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黒夜「『アイテム』」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:15:34.31 ID:6JI1HSi00
初SS 15巻『アイテム』サイド再構成のつもり
メンバーが滝壺と黒夜が入れ替わったらという妄想
黒夜がまだ弱点を補う腕を持ってないので、結構『アイテム』の空気に毒されて丸いです
独自解釈多し 書くのが猛烈に遅い 面白くはないと思う 一回の投下量が少ない 文が幼稚
プロットとか気にしてないんで矛盾が出る可能性大
実験の為、地の文と台本形式が良く入れ替わりますのでとても読みにくい
黒夜に萌えたい人は他に行ったほうがいいです
以上が戻るポイント 基本sage進行
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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連邦の白い悪魔 @ 2025/07/05(土) 21:58:41.33 ID:r68sEH5L0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1751720320/
安価ダンガンロンパSSを復興させたい @ 2025/07/05(土) 12:27:48.99 ID:p5pl6xro0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751686068/
「ただのクマです、通して下さい」デスガイド「よし通れ」 @ 2025/07/01(火) 01:46:57.85 ID:AZqAU1up0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751302017/
速水奏「プロデューサーさんにスカウトされた話」 @ 2025/06/30(月) 23:35:01.77 ID:EyxvIr6M0
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invest in reverberations dull fallout hoopla @ 2025/06/29(日) 12:49:23.56 ID:fSRAeK0bo
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テスト @ 2025/06/29(日) 01:16:24.52 ID:VUhgeNEw0
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おトイレ @ 2025/06/29(日) 01:03:06.12 ID:YzFWZ2ToO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1751126586/
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7 @ 2025/06/28(土) 18:43:24.71 ID:5y5+uScJ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751103804/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:17:10.52 ID:6JI1HSi00
――10月5日 ファミレス
麦野「暇ね。フレンダシャケ弁買って来て」
絹旗「コンビニに行くんでしたら雑誌も超お願いします」
フレンダ「……なんで私な訳?」
麦野「他に誰もいないじゃない。まさか自分で行けって言うんじゃないでしょうね?」
フレンダ「いやいや、そうじゃなくて絹旗がいるよ!?」
絹旗「私はこのパンフレットを読むのに超時間を使いたいんです。雑用はフレンダがするべきではないんですか?」
麦野「そーそー。前回の仕事誰のせいであんなに時間がかかったか、分かってるのかなぁー」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:17:59.06 ID:6JI1HSi00
フレンダ「ちょ、ちょっと待つ訳よ! 結局、あれは私だけの責任じゃないって訳!!」
麦野「言い訳は見苦しいだけなんだよ、さっさと行って来る」
絹旗「そうですよ。たしかにあの馬鹿もミスをしましたが、それでも8割はフレンダの過失です」
フレンダ「くぅ……仕方なく行ってくる訳よ……。なんで買出しなんて私が行かなくきゃならないのー」スタ テクテク カランカラン
絹旗「あ、麦野に訊こうと思っていた事超思い出しました」
麦野「フレンダが消えてからって所に、いやな予感がぷんぷんするんだけど」
絹旗「大丈夫ですよ、乙女の裏心みたいな問題ではまったくありません。というかフレンダ超関係ないです」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:18:59.71 ID:6JI1HSi00
麦野「そう。どんな話?」
絹旗「あの馬鹿。つまり過失の2割を持っている黒夜の事です」
麦野「が、どうした。あいつの能力の弱点を減らす方法でも考え付いたの?」
絹旗「そんなの考える気にもなりませんよ。今日も集合命令無視してるんですか?」
麦野「……アイツは群れるのが嫌いなんだろ、今までここに集合してきた回数なんて片手で足りるじゃない」
絹旗「あの馬鹿が群れるのが嫌いって事はないと思います。ただ単に私が居るから来たくないんでしょう。……多分ですけど」
麦野「深く考えないでもいいでしょ、ここに集合しなきゃいけない訳でもないんだから。まあ、チームを考えないでたまに独り善がりみたいな行動するけど、貢献度はアンタと競ってんだから。やる事はやるヤツに文句言ってもしょうがないだろ」
絹旗(いつか麦野の逆鱗に触れそうで怖いんですよね、黒夜の馬鹿は)
絹旗「そうですか。…………黒夜に買出し行かせてみたいです」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:20:04.91 ID:6JI1HSi00
麦野「2割使っておどしたら?」
絹旗「麦野じゃな……。エッフン! そんなことより、そうですね。雑用係ってのを超作っちゃうのはどうでしょう? 毎回なんだかんだいって毎度フレンダばかりで、もはや買い付けと言ってもいいぐらいじゃないですか?」
麦野「あァ? もうアイツでいいだろ」prr prr prr
絹旗「流石にかわいそうですよ。仕事に支障をきたしても超困りますし」
麦野「雑用やってるぐらいで問題を起こす貧弱なヤツは『アイテム』に必要ないとおもうけどなー」prr prr prr
絹旗「ですけど――」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:21:23.02 ID:6JI1HSi00
麦野「絹旗ぁー。アンタそのうち自分に雑用が回ってくるかもしれないから、ちゃんと担当を決めておきたいだけだろ?」prrr prrr prrr
絹旗「むぐ……そんな事は超ないです。私は心の底からフレンダの事を超哀れんでいるだけですよ!」
麦野「どっちにしろ最悪じゃねーか」prrr prr prrr
絹旗「どこかに超うまい話が転がっていませんかね」
麦野「ありえねーよ。……代わりにさっきから面倒な話の種はよんでるけどな」prrr ハァ ピィ
電話の女『おそーーーい!! すぐ出なさいハったおすわよ! と言っても、そんなに急ぎの用事じゃないんだけどね』
麦野「じゃあかけてくるな」ピィ
7 :
見にくいな
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:23:25.47 ID:6JI1HSi00
麦野 「たっく。面倒な話かと思ったら、うっとうしいヤツの相手だけかよ」
絹旗 「相変わらず声の超大きい人ですよね。対面に座っている私にもばっちり聞こえました」
麦野 「なんであんなのが『アイテム』担当なのかしら?」Prrr prrr prrr ピィ
麦野 「うっとうしいヤツの相手はしたくないって聞こえなかった?」
電話の女 『通話してない間の事言われても分かるわけないちゅーーの! 大体いつも言ってるでしょ、電話したくてしてるわけじゃない の!』
麦野 「いいから要件言えよ、切るわよ」
電話の女 『うにゃー! こいつときたら! たまには私を労わりなさい。まぁ、とりあえず伝達は一つだけ。今度新しく下部組織に入る事に なった内の一人が異様にピッキング技術に長けてるようだから、下部組織に所属している事にするけど事実上の『アイテム』直属 の下っ端にする案が『上』から出たんだけど。どうする?』
8 :
見にくいな
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:24:49.61 ID:6JI1HSi00
麦野 「はぁー。どこまで使えるやつなのよ。アナログのドアとかだけのピッキング技術ならそいつが必須なほどこっちは困ってな……」
絹旗 「……」キラキラ
麦野 「…………そぉーだな。突っぱねてばっかりの『上』からの案だし、たまには乗ってやるのも悪くないかな」
絹旗 「超やった!」ダブルガッツポーズ
電話の女 『りょーかーい。じゃー明日まで本拠予定の隠れ家に明日向かわせるから』ピィ
麦野 「チッ……。明日来るってさ」
絹旗 「最後までちゃんと聞こえていましたよ。別にテンションがあがって周りが見えなくなったりはしません」
カランカラン
フレンダ 「結構早く帰ってこれたー」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:26:08.48 ID:6JI1HSi00
絹旗 「あ、超お帰りなさい」
麦野 「目と鼻の先にあるんだから当然でしょ。これ以上遅くなるようだったら、そのプヨプヨなお腹に穴を開けるところだったわ」
フレンダ 「ひどいっ!! プヨプヨってどういう訳!? 麦野触ってみなさい、私の肌に。そうすれば真実がわかるよ!」
麦野 「腕をつかむな手を腹に持っていこうとするなー」
絹旗 「すっごい感情のない声ですね……」
絹旗 (といいますか。お腹に超穴を開ける発言はひどくないんですねフレンダ)
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:27:24.87 ID:6JI1HSi00
フレンダ 「ねーねー聞いて。サバの缶詰新作が発売してたんだって、それもカレー味!」
荷物ドサー
絹旗 「雑誌超貰います」ヒョイ
麦野 「シャケ弁より美味しい物なんてないわよ」ガサガサ
フレンダ 「このサバの缶詰は美味しいと思う訳! 一目惚れしちゃたあ」
絹旗 「フレンダはサバ一筋ですね。というか、何故お二人とも魚類を好んでいるんですか?」
麦野 「うーん、んー? 気にした事なかったな」
フレンダ 「ピチピチしてるから?」
絹旗 「調理されたものがピチピチしていたら超オカシイと思います」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:28:39.31 ID:6JI1HSi00
フレンダ 「ふーん。結局、絹旗も食べてみれば万事解決って訳よ。電気信管どこかなー」
絹旗 「では、ふたが開いたら超少し貰いましょう」
麦野 「シャケ弁っ! シャケ弁っ! ふーんふーんふーーん♪」
絹旗 (鼻歌でもう麦野のテンションがどれだけ高くなったか超分かりますね。――何故か最終的に男よりシャケを選びそうな予感が頭をよぎりました……ッ!)
フレンダ 「ほい、絹旗」
絹旗 「超ありがとうございます。って、これサバですか……?」
フレンダ 「他になにに見えるのー」
絹旗 「どろどろなカレーがサバの存在を隠している上に、ここら辺超紫がかっていませんか!?」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:30:12.38 ID:6JI1HSi00
フレンダ 「見た目で判断は駄目な訳。試食なんだから食べなきゃ」
絹旗 「確かに……外見で決めるのはいけない事ですね。てりゃ」パク
麦野 「……やっちゃった」
フレンダ 「え、なにが?」
絹旗 「……ととととと、とといれいってきまふ!」ガタガタ タッタタ
フレンダ 「きぬはたぁ!?」
麦野 (コイツが食ってるサバ缶がまともな訳ないじゃん。前くれたサバの缶詰みそ味は、まともそうなのにとんでもなく酸っぱかったんだから)
フレンダ 「どれ、一口。これは、……美味な……訳よ。カレー侮れないッ!」
麦野 「やっぱおかしいわ、オマエ」
13 :
地の方に変化
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:33:00.43 ID:6JI1HSi00
――――…………
――10月6日
第七学区に佇むマンション、名称『ファミリーサイド』一号棟のエレベーターは清潔に使用されている、ここに住んでいる人がマナーをきちっと守っているのだろう。そこら辺を毎日掃除しているドラム缶ロボが仕事をしたのかもれないが。
普通ならゴミが足元に転がっていてもなんら不思議でない綺麗な密室空間で、一人の少年はつまらなさそうに5階へ向かうためのボタンを何度も押していた。
浜面仕上。『スキルアウト』のリーダーだったが、三日前のとある事情で能力者の軍門に下ったむなしき無能力者だ。彼はいま自身の家に向かっているのではない。本日早朝に見知らぬ相手からの電話がかかってきて、今日の九時にこのマンションの512号室に来るように言われたのである。
14 :
地の方に変化
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:34:41.69 ID:6JI1HSi00
電話の内容を無視する事などできなかった。何もかも失敗した彼が生き残るにはそうするしか道が残っていなかったから。
浜面 「……はぁ」
ため息をもらしながら断崖大学データベースセンターで会った無能力者の言葉を思い出す。
『無能力者に居場所はあるのかだと。あるに決まってんだろ。他人を食い物にする以外に道はあるのかだと。あるに決まってんだろ!!』
浜面 「あいつには、居場所があったんだよな」
さっきより大きめの嘆息する彼はまだ理解ができていない。
『もしもスキルアウトを結成するだけの力を使って、もっと弱い立場の人を助けていたら、それだけでテメェらの立場は変わったんだ!! 強大な能力者に反撃するだけの力を使って、困っている人に手を差し伸べていれば、テメェらは学園都市中の人達から認められていたはずなんだよ!!』
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:36:38.71 ID:6JI1HSi00
浜面 「認められるわけねぇだろ。いまさらスキルアウトが弱い奴らに手を差し出しても握り返してくれるわけがねぇよ」
自分より強い人間によって救われたことのない彼には、認められるだの立場が変わるだの意味が正しく判断できない。
浜面が纏っていた幻想は殺されていない。瀕死になっただけで、復活する可能性も大いにありえる。最初より捻じ曲がった形で。
しかし、浜面とは全く違う無能力者の少年は最後にこう言った。
『そんなつまんねえ幻想なんか自分でどうにかしやがれ』
少年は幻想を殺してはくれなかった。あくまでも、自分の力で何とかするようにきっかけを与えてくれただけ。だから浜面は悩む、少年の言葉を知ろうと。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:38:01.26 ID:6JI1HSi00
キーン、という音が響くと花柄模様の扉が右にスライドする。頭を掻き毟りながら512号室を目で探す。どうやら一番奥の玄関がそのようらしい。改装したてのようで、壁や通路が光を反射して目に当たるのが鬱陶しく感じてしかたない。
浜面 (エレベーターが綺麗だったのも改装したからか?)
どうでもいいことを考えながら、たどり着いた玄関の傍にある呼び鈴をぐっと押す。だが、気の抜けるような音がしてから数十秒を超えて分に入っても反応がなかった。
浜面 「……誰かいる、はずだよな。反応がないのは勝手に入れってことなのか?」
ドアノブを回して、拳一個分ぐらい手前に引く。下を見て、靴がひとつも置いてないのを疑問に思いつつ、礼儀正しく「失礼しまーす」と家の中に侵入する。
靴を脱いで廊下を歩き、洋風の扉を開けると広いリビングになっていた。浜面が住みやすそうな室内に感嘆していると、窓の近くの椅子に座る少女と目が合う。どうやら靴を履いたまま部屋に居たらしい。
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:39:49.37 ID:6JI1HSi00
少女は十二歳程度で黒い髪が肩甲骨まで伸びているが、耳元近くの髪はアクセントをつけるためか金色になっている。服も前衛的で、黒い革と錨でできた衣装。さらに白いコートのフードだけを頭に引っ掛けて羽織っていた。
浜面 (日本人形が不良になったみたいなヤツだな)
少女は目の前にあるノートパソコンを片手で折りたたむと、先ほどから浜面を止めるように出していた手を下ろす。
「さて、この時間帯に来たって事はそういう事かな」
浜面 「あ、えっと。下部組織に所属する事になった浜面仕上だ。よろしく」
会釈を軽くして、見つめてくる少女から目を逸らす。
「まあ、座ったら? アンタがこれからは『アイテム』の直接的な雑用をこなしてくれるって聞いたけど、合ってるかな?」
浜面 「間違ってねえよ」
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:41:19.79 ID:6JI1HSi00
少女の対面にある椅子に座る気にならなかったので、テレビを見るように備えられたソファに腰を下ろした。
黒夜 「私は黒夜って呼んでくれればいい。これから、短いかも長いかも分からないけど、世話してやるよ」
年下からの上から目線にイラっとしながらも気になっていた問題を端的に質問する。
浜面 「なんで靴履いてんだ?」
黒夜 「緊急時に逃げるために決まってんじゃん。靴は履いといたら? 他のヤツに襲われると靴下で走らなきゃならなくなるよ」
浜面の真っ黒な靴下を見ながら不敵に笑う黒夜は、思い出したかのように立ち上がると冷蔵庫に足を向ける。
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:42:43.87 ID:6JI1HSi00
黒夜 「紅茶でも飲む? 適当に買ってあるだろうから美味しいのは作れないけどさ」
浜面 「ん、あー。じゃあ、少し貰うわ」
黒夜 「そこはアンタが『自分が作る』とか言うところだろ、雑用の浜面」
浜面 「……失礼しました」
ひじ掛けを使い立ち上がろうとしたところを、部屋に入った時と同じように黒夜が手で浜面を制した。
黒夜 「いや、冗談だ。私は無駄が嫌いだが、好きなものへ対する無駄は大好きでさ」
浜面 「……」
黒夜 「紅茶の製作時間ってのも良いもんだよ」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:44:27.60 ID:6JI1HSi00
浜面 「そうかよ」
苛立ち混じりに言葉を吐いて、再度部屋の中を確認する。必要最低限、生活するのに不便にならない程度の物、冷蔵庫やら机やら他にはコンビニで買ったような品などが目立つ。娯楽ものと言ったらテレビと少女が持っていたパソコンぐらいだろう。
浜面 「暗部ってのは、こんなに片付けるのが好きなのか?」
黒夜 「皮肉っているつもりか? 安心しろ、この場所が拠点になるのが今日で最後だから、メンバー全員荷物を移してこんなんになっているだけだ」
堕ちても人間だしな、とティーポットを揺らしながら答える黒夜に対して、適当に返事をして浜面は黙り込んだ。
しばらくして居心地の悪い空気を部屋が取り囲み、することを探そうと浜面は怪我を負ったばかりの鼻をボリボリと掻く。しかし無情にも時だけ流れ、浜面が何かをする前に黒夜がティーカップをパソコンの隣に二個置いた。
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:46:05.76 ID:6JI1HSi00
黒夜 「こっちに来たら? それともそっちで飲む? まぁどちらにせよ一旦こっちにこないとイケないわけだけど」
浜面 「……」
わずかに逡巡して立ち上がると黒夜の前に行き、手前の方にあるカップを取る。椅子には座らず近くの壁にもたれ掛かりながら一口紅茶を飲み込んだ。
浜面 「……俺には合わないな」
黒夜 「そう、残念だにゃーん」
浜面 「さっきメンバー全員って言ったよな。他のヤツらとは今日会えないのか?」
黒夜 「うわ、私ながら微妙な味わいを作っちゃったな。アイツらはファミレス行ってるよ。アンタが来るのが遅かったせいでね」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:47:41.60 ID:6JI1HSi00
近くの時計はきっかり九時を知らせていた。遅れてなどいないのだが、連絡に齟齬でもあったのだろうか? とりあえず、彼の所為で顔合わせはできなかったらしい。
浜面 「お前だけここに残って俺を待ってたのか?」
黒夜 「いーや、自惚れるなよ浜面。私はやりたい事があってここに居た。アンタとは居合わせたみたいなものだ」
浜面 「……」
突然煩わしく鳴り響く機械音に、慣れた動作で黒夜がパソコンを開く。
メールが届いたらしく、トントンと机を叩くとどこか楽しげに言った。
黒夜 「浜面、アシを用意しろ。……アンタの初仕事だ」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:49:33.68 ID:6JI1HSi00
――同日 ファミレス前 車内
浜面 (やりずれぇぇぇえええええ!!)
思いっきりクラクションを鳴らしてやろうかと憤る浜面は、隠れ家で会った少女を脳裏に浮かべた。あんな空気は嫌だ。本当に嫌だ。
彼の本質はボケともにツッコミが必須のコメディを好むのだ。シリアスのまっしぐらの昼ドラみたいのは勘弁被る。
だが、暗部。学園都市の裏を暗躍する組織はシリアスが常なのだろう。理解はしているのだが自分には合わない、と深く頭を悩ませる浜面。
浜面 「黒夜のヤツ、ファミレス行ってもう10分経つぞ……。あー、このまま世界の果てまで行ってしまいたい」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:51:45.55 ID:6JI1HSi00
外の様子をうかがっても、誰も出てくる気配がないことに頭を抱えていると、唐突にでかい音と共にワンボックスの目の前を何かが横切った。
浜面 「うおいい!! あっぶねーな! 何が飛んできた何が!?」
黒夜 「グチャグチャの肉塊にしてやるよォ!! きィィぬはたちゃーン!!」
絹旗 「テーブルを投げたところで切られるのは超分かっていましたが、予想以上の反応速度で驚きましたよ」
どうやら真っ二つになったテーブルが近くの壁まで吹き飛んでいたらしい。
粉々に割れた人並みに大きいガラスを踏みしめる黒夜が、浜面の知らない少女と口喧嘩をしている。その様子に頭を抱え直した後車を降りた。
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:54:02.96 ID:6JI1HSi00
浜面 「なにやってんだよ。仲間と合流するんじゃなかったのか?」
黒夜 「あァン!? 勝手に車から降りてンじゃねェぞ、無能力者は黙ってろ!!」
浜面 「すいません!! てか、言葉遣いが変わってんぞ」
自分が無能力者を何故知っているのかと疑問に思いつつ盛大に頭を下げる。端からみても己からみても無様な浜面だった。
黒夜 (態度がちょいと変わったような気がするが……。そんな事はどうでもいいか)
絹旗 「……黒夜、誰です?」
黒夜 「……チッ。今日から来た雑用係だ」
絹旗 「この人が……? はぁ、……期待していた私が超馬鹿でした」
浜面 「ん?」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/03(日) 00:56:29.20 ID:6JI1HSi00
今日はここまで
SSって難しいね
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 00:58:23.88 ID:8VIitwHfo
なんか面白そう
期待
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 02:51:28.49 ID:DymXnmBDO
浜面と黒夜か…俺得
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/04/03(日) 05:13:11.78 ID:PTSoJVrwo
滝壺がいないアイテムとかすごい殺伐としてるな
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 07:37:16.92 ID:ZAX+4AHIO
ようやく黒夜メインの俺得SSきたか
かなり期待してるので頑張りたまえ
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 12:22:36.12 ID:IxIABlADO
この場合滝壺はどこにいるの?
物語の核心をつくなら答えなくてもいいが
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 14:15:31.60 ID:3AToZBgL0
探査能力者がいないとアイテムの役割が果たせないような
とはいえ大期待
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/04/03(日) 21:33:03.29 ID:qIfHG9c10
タイトルから「絹旗の代わりに黒夜がいたら」かと思った
これはこれで期待
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[sage]:2011/04/03(日) 21:33:39.27 ID:qIfHG9c10
上げてしまった、すまん
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/04/03(日) 23:41:04.38 ID:yMqW/AqAO
楽しみ楽しみ
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/04(月) 00:37:32.24 ID:q8paFLNb0
>>31
何とも言えないから、とりあえず出てくるってだけ言っとく
皆レスありがとー
いつでも見限っていいからねー
明日投下しにきまーす
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/04/04(月) 00:46:11.81 ID:SVBaeFGL0
乙です!超乙です!!
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/04/04(月) 11:04:51.89 ID:ssYbil1AO
乙で〜す。
そういえば黒夜って、なんか『スクール』にいるゴーグル少年に似てるね。
案外兄妹(姉弟?)だったりして…
流石にないか…
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/04(月) 21:50:02.14 ID:DPKF0qwZ0
なんだ、このアイテム
癒し役がいないだと・・・・・・
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:27:10.97 ID:VON5Md+n0
今日は投下ラッシュだね。屋さンも来てるし
黒夜はナイトロジェンで萌えるとして、自分なりの黒夜を突き通します
投下
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:28:25.16 ID:VON5Md+n0
――――…………
――同日 昼間 第三学区隠れ家 VIP用サロン
フレンダ「ただいまーって訳よ」ガチャ
浜面「おじゃましますっと。とんでもねぇ場所を隠れ家にしてんだな『アイテム』。まさか生涯で一度も入る事はないと思ってたこの高層ビルがアジトとは」
黒夜「さっさと入れ。出入り口で止まるんじゃねえよ」ゲシゲシ
浜面「蹴るな、分かったから!」
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:30:12.17 ID:VON5Md+n0
フレンダ「ソファもーらい。ふう、そこの金髪! フレンダ様の脚を揉めぇーい」
浜面「浜面だ、浜面仕上。自分でやれ、テメェの脚なんざ触りたくねーよ」
フレンダ「なぁ! 生意気な、下っ端の癖に雑用の癖に!!」
浜面「たしかに俺は雑用に下ったが、何故かテメェだけには命令されたくないんだよなあ! 分かったか金髪ッ!」
フレンダ「フレンダって呼べーッ!」
黒夜「はん。良く見れば私達三人全員が金髪持ちか……。フレンダそっち詰めろ、座れねえだろ」
フレンダ「おっと、ごめんな訳よ。……しかし警備員が近くに居るとはねー」
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:30:58.03 ID:VON5Md+n0
浜面「初仕事前にブタ箱行きは勘弁だったからな。わりとドライブテクニックみせたつもりだぜ」エッヘン
黒夜「絹旗がガラス割ったのが原因だろ。テーブルを投げるって発想が野蛮人だな」
フレンダ「結局、二人が喧嘩始めるから逃げるハメになった訳よ」ハァア
浜面「車に乗らないで逃げた残りの連中は大丈夫なのか? 絹旗ってヤツと他に居たろ、あのお姉さま系女子」
フレンダ「麦野は……、警備員の心配をしたほうがいいのかな」
浜面「そんなにすげえヤツなのか? 血を頭から被るのが生きがいです、みたいな」
黒夜「本人の前では黙っていた方が良いぞ、浜面。……絹旗はいらねぇかな? アイツ捕まっちまえよ」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:34:47.26 ID:VON5Md+n0
浜面「なあ、仲が悪いのに良く同じチームやっていけるな」
フレンダ「……色々ある訳よ。黒夜は麦野が居るから『アイテム』に留まってるん……だよね?」
黒夜「……それで問題ない」
フレンダ「高レベルの麦野がいる『アイテム』には、骨のある仕事ってのが良く回ってくる訳。他の組織よりここに居たほうが――」
黒夜「楽しいんだよ。強いヤツをズタボロになるまでいたぶれるチャンスにも恵まれているしな」ハハハ
浜面(こえぇぇええ!! これが普通なのか暗部ッ! 俺には耐えられそうにありませんっ。……しかし、黒夜の方は納得したが絹旗が『アイテム』を抜けない理由は? 訊いてみるか、いやでもそこまで知りたいわけでもないし……)
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:35:53.01 ID:VON5Md+n0
浜面「なぁ」
フレンダ「あ! 言い忘れたけど、麦野って超能力者だから」
浜面「はああああああああああああああ!? ちょっと待って考えるから! 第一位ではなくて、中学生じゃないから第三位でも第五位でもない……第七位は男らしいから。はッ! 第二位か!?」
黒夜「そいつは男だよ、上が開示している情報が正しければだけどね」
浜面「……第四位……なのか?」
フレンダ「あったりぃ」
浜面「暗部は予想の斜め上の実力をもってるらしいなッ!」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:37:19.42 ID:VON5Md+n0
フレンダ「浜面の予想が貧困すぎるだけな訳よ。それぐらいの力はみんな持ってるよー」
浜面「おうおう、じゃあ教えてくれ。麦野の能力ってどんなんなんだ?」
フレンダ「ふふん。麦野の事なら何でも知ってる私が教えてあげる! 『原子崩し』正式には粒機波形高速砲って言ってね」
浜面「……?」
フレンダ「正体はとてつもない速さで放たれる電子線な訳で」
浜面「……黒夜パソコン今からやるのか? さっきからずっと持ち歩いてたよな」デンシハ リュウシト ハケイ リョウホウノ
黒夜「言っただろう。やりたい事があるって」セイシツヲシメスンダケド ムギノハ
浜面「どれ? なにやってんだよ」フタツノ チュウカンニアル アイマイナママノデンシヲ アヤツレルワケ
黒夜「ッ、オイ!! 浜面! 勝手に見るなつうの!!」ウンデ アイマイナママノデンシガ ブッタイニブツカッテモ
浜面「『ビニール人形の会』? なんじゃへばしッ!!」リュウシト ハケイノドチラトモ ッテ!! ナンナワケ!?
黒夜「…………愉快なオブジェに変えてやるよォ。このクソヤロウがァァアアア!!」
浜面「お、落ち着くんだ! 見ただけ見ただけ、誰にも言わないってだから命だけは!」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:38:19.76 ID:VON5Md+n0
フレンダ「……浜面、感謝しとく訳よ」
浜面「お前にか!? 助けてくれるなら感謝でも何でもするってあぶねぇ! 拳を振るな!」
フレンダ「うんや。黒夜が能力使ってたら速攻で死んでたよ。黒夜が殴るで済ましてる事に感謝しなさい」
浜面「そっちの感謝かよ。くっそ! 痛いっ、イタイって!」
黒夜「くっく。ははははははははははははははははははははははははははは!!」
フレンダ「……黒夜が元気な訳よ」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:39:37.91 ID:VON5Md+n0
――数分後
黒夜「……」ムギュ ムギュ
浜面「」グミャ グミャ
フレンダ「可哀想な浜面。黒夜の足蹴にされるなんて」ムシャムシャ
黒夜「これからイルカの代わりにテメェを踏もうかな?」ムギュ ムギュ ムギャ
浜面「すみませんでした。出来心でした。うっかりでした。黒夜サマサマ」
フレンダ「……ゴックン。そういえば黒夜今日はイルカのビニール人形手元にないね」
浜面「テメェはなんでミカン食ってんだよ……」ヤットカイホウサレタ
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:40:15.66 ID:VON5Md+n0
黒夜「前回の仕事で全部壊れてさ、通信販売でまとめて買おうとしていたんだよ。たった今な」
浜面「インターネットで買うためだけにコミュニティーに入るか普通」
黒夜「……」ボン!!
浜面「……? え、ちょっと黒夜さん? 見えないけどまさか能力を使ってます?」
フレンダ「ついでに言っとくと『窒素爆槍』掌から窒素の槍をつくる能力ね。浜面には無色透明だから対処しようがない訳よ」
浜面「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ!!」
50 :
フレンダに『、』入ってなかった
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:42:19.36 ID:VON5Md+n0
――更に数分後
浜面っぽいの「ニンジン、ピーマン、ダイコン、ナス、ホウレンソウ」
フレンダ「食料は大切にしないと……」
黒夜「野菜まみれのまま死んでろクズが」
フレンダ「そろそろ帰ってくる頃合な訳。裏道とか使ってただろうから迎えにも行けなかったけど、麦野や絹旗なら問題なく帰宅できるだろうし」
浜面「連絡は……ガリ。取らなふぁったふぁ?」ムシャ ムシャ
フレンダ「二人ともメールで捕まってない事は確認できた訳よ。何かあったら拠点のアジト集合になってるから場所まで連絡をしなくちゃイケないって訳でもないんだけど、一応送ったから問題ないはずー」
浜面「新鮮な野菜だなこれ。食うか? ニンジン。みずみずしくてシャキシャキしてるぞ」
黒夜「…………」カタカタカタ
フレンダ「結局、パソコンに夢中で浜面の事なんか視界にない訳よ」
51 :
フレンダのセリフに『、』入ってなかった
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:43:22.49 ID:VON5Md+n0
浜面(やっぱり、ギャグみたいなこっちの空気が楽だな)
浜面「そうだそうだ。……よっこいしゃっと」
フレンダ「よっこいしょじゃないの? 立ったついでに野菜かたづけてねー」
浜面「分かってるよ。それで、話をだいぶ戻すんだが。絹旗が黒夜と仲が悪いのに『アイテム』に居続ける理由ってのは?」キッチンヘ
フレンダ「そうねー。これは私が思ってる事だから確定じゃないと思うんだけど『暗闇の五月計画』って分かる?」
浜面「いーや、初めて聞く」ウィィイイイイン
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:44:21.87 ID:VON5Md+n0
フレンダ「学園都市最強の超能力者である『一方通行』が行なう演算方法の一部分を能力者に意図的に植えつけ、能力者の性能アップをさせようプロジェクト、って訳」
浜面「他人の思考回路を頭ん中に突っこむってことか!? 学園都市はそんなことを……」カパ ドクドクドク
黒夜「私と絹旗が被験者なんだよ」カタカタ
浜面「……マジかよ」
フレンダ「結局、『暗闇の五月計画』の被験者ほとんどが『置き去り』で、二人もそうだから――」
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:47:09.94 ID:VON5Md+n0
―――――……………
爆発音が響き、部屋が静まり返った。
黒夜のヒジがフレンダの肩に置いてあり、手首がフレンダの首の前に出されている。
黒夜「おしゃべりが過ぎているぞ、フレンダちゃんよぉ。……『置き去り』の事は掘り返すな」
能力が発動しているこの状態で黒夜が腕を手前に引いてしまえば、それでフレンダという人間は終わってしまうだろう。古くにあったギロチンのように、首が吹っ飛んで。
浜面を傷みつけていた時とは風格のようなものが違う。アンタに何が分かると言いたげな目からして、冗談ではなさそう、と思ったフレンダは言葉を喉につっかえながらも謝った。
黒夜「……その軽いお口が言ってはイケない事を言い続けていたら、いつか同じチームに殺されるかもねぇ。裏切り者扱いで、さ」
フレンダ「……気をつける訳よ」
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:48:11.73 ID:VON5Md+n0
遠くで処刑シーンを見守っていた浜面が、黒夜の前にジュースの入ったコップを置いた。
それはもう、指先までブルブル震えながら。
浜面「ま、まあ、飲め……よ……」
黒夜「何なの?」
浜面「野菜ジュースだ。ミキサー使って作ったんだよ」
本当に僅かな時間で製作されたものらしく、緑色の飲み物に何らかの野菜の葉が浮いていた。
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:49:26.77 ID:VON5Md+n0
ギン、というべき視線が浜面に突き刺さる。
彼は自分にも分かっていなかった。何故こんなものをコイツの前に出したのかと内心、外見からもビクビクしている。
黒夜が怪訝そうに口に運んだ瞬間、数秒だけ眉にしわが寄った。いまさら遅いのだが、浜面は自戒になんべんも自身の足の甲を踏みつける。
黒夜「不味い。浜面、アンタが自分で飲め」
浜面(もしかしたら美味しいと期待したが、駄目だったか……ッ!)
馬鹿な少年が不良品の始末をしていると、玄関から少女とお姉さま系女子が分かりやすく怒りを露にしながらリビングに突入してくる。
麦野「全員そろってる? 今日の仕事はいそがしくなるわよ」
絹旗「……黒夜。私達仕事終わったら麦野の部屋に行かなければならないそうです」
そう言われた少女の顔に、浜面の見間違いだろうが……、冷や汗が浮かんでいた。
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/05(火) 00:53:29.67 ID:VON5Md+n0
今日の文は終了しました
>>32
理由付けを何とかやってみるけど、そんなんでいいのかになると思う
さて、分うまい人観て勉強してくる
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(富山県)
[sage]:2011/04/05(火) 22:22:49.19 ID:Vnv6L1K+o
乙
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/05(火) 23:01:30.97 ID:xTo001yDO
聞いときたいんだけど、一方通行(もしくは上条)出る?
出るなら早いうちに切っておきたいから……
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/05(火) 23:59:31.57 ID:UNI5Hoh60
再構成なら縁ないんでない
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/06(水) 00:46:47.39 ID:1WKHa/CC0
>>58
上条さんは出ないです。浜面の心の中で現れるぐらいだと思う
一方さんもちょっと出るかもしれないけど、そんなに出番は無いよ
多分今日は投下できない
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/06(水) 05:07:47.62 ID:sob/Y/8A0
>>58
切っておきたいってどういうことだよ、何様だよ
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:13:10.82 ID:DKC7aKRx0
さて、こっそり投下
少しはSSっぽく書けるようになってきたかな?
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:15:23.66 ID:DKC7aKRx0
――同日 午後 第一九学区 走行中
麦野『『スクール』っていう別組織の事をあまり教えてくれなかったから何ともいえないけど。下部組織が調べてきたとおり、銃の売り買いがどこかで行なわれるはず』
黒夜「範囲が広すぎる。……第一九学区を少人数で探していたら日が暮れるぞ」
絹旗『無線を乗っ取れるように網は張っておきましたが、特別なラインでも使われたら超アウトです』
麦野『携帯端末やらを改造してる可能性もあるわよ』
フレンダ『うにゃ、……とりあえず片っ端から監視カメラの映像をあったてみる訳よ!』
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:16:08.98 ID:DKC7aKRx0
懐かしいと言うか、古臭いと言うべきなのか。時代に乗り遅れたこの学区で風景に見合わない4ドアの自動車が道路を進んでいる。
乗車する二人の間には上下関係が確実に築かれつつあるのだが、盗難車の運転に気をまわしている浜面はそんな事ちっぽけも考えないまま、癖になりつつある鼻の傷口抉りをしていた。
絹旗『下の連中を総動員させてみますか?』
黒夜「下部組織の連中動かしたぐらいじゃ意味はない。……こんな状態で予定地に手がかりが無かったらどうする」
麦野『大丈夫、最悪の場合でも絶対にヒットするから』
絹旗『そうですね。こちらの情報が何らかの方法で漏れていない限り、スナイパーが警戒心を通常より引き上げる事もないでしょう』
フレンダ『結局、上層部の情報把握能力は尋常じゃ無い訳よ』
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/07(木) 01:16:27.59 ID:BIfbrUk/P
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:16:51.12 ID:DKC7aKRx0
黒夜「…………たっく、成功確率が低すぎる。『上』のすべてを信じて動くなよ」
古い町並みを抜ける手前に十字路が見えてきた。寸でのところで信号が赤に変わるのを予測した野菜ジュースをうまく作れなかった少年はブレーキに足をそえる。
少しずつアクセルから足を離していく途中で、『世間話モード』の携帯を使っていた黒夜が、八つ当たりで隣から思いっきり浜面の足ごとアクセルを底まで踏み込んだ。
浜面「ぬうぉおおおおおおおおおおお!!」
景色が変わる。
一軒家の並んだ住宅地から、公園とか空き地が一番目立つような殺風景になった。
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:17:52.12 ID:DKC7aKRx0
信号無視を確認すると電話に意識を戻した黒夜に、心臓をバックバクさせながら文句を連ねるが、本人ではなく、
麦野『うるさいわね!!』
何故か『アイテム』リーダーに怒られて呆然とする。
スクランブル交差点で人がまだ渡り始めていなかったから良かったものの。下手をしたらかなりの人を引いていたかもしれない。全身を襲った冷や汗を片手で拭い、再度運転へ集中を戻すのにそう時間はかからなかった。
絹旗『蒸気機関車地下研究所に着きました!連絡は十分後に』
麦野『こっちも到着したわ、建物の死角を探ってみる。行くわよフレンダ』
フレンダ『りょうかーいっ!』
順番に電話から切断音が聞こえ、ツーツーと黒夜の携帯だけが鳴っていた。
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:18:57.70 ID:DKC7aKRx0
『アイテム』に届けられた今回の仕事は、暗部『スクール』への『警告』。
『スクール』が計画している何かを止めるために、その要である暗殺用のスナイパーを行動不能にする事が最終目的である。
浜面「……隠れ家にけっこー居座っちまってたけど。お前とフレンダで先に動いてたほうが良かったんじゃねえのか?」
黒夜「……この学区と調べるのに下の連中が時間をかけ過ぎていたからな、あまり変わらないさ。どっちかといえば、下っ端が運転する車に三チーム分かれさせ、場所を探し回っている今の方が効率は良い」
大きくカーブする道を、また踏まれそうだったのでスピードを緩めず進む。
浜面「お相手さんも四人で動いてんだろ?だったらチームを分散させない方が良いんじゃ」
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:24:00.98 ID:DKC7aKRx0
浜面「イキナリ話が変わったな!!」
黒夜「そのためか『上』からの情報は他の暗部に比べて格段に多い。ここまで言えば分かったかな?『書庫』では手に入らないようなプロフィールを『アイテム』は簡単に所持できるってことだ」
浜面「つーことはアレか?スナイパーが誰かが大体分かってるのか!?」
驚きを隠せずついつい黒夜の顔を凝視する。すると、つまらなそうに空中に指でイルカを書いていた黒夜は己の指先を見ながら頬を膨らました。
黒夜「『スクール』が即席で雇った訳ではなく正規のメンバー。これまで死んでいない以上、それに見合うレベルのスナイパー。わざわざこんな寂れた学区までくるような性格。まとめて検索かけたら五人まで減った。その内二人が別学区に居る事の確認も取れた。後の三人は集団で動くのは控えるようなヤツらだ、スナイパーってのは大体そうらしいけど。なら、武器の商売時にも一人の可能性が高いわけ、さ」
浜面「じゃあ俺達が向かってるのはそいつらが居そうな所なわけね……」
黒夜「……その通りだ。作戦ぐらい聞いとけ」
浜面「着替えうんぬんでテメェらが追い出しただろ!」
黒夜「…………意外とアンタ初心だよね」
70 :
黒夜のセリフ忘れとった
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:26:54.75 ID:DKC7aKRx0
>>69
すません、抜け取った
黒夜「……『アイテム』の存在意義は、上層部や極秘集団の暴走を防ぐ事」
浜面「イキナリ話が変わったな!!」
黒夜「そのためか『上』からの情報は他の暗部に比べて格段に多い。ここまで言えば分かったかな?『書庫』では手に入らないようなプロフィールを『アイテム』は簡単に所持できるってことだ」
浜面「つーことはアレか?スナイパーが誰かが大体分かってるのか!?」
驚きを隠せずついつい黒夜の顔を凝視する。すると、つまらなそうに空中に指でイルカを書いていた黒夜は己の指先を見ながら頬を膨らました。
黒夜「『スクール』が即席で雇った訳ではなく正規のメンバー。これまで死んでいない以上、それに見合うレベルのスナイパー。わざわざこんな寂れた学区までくるような性格。まとめて検索かけたら五人まで減った。その内二人が別学区に居る事の確認も取れた。後の三人は集団で動くのは控えるようなヤツらだ、スナイパーってのは大体そうらしいけど。なら、武器の商売時にも一人の可能性が高いわけ、さ」
浜面「じゃあ俺達が向かってるのはそいつらが居そうな所なわけね……」
黒夜「……その通りだ。作戦ぐらい聞いとけ」
浜面「着替えうんぬんでテメェらが追い出しただろ!」
黒夜「…………意外とアンタ初心だよね」
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:27:48.64 ID:DKC7aKRx0
総合極真空管研究所にたどり着いたのは黒夜の一言よりすこし後になった。
そこまで時間は経ってないだろうと確認している間に、勝手にドアを開けて出て行く少女に慌てて声を投げかける。返答は、「邪魔になるだけだ、そこに居ろ浜面」だった。
建物の中に消えて行く白コートの少女を最後まで見つめながら、ハンドルを胸に抱え込む。
浜面(こんな事を毎日のようにこなしてるのかよ……)
耐えられねえな。そう思う。
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:29:02.61 ID:DKC7aKRx0
……することが無くなった。
邪魔だと言われ、着いていく事などできない浜面は思想の混沌に埋もれてゆく。
『アイテム』に所属した今では役目と呼べるものがあるけれども、使い捨てられるような場所だ。
邪魔。必要ない。不要。無価値。不良品。不良。
いくらでもあって、無くならない。限りない資源だ。
強者に見下され。弱者に存在を非難され。
中途半端で浮かび続ける限り、世間という風は鬱陶しく自分達を除け続ける。
誰の前に立っても、必ず払いのけられる。
居場所など無い。そこに居るだけで誰かの邪魔になるのだから……。
『無能力者に居場所はあるのかだと。あるに決まってんだろ。他人を食い物にする以外に道はあるのかだと。あるに決まってんだろ!!』
浜面(……チィ。忘れろ忘れろ!)
トゲトゲ少年の言葉が頭をよぎる。不愉快な気分が猛烈に身体を襲った。
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:29:58.81 ID:DKC7aKRx0
頭を思いっきり振って無理やり気持ちを高揚させ、ちょっとばかし重たくなった腕で運転席のドアを開ける。研究所以外何もないその光景に虚しさを覚えた。
浜面「……こういうのを胸に穴がぽっかり開いた感じって言うんだろうな」
何かが足りない。埋め合わせるように詰めていた幻想の蓋が緩んでから、なにもかもが自分から流れて行く気がしてならない。
研究所の中から荷物が崩れ落ちる音をBGMにドアから足を出して、たそがれている浜面を現実に呼び戻すかのように、不意に擦れるような音が車内でした。
いぶかる気持ちを解消するために車の中をあっちこっち探していると、後部座席の裏から、丸くて携帯に見えない携帯が光って連絡を告げているのを発見する。
浜面「黒夜……のじゃねぇよな?って事はこの車の主さんのね」
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:30:56.06 ID:DKC7aKRx0
若干色々と申し訳なく思ったが、盗難車に残された携帯を特にいじる気にもならないので、バイブレーションが起きているまま助手席に投げ出す。
その衝撃なのか携帯が通話モードに切り替わり、スピーカーフォン設定だったらしく甲高い女の声が聞こえてきた。
電話の女『オーイ!下っ端聞こえてるかーー。返事しろーい』
浜面「うん?……朝電話かけてきたヤツか!?おい、テメェには訊きたい事がたくさんあるんだ!」
目にも留まらぬ速さで携帯を耳元に持ってきて、スピーカーフォンから通常モードに変えようとする。が、何処をどうすればいいのか分からず、とりあえずそのまま会話を実行した。
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:31:39.25 ID:DKC7aKRx0
電話の女『うるさいなぁー。そんなんだと一生童貞だぞっ!』
浜面「がっつく男が童貞と何故決め付けるッ!…………否定はしないけどな」
彼女を作らないのではない、作れないのだ。心の奥底に眠るべき浜面の本音である。
電話の女『……負け組』
浜面「うるせえ……」
精神に多大なるダメージを負ったところで電話の女が静かになった。正確には声を小さくしただけで黙った訳ではないのだが、いつもうるさい彼女が急に静かになった事に不安を感じる浜面。
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:32:31.68 ID:DKC7aKRx0
電話の女『蒸気機関車地下研究所に絹旗を乗せて行った下っ端が死んだらしい。連絡がつかない』
浜面「……当たりがそっちだった訳か。俺的にはハズレだけどよ。それで、俺は何をすれば良いんだ? 電話してきたからには何かやらせるんだろ」
電話の女『あー、うん!とりあえず、総合極真空管研究所の正門に向かって止めてる車を反対向きにしなさいッ』
みっともない声で聞き返すと同じような返答があり、小首を傾げながらも研究所から少し遠ざかる感じで反対車線に車を直した。
浜面「うんで、本題は」
ハンドルを握りしめ耳を傾ける。小さな怖さがそこにはあった。何をやらされるか分かったものでは無い、『アイテム』を裏切れとか前も後ろも真っ暗になる選択をさせられたらどうするべきだろうと悩む。
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:33:20.75 ID:DKC7aKRx0
電話の女『本題ってよりもさ、専門商人って分かるでしょー? 武装集団やら警備員とかにも銃を販売していたらしいからさ!』
浜面「……あぁ。アイツがどうしたんだよ?会わせろよって言われても無理だぞ、勝手にあっちが接触して来てたんだから」
電話の女『お別れは言えないのが普通なのかもね。私が伝えるべき事はそれだけだ!』
はぁ!?それだけかよ!?と肩透かしを食らった浜面は死体のごとくハンドルに抱きつく。ハンドルの上に顎を置いて会話を続けようとしたら、総合極真空管研究所から黒交じりの白いタクシーが飛び出してきて、横を通過し浜面の進行方向に進んでいった。
浜面(タクシー?)
電話の女『そうそう、これでもサービスしてるんだけど……。んー……、まぁ『アイテム』正規メンバーじゃないから良いやっ!』
浜面「あん?」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:34:03.98 ID:DKC7aKRx0
電話の女『後ろ見な』
通話の切断音が聞こえ、わずかに間をおくと我に返ったように常に開けぱっなしの窓から後ろというか、研究所を視界に入れる。
黒夜が走って研究所から飛び出してきた。能力を発動しているようで、地面がガリガリと削り取られていた。そんな無鉄砲な彼女が発した言葉は、
黒夜「切り飛ばすッ!」
浜面「ちょ!バカッ!」
少女が腕を振るうまさにその瞬間、飛行機の墜落時みたいに車内で頭を抱え込む浜面の上が青空になった。
ルーフどころかフロントガラスまで粉々になりながら道路とは無関係の方に飛んでいくのが目に映るや否や、粒のように降ってくるガラス。それから身を守りきり助手席に飛び込んできた少女の確認をする前に、やはり勝手に隣から操作され車が発進した。
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:35:06.09 ID:DKC7aKRx0
黒夜「……ふう、変われ浜面。私がこの状態で運転するのには無理があるだろう?」
浜面「ざっけんな!なんでそんな冷静なんだよォォォォォオオオ!!死ぬわバキッャロゥ!俺はオープンカーなんか望んだつもりはねえぞ!」
叫びながらもキッチリ運転を交代すると、先ほどのカモメをイメージしたようなタクシーが道路の脇を走っていた。
黒夜「運が良いみたいだぞ、本命は出てこなかったが商売相手の方を確認できた」
浜面「……当事者か?……とりあえずあれ追えばいいんだろ。つうか、お前の能力って切断する能力なのになんで吹っ飛んだんだよ、屋根」
黒夜「圧力のかけ方やら圧縮率で調整すれば、切る事も殴り飛ばす事もできる。さっきのは切り飛ばした」
浜面「良くできるな、んなもん!!」
前を相当の速度で走っているタクシーの窓から黒く光る物がこちらに向けられる。気づいた浜面が頭を低くすると、発砲音がタクシーではなくすぐ隣で聞こえた。黒夜がどこに閉まっていたのか、これ嫌いなんだけど、と言いながら拳銃で拳銃を打ち落としていたのだ。
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:36:15.69 ID:DKC7aKRx0
うまく弾かれた相手の拳銃が道端に転がっていく。チィ! と舌打ちするカーレースプレイヤー。フロントガラスが砕け散っているおかげで難なく手首を狙えたのだ。
壊れていなければそれほど危険じゃなかったような気もするが。優雅に立ち振る舞う黒夜に皮肉を込め、褒め言葉を搾り出す。
浜面「とんでもねえな、お前」
褒めてない。
黒夜「賞賛していないでさっさと追いつけ。もう銃撃はないだろうしな」
丸っきりストレートの皮肉を皮肉と受け取らなかったのか、黒夜は黒色交じりのタクシーのタイヤに発砲する。
浜面「本当だろう……な、っと!」
黒白タクシーが急カーブして細い路地に入って行く、着いていく為に浜面もハンドルを切ると。そんなに遠くない位置で道を封鎖するように急ブレーキをかけて止まろうとしていた。
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:38:01.64 ID:DKC7aKRx0
浜面(なっ!こっっんなせっまいところで……ッ!止まるんじゃねぇぇぇええええええ!!)
乗用車(いまやオープンカー)のケツを滑らせ距離を稼ぎながら、自分の方の扉をタクシーに当てるようにブレーキを最大まで踏み込む。
ゴムが擦り切れる音と匂いに包まれながらも、結構余裕を持って駐車することができた。
黒夜「……ふうん。運転技術だけは褒めるべきかな?こんな無茶苦茶な方法で無事で済んだんだし」
浜面「いいや、俺の判断ミスだ。普通に減速してもぶつからなかったと思うぜ」
座席の上に足を乗せ飛び降りようとする黒夜に、体をそらして道を開ける。助手席から運転席側の窓の無くなったドアを足掛かりにして、黒夜が不満そうに顔を歪めた。
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:39:27.49 ID:DKC7aKRx0
絹旗「反対に降りてください!!」
どこか幼い声が前のタクシーより聞こえた。そちらに何らかの反応をする寸前、黒夜によって胸元を掴まれ浜面は開けはねられた扉より脱出。
状況を把握しきれないうちに、自身達が走行に使っていた車が横向きにタイヤがタクシーの方を向きながら起き上がる。まだ中にいた黒夜が浜面の腹を踏むルートを目掛けて空を飛んだ。
浜面「ぐぬふぁ……、テメェ……今わざと……」
カン、カン、ガキィンと、一定のリズムを刻む何かが絹旗の居る車の裏側を襲う。それらから浜面達を守っているのがいきり立つ車だった。
普通ではありえない現象にアホの顔している浜面を黒夜が叩きながら大声で叫ぶ。倒れている自動車の反対側に聞こえるように。
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:40:52.09 ID:DKC7aKRx0
黒夜「どーなってんのかなぁ!?絹旗よぉ!」
絹旗「あなた達が戦闘中に超横槍投げ込んできたんです!」
黒夜「チッ!アンタが鉄の塊支えていても時間稼ぎにしかならない、攻め込んでこいよ!」
絹旗「敵と私では相性が超悪いんです。遠距離相手にどうやってこの力を使えって言うんですか!?」
黒夜「数は!?」
絹旗「スナイパー一人です!『スクール』と思われる連中は近くに超居ませんでした! 麦野達にも知らせましたから少し粘るだけで終わります!」
浜面「……めまぐるしい展開でついていけん私ことぉ!浜面がひとつ言いたい!」
頭蓋骨無くしたいのか?哀れむように言いながら、黒夜が顔を上げた浜面を引こっめさせる。
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:41:43.45 ID:DKC7aKRx0
絹旗「超なんですか!?馬鹿面!」
こんな時にボケるんじゃねえ! と拳を握ったが、よくよく考えたら自分もやりかねないので拳を下ろす。でもまぁ、手に力を込めた所でワンピース少女を相手取るなんて不可能なのだけれども。
浜面「タクシーはどうなってんだ!?それにお前狙撃されてんのに良く生きてんな!」
絹旗「狙撃が始まったらスタコラサッサですよ!後者の質問は黒夜にでも聞いてください!」
黒夜「……逃げやがったか」
首を片手で掻きながら胸糞悪そうに何かを手探りで探すが、ハッとしたかと思うと顔に苛立ちが目立っていた。どうやらイルカのビニール人形を探しているようで、白コートのポッケの中をゴソゴソと弄っている。
拳銃はそこに差し込んであったらしく、ゴロンと重そうな音が地面にぶつかって鳴った。
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:43:31.13 ID:DKC7aKRx0
浜面「能力ってのは?」
黒夜「『窒素装甲』、窒素に覆われているのさ」
浜面「有能な解説役が欲しくなっちまったよ。……金髪装備の碧眼フレンダとかなッ!」
本当に突然、銃声が止んだ。
そびえ立っていた黒夜を守る車がゆっくり元の高さに降ろされていく。
絹旗「超疲れました。おや、まぬけ面は生き残ったんですか。運が良かったですね」
顔を見て最初に出た言葉がそれかよ、と、また拳を握る浜面だった。
浜面「もう大丈夫なのか?撃たれたりしねえ?」
絹旗「二回ほど麦野のレーザーが発射されるのを確認しました。弾の状態を見る限りで私が考えていた狙撃手の居る方向でしたから、超殺されたのでしょう」
黒夜はこの世の絶望を全て引き受けたような顔を作って、白コートのポッケに手を詰めた。
黒夜「つまらない仕事だったなぁ…………。忙しかったのさ……アンタらだけじゃん」
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/07(木) 01:46:31.64 ID:DKC7aKRx0
おわりっと
もっと内容をひねる事ができればなー
地の文練習してきます 次はいつ投下できるかわかんない
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/07(木) 01:49:11.26 ID:etnfMbyo0
黒夜×馬面か……
いいんじゃね
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/04/07(木) 08:17:32.28 ID:Xt4ayvYEo
乙です
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/12(火) 21:26:02.65 ID:yT8K9Wfp0
土曜日か日曜日に投下します
いつもよりちょっと長く書けそう
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/12(火) 21:29:50.29 ID:9t99G+LWo
期待してるよ
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/13(水) 05:53:58.29 ID:Joe0iqSh0
できれば投稿のときにsageないでほしい
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
:2011/04/14(木) 09:58:47.88 ID:kEXrTHSAO
読みにくい
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:05:27.64 ID:cfQjJEan0
>>91
では、最初の一回はageます
>>92
今回から書き方を統一していきたいと思います。
いつまでもランダムだとウザいからね
以下投下
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[saga]:2011/04/17(日) 01:08:24.60 ID:cfQjJEan0
――――…………
――同日 晩 第三学区隠れ家 VIP用サロン
浜面「朝早く起きて仕事場に出勤。仕事に使った時間、体力は学校の授業レベル……。思ったより楽そうに思えるんだけどなぁ」チラ
麦野「……誰か鏡持ってないー? 後ろ髪が跳ねてるんだよねー」
右には椅子に座って髪を弄ってるお姉さまキャラ。
フレンダ「結局、私の部屋から取ってきてあげる訳よっ!」テトテト
正面には肌色のソファに座っていた金髪少女。
絹旗「うぉお!! 何ですか今のCGの使い方! 一瞬世界が超反転して見えました!」
左には黄色のソファの上に座るチビガキ。
黒夜「……………」カタカタカタ カターン
斜め後ろには回転する椅子に座る日本人形。
各々やりたい事を好き放題やっている。
浜面「……バイト代も出ねぇのに、こんな奴らの相手をしにゃならんのか」
浜面「はぁ」
唐突だった。
太股からドカ!! と聞きたくない音がこぼれる。
筋肉に多大なるダメージを受けその場に崩れさる浜面。悶絶しながら背後に視線を巡らせると、自室から手鏡を持ってきたフレンダが舌を出し馬鹿にするような表情を作っていた。
暴力の理由は……多分ボソボソと呟いていた浜面の言葉を聞いていたのだろう。
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:09:27.77 ID:cfQjJEan0
浜面「テメェ! イキナリ何しやがる!?」
フレンダ「ふん……下っ端が」
物語の黒幕みたいな物真似するんじゃねえ。似てる似てないとかより先にキャラに合ってないんだよ。
とか、馬鹿にしているような返答をしようかと口を開く浜面だったが一旦閉じ、ノリにちょっとだけ合わせてやろうと思い直す。
浜面「……ふっふっふ、いいだろう」
浜面「我こそ浜面仕上に手を出したこと。後悔させてやるッ!!」
フレンダ「にゃはは! 結局、浜面は暴力で解決させる訳よ!」スタスタター
浜面「先に振るったのはお前だろうがっ! 待てコラ!」ダカダカ
部屋の周りを幼稚園児の如く走り回る金髪少年少女。
浜面が捕まえそうになるとステップを使って避けたり、障害物を挟んでどっちに動くか心理戦を繰り広げたり。ソファの背の部分を使い、ジャンプで浜面の頭を越え地面に着地したりしていた。
浜面「人に暴力は振るってはイケませんって保育園で習っただろ!」
フレンダ「こんな奴らとか言ってたから天罰を下してあげた訳!」
浜面「自身の行動を神様の決定みたいな言い方をするんじゃねーよ!」
浜面「それともテメェは神様に匹敵すると言いたいのか!?」
フレンダ「まぁね! 浜面みたいな小物を倒すなんて、赤子の手を捻り千切るぐらい簡単なんだから!」
浜面「肯定かよ!! ……のわりには逃げてんじゃねぇか、フレンダさんは度胸無しの胸無しだなぁ!」
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:10:18.61 ID:cfQjJEan0
ピタッ、と肌色ソファの上でフレンダが止まった。つられて浜面もその場で立ち止まる。
フレンダ「ムカッとした。……良いわ。結局、浜面は浜面ってことを教えてあげる訳よ!!」
浜面「はん! よーし来いよッ! 大悪党浜面仕上、伝説に残る最大のキックを披露してやる!!」
フレンダ「吹き飛べ愚民面がァアアア!」
浜面「下克上じゃぁぁぁぁぁぁああああああ!」
金髪の少女は空を舞う。金髪の少年は地面に這い蹲るように迎撃の準備を整える。
蝶対蛇。役者は相手の事しか視界に入れていない。
矜持のために獣たちは咆哮をあげる。
決着は一瞬だった。
浜面「――――がぁはッ!!」ドゴン!!
絹旗の能力により、体を地面に密着させ片足を突き出そうとしていた浜面が壁に激突。
フレンダ「あいて!」コテン
重力に抗う事のできないフレンダも地面に衝突。
絹旗「浜面、超うるさいです。こちらは名作中の名作、『歩く鳥はすべての支えとなった』を視聴中なんですよ!」
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りしました
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:11:03.65 ID:cfQjJEan0
絹旗「まったく、最近の若いのは自粛というものを知らないんですか」
浜面「……お前よりは年上だっつーの、……横から一発は死ぬって!」
邪魔が入り今回は引き分けとなった。ダメージの差はおかしいが。
フレンダ「……痛ったいなー」
麦野「フレンダ、鏡さっさと貸してよ」
フレンダ「ソファの上に置いてある訳よ……」
麦野「ん? 本当ね。チョイっと借りるわ」
フレンダ「むうー」チラ
絹旗「長老がゾンビでしたか。超驚きです」
フレンダ「むむうー」チラ
浜面「…………くっそ、頭くらくらしやがる」
フレンダ「……誰も心配してくれない訳よ……。うう」
浜面に心配を求めるのは酷だと思うのだが……。
黒夜「……」
フレンダ「っ!」
ノートパソコンを脇に挟んでフレンダの横に立つ黒夜。
それに気づいたフレンダは餌を貰えると信じてやまない捨てられた子犬のように、期待の眼差しを向けている。
黒夜は無感情な顔でフレンダを見下ろすと、――背中を容赦なく踏んで自分の部屋に向かって行った。
うぎゃ、と声をあげた後フレンダは動かなくなる。
精神的に終わってしまったのだろう。……地面に染み込んだ涙に誰も感づく事はない。
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:11:51.12 ID:cfQjJEan0
浜面「絹旗、お前はさっきからなに観てんだよ? よっぽどのお気に入り品みたいだが」
絹旗「映画です」
浜面「……う、うん。それは分かるんだ……どんな話の映画かなぁー? と訊いたつもりなんだけど」
絹旗「『歩く鳥はすべての支えとなった』、後世に伝えるべき超最高傑作のホラー映画です!」
絹旗「付け加えますと、この映画は先日借りてきたばかりです。たった今初視聴中です!」
浜面「あそぅ。てか……残念ながらホラーなんだな……。タイトルとのギャップを狙ってのか?」
絹旗「おぉ!!」
浜面「ふぇん!?」
絹旗「ここで主人公が死んでしまうんですか! 盛り上げ方が超すばらしいです!!」
浜面「……開始してまだ十分経ってないはずなんだが。主人公が海の藻屑になりやがったよ……」
絹旗「しかし、鳥が一向に出てきませんが……まさか!? この映画のテーマ『パラドックス』が絡んでくるんですね!」
浜面「矛盾がテーマだったのかよォォォォオオオ!」
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:12:54.42 ID:cfQjJEan0
絹旗「そうそう、雑務係」
浜面「……なんだよ」
絹旗「ビックリした時の声……。超気持ち悪いです」
浜面「自分の肩抱いて震えるほどか!? 確かに俺もあの声はイカンだろと思ったけど!」
絹旗「『ふぇん!?』」
浜面「真似するんじゃねえ! ……だが、野郎が言わなきゃ可愛く聞こえるな」
絹旗「うえぇ。……発情とかしないでください超殺しますよ?」
浜面「だれが発情するか!」
会話を少々楽しんだのち、テレビに視線を戻す。
相変わらず理解しがたい内容がボリューム満点で参ってしまう。
理解しようとDVDが入っていたケースを絹旗の横から拾い上げストーリを読むが、ゾンビが出てくること以外まったく分からなかった。
亡骸だったフレンダが立ち上がる。
死の淵から蘇って来てパワーアップしたのか、纏う空気が普通じゃない。彼女が纏うそれはあまりにも黒く渦巻いていた。
浜面が気づく前に真後ろに接近する。
フレンダ「はーまーづーらぁぁぁああああ」
浜面「うぉい! なんつー声出してんだよ!? ……それよか地獄の閻魔には合ってこれたのか?」
フレンダ「アンタのせいで、アンタのせいで、アンタのせいなんだ!!」
フレンダ「誰も構ってくれない。優しい声もかけてくれない」
フレンダ「どれもこれもアンタのせいな訳よ!!」
浜面「理不尽極まりない憤りを俺に当てるんじゃねぇぇええ!」
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:13:43.55 ID:cfQjJEan0
薬物乱用者を目撃したような気分になったのだけれども、相手がフレンダだという事を前提にもう一度現状を確認すると、これが当然な気がしてならない。
フレンダの手が首に向かって伸びてきて――
浜面(……!? 避けるべきか!?)
黒夜「……海の底ぐらい深い私怨を抱いているところ悪いんだけどさ。――邪魔」ズビシ
フレンダ「にゃふん!」バタ
――部屋から引き返してきた黒夜の手刀が決まる。
なんというか、不憫というべきか。散々な目に合っているフレンダが可哀想かなと、浜面と絹旗は若干思った。
少女は何事も無かったと言いたげな態度で椅子に座り、パソコンをミニテーブルに置く。
麦野は相変わらず後頭部に違和感があるようで、チョイチョイと髪を弄っていた。
黒夜「浜面、手が離せない。代わりに紅茶入れてくれないかな?」
浜面「へへい。了解っとお」
絹旗「私はメロンジュースを超希望します!」
浜面「……あんのか?」
絹旗「無かったら超作ってください」
浜面「無茶苦茶言いやがるな」
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:14:25.63 ID:cfQjJEan0
黒夜「沸騰してから入れるタイミングを間違えるなよ。どれぐらいがベストか分かっているな?」カタカタ
浜面「おうよ。一回見たからな、大体分かってるさ」
えらく自信満々でキッチンへ足を向ける浜面。
何が楽しいのか鼻歌を歌いながら意気揚々と棚からコップを揃える。
絹旗「……黒夜、超イルカです」
不意に、絹旗が小さく声を出した。
前傾姿勢になって画面を凝視する。
黒夜「…………なにが?」
絹旗「CG演出ばっかりだったからでしょうか? 現実的に見せるためイルカの泳ぐシーンが使われていますよ」
その理論がすでにおかしいのでは? と浜面は疑惑の目線をソファに持っていく。
黒夜「……ふうん」カタ カタ カタ
興味なさげな返事をするが、タイピングする速度が確実に遅くなる黒夜。
絹旗「親子でしょうか? いえ、友達集団ですかね?」
別に絹旗が意図したわけではない、その言葉を吐き数秒後に黒夜が絹旗の横に座っていた。
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:15:12.22 ID:cfQjJEan0
黒夜「……」
絹旗「……」
黒夜「……親子だろ」
絹旗「……分かりませんよ」
黒夜「…………」
絹旗「…………」
妙な空気だった。遠い昔でしか会った事のない親戚の家に行ったときのような雰囲気。
なぜか黙ってしまった二人を、浜面はキッチンから首を傾げながらみていた。
かつてはそれが当然だったかのように並んでテレビを眺める絹旗と黒夜が、何故仲が悪いのかが分からなくて。
ギャーォス! とゾンビが墓場より這い出るシーンになる。結局、二人は黙ってイルカが出なくなるその時まで同じ画面を見ていた。
入れたての紅茶とメロンジュースを持って二人が座るソファに近づく。
浜面「俺が作った紅茶だ、お気に召すといいけどよ」
黒夜「サンキュー。助かった」
浜面「絹旗! メロンジュースどうする?」
絹旗「あ、ください。先日のファミレスで飲めなかった未練をここで超晴らします!」
浜面「そりゃ……、自業自得だろ」
絹旗「いえ。あれは黒夜が喧嘩をふっかけてきたのが超悪いんです!」
黒夜「あン? 挑発してきたのはアンタだろォが」
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:15:59.06 ID:cfQjJEan0
絹旗「手を出したほうが負けなんですよ。一回攻撃されたら、正当防衛で反撃するのが普通でしょう?」
黒夜「店の物が壊れたのはアンタがテーブル投げたからだろォ。私の一撃だけならそのまま静かに飲めたさァ」
絹旗「……黙って受け止めていろと?」
黒夜「あァ」
絹旗がゆらりと立ち上がり、メロンジュースが入ったコップを浜面に押し付ける。
行動に添う形で黒夜も浜面にティーカップを渡した。
向かい合う少女達。
黒夜の能力発動音がした。
見えないが確かに存在している槍は、本人が座っていたソファを切り刻みながら少女のわき腹を薙ぎ払おうとする。
僅かによろめいたが、絹旗はバランスを取り直すと一歩踏み出し反撃の拳を振るう。
確実に当たるコースだった。
しかし、黒夜にダメージはやってこない。
一旦能力を解除し、腹に直撃するよう槍で貫くように放つ。だが『窒素装甲』を使いこなす少女の腹に穴は開けられない。よって、両手を重ねて放出した窒素の槍が絹旗の身体を押し戻していたのだ。
黒夜「煩わしいなァ! 絹旗ちゃンよォ!」
絹旗「あなたも同様に超面倒臭いですよ!」
どれだけ経っても紛争は収まる気配を見せない。
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:17:13.56 ID:cfQjJEan0
ノンビリ構えていた麦野もそろそろ鬱陶しくなってきたのだろう。
ぽけーっと、突っ立っていた浜面に状況の始末を命じた。
愕然とした顔が麦野の視界に映るが特に問題なしとし、手鏡に目を戻す。
前に窒素姉妹。後ろにレベル5の超人。
逃げ道など、どこにも無かった。
浜面「…………ええぇぇぇい! くっそっ! どうにでもなりやがれ!」
浜面「起きろコラッ! オイッ!」ユッサユッサ
フレンダ「……大体、お星様がみえる」
浜面「……うん? どっかで聞いたことあるような?」
浜面「――思い出せねえから後だ、後! ちょっとそこに立ってくれ!」
フレンダ「え、ん。……あー、ボーっとする訳よ」トコトコ
浜面「うっし、OKそこらへん」
フレンダ「なんな訳?」
全身から冷や汗が噴出す。
右に麦野が、正面にフレンダが。
左に戦闘中の二人が。
勇者浜面は意を致すと大声で叫んだ。
浜面「すまんフレンダ!! 胸がないとか言ったけどよォ! 右から並んでる通り、左の二人が一番小さかったわ!!」
その後しばらくの記憶が少年には残されていない。
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:17:54.65 ID:cfQjJEan0
麦野「もっとマシな止め方があったでしょ……」
浜面「思いつかなかったんだよ。……骨を折れてないことが奇跡だっちゅーの」
フレンダ「結局、浜面はやられ役な訳よ」
絹旗「……」ジロ
黒夜「……」ギラ
浜面(視線で俺を殺そうとしてやがる……)
浜面(殺さなかったのは最低限に便利だから、痛みつけるだけってことなのか? 自意識過剰だと思うけどよ)
テーブルを浜面以外で囲うようにそれぞれ座っている。
麦野とフレンダの中間の位置で目を覚ましたのは、麦野かフレンダの優しさがあったからなのか、それとも偶然的にそちらに吹き飛ばされていたのか。
……多分、後者。
絹旗「超死んでしまえ」
黒夜「……」
浜面「フ、フレンダ、お前に飲ましたいもんがあるんだが」
フレンダ「どんなの?」
浜面「ちょっと待ってろよ」
尻尾を巻きながらキッチンに去る。内心など語るまで無くガクブルだ。
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:18:56.02 ID:cfQjJEan0
麦野「そろそろ今日のまとめ会議でもやりましょうか」
麦野「ほら、目をギラギラ光らしてないで参加しなさい」
絹旗「はーい」
黒夜「……たく」
フレンダ「結局、何から話す訳?」
麦野「ファミレスからね……。まぁ、拠点も変わったし、新しい場所に変えちゃわない?」
フレンダ「いらーぬところまで似ているお二人さんが色々やっちゃったからねー」チラ
フレンダ「結局、あの店にはもういけないって訳よ」
絹旗「それは!」
黒夜「絹旗の――」
麦野「黙ってろ!! 同じことを繰り返すんじゃねえッ!!」
麦野の叱咤が効いたのか黙り込む。
膨れっ面のまま、渋々浮かしていた腰を降ろした。
麦野「場所は変えるとしても、『Joseplis』のチェーン店がいいかな?」
絹旗「そうですね。内装は気にしないとして。ドリンクバーの種類が豊富ですし、その方面が超最善だと思います」
フレンダ「あそこの飲み物は逸材だからねー。……サバに合うジュースってないのかなぁ? 疑問な訳よ」
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:19:41.49 ID:cfQjJEan0
麦野「黒夜。第三学区に『Joseplis』が無いか調べて」
黒夜「どっちかと言えばレストランが中心だからな。この学区に少女を客層としたファミレスがあるとは思えないが……」
麦野「いいから」
黒夜「……分かったよ」カチャカチャ
絹旗「…………それでですが、麦野」
麦野「なぁーに?」
絹旗「今日部屋に来るように、というのはまだ続行中……なんですか?」
黒夜「……」
麦野「そうね。あのスナイパーをグチャグチャにできたから、ストレスあんまりないのよねー」
絹旗「……つまり」ゴクリ
麦野「……仕方ない。許してあげましょうか」
黒夜「…………」フゥ
胸を撫で下ろす。
大能力者が避けられた事に安堵するという以上、通常では考えられないような、思いつけないような内容なのだろう。
和むような音を聴覚が感じ取った。
弾むように動いていた黒夜の両手が急に止まり、目がノートパソコンの文字の上を走る。
憮然をやや感じさせる顔つきで首を振った。見つからなかったらしい。
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:20:25.24 ID:cfQjJEan0
麦野「ない……か」
絹旗「あんまり期待してなかったから超問題無いですけど……」
フレンダ「結局、一番近い所を探す訳よ!」
絹旗「――黒夜」
黒夜「もうやっている。――――やっぱり第七学区かな?」
フレンダ「やっぱり中心の第七学区な訳よ」
絹旗「……はぁ。移動が超面倒になりそうです」
麦野「『Joseplis』はファミレスで有名なんでしょ? 『外』でも店出してるぐらいだし……」
麦野「なのに第七学区を主にしか建築されてないのは不便ね」
フレンダ「それより、結局、ファミレスからコンビ二が遠くなるのが苦労の元な訳よ」
絹旗「そんな事より」
フレンダ「そんな事!?」
絹旗「第七学区に置いてある隠れ家に拠点を戻しませんか? ここからじゃ超遠すぎます」
黒夜「一週間後にな」
麦野「あっちはいつでも使えるようにしてあるんだから、一人だけ住めば良いじゃない」
絹旗「えぇ……。皆で住みましょうよ!」
黒夜「一応暗部なんだからさ、同じ場所に留まり続けたら駄目だろう?」
麦野「その通り」
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:21:08.21 ID:cfQjJEan0
ガクリと、首を落とす絹旗を避けるようにして、大回りした浜面が縦に長いコップを携え帰ってくる。
浜面「完成したぜ!」
手に持つ飲み物は、毒々しいオレンジ色をしていた。
呆然とする『アイテム』を他所にフレンダの目の前に置く。
えらい笑顔で飲むのを待つ浜面に、この気色悪いジュースをぶっかけてやろうかとフレンダは思うが心の中で盛大に我慢した。麦野に怒られそうだから。
フレンダ「……これは……。何?」
浜面「野菜ジュースだ! オリジナルだからな……、名前をつけるなら『キャロットブレンドスペシャル』!!」
絹旗「ネーミングセンスが超乏しいんですね。浜面」
浜面「へ?」
フレンダ「……色が、濃すぎる訳よ……。こんなのがおいしーとは思えないんだけど!」
浜面「味見したから飲めないって事はない。……俺には合わないけどな!」
麦野「自分が飲めないもの作ってどうするんだよ馬鹿」
黒夜「臭いがこっちに来ている。さっさと始末しろ、フレンダ」
フレンダ「こんなの飲めるかーっ!!」
絹旗「……見た目で判断は超駄目なんですよね?」
フレンダ「ッ!?」
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:21:53.32 ID:cfQjJEan0
絹旗「それとも、フレンダは人に厳しく自分に優しくの超駄目人間なんですか?」
フレンダ「くう……っ」
絹旗「度胸無しの胸無し」
浜面(お前が言うなと言いたい。死ぬかもしれないから止めとくけどよ)
フレンダ「うにぁー!! 女に二言なーっし!」ゴク
浜面「武士に二言だろ。さあ……どうだ、どうなんだ、どうなんですか?」
フレンダ「…………」
フレンダ「うえぇぇぇ」ビチャビチャ
浜面「ウォイッ!! 口から垂れてんぞ! 自分が女子って事を思いだせッ!」
フレンダ「甘すぎ……る……わ……けよ」コトン
黒夜「こっちに置くな……」
黒夜「…………」チョビ
黒夜「チッ。――絹旗ちゃーん!」
絹旗「なんです――」バシャ
黒夜「はは、……顔面からキャロットブレンドスペシャルを堪能できた感想は?」
絹旗「――なにするンです……か……? ……あれ?」
絹旗「超美味しいです……これ」ペロペロ
フレンダ「えぇー!?」
浜面「へへーん」ドヤ
麦野「……なんでもいいから片付けなさいよ」
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:22:40.24 ID:cfQjJEan0
――浜面の掃除 ・ 絹旗の入浴中
フレンダ「結局、お茶で口直しする訳よ」チョビチョビ
黒夜「アンタが麦茶飲んでいる姿さ、なんか全体的にシュールだよね」
フレンダ「結局、日本に居るほうが長いって訳!」
黒夜「……無理……絵にならないな」
フレンダ「……ひどい訳よ」チョビチョビ
麦野「猫舌なの? さっきからチビチビ飲んでるけど」
フレンダ「熱いのはちょっと苦手かなー。麦野の腕の中なら暑くてもいいんだけどねっ!」
麦野「言葉で遊ぶな」
黒夜「精度が低い言葉遊びだったな。結局は外人か、……ふん」
フレンダ「鼻で笑われた!? 見てたよね麦野!!」
麦野「ふん」
フレンダ「麦野にも!?」
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:23:45.33 ID:cfQjJEan0
浜面「フレンダ脚どけろ。床が拭けないだろうが」
フレンダ「うん? あ、ゴメンゴメン!」
浜面「ん」フキフキ
浜面「さて、テーブル拭けば終了っと」
黒夜「浜面。テーブルを拭くのが遅くてパソコンが壊れでもしたら、――分かっているな?」
浜面「ッ!? なんで場所変えようとしてねぇんだよォオ!!」
麦野「もうすぐパソコンが入水しまーす」ケラケラ
浜面「ぜいやぁあ!!」
浜面の手にあった雑巾が部屋を浮遊する。
盛大に横へ跳躍した浜面は黒夜とパソコンの間に滑りこみ、精密機械に迫っていたオレンジ色の悪魔『キャロットブレンドスペシャル』の残党から逃がすようにパソコンを掴み胸に抱いた。
ずざー、と床で摩擦を消費する。
チラリ、パソコンを確認して異常がない事を確かめた。
安心して黒夜に大切な品物を渡そうとして、そこで浜面は唖然とする。
気がついたのだ。――自分が持っていた雑巾が。
お風呂から出たばかりで湯気が身体からまだ出ている、幼い幼い絹旗の顔面にベッチョリへばり付いていた。
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:24:50.23 ID:cfQjJEan0
浜面「オーマイガァァ!!」
絹旗「…………」ベチャ ポタポタ
絹旗「浜面……。この雑巾超食べますか?」
浜面「ふ、不慮の事故だ! 最善の策を使ったら最悪の結果を招いただけなんだ!」
絹旗「――ッ!」ブン
浜面「ガファ!!」ベチャン
黒夜「……アンタ馬鹿を通り越して天才に成れるんじゃないか?」
麦野「はぁ……」
フレンダ「結局、浜面が尋問やったら逆に内部の情報を言っちゃいそうな訳よ」
浜面「……」ピクピク
絹旗「シャワー折角浴びたのに、また入り直しですか……」
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:26:32.63 ID:cfQjJEan0
――再度、絹旗入浴中
洗面所で雑巾を手洗いする浜面の近くには、スライドタイプの扉をした風呂がある。
絹旗が使用しているシャワーの音が気になりながらも、賢者の気持ちで洗浄を繰り返す。
キュッキュ、と蛇口を捻る音がして集中を霧散させていた元凶が消えた。
どうやらお湯を張っていたらしく、水のこぼれる音とふにゃー、と情けない声が浜面に届く。
絹旗『浜面! 超そこに居るんですか?』
浜面「……のぞかねえよ」ゴシゴシ
絹旗『ちょ、まだ何も言っていませんよ!』
浜面(大体予想ついてたちゅうの……)
浜面「理想的な体つきをしていらっしゃる絹旗様を覗くわけありませんって! はっははは!!」ゴシゴシ
絹旗『超殺す!』
浜面「冗談だって、あんまり怒るなよ。シワが増えるぞ」キュッキュッ
絹旗「私にシワなど超無縁の世界ですよ!」
浜面「色々無縁だよな」ボソリ
絹旗「……超聞こえていますよ」
浜面「忘れてくださいっ!」ギュー ポタポタ
雑巾を極限まで絞り、残り汁を出しきった状態のまま洗濯籠の中に投げ込む。
冷えた手を擦り合わせながら麦野達の方へ足を向けると、何かに引っかかって前へつんのめった。
小さな悲鳴を漏らしながらも転びそうになるのを耐えるが、洗面台で右手を軽く打ってしまう。
あっぶねーな! と怒りを露にしながら足元を確認すると、絹旗が脱いだ服が畳んで置いてあり、その上に太いクラッカーのような物が何個かとヘアスプレーくらいの金属缶が二個乗っけてある。
浜面を貶めようとしたのは太いクラッカーのような物の方らしく、足が当たった拍子に一個だけ離れた場所を転がっていた。
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:27:28.56 ID:cfQjJEan0
浜面「うんだよ、このパーティに使うには地味なクラッカー」
絹旗『あー! 死にたくなかったら超触らないでください』
浜面「人が死ぬようなものをそこら辺にほかってんじゃねえよ!!」
絹旗『ちゃんと服の上に並べて置いてあった……でしょう…………ッッ!!』ザバァ
絹旗『浜面!! まさか私の下着で超鑑賞会を開いているんじゃないでしょうね!?』
浜面「はぁあ!? 人を変態みたいに言うんじゃねえ! そんなことするわけねーよ!!」
絹旗『……そうですか。しかし、危ない所でしたよ』チャプン
絹旗『浜面の手淫ネタを無様に超提供するところでした』
浜面「……女子から性的な言葉を聞きたくないなって始めて思ったぞ」
絹旗『馬鹿にしているんですか?』
浜面「全然ッ!」
絹旗『まぁ、冗談はさておいてですね』
絹旗『それは携行型対戦車ミサイルです。専門商人が扱っていた商品のひとつですよ』
浜面「ほぉう」
絹旗『捨てるのも超勿体ないんで、大体の武器は徴収したんです』
浜面「専門商人って、俺が追っていたタクシーに乗ってたヤツだよな?」
絹旗『はい。先回りしていた麦野とフレンダが始末は済ませました』
絹旗『浜面だけ新しいアシを確保しに行った後――つまり私と黒夜から離れてから何があったか超分かんないんですよね?』
浜面「聞きたくはならねえよ。スナイパーや専門商人がどんな末路を辿ったかなんて」
絹旗『そうですか……。正しい判断かもしれませんね。この暗い場所に居続けないのであれば』
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:28:58.75 ID:cfQjJEan0
浜面「…………」
自分の顔が気になった。
どんな表情をしているのだろうか。聞きたくはないと言ったが、予想なんてするまでも無く彼らは死んだのであろう。
今、自分は彼ら(もしくは彼女ら)を哀れんでいるのだろうか、同情しているのだろうか。
死体なんて散々見てきた。
スキルアウトで暴れまわっていた時に、そんな物の事は山ほど知っている。
簡単な問題じゃない。頭で考えて分かるようなもんじゃない。
何かは分からないが心に異物のような物が発生した気分だ。
そっと、顔を洗面台の鏡に映す。
そこに映った己の顔に対して、自嘲の言葉を心の中で毒づいてやった。
浜面(ったく。らしくねえ)
浜面「……居続けなければ、な」
目の前に居るもう一人の自分に向かって一生懸命やった証明を否定するように、言った。
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:29:46.80 ID:cfQjJEan0
麦野「スナイパーの尋問で分かったこと、まとめましょうか」
フレンダ「結局、絹旗がまだお風呂な訳よ」
黒夜「浜面。紅茶もう一杯くれ……。オイ、浜面?」
フレンダ「雑巾洗ってるー」
黒夜「はぁ。役に立つのか立たないのか選択に困るヤツだな」
フレンダ「結局、無能力者は無能な訳よ!」
麦野「はいはい。さっさと終わらせてしまいましょう。今日は早く寝たいの」
黒夜「…………じゃぁ、まず手に入った情報を簡潔に説明してくれ」
フレンダ「『スクールが親船最中を暗殺しようとしている』だね」
黒夜「統括理事会成員の殺害に意味があるとは思えない。……補充なんていくらでも利くだろうしな」
麦野「そうね。それに親船最中なのも気になる。影響力を持っていないメンバーを狙ったのは何故かしら」
フレンダ「学園都市を恐怖のどん底におとしめたいとか?」
麦野「なんでそう思ったのよ……」
黒夜「統括理事会成員を狙ったところから、『上』への反抗は間違いないんだろうけど」
フレンダ「『スクール』がどんなメンバー構成されているかにもよるけど……。普通は『上』に逆らったら殺されそうな訳よ」
黒夜「……わざわざ私達に『スクールの処分』ではなく『警告』させたのかがポイントってとこかな?」
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:30:45.68 ID:cfQjJEan0
麦野「よっぽど大切な物でも抱え込んでるんじゃない?」
黒夜「要するに、『上』が不安要素を残してまで『スクール』を存続させた理由が何かある……か」
フレンダ「でも結局、あんまり反抗的過ぎないのが引っかかる訳よ」
麦野「そう、価値が低い親船最中だから、『上』の傷の内になんか入らない、ってことなのかもしれない……」
麦野「でもそうしたら、『警告』させる理由が消えてしまうわよね」
黒夜「……情報が少なすぎる。ひとまずは電話の女に『警告』は完了したと言っておけば問題ないだろう」
フレンダ「だねー」
麦野「そうしましょうか」
華やかな扉が開くと、金髪の冴えない少年が手を擦りながら出てきた。
黒夜がその姿を一瞥すると、
黒夜「御代わり」
と一言だけ告げ、パソコンを動かす作業を開始する。
浜面「……」カチャ
テーブルに寂しく一個置いてあるコップを回収すると、キッチンに放置してあったティーポットをコップに傾ける。
八分目で入れるのを止め、先ほどと同じ位置にコップを置く。
浜面「今日は、他に何かやる事あるのか?」
麦野「いいえ。しまいよ、しまい。私は帰って寝るとするわ」
フレンダ「じゃ、私も帰還するって訳よ!」
のそりと立ち上がる二人に、お疲れ様と、労いの言葉をかける。
荷物と言えるような物は何一つ所持していなかったようで、手ぶらで帰っていった。
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:31:28.04 ID:cfQjJEan0
黒夜「……」カチャ カタカタ
浜面「……」
二人きりを意識しているわけじゃないが、何故か黒夜と一緒になると猛烈に世話を焼きたくなる。
なにかこう……、やり直したいと思う時期の自分に出会ったような――そんな感じ。
浜面(既視感の亜種か?)
大して面白くもない冗談を考えながら、対面になるように反対側のソファに座る。
変わらずパソコンをいじる黒夜の邪魔をしないように、ずっと使っている白くて一般的な携帯でネットサーフィンをする。
暫くして、水場とリビングを分ける扉から、二度目の風呂上り少女絹旗が髪の毛をバスタオルで拭きながら現れた。
絹旗「おや? 麦野達は帰ってしまったみたいですね」
浜面「ちょっと前にな」
バチンっと、勢い良く携帯を閉じると絹旗に視線を向ける。
モクモク立ち上る湯気が女の妖艶を際立させる。――それが効いて浜面が恋に目覚めるなど皆無に等しいが。
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:32:08.98 ID:cfQjJEan0
浜面「で、俺はもう家に帰っていいのか?」
絹旗「どうぞ。私はお風呂にも入ってしまったんで、今日は超泊まっていくことにしますし」
黒夜「私も泊まりだしな」
浜面「了解だ。……次から俺はここに来ればいいのか? てか、次いつ?」
ソファから腰を上げ、画面の閉じた携帯電話をポッケにしまおうとしながら喋っていると、黒夜が片手を差し出し何かを要求する素振りを見せる。
浜面「……なんだよその手」
黒夜「携帯をよこせ」
浜面「……拒否って良いか?」
黒夜「死にたいなら勝手にどーぞぉ?」
浜面「ふぅー。……ほらよ」トン
黒夜「…………明日返すから取りに来い。午前中だったらいつでも良ぃ」
黒夜「ついでに『アイテム』達のメルアドも登録しといてやるさ」
浜面「ついでって……、目的は何だよ」
黒夜「指定伝播型共鳴装置――――簡単に言う送信機だ」
浜面「はぁあああ!? なんでそんなもん付けんだよ!!」
絹旗「『アイテム』には敵などの場所を詮索するタイプの能力者が超居ないんです」
浜面の隣に座った絹旗が柔和な目で語りかける。
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:32:52.39 ID:cfQjJEan0
絹旗「ですから、メンバーがバラバラになってしまった時や、捕まってしまった時。すぐさま対応できるように、黒夜が全員に取り付けているんですよ」
浜面「だけどよ! 送信機から逆探されたら場所がただ漏れだろう!?」
黒夜「……私の手作りでさ。特別な構造をした受信機じゃないと反応しないようにできている」
浜面「受信機ってことは、自分の携帯で『アイテム』構成員の居場所が全て分かると……!?」
黒夜「まぁ……その通りだ。設定で場所を隠す事もできるしな。指定伝播型共鳴装置は発信機と受信機を兼ね備えた物、ってことだよ」
絹旗「浜面。機械に関しては黒夜に任せた方が超得策ですよ。……機械オタクですから」
浜面「とんでもねーな……」
考え込む浜面だったが、どうせ拒否はできないのだからと二人に別れを告げ玄関に向かう。
ドアノブに手をかけたところで、
「んっ!! あぁん! イっちゃうぅぅぅ!!」
昨日ネットで落としたエロ動画の音が聞こえ、顔面を蒼白させながら高速でその場を後にした。
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/17(日) 01:35:22.04 ID:cfQjJEan0
今日の分終了
こんな感じで良いのかな?
次はいつ来るか分からないです
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/17(日) 04:10:22.11 ID:XKTojK7N0
乙
浜面やっちまったな。いつになったらかっこいい浜面がでてくるのだろうかね
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/17(日) 05:07:34.93 ID:FLAZxD2D0
浜面…… 教育に悪いだろぉ
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/17(日) 06:35:23.48 ID:gi3DcZ3IO
乙でした
やっぱり浜面は何処に行ってもエロ面ってわけよ
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/17(日) 11:07:11.61 ID:+qXBKahIO
フレンダの扱いひでえww
そのうち浜面よりいらない子認定されそうだな
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/04/19(火) 19:25:42.57 ID:GkZR3h000
ここの浜面は麦のンとフラグ立てるんだろうか
原作見てる感じだとどうも麦のンからは最初から好感度高かったみたいだが
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/20(水) 17:17:12.97 ID:MJTrIGZG0
>>127
ということは…21巻の表紙は浜面と黒夜ちゃんが抱き合ってるんですね!!
129 :
残念ながら1です
[sage saga]:2011/04/21(木) 00:59:48.34 ID:AysHaBY60
>>128
なにそれみたい
書いてるんだけど……進まない
土日までに投下できるよう頑張る
早く15巻に入りたいなぁ……
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/21(木) 04:31:01.88 ID:jyxfKw1V0
おう1頑張れ!!
俺は聖ジョージ大聖堂からネットで見てるぜ!!
このss今読んでる中じゃ一番すきなだからな!!
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/04/21(木) 13:14:19.15 ID:/OA7OY+IO
乙?
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/04/21(木) 18:03:16.69 ID:x2wbtRt90
なにこれ、おもしろいんだけど。続き期待
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/23(土) 09:18:05.13 ID:uKLzDFDK0
まだー
聖ジョージ大聖堂大聖堂からでれないから暇だぜ!
はやくしたりけるのよ!あら素がだてしまっちた。 俺このssだいすきだわ
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/04/23(土) 09:29:26.40 ID:SMBF7SsAO
>>133
すまない、部活で災害募金の手伝いが入ってしまったから日曜になると思う
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/24(日) 20:43:07.02 ID:b7XsKbNG0
まだー?
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/24(日) 22:05:33.52 ID:Njp22YSZ0
展開が早くなってしまった
急いで書いたから色々崩れてるかも
いつもより少なめ
風呂上がったら投下する
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/24(日) 22:42:24.37 ID:bb3EPWxP0
速くしろ
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:42:52.93 ID:Njp22YSZ0
玄関から『アイテム』の下っ端が消えた直後、無表情を貫いたままクズの携帯を閉じる。
黒夜は手の白い携帯を自分のノートパソコンの横に並べ、紅茶に持ち替える。
紅茶の匂いを嗅ぎながら絹旗に目をやると、どうやら呆れたようで、両手を天井に向けながら顔の左右に広げていた。
絹旗「さて、私は夜更かし用のレンタルビデオの整理でもしてきます」
絹旗が腕を上に伸ばして背筋を張ると猫撫で声が漏れる。そしてソファから立ち上がり、ディーブイディープレーヤーの回収に向った。
絹旗「部品の取り付けは自分の部屋でやるんですか?」
黒夜「ここでやるさ。飲み終わってもいないしな」
絹旗「……そうですか……っと!」ヒョイ
絹旗「それでは」
黒夜「あぁ」
映画の宣伝ポスターが張ってある扉を潜って行く。
パタン、と控えめな閉める音が聞こえた。
黒夜「……さ、て。お仕事だにゃーん」
良い子はお寝んねの遅い時間に、黒夜の機械改造が始まる。
139 :
137タイミング悪かったすまん
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:44:55.46 ID:Njp22YSZ0
――私室・絹旗――
整理整頓。更にゴミ一つ見逃していないと断言できるような部屋だ。
絹旗「はぁ……」
絹旗(いけませんね。ため息ばかりしていても超何の意味もありません)
ピンク色のベッドに腰をかけ、ディーブイディープレーヤーが邪魔にならないよう足元に置く。
彼女を不安にさせている原因、というかため息をつかせるほどの根本は奇妙なものだ。
浜面仕上。
『アイテム』に入ったばかりの使い走りで、特に顔がカッコいいわけでもない少年。
彼が絹旗最愛のストレッサーである。
かといって、絹旗が浜面に何らかの意識を抱いているのではなく。当事者は、黒夜の方だ。
絹旗「黒夜があんなに馴れ合うとは……」
異常。
人と仲良くなる事をあまり好きではない彼女が浜面とかなり喋っていたのだから。
絹旗「私達ならまだ納得いきますが……、初日から仲が良いのは超信じられません」
絹旗(なにか裏があるんでしょうか? それとも直視しがたいあの馬鹿面に……)
惚れ、ぐらいまで考えて止めた。
流石にそれはない。黒夜とは古くからの付き合いだ、それはないと言い切れる。
140 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:46:09.63 ID:Njp22YSZ0
ポスン。
身体をベッドに預け目を閉じ、さまざまな憶測を心でとばしまわす。
まともな答えは出やしない。くだらない妄想に取り付かれる前に思考をきっぱり断つと、目を開け天井を見つめた。
絹旗「……ほんっと! 超訳わかんないです」
絹旗(黒夜は何をしでかすか昔から超予想がつきませんでしたからね)
判断をつけようがない絹旗は、とりあえず適当に思った事を心に宿しておく事にした。
私と黒夜が、能力的に同類であっても同種ではないなら――
黒夜と浜面は、精神的に同類ではなくて同種である――なのでは、と
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:47:36.79 ID:Njp22YSZ0
小指の爪程度しか握る場所がないドライバーを携帯から引き離す。
黒夜「……こんなものかな?」
人差し指で指定伝播型共鳴装置を二回叩いて音を聞く。これといった意味はない、ただの癖だ。
装置を隠すようにバッテリーをはめ込む。
起動ボタンを押し続けてしばらくすると、特別な問題も起こらないまま携帯の会社名が表示された。
黒夜「次はプログラムの書き換えか」
折角取り付けたのに携帯がそれに反応しなくては意味がない。浜面が使っている携帯でも装置が動くように対応させなければならないのだ。
部屋から持ってきていた工具箱に、使用した工具類を放り込む。
工具箱の下をスライドさせ、中でグチャグチャ絡み合っているコードを一つ一つ丁寧に分離させるが、
黒夜「あれぇ? 接続用USBケーブルがないな……。部屋か」
浜面が登録している携帯会社専用のケーブルが見当たらず、舌打ちしてソファを立とうとした。
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:48:25.04 ID:Njp22YSZ0
キンコーン、と無駄に上品な音が三回黒夜の耳を打つ。
黒夜「――きたじゃん。……下部組織に運ばせると遅くて困るよねぇ」
悪質な商人が善人に商品を売った時のような笑みを浮かべ、絹旗に呼びかける。
黒夜「きぃぬはたぁ!」
絹旗『……どうしましたぁ?』
黒夜「今頃荷物が届いたらしぃ! 取りに行ってくれない?」
絹旗『ほーい。超了解しました』 ガチャ
玄関に向かう少女を確認した後、自分の部屋へケーブル探しに出向かう。
足の踏み場もないぐらい、何らかの機械の部品が散布してあった。
精密機械の一部であろう物も無関係に放り出されている。
物と物の隙間につま先を立てながら器用に移動する黒夜。
しばし部屋を闊歩し、ベッドの下に置いてあった靴下を入れるようなボックスを開く。そして中身の赤や黒や白などさまざまなケーブルを分別し始めた。
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:49:42.28 ID:Njp22YSZ0
絹旗「黒夜ぅー」ガチャ
絹旗「届いた窒素ボンベをどこに置きま…………」ポカン
絹旗「……黒夜ってなんでこうも超片付けないんですか?」
黒夜「片付けなんかしても無駄だろう? 窒素ボンベはフレンダの部屋にでも置いといたら。……違う」ポイ
絹旗「無駄って、黒夜が多数の機械を弄って散らかるからってことですか?」
黒夜「そういうことさ」ポイ ポイ
絹旗「……せめてベッドの上は整理しないと超寝られませんよ」
黒夜「ソファで寝る。寝心地なんざ求めてないし」ポイ ガラガラー
黒夜「……ここじゃなかったのかよ。チッ」
絹旗(超駄目人間じゃないですか……)
苦虫をすり潰したような顔をし、何の装飾もされていない扉を引っ張りながらリビングに出る。
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:50:49.58 ID:Njp22YSZ0
自分の身長はある窒素ボンベを二個片手で軽々持ち上げる絹旗は、フレンダの部屋におもむきながら疑問に思う。
一昨日から荷物をこちらに移動させ、本人達は今日から拠点をここに移した。
こちらの部屋を汚す時間など、手持ちで済む程の荷物を運び込んだ一昨日、昨日合わせてわずか数時間。
絹旗「なんであんなに散らかるんですかね? B級映画『プランクトンクン』並みの超謎です」
扉に『侵入禁止って訳よ!!』と書かれた紙を無視して中にお邪魔する。
人形やら、機械の部品やら、紙に包んだ火薬やらが散らかっていた。
しかし、あくまで一般常識内での部屋が汚い、だ。からくり部屋を見た後では綺麗なもんである。
絹旗「ここら辺で良いでしょうか? ……まぁ、大丈夫でしょう!」ドン!!
部屋のど真ん中にそびえ立つ二つのボンベが、女の子の部屋の空気を確実に崩していた。
絹旗「…………」
絹旗「――部屋に帰りましょう」ガチャン
絹旗(自分で言うのもおかしいですが、フレンダへの風当たりが超強いような気がします)
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/04/24(日) 22:51:53.47 ID:Njp22YSZ0
黒夜の部屋の前を通過する寸前で、
黒夜『待て絹旗! 浜面のデータボックス開いてくれないか?』ガサガサ
人を呼び止めるための感情を込めた声色ではなく、うまくいけば得するかな? ぐらいの声色だった。
絹旗「……はぁ。分かりましたよ」
絹旗「私は超奴隷じゃないつぅーんですのに」
言う事を聞かなければいいのだが、それが何故かできない絹旗は、近くのテーブルにあった白い携帯を拾い上げデータボックスを開く。
車のシートの下に挟まってしまいそうな携帯電話を我が顔で扱っていると、追加で黒夜から頼みが飛んでくる。
黒夜『上から七番目をみて、教えて欲しいんだけどぉ』
絹旗「七番目、ななばんめぇー。これですね」ポチ
「ちょっとっ! こんな……ところっ!! でぇっ!! んふぁあ」
思いっきりソファに叩きつけてやった。
壁に当ててやろうかとも思ったが、最後の良心が働き免れた。
146 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:52:57.33 ID:Njp22YSZ0
黒夜『あれぇ? ……そうだ、逆に設定しているから下からだったなあ』
黒夜『下から七番目のタイトルを見てくれない?』ゴソゴソ
扉越しの黒夜は嘲笑っているに違いない、絹旗はこめかみに血管を浮きぼらせながら憤怒の炎を宿す。
絹旗「…………意図してやったんじゃないんでしょうねぇぇえ?」
黒夜『なーんの話かなぁ?』ガチャ ガタ
絹旗「チッ。……認識できないファイルで、タイトルが『ssito』です」
黒夜『んー。助かった――――発見、っと』
手首から中指の先ぐらいまで長さがある黒色のコードを指に絡ませながら、リビングに出てきてパソコンの前に座り込む。
特徴的なそれを媒介にして二つの機械をつなぎ合わせる。
147 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:54:38.97 ID:Njp22YSZ0
不満げな表情をして黒夜の横に座る絹旗が素気なく発言した。
絹旗「バニーに超偏見を持ってしまいそうです」
黒夜「偏見も何も、男を呼び寄せる為のコスプレだろう。私達は思ったままの方が正しいのさ」
絹旗「そうですね……。しかし、浜面的にはバニーさんが超ヒットだったんですか」
黒夜「醜い趣味しているよな」
黒夜「大体、あの衣装は嫌いだ。……着ているヤツの気が分からない」
絹旗「浜面を擁護するみたいで超嫌ですけど、女の魅力を引き出すアイテムの一つだと思いますが?」
黒夜「…………」
絹旗からは見えていないが、一瞬だけ黒夜の目が胸に向く。
急激に不機嫌になりキーボードを荒く使い出す黒夜。
黒夜「逆にアンタが嫌いじゃない事に疑問を感じるちゅーの」
絹旗「……? よく分かりませんが、気分が良くなる話ではなさそうなので、もう聞かないことにします」
黒夜「そうしときなよ」
148 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:56:21.62 ID:Njp22YSZ0
画面上のポインタを左右に振りながら、普通に表示されているブラウザを収縮する。
デスクトップに並んであるアイコンをいくつか合併させると、背景が真っ黒で数字や文字の羅列が大量に書き込まれてあるプログラムが作動する。
それの『F』と書かれた部分の後ろに記号をタイピングする。
表示されていた数字や文字がとてつもない速さで変更されながら、画面の下にスクールしていった。
処理の終了を待つだけになった二人は、自然に会話始める。
絹旗「液体窒素の保存場所、確保しといたほうが超良いですよね?」
黒夜「あいつの部屋はぁ?」
絹旗「さすがに、乙女の私室に超あってはならない物ですよ」
黒夜「そんな事にこだわってどうするんだ? ……私達は暗部だぞ」
絹旗「そんなの超関係ありません! 乙女心を捨てた瞬間に純粋な少女じゃなくなるんです!」
黒夜「そうかよ、……くっだらねぇーことをずっとグダグダぬかしてろ」
システム変更画面に興味が失せた黒夜は冷たくなってしまっている紅茶を口に運ぶ。
絹旗「話を戻しますけど。場所、作りますか?」
黒夜「細かい事はフレンダが部屋への収納を断ってからだが……、前向きに検討しとくさ」
149 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:57:11.78 ID:Njp22YSZ0
黒夜「最悪、浜面にワゴン車盗らせて後ろに載せておけば良いだろう」
絹旗「考え方が超エグイですね」
まっずい。と悪態をつきながら、紅茶が余ってしまったティーカップを置く。
絹旗に顔を向けると、子供に言い聞かせるように言った。
黒夜「もとを言えば……、アンタが弱点を補強する為にどうすれば良いか考えて、液体窒素にたどり着いたんだからさ。自分で決めろよ」
黒夜「私は頼まれた物を購入してきただけだからな。その後のことなんか、考えている訳ないだろう?」
絹旗「ぬぬぅ。黒夜だって戦闘中に周りの窒素がなくなったら超困るでしょう!?」
絹旗「私は黒夜の事も計算に入れて考えているんですからね!」
黒夜「そうにしても、あのサイズのボンベを二本って……。馬鹿なのか?」
絹旗「買うときは文句言ってなかったですよね! いまさら言っても遅すぎます!」
黒夜「し、か、も。アンタには暗部製の窒素缶があるだろうに」
絹旗「…………。わ、忘れていただけです」
黒夜「せめて言い訳しろよお」
絹旗「えぇっと。……液体窒素の超補充に、です」
黒夜「言い訳で筋を通そうとする意地はすばらしいが、量の問題が片付いてない」
絹旗「だぁあああああ!! 超うっとうしいです! 黒夜は小さいんですよ、色々!」
絹旗の視線は主に胸に向いていた。
150 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:58:00.15 ID:Njp22YSZ0
黒夜「ンだとォ!? 成長しねェのは自分の意思じゃねェンだよォ!!」
絹旗「勘違いしているンじゃねェですよ。精神的に小さいンですゥ」ドン
黒夜「ッ! オマエっ、紅茶がァ!」
立ち上がろうとしたさいに、伸ばしていた脚の太ももがテーブルを斜めに突き上げるようにあたった。
パソコンの邪魔にならないよう奥に置いていたために、ティーカップが滑り落ちていった。
ドンドドンッ! とコップが転落した音が響く。
絹旗「……浜面の仕事が増えてしまいました」
黒夜「もういい。……新しい紅茶入れてくれ」
もういい、にどれだけの意味が込められていたのかは分からない。
とりあえず賠償を求められた絹旗は大人しくキッチンに進んだ。
151 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:58:52.68 ID:Njp22YSZ0
絹旗「はぁ、今日は運に逃げられてばかりです」
ティーポットの中身が空っぽだった事に舌打ちをする。
そんなに舌打ちなどする人柄じゃなかった気がする絹旗だが、黒夜が居ると無意識の内にしているから怖いものだ。
絹旗「服がそんな前衛的なのに、胸は気にしているんですね」
お湯が沸くまでの暇つぶしと、傷口を蒸し返す。
黒夜「胸は別問題だ。この服、格好良いだろ」
絹旗「……」
絹旗「悪いことは超言いません。もうすぐ冷えてきますし、厚着を買ったらどうですか?」
黒夜「はんっ。ワンピースを毎日着ているような尻軽女にはわかんないかなぁ?」
絹旗「私のどこが尻軽なんですか!? 清楚すぎてビックリするぐらいでしょう?」
黒夜「嘘も方便って言葉に頼ってないか」
絹旗「方便ではありませんよ! すべて真実を述べているだけです!」
黒夜「そーかい。仕方ない、ここはオトナな私が引いてやるとするさ」
絹旗「……頭に血がのぼりそうです」
黒夜「その時点でまだガキじゃん」
一旦黙ると、沸騰もしていないのに火を止めた。
絹旗「飲めないレベルの紅茶を入れてやります」
聞こえなかったのか、無視したのか、黒夜は黙々と作業を再開する。
152 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 22:59:38.02 ID:Njp22YSZ0
黒夜「容量は余裕があるな……。なんだこれ、学園都市製にしてはガードが弱すぎる」
黒夜「――」
黒夜「完了っと」
微調整も終え、一息つこうと背もたれに寄りかかった。
絹旗「茶葉ってどこにしまってあるんですか?」
黒夜「ティーポットの横にビンで置いてあるだろう?」
絹旗「いいえ、ニンジンが転がっているだけです」
黒夜「……そんなはずないさ」トコトコ
尋ねられ、キッチンで茶葉を捜す。
絹旗「冷蔵庫?」
何気なく開けた冷蔵庫の正面に、堂々と置いてあった。
黒夜「浜面ぁ……」
額に手をかぶせ頭を振る。
馬鹿だと思っていたが、ここまでとは。
153 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 23:01:03.23 ID:Njp22YSZ0
絹旗が冷蔵庫から茶葉入りのビンを取り出したその瞬間。
ビィィィィィイイイ!! と甲高い音がなり響く。
黒夜「!?」
冷静さを失った様子の黒夜が発信源であるパソコンに近づく。
黒夜「ハァ!? もうセキュリティー突破しやがってる!!」
絹旗「ハッキングですか!?」
黒夜「正確にはクラッキングなッ!」
先ほどと同じようにデスクトップが黒い画面に成り代わる。
対抗のためにキーボードに指を滑らせていたが、呆気なく情報が抜き取られていく。
不意にパソコンが通常に戻った。
パソコンからのコール。――応対すると。
『こんばんは』
インターネット電話だった。
154 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 23:01:54.11 ID:Njp22YSZ0
黒夜「……誰だ、アンタ」
『駆動鎧を愛するただの一般人だよ。今はまだ、な』
黒夜「狙いは」
『データが一つ欲しいだけだ。……別の場所に保管しているみたいだな、私の探し物がなかったぞ』
黒夜「……データだぁ?」
『ここのところ、学園都市中の工業関連である施設を漁っているだろう?』
黒夜「質問か? 答えると思う?」
『そうか。なら返答は必要ない。適当に聞いてくれ、損は無い筈だ』
黒夜「……」
155 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 23:02:49.34 ID:Njp22YSZ0
『情報収集の駆動鎧を製作したいと思っていた私は、情報処理の参考になるサンプルを探していてた』
『すると、風の噂で『守護神』は警備員と風紀委員の詰め所を警護している、という情報が耳に入ってな』
『そこで疑い期待半々でそこにハックしたのだが……』
『――裏の技術を酷使しなければ、ブタ箱行きだったよ』
黒夜「アンタ、裏の人間か」
『そこまで深くは潜っていないがな』
黒夜「……で、私に得のある話を先にしてくれないかな? 自分語りなら小学校の体育館でも占領してこいよ」
『長いのは嫌いだったか。簡潔に言うとだな、私は駆動鎧を製作したいが僅かながら知識が足りない』
『「守護神」との一戦で情報処理方法、プログラムの乱雑応用など、様々なものを機械にコピーした』
『私が頂きたいのは表の駆動鎧の基礎知識すべて。後は応用しだいで裏製に組み替えてやるからな』
黒夜「ナルシスト君さぁー。自分の話ばっかりじゃなくて、私の利益に触れてくれよぉ」
『そちらには『一個先の世代』の片鱗に関わらせようと思っている』
黒夜「……胡散臭い話になってきぃまァしたねェ」
156 :
一回ageるんだった
[saga]:2011/04/24(日) 23:04:32.67 ID:Njp22YSZ0
『「木原印」で研究されている、駆動鎧に近いサイボーグを生み出す実験の――世代の更新の目処がついた』
『あと数ヶ月。そこから能力者は能力で戦うのではなくなる』
黒夜「……サイボーグ?」
『そう、能力者は機械の恩恵を受ける事になる』
黒夜「おうおう、罠の香りが凄いな。嫌って程臭ってくる」
黒夜「そんな大層な実験に人様を招待できるなら、私の情報なんかチリカスみたいなもんだろう」
『言っただろう、僅かに足りない、と。「木原印」は裏でも避けられる、考え方が普通じゃないからな』
『よって、「普通」の部分が補えないんだよ。時間をかければ手に入らない事もないだろうが、先に私が欲していた情報をまとめてるヤツがいると聞いてな』
『得たばかりの「守護神」データをフル活用して、ログやら手口などを逆算しパソコンを特定。インターネット電話をかけるに至った』
黒夜「何故その方法で特定されたかが理解できないけど……。とりあえず、時間が足りないみたいだな、リスクは低くないだろうに」
『「上」から指令が来ていてな……。もうすぐ起きる戦争より、その後に起きるだろう紛争への「保険」を作れと』
黒夜「だから……駆動鎧」
『兵器専用の、な』
157 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 23:06:28.14 ID:Njp22YSZ0
黒夜「けッ。じゃぁ『一個先の世代』の詳しい説明をしてくれ。サイボーグになったぐらいで、超能力者に勝てるわけでもないだろう」
黒夜「どう、私の利益になるか――」
『無能力者ではないよな?』
黒夜「……チッ。そうだけどぉ」
『ならば問題ない。「一個先の世代」は確実に弱点を補える』
『能力者なら損はしない』
『実験を受ければ強く、学園都市らしくなる。それだけだ』
黒夜「……アンタとは直接合った方がよさそうだな」
『直接? ……まぁ、良いだろう』
黒夜「日付は」
『明日』
黒夜「場所は」
『第十学区の、いや。第六学区にしよう』
『詳しい場所は明日連絡する』
黒夜「……最後に、名前だけ聞かせてくれない?」
『ふむ……。答える義理などないが、……信用の為に名前一つぐらい売っておくとするか』
『シルバークロース』
『シルバークロース=アルファだ』
158 :
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[sage saga]:2011/04/24(日) 23:11:14.83 ID:Njp22YSZ0
今日の分も終了
後少しで15巻だ…
次はいつもより遅いかも…。
まとめて書かないと、自分で訳がわからなくなる所だから
159 :
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[sage]:2011/04/25(月) 00:18:24.48 ID:2oGX4sfc0
乙
15巻か。フレメアの件があると思うとフレ/ンダがなあ
そしてまさかのSC。超期待
160 :
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[sage]:2011/04/25(月) 02:05:47.66 ID:FYV7wh8Ao
乙
ここでシルバークロースが出てくるとは…
投下は焦らずマイペースで頑張ってください
161 :
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[sage]:2011/04/25(月) 05:41:40.98 ID:dB7RqU1t0
俺いまからシルバークロース殺してくる
おれは浜夜がみてんだよぉ
162 :
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[sage saga]:2011/04/28(木) 21:17:02.44 ID:qJccn6/n0
GWですね…
日曜日までには10月7日を書き終えたい
頑張ります
多分、日曜来ます
163 :
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[sage]:2011/04/28(木) 23:12:45.34 ID:ezePm1JI0
がんばれ!
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/29(金) 04:27:59.93 ID:8fF6kAxIO
待ってるぜ
165 :
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(東海)
:2011/05/01(日) 11:29:41.90 ID:Pjrhd3sAO
1です
あの、なんつえば良いのか分かんないんですけど
先日というか前日にマンションの3階からチャリ置き場に転落しまして、現在入院中です
生きてはいるんですが、左手首とあばら骨と膝とその先を骨折しました
接骨の先生が言うには、膝がヤバいらしいので明日手術です。骨折にヤバい事ってあるんですね
転落時に自分の携帯がぶっこわれ今は弟の使ってんすけど、デスクトップの俺は携帯でもパソコンでも更新できなくなっちゃいました
入院は手術によるが大体4ヶ月チョイなそうで、申し訳ないですがこのスレは打ち切りにさせていただきます……
依頼はきちんと出しときます
申し訳ございません
166 :
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(愛知県)
[sage]:2011/05/01(日) 11:32:14.55 ID:QYXxeDHT0
バカスワロスバロスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/05/01(日) 11:59:23.24 ID:kMQowwBuo
マジかよ
こんな事しか言えんがお大事にしてください
もし無事に退院できて書く気力があればまた投稿してください
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/05/01(日) 13:19:46.93 ID:Cnxgg8YAO
イノケンさんにでも追っかけられたのかよ
残念だけどお大事に
しっかり治して完治した後にでもまた何か書いておくれ
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/05/01(日) 15:20:18.67 ID:DIuK0huUo
バカ野郎wwwwwwwwwwww
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/01(日) 18:01:46.64 ID:yEGwoSjWo
これはAOというオチ…!
107.87 KB
[ Aramaki★
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