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とある魔術と木原数多2 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/08(火) 02:43:00.94 ID:9yqQJL380

最初に簡単な注意を


・主人公は木原数多と木山春生になります

・作者が台本形式を苦手としているため、セリフの前に名前はつきません

・恋愛要素が入ってきますが多分甘くなりません

・少し残酷な描写が含まれます


これらの点を踏まえて、お付き合いしてくださる方はよろしくお願いします


前スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294924625/
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 02:47:56.40 ID:JwH5vV7Po
おk
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 07:12:06.47 ID:e1QueR0v0
立ておつぅー
>>少し残酷な描写が含まれます
……少し?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/08(火) 10:36:02.17 ID:BSyU5AWAO
原作の木原君よりこっちのが好きだぜぃ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 13:59:01.08 ID:lIEUjh7D0
木原クンが一方通行みたいなウルトラマンTシャツ着てて笑った
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 14:19:23.50 ID:hsKYbNDqo
センスは親に似るもんさね
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 15:55:36.88 ID:DV5hqAVAO
木原くンと一方さんは親子なのか?
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 16:09:33.48 ID:hsKYbNDqo
まだ新約1巻読んでないのか
わりい
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 16:37:28.71 ID:BSPGwlkq0
>>8
嘘バレ乙!
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/08(火) 22:13:10.99 ID:qaCcxL3SO
新スレ乙です!猟犬部隊はシグルイ也。

>>3
ミサカと天草式でのミサカ手術リョナで
新しい何かに目覚めました。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/09(水) 09:03:57.41 ID:vi91vCO50
>>3
シェリーが爆散したり、ねーちんがブッ刺されたり、砂皿がミンチになったり。
全然大したこと無いないじゃ……あれ?
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 09:40:41.01 ID:FBTB1PaLo
天使オルソラの出番は有るのかね
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 10:25:30.36 ID:vVQo2HZro
この世界で出てきても5秒で陵辱されて愉快なオブジェになってそうで困る
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 10:32:35.73 ID:9aLb89dTo
まぁたしかに死人は多いけど生きたまま数時間開けて内臓引きずり
出されるとかの表現が延々と続くスプラッタ的文章ではないから
「少々」だわな。うん
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 11:08:11.44 ID:FBTB1PaLo
>>13
全俺がオルソラの陵辱阻止
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 12:50:11.03 ID:bKyk/f0s0
オルソラ好きな人ってアニメで知った人ばっかだよね
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 17:15:37.44 ID:XT85jut9o
>>16
そうか?
オルソラ好きだけどssが少ないって嘆いているレス2期前から時々みかけるけど
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/09(水) 23:21:41.58 ID:4fZGwEjEo
>>16
禁書一巻の名も無きモブ好きの俺に比べれば(ry
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 12:31:05.89 ID:JreMZiJ10
ヴェーラ俺だー!
結婚してくれー!
20 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/12(土) 09:18:40.86 ID:QXZFYzPO0
皆さん大丈夫でしょうか
今回の地震の被害に遭われた方々を心より御見舞申し上げます

私事で恐縮ですが、SSの投下は今しばらくお待ち下さい
幸いにして私や家族、友人は無事でしたが
それでも後片付けなどで忙しくなります

乱文ですが、これにて失礼いたします
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 09:19:15.42 ID:C7xK4x6/o
がんばってー!
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 11:36:05.96 ID:y/Fhq+rDO
後片付けと言うことは結構近かったのか、まだ余震もちょくちょく来るし気をつけてくだせー
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 13:00:46.12 ID:epD3SMpXo
ご無事でなにより。
24 : ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:21:54.72 ID:qxoCbwh40

こんばんはー、遅くなって申し訳ありません

まずは改めて、今回の地震の被害に遭われた方へお見舞い申し上げます

たまたま祖母の家がある福島県へ帰省していて、ようやく帰ってくることが出来ました

これからも投下は徐々に続けていきますので、よろしくお願いします

今回の投下より、新約の内容も暫時追加していきます

ネタバレになりますので未読の方はご注意ください

また、今回の話では痛い描写、鬱な描写がございます

そういったものが苦手な方は引き返すことをお勧めします

では、投下



8月20日午前9時40分、胤河製薬学園都市支店


「君の作った『幻想御手(レベルアッパー)』は脳波のネットワークを利用した演算機器ということだけど……」


幻生は問う。


「そのアイディアを教えたのは、一体誰かね?」


この歪んだ世界のカギを握る、とある事実を。

25 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:23:48.76 ID:qxoCbwh40

「……」


しかし、木山は答えない。

否。

答えられない。


「……アレは……っ」


そのまま“何か”から逃げるようにほんのわずか後ずさる。

彼女の震える手から落下した拳銃が、空しく音を立てた。

しかし彼女は、自らの肩を抱いて震えるだけ。


「落ち着きなさい、木山君」


優しく声をかける幻生。

だがその声には、軽い失望の響きが含まれている。


「今日はこれでオシマイだねぇ」

「また会いに来なさい、待っているから」


その言葉に木山がハっと顔を上げた。

だがすでに、鉄格子の中では。


「い、ない……?」


囚われの身であるはずの幻生の姿が、煙のように消滅していた。
26 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:24:39.21 ID:qxoCbwh40

同時刻、第7学区の地下街


天草式の教皇代理、建宮は完璧に表情を隠蔽しながら諫早と歩いている。

けれどそれは、裏を返せば隠蔽すべき動揺が心中に存在しているということだ。

突如として連絡を絶った対馬と香焼。

即座に浦上と野母崎など12名を応援に向かわせたが、その彼らからも連絡はない。

それでも、と建宮は思う。

まだ若い香焼はともかく、対馬はメンバーの中でも優秀な実力者だ。

そうそう簡単にやられはしない。


(――本当に?)


女教皇と一緒に、さらに危険な出来事を何度も乗り越えてきた。

ここが敵地なのは承知の上だが、それでも勝ち目はある。


(――本当に?)


そこまで考えて、建宮は自分を欺くのを諦めた。
27 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:25:36.10 ID:qxoCbwh40

(畜生、不安で仕方がないのよな!)

(俺の独りよがりの復讐に、こいつらを巻き込んじまった)

(女教皇を失った天草式をまとめ上げる必要があったっていうのにな)

(クソッタレが)

(自分たちの矜持を投げ捨てることになると分かってて、それでもこの足は止まらねえのよ!)



『救われぬ者に救いの手を』



かつて神裂と共に歩んでいた天草式は、その信念を胸に戦っていた。

その姿は、弱者に手を差し伸べるヒーローそのもの。

多くの人を救い、助けてきた彼らは誰に恥じることのない正義の味方だったのだ。

だが今は違う。

彼らは、自分たちの掲げる信念の別の意味に気づいてしまった。

すなわち。

すでに彼らは、誰も救えないのだと。
28 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:26:20.97 ID:qxoCbwh40


悪に怯える人を助けるから、ヒーローなのだ。

自らの力の無さを悔いる人間と、共に立ち上がれるから正義の味方たり得るのだ。

困っている人間に手を差し伸べるから、天草式十字凄教なのだ。

いつだって、彼らの力は他者を救うために振るわれてきた。

しかし今、彼らが復讐によって救おうとしているのは――自分自身の行き場のない気持ち。

救いの手を差し伸べるというその思いは、自分達が“救われぬ者”となった事で自らへと向けられた。

自分の力を、自分のために使う。

もはや彼らは、ヒーロー(あまくさしき)ではない。

血と闇の溢れる世界へ足を踏み入れた、1つの戦闘集団へと成り下がった。

29 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:27:54.64 ID:qxoCbwh40

(女教皇……どうしてあなたほどのお人が……!)


建宮の慟哭は、それ以上続かない。


(……? この気配は何だ?)


付近に人が潜んでいる感覚とは違う。

そもそも潜入を得意とする天草式は、同種の行動をされても的確に察知する。

今彼らが感じているのは、より得体のしれない破滅の気配だ。


「教皇代理、これは!?」


諫早が思わず刀を抜いた。

と同時、それは飛来してきた“あるモノ”によってあっさりと切り落とされる。


ヴィィィィィィ!!と刃を回転させる、直径70センチほどの金属製円盤。

その名を、『エッジ・ビー』と言う偵察及び殺戮用の無人兵器だ。


「マズイな、どうやって我らの居場所を把握したってのよ!?」


30個の殺人ディスクが建宮と諫早に襲い掛かる。

それを遠くで操る人物が、退屈そうにこう漏らした。


『ようこそ、こちら側の世界へ。私とて「新入生」の身ではあるが、せいぜい歓迎しよう』


血と闇の溢れる世界には、当然『先達』がいる。

木原の策によって引っ張り出された悪意が、天草式に容赦なく襲いかかった。
30 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:28:58.98 ID:qxoCbwh40

8月20日時刻不明、『猟犬部隊』32番待機所


暗闇の中、五和は意識を取り戻した。


(ここは……私、一体……?)


自分の身に何が起きたのか、思い出すのにかかったのは数瞬。


(そうだ、あの人と戦ってて)


敵の施設へ入り込み、駆動鎧を着た女性と戦った事は覚えている。


(確かに七教七刃を当てたのに……突然意識を失ったんだ)


つまりは、敵に捕らわれたのだ。

そう判断した五和が、逃げようとして固まった。


(目が見えないし体も動けない……拘束されてる?)


外部からの拘束にしてはどうも“妙”な感じがする、と五和は思う。

ベッドに寝かされているらしいのは分かるが、まるで自分の位置がつかめないのだ。

視界に至ってはそれ以上に違和感がある。

目隠しをされているはずなのに、“まぶた”の重みを感じない。
31 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:29:48.47 ID:qxoCbwh40

「あら、ひょっとして起きたのかしら?」

「!」


もぞもぞと動く五和に気づいて、隣にいたテレスティーナが楽しそうに笑った。


「……!」


自分を放せ、と訴えようとする五和。

そこで彼女は、初めて自分の声が出ないことに気が付いた。


「ああ、喚かれると嫌だから声帯は取っちゃったの」

「!?」


ギョッとする五和を無視して、テレスティーナはさらに衝撃的な事実を告げる。


「麻酔が効いてるから分からないのね。性能がいいのも考え物だわ」


その言葉は、心のない機械よりもなお冷たく感じられた。



「すでにあなたからは、眼球と四肢も切り取ってあるんだけど」


32 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:31:10.26 ID:qxoCbwh40

もしも五和に声があったなら、あらんかぎりの絶叫をしたに違いない。


「だってモルモットに、逃げるための機能は必要ないでしょう?」


そう言い放つと、テレスティーナは『学習装置』のスイッチを入れる。


「……、……!」

「だからぁ、声は出ねーっつてんだろーがよ!」


尚も叫ぶ五和にいらだったテレスティーナが、彼女の無防備な腹にひじ打ちを食らわした。


「!?」


あまりの痛みに痙攣する五和を見て、テレスティーナが嬉しそうに笑う。


「心配しなくても、あなたの言いたいことは脳波を読み取ってモニタリングしているわ」

「じゃないと、さすがに面白くないものね?」


精神の限界を超えたのか、それを聞いた五和が今度こそ完全に沈黙した。


「じゃ、実験開始よ。256の段階を用意してあるんだけど、せっかくだから最高記録の8は超えて頂戴」
33 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/19(土) 02:34:43.83 ID:qxoCbwh40


今日はここで終わりです

新約のおかげで一気に科学サイドの話が膨らみますね

とりあえず新兵器は今後も出していく予定です

次回は遠征組……ではなくベーシックのターンです

とは言うものの、私の方が本調子ではないので投下速度は遅めになると思われます

なるべく早く回復するようには致します

では、おやすみなさい
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/19(土) 02:40:58.24 ID:HiltNxJfo
五和ェ……
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 02:45:24.68 ID:eGryNekDO
乙!新約ネタktkr……ってぬぎゃあー五和ァア!?流石木原一族鬼畜なり。

そして急ぐ必要は無いんだぜ。福島帰りなのだしゆっくり休むべき。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/03/19(土) 02:58:07.57 ID:1hMUFr8no
お疲れ
ゆっくりお休み、いつまでも待ってるぜ

本編やアニメの木原くンはお星様になっちゃったが、ここの木原くンは絶好調だぜ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/03/19(土) 10:25:09.79 ID:5O8UpNO4o
麻酔効いてるのにひじ打ちは痛いのか
局部麻酔?
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/19(土) 10:25:46.38 ID:sTHw7ubF0
>>1お帰りなさい
最後の光景ってそういう意味か
救えねーな
そして幻生どこ行った
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 11:18:27.47 ID:OKTbsi3Lo
>>37
衝撃は来るってこったろ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 13:08:38.73 ID:eL36TjVao
>また、今回の話では痛い描写、鬱な描写がございます
>そういったものが苦手な方は引き返すことをお勧めします
このSS読んでる人が今更それを気にすることはないと思うww
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 19:21:43.63 ID:ciPEG2vSO
1乙!
いやー、シェリーといい五和といい、(繋がりは無いけど)前作で準主役級の活躍をしたキャラが
こうもボロ雑巾のようにされると、なんか一種のカタルシスすら感じるな。

次回ベーシックのターンと聞いて、全裸で正座して待ってるわ。被災地だけど。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/19(土) 22:45:52.73 ID:/y/BkOuMo
エッジ・ビーを某ガンダムに出てきたバグかと思ったのは俺だけじゃないはず
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/19(土) 23:03:01.56 ID:J9n9H3/wo
新入生の迎撃があったってことは暗部全体が天草を狙ってるのかな?
新入生の人たちも学園生活に馴染めてるようでなによりです
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/03/20(日) 02:17:39.93 ID:SDzdIU0AO
新約は面白かった
特にファイブオーバーには心惹かれた
んだけどこっちに出る?
あとTPOの人は出たけど
黒夜は高校生以下だから出ないのかな
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/03/20(日) 10:42:46.55 ID:2SOPI0Lg0
新約でずいぶんと科学側が強くなったな
木原くンがヒャッハーしそうだ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/21(月) 22:10:37.03 ID:e9l7kQLT0
今更なんだが、シェリーって駆動鎧に直接オイルパステルで文字書けばよかったんじゃね?
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 12:12:55.43 ID:sglXFEcE0
うわあ、ダルマとはなかなかエグイ話を……

>>46
あの戦闘時にそんな隙があったかな?
48 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:19:28.70 ID:TqL+JquH0

こんばんはー、レスありがとうございます

>>44
ファイブオーバーはそのうち登場する予定です
黒夜は残念ながら出ません

では、投下


8月20日午前9時50分、第7学区のとある病院


かつて木原が、『竜王の殺息』で傷ついた右手を治療するために訪れた診察室。

その完璧に隠蔽された部屋に、『管理個体』と寮監はいた。

『冥土帰し』による健診のためである。

本来なら今日はその日ではなかったものの、“20分ほど前”に突然木原から連絡が入ったのだ。

常盤台の寮にいた2人は、どのような理由で予定を早めたのか詳しい理由を知らされていない。


「詳しい検査はこれからだけど、少なくともこれまでの診察でこれといった異常はなさそうだね」


木原による急な診察の指示に、てっきり何か問題でも生じたのかと警戒した『冥土帰し』だが、それも違うと分かった。


「突然お時間を取らせてしまって、申し訳ありません先生」

「なに、君が気にすることじゃないよ。あの彼が絡んでいる事案にしては、ずいぶんと大人しいぐらいだ」


頭を下げる寮監に、『冥土帰し』は本心からそう答えた。
49 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:20:36.75 ID:TqL+JquH0

――「これから一両日中に、重症の患者を連れてくる」

――「だからベッドを空けて、準備万端整えておかねーとヤバイかもなぁ」


今から3週間ほど前、木原はこんな予告をしている。

だが医者にとっては幸いなことに、それは現実にならなかった。

その代わりに持ち込まれた患者が『管理個体』。

聖人であり、かつ『聖痕』を常時開放するための特別な処置を受けている彼女は定期的なメディカルチェックが欠かせない。

彼女の身に何か起きれば、クローン部隊の統制も難しくなるのだから。

だが今のところ、彼女はいたって健康だった。


「じゃあ、詳しい検査を始めるね?」

「はい、ヘぶんきゃんせらー。よろしくお願いします」


生真面目に頭を下げた『管理個体』は、医者の浮かべた微かな悲しみの表情に気づかない。


「では、私は待合室で待たせていただきます」

「分かった。……けど、後で君も僕の診察を受けるんだ。肩をかばっているね?」


医者の言葉に、寮監が苦笑いをしつつ白旗を上げる。


「お見通しでしたか。ですが大したことでは……」

「それは医者である僕が決める事だよ。君も僕の患者の1人なんだからね?」

「分かりました。あの子共々お世話になります」


寮監はそう言って、この部屋を後にした。
50 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:21:39.56 ID:TqL+JquH0

同時刻、『猟犬部隊』専用車


真っ黒にコーティングされた大型車の中で、木原は状況にそぐわずのんびりと休憩している。

この車はいざというときの移動基地にもなるのだが、部下に対し必要な指示はすでに終えてあった。


(やれやれ、コイツもただ働きごくろーなことだぜ)


その木原の隣では、先ほどまで死に物狂いで取引していた『人材派遣』がコーラを飲んでいる。

さすがに名の知れた『人材派遣』だけあって、彼は状況にピッタリの人員を暗部の中から用意する事に成功した。

興味のない木原は、雇った相手の名前すら記憶していないが。

何でも、状況に応じて『駆動鎧』を取り換える男らしい。

とはいえ、今回彼が雇われたのはそれが理由ではない。

彼の持つ別の装備が役立つからだ。


(この第7学区で、衛星の目が届かないポイントは限られてくる)

(後はそこを町の映像監視網と無人偵察機で分析すれば)

(人間の目は誤魔化せても、機械的に発見頻度の高い侵入者(エラー)をピックアップ出来るって事だ)


その高性能の無人偵察機を持っている人間を、『人材派遣』は紹介した。
51 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:22:37.13 ID:TqL+JquH0

少し話を戻す。

侵入者の目的が木原である以上、遅かれ早かれ彼らはこの第7学区にやってくる。

要はどちらが先に見つけられるかの勝負なのだ。

その点からいえば、天草式は“侵入したという事実”を知られた時点で半分負けていた。

尤も、この科学の支配する『学園都市』内部で勝負を挑もうとしたのだから仕方がない。


(まあ、コイツの売り文句が事実なら、侵入者を刈り尽くすまでに30分と掛からねーらしいし)

(このまま終わっちまうのかね? せめて連中が持ってる“アレ”ぐらいは奪取しておきたいんだがなぁ)


10分ほど前に、侵入者を見つけたという報告が男から木原にもたらされた。

おそらく今は交戦中のはずだ。

万が一雇った男が敗北した場合、今度は代わりにクローン部隊を動かせば事足りる。

ステイルとヴェーラも戦闘を続けているが、間もなく片が付くだろう。


(あるいは)

(何か逆転を可能にする、トッテオキでも見せてくれるのか)
52 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:23:29.84 ID:TqL+JquH0

そこまで考えて、木原は頭を切り替えた。

予想に予想を重ねたところで正答が出るはずもない。

新しい事実が出てくるまでは、別の問題を考えていたほうが有意義だ。

そう。

木原には、もう1つ別の問題が生じていた。

すでに“対策を講じた”とはいえ、厄介さでいえばこちらの方が面倒なことになる。


(この状況で、“連中”が動き出した理由はなんだ?)

(『樹形図の設計者』か、『聖人のクローン』か、あるいは『バチカンでの対談』か)

(候補が絞りきれねぇな。ひょっとするとその全部って事も有り得る)


それからさらに5分ほど黙考した木原は。


「うし、もう1つ仕事を頼まれてくれねーかな、働きアリ君?」

「え」


『人材派遣』に、さらに取引を持ちかけた。
53 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:24:20.16 ID:TqL+JquH0

8月20日午前10時00分、第7学区のとある病院


MRI(核磁気共鳴画像)の操作室。

『管理個体』の検査のため、『冥土帰し』はこの部屋で機材を動かしている。

奥のMRI室で検査を受けている彼女には、やはり異常は見受けられない。


(……これはどういう事だろうね)

(あの彼に限って、気まぐれで検診日をずらすとも思えない)

(もしかすると、目的はあの子じゃないのか……?)


カシュン、と扉が許可なく開いたのはその時だ。


「ここは関係者以外立ち入り禁止なんだけどね?」

「『冥土帰し』だな。同行を願おう」

「……ここは病院だよ。物騒なものはしまうんだ」


現れたのは、漆黒の装甲服で身を固めた男5人。

その全員が銃を持ち、あまつさえ医者に銃口を向けている。
54 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:25:20.58 ID:TqL+JquH0

「言う事を聞いてもらえないのは残念だ」


緊迫した状況下にあって、医者の態度は冷静だった。

むやみに騒いだり逃げたりせず、相手に静かに向き合っている。


「一緒に行く行かない以前に、君達はどこの誰だい?」

「来れば分かる。我々は交渉をしに来たわけではない。これは命令だ」

「断ると言ったら?」

「この病院にいる患者の安全を保障しない」


患者を人質にされて、初めて医者の顔に嫌悪の色が浮かび上がった。


「馬鹿な真似をする。それでこの僕が動くはずがないだろう」

「いいや、貴方は従わざるを得ない。患者思いだからな」


典型的な悪役の手口。

この手の趣味の悪さに、医者は心当たりがあった。




「なるほど。僕を呼んでいるのは“統括理事会”の人間だね?」


55 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:26:15.88 ID:TqL+JquH0

正体を見破られても、男たちには動揺の色はない。

だが、それこそ自らの正体を明らかにしたも同然である。

統括理事会の指示を受けた兵隊が、さらに1歩近づいた。


「さあ来るんだ!」

「生憎だが、君達では役者が足りていない」

「おい、いい加減に……!」


今こそ医者は理解した。

何故、木原が『管理個体』の健診を突然早めたのか。

その目的は、彼女のためではない。

つまり――。


「分からないのか、すでに木原数多はこの事を予測していたと言っているんだ」

「戯言を」

「装甲服ではなく、せめて駆動鎧を着てくるべきだったね?」


ゴ、ガッシャァァァァァァン!!という爆音と同時。

奥のMRI室から、窓を突き破って寝台が投げ込まれた。
56 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:27:29.09 ID:TqL+JquH0

訳の分からないまま、寝台の直撃を受けた2人が吹っ飛ぶ。

残った3人が警戒して奥へ銃を向けるが、その時にはすでに遅かった。


「むう、悪い人ですね。へぶんきゃんせらーはべーしっくの友達です!」


文字通り疾風の速さで奥から出てきた『管理個体』が、一瞬で男達の背後に回る。

そのまま1人の男の右脚にしがみつき。

そして相手が振り返るより先に、聖人の膂力で膝の関節を逆側にメキャリと折り曲げてみせた。


「――ッ!? ア、オ、ガァァァァァァァァ!!」


男が断末魔の叫びをあげる中、『管理個体』は別の男の腕を蹴り上げる。

ボグン!

冗談みたいな音をして跳ね上がった腕が、そのまま男ごと後ろの壁へと激突した。


「ギャアア、い、痛ェェェェェェ。誰かぁ! 死ぬ、殺される!」


ダラリと垂れ下がったそれは、明らかに全ての骨が粉砕しているのが見て取れる。
57 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:28:48.89 ID:TqL+JquH0

「なんだよこれ!?」


最後の1人が、我を忘れて『管理個体』へ発砲した。

だが、破れかぶれの銃弾は掠りもしない。

完全に弾道を目で見て避けると、彼女はそのまま男の顔面へ拳を叩き込んだ。


「ゥ……」


形容しがたい音が漏れて。

相手が完璧に沈黙すると、ようやく『管理個体』はその手をズリュ……と引き出した。

男の顔面、というより頭蓋骨が、6,7センチほど陥没している。


「……重症患者が5名。ここで治療をするが構わないね?」


足を砕かれた痛みに喚く男が、汗を垂らしながら必死で首を縦に振った。


「ご無事ですか、先生!?」


寮監が駆け込んできたのは、その時だ。
58 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:29:55.32 ID:TqL+JquH0

目の前に広がる惨状に、寮監は表情一つ変えなかった。

ただ、わずかに眼光を鋭くしただけである。


「病院内に侵入してきた連中は、全員“折り畳んで”おきましたが……」

「やはり外にもいたんだね? 患者を守ってくれてありがとう」

「当然の事です。それより、数多についてですが」


寮監の言葉を聞いた医者が、分かってる、と言葉を遮った。


「健診を今日にしたのは、君らが病院を守ると思ったからだろうね?」

「では、やはり」

「まずは彼に連絡を取ろう。何が起きているのか確認するべきだ」


そう話す2人の陰では、『管理個体』が赤く染まった自分の手を無表情で見つめている。

この瞬間。

彼女のスイッチが入ったことに気づいたものは、“この場には”誰もいなかった。
59 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/23(水) 02:30:31.69 ID:TqL+JquH0

今日はこの辺りで幕引きとなります

気分的に、楽しい話が書けない……

ゆっくり更新ですが、頑張ります

次は遠征組のターンとなります

では、おやすみなさい
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/23(水) 02:39:21.20 ID:WYuqIqLeo
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 02:54:55.12 ID:5jdtOwKz0
乙です
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 03:05:05.48 ID:JHwvb6Kjo
乙でしたー
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/03/23(水) 06:00:40.36 ID:yfZM4r7Vo
ドSスイッチ?
ロリでドSとか大好きよ
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/23(水) 08:18:52.99 ID:cr3TFJQc0
なんという俺得
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 09:25:31.42 ID:Xb4byLzIO
木原クンはこの場面を想定していたのか…
なんつーかこの木原クンは原作でも死ななそうだw
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 12:13:21.74 ID:IJEgNYBx0
ちくしょう、期待しちゃダメだって分かってたはずなのに…
それでもベーシックのハートフルな一面が見れると夢を見てしまった
マジで容赦ねーな
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/03/23(水) 12:33:42.02 ID:OaTrBktg0
とうとう統括理事会が動いたか
幻生と関係あるのかな?
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 12:50:10.90 ID:xWwxRkt1o
冥土返しかっこよすぎ濡れた
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/23(水) 13:19:11.72 ID:kchODLQZ0
教えろくださいスレでおすすめしてもらって、前スレから一気読みしてきた

なんていうか脱帽
おつおつ、次回も楽しみに待ってます
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/23(水) 13:23:40.63 ID:okrzPE2po
あまつさえ>>1に乙を向けている

「作者に前作があるのなら教えろ
 断るというのならこのスレにいる読者の安全は保障しない」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/03/23(水) 13:49:17.29 ID:bGpbhE2to
とある暗部の心理掌握
とあるミサカと天草式十字凄教

タイトルはちょっと違うかもしれない
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/23(水) 15:00:26.54 ID:tXBr8n7AO

乙ぅぅ!
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 13:00:29.84 ID:shWJJawN0
なぜに冥土帰しを狙ったんだ?
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/03/24(木) 18:59:44.83 ID:NLOF6x010
俺のベーシックがヤバいコトになってる件
いや、レイプ目ベーシックも可愛いだろうけど
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/24(木) 19:13:46.03 ID:JM9WaUE90
sageろよ変態
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/24(木) 20:11:00.73 ID:zedHLocAO
下げろよスケベェ///
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/24(木) 22:58:19.57 ID:Ea2WRvJN0
使用済み五和の処理はお任せ下さい
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/25(金) 00:45:00.34 ID:SbrHCbyco
五和さんだるまかわいい
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/25(金) 03:22:40.79 ID:D8wEC+4+o
ふぅ・・・

お前ら不謹慎だぞ?
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/03/25(金) 14:03:32.65 ID:DlgIwpMe0
>>79

お前も十分不謹慎だろうがw



ふぅ・・・
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/03/26(土) 00:37:47.15 ID:+Nj/NP7AO
>>80
お前も人の事言えないだろwwww





ふぅ・・・
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 00:50:38.12 ID:QjqOqvWAo
テレスティーナの機動鎧かわいい


ふぅ・・・
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/03/26(土) 14:25:59.85 ID:OfKemjVAO
おまふぅ・・・
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/26(土) 15:59:21.11 ID:Iq1Zkgwao
なにこのスレ……イカ臭い……
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 19:13:02.32 ID:ziTMWiqZo
>>84
さあ、こっちにくるんだ
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/26(土) 20:39:41.86 ID:Iq1Zkgwao
>>85
うわなにをするやめくぁwwせdrftgyふじこlp














ふぅ…
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/26(土) 21:22:01.62 ID:ziTMWiqZo
うわぁ…
88 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:22:40.15 ID:ZzKmd7ml0

こんばんはー、レスありがとうございます……?

>>74以降の人はファブリーズをどうぞ

臭いの取れない方は猟犬部隊の消臭剤をお貸しします

では、投下


8月20日午後5時50分、アビニョン『教皇庁宮殿』



『対魔術師用キャパシティダウン』の効果で、アックアが強大な力を失う。

勝負がついたと判断したマイクが、彼に背を向けて『C文書』へ手を伸ばした。


(後はこのまま、撤退すれば……)


だが、マイク達は重要なことを知らない。

後方のアックアは優れた魔術師だ。

だがそれ以前に――彼は激戦を潜り抜けた傭兵でもある。

他の魔術師とは経験が違う。

彼はアックアの名を持つ前から、血にまみれた兵隊なのだ。

片膝をついていた彼の目に、光がともる。


――ドン!!
89 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:24:22.82 ID:ZzKmd7ml0

窮地に陥ったアックアがしたことは、ひどく単純明快。

原因の排除だ。

魔術を使わず、単純に肉体の力だけでメイスを床に振り下ろした。

土木作業的な爆音が、宮殿一帯を振るわせる。

超近距離で響いた巨大な音に、アックアが歯を食いしばる。

ただしその顔は、今までのように苦しげなものではない。

彼の狙いに気づいたマイクが、戦慄してつばを飲み込んだ。


(しまっ……!)


アイディアとしては子供の悪戯レベル。

耳元で叫ばれた直後は、他の音が全く聞こえなくなるという経験は誰にでもある。

つまり。


(この瞬間、ヤツは音の影響を受けていねえって事か!)


理解した時にはもう遅い。

魔術的な束縛から解放されたアックアが、外の『対魔術師用キャパシティダウン』を水の魔術で粉砕した。
90 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:26:28.46 ID:ZzKmd7ml0

テレスティーナが作り上げたこの兵器は、音を使った武器だが一般的な音響兵器ではない。

指向性の音波を投射する点に限れば同一と言えなくもないが、両者には決定的な違いがある。

すなわち単純に大音量で聴覚破壊をもたらす事と、一旦音を聞いて脳が意味を理解しなければならない事の差だ。

単純に音を聞かなければ、それだけで効果を無くしてしまうという欠点がこの兵器には存在していた。


「なるほど」


再び力を取り戻したアックアが、纏わりついていたクローンを弾き飛ばして立ち上がる。


「確かに貴様らの用意したあの音は恐ろしい」

「だが、所詮はただの鉄クズの塊。破壊してしまえばそれで終わりである」


逆転したはずの形勢が、本来の力関係に戻った。

しかし、アックアにはそれを誇る様子は見られない。

むしろ当然の展開として受け入れている。


「ここまでか」


そしてこれから始まるのは一方的な破壊。


「貴様らは、自ら進んで戦場へやってきた」

「当然、兵士としての覚悟は出来ていて当然である」

「……クソッ」


マイクの舌打ちは、直後に襲ってきた衝撃で掻き消えた。
91 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:27:37.11 ID:ZzKmd7ml0

8月20日午後6時15分、アビニョン『教皇庁宮殿』近くの庭園


同僚であるテッラの亡骸を見つけたアックアが、感嘆の声を上げる。


「驚いたのである。テッラを破るとはな」

「な……」


エツァリの口から、絶望がこぼれ出た。

たった今、死力を尽くしてテッラを葬ったばかりなのだ。

だというのに、このメイスを持っている男からはそのテッラをも上回るチカラが感じられる。


「後方のアックア。そこの左方のテッラと同じく、神の右席の一員だ」

「突入部隊は……?」


小さな声の問いかけに、アックアは無言で返答した。

懐から『C文書』を取り出して、また仕舞う。

もう、エツァリには言葉もない。


(奪取に失敗しましたか。これでもう作戦は失敗ですね)

(右腕を無くした自分が、あの化け物に勝てる可能性はゼロです)

(それに……万が一倒したとしても、『原典』に飲み込まれて死ぬでしょう)


起き上がることすら不可能なエツァリ。

だが、そんな彼とアックアの間にショチトルが立ちはだかった。
92 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:28:27.67 ID:ZzKmd7ml0

落ちていた『マクアフティル』を拾い、両手で握りしめる。

震える体を叱咤して、ショチトルは切っ先をアックアへ向けた。


「させない」

「勝てると思うのであるか?」


ショチトルとて魔術師だ。

自分に勝ち目がないことぐらい嫌というほど認識している。

だが、逃げるわけにはいかないのだ。


「絶対に、させはしない」

「ふむ……」

「こんな私を、すでに死んでいるはずだった私を」

「命がけで何度も守ってくれたエツァリお兄ちゃんに……手を出すことは許さない」


後ろには、今まで自分のために傷ついた大切な人がいるのだから。


「ショチトル! 何をしているんですか!?」

「大丈夫、エツァリお兄ちゃん。今度は私が守る番」


そう話しながら、彼女はわずかに振り返る。

覚悟を決めた人間特有の、儚い笑顔がそこにあった。
93 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:29:16.69 ID:ZzKmd7ml0

8月20日午前10時00分、第3学区のとある高級ホテル


第7学区のとある病院が、統括理事会の指示で襲撃されている頃。

その首謀者が、これからの計画をいかに完遂するか思案していた。

公式にはここはホテルとなっているが、実はこの建物を利用するのは彼しかいない。

ホテルに見せかけた要塞。

統括理事会の1人でもある彼の王国だ。


(木原一族の異端児も、これで終わりじゃな)

(少しばかり甘い顔をしたぐらいで図に乗りおって)

(幻生も、異端児も、MARの女も)

(これで速やかに排除されるだろうよ)


彼の狙いは、木原一族の衰退。

究極的にはその根絶こそが目的だった。

何故なら、彼は――。
94 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:30:00.88 ID:ZzKmd7ml0

流れてくる各種情報に目を通している彼に、背後から声が掛けられた。


「……面倒はキライ……そう言ったハズ……」

「な!?」


彼の王国には、誰も入れない。

人を信じていない彼は、この要塞の全てを機械に任せている。

建物が建築されて以来、彼以外の人間は1人とて足を踏み入れていないのだ。

その完璧な防御が今覆された。


「どうやってここに!?」

「……貴方に質問する権利はない……」


冷たく言い放ったのは、同じ統括理事会のメンバー。

彼が70近くの老人であるのに対し、彼女の方は10代前半の女の子に見える。

どこまでも対照的な2人は、敵意を剥き出しにして睨み合った。
95 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:30:55.14 ID:ZzKmd7ml0

だが、すでにこの場を支配しているのがどちらかは確定している。

それほどの圧倒的な差が両者には存在していた。


「……どうして勝手なことを。合議の成立していない戦力投入は許されない……」

「貴様らは、何も分かっておらん!」


恐怖を振り払うかのように、彼が絶叫する。


「あの異端児は、学園都市の事なぞ考慮しておらんのだ!」

「……学園都市……」

「このまま放っておけば、いずれ取り返しのつかんことになると言っておる!」

「……その前に手を打ったと言いたいの?……」

「そうじゃ、すべてはこの――」

「嘘」


今までと違う、はっきりとした口調。

彼女の断罪を受けて、彼は黙らざるを得ない。


「貴方の望みが、木原一族の消滅であることぐらい分かっているの」
96 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:31:39.84 ID:ZzKmd7ml0

殊更に冷え冷えとした言葉を聞いて、彼の顔色が絶望に染まる。

瞬時に警備ロボを出動させようと信号を送るが、応答はない。

尤も、仮に来たところで彼女の相手にはならないのだが。


「ま、待て!」

「古いのだ! 木原一族のやり方は長くはもたん!」

「……いずれにしても、貴方の策は見破られている……」

「馬鹿な!?」

「……貴方が送り込んだ兵士は、多分返り討ちにあうわ……」


彼の体から、衝撃のあまり力が抜けていく。


「……これはペナルティ……」


後ずさる彼に、初めて彼女が笑いかけた。

人を信じない彼は、誰にも助けてもらえない。

彼女は、そんな哀れな彼に罰を与えるためやってきたのだ。



「……大丈夫。貴方が死んでも代わりはいるもの……」


97 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:32:34.95 ID:ZzKmd7ml0

息絶えた老人の骸を蹴飛ばして、彼女がシステムを操作する。

そこに表示されるのは、最先端の科学を誇る学園都市の中でもさらに一段進んだ技術。

統括理事会の一員である彼は、元々優れた科学者だった。

古くから学園都市の科学技術は木原一族が牽引してきたが、時代は変わる。

今度は自分が中心となるのだと彼は心の底から信じていた。


(……だから彼は、『猟犬部隊』の装甲服を着せた兵士を使って『冥土帰し』を誘拐しようとした……)

(……『冥土帰し』の技術を手中に収めつつ、その責を木原一族へ押し付けるつもり……)

(……この非常時に、どうしてこうも愚かなことを考えるの……)


ただし、彼の誇る技術は紛れもなく本物だ。


(……これまでよりもはるかに強力な兵器群……)

(……『ファイブオーバー』のプロトタイプが、すでにロールアウト目前……)


必要な情報を入手した彼女は、速やかにホテルを後にした。



「……統括理事会の意思は、1つに纏められているべき……」

「……面倒はキライ……」
98 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/27(日) 02:33:12.44 ID:ZzKmd7ml0

今日はここで終了です

ちなみに、このSSはほとんどその場の思い付きで書いているので伏線とかはあまりありません

話をどうまとめるかも全く決まっていない状況です

次回は天草式編の予定です

では、おやすみなさい
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 02:34:53.78 ID:BH/niM0so
おつ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/27(日) 02:36:25.70 ID:FoONxAdv0
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 02:54:38.02 ID:qGAmQTBVo
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/27(日) 16:16:11.75 ID:am7DWemH0
あ・・・綾波さん?
誰?
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 18:44:49.17 ID:qPwiDUsJ0
おつ

面倒はキライってフレーズどっかで見たことある気がするんだけど思い出せない
もし元ネタあったら教えて欲しいかも
思い過ごしだったらごめんよ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/27(日) 20:08:38.36 ID:kDMkCM0no
AC スティンガー
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 23:14:28.20 ID:vfgDW5dxo
>>103
だよね 原作の扉絵さらってみたけど見当たらなかった
ぐぐったら>>104の結果だった 禁書関連で見た覚えがあるんだけどなー
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/28(月) 07:32:16.84 ID:+eftpv1i0
ショチトルが……俺の嫁が……
誰か来いよ、起きろよラッキー……!
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/28(月) 08:33:48.67 ID:Vk0ISvKRo
原典だったらくれてやる…!
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 12:23:41.65 ID:oebBvm1IO
ここまで来てエンディングが決まっていない……だと…
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/28(月) 14:22:09.71 ID:wYEfr3GM0
>>108
どうやら学園都市の情報操作に引っかかったらしいな
どう考えても伏線張りまくりじゃないか
間違いなく>>1は嘘をt
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/03/28(月) 14:50:39.58 ID:dkMsmSu5o
You have witnessed too much...
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/29(火) 00:03:04.71 ID:47Vs7dKG0
ショチトルには生きててほしいがアックアさんにも死んでほしくない……一体どうすればいいんだ……
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 00:46:30.78 ID:ZwDt8CtC0
アックアさんを傭兵として・・・・
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/03/29(火) 01:00:17.30 ID:1CWAnveGo
そう言えばアックアさんのDNAサンプルをゲット出来れば、ねーちんクローンと同じ要領で二重聖人部隊が作れるのか……
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 01:15:03.78 ID:6stZt4Sto
皆クローンになればいいんスよ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/03/29(火) 08:53:14.75 ID:vTm5iIiAO
>>103>>105
亀だが、それはビアージオのセリフだな
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 12:07:06.41 ID:qdsDcM950
>>115
なん……だと……
まさか統括理事会の正体は!?
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/03/29(火) 15:40:22.38 ID:47Vs7dKG0
>>116
性転換した若本か……胸熱
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/29(火) 18:00:01.81 ID:xnsMXNuIO
prrrrrrr
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/30(水) 13:56:58.30 ID:V2TdIYCe0
統括理事会が死んでも代わりはいるもの
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/30(水) 15:04:59.06 ID:1+NWyEBko
☆さんに作中で言われちゃったしなww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/03/30(水) 18:35:17.04 ID:8/o5H3LPo

122 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:10:45.10 ID:q7kVDXlo0

こんばんはー、レスありがとうございます

統括理事会についてはいずれまた言及することになります

>>109
伏線というか後づk

では、投下



8月20日午前9時50分、第7学区のとある路地裏


ルーン文字が焼き付いているここは、とある魔術師が用意した狩場だ。


「はあ、はあ、はあ……くそ、どうなってるんだ!?」


その狩場――否、処刑場から逃げる者がいた。

野母崎と呼ばれる、天草式の1人。

連絡の取れなくなった仲間の元へ駆けつけた彼は、そこで学園都市に有ってはならないものを目撃する。

すなわち魔術。

『魔女狩りの王』と呼ばれる、業火の巨人を。


「あ、あ、あぁぁぁぁ」


すでに対馬達は無残に焼き焦げた後で、怒りのままに突入した浦上達も同じ末路をたどった。
123 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:11:44.94 ID:q7kVDXlo0

「あんなの……単身で勝てる相手じゃない」


紅蓮の手が迫る寸前、彼は身を翻して路地裏を脱出する。


「あの化け物に対抗するには、みんなの協力が必要だ」

「この事を早く教皇代理に知らせなくては」


通信術式を使用するため、一旦戦闘区域から離脱を図る野母崎。

彼の警戒心の全ては、背後の炎に向けられている。

だからこそ。

飛び出した自分を待ち構えていた、真っ黒な装甲服を着ていた女性に気づくのが、僅かに遅れた。


「ちゃお」

「!?」


ショットガンから放たれた散弾が、野母崎の胸部を一瞬で粉みじんにする。

醜く崩れた自分の体を知ることもなく、彼の意識はそのままブラックアウトした。
124 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:12:44.38 ID:q7kVDXlo0

人の形を留めていない犠牲者の姿を見ても、ヴェーラは心が痛んだりしない。

彼女にとって、木原数多以外の人間は生きようが死のうが大して違いがないからだ。


「お疲れ様、ステイル。今からあなたの補佐をするからよろしくね」

「……ああ」


ただし、矛盾するようだが彼女は仲間思いでもある。

自分と同じく“木原に仕える”数少ない仲間は、例外として仲良くしたいと思っていた。

協調を求め、互いに信頼を築きたいとさえ願っている。


「周囲に反応。すぐに接敵するわ」

「……君は……」

「え?」


一見すると善人にしか見えないヴェーラの、根底に存在する歪み。

それに気づいたステイルが何か言おうとして、結局諦めた。


――「蔑むべき『猟犬部隊』へようこそ。心から歓迎するぜ」


『必要悪の教会』とは、違った意味での汚れ役。

リーダーである木原自身が言った通り、ここにいるのは蔑むべきクズばかり。

そして皮肉なことに、ステイルも今はその一員なのだ。


「なんでもない。……いくぞ『魔女狩りの王』」
125 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:13:59.49 ID:q7kVDXlo0

同時刻、第7学区の地下街


『エッジ・ビー』に発見されておよそ10分。

建宮は、付近にいた仲間20名と共に戦っていた。

優勢なのは天草式だ。

すでに『エッジ・ビー』の半数は無力化してある。


「お得意の科学ってモンに頼り切りじゃあ、これが限度なのよな!」


そう語る建宮を、『エッジ・ビー』が高速で追いかける――が。

突然、それは空中で動きを止めた。

その場をしっかりと観察すれば、『エッジ・ビー』のプロペラにあるものが巻き付いているのが確認できる。

鋼糸。

天草式が得意とする鋼糸は、空中の至る所で円盤を縛り上げていたのだ。

何しろ相手は機械的に追尾してくるだけ。

予め張ってある鋼糸の所へ誘導することは難しくない。


(いつまでも隠れたま、勝てると思うなよ木原数多!)


その時だった。
126 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:15:00.82 ID:q7kVDXlo0











『おいおい。ずいぶんと余裕だなぁ、侵入者?』













127 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:16:38.86 ID:q7kVDXlo0

本能的に不快感を覚えるような声。

これ以上なく侮蔑に満ちた嘲笑が、どこからか聞こえてきた。

言うまでもなく、声の主は木原数多本人だ。


「ふん、やはり気づかれていたか。ようやくご本人の登場って事よな」


即座に正体を看破した建宮が、辺りを警戒する。

それは周りで戦っている仲間も同様で、自分達の女教皇を殺めた人物への殺意を漲らせていた。


『テメェらさぁ、もしかしてこの俺が痺れを切らして自ら出向いたとか思ってんのか?』


しかし、相手の木原の声からは戦闘時の高揚が伝わってこない。

むしろ退屈な映画を見てるかのような、怠惰な感じさえ受ける。


『俺を引きずり出してぇんなら、もうちょっと有能になる事だ』


ため息交じりの木原の言葉を、天草式が訝しむ。


「まさか……!」


木原の狙いに気づき、かつ反応出来たのは建宮を含む10名ほど。
128 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:18:37.03 ID:q7kVDXlo0

鋼糸に捕まっていた『エッジ・ビー』が、一斉にピッと電子音を鳴らす。


「自爆だ!」


そして地下街に、爆風と轟音が炸裂した。

気づくのが遅れた天草式のメンバーが、抵抗も許されずに吹っ飛ぶ。

とっさに術式を構築して踏みとどまった者には、何百もの釣り針が襲い掛かった。

伏せたりして身を守った人間もいるが、彼らとて安心する余裕はない。

爆発によって鋼糸は千切られた。

つまりもう同じ作戦は使えない。

体勢を整える間もなく、残った半数の『エッジ・ビー』が彼らに攻撃を開始する。


『ほぉーら、そろそろウォーミングアップは終了だろ。もっとやる気出してくれよ』

『ま、こっちとしちゃあこれでほぼチェックメイトなんだけどな』
129 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:20:30.13 ID:q7kVDXlo0

学園都市に侵入したのは、50名で構成された天草式の魔術師。

うち12名は、ステイルとヴェーラによって対処済み。

しかも、『エッジ・ビー』が地下街に隠れていた20名を発見、半分は戦闘不能にした。

すでに天草式は散り散りとなったも同然。


(わざと『エッジ・ビー』を捕獲させて油断を誘う)

(数がある程度まとまった時に自爆させれば、間抜けはその餌食になる)

(あの聖人サマと戦った時から、テメェらが鋼糸を使うことぐらい分かってんだからよ)


ただし、木原は地下街にいる天草式の全滅を望んではいない。

最初からその気なら、敢えて直前に会話などせずに無警告で爆破する。

木原の目的は、彼らを疲弊させ生け捕りにする事。

ステイルはその術式上生け捕りは難しい。

が、こちらの戦闘はある程度のダメージコントロールが出来る。

そして捕まえてしまえば、それは他にいる居場所の分からないメンバーへの人質となるのだ。

天草式の固い絆を利用した、卑怯な作戦である。


(もしも人質が通用しなかった場合、そのまま研究に流用すればいいしな)

(どっちに転んでも、ただ殺すよりはメリットがある)
130 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:21:19.12 ID:q7kVDXlo0

そして、木原の狙いはもう1つ。


――「よお、待ちくたびれたぜ。相手の情報は?」

――『……侵入してきたのは、神裂の仲間である天草式十字凄教の人間だ』

――「天草式? 聞き覚えがあんな。確かあれは……」


木原は、天草式の事を全く別の観点から知っていた。

それはクローンを統括する『聖痕』の共鳴実験の時、『樹形図の設計者』が参照したデータ。


――(まあ、伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』が、そのお手本になるとは予想外だったがな)


『大日本沿海與地全図』と呼ばれる、偶像の理論を逆利用した地図がある。

それを使った瞬間移動法が、天草式十字凄教には伝わっているのだ。


(その現物さえ手に入れば)

(学園都市の技術を使って、新たな日本地図を作れる)

(いや、それどころか世界地図クラスの移動法が実現するだろう)


その術式を明らかにするまで死なない様頑張ってくれよ、と木原は一人薄く笑った。
131 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/03/31(木) 02:22:11.69 ID:q7kVDXlo0

今日はこんなところでおしまいです

そろそろ天草式及び遠征編も終わりが見えてきました

次は木山先生のターンの予定です

では、おやすみなさい
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 02:25:18.27 ID:Zyq9jXq3o
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/03/31(木) 02:27:18.37 ID:JYMi/kTpo
天草のあの地味にすごい術式をも取り込もうとするとはwwwwwwwwwwwwww

ねーちんのカラダと尊厳だけでなく全て奪いつくす気だなwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/31(木) 03:13:07.22 ID:LsEdQWKg0
この木原くんが生き生きしているよww

この木原と一方通行が戦ったら木原くん勝つんじゃね?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/03/31(木) 03:53:36.64 ID:Z8zSEWTqo
正直丸一日準備してワープするんだったら超音速機で移動した方が便利な気がする
まあ不意打ちはできるけど
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/31(木) 10:03:57.31 ID:YxIs3lDc0
それこそ利用の仕方によりけりじゃない?
何をどれだけどこに送るのか
色々妄想してみると面白い

それにしても天草式不憫だ
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/31(木) 10:04:29.56 ID:YxIs3lDc0
それこそ利用の仕方によりけりじゃない?
何をどれだけどこに送るのか
色々妄想してみると面白い

それにしても天草式不憫だ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/03/31(木) 10:05:44.33 ID:YxIs3lDc0
ミス申し訳ない
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/03/31(木) 13:39:09.94 ID:9acqNZlh0
天草式滅亡するだろこれwwwwww

木原君がかっこいいからいっか
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 15:50:41.43 ID:dNzWqwD40
原作の天草式は聖人崩しを習得したチート軍団なのにな

……聖人崩し?
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/03/31(木) 16:11:32.05 ID:H/+mPsJIo
>>140
まだ天草抜けてないから 聖人崩しも無いだろ
しかも肝心な五和がアレだし
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/03/31(木) 20:44:22.38 ID:l9a0hIPGo
聖人みたいのと違って普通の人間だからハメられちゃうと弱いんだよな
アックアさんみたいなのになると力ずくでどうにでもなるみたいだけど
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/01(金) 07:08:01.88 ID:VkUBpORV0
>>141
すでにねーちんはネセサリウス入りしてるんだから
聖人崩しはあるんじゃないか?
そして五和が捕まってるんだからその知識はいずれ
木原くンへ伝わる可能性が……
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/04/01(金) 08:03:17.51 ID:ffrgNCc30
聖人崩し手に入れても出番はアックア戦ぐらいかな、聖人ってあとシルビアくらいか
そこまで考えて、木原くン暴れてるからオッレルスが殴り込みに来る可能性もあるのかなと思った
まあ能力がはっきりしてないから書きにくそう
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/01(金) 10:36:09.97 ID:NL4z3dXX0
>>144
オッレルスに勝つビジョンが思い浮かばねぇ……
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 02:44:20.34 ID:QKhAC64I0
木山先生も妙な感じするな
主人公と明言されてる割りにあまりにも影が薄い
何か引っかかる
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 22:31:42.58 ID:tUoj0syx0
木山せんせいが魔術をつかうのでは?
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/04/02(土) 22:34:36.46 ID:op78RGXCo
魔術使用可能かつレベルアッパーで能力も行使とか?
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/02(土) 22:55:32.28 ID:hxDzIElW0
>>148
木山先生自身は能力開発をしてないから、魔術の復作用は無いかもな……
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/02(土) 22:56:22.07 ID:DfujGoxvo
木山先生が能力使うたびにアッパー使用者の寿命がマッハ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/02(土) 23:07:57.78 ID:jzchCZLMo
ハルオ無双がこれから始まるよ まあ見てなww
152 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:14:10.53 ID:2bjbpTHD0


こんばんはー、レスありがとうございます

>>146
木山先生のターンを予告していたとはいえ、恐ろしいタイミングで言及されてびっくりです
今回の投下で、木山先生が主人公の理由が分かると思います


では、投下


8月20日午10時00分、胤河製薬学園都市支店近くのとある公園


精神的に疲れ果てた木山が、公園のベンチに座っている。

意識ははっきりしているのに、彼女の感覚からは現実感が失われていった。

公園の喧騒はその耳に届かず、楽しげな光景もその目には映らない。

代わりに彼女の脳を埋め尽くすのは、“既視感”のある幻想。


――「木山せんせい、お誕生日おめでとう」


かつて教室で、教え子からお祝いされた声――ではない。

大きくなった子供達からの、飛行船を使ったサプライズ。

悪夢のような事件はすべて解決した。

黒幕たる科学者を、レベル5の女子中学生が打ち倒して。
153 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:15:12.50 ID:2bjbpTHD0

そう、木山は教え子を助けることが出来たのだ。


(ああ、自分は今入院しているのだったな)


瞬間、公園の風景は消えて病院へと変貌した。

変化は木山自身にも及ぶ。

やつれていた表情は明るく、トレードマークだった隈も消えている。

そんな彼女に。

目を覚ました教え子達の、優しい言葉が次々と投げかけられた。


――「先生、早く良くなってね」

――「私たちも頑張るから!!」

――「待ってるからね先生」

――「僕も!」


そして。

飛行船を利用した巨大モニターに、枝先絆理(えださきばんり)の笑顔が大きく映る。


――「ありがとう、木山せんせい。……大好きだよ!」


思わず零れる涙。

それは、確かに存在した光景。
154 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:16:23.41 ID:2bjbpTHD0

「…………っ」


夏の眩しい太陽が、強引に木山を覚醒させる。

病院も、飛行船も、教え子の笑顔もみな消えた。

儚い幻想を留めようとして、木山はベンチから立ち上がる。

だが、何度目を凝らしても現実は変わらない。


(夢……いや妄想や幻覚の類か?)

(なのにこんなにも既視感があるなんて、酷い話だ)


一度覚醒すれば、彼女の優秀な頭脳は即座に現状把握を開始する。

今の自分が木原数多に捕らわれた人間であり、魔術という得体の知れない存在と戦っていること。

行方不明の幻生が生きており、彼を殺そうとして失敗したこと。


(そうだ、私は――)


今から少し前、幻生が姿を消した後。

鍵のかかった室内に入ることが出来なかった木山は、諦めてその場から出てきた。
155 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:16:53.39 ID:2bjbpTHD0

途中で会社の人間とすれ違ったりもしたのだが、一切喋ることなく。


(製薬会社の職員に報告したところで、彼らは何も知らされていないだろう)


仮にこの事を報告するとして、その対象となるような人物は1人だけ。

忌々しい部隊のリーダー。


(あの男には、伝えておくべきなのか……?)

(馬鹿な)


一瞬浮かんだ考えを、木山は心の中で一笑した。


(私が無断で幻生と接触した理由を、どう説明するつもりなのだ)

(まさか、殺しにいったところ逃げられました、など言えるわけがない)

(それに……)
156 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:17:30.00 ID:2bjbpTHD0

あの時、幻生は木山に向かってこう言った。


――「また会いに来なさい、待っているから」


嘘とは思えない。

かつての研究の師である彼は、純粋に木山との再会を待ち望んでいるように見えた。

ならば、こちらが望まなくてもまた会うことになる。

そこまで考えた木山は、再びベンチに倒れこむように腰を下ろした。

途端に先ほどの自分の様子を思い返して憂鬱になる。


(いったい、私はどうしたんだ?)

(覚悟を決めていたはずなのに、ああも臆する事になるなんて)

(復讐の気持ちは、所詮口先だけのモノでしか無かったのか)
157 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:18:41.61 ID:2bjbpTHD0

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。

違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。違う。
158 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:19:30.58 ID:2bjbpTHD0

思考を投げ出した木山の脳を、強烈な違和感が支配する。

そんなはずがない、そこで逃げるようならあんな事件を起こすはずがない。

無関係の学生1万人を巻き込んだ、『幻想御手(レベルアッパー)』事件など。

少なくとも、幻生を許せないという気持ちは今も変わらず彼女の胸にある。

では、なぜあの時怯んだのか。


(自問するまでもない。私はあの質問に恐怖した)


彼女が恐れたのものは、幻生から問われた研究者としては当然の質問。


「脳波のネットワークを利用した演算機器――そのアイディアを教えたのは、一体誰かね?」


そのアイディアの出所を聞かれた事だ。

何故なら、彼女は――。


(私は、どうやってあの悪魔的なヒラメキを得たのか“全く分からない”)

(複数の脳を繋ぐ電磁的ネットワーク)

(『学習装置』を使って整頓された脳構造)

(私は、どうやってこの発想を形にした?)

(そして何より)

(何故私は、幻生から聞かれるまでそれを疑問に思っていなかった?)
159 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:20:22.30 ID:2bjbpTHD0

とある世界の9月30日、第7学区の窓の無いビル


木山の状態をモニタリングしていた『人間』が、ほんのわずかに興味を示す。


「ふむ、ようやく違和感に気づいたようだ」


そう呟くのは、とある世界の学園都市統括理事長、『人間』アレイスター。

生命維持槽のビーカーに逆さまで浮きながら、アレイスターはとある歪んだ世界をモニター越しに見つめている。


「気づいたところで、どうすることも出来ないのだが」


彼が監視しているのは、何十年も前に“統括理事長アレイスター”が行方をくらました世界。

最も近い概念でいえば、平行世界(パラレルワールド)がそれに該当する。

通常なら観測も関与も不可能な別次元の空間だ。

ならば何故、今こうしてアレイスターは別世界を監視できるのか。

事の発端は、およそ1か月前の8月28日。

とある世界規模の魔術が展開された事から始まった。
160 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:21:20.39 ID:2bjbpTHD0

その日、上条刀夜という1人の父親が。

理由もなく、原因もなく、理屈もなく、理論もなく、因果もなく、目的もなく、意味もなく、価値もなく。

“運悪く”完成させた大規模魔術。











その名を、『異界反転(ファントムハウンド)』と言う。










161 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:22:40.36 ID:2bjbpTHD0

全く別のとある魔術(エンゼルフォール)が“同時”に展開された所為で、アレイスター以外の人間は気づかなかった。

その場にいた神裂も、土御門ですらも。

だがそれも無理はない。

この世界において、『異界反転』は1人の人間にしか影響を与えなかったのだから。


(人類でたった1人、木山春生がそれに該当した)

(彼女にしてみれば、堪ったものではないのだろうが……)

(こちらのプランにとっては僥倖と言わざるを得ないな)


『異界反転』の魔術は、この世界の8月28日にいる木山春生を、別世界の7月27日へと弾き飛ばした。

アレイスターがいない代わりに、木原数多を始めとする人材が魔術と戦っている世界へと。

すなわち、教え子を助けたという事実が存在しない世界だ。

それだけではない。

木山の脳からは、こちらの世界での記憶が都合よく一部消滅している。

7月27日以降の記憶と、アレイスターのプランに関わる記憶――例えば『妹達』についてだ。

前者は世界を渡った時に自動的に消えたが、後者は違う。

姿を変えて存在している“あちらのアレイスター”が、意図的にその記憶を抹消した。
162 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:23:45.01 ID:2bjbpTHD0

(実に興味深い)


そして“こちらのアレイスター”は、自分のプランを進めながら別世界の監視を行った。


(木山春生を通じて観測したあちらの世界は、実に突拍子もない状況を見せてくれる)

(あの『猟犬部隊』が、禁書目録を有して魔術サイドと戦っているとは)


また、アレイスターにとっては世界間の時間差も好奇心を刺激した。


(この世界と、あちらの世界では半月から1か月ほどのズレが生じている)

(その時間の差が不安定に変化しているのは、この魔術が中途半端に完成したからだろう)


観測した瞬間ごとに、あちらの世界との時間差は異なっている。

ただし、こちらがより先の時間軸を経過していることは間違いない。

そして今、向こうの世界での重要人物がこちら側で死亡したところだ。


(さて、こちらでは君の死が確定したぞ木原数多)

(あちらにいる君は、どんな結果を見せるのかな?)

(この『異界反転』に、あちらで気づけるものがいるとしたら)

(それは君以外に考えられないのだがね)
163 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/03(日) 02:24:29.70 ID:2bjbpTHD0

今日はこの辺で終了です

ようやくスレタイの魔術が出せました

まさか2スレ目まで必要だとは想像してなかったです

計画性の無さが浮き彫りで申し訳ない

次回は遠征組のターンです

では、おやすみなさい
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 02:30:37.82 ID:tY3FFpXD0
アステカ組には生きてほしいですねー
私は殺されましたがあの二人には生きてほしいですねー
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/03(日) 02:31:55.14 ID:TFGW9p7Ao
おつおつ
ここで異界反転をもってくるかーあいかわらず拾うのがうまいな
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/04/03(日) 02:34:06.27 ID:VdAgwQ1to
なんだかアレイ☆がいると安心館があるな
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/03(日) 02:41:48.07 ID:Gam+/YZgo
>>164 テッラさん乙
それでも木原くんなら何とかしてくれる気がする
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/03(日) 02:51:46.67 ID:ZGUjy2gTo
単なるif物かと思いきやとんだ隠し玉が出てきたな

しかし個人的には
>姿を変えて存在している“あちらのアレイスター”
これが気になる。
もしかして、その辺の美少女がアレイスターの外の人だったりする可能性もあるって事で…
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/03(日) 03:06:23.73 ID:Gam+/YZgo
>>168
木原幻生が怪しい気がする
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/03(日) 04:41:45.58 ID:p1K4RsEAO
てっきりプロデュースに手だしたのかと思ってた
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/04/03(日) 04:46:36.76 ID:Dm0+jJoxo
こっちの世界の最強モード木原くンが本編世界に乗りこんできたりするんだろうか……
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/03(日) 08:12:24.57 ID:YmzjfhqOo
セロリ逃げてーww
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/03(日) 10:33:43.43 ID:/v+kzaFpo
つまり“あちらのアレイスター”はもしかしたら美少女で
俺とキャッキャウフフしてるかもしれないってことか
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/03(日) 11:08:47.51 ID:TFGW9p7Ao
多くの魔術師たちに襲われボロボロになっていた世界最強の魔術師である美少女をたまたま発見し治療し匿ったカエル医者マジエロゲ主人公
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 14:43:21.03 ID:QWQ3wRtEo
カエル医者は俺の師匠
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/03(日) 20:02:38.08 ID:kHpc0/KAO
「とある魔術と」ってそういうことか
木原くンは別の世界で自分が死んだって知ったら自分のことでも馬鹿にしそう
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/04(月) 11:21:51.30 ID:/PSN5fY0o
ここの木原くンならそれすら糧にしてさらに無双しそうだな
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 12:17:20.95 ID:Po+9XFoa0
やはり、生きたりていたかアレイスター!
これからどうなるかな
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 12:39:31.71 ID:can+GbWa0
木山先生カワイソス
せっかくアニメで救済されたのに
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/05(火) 01:31:05.42 ID:M8QRMVCQ0
そういう意味だったのか…
ちゃんとスレタイの伏線回収したな
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/05(火) 12:43:18.15 ID:4cyfxWrR0
■■「つまり・・・ここまで私の話題がなかったのは向こうの世界では私は存在しないから・・」

マジレスすると■■さんを覚えていた人はいるの?あとヘタ錬も
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/05(火) 18:29:06.04 ID:cUzkb9ito
お前杉谷のこと覚えてる?
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/05(火) 20:27:45.59 ID:Nr7rtbTHo
こわいのび太のことか
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/06(水) 19:42:07.60 ID:XJeRsuPno
異界反転てオリジナルかと思ったら名前は出てたんだな。
185 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:48:08.61 ID:HKopen+b0

こんばんはー、レスありがとうございます

今回の話は突っ込み所満載になりますが、お付き合い願います

では、投下


8月20日午後6時20分、アビニョン『教皇庁宮殿』近くの庭園


先に攻撃を仕掛けたのはショチトルだ。

掴んだ『マクアフティル』ごとアックアへ突進する。


「アアアアアアァァァッ!!」


しかしそれは、あまりにも無謀な挑戦。


「良い度胸である」


ショチトルの鬼気迫る表情を見ても、アックアは平然とそう言ってのける。

彼はメイスなど振るわない。

片手で攻撃を受け止めると、そのまま握力でもってアステカの剣を粉砕した。
186 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:49:04.15 ID:HKopen+b0

「その程度かね?」


薄く笑うアックア。

そんな彼に対し、武器を破壊されたショチトルは。


(チャンスは一度……いけ!!)


突進の速度をむしろ早めて、そのまま彼に体当たりした。

――隠し持った黒曜石のナイフを突き立てて。


(この体格差、狙うは人体の急所の1つ、腎臓……!)


ずぐ、という鈍い衝撃が、ナイフを通じて彼女に伝わる。


「もう一度聞くが……その程度かね?」

「な!?」


下腹部へ突き立てたはずのナイフは、彼の体に傷1つ与えられないままだった。
187 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:49:53.67 ID:HKopen+b0

「まがりなりにも聖人であるこの私を、こんな策で倒せるとでも?」

「あ……」

「随分と舐められたものである」


呆然とするショチトルを、アックアはすでに敵とみなさない。

邪魔な石ころにそうするように、気楽に彼女の体を蹴り上げた。


「ショチトル!!」


エツァリの叫び声よりも派手な音をして、彼女が空中で回転する。

そのままズシャリと落下した彼女は、ピクリとも動かない。

否――。


「ま、だ……わ、たし、は……」


微かに動く口から漏れ出る声。

どう考えても行動不能なはずの彼女から、意地の一声が発せられた。
188 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:50:38.09 ID:HKopen+b0

「……そうか」


アックアから表情が消える。

代わりに浮かぶのは、冷たい眼光。

尚も叫ぶエツァリを無視して、彼はゆっくりとショチトルに近づいた。


「ふん」


そしてそのまま、彼女の背中を踏み潰そうとして片足を振り上げる。

彼女はそれでも何とか足掻こうとして――。






「何してんだクズが。そう言うのは“俺ら”のやり方じゃねえだろ」







予想外の言葉を浴びせられた。
189 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:51:32.48 ID:HKopen+b0

言葉はさらに続く。


「下らねえ。全力を尽くしてヒーロー気取りで死ぬなんてな」

「クズはクズらしくしろよ。真っ当に死のうなんて思うんじゃねえ」


語られたのは、とある部隊のあり方そのものだ。

リーダーを始めとして、人間のクズばかりを集めた殺戮部隊。

“とある世界”と異なり、アレイスターによる手綱が存在しないが――彼らは『猟犬部隊』と呼ばれた。


姿を見せたのは、その中の1人。

かつての名を失い、今はマイクというコード名で呼ばれる男だ。


「……生きていたのであるか」


感心してみせるアックアを、マイクが睨みつける。


「仕方ないだろ。あのまま死んでたら、リーダーが怖いんでな」
190 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:52:16.44 ID:HKopen+b0

8月20日午後6時00分、アビニョン『教皇庁宮殿』


――「当然、兵士としての覚悟は出来ていて当然である」

――「……クソッ」


あの時。

反撃の時間など、毛ほども存在しなかった。

目の前にいたクローンを魔術とメイスで片づけ、壁や床を粉砕しながら迫りくるその様はまるで巨大な壁。

あらゆる抵抗を封じられた学園都市の兵士は、全員まとめて宮殿もろとも叩き潰された。

それから少しして。

『C文書』が持ち去られ、廃墟と化した宮殿。

そんなアックアにより蹂躙されたこの場所で、蠢く影があった。


「ぐ……痛ぇな畜生」


今回の作戦の指揮を執っていたマイクだ。

彼は巨大なメイスの一撃を食らっていたのだが、大きな怪我をすることもなく一瞬の気絶だけで済んでいる。
191 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:52:55.00 ID:HKopen+b0

そして無事なのは彼だけではない。

その事を確信しているマイクが、背後の瓦礫の山に向かって呆れたように呟いた。

後ろを振り返ることなく。


「……ナンシー。テメェも生きてるのはわかってんだ」


1秒、2秒、3秒。

反応が無いまま、時間が経過する。

だが、結局誤魔化しを諦めることにしたらしい。

チッと舌打ちをしつつ、ナンシーが埋まっていた瓦礫から顔を出した。


「冗談じゃないわ。あのまま死んでてもおかしくないのよ私達」

「けど生きてんだろ。まあ、2度目は無いようだけどな」


そう言いながら、マイクは着ていた迷彩服を脱ぎ捨てる。

いや、正確にはその中に着こんでいた“純白の修道服”を。
192 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:53:49.18 ID:HKopen+b0

それはテレスティーナが開発した、『歩く教会』と呼ばれる霊装のコピーだ。

8月3日の時点ではオリジナルの1/100程度の性能しかなかったが、彼らが着ていたのはそれの改良型にあたる。

インデックスの協力の結果、耐久度だけならオリジナルの1/30ぐらいには向上した試作品。

今回が初の実戦投入だったのだが。


「やっぱりか。ボロボロになってやがる。……クソッ」

「撤退すべきね。もう“替えが無い”以上、次はあっさり殺されるわよ」


今回実戦用に配備されたのはわずか6着。

マイクとナンシーは、それを2人だけで分け合った。

3枚重ね着して万全を期したのだが、アックアの攻撃で全てがボロ布と化している。


「馬鹿か。『C文書』は相手が持ったままだろ」

「アンタこそ馬鹿言わないでよ。この服無しで、化物ゴリラとやり合えっていうの?」

「じゃあどうする。どっちにしろ、任務を果たさなきゃ木原さんに殺されるんだ」

「……」


マイクの端的な指摘を受けて、ナンシーが押し黙る。
193 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:54:35.33 ID:HKopen+b0

リーダーである木原は、部下の不始末を許さない。

彼から逃げ切った者はおらず、その全員が凄惨な最期を迎えている。

そしてそんな事は、他ならぬ『猟犬部隊』の人間が一番よく知っているのだ。

無言になったナンシーを見て、マイクは議論は終わったと判断した。


「まだ行動可能なクローンを集めろ。部隊を再編して立て直す」

「……了解」


クローン部隊のうち、先行した7人は戦闘不能に追いやられている。

しかし宮殿を囲っていた本隊13人はほとんどが無事だ。

クローンに指示を出しながら、ナンシーはマイクに1つだけ尋ねた。


「で、どうやって任務を遂行するわけ?」

「……『C文書』を手に入れる事は難しい」

「は?」

「最善が無理なら、次善の策でいくまでだ」
194 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:55:12.90 ID:HKopen+b0

8月20日午後6時25分、アビニョン『教皇庁宮殿』近くの庭園


再編成したクローン部隊が、アックアと戦闘を開始する。

先の戦闘とは異なり、今度は彼だけが標的だ。


「む……」


10人以上の聖人が相手では、流石のアックアでも瞬殺は不可能。

彼が動きを止めたその間に、マイクは攻撃を終えていた。


「死んどけクソ野郎」


異様に遅い速度で、アックアに金属の粉末が襲い掛かる。

すぐに彼は、これが宮殿での戦いで自分のメイスを受け止めた異能だと思い至った。


(アレに物理攻撃は通用しないのであったな……だが甘い)
195 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:56:38.97 ID:HKopen+b0

アックアの戦闘方法は、格闘だけではない。

彼は魔術師だ。

それも『神の右席』でありながら、一般の魔術も使える稀有な存在である。


「その異能と我が魔術、どちらが優れているか確かめてみるか?」


付近一帯の水分を利用した、水の魔術が粉塵を迎え撃つ。

だが、その瞬間だった。


「……テメェが水を操ることは把握していた。同じ手を二度も使うなんて、あの人なら失笑モノだ」

「?」


マイクが投げた粉末は、さきほどの鉄粉ではない。

元素記号Rb――ルビジウムと呼ばれる金属の粉末だ。

そしてこの物質は、“水に対し爆発的に反応する”という特質を持つ。


「!?」


クローン部隊がエツァリ達を抱えて身を引くのと同時、激烈な化学反応が発生した。

それは燃焼というより、巨大な爆発となってアックアに襲い掛かる。

銃弾すら避ける聖人の反応速度も、全く予測していなかった至近距離での水素爆発には及ばない。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」


『絶対等速』の能力により、彼の居た場所だけがピンポイントで吹っ飛んだ。
196 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:58:29.62 ID:HKopen+b0

――ゥゥゥゥン……!!!!


轟音が鳴り止む。

白い煙が徐々に晴れてきた。

そして見えてきた光景に、ナンシーが絶句する。


「……本気で化物ね、まだ生きてるなんて」


そこには、傷を負いながらもしっかりと立つアックアの姿があった。


「ああ、だがこれで次善の策は成った事になる」


マイクの言葉を裏付けるかのように、アックアの懐から“それ”が灰となって風に運ばれていく。

『C文書』。

世界を混乱に陥れたその霊装は、化学反応による爆発で燃え尽きていた。

爆発の目的は、アックア自身を倒す事ではない。

強奪が無理なら、破壊するまで。

左方のテッラが引き起こした世界規模のデモは、この時点で失敗に終わった。

木原数多が統括理事会に宣言した通り、状況は改善された事になる。


「ざまあみろ」

197 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/07(木) 01:59:19.83 ID:HKopen+b0

今日はここで幕引きでございます

遠征はあと1回でおしまいの予定です

次回投下はどこのターンにするか現在悩み中です

では、おやすみなさい
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(アビニョン) [sage]:2011/04/07(木) 02:03:25.97 ID:FojNYDRV0
おやすみなさい

こっちは興奮で寝れないのだけども
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 02:15:55.62 ID:LhX6Uf4DO
ちくしょうおもしろいなぁ

何かの小説ではナトリウムが爆発してたなぁ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 02:19:30.13 ID:DE9O1yuE0
粉塵爆発も水蒸気爆発もルビジウムもナトリウムも

爆発はやっぱロマンだな
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/07(木) 02:22:10.39 ID:ON77anP00
乙ー

絶対等速さんがかっこよくて生きるのがつらい
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 07:55:23.46 ID:kCeSn9/h0
次に>>1が来る前に質問しておくけど、ここまで■■さんとヘタ錬の名前が出ないのはなんで?
これから出るの?それとも素で忘れられている?(ヘタ錬はともかく■■はありそうで怖い)
まあマジで■■の話題がここまでないってことは、少なくともここを見ている■■をマジで忘れているな。
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/04/07(木) 09:00:52.18 ID:ApsY4Zoao
必要ないからだろ
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/07(木) 09:46:10.91 ID:6TP2TwnYo
半年ROMってろ
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/07(木) 09:49:55.33 ID:qsoyYu6AO

やばい興奮した
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/04/07(木) 09:50:32.51 ID:qsoyYu6AO

やばい興奮した
いいよな、爆発!
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 12:05:58.41 ID:rFr8/4hI0
2重の策だったのか、お見事ですな−
何かマイクが木原くンの後継者に見えてきたwwww
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/04/07(木) 13:47:01.84 ID:Ic1rE/Lao
>>202
1スレ目で「高校生以下の能力者は登場しません」って書いてあるのに
なに必死に姫神連呼してんの?
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/07(木) 13:47:52.53 ID:Ic1rE/Lao
おっと sage抜けた
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 14:32:22.96 ID:ha5zZjoDO
カッコイーッ!惚れちゃいそうだぜ絶対等速ォ!
いやほんと科学で状況を打破していく様が素敵過ぎる。木原くん頭脳との相乗効果は計り知れないんだぜ。
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/07(木) 14:35:17.52 ID:C1galKvio
>>202
インデックスと出会わなかった上条さんは記憶を失ってないだろうし、
上条さんらのカチコミのないヘタ錬は今も三沢塾で黄金錬成してるだろうし、
妹たちの事がない美琴は相変わらず上条さんを追いかけまわしてるだろうし、
絶対能力者進化計画のない一通さんはますます缶コーヒーフェチ化してるだろう

舞台裏ではこんな感じじゃね?
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/04/07(木) 14:58:49.99 ID:KtF2DD5AO
乙!
感動的だねぇ
木原くンだって大喜びだ

>>202
いつまで姫神姫神ほざいてやがんだぁ?
このスクラップ野郎が!!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/07(木) 15:55:47.77 ID:RuPmW8EC0
>>198アビニョンwwwwww
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 18:24:22.97 ID:QAtuopcAo
カッコイー!
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 21:37:38.43 ID:frngOx7G0
ルビジウムとかマジ危険
って言うか一つの能力でよくぞまあここまで考えつくな
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/07(木) 21:43:01.44 ID:gqeCFm9so
絶対等速さんはレベル4なんだろうか
結構珍しい能力だし
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/04/08(金) 01:16:13.99 ID:RX5peJyF0
絶対等速さんはベクトル操作やってる感じするから
将来的には一方通行さんに匹敵するとみた
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 02:45:32.34 ID:Pj94YqxAO
何この絶対等速さんかっこいい…
絶対等速って呼ぶかマイクって呼ぶか迷う
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 15:30:06.15 ID:LxPJ5xbb0
すげぇ!
すげぇ!
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 02:11:55.61 ID:B1eoCGKY0
hey マイク. I will kill アックア
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/09(土) 20:32:58.84 ID:0Tzje2Ur0
そういえば偏光能力さんは高校生っぽくないな。
……出るか……?
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/09(土) 23:06:55.70 ID:fZOQNYgIO
さすがにメインキャラがこれ以上増えるってことはないんじゃないかな?
偏光はおれも見てみたいとは思うけど
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/09(土) 23:37:12.27 ID:Q8a1TZXP0
レベルアッパーなきゃレベル0じゃない
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/09(土) 23:53:42.32 ID:dNiOp/Alo
あいつ元々2じゃなかったか
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 07:01:29.95 ID:CRRf4fL70
まだー

226 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:15:16.70 ID:9cFE/fqS0

こんばんはー、投下速度が遅くて申し訳ありません

>>202
錬金術師さんは扱いが難しいんですよね
この世界では、学園都市で半日かけて「黄金錬成」の準備をしている間に射殺されると思います


では、投下


8月20日午前10時00分、第7学区の地下街


迫る『エッジ・ビー』を叩き落としながら、建宮は自分の計算が甘かったことを思い知った。


(迂闊……隠密行動に長けた我らの居所を、ここまで把握されているとは!)

(それだけじゃない。天草式独特の戦闘方法についても調べ上げられているのよな!)


天草式が鋼糸を使うことを予測した上での、『エッジ・ビー』の同時自爆作戦。

人の目では発見出来ない紛れ方をしたにも関わらず、機械によって居場所を索敵された事。


(敵さんは、想像以上に魔術サイド(こちらがわ)について詳しいようだが……)


彼らのうち、誰が想像出来るだろう。

今の学園都市には、イギリス清教の誇る『禁書目録』が居ることを。

木原数多という狂人が、その知識の全てをコピーして手中に収めていることを。

そして――自分達の女教皇が、死して尚彼の悪意に利用され続けていることを。
227 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:16:33.32 ID:9cFE/fqS0

傷ついた仲間を助けながら、建宮は考える。


(この科学の街が、どうやって魔術の知識を手に入れた?)

(それだけじゃない。その知識を魔術師との戦闘に利用する事に慣れているのはどうしてだ?)

(イギリス清教の話では……)


そこまで思い至ると建宮はハッとし、次いで痛恨の表情を隠すことなく露わにした。


(そういう事か、あの女!)


女教皇殺害に関する情報を提供した、イギリス清教の最大主教ローラ・スチュアート。

彼女が提供した情報を元に、今回の侵入は行われている。

イギリス清教は天草式よりも先に魔術師を派遣していたからだ。


(考えてみりゃ、明らかにあちらさんは“学園都市の高い対魔術能力”を知っていたはずなのよ)


神裂の死についても、ローラは詳しいことは分からないと言っていたがそれも怪しい。


(情報の意図的な封鎖……我ら天草式を嵌めやがったって事よな!)

228 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:17:20.48 ID:9cFE/fqS0

ローラの思惑に気づいたところで、現状打破には繋がらない。

建宮は激怒しながらも、その熱を一旦放置するしかなかった。

彼は高速で通信術式を作り上げると、今生きている仲間に撤退を呼びかける。


「全員逃げろ! この作戦は失敗だ! こっちの情報が相手に漏れているのよな!」

『そんな……もう間もなく探査結界が完成するのに!?』


牛深の反論を、建宮が無念さを滲ませた声で否定する。


「無駄なのよ。こちらの情報が知られている以上、ヤツは安全な場所へ逃げた後だ」

『……』


皮肉な事に、地下街にいない仲間によって探査結界が完成したのはその直後。

木原数多のいる場所は――。

地下街の“真上”。

急行すれば、数分で手が届く場所だった。
229 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:18:01.92 ID:9cFE/fqS0

もしかして、今ならいけるかもしれない。

天草式の誰もがそう思ってそこへ向かおうとする。

だが、教皇代理の建宮だけは判断を間違えなかった。

彼は溢れる激情を抑え込み、歯を食いしばって繰り返す。


「撤退しろ! さっきも言ったが、ヤツが都合よくその身を晒すなんてありえねえってのよ!」

「ここは各自で逃げ延びて、 薄明座で合流するのよな!」


それは、女教皇のためにここまで来た彼らにとっては極めて厳しい決断だった。

だが建宮は即断する。


「惨めだろうが何だろうが、今は次の機会を待つべきなのよ」

「ここで俺達が全滅したら、誰が女教皇の敵を取る!! そいつが分かってんのか!!」


こうして彼ら天草式は、自らの誇る隠密術式を駆使して全力で逃走した。
230 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:19:03.59 ID:9cFE/fqS0

木原が自らの作戦の失敗を悟ったのは、モニター越しで相手の撤退を見たその瞬間。

『エッジ・ビー』がしつこく追いすがるが、天草式は巧みに隠れて逃げ切った。


(こりゃー駄目だな)


ステイル達が14人、地下街で10人、待機所で1人。

都合25人――侵入した天草式の半数だ――を倒しておきながら、木原は今回の戦いは失敗したと判断した。


(地図を奪うどころか、連中を仕留めきることすら出来なかっただと?)

(無様にもほどがあるだろオイ)


天草式は知らなかったことだが、木原のいる車の近くにはクローン部隊が展開している。

彼は、侵入者が自分の命を狙いに来た所で叩き潰すつもりだった。

地下街のメンバーを捕まえて人質にし、隠れた仲間をおびき寄せる算段だった。

天草式の持つ『大日本沿海與地全図』を奪い、その術式を手に入れるはずだった。

教皇代理建宮の判断は、それらの目論見を悉く覆したことになる。


(……あー失敗だ。あっはっは、何やってんだかなあ俺)


今までの魔術師戦闘の中で、初めて倒しきれなかった相手。

木原は素直に賞賛し、また興味を抱いた。
231 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:20:04.79 ID:9cFE/fqS0

(天草式十字凄教。今までの魔術師とは違うタイプだ。チェックメイトかけた盤上をひっくり返しやがった)

(悔しいなぁ、うざってえなぁ、そして何より面白えなぁ!)


木原はシルバークロースに撤退の指示を出すと、速やかに“今後”に目を向けた。


(連中の狙いが俺の命である以上、いずれまた相手をする時が来るはず)

(……ゾクゾクするじゃねーか)


計算外の相手を見つけた木原は、飢えた獣のように舌なめずりをする。

その表情は恍惚としており、見る者を心から震え上がらせるほど。


「……」


1,2分ほど経過して。

彼は隣に座る『人材派遣』に唐突に話しかけた。


「おい働きアリ君、さっき頼んだ取引はどうなった?」

「まだ結果は出てないです。いくら何でも、統括理事会相手じゃ厳しいですよ」

「じゃあ後で報告しろ」


そう言って、木原は強引に『人材派遣』を車から放り出し、そのままアジトへ帰還した。

これが、天草式十字凄教との“最初の戦い”の結末である。
232 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:21:09.49 ID:9cFE/fqS0

8月20日午後6時35分、アビニョン『教皇庁宮殿』近くの庭園


ローマ正教の切り札たる霊装を失って、それでもアックアから戦意は消えない。


「見事である」


ただ一言そう述べて、巨大なメイスをマイクへ向ける。

アックアはかなり酷い火傷を負っているのだが、そんな様子は微塵も感じられなかった。


「私の負けを認めよう。だが、だからと言ってこのまま見逃すわけにもいかんのでな」


その言葉を聞いたマイクとナンシーが、忌々しそうに舌打ちをする。

敵との実力差を考えれば、ここから無事に離脱できる可能性は極めて低い。

例えクローン部隊を犠牲にしても、アックアからは逃げ切れないだろう。





『いいや、今回は引いておけアックア』





ところが、そんな両者の間に割って入る声があった。
233 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:22:21.97 ID:9cFE/fqS0

その声を聞いたアックアが、渋面を浮かべてメイスを影へ仕舞う。


「どういう事であるか、フィアンマ?」


アックアの聴覚を無視して、彼に直接届けられた『声』。

それは『神の右席』のリーダー、右方のフィアンマからのものだった。


『これまでの戦いで、学園都市の耐久性チェックは十分だよ』

「耐久性、だと……?」

『ああ。テッラを殺せたんだ、俺様と組む相手としてはまあ合格点をやれるレベルになる』


かつて、フィアンマと木原が電話で交わした密約。

テッラの策をマイク達が破綻させたという事は、正式に両者が手を組むという意味だ。

これ以上の人的被害は無意味で無価値なものになる。


『それに、そろそろ学園都市の爆撃機が到着するぞ。流石のお前でもそれには太刀打ちできまい』

「……謀ったのであるか?」

『いいや、俺様としてはどちらが勝っても問題無い、というそれだけのこと』


僅か4人しかいない同僚の1人を失って、それでもフィアンマは気楽に告げた。
234 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:23:09.61 ID:9cFE/fqS0

「つまり、『C文書』も最初から当てにしていなかったのであるな」

『何度も言わせるな。上手くいこうが阻止されようがどちらでも良かったんだよ』

「……」

『まあ、詳しいことは帰ってから説明してやる』


それで会話は終了したので、アックアは釈然としないながらも指示に従わざるをえない。


「……二度と戦わずに済むことを祈るのだな」


最後にそう言い残すと、アックアは地面を蹴り上げ飛翔した。

残された学園都市の兵士は唖然とするが、やがて彼らを指揮するマイクが静かに呟く。


「作戦終了。学園都市へ帰るぞ」


それから30分後には、彼らはあらゆる後処理を終えてアビニョンを飛び立った。

これが、後方のアックアとの“最初の戦い”の結末である。
235 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:24:11.85 ID:9cFE/fqS0

8月20日午前10時20分、第7学区のとある大通り


とある男が賑わう人ごみの中を歩いていた。

衣服はどこかのブランドが出しているスーツで、ネクタイをせず、ボタンを3つほど外して胸板が見えるほど開けて着ている。

軽薄そうな顔立ちの大学生ぐらいの男で、首からは携帯電話を4つも5つもぶら下げているのが特徴的だ。

『人材派遣』と呼ばれる彼は、木原と別れた後徒歩で隠れ家へ向かっていた。

そして今、彼は大量の携帯の1つを耳に当てて会話している。


「いやー、本気で殺されるかと思ったよ。マジであの男はヤバいって」

『……そうか』


低い男の声が、言葉少なくそう応じた。

一見すると、どこにでもある通話に見える。

だが、誰かが注意深くその姿を見れば違和感を感じたかもしれない。

その声は、携帯から聞こえるものではなかった。

携帯に付いているストラップ――そのお守りを模した“霊装”から、声は届いている。
236 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:25:19.93 ID:9cFE/fqS0

「なにせ、木原数多は化物染みた勘の良さと思考速度を持ってるからな」

『ふむ。まさか気づかれた可能性が?』

「いや、幾らなんでもまだ大丈夫だろうけど……」


自信なさげに『人材派遣』が否定すると、相手の男が、分かった、と何かを決断した。


『私も学園都市へ行こう』

「はあ!?」

『外部調査では埒が明かない。そろそろこちらから動く時だ』

「え、いや、“闇咲先輩”!?」


通信相手――闇咲逢魔(やみさかおうま)からの連絡は、それで断ち切れた。

『人材派遣』は、結局諦めて携帯を首に掛けなおす。


(こりゃー、また荒れるんじゃねーか?)


先ほど話していた闇咲は、学園都市とは縁遠い警察の人間だ。

それもただの警官ではない。



彼が所属している部署は、警視庁霊能専門部門――通称『捜査零課』と言った。


237 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/11(月) 01:26:31.45 ID:9cFE/fqS0

今日はここで終わりになります

徐々に話は次の段階へとシフトしていくことになります

基本的には、捜査零課&ロシア成教編といった位置づけです

もちろん、まだ天草式やローマ正教がいっぱい関わってくる予定なのですが

次回はテレスティーナのターンのつもりです

では、おやすみなさい
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/04/11(月) 01:27:56.11 ID:9hyQAN/AO
乙!
闇咲さん……だと……
楽しみすぎて眠れないぜ
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/11(月) 01:29:15.37 ID:Mj7u6zqAO
乙です
人材派遣がスパイだったとは…
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 01:29:57.88 ID:WE46KEsMo
闇咲さんが何やら愉快な立ち位置にいらっしゃる
ホント次々と凄い発想が出てきてwktkが止まらないわぁ・・・
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 01:34:10.92 ID:S07iE8x10
テレスの実験か…
期待
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/11(月) 01:47:48.58 ID:MYxIa+Leo
なん…だと……
天井くんポジかと思われた人材派遣がまさか魔術側、それも日本系のスパイとは…
戦闘が終結して一安心かと思いきやとんだ爆弾が来たもんだ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/04/11(月) 01:58:17.47 ID:L7BtHGGZo
捕獲:五和

焼死:対馬、香焼、浦上、野母崎

逃走:建宮、牛深、諫早

天草式の現状はこんな所かな
テレスが木原くンを怒らせるフラグが立ってる……
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/11(月) 02:14:53.43 ID:MYxIa+Leo
よく考えると天草式のヒロイン全滅じゃないか
露出の神裂にバストの五和、挙句の果てに脚線美の対馬が消えて…もう駄目ねこの天草式
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 03:44:11.65 ID:h0coVr8IO
五和は達磨の上眼球くり抜きだったか……合掌
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/11(月) 07:18:42.07 ID:n7bfR+GAo
天草式をただのかませにしてないあたりが流石だねぇ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 07:36:23.86 ID:S07iE8x10
俺も天草式はここで全滅かと思ってたのに
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 09:02:05.35 ID:EAGgvCej0
これから面白く立ち回ってくれそうだなー。期待せざるを得ない
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 10:53:02.91 ID:kwy187wI0
捜査零課って原作4巻に出てたな
ネタが予測不能で面白い
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 12:52:01.97 ID:dHmHidJk0
>>249
マジで!?と思って読んだらね−ちんが言ってた
存在しない部署があるとかパラレルワ−ルドの醍醐味だな
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/11(月) 15:49:32.18 ID:GoM6dS2c0
闇咲さん……聖人部隊に瞬殺されるビジョンしか思い浮かばねぇwwww
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/11(月) 16:33:36.47 ID:m5LZvZOIO
いやいや、原作だと少しアレだけどまともに戦えば結構強いんじゃねーの?
まあ原典一冊どころか最初の数ページ読んだだけで全身血まみれになるくらいだし、エツァリ辺りとの魔術師としての「格」は段違いだろうけど
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/11(月) 17:10:39.26 ID:0u6gz4sAO
絶対等速さんがこれだけ活躍するssだし、闇咲さんもどうなるかわからんぞ
しかし原作の小ネタをすごい形で拾ってくるなあ
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/11(月) 18:06:24.91 ID:n7bfR+GAo
闇咲さんの魔術は透明人間なったり大ジャンプしたり探索したりと応用力抜群だろ
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/12(火) 00:40:26.12 ID:q206JkSDO
術師としての格が高くないなりに、挫折しないために効率を追求した結果があれだと勝手に妄想してる。
攻撃移動隠密探索揃ってるとかスニーキングミッションに超最適
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/04/12(火) 04:35:42.52 ID:Uqf/0AcB0
木原くんが>>1と融合することによりこれほどのものになるとは…これアニメ化したら
藤原さん輝くだろうな映像もすごそうだ
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/04/12(火) 08:40:52.90 ID:/LVj7eKAO
>>256
禁書二期でも輝いてたじゃない
最期のシーンとか
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/12(火) 16:38:36.90 ID:Q0roGYej0
人材派遣と闇咲にスポットを当てるとは目の付け所が違うな
人材派遣が魔術師なら、こいつが「背中刺す刃」なのか
259 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 01:56:42.96 ID:GVu96ETO0

こんばんはー、レスありがとうございます

某スレが綺麗なハッピーエンドを迎えたりしましたが、こちらは相変わらずの展開です

どうしてこうなった……?

今回は、誰かから絶対突っ込みを受けるかと思っていた部分の説明になります

敢えて黙っていてくれた方には感謝です

では、投下


8月20日11時00分、『猟犬部隊』32番待機所


「ん……?」


地下の研究所から出てきたテレスティーナが、会議室で蹲る木山を発見した。


「ちょっとあなた、大丈夫?」

「ああ、ちょっと気分が悪くてね。すこし休めば良くなると思うんだが」


そう話す木山は、いつも以上にぐったりして見える。

公園からふらふらと帰ってきた後、彼女はずっとこんな感じで覇気を失っていた。
260 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 01:57:39.29 ID:GVu96ETO0

「それより、君は今までどこに?」


木山がふと気になって尋ねると、テレスティーナはニッコリと微笑んだ。


「ちょっと地下の研究所で実験をね。なかなか面白い研究材料が搬入されたから」

「……そうか」


傍から見れば魅力的なその笑顔が、木山の“何か”を刺激する。


(この嫌な感覚、どこかで感じたことがあるような)

(何故だ……妙に心がざわつく……)


それは消された記憶からの警告――だったのかもしれない。


「あれ、はるみ? お帰りなさいなんだよ!」

「!」


だが、とてとてと走り寄るインデックスの声が注意を奪う。
261 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 01:58:22.81 ID:GVu96ETO0

ステイル達の戦闘が終わり、インデックスはサポートをやめておやつを探しに来ていたところだった。


「ねえねえねえねえ、このおまんじゅうは食べてもいいのかな?」

「ああ、構わないと思うが」


木山の返答を聞くや否や、インデックスは嬉しそうにおまんじゅうを頬張る。

あっという間に4つが消え去ったところで、テレスティーナが話しかけた。


「ちょうど良かった、あなたを探していたのよ」

「ふえ?」

「また聞きたい事ができたの。少し時間をくれるかしら?」

「『歩く教会』のことかな?」

「……それも含めて、イロイロとね」


そのままテレスティーナとインデックスは、地下の研究所へ降りて行った。

嬉しそうにおまんじゅうを食べるインデックスを見て、木山は何とも言えない表情を浮かべる。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 01:58:59.17 ID:0EDAURf7o
ほひょおお
263 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 01:59:09.00 ID:GVu96ETO0

本人が手を下したわけではないとはいえ、天草式を虐殺した後なのだ。

カメラ越しにその光景を見ていたはずなのに、インデックスにそんな素振りは見えなかった。

彼女の性格が何か大きく変化したわけではない。

天性の明るさも、見る者の顔を綻ばせる愛くるしい表情も、旺盛な食欲も。

全てがそのまま残っている。

それでも、そこにかつての修道女インデックスは存在しなかった。

本来の彼女なら、他人の死を無感動に受け止める様な事は出来なかったはず。


「もうあの子は……」


その先を言えずに、木山が口を堅く結ぶ。

インデックスの精神に起きたのは、言うなれば一種の麻痺。

優しすぎる彼女の心が、直面する現実に耐え切れず石のように固くなってしまったのだ。


「……」


自分達が引き起こした悲劇。

木山は無言で自分を責め立てた。
264 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 01:59:57.97 ID:GVu96ETO0

地下の研究所へ向かうエレベーターの中で、テレスティーナは過去に思いを向ける。

かつて自分の祖父から受けた、苦痛極まりない『実験』。

その経験は、祖父である幻生が消えた後も色濃く彼女に残った。


“実験に際し一切のブレーキを掛けず、実験体の限界を無視して壊す”


テレスティーナも、その矜持に従って壊された。

自分が壊れる音、それを世にも嬉しそうに眺める祖父の顔。

幼かった彼女はそれ以降変貌する。


(私はただのモルモットで終わるつもりはない)

(木原一族の実権を握る。その為にはクソ忌々しい数多のヤツを引き摺り下ろす必要がある)


そしてその手段を彼女は持っていた。

隣に居るインデックスに、心の中で語りかける。


(あなたには悪いけれど、犠牲となってもらうわ)

(“この能力”を使うのは抵抗があるけれど、これが一番確実なのよね)
265 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:00:35.62 ID:GVu96ETO0

木原数多とは違い、テレスティーナは能力開発を受けている。

彼女がモルモットと呼ばれる所以だ。

普段は決して能力を使おうとはしないのだが、今回はその枷を外す。


「マーブルチョコ、食べるかしら?」

「もちろん食べるんだよ。ありがとう!」


その返事を聞いて、テレスティーナはチョコの入った筒をシャカシャカと振った。


「じゃあ、何色が出るが当てっこしましょうか」

「?」

「赤、青、黄、白、緑、茶、ピンク――どれが出てくるかしらね」

「……むうう……白かも!」


そして、転がり出たチョコの色は――。
266 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:01:26.08 ID:GVu96ETO0

同時刻、とあるビルの屋上


凶悪な夏の日差しが降り注ぐ中、1人の女性が汗ひとつ掻かずに立っている。

しかもそこは、手すりのない屋上の縁。

だと言うのに彼女は欠片も恐怖を感じた様子を見せなかった。

時折強く吹く風で、彼女の纏う白衣が激しくバタバタとはためく。


「ふふ」


そんな中、彼女が漏らした笑いは誰にも聞こえることなく風に溶け込んだ。


「準備は整った。間もなく“本当の”幕が開く」

「十字教三大宗派の最後、ロシア成教との接触がほど近い」

「かくて事象は決定し、歪みはやがて世界に至る」


「そうだろう、木山春生?」


そこに居たのは“木山春生”だった。
267 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:02:19.00 ID:GVu96ETO0

この世界について、少しだけ言及しよう。

統括理事長アレイスターが存在する世界をA世界、この世界をB世界と仮定する。

A世界で『幻想御手』事件を起こした木山は、B世界で拘禁された直後へと飛ばされた。

ならば当然、“B世界で『幻想御手』事件を起こした木山春生”が存在する。

そうでなくては彼女がB世界で拘禁されている理由がない。

この世界でも事件が起きたからこそ、スタートが特別拘置所だったのだ。

ただし、こちらの『幻想御手』事件の真相はA世界と大分異なっている。


「そもそも、こちらには君が救うべきチャイルドエラーなど存在しない」

「ふふ。つくづく救えないな」


1万人もの学生を利用した、前代未聞の凶悪事件。

それは教え子の恢復方法を探すためではなく、もっと利己的で醜悪な理由で行われた。

そして決定的な違いは、こちらの木山はわざと捕まったこと。

御坂美琴が事件を解決するように仕向け、異世界の来訪者を迎える準備をしたのである。
268 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:03:12.14 ID:GVu96ETO0

では、何故このような事を計画したのか。

答えは明白である。

別世界から飛んできた木山を、こちらの木山が利用するためだ。

それもとある人物の助けを借りて。

その人物とは誰か。

これも答えは明白である。

この世界で、A世界の『幻想御手』事件を知っていたのは彼女以外にただ1人。


「――と、電話か」

『よぉ。楽しそうだな、木山ちゃん?』

「そうでもないさ。向こうの世界の私が打ちひしがれているのを見るのは、さすがに辛いものがある」




木山春生をスカウトした、木原数多その人だ。



269 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:04:13.50 ID:GVu96ETO0

同僚だった木山との取引により、木原は別世界の木山を手中に収めた。

彼は特別拘置所で最初に木山と接触した際に、記憶の確認作業を行っている。


――「嬉しいねぇ。実験の手伝いをしてただけの俺を、フルネームで覚えてくれたなんて」

――「忘れるはずが無い……貴様が木原幻生の一族で、あの実験の真の目的を知っていたのは分かっているんだ!」

――「おいおい、落ち着けって。幻生のじーさんと俺は遠縁だし、あのチャイルドエラーも全員生きてるんだろ?」


そして存在しないチャイルドエラーの事を持ち出して、確かに彼女が異世界の人間であることを確かめた。


『白々しいな。ま、こっちは魔術相手に楽しんでるからどーでもいいけど』

「提供した情報が役に立ったようで嬉しいよ」


そもそも、木原に魔術の存在を教えたのも彼女である。

故に木山は救われない。

異世界の自分をも利用した悪意――その歪みからは。

人質である教え子の写真も嘘、いずれは木原から教え子を助けるという希望も同様に。


――「その辺が木山ちゃんは甘いからなぁ。まだ自分が救われると勘違いしてんだ」


最初から、木原はそれを分かっていた。
270 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:05:21.67 ID:GVu96ETO0

10分ほどして、木原達は会話を終える。


『――にしても、本当に木山ちゃんが呼び寄せたわけじゃないんだな?』

「ああ。向こうの世界の私が来た原因はこちらにはないよ」

『じゃあ、どうやってそれを予測した?』

「企業秘密と言っておこう。手札は残しておきたいからね」

『……今日はここまでか。またひと段落ついたら続きと行こうか』

「そうだね、君の活躍が楽しみだよ」


そして会話が切れる刹那、木原は楽しそうにこう言った。


『やれやれ。向こうの世界の木山ちゃんとは随分と違うな』

「……」

『まるで別人だぜ。なあ、本当に“同一人物”かよ?』


答えを聞かず、一方的に木原が電話を切る。


「やはり侮れないな、君は」


屋上にいた『人間』の賞賛は、この世界の誰にも届かない。
271 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/14(木) 02:06:16.69 ID:GVu96ETO0

今日はここで終了です

一通り舞台が整ってきた感じでしょうか

異世界関連の話はしばらく一休みし、これからは新たな戦いに戻ります

次は『冥土帰し』達のターンの予定です

では、おやすみなさい
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/14(木) 02:10:58.78 ID:G7rwER3Wo


そうか、こっちの世界では木山せんせいが逆さまに浮いているのか
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 02:19:30.81 ID:pX05+Fs1o


☆自由自在すぎだろ…
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 08:18:58.12 ID:ZsmdEPRL0
一番楽しみなSSだわ
作者さん頑張ってね!
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 10:18:01.34 ID:Ei7x9+uN0
ダーク木山先生出たー!とか
テレス能力発動キター!とか
ドキドキし過ぎでヤバい
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 10:20:14.84 ID:vXNChyWDO

ちょっと読み返してくる
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 12:04:33.37 ID:UNFhK97l0
助けるべきチャイルドエラーがいない……?
どこまでも追いつめるなあ
この>>1はよっぽど木山先生が好きなんだな
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 18:03:14.91 ID:olaFWaQDO
そもそも実験が無かったのかな?
それともチャイルドエラー達が死んじゃったのかな?
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/14(木) 18:13:40.26 ID:G7rwER3Wo
もう助かってたりしてな
つまり木山せんせいは無駄な努力を
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/14(木) 18:16:20.11 ID:Boh5Cm2a0
☆は2つの世界をどうする気だろうか?
テレスの能力がどんなものか楽しみ

あと、モルモットにされてる五和の実験もできるならじっくりねっとり描いて欲しい
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/15(金) 12:03:14.24 ID:QEqxIOUfo
>>279
それなんてアウレオルス
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/16(土) 06:57:46.76 ID:CQY8pVt40
五和の実験シーンをよろしくっす
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/16(土) 07:00:07.51 ID:vO4Mo8GDo
あたしの名前は五和。モテカワスリムのアマクサガール。(中略)
ガシ!ボカッ!ダルマにされて死んだ。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/04/16(土) 11:00:45.44 ID:O93eaTvAO
スイーツ(笑)が抜けてるぞ
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/16(土) 11:05:48.32 ID:vO4Mo8GDo
スクール(笑)
286 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:21:07.72 ID:RcvRQnjT0

こんばんはー、と言うにはあまりにも遅い時間で申し訳ないです

>>280
>>282
猟犬部隊にスカウトされそうなドSっぷりですね


では、投下

8月20日11時30分、『猟犬部隊』32番待機所


怪我人の応急処置を終えた『冥土帰し』達が、寮監の案内で待機所を訪れる。

すると、丁度同じ時間に帰還した木原が背後から話しかけた。


「思ったよりも早い到着じゃねーか。病院は大丈夫かよ?」

「彼女達がいたからね。それに、襲撃した彼らもそれなりに治療を施してあるね」

「お優しい事で。まあ何にせよ無事で良かったな、先生?」

「……」


木原のからかうような口調に、医者が渋面を浮かべる。

それでも彼は何も言い返さない。

代わりに、後ろにいた寮監が詰め寄った。
287 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:21:51.24 ID:RcvRQnjT0

「統括理事会が襲撃する事を、どうしてお前は知っていたんだ?」

「知っていたわけじゃねえ。……あくまで念のための警戒だった」


当然襲撃が行われた直後にその事実は掴んではいたけどよ、と木原は侮蔑を込めて話し続ける。


「理事会の私兵が、『猟犬部隊』の装備を接収したのを把握していたからな」

「俺らに成り済まして“何か”をしようとしていたのはすぐに分かった」

「このタイミングで連中が動いた理由はまだ分からねーが、何を狙うかはある程度絞り込めるだろ」


理事会の狙う標的。

そのうちの1つが、比較的木原と接触が多く、且つ『管理個体』の肉体調整を担当している『冥土帰し』だったという事だ。


「貴様……!」


いくら確証が無かったとはいえ、勝手に利用されたのは許しがたい。

寮監がさらに罵声を浴びせようとするが、それよりも先に走り寄る影があった。


「ますたー」


『管理個体』である。
288 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:23:08.67 ID:RcvRQnjT0

そのまま抱きつく『管理個体』。

信じられないことに、木原は彼女の頭を優しく撫でた。


「随分と派手なデビュー戦を飾ったらしいな。どうよ、人間を壊した感想は?」

「ぐしゃってなって、めきめきいって、べったりです……ぴくぴくしてました」

「イイね、最高じゃねーか。それが肉塊ってヤツだ」


『学習装置』で戦闘技術を学んでいるとはいえ、実際にヒトを壊す経験は格別だ。

彼女が感じた興奮と闘争本能を、木原は正確に理解していた。

『管理個体』の血液中に注入されたナノマシンが、彼女の精神状態を逐一伝えているからである。


「その感覚を、忘れんじゃね……」

「もうやめるんだ」


嬉々として話す木原を、医者が鋭い声で制止させた。

幼い子供に向けるにはあまりにも不適切な発言に、我慢が出来なかったのだ。
289 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:23:43.38 ID:RcvRQnjT0

木原はやれやれと肩を竦めて、挑発的に笑う。

が、ここで争う気はないらしい。


「しょうがねーな。取りあえずガキは戦闘訓練所でいつものメニューをしてろ」

「分かりました、べーしっくはそこで待ってます」


軽快に走り去る『管理個体』。

寮監は木原を殺す勢いで睨んでいたが、やがて彼女の後を追って部屋を後にした。


「おっと、そろそろ向こうから連絡が来るはずだ」

「連絡?」

「そうそう。今回の事件のオトシドコロを協議するためにな」

「先生も気になるんじゃねーの?」


そう言って木原と医者は、待機所のVIPルームまで足を運んだ。

290 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:24:26.27 ID:RcvRQnjT0

木原達が入室した時には、すでに通信専用のモニターが部屋の主を待っていた。


『こんにちは、木原数多。今回の襲撃について、一通り調査が終わったので報告をと思いまして』

「統括理事自らがお出ましとはな。さぞや面白い話が聞けるんだろーよ」

『貴方がどう思うかは、わたくしには何とも言えませんが』


透き通るような、大人びた女性の声。

相手の姿は映らず、その少しばかり神経質そうな声だけが部屋に届いていた。


「で?」

『まずは結論を。今回の件は、統括理事の1人が独断専行したものです』

「……」

『当然すでに当該人物は抹消済みですが、計画が実行されるまで気づかなかったのはわたくし達の落ち度です』

「そりゃー良かった。俺はてっきり、成立した合議に基づいての行動かと思ってたからよ?」


学園都市の統括理事会は、現在理事長が存在しない。

対外的には存在する事になっているのだが、それはフェイクである。
291 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:25:17.98 ID:RcvRQnjT0

何十年も前に、学園都市を築いた統括理事長は姿を消している。

残された理事会のメンバーは、その莫大な権益を互いに奪い合うことを何よりも恐れた。

人の身に余る地位と資産は、必然的に彼らを保身へと走らせる。

12人の統括理事は、相互不可侵を暗黙の掟として徹底した。

各人が手を伸ばす分野を限定し、明確に住み分けたのだ。

以降彼らは、あらゆる決定を合議の成立によってのみ認めることになった。

その意向に反すれば、苛烈な制裁が待っている。


『わたくし達が、貴方に敵対する理由など存在しませんよ。分かっているでしょう?』

「それを聞いて安心したぜ」

『ええ……彼は“流れ”を読み違えただけ。もう二度とこんなことはありません』


木原一族の破滅を願ったあの老人は、初代の理事会メンバーだ。

それはかなり珍しいケースだった。

ほとんどの統括理事は、それぞれが後継者を選んで代替わりしている。


『学園都市にとっては、かえって良かったかもしれませんね。古臭いだけの血は、淘汰されてしかるべきでしたから』


そんな彼ですら容易に切り捨てる辺りに、統括理事会の闇の深さを垣間見て――木原は気づかれぬように失笑した。
292 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:26:01.78 ID:RcvRQnjT0

「ところで、後任は誰になった?」

『それはあなたの知るところではありませんよ』


そう言われる事は分かっていて聞いたのだが、木原は不満そうに言い返した。


「そうかい。じゃあこの責任は誰が取るんだよ?」

『死体でもお送りしましょうか?』

「それが本物だって証拠がねえだろ。まさかこのまま、なあなあに済ます気か」

『では代わりのモノを差し上げましょう』

「へえ?」

『彼が携わっていた研究の成果を譲ります。正直申し上げて、木原一族よりも優れた結果ですよ』


そして送られてきたのは、膨大な研究データだ。

分けても目を引くのが、とある兵器に関する開発データである。


「これは……『プロジェクト:ファイブオーバー』……?」

『すでに何機かはプロトタイプが完成してるとか。これで手打ちということで異論はないでしょう』

「……ああ、十分だ」


木原という狂人に与えられた、新たなチカラ。

この段階に至っても、統括理事会は彼の事を甘く考えていた。

彼らがそれを後悔するのは、もうしばらく後の事である。
293 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:26:39.00 ID:RcvRQnjT0

同時刻、警視庁捜査零課の会議室


その男の出で立ちは、どう考えても異様なものだった。

真夏なのに漆黒のスーツを着ているし、キッチリと絞められたネクタイも黒。

そして何よりも変わっているのは、右腕に装着された絡繰式の梓弓だ。


「……遅いな」


男――闇咲が低い声で嘆息する。

その両目は固く閉じられており、表情も引き締まっているのだが、どこか苛立っているように感じられた。


「どうもどうも、遅参しちまったみたいですいません」

「む……」


バタン!と勢いよく会議室の扉が開けられ、生意気そうな少女の声が響く。


「ようやくか」

「だから謝ってるじゃないですか。日本人は時間に厳しいってのはホントですね」
294 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:27:21.40 ID:RcvRQnjT0

少女の服装もまた奇妙だった。

着ているのは修道服――しかもスカートがとても短く、太ももが露わになっている。

チョピンと呼ばれる30cmほどの高さの厚底サンダルも目立つ特徴だ。

背中までの赤毛を、鉛筆くらいの太さの細かい三編みに分けている彼女の名は、アニェーゼ・サンクティス。


「折角“合同捜査”になんですから、仲良くしてほしいもんです」

「良かろう。こちらとしても、ローマ正教の支援はありがたい」

「それはこっちも同じですよ。なんせ地の利はそちらさんにありますから」


そう言いながら、アニェーゼは静かに黙考する。


(まったくもって、めんどくせえ仕事を引き受けちまったもんです)

(学園都市とローマ正教を結ぶパイプ役、木原数多に接触しろなんてのは)

(……まあ幸い捜査零課と話は付けましたし)

(このまま、上手に事を運んじまいましょうかね)


そんな彼女の思惑を読み取るかのように、闇咲の目が一瞬だけジロリと開いた。
295 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/17(日) 03:28:03.54 ID:RcvRQnjT0

今日はここで打ち止めです

原作7巻でアニェーゼの口調は

「日本の刑事や探偵などと会話するうちに言葉を覚えたかもしれない」

とあったので繋げてみました

次回誰のターンかは未定です

では、おやすみなさい
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/17(日) 03:35:08.74 ID:88Ll0nNZo

木原クンに5↑とか…
理事会ェ…
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/04/17(日) 04:47:01.49 ID:NJArChIco
木原クンどこまで行く気なんだよ…
乙です
298 :名無しNIPPER [sage]:2011/04/17(日) 08:00:23.38 ID:YKsgN4PAO

ファイブオーバーは出るかなと思ってたが、闇咲さんとアニェーゼが組むとは予想外だった
ホント>>1には毎回驚かされるぜ
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/04/17(日) 08:09:36.12 ID:FtZmWUHFo
木原くンならガトリングメルトダウナーとか作らせかねないぞ
300 :木原くン [sage]:2011/04/17(日) 09:05:51.07 ID:EYZ/pvcAO
まさかのアニェーゼ……ガンダムOO声優繋がりで、もしかして木原くンが…………
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 11:20:00.83 ID:0QNjis8F0

302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 11:23:25.84 ID:0QNjis8F0

303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/04/17(日) 13:09:22.71 ID:6dTTluKVo
ガトリングドラゴンブレス
相手は死ぬ
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/17(日) 15:14:54.87 ID:JzMGlwNVo
攻撃翌力2600を誇る闇属性の機械族モンスターだぞ!
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/17(日) 15:25:06.65 ID:/DEFZifno
おいお前らなに言ってんだよ
木原くンと言えばあふれ出る愛をもってとあるレベル5を知り尽くしてるだろ
5オーバーに奴の能力を搭載するぐらいここの木原くンならやってのけそう
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/04/17(日) 15:25:47.82 ID:xwDPfJS0o
魔法カード発動!時の魔術師!

タイム☆マジック!
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/17(日) 15:37:39.02 ID:n1hUTHS+o
ガトリング自転砲とか、余裕で惑星滅ぼせるレベルじゃん
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/17(日) 16:58:13.70 ID:1jB0Mfzw0
あれ?
今までの幻生の台詞を考えると
アイツひょっとして……
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/17(日) 22:28:30.55 ID:CI/yFZ6O0
>>307
たしか柳田理論によると、一発がビキニ水爆2200億発分のエネルギー。
実現した場合、放った瞬間に49兆度の熱が発生し、新潟ぐらいの距離までまとめて吹っ飛ぶらしい。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 12:14:48.58 ID:j9MDmW6o0
>>305
ファイブオーバー・モデルアクセラレータか……
胸熱
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/18(月) 12:53:10.22 ID:ULVGM7aq0
闇咲×アニェーゼだと!?
危ない想像しか出来ないな
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/19(火) 17:25:51.61 ID:gncp6Ta6o
クソ真面目に返しちゃうけど既出のレベル5の中で再現できそうなのって超電磁砲だけな気がががが
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/19(火) 19:16:41.32 ID:3EDy/B9/0
>>312
確かに、すごパとメルヘン(未元仮面は能力で作られてるだけ)は元より、電子を曖昧なまま固定とかベクトルを操作とかは無理だよな。
既出とは言えないが、心理操作は出来なくも無いか。洗脳装置とかは実用されてるわけだし。
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/04/20(水) 20:58:01.29 ID:sf24dkzfo
限界まで実験してからぶっ壊れた五和をファイブオーバーに
仕込んで天草式にぶつけて欲しい。
彼らの隠れ方知ってるから最高のハンターだし、ハッチ開けて
五和の姿さらせば優秀な囮にもなるww
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/04/20(水) 21:08:49.86 ID:I4WFui6So
>>314
おいネタバレするなおい
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/04/21(木) 00:14:09.31 ID:OZZvlMu5o
神奈川県民ド鬼畜ワロタ
317 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:18:31.32 ID:Hp97Qcem0

こんばんはー、レスありがとうございます

>>314
さっき木原くンが笑顔でそちらへ向かいましたが大丈夫ですか?

では、投下


8月20日午後1時30分、『猟犬部隊』32番待機所


冥土帰しと寮監が帰り、残ったのはいつものメンバー。

天草式との戦いを終えた残留組が、全員揃って遅い昼食をとる。

インデックス。

ステイル。

ヴェーラ。

管理個体。

テレスティーナ。

木山春生。

そして――木原数多。

一見するといつもと変わらぬ光景。

だが、それは錯覚だった。
318 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:19:15.46 ID:Hp97Qcem0

変質、変化、変異、あるいは変貌か。

それまでと変わらぬ者がいる中で、人知れず大きく変わった者がいる。

この日、長い序章は終わりを告げた。

歪んだ世界は、さらにおびただしい量の鮮血と涙を求めて静かに蠢く。


「…………」


渦巻く策謀は未だその姿を見せず、各人が胸に隠した思いは密かに成長を続け――。


やがて終焉の時を迎える。





それから2日間、世界は不気味なほど穏やかに回っていった。



319 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:20:55.33 ID:Hp97Qcem0

8月22日午前9時30分、学園都市統括理事会


――『ワシリーサ……?』

――『ロシア成教の修道女、ね。美人なら大歓迎なんだが』

――『言ってる場合かね。我々の対応姿勢をどうするかは重要な問題だ』

――『……面倒はキライ……』

――『無視できる類のものではなさそうですし、わたくし達のスタンスは歓迎でよろしいでしょう』

――『けどよ、そうなるとイギリス清教が反発するんじゃねェか?』

――『ああ、だが仕方あるまい。現状がすでに険悪な関係なのだから』

――『そうそう。今更ご機嫌取りは無意味だって。何かあったら全部木原数多に対応させりゃーいいじゃん』

――『意見は賜りました。が、新参者にしては少々慎みが足りないようですね』

――『そりゃースイマセンでした、何分新入りは礼儀だの慣習だのに疎くて』

――『いいじゃねーの、これぐらい元気な方が頼りがいがあるってもんだ――イザとなりゃ前任者と同じく交換するし』

――『っ……』


特に声色が変わったわけでも、威圧感を感じたわけでもない。

その逆。

あまりにも平然と他者を潰そうとする異様さにこそ、新たな統括理事は怯んだ。


――『議題は終わってねェぞ、続けようぜ?』

――『では、続いて木原数多の……』


歯車は変わり、されど動き出した道筋に変化はない。

深く、深く、さらに深く。
320 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:23:20.41 ID:Hp97Qcem0

8月22日午後1時00分、第23学区の国際空港


統括理事会の承認を経て数時間。

小型のチャーター機が、学園都市の空港へ降り立った。

中から現れたのは2人の修道女。

ワシリーサとサーシャである。


「もーう。こんなに手間がかかるなんてー!」

「第一の私見ですが、むしろ総大主教やニコライ司教がこの訪問を許した事が奇跡的です」


そして相手側がそれを受け入れた事も、とサーシャは心の中で付け足した。


「言うじゃないのサーシャちゃん。ま、イギリス清教もローマ正教も、どうやら1本取られたみたいだしね」

「第一の質問ですが、その一筋縄ではいかない学園都市相手にあなたは何をするつもりですか?」


禁書目録の離脱、『必要悪の教会』の魔術師の敗北、そして聖人の肉体の奪取。

屈辱的なバチカン会議、『C文書』の破壊、そして結ばれた密約。

学園都市は、イギリス清教とローマ正教の両者に数々の痛撃を与えている。

もちろんロシア成教もそれらを全て把握しているわけではないが、ある程度は現在の力関係を読み取れた。

その二の舞になることだけは、避けなくてはならない。
321 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:24:13.25 ID:Hp97Qcem0

しかし、ワシリーサにはプレッシャーを感じている様子は見受けられなかった。

文字通り、ロシア成教の命運を背負っているにも関わらず。

だから彼女は、質問したミーシャにこう答えた。


「何をするって……お話かな。それって結構大事じゃない?」

「第一の解答ですが、対話の重要性は理解しているつもりです。ですが……」


そもそも、この状況で何を話し合うのだろうか。

魔術サイドと科学サイドの溝は、極めて深い。

ましてや両者が手を結ぶことなど、非現実的だ。

そんな風に思うサーシャだが、ワシリーサは違った考えを持っているらしく、自信ありげに笑って見せた。


「もー、心配性なサーシャちゃんもカワユイなあ。大丈夫大丈夫、任せなさいって」


すたすたと先を歩くワシリーサを、小柄なサーシャが早歩きで追いかける。

彼女が追いつく直前、上司が漏らした言葉には気づかなかった。



「木原数多……あなたは不実で醜い大人なのかしらん?」

322 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:25:04.80 ID:Hp97Qcem0

同時刻、胤河製薬学園都市支店


研究棟地下3階の一番奥で、とある老人が虚空を見つめている。

その表情は優しげで、かつて多くの子供を犠牲にしたマッドサイエンティストとは思えないほど。


「学園都市のモノとはまるで異なる法則……かつて私も、君と同じように魅了されたものだ」

「那由多をはじめ、多くの被験者を使ってそれに近づこうとした」


そこまで述べて、彼の言葉が一瞬詰まった。

優しげな表情が徐々に曇り、続く独白からは力が感じられない。


「……だがやがて悟ったよ」

「科学者では、立ち入れない一線があるのだと」

「数多、君はそれにいつ気が付くのかな?」


嘲笑と、悔恨と、ほんの少しの期待。

それっきり、彼は何も喋ろうとしなかった。
323 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:26:15.69 ID:Hp97Qcem0

同時刻、『猟犬部隊』32番待機所


アビニョンから戻ってきたマイクは、木原に事の顛末を報告していた。


「――これらの点を踏まえ、『C文書』の奪還は不可能と判断し、焼却することにしました」

「なるほど。馬鹿かテメェは?」


そう言いながら、木原からはそれほど怒りは感じられない。


「だったら最初から爆撃機で事足りたろーがよぉ。部隊の派遣に幾ら掛かったと思ってんだ間抜け」

「申し訳ありません」

「……戦闘記録と、新型兵器の実戦データ。その2つに免じて殺しはしねぇ」

「ありがとうございます」


なんだ、それぐらいは予想できてたか、と木原がつまらなさそうに褒める。

内心綱渡りの心境だったマイクも、死なずに済んでホッと深呼吸した。


「つーかよぉ、すぐに忙しくなるんだ。正直無駄に殺してる余裕もねえ。これから挽回しろ」

「了解」


それから幾つかの伝達事項を確認すると、マイクはトレーニングルームへ向かった。
324 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:27:03.76 ID:Hp97Qcem0

トレーニングルームには、ヴェーラとナンシー、エツァリとショチトル、そしてステイルが集まっていた。


「どうにか命は長らえた。ナンシーも安心していいぞ」

「……ふう、冷や冷やしたわ」


マイクの言葉でようやく安心したナンシーに、ヴェーラが飲み物を手渡す。


「良かったわねナンシー」

「ホント。木原さんの怒りは、何度経験しても慣れないのよ」

「まあ、何人も部下を殺すの見てきたもんね」


木原を好いているヴェーラがどこか平然と答えるのを聞いて、ナンシーは話す相手を間違ったと苦い顔をした。


「なにはともかく、まずは互いの無事を喜ぶことにしましょう」

「あ、そう言えば義手の調子はどうなのデニス?」


エツァリの言葉に反応したヴェーラが、彼の右腕を見ながら問いかける。


「問題ありません、良く馴染んでいます」


そう言いつつ、エツァリが右手をヒラヒラと振って見せた。
325 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:27:54.42 ID:Hp97Qcem0

今回の戦いで、最も傷ついたのはエツァリである。

何しろ右腕を失ったのだ。

代わりの義手がすぐに用意されたとはいえ、復帰にはしばらく時間が掛かるだろう。


「『神の右席』を倒せたのですから、腕1本ぐらい安い買い物ですよ」

「エツァリ……すまない……」


それでも明るい彼とは対照的に、ショチトルが暗く沈んだ声で謝罪した。


「私がもっと役に立っていれば、こんなことには……!」

「自分を責めないでくださいショチトル。2人とも生きているんですから」


そんな2人を横目で見ながら、ステイルが煙草の煙をフーッと吐き出す。


「傷を舐め合うなら、話が終わってからにしてもらいたいね」

「どうせまた、ロクでもない仕事が待っているんだろう?」


ステイルの投げやりなセリフに、マイクが首肯して資料を取り出した。
326 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:29:01.93 ID:Hp97Qcem0

同時刻、学園都市第11『門(ゲート)』管理室


普段なら有り得ない出来事に、門を警備する2人のアンチスキルが揃って困惑した。


「警察……?」

「何だってまた、警察が学園都市に?」


学園都市の警察業務は、アンチスキルやジャッジメントが代行している。

故に本職の警察が来ることはまず考えられなかった。

しかし今、闇咲と名乗る警官が、捜査のため立入許可を求めてきたのだ。

おまけに後ろには、短いスカートの修道服を着た少女までいる。


「君らで判断が出来ぬのなら、上層部に取り次いでもらいたい」

「――2年前の“文科省職員焼死事件”の捜査だと言えば通じるはずだ」

「はあ……少々お待ちを」


それから15分ほどして、闇咲とアニェーゼは中へ入る許可を得た。

学園都市に新たな火種が持ち込まれた瞬間である。
327 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/21(木) 02:29:42.14 ID:Hp97Qcem0

今日は以上でおしまいです

テレスティーナとインデックスに関しては、おいおい描写することになります(五和についても)

次回誰のターンかは未定です

では、おやすみなさい
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/04/21(木) 02:33:39.99 ID:auIqCpcMo
おつ
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/04/21(木) 02:42:51.11 ID:7GMsF9gfo
おつー、おやすみさん
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/21(木) 04:13:15.99 ID:jyxfKw1V0
乙ー
はやく五和の実験シーンをハアハア
 
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/04/21(木) 08:02:20.62 ID:pSjxJf+p0
いつになったらゴリラ先生は登場するんだろう?
監寮さんが木原一族だったからゴリラ先生も驚く設定が・・・・あるのか?
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/21(木) 10:11:11.42 ID:HuxaLrgro
ないよ、ゴリラ先生はまごうこと無きゴリラだから
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/21(木) 11:12:35.33 ID:rySAqIjno
そもそもゴリラじたいがすでに驚くべき設定
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/21(木) 11:25:27.55 ID:tDAqjTJb0
文科省職員焼死事件ってヴェーラか?

ふむ
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/23(土) 12:03:20.36 ID:3STXXFqL0
ワシリーサの行動が楽しみだ
336 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:47:12.79 ID:CTlnJmES0

こんばんはー、レスありがとうございます

>>331
えーと、申し訳ないですが多分出ません
他の教師はいずれ登場するかも

では、投下


8月22日午後2時00分、『猟犬部隊』32番待機所


「……時間だな」


会議室の机にだらしなく足を乗っけていた木原が、ゆっくりと起き上がる。

それを見て、彼の後ろに控えていたマイクとナンシー、そしてエツァリも警戒態勢に入った。

現在統括理事会を訪ねているロシア成教のシスター2名が、間もなくここを訪ねることになっているからだ。

その目的は不明。

だが公式な手続きを経ている以上、木原の権限で面会を断るのは難しい。


(十字教三大宗派が一角、ロシア成教の魔術師)

(このタイミングで、いったい何を狙ってやがる……?)


そして、場違いなほど明るい声が木原の耳に届いた。


「はろはろーん。学園都市の皆さんこんにちはー!」


337 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:48:22.50 ID:CTlnJmES0

同時刻、第1学区の合同庁舎ビル15階


木原が抱える問題は、これだけではない。

突然現れた外部の警察官による捜査も、同時に対応しなくてはならなかった。

本来なら木原ではなく他の暗部組織が片を付けるべき案件なのだが、今回はそうもいかない。

何故なら、やってきた警察官はこう名乗ったからだ。

自分は捜査零課の人間である、と。

それは眉唾物と思われた魔術サイド専門の部署を指す。

そして相手が魔術師ならば、それは木原率いる特別編成隊の管轄だ。

木原はしばらく考えた末、その対応をステイルとショチトル、そしてヴェーラに任せることにした。

選ばれた3人は、会合場所であるこのビルの応接室に先に到着している。

服装は、装甲服を警備員のものに偽装したものだ。


「どうして僕達が、日本の警察なんかの対応をしなくちゃいけないんだ」


苛立ちを隠そうともしないでそう述べるステイルに、ヴェーラが静かに反論した。


「木原さんの人選よ、間違いなく何らかの意味があるわ」

「ふん。それはどうかな」
338 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:49:17.67 ID:CTlnJmES0

ステイルが白煙を吐き出し、ジロリとヴェーラを睨む。


「そもそもあの男は、今回警察が何で来たのかも分からないと言っていたじゃないか」

「言ってたわ」

「だったら……」

「馬鹿ね」


ステイルの言葉を、ヴェーラが失笑気味に否定した。


「あの人が、自分の胸の内を私達ごときに教えるとでも?」

「な!」

「“分からない”はずがないでしょう? 既にあの人は、何手先をも見据えて駒を配置している」

「そんな当たり前のことも想像出来ないなんて、随分と素直な性格なのね」

「……チッ」


ステイルが悔しそうに顔を歪めるが、反論はしない。

けれど両者が険悪な雰囲気になったのは明らかだった。

そんな2人の間に、ショチトルが割って入る。
339 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:50:29.35 ID:CTlnJmES0

「2人とも、ここで争って何になるんだ?」

「「……」」

「私とステイルは、日本の警察を良く知らない。ヴェーラは魔術師についてあまり分からない」

「なら協力するしかないだろう。失敗なんかしたらエツァリお兄ちゃ……いや、とにかくマズいことになる」


ショチトルの訴えを聞いて一応は納得したのか、それ以上の言い争いはなくなった。

応接室の扉がノックされたのはその後すぐだ。


「失礼する。捜査零課の闇咲……む、これは……?」

「ちょっとちょっと、入り口で止まりやがるのはやめてくださいよ。入れねーじゃないですか」


闇咲が突然立ち止まったので、後ろにいたアニェーゼが文句を言う。

しかし彼は、彼女の話をまるで聞いていなかった。

普段は閉じている両目が、驚きでクワッと開いている。

その視線は、ヴェーラへとまっすぐ向けられていた。


「……2年前に焼死したはずの君が、何故ここにいる?」


木原による“先手”が、相手の思惑を嘲笑う。
340 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:51:15.07 ID:CTlnJmES0

8月22日午後2時05分、『猟犬部隊』32番待機所


ワシリーサがあまりにも楽しげに登場したので、マイク達は気勢を削がれて立ち尽くす。


「ロシア成教のお二人さん、ようこそ学園都市へ」


唯一動揺を見せない木原が、おざなりに歓迎の言葉を吐く。

それでもワシリーサは、嬉しそうにニッコリと笑った。


「そう言ってもらえると嬉しいにゃーん。あ、あとTV見ました、木原数多さんサインくださーい」

「……ワシリーサ」


サーシャが呆れたように注意するが、他の人間はそれどころではない。

特に魔術師であるエツァリは、ワシリーサの放つ圧倒的なプレッシャーに冷や汗が止まらなかった。


(『神の右席』に対面した時と同じような、圧倒的な魔術師としての“格の差”……)

(何ですかこれは……『原典』……否、もっと違う“何か”だ)


隣にいるマイクとナンシーも、ワシリーサの得体の知れなさだけは鋭敏に感じ取っている。

341 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:52:04.85 ID:CTlnJmES0

今この場にいるのは僅か4人。

木山とインデックスは念のため別室に移動しているし、テレスティーナは今も地下で実験中だ。

いざとなればクローン部隊を使うとはいえ、エツァリは生きた心地がしない。


「俺もそちらさんの名前は知ってる。有名な童話のヒロインに出会えて光栄だ。……サインくれっかな?」


だからこそ、木原が平然とそう言い返した事に驚愕した。


「やだもー、ヒロインだなんて照れちゃう」

「第一の質問ですが、話が進みませんのでとっとと本題とやらに入ってはどうですか?」

「やん、サーシャちゃんったら怖い。じゃ、改めて名乗りましょうか。『殲滅白書(Annihilatus)』のワシリーサよん」

「サーシャです」


2人がそう言うと、マイク達が1歩近づいて少しばかり頭を下げる。


「マイクだ」

「ナンシー」

「デニスと言います」


そして最後に。


「木原数多だ。この学園都市で、魔術サイドとの“交流”を任されている」
342 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:52:47.51 ID:CTlnJmES0

臆面もなくそう言い切った木原に、ワシリーサがますます楽しそうに笑顔を向けた。


「……交流、ね。良かったあ」

「いきなり攻撃されちゃうかもって、実は不安だったし」


欠片も怯えを見せずにそう言ってのけるワシリーサに、木原も同じ態度で言い返す。


「俺もだ。てっきり殴り込みに来たのかと思ってたんだが」

「うふふ、まさか」


腹の探り合いは、そこが限界だった。

それまでの空気を一変させ、木原が鋭く質問する。


「じゃあ目的なんだ?」


そしてワシリーサは、この場にいる全員を驚かせる一言を告げた。





「実はロシア成教から逃げてきました。だから学園都市で匿ってほしいな☆」





343 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:54:06.37 ID:CTlnJmES0

誰もが――木原ですら――驚いて言葉を失うが、この中で最も愕然としたのはサーシャである。


(え、は、へ?)

(どういう事ですかワシリーサ聞いてませんよ知りませんよ何ですかこれはどういう状況ですかいい加減にしろよクソ野郎)

(ちょ、ちょっと落ち着いてサーシャちゃん。口調がおかしいゾ?)


ワシリーサの首を掴んでガクガクと揺さぶるサーシャだったが、やがて深呼吸して小声で尋ねた。

首に掛けた手は離さず、その力を少しも緩めないまま。


(……第二の質問ですが、何でこういう事に?)

(えっとぉ、ニコライの指示でスパイ活動を……)

(第三の質問ですが、嘘ですよね? ってゆーか、この訪問本当に上の方の許可を取ったんですか?)

(……てへ)

(それじゃあホントに反逆行為じゃねーか!)


ブチ切れたサーシャが、完全に口調を乱してギュウギュウとワシリーサを絞める。


(ああ、Sなサーシャちゃんも素敵……けどだんだん目の前が暗く……)

(第一の解答ですが、そのまま死ねこの変態)
344 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:55:15.57 ID:CTlnJmES0

そんな2人を見ていた木原が、これからどうすべきか分析する。


(この女、目的がまるで見えねえ)

(確かに懐に抱えるには危険すぎる爆弾だが……)

(かといって、このチャンスを捨てるのもな)


すでに結構な量の問題を抱えているのだ。不用意なリスクは避けたい。

では、彼女達を安全に活用する方法はあるか。

――ある。


(ワシリーサか……用意していたカードの1枚、切る価値はありそうだ)

(フィアンマに連絡を入れておこう)

(こっちの世界の木山ちゃんにもな)



こうして、その日のうちに“元ロシア成教『殲滅白書』”の修道女2名が、新たに猟犬部隊へ加わった。


(虎穴に入らずんば虎子を得ず。これからが楽しみね、木原数多)

345 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/04/27(水) 01:55:47.94 ID:CTlnJmES0

今日はこんなとこで終了です

更新が遅くて申し訳ない

次は闇咲のターンです

では、おやすみなさい
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/04/27(水) 01:59:19.13 ID:7np9MR6Fo
ワシリーサは本当に想像を超えることするな
乙です
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/04/27(水) 02:24:19.97 ID:WaCIaWq2o
おつ

いい意味で予想を裏切りおったww
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/04/27(水) 12:09:43.03 ID:Ns5CEo1l0
うわぁサーシャ涙目ww
ワシリーサの思惑がぶっ飛びすぎてて理解できん
木原くンと良い勝負だな
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/27(水) 20:23:57.67 ID:pOkBog+90
ワシリーサが加入とか、これからどうなるんだ……?
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/04/28(木) 01:00:20.14 ID:H18LHnXAO
木原くンすら予想外のワシリーサの加入・・・

何が始まるんです?
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 11:05:16.54 ID:xI/wuXDF0
>>350
楽しい楽しいパーティーじゃね?
もしくはカーニバル
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/04/28(木) 13:21:16.40 ID:JkGxEjTM0
一気に読ませていただきました。
何この木原くんかっこよすぎでやばすぎる。
魔術サイドには化け物が多いけど、この木原くんならあっさり倒しそうで怖い
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/28(木) 16:58:59.01 ID:ojiu8UJqo

俺のマイクがシバかれずに生きててメシが旨い
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/01(日) 23:46:43.29 ID:sM8xETato
面白い
支援
355 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:36:31.40 ID:B9Ljn6d50

こんばんはー、レスありがとうございます

では、投下


8月22日午後2時10分、第1学区の合同庁舎ビル15階


予想だにしない展開に、闇咲は沈黙した。

今回の捜査は、2年前の“文科省職員焼死事件”に関するものだとあらかじめ伝えてある。

その会合に焼死した当の本人が出てくるなどと、予想できるはずがない。


(何のつもりだ……?)

(捜査零課の名を出した以上、間違いなく木原数多が手を出してくると思っていたのだが)

(……いや、むしろコレが木原数多の意図だとすれば)


闇咲が1つの可能性に思い至ると同時。

彼以上に唖然としていたヴェーラが、焦燥も露わに立ち上がる。

否、立ち上がろうとしてステイルに阻まれた。
356 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:37:34.76 ID:B9Ljn6d50

ヴェーラは咄嗟に振り払おうとするが、ステイルがそれを一喝する。


「落ち着け。君がここにいるのも“あの男”の人選なんだろう?」

「けど……私の事がバレてるなんて……!」

「だから落ち着けと言っている。大人しく座ってればいい」


それだけ言い捨てると、ステイルは闇咲へ向き直って不敵な笑みを浮かべた。


「さて、とりあえず事情を説明してほしいな。何せ僕達は、上司からこの会合の目的すら聞かされていないからね」


非常識極まりない要請を、彼は堂々と口にする。

だがそもそもこうなったのは、リーダーである木原が情報を伏せていた所為であって不可抗力だ。

その開き直った態度に一瞬面食らった闇咲だが、彼はやがて、ふむ、と頭を掻いて説明を始めた。


「私が学園都市に来たのは、2年前のとある事件の再捜査の為で――」


こうして、ステイル達はヴェーラが過去に巻き込まれた事件を知ることになる。

大方の概要を説明した闇咲に、ステイルはフンと鼻を鳴らした。

この話を聞いて、彼は木原の目的を理解したからだ。
357 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:38:11.60 ID:B9Ljn6d50

「話は分かった。そこの彼女が焼死したとされる事件について、調べに来たわけだ」

「ああ」

「だったら、話はこれでオシマイだね。見ての通り、彼女はそこで生きている。以上」

「……ふざけているのかね?」

「いいや、大真面目さ」


並の人間なら耐えられそうもない闇咲の威圧感を、ステイルは気にも留めない。

むしろそれを楽しむかのように一呼吸おいて、彼はゆっくり会話を続ける。





「真面目に、本題に入れと言っているんだよ」






それを聞いて、隣にいたヴェーラもようやく理解した。

自分がここにいる意味と、ステイルが選ばれた訳を。
358 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:38:55.71 ID:B9Ljn6d50

「あの男が彼女をここに寄越したのは、下らない“建前”をさっさと終わらせるためだ」

「ほう」

「捜査零課が、たかが1人の行方不明者の為に動くはずがない」

「そうだろう? 神道系魔術師を統括し、この国における魔術関連事件を一手に引き受けている君達はそこまで暇じゃないからね」

「ふ、詳しいな」


闇咲の純粋な賞賛が、ステイルに贈られる。


「どうも。で、学園都市に目を付けた本当の目的は?」


彼はそれを軽くあしらいつつ、さらに鋭く切り込んだ。


「……」

「……」


両者の沈黙を破ったのは、言葉ではない。

キリキリ……という何かを引き絞るような音。


「!」


闇咲の右腕に装着された、梓弓の絡繰りが動いた音だった。
359 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:39:37.95 ID:B9Ljn6d50

同時刻、『猟犬部隊』32番待機所の地下研究所


ロシア成教や捜査零課といった新たなファクターを迎え、目まぐるしく変化する周囲の状況。

そんな中、テレスティーナは1人研究に没頭していた。

何しろ“敵”は幾らでもいる。兵器開発の手を休ませるわけにはいかない。


「あら、ここでエラー?」


とはいえ、そんな理由は後付けだと言える。

ただ単純に彼女は研究や実験が大好きなのだ。

ましてや、とびっきりのモルモットが手に入ったとなれば尚の事。


「じゃあこれでどうかしら?」


キーボードの上に這っている手が、高速でコマンドを修正して打ち直す。

その度に真横で痙攣する物体など、テレスティーナは見向きもしない。
360 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:40:40.60 ID:B9Ljn6d50

その物体こそ、眼球・声帯・四肢を切り取られた五和である。

しかし、彼女を知る人物は誰も彼女を五和だと認識出来ないだろう。

頭髪は抜けきり、顔面は歪に変形してしまっている。

止まらない涙と涎、そして汗で皮膚はかぶれてボロボロ。

さらに苦痛のあまり力みすぎて、各部の毛細血管が破裂して全身が真っ赤に染まっていた。

だがそれより重症なのは、彼女の内面だった。

五和を認識出来ないのは知り合いだけではない。

“本人”ですら、もはや自分が誰だか分かっていないのだ。

何日も絶え間なく続く実験。

それはテレスティーナによって脳を弄られていた事を意味する。


「……っ」

「……!」


肉体的には死なないように調整された上、その叫びはモニターに表示される数値のみ。

学園都市製の悪趣味な機械装置を大量に取り付けられた今の彼女は、呼吸するだけの肉塊と成り果てていた。
361 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:41:50.99 ID:B9Ljn6d50


――エラー:変換エネルギー、目標数値に届かず。4,574,164/69,882,735

――エラー:想定された物理現象を計測せず。

――エラー:原因の分析。失敗。入力した理論式を確認してください。


「おかしいわね。魔力変換コードに異常はないはず」

「これが能力者なら、脳内回路を精査するだけでいいんだけど……」


現在テレスティーナが行っているのは、外部からの刺激による魔術の発動実験だ。

もしもこれが成功すれば、クローン部隊を使って魔術を扱うことが出来る。

いずれは、禁書目録の知識を利用した大規模魔術だって展開可能になるかもしれない。

だが、その分析は難しく困難を極めた。


「やっぱり、比較サンプルが必要よね」


モルモットが1匹だけでは、自ずと研究にも限界がやってくる。

彼女は残念そうに嘆いて、『歩く教会』の開発ブースへ出かけて行った。
362 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:43:34.77 ID:B9Ljn6d50

同時刻(日本時間)、ランベス宮のとある一室


選ばれた3名の女性魔術師が、部屋の清掃や魔術の構築を行っている。

構築された魔術は、いずれも精神系の回復術式だ。

その対象となるのは、部屋の中央、馬車を象った大理石の上で倒れ伏す1人の女性。

3週間前に、学園都市で木原とテレスティーナに敗北したゴーレム使い。

暗号解読のスペシャリスト、シェリー・クロムウェルである。


「これで本日は終了ですね」

「はい」

「では退室しましょう」


いつも通りの日課をこなした魔術師達は、速やかに部屋を出ていく。

彼女らが退室した直後。


「…………」


静寂が支配するこの部屋で、ゆっくりと人影が起き上がった。


「…………」


暗闇の中、血走った眼を爛々と光らせながら。

363 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:44:34.83 ID:B9Ljn6d50

同時刻、天草式十字凄教のとある拠点


学園都市から逃げた建宮達25名は、これからの策を話し合っていた。

だが、相手の圧倒的な索敵能力に対抗する方法は存在しない。


「一番確実なのは、木原数多を学園都市の外へ誘き出す事よな」

「確かに。だが向こうも、そう易々と出てきたりはしないだろう」


建宮の言葉を、諫早が首を振って否定する。

先の戦いで仲間の半分を失ったのだから、消極的になるのも当然だ。


「ん?」


その時、建宮の携帯から場にそぐわぬ明るいメロディが流れた。

警戒しつつ彼が応答すると、電話相手は感情が全く読めない声色でこう述べる。





『天草式の方々ですね。木原数多を抹殺する方法、お教えしましょうか?』



364 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/03(火) 03:45:05.98 ID:B9Ljn6d50

今日はこれで終わりです

次回は木山先生と管理個体、そしてワシリーサ達のターンの予定です

では、おやすみなさい
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/05/03(火) 04:29:23.44 ID:18zDiZe3o
五和…
乙です
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga]:2011/05/03(火) 06:10:13.57 ID:Af/c5rzXo
ぎゃああああああああああ!
五和らめぇぇぇええええ!
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/03(火) 11:09:09.24 ID:rCHYbSb70
テレスの比較サンプルは誰になるんだろうか?
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/05/03(火) 19:37:04.37 ID:xY2W1Fen0
まさかのシェリー再戦?
このシェリーには狂気を感じる……
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/03(火) 20:28:49.42 ID:uNT+iecoo
あれ、シェリーって最後にどうなったんだっけ?
遠隔で自爆したと、脳内捏造しちゃってたっぽいけど。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/03(火) 20:43:18.72 ID:31kV3knx0
自爆後重傷のシェリーをステイルが回収してたはず
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 21:53:05.19 ID:yjOER0FJo
自爆とイギリスへのワープがワンセットの術式をローラが仕掛けていたって話だったはず
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/03(火) 22:41:26.43 ID:I7JJMMdyo
ローラちゅっちゅ
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/03(火) 22:51:51.56 ID:cJCjrOEIO
シェリーの怒りがどっちに向くのか、楽しみだな
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/03(火) 23:12:50.12 ID:nG9gWcdy0
木原の方に向いたら濡れ衣も良いとこだろう
今のシェリーは狂ってるっぽいから無いとも言えないけど
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/03(火) 23:41:50.04 ID:QdYpPQmZo
見た感じ、科学・魔術両サイドにバサカってもおかしくないな<シェリー
でもここのローラは黒いから平気で洗脳・改造とかして、今度こそ本物の特攻兵器に仕立て上げるかもしれぬ…
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/04(水) 17:09:59.90 ID:QAOOLGpUo
シェリーの暗号解読能力ってかなり貴重なはずだからローラとしては特攻兵器よりも強制自爆の復讐対策で自我を破壊して生体コンピューターみたいにする予定じゃね?

それを察知したシェリーが脱走、両陣営相手に狂戦士化するか、「自爆させたのはイギリス」みたいな感じで木原に丸め込まれて科学サイド入りみたいになると予想
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 17:35:49.33 ID:StNxXEISO
やだ…この人達気持ち悪い…
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/04(水) 18:27:20.24 ID:PPc+wbBpo
我々の業界では褒め言葉です
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/04(水) 20:19:38.21 ID:7Fzwz8+0o
業界(暗部)か
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/04(水) 23:54:29.15 ID:gtxeqerG0
うわぁぁぁぁぁ痛い痛い痛い! 何故か五和の様子が無駄に想像できてあbbbbb

ふう… 乙です
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/07(土) 05:45:56.87 ID:1WNPsb1W0
五和さん
もう五和じゃなくて
だるまだよ

by.テレスティーナ
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/08(日) 22:42:33.51 ID:3kEP6fFN0
だるまにも穴ってあるんだよな…
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/09(月) 01:15:45.64 ID:Ycy1BeHAO
五和のダルマモード!
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/09(月) 01:29:38.48 ID:mCjR4c3/o
五和さんは我々のダルマアイドル
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/09(月) 02:22:28.88 ID:3fWJjfD5o
※このスレは猟犬部隊候補のクズ共で構成されています
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/09(月) 02:30:44.80 ID:Y78rzxKqo
かつて某スレで麦のんの肉片ぺろぺろしてたような奴らの集まりと言うことか
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/09(月) 02:44:28.50 ID:3fWJjfD5o
あ、たしか肝臓ゲットしたの俺だわ
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/05/09(月) 03:15:49.95 ID:Wi3TIpwzo
そういや俺髪ゲットしてたなぁ
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/09(月) 09:56:12.10 ID:5BSfenVL0
いやァ 俺 じつは
麦のんの肉塊はくってないんだよなァ
390 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:29:36.59 ID:J2hOCxyZ0

こんばんはー、レスありがとうござ……って言いたくない感じのレスばっかりww

どうしてこうなったんでしょうか

シェリーと五和は、もうしばらくお待ちください

では、投下


8月22日午後2時10分、『猟犬部隊』32番待機所


ワシリーサが学園都市への亡命を要請したその時。

木山とインデックス、そして管理個体は別の部屋で暇を潰していた。


「うわわ……今の見たベーシック? カナミンの新技が出たんだよ!」

「見ました。かなみんかっこいいですねー」

「でしょでしょ!」

「……君達、少し静かにしてくれないか?」


アニメを見て盛り上がる子供2人に、木山が無駄と知りつつ注意する。

そして予想通り、その注意は彼女らの耳に入ることなく素通りした。
391 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:30:36.96 ID:J2hOCxyZ0

賑やかな歓声に顔をしかめながら、木山は誰にも気づかれぬようホッと息をつく。


(インデックス……彼女の顔色が、一昨日辺りからあまり良くなかったのだが……今日は普段通り元気そうだ)

(……バカバカしい。こんな私が心配したところで、無意味だというのに)


偽善と分かりつつインデックスを心配する。

そんな情けない自分を、木山は諦めと侮蔑、そして僅かな怒りの心を以て自虐した。


「ほら、もう少し画面から離れて。目を悪くするといけない」

「えー、でも」

「べーしっくは良い子ですから、言われた通りにします」

「う、分かったんだよ……」


年下の管理個体に倣って、インデックスが渋々テレビから遠ざかる。

もしもこの時、木山がインデックスの異変をちゃんと調べていたら。

恐らくこの話は――そこで幕を下ろしていただろう。

他ならぬ木山春生の死によって。
392 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:31:30.02 ID:J2hOCxyZ0

8月22日午後2時30分(日本時間)、バチカン


「ロシア成教が動いたか。さて……」


聖堂の『奥』に佇むフィアンマが、簡素な椅子から立ち上がる。

木原からの連絡で、『殲滅白書』の修道女が学園都市入りしたことを彼は知った。

相手がワシリーサと呼ばれる凄腕の魔術師であることも。


「ま、アイツでは俺様の“計画”の障害にはならんだろうが――獲物を横取りされるのは好きじゃない」


彼はそう嘯くと、本の形をした霊装を用いて通信術式を発動させた。

相手は。


「さてニコライ。子飼いの修道女に逃げられた感想を聞かせてもらえるか?」

『フィアンマ……何故貴様がその事を知っている!』


ロシア成教所属、ニコライ・トルストイ司教。

ワシリーサやサーシャ達の直属の上司だ。
393 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:32:21.01 ID:J2hOCxyZ0

同時刻、『猟犬部隊』32番待機所のVIPルーム


必要な所へ必要な連絡をした木原が部屋から出てくると、廊下でワシリーサが待ち構えていた。

ちなみにサーシャは、頭痛と心痛の為与えられた部屋で寝込んでいる。

木原の指示で、その部屋はマイクが警護していた。


「何か用か?」

「デートのお誘いでーす」

「なるほど。だが俺を口説くなら、もっと“刺激的”な誘い文句を用意しろよ」

「うふふ。お子様には見せられない、大人の時間を楽しまない?」

「おお、悪くねぇな」


互いに“確認作業”を終えると、木原は隣にある自分の寝室へワシリーサを案内した。





そして部屋に入った瞬間、彼女をベッドへ押し倒す。




394 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:33:08.63 ID:J2hOCxyZ0

組み伏せられても、ワシリーサに動揺や恐怖はない。

それどころかむしろ楽しそうに木原に笑顔を向けた。


「ちょっとガッツキ過ぎじゃなーい?」

「……」

「それともこういうプレイが好きなの? けど私を苛めていいのはサーシャちゃんだけなんだからね!」

「……」


頬に手を当て、イヤンイヤンと首を振るワシリーサ。

だが、彼女の軽口もそこまでだった。


「はれ?」


突如ベッドから何本もの槍が突き出てきたからだ。


ドッ、ガシュ、ズブ!!


その位置を把握していた木原はあらかじめ当たらない位置に陣取っていたが、抑え込まれたワシリーサはそうもいかない。

大して反応できぬまま、体の至る所を貫かれた。
395 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:34:08.61 ID:J2hOCxyZ0

「ッ……あ、あ……」


口から血を吐き、必死で伸ばした手はだらりと力なく落ちる。

やがて動かなくなったワシリーサに、木原はこう吐き捨てた。


「下手な芝居してんじゃねーよ。テメェがそれくらいじゃ死なないのは分かってる」

「やーん、ショックー」


明らかに致命傷を負ったはずのワシリーサが、何事もなかったかのように再び喋りだす。


「それにしても、どういうつもりなのかしら?」


木原は答えない。彼女を無視して、起きた現象を賞賛していた。


「『命の水』による再生能力だっけか。いやあ化物ってーのはいるもんだなぁ」

「ちょっとちょっと、亡命した人間を殺そうとするなんて、学園都市の外交としてはオッケーな訳?」

「あ? どうでもいいだろ、そんな事は」


本気でそう話す木原の顔を見て、初めてワシリーサは相手のイカレ具合を理解した。
396 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:35:09.17 ID:J2hOCxyZ0

心の中で驚くワシリーサを無視して、木原は話し続ける。


「俺の部隊に入った以上、俺の流儀に従ってもらうまでだ」

「世界大戦も、統括理事会も、十字教もどうでもいい」

「常に目的はシンプルに。俺は、俺の知らない魔術を研究する」

「他の下らねぇ雑事はおまけに過ぎない。だろ?」


未だベッドに串刺しされているワシリーサが、それを聞いて挑発的に口元を歪めた。


「例えその結果、自分が死ぬことになったとしても?」

「死ぬ気はねぇよ。それとも俺を殺してみるか?」

「……」

「だろうな。この場で俺を殺せば、化物のテメェはともかくあのガキは確実に死ぬ」


そのためのマイクによる警護だ。

いざと言うとき、サーシャを抹殺する準備は既に完了している。
397 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:36:02.26 ID:J2hOCxyZ0

「そもそも、俺らとやり合うつもりならガキを連れてくる必要がねぇ」

「実力的にも不十分だし、第一あれが戦力なら亡命の事を知らせて戦闘準備ぐらいはさせているはずだ」

「最初に会った時の反応を見る限り、今回の亡命はテメェの独断とみて間違いない」

「それにあのガキを付き合わせているってことは、だ」


確信をもって木原が言い放つ。


「テメェが学園都市に来た理由は、あのガキにある。――そうだな?」


一拍おいて。


「やれやれ。こうも早くサーシャちゃんの事を見抜かれるとは思わなかったわ」


ワシリーサが白旗を上げ、木原の言の正しさを認めた。

そしてベッドから起き上がろうとして一言。


「……全部説明するから、一先ずこの槍抜いてくれないかにゃ?」

398 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:36:55.76 ID:J2hOCxyZ0

同時刻、とあるビルの屋上


「ふふ」


何時かと同じように、白衣を着た女性が笑う。

その笑いは、この世界の誰かに対して向けられたものではない。


「愚かで愛しい統括理事長、アレイスター」

「……もう1人の私よ、いつになったら気が付く?」

「そちらの世界では、すでにプランは破綻しているという事に」


周りには誰もいない以上、これは独り言だ。

だが、それはある意味正しく、別の意味では間違っている。


「『樹形図の設計者』を失い、『猟犬部隊』は壊滅した」

「綻びは誰の目にも明らかとなっている」

「そして何より――」

「『幻想殺し』など不要という事実に気が付かないままでは、敗北は必定だ」

「だからこそ私は、アレイスターと言う名前さえ捨てた」


一瞬だけ、彼女の声が木山から『人間』アレイスターのモノに変化する。


「アレイスター。『異界反転』は、まだ終わっていないぞ」

399 :別人 ◆Q7pSHpMk.k [saga]:2011/05/10(火) 02:37:26.56 ID:J2hOCxyZ0

今日はこれで終了です

次回はステイルのターンの予定です

進捗が遅くて申し訳ない

では、おやすみなさい
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/10(火) 02:41:09.46 ID:qG3+DCcAo
おやすむ
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/10(火) 03:04:44.66 ID:Xqk5hXDDO
女の子にこの槍抜いて、とか言われたいです
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/10(火) 10:14:54.26 ID:zqQEKPUE0
なんだヤらないのか
勿体無い
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/05/10(火) 11:18:21.49 ID:0X+jgNi20
更新乙
『幻想殺し』など不要という事実

星さんのせいで散々な目に合ってきた上条さん涙目
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/10(火) 15:02:00.64 ID:AtFX7L4I0
ワシリーサと串刺しプレイとか……ふう
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/11(水) 02:18:48.75 ID:CMfP12pt0
槍をペニスに置き換えて場面想像したら興奮した
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/11(水) 02:45:10.01 ID:IAbuPREDo
ああ、ベッドから槍がたくさん出てくるってそういう・・・
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/05/11(水) 09:00:49.62 ID:10UVyRIso
障子から槍ェ…
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/11(水) 23:33:34.26 ID:mpBLVywv0
ここにはクズしかいないのか
木原くンも大喜びだ
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 00:04:36.22 ID:NT8ID+/p0
『異界反転』って刀夜さんが土産物で偶然作ってしまった魔法陣の一つ、だよね?
アレイスターの計画にはそれすら含まれていたのか。
ていうか刀夜さんてある意味上条さんよりよっぽどとんでもな存在だと思うんだ。
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/12(木) 06:03:11.45 ID:b7rdwZgNo
上条って名字自体が原作で意味を持ってるんだから、刀夜がなにかしらの力を持って
てもおかしくないと思う
上条一族の中で究極の存在が上条当麻なのかもってずっと前から妄想してたわ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/13(金) 21:57:17.89 ID:+w4rgwpao
>>410
神浄一族と龍神一族の子だもんな
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/13(金) 22:35:50.77 ID:EvC3yKsDO
正直、新訳だと上条さんの代わりに乙姫に幻想殺しが宿って主人公になるんだと思ってた
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/05/18(水) 23:18:30.69 ID:npoAduxH0
うおー早く続きが見たい…
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 00:52:51.71 ID:wgc7ixoDO
既出かもだが気付いたんだけど
神浄の討魔と同じく
御坂美琴もかなり神聖な真名だよな
ミサ/カミ/ミコ/ミコト

ミサ:ローマカトリック教会で,神をたたえ,罪のあがないと神の恵みを祈るための儀式

カミ:[神]人知を超えた存在として畏怖・崇拝され,信仰の対象となるもの。人格化されて神話・伝説などに登場し,超能力をもって活躍するもの

ミコ:[神子・巫女]神事に奉仕し,神職を補佐する未婚の女性。神がかりの状態になって神託を告げたり,死者の口寄せをしたりする女性。

ミコト:[神号]いわば、尊称である。代表的なのは「カミ(神)」と「ミコト(命、尊)」である。「ミコト」は「御事」すなわち命令の事で、何かの命令を受けた神に付けられるものである。(例、スサノオノミコト

もし上条当麻が神浄の討魔で、神の使い(もしくは神)的な設定だとしたら、そしてもし御坂美琴もそんな設定だとしたら、こいつらが結婚すると本格的に地球がヤバい
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/19(木) 00:55:25.21 ID:AL7BAWwfo
スレ間違えてんじゃね
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 01:23:34.40 ID:86+Uxx6eo
既出かもだが気付いたんだけど
神浄の討魔と同じく
木原数多もかなり神聖な真名だよな
キ/ハラ/アマ/タ


キ:「棺」死体を入れるもの。ひつぎ。かん。

ハラ:「払」ハラはハラシ(晴)のハラと同根。いらないものをすっかり捨て去るように、振ったり、ゆすったりする意

アマ:言うまでもなく「天」「海」の音を表し、とてつもなく大きいもの、届かないもの、人智の及ばないものものを表す

タ:「絶」〜える、と続けて、それを打ち滅ぼす意味

もし上条の神浄の討魔神の使い(もしくは神)的な設定だとしたら、そしてもし木原数多もそんな設定だとしたら、こいつらが結婚すると本格的に魔術サイドがヤバい
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/19(木) 02:11:25.40 ID:xsaDiyxto
>>416
何よりかまちーの頭がヤバい
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/19(木) 02:36:45.25 ID:Cu8PgTmw0
あのお馬鹿なかまちーがそんな細かい事まで考えてる訳が無い
物理と化学を全く勉強せずに世界史と日本史だけ勉強してたなら納得だけど
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 17:54:22.78 ID:xE2S8TnVo
熱膨張(笑)ってしってるか?(失笑)
だからな
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/05/19(木) 18:59:16.42 ID:TsrszGAg0
神浄の討魔
断神の頭魔
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 23:37:32.20 ID:hUZi3JdIO
>>419
俺は今でもロシアンティーのジャムでジャムった説を支持してる
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/20(金) 00:18:16.34 ID:2n/Fq80Xo
まぁその内「あの不可解な現象は神浄としての性質が働いていたからなのか」とか補完されるんじゃね
現に上条さんの超反応もそれっぽい扱いになってるし(一方通行談)
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/20(金) 01:51:05.96 ID:JQB+NmoX0
「俺の作品に物理法則は通用しねえ」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/20(金) 13:09:09.48 ID:cWOSUFldo
これがかまちーのスキル、『却本作り』か・・・
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 23:49:35.46 ID:uabQKLPDO
そもそもラノベの作者にそこまで要求するのが間違い。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 00:28:39.88 ID:jUPnwMS2o
ネタにしてるだけで誰も本気で要求してないよ
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/21(土) 01:32:35.53 ID:cTM9O5XV0
>>424
西尾作品と比べれば、まだかまちー作品は物理法則成り立ってるなwwww

まぁ、そのトンデモ翌理論が面白いわけだが。
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/05/21(土) 01:33:54.79 ID:cTM9O5XV0
トンデモ理論って翌が入るのか、知らなかった
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/22(日) 14:47:31.82 ID:0hQdEesT0
>>414 もし御坂がその設定に当てはまるなら

結婚できないじゃんn!!!!!!!!!!!!!!! 巫女だとぉおおおおおおおお
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 15:07:04.43 ID:pYdpVxuPo
巫女でもセックスしてるのはいるよ
ちゃんとした神事としてな 神を降ろした巫女と交わることで男は神の力の一片や神託を受けるって話だ
完全に処女っていうのもないことはないんだけどな
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/24(火) 04:56:45.00 ID:OKTEvkIj0
まあ原作でもみこにゃんの勝率は0%だからな…

俺がもらってやるよ
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 18:27:09.07 ID:/3ZDZfoH0
>>1って学生だったっけ?
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/26(木) 04:53:53.98 ID:7WpH/Uoq0
>>432

とあるミサカと天草(ry に確かそんな感じのかいてたはz
中学生とか…
 


すごい!!!
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/05(日) 23:24:53.32 ID:+DwAoZTC0
半月以上更新なしとは… 心配になるな
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/05(日) 23:35:01.52 ID:wYlMlrhxo
もう一つのスレによるとPCが破損したらしいよ
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/14(火) 00:20:43.30 ID:ssWZBGj70
もう一つのスレ?
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/22(水) 01:09:41.37 ID:JyebBz1c0
まだかなまだかな
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/28(火) 17:08:20.63 ID:LMGUgYVv0
催促する奴はカス                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             まだかな早く読みたい
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/29(水) 00:47:44.02 ID:2SgjN6sAO
>>438

投稿来たかと思ったわ
おまえの方がカスだし迷惑
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/29(水) 21:23:04.92 ID:O6yN2eVQo
上がった訳でもないし1レス書き込みあっただけでそこまで言うか
もっと余裕持てよ
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 01:11:52.76 ID:rGEG7KiDO
まぁ無駄な改行は邪魔だよね
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 19:58:15.24 ID:Sxuu/1FIO
まだかなー
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/02(土) 22:36:47.80 ID:S6DrCOKm0
気長に待つか
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 22:38:42.12 ID:cLWRZD4Vo
私待ーつーわ
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/07/03(日) 17:37:27.89 ID:B7BJjn1I0
いつまでもまーつーわ
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/03(日) 18:18:10.69 ID:L69zUPsMo
待機
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/04(月) 07:03:17.94 ID:U7aoAikAO
私は待〜っている〜わ〜♪
投下してく〜れるま〜で〜♪
あなたを待〜っている〜わ〜♪
さようなら〜♪
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/04(月) 10:14:19.24 ID:LYTfS1Ito

投下




予言か
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/13(水) 01:34:13.68 ID:UQj1PGQN0
2ヶ月か…… 俺はいつまでも待つからな>>1
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/14(木) 19:56:04.04 ID:nMtrr+yn0
俺も待つぜ!
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/14(木) 20:03:59.82 ID:4Vth5t5Ho
書き手3カ月不在でdat落ちじゃなかったっけ?
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/15(金) 01:24:48.94 ID:DZyEotj1o
ここはdat落ちなんて無い
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 09:33:57.38 ID:kWfSqcwIO
dat落ちっつーか作者の最後の書き込みから3ヶ月過ぎると失踪と判断されてスレがHTML化されちゃうんだよ
まあだからさ>>1よ、せめて生存報告だけでも…
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 09:59:35.06 ID:C7h1KjX90
おーい》1どーしたんだよー。
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/26(火) 18:01:32.47 ID:no/g6CHl0
SS作者のリアル事故・急病率って高いらしいしな
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 18:16:36.59 ID:evGo4IWqo
そりゃあ、これだけ人数がいりゃあなぁ・・・
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/30(土) 08:33:08.15 ID:7PIzx2L40
しかし愛されてるなこの>>1
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/07/31(日) 14:15:07.91 ID:+ZVwPjXj0
俺はいつまでも待つ!
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/01(月) 21:49:22.51 ID:P5fBv7Xy0
おーい、生存報告だけでも出してくれい!
8月になっちまったぞ〜
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/01(月) 23:56:26.91 ID:tauM6JFco
@8日でHTML化かな?
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/02(火) 15:08:03.37 ID:n1+QWWmDO
期待上げ
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/02(火) 15:24:48.49 ID:h4L0Rwefo
来たかと思ったのに…とかいう携帯
         ↓
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 15:27:22.70 ID:5bPZYY3Ko
上から下へ受け流す
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/02(火) 16:07:19.87 ID:RurFWV+m0
待ってるぜ!
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 18:38:29.79 ID:NOm/a2C0o

下から上へ受け流す
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/02(火) 19:16:49.28 ID:5WLzMN7t0
もう、やめましょう・・・未来に希望などないのです・・・あるのは絶望だけ
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/08/02(火) 23:08:43.81 ID:57OUr+pQo
たとえHTML化されちゃってもまたスレ立てて書いてくれよ
信じてるからな
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/02(火) 23:36:23.76 ID:iz4fbMeMo
マダー
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/07(日) 02:44:08.31 ID:+0yy336Wo
あと3日でHTML化か……
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2011/08/07(日) 18:41:39.88 ID:SYF8kfsX0
ぐぬぬぬぬ
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2011/08/07(日) 18:53:58.92 ID:TbAyHaPy0
ageさせていただきます。>>1が来たと勘違いされた方は申し訳ございません。

作者さん、生存報告だけでもしてください。お願いします。
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 04:30:27.18 ID:5DsOI8PSO
信じてる
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/09(火) 14:18:27.82 ID:A89O7UlR0
明日は新刊発売の最高の日と同時にこのスレがHTML化する最低の日か……複雑だ……
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/09(火) 15:19:43.01 ID:1+40VSov0
待ってるぜ!
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 16:59:06.02 ID:yL732fLho
HTML化?
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 19:03:54.90 ID:WcNuRc6SO
書けるじゃん
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/11(木) 21:03:34.82 ID:b57qyWl1o
3カ月期限切れ
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/11(木) 22:46:57.54 ID:oISbg8UZ0
あ〜ダメだな、残念だ。
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 01:19:27.63 ID:P1GRXQpSO
どーなるのかな、と
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/14(日) 20:42:53.22 ID:r2U+kNM9o
依頼出されてるし、もう駄目だな
ここまで風呂敷広げたのに酷いもんだ
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