0

 
(……………) 
 
 
脱衣所で乱れた衣服を脱ぎ、洗濯籠に放り投げる 
洗面台の下の戸棚から携帯用のビデを取り出し、浴室へ入る  
キャップを素早くセットし、先ほど一方通行の陰茎が暴れていた膣内へ挿入する 
ポリ容器を握り精製水で膣内を満たす 
熱くなった膣内が急激に冷えていくのが分かる 
 
シャワーを出し、頭から被り涙を流す 
 
 
「……どぉしてじゃんよぉ………」 
 
 
口を突いた言葉は様々な感情が込められたものだった 
疑心、絶望、失望、驚愕、快楽、後悔、自己嫌悪 
一方通行を信頼し、彼の為に奮い立とうとした矢先の出来事 
目が覚ませばその彼が自分の膣内を蹂躙していた 
打ち止めの事を囁かれ、口を閉じたのは確かにあるが 
何も抵抗せずに受け入れたどころか、与えられる快楽に一緒に溺れ絶頂まで迎えてしまった自分にも憤る  
耳を塞いで蹲る黄泉川  
 
 
シャワーの音と女の嗚咽がしばらく浴室に反響した 
 
 
 
 
 
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:31:10.11 ID:TwM22EGX0
 
トランクスを履き、部屋着のスウェットを持ち黄泉川と打ち止めの寝室から出る 
廊下に出た時、浴室の方からシャワーの音が聞こえた
黄泉川の言動が胸の中で乱反射する 
一定の常識が未発達な一方通行が考えても良い反応ではないのは分かった 
虚ろな心の穴が軋む、痛い。 
 
自室のドアを閉め、チョーカーの電源を切る 
そして自分のしでかした事を思い出す 
 
(どォ考えても………だめだろォ…)  
 
押さえ切れなかった欲望 
最初は軽い気持ちで悪戯気分だったのだが…… 
黄泉川の乳房の感触、肌の匂い、淫猥な性器、妖しく滑る花弁、滴る愛液 
ヌルヌルと蠢き、締め付ける膣内、擦れ合う性器 
 
思い出しただけでもこんなに先走りが溢れてくる 
扱き出した右手が止まらない 
脳内で黄泉川が淫らに声を上げている 
しかしこれはただの妄想では無く、実体験を元に描かれた再構成である 
部屋には二人しか居らず、気兼ねなく嬌声をあげさせ激しく腰をぶつける 
先ほどの快感の余韻と残滓が残っていた為すぐに射精感が沸いてくる 
尻に力を入れ、込み上げるものを一気に吐き出す 
びゅるぶゆるとティッシュに吐き出される特濃且つ大量の白濁液 
 
「アゥゥっ!」 
 
余りの快感に意識が飛びそうになる 
 
初めての性行為の際に自慰の時よりも、精液量が少なかったり射精できない場合がある 
正確な理由は謎だが、前者は緊張でタイミングが悪かったり、後者は自慰行為のしすぎだという説がある 
回を重ねればほぼ改善されるものなので大事には至らない  
虚ろな目のまま賢者タイムに突入した一方通行にはそういった事を考える余裕もなかった 
 
「はァ〜……」 
  
ティッシュで陰茎を拭いながら、一昨日のやり切れない気持ちが蘇る  
 
 
 
(どォすっかァ……) 
 
 
 
ズボンを履きベッドにごろんと横になる 
快感の余韻で働く意思のない頭を使うが一向に名案を提示しない 
もう一度深い溜息を吐いた次には寝息を立てていた 
 
 
 
 
笑い声にも似た雨音だけが、二人の気持ちとは逆に馬鹿騒ぎをしていた学園都市の一夜は過ぎていった 

 
 
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/22(火) 05:36:18.98 ID:TwM22EGX0
ここまでです 
バトルとセックス描写を書くには語彙力が足りない 
単調な文のリズムが痛々しい… 
色んな人の文を参考にはしてるんですが… 
 
後はエロはあまりありませんので、あしからず 
 
次回はまた来週?だといいなぁ… 
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/22(火) 05:41:19.48 ID:zTbjCgzTo
おい一方通行

おい

代れ
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/03/22(火) 06:54:24.86 ID:cPHP9C/6o

ゆっくり待ってるぜ
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 10:15:28.93 ID:5ZVkZbnLo
一方通行が最低過ぎるけど・・・男として分からなくもない・・・
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 11:54:55.27 ID:AbnjGQH+o
>>310
淡々とした感じがめっちゃいいぞ。

セックスから始まる事もたくさんあるさね。
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/22(火) 13:07:46.37 ID:XTrtXqAAO
この気持ちをうまく言葉にできない
一方さん……
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 22:34:45.24 ID:RJEMmest0
>>311
お前は○条さんとでも代わってろ
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/23(水) 16:19:35.13 ID:4PV+gPKSO
レスくらい伏せないでちゃんと呼んでやれよww
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 16:21:10.77 ID:4PV+gPKSO
下げてなかったすまん
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 00:07:19.67 ID:cE5zWf7DO
まぁ俺が一方通行なら風呂で三人の裸体を見た時点でチョーカーに手が行ってるかな(キリッ
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/03/29(火) 00:08:21.78 ID:xA3mjh5Yo
ちょうかちょうか
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/03/29(火) 23:01:43.30 ID:0TmAvqUF0
もう一週間か…。時間経過が早すぎ 
俺だけ三日くらい誤魔化されてるんじゃないかと 
  
2レスしか書いてないとか言えないので、もっと書き溜めて投下しますと宣言します 
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/30(水) 16:58:51.88 ID:HWAtO4C70
生存報告来たか
よかったよかった
いつでもまってるじゃんよ
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 00:25:38.26 ID:6dDL9zdIO
まだかなー
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西) [sage]:2011/04/04(月) 03:06:46.67 ID:sN3x+CxN0
くっ…全裸待機も限界だッ!!
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/04(月) 03:32:53.34 ID:s5UB4rSdo
>>324
っ安全ピン
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/04/07(木) 03:00:21.87 ID:P5bgi0zc0
まだかなー
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/04/07(木) 09:51:05.74 ID:EA7wYqlJ0
>>324
そんなんじゃ風邪引くぞ
つネクタイ
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/07(木) 09:57:30.04 ID:NY+zEVqYo
>>327
おいおい、ネクタイだけってありえないだろ
っネクタイピン
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/07(木) 17:23:04.70 ID:iRCTJwBQ0
>>327
寒すぎだろ
つウサ耳
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/07(木) 18:53:07.75 ID:ytiu2ygAO
下半身を冷やすなよ
つガーターベルト
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 19:26:33.02 ID:BBlZ0wxDO
待ち遠しいぜ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/04/07(木) 21:49:35.59 ID:SecwNxqAO
今俺おちんちん勃起しながら待ってるんだからな?

寒いんだが
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/07(木) 23:28:45.53 ID:SEg7bxhso
警備員さんこっちです
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:37:02.11 ID:pkToIUzy0


 
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                            |;小    !{            /|「:.、:\`:ト
              _/⌒丶                ト、:、    ,'      し レ'ー'./:'
       ,.ィ≦´⌒ヽ::::ハ::ヽ               . \小  ヽ          /イ:.:'         へへっ……
      /::::ヽゝ、///}::}∧::}                     ヘ.   ー 一'    . ′.!/         壁殴りすぎて
     {:::::::::::::}i:::::`ヽノ厶-':::Yニヽ.                丶.   ¨   /    yヽ      右手が潰れちまったよ…
     ノ:::::::::::::|!:r'⌒ヽ:::::::::::ムノ:::::ヽ                 ヽ、_ イ     /  ヽ、
   /::::::ヽ:::::::::!::|////ヽ-<:::::::::!i:::::}                  _斗::::ノ x ' "     :/ もう幻想殺せねぇや…
  {::::::::::|!::::〉、:::::::∨///ハ:::{777八::::!                  /ー┼一'"      /      
. /}::::::::::!:::{//\:::::V///ハ::!////,}:::|!           _ '//´::::ヽ.        ≠       
..{:::::!ヽ、:::::::::V///ヽ:::V///,'}:!////,'!::!!      __, -‐' "//::::::::::::::}       /   代わりに左手であいつの現実を殺してやる…
/ヽ::::::::{`ヽ、:::\///\ヽ///!l//////}l.     /´/       | /!::::::::::::::::!   /
{::::::!ヽ:::ヽ//ヽ、::\///ヽヽ/,}:{,'///:ト/.    / ./       .!'. |::::::::::::::∧ /        ヒャは!ひゃハハはハははは!!!!
..ヽ:::::(/ヽ::\//ヽ、:\//∧V!::Vノ ::|     / ,'       /⌒ヽ/  ¨       /
.   \:ヽ/\:\///ヽ:\/ハ:`:::::::::::└、 r‐'  .!       /::::::::::::'          ,'
     \:`<ヽ:`::</\:\}:::::::::::::::(⌒ヽ   i       /:::::::::::::'     , -‐==! i
        `ヽ、`<ヽ:::`ヽ.):::::::(:::::ー-::: ̄:`\ i       /:::::::::::::::'    /     :│|
          `ヽ、`::::::::::::\::::ヽ::::::r一'⌒ヽ\    /:::::::::::::::::'   f´        |│
             ヽ:::::::⌒ヽ\:::::::::::ヽ、    \ /::::::::::::::::::'   |         /´ ̄
             ゝ、::::::::::::::::::r‐、(⌒ヽ     \::::::::::::::::'   |     / ̄ ̄
                 / ̄ヽ:r、::{_ ヽ.          \::::::::'    └ r‐< ̄ ̄ ̄`
           / ̄ ̄ ̄` ヽ、ヽー               \     r─'─ 、 `ヽ


335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:41:12.53 ID:pkToIUzy0
遅くてすみません 
仕事は慣れたけど、なぜかバタバタと人が辞めていって手に負えない… 
選挙は始まるわ、海洋汚染でカツオに影響は無いのか調べたりと忙しないです 
 
ほんの少しだけど投下します
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:41:38.20 ID:pkToIUzy0
目が覚める 
最悪の寝覚めだ 
昨日の酒がまだ残っているし、何より陰鬱な気分が余計に寝覚めを悪化させる 
 
(………夢……なわけないじゃん…) 
 
アルコール量の割りに確かな記憶 
ぽりぽり頭を掻き、時刻を確認する 
六時五分 
今日は休みだし、早起き計画は無しでもいいだろう 
 
(寝るじゃん…) 
 
二日酔いでムカつく胃を堪え布団を顔の半分まで被り、再びまどろみの中へ 
 
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:42:05.29 ID:pkToIUzy0
――と思ったら現実へ引き戻される 
 
「黄泉川!早く起きてって、ミサカはミサカは休日で早起きをサボった黄泉川の布団を剥いでみたり」 
 
(寒い……) 
 
時刻は六時四十分 
 
「…打ち止めぁー、今日は調子悪いし、休みだから早起きは中止じゃん…」 
 
「えー?大丈夫なの?ってミサカはミサカは黄泉川の体調を心配してみる」 
 
「寝てれば問題ないじゃん」 
 
「じゃあ今日の調整はあの人に連れて行ってもらおうって、ミサカはミサカはあの人の部屋へ急行してみる」 
 
(……あ) 
 
「待て打ち止め。一方通行も体調が悪いじゃん。起こさなくていい」 
 
「えー?昨日は何ともなかったのに、ってミサカはミサカは虚弱体質なあの人に驚いてみたり」 
 
「調整は桔梗に連れて行ってもらうじゃんよ」 
 
「それは難しいかも、ってミサカはミサカは芳川の引きこもりっぷりを考慮してみる」 
 
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:42:35.68 ID:pkToIUzy0
「あらおはよう」 
 
「何してるじゃんよ……」 
 
「キッチンで料理以外に何するのよ」 
 
「あわわわわわ!ってミサカはミサカは芳川が偽者であることに気付いてみたり」 
 
「はぁ〜。あなた達ねぇ……」 
 
「なんでこんな時間に起きてるじゃんよ…?」 
 
「昨日寝たの九時くらいだったかしら? 五時半に目がぱっちり覚めちゃったわ」  
 
違和感が拭えない二人を尻目に、四人分の朝食を用意を続ける 
 
「顔洗ってきなさい、もうすぐできるわよ」 
 
「はーいって、ミサカはミサカは元気よく洗面所へ駆けてみるー」 
 
「桔梗、今日の打ち止めの調整連れてってもらっていいじゃん?」 
 
「いいけど?二日酔い?」 
 
「少し…」 
 
「一方通行が連れていくんじゃないかしら?」 
 
「あいつは居残り、話があるじゃんよ」 
 
 
 
 
「……ふーん。まぁいいわよ」 
 
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:43:04.52 ID:pkToIUzy0
(寝ちまってたか……) 
 
携帯の時刻は七時半 
 
(ァン?休みの日は早起きしねェでいいのか?) 
 
それと新着メールが一件 
送り主は結標淡希 
 
――もう寝ちゃったのかな…?今度追求させてもらうからね!。私も寝るわ、おやすみなさいヽ( ´ー`)丿―― 
 
夕べの返信しないままだったのを思い出す 
 
(あー……。。。) 
 
返信の文面を考えるが、イマイチ纏まらず。携帯を閉じる 
どうでもいい訳ではない、それどころではないという心境だった 
 
深夜の出来事を思い返し、どんな顔でリビングに出るか考える 
 
(まァなンとかなンだろォ……かなァ……?) 
 
ドアの外の気配を注意深く探る。生活音が聞こえるのが分かる 
打ち止めの声が聞こえるので恐らく他の二人もいるのだろう 
 
(引きこもっててもしゃーねェ) 
 
自室のドアを開け、リビングへ出た 
  
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:43:31.41 ID:pkToIUzy0
自室のドアを開けると、芳川と打ち止めは外行きの服装だった 
 
「おはよー!ってミサカはミサカは体の弱いあなたに元気を分けてみたり」 
 
「あァ!? なに言ってンだクソガキィ…っ」 
 
はたっと黄泉川と目が合う 
 
「……おはようじゃん」 
  
「お……おォ」 
 
「冷蔵庫に朝食入ってるから後で食べなさい?」 
 
「あン? どこ行くンだァ?」 
 
「ミサカの調整だよ!ってミサカはミサカはあなたの疑問に答えてみる」 
 
「調整なら俺が…」 
 
「桔梗に頼んだ。お前は居残りじゃん」  
 
「あァ!? ンだそりゃ…」 
 
(あァ……説教か…。説教だよなァ……) 
 
見るからに機嫌の悪そうな黄泉川に納得してしまう 
 
「へいへい……風呂入ってくらァ」 
 
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:44:19.06 ID:pkToIUzy0
「はァ〜…」 
 
湯船に浸かりしでかした経緯とこれからの展望を纏める 
 
(碌なことにゃならねェだろォなァ) 
 
どこか楽観的な自分に気付く 
ひょっとしたらお咎め無しで、無かった事になる 
もしくは二人を家から出して昨夜の延長戦…… 
 
(そりゃねェだろォ……たぶン…) 
 
ないないと頭を振るがどこかで僅かな望み、願望、希望 
蜘蛛の糸の様に一筋の光が心の片隅に存在していた 
 
長風呂も体に毒だと腰を上げる 
 
「それじゃあ病院行ってくるからいい子に留守番しててねー!ってミサカはミサカはあなたに――」 
 
ザバっと湯船に沈む 
 
「いきなり開けてンじゃねェぞクソガキィ!!殺されてェのかァ!!!」 
 
「……見てないよ?何も見てないからね?ってミサカはミサカはあなたのゴニョゴニョをそっとネットワークに保存してみたり……」 
 
「おい!ふざけンな!!」 
 
「うん…、じゃあ行って来るね……」 
 
「おい!!待て!!おいィィィいい!!!!」 
 
どこか大人びた横顔で踵を返す打ち止めに縋るように呼びかけるが、少女の足は止まることはなかった 
 
(ックソォォォオ!!) 
 
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:44:58.68 ID:pkToIUzy0
 
 
カツッカツッという音が廊下からリビングまで響く  
一方通行が風呂からあがったのだろう 
彼の自室の前で音が止まり、ノブに手をかける気配がする 
 
 
「一方通行、ちょっと来い」 
 
 
リビングから駆け抜ける黄泉川の呼びかけ 
一拍の間を置いてカツッカツと音がこちらへ近づく 
入り口とソファー、互いの視線が交差する 
どこか落ち着いた様な、それでも不安な気配を醸している少年 
ソファーに座りそんな彼を射抜くような眼で見つめる女 
 
 
 
「座れよ」 
 
「あァ……」 
 
 
 
 
 
 
促され従う。そんな彼の心の中には蜘蛛の糸が未だに垂れ下がっていた 
 
 
 
 
 
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 01:53:03.10 ID:pkToIUzy0
ここまでです。短くてすません 
 
自分でSS読んでる時に会話文だけでも状況を脳内補足するから、あまり地の文入れないほうがいいかな?とか思ってみたり  
その辺どうなんでしょうか? 
 
次回はまた遅くなると思いますが、禁書の雑談とかでもどうぞ 
それ見て参考にしたりするので  
嘘は書かないでね…真に受けて参考にしちゃうので  
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/08(金) 02:17:51.95 ID:M8vVyFvAO

作者が脳内補足すると、読者に対して説明不足になってしまうことがあるから、そこは難しいところだね
現状、問題はないと思うけれど
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/08(金) 02:27:23.90 ID:pkToIUzy0
>>344 
確かに 
でも表現下手だからどこまで深く状況書けばいいのか分からないんだ 
今回は地の文を意識して削ってますが 
前回までは他の作品と比べると、なんかくどいなーとか思ったり読むのめんどくさくね?とか思ったりしたので 
マジメなところは地の文多目にはなるでしょうけども 
全体的にサクサク読める感じで、山場的なところはズシっとした雰囲気を出したいなァ 
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 08:32:59.11 ID:viSDiiYDO
今のままで全く問題ありませんよ!
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 09:27:43.46 ID:l2xxrH+Bo
作者が書きたいように書けばいいと思う、しかしこの一方通行さんは凄いな
俺だったらまず事件を起こせないけど、起こしたらジャンピング土下座か置き手紙失踪コースだよ・・・
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 14:43:09.25 ID:XIXrs3mDO
ナイスおっぱい
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 20:11:35.32 ID:DwaouQIq0
どこか楽天的だな第一位
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/09(土) 08:00:05.60 ID:VKJnf3PBo
>>349
第一位だからじゃね
周りを力で従わせることもできるし
まだ逃げ道があるって考えてるんじゃないかな
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/09(土) 11:53:36.76 ID:+HlvBT6AO
>>350
いや、能力で従わせようなんて思わないだろ、あの頃ならともかく
思春期特有の想像力、という方が合ってそう
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 08:02:51.37 ID:JljRKoLSO
続きマダー
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/19(火) 08:38:33.25 ID:7Ybj4wnQ0
次にズボン下ろせるのは何時ですか
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西) [sage]:2011/04/21(木) 03:09:44.52 ID:5jy83io80
パンチ下ろしっぱなしの俺が通りますよっと
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/04/22(金) 02:03:27.02 ID:lRml7SmP0
結構書き溜めてから投下しようと思います 
  
五月になるかも……?
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/22(金) 18:23:31.65 ID:IIT7UIpDO
マジかよ流石に風邪引くぞ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/28(木) 23:08:52.52 ID:s9CBCGnAO
何だそれぐらいか
よし、ちょっくら5月に行って待ってるわ
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/05/01(日) 13:23:19.51 ID:LKu6fcnAO
5月だぜ
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/02(月) 01:02:15.77 ID:BTaaufj90
GW商戦に生きて帰れたら投下します 
ちょこちょこ様子見てくれてる人、申し訳ないです
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 19:33:16.03 ID:WglB0Itv0
GW明けか
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/02(月) 21:17:28.55 ID:ad20XNkDO
待ってるよー
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/02(月) 22:53:09.99 ID:XgUpgOITo
そういや黄泉川には
「問題が起きると部屋をどこに何があるのかわからなくなるくらい片付ける癖がある」
という設定もあるけど、SSでこの設定を利用して書いてる人を見たことがないような…
自分が見逃してるだけだったらすまん
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/03(火) 00:10:36.23 ID:xu5gO7iuo
>>362
上条がアンチスキルになるやつにそんな描写あったぞ
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/03(火) 01:00:22.27 ID:b/RCnmmgo
>>362
上条・一方通行・浜面「カンパーイ」でそんな描写あったな
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/03(火) 12:49:12.15 ID:vlr0r+N5o
>>363-364
教えてくれてありがとう
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/05(木) 16:16:43.23 ID:7qH+xuLm0
>>1って黄泉川家スレでSS書いてた?
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 01:32:33.37 ID:lE7+Dfs70
テストスレ消えたのかな…… 
 
>>366 
書いてないですよ 
総合で数レス投下したりです 
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:10:25.29 ID:lE7+Dfs70

 
ソファーに座り、黄泉川の顔をチラリと窺うが無表情で視線をテーブルに落としている 
沈黙が重苦しく一方通行の両肩に圧し掛かる 
 
(……俺がしゃべるターンかァ?) 
 
いつまでも切り出さない相手に。現在に至る過程を復習してみる 
謝罪待ちだろうか? 
先ず謝れ。熱血教師黄泉川ならばそういった発想もありそうだ 
 
(なンて言やいいンだよ…。夕べはお楽しみでしたすンませンとかかァ?) 
 
「――…一方通行」 
 
「……あ?」 
 
呼びかけに思考を遮られ、謝罪のタイミングも逸してしまう 
 
「……夕べはどうした?……なんであんな事をしたじゃん?」 
 
黄泉川の静かな問いに言葉が詰まる  
何故?どうした? 
どう返答していいのかが分からない 
男と女がいれば起こり得る行為に理由 
興味があったから?性欲が抑えきれなかったから?愛している? 
理由も状況も十人十色。様々な動機はあれども一方通行の回答は頭の中でぼやけたまま口を出る事は無かった 
 
「黙ってちゃ分からないじゃん?」 
 
畳み掛ける様に追求され息が詰まる 
 
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:11:05.20 ID:lE7+Dfs70
 
「すまねェ…。なンて言っていいか分からねェ」 
 
「……分からない? お前が分からないなら誰が分かるじゃん?」 
 
「いや……。言葉が纏まらねェ……」 
 
深く息を吸い溜息を吐く黄泉川 
 
「夕べは悪かったなァ……」 
 
「なぜ悪いと……。そう思うじゃん?」
 
また何故 
現に機嫌を損ねる事をしたのだろうに、それを謝ればさらに何故と問われる 
 
「………怒ってンじゃねェか…」 
 
「………………」 
 
(ありゃ?怒ってねェのか?) 
 
肯定の言葉が返ってこない事に疑問を抱く 
 
(まさか本当に夕べの続きの到来かァ…?) 
 
 
僅かに抱いていた幻想が光度を増し、胸の中の靄を晴らしていく 
 
スっと黄泉川が一方通行の前に立つ 
 
そっと俯いた一方通行の頬に右手が添えられ、柔らかな手の温もりが伝わる 
 
添えられた手が離れる 
 
 
 
 
「……黄泉川ァ」 
  
 
 
名を呼び顔を上げる
 
 
 
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:13:10.09 ID:lE7+Dfs70
 
 
―――刹那。


左頬から歯牙、歯茎、顎一気にかけて重い衝撃が突き抜けた  
首が捻じれる程強く殴り抜かれ、一方通行はソファーから転げ落ちる 
 
「グほォッ!」 
 
フローリングの硬い床に転がった体に容赦の無い蹴りが叩きこまれ、また転がる 
 
(反射をっっ! ―――待て!黄泉川だァ) 
 
電極のスイッチに手が伸びようとするが、相手を思い出し手が止まる 
手が止めずとも、黄泉川に襟首をねじ上げられままならなかったが 
 
「なんで私じゃんよっ!?」 
 
殴打 
 
「他の女だったら捕縛対象だぞ!」 
 
殴打 鈍痛 
 
「卑怯なやり方しやがって!ふざけるなっ!!」 
 
絶叫 悲痛 殴打 打撲 鈍痛 圧迫 怒号   
 
「言い訳くらいしてみろ!理由があるなら言えばいいじゃん!!」   

黄泉川の言葉の矛盾や意味を深く考える余裕はなかったが 
 
(なンで俺を殴るヤツァ総じて無能力者なンだァ?) 
 
振り下ろされ続ける打撃の合間に数人の無能力者の顔が過ぎる  
 
怒声罵声を上げながら、顔面に叩き込まれる拳の隙間に涙を流す黄泉川が見えた 
 
「……なんであんなっ…こと……したじゃんよぉ………」 
  
一方通行のシャツの襟を両手で握り締め、嗚咽を上げる 
 
 
 
 
 
「すまねェ……」
 
 
 
 
 
 
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:14:45.45 ID:lE7+Dfs70
 
 
黄泉川の手を解き、電極のスイッチを入れ立ち上がる
 
「ホント……。なンて言やいいのかわかンねェ……」 
 
冷たい床に蹲って泣く黄泉川を一瞥し、歩き出す 
 
 
 
 
「――悪かった。出てくわ」 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
リビングから出る寸前、一言告げ僅かな手荷物を持ち。家を出た 
 
 
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:18:11.81 ID:lE7+Dfs70
誰も居なくなった部屋でぽつんと。独り 
 
何を言っていいのか分からなかったのは黄泉川も同じだった 
大人な対応をしようにも、どうしても感情のコントロールができなかった 
 
然るべき報いとばかりに働いた右手がズキズキと悲鳴を上げている 
それすらも然るべき報いなのかもしれない 
 
自分は何を伝えたかったのだろうか 
自分は何をしたかったのだろうか 
 
少年が出て行き、ソファーに身を預け。涙を流し漫然と思考の海を泳ぐ 
 
彼と出会ってからのこれまでを思い返しても答えはでない。そもそも疑問すらもう覚えていない 
 
 
 
(本当に、どうしてこうなったじゃん……) 
 
 
保護者として、女として、教師、警備員として何をしていいのかも分からない 
ひょっとしたらどうしようもないのかもしれない 
昨夜貫かれた下腹部に残る違和感を落ち着かせる様に撫でる 
打ち止めにも芳川にもどういった説明をすればいいのか…… 
事情を話すにも出来ず、原因も話せない 
 
 
虚ろな瞳を漂わせ、浮き上がる事もできず独り溺れる 
 
 
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:19:52.27 ID:lE7+Dfs70
 
   
宛もなく雨天の学園都市を杖をつきながら彷徨う足取りは、鎖でも巻かれた様に重く 
周囲の高層ビルの押しつぶされる様な圧迫感に息を切らせる 
何百何千人とすれ違い、誰も自分を気にも留めない 
学園都市二百三十万の頂点という肩書きと反面。二百三十万の内の一人でしかないことを思い知らせていた 
 
人間の価値とはなんなのだろうか 
靴の踵を擦って歩く品性を欠いた動作を行いながら少年は考えていた 
 
自分の価値はある方だとは自負していたが、能力を抜いて考えた場合 
単一の人。として考えたら 
消えてしまった方がいいのではないだろうか 

誤った判断で殺戮の限りを尽くし、思い返すだけで赤面する嘘を友人につき 
自分の良き理解者であってくれた人間の寝込みを襲い。犯し 
 
(つくづく死にたくなるよォな野郎だな……) 
  
客観的に考えても終わりにした方が世の為だろうかと思っていた 
  
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:23:00.43 ID:lE7+Dfs70
 
携帯が着信を知らせる
ふと同居していた面々が脳裏を過ぎるが、ディスプレイに映っている名前は土御門 
内容も予想できるが出なければならない 
だがそんな気分ではないのが本音だが 
 
「……なンだ」 
 
数十秒携帯を眺めていたが、結局でることにした 
 
『随分でるのが遅かったな』 
 
「……用件はなンだ」 
 
『……まぁいい。仕事だ』 
 
(だろォな) 
 
『日時は明日。詳細はメールで送る』 
 
「…りょォかい」 
 
『……なにかあったのか?』  
 
珍しく干渉してくる 
 
「別にィ。……なァ」 
  
『どうした』  
 
「組織のセーフハウス貸してくれねェか?」 
 
『構わんが、家をでたのか?』 
 
「まァ…な」 
 
『……そうか。仕事の詳細と一緒に場所を知らせる。鍵の受け渡しもだ』 
 
必要な事柄だけ聞いて電話を切る 
 
 
歩いてきた方向を振り返り、夕闇に染まった空を眺める 
遠い目で数秒…… 
 
 
メールの着信音が鳴り、記された場所へとまた品のない足取りで歩き出した 
 
 
 
 
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:25:11.95 ID:lE7+Dfs70
とりあえずここまでです 
 
GWの次は週末…… 
最近つくねを焼く夢を見ます 
 
おやすみなさい
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/06(金) 02:26:15.27 ID:lE7+Dfs70
 
          _、ノトハ<トノシ,ィ
          > ノレノノノV>
          ノ ]ヽ   /|
          ノ6=■=■
          |/ |  └┘|__
      __/ヽ |_ ̄ j::::::::::|\
    /⌒丶::::::::::::::::|  .x ̄|:::::::::::|::::::\       一方通行。本当にすまないという気持ちで…
    |::::::::::|::::::::::::::::::|/只 |::::::::::::|:::::::::::\        胸がいっぱいなら…!
    |::::::::::|::::::::::::::::::::|   |::::::::::::|\::::::::::::)
    |::::::::::|::::::::::::::::::::::|   |:::::::::::| /::::::::::/     どこであれ土下座ができる……!
    |::::::::::\::::::::::::::::::::V:::::::::::::::|/::::::::/
    ヽ:::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::/           たとえそれが…
    === ( ⌒j===========(⌒ )====
      |\\:::::::::::::::::::::::::::::::::|^^^\\
      -::::\\ 二二二二二二二 \\        肉焦がし… 骨焼く…
       |:::::::\\:::::::::::::::::::|      > >
       |::::::::::::ヽ  ────┐__| |       鉄板の上でもっ……!
        |::::::::::::::ヽ────┐ |__| |     ) ジジジ・・・
        |:::::::::::::::::::::::::::::::::|  | |    | |    (
      |\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ) ̄ ̄ ̄\
ジュワ・・・|  \=========( =================( ========= \
      |   \======= )============================= \
      |     \==== ( =============================== \
            ジュワ・・・

 
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/06(金) 04:38:47.75 ID:FzIHNyPc0
もう浜面の家にとめてもらえよ……

>>1乙じゃん
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/06(金) 05:25:19.62 ID:nxeIm5IRo
乙ううううう!!!

AAで華麗に吹き出してしもうた…
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/06(金) 07:58:53.65 ID:HrxAs3ADO
アナタを待っていたO2
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/06(金) 08:34:55.29 ID:M1KCmPCd0
今回はAA無しか...と油断してた
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/05/06(金) 21:55:39.04 ID:hACMVnmgo
油断してたらAAでもろ吹いたwwwwwwww
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/08(日) 14:51:17.89 ID:80fMB8pSO
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/08(日) 21:53:02.81 ID:F5uLMKzXo
これは一体どこに向かっていくんだ?
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:50:36.59 ID:B9woMBpZ0
>>383 
黄泉川の谷間に向かいたいです(迫真 
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:51:23.28 ID:B9woMBpZ0
: : /⌒/: : : : : : : : : : : : : : ://: : /l: : / l: : : : :イ: : : : : : : : : : : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : :
:r'   /: :イ: : : : : : : : : : :://: /  l: ::l  l: : : : :l l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::
:l  .//l:/l: : : : : : : : : /=7‐-、   l: /  l: : :イ::l l: : : : : : : : ::: : : ト,: : : : : : : : : : : : :: :: :: ::
:; イ' lf l: : : l: : : : /  /'"  `ヾヽl、  l: ::/ l:l l: : : : : : イ: :/l: :l l: : : : : : : : : : : : : : : : :
:ヘ ヽノヽイ: :ト,ll:: : :/   < ̄ ̄T¨ァ,、lヾミl: / l:l l:: : : : : :l l:/ l:/_l: ll: : : : : : : : : :: :: :: :: ::
/∧\\{l: :l ll l: :/    ヽ、 ゞ='' ¨ヽ:l/ミ彡/ l: : : : : lニl:l≠ll´_l::l l: : : : : : : :: :: :: :: :: ::
、/∧   l::l ! l/     `ー、__,.-'l!   l!  l:ll: : : 匕_ラ´l!゙アl j: : : : : : : : : : : : : :: ::
 \/`ヽ__l/  {                !      .ll l: : / 、 __ / l:l/: : : : : :: :: :: :: :: :: :: ::
.   \ノ {                        i l: :l      / : : : : : : : : : : : : : : : : :
     \_ヽ                         l  l:/       /: : : : : : : : : : : : : :: :: :: ::
       ,.∠ヽ                  l.  l!     /: : : : : :/ l!ヽ: : : : : : : : ::  オートロックのマンションか…
      // ̄l|                   l      /l: :イ: : :/    ∧:: :: :: :: :: :: 誰かの出入りに乗じて潜入→そげぶっころし→俺の時代
.     //: : : リ    ノ、ー、_        - __/     /  l: / l: :/ヽ   ∧::: :: :: :: :: 
    //::: :::/ \    \_ 二ニニ=、___,.     /   l// l::/  l ̄ ̄ヽヽ、__:: :: ::    雨も降ってるし入り口で待つか……
    //: : : ::{    \     ̄`ー===r"   <      //: /L,.-¬、≦=====`=-
    //: : : :/ \   \    ー---    _ <   \/ ̄ ̄ ̄       `ー- 、_
.   //: : : /   \   \        <   ヽ /       \        ヽ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:52:34.37 ID:B9woMBpZ0
 

 
「おーい黄泉川ー、ってミサカはミサカは反応のない黄泉川の前で反復横飛びをしてみる」 
 
「――え?……ああ打ち止めじゃんか。おかえり」 
 
いつ帰って来たのだろうか。まったく気付かなかった 
 
「電気も点けないで何してたの?ってミサカはミサカは黄泉川の将来が不安になってみたり」 
 
(電気?) 
 
部屋を見ると照明がついている、開けっ放しのカーテンから見える外の風景は夕暮れだ 
 
「一日中引きこもりなんて感心できないわよ。愛穂」 
 
「一日中……。ああすまん」 
 
お前が言うなという言葉すら浮かぶこともなく、一日中ソファーに座ってぼーっとしていたことに驚きと反省をしていた 
 
「ごはんの準備…するじゃん」 
 
「食べて帰るってメール送ったじゃない。見てなかったの?」 
 
「ああ……そうだった。忘れてたじゃんよ」 
 
平静を装おうと嘘をついてしまう 
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:53:01.86 ID:B9woMBpZ0
「んじゃ風呂入って寝るじゃんよ」  
 
「まだ六時過ぎだよ、ってミサカはミサカは早寝過ぎる黄泉川を心配したり」 
 
「愛穂。調子悪いの?」 
 
「いや大丈夫じゃんよ!」 
 
ハハっと笑って返す 
 
「ねぇ、あの人は部屋にいるの?ってミサカはミサカは気になってみる」 
 
「――っっ」 
 
笑いが止まる 
  
その様子に芳川と打ち止めも怪訝な表情を禁じえなかった 
 
「……あいつは、ちょっと旅行にいったじゃん」 
 
嘘 
 
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:53:59.00 ID:B9woMBpZ0
言う側、聞く側 
双方とも嘘をついていると思った 
 
「嘘だよ!そんなの聞いてないよ!!ってミサカはミサカは黄泉川に抗議してみる!!」 
 
「あー。言うの忘れちゃってたわ。そういえば今日からだったわね。あの子の旅行」 
 
黄泉川と打ち止めが芳川をはっと見る  
 
「打ち止めに言わなくちゃと思ってたんだけど、あの子から聞いてなかったかしら?」 
 
(桔梗……) 
 
「えええーー!!??聞いてないよ!!ってミサカはミサカは除け者にされた事に憤慨してみる」 
 
「ごめんなさいね」 
 
「ぶぅー」 
 
「……そういうことじゃん」  
 
(桔梗には話すべきか……。でもなぁ……) 
 
咄嗟の嘘に合わせてくれた芳川の横顔を見ながら、溜息を吐いた 
 
 
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:55:25.63 ID:B9woMBpZ0
 
マンションの入り口にいた組織の人間から部屋の鍵を受け取り、9階の1DKの部屋へ 
必要最低限。質素というよりも簡素な間取りと設備 
グループの人間が緊急時に間借り、非難する為の部屋を一通りチェックする 
キッチンには非常食のレトルト食品が棚に詰め込まれ 
冷蔵庫の中には飲料水のペットボトルが数本 
部屋にはパソコンとテレビとベッド。黒い遮光カーテン。それと一般家庭には置いてないような医療器具と薬品 
クローゼットの中には男女兼用の衣類と、その奥に拳銃が三挺 
 
 
 
ベッドに転がり溜息一つ。天井を見つめる 
 
(壁は黄泉川ンとこと一緒だなァ。同じとこが造ったンか) 
 
 
どうでもいい事を考えた 
 
 
どうでもいい事 
 
 
どうでもいい人間 
 
 
どうでもいい自分 
 
 
 
 
(もォいいよなァ……) 
 
 
 
 
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 02:57:45.45 ID:B9woMBpZ0
杖をついた覚束ない足取り 
 
カーテンを開き窓を開ける 
 
昨日の勢いを失った雨が名残惜しそうにぱらついている  
 
9階からの高さでも学園都市の一部しか見渡せない 
 
全てを見渡せる人間はどの高さにいるのだろうか 
 
第一位の自分でも知らない事だ 
 
 
 
(これもどォでもいい事だなァ……) 
 
 
 
裸足でベランダに出る 
 
 
(仕事が一つ増えちまうが、勘弁してくれやァ) 
 
 
最後に思ったことは金髪のアロハシャツに謝罪 
 
 
手すりに右足を掛け、杖を投げる  
 
 
 
 
(じゃァな。クソッタレな俺) 
 
 
 
 
 
ベランダには杖だけが残った 
 
 
 
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 03:02:59.41 ID:B9woMBpZ0
 

一方通行はコンクリートの瓦礫の上で雨に打たれゲタゲタ笑っていた 
 
糞以下の価値しかないと思い。その人生に幕を下ろしたつもりで9階から飛び降りたのだが 
 
結果は生きている 
 
 
落下中、無意識に電極のスイッチを入れてしまっていた 
地表だと思ったところはマンションの入り口の屋根 
落下の衝撃で粉々に破壊した後 
死に切れず無様に生きている自分が滑稽で仕方なかった 
可笑しく笑う。自分を嘲笑う  
 
部屋に戻るまで一頻り笑い。怒りを撒き散らす 
怒声を上げ少ない備え置きの電化製品を壊す。ソファーが窓を突き破り宙を舞う 
 

覚悟は出来ている 

 
そう思っていた 
自分は命を懸けれる人間だ。いつでも捨てれると 
しかし蓋を開けてみればこの情けない有様 
 
他人は傷つけても自分は傷つきたくないから。反射する 
他人は殺しても自分は死にたくないから。反射する 
反射して、避けて、逃げて、偽って 
 
 
「きったねェ人間だなァ!!糞野郎がァ!!!」 
 
 
涙声で叫ぶ 
 
「誰かこの糞を殺してくれよォ……。頼むからァ……」 
 
チョーカーの電池残量が切れる音が響き。喋ることも動くことも儘ならなくなる 
ぱくぱく口を動かし言葉にならない叫びを上げ続ける 
 
 
「dgjafghjヒーローhyria殺lmspくadhfh」

 
 
言葉にならない願いは、誰に聞き届けられることなく。弱まった雨音に散らされていった 
 
 
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/10(火) 03:13:12.83 ID:B9woMBpZ0
闇に飲まれ溺れる彼が光に掬われる時はくるのか 
揺らぎ、迷走する彼女の理念に出口はあるのか 
 
次回  
―― 反省と嫌悪を繰り返した果てにあるもの ―― 
 
 
ちょっとこういう予告みたいなのがしてみたかっただけです 
続きはまたいつか
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/10(火) 04:09:29.22 ID:XMkHzNcBo
おっつー
飛び降りるとこの件良いな…
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/10(火) 05:10:35.73 ID:qG3+DCcAo
毎回上条さんのAAで吹いてしまう
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/10(火) 06:09:58.88 ID:8u5pPuSSO
スケベ心で読んでたのにいつの間にか鬱展開でござる
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/10(火) 12:44:46.67 ID:Q4zayxQDO
犯したのに踏んだり蹴ったりのご褒美が貰えるなんてラッキーデイだな
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/10(火) 18:39:39.89 ID:ERv5RSKAO
上条さんAAがあるお陰で鬱な気分に染まりきらずに済むなw
ベルセルクで言うパックみたいな存在だw
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/11(水) 23:52:47.92 ID:MhedJo4AO
こういうの、好きだ
思えば一方通行には、人の気持ちを考えて悩んだり、喜んだり、そういう経験が無かったのだよなあ
展開に期待
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 02:22:37.09 ID:Ir0Bn+ck0
浜面でも土御門でもなんでもいいから助けてやってくれよ・・・
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 19:50:10.17 ID:j12CZunH0
かなり、面白い
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/12(木) 20:56:14.91 ID:6fY2ieaXo
格好良い一方さんが愛されて、不器用に返していく幸せな姿が見たいのに…畜生上手いな。読んじゃうわ

他人との繋がりしかないから、たくさん責められても、しょうがないからと
ほんの少しだけでも手助けしてくれる家族もいなくて切られたら終わりなんだな
これホントどうしようもない気がするが…続き楽しみにしてる
おつおつ
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/13(金) 00:11:29.46 ID:xfS3PsU/0
姉妹達をやるのって一方からすると簡単なんだよな。そんなことするよりは常に変わる人の心を考えるとか、氏にそうになる経験したほうが頭にはよさそうだな
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/15(日) 22:54:37.70 ID:X2YXFnKI0
いつかっていつだろう。そして一方さんどうなるのか。
かなりやばいところだよね。
今現在一方を止める人はいないから、肉欲に溺れるのもいいし退廃的な生活をしてもいいし闇を楽しむのだってアリだな。

早く続きが見たいなぁ
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/17(火) 00:05:52.15 ID:NVBgEjqU0
まさしく一方通行
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 22:14:56.02 ID:31IxT/PZ0
もうそろそろ次が来ると踏んでいたんだが、まだなのだろうか
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/23(月) 12:45:49.90 ID:SQzCwTni0
メズール
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 16:41:48.16 ID:3qhm/dJj0
 
 
        ゴガギーン
             ドッカン
         m    ドッカン
  =====) ))         ☆
      ∧_∧ | |  \ヒカリヨ!/     /        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (   )| |_____    ハノレハvハ   < おらっ!出てこい>>1
     「 ⌒ ̄ |   |    ||   (´Д` )    \___________
     |   /  ̄   |    |/    「    \
     |チ  | |    |    ||    ||   /\\
     |ベ   | |    |    |  へ//| 上|  | |
     |ッ   | |    ロ|ロ   |/,へ \|条|  | |
     |ト∧ | |    |    |/  \  / ( )
     | | | |〈    |    |     | |
     / / / / |  /  |    〈|     | |
    / /  / / |    |    ||      | |
   / / / / =-----=--------     | | 
   

 

        m  ひぃぃ
  ━━━━━) )=
      ∧_∧ | |         バコンッ!
     ( ;´Д`) |________
     「 ⌒ ̄ |    |    |    | _  _     .'  , .. .∧_∧
     |   /       |    _ .- ― .= ̄  ̄`:, .∴ '     (    )
     |    | |     |" ̄ ̄      __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
     |    | |     |  ̄\-―  ̄ | ̄   ̄"'" .   ’ | y'⌒  ⌒i
     |    | |   ロ| ̄ ヽ \_. ロ|             |  /  ノ |
     | ∧ | |    |    \__) .|             , ー'  /´ヾ_ノ
      | | | | >    |    |    |            / ,  ノ
     / / / / |     |    |    |          / / /
     / / / / |     |    |    |         / / ,'
    / / / /. └──┴──┴──┘      /  /|  |
                             !、_/ /   〉
  
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 16:59:59.80 ID:3qhm/dJj0
仕事も落ち着いて戦いの輪廻に巻き込まれていました 
 
DDFF面白いですね 
装備の収集が今回結構大変 
早くセーフティビット欲しい 
 
後。ちょっと体調も崩してるんですが 
食べものは胃で消化されるんですが、腸に降りないみたいで吐き出して、下痢になる 
熱はでないのでウイルスとか食中毒ではないらしい 
こういった症状に心辺りある人いませんかね? 
病院いったんですが、分からないからって薬渡されて様子見って言われたんですが 
下痢だけは未だに止まらないのです 
 
もう少し書き溜めするので夜〜朝。遅くても明日投下になります 
 
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/24(火) 19:41:53.64 ID:1JjHs5rAO
応援してる
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/24(火) 20:13:25.67 ID:t8J+7OKW0
うほっ、毎日巡回してたかいがあったぜww

「分からない」ってそれダメな医者じゃ…
薬飲んでも全然治らないなら別んとこに行ったほうがいいかも
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/24(火) 20:39:35.45 ID:3SJpZ9xAO
大きい病院行くがよろし
その薬とは別に下痢止め使うとかはダメなのかな

待機しとくよ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:02:20.05 ID:3qhm/dJj0
 
               /                   \
             /                          ヽ
          ∧_.ィ _       _                , 気がついたかい?ちょっとボーっとしてるね?
            / 〃´厂./´ ノ       ̄ ‐-   ,____   ′
          / ノノ/ :/ / ィニニニニヽ          ` ヽ}   今度はマンションの瓦礫に生き埋めに……フッ! なってたそうだね?
        イ   / //       _ ヽ)       /=ミ、 〉
      ノノ -‐<〃/    .、 〃 r 芹`        'ノ_  /   つくづく不幸というか…ブフッ んっ!んん。
   < く〃     v/     ニ {{. {;;以           ´7ハヽ.′
   ∠.ノ{{ `コ }         `   /         、 以;;} ノ{  まぁ大事にっ…フヒッ至らなかったのは不幸中の幸い(笑)なんだね?
    ノ八 {  (                       `   " | 
        \\                   ⌒  '       /  え?笑ってるんじゃなくてさっきから横隔膜が痙攣しててね?    
        \_,ノ    rf ̄               /
          liТ1 {  |   \―――――- . _, ヽ /     失礼に感じたなら謝罪するよ?コポォww
.           V|八  \     `ー―――- V/ 〃
         rハ  `   、    、__   ,   /     
           / \:\  >‐-\             イ
        /    \:\      `ー-    -‐< \
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:06:57.53 ID:3qhm/dJj0
>>409-411 
ありがとう 
嘔吐は止まったがまだ腸の調子が超悪いんです 
まぁみんなも体に気をつけてください 
SS書いてると体調を崩す法則発動だわ 
 
 
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:07:31.99 ID:3qhm/dJj0

 
結局寝れずに一夜を明かしてしまった 
打ち止めは完全に早起きの癖がついたのだろう。朝食の準備中に起きてきた 
いつもは極力丁寧に作るように心かけてはいるのだが、どこか手抜きっぽい食事になってしまった 
打ち止めに桔梗を起こさせて食事開始 
三人の朝食。あいつはいない 
小さい打ち止めは気に止めず口に運んでいるのは幸い 
あいつがいたら文句のひとつふたつ並べるだろうけど…… 
 
「今日はいつもよりお手軽な食事ね…」  
 
こいつがいた 
現在進行形の無職で寝癖の酷い私の友人 
 
「寝不足でノリが悪いから勘弁してじゃん」 
 
「ふーん…。まぁいいけど」  
  
どこか癪に障る言い方だ 
言いたいことがあるなら言えばいい 
っと思いつつ自分も言ってないのに気付いた 
ほんとこのごろ調子がでない 
考え事ばかりしている気がする 
もっとこうガーッとノリと勢いで解決できればいいのに 
自慢じゃないけどそういう事のほうが得意だ 
むしろ考えることが苦手。うん自覚はしてる 
  
 

「じゃあ仕事行ってくるじゃんよ」 
 
「いってらっしゃーい!ってミサカはミサカは盛大にお見送りー」 
 
いつもと変わらない見送りを受けていざ職場へ 
うっとおしい雨も上がって何よりだ 
 
 
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:08:11.71 ID:3qhm/dJj0
 
学校に着いたら職員室で月読先生が教頭と学年主任と話していた 
この図式は何かのトラブルがあったケースに限られる 
机が隣なので聞き耳を立てていると、どうやら月詠先生の生徒が事故で入院したらしい 
マンションの老朽化で一部が崩れて生き埋めになってたそうだ 
あの自他共に認める不幸少年に心中お悔やみ……って死んでないか。これは不謹慎失礼 
 
「事故なので仕方ないのですが。出席日数、単位共に留年も視野に入れなければなりませんな」 
 
「うーん…。私としてはなんとか補習で単位は頑張らせたいのですが…。出席日数はなんとかなりませんか?」 
 
「うーむ……。ここまで現状ギリギリで尚且つ欠席の傾向が多く見られるとなんとも…」 
 
「「「うーん……」」」 
 
大の大人が三人も頭を抱えて人生を考えてくれている 
大丈夫。君は不幸なんかじゃないぞ 
当人に届くわけでもない言葉を心の中で述べる 
 
 
朝の職員会議も終え自分の担任クラスへ 
全員出席。私がクラスに入れば即着席 
模範的すぎる自分のクラスがたまに怖くなる時がある 
隣のクラスみたいにクラスに入っても騒いでて、教師が早く席に着けーとか言うのが本来の姿ではなかろうか 
……いや最初は言ってた気がするな。聞き分けが良すぎる子達なのだろう 
 
「みんなおはようじゃん」 
 
つつが無く始まる一日 
私の気分なんか関係なく始まる一日 
多くが生活する学園都市の片隅で起きたことを気にも留めず日常は進む 
気に止められても困るんだけど 
  

 
 
なんか……周りに取り残される感覚がすごく気分悪い  
 
 
 
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:08:45.06 ID:3qhm/dJj0
 
硬いフローリングから目を泳がせれば、凄惨な部屋の中だった 
窓は割れ、テレビもガラクタとなって床に転がっている 
ソファーが無い 
 
(ぶン投げたっけなァ…) 
 
バッテリーが切れて床に這いつくばったまま寝てしまった様だ 
離れたところにある僅かな手荷物の中に非常用のバッテリーが入っている 
能力使用は不可能だが数時間動くことはできる程度の代物 
ズリズリと床を這い回る虫の様に移動を試みる 
惨めな姿に涙が零れそうになるが、すでに昨夜枯れてしまったのか。その赤い瞳から零れることはなかった 
 
「はァ〜」 
 
溜息と同時に充電メインバッテリーを 
つくづく無様な自分に泣けてくる一方通行 
今から充電しておけば仕事には間に合うだろう 
行っても行かなくてもいい様な気がするが、彼女達に危険が及ぶのは本意ではない 
 
(俺が死ンでンならまだしも……なァ…) 
 
飛び降りたベランダへヨタヨタと足を運び杖を拾いあげる 
地上を見下ろすとガレキの撤去作業中のようで、どけられたガレキに青いビニールシートが掛かっていた 
警備員が数名うろつき、現場の検分を行っている 
犯人に見下ろされているとは思いもしないだろうし、死に損なったのが原因だとも思わないだろう 
地上に吸い込まれる誘惑に駆られるが、昨夜の様に躊躇い無く。という気分ではなかった 
  
ベッドに座り頭を抱え込む 
この先への漠然とした不安が胸へ去来する 
一生こんな隠者の如く街の片隅で生き。年老い。死んでいくのかと 
 
がんばろうと思った 
やればできると思った 
でも現実はどうだ 
自分の欲さえ我慢できずに最低のことをして、責任すら放棄して逃げてきた 
 
(もォ戻れねェよなァ…) 
 
四人で過ごしたマンション 
闇から闇を渡り歩いて生きてきた自分に降って沸いたかの様な、憧れの光への道 
馴れない陽だまりの生活にむず痒さを感じながらも、楽しかった。毎日が嬉しかった 
黄泉川と芳川に感謝してもしきれない程…… 
 
 
――なのに… 
 
 
 
帰るところを知らない少年の心に望郷と後悔と自己嫌悪 
先ほどから鳴り響くアラームが、仕事の時間を知らせている 
それを知覚するのに少々手間取るほど陰鬱な気分だった 
 
 
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:09:23.51 ID:3qhm/dJj0
 
集合場所へ向かう交差点 
車も走っていないのに信号機は平常通りその役目をこなし、一方通行の足を止める 
学生が大多数の学園都市では平日昼間、街を行き交う人は少ない 
学生の多い学区は特に。ゴーストタウンと言っても過言ではないほど静かだ 
時折すれ違うのは大人が数名とスキルアウトの連中 
丁度赤信号で足止めを食らっている少年の後ろからくる、二人組みの様な 
 
(めンどくせェ…。早く青になりやがれェ!) 
 
車が来ていないから渡ろうかとも考えたが、目立って感心を引くのも得策ではない 
 
「お前も飲んでみろ!なんつーか気品に満ちた水っつーか 
 例えるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか、スゲーさわやかなんだよ… 
 3日間砂漠をうろついて初めて飲む水っつーかよぉーっ」 
 
新商品らしきミネラルウォーターのペットボトル片手に大きな声で騒いでいる 
 
(360°上下左右どこから見てもバカの類だな、ありゃァ…) 
 
「そいつぁグレートだな」 
 
「学園都市の飲みもんにしちゃスゲーぜ…?」 
 
「「………」」  
 
(こっち見てンじゃねェ!) 
 
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:10:35.38 ID:3qhm/dJj0
 
見るからに不良少年を全身で主張している二人組みが一方通行を上から下へと見回す 
信号が青に変わったと同時にカツッカツと杖をついてさっさと横断歩道を渡る 
 
「よぉよぉよぉっ!兄ちゃんよぉ!」 
 
(チッ。ウゼェな…) 
 
歩みを止めず、振り向きも、返事もせずに進む 
 
「シカトこいてんじゃねぇよダボがァ!」 
 
ペットボトルを持った不良に足で杖を払われバランスを崩す 
 
(……………) 
 
「人がせっかく親切に声掛けてんのにシカトはねぇよなぁー?」 
 
「構ってんじゃねーよ。いくぜ」 
 
「いーや。見てみろよこの貧弱そうな体をよぉ 
 こんな時間に学校もいかねーで引きこもってるからアイサツもできねぇんだよ 
 ちと礼儀ってのを教えねーとダメだぜぇ?」 
 
「しゃーねぇな。飯と糞とカツアゲはさっさと済ませろよ?」 
 
「その点は心配ねぇよ」 
 
へっへっへと下卑た笑いを浮かべ一方通行の後ろ襟を掴もうとする 
 
(……何の為に生きてんだこいつァ…。俺が言えた義理じゃねェけどよォ) 
 
「ちょっとこっち来ようか。兄ちゃん」 
 
力任せに引っ張られ終に尻餅をついてしまう 
 
(こいつらにも大事な家族とかいンだろォなァ…) 
 
「腰抜かしちゃったかなぁ?障害者ってのは不便だよなぁ!!」 
 
弱者を甚振っているつもりでいるのだろうか 
圧倒的優位であると信じ込んでいる不良はその高い身長から一方通行を見下ろし 
品のない笑いを止めない 
片割れはこれからの展開が分かっているのか、こちらは見ずに周囲に人が来ないか気を配っている 
 
これがいつも通り本当にただの弱者であったならば、それで良かったのかもしれない 
 
 
(まァ…。そンなこたァ俺には関係ねェけどなァァア!!) 
 
 
 
電極のスイッチをオンにした 
 
 
 
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:11:50.31 ID:3qhm/dJj0
一方通行を見下していた不良の腰に平手打ちをする 
ごぎごきごきパキィ 
鈍く甲高く、低くて高い音のアンサンブルが人気の無い横断歩道に響く 
 
時が止まった様な感覚 
 
一方通行以外何が起こったのか理解できていない 
周囲に気を配っていた不良が振り向くが、抜けた顔をしている 
最も一番抜けた顔をしているのは、腰を粉砕されたペットボトルの不良だが 
 
「ぎゃあぁぁぁぁぁァアァァああ!!!」 
 
「はぁ!!??」 
 
少し理解した様だが時すでに遅し 
 
一方通行はすっと立ち上がり、杖を拾い上げる 
 
「てめぇ!能力者かよ!!」 
 
冷めた目でのた打ち回る不良を見下ろす最強の能力者 
 
「オイ!何しやがったてめぇ!!」 
 
「病院にでもつれてって治してもらえ。ンでテメェは美容院行ってその妙な髪形直してもらえ」 
 
「あ?……俺の髪が何だっ――ガフっ!」  
 
言い終わらぬ内に杖で顔面を打ち抜かれ倒れる 
 
「救い様がねェよ……。テメェらも……俺もなァ!!」 
 
スイッチを切り再び杖をついて歩き出す 
 
 
イライラが止まらない 
結局七割は八つ当たりに近かった 
 
(糞ったれェ……) 
 
 
黙々を歩くその姿は怒りの捌け口を探す獣に近かった 
 
 
 
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:12:17.69 ID:3qhm/dJj0
集合場所に到着 
些細なトラブルはあったが、指定の時刻まではゆとりがあった 
 
携帯を開き、追加の連絡が無いか確認する 
心のどこかでそれ以外からの連絡が無いかも期待してみたが、無駄なことだった 
 
(往生際の悪ィ野郎だなァ……) 
 
過去は消せないと十二分に知っていながらも、甘い希望を抱いている自分に嫌悪する 
 
 
――ガラリと視界が変わる 
 
 
ハッと電極に手を伸ばし周囲を確認する 
走行中の車の中。天井に照明がぼんやりとひとつ 
その灯りに浮かぶ三人の人影 
 
「数日も経たずにに一方通行の驚いた顔が見れるとは。今度はシャメでも撮るか」 
 
「全く僕は止めたんですけどねぇ…」 
 
ニヤニヤと笑う二人の男 
 
「フフ。メールの返信しなかった罰よ」 
 
クスクスと悪戯を楽しむ小悪魔的な微笑を浮かべる女 
 
(……………) 
 
カツッカツッと女の前へ数歩。立ち止まる 
 
「なぁに?怒ったのかしら?」 
 
拳を握り締め容赦なく鼻面を打ち抜く一撃 
 
「―――エゥっ!!」 
 
 
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:14:08.18 ID:3qhm/dJj0
 
―――!!  
 
緊張が車内を走り抜く 
 
「おい!!一方通行!!!」 
 
咎める土御門。一方通行と結標の間に割って入る海原 
 
「――ヒィっ!いやァぁあああ!!!」 
 
自分が何をされたか理解した結標 
 
「俺ァ言ったよなァ! もう止めろってよォ」 
 
それら全てを黙らせんばかりの一方通行の怒号 
 
「糞みてェに不安定な能力で人おちょくってンじゃねェぞォ!糞がァ!!」 

「ヒィっヒィッヒィッ!」 
 
鼻血を噴出し息を過呼吸を引き起こしている結標に怒りを浴びせる 
 
「悪かった!分かったから落ち着け!!」 
 
いつもに増して本気で怒る一方通行に一番驚いたのは土御門だった 
間に立っていた海原も結標の鼻血を自前のハンカチで拭いながら、一方通行を警戒している 
目を見開き息を吐けない結標 
 
過去に同様の仕打ちを当の一方通行から受け、新たな心的外傷。トラウマになっていた 
前回助かったのは奇跡と言って過言ではない 
ちょっと打ち所が悪かったら…。後数メートル高いところから落下していたら 
ほんの僅かな要因で自分は死んでいたと思ったら、恐怖で寝れない日々が続いていた 
それも全て一方通行という能力者の気まぐれ一つだった 
だからそれまで以上に能力、能力者というものに対しての恐怖心は深まったと言っていい 
 
守るものがあるから気丈に振舞えていたが、あっさりと打ち砕かれてしまった 
 
「ここにいる奴に馴れ合いが必要かァ!? くだらねェ事考えてンならさっさと車降りろォ!でなきゃ俺が殺してやらァ!!」 
 
腕を振り、怒声を張り上げ。周囲を圧倒する  
目を見開いた結標の息を吸う音だけが響く 
  
誰も何も言わず、言えず。黒い棺の如き偽装車は現地へと進んでいった 
 
 
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:15:06.83 ID:3qhm/dJj0
 
 
車の中でタオルを顔に当て、今回リタイヤした結標が横になっている 
それでも任務放棄はできないので、作戦変更のブリーフィングが行われた 
前回の仕事で回収された資料から割り出された今回の標的 
一方通行が大多数を陽動で引き付け、その他三人がビル内部へ侵入。暗殺及び資料回収 
結標のリタイヤの為に一方通行単騎で突入、他二名はしばし間を開けて資料回収となる 
 
また前回の一件で技術流出に関与しているグループも警戒しているらしく 
学園都市暗部への接触の情報も入っている 
 
「関係ねェ。出てきたら即潰す。それだけだァ」 
 
「お前の負担が大きいが、問題は?」 
 
「舐めんな、行くぞォ」 
 
薄暗い車内から日の光の下に躍り出る 
冬なのに鬱陶しいくらいの日差しに眉間に皺を寄せ、電極のスイッチをオンにした 
 
 
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:15:57.09 ID:3qhm/dJj0

 
「化物ぉぉぉおおお!!!」 
 
怒号、銃声、悲鳴、硝煙、流血、断末魔、死体 
戦場と呼ぶには余りにも一方的なその空間の中心に一方通行はいた 
マシンガンを乱射しようが、手榴弾を投げようがお構いなしに歩みを進める 
歩けば歩くほど、撃たれれば撃たれるほど敵の数が減っていった 
今は銃弾を逸らすだけなどという事はしていない 
そのまま百パーセント反射に設定を戻している 
 
「無理だ無理だ無理なンだよォ!そンなンじゃねェンだよォ!!」 
 
銃撃と爆発の嵐の中で最強が叫ぶ 
玄関ホールで十数人。エレベーター前で三人 
エレベーターが破壊され仕方なく階段で登る途中で十名程 
ビルの外は下部組織の狙撃部隊がいるらしい 
何も連絡がないのは目標がまだこのビルにいるからなのだろう 
 
(さっさと逃げ出して死ねばいいのによォ……) 
 
――そうすれば俺はこんなにも人を殺さなくて済むのに 
  
形になりかけた意思は心で思われることなく霧散される 
 
(一番甘いこと考えてるのは俺かァ、クソッタレ!) 
 
忌々しく長く続く階段強く踏みしめ歩みを速めた 
 
 
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:17:53.50 ID:3qhm/dJj0
 
「来たぞ!!」 
 
最上階に到着すれば早速爆発に巻き込まれた 
爆煙が晴れると銃撃の嵐 
即興で作られたバリケードを通路に設置し、反射された銃弾から難を逃れる作戦だろうか 
 
(そンなもン作ってる暇あったら逃げろよ…) 
 
哀れにすら感じてしまう一方通行 
そのまますたすた歩み寄り防壁にもならない物をなぎ払う 
 
「ダメだ!撤退だぁぁあ!!」 
 
「はぁ?」 
 
何かのコントだろうかと思えてしまうがそれも仕方のないこと 
いくら階下からの報告で攻撃が通用しないと言われても現実感がないのだろう  
引き金を引けば弾が発射される。発射された弾が人間に当たればダメージが発生する 
至極当然。万人共通の常識だ 
何かの間違い。誤報。言い訳 
先ずそう疑うのが常識を固めて生きてきた大人だろう  
しかし例外。特例がある 
この白い少年がその特異の一人である 
 
脱兎の如く敗走する男たちが非常階段の方へ向かう 
今度は自分達が狙撃部隊の銃撃に晒されるだろう 
 
溜息を吐いて思考を切り替える 
 
(目標は居なかったから別かァ?) 
 
恐らく今までのは金で雇われた人間だろう 
能力者も居なかったので都市の外の人間かもしれない 
都市の暗部ならば能力者を連れているか、一方通行の能力を見れば即座に撤退を判断しただろう 
 
(金の切れ目は縁の切れ目…。命の切れ目も縁の切れ目ってなァ……) 
 
遠くから聞こえる銃声と悲鳴をBGMに、見捨てられた雇い主を探し手当たり次第ドアを開けて回る  
五枚目のドアは鍵が掛かっていた為ぶち開ける 
 
「……お前だなァ?」 
 
肥えた中年が銃を片手に部屋の隅で蹲っていた 
 
 
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:19:20.04 ID:3qhm/dJj0
「ひぅっ!」 
 
汚物を見るかの様な眼差しで歩み寄る 
 
「テメェは過ぎたマネをしちまったらしいな…。恨むなら欲かいたテメェを恨みなァ」 
 
「俺は軽く手伝っただけなんだぁ!!見逃してくれぇ!!」 
 
逃げの口上を頭を掻いて聞き流す  
 
「今の内に懺悔でもしてた方がいいぜェ?」 
 
「許してくれぇ!金ならっ!!いくらでも!!女でもなんでも与えからっ!命だけはっ命だけはぁっ!!」 
 
「しゃべるンじゃねェェエエ!!!」
 
 
 
――ごちゅ 
 
 
 
激昂し胸部を蹴り潰す 
 
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:20:54.61 ID:3qhm/dJj0
 
「散々欲かいてっ!何もリスクがねェと思ったンかァ!?あァン!?」 
 
ベクトル操作で蹴りの圧力が増加され、物言わぬ骸が踏み潰される 
 
「テメェの自己責任だろォがよ!糞野郎!!」 
 
手が足が踏み潰される 
 
「汚ねェ腹の中ァ!見せてみろよォ!!」 
 
肋骨に両手を掛け左右に引き裂く 
まだ新しい鮮血が湧水の如く噴出す 
 
「汚ねェなァ!くっせェなァ!!テメェの汚れきった!腐りきった人生そのものだァ!!」 
 
拳を振り下ろし、骨も臓器も殴り潰す 
べちゃっべちゃっと破裂し、粉砕されあたり文字通り一面血の海 
 
「『超電磁砲』のクローンの中身は綺麗だったのに腐ってンなァ!テメェは!!」 
 
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:23:01.59 ID:3qhm/dJj0
 
 
俺は血を浴び、死臭を全身に纏いながら思った 
 
こいつと俺の何が違うンだァ? 
俺は夢みちゃいけなかったンだ…… 
陽だまりで生きるなンて、考えちゃならなかったンだ 
元々真っ黒の俺が白くなろうなンて考えるから胸が痛いンだ 
 
ほら……。こうやって闇に身を沈めると楽じゃねェか 
憧れなンてもンで無理するから、次々欲が出る 
出来なかったら虚しくなって心に穴が開いた感じになる 
 
そう……。こうやって真っ黒いもンで穴を埋めたら楽じゃねェか 
他人と違ってもいいじゃねェか 
これが俺なンだからよ……  
 
誰も傷つけたくねェから、寄せ付けたくねェからLEVEL6だとか 
夢物語過ぎたんだよ 
近づいたら潰せばいいだけじゃねェか 
そうすりゃ噂が広まって誰も俺に近寄らなくなンだろ 
今やってる仕事と同じだァ…… 
 
 
すまねェな黄泉川ァ。お前の善意が無駄になっちまったなァ 
 
 
 
ずいぶん回り道しちまったが分かったわ、結局は俺が甘えてただけじゃねェか 
 
 
 
 
  
 
 
―――クソッタレ 
 
 
 
 
 
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:33:02.99 ID:3qhm/dJj0
ここまでです 
 
毎日様子見てもらうのは嬉しいが忍びないので 
ある程度次回投下の日を予告した方がいいですね 
次回は来月になると思います 
 
寛大な支援に感謝しながらちょいと補足 
 
作中一人称になっている部分があります 
黄泉川と最後の一方通行の部分です 
今までは二人を中心とした三人称でしたが、変わります 
二人がそれぞれ神視点から外れ、自分の心の中にこもり葛藤するって色々厨ニチックなことを考えたり 
一方通行が黄泉川よりも遅いのは、まだ希望や夢を追い続けられる若さがあったから等などとこじ付けてます 
 
別に一人称の練習とかじゃないんだからね/// 
 
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/24(火) 21:35:11.55 ID:3qhm/dJj0

      _>:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
     ∠:::::::::::::::::::::::::::::;::::;::::;::::::::::::;::::;::::::::::::ゝ‐
      >'¨フ:::::::;::::'::::;::::/// l::::::;::::::;::::::::::>‐
     イ:.::::':::::::::::::::::::/l/十ー l/vl::/l/l:::::::::::\
      フ::::::::::_::::::l/ l でテ l/ .V 气レ':::::::::ヽ、
      /:': :/: ;t: l  ¨ ̄  /  !tフソ;::::::::ゝ、
       /¨ヽ  i:::ゝ     _ :  ¨ .;::::/`
          ーヘ           /"'
            人    r==、  /       あぁそうなんですか……
          z ┤  \    J /       
        / ヽ'    ` >‐<      (上条ってのは俺のことみたいだな…。だめだ何も思い出せない…)
        人   \  : : : / : : : \
     / ̄ 亅  /  ;   : : :冫 : / |
   /     |  /  .入ー―‐': : :ゝ |
. イ       レ'    亅::::::::::/   > \
 
 
 
 
 
                  
  
 
 
                圧倒的振りだしっ……!! 
 
 
 
 
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/24(火) 21:39:55.41 ID:Nj6rtjp3o
だから上条だすのやめろwwwwwwww
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/24(火) 21:44:23.47 ID:ibNSgLHOo
いいねいいね最っ高だねェ!
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/24(火) 22:09:29.63 ID:4PKGfAddo
やべ、結標の顛末にちょっと興奮した。
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/24(火) 23:22:28.85 ID:3SJpZ9xAO
完全にダークサイドに戻ってもうた…
黄泉川にその幻想をぶち殺してもらいたい
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 04:59:57.26 ID:F4LENC2P0
世紀末帝王はでなかったか。
>>1
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/25(水) 09:11:55.04 ID:1yV3kqKyo
本編の第一位切なすぎるだろ……→AAで盛大に吹く
このコンボ

結標さんの下りがいいな



436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 09:28:00.76 ID:CV4PJFPoo
結標が不憫すぎるwwwwwwww
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/25(水) 13:33:07.24 ID:8pEinhbAO
>>1は投下の時もsageてんのに理由はあるのかな?


ageたほうが来たのがわかりやすくね?
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/25(水) 14:12:52.24 ID:MI2tVtAo0
理由というか隠れた名店みたいになりたいなって思ってます 
知る人ぞ知るスレみたいな感じで 
まだまだ名店と言えるような文ではないけども、そうありたい、なりたいと思いながら書いてます  
 
結構まとめとかで情報共有されちゃってそういう感覚ってなくなってるから 
そんなのが一つあってもいいかなーとか 
まとめ批判とかじゃないからね 
上でも述べてるけど、俺自身禁書はまとめ育ちだし 
興味もってもらったらまとめていただくのも歓迎ですし、選んでもらったら光栄に思います 
でも現行中はそういった隠れ家スタイルでやってみようかなと 
まぁ蓋開ければ結構どうでもいい理由だったりします 
 
>>1が上げるのは最終回の時かな
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 02:04:22.52 ID:OmeFfA6r0
浜面が出る予定ある?
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/26(木) 08:31:16.13 ID:UQzssPGVo
なるほど、このスレでは私もsageることにしよう。
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 17:52:36.10 ID:XtAHCvWDO
鼻血拭く海原テライケメン
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/26(木) 19:32:23.80 ID:mNDh2qU70
エログロ欝とか俺得すぎる 
上条さんのAAにストーリーあんの?思いつきじゃなくて
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/26(木) 23:29:49.45 ID:44eZy03i0
>>439  
はまづらは     なんですよ 
なので  ですね 
>>442 
思いつきに近いです 
 
次は6/1に投下します
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/28(土) 00:48:24.53 ID:8cxqfxg40
ふぅ・・・黄泉川もかわいいな。

しばらくぶりですが大変だったようですね。
ついでに軽く読み返させてもらいましたが、おかげ様でとても落ち着きました。
今回の話も上条AAに吹きだしつつ、本編の面白さに魅せられました。
これからも体調に気をつけてこの話を完結させてもらえるとうれしいです。

>>1乙でした。
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/29(日) 16:59:16.24 ID:Xp/CY931o
一方さんは悪くないんです!ちょっと童貞こじらせちゃっただけなんです!
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/31(火) 01:33:08.93 ID:gqlBvvcY0
ふひひ・・・後1日だぁ。
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/05/31(火) 13:25:06.99 ID:4DJ3JQhc0
                            やつを追う前に言っておくッ!
                    おれは今やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した
                  い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは六月一日だと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったら五月三十一日だった』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
 
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/31(火) 20:54:16.16 ID:gqlBvvcY0
↑早い分には誰も困らないよ!!
むしろ早く投下しようよ!!
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:07:50.48 ID:/haQ1skN0
      ノ       /     /   /          \  /   「 とうままた記憶喪失なのかな?
     く.  そ ど   〉  \ /    ,r'ー──────-  \   ノ
      ',  ん う   |     /     |            \},/  く. ひょっとして毎日私の為にご飯作るのが
      ',  な す   ',   ,′    |     ___        |!    ',
       i. の れ   〉   j    / ̄了´ /レj: / 「、¨T メ、 l|    ',  嫌だから嘘ついてないかな?
       |. 常 ば   〈   l   ∠/: ; :/厶匕_|:/|/ j从`ト|-!∨|     i.
       |. 識 っ     >  |/   レイV 斗テ圷   ィテ圷j∧}\     |. インデックスはとうまに責任取って貰わないと
       ノ.  だ て  .〈 /    /| :| '弋):ン     弋):ソ/: リ. |.    |.
.      ゝ よ ?    ,r'. |  ,   人| :| '''      '   ''! : |  |    ノ お腹の虫が鳴り止まないんだよ!
.       〉 ぉ    〈  j/    /:.!:| :ト、   f^ーーr   ': : | │   `ヽ
       レ'⌒ヘ 〃..../    /: :r'| :|;/> _ゝ rイ  イi: : : | │  . -‐ァ え?何の責任?言わせないでほしいかも!!
.    /        /      /: :∧| :| \,_>f. |´ : :i i: : : | │     〉
   /    /      /     /:/{ | :|.     ̄{. {'7<:j: : :│ヽ|     レ'⌒ヽ〃'⌒ヽ
   │  ま     /      /'´__|_:|\__ ∠゙ヽ`{  \ :│ ヽ
/ ̄/├─. さ    /     /.   、ー‐く|  \{-   Y   ∧ |
 フ. │  に  /     / .、 j j_ノつ_:|\  ‘ヘ     l_∨ } |   │   \
         /   x=/.ー'7 ̄ |  | :|  ヽ/ j\  ∨ ヽ|│  │     \
 ヽ ┼┴   ./   〃i/   ∧   j/ | :|   ∧ ┼,∧   l  ハ|   │
 フ |Ξ|   |   {{ i  ,' /l  /'  | :|  / 〉r'´| \/ / ∧   ,'   \
 ゝ─----  |\__/l| |  !/'!|∨ / | :|_,/ / l| |   / / / ハ__,/   ヽ  \

450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:12:11.21 ID:/haQ1skN0
宣言した期日は守りたい 歌○です  
 
ブラウザ勝手にスクロール症候群が治らない 
ぐぐったけどスクロールしまくりで満足に見れないという 
メモ帳までスクロールしまくるのは勘弁してほしい 
 
解決方法誰かplz!!!!! 
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/01(水) 00:13:58.71 ID:PTCrU7YAO
マウスがおかしいんじゃないの?
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/06/01(水) 00:18:43.73 ID:5qwuLggoo
IEか?前にそんな不具合があるって話はきいたことあるな

453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:22:04.26 ID:/haQ1skN0
1分47.5秒で回答とか早すぎワロチ 
 
さては貴様!見ているな!? 
 
マウスはかれこれ四年くらい頑張ってるかなー 
右クリック側のペイントが剥がれてますな 
お別れか…
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:23:49.84 ID:/haQ1skN0
ググったらIEとマウスと後ウィンドウズのパッチミスだかなんだかは読み取ったんだけど 
マジで読めないんだよね 
 
とりあえず投下します
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:25:53.91 ID:/haQ1skN0
 
『一方通行終わったぞ』 
 
インカムから聞こえる土御門の声 
どォやらあっちの作業も終わったらしい 
こっちはとっくに終わってたがなァ 
 
服にこびりついた大量の血液 
脂肪と絡み合ったそれは独特のぬめりを持ち、全てを醜悪な存在に仕立てあげる 
こんなもンなくても十分醜悪な訳だが 
 
一面の血溜りと飛び散った肉片 
我ながらなんつー猟奇的な殺し方だァ? 
下部組織の証拠隠滅作業は徹夜決定だなこりゃ 
あー体がくっせェ。シャワー浴びてェな 
 
電極スイッチをオフにしてその場を後にする 
めんどくせェ階段だ 
降りる途中いくつか死体とすれ違う 
全部俺が殺した死体 
撃ってきたのを反射しただけだが。それでも俺が殺したことになるンだろ 
言い訳して責任逃れするつもりは更々ねェが 
生まれ変わりってのがあンなら次はマジメに生きて、そして俺に近寄ンな 
 
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:28:21.88 ID:/haQ1skN0
 
「お前っ……!怪我したのか!?」 

合流地点で出会えば開口一番。アロハシャツが目を見開いて驚く
 
「あァ?ンなわきゃねェだろ。返り血だァ」 
 
「返り血にしては少々酷いですね……」 
 
胡散臭い野郎に胡散臭そうに見られるほど不愉快なモンもねェな 
 
「むしゃくしゃしてやった。反省はしてねェ。ってなァ」 
 
笑って見せるが二人とも笑わねェ 
俺が気違いみてェじゃねェか 
……ハッ。遠からずってとこだがなァ 
とっとと帰ろうぜェ…、なンか疲れたわ 
 
 
「きゃあぁぁぁああァァァああああ!!!」 
 
棺桶みてェな車に入ると結標が人の顔見て悲鳴上げやがった 
失礼すぎンだろこいつ 
 
「ヒィッヒッ!ヒッ!ヒッ!」  
 
過呼吸起こして足震わせちまって 
そンなに俺が怖ェかよ 
 
「うぅーっ!うぅーっ!うぅ〜!」 
 
「大丈夫ですから、結標さん」 
 
背中擦ってお優しいこって 
 
「重症だなこれは…」 
 
「メンタル弱すぎなンだよ。暗部が聞いて呆れンぜ」 
 
「あぅあぁっーー!!」 
  
メンタル弱いって言われて泣くとかどンだけ弱いンだよ 

「うるせェっ!!外に放り出すぞォ!!」 
 
「うぅっ!おえェェえ!!」 
 
ェえー?ゲロ吐きやがったァ…… 
 
「一方通行!ちょっと黙ってろ!」 
 
「大丈夫ですから、結標さん聞こえますか?大丈夫です」 
 
もォ存続の危機だろこれ……
タオルで目を覆い横になる結標の難儀な姿にちィっとだけ同情するぜ 
二ミリくらいなァ 
 
「しばらく休ませた方がよさそうですね」 
 
「少数精鋭だから厳しいけど仕方ないか」 
 
「俺ァ構わねェ。勝手にしろォ」 
 
元々こんなゴミ掃除なンざ俺一人でも十分なンだ  
誰の力もいらねェンだよ… 
 
 
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:28:57.41 ID:/haQ1skN0
 
 
部屋に戻って速攻でシャワーを浴びた 
豚野郎の血が今更気持ちわりィ 
赤く染まった湯が体から流れ落ち、排水溝に吸い込まれていく 
浴室の白と血液の赤のコントラスト。不覚にも綺麗だと思った  
肉片と血液を床にぶち撒けられて、残った僅かな血液も排水溝から下水に流される 
あの豚の末路 
道を踏み違えた人間。人生しくじった人間の末路 
よく悪ィことすっといい死に方しねェって言うがホントそうだわ 
昔の人間は上手い事いうもンだなァ 
 
 
 
俺も当てはまるンだろォな…… 
 
 
 
どォせ死に損なったンだ、別にどンな死に方でも構わねェけどな 
寧ろ。俺を殺せる奴がいンならそりゃそれで歓迎するわァ 
 
髪に絡みついて固まった血液が中々流れねェ 
かなり往生際のわりィDNAなンだろォな 
死の間際のあいつの口上を思い出しながら思った 
 
明日も糞みてェな仕事だァ…。 
 
 
めンどくせ  
 
 
 

 
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:31:32.26 ID:/haQ1skN0
 
 
部屋に戻って速攻でシャワーを浴びた 
豚野郎の血が今更気持ちわりィ 
赤く染まった湯が体から流れ落ち、排水溝に吸い込まれていく 
浴室の白と血液の赤のコントラスト。不覚にも綺麗だと思った  
肉片と血液を床にぶち撒けられて、残った僅かな血液も排水溝から下水に流される 
あの豚の末路 
道を踏み違えた人間。人の道踏み外して且つしくじった人間の末路 
よく悪ィことすっといい死に方しねェって言うがホントそうだわ 
昔の人間は上手い事いうもンだなァ 
 
 
 
俺も当てはまるンだろォな…… 
 
 
 
どォせ死に損なったンだ、別にどンな死に方でも構わねェけどな 
寧ろ。俺を殺せる奴がいンならそりゃそれで歓迎するわァ 
 
髪に絡みついて固まった血液が中々流れねェ 
かなり往生際のわりィDNAなンだろォな 
死の間際のあいつの口上を思い出しながら思った 
 
明日も糞みてェな仕事かァ…? 
 
 
めンどくせ  
 
 
 

 
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:33:13.44 ID:/haQ1skN0
 
今日私は何してたっけ 
夕食を済ませ、リビングでお茶を片手に三人でテレビを見ていてふと思った 
学校行って、終わって、警備員の詰所行って、巡回して、帰ってきた 
風呂も入ったしご飯も食べた 
特に事件も無かったし、いつも通りの日常だったっけ… 
空白に感じた一日をちゃんと過ごしていたことを確認して安堵する 
 
でもなんか薄い一日だったなぁ… 
 
事件が起きて欲しいわけでも、特別なことが起きて欲しいわけでもないけど 
無為に過ごした感覚が捨てきれない 
 
「愛穂?」 
 
桔梗が声のトーンを落として話しかけてきたので、思考を中断させる 
 
「ん?」 
 
「昨日からボーっとしてる事多いわね」 
 
「一日の反省してたじゃんよ」 
 
「朝もそんな感じだったわよ?」 
 
「…昨日の反省じゃん」 
  
「……昨日何かあったの?」

「……………別に、何も」  
 
「そう。まっ、言いたくなったら言いなさい。聞くだけならできるわよ」 
 
「何にも無いって言ってんじゃんよ!!」 
 
――っっ!
 
想像以上にデカイ声が出てしまった 
桔梗はもちろん、打ち止めも目を丸くして驚いている 
 
「あ〜…。ごめん。びっくりした?」 
 
「ケンカしてるの?ってミサカはミサカは二人の板ばさみになる未来を想像してゲンナリしたり」 
 
「何でもないわよ。愛穂ちょっとイライラしてるの」 
 
「だからしてないって」 
 
こいつしつこいな… 
 
「黄泉川も人間なんだからそんな時もあるよ!ってミサカはミサカは最近の黄泉川の不調を暗に心配してることを知らせてみる」 
 
――この子っ…!  
打ち止めにまで言われるって事は、私そんなに顔に出ていたのか? 
 
「ちょっと腹が痛いだけだから、そんなに心配しなくていいじゃん」 
 
私また嘘をついてる 
さらっと嘘を吐く人間は嫌いなのに、いつの間にかその嫌いな人間になってる 
でも正直に話せない 
今まで出会った嘘を吐く人間も何か抱えてて、こういった葛藤があったんだろうか 
一種の自己防衛的な何か 
 
「また痛いの?ってミサカはミサカは神妙な顔の黄泉川に聞いてみる」 
 
「え?…ああ。早いけどちょっと横になるじゃん」 
 
「愛穂…」 
 
何かまだ言いたそうな桔梗を尻目に手をふりふり、おやすみと言い残しリビングを後にする 
 

 
 
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:34:08.76 ID:/haQ1skN0
 
布団に入っても寝付けない 
まだ時間も早いし当然と言えば当然 
 
「はぁ〜」 
 
深呼吸するつもりが溜息になってる 
どんだけ気に病んでるんだか 
 
……気に病んでる?  
なんで私が気に病む必要があるんだろ 
人の体を好き勝手したあいつが悪い 
殴ったのも当然悪いとは思ってない 
でも何か引っかかる 
大して抵抗しなかったのはなんで? 
打ち止めが目を覚ますから? 
 
……たぶん違う 
私が受け入れてしまっていたから……かな 
うーむ。大学卒業して以来ご無沙汰だったしなぁ 
忙しさで気付かなかったけど、欲求不満だったのかもしれない 
でもああいうやり方は好きじゃない 
ってか汚いやり方だと思う 
思い出すだけで腹が立ってきた  
 
でもどうすればいいのか分からない 
時間が経てばこんな気分は薄れていくだろうからいい  
けど……あいつは? 
保護者を請け負った限り放棄する真似はしたくはないけど 
あの綺麗な赤い目を見て話せるかな。ちゃんと見てくれるのかな… 
それ以前にどこで何してるんだろうか 
また悪い道に進んでたりしてないかな 
 
なんかあいつの事ばかり考えてる 
恋する乙女かっての 
 
「はぁ〜〜」 
 
二度目の溜息は少し長くなった  
こんな気分の毎日は嫌だなぁ  
 
 
何とかしないと…… 
  
 
 
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:35:19.38 ID:/haQ1skN0
 
 
散らかった部屋を片付ける気も起きねェ 
ベッドに沈ンで目を閉じる 
 
「また。人、いっぱい殺しちまったなァ」 
  
自分のやったことを口に出して再認識してみる 
陽だまりの生活に馴染ンだせいか、馴染もォとしたのか 
極力殺さずにやってきたつもりだった 
土御門達もその辺空気読ンだのかもしれねェなァ 
俺に回ってくる仕事も陽動だの、見張りだのと殺害任務の核になる事は無くなってた 
結標がぶっ壊れた後、俺に殺し役を告げたあいつの苦渋の顔で何となく理解したわァ 
負担が大きいとかほざいてたが、マジで誰に言ってンだと…… 
 
「ふァあ……」 
 
夕べ床の上で寝たから寝た気がしねェ 
睡眠時間も少なかったし、あーつれー。寝てねーからつれーわー 
こンまま寝て永遠に目が覚めなけりゃいいのになァ 
 
 
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:36:27.95 ID:/haQ1skN0
 
  
 

まァ寝たまま死ぬなンざ都合のいい様にはいかねェみてェだ  
時刻は六時 
悪夢を見るかと思ったが、夢すら見た覚えがねェ 
目はパッチリ体は爽快ってやつだァ 
早寝早起きとかジジィかっての 
あいつらはまだ早起きしてンのかなァ 
 
…………あああああ!!!!クソッ!! 
 
マジで女々しいにも程があるぜェ! 
苛ついた勢いで起き上がる 
ベッドに腰掛けて辺りを見渡すが、娯楽らしいもンは何にもねェ 
入居当日にぶっ壊しちまったしなァ… 
金払えばまた持ってくるだろォが 
ブラック組織だからふンだくられそォだな 
 
戸棚を開けて食料を漁る 
ラーメンに缶詰に…碌なモンねェな 
しかも全部軍用品と宇宙食の流れもンじゃねェか 
めンどくせェがコンビニ行くか 
 
今日の集合時間を確認して靴を履く 
この不便な体になった当時は靴履くのも苦労したもンだが 
 
朝靄がかかる二月の学園都市 
雲も風も無く今日も昼間は暑い一日になりそォだな 
 
 
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:38:17.72 ID:/haQ1skN0
 
習慣付いたのかアラームの鳴る前に目が覚めた 
いつの間にか寝ていたみたい 
打ち止めが寝室に入ってきた記憶は無いから、たぶん二十三時前には寝てる 
 
ピッピピッピッピピッ 
 
六時のアラームを消し伸びをする 
 
「んんっ……! はぁ〜」 
 
…………。  
うだうだ考えてもしゃーない 
こいつらに変な気を使われない様にしないとね 
開き直り上等じゃんよ! 
 
「おらー!打ち止め起きろー!」 
 
掛け布団をばさばさと捲り布団の中に外気を送り込む 
動かないっ! 
このー! 
 
「打ち止め!朝じゃんよ!!」 
 
「ん…ん?寒いよ黄泉川ぁ…」 
 
「起きれば暑くなる!さぁとっとと起きて身支度するじゃんよ!」  
 
「身支度するのは黄泉川だけだよ。ってミサカはミサカは0歳児の特権と無職の芳川との違いを寝起きで知らせてみたり」 
 
「屁理屈はいいから起きろじゃん」 
 
「むぅ〜。まだ眠い…、ってミサカはミサカは夕べ夜更かししたことを後悔してみる」 
 
「何時に寝たじゃん?」 
 
「二時過ぎてたかなー、ってミサカはミサカは芳川から口止めされてることを呟いてみたり」 
 
それを聞いた私は打ち止めを放置し、無言で斜め向かいの部屋のドアノブを回……らないっ!! 
勝手に鍵つけてる!?   
おーけーおーけー。いいじゃんいいじゃん?そっちが普通の方法で入れない手段を取るなら 
普通の方法で入らなければいいだけ 
平時の三倍の力で扉を蹴り破る 
ご近所に聞こえたかもしれない程度の轟音は目覚ましに丁度いいかもしれない 
室内に入れば眉間に皺を寄せた桔梗がこちらを一瞥し、寝返りを打った 
 
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:40:10.10 ID:/haQ1skN0
 
「桔梗〜?おはようじゃん?」 
 
ベッドに近寄り布団を剥ぎ取る 
 
「……スヤスヤ」 
 
「寝た振りならせめてグーグーにするじゃんよ」 
 
「……なによぉ〜、てゆーか起こすのにドア壊さないでよ」 
 
「そんなもんはどうでもいいじゃん」  
 
こめかみが痺れる様な感覚 
これは怒りだなと思いつつ続ける 
 
「打ち止めも一緒に夜更かしさせるなんてどういうことじゃんよ」 
 
内密にしていた事が朝一番に発覚するとは思わなかったのか 
頭を抱えて恨めしそうに遠くを見る 
 
「一方通行が旅行に行ったって話のフォローをしてたのよ」 
 
サウナから出て水風呂に飛び込んだ時の勢いで、怒りが急激に冷める 
 
「自分だけ蚊帳の外ってのがよっぽど気に入らなかった…。ていうよりも引け目を感じたんじゃないかしら」 
 
「引け目?なんでじゃんよ」 
 
「自分の出自よ」 
 
――っっ! 
桔梗の言葉に息が詰まる 
数日前。浜面が泊まりに来てた時も少し不安を零していた 
 
「恐らく、妹達全員が大なり小なり感じていることね。 
 ネットワークで繋がっているからその不安要素も伝播し、常時共有してるみたい」 
 
普段は明るく元気にしてるのに、それを悟らせない様にしてたってこと? 
子供が大人に……? 
声が出ない 
桔梗のこの話を聞いている私はさぞマヌケな顔をしているのだろう 
 
「たぶんだけど、感情の芽生え始めたあの子達は疎外感に敏感なのよ 
 自分の特異点が社会に溶け込めるのか、差別や仲間外れを受けるんじゃないかってね」 
 
ギギっという音。それが自分の歯軋りだと遅れて気付く 
 
「んで渋々だけど納得させれたのは日付が変わる頃ってわけなのよ」 
 
薄く笑いやれやれと言った感じで肩をすくめた 
 
「そうだったじゃんか……。ん?」 
 
 
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:41:51.69 ID:/haQ1skN0
 
何かおかしい… 
沸いた疑念が頭の中で増殖を続ける  
桔梗の言った事は分かる、理解もしたし納得できる前例は私自身が体験している 
――! 
 
「…それから二時間くらいは何してたじゃんよ……?」 
  
笑った顔が固まる 
チラっと私の左後方、最近買ったゲーム機に視線を落としたのを見逃さなかった 
 
「おいっ!」 
 
「ちっ、違うのよ?親睦を深めたって感じで。決して前回リベンジに無理やり付き合わせたとかじゃっ!」 
 
「言い訳すんなじゃん!」 
 
ゴツンと頭頂部に一発 
 
「いったああああい!!愛穂が殴ったああ!!」 
 
年甲斐もない無職の喚き声を背中に受け。さっさと壊れたドアから出る 
部屋の前で立ち止まり一言だけ。本当に一言だけ 
 
「桔梗ありがとじゃんよ」 
 
私へのフォローに対して一言だけ礼を言った 
 
「最初から素直にそう言いなさい?愛穂は私がいないとダメなんだから…ふふ」 
 
一言でこれだ 
二言礼をすれば言わなきゃよかったと後悔しそうだ 
だから二言目は心の中で言うことにしている 
 
いつも助けてくれてありがとう桔梗  
 
 
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:43:35.90 ID:/haQ1skN0
寝室へ戻ると打ち止めはまだベッドの上 
座ったまま上半身を揺らし寝ていた 
愛らしいその姿に顔も緩んでしまう 
横に座りそっと優しく抱きしめる 
 
「無理はしなくていいじゃん…打ち止め」 
 
「うん?……んー」 
 
目は開かれることなく、半分起きている状態 
 
「お前も他の妹達も独りじゃないんだ。私たちがいるから…。私たちが守るから」 
 
小さな頭がコツンと私の頭に当たる 
 
「だから何も心配するな。それに一方通行もすぐに帰ってくるじゃん?」 
 
「ん…黄泉川ぁ?」 
 
あいつの名前が出たからだろうか。眠そうな目が開かれぽよぽよした唇で私の名前を呼ぶ 
 
「あの人はいつ帰ってくるの?ってミサカは、ミサカは…眠いのを我慢しながら…聞いてみたり」 
 
「……すぐに。すぐに帰ってくるじゃん」 
 
そう。探し出して絶対に連れ戻そう 
そして話し合おう 
打ち止めの為に。あいつの為に 
ぎゅっと強く打ち止めを抱きしめ、頭を撫でる 
 
「どうしたの黄泉川?ってミサカはミサカはちょっと苦しかったり」 
 
「ごめんじゃん。打ち止め。…情けない大人でごめんな」 
 
本当に不甲斐無い 
小さな体で不安に耐えながら懸命に生きているこの子に比べて、私はなんて矮小なんだろう 
 
「黄泉川は情けなくなんてないよ!ってミサカはミサカは黄泉川の自虐を断固大否定!」 
  
「ふっ。ありがとじゃん」 
 
「何かあったの?ってミサカはミサカは突然の行動に今更疑問を感じてみたり」 
 
「何にもないじゃんよ」 
 
頭にクエスチョンマークを浮かべた様な不思議そうな顔がまた愛らしい 
 
「ちょっと時間が押してるから朝食作るの手伝うじゃん!」 
 
「はーい」 
 
何もない 
何も無かったんだ 
そうしよう、全て水に流して仕切りなおしだ 
それがこの子、あの子の為 
 
でも…… 
 
 
 
わたしのきもちは? 
 
 
 
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:45:38.19 ID:/haQ1skN0
 

コンビニで篭にコーヒーを食後、昼、夜、寝る前飲む分。あと弁当を適当にチョイス 
 
「お弁当はあたためますか?」 
 
レンジは壊れてなかったンかァ?  
 
「ァー。温めてくれェ」 
 
イマイチ覚えてねェから暖める 
この弁当を温める間の手持ち無沙汰感は好きじゃねェ 
っと思ってたら携帯が鳴る 
こんな朝っぱらから誰だ……。まァ予測は出来なくもねェ 
 
ほらな 
表示されてる土御門の名前 
 
「ンだァ?時間考えろボケ」 
 
『すまんな。火急の事態で今からミーティングするぞ』 
 
「はァ!?っざっけンな!何時だと思ってやがンだ!」 
 
『場所はアジトで。非常事態だ急げよ』 
 
「だから…っ。はァ!?――切りやがったァ……」  
 
通話終了の画面を眺めるとレンジアップ終了の音 
 
「お待たせしましたー」 
 
弁当持って行けってかァ…? 
糞ツイてねェな 
 
「ありがとうございましたー」 
 
コンビニを出てすぐさまタクシーを拾う  
膝の上に鎮座するホカホカの弁当が忌々しいぜェ 
 
 
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:47:00.88 ID:/haQ1skN0
ドアを開けると土御門と海原が長机に座って待っていた 
 
「おはようさん。早かったな」 
 
「おはようございます」 
 
「おォ、外に居たからな」 
 
「そのようですね」 
 
手に提げたコンビニの袋を一瞥し、胡散臭い笑みを浮かべる海原 
 
「何笑ってンだァ?気持ちわりィ」 
  
「ふふ。皆の分の飲み物買って来てくれるなんて意外だなーと思いまして」 
 
「あァ?」 
 
袋に入った四本のコーヒー 
いや…。全部俺のなンだがなァ… 
 
「……飲めよ」 
 
「サンキュー。早朝を考えてブラックを買ってくるとは流石第一位」 
  
「んふ。いただきます」 
 
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:48:30.02 ID:/haQ1skN0
 
メンバーに行き渡ったが。一本余るコーヒー 
行き場のないコーヒーを見て土御門が口を開く 
 
「結標はしばらく休養を取らせる。復帰は分からんが、そう遠くないと信じよう」 
 
休養取らせるとか結構大事じゃねェか 
俺のせいなのかねェ? 
どうでもいいけど 

「飯食いながらでいいかァ?もォ温めちまったンだァ」 
 
「こっちは構わんが…。まぁいいか始めるぞ」 
 
カバンから資料が出てくる 
 
「一連の情報流出騒動だが、複数の団体が関与している」 
 
唐揚げを頬張りながら資料に目を落とす 
紙に書かれた複数の名前と所属機関・企業 
 
「上の二人はすでに処理したので忘れてくれて結構」 
 
海原が真面目にボールペンで名前の部分にバツをつけている 
 
「残るは三名になったが相手もこちらの動きを察知し、防衛手段を取ってきた」 
 
昨日の傭兵みてェなやつらか 
あンなンが大挙してきても何とも思わねェけどなァ 
 
「抜き取られた情報は兵器らしい。それから、そろそろ外に流そうかって段階だとさ」 
 
「時間があまり無いっと?」 
 
「そういうことだ。若干ハードだが時間の都合がつくようにしておいてくれ」 
 
かったりィ話だなおい 
 
「それから昨日の任務終了後。現場の処理に当たっていた下部組織の人間が死体で発見された」 
 
……へェ? 
 
「しかもご丁寧に幹線道路に吊るされていたらしい。深夜、一般人の通報で警備員が対応。俺達に警告も兼ねてという事だろう」 
 
「んふ。怖い怖い…」 
 
変わらねェ薄ら笑いで海原が怯えた言葉を吐く 
 
「現場処理に当たっていた武装した人間十名。それ以上数で襲撃は考え難い」 
 
「能力者かァ?」 
 
「そうだ」 
  
肯定しながら次の資料をカバンから取り出す土御門 
 
「これを……」 
 
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:50:20.70 ID:/haQ1skN0
海原にさっさと渡し、俺には躊躇いを見せた後、裏返して渡された 
ンだ? 
チキン南蛮を口の中に放り込み、紙を裏返す  
――っ!体が勝手に咀嚼を止める  
 
「ちょっと過激な写真が……あぁっ!」 
 
「これは酷い」 
 
噛むと出てくるジューシーな肉汁も、食欲を促す南蛮酢も、濃厚で白飯がすすむタルタルも一気に不味くなる 
程ほどに噛み飲み込む 
 
「てめェ…!先に言いやがれェ!!」 
 
写真は殺された下部組織の人間の死体だろう 
手足を切断された奴。頭部のみの奴。頭の天辺から真っ二つにされた奴 
随分と猟奇的な奴が居たもンだと感心するだろォな。普段なら 
 
「いや…言う前に捲るなよ。食ってるのに配慮して裏向きで渡したんだからな俺は!」 
 
「分かるか!ンなもン!!」 
 
コーヒーで口の中を濯ぎ、胃に流し込む 
糞野郎が… 
まだ残っている弁当がやけに多く感じやがる 
 
「代わりに食べて差し上げましょうか?」 
 
「うるせェ!」 
 
こいつの神経はどォなってやがンだァ?  
 
「続けていいか?」 
 
勝手にやれと、手をひらひらさせて促す 
 
「どうぞ」 
 
「えーと。まぁ能力者の正体は未だ不明ってオチだ。 
 事前の奴らの動きから昨日の一団だけじゃないと思い 
 敵の首魁。そのリストの一番下の奴。そいつを襲撃する情報を流していたんだが」 
 
小細工が上手い奴だな 
ンー…。唐揚げの食感も味も変わった気がする 
視覚情報でこンなにも味って変わるンだなァ 
勉強になったぜェ  

「能力者の方はそっちを優先して配備されたみたいだな」 
 
「それで他だったのが分かって急いで現場に急行。処理班とかち合った訳ですか」 
 
「運のねェ奴らだなァ」 
 
俺が居た時なら死ぬことは無かったかもしれねェ 
俺に巻き込まれて死ぬかもしれねェがなァ 
逆にその鬼畜な能力者は運が良かったってこったァ 
 
今のうちに逃げりゃ生き延びれるぜェ 
俺と遭遇したらテメェとそっくりの殺し方を見せてやっからよォ 
 
 
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:53:54.59 ID:/haQ1skN0
  
 
ミーティングの結論は、結局やることは変わらねェ 
相手を潰すってだけ 
あえて言うならあっちの能力者をさっさと処理する事と、今日は二人殺るらしい 
ちょうど目標の二人が一緒になる時間があるってのが最大の理由 
だが資料全て吐き出させるから一先ず生け捕りだってよ 
すぐ終わる事に異論はねェが、めんどくせェ 
 
胃に違和感を感じながらアジトを出る 
なンかスッキリすることでもねェもンか… 
 
宛もなくブラブラと街を徘徊する 
しかし日差しがキチィなァ 
空気はこンなに冷てェのに  
 
北風と太陽だかそンな童話を思い出す 
結局ありァどっちが勝ったンだっけなァ…… 
 
我ながら下らないことを考えると自嘲し、学園都市の午前を進む 
 
 
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:54:46.81 ID:/haQ1skN0
 
出勤途中に警備員の詰所から連絡が入る 
幹線道路にバラバラの死体を見せ付ける様に晒していた大量猟奇殺人事件発生とのこと 
咄嗟に浮かんだ一方通行の顔 
眉間に皺を寄せその可能性を断ち切ろうとする 
あいつじゃない、そうであって欲しい  
信頼なのか願望なのか自分でも分からない 

しかしおかしい…… 
警備員に所属している教師は、大抵授業が優先される 
だがたまに警備員の仕事が優先されるケースがある 
このケースはそれに該当しないらしい 
  
殺人事件の初動捜査は急を要する為、多大に動員する 
事件の規模はもちろんのこと 
物的証拠や人の記憶が風化しないうちに証拠収集、聞き込み、検証をしなければならない 
煙に巻くみたいな上の指示に納得いかないのは何回目だろう 
学園都市自体が何かこう…、強大な一つの意思で動いているかの様な感覚 
こういう時はこうした方がいいんじゃないかと進言しても、却下されるのは確定的 
 
自分でやるしかないか… 
骨の折れる仕事だ、まったく 
一先ず学校へ行こう。しなきゃいけない事はしとかないとね 
 
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:55:43.81 ID:/haQ1skN0
 
職員室で朝の職員会議 
月詠先生の入れてくれたお茶が体を温め、安らぎを齎す 
警備員からの通達で完全下校時刻にならずとも、生徒は早々に家路に着くようとのこと 
捜査はどうなってるんだろう 
これを考えると焦燥からかペンでノートをトントン叩いてしまう 
そしてお茶を飲んで落ち着くの繰り返しだった 
客観的にみると私って、思ったよりも単純な構造をしているのかもしれない…
 
「何もなければこれで会議を終了しますが…?」 
 
教頭の締めの言葉に手を上げる 
 
「黄泉川先生、どうぞ」 
 
発言の権利を与えられ立ち上がる 
息をスゥっと吸い込み職員室の角まで聞こえる声をだす 
 
「おはようございます。私はまだ捜査に参加していないんですが、生徒のみならず先生方も重々注意してほしいじゃん」 
 
言ってて思うんだけど、なんでじゃんって言ってしまうんだろうか 
矯正しようにも無意識に出ているからどうにもならなかった 
せめてこういうマジメな場所だけでもでなきゃいいのに…ぐぬぬ 
 
「犯人の目的も何も分かってないじゃん。だから不審人物を見かけたら即近隣の詰所なり、私に直接でも構いません。 
 一報をお願いしますじゃん」
  
やっぱダメだった 
意識しても無理なもんは無理だ 
 
「ええ…では他に無い様ならばこれで終わります」 
 
解散の空気に一息つく 
隣を見れば月詠先生の手に資料がどっさり 
 
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 00:56:10.87 ID:/haQ1skN0
「それ何ですかじゃん?」 
 
「ああ、昨日事故に合って入院した困ったちゃんなんですが。記憶喪失になってしまってて」 
 
「ええ!?」
  
「お見舞いに行ったんですが、先生のことも忘れちゃってたのですよ」 
 
悲しいです。っと本当に悲しそうに俯く 
 
「なので記憶喪失に関係のある資料を漁ってたのですよ」 
 
「大変ですね……」 
  
月詠先生もだけど、当人が一番大変だろう…… 
少年よやっぱり君は不幸なのかもしれない… 
 
 
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 01:00:33.63 ID:/haQ1skN0
 
 
「じゃあ行こうか」 
 
雲ひとつ無い冬の炎天下を過ぎ夕暮れ 
じりじりと強い日差しと冷たい風の勝負は、太陽のリングアウトで終わりを告げる 
砂漠の気候かっつの肌寒い冷たい空気が、車から降りた俺達三人の間を吹き抜ける 
今回も敵陣へ突撃すンのは俺の役目だ 
 
外に手引きする奴と資料をかき集めた奴がいらっしゃる雑居ビルを三人で見上げ溜息をつく 
俺はゴミ掃除がめんどくせェからだが 
その他二名はエレベーターがないらしいからだ 
どの程度の量の資料があンのか知らねェが運び出し作業がンばれやァ 
 
「結標さんのありがたみを痛感しますね」 
 
「全くだぜい…」 
 
「とっとと行くぞォ」 
  
今日は何人殺さなきゃいけねェのかねェ 
出来ることなら俺の顔を目に焼き付けて、恨んでから死んでくれやァ 
 
 
その方が気が楽だわ 
 
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 01:02:59.13 ID:/haQ1skN0
ここまでで一旦きります 
 
続きはまた今度  
正確な日付は明日出します 
  
途中ダブったところあってすみません 
ほんと……大事なことでもないのに……
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 01:04:47.58 ID:3DypSIUn0
>>1乙じゃん
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 01:07:55.11 ID:/haQ1skN0
                          __,,:::========:::,,__          
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
      \     ヘ(^o^)ヘ  /                   \  ヘ(^o^)ヘ     /
      (/o^)...............;;;;;;;|∧;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;|∧;;;;;;........(^o\)
   .......;;( / ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙  /    .'                            ヽ  /    ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙\ );;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙ / く         /                           ゙:           >\ ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;.....(^o^) 三     ;゙               /              ゙;  三 (^o^) .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙ (\\ 三;;;;;.......;..ヘ(^o^)ヘ........   (^o^)/       ..ヘ(^o^)ヘ..........;....三 //);;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
        < \ 三 ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙|∧゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;/(  );;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙|∧゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙三 />
              ノi|lli; i /.;, 、    ./ / >       ` ; 、/ .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙i|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙



                 シスターさん!その幻想をぶち殺す!!
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/01(水) 01:55:15.48 ID:PTCrU7YAO
マウスなら外せば分かる、メモ帳もならIEは関係ないな

この一方さんは今一度そげぶされるべき
黄泉川先生の愛の鉄拳でな!
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/06/01(水) 02:35:41.15 ID:5qwuLggoo
キーボードが逝ってる場合もその症状でることあるよ
飲み物とか液体こぼしてスペースキーとか押しっぱなしになるみたい
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/01(水) 03:09:21.16 ID:/haQ1skN0
回答さんきゅです 
明日PCショップ行ってきますわ 
ではおやすみなさい 
 
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 08:21:39.88 ID:VqDDoatIO
乙!
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/06/01(水) 10:05:01.25 ID:3vlFnGnA0
乙!

ctrl押せば勝手にスクロールは止まるはずだよ
俺もよくなるし
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/01(水) 19:28:37.99 ID:vE3NxUY30
サラッと上条さんすごいことになってるな

そして一方さん、自分は愉オブ作ったのに他人の愉オブは許せないんだな。
愉オブの美学ってやつか

しかし海原の笑い方、どっかで聞いた覚えがあるな……ポケスペのサキかな?
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 20:46:48.86 ID:Pi5CKzLyo
やべえ、あわきんに萌える……
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/01(水) 23:05:47.87 ID:XG6QRAi70
何だと!!次の予定日が書いてない!!


(続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き続き)
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 23:20:40.46 ID:v3Q8+AEDO
人肉食ったくせに今更猟奇死体くらいで何言ってんだよハンニバルアクセラヘクター
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/06/02(木) 00:24:04.96 ID:qntXTbr/0
アクセラレクターって語感いいな
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/06/02(木) 00:42:55.13 ID:V1Ib9ay0o
>>1は上条さんになにか恨みでもあるのかwwwwww
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/02(木) 05:17:46.47 ID:fZZh4L530
>>484 
愉オブはいいとしても、相手の挑発的な行動が気に入らない的な感じですかね 

>>487 
肉食ってる時に死体見せるな 
カレー食ってる時にうんk見せるな 
みたいな理屈かな  
 
>>489 
自分上条さん好きっスよ 
上条当麻は打ちのめされて、駆け上がる時こそ最高に輝く存在だと思います(キリッ 
  
続きはしばらくお休みになりそうです 
6/20過ぎにまた告知もしくはそのまま投下します 
仕事慣れて、胃腸悪くして、風邪引いて、治ってきたら今日は家庭内で揉めたというね… 
 
最近人生の難易度が上がってきた気がするぜい
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/02(木) 21:24:56.42 ID:XWbD7kybo
結標と仲良くメールしてかなったっけ…
どうしてこうなった
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 02:02:31.70 ID:KyS78mUDO
>>490
つまりカレーならばウンコ食ったということに
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/05(日) 03:05:32.43 ID:9dahv61/0
次回は21日〜22にかけて投下します 
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/05(日) 22:04:18.93 ID:IfAKAqGf0
期待しちゃうぞ☆
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/06(月) 00:47:48.44 ID:if4heRIO0
おつー
ねっとりぬっぷり濃厚なのを期待してるぜー
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/12(日) 22:06:58.25 ID:1Mfth4bE0
待ち遠しいな。

ところで打ち止めにも手を出してくれると嬉しいな。できればレ○プな形で!
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 17:35:05.62 ID:HcD48cGSO
おまわりさんこっちです
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/15(水) 19:44:20.17 ID:Txv1OilYo
おちんこさわりまですっ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/06/15(水) 22:16:47.65 ID:LKIKsShe0
おさわりまんこです
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/15(水) 22:30:30.41 ID:0e87Qel1o
おまんこさわりっちです
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 22:31:46.21 ID:erraaWfqo
へいポリスメン、ヒヤーです
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 07:37:28.93 ID:ErnmTJjc0
おまわりさんノッチです
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/06/16(木) 20:30:05.40 ID:RZBVjy6P0
オサワリサン「もっとやりたまえ」
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 23:09:15.99 ID:OrpQNEf/0
(駄目だこいつら・・・)
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/20(月) 11:19:33.15 ID:8dq0A/sAO
これはひどい
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 14:49:22.59 ID:5NBpIkXF0
>>496 
把握 
 
家をでてからXX日後 
 
あのガキ以外誰も居ないのは分かっていた 
家を出た後も異常がないか監視をつけていたからだ 
あのガキに何かあれば俺の能力に支障がでる 
これは当然の処置だ 
月の満ちた夜、マンションの一階から部屋を見上げ生唾を飲み込む 
滾る欲望が抑えられねェ 
自分で顧みてもほとほと外道に堕ちたと思う 
自嘲しながらエレベーターであがる 
 
一つの決別 
本当に後戻り出来なくする為の儀式 
自ら退路を断つこれからの行為を考え 
俺は…… 
 
 
 
俺は………
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:06:34.08 ID:5NBpIkXF0
ドアを開けたらガキが涙を浮かべて向かえ入れた 
涙は涙だ 
だがそれが持つ意味は何通りかあるだろう 
俺は今からこいつの零す涙の意味を替える 
 
ガキがはしゃいでリビングへ向かう廊下 
その後ろで電極のスイッチを入れる 
俺が能力使用に切り替えると、ガキに分かる仕組みになっているのか知らねェ 
ガキが立ち止まり振り向いた 
 
その振り向いた小さな体を壁に押し付け、顔を匂う 
たまらねェ 
まだ青臭いガキの臭いを嗅ぎ、首筋から耳まで舐め上げる 
状況が分からずに硬直したガキが悲鳴を上げる 
うるせェ。だまれ 
恫喝した俺の声も聞こえてねェのかもしれねェ 
きゃンきゃン喚くガキを口を押さえつける 
勢い余って後頭部を壁に打ち付けちまった 
少し大人しくなって震えている 
目を丸くさせて俺の顔を見上げている 
本当にあなたなの? 
こいつにしちゃ当然の疑問だろうな 
心の底から俺を信頼してたみてェだからな  
俺以外に誰なンだよ 
当然の回答を提示してやる 
震えた小動物の愛らしい眼差し 
口付けして口の周りも顔も嘗め回す 
信頼を踏みにじる行為 
服を破り、未発達極まりない体を曝け出させる 
 
髪を引っ張り、寝室のベッドへ 
いつもコイツが寝起きする愛用のベッドに押し倒す 
今日からこのベッドを使うたびに俺の事を思い出すと思うと、胸が熱くなる 
ガチガチに硬くなった陰茎はすでに熱くなっていたがな 
 
誰の侵入も許していない、ガキのワレメを見て 
顔を近づける 
必死に両手を使って俺の頭を押し返そうとしているが無駄無駄 
甘酸っぱい臭いが鼻腔をくすぐったその時寝室のドアが勢いよく開いた 
 
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:07:35.14 ID:5NBpIkXF0
 
 
 
 
 
 
 
「待てえええええええええええい!!」 
 
 
 
 
 
 
 
 
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:09:53.59 ID:5NBpIkXF0
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          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\
         /___::∧ (|/   〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j /!::::::::::\ ̄
           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
            ノイ::/i:::ハ          {:::::::::::::::::::::::::::∧丿   おまわりさんこっちです
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/                 
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\            
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          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/   `ヽ/ ´`ヽ _  三,:三ー二二二ー二二二ー
         /___::∧ (|/     ノヽ--/ ̄ ,    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           /.:::::ハ ∧     ミ }  ...|  /!ヘ;;;;丿  チベット自治区      
          ∠::::::::::::八 :.     _}`ー‐し'ゝL _
           厶イ:::::::::ーヘ     _,:ヘr--‐‐'´}    ;ー-------------------
            ノイ::/i:::ハ     _,:ヾ:::-‐'ーr‐'"==-───────
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/  
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510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:12:31.76 ID:5NBpIkXF0
茶番大好きです 
 
ここからが本編 
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:20:03.10 ID:5NBpIkXF0
               / : : : : : /: : : : : : : /{: : : : : 、〉: `丶、
              /: : :/: : : :///: : :/: : :/:ハ:.: : : :.:トz: : : : :\
                / : : く\ :///: : :/: : :/:/ : : :../: :.:| ヾ: : 丶: :ヽ
             ′: /: :\/ : ! : :/: : :/:/: : : ∨: :|: |  ミ: : i:| ト、|
                : : :/: : | : |: i│: | : -‐/|〜': 八: :L:j、 ミ:::..リ| |
               |: :厶:.: :| : |: i│/| /∨八: : //: :/|/ ∨: :/:,'| |
               | : |/: /:| : |: i八:r斤┬=ミ∨// r=zァi: /j/ j/
                j: :/イ 八: iN  弋(ソ       ヒソ ,ル′
                ,′: : :\ ヽ{   //////////{
           /: : : : : : : :ーzヘ           ′
          /:/: : : : : : : :/                  人
        ∠ /: /: : : : /:/     丶       ⌒^ /:ト :\  アンタ記憶喪失とかどこまで不幸なのよ
             /: : }: /: :/{ | \     >  .._/乂ノ `⌒  ホントワタシガイナイトダメナンダカラ(ボソボソ
         厶∨|/|/八|   ̄二=く : /}: /: /|: :j\>
             / 二ニ=- 、     ∨ j人:/│/
            / _,,二二 _  \     ∧     j/
         / /      \ \__ノ ∧
.        //    ̄ ̄   \ \  \
 
 
―――― 
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     /: . : . : . : /::::::/` ー─‐--- . . _::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶 ヽ
       /.: . : . : . :/:::/ . : . : /: . : . :./: . : . : .`:゙. .<::::::::::::::::::::::::::::\|
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     l: . : . : . : j'.:.:.:.:l. : . : /.: : :‐-/:/: :/ /: . : リ: :/: .リ:/\:::::/ヽ
     |: . : . : . : l:.r‐、j: . : /: . :/ /:/:/`ヽ/: ://: / :/ /   Y: . : ハ
    ハ l: . : . : ./フヽV: :/:/l:.ィfテ彷卞ミ // // :/ / __  ハ: .:l: .l
.    /: . |: . : . : l  /`〉∨  j∧トヘ  ノリ `  / / ´ ̄  /:.リ :.|: .|
.  ,.' : . :l: . : . : ハ  V〈'     乂rz少        ィf示ト、 /: /l:./l:./
. /イ: . :.|: . : l. : |ヘ ヽ'                   んノリ ' イ/ j/ j/
    l: l: .|: . : l. : |:.:.ヽ __                `ー ' /´
  ノ:イl: .|: . : l. : |:.:.:.:.:.l ハ                 〉     /
    j:/|: . : l. : |:.:.:.:.:.l                   /   ミサカにできる事があれば何でも言ってください
       l: .ハ:.V: !:r<リ.   \     ─‐-     イ:|     とミサカはあなたへの強い想いを胸に秘めて告げてみます
      V l:.∧/ \     丶         <:.:/l:l
          j .イ    \      > _   <:.:..:.:.:./ リ
      / l        \    / リ ト、:.:.リ:.:./''
   _..ィ'"  ヽ           \  j /   ヽ \W
≦´       \        >''    V' \
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:21:30.53 ID:5NBpIkXF0
  
先行してビルに近づく 
ビルの入り口にレスラーみてェな男が二人と陰気な野郎が一人 
どっから見ても一般人にゃ見えねェなァ 
電極のスイッチを入れて時間制限アリの掃除デスマッチ開始 
当然の様にビルに入ろうとすると、当然止められる 
 
「何の様だ」 
 
いきなり拳銃突きつけるたァ警戒心満点だなァ 
それも当然 
そして俺の腕の一振りで死ンじまうのも 
 
「当然なンだよなァ……」 
 
ゴツイ体がコンクリートに叩きつけられ、そのまま地面に沈む 
 
「んな!?」 
 
口開けてる暇があンなら逃げる事をお勧めすンぜェ? 
選択支間違えると 
 
「くそぉ!」 
 
銃声、反射、体に着弾、死亡 
そうなるからよォ 
立ち尽くしたもう一人の体が突然破裂し、血を噴出して倒れる 
 
「あン?」 
 
「んふ。援護射撃…みたいなもんです」 
 
黒いナイフを手に海原が胸糞悪くなる笑みを浮かべていた 
 
「チっ!勝手なマネして俺に当たったらどうすンだボケェ!」 
 
ああいう類の、魔術だったか。あンなンは初見で反射できる自身がねェ 
まして一撃必殺みてェなこの攻撃は試そうにも試せねェ 
 
「これは失礼」 
 
表情が謝ってねェンだよ糞野郎 
 
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:22:00.37 ID:5NBpIkXF0
銃声が聞こえたからか、ビルの中の気配がざわついている 
何人いンのか知らねェけど能力者はいるだろォな 
ここ落とされたら確実に奴らの計画は台無しになっちまう 
焦ってンのが一階にいてもビンビン伝わってくるねェ  
 
「ンじゃまたなァ」 
 
電池が勿体無ェからさっさと終わらすかァ  

階段と非常階段の二つのルート 
用事があるのは資料と人間だから普通に屋内の階段を使う 
外の非常階段は下部組織の連中がマークしてるしな 
今回は狙撃ではなく、能力者を警戒して追跡のみらしい 
連中が逃げ出す前に終わらせるかねェ 
 
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:22:52.79 ID:5NBpIkXF0
 
『ビルの屋上から三人が外に逃げ出した。能力者らしき女が担いでるらしい』 
 
インカムから流れる土御門の声 
担いでってゴリラかよ… 
 
『お前はそのビルの屋上から追跡してくれ、俺達は外から追う』 
 
「へェへェ」 
 
手こずらせてくれるねェ 
昨日よりも敵が少なくて何よりだが 
決めた目標をあっさり挫かれるのは気持ちのいいもンじゃねェなァ 
屋上っつーと非常階段から上がるンだっけかァ? 
事前に見た見取り図を思い出しながら、築十年は軽く経ってるビルの階段を上がる 
今時エレベーター付けてねェとかありえねェわ 
――あン? 
 
三階に上がった俺の前にサングラスを掛けた女が一人 
 
「死ね」 
 
 
 
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:23:26.15 ID:5NBpIkXF0
 
右手に青白い光が収束し放たれる 
見たところ電子線かァ? 
そンなンじゃ無理無理。俺にゃ届きゃしねェよ 
反射膜に触れそっくりそのままお返しするが 
バヅンと破裂音と共に反射された光条は女に届く前に霧散される 
 
「電子を膜状?いやァもうそりゃ壁って感じか…。やンじゃねェか、褒めてやンよ」 
 
「誰相手に褒めてんだぁ?モヤシ野郎」 
 
栗色の長い髪をかき上げ毒を吐く 
随分口の悪い女だなこいつァ……  
しばしの間、女は微動だにしねェ 
 
「なンだァ?こねェならこっちから行こうかァ?」 
 
発した言葉に身構える女 
ビビってンのか? 
コンクリートの床を蹴り抉り、破片を女に飛ばす 
音速の半分程の速度で飛ばされたコンクリート片は先程の光条と同じ末路を辿る 
 
「ちっ!」 
 
舌打ちと同時に女が電子線を撒き散らしながら奥へ駆ける 
床を貫き、切断し、壁に穴を開ける。いくつかが俺に迫るが、女に反射されまた掻き消される 
破壊された跡をみるに、ウチの処理班を愉快なオブジェに変えてくれた能力者で間違い無さそォだなァ 
つまり俺に対して舐めた事をした奴だってこったァ 
女だったのは意外っちゃ意外だったが… 
駆けて行った方を見て、すゥっと息を吸う  
逃げるにしちゃ方向が逆だなァ 
 
「こりゃ誘ってンのかァ…?――ぎゃはっ!」 
 
こいつに出会った時の為に、前持って考えていた殺し方を頭で復習しながら奥へ向かうが 
あのプライドの高そうな女が俺の良心に働きかけようと、顔面蒼白で泣いて命乞いする姿を想像し。不覚にも陰茎に血が滾ってきた  
散々ぶち犯してから殺す事にすっかァ 
 
いいねェいいねェ。最っ低だねェ!! 
外道ここに極まれりってかァ!?ッエーイ☆ 
 
 
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:23:52.48 ID:5NBpIkXF0
 
「みーつけたァ…!」 
 
元々は何かのテナントだろォか 
そこそこの広さの間取りと汚いテーブルと椅子がある角の部屋に女は居た 
室内に足を踏み入れようとすると、女の右手から光線が二つに分かれて放たれる 
俺に狙いを定めていない 
刹那。体の周囲が青白い光に包まれ、その全てを反射した  
 
「うォッ!?」 

あいつの能力だってのは分かったが、ちっとびびったぜェ。ほンのちびっとだけなァ 
 
「クソっ!」 
 
女の自信策だったのか、全く通じてない俺に苛立ちを向ける 
その策ってのはどォやら光線を拡散させるプレートで全方位から俺を襲ったみてェだが 
 
「残念だったなァ、いきなりフラッシュ焚かれてビックリした程度だったぜェ」 
 
加速した鼓動を抑えつつ言葉で牽制する  
サングラスのに隠れている目から意思が読み取れねェのが残念だァ 
 
「俺の能力は前面だけじゃねェ。上下左右360°全て反射すンだよ」 
 
一歩前へ進む、女は一歩後ろへ下がる 
一歩前へ、一歩後ろへ 
表情は読めねェが、テメェが恐怖を感じてるのは分かったぜェ 
 
「テメェがどこの誰かは知らねェが、どォ足掻こうが第一位にゃ敵わねェよ」 
 
「――っっ!第一位…。一方通行か……」 
 
恐怖の色が絶望の色に変わったのが声から分かった 
 
「おっほ!有名人だなァ俺も。…まァそういうこった大人しく殺されろや」 
 
そしてこくりと生唾を飲み、続ける 
 
「殺す前に気持ちいい事してやっからよォ。ぎゃはハァ!」  
 
優に十五メートルは在るのにも関わらず歯を食いしばる音が聞こえた 
 
「ざっけんじゃねぇぞ!変態野郎がァ!!てめぇのチンポ切り取って犬に食わせてやるァ!!」 
 
強烈な剣幕で下品な言葉を撒き散らす 
サングラスの奥から憎悪と嫌悪が分かるくらいに激昂する 
ひゃはは!その威勢がどンどンしおらしくなって行くのが楽しみだねェ! 
再度無駄な攻撃を繰り出す女 
コンクリートだろうが鋼鉄だろうが貫く光条を今度は天井へ向けて  
瓦礫が俺に降りかかるが、ダメージを負うような物は全部反射。残念でしたァ 
 
「能力だけじゃねェ。この世のありとあらゆるベクトルを観測し自在に操るのが俺の能力だァ」 
 
興奮して肩で息をしている女に聞こえているのか分からねェ 
 
「まっ!お前はもう詰んでるってこったァ。俺を受け入れる準備はできてンのかァ!?」 
  
肩に付着した粉塵を叩き落としながら、上から下へ女を吟味する 
黄色のワンピースを引き裂いて、その奥にある巨乳を剥きだしにして 
抵抗しようが圧倒的な力で捩じ伏せて、声が出なくなるまでブチ犯す 
頭ン中で考えるだけで、なァンて外道なンですか俺ァ 
 
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:24:43.29 ID:5NBpIkXF0
近い未来を頭で描いていたら、女の纏う雰囲気が変わる 
 
「なァに笑ってンですかァ?とうとう頭の線が切れちまったかァ!?」 
 
「別に何でもないにゃーん」 
 
唇を横に広げ悪戯を思いついた様に口端を歪めている 
テメェの末路を考えると笑ってられねェはずだがなァ 
まァイカレちまったらそれはさもありなンって事だが…… 
 
――何か俺に見落としがある…?  
 
浮かばねェ 
こいつの攻撃は全て反射可能。大気中に害を成す程の変化も物質も無ェ、ちと埃っぽいくらいだが…… 
 
「オラぁ!第一位!!何ボケっと突っ立ってんのぉ!?相手してやるからその汚ねぇもんおっ勃てて来いよ」 
 
解せねェ… 
諦めて開き直って俺に終わりを委ねてるとは思えねェ 
だがあいつに手の施しようがねェのは分かってンだ 
どちらかと言えば開き直ってカウンターを狙ってる様な 
決死の覚悟を決めた雰囲気だ… 
 
「チッ!急に元気になりやがって何狙ってンだァ?」 
 
「べっつにー?」 
 
止まる事の無い女の含み笑い 
オーケー。何やろうと知ったこっちゃねェ 
全部叩き潰してやンよォ  
 
ノーモーション 
予備動作無しの音速に近い速度で接近して叩き潰す 
相手は何をされたか分からずに死ぬ 
手堅い必勝法
手堅いそれに比べ、今の俺はどう見ても遅い
殺す前に楽しむから攻撃は手を抜いていい 
だが速度を落とす必要はねェだろォ 
 
警戒してンのかよ…俺が 
 
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:25:58.70 ID:5NBpIkXF0
 
 
いくつか重なった刹那の末。女の眼前へ迫る 
 
 
自分の身を守る様に前に出された左手 
 
 
抵抗出来ない様に潰そうと邪魔な左手を掴み。違和感
 
 
粉々に砕ける左腕。いや――義腕か! 
 
 
繰り出される右手。だが遅ェ 
 
 
比喩なンかじゃなくゆっくりと俺に向かってくる 
 
 
針穴を通す様な真剣な目がサングラス越しに光る 
  

何狙ってやがる? 
 
 
余りの攻撃の遅さに思考の余裕すら発生する 
  
 
このスピードじゃ俺の反射にも引っかからねェぞ 
 
 
 
 
――っっ!!こいつっ!!!! 
 
 
 
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:26:57.56 ID:5NBpIkXF0
 
女の意図を読み取った俺は右手を潰しに掛かる  
 
 
目前に迫る右手 
 
 
間に合わねェっっ!! 
 
 
「麦野ぉ!!」 
 
 
お互いの手が止まった   
 
 
その声の主を見れば、中学生くらいのガキだ 
 
 
こいつの仲間か 
 
 
だが距離もある。そもそも俺にどうこうできる奴でもなさそォだ 
 
 
麦野と呼ばれた女に焦りが見える 
 
 
 
――互いに逡巡 
 
 
 
 
「うォぁァァアァアア!!!」 
 
右手を振り回りし。室内はおろかビル全体をぶち壊さんばかりの破壊の閃光を撒き散らす 
 
「絹旗っ!逃げろぉ!!」 
 
崩れだした建物 
 
麦野が降り注ぐ瓦礫のカーテンの向こうのガキに叫ぶ 
 
 
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:27:32.83 ID:5NBpIkXF0
なンだァ? 
結局仲間が大事っておめでたい奴だったのかよ 
もっと腐った野郎かと思ってたから、肩透しもいいとこだぜェ 
萎えちまったよ糞女 
 
そンな善人気取りの胸糞悪ィテメェへ施しだァ 
三分の一で勘弁してやンよ 
 
崩落してゆく中 
俺の左手が麦野の右肩を掴み 
俺の右手が麦野の首の付け根を掴む 
 
テメェの日頃の行い次第じゃ生き残れるぜェ? 
 
ミチミチぶちぶちバキパキぶちばきぶちブチ 
 
「っっあぁあァア”ア”ア”あ”あ”っっ!!!!」 
 
耳を塞ぎたくなる肉の裂ける音。骨の割れる音。惚れ惚れする絶叫 
俺の鼓膜を突破し、脳を揺さぶる悲痛   
脂肪も肉も筋も綺麗に裂け、血がたくだくと湧き出る 
自分の体の変化に驚愕している麦野 
肩から斜めに裂けていく体  
テメェが認識できる様に丁寧にゆっくり裂いてやるよォ 
力の方向を微調整しながらその豊満な胸まで裂く 
  
麦野の左腕から青白い歪なアームが発生し、俺の頭を狙う 
残念無念。そりゃ反射の対象だぜェ  
だが腕は空を切る 
反射膜に触れる前にアームは消失したせいだ 
死ンだかと思ったが、まだ息はある 
仄かに香るアンモニア臭 
しょンべン垂れて失神しやがった 
 
クハっ!だっせェの 
 
だらりと力無く、崩れる麦野の体 
口から赤い泡を吹き。時折痙攣する体は死が近い事を知らせている 
急いで病院行って、あの医者に運良く診てもらえば助かるンじゃね? 
  
積み重なった瓦礫をどけて 
薄暗い夕闇へ躍り出る  
死にかけた女を投げ捨て、俺は目標の追跡に向かった 
 
 
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:28:21.05 ID:5NBpIkXF0
通りに出て取り合えず土御門に連絡を取る 
三コールででた 
 
『お前今どこだ』 
 
「敵の能力者蹴散らしたとこだァ」 
 
『そうだったか。資料も回収完了だ。海原が今処理してる』 
 
「あっそう。んじゃ先に戻ってるぜ」 
 
『分かった』 
 
電話を切り溜息 
俺に殺された奴と海原に殺された奴 
どっちがいい死に方なンだろォなァ  
張り付いた笑みで粛々と殺す海原を想像して、ゴミに同情し。車に戻る 
 
 
体についた麦野の血をタオルで拭いていると二人が戻ってきた 
 
「荷物はァ?」 
 
「これだ」 
 
土御門の手にはメモリースティックが一つ 
なンだそりゃ 
ダンボール十箱くらいあンのかと思ってたぜ… 
 
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:30:27.63 ID:5NBpIkXF0
車が動き出し、全員一息つく 
 
「さて、中身を確認するか」 
 
「まだしてなかったンかよ!?」 
 
「確認するにも手持ちに、機材も無かったんですよ」 
 
「偽情報とかじゃねェだろうなァ」 
 
「彼らもあそこまで窮地に立たされてれば、嘘を吐いたとも思えませんがね…んふ」 
 
土御門の苦笑いを見ただけで、何したのか想像もしたくねェな
周りに引かれている事を知ってか、知らずか。海原が端末にメモリースティックを挿入する 
 
「……ほう…」 
 
嘆息を上げる海原が見ている画面を横から覗き込む 
いくつかの単語が見受けられる 
FIVE_Over.Modelcase_”RAILGUN” 
Emergency 
Life armour 
Highway cheetah  
Bee launcher
Enemy blaster
 
「どうやら駆動鎧の情報のようですね」 
 
端末を操作し確認を続ける海原 
 
「学園都市が必死になる程のものか?」 
 
「それなりに…と言ったところでしょうか…。数世代遅れた物が外に出されるのですが。これは…」 
 
「次世代だなァ」 
 
見えたRAILGUNの文字 
第三位の能力の転用かァ? 
以前木原の糞野郎が何で俺じゃなくて、オリジナルが量産型能力者計画に選ばれたかって言ってたなァ  
つくづくオリジナルも妙な運命に捕らわれちまってンな 
汎用性に優れるのも考えもンだ。ご愁傷様ァ 
 
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:31:04.90 ID:5NBpIkXF0
「そういえば第四位はどうなった?」 
 
「………あ?俺に言ってンのか?」 
 
「他に誰がいる。麦野沈利、LEVEL5だろ」 
 
「知らねェよ。つかあいつ第四位だったのかよ」 
 
「男二人担いでた子にあなたがあのビルにいる事を知らせたら、血相変えて向かいましたよ」 
 
「絹旗とか言ってたっけかァ?途中で入ってきたがその第四位が強制退場させたぜェ」 
 
「仲間を庇う心。うちもそういうのをテーマに熱い活動していくか?」 
 
「んふ。いいんじゃないですかね」 
 
「くっだらねェ」 
 
 
 
マジデクダラネェ 
 
 
 
 
 
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:35:41.89 ID:5NBpIkXF0
              , -―‐<:丶:::/::::::::::::\
          〈 〈 ̄ ̄_ゝ-f勹, ニ二二二二勹
              \>'"´:::::::::::::`⌒丶:::::::::::∨'/    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ,’ <::::::::::::::::::::::::´:::::::::::::::\::::/'〈 ',  | 貴方が困っていると聞いて
       /::/`:::ー‐-::<:::::::::::::::: \:::::::マ__∧ , |  少しでも恩を返させて頂ければ…
.       /::/::::/:::::::::::::::::::: ̄:\:::::::::::ヽ:::::∨、::'、ヾ \
    ,‘ /::::::::::::::::::::::丶::::::::::丶、::::\::::::::::::::::|\::ヘ    |/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ー=ニ:::: ;'::::::::{::::::::::::::\::::::::::::ヽ:::::\::::}:::::|::::::\\
    ; /::::::::::::::∧::::::::丶:::::\::::::::::::::::::二=-リ::::::::::::\二二二.\
    /イ::::!:::: / 八:::::ヽ:::\:::::ヽ::::::::∨::/::::人:::::{\::::::::::::::丶、 \\
     |八:::|::从ー-ヘ:::::ト<::\::∧:::::::∨⌒Y⌒^¨ ゙̄>、 ::丶:::\ \二二フ
    {.  、:::小代芝\| ィ弋芝癶';::::: | j/∧、   /   \:::\:::\  ’,
.     ヽ  〉:ハ::///////´ |::::::トイ リ }  {     ヽ:::::}丶\ }
      / \l八 〈      u | ::::| ' / /         ∨::::ハ:::ヽ
       i { |:::丶       /!:::::| / /    人      }`ヽ.ハ::::}  ;
      !    | :::::::ト、‘  つ イ\.';::::∨ /      ヽ }     \}:人 }
      !  ; | ::::::l >‐ ´  \二\∨: : : : : :'"-―∨ : .        |_ )
        } |:::::〈   \: : : : `ヽ: :\:、 : /:'´ ̄ `\: :       j |∧
      丶、 │::∧  ⌒ミ:、: :/    ヽ彡'´      :ヽ∠   /∧ }\
             |:::{.∧     :y′   //        . : Yニ二/ : ∨   '_
           |:::/::∧   〃    〃\      . : : : }⌒\.   |   }ノ)
              l/::/ |>、 {{     {: : : : .     . : : : /    `  j二二イ
        た  /::∧ |:::::ト匸',      、: : : : : : : : : : : /    _,, ァア´   レ′
       ゆ /::∧:::'. ヽ:{ ヽ::ゝ: : : . .  `ー<∠ _:_:イ二 ̄}工//    ,′
.         ん ,':::人::ヽ \\ハ:::::}丶、_: : : :_:_:_:_ノ__{{工/</     /
            {::{ {\\  ヽ}:ノ  / ̄\   \  ー-=<       /
 
 
             ___
         ....::´::::::::::::::::::`:...
         ,.:':::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
.         /:::::::::::::::::::::!::::ト、::::::::::::::::ヽ
      ,':::::〃::l:::/::/}/ノ }::ハ:::::、ヽ::::::.
        i:::::::l::::7V幵´´ 升ァyヘ}V::::::ハ
        |::::::::V,ィf斥{    矛ドミ、jl::::::::i
        l:::、::::{ヽ弋ソ   弋ソ リ::::::::|
       V::ハ::ヽ:::::    ′   :::::;'::::::::/!
        }::::::';:::ハ    __    ,':::::::/ .!
      八::::i}:::::}   ´ `   ィ:::::::/ ノ
       { }:::リ::::ノ` ト __ イ:/::::::;'!
      乂::/::(::::::::}    l/{::::::八  こっ…これをどうぞ!
          厶イ::)-{{     {:乂(__,.ゝ、 
      /  ノイ{\ヾ====彡ヘ{::V    Y
      { ,   ハ: : ヾ二二ノ: :∨    }
       '. { /⌒つ──-----┴─ とヽ
       ヾ〈 ノ´{ __ __,n、         } }
         ├ヽ ノ / / / }__n{`YYヽ//
         | 、 ゝ-'^ー'ー'ー': : : ゝゝゝゝ-′
         ∨丶: : : : : 二三´ : : : : ;ノ
        ∨: :`: : :´ : : : : `: : : :7
            〉: : : : : : : : : : : : : : /

525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/21(火) 15:38:43.32 ID:5NBpIkXF0
ここまでです 
 
新約のネタ含んでますけど、矛盾とかあっても流してくれるとありがたい  
あまり話とは関係ない部分なので 
次回は月末辺りです 
ポロリもあるかも 
 
 
ではでは
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 16:48:39.72 ID:nDWZS9vQo
乙 期待して待ってる
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 18:58:40.46 ID:MLW0lCy40
むぎのんの策ってのは
反射できない(する必要すらない)程にひょろいパンチで触れる→そのままビーム でFA?
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/21(火) 19:21:59.35 ID:XNLr1HKD0
打ち止めぁぁぁぁぁぁぁ
○ね上条
麦のぉぉぉぉぉぉぉぉぉん

ほんとに書き手さんは容赦ないな!

乙でした。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/22(水) 00:34:29.36 ID:BVyUfoD70
おつー

相変わらずここの一方さんは容赦ないぜ!
鬼畜一方さんの無双状態って一周回って逆に新鮮だわww
次回も期待
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/22(水) 21:56:53.86 ID:qv67dVhK0
>>508
チャンスは、世界でたった一回しかねぇだろうが!

何だってそんな簡単な事も分っかんねぇんだよ!

勝手に通報するんじゃねぇぞ。

お前にはまだまだ文句が山ほど残ってんだ。

今からお前を殴ってやる。お前は黙ってそこで殴られてろ。

歯を食いしばれよ、最弱(さいじゃく)――

――俺の最強(全力)は、ちっとばっか響くぞ
    \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\              
          >.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、         
       ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/     `ヽノ ̄ ̄`ヽ、―ニ 二三三三三三三三三
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/   `ヽ/ ´`ヽ _  三,:三ー二二二ー二二二ー
         /___::∧ (|/     ノヽ--/ ̄ ,    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           /.:::::ハ ∧     ミ }  ...|  /!ヘ;;;;丿  チベット自治区      
          ∠::::::::::::八 :.     _}`ー‐し'ゝL _
           厶イ:::::::::ーヘ     _,:ヘr--‐‐'´}    ;ー-------------------
            ノイ::/i:::ハ     _,:ヾ:::-‐'ーr‐'"==-───────
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/  
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\ 
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/23(木) 18:38:45.35 ID:hsI+7lr30
ポロリって首ポロリじゃねーだろーな…
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/24(金) 23:54:07.83 ID:7f6sU/iDo
>>531
もげてはいないだろ。
ただ、鎖骨あたりから体の中心に向かって10〜15cmくらい引き裂かれたっぽいけどorz
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:05:02.52 ID:gsTcD4Rz0
 
            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,>―――――Vi
           .:::::::::::::::::::::/::::::::::::, < `ヽ   (   V"}::.
        /:::::::::::::::::::く:ノ:::::/ ,ヘ_  ー―‐ヽ  ハ:::.
        :::::::::::::::::::::::::i /  ノ  /   > ´ ̄ ̄ ̄ハ:;
          i::::::::::::::::::::::::::V ヘ `ヽ/> ´      / Y:::.
          |:::::::::::::::::::::::::::|,ヘ_>'´           〃,___ |::::::. まったく不死身の体じゃねーんですから
          |:::::::::::::::::::::::::::レ'} ー―一==≠   ,伝ミi} |::::::::.    もっと大事にしろってもんですよ
          |:::::::::::::::::::::::::::レ'i   ≫==ミ     〃r:ハ ゙ {::::::::::.
        ':::::::::::::::::::::::::::l/{  〃 r:じ(       弋ソ ハ:::::::::::.
        ':::::::::::::::::::::::::レ'}  人 弋ぅソ      ¨´ {ハ:::::::::::.
            ::::::::::::::::::::::::Y      ¨´     `   }:::ハ::::::::::i
          }:::::::::::::::::::::::|'ゝ          _    /:/:ハ:::::::|
           .::::::::::::::::::::::::}>ー 、         '    ,.:(::(:(:::(ハ:::::{
        /::::::::::::::::::::::::ハ(:::(::)ハ`     . ___, :く::(::)::):):::)ハ:〈
          i:::::::::::::::::::::::::ハ::)::)<i   /       ハ:):(::(::)(::(i::::..
       /:::::::::::::::::::::::::j:(::(::(ハ ヽ  /      L(:::(::)::):::)ハ:::::::.、
       .:::::::::::::::::::::::::::::::/(:::)::)::)ハ { ,       / \):(::(::):::)、::::::\
     /::::::::::::::::::::::::::::::/:(::)(:(/ \ ∨  ー‐ ´      ̄ ̄ ̄` 、:::\
     ,:::::::::::/::::::::::::::/ ̄ ̄´     ` ´           、           ̄ ̄`> 
 
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   /.:::   -‐―…    ‐- ..ヽ ::::ヽ
  /.:::/___ ‐,<⌒><><><,{::::::::::,
  V/__/_/⌒′       _____}::〉::::’
  }〈v′  _ .. -‐== r _」L L ._} V .:::::|
  |:::} / |-―|ir‐   |\| },ハ|_ l :::::::|
  |:::∨  i|  _从、 {.  | 孑f斥刈{` |i:::::::ト、
  |:::::| i :}l〃f斥刈、 |   乂 ソ}i ||:::::::}:::!
  |:::::| | jハ{. 乂 ソ \   ; ;´; ;ノィハ..:/.:::ト、    これお見舞いのチョコラータ・コン・パンナです
  |:: ノィ   ∧ ; ;´;   ′       从 } ::::::/:::ハ     よかったらどうぞ……
  |:::::::| i {八      c    // / .:::::/.:::|
  |::::: 乂ト\ > ,   __   イ /}/}:::::::::::::::::::|
  |:::::::::::::::::::::廴 彡'ハ{⌒V⌒廴彡'^>、::::::::::::::|
  |:::::::::::::::: / '厂⌒V\}{__/ ″ Y/.:ヽ::::::::::|
  |:::::::::/⌒Y }:{ ̄  V∨V廴_彡'.:::::::::::L::::::::|
  |:::::ハ{. ヽノノ:::{  〈\|  ∨″Y__::::::::{`::::::|
  {`V 八   {‐<⌒ ヽ    V彡':::::::::::\} ::::::|
 〈\\ ト、 ,}__ \   \  ∨、::::::::::::::::〉、 ::|
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534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:05:50.05 ID:gsTcD4Rz0
 
  /::::::::::::::/    l         l l         / /        / l: : : : :l',',
  /イ::::::::::://   l       l l ..     ..  ./ /        / l: : : : ::l ',',
. // l:::::::::/      .l       l l : : . . . : :  / /        /  l::::::::::ト,',. ',',  私も。お見舞いの品がある
// l:::::::/       l       l .l  : : : : :  / /        /  .l:::::::::::l ',', ',' , 
/  l::::::/      l        ', .l  : : :   /./       ./   l::::::::::::l ',', ヽヽ
  l゙::::::f       l       ', ', : : :  .//        /    l:::::::::::l ∧∨ ヽヽ ちょっとカメラさん。顔も映してほしい
  l::::::f        .l          ',.∧ : :  //         /     l::::::::::::l   ∧∨ \\
 .l::::::{         l          ',_∧: : //         /     l::::::::::::l    ∧',
 l:::::::l          l        ',_∧//        /        l::::::::::::l   / .ヽヽ
 l::::::::l         l、       ' ,//       /      /::::::::::::l  /   \\
 l:::::::ム-、_,. -─‐r7゙ ̄rァヽ-‐‐‐'"¨7        /       l:::::::::::::::l ./     `7
-ニ-‐'" ̄     //  /       /       ./        l::::::::::::::l /       /:
´          ニ  f      /        /        l::::::::::::::レ      /::::
          〔〕  l      /        /         l::::::::::::::::l      ./::: ::
           rォ  l      /       /         l::::::::::::::::::l     /:: :: ::
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535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:06:55.51 ID:gsTcD4Rz0
                  _ , . -. . . .
               , : ´/: : : : : : : :.`: .
              ..:': : :/ : : : : : : : : : : : : \
             /: : : : : : :, -‐‐-:、 : : : : : : : :.
              ,': : : ; ‐: : : : : : : : : \┛┗:: : : .    上条!!貴様は進級できなくなったらどうするんだ!?
                l: : :/: : : : :,、: : : : : : : : ┓┏: : : : :.
           ,'l.: :.l: : : : :∧゙''<: : : : : : : \: : : : : \  一人だけ留年なんて、一緒のクラスにいる限りさせないからな!!
            l::l: : |: : : :/ ゝ,  `'' ァ≦;_;_/^ヽ: : : :.\
              l::l:l: :|: : :/=x、 \,,〃 ,,x==ミ f }: : : : : : \
            l:l:.l:.:|: , ' _,,二;_ ~\ ''弋 ;;う r /l: : l: : : : : :\
           ',', l::|ヘ (~う::::ハ     ¨^  r'/リ:.:.ハ:.:.:.\\ :\
             ∨l:价:ム ゞ-゙  l       从/: /:.ハ: :l\\\ :\
             Y:l: : :.込        /⌒イ//: /://ハ:.:', ) :): :}、.: :.'.,
                |:∨:.: : :介 . _ ーz'"_,/ l,/: /:/‐-<ハ:.∨:/.:/ ヽ: ::l
               ノ:.:.:∨: ///////¨,T"  _/: /:// ̄≧x: :'.:/    l: '
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   ` 'ミ''".:; < / / /.:/:{///ヘミ彡'/:/-イ/////////////,} : : : } 
 
 
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          /彡':::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::\
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        /::::::::::|::::::::::!::::!:::|:::!ヽ   '::::::::::::::::::ハ
          ′!:l:::::l::::::::::!::::!:::l:::|  \ '::::::::::::::':::∧
        | ,:::|:::::|:::::::::|::::|::ナ:ナ ̄ ヽ ':::::::::::::::/::::,
        | !:::!ヽ:|:::::::::!::::!/_x禾芹ミ ' '::::/⌒;::::::::,
          l:::! ィ弋::::::|:::/ 〃 Vzツ ', Wヒ }::::::::l
         ',':::. x芹ミl/     ¨´  | !  ノ /:::::::::.   「記憶喪失って事は…わたしにチャンス到来!?ここは色仕掛けで…!」
          , l:::癶 ゞ ' 、    '''   !' r=彳::::::::::.   
          ハ!:::∧ '''       ノ ノ!从从:::|_::::::::::::.
         ,::::::::/r込、,_  --   ,ノ!   彡: : : :ヽ:::::l  (心配で駆けつけたんですよ。…愛しい貴方の為に…)
        ,:::::::/: : :彡 爻从  从リ   彡': : : : : : :.::::.
         /:::::::!: : 从  VVV从 //  爻::.、: : : : : :.l:::::.
        ,::::::::::|: : !.:.爻 川|  }//   爻.:.:.:.l: : : : : :.!::::::.
      ,:::::::::/!: :.i/}  _∨ -ミ〈 彡'.:./.:.:.:.:!: : : : : :!::::::::.
        i:::::::/::{:./ ´/ /ィ   ヽ) 〉ヽ.:.:.l|.:.:.:.:.:|/: : : :.∧:::::::::.
        |::::/:::::/   {__ハ o  o }'  \|.:.:.:.:.:.!: : : /:.}:∧::::::::l
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        |::::::::::|   爻 川| 爻 :L∴i:.:.:.:.:.:.:|: : /: |::/:::::::|::::::|
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:07:53.00 ID:gsTcD4Rz0

                     /    ||   / ||   |  _
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                  / /    /   :/ .:/ //   / ;|     |: i  |
                  ,′:'  :│    :/ .:/ //    : /:|: |     |: i  |
                    /  i  : |  |  :/ .:/     / :/ |: ;    |: :  |  おねぇさんとのアノ事も忘れちゃったのかしらぁ?
                / / |│ :│  | /| ://  /// ̄:|メ|     |八 !
              //∨|八i |  | ヒ|乂 /// イ弐示く |    :j: : : . '.
              ///: : i: : : :i i  │∠ : イ//   弋少 刈   //: : :八: :\
              /{:八: : :i/: :八: ∨|八|  |/ :j         `` /    /: : :/ ハ :  \びちょびちょにされちゃったのに……
            /   /: :\ \ \ : : \\     〈| .       /   / : :  / } : | 、ヽ
             / : : : : \ \ \: :从⌒            ∠/ ///: / ノ.: :リ 〉: 〉
       /   人 : : :  -=ニ二 ̄}川 >、  `''=こ=一   ∠ -匕 /´ ̄ ̄ ̄`Y: :{/: /
       {   { 厂      . : { /⌒\   ー       イ///: : : .____   人: :\/
       ':   ∨} _: : : : 二二/ /   | \_   -=≦⌒\く_: : /: : : : : : :_:): :\: :\
        ',  /人/: : :_):/  {_  ノ       /    \乂 ̄ ̄: : : : : \ /ヽ: ヽ
         ) //: (/: : : : : \   〈 ̄         ∧     \ ̄ ̄>_: : : :/: :/ ) ノ
       /イ . : :.人_: : : \/     \       : ∨      \〔:/__乂_:/ : : :/
.      〈:/ 人 _:/ : :/: :\ノ    /⌒〉〉        {.  ∨   /⌒ヽ〈_: : : :_{: : :(
       ∨⌒\:/(: : : :/     /_/∧__     _,∨\/ニ== \//|∨ \ : \
       /\ 厂: : 人: : ̄ ̄∧/ ̄ / |   \  /  │ 〈 \.  \( :( ̄リ∧  ) : ノ
            ))ーァ: :/ ̄ ̄/:/       |\           |\ \ \  \` 7   〈 /
      |  (  ー、マニニて:(    /  j\ \      │  > >─ヘ  ∨ /  |  ))
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537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:08:49.54 ID:gsTcD4Rz0
                /:../:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.ーヘ
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        ̄´_/ィ:..:..ハ:..:.l!  ヒ r'リ }⌒{ ヒ rリ' /}:..:l i:.:.|
           /..:..:..:ヘ:.:.ゝ、 __ ノ  , 丶__ ノ .:.:} |:.:,′
             /..:..:..:..:..:.\:.ヾ           /´l.:∧. !/       今度は私があなたの力になります
          /:ィ..:..:..:..:..:.:.:./:丶   `´  .ィ..:..:l/..:.ヽ\__    だって友達ですもん!
     ___///..:..:..:..:.:.:.:.:,'.:.:.:.:.:l>   <:.:.:.:.:.:..:..:...ヽー‐'
    ´ ̄ ̄´ ./..:./.:..:..:.:.:./.:.:.:.:.:r'ー─、__レ 、:.:.:.:.:..:.丶:..\
         /..:./..:..:, ──‐ '-、  /::::::::::Yヘ丶─- 、\:.丶、___,
       /.:../: / ヽ     \/≧/⌒ヽ}   __ \ `  ̄  ̄
     __/.:..ィ.':..:.{    ハ      ー-}:::::::::::::\  ─- 、}:、
       / .:..:.:|    }'´        \::::::::::::::`i    \\
      /..:../.:..:/、  ヽ/         }:::::::::::::::::|     V:.\
     /..:..:../..:..∧     {         |:::::::::::::::::l      }丶:..\___
 _.ィ..:..:../'..:..:..:..:〉   l          / {:::::::::::::::::|    ′ ハ  ` ̄ `
   ̄  ̄´  i..:..:..:./    ヽ  、   /  l::::\::::/::l /  / l
       |..:..:..:i       \ 丶 ,'   \:::::::::::/ '__...イ    } 
 
 
                . : :´: : : : : : : : : : :`: . 、
             / : : : : : : : : : : : : : : : __(`ヽ、
               /{{: z==ァ====≪二 イ:`ヾ\
           / ∠〔{   / /   / ` <: : } } ヽ
           {/ /ヽ Y从 {/Z∠ -=≠Z  \} }: : }
              / {`  ``´      ´ ⌒彡'´  \:.ノ  
          /l  l             ミx  ヽ \_
            / l  l   \   /       ヾ、ヽ ハ ヾ´
.           / l  l >、_ヽ  厶- '⌒'ー   ミトヘ ヾ、_ハ   おい異教の猿。元気か
        ノイ   lY こ五 、 て ─tァ‐   ゙マ⌒ヽ <
         |l | l |  / }   ヽ、゛´     {、 ト--`、
            八| 八     ′        /   r= 八 _.>
          /  { { ヽ   {          / ,、__/   |ヽ
           从 } 、ハ   ヽ-'´         /    x个{
             ヽ!ハ 、 マニニニフ^  イ| ハ M }
             /  }/} 〉、 ===     / l!} }/ }/
                  / rく ヽ ___/  / {‐ 、
                r} \     /  / .人
                 {.|   `U´ ̄´   //  ヽ
            /ハゝ、     .  ´/     \
           イ  {  ヽ\  / ,  ´        }\
.         /   |  丶  ヽ Y /     /      ノ  丶
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:09:39.78 ID:gsTcD4Rz0
             /                       \
            , '    ,     ,                ヽ
               /      /     /                 `、___/⌒'<
           /     .′   .          i ,         l   . 〈  \                          / )'´
            .′     ;    i       ,  从{ | i  ;   l   i i   \                    / / /
             {   .  i    |    _/ /| },ハ| i __j_  l   i l     `                    / / / /
             ;  /   i    |  i  /] 厶「` }八/i丁{_| l   |V\                      /   '   /
          ノイ      !     |  i ./'´|厶ニ、    'ィi允爪从 |   `                      ′     ′
           |          |从i/,ィi圦{       辷'〕  i八从                            l
           l  /   i       i八辷'〕       、     !j人                        l      .
             ノイ i |   i       人   、         {    从 ∧   i  ,                       |       /
              |八{   i          'v゙            .  i ` \|/                        _厶    /
                、| 从  ,i  , }___   --_ ′ /   |      〈_              /      . <,   \ /
                   八/ 从 八 ∨. . .`ヽ.     //i∠}八     |\     ;^Y^v′     /: : : : \  〈    .
               i  / }/ . :\{: : : : : . \イ人{: : : : :`ヽ、 l  |  `'ー一ァ゙| | i    /: : : : : : : : :∨ i   /
               i /  . : : : : : : : : : : : : : : : \__}: : : : : : : :∨  |     、  i | | |___/: : : : : : : : : : :| | /
                   .′. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ;>:、_:_: : : : }  |     ∨l | | 厶<: : : : : : : : : : : : : !  | '
               ;  : : : : : : : : : : : : : : : : : : : / : /. '⌒'ー〈__  |      l| /: : : : : : : : : : : : : : : : : i |
               i  : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ://: : : : : : : :`⌒'ー: .、 | , ' : : : : : : : : : : : : : : : : : /}_/
               i  : : : : : : : : : : : : : : : : : ://: : : : : : : : : : : : : : : : :\_|ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/
               ∧   : : : : : : : : : : : : : : : , , ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : ;_:> ´
                  /  '.    : : : : : : : : : : : : / / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ′: : : : : : : : : : : : : :/
              /  人   : : : : : : : : : : :' .' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : {: : : : : : : : : : : : : /\/
            ′/  {\   : : : : : : : : :{ {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/   ∧
 
   神の下した試練かもしれませんが、あなた様ならば乗り越えると信じております 
     よろしければ『何でもお手伝い』いたしますので 
       遠慮なくおっしゃってくださいね 
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:14:33.62 ID:gsTcD4Rz0
>>527 
そんな感じです 
後日明らかに!? の予定 
 
>>531 
そんなむごい描写は想像しただけで震えてしまうので無理です  
 
 
月末宣言でしたが、しばらく家にいないので書いてる分だけ投下します 
予定通りでなくて申し訳ないです
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:15:07.30 ID:gsTcD4Rz0
 
学校が終わり、詰所に行けば小規模の捜査陣営で 
とても犯人検挙。事件の全容を解明しようという意図を感じなかった 
取り合えず設置して、適当な落としどころで幕を閉じるつもりだろう 
本部から送られた僅かな資料によると 
プロファイリングの結果。突発的な通り魔の犯行 
殺し方から普段は内向的な人物、自己顕示欲が強い、社会に不満を持っている立場の人間……… 
 
そこまで読んで放り投げた 
小耳に挟んだ情報じゃ遺体から硝煙反応もでてたらしい 
それが通り魔の犯行?遺体は軒並み鍛えられた体をしている 
銃器を所持した鍛えられた男たちを、内向的な通り魔が襲う訳が無い 
 
仮に襲うとすれば、それは数で圧倒している場合 
これは納得できる。遺体の発見現場には血液が少なかった 
別の場所から運ばれた事を意味している 
夜中と言えど通りには車が走る。目撃される前に素早く事を済ませたって事だ 
つまり犯人は複数 
 
装備の品質に差がある場合 
これは不可能に近いだろう 
一重に装備ランクに差があると言っても、これだけの事を成すには駆動鎧でも使わないと無理だ   
 
そして……能力者  
なんの能力かは分からないが、可能な能力者はいるだろう 
例えばLEVEL5…… 
 
ガシガシと頭を掻いて浮かんだ顔を掻き消す 
本部がこんな資料を回したって事は、この方向で落ち着けるのだろう 
取り合えず複数犯のケースから当たってみるかな 
 
「鉄装、ちょっと付き合ってほしいじゃん」 
 
「え?あ、はい」 
 
真剣な眼差しで資料を読んでいた鉄装に声を掛ける 
先ずはどこで殺害されたか… 
そこから当たるか 
 
「巡回行ってくるじゃん」 
 
待機役の同僚に告げて詰所を出る 
また嘘をついてしまった 
 
 
自己嫌悪 
 
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:16:15.83 ID:gsTcD4Rz0
車で取り合えず遺体の発見現場へと向かう 
こんな事件があったのにも関わらず街は平常運行 
知らない人、知ってても関係ないと思ってる人 
恐怖を感じても日常の歯車に捕らわれている人 
そんな彼らの安全を何時も守るのが私たちの仕事 
それも日常の歯車に捕らわれてるって事なのかな…… 
 
信号待ち 
さっきから所々で見かける葬儀の案内板 
その珍しい姓は以前何かの事件で見たことがあった 
確か結構太ってた男だったっけか 
黒い噂の耐えない企業の役員で捜査線上に浮かんでたはず 
あの事件も今回みたいに煙に巻かれて悔しい思いをしたもんだ 
 
「黄泉川先生、青ですよ」 
 
「あ、すまん」 
 
車を走らせる 
殺した後に遺体を晒した意図は何だろうか 
 
自分の犯行の誇示 
プロファイリングでも自己顕示欲云々と書かれていた所だ 
 
何らかのメッセージを含ませている 
今回の場合は警告など。利害が発生し、争いになった場合に良くある手段だ 
黒い組織によくありがちな話だろう 
 
ん?黒い組織…? 
葬儀の案内看板がまたあった 
一つの可能性が浮かんで、無線を取る 

「こちら黄泉川だが、ちょっと調べてほしいことがあるじゃん」 
 
聞いた内容は例の企業の所在地 
返って来た答えは私の推測を強固にした 
二つの住所。新しい場所は今日移転の届出がされている  
ちなみに前の住所は遺体発見現場から近い 
 
「どういう事なんですか?」 
 
私の行動に疑問を持った鉄装が尋ねてくる 
 
「………。ちょっと勘が働いたかもしれないじゃん」 
 
こういう時にもっとカッコいい言い回しがあったんだけどな 
思い出せないで普通の返答になったけど 
昔見たアニメか何かで……なんだったっけ? 
 
 
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:17:21.16 ID:gsTcD4Rz0
車内からオフィスビルを見上げる 
入り口から社内まで引越しの準備を急ピッチで進めてるみたい 
 
「ちょっと聞きたいことがあるじゃん」 
 
車から降り、社内から運び出されたダンボールを運ぶ男性社員に尋ねる 
 
「はぁ…」 
 
私の格好を上から下へ見。警備員だと理解したのか手を止める  
 
「ずいぶんと急な引越しみたいだけど、何があったじゃん?」  
 
私の問いによく分からないんですが。と前置きし額の汗を拭う 
 
「前から決まってたらしいんですけど、今朝急に移設命令がでまして…。何でもビルの老朽化だとか」 
 
「……ふむ、ありがとじゃん」 
 
当日に引越しするぞってそんなの在りえない話 
在り得るとしたら、それは夜逃げだろうに 
 
「黄泉川先生?」  
 
十二分に臭いんだけど、まだ確定ではないから鉄装に説明がしづらい 
  
「責任者は中?」 
 
「あ、はい」 
 
「ちょっと中に行こうか」 
  
状況が分かっていない鉄装はおろおろと追従してくる 
 
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:18:41.00 ID:gsTcD4Rz0
「何の御用でしょうか?ちょっと忙しいものでして……」 
 
「いやーすみませんじゃん。ちょっと何点か尋ねたいことがありまして」 
 
「移設の件なら大分前に申請はだしていましたけど、うちでも手違いがあって今日社員に伝わったんですが」 
 
「それは聞いてないじゃん…」 
 
前髪が寂しくなって幾数年といった感じの男が、では何故?といった顔をする 
 
「実はこの近くで大量の死体遺棄事件があったじゃん」 
 
男の唇が僅かにきゅっと動く
本人は意識していない、無意識の反応 
 
「ちょっと私どもにお尋ねになる意図が掴めませんが…?」 
 
「いえ、現場付近の単純な聞き込みじゃん。…まぁ警察機関の社交辞令と思って協力してくれると助かるじゃんよ」 
 
こっちも大変なんだという空気をバリバリに醸しだして告げる 
 
「なるほど、そういうことでしたら」 
 
安堵の息を漏らすのが見え見え、胸倉掴んで力づくで謳わせられないのが辛い 
強引にでもその状況に持っていくしかないか…… 
 
 
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:20:20.36 ID:gsTcD4Rz0
 
 
 
何点か当たり障り無い事を聞き、当たり障り無い事を返され、対応した男に見送られ玄関ホールへ 
 
「そういえばこのビニールシートは何じゃんよ?」 
 
社内の入り口から階段、他のフロアまで床、壁、天井にまで張られている 
 
「――っ引越しで、どうしても社屋に傷が入りやすいものでしてその予防策に…」 
 
ほら、分かるでしょう?と言わんばかりに愛想笑いを浮かべている 
 
「ふーん……」 
 
ツカツカと壁に向かい、シートを掴み。一気に剥がす 
 
「ちょっと!!!」 
 
「え?」 
 
「あー。大分傷が入ってるじゃんねぇ…。でもこりゃ不動産屋よりもウチの仕事じゃん?」 
 
無数の弾痕が顔を現す 
続いて床のシートも剥がす 
水びたしのフロアに赤黒い澱みが見られる 
 
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:21:33.51 ID:gsTcD4Rz0
「これって……血…ですか?」 
 
自分の立っている場所がやっと理解できて来た鉄装 
説明しなくてごめんな 
実は結構危ない場所に居たりするのだよ鉄装くん 
 
「あ…―あっ…」 
 
怒りとも悲しみとも絶望とも区別のつかない顔で口をパクパクさせる男 
ただ分かる事はそこに希望は皆無 
 
「鉄装、応援を呼ぶじゃんよ」 
 
そういって私は胸いっぱいに息を吸い込み、声量最大で声を張り上げる 
 
「警備員じゃん!!今から強制捜査に移るっ!全員そこを動くなっ!!」 
 
確証は無い。けどあいつの足取りが掴めた気がした 
そう、言うなれば守護霊の…。じゃない……なんだっけな…… 
 
あ〜。勘だ。勘 
 
 
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:22:10.58 ID:gsTcD4Rz0
 
 
ポロリと出た俺のモノを口に咥えこみ、唇と舌、手を巧みに操り血流を操作する女 
唾液をあえて飲まず、潤滑の役を担わせる 
涎垂らしてそンなにいいのかこの雌犬がァ 
そンな気の利いた台詞の一つでも言いたいが、極技ともいえるその技巧に生唾を飲み込むだけしか出来なかった 
 
十分に硬くなった陰茎から射精感が込み上げてくる 
 
「っおい!―ちょっと飛ばしすぎだァ」 
 
長い黒髪の女は俺の意図を探るか様な上目使い 
口からガチガチになったモノを出し、先端をチロチロと挑発的に舐める 
 
「お口の中にいいよ?まだまだこれからなんだからさぁ…」 
 
妖艶な誘い 
俺の沈黙を肯定としたのか、また咥えこみじゅっじゅっと淫靡な音をたてる 
 
極力我慢はしたつもりだァ 
でも出来ねェこたァ……できねェ! 
 
「ん、ヴぉおっ!?」 
    
頭を両手で掴み、腰を動かす 
奥へ奥へ、鉄杭を打ち込むかの如くピストン運動を重ねる 
苦しいのか、手で俺の体を押し、下が拒む様に暴れる 
その反発が逆に引き寄せようと腕に力を促し、拒む舌の動きがさらに快感を齎す 
 
「ハッハッハッ!――だすぞォっ!」 
 
絶頂 
 
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:24:07.68 ID:gsTcD4Rz0
陰茎を喉の奥に突き刺し、下らねェ仕事の柵も自分の愚かさも何もかも吐き出す 
 
「ごふぉっごふぉっ!!」 
 
当然の様に咽る女 
冷静になった頭で考えるとホントクズだな俺 
紳士にほど遠い存在だわァ 
 
「ァー。…大丈夫かァ?」 
 
今尚咳き込む女は床に手をついたまま、顔だけこっちに向ける 
 
「ごほっ!っっ大丈夫だよ。……でもっごほっ!…ちょっと優しくしてほしいかな」 
 
ああ善処するわァ 
 
口から出なかった言葉。どうせ俺ァ口だけ野郎だからな 
言わない方がマシってもンだァ 
 
ティッシュで床を拭き 
俺の陰茎を口で掃除する女 
ベージュのドレスからこぼれンばかりの巨乳は早く解放してくれとせがんでいる様にも思えた  
 
しゅるりとドレスを脱ぎ、髪をアップに結わえた女に、シャワーへ誘導される 
 
お楽しみはこれからってなァ…………… 
 

 
 
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:25:25.50 ID:gsTcD4Rz0
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           ト、|\|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.厶イ
         弋’.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.フ
        弋 ̄.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::. ̄フ
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       ∠ イ:.:/:.!:.:.:.:Tト、_ |:.:/ ,.ィ代:!:..ト、_:.::>
        厶イ|:/|:.:/ f 忖  W 忖ヽ ト、!:..\
          i人从.  ̄   !   ̄ ハハ`¨´
            !込     j    ム'
           /:/ハ    __  人_
       ,. -<: : : :|.:! \ ´ ''  ィ い: : >‐- 、
     /: : : : : : : : :.ヾヽ   ー '  /:/: : : : : : : ∧   いやはや…上条さんにこんなに女性の知り合いがいたとは
    /\: : : : : : : : : : :.>ミ ー--‐:ソ:: : : : : : : /: :ヽ、    うむ。全然思い出せん       
    /: : : ヽ: : : : : : : : /    ̄ ̄  ヽ: : : : : :./: : : :.∧ 
    |: : : : : \: : : : /          ∨: : :/: : : : : : :ヘ       不幸だー(棒)
    |: : : : : : : :ヽ/            ヽ:/: : : : : : : : : 〉、
   /: : : : : : ヽ:/              ∧: : : : : : : : /::入
  /: : : : : : : : : {  ┌─┐ f ̄ ̄} ( ) ! ∨: : : : ://  \
 厶: : : : : : : : : ::〉  `ーー'   ̄ ̄    /}  V二ニ <,     ヽ
 ヽ::\____/        r ニニつ、_ /   /〉/〉  〉    /\
   Tヽ、:::::::_:⊥、____/     }/ (二./〃∠二二⊃  /::::::::ヽ
.   |   ̄                ソ  |`ー――――彳  /:::::::::::ヽ}
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 /^" ー―――‐ ' "´ ̄         弋二二二フ        \:::!
                                          \
 
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/06/25(土) 03:26:31.72 ID:gsTcD4Rz0
急に眠気が着たのでここまでで 
 
次回は翌月となります 
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/06/25(土) 15:58:15.39 ID:cGfsrreno
なんか上条さんが不幸じゃない・・・
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 22:27:42.01 ID:I265BJ/G0
ヴぉおっ!?でワロタww
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/26(日) 03:28:40.33 ID:LYsCMDGAO
場を和ませてた上条さんが急に鬱陶しく……
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/26(日) 21:38:10.62 ID:GNpMxPWI0
AAは上条、文はAcceleratorでわけてるのか。

しっかり待ってるからいつでも投下お願いします!
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/06/30(木) 00:19:12.59 ID:hi3CHhrI0
そのまま上条でエロを書くいてくださいお願いします!!

一方さんはレイプや打ち止めの続き書いてくださいお願いします!!

というかもうオカズをお願いします!!!!
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/04(月) 22:21:41.99 ID:XVSskAvE0
↑のチベットずうずうしいぞ。
黄泉川で十分すぎるほど十分だろうが
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/05(火) 00:31:10.50 ID:hyyIYwfFo
チベット野郎は急かしすぎ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/05(火) 01:22:19.66 ID:LcWJmksIo
チベットが二人いる
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 21:39:52.98 ID:Hv3jNQzPo
        レ イ パー   ラストオーダー        レイプセックス
20000人のチベット自治区が  打ち止め   を陵辱する絶対陵辱妊娠実験
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 23:48:03.73 ID:Ue1qQull0
俺は1対1が好きなんだ!!
複数人は邪道だ邪道!

複数人がレイ○する系は一人じゃ何もできなさそうな奴が集まってやるのばかりなのは何でなの。
人は誰だって何だってできるんだよ。(ただしものによっては人生と引き換え)
それなのに一人じゃなくて複数人でやるとか何なの?弱虫

黄泉川で十分じゃん。むしろ黄泉川での描写こそ至高じゃん。
↑のチベットは反省してじゃんがじゃんじゃんされちゃうところ見直すべきじゃん。
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/07(木) 00:55:17.37 ID:TUBIkHUAO
んじゃあ複数人を同時にレイプすりゃいいんじゃね
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga sage]:2011/07/07(木) 01:23:06.07 ID:RYiC0tcq0
ただいま 
 
変態しかいないのかここわ… 
えっちな会話は苦手です 
 
次回の投下は明日?かあさってになります
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 08:18:53.10 ID:F8dMe9wDO
えっちいのは良くないと思います///
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/08(金) 19:05:54.05 ID:vizV5obGo
>>560
それ乱交パーティーや
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/09(土) 03:25:35.15 ID:7uVlM+I+0
すみません 
投下できるほど書き溜めが進まなかったので明日で… 
まっことすんません 
 
ちょっと今更だけどこれシリアスな話だからね? 
エロ描写は少しあるけど、エロSSじゃないからね?
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/07/09(土) 03:57:58.42 ID:p9cbrn4Mo
ああそうだな(耳かきしながら)
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 21:55:40.54 ID:U9UIKXqB0
ん?ああそうだねシリアスだよね(ズボン下ろしながら)
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/10(日) 21:40:30.91 ID:UsTq+2NN0
ああ、そういえばそうだね。
(むぎのとじゃんと止めで5回できました。ありがとうございます。>>1乙)
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/10(日) 23:34:51.76 ID:aN1NFfaD0
全裸待機中なわけだが!?
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 00:24:17.83 ID:kQuYwIJg0
いつも真夜中3時ごろだから、>>1には悪いが後から読ませてもらってる。

リアルタイムじゃ応援の声が聞けないかもしれないががんばってほしい。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:10:07.82 ID:J1xptb750
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: : : : : :    . : : ;'       ヽ: : .   、: : :              '    _,二=-::'/:::::/:::/l/|::/:::/ :::: | :::|:::i:::::::::::
 ̄  ‐-  _. : : : : : .       ノ     : : : : .           ';   ー‐厶イ::::仏厶≧k::::/|::::::/|::/|:,'|:::::::::::
       ` ー-、_: : : . .            \: : : : . .           i-‐…‐<:イ |:::::iハ じ ∨ |:::厶斗≦|:::::::::::
           ヽ : : : : 、      \.   \ : : : : : : .      |     ∠人ハlV  `¨¨   |/ ´じ 从/:::::::
            }: : : : .}   : : : . .  丶   \: : : : : : : : .     }\.    厶::ハ ``     {  ¨¨´W:/::::::
             _∠: : _: .           : : .  丶: : : : : : : : . .∧ ∨    | l小     、 ノ    `∧:人\
          ´     `ヽ         \: : .  丶、 : : : : : { |  |,   八.ヽ∧ `マ=‐- 、   /
.     /          ':         丶、: : . .     ̄ ̄ ̄`ヽ∨ /⌒ \` \ ` ー ''´  イ
.    /      ヽ                丶、 : . .        `∨     }\ \__.  < ノ
  /        : }    :' :             丶、: : .       ',\       ̄ ̄    ∨
             ; :  . : ': :                丶、: : . .   |      __彡   /∨ /
   \        :,: : : :/: : : :ヽ      : : .            丶、: : . |             /  /∨\
    ヽ: : .    . : :' <: : : : : : : :)                   \: :|__ ____/  _/\___
     }     /   \: : : : : : : : :_:_: : .           . : : : :   ∨////} {//////}  {//人____
    . : : : : : : /         \. : : /                ._: : : : マー‐' ーァ'´ ̄    ア        /
  . : : : : : : :/           }/        \      /     \: :}   /      /      /
.. : : : : : : :/           /         : : ヽ. : : : : :/       \  /         /     /
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:15:07.28 ID:J1xptb750
結局書ける時間がなかったです 
使えない>>1ですまぬ… 
 
>>565 
今から番街のミスド前に集合な 
 
無理せず時間のある時に見てもらえれば嬉しいです 
皆の暇つぶし程度になれば幸いです 
 
超短いけど投下
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:15:44.15 ID:J1xptb750
時は少し遡る。 

一方通行は通りを歩いていた。 
何も無くとも近寄り難い雰囲気を纏っているのだが、ここ最近心の底から機嫌のいい時が無く。 
刺さるほどの凶悪なオーラを周囲に撒き散らしていた。 
 
「っあ!?」 
 
声を発し、立ち止まる。 
向かいの通りに長い黒髪が揺れる。 
背筋を伸ばして颯爽と歩くあの様は……。 
 
(黄泉川……?) 
 
ラフなカジュアルな装い、つまり彼女のアイデンティティーであるジャージでは無いことから他人だと理解したが。 
イマイチ納得が行かずに跡をつける事にした。 
 
後ろから見ると背格好もそっくりなその女をつけ、歓楽街へと入る。 
学園都市のほとんどは学生、つまり未成年が殆どだが大人もいる。 
学生の為にゲームセンター、カラオケ等の娯楽があるのと同様に、大人にも娯楽はある。 
居酒屋、バー、クラブ、キャバクラ等など。そして風俗もある。 
つけた女の入った店は風俗店。ソープランドだった。 
 
(間違いなくあいつじゃねェな……。あほらし……) 
  
心とは裏腹に足が動かない。 
踵を返して自分の住まいに帰ればいいだけ。 
ただそれだけ。 
それが出来ない。 
 
(ちと寄ってみるか…。こォいう所に行ってみるのも社会勉強だろォ) 
 
麦野沈利を圧倒した際に燻っていた火種がまた勢いをつける。 
 
だが今一歩踏み込めないまま、入り口の前を行ったり来たり。 
看板に書かれた値段を眺めたり、用事もない携帯を開いてメニュー画面を操作したりする。 
 
(だァァ!!入り辛れェェェ!!) 
 
誰も彼を知る者など周囲には居ない。 
しかしそれが気になるお年頃。 
入店してからもどういった手順で物事が進行するのかも不明。 
未開の地へ踏み入ってきた先人の冒険者達の偉業が今の一方通行には痛い程に理解できた。 
 
(クソッタレ!成る様になりやがれェ!!) 
 
未体験ゾーンへ踏み込む勇気を振り絞り。 
覚悟を決めた漢の顔つきで一歩前進した。  
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:16:39.74 ID:J1xptb750
「お兄さん寄ってくの?」 
 
「ァ?」 
 
ふいに声を掛けられる。 
小奇麗な服装の中年の女。 
 
「さっきから店の前ウロウロしてるけど、今暇だからいい娘選べるよ」 
 
「……おう」 
 
中年の女は一方通行の容姿、足元から頭の先まで値踏みする様に見やり。 
 
「お兄さん初めてかい?」 
 
「……いや?」 
 
「あらそうかい。まぁいいわ。こっちへどうぞ」 
 
中年の女は挙動不審な一方通行の嘘は透けて見えたが、どうでもよいと思い。中へ促す。 
服や靴は安物に見えず、杖をついた障害者。 
こういった店にとっては常連になるケースの高い条件に当てはまっていたからだ。  
 
入り口をくぐると受付にオールバックの黒服が一人。 
こちらを一瞥し洗練された仕草で深々と頭を下げられ、思わず一方通行も軽く会釈をする。 
 
「お兄さん名前は?」 
 
「……一方通…。名前だァ?」 
 
(なンで名前聞くンですかァ?このババァはァ!?まさかこのババァが相手とかじゃねェだろォォなァァア!?) 
 
「女の子に呼ばれる名前だよ」 
 
「あー。そうだったなァ…」 
 
(名前…。一方通行でいいか?いやしかしなァ…) 
 
自身の通称兼能力名。 
もし第一位だと知られてしまったら……。 
匿名掲示板で第一位がウチのソープに来たんだけど。なんてスレッドでも立とうものなら……。 
良からぬ事が頭をもたげ、沈黙が受付を支配する。 
 
「別に何でもいいんだよ?偽名でも何でも。形式上の事なんだから」 
 
 
 
 
 
「――ら」 
 
 

 
 
「ん?」 
 
 
「浜面だァ」 

 
 
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:18:04.00 ID:J1xptb750
「浜面くんね…。どの娘を呼ぶ?」 
 
「さっき入ってきた女は呼べるのか?」 
 
「さっき?ああ大丈夫だよ」 
 
中年の女が内線電話で嬢に連絡を取る。 
 
「120分で八万円になります」 
 
受付に居た黒服から料金の請求。 
高額だが、格付けのあるこの業界。 
高級ソープを称するこの店では極当たり前の金額だった。 
 
 
 
「ここで待っててね」 
 
「……おう」 
 
待機室へ通されそわそわと周囲を見渡す。 
高級そうな調度品。ソファーの座り心地も申し分ない。 
いかにも一流デザイナーが手掛けましたという様な前衛的なデザインの灰皿、大理石なのか手に取るとズシリと重い。  
足元の絨毯も庶民は土足で踏むのも気後れしそうな程だった。 
 
(こういうモンなンか…) 
 
高級な調度品等気にも止めず、店が醸しだす雰囲気に落ち着かない一方通行。 
革張りのソファーに背中を預け、虚空を見上げる。 
 
(歯磨きして来りゃよかったなァ) 
 
「浜面様」 
 
(あン?) 
 
「浜面様」 
 
「あ…おう」 
 
自身が浜面の名前を語っていることを失念していた。 
 
「こちらへどうぞ」 
 
黒服から案内される。 
待機室へ入ってきたのとは別のドアを抜けた薄暗い通路に女が居た。 
艶のある長い黒髪、健常な男であれば視線を集める豊満バスト。 
ベージュのドレスから窺えるしなやかなウエストライン。 
 
「こちらです」 
 
案内が黒服から女へ代わり、手を取られ階段を登る。 
柔らかい手の温もりに静かに心躍らせながら共に階段を登る。 
 
(なるほど…、快楽への道。天国の階段ってわけですかァ?) 
 
「キヒッ」 
 
「え?」 
 
「なンでもねェよ」 
 
「…?」 
 
上手い事言ったと自画自賛した笑いが思わず口から出てしまった事を後悔。  
女は訝しげな表情を浮かべ、小首を傾げ薄い笑みを浮かべていた。  
 
(天使がおるでェ…) 
 
女のちょっとした仕草に少年は浮かれていた。 
愚かにも自分がどういう運命の中で生きてきたのかを忘れ。 
 
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:18:59.33 ID:J1xptb750
  
「ゆりあです。よろしくお願いします」 
 
部屋に入るなり膝まづき、指を揃え。深く頭を下げる。 
おじぎに五月蝿い例のあの人も賞賛するであろうその仕草に、一方通行は口を開けたまま何も言えないでいた。 
 
手をつけたまま女が一方通行を見上げる。 
視線がぶつかり、どこか気まずく、おうよろしくなァと言いながらベッドへ腰掛ける。 
どこか黄泉川に似ていたと思ったが、顔は似ていない。 
キリっとした精悍な顔ではなく、美しいながらもほにゃっとしたどこか抜けた様な顔立ち。 
 
変わらぬ柔らかな薄い笑みを浮かべ、女が一方通行の前へ座り、股間へ手を伸ばす。 
 
「へァ!?」 
 
突然の女の行動に驚き尻一つ分、左へ飛ぶ。 
 
「いきなり何すンですかァ!?」 
 
「…え?あの…」 
 
即尺と言われるサービスがあることを、知らない一方通行。 
高級店では客が汚れていようが、洗わずに口に咥えるサービスがある。 
 
「え…っと。」 
 
女も予想外の反応にどう言えばいいのか戸惑う。 
 
(ンだァ?こいつは。無害そうな顔してひょっとしてビッチってやつですかァ!?) 
 
雑誌の知識を検索する非童貞一方通行(正し同意はない) 
  
「あの…。お口でサービスしたい…な、ってダメかな?」 
 
あくまでサービスの確認。 
業務上の確認であったが、相手が悪いにも程があった。 
 
(間違いねェ!!こいつァビッチだァ!!!!) 
 
女から求めていると見事に勘違いする純情ボーイ。 
 
「あァ…いいぜェ」 
 
ベルトを外し、女にファスナーを下げさせる。 
 
「ありがと」 
 
円滑に業務をこなせる意味を含んだ言葉も、彼の耳には全く違う意味で捉えられていた。 
 
(感謝するほど欲しかったンかよォ…。こいつァ真性だぜェ!!) 
 
先端から少し糸を引いてポロリとだされたそれは、十分な熱を持っていた。

 
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:22:27.41 ID:J1xptb750
ここまでです 
 
色んなSS見て今回から 。 つける様にしました 
 
言い忘れたけどオリキャラ注意! 遅い上にどうでもいいかな 
 
次回こそ大量投下 
日付は来週? 
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 01:24:27.43 ID:J1xptb750

              /: : : : : : : : : : : : : く: : : : : : :\
                . : :/: : /: : : : : : : : : : : >: : : : : : : ヽ
               //∨ : : : | / : : : : : : : : : ト、 : : : : : : : ',
            /: :∨: : : /:| i/: :/ : : /}: : | _\ : : : : :
             ,′: :i: : : : |八{: : : : : / :|: : リ  ヾミ';.:. : : :i
          i : | : |: : l /ト、/|: :|: : /  i: :/ /  ミ∨ : i:|
          l : | : |:i: :Nx‐ミi: :|: /、__厶イ⌒ヾ  Yミ}: : :│
          | 八 从:.:! {{  心乂 〃 r'ハ   }} j/`ヽ:ハ ちょっ!今アンタおしり触ったでしょ!!
          l/ ハ: :f小  Vリ     Vソ _,     ノi 八   まぁわざとじゃないだろうからいんだけどサ……
               ∧:{.∧/////////u_/ :|:!.:.j\  
              / : \ハ    r   ⌒ヽ   /.:.:.:.j:从: |  けが人だから許してあげるんだからね!?////
           厶イ:./}人    ∨    _ノ  .イハ.: /!│jノ
             |//⌒≧=-      _, イ\ト、}:/八{
            〃      ヽ\>‐<〉´│/Y `⌒!
                ハ      (   \  ∧ |/ {    〉
             /         \  } ∨  ∨┌ノ  ,_ノ
             ,′    丶   ∨      ゚| l/   /┘
            {          \j {ニニニフ | /  /
 
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 10:27:07.69 ID:Ghvzt2YKo

浜面がソープ行ったなんて知ったら先生怒るじゃん…
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 10:40:34.40 ID:kQuYwIJg0
シリアスといっておいてエロと思えるお風呂屋さんでコミュ障の一方の思考で笑わせる。
先がなかなか読めない。流石乙

短いなんて誰も気にしてないと思うけど、気になるなら打ち止めのオーダーに答えてくれれば
それだけで気がまぎれると思うよ。物は試しだよ。社会勉強だよ。
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 11:27:46.67 ID:a3Wjs0CSO

ケツ触って無罪とかうらやま死刑
総合で打ち止めと例のあの人の話書いてた人?
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 14:21:03.13 ID:JCgJwMlDO
チンチンしゅっしゅっ
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/11(月) 18:31:55.20 ID:kQuYwIJg0
>>580
それって上条×打ち止
バレンタインに一方にプレゼント等をがんばる打ち止めを言いくるめてやる上条のこといってるのか?

それ以外に打ち止め関連のエロ系SSとか?

なんにしても打ち止めエロ関連なら詳しくお願いします。
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/07/11(月) 21:36:32.43 ID:GmeumCT+0
さっき大人のおもちゃ買いに行ったら店が潰れてて涙目の俺が言うのもなんだけど 
ちょっとエロから離れろwww 
 
>>580が言ってるのはたぶん俺 
そして全然エロじゃない。裸のAA貼った事はあるけど 
 
ではシコシコ書き溜めてきます
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 21:45:45.36 ID:kQuYwIJg0
>>583
待ってます。そして>>580のこともできれば後で教えてください!
エロなんてなくてもいいんです!
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/12(火) 00:21:32.56 ID:TnRq5ibYo
チベット必死すぎワロタ
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/12(火) 10:13:46.67 ID:Ce7DSOlDo
落ち着け
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 16:40:38.40 ID:zYUJ1+WSO
素晴らしい逸材がおるな

>>584
名前を言えない例のあの人と打ち止めの短い小ネタ系だった
タイトルあったっけ?
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/15(金) 15:29:38.28 ID:HH8H9Wemo
チベットちょっと自重しろ
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/17(日) 19:42:33.31 ID:Af+aMLoxo
チベット香ばしすぎ

半年romれ
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/17(日) 23:10:06.61 ID:0jPM6MSr0
>>589
茨城からの放射線の香り、そんなに強かったかな?

強すぎて鼻血でも出ちゃったかい?
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 01:34:44.00 ID:W+eieYiDO
僕のストナーガンシャインが炸裂しそうです
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 08:03:25.44 ID:NvnPR/jDO
よみかわあああああああ
593 :591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 00:27:28.34 ID:bmefA+r10
もう今日しかないな。まってるぜ。
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/07/24(日) 00:11:49.62 ID:3bFmgVkY0
高級ソープ取材中ですねわかります
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 23:18:09.96 ID:7YDuEW3b0
もう八月だぜぅ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/05(金) 00:17:58.16 ID:JB+mBAmD0
ソープにはまっちゃったんだろ。

実際気持ちいいしな。無理も無い。
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/10(水) 23:36:04.92 ID:Y8inapWZ0
最近大きめの地震多いから、大丈夫だろうか・・・・
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 20:18:41.26 ID:io5CrQEDO

地震に驚いてタンスの角に小指ぶつけたのかも…



わぁっっっ ガンッ 
し…タヒんでる…
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 14:21:41.76 ID:44H1DEuv0
学園都市第1位も自分からぶつかるタンスの角には勝てなかったか。
モヤシだものなぁ
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 21:26:25.42 ID:Lu2g5LRH0
次週って言ってから一ヶ月・・・
本気で>>1が心配になってきた。
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/17(水) 09:32:34.57 ID:gzT0xNB10
書けなくなったならHTML依頼しとくようにね
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:36:58.71 ID:2SrtHmIv0
とりあえず先ず一言 
  
ごめんなさい 
 
 
地震じゃなくて台風でちょっと被害にあいまして(窓とPC) 
僅かな給料捻出して復活しました 
携帯から一報入れようかとも思ったけども、本人かも分からんだろうし、投下もできないから申し訳なくて…… 
   
大量投下は無理だけど少し進めます 
 
 
一身上の都合でAAはないのであしからず
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:38:23.82 ID:2SrtHmIv0
 
妙な形のイスに座らされた後。 
泡が二人の摩擦を最大限に無くし、俺の体を柔肌が縦横無尽に洗う。 
背中に強い圧を掛けて押し付けられるのも良し。 
先端だけ触れ、硬くなっている乳首で背筋をなぞられるのはなお良し。 
ゾクゾクと頭のテッペンから爪先まで痺れる様な快感。
イスの真ん中の窪みに手を潜らせ、後ろから竿を扱くように洗われる。 
玉袋、門渡り。さらにはケツの穴までもみしだかれ泡塗れにされた。 
さっき抜いたばかりってェのに、もうガチガチに硬くなって発射をまだかまだかと透明な汁を垂らしている。 
 
「流しますね」 
 
シャワーの温度を確認しながら、温くも無く、熱くも無い湯を掛けられる。 
 
「敬語じゃなくていいぞ」 
 
「そう?浜面くんって呼んだらいいかな?」 
 
ああー……。 
浜面の名前だったわ……。 
 
「まァいいンじゃね……」 
 
「下の名前はなんていうの?」 
 
下の名前? 
あいつ何ていうンだっけか? 
 
「あー……っと……」 
 
「言いたく無いなら無理に答えなくていいけどさ」 
 
泡を流しながら微笑みを浮かべる。 
 
「たけしだ」 
 
「えー?何かそれ今考えたっぽいよ」 
 
「やっぱ分かるか」 
 
「もぉ!嘘はダメだよ」 
 
「ハッ。わりィ」 
 
嘘はダメか……。 
俺の全部をブチ撒けたらどンな顔すンのかねェ。 
 
「今度でもいいからちゃんと教えてね」 
 
「へィへィ」 
 
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:41:50.75 ID:2SrtHmIv0
「湯船浸かる?」 
 
「ン?」 
 
湯船?別にいつもシャワーだから入らねェし、さっさとヤリてェンだが……。
風呂屋だから入るべきなンかァ……?  
 
「入らないならマット行くけど」 
 
マットと言われ、シャワーのすぐ傍にあるエアマットを見る。 
何すンだありゃ……。ベッドタイムはいつなンだよ……。 
 
「どうしたの?」 
 
「あァ?ちと待っとけ」 
 
「マットね!んじゃこっちに来て」 
  
おい!マットじゃねェ!待てっつったンだよ俺ァ!! 
抗議しようかとも思ったが、手を繋がれてエスコートされるとどォでもよくなった。 
何て魔性の女だこいつァ。どンどン本性現してきやがったァ。 
小悪魔ビッチさンですかァ!? 
 
「横になっててねー」 
 
「……おォ…」  
 
ぎゅむぎゅむと音を立てながら、マットの真ん中で仰向けになる。 
枕みてェにタオルあったから位置は間違ってねェはずだァ。 
女は洗面器で手を洗っている。 
何が始まるンですかァ!? 
 
「んじゃ始めるよー」 
 
その言葉の主を見ると何やらとろーっとしたものを両手につけて俺の体を触りだした。 
ローションか! 
 
「ぬゥっ……」 
 
「気持ちイ?」 
 
女の両手が太ももから始まり、骨盤を経由し腹、胸、鎖骨まで塗っていく。 
 
「おじゃまするよー」 
 
俺に跨り、自身の体を使っての快楽の奉仕。 
胸の感触がさっきの比じゃねェ。 
足から背中、腹、胸、首筋に至るまで。縦横無尽に柔肌が這いずりまわる。 
快楽の玉手箱やでェ。 
 
「こうしてると私もきもちよくなってくる…」 
 
熱い吐息が耳にかかる。 
 
「欲しくなってきたカモ…?」 
 
上ッ等じゃねェかァっ! 
 
「俺はいつでもいいぜェ……」 
 
「ほんとだ」 
 
白い歯を見せ笑い、手首をツイストさせながら俺のモノを撫で上げる。 
 
 
 
「挿れるね……」 
 
 
竿が先端に快楽を伴う滑りを感じた後、魅惑の穴に飲み込まれた。 
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:45:15.17 ID:2SrtHmIv0
 
 
………ふゥ。 
 
二人でドロドロに溶け合った後、汗とローションを流して湯船に浸かる。 
まさか中出しOKだとは思わなかったぜ。 
ガキ出来たらどうするつもりなンだァ?    
一抹の疑問も不安も洗い流す風呂はいいもンだ。  
 
「湯加減どう?」 
 
「大丈夫だァ」 
 
「そ。よかったぁ」 
 
言ってにこっと笑うその顔に引き込まれそうになる。 
 
「………なァ」 
 
「ん〜?」 
 
エアマットを片付けながら、返事を返してくる。 
 
「なンでここで働いてンだァ?」 
 
「………んー。働かないと生きていけない。からかなぁ?」 
 
働かないと生きていけない。 
女の発した言葉が頭の中で木霊する。 
 
「他に道がないわけじゃないだろうけどさ……」 
 
俯き独白するかの様に語る。 
 
「私。能力も発現しなかったし、研究所いける頭もないしさ」 
 
過去でも振り返ってンだろうか。途切れ途切れに語る。 
 
「置き去りだったから頼る人もいなかったし、借金もあるからさ。色々考えたら選択支、あんまり無かったんだぁ……」 
 
「そォか」 
 
自分で這い上がれず、周りから救いが無い人間。 
都市の、社会の闇に飲まれ生きるしか道が無かった人間。 
 
「借金いくらあンだァ?」 
 
「えー。それ聞いちゃう?絶対引くからやだよ?」 
 
間違いなく俺の方がでかい自信があるがな。 
 
「引かねェよ」 
 
「一千万くらい……」 
 
俯いたままポソっと呟いた。 
 
「はァ?」 
 
一千万?たったそれだけでこンな仕事してンですかァ? 
喉から飛び出そうになった言葉を飲み込む。 
待て待てェ。一千万か……。 
一般人にゃデケェ金額だァ。 
無能力で研究機関、学校で不採用になる程度の学力。 
すると必然と学園都市じゃ仕事も収入も限られる。 
残念だが喋った感じあまり要領も良くなさそォだ。 
となるとこれまた必然と企業関係の就職も限られる。 
借金の返済、最低限の生活資金を考えると低賃金の職は省かれる。  
残った職は風俗でした…か。 
唯一の救いはこいつの容姿が整ってる事とけしからンボディってとこか。 
 
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:45:42.48 ID:2SrtHmIv0
「ほら、やっぱ引いたでしょ…」  
 
沈黙を勘違いしたのか、悲観的な声を上げる。 
 
「いンや別に引いちゃねェよ。ただなァ……」 
 
「ん?」 
 
「今日で辞めろよここ」 
 
「えっ?」 
 
俺の言葉に眉を顰める。 
 
「いやいや、無理だし。私どうやって生きればいいのよ!?」 
 
目に力が篭り若干声を荒げる。 
 
 
 
 
 
「俺が出してやるよ」 
 
 
 
 
 
誰にも救われねェってンなら…………。 
 
少しだけ力を貸してやンよ。 
 
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:47:49.98 ID:2SrtHmIv0
 
 
――ガンッ!!ガタガタン!! 
 
警備員の詰所に響く音。 
蹴られて宙を舞ったイスがけたたましく転がる。 
八つ当たりも甚だしく、骨組みの曲がったイスが可哀想だ。 
その張本人。鉄装綴里が肩で息をし口を開いた。 
 
「黄泉川先生……落ち着いてくださいぃぃ……」 
 
鉄装の三倍肩で息をしている私。 
余りのイライラに鉄装を器物破損の犯人にしてしまうところだった。 
 
「ゼンっッぜん!落ち着いてるじゃん!」 
 
詰所にいた人間はまるで腫れ物を避けるかの様にデスクワークに勤しむ。 
 
「あぁぁ!!むっかつくぅぅぅ!!!」 
 
俯瞰すれば子供が癇癪を起こしている様に見えるかもしれないが、それには訳がある。 
 
「なんだあれは特別捜査チーム?誰があんなの呼んだ!?ていうかいつできたじゃんよ!?」 
 
ビルでの騒動の時応援を呼んだのはいい。 
詰所から応援人員が到着し、関係者を拘束というところで本部からの専門家(笑)等とのたまう輩が来た。 
本部からの委任状を印籠の如く掲げ。強制的に現場から私たちを外し。全ての仕事を掻っ攫っていったのだった。 
 
「あのタイミングで来るとか在りえないじゃん!!」 
 
「たしかに……」 
 
「あんな即席隠蔽チーム送った本部の人間は誰じゃんよ!?」 
 
「よ、黄泉川先生っ!?」 
 
口が過ぎるのは重々承知。だけど今回は止まらない。 
粛々と仕事をしていた人間もぎょっとした顔でこちらを見る。 
 
「どう考えてもあそこに肩入れしてる人間がいるじゃんよ」 
 
思想、金、交友。どんな関係があるのか知らないが不埒千万極まりない。 
人が大勢死んでるのだ。 
この都市に住んでいる者として、治安を守る立場の者として真実を明るみにだし、見極める必要がある。 
一方通行の手がかりになる予感があったのに、今はその切欠すら手放された。 
 
妙な緊張を持った詰所の中。 
自分のデスクに座り、考える。 
私の横で鉄装が飛んでいったイスを回収し、曲がった部分を直そうとしたが、力が足りずに諦め座る。 
 
 
鉄装のイスだったのか……すまん 
 
 
  
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:49:34.06 ID:2SrtHmIv0
初めて知ったが急に店を辞めたりすンのはご法度らしい。 
受付のババァが半ギレで叫びだしたのは夢にでそォだ。 
ゆりあは店にも借金と寮を借りていたから余計に辞められなかったが。 
金を積めばババァも黙ったし、店の借金もクリアした。 
第一位ナメンナっつの。 
 
「浜面くんって何してる人なの?」 
 
簡素な書類を片付けて晴れて無職になった女。 
残った借金も返済させた後の道すがら。 
 
「ここまでしてくれるし、お金どうしたの?」 
 
「マジメな学生だァ」 
 
「また嘘だぁ」 
 
「親が金持ちなンだよ」 

「そうなんだぁ。……いいご両親なんだね」 

しまったァ。こいつ置き去りっつってたな。  
 
「わりィ嘘だァ、親なンかいねェよ」 
 
「むー。嘘ばっかり」 
 
頬を大げさにぷくっと膨らませる仕草に萌えというモノを見出したかもしれねェ。 
 
「ついでに浜面なンてダセェ名前じゃねェ」 
 
「そこもなのね…。んで?」 
 
言葉を促される。 
 
「一方通行だァ」 
 
「あくせられーた?」 
  
能力名兼通称に目をパチパチさせてマジマジと俺を見る。 
第一位の名前くらい知ってたかァ? 
 
「外人さんだったの?」  
 
そォくるか。 
 
「チキュウ人だよ。バーカ」 
 
言ってさっさと帰途につくが、すぐに追いつかれる。 
 
「待ってよあっくん」 
 
「……なンだそりゃァ」 
 
「あくせられーただからあっくん。ダメ?」 
 
くりっとして聞かれる。 
 
「勝手にしろォ、つーかお前ンちこっちなのか?」 
 
「寮だから住むとこ無くなっちゃうし……仕事も…」 
 
あァそォかそォか。 
再就職先も面倒見てやらなきゃならねェのか。 
 
「仕事はおいおい探すけど、しばらくあっくんとこに居ていい?」 
 
おいおいおいおいおィィィィイイ!? 
同棲ってヤツですかそれェェエ!! 
 
「かまわねェよ」 
 
やったぜェ!!ヒーロー!俺にも彼女できたぜ! 
人助けしてみるもンだなァ!ぎゃは。 
 
「よかったぁ。よろしくね」 
 
すっと俺の手を握り。並んで歩く。 
更けていく夜。濃くなっていく闇。 
その夜よりもドス黒くなった俺に少しだけ。ほんの少しだけ柔らかい光ってのが見えた気がした。 
  
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:52:17.84 ID:2SrtHmIv0
 
ふーっとタバコの煙を吹きだし、ガシガシ頭を掻く。 
詰所の駐車場で冷たい夜風に当たりながら車のキーをポケットからだす。 
鉄装も周りも皆帰った後、一人考え事をしていた。 
結局何も浮かばない。 
考えることよりも動こう。 
自分の思うままに、結果はどうなるか分からないけど。 
 
車の開錠をし、エンジンをかける。 
 
携帯で桔梗の番号を呼び出し、コール。 
 
『もしもし?』 
 
「もしもし。ちょっと遅くなるから家のことお願いしたいじゃん」 
 
『分かったわ。愛穂、大丈夫よね?』 
 
……。 
 
「問題ない。すぐ帰るじゃん」 
 
『そう、ならいいけど……』 
 
通話終了。 
心配性な性格じゃないのに、ここまで言うってことはそれだけ私に落ち度があるんだろうな。 
考えすぎだ。色んな意味で。 
 
「さてさて、どこから行こうかなっと」 
 
アクセルペダルを踏み、車を発進させる。 
無くした切欠ならまた掴みに行こう。 
  
車内のBGMが耳障りに聞こえる。 
明るい雰囲気の歌を聴く気分じゃなかった。 
手元のリモコンを操作し、エンジンの音だけをBGMに宛のない学園都市へと進む。 
 
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:54:17.95 ID:2SrtHmIv0
 
 
「散らかっててせめェけど上がれよ」 
 
「おじゃましまーす」 
 
部屋の掃除も全然してねェ。 
まァいいか。急に決まったこったしな。 
 
「うわー。なんか色々……壊れてるね……」 
 
散らかってるってレベルじゃねェわなァ。 
窓とかは俺のいない間に修理されたみてェだが、私物込みで散乱した物までは掃除されてねェ。 
 
「あンま気にすンな」 
 
所在なげに立っているので、適当に座れと促すが、イスもクッションもソファーもねェ。 
自然と二人でベッドに座ることになる。 
 
「あっくんってさ。何してる人?」 
 
「したい事が無ェ人」 
 
「マジメに答えてよぉ」 
 
「マジでねェっての」 
 
「ふーん」 
 
俺のベッドの上に女が座ってるぜェ……。 
いいよな?いいンだよなァ? 
 
「ソッそれよりもよォ」 
 
「ん?」 
 
「寒かねェか?」 
 
「ちょっと寒いね」 
 
「こっち寄れよ」 
 
肩を抱いて引き寄せる。 
 
「痛いよ」 
 
「わ、わりィ」 
 
「優しくしてほしいな」 
 
 
 
 
ラブコメ万歳ィィイ!!! 
 
 
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/08/23(火) 02:57:49.16 ID:2SrtHmIv0
ここまでです 
 
早く終わらせようと思ったのにもう半年…… 
開き直って、時折また投下します 
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/23(火) 10:42:37.43 ID:2Cm3Eq1AO
大変だったみたいだね。乙
あっくンに春が来よったでェ…此処からまた堕ちていくのだろうか
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 14:38:54.60 ID:QBD3uHvD0
大変なようでお疲れ様です。

ラブコメ・・・?
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/08/23(火) 23:32:45.91 ID:JDJmvbfio


まぁ、好きな時に投下すればいいじゃん
気楽にやってくのが1番だよ
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/24(水) 10:23:51.90 ID:fmaFSMmAO

頑張れー
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 07:35:11.80 ID:ZkUIudWg0
借金が増えるよ!やったねあっくん!
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 12:41:04.10 ID:wM28aBBDO
まぁ1兆だろうと10兆だろうと還せない点で一緒だしな

ホリエモンみたいだが
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/27(土) 20:59:08.12 ID:kH6q/BcPo
あっくん心がDTのまますぎる
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/08/31(水) 22:07:00.68 ID:F2FDjSQl0
確かに
暗部落ちてんのにちょっと阿呆だぜ、あっくんェ・・・
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/21(水) 12:48:32.92 ID:+IHuy44d0
h
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/09/28(水) 13:55:18.09 ID:B1XdQZX+0
少し書く時間もできつつあるので、来週また顔だしますです 
 
というより超電磁砲二期とか禁書三期やらないのかしら……
622 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 19:19:13.23 ID:S44GWsiIo
よしきた待機!まってる
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 21:48:59.47 ID:J6PYy0zK0
我慢できねえ!
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/10/13(木) 21:05:55.81 ID:4rrfzDPr0
大変すみませんが、打ち切りとなります 
 
時間が取れないこともありますが、何よりも書こうとしても頭の中でキャラが動かない 
保存していたAAが消えてしまい、一から拾って改変などを考えると心が折れてしまいました 
一度始めたらやり遂げたい、半端はしたくはないのですが 
遅々として進まない現状を考えると、潮時であると思いました 
 
こんな作品と呼ぶのもおこがましい物に付き合ってくださった皆様に感謝を
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/10/13(木) 23:05:32.88 ID:4rrfzDPr0
話の展開としては 
 
一方通行 次の日ミーティングから帰ると男物の靴が玄関に 
     女の情夫が家に上がりこみ、恫喝をするが 結果撃った銃弾を反射し虐殺 
     時間が凍った部屋の中で呆然とする中、一連の騒動のボスが分かったと連絡がくる 
     この件だけ片付けて死のうと思い現地へ  
 
黄泉川  一方通行を探し情報を宛に、スキルアウトの溜まり場へ 
     半蔵と遭遇。互いの近況を話しているところに浜面が現れる 
     浜面から警備員の本部に近づくなと警告を受ける 
     言葉の真相を確かめる為、本部内の内偵を始める 
 
麦野   一方通行の自慰行為が発覚するよりも前に発足した新生アイテム 
     裏の仕事に手を染め、闇に生きてきたメンバーと表の世界で暮らしたい 
     ただそれだけの願っただけだったが、各人の学費、生活費、麦野の手術代、滝壺の通院費等 
     慢性的な資金難に陥っていた 
     学校へは行かせたい、普通の生活をさせてやりたい。しかし金がない 
     葛藤している中、以前仕事で付き合いがあった人間から、護衛の依頼がくる 
     金額から真っ当な仕事ではないと思いつつも、メンバーに黙って仕事を請ける 
     グループの下部組織を惨殺した後、絹旗に血の臭いがすると問い詰められ絹旗にだけ事情を話す 
     一方通行に敗北した後、冥土帰しの元へ運び込まれ一命は取り留めるものの、肩から乳房にかけての傷 
     左腕の消失。ぼろぼろの自分の肉体に絶望する 
 
浜面   黄泉川の家に泊まった時に打ち止めから食らったダメージは肋骨を折っていた為、コルセットを巻く 
     動き辛いながらも、学校とバイトに励むが。麦野が危篤だと知り病院へ 
     絹旗から事情を聞いた浜面は一方通行の顔を浮かべ拳を握り。対第一位の策の為に奔走する 
     麦野から依頼主が警備員の幹部であると聞く 
     半蔵の下へ武器を借りに行くものの黄泉川と邂逅 
     黄泉川に警告を残した後。半蔵の銃と防弾チョッキ、遺品である発条包帯を手に入れる 
     病院で絶望中の麦野と会話。自分の醜い体に耐えられない思いを汲むために麦野とセックスしてしまう 
     病室の外に滝壺がいるとは知らないままに 
 
 
一方通行がターゲットの位置へたどり着くが、そこに居たのは浜面 
互いの思いは会話にならず、結局LEVEL5とLEVEL0の戦いになる 
ベクトル操作の遠隔攻撃を発条包帯の機動力で回避しながら、一方通行の背後を取る 
近距離からの高威力銃撃 
失笑する一方通行は心の中で銃弾が反射され死ぬ浜面に別れを告げる 
銃声の後に倒れる浜面。捨てセリフを吐き捨てて能力を解除し、その場を後にする一方通行 
カツッカツと杖の音が響く中で弾ける殺気 
発条包帯で強化された回し蹴りをまともにくらい吹き飛ぶ一方通行 
腕を折られ押さえつけられ、浜面の言葉と共に拳を叩き込まれる 
 
殺すか殺さずか葛藤した浜面だったが、心のどこかで一方通行に同情し許してしまう 
駆けつけた黄泉川が一方通行を保護し、浜面を逃がす 
逃げ延びた浜面は滝壺の下へ帰る 
人を殺したにしては影の無い表情から、一方通行を許した事を滝壺から追求される 
滝壺は麦野が自分達の為に傷を負い、傷ついた事を悔やんでいた 
その結果傷が少しでも癒されるならば、と浜面との情事も腕が千切れる程噛んで声を押し殺し我慢していた 
激昂する滝壺に全てを知られていた浜面は、掛ける声も浮かばないまま 
滝壺が出て行くのを見ているだけだった 
 
病院で目を覚ますと黄泉川がそこにいた
一方通行の全てを許すと涙を流して伝える黄泉川 
黄泉川にしては自分の理念や存在意義、立場と生き方 
あらゆる葛藤を飲み込んだ末での決意だった 
告白を受けた一方通行は感謝だけ述べ、一人病院を後にする 
途中で自分を最初に殴り飛ばした無能力者から呼ばれた気もしたが…… 
 
滝壺が出て行った事を麦野と絹旗に知らせる浜面 
麦野は罪悪を感じながらも浜面無しでは生きていられないと感じていた 
絹旗はアイテム内の妙な関係に嫌気が刺しながらも、探しに行くといいそのまま失踪する 
二人だけになったアイテム。残った資金で小さな飲食店を経営しながら、残りの二人の帰りを待つ 
二人に分かるように店の名前はアイテムにして 
 
一方通行は自分にけじめをつける為に窓の無いビルへ 
統括理事長、アレイスターへ自分の身と引き換えに黄泉川、芳川、打ち止めの三人だけ 
絶対に手を出さないと確約を取り付けるためだったが、却下される 
逆に光の道を望む一方通行の真意や生き方を突いてくる 
「人並み以上の力を持つ人間が、人並みの道を歩けるはずが無い。道を照らす光になればいい」 
と諭される 
さらに続けて、就職先があるのだが話を聞いてみないか?と問われた 
それはさらなる戦いへの入り口だった 
 
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/10/13(木) 23:06:02.21 ID:4rrfzDPr0
芳川は無職と言われながらも、しっかり家賃や生活費は入れていた 
定期的に収入があった為だった 
収入源はレポートの提出 
題材は『超上的な力を持つ能力者の生活観測』 
特殊な環境で育ってきた一方通行の日常を観測し、次世代の能力者育成のマニュアル作成が目的らしかった 
こんな日記同然の代物に金を払う気が知れない。芳川はそう感じながら今日もレポートを送信した 
 
芳川からレポートを受け取った人物は欠陥の無いLEVEL5こそLEVEL6なのではないだろうかと感じていた 
誰からも愛され、誰よりも強く………。そうした英雄が突然でるはずもない 
自分で作らねば成らない。何度か試したがどれもLEVEL6と呼ぶに相応しくない代物だった 
もっと観察しなければ、研究しなければ。そこに至ったのが人間の肉体や精神、魂と呼ばれるものに近い存在の研究だった 
しばらく隠者の様に暮らし研究したが、そろそろ表にでる時かもしれない 
木原幻生は久しぶりに顔なじみの医者にでも挨拶に行こうかと思っていた 
 
遠くない未来 
 
能力開発も精度を増し、LEVEL5達が大人になった頃 
学園都市はさらに混沌としていた 
能力者犯罪が横行し、無能力者は団結し武装する 
年々大人になった能力者が増え、平和な日常は以前よりも少なくなっていた 
昨今世間を騒がせるのは、幻想猛獣の突然発生 
何者かがAIM拡散力場に干渉し、収束させているのが原因らしかった 
その周囲に点在する不可視の強化鎧を身に着けているテロ組織 
失踪した二人に何か関係あると思わざる得ないアイテムの二人だった 
 
そういった極度に大きな事件は一般の警備員では手に負えなかった 
銃火器も通用しない相手に無能力者は成す術もない 
目には目を、能力者には能力者を 
そういった基本理念から発足された特殊な部隊があった 
少数精鋭とは聞こえがいいが、入隊にはLEVEL5級の力が必要なことから単純に入れる者が少ないだけ 
AIM拡散力場の収束を関知し、一人の隊員が駆けつける 
学園都市の希望、光の救世主等呼ばれる反面。破壊の権化、一ややこしいのが十ややこしくなる等と言われたり 
時間制限付きの英雄はそんな噂を少し気にしながらも事件を解決する 
事件を片付けた後のコーヒーは格別、それが同居している上司の淹れてくれた物ならばなおさらだった 
 
帰還しようかという所で報道関係に足止めを食らう 
女のリポーターからインタビューをされる 
下がれといってもしつこく食い下がってくるから仕方なく答える 
他愛のあい事から、組織のことなどなど 
うんざりしてそろそろ切り上げろと普段の彼からは数段丁寧に進言する 
最後に一つだけと言われる 
「今までどれくらい人を救ったんですか?」 
ありきたりな質問に今までの人生がリフレインする 
殺した人間、救えなかった人間、救った人間 
彼の心中など知らずにリポーターは回答を急かす 
そして彼はつっけんどんに答える 
 
「30人くらいまでは数えてたけどなァ」 
 
 
 
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage saga]:2011/10/13(木) 23:11:38.07 ID:4rrfzDPr0
こうやって概要だけでも二時間かかっとる…… 
次作は全部完結させてから投下します  
 
ちなみにAAの方はしっとマスクになって復讐に行くが、また事故で病院に送り返されて記憶もどったり 
病院の廊下で一方通行を見つけて声を掛けるも、そのまま窓から放り投げられたり 
碌な目に合わないかと思ったけど、やっぱり碌な目に合わない展開でした 
 
ではHTML依頼してきます 
 
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/13(木) 23:13:25.92 ID:K2BkVJ+fo
>>627
乙でした
プロットはしっかり出来てたんだな…
なかなかの長編になる予定だったのか、読めなかったのが残念でならない…
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/13(木) 23:38:04.01 ID:a3FpxFZqo

面白かった
次回作も期待してる
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/14(金) 03:07:34.89 ID:QAuqz6N60

完結を見れなかったのは残念だが、仕方ないな

プロットを見た上でこれを言うのはどうかと悩んだが、せっかくだし言っておこう
結標のくだりは最高でした、どうもありがとうございました
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 12:38:50.59 ID:Tn61+wkSO
プロット見て尚更完結して欲しいわ
残念
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/10/14(金) 19:11:05.95 ID:8bm14yEco
まじかよ……
楽しみにしてたのに残念だ

まぁ、なにはともあれここまで乙でした
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 01:20:49.42 ID:VpEKjOZYo
乙とだけ
また機会があったら頼むよ
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/18(火) 16:22:57.90 ID:+gKROQ0Xo

いま見つけて追いついたけどこんなのってないよ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] :2011/10/18(火) 17:18:26.31 ID:x+9xRDkI0

プロットとはいえ最後まで読ませてくれてありがとう
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