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浜面「血を吐きながら続ける哀しいマラソン?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 02:55:21.32 ID:3+pQlKc00
「そこの盗難ヤロー、さっさと止まるじゃんよ!」
浜面は黄泉川に追われていた。黄泉川側は相手が浜面とは気付いていない。

当の本人は追われてることよりも
リーダーによるお仕置きの方を危惧していた。
アンチスキルに捕まったとなればブチコロシ確定だろう。


しばらく爆走していると夜空が急に明るくなる。
必死で逃げてる浜面でさえ気付くほどの光。
その光の正体は赤い発光体だった。
猛烈な勢いで落下しているように見える。いや実際に落下している。
そしてその赤い発光体はそのままハイウェイに近づき。
浜面の乗った車に落下した。
直撃だ。
それと同時に勢いよく爆発する車。
浜/面などと両断どころではない。
粉々だ。
まさには/ま/づ/ら、である。

「あの光は一体なんじゃん......」
当然追っていたアンチスキルもその赤い発光体は目にしている。
そして目の前の惨状も。呆然とする黄泉川。
「ッ!ボーっとしてる場合じゃ無いじゃん!まだ生きてるかもしれない!!
 急いで救助するじゃんよ!!」
犯罪者とはいえアンチスキルとして人命は無視できない。
黄泉川は急いで救助の指示を出す。


しかし救助の必要は無かった。
炎の中から人影の様なものが浮かび上がったかと思うとそのまま去っていったからだ。
「一体なんだったじゃんよ......」


 
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/03/16(水) 03:01:22.39 ID:ywrq0BsAO
wktk
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:01:27.94 ID:3+pQlKc00
先に文章上げてしまった・・・。
・初SSです
・ウルトラマンと禁書のクロス
・登場キャラは主にアイテム
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:04:03.53 ID:3+pQlKc00
浜面は死ななかった。
意識が薄れゆき、次に目を覚ました時には別の空間にいた。


「ここで......死んで、たまるか。
 俺はまだ死ぬわけにはいかないんだぁ!!」

叫ぶと同時に光の奔流の中心に、浜面の目の前に巨人の姿が現れた。
「はぁ......はぁ、あれは?」 



「すまねーな地球人。
 お前の体は俺のせいで爆散しちまったが安心しろ。
 しばらく同化することにした」

突如目の前の巨人から発せられたと思われる声が
浜面の脳内に響いた。
が、この巨人あまりにも無責任である。
何が安心なのか、説明が足りなさすぎる。

「お前、何者だよ......」
傍若無人極まりないこの巨人に浜面は当然の疑問を問いただした。

「俺か?俺の名は......」




「ゼロ、ウルトラマンゼロだ」




その日から浜面の目は浜面の体を離れてこの不思議な時間の中に入っていった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/16(水) 03:09:57.69 ID:UVR5dLaAO
「無能力者<レベル0>」と「ゼロ」
の共演か…胸熱!
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:10:35.54 ID:3+pQlKc00
学園都市某所のアイテムのアジト。
そこにはリーダーの麦野を始めとする浜面を除くアイテムのメンバー4人が
揃っていた。
しかし各々の表情は曇りきっている。
昨夜から浜面と連絡が取れないためだ。
「......はまづら、だいじょうぶかな」
「携帯にも出やがらないしね」

4人とも昨日のカーチェイス騒動は知らない。
発光体のこともだ。
滝壺は普段から表情が乏しいがこの時ばかりは不安の表情がかなり顔に出ていたし
麦野も意外に浜面を心配していた。
「麦野が浜面の心配なんて明日は雪が超降りますね」
「べ、別にそんなんじゃ」
「結局顔真っ赤にして否定しても説得力無いって訳よ」
「......ツンデレむぎのん」
「あんたらねぇぇぇぇぇ!」

浜面の心配から麦野いじりに移行しかかりかけた時
滝壺は自身の能力で妙な気配を感知した。
「なんだろこれ。大きな力が
 こっちに向ってる......」
その言葉に一同は表情を変える。

「敵襲?」
「わかんない。反応は一人分だけど......」
暗部にいすわる彼女らにとって別組織の報復は十分あり得る。
だからこそ滝壺の言葉に全員が少なからず緊張を走らせた。

「あれ?反応が途切れちゃった」
「どういうこと?」
「わかなんない」
途中まで滝壺が感じていた反応は突然ぱったり途絶えたのだ。
その数分後、突然アジトのドアノブがひねられる。
一同は再び警戒する。


「よう......」

が、それは徒労に終わった。
ドアを開けた者の正体が浜面だったからだ。

しかし彼の全身はボロボロだった。

「は、はまづら!?」
「ちょ、超どうしたんですか!?」
「ボロボロじゃない!!」


「ぐっ......」
そのまま浜面は床に倒れ伏した。



「どう?」
「うん、落ち着いたみたい」
浜面の快方から戻った滝壺に麦野が容体を聞いた。

あれから倒れた浜面を殆ど滝壺が快方した。
しかし服を着替えさせるという段になって麦野が待ったをかけた。
その役目を買って出たのだ。
しかし滝壺も譲らない。
「......大丈夫だよ、むぎのが手を煩わせることないから」
「し、下っ端の面倒をみるのもリーダーの務めだから私にまかせろって!」
「リーダーはどんと構えてるものだよ」
「そ、それはそうだけど」
「じゃぁ私がやるね」
「あ、ちょ」

結局この後二人で浜面の着替えを執り行ったのだった。
その部屋からは二人の黄色い声が響いてきたという。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:19:29.55 ID:3+pQlKc00
「にしても気になるわね」
「あのブレスレットのこと?」
「まあね」
二人が嬉々として浜面を着替えさせている時に見慣れないものが身に付け
られていた。
それは銀色のブレスレットだ。
中心には青い宝石のようなものが一つあしらえられており浜面の趣味にしては
ちょっと綺麗すぎる装飾品だ。
そしてこれがどういうわけか全く取り外せない。
麦野が保護面片手にビームで溶断しようとしたが滝壺が慌ててそれを制止した。

「それにアンタが感じた能力者の反応のこともあるわ」
「うん。でも今はもう感じないよ?」

「......」
「むぎの、まさかはまづらを疑ってるの?」
「違うわよ」
滝壺にそうはいってみたがやはり疑念は拭えない。
いやにタイミングが被るのだからしょうがない。
(まぁいっか)
結局現状では判断材料が少なすぎるので麦野はこの件については考えるのをやめた。

「まぁ細かいことは浜面が起きてから聞けばいいじゃないですか」
絹旗のいうことも最もだ。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 03:24:52.32 ID:i5AnXWes0
浜面さんただでさえ原作じゃ仮面ライダーなのにウルトラマンになるんすか

マジパネェ

支援
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 03:30:55.62 ID:4V9uw1nlo
行数すげえwwwwwwwwwwwwww
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:46:47.50 ID:3+pQlKc00
数多の星がきらめく空間。
いや星というよりは大きな、水の雫のようなものが無数に存在するような空間が
視界に広がる。
「ゼロ、ここは?」
「ミラーナイト、ここはマルチバース。別の宇宙が無数に存在する場所だ」

(な、何だ?この十字目は俺に話かけてんのか。ってなんか俺勝手に喋ってる!?)

「こんな所があるたぁねぇ。別の宇宙ってだけで驚きだってのによぉ、なぁ焼き鳥」
「何度いったらわかるグレンファイヤー!私の名前はジャンボットだ!」

(なんだよこいつら。それにこの見た目。宇宙人か?)
目の前で雑談する妙な連中に浜面が抱いた第1印象は正解だったが
相手に向って話す事が出来ない。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 03:56:40.35 ID:3+pQlKc00
「んで?どこから攻めてく大将」
「ゼロでいい。あの宇宙でいいだろう」

ゼロと名乗るヤツ(浜面)は適当に指し示すともの凄いスピードで雫状のものに
突入していく。
他の連中も後に続いた。

しばらくすると本や映画でみたような宇宙空間が視界一杯に広がる、が他の
連中の姿が見当たらない。

「ミラーナイト!?ジャンボット!?グレンファイヤー!?」
ゼロなる者の叫びに反応はない。

「クソ。はぐれちまったぜ」
(ええ!)

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2011/03/16(水) 04:04:17.47 ID:6jfehOAw0
幻の12話・・・
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 04:19:26.77 ID:3+pQlKc00
書きため分なくなったのでしばしお待ちください
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/16(水) 10:13:36.98 ID:QK49esTAO
ゼロ見たこと無いが、こんな感じなのか
若さ差し引いてもセブン教育失敗したように感じる
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/16(水) 11:11:01.81 ID:Vqdd8a1AO
けど師匠はレオとアストラなんだよな
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 11:38:01.97 ID:BBdMsWf40
>>14
初めて見た時、ケビンマスクを思い出したのはそのせいか
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 12:59:51.79 ID:3+pQlKc00
*再開します

「しょうがねぇ、丁度この宇宙の太陽系にいるみてぇだし適当な星に行ってみるか」
あまり気にしていないのかゼロは適当な星にあたりをつける。

「ん?ありゃぁ地球か?いやでも光の国はないしな」
(なにいってんのかさっぱりだぜ)
「いってみるしかねぇ」

浜面の意識でも確認できるそれは確かに地球であり急降下中に見えたのは日本の様に
見える。

(え、あれって学園都市?)
そして眼前に広がるのはもう腐るほど見慣れた学園都市の夜景。
俗に言う百万ドルの夜景というやつかと一人ごちりいつか滝壺と一緒にみたいな
などと呑気な事を考える。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/16(水) 13:08:26.17 ID:3+pQlKc00

(ってあの高速、それにあの車って)
そう。これは当時の再現だ。
あの爆発事故。
あれで浜面は一度死んだ。そのはずだった。
だんだんと車がハッキリと見え、そして。

「うわああああああああああああああああああああああああっ!!」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/16(水) 13:52:34.51 ID:QK49esTAO
単なるスピードの出し過ぎで浜面を殺ったのかww
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/16(水) 15:52:41.44 ID:i5AnXWes0
とばっちりすぎるw
支援
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/03/16(水) 23:57:49.79 ID:i0h8pGbW0
ウルトラマンと聞いて来ましたァ!
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/03/17(木) 00:04:26.76 ID:v/Q3kfH30
今のカッスレは、血を吐きながら続ける地獄のマラソンだ。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/17(木) 06:20:48.72 ID:N0lo4apAO
続きマダー!?
気になって目が覚めた
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/17(木) 09:50:28.23 ID:xK2ywAIy0
せめて投下の終わりを毎回つけてほしいな

別にここはいつ投下しても大丈夫だし
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/17(木) 13:56:19.23 ID:W1NPgCgAO
とりあえず続き待ってんよ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:46:19.51 ID:LU4Egp1h0
※すみませんおまたせしました。続きです。


悪夢から悲鳴を上げて飛び起きる。
肩で息をし全身汗でぐっしょりだ。
「ここは、アイテムのアジト?無意識に帰ってきてたのか......」

周囲を見渡すと見慣れた風景が目に入りホッと一安心する。
しかししれでも最後にみたあの光景。
アレはどうみてもあの時のカーチェイスだ。
確か車は爆発していた。
なのに何で俺は生きている?

柄にもなく黙考していると慌ただしく部屋の扉が開く。


27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:49:43.60 ID:LU4Egp1h0

「はまづら!起きたんだね、よかった......」
今までにそんな表情をしたことあったっけと思うほど安堵した表情の滝壺が
現れ浜面の注意は思いっきりそちらに逸れる。

「滝壺......」
「はまづら大丈夫?すごい汗。わたしがふいてあげるね」
「へ、滝壺さん?」

どこから取り出したのか手にはタオルがにぎられている。
獲物を狙う獅子の如くジリジリとにじり寄ってくる滝壺。

「上脱いじゃって?」
「なぁ!?」

何でそんな顔を朱に染めてんの滝壺さん?
この娘はいざという時とても積極的だ、そして今が正にそうである。

「たぁーきつぼぉぉ?はぁーまづらぁぁ?」

ドスが程良く効いた声。
戦慄を覚える声に本能的に首がそちらに向く。
みると眉をピクピクさせた麦野が仁王立ちでこちらを見据えている。
そしてその手には何故かタオル。
看病する気満々だ。

「むぎの」
「抜け駆けは無しよ滝壺」

その後二人の少女に甲斐甲斐しく快方される浜面であった。


28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/17(木) 22:50:10.12 ID:N0lo4apAO
戻ったかッ!
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:52:22.24 ID:LU4Egp1h0

「んで結局昨日何があったの?」
一通りの看病がすみ、麦野はずっと気になっていたことを問いただす。

「いや、まぁな」

しどろもどろながらも浜面は昨晩の出来事を切り出す。
爆発の件は伏せてだが。

「ふーん。お仕置き、といきたい所だけど今回は勘弁したげる」
「あざっす!!」

「それと最後に」
「なんだ?」
「アンタそんなブレスレット今までしてたっけ?」

麦野の指摘に浜面は初めて自分の腕に装着されていたブレスレットに気付く。

「な、なんだこれ?ってあれはずれねぇ?」
「何よアンタ身に覚えないの?その歳でボケちゃったの?」
「ちっげーよ!」
「はまづら、どうどう」

「ち、はずれねぇ。まぁいっか」
「はまづら何処行くの?もう歩いてだいじょうぶ?」
「おう!いや、昨日からなんも食ってないから買い出しに」
「あ、それならシャケ弁買ってきてよ」
「あいよ、滝壺もなんかいるか?」
「私も一緒にいくよ」
「なっ!だ、だったら私も行く!!」


30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:54:27.80 ID:LU4Egp1h0
結局三人で買い出しに行くことになった。

アジトを出ると空は澄みきっており風がとても心地いい。
しかも両手には花ときたものだ。
当然周りの、特に野郎の視線が痛い。

行きついた先は第7学区に居を構えるセブンスミスト。
出かけ際にフレンダと絹旗にも買い出しを頼まれたのだ。
フレンダは限定サバ缶、絹旗はB級映画のDVD。
どちらもコンビニじゃおいていないのでわざわざここに出向いたというわけだ。

そしてこの複合施設は衣類も豊富である。
当然女子二人がそれをスルーするハズもなく、
「私達しばらくここにいるからアンタ適当に買っといて」などと
早々にハブかれてしまった。
さっきまではあんなに......、まぁいいとゲンナリしながらも目的のモノを
買いに向う。
意中の想い人のための勝負下着を買いに行ったという、二人が浜面をハブいたのは
それはそれは羨ましい理由だったのだが。

仕方なく浜面は上の階から、絹旗のDVDから攻めていくことにし、
エスカレーターに乗る。
程なく目的の階につきCD・DVDショップに足を運ぶ。



31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:56:06.89 ID:LU4Egp1h0
「あった、あったこれだな」
B級映画特設コーナーなるどの層に需要があるんだ?という一画からDVD数本を
取り出しレジに向う途中で事件は起きた。

「な、なんだ!?急に暗くなりやがった!?」

何の前触れもなく停電が発生した。
それに驚き思わず悲鳴を上げる主に女性客。


しかし1発の銃声がより一層悲鳴を駆り立てた。


浜面は咄嗟に商品コーナーの棚に身を隠す。

そしてある違和感に気がついた。
まだ眼も慣れていない内から視界が良好なのだ。
辺りは暗いはずなのに少し離れた商品の詳細が一字一句わかる。
今の事態以上に自分の身に起きている異常に困惑していると妙な音が
館内アナウンスから聴こえる。
何だ?と思いつつ少し離れた所にいた制服を着た女の子にふと目をやると
その光景に驚いた。

頭を押さえてその女の子はとても苦しそうにしていた。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 22:56:58.67 ID:LU4Egp1h0

しかもどうやらその現象が起きているのはその子だけではないらしく
他にも複数の客が頭を押さえ苦しんでいる。
だが、浜面の様に何ともない客もいるようだ。
そういえばこのような状態にさせる装置に聞き覚えがある。
確証を得るため一番近くにいる女の子に向いほふく前進して近づく。

「ちょっとアンタ」
「ひっ」
「しーーーっ」
「あ、はい」

後ろに視線を向けてみるがどうやら気付かれてないらしい。
ホッと内心胸を撫で下ろし少女に問いかける。
「アンタ能力者?」
「は、ハイそうですけど」
この妙な音による頭を押さえるほどの痛み、そしてその渦中にある
少女は能力者だと答えた。
疑念は確信に変わる。


これはキャパシティダウンだ。


でも何故?
思い当たる節はある。

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 23:00:21.03 ID:LU4Egp1h0

スキルアウトによる襲撃。

しかし襲撃者の装備を見るととてもそうは思えない。
ドイツもコイツもスキルアウトが持ち得ないような高価な装備だからだ。
暗視ゴーグルに銃、どれをとってもそうである。
そして防弾チョッキの下の隊員服の様なもの。
あんな統制のとれた服装などスキルアウトはしたことがない。

そこでもう一つの可能性に思い至る。

襲撃者は暗部か?

だとしたら。

滝壺と麦野が危ない。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 23:14:41.87 ID:LU4Egp1h0

「目標は見つかったか?」
「いえ。ですが時間の問題でしょう」

彼らはとある暗部だ。
アイテムの様に特別な名称があるわけではない。
そして今回の作戦は上層部からの指令ではなく完全な独断によるもの。
その理由は単純に復讐だ。
暗部は所詮クズの日陰者だが感情は当然ある。
近頃はアイテムに煮え湯を飲まされてきた。しかもかなりの仲間を殺されている。
アイテムとでは比較にならないが彼らにも思いやるぐらいの仲間意識はあった。
それに上の連中に対する反抗の意も含まれている。
ここであの「アイテム」が壊滅となれば上は少なからず焦るはず。

連中もこんな日中から、しかも「表」の世界で襲撃を受けるとは思って
いなかったろう。
彼らはそこに勝機を見出そうとしていた。

虎の子である「キャパシティダウン」は目論見通りの功を奏した。

35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 23:30:40.52 ID:LU4Egp1h0
「ぐ、っつう......」
「む、むぎの、だいじょうぶ?」
麦野滝壺の両名は突然の停電の後に流された奇怪な音のせいで激しい頭痛に
みまわれていた。

「なんだっていうのよ一体ッ!」

頭を押さえながら忌々しげに呻くが状況は変わらない。
滝壺も普段のぼんやり顔が消えうせるぐらい苦悶に歪んでいる。

「ぐ、こんなことが出来るのは限られてるわね」
「あんぶ......」
「でしょうね。見なさい、奴ら他の客には見向きもせず何かを捜してる」

麦野が指し示す方向に目を向けると確かに襲撃者は何かを探索しているようだ。
そしてその足音は確実にこちらに向ってくる。

「あれが暗部だとしたら狙いはアタシらか。これはちょっとヤバいかもね」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/17(木) 23:39:50.89 ID:LU4Egp1h0

停電とキャパシティダウンが発動してから5分ほどたったころ。
浜面仕上は焦っていた。

周りのが客たちが苦しんでいる理由はわかった。
それと同時に同伴者が危機に晒されているということも。

「どうしたもんか」

直ぐにでも彼女らの元に駆けつけたい、が見張りが多い。
しかもこのフロアの出入り口になる箇所にめざとく配置されている。
迂闊に動けば蜂の巣だろう。
人殺しを躊躇わない暗部はそういう連中だ。自分も含めて。

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/18(金) 00:07:58.38 ID:Ci1crxdAO
計画停電か何かか?
まぁ気長に待つさね
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 01:00:54.53 ID:HLtNJv0a0

(ピンチみてぇだな)
「そうなんだよ。畜生どうしたら......」
(俺が力を貸そうか?)

「ん?」

(どうした?)

「な、なんだこの声!?どっから聴こえて......」

(お前の頭ん中だ)

「は、はぁっ!?誰お前!?え、えなんなのこれぇ!!」


(もう名乗ったろうが。ウルトラマンゼロだ)


「えっそれってもしかして俺の運転する車に不時着した......」
(そうだ。俺だ。あの時はすまなかったな)
「ざっけんな!!お前のせいで俺は死にかけてんだぞ!!」
(いや実際にお前は1回死んでいる)

「へっ......」
(それより今はこの状況をどうするかだ)
「そうだけど。え、俺死んじゃったの?それスルーしちゃうの?」
(チッあいつらこっちに気付いたみたいだないいか?今のお前は
 俺の力が流れてる。言われた通りやりゃぁこの状況を打破できる)

「だからスルーすんな!!」

「おいそこのお前!!」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 01:18:15.63 ID:HLtNJv0a0


この二人の脳内?会議はどうやら浜面の声が一方的にダダ漏れだったらしく
襲撃者にとうとう見つかってしまう。

「両手を上げて立て」

今の自分は丸腰だ。言われた通りにした。

「ん、コイツは......」

そこで襲撃者は浜面の顔を見て何かに気付く。
近くにいた仲間を呼びつける。


「おいコイツみろ、確か『アイテム』の浜面だ」

(下っ端の俺の顔まで割れてんのか)

話ぶりからして狙いはやはり麦野達らしい。
そして殺害リストにたった今浜面も加わったようだ。
だが敵が話しこんでる最中に再びゼロは喋りだす。


(今だ!キックを使え!目だ)


「はい?」
(いいから言われた通りにしろ!)
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 01:33:11.20 ID:HLtNJv0a0

「ど、っどうなってもしらねーかんな!」

叫びつつ浜面は言われた通りキックを繰り出す。

目に。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


信じられない光景だった。
レベル0の、無能力者の自分が。
やぶれかぶれに繰り出したキックで敵を10m近く吹っ飛ばした。

「......すっげ」

「おい貴様ァ!!」
「やべ!!」
(大丈夫だ弾を目で追え!!)

仲間をやられ銃を乱射するがそれは全て徒労に終わる。

何故なら全ての弾が浜面の手に収められていたからだ。

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 01:40:42.66 ID:zuz6vobAO
浜面△!!!
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 01:56:12.88 ID:HLtNJv0a0
漫画のような演出染みた手つきで弾を順に落としていく。
敵はというとその光景をみて半ば戦意喪失気味だ。

「すごい。グレートサ○ヤマンみてぇだよ俺......」
(違う、ウルトラマンゼロだっつってんだろ!)


「そこのお前!抵抗するとこの女を撃つぞぉ!!」

状況を離れた所から見ていた他の仲間が人質というベタな手を使う。
その手段は全く意味を成さないわけだが。

「「ウルトラ戦士をなめんじゃねぇ」」

言うが早いか襲撃者が気付いた時には人質を掴んでいた腕は宙を掴み
一瞬で意識を失う。

一人。
また一人。

ゼロもとい浜面は肉眼じゃ捉えきれないスピードでそのフロアにいた
敵を一蹴してしまったのだ。

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 01:58:13.94 ID:zuz6vobAO
必殺技が楽しみでヤバイww
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 02:25:28.26 ID:HLtNJv0a0

「殺しちまったか?」
(いや殺しちゃいないさ)

「っと、こうしちゃいらんねぇな」
(あぁ)

浜面達がいるのは最上階。
効率良く敵を殲滅できるわけだ。

「「やってやろうじゃねぇか」」

二人の声がハモり響く。

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 02:44:33.82 ID:HLtNJv0a0

「『アイテム』の麦野沈利、そして滝壺理后だな」

とうとうみつかってしまった。
内心はかなり焦っていたがどう足掻いたところで事態は好転しない。

「ハッ!だったらなに?犯そうってか?あぁ!?」

「フン、話には聞いちゃいたが本当に下品なアマだな。だが」

「ぐっ」
「今の状況じゃ強がりにしか聴こえんな」

敵は麦野の髪をグイッと乱暴に引っ掴み手繰り寄せそう言った。
実際に強がりなのだからどうしようもない。
背筋を這う様な相手の声と奇怪音により、一層気分が悪くなる。

だが。
敵の神経を逆撫でするとわかっていても。
麦野は挑発を止めない。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 02:57:27.36 ID:HLtNJv0a0

「そのうす汚ねぇ手を離しやがれ腐れ租○○野郎が。
 馴れ馴れしくさわってんじゃねよ!!」

「言うねぇ......」

「む、むぎの」
滝壺は気が気ではない。
プライドの高い麦野のことだ。こんな奴に屈したくない気持ちはわかる。
でも滝壺としては抑えるところは抑えて欲しい。

「はんっ!どうせ一生涯右手が友達君なんだろう?童貞くせっ......」
「むぎの!むぎの!!」
「少し黙れ売女め」

腹に蹴りが決まったせいでセリフが途切れる。
込み上げる嘔吐感が麦野を襲う。

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 03:23:13.00 ID:HLtNJv0a0

「良いコト思いついた。確認したらさっさと殺そうと思ったが。
 はは、お前が悪いんだぜ?麦野沈利」
「なにをっ......」

何をするのかと思い身構える。
しかし相手はなにもしてこない。

「安心しろお前にゃなんもしねぇよ。お前にはな」
「てめぇ、まさか」

「さすがレベル5、一瞬で察したか。おいソイツひん剥いて犯せ」
「!!」

そう言うと部下らしき人物が滝壺ににじり寄る。
当然逃げようとするがキャパシティダウンのせいもあってへたり込んでしまった。

その部下は滝壺に組みかかり衣類を剥き始める。
抵抗も空しく一枚、また一枚と。

「いやぁ!むぎのぉむぎのぉ!」
「てめぇぇぇ!!滝壺に手ぇだしてんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」
「うるせぇなぁ」
「あぐっ!?」

視界がぶれ、思い切り頭を踏みつけられる。
次に相手は体勢を変え麦野を組み伏せ先ほどの様にまた髪を引っ張った。
目の前で行われる光景がもろに見える体勢だ。
血が滲み出るほど唇を噛みしめ麦野は目を逸らすが
相手はそれを許さない。

「ほら仲間がやられる所ちゃーんと見届けてやれ」

顔を固定され両手で瞼を強制的に開かされる。

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/18(金) 03:38:36.40 ID:jjQRdcA70
支援

ただ投下スピードってもうちょっとは早くていいんじゃね?
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 03:42:46.31 ID:zuz6vobAO
>>1は睡魔と戦いながら頑張ってるんだよ!

それを見守ってる俺達もな…
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 03:47:25.67 ID:HLtNJv0a0
もう状況は絶望的だ。
それでもまだ麦野は希望を捨てない。
一人の少年に想いを馳せて。

そんな麦野の胸中を目ざとく察したのか襲撃者は凶悪な笑みを浮かべた。

「お前もしかして浜面とかいうヤツに期待してんのか?」

その言葉に麦野は凍りつく。
アイツは......。浜面は下っ端だ。

なのに。なのになんでしってるの?

「さっき部下から連絡が入ってな」

嫌。

「盾突くヤツがいたんで確認したんだそうだ」

「そしたらソイツがなんと『アイテム』の浜面だっていうじゃねぇか」

「俺はアイテムの連中は皆殺しと決めてる」

「だからこう指示した。『殺せ』ってな」

そんな......。そんな!!

「残念だったな今頃ソイツ蜂の巣だぁ」

うそ。うそよ!!
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 03:52:59.26 ID:HLtNJv0a0

「今のお前最高な顔してるぜぇ?復讐したかいがあるってもんだ」

もう麦野には相手の声は届かない。
唯一の望みだった浜面はもう、もう......。


「たすけて......、はまづら」

ごめんね滝壺私のせいで。
でもアンタは汚させはしない。

「ぐあああああああああ!!」

麦野は自身の能力を発動させる。
しかしキャパシティダウンの影響下では力の発動はかなり不安定だ。
滝壺を巻き込む危険性があったため今まで使うのを控えていたが。

こんな奴らに汚されるくらいなら。
せめて悪あがきをしてやろう。

しかしそれでもヒーローの登場を信じてやまない。

「助けてよ、浜面」

消え入る声で囁く。

そしてヒーローはその声に応えるものだ。

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 04:26:17.50 ID:HLtNJv0a0

「ぎゃあああああああああ!!腕がぁ!!俺の腕がぁ!!」

その叫び声と共に麦野は能力の発動を停止した。
何事かと声の主を見ると腕が綺麗に切断されていた。
あまりに見事な切れ味だったのか切断面から血は一滴も垂れていない。

「な、なにが......」

気付くと周りは阿鼻叫喚の真っただ中にあった。



最上階から順に浜面達は着実に制圧していった。時間にして2・3分だが。

「次が麦野達の階か。急がねぇと」
しかし浜面はそこでピタと止まる。

(どうした?急がないとやばいんじゃねぇのか?)

「そうなんだがこのままいくと正体ばれちまう」
(なんだそんなことか左手かざしてみろ)
「こうか?」
(ああ)

言うとおりにかざしてみるとブレスレットから眼鏡の様な
ものが飛び出した。

(それを目に装着しろ)
「あ、あぁ」


「「デュアァ!!」」


「お、おおこりゃすごい!!」
(これならばれる心配はない。親父もよく人間サイズで戦ったらしいからな。
 問題ないはずだ)

「何?お前って巨大化とかすんの?」
(ああ、まぁな。それより急げ)
「おう!」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 04:32:20.26 ID:zuz6vobAO
こんどから かきため しといたほうがよくない?
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/18(金) 04:38:23.77 ID:HLtNJv0a0
>>52 そうですね。

停電やバイトなどで再開は今日の23時以降になると思います。
ちゃんと書きためときます。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/03/18(金) 04:43:26.91 ID:ibagWtUAO
おつかれさま。 楽しみに待ってます。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/03/18(金) 05:48:07.70 ID:4I+MIP1A0
浜面が主人公・・・だと?
珍しいな、期待
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/18(金) 06:55:16.34 ID:KzDfKoT00
仮面ライダーは想像してたがウルトラマンとはな
期待
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/18(金) 09:16:44.09 ID:zuz6vobAO
やはり>>1 もかなり眠かったようだ…
>>54 で安価ミスってるww
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/18(金) 10:38:20.69 ID:Ci1crxdAO
新約じゃ仮面ライダーとアイアンマンやってたし浜面はエイワスも認める三人目の主人公さね
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/18(金) 18:40:14.69 ID:3VOu/HWAO
他のウルトラ兄弟は出るのかな?
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:34:36.87 ID:sqcpWVJ20
※すみません色々立て込んで書きためあんまできませんでした。
 とりあえずある分だけでも上げます

麦野達がいるであろう階に急ぎ辿り着く。
麦野達を遠目から捜すと目を疑う光景に浜面の思考は一瞬停止した。

だが次の瞬間には両手を頭部にそえていた。
怒りがそうさせたのか。
始めから使い方がわかっているかのように。


浜面は『ゼロスラッガー』を放った。


2枚の刃が猛烈なスピードで回転しながら突き進み。
滝壺を襲う男の両腕を切断した。

男は一瞬呆けた後両腕をみつめる。

男の悲鳴がフロア中にこだまする。

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:37:34.13 ID:sqcpWVJ20
悲鳴を合図に始まったのは残酷なヒーローショー。

電光石火。

そう評するに相応しい動きだった。

浜面はスラッガーを両手に構え次々と敵を切り刻む。
しかし殺しはせず腕や足などの部位切断に留めていた。
怒りの中のなけなしの良心がそうせたのだろう。

時間にして10秒も満たなかったが、浜面からしてみれば敵の動き全てが
スローモーションに見えとても時間が長く感じていた。

「な、な」

今回の事件の首謀者は麦野を拘束することも忘れ呆けていた。
それは麦野も同じであった。

フロアにいた仲間は気付くと全員倒れ伏しており悲鳴がそこかしこから飛び交う。
腕や足が転がっており場は正に地獄絵図とかしていた。

こんな、こんなはずじゃなかった!!
男の思考をグルグルと絶望の二文字が旋回する。
立場は完全に逆転。

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:38:40.44 ID:sqcpWVJ20
麦野はいつもは自分が暗部の任務で作りあげる地獄絵図を初めて第三者の視点で
みてかつてない恐怖を感じていた。
辺りはまだ停電で暗いが目は大分慣れてきており状況を把握するには十分だ。
確かにヒーローの登場を渇望はしていた。
だが目の前に広がる光景はヒーローの成すべき所業とは程遠い。



「どぉこだぁ!!でてこいぃ!!」
もうすでに計画は完全に破綻し男は自暴自棄に銃を振り回す始末。
しかしそれでも生存本能は働いているのか、目ざとく麦野に目を付けると
銃を頭に突き付け人質にとる。

しかし男の行為は全てが灰燼に帰す。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:40:51.06 ID:sqcpWVJ20
離れた所から浜面は手を胸辺りにそえ構えを取った。
もはやゼロの制止の声は届かない。
かつての戦いで一気に2体の怪獣を倒した技。


エメリウムスラッシュが放たれた。


ゼロにはこの光線を相手が死なない程度の威力に引き下げることしか出来ない。
光線は床を抉り男の銃を持つ右手を貫く。
しかしやはり威力が高かったのか貫くだけに留まらず右腕は発火し徐々に上へ上へと
炎が昇って行く。
左手で火を消そうとするも全く意味がない。
しかし炎は途中で途切れた。
ゼロスラッガーで切断という最悪の形で。

確かに誰も死にはしなかった。
だがオーバーキルという言葉がふさわしいほどに衣服のフロアは惨状とかしている。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:44:00.20 ID:sqcpWVJ20
浜面の活躍?のすぐ後に一般の客はすでに全員逃げていたので残っているのは
麦野と気絶した滝壺のみ。

「とにかく、ここから出ないと」

これほどの騒ぎだ。
アンチスキルが当然出動しているだろう。
暗部に身を置く立場としては面倒ごとは避けておきたい。

滝壺を背負い麦野は歩き出す。
今日は散々だった。
何気ない平和な日常のハズだったのに。

そして一番の気がかりはあの少年だ。

あの男の話では殺されたと言っていたが勿論そんな話は信じたくない。
生きていて欲しい。

(はまづらぁ......死んでないよね)

そうつぶやく心の声は湿っていた。


66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/19(土) 02:44:58.98 ID:sqcpWVJ20
少なくてすみません。
ここで一旦終了です。
また書きためてきます。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/19(土) 02:50:15.55 ID:Nyh7SV0AO
超乙!
自分のスレなんだし、じっくりマイペースで良いと思う
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/03/19(土) 11:33:26.19 ID:GFxirYPAO
スプラッター浜面wwww
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/03/19(土) 11:56:38.96 ID:On1dNFS80
立派な能力者になった浜面仕上君です
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 03:03:03.01 ID:MpvhmddDO
支援!
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 04:31:05.89 ID:9fzQvSKV0
※すみませんおまたせしました。
 書きため直ぐに底をついちゃいますが上げます。

後悔。
浜面はそれはもうどうしようもないくらい後悔していた。
あの戦闘の後、変身を解くため男子トイレに入ったわけだが。

「あれはやり過ぎた。正直やり過ぎた......」

頭を抱え唸る。

(まぁありゃぁ確かにやり過ぎだな)

あの盛大な切断ショーは確かに度が過ぎていた。
ゼロは思う。
聞く所によれば歴代の、地球を訪れたウルトラ戦士もかなり切断技を
使用していたと。
特にセブン、親父の代からそれが顕著だったらしい。
そしてAで切断はピークに達していたとか。
だがそのどれもが怪獣や侵略者といった相手に使用されたものであって
人間に使った事など終ぞない。
どうやら自分は不名誉な初めの一歩を刻んでしまったらしい。
死人が出てないのがせめてもの慰めか。

「とにかく麦野達と合流しねぇと」

得体の知れない倦怠感を伴い男子トイレを後にする。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 04:32:04.70 ID:9fzQvSKV0
セブンスミストから大分離れ麦野滝壺の両名はとある公園のベンチに
腰を落ち着ける。
滝壺は襲撃者から衣服を剥かれてしまっていたので逃げるときに失敬してきた。
ふぅ、と一息つくとつい先ほどの出来事を思い返す。
暗部の襲撃は確かに驚いた。
白昼堂々と「表」の世界であんなことをしでかせば上層部から目を付けられかねないのに。
そしてそんなことを些細な事と感じてしまうほどのハプニング。
あの一瞬で引き起こされた惨劇。
プライベートライアンの冒頭に匹敵する凄惨さに麦野でさえ戦慄した。
なにより目を疑ったのは敵のリーダーと思しき人物の腕を貫いたあのビーム。
自分のそれと酷似しているようで威力は段違いだったように見受けられた。

だがそんなことは正直どうでもいい。
自分が今一番気になっているのは浜面の安否だ。

「チッ、この私を不安がらせるなんて良い度胸してんじゃないはまづらぁ」

言葉とは裏腹に表情は冴えない。

「んん、むぎの?」

暫く黙りこくっていると隣に寝かせていた滝壺が意識を回復した。

「あ、滝壺。良かった、目が覚めたか」
「うん、......っ!!」

麦野に返事をしかけ滝壺は急に震えだした。
あんな目にあったのだ。
今になって恐怖が反復してきたのか両肩を抱き青ざめる。

「ちょ、ちょっと滝壺大丈夫?!」
「うぅ、ちょっとダメかも......ごめんむぎの」

良い終える前に麦野の胸に抱きつく。
そんな滝壺の咄嗟の行動に始めは困惑したがきっとこれが一番いい快方なのだろうと
トントン、と優しく。
子供にそうするように背中を叩いてやる。
するとそれが良かったのか徐々に滝壺の震えは止まった。

「ありがとう。むぎのはきっと良いお母さんになれるね」
「バッ!?なに言ってんだよバッカじゃねぇの!!?」
「ふふ」

柔和な笑みにむぅ、と麦野は押し黙る。
この慈愛に満ちた笑顔は卑怯だ。
しかしこの笑顔を見て最悪だった気持ちが拭い去られていくのを感じていた。


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 04:40:57.15 ID:9fzQvSKV0

「滝壺!麦野!!」

「浜面よかっ、ゴホン!いままでなーにやってたのかにゃーん?はぁーまづらぁ」

すんでの所まで出かかった安堵の言葉を咳払いで一蹴しなんとかごまかす。
隣からはクスクスと笑われた。やかましい。
ホントは心配で仕方なかったのだがツンデレを地で行くこの少女には素直になるのは
少々難儀なことである。
だから心の中では精いっぱいこう叫ぶ。
生きてて良かったよぅはまづらぁぁ!!

「あれ、滝壺?」

いつの間にか抱きついていた少女は姿を消していた。
そして戦慄する。


「だーいぶ」


なんとも脱力な声と共に。
滝壺は浜面の胸に飛び込んでいたのだった。


「こわかったようはまづら」
「ちょ、滝壺さんッ!?」

「あっ、あぁ!!?」

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 05:05:51.46 ID:9fzQvSKV0

ワナワナと目の前の光景を前に震える。これが震えずにいられるだろうか?
さっきまで私の胸の中で泣いてたあの無垢な少女。
それが今は浜面の胸に飛び込んでいる。飛びきりの笑顔と一緒に。

ちくしょう!!わ、私だって怖かったのに。
滝壺、ずるい。
結局あの少女の積極性に歯噛みするしかなかった。

(まぁ、皆無事だったし今回は譲ってやるよ滝壺)

この日がアイテムにとっての最後の安息。
この日を境に確実に5人は奇妙な事件に巻き込まれていく。

浜面を中心に。

だがゼロという心強い味方がいるのだ。
きっとアイテムの面々は乗り越えられるだろう。

75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 05:24:15.71 ID:9fzQvSKV0
※次の話の繋ぎです。


『絹旗と映画館長』

セブンスミストでの事件が起きる少し前。
絹旗最愛はいつもとは違う映画館の前にいた。
大した理由ではない、単に休館だったからだ。

この少女にとってライト層向けの映画館とは疎遠である。
なんせ見る映画の殆どがB級ばかり。
そんなものは一般の映画館では当然上映していない。
うらぶれた誰も立ち寄らないような。
そんな場所にこそ彼女が望む映画がある。

今日もB級映画を求めて行きつけの場末の映画館にきたはいいが運悪く
閉まっていた。
だが諦めきれない。
他にここのような映画館はないものかと携帯を駆使し捜すこと10数分。
あった。
割と近くに。

「ケムール座ですか」

割と小奇麗な佇まい。
雰囲気的には昭和の映画館風で絹旗の嗜好をモロに刺激する外観だ。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/21(月) 05:40:06.74 ID:6KXHnDQAO
黄泉川「デュワwwwwwwwwwwwwww」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 05:42:33.06 ID:9fzQvSKV0

「いいですね。これは今度から超行きつけになりそうな予感です」

しかし肝心なのは映画のラインナップ。
果たしてこのおませな少女のお眼鏡に適う映画はあるのか。

「ふむふむ。実写版ゲ○戦記ですかこれは中々。こっちはスポーツマン山田ですか
 これもよさげですね」

どれもR指定はない。
これなら身分証明なしに入れる。
今日は何てついてるんだろう。いつにも増してご機嫌な絹旗。
係員に料金を支払い鼻歌交じりに劇場へと消えていった。

「上映までまだ30分余裕ありますね」

予想通り他の客は全く見当たらない。
これは本当に良い場所を見つけたとひとりごち、時間にも余裕があるので
ポップコーンやドリンクの購入に向った。


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 05:45:51.79 ID:9fzQvSKV0
取りあえずここまでです。
再開はあてになりませんが23時ごろで。
多分おすけど。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/03/21(月) 11:00:07.22 ID:cuCeOgYAO
実は楽しみにしてる。待ってるよ。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/21(月) 13:22:02.34 ID:r63afRWAO
おk 舞ってるよ

アイツが登場しそう…
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/03/21(月) 19:26:07.73 ID:UeTWxgln0
アイツだと?

本当にアイツが登場するのか・・・?だとしたら胸が熱くなるな
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/03/21(月) 21:08:36.70 ID:5nGL8MF/o
ケムール座ww
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:18:12.99 ID:9fzQvSKV0
アイツって誰ですかww
では再開します

「くださいな」
「いらっしゃいませ」
「ポップコーンとコーラ、お願いします」
「はいはい」

その売店のおじさんの顔を見てあることに気付く。

「あれおじさんさっきは受付で係員やってませんでした?」

目の前にいるおじさんは確かに先ほどチケットを買った際に見た顔だ。
その人が今度は何故売店の店員をやっているのだろう?

「あはは、よく気付いたねお嬢ちゃん。普通はあんまり気にしないのに」

そのおじさんはとても人柄の良い笑顔で受け答える。
しかし首が痛い。
このおじさん相当背が高いのだ。
肌は浅黒く顎はしゃくれている。
身長の低い絹旗がこの人と話すとなるとどうしても見上げなければならなかった。
何となく浜面と話しいる時を思いだす。


「ここはおじさん一人しか働いていないんですか?」

「いや今日はたまたまだよ。本当はあともう二人いるんだけどね」

普段の絹旗なら見ず知らずの初対面の人とこんなに話しこまない。
けどこのおじさんは何か人を惹き付ける。
どうせあと30分近くあるのだからこのひとと話すのもいいだろう。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:20:05.38 ID:9fzQvSKV0
「おじさんはこの劇場に勤めて長いんですか?」
「そうだねちょっと前までは清掃員のバイトしていたんだけどね」
「中々苦労してそうですね」
「はははこれは手厳しいなぁ。そうだはいこれポップコーンとコーラ」
「ありがとうございます」

絹旗に商品を手渡すとそのままおじさんは売店を後にしようとした。
興味が湧いたのでついていく。

「どこにいくんですか?」
「ああ、映写室だよ。これからお嬢ちゃんが見る映画の準備をするんだ」
「映写室ですか!?ちょ、超見てもいいですか!?」
「はは、いいよ。おいで」


中に入れて貰うと沢山のフィルムがうず高く積まれている。
昔の大体昭和くらいの映画のポスターが壁一面に貼られていた。
仕事机には写真立て色褪せてはいるが写っている人物の笑顔はまぶしかった。
ハンチング帽を被った人。
カチンコを持った人。
みんな良い顔をしている。

85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:21:53.84 ID:9fzQvSKV0
「これはひょっとしておじさんですか?」
「うん、大体40年くらい前かな」

表情を窺うととても何かを懐かしむ顔。
遠い遠い昔に思いを馳せる顔。
そんな表情を見てると絹旗はなんだか哀しくなってしまった。

「あ、あれ!もしかして映写機ですか?」

そんな得体の知れない気持ちを紛らわすように目の前の大きな機材に注目する。
おじさんは一瞬ハッとすると絹旗の質問に答えた。

「そうだよ。昔はフィルムが主流だったんだけどちょっと昔はDVDで、今は
 ブルーレイで上映してるものもあるんだ」

「それは超良い事を聞きましたね。ふむふむ」
「ははは、今時の子にしては中々渋いねお嬢ちゃんは」
「ええ、なんせ私は超映画好きでとおってますから」

てきぱきと準備を進めるおじさんとしばしの雑談。
おじさんの話はどれも絹旗の興味を惹く映画業界の話に終始していた。
あの写真のこともそうだけどやはりおじさんは昔映画製作に携わっていたのだろうか。
ちょっと気は引けるが聞いてみる。

「あの、おじさんは昔映画監督か何かだったんですか?」
「あはは、いや違うよ。うんでも近いね」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:22:35.60 ID:9fzQvSKV0
予想は外れたが全く関わりが無いというわけでもないらしい。
絹旗流にいえば超気になると言ったところか。

おじさんもそんな絹旗の胸中を察したのか目を細めしみじみと語りだした。

「お嬢ちゃんにそんな顔されたら話さないわけにはいかないな、
 うん。僕はね昔、東宝の俳優だったんだ」
「えぇ俳優さんだったんですか!超凄いじゃないですか!!」
「はは、まぁあまり大成とはいかなかったけどね」

そうかこのおじさんは元俳優だったのか。
道理で業界にやたら詳しいはずだ。
でも今はこうしてこういってはなんだがこんな寒々しい映画館で働いてる。
ということは本人もいったとおりあまり役者としては成功しなかったのか。

「僕が東宝に入社した当時はもう映画はテレビに押され気味でね。
 テレビで活躍するような人達が映画に抜擢されるから映画俳優には中々
 辛い時代だったな」

「おじさんも苦労してたんですね」

「そうだね。でもテレビの仕事も入ってきたんだ。お嬢ちゃんは知らないだろうな」

「言ってみてください。もしかしたら知ってるかもしれません」

「『ウルトラQ』っていう特撮番組でね。僕はそれに登場するケムール人って
 怪人の着ぐるみをきたんだ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:23:47.50 ID:9fzQvSKV0
「それって......」

「うん。この映画館の名前だね」

「なるほど。その役に超思い入れがあったんですね」

「うーん。当時は凄く嫌だった。着ぐるみはゴム臭いし熱いし。
 なにより俳優として僕は顔出して仕事をしたかったから。
 でもそうだね。40年以上経つと良い思い出だな」

そう語るおじさんの顔は確かに笑顔で後悔はなさそうだ。

「その後しばらくしてからまた着ぐるみの役が回ってきてね」

「ははーん、もうわかります。嫌だったんですね」

「正解。あのあつぐるしさには懲りてたからね。懇意にしてた人の頼みだったけど
 最初は断るつもりだった。結局は引き受けたんだけど」

「中々の下積み秘話。嫌いじゃないです」

「ふふ、それで出来上がった着ぐるみを着たんだけど視界は相当悪くて。
 美術担当の人は険しい顔で覗き穴を大きくしてたっけ」

「自分の作ったものに傷をつけるんですもんね」

「それからは本当に大変だった。火薬は怖いし水も怖かったなぁ。
 よく1年間無事だったと思うよ」

「その後はどうしたんですか?」

「うん。番組はかなり好評で新しいヒーローで続編が作られることになって。
 また着ぐるみをやって欲しいと言われたんだ」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:25:23.67 ID:9fzQvSKV0
「頼み込む人も中々酷ですね」

「でもその後嬉しい知らせが入ってね。その番組に登場する防衛チームの隊員に
 抜擢されたんだ」

「おお!!とうとう顔出しの役ですか!!」

「本当に嬉しかったなぁ。出来上がった隊員服も格好良かった。
 役者日和に尽きるとはこのことかってね」

そこでまたおじさんはさっきの郷愁に満ちた顔つきになった。
たかだか10数年しか人生経験がない絹旗にはその表情がどんな気持ちの上で現れるのか
わからない。
ただ何となく見ていて哀しい。切なくなる。
もう戻ることの出来ない思い出に浸るのはやはり大人の特権なのか。

「それでその後は?」

「俳優業は引退したよ。自分で怪獣アトラクションの会社を作ったんだ」

「俳優業を引退して辛くはなかったんですか?」

「その気持ちが無いとはいえないけどそれ以上に子供達の笑顔が見れたから」

「むぅ......」

「お嬢ちゃんにはまだわからないかな」

「絹旗です」

「ん?」

「私の名前です」

「そうか、絹旗ちゃん。もう上映出来るから早く座席にいっておいで」

「はい。でものその前におじさんの名前を教えてください」

「失礼、これだけ話してて自己紹介してなかったね。
 僕の名前は............」


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:28:31.98 ID:9fzQvSKV0
おじさんに促され早々に自分の座席、といっても他に客はいないのだが。
ど真ん中に構え映画の始まりを心待ちにする。

ふと後ろを見る。
おじさんは笑っていた。
きっと自分と同じで映画が大好きなんだろうな。
そう思うとなんだか嬉しくなる。

今度はあのアホ面も連れてきてやろう。
こんなに良い場所は自分だけにはもったいない。

フィルムが回る音を心地よく感じ再びスクリーンに目を向ける。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:30:12.67 ID:9fzQvSKV0
「いやぁクソがつくほどのクソ映画でしたね」

上映後絹旗はさっそく見終わったばかりの映画をこき下ろす。

「ははは。絹旗ちゃんは手厳しいな。一応日本映画がハリウッドに
 挑戦したスペースオペラなんだけど」

「無謀にも、を付け加えるべきです。そもそも波○砲乱発しすぎです」

スポーツマン山田はどうやら絹旗の怒りを買うほど酷い出来だったらしく
さっきから罵倒の嵐である。

「ゲド○記はどうだった?」
「それを聞くんですか」
アニメ版すら微妙だったのにと嘆息する。

「今日は超お世話になりました。また来ますね」

「ああ今度は友達も連れておいで」


「はい。さようならです、アマギのおじさん!!」


元気のいい少女の別れの挨拶にアマギはにこやかに微笑み返す。
その笑顔は若いころとなんら変わりがない爽やかなものだった。

91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:34:21.21 ID:9fzQvSKV0
次から本編です


その夜は珍しく雷雨で人っ子一人見当たらない。
学園都市の索敵網にも反応せず。
悪天候に紛れ侵略者が舞い降りた。


学園都市某学区。
見渡す限りコンクリートの建築物が広がるこの都市唯一の行楽地。
休日を利用し若者たちはひとときの青春を謳歌していた。
レンタカーからは陽気なポップミュージックが流れ雰囲気はとても充実している。

「おい、せっかくだから写真撮ろうぜ!」
「いいねー撮ろう撮ろう!」

タイマーをセットし急いで駆け寄る。
ここで自分だけ写らないとなると相当いたたまれない。

「急げ急げー」
「わかってるよ」

急いだ甲斐もあり何とか間に合う。

シャッターを切るのをいまかいまかと待ち構える。
そしてようやくシャッター音が響いた。

だがその音は前方のカメラからではなく全く予期せぬ方向から轟く。

それと同時に若者たちは全員倒れた。



92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/03/21(月) 23:34:42.35 ID:VfY53yTl0
ここでアマギさんか
年相応のモアイはなんか新鮮だな
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:36:28.90 ID:9fzQvSKV0
浜面はあれから予期せぬ同居人と奇妙な共同生活を送っていた。
同居人と言っても異性などでは決してないし、ましてや人でもない。
というか肉体的な意味での存在をしていない。
彼は浜面の肉体に同化し共に過ごしていた。

「厄介なもん拾っちまったなぁ」

(正確には俺が衝突したんだがな)

「うるせぇしゃべんなぁ!!」

ゼロ。

彼が浜面に同化してからもう一週間経っていた。
あの惨劇から一週間。
自らの内にゼロの存在を認めた浜面はこの来訪者から様々な事を聞いた。
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:40:14.74 ID:9fzQvSKV0
何者なのか。
なんで地球に来たのか。
そしてなんで自分に衝突しやがったのか。

他にも聞きたい事はあったが主だった内容はこんな感じか。

「つうかよ。あん時お前の力普通に使えてたよな?
 今も使えんの?」

浜面としてはそこは気になる所だった。
厄介事を抱えたという反面レベル0の彼にとっては不幸中の幸いだ。
憶えている限りではその力は相当なものなのでなんとかモノにしたい。

(あぁ......使えるぜ)
「じゃぁ!!」

(正義を持たない力がどれほど危険か。お前にわかるか?)

「あ?何だって?」

(まぁいい、またあんな暴走されちゃたまんないからな。これから特訓だ)

95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:46:40.38 ID:9fzQvSKV0
書きためはここまでです。
ここから投下スピードかなり遅くなると思います。

>>92
このアマギさんはこのSSでは中の人の古谷敏さんの
エピソードで設定付けてます。
ウルトラマンになった男面白かったな。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 23:58:51.10 ID:DocZ+TCq0
浜面はみんなを救おうとする正義感溢れるヒーローじゃなくて
一人を守るためならどんな残忍なことでもする悪党という名のヒーローだからなぁ

97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/21(月) 23:59:03.01 ID:9fzQvSKV0


人気のない廃ビル。
ゼロのいう特訓のため浜面は此処に訪れていた。

「しかし一体なにすりゃいんだ?」
(俺の言ったとおりにすればいい)

まさかこの自分が少年漫画のような展開を体験するとは思わなかった。
だからなのか特訓と聞いてから妙に浜面は高翌揚していた。

「くうぅ!!まるで漫画の主人公みてーじゃねーか!!イイネイイネ!!」

(何を浮かれてんだか)

浮かれ気味の浜面はこの後地獄をみることになるわけだが。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/21(月) 23:59:47.25 ID:DocZ+TCq0
浜面はみんなを救おうとする正義感溢れるヒーローじゃなくて
一人を守るためならどんな残忍なことでもする悪党という名のヒーローだからなぁ

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/22(火) 00:06:23.09 ID:wwy1FtwT0

「なんだこのエンジン音」

「浜面ぁ、まったかにゃーん?」

「む、麦野!?おまっ、なな何でここに?」

音のする方に振り向くと麦野がいた。
しかしどうにも様子がおかしい。

なんで?

何でジープに乗ってんすか麦野さん。

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/03/22(火) 00:15:21.15 ID:wwy1FtwT0
「なんでってそりゃぁ......」

「そりゃぁ?」

「アンタに頼まれたからだけど?」

どういうわけだ。全く記憶にございません。そもそもジープを
どう使うつもりなのか。

「なぁにぃ?アンタ自分で頼んだ事も忘れちゃったわけ?ホントバカ面ね」

「あはは面目ない。えっと麦野?ちなみに俺は何と?」

質問に応える代わりにエンジンを最大限にふかす。
良い予感なんて当然しない。

ジープは真っ先にこちらに突っ込んできた。

「アンタにジープで追いまわせって頼まれたんだよォォォォォ」

「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/03/22(火) 00:16:03.02 ID:MycbxsaAO
アイツの出番は
名前だけ…だと…!?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/03/22(火) 17:29:29.46 ID:yGS8c8Rg0
麦野はもうちょいツンツンしたほうがいいね
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/03/22(火) 18:54:38.47 ID:wMYo4+3AO
滝を切るんじゃないのかよ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/03/23(水) 23:39:16.72 ID:/ZJgARqW0
フレンダちゃんマジ空気。生きてるのにむぎのんがデレ寄りだね
後ウルトラマンが人間を敵としてよいのだろうか…

まあ面白いです
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/04(月) 00:25:31.72 ID:KeG8jToAO
続きマダー!?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/04/08(金) 10:58:59.02 ID:9P3bFv+O0
フレンダ死んでるだろ流石に
フレメアも出てきた訳だしな
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 07:13:03.32 ID:IFF/zTvS0
頑張れ応援してる
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/22(金) 23:24:30.49 ID:YRC8LbJo0
わたしまーつーわ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/05/14(土) 05:24:34.64 ID:7WvboOpAO
>>1マダー!?
いつまで舞ってればいいんだ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/14(土) 07:47:47.60 ID:Qd4O+iyDO
これは面白いぞ純粋に
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