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上条「俺たちは家族だ」 -
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1 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:39:21.01 ID:Xijnkb2p0
とある魔術の禁書目録の二次創作となります。
原作から十年ぐらいたってます。
キャラ崩壊、矛盾しまくりです。
シリアスも予定していますが、矛盾が出てきそうです。
非常に遅筆です。
文章力ないですけど地の分形式で行きます。
という訳で頑張っていきます。
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/
ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/
今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/
誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/
A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/
真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/
愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/
ハルヒ「最近わたしのss見かけなくなったわね」 @ 2024/05/07(火) 15:04:17.64 ID:FJQjQ6ct0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715061856/
2 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:41:25.45 ID:Xijnkb2p0
上条家の朝は早い。
人数も多い。
「おはよー。そういえば今日アンタご飯担当だっけ」
上条美琴。
23歳。大学の研究職に就いている。
レベル5の第三位『超電磁砲』
一児の親である。
「心は? まだ寝てんのか?」
「寝てる。ああ、これおいしそう」
「顔洗ってこいよ。目やにがすg――なんでもない」
不用意な一言によって電撃が飛んできそうになったが、
14歳の頃とは違い、美琴も大人になっている……のだろう。
美琴の成長について考えを馳せていると、また奇妙な同居人が
目覚めてくる。
何やら不機嫌そうである。
「どうした? ブサイクな面して」
「ベクトル操作で髪の毛抜けさせるぞ」
怖っ! ベクトル操作怖!
一応頭の上に『幻想殺し』を掲げておく。
一方通行。
25歳。大学の講師。
レベル5の頂点『一方通行(アクセラレータ)』
3 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:43:05.53 ID:Xijnkb2p0
「俺はただ今日来るっていう客人にイラついてただけだ」
「仲良くしろよ。結構息あってんじゃん」
「馬鹿じゃねェのか」
かつての第一位。――いや、今も第一位だが――かなり丸くなったものだ。
昔ならそいつと殺しあいになって……今もしそうだが。
「あの人が来ると心が喜ぶんだよ。大目に見てくれよ」
「……チッ」
上条心。
上条と美琴の間に生まれた三歳児。
上条は中学の教師。
美琴は研究職で万年忙しいし、上条は試験前後は忙しくなるので、
一方通行達に心の世話を頼むことも多い。
そして、心は一方通行に懐いているので、心の願いを無下にできないといったところなのだろうか。
「ロリにはやさs――なんでチョーカーに手を掛けて
いらっしゃるんでございますか一方通行アア!?」
――省略。
「朝から少しうるさいかもってミサカはミサカは――なんで
そんなにボロボロなのってミサカはミサカは驚愕してみる」
打ち止め。
今は御坂愛という名前で高校へ通っている。
レベル4の『発電能力者』
4 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:45:28.35 ID:Xijnkb2p0
「何してたわけ?」
番外個体。
今は御坂優奈という名前で大学へ通っている。
レベル4の『発電能力者』
「男には譲れないもンがあンだよ」
「つまりロr」
「三下ァァァァァァァァァ!!」
「男の人は分からないってミサカはミサカは頭を振ってみる」
「ロリで譲れないことがあるんだよ☆」
大きな誤解を抱いたまま、二人は食卓に着く。
「朝から超うるさいんですけど」
絹旗最愛。
23歳。某大学へ通う。
レベル4の『窒素装甲』
「なんか当麻さんと一方通行がロリで譲れないことがあるらしいよ、
ってミサカはミサカは報告してみる」
「超キモいですね」
バッサリとした評価を下す。
誤解された二人が報われないが、自業自得かもしれない。
「あんた達うるさいわよ。
はやくごはん食べちゃいましょうよ」
「パパとあーくんなにしてるの?」
「見ちゃだめよ」
「一方通行……」
「あァ……一時休戦だァ」
5 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:46:39.32 ID:Xijnkb2p0
上条家の朝食は簡単だ。
パンがあるときには一気に焼いて野菜や卵などをそれぞれが
勝手にはさみ、食べるというものだ。
ちなみに本日は、
「納豆は嫌いかもってミサカはミサカは不服を申してみる」
「ミサカもパンの方がいい」
白米、納豆、味噌汁、卵、漬物等。
「文句言ってねェでとっとと食え」
「こころはちゃんと食べてるよ!」
「あァ、心は偉いなァ」
幼い少女は意外にも一方通行に懐いている為、打ち止めや番外(ミサカ)個体に
とっては例え三歳児であっても、ライバルであることに変わりはない。
もっとも一方通行はそんな気持ちに微塵も気づいていないが。
「やべっ! 俺もう行くから。
今日は他の学校の先生とかと会議あるから遅くなると思う」
「そうなんですか。あの人と一方通行が喧嘩にでもなったら
止めるのは超あなたしかいないんですが」
6 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[sage saga]:2011/04/05(火) 22:47:44.23 ID:Xijnkb2p0
絹旗は一方通行と同じく今日の来客にそこまでいい感情を抱いてはいない。
かつて殺しあったのだから。
上条と一方通行、美琴と一方通行、妹達と一方通行のようには
割り切れないのだ。
「えーっと……大丈夫だろ。な、一方通行?」
「多分大丈夫だァ」
例え納豆が朝食に出ても、構わずコーヒーを飲む一方通行は応じ、
はやく行けと手を振る。
「じゃあな、皆」
「「「いってらっしゃい」」」
「行ってきます」
朝早く出かけるのは辛いが、一番早く出ると皆に送り出されて
いい気分で出勤できる。
「やっべ 携帯忘れた」
もう一度上条は同じことを繰り返すが。
7 :
SDM
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/05(火) 22:48:57.84 ID:Xijnkb2p0
今日はとりあえずここまでです。
こんな感じで基本ほのぼので進めていきます。では
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/04/05(火) 23:08:56.20 ID:mGC3vTW30
このほのぼのとした感じいいなぁ…
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/04/05(火) 23:10:18.63 ID:Qd3zRzrKo
他は納得できるが、何故絹旗?
今後の展開を待つ。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/04/05(火) 23:10:42.51 ID:9JGhQAzAO
上に同じ……
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/04/05(火) 23:28:42.65 ID:PmplNi79o
そりゃあれだろ、
>>1
が彩愛ちゃんまじ最愛だからごり押したんだろ
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(四国)
[sage]:2011/04/05(火) 23:42:34.58 ID:Gk15kNPAO
>>11
いやいや俺がさいあいちゃんマジ最愛ちゃんだからだろうに
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/05(火) 23:46:45.21 ID:z0my2XpDO
最愛ちゃんの尿は黄金のような輝きを放って、触れるもの全てに光と温かみを与えてくれた
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪)
:2011/04/05(火) 23:58:30.93 ID:dadWqAQO0
↑コラwwwwwwww
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(三重県)
[sage]:2011/04/06(水) 00:24:10.19 ID:nHWzBhr30
あーくん…
何かデジャブ。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage ]:2011/04/06(水) 00:29:49.36 ID:C0CTOD630
絹旗がいるなら黒夜も欲しかったな。
純粋な一方シスターズってことで
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
[sage]:2011/04/06(水) 00:40:34.89 ID:STH0P6lso
>>1
しね
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(四国)
[sage]:2011/04/06(水) 00:44:10.24 ID:2XWIZWhAO
>>17
……やはり福岡……
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/04/06(水) 00:45:16.63 ID:O+5B7D0y0
県名表示って便利だなwwwwww
乙(`・ω・)つお茶
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/04/06(水) 02:35:08.50 ID:ygZpWt3Oo
久しぶりに妄想たっぷりのSSを読んだ
続き期待。
絹旗は一方通行の能力をパクった繋がりじゃない?
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/04/06(水) 09:14:22.41 ID:obeMfbMk0
>>20
だからこそ黒夜たンを入れなかった
>>1
に異議あり
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/06(水) 14:38:46.68 ID:M60/GpNho
楽しみなSSがまた始まった・・・!
続きwwktk
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(佐賀県)
[sage]:2011/04/06(水) 15:40:30.72 ID:c3z3PVHgo
4行目で読む気失せた
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪)
:2011/04/06(水) 20:52:32.12 ID:/hv1HYn00
・・・・で続きはどうしたのかね
もう一日たってるのだが
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/06(水) 21:13:14.06 ID:1R7WZ5um0
上琴多いなー
26 :
◆2HmVr0xgUY
[ saga]:2011/04/06(水) 22:08:46.11 ID:cEXq6W180
どうも
>>1
です。
ほのぼのといってしまいましたが、シリアス(バトル要素少なめ)の長編が
次回の投下が終わったら続く予定です。
オリキャラがまた出ます。
ほのぼのを楽しみにしてくれた皆さんには申し訳ないです。
なぜに絹旗? そして何故黒夜がいない?
という声がありましたが私が絹旗が好きですし、絹旗の同居の話は書いていく予定です。
黒夜はキャラがあまり掴めていませんが頑張って出そうと思います。
みなさんレスしてくれてありがとうございます。
ふくおかさんまで。
次回は金曜日か土曜日になります。
遅筆でごめんなさい。では
27 :
◆.5wljPk1.c
[ sage]:2011/04/06(水) 22:12:42.55 ID:cEXq6W180
酉間違えました……すみません
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(兵庫県)
[sage]:2011/04/06(水) 22:25:58.06 ID:V5KEeBlOo
いや、貴方が絹旗を出す理由じゃなくて、作品内で同居理由が書かれると嬉しいなって事なんですけど
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/06(水) 22:57:31.27 ID:xuW0U8gyo
> 絹旗の同居の話は書いていく予定です。
と書いてあるが……?
30 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:04:31.52 ID:dfCrY3GX0
「先生―! いまのとこもっかいお願いしまーす」
「私もー!」
「はいはい分かったから。静かに」
いきなりだが。
教師は大変な仕事である。
と上条は実感している。
中学生なんかは特に生意気だし、教師同士のの付き合いもある。
おまけに担任なんて持ったら大変だ。
上条は新米なので担任は受け持っていないが、それでも
小萌先生の大変さが十分分かった。
自分たちの学生の時と比べたら全然かわいい方かもしれないが。
「まず――ここで接弦定理が使えるので、ここは30度だ
そして――」
上条は能力開発関連の授業は持っていないが、一般科目の授業を持っている。
上条は基本的にお馬鹿さんだったので、生徒の気持ちは十分に分かっているせいか(自称)
そのおかげか、上条の授業は分かりやすいと生徒の評価も高い(上条調べ)
「分かったか?」
「「はーい」」
「じゃあ次は――――」
31 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:06:09.59 ID:dfCrY3GX0
――キーンコーンカーンコーン
「気を付け。ありがとうございましたー」
ありがとうございましたー。と適当に三十人ちょいの中学二年生の
挨拶が終わると、上条は教室を出て職員室に向かう。
今は四時間目だったので次は昼食だ。
「今日はパンだなー」
今朝は割と早かったので美琴に昼食は買うと言って
何も買っていない。
「どうしよう……」
職員室につき、お疲れさまでしたー。と挨拶をしていき、
とりあえず学校の外の近いコンビニでも行くか、と腰を上げた時、
「上条先生いますかー?」
二年生の授業を持っている生徒の女子グループが職員室に入ってきた。
「? どうかしたか?」
「先生! お昼休み一緒に食べましょうよ。
私たちの教室来ていいですから」
「ああ、そう……」
前にも何回か同じことがあり、教室に行ったら割とかわいい子たちだったので、
クラスの男子からキツイ視線を受けていたので、出来れば遠慮したい。
(あれは学生時代をなんか思い出すし……俺には美琴がいるし……)
「じゃあ行きましょうか」
「そ、そうだ! 今日ごはん忘れちゃったんだ!
外に買いに行くから今日は遠慮すr」
「じゃあ私たちのあげますよ」
「え、ああ……うん」
32 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:07:42.63 ID:dfCrY3GX0
(ていうか、俺既婚者だって分かってるよね?
指輪だってしてるし……何回か聞かれたこともあるしな……。
いやいや考えすぎだ。ただお昼ごはんを一緒に食べるだけじゃないか。
教育者たる俺が何を考えているんだ)
(……しかし腕まで組んでいる……別に興奮はしないが
これ美琴に見られたら俺ヤバいよな……)
「あれ? 当麻さん超なにしてるんですか?」
突然降りかかってくる天の声。
これは上条家の絹旗最愛の声であるが、彼女がこんなところにいる訳がない。
しかしゆっくりと首を曲げるとそこには包みを持った絹旗が驚いた顔をして立っていた。
「え? なんでいんの?」
「え? もしかして先生の奥さんですか?
やば! みんな呼んでこようよ!」
「え、何それ超名案なんですけど」※絹旗ではありません
「……」
「…………」
(……気まずい)
しばらく二人は無言でただずんでいたが、口火を切ったのは
絹旗だった。
「何してたんですか……?
女子生徒と超イチャイチャして? ロリコンなんですか?
――はっ!!?」
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/08(金) 15:08:11.07 ID:f9D6X6uro
生徒にもフラグビンビンとか流石上条さん
34 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:08:54.76 ID:dfCrY3GX0
(え? 何これ腕組んでただけじゃん!
でも美琴にチクられたら終わる! それに最後の「――はっ!!?」は
なんなんだ)
絹旗はそのままのポーズでしばらく固まり、
わなわなと体を震わせ――
「……今朝一方通行と話してたのも
どうせ小学生と中学生どっちがいいとかでしょう!
ロリが何とか、譲れないものがあるとかって超言ってましたよね!?」
(やべー! 何この誤解!
やべーよ、最高に飛ンじまったぞクソ野郎!!
いやいやそうじゃなくて最愛をどうにかしないと)
それに、タイムリミットがおそらくヤバい。
このままでは女学生たちが戻ってきて、この場面を見たら
上条先生ロリコンなんですか!? キャー! キモ。死ね。
Orzとなってしまうだろう。
「と、とにかくこっち来い」
とありあえず絹旗の手を引き、(そういう行為がOUTと気づかずに)空き教室に入る。
「な、なんですか?」
暗部にいたせいかまともな青春を送ってなかった(と経験者は語るby一方通行)
絹旗は手を握られたことが恥ずかしかったのか顔を赤らめている。
もちろん上条はそんなことに気づかない。
「あー。そうだな」
頭をかきながら何やらおとなしくなった絹旗に向けて説明する。
35 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:10:23.02 ID:dfCrY3GX0
「俺は生徒に教室で一緒に飯食おうって誘われただけだ。
そんで……まあその時に最愛が来た……って訳だ」
「でもお弁当もお財布も超忘れて行きましたよね?
携帯取りに帰ってきたのに」
「え? マジで……マジだ」
スーツのポケットを探り肩を落とす上条。
「あー……これから買いに行くっつったら、分けてくれるって言うから」
(言い訳がましいけど大丈夫か?)
「「……」」
「じゃあ……私の超勘違いだったと」
「……まあ」
見つめあう二人。
――そこには気まずさしかないが。
36 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:11:38.71 ID:dfCrY3GX0
「超ごめんなさい……」
「いや、全然大丈夫。
……そういや最愛は何でここに来たわけ?」
思い出したとばかりに絹旗は持っていた包みを差し出す。
「財布も忘れたんで美琴がご飯作ったのを、超暇だったんで私が届けに来たんです」
「最愛が作ったんじゃないのか……」
「何で超残念そうにしてんですか」
いやー、不器用な最愛ちゃんにお弁当作れたのかなーって
一瞬淡い期待をしただけだよ。と上条は心の中だけで言う。
鈍感野郎もそれなりに気遣いを覚えた……のだろうか。
そこに、
「上条せんせー?」 「そっちの綺麗な方は……?」
「何してんですか!?」 「何歳ですか!!?」
「学校ですよココ!?」 「上条先生の奥さんですか!?」
先ほどの女学生たちがドアを開け、上条、絹旗に質問をぶつける。
「いや違うから……友達だよ」 「いや〜……そういうのでは」
37 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:13:17.68 ID:dfCrY3GX0
***
放課後。他校へ行く電車の中で、
「忘れてたけど美琴にありがとうってメールしとくか」
メールを送信し、再び電車に揺られる。
五分と経たないうちに携帯が鳴る。
「ん? 『リメイク』の話もあるらしいから早く帰ってきて……?」
「新たな波紋の予感……」
「てか、アイツらちゃんと仲良くできんのか?」
***
38 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/08(金) 15:15:50.92 ID:dfCrY3GX0
今日はここまでです。
いやー……なにか違和感がぬぐえない……もうちょっと
文章書く練習してきます。
次は日曜日か月曜日です。
シリアスの導入にはならないかも……。
ではまた今度。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/04/08(金) 20:14:40.35 ID:GpoaQVtAO
もう絹旗が嫁でいい
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/04/08(金) 20:58:07.98 ID:3csF9CMg0
乙ー
待ってるよ
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage ]:2011/04/08(金) 23:10:48.33 ID:5/JkvY9c0
乙乙!!
頑張ってくれ
42 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:07:15.84 ID:lRG4NpCA0
「そろそろお客さんくるわよー?」
美琴はキッチンから心に呼び掛ける。
「じゃあ、お姉ちゃんと一緒にお片づけしようか、ってミサカはミサカは
心ちゃんを誘ってみる」
御坂心は上機嫌だった。
今日の客人はもともとのルックスもいいし、社交性もある。
年の離れた兄弟又は年の離れた従兄といったところだろうか。
「……」
「イライラしすぎ」
「……チッ」
対して一方通行は不機嫌だった。
何せ『アイツ』が来るのだから。
珍しく番外個体にまで舌打ちする様子だ。
「大体何でアイツが来るンですかァ?」
「ミサカはちょっとしか聞いてないけど、
単純に遊びに来たわけじゃなくて、『リメイク』関連で何かあるらしいよ」
「……そォなのか?」
「うん」
「………、」
43 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:08:18.34 ID:lRG4NpCA0
『リメイク』――かつて一方通行は暗部組織のシステムを撤廃させた。
しかし、それによって学園都市の治安は悪化。
そして新生『アイテム』の呼びかけにより
元『グループ』『スクール』のメンバー。
上条当麻、御坂美琴、妹達、削板軍覇、黒夜海鳥などが所属して
親船学園都市統括理事長直属の治安維持組織だ。
リーダーは他に仕事がない垣根で、
親船からのオファーがあると、誰かが動くことになっている。
「そう。なんか違法実験を押さえるんだってさ」
「……何で言わねェンだよ」
「朝言おうと思ったけどなんか騒いで忘れたんじゃない?」
「……ハァ」
――ピンポーン はーい!
心が嬉しそうに玄関に出ていく。
その後ろ姿を見て、
「まァ、心の前でそンな話したらブチ殺すけどな」
「ちょっとー。私の娘よー?」
美琴がおかしそうに言うが、
44 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:09:04.76 ID:lRG4NpCA0
「……ふン。
――俺たちは家族だろォが」
45 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:10:58.52 ID:lRG4NpCA0
「「「「………」」」」 ←美琴絹旗番外一方
「何恥ずかしいこと言ってんだお前」←垣根
「え」
***
「「「「いただきま(ァ)す」」」」
「おいしー、ってミサカはミサカは賞賛してみる!」
「ありがと」
「もォだめだ……恥ずかしィ」
「……超大丈夫ですよ。カッコよかったです」
「あーくんどうしたの?」
心は父親似のやや垂れ目の目を向けて一方通行を心配し美琴に尋ねる。
「まぁ、キャラが違うって言えばそれまでよね」
「?」
「つまり、あーくんは女たらしだ――危なっ!
フォークが音速で飛んできたよ!」
「それでも十分弱ェ方だろォが」
たしかにそうなのが恐ろしい学園都市の頂点である。
「垣根。心に変なこと教えないでよね」
ぐりん! と垣根がジト目で美琴を見る。
46 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:13:13.54 ID:lRG4NpCA0
「……いっつも気になってたんだけど、垣根じゃなくて帝督と……」
美琴が垣根さんでダメ出ししてきたのはそっちだろ
メルヘン野郎と返す前に御坂姉妹が
「それは遠慮したいかも、ってミサカはミサカは心の中で呟いてみる」
「そんなんだからセフレしかいないんだよ」
「最近はそのセフレさえもいないんだよ……」
「おい。心の前で何話してンだよ。てかオマエはやく結婚しろよ。
間違えた。早く帰れよ」
大人たちの汚い会話を聞かせないように一方通行は心の耳を
ふさぎつつ言った。
「さすが家族だな」
「うるせェ」
「ていうかそれ当麻さんのセリフ超パクってますよね」
「……確かに」
「うるせェ! もォいいだろォが!」
「あーくんご飯の時大声出しちゃめー!」
「……スマン」
それから二時間ほど夕食の時間が続き、心がこっくりしてきた
ところで美琴が寝かしつけ、番外個体と打ち止めは珍しく宿題が
あると言って寝室へ戻っていった。
47 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:14:47.13 ID:lRG4NpCA0
「……じゃ、そろそろ話してもいいか」
匂いが移る。ていうか帰れ。冷蔵庫に。
と言われたのでベランダで煙草を吸っていた垣根が
リビングに戻ってきて、コーヒーを飲んでいる美琴と一方通行に言う。
「当麻が帰ってきてからの方がよくない?」
「もう帰ってくる。さっき見えた」
――ただいま。
その言葉通りやや疲労した表情の上条はリビングを見渡し、
心はやっぱ寝ちまったか。とさびしそうに言う。
「いいパパさんじゃねえか」
「上条。オマエさえよけりゃもォ話進めてェンだが」
垣根の話を遮るように一方通行が顔を向ける。
垣根の方は見ないようにして。
「俺はいいけど……最愛は?」
「忘れてた……風呂だ」
上条的には昼のことは出来れば美琴の耳には入れたくない。
なので、ハブにしたらあることないこと上条に八つ当たりして美琴にばらされそうだと踏んだので、
「最愛が出てくるまで待った方がいいだろ。俺もちょっと腹減ったし」
「そうだな。あいつがいたほうがいい」
二十分ほどして絹旗が慌ててクリームやら塗り、
これでも超早い方なんです! と胸を張られても、男性陣にはよく分からない。
「じゃあ始めるぞ」
48 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/11(月) 20:17:39.47 ID:lRG4NpCA0
今日はここまでです。
できればもっと投下量を増やしたい……。
次回は水曜日か木曜日で
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 21:08:31.41 ID:7UIe7mSAo
今追いついた
中々面白いなwwwwww
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/11(月) 21:11:25.09 ID:WE46KEsMo
乙乙
『リメイク』ってどっかで聞き覚えがある・・・なんだっけ?
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage ]:2011/04/11(月) 22:21:29.07 ID:RT2ftnjH0
楽しみ
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
[sage]:2011/04/12(火) 00:29:08.25 ID:awo4NGzho
乙
なんか新しい感じに期待
53 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 20:53:48.19 ID:mqoUDFNZ0
垣根の声が真剣味を帯びたものになり、上条も食べていたパスタの手を止め、皆も垣根に注目する。
「昨日の昼。親船から連絡があって仕事のオーダーが入った。メンバーは上条、一方通行、絹旗、結標も入れたかったが他に仕事があるらしい」
「時間は」
「明日23時。詳しくはメールで送るが、違法実験をしている研究所の解体および研究者の拘束、あと被験者の救出だ」
「それなら俺一人で大丈夫だろ。こいつら連れてくる必要はねェよ」
「――『暗闇の五月計画U』」
「「「!!?」」」
『暗闇の五月計画』――一方通行の演算パターンを分析し、それらを強引に植え付ける
ことによって『自分だけの現実』を強化するという実験。
「どォいうことだ」
「被験者は二人だ。何の能力かまでは分かっていないが、レベル3とレベル4が二人だ」
「私が入っているわけは……」
「俺もいくつかレポートを見たが、ありゃ酷い」
絹旗はその実験の被験者として、かつての自分にわずかに
思いをはせた。
54 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 20:54:40.46 ID:mqoUDFNZ0
垣根はそんな絹旗の様子を見て裏付けを取る。
「つまり、役割分担としては、一方通行が制圧。上条が対能力者。絹旗は応急処置と冥土帰しのサポートってとこか。
要は被験者を回収して冥土帰しのとこまで運ぶ。それで任務完了」
「……それ上条いらなくね?」
一方通行は学園都市第一位。普通に考えれば、レベル4に負けるとは考えられないが、
「黒夜とは浜面がいなかったら負けてただろ」
「……チッ」
黒夜海鳥。
絹旗と同じく暗闇の五月計画の被験者。
今は『リメイク』での仲間だが、かつて暗部組織を撤廃してすぐに一方通行達と戦い、レベル4の範疇を超え、
サイボーグに木原数多のベクトルを挿入した。『窒素爆槍』のレベル4。
「確かに超一理ありますね」
実際に黒夜と戦った絹旗も同意する。
「だろ。そういう訳だから、相性もあるけど相性さえピッタリならまず負けない上条に
とありあえず被験者二人は任せる」
「……なあ」
今まで黙って話を聞いていた上条は垣根の方に顔を向ける
「ん?」
「なんで襲ってくる前提なんだよ」
55 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 20:55:30.33 ID:mqoUDFNZ0
「……、」
垣根は一瞬レポートのことを説明しようと考えたが、
その前に
「……あの実験で一番大きな成果をだしたのは私と黒夜です」
絹旗が続け、先ほどとは様変わりしている声に、上条は振り返るが絹旗は大丈夫ですとばかりに瞳を向けるだけだ。
一方通行も今まで詳しく聞いたことのなかった実験の詳細を黙って聞いている。
「『自分だけの現実』の強化など一定の成果は出ていましたが、本来の目標であったレベル5には繋がらなかった」
「「「…………」」」
かつての垣根は『スクール』と『アイテム』との抗争で絹旗にそのことについて指摘しているが、
理由まではきいたこともないし、考えたこともなかった。
「なぜなら……一方通行の演算パターンを植え付けられるからつまり、他の人格が自分の中に入ってくるのと同じです」
美琴は『絶対能力進化計画』だけが地獄ではなかったことを再確認していた。
「……、」
「だから、大体の人は精神が不安定になり、二重人格のようなものになったひともいました。
私はそれほどでもないですが、黒夜が興奮すると一方通行のような口調になるのはおそらくそれと似たものです」
56 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 20:58:37.09 ID:mqoUDFNZ0
「……、」
「……もォいい。
だから精神が不安定で襲ってくる可能性を考慮した方がいい。そォいうことか」
…………………………
……………………
………………
…………
一通り話が終わり、
「そうか。じゃあ俺はそろそろ帰る。親船への報告もあるしな」
「おお、お疲れさん」
垣根が席を立ち、上条と美琴が玄関まで出る。
「ありがとな、今日は楽しかったぜ」
「ありがとう。心も嬉しそうだったわ」
「……」
「……なあ垣根。最愛は大丈夫だと思うか」
57 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 20:59:42.39 ID:mqoUDFNZ0
「何の話だ」
「……だから、過去のトラウマを刺激するような……」
「大丈夫だ」
垣根は扉を開け、四月の生ぬるい空気を吸い込み、背中を向けて言う。
「暗部にいた時には、もっと酷いことは山ほどあったはずだ……まあお前の言うことも分からんでもないが」
上条は拳を握りしめる。
美琴もかつての絹旗を思い出し、目を伏せしばらく無言の時が続いた。
「一方通行は言ってた」
沈黙を破ったのは、こちらに背中を向けたまま、月を眺めたままの垣根だった。
「『俺が絹旗と会ったときは淡々としたもンだった』って」
「でも、今日のあいつの態度は違った。同じ被験者に対して、思うことがあった。
それはさ、悲しいことを悲しいと思えるようになった
っつうか、命の大切さが分かったっつうかそんな感じじゃないのか」
58 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 21:00:44.59 ID:mqoUDFNZ0
うまく言えねえけどな、と小さく笑って付け足す。
「そうね。多分私たちが止めても最愛は行っちゃうんじゃないかしら」
美琴も上条を見上げて言う。
「……そっか、そうだよな。悪いな色々昔のこととか思い出しちまって」
「…………じゃあもう帰るわ、また呼んでくれよ」
「呼ばなくても来るじゃない」
「また来いよ」
――バタン。
「……確かに最愛は最近おかしい」
「え?」
美琴は閉まった扉を見つめなたままポツリとつぶやいた。もちろんそんなふうには見えなかった上条は驚き、目を見張る。
「なんかぼーっとしてることが多いっていうか、なんか考え事してるのよね……」
「そんなこと言われても上条さんにはまったく心当たりがないのですが……」
「私も上条さんだからね。というか鈍い上条さんには何も期待してないよ」
トンと上条の胸を押して、リビングへ引き返す美琴。こりゃあ厳しい、と上条も付いていが、美琴は振り返り、
「でも……もしものことがあったら……」
「ん?」
「最愛のこと、頼んだわよ」
「ああ。任せろ」
59 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/14(木) 21:02:23.06 ID:mqoUDFNZ0
今日はここまでです。
レスありがとうございます。励みになります。
次回は未定です……一週間以内には来れるようにするので。
ではまた次回
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/14(木) 21:08:04.43 ID:fsPQlbf4o
乙〜
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/14(木) 21:19:47.70 ID:r47+KG/IO
乙です
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)
:2011/04/15(金) 02:30:22.03 ID:eDWaWSrj0
早く続きが読みたいwwwwww
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/15(金) 03:09:14.08 ID:U5ohiFF4o
なんか状況が掴めない
64 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:47:02.44 ID:H0i2PFU80
一方通行、絹旗、上条の三人は親船が手配した車に乗って第十九学区の研究所へ
向かっていた。
一方通行、絹旗は銃を簡単に分解し、メンテナンスをしていて、
上条は手を怪我したら教えられないとのことで、使用し始めたグローブの調子を
確かめていた。
「つゥか、オマエにグローブなンざいらねェだろ。殴って怪我したことねェンだし」
「いやいや、これには衝撃吸収も入ってるからな。結構いいんだよ。
超電磁砲クラスの攻撃だと結構衝撃くるんだよな……あとフィアンマとかインデックスの攻撃とか」
今度インデックスに電話するか……と呟いている上条によく分かンねェ力だ、と一方通行は銃を組み立てていく。
「最愛ホントに大丈夫か? 今からでも帰れるぞ?」
「子供扱いですか? てか超しつこいです。美琴に今日のこと言いつけますよ」
「それは勘弁してください……」
以前。
一方通行は殺し合いになるかもしれないというのに、のんびりとしているな、と上条に嫌味を言った覚えがある。
65 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:48:08.17 ID:H0i2PFU80
すると、殺し合いじゃない。そいつを更生させてやるんだよ。てか『リメイク』に入れてやる。
とキレ気味に返されたのをこういう雰囲気の度に思い出す。
「絹旗。とっとと組み立てろ。上条は決め台詞の練習でもしてろ」
「分かりました」
「分かっ……ってねーよ!」
「つきました」
運転手が車を止め、降り立ったのは普通のビル。
しかしまわりには建物らしい建物が全くなく、ポツンとビルが突っ立っていて、
なんだか異様な空気を醸していだしていた。
「じゃァ、行ってくる」
「おう」
「はい」
少しの間。かつての自分を思い出し、ビルを見上げていた。
やがて左手が幾度か改良をを加えたチョーカーへ伸び、
学園都市最強のレベル5『一方通行』が立っていた。
66 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:49:03.41 ID:H0i2PFU80
「……上か」
一方通行は偶然出会った研究員らしき男を近くの部屋に放り込み、被験者の居場所を吐かせた後、能力を使って気絶させておいた。
「…………」
一方通行は階段を上りながら携帯電話を取り出し、建物の外で控えている上条にコールする。
「どうした?」
「……さっき会った研究員に被験者の居場所を吐かせたンだが……」
「?」
「遅かった。
レベル3の方……男だったらしい。そっちは4日前に実験中に暴走して研究者たちがレベル4の奴に殺させたらしい」
「……くそっ!!」
「……」
一方通行は携帯電話を握りしめる。
階段を上り角を一つ曲がると、変哲のない扉が見えてきた。
「上条。俺は今からレベル4の確保に入る。
3分経って連絡がなかったらお前らも入ってこい。場所は――――」
67 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:50:05.79 ID:H0i2PFU80
パチン。と携帯電話をしまいドアの前に立つ。
一瞬どのように入るべきか迷ったが、ドアノブを強引にカギごと粉砕して中に入ることにした。
ガン! 鈍い音が響き、ドアが半開きになる。
一方通行はドアの掴み、中へ入っていく。
そしてターゲットを見つける。
簡素な部屋だった。
どうやらここに住んで実験をしていたらしい。
別に珍しいことではない。
実験の被験者となる子供の多くは『置き去り』を利用したもので、死んだことにでもして、研究所に行くが、
学校に所属があるわけでもないので、こういったケースは珍しくない。
数少ない家具である椅子に丸まって座っている少女に声をかける。
「オマエがこの実験の被験者か?」
「……アナタは……?」
顔はよく見えないが、透き通る幼い声だった。
やはりレベル4の被験者とは彼女のことだったらしい。
68 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:51:10.72 ID:H0i2PFU80
「……俺は、一方通行だ」
「――――ッ!!」
ガン!! 鈍い音とともに一方通行は無様にも入ってきたドアから外へと吹き飛ばされていく。
チョーカーのスイッチは能力使用モードだった。
しかし一方通行は敢えてその拳を受けた。
「…………」
「くそがァァァァァああああああああああ!!」
更に彼女の右手が振り下ろされる。
がしっ。と今度は一方通行はその拳を受け止めた。
「…………」
「私はっ!! なンで! くそ、くそっ!!」
一方通行に掴まれている拳を振りまわし、引き剥がせないと悟ると空いている左手を一方通行に振り下ろすが、
それも同じように受け止められ、一方通行と彼女は鼻がつくほどに接近して、見つめ合う。
「……オマエ。右目が見えてねェのか」
「……、ここだけじゃない」
「……」
彼女の右目は半開きになっていて、本来の役割を果たしていなかった。
先ほどの動きをみると、足か腰も悪いようだ。
69 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:52:27.83 ID:H0i2PFU80
(実験の影響か……)
互いに手を掴みあい、距離を保ったまま彼女が口を開く。
「アンタは何しにきたンだよ…………私は違うところに連れてかれるの……?」
彼女の口調が戻り、力が抜けて後ろに手をついて倒れこむ。
そんな様子を見て、一方通行はさっきの言動は自分の人格が出ていたのだと分析する。
「俺は、『リメイク』っつう部隊の構成員で、この実験の凍結にきた」
「…………」
「オマエはこれから有名な医者ンとこに連れてって治療する。その後はどォ生きようがオマエの勝手だ」
「…………戻れる、の?」
「……あァ」
「私は人を何人も人を殺したのに?」
「……そォだ」
一方通行は立ち上がり、携帯電話を取り出し上条達へ連絡を取る。
「あァ……そォだ。分かった」
彼女はいまだに信じられないような顔で、一方通行の姿を眺めていた。
70 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:54:18.03 ID:H0i2PFU80
一方通行は上条への連絡を終えると、彼女に向き直る。
「……俺を殺してェか?」
「――――!」
彼女の精神が不安定になった一方通行の名を聞いた時の原因。
彼女を変えた要因。
「……今までは、殺してやろうとおもってた……だけど……」
彼女は眼を伏せ、しばらく言葉を考えていた。
一方通行は静かにそれを待っていた。
「私を助けてくれたのは、あなただった、から」
「……ただの偶然だ。たまたま俺がこの任務に選ばれただけだ。
俺が自ら行くっつった訳じゃねェ。そンな理由だけでオマエは俺を許せンのか?」
彼女はかつての打ち止めを彷彿させる。
自分が原因であるはずなのに。そのせいで自分が傷つけられたくせに、その原因である一方通行を庇う。
少女は、また少しだけ考え、
「………じゃあ、許さない。だから……」
「外のことはよくわからないから、色々教えて欲しい」
久しぶりだった。こんな感情を抱くのは。
まるであの頃のようだ。
「……ちっとは警戒しろっつうの」
71 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:55:17.89 ID:H0i2PFU80
***
「へー、名前は柊葵っていうのか」
第七学区の病院の一室で、休日の土曜日。上条もよく入院していた部屋のベッドに、少女は座っていた。
まわりには、上条家が勢ぞろいしていた。おかげで、割と広いこの病室も少し狭く感じてしまう。
「………」
『暗闇の五月実験U』の被験者であった少女――柊葵はこれまでとは百八十度変わった環境にただただ戸惑うだけだった。
と、部屋の片隅に不機嫌そうに座る一方通行は分析していた。
過去の自分を参考にして。
「ちょっと、当麻さん。葵ちゃんが超引いてるじゃないですか」
「え? いやいや引いてないよ、なっ?」
「……ちょっと、近いです」
必死に発したといった感じの小さい声が、繊細な上条の心をえぐる。
「ほーら! 学校の先生なのにそんなことも分からないなんて、超ダメダメですね」
「言われてみればそれが本職だよね、ってミサカはミサカは同意してみる!」
「……ぐはあっ!」
72 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:56:40.96 ID:H0i2PFU80
そこに、トイレに行っていた美琴と心が帰ってくる。
「おえねーちゃん!!」
美琴の手を離し、葵のベッドによじ登り、胸に顔をうずめてしまう。
こういうときの子供の人懐っこさと可愛さには、一歩通行さえ打ち勝つことはできなかったな。と美琴は思い出す。
「えっ、ちょ…………、かわいい」
それは、この少女でも同じだったようだ。
他愛もない会話を皆がして、それにたまに葵に質問して答える……といったことがしばらく続いた後、
冥土帰しが病室に訪れた。
「ちょうど良かった。みんなもいてほしい。いいかな?」
73 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/21(木) 18:58:54.76 ID:H0i2PFU80
以上です。
展開が早すぎるのは勘弁して下さい……。
最近環境が変わって忙しいので、余り書けないかもしれません。
申し訳ないです。では一週間後に。
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/04/21(木) 20:26:18.08 ID:VclZnCVzo
なんていい場面で寸止め。。。
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
[sage]:2011/04/21(木) 23:31:56.23 ID:yF6qt6kSo
乙
待ってる
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2011/04/22(金) 17:13:48.92 ID:WxkEq1hAO
>>50
ワイシャツのアレ
77 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 19:42:42.82 ID:d394o5r80
九時頃に投下します
78 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:25:33.70 ID:d394o5r80
「……俺たちがいた方がいいだァ?」
「そうだ。そして、ここは病院だ。これからの話を聞いてもあまり騒がないでほしい」
各自に沈黙が訪れる。今までの行為を反省したわけではなく、冥土帰しの言葉の意味を考えているのだ。
――騒ぎたくなる内容だ。ということだ。よい話か悪い話かはさておいて。
「……なんですか」
葵が小さな声で、しかし確かに声を発する。
冥土帰しは、葵の目を見つめ、皆の注目を浴びつつ、
「…………柊葵さん。あなたは、このままでは二年以内に死亡する」
「「「――!!」」」
「ちょ、それって――」
「どういうことですか!!?」
「先生!」
「……」
「実験で使用されていた薬の副作用だ。脳や体の機能にもこれから大きな障害がでてくるだろう。目はとりあえず麦野さんと同じ形式の
義眼を手術したけれど……それも、脳がやられればだめだ」
一同の中に衝撃が走るが、それを破ったのは絹旗最愛だった。
「どういうことですか!!? なんで! なんで……私の時の『実験』ではこんな薬ありませんでしたよ!?
あれから……十年ですよ……なんでそんな薬を使うんですか!!?」
79 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:26:36.90 ID:d394o5r80
「それは君たちの専門だろう? まあ、僕なりに考えたこともある。
おそらく、絹旗さんのときとは時代が違うんだよ。アレイスターが死に、学園都市にはあのような非人道的な実験は
なくなったとは言わないが、激減したと言えるね? それがどういうことか分かるかい?」
「……つまり、そンな大規模な実験を行うのは難しい。だからこンな副作用が出る薬が出回ったって訳か」
「僕の考えはそうだ」
何度目かの深い沈黙。それぞれが、冥土帰しと一方通行の言葉の意味を噛みしめていた。
「……当然の報いです。私は『実験』で何人も殺してきました。だから、わたしは…………死んで当然です」
「――そんなことはない」
葵を、上条が遮る。
「こんなに優しいじゃないか。……葵ちゃんは何も悪くないよ。悪いのは実験を止められなかった俺達や研究者たちだ」
「……でもっ!」
「私は、友達さえその手に掛けたんですよ……自分が……きる……に」
葵は次第に顔を伏せ、くぐもった声を漏らす。
80 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:27:35.41 ID:d394o5r80
「……誰も助からないなんて言ってないよ?」
「……え?」
一同は今まで黙ったいた冥土帰しに一斉に目を向ける。まだ彼の話は終わっていなかったのだ。
「今はその方法は分からない。だけど必ず見つけて見せる。患者に必要なものは何でも用意する。
用意するべきものが分からないなら、見つけるだけだ。それが僕の仕事だからね?」
つまり何の手がかりもないということ。しかし彼が自信満々にいうと、なんでもやってしまいそうな気がする。
根拠など何もない。貫録も何もない一人の人間が放った言葉に、ここにいた人間は完全の信頼をした。
「……ハッ。ンなら最初っからそォ言えってンだよ」
「ぎゃははっ☆頼りにしてるよ。せんせ」
「よろしくお願いします。ってミサカはミサカはお願いしてみる!」
「先生……」
「げこげこせんせぇかっこいー」
「心ちゃんったらっ」
「流石超大先生!」
「じゃあ、また来るよ」
「…………良かったな」
「…………」
81 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:28:52.87 ID:d394o5r80
***
週末。上条と柊葵は上条宅の前に来ていた。
第七学区の住宅街の割と大きな一軒家に葵は圧倒されているようだった。
「ここが……お家……ですか?」
「そっ。じゃあ行こうか」
入院してから二週間がたち、あれからリハビリを受け、冥土帰しの判断もあり、二週間に一度検査を受けるということで、
退院することになった。
そして、もちろん葵の引き取り先は、上条家となった。
カードを通し、玄関を開け葵を中に招き入れる。
「お、お邪魔します……」
「気負わないでくれよ」
「はい……」
玄関から廊下を通り、リビングへつながる扉を上条があける。
そこに、クラッカーの音が鳴り響いて……
「退院おめでとー! そしてようこそ我が家へ!! ってミサカはミサカは……」
「「「「…………」」」」
「…………」
扉を開けた上条の頭上に落ちた。
82 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:30:32.20 ID:d394o5r80
「はーっ。忘れてたのはごめんって言ってんじゃん」
「あれはない。何回も打ち合わせしたじゃない」
「俺たちっぽくてよくね?」
「………」
「それ超行きあたりばったりってことじゃないですか?」
「ぱぱかっこわるーいっ」
「ぐぁ……」
「ぎゃはっはは! 何だよ第一位! 最終信号が大きくなったからって、新しい奴連れ込んだの!!?」
「…………なンでオマエがいンだよ」
上条、美琴、絹旗、心、葵のテーブルとは少し離れてところに、一方通行と黒夜海鳥が同じ席に着いていた。
「私が来たのは、一応『リメイク』だからっつーことで、絹旗ちゃんに呼ばれたんだけど」
「……あァそォ」
一方通行はそれ以上何もいわず、食事を口に運んで行く。
絹旗が黒夜を呼んだのは、同じ実験の被験者として黒夜の意見も聞きたかったからなのだろう。
「……まぁ、もっともアイツは私じゃなくて、絹旗ちゃんの方に近い能力だよ。私も調べたが……すげぇ能力だった。
アイツはどうやっても今の私じゃ倒せない」
「……どンな能力なンだ」
『今の私』――サイボーグを使用しない黒夜の戦闘能力。
プライドの高い黒夜にここまで言わせるとは、相当な能力だろうと一方通行はあたりを付ける。
83 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:32:16.34 ID:d394o5r80
「私からは言えないなあ」
「は? オマエ真面目に――」
一方通行は言葉を切って目を見張る。
黒夜海鳥は口調こそふざけていたが、目つきは鋭いものとなっていた。
「どンな能力だ?」
はー、と黒夜はため息をつき、ちらりと葵の方を見てから口を開く。
「絹旗ちゃんと同じっつっても……あれから十年。そして薬は粗悪品。私達とは根本的に違うところもある」
「違うところ……?」
「アイツは……ってかこれ言っても大丈夫かな……一方通行がなんかドヤ顔で迫ってくるからなんか話しちゃったケド。本人は嫌だろうし」
「はァー。海鳥ちゃンが気遣いねー……大人になったなァ」
「うざっ! こいつうざっ!」
「なになにー? 何の話―? ってミサカはミサカは空気を呼んでいたけど割り込んでみる!」
「やっぱり一方通行は貧乳が好きなんだ。ぎゃは☆」
「だァれが貧乳なンですかァ!!?」
「食事中だ」ゲンコツ
「いたっ」
「怒られてるーぎゃは☆」
「オマエも煽るんじゃねェ」ゲンコツ
「うう……」
ギャース!! ワーワー!! ウルセェ! シズカニシロォ!
「…………、」
84 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:33:19.60 ID:d394o5r80
――――葵は一人思う。
――あの時。
私は、一人の少年を殺した。
暴走し、最早役立たずとなっていた少年を。
私は嫌だと、言った。
けど。
アイツらは私をあの状態にして、殺させた。
涙さえ出なかった。
もう、そんなものは、とっくに錆びていた。
――だけど。
ずっと一緒だった。
キスもした。
いつか一緒にここを出ようって誓った。
一緒に。
二人で、一緒に。
85 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:34:26.27 ID:d394o5r80
そんな私が、ここにいていいのか?
一方通行は言った。
そンなもンは逃げでしかねェって。
すぐに偉そうなこと言ってゴメンって言ってたけど。
妹達の大きい人は言った。
それであなたは他になにがあるの? と。
そうかもしれない。
上条さんは言った。
お前の決めることだ。と。
そうだ。
絹旗さんは言った。
何でも相談にのります。と。
ありがたい。
86 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:35:12.50 ID:d394o5r80
皆私のことを思って、答えてくれた。
――なら。
それに答えればいいのか?
それすら私には分からない。
どうすればいい?
――――私は。
最後に行き着くのは、いつでも同じ。
――――私は、ここにいていいのか?
87 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/04/26(火) 21:37:06.40 ID:d394o5r80
今日はここまでです。
ちょっと痛いかもしれませんがご勘弁を。
次回少し時間がかかると思います。申し訳ないです。
ではまた次回
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/04/27(水) 00:01:26.35 ID:Ug5JQL6IO
乙
待ってる
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage ]:2011/04/27(水) 10:52:47.83 ID:Bn2NdhWp0
待ってるぜい
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/05/11(水) 19:09:43.77 ID:AZxcgx0Vo
マダカナー
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/05/23(月) 16:00:26.76 ID:5CzgmLw50
mada-?
92 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/23(月) 17:24:08.00 ID:bNNYIKJG0
すみません一か月もまたせてしまい……申し訳ないです。
日曜日ぐらいまでには投下します。すみません。
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/05/23(月) 19:04:41.54 ID:SeQh+yqN0
まあ期待してるから頑張ってくれや
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/05/29(日) 14:47:05.13 ID:y7jEqQ1fo
さて、日曜だ
95 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:31:02.20 ID:lihvrd8M0
少ないけど投下します
96 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:32:27.47 ID:lihvrd8M0
休日、一方通行は葵を連れて、第七学区の病院に来ていた。
とある事情から付き添いすることにしのだった。
「はァ……つってもここも暇だがなァ」
「だから付いて来なくていいっていったじゃないですか」
「あァ――……もォ終わったのか」
「暇だって言ってましたよね?」
「言ってねェよ」
二人は会計を済ませ、外に出る。
五月になり、季節は春から夏の色が濃くなっている。気温も二十度が越えることがほとんどになってきた。
「……で、何だって?」
「いや……別に何も言ってなかったです。特に異常なしってとこですね」
「…………」
この少女は学園都市の実験により、冥土帰しから余命二年を宣告された。
今のままでは、対処療法もない。
しかし彼女の顔に、絶望などの色はなかった。
「はァ……どっか寄って帰るか?」
そんな葵を見て、一方通行も先ほどの話題を終わらせる。
「え? いいんですか!?」
「あ、あァ。なンか買ってやるよ」
予想以上の食いつきっぷりに、若干後退するが葵はそんなことは気に留めず、嬉しそうに鼻歌まで歌っている。
「あンまはしゃぐなよ」
「わかってますよっ」
***
時刻は四時半ごろ。病院を出たのが二時過ぎ。
二時間近く買い物をして、へとへとになった一方通行と葵は帰り道をたくさんの荷物を持ち、上条家に向かって歩いていた。
「重ェよ」
「モヤシですね」
「モヤシゆうな」
97 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:33:20.79 ID:lihvrd8M0
他愛もない会話を続け、家に向かって歩いていく。
「今日は、楽しかったか」
「……はいっ」
「そォか」
そんな日常は、あっさりと砕かれる。
「あン?」
一方通行は違和感を感じる。
「……人がいねェ」
暗部のにおいを。
「……、」
油断しすぎだクソボケ。と一方通行は歯を噛みしめる。そもそも一方通行が検診に付いて行ったのは護衛の為だ。
「…………」
左手をチョーカーに手を掛ける。
この手に少し力を加えれば莫大な演算能力は復活する。
「オマエは俺が蹴散らしてる間に逃げろ。分かったな」
「……」
――――その時は来る。
道の曲がり角から、数台の駆動鎧が出現し二人に突っ込んでくる。
「とっとと逃げろォ!!」
一方通行はこれを迎え撃つためにチョーカーのスイッチを入れ、音速を超えるスピードで、突っ込む。
ゴン!! という轟音が学園都市に響き渡る。
結果は明快だった。全ての駆動鎧はひしゃげ、残骸が散乱していた。
98 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:34:24.17 ID:lihvrd8M0
道の曲がり角から、数台の駆動鎧が出現し二人に突っ込んでくる。
「とっとと逃げろォ!!」
一方通行はこれを迎え撃つためにチョーカーのスイッチを入れ、音速を超えるスピードで、突っ込む。
ゴン!! という轟音が学園都市に響き渡る。
結果は明快だった。全ての駆動鎧はひしゃげ、残骸が散乱していた。
「!!!?」
一方通行は驚きに目を開いた。
彼女が撃たれたから――ではない。
一方通行の目は捉えていた。
柊葵の体表面近くで複数の銃弾が空間移動するのを。
「くっ、はっ。くひゃひゃひゃがああぎっ」
彼女が覚醒する。
「オマエ――!!!」
葵の背後にいた数台の駆動鎧が更に銃弾をばら撒くが、
「ぎゃははっ。ぐっははは!!」
一方通行の『反射』と柊葵の『空間移動』によって駆動鎧がゴミクズと化していく。
先日の黒夜海鳥との会話を思い出す。あの『窒素爆槍』ですら敵わないと言わせた葵の能力。
そして黒夜海鳥の『攻撃性』より絹旗最愛の『防御性』に似ているという。
「……そォいうことか。……お前の能力は――」
99 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:35:04.87 ID:lihvrd8M0
しかし一方通行はセリフを切った。
そして葵が意識を失い倒れていくのを受け止めた。
「…………?」
銃弾を受けたわけではない。しかし完全に彼女は意識を失っていた。
「チッ! 次から次へと!!」
一方通行は葵を担ぎ、再び冥土帰しのところまで飛ぶ。
一歩通行は気づかなかった。
近くのビルの屋上にたち、一部始終を見ていた人影を。
そして、その人影はこう評した。
「衰えたな。一方通行」
100 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:36:40.23 ID:lihvrd8M0
垣根提督は微妙に混乱していた。
「おいおい……そんな奴が黒幕かよ……ヤバくね? やっちゃっていいの? ……いいんだ……まあ大丈夫だろうけどさ……え? 今すぐ? 無理無理!!
てか俺一人? ……あと麦野だけ? ……分かったよ。はいよ」
御坂美琴の友人の『リメイク』のサブメンバーが研究所から持ち出したパソコンなどの解析と、先ほど一方通行達がぶちのめした駆動鎧に乗っていた
奴らを第五位に預け、尋問させたところ、黒幕は統括理事会の一人だということが分かり、親船から拘束を命じられたのだ。
第四位の麦野沈利の二人で。
「まあ一人で大丈夫なんですけどね」
上条当麻は困惑していた。
「ええっ!!? マジで? 大丈夫? うん……うん…………ふうん精神面の圧迫か…………うん。分かった、じゃあな」
仕事場で携帯に一方通行から襲撃の一件を知らされ、実はもう垣根から連絡の入っていた上条はなんとかやり過ごす。
今回の黒幕拘束に一方通行は使えない。
殺しかねないからだ。というのが不採用の理由らしい。
そして、その一方通行と共に暮らしている、打ち止め、番外個体は論外として、絹旗も当然。上条、美琴も動きがバレないようにするため、出ることはできない。
ということで、最低限のメンバーでもっとも拘束に適しているということで、垣根と麦野が今回の任務を持つことになったという。
101 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:37:16.30 ID:lihvrd8M0
「……大丈夫かな」
誰にともなく言う。
そしてそれは誰にでもあてはまった。
黒夜海鳥は説明をしていた。
一方通行に、柊葵の能力について。
「アイツの能力は空間移動系の能力者で、一方通行の自動防衛機能を獲得した。……うんまあきけよ。……だからァ! ……発動条件が一方通行の精神が全面的に出る
ってこと。そう。……私のよりひどいね。一方通行はキチガイじみた時みたいな感じに近い……ってか近かっただろ。……ま、そゆこと。うん
……分かった、じゃ」
「アイツ……」
なんだか今のアイツをみていると、どうしようもなかったあの頃を思い出す。
血にまみれた。クソッタレなあの頃を。
「大丈夫だよ」
102 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/05/29(日) 16:39:27.83 ID:lihvrd8M0
勢いで書いたんでちょっとミスとかあるかもしれないです。
あと2,3、回で終わると思います。
また時間かかるかもしれませんが二週間以内には一度投下したいと思います。
では
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(滋賀県)
[sage]:2011/05/29(日) 21:01:00.19 ID:2KfDbldQo
乙
次の投下楽しみにしてる
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[sage]:2011/06/10(金) 19:30:43.36 ID:Aag8deVZ0
待っている
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/06/11(土) 15:25:03.12 ID:IAzCtH1R0
まだ?
106 :
◆.5wljPk1.c
[ saga]:2011/06/24(金) 20:58:15.35 ID:FZgQfF9w0
二週間とか言ってすみません。忙しくてかけてないです……。
そして、これから二週間海外に行くので書けそうにないです。
構想は練れてるんで、帰ってきたら書きます。次回の投下は七月十日前後になると思います。では
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/11(月) 18:16:22.26 ID:IAtheVNW0
はい
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/18(月) 09:21:39.66 ID:azRIU7EH0
もう落とせよこのスレ
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/21(木) 22:54:54.01 ID:0WWI6ZC80
まだ帰ってきてないのか
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/26(火) 13:17:54.84 ID:FrpITCxY0
書く気がないならもう落とせよ
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(九州)
[sage]:2011/09/06(火) 16:14:23.29 ID:8FCuatUAO
削除依頼ぐらいは出せるだろ
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[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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