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カズイ「俺の居場所、みんなを守るためにこの機体――ストライクで俺は戦う!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:15:13.20 ID:G+Kwiw0ho
―C.E.71年5月8日 アラスカ基地―

ブリッジ内部には不穏な空気が流れている

『ザフト軍を誘いこみサイクロプスで戦力の大半を奪う』

アークエンジェルはその為の人身御供
連合の本部に僅かな戦力しか配備されていないことも
はみ出し者ばかりが集められていることも、全ては計画の一部であった
大挙するザフト軍に阻まれ脱出は不可能

カズイ(どうしてこんな事になってしまったのだろう……)

軍に志願したときは、こんな事になるなど思いもしなかった

カズイ(もういやだ……こんなところで死ぬために志願したわけじゃないのに……)

その時一体のジンの機銃が艦首を捉えた

カズイ(うわぁあああ……もうダメだぁあああ……)

誰もが死を覚悟したその時
一発の光弾がジンの機銃を貫いた

カズイ(あれは……まさか………)
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:16:47.66 ID:G+Kwiw0ho
C.E.71
革命戦争、私設武装組織ソレスタル・ビーイングによる、地球圏規模の武力介入を経てもなお
地球=プラント間の溝は埋まらず、国連軍の引き起こした血のバレンタイン事件を契機に、
両陣営は本格的な武力衝突へと突入した

開戦当初は擬似太陽炉搭載型MS GNX-603Tジンクスを中心に、プラントを遥かに上回るMS保有量を誇る
国連軍の勝利は必至と思われていた
しかし、国連軍よりも高い科学力を持つプラントは、擬似太陽炉の技術をジンシリーズに転用し
圧倒的な生産力をもってその量産、配備を進めた
その軍力をもって、地球のライフラインである軌道エレベーターの一つ『アフリカタワー』を占拠

その後も国連軍を封じ込めるために、『タワー』『天柱』更には各地のマスドライバーを制圧
地球ではニュートロンジャマーによって原子力発電までもが封じられたために
深刻なエネルギー危機に見舞われ、戦局は硬直したまま約一年と半年が経過した
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:17:44.49 ID:G+Kwiw0ho
『オーブ解放作戦』
擬似太陽炉研究において、プラントに遅れをとることとなった国連軍は
秘密裏にオーブの協力を得て、ジンクスの量産、及びGシリーズの生産に成功
そのデーターを基に量産されたジンクスUと、ストライクダガーがこの戦いで初めて投入された
そして、国連軍の圧倒的な戦力によってオーブはその保護下に置かれた
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:18:28.26 ID:G+Kwiw0ho
―6月23日 学園都市―

混迷する地球にあって中立を貫き、プラントをも上回る科学力を持つ学園都市
ここでは薬物や催眠を用いて人為的に超能力を開発する、記録術が行われている
カズイ・バスカークは学園都市、第七学区の陣代高校に転入することとなった


カズイ「ヘリオポリスのカトーゼミから転入してきた
    カズイ・バスカークです」

生徒A「ヘリオポリス? あそこはザフトの襲撃を受けて五ヶ月も前に崩壊したんじゃないのか?」

生徒B「一体どういう奴なんだ?」

クラス内が俄にざわつく

青髪ピアスの青年「何やカミやん面白そうな奴が転入してきたなあ。ちーとばかし気ぃ弱そうやけど」

上条「ああ、そうだな」

小萌「それじゃカズイちゃんの席はですねぇ……
   上条ちゃんの後ろですね」

まるで小学生のような体躯を誇る女教師が指を指す

小萌「上条ちゃん、ちゃんとカズイちゃんの面倒を見てあげるのですよ」

上条「ういーっす」

カズイ「あ、あのよろしく上条くん」

上条「よろしくな、カズイ」

ツンツン頭の少年――上条は気さくに返す

小萌「それじゃ早速授業を始めるですよ」

こうしてカズイ・バスカークの学園都市での生活が始まった
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:19:29.34 ID:G+Kwiw0ho
―放課後 繁華街―

男1「ねぇ、僕? お兄さんにお金貸してくれない?」

カズイ「………」

いつの間に自分の周りを数人の男達が取り囲む
明らかに紳士的な雰囲気とは言い難かった

男2「おいおい、聞いてんの?」

カズイ(鬱陶しい……)

男3「僕ら今日のメシ代、足りなくて困り申し上げてんのよね」

カズイ(こういう時に採るべき行動など決まっている)

カズイ「い、いくらですか?」

気が弱く腕力もない自分にはこうすることしか出来ない

男1「うーん……一万円ぐらいかな?」

カズイ「ど、どうぞ……」

素直に財布から紙幣を取り出す
学園都市が独自に製造しているものだ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:20:11.78 ID:G+Kwiw0ho
男3「おいおい、一人一万円に決まってますでしょ?」

カズイ「え?」

男3「もしかして貸して頂けないの?」

男2「そりゃねーぜ、今日の夕飯どうすんだよ?」

カズイ(俺こそ今日の夕飯どうすればいいんだよ……)

男1「仕方ないよね、困ってる俺らに金貸してくんないこの子が悪いんだよ」

突然、カズイの体が宙に浮き壁に叩きつけられた

カズイ「っ……」

男1「どうよ僕の能力、テレキネシス」

カズイ「うぅ……」

男3「ほらさっさと金お出しになっちゃいなよ」

そういって男が胸ぐらをつかみ腕を振り上げた時

?「おい、うちのクラスメイトに手ぇ出してんじゃねぇよ」

男3「どなただテメェ?」

男2「なに? この子の友達?」

上条「だったらどうなんだよ?」

男2「ちょうどよかったこの子からお金を借りようと
   思ってたんだけど彼、渋っててね」

男3「君がお貸しくださるのか?」

上条「断る」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:21:29.52 ID:G+Kwiw0ho
男2「だろうな。おい、まさる!」

まさる「任せな!」

先ほどテレキネシスを繰り出した男が構える

まさる「吹き飛べや!」

カズイ「か、上条、逃げて!」

上条「………」

上条は無言で右手を構える
するとどういう訳かテレキネシスが働くことはなかった

男2「不発ぅ?」

カズイ(まさか……打ち消した?)

上条「まだやんのか?」

男3「なんだよこの方の能力は?」

まさる「ひ、退くぞお前ら」

男2「お、おう……」

上条「はぁ……大丈夫かカズイ?」

カズイ「あ、ああ。ありがとう助けてくれて」

上条「別に気にすんなって」

?「ちょっとあんた?」

中学生ぐらいであろう女子が声をかけてきた
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:22:18.04 ID:G+Kwiw0ho
上条「何だ、ビリビリ中学生か……」

?「ビリビリじゃなくって御坂美琴、いい加減覚えなさい」

カズイ(御坂美琴って……まさか常盤台の超電磁砲?)

レベル5の一人『超電磁砲』
学園都市に来てまだ日の浅い自分でもその名は知っている

上条「で、今度は何なんですか? また勝負ですか?」

美琴「そうよ、この前は何故だか私の電撃が通じなかったけど
   今日こそアンタを焦がしてやるわ」

カズイ「上条、その子は?」

美琴「……アンタ誰?」

カズイ「そ、その俺は……カズイ・バスカーク。上条のクラスメイト……です…」

美琴「ああ、そう。こいつの知り合いってことはアンタも変な能力を持ってるわけ?」

上条「こいつ学園都市に来たばっかでな、身体検査も記録術も受けてねーんだよ」

美琴「ふーん。それよりもアンタ、今日こそ決着付けるわよ」

上条「ったく、懲りねー奴だな……カズイ、また明日な」

カズイ「あ、うん……」

カズイ(上条くん大丈夫かな……)

その様子を遠くから何者かが見つめている

男「ターゲットを発見しました。如何致しますか?」

?『捕らえろ』

男「はっ!」


カズイ「学園都市って変な人が多いなぁ……」

カズイ「記録術を受けると俺もああなるのかな?」

男「………」

カズイ「……? 俺に用ですか?」

男「………」

カズイ「がはっ……」

腹部に激痛が走り意識が遠のく
カズイを気絶させた男は端末を操作する

男「目標を確保しました」

?『連れ帰れ。直ちに実験を開始する』

帰還命令を受けた男はカズイを連れて闇に消えた
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:22:52.87 ID:G+Kwiw0ho
―プリベンター―

革命戦争の終結後、地球連邦直属の治安維持部隊として
国連軍とは異なる組織体系で地球圏の治安維持を影から支えている

モニターの前にはスーツを纏った長髪の女性
さらにその前には無愛想な少年と長い髪を三つ編みにしばった少年が立っている

レディ「ヒイロ、デュオ。君達に任務だ」

デュオ「俺とヒイロなんて珍しい組み合わせだな」

ヒイロ「………」

レディ「これを見てくれ」

モニターにカズイと彼を誘拐した男が映しだされる

ヒイロ「これは何だ?」

レディ「この少年はカズイ・バスカーク。『原石』と目されている少年だ」

デュオ「『原石』? この気弱そうな少年がねぇ……」

レディ「彼は現在ブルーコスモスに誘拐され、対コーディネイター用の
    強化兵士開発の実験台となっている」

ブルーコスモス――反コーディネーター思想を信奉する者達の総称である

ヒイロ「任務はその男の救出か」

レディ「その通りだ」

デュオ「なるほどね……で、ガンダムはどうするんだ?」

レディ「一応カトルを待機させるが、出来ることなら秘密裏に救出をして欲しい。
    また今回の任務にはミスリルからSRT所属の相良宗介軍曹が出向することになっている」

ヒイロ「ミスリルが参加するのか?」

レディ「ミスリルは『原石』であろう彼の能力を非常に重視しているようだ」

デュオ「そんなにすごいやつなのか? そのカズイってのは」

レディ「恐らく、メンデルで生み出されたスーパーコーディネイター……
    彼をも凌駕しうる力を秘めているだろう」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/06(水) 22:23:22.84 ID:cyrF6bADO
こういう多重クロスは二次創作板とか理想郷とかでした方が良いと思うぞ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:23:34.33 ID:G+Kwiw0ho
―6月24日 ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―

カズイ「っ……ここは……?」

目覚めると見知らぬ天井が目に映った
周囲には無機質な実験器具が置かれている

ジブリール「お目覚めかね?」

カズイ「あ、あなたは?」

身なりの良さそうな中年の男性が話しかける

ジブリール「私の名はジブリール。ブルーコスモスの幹部だよ」

カズイ「ブルーコスモスだって? どうして俺を?」

ジブリール「君はコーディネイターに対して劣等感を抱いているだろう?」

カズイ「………?」

ジブリール「当然だ。彼らはおぞましい遺伝子操作に手を染め、我らを遥かに凌ぐ才能を得ている。
      そんな連中が跳梁跋扈する世界を君は認めることが出来るかね?」

カズイ「一体何を言って……」

ジブリール「私は君に力を与えたいと思っている。彼らコーディネイターを殲滅する力を」

カズイ「な、何をするつもりなんですか?」
12 :>>10 すまん違いが良く解らなかったもので [saga]:2011/04/06(水) 22:26:57.27 ID:G+Kwiw0ho
ジブリール「ただの記録術さ。君に眠る能力を解放するのだよ」

カズイ「俺にそんな力は……」

ジブリール「あるのだよ君には……」

カズイ「まさか!? いや、それよりも、コーディネイターを殲滅するなんて……」

ジブリール「フフフ、コーディネイターに対する恐怖が拭いきれていないようだな。
      だが安心するがいい、再び眠りにつけば君は対コーディネイター用の
      最強の強化兵士として生まれ変わるだろう」

カズイ「お、俺にそんな気は……」

ジブリール「さぁ、安らかに眠るがいい……」
13 :>>10 すまん違いが良く解らなかったもので [saga]:2011/04/06(水) 22:28:37.38 ID:G+Kwiw0ho
―6月25日 教室―

カズイが誘拐されてから二日が経った

青髪ピアス「なあ、カミやん。カズイ、今日も休んどるで」

土御門「転入二日目にして不登校だにゃんて、妙な話だにゃあ、カミやん?」

上条「一体どうしたんだカズイの奴……」

上条と親しげに話すのは青い髪にピアス、金髪にサングラスという妙な扮装の少年たちである


―放課後 職員室―

小萌「はぁ……」

黄泉川「小萌先生、何だか元気ないじゃん。何かあったの?」

転入生の欠席に気を揉む小萌に声をかけたのはジャージに後ろ髪を縛っただけ、というラフな格好の女性である

小萌「黄泉川先生、それが昨日から転入生のカズイちゃんが来ていないのですよ」

黄泉川「どうせ風邪かなんかじゃん、そんなに気にすることじゃないじゃんか」

小萌「でも彼の寮に連絡しても応答が全くないのですよ」

神楽坂「月詠先生もですか? 実は私のクラスの相良くんもなんですよ」

黄泉川「神楽坂先生のクラスの転入生じゃん」

神楽坂「ええ、一体どうしたのでしょうか?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:30:08.65 ID:G+Kwiw0ho
―ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―

ジブリール「どうだね彼の様子は」

研究員「想像以上です。稀有な空間認識能力や高度な反射神経を保持し
    身体面においてもかなりのポテンシャルを秘めています」

ジブリール「それは素晴らしい……」

研究員「それだけではなく、高度な演算能力をも有しています。
    また、ひと通りの検査から彼の能力は自身の視覚、空間認識能力の大幅な強化であると思われます。
    彼の演算能力と組み合わされば、的確な戦況予想、効果的な戦術の
    構築が可能となるでしょう」

ジブリール「彼の目覚めが楽しみだな」


―研究所前―

宗介「待っていたぞ。プリベンターのヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェルだな」

デュオ「ああ、俺がデュオでこっちの無愛想なのがヒイロだ」

宗介「了解した。よろしく頼む」

ヒイロ「ああ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:31:18.49 ID:G+Kwiw0ho
―研究所内部―

宗介「カズイ・バスカークは地下16階。研究所深部で実験を受けているはずだ」

デュオ「地下へはどうやって行くんだ?」

ヒイロ「カードキーは研究員が持っているだろう」

宗介「力づくか……あまりスマートとは言えんな」

デュオ「じゃあどうするってんだ?」

宗介「いや、今は時間が惜しい。その方法で行くぞ」

ヒイロ「問題はどの研究員が地下へ続くカードキーを持っているのかだ」

宗介「手分けをしてカードキーを持つ研究員を探すぞ」

デュオ「へいへいっと」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:33:15.05 ID:G+Kwiw0ho
―30分後―

ヒイロ『こちらヒイロ。収穫は今のところ無い』

宗介『こちらウルズ7。状況は前に同じだ』

デュオ「こちら、デュオ。状況は前に……っと、ビンゴだ!
    こちら、デュオ。地下へと向かう研究員を発見した。直ちにカードキーを奪ってくる。
    ヒイロ達はさっきの場所に戻っていてくれ」

ヒイロ・宗介『了解』

デュオ「さてと……こんばんは、兄さん」

研究員「誰だ貴様は?」

デュオ「ちょいとすまねぇなっと……」

研究員「ぐっ……き、貴様……」

デュオ「さて、戻るとしますか」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:06.18 ID:G+Kwiw0ho
―10分後―

デュオ「待たせたな、お二人さん」

ヒイロ「待ったぞデュオ」

宗介「あまり時間をかけないでくれ」

デュオ「お前らなぁ……」

宗介「早速地下へ向かうぞ」

ヒイロ「了解」

デュオ「はいよっと……」


―深部―

デュオ「誰もいねぇぞ」

ヒイロ「妙だな」

宗介「だが好都合だ、カズイ・バスカークを捜すぞ」


―5分後―

デュオ「こっちは駄目だ」

ヒイロ「こっちもだ。そっちはどうだ相良」

宗介「ビンゴだ」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:37.78 ID:G+Kwiw0ho
―研究所地下―

カズイ(ここに連れて来られてからどれくらい経ったんだろうか……)

ジブリールと名乗る男の言葉を思い返す

カズイ(確かにコーディネイターは怖いし、正直嫉妬してる。
    だからって殲滅するなんて……非道だし、無理に決まってる)

カズイ(戦争が嫌だから学園都市に来たのに……)

宗介「ビンゴだ」

カズイ(! 人の声……あの男じゃない!?)

宗介「起きろ! カズイ・バスカーク」

カズイ(今度は何をする気なんだ……)

カズイ「やめてくれ、俺はコーディネイターを殲滅する気なんて無い」

宗介「? 何を言っている。俺はお前の救出に来た、ミスリルのSRT所属、相良宗介軍曹だ」

カズイ「ミス…リル?」

デュオ「宗介、早くそいつを連れてずらかるぞ」

宗介「了解した。カズイ・バスカーク、ともかくここから
   脱出をする。走れるか?」

カズイ「う、うん……」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:23.85 ID:G+Kwiw0ho
―研究所外―

デュオ「大丈夫か? カズイ?」

カズイ「大丈夫……だけど…君たちは?」

デュオ「俺はデュオ・マックスウェル。こっちのムッツリがヒイロ・ユイ」

カズイ「君たちもミスリル?」

デュオ「俺らは違うんだが……」

ヒイロ「デュオ、話はここから退避してからだ、見てみろ」

カズイたちの周囲にMSが数機展開している

カズイ(あれってストライクダガー?)

宗介「囲まれているようだな」

デュオ「仕方ねーな。カトル、後は頼んだぞ」

カトル『ええ、分かりました。サンドロックで応戦するのでデュオ達は早く脱出してください』

通信終了後、曲刀を携えたMSが出現した

カズイ「が、ガンダム? 君らは一体?」

ヒイロ「行くぞ」


―研究所外 合流地点―

宗介「このヘリコプターでトゥアハー・デ・ダナンへ向かう。お前たちも来てくれ?」

カズイ「とぅあは……何だって?」

宗介「トゥアハー・デ・ダナンだ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:52.69 ID:G+Kwiw0ho
―6月26日深夜 日本近海 トゥアハー・デ・ダナン―

テッサ「ようこそ、トゥアハー・デ・ダナンへ、カズイ・バスカークくん」

カズイ「ど、どうも?」

カズイ(女の子?)

マデューカス「大佐、彼が?」

テッサ「ええ、ヒイロさん達が持ち帰ったブルーコスモスの
    研究報告書では間違いなく『原石』であると」

カズイ「『原石』?」

テッサ「『原石』とは自然界の偶然作用によって
    超能力を発現させた異能者の事です」

カズイ「俺がその『原石』ってやつなの?」

テッサ「どうやらあなたは最高の演算能力、空間認識能力、反射神経を持っているようです」

カズイ「それが、俺の能力なんですか?」

テッサ「それらはあくまでもあなたの資質です。真の能力は
    視覚、空間認識能力の強化による正確な戦況把握、高度な戦術構築、そして超反応」

カズイ「そんな能力が俺に?」

テッサ「ええ、そうです。他のレベル5のように世界の軍事バランスを揺るがしうる能力です」

カズイ「そんなの、今まで一度も……」

テッサ「それは恐らく、あなたの性格が原因です」

カズイ「俺の……性格?」

テッサ「あなたがかつて感じていたコーディネイターへの恐怖、羨望、嫉妬、
    そういった感情があなたの本来持っていた資質を抑制していたのです。
    ですが、アラスカ攻防戦後その資質は徐々に解放されて来ています」

カズイ「………」

テッサ「きっと、その時感じた死の恐怖があなたの資質、能力を
    本能的に目覚めさせたのでしょう。一種の防衛本能ですね」

カズイ「………」

テッサ「正式な検査はまだですが、あなたの能力は恐らくレベル5に相当するでしょう」

カズイ「レベル5!? 俺が?」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:37:32.28 ID:G+Kwiw0ho
―朝 教室―

ヒイロ達に救出されたカズイは再び学園都市に戻る
テッサは今後、彼が今回の様な目に遭うことがないよう
プリベンター――ヒイロ達が所属する組織に、護衛を要請した

カズイ(僕に能力が……しかもレベル5相当だって?)

妙な話である、レベル5に属する者は学園都市に7人しか居ない
その稀有な能力者に、自身が分類されるというからだ

カズイ(とても信じられない……)

カズイは突如告げられた自身の能力に戸惑いを感じながらも教室の戸を開く

生徒A「おい、カズイじゃねぇか」

生徒B「突然休むなんてどうしたんだよ?」

吹寄「転入早々欠席とは……たるんでいるぞ、カズイ・バスカーク」

転入生の身を案じたクラスメイトの声にカズイは包まれる

小萌「さあ、みんな座るのですよ。今日は転入生を紹介します」

生徒A「また?」

カズイ「転入生って……まさか」

教室へ入ってきたのは長い髪を三つ編みに縛った少年と育ちの良さが伺える金髪の少年だ

デュオ「俺の名前はデュオ・マックスウェル。よろしくな」

カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」

小萌「二人はコロニーからの移住者なのです。みんな仲良くしてくださいね」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:38:08.35 ID:G+Kwiw0ho
―休み時間―

カズイ「まさか、デュオが転入してくるなんて」

デュオ「護衛するならこの形が一番だと思ってな」

カズイ「そっちの君は?」

カトル「あの時は直接顔を合わせていなかったね。
    僕は、カトル・ラバーバ・ウィナー。
    ガンダムサンドロックのパイロットさ」

カズイ「もしかしてあの時ダガーと戦っていた?」

カトル「そうだよ。カズイ、これからよろしく」

カズイ「よろしく、カトル」

上条「お前たち、カズイの知り合いだったんだな?」

カトル「君は?」

上条「俺は上条当麻。二人ともこれからよろしくな」

デュオ「よろしくな、上条」

カトル「よろしく、上条くん」

デュオ「それとカズイ、今日の放課後、ちょっと付き合ってくんねーか?」

カズイ「どうしたの、デュオ?」

カトル「君に渡したい物があるんだ」

カズイ「渡したい物?」


―放課後 某所―

カズイ「ここは?」

カトル「プリベンターの学園都市支部さ」

デュオ「お前に渡したいものはこの先にある」

デュオは壁の端末を操作し、ゲートのロックを解除する
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:07.98 ID:G+Kwiw0ho
―MSハンガー―

カズイ「これは……ストライクダガー?」

カトル「少し違うかな。これはGAT-01A1ダガー、通称105ダガー
    渡したいものってのはこれのことだよ」

カズイ「俺、MSの操縦は……第一どうして俺に?」

デュオ「お前を狙う組織ってのは、ブルーコスモス以外にもいくらでもあんだよ
    そん時には俺らだけで守りきれるとは限らないからな」

カトル「だから、君にはMS操縦技術と体術を身に付けて欲しいんだ」

カズイ「そ、そんな……俺は戦争が嫌でこの学園都市に来たのに……」

カトル「学園都市も、もはや安全とは言えない。ブルーコスモスの急進派には
    学園都市自体を敵視する者もいるんだ」

カズイ「だからって……どうして俺が狙われなきゃいけないんだよ」

デュオ「それだけお前の能力は稀少なんだよ」

カトル「僕らの力不足で君に負担を強いるのは気がすすまないけど……」

デュオ「別に戦争に協力しろだとかプリベンターに参加しろと言ってるわけじゃねぇんだ。
    訓練には俺らが付き添うしな」

カズイ「そ、それなら……」

カトル「ありがとう、カズイ」

その後、彼らは共にプリベンターのノインという人物の指導で
訓練を受けることとなった
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:40.63 ID:G+Kwiw0ho
―6月30日 プリベンター学園都市支部―
カズイが学園都市に来てから一週間が経った
身体検査の結果も出され、付けられた能力名は
『空間掌握(カリキュレーター)』第八位の『超能力者(レベル5)』だ

ノイン「カズイ、もうバテたのか?」

ノインがそう言い放つも
カズイは息を切らせまともに返答できない

デュオ「無理ねーぜ。こいつは元々、ナチュラルの学生なんだからな」

ノイン「だが、カズイ。君の上達ぶりは相当なものだ」

デュオ「まあ、これならこないだのように、誘拐されたりはしないだろうな」

カトル「MSの扱いにも大分、慣れてきたようだしね」

カズイ「ハァ…ハァ……」

ノイン「よし、今日はこれぐらいにしておこう」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:40:07.97 ID:G+Kwiw0ho
―繁華街―

男2「久しぶりだね、君」

カズイ「?」

男3「僕らさ、お金に困り申し上げてんのよね。今日こそ貸してくださらない?」

カズイ(この前の不良だ……)

男2「聞いてんの?」

男3「あまり困らせないでくださいよ……」

男はそう言ってカズイの腕を掴もうとした、しかし……

カズイ「ッ!」

男3「え?」

男は地面に叩きつけられていた。正確にはカズイが彼の腕を取り投げ飛ばしたのだ

男2「て、てめぇ…よくもみつるくんを……」

みつる「うぅ……痛い、痛い、痛いーーーーーーーっ!」

男2「許さねぇ、俺の能力を見せてやるっ!」

もう一人の男は人差し指を構え

男2「俺のこの手が真っ赤に燃えるぅっ…勝利を掴めとかぁがやk…ぐはっ……」

?「無事か、バスカーク?」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/06(水) 22:40:17.93 ID:3iYIdnAAO
これ何か読んだことあるような
27 :>>26 以前VIPに上げたやつです [saga]:2011/04/06(水) 22:41:22.20 ID:G+Kwiw0ho
カズイ「相良!? どうして君が学園都市に?」

宗介「俺は元々、陣代高校の生徒だ」

カズイ「そうだったの?」

?「ん? おい! みつる! あきお! どうした? 誰にやられた?」

みつる「あ、あいつらが……」

あきお「頼む、まさる。あいつらを……」

まさる「ああ、任せろ……仇は…取る!!」

宗介「まだ、居たのか」

まさる「許せないんだよ……お前らぁあああああああっ」

カチャッ
宗介は不良に銃を向ける

まさる「ひっ……」

宗介「両手を頭の後ろに組み、直ちに……」

パァンと耳に心地よい音が響く

宗介「痛いぞ、千鳥」

かなめ「このバカ、そんなおもちゃ振り回して何やってるのよ」

宗介「千鳥、これはおもちゃではなく、グロック19という信頼性の高い銃だ」

かなめ「ああ、はいはい。そろそろ完全下校時刻なんだから早く帰りなさい」

宗介「もう、そんな時間か」

かなめ「そこの君たちも早く帰りなさいよ」

そういって宗介たちは帰っていった

まさる「きょ、今日はここで退いてやる。次こそは金を貸してもらうからな……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:08.55 ID:G+Kwiw0ho
―7月3日 教室―

小萌「その……今日は皆さんに、て、転入生を紹介します。刹那ちゃん、入ってきてください」

青髪ピアス「何や、また転入生かいな?」

土御門「いい加減、物憂げで薄幸な美少女でも転入してこないかにゃ〜」

刹那「ちょりーっす、転入生の刹那で〜す。よろしちょりーっす」

カズイ(………ナニコレ?)

小萌「え、えーと……それじゃセイエイちゃんはバスカークちゃんの後ろに座ってください」

カズイ「えぇ〜!?」

刹那「何、君? 俺のクラスメイトになっちゃうげ? なっちゃう感じ?」

カズイ「え、あ……その……」

刹那「何々? 何かテンション低いじゃん、どしたの? どしたの?
   もしかして、あれ? 五月病ってやつなのかーなー?」

カズイ(鬱陶しいな……)

小萌「それと来週から修学旅行なのですよ。みなさん、準備はしっかりとしておいてくださいね」

カズイ「あれ? 先生、俺たちはどうするんですか?」

小萌「カズイちゃんたちの旅行費はすでに支払われているので安心してくださいなのです」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:42.82 ID:G+Kwiw0ho
―7月9日 プリベンター学園都市支部―

ノイン「さて、今日の訓練はここまでだ」

デュオ「あーあ、疲れた疲れた……」

ノイン「ところで、お前たち。明日からの修学旅行の事だが……」

デュオ「ん?どうしたんだよ?」

ノイン「先日、プリベンターの諜報員から入った情報だが、
    どうやら、このタイミングにとある組織が『原石』の強奪を画策しているらしい」

カズイ「俺を?」

デュオ「んじゃ、俺らは旅行中止かよ!?」

ノイン「いや、彼らの狙いはもう一人の『原石』」

カトル「カズイ以外にも『原石』が?」

ノイン「ああ、君らには有事の際、適切に対処して欲しい」

カズイ「も、もしかして……俺もですか?」

ノイン「ああ」

カトル「な!? 危険過ぎますよノインさん!」

ノイン「もう一人の『原石』はカズイと同じように、
    いやそれ以上に世界の軍事バランスを崩しかねない」

デュオ「その為には俺らの力は不可欠だし、カズイ一人学園都市に置き去りに
    することもできないって訳か……」

カズイ「理屈ではそうかもしれませんけど……俺は……」

ノイン「このようにせざるを得ないのは不本意ではある。
    だが、私の訓練を耐えた君なら大丈夫だ。自分の素養と実力を信じるんだ」

カズイ「素養と……実力……」

ノイン「もちろん、バックアップは付ける。君を連中に渡すようなことにはさせない」

カズイ「分かりました……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:43:14.75 ID:G+Kwiw0ho
―某所―

ガウルン「プリベンター、ミスリルにソレスタルビーイングのガンダムマイスター……
     随分とご機嫌なメンツが集まってるじゃねぇか、この学園都市は」

傭兵「ガウルン、あくまでも我々の目的は『ウィスパード』だぞ」

ガウルン「んなことは、分かってるさ」

傭兵「連中の介入があった場合、貴様にも動いてもらうぞ。アリー・アル・サーシェス」

サーシェス「おう、任せな。俺のガンダムも丁度修理が終わったところだしな」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:17.28 ID:G+Kwiw0ho
―7月10日 機内―

カズイ「デュオたちはやっぱり沖縄は初めて?」

カトル「そうだね、僕らはコロニー育ちだから」

カズイ「俺も沖縄は初めてだよ」

デュオ「だけど、この時期に修学旅行は助かったぜ。最近はノインさんに
    散々しごかれてたからな」

カズイ「ご、ごめん、俺に付きあわせたばかりに」

デュオ「別にお前を責めてるわけじゃねーって」

その時、ガタンと機体が揺れた

カズイ「な、何? エアポケット?」

カトル「窓を見て、あれは連合軍のメビウス」

デュオ「どういう事だ? 何だって沖縄にそんなのが?」

カトル「まさか……」

飛行機は着陸を始める
しかし、周囲の風景は沖縄どころか日本ですらない

カズイ「あれはAS? それに……」

カトル「ああ、トーラスだ」

デュオ「あっちにはジンクスやティエレンか……」

カトル「恐らく、ここは旧人革連領だろうね。
    ただ、ダガー系の機体やジンクスUが、配備されていないということは
    連邦での発言力があまり無い小国かな」

その時、機内放送を告げるチャイムが鳴った
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:46.59 ID:G+Kwiw0ho
?『機内の皆さん、私は機長に代わりこの機の責任者となった者です』

上条「? どうしたんだ突然……」

?『当機はやむをえぬ事情からハンカ自治州の空軍基地へ着陸しました』

小萌「ハンカ自治州って……まさか!?」

?『皆さんには複雑な政治情勢にあるこのスリリングな地にふさわしく人質になって頂きます』

刹那「………」

?『逃亡を試みた者、不穏な動きを見せた者については、我々は躊躇せず射殺させて頂きます』

デュオ「カトル、カズイ!」

カトル「まずいね、何とかレディさんに連絡を取らないと……」

動揺する機内に複数の傭兵が入ってきた

ガウルン「さて、そこのお嬢さん。マスコミ用の映像を撮りたいのだが
     ご同行願えるかな?」

かなめ「え? そんな、私みたいなチンケな小娘、映えませんよ」

ガウルン「いいから、来いよ」

かなめ「っ……離してよ、離してったら」

カズイ(あれは、この前、相良といた……)

上条「おい、離してやれよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:45:52.96 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン「誰だ?」

上条「誰だっていい、その手を離せよ。人質なら俺がなってやる」

ガウルン「君ではダメだ。市民の同情を誘うにはね……」

上条「黙れよ外道」

ガウルン「ん?」

上条「いい大人が子供を利用しようなんて、恥ずかしくねえのかよ?
   テメェの正義を貫きたいんだったら、こんな姑息な真似してんじゃねえよ」

ガウルン「イイね……恐れを知らないってのは、でも……うるさいよ君」

男は胸元から銃を抜きその銃口を向ける

?「伏せろ!」

上条「!」

上条はとっさに身を伏せ、銃声が響く

ガウルン「ん? ったく、誰だよ? 興が冷めちまったじゃねぇか……
     連れて行け」

女子とハイジャック犯はそのまま去っていった

宗介「!」

何者かがハイジャック犯たちとは逆方向に去っていった

カズイ(今のは……相良?)

デュオ「行くぞ、カトル、カズイ」

カズイ「え?」

カトル「レディさんに連絡をとるんだ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:46:31.88 ID:G+Kwiw0ho
―基地内倉庫群―

カトル「ここなら誰も来なさそうだね」

デュオ「よしカズイ、見張りは頼んだ」

カズイ「え?」

デュオ「ここ数週間、ノインさんに散々しごかれたお前なら大丈夫だ。頼んだぞ」

カズイ「あ、ああ……」


―基地内倉庫内部―

宗介「マックスウェルか?」

デュオ「何だ宗介じゃねーか。お前もミスリルに連絡をって所か」

宗介「肯定だ。それよりもだ、マックスウェル、機内に爆弾が設置されている」

デュオ「何だって?」

宗介「とりあえず、俺はこの事をダナンに知らせる……」

カズイ「う、うわあ!」

カトル「カズイ!?」

悲鳴の響いた先では男が気絶していた

デュオ「これ、お前がやったのか?」

カズイ「あ、ああ。ノインさんの訓練のおかげかな? ところで君は……」

宗介「相良宗介軍曹だ。久しぶりだなカズイ・バスカーク」

カズイ「相良!? さっき走り去っていったのは、やっぱり君だったんだね」

宗介「肯定だ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:47:12.97 ID:G+Kwiw0ho
レディ『そうか爆弾が……』

カトル「周囲にはAS、MSが多く配備されています」

レディ『わかった、直ちにガンダムを送る。現時点では乗客の命を優先して行動してくれ』

カトル「わかりました」

宗介「どうだった?」

デュオ「すぐにガンダムを送ってくれるそうだ。それから乗客の命を優先しろとな」

宗介「なるほど。こちらも似たようなものだ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:48:16.47 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「そこまでだ、貴様らどこと交信していた?」

彼らが立ち去ろうとすると、複数の武装した傭兵が現れ道を塞いだ

デュオ「見つかっちまったか……」

傭兵「質問に答えろ」

傭兵たちはカズイ達を取り囲む

宗介「囲まれた……」

カズイ「も、もうダメだ……」

傭兵「さあ、改めて問う、貴様らはどこへ交信していた?」

デュオ「万事休すだな……」

?「伏せろ!」

声が響いたと思うと……
―カンッ
発煙筒が投げ込まれ視界を遮る、そして……
―ダダダダダッ
銃声が響く

傭兵「ぐっ……何者………だ?」

ヒイロ「………」

刹那「………」

煙が晴れるとそこには二人の少年が立っていた

デュオ「ヒ、ヒイロ?」

カズイ「刹那?」

カトル「ヒイロはともかく、どうして君が?」

ヒイロ「話は後だ。まずは状況を整理する、良いな?」

デュオ「ああ……」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:13.61 ID:G+Kwiw0ho
刹那「最初に言っておこう。俺の名は刹那・F・セイエイ。
   ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」

宗介「ソレスタルビーイング? 奴らは二年前に滅びたはずでは?」

刹那「確かに二年前の国連軍の攻撃でソレスタルビーイングは離散した。
   今は組織を離れ独自に行動している」

カズイ(あのキャラも独自行動の一環……なのかな?)

ヒイロ「現在、多くのが乗客が旅客機に囚われている。
    その目的はウィスパードと呼ばれる『原石』入手の為の保険だ」

宗介「まさか…千鳥のことか?」

ヒイロ「その通りだ」

デュオ「なるほど、それでテロリストも彼女をね……」

ヒイロ「現在ミスリルとプリベンターが共同での救出部隊の編成を行っている。
    その間、俺達は敵AS、MSの撹乱、爆弾の撤去、千鳥かなめの救出を行わなければならない」

刹那「だが、今の俺達にAS、MSの撹乱、爆弾の撤去は不可能だ」

ヒイロ「サンドロックとデスサイズ、それとバスカークのダガーは
    すでにサリィによって運び込まれている」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:46.31 ID:G+Kwiw0ho
宗介「ならば、千鳥の救出は俺達か?」

ヒイロ「ああ、千鳥かなめ救出は俺たち三人で行う」

刹那「了解した」

ヒイロ「まず優先すべきは爆弾の撤去だ。これはジャマーとステルス機能を持つ
    デスサイズに任せる」

デュオ「あいよ」

ヒイロ「爆弾撤去後、救出部隊到着までの20分、ASとMSの撹乱はカトルとカズイ、お前たちに任せる」

カトル「了解」

カズイ「りょ、了解……」

宗介「待て、バスカーク。お前MSでの実戦は何度目だ?」

カズイ「それは……」

ヒイロ「カズイ・バスカークは曲がりなりにも元軍人だ。
    それに今は一機の戦力も惜しい。素人でも出てもらうほかない」

カズイ「だ、大丈夫だよ、相良。それに、みんなの命がかかってるんだ。
    俺だけ逃げるわけにはいかない」

宗介「わかった。ウィナー、バスカークを頼んだぞ」

カトル「ああ、任せて」

ヒイロ「よし、作戦開始だ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:50:12.24 ID:G+Kwiw0ho
―基地内―

ヒイロ「………」

宗介「………」

刹那「………」

宗介「ユイ、ウィスパードとは一体何だ?」

ヒイロ「聞いていないのか?」

宗介「あ、ああ……」

ヒイロ「ならば俺から話すことはない」

宗介「どういう事だ?」

刹那「それよりも、彼女はどこに囚われているんだ?」

ヒイロ「おそらく、この辺りにウィスパード実験用の器具が搭載されたトレーラーがあるはずだ」

宗介「そう簡単には見つかりそうにないな」

刹那「手分けをして捜すぞ」

宗介「これを持って行け」

刹那「これは?」

ヒイロ「カロリーフレンドか、どうやらフルーツ味のようだな。ありがたく貰おう」

刹那「………」

宗介「どうしたセイエイ? まさか、チョコレート派か?」

刹那「いや、俺もフルーツ派だ」

ヒイロ「では、トレーラーを発見次第、連絡しろ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:14.18 ID:G+Kwiw0ho
―数分後―

宗介「あれは……例のトレーラーか」

宗介「こちらウルズ7。ユイ、セイエイ目標を発見した直ちに来てくれ」


―トレーラー付近―

ヒイロ「間違いない。この中に千鳥かなめは囚えられている」

刹那「見張りは3人…1人ずつ蹴散らすぞ」

傭兵「貴様ら、どこから……」

宗介「遅い」

傭兵「ぐあっ……」

ヒイロ「千鳥かなめを救出し、撤退するぞ」

宗介「了解」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:52.46 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―

カトル「デュオ、ヒイロたちが『原石』の救出に成功したそうだよ」

デュオ「こちらも爆弾を撤去した」

カトル「了解、僕らは敵を撹乱するよ」

カトル「さて、カズイ。準備はいいかい」

カズイ「あ、ああ…行こう」

カズイはエールストライカーを装備したダガーを駆り、初めてのMS戦を行う

カズイ(ここがMSから見る戦場……キラが見ていた光景……)

ティエレンは超滑腔砲でダガーを狙撃する

カズイ「うわああああああ……」

傭兵「パイロットは素人か」

カズイ(擬似GN粒子で装甲を強化しているとはいえ……)

カズイは、ビームライフルを構え光弾を撃ち出す

傭兵「そんな腕で」

カズイ「か、かわされた!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:52:31.56 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「後ろがガラ空きだ!」

ダガーの背後からもう一機、ティエレンが迫り、カーボンブレイドを振り上げる

カズイ(な、何とかしないと)

ダガーはサーベルを抜きながら、機体を翻しティエレンの頭部をはねる

カズイ(やれた!?)

傭兵「チッ……ビームサーベルか」

カズイ「残りの機体も……」

ダガーはもう一機のティエレンに迫る

傭兵「クッ、さすがは連邦の新鋭機、素早い……」

ティエレンは再び超滑腔砲を構える

カズイ「うおおおおおおおおお」

ダガーはティエレンの左腕を切り落とす

傭兵「何!?」

カズイ「これで止めだ!」

胴を裂かれたティエレンは爆散する

カズイ「ハァッ…ハァッ…ハァッ……」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:17.29 ID:G+Kwiw0ho
続いて、四機のサベージが包囲する

カズイ(今度はビームライフルで……)

四方から迫るサベージのメインカメラと、武器を正確に撃ち抜く

傭兵「コイツ、急に動きが!?」

カズイ「よし、いける! これなら救出部隊が来る前に……」

?「ところがぎっちょん」

カズイ(!?)

飛んできた赤い光弾を咄嗟にかわす

カズイ(今のは?)

カトル「カズイ! 逃げて。あの機体は……」

光弾が飛んできた方向にはバスターソードを携えたガンダムが浮遊していた

カズイ「ガンダム!?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:48.43 ID:G+Kwiw0ho
―トレーラー前―

ヒイロ「サベージが2機か……」

かなめ「ちょ、ちょっと、どうするのよ?」

刹那「見ろ、あれを」

ヒイロ「あれは、待機中のサベージか。だが、俺にASの操縦は出来ん」

かなめ「そっちのアンタは?」

刹那「俺も無理だ」

かなめ「まさか、誰も動かせないの?」

宗介「俺がやる」

かなめ「はぁ!? 何言ってるの、相良くん。アンタがいくら軍事オタクでも
    素人には無理よ」

宗介「素人……? 何を言っている俺は専門家だ」

宗介「ユイ、セイエイ、千鳥を頼んだ」

ヒイロ「任せろ」

かなめ「え、ちょっと……ヒイロくん?」

宗介はサベージで敵機に体当たりをすると単分子カッターを引き抜き
一瞬で全機沈黙させた

かなめ(嘘……あれが相良くん?)

宗介「俺が退路を開く、ここから立ち去るぞ」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:30.38 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン『待ちな……』

宗介「あの機体は……ぐっ……」

コダールはサベージをライフルで撃ち抜く

ガウルン『まさかこんな高校生がエージェントだとはな……』

宗介「この声は……」

ガウルン『ん? お前カシムか? まさかこんな所で会えるとはな。
     カリーニン大尉…あの腰抜けは元気か?』

宗介「なぜ貴様が生きている?」

ガウルン『昔の負傷のおかげでな、頭にチタンが埋めこんであってね……
     おかげでお前にまた会えた。
     まぁ、積もる話もあるだろうが、まずはそこの娘を渡してもらおうか』

宗介「断る」

ガウルン『そうか……ならここでお別れだな』

クルツ『させるかよ!』

ガウルン『?』

クルツ『イーヤッホゥー』

コダールのライフルが軽快な声と共に弾き飛ばされる

宗介「クルツか?」

クルツ『待たせたな、お前の機体もすぐやってくるぜ』
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:58.18 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―

カトル「アリー・アル・サーシェス……まさか生きていたのか……」

サーシェス「今のをかわすとは以外にやるな……」

カトル「カズイ、あの機体は僕がやる。君は下がっていて」

カズイ「わ、わかった」

サーシェス「ほう、革命戦争の英雄じゃねぇか、相手にとって不足はないな」

カトル(アリー・アル・サーシェス……今の僕に勝てるだろうか?)

サーシェス「行けよ、ファングッ!」

カトル「は、速い……だけどサンドロックの装甲なら……」

サンドロックは敵機の攻撃を物ともせず二刀で斬りかかる

サーシェス「さすがの装甲だな……だが……」

敵機―スローネツヴァイはバスターソードでそれを薙ぎ払い
即座にサンドロックを蹴り飛ばす

カトル(くっ……なんてムダのない動きなんだ……)

サーシェス「もう終わりか? もっと楽しませてくれよ」

カトル「くっ…」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:55:29.78 ID:G+Kwiw0ho
サンドロックは再び二刀で斬りかかり、スローネツヴァイはバスターソードで応戦する

サーシェス「さすがに、さっきのようにはいかねぇな」

両機のパワーはほぼ互角で鍔迫り合いを続けている

カズイ(だけど、あの機体にはさっきの飛び道具が……)

カズイ「カトル、逃げて!」

カトル「!?」

サーシェス「ファング!」

スローネツヴァイはサンドロックのメインカメラを破壊し
バスターソードで両肩を斬り落とす

サーシェス「逝っちまいな、ガンダム!」

バスタソードがコクピットを捉える

カズイ「や、やめろおおおおおおお!」

その時、妙な違和感がカズイを襲う
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:03.36 ID:G+Kwiw0ho
カズイ(!? 視界がスローに……)

カズイ「カトルはやらせない!」

カズイはビームライフルでスローネツヴァイを牽制する

サーシェス「さっきの機体か!?」

カトル「カズイ、駄目だ!」

サーシェス「行きな、ファング」

6基のファングがダガーを狙う

カズイ(見える……)

カズイは四方から迫るファングをかわし距離を取る

サーシェス「かわした!?」

カズイ(アレのせいで迂闊には近づけない……)

サーシェス「こいつは、退屈しないで済みそうだぜ」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:54.38 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―

コダールにM9を大破させられた宗介たちは
M9を放棄しコダールから逃亡していた

クルツ「っ……何なんだあの機体は……」

ヒイロ「ウェーバーの弾は確実に命中したはずだ……」

刹那「しかし、実際に大破したのはクルツの機体だ」

クルツ「一体何の手品だよ」

かなめ「手品じゃない……技術……」

クルツ「おい…かなめちゃん、どうしたんだよ?」

宗介「千鳥?」

かなめ「さっきのは、ラムダ・ドライバ……使用者の攻撃衝動、防衛衝動を物理的な……」

宗介「どうしたんだ!? 千鳥……)


―基地内森林―

ガウルン「カシムの奴……どこへ逃げた……
     ん? あれは……」

ガウルンの視線の先では、スローネツヴァイとダガーが切り結んでいた

ガウルン「おいおい、あの野郎……量産機なんぞに遅れをとりやがって……
     それにしても、あのダガー随分といい動きをするな……」

ガウルン(まさか……クククッ、少し寄り道していくか)
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:57:22.91 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―

サーシェス「何なんだ、テメェは? 量産機でどうしてそこまで動ける」

カズイ(ハァッ…ハァッ……この男……強すぎる、どうすれば……)

ガウルン「まずは、足を貰うか」

コダールは銃口をダガーの足へ向け、弾丸を放つ

カズイ「!?」

カズイは咄嗟に回避し左手でビームライフルを抜きコダールを撃つ

ガウルン「チッ…やるな、だが…」

コダールの眼前には障壁が展開され光弾は跳ね返された

カズイ「な!?」

サーシェス「余所見すんなよ!」

カズイ「くっ!?」

カズイはビームライフルを捨て、両手でサーベルを抜きバスターソードと光弾を弾く
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:13.46 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「おいおい、これはどういう事だよ……なぁ、ガウルンさんよぉ?」

ガウルン「サーシェス、そいつは『原石』だ」

サーシェス「『原石』……まさか、先日ブルーコスモスの施設から脱走した奴か?」

ガウルン「出来ればそいつは持ち帰りたい。共同戦線と行こうじゃねぇか」

サーシェス「ったく……しょうがねぇな」

カトル「くっ……状況は最悪だ、いくらカズイでもあの二機を相手にするのは……」

デュオ「カトル、カズイ大丈夫か?」

カトル「デュオ!」

デュオ「おいおい、ボロボロじゃねぇか……」

カトル「僕よりもカズイを……彼を死なすわけには……」

デュオ「カズイ? おいおい、ありゃさすがに分が悪いぞ……」

デュオはカズイの元に向かう

五飛「そこまでだ、デュオ」

デュオ「五飛……どうしてここに?」

五飛「此処から先は一歩も通さん」

カトル「五飛、どうして」

五飛「さぁ、お前の正義を見せてみろ」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:40.42 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―

宗介たちがコダールから逃走している間一機のASが投射された

刹那「この、機体は?」

クルツ「どうやら、来たみたいだな……宗介!」

宗介「了解した」

宗介はARX-7アーバレストに搭乗した

アル「声紋チェック開始・姓名、認識番号を」

宗介「相良宗介軍曹、B-3128」

アル「照合完了。サージェント相良と確認、命令を」

宗介「ハッチ閉鎖、モード4に調整開始、バイラテラル角3.5」

アル「ラジャー」

カリーニン『この音声は、君が無事このARX-7アーバレストとの合流を果たしたことを
      前提で進められる。現在諸君らの働きによって、乗客の救出は完了している。
      あとは、千鳥かなめと相良、ウェーバー両軍曹の帰還を以て
      本作戦は終了となる。なんとしても、指定した地点へ到達しろ。
      なおAIのコールサインは[アル]、高価な実験機なので必ず持ち帰るように、以上』

宗介「アーバレスト……」

ヒイロ「相良、どうやら先程の機体はカズイ・バスカークを狙っているらしい」

宗介「何だと?」

ヒイロ「バスカークは現在、スローネツヴァイと先程の機体を同時に相手している」

刹那「!?」

刹那(まさか、あの男が……)
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:07.14 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―

カズイ「はぁっ…はぁっ……」

ガウルン「そろそろ、終いだな」

サーシェス「手こずらせやがって」

カズイ(やっぱり僕には無理だったんだ……)

宗介「バスカーク!」

カズイ「相良くん!?」

ガウルン「あの、AS……まさか、カシムか?」

宗介「あの銀色のASは俺がやる。そっちの、ガンダムを頼めるか?」

カズイ「え?」

宗介「みんなの命を助けるのだろう?」

カズイ「!? うん……任せて」

サーシェス「1対1か…まぁ、良い、テメェを倒して、目障りな連中は全て片付けてやるよ」

カズイ「みんなはやらせない。お前は、俺が倒す!」

サーシェス「ガギがナマ言ってんじゃぇぞ!」

スローネツヴァイはファングを放つ

カズイ「こんな攻撃……」

ダガーはライフルで全機撃ち落とす

サーシェス「バカが、後ろがガラ空きなんだよ!」

カズイ「……!」

カズイはサーベルを抜き、バスターソードを受け止める
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:33.57 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「チッ……」

カズイ「もう、お前の攻撃は通用しない」

カズイはバスターソードを薙ぎ払いもう一本のサーベルを抜き追撃する

サーシェス「!?」

カズイ「うおおおおおおおお!」

ダガーはサーベルを振り下ろし、スローネツヴァイは辛うじてそれをかわす

サーシェス「クソが……」

カズイ「はぁっ…はぁっ……」

サーシェス「今回は退いてやる。
      だが、いずれこの借りはきっちり返させてもらうぞ」

カズイ「はぁっ…はぁっ…」

ノイン「カズイ、無事か?」

カズイ(トーラス……ノイン……さん?)

ノイン「あっちのASの方も決着がついた。直に救出部隊が来る、お前はゆっくり休め」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:17.92 ID:G+Kwiw0ho
―7月11日 病院―

カズイ「ここ……は?」

デュオ「目が覚めたみたいだな」

カズイ「デュオ? それに……」

かなめ「あんたがあのダガーっていう機体のパイロット? とてもそうは見えない……」

カズイ「千鳥さん? どうしてここに?」

かなめ「あの時、あんたが居なかったら、私たち死んでただろうから、お礼をね……」

ノイン「カズイ、ご苦労だった」

デュオ「ノインさん?」

ノイン「お前に客だ」

カズイ「?」

上条「カズイ、元気か?」

カズイ「上条くん? どうして?」

上条「クラスメートがぶっ倒れたってんだから、見舞いに来るのは当たり前だろ?
   それに俺だけじゃないぞ」

青髪ピアス「大丈夫か、カズイ?」

生徒A「心配かけんなよ」

吹寄「まったく、お前というやつは……あまり心配をかけさせるな」

小萌「そうですよ、デュオちゃん。デュオちゃんたちと一緒に居なくなるなんて……
   先生とっても心配したんですよ」

カズイ「みんな…先生…ありがとう……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:46.89 ID:G+Kwiw0ho
―窓のないビル―

アレイスター「ラウ・ル・クルーゼ、久しぶりだな。今回は何の用かね」

クルーゼ「君に頼みがあるのだよ」

アレイスター「ネットワークの件か?」

クルーゼ「その通りだ。私のバックアップ製造、ミサカネットワークを介したクローン間での
     意識の共有。この二つをお願いしたい」

リボンズ「お安い御用さ、ラウ・ル・クルーゼ」

クルーゼ「リボンズ・アルマークか?」

リボンズ「ヴェーダがあれば、君のクローンの生成、
     脳量子波を介した意識の共有は容易く行える」

アレイスター「そういう訳だ、ラウ・ル・クルーゼ」

クルーゼ「人類の統一を目指す君が私に協力をするとは、
     どういった風の吹き回しかね?」

リボンズ「君の出自ゆえ、人類に憎しみを抱いているのは知っているよ。
     だけど、見てみたいとは思わないかい? 人類の革新を」

クルーゼ「フッ、来るべき対話を前にした人類の新たな変革……
     君の望む世界が本当に訪れるというのなら、
     ぜひとも見てみたいものだがな……」

リボンズ「アレイスター、君はどうするつもりだ」

アレイスター「君がヴェーダを提供してくれるのならば、君の計画に干渉するつもりはない」

リボンズ「それなら、一向にかまわないよ。ぜひとも、君の『プラン』に役立ててくれ。ただ、一つ条件があるんだ」

アレイスター「何だ?」

リボンズ「カズイ・バスカーク、彼の身体検査のデータを提供して欲しいんだ」

アレイスター「それなら、一向にかまわない」
57 :続きは明日投降します [saga]:2011/04/06(水) 23:01:22.54 ID:G+Kwiw0ho
―某所―

ミゲル「クルーゼ隊長、私に任務とは?」

クルーゼ「私は直ちに宇宙へ戻らねばならない。君には密偵としてここに残って欲しい」

ミゲル「密偵…ですか?」

クルーゼ「能力者を中心とする学園都市の戦力は侮れん。
     もしも、彼らがこの戦争に参戦すれば、その影響は計り知れない。
     それを回避するためにも君にはうまく立ち回って欲しいのだよ」

ミゲル「了解しました」

クルーゼ「では、これを渡しておこう。君がここで生活するにあたり必要な物だ」

ミゲル「転入届……それに腕章?」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2011/04/07(木) 12:20:05.26 ID:83XIuZiZo
リ・ガズィにみえた・・・
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/07(木) 13:16:46.73 ID:qMQ3YyGro
スパロボかよ
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/04/07(木) 17:58:35.01 ID:Kxod1xTq0
もうこういうのいいから
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:31:53.55 ID:dr+vk/6Ho
―7月12日 教室―

小萌「カズイちゃん、あなたに推薦状が来ているのですよ」

カズイ「推薦状ですか?」

小萌「何と、風紀委員への推薦状なのです」

カズイ「風紀委員?」

小萌「知らないのですか? 風紀委員は警備員とは別に、学区内の治安維持を担当する
   学生組織のことですよ」

カズイ「へぇ、そんなのがあるんですか」

小萌「はぁ……とりあえず、バスカークちゃんは放課後、この推薦状を持って第一七七支部へ行くのです」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:32:26.61 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

固法「あなたがカズイ・バスカークくん?」

カズイ「はい」

デュオ「よう、カズイ」

カズイ「デュオ? それにカトル? どうして、ここに?」

カトル「僕らはレディさんの推薦でここに、君もそうなんでしょ?」

カズイ「ああ、俺もレディさんに……」

黒子「あら、御三方はお知り合いでいらしたのですね」

初春「それにしても風紀委員が一気に四人も補充されるなんて、どうしたんでしょうか?」

カズイ「四人?」

ミゲル「今回新しく風紀委員に配属された、ミゲルだ。よろしく」

黒子「自己紹介は後です。それよりも固法先輩」

固法「どうしたの、白井さん?」

黒子「三つ編みポニーテールの方と金髪のお二人はともかく、そこの青髪の方、
   彼には風紀委員の適性があるようにはとても見えませんの」

カズイ「え? 俺?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:33:00.39 ID:dr+vk/6Ho
固法「彼は……」

黒子「そこのあなた、風紀委員の仕事は清掃だけではありませんのよ。
   能力者同士の諍いを止めなければならないこともありますの。
   あなたに、それが務まるのですか?」

固法「白井さん、彼はね……」

黒子「あなた、わたくしと勝負なさい」

カズイ「えぇ?」

初春「白井さん?」


―第一七七支部 外―

デュオ「こりゃ、面白いことになったな」

ミゲル「あっちの彼に勝ち目があるのか?」

デュオ「まぁまぁ、見てなっての」

黒子「これから見るのはあなたの能力と体術の素養
   どこから掛かってきても構いませんのよ」

固法「はぁ……」

カズイ「えっと……固法先輩、どうすれば?」

固法「白井さん、話を聴きそうにないから……とりあえず、相手をしてあげて」

カズイ「は、はぁ……」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:16.10 ID:dr+vk/6Ho
カズイは地を蹴り拳を構える

黒子「あら、意外と速いのですね」

しかし、彼の拳は空を切る

カズイ「き、消えた!?」

黒子「こちらですわ」

カズイ「!?」

カズイは声がした方へ体を翻し、後方へ下がる

黒子「さて、あなたがいかなる能力を持っているかは存じませんけど、
   そう簡単にわたくしを倒せるとは思わないことですね」

カズイ(やっぱり、学園都市って何でもありなんだなぁ……)

カズイは心の中でそう呟くと再び黒子の方へ突進する

黒子「何度やっても……」

カズイ(消えた……だけど、そう何度も『空間移動』は出来ないはず……)

カズイはすぐさま、彼女の出現ポイントの予測を始める

カズイ(彼女はきっと僕の背後を狙って、跳んでくるはず………来たっ)

黒子「!?」

カズイは彼女が現れるやいなや彼女へ拳を繰り出す

黒子「くっ……」

黒子はすぐさま『空間移動』で回避する

カズイ「え!?」

カズイ(まさか、あの能力にタイムラグはないの?)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:52.03 ID:dr+vk/6Ho
黒子「身体能力はそれなりに高いようですね。ですが、能力も使わずに
   わたくしを倒そうなどというのは、大変甘い考えですのよ!」

カズイ(僕の能力で彼女に対応できるのか?)

黒子はカズイの背後に回り、後ろ回し蹴りを食らわす

カズイ「くっ……」

咄嗟にガードするが受け止めきれずにカズイはよろめく

黒子「ふむ、、まだ能力を使わないというのですか?」

カズイ「こうなったら……」

カズイは『空間掌握』を発動させる

黒子「では、もう終いにしましょう」

黒子は再び姿を消す
しかし、彼の目は彼女の移動をはっきり捉えていた

カズイ「そこだ!」

カズイは黒子の出現と共に彼女の腕をとった

黒子「な!?」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:35:30.43 ID:dr+vk/6Ho
初春「カズイさん、すごい!」

固法「勝負ありね、白井さん」

黒子「能力も使わずにわたくしの腕を……」

固法「はぁ……白井さん、今のが彼の能力よ」

黒子「?」

固法「彼は学園都市第八位『空間掌握』よ」

黒子「『空間掌握』と言えば、最近新たに認定されたレベル5ではありませんか」

初春「ええええええ?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:36:20.12 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

黒子「先程は失礼しましたわ。白井黒子と申しますの」

固法「固法美偉よ。よろしくね」

初春「初春飾利です。皆さんよろしくお願いします」

デュオ「デュオ、デュオ・マックスウェルだ」

カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」

カズイ「カズイ・バスカークです。よろしく」

ミゲル「さっき言いかけたがミゲル、ミゲル・アイマンだ、よろしく」

固法「それじゃ、早速貴方達には研修に行ってもらうわ」

カズイ「研修?」

固法「実技に関してなら貴方達に訓練は要らないでしょうから。
   実際に、風紀委員の仕事を覚えてもらうのよ」

黒子「デュオさんとカトルさんはわたくしと共に」

固法「カズイくんとミゲルくんは私に付いてきて」


―繁華街―

固法「さて、説明はこんな物よ、分かったかしら」

ミゲル「あぁ、問題ないぜ」

固法「それでは、見回りに行きましょう」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:14.48 ID:dr+vk/6Ho
ミゲル(地球とプラントは戦争をしてるっていうのに呑気な街だなここは……)

カズイ「ミゲルさん?」

ミゲル(しかし、ここではコーディネイターも普通に暮らしてるそうだな……)

カズイ「ミゲルさん、どうしたんですか? ぼーっとして」

ミゲル「ん? あぁ、すまない」

固法「一応、研修中なんだから、しっかりしてよ」

学生「うわぁああああああ」

ミゲル「何だぁ?」

固法「あれは……」


みつる「ねぇ、僕、ジュースおごってくれませんか?」

あきお「俺ら、めっちゃ喉乾いてんのよね」

まさる「あんまり、脅しちゃだめだよ。怯えているじゃないか」

学生「うぅ……」


ミゲル「何だあの頭の弱そうな連中は……」

カズイ(またあの人達か……)

カズイ「俺、行ってきます」

固法「カズイくん?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:42.16 ID:dr+vk/6Ho
あきお「な? いいだろ?」

学生「い、いやです……」

まさる「ひどい……ぼくらこんなに困ってるのに……」

カズイ「待ってください」

あきお「あん? 誰君?」

みつる「どこかで拝見したような……」

まさる「!? 君はあの時の……」

あきお「無抵抗な俺とみつるくんを一方的にやったやつか!」

カズイ「そ、そんなことしてないだろ……」

まさる「あの時は油断したが今日こそは! みつるくん、あきおくん行くぞ」

みつる「承知」

あきお「おうさ」

カズイ「はぁ……」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:38:15.34 ID:dr+vk/6Ho
三人「参りました……」

カズイ「もう、こんな事はしないでくれよ……」

まさる「肝に命じます」


ミゲル「見事なもんだね」

固法「さすがレベル5、といったところかしら」

カズイ「いや、それほどでも」

固法「さて……そろそろ完全下校時刻ね。研修はこれで終わりにするわ
   もう、帰っていいわよ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:39:52.77 ID:dr+vk/6Ho
―7月17日 廃工場―

風紀委員となってから5日が経過した
俺とミゲルさんはこの頃頻発している、能力者による怪事件の対応に追われている

ミゲル「カズイ、そっちに行ったぞ」

能力者「捕まってたまるか!」

能力者は右手から真空波を繰り出した

カズイ「おっと……」

カズイはそれを回避し、能力者の袖と襟を掴み、右ひじと腰を入れる

能力者「なっ!?」

カズイ「はぁああああああ」

能力者「うっ………」

ミゲル「これで、4人目だ。学園都市ってのは随分と治安が悪いな」

カズイ「それにしても、能力者の強度が高いような……」

ミゲル「そうなのか?」

カズイ(どういうことなんだ……)

ミゲル「さて、俺は引き続き、この辺りの見回りをしてくる。
    お前は先に支部に戻っていいぞ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:40:33.39 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―

カズイ(今日戦った能力者は、恐らくレベル4。
    昨日まではレベル3の能力者による事件が多発していたけど……)

?「おい、カズイじゃねぇか」

カズイ「え? き、君は!?」

カズイの前に立っている人物
まさしく、数ヶ月前、オノゴロ島での戦いで討たれたはずの人物であった

トール「何だよ、久しぶりの再開なんだから喜んでくれよ」

カズイ「トール……君はあの時死んだんじゃ?」

???「トール、彼は?」

トール「カズイだよ、元アークエンジェルのクルーさ」

カズイ「そっちの、彼は?」

ニコル「ニコル・アマルフィです。ブリッツのパイロットをしていました」

カズイ「!」

ブリッツ……かの機体もまた、オノゴロでの戦いでキラ操る
ストライクに撃墜されたはずだった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:41:03.17 ID:dr+vk/6Ho
ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」

カズイ「ブリッツのパイロット……君はキラにやられて死んだはずじゃ……」

トール「俺らあの時、瀕死の重傷を負ってな、後は死を待つだけの筈だったんだよ」

ニコル「でも、目覚めると僕らは学園都市のとある病院に居たんです」

トール「しかも、同じ病室でさ」

ニコル「体も動きませんでしたし、様々な話をしていました。
    戦争に参加した理由とか、オノゴロでの戦いの話とか」

トール「俺ら妙に気があってな、軍に戻るつもりもないし、
    ここで新しい人生を歩もうと思ってたんだよ。
    でも、まさかお前もいるとは思わなかったぜ」

カズイ「僕こそ、またトールに会えるなんて……」

トール「俺もまさか、カズイが学園都市に居るとは思ってなかったぜ」

ニコル「カズイ、あなたの事はトールから聞いています。
    よければ、僕と友だちになってくれませんか?」

カズイ「え?」

ニコル「トールと話していて分かりました。僕らコーディネイターとナチュラルは
    争う必要など無いと。
    だから、君とも友だちになりたい」

カズイ「ああ、俺でよければ。よろしく、ニコル」

トール「さて、俺らはもう行くぜ。転入手続きを済ませなきゃならねぇからな」

カズイ「学校は何処に?」

ニコル「僕は長点上機学園中等部に」

長点上機学園、学園都市屈指のエリート学園である
傑出した能力の持ち主の他、一芸に秀でた物、そしてコーディネイターが多く通う
ミゲルもここの高等部に在籍している

トール「俺は陣代高校だ」

カズイ「そうなんだ、僕も陣代高校だよ」

トール「まじかよ、お前と一緒なら気が楽だな。
    ま、これからよろしく頼むぜ」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:01:21.50 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

カズイ「戻りました」

佐天「おかえりなさい」

カズイ「佐天、また来てたの?」

佐天「まぁまぁ、いいじゃないですか」

固法「それで、今日はどうだったの?」

カズイ「恐喝が1人、細かい窃盗が3人、いづれも警備員に引き渡しました」

黒子「計4件の能力者事件……この辺りだけでその数は多いですわね」

カズイ「それだけでなく、窃盗のうち一人はレベル4相当の能力者でした」

固法「今日は些末な事件ばかりだったけど、ここのところ、事件の数もその悪質さも
   悪化するばかりね……」

黒子「何か原因でもあるのでしょうか?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:02:08.76 ID:dr+vk/6Ho
―7月18日 寮室―

その日の昼頃、トールとニコルがカズイの寮を訪ねてきた

トール「な、頼むよ。俺らまだ、ここに慣れてなくてさ」

カズイ「そう言っても、俺、風紀委員の仕事が」

トール「風紀委員?」

ニコル「学園都市の治安維持を担当する学生組織のことですね」

トール「お前が? あまり、向いてるようには思わないけどな」

カズイ「悪かったな、向いてなくて」

トール「ま、ま、それよりも頼むよ、学園都市の案内」

カズイ「今日は殆ど仕事ないからな……分かった付き合うよ」

トール「おっし、まずは……」

ニコル「服を買いにいきませんか?」

トール「っと、そうだな俺ら全然替えがないからな」

カズイ「それじゃ、セブンスミストに行こう」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:03:18.05 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト―

ニコル「下着は、こんな物でしょうか」

トール「ああ、これだけあればなんとかなるだろ。
    後は……」

佐天「あれ、カズイさんじゃないですか?」

カズイ「佐天に初春、御坂じゃないか」

トール「カズイの知り合いか?」

カズイ「うん、初春は風紀委員の同僚で、佐天と御坂はその親友だ」

ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」

トール「トール・ケーニヒだ、よろしく」

美琴「私は御坂美琴です」

佐天「佐天涙子です」

初春「初春飾利です」

トール「よろしくな、二人とも」

美琴「カズイさんたちはどうしてここに?」

カズイ「トールに頼まれて学園都市の案内を……」

佐天「へぇ、私たちも一緒に行っていいですか?」

初春「佐天さん!?」

カズイ「それは、別にいいけど……」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:04:30.12 ID:dr+vk/6Ho
―数時間後―

トール「これで、一通り服は揃ったな」

ニコル「佐天さんたちも、服選んで頂いて助かりました」

佐天「いえいえ、あたしも楽しかったですし」

ピリリッピリリッピリリッピリリッ――

美琴「初春さん、携帯鳴ってない?」

初春「あれ、誰からだろう?」

ピッ――

黒子『初春! 虚空爆破事件の続報ですの』

――『虚空爆破(グラビトン)事件』
先日から頻発している連続爆破事件
18日までに9人の風紀委員が巻き込まれ負傷している
また、『量子変速(シンクロトロン)』と呼ばれる能力によって
引き起こされていると推測されている
アルミを用いられており、主にぬいぐるみ等、子供の警戒心を削ぐものに仕掛けられている

黒子『学園都市の監視衛星が重力子の爆発的加速を観測しましたの』

初春「か、観測地点は? 観測地点はどこですか?」

黒子『第七学区の洋服店、セブンスミストですの!』

初春「! 今そこに居ます。直ちに避難誘導開始します」

黒子『な、何ですって!』

ピッ――

カズイ「どうしたの?」

初春「落ち着いて聞いてください。ここに、例の事件で使われている爆弾が
   仕掛けられています」

美琴「何ですって!?」

初春「御坂さん、カズイさんは避難民の誘導を。佐天さんたちは避難してください」

佐天「あ……うん……初春も気をつけてね」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:05:31.48 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―

初春「避難は終わりましたね」

カズイ「ああ、大丈夫だ」

美琴「初春さん!」

初春「御坂さん、それに……」

カズイ「上条くん? 君もここに?」

上条「ああ、一緒に居た女の子とはぐれちゃったんだけど……」

初春は携帯を取り出す

黒子『初春! 今すぐそこを離れなさい!』

初春「え?」

黒子『今回の事件における人的被害は風紀委員だけですの!
   犯人の真の狙いは爆弾設置場所周囲の風紀委員。つまり、あなたですの!』

初春「え!?」

カズイ「初春?」

初春「カズイさん! 今回の爆弾、狙いは私たち風紀委員です!」

カズイ「そ、それって……」

上条「ちょ、ちょっと待て、爆弾!? 何だってそんなものが?」

少女「お姉ちゃん!」

初春「!」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:06:41.64 ID:dr+vk/6Ho
少女「このぬいぐるみ、眼鏡の人がお姉ちゃんにって」

カズイ「! 初春! それは……」

美琴「初春さん!?」

初春は少女からぬいぐるみを奪い、投げ捨てる

初春「逃げてください! それには爆弾が!」

美琴「! それなら超電磁砲で爆弾ごと……あっ!」

手元からコインが溢れる

美琴「しまった!」

カズイ(こ、このままじゃ……)

上条「下がれ、カズイ!」

上条の声と共にぬいぐるみが爆発する……
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:07:18.67 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト外 裏路地―

少年(良いぞ、徐々に強い力が使いこなせるようになっている)

少年「クククククッ……ハハハハハッ……アッハハハハッ!」

少年「このまま数をこなしていけば、無能な風紀委員も不良のクズどももみんなまとめて吹き飛ぶぁっ……」

少年のセリフを遮るように背後から蹴りが繰り出された

少年「クッ……一体誰が……」

美琴「こんばんは、要件は言わなくても分かるわよね、爆弾魔さん」

少年「!」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:08:01.30 ID:dr+vk/6Ho
―7月19日 第一七七支部―

カトル「昨日の事件の犯人、介旅って人、レベル2みたいですね」

カズイ「あの威力、どう考えてもレベル4クラスだったと思うけど……」

固法「ええ、そこで、最近噂になっている、能力の強度を上げる薬――幻想御手、
   それの調査を事件取り締まりと並行して行う事になったわ」

デュオ「あれって、ただの都市伝説じゃねぇのか?」

固法「初春さんが見つけてくれたサイトに、使用者の書き込みらしきものが
   掲載されていたの。連中の溜まり場は二つ。一方は、御坂さんが
   聞き込みに行ってしまったから、こっちの方はカズイくんとミゲルくんに頼むわ」

カトル「それでは、僕とデュオは学区内の事件の見回りに行きます」

固法「おねがいね」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:09:30.36 ID:dr+vk/6Ho
―深夜 廃工場―

カズイ「ここが例の溜まり場」

ミゲル「見てみろ、あいつら……」


―廃工場内―

不良1「おい、これっぽっちか?」

不良2「全然足りねぇよ、あぁ?」

学生「そ、そんな……僕もう金が」

不良3「なら、用はねぇよ。とっとと、帰んな」

学生「は、話が違うじゃないか!?」

不良4「うるせぇよ」

不良は学生の首を絞めた

学生「ぐ……う……」

不良1「幻想御手が欲しけりゃ、金を出せ。金がねぇなら失せろ」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:10:47.32 ID:dr+vk/6Ho
カズイ(あいつら……)

ミゲル「お、おい、カズイ?」


この時の俺は増長していたのかもしれない
レベル5の称号を得たこと、体術やMSの操縦技術が著しく向上したこと
それらは、他人にコンプレックスを抱き、戦場に怯え、コーディネイターを畏怖していた俺に、
初めて、他人を守る感覚、他人を圧倒する感覚を与えていた

カズイ「そこまでだ」

不良1「あん? 誰だよ?」

カズイ「風紀委員だ!」

不良2「はぁ? お前が? 馬鹿も休み休み言え」

カズイ「その手を離せ!」

不良3「はん、てめぇみたいなボンクラの指図なんざ受けねぇよ」

カズイ「だったら力尽くで……」

不良1「クックック……てめぇ、どの面でそんな偉そうな口叩いてんだよ
    こりゃ、おしおき確定だな……」

不良は手の平をカズイに向ける

不良1「俺の能力、『水流操作』を受けてみ……グハッ……」

カズイ「遅いよ」

カズイの拳に不良は倒れる

不良2「! テメェ……」

不良3「どうやら、マジでこいつ風紀委員だ……まとめてかかるぞ」

不良2・不良4「おう!」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:11:40.58 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「遅ぇっていってんだろ!」

ミゲル(! あいつ…キレてんのか?)

カズイは不良2の頭を掴み、地面へと叩きつける

不良2「がはっ……」

不良3「うおおおおお」

カズイは半身ずらして腹部に拳をねじ込ませる

不良3「ぐおっ…」

不良4「なら、俺の能力で」

カズイ「させねぇよ!」

不良の首をつかみ、壁へ叩きつける

不良4「ぐおっ……」

カズイ「言え」

不良4「え?」

カズイ「どこで、幻想御手を手に入れたかだよ」

不良4「ね、ネットで拾ったんだ」

カズイ「ネットだ? 馬鹿な言い訳してんじゃねぇぞ!」

不良4「ほ、本当だ……幻想御手ってのは音楽ファイルなんだ」

カズイ「ならば、実物を見せろ」

不良4「は、はい」

不良はミュージックプレイヤーを差し出す

不良4「こ、これで許してくれますか?」

カズイ「ああ、後はゆっくり眠ってろ!」

不良4「ぐはっ……」

ミゲル「カズイ! 何をしている」

ミゲルさんの一言で冷静さを取り戻す

カズイ「え? あ……俺……」

ミゲル「カズイ、一体どうしたんだ……」

カズイ「俺は……」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:12:53.02 ID:dr+vk/6Ho
―7月20日 第一七七支部―

能力者による事件が頻発して以来、数日が経過すると妙な事象が起きた
事件に関わった能力者達が、次々に昏倒したのだ
以来、目をさますことはなく、幻想御手調査も難航している

固法「大変なことになったわ……」

初春「まさか、幻想御手使用者がみんな、昏睡状態に陥るなんて……」

黒子「まずは、カズイさんたちが持ち帰ったデータ、木山先生に
   解析してもらいましょう」

ミゲル「木山? 誰だそいつは?」

初春「幻想御手使用者回復のために、出向した方ですよ」

美琴「確か、大脳生理学の専門家だったかしら」

ミゲル「状況の整理をするためにも、一度その木山という人物に会った方がいいな」

黒子「ええ、そうしましょう」

カズイ「………」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:13:43.10 ID:dr+vk/6Ho
―ファミレス―

木山「ふむ、その幻想御手が最近の能力者事件の一因だと」

初春「恐らく、幻想御手とは直接脳に作用する類のシステムだと思われます」

木山「なるほど、ところで………窓の外にいる女子は君らの友人かな?」

黒子「え?」

窓の外には黒子たちと同じくらいの長髪の女子が貼り付いていた


佐天「へぇ…脳学者さんなんですか、木山さん」

ミゲル「さて、本題に戻すぞ」

佐天「あ、どうぞどうぞ」

木山「幻想御手についてだが……」

佐天(幻想御手? それって……)

ミゲル「現在までの幻想御手についての情報を纏めると、
    幻想御手は音楽ファイルであること、流通方法はネット、及び売買、
    使用者は犯罪に手を染めやすくなる、現在使用者は軒並み昏睡、
    といったところだろう」

美琴「その、対策として。所持者は保護するそうね」

佐天(!? 保護……?)

木山「ふむ、では幻想御手の解析は私に任せてもらおう」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:14:26.69 ID:dr+vk/6Ho
―7月22日 廃墟―

佐天(幻想御手……か……
   聞くだけでレベルが上がる不思議なアイテム……
   もちろんそんな物使って得た能力、褒められたものじゃない……
   分かってる、そんなことは……でも、それじゃ、あたしは? 才能を持たないあたしは?
   才能がないからってそれを受け入れることなんて……)

?「は、話が……話が違うじゃないかっ!」

佐天「?」

少年「10万揃えれば、幻想御手を売ってくれるって言ったじゃないか!」

不良1「悪ぃがさっき値上げしたんだよ」

不良2「これが欲しけりゃもう10万集めてきな」

少年「なら、ならさっき渡した10万を返して……うっ……」

不良1「うっせーな、オラッ!」

少年「ぐっ……」

不良2「10万用意できねぇなら、テメェに何ざ用はねぇよ!」

少年「うっぷ……ゲホッ…ゲホッ……」

不良3「おい、ちょっと待てお前ら」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:05.22 ID:dr+vk/6Ho
不良1「あん?」

不良3「そいつでお前らのレベルがどれぐらい上がったのか試してみろ」

不良1「おいおい……」

不良2「マジかよ……」

少年「ひぃっ……」

不良1「残念だったな、オマエ」

不良2「もしかしたら、死んじまうかもな」

佐天(! 警備員に通報しないと……)

不良1「おい、そこ何見てんだよ」

不良2「なんか文句でもあんのかよ」

佐天「い、いえ、あたしはただの通りすがりで……」

佐天(最低だ…あたし……)

少年「う、うわあああああああああ、や、やめてくれえええええええええええ」

佐天(!)

佐天「も、もうやめなさいよ」

佐天(い、言っちゃった)

不良3「おい、今なんつった?」

佐天「ひっ……」

不良3「テメェみたいな何の力ももたないガキがナマ言ってんじゃねぇよ」

佐天(だ、駄目だ…あたし……)

?「チートで得た力を振りかざすあなた方に、そんな風に彼女をバカにする
  資格がありますの?」

不良3「あん? 誰だテメェ?」

黒子「風紀委員ですの」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:40.23 ID:dr+vk/6Ho
―7月23日 第一七七支部―

デュオ「能力者事件もめっきり減っちまったから、暇だな」

固法「今は木山先生の解析を待つしかないものね」

カトル「しかし、待つだけというのはもどかしいですね」

カズイ「………」

デュオ「何か、最近あいつ元気ねぇな……なぁ、ミゲル?」

ミゲル「あ、ああ、そうだな……」

カトル「ミゲルさん?」

美琴「ちょっといいかしら?」

カトル「御坂さん、白井さん、どこへ行ってたんですか?」

黒子「えぇ、ちょっとした野暮用ですわ」

美琴「ちょっと、初春さんの力を借りたいんだけど、居るかしら?」

デュオ「初春なら木山先生のところへ行ったぜ」

黒子「困りましたわね……」

ミゲル「どうかしたのか?」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:10.39 ID:dr+vk/6Ho
美琴「どうやら、昏睡した人たちは誰か、別の人の脳波パターンで脳が
   無理やり動かされているらしいのよ」

カトル「誰が、何の目的でそんなことを」

黒子「それを調べるために、初春の力をお借りしたかったんですけど……」

固法「なら、私に任せて」

固法がパソコンを操作すると膨大な量のデータが表示された

デュオ「で、結局、連中を操る目的はなんなんだ?」

カトル「これは推測なんですけど……」

ミゲル「何だ?」

カトル「恐らく、頒布者の狙いは幻想御手使用者間を繋ぐこと。
    つまり、幻想御手をプロトコルとして、異なる脳波パターンを
    持つ者同士を繋ぎ、巨大なネットワークを構築したんです」

美琴「なるほど、そうして同系統の能力者は思考パターンを共有して、
   より強力な能力を発動させていたってわけね」

デュオ「だけど、その先の目的がわからねぇな……」

固法「出た! これは……木山春生!」

デュオ「木山が連中を……」

美琴「初春さんが危ない!」

固法「警備員に通報を、デュオくんとカトルくんは木山春生を追って」

美琴「私も行くわ」

固法「御坂さん?」

黒子「わ、わたくしも行きますわ」

美琴「あんた、先日のアレで怪我してるでしょ」

黒子「ですが……」

美琴「いいから、私に任せておきなさい」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:51.38 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力施設付近―

デュオ「おいおい……警備員が全滅じゃねぇか」

木山「? 初めて見る顔だな……」

カトル「木山春生さんですね、幻想御手頒布の容疑で拘束します」

木山「ふむ、もうバレてしまったか……
   だが、出来るかな……一万の脳を統べるこの私を」

カトル「能力者が相手だ、僕らも能力を使おう、デュオ」

デュオ「任せな」

デュオの腕が風を纏うと刃を形成した

木山「ふむ、『風刃使い』といったところか」

デュオ「行くぜ」

木山「甘い…」

木山が前方に障壁を展開するとデュオは弾き飛ばされた

デュオ「ぐっ……」

美琴「次はこっちよ」

美琴は電撃を放つも、かき消された
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:17:29.41 ID:dr+vk/6Ho
木山「効かぬな、レベル5と言えど、この程度か?」

カトル「後ろがガラ空きですよ」

カトルは指向性の衝撃波を放った

木山「ふむ、良い攻撃だ……」

木山は姿を消した

カトル「『空間移動』!?」

木山「これで終わりだ」

木山は空き缶をばらまく

デュオ「虚空爆破事件の……マズイぞ!」

カトル「任せて」

カトルは障壁を展開し爆発を凌ぐ

木山「これを凌ぐか、大した能力者だな」

デュオ「よそ見してんじゃねぇよ」

木山「な!?」

デュオは風の鞭を生成し木山の四肢を拘束する

カトル「今です御坂さん!」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:18:27.30 ID:dr+vk/6Ho
美琴「!」

美琴は木山にしがみつき

美琴「これで終わりよ」

電撃を流しこむ

木山「ぐあああああああああっ……」

美琴「!」

木山は地面に倒れ込む

カトル「やりましたね、御坂さん」

美琴「………」

デュオ「どうした、御坂?」

美琴「今のは?」

木山「き、君が見たとおりさ、AIM拡散力場制御実験と銘打った
   暴走能力の法則解析用誘爆実験……」

美琴「それって……」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:19:42.00 ID:dr+vk/6Ho
カトル「以前、資料を読んだことがあります。
    レベル6を生み出すために木原幻生が行った実験。
    その被験者は故意に起こされた『事故』により昏睡状態に陥った」

木山「一体どこで、そんな情報を仕入れたのやら……
   そうさ、あの子たちは今も眠り続けている
   私たちの行った人体実験のせいで!」

美琴「だったら警備員に通報すれば……」

木山「23回」

美琴「?」

木山「事故原因の究明のために『樹形図の設計者』を申請した数だ
   あれを使えば、再びあの子たちを呼び起こせる
   なのに、却下された……23回とも全て!」

デュオ「………」

木山「グルなんだよ、統括理事会は。警備員が動くはずがない」

美琴「だからってこんなやり方……」

木山「君たちに何が分かる! あの子たちを救うためなら、私は何だってする
   例え、学園都市全てを敵に回しても…私は、私は……ぐっ……
   ぐあああああああ……」

デュオ「な、何だよ、あれ……」

美琴「木山の背中から何かが……」

カトル「あれは!? 胎児?」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:20:51.65 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

ミゲル「カズイ、まずいことになった」

カズイ「どうしたんですか?」

ミゲル「木山を倒した後、巨大な生物兵器のようなものが暴れだしたらしい」

カズイ「!?」

ミゲル「俺は現場へ向かう、お前も来い」

カズイ「……嫌です……」

ミゲル「!? どういう事だ」

カズイ「俺が行けば、またあの廃工場みたいに……」

ミゲル「………」

カズイ「俺は傲慢な人間だ……力を手に入れれば、何でも出来ると思いあがって……他人をねじ伏せて……
    元々、俺は平凡に暮らしたいがために学園都市に来たんだ。
    もう、うんざりだよ」

ミゲル「!? もういい、俺だけで行く」

カズイ「………」

黒子「随分と情けないレベル5だこと……」

カズイ「な……」

黒子「ミゲルさんから聞きましたけど、あの事態を招いたのはあなた自身の弱さが原因でしょう?」

カズイ「うるさい! 君に何が分かる!」

カズイは第一七七支部から飛び出した

黒子「はぁ……」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:21:21.87 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―

カズイ(弱くて何が悪い……元々、俺はこういう人間なんだ……誰かの影でびくびくするだけの………)

ノイン「カズイ!?」

カズイ「の、ノインさん?」

ノイン「こんなところで何をしている? 生物兵器はどうした?」

カズイ「俺は行きませんよ……もうあんな風になりたくはない……」

ノイン「何があった?」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:22:12.47 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「そうか……そんなことが……」

カズイ「俺は……俺なんて………」

ノイン「カズイ、お前は喧嘩など滅多にしたことはなかっただろう?」

カズイ「え?」

カズイ(確かにいつも、喧嘩になる前に悪くなくても謝って場を収めてた……)

ノイン「君が感じた高ぶり……」

カズイ「?」

ノイン「それは、誰もが内に秘める感情だ。今まで他人への恐怖で、覆い隠されていただけで、君の中にもある」

カズイ「………」

ノイン「初めて感じる感情に困惑しているのだろう?
    だが、君に眠る感情は『怒り』だけではないはずだ」

カズイ「え?」

ノイン「自身の能力への不信感、他人の素養への恐怖。
    その中で押し殺していたもう一つの感情……誰かを救いたいと願う心、
    君は持っているだろう?」

カズイ「そんなこと……」

ノイン「ハンカ自治州での戦いや廃工場での出来事を思い出せ。
    お前は何のために戦い、誰のために戦ったんだ?」

カズイ「!」

ノイン「思い出したか」

カズイ「はい……俺、行ってきます!」

ノイン「ああ……」

カズイは駆け出した
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:10.80 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「これでいいのか、刹那?」

刹那「ああ、すまないな」

ノイン「それにしても、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターが何故カズイを?」

刹那「俺もかつては、戦いへの恐怖や自分の無力さを感じていた。
   境遇は違えど、奴と昔の俺は何処か似ていると思ってな……」
 
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:53.32 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力発電所付近―

鉄装「何かあれ、大きくなってませんか?」

黄泉川「怯むな、撃ち続けろ」

幻想猛獣に銃は効かず、触手が鉄装へ伸びる

鉄装「ひぃっ…」

その時雷撃が触手を払う

美琴「ぼさっとしないで、死にたいの?」

鉄装「あなたは? どうして学生がここに?」

美琴「そんなことはいいから」

黄泉川「何だか、まずいじゃん……」

幻想猛獣は市街地へ向かっている

美琴「任せて、あれは私が相手する」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:24:51.87 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は全高50mにも及んでいた

美琴「なんてでたらめな大きさ……でも、ここで食い止めないと町が!」

幻想猛獣は光弾を美琴に放つ、砂鉄剣で全て捌くも触手に捕らわれる

美琴「くっ……この……」

美琴は電撃を食らわすがまるで効く気配はない

美琴(まずい……これじゃ……)

ミゲル「こいつを食らいな!」

機銃が触手を貫く

美琴「オレンジ色のMS?」

ミゲル「ミゲルだ。今から援護する」

美琴「ミゲルさん? どうしてザフトのMSなんか?」

ミゲル「話は後だ。奴を市街地に近づけるわけには行かない。抑えるぞ!」

美琴「けどアイツの触手を何とかしないと……」

ミゲル「任せな、俺が触手を何とかする。お前は本体を」

オレンジ色のジンは機銃で幻想猛獣の触手を撃ち落とす

美琴「くらいなさい!」

美琴は雷撃を繰り出す

ミゲル「おいおい……なんつー電気量だよ」

舞い上がる土埃を裂き
巨大な光弾が撃ち出される

ミゲル「な!?」

光弾はジンの右腕を消し飛ばす

ミゲル「くっ……」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:26:32.06 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は再生した触手でジンの四肢を掴み光弾のチャージを始める

ミゲル「コイツ……」

美琴「まずい……どうすれば……」

カズイ「ミゲルさん!」

I.W.S.P.を装備したダガーがガトリングで触手を全て焼き払い
対艦刀で幻想猛獣を一閃する

カズイ「ミゲルさん、御坂、下がっててくれ。こいつは俺が相手する」

美琴「カズイさん?」

ミゲル「カズイ、なぜお前が連合の機体を!」

カズイ「話は後です。今はこいつを」

幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」

カズイ「触手が再生した!?」

木山「まさかこんなモノが生まれるとはな……」

美琴「木山春生……」

木山「今、花飾りの娘がワクチンを流しに向かっている。いずれ、再生能力は失われるはずだ。
   あとは核を破壊すれば……」

美琴「だったら、こいつで」

美琴は先程よりも強力な雷撃を放つ。誘電力場に阻まれながらも
雷撃の熱は幻想猛獣の体表を焼く
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:27:42.40 ID:dr+vk/6Ho
美琴「次は……」

幻想猛獣が放つ触手を砂鉄剣で全て切り払う

ミゲル「これが、レベル5……」

美琴「これでとどめよ」

美琴はコインを弾き『超電磁砲』を放つ

幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」

しかし、幻想猛獣を貫くには至らない

木山「やはり、レベル5といえども……」

カズイ「任せて、アイツの体表は俺が薙ぎ払う」

美琴「え?」

カズイは幻想猛獣にレールガン、単装砲、ガトリングを一斉に叩き込み
幻想猛獣の懐へ飛び込む

カズイ「まだだ!」

両肩の対艦刀を引き抜き追撃する

カズイ「ダガー、もう少しだけ保ってくれ……」

カズイは『空間掌握』を発動し、超速で幻想猛獣の体表を切り剥がす

ミゲル「あの機体で、あんな動き……もう保たんぞ!」

幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア!」

止め処ない斬撃にダガーの両腕は耐えられず砕け散った

カズイ「もう一発!」

止めと言わんばかりにダガーが放ったレールガンを受け
幻想猛獣の核が現出した

カズイ「今だ御坂!」

美琴は静かにうなずき、再びコインを弾く
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:10.37 ID:dr+vk/6Ho
―7月25日 第一七七支部―

固法「カズイくん、御坂さん。今回はお手柄だったわね」

黒子「木山は警備員に捕らわれ、幻想御手使用者も意識を戻りましたの」

カズイ「それは、良かった」

固法「それにしても、カズイくん、ミゲルさん、どうしてあなた達MSなんて……」

カズイ「それは……」

デュオ「ああ、こいつは元軍人なんだ」

美琴「えっ?」

ミゲル「………」

カズイ「色々あって退役したんです」

カズイ(実際は脱走兵のようなものだけど……)

黒子「ミゲルさんも?」

ミゲル「まぁ、そんなとこだ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:42.86 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部 外―

カズイ「どうしたんですか、ミゲルさん?」

ミゲル「洗い浚い話してもらおうか、お前がこの学園都市にいる理由を」

ミゲルは銃を突きつけカズイに問いかける

カズイ「え?」

ミゲル「連合のスパイか?」

カズイ「ち、違います、俺は……」

ミゲル「なら何故、連合のMSを持っている?」

カズイ「それは……」

デュオ「そこまでだザフトのスパイさんよ」

ミゲル「!?」

カトル「あなたの素性、調べさせてもらいましたよ。ミゲル・アイマンさん」

ミゲル「お前たちも連合のスパイか?」

デュオ「俺らは組織系統が違うんだが……」

カトル「僕たちはプリベンター。地球連邦直属の治安維持部隊」

デュオ「ちなみにそいつが退役軍人ってのも本当だ。
    元アークエンジェルクルーのな」

ミゲル「な? 貴様……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:29:54.33 ID:dr+vk/6Ho
デュオ「なぁ、お前が何の目的でここに居るのかは知らんが
    今は同僚だろ?」

ミゲル「だが、お前たちはコーディネイターに仇なす存在だ」

カトル「僕らプリベンターはプラントも含めた地球圏の治安維持を
    目的としています。君達と事を構えるつもりはありません」

ミゲル「信じられるものか……狡猾で薄汚いナチュラル共が……」

カズイ「なら、どうして幻想御手事件で幻想猛獣を止めようと……」

ミゲル「学園都市に住むコーディネイターの為に決まっている」

カズイ「だったら、御坂さんまで助ける必要なかったじゃないですか」

ミゲル「それは……」

カトル「ミゲルさんも心の底からナチュラルを憎んではいないはずです」

ミゲル「知ったような口を……」

カズイ「俺は元々国連軍の士官でしたけど、コーディネイターが憎くて
    志願したわけではないです」

ミゲル「………」

カズイ「俺らは敵じゃない。それどころかここ数日はずっと
    あなたと二人で仕事をこなしてきたじゃないですか」

デュオ「聞いた話じゃ、あんたのジンが大破したとき助けてくれたのは
    こいつだったそうじゃないか」

ミゲル「! そう……だったな……カズイ、銃なんか向けてすまなかったな」

カズイ「気にしないでください」

ミゲル「ナチュラルへの憎しみで盲目していたようだな……
    確かに、お前たちや風紀委員の連中も信用に足る人物だよ……
    これからもよろしく頼む、カズイ、デュオ、カトル」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:30:33.33 ID:dr+vk/6Ho
―地球連邦―

革命戦争、ソレスタル・ビーイングによる武力介入を経て、発足された地球連邦
事務局直属の治安維持部隊としてプリベンターが組織され
安全保障理事会下には、主力軍としてユニオン、人類革新連盟、AEU等各国の軍隊によって
構成された国連軍が配備されている

アズラエル「さて、ストライクダガーの投入により地球における戦況は上々。
      先日の反攻作戦が功を奏し、ビクトリア、ジブラルタル、カーペンタリアまでも
      奪還することが出来ました。
      今こそ軌道エレベーターを奪還する好機です。
      ダガー、ジンクスUを中心に部隊を編成し、攻勢を仕掛けましょう」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:31:02.27 ID:dr+vk/6Ho
―8月中旬 プリベンター 学園都市支部―

レディ「よく来たな、カズイ。
    通信を介さず会うのはこれが初めてかな」

カズイ「は、はい……」

レディ「君に来てもらった要件は二つ。
    ダガーに変わる新機体の受け渡し、デュオ、カトルの
    護衛解任についての報告だ」

カズイ「え? どうしてですか?」

レディ「君にはもう護衛など必要ないだろう……というのも理由の一つではあるが、
    大きな理由は地球情勢の変化」

カトル「近々、国連軍が軌道エレベーターの奪還作戦を決行するんだ。
    僕らもそれに参加する事になる」

デュオ「それに、コロニーの連中も妙な動きを見せている」

レディ「そのため、彼らには宇宙に行ってもらう」

カズイ「そんな……」

カトル「大丈夫、地球圏が平和になれば、きっと学園都市に戻れるから」

カズイ「うん……二人とも気を付けて」

デュオ「ああ、お前もな」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:31:46.02 ID:dr+vk/6Ho
―8月19日 繁華街―

トール「なあ、カズイ」

カズイ「どうしたんだ?」

トール「ミリィやサイ、キラ達はどうなったんだ?」

カズイ「そっか、サイはオノゴロで落とされたから、その後のことは知らないんだよな」

ニコル「ここのところゴタゴタが続いてたから、情勢を知る機会にも恵まれませんでしたからね」

カズイ「分かった、それじゃ………」

俺はオノゴロ以降の出来事をすべて話した
オノゴロの戦いでキラがMIAとなったこと
バスターのパイロット、ディアッカを捕虜にしたこと
アラスカのJOSHUAでは国連軍がサイクロプスで味方ごとザフト軍を焼き払ったこと
一方、パナマではグングニールを用いてザフト軍による一方的な虐殺が行われたこと
そして、キラとその親友アスランと共にアークエンジェルはオーブへ向かい
今は国連軍とザフト軍の両陣営と対立していること

トール「まさか、そんなことになってるとはな……」

ニコル「アスランとディアッカも足つきに……」

トール「ザフトもそうだが国連軍もやり過ぎだ
    こんなんじゃ終わる戦争も終わらねぇだろ」

ニコル「一体、世界はどうなってしまうのでしょうか?
    ソレスタル・ビーイングの介入と革命戦争によって一時は
    世界も一つになろうとしていたのに……」

カズイ「でも、俺らにはどうしようもない事だ……」

トール「そう…だな……」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:32:24.54 ID:dr+vk/6Ho
―数時間後―

カズイ(一体、俺らに何が出来るのだろうか?
    たとえ、俺がレベル5の能力者でMSの操縦ができても…世界は……)

?「う、うわあああああああああ」

カズイ「!?」

カズイが振り向いた先では警備員が少年に組み付かれ、首を締め上げられていた

警備員「た、助けてくれ」

カズイ「やめろ!」

カズイは少年を羽交い締めにする

少年「離せ! 離せよ!」

カズイ「くっ……」

カズイ(なんて力だ……)

少年「コイツ! いい加減離せ!」

カズイ「ぐっ……このっ!」

カズイは少年を昏倒させる

カズイ「ハァッ…ハァッ…」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:33:00.25 ID:dr+vk/6Ho
警備員「す、すまない、助かったよ」

カズイ「この子、一体どうしたんですか?」

警備員「分からん、見ない顔だったのでIDの提示を求めたら、逆上して掴みかかってきた」

カズイ(まさか、幻想御手? でもあれはもう……)

?「バスカーク、久しぶりだな」

カズイ「ヒイロ!? どうしてここに?」

ヒイロ「その男に用があってな。そこの警備員、この男はこちらで預からせてもらう。
    学園都市の許可も出ている」

警備員「え? あ、確かに……」

ヒイロ「バスカーク、お前を狙う者がいる。気をつけろ」

カズイ「え? ヒイロ?」

それだけ言い残し、ヒイロは少年を連れて去っていった
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:34:08.85 ID:dr+vk/6Ho
―学生寮付近―

カズイ(ヒイロ、どうしたんだ急に? 俺を狙う者だなんて……)

カズイ「まぁ、良いや……」

傭兵「カズイ・バスカークだな」

カズイ「じゅ、銃!?」

傭兵「悪いが、お前を拘束させてもらう」

カズイ「な!?」

カズイ(まさか、ヒイロが言っていた?)

傭兵「おとなしく従え」

カズイ「くっ…」

カズイは傭兵の懐に飛び込み、銃を蹴り上げ、腹部に拳を打ち込む

傭兵「がはっ……き、貴様!?」

カズイ「くっ……捕まってたまるか」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:34:47.92 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―

カズイ(妙だな、さっきから追っ手が一人も来ない……)

カズイ「な、あれは!?」

カズイの目前に数機のサベージが現れる

傭兵『カズイ・バスカーク、逃しはしない』

カズイ「サベージ……どうして学園都市に……」

傭兵『大人しく投降しろ。貴様に逃げ場はない』

カズイ(あれを使うしかないのか……)

?『バスカーク、伏せていろ!』

声が響くとともに、サベージを巨大なビームが穿つ

カズイ「ひ、ヒイロ? 君がウイングゼロの!?」

ヒイロ『サベージは俺が制圧する。お前は第一七七支部へ行け』

カズイ「一七七支部に? どうして?」

ヒイロ『行けば分かる。早く行け』
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:37:09.67 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

カズイはヒイロの進言に従い第一七七支部の戸を開ける

固法「カズイ君、あなたどこに行っていたの? 携帯にもつながらないし」

カズイ「すみません、今日は携帯を忘れてしまって」

固法「まあ良いわ、席に着いて」

固法がリモコンを操作すると、モニターに第七学区の地図が表示される

固法「現在、巨大なASが第七学区を襲撃、学園都市のMS部隊が喰い止めています。
   私たちはその間に警備員と連携し、周辺の避難誘導を行います」


―第七学区―

固法「こちらです、こちらのシェルターに皆さん非難してください」

黒子「怪我をして動けない方、足の不自由な方などはこちらに。
   わたくしがお連れいたしますわ」

固法「初春さん、民間人の避難率は?」

初春『八割方完了しています』

ミゲル「後は、あのASを止められればな……」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:37:35.99 ID:dr+vk/6Ho
―第七学区 公園―

カズイ「逃げ遅れた方は居ませんか?」

?「カズイくん?」

声の先には見知った顔があった

カズイ「千鳥に相良、それにテスタロッサ……さん?」

テッサ「テッサで構いません。あなたは、どうしてこちらに?」

カズイ「風紀委員の仕事で避難民の先導を……それよりも、あのASは何ですか?」

テッサ「あの機体は……」

テッサによるとあの機体、ベヘモスはカズイが捕らえヒイロが連れ去った少年―タクマが
操るラムダ・ドライバ搭載のASであるらしい

カズイ「昼の少年があのASを……」

宗介「俺はアーバレストを拾い、あの機体を食い止める。
   バスカーク、お前は大佐と千鳥をシェルターへと案内してくれ」

カズイ「分かった。気をつけろよ、相良」

その時、カズイたちの背後に黒子がテレポートしてきた

黒子「カズイさん、そちらは?」

カズイ「白井、丁度良かった。この人達をシェルターへお願い」

黒子「お任せください、あなたは?」

カズイ「他にも、逃げ遅れた人が居ないか探してくるよ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:38:02.75 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―

公園にはASを見上げ佇む女子が居た
その頭には物々しいゴーグルが掛けられている

?「………」

カズイ「そこの君、早く避難を」

?「………」

カズイ「御坂?」

その人物は学園都市第三位のレベル5――「御坂美琴」に酷似していた

美琴?「はい、どうして私の名を? と、ミサカは訝しげに尋ねます」

カズイ「どうしてって、俺だよ、カズイ」

美琴?「あなたと私は初対面のはずですが? と、ミサカはあなたの不可解な言動に
    疑問を投げかけます」

カズイ「あ、あれ?………そうだ、とにかく、シェルターへ」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:39:42.34 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―

カズイは御坂を連れシェルターへ向かう

カズイ「御坂、そのゴーグルどうしたの?」

御坂?「ミサカはお姉さまとは違い、電子線、磁力線を視ることが出来ないので
    このゴーグルが必要なのです、と、ミサカは懇切丁寧に説明します」

カズイ「君、御坂の妹?」

御坂妹「はい、そうです、と、ミサカは即答します」

カズイ「道理で似ているわけだ……それで、君の名前は?」

御坂妹「ミサカの名前はミサカですが、と、ミサカは答えます」

カズイ(御坂ミサカ?)

カズイたちはシェルター付近へとやってきた

カズイ「シェルターだ」

その時、ベヘモスの放った機銃がカズイたちを襲う

カズイ「!」

カズイはとっさにミサカを庇うように回避する

カズイ「ミサカ、大丈夫か?」

ミサカ「はい、ありがとうございます、と、ミサカは感謝の思いを述べます」

カズイ(御坂と性格が全然違うなあ……)

ミサカ「? そんなに見つめてどうしたんですか? と、ミサカは不審そうに訪ねます」

カズイ「ご、ごめん……さあ、ここがシェルターだ早く入って」

ミサカ「あなたはどうするのですか? と、ミサカは心配そうに訪ねます」

カズイ「俺はあのASを止めに行くよ」

ミサカ「あなたではあれを止めることは不可能だと思われます、と、
    ミサカは状況を冷静に分析します」

カズイ「大丈夫だから、ミサカはここで待っててくれ」

ミサカ「あ……」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:40:30.26 ID:dr+vk/6Ho
―数日前―

レディにカズイが呼び出された日
カズイが案内された場所には白いガンダムが佇んでいた
忘れることの出来ない機体だ

レディ「カズイ、この機体……ストライクは君にも縁のあるMSだったな」

カズイ「はい……」

レディ「これは学園都市の技術で製造されたMSだ。OSや各部関節の強度なども君の特性に合わせてある程度チューンされている。」

カズイ「学園都市が?」

レディ「学園都市では、君を始めとする優秀なパイロットのデータを収集したいとのことだ。
    そして、何の因果か、この機体が君に与えられたわけだな」


―MSハンガー―

カズイ「戦うのは嫌いだけど……だけど……」

カズイ「俺の居場所、みんなを守るためにこの機体――ストライクで俺は戦う!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:40:56.82 ID:dr+vk/6Ho
―第七学区―

パイロット1「く……学園都市でチューンしたこのダガーでも止められんのか?」

パイロット2「それでも撃ち続けろ、奴をこれ以上進ませるな」

パイロット1「しかし、我々の攻撃はあの機体には……」

タクマ「鬱陶しいな……」

ベヘモスは光弾を物ともせずダガーを薙ぎ払いながら進行する

パイロット3「も、もうダメだ……」

宗介「加勢する」

アーバレストはベヘモスへとボクサーを放つ、
しかしASに当たりはせず全て防がれる

宗介(この機体、例のラムダ・ドライバを積んでいるのか……)

パイロット3「き、君は?」

宗介「通りすがりのゴミ係だ」

タクマ「お前は……!」

宗介「獲物を前に舌なめずり三流のすることだな」

タクマ「何だと……」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:41:32.14 ID:dr+vk/6Ho
宗介(しかし、体高の差は明らかだ……やれるか?)

タクマ「消えろよ!」

ベヘモスは『太刀』をアーバレストに振り落とすが上空から放たれたビームに穿たれる

宗介「!? どこからの攻撃だ?」

タクマ「誰だよ! 僕のジャマをするのは!」

カズイ「相良!」

宗介「バスカークか?」

タクマ「この声、昼に僕のジャマをした……」

カズイ「あのAS、何としても止めるよ」

宗介「だが、奴のラムダ・ドライバを何とかしなければ……」

カズイ「ラムダ・ドライバ?」

宗介「ハンカ自治州に現れた銀色のAS、あれに搭載されていた機関だ。
   搭乗者の意志を物理的な力に変換することが出来る」

カズイ「そんなデタラメな……」

宗介「あの機体に対抗出来るのは、同じラムダ・ドライバを搭載したこの機体だけだ」

カズイ「分かった、俺があの機体を牽制するから、相良は止めを」

宗介「了解した」

宗介(ラムダ・ドライバ……あの時のようにやれば出来るはずだ)
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:42:05.28 ID:dr+vk/6Ho
―第十学区―

ゲイツ「おうおう、派手にやってくれちゃってるね〜。おかげで私たちも仕事がしやすい。
    さ〜てお前たち、子猫ちゃんたちが暴れてくれている。とっとと仕事を済ますぞ」

???「ったく……何の用ですかァ? こンな所に呼び出してよォ!」

傭兵「学園都市、第一位『一方通行』だな」

一方通行「だったら、何だって言うンですか?」

ゲイツ「生意気な小僧だな、おい相手してやれ」

ゲイツの背後からコダールが出現した

一方通行「見たことのねェASだなァ……」

ゲイツ「冥土の土産に教えてやるよ。こいつはコダール、ラムダ・ドライバっつー
    装置を積んでんだがな……」

一方通行「ラムダ・ドライバァ? なンだそれは?」

ゲイツ「それは見てのお楽しみだ、せいぜい楽しんでってくれよな」

一方通行「俺の能力は知ってンだろ、モミアゲェ? それじゃ、あのおもちゃが
     俺には効かねェって事ぐれェ分かンだろ?」

ゲイツ「つくづく生意気な子猫ちゃんだなぁ……お前ら、この若造のケツに
    弾っころ突っ込んで、二度と生意気な口利かねぇようにしてやれ」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:43:24.99 ID:dr+vk/6Ho
―第七学区―

カズイ(あの障壁……あれはラムダ・ドライバによるものなのか?
    さっきまでは、あんなの展開していなかったのに)

タクマ「そんな小さな機体でこのベヘモスに叶うはずないだろぉ!」

カズイ(もし、あの機体が搭乗者の意志を物理的な力に変換しているというのなら……)

ストライクはベヘモスの背後に回りこむ

タクマ「? どこへ……」

カズイ「搭乗者の意識の外から攻撃すれば!」

そして、カズイはビームサーベルで切りかかり、肩部に傷を付ける

タクマ(な、この機体に傷を?)

カズイ「まだだ!」

ストライクはベヘモスの動きにあわせ、死角へと回りビームを放つ

タクマ「く……ちょこまかと、鬱陶しいんだよ!」

カズイ(やはり、死角からの攻撃は防げないようだ)

タクマ「クソ、クソ、クソ……なんなんだよコイツ!」

ベヘモスは闇雲に『太刀』を振るうが、機体には徐々に軋みが生じている

宗介「今度こそ、奴に当てる……」

アーバレストは機銃を放つ

タクマ「ぐっ……」

宗介「攻撃が通っている!? 搭乗者の集中力が切れているというこか?」

カズイ「相良、早くとどめを」

宗介「了解した。アル、ラムダ・ドライバを発動させろ」

アル「了解」

宗介「あの時のように、意識を集中させる……奴を撃ち抜くイメージを!」

宗介は気を集中させ、ベヘモスへと機銃を放つ
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:44:05.84 ID:dr+vk/6Ho
―某所―

ミスタAg「首尾はどうだい、ミスタK?」

ゲイツ『どうしたもこうしたもねぇ、なんなんだあの小僧は?
    コダールが一機やられちまった』

ミスタAg「やはり、一筋縄では行かないか……とりあえずベヘモスの実験は完了したから、
     一方通行は放っておくとの事だ、帰還して構わないよ」

ピッ――ミスタAgは通信を切る

ミスタAg「いずれにせよ問題なのは『空間掌握』か……結局、捕らえることもかなわなかった」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:44:39.92 ID:dr+vk/6Ho
―8月20日 公園―

不良1「おい、この制服、常盤台のじゃねぇか」

カズイ(常盤台?)

不良2「こいつはラッキーだな、金目のモン全部………」

カズイ「そこまでだ!」

不良1「あん? 誰だテメェ」

カズイ「風紀委員だ」

不良1「ハンッ、もっとマシな嘘つけよ」

カズイ「彼女から離れろ!」

不良1「ウゼェよ」

不良はすぐさま駆け出しカズイに殴り掛かる

カズイ「………」

カズイは一歩も動かない

不良1「怖じ気づきやがって、くたば………へ?」

不良は宙を待っていた

不良2「何だ? 一体何が………お?」

もう一人の不良も気付けば地面に突っ伏していた

カズイ「はぁ……大丈夫か、御坂?」

ミサカ「はい、と、ミサカは自身の無事を伝えます」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:45:31.18 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「もしかして妹の方?」

ミサカ「はい。それよりもあの時あなたは……………」

カズイ「?」

ミサカ「そういえば、あなたの名前……確かカズイさんでしたよね? と、
    ミサカは確認します」

カズイ「そうか、色々あってちゃんと名乗ってなかったな。
    俺はカズイ、カズイ・バスカークだ」

ミサカ「それでは、カズイさん、あなたはあの日、どこへ向かわれたのですか?
    と、ミサカはあなたの奇妙な行動について問います」

カズイ「それは………」

ミサカ「あの日あの巨大なASを撃破したのは、白いASとMSであったと聞きましたが、まさか……」

カズイ「……そうだよ、あの時MSに乗っていたのは俺だ」

ミサカ「MSの操縦が出来るなんて、人は見かけによらないものですね、と、
    ミサカは感心します」

カズイ「それほどでもないよ。そうだ、第一七七支部に行かないと………
    またな、ミサカ」

カズイはそう言い残し立ち去った
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:46:10.20 ID:dr+vk/6Ho
―8月21日 公園―

カズイは参考書を買いに外へ出ていた

カズイ「はぁ……学園都市のカリキュラムはさっぱりだよ……とても高校生で学ぶ内容とは思えない……」

カズイが愚痴をこぼしていると見知った姿に遭遇した

カズイ「あれは、ミサカ?」

ミサカ「………」

ミサカは菓子パンを猫に与えようとしていた

カズイ「ミサカ」

ミサカ「!?」

ミサカはとっさに菓子パンを背に隠す

ミサカ「また、会いましたね」

カズイ「ああ、それあげないの?」

ミサカ「その……私は……」

上条「うーっす」

ミサカ「あなたは、昨夜の」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:46:45.54 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「上条、久しぶりだな」

上条「え? あ、ああ、そうだな」

上条(もしかしてこいつも俺の知り合いか?)

ミサカ「カズイさん、お二人はお知り合いなのですか?」

カズイ「ああ、クラスメイトだよ」

上条「お前らも知り合いだったのか?」

ミサカ「はい、一昨日、シェルターに案内してくれたのが彼です」

上条「あのデケェASが現れた日か。というか御坂妹、その菓子パンやらないのか?」

ミサカ「不可能です」

上条「?」

ミサカ「ミサカの体は常に微弱な磁場を形成します。人体には影響はないのですが
    他の動物にはあるようでして……」

上条「なるほどね」

カズイ「それじゃ、ミサカはその体質のせいで猫に嫌われやすいのか」

ミサカ「嫌われているのではありません、避けられているだけです、と、
    ミサカは修正します」

上条(何か、可哀想だな……)

カズイ「それで、その猫はどうするの?」

上条「………」

ミサカ「………」

カズイ「………」

ミサカ「頼みましたよ、カズイさん」

上条「言い出しっぺの法則だ、任せたぞ、カズイ」

カズイ「え!?」

上条「俺の寮には既に、手のかかる子猫が居るんだ。頼んだぞ」

カズイ「な、上条!?」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:47:53.59 ID:dr+vk/6Ho
―本屋前―

上条「さて、俺とカズイは買いたい本があるから、この猫頼んだわ」

ミサカ「先程の私の話を聞いていませんでしたか? 私は……」

カズイ「ほら」

カズイはミサカに向かって子猫を投げる

ミサカ「!?」

上条「普通に触れんじゃんか」

そう言い残し二人は本屋に入っていった

ミサカ「はぁ……」

ミサカ(子猫を投げるなんて非常識にもほどが………!!)

ミサカの眼に白髪の少年の姿が映し出される
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:48:44.71 ID:dr+vk/6Ho
―路地裏―

ミサカ「はぁはぁ……どうして銃弾が……」

一方通行「さァて、何故でしょォかァ?」

ミサカ「反…射?」

一方通行「惜しィねェ……反射もそのひとつなンだけど、それだけじゃァねェンだ」

ミサカ「!」

ミサカは弾の切れた機銃を叩きつけ、即座に雷撃を繰り出す

一方通行「くっくっく…答えはベクトル変換でしたァ」

一方通行はミサカの放つ雷撃を跳ね返す

一方通行「さァて、最終問題です」

一方通行は横たわるミサカの傷口に触れる

ミサカ「!?」

一方通行「今俺は何をしているンでしょうか?」

ミサカ「!!」

一方通行「それでは、さよォならァ」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:49:15.11 ID:dr+vk/6Ho
―本屋外―

カズイ「あれ? ミサカは?」

上条「子猫放ってどこに……」

カズイ「! 上条、あれ……」

上条「! 御坂妹の靴?」


―路地裏―

ミサカを追ったカズイたちの眼前には凄惨な光景が広がっていた

カズイ「な、なにこれ………」

上条「ぐっ………」

そこには全身に切り傷のようなもの刻み、辺り一面に血を飛び散らせるミサカが居た

カズイ「ど、どうしてこんな事に……」

このようなこと、常人に出来るものではない

上条「ぐっ……警備員を……」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:50:03.73 ID:dr+vk/6Ho
―数分後 本屋前―

警備員「通報したのは君たちかね?」

上条「はい……」

警備員「状況を説明してくれるかな?」

上条「………」

カズイ「俺が説明します。知り合いの女の子が……全身を引き裂かれたように
    死んでいたんです。恐らく、何かの能力で……」

上条「俺らが……彼女を一人にしたから………」

警備員「分かった、君らに非はない。あまり自分を責めるな」

上条「………」

警備員「出来れば発見者に同行してもらいたいのだが、来てくれるかね?」

上条「はい……」

警備員「君はどうする?」

カズイ「行きます…」


―路地裏―

先程までミサカが横たわっていた場所は初めから何もなかったかのように
片付いていた

上条「!?」

警備員「何だ、何も無いじゃないか」

上条「そんなはずは……」

警備員「我々をからかっていたのか? 風紀委員まで一緒になって」

カズイ「ち、違います。本当にここで……人が死んでいたんです!」

警備員「分かった、それで君らが見たのは本当だとして、
    それは間違いなくここだったのかね? 記憶違いなどではないのか」

上条「!?」

上条は路地の奥へと駆け出した

カズイ「上条!?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:51:06.21 ID:dr+vk/6Ho
―路地奥―

寝袋を抱えるミサカが歩いている

カズイ「ミサカ?」

上条「やっぱり、さっきのは見間違いだったのか……」

ミサカ「申し訳ありません、作業終了後そちらへ戻る予定だったのですが……」

カズイ「てっきり、ミサカさんが死んだもんだと……」

ミサカ「? ミサカは確かに死亡しましたが、と、ミサカは報告します」

カズイ・上条「!?」

上条「待て、その寝袋……お前一体何を抱えてんだ?」

?「『妹達』ですよ、と、ミサカは答えます」

路地の奥からもう一人、御坂美琴に似た人物が現れた

?「あなた達に無断で猫を置き去りにしてしまったことについては謝罪します」

奥からまた一人

?「ですが、ミサカの都合に動物を巻き込むのは気が引けました、と、ミサカは弁解します」

カズイたちの背後からも一人

上条「ここで何を……」

?「実験場に入っている時点で関係者である可能性も考えましたが」

?「どうやらあなた方は完全な部外者のようですね」

?「部外者に詳細は話せませんが」

?「『実験』の後始末をしていただけです、と、ミサカは補足します」

気付けば複数の御坂美琴に似た人物に囲まれていた
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:51:38.76 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「き、君たちは一体……」

ミサカ「ここにいるミサカは全てミサカです」

上条「!?」

ミサカ「心配なさらずとも、今日まであなた方と接してきたミサカは
    検体番号10032号……このミサカです」

???「『ミサカ』は電気を操る能力を応用し、互いの脳波をリンクさせています」

???「他のミサカは10032号の記憶を共有しているだけに過ぎません」

上条「お前は…お前らは一体誰なんだ?」

ミサカ「学園でも、七人、現在は八人でしたか……八人のレベル5の一人、
    お姉さまの量産軍用モデルとして作られたクローン――『妹達』です」

カズイ・上条「!?」

???「さて、この実験にあなた方を巻き込んでしまったのはこちらの不手際です
    重ね重ね謝罪しましょう、と、ミサカは頭を下げます」

妹達は立ち去っていく

カズイ「ま、待て……」

そう言うと『妹達』は一瞬振り向いたがすぐさま去っていった
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:52:08.82 ID:dr+vk/6Ho
―プリベンター 学園都市支部―

あの後、カズイは上条と別れプリベンターの学園都市支部へ訪れていた

ピッ――カズイは通信をオンにする

レディ『カズイか、どうした?』

カズイ「レディさんは知ってますよね?」

レディ『何をだ?』

カズイ「『妹達』」

レディ『! どこでそれを……』

カズイ「最近、その『妹達』と頻繁に接触していました」

レディ『………』

カズイ「レディさん、『妹達』って何ですか?
    どうして、彼女は殺されたんですか?」

レディ『カズイ、私たちは現在重要な案件を追っている最中だ時間がない』

カズイ「レディさん!?」

レディ『だが、資料の閲覧は許可しよう。機密なので、決して外部には漏らさないでくれ』

カズイ「ありがとうございます、レディさん」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:53:06.91 ID:dr+vk/6Ho
―資料室―

カズイ「これは……」

―量産異能者『妹達』運用における超能力者『一方通行』の絶対能力(レベル6)への進化法―

カズイ「レベル……6?」

カズイはレポートを読み進める

カズイ「!?」

学園でも限られたレベル5、樹形図の設計者の試算で明らかになった
唯一レベル6に辿りつける可能性を秘めた能力者――『一方通行』

学園都市のカリキュラムで彼がレベル6へと至るのに要する期間は250年
そこで、提案されたのは実戦による成長

樹形図の設計者による演算では
―一二八種類の戦場を用意し、一二八回『超電磁砲』を殺害すればレベル6へと進化する―
との結果が出た

当然ながらレベル5の超電磁砲を128人用意することは不可能なので
研究班は『超電磁砲』より摘出した体細胞、そして、コーディネイター技術を用いて
クローンを生成、『超電磁砲』と同様十四歳の肉体となる様に急激な成長を促した

しかし、クローンはテロメアが短く、性能においても大幅なオリジナルとの差が見られた
その事を考慮し試算したところ、二万通りの戦場、二万通りの『妹達』を用意すれば
『超電磁砲』を用いた実験と同等の効果が得られるとの結果が出た

カズイ「どういう事だよ……今日死んだミサカ、昨日まで接してきたミサカ
    みんなその『一方通行』に殺されるために作られたのかよ」

その時、カズイの足元に一枚の資料が落ちた

カズイ(実験場の……リスト!)

カズイ「『一方通行』お前は……お前は俺が止める!!」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:54:08.16 ID:dr+vk/6Ho
―第一七学区 操車場―

一方通行「さて、お前が今回の『実験』のクローンでいいンだな?」

ミサカ「はい、ミサカの検体番号は10032号です」

一方通行「はァ……俺が強くなるための実験で、こンな事言えた義理じゃねェンだが……
     お前、この状況で何も感じねェのか?」

ミサカ「その『何も』の指す内容はいまいち分かりかねますが、疑問がひとつあります」

一方通行「………」

ミサカ「あなたは既に学園都市で最強のレベル5です。
    それ以上『上』を目指す意味など無いと思われます。
    それにもかかわらずこのような『実験』に参加した理由は何なのでしょうか?」

一方通行「違うンだよねェ、俺の目指してンのはよォ!
     誰もが戦おうとすら思わない、いや、思えないほどの強さ、
     圧倒的で他者を一切寄せ付けない強さなンだよ」

ミサカ「………」

一方通行「その為の『実験』だ、お前たちの死何ざァ厭わねェンだよ」

ミサカ「そうですか……まもなく実験開始時刻です」

一方通行「………」

ミサカ「これより第一〇〇三二次実験を開始します」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:55:04.86 ID:dr+vk/6Ho
開始の合図とともに一方通行はミサカの眼前へと跳躍する
ミサカは一方通行の拳を避け、一方通行と距離を取りながら駆け出す

一方通行「なンだァ? その逃げ腰はァ?」

ミサカ「………」

一方通行「こっちは一万回もつまンねェ『実験』繰り返して飽き飽きしてンだ!
     もっと楽しませろよ………ッ!?」

一方通行(何だァ? 妙に息が……それにこの臭い……)

ミサカ「今夜は風がないのですね。これならば、
    ミサカにも多少の勝機があるかもしれません」

一方通行「なるほどな、酸素を電気分解して人体に有毒なオゾンを作り出そうってかァ?
     ハッ、ちゃンと俺の敵やってンじゃン。
     けどなァ……お前が追いつかれたらそれで終いじゃねェか」

一方通行は地を蹴りミサカの眼前へ跳躍し、指で額に触れる
瞬間、ミサカは弾丸のように後方へ吹き飛び、背をコンテナに打ち付けられる

ミサカ「っ!?」

一方通行「まだ、くたばンなよォ!」

一方通行はミサカの腹部を軽く蹴り上げる

ミサカ「ごふっ……!?」

一方通行「痛ェか? 痛ェよなァ? なら、こいつはどうだ!」

一方通行は先程よりも強力な蹴りを繰り出す
しかし、彼の足は空を切り、そのままミサカの後方にあったコンテナを吹き飛ばす
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:57:46.25 ID:dr+vk/6Ho
一方通行の後方にはミサカを抱えたカズイが立っていた

一方通行「部外者何ざァ実験場に入れンなよ」

カズイ「『一方通行』だな」

一方通行「誰だァ? お前?」

カズイ「『空間掌握』、君と同じレベル5だ……」

一方通行「ほう、新参のレベル5さんじゃねェか……
     一体、こんなところに何のようなンですかァ?」

カズイ「このふざけた『実験』を終わらせる」

ミサカ(!? どうして……)

一方通行「面白ェな、やってみろよ」

カズイ(彼の能力は不明、だけどやるしかない!)

カズイは『空間掌握』を発動させる

カズイ(あれは……膜?)

カズイは足元の小石を拾い、一方通行の腹部目がけて投擲する
しかしそれが彼に当たることはなく、膜に反射されカズイへとその矛先を向ける

カズイ「!?」

カズイは右方へ飛び、回避する

一方通行「やるじゃン、今のかわすなンてさ」

カズイ(服にも傷が付いていない、ということは……反射か? けどそれじゃ、あの死体の説明は……)

一方通行「次はコイツを喰らいなァ!」

一方通行は足元の小石を蹴る
小石は弾丸の如き速さでカズイを狙う
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/04/07(木) 21:58:11.56 ID:CthZoc4d0
結構長いのな
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:58:29.68 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「な!?」

カズイはすんでのところで回避するが頬に傷を負う

カズイ(あのスピード、まさかあいつの能力は!)

一方通行「そろそろ、気付いたか? オレの能力に」

カズイ「ベクトル…操作……」

一方通行「よく分かったじゃねェか。さすがは『空間掌握』といったところか。
     なら分かるよな? テメェじゃ絶対オレには勝てねェって事ぐらい」

カズイ(確かに、今の俺に攻撃の手段は……だけど、『彼』なら……『彼』の力なら……)

カズイ「確かにお前に勝つのは難しいかもしれない。
    だけど、お前に負けることもないだろうな」

一方通行「面白いコト言うじゃン、ならこれならどうだァ」

一方通行は鉄骨を掴むとカズイに向かって放つ
しかし、彼は苦もせず回避し、鉄骨はカズイの後方のコンテナへと突き刺さる

カズイ「言っただろ、お前も俺には勝てないと」

一方通行「チッ……」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:59:02.93 ID:dr+vk/6Ho
一方通行は地を蹴り、カズイの懐へと駆ける

カズイ(速いな……けど……)

カズイは一方通行の前から一瞬で消え去る

一方通行「どこに消えた……」

カズイ「ここだ」

カズイはコンテナの上に居た

一方通行「まるでテレポーターだな……」

上条「カズイ!? どうして、ここに」

一方通行「あン? また、部外者かよ」

カズイ「上条、話は後だ。今はコイツを」

上条「あ、ああ……」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:59:36.95 ID:dr+vk/6Ho
一方通行「おいおい、今度は何ですかァ?
     雑魚が群がってヒーロー気取りですかァ?」

カズイ「学園都市最強のレベル5。例え、二人がかりとはいえ、
    新参のレベル5とレベル0に負けたとなれば、この『実験』は中止になるはず……」

一方通行「出来るかァ? この学園都市最強のオレ様を相手に」

一方通行は石ころをコンテナ目がけて蹴り貫通させる

カズイ「何を……?」

一方通行「いくら逃げ足が早くても、これは躱せるかな?」

辺りには小麦粉のようなものが舞い散っている

カズイ「まさか……!」

一方通行「そうさ、粉塵爆発だよ」

上条「!?」

一方通行「アッハハハッ、アハハハハ、早く逃げないと死ンじまうぞォ」

一方通行は鉄骨をコンテナの残骸へと放つ
カズイは咄嗟に上条を抱え回避するが、辺りは一瞬で爆炎に包まれる

一方通行「ハァッ……ハァっ……死ぬかと思ったぜ、辛いんだよなァ
     こっちも酸素奪われっからさ」

上条「はぁ……はぁ……」

カズイ「大丈夫か、上条?」

上条「あぁ、お前のおかげで何とかな」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:00:12.89 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「上条、俺が一方通行を引きつけるから、君はその右手で……」

上条「大丈夫なのか? 少しでもあいつに触れたらお前は……」

カズイ「これでも、レベル5だ。心配要らないよ」

一方通行「次の悪あがきは思いついたのかァ?」

カズイ「ああ……!」

カズイはコンテナから大量の小麦粉の袋を取り出し一方通行に投げつける
袋は破裂し、粉が飛び散る

一方通行「おいおい、パクリですかァ? 芸がねェな」

カズイは金属片を一方通行の足元にあるコンテナの残骸へと投げつける

一方通行「だからさァ、無駄なんだよ!」

一方通行は爆発をモノともせず囀る
しかし、カズイは不敵な笑みを浮かべている

一方通行「何がおかしいンだ?」

カズイ(今ので十分隙は作れた)

カズイ「今だ、上条!」

一方通行「……ッ!?」

一方通行は左頬に拳を食らい吹き飛んだ

上条「ハァッ…ハァッ…ハァッ…」

一方通行「くはっ……イイねェイイねェ、最っ高に愉快に決まっちまったぞ」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:00:52.36 ID:dr+vk/6Ho
一方通行は拳を上条に繰り出すが容易にかわされ
カウンターを食らう

一行通行「がはっ……」

上条(こいつの動き……まさか……)

一方通行「ンだよォ……何なンだよそのでたらめな右手はァ!!
     フラフラ俺の拳をかわしやがって!!」

上条「常勝不敗、最強のレベル5か……だからテメェは『弱い』んだよ」

一方通行「何だと?」

上条「そりゃ、そんな能力持ってりゃ誰にも負けはしない
   そんな奴に喧嘩の仕方なんざ分かるわけがねぇ!!」

一方通行「………」


―操車場外れ―

美琴「あれは……あのバカに……カズイさん? どうしてここに……
   いや、それよりも……押してる、学園都市最強のレベル5をレベル0が……
   これなら、行けるかも……」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:01:57.41 ID:dr+vk/6Ho
―操車場―

一方通行「くかか……くかっ…くかきけこかきけこきこかききこかかくけ……」

カズイ「何だ?」

奇声を発する一方通行の周囲には風が渦巻いている

一方通行「ぎィははははははははっ……とっさの思いつきだったが
     こりゃ、行けるな」

一方通行は圧縮した風の弾丸を上条に向かって放つ

上条「ぐはっ……」

カズイ「上条!!」

一方通行「おら、高みの見物決めてんなよ新参、今度はテメェの番だぞ」

カズイ(………!?)

上条に気を取られたカズイは風の弾丸をまともに食らう

カズイ「がはっ……」

一方通行(さて、次はより完璧により正確に風のベクトルを……!!
     それよりも、もっといいこと思いついたぜ……)

美琴「一方通行!」

一方通行「あン?」

美琴「動かないで」

美琴はコインを構える……

カズイ「御坂……どうしてここに……」

上条「御坂……やめろ……」

美琴「ごめん、アンタも、きっとカズイさんもこの馬鹿げた『実験』を止めるために
   頑張ってくれたのよね? 誰もが犠牲にならないようなやり方で……
   だからこそ、アンタ達をこんな所で死なせるわけにはいかない!」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:02:47.58 ID:dr+vk/6Ho
美琴はコインを弾く

美琴(『樹形図の設計者』が弾きだした試算では私の敗北は一八五手……
   その前に私が倒されれば、きっと……この『実験』も………)

カズイ「駄目だ……御…坂……!」

しかし、カズイの声も虚しく美琴は『一方通行』へ『超電磁砲』を放つ

上条「御坂!」

一方通行「無駄無駄ァ」

一方通行の頭上には巨大なプラズマが形成され『超電磁砲』は吸収される

美琴「な!? 私の超電磁砲が……」

美琴(このままじゃ、この辺り一面が吹き飛ぶかもしれない……
   どうすれば? 電気を操ればあるいは……ダメ、とても間に合わない……
   風でも操らないと……風!?)


カズイたちが一方通行と交戦している場所から幾分か離れたところでミサカは横たわっていた

美琴「ねぇ、お願い、お願いだから目を覚まして。
   こんな事言えた義理じゃないってのは分かってる。
   だけど、アイツらはこのふざけた『実験』を……誰もが犠牲にならずに止めるために、
   あんなになるまで……お願い、アイツらを守って……
   アンタの力でアイツらの夢を守ってあげて!」

ミサカ「何を……あなたが…何を言わんとしているか……は、分かりません……
    けど、その言葉はとても響きました、と……ミサカは素直な感想を述べます……」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:03:42.69 ID:dr+vk/6Ho
一方通行「何だ?」

一方通行の頭上に形成されたプラズマはその形を徐々に崩していた

一方通行「風の計算でも誤ったか? いや違ェ……これは……この不自然な風の流れは!」

一方通行は風の流れの変化を考慮し計算式を組み直す
しかし、轟々と吹く風の不規則さゆえ、上手くプラズマの形を留めることが出来ない

一方通行(風車か? 何だって突然……ッ!
     確か発電機のモーターってのはマイクロ波を浴びせっと
     回転するってシロモノだったな………)

一方通行を視線を向けるとそこにはボロボロの体で彼を睨みつけるミサカの姿があった

一方通行「テメェ……」

一方通行は殺気を浮かべながらミサカのもとへ向かう

一方通行「殺ス!!」

美琴「させると思う?」

美琴はミサカを庇うようにして立つ

上条「っ……御坂……」

一方通行「イキってンじゃねェぞ、格下ァ」

一方通行は腕を払い美琴を薙ぐ

美琴「ぐ…っ……」

ミサカ「!?」

一方通行「くたばりなァ!!」

上条「一方通行ぉおおおおおおおおお!!!」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:04:12.48 ID:dr+vk/6Ho
上条は血まみれで骨も何本か折れた状態でもなお、立ち上がる

カズイ「か……上条……」

一方通行(何なンだこいつはァ? あンなボロボロの体で何故立ち上がる……)

一方通行「ハッ……面白ェ……本当に面白ェぞ」

一方通行は初めて感じる恐怖に身震いしながらも
上条に止めを刺すために上条の懐へと駆ける

上条「……っ」

上条は一方通行の拳を辛うじて回避するも、一方通行は左腕を掴みにかかる

上条「っ……」

カズイ(させない……)

カズイ「上条、右手で一方通行の体に触れるんだ! 早く!」

上条は即座に一方通行の左腕を掴む

一方通行「バカが! コッチの腕で触れりゃおしまいなンだよ」

一方通行は上条の左腕を掴む

一方通行「バラバラにハジケなッ! この三下がァ!」

上条(くっ……)
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:04:57.66 ID:dr+vk/6Ho
一方通行「なっ? どういう事だ!? どうして、ベクトル操作が効かねェンだ!」

上条(幻想殺しが効いてるのか?)

一方通行「ンで、何も起こらねェンだッ」

カズイ(やっぱりだ、上条の右手で触れてる間、一方通行はその能力を使えない……)

カズイは一方通行の下へ駆け出し、上条は一方通行の腕を振り払う

カズイ「一方通行、平気で他人の命を踏みにじるお前は俺が……」

上条「歯ぁ食いしばれよ、テメェの最強は俺が……」

一方通行「ッ……」

上条・カズイ「ぶっ潰す!」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:06:07.88 ID:dr+vk/6Ho
―8月22日 病室―

一方通行の敗北によって忌まわしい『実験』は中止となった。
しかし、問題はいくらか残されている。
『実験』の為に生成された『妹達』、元々テロメアが短く、短命である彼女たちは、
急速な成長を促された事が原因でさらに寿命が短くなっているらしい……

カズイ「それじゃ、君達は……」

ミサカ「はい、一時的に研究施設に戻り個体を調整する必要があります」

カズイ「え? 調整……って治るの?」

ミサカ「はい。もしかしてミサカはもうおしまいだと勝手に解釈しませんでしたか? と、
    ミサカは不機嫌さを顕にします」

カズイ「そ、それは……」

ミサカ「とにかく、この旨はあの人にもしっかりと
    伝達しておいてください」

そう言って、ミサカは病室から立ち去る

カズイ(よかった……)
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:07:19.74 ID:dr+vk/6Ho
―窓のないビル―

アレイスター「よく、来てくれた。テレサ・テスタロッサ」

テッサ「お久しぶりですね、アレイスターさん」

アレイスター「さて、先日のラムダ・ドライバ搭載型ASの件についてだが」

テッサ「あの機体が誰によってA21にもたらされたのか、何故学園都市を襲撃したのか
    謎は幾つか残されたままですけど、なにか情報が?」

アレイスター「連中の背後の組織については結局何も掴めなかった。
       だが、彼らは再びこの学園都市に侵入してきているようだ」

テッサ「何か手は打たないのですか?」

アレイスター「だからこそ、君を呼んだのだよ」

テッサ「分かりました。SRTのマオ曹長とウェーバー軍曹を出向させましょう」

アレイスター「それと『空間掌握』、彼の力を是非とも借りたい」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:27:14.72 ID:dr+vk/6Ho
―8月23日 第一七七支部―

カズイ「今日は午後からミーティングなのにミゲルさんはどこに……」

固法「ミゲルくんなら、昨日から休学してるみたいよ」

カズイ「え?」

固法「ほら、これ」

カズイは固法から手紙を受け取る

カズイ「?」

ミゲル『親愛なるカズイへ
    突然だが、俺は宇宙へ上がることになった
    お前たちに銃を向けることになるが許してくれ
    戦争が終わった後、もし、プラントと地球の緊張が解けたら、また会おう
    ミゲル・アイマン』

カズイ「ミ、ミゲルさん……」

カズイ(ザフトってバレたらどうするのさ……)

固法「なんて書いてあったの?」

カズイ「えーと……その……」

固法「?」

カズイ「いや、そんな大したことは書いてありませんでしたよ」

固法「そう……あら、そろそろ時間ね」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:27:45.17 ID:dr+vk/6Ho
―風紀委員・警備員合同ミーティング会場―

警備員――学園都市広域での警察活動を行う組織であり、主に教員で構成されている

黄泉川「幻想御手事件、巨大AS事件と物騒な事件が続いてる。
    今回のミーティングでは今後の警備員、風紀委員の連携強化について
    そして、最近頻発している地震を議題とする。
    現時点で判明したことだがこれは地震ではない、ポルターガイスト現象だ」

カズイ(ポルターガイスト……?)

固法(物が独りでに動いたりする現象のことね)

黄泉川「もちろん、これは超常現象などではない。RSPK症候群の同時多発によるものだ」

カズイ(あーるえすぴーけー症候群?)

黄泉川「ここからは先進状況救助隊、通称MAR所属のテレスティーナさんから説明がある」

テレスティーナ「ご紹介にあずかりました先進状況救助隊のテレスティーナです。
        簡潔に言えば、RSPK症候群は無意識下の能力者による無自覚な能力暴走です。
        個々の現象には多種多様なものがありますが、これが同時多発した場合
        暴走した能力は共鳴し合い、ポルターガイスト現象を引き起こします」

カズイ(それが地震の原因……)

テレスティーナ「学生たちの間ではこの現象を愚にもつかぬオカルトと
        結びつけ、囃し立てる者も居ます。
        そういった噂が一度広まれば、集団ヒステリーを起こし
        被害地における避難、救助活動も困難になると考えられます。
        そこで、本日風紀委員の皆さんにお集まりいただいたのは
        今回の件に関する噂の流布を抑制して頂きたいからです」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:28:24.65 ID:dr+vk/6Ho
―風紀委員・警備員合同ミーティング会場外―

初春「思いの外、早く終わりましたね」

固法「………」

黒子「固法先輩?」

固法「RSPK症候群の同時多発なんて、初めて聞いたわ」

カズイ「そんなに、珍しいことなんですか」

黒子「確かに、珍しい現象ですわ。ですが、そちらは専門家の方たちが調べてくださるのでしょう?
   わたくしたちが気にかけても詮のないことですわ」

初春「白井さん、早く春上さんのところへ行きましょう」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:29:33.80 ID:dr+vk/6Ho
―8月24日 寮室―

カズイ(部屋の前に誰かいる……)

カズイ「あの……どなたですか?」

マオ「初めまして、カズイくんね。私はメリッサ・マオ。ミスリルのSRT所属、
   コールサインはウルズ2。こいつはクルツ・ウェーバー」

クルツ「おっす」

カズイ「俺に何か用ですか?」

クルツ「数日前のAS、覚えてるか?」

カズイ「あのラムダ・ドライバって機関を搭載した奴ですか?」

クルツ「あれをA21に流した連中が学園都市に侵入しているそうだ」

カズイ「はぁ……それで?」

マオ「そういうことで、行くわよ」

カズイ「え? どこに?」

クルツ「良いから付いて来いって」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:30:02.42 ID:dr+vk/6Ho
―研究所―

カズイ「何ですか、ここ?」

マオ「連中の潜伏場所よ」

カズイ「どうして俺が?」

クルツ「『空間掌握』なら『空間掌握』らしく、状況ぐらい呑み込めよ」

カズイ「ここに潜入しろと……」

クルツ「その通りだ。お前には連中の目的、規模を探ってもらう。
    その後、俺らでこの施設を制圧する」

カズイ「い、嫌ですよ、何でわざわざ俺が……」

クルツ「なんたって、テッサたってのお願いだからな」

カズイ「テ、テッサの?」

マオ「あなたの能力はこういうのに向いてるからね、そうでなけりゃこんなこと
   やらせはしないわよ」

カズイ「……分かりましたよ。やりますよ………」

クルツ「んじゃ、頼んだぜ」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:30:34.69 ID:dr+vk/6Ho
―研究所内部―

カズイは研究所内の資料を漁る

カズイ「………」

カズイ(どうして俺こんな事してるんだろ……)

カズイ「? この資料は……」

―暴走能力の法則解析用誘爆実験―

カズイ「これは確か木山春生が過去に関わった事件……
    それにこっちは計画書?」

―『暴走能力者』及び『能力体結晶』による絶対能力進化実験―

カズイ「また、レベル6……
    『暴走能力者』ってのはRSPK症候群と何か関係が?
    それに『能力体結晶』……駄目だ僕にはさっぱり……ん?」

カズイは計画書から落ちた地図を拾い上げる

カズイ「先進教育局……何かの手がかりになるかもしれないな」


―数十分後―

カズイ『クルツさん、聞こえますか?』

クルツ「おお、待ちくたびれたぞ」

カズイ『研究所をひと通り見回りましたけど誰も居ないみたいです』

クルツ「何だって? それじゃ、無駄骨じゃねぇか」

マオ「連中に繋がりそうな手がかりは?」

カズイ『ある実験の報告書と別の実験の計画書、そして地図がありました』

マオ「そう、ご苦労だったわね。もう戻ってきてもいいわよ」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:32:01.61 ID:dr+vk/6Ho
―研究所外―

クルツ「お疲れさん、さすがは『空間掌握』だな」

カズイ「というか、誰も居なかったんで、わざわざ俺が行く必要はなかったんですけどね」

マオ「それにしても、その報告書と計画書に何の関係が……」

カズイ「『暴走能力者』ってのはどうやら『暴走能力の法則解析用誘爆実験』の実験台に
    された子供たちみたいだけど……」

マオ「とりあえず、これを持ってトゥアハー・デ・ダナンに一旦帰投するわよ」

クルツ「おう。カズイ、お前も来いよ」

カズイ「俺もですか?」

クルツ「テッサがお前に会いたくてしょうがないんだとさ」

カズイ「お、俺に!?」

マオ「クルツ……バカ言ってんじゃないわよ……」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:33:03.40 ID:dr+vk/6Ho
―トゥアハー・デ・ダナン―

テッサ「お久しぶりですね、カズイさん」

カズイ「は、はい! どうも」

クルツ(おうおう、赤くなっちゃって)

テッサ「報告書と計画書にざっと目を通したのですが
    肝心なところは全て伏せられていました……」

カズイ「この『能力体結晶』って何なんですか?」

テッサ「学園都市の究極目的、レベル5の先にあるモノ。それを求め行われたのが
    『妹達』を運用した『一方通行』の絶対能力進化実験であり
    木原幻生による『暴走能力の法則解析用誘爆実験』なのです。
    『能力体結晶』とはその『暴走能力の法則解析用誘爆実験』の際に
    使用されたものです」

カズイ「一体なんのために……」

テッサ「暴走状態にある能力者の脳では通常とは異なるシグナル伝達回路が形成されるようです。
    その際の分泌物を凝縮させた物、それが『能力体結晶』。
    木原はそれを能力者に投与すればレベル6が生み出せると考えたわけです」

クルツ「っつーことは何だ、連中はその『能力体結晶』を使った実験を
    もう一度やろうとしてるってことか?」

テッサ「恐らくは……」

カズイ「でも、何でこの実験を連中が……」

テッサ「それらの手がかりは『先進教育局』にありそうです。
    明日は、そこの調査をお願いします」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:33:44.93 ID:dr+vk/6Ho
―8月24日 先進教育局―

カズイ「ここも、人の気配は全く無いですね」

クルツ「資料によると例の能力体結晶投与実験が行われたのはここみたいだが
    今は閉鎖されているようだな」

カズイ「ところでマオさんは?」

クルツ「姐さんなら連中の他のアジトを探している」

カズイ「! クルツさんこれ」

クルツ「例の計画書か。伏せられた箇所もないみたいだな」


―トゥアハー・デ・ダナン―

テッサ「お二人とも、ご苦労さまでした」

カズイ「結局、手がかりはその計画書だけだったんですけど」

テッサ「いえ、おかげで重要な情報が入手できました」

クルツ「で、その計画書にはなんて?」

テッサ「一連の実験過程が詳細に書きこまれていました。
    能力体結晶投与実験の被験体となった置き去り達、彼らは実験の後遺症により
    眠れる暴走能力者となってしまったようです。実験者はその子たちを使って
    完璧な能力体結晶を精製し、ある能力者に投与するそうですね」

カズイ「その能力者って誰ですか?」

テッサ「春上衿衣という方です。能力はレベル2の『精神感応』だそうです」

カズイ(春上? どこかで聞いたような……)

クルツ「レベル2ね……何だってそんな子が……」

テッサ「彼女の能力は特定の条件下ではレベル4まで跳ね上がるようです。
    連中は恐らくその特性に目をつけたのでしょう」

カズイ「いずれにしても彼らをそんな実験に利用させるわけには……」

テッサ「ええ、早速連中のアジトを制圧しましょう」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:35:13.42 ID:dr+vk/6Ho
―トゥアハー・デ・ダナン 指揮官室―

テッサ「カズイさん、まずは民間人のあなたを作戦に参加させてしまった
    お詫びをしなければなりませんね。すみませんでした」

カズイ「いえ、気にしてませんよ」

テッサ「もちろん明日の作戦には参加させるつもりはないので安心してください」

カズイ「え?」

テッサ「あなたの実力の高さは理解しています。しかし、民間人のあなたを無理やり
    戦闘行為に参加させるわけにはいきません」

カズイ「………参加させてください」

テッサ「カ、カズイさん?」

カズイ「学園都市はかけがえのない俺の居場所です。それを守るためなら俺は喜んで戦います」

テッサ「……分かりました、あなたの協力が得られれば心強いです」

カズイ「ええ、任せてください」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:35:55.52 ID:dr+vk/6Ho
―8月25日 ブリーフィングルーム―

学園都市に侵入した組織のアジトを制圧すべくブリーフィングが行われている

カリーニン「今回の制圧目標はここだ、以前は能力者開発の施設として運用されていたが
      現在では廃墟となっている。連中の戦力はダガー、サベージがそれぞれ10機。
      それに加え、データのないMSが15機。どうやら先日からプリベンターの工作員が
      追っている組織の物のようだ」

クルツ「楽な仕事じゃねぇか」

カリーニン「これらの機体はM9で十分対応可能だ。しかし、問題はそれだけではない、これだ」

モニターには銀色のAS、先日ハンカ自治州で宗介が撃破した機体が映しだされる

カリーニン「この機体は特殊な機材を搭載しておりこちらの攻撃は一切通用しない。
      もしも、この機体に遭遇したならば交戦はするな……
      つまり『逃げろ』ということだ」

クルツ「おいおい、それでどうやって施設を制圧するんですか」

カリーニン「この機体……便宜上ヴェノムと名付けるが、これは二機確認されている。
      交戦及び破壊は相良軍曹、そして外部の協力者カズイ・バスカークに
      やってもらう」

傭兵「マジかよ」

傭兵「あんな子供が……」

宗介「もし、自分たちが目標の破壊に失敗した場合は?」

カリーニン「作戦は失敗。残された連中は残らずヴェノムの餌食となるだろう」

傭兵「おいおい、そんな連中を宗介はともかくこんなガキに任せられっかよ」

カリーニン「安心しろ。その少年は元連合の軍人、加えて先日の飛行機ジャック事件の際には
      ガンダムスローネツヴァイを撃退し、またヴェノムとも交戦している」

マッカラン「そういう事だ、文句を言うのなら、このカズイ程の
      戦功を上げてから言え」

カリーニン「作戦指揮はウルズ1、ゲイル・マッカラン大尉に任せる」

マッカラン「了解しました」

カリーニン「作戦は迅速に行え、また、施設への攻撃はなるべく避けるようにしろ」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:36:35.25 ID:dr+vk/6Ho
―旧能力者開発施設 付近―

マオ「間もなく目標地点だ、準備はいいかいカズイ」

カズイ「は、はい」

マッカラン「あまり気負うな、カズイ。君とその機体なら連中のAS如きに
      遅れはとりはしないだろう」


―旧能力者開発施設―

傭兵「なぁ、マオ。今日の任務、何だか妙だとは思わんか?
   学園都市にもそれなりの戦力は揃ってる、この程度の任務なら
   わざわざ俺らが出張る必要もねぇだろ」

マオ「機体は揃っても操縦者は素人に毛が生えた程度、大した練度はないわ。
   相手はプロなんだからあたしらがやるしかないでしょ?
   しっかりやってよね、ダニガン」

ダニガン「分かってるよ」

その時、ダガーとサベージが編隊を組み迫ってくる

マッカラン「敵さんのお出ましだ、準備はいいか」

マオ「ウルズ2、問題なし」

クルツ「誰にモノ言ってんだ」

宗介(始まったか……)

カズイ「カズイ・バスカーク、ストライク先行します」

ストライクはライフルを構えダガー、サベージ数体を撃ち抜く

クルツ「やるねぇ、カズイ」

マッカラン「我々も続く、一気に殲滅するぞ」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:37:11.95 ID:dr+vk/6Ho
―数十分後―

クルツ「さて、雑魚どもは一掃したな」

宗介「だが、あの機体が現れていない」

宗介たちの前にコダールが二機立ちふさがる
その背後には未確認のMS――サーペントカスタムが待機している

?「これはこれはミスリルの皆さん、お元気そうですね
  特にそこの、カシム、いや、今はサガラ君だったな」

宗介「……ガウルン!!」

ガウルン「久しぶりだな、カシム!!」

?「おいおい、こっちにも居るんだから無視しないでくれよ、寂しいだろ」

カズイ「あなたは?」

ゲイツ「私の名はゲイツ、さぁて僕ちゃんの相手は誰がしてくれるのかな?」

宗介「カズイ、お前はそっちのヴェノムをやれ、俺は……」

ガウルン「行くぜぇ、カシム」

宗介「あの機体を潰す」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:37:54.60 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―

ゲイツ「さて、ミスリルの連中がどうしてそんなMSを持ってるのかな?」

カズイ「俺はミスリルじゃない」

ゲイツ「何いってんの、この前うちのベヘモスをやってくれたの忘れてねぇぞゴラァ」

カズイ「ベヘモス?」

ゲイツ「あの、デカイASだよ、君らがあんまり頑張るんで可哀想なA21の
    姉弟は死んじまったってわけさ」

カズイ「え……?」

ゲイツ「ま、おかげでこっちは良いテストができたよ、感謝するぜ坊ちゃん」

カズイ「それだけの為に学園都市を……」

ゲイツ「あれぇ? 怒らせちゃったかな?」

カズイ「!」

ストライクは正面からコダールに斬りかかる
しかし、防壁に阻まれ彼の攻撃は届かない

カズイ「く……」

ゲイツ「良い攻撃だなぁ、だがこの機体にそんなモンは効かねぇんだよ!」

ストライクは防壁に弾き飛ばされる

カズイ「うわぁあ……」

ゲイツ「さて、どう出る? ケツの青いパイロットくん」

カズイ(この男、ふざけているようで隙がない……)
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:38:31.74 ID:dr+vk/6Ho
ガウルン「あっちはもう始めたみたいだな」

宗介「貴様が何故生きている?」

ガウルン「忘れたのかよ、カシム。俺の機体にもラムダ・ドライバが積まれてんだよ
     ご覧の通りな!」

コダールはガトリングを放つ

宗介「くっ……」

アーバレストは辛うじて避けるもコダールが眼前に迫る

宗介「!」

アーバレストは後方に飛びライフルを放つ
コダールに被弾するが傷一つ付かない

ガウルン「残念」

コダールは跳躍し単分子カッターで斬りかかる
即座にアーバレストも単分子カッターを抜き切り結ぶ

ガウルン「おいおい、何だこの不抜けた様は」

アーバレストは再び距離を取る

宗介(あの時のように……奴の防壁を撃ち抜くイメージを……)

アーバレストはライフルを放つ
弾はコダールに当たり土煙を上げる

ガウルン「これまた残念」

宗介「何故だ、何故うまくいかない……!」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:41:02.59 ID:dr+vk/6Ho
ガウルン「さて、そろそろ終わらせてやるよ」

コダールは単分子カッターを振り上げる

ガウルン「ラムダ・ドライバってのはよ、こう使うんだよ!」

再びアーバレストに斬りかかる

マオ「宗介!」

コダールのカッターは宗介を庇うマオの機体を貫く

宗介「マオッ!!」

マッカラン「軍曹、一度距離を取れ」

宗介「くっ……」

ガウルン「さて、命拾いしたなカシム」

宗介(何故だ、何故ラムダ・ドライバが使えん)

ガウルン「さぁ、逝っちまえよ、カシムゥ!!」

宗介「!!」

クルツ「動くな宗介!」

ガウルン「!?」

コダールの頭部に遠距離からの銃弾がヒットする
続けて、アーバレスト付近の建物に銃弾が撃ち込まれ倒壊し始める

クルツ「今だ逃げろ!」

コダールは建物の倒壊に巻き込まれる

宗介「クルツ、施設への攻撃は避けろと」

クルツ「今のは、ああするしか無かっただろ」

その時、瓦礫からコダールが顔を表す

宗介「ガウルン!!」

ガウルン「ああ、機体がオーバーヒートしちまった……
     降参だ、投降するよ」

宗介「貴様……何を企んでいる」

ガウルン「何も企んでねぇよ、こっちは投降するって言ってんだ。国際条約に則って
     適切に扱ってくれよ、カシム」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:41:39.01 ID:dr+vk/6Ho
―施設別所―

ゲイツ「さて、そろそろケリを付けようぜ」

カズイ(やはり、ラムダ・ドライバ搭載機には『空間掌握』しか……)

ゲイツ「あばよ!」

コダールは単分子カッターを引き抜き斬りかかる
しかし、ストライクは即座に回避する

ゲイツ「へ?」

ストライクはコダールの背後を取る

ゲイツ「な!? 速ぇ……」

即座にライフルを構え両肩を撃ち抜く

ゲイツ「はぁ? どういう事だ? MSにラムダ・ドライバでも積んでるって言うのか?
    私は聞いてないぞ!」

カズイ「ラムダ・ドライバ搭載機といえど、反応が追いつけなければ防壁は展開できない。
    常に防壁を展開させておく動力がないからな」

ゲイツ「そうか、お前が噂の『空間掌握』だな?」

傭兵『ゲイツ様、ゲイツ様』

ゲイツ「何だ、一体。私は今忙しいんだ」

傭兵『ミスタFeが……』

ゲイツ「撤退だと! くそぉ、良いか『空間掌握』。私は決してお前に負けたわけじゃない!
    あくまでも戦略的撤退だ! 勘違いするんじゃないぞ!」

コダールは後方に跳躍し姿を消した

カズイ「変な人だったな……」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:42:53.28 ID:dr+vk/6Ho
―トゥアハー・デ・ダナン 指揮官室―

テッサ「カズイさん、施設を一通り調べたのですが、子供たちはおろか、実験に関わる人員
    関連資料の一切を見つけることは出来ませんでした」

カズイ「え、どうして?」

テッサ「もしかしたらこちらは囮で、実験の首謀者は他の場所にいるのかもしれません」

カズイ(どうすれば………ん? 首謀者?)

カズイ「テッサ、首謀者の名前って分かる?」

テッサ「テレスティーナ・木原・ライフラインという方ですよ。
    どうやら木原の血縁みたいですが……」

カズイ(テレスティーナ……どこかで聞いたような)

テッサ「カズイさん?」

カズイ「そうだ、テレスティーナ……確か先進状況救助隊の」

テッサ「ご存知なのですか?」

カズイ「はい、先日風紀委員のミーティングで見かけました」

テッサ「そんな偶然が……」

カズイ「俺は学園都市に戻り彼女を追います」

テッサ「こちらは新たな懸案事項が出来てしまい、人員は割けませんがよろしいですか?」

カズイ「はい、大丈夫です」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:43:55.01 ID:dr+vk/6Ho
―数時間後 深夜 学園都市―

カズイ(さて、学園都市に戻ったのは良いけど先進状況救助隊って俺よく知らないや……
    何か他に手がかりは………)

カズイ「とりあえず、寮に戻ろう」


―8月26日 寮室―

カズイは目を覚まし、時計に目をやる

カズイ(12時!? やばい、完全に寝過ごした……)

カズイ「どうしよう……計画書では今日実験が行われるみたいだけど……ん?」

カズイ(そういえばこの実験の被験者の名前……確か春上衿衣って言ったな……
    春上、春上、春上……そうだこの前のミーティングが終わったあとに
    初春さんが言ってた……)


―第一七七支部―

カズイ「失礼します! ってあれ?」

室内には一人も居ない

カズイ「どうすれば……うん? パソコンの電源が入れっぱなしだ……」

ディスプレイには衛星映像と学園都市内の主要幹線が表示されている

カズイ「木原幻生の研究施設!」

カズイ(そうか、彼女たちもテレスティーナの情報を掴んでたのか)
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:44:22.18 ID:dr+vk/6Ho
―五号線―

そこでは二人の女学生がMARのメンバーと交戦していた

黒子「婚后さん、そろそろバテてきたんじゃありませんの?」

婚后「まさか、あなたこそ息が上がっておりますわよ」

黒子「……ですが、そろそろ片をつけますわよ」


―別所―

傭兵「所詮は、素人か……ガキ二人も片付けられないとはな……
   まぁ、良いダガー部隊出るぞ」

傭兵「アリー・アル・サーシェス、お前にも出てもらうぞ」

サーシェス「ああ、任せろや」


―五号線―

黒子「さて、これで全部ですわね」

婚后「ま、ワタクシの手にかかればこんな連中大した手間では……」

黒子「!?」

黒子は婚后の襟を掴みテレポートする
彼女たちが居た場所はダガーの放った光弾によって跡形もなく消滅した

婚后「も、MS? そんなデタラメな……」

黒子(今のでもうテレポートする力が……)

黒子「絶体絶命……ですわね……」

迫るダガーを前に逃げ場を失った黒子たちが天を仰いだ刹那、I.W.S.Pを装備した
ストライクが放ったレールガンによりダガーは全機穿たれた

黒子「え?」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:45:10.49 ID:dr+vk/6Ho
カズイ「大丈夫か、白井?」

黒子「カズイさん? どうしてここに」

婚后「カズイ……さん? 誰ですか?」

カズイ「MSは俺が引き受ける。二人はテレスティーナを……」

黒子「こちらの事情は把握済みというわけですのね。畏まりました、カズイさん、お気をつけて」

ストライクは機体を翻しダガーと対峙する

カズイ「お前たちの相手は……この俺だ!」


―別所―

サーシェス「ほう、あの機体ストライクか。誰が乗ってるか知らねぇがいい腕だな
      倒し甲斐がある」


―五号線―

カズイ「さて、こんなモンか」

サーシェス「誰かと思えばあの時のガキか」

カズイ「ハンカ自治州で戦ったガンダム!?」

サーシェス「久しぶりだな、今度はそいつがお前の機体か」

カズイ「確か、アリー・アル・サーシェスだったな」

サーシェス「そういうお前はカズイ・バスカークって言ったな」

カズイ「どうして俺の名前を……」

サーシェス「お前が思っている以上にお前の能力を欲してる奴はいるってことさ。
      だが、そんなことはどうでもいいあの時の借り、キッチリ返してやるよ」

サーシェスの機体……アルケーはバスターソードを振り下ろす
ストライクは両脇の対艦刀でそれを凌ぐ

カズイ「ぐっ……あの時よりも太刀が重い……」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:45:43.93 ID:dr+vk/6Ho
サーシェス「この新機体、たとえGシリーズといえどそう簡単には倒せねぇだろ。
      さぁ、行きなファング!!」

カズイ(この速度、以前とは比べものにならない)

ストライクはファングを躱すも徐々に追い詰められていく

カズイ「くっ……『空間掌握』で反応できても、機体が追いつかない」

サーシェス「やはり、反応速度は一級品だな……
      だが、機体がいまいちだ、このアルケーの敵じゃねぇな」

アルケーはストライクに接近しバスターソードを振り下ろす

サーシェス「MS戦といったら白兵戦だよなぁあ!」

カズイ「!?」

すかさずストライクは斬撃を躱し、アルケーの胴を薙ぐ

サーシェス「おっと」

しかし、アルケーは難なく躱す

カズイ「なっ!?」

サーシェス「コイツを喰らいな!」

アルケーのつま先からビーム刃が伸びストライクの左腕を切り落とす

カズイ「くっ……」

サーシェス「最高だなガンダム同士の白兵戦ってのはよぉ! なぁ『空間掌握』のガキが!」

振り下ろされるバスターソードを対艦刀でなんとか防ぐも、徐々に押し切られる
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 22:46:17.04 ID:dr+vk/6Ho
サーシェス「いい加減、逝っちまいな! 『空間掌握』のガキィイ!!」

カズイ(こうなったら一か八か……)

ストライクは切り結ぶ対艦刀を斜めにずらし、アルケーの脇へ入る

サーシェス「な!?」

カズイ「うおおおおおおおおおお」

勢い余りよろけるアルケーの右肩を切り落とし、距離を取る

サーシェス(クッ…このガキ……)

カズイ(何とか、右腕を切り落としたけど、もう通用しないな……)

サーシェス(粒子残量も尽きかけている…ここは一度退くか……)

アルケーは身を翻し去っていった

カズイ「た…助かった………そうだ、テレスティーナ!!」

カズイは木原玄生の研究所へ向かう


―研究所―

カズイ「テレスティーナ!………あれ?」

研究所内ではパワードスーツを破壊されたテレスティーナが気絶していた

美琴・初春・佐天「カズイさん?」

黒子「遅かったですわね、もう、終わりましたのよ」

カズイ「子供たちは?」

黒子「今、木山春生が覚醒を促していますの」
174 :続きは明日に [saga]:2011/04/07(木) 22:47:14.30 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―

テレスティーナによる人体実験は結局、御坂たちの手によって解決され、
同時に一連のポルターガイスト現象も終息した。

ポルターガイスト現象は木山春生が、かつての実験で昏睡した子供たちを
目覚めさせようとした際に起こった共振現象がそもそもの原因であった。

しかし、その子供たちも木原玄生が初めて生み出した能力体結晶によって無事覚醒を果たした。
木山の教え子たちや木山春生、被験体の春上衿衣らは入院し、今もリハビリを受けている。

一方、トゥアハー・デ・ダナンでは研究所で拘束したガウルンという男によって、
一時、艦の制御権を奪われていたらしい。相良や千鳥、かなめの活躍によって事態は収集され、
ガウルンも倒されたが、マッカランさんが犠牲になってしまった……

カズイ(アークエンジェルを降りても、世界には理不尽な死が溢れている……
    俺だけここで平和に暮らそうなんて考えは甘かったのか……)

黒子「それにしても、カズイさん、あなたはどうしてテレスティーナを追っていたのですか?」

美琴「木山の教え子たちについても何か知ってたみたいだし」

カズイ「あ、その……い、色々あってね……」

カズイ(さすがにミスリルの事は話せないよな)

黒子「まぁ、おかげで助かりましたわ」

カズイ「いや、固法先輩や御坂、白井、初春に佐天、それとあの婚后って人もみんなよくやってくれたよ
    君たちが居なかったらテレスティーナの実験が実行されて学園都市が
    大変なことになってたかもしれないし」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/04/08(金) 00:40:29.00 ID:j4HN8QaAO
量があることはいいことだが……
需要が弱すぎるというか詰め込みすぎというかスパロボKというか
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 22:59:36.59 ID:PRmpvuRJo
―9月1日―

先月から、プトレマイオス基地を初めとする月の各所に物資が運び込まれている
8月末に軌道エレベーター奪還作戦が行われた後もこの動きは続いており
地球圏ではプラントとの最終決戦の機運が高まっていた

それでも、学園都市では平和な日々が続く
恐らく、みな学園都市の技術力、戦力を信じているのだろう
事実、地球連邦は学園都市の中立の立場を未だに黙認している

しかし、戦争に巻き込まれたカズイやトール、戦争に参加していたニコルは心のどこかで不安を感じていた

トール「アークエンジェルに残ったみんな無事だよな……」

ニコル(アスラン、イザーク、ディアッカ……)

カズイ「本当に、終わるのかな……また戦局が膠着したらここもオーブみたいに……」

トール「だ、大丈夫だって、学園都市ってのはプラント以上の科学力を持ってるんだろ?」

ニコル「国連軍も迂闊には手を出さないかと」

カズイ「そうだよ…な……」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:00:03.57 ID:PRmpvuRJo
―陣代高校―

小萌「今日は皆さんに残念なお知らせがあるのです。マックスウェルちゃんとウィナーちゃん、
   セイエイちゃんがしばらく休学となります」

青髪ピアス「何や、1ヶ月もおらんうちに休学かいな」

上条「そ、そうだな……」

青髪ピアス「?」

カズイ(上条、何だかそわそわしてるな。どうしたんだろ?)

小萌「嬉しいお知らせもあるのですよ。なんと、このクラスに転入生がやってくるのです」

青髪ピアス「今度こそ、女の子が……」

トール「ヘリオポリスのカトーゼミから来ました、トール・ケーニヒです」

青髪ピアス「なんや、また男かいな……」

吹寄「ヘリオポリスということは、カズイの知り合いじゃないのか?」

カズイ「ああ、そうだよ」

青髪ピアス「はぁ……どんどん男臭くなるなぁ、このクラス」

小萌「実は、もう一人転入生が居るのですよ」

青髪ピアス「どうせ、また男なんやろ……」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:00:32.37 ID:PRmpvuRJo
?「ここがとうまの通うガッコーなんだね」

上条「なぼあっ!!」

上条(い、インデックス!?)

青髪ピアス「キターーーーーーーーーーー。なあ、カミやん、見たか!? 女子や女子
      それにしても、何や? あの妙ちくりんな格好」

小萌「あ、あれ? なのですよー」

上条「こ、小萌先生、これは一体……」

小萌「し、シスターちゃん! あなた、どこから入ったのですか?」

インデックス「私はとうまにお昼ご飯の事を……」

小萌「いいから、出て行くのです!」

小萌は妙な様相のシスター? の背中を押し教室から出て行った

姫神「ちなみに。本当の転入生はこの私。姫神秋沙」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:02:08.11 ID:PRmpvuRJo
―第一七七支部―

カズイは今日も第一七七支部へ向かう、しかし、テレスティーナの一件以来
さしたる事件も起こっていないため、風紀委員たちは暇を持て余していた

カズイ「暇だな……」

黒子「暇ですの……」

固法「ちょっとあなた達、気を抜きすぎよ」

初春「そ、そうですよ。いつ事件が起こるのか分からないんですから」

黒子「そうは言いましても……」

カズイ「あれ以来、事件はめっきり起こらないし、今日は巡回もないですし」

その時、支部の戸が勢い良く開かれた

風紀委員「大変だ!」

固法「どうしたの?」

風紀委員「学園都市に妙な女がやってきてよ、変な土人形従えて暴れてんだ」

固法「土人形? 能力者なの?」

風紀委員「分からねぇ、とにかく付近の学生たちを避難させねぇと……」

固法「わかったわ、あなた達、出るわよ」

カズイ「分かりました」

初春「了解……ってあれ? 白井さんは?」

カズイ「あ、あれ?」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:03:09.21 ID:PRmpvuRJo
―繁華街―

黒子「動かないでいただきたいですわね」

侵入者「………」

黒子「わたくしはこの街の治安維持を務める風紀委員に所属する白井黒子と申します。
   さて、自身が拘束される理由はわざわざ申し上げるまでもありませんでしょう?」

侵入者(見つけた……)

侵入者「手間かけさせやがって」

侵入者が振り向くやいなや、黒子はその眼前へ跳躍する

侵入者「!?」

黒子「わたくしは『動くな』と申し上げておりますのよ」

黒子は侵入者を地面へねじ伏せ、ホルダーの金属矢をスカートや袖に突き立てる

侵入者「フッ……」

黒子(随分な余裕ですわね、気に入りませんわ)

黒子は携帯を取り出す

黒子「取りあえず、警備員を………痛っ……」

黒子(な、何ですの? あ、足が……)

変形した床が万力のように黒子の足首を掴み
眼前の床は盛り上がり、巨大な腕を形作る

黒子(やはり、能力者ですの!?)

『腕』は拳を握る

黒子「とにかく『空間移動』で体勢を……あぐっ……」

足元の床が更に黒子の足首を締め上げる

黒子(え、演算に集中が……)

『腕』が黒子の頭上に振り下ろされる

黒子(ぐっ……)

その時、『腕』に黒く鋭利なものが突き刺さる

黒子(こ、これは砂鉄?)
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:03:48.69 ID:PRmpvuRJo
?「何の騒ぎかは知らないんだけどさ………」

少女はピンとコインを弾く

?「私の知り合いに手ェ出してんじゃないわよ!!」

少女の親指から放たれたコインは超加速し『腕』を穿つ

黒子「お、お姉様……」

美琴「大丈夫、黒子?」

黒子「ええ、何とか。ですが、あの女には……」

美琴「ま、あんたが無事ならそれでいいわ」

黒子「お、お姉様……お姉様ぁ〜〜〜〜〜〜」

黒子は美琴に飛びつく

美琴「ちょ、黒子!」

黒子は全身を震わせながら美琴にしがみつく

美琴「はぁ……全く、アンタは一人で何でも解決しようとして………
   もっと私に頼りなさい、アンタ一人が頑張らなきゃいけないって訳じゃないんだから」

美琴は黒子の頭を軽く撫でる

黒子「うっふっふ……これぞ千載一遇のチャンスですわ。これで、合法的にお姉さまの
   胸の谷間を堪能できますの。うっふっふ。うっふっふっふっふ………」

美琴「アンタは……人がせっかく真面目に慰めてたっていうのに……」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:04:21.66 ID:PRmpvuRJo
―繁華街 別所―

初春『カズイさん、どうやら侵入者は地下街に移動したようです』

カズイ「了解した、今すぐ向かうよ」

カズイは携帯を切る


―地下街―

上条「何だか、騒がしくないか?」

?「確かに、皆さんそわそわして……」

カズイ「上条!」

上条「カズイじゃねぇか、どうしたんだこんな所で」

カズイ「あ、うん。あれ? さっきのシスターに、その子は?」

上条「ああ、こっちのシスターはインデックスで、こっちの女の子は……」

風斬「風斬氷華です」

カズイ「俺は、カズイ・バスカーク……っとそうだ、ここにテロリストが侵入してる。
    上条たちは早くここから退避するんだ」

上条「テロリストぉ?」

カズイ「十数分後にここを封鎖して、テロリストの捕獲作戦を行うから急いでくれ」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:04:53.60 ID:PRmpvuRJo
一仕切、避難勧告を終えた頃
地下街の隔壁が下ろされた

学生1「ま、待ってくれ、まだ残ってるぞ」

学生2「ウソでしょ……」

カズイ(おかしいな、予定よりも早過ぎる……)

?「じゃあ、とうまはその短髪と残るつもりなんだね?」

?「じゃ、風斬と御坂で頼む」

?「ほほう、それじゃアンタはこのちっこいのと残りたいと……」

?「いや、だから……」

カズイの視線の先では上条を挟み、インデックスと美琴が口論している

カズイ「何をしてるんだ?」

黒子「カズイさんではありませんか」

カズイ「何やら揉めてるみたいだけど」

黒子「『空間移動』で地上に出る組み合わせで揉めているのです」

カズイ「どうしてさ?」

黒子「それには、色々と複雑な事情が……」

カズイ「とにかく、早く地上へ移動しないと」

黒子「そうですわね」

美琴「ちょっと黒子?」

黒子は美琴とインデックスの腕を掴み

黒子「では参りますわ」

跳躍した
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:05:28.18 ID:PRmpvuRJo
上条「はぁ……悪かったな風斬、お前を残しちまって」

風斬「ううん、私は別に……」

カズイ(あ、あれ? 今、風斬にノイズがかかったような? 疲れて……!?)

ズンと地下街が地響きを立てる

上条(来たか……)

上条「カズイ、風斬、お前たちはここで白井が来るのを待っててくれ」

風斬「え? あなたは?」

上条「俺はテロリストを止めてくる」

カズイ「な!? 上条、無茶だ!」

上条「心配すんなって」

カズイ「上条!」

上条はカズイの静止を振り切り駆け出した

カズイ「風斬、俺も行ってくる、風斬は絶対来ないでくれよ」

風斬「え? あ? カズイさん!?」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:06:11.94 ID:PRmpvuRJo
―地下街 別所―

地響きを立てた場所では巨大な土人形を抑えんと警備員が弾幕を張っていた

警備員「クッ……こんな銃では止めようが……」

黄泉川「うだうだ言ってないで、撃ち続けるじゃん」

警備員「ならこれで」

警備員は懐から手榴弾を取り出しピンを抜く

?「エリス……」

テロリストがぼそりとそう呟くと土人形の腕が警備員へと伸びてくる

警備員「ごっ……」

吹き飛ばされた警備員の手からこぼれ落ちた手榴弾が爆発する

上条「おい、何だよこれ……警備員がここまで……」

黄泉川「お、お前は小萌先生んとこの……」

上条「くっ……」

上条は土嚢を飛び越え通路を駆け出す

黄泉川「しょ、少年、そっちにはテロリストが……くっ……」

カズイ「大丈夫ですか?」

黄泉川「ま、また、小萌先生んとこの……しかも風紀委員じゃん……」

カズイ「上条……ツンツン頭の学生が来ませんでしたか?」

黄泉川「あの少年なら向こうに……」

カズイ「ありがとうございます、少しの間、銃と手榴弾を借りていきます」

黄泉川「な、子どもがそんなモノを……」

カズイ「大丈夫です、使い方なら熟知しています」

黄泉川「あ、少年!」

カズイは土嚢を飛び越え通路を駆け出す

黄泉川(全く、小萌先生んとこの生徒は曲者ぞろいじゃん……)
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:06:50.85 ID:PRmpvuRJo
―地下街 奥―

?「おや、お前は幻想殺しか……
  虚数学区の鍵はどうした? 一緒じゃないのか?
  確か、かぜ……まぁ良い、ブチ殺すのはあのガキでなくとも構わないし」

上条「なんだと?」

?「例えばそうだな……テメェとかでも問題ねえ訳だっ!! エリス!」

ゴシックな服装の女の掛け声に反応し、土人形の腕が振り下ろされる

上条「!?」

辛うじて後方にかわすが、着地に失敗し尻餅をつく

?「地は私の力。エリスを前にしては誰も地に立つことは出来ない。
  ほらほら無様に這いつくばれよ!!」

上条「お前……」

シェリー「お前でなくシェリー・クロムウェルよ。
     イギリス清教は『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師」

カズイ「魔術…師?」

上条「カズイ!? どうしてここに」

シェリー「お前も能力者か?」

カズイ「一体どういうつもりでこの学園都市を……」

シェリー「決まってんだろ、戦争を起こすんだよ! その為の火種が欲しいの、
     だから、わざわざ素性を名乗ってんだ!」

カズイ「せ、戦争? 何を言って……第一、今はプラントと……」

シェリー「関係ねぇな、私らは私らで勝手に学園都市を潰させてもらうだけだ! エリス……」

土人形が腕を横に薙ぐ

カズイ「く!」

銃を撃ちながら、後方に避ける

上条「カズイ!」

カズイ「お前が何を言っているのかはさっぱりだけど……もし、お前が学園都市の人を傷つけ、
    学園都市を破壊しようとするのなら……俺が倒す!」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:07:23.49 ID:PRmpvuRJo
上条「カズイ、アイツは……」

風斬「なに……これ?」

上条「風斬? お前まで……どうして来たんだ」

風斬「あ……だって……」

シェリー「おや? 虚数学区の鍵じゃないか……エリス!!」

土人形が拳を振り上げる

カズイ「くっ!」

カズイは土人形に銃を撃ち、食い止めようとする

上条「風斬!」

しかし、土人形は止まらず、ドンと地を割り破片が周囲に飛び散る

風斬「え?」

取り分け大きな破片が風斬の頭部に直撃する

上条「か、風斬ィイ!!」

カズイ「あ、あれは……」

しかし、風斬の頭は腫れあがりも血を流しもしない……

上条「何だコレ……」

風斬の頭は『欠け』内部から三角柱状のモノが顔を覗かせる

風斬「あ…め、めがね……」

眼鏡を求め辺りを探るが、脇の窓ガラスが視界に入る

風斬「え……? いや……そんな……」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:07:53.57 ID:PRmpvuRJo
上条「か、風斬?」

風斬「いやぁああああああああああああああ」

動転し、土人形のもとへ走りだす

上条「か、風斬ィイイイッ!」

シェリー「エリス……」

土人形が腕を横に払う

風斬「ひっ……!」

天井に叩きつけられる

風斬「………」

しかし、何事も無く風斬は立ち上がり、そのまま駆け出す

カズイ「あ……」

シェリー「フッ……追うぞ、エリス。無様で滑稽な狐を狩りだしましょう」

上条「………一体何が起こって……」

ピリリッと上条の携帯が鳴る

上条「もしもし」

小萌『上条ちゃん、ようやく繋がったです。姫神ちゃんが連絡がとりたくて、何度も電話してたんですけど……』

上条「姫神が?」

小萌『先生からも大事な話があるのです』

上条「悪いけど、今はそれどころじゃ……」

カズイ「上条、俺はあのシェリーって人を追うから、君は……」

上条「分かった、アイツを頼む」

カズイ(何が起こっているのかは分からない……だけど、今すべきことはアイツを、
    シェリーを止め、風斬を助け出すことだ!)
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:08:24.87 ID:PRmpvuRJo
―地下街 西口―

シェリー「よぉ、化物」

風斬「……!?」

シェリー「何だ、泣いてるのか? エリスと同じ化物のくせして……」

風斬「………」

シェリー「テメェが泣いても、気持ちが悪いだけなんだよ!」

土人形が拳を繰り出す

風斬(私は……私の居場所は……)

カズイ「させるか!」

巻き上がる土煙の中から風斬を抱えたカズイが現れる

シェリー「さっきの能力者か……」

風斬「ど、どうして? さっき、知り合っただけの私を……こんな化物みたいな私を……」

カズイ「上条に頼まれたからな」

シェリー「お前もその化物をかばい立てするのか? つくづく狂ってるなぁ、能力者ってのは」

カズイ「黙れよ、こっちは学園都市の学生と同僚が世話になってるんだ、覚悟しろよ」

上条「そうだな……俺の友達も世話になったみたいだし」

上条の右手に触れた、土人形が崩れ去る
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:09:23.79 ID:PRmpvuRJo
風斬「あ、あなたまで……」

上条「風斬、こんな下らないことで泣いてんじゃねぇぞ」

風斬「え?」

シェリー「おいおい、捨てたもんじゃねぇな、この学園都市も
     お前みたいな、化物を気にかけてくれる物好きが二人もいるなんてよ」

上条「二人? テメェの目は節穴みたいだな」

シェリー「なんだと?」

カッとウェポンライトが点灯し上条の背後からシェリーを照らす

カズイ「警備員!?」

風斬「どう…して……」

上条「馬鹿馬鹿しい、理由なんていらないだろ。俺はただ……『友達』を助けて欲しいって
   頭下げただけなんだからよ」

警備員「総員、配置に付け、民間人の保護を最優先」

警備員はカズイたちを守るようにライオットシールドを展開する

黄泉川「撃てぇ!」

黄泉川の掛け声と共に一斉に銃弾が発射される
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:10:04.85 ID:PRmpvuRJo
シェリー「無駄だ、そんなモノ、エリスには通用しない」

土人形は周囲の瓦礫で被弾し、欠けた箇所を随時修復する

上条「ここまでは予想通りだな」

黄泉川「少年、本当にやるじゃんかよ?」

カズイ「何をするつもりだ?」

上条「奴の、シェリーの懐へ行ってあの化物を止めてくる」

風斬「そ、そんな事したら、あなたは……」

上条「奴を止められるのは俺の右手だけだ」

カズイ「上条……」

風斬「だ、ダメ…そんなの……」

風斬は上条を止めようと手を伸ばす

上条「止めるなよ、風斬。俺の右手はあらゆる異能を打ち消す。
   きっとお前も例外じゃない」

風斬「………」

上条「別に、触れ合えなくても、俺らが友達だってことに変わりはないだろ。
   俺は必ず、帰ってくる。だから、待っててくれよ」

風斬「うん……」

上条「さあて、行ってきますかな」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:10:41.93 ID:PRmpvuRJo
カズイ「上条!」

上条「ん?」

カズイ「俺の能力『空間掌握』は視覚、空間認識能力を飛躍的に上昇させ、超反応を得る」

上条「それがどうしたんだ?」

カズイ「体には負担がかかるけど、この前のように、擬似的なテレポートのようなことが出来る。
    だから、俺がお前をあの土人形の所へ連れて行くよ」

上条「いいのか?」

カズイ「ああ、任せてくれ」

上条「それじゃ、任せだぞ」

黄泉川「よし、撃ち方止め」

カズイ「しっかり、捕まっててくれよ」

カズイは上条を抱えながら走りだす

シェリー「バカめ……エリス!」

土人形が拳を振り下ろす

カズイ「遅い!」

カズイは『空間掌握』を発動させ、瞬時にシェリーの眼前へと跳躍する

シェリー「何?」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:11:26.09 ID:PRmpvuRJo
黄泉川「今だ撃て!」

再び警備員が弾幕を張る

カズイ「ハァッ!」

カズイの後ろ回し蹴りがシェリーに炸裂する

上条「よし、後はこの石像を」

シェリー「フフフフフッ……」

俯せになったシェリーの前には魔方陣のようなものが描かれている

上条「二体目を作るつもりか!?」

シェリー「一度に二体も保たせらんねぇのさ……だが、それを利用すればこんな事も出来る」

魔方陣が光り、シェリーの周囲の床が崩れる

カズイ「な……」

それと同時に土人形も崩れ去る

黄泉川「銃撃止め! お前たち、よくやったじゃん」

カズイ「ですが、あの女は……」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:12:16.29 ID:PRmpvuRJo
―数分後―

上条「隔壁は、隔壁はまだ開かないんですか?」

黄泉川「そうは言っても、うちらとは管轄が違うんじゃん」

上条「くっ……こうしている間にも、インデックスが……」

風斬「? どうしてあの子が……」

上条「あの煤けたゴスロリ女の次の狙いはインデックスだ」

風斬「!?」

上条「奴を追うにしても、この穴、この深さじゃ……何か手はないのか?」

風斬「……私が、私が行きます」

上条「え?」

風斬「私ならこの深さでも大丈夫です。化物の相手は……同じ化物の私がすればいいんです」

上条「!?」

風斬「私じゃあの石像には敵わないかもしれない、だけど、囮ぐらいにはなれます。
   私が引き付けている間に、あの子には逃げてもらいます。
   私は化物だから、それぐらいしか出来ないけど……」

上条「お前はまだそんなことを言ってるのか! お前は化物なんかじゃねぇ!
   第一、俺やインデックスがそんなコトしてもらって喜ぶとでも思ってんのか?」

風斬「良いんです。私は化物で……化物だから、あの石像にいくら殴られても死にませんでした。
   化物だからあの石像に立ち向かえるんです。あの子を守れるんです。
   だから、私は……化物で幸せでした」

上条「かざき……!」

上条は、穴へと向かう風斬を止めようと伸ばした右手を引き止める

上条(俺の……俺の右手は!)

カズイ「上条! あの消化ホースを使って、そこから降りるぞ」

上条「え?」

カズイ「そのインデックスってのも、風斬も放っておくわけにはいかないだろ」

上条「ああ、お前の言うとおりだ」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:13:08.18 ID:PRmpvuRJo
―地下鉄構内―

上条(くそっ……終わらせてたまるか。こんなつまんねえ結末で……)

?「ふぅ……ようやく見つけたぞ」

上条「な?」

ホースで降りた先では複数の武装した傭兵がカズイたちを取り囲んでいた

?「全く、この間の一方通行の一件からケチが付きっぱなしだよ」

カズイ「この声は……ヴェノムに乗っていた!」

ゲイツ「久しぶりだな、『空間掌握』の小僧」

カズイ「くっ…どうしてここに……」

ゲイツ「『空間掌握』と『幻想殺し』お前たちを捕獲しろとの組織の意向でな。
    元々は、あのガウルンの仕事だったんだがな。奴が死んだおかげで
    私にお鉢が回ってきたってわけだ」

上条「くっ……そこをどけ! 俺達はお前らに構ってる暇なんざねぇんだ!」

ゲイツ「それは困る。早急にお前たちを回収しなければ、手遅れになるのでな」

カズイ「逃げるぞ、上条!」

上条「え!?」

カズイは上条を肩に抱えその場から逃げ出す

ゲイツ「逃がすなよ、野郎ども」

傭兵「ハッ!」

ゲイツ「さぁて、玉芳ちゃん、玉蘭ちゃん、後は任せたよ」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:13:45.95 ID:PRmpvuRJo
―地下鉄構内 別所―

玉蘭「『空間掌握』と『幻想殺し』……」

上条「お、女の子? どうしてこんな所に」

カズイ「!? 危ない……」

咄嗟に上条の腕を引く

上条「な……」

先程まで上条の頭があった箇所にはナイフが突き立っていた

玉蘭「外したか……」

上条「どうして、こんな女の子があんな連中に従って……」

玉蘭「次は外さない」

玉蘭はナイフを取り出す

上条「やめろ! お前みたいな女の子がこんなこと……」

カズイ「上条、無駄だ……話が通じるような相手じゃない」

上条「だけど……」

カズイ「風斬たちが待っている、早く追うんだ」

上条「くっ……分かった」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:14:40.66 ID:PRmpvuRJo
玉蘭「逃がさない」

カズイ「そこだ!」

玉蘭「!」

カズイは回し蹴りを繰り出し、玉蘭はそれをバック転で躱す

カズイ(この人を何とかしないと、直に連中に追いつかれる……)

玉蘭「………」

玉蘭はナイフを構え、カズイに斬りかかる

カズイ「!」

上体を反らし避け、即座にポケットから手榴弾を取り出す

カズイ(これで……)

カズイは後方へ跳び、手榴弾を投げつける

玉蘭「なっ……」

爆発に気を取られた、玉蘭の背後を取り昏倒させる

カズイ「ハァ、ハァ……」

カズイ(この様子だと、外にもASが……)
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:15:11.99 ID:PRmpvuRJo
―繁華街―

警備員1「クソッ……テロリスト共め、一体どこから……」

警備員2「こちらは最新鋭のダガーだぞ、人革連製のASにこうも…ありえん……」

四機のシャドウに追い詰められる、二機のダガー
性能において大きなアドバンテージを占めるダガーだが、周囲の建造物を盾に動く
AS相手にMSは不利であった。加えて、練度にも差があるため、ダガーは徐々に追い詰められていた

傭兵「殲滅する、構えろ!」

包囲されたダガーに銃口が向けられる

警備員1「ひっ……」

カズイ「!」

上空から垂直に接近するストライクが四機の頭上にライフルを浴びせる

傭兵「な!?」

四機中三機のシャドウを撃破する

玉芳「ストライク……」

カズイ「残るは一体……このストライクの敵では」

傭兵「『空間掌握』だ、捕獲するぞ」

新たにサベージが三機現れる

カズイ「!」

傭兵「ストライクといえど、この数なら……っ!」

サベージが機銃を構える間もなく全機撃破する

玉芳(ここは退いたほうが良いわね……)

シャドウは戦況が不利と見ると退却した

カズイ(上条の所へ急がないとな……)
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:15:50.09 ID:PRmpvuRJo
―廃墟―

カズイ「上条」

上条「無事だったのか?」

カズイ「ああ、そっちは?」

上条「無事解決だ、何もかもな」

カズイ「そっか、それで結局、風斬ってなんだったんだ?」

上条「たくさんのAIM拡散力場が折り重なって立体化した物?」

カズイ「AIM拡散力場? 何だそれ?」

上条「確か、能力者が無意識に発するオーラみたいなものだっけか?」

カズイ「まぁ、無事ならそれでいいじゃないか」

上条「驚かないんだな」

カズイ「理解が追いついてないだけかも。取りあえず、あんな風に考えたり話したり出来るんだから
    俺らとは大して変わらない存在だってことだろ」

上条「そうだな」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:16:18.73 ID:PRmpvuRJo
―窓のないビル―

土御門「アレイスター!」

アレイスター「土御門か」

土御門「どういうことだ、魔術師だけでなくアマルガムまで……
    それにあの武装、明らかに数日前からこの学園都市に潜伏していたとしか思えん」

アレイスター「学園都市の警備も完璧ではないということだな。その上、アマルガムは
       ウィスパードを確保している、こちらの監視網など無意味だろう」

土御門「それだけではない。カズイ・バスカーク、何故奴にMSを……」

アレイスター「プラントを上回る最高峰の科学力……だが、それはあくまでも表の世界での話だ。
       アマルガム、特に連中が持つラムダ・ドライバ。アレに対抗するためにも
       優秀なパイロットのデータは必要だ……」

土御門「まさか、条約違反のMDシステムを運用するつもりか!?」

アレイスター「数においてこちらは圧倒的に不利、MDシステムの運用も致し方ない」

土御門「過ぎた力を持てば、争いの火種となる。オーブと同じ轍を踏むつもりか!」

アレイスター「そんなつもりはない。あくまでも防衛のためだ」

アレイスター(それにしても、『空間掌握』の成長は目覚しい……
       そのうえ、魔術師と接触したことも好都合だ……)
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:16:52.37 ID:PRmpvuRJo
―9月12日 教室―

夏休み終了から二週間弱が経過した
クラス中がどんよりとした空気に包まれているのは夏休みボケが抜けないからだろうか?
いや、それだけではない……

吹寄「何なんだ、この空気は? もしや、上条当麻、貴様がまた何かやらかしたのか?」

上条「違いますよ、吹寄さん。これは一週間後にある大覇星祭が……」

大覇星祭、学園都市内の全学校が合同で行う体育祭である

青髪ピアス「大覇星祭言うても、上位争いをするのは『五本指』と呼ばれるエリート校のみ
      ウチらみたいな、落ちこぼれ校は淘汰されるだけやからなぁ……」

カズイ「大覇星祭ね……確かに、ウチの高校に勝ち目はないかもね……」

クラス中に厭戦ムードが漂う

吹寄「この………」

?「そんなこと絶対にないのですよーっ!」

上条「ん?」

廊下から陣校きっての名物教師、月詠小萌の声が響く
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:17:23.79 ID:PRmpvuRJo
―廊下―

廊下では見慣れぬ教師と小萌が言い争っている

小萌「ウチの設備や授業内容の不備については認めるのです。でもそれはあくまでも
   私たちの責任であって、生徒さんたちには何の非もないのですよ!」

男性教師「はん。設備の不足はお宅の生徒の質が低いから……でしょう?
     結果を残せないから統括理事会からも追加資金が下りない。
     ああ、それと一学期の期末能力測定も散々だったそうですね。
     いやはや、失敗作を抱え込むといろいろ苦労しますねぇ」

小萌「せ、生徒さんに失敗も成功もないのです。あるのはそれそれの個性だけなのです!」

男性教師「いや、ご立派ご立派。大変夢のある意見だ。
     ですが、その現実は来週の大覇星祭で見事に打ち壊してみせましょう。
     私の育成したエリートクラスでね」

小萌「なっ……」

男性教師「前回の学会では恥をかかされましたからね。ささやかなりとも
     借りは返させていただきますよ、全世界に中継される競技場の上でね。
     ああ、もちろん怪我しない程度には手加減はしますから。
     まぁ、そちらのグズな生徒の出来が酷すぎた場合はどうなるか分かりませんが」

男性教師は、はっはっはと厭味な笑いを浮かべ去っていく
もちろん、今更落ちこぼれだとか言われた程度で気にする上条たちではない

小萌「……違いますよね……
   みんなは、落ちこぼれなんかじゃありませんよね……」

だが、担任への罵倒を許容するほどお人好しではない
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:17:52.40 ID:PRmpvuRJo
―教室―

上条「はいは〜い、皆さん聞きましたか? 質が低いだの、グズだの、出来が悪いだの……」

一呼吸おいて

上条「テメェら、これで良いのか? 本当にこのままでいいのか?」

生徒1「勝ちたい……」

青髪ピアス「そうや、このままで終われへん……」

土御門「俺も悔しいぜよ……」

?「それほど勝ちたいか?」

天井から宗介が顔を覗かせる

カズイ「さ、相良!?」

生徒1「相良って……あの相良宗介か?」

生徒2「確か、一学期にバイオハザードを起こした……」

宗介「もう一度聞く、それほど勝ちたいか?」

生徒1「あ、ああ、俺達だって人間なんだ」

宗介「本気で勝ちたいのか?」

上条「あたりまえだ、それに、このままじゃ、このままじゃ……」

宗介「よし、それなら俺が鍛えてやる」

カズイ(あれ…話が変な方向に……)
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:18:23.51 ID:PRmpvuRJo
―9月14日―

宗介「このクズども! とろとろ走るんじゃない!!」

宗介の声が響く、そこでは丸太を抱えて走りまわる上条たち男子生徒の姿があった

宗介「全く、何たるザマだ……貴様らはは最低の蛆虫だ!ダニだ!この宇宙で最も劣った生き物だ!
   良いか、クソムシ共。俺の楽しみは貴様らの苦しむ顔を見ることだ。
   そこ! ハァハァ、ハァハァと見苦しい。まだジジイのファ○クの方が気合が入っている。
   みっともないとは思わんのか? キン○マがあるならこの場でセン○リを扱いてみろ!」

青髪ピアス「も、もうダメや」

青髪ピアスが地面へ倒れこむ

宗介「また、貴様か。所詮貴様の根性などその程度の物だということだ。もう走れんか
   ならば、寮へ逃げ帰って、貴様の好きな二次元の世界へ入り浸るといい」

青髪ピアス「なっ!?」

宗介「最も、お前のような腰抜けが好むようなものだ、さぞや救いようのないコンテンツなんだろうな」

青髪ピアス「に、二次元をバカにすんなや」

青髪ピアスが宗介に殴り掛かるが、かわされ、転倒させられる

宗介「違うというのならガッツを見せろ! 丸太を抱えて後、十往復だ」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:18:57.53 ID:PRmpvuRJo
―9月15日―

宗介「貴様らは厳しい俺を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶ
   俺は厳しいが公平だ差別は許さん。
   レベル0、レベル1、あるいはレベル5であろうと全て等しく価値がない!
   分かったか、カズイ・バスカーク!」

カズイ「Sir,yes sir!」

宗介「ふざけるな! 大声出せ!」

カズイ「Sir,yes sir!」


―9月16日―

宗介「これは、女の写真だな! 誰だ! どこの腐れマ○だ!
   紅の手先のおフ○ラ豚め! ぶっ殺されたいのか!?」

カズイの前に立つ

宗介「貴様か、腐れマ○は!」

カズイ「Sir,no sir!」

宗介「クソガキが! 貴様だろ、臆病マ○は!」

カズイ「Sir,no sir!」

土御門「自分でありますたい、Sir!」

宗介「そっちのクソか……
   勇気あるファッキン・コメディアンだ。正直なのは感心だ。気に入った
   家に来て妹をファックしていいぞ。どうだ、嬉しいか?」

土御門「Sir,yes sir!」

宗介「ふざけるな、腐れマ○コ!」

宗介は土御門の腹部に拳をねじ込ませる
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:19:23.96 ID:PRmpvuRJo
―9月17日―

宗介「誰だ、今笑ったのは? 貴様か!」

カズイ「Sir,no sir!」

宗介「ならば、貴様か!」

土御門「Sir,no sir!」

宗介「そうか貴様だな、腐れツンツン頭」

上条「Sir,no sir!」

宗介「そんなにフラグを立てて楽しいか!」

上条「Sir,no sir!」

宗介「ボウフラが! じっくりかわいがってやる!
   泣いたり笑ったり出来なくしてやる!
   さっさと立て! 隠れてマ○でもかいてみろ、クビ切り落としてクソ流しこむぞ!」

上条「Sir,yes sir!」

宗介「何故海兵になった?」

上条「Sir,to kill sir!」

宗介「殺し屋志願か」

上条「Sir,yes sir!」

宗介「ふざけるな、戦争の顔をしろ!」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:19:56.63 ID:PRmpvuRJo
―9月18日―

宗介「今日から、その体操服が貴様らの恋人だ! ケツがでかいだけのビ○チ共など
   貴様らに必要ない! それを熟れたマ○コだと思って、精一杯ファ○クしてやれ!」

生徒達「Sir,yes sir!」


―9月19日―

来るべき大覇星祭の日が訪れた
半端だった俺達は見事に鍛えあげられ
一人一殺の覇気に満ちていた……


―棒倒し―

宗介「本日を以て、貴様らはウジ虫を卒業する
   本日から貴様らは、無慈悲な兵器である。楽しいか、野郎ども!」

男達「Sir,yes sir!」

吹寄(何コイツら? ここ数日、学校を休んだと思ったら……)

宗介「野郎共! 俺達の特技は何だ!」

男達「KILL! KILL! KILL!」

宗介「この試合の目的は何だ!」

男達「KILL! KILL! KILL!」

宗介「俺達は学校を愛しているか! 小萌を愛しているか!」

男達「GUNG HO! GUNG HO! GUNG HO!」

宗介「よし、行け! 野郎共!」

男達「おおおおおおおおおおおおおおお!」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:20:32.26 ID:PRmpvuRJo
―応援席―

例の男性教師の受け持つエリートクラスとの宿命のカード
応援席では上条の同居人、インデックスと『超電磁砲』こと御坂美琴が腰掛けている
ちなみに美琴は上条と大覇星祭の総合成績が上の者が相手に何でも言うことを聞いてもらうという
取り決めを交わしている

美琴「な、何よあの気迫……一介の学生が放つものなんかじゃないわ……」

美琴(まさか、マジで常盤台に勝ちに行くわけ? アイツ……私に勝って何を要求する気なの?)


―グラウンド―

棒倒しは二つのグループに分かれる。
自軍の棒を立て、支えるグループ。敵軍の棒を引きずり倒すグループ
前者は女子が努め、後者は男子が務める事となった

カズイ「全軍突撃! 一人残らず殲滅しろ!」

カズイの掛け声に男達が一斉に駆け出す
敵軍までの距離80m

しかし、ここは学園都市
敵軍からは能力による遠距離攻撃が繰り出される

弾は主に火炎系の能力者と圧力系の能力者が協力して生み出される
圧力系の外殻が放たれたることで中の爆圧が解放され
周囲に衝撃波を撒き散らすという仕組みだ

この弾幕を前に男達は怯むこと無く突っ込み、爆発に巻き込まれる

能力者1「やったか!」

能力者2「真正面から突っ込むとは馬鹿な連中よ」

しかし、この一週間、宗介による地獄の訓練に耐え抜いた男達に、この程度の爆発は温い
煙を払い、爆炎を裂き男達は尚も突撃を続ける

青髪ピアス「効かねぇな……」

カズイ「何だこの温い爆発は! ガッツ見せろ、このフニ○チン共が!」

各々、下劣な言葉を吐きながら敵軍の棒に跳びかかる
もちろん、この様子が全世界に放映されるのは言うまでもない


ピーっと試合終了のホイッスルが響く、結果は当然カズイたちの勝利である
戦略も小細工も必要ない、比類ない彼らのファッキンガッツがこの結果をもたらしたのだ

小萌「ど、どうしてみんなそんな無茶をして頑張っちゃうのですか?
   先生はこんなボロボロになったみんなを見ても、ちっとも…ちっとも嬉しくなんか……」

小萌の訴えに誰一人として答えない、ただこれが自身らの覚悟だと黙して語る


こうして数々の競技をこなし、カズイたち表の主役の一日は終わりを告げる
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:21:02.86 ID:PRmpvuRJo
―9月22日 ボアズ基地―

ザフト士官「ナチュラル共め、この程度の戦力でこのボアズを落とそうとは……」

管制官「新たな機影確認。MSです。クルーゼ隊より報告のあった例の三機です。
    その後方、アークエンジェル級1、アガメムノン級4」


―ボアズ宙域―

ザフトのMS部隊と国連軍のMS部隊が交戦する
ジンシリーズに対しアドバンテージのあるダガーだが
ザフトの新鋭機ゲイツが導入されたことにより、ザフト側が優勢となっていた

ザフト士官「新手だと?」

クロト「うひょー、いっぱいいるねぇ。行くゼェ!」

レイダーはミョルニルを振るいシグーを薙ぎ倒す

オルガ「目移りしちまうぜ」

浮き足立つジンにスキュラを放ち一掃する

ザフト士官「くっ…ビームを撃ち続けろ!」

シャニ「効かねぇよ!」

フォビドゥンの全面に展開された装甲にビームが歪曲される

ザフト士官「な、何だあの装甲は!?」

シャニ「俺を討とうなんて!」

ザフト士官「うわあああああああああ」

アークエンジェル級ドミニオンから発進した三機のMSカラミティ、レイダー、フォビドゥン
ヘリオポリスで開発されたGシリーズのデータを基に生み出された最新鋭の機体である
搭乗者の三名は生体CPUと冠し、あくまでの機体の一部品として扱われている
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:21:31.13 ID:PRmpvuRJo
―アークエンジェル級 ドミニオン―

アズラエル「んー、なかなかの戦果じゃないですか」

フレイ「ワシントンより入電です」

サザーランド「道は開いたようですな。ピースメーカー隊発進します」

アズラエル「了解」


―ボアズ宙域―

ボアズ基地に向かうピースメーカー隊、メビウスにより構成された部隊である
しかし、ただのメビウス部隊ではない。それぞれ機体下部に核ミサイルを搭載している

数に劣る国連軍が強硬にボアズを攻めたのは、この切り札故である

国連軍士官1「安全装置解除、信管、起動を確認」

国連軍士官2「おおし、くたばれ! 宇宙の化物!」

国連軍士官3「青木清浄なる世界の為に!」

国連軍士官達「青木清浄なる世界の為に!」


―ボアズ基地―

管制官「きょ、巨大な熱量を感知。これは……この熱量は…核です!」

ザフト士官「何だと! おのれ、ナチュラル共―――」


C.E.71年 9月23日

地球=プラント間の緊張を激化させた最大の事件『血のバレンタイン』

この悲劇から実に約一年と半年が経過したこの日
国連軍による再びの核攻撃が行われた

今度こそ戦争を集結させるために―――
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:22:10.21 ID:PRmpvuRJo
―窓のないビル―

アレイスター「次から次へと……厄介なものだ」

『使徒十字(クローチェディピエトロ)』――突き刺した土地一帯をローマ正教の支配下に置くほどの効力を持つ霊装

アレイスター(イギリス清教の台頭により、いささか焦りが生じ始めたということか――)

世界最大宗派として、魔術業界に君臨するローマ正教
しかし、数で劣るイギリス清教が勢力を増しているためにその魔術業界における均衡も崩れつつある

アレイスター(例のプランも、予定を早める必要があるかもしれんな。
       だが、問題はそれだけではない……)

アレイスターの眼前に映像が映し出される

アレイスター(ザフトの開発したガンマ線レーザー砲……
       よもや、その引き金を引くのが国連軍の核だとはな……)

映像はジェネシスの射程が地球にまで及ぶことを示している

アレイスター(後顧の憂いを断つためにも『空間掌握』、彼に出てもらうことにしよう)
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/08(金) 23:22:40.93 ID:PRmpvuRJo
―学園都市 学生寮―

カズイ・バスカークの下に届けられた一枚の映像――そこには核の光に包まれたボアズ基地が映しだされていた

カズイ「どうして核が……」

『血のバレンタイン』以来、プラントの開発したニュートロンジャマーによって
核兵器はその使用が不可能とされている。しかし―――

カズイ(ニュートロンジャマーキャンセラー……あれはキラの機体にしか搭載されて居ないはずなのに……)

キラ・ヤマト――カズイの同級生でありコーディネイターである
オノゴロでの戦いにおいてMIA認定されたが、アラスカ攻防戦において
新たな機体、フリーダムに搭乗し帰還した

カズイ(まさか、キラがあのデータを……だけど……うん?)

もう一枚の映像を開く

カズイ「な……プラントの大量破壊兵器……」

カズイ(こんなモノが使われたら地球は滅茶苦茶だ……)

カズイ「―――宇宙に上がろう」

カズイ自身に出来ることは微々たるものだ。しかし、このこの事態を見過ごすことなど
今のカズイには出来なかった
213 :ストック終了 [saga]:2011/04/08(金) 23:23:26.65 ID:PRmpvuRJo
―学生寮外―

?「――カズイ」

カズイ「君は――刹那・F・セイエイ」

刹那「宇宙に上がるのか?」

カズイ「ああ、俺に出来ることなんて無いかもしれないけど――」

刹那「俺も行こう」

カズイ「君が?」

刹那「ああ、俺もソレスタル・ビーイングのガンダムマイスターとしてこの戦争に介入する」

カズイ「分かった、行こう宇宙へ」


―第二三学区―

第二三学区――航空・宇宙開発用に設けられた学区である
また、学園都市唯一のマスドライバー施設が置かれている

刹那「機体の搬入は済ませてある。心の準備は出来たか?」

カズイ「ああ、問題ない」

?「カズイ!」

カズイ「トール? それにニコル!?」

トール「そこの刹那って人から聞いた、行くんだな」

カズイ「ああ」

トール「お前が行く必要なんて無いんだぞ」

カズイ「そうだけど、もう見過ごせないんだよ。核が撃たれた以上、プラントも黙っていない。
    俺は学園都市を守りたいんだ」

トール「そうか――変わったな、カズイ」

カズイ「そうだな、前までの俺からは考えられない」

ニコル「僕らは付いていけませんが、カズイの無事を祈っています」

トール「絶対死ぬんじゃないぞ」

カズイ「分かってるよ」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/04/15(金) 17:12:38.74 ID:dcfLVXdSO
ゴタゴタしてる感が否めないかも…………
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/04/15(金) 19:50:24.43 ID:t+06AJ0g0
クロスもやり過ぎると面白くない
それを>>1は証明してくれた
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/04/20(水) 17:26:03.67 ID:gpUwKtPOo
っつーか普通につまんないだろ。読んでないけど
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/03(火) 09:03:27.68 ID:Y9HQBBK50
はやくつづきをおくれ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/06/11(土) 21:36:18.15 ID:jwbBAkDL0
不評みたいだけど、嫌いじゃないな。
しかしロボが絡むと上条さんがすごい空気。
まあ役に立たんから仕方ないが。

いや、続きが読みたい。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/06/21(火) 10:09:55.93 ID:Uu9DTylAO
続きはまだか?
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/06/21(火) 19:19:55.63 ID:U+80HfyR0
いやいや面白いよ?
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 21:04:10.74 ID:MDLW+YHDO
やっと追いついた。カズイが主人公とは実に珍しい。支援
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/06(水) 07:01:01.25 ID:8uinWpKPo
長いこと放置して申し訳ありません

続きの方は今しばらくお待ちください

なお、現在Arcadia様への移転を考えています
その時はここでもご報告いたします

拙作ではありますが最後まで書き上げたいと思っておりますので
どうかお付き合いください
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/10(日) 11:54:27.05 ID:x3xJZEPDO
うむ、楽しみにしてるよ
224 :1 ◆WKz0KgbaOgbm [sage]:2011/09/20(火) 06:19:52.44 ID:LBJqpv5Eo
またまた放置してしまい申し訳ございません。

パソコンが故障してしまいました。
現在、受験を間近に控えていることや、スマートフォンで書いていることもあり、
著しく執筆速度が遅く、Arcadia用の書き直しに、予想外に時間がかかってしまいました。

とりあえず、序盤だけ投稿したのでURLを貼っておきます。

ttp://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=29825&n=0&count=1

こちらでの続きの投稿は今のところ未定です。
申し訳ございません。
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