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青ピ「―――血ィ、吸うたろか?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:20:49.22 ID:2blaCV2b0
初投稿になります。

学園都市第5位×第6位のSS

シリアス物になる予定です

☆注意

・オリ設定&オリキャラ多め

・青ピが第6位の設定です

・筆者が原作&アニメ見たことないのでおかしな点があるかも知れませんがご容赦下さい

・構想は出来上がっていますが、筆者が不精なメンタリティー故、更新が遅れることもあるかも知れません

・物語の途中、残酷、ダーク、中二な描写があります


それでは始めます……
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:22:39.84 ID:2blaCV2b0
ドゥン!!ドゥン!!ドゥン!!ドゥン!!

―― 放たれる凶弾

「ぐ!!痛ァアアァあッ!!」

―― 一気に広がる血の匂い

「ん、カッコいいねぇ…アニメのヒーローみたいだ…」

―― 勝利を確信した余裕からか、敵に賛辞を述べる男
              
あぁ―――私は、また人を傷つけてしまうの……?

「…何、言うとん?ヒーローの条件は二つあってなぁ…。その一はヒロインを悲しませないこt」

ドゥン!!!

「ん〜…俺も興味はあんだけどさ。生憎時間ないんでさ…」

彼の頭部を打ち抜く凶弾。ビチャっと、顔に鮮血が降りかかる。

「ヒーロー哲学の講釈は冥土で頼むよ」

凶弾の射手は道端の空き缶を見るような平坦な表情で一人呟く
       プリンセス
「…さて、口煩い前座は眠った。これから楽しいパーティーだよ…姫」

身震いするようなセリフを語りながら、一歩一歩歩を進める凶弾の射手。

――アカンなぁ、兄ちゃん。人の話は最後まで聞くもんやって、学校の先生に習わなかったんかい。

「?おかしいねぇ…」

ドゥン!!

再び凶弾が彼の頭部を打ち抜く。

「だから、それがアカン言うとんねん。人が話してる時は、茶々入れんなっちゅうねn」

ドゥン!!ドゥン!!

鮮血を流しながら軽口を叩く彼の喉と、眉間を凶弾は正確に打ち抜く。――しかし

「あぁもう、ホンマに話聞かない奴っちゃなぁ。まぁええわ、さっきの続きやけどな。ヒーローの条件その二はな――」
                                    カ レ
急所を何箇所も打ち抜かれた人間が、何事もなかったかのように喋る。そんな非現実を前にして、冷静に凶弾のカートリッジ
を交換作業をする射手。

―――――決して負けんことや

そう哲学を語った男は、己のシンボルに手を掛け、外す。

「これから、ちーっとばかしエラいことになるけど…堪忍な」

こちらを振り返り、優しく諭すその男の瞳は

――ワインレッドに染まり

――爪は獣のそれと化し

――漆黒の二対の翼を携え

――異種の象徴たる犬歯を覗かせ

ブワッ!!

――虚空に降り立つ

           エ サ  ボ ク
「――覚悟は出来たかな人間?異種に牙向けた代償は高いで――」

「ふむ…。どうしたもんかな…」
   バケモノ
虚空の異種を見やり、試案する凶弾の射手。その表情は、少し引き攣っていた。


―――――――――――――――閉ざされた少女と異種の少年が交差するとき、物語は始まる

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:24:08.00 ID:2blaCV2b0
「はーい!今日の授業はここまでなのですよー。皆さーん、寄り道しないで家に帰るのですよー」

桃色の髪色の小柄な女教師がそう宣言すると、教室の少し張った空気が一気に緩む。そうして、ある生徒は部室へ走り
ある生徒は仲の良い友人とこの後の予定の打ち合わせをする。教室という名のケージから解放された生徒たちは思い思い
時を過ごしていた。

「いやーやっと終わったあ。上条さんクタクタですよ」

「殆ど寝てたクセによく言うにゃー」

「上やーん。それ、寝疲れちゃうん?」

教室に残る生徒達もまばらになる中、未だにだべる三人組がいた。

上条「何言ってるんでせうか!?無礼者!このノートが目に入らぬかぁ!!」

三人組のツンツン頭の少年、上条が某権中納言の如く二人にノートを見せつける。

「…!」

「こ、これは…ッ!!」

見事に曲がりくねった、ミミズが這いずり回った様な謎の文字が羅列されていた。遺跡付近に埋めたら
考古学者がまだ見ぬ新しい文字じゃないか?と勘違いしそうな、見事な神秘文字ノートを片手に渾身のどや顔を披露する
上条。

「上やん。最初のコレ、どうゆう意味?」

上条「ううん?これはだねー…」

見せ付けていたノートを自分に向け、得意気に解説しようとした上条の顔が青ざめてゆく。

上条「な、なんじゃこりゃあああぁぁぁぁぁああーーーーーー!!!!!」

どうやら、ノートの内容は今しがた確認したようだった。

上条「オゥ!ななな、何でせうか…このクトゥルー召喚出来そうな謎の文字列はぁ!!お、オカシイぞ本日の上条さんは史上最高に冴えていた
ハズッ…!?」

「上やん。ひょっとして今日は、その『史上最高に冴えてる上条さん』の夢を見ていたんじゃないかにゃー」

上条「そんな…あの最高にクールなノートを執っていた上条さんはパラレルワールドだったなんて…ふ、不幸だ…」

「そんなパラレルワールドの上やんも、ひょっとしたらノートがクールなだけかも知れないにゃー」

金髪にサングラスというおよそ教室には相応しくない格好の少年が上条を煽る。

上条「ぐ…ぬぬ…。な、ならば、お前のノートはどうなんだ土御門!!」

土御門「お!俺のノートが見たいのかい上やん。しょーがないにゃー」

土御門、と呼ばれる少年はバッグを漁りノートを取り出す。

土御門「お前ら、見て驚くんだぜい!!」

バッ

「「…こ、これはッ…!!」」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:25:28.80 ID:2blaCV2b0
土御門が広げたノートには、一面のゲテモノメイドワールドが広がっていた。

土御門「どうだ!これこそ、俺が(授業中)寝る間も惜しんで書いたノートだにゃー!!」

上条「…おい、青髪。この学校にメイドの授業なんてあったか?」

青髪「あ、あったらエエなぁ…」

遠い目で土御門を見る二人。そんな二人に土御門は人差し指を立てて講釈する。

土御門「チッチッチッ、甘いにゃー二人とも。甘すぎるにゃー」

上条「どうゆう事だよ土御門…」

土御門「俺ぐらいの上級者になるとな…授業の内容をメイドの事に脳内変換できるんだぜい!!」

青髪「なん…やて…!」

上条「大した奴だ…」

恐らく学園都市第一位の頭脳でも不可能であろう、無関係な内容のメイドへの変換。その間違った方向への凄まじい演算能力に
二人は呆然としていた。

上条「ハ、ハハハ…上条さんある意味崇めちゃいますよ…」

土御門「今なら一回500円で、変換方法レッスンするぜい?」

上条「イエ、遠慮します。つか、そんなふざけたレッスンがマッ●のハンバーガーより高いってどうゆうことでせうか!?」

土御門「な…ッ!!マッ●のハンバーガー如きが比較対象とは許せないにゃー!!」

青髪「…んん!?」

ギャーギャーと喚く二人を尻目に青髪が何かを発見する。

上条「どしたー青髪?」

青髪「いや、このノートに書いてある『まいか』『ねーちん』『いつわ』『あわき』ってなんやろなーと思て」

そのノートの、四種類のデザイン画の上にそれぞれ記載されていた名前に指を向ける。

土御門「それは企業秘密なんだぜい♪」

上条「(うわぁ…)」

青髪「なんや気になるけど…まぁええわ。この流れから行くと、次はボクの番やね」

二人に促されるまでも無く、バッグを漁りノートを取り出す。

青髪「どや!これが、ボクのッ!!魂のノートやぁ!!!」

上条:土御門「「うおぉぉーーーッこ、これはッ!!」」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:27:00.48 ID:2blaCV2b0
上条と土御門が思わず感嘆の声を上げる。そのノートは、青い髪にピアスというまたまた教室には相応しくない風体の男から
は想像も出来ないような達筆で、事細かに授業内容が記されていた。

上条「す…凄ェ…」

土御門「こ、こんなの青髪のキャラじゃないぜよ…」

青髪「フフン。ま、能ある鷹は爪を隠すっちゅーことや。これからは、青髪先生と呼びーやー」

未だに驚愕冷めやらぬ二人に、気持ちの悪いクネクネした動きをしながら宣言をする。

上条「ならさ、ちょっと見せてくれよ!この前の念動力の授業寝ちゃってさ」

青髪からノートを受け取り、あの授業退屈だからなーなどと愚痴を垂れながらノートを捲る。が

上条「あのー…青髪先生、一つ質問があるのですがよろしいでしょうか?」

青髪「ん?どした上やん」

上条「なんで、発火系統の授業しか書かれてないんでせうか・・・?」

上条が白い眼差しで質問をする。同時に青髪のノートを覗き込んだ土御門も怪訝な表情に変わり青髪に向ける。

青髪「そんなん決まってるやん。愛しの小萌先生のラブリーチャーミングなボイスを何時でも脳内再生出来るように一字一句
漏らさずメモしてるんやで?必要な集中力が半端ないんや。ならば、体力温存の為に前座の授業なんて強制スリープモードやで」

ワカメのような気持ちの悪い動きをしながら解説する青髪。そのノートには、愛らしい小柄な担任教師が担当する授業以外の内容は一切無かったのだった。

土御門「さっきの驚きを返して欲しいぜい…」

上条「さっきの青髪先生も撤回だな」

自虐的な笑みで溜息を吐く上条。結局この三人組は、何時も補習を受けてる理由の再確認をしただけなのであった。

土御門「ところで、上やん、青髪はこの後何か予定あるかにゃー?無いなら、三人でゲーセン行こうぜい」

土御門が話題を切り替える。この三人は、スケジュールが合えばゲームセンターでだべるのが日課だ。

青髪「ボクは特に予定あらへんなぁ」

上条「あー、申し訳ない。上条さんにはこの後タイムセールが控えているのですよ」

土御門「なら、仕方ないぜよ。俺たち二人で行くにゃー」

苦笑いをしながら頭を掻く上条。二人も特に気に留める事無く荷物を纏める。その後、クラスの残念美人の胸がまた増量しただの、似非巫女の存在感が最近
増してきているだの、巷の連続氷結殺人鬼の正体だの他愛もない会話を交わしつつ校門に到着した。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:29:37.98 ID:2blaCV2b0
上条「スーパーはこっち方向なんで。んじゃな。」

土御門「お。んじゃなー上やん」

青髪「ほな、また学校でなー」

タイムセールに向かう上条と別れ、土御門と青髪は、行きつけのゲームセンターに向かう。二人は新しく入荷された美少女弾幕ゲームの話題で盛り上がっていた。

青髪「つっちー、でもボクSTGとかやった事あらへん。そこんとこ大丈夫なん?」

土御門「まぁ、確かにSTGは覚えゲー的な面があるからにゃー。反射神経でやっていけるのは最初だけ。高難度のステージは、何度も何度も行ってパターンと安置見つけて
覚えるしかないんだぜい」

青髪「成程なー。なーんか貢がされてる気分やねぇ」

土御門「でも、美少女キャラに貢いでると考えればどうかにゃー?」

青髪「ボクは、悪女も守備範囲やねん。うん、確かに悪くない…悪くないシチュエーションやないのッ!」

…『電話だぞー。電話だぞー』

突然、呼び出しコール(義妹)が鳴り響いた

土御門「もしもし、俺だにゃー。今?ちょうど帰る途中だぜい。…そうか、分かった。今から向かう」

青髪「どないしたん?」
                
土御門「申し訳ないにゃー。急に『仕事』が入っちまったぜよ…。また今度でいいかにゃー?」

青髪「そっかぁ、そら残念やなぁ。まぁ、ゲーセンは逃げへんしな。また今度にしよか」

そうして土御門と別れ一人となった青髪は、再び空白となったスケジュールについて思案する。

青髪「(まー、元々考えてへんかったしなぁ。んー、特にすることあらへんし、昨日録画したカナミンでも観るかな)」

そう決定づけると、歩を少し早めて下宿先に向かう。その途中公園に差し掛かると、ある光景が目に入った。

青髪「(ん?どないしたんやろ?)」

青髪の視線の先には、一人の女学生が自販機の前で困ったように立ち尽くしていた。

青髪「(あの制服…常盤台中学の子かな?なんや困っとるみたいやけど…それに、あの自販機。あぁ、そうゆうことかいな)」

なにやら納得すると、女学生に向かって歩を進める。
                         
青髪「なぁお嬢ちゃん、どないしたん?ひょっとして、自販機にやられたんか?」

女学生「――――――――――――」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:32:13.55 ID:2blaCV2b0
驚いた様子の女学生は、何も言葉を発さずに青髪をじっと見つめる。
体格はかなり小柄な部類。小萌先生といい勝負かもしれない。色白の華奢な身体は、名門お嬢様学校の学生という
気品よりも、今すぐにでも消えてしまいそうな儚さと小動物のような愛らしさを感じさせた。
じっと青髪を見据えていた女学生はその首を縦に振り、その通りだという意思を示した。

青髪「ここの自販機、結構質悪い有名なんやで。お嬢ちゃんは、どれ欲しかったん?」

女学生「――――――――――――」

オズオズと、白く細い指先をある缶ジュースに向ける。未元茶という聞いたこともない銘柄の飲料だ。

青髪「お、これが欲しいんか?ちっと待っときや。」

そういって青髪は自販機の裏に回りドン、ドン、ドン、と三回ほど自販機を殴打する。すると

ギギ…ウィーン…ガチャン

女学生「―――――――――――!」

青髪「どや。出てきたで。これで間違いない?」

コク、と首を縦に振り肯定の意思を示す。

青髪「前から叩いて出す方法もあるんやけどな、裏から叩くと狙い通りのヤツが出やすいねん。これ、多分学園都市でボクとキミだけしか
知らん裏ワザやで」

青髪は缶を取出し、女学生に手渡す。同時に女学生は頭を下げ、感謝の意を示した。

青髪「ええよええよ。別に大したことやないさかい。ところで、その制服ってことは常盤台の子?」

コク、と縦に振り肯定する。

青髪「(常盤台のお嬢様でも缶ジュース飲むんやなぁ。なんか、高っかい輸入モノの高級飲料しか飲まんイメージあったわぁ。しかし、それにしても無口な子
                   
やな…。よっしゃ!ここは、愛の伝道師のトークで緊張解したるで)」

青髪「あー、キミって。今、何年生?」

女学生は指を二本立てて、学年を示す。

青髪「お、二年生か。ボクは高1。××高校ってトコ通ってる」

女学生「――――――――――――」

女学生は返事こそしなかったものの、好奇の眼差しを青髪に向けていた。

青髪「(む、まだ喋らへんか。よし、ここは…)キミ、レベルいくつくらい?常盤台通ってるくらいやから結構凄いんやろなぁ。ちなみにボクのレベルは今は…あー、1や1」

女学生「―!――――――――――――」

レベルの事を聞かれ、一瞬たじろいだ様子を見せたが指で三を示した。

青髪「お!レベル3か。その歳でレベル3なら将来有望やなぁ。どんな系統なん?」

女学生「――――――――――――」

女学生は困ったような様子をみせ、答えを示さない。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:33:22.01 ID:2blaCV2b0
青髪「(あら、なんかマズい事でも聞いたんかな?)あー、別に何か事情でもあるなら言わなくてもエエよ…ちなみにボクは身体強化系や」

女学生「――――――――――――」

すると、それまで俯いていた女学生が決意した様に顔を上げ、両手で何かを「表現」し始めた。

青髪「(ん?なんや手動かしとるけど…まさかこれって、手話?え、ちゅーことは…)キミ、ひょっとして…」

女学生「――――――――――――!!」

女学生は一瞬にして悲しみに染まった表情になる。手話を止め、踵を返すと青髪から逃げる様に走る

青髪「え?あ!ちょ、ちょっと待ってぇ!!」

慌てて追いかける青髪。公園を抜けて、市街地方面に走り抜ける。空は、何時の間にか夕焼けが沈みかけていた。

青髪「ハッ、ハッ、ハッ…どこや…どこに行ったんや」

市街地を見回す青髪。日はすっかり落ちており、辺りはこれから楽しい時間を過ごすであろう学生達で賑わっていた。

青髪「…ッ。人が多いなぁ。まいった…」

青髪と逃げた女学生は、ほんの数分程度交流した程度の間柄だ。正直、知り合いにも満たない関係。しかし、青髪は探さずにはいられなかった。
女学生が逃げた瞬間の表情が、あまりにも悲しかったから。

青髪「(ッ!…ここで諦めたら、愛の伝道師の名折れや。必ず見つけるで…)」

しばらく街を捜索していると、あるものが青髪の目に飛び込む。青髪が女学生に渡した妙な名前の缶緑茶だ。落ちていた先には、路地裏の入り口。
                                 
嫌な汗が流れる。しかし、躊躇するわけにはいかない。青髪は意を決して、路地裏へ駈け出した。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:36:40.33 ID:2blaCV2b0
青髪「ハッ、ハッ、ハッ!!」

青髪は、路地裏を駆ける。青髪でなくともここを根城とする連中がどのような人種かは理解できる。学園都市が生み出した負の側面。光無き世
界。コインの裏側。そのような場所に、あの女学生のような小さく、助けを呼ぶことすら出来ない様な存在が入り込んだらどうなるか?
答えは明白だ。女学生はレベル3だと言っていたがここは闇の住人のホーム。中にはそれなりのレベルにも関わらず敢て、
その力を振るいたいが為に闇に身を墜とすものも存在する。ふと、視界が開ける。どうやら路地を抜けたようだ。

目の前には、窓ガラスが全て割られたビルがぽっかりと口を開けていた。まるで誘っているかのように。そして、青髪の視界にローファーの片
方が転がっているのが見えた。小さなサイズ。小柄で儚げな女学生の姿がよぎる。

青髪「ここか…」


――間違いない。そう確信した青髪は、一呼吸つき廃ビルに侵入した


廃ビルの中は、まさに闇の世界そのものだった。水滴が垂れる音が聞こえる以外は全て闇が支配していた。
闇討ちに備え、神経を極限に尖らせて進む。時折、水が地面を
叩く音が聞こえる。どうやら、外は雨が降り出してきたらしい。雑音を意識せぬよう更に神経を尖らせる。

そうして奥へ進むと、雨音に混じって別の音が聞こえた。

―――――――――――!!

――と――――――ろ―!!

ヒ――け―――――――

明らかな人の声。青髪は確信した。この奥にいる―――――!!思ってすぐに青髪の足は強く地面を蹴った
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:38:07.58 ID:2blaCV2b0
女学生「―――――――――!!―――――――――!!!!」

スキルアウトA「ヒッヒッヒッ。暴れんなよガキィ」

スキルアウトB「先にぶつかってきたのお嬢ちゃんの方なんだからさぁ、責任取ってくれよォ」

スキルアウトC「つーか、さっきから何言ってか分っかんねぇけど。ひょっとして喋れねぇの?」

スキルアウトD「んなのどーでもいいじゃーん!オレ一番乗りィ!!」

女学生「!!――――――――!」

スキルアウトD「だから、暴れんなッつの!!」

ドガッ!!

女学生「!!―――――」

スキルアウトD「ケケケ…やぁっと大人しくなりやがったか。ハナっからそうしとけバーカ」

乱暴な手つきで女学生の制服を破るスキルアウト。女学生の瞳にこれから始まる狂気の宴に対する恐怖からか、涙が溜る。

スキルアウトB「ちょ、前戯ナシのいきなりっスかぁ、たー君先輩ィ。流石、スグ犯るたー君先輩っスね!!」

スキルアウトC「ちょっと前までは、スグ[ピーーー]たー君だったのになぁ」

スキルアウトD「ルセーな好き勝手言いやがって。つか、コイツ絶対処女だぜ。おまえらもったいねーなぁー」

スキルアウトA「うわっ、たー君ロリコンかよ。ドン引きィ」

醜悪な表情で軽口を叩きあうスキルアウト。目の前の獲物を今にも貪らんとしていた。

スキルアウトリーダー「おめーら、あんま時間掛けすぎんなよ。寒みーんだからよォ」

スキルアウトの少年達の背後からぬっと恰幅のいい男が現れる。両腕にバラのイレズミを施し、金に染め上げたドレットヘアーの男は
前の少年達よりも闇での生活の長さを感じさせた。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:40:02.03 ID:2blaCV2b0
たー君「あ、ヒムロ先輩じゃないッスか。チッス」

スキルアウトA「大丈夫っスよリーダー。手間は取らせません。あ、もちろんリーダーの好きなケツの方は残しときますよ」

スキルアウトリーダー「お、悪りィな。あぁそれから、ちっと上でガンジャ吸ってから来るわ」

リーダーを見送くると、四人は改めて女学生に向き直り、そして女学生の下着に手を掛ける。

たー君「んじゃ、御開帳ーーー!!」

女学生「―――――――!!!!」






―――「待てやコラァ!!!」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:42:04.03 ID:2blaCV2b0
女学生「――――――――――――――!!!!!!!!」

スキルアウトABC:たー君「「「「!!!!????」」」」

全員の注目が集まるその先に青髪はいた。

スキルアウトA「あァ!?テメー誰だよオラ!」

スキルアウトB「ヒーロー気取りかコラ!?死にたくなきゃ失せろや!!」

青髪「ああ、せやな。ヒーロー様のご到着や。ケガする前にお家に帰るんが賢明やと思うで」

スキルアウトC「はー何フかしちゃってんですかァ!?ケガすんのはどっちだよゴラァ!!!」

スキルアウトCが勢いを付け、青髪に殴り掛かる。

青髪「よっと」

スキルアウトCの渾身の右フックが空を切る
                  
青髪「なんやー、そのへなちょこフック。路地裏溜るくらいなら、もうちょい腰入ったの打ちなはれ」

スキルアウトC「グブォォ!!?」

すかさず懐に潜り込んだ青髪の、カウンター気味のボディーブローが左脇腹、つまりレバーを叩く。突き抜けるような激痛に堪らず
倒れ伏す。

スキルアウトAB「舐めてんじゃねぇぞ!!!」「[ピーーー]やァアアああ!!!!」

今度は二人で掛る。

スキルアウトA「だぁりゃあぁ!!」

青髪「っと。二人で掛っても攻撃が片方づつなら意味ないでー」

左からの攻撃をかわす。そして、勢い余った相手の襟元とベルトを掴み、腰投げでスキルアウトAをBに投げつける。

スキルアウトAB「オアーーーー!!」 「痛ッてェエエええ!!!」

重なるように倒れるAとBにすかさず追撃を加える。

スキルアウトA「ギニャッ!!?ゴッフぁあああ!!」

鳩尾と金的にそれぞれにつま先蹴りを叩きこむ。

青髪「ていやっ」

スキルアウトB「ひゃがぶッッ!!!」

そして、片割れには正確な顎への蹴りをお見舞いする。脳を激しく揺さぶられたであろうBは意識を手放した。

青髪「さー、残るはキミだけやな。さっき下着に手ェ掛けたさかい、キミはVIP待遇でお相手したる」

たー君「クソッ。テメェはコイツのなんなんだよ…」

突然の質問に狼狽する青髪。

青髪「あー…そいつはな…」

青髪「えーと…そいつはボクの…ボクの…」


―――青髪「い、い、妹やっ!!」


女学生「―――――――――――――――――!!!???」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:43:43.05 ID:2blaCV2b0
たー君「ッチ、そうゆうことかよ。…だがよかったなぁ、兄ちゃん。死ぬ前に妹の×××見れてよォ!!」

スキルアウトは、ポケットの中から刃の無いサバイバルナイフを取り出す。

ボウンッ!!

爆発音と共にサバイバルナイフの刃の部分を炎が形作った。

青髪「(発火系の能力者か。応用出来てるから、レベル2辺りやな)キミ、折角能力者やのにこんなとこ溜ってたら母ちゃん悲しむで」

たー君「ハッ!その前に首掻っ切ってテメエのママ泣かしてやんよォォォォォオオオオおおおお!!!!!」

ブオンッ

青髪「大振り過ぎやっちゅーねん」

ベキィ

たー君「アヴァラバッッッッッッ!!!???」

ひょい、とまるでそこに振るのが分かっていたかのような無駄の無い動きでかわし、カウンターの右ストレートで顎を打ち砕いた。

青髪「クリーンヒットやな。しばらくは流動食を覚悟しとき」

白目を向いて倒れ伏す屍を見下し、静かに吐き捨てた。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:46:29.49 ID:2blaCV2b0
スキルアウトABC:たー君「…………」

青髪「大丈夫か!?」

女学生「―――――――――――――――!!!」

青髪が手を差し伸べた瞬間、涙を溢れさせて抱きつく女学生。その小柄な体を青髪は、しっかり受け止め優しく頭を撫でる。声は出ていないが、
所々で苦しそうに嗚咽を漏らしている。

青髪「怖い思いさせて堪忍な。とにかく、外は雨も降ってるさかい。ここ早く出よか」

女学生「――――――――――――――」

コク、と目頭を押さえつつ頷く。青髪の持ってきたローファーと、スキルアウトに投げられたバッグを拾い脱出の準備を図る。しかし

スキルアウトリーダー「おーおーおー、なぁんかオレのいねェ間に凄ェことなっちゃってんじゃん?」
                        
上から戻ってきたリーダーが惨状を見て呟く。そして、薬物中毒者特有の焦点の定まらない双眸で青髪と女学生を見据える。

青髪「(外出しときたいけど、今この子に一人で表まで行かせるのは得策やないな)どっか、安全そうな場所見つけて隠れといてくれへんかな…?」

女学生「――――――――!」

コク、と頷き暗闇に走り消える。この男は、四十八九何らかの能力者だ。敵が未知数な以上、念には念を入れる。

スキルアウトリーダー「これ、全部オマエがやったの?」

青髪「それやったらどうする?」
                                                          
スキルアウトリーダー「あー、別にコイツらに特別思い入れねェーけどよォ。弔い合戦ってヤツかぁ?…まぁ、それ以上にオレは女横取りされたのが一番ムカつくなァァァァァァアア!!!!!」

そうリーダーは吠えると、おもむろに小型のドラッグケースを取出し、中の粉末を飲み込む。

青髪「(なんやアレは?普通のドラッグとはちゃうみたいやけど…)」

スキルアウトリーダー「グアァ!!ハッハァ…いっけねーいっけねー…遂、ムカついて『体晶』入れ過ぎっちまたゼェェェ…」
                      
スキルアウトリーダー「まァ、でも感謝しろや…ガチでブッ潰してやっからよォォォォォォオオおお!!!!!!!」

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 00:52:24.95 ID:2blaCV2b0
本日はここまでです。それと、冒頭修正。いきなり失敗とか大丈夫か?俺…
―― 放たれる凶弾

「ぐ!!痛ァアアァあッ!!」

―― 一気に広がる血の匂い

「ん、カッコいいねぇ…アニメのヒーローみたいだ…」

―― 勝利を確信した余裕からか、敵に賛辞を述べる男
              
あぁ―――私は、また人を傷つけてしまうの……?

「…何、言うとん?ヒーローの条件は二つあってなぁ…。その一はヒロインを悲しませないこt」

ドゥン!!!

「ん〜…俺も興味はあんだけどさ。生憎時間ないんでさ…」

彼の頭部を打ち抜く凶弾。ビチャっと、顔に鮮血が降りかかる。

「ヒーロー哲学の講釈は冥土で頼むよ」

凶弾の射手は道端の空き缶を見るような平坦な表情で一人呟く
       
「…さて、口煩い前座は眠った。これから楽しいパーティーだよ…プリンセス」

身震いするようなセリフを語りながら、一歩一歩歩を進める凶弾の射手。

――アカンなぁ、兄ちゃん。人の話は最後まで聞くもんやって、学校の先生に習わなかったんかい。

「?おかしいねぇ…」

ドゥン!!

再び凶弾が彼の頭部を打ち抜く。

「だから、それがアカン言うとんねん。人が話してる時は、茶々入れんなっちゅうねn」

ドゥン!!ドゥン!!

鮮血を流しながら軽口を叩く彼の喉と、眉間を凶弾は正確に打ち抜く。――しかし

「あぁもう、ホンマに話聞かない奴っちゃなぁ。まぁええわ、さっきの続きやけどな。ヒーローの条件その二はな――」
                                   
急所を何箇所も打ち抜かれた人間が、何事もなかったかのように喋る。そんな非現実を前にして、冷静に凶弾のカートリッジ
を交換作業をする射手。

―――――決して負けんことや

そう哲学を語った男は、己のシンボルに手を掛け、外す。

「これから、ちーっとばかしエラいことになるけど…堪忍な」

こちらを振り返り、優しく諭すその男の瞳は

――ワインレッドに染まり

――爪は獣のそれと化し

――漆黒の二対の翼を携え

――異種の象徴たる犬歯を覗かせ

ブワッ!!

――虚空に降り立つ

           
「――覚悟は出来たかな人間?異種に牙向けた代償は高いで――」

「ふむ…。どうしたもんかな…」
   
虚空の異種を見やり、試案する凶弾の射手。その表情は、少し引き攣っていた。

―――――――――――――――閉ざされた少女と異種の少年が交差するとき、物語は始まる

慣れてないのにいきなりルビとか振るもんじゃないですねー
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/04(金) 01:04:58.38 ID:DU0iKjpDO
期待してる。ルビは()でいいと思うよ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 02:03:03.04 ID:A92OcBH10
小さなスペース は二つ以上重ねると消える。また行の一番初めのとこにおいても消える
あとはメモ帳などで調整すること。直接書き込もうとするとほぼ失敗する
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 09:46:26.51 ID:UCb8Dx0Oo
まさかこのスレタイからこんなシリアスっぽいスレが始まるとは…
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 11:51:07.38 ID:NKI6arf5o
乙乙
こりゃまた俺得そうな作品がはじまりやがった・・・!

ルビについては専ブラ入れるといいかも
jane styleとかなら投稿する時の入力窓がそのまま反映されるので微調整しやすいよ
後の注意点は>>17の人の言う通りかしら
テキストエディタの設定弄って投稿時のものと合わせたりAAエディタ使うのも方法の一つかな・・・
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 14:56:02.49 ID:g3I89hqHo
おつ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 16:56:39.42 ID:fo6qYDYLo
期待してる
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 17:34:15.39 ID:5vLQnrZT0
青ピ×心理掌握か色んな意味で胸熱だな
そして未だ原作未登場にも拘らず大人気の第五位こころん
23 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:42:49.79 ID:2blaCV2b0
ドモです。皆さんのアドバイスを参考にAAエディタを導入してみました。
これで、ルビ行けるかな?それでは、投稿します。家主が帰ってくるかも
しれないので、中途半端なとこで切れるかもしれませんがご容赦下さい。

それでは行きますねー
24 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:43:44.31 ID:2blaCV2b0
青髪「くっそー…まいったなあ。近づけへんで」

スキルアウトリーダー「オラオラオラァァァ!!!テメー、×××付いてんのかよ子犬ちゃんよォオオおおァアアあァ!!??ブルッてねェで出てこいやァァアア
!!!!!」

青髪は絶賛追い詰められ中であった。

スキルアウトリーダー「ヒィャッハアアァアアァァ!!!!オラオラァ、いつまでもかくれんぼしてねえでよォケンカしようぜケンカァ!!」

リーダーの両腕から絶え間なく乱射される冷凍光線が辺りを凍らせてゆく。この男の能力『沿線氷結』は本来は、手のひらの周囲のAIM拡散力場を媒介にして急速に
分子の運動を停止させ氷を作り出すというごくごく平凡な能力であった。しかし、とある廃棄された研究施設に侵入した際、恐らく隠滅を忘れたのであろう『体晶』
を手に入れた。ちなみに、本来のレベルは2。偶々、『体晶』との相性が良く2段階レベルを上げることが出来た運の良い男であった。

青髪「アカン…良く見るんや、敵の攻撃の穴を…」

スキルアウトリーダー「あーあ…詰ンまんねぇなぁオイ!!そんなに引き籠っちゃうなら、あのメスガキの方から氷漬けにしちまった方が面白れぇかもしんねぇなぁァァアア!?」

青髪「!?(チッ、マズいで…それだけはなんとしてでも防がなアカン)やっぱ、ダメ元で特攻かけるしか…グゥッ!?」
25 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:46:30.54 ID:2blaCV2b0
――――――――敵の攻撃は、AIM拡散力場のガイドラインに沿って氷結しています――――――――



青髪「(な、なんや…今頭ん中で声が…)」

突如、青髪の頭に鈴を鳴らしたような声がめぐる。



――――――――しかし、彼の演算能力ではAIM拡散力場のガイドライン形成に2分を要します。――――――――



――――――――冷凍光線の発射順序は設定した順番で一周後、終了地点から逆回りで一周。一周に要する時間は5秒―――――――



――――――――そして、ガイドラインの限界保持数は右腕5本、左腕5本の10本―――――――――――――



青髪「(つまり、ヤツの攻撃は一見、無規則に乱射しているように見えるけど、実はパターン化されていて一度光線が通過した地点にはこない言うことか…)」

ふと、帰り道で悪友が言った『安置』『パターン』という言葉がフラッシュバックする。

青髪「(成程、ちゅうことは…一発目撃った後の地点は5秒間の安置になるっちゅうことか)よっしゃ、突破口見えたで!」

青髪「(おおきに…頭の中の声の人)」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――



頭の中の声はもう聞こえなかった。聞いたこともない声だったが、何故か心のどこかで聞きたいな。と願った声でもあったような気がした。
26 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:48:47.82 ID:2blaCV2b0

青髪「(しかし、この距離を5秒で詰めなアカンのはなかなか難儀やね…)」

青髪からスキルアウトリーダーまでの距離は約100m程度離れていた。普通の人間であれば100mを5秒で走れというのは到底不可能な話である。
しかし、それは人間では不可能だという話。では、人ならざる者ではどうだろうか?

青髪「(ホンマ、あんまし使いたくなかったんやけどしゃーない…ま、アレなら『半分』でも問題無いやろ。うん。大丈夫や、問題ない)」

青髪は、己のシンボルとも言える両耳のピアスの内、右側を外す。

―――――ドクン

青髪「ッ!!久しぶりやからキッツイわー…」

―――――ドクン 

青髪「あーもー、我ながら見るに堪えられへんで…ホンマ」

メキッ、メキッと通常の人体からはまずでない異様な音を立てて変異していく青髪。その右腕は、鋭利な鉤爪を備えた凶器と化し。その右目は、見開かれ
ワインレッドの瞳を覗かせ。右側の犬歯は、猛獣のそれと化していた。
27 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:49:45.84 ID:2blaCV2b0

青髪「羽は…イランかな。的がデカなるだけやし」

チラリ、と外を見る。烈風の如きレーザー弾幕の轟音のせいで雨音は聞こえないが目視では、雨脚は強まっているようだった。

青髪「もー堪忍して欲しいわー。勝ってもこの雨ん中帰るの勘弁やでぇ、あの子も可哀そうやし…」

青髪「んー…せやな。一応、保険掛けときまひょか」

右手での細かいボタン操作が不可能になった為、左手で器用に番号を入力する。

青髪「あーもしもしー、ボク××いいますー……はい、はい、いやぁまあ、かくかくしかじか現在こういう状況でして……え、後ろの爆音は?あー…気にせん
といて下さい。……ええ、ええ、じゃ、そうゆうことで。急いで下さいねー、ホンマ寒くて堪りませんし。……はい、じゃお願いしますわ」



青髪「さて、タクシーも呼んだことやし…」


         ハ ン ティ ン グ
―――――――お掃除、始めましょか
28 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:52:03.64 ID:2blaCV2b0
スキルアウトリーダー「(あん?なんだぁ、今の崖が崩れる時みてぇな音はぁ…)」

暴風のような弾幕のなかでも異様な音は届いた。少々気になるとはいえ、俄然自分が有利である事には変わりない。青髪が、隠れている壁は
最早氷山と化していた。

スキルアウトリーダー「ヒイイィィィハァァァアアァアア!!!!!!オラオラオラオラオラオラァァァアア!!いつまで隠れてるつもりでちゅかぁぁぁあ子犬ちゃぁァァアアンんんッッ!!!!とっとと出て来ねえと、壁ごと閉じ込めちまうぞゴルァァアアァアア!!!!!!」

涎を撒き散らし、狂気の雄叫びを上げる。圧倒的な力に酔いしれる快感。

スキルアウトリーダー「『体晶』がなんだッ!!これは『オレ』の力だ!!『オレ』の実力なんだッ!!ドォオオおおなんんだよォオオおおおおァアアァアア!?」

興奮しすぎて絶叫を上げるリーダー。

青髪「なんか、随分上機嫌やけどなんかエエ事でもあったん?」

右半分を隠しつつひょっこり青髪が顔を覗かせていた。

スキルアウトリーダー「アッッヒャヒャーヒャヒャヒャヒャヒャひゃァア!!!!!やーっと、お出ましかよ子犬ちゃぁァァアアン!?言うこと聞かなかったオシオキだァ
、ベリーハードモードにしてやんよォオオオオおお!!!!!!!!!」

『体晶』の入ったケースを取り出すと、大きく開けた口に中身の粉末全てを流し込む。一部入り切らなかった『体晶』が零れ落ちる。



スキルアウトリーダー「ゥgGお下gaaaaばばがぎゃgukkjdfんhふぁsfふぃslgfhgんwwのrhbマげ;そfjげqhぶz aryyふぁういえwオオァアアアアァァァァァァァあああああああァアアァアアアアァァァァァァァアあああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
29 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:54:08.68 ID:2blaCV2b0

青髪「チィッ、威力も本数も格段に増しとる。せやけどな…」

ダンッッ!!

雷光の如き速度で、リーダーに迫る。雨霰のように光線が振り撒かれるが、青髪が走るコースはトンネルのように空白地帯だ。リーダーが眼前に迫る。

青髪「根っこが変わってへんと何も変わって無いんと同じや…」

スキルアウトリーダー「!!?gggげggg糞rrrrrrrrrrrおkkrrREっかあがああああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」

人間離れしたそのスピードに驚いたのか?それとも眼前に迫った異形の腕に驚愕したのか、人とは思えぬ叫びを上げ恐怖に眼を見開く。

スキルアウトリーダー「グるブへッッッ!!!???」

そして怪物の右から繰り出されたストレートを顔面に受けたリーダーはそのままロケットのように吹き飛び、コンクリートの壁に叩きつけられる。

スキルアウトリーダー「あgggがァァ…ゴフっ、、ガフぁ…」

コンクリートの壁に磔の様になったリーダーは、苦悶の息を吐く。異形に右をまともに受けた顔面は完全に潰れ、人間とは言い難いモノになっていた。
そこに青髪が歩み寄る。

青髪「おや?まだ意識あったんかい。はぁ、アカンなぁ確実に弛んどるわボク…」

異形の右腕を見やり、溜息をつく青髪。先程の一撃が本気では無かったと分かると、リーダーは目の前の男の底知れなさに恐怖する。

青髪「怖がっとるみたいやけど安心しとき。ボクは、前科持ちになる気はあらへん。キミはアンチスキルに引き渡すつもりや」

目の前の異形の腕を見れば、このまま取って喰われてもおかしくなかっただけに、少し安堵の色を浮かべるリーダー。しかし

青髪「ところでキミにクイズや。ボクの正体、なんやと思う?」

雰囲気が暗く冷たく沈む。マズい、ここで間違えれば確実に壮絶な最期を迎える。そうリーダーの頭脳は弾き出したが、恐怖で声が出ない。

青髪「んー、じゃあヒントや」





――――――――――――――「血ィ、吸うたろか?」




30 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:55:47.45 ID:2blaCV2b0

スキルアウトリーダー「ッッッッ―――!!!は、ハッ、はァアは、あ…あああ…」

恐怖の値が限界値を振り切る。この男は人間じゃない。喰う側と喰われる側、絶対的な差を感じたリーダーは年甲斐もなく小便を漏らす。

青髪「ハハ…?母ちゃんゆうこと?兄ちゃんオモロイなぁ、そっかぁボクは母ちゃんかぁ…」

青髪「答えとしてはオモロイな。でも、残念やけど―――――――――――」

踏み込み、両足に力を溜め、異形の右腕を突き上げる。




――――――――――――――「ハズレや」




怪物の右アッパーの突き上げを腹に喰らい、再びロケットのように吹き飛び天井に磔になる。そうして、リーダーは意識を手放した。
31 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:57:40.12 ID:2blaCV2b0

青髪「ふぃー。つい勢いでアッパー喰らわしてしもたが、天井に埋まった小デブとかどう言い訳すりゃエエんやろ…」

ピアスを直しつつ天井を見上げて呟く。渾身のアッパーカットで戦いを終えたのはいいものの、もうすぐアンチスキルが
到着する。そこで間違いなく事件の当事者として、色々聴取されるだろう。そこで問題になるのが、天井に埋まった小デブ
について、だ。

青髪「高くジャンプし過ぎてめり込んだ、は厳しいか。んーそうやな、クスリ飲み過ぎて身体が突然爆発した。よし、これでええやろ」

言い訳を見つけ、納得した青髪は足早に出口へ向かう。

青髪「あの子、大丈夫かな?上手く隠れられてるとエエんやけど…」

不安に駆られる青髪。あれだけの力を持ったリーダーだ、仲間が大勢いても不思議じゃない。そうなれば、仲間の増援が来る前に
女学生を発見する必要がある。

ガタッ

青髪「なんや今の音!?まさか…!」

スキルアウトの増援がもうきたのか、焦る表情を隠さず音のした方向に駆ける。そうして、音のした場所に駆け付けると二人の人間がいた。
一人は、気を失った女学生。もう一人は見知らぬ顔の男。
32 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 19:59:06.10 ID:2blaCV2b0

青髪「…だれや、キミ?その子に何かしたん?」

声色を下げて威圧しつつ質問する青髪。しかし

???「ん?この子には何もしてないよ。俺はこの奥に用があったんだけど、その道中気を失ってるこの子を見つけてね。どうしようかと
思っていたんだ」

身長は190p近くあるだろうか、それなりに鍛えてありそうな体躯に似合わない中性的な顔立ちをしている。黒のトレンチコートを羽織り、
ブラックスーツを完璧に着こなした黒づくめの男は青髪の威圧など無かったかのように説明する。

青髪「この奥?この奥は、スキルアウトしかおらへんけどキミは仲間かなんかか?」

???「まあまあ、そうケンカ腰にならないでくれよ。俺が、この奥にいるヤツをやっつけに来た。そうとも考えられるだろ?ああでも、お前が
あの奥から戻ってきたって事は、もう用事は済んでる。そう考えても問題ないな?」

青髪「(まあ身なり的にもスキルアウト共とはちょっとちゃうみたいやし、奥の連中の仲間ってわけやなさそうやな)ああ、問題無いで。まあ、事情
は知らんけど、面会するなら手短にした方がエエで。キミが犯人と疑われたないならな」

???「ではご忠告通り、手短に面会してこよう。元々そこまで時間を掛けるつもりもないがね」

男は、踵を返すとそう言い残して闇に消えた。

青髪「(普通の人間、とはちょっとちゃうみたいやけど…ま、この子を見つけてくれたのは感謝するで)」

男の奥底から漏れ出す異質な空気に少々疑問を持つが、今はそれを追及する時では無い。そう、思考を切り替えて女学生に向き直る。

女学生「――――――――――――」

さっきの男に何かされた形跡は見当たらない。脈も正常にあるようなので、どうやら本当に気絶しているだけのようだ。そうこう
している内に複数の人間が駆ける足音と、車両のエンジン音が出口の方向から響く。

青髪「お。やっとお迎えがきよったか」
                          

女学生を抱きかかえ、その場を立つ。こうして、青髪の戦いは幕を下ろした――――――――――
33 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:01:52.13 ID:2blaCV2b0

???「さてさて、これは思ったより暴れてくれたみたいだな。最も、こんな場末で暴れてもらう予定では無かったんだが…仕方ない」

青髪と別れ奥に進んだ男は、あちこちが凍りついた状況を眺め感想を呟く。手下と思われる三人組が白目を向いて倒れているのをみつけたので、
リーダーはすぐそこだろうと目を配る。そして視線の先に先客を発見した。

土御門「ん?オマエだれだにゃー?」

結標「見かけない顔ね」

海原「スミマセン。僕らは今、仕事中なのでお引き取り頂けませんかね?」

男の目の前には三人の男女の姿。その内の金髪サングラスの少年の手には、ドラッグケースが握られている。

???「あらら、まだ先客がいたのか」

土御門「『まだ』ってのが気になるが、ここに来るって事はオマエもコイツに用があるのか?後、さっきも言ったが何者だ?」

土御門の口調と雰囲気が突如として刺すような空気に変わる。しかし、男は気にするそぶりも見せない。

???「用があるっちゃあったんだが、その男が『健在』だったらの話だな。少なくとも天井にめり込んだ小太りに用はないよ。
後は、俺が何者かという質問だがそうだな…『弟を思う兄』これでいいかな?本名は伏せさせてくれ」

天井にめり込んだリーダーを見やりつつ淡々と告げる。

海原「となると、そこに埋まっているのは貴方の弟さんでしょうか?」

???「いや違うよ。顔すら合わせていない仲だ。それに、今用があるのはそこの金髪クンが持ってるケースの方だ」

ドラッグケースが目的と知るや、結標と海原がアイコンタクトで戦闘の準備をする。男の方も若干の殺気を醸し出す。しかし

34 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:04:33.82 ID:2blaCV2b0

土御門「コイツが目的だったのか?なら…」

ヒョイ、と男にケースを投げる土御門。交戦になるかもと少しばかり身構えていた三人は少し驚いた様な表情を見せる。

結標「ちょっと、土御門っ!!」

思わず抗議の声を上げる結標。海原も、理解しかねるといった視線を向ける。

???「(思ったより素直で驚いたが…こういうことか)おや、空箱か。と、言うことは中身はそこの男が全て飲んでしまったという訳か。
ふむ、時間をムダにしてしまったな」

顎に手をやりつつ、一人反省する男。土御門の行動を理解した結標と海原も戦闘の準備を解く。

海原「ところで、先程から一方通行さんの姿が見えませんが」

結標「『ちィっと冷えちまったから、立ちションベン行ってくらァ』ですって。なんでアンタとか土御門じゃなくて、わざわざ女の私に言うの
かしらね」

土御門「女と見なされてないんじゃないかにゃー」

結標「…アンタ、後で覚えときなさいよ」

???「痴話ゲンカも結構だが…」

バサッ、と一飛びで三人の頭上を飛び越える。

???「お迎えが来てるみたいなんでね。俺は、この辺でお暇させて頂くよ」

そういうと、闇の奥から複数の人間が駆ける音が聞こえて来る。そして男は、踵を返すとそのまま闇へと消えて行った。

海原「アンチスキルですか。ここにいると少々面倒なことになりそうですね」

結標「そうね」

シュン、と海原の姿が消える。

土御門「オマエの能力ってホント便利だにゃー」

結標「そう思ってるならもう少し大事に扱いなさい。後、アイツと一緒に反省しなさい」

そういうと今度は結標自身が消える。

土御門「て!?ちょっと待つんだぜい結標ェー!!」

取り残された土御門も慌てて走り、闇の中へと消えて行った。
          マ ジュ ツ シ
土御門「(あの男、俺と同じ匂いがしたぜよ。あんまりいい予感がしないにゃー…)」


不気味な予兆を残して――――――――――

35 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:06:54.15 ID:2blaCV2b0

黄泉川「アンチスキルじゃん!!って、これは随分じゃん…」

現場にアンチスキルの面々がなだれ込む。が、その理解しがたい惨状に思考が止まる。

鉄装「あちこちが凍ってますね。うう寒いッ。それにアレ…」

アンチスキルの面々が見上げる先には、顔がひしゃげた小太りの男が埋まっている。

黄泉川「なにか、とんでもない力でぶん殴られたって面じゃん。それに、現状から推測してあの天井に
埋まってる小デブが連続氷結殺人鬼の可能性があるじゃん」

鉄装「ん、なんでしょうコレ?」

黄泉川が推測を立てていると鉄装が何かを発見し、残りの面々も鉄装が見つけたものを見る。

黄泉川「白い粉末…ドラッグの可能性があるな。至急、鑑識班呼ぶじゃん」

アンチスキル「了解しました」

慌ただしく動く面々を尻目に、地面に落ちた少量の粉末を見やる黄泉川。鉄装は、手に持ったノートパソコンで
何かを調べている。

鉄装「黄泉川さん、ありました。顔がアレなので確実ではありませんが、身体的特徴が合致した人物が
書庫にありました」

黄泉川「どれどれ。名前はえーっと…ヒムロ。年齢16歳。××中学三年生の十一月に突如失踪し、行方不明に。
能力は…レベル2の氷結系能力者、か」

黄泉川「(しかし、この現状はレベル2が起こせるような状況じゃないじゃん。やっぱりこの白い粉末は―――――)」


「あァー、クッソ寒みィ」
36 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:08:40.59 ID:2blaCV2b0

黄泉川「!?」

突如、階段の方から聞こえた声に思考を中断される黄泉川。

「ッたく…ちっとコーヒー飲み過ぎちまったかァ。にしても、寒みィ。あンの変態女、よくあンな素ッ裸みてェな格好で
平気な面してられンなァ…って、あァン?」

黄泉川「一方通行、何でここにいるじゃん…?」

一方通行「げェ!黄泉川ァ!?」

一方通行と呼ばれた白髪の少年は驚きに眼を見開き、狼狽する。何を隠そう、この少年は学園都市最強の頭脳を誇る第一位
なのだが焦りの色を隠せないでいた。

一方通行「テメェ…何時の間に来やがったんだァ?」

黄泉川「それはコッチのセリフじゃん。これ、君がやったのか一方通行?」

一方通行「ハァ!?訳分かンないンですけどォ!?」

黄泉川「立ち話もアレだから本部でゆっくり聞かせてもらおうじゃん」

一方通行「ちょ、ちょっと待て!離せェ黄泉川ァ!!」

黄泉川「アンチスキルのカツ丼は美味いじゃん。楽しみにするじゃんよ」

ズルズルと引きずられて行く一方通行。そこに学園都市第一位の姿は無かったのだった。
37 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:19:42.20 ID:2blaCV2b0
以上です。書き溜めは結構したつもりなんですけど、意外と消費早いですねー。早く仕上げねば…

ところで、スキルアウトリーダーの能力ですが要約すると、あらかじめ10ヶ所狙う場所を設定

しておいて、設定した順に冷凍ビームを繰り返し発射するという能力です。分かりづらい能力

でスミマセン。まぁ、同じポイントしか撃てない、貫通能力が無いという面から劣化版原子崩しと

イメージして頂ければよろしいかと思います。とりあえず、ルビ上手くいってよかったぜい…それでは

今の書き溜めが完了次第、翌日か明後日にも更新いたしますので、どうか宜しくお願いいたしますm(_ _)m
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 20:20:11.86 ID:RSKobUcJ0
Lv4の凍結能力とか怖い><
39 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/04(金) 20:28:21.38 ID:2blaCV2b0
あ、それからリーダーの能力名は特に決めてないです。いかんせん筆者の疎い知識ではいい名前
が浮かんでこなかったので…
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 21:03:26.88 ID:qcxYalHU0
えっ
沿線氷結じゃないのか?
41 :>>1 [sage]:2011/03/04(金) 21:15:48.60 ID:DU0iKjpDO
家主帰ってきたので、携帯から失礼します。

>>40さん

あ、それは例えばていとくんなら未元物質(ダークマター)
みたいな正式名称ですね。分かりづらい書き方ですいません。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 21:51:30.27 ID:YX1MFUCd0
Bookmark余裕でした
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 22:26:51.08 ID:5vLQnrZT0
なまじ何でも出来る能力を持ってるが為に通行さん災難だな
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/04(金) 22:27:26.89 ID:sxs7+csi0
こりゃ面白い…です
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/05(土) 01:57:54.48 ID:GbXsDyI80
乙!
やっぱどこのスレでも可愛いなこころん
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 00:25:13.48 ID:w7eVuDLu0
最近青ピと心理掌握の人気がすごいな
こころん可愛いよこころん
47 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:30:57.54 ID:CH7OGv+B0
コンバンワ。時間できたので投稿します。今日はちょっと、短め
かもしれないです。後、時系列が少し前後します。s

それでは、始めます
48 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:31:58.72 ID:CH7OGv+B0

―――――――――――第七学区某所


滝壺「はまづら、これはここに置いとけばいい?」

浜面「ああ、そうだな。そこで問題ないだろ」

第七学区内某所の高級マンションにて、学園都市の暗部組織『アイテム』は慌ただしく動いていた。

絹旗「あ、麦野はそれ持たなくていいですよ。私が超やっときます」

麦野「悪いわね、絹旗」

絹旗「超気にしないでください。まだ腕、完璧じゃないんですから超無理しないでくださいね」

テーブルを片手で抱えた少女は屈託の無い笑顔で答える。

フレンダ「浜面ー、これで最後なわけー?」

浜面「おう、そのゴミ箱はそこに置いてくれ。…よーし!引っ越し作業終わりぃ!!」

一通りの家財道具を新しい根城に搬入し終え、アイテムの面々は真新しい床や搬入したイスに腰を下ろし、一息付いた。

絹旗「ふう、やっと終わりましたね。しかしこうやって、五人でまた引っ越し出来るなんて超夢みたいです」

絹旗は、感慨深い眼差しで振り返る。

49 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:34:26.32 ID:CH7OGv+B0

―――――――――――――――――

恋人を守る為に浜面と滝壺はロシアに飛び、麦野はその二人を殺す為に追った。
フレンダも麦野に粛清され、周囲から他人に依存するタイプと評される絹旗は一人、学園都市で孤独を味わっていた。
浜面と滝壺が帰ってくれば、また三人でアイテムをやろうと思っていた。麦野が帰って来たら戦って死ぬつもりだった。
そしてある日、浜面と滝壺は絹旗の元に帰ってきた。

二人を殺しに行ったはずの麦野を伴って。

始めは状況が理解できなかった。二人を殺しに行ったはずのリーダーがバツの悪そうな表情で二人の間に佇んでいる。浜面から
ロシアでの事の顛末を聞き終えると、麦野は絹旗に頭を下げ謝罪をした。涙を流しながら。絹旗は、更に混乱した。あの傍若無人
なリーダーが涙を流しながら頭を下げている。考えを整理しようとする。しかし、絹旗の眼からも涙が零れた。

絹旗「超ばか麦野…全部一人で背負い込んで…一人で勝手に暴走して…何がリーダーですか…」

更に涙を流し、嗚咽を漏らしながら床に頭を擦り付けんばかりに謝罪する麦野。

絹旗「…浜面と滝壺さんに超謝って下さい。その後、フレンダに超謝って下さい。それが、私への謝罪です」

その後、二人は小一時間号泣し続けた。その後、落ち着いた二人に滝壺と浜面を加えて話し合い、後日フレンダの墓に手向けを行った
後、アイテムの再結成パーティーを開こうと言う事に決まった。そして、翌日。三人はお供え物と花束を買って墓地に向かった。


そこでのサプライズのおかげで、再結成パーティーが更に賑やかになるとも知らず。
50 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:36:47.97 ID:CH7OGv+B0

滝壺「ここで間違いない?きぬはた」

絹旗「ええ。ここで超間違いないです」

第一〇学区の一角にひっそりと存在する墓地。公には知らされていないが、主に暗部の人間や引き取り手のいない人間(置き去り等)が埋葬されている墓地
である。

浜面「気がかりな事があるんだが、フレンダの遺体はちゃんとこの墓地に埋葬されてんのか?」

絹旗「いいえ、それは…。私が、あのビルに超戻った時にはもうフレンダはいなくなってました。ひょっとしたら、既に処理部隊に回収されて
しまったのかもしれません。ですから、フレンダの遺品を埋葬してあります…」

浜面「そうか…。悪い、変な事聞いて」

麦野「フレンダ…」

絹旗「いえ、別に超気にしてませんよ。あ、着きましたここでs…」

滝壺「どしたの?きぬはt…」

フレンダの墓が見えてきたところで突如、言葉を失う二人。

浜面「何があったんだよ…って、アレは…」

麦野「な…何よ…」

四人の視線の先には、ピンク色のドレスに身を包みどこか見覚えのある帽子を被り、少しクセのかかった金髪の幼女が墓の前でうつぶせで倒れていた。

浜面「だ、大丈夫か?何かあったのか」

すぐさま四人は駆け寄り、謎の幼女の安否を確かめる。そして、うつぶせの幼女を仰向けに反転させた時、四人の顔は一斉に仰天した。


麦野「フレ…ンダ?」
51 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:39:34.33 ID:CH7OGv+B0

驚愕するのも無理は無い。その幼女の顔は、たったいま花を手向けようとしていた人物と瓜二つだったのだ。

絹旗「な、なんの超冗談ですかこれは…」

あまりに唐突な展開に付いて行けないといった表情の絹旗。滝壺も、同じくこの意味不明な状況に戸惑いの色を隠せない。

浜面「と、とりあえず無事を確かめよう…。おい、大丈夫か?」

フレンダ?「う、うう"…」

麦野「気付いた!?」

絹旗「超しっかりして下さい!」



フレンダ?「おなか減った…」



麦野 滝壺 絹旗 浜面「「「「…は?」」」」

フレンダ?「おなか減ったって言ってるわけなんだけど」

麦野 滝壺 絹旗 浜面「「「「」」」」

フレンダ?「けっきょく、おなか一杯鯖缶食べさせてくれると嬉しいわけよ!」


花のような笑顔で食事を要求する謎の幼女。あまりにも理解不能な状況に陥った四人はそのまま考えるのを止めた―――――

52 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:44:51.72 ID:CH7OGv+B0

浜面「と、取り敢えず墓参りは中止でいいか…?」

滝壺「そうだね…。この子おなか空いてるみたいだし、何時ものファミレス行こう?」

麦野「私も。とにかく、今は落ち着きたいし…」

絹旗「私も超賛成です…」

そうして四人と謎の幼女は車に向かう。方や、鯖缶♪鯖缶♪と鼻歌を歌いながら。方や、神妙な表情を浮かべながら何時もの場所へ向かった


―――――――――――ファミレス

フレンダ?「やっぱり鯖缶は最高ってわけよ♪」

ガツガツと鯖缶を貪る謎の幼女。その様子を四人は何とも言えぬ面持で眺める。顔立ち、鯖缶を食べる仕草、特徴的な言葉づかい。
どれを取っても本来なら墓の下で眠っているべきかつての仲間そのものだった。圧倒的に幼くなっている事を除けば。

浜面「で、お前はなんであんなとこに倒れてたんだ?」

まずは、浜面が沈黙を裂いた。

フレンダ?「んとね、お墓の近くの公園で眼を覚ましたんだ。どこか分からなくて、色々動き回ったらおなか減って動けなくなっちゃって。それでごはんの
匂い辿って行ったらけっきょく、お墓だったってわけよ!」

絹旗「お供え物食べようとしたってことですか…」

滝壺「名前はなんていうの?」

続いて滝壺が切り出す。四人は一斉に謎の幼女に視線を集める。四人共通で一番気になる質問だった。

フレンダ?「わたしの名前?わたしの名前は…えーっと、フレンダ?そう、フレンダなわけよ!」

麦野 滝壺 絹旗 浜面「「「「…」」」」

四人は答えを聞いてやっぱり、という気持ち半分、でも何故?という気持ち半分だった。

フレンダ「でも、けっきょくよく分からないわけよ…。何故か名前を聞かれた時に、急に頭に出てきたわけよ」

麦野「急に?」

フレンダ「うん、急に。取り敢えず今のわたしは、フレンダで『三人目』ってこと以外は覚えてないってわけよ」

滝壺「『三人目』?」

フレンダ「うん三人目。でも、取り敢えずその単語が頭にあるだけで、特にそれがどういう意味かはけっきょく、分からない
ってわけよ」

絹旗「それ以外で何か、超思い出せないですか?」

フレンダ「超思い出せないわけよ。けっきょく、公園で眼を覚ます前の事はサッパリ抜け落ちてるわけよ」

一斉に考え込む四人。この幼女がフレンダである、というのは取り敢えず信じるとしてそれにしても謎だらけの存在だった。

フレンダ「それじゃあ、次は私から質問してもいい?」

麦野「なあに?」

フレンダ「おねえさん達の自己紹介して欲しいってわけよ!」
53 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:52:09.26 ID:CH7OGv+B0


―――――――――――――


絹旗「なんやかんやはありましたけどね」

滝壺「きぬはた、嬉しそう」

フレンダ「けっきょく、他人に依存するタイプみたいなわけよ」

麦野「…アンタ、ホントに何も覚えてないんでしょうね?」

フレンダ「何も覚えてないってわけよ!」

フンス、と胸を張るフレンダ。

麦野「(前のフレンダなら、絶対ここで動揺してボロ出すんだけど本当みたいねぇ…。というか、前より隙が
無くなってない?)そうだフレンダ。この後、パーティーの買い出しついでに服買いに見に行かない?」

フレンダ「そういえば、この一着しか無いわけよ」

浜面「パーティーの買い出しは三人いれば間に合うだろうし、二人で行って来いよ」

滝壺「うん、それがいいと思う」

絹旗「えー。私のお古ならサイズ調度良いですし。超あげますよ、フレンダ」

フレンダ「けっきょく、モアイの痴女スカートを穿く気にはなれないわけよ」

絹旗「なあ!?モ、モア?ふ…ふふふ、ちっこくなったと思ったら超言うようになりましたねぇフレンダァ!」

ギャーギャーともみ合うフレンダと絹旗。滝壺がそれをどうどうと宥める。傍から見れば、微笑ましい小学生の姉妹喧嘩とそれを宥める姉にしか見えない光景であった。

麦野「ホントにいいの?私たちだけ…」

浜面「気にすんなって。それに、お前もアイツとは色々話たいことあんだろ?あの子が本当にフレンダなのかは分かんないけど、話せるなら話といたほうがいいぜ?」

麦野「そうね…」

浜面「…。はーいはい、そこのお子様二人そこまで。休憩は十分取ったし、小物類の片づけやったら買い出しいくぞー」

お子様二人はいまだにぐぬぬ、とにらみ合っているがそこに滝壺が割って入り仲裁する。

滝壺「ふたりとも。せっかくもう一回集まれたんだから…ね?」

二人を抱き寄せる滝壺。

フレンダ 絹旗「「((正直、その顔は超反則です(ってわけよ)…))」」

滝壺の聖母の如き慈愛の前に二人はしぶしぶ、片づけに移るのだった。
54 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:52:36.75 ID:CH7OGv+B0


―――――――――――――


絹旗「なんやかんやはありましたけどね」

滝壺「きぬはた、嬉しそう」

フレンダ「けっきょく、他人に依存するタイプみたいなわけよ」

麦野「…アンタ、ホントに何も覚えてないんでしょうね?」

フレンダ「何も覚えてないってわけよ!」

フンス、と胸を張るフレンダ。

麦野「(前のフレンダなら、絶対ここで動揺してボロ出すんだけど本当みたいねぇ…。というか、前より隙が
無くなってない?)そうだフレンダ。この後、パーティーの買い出しついでに服買いに見に行かない?」

フレンダ「そういえば、この一着しか無いわけよ」

浜面「パーティーの買い出しは三人いれば間に合うだろうし、二人で行って来いよ」

滝壺「うん、それがいいと思う」

絹旗「えー。私のお古ならサイズ調度良いですし。超あげますよ、フレンダ」

フレンダ「けっきょく、モアイの痴女スカートを穿く気にはなれないわけよ」

絹旗「なあ!?モ、モア?ふ…ふふふ、ちっこくなったと思ったら超言うようになりましたねぇフレンダァ!」

ギャーギャーともみ合うフレンダと絹旗。滝壺がそれをどうどうと宥める。傍から見れば、微笑ましい小学生の姉妹喧嘩とそれを宥める姉にしか見えない光景であった。

麦野「ホントにいいの?私たちだけ…」

浜面「気にすんなって。それに、お前もアイツとは色々話たいことあんだろ?あの子が本当にフレンダなのかは分かんないけど、話せるなら話といたほうがいいぜ?」

麦野「そうね…」

浜面「…。はーいはい、そこのお子様二人そこまで。休憩は十分取ったし、小物類の片づけやったら買い出しいくぞー」

お子様二人はいまだにぐぬぬ、とにらみ合っているがそこに滝壺が割って入り仲裁する。

滝壺「ふたりとも。せっかくもう一回集まれたんだから…ね?」

二人を抱き寄せる滝壺。

フレンダ 絹旗「「((正直、その顔は超反則です(ってわけよ)…))」」

滝壺の聖母の如き慈愛の前に二人はしぶしぶ、片づけに移るのだった。
55 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:53:17.19 ID:CH7OGv+B0


―――――――――――――


絹旗「なんやかんやはありましたけどね」

滝壺「きぬはた、嬉しそう」

フレンダ「けっきょく、他人に依存するタイプみたいなわけよ」

麦野「…アンタ、ホントに何も覚えてないんでしょうね?」

フレンダ「何も覚えてないってわけよ!」

フンス、と胸を張るフレンダ。

麦野「(前のフレンダなら、絶対ここで動揺してボロ出すんだけど本当みたいねぇ…。というか、前より隙が
無くなってない?)そうだフレンダ。この後、パーティーの買い出しついでに服買いに見に行かない?」

フレンダ「そういえば、この一着しか無いわけよ」

浜面「パーティーの買い出しは三人いれば間に合うだろうし、二人で行って来いよ」

滝壺「うん、それがいいと思う」

絹旗「えー。私のお古ならサイズ調度良いですし。超あげますよ、フレンダ」

フレンダ「けっきょく、モアイの痴女スカートを穿く気にはなれないわけよ」

絹旗「なあ!?モ、モア?ふ…ふふふ、ちっこくなったと思ったら超言うようになりましたねぇフレンダァ!」

ギャーギャーともみ合うフレンダと絹旗。滝壺がそれをどうどうと宥める。傍から見れば、微笑ましい小学生の姉妹喧嘩とそれを
宥める姉にしか見えない光景であった。

麦野「ホントにいいの?私たちだけ…」

浜面「気にすんなって。それに、お前もアイツとは色々話たいことあんだろ?あの子が本当にフレンダなのかは分かんない
けど、話せるなら話といたほうがいいぜ?」

麦野「そうね…」

浜面「…。はーいはい、そこのお子様二人そこまで。休憩は十分取ったし、小物類の片づけやったら買い出しいくぞー」

お子様二人はいまだにぐぬぬ、とにらみ合っているがそこに滝壺が割って入り仲裁する。

滝壺「ふたりとも。せっかくもう一回集まれたんだから…ね?」

二人を抱き寄せる滝壺。

フレンダ 絹旗「「((正直、その顔は超反則です(ってわけよ)…))」」

滝壺の聖母の如き慈愛の前に二人はしぶしぶ、片づけに移るのだった。
56 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 00:55:38.65 ID:CH7OGv+B0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

片づけ作業も長年の暗部生活で慣れきったのかテキパキと進み、最後に浜面の部屋の片づけ
となった。

滝壺「はまづら、これはここでいい?」

浜面「おう、そこにしてくれ」

順調に荷物を搬入している途中、怪しげな行動を取るフレンダが目に入った。

浜面「おーい、フレンダ。なにゴソゴソやってんだ?手伝ってくれよ」

フレンダ「…プハッ。やっと取れたってわけよ」

部屋の片隅をゴソゴソと突いていたフレンダの手には、白い茶菓子箱があった。それを見た浜面の表情は青ざめ、
猛ダッシュでフレンダに近づき、茶菓子箱を分捕った。

フレンダ「あー!!何するのよ!?」

浜面「何も覚えてないからって、人のプライバシーを勝手に覗いてはいけませんッ!」

フレンダ「浜面にプライバシーなんて無いわけよ!」

ギャーギャーと茶菓子箱を引っ張り合う二人。

絹旗「浜面、どうしたんでしょう?何やら超焦ってますね」

滝壺「あやしい」

麦野「どうせ、バニーモノのエロDVDとかそんなもんでしょ」

浜面「い、いや違うって!!」

麦野「じゃあ何よ?」

浜面「あー…それはだな…」

麦野「はぁーまづらぁ?」

浜面「ヒ、ヒィッ!?む、麦野さんっ!?」
                ト ラ ウ マ
一瞬、学園都市脱出前の圧倒的な恐怖が脳裏を掠める。その恐怖の影響で浜面の握力が一瞬緩む。

フレンダ「もーらいっ!!」

浜面「あ!?しまッ…!」

フレンダ「浜面の秘密…」

浜面「や、やめろおおおおおおおおおおお!!」

フレンダ「大公開ってわけよッッ!!!」

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/06(日) 00:56:14.96 ID:w7eVuDLu0
大事なことなので三回(r
ロリンダ可愛いよロリンダ
58 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 01:01:13.26 ID:CH7OGv+B0
>>57さん やっちまったZE\(^^)/


パカっと、茶菓子箱が開けられる。その中身はエロDVD…ではなく書類や写真が複数入っていた。

絹旗「これは…」

滝壺「卒業アルバム?」

中身は、浜面が暗部に落ちる前の思い出の品々だった。

絹旗「これは、運動会ってやつの写真ですかね?あ、このバトン持って走ってるのが浜面ですか。
相変わらず超ブッサイクですね」

浜面「悪かったな…。一応、これでもクラスのアンカーとしてゴボウ抜きして一位取ったんだぞ」

滝壺「はまづらにも、輝いてる時代があったんだね」

浜面「滝壺っ!?何その、今の俺は枯れてるみたいな言い方!?」

滝壺「大丈夫。私は、そんな枯れたはまづらでも応援する」

浜面「滝壺ォ…」

麦野「こっちは成績表ね」

フレンダ「内容は……うわぁ、見事に2と1なわけよ」

麦野「体育と図工だけ5なのね」

滝壺「分かりやすいね。はまづら」

浜面「…もう、なんとでも言ってくれぇ…」

絹旗「それでこれは…卒業の時の家族写真ですかね」

絹旗が手に取った写真には、満開の桜並木をバックに微笑む浜面少年と両親、そして背の高い少年が写っていた。

麦野「浜面とそのご両親は分かるけど、この一緒に写ってる人は誰?」

浜面「あぁ、ソイツは俺の兄貴だよ」

麦野 滝壺 絹旗 フレンダ「「「「」」」」

四人は一様に固まる。

浜面「あん?どうしたんだよ、急に固まって」

絹旗「し、信じられません……この超絶超イケメンが浜面のお兄さんだなんて…ッ」

フレンダ「けっきょく、浜面と同じDNA持ってるとは思えないわけよ……」

麦野「浜面……アンタ、本当は橋の下で拾われた子なんじゃないの?」

滝壺「だ、大丈夫。私は、そんな橋の下で拾われたはまづらを応援してる…」

浜面「お前等、さっきからヒデぇよ……」


四人が驚くのも無理は無い。写真の中で浜面少年と共に微笑む青年は、浜面とは似ても似つかぬ長身美男子だったからだ。
59 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 01:06:00.01 ID:CH7OGv+B0

フレンダ「それで、このキレイな浜面はどんなお兄さんだったわけ?」

浜面「キレイな浜面ってなんだよ……。まぁそうだな、俺とは正反対の人間だったな。顔も良いし、身長高いし、成績も校内トップ
だったみたいだし、サッカー部のキャプテンで女の子にも相当モテてたみたいだしな」

麦野「マンガに出てきそうな完璧超人ね」

浜面「ああそうだな。実際、雲より遥か上の存在だったよ。でも、兄貴が寮に行くまでは結構良くして貰ってた記憶がある。ただ……」

滝壺「ただ…?」

浜面「なぁんつうか、たまーに変な視線向けてくるんだよなぁ」

浜面「危ないというか、獲物を狙う視線というか……」

絹旗「超自意識過剰ですね浜面。折角の超イケメンお兄さんの好意を無碍にするなんて、汚い浜面は超最悪です」

フレンダ「けっきょく、汚い浜面は心の中まで汚い浜面ってわけよ」

浜面「さっきからオメーら、キレイな浜面とか汚い浜面とかなんなんだよ!?」

麦野「それで、こっちのキレイな浜面の名前はなんていうの?」
                 カ イ シ       カ イ シ
浜面「(麦野…お前まで)……開始だよ。浜面開始。漢字はそのまんま、開くに始まる」

麦野「ふーん。開始と仕上、か。アンタのご両親なかなか凝った名前付けるのね」

浜面「は、ただの中二病センスだろ」

滝壺「それで、キレイな方の浜面は今なにをやってるの?」

浜面「(滝壺…)あぁ、兄貴が寮に行った時から音信不通だよ。海外に行ったとかなんとか色々噂は聞いたけど、今はどこで
なにやってるか分かんねえな」

フレンダ「そうなんだ」

絹旗「きっと、超汚い浜面の超自意識過剰を治す薬でも探しに行ったんですよ」

麦野「早く見つかるといいわね」

滝壺「……?」

フレンダ「どしたの?滝壺」

滝壺「ん、何か一瞬誰かの視線を感じたような…」

麦野「…ッ!」

早急に立ち上がり、部屋の窓から外を見渡すアイテムの面々。何を隠そう、彼らは現在学園都市にその身を狙われてる立場にある。
いつ、何処に刺客が潜んでいるとも知れないのだ。その為、常に警戒を怠らない。

浜面「特に…何も見当たらねえな」

滝壺「そう…急に変な事言ってゴメンね」

麦野「いいのよ、私らは追われてる身でもあるんだし。みんなも、何かあったら直に報告しなさいよ。気のせいが命取りになること
なんて往々にあるんだから」

絹旗「(麦野。本当に超変わりましたね……)」

使い捨てを基本とする暗部とは一線を画す一体感。これが、アイテムがアイテムたる所以なのだ。これがある限り、何があっても乗り越えて
いける。この時、絹旗はそう思ったのだった。

60 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 01:08:45.43 ID:CH7OGv+B0


―――――――――――――――とあるマンションの空き部屋


???「フフフ……やぁっと見つけたよお。仕上…」

アイテムの根城の向かいにある高層マンションの空き部屋。双眼鏡を覗く男は、不気味に呟く。

???「随分楽しそうだけど、そんなものはまやかし……おっと」

監視対象がこちらを振り向き、慌てて身を伏せる。

???「気付かれたか?」

再び双眼鏡で覗くと部屋には既に誰もいなかった。

???「ククク…待っててねぇ仕上。僕が、僕がこの腐った街から救い出してあげるからッッ……!」




精悍な顔を狂喜に歪める男。それは、これから始まる惨劇を予兆させるかのような笑顔だった―――――――――

61 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/06(日) 01:16:51.57 ID:CH7OGv+B0
本日分は以上です。なァンか書き込み遅ェなァ→ENT三回→どうしてこうなった

またまたやっちまった訳ですが、今回は敵側の伏線回といった感じですかね。
ちなみに、敵役の彼はBLAZBLUEの某ヤンホモ少佐を参考にしています。書き溜め
の残弾数もヤバくなり始めてるのでちょっと頑張んなきゃな……

それでは
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 04:04:12.58 ID:Tb+AOKNAO
ブラコンホモの残念なイケメンに貞操を狙われる浜面w
カイシか……禁書的には普通っぽいがハジメとかの方が名前っぽいと思う。だからどうだって話だが。

それはともかくロリンダックスかわいいよロリンダックス。
三人め……ってのはやっぱりそういうことなのかね。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 05:35:50.96 ID:w7eVuDLu0
フレンダ「結局、私が死んでも代わりはいくらでも居るって訳よ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 09:25:31.47 ID:gFAWlDb4o
レイ「あなたも…三人目?」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/06(日) 13:11:09.53 ID:mK24d0Fw0
これで原作もアニメも見たことないのか?
すげぇな
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/07(月) 10:43:23.13 ID:dwii8d3q0
それだけ良質の禁書二次作品を読んでるって事だよ
逆に言えば、それだけ大勢の先人が居るという事でもある
67 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:23:51.39 ID:nzuZDIgJ0
こんばんわです。書き溜めが1パート分ぐらい出来てきたので、投下します。
68 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:25:23.30 ID:nzuZDIgJ0

――――――――――――――――とある病院



青髪「それで、具合の方はどうです?」

カエル顔の医者「うん、呼吸も脈も安定してるし特に問題ないかな?」

スキルアウトとの交戦後、女学生と青髪は第七学区内のとある病院に送られた。女学生の意識は未だに戻っていない
ものの、酸素吸入器もなくスウスウと規則の正しい寝息を立てている。

カエル顔の医者「極度の緊張状態が続いた結果だろうね。意識が戻れば、すぐにでも帰れると思うよ?」

青髪「そうですかぁ、いや無事でよかったわ。この子の引き取り手とかに連絡入れといた方がエエですかね?」

カエル顔の医者「いや、学校の方には僕から確認とってみたんだけどね。どうも、彼女は一人暮らしみたいなんだよ?
だから、もし時間があれば彼女の家まで付き添って欲しいんだけど」

青髪「任しといて下さい!このボクが命に代えても付き添い遂げてみせます!!」

カエル顔の医者「あ…いや、そこまで気合い入れなくてもいいと思うけどね?」

青髪の並々ならぬ気迫に若干押されるカエル顔の医者。しかし同時に安心を覚え、医者は病室を後にする。
69 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:27:23.95 ID:nzuZDIgJ0


青髪「しかし常盤台言うたら、かなり厳しい全寮制のお嬢様学校聞いたけど…何か、特別な事情でもあるんかな?」

カエル顔の医師を見届け、女学生に向き直る。殴られた跡が少し残っているものの、その肌は白で統一された病室
の中であっても目立っていた。

青髪「(してもホンマに白いなぁ、お人形さんみたいや)まぁ、こういうのは普段は上やんの役目なんやけどたまにはボクでも
エエよね…」

そう言い、この女学生に出会う前まで話していたフラグメーカーのクラスメイトを思い出す。そろそろ、自分にも風が吹いて来た
かなー?など碌でもない事を考えていた矢先、女学生の瞼がピクリと動いた。

女学生「―――――――――」

青髪「お!気付いたか。大丈夫やったか?ちなみに、ここは病院やで」

両目をキョロキョロと動かし状況を確認する。少しして、自分の無事を確信した女学生は感謝の意思を込めた視線を青髪に送った。

青髪「大丈夫やて、そもそもの原因はボクやし…。堪忍な…」

青髪は不用意な発言をした自分を咎める。対して、女学生は首を横に振り否定する。その後、何かを伝えようとしたが伝える手段がないの
だろうか、しばし沈黙が病室を支配する。

青髪「……せや!これがあったわ!」

70 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:30:22.84 ID:nzuZDIgJ0


突然何かを閃いたのだろうか、自らのバッグを漁る青髪。そして、バッグの中からノートとペンケースを取り出した。

青髪「そういえば、ボクの自己紹介してへんかったな。ボクの名前はこういうんやで。あ、でも青髪でエエよ?ボクもこっちの方が馴染んどるし」

サラサラとノートにペンを走らせる青髪。幸いにも、愛しの担任教師以外の授業が全く書き写されていないノートは白紙だらけなので残り
ページを気にせず書き、渡す。一通り目を通した女学生は、青髪同様ノートにペンを走らせる。

青髪「ふーん…ここみちゃん言うんか。エエ名前やないかぁ」

その後も、ノートを介した二人のやりとりは続く。好きな食べ物、趣味、学校……他愛のない会話が続き、気付くと時計の短針
はとうに21時を指していた。

コンコン

青髪「はい」

カエル顔の医者「お、意識が戻ったのかい?よかったよかった。具合はどうだい?」

心美「【はい、問題無いです。ご迷惑をお掛けしました】」

心はノートをカエル顔の医者に見せて感謝の意を示す。

カエル顔の医者「いや、迷惑なんて掛かってないよ。君が無事で何よりだ。ところで、今日はどうする?ここで一泊も出来るし、
家に帰る事も出来るけど?」

少々思案する心であったが、クウっと控えめな腹の虫が鳴ると顔を赤らめ、ノートにペンを走らせる

心美「【すみません。こんな時間ですし、お腹も空いてしまったので帰宅したいです】」

と、おずおずと提示したノートに記されていた。当然、この時間では売店も病院食も終わっている。

カエル顔の医者「分かった。というわけだから、彼女の自宅まで付き添ってもらえるかな?」

青髪「お安い御用でっせ。それじゃ、ボクは支度終わるまで外で待ってますわ」

そう言うと青髪はドアの向こうに消える。


カエル顔の医者「……彼には、能力を使わなかったね?」

71 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:32:52.46 ID:nzuZDIgJ0



心美「――――――――」

カエル顔の医者「うん大丈夫だよ、恐れる必要は無い。力をコントロール出来始めてる証だ。少しづつやっていけばいいよ」

そう言って、カエル顔の医者も病室を出る。

心美「(…そう言って、いつもいつも最初からやり直しになってきた)」

帰り自宅を始める。その表情はどこか、諦めが伺えた。

心美「(病室に居れば、青髪先輩はきっとまた来る。なら、今日帰って終わりにしてしまおう。それがいい)」





身支度を整え、病室のドアに手を掛ける。察知されないように、笑顔を作りながら――――――
72 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:39:05.15 ID:nzuZDIgJ0


――――――――――第七学区

青髪「それでな、その上やんゆうのはなぁ―――」

心美「【そう、なんですか。きっととても素敵な方なんでしょうね】」

ザアザアと、降りしきる雨のなか他愛もない会話を交わしながら歩く二人。完全下校時刻はとうに過ぎており、周囲に人の気配は一切
無い。そんな二人だけの世界で一つの傘を共有し、一方は言葉でもう一方はノートに書いた言葉で会話を重ねる。そうしていくと、
青髪は一軒の店の前で歩みを止める。

青髪「ここが、ボクの下宿先やで。せや、お腹空いたんやろ?ちょっと、聞いてみるで」

そういって、青髪は心美の手を引いて店の中に入る。

青髪「今、戻ったでー」

「おかえり青髪。随分、遅かったな。って、その娘だれよ?」

店内の奥から気怠そうな雰囲気を纏わせた女性が現れる。年齢は、青髪と同じくらいか。赤茶に染めた長髪を後ろに纏め、パンの切れ端
を咥えながら訝しげな視線を心に向ける。
73 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:40:51.15 ID:nzuZDIgJ0


青髪「ああこの子はな、ちょっとトラブルに巻き込まれてボクが病院に連れて行ったさかい。で、ボクはこの子の家まで付き添い頼まれた
んや」

「ふーん…まぁ、なんでもいいけど。なら、その子早く家まで送ってあげないとマズいんじゃねえの?」

青髪「せやけど、この子お腹ペコペコやねん。なんか、残っとるかなー思うて」

「そういうこと…売れ残りはもう全部片付けちゃったけど、新商品の試作品なら今調度出来たトコだよ。それでいいなら持って帰っていいよ」

青髪「新商品って…誘波ちゃん、先週開発したばっかやん。もう、新しいの作ったん?」

誘波「バッカ、常に新しいモノ作ってかないと、客の興味なんてあっという間に無くなっちまうんだよ。つか、テメエも偶には手伝いやがれ」

青髪「はは…これは手厳しいなあ。まぁ、そうゆうことなんやけど試作品でもええかな?」

コクリと心美は頷く

誘波「OK。それじゃ、ちょっと待っててくれ」

そう言って、誘波は店内の奥に下がる
74 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:42:37.45 ID:nzuZDIgJ0


心美「【青髪先輩の下宿先って、パン屋さんだったんですね】」

青髪「そうやで。ボクも、朝4時から仕込み手伝わされて大変やねん。まぁ、屋根貸してもらってる身やから文句言えへんけどな」

心美「【そうなんですか。でも、ここのパン屋さんとても有名ですよ。私の学校でも、ここのお店の袋持ってくる子をよく見ます】」

青髪「ホンマに?常盤台のお嬢様御用達なんて嬉しいやないの」

誘波「別に、テメエは何もしてないんだけどな」

青髪「うお!?」

いつの間にか後ろに立っていた誘波に青髪が飛び上がる。その手には、大きめの紙袋を持っている。

誘波「常連の一人なんだが、鮭を使ったパンを作って欲しいとよく頼まれたもんでね。それで、フランスパンと鮭を組み合わせた試作品を
作ってみたんだ。あぁそれと、お代は結構だよ。まだ試作品だからな」

心美は紙袋を受け取り、2度深々と頭を下げる。

誘波「いいっていいって。まぁそうだな、もし暇があったら感想聞かせてくれ」

そういって、手をヒラヒラと振りながら店内の奥へと消えて行った。

青髪「さて、夕飯も確保したことやし、帰ろうか」



そう言うと青髪は心美の手を取り、再び雨の夜に繰り出した。

75 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:44:11.75 ID:nzuZDIgJ0


――――――――――――――――高級マンション

青髪「ここで、ええんかな?」

心美「【はい。ここが私の家です】」

青髪の下宿先から歩くこと数十分。青髪と心美は、30階建ての高級マンションに到着した。エントランスに入ると、心美は慣れた手付きでオートロック
の暗証番号を入力する。

心美「【今日は、本当にありがとうございました。助けてもらっただけじゃなくて、食事まで貰ってしまって】」

青髪「気にせんでもええって、事の発端はボクにあるさかい。」

心美「【そんなことないです。青髪先輩がいなかったら私、助からなかったですから】」

青髪「そっか。まぁ、キミが無事でボクはなによりや。それから、邪魔やなかったらそのノートもキミにあげるで」

心美「【でも、これって青髪先輩の授業ノートじゃないんですか?】」

青髪「大丈夫や。ボクは、観賞用・保存用・布教用の三冊同じノート持ってるさかい。それは、布教用やからキミにあげる」

?と疑問符を頭に浮かべる心美だったが、取り敢えず頭を下げる。

青髪「それじゃ、明日も朝早いんでこの辺でお暇させて頂きますわ。せや、ちょっとノート貸してや」

なにかを思いついた青髪は、心美から受け取ったノートに何かを書き込み始める。

青髪「なんか、また困った事あったらいつでも相談乗るで」

76 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:45:50.31 ID:nzuZDIgJ0


そういって渡したノートには、メールアドレスと電話番号が記載されていた。

心美「【ありがとうございます。ここまでして頂いて】」

青髪「ええってええって。そんじゃ、さいならな。もし、時間あったらウチの店よろしくやー」

そういって、手を振りエントランスを出る青髪。心美は、彼の姿が見えなくなるまで見送った。

心美「(困ったら相談…か。でも、これは私の問題。先輩を巻き込む訳にはいかない…)」

青髪を見送った後、少し悲壮な気持ちになりつつエレベーターに乗り込む。高速エレベーター特有の重力を感じつつ
心美は思考する。

心美「(このパンの感想も、どうやって伝えよう…)」

心美は、エレベーターの重力以外の重さを感じ、溜息をつく。それと同時に、27階に到着したエレベーターのドアが開く。

心美「(今日は疲れた。カエル先生は、明日休みにするよう学校に言ってくれたみたいだけど、早く寝よう)」

そう心に決め、気持ち足早に部屋に向かう。
77 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:47:53.63 ID:nzuZDIgJ0


「ご満足頂ける物件でした?」

「あぁ、見晴らしも悪くないし此処でいいかもな」

「うん。いい部屋だったね」

「ありがとうございます。では、詰めの契約に関してはまた後ほど…」

途中、背広の男性と若い男女3人組が部屋から出てくる。

心美「(この部屋に越してくるのかな?それにしても、若い夫婦…)」

心美の住むマンションは学園都市でも有数の高級マンションだが、その男女はそこには到底似つかわしくない格好
をしていた。通り過ぎる途中、会釈する。ピンクジャージの女性が柔らかく微笑みながら会釈を返してきた。

心美「(でも、お金持ちでも服装とかあまり気にしない人もいるか)」

そんな事を考えてる内に自室の前に到着する。カードキーを差し込んだ後、ドア前のカメラを覗き込み、網膜認証システムを起動する。
がちゃり、とロックが解除される。

心美「(ただいま…)」
                                  デアイ
誰もいない部屋に帰りの挨拶。こうして、青髪と心美の一日目が終わりを告げた―――――――

78 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:50:23.34 ID:nzuZDIgJ0

―――――――――――――――第七学区


絹旗「はぁ……まったく、イチャラブ空間全開にするのも構いませんが、超TPOを弁えてやって欲しいです」

第七学区の大通りから少し外れた道をテクテクと歩きながら、絹旗は一人愚痴る。引っ越し作業を終えた後、アイテム再結成
パーティーの準備のため、絹旗は滝壺、浜面の三人で買い物に出かけた。しかし、所々で発生する滝壺と浜面の甘い空間に
耐え切れず、飾り付けの道具を買いに行くと理由を付けて半ば逃げ出すように別れたところである。

絹旗「でも、こんなことで耐え切れなくなるなんて私もまだまだ子供…いやいや、あれは超浜面が悪いに決まってます!!」

詰まらない理由で逃げ出した自分を責めた後、否定する一人芝居をしながら頭を抱える。

絹旗「こうなったら、浜面を超ベロベロに酔わせた後、襲わせて既成事実を…って、超何言ってんですか私!?」

見た目小学生の少女とは思えない発言をしつつ再び頭を抱える。

絹旗「はぁ…ま、こんなこと考えてても超仕方ありません。一足先に戻って飾り付け始めますか…って、うわッ!?」

心美「!?」


ドンッと、余所見をしていた絹旗がぶつかる。その拍子に、尻餅を付き荷物が散らばる。
79 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:52:49.57 ID:nzuZDIgJ0


絹旗「痛て…すいません、超余所見していました…ケガ無かったですか?」

心美「――――」

コクコクと首を縦に振り無事を伝える。同時に、散らばった荷物を拾い集める

絹旗「すいません。ご迷惑かけて…ありがとうございます」

荷物を集め終え、感謝を伝える絹旗。心美も頭を下げる。

絹旗「(全く、超私らしくないです…)」

トボトボと帰り道を行く絹旗。途中、アジトへの近道となる路地に入る。常人なら入るのは憚られるような、薄暗い路地だが暗部組織
の一員として数々の修羅場を潜り抜けてきた彼女にとっては通いなれた道であった。しかし

???「もしもし。ちょっといいかな?」

絹旗「はい?ッ!?」

後ろから掛けられた声に振り向く絹旗。その瞬間、顔に煙のようなものが掛かり意識を手放す。

絹旗「――――――」

80 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:55:45.91 ID:nzuZDIgJ0


???「もう少し抵抗するかと思ったけど、なかなかどうして隙だらけじゃないか。見知らぬ人間の声に振り向くなんて暗部らしくない」

倒れた絹旗を見下ろし、口角を釣り上げる長身の男。その手には、ビデオカメラと注射器が握られている。

???「まあいい。おかげで手間が省けた。楽しいショーを見せてくれよ……」

そう言って男は、絹旗の首筋に注射を打つ。
          オフェンスアーマー
???「ようこそ、窒素装甲。レベル5の世界へ。まぁ、精々思いっきり暴れてくれたまへ」

凄惨な笑みを浮かべ、一飛びでビルの屋上へ跳躍し男はその場を後にする。

絹旗「――――」

一方通行「ッたく。面倒くせェ…なンで俺が米買ってこなきゃなンねェンだ…」

路地の向こう側から杖を突いた白髪の少年が愚痴をこぼしながら歩いてくる。

一方通行「空飛べるってよォ…スーパーまで空飛ンで行くとかどこのメルヘン野郎ですかってンだ…って、ンだァ?コレは」

一方通行「行き倒れかァ?にしちゃ、キズねェな…」


絹旗「―――……」

81 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 19:57:11.91 ID:nzuZDIgJ0


ムクリと絹旗が起き上がる。その目に生気は宿っていない。

絹旗「………」

一方通行「ハァ…でェ、こーなる訳ですかァ。いい加減ワンパターン過ぎるンだよなァ…」

一方通行「まァ、いつも通りブッ潰すだけだけどよォ!!!!」

チョーカーの電源をonに入れ、手始めに足元の礫をベクトル操作し絹旗に発射する。

絹旗「……」

バガンッ

しかし、弾丸のような速度で発射された礫は絹旗の約百m前で突如、砕け散る。

一方通行「ハッ、こりゃちッとは楽しめるかァ?」




狂気的な笑顔を浮かべる一方通行。学園都市最強のレベル5と新たなるレベル5の戦いの幕がここに開かれた―――――


82 :たー君 ◆Onru3IbBcI [saga]:2011/03/08(火) 20:02:05.57 ID:nzuZDIgJ0
本日分は以上です。マンション終わった辺りで切ろうと思いましたがヒキが弱いかな?
と思ったので、思い切って投下量増やしました。なので、次の更新は少し遅れるかもです。
後、誤植で「心美」が「心」になっていたところがあったので脳内修正お願いしまつ。

それでは
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 20:46:07.84 ID:wdLeoVyx0
>>1乙乙
鮭を使ったパンてwww
むぎのんかwwww
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 23:28:25.06 ID:C+rX4JJ40

このスレの心理掌握はこころんじゃなくここみんだったか
そして絹旗……まさか、体晶か?
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 19:34:22.13 ID:PvIvdKsDO

面白いのに何故、ここまで伸びないのか不思議だ
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:40:23.93 ID:Prm9jF0v0

こころんではなくここみんだと!?

いいぞもっとやれ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 04:25:41.31 ID:Vlp4kBgAO
ちょくちょく心美を美心と誤読してしまう……!
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 01:00:24.83 ID:CMH9njxs0
ここみんマジここみん
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 21:33:05.43 ID:jb6Iv31L0
そういえば>>81で約百mってあるけど
そんなに距離離れてたのか?
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/12(土) 02:30:33.98 ID:tTUyX6NDO
>>89
まぁ、「約」だしこまけぇこたあ(ry
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 04:15:52.37 ID:w+rg4Im4o
>>85
スレタイが全力で若者を置いてきぼりにしている点で
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 13:04:52.51 ID:XW36I9LB0
>一飛びでビルの屋上へ跳躍し

この男も只者じゃなさそうだな……
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/19(土) 01:14:19.89 ID:stIQD/Cn0
大丈夫?
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 08:49:17.70 ID:AXjaKVkDO
>>1の更新ねぇなぁ・・・まさか巻き込まれてないよなぁ。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 00:26:02.30 ID:UMO+wgVC0
>>1、大丈夫か…?
せめて生存報告を…………
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/13(水) 19:19:03.70 ID:+lheq66j0
>>1やばくないか?
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