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奴隷「戦わなくちゃ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 11:07:05.91 ID:O7Qahzha0
ある日魔王が仲間の魔族を引き連れて人の世界にやってきた。

魔王は歴代魔王のなかでも一際残虐で、人間はどんどん死んでいった。

その時代で最も巨大な王国が勇者を見つけ出し、出来る限りの支援をして、魔王のもとに派遣した。

それから数ヵ月後、勇者は戻ってきた。

だが彼女はまともでなくなっていた。

魔王に拷問され、魔族たちに陵辱され、精神が崩壊していたのだ。

見せしめのためか体はひどく傷つけれられ歩くこともままならない。

もう誰も魔王に挑もうとはしなくなった。

魔族支配された世界。

そこで人として生きることが出来るのは、強い魔力を持った人間と魔族に転生した人間だけ。

他は魔族の奴隷として生きるか、食料として成長するまでひたすら食べ続け殺されるか。

そんな世界に、明日を見続ける一匹の奴隷がいた。



たったら書きます。

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 11:55:17.99 ID:tYVVAwJc0













                   ∩  ∩
                   ||  ||
                   ||__ ||
                  / 一 ー \
                 /(・) (・)|
                 |   ○    |
                 \__  ─  _ノ 






3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 11:56:36.59 ID:O7Qahzha0
書いて良いんですかね?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/10(木) 12:01:11.93 ID:oYy3P9NDO
書かないと分からない
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 12:07:50.07 ID:Uiad5F0DO
VIPと違って人多くないしレスも少ないかもしれんが読んでる人は必ずいるよ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 12:40:15.09 ID:O7Qahzha0
「明日だな、闘技場に貴族が来るの」

一緒に岩を運んでいた仲間の言葉に俺の心は昂ぶった。俺たち奴隷は基本的に
魔族の生活を良くする為に毎日こき使われている。

今俺たちがやっているような建築物の建造、農作物の世話、魔族に従わない人間達の掃討などが俺たちの主な仕事だ。

基本的に誰も仕事にやりがいも楽しさも感じてないし、毎日の暮らしに希望なんて持ってない。

しかし例外がある、貴族が来た場合俺たち奴隷は賭けの対象として、闘技場で戦うのだ。

戦いの相手は同じ奴隷であることもあれば、魔族達のペットの魔物や、危険種たち。

俺たち奴隷が日々の仕事の後に鍛錬を行う理由がそれである。

戦いに負ければもちろんあの世行きだが、勝てばいくつかの報酬が得られる。

そしてトーナメントを勝ち抜けば、奴隷を辞めることが出来るのだ。
1 魔族への転生(これが一番人気、おれは嫌だけど)
2 魔都からの追放(ようは自由なのだが、たいていのたれ死ぬ)
3 奴隷たちの看守となる(こき使われなくなるが、自由とは程遠い)

この二つのどちらかを選ぶことが出来るのだ。

2番は正直人気がまったくない。

だが俺とこいつは知っている。
この世界にも人間の集落がポツポツあるのだ。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 12:40:56.65 ID:O7Qahzha0
基本奴隷は魔都で生まれ、外のことを何も知らずに育つ。

俺たちがそのことを知りえたのは、3番を選んで看守となった奴隷にワイロを渡して聞き出したのだ。

看守は奴隷たちから嫌われている、まぁ当然だな。いつも見張られてるし。

だが看守は仕事熱心というわけではない。

自分に迷惑がかからない範囲でなら、奴隷に協力してくれるのだ。

そうやって俺は外のことを知った。

明日のトーナメントに勝って、俺は自由になる。絶対に。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 12:47:43.81 ID:O7Qahzha0
「外の世界、行ってみて〜な。」

「お互い、恨みっこなしな。」

俺もこいつも明日のトーナメントに出る。
勝ち抜けばいつかは当たるだろう。

おれとこいつは苦楽を共にし、同じ釜の飯をくった仲間だ。

だがそんなことこの世界では関係ない。

魔族からすれば俺たちは家畜同然の存在なのだ。

もともとこのトーナメントも仲間同士で殺しあう様子を楽しむ目的で開かれたもので
それに参加するからには、相応の覚悟が必要になる。

奴隷が奴隷でなくなるためには、魔族を納得させる理由が必要だ。
それは強さと人間に対する非情さである。

それを示させるための仲間殺しなのだ。


外の世界を知ったときから、俺たちはその覚悟を持つようになった。
そのために、掃討戦でも、粗末な装備で必死に生き残ることを考えたし、
日々の鍛錬も全力で取り組んできた。労働は体を鍛えることが出来るので、
人一倍働いた。

だから並みの人間はおろか、魔物とも戦える自信はある。

魔物と戦うのは明日が初めてだが。




9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 12:49:50.50 ID:O7Qahzha0
「明日は早いしよ、これ運び終わったら寝ようぜ。」
「あいよ〜。」

こいつとも、明日限りでお別れ。

ここにいる間、俺はこいつに何度も元気をもらった。

きっとこいつも同じことを思っているだろう。


「よっし、終わり。そんじゃ寝るか。」
「おお、んじゃな。おやすみ〜。」

俺はそう言って自分の寝床に戻った。

明日から俺の人生が始まる、わくわくして仕方がない。

俺は仲間も、貴族のペットも、皆殺して自由になってやる。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 12:56:56.18 ID:dONT0prDO
読んでる
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 13:30:53.16 ID:gTW+2S7go
しえん
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 15:31:36.63 ID:O7Qahzha0
朝になった、俺は水飲み場へ行き顔を洗った。

顔を洗いながら、俺は今日の戦いのことを考えた。

反乱分子掃討のときは、刃に布を巻いただけの剣と、魔物の外皮を加工した鎧だけで戦わされるが、闘技場では立派な武具を渡される。

剣だけでも、ロングソード、クレイモア、レイピア、刀とかなりバラエティに富む。

しかもそれらを闘技のためにわざわざ作らせるのだ、魔族達に。

魔族の武器は魔法の力がやどっていて、人間の武具よりずっと強力だ。

防具は、魔族に防具の概念が無かったため、人間の防具に魔法をかけたもの

を与えられる。

仲間になるかもしれない人間のために、一流のものが用意されるのだ。

これらを身に着けることで、人間は魔物と渡り合うことが出来る。

次に、魔術だ。

魔術には二種類ある。一つは人間が生み出した魔術、もうひとつが魔族の生み出した魔術だ。

魔族の仲間になれる人間とは、魔族の術を扱える人間のこと。

彼らは魔力量も多いが、その質が一般のものと少し違うそうだ。

要は才能があるかないか。

俺は習ったことが無いのでわからないが、多分無いのだろう。

あったなら、生まれてすぐに学校に入れられたはずだ。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 16:33:30.99 ID:O7Qahzha0
今日使う武具のことを考え終えてから、俺は食事をしに言った。

普段は蒸かし芋と干し肉、それと何かの乳だけだが、今日はとても豪勢な食事だった。
だが、全部は食べない。少しだけにしないと戦えなくなる。

俺はそれぞれ一口ずつ食って、食堂を出た。
名残惜しいが、これを最後の晩餐にする気は無い。

「トーナメントに参加する奴隷だ。俺の試合は何時からだ?」

「ああ、奴隷だな。お前の試合は3番目だ。あっちに武具がある。」

「ありがとよ。」

俺は看守と会話を終えてから、武具を選びに行った。

あの看守もかつてはトーナメントで戦ったのだ。そう思うと急に親近感が湧い
たりもした。

俺は武器庫につき、自分の装備を選択した。

ロングソード、チェインメイル(手甲足甲含む)、そして円形の鉄製盾を選択した。

「ワァァァァァッァ!!いいぞ!そこだ!」

どうやら試合が始まったようだ、俺は武具を身に着けてから、自分の控え室に行った。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 16:50:05.85 ID:O7Qahzha0
作者の脳内武器イメージは、デモンズソウルが主です。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 17:56:41.86 ID:j1W5tber0
おもしろい期待
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/10(木) 19:14:34.53 ID:gTW+2S7go
しえん
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 21:33:40.81 ID:O7Qahzha0
「ただいまより奴隷(仮名)と奴隷(モブ)との死合を開始します!!」

管理者の宣言と共に、俺の部屋のドアが開けられた

俺は闘技場に繋がる道を通り抜け、監視兵たちに軽く礼をして闘技場の門をくぐった。

相手はクレイモアを装備した、中世の騎士風の奴隷(以下騎士)だった。

騎士はクレイモアを上段に構えるとこちらに突進してきた。

おそらくクレイモアでラッシュを掛けて、ガードごと俺を叩ききるつもりなのだろう。

「イヤァァァァ!!」

クレイモアが振り下ろされた、だがこちらとの距離が十分でなく、刃の中心で俺を捕らえていなかった。

俺はロングソードでクレイモアの切っ先を外して空振りさせた。
騎士は俺の攻撃を封じようとクレイモアを下から切り上げようとする。

そこで俺はまず盾の縁の部分で騎士の顔面を殴りつけた、そいつはカウンターの要領で騎士の体制を大きく崩す。

そこからロングソードで騎士の手甲の隙間を突き刺した。

騎士の手首に突き刺さったそれを俺は力任せに振りぬいた。

「ガァァァァァ!!」

絶叫が響き、騎士がクレイモアを落とす。

そいつを蹴り飛ばし、武器を失い逃げ惑う騎士へ走り寄り、首を切り裂いた。

「ウ・・・アア・・・」

騎士は呻きながら地面に向かって倒れた。

手首と首を切り裂かれ、大量の血を流し、まもなくして騎士は絶命した。

「奴隷です!勝ったのは奴隷!騎士は完全にくたばったようです!」

俺は騎士の死体をしばらく眺めていたが、回収班がやって来たのでその場を後にした。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 21:50:14.79 ID:O7Qahzha0
「よぉ奴隷!お前も勝ちあがったみたいだな。」

皮製の鎧に帷子を布で包んだマントを身につけた奴隷(以下マント)が話しかけてきた。

「まぁな、そういうお前も無事勝ってなによりだ。」

お互いの勝利を称えた後自分の部屋に戻る。

次の戦いを互いに勝ちあがれば、俺たちは殺しあうことになる。

だが次の戦いはさっきのようにはいかない。人間の戦いが通用しないのだ。

なぜなら次の相手はおそらく魔物。魔族のペットが出てくることもあるが、そいつらは大抵魔法で強化されていて危険種と較べても遜色の無い強さを持つ。

危険種達は基本的に魔族の手に負える存在ではない。

やつらは皆血に飢えていて、人も魔族も関係なく襲うのだ。

そこが普通の魔物たちとの違いである。

危険種が出る場合、魔族達は自分たちに被害が及ばないように奴隷に魔法を掛ける。
その魔法を掛けられると、危険種達は奴隷をとにかく執拗に攻撃するようになる。強い敵意が奴隷から出るようになっているのだ。

だからガレキや砂に身を隠したり、装備を用いた囮なども意味を成さない。

真っ向勝負で勝つしかなくなるのだ。もちろんそれでも勝つつもりだが。

「奴隷!闘技場に出ろ!準決勝だ!」

蒸かし芋を食っていたら時間になってしまった。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/10(木) 22:06:59.06 ID:O7Qahzha0
「第二試合の相手は危険種人間もどきだ、奴隷、勝利の報酬としてこの中から好きなものを持って行け。」

炎の魔石 光の魔石 人間もどきの情報

俺は迷わず情報を選択した。以前看守が教えてくれたのだ。

「強そうなアイテムに釣られるな。情報を選べばかなり詳しく教えてくれるから戦いを有利に運ぶことができる。」とね。

「情報だな、人間もどきは簡単にいうと人と魔の融合体で、魔都の外でのたれ死んだ人間の体に魔魂が入り込んだ魔物だ。
死体の中で人と魔が潰しあい、魂の残骸から生まれた思念が肉体を操っている。人と魔双方の憎しみが混ざり合って生まれた存在だから危険種とされるのだ。
奴らは生前の人間の戦闘技術と魔族の術を駆使して戦う。さきほどの騎士のように近づくのは困難だろう。それに武器を奪ったからといって安心も出来ん。ただ奴らの体は脆い。
魔術で強化しているから人の武器では破壊できないが、魔法の武具なら簡単に破壊できる。
とにかく攻撃を当てることだな。」

「なるほど、わかった。参考にするぜ。」

かなり有益な情報が手に入った。これならきっと渡り合えるはずだ。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 08:36:28.34 ID:rCRRnzSAO
>生前の人間の戦闘技術と魔族の術を駆使して戦う。
>魔術で強化しているから人の武器では破壊できない

手強いってレベルじゃねぇぞ…
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/11(金) 19:27:30.11 ID:Mq0Wnux80


人間もどきに人間の武器は通用しない。

看守はそう言っていたが、俺の武器は人間のものでない。魔族の武器だ。

奴らの体に一撃でもあてることが出来れば、腐りかけの体は簡単に砕けるはず。

問題はどうやって当てるかだ、人間の魔術は術者の手もとで起こし、

射撃魔術なら相手に向かって飛ばし、強化、回復ならそれを目標に当てる。

だが魔族の術は人間のものよりずっと便利だ。

例えば火水土風雷、これらの攻撃は手元からではなく、目標の居場所から
いきなり発現する。よほど相手の動きに注意しなければ回避はできない。

しかも今回は剣を振り回しながら魔術にも対処しなければならないのだ。

どうしたものか。

「ただいまより!奴隷対人間もどきの死合を始める!」

チッ、もう時間か。

地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/11(金) 19:28:11.25 ID:Mq0Wnux80
「・・・・・・・・・・・・。」

俺の相手の人間もどきはファルシオンを装備していた。傷だらけのマントを装備し、マントの下には穴の開いた布の服を着ている。

生前は旅人だったのだろうか。

いつまでたってももどきは向かってこない、術がかかってるからすぐに向かってくるかと思ったんだけどな。

「g48jse8:‘l‘;.%$’・・・」

旅人が何かをつぶやいている。何をやってんだ?

「・・・&‘#96−kjytpjgh。」

つぶやきの後、旅人はこちらに向かってダッシュして来た。

ようやくその気になったか。

俺もまた旅人へ走り出し、ロングソードとファルシオンが交差する…。

だがそこでおかしなことが起こった。

互いの武器が触れ合った瞬間、旅人が俺の目の前から姿を消した。

そうか、あいつがさっきブツブツ言っていたのは…。

「コロース!ブッコロース!」

後ろだ!

俺は盾を胸の前に寄せ、必死で体をひねって回避を試みた。

「ぐうァッ!!」

首を守ることには成功したが、右腕を切られてしまった。

防具の上から切られたということは、おそらく武器もさっき強化していたのだろう。

情報をまったく活かせてね〜じゃね〜か。

だがここで終わるつもりは毛頭ない。傷の痛みに耐えつつ俺は再び振り下ろされるファルシオンの側面からロングソードと盾をほぼ同時にたたき付けた。

バキィンッ!と音を立ててファルシオンが真ん中から砕け刃が飛んでいく。

「ナンDEATHト!!ワタシノソードガ!」

旅人は剣を折られたことに相当動揺しているようだ。畳み掛けるなら今しかない。俺は盾を捨ててロングソードを両手で持ちもどきに突っ込む。

「おおォ!!」

俺は力の限りロングソードを振りぬいた。だがもどきも何かを俺の腹に突き出していた。こいつは…ダガーか。

「クソッ…ゴホッ。」

口から血が出てきた、結構マズイのか?だがもう大丈夫だろう。
旅人は左腕から首にかけてを斬り飛ばされ後ろに倒れた。

俺は念のため旅人の手足を切り落とし、回収班に渡した。

まもなく俺のところに回復班がやってきて、腹の傷を治療してくれた。

次は決勝だ。あいつは勝ち抜いているのかな。

地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/11(金) 22:04:37.99 ID:jXzuZQsDO
外に出たら名前は奴隷から変わるんだろうか
地震情報:http://ex14.vip2ch.com/earthquake/
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/12(土) 17:09:36.28 ID:RDzidCpm0
何気にスルーされたが、>>1の女勇者が悲惨だな
他のパーティのメンバー(僧侶とか魔法使いとか武闘家とか)はどうなったんだろうか
まさか勇者一人で突っ込んだわけじゃないだろうし
今も生きて身を潜めてるのか、彼(彼女)らもどこかで奴隷にされてるのか
それとも…………
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 11:07:08.10 ID:g5MOBm3E0
「よぉ、お前も勝ったみたいだな。よかった。」

「おれは何かフクザツだ。お前が次の相手なんだもんな。」

マントも勝っていた。次の決勝で俺たちは戦う。

「何ていうかさ、殺されるならお前がいいって思うんだ。」

「俺もだ。」

お互いに照れながら自分の心をうち明ける。

「すみませんが、次の試合に出る人間はあなた方ですか?」

もとはさぞ美しかったと想像される、ボロボロのローブを纏った誰かが話しかけてきた。顔を隠しているので人間か魔族かわからない。

「そうだけど、お前誰だ?」

マントがそう尋ねた。

「今は教えられません。ところであなた達。」

ボロがそう言ってから、口を閉じた。直後頭の中に直接声が聞こえてきた。

『今からはこれで話しましょう。あなた方も思うだけで意思を伝えられます。』

念話だと!?こんな高等魔法を扱うなんて、このボロはいったい・・・。

『私は魔族と敵対する存在です。あなた方に提案があるのですよ。』

『提案?なんだよ、提案て。』

『私の仲間になりませんか?私が今日ここにきたのは魔族に敵意を持ち、なおかつ強い力を持つ人間をスカウトするためなのです。』

『その話、俺たちにどんなメリットがあるんだ?』

『あなた方が殺しあわずに済みます。』

『『よし乗った!』』

俺たちは即答した。

『ふふ、他にもいろいろメリットはあるんですが、これだけで即答していただけるとはね。美しい友情です。』

『なぁボロ、あんたの提案には乗るけど、具体的にどうするんだ?この魔都から脱走するのはかなり難しいぞ?』

『大丈夫です、私に任せてください。あなた達の試合にはこの魔都に住む重要人物たちが闘技場にやってきます。そこを突くんです。』

『俺たちの試合の時に事を起こすってことかぁ?』

『そういうことです。』

「ただいまより〜!奴隷対マントの」

『チッ、もう時間かよ。』

『んじゃ、頼んだぜ。』

ボロにそう言ってから、俺たちは互いの部屋に戻り、闘技場へ歩き出した。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 12:47:04.17 ID:g5MOBm3E0
「始めー!!」

決闘が始まってしまった。ボロは何をする気なんだ?

「デヤァァァ!!」

俺はわざとらしく叫んで剣を振り下ろす。

「ウラァァ!!」

マントも同じように剣を出す。

互いに殺気の無い剣をぶつけ続けるうちに、時間が経っていく。

『いきます!』

頭の中で声が響き、直後客席の一部が爆発した。

「奴隷!始まったみたいだぞ!」

「わかってる!」

客席のほうを見ると、貴族たちを警備兵達が囲みながら移動していた。
他にも回収班や治療班の連中が怪我人を運んでいる。

『今のうちにです、東門から脱出してください。脱出したらまた支持を出します!』

東門に向かう道には魔物を閉じ込めてある檻がいくつも置いてある、おそらくそいつを利用しろということなんだろう。

「よし、行くぜマント!東門だ!」

俺とマントは東門に一番近い出口へ走った。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 13:06:24.73 ID:g5MOBm3E0
「魔物の檻を壊そう、俺達にも襲い掛かってくるけど警備兵は魔物を逃がしたらクビだからそっちに行くはずだ。」

了解、と短くかぶりを切って俺は前を向く。

「あっ、お前達止まれぇ!」

警備兵だ、3人いる。だが連中は脅威じゃない。

俺はロングソードを抜き警備兵に斬りかかる。

「貴様なにをっ、グァッ!」

一人倒した、隣でマントも一人警備兵を倒していた。

「この奴隷がぁっ!」

最後の警備兵が槍を構え突いてくる。魔族だけあってまぁまぁの速さだが俺達には遅すぎるくらいだ。

左右に飛んでかわし、そのままわき腹を切り裂く。

「ふぅ、たいしたことないなこいつら。」

「まったくだぜ。」

もう少し行くと魔物の檻がある。そこをさらに行くと東門だ。


28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 14:13:49.61 ID:Ix6foAsU0
支援
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 15:48:51.11 ID:g5MOBm3E0
「おら出ろ!暴れまくってこい!」

「おわぁっ、俺らじゃねぇ!」

自分達に向かってくる魔物を追い払いながら、俺達はドンドン檻を開けていく。

「要人たちの所に行かせるな!奴隷は放って置け、どうせ逃げられん!」

『あんなこと言ってるけど大丈夫なのか?』

『大丈夫です、いまからそこを吹き飛ばします。どこかに隠れてください。』

『マジ!?』

俺達はさっき入ってきた魔物用の扉の向こうに走りこむ。

『いいぜ。』

そう伝えた直後、魔物が密集している場所が爆発した。

「ギャァァァァ!!」

扉の向こうで魔物と逃げ遅れた警備兵達の断末魔が響いた。

『もういいですよ。』

だそうなので、扉を開けたらそこにボロがいた。ボロの足元に直径1メートルぐらいの穴が開いている。

『私についてきてください。』

言ってボロは穴の中に飛び込んでいってしまった。

俺とマントは一度顔を見合わせたが、そのまま後を追って穴に入った。


30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 16:28:47.80 ID:g5MOBm3E0
トンネルを抜けた先は、不思議な町でした。

いやマジで。

トンネルに飛び込んでから二分くらいで柔らかい地面の上に着地した。

そこは町だった。人間が笑顔で暮らしている町だった。何かを売り買いしている者もいるし、道で話し込んでいる者もいる。やけに明るいので上を見上げたら、玉のようなものが光を放って浮いていた。

「気に入っていただけたでしょうか。」

ボロが肉声でそう言った。

「気に入るも何も、どこだよここは。」

マントの問いにボロが答える。

「ここはかつての大王都です。魔王は王都の上に魔都を建造したのです。」

大王都・・・、勇者が倒れてから魔族に蹂躙され滅んだと聞いていたが、まさか地下にあったとは。

「あんたは、何者なんだ?」

おれの問いに、ボロは信じられないことを言った。

「私はかつて勇者と共に戦っていた大魔術師ですよ。」

そう言ってボロはローブを外した。そこには妙齢の亜麻色の髪をした美女の顔があった。

「「勇者の仲間が・・・生きていたんだ・・・」」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 17:10:10.46 ID:g5MOBm3E0
お願い:奴隷の呼び名を変えようと思うのですが、なかなか決まりません。選んでくださいです。

1:ヒーロー
2:自由人
3:俺がつけてやんよ!!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 17:24:25.37 ID:9PRh/3Pv0
安価じゃないんだ?
んじゃ俺でいいかな。とりあえず2
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 17:42:33.05 ID:KLyoMKkJ0
まだ一人目だけど、やっぱりパーティ生きてたか
2で
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 17:46:46.83 ID:Sr0DgAfso
三文字じゃ長いから男でいいような気がする
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 18:46:50.42 ID:MRjUoJpwo
3
闘士や剣士とか?
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 19:10:47.36 ID:KIMg9P3AO
剣闘士と書いてグラディエーターと読ませよう
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 20:08:15.86 ID:Q+W3kiDDO
男一択
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 21:07:11.28 ID:1XM9XuI8o
3.男
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/13(日) 21:49:35.95 ID:g5MOBm3E0
一番多いんで男でいきます。

ついでにマントもいいですか?

お任せで一番多かったやつを採用します。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 21:54:31.06 ID:BGhGcxLAO
友人なら友人とか?
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 21:57:49.68 ID:1XM9XuI8o
友で
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 22:43:11.44 ID:Sr0DgAfso
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/13(日) 22:58:02.37 ID:uT6X41eso
友蔵
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/13(日) 23:49:05.55 ID:KLyoMKkJ0
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 00:03:28.67 ID:UTk6igrJo
友蔵
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 00:23:33.42 ID:RXzrHoiDO
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 00:37:11.57 ID:Qrr1+9Q6o
友愛
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:01:55.05 ID:H9OhJuHR0
友でいきます
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:02:49.65 ID:H9OhJuHR0
大魔術師が言うには、勇者が倒れた後仲間達は散り散りになっってしまったそうだ。大魔術師が大王都に戻ったときは、すでに魔都が造られていて、光の届かなくなった大王都の生き残りたちを集め、この町を造ったんだとか。


なるほどなぁ、他の仲間はどうなったのかな。聞かないけどさ。

「私は術で人工の太陽を作り、水を湧かせ、作物を育てることで人々が暮らしていける程度に大王都を建て直しました。しかしそれでも魔族の支配から完璧に逃れているわけではありません。監視は年々強化され、もはやここを出ることは叶わないのです。」

「つまり、俺達にここから出る手助けをしろってことなのか?見たところ、その辺の集落よりよっぽどいい暮らしみたいじゃないか。下手に外に出るよりここにいた方が安全だぞ。あんたもいるしさ。」

友が大魔術師にそういった。これには俺も同意見だ。しかし

「違います。私はあなた達に人間全てを救う救世主となって欲しいのです。」

救世主だと!?・・・、ずいぶん大きく出たな。まさか人間すべてを救うことを望まれるとは・・・。

「応じていただけるなら私も出来る限りの助力を致します。どうか」

う〜ん、こんな美人にお願いされるとヨワイナ〜俺。友は美人とか関係なしにやる気になってるみたいだけど。

「わかった、あんたには恩があるしな。俺たちで戦うぜ、なぁ男。」

「あ〜、うん。じゃあ、俺もそれで。」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:04:40.57 ID:H9OhJuHR0
大魔術師は俺たちに現在の魔王の勢力について話してくれた。

この魔都が世界の中心と思っていた俺たちには信じられない話だった。

魔王には五人の魔将と五人の子供達がいて、それぞれが都市を一つ治めているらしい。俺たちが暮らすこの魔都も魔将の一人が治めているらしい。

大魔術師はまずその魔将を倒すことを考えているようだ。ただし、この集落のことがばれると危険だから、素性の知れている元奴隷の俺たちだけでやる必要があるんだとか。

「あんたは来てくんね〜のか?俺らだけでどうにかなるとは思えね〜んだけど。」

俺の質問に友は少し機嫌を損ねたみたいだった。ごめんな、お前を信頼してないわけじゃないんだけどな。これは言わせてもらう。

「私がここを離れてしまうと、結界が消えてここが知られてしまいます。私があなた達に出来ることは遠距離からのサポートと、魔術を教えることくらいです。」

魔術か・・・俺には使えないよな。

「男さんには残念ながら魔術の才がありません。ですが友さんは学べばすぐにでも使えるようになるはずです。、」

「だってよ友、お前習ったらどうだ?」

「その間男はどうするんだ?」

「俺はそのへんで素振りでもしてっからよ、頑張れよ友!」

悔しかったけど、グッと我慢して友を応援した。

「それでは友さん、私の研究室にきてください。」

51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:20:28.06 ID:H9OhJuHR0
「セイッ!ハッ!デヤァッ!!」

俺は友がいなくてやることが無かったので、人のいない場所を見つけて一人でエア決闘をしていた。しっかし友には魔術の才能があったのか。

なんで奴隷になったんだろう。

「なぁ、そこのアンタ。」

誰かが後ろから話しかけてきた。

「何っ?今修行中なんだけど!」

「あんた大魔術師様が連れてきた戦士だろ!
俺の店の武具を見ていかないか?」

「わかった、見せてくれ。」

俺はそいつの店について行った。

「なんでも好きなものを持っていってくれ。魔石で強化してあるから、見た目は人間の武器だけど強力だぜ。料金はただでいい。その代わり鉱石や魔石、魔族の遺品なんかを手に入れたら提供してくれ。」

鍛冶屋の店には属性武器があった。属性武器は魔族の武器ほど強力な魔力を持たないが、五大属性の力を宿しているので苦手な相手に対しては魔武器よりも大きなダメージを与えることが出来る。

魔武器は人間を殺すための武器、属性武器は魔族を殺すための武器と考えてもらえば分かりやすいと思う。

ちなみに属性は防具にもつけることが可能だ。

「わかった。じゃあこれとこれと」


52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:21:22.96 ID:H9OhJuHR0
鍛冶屋の話ではここを治める魔将は炎を操るらしい。

俺は鍛冶屋に水の力を宿した透き通る片手剣と赤く発光するマントを貰った。

「その剣は水の魔石とウンディーネの涙で鍛えた剣だ。そっちのマントはサラマンダーの肝と炎の魔石を主に使ってる。まぁ言ってもわからんだろうから材料を見つけたらとにかく持ってきてくれ。」

属性武器について補則すると、これらの武器には意思のようなものが有る。

魔族の武器は常に安定した攻撃力を発揮するが、属性武器は属性攻撃の威力が持ち主の感情に左右される。

強い敵意や闘志を持てば武器もそれに呼応して力を発揮する。逆に恐怖に呑まれたり戦意を失えば武器は輝きを失い、沈黙する。属性武器を実際に扱うのは俺も初めてだ。

「すぐ出発するってわけじゃないんだろ?属性武器の練習をしたり、道具をそろえるなどして備えたらどうだ?とくに属性武器は使いこなせば遠距離攻撃も出来るようになるぜ。」

衝撃波を放ったり炎を飛ばしたりとかな、と鍛冶屋は続ける。

「わあった、あんがとよ。」

鍛冶屋に礼を言って、店を後にした。




53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 16:37:09.45 ID:H9OhJuHR0
「そこのアンタ、道具買わないかい?」

店を出て往来をフラフラ歩いていたら、中年の女に声を掛けられた。

「道具だぁ?俺は金持ってね〜よ。」

つい昨日まで奴隷だったのだ、金など一銭も持ってない。

「じゃあ交換でどうだい?あんた魔族と戦うんだろう?それなら魔俗のお宝を手に入れる機会があるんじゃないかい?」

魔族の宝か・・・、魔族で身分の高いやつは宝石を好んで身につける。石に魔力が宿るとかでかなりの高値で取引されている。

「なんでそれが人間のテメエに必要なんだ?戦うわけでもないのによぉ。」

「大魔術師様も言ってたろ。ここは本当の意味で安全とは言えない。いざって時のための蓄えが欲しいのさ。」

魔族と取引でもするつもりか。殺されて全部奪われるのがオチだと思うけどな。

「わあった、その条件でい〜ぜ。ブツ見せてくれ。」

俺は道具屋の売り物の中から、回復薬(薬草の成分を抽出したもの)と光石(濡れると光を放つ。洞窟などで便利)、それから雷の魔石をもらうことにした。

道具屋は魔石について知らないようだったので、珍しい石だと嘘を教えた。

「ただの石なのかい、もうちょっといいものと思ってたんだけどねぇ。」

俺は道具屋に似たような石を見つけたら真っ先に俺に見せるように言ってその場を去った。

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 18:00:08.96 ID:H9OhJuHR0
俺は日が暮れるまで属性武器の修行を行った。遠距離攻撃はまだ使えないが一時的に出力をあげることは出来るようになった。

「あれ?男装備変わってない?」

研究所の前に友と大魔術師がいたので、鍛冶屋と道具屋に会ってきたことを話した。

「へぇ〜、属性武器か。便利そうだな。俺は今日水の魔術を学んだんだ。ここを治める魔将が炎を使うらしいからな。」

「お互い準備万端だな。明日が楽しみだ。」

友も結構ハードだったようだが、軽口を叩く余裕はあるようだった。

「男さん、友さん。今日はもう遅いです。私の家に泊まっていきませんか?」

嬉しいけど何か申し訳ないな。他に宿はないようだから泊まるけど。

「それじゃお言葉に甘えさせていただくか、行こうぜ友。」

大魔術師の家の中はたくさんの本や変な物で散らかっていた。

「すみません、二階の部屋は綺麗なのでそこを使ってください。お風呂はもう準備してあります。二階のつきあたりです。」

言われたとおりに進むと、風呂があった。奴隷の時のものよりずっと大きい。

「すっげ!早く行こうぜ男!」

友はすぐ裸になり、湯船に飛び込んでいった。

「よ〜し、俺も行くかね。」

友に続いて俺も飛び込んだ。

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/03/14(月) 18:09:34.66 ID:l6N5YFK1o
wktk
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 18:45:16.03 ID:Mh7KaA0go
これは男がメインの話なの?
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 18:53:09.37 ID:CTseUgGAO
今見つけたんだがケータイなので探すのめんどくさい…



誰かまとめあげてくれ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/03/14(月) 22:22:52.15 ID:H9OhJuHR0
「飯うまかったなぁ〜、あんな豪華なもの初めて食ったよな。」

「そだな。昨日までなら考えられねぇ。」

俺たちは風呂で体を洗ってから、大魔術師の手料理を堪能した。

明後日の夜に住処に忍び込むらしい。

この魔都の魔将の城は四角い箱のような形をしている(イメージ的にはビル)、10階建てで地下室が存在し、そこには反逆者が囚われているそうだ。

明日、大魔術師達が城のエントランス(分かりやすい作品を目指してます。)で陽動を起こし、その隙に俺たちが地下から侵入することになった。

「男〜、明日もいろいろ学ぶことあるからもう寝ようぜ。」

「わあった、おやすみ〜。」

俺は明かりを消して目を閉じた。


『男さん・・・お話があるので私の部屋に来てくれませんか?』

目を閉じて寝ようとしていたら、念話が飛んできた。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 03:30:44.52 ID:GSHcrtUG0
!?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 09:58:37.86 ID:/Q9fCv6+o
大魔術師とやらのねーちゃんは何歳だよ。人間じゃねぇ…。幽霊かゾンビの類だな
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/15(火) 14:15:43.07 ID:Qw7/VyS30
乙です。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2011/03/15(火) 20:59:09.98 ID:DQe8ffSz0
お願い!

実は今、登場する技をオリジナルにするか、作者の好きなゲームのものにするかで迷っています。

名前のときみたいにお願いします。

ちなみに作者は女神転生とか好きです。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/15(火) 21:09:20.22 ID:r9CH5PIAO
ゲームのも オリジナルのも
両方つかっても良いと思う。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/03/15(火) 22:39:21.43 ID:U9Fv+AmAO
俺も混ぜていいと思う
あと、酉つけてくれると読みやすい。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2011/03/15(火) 22:57:45.39 ID:DQe8ffSz0
すみませんが、西とは?
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2011/03/15(火) 23:14:43.67 ID:zWHmgRybo
トリップのことだよ
名前欄に「#」と好きな文字列を入れればおk

#01234 みたいに
67 :こんな感じ ◆a9Hz1GDxdM [sage]:2011/03/16(水) 00:41:57.69 ID:UVR5dLaAO
# の前の部分にメッセージや、タイトルも入れられるよ

#〇〇〇 の部分は 数字でも平仮名でも漢字も おk。一撃必殺とか
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/16(水) 10:02:56.11 ID:PHg7R3VIo
あんまり単純な酉は付けない方が良いぞ。
今は良いが、偽物が出た場合簡単に看破されて見分けがつきにくくなる
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/03/16(水) 18:51:42.36 ID:1GYVbK5N0
乙です。
メ欄にsagaと入れると、禁句回避できますよ。
70 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/16(水) 19:47:49.64 ID:+39oe3uE0
皆さんどうもです。今からします。
71 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/16(水) 19:48:20.89 ID:+39oe3uE0
「何だよ、話って。友は呼ばなくて良かったのか?」

「これを渡しておきます。」

そういって大魔術師が俺に手渡してきたのは、真っ黒い大剣だった。

「なんだこの剣。ずいぶん重いな。振れそうにないんだけど。」

「それはかつての仲間【大剣士】が使っていた武器です。男さんは多彩な武具を扱うと友さんから聞きましたので。力が上がればいずれは振れるようになるでしょう。」

「ふ〜ん、精進しろってことか。この剣は何の属性なんだ?」

「あえて言うなら無です。それは純粋に物理攻撃力だけを高めた剣ですので。」

魔法での強化が行われていないってことか、たしかにレアものだな。

魔法を宿していない剣とは必ずしも弱いわけではない、中には異常なほどの攻撃力を持つものも有る。例外なく重いけどな。

「それでは、おやすみなさい男さん。」

「ああ、ありがとよ。そんじゃおやすみ。」

俺もそう返し、部屋に戻った。

72 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/16(水) 19:48:52.81 ID:+39oe3uE0
「デイッ!ヤァッ!タァッ!」

俺は朝飯を食った後、剣の練習をしていた。友は大魔術師のところで魔術の修行をしている。

俺に武器を譲ってくれた鍛冶屋は、若いころは自分で戦うことが多かったらしく、剣術を俺に教えてくれた。

剣術や槍術のようなスキルは、人間と魔族の両方が使える。これは魔力を使わず術者の体力を消費して放つため魔力が必要ないのだ。

よって、魔力のない人間はスキルで魔族の業に立ち向かうことが出来るのだ。

なお、魔術の中には魔力を必要とせず体力を消費して発動させる術もあり、それは主に奇跡の業と呼ばれる。

これは回復や解呪、結界術など守りの力が多く、攻撃術は魔族に大きなダメージを与えることが出来るが人間にはまったく効果がない。

以上の点から奇跡と呼ばれるようになったらしい。だが奇跡を使うためには清らかな心が必要なんだとか。

やっぱ俺には無理だなぁ。

「よぉ男さん、調子はどうだい」

「おぉ鍛冶屋か、いけるぜこの剣。明日が楽しみだ。あんた何してるんだ?」

「いやぁ暇なもんでな、あんたと話でもしようかなと。」

俺は大魔術師について聞くことにした。

「あの大魔術師は何者なんだ?」
73 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/16(水) 19:50:32.10 ID:+39oe3uE0

「何者ってそりゃあかつての勇者の仲間で、20年前王都から逃げ延びた俺たちを救ってくれた恩人さ。あの人はすごいぜ。魔物を何匹も手懐けるてるしよ。」

20年前・・・?魔物を手懐ける・・・?

「ほら、あそこの建物や畑もあの人の魔物が造ったものなんだ。そのおかげで俺たちは自分の仕事に専念できる。」

「そいつらに・・・意思を感じたか?」

「うん?まぁ魔物だけあって不用意に近づくと攻撃してくるやつもいたさ、でもそいつらは大魔術師様がちゃんと殺してくれたぜ。」

年をとらずに・・・、魔物を従える勇者の仲間の生き残り・・・。

年をとらないってのはともかく、魔物を使役するのはどうなんだ?

魔物ってのは人間とは決して相容れない存在のはずなんだが。

「大魔術師様についての話は大体こんなもんさ。他に聞きたいことあるか?」

「いや、もう十分だ。」

あの女・・・信用していいものか・・・。

だけどもし俺たちを騙しているならなんで仲間の形見をくれたんだ・・・?







74 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/16(水) 19:52:54.42 ID:+39oe3uE0
男たちは勇者達の生きていた時代とかは、情報操作で知りません。

大魔術師にあったことで、そこまで昔じゃなかったのかと思っていたわけです。

勇者パーティの中でも一際ロリだったと勝手に納得したりですね。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 15:50:39.09 ID:7xwdPk6J0
>>74
もしパーティの平均年齢が大魔術師と同じくらいとすると
陵辱された女勇者は・・・・・・・・・・・・
76 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 22:46:02.77 ID:znB8l9yu0
そんなことを考えながら修行を行ううちに一日が終わり、俺と友は二人で風呂に入っていた。

友は何かいいことがあったらしく、湯気を通してニヤケた顔が見えた。

「随分ご機嫌じゃねぇか友、何かいいことでもあったか?」

「えっ?ああ、いや。実は師匠が俺に魔道書をくれたんだ。」

師匠って呼んでるのか、こりゃ昼間聞いたことは言わないほうがいいな。

「どんな本なんだ?その魔道書ってのはさ。」

俺は武具や魔族についての知識はかなりのものだと自負しているが、魔法についてはとことん疎い。使い道のない知識はいらないと思ってまったく学んでこなかったのだ。

「男は実利主義だからな〜、やっぱ魔法関係にゃ疎いか。いいぜ、教えてやるよ。魔道書には3種類あるんだ。難易度ごとの魔法を集めたものと、属性ごとの魔法を集めたもの、そして師匠みたいな偉大な魔術師が個人的に製作するもの。」

ふ〜ん、興味ねぇや。 とは言わず。

「それでそれで?」

「師匠が俺にくれたのは、【役に立つ魔法・初級編】ってやつと、俺って火の力が一番強いらしくてさ、【炎の魔法道】を貰ったよ。」

「師匠が書いたやつはなかったのか?」

俺に剣をくれたんだから、友にも何か特別な品を与えていると思ったんだけど。

「いやそれが、師匠が書いた本もあるらしいんだが、魔力が強すぎて目立つんで、どこか別の土地に隠してあるらしいんだ。」

別の土地・・・。魔都の外にいずれは行くことになるんだよな

「ここを制圧してからすぐに出るってわけにはいかないからな師匠は。俺たちだけで旅してる時にも魔法を学ぶためにってこと。」

「そっか、よかったな。そろそろあがろうぜ。」

「おぉ、わかった。」

俺たちは風呂を上がってから、寝室に向かった。

「明日だな。」

「うん、明日だ。」

それから俺たちは眠りについた。明日の戦いを思いながら。
77 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 22:46:55.14 ID:znB8l9yu0
「これから陽動を起こすんだよな。」

「おぉ、その筈だぜ。」

今俺たちは魔将のビルに攻め込もうとしている。

大魔術師がビルのエントランスで派手な爆発を起こし、その隙に俺たちが地下から攻め込む作戦だ。

『今から始めます。準備は良いですね?』

俺たちが何か思う前に上で大きな音がした。いよいよ作戦開始だ。

「敵襲だー!エントランスへ向かえ!」

どうやら兵士たちがどんどんエントランスに集まりだしているようだ。

「何っ!?無人だと!?ぐわぁぁぁっ!!」

上で再び爆発が起きた。集まっていた兵が一斉に吹き飛ばされたようだ。

「くっ、ひるむな!あいてはたかが人間だ!進め進め!」

いいぞ、兵士たちは吹き飛ばされにエントランスに集まっている。

俺たちは地下の扉を力ずくでこじ開けて、ビルに侵入した。



一方その頃、エントランスにて。

(・・・この爆発はおそらく囮。侵入者がこの機に攻めてくるとしたら地下だな。)

(この馬鹿共に教えてやるべきだろうが、久しぶりの侵入者だ。雑兵に譲るには惜しい。)

(この私が直に相手をさせてもらう。貴様らはもう少しそこで侵入者を喜ばせていろ。)
78 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 22:47:55.25 ID:znB8l9yu0
話は戻って、ビルの地下にて

「なぁ男、侵入したはいいけどどうやって魔将のところまで行くんだ?」

こいつ、作戦を理解してないのか?ったく。

「ばぁか、ちゃんと聞いとけよ。いいか、俺たちは地下から二階に繋がる階段を使ってビルの中に入る。その後階段やえれべえたを使って魔将のいる十階に行くんだ。」

「えれべえたって何だ?うまいの?」

「こんな時にくだらねぇ事言ってんじゃねぇよ。えれべえたってのは各階層を直接移動できる最新の設備だ。闘技場にも一箇所あっただろ。資材運ぶやつ。」

「ああっ!あれがえれべえただったのか。そういや乗り込んで遊んでるやつもいたな。」

「見つかってからひどいお仕置きを受けてたけどな。」

そんな雑談をしながら俺は大魔術師がくれたマップを頼りに非常階段へと進んで行く。その時

「君たち・・・人間かい?・・・」

牢の中から呼び止められた。
79 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 22:48:38.46 ID:znB8l9yu0
その男は他の牢にいた死んだようなボロ達とは違い、すこしやつれてはいるけれど目に光があった。

「上が騒がしいようだが、君たちの仕業かい?」

「・・・そうだが、あんた何者?何でここに捕まってんの?」

この男は魔族に難癖つけられてここにぶち込まれる奴隷たちとは毛色が違った。

「なぁに、君たちと似たようなものさ。この魔都の長に戦いを挑んで負けた。」

簡単に言うが、おそらくこいつは単身で魔将に挑んだのだろう。たいした奴だ。

俺はこいつを仲間に誘うことにした。

「君たち、僕を解放してくれないか?君たちも魔将を倒すために来たんだろ?
出してくれれば僕は君たちに協力するよ。どうだい?」

元からそのつもりだった。好都合だ。

「友、こいつを解放しよう。」

「わかった。俺は友、こいつは男だ。あんたはなんて呼べばいい?」

「僕は神父だ。奇跡の業と槍術が武器だ。」

「わかった、あんたをここから出す。友、頼む。」

「了解、〈アロホモラ〉!」

友が呪文を唱えると、ガチャリッと音がして錠が外れた。

「二人とも、悪いが看守部屋まで付き合ってくれないか?そこに僕の槍が保管されてるはずだ。」

「わかった、先導は俺がする。お前は最後尾から来てくれ。」
80 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 22:49:38.35 ID:znB8l9yu0
マップには看守部屋の位置もしっかり表示されている。

部屋には看守が一人きりのようだ。

「友、神父、俺が先行して看守を殺す。お前らは俺がしくじった時のフォローをしてくれ。」

「オッケー。」 「了解したよ。」

見えてきた。あそこが看守部屋の扉だ。行くぜぇ!

「ハッ!」 「なっ、曲者っ!?」

俺は扉を蹴り開け、そのまま看守に突っ込む。

「喰らいな!〈三日月斬り〉!」

俺は看守を袈裟斬りにして、即死させた。

「見事だね、男。」

鍛冶屋と二人で特訓したからな。

「世辞はい〜から、早くお前の槍を探せよ。」

「はは、わかったよ。没収箱って書いてあるからこれかな?どれどれ・・・?
よしっ、あった。槍を見つけたよ。」

「よし、それから二階に上がる前に他の奴隷たちを解放して行こう。そろそろ次の陽動を起こすべきだろう。」

「ちょっと待ってくれ男、全員分〈アロホモラ〉してたら魔力がなくなっちまうよ。」


「槍のためだけにここに来たと思ってるのか?鍵を盗んで開けるんだよ。」
81 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 23:22:39.68 ID:znB8l9yu0
「さすが男!先見のなんたらがあるな。」

先見の明な。知らない言葉を無理やり使うな。

「ありがとよ、そんじゃ各自牢を開けたらマップのこの位置に集合だ。」

「任せろ!」 「了解。」

俺たちは三手に分かれて、牢を開けて回った。

「何だあんたら・・・俺たち・・・助かるのか・・・?」

「助かるかはお前たち次第だ。持てる力を全動員して生き延びてみろ。」

「わかった・・・ありがとうよ・・・この恩はいつか・・・」

「い〜からとっとと行けよ。おれァ忙しいんだ。」

「・・・行くぞおめぇら。ぐずぐずしてたら逃げらんねぇ。」

リーダー格の囚人は俺が示した出口に仲間と向かって行った。

途中俺を振り返ったが、手で追い払うようにすると、すまなそうな顔をして走り去った。



「さ〜て、あいつらはまだかねぇ?」

囚人たちを逃がし終えた俺は集合場所についていた。友と神父はまだ来ていない。俺たちは三人とも違った出口(内2つはウソで、兵舎に繋がってる)を囚人たちに伝える手はずとなっている。

俺の出口が本物か偽物かは・・・ご想像に任せるとしよう。

「しっかし遅ぇな〜、なぁ〜にやってんだぁ?」
82 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 23:23:16.23 ID:znB8l9yu0
「すまない男、囚人たちへの説明に手間取ってしまった。」

神父は俺や友と違ってマップを読み込んでないからな。位置や方角を用いるのに苦労したのだろう。

「いや、俺も今来たところさ。友の奴は何やってんのかな。」

「僕は自分が最後だと思っていたんだけど。」

・・・何かあったのか?だがマップには誰も看守以外表示されていなかったし、戦ってるとは考えにくい。俺はマップをもう一度見てみた。

「いない・・・!?友は地下にいないぞ!」

「何だって!?囚人解放に向かった筈では!」

「わからない・・・、神父、友の行った牢に向かおう。一緒に来てくれ。」

「もちろんだとも!行こう!」

友・・・無事でいてくれ・・・





魔将ビル10階

「はぁ・・・はぁ・・・、ちくしょうっ・・・。」
83 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/17(木) 23:23:56.65 ID:znB8l9yu0
俺こと友は罠に掛けられてしまった。ワープで強制的に移動させられたのだ。

「中々しぶといな友とやら・・・本気を出しても構わぬか?」

「いや〜、それはごめんこうむりたいなぁ・・・、はぁはぁ・・・。」

俺は一人だけビルの最上階に移動させられてしまった。さっきから魔将に立ち向かっているが、手も足も出ない。

「そろそろあきらめたらどうか?〈メギド〉」

俺の頭上に莫大なエネルギーの塊が現れる。即座に横に飛んだがかわしきれず、爆風によって壁へ叩きつけられた。

「がっ・・・がぁぁぁぁぁっ!」

そこから重力に引かれて床に落ちる。手足の感覚がなくなりつつあった。

「友さん、私たちはあなたを殺すつもりは毛頭ありません。どうか剣を納めてくれませんか?」

「・・・・・・いやだねっ。〈ブフーラ〉ァ!」

水の派生魔法である氷結魔法を魔将に向けて飛ばす。だが。

「水は苦手だ・・・××××、頼む。」

ちくしょう・・・

「わかりました、〈マカラカーン〉!」

俺の魔法は跳ね返され、おれ自身を襲う。

「ぐはっ・・・はぁ・・・はぁ・・・あぁぁ・・・。」

何で・・・、何であんたがそこにいるんだよ・・・。

どうしてそいつを助ける・・・。

俺たちは・・・何のために・・・

「友よ、しばらく寝ていろ。〈ドルミナー〉!」
だめだ・・・意識がもう・・・

すまねぇ男・・・、俺は・・・ここまでみたいだ・・・

こいつらには・・・きっとお前でもかなわねぇ・・・だから・・・逃げてくれ・・・
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/03/18(金) 01:19:37.02 ID:+cADyHmAO
乙!すごく面白いわ!
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/18(金) 01:43:40.61 ID:AfTWzW+DO
魔法名はオリジナルなのか
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/18(金) 10:21:11.85 ID:zTklCzexo
オリジナルじゃない。女神転生のものだ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/03/18(金) 12:56:00.00 ID:vaU4joHV0
乙です。
女転はやった事無いけど、物語が面白くて惹かれます。
88 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/18(金) 23:57:59.91 ID:ImfgfgrY0
魔将ビル地下

俺と神父は友の行った牢に走っていた。

友・・・無事でいてくれよ・・・。


「神父っ!着いたら戦闘になる!準備しとけ!」

「了解だ!」

友の反応が消えた場所を目指して走り、三番目の角を曲がったところに、

魔族がいた。

「ふん。ようやく来たか。貴様らだな、上で騒ぎを起こしている人間は。それと後ろのお前、以前私に敗れたのを覚えているか?」

「今回は仲間がいる、あの時のようには行かないさ。」

神父はこいつに負けて捕まったのか?いや、今はそれよりも。

「お前、ここで人間に会わなかったか?」

「人間・・・?はて、誰のことだ?」

とぼけてんのか?それとも本当に知らないのか。

(この反応から見て、仲間と逸れたようだ。)

「いいから答えろ!会ったのか、会わなかったのか!」

(・・・ククッ。)

「会ったぞ。奴隷たちを逃がしていた男だろう?そこそこに楽しませてもらったぞ・・・ククッ。」



こいつがッ!こいつが友をッ!
89 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/19(土) 00:03:51.55 ID:Nf5pQf880
「そーかよ。ならてめぇ、ここで俺に殺されても文句言えねーよなァ!」

俺は魔族の男に突っ込んだ。

「〈三日月斬り〉ィ!」

看守を倒した時と同じように魔族を斬り捨てようとした、だが。

受け止められた!?

「クククッ、やはりこの剣は闘奴共の魔法剣か。この魔都で手に入る武器の中では
かなりの威力を持つ剣だが、貴様のような者への保険が闘奴の武器には
掛けられている。このようにな・・・$#&FKgmjaa:!!」

魔族が何かを唱え終わると、俺の魔法剣は光を失い砕け散った。

「なっ!?クソッ!ならこの水の剣(名前募集、
勝手で申し訳ないですが気に入った名前を採用します)で斬り裂いてやる!」

俺は壊れた剣を捨てて、鍛冶屋から貰った水の剣で斬りつける。

「まだ持っていたか、ハァッ!!」

魔族は着ていたローブの中から大剣を取り出して水の剣を受け止めた。

「ふん、水属性の武器か。対策は万全というわけだな、だが。」

魔族は力任せに俺を弾き飛ばし、そのまま飛び掛ってきた。

「うわっ、このっ!」

「〈破邪の光弾〉!」

後ろを振り向くと、神父が手のひらから光弾を放っていた。

「しまっ!?ぐわァァ!!」

光弾は魔族の顔面に命中して、魔族は床に転がった。

「助かった!畳み掛けるぜ神父!」

「ああ!」

俺と神父は起き上がろうとする魔族に向けて攻撃する。

「〈三日月斬り〉!」

「〈マイクロストライク〉!」

俺の剣と神父の槍が魔族を捕らえた。

「がはぁっ!」

魔族はさらに転がる。

「とどめだ!〈パワー・ウェイヴ〉!」

俺は剣を横薙ぎにし、発生した衝撃波が魔族を襲った。

確実に決まったと思ったそれを、魔族は大きく跳んでかわした。

「クソッ・・・ネズミ共が調子に乗りおって・・・、私の真の姿で貴様らを屠ってやる!」

魔族の背中が盛り上がり、すさまじい殺気が魔族の体から噴き出した。

「ぐぅぅぅぅぅおぉぉぉぉっ!!」

魔族の体が膨らみ、着ていた服が裂ける。手にしていた大剣が放り捨てられた。

魔族を中心に突風が巻き起こり、俺たちは一瞬目を閉じた。

そしてそこにいたのは、牛の頭を持った巨人。

つまりはミノタウロスだった。






90 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/19(土) 00:43:17.90 ID:Nf5pQf880
「てめぇミノタウロスだったのか。随分とケモノ臭くなったじゃねぇか。」

「その減らず口がいつまで持つかな?〈突撃〉!」

ミノタウロスが俺と神父めがけて砲弾のように突っ込んできた。

「神父っ!」

「大丈夫だっ!」

俺と神父は全力の跳躍でミノタウロスの攻撃をかわした。

「僕に任せろ、〈十字光剣〉!」

神父の手の中に十字型の光剣が発生し、それをミノタウロスの頭めがけて投げつけた。

「ぬっ!?ぐおォォ!」

ミノタウロスは剣を右腕でガードしようとしたが、貫かれた。

すげぇ業だ・・・。

「これで終わりじゃないぞ、〈炸裂せよ〉!」

腕に刺さったままだった光剣が爆発し、ミノタウロスの右腕を吹き飛ばした。

「ぐあァァ!!キサマー!キサマッ!!」

ミノタウロスは左腕を闇雲に振り回し、俺たちを潰そうとしだした。

「男・・・今ので僕は打ち止めだ・・・。後は任せる・・・。」

「よぉし、任せなァ!」

俺は水の剣を両手で持ち、ミノタウロスへ走りだす。

「ゲリャッ!!ズリャッ!!ヴロァァッ!!」

イケる・・・。ミノタウロスの奴パワーは相当上がっているようだがスピードは
大したことはない。十分見切れる。


俺はミノタウロスが大振りした左腕に飛び乗り、そのまま頭まで突っ走る。右腕がないので
捕まれる心配もない。

「今度こそとどめだ!〈渾身脳天割り〉ィ!」

体を反らせて剣を背中まで下げ、一気に振り下ろす。

「ブモァッ!?ア・・・ア・・・グモォウ・・・」

頭が割れたミノタウロスは、牛そっくりな呻き声をあげて倒れた。

「やったね・・・男。」

「ああ、これで友も成仏できるってもんだ。助かったぜ、神父。」

「男、あの大剣貰っちゃいなよ。」

そう言って神父はミノタウロスが使っていた剣を指差した。

「友を殺した剣だけど・・・背に腹は変えられねぇしな、いただきだ。
へぇ、思ったよりずっと軽いな。」

「なんて名前なの?」

「ああ、こいつは(募集です)って彫ってある。」





91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/03/19(土) 01:32:17.55 ID:XbXK4ZsCo
支援
友殺しの剣とかwwwwwwww冗談だけどwwwwwwww
魔族が使ってたから魔剣○○○○
とかにすればネーミングセンスがないから○の所は思いつかなかったがwwwwwwww
水の剣の方はアクアブレイドとか水流の剣とか水刀とか湖の剣とかwwwwwwww
ネーミングセンスなさ過ぎワロタwwwwwwww
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 02:04:04.62 ID:/GoxkX5G0
火牛の剣(かぎゅうのつるぎ)とかどうですか
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 06:57:58.95 ID:bdtrZidIO
牛剣
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/03/19(土) 07:07:45.06 ID:EHBk1SOTo
水の剣はありがちだけどウンディーネとか?
ファンタジーに限らず現実でも武器兵器に地名や人の名前使うし

牛の方はアステリオスはどうだろう。ミノタウロスの本名ね
雷光の意味があるから雷属性じゃなかったらつけないほうがいいかも
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/19(土) 09:57:43.57 ID:s2ui6h+So
おい、友の退場はやすぎね?wwwwww


ミノちゃんなのに大剣か。

名前はクレイモアかな。
女神転生シリーズにも出てきてるし、大剣でもある。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/19(土) 13:26:36.79 ID:GQ0WJzlxo
友退場・・・?
まだ死んではなさそうだろ
97 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/21(月) 20:12:52.47 ID:oWl2nZk+0

「友、冥福を祈る。」

「友、あなたのご冥福を祈ります。」

二人で友への祈りを捧げてから、俺たちは本来の目的地に走り出した。

俺も友も元々死ぬ覚悟は出来ていた。だからこれ以上のことはしないし、泣く気もない。

「男、上が静かになってないか?確か陽動を起してるんだろ?」

そういえばそうだ。ミノタウロスとの戦いに夢中で気がつかなかったが、もう随分前から

音がやんでいる気がする。

階段の前で俺は神父に言った。

「まずいな、これじゃ兵士が配置に帰っちまう。」

「それだけじゃないよ、僕らへの警戒は解かれてない
だろうし、上階に兵が集められてる可能性が高い。」

上れば上るほどにきつくなるってことか、作戦と真逆じゃねぇか。

「だろうな。でももうやるしかねぇよ。魔力はどのくらい残ってる?」

最低でも回復術一発分は残しておいてほしい。友を背負って逃げるのは無理だろうからな。

「一割を切ってる。光弾はしばらく使えない。」

「なら、魔力は温存してくれ。友の回復に当ててほしい。温存した分は俺が補う。」

「わかった。でも無理はするなよ。君が死んじゃ元も子もない。」

「わかってる。それじゃ行くぞ。」

二階への階段に敵が待ち伏せている気配はなかったので、俺は普通に扉を開けようとした。

「おい!敵がいるかもしれないんだぞ!」

「いねぇよ。気配がねぇ。ほら。」

扉を開けてその先に進んでみせる。

「本当だ・・・、誰もいない。」

「ついでに言うと次の扉の周りにも気配がねぇ。」

誘ってるってことなんだろうがな。

「ほら誰も・・・って、なんじゃこりゃ!?」

扉がねぇ。おまけに目の前には転移絨毯が敷いてある。

「やられたな、全部塞がれてる。僕らが下にいるときに遮ッターを下ろされたのか。」

空間遮断壁遮ッターを採用してんのか。つくづくこの城進んでんよなぁ。

「行くか・・・。」

「わかってるだろうけど、罠の可能性が高いよ。」

「それでも行くさ、仲間がピンチなんだからよ。助けなきゃ嘘だ。」

「・・・わかった、僕も付き合うよ。」

「・・・ありがとよ。じゃあ、乗るぜ。」

俺と神父は絨毯の上に乗った。すると視界が闇に覆われ、目が開いたとき

俺は床に倒れている友と、そのすぐ傍に立つ大魔術師の姿を見た。
98 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/21(月) 20:14:15.07 ID:oWl2nZk+0
「やっぱりあんたが黒幕だったか。」

俺は大魔術師を見据えて言う。

「違います男さん!私は魔将と戦っていたんです!なのに・・・」

大魔術師・・・


超重要選択肢!!!

1:あくまでシラを切るつもりか?

2:すまなかった、あんたを疑うなんて俺は・・・

3:友から離れろ!!この場で俺が倒してやる!!

4:読んでるみんな「こんなアイデアそもそも却下!」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/21(月) 20:43:32.40 ID:3lT+aVmuo
2
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 21:31:25.24 ID:9xo2ZBL9o
安価出てないが多数決か?
敵なら助けた意味が分からんしどうしたものか…
安価下
101 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/21(月) 22:06:23.73 ID:oWl2nZk+0
多数決でお願いします。

明日の午後4時までで一番多かったものにします。

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 06:47:05.47 ID:IRw/TpmIO
にゃん
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/03/22(火) 07:58:37.06 ID:bZpTxV1z0
>>90 牛魔王とかw
>>98 C 筆者の思うままに
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/22(火) 09:57:56.46 ID:aAIqGXdTo
冥福祈ったのに、友を背負って逃げるのは無理だろうからな。って変じゃない?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/03/22(火) 15:01:35.54 ID:XLu0xTOHo
1
106 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/22(火) 18:56:29.69 ID:uPJfW+bb0
そうだった!

104さんありがとうございます!

とんだミスでした・・・

展開に関してはもう自分できめろってことですかね。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/03/23(水) 09:48:30.09 ID:sQSkLEMHo
まずは誤字、誤文がないように気をつけるのが先決かな。
頑張れ
108 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/26(土) 13:12:56.39 ID:AvdDwayr0
「すまなかった、あんたを疑うなんて俺はっ」

ドスッ、と聞こえて、それが自分の体から聞こえたのだと気づくのに数秒掛かった。

「ホ〜ント、おめでたい馬鹿野郎ですよねぇ。」

大魔術師の手が、正確に言えば槍のように変化した手が、俺の腹を貫いていた。
足から力が抜け、うつ伏せに倒れる。

「おれは・・・あんたを・・・ゴフッ」

大魔術師は俺の頭を掴み、強引に自分のほうへ向けた。

「信じてたんですか?クスッ、馬鹿ですねぇ。」

そう言って笑いながら傷口を蹴り飛ばす。クソッ・・・痛ぇよ。

「やめろぉ!!」

神父が槍を構え、大魔術師に向かっていく。

「野暮ですねぇ・・・。使い魔、相手なさい!」

突如、大魔術師の影から、高そうなローブを着た魔族が飛び出して、槍を掴んだ。

「なっ!?クソッ、離せぇ!」

あの魔族・・・、服装からしてミノタウロスより地位は上だろうが、何で大魔術師の影から?
まさか・・・、この魔都を治める魔将の正体は・・・

「これでもう少し話が出来ますね。せっかくですから私のことを話させて下さい。」

いろいろ言いたいことはあったが、俺は黙って次の言葉を待った。

「私は勇者パーティの一角、大魔術師です。なんですその目は、本当ですよ?」

なら・・・なんで・・・?どうしてあんな結末を迎えたんだ?

「そうですねぇ、強いて言うなら私達だって人間だってことですよ。勇者の仲間だからって
聖人君子じゃありません。」











109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/03/26(土) 15:18:01.47 ID:fLX6CyvH0
追いついた
支援
110 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/26(土) 18:36:51.95 ID:AvdDwayr0
「つまり・・・仲間割れした・・?」

ありえなくは・・・ない。むしろそうのほうが自然だ・・・。

「仲間割れとは違いますね。あの女が全て悪いんですから。あの女が・・・
あの女さえいなければ、私は大剣士と一緒になれたのに!」

「あの女ってのは、勇者のことだよな?そいつがどう関係するんだ?」

「はぁ?」

「だ〜か〜ら、あんたが大剣士に惚れてたのは分かったけどよ。勇者がなんか関係あんのか?」

「わからないんですか?これだからガキは困るんです。あの女は汚い手で私から大剣士を
奪ったんですよ!孤高ぶってるクセに、優しくされたがる!
そうやって大剣士の愛を奪ったんです!汚い手であの人を騙して!私の全てを奪ったのよ!」

・・・女勇者・・・萌えるじゃねぇかよ・・・。

「私のほうは愛してたのに!尽くしてたのに!甘えるしか能のないグズのくせに!」

「だから・・・あんたは勇者達を裏切ったってのかよ!」

「仕方ないでしょう!あいつらが悪いんだから!あのかまって女!
どうしてあんな結末になったかですって?私がハメてやったのよ!大剣士の前で!
魔族達にメチャクチャに犯させたの!」

「なのに!大剣士は自分の目と耳を潰して股間を切り落としたのよ!そうまでしてあの女に
応えようとした!そうまでして私を否定した!だから私の十八番の炎で嬲ってやったわ!
私の愛も一緒にあの時焼き尽くしたのよ!」

この・・・外道・・・。

「そんな奴が・・・何で俺たちを導くようなマネをした?何で町の奴らを生かしてるんだ?」

大魔術師は般若の形相から一転して慈愛に満ちた顔になる。

「それは・・・あなたが大剣士に似てたから。ずっと見てたのよ?
このビルからあなたをずっと。日々強くなるあなたをずっと見ていたの。
町の人を助けたのは、自分の村を思い出したからよ。」

なるほどね・・・ハハッ。










111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/27(日) 00:48:56.09 ID:JkE3wdR+o
ハハッ☆
112 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/31(木) 18:42:17.47 ID:TBSugvAh0
「ねぇ・・・男さん。私の夫にならない?あなたはあの男とは違うでしょう?
私と二人で、ずっと幸せに暮らしましょうよ。もちろんあなたのお友達二人も
悪いようにはしないわ。もう戦うことだってない。あなたは私を愛するだけで良いのよ。」

ふざけんなよ〜コノ・・・

「ざけてんじゃね〜よ。」

「なんですって・・・?」

「てめぇみたいなアバズレ死んでもごめんだっつーの!手ぇ離しやがブッ!」

このアマ・・・男の顔を蹴りやがった・・・

「男なんてしょせん同じね・・・〈アギダイン〉!」

「ぐっはっ!」

マントの力で炎のダメージは緩和されたが衝撃までは殺しきれず俺は吹っ飛ばされた。

地面を転がる俺を神父が受け止めてくれた。

「戻りなさい使い魔・・・最大出力で吹き飛ばしてあげる。〈トリスアギオン〉!」

「ヤベェ・・・神父、よけ」

「させるか!この聖水を喰らえ!」

神父は咄嗟に水風船を投げつけた。

「キッ・・・ギャァァッァァ!!」

「すげぇな・・・水風船。」

「特別製さ!それよりその怪我なんとかしないとな、〈ディア〉!」

「傷が塞がった・・・、よぉ〜し今助けるぜ友!」

俺達は悶える大魔術師の横で転がる友へ走り寄る。

「傷はほとんど回復しているな、起きろ友!〈パトラ〉!」

「あ・・・あれ?お前らなんでここに・・・」

やった・・・やった!

「説明は後だ、逃げんぞ友!」

113 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/31(木) 18:42:44.67 ID:TBSugvAh0
「神父!今のうちに攻撃しないか?」

「破魔属性ダメージだが威力自体は大したことない!見ろ!また撃ってきたぞ。」

見れば大魔術師は炎を乱射している。顔が溶けてグロテスク。

「もう容赦しないわぁ!!炭になりなさい!!」

大魔術師は憤怒の形相で炎を放っている。

「おまえら、一か八か、あの窓から飛び降りようぜ。」

「正気かい友!?ここは十階だよ!?」

「いや・・・マップで見たんだけどよ、あの下には屋根が何枚か連なってるみてぇだ。
ジャッキーみたいにうまく落ちればなんとかなるかもしれねぇ。」

「しくじったら全治一年だ・・・。それでもやるのかい?」

「いまの俺たちじゃあいつは倒せねぇだろ。俺の合図で走り出せ。」

大魔術師は炎弾ラッシュのあとにほんの数秒撃つのをやめる。

「いまだ!」

友、神父の後に続いて俺が走り出す。

「逃がさない!〈アギダイン〉!!」

俺たちに向かって炎弾が飛んでくる、俺はマントを振り回してそいつを弾いた。

「なっ!?も、もう一発!〈アギダ」

「飛べ〜!!」

俺たち三人は窓からの十階ダイブを決行した。










114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/31(木) 20:18:29.90 ID:stKgdsZ6o
ktkr
115 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/03/31(木) 22:50:12.84 ID:TBSugvAh0
魔王様・・・この赤子をどうしましょう・・・

勇者の子か・・・フン、置いていかれるとはお前も哀れだな、ハハッ。

どうせなら娘を置いていけばいいものを、あれには中々素質があったんだがな〜。

いかがしますか?

うん?ああ、奴隷市場にでも流しとけ、最安価でな。アハハハハッ!!

・・・畏まりました。

・・・・・・・・・・・・・・・。






男・・・

男・・・

お・・・きろ・・・

おきろ・・・

「いい加減に起きろ!何日寝てたと思ってんだ!」

あぁ?

「んがっ・・・友?ここは・・・どこだ?神父はどうした!?」

「え〜っとな、話すと長くなるんだが。」

「い〜からさき言えよ。」

「ここは地下なんだ。魔都の地下道。」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/04/01(金) 16:21:10.29 ID:7000Zpq/0
乙です。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/01(金) 17:22:12.15 ID:HRIz9nDqo
wktk
118 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/04/03(日) 01:22:07.38 ID:6OKQETbt0
俺はベッドから降りてマント着た、あれ?剣がねぇ。

「あぁ、武器は没収されてる。ここの長が預かってるから貰って来い。」

わかった、と返事をして俺は部屋を出た。地下道というだけあって部屋の外ははっきり言って
迷宮のような通路だったが、電光掲示板に案内が表示されていたのでさはど苦労せずに着いた。

そこはさっきまでの通路に較べてとても広いホール状の空間で、
俺が来た道以外にも出口がいくつか用意されているようだ。


「おお!あんた起きたのか、よかったよかった。」

暇そうにしていた初老の男が声を掛けてきた。

「ああ、あんたらのおかげで命拾いしたぜ。ありがとな。」

「俺たちはたいしたことはしてねぇよ。ほんとにすげぇのはあの神父さんさ、
自分の回復はロクにしねぇであんたらに回復を掛け続けたんだからな。
俺たちは魔力の元になるもんを渡し続けただけさ。」

出会って間もないのにそこまでしてくれたのか。やっぱりいいヤツだなアイツ。

「そ〜か、んじゃアイツにも礼言わなきゃなぁ。ところで爺さん長はどこにいるんだ?」

「長に会いたいのか?でも別に今すぐってわけでもないんだろ?
他のみんなにも話しかけてきたらどうだ?」

・・・武器を取り戻したいが、あまり武器武器言ってると警戒されるよなァ。

「あ〜、わかった。そんじゃその辺ブラブラしてくるわ。じゃ〜なじ〜さん。」

俺は老いぼれに別れを告げ、ホール内を歩き回ってみた。

道中で俺に話しかけてきたのは年寄りが8人、ゴツイ体のおっさん達が12人。
若い女はまったく寄って来なかった。童貞だからなのか・・・?

男たちの話では、この集落は何枚もの壁で隔離されているシェルターのようなものらしい。
かなり前から存在していて集落で生まれ育った人もいるらしい。

「ねぇねぇ神父様!これはどう読むの?!」

「私にも教えてください!」

「わたしもいいですか?」

「まぁ落ち着いて、順に説明してあげるから。」

「「「は〜い!!!」」」















119 : ◆YdZnhkRXCLbN [saga]:2011/04/03(日) 01:23:23.66 ID:6OKQETbt0
なんか・・・神父が女子に囲まれてキャーキャー言われてるんですけど。

いやさァ、神に仕える神父が女の子はべらせるなんてとんでもないことだぜ?

天罰が下ってしかるべきだよ?そう思うだろ?

さっきまで抱いていた神父への尊敬や感謝はどこかへ吹っ飛んだ薄情な俺。

俺はポケットに入っていたものの中で一番大きい石を手にとり全力投球!

「キャアッ!いた〜い!」

「なんだ!?どこから飛んできた!」

「おい!大丈夫か!なにがあった!」

知らないフリをした。俺主人公だし、こういうのはまずいからネ。

「男!起きてたのか!石が飛んできたみたいで女の子にあたったんだ。」

神父が見ていなかったことに俺はまず安心した。とりあえずは助かったのだ。

もとより、これは世間体においてのみ助かったのですが、このときの私にはそれがry

「酷いな・・・、頭皮が裂けてしまっている・・・。」

うっ・・・まさかこんなことになるとは・・・。違うんだ・・・
俺はこんなつもりじゃなかったんだマジで。

頼む神父・・・早く治してくれ・・・。俺もうガマンできない・・・。

「神父!早く治すんだ!一分一秒でもその子を苦しませるんじゃない!」

「そのつもりだけど・・・らしくなく必死だな。〈ディア〉!」

傷はあっという間に塞がり、少女の顔色も良くなった。

ホントごめんなさい!!






120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 09:51:47.57 ID:jy+CExyno
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/10(日) 11:53:40.79 ID:rYSTZA0IO
ディアって昔アンデッド系にしか効かないクセに、アンデッド系が悉く弱点に設定してたから、常にダメージ二倍だった攻撃魔法じゃないですか
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/04/13(水) 19:38:20.97 ID:95dePqJI0
乙です。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/14(火) 20:17:10.26 ID:zSbsTSC2o
oi
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