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アムロ「絢爛舞踏?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 05:40:15.82 ID:W1ZDpevAO
VIPに立てたスレが落ちたのでここで気ままに続けようと思います


前のスレ
アムロ「絢爛舞踏?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1298815437/
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 05:48:41.40 ID:W1ZDpevAO
本編の前に前スレ>>294の質問に答えます

長編短編問わず小説を書いた経験はないです
読書が好きなだけの全くの素人です
(榊ガンパレは未読なので原作準拠のネタは全てゲームが元です)

読みづらかったらごめんなさい
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 05:59:40.11 ID:W1ZDpevAO
クインシィ「……来たか、アムロ」

クインシィのいた場所は、屋上だった。

―それも、5121小隊のプレハブ校舎のではなく、コンクリートで作られた尚敬高校の校舎の屋上であった。

5121小隊は尚敬高校に間借りしている立場だ。

女子校である尚敬高校には、5121小隊の隊員には移動制限がかけられている。

アムロ「こんなところにいられちゃわからないはずだ……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:06:33.88 ID:W1ZDpevAO
目の前のクインシィはご丁寧にも尚敬高校の制服を着用していた。

その制服があれば尚敬高校内を自由に動けるし、5121小隊の面々が尚敬高校内を歩くのは移動のための一階部分に限られていた。

完全に盲点を突かれた形だ。

クインシィ「よくこの場所がわかったな」

アムロ「関係ないだろ」

クインシィ「それにその格好でよくここまで来れたものだ……それがニュータイプの素質とやらか」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:13:04.48 ID:W1ZDpevAO
実際、アムロがここにたどり着くためには、尚敬高校の女子生徒に見つからない必要があった。

尚敬高校の生徒のほとんどが5121小隊を嘲笑の対象にしており、通過が認められている一階の一部以外で彼らを見つけた場合はほぼ騒ぎになってしまう。

アムロはクインシィに会うために、その恐るべき集中力を駆使して、放課後の校舎内をランダムに移動する尚敬高校の女子生徒たちの目を全てかいくぐっていた。

クインシィ「人間業じゃないよ、アムロ……」

アムロ「(…さっきから何を言ってるんだ?)僕の話を聞いてくれ、クインシィ」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:20:32.81 ID:W1ZDpevAO
アムロは会話を断られることも覚悟していたが、クインシィは素直に話を聞く様子を見せた。

アムロはそれを意外に思いながらも、自分が今不安に思っていることを包み隠さず話した。

……当然、「自分を殺したいのか」などとは言わなかったが。

クインシィ「……言いたいことはそれだけかい、アムロ」

アムロ「ああ、そうだ……」

クインシィ「いいだろう、お前の質問には答えてやる。そのかわり」

アムロ「……」

クインシィ「その後私からも聞きたいことがある。できるだけ正直に話して欲しい」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:29:39.26 ID:W1ZDpevAO
どんな交換条件を出されるのかと身構えていたアムロは拍子抜けした。

アムロ「なんだ、そんなことでいいのか。」

このような場合、クインシィが「私の質問に答えてから」という条件を付けても不思議ではない。

むしろそっちの方が自然だと思うのだが……

クインシィ「お前の性格なら、私が真摯な受け答えをすれば、私の質問にも素直に答えざるを得ないだろうからな」

アムロ「……っ」

見抜かれている。

自分の誠実な性分を見抜いた上でこんなことを平然と言ってくるとは。

クインシィ「私はお前のパートナーだからな」

クインシィは誰に聞かれるともなくそう言った。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:38:31.68 ID:W1ZDpevAO
アムロ「ならどうして!」

クインシィ「まずお前たちと授業以外で顔を合わせなかった理由。これは単純明快だ。私はやることがあって忙しかった」

アムロ「……」

クインシィ「私が何者なのか聞いたんだろ?」

クインシィはアムロが自分を見る目が変わっていたことに気づいていた。

いつもそうだ。

私の身分を知っている相手は最初から私に媚びへつらう。

知らなかった者も、ある日急に私の顔色を窺いだすようになる。

クインシィ(まあアムロに媚びる態度は見られないが……戸惑いは隠せていないよ、アムロ)
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 06:52:32.10 ID:W1ZDpevAO
アムロ「ああ聞いたさ。正直驚きもした。でもクインシィだって僕と話そうとすらしてくれなかったじゃないか!」

クインシィ「……それは」

アムロ「正直に話してくれクインシィ。僕と顔を合わせなかった理由。」

アムロは、クインシィが死にたがっているという自分の予想は間違っていたと思っている。

自分と顔を合わせない間も彼女を訓練場で見た者は何人かいたし、どうも自分が見ていない間に仕事もしていたらしいことに気がついた。

特にアムロの苦手としている照準装置の数値が格段に上がっていたのだ。

頭に血が上った状態だったとは言え、アムロはそんなことにも気づけなかった自分を恥じた。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 07:07:06.78 ID:W1ZDpevAO
アムロ「なあクインシィ……」

そう言ってアムロはそれまでうつむいていた顔を上げた。

アムロ「ど、どうしたんだ!」

クインシィの顔は真っ青で冷や汗をかいている。どことなく儚げな表情は、いつものクインシィとは別人のように思えた。

依衣子「私……私は……」

アムロ「……君は、不安なのかい?」

アムロは無意識に「クインシィ」という呼び名を封じ込めていた。

何かに怯えるように震える目の前の少女は、クインシィとは別人のように思えたのだ。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 07:23:21.04 ID:W1ZDpevAO
アムロは食事会でのヘンケンとの会話を思い出していた。

アムロ(彼女は戦争から逃げようと思えばいくらでも逃げられるはず……)

アムロはクインシィが身内に完全に見捨てられている線はないと判断した。

5121のハンガーには、イサミ社系列の最新機器が毎日のように運び込まれているからだ。

アムロ(彼女は……戦わなければならない理由があるのか)

それが何なのか自分には想像もつかない。

自分の命の危険をおかしてまで戦わねばならない理由とは何なのだろう。

アムロ(それが……彼女が自分の命よりも大事だと思うようなことなのか)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 07:39:50.42 ID:W1ZDpevAO
アムロは、目の前でなおも震え続ける少女に向かって尋ねた。

アムロ「君は……戦うのが怖いの?」

依衣子はかすかに頷いた。

アムロ「それならどうして戦うの?」

依衣子「……依衣子は……パパとママの役に立たないといけないの……」

アムロ(彼女の両親?確かバイオテクノロジーの研究者だって聞いたが……)

依衣子「依衣子は……パパとママの期待を裏切る悪い子だから……」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 07:44:55.03 ID:W1ZDpevAO
アムロ「……」

依衣子「依衣子に素質が無い……から……けんきゅう…すすまなく…て……」

依衣子の声が次第に途切れ途切れになっていき、ついには前のめりに倒れかかった。

アムロは慌ててそれを受け止めると、同時に高校中にサイレンが鳴り響き、左手首に埋め込まれた多目的結晶体に緊急通信が入った。

――5121小隊に、召集がかかってのだ。

アムロ(最悪のタイミングだ……!)

アムロは顔が青くなったが、迷っている暇は無かった。

気絶している依衣子を抱えて、女子生徒の悲鳴が飛び交う尚敬高校の階段を全速力で駆け下りていった。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 10:22:35.03 ID:W1ZDpevAO
尚敬高校の廊下にシャアの声が響く。

シャア「201v1、201v1、全兵員は現時点で作業を放棄。可能な限り速やかに教室に集合せよ。

繰り返す。201v1、201v1、全兵員は……」

アムロが教室に戻るとほとんどのクラスメートが緊張の面持ちで席についていた。

彼らの緊張が伝染したかのように、アムロはプレッシャーで足が竦んだ。

クインシィ「ぼやぼやするな。早く教室に入れ」

背後から少女の声がかかる。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 10:29:36.85 ID:W1ZDpevAO
クインシィはアムロに担がれて移動する最中に目が覚めていた。

これは何事かとクインシィは文句を言いかけたが、周囲の異様な雰囲気を察知して、アムロの「滑って転んで気を失った最中に召集がかかった」との説明をしぶしぶながら受け入れた。

アムロはと言えば、先ほど屋上で見せた様子とは違う、普段通りのクインシィに戻ったことに安堵していた。

途中、肩が下ろされたた後も、自分に負けない速さで教室まで走ったクインシィを見て、最悪の事態は免れたことを悟った。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 10:41:42.37 ID:W1ZDpevAO
アムロ達の乗る複座型は、小隊随一の火力を誇る戦力の要だ。
それが出撃できないとなると、戦力は半減に近い状態になる。

もしもクインシィの覚醒が間に合わなかったり、目覚めたクインシィが「屋上の彼女」のままだったとしたら……

アムロ(あんな怯えてた彼女を戦場には引っ張り出せないよな)
それを思うと、普段は嫌みにしか思えない尊大な態度も今は頼もしく思えてくるから不思議である。

アムロが着席して間もなく教室のドアが開き、シャア隊長が入ってきた。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 11:01:34.22 ID:W1ZDpevAO
シャア「みんな揃っているか……ん?ファ事務官がまだのようだな」

教室は一瞬ざわついたがすぐ収まった。

ファが何かに遅れたりする時にはどんな事情があるのかは、小隊の全員が知っているからだ。

ファ「すいません、遅れました!」

ファが教室に駆け込んできた。

シャア「57秒の遅刻だ。ファ戦士、しっかりしてくれ」

ファ「すみません……」

シャア「君がカミーユの世話に追われているのはわかっているが、有事の際にこれでは困る。何せ、君がいないと指揮車を動かすことができない」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 11:13:06.45 ID:W1ZDpevAO
1組の生徒はファに同情的だ。

不慮の事故によって半身不随となったカミーユ・ビダンは車椅子なので、生活の一部分では介護者を必要としている。

段差ひとつ越えるにも人の手を必要とするカミーユを、彼の幼なじみであるファは献身的に支えた。

事故の影響で元の明るい性格はなりをひそめ、悲観的で皮肉ばかり言う感情的なカミーユに健気に尽くすファの様子は、何か弱味でも握られているのではないかと勘ぐられるほどだった。

ファが着席すると、シャア隊長が今回の作戦の説明を始めた。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 11:38:33.95 ID:W1ZDpevAO
シャア「今回の作戦は人吉地区の防衛である。友軍からの支援要請を受けた形だ。」

シャア「人吉地区は人類優勢の地区であるから、ミノタウロスやスキュラといった大型幻獣が出てくる可能性は非常に低い」

小隊内から安堵のため息が漏れた。

その様子を見渡したシャアは厳かに口を開いた。

シャア「みんな、聞いて欲しい」

シャア「諸君らはこれが初陣だ。そして、初陣での新兵の死亡率も知っていることと思う」

教室内に重苦しい空気が流れた。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 11:58:28.38 ID:W1ZDpevAO
シャア「私は先日諸君らに遺書を書いてもらった。当然だ。全ての兵士は初陣前に遺書を書くのだから」


シャア「しかし」


シャア「ただの数字も遺書も、我々を[ピーーー]ことも生かすこともできない。」

シャア「我々は今日のために必死にやってきた。もちろん時間は充分だったとは言えないが、各々が自分のできる最大限の努力をしてきたことも知っているよ」

シャア「私は君たちが今日の戦いで勝利することを信じている」


シャア「……もうあまり時間がないな」

シャア「現地までの移動には少々時間がかかる。作戦の詳細のデータは送ったから各々確認するように」

シャア「それと、道端でウォードレスに着替えたくない者は急げ。3分後にハンガー前集合。以上だ」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:00:17.97 ID:W1ZDpevAO
[ピーーー]は
こ ろ す です
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/03/01(火) 12:06:34.61 ID:BixV3ZZAO
メール欄に「sage saga」を入れると[ピー]避けになるよ

殺す

がんばれ、応援してる
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/01(火) 12:17:40.83 ID:BixV3ZZAO
チト助言が正確じゃなかったんで、付け加えるが、「saga」だけでも[ピー]避けになる

殺す

↑のレスみたいに「sage」とも併用できるのも、覚えとくべし
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:18:30.41 ID:W1ZDpevAO
―3分後

ハンガー前の広々としたスペースに、トラック3台と指揮車が止まっている。
トラックの荷台には、すでに2組の生徒によってそれぞれ人型戦車が積まれていた。

ティファ「……」

それを不安そうに見上げるティファ。

彼女はウォードレスを着ていなかった。衛生官である彼女は留守番だからだ。

アレンビー「そんな顔しないでよ、ティファ!」

唐突に話かけられたことに驚いたが、ティファは以前のように動揺しなくなっていた。

ティファ(アレンビー……)

アレンビー「幻獣なんてちゃっちゃとやっつけて、すぐ帰って来るからさ!」
25 :テスト [saga]:2011/03/01(火) 12:20:59.34 ID:W1ZDpevAO
殺す
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:22:51.09 ID:W1ZDpevAO
できた!ありがとうございます

励ましのお言葉すごく嬉しいです
頑張ります
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:31:54.25 ID:W1ZDpevAO
ティファは思った。

大佐にもアレンビーにも、アムロにも……5121小隊の人たちには死んでほしくないと。

しかし、戦闘が始まってしまうと自分にできることはない。

ティファは己の無力さに泣きそうになった。

アレンビーはそんな友人の様子を見て頬をかいた。

アレンビー「ティファ」

ティファ(……)

アレンビー「私、ティファのそんな顔見たくないな」

ティファ(……!)

それを聞いてますます泣きそうになるティファ。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:37:13.69 ID:W1ZDpevAO
アレンビー「だからさ、この戦いが終わるまでに、笑顔の練習しといてよ」

ティファは驚いた表情でアレンビーを見上げる。

アレンビー「私ティファの笑ってる顔が大好きだよ!」

アレンビー「だから、ティファが笑って迎えてくれるなら……」

アレンビー「私はそのために、ティファのところに帰ってくるよ」

それだけ言うと、照れたアレンビーはくるりと体を反転させ、二号機の積まれているトラックに向かって駆け出した。

アレンビー「約束だからね、ティファ!」

そう言って遠ざかる友の背中を、ティファはまばたきもせずに見つめていた。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 12:57:46.81 ID:W1ZDpevAO
アムロは今まさにトラックへ乗り込もうとする刹那と目が合った。

アムロ(もしかしたら、刹那と顔を合わせるのもこれが最後になるかもしれない……)

そんなことがふと頭をよぎった。

戦闘前に不吉なことを考えた自分が情けなく思った。

刹那「……アムロ・レイ」

アムロ「なんだい、刹那」

アムロは自分の考えていたことが刹那にばれていたらどうしようと一瞬思った。

刹那「お前に背中を預ける」

刹那は短くそれだけ言うと、トラックに素早く乗り込んだ。

アムロ(照れてるのか……?)

アムロは苦笑しながら、親友が無茶な突攻だけはしないようにと祈った。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 13:11:07.52 ID:W1ZDpevAO
アムロがトラックの荷台に乗り込むと、間もなく発進した。

複座型が積まれたトラックの荷台には、機体のチェックに余念のないソシエと、多目的結晶体に送られて来た作戦内容をチェックするアムロとクインシィの姿があった。

トラックはイサミ社の傘下にある伊佐未重工製であり、デリケートな人型戦車を運ぶための特別モデルで、その振動は極めて少ない。

そのため、エンジンのかすかな音と、ソシエの扱う機械がときたま放つうなり以外は―基本的に無音である。

アムロ(き、きまずい……)
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 13:36:15.30 ID:W1ZDpevAO
クインシィと二人きりならまだしも、ソシエもいるこの場では突っ込んだ話はできない。

アムロはとりあえず、今回の作戦内容についての話をしようと思った。

今日の話の続きをするには、今回の戦闘で生き残るしかないのだ。

アムロ「今回の作戦……クインシィはどう思う?」

クインシィ「妥当だろうな。個々の特徴を生かした作戦になっている。さすが、と言ったところか」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 13:53:23.64 ID:W1ZDpevAO
アムロの感想もクインシィと同じだ。

今回は名目上は友軍の支援ということになってはいるが、「新たな幻獣戦力が交戦中のエリアに合流するのを阻止して欲しい」とのことであり、実質的には5121小隊だけで敵に対応することになる。

作戦はこうである。

刹那機を中心に、その両隣にアレンビー機と複座型。そしてアレンビー機の隣に東方不敗、複座の隣にドモンを配置する。

小隊一の機動力をもつ刹那機がまず敵に向かい、敵を引きつける。

アレンビー機、複座型が射撃でそれを援護し、スカウト2名は幻獣の目標を分散させるために両側から攪乱させる。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:04:24.01 ID:W1ZDpevAO
幻獣を攪乱しつつある程度数を減らしたところで、刹那機とスカウト2名は一気に戦線を下がる。

それを追いかけてきた幻獣の群れを、待ち構えていた複座型のミサイルで一網打尽にする――


クインシィ「私の腕もずいぶんと買われたものだな」

クインシィは機嫌がよさそうに言った。
おおかた、パイロット試験時の記録を見た司令の判断であろう。

作戦の要とも言える役目にアムロは嘆息した。

アムロ「……パイロット試験の時みたいにうまくいくとも限らないだろう」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:17:13.41 ID:W1ZDpevAO
クインシィ「どうしてだ?」

クインシィはきょとんとした様子で聞き返す。

クインシィ「私もお前も、訓練を重ねてきた。体力はあの時よりもついているし、シミュレータでの射撃精度も上がってる。仕事だってきちんとやってきたから機体も問題ない」

アムロは頭痛のする思いだった。

アムロ「僕たち……あれから会話だってまともにしてなかっただろ」

クインシィ「そんなの問題ない。私たちの相性は最高なんだ」

アムロは虚を突かれ、言葉が出ない。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:21:32.81 ID:W1ZDpevAO
クインシィ「私たちを除いて、真の連携を取れる複座型パイロットは存在しないんだよ、アムロ」

アムロ「なっ……」

アムロは目を白黒させた。いくらなんでもそれは言い過ぎである。エースと呼ばれる複座型パイロットも少なくない。

クインシィはアムロの思考を読み取ったのか、ニヤリと笑った。

クインシィ「私たち以外の複座型パイロットが連携が取れていると思っていたとしたら、それは間違いなんだよ、アムロ。それは取れた『つもり』になってるだけだ。」

アムロは、クインシィの自信の根拠が全くわからず唖然としていた。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:28:52.60 ID:W1ZDpevAO
クインシィはクックッと笑った。

クインシィ「肩の力は抜けたか、アムロ。」

アムロ「あ……」

アムロは、クインシィと話しているうちにリラックスしていたことに気がついた。

クインシィ「私はお前の腕を信頼している。……命を預けるに足る腕だと」

アムロはぞくりとした。

アムロは普段からクインシィのことをそれほどよくは思っていない。

しかし、パイロット試験の時も今も、彼女の言葉で奮い立つ自分がいることに気が付いた。

アムロ(相性がいいって、こういうことなのかな……?)

ともあれ、戦場に着くころにはアムロのコンディションは最高潮に達していた。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:43:00.35 ID:W1ZDpevAO
トラックは戦場近くまでやってくると、整備士たちが素早い手つきで士魂号の起動準備をしていた。

ソシエ「三号機複座型、準備できたわよ!」

士魂号複座型の、二人で乗るにはいつ見ても狭すぎるコクピットに、クインシィとアムロは身を滑らせた。

ハッチを閉めようとしたソシエにアムロが声をかける。

アムロ「ソシエさん、僕……」

ソシエ「フフッ、気を使わなくてもいいのよ、アムロ」

ソシエ「それより、ナナイ主任や仕事の愚痴を聞いてくれる相手がいなくなると困るから……絶対に帰ってきなさいよ!」

アムロ「は、はい!」

驚いて声の上擦るアムロにほほえみかけながら、ソシエは複座型のハッチを閉めた。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 14:53:38.68 ID:W1ZDpevAO
ウォードレスを身にまとったナナイはパイロットが全員士魂号に乗り込んだことを見届けると、自ら全機の起動チェックを行った。

ナナイ「司令、問題なさそうですわ」

シャア「すまない。……」

ナナイ「野暮は言いっこなしですわ。戦闘終了後にまたお会いしましょう」

シャア「ああ。後ろを頼む」

シャアはそれだけ言って、待機していた指揮車に乗り込んだ。

ナナイはその後ろ姿を見届けると声を張った。

ナナイ「システムオールグリーン。全機クールよりホット!」

その声に合わせ、彼女の手足たる整備士は一斉に作業に取りかかった。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 15:13:57.21 ID:W1ZDpevAO
シャア「聞こえるか、みんな」

シャアの声がコクピット内のスピーカーから聞こえる。

シャア「私も指揮車両で戦場に出る。君たちのように直接幻獣と組することはないが、気持ちの上では君たちと変わらないつもりだ。」

シャア「……総員配置につけ。作戦開始まであと180秒。」

見晴らしのよい戦場で、戦士たちは静かにその時を待った。


シャア「……幻獣の数と規模は算定できたか」

ムゥ「ああ、もう解析データを各戦車に送ったぜ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 15:23:32.28 ID:W1ZDpevAO
セイラ「ゴブリン、ゴブリンリーダー、ヒトウバン、ナーガ、キメラで編成されているようです。増援部隊なだけに主戦力になるような強力な幻獣はいないようですわ。」

シャア「フム……念のため、味方機がキメラのレーザーの射程圏内に近くなって来たらスモークを焚こう。ムゥ戦士、準備頼む。」

ムゥ「了解っと」


東方不敗は、久々に感じる戦場の空気に高翌揚感を感じていた。

見晴らしのいい岩壁の上で時を待つその視線は、彼方の幻獣の群れを捉えていた。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 15:31:12.59 ID:W1ZDpevAO
第四世代の肉体でウォードレスを纏えること自体冗談のような話だが、あろうことかその手には何の武器も携えてはいなかった。

東方不敗「ククッ……久々に血が騒ぎよるわ」

東方不敗の内側では闘志の炎が燃えていたが、しかし岩壁の頂点で片足の爪先立ちをしている足元は微動だにしなかった。


アレンビー(ティファ……)

刹那(俺は……負けない!)

ドモン(…………)


それぞれがそれぞれの思いを抱きながら、戦いの時は刻一刻と迫っていった。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 15:38:31.01 ID:WLiWEpZAO
細かいことだけど、×ムゥ ○ムウさん だよね
がんばれがんばれ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 15:47:12.48 ID:W1ZDpevAO
指摘ありがとです

あと士魂号は○号機じゃなくて○番機だということに今気づいたorz
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 15:55:34.05 ID:W1ZDpevAO
シャア「時間だ。作戦を開始する。各員、健闘を祈る!」

パイロット・スカウト・オペレーター「了解!!」


開始の合図とともに、刹那の2番機が猛然と駆けて行った。

アレンビー「ちょ、ちょっと!先行しすぎ!!」

アムロ「落ち着けアレンビー。作戦の予想より敵までの距離が少し遠い。僕たちも前進するぞ」

アレンビー「言われなくたって!」

アレンビーたちは前線で戦う刹那を援護する役目だ。

刹那のほど近くまで射程の届く範囲にいなければ、刹那は袋叩きにあってしまう。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:08:06.21 ID:W1ZDpevAO
作戦は概ね順調にいっていた。敵がさほど強くないせいもあり、スモークで敵のレーザーを封じ込めれば、前線の3人だけでも事足りるように感じられる程だった。

セイラ「2番機ゴブリンリーダー撃破!これで4体目よ」

ムウ「東方不敗戦士キメラ撃破!ドモン戦士ナーガ撃破!」

絶え間なく入ってくる撃破報告に、指揮車の面々は勝利を確信した。


――しかし。

セイラ「司令。友軍から通信が入っています。」

シャアは嫌な予感がした。が、それをおくびにも出さずに通信を回すようセイラに言った。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:22:52.24 ID:W1ZDpevAO
シャアの悪い予感は当たった。

友軍の撃ちもらしたミノタウロス2体が、この戦場にかなりのスピードで向かってきているらしい。

シャア「ええい……味方は何をやっている!」

シャアは歯噛みした。

パイロット達は初陣ながらも、プレッシャーや恐怖と戦いながらよく頑張っている。

しかし、過度な精神的ストレスはいずれ肉体にも影響してくる。

時間が経つにつれ集中力や判断力が鈍るのはしょうがないが、その疲れが肉体に一気に出てしまったら……

シャアはそうなることを恐れ、今回の戦闘を早めに終わらせたかった。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:31:52.38 ID:W1ZDpevAO
パイロット達は既に勝利を確信している。

この状況から敵の援軍が迫っていることを聞いて、果たしてパイロット達がテンションを保てるのか?

しかも相手はミノタウロスだ。スモークが効かないし、近接戦闘に特化した個体だからベテランとは言えスカウトを宛てるのも危ない。

あの二人ならあるいは……とも思うが、万が一ミノタウロスにやられでもしたら、パイロット達のメンタルがそれこそ取り返しのつかないことになりかねない。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:39:39.32 ID:W1ZDpevAO
人型戦車が横たわっているならまだしも、ウォードレスを着ただけの生身の人間、しかもそれが慣れ親しんだクラスメートの変わり果てた姿だったら……?

おそらく優しいアレンビーは精神を砕かれてしまうだろう。

他のパイロット達も、戦うことはできても正常な判断ができるとは思えない。

そうなったら、下手をしたら全滅である。

そうこう考えているうちに、味方部隊は幻獣を殲滅してしまう。

勝利に湧いた心を再び戦場に向ける方法……

シャアは、自分が泥を被る決意をした。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:50:23.81 ID:W1ZDpevAO
セイラ「3番機、ナーガ撃破。敵、全滅……です」


アムロ「さすがの腕だな、クインシィ」

クインシィ「ああ。ミサイルを使う必要すら無かったのは拍子抜けだがな」

アレンビー「みんな、お疲れさま!刹那すごかったねー」

刹那「……援護がなければこううまくもいかなかった。」


はしゃぐパイロットの面々。

しかし、歴戦の戦士であるスカウトの二人はなにやら不穏な気配を感じて、多目的リングを通じて通信していた。

東方不敗「ドモン……なにやら気配が妙だな」

ドモン「はい、俺もそう思います。戦闘終了の通信が入らないのもおかしい」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 16:58:17.58 ID:W1ZDpevAO
そこへ緊急の通信が入った。

シャア「パイロット、スカウトの諸君、聞いてくれ。今そちらにミノタウロス2体が接近している。予想では到着まであと480秒」


刹那「……!」

クインシィ「クッ……」

アレンビー「嘘、でしょ……私たち勝ったんじゃないの……?」

東方不敗「やはりか……」

ドモン「ミノタウロス……厄介な相手だ」

スカウト達はあらかたの予想がついていたため落ち着いていたが、パイロット達はみな一様に動揺しているようだ。

シャア(やはりな……)
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:07:04.40 ID:W1ZDpevAO
シャアが言葉を続けようとした途端、通信回線が切り替わった。

ムウ「大変だ、みんな。そのミノタウロスの進行方向には戦争孤児を収容した施設がある。」

刹那「!!」

アレンビー「なんですって!?」

ムウ「俺たちがここでヤツらを食い止めないと、子供達に危険が及ぶかもしれない……俺は、さっきの戦闘で見事に勝利したお前らならなんとかできると思うぜ」

通信が再び切り替わる。

シャア「そういうことだ。当初の予定と異なってしまったが。銃後の人々は我々の役目だ。まだやれるな。」

ムウとシャアの言葉に、パイロット達の目に再び闘志がみなぎった。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:20:47.80 ID:W1ZDpevAO
シャアは、2体がほぼ同じスピードで近づいているので2体を同時に相手にせねばならないこと、整備班にトラックを回させたので、全速力で後退すれば装備の交換程度なら可能であることを述べた。

それを聞き、猛スピードで後退を始める1番機と2番機。

―が、3番機はその場に突っ立ったままであった。

シャア「どうしたアムロ、聞こえてなかったのか」

アムロ「いえ、クインシィがそんなものいらない、って……」

3番機の銃器の操作はクインシィが一手に引き受けている。

そのクインシィがいらないと言えば、アムロの意志で後退したところで意味はなかった。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:30:00.08 ID:W1ZDpevAO
クインシィ「隊長。2体を同時に相手にするということは、部隊を分けるんだろう。」

シャア「いや、今日が初陣の君たちにそんな無茶はさせられんよ。」

クインシィ「隊長、1体はこの複座型に任せてくれないか」

アムロ「な、何を……!」

シャア「ふむ……君のことだ、無策でそんなことを言うはずがあるまい。話を聞かせてもらおう」

アムロ「隊長まで……」

アムロはコクピットの中で頭を抱えた。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:40:11.62 ID:W1ZDpevAO
シャア「ふむ……それは面白いかもしれんな」

クインシィ「だろう?かなり現実的な策だと思うが」

シャア「いや、念のためドモン戦士を付ける。攪乱役がいれば成功率は上がるだろう」

クインシィ「ふん、まあいいだろう。」

シャア「3番機はドモン戦士と打ち合わせの後待機していてくれ。私はもう一体を倒す作戦を考える。」

シャアはそう言うと、素早く回線を切り替え、整備士主任のナナイ・ミゲルとなにやら話し始めた。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 17:47:14.43 ID:W1ZDpevAO
アレンビー「ふう……」

武装を取り替えに来たアレンビーは、ハッチを開け、久しぶりに外の空気を吸った。

とはいえ時間にしてみればたかだか数十分だったが、戦闘中はそれが永遠のようにも感じられた。

初陣での連戦は、新兵にかなりの負担を強いる。

しかしアレンビーの瞳には、なんとしてでも子供を守るというやる気がみなぎっていた。

―とそこに、ナナイとの通信を終えた2番機整備士のトレーズがやってきた。

トレーズ「アレンビー。ナナイ整備主任によると、2番機に取り付ける装備はもう決まっているそうだ。」

アレンビー「へ?」

アレンビーは首を傾げた。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:05:46.34 ID:W1ZDpevAO
1番機整備士マリナ・イスマイールは、1番機の激しい損耗に驚いていた。

刹那の戦場を縦横無尽に駆け回る戦闘スタイルは、人型戦車の膝間接と足首に多大な負担を強いるのだ。

しかし刹那の戦果を聞いていたマリナは、自分の整備した機体で活躍する刹那を誇らしく思った。

血と脂に巻かれ切れ味を失った刀を交換しながら、マリナは刹那が無事帰ってくることを願わずにはいられなかった。
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:09:38.08 ID:W1ZDpevAO
戦闘シーンはしんどい……
昨日よりペースがさらに落ちててすいません
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 18:10:31.40 ID:VH8JLqlFo
気してないぞ!
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:19:07.43 ID:W1ZDpevAO
―その頃、指揮車内

パシンッ

ムウの頬から小気味よい音が鳴った。

セイラ「恥知らず!」

セイラは、虚言でパイロット達を鼓舞したムウに激しく苛立っていた。

ムウ「なんとでも言ってちょーだい。……ま、君みたいな美人さんに軽蔑されるのは少しこたえるけどね」

セイラ「……」

セイラはわかっていた。例えムウがああ言わなくても、きっと兄―シャア司令が同じことをしたであろうことを。

ムウは、古くからの上司である兄をかばっただけに過ぎないと。

しかしそれでも彼らを許すことはできなかった。

優しいパイロット達の心を利用した、ずるい大人たちのことを。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:34:56.63 ID:W1ZDpevAO
シャア「さて、諸君。幻獣到達まであと120秒だ。」

シャア「先ほどの戦いは見事だった。新兵の諸君には連戦はきついだろうが、君たちならきっと生きて帰ってくることを私は信じているよ」

シャア「幻獣の姿が見えた時点で作戦開始だ」

見晴らしのいい地平の彼方を息をつめて見守るパイロット達。


アレンビー「――来た!」

シャア「よし!スモッグ放て!やつらの目がくらんだ隙に2体を引き離す!」

クインシィ「了解だっ!」

3番機はスモッグを放つと、先ほどの戦いで既に弾が切れていたアサルトライフルを地面へ投げ捨て、猛然と走り出した。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:47:22.62 ID:W1ZDpevAO
アムロ(さっきの戦いで刹那はかなり動いていた。駆動系がかなり傷んでるはずだ)

アムロ(幻獣を引き離す役目……僕がやらないと!)

アムロはだんだんと近づいてくる巨大な化け物に集中した。

シャア(この動き……!)

シャアはパイロット試験時の映像データを思い出していた。

最小限の動きで多数の敵の攻撃を避け続ける少年……

映像を何度見返していてもにわかには信じられなかったが、こうして目の当たりにしてみると彼の才能を認めるしかない。

シャア(伊佐未の狙いはやはりこの子か……?)

シャアは少しだけ逸れた思考をすぐ元に戻し、再びパイロット達に指示を飛ばし始めた。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 18:56:57.03 ID:W1ZDpevAO
アレンビー(ああもぅ……狙いが定まらないよ!)

アムロによってミノタウロスたちを離すことに成功し、作戦はフェイズ2へ移行した。

駆動系を損耗し、1番機にあまり負担をかけさせるわけにはいかない。かと言って刹那に狙撃は機体できないし、ライフルでは決め手に欠ける。

――結果。

アレンビー(なんでバズーカばっかり持たせるのよ〜……)

アレンビーは2番機に積めるだけのバズーカを積めまくられ、射角の問題から幻獣のかなり遠方から狙いを定めていた。

アレンビー(男のロマンだかエレガントだか知らないけど、カンベンしてよね…)
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:12:34.23 ID:W1ZDpevAO
東方不敗は、巨大な敵を前にして、体の疼きを止めることができなかった。

東方不敗(これよッ!この感覚よおッ!!)

スカウトのダメージの蓄積は死へと直結する。

しかし、だからこそ東方不敗はこの役職を好んでいた。

東方不敗は今も夢に見る。第六世代のヒヨッコに、惨めにも負けた過去を。

東方不敗(しかしそれが己の慢心を打ち消し、ワシをさらなる高みへ押し上げてくれた)

強者との邂逅は己をさらに強くすることを、東方不敗は知っていた。

どんなに遺伝子をいじられた強者であっても、流派・東方不敗をさらに無敵にする踏み台にしか過ぎないのだ。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:22:55.86 ID:W1ZDpevAO
ドォン!!

アレンビー(外した!?)

アレンビーの放ったバズーカはわずかに左に逸れ、着弾点からはもうもうと砂煙が立ち上がった。

アレンビー(っ次…!)

アレンビーは気を取り直して次のバズーカを構えた。

元来、アレンビーの射撃能力はかなり高い。

しかし、長時間の戦闘による疲れと精神的な負担から、集中力が乱れ始めてきた。

アレンビー(次で……決めないと……!)

アレンビーは息を整え、遠くに見える敵に再び照準を合わせ始めた。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:31:24.85 ID:W1ZDpevAO
東方不敗(ふむ……これ以上遊んでいるわけにはいかないようだ。)

東方不敗は共にミノタウロスの牽制に当たっている1番機が足を滑らせたのを見て思った。

東方不敗(一対多の時は使いたくなかったが……致し方ない)

東方不敗はウォードレスの上から巻いていた腰の帯をほどき、気を集中した。

東方不敗「マスタークロス!!」

瞬間、布が意志を持ったかのようにミノタウロスに絡みつき、拘束した。

アレンビー「動きが止まった!?今なら……」

アレンビーはミノタウロスを照準の真ん中に捉えると、引き金を引いた。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:39:22.04 ID:W1ZDpevAO
バズーカの直撃をモロに受け、その勢いでのけぞったミノタウロスが最後に見たものは――

――太陽を背に高く飛び上がった1番機が、二本の刀をこちらに向け、自分の真上に落ちてくる姿だった。

刹那「バズーカで足を止めたお前など……この1番機でも十分に捉えられる」

しかし、バズーカが当たる直前にミノタウロスが不自然に止まったように見えたが、あれはなんだったのだろう。

刹那はふと思ったが、なんとなく考えても無駄なような気がしてやめた。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:49:17.37 ID:W1ZDpevAO
――一方その頃


アムロは巨大な敵と一定距離を保ちつつ、クインシィの準備が終わるのを待っていた。

アムロはクインシィの言葉を思い出した。

クインシィ『3番機はミサイルを温存してある。それを使う』

アムロとシャアは声がなかった。

ミサイルは一対多のための武器であり、強敵に一対一で立ち向かう時に有効なものではないからだ。

クインシィは二人の反応を全く気にせずに続けた。

クインシィ『内蔵されたミサイル弾が、全て同じ目標を狙うプログラムを組み込んだ。』

アムロ『そのプログラムは、君が……?』
クインシィは鼻で笑った。

クインシィ『当然だ。私が組んだ。ミスはない』
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 19:57:20.15 ID:W1ZDpevAO
クインシィ『しかし一つだけ懸念がある』

クインシィ『敵がなるべくよけられないようにと一弾一弾軌道を変え、ほぼ全方位から攻撃できるようにプログラムしたらな』

クインシィ『あまりに処理が複雑になり過ぎて、目標補足後から発射までにけっこうな時間がかかってしまうのだ』

クインシィ『そこをアムロとドモン戦士の力で補ってほしい』


アムロ「なにもそこまで徹底することないのに……」

時間稼ぎをやらされているアムロは嘆息した。

クインシィはこともなげに言う。

クインシィ「私は凝り性なんだよ、アムロ」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:08:12.65 ID:W1ZDpevAO
アムロとドモンは、互いに協力しあいながらその時を待つ。

――と。


ドォン!!


アレンビーの放った一発目のバズーカが、運悪く3番機のそばに着弾した。

さすがに直撃はしていないが、急な突風で予想以上に逸れてしまったらしい。

爆風に煽られた3番機は膝をついてしまった。

激しく揺れるコクピット。

アムロ(クッ……)

衝撃に耐えながら、帰ったらソシエさんに怒られちゃうな、とアムロは思った。

爆風で体制が崩れたせいで、ミノタウロスとの距離が縮まってしまった。

アムロ「ク……」

クインシィ「下手に動くなアムロ!!まもなくミサイルが発射される!!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:14:58.05 ID:W1ZDpevAO
アムロ「なこと言ったって……!」

クインシィ「ダメ!アムロ……!」

クインシィは、発射直前の機体の動きに合わせた軌道修正プログラムを組むことができなかった。

アムロの操縦は一般の兵士のものとは全く異なり、パターンが多すぎて組み切れなかったのだ。

つまり、発射直前の数秒間は棒立ちにならざるをえない。

事前に説明を受けていたとは言え、迫ってくるミノタウロスの腕を前にアムロは呆然とした。

クインシィ「発射まで8、7……」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:25:01.86 ID:W1ZDpevAO
次の瞬間。

視界の端から黒い影が現れ、そして消えいった。

アムロ(今のはなんだ……?)

アムロはかろうじて、影が去ったあとに、刀で切り落とされたらしいミノタウロスの腕を視界の端に捉えた。

クインシィ「2、1、ミサイル発射!!!」

爆音とともに放たれたミサイルは、クインシィの自信に違わす、様々な方向から雨霰のようにミノタウロスに襲いかかり、爆発した――


セイラ「……レーダーから幻獣の反応、完全に消滅しました」

シンと静まり返る指揮車内。

シャアは全ての回線を開くよう指示し、マイクに向かった。

シャア「よくやった諸君。我々の勝利だ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:37:41.85 ID:W1ZDpevAO
ソシエ「やったあっ……!」

後方で待機していた整備士たちは、パイロット・スカウト全員無事との知らせに抱き合って喜んだ。

エマと一緒に通信が入るのをずっと待っていたティファは、嬉しさのあまり泣き出してしまった。

エマはそんなティファを抱きしめながら、教え子たちの帰還を待ち遠しく思った。

ナナイはシャアの通信に沸き立つ部下たちを一通り見回したあと、

ナナイ「さあ、私たちの仕事はこれからよ。私たちのかわいい子たちをさんざんいじめてくれたパイロットを迎えに行きましょう!」

と檄を飛ばした。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:47:58.80 ID:W1ZDpevAO
戦いは終わった。

疲労困憊のパイロット達は最後の力を振り絞って戦車を整備士たちのところまで走らせたあと、ハッチを開くなりみな一様に倒れ込んでしまった。

パイロットたちは、毛布が敷かれた2番トラックの荷台に集まっていた。

アレンビー「あー……もう体が動かないよー……」

刹那「同感だ……」
クインシィ「……一刻も早くこの忌々しいウォードレスを脱いでしまいたい」

アムロは疲れきった体を荷台に預けたまま、首だけ動かして仲間たちを見回した。

アムロ「生き残れたんだな……僕たち」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 20:55:45.64 ID:W1ZDpevAO
刹那「ああ…そうだな……」

アレンビー「ただ生き残ったんじゃないわ!完勝よ完勝!おまけに子供たちの命まで守って……」

アレンビーの言葉に、パイロット達は自分たちが実は凄いことをしたんじゃないかと思い始めてきた。

生きている実感、そして勝利の実感が少しずつ湧いてきた。
アレンビー「でもクインシィの言う通り、早くウォードレス脱いでシャワー浴びたいなぁ……これ着てるだけで疲れちゃうし、コクピットの中ってひどいにおいなんだもの」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:05:23.06 ID:W1ZDpevAO
帰還した彼らを待っていたのは、先生たちと満面の笑顔のティファ、そして、いつもと変わらないオンボロの校舎だった。

ここを発ったのはそう何時間も前のことじゃないのに、なんだかひどく懐かしく思えた。

なんでもない毎日が、涙が出そうなくらい愛しく感じられた。

明日からまた戻れるのだ、日常に。もちろんまたいつ召集がかかるかはわからないけど……

それでもいいさ、とアムロは思った。

このかけがえのない日常に、何度でも戻ってきてやるさ……とアムロは心の中でつぶやいた。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:08:33.83 ID:W1ZDpevAO
初陣編終了です
誤字脱字等見苦しい点が多々あってすいません

戦場描写はフィーリングで書いてます
兵器のこととかサッパリなんで、おかしな点があったら指摘していただけると非常にありがたいです。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:12:54.63 ID:W1ZDpevAO
ていうか見返してみるとアムロとドモン全然活躍できてませんね……
絢爛舞踏への道は遠いな
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 21:14:00.88 ID:6eeYxw6SO
乙!熱いぜ!みんないい味出してる!
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 21:17:17.27 ID:WTJ3rELAO

速報はレス付きにくいからその日の最後の投下の後
今日はここまで、とか書くと乙されやすいよ
後SSや日常への一言とか
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:22:44.49 ID:W1ZDpevAO
乙ありがとうございます!
初めてスレ立てたのでわからないことだらけです
色々教えていただけてありがたいです

>>79の一番の行の意味がよくわからないんで教えてください(´・ω・`)
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:25:43.08 ID:W1ZDpevAO
>>79の一番最後の行、の間違いです……
また間違えた……しにたい……
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 21:30:29.81 ID:WTJ3rELAO
SSへの苦労話や仕事の愚痴とかよ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:38:40.06 ID:W1ZDpevAO
――その夜。小隊隊長室。

プルル……プルル……

ガチャ

???「フッ……全くお前も強いもの知らずだな。こんな時間に私を呼び出せる人間などそうはいないぞ」

シャア「御託はいい。お前の狙いはなんだ?」

???「……そういえば今日はお前の隊の初陣だったな?報告を読んだよ。なかなかの戦果だったそうだな。さすがは中国で……」

シャア「誤魔化すなハマーン!!」

ハマーンは眉をぴくりと動かす。

シャア「私にティファ、アレンビー、依衣子を預けて……今度はあの少年か」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:42:07.64 ID:W1ZDpevAO
>>82
なるほど……ご説明ありがとうございます
レスもらえるとやる気に直結しますし、自分でもちょっと工夫してみます
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:50:28.13 ID:W1ZDpevAO
ハマーン「子供は嫌いだったかな」

シャア「そうではない」

シャア「あの年頃の子供たちは、互いに引きずられやすい……」

シャア「特殊な能力を持った子供たちが互いに与える影響は、いいものばかりとは限らないぞ」

ハマーン「同じ場所に集めることは悪いことばかりではないさ」

ハマーン「少なくとも、化け物呼ばわりされずに済む」

シャア「……」

ハマーン「……覚えがあるようだな」

ハマーン「お前が見てやれば問題ないだろうと思ったのだよ」

シャア「毒をもって毒を制す……か」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 21:58:16.22 ID:W1ZDpevAO
ハマーン「うまいことを言うな」

シャア「……」

ハマーン「無様だな、シャア。お前は本来モニターのこちら側にいてもおかしくない人間なのに」

ハマーン「どうだシャア、今からでも私のもとに……」

シャアは一方的に回線を切断した。

ハマーン「っ、準竜師だぞ私は、シャア!」

シャアはハマーンに連絡を取ったことを後悔した。

初勝利のよき日にこれでは後味が悪すぎる。

シャアは棚の裏に隠したとっておきのウイスキーを取り出した。

今も扉の向こうで待機しているであろう古い友人と、久しぶりに酒を酌み交わすために。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:04:50.62 ID:W1ZDpevAO
久しぶりの学園パートなので、今回も安価入れようかなと思います
見てくれてる人がどのくらいか把握したいので、安価参加してもいいよって方適当にレスしていただけると嬉しいです
ちょっとだけ休んできますノシ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 22:18:52.11 ID:1b/oJKPFo

ここにいるぞ!
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:22:00.35 ID:W1ZDpevAO
幸いにも翌日は土曜日だった。
授業中に居眠りをしても先生たちは多目にみてくれたし、半日で終わると思うと疲労の残る体もなんとか動いた。

半日の授業を終え、みなが帰宅の準備をする中、アムロはハンガーへと向かっていた。

同じ方向へ歩いて行く刹那の背後から声をかけると、刹那もこれからハンガーに行くようなので、一緒に行くことにした。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:28:49.27 ID:W1ZDpevAO
アムロ「けっこう無茶したからなぁ……ソシエさん怒ってそうだなぁ」

刹那「俺も……かなり無理な動きをしてしまった」

聞けば、昨日こそ初陣の当日ということで早く帰らせてもらえたが、整備士たちは休日返事で仕事が決定しているらしい。

アムロ(戦車を酷使した立場だし気まずいけど…見ない振りはできないよ)

アムロは刹那と共に、慌ただしい雰囲気のハンガーに足を踏み入れた。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:35:58.27 ID:W1ZDpevAO
アムロの心がさわ……と波立った。

最近はほぼ毎日ハンガーに来て仕事をしていたが、いまだにこの不思議な感覚にはなれない。

しかしそれもすぐにやんだ。人の気配が多い時は大概そうである。

刹那は1番機の整備士と話している。
どうも膝から下を全部取り替えたほうがいいという話らしく、刹那はうなだれていた。

アムロはその様子を見て少し躊躇したが、意を決して3番機の方に歩いていった。

ソシエ「あら、アムロ!」

アムロ「や、やあソシエさん」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:43:30.61 ID:W1ZDpevAO
ソシエ「悪いけどあんまりあんたの相手してらんないのよ、やることが山積みで」

アムロ「そ、そのことなんだけど……ごめん、ソシエさん」

ソシエ「?なんで謝るのよ」

アムロ「整備士さんたちみんな、休日返上だって聞いたから……」

ソシエ「……まさか、自分のせいだと思ってる?」

アムロ「違うのかい?」

ソシエは笑った。

ソシエ「別にそんなの関係ないわよ、私たち全員そうだもの」

ソシエ「私たちはこれが仕事なの。あなたにとっての戦いと同じよ。誰かに特別感謝されるようなことでも、申し訳ないと思われるようなことでもないのよ」

アムロはなるほど、と思った。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:50:48.48 ID:W1ZDpevAO
ソシエ「それにアムロ……最初の約束もちゃんと守ってくれてたし」

アムロ「最初の約束?」

ソシエは興奮したように早口で話し始めた。

ソシエ「記録映像見て爆風に煽られた時はヒヤッとしたけど、あんたの身のこなし普通じゃないわ、天才よ!」

アムロ「は、はあ……」

ソシエ「士魂号は人口筋肉でできてて中を人口血液が通ってる。私たち人間とあまり変わらないのよ」

ソシエ「人間のつくりとだいたい同じ。人間は普段無意識のうちに自分がケガしないように、疲れがたまらないように行動してるから、要するに普段自分の体を動かす様に戦車を動かせばいいのよ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 22:57:39.26 ID:W1ZDpevAO
ソシエ「でも、それをできないパイロットがどれだけ多いことか……」

ソシエは溜め息をついた。

ソシエ「でもね、あんたは完璧!体操選手みたいな柔らかで自然な動きで、士魂号のデリケートな関節の負担を最小限にしてるのね。あれが無意識と言うならまさに天性の才能と言うしかないけど……あたし一生アムロ専属の整備士になってもいいわ!」

ヒートアップしたソシエは延々と長話をし続け、他の整備士から無言の圧力を受けたアムロは話を強引に切り上げてハンガーをあとにした。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 23:03:42.56 ID:W1ZDpevAO
見てくれる人が一人でもいるなら……安価!

>>100の行動を取ります

アムロ(そう言えば、明日は日曜日だったなぁ……誰か誘って遊びにでも行くかな)

1、刹那を誘って新市街へ
2、図書館で静かに勉強
3、アレンビーと公園へ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:06:41.68 ID:AK8XV8TLo
1
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:07:08.83 ID:1b/oJKPFo
2
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:07:57.99 ID:CIeESeADO
ksk
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:08:33.57 ID:WTJ3rELAO
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/01(火) 23:10:25.27 ID:CIeESeADO
2
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 23:18:27.96 ID:W1ZDpevAO
ニア2、図書館で静かに勉強


アムロ(まあいいか……整備士の人たちは仕事だし、1組のみんなも疲れてるだろう)

アムロはふわあ、と大きくあくびをした。

昨日の疲れもまだ抜けきれていない。

考えてみたら、ここ最近忙しかったので勉強をおろそかにしていた。

明日の休みを有意義に使うためにも今日は早く寝なければ、と思った。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 23:28:42.34 ID:W1ZDpevAO
―翌日、日曜日。

アムロは勉強のために図書館に来ていた。

勉強の遅れが気になっていたので、集中できる場所、と考えたら自然と図書館に足が向いていた。

家にいると趣味の機械いじりを始めてしまうし、学校に行けば仕事や訓練が気になって気もそぞろになってしまうのだ。

しばらく経って勉強に一区切りついたアムロは、小休止を取ろうと思った。

思えば、この図書館に来たのは初めてである。

アムロ(面白い本があるといいな……)

アムロの足は機械工学の棚に向かっていた。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 23:44:46.61 ID:W1ZDpevAO
アムロ「君は……!」

クインシィ「!」

バサバサバサ……

よほど驚いたのか、クインシィは持っていた本をすべて足元に落としてしまった。


アムロ「しかし驚いたなぁ」

クインシィ「……それは私の台詞だ」

クインシィの本を拾うのを手伝ってあげると、クインシィは何か礼がしたい、と言ってきた。

プライドの高さがそうするのか、どんなささいな借りも作りたくないようだ。

アムロはその場の勢いで、少し自分に付き合って欲しい、と言ってしまった。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/01(火) 23:53:53.48 ID:W1ZDpevAO
一体なぜだ、とクインシィが聞くので、アムロは少し考えてから、「プライベートのクインシィが気になるから」と答えた。

クインシィは露骨に嫌そうな顔をしたが、自分から言い出した手前後にも引けず、結局アムロに付き合うことになったのだった。

アムロ「クインシィのことだから、情報処理とかそういう方に興味があるかと思ったのに、機械工学の棚にいるなんて」

クインシィ「その分野なら、こんな小さな図書館に置いてあるような本の内容程度はとっくに把握してる」

アムロ「……だろうね」

アムロは苦笑した。
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 00:00:34.03 ID:8ndlt9bAO
頭脳も強化されている第六世代なだけあって、5121小隊には秀才が多い。

しかし、クインシィの成績はその中でもトップで、こと情報処理に関してはその道のプロと言って差し支えないレベルに達していた。

アムロ「どうして機械工学を勉強しようと思ったんだい?」

クインシィ「勉強というほどのことではない……が」

いつも自信満々のクインシィが、珍しくしおらしい。

クインシィ「く、悔しかったんだ」

アムロ「悔しいって?」

クインシィ「一昨日の……」

どうやらクインシィは、自分のプログラムのせいで窮地に陥ったことを気にしているようだった。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 00:03:25.16 ID:8ndlt9bAO
とりあえず今日はここまでにします〜

安価協力してくれた方ありがとうございます
そうでない方も読んでくださってありがとうございました
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:08:31.88 ID:V9kGfYwAO
乙〜
ガンパレは漫画版くらいしか知らないけど楽しみにしてる
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 00:19:26.89 ID:mV3FypvAO

どっかの雑誌で漫画連載始まったから人気は未だに健在なんだよね
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 01:22:34.43 ID:8hXWEsOAO
お耳の恋人ムウさんに隅々まで冒険されたい

ところでムウさんは種版?種死版?
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 04:32:34.50 ID:8ndlt9bAO
変な時間に目が覚めたのでちょっとだけ投下します

>>109

私のイメージでは種版です
種はUMDのバシバシカットされてるやつしか見てないので、描写に間違いがあるかもしれません
もしミスがあればご指摘いただければ幸いです
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 04:41:16.23 ID:8ndlt9bAO
アムロ「でも、君が組んでくれたプログラムが無きゃ勝てなかったかもしれないじゃないか」

アムロ「戦いは僕たちだけでしている訳ではないんだし」

アムロ「一人でなんでもかんでもできる必要もないんじゃないかな」

アムロはそう言いがら、クインシィの方をちらりと見やった。

5121小隊の制服は寒色系のパンツスタイルなのでクインシィの印象をさらに冷たく見せていたが、私服のクインシィはボディラインを強調した暖色系の女らしい服装で、制服とはまた違った意味で彼女に似合っていると思った。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 04:48:52.57 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「私は……完璧でなければならないんだよ、アムロ」

クインシィ「私と彼女、二人を守るためにな」

アムロ「彼女……?」
クインシィ「屋上での約束……覚えているか?」

アムロは慌てて首を縦に振った。

クインシィ「そうか……私の質問に正直に答えてくれないか、アムロ。そうしたら私もお前の質問の答えを正直に話す」

クインシィは決意を決めたような強い眼差しを一瞬アムロに向けたが、直ぐに再び視線を伏せた。

クインシィ「お前は彼女に……会ったんだろう」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:15:50.97 ID:8ndlt9bAO
アムロはすぐに気がついた。

アムロ「君の中にいる、もう一人の……?」

クインシィ「……やはりな。アムロは私が屋上で気を失っていたと言ったが、そのうちの何分間は『依衣子』が出ていたのだろう」

アムロ「依衣子……?」

クインシィ「私は便宜上そう呼んでいる。今の私はクインシィ・イッサーだ。忘れるなよ」

そう言ってクインシィは少しだけ笑った。

クインシィ「私がお前と顔を合わせたくなかった理由……」

クインシィ「それが彼女だ」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:26:09.05 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「まあ忙しかったのも事実だ、あの時はミサイルのプログラムを組むのにかかりきりだったから」

クインシィ「お前……『依衣子』についてどう思った」

アムロ「……どうって、僕はほんの少ししか話してないけど」

それでもアムロは自分の思ったことを率直に話した。

依衣子がなにかに怯えている様子だったこと、戦いに向いている性格とはとても思えないこと―

クインシィは大きくうなずいた。

クインシィ「そうだアムロ。彼女は心優しく繊細な性格だ。私は彼女を戦場に出すわけにはいかないと思っているよ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:33:57.73 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「……アムロ」

クインシィ「お前は気づいていないかもしれないが、お前にはある素質がある」

アムロ「パイロット適性のことかい?」

クインシィ「違う……とも言いきれないな。お前の操縦技術は、お前のある能力の副産物に過ぎないんだよ」

アムロは屋上でのクインシィの言葉を思い出していた。

アムロ「クインシィの言っていた……ニュータイプってやつか」


クインシィ「ああ」
クインシィ「……しかし、まだ完全ではないようだ」

クインシィ「お前が窮地に陥った時、高いレベルの集中をした時――」

クインシィ「一時期にニュータイプの片鱗を見せるにすぎない」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:41:25.01 ID:8ndlt9bAO
アムロ「ああ……」

アムロは身に覚えがあった。

パイロット試験の時やクインシィを探し求めて女子校内を走り回った時、ミノタウロスと対峙した時――

いずれの時も、妙に頭が冴えて、状況をまるで俯瞰して見ているかのように周囲を把握することができた。


クインシィ「……まあ、そうでない時もたまに能力が出る時もあるみたいだが」

アムロ「それにしても、ニュータイプってなんなんだよ」

クインシィ「わからん。人類の革新と言われてはいるが、何せ軍の最高機密のだからな」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:46:42.06 ID:8ndlt9bAO
アムロ「軍の?どうして……」

クインシィ「軍はニュータイプが戦争の切り札になりうると考えているのかもしれないな。現にお前が体現している」

アムロ「だからって……」

アムロは混乱した。

アムロ「確かに軍には自分で志願したけど、僕は戦争の道具じゃない」

クインシィは何かを見据えるような強い眼差しで前をみた。

クインシィ「ああ……私もそう思う」

クインシィ「ニュータイプは戦いの道具じゃないんだ」

クインシィ「……だから私は『依衣子』を守らなければならない」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 05:56:42.59 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「……ニュータイプ同士は引かれ合うことがあるらしい」

クインシィ「その素養を眠らせている者が本物のニュータイプと接することで、眠っていたニュータイプ能力が覚醒することもあるそうだ」


クインシィ「『依衣子』はね……ニュータイプなんだ」

アムロ「!!」

クインシィ「今はまだお前なんかよりも能力は全然未発達だが……その素養があることは確かだ」

アムロ「大人たちは彼女を戦争の道具に使うのか!?そんなの……」

クインシィ「……『依衣子』は、お前のニュータイプ能力に引きずられつつある」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:05:08.60 ID:8ndlt9bAO
アムロ「!!!」

クインシィ「屋上で『依衣子』が出たということは……多分そうなのだろう」

クインシィ「今はまだ、私自身が高いレベルで集中していれば彼女が出てくることはないから、彼女が戦場で出てくることはない」

クインシィ「しかし、お前のニュータイプ能力がこの先さらに成長したり、あるいは『依衣子』自身の能力が目覚めてきたとしたら……」


クインシィ「……その時はどうなるかわからない」

アムロは、クインシィが完璧であろうとする理由や、戦場での危機をなるべく減らそうと骨身を削る理由が今わかった。

全ては、『依衣子』を守るためなのだ。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:12:38.83 ID:8ndlt9bAO
アムロ「僕は……どうしたら……」

クインシィ「すまない、迷わせるようなことを言って」

クインシィは嘆息した。

クインシィ「お前の能力は素晴らしいよ、アムロ。その力はみんなを守る」

クインシィ「だから、戦場では今まで通りいてくれ。さらに集中してくれたらなおいい。」


クインシィ「……お前が気に病むことはないんだよ、アムロ」

クインシィ「きっとお前がいなくとも、あいつらは『依衣子』を目覚めさせるために別のニュータイプを寄越していた」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:18:51.47 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「私は、アムロがいてくれてよかったと思ってる」

クインシィ「もし『私』がいなくなっても、お前になら安心して『依衣子』を任せられる……」

アムロ「……」


クインシィ「私は『私』でいられる間に、できる限りのことをしようと思っている」

クインシィ「『依衣子』を目覚めさせるのが怖くてお前やクラスの連中を避けていたが……それももうやめる」

アムロ「君は……それでいいのかい」

クインシィ「なに、これでも『私』だって年相応な部分はある。」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:26:41.38 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「みんなと仲良くして毎日を過ごすことも、本当は憧れていたんだ……」

クインシィ「でも、『依衣子』のためにはやらなきゃいけないことが多すぎた」

クインシィ「彼女を戦場で少しでも守るために、体を鍛え、士魂号の電子機器のOSも常に最適なものに書き換えている」

クインシィ「ニュータイプたる彼女の器でしかない私は……そうすべきだと思っていたんだ」

クインシィ「でも……せめて『私』が消滅するまでは、普通の女の子みたいなこともしてみたい……」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:36:38.43 ID:8ndlt9bAO
アムロ「大丈夫さ、クインシィ」

クインシィ「でも、でも……私はさんざんみんなにひどい態度を」

クインシィは悲しげな顔をした。

クインシィ「きっともうみんなに嫌われてる……」

アムロ「みんなはそんなに冷たいやつじゃないさ、クインシィ。この間の戦いでの頑張りだってみんな知ってる。大丈夫だよ」

アムロ「クインシィはどんなことがしたいんだい?」

クインシィ「えっと……くだらない話で笑い合ったり、一緒に弁当を食べたり、放課後に喫茶店へ行って甘いものを食べたり……したいな」

クインシィは自分の発言が恥ずかしかったのか、顔を耳まで赤くしている。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:43:13.90 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「まだ、間に合うかな……」
ぽつりとつぶやくクインシィ。

アムロ「平気だって。万が一みんなに断られても、僕でよかったらクインシィのしたいこと、全部付き合ったって構わないさ」

クインシィ「アムロ……」

クインシィがこれまでとは違った表情でアムロを見る。

クインシィ「あ、あの、それじゃあ……」

早速アムロは、翌日にクインシィが憧れていたことのひとつ「一緒に登校」を約束させられた。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 06:53:57.18 ID:8ndlt9bAO
クインシィと別れ家路につくアムロ。

結局あの後クインシィと長々と話し込んでしまったおかげで、勉強はあまりはかどらなかった。


しかし、アムロは今日クインシィに会えてよかったと思っている。

彼女の内面を知らないままだったら……おそらく、自分はずっと彼女を誤解したままだった。

もしかしたら、彼女が『依衣子』に入れ替わってしまっても、それに気づけなかったかもしれない。

そこまで考えてアムロはふと思った。

アムロ(完全に『依衣子』と入れ替わったら……『クインシィ』はどうなってしまうのだろう)
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 07:14:22.01 ID:8ndlt9bAO
――一方その頃、とある高層ビルの一室。

???「私よ。ええ。ええ。あの子の監視は続けてる?」

???「そう、わかったわ……また何か動きがあったら伝えてちょうだい。明日からは監視をもう一人増やして。それじゃ」

髪をまとめた3、40代と見られる女性は電話を切ると、眼鏡を外してニヤリと笑った。

伊佐未翠「思ったよりずっと早かったわね……ウフフ。こうなれば、あの子自身の能力が目覚める可能性もずっと高くなるわ」

伊佐未翠は研究者の血が騒ぐのか、待ち切れないといったように舌なめずりをした。

翠「アムロ・レイか……この子も研究してみたいわぁ」

翠にとってのニュータイプは人類の希望でも戦争の切り札でもなく、「人間の突然変異」としての実験材料でしかないのである。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 07:20:16.79 ID:8ndlt9bAO
クインシィファーストイベント編終了です
また時間があったら投下していきますノシ
クインシィかわいいよクインシィ。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 09:34:30.62 ID:V9kGfYwAO

クインシィが可愛いので、是非とも依衣子と共存してほしい。

>>108
掲載誌とかkwsk
昔、電撃でやってたのしか知らなかった
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 09:53:51.08 ID:Cc4p+WU6o
移動射撃だ
移動射撃があれば射撃だけでもやっていける
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 10:53:11.38 ID:8ndlt9bAO
乙ありがとうございます
またちょっとずつ投下していきます
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:04:44.02 ID:8ndlt9bAO
―翌朝、1組の教室

その扉の前で、複座型のパイロット2名が小声でなにやら話しあっている。

アムロ「ほら、言った通りに頑張れクインシィ」

クインシィ「わ、わかっている!」

クインシィは意を決し、扉に手をかけすう、と息を吸い込んだ。

クインシィ「お、おはよう、みんな……」

クインシィは、話しが声がぴたりとやみ、教室中の目が自分に向いたことを感じた。

クインシィはいたたまれないといった様子で、クラスメートたちを見ないようにしながら自分の席まで速歩きで向かった。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:11:52.14 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「お、おはよう、クインシィ!」

クインシィは驚いた。

自分のことを一番嫌っていたと思っていたアレンビーが誰より先に挨拶を返してくれたからだ。

アレンビーが返事をしたのを皮切りに、すでに教室にいた1組の他の面々も、口々にクインシィにおはよう、と言った。

アムロ「みんな、ちょっとびっくりしただけさ」

いつの間にかクインシィの席のそばまで来ていたアムロが笑って言った。

クインシィ「……そうだったのか」

アムロの言葉に安心したような表情を見せるクインシィ。
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:21:19.56 ID:8ndlt9bAO
そんな二人の様子に敏感に反応するアレンビー。

アレンビー「なによ、二人して。……今日に限ってやけに教室に来るタイミングが近かったけど、もしかして」

アムロはいらぬ誤解をされそうな気がして慌てた。

アムロ「いや、それは……」

アムロはクインシィに助けを求めるように彼女の顔をちらりと見ると――

――あろうことか、クインシィの顔は真っ赤になっていた。

おおかた、なれないことの連続で興奮と緊張をしたためであろうと思うが……

アムロ(この状況でそれは、完全に誤解されるよ…!)
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:28:55.32 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「へー、そうだったんだー……」

クインシィの表情を見てニヤニヤするアレンビー。

アレンビー「アムロ、あんたもけっこうやるじゃない」

アムロ「待てアレンビー、君は今確実に誤解している」

アレンビー「問答無用よ!クインシィ、今日の昼休み予定ないなら一緒にどう?」

クインシィ「あ、ああ!構わない」

クインシィはまさかアレンビーから提案されるとは思っていなかったようで、驚きの表情を見せている。

アレンビー「……もちろんアムロもだからね」

アムロは、自分には拒否権はないことを本能的に察した。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:38:15.58 ID:8ndlt9bAO
――昼休み、食堂。

アレンビー「やだ、そうだったの!?思いっきり誤解しちゃったじゃん……」

アムロ「だから僕はそう言ったじゃないか……」

クインシィは自らの口で、今までの態度を詫び、これからはみんなと仲良くしたい旨をアレンビーにたどたどしく告げた。

アレンビー「そういうことなら、私がみんなに言っといてあげる。」

アムロ「やけに理解がいいんだな」

アムロはアレンビーがあっさりとクインシィを受け入れたことに驚いた。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:44:51.24 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「なによう、文句ある?」

頬を膨らませるアレンビーにアムロは慌てて付け足した。

アムロ「いや、懐が深いんだなって思ってさ」

アレンビー「そりゃあ確かに、今までのクインシィの態度は気にいらないわよ」

クインシィ「……すまない」

クインシィは目を伏せる。

アレンビー「でもね、みんなあんたが訳アリなことはわかってるし、こないだの戦闘で頑張ってたこともよく知ってる」
アレンビー「いくら私でも、信用できない相手に命を預けることはできない、それはみんな同じだと思う」

アレンビー「クインシィのこと本当に嫌っている人なんていないと思うよ」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 11:51:25.95 ID:8ndlt9bAO
アレンビーの言葉に、クインシィは涙が出そうになった。

クインシィ「アレンビー、本当に今まで…すまなかった……」

アレンビーは明るく言った。

アレンビー「あーもういいって!謝るくらいならそのおかずひとつちょうだいよ!」

アムロ(アレンビーはすごいやつだな……)

おかずの交換を始めたアレンビーとクインシィを横目に見ながら、今度は自分でも弁当を作ってみようかとアムロは思った。

口の中のあんパンを牛乳で一気に流し込む。
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:13:42.24 ID:8ndlt9bAO
――一方その頃、校舎はずれ。

ティファは、なんとなく誰かに呼ばれた気がして振り返った。

―そこには。

真っ白い毛並みに競走馬のような派手な面をつけた、異様な風体の子犬が座ってティファをじっと見上げていた。

ティファ(…おなかすいてるの?)

ティファの考えていることがわかるかのように子犬はわん、と返事をした。


この小隊では以前猫を飼っていたらしく、猫缶のストックが大量にあったことをティファは思い出した。

確かまだ期限内だったはずだ。

犬も猫もそんなに変わらないだろう、とティファは思った。

ティファ(…来て)

子犬は素直にティファの後をついていった。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:23:00.22 ID:Cc4p+WU6o
猫缶なんていらないワン
そんなものよりもっと欲しい物がある







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              /○  ○     \    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            /        Y  Y|   <  馬鹿な女の子だ…ワン
            | ▼    //// |   | |    \_______
            |_人_       \/" \
             \/       ”    \
        ,.. -──- 、, |"    ””       \
      ,/        `''-、             \
     ., '            ``ヽ;‐‐-, _         |
    /                   ゙i'ヾ、|         | ドピュッ ドク…
   ,!                、 i  |     /    |
    l               ┬-,.、, ヽ !. |    / /    |
    | ,            |/ ヾ、|'  |   |  |      |
    | | !  ,、 、      l     ! l |  |  |     |
    | |/ト, / ヽ lヽ l、i.   !    !  _|   |   |     |
    |  | `lヽ/////!|   l     |二_l  ,.゙r-‐'! |     |
    !  | `''=ニ三ヨ'"|   |三二三l | (((___|  !|     | _/ ̄ ̄/
    ゙、  !   |  |  ,!   !"T'''''T" |.    !  ! |     \___/
    ヽ、l.   |  |  |  /  |   ! l.      ',.  |     /
            |  !  | /  ,|.  |`''}  (( ̄l,,__,i、_ /
      ,.:ェ''"  l   ´   `|   !''"     /  ノ
      "''='-‐'゙       /  ',      'ー''"
                 'イji,j、j,i
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:23:32.18 ID:8ndlt9bAO
昼食を終えたアムロたち三人は、教室に戻ろうと食堂を出た。

アムロ「あいてっ」

目の前で急に立ち止まったクインシィに、アムロはぶつかってしまった。

アムロ「どうした、クインシィ……」

クインシィは視線を固定したまま動かない。

アムロとアレンビーが視線の先を見てみると―

整備員詰め所の前で、ティファが子犬に餌をあげているところだった。

アレンビー「あー、かわいい!」

アムロ「クインシィ、犬好きなのか?」

クインシィが答えるより早く、アレンビーが彼女の腕を掴み、子犬の元へ一目散に駆けていった。

アムロ(やれやれ……)

小走りでそれを追いかけるアムロ。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:32:50.88 ID:8ndlt9bAO
アレンビーはティファに話しかけた。

アレンビー「ティファ、この子犬どうしたの?」

ティファはアレンビーに経緯を話した。

もともと飲み込みの早いアレンビーは、ティファに頻繁に接していたため読唇術を覚え、今となっては彼女との意思疎通はかなりスムーズになっていた。

アレンビー「なるほどね……ってこれ猫缶じゃない!?これっていいの?」

アムロ「さあ……でも人間が食べても問題ないって言うし、大丈夫なんじゃないか?」

アレンビー「それならいいんだけど……ね、この子に名前つけようよ名前!」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:39:35.84 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「男の子みたいだし、やっぱり強そうな名前がいいよね!バーサーカーとかどう?」

アムロ「(狂戦士とか縁起でもないな……)モクバとかどうかな?このお面、ちょっと馬っぽいし……」

そのやり取りを聞いていたティファが、ふるふると首を振った。

アレンビー「ん?ティファ、どうしたの?」

ティファはアレンビーに何事か話した。

アムロ「ティファ、なんだって?」

アレンビー「ダメだって。この子にはもう名前があるからって」

ティファはこくりと頷いた。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:46:08.30 ID:8ndlt9bAO
アムロ「フータ?」

アレンビー「ほら、このお皿にもそう書いてある。これが由来なのかな?」

ティファがフータの餌を入れた皿は、前にここで飼っていた猫の餌皿だった。

古ぼけてはいたが皿としては十分に使える。そこにはだいぶかすれてしまってはいるが、「フータ」と名前が書いてあった。

ティファは、本当のことを言おうとしてやめた。

彼自身がそう教えてくれたのだ……などと言ったら、アレンビーたちが嫌な思いをするかもしれないと思ったからだ。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 12:52:08.88 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「まあ最初にこの子見つけたのはティファだし、ティファが名前つけるのが一番いいかもね」

アレンビー「よろしくね、フータ!」

アレンビーがそう言ってフータの頭をなでると、フータは元気よくわん、と鳴いた。

アレンビー「もう自分の名前がわかるのかな?偉いねー」

そんなやり取りをしているうちに、小隊の仲間たちが何事かと次々に集まってきて、フータを囲んで黒山の人だかりができた。

みなフータの愛らしい仕草に魅了され、フータはたちまち小隊のアイドルとなった。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 13:00:13.26 ID:8ndlt9bAO
「ねえ、でも小隊で飼うなら隊長の許可がいるんじゃない?」

誰かが言った。

辺りは途端に静まり返った。

アレンビー「だ、大丈夫じゃないかな、多分……」

アレンビーの声は自信なさげだった。

その時、人だかりのだいぶ後ろの方から声が挙がった。

クインシィ「わ、私が司令に陳情して来よう」

そう言うとクインシィは小隊隊長室へと駆けていった。

その背中を、事情を知らない隊員たち―主に2組の生徒たちは、信じられないと言った表情で見つめていた。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 13:09:09.05 ID:8ndlt9bAO
シャア「子犬というのはここにいるのかね」

その声を聞き、みなに緊張が走る。

クインシィから話を聞いたシャアは、意外にそれに興味を示し、執務を中断して件の子犬をわざわざ見に来たのだ。

シャアと子犬の間には、自然と道ができた。

シャア「ふむ、この子犬か……なかなか賢そうじゃないか」

シャアはフータの傍らにしゃがんでいたティファを見た。

シャア「この子犬を拾ってきたのは君だそうじゃないか、ティファ」

ティファは頷いた。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 13:13:15.54 ID:Cc4p+WU6o
      /                              ヽ
      /    l                            ヽ
    /    ハ |  、                            |
    /     | | |   ヽ
   |    いl ヽ,l\_ \   \
    | /     ト'  __ , --`ー `ー、 __ゝ  l l                ・・・・・・餌代はハマーンに泣きつくか
   |!   ,-=、__f´::,.- =‐'´:.:.:.:.:.:.::::::)  ノノ
    l   |:::::::::::::::::::::::´ ,‐tァ‐=-  `r‐イ    /
    ヽヽ|:::::::::::厂ヽ:::::. : ̄:.:.:.:.:.:.:.:::/ {      ト、
     \!::::::::/   \:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   ヽ     | \
        l::::/       ヽ---一 '   、_ノノ   ト、 ハ l
       ヾヽ、_ -          、_フ′/ / _/ヽ!
            ', __             ヽ_∠ノ /  ヒ´ノ
            ', ,-―‐--               /`l
            ', --     ____    /  ヽ、
           l      | r――- ニニニニニヽ
              l        | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ ノ |
   r,――‐ ´ ̄ヽ__ ‐┤l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::―‐/ ハ
    {{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|   l ||:::::::::::::┌────‐┐ヽ! ヽ、
   ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ノ   l  | |::::::::::::: |=<>ニ<>ニ<>=|::::::::::::ノ  ,
     ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ_,.r┴┤|::::::::::::└――――‐┘:::::::ヽ__ハ
     ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ!  ', ',::::::::::::::::::::::::::::, -――::::::::::::::::::::::´<
      ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|   〉〉:::::::::::::::::, -'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 13:19:33.92 ID:8ndlt9bAO
シャア「君は我が小隊の衛生官だ、ティファ。」

シャア「衛生官は隊員の健康を守るのが勤めだ。……わかるな?」

ティファはシャアの言葉に大きく頷いた。

シャア「よろしい。……そろそろ午後の授業が始まる。君たちも解散したまえ」

そう言うとシャアは、小隊隊長室へと早足で戻っていった。

アレンビー「それって……」

アムロ「許可してくれたんじゃないかな……多分」

隊員たちからわっと歓声が挙がった。

シャアはああ言ったものの、ティファだけに負担をかけないように世話の当番について話し合いが始まった。

――が、昼休み終了のチャイムが鳴り響き、会議は一時中断せざるを得なくなってしまった。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 13:24:44.57 ID:8ndlt9bAO
一旦休憩します

ブータのポジションは欠かせないのでどうしようかかなり悩みました……
けっこう無理矢理ですいません
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 16:05:17.04 ID:7nvQn25SO
乙!またガンパレまたやりたくなってきたww
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:24:24.05 ID:8ndlt9bAO
乙ありがとうございます
またボチボチ投下していきます
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:33:23.71 ID:8ndlt9bAO
1日の作業を終えたアムロは、仕事時間が終わっても1番機から離れない刹那を眺めていた。

整備士たちが昼夜を徹して作業してくれたおかげで、士魂号たちは戦闘以前と変わらない姿を取り戻していた。

しかし、刹那の機体は脚部の損傷が激しかったため、パーツごと取り替える事態となり、その分精度が下がってしまった。

テストを繰り返しながら機体を自分に合わせていく作業を黙々と続ける刹那。

彼は今日は夜を徹して作業するらしい。

アムロ(刹那も頑張ってるんだな……)
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:38:54.80 ID:8ndlt9bAO
しかし、またいつ召集がかかるかわからない状況では、自分の機体を万全にしておきたい刹那の気持ちはよくわかった。

アムロ(僕もそうしたいところだけど……)

仕事を終えたアムロは、自分が予想以上に疲労していることに気づいた。

これは訓練の必要があるかもしれない……

クインシィ「アムロ」

背後から声がかかった。

アムロ「ああ、クインシィ」

クインシィ「仕事の成果を見た。上々だな」

アムロ「刹那に比べたらまだまだだよ」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:47:00.02 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「フン、それは自分の責任だ。刹那は自分の機体を損傷させすぎた。1日徹夜したくらいでは3番機の性能に追いつくこともできないだろう」

相変わらずの辛辣な物言いだが、以前に比べたらだいぶましになっている。

アムロ「……なんでそんなことを知ってるんだ?」

クインシィ「そ、それは……」

そこに、作業を一旦止め小休止に入った刹那がやって来た。

刹那「クインシィ・イッサー。先ほど仕事を手伝ってくれたこと、感謝する。」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:50:40.95 ID:8ndlt9bAO
アムロはクインシィをまじまじと見た。

クインシィ「な……なんだ、その目は!自分の仕事だってちゃんとやっている!なんの問題もないだろう!」

アムロ「いや、優しいんだなと思ってさ」

アムロは素直に感心した。

クインシィ「……!」

クインシィは顔を真っ赤にしてハンガーから出ていってしまった。

アムロ「あ、クインシィ!」

刹那「行ってやれ。俺も作業に戻る」

刹那の声に背中を押され、アムロは駆け出した。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 16:57:04.38 ID:8ndlt9bAO
アムロはクインシィを探そうと思ったが、彼女は意外とそう遠くへは行っていなかった。

校舎はずれで直立不動のクインシィに声をかけようとしたアムロは、その視線の先にあるものに気がついた。

アムロ「犬、好きなの?」

アムロはなるべくクインシィを驚かせないようにわざと足音をたてて近づき、静かに声をかけた。

そういえば、自分たちの中で最初にフータに気づいたのもクインシィだった。

クインシィ「あ、ああ……」

クインシィはためらいがちに頷いた。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:02:58.94 ID:8ndlt9bAO
アムロ「触らないのかい?フータはおとなしい犬だぞ」

そう言ってアムロはフータに近づき、白い毛並みをわしゃわしゃと撫でた。

それを離れたところで見るクインシィ。

クインシィ「私は触れないよ、アムロ……きっとそいつが嫌がる」

アムロとフータが触れ合う様子を羨ましげに見ながら、クインシィは諦めたように言う。

アムロ「試してみなきゃわからないだろう」

アムロはそう言ってフータを抱きかかえ、クインシィの目の前に差し出した。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:08:24.13 ID:8ndlt9bAO
クインシィはフータの目を見つめる。

確かに、怯えた様子は見えない。

クインシィが手を伸ばしたその時――

フータはアムロの手をするりと逃れ、一目散に走り去っていった。

がっくりとするクインシィ。

アムロ「な、なにがあったんだ……」

半ば呆然とするアムロがフータの走っていったほうを見ると、ちょうどティファがフータの夕飯を手に持って整備員詰め所から出てくるところであった。

アムロ(それにしてもすごい反応だったな……やっぱり犬だから鼻が利くのか?)
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:12:52.66 ID:8ndlt9bAO
アムロ「クインシィ、今ならフータも餌を食べていておとなしいから簡単に触れるぞ」

クインシィ「いや……いい……」

クインシィは疲れた様子でとぼとぼと歩き出した。

クインシィ「いつもそうだ……私が触ろうとすると、みんな逃げてしまう」

アムロはまさかと思ったが、クインシィの口調は真剣だ。

クインシィ「私はどうも、好きなものには嫌われてしまう性質らしい」

アムロ「そんなこと言うなよ……」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:19:26.85 ID:8ndlt9bAO
クインシィ「依衣子なら、そんなことないのかな」

クインシィはぽつりと言った。

アムロ「何を……」

クインシィ「依衣子の両親は依衣子のことを愛してはいないが、強烈な関心を示している。」

クインシィ「だがニュータイプ能力のない私には冷たいものだ」

クインシィ「依衣子の体がなくなっては困るから物資や機材はいくらでも提供してくれるが、それだって――」

クインシィ「私のためでは、ない」

アムロは、クインシィは彼女なりに自分の両親を慕っているのだと思った。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:29:52.71 ID:8ndlt9bAO
クインシィは両親から愛情を受けられなかったことにコンプレックスを持っているのだ。

自分は誰からも好かれることはないと思い込んでいる彼女を、どうにか元気づけてやらないと、と思った。

アムロ「クインシィは、僕のことが嫌いかい?」

クインシィ「え!?いや、そんなことは……」

突然のアムロの言葉にパニックになるクインシィ。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:31:24.31 ID:8ndlt9bAO
アムロ「僕だってそうさ、だから、クインシィ……誰からも好かれないだなんて、思わ……」

そこまで言いかけたところで、アムロは今まで隣にいたクインシィが忽然と消えていたことに気づいた。

アムロ(まさか……)

アムロ(変な誤解してないだろうな、クインシィのやつ……)

いやな予感がアムロを襲った。

アムロ(明日学校に来るのが憂鬱だ……)

アムロは重い足取りで帰宅した。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:43:59.80 ID:8ndlt9bAO
――翌朝

アムロは、手づくり弁当を携えたクインシィが部屋の扉を叩く音で目がさめた。

アムロは慌てて制服を着込み、鞄を取って急いで扉を開けた。

アムロ「お、おはようクインシィ」

クインシィ「おはようアムロ。ちょっと起きるのが遅いんじゃないか」

待たされたことも意に介さず、柔らかく微笑むクインシィ。

アムロは、クインシィが昨日のことを完璧に誤解していることに頭をかかえた。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:50:47.41 ID:Cc4p+WU6o
アムロは、手づくり弁当を携えたクインシィの部屋ので目がさめた。 に見えたorz
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:52:32.16 ID:8ndlt9bAO
普通ならあのやり取りだけで交際が成立するとは思わない。

しかしクインシィは愛情に飢えていたし、対人関係も昨日ようやく改善されてきたほどで、世間一般の感覚とは乖離したところがある。

アムロ(不用意なこと言っちゃったかな……でも)

アムロがちらりと横を見ると、今まで見たことがないほど晴れやかな表情をしたクインシィがいた。

アムロ(言えないよなぁ……)
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 17:55:02.42 ID:8ndlt9bAO
>>164
見づらい文章で申し訳ない(´Д`)
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:01:08.37 ID:8ndlt9bAO
アムロは今までのクインシィを知っているだけに、彼女がここまで明るい表情を見せるようになってくれて嬉しいと素直に思っていた。

しかしだからこそ、純粋な彼女を誤解させている事実に胸が痛んだ。

アムロ(せめて、早めに言ってあげるべきだよな……)

アムロは、ここまで明るい彼女は今しか見られないかもしれないと思った。

足取りも軽やかに学校へ向かう彼女を見て、アムロは再び罪悪感に教われた。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:01:41.01 ID:Cc4p+WU6o
            _,....-―――-、
       __,..:-‐'"          `::、
     ( ̄ ゙  ´    _,.......      ,i
     \ __,.:r<二:-――-/ヲハ i
       l>ー-、_。-.、__    ヾテ彡‐"
       .i゙ヘニトf" ,r≧、_ ̄`゙ー-l
       .ト、〈.トハ  ̄ヽ__゚ゝ、.  ヽ.    ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ハ_/' ヽ  ー-'",. `ト:t-、_ゝ  /   そうではない。
      ,/ /  ! ,r-‐〃_ l"     |
     ハ、 ヽ、  / ;ー-->ァ'   _ノ     単純に私が読み間違えたのだ
__,..r‐/   ヽ-、ヾ:、  ゙ ̄"/      ̄ヽ
    ヽ、     \.>、__ ,_/          \________________
     \     / ̄ーiT<__
       ゙ヽ.__/   .!l   `゙ー
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:09:19.94 ID:8ndlt9bAO
クインシィは極度の照れ屋だ。

アムロは口止めしなくても、クインシィが自分から交際のことを言いふらすことはないだろうと思った。

そしてその予想は当たった。当たったのだが――

自分たちに突き刺さる視線が痛い。

昨日だって一緒に登校してきたが、明らかにその時とは違う。

アムロ(考えてみれば当たり前だ……)

昨日までとは全く違うオーラを放つクインシィの様子を見れば、二人になにかあったのだと勘ぐられるのはある意味当然と言えた。
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:17:34.69 ID:8ndlt9bAO
そして――

アレンビー「アームロ!」

背後から声がかかる。
正直、今一番会いたくなかった相手だ。

アレンビー「アムロにしては早いじゃん!あ、今日もクインシィと一緒なんだ。おはよ、クインシィ」

クインシィ「おはよう、アレンビー」

敏感なアレンビーなら、すぐクインシィの変化にも気づくだろう。

そして正直に思ったことをストレートに聞くに違いない。

クインシィは照れ屋だが素直だ。聞かれた質問には正直に答えてしまうだろう。

アレンビー「ねえ、クインシィ……」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:24:02.99 ID:8ndlt9bAO
アムロは冷や汗をかいた。

話が広がった後では、たとえ誤解を解いてもクインシィが恥をかいてしまうことになりかねない。

お願いだから話を続けないでくれ、とアムロは祈った。

クインシィ「なんだ?」

アレンビー「なにかあったの?ちょっと雰囲気違うけど……」

そこまで言って、アレンビーは冷や汗をダラダラかいているアムロに気がついた。

アレンビー(ははーん……)

アレンビー「クインシィ、昨日アムロと何かあったんでしょ!」

クインシィがぱぁ、と明るく笑って答えた。

クインシィ「ああ!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:30:02.12 ID:8ndlt9bAO
アムロは普段はその存在を信じてもいない神に祈った。


クインシィは目をきらきら輝かせて言った。


クインシィ「アムロと友達になったんだ!」


アレンビー「……は?」

その場の空気がなーんだ、といった感じにしらけていき、耳をそばだてて聞いていた尚敬高校の生徒たちは散り散りに解散していった。

脱力したアムロは膝から崩れ落ち、そのまま地面に激突した。
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:37:58.91 ID:8ndlt9bAO
――昼休み。


アレンビー「あっはっは!!そりゃーアムロも誤解するわ!」


アレンビーはアムロの話を聞いて、我慢できないといったようにヒーヒー笑っていた。

絆創膏を鼻に貼ったアムロは、黙々とクインシィの作ってくれた弁当を口に運ぶ。


クインシィ「わ、私だって、男女交際は告白とやらあって初めて成立するものだというくらい知っている!!」


クインシィはアムロのしていた誤解を聞いて真っ赤になった。


クインシィ「め、迷惑なのはこっちのほうだ、まったく……」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:41:24.49 ID:Cc4p+WU6o
カダy…いや、何でもない
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:44:20.92 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「でもねクインシィ、普通手づくりのお弁当持ってそんな幸せそうな顔で朝迎えに来られたら、アムロじゃなくても誤解するわよ」

クインシィ「そ、そうなのか……」


クインシィはシュンとした。

初めて友達ができたことが嬉しくて、自分にできることはなんでもしてあげたい、と思った結果だった。


クインシィ「アムロ……すまなかったな……」

アムロ「い、いや、僕は気にしてないよ」

――本当は、自意識過剰な自分が恥ずかしく、穴があったら入りたい気持ちでいっぱいだった。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:47:53.40 ID:Cc4p+WU6o
        ,,―'' ̄ ̄ ヽ、
      /        \
     / ノ ^^ヽ 、     ヽ
     | /       ヽ、    |
     v'_ニ ゚  _ニニヽ、    |   いいのよチリ毛
      | l_ li    ´、ノ \`  |
      |  ノ    ´ ̄  |´) /
     .|  ヽ       / ー-、    誰にでも間違いはあるわ
     人  `ー      人 l | |
    // ` 、`    / / i    | |
    | |  |   T     | |   / |
    ゝ_ノ丿 |     人 __ノノ
      ,, -―''         , /  ヽ
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     i             l  ヽ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:50:50.64 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「そうよ、アムロになんて謝る必要なんてないわよ!ていうか私に謝ってよ」


クインシィは戸惑った。


クインシィ「な、なぜだ……?」

アレンビー「私はもうクインシィとは友達のつもりだったんだよ!それなのにアムロだけが友達だなんてひどいよ〜!」


アレンビーの口調から、本気で怒っていないのは明らかだった。


クインシィ「フフッ……ああ、悪かった。アレンビー」

アレンビー「わかればよろしい!」


クインシィとアレンビーは、顔を見合わせて互いに微笑みあった。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 18:55:19.77 ID:8ndlt9bAO
>>174
( ̄ー ̄)ニヤリ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 19:01:02.85 ID:8ndlt9bAO
アレンビー「それにしても今日の昼休みも刹那は仕事かー」

アレンビー「クインシィともせっかく仲良くなれたんだから、パイロットのみんなでご飯食べたいのに」

アムロ「そうだな、でもあいつ弁当作れないし……」

クインシィ「わ、私が作るぞ!」


アレンビーとアムロは驚いたようにクインシィを見た。


クインシィ「ア、アムロ……弁当、迷惑だったか?」

アムロ「そんなことないさ、すごくうまい。クインシィは料理上手なんだな」


アムロは正直な感想を言った。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 19:07:24.38 ID:8ndlt9bAO
クインシィはフフン、と得意げに言った。


クインシィ「当たり前だ。私は天才だからな」

アムロ「でもいいのか?刹那の分も入れると3人分だが……」

クインシィ「1人前も3人前も大して手間はかからん」


でも材料費は3倍だろう、とアムロは言いかけてやめた。

細かい金のことを言うのは逆にクインシィには失礼な気がした。


クインシィ「しかし刹那が嫌がったりはしないだろうか……」


強気になったり弱気になったり忙しいクインシィを、アムロとアレンビーは微笑ましく思った。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 19:16:53.32 ID:8ndlt9bAO
アムロ「そんな心配はいらないと思うぞ。刹那は無表情だけど人の好意を迷惑に思うようなやつじゃない」

アレンビー「そうそう、刹那もきっと喜ぶよ!」

クインシィ「そ、そうか!」


クインシィはぱあっと笑った。


アムロは、こんな和やかな日々が続けばいいのにと思った。

しかし現実では、今も熊本のどこかで戦闘が行われ、自分たちと同じような学徒兵が死んでいるのだ。

それでも、この友人達の笑顔が失われることのない日々が続くことを、アムロは願わずにはいられなかった。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 19:21:02.97 ID:8ndlt9bAO
区切りがいいので一旦休みます。
ちなみに筆者はクインシィ贔屓です
クインシィまじ美人
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 19:39:09.30 ID:mV3FypvAO

後漫画連載されてんのは電撃魔王辺りだったかな、舞の年下の姉、芝村神楽が出てる
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/02(水) 19:46:33.36 ID:V9kGfYwAO

クインシィがかわいすぎてニヤニヤが抑えられないwwwwww
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 21:16:00.23 ID:8ndlt9bAO
乙ありがとうございます
本日の投下はこれで終了です

今後の展開としては降下作戦・熊本城攻防戦・最終決戦(までたどり着けるかわかりませんが)以外の戦闘描写は極力カットしていく方針です。
主に学園パートが中心になると思いますのでご了承ください。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/02(水) 23:16:08.41 ID:7kmgc2JDO
乙、楽しみにしてる
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 01:19:15.19 ID:pmcmYMCAO
おつおつ
クインシィが可愛くて生きるのが辛い

アレンビーもイイヤツだ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 13:09:46.20 ID:InqzPLuAO
乙あざます(`・ω・´)
昨日は投下ペースが遅くなりそうです。
まったりお付き合いいただけたら幸いです。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 14:06:10.49 ID:InqzPLuAO
バコン、と音をたてて士魂号3番機のハッチが勢いよく開く。

ソシエ「アムロ、クインシィ、お疲れさま!今日も大活躍だったわね」

戦いを終えたパイロット二人を、ソシエは笑顔で迎えた。


クインシィ「この程度の敵、私たちにかかれば当然だ」

アムロ「クインシィ、あんまり油断しちゃだめだよ」


アムロがたしなめるように言う。


クインシィ「油断ではない。自分たちの実力を正確に把握しているだけだ。」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 14:07:16.94 ID:InqzPLuAO
クインシィ「アムロこそ、謙虚な心は美徳かもしれないが、自らを的確に分析できないようでは今後の戦いに支障をきたすぞ」

アムロ「――っ言わせておけば!」


ソシエ「はーいはいはい、痴話喧嘩はそこまでにして二人とも早く出てきなさい。私の仕事ができないじゃない!」

クインシィ「なっ……」

アムロ「ち、痴話喧嘩なんかじゃ……」

ソシエ「いいから早く出る!」



ソシエの勢いに押され、アムロとクインシィは慌ててコクピットから飛び出した。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 14:41:33.31 ID:InqzPLuAO
初陣から2週間ほど経過し、現在はほぼ3日に1度のペースで戦場に出ている。

パイロットの面々もだんだんと戦闘に慣れ、精神的負荷が軽くなったためか戦闘終了後に談笑をする余裕も生まれていた。


アレンビー「お疲れさま、みんな!」

刹那「ああ……」

クインシィ「フッ」

アムロ「みんな怪我してなくて何よりだ」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 14:42:52.47 ID:InqzPLuAO
戦闘が終わると整備士達は慌ただしく作業を始める反面、パイロットやスカウト達には休息の時間が訪れる。

パイロットの面々は作業の邪魔にならぬよう、隅の方に集まって戦闘の反省会をするのが習慣になっていた。


クインシィ「今日の撃墜数トップは私たちだな。11体。上々だ。」

アムロ「ああ。刹那に白兵訓練を手伝ってもらえた成果が出たな」


アムロはこと機体の操縦に関しては小隊トップの腕前をもつ。

そのアムロなら格闘技術を磨けば戦術の幅が広がりさらに戦闘を優位にできる、というのはクインシィの発案だった。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 14:43:28.19 ID:InqzPLuAO
刹那「俺は7体……ミサイルを擁する3番機には及ばないな」

アレンビー「刹那なんてまだいいわよ!私なんて3体。スカウトの人たちにも負けてるし……」


アレンビーは不満げな口調で言う。

アレンビー「だいたい撃墜カウントって支援機には不利なのよ、頑張って体力削っても前の人たちにとどめさされちゃうし」

アレンビー「後方にいるから幻獣が撤退し始めても追いつく前に逃げられちゃうし」

アレンビー「もー、刹那のスコア半分よこしなさいよ!」

刹那「断る」

アレンビー「冗談なのに即答することないじゃない!」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:03:56.69 ID:InqzPLuAO
賑やかに話すパイロットたちを、シャアは遠くから見守っていた。


シャア(全く、大した子供たちだ)


シャアはハマーンのコネクションを利用し、極力小隊の実力に見合う戦場で戦えるよう、マメな転戦を繰り返していた。

よって、初陣の時のように予想外の事態に見舞われることのない限りは、彼らの手に余るような難敵とは遭遇することはない。
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:04:22.33 ID:InqzPLuAO
―しかしそれを差し引いても、5121小隊は、新設の部隊としてはまさに快進撃とも言うべき活躍を続けていた。

数度の戦闘を経ても戦死者はゼロ。それどころか重傷者も未だ出ていない。

戦車の損傷も、刹那機が一度半壊近くになった以外は大きなものはなく、全交換に至ったものはない。

そして、これまで戦闘全てにおいて、幻獣を全滅または撤退に追いやっていた。

このような新設の部隊は他にない。

ハマーンも、5121小隊がだんだんと本部の人間からも注目されつつある、と言っていた。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:14:42.37 ID:InqzPLuAO
シャア(冗談ではない……!)

本部の人間に5121小隊は使える、と判断されれば、シャアの意向など関係なしに激戦地へ転戦されることは目に見えている。

今調子がよく見えるのは、まだ比較的幻獣勢力が少ない地区での戦闘に終始しているためである。

シャアは、5121小隊のパイロットたちは、いずれもエースになれる可能性を秘めていると思っている。

だからこそ、本部の安易な考えで使い潰されるのは我慢ならなかった。


シャア(ハマーンに情報操作を頼んではいるが、それもいつまでもつか……)


シャアは溜め息をついた。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:23:04.04 ID:InqzPLuAO
シャア(しかし、あの子たちを、大人の勝手な考えで潰すわけにはいかない)


うつむいていたシャアは再びパイロットたちに視線を戻す。

シャアは、自分の作戦立案能力と戦場での状況判断能力にひとかどの自信を持っていた。

戦場を見極める戦略眼も相まって、シャアの力なくしてはここまで順調にこれなかったのは紛れもない事実である。

しかしそれは当然だ、とシャアは思った。

国を守ることを生業とした職業軍人であり、数多の戦いを経験した自分のそれが義務であると。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:30:28.04 ID:InqzPLuAO
驚くべきは新兵たちの能力である。

シャアの立案した作戦を的確に理解し正確に実行、予想外の事態にも柔軟に対応し互いのミスをフォローしあう様子は、これを見た誰もが彼らを新兵とは思わないであろうという高いレベルであった。

そもそもある程度の能力がなければまともな作戦を立てることも困難である。

たったひと月足らずでシャアの作戦に耐えうる新兵が育ったことは、彼自身信じられなかった。
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:47:28.41 ID:InqzPLuAO
いかに身体と頭脳を強化された第六世代と言えど、これは異常といえた。

現に、今も第六世代の学徒兵は戦場に新規投入され続けてはいるものの、そのほとんどがさんさんたる結果であり、人類は幻獣にじりじりと押されていた。


シャア(この絶望的な状況を救うのは、あの子たちかもしれないな……)


シャアは溌剌とした若いパイロットたちを、サングラスの奥から眩しそうに見つめた。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 15:53:11.09 ID:InqzPLuAO
携帯のバッテリーが減ってきたのでサブの方に切り替えます

次のレスからはIDが変わりますが中の人は変わりませんのでご了承ください
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 16:16:32.63 ID:qfzR12EDO
アムロたちが戦場から戻ると、辺りはもう暗くなっていた。作戦開始時刻が夕方だったからだ。

作業を続ける整備士たちに挨拶をしてからアムロはパイロットのみんなと一緒に下校した。

アレンビー「あ〜、早くシャワー浴びたい…ねえクインシィ、シャワー室の設置って無理かなぁ」

クインシィ「考えてもみなかったな……おそらく可能だと思う。明日にでも陳情しておくよ」

アレンビー「ホント!?ありがとうクインシィ!」

アレンビー「あんたたち、シャワー室できても覗かないでよね!」


それまで二人のやり取りを黙って聞いていたアムロと刹那は急に話を振られ動揺した。


刹那「!」

アムロ「だ、誰が覗くもんかよ!」

刹那(こくこく)

アレンビー「……その言い方なんか腹立つ」

アムロ(じゃあなんて言えばよかったんだよ!)

次の瞬間、アムロと刹那は同時にアレンビーのラリアットを食らって仲良く地面に寝転んだ。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 16:28:47.12 ID:qfzR12EDO
地面に仰向けになった刹那は、漆黒の空に金色の影が舞うのを見た。

幻かとも思ったが、あまりに華麗な跳躍に目を離すことができなかった。

その影はまもなく消えてしまったが、刹那は呆然として、しばらく動けなかった。

アレンビー「せ、刹那〜!やだ、どうしよ…」

アレンビーの声に、刹那は目が覚めたようにはっとした。

その感覚に、自分はきっと短い夢をみていたに違いない、と刹那は自分を納得させた。
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 16:56:51.01 ID:pmcmYMCAO
勝手にシャアはCCAのだと思ってたけど、サングラスしてるのか
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 16:58:26.68 ID:pmcmYMCAO
勝手にシャアはCCAのだと思ってたけど、サングラスしてるのか
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:01:57.82 ID:qfzR12EDO
アレンビー「あ、目がさめた!」


アレンビーは刹那の顔を覗きこんで笑った。


アムロ「まったく、アレンビーは後先考えないんだから……僕も危うく重箱落とすところだったじゃないか」

アレンビー「あはは……ごめんごめん」


クインシィがアムロや刹那の分の弁当を作ってくるのはもはや習慣となっていた。

途中から、「箱をわざわざ分けるのがめんどくさい」という理由で、クインシィは大きな重箱に3人前の弁当を詰めて持ってくるようになっていた。

クインシィは当然ながら材料費を受け取ることはなかったので、申し訳なく思ったアムロと刹那はせめてこれくらいはと、食後は交代で重箱を洗うことと、一緒に帰る時は重箱を持つことを申し出た。
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:03:32.36 ID:q5ohgbf0o
           _,、 -‐''''""~~""''''‐- 、_
        ,.-'"             ゙ヽ,
       ,r"                    ゙、
     _,/                       ゙、
.   ,r'"                       ゙、
   {     {                      ヽ     シャワー室か!…よかろう。
    {     {     ..,,_              ヽ
.   ノ     ,'゙'、ヾ、レ‐---、ヾ゙)ノ)   -、         ゙,    だが、男の使用は許可しないっ!
  /     {  ,、-:::::..  :. :::ツ ノ     ゙、゙'、       }    男の尻イベントなんてゴメンだからな!!
  ,"      _!,,ソ:::::::::::::::.. :. :::::ノ{     } }      ノ
  {     r'':::::::::r-、;_::::::::  :. :/ ゙'‐-、,   }.ノ      {
  ゙、    { ::::::::;'   `''ー-‐'"     ノ  リ       ゙ヽ
.  ゙'‐-、 ゙'、 ::::/           、,クノハ         }
     ゙'‐`'{'゙iヽ、'   __,,,.、    ,.,.,.,,,_/_ハ       {
        `'ヽ  r,"-''"     | ┌ー-゙-ニっ     ヽ、
         {ヽ  r"      | .|      } ト)    ヒ`ゝ
         `~}ヽ      /.| |      -‐"  ヽ、 マ
     l'''ニニニニ{、、,゙'、.,__-‐"  | |            ヽ'
.      | i     ノ     l,.、-'"| |
      | i     `つ   ζ   .| |
      ヽ,ヽ     `''ー'l
.       ヽ,゙、         !
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:09:02.35 ID:qfzR12EDO
>>203
ビジュアル的にはクワトロさんですね
名前はどうしてもシャアの方にしたかったのでちょっと混乱するかも。ごめんなさい
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:27:42.78 ID:qfzR12EDO
クインシィは、別に重箱なんてどうでもいいのに、と思った。

見返りなんて求めていないし、第一弁当を作るのは自分から言い出したことだ。

クインシィは、アムロが申し訳なさそうに提案してくるのを半ば面白がって見ていた。


自分以外の人のために料理するのは楽しいし、それをおいしそうに食べる様子を見ながら食べるのはもっと楽しい。

そもそも、自分の性格を考えれば嫌なことや不満なことはとっくに言っている。


クインシィ(こういうのを鈍いと言うんだろうな、アムロのやつ……)


クインシィは、億が一アムロのことを好きになる物好きがいたとしたら、そいつは苦労しそうだな、と思った。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:34:14.68 ID:qfzR12EDO
一旦休みます。
手がかじかんで打ちづらい……
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 17:45:05.75 ID:VhXjVLrAO

とりあえず、自宅に帰ってから落ち着いて投下しては?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 17:54:26.48 ID:q5ohgbf0o
億が一?
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 18:04:06.19 ID:pmcmYMCAO
アー二重かきこしちまってたスマン

>>207
クワトロさんはあくした
今日寒いよね
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:10:06.51 ID:qfzR12EDO
乙ありがとうございます!
乗り換え待ちの電車に乗れたのでとぼとぼ投下してきます


>>211
そうです
万が一より可能性が低い感じのニュアンス
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:10:54.74 ID:qfzR12EDO
――翌日、昼休み。


アムロ「カラオケセット?」

刹那「ああ……整備員詰め所にある妙に場所を取っている機械、あれがそうらしい」

アレンビー「あ、それ知ってる!ティファが仕事終わって詰め所を出るのを待って、たまにヘンケン先生が浪曲の練習してるんだって」

クインシィ「そうか……私も端末を利用しに詰め所は頻繁に利用するが、気付かなかったな」

アムロ「アレンビーはティファに聞いたんだろうけど、刹那はなぜ知ってるんだ?」

アレンビー「刹那、歌好きだったっけ?」

刹那「俺じゃない。……歌好きの友人が、使ってみたいと言っていたのを聞いた」


そのあと彼女が、でも壊しちゃったら弁償するのにいくらかかるかわからないし無理ね、と寂しそうに付け足したことは言わなかった。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:13:57.01 ID:qfzR12EDO
アムロ「なるほど、歌か……」


アムロはなにやら考え込むように言った。


クインシィ「アムロは歌が得意なのか?」

アムロ「全然、得意じゃないさ。でもひとつ気になる歌があって……」


アムロ「前に友軍の通信から、歌が聞こえてきたことがあったろ」

アレンビー「ああ、我が心はなんとか〜って感じのだっけ」

アムロ「そう、それ。あれを聞いた時、自分の中のなにかがカーッと熱くなって、妙にやる気が出てきたんだよね」

アレンビー「あ、ちょっとそれわかるかも」

刹那(こくり)

クインシィ「それは当然だな。あれは戦意高翌揚のための軍歌だからな」

アムロ「クインシィはあの曲を知ってるのか?」


クインシィはうなずいた。

「あれは突撃行軍歌。ガンパレードマーチだ。」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:16:51.06 ID:qfzR12EDO
相変わらず誤字がひどいorz
予測変換のバカ
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:34:06.61 ID:qfzR12EDO
アムロ「ガンパレードマーチ……」

アレンビー「なんかさあ、友軍部隊の人たちがみんなで合唱しててちょっとカッコよかったよね!」


ヘンケン「歌か……歌はいいものだぞ、お前たち!」


刹那「!」

アレンビー「へ、ヘンケン先生!?なんですかいきなり」

クインシィ「昼休みはまだ終わっていないぞ……と言うか次の授業はエマ先生の国語だったはずだが」


昼食の時間を邪魔されたクインシィは不機嫌そうだ。


ヘンケン「まあまあ、細かいことは言いっこなしだ」

ヘンケン「歌はいいものだぞお前ら」

ヘンケン「戦いの最中、腕が折れても足が動かなくなっても、歌だけは歌える」

ヘンケン「戦場での歌は味方を鼓舞し、隊全体に一体感を与える。お前たちが感じたようにな。なかなか馬鹿にはできないぞ。」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 18:47:49.24 ID:qfzR12EDO
ヘンケン「アムロはガンパレードマーチに興味があるのか。」

アムロ「は、はい」

ヘンケン「あれは兵士の間では大変人気のある歌だ。かくいう私も大好きでね」

ヘンケン「正規の軍隊にいた者ならみんな知っている歌だからな……今度、知らない連中を集めて練習でもするか」

アレンビー「いいんですか?」

アムロ「その、僕は嬉しいですけど…勝手に他の人を巻き込んじゃって大丈夫なんでしょうか」

ヘンケン「なに、兵士たる者軍歌の一つも知らんでどうする!の一言で済む」


ヘンケンは笑った。


ヘンケン「それにあの歌は、戦う者なら誰もが惹き付けられる。お前たちもそうだったようにな。練習が終わる頃には、文句をいうやつなんていなくなるさ」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 19:15:16.56 ID:qfzR12EDO
――


ヘンケンの言っていた通りだった。彼の強制招集に初めは文句を言っていた者達も、練習が進むにつれ次第に真剣に取り組むようになっていった。

軍歌特有のリズミカルで力強いメロディも良いが、なんといっても歌詞が彼らの心を掴んだ。

戦友達の血の池に立ち、悲しみを払う剣を振るいながら、どこかの誰かの未来のために仲間たちと手を取り合って戦う……

その歌詞に全ての生徒が己を重ね、彼らの幻獣への憎しみを増幅させ、人類の未来を勝ち取ることを誓わせた。

練習に参加しなかった者も、校舎から聞こえてくる歌にあわせて自然と口ずさみ、気づけば5121小隊全体がガンパレードマーチの大合唱に包まれていた。


【5121小隊全員がガンパレード状態になった!】
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 19:36:13.96 ID:ebIH6s+AO
流石は絶技、伊達じゃないね
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 19:38:07.25 ID:qfzR12EDO
アレンビー「な、なんか……ものすごくやる気が出てきたかも!」

アムロ「アレンビーもか!僕もなんだか、仕事や訓練がすぐにでもしたくてしょうがないよ!」

刹那(こく)

ヘンケン「はっはっは、そうだろうそうだろう。そのテンションなら、きっと仕事でも訓練でも練習時間のロスを楽々取り返すくらいの成果を上げられるんじゃないか?」

アレンビー「よーしこうしちゃいられない!訓練やってやってやりまくるわよ!」


アレンビーが稲妻のごとく走り去っていったのをきっかけに、生徒たちはやる気がみなぎった表情でそれぞれの訓練場や仕事場に散って行った。


ヘンケンはそれを満足そうに見届けた後、自身もガンパレードマーチに触発されたのか、自分の仕事場である職員室へと足早に向かうのだった。
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 19:38:23.74 ID:YYsbi6Qko
ガンパレード状態キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 19:54:56.59 ID:2tY5O06AO
訓練能率のガッカリ度合いに定評あるガンパレード(笑)状態か…
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 20:02:07.43 ID:qfzR12EDO
アムロは、クインシィを誘って訓練をすることにした。

訓練場に向かう途中、クインシィがアムロにぽつりと話しかけた。


クインシィ「アムロは……歌がうまいんだな……」

アムロ「そうかな?僕は普通だと思うけど」

アムロ「うまいっていうのはマリナさんみたいに歌える人のことを言うんだよ」


アムロはそう言って、伸びのある、どこまでも優しいマリナの歌声を思い出していた。


アムロ(刹那の言っていた友人ってマリナさんのことだったんだな)


アムロがマリナの歌声を誉めると、歌うのはお金がかからないから好きなの、とマリナは笑って答えた。


クインシィ「いや、確かにマリナも上手だったが……違うな、なんというか……」


クインシィは言葉を探しているようだった。


クインシィ「お前の声が……いいと思ったんだ」

アムロ「声?」


小隊には良い声の持ち主がたくさんいる。
特にシャア司令と、お耳の恋人を自称するムウ通信士の声は格別にいい。

自分の声がいいと言われても、アムロはピンと来なかった。


クインシィ「そうだ。歌う声は特にいい。きっと戦場でお前の歌声を聞いたら、たとえどんな窮地でも私は立ち上がれる気がするよ」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 20:04:31.51 ID:qfzR12EDO
若干中途半端ですけど今日はこれで投下終了です
読んでくださった方はありがとうございました
花粉が飛び交う季節ですが負けないで頑張りましょうノシ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/03(木) 20:19:28.18 ID:ebIH6s+AO
乙、常用薬が鼻にも効いてるらしいからあんま辛くないな自分は
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/03(木) 22:14:20.47 ID:sJnBxHHDO
おっつおっつ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:02:58.58 ID:tm9f4CDAO
おはようございます
本日はまとまった時間が取れなさそうなので、時間をあけた投下になると思います。
ぼちぼちやっていくのでよろしくお願いします。
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:03:28.86 ID:tm9f4CDAO
アムロ「そ、そうかな」


アムロはクインシィの言葉に面食らったが、悪い気はしなかった。


アムロ「クインシィがそう言ってくれるなら、君が苦しくなった時はいつでも歌うよ」

クインシィ「本当か!」

アムロ「その代わり、その時は君も一緒に歌うんだぞ」

クインシィ「わ、私はヘタだからダメだ……今までは歌なんて、誰も教えてはくれなかったし」


クインシィはそう言うと、悲しそうな顔をした。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:04:22.55 ID:tm9f4CDAO
アムロ「そんなこと言うなよ。クインシィの声だってなかなかのものさ」


確かにクインシィは歌がお世辞にもうまいとは言えなかったが、アムロは隣りで彼女の歌を聞き、素直にそう思っていた。


クインシィ「……本当か?」

アムロ「ああ。だから僕が挫けそうになったら、クインシィが歌ってくれないか」

クインシィ「あ、ああ!任せておけ」


そう言うと、二人は顔を見合わせて微笑みあった。


【「軍楽技能」を取得しました】
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:05:40.76 ID:iDo3DGkNo
Hな雰囲気の邪魔なことといったらもう・・・
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:26:37.90 ID:tm9f4CDAO
アムロとクインシィが一緒にシミュレータで訓練をしていると、アムロはシミュレータ内の訓練プログラムの中に、「特殊訓練」なるものを見つけた。


アムロ「なんだろう、これ……」

クインシィ「これは、特殊な条件下においての戦闘を想定したプログラムだ。」

クインシィ「専門的な訓練を受けた正規兵のためのものだから、私たちには必要ないぞ。」

クインシィ「私たち学徒兵が、このような戦闘に駆り出されることはほぼ無いからな。」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:33:14.80 ID:tm9f4CDAO
アムロは考えこんだ。


アムロ「うーん……それでも、なんとなくやっておいた方がいい気がする」

クインシィ「ニュータイプの勘か?」

アムロ「からかわないでくれよ。……僕らがやっているのは戦争なんだ。何が起きるかわからない」

アムロ「……やっておいて損はないと思うんだけど」

クインシィ「ふむ、一理あるな」


クインシィ「……ではこれをやろう。以前ドモン戦士に見てもらって、試してみたことがある」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:41:16.15 ID:tm9f4CDAO
アムロ「降下ミッションか……」

クインシィ「ああ。大体のコツは聞いてあるが、姿勢制御が鍵になる。アムロの腕次第ということだな」

アムロ「ああ、頑張るさ」

クインシィ「フフ、頼もしいな」


アムロとクインシィは早速シミュレータ内に乗り込み、プログラムを起動した。


――


クインシィ「まさか、こんな短時間でミッションを達成させてしまうとはな。」


クインシィはアムロに飲み物を渡しながら、感心した口ぶりで言った。


アムロ「ありがとう。でもクインシィの助言がないと、一人じゃ多分無理だったよ」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 11:48:21.12 ID:tm9f4CDAO
アムロ「着地した時に足首を少し痛めちゃったから、クインシィの射撃の腕がなければミッションは達成できなかっただろうし」

クインシィ「初めてであれだけできれば大したものだよ」

アムロ「クインシィはどうだったの?」

クインシィ「私は天才だからな、最終的にはマスターしたさ」

クインシィ「……時間はお前の5倍くらいかかったけどな」


アムロはクインシィがばつが悪そうにそっぽを向くのを面白そうに見た。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 12:28:57.05 ID:tm9f4CDAO
アムロ「僕だって、これほど調子がよくなかったらわからなかったよ」


アムロは、幻獣に対抗するためにできることは何でもやっておきたい気分だった。


アムロ「疲れてないか、クインシィ」

クインシィ「誰に聞いているんだ。お前の相棒はそんなにヤワじゃないぞ」

アムロ「はは、そうだったな」

アムロ「もうちょっと訓練に付き合ってくれないか」

クインシィ「お安いご用だ。私も今日は体を動かしたい気分なんだ」


二人は疲れを全く感じさせない様子で、再びシミュレータのコクピットに戻っていった。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 17:05:06.33 ID:tm9f4CDAO
プルルル……プルルル……

ガチャ


翠「もしもし、準竜師さんかしら」

翠「ええ、ちょっとお願いしたいことがあるのだけど」

翠「ええ、ええ……舞台を整えるのはこちらでやりますから、あの子たちを連れ出してくださる?」

翠「ええ、詳しい話はまたいずれ。それじゃ」


翠「……全く、手のかかる娘だこと。」


翠はそう言うと、再び電話を手に取り短縮ダイヤルボタンを押した。
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 18:55:35.53 ID:tm9f4CDAO
訓練に明け暮れた後にそのままの勢いで、アムロとクインシィは夜を徹して仕事に励んでいた。

朝方になりようやく作業を切り上げたアムロとクインシィがハンガーから出てくると、朝日を浴びる5121小隊のプレハブ校舎の屋上に、大小さまざまな影がいくつも連なったいるのが見えた。

よく見ると、赤いチュニックを来た巨大な猫を中心に、さまざまな動物が集まっているようだ。

ウサギや狼、ペンギンまでいる。

その中には、フータの姿もあった。

動物たちはみな一様に、朝日が上る方向をまっすぐ見つめていた。

その様子は動物たち祈りのようでもあり、決意のようでもあった。


アムロとクインシィは、声もなくそれを見つめていた。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 19:03:30.67 ID:tm9f4CDAO
―数日後


ガチャ


シャア「どうしたハマーン」


ハマーン「やられたぞ、シャア」

シャア「……どういうことだ」

ハマーン「共生派だよ。お前のところの姫君を引きずり出すつもりらしい。」

シャア「なんだと……!どうにかならないのか」

ハマーン「気づくのが少々遅すぎたな……本部の中のかなりの数を抱き込んでいる。奴らの根回しの早さは相当なものだ」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 19:22:54.66 ID:tm9f4CDAO
ハマーン「目先の欲に踊らされる下衆ばかりだ。もう少しましな連中かと思っていた私が甘かったな」

シャア「伊佐未か……」


シャアはぎりりと奥歯を噛んだ。


ハマーン「すまない、シャア」


ハマーンはモニターの向こうで表情を曇らせた。


シャア「いや……もうこうなったらしょうがないさ。……いつになるんだ」

ハマーン「4月1日0時だ。」

シャア「今日の24時か!?場所は?」

ハマーン「わからん。全く私を出し抜くとは……下衆ながら大したやつだ」

シャア「打つ手はないのか……」


シャアは頭を抱えた。自分にできることは彼らの無事を祈ることしかないことを信じたくなかった。
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 19:39:46.20 ID:92GcV7HDO
シャアは良い人だなあ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 19:40:56.66 ID:iDo3DGkNo
フータイベント乙


共生派?そんなのあったっけ?
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 19:50:21.47 ID:MtGahjxDO
>>242
ゲーム本編から削除されたシナリオに詳しく書かれているので裏設定に近いかもしれません。
幻獣との共存を掲げる人々のことであり、テロまがいの活動をする人なんかもいます。
その存在は軍部から非常に危険視されており、ほとんどの場合共存派の思想を疑われただけで即殺されます。

ゲーム本編でも滝川イベントである選択肢を選ぶと彼が不審な死を遂げますが、それは彼が共生派を疑われたためです。
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 19:50:25.89 ID:7AHBvt8eo
金の延べ棒くれる遠坂さんが共生派だった気がする
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 20:38:24.38 ID:MtGahjxDO
――その少し前。


アムロとクインシィが共に学校へ向かっている最中、アムロの多目的結晶体に通信が入ってきた。


???「5121小隊のアムロ・レイ十翼長かね」


聞き覚えのない声に、アムロは首をかしげた。


アムロ「確かに僕はアムロ・レイですが、あなたは?」

???「その前に、この通信が誰にも聞こえないように場所を移動してくれないか。隣にいるお嬢さんも一緒に。」


その言葉に違和感を感じたアムロがクインシィの方を向くと、彼女は顔をこわばらせて震えていた。


アムロ「クインシィ……?」

クインシィ「アムロ、とりあえず場所を変えるぞ」

アムロ「あ、ちょっと……」


――


クインシィ「何の用だ、パプテマス・シロッコ。母なら今は青森の研究所だぞ」

シロッコ「相変わらず口のききかたを知らないようだな、伊佐未依衣子十翼長。私は準竜師であり、貴様達の上官だぞ」

クインシィ「直属の上官はハマーン・カーンだったはずだが。それと私は敬意を払う相手は自分で決める」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 21:20:08.93 ID:MtGahjxDO
シロッコ「ふん、今はそんなことはどうでもいい。アムロ十翼長」

アムロ「は、はい。何でありましょうか準竜師」


アムロは混乱した。知らない人間から通信が入って来たかと思えば、それはクインシィの知り合いであり、しかも彼は準竜師だという。

準竜師といえば普段はモニターの向こうの存在であり、アムロのような一兵卒にとっては雲の上の存在である。

その準竜師が直接自分にコンタクトを取ってきたことにアムロは戸惑っていた。


シロッコ「貴様の腕を見込んで頼みがある。ある作戦を実行したいのだがあいにく手駒が足りなくてな。」

シロッコ「極秘任務だ。頼まれてくれないか」


クインシィ「ふざけたことを!貴様が自由に使える兵など何百人といるだろう」

シロッコ「ところがそうもいかんのだよ。今回の任務内容は非常に特殊で、こなせる人間が限られている」

シロッコ「幻獣共生派の人間が、ニュータイプ能力の非常に高い人間を利用し、幻獣との対話をさせようとしているらしいとのリークがあったのだ」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 21:34:35.86 ID:tm9f4CDAO
アムロ「!」

クインシィ「……ニュータイプに関しては軍の極秘事項だったはずだが、こんな下っ端の一パイロットに言ってもいいのか」

シロッコ「なに、君たちに少しでも信用してもらおうと思ったのだよ」


シロッコはわざとらしく態度を和らげた。


アムロ「……ニュータイプには、幻獣と対話する能力があるんですか」


アムロは、自分と同じニュータイプが幻獣共生派に利用されている話を聞き、少なからずショックを受けていた。


シロッコ「そんなことはわからん。ニュータイプは人類の革新とは言われているものの、その実態はほとんど明らかになっていない。そもそもそんなものは実在しないと言っている輩も数多くいる」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 21:49:36.42 ID:tm9f4CDAO
シロッコ「しかし一方では、ニュータイプは感覚機能が異常に発達していて、中でも優れた者は相手の考えを瞬時に見抜くこともできる、との研究報告もある」

シロッコ「おおかたそれを聞きつけた共生派が、それを曲解した挙げ句に今回の行動に至ったのだろうな」

シロッコ「ニュータイプと噂される少女を、今日の24時に幻獣の群れの真ん中に放り込むそうだ」


アムロは全身の血液が一瞬で沸騰したかのような感覚を覚えた。
そこにあるのは幻獣共生派への純粋な怒りである。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 21:59:41.68 ID:tm9f4CDAO
クインシィ「……その情報は確かなのか?」

シロッコ「ああ、信用できる情報元からだ」

シロッコ「場所は非常に特殊な地形で、それゆえ士魂号でヘリから降下してもらうことになる」

シロッコ「降下作戦は初めてだろうが、やれるかね」

アムロ「やります。僕にやらせてください」


アムロは即答していた。



――昼休み、ハンガー。


パイロット仲間との昼食を断り、わずかな時間も惜しんで士魂号を入念にチェックするアムロの姿がそこにあった。
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 22:10:44.32 ID:tm9f4CDAO
その作業を傍らで手伝いながら、クインシィはぽつりと言った。


クインシィ「……すまない」

アムロ「どうしてクインシィが謝るんだ?」


作業の手を動かし続けたままアムロは答える。


クインシィ「今回のことは……私の母が一枚噛んでいる可能性が高いんだ……」


クインシィは消え入りそうな声で言った。


クインシィ「私たちが降下訓練をした事実を知る人間は、ドモン戦士くらいしかいない……それ以外では私に常時監視をつけている母しか知らないはずだ」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 22:26:24.64 ID:tm9f4CDAO
クインシィ「シロッコは母と個人的な……その、パイプを持っていて」


言葉を濁すクインシィに、アムロはなんとなく察しがついた。


クインシィ「だから、その……母はシロッコと結託して、何か企んでるかもしれないんだ」

クインシィ「もしかしたら、危険なめにあうかもしれない」

アムロ「……どうしてそれを、準竜師と話している最中に言わなかったんだい?」

クインシィ「……」

アムロ「わかってたんだろ。君がなんと言おうと、僕がこのミッションを受けていたこと」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 22:38:27.58 ID:tm9f4CDAO
クインシィ「……」

アムロ「僕だってわかっていたさ。あの人の言葉にはなんとなくだけど違和感があった」

アムロ「でもあの人、なんだかほとんど隙がなかった。もし仮にこの話が嘘だったとしても……」

クインシィ「『幻獣に襲われる少女』の舞台は完璧に整えておくだろうな」


アムロはうなずいた。


アムロ「確かに腹は立ったさ。僕と似たような子が利用されて酷い目に遭わされそうになってるなんて」

アムロ「でも、それが嘘だったとしても、同じ目に遭う女の子がいるかもしれないんだ」

アムロ「ニュータイプだとかニュータイプじゃないとか、そんなのは関係なしに、僕は彼女を助けたいと思ってる」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 22:47:39.11 ID:tm9f4CDAO
アムロ「それに本気で僕を止めたいなら、君だけでも拒否すればよかったじゃないか」

アムロ「複座型は、クインシィがいなければ動かせないんだから」

クインシィ「そんなことをしても、お前は無理やり3番機を動かすか、アレンビーか刹那の機体を持ち出すかしてただろ」

クインシィは頬を膨らまして言った。

アムロはバレてたか、と思った。


クインシィ「お前には私がいてやらないと駄目だからな。」

クインシィ「それに私も人類を背にして戦う兵士だ。……助けられる命があれば、助けたいさ」
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 22:52:10.06 ID:tm9f4CDAO
今日の投下はこれで終わります。
レスくれた方ありがとうございました。
もうじき苦手な戦闘パートが始まるので、非常にガクブルしております……
それではまたノシ
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 02:00:59.69 ID:APW8N2TAO
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 12:14:08.26 ID:F8PtMlBAO
おつ

翠ママンはともかくパプティマスサマが下衆でがっかりした
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 12:34:39.69 ID:RKbRx8LAO

シロッコがメッセンジャーボーイにされそうな気がして仕方ない。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 13:16:32.68 ID:3qf9pS1AO
おつありがとうございます!
今日ものんびり投下していきます

>>256
>>257
パプティマス様はアムロを焚き付けるために下衆を演じただけです
余力があれば彼のエピソードもちゃんと書きたいと思っています
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 15:01:09.33 ID:3qf9pS1AO
無数の赤い目に取り囲まれた少女は、だんだんと近づいてくる声に耳を澄ませた。

それは自分を励ます声だった。彼女が今まで聞いた声の中でも最も力強く、優しい声だった。


???「私もしかしたら、死ななくて済むのかな」


少女のかすかなつぶやきは、近づいてくるヘリコプターの爆音にかき消された。


アムロとクインシィは、作戦開始のカウントダウンをコクピットの中で静かに聞いていた。


アムロ「クインシィ……すまない、僕のわがままに付き合わせて」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 15:11:34.08 ID:3qf9pS1AO
クインシィは微笑んだ。


クインシィ「……そうだな、帰ったら味のれんで一番高いメニューをおごってもらおうか」

アムロ「そんなことでいいのか?」

クインシィ「私にだけじゃないぞ。刹那やアレンビー、3番機の整備士のみんなにもおごるんだ」

アムロ「なっ……!」

クインシィ「当たり前だ。黙って単機出撃など皆いい気はしないさ。本当は小隊全員にと言いたいくらいだ」

アムロ「……帰るのが憂鬱になってきた」

裏マーケットにあった旧世代のプラモデルがまた遠のいたと思ったアムロは、今度店主に分割払いを頼んでみようと密かな決意を固めた。
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 15:26:35.05 ID:3qf9pS1AO
クインシィ「……どうやらおしゃべりはここまでのようだ、アムロ」

クインシィ「いくぞ、相棒」

アムロ「ああ!」


「3、2、1、作戦開始!ハッチ開け!」

通信の声と共にハッチが開くと、地面に向かってするすると鋼製のロープが下ろされた。

アムロの操縦により3番機がそれを伝って地面へと下りる。


クインシィ「いたぞ!」

アムロ「まだあんなに小さいじゃないか……!」


3番機のモニターには、こちらをじっと見つめる少女の姿が映っていた。

年齢は10歳前後だろうか。恐怖からか体がかすかに震えている。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 15:33:35.64 ID:3qf9pS1AO
アムロの胸に再び怒りが込み上げてきた。
共生派かシロッコかはわからないが、こんなか弱い少女を利用する卑劣な大人がいる事実に吐き気がした。


クインシィ「例の少女を見つけた。降下地点よりわずかに北。今のところ幻獣の影は見えないが警戒はしている、早く迎えを寄越せ」

クインシィがヘリの友軍に通信を入れた。

アムロは外部スピーカーの電源を入れ音量を絞ると、少女に話しかけた。

アムロ「君、大丈夫だったかい?どこか怪我は?」


少女は首を横に振った。
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 15:49:41.12 ID:3qf9pS1AO
アムロとクインシィはほっとした。


アムロ「すぐ迎えが来るから安心してくれ。よく一人で頑張ったな」

???「あなただったんだ……」

アムロ「え?」


少女のつぶやきはあまりに小声だったので、外部マイクに拾われなかった。

……にも関わらず、アムロには彼女の声が聞こえた気がした。


アムロ「君は……」


アムロが言いかけたその時、友軍のスカウトから通信が入った。


スカウト兵「目標を確認した。直ちに保護し、ヘリに収容する」

アムロ「お、お願いします」

スカウト兵「なに、お前たちの任務に比べたら簡単なものさ」

スカウト兵「……幸運を祈るよ。名前も知らないパイロットさん。」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 16:21:20.07 ID:F8PtMlBAO
>>258
はやとちってスマンかった

パプティマスサマのエピソードっていうのは、ソックスハンター編と受け取ってよろしいか
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 17:05:15.02 ID:3qf9pS1AO
>>264
いえいえ。わざと言葉足らずにしたのが逆効果でした……
回収する予定の伏線以外はできるだけわかりやすく書くように気をつけます。

その辺はご想像にお任せします( ̄ー ̄)ニヤリ
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 17:23:06.95 ID:3qf9pS1AO
少女を無事収容したと友軍のヘリから通信を受けたアムロとクインシィは、ひとまず安心した。

しかしそううかうかしていられない。


アムロたちは送られてきた幻獣戦力の情報に唖然とした。

アムロ「なんだこれは……強力な幻獣ばかりじゃないか!」

クインシィ「まずいぞアムロ、飛行タイプの幻獣が何体かいる……このままでは友軍のヘリが落とされるぞ!」

アムロ「言われなくても!」

アムロは既に友軍のヘリに急速接近するきたかぜゾンビに向かって猛ダッシュしていた。
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 19:13:30.63 ID:APW8N2TAO
配役は誰やら
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 19:27:20.74 ID:PDkqp7zTo
なんだよ、ISスレじゃないのかよ?
つまんねーな
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 20:03:22.64 ID:M6+PKTXDO
ガンパレとガンダムのクロスとか俺得すぎ
支援
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 20:08:16.61 ID:72sUigGzo
>>267
口にはしないけど誰だか考えるのは楽しいよな
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 20:31:03.00 ID:3qf9pS1AO
支援ありがとうございます!
このスレはVIPで書いてたスレの続きになっています。下のところでまとめてもらってあるのでそちらから見ていただけるとありがたいです。

http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1298815437-0-c.html
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 20:55:22.33 ID:3qf9pS1AO
クインシィ「ひとつ!」

アサルトライフルが火を噴き、狙いを定めた一撃がきたかぜゾンビの燃料タンクを貫いた。


クインシィ「次だ!」


アムロの上半身ひねりと同時にクインシィが再びトリガーを引く。

正確な射撃は二体目のきたかぜゾンビをも一撃で轟沈させ、同時に射程圏におさめた三体目を連射によって撃ち落とした。


クインシィ「く……ヘリの離脱が間に合わないか!」

アムロ「複座で引きつける!クインシィ、対Gに備えてくれ!」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 21:09:16.22 ID:3qf9pS1AO
士魂号複座型はしゃがみ込むと、全身の人口筋肉をしならせて高々と跳躍した。

幻獣は射程圏内に入り込んだ敵を優先的に狙う性質がある。

きたかぜゾンビの最後の一体は、自分とヘリの間に割って入った敵を一瞬で認識し、次の瞬間にはその機銃を士魂号に向けて放っていた。

重力に従い落下するしかない士魂号は格好の的である。


アムロ「やらせるかよ!」


アムロはアサルトライフルを木の枝に引っかけ、その反動を利用して機銃の掃射を紙一重で避けきった。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 21:18:44.08 ID:3qf9pS1AO
再び落下する士魂号は、そのまま素早くなおも自分たちを追い続けるきたかぜゾンビに狙いをすませた。

衝撃を受け流すために前転しながら着地する士魂号。

同時に、最後のきたかぜゾンビが頭上で爆発するのが聞こえた。


クインシィ「友軍機、どうなった?」

友軍兵士「今ようやく撤退ラインまでたどり着けたところだ。あんたらに命を救われたよ」

友軍兵士「あんたらも……無事に帰れるといいな」

アムロ「はい。ありがとうございます!」

クインシィ「フ……彼女を安全な場所に届けるまでは気を抜くなよ」

友軍兵士は短くああ、と答えると通信を遮断した。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 21:27:10.57 ID:3qf9pS1AO
アムロ「とは言うものの……」


そこに残されたのは、幻獣の群れの中にたった一機の士魂号。

ゴルゴーンやミノタウロスを始めとした多数の幻獣が、士魂号を取り囲むようにして迫ってきていた。

アムロ「撤退はできそうにもない、か」

クインシィ「怖じ気づいたか?」

アムロ「まさか。一体多の状況は始めじゃないからな」


クインシィはくっくっと低く笑った。


クインシィ「そうだな……エマに頬を張られた痛み、奴らにもとことん教えてやろうか」

アムロ「そういうことだ。……いくぞ!」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 22:16:15.37 ID:3qf9pS1AO
地上戦はアムロの独壇場だった。
今回は戦闘中の補給が臨めないので、無駄弾を使うことは許されない。

それを見越したアムロは、超硬度大太刀を装備してきていた。


アムロ(刹那……)


アムロは親友の戦う姿をその頭の中に正確に映し出していた。
記憶の中の彼の動きをなぞるようにしてゴルゴーンやキメラを次々に斬り伏せて行く。


クインシィ(こんな動き……戦闘でも訓練でも見たことがないぞ)


かつてない身のこなしで見る間にスコアを重ねていくアムロに一瞬気を取られたクインシィは、自分の意識がぐらりと揺れるのを感じた。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/05(土) 22:38:35.25 ID:3qf9pS1AO
今日はこれで投下を終わります。
読んでくださった方ありがとうございます。

ところで、既にちょくちょく絡めてますが、ゲーム中で語られないいわゆる「裏設定」絡みのネタの扱いに少々悩んでいます……
皆様方の意見をお聞かせいただけると嬉しいです。

それではまたノシ
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:42:05.64 ID:ROH04Z7SO
乙!相変わらずオモロー!
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 22:44:06.54 ID:/210DSjco


裏設定は、最後に簡単に説明すればいいんじゃないかと
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 23:19:59.28 ID:APW8N2TAO
別世界の死の商人セプテリオンとかも裏設定だったけ?
プレイしたのは遠い過去だから何が何やら
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 01:37:57.12 ID:gHUawRBAO
おつおつ

ガンパレ内の設定ならなんでも絡めていいんじゃないかな
ただあんまり風呂敷を広げると、収拾がつかなくなりそう
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 08:49:41.93 ID:vvAhndkAO
サラっと書いてるが、複座で前転を成功させるアムロってすごいな
裏設定に関しては、>>1が必要に感じた物を>>>1の負担にならない程度に盛り込んでくれればいいかな
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 14:27:57.69 ID:LOavkWTAO
面白いと言ってくださってありがとうございます(ノд`)
これからも少しずつ頑張ります!


>>279
そうですね、本編中で説明しきれかなった部分は後で補足しようと思います

>>280
基本的にファーストマーチ準拠です
多重世界やら介入やらは話の本筋には絡まないかと思います
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 14:35:58.59 ID:LOavkWTAO
家族でカラオケ行ったら館内BGMがもう一度TENDERNESでふいた


>>281
ありがとうございます
大体決めている流れの中に入れたいイベントを挿入している感じなので、風呂敷は大丈夫だと思います!
ただ裏表関係なく入れたいイベントがありすぎてテキスト量や時間的な問題が……
エピソードの取捨選択に頭を悩ませている最中です。

>>282
言われるまで気づきませんでしたorz
きっとアムロがニュータイプ能力で地面の穴ぼこか何かを利用してうまくやったに違いありません
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 15:13:50.63 ID:LOavkWTAO
クインシィ「っは……!」


クインシィは何かを振り払うように頭を強く振ると、荒い息を吐いた。


アムロ「!どうしたクインシィ」

クインシィ「私のことはいいから敵に集中しろ!」


必要以上の声量でクインシィが怒鳴った。


クインシィ(集中してないのは私の方だ……!)


クインシィは激しく騒ぐ胸を押さえ、目の前のモニターに目を移す。


クインシィ「こ……れは……」


クインシィはレーダーが捉えた幻獣の情報を解析にかけた。


クインシィ「クソ、私はこんなことにも気がつかなかったのか!」
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 16:06:15.45 ID:LOavkWTAO
クインシィ「一旦退くぞアムロ!」

アムロ「クインシィ?…わかった、1分くれ」



士魂号が幻獣からある程度の距離をとったところで、クインシィが口を開いた。


クインシィ「アムロ……よく聞け。この中に己の姿を偽装している幻獣がいる」

アムロ「なんだって!」

クインシィ「なぜかはわからんが……友軍からの情報に間違いがあったようだ」

クインシィ「残り敵戦力はミノタウロス3体、キメラ1体と表示されてはいるが……」

クインシィ「解析にかけたところ、ミノタウロス3体のうち2体は……大型幻獣のスキュラで間違いない」
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 16:37:00.59 ID:LOavkWTAO
スキュラは飛行能力と強力なレーザー兵器を保有する、現在確認されている中では最強の幻獣である。

アムロとクインシィは授業で学んだことはあるものの、実際に相対したことは今まで無かった。


クインシィ「すまなかった……アムロが白兵戦で戦闘を一手に引き受けている間は、周囲を警戒するのは私の役目なのに」


クインシィが自分自身への怒りを滲ませながら言った。


アムロ「仕方ないさ。友軍の情報にミスがあったなんて普通誰も思わないよ」

アムロ「気づかないままレーザーの射程に入れられて蜂の巣にされなかっただけだいぶましさ」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 17:27:45.78 ID:gHUawRBAO
言われてみれば背中のでっぱった複座型で前転て無茶だなww

出来るとは言えない、でもやるしかないんだ ゴロン
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 18:16:12.89 ID:LOavkWTAO
クインシィ「しかし奴らも考えたな。暗視スコープがあるとは言え、幻獣の種類の視認までは困難だ。」

幻獣は組織的な行動を取っているので、彼らが一定の知能を保有することは学者の間でも一致した見解である。


クインシィ(……共生派の奴らの言うことも、妄言ばかりではないのかもな)


アムロはそれまで動かし続けていた手をほんの少しだけ休めた。

今回の作戦がおかしいというのは引き受けた時から気づいていたことではあるが、こうもイレギュラーが重なると、何かの陰謀を疑いたくもなる。
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 19:18:02.45 ID:LOavkWTAO
アムロ(ニュータイプである僕と、イサミ社の娘のクインシィ……)


どちらかを消したい人間が軍上層部にいると言うのか?

あるいは両方か……今回のように幻獣とのパイプ役に使われる可能性のあるニュータイプを快く思わない人間は数多くいるだろう。

それなら、自分と同じくニュータイプ依衣子を内に宿すクインシィを同時に狙った理由がわかりやすい。


アムロ(まあ……今下手に勘ぐったところでこの状況がどうにかなるわけでもないか)
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 20:24:35.03 ID:LOavkWTAO
アムロ「ミノタウロス1体は比較的離れた場所にいるな。こいつは僕に任せてくれ」

クインシィ「ああ。……ついでにここにいるキメラもやれないか」

アムロ「確かにこの位置だとスキュラとの戦闘に割り込まれる可能性があるな。了解だ」

クインシィ「……その際ここのルートをこう通ってくれないか。」


クインシィがマップ上のマーカーを動かす。


アムロ「?別に構わないが、どうしてだ」

クインシィ「うむ、作戦はこうだ、アムロ―」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 20:40:04.03 ID:LOavkWTAO
――


まばらに木の生えた荒れ地を疾走する士魂号。


クインシィ「いいぞアムロ、うまい具合にキメラだけ釣れた」

アムロ「ああ、任せてくれ。……クインシィの首尾はどうだ」

クインシィ「もうちょっとだ……万が一気づかれたら、後ろも見ずに全力で後退してくれ」

アムロ「ラジャー。」

アムロは摺り足でのわずかな動きのみでキメラをしばらく翻弄すると、敵のわずかな隙を見逃さずに、一刀のもとにこれを叩き伏せた。
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 21:11:14.96 ID:LOavkWTAO
多数の眼であらゆる方向を警戒するスキュラは、同朋の血しぶきの向こう側に立つ白い巨人を見た。

有効距離内ではあったが、士魂号が他の標的を注意深く見ている様子に気づきレーザーの発射を思い留まる。
発射準備中に移動されてしまったら意味がないからだ。

多くの幻獣がそうであるように、彼もまた敵を最も効率よく倒す行動を本能的に実行していた。

多数の紅い瞳が士魂号を注視する。

間もなく士魂号が右斜め前方に走り出すと、スキュラもその後を追って走り出した。

同朋に気を取られた敵を、無防備になった背後からそのレーザーで貫くためである。
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 21:34:37.28 ID:LOavkWTAO
3号機は目標のミノタウロスを見つけると、同時にこちらを発見し突進してきたミノタウロスの頭上をひらりと飛び超えた。


左右に飛び跳ねミノタウロスを翻弄する士魂号。

鬼のような形相でキーボードを叩きながら計器やモニターを注視していたクインシィが大声で叫んだ 。


クインシィ「今だアムロ!!」

アムロがクインシィの声に一瞬で反応し、瞬時にミノタウロスを叩き伏せる。

その直後、ミシミシと音を立てて周りの樹木を巻き込みながらスキュラがその身を空中に浮翌遊させようとしていた。
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 21:36:48.76 ID:LOavkWTAO
なんで翌の字がたまに入って来ちゃうんでしょうかね…orz
誤字だらけでほんとすいません
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 21:47:58.00 ID:LOavkWTAO
―しばらく前

アムロ「ミサイルを?」

クインシィ「ああ。スキュラ1体に全弾ぶち当てる」

クインシィ「まずプログラム処理にかかる時間のログをどうするかだが」

クインシィ「キメラを狙っていると見せかけて、スキュラにぎりぎりまで接近してミサイルの目標捕捉設定を行う」

クインシィ「その間アムロは幻獣どもから見てさも自然なように時間を稼ぎながらキメラをなぶってくれ」

アムロ「……簡単に言うな」

クインシィ「お前だから言うんだ」

クインシィ「それは1、2分でいい。問題は硬直時間をどうするかだが」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 21:54:58.55 ID:LOavkWTAO
クインシィ「それはこちらのミノタウロスを使う」

クインシィ「キメラを倒したあと、その場をすぐに離脱せずにわざとスキュラに3番機を視認させる」

クインシィ「そこで私たちはミノタウロスの元に向かう。スキュラはそれを追ってくるはずだ」

アムロ「……もし追って来なかったら?」

クインシィ「追ってくるさ。奴らは最も当てやすく、ダメージをより与えることのできる背面からの攻撃を何より好む。」

クインシィ「万が一追ってこないようならわざとモタついて奴を誘い出せ」
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 22:37:14.00 ID:LOavkWTAO
クインシィ「奴がミノタウロスに偽装していることを利用する」

アムロ「……ミノタウロスを壁に使うのか」


アムロはなるほどといった様子で言った。
うなずくクインシィ。


クインシィ「そうだアムロ。ミノを挟んでスキュラに上手く立ち回れ」

クインシィ「……その内にミサイルの発射が近づいてくる。硬直までのカウントが20の時点でのスキュラの状況によりいくつかプランを考えている」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 22:57:33.07 ID:LOavkWTAO
――

ミサイルの全方位攻撃を受けたスキュラは、爆音とともにその体を四散させた。


アムロ「……ふう」

クインシィ「タイミングがうまく合ったな。プランAでいけたのは運がよかった。」

アムロ「ああ……クインシィの言った通り、ミノタウロスの遮蔽で焦れたスキュラが飛び上がった時は驚いた」

クインシィ「あんな巨大が浮上するにはかなりの時間がかかるからな。……硬直時間がドンピシャじゃなくとも戦闘を優位にするには十分な時間だ」


少しだけニヤリと笑ったクインシィはすぐに真面目な顔つきに戻る。
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 23:06:08.75 ID:LOavkWTAO
クインシィ「アムロ……残りは、スキュラ一体だ」

クインシィ「もう切り札のミサイルも無い。あの馬鹿でかい幻獣を、残りの武装でどうにかせねばならない。」



アムロ「そうだな……でもクインシィ、僕は君の立てた作戦を信じてるからさ」

クインシィ「……私こそ、お前の腕を信じているからこそ無茶な注文をつけるんだ」

アムロ「無茶だって自覚してたのか」


アムロが苦笑すると、照れたクインシィが早口でまくし立てる。


クインシィ「うるさい!……約束は、忘れてはいないだろうな」

アムロ「ああ。……またみんなと、昼飯を食べような」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 23:18:10.46 ID:LOavkWTAO
士魂号はレーダーの端に、幻獣の影をとらえた。
先ほどの爆発で、仲間を失ったことを知ったスキュラが特攻をかけてきたのだ。


クインシィ「スピードが速い!やはり飛行してきたか……プランBでいくぞ!」

アムロ「ああ!」


士魂号は走ってスキュラをアサルトライフルの射程内に収めると、そのまま残りの弾丸を全て相手の巨体に打ち込んだ。
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 23:25:12.46 ID:LOavkWTAO
とりあえず今日はここまでです。
話全然進まない……戦闘パートはやはし少々しんどいです
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 23:46:27.72 ID:fpSMe3QSO
乙!熱いぜ!無理せずにのんびりやって下さいな
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 07:54:58.23 ID:KiUSBV8AO

続き楽しみにしてる
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 09:41:47.22 ID:cb4otDA8o
スキュラなんぞ、ジャンプ→右or左斬り→斬り返し→ジャンプで容易に倒せるっ!
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 10:03:02.34 ID:xPGqyCNAO
3番機はすばやく弾倉を交換すると、再び全力射撃を行った。


クインシィ「やはりまだ足りないか……」


3番機は、遠距離用の武器はアサルトライフル以外に携帯していなかった。
最後の弾倉を使い切った士魂号に、上空の敵を攻撃する術は残されていない。

防戦一方で攻めあぐねる3番機を見たスキュラは、好機とばかりにその距離をつめる。
士魂号の現在の攻撃範囲を見極めた上で、レーザーを確実に当てるためである。

疲労のためか動きの鈍くなった士魂号に狙いを定めるスキュラ。

レーザーにエネルギーが満たされ、次の瞬間――
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 10:17:16.78 ID:xPGqyCNAO
――辺りをもうもうとスモークが立ち込めた。


そして。


両手の武器を捨てた士魂号が勢いをつけて上空へ飛び上がり、指を食い込ませながらスキュラに掴まった3番機は、そのままの勢いで――


クインシィがありったけの銃弾を打ち込んだスキュラの急所に、強烈な蹴りを喰らわせた――



アムロ「はぁ、はぁ、はぁ……」


目を血走らせ、肩で息をするアムロ。


クインシィ「レーダーから幻獣の反応の消滅を確認……」


クインシィも疲労のためか、声が少しかすれている。


クインシィ「どうやら……我々の勝利のようだ」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 10:40:13.37 ID:cb4otDA8o
そういえば、酉は付けないの?
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 10:42:09.19 ID:xPGqyCNAO
アムロ「ああ……」


アムロは疲れた体をノロノロと動かし、士魂号のハッチを開けた。

むわっとした空気がコクピットから出て、代わりに冷たくさわやかな空気が流れ込んでくる。


アムロは東の空を見た。

ほんの少しだけ、白くなりかかっている。


アムロ「朝か……」

クインシィ「ああ……そうだな……」


アムロとクインシィは、疲れ切った体をシートに預けたまま、日が上っていくのをぼんやりと見つめていた。

友軍のヘリの音が聞こえてくるまで、一言も発することなく、ただただ二人は空のを眺めていた。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 10:47:14.35 ID:xPGqyCNAO
>>308
スレ立てはこれが初めてで、その辺よくわかんないです……
つけた方がいいですかね?
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 10:58:20.27 ID:xPGqyCNAO
――数時間前。


とあるビルの屋上に降り立ったヘリコプターを、武装した兵士が取り囲んだ。


兵士「投降しろ。おとなしくすれば命までは奪わん」


ヘリコプターの操縦士は、着陸直前に友軍から進路変更の指示を受けていた。

やられた、と思いつつも命は惜しいので素直に言うことに従った。


兵士「例の少女を確保しました。外傷は見られず精神状態も比較的安定しているようです」


???「うむ、よくやった。例の場所へ移送しろ。丁重にな」

兵士から連絡を受けた男は指示を回すと、自分の主に向き直った。
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 12:14:34.30 ID:xPGqyCNAO
???「首尾はうまく行ったようです、ハマーン様」

ハマーン「ご苦労、マシュマー。作戦までの時間をあまりやれなかったが、よくやってくれたな」


薄い紫色の髪が印象的な美丈夫、マシュマー・セロは、自らの心酔するハマーンからのねぎらいの言葉に身悶えた。

彼にとってのハマーンの言葉は神の啓示に等しく、ハマーンの美貌は彼の美意識の絶対的な基準であり、ハマーンの判断こそが彼を手足のように動かす脳髄そのもののようであった。

ハマーン「マシュマー、通信をつないでくれ」

マシュマー「は。どちらに繋ぎましょうか」

ハマーン「シャアだ」


マシュマーは血の涙を流した。
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 12:51:00.94 ID:tpN1OpHDO
ワロタ
飴と鞭だな……
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 13:08:57.59 ID:cb4otDA8o
バラでもあげてやれ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 13:31:55.18 ID:xPGqyCNAO
シャア「どうした、ハマーン」


シャアは3番機が極秘で出撃した後、夜を徹するつもりで小隊隊長室に詰めていた。


ハマーン「3番機を輸送したヘリを確保した。航空記録と通信記録がかなり巧妙に消されていて復旧に時間がかかりそうだ」

シャア「そうか……どのくらいだ?」

ハマーン「急がせてはいるが正確な場所を特定するまではあと1時間弱……操縦士の話だと移動にも1時間ほどかかるらしい」

シャア「そうか……」


それではとても援軍は間に合わない。
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 13:59:13.66 ID:xPGqyCNAO
ハマーン「すまない、手は尽くしたのだがこれが精一杯だ」


ハマーンは申し訳なさそうに目を伏せた。


シャア「いや、ハマーンのせいではない」

シャア「できうる限り早く、アムロ達にヘリをよこしてやってくれ」

ハマーン「無論だ」

ハマーン「それとな……ニュータイプの少女も確保した。囮だったようだが、一応それなりに能力はあるらしい」

シャア「引き取れと言うのか?……そうだな、今回お前には大きなの借りができてしまったからな」

ハマーン「助かるよ、シャア。3番機の件は任せてくれ」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 20:30:00.77 ID:xPGqyCNAO
アムロ達がヘリポートに降り立つと、見知った顔が彼らを待ち受けていた。


アムロ「シャア司令……」


アムロは準竜師からの命令とはいえ、直属の上司であるシャアに無断で3番機持ち出し及び出撃をしたことに多少の気まずさを感じていた。

そんなアムロの心情を読み取ったのか、シャアが穏やかな口調で言った。


シャア「任務遂行、ご苦労。……単機でよく頑張ったな」


ぽんと肩を叩かれると、安堵で崩れ落ちそうになった。


シャア「車を回してある。学校まで送ろう」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 20:55:21.96 ID:xPGqyCNAO
シャア「……と、その前に、その重苦しいウォードレスをこれに着替えたまえ」

アムロ「これは?」

シャア「予備の制服だ。今の時間なら直接学校へ行けばちょうどホームルームに間に合う……なんだその顔は」


アムロとクインシィは顔を見合わせて盛大なため息をついた。どうやらこの上司はこんな日でも自分たちに学生の本分を全うさせるつもりらしい。


軋む体を朝日が眩しく照らす。

4月1日はまだまだ始まったばかりだった。
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 21:41:16.04 ID:xPGqyCNAO
シャア司令が自ら運転する車が5121小隊のハンガーそばに止まる。
そこにはつい先ほどまで長きの戦闘を共にしていた3番機が運び込まれようとしていた。

いつもの朝と違うハンガーの様子に、早めに登校していた生徒たちは何事かと様子を見に来ていた。

ハンガーを見に来ていたアレンビーは、車から降りてきたアムロとクインシィを見つけて声をかけた。


アレンビー「おはよ、二人とも。……何があったの?」


アレンビーは明らかに疲れている様子の友人たちに遠慮がちに尋ねた。
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 22:14:30.19 ID:xPGqyCNAO
アレンビーは本当は聞きたいことがたくさんあった。

昨夜は出撃命令が出ていなかったのにどうして複座型がボロボロなのか。二人が疲れた様子なのはなぜなのか。シャア司令の車で登校した理由は何なのか……



アムロ「アレンビー、その……」


アムロはアレンビーに何と言えばよいのかわからなかった。

彼女が自分たちを心から心配してくれていることは、その表情からも十分に見て取れる。

しかし自分は軍人である。極秘任務を他人に漏らすことはもちろん許されない。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 22:45:05.95 ID:xPGqyCNAO
そこに、黒塗りの高級車が唐突にやってきた。

突然のことに固まる皆の前で、車から降りてきた青年がうやうやしく後部座席の扉を開けると、一同は更に驚愕することになった。


ハマーン「5121小隊の諸君、少々邪魔をする」


その場にいた5121の面々は、ほとんど直立不動で反射的に敬礼をしたまま動くことができなかった。

彼らにとってハマーン・カーン準竜師は、陳情用の端末か、テレビ映像でしか見たことのない雲上の人である。

そのあまりの存在感に圧倒され、なぜ彼女がこの場にいるのかという疑問を誰も抱かなかった。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 22:53:47.69 ID:xPGqyCNAO
その疑問を、特に緊張した様子の無いシャアが尋ねる。

ハマーンの側に控えていたマシュマーが、彼の言葉に食ってかかるように答える。


マシュマー「そんなこともわからんのか無礼者!ハマーン様はそのお優しくも慈愛溢れるそのお考えで……」

ハマーン「よい。マシュマー」


ハマーンはマシュマーを制止すると、彼に何かを言った。

マシュマーがハマーンの指示で黒い箱を取り出した。


ハマーン「久しぶりにこの勲章が出たのでな。その授与に来たのだよ」


そこには、交差する剣がモチーフになった勲章が二つ、銀色に光りながら並んでいた。
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 23:37:54.60 ID:xPGqyCNAO
ハマーン「詳しいことは言えないが、そこにいるアムロ・レイ十翼長と伊佐未依衣子十翼長にちょっと私の用を頼んでね」

ハマーン「作戦成功に大きく寄与すり働きをしてくれたので後日また他の勲章を授与する予定だが……」

ハマーン「全国でも数ヶ月振りのシルバーソードだ。戦意高翌揚のためにはめでたい話のひとつでもあった方がよかろう」

マシュマー「セレモニーは間もなくだ。分刻みのスケジュールをこなすハマーン準竜師閣下のお時間を無駄にしないよう早く準備をしろ」


シャアの方を睨みつけながらマシュマーが不機嫌そうに言うと、ハマーンは彼を伴って尚敬高校の校長室に向かって早足で去って行った。
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/07(月) 23:44:25.52 ID:xPGqyCNAO
今日の更新はここまでです。
とりあえず降下作戦書き切れてほっとしました。戦闘描写はフィーリングで書いてるので細かく見ればおかしな点ばかりかもしれないです……
大目に見てくれるとありがたいです。

それではまた明日ノシ
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 00:49:24.40 ID:ciGFDt/AO
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 01:37:35.66 ID:jqIA8OrAO
火の国の乙剣

斬るぞ!マシュマーさん!
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 02:02:45.83 ID:ZGQ38oN0o
乙ー!
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 10:30:26.77 ID:FPr1SFvQo
銀剣突撃徽章か。
なんか貰いまくった記憶があるwwwwwwww
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 16:02:17.45 ID:+advcglAO
乙ありがとうございます
今日もちまちま書いてくんでよろしくお願いします
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 16:12:58.71 ID:+advcglAO
その日のホームルームの時間、5121小隊の面々を含めた尚敬高校の生徒たちは校庭に整列した。

校長の長い前置きの後に壇上に上がるハマーン。

彼女は有名人である。
高い階級に加えそのテレビ映えする容姿で、有事や催事の際にメディアに取り上げられることが多いせいだ。

ハマーンの気高く凛とした美しさに魅了される者は男女問わず多く、尚敬高校の生徒の間からもいくつものため息が上がっ。


校長により名前が呼ばれると、アムロは緊張した面もちで壇上に上がった。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 16:28:11.57 ID:+advcglAO
――


いつにも増して騒がしい1組の教室の中でも、胸に銀剣突撃勲章をつけたアムロとクインシィの周辺は一段と賑やかだった。


刹那「怪我は……大丈夫だったか?」

アムロ「あ、ああ……ちょっと擦ったくらいだ」

アレンビー「ほんとびっくりしたよ!シルバーソードの英雄様が、授章式であんな派手にひっくり返るなんて……」


アレンビーはくっくっと笑いながら言った。

人前に立つことに慣れていないアムロは、極度の緊張に疲労も相まって、壇から下りる際に足をもつれさせてすっ転んでしまったのだ。
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 16:35:26.80 ID:FPr1SFvQo
ハマーン様に向かって転んだら今頃チリ毛の命はなかった
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 16:39:51.92 ID:+advcglAO
アムロ「もうその話はいいだろ!」

アムロは額の絆創膏をさすった。


アムロ「……それにしてもクインシィはさすがだったな。緊張してる様子もなく、堂々としてた」

クインシィ「私は昔からああいうのは慣れてるからな」

アレンビー「でも二人とも羨ましいなー、ハマーン準竜師から直接勲章授与してもらうだなんて!」


アレンビーがうっとりと目を輝かせて言った。


アムロ「アレンビーはハマーン準竜師のファンなんだな」


アレンビーは満面の笑みで頷いた。
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 17:02:16.21 ID:+advcglAO
アレンビー「熊本唯一の女性準竜師にしてあの凛々しさと美しさ……ハマーン様は熊本中の女子学徒兵の憧れの的なんだから!」


憧れのハマーンの下で戦えることが誇らしいのか、胸を張るアレンビー。


アレンビー「それにしてもハマーン様に極秘任務頼まれるなんて羨ましいなぁ……私にも言ってきてくれないかなぁ」


その時背後の扉がガラリと開き、エマが入ってきた。


アムロ「あれ?もう授業の時間だったか?」

クインシィ「いや、2時限目までまだもう少しある。何かあったんだろうな」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 17:23:27.90 ID:+advcglAO
校長の話のおかげで授章式は延びに延び、終了したのは1時限目の半ばを過ぎた頃だった。

そこで特別に、本日の1時限目の授業はなし、通常授業は2時限目以降ということになったのだった。

ざわつく教室内によく通るエマの声が響いた。


エマ「みんな、ちょっと早くけど席に戻って!」


みんなはぱらぱらと席に戻った。教室はすぐに静かになった。


エマ「突然だけど、今日我が1組に転入生がやって来ます」


一旦静かになった教室が、エマの言葉にざわめいた。
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 17:34:01.86 ID:+advcglAO
エマ「はいはい、みんな静かに!」

エマ「我らが5121小隊の新メンバーだから、これからみんなと一緒に戦う仲間よ」


エマ「みんな、仲良くしてあげてね」



エマの言葉に一同は一瞬違和感を感じたが、すぐにその理由はわかった。

エマが扉の向こうから手を引いてきた転入生は、最年少のティファよりもなお幼い、10歳ほどの少女だったのである。


1組の生徒の表情が暗くなった。こんな年齢で戦場に駆り出された少女の身の上を考えると、怒りや悲しみ、やるせなさが胸にこみ上げた。
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 19:11:56.80 ID:+advcglAO
しかしそんな中、アムロとクインシィは少女を見て目を点にしていた。

クインシィ(見間違いではない……)

アムロ(あの子は!)


???「あー!!なんでこんなところにいるの!?」


エマの後ろに隠れるようにして教室に入ってきたその少女は、教室を見回したかと思うといきなり大きな声を上げた。

彼女の視線の先にいたアムロにクラス中の視線が集まる。

そのままアムロの元に行こうとした少女を、エマは襟首を掴んで引き戻した。


エマ「あなた、みんなに自己紹介なさい」


少女はむ、と頬を膨らませたがエマの様子を見てここは素直に言うことを聞くことにした。


プル「あたし、プル!エルピー・プル!よろしくね」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 19:45:39.58 ID:FPr1SFvQo
やはりプルか!!! 俺得だぜ! ( ゚∀゚)o彡°
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 21:42:35.45 ID:Q36LsatAO
クローンが当たり前の世界だしプルズは何十人になるのか?
まったくこんなに嬉し……ゲフンゲフン恐ろしいことはない
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 21:44:32.24 ID:+0z4riwVo
12人は確定しているな、ユニコーン的に
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 22:21:43.45 ID:jqIA8OrAO
ええい、天パはいい!プルツーを映せ!
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 22:48:08.58 ID:+advcglAO
――昼休み。


授業が終わった途端にアムロのそばに飛んできて離れないプルを交えて、パイロット仲間達はいつものように昼食を囲んでいた。


アレンビー「しっかし今日は驚いてばっかりだよ、朝から3番機とアムロとクインシィはボロボロだし、ハマーン様がいきなり現れたかと思ったらアムロ達はシルバーソードだし、唐突に転入生が来たと思えばこんな小さな子な上アムロの知り合いみたいだし……」

刹那「……少々詰め込み過ぎだな」

アムロ「はは……」


アムロは弱々しく笑った。

どこで知り合っただのなんだの、と言う質問には、プルは口をつぐんだので助かった。

そもそもこの年齢でここにいること自体訳ありなのは明白なので、誰も彼女を追求しようとは思わなかった。
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 22:56:07.44 ID:+advcglAO
アレンビー「ブルは何歳なの?」

プル「10歳だよ!はいアムロ、あーん」


初めは人見知りしていたブルも、皆がアムロの友人だと紹介されると、多少打ち解けた様子で仲間の輪に入ってきた。


アムロ「い、いいよ。僕は自分で食べるから」


アムロは作戦時のことがあったとは言え、異常なほど自分に懐いているブルに対して戸惑いを隠せなかった。


プル「アムロ、食べてくれないの……?」


涙目になるプル。アレンビーや刹那の無言の視線を浴びたアムロは、慌てて口を開けた。
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:04:01.54 ID:+advcglAO
プル「えへへ。おいしい?」

アムロ「あ、ああ……」

クインシィ「当然だ。私の手作りだからな」


クインシィが冷ややかに言う。

プルは眉間に皺を寄せた。


プル「そうなの?アムロ」

アムロ「あ、ああ」

クインシィ「それも今日だけじゃない。アムロ(と刹那)の弁当毎日私が作っている」


クインシィがたたみかける様に言う。


プル「なんで毎日あんたがアムロのお弁当作ってんの?アムロ、この人ってアムロの何?」

アムロ「何ってともだ
クインシィ「パートナーだ」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:14:54.11 ID:+advcglAO
目を見開いてクインシィを凝視するプル。

その視線を受けながら、平然とした表情で淡々と食事を続けるクインシィ。

二人の間に挟まれて訳がわからないといった表情のアムロ。


静まり返った食卓に、アレンビーが慌てて言った。


アレンビー「プ、プルは何の仕事するの?」

プル「……まだ決まってないの。しばらくはみんなのお手伝いしながらやりたいこと決めて、技能訓練しなさいって」

アレンビー「そうなんだ。じゃあ今日は私とみんなの仕事場見て回らない?」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:23:12.20 ID:+advcglAO
プル「やだ!アムロとがいい!」


プルは即答した。


アレンビー「今日はダメだよ。アムロはすっごく疲れてるから」


プルはアムロの顔を覗き込んだ後、残念そうに頷いた。


プル「……うん。わかった」

アレンビー「プルは偉いね!じゃあ今日は私と約束だから、忘れないでね」


アムロ(アレンビー……助かったよ……)


アムロは面倒見のよく優しい友人に心から感謝した。

プルとクインシィのやり取りを聞いて、アムロの疲労は一際増していたのであった。
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:32:22.45 ID:+advcglAO
――放課後。


アムロ「それじゃ、お先に」


アムロとクインシィはシャア司令の特赦で、本日の仕事を免除されていた。

仕事場に向かう友人達にお先に、と言い、クインシィと共に帰路につく。



アムロ「今日は、色々あったな……」

クインシィ「ああ、本当にな」


クインシィが頷く。

アムロは一連の出来事が夢ではないかとも思ったが、胸元を触ると冷たく重厚な感触を指先に感じる。


アムロ「シルバーソードか……」

クインシィ「ああ。夢なんかじゃないよ」


アムロはクインシィも今自分と同じことを考えていたのかもしれないと思った。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:46:37.54 ID:+advcglAO
アムロ「それにしても……どうしてシャア司令が迎えに来てくれたのかな」

クインシィ「おおかた、ハマーン準竜師が何らかの方法で今回の作戦内容を知って、司令に知らせたのだろうな。」


アムロは、5121小隊内でシャア司令とハマーン準竜師が恋人同士だったという噂が流れていることを思い出した。


クインシィ「準竜師は司令のためならなんでもするという噂を聞いた」

クインシィ「もしその噂が本当なら、幻獣共生派の人間と私たちにわずかな繋がりももたせなくなかったための行為と考えると合点がいく」
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/08(火) 23:47:59.64 ID:+advcglAO
本日はこれで終了します
量少なくてすいませんでした……

それではおやすみなさいノシ
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 01:33:16.71 ID:CO2FpHbAO
傷ついた乙章

ゆっくりでも構わない、無理なく書いてくれ
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 07:37:45.22 ID:NgcUN1YAO
乙やカキコありがとうございます
まったり続けていきますのでよろしくお願いします
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 07:47:37.00 ID:NgcUN1YAO
アムロ「そうか……準竜師にあれだけ尽くさせるなんて、司令は何者なんだ?」

クインシィ「噂は色々聞くが、本人に聞いた方が早いだろうな」


アムロとクインシィは、太陽の光をきらきらと反射する金色のスネ毛を思い浮かべた。

げんなりする二人。


アムロ「そ、そういえばさ」


アムロは気を取り直してクインシィに話しかけた。


アムロ「プルのことだk
クインシィ「奴がどうした」


クインシィが明らかに不機嫌な様子になる。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 08:02:04.03 ID:NgcUN1YAO
アムロはプルに対して妙に刺々しいクインシィを不思議に思いながらも、自らの疑問を口にした。


アムロ「僕たちはプルの姿は見てたから知ってたけど、なぜプルは僕がわかったんだろう」


アムロ達はカメラで外部が見えるが、プルが見たのは士魂号の外観のみだったはずである。


クインシィ「……それは、奴が私を知らず、アムロしか知らなかったことが鍵になると思う」


クインシィはしぶしぶといった様子で口を開いた。


クインシィ「加えてシロッコは、あの少女がニュータイプの可能性があると言った。あの戦場でニュータイプ同士感じ合える何かがあったのかもな」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 08:08:35.69 ID:NgcUN1YAO
アムロ「うーん、僕は特にわからなかったけど……あ」

クインシィ「どうした?」


アムロはそこでふと、以前にティファとの間に起きた不思議な出来事を思い出し、そのことをクインシィに話した。


クインシィ「なぜそれをもっと早く言わない」


クインシィはますます不機嫌な顔をした。


アムロ「だ、だってあの後すぐに初陣だったし、毎日仕事や戦闘で忙しくて……」

クインシィ「忘れていたんだな」

アムロ「……ハイ」


アムロはうなだれた。
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 08:22:46.86 ID:NgcUN1YAO
クインシィ「……まあいい。アムロの話を聞くと、ティファもニュータイプ能力の片鱗があるようだな」

クインシィ「シロッコが言っていたように幻獣と対話する能力があるのが事実なら、ニュータイプ能力を持つ者同士ならテレパスでの会話も可能なはずだ」

アムロ「あんな小さな子が!?」

クインシィ「あいつは更に幼いだろう、アムロ」

アムロ「そうだけどさ……こうもあからさまにニュータイプ能力を持つ人間をかき集めて、偉いやつらは何をしたいんだろうな」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 09:34:35.54 ID:NgcUN1YAO
確かにアムロの言葉ももっともだ。

ニュータイプ能力の発現率はごくごくわずかで、その存在は公にされるどころか軍部の情報統制のもと、噂にすら上ることはなかった。

それを考えると、5121小隊におけるニュータイプの比率は異常中の異常であると言えた。


クインシィ「うむ……様々な理由が考えられるな」

クインシィ「前も言ったと思うが、ニュータイプ同士はお互いに影響を及ぼし合うことがある。その実験のための部隊に5121小隊が選ばれたという可能性がひとつ」
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 13:00:50.43 ID:NgcUN1YAO
クインシィ「もうひとつは、そうだな……」

クインシィ「幻獣共生派に強いアレルギーのある軍のタカ派が、奴らに利用される可能性のあるニュータイプをまとめて抹[ピーーー]るために集めた、という可能性もあるな」

アムロ「なっ……」


アムロは絶句した。


クインシィ「まあ、その可能性は低いと思うぞ。今回の表彰で5121小隊は多少なりとも有名になったはずだ。我々を消したいやつらがいたとしても、そう簡単には手は出せないさ。」

クインシィ「それに本気で消すつもりなら、力がついていない発足当初に激戦地へ送り込むなりしてるはずだ」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/09(水) 14:05:53.12 ID:NgcUN1YAO
やっちまった……
「抹殺する」です
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 16:51:10.32 ID:jtZlKLNAO
製速やパー速じゃ当たり前のことだ、勝手に補完するから気にしないでおk
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 17:27:33.55 ID:NgcUN1YAO
アムロ「確かにそうだけどさ」


アムロは不安になってきた。


アムロ(シャア司令やハマーン準竜師は、どういうつもりで……)


てっきり彼らは味方だと思い込んでいたが、実はそうでないかもしれない。

自分たちは半分学生ではあるが半分は軍人である。

上官にはもちろん逆らえない。自分たちは彼らの言う通りのことをするしかないのだ。


自分たちの命を握っている上官たちへの信頼が揺らぐと、作戦に対する不信感に繋がり、それは戦場での迷いを生じさせる。

アムロは頭ではわかっていても、その疑念を振り払うことができなかった。
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 17:50:56.01 ID:NgcUN1YAO
――十数時間前


???「準竜師、ハマーンが例のヘリを確保したそうです」


シロッコの側に仕える金髪の秘書官が、先ほど入ってきた通信の内容を報告した。

シロッコは不機嫌そうな顔でつぶやいた。


シロッコ「どこからか情報が漏れたな……」


???「裏切り者の捜索はどうします?」


シロッコ「いや、周到なハマーンのことだ。既に本土かどこかへ逃がしてあるだろう。今から探しても金と手間の無駄だ」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 17:51:43.60 ID:NgcUN1YAO
???「は……ニュータイプの少女も奪われてしまいましたが」

シロッコ「ああ、あれはもういい。今回のことで伊佐未や共生派に恩を売れたからな」


シロッコはなんの興味も無さそうに言った。


シロッコ「それよりカテジナ。今日はいい店を予約してある。久しぶりにどうだ」

カテジナ「ええ、構いませんが」


カテジナ・ルースは一瞬だけ仕事用のポーカーフェイスを崩し、妖艶に微笑んだ。
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:00:18.48 ID:NgcUN1YAO
翌日、アムロとクインシィは、ハマーンの作戦成功に貢献したとして星従軍章を受章した。

マイナーな勲章ではあるものの、受章の際アレンビーはシルバーソードの時よりもアムロ達を羨ましがり、見せて見せてと騒ぎ立てた。


プル「すごいね、アムロ!」


アムロの腕にまとわりつくプル。


アムロ「お、大げさだよ」


戸惑うアムロに憮然とした表情のクインシィ。

その光景に既視感を覚えながらアレンビーがわざとらしい明るい口調で言った。


アレンビー「そう言えば、プルも昨日はすごかったんだよ」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:10:25.29 ID:NgcUN1YAO
アムロ「ああ、みんなの仕事場を見せて回ってたんだっけ」


アレンビーは頷いた。


アムロ「やりたい仕事は見つかったのか、プル」

アレンビー「それが……」


プルがアムロの腕にしがみついたまま元気な声を挙げた。


プル「あたし、アムロとおんなじパイロットがいい!」


ぽかんとするアムロとクインシィに頭を抱えるアレンビー。

刹那「……昨日からずっとこの調子だ」

刹那が表情を変えずにぼそりとつぶやいた。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:31:13.27 ID:NgcUN1YAO
アレンビー「だからね、プル……」

プル「どうしてダメなの?アレンビーだって誉めてくれたじゃん!」

プルは納得ができない様子で反論する。

クインシィ「パイロットは現在定員に達している。ハンガーに空きはないから戦車を増やすこともできない。よってパイロットの増員は不可能だ」


クインシィが淡々と言う。


アレンビー「私もそう言ったんだけどねー……」


戦車兵訓練用のシミュレータをどうしても試してみたいとねだるプルに根負けしたアレンビーは、少しだけならとそれを許可してしまったのだ。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:41:25.88 ID:NgcUN1YAO
プルは初めてとは思えない操縦桿さばきで、みるみるうちにスコアを伸ばしていった。

アレンビーは驚いて、アムロも初めての時はこれほどうまくいかなかった、とプルを誉めた。

が、次にプルの口から出た言葉にアレンビーは固まった。


プル「あたし、アムロと同じパイロットがいいな!」




アムロ「……そういう訳か」

アレンビー「確かにパイロット適性はあると思うんだけどねー……訓練そのものは司令に禁止されてなかったからいいかって思った私が甘かったな」


アレンビーはため息をついた。
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 18:53:57.96 ID:iSI4HzFDO
プル「……わかった」


プルが低めのトーンでぽつりと言った。
パイロット一同は安堵の表情を見せた―


プル「戦車が増やせなくて人がいっぱいなら、パイロットの誰かがやめればいいんだ!」


―が、一同の表情は一瞬で落胆の色に染まった。


プル「刹那!」


無言で首を振る刹那。


プル「じゃあアレンビーは?」

アレンビー「プル、ごめん……」


アレンビーはプルから視線を外しつつ両手を揃えてプルの方に向け、明確に拒否の意を示した。

だんだんと不機嫌になってくるプル。
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 19:20:25.76 ID:iSI4HzFDO
プル「じゃあクインシィ……」


そこまで言うと、プルの表情が何かにひらめいたかのように一変した。


プル「そーだよ、クインシィが変わってくれればいいんじゃん!そしたら私がアムロと一緒に複座に乗れるし!」

アムロ「お、おいおいプル……」

プル「あたしアムロと複座型に乗りたい!ねえいいでしょ?」

クインシィ「黙れ」


しばらく静かにしていたクインシィが唐突に口を開いた。


クインシィ「黙って聞いていれば勝手なことをぺらぺらと……パイロットは小隊の要だ。そう易々と変更できるものか」

プル「でも私には才能があるってアレンビーが言ってくれたもん!訓練したらクインシィより強くなるよ!強くなるならその方が小隊のためにはいいじゃない」
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 19:56:31.45 ID:Y9D4+LXSO
無邪気さゆえの罪・・・プルさん・・・
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 20:36:41.30 ID:0QxQ3euAO
無邪気て恐いな
そういえば書店寄ったらガンパの新しい小説出てたな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 20:58:25.41 ID:NgcUN1YAO
クインシィ「……天才の私をお前なんかが追い抜けるとは思えないが、仮にそうだとしても連携が命の複座型に、一朝一夕で乗りこなせるものか」

プル「やってみなければわかんないですよーだ!あたしならアムロの考えてることがわかるから、きっとクインシィなんかよりも息の合った動きができるもん」

アムロ「ま、まあまあ二人とも……」


クインシィ「……っ大体アムロもアムロだ!パートナーは私なのになぜはっきり言わないんだ!」

プル「アムロ本当はあたしと一緒がいいと思ってるよね?クインシィが恐いから言えないんだ」


睨み合う二人。
同時にアムロの方を向く。


クインシィ・プル「どっち。」
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 21:31:21.47 ID:VjNtRfb/o
アムロもげろww
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 22:37:38.32 ID:NgcUN1YAO
今日の投下はこれで終わります
ちなみに>>1はプルツーよりプル派です
でもルーはもっと好きです

それではまた明日ノシ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 22:44:23.65 ID:QH8lgTfDO

連邦のチリ毛は化け物か……

他の娘のフラグは立つのかしら
アレンビーとかアレンビーとかアレンビーとか
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:34:41.20 ID:jtZlKLNAO
アレンビーにはネオジャパン代表がいるからな……
それでなくとも、ロリコンでマザコンの司令や博愛主義の純粋種や
不可能を可能にする熟女好きやメカに頼らないほうが強い爺さんしかいないし
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:58:27.41 ID:CO2FpHbAO
おつおつ
カテジナさんなら刺してくれるはず
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 07:51:01.47 ID:rYkYVrYAO
おつありがとうございます
皆さんのレスをニヤニヤしながら読んでます
ガンダムもガンパレも最高や……


>>374
ヒント:熊本城
セカンドマーチ以降で落としてあげてください

筆休めに外伝として○○さんのガンパレードを書くかもしれないので、アレンビーの話もそのうち書くかも
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 08:14:29.33 ID:guTJWd2DO
アムロ「あ……あっち」


言うが早いか脱兎のごとく逃げ出すアムロ。


プル「あ!逃げた!」

クインシィ「追えー!」


嵐が去った後のように静まり返る1組。

その様子を見ていたクラスメートたちは、ひそひそと小声でなにやら話し始めた。

不穏な空気に包まれる1組。

アレンビーははらはらした様子で三人が出ていった扉を見つめ、刹那は表情を変えないまま弁当を食べ続けていた。


【悪い噂が流れました】
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 08:40:48.47 ID:guTJWd2DO
アムロ「……まいったな」


場の空気に耐えきれずについ逃げ出してしまったが、根本的な問題は何も解決していない。

……むしろ更にこじれさせてしまった気がする。


アムロは頭痛がした。


アムロ(確かにプルの言ってることは無茶だ、でもクインシィだってあんなにムキになることないじゃないか……)


プルに対してはニュータイプ同士の親近感もあったが、彼女が大人達に利用され、今もなお軍に身を置いている彼女の身の上に対する同情もある。


なにより、天真爛漫で無邪気に自分を慕うプルが、兄弟のいないアムロに妹がいたらこんな感じかな、という気持ちを感じさせていた。
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 09:50:38.00 ID:jb1tTVLgo
気まずい雰囲気か…。


あ、あれ?おかしいな。なんかM・Hさんに刺されたような記憶が???
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 17:18:57.95 ID:rYkYVrYAO
ムウ「いよう少年。悩んでるようだな」

噂を聞きつけたのか、ムウが興味津々といった様子で話しかけてきた。


アムロ「ムウさん……」

ムウ「恋の悩みなら、愛の伝道師ムウ・ラ・フラガにお任せってね」


アムロは激しく狼狽した。


アムロ「こ、恋の悩みなんかじゃないですよ!!」

ムウ「あら、違った?アムロがクインシィとプルを天秤にかけて、どっちにもいい顔して弄んでるって小隊中の噂になってるけど」


アムロは顔から血の気が引いていくのを感じた。
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 17:29:58.59 ID:rYkYVrYAO
ムウ「いやーその気持ち、俺はよく分かるぜ。」


ムウは腕を組み大げさに頷いた。


ムウ「この小隊、かわいい女の子やきれいな女性が多いもんなー。一人に絞れって方が難しいくらいだ」

ムウ「そんな悩める少年に、この愛の伝道師がとっておきの提案を教えてやろう!」

アムロ「ほ……本当ですか!?」


アムロは藁をもつかむ思いで聞いた。


ムウ「ああ。既に付き合ってる相手がいるのに他の子も気になる、そんな時こそ『別れてくれ』だ!」
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 17:39:03.23 ID:rYkYVrYAO
ムウ「そもそも愛は万人に与えるものだ。一人の相手に捕らわれているのは……」


ゴッ


会話が不自然に途切れたかと思うと、後頭部に花瓶の直撃を受けたムウが足元で昏倒していた。


マリナ「ごめんなさいごめんなさい、お花のお水を替えようと思ったらバナナの皮で滑って転んでしまって」


ペコペコと謝るマリナ。


アムロ(多分それ聞こえてないんじゃないかな……)

マリナ「あら……」


アムロに気づいたマリナは、彼の優れない顔色を心配そうに覗き込んだ。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 17:48:10.96 ID:rYkYVrYAO
マリナ「アムロさん、何かあったのかしら。顔色がよくないけれど」

アムロ「……マリナさんも噂は聞いたんでしょう?」


マリナは苦笑いした。


マリナ「え、ええ……まあ。」

アムロ(もう二組にまで噂が……)


脱力するアムロ。


マリナ「あの……悩んでいるなら、私でよければお話聞きましょうか?」


本気で心配をしている様子のマリナに、駄目でもともととアムロは今までの経緯と悩みを洗いざらい話すことにした。
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 17:57:05.97 ID:rYkYVrYAO
マリナ「そうだったの。私が聞いた話とはずいぶん違うのね」


アムロの話を聞いたマリナは驚いたようだった。


アムロ「マリナさんの聞いた話は、どんなだったんですか?」

マリナ「え?ええ、そうね……アムロ君が、とっても懇意にしていたクインシィさんがいるにも関わらずまだ幼いプルさんを誘惑して……その、毒牙にかけた、と」


マリナはためらいがちに話した。

耳元が少し赤くなっている。


アムロ「全っ然違うじゃないですか!誰から聞いたんですか?」


黙ってムウを指差すマリナ。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 18:06:54.42 ID:rYkYVrYAO
アムロは深いため息をついた。


マリナ「……アムロ君は優しいのね」


マリナは慈愛のこもった眼差しでアムロを見つめた。


マリナ「プルさんを傷つけたくないアムロ君の優しさは、とっても素晴らしいと思うわ」

アムロ「マリナさん……」

マリナ「でもね、パイロットが増やせない今、とっても残念だけどプルさんはパイロットになれないわ……」

マリナ「本当は、アムロ君の中ではもう答えは出ているんでしょう?」

マリナ「心をこめて伝えれば、きっとわかってもらえるわ」
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 00:17:05.55 ID:iSJsXRJAO
マリナ「でも、はっきりしない態度で女の子を不安がらせたのはよくないわね」

アムロ「そうですよね……」


アムロは、クインシィにもプルにも悪いことをしてしまったという後悔の念にかられていた。


マリナ「うふふ、そんなに暗い顔しないの」

マリナ「私がとっておきの呪文を教えてあげるから」

アムロ「な、なんですかそれって!」

マリナ「ずばり、『ごめんなさい』よ」


アムロは拍子抜けした。


アムロ「……それだけですか?」

マリナ「あら、これがなかなか馬鹿にできないのよ」
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 00:37:04.80 ID:iSJsXRJAO
マリナ「クインシィさんもプルさんも、アムロ君が嫌いだから怒ってるわけじゃないと思うの」

マリナ「誠意をこめてあやまれば、きっと大丈夫よ」


マリナはアムロを勇気づけるように、彼の手を両手で包んで優しく握った。



――


アムロ「ごめんなさい!」

そう言うとアムロは深く頭を下げた。


クインシィ「……」

プル「……」


アムロは頭を下げたまま続けた。


アムロ「僕は君たちの気持ちをよく考えずにひどい態度をとってしまっていた……本当にすまない」
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 01:27:21.79 ID:iSJsXRJAO
プル「……アムロはどっちにするの?」

アムロ「そ、それは……」


突き刺さる二人の視線。

アムロはごくりと喉を鳴らした。意を決したように口を開く。


アムロ「……プル」

クインシィ「!!」

プル「アムロ!やっぱり……」

アムロ「い、いやプル、聞いてくれ」



アムロ「僕は、クインシィ以外と複座型に乗るつもりはないよ」

アムロ「もちろん君ともだ……プル」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/11(金) 01:28:39.03 ID:iSJsXRJAO
相変わらず進みませんが今日はこれで終わります
お休みなさいノシ
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 02:29:20.36 ID:1CWIOqqAO
乙技能Lv3
プルを泣かしたら激戦区に飛ばしてやんよ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 10:10:32.80 ID:GYwAA6Y1o
では俺はその激戦区先で竜となり、チリ毛をこの世から滅してみせよう
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 10:33:37.36 ID:fu64wJbAO
おいお前ら無事か
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 12:28:46.56 ID:HDXC5suAO
>>392
クインシィが泣きそうだからダメだ
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 21:42:12.35 ID:u9GjQIDAO
>>1です。被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。
私自身は無事ですが、地震発生からしばらくの間停電したりして、被災地と全く無関係というわけではありません。

できることから、ということで、サーバー負担減や節電のため、ここへの書き込みを一時中断させていただきます。
本当にささやかな効果しかないとは思いますが、せめて節電くらいは徹底的にやりたいと思っているので。

私の拙い文章を読んでくださっていた方には申し訳ないです。
物語を着地させたい気持ちはすごくあるので、問題が落ち着き次第再開したいと思います。
気長に待ってくださると嬉しいです。

それではまたノシ
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 23:51:06.61 ID:fu64wJbAO
大変なことになったな
ひとまず>>1は無事のようで良かった

俺も被災地のために、多くはないだろうけど出来ることからやっていこうと思う
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 11:57:37.06 ID:Mh7KaA0go
よかった。無事であったか
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/22(火) 16:34:59.50 ID:T+Dq1EzDO
そろそろ再開しないかなぁチラッ
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/07(木) 16:06:40.44 ID:K9dkYagIO
流石にこれは逃げただろ
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/07(木) 17:54:59.96 ID:tq1ztxoAO
まぁ一月に一回程度しか更新しない人も居たりしたし
もう少し待つさね
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/04/09(土) 19:16:57.33 ID:2OpOpGjAO
>>1です。
お待ちいただいている方には、更新が長らく止まって申し訳ないです。
今年度に入って予想外に忙しくなってしまったことが原因です。

今後は1ヶ月前までのような更新ペースは難しいですが、明日から少しずつ不定期で更新していこうと思います。
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 00:55:33.56 ID:oYGwX4KIO
明日・・・から・・・?
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/04/14(木) 10:52:45.15 ID:6KH5CDANo
期待待機
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/25(月) 12:43:06.28 ID:W82iiguIO
期待age
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/28(木) 22:20:43.66 ID:CfKtEhLEo
降下作戦の場面で降下作戦でラス一のスキュラに士魂号がやられて生身で戦う羽目になり、熊本城でもミノ三体と生身で戦う羽目になり、竜戦でも(ryという散々な三週目を思い出した

更新待ってるぜ
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/09(月) 09:01:40.27 ID:nxLdVugDO
まだだ、まだ終わらんよ
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/05/20(金) 12:51:36.73 ID:d3tQV5Fso
あぁ・・・時が見える・・・
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/07/12(火) 22:25:58.06 ID:sYeHrwQh0
更新期待
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