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黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/03(日) 14:30:14.86 ID:f/1U2MCOo
某所で注意を受けたのでスレ立て


黒猫の失恋から始まる話

部×猫、京×桐
などカプが満載予定

そう言ったカプや失恋話を嫌う人や
黒猫派の方々は、一言作者を罵ってから
そっとこのスレを閉じてください。
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 : ◆49H2QUBi7VEi [sage saga]:2011/04/03(日) 14:33:07.66 ID:f/1U2MCOo
誰もいない部室。

電気はつけずに窓から入ってくる月明かりで、

室内は物がわかる程度には明るかった。

わたしはいまや自分の指定席になった場所に座って

真っ暗になった外を眺めていた。

「ふふ……ようやく闇の眷属たるわたしの時間がやってきたようね……」

とりあえず声を出してみる。もう声は震えてはないようだ。

嗚咽もとまった。

足の震えもとまった。

涙も……やっととまってくれた。

手のひらを広げてそっと視線を落とす。

「いつぶりかしら……この力を手加減なく使ったのは」

いまはもう感じないけれど、使った直後は手のひらがずいぶん痛かった。

小学校低学年のころ。

本気で取っ組み合いのケンカをしたような気がけれど、それ以来かしら。

この手で人を本気で殴ったのは。

「ふん……闇に食われてしまえばいいのよ」

ここにはいない、殴った相手へ恨みをこめながらつぶやく。

迷惑なほどおせっかいで、

あきれるほど自分を犠牲にして、

「あんな……あんな……!!」

こんな自分にかまってくれるほど優しくて、

「あん……な……!!」

どうしようもなくシスコンな……

『彼女』よりも『妹』選ぶようなあの人に。

「きょぅ……すけぇ……」
3 : ◆49H2QUBi7VEi [sage saga]:2011/04/03(日) 14:34:47.32 ID:f/1U2MCOo
ああ、やっぱりダメね。

少しでもあの人のことを思い出すだけで涙があふれてきてしまう。

まるで昔に戻ったみたいだわ。

一人で立つことができないなんて。

これも全部あの人に縋ることを

人に甘える心地よさを

安心感を知ってしまったからだ。

ほかでもないそれを教えてくれたその人に、

わたしがその『場所』にいること拒否されてしまったのだからやるせない話だ。


久しぶりにあの人から会おうという連絡があった。

カレンダーを見てすぐにわかった。

国立大学の合格発表日。

合格したのはほぼ間違いないだろう。

これでまた……いえ、今まで以上にあの人と遊べる。

そう思ってあの人に会いに行った。

けれど……そこであの人から言われたことは……。


「……あの子たち心配するわね」

時計を見るともう7時を過ぎていた。

とはいえ、今すぐ帰ってもあの子達の前で普段どおりに立ち回れる自信はない。

とりあえず今日は遅くなることを上の妹にメールしておく。

「とりあえず……9時までには戻れるようにならないと……くちゅん!」

両手でブレザーの上から方を抱える。

さすがに3月上旬はまだまだ冷える。

真冬から比べれば少しずつ暖かくなってきているけれど、

冬服や毛布を片付けることはまだまだできそうにない。
4 : ◆49H2QUBi7VEi [sage saga]:2011/04/03(日) 14:35:41.59 ID:f/1U2MCOo
「……すこし……薄着すぎたかし<<ガチャ>>……ら?」

鍵が開かれる音がして、入り口へと視線を移す。

見回りの先生だろうか。

でもそれなら鍵を開けることはないはず。

それ以外だとこの部屋のカギは、今私が持っている他には

「あ……」

もうひとつあった。一人だけ持っている人がいた。

そのことを思い出すと同時に扉が開く。

学校においてある、先生が管理してあるマスターキー。

部員に預てあるスペアキー。

そして……

「……ん?」

1人だけが持っている。

3年間も部長を勤めたこの人が。

「五更か、なにやってんだ?」

勝手に作った、もうひとつのスペアキーが。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 14:38:21.26 ID:f/1U2MCOo
すいません、誤爆しました
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 14:39:41.17 ID:f/1U2MCOo
とりあえずここまで
俺は何箇所に何度誤爆すれば気が済むのか


批評と苦情と文句をお待ちしております
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/03(日) 15:22:24.73 ID:MALuqDJAO
黒猫派なんで帰りますね
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 15:45:48.96 ID:8nTPGqpDO
胃がキリキリする
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/03(日) 16:46:36.60 ID:LGFXzb2AO
キタ―!!
新規スレ乙

時系列どおりここまで遡るとは……この辺りは回想になるかと思った。

黒猫好きに気を使うのはわかる、よくわかるけど、あまり及び腰になるべきじゃないっしょ

かく言う自分こそ、京介の恋人になり損ねた黒猫にもっと気を配るほうがいいのかもしんないが
閑話休題

>>3
「とりあえず」は思考がそのまま口に出た自然な形として、
「まだまだ」の連続はちょっとクドくないかな?などと


今後の会話展開に大いに期待してます。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/04/03(日) 17:16:01.23 ID:qUKwgnJSo
俺は黒猫派なんですが、総合スレの方で読んだ時から
この展開はアリだと思ってた。

京介×桐乃が成立しちゃったら、黒猫×??って展開は
当然のようにネタになるもんね。
ところで、部長は“ファナたん”とはどうなったんだ。
11 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/03(日) 17:31:51.15 ID:f/1U2MCOo
>>7
おつかれさまでした

>>8
バファリンをお勧めします

>>9
気が向いた期間を書きます
文章書くのは難しいですね
読みやすい文章を書けるようがんばります

>>10
たとえ3次彼女がいても2次嫁は別枠です



とりあえず続き投下
12 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/03(日) 17:33:32.52 ID:f/1U2MCOo
「別に……少し考え事をしていただけよ」

「そうか。しかしもう下校時刻は過ぎてるんだから、 見つかるとうるさく言われるぞ?」

「こんな時間に部室にやってくるあなたに言われたくはないわね」

「はっはっはっ、そういうな!俺はただ私物を取りに来ただけだ」

そういって部長は彼の指定席まで移動した。

「ん〜、とりあえず今日はコレとコレと……」

「……どれだけ私物を持ち込んでいるの、あなたは」

「とりあえずここで1週間くらい生活できるくらいだな」

「……多すぎるわ」

タオルに下着、Tシャツにトレーナー、ジーンズにスウェット。

ほかにも食料品やハブラシなどが数々出てきた。

「あなた……ここに住んでたの?」

「あ〜……ゲーム作ってるときはそんな感じだったな」

取り出した私物をリュックとバックに入れながら彼は答えた。

「意外だわ」

「ん?」

「着替えや身の回り品が多いことよ」

「ああ、そのことか。別に風呂に入るのが嫌いなわけじゃないぞ?ただメンドクサイだけだ」

それもどうなんだろう。

まあ、男と女では考え方も違うのかもしれない。

それにこの人は筋金入りのヲタクだ。

趣味に費やす時間を減らすことはしたくないのだろう。

もっともそれは人のことは言えないけれど。

「それで?」

「え?」

「こんな時間までなにを考えてたんだ?」

「あ……それは……」

言えるわけがない。

『先輩にフラれて泣いてました』なんて。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 17:36:14.02 ID:f/1U2MCOo
「う〜ん、言いたくなら無理にはとは言わんが……あんまり一人で悩みすぎるなよ?

 俺じゃなくても、瀬菜っちとかでもいいんだ。仲間なんだからな」

「なか……ま……」

ゲー研。

先輩に連れられて来た部活。

歓迎会でひと悶着あった。

瀬菜と一緒にゲームを作った。

みんなと一緒に夏コミに行った。

……その後だったかしら、先輩に告白したのは。

「……ゲームのシナリオ」

「シナリオ?」

「……ヒロインの女の子が恋人にフラれてしまうのだけど、その後のヒロインの行動をどうしようか悩んでいるのよ。

 ……そんな経験もないし、どうするのがオーソドックスだったり、受けが良いのかわからないから」

嘘をついた。正確には事実を言った。

私の中でそのヒロインが取った行動は『一人で泣く』だった。

「う〜ん……少し質問しても大丈夫か?」

「ええ、かまわないわ」

さすがにその1シーンだけで『どうすればいいか判断しろ』というのは無理がある。

嘘だと悟れないようにするためにも、ここは質問に答えないといけない。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/03(日) 17:37:49.01 ID:f/1U2MCOo
「まず、そのゲームって誰視点だ?ヒロイン振った男か?それとも別の男か?」

「ぁ……えっと、別の男ね。このシーンは第3者視点

 ……というかヒロインの回想シーンみたいなものだけど」

いきなり痛いところをついてくる。

実際はヒロイン視点……わたし視点なのだ。

この答えはある意味嘘だろう。ギリギリのところでセーフかも知れないが。

「ふむ……それじゃあ、次だ。そのヒロインはどんなキャラだ?」

「ぅ……」

なんとも答えづらい質問だ。

邪気眼厨二病でぼっち体質……というのがもっとも正解に近いんだろうけど。

「あー、まだその辺固め切れてないのか?だったら、そうだな……

 友達は多いほうか?そういう重要なイベントがあったときに相談できる友達がいるとか、

 そういう要素のあるなしで大分違うんだが」

「……友達は……多くはないわね……むしろ少ないほうだわ……けど……」

自分の交友関係を思い返す。

初めてのオタク友達の沙織。

高校に入って初めてできた友達の瀬菜。

ゲー研の仲間たち。

そして……これから友達であり続けられるのかはわからないけれど……

あの兄妹。

「大事なことを……本音で語り合える友達は……いる……と、思うわ」

「そうか〜」

部長は衣類をしまい終えると、窓から外を眺めていた。

月を見ているのだろうか。

なかなかキャラに似合わないことをする人だ。

「それじゃ、もう1つ質問だ」

部長はいつの間にか入れていたコーヒーを持ってわたしに出してくれた。

そしておそらく彼のものであろうトレーナーを、わたしの肩にかけて

「それのヒロインは」

もう1つの質問をしながら、わたしの頭にタオルを掛けた。

ふわりとやさしい香りがする。

柔軟剤だろうか。本当に意外だ。

トレーナーからも洗剤独特のあの香りがする。

それと混じって男性特有の……部長の匂いがした。

「そのフラらた男のこと……諦めてるのか?」
15 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/03(日) 17:39:16.57 ID:f/1U2MCOo
ここまで

できたら今日中にこの話を終わらせにきます
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 02:06:55.01 ID:403jjCvao
>>1
乙!
すげー続きが気になる!
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/04(月) 03:41:47.72 ID:jZnnZIO4o
>>1
黒猫派の人は罵らないで閉じてください、の方が良かったんでは?
お願いは尊重したいけど一々罵るとか面倒くさいです。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/04(月) 04:34:13.69 ID:4IOpgvUgo
>>17
とか言いながら優しいなお前

続き楽しみだわ
19 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:30:56.26 ID:NDtyDp/no
>>16
ありがとうございます。
時系列は考えてありますが、それ通りに進むかは未定です。

>>17
ご指摘いただき、ありがとうございます。
そして高度な罵りをありがとうございます。

ありがとうございます。


>>18
続きます
20 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:33:21.53 ID:NDtyDp/no
「ぅ……ぁ……そ、それは……!」

言葉が続かない。

この人は今のわたしの状況をすべてわかっているのだろうか。

今わたしがどうしてこんなことになっているのかをわかっているのだろうか。

頭の中でそんなことがグルグル回って質問に答えれずにいると、

部長はタオルの上からわたしの頭をやさしく撫でた。

「ぅ……ぁ……ぁあ……!!」

そのやさしく撫でる手が、あの人のことを思い起こさして。

「ぁあ……ああ……!!」

あのやさしい笑顔と、あの安心できる居場所を思い出してしまって。

「ぅうわぁぁぁあああーーーーーーん!!!!!!」

そうしたらもう……我慢なんてできなかった。

部長はそんなわたしに何も聞かずに、側に立って、ただあたまを撫で続けてくれた。

直前に部長が掛けてくれたタオルは涙や鼻水でグチャグチャになっていた。





「落ち着いたか?」

「ぐす……ええ……ありがとう……ごめんなさい」

「気にするなって。コーヒー飲んで一息つけ」


そういって部長はカップを持って……止まった。

「ん〜、ぬるいを通り越して冷たいな……すこし湯を足すか」

「あ、わたし猫舌だから」

「いや、でもこれは冷たいだろ」

そういって部長はわたしにカップを渡す。

陶器から伝わってくる温度は、この時期に一息つくには冷たすぎた。

「すこし……お湯を足しましょうか」

「だろう?」

そういうと部長は、ビーカーに先ほどいれた2杯のコーヒーとお湯、

追加のインスタントコーヒーの元をいれてかき混ぜた。

「……なぜビーカーがあるの?」

「うん?ああ、昔科学部のヤツがくれた」

「……そう」

「おっと、作りすぎたか……まあいいか」

部長はもう一度コーヒーを注いで私の前においた。
21 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:35:52.92 ID:NDtyDp/no
「ありがとう」

「礼はいいから、これ飲みきるの手伝ってくれ。一人じゃさすがに多い」

「ふふ、わかったわ」

「おー、ようやく笑ったか」

「え……あ……」

「『何があったのかは知らん』が、いきなり泣くのは勘弁してくれ。心臓に悪い」

嘘だ。

さっきの部長は驚いたように見えなかった。

それどころか質問をする前にはもう全部わかっていた気さえする。

それでも部長は『何も知らない』ことにしてくれた。

いまはその好意に甘えておこう。

「あつっ!」

一息つくためのコーヒーは私にはまだ熱すぎた。

「ふ〜っ……ふ〜っ」

「大変貴重な五更のふーふーシーン」

「黙りなさい、呪うわよ」

「おお、怖い怖い」

そういって部長は2杯目のコーヒーを注いだ。

「……ああいうシーンでは」

「うん?」

「あなたのことだから、ふたりっきりで女の子が泣くシーンなら、胸を貸すのかと思っていたわ」

自分でいうのもなんだが、いかにもエロゲーにありそうなシーンだ。

もっともその場合、私は『中古』といわれるのだろうけれど。

「ん〜……それは『相手が主人公なら』の話だろ。俺じゃムリだ」

「……意外だわ」

「自分にできることと、できないことくらいは判断できるさ」

「……そう」

少しの沈黙。

コーヒーを飲んで間をつなぐ。

いやな沈黙じゃない。

むしろ次の言葉を考えるのにちょうどいい、ありがたい沈黙。

もっとも、次に言うことなんてお礼しかないのだけれど。
22 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:37:17.73 ID:NDtyDp/no
「ありがとう」

「だからもういいって。で、ヒロインの行動だが」

「え?」

「おいおい、『ヒロインの行動』で質問してきたんだろ?」

そういえばそうだった。

すっかり忘れていた。

「『男のことを諦めない』か『親友に相談する』が、ベストなんじゃないか?」

「諦めない……?」

「おう。そこで素直に諦めてほかの男のところに行ったり、

 一人で悩んでたりするのは、大抵バッドエンドフラグだからな」

「ぅ……」

痛いところをピンポイントで突いてくる。

まるで『さっき胸を貸してくれればこの人になびけるのに』と、

一瞬でも考えたわたしを制しているよう。

いや、実際にそこまで感づいて制しているのかもしれない。

そして『一人で悩むな』というは、わたしの行動を責めているのだろう。

直接言わないのは彼のやさしさか、それとも厳しさかは判断に迷うところだけれど。

「まあ、なんか相談があったらまた言ってくれ。数こなしてる分、真壁よりはアドバイスできるだろう」

「……ええ、そのときはまたお願いするわ」

果たしてそのゲームが……いや、そのシナリオが完成するのかどうかすら、まだわからないけれど……

「とりあえず大まかな形ができたら、俺に読ませてくれな」

「……できたら……ね」

そういって部長は残ったコーヒーをあおった。

わたしもそれにならう。
23 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:38:48.41 ID:NDtyDp/no
「そりゃ、よく泊まってたからな!」

「はぁ……ほんとに……」

「まぁまぁ、無事卒業できたんだからいいじゃねぇか!」

「2回もダブれば無事とはいえないと思うわ」

来たときよりも荷物の増えた部長と部屋を出る。

部長の言うとおりもう誰もいないようだ。

「あ、トレーナー」

「かまわんさ、上着なしで帰るわけにもいかんだろ」

「……ありがとう」

「今日は礼言われてばっかりだな。ついでに送っていくぞ。

 もう一回お礼を言われるために!」

「……せっかくだから好意には甘えておくわ」

「おう、礼は送り届けてから言ってくれ」


その日、わたしは初めて先輩以外の男性と下校した


大事な人を失って、大事な人を手に入れた満月の夜。

コーヒーを飲み干したカップは、月明かりで少しだけ輝いていた。
24 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:43:28.62 ID:NDtyDp/no
プロローグ終了
考えている時系列では
春休み、桐乃との和解
卒業しちゃって、就職したから部長はしばらく出てこない予定
だけど予定は未定

そんな感じでダラダラ書いていきます



アニメ基準で行くと部長と黒猫の身長差が30cm近いのではないか
ということを思い、ニヤニヤする今日この頃
25 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/04(月) 23:51:23.37 ID:NDtyDp/no
ああ、文章ヘンだわ

考えている時系列では
『次に話は』
春休み、桐乃との和解編

としてください



言わんでもわかる?
ごめん

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/04/05(火) 00:11:42.41 ID:qbRHuVn1o


細かいことを言うようですまんが、>>22の最後と>>23の最初の文が
繋がっていないような気がするんだが、俺の気のせいか?

けっこう楽しみにしているだけに……
27 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/05(火) 00:19:28.27 ID:0ZhuyAjQo
>>26
すいません抜けてました
気づいてくれてありがとうございます
とりあえず抜けてた個所を補足しておきます



そういって部長は残ったコーヒーをあおった。
わたしもそれにならう。
>>22

「さて、それじゃ帰るか!もう見回りもいないだろ」
「……よく知っているのね」

>>23
「そりゃ、よく泊まってたからな!」
「はぁ……ほんとに……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/05(火) 12:46:53.05 ID:hk5+waNho
乙。

良いとこで痛いミスwwww
ドンマイ!
29 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/05(火) 21:27:08.10 ID:xSrTiS8ro
仕事中にヘンな電波を受信したので投下します
帰って10分くらいで書いただけなのでセリフのみで短いです
京桐、部猫が前提です

ママになった桐乃と瑠璃さんの話
30 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/05(火) 21:29:06.21 ID:xSrTiS8ro
桐乃「こんにちはー」

瑠璃「あら、おもったより早かったわね」

桐乃「思ったよりも早く終わってね。いまさらだけどママモデルって大変だわ」(オジャマシマース

瑠璃「家事も仕事も子育ても全部やってるあなたが言うとうそ臭いわね」

桐乃「ほんとだってwwwwwwあれ?子猫ちゃんたちは?」(キョロキョロ

瑠璃「双子は中猫のトコであそんでるわ。上2人は今、両親とゲンと一緒に出てる。
   夜には帰ってくるでしょ」(ザブトンドウゾー

桐乃「いいワインもらったから、すこし飲もうと思ったんだけど…/・どう?」

瑠璃「あー、ごめんなさい。わたし今飲めないよ」

桐乃「おや、超酒豪の瑠璃さんにはめずらしいわね?夜なんかあるの?」

瑠璃「いえ……その……5人目がお腹に……///」

桐乃「は?」

瑠璃「ついうっかり」

桐乃「いやいやいやいや!!
   双子ちゃん生まれたときに予定外の4人目ができたって言ってたじゃん!?」

瑠璃「3人の予定だったんだけどね。予想外です」

桐乃「んじゃなんで5人目作っちゃってんの!?」

瑠璃「話せば長くなるんだけど……」

桐乃「3行でいける?」

瑠璃「ん〜……

猫『あなたに都合よく甘え続けてきた馬鹿女がこんなに幸せになっていいのかしら』
部【上条インストール】
猫『ごめんなさい!ありがとう!抱いて!!』

……こんなところかしら?」

桐乃「なんで30後半になってからエロゲー展開してるのよwwwwww」

瑠璃「ゲンがかっこいいから仕方ない」(キリッ

桐乃「つか、ゲンさん避妊とかには気を使いそうなイメージあったけどね。
   給料とかあんたの負担とか心配してたし」

瑠璃「ちょうどゴム切らしてたのよ」

桐乃「あんまり意味ないのは知ってるけど、それでも中に出すのはどうなのよ……」

瑠璃「主にわたしが盛り上がっちゃって、つい『だいしゅきホールド』を……」

桐乃「満々じゃん!?5人目作る気満々じゃん!!あんた今度から雌猫って呼ぶわよ!?」

瑠璃「何一つ否定できないところが悲しいわ」

桐乃「ゴムなしでだいしゅきホールドとか……なに?安全日だったの?」

瑠璃「いえ、絶好の子作り日和だったわ」

桐乃「もうあなたがなにを言ってるのかわからないし、こんなときどんな顔すればいいのかわからないわ」

瑠璃「とりあえず祝ってくれるとうれしいわ」

桐乃「おめー」

瑠璃「ありー」
31 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/05(火) 21:31:16.30 ID:xSrTiS8ro
俺は何をやってるんだ……
本編進めないと読んでくれる人が分けわかんなくなるじゃないか……

本編の続き書き始めます
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) :2011/04/05(火) 21:49:19.30 ID:uw+TmywAO
何このクソゲー。
はげしく和むんですけど。

乙乙乙

このユルい感じ、好きです
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2011/04/05(火) 21:57:36.06 ID:qbRHuVn1o
うわ〜黒猫のイメージが……壊れてゆく。
この>>30だけは読まなかったことのすっから(読んじまったけど)……orz

だから、早く続きをお願いします。
34 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:27:11.37 ID:5lejXWb5o
>>32
こういう話はなにも考えても書けるので好きです
中身がないのが問題ですが

>>33
申し訳ありません
キャラ崩壊注意を書いておくべきでした



続きます
35 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:30:43.57 ID:5lejXWb5o
「代打……ですか」

「ええ、知り合いにいないかしら?」

事務所のスタッフに相談された内容はこうだ。

『一緒に撮影予定の子が急にこられなくなったので、代打はいないだろうか』

「えっと……私とあやせと加奈子じゃ足りないんですか?」

「一応4人組ってことで考えてたからねぇ〜
 ダメないなら3人で行くんだけど……いい子いない?」

そこで私はすぐに『彼女』のことを思い出す。

まっすぐに伸びたきれいな黒髪

線の細い体は儚げで

大和撫子という言葉をすぐに連想できる『彼女』を。

「1人……アテがあります。連絡してみるので……
 すこしだけ待ってもらって良いですか?」

「ええ、週末までに連絡をくれればいいから。悪いわね〜」

「いえ……いい機会なので」

「え?」

「あ、なんでもないです!」

これはチャンスだ。

神様が私にくれた……たぶん最初で最後のチャンス。

『彼女』から『彼』をとってしまった私の……黒猫への謝罪のチャンス。

そして黒猫と仲直りする……

最初で最後の、最大のチャンスだ
36 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:33:20.93 ID:5lejXWb5o
「今日はこんなところかしら」

春休みの宿題テキストの問題を終えて一息つく。

昨日瀬菜に教えてもらった成果か、予定よりも大分進めることができた。

「二次方程式とか順列とか、試験以外でいつ使うのしら……」

やり終えたテキストをパラパラめくりながらつぶやく。

大学の進学にこういったことが必要なことは理解しているけれど、

大学に入ってからの使いどころが想像つかない。

「まあ、そのうちわかるのかしらね……さて夕飯の支度でm」

PrrrrrPrrrrr

席を立とうとした瞬間にケータイがなる。

珍しい

最近では瀬菜以外から電話がかかってくることなどなかった。

しかし瀬菜からの着メロは瀬菜限定の

   【超!腐ってますよーーー!!!】

に変えてあるから彼女ではない。

沙織は直接会うときを除いて、オンラインで話すことがほとんだ。

となると残っている人物なんて限られてくる。

「……やっぱり」

半ば確信しながら開いたケータイのディスプレイには、

2週間前から連絡を取っていなかった『あの女』の名前が表示されていた。


高坂 桐乃
37 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:37:30.88 ID:5lejXWb5o
PrrrrrPrrrrr

さて、どうしたものかしら。

『意識しないなら大丈夫』程度には吹っ切れたものの、

あの兄妹を前にして普通にいられるかというとまだ自信はない。

とりあえず30秒で留守電になるから放っておこう。

『あ……えっと……ちょっとお願いがあったら電話かけたんだ。
 あ、でも!そっちは結構どうでもよくて……どうしても話したいことがあったから……
 その……ごめん、またかけなおs』

「もしもし」

自分でも予想外の行動だった。

今日のところは電話に出ず、後でメールかチャットあたりで連絡しようと

『さっきまで』考えていたのに。

『ぇ!?ぁ……ぅ……い、いるんならさっさと出なさいよ!!』

「こっちの都合も考えて頂戴。ちょっと席を立つのに、わざわざケータイ持ちあるかないでしょう」

『え?ケータイって常に持ってるもんじゃん?』

「はぁ……これだからスイーツ(笑)は」

嘘をついた。

けれどそのおかげで話がうまく繋がったのだからよしとしよう。



少しだけ『あの女』と話す。

まるで『あんなこと』なんてなかったかのように、『今まで通り』に話せた。

だけど……いや、だからこそ。
38 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:42:07.08 ID:5lejXWb5o
「……それで?」

『え?』

「『どうでもいいお願い』と『どうしても話したいこと』があったのでしょう?」

『あ……うん』

『あの出来事』をなかったことにすることはできない。

わたしはまだ、理解も納得もしていない。

だから話さなくてはいけない。

『桐乃』と『友達』でい続けるために

「はやく言ってしまいなさいな。急ぎではないけれど、やることはたくさんあるのよ」

『ぁ……ごめん、時間取らせたね。『どうでもいいお願い』からでも……いいかな?』

「ああ、もう……!どっちでもいいから早く言ってちょうだい」

あの女には考えられないほど、回りくどい。

そんなにいいにくいことなのかしら。



『えっと……読モ……やってみない?』

「…………は?」
39 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/06(水) 22:43:38.73 ID:5lejXWb5o
今日はここまで

ワード2Pって書くのは時間かかるのに
投下してみる少ないですね

しかたないね
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/04/07(木) 17:15:28.68 ID:G9rkfal40
期待
41 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/07(木) 21:48:40.89 ID:Bxdrgaroo
もし見てる人がいたら質問に答えてもらえるとうれしいです

文章の書き方というか、改行の使い方はこんな感じでいいでしょうか?
地の文とセリフの間のみ1行空けるってやり方のほうが見やすい?
見返してふと違和感を感じたので
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/07(木) 22:33:21.97 ID:TfoNeHafo
>>41


確かにそっちの方が読みやすいかもね、文字数も詰めれるし
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/04/07(木) 22:35:30.54 ID:h29T+pG9o
>地の文とセリフの間のみ1行空けるってやり方のほうが見やすい?

個人的にはその方が読み易いです。

あと気付いた点として……
電話の会話文で『』を使っているので、強調したい語句は『』(二重鍵カッコ)よりも“”(カッコ)の方がいいかと。

>「『どうでもいいお願い』と『どうしても話したいこと』があったのでしょう?」
             ↓
 「“どうでもいいお願い”と“どうしても話したいこと”があったのでしょう?」

あくまでも個人的なことなので、あまり気にしないで下さい。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/08(金) 21:00:28.37 ID:9vY3/uFSo
>>42
文字数をつめるとボリューム不足感が
更にドン!
なのが悩みどころです

>>43
ご指摘ありがとうございます
以後そうしてみます



今週の休みが1日減ったぜ
次の投下はたぶん日曜日に
45 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/08(金) 21:01:07.43 ID:9vY3/uFSo
あ、トリ忘れてた
46 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:49:11.41 ID:38H7UuEOo
投下します。
47 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:50:00.40 ID:38H7UuEOo

「えーっと、私の友達のくろn……五更さんです」
「あ、その……よろしくおねがいします……」

桐乃に連れて来られた場所はいわゆる『撮影スタジオ』だった。
そこにいたのは20代後半くらいの女性で、桐乃が所属している事務所のエライ人らしい。
そしてそのエライ人はわたしの顔や体を嘗め回すように見ている。
これからモデルにするのだから当然といえば当然なのだけど……
非常に落ち着かない。

「パーフェクト。パーフェクトよ!桐野ちゃん!」
「ですよねー!」
「色白な肌!黒髪ロング!いかにも日本人女性という身体!」
「…………スタイルのことは気にしているのだけれど」

目の前の女性はほめているのだろうけれど、ちょっと気に入らない。
色白なのはあまり外にでないだけだし、黒くて長髪なのは髪に掛けるお金が少ないせいだ。
そして寸胴でボリューム不足な身体は生まれつきで、どうしようもない。

「ああ、そうよね、年頃の女の子だもの。こういう風に言われたら怒るわよね、ごめんさい」
「あ、その……怒ってるわけじゃ……」
「お詫びにパーフェクトにコーディネイトしてあげるわ!」
「いえ、そんなに気を使わなくても……」
「あー、あきらめて。この人こういう人だから」
「さあ、五更さん!早くこっちへ!!あ、桐乃ちゃんはいつも通りにお願いね〜」
「え?あ、いや、その……ちょ、ちょっと!?」
「私は私で準備があるから〜。じゃ、がんばってね〜」

女性に手を引かれて準備室へ行く。
桐乃はニコニコしながら手を振っている。
それがむしろ不安をあおる。
なんだか、今日は疲れる1日になりそうだ。
48 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:50:51.58 ID:38H7UuEOo

メイクと衣装を済ませて再びスタジオに入る。
そこには準備終えた桐乃がカメラマンたちと話していた。
ここでうろたえていても仕方がない。
とりあえず桐乃と合流することにしよう。

「お、おまたせ」
「あー、おそかった……じゃん?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「なにか言ってほしいのだけれど」
「はじめまして?」
「帰るわ」

クルリと踵を返す。
なんで私は半ば……いえ9割ムリヤリ連れてきて
しかもこんなリア充ビッチが好みそうな服を着せておいて
なんて言い草だ、この女は。

「ごめんってば!!うそ!超似合ってるって!!
 似合いすぎて原型留めてなくて、一瞬誰だか分かんなかっただけだって!!」
「やっぱり帰るわ」
「ごめんってばー」

後ろから抱きつかれて足が止まる。
ほんとに体格差にうんざりする。
しかも引きこもり級のインドア派と陸上部。
さらに足も撮影用のヒールのあるサンダル?だ。
まともに動けるはずがない。
49 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:51:24.25 ID:38H7UuEOo

「おーい、準備できたのかー?」
「あー、ごめん加奈子。待たせちゃったね」
「ごめんなさい、待たせてしまっていたようね。五更瑠璃よ。」

声がしたほうを振り向くと小柄でツインテールの少女がいた。
待っていたということだから、一緒に撮影するモデルなのだろう
桐親しげに話しているところを見ると付き合いは長いようだ。

「いやー、別にかまわねーよ?あ、あたし来栖加奈子。
 えーと瑠璃は桐乃の”そういう友達”?」
「そ。わたしは黒猫って読んでるけどね」
「黒猫?」
「ハンドルネームよ。初めて会ったのがオフ会だったし、
 こいつの本名知ったの結構最近だったからさ」
「んじゃ、わたしもそう呼んだほうがいいのか?」
「好きにするといいわ」
「んじゃ、ルリって呼ばせてもらうぜー」

調子のいい……けれど人懐っこい子だ。
それが彼女の第一印象だ。
50 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:52:22.79 ID:38H7UuEOo

「あー、もう桐乃も加奈子も準備できたんなら言ってよー」
「あー、あやせ、ごめん!」
「んだよー。あたしだってちょっと前に桐乃が来たの気づいたんだぜー?」

加奈子の後ろから声がした。
話の内容からこの声の子もモデルなのだろう。
ただ……
”この声”はどこかで聞いたことがある気がする。

「それで桐乃、こちら今日のモデル……ぁ」
「そそ。あ、黒猫。この子も今日一緒に撮影するんだ。名前は」
「お久しぶりね」
「……ええ、お久しぶりです」
「あれ?二人とも面識あったんだ?」
「以外だなー。桐乃のそういう友達とあやせが知り合いなんてー」
「以前ちょっと……ね」
「……ええ、ちょっと」

お互いに間をとりあう。
別になんてことはない。
殴り合いをはじめるわけでも、口げんかを始めるわけでもない。
ただ……

「夏以来かしらね?”ビッチ2号”さん?」
「もうそんなになりますかね?”邪気眼厨二女”さん?」

”京介を桐乃にとられたイマ”、この女と相対するのはタイミングが悪すぎただけだ
51 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/10(日) 21:55:59.74 ID:38H7UuEOo
桐乃のオタバレ、黒あやはPSPから設定を拝借
ルートが違う?
それ以上いけない。

加奈子の口調をどうするかと
初対面の人に対する黒猫の口調をどうするかで
悩んだけど、テキトーにしました
苦情・意見をお待ちしております



これで4レスか、短いな
52 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/12(火) 00:40:29.70 ID:9AejjXN+o
黒猫がまったくの別物に見える違和感の正体は
地の文の口調のせいだろうか
いっそ普通の小説みたいなナレーションのでいこうか

ただ単にキャラの理解が足りてないせいも結構な割合であるんだろうけど
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/04/12(火) 15:22:48.64 ID:jRhvT/IOo
>>1
黒猫派でかつ失恋話とか嫌いなので、罵っておく。終わってしまえ!


そしてさっさと違う話を書くんだ。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/14(木) 01:07:33.45 ID:RtVIGvLVo
>>53
世の中にはツンデレをツンデレと理解できない京介みたいなのもたくさんいるんだから、
作者の技量を称えるならもっと違う言い方にしなさい。
55 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/14(木) 01:38:36.55 ID:1UTPfjhLo
>>53
ありがとうございます
罵ってくれるおかげで自分が超小少数派だと思い出すことができます
ついでに悦びます

でもほかの話って数年後のきりりんと黒猫とかが
酒飲んでる話とかしか思い浮かばないんだけど


>>54
お気遣いありがとうございます
でも大丈夫です
Mですから




口調とかキャラクターがうまいこといかなくて筆が進みません
56 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/22(金) 00:17:57.71 ID:3NJSPRaNo
もし見てくれていて先を待ってる方がいたら、停滞してごめんなさい
GW末までには桐乃との和解編は書ききります


それにしても加奈子のキャラはなんて難しいんだ
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/23(土) 16:50:19.01 ID:DK5t5n3x0
待ってるぜい

>それにしても加奈子のキャラはなんて難しいんだ
激しく同意
58 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 22:57:47.94 ID:ZEfyVaGMo
GWの最初にとりあえず投下
なぜあやせとの会話がこんなに長くなってしまったのか……
桐乃との会話がまだ出来てない
59 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 22:59:12.31 ID:ZEfyVaGMo
撮影がひと段落して小休憩の時間。
桐乃から話がくるかとおもっていたら、意外な人間から声をかけられた。

「どうぞ」
「あら、悪いわね」
「いえ、お手間を取らせてしまいますから」
「……そう」

ビッチ2号……新垣あやせからレモンティーの缶を受け取る。
彼女は自販機とにらめっこして自分の飲み物を選んでいた。

「……話というのはあの女のことかしら?それとも……?」
「……最近、桐乃とアニメとかゲームの話をするようになりました」
「あら、意外ね?あなたはどんな理由があれ、ああいうのには近寄らないと思っていたのに」
「それじゃあ……いつまで経っても桐乃の”本当の親友”になれませんから」

ずいぶん徹底した考え方だ。
たしかに桐乃の”本当の親友”になるのなら、こちら側のことも理解しないといけない。

「まあ、あなたがオタク化してるなんてことはどうでもいいわ。
 それで?あの女のことじゃないとしたら、私なんかに何の用かしら?」
「…………お兄さんのことです」

息が詰まった。
なぜこの女が”そのこと”を?
いや、桐乃の話から私と彼のことを聞いていたのかもしれない。
でもこのタイミングでこの女がそのことを聞いてくる理由がわからない。
桐乃がこの女に喋った?
ありえない。
だったら今日この場に、こんな面倒なことをしてまで私に会う、私と話をする機会を作る理由がない。
もし”そのこと”をほかに、しかも先輩の知人でもあるこの女に喋れるくらいなら
もっと早くに私と会って、話をしているはずだ。
60 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:00:28.33 ID:ZEfyVaGMo
「安心してください……というのも変な話ですけど、桐野から聞いたわけじゃありません」
「だったら……」
「……おかしいんですよ、二人とも……桐乃も、お兄さんも。
 桐乃はあんまりお兄さんの話をしなくなりましたし、お兄さんは私にセクハラしなくなりました」
「…………普通であれば、好意的に見るべきところね」
「そうですね……二人があんなに思いつめた表情をしてなければそう思って終わりだったかもしれません」
「はぁ……あの兄妹は、本当に……」

分かりやす過ぎるポーカーフェイスやツンデレは考え物だ。
関係がない人物であれば見ていてほほえましいで済むが、今回はそうも行かない。
本人たちはそれで隠せていると思っているのが、なおさらタチが悪い。

「……人のことは言えないかしらね」
「はい?」
「いえ、なんでもないわ。それで京介……先輩のことだけれど」
「はい。恋人同士……なんですよね?」
「……恋人だったわ、3月上旬までね」
「…………やっぱり」

彼女の言い方からすると、やはりその時期にあの兄妹の間に何かあったようだ。
それがなんなのか分からないから、こうして二人で話をすり合わせながら予測してるだけにすぎないけれど。
「まあ、そのあたりの私が知っている話は、大学に合格したその日に突然別れ話を切り出された。
 理由を要約すると、恋人よりも妹の方が大事でそばにいたい子だったから。
 その後はあの兄妹のどちらともあってないから、何も知らないわね」
「そう……ですか」
「いきなりあの女から連絡があったと思えば、”読者モデルのヘルプに入ってくれ”だもの。何がなんだか分からないわ」
「でも……それが……本題じゃないんでしょう?」

なかなか鋭い娘だ。
本当にあの女を、桐乃のことを知っていないと言えないことをさらっと言ってのけた。
ただ、その顔がひどく寂しそうなのが少し気になるけれど。

「ええ、それはオマケらしいわ。本当に話したいことは別にあるらしいのだけれど……まだなにも言ってこないわね」
「…………五更さんは……桐乃の……”あの二人”の味方ですか?」

気になる疑問をすぐに解決してくれるとは、なかなか気の利いた娘だ。
この娘とのエピソ−ドを、以前先輩から聞いたことがある。
そんなことがあった手前、諸手を挙げてあの二人を応援することはできない。
正面から桐乃の悩みを聞くことも難しい。
そして先輩に桐乃のことを任すことも、問題の本質を考えればできない。
だからこうして私という苦手で、嫌っているであろう人間と1対1で話している。
結局この娘は、新垣あやせという娘は、

”あの兄妹の味方”でいたいのだ。
61 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:03:35.85 ID:ZEfyVaGMo
そのためにはなりふりなんて構わない。
なんて潔い娘だろう。

「…………1つ、確認したいのだけれど」
「なにでしょう?」
「…………あなた、”勝てるかもしれない勝負”を捨てるの?」
「!!」

この娘の考え、あの兄妹に対する思い、桐乃への思い。
そのすべてを察した。
その3つだけならすぐにでも先の問いに、良い返事をすることができた。
ただ、あの夏の出来事だけでも感じ取ることができる。
この娘の先輩への本心を聞かないまま、返事をすることはできない。
でないと、この娘はあの二人の”本当に味方”になれないから。

「どうして……」
「あら、半分以上カマをかけていたのだけれど……意外と勘って馬鹿にできないものね。」
「あっ!!」
「よく考えなさい。私と違ってあなたはこのままでも”あの二人”にしか影響がないのよ?
 私みたいに”ほとんどの友人”を失ってしまうことにはならない。
 だったら、あなたの先輩への思いを優先したほうがあなたのため……
 ……将来にもあの二人のためにもなるんじゃないの?」
「…………でも」
「でも?」
「あなたは……”付き合っていた”のに振られたんですよね」
「…………そう……ね」

本当に痛いところをついてくる。
これでもうこの娘に味方をしない理由がなくなってしまった。
というか

「味方よ」
「え?」
「あの兄妹の味方で、あなたの味方」

味方につく以外の理由がなくなってしまった。
62 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:04:58.33 ID:ZEfyVaGMo
「え……わたし……も?」
「ええ、あの二人の友人で」

深く息を吸う。



彼とのいろいろな思い出を手繰り寄せる。

初めてあったときのこと。

桐乃と沙織を交えた4人で遊んだこと。

高校に入学したときのこと。

告白したときのこと。

そして



振られたときのこと。




いまだに涙が出そうになるのを我慢してゆっくりと息を吐く。

それから目の前の少女に言葉を送る。



「同じ男に振られた女同士として、あなたの味方よ」



63 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:06:58.48 ID:ZEfyVaGMo
「ぁ……はい、ありがとうございます。……それから」

目の前の少女は、新垣あやせは深く頭を下げて言葉をつなげた。

「桐乃と、お兄さんのことを……私じゃできないことをよろしくお願いします」
「……顔を上げて頂戴。あなたにそこまでしてもらう覚えはないわ」
「でも……わたしじゃ……!!」
「それに”私の友達”を助けるのに、”あなた”が頭を下げる必要はないでしょう?」

よくよく考えてみればこの娘にお願いされるまでもない話だ。
それに今日は桐乃の話を聞くためにやってきたのだから、
この娘がどうのこうの言わなくても、私は桐乃の相談に乗ることになる。
もちろん、こちらからの言いたいことや聞きたいことの清算させてもらうけれど。

「……ああ、そういえば」
「はい?」
「ちゃんとした自己紹介がまだだったわね」
「……言われてみれば」

夏に会ったときはまともに自己紹介なぞできる雰囲気ではなかったし、
今回も今までそれを引きずって避けていた。
でももうお互いに避ける必要はなくなった。
むしろ共通の話題と、共通の痛みを持つ同類になったのだ。

「改めて、はじめまして。五更瑠璃よ」

右手を差し出す。
桐乃よりも背の高い彼女にあわせると、どうしても少し手を上げる形になってしまう。

「こちらこそ、はじめまして。新垣あやせです。あやせでいいですよ」

あやせが私の手をとる。
手をとってから、ひじの位置をずいぶん下げてくれた。
思った以上に気の利く娘のようだ。

「あの女がどう呼んでいるかはしらないけれど、好きに呼ぶと良いわ」
「あはは、それじゃあ、瑠璃さんで。たしか、年上でしたよね?」
「ええ。……なによ?そうは見えないとでも言うの?」
「いえ、そんなことは。年相応に見えないのは加奈子で慣れてますから」
「……それも癪だわ」
「まあ、まあ。あ、番号とメアド教えてもらっていいですか?」
「へ?え、ええ。かまわないけれど」
64 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:07:59.86 ID:ZEfyVaGMo
あやせは慣れた手つきでケータイを操作して通信画面にしていた。
アドレス交換なんてゲー研に入って以来だから少しもたついてしまう。

「えっと……」
「……よければ、やりましょうか?」
「……お願いするわ」
「はい!」

あやせはニコニコしながら私のケータイと自分のケータイを通信させる。
ゲー研に入ってから多少は人付き合いがうまくなったつもりだったが、まだまだのようだ。

「はい、完了しました」
「あ、ありがとう。ごめんなさいね、手間をかけて」
「いえいえ。”友達”を助けるのにいちいちお礼なんていりませんよ」
「そう……ね」

アドレス帳を見て、つぶやく。
およそ1年ぶりに増えた新しい連絡先。
”友達”カテゴリーに入っているアドレスが1つ増えた。

「それじゃ、戻りましょうか。”瑠璃さん”」
「ええ、そうね。”あやせ”」

ほぼ同じタイミングで空き缶をゴミ箱に捨て、スタジオへ歩き出す。

新しい友達との最初の1歩だ。

そして、その友達との約束。



大事な親友との仲直りのための、大事な1歩だ。



65 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/04/29(金) 23:11:03.72 ID:ZEfyVaGMo
とりあえず出来たところまで
キャラがうまくいかないので加奈子さんにはご退場願いました。

あやせたんがいい子過ぎる?白すぎる?
馬鹿野郎、あやせたんはマジ天使だ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/04/30(土) 14:31:15.55 ID:uZnfCPHAO
乙乙
とうとう黒猫あやせラインの出来たエピソードが。今後の絡みにも期待。

あと大きな声では言いにくいけど部黒展開も楽しみにしてる
67 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/03(火) 23:00:16.91 ID:VSAUUfDbo
遅筆克服のために会話文のみのSS速報の主流でやってみた
結果、書いてる本人にも状況がよくわからなくなった
ついでに書く速度も特筆して速くならなかった
現在、間に地文を入れる作業中


SS速報の匠達はなぜコレでちゃんと話が作れるのか……
68 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/06(金) 00:07:38.99 ID:4LljW11Io
書いてて思った
マジで部長が当分でねぇ

それにしてもこのスレに俺の投下以外にレスがないのは
やはり注意書きどおりに回れ右してくれてる人が多いんだろうか
それとも、そもそもスレを開いてくれてもいないのか

見られない露出[田島「チ○コ破裂するっ!」]とか……



なんか違う興奮を覚えてくるじゃないか
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/05/06(金) 12:03:15.91 ID:qUBHGtdAO
ずっとまっているよ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/06(金) 13:37:38.22 ID:Mo3z45wSO
レスが欲しかったらドロドロの昼ドラ展開にして、2〜3レスごとに主要キャラが刺されたりすれば伸びるよ

本当に自分が書きたいものが書きたければ、レスとか気にしないで書ききるのがよろしいんじゃなくて。って黒いのが言ってた
71 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/06(金) 20:23:41.49 ID:MjilIinIo
レスがあって元気でました



>>70
そういう気持ちで書いてはいるけど、本音を言えば反応はほしいところです
72 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:46:38.90 ID:7cPTVSf1o
桐乃との和解編ラスト
投下します
73 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:50:24.98 ID:7cPTVSf1o
撮影を終えて、ビルのロビーで桐乃を待つ。
要望がなければ彼女は、基本的にすべて一人でメイクや着付けを行うらしい。
結果的に後のことも一人でやることになる。
ほかにも次の予定のことを話すらしいから、もう少しかかるのかもしれない。
そんなことを考えながら、大きな窓からぼんやりと外を眺めていた。

「おまたせ」
「あら、意外と早かったのね?」
「メイク直しあんまりしてないからね。それに……」
「?」
「はやく、あんたと話をしたかった」
「……そう」

本人の言葉通り撮影時のメイクを取って、軽く整えただけのようだ。
とはいえ、桐乃はいつもナチュラルメイクだからいつも通りに見えないこともない。

「……行こっか。近くのカフェでいい?」
「おまかせするわ。……あんまり高いところじゃなければ」
「出すわよ、こっちから誘ったんだもん」
「そう……甘えておくわ」
「あ、はいこれ」
「……これは?」

桐乃から大き目の紙袋を渡される。
中を見ると今日私が着た服と、もう1着違う服が入っていた。

「優子さん、最初に会った女の人ね。あんたのこと気に入ったらしいから、この服あげるってさ」
「気持ちはうれしいけれど、あまりこういう服は……。
 それに1日入っただけのバイトが、ここまでしてもらうのも悪いわ」
「言っても聞いてくれないって。そういう人だもん、あの人。
 あとこれ、今日のバイト代。あたしのも入ってるけど、あげる」
「……自分のだけでいいわよ。そこまでされるひつy」
「ある!」
「っ!」
「これでも……あんたがこの話の席に来てくれた対価に十分とは思ってない。
 だけどいまは……私の分も含めたバイト代を渡して、これから行くカフェの代金払う。
 これだけしかできない……これだけしか……する資格がない」

封筒を私に押し付けて視線を下に落したまま、桐乃はそう続ける。
封筒を受け取って中を確認すると、2人分だとしても高校生のアルバイト料には十分すぎる金額が入っていた。
これに加えて、このあとのカフェをおごってもらう。
桐乃がどんな話をするのかは大体予想が尽くし、私に申し訳ない気持ちを持つこともわからないではない。
その話を私が聞くことへの対価がこの2つ。
正直言って多すぎだ。
けれど、ここでどう言っても桐乃は引かないだろう。
意地っ張りで、真っ直ぐな芯をもった、目的のために努力を惜しまない、へそ曲がり。
高坂桐乃はそういう人間だ。

「……ここで押し問答しても仕方がないから、とりあえず受け取っておくわ」
「……ありがとう」
「ただし、借り1つと思っておくから」
「え?いや、それは思わなk」
「借り1つよ」
「……うん、わかった」
「……これでもあなたのオススメのカフェ、楽しみにしてるのよ?」
「っ!!と、当然でしょ!あんたがいつも行ってるような所と、比べモンにならないんだかんね!!」

まだすこし足りないけれど、こうでなくては困る。
高坂桐乃は、私の……大好きな親友は、こういう笑顔でなくては……ね。
74 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:53:30.29 ID:7cPTVSf1o
「今日のケーキセットを2つ。私はコーヒーで。あんたは?」
「……アイスミルクティーで」
『かしこまりました。ケーキセット2つ、お飲み物はコーヒーとアイスミルクティーですね。
 少々お待ちくださいませー』

席につき注文も終えた。
すぐに話すと思っていたけれど、その様子はない。
ならば食べながら話すのだろうか?
しかしお茶請けに話す内容としては、お互いにかなりキツイ話題と顔ぶれだ。
ならば食べ終わってから?
……それもないわね。
もやもやした御通夜ムードの中で、ケーキと飲み物を食べるというは、ちょっと難易度が高すぎる。
そんなことを考えていると、やっと桐乃が口を開いた。

「ここね、兄貴があんたと別れてから……初めて、”兄貴と二人”で来た場所なんだ」
「…………そう」
「……怒ってる?」
「少し……ね」

振られた女に、彼氏と来た場所に来させる。
ずいぶんと趣味の悪いことするものだ。
そう捉えるのが普通で、怒るのが当然。

「でも、それを自慢するために来たわけではないのでしょう?」
「……うん」

桐乃がこんなに思いつめた表情をしていなければ、そうすることができた。

『おまたせしましたー、ケーキセット二つです。』
「あ……コーヒー、わたしです」
「ミルクティーはこっちです。……さて、あなたがモタモタしているから、ケーキがもうきてしまったわよ?」
「うん……そだね」
『(えぇー?なにこの空気。あたし普通に仕事しただけなんですけどぉー?)
 そ、それではごゆっくりどうぞー』

ウエイトレスはケーキとドリンクを置いた後、決まりの悪そうな顔をして下がっていった。

しばらく待っても、桐乃は一向に話す気配も、食べ始める気配も見せない。
こういうときは、聞く側のほうから何かアクションを起こすと良いと、おばあちゃんが言っていた気がする。

「いえ、何かのキャラだったかしら?」
「へ?」
「なんでもないわ、こっちの話。話すか食べるかして状況を先に進めてほしいのだけれど」
「あ、うん、ごめん」
「はぁ……本当に今日はあなたらしくないわね」
「え?そう……かな?」
「自覚がないとは重症……いえ、あなたはいつも自覚はないわね」
「ちょっと、いくらなんでもそれはひどくない?」
「ひどくないわ、事実だもの。とりあえず先にいただくわね」
「あ、うん、どうぞ」

桐乃の返事を聞いてから、ケーキに手をつける。
スポンジ2層で、間にはスライスしたイチゴと、生クリームのショートケーキ。

「……おいしい」
「でしょ!?あ……」
「いいわよ、そうしてるほうがあなたらしいわ」

紅茶にミルクとガムシロップを入れる。
入れすぎて安っぽい味にならないように気をつけながら。
75 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:55:54.52 ID:7cPTVSf1o
「……今日は、ほんとにありがとう」
「……いいわよ別に」
「……兄貴とのことなんだけど……まあ、付き合ってる……みたいなもんかな」
「……そうでしょうね」

ミルクを少し大目、シロップをやや少なめに入れた紅茶をくるくるとかぎ混ぜる。
3つに分かれていた紅茶とミルクとシロップが1つになっていく。

「……これでも最初は、すごい反対したんだ。あたしとじゃ、キスもエッチも……結婚もできないからって」
「…………」
「後で別れることになってもさ、あたしらはずっと兄妹じゃん。
 それでそんなに後に引きずるようなことになりたくないし……ね」
「……意外だわ」
「え?」
「あなたがそんなに弱気になって物を考えるなんて……ね」

そういってミルクティーを一口飲む。
ケーキの味を流しきらずに、紅茶の味と香りを愉しませてくれる。
なかなかいい紅茶なのかもしれない。

「それでも……結局付き合うことにしたのでしょう?」
「……うん」
「……おめでとう」
「え……?」
「あなたも先輩も、私の友達よ。友達の恋が実ったことを祝えないほど……落ちぶれてはないないわ」
「でも!」
「私が先輩にとって、あなたより上の優先順位になれなかった。
 私は先輩にとって、あなたより魅力がなかった。それだけのことよ。それにね」

ケーキの上に乗っているイチゴにフォーク刺し、それを口に運ぶ。
生クリームの甘さで存在感がなくならない、少し酸味の強めイチゴだった。
それから紅茶を飲んで、一呼吸おく。

「彼氏1人を失うことと、友達を3人失うこと……どっちがキツイかと言われれば、後者だわ」
「あ……」
「私はね、ここであなたと仲直りしないと、またぼっちに戻る……というのは言いすぎかもけれど、
 初めてできた親友を失うことになるよ。だからあなたがどれだけ自虐しようが、のろけようが、勝ち誇ろうが……
 全部聞いて、あなたと……先輩と仲直りする。そう決めて、今日来たのよ。だから……」

一度だけ桐乃から目を離して、下をむく。
そして思い出す。
76 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:57:09.54 ID:7cPTVSf1o
沙織が開いてくれたオフ会。そこで桐乃と先輩と初めて会った。

あそこが、私たち4人の始まりだった。

桐乃とは趣味が合わなくて、言い争いも多かった。

沙織と先輩はそんな私たちを、1歩下がって見守ってくれた。

いつのまにか先輩に惹かれるようになって、自分らしくないことすることもあった。

桐乃がアメリカに行ってしまったときは、言ってくれなかったことへの不満と、

突然親友がいなくなってしまった喪失感で、すごく辛かった。

桐乃の恋人騒動の後、先輩に告白して恋人になった。

たった半年間だったけれど、その間はとても楽しかった。

桐乃との不仲だけが心配だったけれど、それも杞憂に終わってこんな関係がずっと続くと思っていた。



けれど



私はあの日”京介”に振られた。

結局私は最後まで桐乃を超えることはできなかった。

あのときはずいぶん落ち込んだ。

けれど、そこで止まっていてはまだ戻るだけだ。

だから進まないといけない。

私と先輩と桐乃と沙織で、また笑っていけるように。

そう、このシナリオをバッドエンドで終わらせてなんてたまるものか。

だから私はここで桐乃の、この兄妹の味方について、話を聞いて、応援する。

傍から見れば滑稽に見えるかもしれないが、かまうものか。



「お願い、全部……話して頂戴。
 ……一人で悩み続けたり、自分を責め続けるのは、
 大抵バッドエンドフラグよ」
77 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 22:58:25.34 ID:7cPTVSf1o
「……ありがとう」

目に涙をためて桐乃が言った。
別に私は桐乃を泣かせたいわけじゃない。
むしろ、これからも私たちと笑っていてほしいのに。

「……どこから、話せばいいかな?」
「そうね……できれば、私と先輩が付き合い始めてからのあなた達のことは聞いておきたいわね」
「それじゃ、そこから話そうか」
「あ、その前に」
「うん?」

話の出鼻を挫いて悪いとは思ったけれど、これはちょっと話が始まると言い出しにくい。

「ケーキセット、もう1つ頼んでいい?」
「……ぷ、アハハハハハハハハハハwwwwwwwwwwww」
「な、なによ。いいじゃない」
「いいけどさ、太るよ?」
「いいのよ、私はあなたと違って肉も脂肪もついてないから……」
「なによ?あたしが太ってるって言うの?」
「……いえ、自虐よ」
「…………あぁ〜」

私と桐乃の視線が同じところに向かう。
そこでこの話題は終わった。
私がさっきとは違うケーキセットを頼んでから、桐乃は話を始めた。



なんとなく先輩と接しにくくなったこと。

なんとなく私と接しにくくなったこと。

私と先輩を見ていて嫉妬をしたこと。

それでもみんなの仲を壊したくなくて我慢していたこと。

少しずつその環境にも慣れ、我慢できるようになってきたこと。

そして先輩が大学に合格して……私と別れたこと。
78 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 23:00:16.26 ID:7cPTVSf1o
「正直ね……少し、喜んじゃったんだ」
「……気持ちはわからないでもないわ」
「あのとき兄貴にあんたと復縁するようにいえればよかったんだけど……」
「言えないわよね……最初で……たぶん最後のチャンスだもの」
「……うん」

そこでお互いに言葉がとまる。
間を持たすために紅茶飲むけれど、あと一口分くらいしか残っていなかった。
私はその一口分をストローで一気に飲んで、この話を終わらせることにした。

「それで、私と顔合わせるのが申し訳なくて、繋がって沙織とも連絡を取りにくくて、
 今のいままで音沙汰なしだった……ということでいいのね?」
「……そうなる……かな」
「はぁ……どうしようもなく愚かね、あなたは」
「そ、そこまで言う?」
「言うわよ、愚か者よ、大馬鹿よ、弩阿呆よ」
「そ、そこまでいわなくてm」
「まだ足りないくらいなのだけれど……追い討ちをかけてほしいの?」
「いや、いらないケドさ……」

桐乃はうつむきながら、少し残っていたコーヒーを飲み干した。
しかしほぼ予想通りで安心したというか、拍子抜けだったというか。
なんにせよ、予定通り話を進めることができそうだ。

「まあ、私たちの関係は元通りになれそうね」
「へ?」
「さっきも言ったでしょう?私はあなたより上の優先順位になれなかった。
 私はあなたより魅力がなかった。
 彼氏1人を失うことより、友達を3人失うことのほうがキツイ。そういうことよ」

実際のところ、自分の言葉そのままに割り切れているわけではない。
先輩とのことだって未練タラタラで、桐乃に対する嫉妬心や劣等感はいまでも心の底で燻っている。
それでも……そんな自分の闇の部分より
光の部分、みんなと一緒にいたいという思いは心の闇をはらってくれるから。
だからこの選択と、この言葉は嘘じゃない。
例え嘘だったとしても、誰にも気づかれずに騙し通す。
そう決めて、この選択肢を選んだ。
79 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 23:01:51.32 ID:7cPTVSf1o
「……ありがとう」
「お礼を言われる筋合いはないわ」
「それでも!!……ありがとう」
「……どういたしまして」

少しだけ涙を浮かべてお礼を言う桐乃に対して、私は精一杯の笑顔でそう返した。



「あー……なんか悩んでたのが馬鹿みたい」
「馬鹿みたいじゃなくて、馬鹿なのよあなたは。大馬鹿よ。弩阿呆よ」
「ああ、もうわかったから!十分にわかったから!!リピートしなくて良いっつーの!!」
「あら?さっきのはフリではなかったのかしら?」
「違う!!」

そんなやり取りをこのあと十数分してから、店を出た。

「それにしても、ケーキ3つとかあんた食べすぎっしょ?」
「さっきも言ったでしょう?少しは脂肪でもお肉でもつけておきたいのよ」
「それ、あんまり女の子同士の場所で言わないほうがいいよ?」
「私からしてみれば、女性らしい体をしていてうらやましいのだけれど……」

ないものねだりというやつかしら。
まあ忠告は素直に聞いておこう。

「今度さ……また、一緒に遊びに行こうよ」
「ええ……4人で……ね」
「……うん」
「まあ、その前にもう1人話しておかないといけない、大馬鹿がいるわね」
「はは」

桐乃が困ったように笑う。
実際困っているんだろうけれど、これは省けない工程だ。

「……安心なさいな、GWまでにはケリをつけるわ」
「なんか終盤の決戦イベントみたいなノリじゃない?」
「似たようなものでしょう?」

そう、これは私にとっての決戦イベント。
闇の力に魅入られたかつての仲間を取り戻す重要なイベントだ。

「はぁ……私は取り戻される側だと思っていたのだけれど」
「何の話よ?」
「こっちの話よ」

仲間のためにソロで命を張るイベントとも言えるのだから、ある意味私の最大の見せ場かも知れない。
1年前の、ぼっちだった私では考えられえないイベントだ。
それにしてもこの兄妹には振り回されてばかりだ。

「ねぇ、どうしたの?さっきからニヤニヤして。ちょっとキモイんですけど?」
「……さっきまでのしおらしさと、半泣き顔が嘘のようね。さっき言ったこと全部撤回していいかしら?」
「ごめん!うそ!だからそれは勘弁して!」
「さぁて?どうしようかしらね〜」
「あ、ちょっと!待ちなさいよ!」

すぐに捕まえてしまえるのに、桐乃は私のあとをゆっくり、笑いながらついてきた。
そう……私はまた、”こんな風”にいたかったんだ。
80 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 23:03:05.98 ID:7cPTVSf1o




都合のいい道化を自分から演じるなんて……





――――― まったく、とんだクソゲーだわ ―――――






81 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/09(月) 23:07:07.66 ID:7cPTVSf1o
投下終了

バレを見て書き直そうかと思ったけど、二次創作だし、ま、いっか
ということで予定を変更せず書きました。

俺は今日まで休みだからまだGW、よってセーフ



言い訳乙


スレタイを言ったけどまだ終わりじゃないです
ただバレの内容もあって次からは大学か社会人あたりを書こうかと考え中
なんにせよ8巻読んでから
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/05/10(火) 02:16:08.44 ID:uy/DT0uAO
乙です
なかなか面白かった
黒猫かわいいな
83 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/13(金) 23:21:43.49 ID:0Ag/FXO2o
転校について黒猫にとってゲー研の仲間は取るに足らない存在だったんだろうか
あまりにも黒猫があっさりしてて「オタっ娘コミュだけでいい」って感じがしてなんかヤだなぁ
少なくとも瀬菜とのエピソードは補完してほしいな

部長なら送別会とかやりそうだしその辺のゲー研の話が気になる



とりあえず次からは大学編とかを書きます
そっちのほうがいろいろしがらみなくできそうだ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/14(土) 00:28:46.32 ID:PHxlfjlao
最新刊の8巻は、既刊の7巻までにくらべて、すっげー雑な気がする。
今回一番丁寧に書かれていたのは、桐乃だけじゃないのかな。
幾ら恋愛編が今回で終わりだからって、手抜きすんじゃねーよ! と、言いたい。
黒猫派の一人としては、黒猫ってこんなに性格が悪かったっけ? てな感じですよ。
それにあやせなんか、取ってつけたような書かれ方だし……

それはさておき、部長はどーしたんですか! 
まだ、下校途中じゃあないんですか?
85 : ◆49H2QUBi7VEi :2011/05/14(土) 00:43:28.57 ID:lwWm+nxIo
下校→かおすくりえいと関連→夏コミ→文化祭→冬コミ
ってな感じで部長の出番を作る予定だったですが
黒猫さん転校しちゃいましたからどうしたもんか
部長と黒猫のフラグはゲー研でないと組んでたので
いっそのこと部長は松戸に勤めてることにしましょうか

しかし俺は山口の人間だから関東の地理がわからない……
千葉から松戸って通勤圏内なんだろうか
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/14(土) 01:23:18.94 ID:PHxlfjlao
千葉中央駅から松戸駅なら、京成と常磐線を使って一時間ちょっとです。
あと、松戸にはヤマダ電機もあります。
MapFanとかの地図検索ソフトと、Google Earthのストリートビューで、
日本全国の情景描写はOKということで……

美東の貝汁……美味しゅうございました。
87 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/14(土) 01:35:41.25 ID:lwWm+nxIo
どうもありがとうございます。
1時間ちょいなら十分通勤圏内!

ちょっと構成しなおして部長と黒猫の話を書くことにします
捏造高校編
88 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/19(木) 23:49:14.71 ID:xVZP9tD0o
思いつき投下




珍しく桐乃からお酒の誘いがあって二人で行くことになった。
そこは居酒屋ではなくバーだった。

1時間ちょっと桐乃のノロケと愚痴を聞いて、話題がなくなってきた。
別にそれがイヤなわけでもないけれど、黙ったままだとなんだかモヤモヤする。
かと言って自分から話せるような話題も今はない。
こういうときは一服するに限る。
タバコ1本は間を持たすのにちょうどいい時間だから、
と大学の先輩に言われてほんの少しだけ吸うようになったタバコを取り出した。

「あんた、タバコ吸うんだ?」
「こういう席とかで少しだけ、ね。タバコ1本って色々ちょうどいい時間なのよ」
「ふ〜ん……」(ジー
「……吸わないほうがいいわよ。何気にお金かかるし、においが着くから」
「吸わないって。それに京介がたまに吸ってるから知ってるよ」
「そう」

バーボンを一口飲む。
独特の香りと甘さがタバコの苦さを流して、ちょうどいい余韻を与えてくれた。

「お酒もおいしいし、いいお店ね」
「でしょ?今度彼氏と来てみなよ。いい感じになれると思うよ」
「残念ながら、京介を振ってからずっとフリーよ」
「あれ?ゲー研の部長と付き合ってるんじゃないの?」
「ゲンは……その……違うのよ」
「あやせから同棲してるって聞いたけど?」
「あの女は……えっと、違うのよ。大学やバイトで遅くなったときに泊めてもらってるだけよ」
「男の家に?何度も?」
「……頼りになるし信頼できるのよ、あの人は」
「ふぅん……ま、そういうことにしておいてあげますか」
「だから!違うと言っているじゃない!」
「顔真っ赤にしてムキになっていってる時点で説得力ないってーの」
「なっ!!」
「素直になっちゃいないよ〜」
「……あなたに言われたくないわ」
「少なくとも今の私は彼氏に対しては自分の欲望に忠実にいきてますぅー」

そんな話をしてから店を出て、桐乃と別れた。
これから駅に行っても終電には間に合うけれど、今日はなんだかそういう気分ではなかった。

「……あ、母さん?今日は友達の……うん、いつもの……ぇっ!もう!母さんまで!!だから違うって……もしもし!?」

勘違いされたまま切られてしまった。
まあ、いいかしら。
自分の中で結論をつけて歩き出す。
行き先は実家とどちらが自分の家なのか、怪しくなってきた『友達』のマンション。

「”ただいま”」
「お?おう、おかえり〜」

そう返ってくる声にほっとして、部屋にあがる。
ほら、もうどっちが本家だかわかったもんじゃない。




なんでこんなに黒猫さんが誰テメ状態になるんだろう
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 09:10:08.78 ID:nxaHK8Szo
そういうのいらないんだけど
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 16:45:24.57 ID:3VqrMmdPo
道草食うことが多い作者だな
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/20(金) 19:52:58.23 ID:Cvd6gDrAO
>>88とかのが書きやすそうなのは見てとれる。
生き生きしてるもん

道草おいしいです
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/20(金) 20:02:11.78 ID:U33ZcVtAO
いいよ
おもしろい
93 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/20(金) 22:23:16.01 ID:4tGoPInvo
苦情が来るのは予想してた
道草が多いのも自覚してた
だけどフォローが入るとは思わなかった
ありがとうございます

いらないとか道草って言われても、このスレ自体が
「部猫やるならよそでやれ」
っていわれたから立てたもんだから、話の終着点を決めてないんですよね
部猫のイチャイチャとその背景を書きたかっただけで

でも捏造高校編を本気でやり始めるとオリキャラが出てきて
部長の出番がなくなる未来しか見えない

松戸の高校時代での部長とのシーンをその前後だけ書けばうまくいくのかな
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 23:49:55.91 ID:DPl3IJleo
俺は、黒猫のSSなら京介とくっついてほしい、他の男は認めたくないと思っていたが、
この部長と黒猫の話は納得して楽しんで読める。
時間の経過、心境の変化が丁寧に描かれてたし、何より部長が良い男だ。
今後とも応援してます。
95 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/05/27(金) 23:29:23.58 ID:NTAnq+lMo
4.5P転校後の話書いて読み直した後のコレジャナイ感が異常
名無しとはいえオリキャラが出張るのが問題です

おとなしく台風ネタでも書いておくべきか
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/02(木) 16:59:07.34 ID:bxDxqZ4Io
>>95
もしかして「親友たちの晩酌」や「さよなら初恋」書いた人?
97 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/02(木) 20:43:37.64 ID:Bur542qXo
>>96
総合の7スレ目949と8スレ目9のことならそうです
その2つを書いた後に部猫を書いて総合の空気を悪くしてまったので
スレを立てました


自分でタイトルつけたわけじゃないのでわかんなかった
まとめwikiだとタイトルついてるんだね
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/04(土) 02:03:39.09 ID:2oNQb6HMo
>>97
あーあれ他の人がつけたのか。
いつもまとめスレでしか読んでなかったんで知らなかった。
あなたの作品は大好きです。

8スレ目の9は特に素晴らしいと思った。
黒猫があまりにもかっこ良過ぎて、泣けてきた。
そんなに強くなくて良いんだよ。自分の望みをもっと優先して良いんだよと言ってあげたかった。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/04(土) 02:04:27.47 ID:KmrpwRyDo
まぁ飽く迄もあれはサブタイだからな
100 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:32:30.87 ID:nZvhjiHQo
祝☆100レス

投下します
101 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:33:37.16 ID:nZvhjiHQo

松戸に引っ越してから1年近くがたった夏休み前。
期末試験も終わって久々に部室を訪れた。

「る〜りるりっ!!」
「……いい加減抱きつくのはやめてほしいのだけれど。不快だわ、主にその脂肪の塊が」
「なに?wwwwww嫉妬?wwwwwwねぇwwwwww嫉妬?wwwwww」
「なにこれウザイ」
「ちぃ〜っす。ってwwwwww五更と友Aが百合ってるwwwwww」
「なんだね?wwwwwwうらやましいのかねwwwwwwだがこれは私の特権だwwwwww」
「許可した覚えはないのだけれど……」
「くろにゃんぺろぺr(^ω」
「どさくさにまぎれて近寄るんじゃないわよ!!この変態が!!」
「ありがとうございます!!(^ω^)」

そんなやり取りをしていると30分も経たない間に部活の主要メンバーがほぼ部活にやってきた。
みんな試験のストレスから開放されたせいか、頭のネジが吹っ飛んでいる。
……よく考えればそれはいつものことだった。

「は〜い、それでは〜、テストも終わったことですし〜、漫研の活動を再開しましょう〜」
「「「は〜い」」」
「……部長、いつのまにいたんですか?」
「……」(つーん)
「あの……部長?」
「……」(ぷんぷん)
「……はぁ、部長(読み:おねえさま)」
「なぁに?るりちゃん?」(はぁと

ほんとにこの手の部活には変人しかいないのかしら。



102 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:34:39.27 ID:nZvhjiHQo

「とりあえずテストは終わったけれど〜、まさか赤点とったり
 追試が必要な人はいないわよね〜?」
「大丈夫よ、平均は取れているはずだわ」
「おー、るりるり余裕だねぇ。まあ、あたしも問題なし!」
「(^ω^)b」
「…………」
「副部長ォ?お姉さン『大丈夫だよね?』ッて確認取ッてるンだけど、
 なンで黙ッてるのかなァ?そンなに愉快なオブジェになりてェンですかァ?」
「だだだだだ大丈夫っすwwwwww自己採点では全部35〜40点取れてたんでwwwwww」
「この学校って確か、赤点じゃなくても出来が悪いと、長期休みの課題増えるんじゃなかったかしら?」
「え?wwwwww」
「そだよ〜、るりるりよく覚えてたね〜」
「……坊や、残念だけど、あなたここでオシマイなのよ。とりあえずそこに跪きなさいな?」
「副部長乙(^ω^)」
「こんちゃーす!五更先輩!!ゲーセンいきましょう!!
 ゲーセン!!テストで行けなかったからちょっとストレスが溜まりまくりです!!」
「こんにちは、黒猫先輩お久しぶりです。あなたとの久しぶりの再開に緑の精霊達もよろこんでいます。」

副部長が部長(読み:おねえさま)に絞られていると、遅れて後輩AとBがやってきた。
この二人は”松戸ブラックキャット”の私と、”黒猫騎士団のサークル代表”の私に非常に懐いている。
つまりはそういうカテゴリーの人間だ。



103 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:35:44.78 ID:nZvhjiHQo

「というわけで〜、テストも終わったことだし、遊びにいきたいんだけど〜、
 その前に〜、夏コミで出すものの〜、進行状況だけ〜、教えてくれるかしら〜?」

ひざまづいた副部長を椅子代わりにしながら部長(読み:おねえさま)が部活を再開の合図をした。
3年生の引退本も兼ねて夏コミはオフセットで出すらしく、部長(読み:おねえさま)は特に気合が入っている。

「私はもうできてます。ちょっとページ数が足りなくて削ったところはありましたけど、概ね満足できた内容です」
「ちょwwwwwwるりるりwwwwww私らの倍もらってんのにまだ足りないとかwwwwww」
「これでも思い切って設定部分削って、イラストページとSSにしたのよ?」
「これだから設定厨はwwwwwwだがそんなるりるりが大好きだwwwwww
 あ、私もできてますよー。流行アニメのイラストと4コマのいつもどおりです!」
「(^ω^)b」
「あ!わたしは格ゲーのメインキャラのイラストと!オンライン対戦であったことと!初心者コンボが1Pです!」
「わたしは……部活のみんなをデフォルメしていつものやりとりを描かせてもらいました。
 あと仕上げが残ってますけど、問題ないです」
「…………」
「副部長ォ?(ry」

とりあえず見てのとおり、楽しくやっている。
104 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:36:54.61 ID:nZvhjiHQo

「あ、そうそう。友A、後A、B」
「「「はい?」」」
「あなたたちと共同で企画してたゲーム、とりあえず形はできたわよ」
「「「マジで!?」」」
「嘘をついてどうするのよ。まあ、シナリオ部分はプロローグしかできてないし、
 デバッグも十分じゃないし、バランス調整もしてないから、まだツクールに毛が生えたようなものだけれど」
「いや!十分はやいですよ!!GW明けから作り始めたんですから!!」
「そうですよ。私と後Aの思いつきと、設定だけでスタートしたんですから。
 それをキチンとした形にして、ゲームとしてプレイできるところまで持っていったんですから、五更先輩はすごすぎです」
「あなたたちが絵と設定とシナリオを作って、友Aが音楽作ってくれたんだもの。私はそれをスクリプトでぶち込んだだけよ」
「いやー、でもるりるり。ゲームの企画とかは”スパロボみたいなのがいいね〜”とか
 ”ギャルゲーみたいに複数シナリオ入れたいね〜”くらいしか話してないじゃん?
 具体的な話なんて、全然してないし。」
「それだけ話せば大枠作るには十分よ。せっかく夏休みに入るんだし、みんなで色々触って作りながらやっていきたいじゃない」
「いや〜、五更先輩って何でもできるんですね!!」
「絵も描ける。シナリオも書ける。スクリプトも書ける。音楽も楽譜は読めて、ピアノはできる。……完璧じゃないですか」
「なにこのチート女wwwwwwだが私はそんなるりるりが大好きだ!!」
「か、過大評価しすぎよ。それにスクリプトは私一人で書いたわけじゃないわ」
「というと?」
「以前話したでしょう?前の学校でそういうのに強い友達がいるのよ」
「ああ!冬コミで会った瀬菜ちゃんって子か!!」
「いえ、瀬菜もそういうのは得意だけれど……今回は別の人よ」

私はケータイを操作してフォトフォルダを表示した。
ずらりと写真が並び、その中から目的の人物の写真を探す。

105 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:38:29.67 ID:nZvhjiHQo

「えーっと……」
「わ〜、五更先輩って結構マメに写真とる人なんですね!そういうのには無頓着な人と思ってました!!」
「あ!こら!勝手に覗かないで頂戴!!」
「アッー!!なんか同じ男の隠し撮りっぽい写真がいっぱいある!!?
 るりるり!?いくら好きで人でも隠し撮りはダメだよ!?っていうか好きな人だからこそダメだよ!!」
「違うわよ!!いえ、隠し撮りなのは認めるけどそれは違うのよ!!」
「五更先輩……私、厨二でぼっちでメンヘラですけど、それは引きます」
「あ、あなたまで……!!だからこれh
  「後Bぃぃいい!!そんな!!ぼっちだなんて寂しいこといわないで!!
  たとえ五更先輩がリアルに犯罪者予備軍で!
  友A先輩がどうしようもないレベルの同性愛者で!
  部長(読み:おねえさま)がR-18GレベルのドSだったとしても!
  私だけはあんたの友達だよぉぉおお!!」
  「ご、ごめんさい!!私間違ってたわ!!後A!!」
 人の話を聞けぇぇぇえええーーー!!!」
「おー?るりるり。このレールガンの制服着てる子って男?女?なんかめっちゃかわいいんだけどwwwwww」
「あなたは勝手にあさり続けてるんじゃないわよ!!」

こっちに転向してきて、ツッコミに回ることが増えたのは間違いない。
先輩の苦労がすこしだけわかった……気がする。

106 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:39:23.92 ID:nZvhjiHQo

「はぁ……とりあえず返して頂戴な。スクリプト手伝ってもらった人を見せるのが目的なのだから」
「おお!そういえばそうだった!」
「…………ああ、あった。ほらこの人よ」
「ん〜……?お〜!!」
「思い出した?」
「るりるりの旦那か〜」
「…………は?」
「え?一緒に住んでるんじゃないの?」
「「友A先輩!!その話詳しく!!」」
「いやね、この6月末か7月頭か忘れたけど、
 それくらいに町でるりるり見つけたから、いつものようにスネークしたんだよ。
 そしたらなんか見覚えのあるひょろっとした男が現れてね?
 そいつと待ち合わせてしてたみたいで、二人で動き始めたのよ。
 んで買い物に行って晩御飯の材料っぽいのを買ってその男の家っぽいアパートに入って行った」
「どこから突っ込めばいいのかしら……」
「とりあえずさ、同棲してるんじゃないの?」
「違うわよ。ゲーム作るのに必要なことを教えてもらっただけよ。そのお礼にご飯作ってるだけ」
「なんだ、通い妻か」
「だから違うといっているでしょう!!」
「後Bぃぃいい!!五更先輩がリア充だよー!!裏切りものだよー!!」
「ひどいです先輩。最初からうっすら新雪が積もったような私たちの心を踏みにじって、嘲笑うのが目的だったんですね……!!」
「はぁ、もう……」

107 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:41:41.18 ID:nZvhjiHQo

なんだかもう疲れてきた。
3人とも怒ってるわけでもなく、ただ遊んでいるだけなのはわかるけれど、やはりいじられっぱなしというのは疲れる。
こういうときはスッパリ話題を変えてしまうのに限る。
同じやりとりを続けていてもだらけるだけだ。
そう判断してノートパソコン起こして、作ったゲームを起動する。

「興味がないならそれでいいわ。とりあえず、ほら、プレイしてみて頂戴。
 調整や新システムの追加とかの意見も欲しいんだから」
「ああ!るりるり!!実際のトコロどーなのよ!!」
「しらないわ」
「先輩!!とりあえず!とりあえず先輩がリア充なのかどうかだけでも!!」
「そうです!平原に舞い降りた儚い白雪のような私たちの心を踏みにじったんですから、そこの事実だけでも!!」
「しらないわ!!」
108 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:43:06.66 ID:nZvhjiHQo

そう言って部室を出て行く。
戻ってくるころには3人ともゲームへの意見をいくらか出しておいてくれるだろう。
その意見を元にまたスクリプトの書き換えや、追加をしていけばいい。

「……今日はなにをつくろうかしらね」

そう呟いてからケータイを取り出してメールを送る。
内容は今日の晩御飯のリクエスト。
あて先は二人の妹。
そしてあと一人。

「……彼氏でも、旦那でもないわ。彼は……」

恩人に向けてメールを送った。
109 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/05(日) 01:49:05.10 ID:nZvhjiHQo
投下終了

転校先のことを適当に考えてたらこうなった
オリキャラというか部員達は、もうほとんど出て来ることはないでしょう
とりあえず黒にゃんは転校先でも上手くやってますよ
という1コマを書きたかっただけです



>>98
黒猫がかっこいいのは
意地や見栄で素直になりきれない高坂兄妹の対比にしようとしたら自然にああなりました。
強くない、自分を優先する黒猫だとそれができないので、
黒にゃんには「悲恋の似合うカッコいい女」になってもらいました。

強くない、自分の思いを優先して、それが報われる黒にゃんの話は
最近wikiが完備された黒猫スレの匠達がやってくれると信じています



そして俺は我が道を好き勝手に[田島「チ○コ破裂するっ!」]しながら進みます
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/05(日) 22:33:18.98 ID:MwAIFWEAO
高坂兄妹抜きでもやっていけてる黒猫は、成長が見てとれるようでイイ。和む……

おつ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/06(月) 19:40:19.66 ID:0krbWtbpo
>>101の最初のところ、弁天高校のゲー研に行ったのかと思った。
で、友Aが桐乃だと思って読み進めてて、なんかおかしいと思って最初から読み直したら
転校先の話だったのね。
でもこんなリア充な黒猫は黒猫じゃない・・・。
112 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/06/14(火) 22:49:12.41 ID:5Up2hrlRo
>>111
やっぱり違和感あります?
友達は多くないけど、深い仲の友人は多い(多くできる)というイメージなので
うまくいけばこんな感じになるんじゃないかなぁ、と妄想してるんですが
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/16(木) 18:27:25.30 ID:9HHhM6lQo
>>112
うまく行かないのが黒猫というイメージ。
見ず知らずの土地へ行って、そこで何人も友達できるとは思えない。
でも、あなたのスレなんだから自分の思ったように書くのが良いと思う。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 18:30:30.35 ID:s5+utNncP
周りのテンション次第ともいえなくないような
ここの黒猫なら原作よりも前向きに頑張ってるようなイメージがあるから
ねじが1本2本外れた連中に囲まれてるならありえなくないとおも

俺はカッコいい黒猫と部長がすきなんで
続き期待してます
115 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/07/05(火) 22:33:27.75 ID:ssbFf6Kro
仕事が忙しい時期に入ったのと、
なによりネタが浮かばないので停まっています
チェックしてくれている方、申し訳ありません
励ましレスありがとうございます



どうでもいい愚痴
わからない人はスルーでお願いします

当たる当たらないはこの際いい
ソウリンのお着替えをさせてくれ
エロゲもまだ大砲整備しか見れてねぇ
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/11(月) 05:57:18.80 ID:8Qoxxfnoo
書く余力は残せよ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 00:08:38.56 ID:wknmtK9X0
待ってるよ
118 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:41:27.54 ID:H/C01M7ro
1ヶ月半ぶりとか……遅筆で飽きっぽいとかどうしようもねぇ

>>117
お待たせしてしまったようで申し訳ありません
待っていてくださり大変うれしいです



とりあえず書いた分を投下
119 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:43:17.52 ID:H/C01M7ro
prrrrr!prrrrr!prrrrr!
「?……もしもし?」
『うわーん!!五更せんぱ〜〜〜い!!聞いてくださいよ〜〜〜!!!』
「っぅ……聞くし、聞こえているからもう少し声のボリュームを落としなさいな」
『実はですね!!(略)というわけなんですよ〜〜〜!!!』
「つまり

 私と女後Bの影響でSSを書き始めた
 せっかくなのでSS速報にスレを立ててみた
 いきなり荒れた

 というわけね?」
『さっすが先輩!私のほぼ愚痴の長い話を今北産業!!そこにしびれる!あこがれる!!』
「夏休み中でも全速力なのね、あなたは。まあ、あんまり気にすることもないでしょう。
 ケンカと煽りと荒らしは掲示板の華よ。自分の投下以外書き込みがないより、よっぽどいいんじゃない」
『なんか実感こもってますね?経験談ですか?』
「だまらっしゃい。とりあえずスレタイ教えなさい。見てあげるから」
『え?い、いや!その……』
「なによ?私に電話してきたんだからそういうつもりだったんじゃないの?」
『と、友達に噂されると恥ずかしいし……』
「チャットで部長(お姉さま)や女後Bやらに連絡とって、部内に広めてあげましょうか?」
『サーセン!!〜〜〜ってやつです!!』
「どれどれ……あら?福岡さんじゃない」
『フクオカサン?』
「名作の予感がするスレに初期から張り付いて、ageてレス数を稼いで宣伝してれるひとよ。
 よかったわね。あなたのSSは名作の予感がするらしいわよ」
『ほんとですか! ゝ( ^ω^ )ノやたー!!』
「まあ、この人が気に入らないキャラのスレに荒らしに来てるってのもあるんでしょうけどね」
『SS初心者のやる気そがないでくださいよ!ヽ( ;ω; )ソやだー!!』
「まあ、飽きずに書ききってみなさい。評価なんてものは終わってからされればいいわ。」
『はい!わかりました!!ありがとうざいます!!』
「それじゃね」(プツッ

通話をきってケータイを机の上におく。
本当に嵐というか、唐突に着て唐突に去っていく子だ。
120 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:44:21.34 ID:H/C01M7ro
とりあえず中断していた、夕飯の準備に戻ろうとしたところで、
同じ部屋にいた彼がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「ちゃんと先輩してるんだな、五更」
「あなたや先輩のおかげで、ね。それはそうとそのニヤケ面は気持ち悪いわよ。」
「ひでぇなww」

三浦絃之介。
前の高校での部活の部長であり、私の恩人だ。



「……味薄くねぇか?肉も少ねぇし」
「あなたが普段の食生活をまともにしたら、もうちょっと要望に応えるわ」
「いやぁ……無理だろ。10時終業とかわりと普通だぞ?」
「だから偶の機会にこうして私がまともな食事を作りに来てるんでしょう。これでも恩は感じてるのよ?」
「いや、そんなもんは感じなくていいが。俺は気にしてないし」
「私が気にするのよ」

入部当時の瀬菜との一件、ゲームのデバッグ、プログラムの勉強、そして先輩に振られたときのこと。
たった1年足らずのことでも、パっと思い浮かぶだけでもこれだけあるのだ。
普段の環境面や、目に見えないところでのサポートまで含めると、それこそ気にしてなんていられないくらいだ。

「……週末くらいは希望の料理とビールをつけるわよ」
「おお!マジか!」
「その代わりといってはなんだけど」
「ああ、作ってるゲームのことか?テストプレイでもデバッグでも高速化の処理でも付き合うぞ?」
「うれしいけど……あなた体大丈夫なの?」
「なにをいう!ゲーム作成に関れることが楽しいんだ!!」

扇子の代わりに箸を広げてそんなことをいう。
だったらプログラム関係の仕事につけばよかったのに。
121 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:45:11.72 ID:H/C01M7ro
「おお、そうだ!聞いておきたかったことがあったんだ!」
「なに?」
「夏コミ後はヒマか?」
「打ち上げと両親の実家に顔を出す以外はヒマだけれど……?」

部姉さまが打ち上げは次の週末とも言っていたし、実際は結構ヒマがあるかもしれない。
部活の参加を含めても2日目がメインだから、3日目はパスしても問題ない。
それに一人であの男津波に揉まれるのは勘弁してほしいところだ。

「それじゃ、どっか遊びに行かないか?新車の慣らし運転がメインだから
 それに付き合わせるって形になっちまうけどよ。どうだ?」
「え?えっと……二人で?」
「ん?誰か誘いたいやついるか?真壁とか瀬菜っちとか?」

そういうわけでもない、むしろ下心の方を心配したのだれど、どうやら杞憂にだったようだ。
私の周りの男は鈍感か奥手かバカしかいないのかしら。

「そう……ね。特に予定はないからそういう風に調整しておくわ。また日取りが決まったら連絡して頂戴」
「よっしゃ!これで実家に顔を見せずに済む!!」
「…………そっちがメインなのね」
「え?あ、いや……すまん」
「別にいいわよ。ちょっとあきれただけ」
「だってよー、『やっと高校でて就職したんだから次は結婚だ!』とか入社前から言い出すんだぞ?まだ21だっての」
「あなたの言い分も分かるけど、高校で2回も留年してるんだから言われてもしょうがないと思うわ」
「いや、まあ……そうなんだけど……な?」

そんな話をしていると夕飯を食べ終えていた。
食器を重ねて流しに持っていく。
122 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:45:55.52 ID:H/C01M7ro
最初来たときはカップ麺やコンビニ弁当の残骸でひどい有様だったが、
最近では私が使いやすいようにカスタムされていた。
そういえば上の棚を開くための踏み台や、あるかどうか訊ねた料理用具などもいつの間にか増えていた。

「意外……でもないわね。あのゲー研を創った人だもの」
「ん?なんか言ったか?」
「独り言よ。それより、ドライブのお弁当の希望とかはないのかしら?」
「おー!?作ってくれるのか!」
「来るべき本戦に備える練習よ。次はもっといい男をもっと上手く捕まえるためのね」
「俺は当て馬かwwwwwwいいけどよwwwwww」

実際はそんな気なんて毛頭ない。
ただ、「何かのお礼」と言うと彼が益々考えてしまいそうな気がした。
今でさえ世話を焼いてもらって、手をかけてもらっているのに、
いま以上にそんな気を使わせたくなかったのが本心だ。

「……言わないけどね」
「五更ー、独り言でもあんまり言われると気になるじゃね〜かよ〜」
「お気になさらず〜」

初めてのコイビトからもう1年。
そのコイビトを振ってからも約1年。
完全敗北してから約半年。
そろそろ時期なのかもしれない。

「まだまだ……熱いわね」

太陽はとっくに沈んだというのに、その日の風もまだ夏真っ盛り風だった。
だからこそ、まだ動ける。
いや、動かないといけない。

「私の……恋が、あんなところで、あんな形で、終わっていいはずがないもの」

初めての恋の時と同じように……まだ、夏は残っているのだから
123 :部猫 ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/22(月) 22:51:46.88 ID:H/C01M7ro
以上です

一応補足をしておくと
黒猫さんは部長に恋心を持ってるわけではありません。
今のところ恩義がメインです95%くらい。
しかし京介のことを吹っ切ってないので恩義を理由に、
部長に近づこうかと考えてしまっています。
嫌われるヒロインの典型的な行動です。
黒猫さんごめんなしあ。

以前書いた、京桐結婚式2次会のSSとも関連してます。
そこまで順を追って書ききれると良いな



でも3ページだと少ないなぁ
こんなのだといつ終わるやら
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 23:21:37.86 ID:sOk2cR5Co
乙。
微妙な距離感がいい感じ。
完結まで首を長くして待ってるよ。

ところで結婚式2次会SSってどれだっけ?
125 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/08/23(火) 00:02:50.93 ID:n1SddfCto
>>124
たしか総合に投下した気がします。
まとめでその他のカプのところにまとめられていたような気がします。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/08/23(火) 22:03:10.45 ID:ECgpx0oAO
久々!
おつ〜

1ヶ月くらいは仕方ないさー
部黒、好きです。。。
127 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/09/03(土) 01:04:00.21 ID:tq5h1Tjgo
思いつき、なにも意味はない




桐「いや、瀬菜ちーさ。軽でいいじゃん。そんなデカイバイクかわなくたって」

瀬「なにいってるんですか!バイクで高速をツーリング!すごい楽しいじゃないですか!
  お兄ちゃんのタンデムじゃなくて自分で乗りたいんですよ!それに軽でも車なんて置くスペースないですし!」

桐「デミオ買おうよ、デミオ。スカイアクティブCVTでガソリンなのに30km/lだよ?」

瀬「レベル上がってるじゃないですか!?もう!瑠璃さんもなんか言ってくださいよ!!」

桐「あやせー!やっぱバイクより車だよね!荷物つめるし雨でも心配いらないし!」

黒「新型NSXの情報はまだかしら……」

あ「わたしは死ぬまでGT-Rだよ」

桐瀬「「もっとだめだったー!?」」




黒猫とあやせ以外はあってるようなきもしてきた
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 10:54:38.97 ID:f+vfB46AO
バイクだとかはわからぬけど、高校の時間軸の続きに期待。

保留されてる新ルールが発効すると即落ちの危険があるかんね
ほしゅ
129 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/10/19(水) 23:51:30.11 ID:GPlOR6KSo
飽きたわけじゃないんです
高校時代と部長との進展と高坂兄妹の話をうまくまとめられないんです
待ってる方ごめんなさい


そして新ルールってなんぞ?
130 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/10/19(水) 23:51:55.58 ID:GPlOR6KSo
飽きたわけじゃないんです
高校時代と部長との進展と高坂兄妹の話をうまくまとめられないんです
待ってる方ごめんなさい


そして新ルールってなんぞ?
131 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/10/19(水) 23:56:53.14 ID:GPlOR6KSo
ラグで2重とかもうアホス

そもそも時系列がズレ気味なものを一度で進めようとするのがいかんのかな
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/10/20(木) 00:53:43.26 ID:ORJfKGCAO
1ヶ月間スレに書き込みがないと自動的に落ちる>新ルール

昨日発効した。
滅多にないケースかとは思うけど、一応。
気長に続けてほしいのら
133 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:35:41.71 ID:wpIRZb05o
ただの部活の話

なにが言いたいかというと、黒猫は日々成長してますよというだけ



注意事項
捏造、名前だけでもオリキャラ、黒猫以外に本編キャラがでない
134 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:36:36.96 ID:wpIRZb05o
ちょっとした変更点


友A:翡翠

後輩A:愛

後輩B:夢

元副部長:ナベ

(^ω^):ハチ
135 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:38:06.08 ID:wpIRZb05o
「部長!部長ぉお!!ぶぅうちょぉおおお!!!」
「うるさいわよ。普通に言えば聞こえるわよ。そして部長はやめなさい」
「んじゃ遠慮なく。るりるりぃぃいい!!新入部員がこないよーーー!!」

部室のドアが壊す勢いで開けて、ドアの外からでも聞こえるような大声で
新副部長の翡翠が言いながら入ってきた。

「わかってるわよ。だからこうして悩んでるんじゃないの。」
「私にはどうみても晩御飯の献立を考えているようにしかみえないんだけど?」
「気のせいよ。それに絵描いたりゲーム作ったりするだけが活動でもないしょう?」
「それでも料理本眺めるのはゲー研の活動から離れすぎてると思うんだけどなぁ」

翡翠が言うこともわからないでもない。
もう4月末。新入生が部活に入ってくるのは厳しい時期だ。
あたらめて、三浦部長やお姉さまの上に立つ人間としてのスキルを思い知らされる。

「そういや愛ちゃんと夢ちゃんは?」
「ナベとハチと一緒に勧誘よ」
「愛ちゃんと夢ちゃんはともかくあの二人も?」
「ここで頭使うよりは体使うこと選んだのでしょう、最近あなたイライラしてるしそれもあるんじゃない?」
「あんのアホコンビがぁあああ!!!」

この学校では部費の都合なのか、部活の掛け持ちや幽霊部員を認めていないので、
前の学校のようにうまく部員が入ってこない。
私としては知った人間、やる気のある人間と一緒に作業ができるから嫌な事ではけれど、翡翠はそうでもないらしい。

「お姉さまから部を任されたし!お姉さまの前のお姉さまからもよくしてもらったし!
 部が寂しくなったりお金がなくてやりたいことが全然できないのはダメなんだよ!!」
「何度も聞いたわよ。でもこの手の部活って今時流行らないらしいわよ?
 Pixivやニコニコの影響が強いんでしょうけどね」
「う……そうなの?」
「さぁ?小耳に挟んだ話だから真偽のほどは定かではないわ。
 でも言われてみれば納得しちゃうものではあるわね」

オンラインでコミュニティが作りやすくなった今では、
わざわざこういった部活に所属する必要もなくなっているのかもしれない。
かつての私ならむしろそのスタイルを良しとしていただろう。

「けれど」
「ん?」
「こうして顔を合わせて、喧嘩しながらやっていくことも楽しいし、
 そうでないとできない活動もあるのだから、しっかり新入部員のことについては考えないとね」
「る……るりるりぃぃぃいいいぶへら!?」

抱きつこうとした翡翠の顔に読んでいた料理本を押し付ける。
なかなかいい音がしたけれど気にしないことにしよう。
136 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:39:16.93 ID:wpIRZb05o
「でもどうすんの?できる限りの勧誘方法は大体やったよ?」
「3年の私たちにはもう関係ないけれど、1.2年には情報系の授業があるわよね?」
「ああ、あるね。それがどうしたの?」
「1.2年の授業に私らで作ったゲームを教材として使ってもらうのよ」
「……ぇえ?できるのそんなこと?」
「ナベとハチが情報の先生の弱みを握ったからできると思うわ。
 それに私たちも情報の先生の手伝いしたから、それくらいの協力はしてもらえるでしょう」
「弱み?」
「授業をほぼ自習にしてエロゲやってたらしいわ」
「ワロスwwwwwwwwww」
「まあ、そんなんだから授業で私たちのゲームやってもいいでしょう」
「でも他の部から不公平だのどうのって言われないの?」
「運動部や文科系でも音楽系や美術系でも授業でいろいろやってるんだからいいでしょう」

先生や部活によって贔屓や特典があるのはどこの学校でもあるものだとは思う。
それに学校の情報の授業なんてネットの使い方やテキスト、
表計算ソフトの使い方しかやらないのだから少しは刺激を与えてもいいと思う。

「こ、こんにちはぁ〜」
「ん?あら、いらっしゃい。ここは漫画ゲーム研究部よ」
「ぉぉぉおおお!!!入部希望者だね!そうなんだね!!さあコレに名前を書いtぐへぇ!!」

扉がそっと開いて、女の子がそっと入ってきた。
それと同時に入部届けをもって飛びつこうとした翡翠の襟をつかんで静止する。
なにか首から素敵な音がしたが気のせいだろう。

「自重しなさい。怯えてるじゃないの。ごめんなさいね、こんなのでも副部長なのよ。ああ、私は部長の五更よ」
「あ、いえ、その、えと……だいじょうぶです」
「ゆっくり、自分のペースでいいわよ。ここに来る人たちはあなたや私みたいに口下手な人見知りか、
 そこのバカみたいにおしゃべりな能天気がほとんどだから」
「ちょっとぉぉぉおおお!!!なにその言い方!?
 これでもみんなが楽しくやれるように色んなところに目を向けてがんばってんだよ!?」
「わかってるわよ、そんなこと。
 でもそういうことって傍からみればピエロみたいに見えるって方がかっこいいのではないの?」
「わたしは努力をみんなにわかってもらえるほうがいい!!」
「くすっ」
「ほら、新入生に笑われてるわよ」
「NooooOOOO!!!!!!!ピエロなの!?わたしって実はピエロなのぉぉおおお!!!???」
「相変わらず騒がしいお( ^ω^)」

翡翠がバカなのかピエロなのかやればできる子なのか話を中断するようにハチが帰ってきた。
手に書類を持っているところをみると入部希望者がいたのかもしれない。
137 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:40:31.56 ID:wpIRZb05o
「ぉぉおおおお!!!ハチ!!その手に持っているのはまさか!!」
「うむ(^ω^)」
「ゃっっt」
「今期の部費額と追加申請の書類だお (^ω^)」
「死にさらせぇぇええええ!!!」
「今日はピンクのフリルつkありがとうございます!! (^ω^)」

翡翠のハイキックがハチの側頭部を打ち抜いて、ハチはは窓際まで吹っ飛んでいった。
その様子をみてさっき来た新入生が目を点にさせている。

「ああ、大丈夫よ。週1回は必ずあることだから」
「そ、そうなんですか?で、でも大丈夫なんですか?ものすごい勢いで跳んで行ってましたけど……」
「久々に心配されたお。五更が入ってきて以来だお (^ω^)」

そう言って、ハチは何事もなかったかの様に起き上がってこちらに向かってくる。
学ランの上下を軽くはたきながらこっちにきているので少々威圧感がある。

「でも顔が(^ω^)では決まらないわね」
「さーせんwwwwww (^ω^)」
「で?勧誘中断して書類取りに行ってただなんて、なにかあったの?」
「2.3人迷ってる子がいたから、本とか機材とかを買えるかどうかを確認したかたんだお (^ω^)」
「ふむ……ということは翡翠は勧誘、
 さらに部費の不安をなくすためにがんばっていたハチに対してハイキックを食らわせたわけね」
「うっ……」
「まあアホの子だから仕方ないお (^ω^)」
「の、ノーカン!!」
「「通るかそんなもん」」
「(´;△;`)」
「それでそっちの子は新入部員かお? (^ω^)」
「あ、はい!え、ぇっと」
「たぁぁぁあああっっっだいまですーーー!!!!!」

ドアを乱暴に開け、大声を上げて愛が帰ってきた。その手には書類が握られていた。
おそらくは入部届けだろう。
一緒に勧誘に行っていた夢とナベがいないところをみると、
勧誘に成功して一人で突っ走って帰ってきた、というところだろうか。
138 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:41:52.27 ID:wpIRZb05o
「翡翠といい、愛といい、なんでうちの元気担当はアホの子しかいないのかしら」
「「ひっど!?」」
「とりあえず、ナベと夢ちゃんはどうしたのかお? (^ω^)」
「え?後ろにいま……あれ?いないですね?」
「アホの子ねぇ……」
「アホの子だお (^ω^)」
「で、でもだって!!」
「ただいま戻りました」
「帰ってきたぞー!さらにお客さんだー!!」
「はじめまして!」

二人が帰ってきて、さらにもう一人がその後ろから笑顔で挨拶をする。
その帰ってきた四人ともが笑っているのをみると新入部員に間違いないだろう。
それにしても……

「私と翡翠といい、愛と夢といい……なにかあるのかしら?」
「「「え?」」」
「くろにゃん、世の中は勝手にバランスをとるようになってるんだお (^ω^)」
「まあ、一方に偏っているよりはいいのかもしれないわね……それからくろにゃんはやめてと何度も」
「おおおおおーーー!!!センパイ!!この娘新入部員ですか!?新入部員ですよね!?」
「ひっ!?」
「おー!新入生!わたしと同じだね!!
 先輩たちからまだ1年ゼロって聞いてたからちょと不安だったんだ!!よろしく!!」
「ひぅ!?ぇ、ぁ、はぃ、よろしくです……?」
「……まぁ、確かにバランスは取れているようだけど」
「だお (^ω^)」
「大丈夫です五更先輩。すぐになれます……7割方悪い意味で」

いつの間にか隣にいた夢が私にそういってくる。
この娘の予想は正しいだろう。
夢と愛が初めて会ったときもこんな感じだったのだから。
無論、私と翡翠も。

「よーし!そんじゃあメンツも集まったところで自己紹介しよう!!」
「イエス!マム!」
「マム!」
「…………すいません、9割方に上方修正でおねがいします」
「正しいと思うわ」

新しいイスとジュースを出しながら新入部員を含めた皆が席に着く。
少し他の部よりも遅れてしまったけど、かまわないだろう。
139 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:42:43.36 ID:wpIRZb05o
「さて、みんな席についたわね?ついでにジュースもあるわね?」

王道ゲーはクソゲーが多い。
だってありふれたキャラクターとありふれたシナリオしか用意されていないのだから。

「おっけーだよ、るりるりー!」
「おなじくです!」
「です!」
「……気にしないでね、それからがんばろうね?」
「あ、はい。……ありがとうございます」
「ハチ、俺ら超外野だぜ?」
「男キャラってのはそんなもんだお (^ω^)」

それでも王道ゲーはなくならない。
そして1年間に数作は高い評価の王道ゲーが出てくるのも事実だ。
それはなぜか、そんなのは決まっている。

「それじゃ、今年度初、新漫画ゲーム研究部をはじめます」

みんな、それが、王道が大好きだからだ。
140 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:43:21.28 ID:wpIRZb05o
「それじゃ、私から。3年で部長の五更瑠璃よ」
「続いてわたし!3年で副部長の六道翡翠だよ!」
「3年で会計の八宝山金剛だお。気軽にハチって読んでほしいお (^ω^)」
「……3年の渡辺翼だ」
「……2年の佐藤愛です」
「……2年の鈴木夢です」
「……この部活って肩書き持つには苗字に数字が付いて、名前が宝石じゃないとダメなんですか?」
「え?いえ……そんなことはないのだけれど……」
「そういえばそうだね?」
「めんどくさいだけだお (^ω^)」
「渡辺です;;」
「佐藤です;;」
「鈴木です;;」
「……まあ、あなたたちも自己紹介をお願いできるかしら?」
「はい!1年の高橋舞です!」
「えっと……1年の九十九琥珀です」
『……ぉお』
141 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/06(日) 17:44:36.83 ID:wpIRZb05o
終わり

時間軸が高校時代になるかはわからないけど
次からは桐乃とかあやせの出番の予定




桐乃の話を考えるとヘビーな話しか思いつかないのはなぜだろう
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:59:36.48 ID:OErX2GSqo
乙!
久々の更新待ってました。
ここからどう本編キャラと絡ませるのか、お手並み拝見。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/07(月) 21:50:05.94 ID:MWXyU1QAO
来てるじゃないですかー

この部のパートすごく好み。
今回いちばん衝撃的だったのは、(^ω^)改めハチ
……ああいうノリの女子だと思っていたら、名前まで仰々しい男子だったとかあばばばばば

ともあれグッジョブb
144 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/11/17(木) 20:37:27.91 ID:32W5AQ5Zo
液晶の下から上にあがる矢印をキッチリ枠内に収めるようにステップを刻む。
悪くないスコア。
だけど、この時点でこのスコアだとハイスコアの更新は難しそうだ。

時間つぶしのために入ったゲームセンターで
空いていたからはじめてしまったけど思いのほか熱くなってしまっている。
ほかの順番待ちの人がいれば早々にやめることもできたけれど、
いなかったから続けてプレイをしてしまった。

初めてこういう場所に来て、このゲームを初めて見たときは
『なんで足だけでいいのに手も一緒に動かしているんだろう?』
なんてことを思っていた。

やってみるとそれがハイスコアに通じる1つの手段だと気づいた。
足と手をバランスよく動かして、重心の位置を整える。
そして次の足運びをスムーズに行かせる。
結局体を動かすのには全身を使わないとうまくいかないということなんだろう。
もちろん中にはただのパフォーマンスでやっている人もいるんだろうけど。

そんなことを考えながらやっていると後半でいくつかミスってしまった。
とりあえず最後だけでもパーフェクトでつないで終わらせる。

「意外と熱くなっていたわね」
「……いるんなら声かけてくださいよ」
「プレイ中に声をかけるのはマナー違反ではなくて?」
「ヒマつぶしだったんだからOKですよ」
「あいにく、私はそこまでしらなかったのよ。待たせて悪かったわね、あやせ」
「いいですよ、呼んでおいたのは私ですから。とりあえずスタバでもいきませんか?瑠璃さん」







先の展開に困ったので相談

1 京介とラブラブしてる桐乃ver
2 兄妹だからで悩んでる桐乃ver
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/21(月) 13:46:37.34 ID:VCBzeAUo0
2がいい
普通の行動しているときは普通なんだけど
デートしたりするとそういうことで悩み始める桐乃と
それを見て楽しませてあげられなかったと勘違いしてどんどんエスカレートする京介で
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 23:00:04.68 ID:d+TdoCCvo
桐京らしさに2828できればどっちでもばっちこーい!
147 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/12/06(火) 21:48:23.05 ID:rCXawqQqo
自スレを持っているというのに他ジャンルに浮気をして
こっちのSSがちっとも進まない俺に
誰か渇を入れてくれ……
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/12/06(火) 21:55:17.67 ID:N+CGHzYWo
まってるぜ
149 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/12/06(火) 21:56:25.92 ID:rCXawqQqo
待っててくれてありがとう
年内には黒あやの対話回を終わらせれるようにがんばる
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 22:35:50.86 ID:JpvUmjTxo
設定気に入ってるので完結するまで気長に待ってるぜww
151 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2011/12/31(土) 21:22:40.92 ID:B689R9jVo
無念
152 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 07:08:03.09 ID:wj0el9eAO
黒猫あけおめー
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 14:31:20.36 ID:Iovd/oySO
154 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:31:53.97 ID:DW0yRV/lo
投下します
155 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:33:15.51 ID:DW0yRV/lo
>>144の続きから



スタバとマックに行ったけれど、人が多すぎて座れなかった。
たとえ座れたとしても、あそこでは落ち着いて話なんてできなかっただろうけど。

『ゆっくり話したいことがあるのなら、静かな場所の方が良いのではない?』

そう言って瑠璃さんが連れてきてくれたのは、テーブルとカウンターあわせて20席ほどの小さな喫茶店だった。
カウンターから近い、窓際の席に座る。
メニューを出してくれて、そこからはどちらも黙っていた。
たぶん、私が話し出すのを待っててくれているんだろう。
そこまで予想が付くのに、なかなか話を始めることができない。

「友達の実家なのよ、転校してからのね」

そんな私を見かねたのか、瑠璃さんが話を始めてくれた。
そんな他愛の無い世間話。
だけど、話の入り口になるには重要な第一声。
おそらくは私を落ち着かせるためのどうでもいい話題。
その気遣いがうれしくて……つらかった。

「……瑠璃さん、変わりましたよね」
「……そうね、桐乃と会う前と比べたらずいぶん変わったと自分でも思うわ。あなたと会ってからもね」
「……わたしはちっとも変わってません、変われ……ませんでした」
「……まあ、何か頼みましょう」
「ほい、今日のケーキセットのケーキだよ〜」

瑠璃さんの言葉を待っていたかのようにウェイトレスさんがケーキを持ってきた。
それも2つ。
まだ頼んでないのに。

「スイ、私もあやせもまだ頼んでないのだけれど?」
「ん?違った?」
「……違わないし、あやせにもケーキセットを勧める予定だったけれど……」
「じゃあ、いいじゃんwwてか、るりるりがうちでこれ以外頼んだことないよ?」
「……あやせはこれでよかった?」
「え?あ、はい。瑠璃さんに任せようとおもってたので」
「ね、オールオッケーだよ。あ、コーヒーと紅茶はどっちがいいかな?」
「そうね……今日はハチはいるの?」
「いるよ〜。たぶん後ろで帳簿みてるんじゃない?」
「ならコーヒーをお願い、今日のハチの気分でね」
「ほいほい。そっちの子はー?」
「え、あ、じゃあ紅茶で」
「よっしゃー!!わたしの出番だー!!ハーッチ!!るりるりから気まぐれコーヒーのご注文だー!!」
「おk(^ω^)」

そう言ってウェイトレスさんはカウンターで紅茶の準備を始めた。
ウェイトレスさんに呼ばれて奥から男の人が出てきて、その人はコーヒーの準備を始めた。
156 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:34:26.68 ID:DW0yRV/lo
「二人とも部活の同僚よ。うるさいし、変人だけれど……頼りになる大切な友人よ」
「……ほんと変わりましたよね。初めて会ったときとは、大違いです」
「いろいろあったもの」
「そうですね……私は過去形じゃなくて、進行形ですけど」
「私は転校して、失恋しただけであの二人との関わりを断ったわけではないわよ?」
「それじゃあ、どっちも進行形ですね」
「早いところ、完了形にしたいものだわ」
「ふふ、そうですね」
「ほーい、コーヒーと紅茶おまたせー。メイド喫茶じゃないから、ミルクと砂糖は自分で入れてねー」

話がひと段落付いたところでウェイトレスさんがコーヒーと紅茶を持ってきてくれた。
テーブルに置くときに瑠璃さんが苦笑いしていたのを見ると、タイミングを計っていたのかもしれない。

「……桐乃とは違った意味でお調子物でしょう?でも、あれでけっこういい子なのよ」
「そうですね。どっちかっていうと加奈子に近いかも……。瑠璃さんの態度で人柄はわかりますよ」
「だよねーwwwwwwるりるり相手によって態度変えすぎだよねーwwwwww」
「……そんなに露骨だったかしら?」

瑠璃さんが不服な顔する。
本人はポーカーフェイスで通していると思っているらしいのが少しおかしい。
スイさんも同じように思ったようでいたずらっぽい笑みを浮かべながら見ている。

「まあ、私の話はどうでもいいのよ」

コーヒーにミルクと砂糖を入れていた瑠璃さんが、視線を下に向けたまま言った。

「今日は『進行形』で『色々ある』あなたの話を聞きに出てきたのだから」

ティースプーンでコーヒーを軽く回した後、ゆっくりと視線を上げて私に言った。

「聞かせてちょうだい。あなたのグチでもなんでも……ね」
「……はい」

少しなんてモンじゃない。
ものすごく変わった、『かつての天敵』。
そして『今一番頼りになる友人』に溜め込んでいた話を始めた。



157 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:36:40.22 ID:DW0yRV/lo
「…………こんなところですかね」
「……そう」

話し始めておよそ1時間。
話の統一性は桐乃とお兄さんだけだった。
それでも瑠璃さんは途中で口を挟むこともなく、
かと言って聞き流すこともなく私の話を、
私の愚痴を最後まで聞いてくれた。

「あの……瑠璃さん」
「なにかしら?」
「その……なにかしら反応がもらえると……嬉しいんですけど」
「…………そうね」

瑠璃さんは少し考えてからそういうと、残ったコーヒーを飲み干して、一息ついてから

「スイ」
「ほーい?」
「あやせに紅茶のおかわり。それと……あやせ」
「はい?」
「あなたの欲しかった『反応』は『事情をしらないスイ』がこたえてくれるわ」
「え……!?」
「ちょぉ!?るりるり!?」

戸惑う私より先にスイさんが瑠璃さんに抗議してくれた。

「聞き耳立ててたんだから、それくらいやりなさい。傍聴料よ」
「じゃなくてさ!こう……あやせちゃんの心情とかがね!?」
「……自分で自分がわかっていない子に、
 誰の目から見ても明らかなことを教えてあげてちょうだい」
「……え?なに?そういうことなの?」
「きっと私からだと
 『瑠璃さんは事情を知ってるからそう思っちゃってるだけですよ』
 とか言って聞く耳もってくれないでしょうから」
「あー……そゆことか。りょーかい、りょーかい。とりあえずおかわり持ってくるよー」
「おねがいね。……あやせ」
「は、はい?」
「……まずスイが聞き耳を立てていたこと、
 私があなたの話について何も言わないこと、
 そして私の代わりにスイにその役目を押し付けてしまったことを謝るわ、ごめんなさい」

瑠璃さんは机に顔が付くんじゃないかというくらい頭を下げて謝ってくれた。

「……その理由は……聞いても大丈夫ですか?」
「……さっきスイにも言ったけれど、聞き耳を立てた程度のスイでも察しが付くのにあなたがわかっていないからよ」
「どういう……ことですか……」
「おまたせー」

瑠璃さんに問いかけるとほぼ同時にスイさんが紅茶のおかわりを持ってきてくれた。

「……それじゃ、あとはお願いね、スイ」
「まかせなって。るりるりの後輩は私がキチっと引導をわたしてあげるからさ」
「おねがいね」

そういうと瑠璃さんはカウンター席のコーヒーを淹れていた男の人の前に座った。
158 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:37:47.65 ID:DW0yRV/lo
「まずは紅茶でも飲みなよ。クッキーは私の手作りでサービスだよ」
「……いただきます」

紅茶にミルクと砂糖を入れて、ゆっくりとかき混ぜてから一口飲む。
おいしい。
さっきよりも香りが良いような気がする。

「さっきのよりいい茶葉使ったんだよ。るりるりと私の無礼を詫びるってことでね」
「それは別に……もとはわたしが……」
「るりるりはさ、きっとあやせちゃんにわかった上で後悔したくないんだよ」
「さっきから瑠璃さんも言ってますけど、どういうことなんですか!?
 私がなんに気づいてないっていうんですか……!?」

自分で苛立っていることがわかる。
自分の愚痴に付き合ってもらうためによんでおいて最悪だ。
それでも感情のブレーキはうまく作動してくれない。
スイさんはそんな私をたしなめるようにクッキーをかじって

「んじゃ、はっきり言っちゃおっか」

そして紅茶を一口飲んでから私に問いかけた。
159 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:38:36.58 ID:DW0yRV/lo
「あやせちゃんは
 『桐乃ちゃんのためにお兄ちゃんとくっつけてあげたい』の?
 『世間体のためにお兄さんを諦めさせてあげたい』の?
 『自分のためにお兄さんとくっつきたい』の?
 とりあえず3択で」







それは私が見えなかった、見ることを拒んでいた『3人のため』に『私』がしたいことの選択肢だった。



160 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:39:41.06 ID:DW0yRV/lo



「おつかれさまだお(^ω^)」
「なにもしてないわよ。結局疲れることはスイに任せてしまったわ」

カウンターに座ってため息をこぼす。
何度かこの手の話をしたときにも今回のような話になったことはある。
それでもあの子は
『自分のこととあの兄妹のことを知っているから、そういう結論になってしまう』
そう言って私の話を聞いて、その問題に目を向けてくれなかった。

「……ある意味、あの子の世界の中心だものね」
「ポーカーフェイスしきれてないお(^ω^)」
「余計なお世話よ」
「そんなくろにゃんにこれだお(^ω^)あ、ブラックで飲まないとダメだお(^ω^)」

ハチはそういってコーヒーを出してくれた。
言われるままにブラックのまま一口飲む。

「……苦いわ」

思わず眉をしかめるほどの苦さ。
しかもなんとも安っぽいこの店、しかもハチが使うとも思えないような豆の味がした。

「古くてぼちぼち捨てないといけないような豆だからお(^ω^)
 それをおもっきり濃くして入れてみたお(^ω^)」
「本当に……クソ不味いわ」

そう言ってもう一口飲む。
苦い、不味い、しかも熱い。
どこをどうってもしかめっ面にしかならないような味だった。

「そういう顔をしたいときは大人しくそういう顔をすればいいお(^ω^)」
「……そういうときは真剣な顔で『泣けばいいよ』とか言うべきなのでなくて?」
「あいにく俺はくろにゃんのそういう相手じゃないお(^ω^)」
「……さすがね」

スイとハチはこれだから侮れない。
これだから安心して任せられる。
私には過ぎた友人たちだ。

「まあ、それでも最後はくろにゃんの仕事だお(^ω^)
 スイも初対面の相手に最後の最後までやってやるほどお人よしじゃないお(^ω^)」
「わかってるわよ」

後ろでは意外にもあやせが黙ってスイの話を聞いている。
もっと取り乱したり口を挟むかと思っていたからこの展開は意外だった。
もしかするとあやせは自分で薄々、自分の奥の思いを気づいていたのかもしれない。
そしてそれを誰から言って指摘して欲しかったのかもしれない。
だとしたら私は酷いことしてしまった。
だから

「……ケリを付けるには早いほうがいいかしらね」
「そんなことはしらないお(^ω^)」
「独り言よ」
「サーセンwwwwww(^ω^)」

最後の締めは私がしないといけない。
私の高校最後の夏。
あの夏の日と同じように、『なにか』を進めるにはいい時期。
そして進めないといけない時期だ。
161 : ◆49H2QUBi7VEi [sage]:2012/02/07(火) 16:40:18.99 ID:DW0yRV/lo
投下終了です



放置が激しいので
スレを落としてpixivとかでやるかを検討中
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/07(火) 17:02:06.61 ID:jUm0k7MBo

ここで続けてほしい
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 17:45:43.65 ID:F/7zTqxKP
乙です
あやせがどんな答えを出すのかは気になるところですね


>スレを落としてpixivとかでやるかを検討中
一読者として楽しみにして身としては、できればこっちで続けてほしいな
とはいえ、>>1がこっちで続けるのが苦しいと言うなら無理強いはできないけども
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:29:52.36 ID:eaNYCQbCo
久々だけどすっごく良かった。
黒猫があやせの相談役になるとか、あやせのアンビバレントな想いとか、
自分も時々想像するネタをうまく書けてるとオモタ

投下先は>>1の好きでいいと思うけど、完結するまで読みたいなー。
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/02/08(水) 22:04:11.90 ID:Vi09YHAAO
おー
おかえりんこりん!

ヤバイ割と真面目なシーンなのにハチがかぁいいぉ(^ω^)
166 : ◆49H2QUBi7VEi :2012/04/09(月) 22:01:11.06 ID:7W/6U+DXo
放置が激しいので落とします
再度SS速報でスレを立てることはないと思います

渋で加筆修正と続きをやるかもしれません
その際は「部猫」のタグをつけて上げます

お付き合いくださった方々、ありがとうございました
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/09(月) 22:31:19.74 ID:QayblxQAO
oh……

長いこと乙でした。
この黒猫のストーリーすごく好きなんで、リスタート期待してるお(^ω^)
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