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鹿目まどか「魔法少女の力量を超えて,その日みる夢」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:23:25.09 ID:Z+ztrCdX0
40.3

このSSは、原作放送休止期間中に「11話休止になったし続き予想してみるか」というきっかけで
書き始めたSS、暁美ほむら「最後に残った道しるべ」の続編SSです。


前回までのあらすじをざっくりまとめました。

(※下のいい加減なあらすじよりもっとちゃんとしたあらすじを読みたい方は下まで飛ばしてください)
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:24:48.33 ID:Z+ztrCdX0
40.4

以下は前編の会話式ざっくりあらすじです。


〜QBの正体〜


QB「ワルプルギスの夜はボクの身体で生まれました。わが身体のオリジナルです。
   魔女はしばし魔法少女に遅れをとりましたが、今や巻き返しの時です。」

ほむら「まどかが好きだ」

QB「まどかがお好き!?そりゃあ結構。ならますます気に入りますよ。魔法少女のNEW☆MODELです。
   いいエネルギー源でしょう?んぁあ仰らないで。余裕の魔力だ、契約者が違いますよ!」

ほむら「面白い奴だな。気に入った。殺すのは最後にしてやる」



〜お買い物〜


まどか「いったかと思ったよ」

ほむら「とんでもねぇ、待ってたんだ」

まどか「何が始まるんです?」

ほむら「ワルプルギスの夜だ」

まどか「パシフィック埠頭へいくの?」

ほむら「いや」

まどか「じゃあどこへ?」

ほむら「買い物だ」

まどか「買い物?」


☆ダイナミック入店☆
♪買い物のテーマ


まどか「わぉ…」

ほむら「あいてくれ。頼む!」

まどか「ほむらちゃん。それは?」

ほむら「ロケットランチャーだ」


ほむら魔法少女(武装)変身シーン 

\\デェェェェェェェン!//


ほむら「私が魔女に見つかるまでは、無線(テレパシー)を使うな」

まどか「どうしてそれが分かるの?」

ほむら「見滝原がドンパチ、賑やかになったらだ」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:26:21.05 ID:Z+ztrCdX0
〜チャプター15〜40 Bパート〜


ほむら「今度余計な契約言うと口を縫い合わすぞ」

まどか「だけどな、ほむら。ワルプルギスの夜をぶち殺せといわれたら、タダでも喜んでやるぜ!」

チュン!

まどか「うェッ!」

QB「待って!待ってあんた一体なんなのよ!?銃火器は盗む!ボクの皮はひっぺがす!ボクを銃で撃ち殺す!
まどかの運命を変えるなんて突然メチャクチャはいいだす!かと思ったらまどかを撃ち殺す!あんた人間なの?
お次は越智にゃんときたわ!どういうことなのか説明してちょうだい!」

ほむら「麻酔弾だよ。アンタには本物の弾使いたいぜ!」

QB「まあ落ち着け。銃をつきつけられちゃビビって話もできやしねえ。この先どうなるかはアンタ次第だ。
見滝原を無事救いたければ、まどかに魔法少女になって協力してもらえ。OK?」

ほむら「OK!」ズドーン!



〜ワルプルギスの夜開始〜


QB「10万の魔女ポンっと孵化したぜ」

ほむら「ふざけやがってえええ!」

仁美「ダメよ。7時半から空手の稽古があるの。付き合えないわ」

上条「今日は休め」

魔女さやか「野郎オブクラッシャーアアアアアア!!」



〜クレイモア地雷起動〜

ドガーーーン!
※この時点でまどかの居場所はまだ分かっていません


ほむら「口先ばかり達者なトーシロばかりよく集めたもんですな」

QB「ほむら君。私の魔女は皆、愛国者だ」

ほむら「ただのカカシですな。俺達なら瞬きする間に、皆殺しにできる」



〜魔女あんこ登場〜


魔女あんこ「怖いかクソッたれ。当然だぜ。元ベテラン魔法少女のアタシに勝てるもんか」

ほむら「試してみるか?俺だって現役魔法少女だ」

軽機関銃ズバババババババ

仁美「撃ち方やべえ!」

魔女あんこ「うわぁぁぁぁ……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:27:43.76 ID:Z+ztrCdX0
〜ワルプルギスの魔女君臨〜


ワルプルギス「こいよほむら!怖いのか?銃なんか捨てて、かかってこい!」

ほむら「ぶっ殺してやる!誰がてめぇなんか!てめぇなんか怖かねえ!」

クレイモア地雷起爆
ドガーーーーン!!

ほむら「蒸気抜きをしろ!」

ワルプルギス「うぉぉぉぉぇええええ!」※チャージ中

QB「ほむら。ソウルジェムはどんなだ?」

ほむら「こっち来て確かめろ!」

QB「いいや結構。気分いいぜ。昔を思い出すやハハハ。これから魔女になる気分はどうだほむら?
てめえはもう終わりだ!」

ほむら「ふざけやがってええええ!」

まどか「二人ともやりすぎだわ!」

ほむら「まどか!?眠ったんじゃ!?」

まどか「残念だったな。トリックだよ。ずーと魔法少女になることを想い続けてきた。ようやくその日が
やってきた。長かったぜえ!」

ほむら「おい君(まどか)!待て!」

まどか「最後まで契約しないと約束したな。アレは嘘だ。」

QB「まだ誰か残っているか?」

ほむら「魔法少女だけです」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:30:33.08 ID:Z+ztrCdX0
40.5

<会話式でない前回までのあらすじ>

魔法少女、佐倉杏子が美樹さやかもろとも心中して以来、ついに迎えたワルプルギスの夜。
しかし、見滝原に残された魔法少女は暁美ほむら、ただ一人。ほむら最大の敵──
インキュベーターは、「この町を守るためには、まどかが魔法少女になるしかない」と告げるのだった。


しかしほむらには繰り返し経験した時間軸の中で着実にワルプルギスの夜を打倒するための
作戦を組み立てていたのだ。それは名づけて”暁美ほむら史上最大の作戦”──今まで彼女が起こして
きた行動のなかで、最も豪胆、かつ、ダイナミックな作戦だった。


ワルプルギスの夜は、インキュベーターがその新月の夜のために回収し溜め込んでいた
魔女の卵(グリーフシード)を一斉放出することで、その火蓋は切って落とされた。見滝原の街に、
100から200に及ぶ魔女が新月の夜に孵化し、見滝原街を目茶目茶にしてしまうお祭り騒ぎを
はじめる。


ところが魔女たちは暁美ほむらの作戦──その”第一打”によって、一掃し滅ぼされる。ワルプルギスの夜の
はじめに、魔女の大量孵化が起こることを知っていた彼女は、まどかを連れて、孵化が一斉に始まったその
瞬間に、あらかじめ町じゅうにセットしてたクレイモア地雷の起爆スイッチを押し、騒ぎ立てる魔女たち
を片っぱしから爆破し、300近くまで増殖していた魔女たちをその半数にまで焼き滅ぼした。
魔女達の阿鼻叫喚の断末魔。地獄絵図。見滝原町はほむらの仕掛けた地雷によって、半壊状態に陥ってしまった。


しかしそれでもワルプルギスの夜は終わらなかった。時がきたとき、町じゅうに蒔かれたグリーフシードの
魔力を吸い上げ、天空より君臨してくるのは───ワルプルギス本体。歯車の大魔女だった。


しかしそこにもほむらによって既に手を打たれていたのだ。それが作戦”第二打”──歯車の魔女が
出現する箇所を、繰り返された経験ですでに知っている彼女は、その出現する位置に既に地雷を
これでもかというほどの量をセットしおえていた。歯車の大魔女が地上に降り立つと同時にほむらは
地雷を起爆させ、自らは160階だての病院タワーから身を投げた。ワルプルギスの魔女は爆破され、
大きなダメージを負うも、美樹さやかの魔力を行使して損傷部分を回復させる。


ワルプルギスの夜の結界が見滝原を覆ったとき、まどかが目を覚ます。すでに見滝原の町は全壊し、
自らの家族も殺されたことを知ったまどかは絶望するが、そんな絶望のなかで立ち向い続ける魔法少女の姿
を思い起こし、自らも立ち上がる決意をする。


まどかがようやくワルプルギスの結界を奔走し、ほむらを見つけたとき、ほむらは魔力を消耗しきりソウルジェムを
燃え尽きさせる寸前だった。満身創痍のほむらをワルプルギスは容赦なく追撃し、ほむらを痛めつける。
その光景を見るに耐えないまどかは「こんなのってないよ!」とキュゥべえに訴え、キュゥべえは「キミが
運命を覆せばいい」とまどかを誘惑し、まどかは魔法少女になる決心をいよいよ固めた。


そして、ワルプルギスの夜、その最終決戦に運命は直面していく。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:32:53.29 ID:Z+ztrCdX0
40.6

以上、前作チャプター1〜40までのあらすじ紹介でした。
近作は引き続き、チャプター41から始まります。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:33:30.20 ID:Z+ztrCdX0
41


 魔法少女   まどか☆マギカ
 puella magi
 MADOKA
 MAGIKA

 SS:鹿目まどか「魔法少女の力量を超えて,その日みる夢」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:34:47.11 ID:Z+ztrCdX0
42

焼けた見滝原。
死が覆う街。

悲運。絶望。闇。呪い。



どれほどの負の言葉を連ねても言い尽くせない。


終末の行く最後。


月の光さえない。届かない。



その新月の夜、ワルプルギスの夜はそれでも夜空に浮いて存在していた。

歯車を廻し続けて。

まだ破壊する。
街を。世界を。───命運を。 魔法少女の希望を。

打ち砕く。

暗転。負へ導く。歯車が廻るたびに。

廻る。廻る。



でも、諦めたらそれまでだ。

避けようのない亡びも、嘆きも、全て覆せばいい。
そのための力が、備わっているんだから。


「さあ…」

インキュベーターは言った。世界の終末の、末も末の果てで。その声だけが響いていた。



「鹿目まどか。言ってごらん…キミの願い事を」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:36:48.09 ID:Z+ztrCdX0
43

運命の大団円。

終わりの時。鹿目まどかを巡る運命の取り合い。その終着点。



世界は静かだった。音がその一切を世界から奪われたように。

だから……。

暁美ほむらが、どんなに夢中で泣き叫んでも、声が世界に届かず……まどかに届かず……
ただ、虚無へ声が吸われた。



結界は。世界は。

インキュベーターの問いかけに答える、まどかの声しか待っていない。



まどかが願い事を告げれば………それで終わる。

天上の序曲にはじまった幕は、終幕を迎える。無へ。



ほむらは手にハンドガンを取り出す。
まどかがインキュベーターに願い事を言い終える前に、その頭を吹きとばしてやらねば。


間に合って。
一瞬一瞬の刹那の刻が、無限の時間の如く感じられる。


そしてハンドガンの照準をインキュベーターに合わせたとき………ほむらのソウルジェムは孵化をはじめた。
胸に突き刺さる痛み。ハンドガンの照準がゆらぎ、ほむらの身体がバランスを失って崩れ落ちる。


苦しくて動けない。ほむらの目から涙から苦悶の涙が零れ落ちる。ソウルジェムは輝きを全て失い、真っ黒だ。
魂の卵に植えつけられた魔女の種が、芽をふきだす。


限界だった。
希望がついえる。魂が燃え尽きる。傷だらけの顔を地面に打ちつけ、ほむらが次に見たのは、
私という絶望を差し置いて、希望の光に包まれるまどかの身体だった。


やがて……。

ほむらの紫の瞳に宿る、生気が、失われていく。涙だけが淡々とそこから流れ出ていた。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/18(月) 22:41:09.58 ID:Z+ztrCdX0
今回あまり書き溜めてないんで早いけどひとまずここで切ります。
執筆が進み次第投稿します。

今後もSSに付き合いいただけたら嬉しいです。
では。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/18(月) 23:37:16.86 ID:UCQFCBe+o
お疲れ様でした。


あぁ・・・・・・ほむら嬢が・・・・・・・まどか嬢が・・・・・・・・・・。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/19(火) 06:37:47.14 ID:xqQf/m3k0
お疲れ様、続き待ってたんだよ
放送まであと2日、これさえ読めればもう何も怖くない!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:19:11.71 ID:LUYFHUX40
今日の投下ぶんいきまっする!

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:19:41.74 ID:LUYFHUX40
44

小さい頃からいつも私は無力だった。
騙されて。傷つけられて。


東京のミッション系小学校に通っていた頃の記憶……。
蘇る。



私は生まれつき心臓が弱いせいで……。何をやってもみんなから遅れをとっていた。
そしてそんな私が……クラスでいじめられるようになるまで時間もかからなかった。


友達もいない。
学校へ通う道のりがつらい。一日一日が長かった。


クラスメートの嘲笑。侮蔑。さげすみ。
そんな視線に囲まれながら私は身を小さく机に座ってるしかなかった。



心臓の病気が悪化して、学校にいかなくなっても。
病室で器具につながれ、一日じゅう寝台で寝ている。やっぱり、一日が長かった。

両親に見捨てられた。見舞いにはこない。何年か続いた。


私には、私以外に覚えた他人の顔が思い浮かばない。



そんな私に………初めて友達がてきた。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:20:13.17 ID:LUYFHUX40
45

私は病院を退院した。


そして迎える25日、私は見滝原中学に転校した。

私の心には不安と無力感しかなく……学校のはじまりは、また苦しい日々のはじまりだって、
思っていて。

初めての通学路を歩くたび何度も泣き出しそうになった。足が重い…重たい…。


「はい、じゃあ自己紹介、いってみよう」


新しいクラスに顔を出したときは、胸がつぶれてしまいそうで。


「あ…あの……暁美……ほ…ほむら…です……えっと……その…どうか……よろしく……お願いします…」


クラスメートたちの視線が集まると、かつての学校の蔑みの記憶がまざまざ蘇る。

先生が説明する。”暁美さんは、心臓の病気でずっと入院していたの。久しぶりの学校だから、
色々と戸惑うことも多いでしょう。みんな助けてあげてね。”


私はずっと不安だった。
またあんな、耐えるに耐えない日々が、これからはじまるんだろうかって。


そんな時、あなたは私に声がけしてくれた。

鹿目まどか。

私……あんなに嬉しい気持ちになったの初めてだった……。


あなたは言ってくれた。



ほむらちゃんも、かっこよくなっちゃえばいいんだよ!

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:20:54.21 ID:LUYFHUX40
46

あなたがあんなに自身に満ちて、輝いて見えたのは。

あなたがもう魔法少女で、でもその自信は、全くの偽りの栄光だって知ったのは、三週目からだった。


だって、悪い魔女をやっつける正義の魔法少女は、その魔女になる前の卵だったから。



五週目。

私が転校する初日、魔法少女じゃなくなったあなたは。


人が変わったみたいに自信がなくて。おどおどしていて。自分は何の役にも立てないって、苦悩してた。

ごめんなさい…。
あなたをそんなふうに変えてしまったのは私なの。


でも、そんな貴女でいいの。まどか。
魔法少女になってしまったかつてのあなたはもう、死んでしまっていたから……。



貴女との約束、忘れない。




繰り返す。
私は何度でも繰り返す。


同じ時間を何度もめぐり、たった一つの出口を探る。

あなたを、絶望の運命から救い出す道を。



まどか。

たった一人の、私の友達……。


....................................................................................
....................................................................................


ほむらは抜け落ちる意識を懸命に奮い起こしながら、身体を揺り動かし、最期の力で、その瞳に
まどかの姿を映そうとする。

紫の瞳に、ピンクの光に包まれるまどかの魔法少女の姿が映される。それはそのまま絶望だった。





──────────ごめんね………まどか。



私、あなたとの約束……果たせなかっ………



キュゥべえに騙される前のあなたを、救えな…………か………っ────


..............................................................................
..............................................................................


身体から力が抜け、人形の抜け殻を残したほむらの瞳から、まだ涙だけは流され続けていた。

時を越えた魔法少女の命運の果て。
あとは絶望が生み出されるのを、待ち続けるだけだった。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:22:23.46 ID:LUYFHUX40
47

ワルプルギスの夜、歯車は廻り続けていた。
暁美ほむらとの戦いで壊された部分も、さやかの魔力で次第に修復されてきた。


歯車が重厚な金属音を立てて廻るたびに、ビルが、街の建物が、また地面から引き剥がされ、
ワルプルギスの重力空間にとらわれていく。地面に亀裂が走る。

まどかたちの故郷、見滝原は死んでいく。


悪夢はやまない。


「それが、キミの願いなんだね。鹿目まどか」


白い獣が、告げた。この悪夢の闇の底へ導く、終止符への声だ。


「うん」


まどかは答えた。
その言葉が、悪魔との契約を成立させる。


世界はこの瞬間を待ちつづけていた。ずっと。


インキュベーターのわっかのついた耳がのび、まどかの胸へ、ゆっくりと迫る……。

世界が祝福した。
最高の魔法少女の誕生を。


「ウぅッ────っ!」


最高の魔法少女になる少女、その素質のまどかが、魔力との接触の苦痛に喘ぐ。口から苦悶が漏れる。


「ゥアアぁぁっ─────!!」


苦しみの声が止まない。それほどに苦しい。あまりにも苦しい。まどかの目に涙が溢れる。
でも、世界はまどかを祝福し続ける。


「あああああああアアア──!!」


絶叫。内部から魂が抜き取られる。世界が、光に包まれる。魔力があふれ出てくる。
目から涙の雫を滴り落とし、まどかは抜き取られた自分自身───ソウルジェムを、見つめていた。

抜け殻になっていく自分を想いながら。光り輝くピンクの小さな卵が、自分の姿と知りながら。
その運命を受け入れるように。


ひかり輝くソウルジェムを両手に収める。

目を閉じ、ついに自分が人間でなくなった感覚を全身に受けとめ。


魔法少女まどかはそこに立っていた。


プエラ・マギ。

魔法少女まどか。マギカ。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:23:56.28 ID:LUYFHUX40
48

宇宙の刺客。
インキュベーターに願い事を告げ、少女との契約が成立し、魔法少女まどかが誕生したのは、
見滝原を迎えるワルプルギスの夜──それが始まってから、3時間ほどのことだった。


まどかは死の見滝原でまだ立っている。

街は全壊し、暗雲に包まれる。
大地は隕石のクレーンのように破壊しつくされ、何もない。瓦礫と、崩れたコンクリートと鉄筋と。

見渡す限りの広がる終末の景色。


今この瞬間に誕生し───最後に残された一人の魔法少女。


まどかの身体は、契約の魔力を受けて桃色の光に包まれていた。
最後の希望。

その光の粒が、まどかを守るように浮遊している。


まどかはじっと、目を閉じて願い事のことを、心に想ってた。
私の願い事は、世界に行き届くだろうか。


両手に包んで持っているのはまどか自身。ソウルジェム。


変わる。世界の命運が。


閉ざした目をゆっくりと開くと、まどかの視界いっぱいに煌くソウルジェムの光があふれ出してきた。
手の中で光り輝いている。


強く。燃えるほどに。



それを見たまどかの瞳から、涙が零れ落ちていく。頬を伝い、……落ち行く雫はソウルジェムの光を受けて
桃色に輝き……大地に落ちる。


まどかの願いは実を結ぶ。


魔法少女まどかの前に契約の使者がそっとやってくる。魔法少女に告げる。


「さあ、まどか。」


白い獣の姿をしたその者も、いまはまどかとは契約を結んだ魔法の使者だ。
彼はまどかの足元で告げる。


「魔法に目覚めたキミの力を呼び起こすんだ。世界で最高の魔法少女になったキミがその力を行使すれば、
キミ一人でワルプルギスの夜も打ち倒せることもできるだろう。」


まどかの上空でワルプルギスの夜の歯車が音をたてて廻り続ける。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:25:26.82 ID:LUYFHUX40
「……うん!」


魔法少女まどかは力強く白い使者に頷いてみせ、言った。
白い使者の言葉は、自分の身体にではなく手の中の宝石にむかって告げられていたことは分かっていたけれど、
魔法少女は魂を諦めなければならない。


まどかは今、彼女の遥か先の上空に浮かぶ絶望を戦い決意で見上げる。巨大な歯車。浮かぶ強大な魔力。
ワルプルギスの夜。

私が……呼び戻す。

戦う。魔法少女として。


「………それで……!」


まどかは声を張り上げ、言った。「どうやって魔法を使うのかな?」


キュゥべえが足元で、真剣な顔つきをしているまどかの顔を見上げる。

なんともいえない沈黙が、一瞬場を支配した。


「……え?」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/20(水) 00:27:11.09 ID:vVgK9PKTo
アルェー?
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:27:35.42 ID:LUYFHUX40
49

魔法少女まどかは、誕生して間もないので、魔法の使い方も右も左も分からなかった。

分かることといったら自分の身体の操作の仕方くらいしかない。


暗雲に漂うワルプルギスの歯車が音をたてて徐々に接近してくる…


「……まどか!」


キュゥべえが声を高める。「ソウルジェムの魔力を解き放つんだ!はやくしないと…」


「ふ…ふぇ…!?」間抜けな声が出てしまう。

慌てて手元に転がるソウルジェムに神経を集中させるも。


使い方も方法も全くわからない。何も起こらない。手の中で私自身が光を強めたりするだけだ。

「わ……わからないよ!」慌てふためく汗が弾けとぶ。「どうするの!?」


素人も素人の、できたてほやほやの魔法少女だ。


「まどか!魔法の使い方が分からないなんて、そんなことはないはずだよ!」

まどかの想像以上の初心者ぶりにキュゥべえも落ち着きをなくしている。

「美樹さやかや巴マミだって、初めから魔法の使い方くらい、心得てたよ!」


「そ…そんなこといわれても…」急にしゅんと自信がしおれてくる。「うう……」落胆に目を落とす。


まどかのピンク色に煌くソウルジェムは、一寸の穢れもない。
完全な純粋な光。


でも、こんな宝石の塊を、どう使えばいいの……!?


残された時間は少ない。

まどかの足元に地響きが伝わり、地面の震動が大きくなってきた。
ワルプルギスの夜の巨体な歯車の影が迫ってくる。


「まどか!」キュゥべえが切迫とした声をあげる。「急いで!このままだとキミは…」


「うぅ〜!」

まどかは声をだして唸った。

この宝石から力を繰り出すための、ありとあらゆる方法を頭の記憶の中から探り出そうと懸命になる。
マミさんは?ちやかちゃんは?どんなふうに魔力を開放してたっけ?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:29:44.11 ID:LUYFHUX40
「あ…そうだ…!」全く見当違いな答えを考え付く。「呪文……呪文を唱えればきっと…」


しかしまどかは必死だったから、他のどの魔法少女も呪文なんて唱えていなかった事実に頭が辿り着かない。
まどかは自分自身を手に掲げ、台詞を唱えた。踊るような動作も付け足してみて。

「パンプルピンプルパムポップン…!」

目をぎゅっと閉じて、ソウルジェムを動かして空に絵みたいなのを描いてみる。

「 ピンプルパンプルパムポップン……!」


何も起こらない。
呪文を唱え終えたまどかのポーズがそこで固まっているだけだ。


「まどか!」キュゥべえが唖然としたふうで言った。「キミは、何をしてるんだい!」


劇画の魔法少女ごっこをしてる場合ではないのだろうが、しかしまどかは真面目だった。
少女の憧れ魔法少女。でも悪魔との契約の場合は違うのだ。


「魔法少女になれないよ〜!」まどか。嘆いてる場合でもないぞ。


足元で震える地面がワルプルギスの重力空間にとらわれ始め、小石やコンクリートの断片が宙を
浮遊しはじめた。

このままではまどかも地面ごと空に持ち上げられる。


「まどか、このままじゃまずい!」

キュゥべえはまどかの足元を離れ数歩だけ先走ると、振り返って、言った。

「逃げなくちゃ!ボクについてきて!」


「う……うん!」まどかは魔法少女になったこのかた、変身しないまま逃げる選択肢を選ばされた…。


走り慣れたキュゥべえの獣走りについていくようにまどかも制服姿で走る。
壊れた町の瓦礫の山を。



少女と小さな獣の走りに、ワルプルギスの空浮く巨体が追いつくのはあっという間だった。

キュゥべえとまどかの二人がワルプルギスの歯車の影に呑み込まれる。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:31:29.45 ID:LUYFHUX40
「まどか!」獣走りを続けながら、キュゥべえは言った。「魔法の使い方は思い出せたかい?」


「うう…まだ…」走りながらまどかも半べそで答えた。


キュゥべえは落胆、いやそういう感情がまだないのなら、失望、期待はずれといった様子が滲みではじめていた。
世界で最高の素質を備えた魔法少女が、その魔法の扱いにまったく手がつけられないでいる。

それでもこの最高のソウルジェムがやがて最悪の魔力へ変わる際にエネルギーを生み出してくれることは
間違いないが、予想していた程の値に至らなそうに思えてくる。


まどかの生み出したソウルジェムの度量は膨大で、その煌きは今も眩いほどに強い光で輝いている。
けれども、それが開花して強大な魔力を解き放たなければ、エネルギーの源にはならない。



結局、願い事がまどかの可能性を摘んでしまったのかもしれない。



だが、それが全くの杞憂だと分かるまで、数十分かかった。
そしてこの時にキュゥべえは、まどかの起こしうる奇跡の素質の程を、前に万能の神になれるほどと賞した記憶が
抜け落ちていたことを最大限に後悔するだろう。




まどかの開花のきっかけは。

聞こえてきたその声からはじまる。



────────まどか───。


命からがらの小さな声が、まどかの脳裏に届く。

走るまどかの目が見開く。



────────まどか……。



お互いに魔法少女の間でできる、テレパシーで通じるほむらの声だった。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga ]:2011/04/20(水) 00:34:44.10 ID:LUYFHUX40
今日はここまで。

読んでくれた方に感謝!
書き溜めないでほぼ一日単位のリアルタイム投下なので今作はある賭け;>
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/04/20(水) 00:38:45.34 ID:vVgK9PKTo

ほむほむは助かるのか…
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/04/20(水) 00:42:24.56 ID:XjcD4yIRo
お疲れ様でした。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/01(日) 17:13:58.25 ID:/6Jr2bojo
続きマダー
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/05/25(水) 21:34:15.38 ID:FUC0/q/3o
まだかい?
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [saga]:2011/05/30(月) 01:39:31.37 ID:PGZ6eYAA0
いやマジで前スレから全部読んでるから、待ってるから……マダカァー!
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/01(水) 03:59:27.61 ID:ykvK/Qpwo
>>253
>めんまをドラゴンボールで生き返らせる
AA\A\A\
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