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上条「専属教師?」イボンヌ「(コクリ)」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 16:58:11.43 ID:7D4+2kDa0

注意!

1・このSSは「とある魔術の禁書目録」と「イボンヌと遊ぼう」のクロスオーバー2次創作です
2・独自の解釈やオリジナル設定、キャラ崩壊などが存在するかもしれません。
3・時系列が色々おかしい…と言うかカオス
4・基本的にゆる〜く、時々シリアスにやっていくんじゃないかな?


上条「……ってイボンヌ先生が言ってる」

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寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
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第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
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今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/

誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
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真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
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愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/

2 :王様 :2011/03/14(月) 17:00:44.88 ID:0YKxYCur0
無駄スレたてんなクズが!
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 17:04:01.78 ID:7D4+2kDa0


序章


上条当麻は不幸な人間である自分を、あまり賢くない人間の枠に分類している。なんだか色々悲しくなるがそれはどうしようもない事実だ。

上条に宿る異能の力を打ち消す右手「幻想殺し」の影響(おそらく)による超能力開発「暗記術」の赤点はまだしも国語、数学、理科、社会などといった基本的学問においても赤点のアウトとセーフのラインを行ったり来たりしていて、クラス担任の月詠小萌に悪魔で天子な声で「補修なのです〜」と呼び出された回数などもう数えるのも面倒臭いほどだった。

まあ補修についてはさまざまなトラブルに巻き込まれ「不幸」にも授業に出られなかったという上条としては不本意なものが殆どなのだが。

しかしながら、そもそも上条の頭が良かったら補修や何やがあっても平気なのでは?という方が居るかもしれないので、続けて説明しよう。

実際には上条は頭が悪いと言う訳ではない。

ある時はとある錬金術師の黄金錬金の欠点を見破ったし、ある時はほんの僅かな会話からローマ正教の修道女たちが潜伏している場所を探し出した。
またある時は神の右席の1人である男の術式の穴を見つけ、飛行機をジャック、墜落させようとしたテロリストの男が持っていた防水加工された銃を「熱膨張」という化学反応を利用し無効化した。

と、上条は意外と頭が切れる。ではなぜ細かいことに気づき、僅かな(と言ったら失礼かもしれないが)知識を生かし、数々の修羅場を潜り抜けてきた上条がこうも悪い点ばかり取っているのか。

それはただ単純に「勉強している時間が少ないから」というある意味当然の事だった。

上条は「天才」ではなく、ごく普通の高校生である。勉強をしていないのなら出来なくて当たり前なのだが、これは上条が勉強嫌いだから、と言う単純なものではない。



思い出してほしい上条当麻は不幸な人間であるという事を。



朝は上条の寮に同居している高級ティーカップのような修道服をまとったシスターと自分(あと三毛猫)の朝食を作らなければならず、学校が終わり夕方になれば学園都市3位の超能力者であるビリビリ中学生、もしくはスキルアウトの不良に絡まれる。ここまでで体力の約7割を消費しやっと帰宅できたかと思いきや、洗濯物の取り込み、朝と同じくシスターと自分の夕食作り、さてやっと宿題ができるとノートと教科書を広げれば、シスターと三毛猫が「かまってくれ」と要求(主に噛み付き)してくる。

シスターと三毛猫が床に就く頃には上条の体力及び精神は底を尽いていて、宿題を最後の力を振り絞り、何とか終わらせたら後はもう寝ることしか出来ない。

基本がこれ、そう、基本がこれだ。
今のは上条の1日を至極簡潔にしたもので、詳しく繊細に語れと言われればそれこそ数々の不幸があり、さらには上条も予期せぬ大きな不幸が急に舞い込んでくることもある。
学生という立場にあってこういうのは何だが、正直勉強どころではないのだ。

上条が今の生活で学習能力をアップさせるには、それこそ学校に居る間に教わった事を全て理解し、脳内の知識記憶に叩き込むしかない。

「……そんな事、平凡な高校生である上条さんには出来ませんよっと……でも何とかしないとまた補修が……」


そんな不幸な少年上条当麻と


「……………」
「…ん?」


謎の少女が出会うとき


「……いま、何か言った?」
「……………(コクリ)」


物語は始まる


4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 17:10:01.91 ID:7D4+2kDa0


The first lesson―――謎の女の子と、あ〜そ〜ぼっ!!


第一印象は「不思議な子」だった。

短く、整えられた金色の髪に、マリンブルーに輝く宝石のような瞳。
少女の身の丈の3分の2弱はあるであろう旅行カバンを両手で持ち、薄いグリーンのワンピースを身に纏った女の子が、ジッっと上条を見上げていた。

だが一目で外人だと分かるその少女に「不思議」と言う印象を持たせたのはその身に纏うそれこそ不思議な雰囲気だったりする。

「……………」
「……うん…うん……」

最初は(もしかして外人の子が道に迷って勇気を出して話しかけてきたとか!?上条さんの英語スキルはD−ですよ!?)と内心かなり焦っていた上条だが、彼女はスラスラと日本語を喋ってくれた。
いざとなればジャッジメントかアンチスキルの詰め所にでも預けようか、と少々後味の悪い結末を考えていた上条は、そうならない事に若干ホッとする。

その少女の声は、風が吹けばかき消されてしまうほどの小声だったが、幸いきちんと聞き取ることが出来た。

「ん?その高校なら俺が通ってる所だけど……一緒に行くか?」
「……(ペコリ)」
「礼は良いって、ほら、荷物持つからさ。重いだろ?」

上条が当たり前の様に彼女の旅行カバンを持つと、少女はまた健気に頭を下げる。
(この健気さをどこぞのシスターやビリビリ中学生にも見習ってほしいよまったく)
そんな事を思いながら上条と少女は並行してトコトコと歩き出す。
少女のカバンは結構重く、上条のような男子高校生でも片手で待ち上げ続けるには多少の腕力が必要だった。

(…それにしてもうちの高校に何の用があるんだ?誰かの兄妹で忘れた荷物を届けに来た…ならこんなに荷物大きくないよな?小等部の転校生……いやいや家の学校に小等部なんてありませんよねぇ?)

上条はこの少女の存在がさっきから妙に頭に引っかかっていた。

この少女から学園都市特有の雰囲気が全くしない事から、学園都市外部の人間であるという事はなんとなく察していた。が、だったらこの少女の年齢から見るに、まだ保護者的な存在がいても良い筈だ。学園都市に1人で観光と言う線などある訳が無い。

(……って事はやっぱ外からの転入生なのか……?でも……)

「なあ、君の行きたい所って本当に……高校なのか?」

少女はあまり表情を変えずにコクリと頷く。先ほどの彼女の日本語スキルから(恐らくA+)いって、聞き間違い、言い間違いがあるとは思えない。この小学生高学年くらいの少女が上条の通う高校に、何の用があるというのだろう。

(……まあ、着けば分かるか)

この時、もっと詮索をしておかなかった事を
この時、詳しい話を聞き、対策を立てて置かなかった事を
上条当麻は後悔する事になる。


5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 17:11:52.43 ID:7D4+2kDa0



「ふむ、無事に合流できたようで何よりだな」

窓の無いビル

そう呼ばれているビルの中の何処かにある何百何千何万という太いコードの様な物で散らかっているこの奇妙な空間。
そしてその奇妙な空間の中心にある円柱型の透明な水槽の中にその存在は頭を下に、足を上に、様は逆さまになって入っていた。

学園都市統括理事長「アレイスター・クロウリー」この聖人とも罪人表現できるこの存在は本当に自分の前にいるのか、ここは本当に窓の無いビルの中なのか

この存在ははたして「人」と呼べるのか。

「また考え事をしているのかい?君は此処へ来るたびに何時もそういう顔をするな、此処での気分が優れないのなら君の視覚に映る物を癒しの効果がある3D画像へと切り替えても良いが」
丁重に断った。なんだか1度でもその3D画像を見ると、その映像が目に焼きついて剥れなくなってしまいそうで怖かったからだ。

「今回の件は科学(こちら)としても魔術(そちら)としてもかなり複雑な状況にある。だが、色々難しいとは言え、気負うことは無い」

ゆっくりと口元を歪めて笑うこの存在を



「君は君の仕事をこなせば良いだけだ」



人とは認めたくなかった


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/03/14(月) 17:19:18.28 ID:7D4+2kDa0


「……」
「……」
「…………」
「…………」
「……………………」
「……………………(なんか何事も無く着いてくるけど大丈夫なのか?)」

上条と謎の少女は目的地である上条の通う高校に着いてからも並行して歩き続けていた。
最初はクラス担任の月詠小萌に訳を話して預けようと考え、職員室へと向かおうとしていたのだが
(う〜ん……でも結構遅くなっちゃったから小萌先生が教室にいることもありえるよなぁ)
行き違いになる恐れはあるが、幸いにも上条のクラスと職員室の距離は意外と近くにある。結論から言うと、ひとまず教室へと向かうことにした。

「えっと……ちょっとここで待っててくれるか?俺の荷物置いてくるから」
教室前で待つよう指示する上条に少女はフルフルと首を軽く左右に振ると、小さく、しかしハッキリとこう言った。

ここに用がある

やっぱり誰かの妹なのか?とも思うが、上条のクラスに外国人はいない。遠い親戚という可能性もあるが、何か違うような気がした。

……話は変わるが、上条当麻のクラスには「土御門元春」と「青髪ピアス」なる人物がいる。

この2人に上条が加わると「デルタフォース(馬鹿3人組)」と呼ばれるお馬鹿集団が出来上がるのだがこの3人、常時言い争いやら殴り合いやらをしているいわゆる「悪友」というもので、つい昨日も帰宅途中「上やんの性癖大調査スペシャル〜!!」とか言う突発的で馬鹿げた(上条本人としてはたまったものではないが)話題で言い争い、最終的に三つ巴の大乱闘にまで発展した。

そして土御門も青髪ピアスも上条の事を「フラグ男」と呼び、上条にとって時に理不尽に感じる暴力を振るわれる事がある。

さて、こんな悪友2人を持つ上条が、金髪藍眼の少女を連れて教室に入ってきたらどうなるだろう。

「「このフラグ男がぁぁあああああああああああああああああああ」」

一拍置いて教室の後ろで雑談していた2人がこぶしを握り、問答無用とばかりに上条に殴りかかろうとするが、上条は微動だにしない。彼は不幸な人間だが、それ故に朝のこの時間帯に教室に入れば、その瞬間はどんな理不尽な戦闘が起きようと

「やっときたーーーーーーーーーー!!」
「へぶるっ!!」
「げぼるはっ!!」

必ず回避する術がある事を知っていた。

「「とんま」!!英語の宿題忘れちゃったー、うつさしてー!!」
走りながら体育会系高校生男子2人を吹き飛ばした黒髪ツインテールの少女は、宇宙船やらウサギやらおにぎりやらのシールがぺたぺたと張り付いた、まるで小学生の自由長のような英語のノートを持って懇願する。吹き飛ばした2人の事など気にも留めていないようだ。

「……谷口……お前、今まで宿題をやってきたためしがあったか?」
「だっ、だって今日はニャンリオパークの特番があって……」
「昨日は?」
「えっと……ほ、欲しかった漫画が次々見つかって……」
「一昨日は?」
「…………野良ニャン子たちと遊んでて…………」
「その前は?」
「………………う、うっかり寝過ごして」
「どれもこれも自己責任じゃねえか!宿題は自分の手でやりなさい!!あと上条さんの名前は「とんま」じゃなくて「とうま」だから!」
「むむむ、今日のとんまはいつに無くいじわるだぁ!幼馴染なんだしちょっと位いいじゃない!!」

谷口は上条当麻の幼馴染らしく、このクラスで唯一、上条のことを「とんま(とうま)」と下の名で呼んでくる。らしいと言うのは上条当麻は1度記憶を失っていてこの少女が本当に幼馴染かどうか分からないからだ。

記憶を失ってから初めて学校で会話して(と言っても今のように宿題の模写を要求してきただけだが)幼馴染だと聞かされた時は本当に焦った。本当に古い付き合いなら上条の僅かな異変も感じ取られてしまうのではないだろうかと思い、出来るだけ彼女から記憶を失う前の上条当麻の情報をさり気なく聞き出し、それを実行してきた……。

ゆえに、今の上条が記憶を失っていない上条として振舞えているのは、ほとんど彼女のおかげだったりする。が、それとこれとは話が別と言うやつだ。

「だいたいなんでいつもいつも上条さんに頼むんですか!他のやつらにも頼めば良いじゃん、つーかそもそもお前、俺より成績良かったはずだろ!?」
「成績がいいのは開発のおかげだって!国語、英語、社会に歴史、生物に化学、ほとんど赤点ギリギリなんだから!!」
「胸張って言う事じゃねぇだろうが!!」
ギャアギャアと谷口と言い合っていると、上条の服の端を小さい手がぎゅっ、と掴んだ。

「お?わー、かわいい!!もしかしてこの子がとんまの従姉妹?」
「あ、いや、この子は……っ!!」

失念していた、上条当麻は忘れていた。

「うわーい!髪の毛さらさらだー!!」
「…………!」

このクラスには猛獣がいるのだという事を

「お肌はスベスベ〜ほっぺはぷにぷに〜!かっわい〜!!」
「……………………!!」

頬を左右に引っ張られ、少女が助けを求めるが、谷口の幼馴染である上条は知っている。

こうなった彼女は誰にも止められないのだという事を。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 17:23:14.03 ID:7D4+2kDa0
今日はここまでにしたいと思います。
よろしければお付き合いください。

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 17:32:12.91 ID:XW36I9LB0

まさかのロリ教師2号(非合法)か……ハッ!
まさか……ロリ教師1号(合法)、クビ!?
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/14(月) 19:56:55.04 ID:FMqt24NSO
ゲッサンのやつか
今度読んでみようかな
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/21(月) 03:56:09.82 ID:xPvyRjX60
大幅に遅れてしまい申し訳ございません
別に何か遭ったわけではありません、ちょっと体調を崩していただけです。

……まあ>>1が遅筆だという事が1番の要因ですがorz
投下します
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/21(月) 03:58:35.92 ID:xPvyRjX60


「ゴメンね、その子がほんっとかわいくて……」
「ったく、完全に怖がってるじゃねえか……だいじょうぶだぞ〜?」
「………………(サッ)」
「あ、う〜……」
「完全に嫌われたな」

やっと谷口の魔の手から解放された少女は、上条の後ろに隠れ、ぎゅっっ!と先ほどより強く服を掴んでいる。その眼は涙でじんわりと滲んでいた。

「ははは……この子、とんまの従姉妹じゃなかったんだね」
金髪と言い、青い瞳といい、一目見れば上条との血縁関係が無いことなど分かりそうなものだが、彼女は半分以上本気で上条の従姉妹か何かだと思っていたようだ。

「でも朝から迷子の姫を護衛かー、相変わらずやるね〜とんま、よっ!このフラグ男っ!!」
にくいね〜やら、カッコいい!やら、景気良くはやし立てる谷口の言葉は無視することにした。
口争よりも今は重要なことがある。

「このクラスに用事があるんだから誰かの妹……は無いにしても知り合いだと思うんだよなぁ……谷口、なんか知らないk」
「富士ク〜ン!!」
「聞けよ人の話!!」
「ちゃんと聞いてるって!!富士ク〜ン!!」

日本人が「富士」と言う単語で連想するものと言えば大抵の人が「富士山」と答えるだろう。なかにはりんごの種類、と答える人がいるかもしれないが、りんごの富士を知っていて、富士山を知らない人は恐らくいない筈だ。

「谷口さん……何?」
そしてこのクラスにも「富士山」を連想させる男子生徒がいる。
名は富士。それに相応しく、2メートルをゆうに超える巨体に、ガッチリとした筋肉を持つ、クラス1の長身で、力持ちだ。

「この娘をブワーッ!!と持ち上げてみんなに見せてあげてほしいの!!」
「……別にいいけど…………」
富士がゆっくりと席を立ち、少女の方へ歩いてゆく。が、少女の様子がおかしい事に上条は気づいていた。

富士の体長は2メートルをゆうに超えている。上条は勿論、190センチの青髪ピアスさえ最初は凄んでしまったほど、富士は大きく、迫力がある人物だ。

そんな富士はまだ上条の半分ほどの身長しかない少女の目にはどう映るだろう?

「ちょ、ちょっと待て富z」
上条の慌てた声が響くが時すでに遅し。少女は富士に両手でガッシリと掴まれ、それこそ人形のように高々と宙に掲げられていた。

「みんな注目ー!!この娘のお兄さんかお姉さん、もしくは従兄妹さんか知り合いさんを捜していまーす!!どなたか分かりませんかー!?」
谷口が声高らかに迷子放送を流すと、他愛無い雑談を繰り広げていたクラスメイトたちが一斉に教壇を、正確には富士に抱えられた少女に注目する。

「誰だよ、妹連れてきたの」
「オレ妹いねーし」
「ちいこーい!!誰の妹?」
「かわいい!」
「どうしたのかしら」
「上条が連れて来たらしいよ?」
「上条当麻!また貴様は……!!」
「…………フラグ……男」
「でもなんでここに?」
「忘れ物届けに来たんだってー」
「妹に届けさせんなよ!!」
「かわいいからOK!」
自分が全く予想しない方向に話が進み、少女は焦っていた。
何とか上条に事情を説明しようと首を後ろに回すが、それが原因で少女は固まった。

巨人、厳つい顔の巨人の顔が、物凄い迫力で少女を見上げていたからだ。
まあ実の所、富士は少女を見つめていただけで、迫力だの怖い顔だのを意識していたわけではないのだが。

少女の目から涙が零れ落ちるのに時間は掛からなかった。

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/21(月) 04:07:35.55 ID:xPvyRjX60



「怖がらせちゃってゴメンよー」

机に座り、前のめりになってグシグシ泣いている少女を、先ほどからのメンバーに吹寄制理と姫神秋沙が加わり必死に慰める。

富士は責任を感じているのかもう必死だ、昼食用にとって置いたイチゴオレ(名称「オレのオレ!」)を献上すると、少女は少し泣き止んだ。

「…………富士くんは……悪くない……」

「そうね、あ、彼は富士って言って、顔は厳ついけど心は優しいナイスガイよ、心優しい力持ちってやつね。動物に例えたらドンキーk」

「草食動物だよな!つーか本当に悪いのは谷口だろ!!」

「え、何で私!?」

「自覚なしかよ……あいつは谷口。元気とテンションの高さだけがとりえなやつだ。アグレッシブで活動的な性格をしていて、認めたくないけど俺の幼馴染。動物に例えたら肉食獣……いや猛獣だな、トラか何かだ、焼肉大好物だし」

本当に幼馴染と言って良いかどうかは分からないけど。と、上条は心のなかでそう付け足す

「俺たち「フォー・オブ・フォース」の紅一点でもあるんだニャー」

「最初にワイら、元「デルタフォース」に入れてくれ言われた時はトチ狂ったんかなと思ったけどすぐに納得いったしな、この娘の可愛い物好きとテンションの高さは国宝もんや」

「……猛獣……谷口」

「ある意味このクラスの支配者よね彼女……あれ?」

「ん?谷口はどこにいt………っ!!」

全員からボロカスに言われ、吹っ切れたのか、そもそもそういうつもりだったのかは分からないが

「今日の朝食ゲーット!!」
「…………………………………!!!」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/21(月) 04:10:34.76 ID:xPvyRjX60



「今日の朝食ゲーット!!」
「…………………………………!!!」

谷口はいつの間にか少女の頭に噛み付いていた。

勿論アマガミだろうが、猛獣だの肉食だの焼肉が大好物だのと聞かされた幼い少女にとっては、文字通り自分を捕食しようとする肉食獣にしか見えない。

それこそ死に物狂いで上条に助けを求める。

「いいもんね〜、肉食獣でも良いもんね〜、テンションの高さだけがとりえだもんね〜!!」
「…………………!…………!」
「もうやめとけって、本当に嫌がってるから……」

それでも呆れ半分で見ていられるのは彼女が本当は人畜無害(いや害は出ているかもしれないが)な元気娘だという事を知っているからだろうか。

「え〜どうしよっかな〜、折角のご馳走だもんな〜?」
「はあ……弁当のおかず1品」
「……僕も出すよ……」

乗った!と谷口が少女を手放す。

実はこのやり取り、結構日常的に行われていたりする。
食べ物(餌)で谷口(猛獣)を繰るあたり、上条が本当に猛獣使いか何かに見えてくるのだが、上条に言わせて見れば、餌で動いてくれる分、まだ良い方らしい。

「は〜い、皆さん席についてくださ〜い!」

上条が猛獣を大人しくさせた直後、小学生にしか見えないクラス担任の月詠小萌が入ってきて、ものの数秒でクラス全員が席に着く。

少女は心細いのか、上条の席に身を寄せる様に座った。
ここまで先生に優しい(全体的な意味で)クラスもそう無いだろう。

まあ実際はちびっ子小学生(に見える)を泣かすわけにはいかないと言う、小萌が聞いたら怒しだしそうな(怒った姿も小学生のそれにしか見えないが)理由だったりする。

「さてさて、皆さんそろってますね今日はビッグニュースがあるので……って」




「イボンヌちゃん!?」




小萌が少女を見て声を上げる。少女はやっと落ち着いたのか、富士に貰ったオレをストローでチュウチュウと飲んでいた。

(イボンヌ……外国からの留学生か?)

やはり小萌先生の知り合いだったのだろうか?だったら職員室に連れて行くべきだったかもしれない。
少なくとも谷口の被害には遭わずに済んだ筈だ。と上条は思う

この後

なんで最初に職員室に連れて行かなかったんだチクショーーーーーーーーー!!不幸だああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


と、声を荒げるような事態になることになろうとも知らずに。

「小萌。この娘、このクラスにお兄サンかお姉サン捜しに来たらしいんだけど……何か知ってる?」
「なに言ってるんですか、その娘は……いえ、その方は…………」






「伝説の天才教師・イボンヌ先生なのですよ!!」






大絶叫がクラスを包む中、少女は我関せずといった様子で、オレを飲み続けていた。


「て言うか何教えるんだよ!?」

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/21(月) 04:16:44.44 ID:xPvyRjX60

1時間目終了〜!
原作「イボンヌとあそぼう!!」の第1話に当たります。

勿論これからは原作どおりでなく、オリ設定や禁書風味な話が出てくるのではないかな〜と思います。
まあシリアスがあるとしても少しですけどね。

2時間目でもっとあ〜そ〜ぼっ!!
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 13:53:36.84 ID:/G7fy83m0
なんだ…金沢イボンヌだと思ったのに
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