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固法「あなたが……《未元物質》……?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 00:59:07.46 ID:9i/QUb+20
ども。
禁書総合スレで垣根×固法先輩の小ネタを投下したものです。
ある程度書き溜めがまとまったので投下してみます。
以下、注意事項です。

・初SSです。過度な期待を抱かずに生ぬるい目で読んでいただけると嬉しいです。
・タイトルの通り垣根×固法先輩です。
 このCPに殺意を覚える方はそっと立ち去ってくれるとありがたいです。
・キャラ崩壊が半端じゃありません。
 クールでダークなていとくんしか認められない方は読まない方がお互いのためかも知れません。
・感想、コメントはガンガン書き込んでください!今後の励みにもなります!

では、次のレスから始まります。
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:02:08.65 ID:9i/QUb+20
と、その前に軽くこのSSにおける人物設定を紹介しておきます。
前置きともいう。

設定
垣根帝督(17)……主人公。『未元物質』を操る超能力者の序列第二位にして暗部組織『スクール』の元リーダー。
現在は一方通行と同様「闇」から足を洗い、長点上機学園高等部に在籍している。高3。上条当麻や一方通行とはケンカ友達のような関係。「表」の生活に心底満足しているがその分「闇」にどっぷり漬かっていた過去に負い目を感じている。

固法美偉(16)……ヒロイン。第一七七支部に所属する風紀委員。高2。とあるきっかけにより垣根と知り合う。
生真面目な堅物だが男性からのアプローチには免疫がない。好物はムサシノ牛乳。

上条当麻(15)……とある高校に通う男子生徒。あらゆる異能の力を無効化する右手『幻想殺し』をもつがレベルは0.
不幸体質でフラグメイカー。垣根や一方通行とは学校・学年を超えた友人。

一方通行(??)……学園都市第一位の超能力者。暗部組織『グループ』の元構成員。現在は黄泉川家にもどり打ち止め達と暮らしている。
垣根とは顔を合わせればケンカしているが以前の険悪さはない。

では次から本当にスタートです。
3 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/12(木) 01:03:46.27 ID:9i/QUb+20
それは、ありふれた事件のはずだった。

  「第七学区の路上で不良同士が大声で争っている」
という通報を受け、“彼女”は現場へ走る。

よくある不良(スキルアウト)同士のケンカ―――
この学園都市――巨大な学生の街では日常茶飯事だ。
いつものように現場に向かい、事態を収拾し、しかる処理の後に申し送る。
それが彼女――風紀委員(ジャッジメント)・固法美偉の日常だった。

固法(あの角を曲がれば、通報のあった路地…!)

無辜の学生を危険から守る。それが風紀委員の使命。
だがそんな彼女の“常識”は、

固法「風紀委員です!!おとなし……く……」

??「あん?」

ある青年との出会いによって一変することとなる。
4 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:05:02.42 ID:9i/QUb+20
現場に到着した固法が見たものは
ブレザー型(タイプ)の制服を着崩した、
――ハッキリ言えば「チャラチャラした」長身の青年と、
気絶して横たわる5~6人の不良(スキルアウト)たちだった。

青年「風紀委員か……悪いな、もう片付けちまったぜ」

不良ズ「」チーン

固法「……一七七支部の固法といいます。
   あなたかしら?通報にあった『ケンカしてる不良』というのは」

青年「は?ケンカ?おいおい…おれはコイツらが
   カツアゲなんてセコイ真似してたもんだから灸を据えただけで……」

固法「はいはいそういう見え透いた言い訳は詰所で聞きますから。
   とにかく同行願えますね?」

青年「おい、ちょっと待っ…」

??「そ、その人の言ってることは本当です!」
5 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:05:50.44 ID:9i/QUb+20
固法「えっ?」

固法の死角になっていた青年の背後から
小柄な男子生徒が顔を出した。
中学生くらいだろうか。いかにも気の弱そうな少年である。

男子生徒「ぼ、ぼくがコワイ人たちに絡まれてるところを
     そのひとが助けてくれたんです。
     ぼくのケータイにその時のやり取りが録音してあるので
     それが証拠になると思います」

固法「そ、そうだったの……」

どうやら「不良同士のケンカ」というのは
通報者の勘違いだったようだ。

青年「話は終わったか?じゃ、オレは失礼するぜ」

自らの容疑が晴れたことを確かめると
青年は踵を返して足早に歩き出す。
6 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:07:02.52 ID:9i/QUb+20
固法「あっ、ちょっと待って…!」

青年「あ?何だよまだ何か用か?」

固法「えっと、その…ご、ごめんなさい!」ペコリ

青年「へ?」

固法「その…私の早とちりで疑ってしまって申し訳ありません。
   風紀委員として恥ずべきことだと思います」

青年「あー、いーっていーって、誤解が解けたんなら。
   オレがあのザコ共をボコボコにしたのは事実なんだし」

固法「ですが……」

青年「!……そうだな、どうしてもアンタの気がすまないってんなら…」

青年はなにやら愉快なことでも思いついたようにニヤリとほほ笑み、
固法に一歩、大股で詰め寄ったかと思うと、
7 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:07:45.30 ID:9i/QUb+20






青年「オレと一回デートしてくれたらチャラ、ってのはどうだ?」



とんでもないことを言い出した。
8 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:08:54.01 ID:9i/QUb+20
固法「なっ……///」

青年「フッ、冗談だよ、じょーだん。真っ赤になっちゃってかわいいねぇ」ニヤニヤ

固法「かっ、からかわないでください!」

青年「ハハッ、んじゃ、縁があったらまた会おうぜ、お嬢さん♪」

固法「待って!……今回の件について調書を作成しなくてはなりませんので、
   最後にお名前を伺います」

背後の固法に手を振りながら今度こそ立ち去ろうとする青年。
それを固法はできる限り平静を装いつつ呼び止める。

少女の声に青年は振り向き、
不敵とも余裕ともつかぬ笑みをうかべながらこう告げた。





青年「――――垣根」

垣根「垣根 帝督だ」
9 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:11:23.97 ID:9i/QUb+20
まだ書き溜めはあるんですがカツカツになるのはアレなので
とりあえずここまでです。

地の文はこれから先入ったり入らなかったりします。

読んでくださりありがとうございます。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/12(木) 01:18:18.49 ID:UQXavxuR0
期待だぜ! ちなみに黒妻君の立ち位置は?
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/12(木) 01:18:49.26 ID:Qk2Tul8M0
面白そうじゃないの…
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 01:23:46.77 ID:+1/z0GkDO
面白そうだ

期待!!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東甲信越) [sage saga]:2011/05/12(木) 01:29:00.27 ID:9i/QUb+20
うおお早速コメントしてくださってありがとうございます!

>>10
一応時系列は固法先輩がワタルくんを逮捕した後を想定してます。
固法先輩としては前を向こうと一生懸命がんばってるところ。
その辺の話も書くつもりなので気長にお待ちください。

>>11
ありがとうございます!
未熟者ですがどうぞよろしく。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東甲信越) [sage saga]:2011/05/12(木) 01:30:42.54 ID:9i/QUb+20
>>12
ありがとうございます!
期待に添えるよう精進します。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/12(木) 01:40:25.75 ID:6G8qkyLAO
総合の時から楽しみにしてた
でも全レスはいらないと思う
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/05/12(木) 08:46:11.52 ID:Ik0TQgph0
全レスは>>1次第だから口を出さないのが無難

あと固法さんが帝督の秘密を知ってしまいスクールに落ちていったり、固法さんと帝督が仲がいいことに嫉妬する心理定規とか、大切なもの(固法)があって限界突破して一方みたいに本物の天使の羽を手に入れて一方に勝つ帝督とか

妄想が膨らむ。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 09:23:01.67 ID:pjjum22IO
妄想は自由だが、いちいち書かないのが無難
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/12(木) 13:44:21.36 ID:Ik0TQgph0
スマン。だが>>2を見て絶望した・・・・・心理定規ォ・・・・・(´;ω;)ブワァ
てかssでクールでダークなていとくんなんか多くても両手で数える程度しかないぞ。
ほぼssではていとくん=ギャグキャラのイメージが強いから、このssの帝督が理想である。普段はチャラチャラしているけどやるときはやるって感じが!
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東甲信越) [saga]:2011/05/12(木) 20:15:47.05 ID:x6u5Wxpa0
みなさん温かいコメントをありがとうございます。

>>1です。

では本日の分、投下していきまっす。
20 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:16:58.44 ID:x6u5Wxpa0
------------------------------------
30分後 風紀委員活動第一七七支部

固法(ああもう!何なのかしらあの人!)

固法(人が真面目に謝ってるのに、デ、デ…デート一回だなんて…!)

固法(おまけに「お嬢さん」って何よ!私はもう高2よ!?)


初春「固法先輩どうしたんでしょう……なんだかすっごくイライラしてますけど」ヒソヒソ

黒子「さぁ…でも心なしか顔が赤い気がしますの」ヒソヒソ

初春「白井さんが言うこと聞かないから頭に血が上ってるんじゃないですか?」ヒソヒソ

黒子「何でそうなるんですの!それに今月はまだ一枚も始末書は書いてませんの!」ヒソヒソ!
21 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:17:59.79 ID:x6u5Wxpa0

固法(年上……なのかな。背とかすっごく高かったし)

固法(それに私のことを……お、お嬢さんなんて呼ぶくらいだし///)

固法(……間近でみたあの人の顔すごく綺麗だったな…)

固法(まつ毛とかも女の人みたいに長くて…)

固法(……って何考えてるのよ私は!)ブンブン

初春「あ、頭ブンブンしてますよ」ヒソヒソ

黒子「……本当にどうしてしまわれたのでしょう」ヒソヒソ

固法(でも…何かひっかかる)
固法(あの人の名前……「カキネ」さん、だったわよね)

固法(どこかで聞いたことがあるような………)

22 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:19:42.80 ID:x6u5Wxpa0

-----------------------------------------
翌日 第7学区 ファミレス『ジョイナス』
垣根「ってなことがあったんだけどよ、
オレってばカッコよすぎじゃない!?」

上条「垣根のドヤ顔が目に浮かぶようだな……」

一方通行「ウゼェ」

垣根「それにしてもあの風紀委員のコはかなりレベルが高かった……
正直まじめに誘えばよかったと後悔してる」

一方「ついでに生まれてきたことも後悔しやがれクソメルヘン」

垣根「うるせーな、話の腰折んなよクソモヤシ」

一方「ンだとコラァ!!!ぶっ殺すぞイカレメルヘン!!!!」ガタッ

垣根「上等だ表出ろやゴルァ!!!」ガタガタッ

上条「だぁーもうやめろって二人とも!」

一方「チッ」ガタン

垣根「クソッ」ガタン

上条「ったく、お前ら気ィ短すぎだろ…」
23 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:21:06.38 ID:x6u5Wxpa0
垣根「…………オレはさ、ずっと考えてたんだよ」
垣根「オレとお前らの決定的な違いは何かってことをよ」
垣根「そして昨日ようやくその答えがわかった!」

上条「そ、それは…?」


垣根「決まってるだろ!“ヒロイン”だよ!」


一方「はァ?」

垣根「上条はシスターちゃんや第三位、モヤシは打ち止めちゃん」

垣根「オレにはお前らみたいに体を張って守るべきヒロインがいねえ!」

垣根「そしてその一点が!
お前らヒーローとオレみてえなモブを隔てる境界線だったんだよ!!」

上条「インデックスやビリビリは別にそんなんじゃ……」

一方「……打ち止めをそンな単純な枠でおしはかるンじゃねェ」ボソッ

24 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:22:13.46 ID:x6u5Wxpa0

垣根「特に上条ぉ!!」

上条「は、ハイィ!?」

垣根「お前に到ってはその二人だけじゃねえ!」

垣根「お前はことあるごとにあっちこっち指数関数的にフラグを立てやがって………」

垣根「お前はあれか?歩くフラグ工場ですか?
   工場長はオレだ!って誰が工場長だ!!」テーブルバン!

上条「じ、自虐ノリツッコミ…(しかも意味が全くわからん)」

一方「あーなンかスイッチ入っちまったなァ」

垣根「だがそんな工場ちょ……じゃない、脇役ライフも終わりだ!」

垣根「オレだけのヒロインが現れれば、オレの、オレ自身の物語が始まるんだ!」

垣根「主人公《ヒーロー》に、オレはなる!!!」ドン!

上条「な、何か知らないけど燃えてるな…」
上条(垣根はもっとこう…スマートな奴だと思ってた)

一方「くっだらねェ」プイ

上条「それで?そのデートってのにはいつ誘うんだ?」

垣根「……………えっ」

上条「えっ、て」
25 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:23:17.13 ID:x6u5Wxpa0

垣根「え、ちょっと待って」

垣根「何?今の流れで何でそうなるの?」

上条「何でって、そこまで気合い入ってるなら
とっくに連絡先くらい交換してるものと、てっきり」

垣根「何?お前って初めて会った女の子にその場でメアドとか訊ける人?」

上条「」

一方「やめとけ三下ァ。こンなコミュ障の童貞メルヘンに
   そんな度胸あるワケがねェ」

垣根「童貞じゃねーよ!童・貞・じゃ・ねーよ!!」

一方「じゃあメアドの一つでも訊けたのかよ」

垣根「…………………訊けませんでした」ズーン

一方「ついでに童貞じゃねェってのもウソだろ?ン?さっさと白状しやがれ」

垣根「はい…………ワタクシ垣根帝督は薄汚い童貞金髪ブタ野郎です……」ズズーン

上条「なにもそこまで自分を卑下しなくても」

一方「いい薬だァ」ケケケッ

垣根「」ズゥーン

26 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:25:05.42 ID:x6u5Wxpa0

上条「ま、まぁとにかく、連絡先は訊けなかったんだな?」

垣根「だってしょうがねーだろぉ!?自分で言ったセリフが急に恥ずかしくなって
   一刻も早く立ち去りたかったんだからよぉ!」

上条「あ、恥ずかしいセリフって自覚はあったのか」

一方「口癖だからなァ」

垣根「何が『真っ赤になっちゃってカワイイ』だよ!
   こちとら『冗談だよ』っつった辺りから
   赤くなりそうなのを必死で我慢してたんだよぉ!!」

上条「すぐじゃん!ナンパしてすぐじゃん!」

一方「この純情ヘタレメルヘンがァ」

上条「ぷっ!じゅ、純情ヘタレメルヘン……」プルプル

垣根「くそっ、恥ずかしい…
恥ずかしすぎて死ぬ…むしろ死にてえ」

一方「『縁があったらまた会おうぜ、お嬢さん♪』」ププッ

垣根「グフッ!」

上条「『――――垣根。垣根 帝督だ』」キリッ

垣根「やぁ〜めぇ〜ろぉ〜よぉ〜!」ジタバタ

27 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:27:22.60 ID:x6u5Wxpa0

一方「あァー今日で半年分くらい笑ったわ」プププ

垣根「」チーン

上条「ククッ…まあ元気出せよ垣根。お互い学園都市にいるうちは
二度と会えないってわけじゃないんだし」

垣根「そうだよな!」ガバッ

上条「立ち直り早っ!」

一方「超能力者(レベル5)ナメンなァ」

垣根「このくらいで諦めてちゃ永久に主人公になんてなれねえ!
   もとよりオレの『未元物質』に常識は通用しねえ!」キリッ

上条「ホントに復活した…」

一方「アホらし……そろそろ出るかァ」

上条「そうだな、ずいぶん長居した気がするし」

一方「っつーことで今日はメルヘンのオゴリなァ」

垣根「何でだよ!」

一方「……純情ヘタレメルヘン」ボソッ

垣根「しょうがねーな。あ、小銭切らしてっから端数だけ貸しといて?」キリッ

上条「変わり身も早っ」

一方「それも超能力者たるゆえんだァ」

28 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:28:49.79 ID:x6u5Wxpa0


上条「じゃあ二人とも、また今度な」

一方「あァ」

垣根「おう!シスターちゃんと打ち止めちゃんにもよろしくな」

上条「ああ」

一方「打ち止めはお前に『しね』って言ってたけどなァ」

垣根「ウソつけよ!あの天使みたいな打ち止めちゃんが
そんなお前みたいなこと言うわけがないだろ!」

一方「ほんの冗談だろォが」

垣根「お前の冗談はいちいち心の臓に深々と突き刺さるんだよ!」

上条「ハハハっ…それじゃあな」テクテク

一方「チッ。あばよメルヘン。明日生きてたら学校でなァ。
   オレが引導渡してやっからよ」ツカツカ

垣根「モヤシてめっ……それはこっちのセリフだクソボケぇ!」


垣根「………帰るか」
29 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:30:41.17 ID:x6u5Wxpa0

友人たちと別れた垣根は足取りも軽く家路をゆく。

垣根(完全下校時刻にはまだ余裕があるな)

垣根(あのCDショップにでも寄ってみるか)

先ほどのファミレスから家に帰る道の途中にあるそのCDショップは
新譜が発売日よりも前に店頭に並ぶことも多く、
垣根がひそかに贔屓にしている店でもあった。

垣根(そろそろユニ○ンの新譜が出るころだからな)
垣根(あの店なら入ってるかもしれねえ)

新たな楽しみを見つけた垣根の歩調はさらに早くなる。



垣根(なんかいいよなあ、こういうの)

30 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:31:41.26 ID:x6u5Wxpa0

垣根は満足していた。

垣根(普通に学校に行って、放課後にダチとたむろって、
バカ話で盛り上がって……)
垣根(まああのモヤシはムカつくけどよ)

このひどくありふれた「表」の生活に。
垣根にとってやっと手に入れた「自由」は、
初夏の渓流のように日の光を受けてキラキラと光り輝いていた。

しかし。


垣根(『スクール』にいたころとは大違いだ……)
垣根(あの頃はオレが人並みの学生生活を送れるなんて
夢にも思わなかった)

今の満ち足りた日々に思いをはせるほどに、
過去に置いてきたはずの「闇」が頭をもたげる。

垣根(オレみてえなクズがよ…)

さながら、目を血走らせた毒蛇のように。

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/05/12(木) 20:37:37.50 ID:x6u5Wxpa0
以上です。

読んでくださりありがとうございます。

次からは基本こんな感じで
ギャグ・ラブコメパート→地の文なし
シリアスパート→地の文あり
という進行でいきます。
私の気が変わるかもしれませんが・・・

P.S.まだ本編書き終わってないのに
後日談のイチャイチャラブコメパートの妄想が止まらねえええ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/12(木) 21:00:13.07 ID:6G8qkyLAO
やだ
シリアス垣根だと思ったら普通にアホの子だった
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [!inaba_res]:2011/05/12(木) 21:27:02.27 ID:NV7JQjR40
工場長は自虐ネタだぞ……
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/05/12(木) 23:52:18.19 ID:Ik0TQgph0
この垣根は上半身と下半身がきっぱり分かれているからポルナレフだな、略してポル根
あと>>1、メジャーちゃんが出るか出ないかは教えろ!
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/13(金) 17:50:36.27 ID:AT81i2F90
>>1です。

もうすぐ第一部「出会い編」が終わりそうです。
今日の深夜12時ごろまた来ますが
その前に前回投下し忘れたおまけを置いておきます。
今晩までのつなぎにでもどうぞ^^

では、投下
36 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/13(金) 17:52:43.08 ID:AT81i2F90
オマケ「とある男子の蛇足会話(ボーナストラック)」

垣根「ちょっと待て」

上条「えっ?」

一方「あァ?」

垣根「いや、冷静に考えてみたらよ」

垣根「お前らも童貞だよな?」

上条「なっ……///」

一方「童貞コジらせてトチ狂ったかイカレメルヘン」

垣根「うるせえ!」

垣根「おかしいと思ったんだよ…」

垣根「人のこと散々童貞童貞ってバカにしやがって」

垣根「ウツ入ってたときは気付かなかったけど
   お前らだって人のこと言えねえじゃねーか!バーカ!」

一方「バカはテメェだこのクソメルヘンがァ!」

一方「打ち止めを見てみろ!どォ見ても外見年齢小学生だろォが!」

一方「おまけに実際年齢は0歳なンだぞ!そんなガキに手ェ出してみろ!
   同居人に逮捕されるわ!」

一方「それともテメェのメルヘン脳にはそンな最低限の常識も通用しないンですかァ!?」

垣根「そういうことを言ってるんじゃねーよ!あと良識はあるわ!ナメんな!!」
………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・

男子高校生の会話はつづく。

とある男子の蛇足会話(ボーナストラック) おわり
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/13(金) 17:54:28.48 ID:AT81i2F90
短いですが以上です。

では、また今夜お会いしましょー^^/
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/13(金) 18:09:11.69 ID:ICuv4icDO

掛け合いは無理に笑いを取ろうとしないほうがいいかも
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/13(金) 22:48:20.44 ID:m+vh7PpSO
くだらない糞SSだな

書くのやめて[ピーーー]よ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/14(土) 01:45:02.30 ID:GNKCeQ6DO
まだー?
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:09:01.22 ID:FfjJM7h50
>>1です! 遅くなってすみません!

では今日の分を投下していきます!
今日は今までの倍くらいの分量を投下したいと思います。

と、その前にウチの心理定規さんから
>>16 >>18 >>34へのメッセージがあります。

心理「どうも、はじめまして」

心理「早速だけど、この先私の出番があるのか、という質問にお答えするわね」

心理「残念だけどこのSSは『あの人』の物語なの。」

心理「だから今のところそこに私の居場所はないわ」

心理「あの人と私の物語が交わらないかぎりは、ね」

心理「ふふっ、あの人の台詞をまねるのは少し癪だけど」

心理「縁があったらまた会いましょ、お兄さん♪」


……だ、そうです。

ではでは、次レスからスタートです。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:10:08.61 ID:FfjJM7h50

『スクール』
かつてこの学園都市に存在した「闇」の一つである。
垣根はその小組織のリーダーを務めていた。

『ピンセット』と呼ばれるガジェットをめぐる戦いを発端とする暗部抗争で、
一方通行の属する『グループ』によって壊滅した。
抗争に敗れ、瀕死の重傷を負った垣根は統括理事長・アレイスターによって回収され、
自身の能力である『未元物質』を吐き出すただの肉塊になり下がった。

死んではいない。しかし「生きている」とは到底いえない状態。
才能を最後の一滴まで絞り取られ、
用済みになればゴミのように捨てられる。
それが、この街の闇に呑まれた者の末路。


――――そのはずだった。

垣根(あいつらには本当に感謝しねぇとなあ)

白髪紅眼の少年が、黒髪の少年と共に再び垣根の前に現れるまでは。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/05/14(土) 02:11:43.45 ID:FfjJM7h50

垣根は理解していた。
この平凡な生活が、かつての垣根が何よりも渇望したものだということを。
そしてそれを自分が手に入れられたのは、
あの二人の“悪友”たちのおかげだということを。

今の自由は垣根が自らの闘いの果てに勝ち取ったものだ。
しかし、垣根をその戦場(ステージ)へと導いたのはまぎれもなく彼らであった。
垣根があの二人を『ヒーロー』と呼ぶのは皮肉でも嫌味でもない。

垣根にとっても、あの二人の少年は間違いなくヒーローなのだ。

垣根(ま、あいつらの前じゃぜってー言わないけどな)

垣根の復活を端緒として学園都市の裏側で起こったあの「戦争」により、
全ての暗部組織は壊滅、または解散した。
もともと行くあてのない人間が寄り集まってできた組織がほとんどであるため、
現在も行動を共にしている者は少なからずいるらしい。
が、それはまた別の誰かの「物語」である。

かくして「学園都市の」闇はひそかに消滅した。
しかし過去と言う名の闇は、今でも垣根の心にまとわりついていた。

日の当たる道を歩み始めた垣根のうしろに、
色こく伸びる影のように。

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:13:08.67 ID:FfjJM7h50


垣根(……らしくねえ、よな)

垣根(黄昏どきになるとどうもしんみりしていけねえ)

序列第二位の超能力者として強固な《自分だけの現実》(パーソナルリアリティ)をもつ垣根は
激情に身を任せることはあっても思索の海に溺れて自分を見失うことはごくまれにしかない。
有り体に言えばウジウジ悩むことがなく立ち直りが異常に早い。
『立ち直りの早さが超能力者(レベル5)たるゆえん』、
という一方通行の言はあながち間違いではない。

垣根(まあそれはそれとして)

しかしそれはあくまで垣根の「能力者としての」一面であり、

垣根「なんでオレにだけヒロインがいねえんだよォォォォォ!」

年頃の男子高校生としての悩みが尽きることは、ない。


垣根(思い出したらまた腹立ってきた…)

垣根(あいつらのまわりは女だらけなのに、
   どうしてオレにはこんなに女っ気がねえんだよおおおおおお)

垣根は銀髪碧眼の美少女シスターと暮らす黒髪の少年と、
第三位の遺伝子をもつ二人の少女、家主である巨乳の警備員、
そして元研究者の女性という女所帯で生活する少年を思い浮かべる。

垣根(リア充氏ね!チ○コもげて爆ぜろ!!)

垣根(特に一方通行!お前は代わりにモヤシでも生やせ!)

垣根(そして打ち止めちゃんに鼻で笑われろ!!)

脳内の悪友たちに垣根はあらん限りの罵倒をぶつける。
いかにヒーローといえども、ムカつくものはムカつくのである。
45 :酉忘れてた ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:14:44.98 ID:FfjJM7h50


垣根(しょうがねえといえばしょうがねえんだけどよ)

垣根(ガキのころから研究所暮らしで女っ気ゼロだったし)

垣根(女に興味が出始める年のころにはもう「裏」にどっぷりだったしよ)

垣根が長らく身を置いていた世界では
仕事上の付き合いはあっても男女の深い関係をもつものは皆無だった。
そうした馴れ合いが死に直結するからである。
また垣根自身、「アレイスターとの直接交渉権」という唯一無二の目的にとりつかれ、
女性に目を向けることさえしなかった。

垣根(ちょっと待てよ)

垣根(ってことはもしかしてオレ……)






垣根(初恋もまだしたことがない、ってことになるのか?)




46 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:16:07.05 ID:FfjJM7h50

垣根(だ、)

垣根(だ……、)

垣根(ダッッッセェェェェェェェェ!!!)

垣根(いくらなんでもそれはねえだろオレ!)

垣根(今いくつだと思ってんだよ!17だぞ!17!!)

垣根(今日び中坊でももっとススんだお付き合いしてるわ!)

垣根(それなのに彼女どころか初恋もまだとか!!)

垣根(あ り え ね え !!!)ジタバタジタバタ

ヤダーナニアノヒトー
ナンカヒトリデジタバタシテルー
キモーイ
デモチョットカッコヨクナーイ?
エーアンナノガイイノー?ヒクワー
クスクス・・・・・・・

垣根(!……ちょ、ちょっと取り乱しすぎたか)ゲフンゲフン
47 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:16:56.94 ID:FfjJM7h50
垣根(しかしこれはちょっとした事態だ)

垣根(見た目こんなチャラチャラした野郎が童貞でしかも初恋もまだとかどんなギャグだ)

垣根(オレには上条みたいにフラグメイキングのアビリティがあるわけでも
   モヤシみたいに脳波で物理的に結ばれた相手がいるわけでもねえ)

垣根(つまり一つ一つの出会いを大事にしなくちゃならねえってことだ!)

垣根(………考えれば考えるほど惜しいことをした)ズーン

垣根(いや、いつまでも逃がした魚の話をしてても仕方がねえ)

垣根(人は常に未来を向いて生きていかなきゃならねえのさ!)

垣根(とにかく!オレはオレの物語を紡ぐために!)

垣根(一刻も早くオレだけのヒロイン……いや彼女を………
そうでなくても女友達を!)

垣根(目指せ!脱・ヘタレメルヘン!!)

途中からだんだん目標が低くなっていることにも、
自分だけのヒロインという発想がすでにメルヘンであることにも気付かない垣根であった。
48 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:17:44.20 ID:FfjJM7h50
垣根(………うお、いつの間にか日がくれそうだ)

垣根(警備員に目ぇ付けられてもうぜぇしとっとと用事済ませて……ん?)

そこで垣根は街の喧騒にまぎれた“異変”に気付いた。

オイシカトシテンジャネーヨ!

イヤッ!ナニヲスルノハナシナサイ!

ウルセェコッチコイ!

垣根「チッ……この街の闇をぶっ潰したところであの手のバカは減らねえな」

垣根はそうつぶやくと声のする方へ駆けだした。
そしてその瞬間、垣根と、とある少女の「物語」が動き出したことに、
当の垣根自身、まったく気づいていなかった。



49 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:18:59.35 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------

同時刻 第七学区 路地裏

固法(不覚…!)

風紀委員・固法美偉は腹を立てていた。
目の前の不良たちにではない。己の不甲斐なさにである。
腕章をつけた状態で、しかもパトロール中に暴漢に囲まれ、
あまつさえ拘束されるなど情けないにもほどがある。

固法(いつも白井さんにあれだけキツく言っておきながらこのザマ…風紀委員失格ね)

同じ支部の後輩である白井黒子は任務の度に独断専行に走るきらいがあり、
そのたびに固法が灸をすえている。

しかし自分の身を守れないということは、仲間を危険に晒すという意味で
任務中の単独行動と同じくらい、いやそれ以上の失態であった。

だがこうなってしまった以上仕方がない。
彼らをこれ以上増長させないよう、毅然とした態度で固法は声を張り上げる。

固法「離しなさい!あなた達自分が何をしてるかわかってるの!」
50 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:19:55.03 ID:FfjJM7h50

不良A「よーく分かってるぜぇ、風紀委員さんよぉ!」

不良B「てめぇにゃあダチが世話ンなった礼をたっぷりしてやらなきゃならねえんだよぉ!」

固法「私が風紀委員だと知って……あなた達まさか昨日の!」

不良C「ご名答ォ!」

不良A「てめぇにしょっぴかれた緋襲たちの分まで存分にかわいがってやるからよ!」

腕章を外しているのならともかく、
普通スキルアウトたちは自分たちから風紀委員を狙うことはまずない。
だがそれでもわざわざ腕章をつけた風紀委員を狙って襲撃する動機は一つしかない。
―――報復。
なるほど、昨日逮捕したスキルアウトの中に
確かに緋襲蒼衣(ひがさねあおい)という名前の男がいた。
彼らはその意趣返しのため、彼らを逮捕した固法を狙ったのだ。

51 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:20:42.35 ID:FfjJM7h50

固法「そう……でも残念ね。さっき詰所に緊急信号を送ったわ。
   あと五分もしないうちに応援がくるわ」

風紀委員に支給される通信端末にはある機能が追加されている。
緊急信号(エマージェンシー)。
喫緊の場合にかぎり、ボタンひとつで詰所に自分の位置情報と
あるメッセージを送信することができる。
その意味は、
『緊急事態。現場ニ急行サレタシ』
である。
このメッセージが送信された場合、
支部に詰めている他の風紀委員が至急現場へ直行することになっている。
だが。

不良B「それはコイツで呼んだのかぁ?」

固法「!それは……!!」

固法の背後で腕をねじり上げている不良が
ニヤニヤしながら取り出したのはまぎれもなく固法の端末だった。

不良B「どうせコイツのGPS機能で位置を特定するんだろうが…
    こうしちまえばどうかなぁ!!」

バキィ!
不良によって力の限り踏み砕かれた携帯は、
誰の目に見ても最早使い物にならなかった

不良A「これでアンタの居場所を知ってるお仲間はだれもいないってわけだ」

52 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:21:29.64 ID:FfjJM7h50

固法「くっ…」

じわり、
と、固法の額にいやな汗がにじんだ。

不良C「仮に万一見つかったとしても、この路地の入口には見張りを立たせてある。
俺らの中でも指折りの“腕利き”をなあ!」

不良B「風紀委員をぶちのめすのは骨が折れるだろうが時間かせぎには十分すぎるだろ?
    てめぇをキズモノにすんのにはよぉ!」

不良たちをキッと睨み返しながらも、
固法の心は恐怖に蝕まれつつあった。

怖いイヤダだれかハヤクこわい
コワイ早くダレカ怖いまだなの誰かハヤク
マダ怖いコナイこわい誰かコワイはやくダレモこわいコナイ
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ


                誰か!!




??「くだらねえ真似してるじゃねえか」


53 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:22:23.23 ID:FfjJM7h50


固法の心が折れそうになったその時、
路地裏に声が響いた。
それまでそこに存在しなかった声。

そしてその声の主は、
不良たちでも、応援にきた風紀委員の仲間でもなく、



垣根「その見張りってのはコイツらのことか」

昨日出会った金髪の青年だった。


54 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:24:59.59 ID:FfjJM7h50


垣根「そらよっ」

ドサドサッ
青年は自分よりもさらに身長の高い大男二人を
まとめて路上に蹴り転がした。

不良C「!?湯走(ゆばしり)!皆焼(ひたつら)!!」

そう呼ばれた二人からは返事がない。
完全に気を失っているようだった。

垣根「ぬるすぎる。時間かせぎどころか準備運動にすらなりゃしねえぞ」

不良B「テメェ……自分が何したかわかってんのか!」

垣根「この程度で“腕利き”とは笑わせやがる。
今度からはマニー=パッキャオでも連れてくるんだな」

不良と青年の会話がかみ合っていない。
というより、青年が彼らの言うことを無視しているようだった。

固法「あ、あなた……こんなところで何してるの!?」

不良たちの視線が青年へ集中したことで冷静さを取り戻した固法は、
闖入者である「一般人」の青年に声を荒げる。

垣根「あぁ?…!…何だよ、昨日の風紀委員のお嬢さんじゃねーか」

この人は本当に昨日の青年だろうか。

垣根「こんなところで会うなんざよっぽど縁があるらしいな」


風体も人相も全く同じであるにも関わらず、固法にはその確信がもてなかった。
青年の浮かべる笑みが、昨日自分に向けられたものと
あまりにもかけ離れていたから。

その笑みがあまりにも、

暗い感情に満ち溢れていたから。

55 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:26:18.69 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------


不良たちに囲まれ、片腕をねじり上げられる少女。
その光景を目の当たりにした瞬間、垣根帝督は自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。

―――――ヤメロ

垣根「くだらねえ真似してるじゃねえか」

――――――ヤメロヨ

垣根「その見張りってのはコイツらのことか」

不良「!?―――――!―――――!!」
 
 ―――コレ以上

(失――、―嬢―ん)

垣根「ぬるすぎる。時間かせぎどころか準備運動にすらなりゃしねえぞ」

不良「―――……――――――――!」
  
―――コレ以上思イ出サセルナ

(垣――督。―――を探―て―んだ――)

不良たちが自分に向かって何かを叫んでいる。
しかし「あの日」のノイズと内から湧き上がる咆哮にかき消され、
垣根の耳に届くことはなかった。
56 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:27:08.20 ID:FfjJM7h50

垣根「この程度で“腕利き”とは笑わせやがる。
今度からはマニー=パッキャオでも連れてくるんだな」

固法「―――た、――なとこ―で何してるの!?」

垣根「あぁ?…!…何だよ、昨日の風紀委員のお嬢さんじゃねーか」

垣根はそのとき初めて、その少女が昨日出会った風紀委員であることに気がついた。

垣根「こんなところで会うなんざよっぽど縁があるらしいな」

そんな軽口を叩いて見せる垣根であったが、
実際は己の中で暴れまわるどす黒い感情に呑まれまいと必死だった。

――――同ジダ

(――いう子が―こへ行っ――知らな――な)

―――――コイツラハ同ジダ

(最終―号っ――れてる―だけ―)

――――――「アノ時」ノ……ト

(そう―ね。その前―もう少―自――探してみ―。ありが――)
57 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:28:24.72 ID:FfjJM7h50
固法「くだらないことを言ってないで早く逃げなさい!
ここは一般人の出る幕じゃないわ!!」

―――ヤメロ

(ああそ―だ、お嬢さ―)

――――ソンナ強イ目ヲスルナ

(言い忘れ――とがある―だけど)

――――――――ソンナ目ヲシタラ


不良「デカい声出すんじゃねぇ!!!」

バシィっ!

固法「あぅっ!!」

垣根「!!!」




         『テメェが最終信号と一緒にいた事は分かってんだよ、クソボケ』





瞬間。
垣根の視界は白く燃え上がった。
58 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:29:26.46 ID:FfjJM7h50




垣根「―――――ムカついた」

不良「あぁん?」


バサァッ!!
直後、垣根の背後に銀白色の翼が展開し、

垣根「ナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてえと見える」

圧倒的な破壊が、始まった。


59 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:30:12.09 ID:FfjJM7h50


――――

――――――――

――――――――――――――

垣根「………他愛もねえ」

固法(強い………一瞬で………)

路地に静寂が舞い降りた。
垣根の目の前には5人の不良が気を失って転がっている。

不良A「グっ…………」

不良B「ガァ……………」

手足が不自然な方向に曲がっている者もいたが、全員息はあるようだ。

そんな中、固法は自分の目の前で繰り広げられた光景の「意味」を考えていた。

固法(この羽……本物じゃない。これがあの人の能力……?)

固法の能力はレベル3の透視能力(クレアボイアンス)。
その透視能力を以て路上に散乱している「羽」を解析したところ、
内部構造、組成、どちらも本物の羽毛とは程遠いものであった。

固法(そんな……ゼロから物質を創造する能力なんて……まさか!)

そこで固法は一つの結論にたどり着く。
『この世にあるはずのない素粒子』を創り出す能力者の存在。
そして、『カキネ テイトク』という名前。

固法「まさか…………第二位の超能力者……………」



固法「あなたが……《未元物質》……?」



60 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:31:42.99 ID:FfjJM7h50


垣根「バレちまったか………まあ最初から隠すつもりはなかったんだけどよ」

垣根「……立てるか?」

地面にへたりこんでいる固法に手を差し伸べる垣根。
だがその手が固法の肩にふれるその寸前

固法「!」ビクッ

垣根「ッ………」

彼女の眼にわずかな怯えの色が浮かんだのを、垣根は見逃さなかった。


61 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:32:55.21 ID:FfjJM7h50


――まただ。


垣根「悪ぃ、怖い思いさせちまったよな」

差し出した手を引っ込め、フイと固法から視線をそらす垣根

固法「あっ………」


―――また、繰り返した。


垣根「もうすぐ他の風紀委員が来るんだろ?その前にお暇させてもらうぜ」
     「ごめんなさい、そんなつもりじゃ…」


――――あの頃と何も変わってねえ。


垣根「こんなトコ見られたらどう見てもオレが暴行犯だからな」
             「おねがい、ちょっと待って……………」

―――――――――オレは、最低のクズだ。

垣根「………………………じゃ」

62 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:34:06.40 ID:FfjJM7h50

垣根は路地の出口へ逃げるようにして走り出す。


――何がオレの物語だ、何がヒーローだ、何がヒロインだ!

――オレはあの頃と、『スクール』にいた頃と何一つ変わっちゃいねえ!

――暴力を振り回すことしか、恐怖で相手を蹂躙することしかできねえ!

――――――――悪党ですらねえ、ただのクズじゃねえか!!


変われると思っていた。
変われたと思っていた。
過去と、「闇」と決別し、いつかあの二人のようになれると思っていた。
悲劇という『幻想』も、絶望という『現実』も殺したあの二人のように。

だが実際はどうだ。
感情のままに暴虐を振るい、少女に恐怖を植え付けることしかできなかった。

もうやめよう。
終わりにしよう。
ヒーロー気取りも、あの少女にかかわるのも。
……自分の存在が恐怖にしかならないのなら。





             ??「待って!!!!」




63 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:35:03.82 ID:FfjJM7h50


足が止まる。

バカな。

あり得ない。

誰だ?

誰がオレを呼び止める?

こんなどうしようもねえオレを呼び止めるのは、

いったいどこのどいつだ?

垣根は足が震えそうになるのを必死でおさえ、ゆっくりと振り向いた。


固法「ハァ………ハァ………あなた……足…速すぎ……ハァ……」

そこには、先ほどの少女がひざに手をつき、肩で息をしながら立っていた。
―――――まるで、走って誰かを追いかけてきたかのように。


64 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:36:17.06 ID:FfjJM7h50


垣根「アンタ……」

固法「あのあとすぐに…応援が来て……
その子にあとを任せて…追いかけてきたの…」ハァ…ハァ…

垣根「何で…………」

―――何でオレなんか追いかけてくるんだよ。

固法「だって……ハァ……お礼も言わせて…くれないんだもの…」

垣根「礼だと……」

―――自分を怖がらせた相手に何の礼をするっていうんだよ。

固法「ええ……そうよ」

そこで固法は息を整え、垣根をまっすぐ見すえてからこう告げた。

固法「先程は危ないところを助けていただき、ありがとうございます」ペコリ

その眼に、先ほどまでの恐怖は微塵も感じられなかった。

垣根「!」

65 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:37:39.60 ID:FfjJM7h50

固法「それで、……あの…昨日のお詫びも兼ねて、何かお礼をさせてほしいのですが…」

垣根「…やめてくれ、別にそんなつもりでしたことじゃね…」

固法「わたしの!気が済まないんです!」

なおもしつこく断ろうとする垣根に、固法は意を決して詰め寄った。

固法「あなた昨日言ったじゃない。私の気が済まないなら、その…
で、デート一回でチャラにするって!」

垣根「そりゃアンタ言ったけどよ…」

固法「とにかく!もう私決めましたから!」

垣根「何を?」

固法「で…デートでもどこでも好きなだけお付き合いします!」

垣根「はぁ!?」

66 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:38:37.50 ID:FfjJM7h50

固法「け、携帯出してください!」

垣根「何で!?」

固法「は・や・く!」

垣根「お、おぅ」スッ

固法の剣幕に押され、思わず携帯電話を差し出す垣根。
固法はその携帯をひったくると、自分の携帯とつき合わせて何かの操作をしだした。

固法「これを……こうして」ピッポッパッ

固法「はい。私の連絡先を登録しておきました。日にちや時間はまた追って連絡します」

垣根「おいアンタちょっと待っ…」

固法「では私はこれで。まだ現場検証が残ってますので」


垣根「待てって!」

67 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:40:00.98 ID:FfjJM7h50

大声で呼び止めたあとに、垣根はあることに気付いた。

垣根「…アンタの名前さ。まだちゃんと聞いてなかったからもう一回教えてくれよ」

垣根「ほ、ほら!オレってダチとか知り合いとか結構多いからよ!
   電話帳でアンタの名前見つけられなかったら困るじゃねーか」

友人らしい友人などあの二人とその関係者くらいしかいないし、
電話帳など検索すれば名前などすぐに出てくることくらい分かってる。

しかし垣根は何故だか、
本当に何故だかわからないが、
彼女の口から直接名前を訊きたいと思った。

そして彼女はニッコリとほほ笑み、
垣根の言葉に答えた。

固法「――――固法」

固法「固法 美偉よ」



それは、最近どこかで聞いたような言い方だった。


68 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:41:03.46 ID:FfjJM7h50
----------------------------------------
同日 20:00 垣根宅

垣根「ふう……」

最近寝床と化しているソファに身を沈め、垣根は息をついた。

垣根(今日はなかなかヘビィな一日だった)

垣根(しかし何なんだあの女)

垣根(オレのこと怖がってたくせに)

垣根(いきなりデートなんて言い出しやがったと思ったら人の携帯ひったくって
   勝手にメアドまで入れてよ……)

垣根(………)

ピッポッパッ

垣根「固法 美偉、ね」


69 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:41:47.17 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------
同時刻 固法宅

固法「はぁ〜さっぱりした」パタパタ

固法「さて、と」ガチャガチャ

風呂からあがるやいなやおもむろに冷蔵庫を開ける固法。
そして手を伸ばすのはもちろん、

固法「ン……ン……ぷはぁー!やっぱりお風呂上がりはムサシノ牛乳よねー!」

このために生きてる、と言わんばかりに固法は顔を綻ばせる。

固法(…今日は一日大変だったわ)

だが、路地裏での出来事を思い出さずにはいられない。
大の男に囲まれ、なすすべもない恐怖。今考えても身の毛がよだつ。

固法(あの人が助けに来なかったらどうなっていたか……)

そしてその窮地に現れた金髪の青年。

固法(今日のあの人の表情、昨日と全然感じが違ってた)

固法(昨日はあんなに余裕たっぷりだったのに、今日はなんだか少し……恐かった)

固法(そうかと思って追いかけたら、今度は叱られた子供みたいな顔してた)

固法(……)

カチカチコチコチ

固法「垣根 帝督さん、か」




70 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:42:31.90 ID:FfjJM7h50




垣根「変な女……………」
固法「変なひと……………」




71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:50:01.04 ID:FfjJM7h50
以上です。

読んでくださってありがとうございます。

ここで本編第一部「出会い編」が終了になります。
この先第二部「接近編」、そして第三部「成就編」と続いていく予定です。
予定は未定ですが。

それと今回の投下で書き溜めが尽きたのと、
リアルの方が忙しくなってきたので
次回の投下まで時間が開いてしまうと思います。
本編の感想・雑談などを書きこみながら気長に待っていただけるとうれしいです。

ああもっと上手に文章が書きたい……

では、おやすみなさい^^
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/14(土) 06:19:20.52 ID:lrnEPLNG0
乙! リアルとss、どっちを優先すべきか分かるな?
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/14(土) 14:51:18.03 ID:47OnaQPJo
大切なのは「自分だけの現実」ですね
74 :1です [saga]:2011/05/15(日) 23:18:12.46 ID:nn0dM8z00
当分投下はむりかなと思っていたのですが
勉強の合間にコツコツ書いてたら
思ったよりもストックがたまったのでちょっとだけ投下します
75 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:22:26.33 ID:nn0dM8z00
その前に今回から始まる第二部「接近編」に向けて
出番が増えるオニャノコたちの設定紹介をしておきます。


インデックス(??)……禁書目録をつかさどるイギリス清教のシスター。上条の家に居候している。
上条家に遊びに来るたびにおみやげ(ほぼ食料)をもってくる垣根になついている。


御坂美琴(14)……名門・常盤台中学に通う序列第三位の超能力者。『超電磁砲』(レールガン)の異名を持つ電撃使い。
上条当麻に好意を抱いている。極度のツンデレ。


打ち止め(ラストオーダー)(0)……美琴の遺伝子を用いて製造されたクローン。検体番号20001。
『妹達』約一万人の脳波リンクからなるミサカネットワークを管理している上位個体。
現在一方通行と黄泉川家に居候中。一方通行から日常的に垣根の悪口を吹き込まれているが
本人は女子供にやさしい垣根を少しは見習ってほしいと思っている。


番外個体(ミサカワースト)(0)……第三次製造計画(サードシーズン)で生み出された美琴のクローン。
ミサカネットワークの「負」の感情を強制的に拾い上げるようプログラムされているため
どこぞのツンドラ娘顔負けの口の悪さ。趣味は困っている人をさらに困らせること。まさに外道。


白井黒子(13)……常盤台中学に通う大能力者の遠隔移動能力者(テレポーター)。第一七七支部に所属する風紀委員で固法の後輩。
美琴に心酔しており、「お姉様」と呼んで慕っている、というか純潔を狙っている。
そのため美琴の想い人である上条に並々ならぬ敵愾心を燃やしている。


初春飾利(13)……第一七七支部に所属する風紀委員。『守護神』の異名をとる凄腕のハッカー。
過去に打ち止めをかばったことで垣根に殺されかけたことがある。


佐天涙子(13)……初春と同じ中学に通う女子生徒。風紀委員ではないが第一七七支部に入り浸っている。
同年代の初春、黒子、美琴よりもスタイルがいい。



心理定規(??)……元『スクール』の構成員。他人と自分の「心の距離」を自在に操る能力をもつ。
暗部壊滅後忽然と姿を消したが………
76 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:25:22.77 ID:nn0dM8z00
-----------------------------------------

数日後 第7学区 ファミレス『ジョイナス』

上条「………きね。垣根!」

垣根「!…な、何だ?」

上条「どうしたんだよ。さっきから上の空で」

垣根「ああ、悪ぃ。ちょっと考え事しててよ」

一方「朝からこンな調子だァ」

上条「ったく……ほら、ボーっとしてるからハンバーグ冷めちまったぞ」

垣根「ヤベっ。ホントだ」キコキコモグモグ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 23:27:52.09 ID:5V8ZM33DO
待ってました!
78 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:28:46.57 ID:nn0dM8z00

一方「肉に失礼だろォが。死ね」キコキコムシャムシャ

垣根「お前が死ね。…お、冷めてもウマイな、ここのハンバーグ」モグモグ

一方「肉もかたくなってねェ。クカカカ、最っ高じゃねェの」ムシャムシャ

垣根「…」モグモグ

一方「…」ムシャムシャ

上条「ところで何でお前らのハンバーグやステーキが冷めるまで
   オレの料理が来ないんだよ!」

垣根「あれ?そういやあまだ来てなかったか。上条何頼んだっけ?」

一方「大方めンどくせェヤツでも頼ンだンだろォ?」ケラケラ

上条「……ビーフカレー」ショボーン

垣根「それは………」

一方「あァ……」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/15(日) 23:29:09.53 ID:5V8ZM33DO
待ってました!
80 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:34:16.88 ID:nn0dM8z00

上条「うぅっ……何で上条さんの料理だけ毎回こんなに遅いのでせうか…」ウルウル

垣根「そういやこないだもその前も一番最後だったな、上条の料理」

一方「三回に一回はオーダー通ってなかったりするしなァ」

上条「おかしいじゃねーか!カレーなんて頼んだらすぐ出てくる料理の代名詞だろ!」

上条「それが何で30分も1時間も待たされるわけ!?」

垣根「それはまあ……上条だから?」

一方「三下だからなァ」

上条「不幸だぁーーーーーーーー!!」


81 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:36:25.22 ID:nn0dM8z00


アリガトウゴザイマシター

上条「結局オーダー通ってなかったし!」プンプン

一方「いつものことなンだから気にすンなァ」

上条「いつものことだから怒ってるんだろうが!!」

垣根「………」

上条「…垣根?」

垣根「えっ!?あ、な、何だ?」

上条「お前今日何か変だぞ?さっきからずっと心ここにあらずって感じで」

一方「どうせメルヘンワールドにトリップしてたんだろォ?面倒くせェからもう帰ってこなくていいぜェ」

垣根「違ぇよ!…あ、そうそう!今日レンタル屋に返すDVDまだ見てなくてさ。
   どうしよっかなーなんて思ってたんだよ!」

垣根「お、もうこんな時間じゃねーか!さっさと帰ってゆっくり見ることにするぜ!じゃあな!」ダダダッ

上条「お、おう」
82 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:37:53.37 ID:nn0dM8z00


一方「………どォ思う、三下ァ」

上条「いやぁどう考えてもウソだろあれ。最後明らかに目ぇ泳いでたし」

一方「チッ、気にいらねェ。あのクソメルヘン、オレ達に何か隠してやがる。」

上条「だよなぁやっぱり。一体何があったんだ?」

一方「……ひょっとしてアレかァ?」

上条「何?何か知ってんのか?」

一方「あのメルヘン野郎学校でもあの調子でよォ。
しかも休み時間の度にケータイいじってオマケにため息ついてやがった」

一方「あンまりウザかったから能力使ってシャーペン投げつけてやったけどなァ」

上条「そう言えばさっきのファミレスでもチラチラ携帯の方を気にしてたような…」

一方「ま、あのメルヘンが何考えてンのかなンざサラッサラ興味ねェけどなァ」

上条「…お前も大概素直じゃないよな」

一方「あァ!!?どォいう意味だぶっ殺すぞ三下ァ!」


83 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:39:27.02 ID:nn0dM8z00
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同日  18:00  垣根のマンション

垣根「誰もいないけどただいまーっと」

垣根(危なかった……もうちょっとでボロが出るところだったぜ)

垣根(………バレてねえ、よな)

垣根(上条はともかくモヤシに事が知れたら一大事だ)

垣根(死ぬほどバカにされてイジり倒されるにきまってる!)

垣根「………」

カチカチコチコチ






           『新着メッセージは ありません』






垣根「ちっ…だっせ」
84 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:40:28.65 ID:nn0dM8z00

垣根(この垣根帝督様ともあろう男が、女からのメールにソワソワしてるなんてよ)

垣根(大体あの女、あれっきりメールの一本もよこさねえ)

垣根(あれからもう二日もたってんのに)

垣根(日時は追って連絡する、なんて言っといてよ)

垣根(そういうのは言いだした方からするもんなんじゃねえのか?)

垣根(待てよ、その理屈でいくと最初にデートって言いだしたのはオレだし…)

垣根(いやいやいや!人の携帯に勝手にメアド送りつけたのはあっちじゃねえか!)ブンブン

垣根(でも普通こういう誘いは男からするべき、なんだよな。知らんけど)

垣根(あーでもこのタイミングでこっちからメールなんかしたら
超待ってたみてえで余計カッコ悪いじゃねえかよぉ!)ジタバタ

垣根(うう……オレは一体どうすれば…)


ボクラハーコエガカレールーマデー ソンザイシツヅケールジーザース♪


垣根「うぉっ!」

垣根(び、ビビって変な声出ちまった)

垣根(メールか…まさかあの女か!?)

垣根(とりあえず…)ピッポッ

垣根(!!!)


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/15(日) 23:42:27.34 ID:nn0dM8z00
中途半端ですがここまで!
読んでくださってありがとうございます。

文才ってどこに売ってるんですか…
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 00:22:15.88 ID:QViRVg7ho
大丈夫だ、問題ない
お前は十分文才あるぜ
さあ、早く続きを書くんだ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 00:22:59.94 ID:Yj9nOpOt0
乙でーす

俺も文才欲しいぜい
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 01:08:22.38 ID:SCEk1qIho
ていとくんがかわいいな
翼もふもふしたい
89 :1です [saga]:2011/05/16(月) 20:11:29.30 ID:BM3PVsg90
暖かいレスありがとうございます。泣きました。

では今日の分投下します。
90 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:12:20.70 ID:BM3PVsg90


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同日 19:25 上条の学生寮

禁書目録「ごちそうさまなんだよ!」

上条「いい食べっぷりだな。上条さんは泣きそうですの事よ」トホホ

禁書「まだ腹六分目ってとこかも!」

上条「まだ食えんのかよ!いい加減にしろ!」

ノウミッソツネニフルワセテー アラアラトウンメイニソムーク♪

上条「お、メール?…垣根からだ」ピッポッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  今からお前んち行くわ

==================
91 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:13:54.90 ID:BM3PVsg90

上条「はぁ?何だこれ」

禁書「どうしたの?とうま」

上条「いや、今垣根から連絡があって今からウチに…」

ピンポーンピンポンピンポーン
カミジョーイルカー オレダー

上条「もう来たし!早すぎだろ!」

ダダダッ ガチャッ
92 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:14:47.01 ID:BM3PVsg90

垣根「よっ。悪いな、こんな時間に押し掛けてよ」

上条「いや、別にそれはいいけど…メールから呼び鈴までが早すぎないか?」

垣根「オレの『未元物質』に常識は通用しねえ」キリッ

上条「言えばいいかと思って…」

禁書「あーていとく!こんばんはーなんだよ!」

垣根「こんばんはシスターちゃん。今日もかわいいな。はいコレ、おみやげ」スッ

禁書「え!なになに!?…わぁー丸いケーキだ!いちごのタルトなんだよ!」

上条「いつも悪いな」

垣根「構わねえさ。押し掛けたのはこっちだし」
93 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:16:52.77 ID:BM3PVsg90

禁書「ケーキっ、ケーキっ♪」ルンルン

上条「コラ、インデックス!食べる前にちゃんと垣根にお礼言わないとだめだろ?」

禁書「はう、そうだったかも…ありがと、ていとく!」ペコッ

垣根「いえいえ、どういたしまして」


上条「それで?どうしたんだよ、何かあったのか?」

垣根「ああ、ちょっと相談というか頼みがあってな」

上条「メールか電話じゃダメだったのか?」

垣根「ちっとばかしめんどくせえことになったんで会って話した方が早いと思ってよ」

上条「いつものファミレスは?」

垣根「モヤシに知られたくねえ。というか今回アイツは一番頼りにならねえ」

上条「…一方通行にどうにもならないことを、俺に頼むのか?」

垣根「いや!むしろこんなことを頼めるのはお前しかいねえんだよ!」

上条「俺にしか?……それって一体…」
94 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:18:23.47 ID:BM3PVsg90

垣根「………上条」ススッ

上条「な、なんだよ急にあらたまって正座なんてして」




垣根「…………オレと一緒にデートしてください!!!」ドゲザッ


上条「………」


禁書「……………」








垣根「…………………あれ?」

上条「あー、垣根?お前のことは友達だと思ってるけど
上条さんとしてはあくまでも『友達』というか、そういう感情はない…かな……悪いけど」

垣根「ち、違う!誤解だ!そういう意味で言ったんじゃね…」

禁書「…ていとく。天にましますわれらが父でも、同性愛はおゆるしにならないかも」

垣根「シスターちゃんまで!だから違うっつってんだろ!?」

………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・

95 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:19:28.84 ID:BM3PVsg90

-------------------------------------------------------------

10分後

上条「…ダブルデート?」

垣根「あぁ……」

上条「ええと、この間お前が通りすがりに助けた女の子が実はこの前の風紀委員で、
   なんやかんやあってデートすることになってアドレスを交換した、と。ここまでは分かった」

垣根「分かってくれたか」
垣根(ザコにブチ切れて半殺しにしたり自己嫌悪で逃げたりしたくだりはハショったけど)

上条「デートに持っていけるかどうかは置いといて、まあよくある展開だよな」

垣根「……………」

上条「………何?」

垣根「いや、別に」チクショウフラグヤロウメチクショウ

上条「んで、それが何で『ダブル』デートになっちまったんですかい?」

垣根「それがよ……」


96 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:20:10.45 ID:BM3PVsg90


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同日  18:15  固法・柳迫の部屋


新規メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  来週の土曜日で大丈夫ですか?

==================


固法(これで…いいわよね?)
97 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:21:01.16 ID:BM3PVsg90

固法(あれこれ考えてたら二日もたっちゃった)

固法(男の人に送るメールにこんなに悩むなんて思わなかったわ…)

固法(でも本当にこの文面で大丈夫かしら?)

固法(『遅くなってすみません』、くらい入れた方がいいんじゃ…)

固法(でもあの人からもこの二日間何の連絡もなかったわね)

固法(もしかしてもう私のことなんて忘れてしまったのかしら?)

固法(…あり得る。派手に遊んでるっぽかったし、友達多いみたいなこと言ってたし)

固法(……何だかイライラしてきたわ)

98 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:21:48.09 ID:BM3PVsg90

固法(でも…連絡先を押しつけたのも、で、デートにつきあうって言い出したのも私なんだし…)

固法(ああもう、どうすればいいの!?)

柳迫「美偉ぃー?どうしたの、ずっと携帯とニラめっこして」

固法「!!!あ、碧美!み、見てたの!?」

柳迫「何してんの?メール?ちょっと見せて」ケータイヒョイッ

固法「あっ!ちょっと、やめ、返し…」

柳迫「キャー!!何これ!男?男でしょ名前からして!」

99 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:22:51.76 ID:BM3PVsg90

柳迫「しかも何!今度の土曜日って!ひょっとしてデート!!?」

固法「違っ、…ただ助けてもらったお礼をしようと…」

柳迫「世間ではそれをデートっていうのよ!あ・まだ送ってないんだ。それじゃあ」ピッポッパッ

固法「あ!ちょっと何勝手に…」ケータイヒュバッ




『送信 完了しました』




固法「あ〜〜〜〜〜〜〜!!ちょっと何するのよ碧美!人のメール勝手に送信して!!」プンプン

柳迫「だって、美偉のことだから放っといたらずっと送信できないままだったわよ?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/16(月) 20:23:35.96 ID:FE59QvSg0
>>100
101 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:23:57.81 ID:BM3PVsg90

固法「で、でもまだ心の準備ってものが……」

柳迫「かぁ〜アンタってホントに真面目ねー。」

柳迫「でもそんなんじゃ愛しの彼をどこぞの女に奪われちゃうゾ☆」

固法「だからそんなんじゃないって言ってるでしょ!?」

柳迫「ねぇねぇどんな人?顔は?カッコいい系?」

固法「まぁ……顔は綺麗、だったかな///」

柳迫「ウッソー!超イケメンじゃん!写メとかないの?」

固法「そんなのあるワケ……」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「ひゃっ!?」

102 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:24:56.69 ID:BM3PVsg90

柳迫「お、意外に早かったわね」

固法「…」ドキドキ
ピッポッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:
――――――――――――――――――
  それで構わねえよ

==================


柳迫「ふむふむ、意外に早かったとはいえ、返信時間のわりにこのそっけない文面……」

柳迫「これは
『早く返信しようとしたのに何て書くか迷っちゃって結局そっけない文章になってしまった』
   パターンのやつね!」

固法「何よそのパターン…」

103 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:26:17.12 ID:BM3PVsg90

柳迫「こんな典型的初心メールを送ってきたということは、意外に遊びなれてないのかも…
   遊びなれてないイケメン……カワイイ!」

固法「そんなことないわよ。年上みたいだし、ちょっと遊び人風だったし……」

柳迫「年上で一見チャラチャラした初心いイケメン…ますますカワイイ!!」

固法「はぁ……もう一人で勝手に言ってなさいよ…」ピポピポメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  わかりました。
  では土曜日の11時、第13学区の
  時計台公園でお待ちしてます。

==================


固法「これでよし、と」ピポピポメルメル
104 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/16(月) 20:27:45.96 ID:BM3PVsg90
ごはん食べてきます
105 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/16(月) 20:48:27.62 ID:BM3PVsg90
食べました。投下再開します。


----------------------------------------

柳迫「アンタもメールの内容カッタいわねー」

固法「放っといてよ!」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


ピッポッ

受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:3
――――――――――――――――――
  りょーかい。
んじゃ、おやすみzzz

==================


固法(ぷっ、zzzの絵文字付いてる)メルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:4
――――――――――――――――――
  はい。おやすみなさい。

==================


固法(これで送……あれ、ちょっとまって)

106 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:49:43.59 ID:BM3PVsg90

固法(……念のために確認しておこうかしら)ピポピポメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:4
――――――――――――――――――
  はい。おやすみなさい。


  P.S.二人きり……なんですよね
==================


固法(へ、変なこと書いてないわよね。ただの確認なんだし)ソウシン


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法(あ、もうきた)ピッポッ

柳迫「アンタさぁ、…その着うた変えたら?」

固法「べ、別にいいでしょ、気に入ってるんだから」ピポピポ


107 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:50:49.72 ID:BM3PVsg90


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:5
――――――――――――――――――
  あーそりゃ二人だけってのも
  つまんねえよな。
  よし、オレのダチとそいつの彼女も
  一緒に4人で行こうぜ。
  それなら退屈しねえだろ。

==================


固法(あ、あれ?どうしてそうなるの……?)

固法(って何ガッカリしてるのかしら私ったら。
   よくよく考えたらそっちの方が安心じゃない)メルメルソウシン


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:6
――――――――――――――――――
  そうですね、そうしましょうか。
  では今度こそおやすみなさい。

==================


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:7
――――――――――――――――――
  ん。おやすみzzz

==================


固法(…またzzzってついてる。もう寝るのかしら)プッ

108 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:51:41.23 ID:BM3PVsg90

柳迫「どうしたの?何かやたらメール来てたけど」

固法「あ、いや。彼の友達と合わせて4人で行くことになって」

柳迫「はぁ!?なにそれ?ダブルデートってこと?」

固法「ダブっ、……しょうがないでしょ!?二人っきりで行くのか確認したら
   話のなりゆきでそうなっちゃったんだから!」

柳迫「何だそっか。……優しいね、その人」

固法「えっ?」

109 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:53:04.32 ID:BM3PVsg90

柳迫「その人はさ、きっと美偉が不安がってると思ってそう言ったんだよ」

柳迫「本当なら主導権もってるのは自分なんだからさ、わざわざ邪魔者を呼んだりしないでしょ?」

固法「そう……なのかな」

柳迫「ま!私だったらそんな押しの弱い男はパスね!男はもっとガッと引っぱってくれないと!」

固法「うん……そうだね」

柳迫「だからさ、難しいこと考えないで楽しんできなよ!上手くいったら彼の友達紹介してね?」

柳迫「イケメンの友達はイケメンって相場が決まってるんだから!」

固法「もう、何言ってるの?」

110 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:54:21.36 ID:BM3PVsg90

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同日 19:45 上条の学生寮

上条「なるほど。それで二人っきりで行くのか訊かれ、思わず日和ってダブルデートをもちかけてしまった、と」

垣根「そういうことだ」

上条「ヘタレ!」ビシッ

垣根「ウグッ!」グサッ

上条「よくもまあお前はそんなヘタレっぷりでナンパなんてしたもんだよな」

垣根「仕方ねえだろぉ!?女と二人っきりでどういう話したらいいのかなんて知らねえもん!」

垣根「お互いのこと何にも知らねえのに会話が持つわけねえじゃん!」

垣根「こんなクズにわざわざ付き合ってくれたのに気ィ遣わせちまったら申し訳ねえだろうが!」

上条「お前って普段割と自信満々なのに肝心なところで自己評価低いよな……」

111 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:55:19.36 ID:BM3PVsg90

垣根「というわけで頼む!ダブルデートに協力してください!」

上条「そんなこと言っても上条さん彼女なんていないし…」

垣根「何も本物の彼女連れてこいって言ってるわけじゃねえ。
   適当な女の知り合いを連れてきてくれればいいんだよ」

上条「そんなこと言われてもなあ……」

垣根「どうせお前のことだから百人くらいキープの女がいるんだろ?」

上条「ひどいこと言われてる!言いがかりだ!」

垣根「…もちろんタダでとは言わねえ」

上条「…というと?」ピクッ

垣根「協力してくれた暁には……」チラッ

禁書「ケーキっ、ケーキ♪」モグモグ

垣根「向こう二週間、シスターちゃんの食費の面倒はオレが見てやる」

上条「喜んで協力させていただきます!」

垣根「うむ!わかってくれたか!」

112 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:56:13.62 ID:BM3PVsg90

禁書「…なんだか今わたしにとって失礼な契約が結ばれた気がするかも」

上条「そんなことないぞー。それよりもよかったなインデックス!
   これから二週間、垣根が好きなもの好きなだけ食わせてくれるぞ」

禁書「えぇっ、ほんとう!?ほんとうなのていとく!!」

垣根「任せろ!このオレに二言はねえ!」

禁書「わーい!ありがとー!」

上条「ホントにいいのか?」ヒソヒソ

垣根「超能力者の財力ナメんな。それよりこれで商談成立だからな」ボソボソ

上条「あ、あぁ…」ヒソヒソ

禁書「やったね〜スフィンクス〜」ニャー


113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/05/16(月) 20:58:33.25 ID:BM3PVsg90
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

アニレー未視聴なんで柳迫さんの口調をつかみあぐねてます。
キャピキャピしすぎかしら……
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/16(月) 21:01:20.84 ID:FE59QvSg0

さて、上条さんが誰を選ぶかで勢力争いが大きく動くぞ
なんせ他者公認になる訳だからな………
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 22:10:41.54 ID:EerfFUaVo
碧美ちゃんきた!これで勝つる!
そういえばアニレーオリキャラ勢の中でも碧美ちゃんは圧倒的に登場するSSが少ないよね

ダブルデートに連れていく候補者の中に上条さんにもていとくんにもいれてもらえないインデックスさんェ…
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 22:17:40.35 ID:Yj9nOpOt0
上条さんのお相手が気になるな
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 23:36:34.56 ID:OiYXArkX0
レッサー以外なら誰でもいいがな。レッサーだったらマジ空気を読めなさそう(怒)
登場人物の欄に名前がある美琴か佐天さんあたりかな。
118 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 23:42:42.31 ID:LmIcHlCg0
早速レスありがとうございます。

>>115を見て電波が降りてきたので
たった今書きあげたおまけを投下します。

-------------------------------------------------------------


オマケ  とある二人の卓上会議(ストラテジー)

垣根「っていうかよ」ヒソヒソ

上条「ん?」ヒソヒソ

垣根「…」チラッ

禁書「ん〜!生地の甘さとイチゴの酸味がぜつみょうなんだよ!」モグモグ

垣根「連れていくのシスターちゃんでよくね?」ヒソヒソ

上条「バカ!コイツを街のなかに連れ出してみろ!
   食い物につられてあっという間に迷子になるか上条さんの財布がお亡くなりになるかのニ択でせうが!」ヒソヒソ!

垣根「な、なるほど」ヒソヒソ

上条「コイツの食費のためにやってんのにそんなことになったら本末転倒だろうが!!」ヒッソォォォ!

垣根「す、すまん。オレが浅はかだった…」ヒソヒソ


禁書「あーおいしかった!ていとく、ごちそうさまなんだよ!」

上条「ごちそうさまってお前まさか…あーーーーーっ!ケーキがもうない!
   インデックス!お前さっきガッツリ晩飯食べただろうが!」

垣根「えっ!!お前ら食後だったの!?そして食後にホールケーキ丸々一個食べつくしたのこの子!!?」


………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・

三人の夜は更けてゆく

とある二人の卓上会議 終わり
119 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/16(月) 23:47:17.97 ID:LmIcHlCg0
以上です。読んでくださってありがとうございます。

インデックスが今回の冒頭で言ってた丸いケーキって言うのはホールケーキのことです。
説明不足ですみません。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 23:55:31.22 ID:JCRfUtkFo
ネタを取り入れてもらって超嬉しいって>>115>>115は大歓喜!
たしかにこの様子じゃデートにならねえなww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/17(火) 02:47:45.17 ID:qqw7XEaU0

支援してるよ
122 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:26:35.78 ID:zC25mBtR0
レス、支援ありがとうございます。
>>1です。
なんで授業中ってポンポンネタが出てくるんでしょうね。

このSSの主成分は
「人と同じ設定で書いても意味ないよなー」
という冒険心(中二病ともいう)と、
「どうせなら自分にしか書けないものを書こう!」
という冒険心(見切り発車ともいう)です。

早い話が超ご都合主義でお送りしております。

ではお待たせしました。今回分投下します
123 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:27:41.98 ID:zC25mBtR0
-------------------------------------------------------------


金曜(ダブルデート前日)  16:32  第七学区  上条の通学路


上条「食費につられてOKしちまったけど………現実問題どうすっかなぁ」

??「あの……」

上条(学校の連中は……ダメだよな。吹寄は論外だし姫神をこんなアホなことに巻き込むわけにもいかないし)

??「すみません………」

上条(思い切って小萌先生に相談してみるか……?)



小萌『上条ちゃん!女の子の純情と食費を秤にかけるとは何事なのですか!恥を知るのです!
   そんな悪い子には「すけすけみるみる」なのですよ!』



上条(……ダメだ。ガチ説教(追加補習付き)をくらうビジョンしか見えてこない)

??「もしもし…………」

上条(だぁーもう明日だしどうすりゃいいんだよぉー!!)ガシガシ



??「あ、あの!!」



上条「……ん?」

上条はそこで誰かに声をかけられていることに気がついた。
振り向くとそこには、霧が丘女学院の制服に身を包み、眼鏡をかけ、
腰まで伸びた栗色の髪を一房だけ束ねているいかにも気弱そうな少女が立っていた。


彼女の名は―――



上条「お前……風斬か?」

風斬「お、お久しぶりです」

風斬氷華(かざきりひょうか)。インデックスの『ともだち』だった。


上条「おぉー風斬!久しぶりだな!!どうしたんだよ、こんなところで!」

風斬「ひ、久しぶりに『こっち』に来られたので、あの子の顔を見に行こうと思って」

上条「おお来いよ来いよ。インデックスもぜってー喜ぶからさ!」

風斬「えっと、それじゃあ…お、お邪魔します」ペコッ

ふたたび上条はインデックスの待つ寮へと急ぐ。
彼女にとって、最高の「手みやげ」を連れて。


124 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:28:26.30 ID:zC25mBtR0


-------------------------------------------------------------

10分後  上条の学生寮

上条「帰ったぞー」

風斬「お、お邪魔しまーす…」

トテテテテ

禁書「とうま!おかえ……り………」

風斬「……久しぶり」ニコッ

禁書「……ひょ、ひょうか!ひょうかぁ〜〜〜〜〜っ!!」ギュッ

禁書「会いたかった。ずっと会いたかったんだよ、ひょうか」ギューッ

風斬「うん……私も会いたかった」ギュッ

禁書「……元気だった?」

風斬「うん」

禁書「じゃあ……またインデックスとあそんでくれる?」

風斬「もちろん」ニコッ

禁書「う…ひょうか〜〜〜〜〜〜〜〜〜!うえーーーーーーーん」グスグス

風斬「…」ナデナデ

上条「…よし、じゃあ折角だし、いまから三人で晩飯がてら遊びに行くか!」

それまで二人の少女が抱き合うのを静かに見ていた上条は、
インデックスが落ち着くのを見計らってこう切り出した。

禁書「やったぁ!ひょうか、おいしいもの食べよ!」ウキウキ

風斬「えぇ……でもご迷惑じゃ…」

上条「心配するな。金なら…ある!」ビシィ

上条はふところから神々しくも妖しい光を放つ、
具体的に言うと使用限度額無制限っぽい黒いカードを取り出した。
今回の報酬として垣根から借りたクレジットカードである。

禁書「そうだよ!ひょうかが気にすることないんだよ!だから行こ!」

風斬「それじゃあ……お世話になります」

禁書「うん!」

上条「うし、じゃあ支度して早く行こうぜ」


125 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:29:33.27 ID:zC25mBtR0


------------------------------------------------------------

同日  18:23  第七学区   ファミレス『ジョイナス』

禁書「おいしかったー!もうおなかいっぱいかも!」オサラタクサン

風斬「あ、相変わらずよく食べるね…」

上条「コイツがなかったらどうなっていたことか……」ガクガクブルブル

禁書「ところでひょうか、こんどはどれくらいこっちにいられるの?」

風斬「ええと、この間みたいに無茶なことをしなければ大体二週間くらい」

禁書「そんなに?やったぁ!じゃあまたいーっぱい遊べるね!」ニコニコ

風斬「うん!」ニコッ

上条(…インデックスのやつ、あんなにはしゃいじゃってまぁ…ん?二週間?)

上条は二人のほほえましいやりとりをながめつつ、別のことを考えていた。
風斬氷華はとても優しい少女である。
誰かのために涙を流し、本気で怒ることができる、
そしてなにより、友のためならばどんな危険にも迷うことなく足を踏み出すことができる
強さをもった少女だ。

―――ひょっとして風斬なら正直に事情を話せば協力してくれるんじゃないか?

何より、上条には時間も、他にアテもない。
考えてみれば降ってわいた最後のチャンス、なにふりかまってはいられなかった。

上条「悪い、インデックス。明日だけ風斬を貸してくれ」

風斬「え!?」

上条「風斬……明日俺と遊びに行ってください!!」

風斬「えぇっ!!?」

それは、とても美しい土下座だった。

禁書「とうま……いつもいつも女の人にデレデレしてるけど………よりにもよってひょうかに手をだすなんて!!」ギラッ

上条「ま、待てインデックス!お前は昨日垣根から聞いて事情知ってるだろ!」

禁書「ていとくのはなしなんてケーキ食べてたから聞いてなかったかも!」

上条「そうだったそうでしたよね!わかった、俺がもう一回最初から話してやるから、だから落ち着いて…」

禁書「ガブッ!!!」

上条「ぎゃああああああああああ!!不幸だぁーーーーーーーーーーー!!!」



126 : ◆r4vICyDKLo [sage]:2011/05/18(水) 02:43:38.97 ID:39IXIQVDO
1です。携帯から失礼します。
何か知りませんがネットがブチ切れたので
今日の投下はここまでにさせていただきます。
中途半端なところで申し訳ありません。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 02:53:38.49 ID:lPcuMaFwo
>他にアテも無い


・・・この男ッッ
128 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:44:03.13 ID:loEbJdft0
>>1です。
体調が最悪なので学校休みました。
では続きを投下します
129 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:45:27.09 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

アリガトーゴザイマシター

上条「うぅ…結局問答無用で噛まれた…」イテテ

風斬「だ、大丈夫ですか……」

上条「ん?ああ…まあいつものことだし」

風斬(…いつもあんなこと言ってるのかなぁ)

上条「風斬?どうかしたのか?」

風斬「えっ!い、いや、何でもないです!」

上条「そっか」

風斬「それで、その、さっき言ってた事情っていうのは…?」

上条「そう、それがさ」

上条は垣根との契約を含め、全ての事情を洗いざらいぶちまけた。

風斬「そんなことが…」

上条「まぁ嫌なら断ってくれてもいいぞ?正直アテはないけど、死ぬ気で拝み倒せば姫神か誰か協力してくれるだろ」

風斬(あの子のため……これはあの子のため………)

上条「じゃあ早速電話で頼んで…」

風斬「わかりました!」

上条「へっ?」

風斬「かっ、風斬氷華!僭越ながらお手伝いさせていただきます!」

上条「マジで!?」

風斬「マジです!」

上条「ありがとう風斬!よかったぁ〜〜!ダメだったら垣根にボコボコにされるところだった!
   もうインデックスの食費でウン万円使っちゃったし……」

風斬「えぇっ!?もうそんなに使ったんですか!!?」

上条「財布の心配をしなくていいとわかったらタガが外れたように……な…」

禁書「とうま〜〜〜〜〜〜!ひょうか〜〜〜〜〜〜!!早くくるんだよー!」

上条「やべ。んじゃ風斬、あしたはよろ…おっと、ヨロシクな」

上条は一度出した右手を戻し、代わりに左手を出す。

風斬「は、はい!よろしくお願いします!」

少女と少年は、左手でガッチリと握手を交わした。


130 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:46:00.07 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

同日  20:27  垣根のマンション

垣根「…服よし、歯みがきよし、携帯の充電よし、目覚ましよし、明日のプランよし」

垣根「他に見落としはねえよな…」

垣根(いよいよ明日か……何か知らんが緊張してきた)

ナーミダ キラーキラ ニシーノソラニヒカル♪

垣根(上条からか……アイツも相手はみつけたみてえだな)

垣根(か、かぜ…かぜきり……?何て読むんだ?コレ)

垣根(まぁ明日になりゃ分かるか)

垣根(……明日、ね)

垣根(……メールしとくか)ピポピポメルメル


131 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:47:10.52 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

同日  20:30  固法・柳迫の部屋

固法(あぁ、もうどうしよう……何着ていくか全然決まらない!)

柳迫「美偉ぃー?まだ悩んでるの?」

固法「だって…」

柳迫「アンタは元がいいんだからどうせ何着ても似合うわよ」

固法「そういう訳にいかないから困ってるの!お願い碧美!手伝って!」

柳迫「えぇ〜〜〜〜?」

固法「この通り!」

柳迫「……もう、しょうがないなあ」

固法「ホントに?ありがとう!」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「ふえ!?」
固法(か、垣根さん!?)

柳迫「おんや〜?例の『垣根さん』からかな?
『明日のデート、楽しみにしてるぜ』とかだったりして」ニヨニヨ

固法「そ、そんなわけないでしょ!どうせ『遅れるなよ』とかそんな感じよ」ドキドキ

ピッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  まだ起きてんのか?
夜更かしは肌に悪いぜ

==================


固法「!……人の気も知らないで!」ビターン!

柳迫「これは……さすがに予想外ね」

固法「…!」メルメルプンプン


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:
――――――――――――――――――
  今から寝るところだったんです!

==================

132 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:48:41.41 ID:loEbJdft0


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法(!もう返信が…)

ピッ

受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  はいはい、そういうことに
  しといてやるよ。
  じゃ、おやすみ、お嬢さんzzz
        ・
        ・
        ・
        ・
==================

固法「人のことバカにして……もう怒った!碧美!そこのショートパンツ取って!
   あとそのVネックのセーターも!」

柳迫「えっ、こ、これ?」

固法「そう、それ!年下だと思って……今に見てなさい!」

柳迫(これって両方とも買ったはいいけど「派手」とか「恥ずかしい」とか言って一度も着てない新品…)
柳迫(まさか…ね)

固法「」プンプンメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:3
――――――――――――――――――
  おやすみなさい!

==================

固法「もう寝る!おやすみ!」ガバッ

柳迫「お、おやすみ…」

133 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:49:25.93 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

同日  21:02  垣根のマンション


ボクラハーコエガカレルマデー ソンザイシツヅケールジーザース♪


垣根(おーおー、完全に頭に血が上ってるなこれ)

垣根(面白いからいいけど、ちっとやりすぎたか?)

垣根(まあこのくらい煽ればくだらねえこと考えてねえでさっさと寝るだろ)

垣根(…オレのために悩む必要なんて、ないんだからよ)

垣根(にしてもこの感じだと…最後まで読まなかったんだろうなぁ)

ピッ


送信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  はいはい、そういうことに
  しといてやるよ。
  じゃ、おやすみ、お嬢さんzzz













  明日楽しみにしてるぜ
==================


134 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:51:17.40 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

同日  22:11  固法・柳迫の部屋

柳迫「はぁ……」

柳迫は不貞寝同然で床についた同居人を見やってため息をついた。

柳迫(それにしても珍しいわね。この子が男に対してこんなにムキになるなんて)

普段風紀委員として冷静に勤めを果たし、
後輩からの信頼も厚い彼女がここまで取り乱すだけでも驚きなのに、
しかもその相手が異性だと分かったら支部の後輩たちはどんな顔をするだろうか。
柳迫には想像もつかない。

柳迫(まあ、別に初めてってわけでもないんだけど)

柳迫は知っている。過去に固法が一度だけ、ある人のそばにいることを願ったことを。
そして、彼女のクローゼットにはまだ、赤い革のライダースジャケットが眠っていることを。
話を聞く限り、今度の彼は『あの人』にそっくりだった。
ぶっきらぼうで、だけどどこか優しくて。そしてなにより強かった『あの人』に。
柳迫は、固法が過去の幻影を追いかけているのではないかと心配になった。
彼を『あの人』に重ねているだけなのではないか、と。

柳迫(ま、私が肝を焼いてもしょうがないか)

こればかりは柳迫にはどうしようもない。固法が自分で向き合うしかない問題である。
しかし、同居人でもある親友には今度こそ幸せになってもらいたい。
忘れるにせよそうでないにせよ、固法には前を向いてほしいと、柳迫は思っていた。

柳迫「がんばりなよ、美偉」

固法「……ン…」ムニャムニャ

彼女のつぶやきがベッドにうずくまる親友に届いたかどうかは、
念話能力者(テレパス)にも分かりそうになかった。
135 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:53:09.02 ID:loEbJdft0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 21:27:14.55 ID:pOXsOCwco

よく寝て早く体調治せよー
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 22:24:30.61 ID:EBS3mBDy0
固法さん、TM好きなのかww
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 07:28:45.15 ID:uBqvXAJho
思うんだけど上条さんって金がない事を装ってるけどほどほどにお金あるよね
あのインデックスに毎日大量のご飯とかまいにちもやしじゃなきゃ対抗無理だろ……もやしの日もあるとおもうけど
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 07:44:20.58 ID:owmFvhF70
今、確認してきたが幻想殺しは直接皮膚がふれなければ効果がないことを確認したから手袋をすれば右手でも風斬に触れられる。
まあ、片手だとおかしいから両手に手袋する必要があるけど・・・・え?ラックスティラー?何のことですか?
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 07:55:36.56 ID:j2QZKFODo
かずい先生も

>>139 マジ?ソースどのへん?
     つうことは手袋つけりゃ上条さん不幸じゃなくなるのか
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 12:15:25.86 ID:0IVvpFrCo
>>140
手袋つけても手の皮膚は手首の皮膚と触れていて、手首の皮膚が腕の(ry
手の皮膚=イマジンブレイカー って定義なら、手の皮膚を全部剥げば不幸じゃなくなるんじゃね?
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 16:40:33.99 ID:owmFvhF70
>>140、<<141
禁書板のとあるシリーズなんでも質問スレより
382 :■■■■:2011/05/19(木) 02:11:16 ID:e1Eazip6
>>380
まあ直に触れないと消えないんじゃないか
反射膜みたく特殊なアレも無いし


383 :■■■■:2011/05/19(木) 11:24:49 ID:SaB/xl1w
>>382
今のところ不明じゃね
ひょっとしたら反射膜みたいに右手から何センチかまで範囲かもしれない


まあ結局は不明だけど、そうしたほうが風斬を右手で触れる心配をする必要がなくなるからいいじゃね。
143 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 17:56:04.42 ID:NRifWjyK0
レスありがとうございます。
>>1です。
昨日は一日薬飲んで寝てました。
なので体調は回復しましたがストックが全然出来てません。
代わりにと言ってはなんですが短めのおまけを置いていきます。

以下、投下します
144 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 17:57:46.82 ID:NRifWjyK0
------------------------------------------------------------
オマケ とある家族の仮面談合(マスカレード)


金曜  18:35  第七学区 路上

??「……なーんか面白いこと聞いちゃったね☆ぎゃは」

??「まさかヒーローさんが特定のだれかに積極的にフラグを立てるなんて…
   ってミサカはミサカは驚きを隠しきれなかったり!」

??「チッ、どォやら話が見えてきたぜェ。あのクソメルヘンの様子がおかしかったのはコイツかァ」

??「でもいまどきダブルデートって何?中学生でもしねえっつーの。
   やっぱ第二位はどこまでいってもヘタレってわけね☆アヒャヒャヒャ!」

??「違ェねェ。クカカカ…あのイカレメルヘン、三下を巻き込ンどいてこのオレをのけもンにしようたァいい度胸してンじゃねェか」ニヤニヤ

??「楽しそうだね、ってミサカはミサカは悪い顔してるあなたに便乗してニヤニヤしてみたり!」ニヤニヤ

??「あったり前だろォが。こンな面白そォなこと放っておく手はねェだろォ?」

??「とか言ってホントは自分だけ仲間外れでさびしいだけなんでしょ?
   構ってちゃんの上に素直じゃないなんてお子ちゃまでちゅね〜」ニヤニヤ

??「ぶっ殺すぞ!」

145 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 17:59:40.66 ID:NRifWjyK0

??「それで具体的にどうするの?ってミサカはミサカは半分わかりきったことを訊いてみたり!」

??「アイツらの後をつける。ンであとは適当にひっかきまわすンだよ。
   あのメルヘンがコレ以上ウッジウジウジウジしてンのを見るのもウゼェからな」

??「……ホントに素直じゃないね、ってミサカはミサカは番外個体に聞えよがしに耳打ちしてみたり」ボソボソ

??「ねー☆まあ何でミサカがあのメルヘンのためにそんなクソ面倒くせえことしなきゃならないの、って言いたいところだけど、
   慌てふためく第二位が見たいから協力してあ・げ・る(はぁと」

??「ミサカも!ってミサカはミサカは何の脈絡もなくあなたに抱きついてみたり!」ギュッ

??「ウっゼェ!離れろクソガキ!……って言うかよォ」

??×2「ん?」

??「オレら名前伏せてる意味なくねェ?」

??「え?今更?」

??「ミサカ達なんて一人称からバレバレだし!ってミサカはミサカはさらにバレバレの語尾に軽く絶望してみたり!」

??「……どォでもいいか。オラ、早く帰らねェとあの酔っ払いどもがうるせェぞ」

??「ったく、ツマミが切れたから買ってこいなんて人使い荒いよね。マジフザけんじゃねーっての」

??「うん!早く帰ろ!ってミサカはミサカは………」



三人家族は家路をゆく。

とある家族の仮面談合 終わり
146 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 18:04:11.69 ID:NRifWjyK0
以上です。読んでくださってありがとうございます。

いつになったらデートが始まるんだよ・・・・

>>139>>142
このスレでは、>>1がどこかで聞いたことのある
「右手に直接触れなければ効果ないよ説」を採用しています。
どこで聞いたかは忘れてしまいましたが。

では、明後日ごろまたお会いしましょーノシ
147 :1 [saga sage]:2011/05/19(木) 19:16:50.78 ID:NRifWjyK0
>>137
当方の固法さんはTMというか西川貴教大好きです。
そのほか独自設定として固法さん以外の登場人物にも
「好きなアーティスト」を割り当てています。
一部バレバレですが注意して見ると面白いかも知れません。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 20:43:54.09 ID:SHpQLZZ0o
乙!
ゆっくり休んでくれ
149 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/21(土) 00:05:55.95 ID:SrEEsF5q0
1です。
すっかり回復しました。
おかげで体調もストックも万全です。

今日からいよいよデート回です。
以下、投下します。
150 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:06:44.01 ID:SrEEsF5q0
------------------------------------------------------------

土曜  10:48  第十三学区  時計台公園

垣根「よう」

上条「おう、早いな」

垣根「女を待たせるなんざ二流のすることだ」キリッ

上条「…そんないい男っぽいこと言っても説得力無いぞ?」

垣根「……心配するな、自覚はある」ショボーン

上条「ところで、そのコノリさんって人はまだ来てないのか。」

垣根「ああ。っつっても待ち合わせの時間までまだ10分以上あるんだし、そのうちくるだろ」

上条「そっか」

垣根「っていうかシスターちゃんはどうしたんだ?」

上条「小萌先生に預けてきた。なんでも同居してる女の子に料理を教える日だったらしくて
インデックスにも一緒に練習させるってさ」

垣根「ふーん。いい先公じゃねえか」

上条「まあ理由を訊かれて正直に話したらガチ説教の上に補習が決定しましたけどね」

垣根「何で正直に話すんだよ……」

上条「ヘソを曲げたインデックスにあることないこと吹き込まれるよりマシだと思ったんだよ…」

垣根「そうか……なんつーか、悪い」

上条「不幸だ……」


151 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:07:50.24 ID:SrEEsF5q0


垣根「そういやお前の友達は?」

上条「あぁ、多分もうすぐ来ると…」

風斬「お、おはようございます」

上条「おー風斬。おは…」

垣根「上条ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」グイッ

上条「グェッ!?」

上条(いきなり何すんだよ!?)

垣根(うるせえ!いいか上条!確かにオレは適当な女友達を連れて来いと言った。言ったが!!)

垣根(誰がこんな巨乳眼鏡っ娘美少女を連れて来いと言ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

上条(し、しょうがないだろ!全然相手見つからなくて昨日偶然バッタリ会ったのが風斬だったんだから…)

垣根(しかもあの制服霧女じゃねえか!常盤台に飽き足らず霧女の生徒まで……
テメエは学園都市の女子校という女子校を陥落するつもりか!)

上条(い、いや、風斬は転校生っつーかギリギリウチの高校の生徒っつーか…ってか、苦し…)ギリギリ

垣根(転・校・生!!そんなベタなフラグまで網羅してあるたぁ見上げた建築士っぷりだな!
   歯ァ食いしばれや上条ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)ギリギリギリギリ

上条(し、死ぬ………)


152 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:08:36.40 ID:SrEEsF5q0


風斬「あ、あの……」オロオロ

垣根「ん?…あぁ!申し遅れてすまなかったね。初めまして、お嬢さん。垣根帝督だ」

風斬「はぁ…あの、風斬氷華です。今日はよろしくお願いします」ペコリ

垣根「氷華ちゃんか。こちらこそどうぞよろしく」ニコッ

上条(コイツ本当に女には優しいよな……見た目通りだけど)ボソ

垣根「」ギロッ

上条「」

風斬「?」

風斬(このひとが垣根さん…この人から感じる「ちから」…私と少し似てる…?)

垣根(カザキリヒョウカって読むのか、あの名前。見た目おとなしそうないい子だけど…
なんであのモヤシ野郎と印象がダブるんだ?)

垣根風斬((まあ、いいか))


153 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:09:34.40 ID:SrEEsF5q0


固法「おはようございます」

垣根「よ、よう」

上条(ぶっ!な、なんだあのクールビューティーは!あれが垣根が助けたっていう風紀委員の女の子か!?)

上条(風斬とはまた違った意味で眼鏡が似合いすぎている!「理知的なお姉さん」オーラがほとばしってる!)

上条(そして何あの服!?ショートパンツから伸びたオーバーニーソが色っぽい!
    そんであのセーター!スタイルよすぎだろ!神裂とまではいかなくても五和よりは確実にあるぞ!)

上条(露出は首筋だけなのにそれが逆にエロい!何!?セーターってあんなにエロい衣服だったの?おしえてえろい人!)

固法「今日はよろしくおねがいします」

垣根「お、おぉ」

上条(でも……なんか怒ってる?)

固法「そちらがあなたのお友達ですか?」

垣根「ああ。こっちがダチの上条で、そっちが風斬氷華さんだ」

上条「ど、どうも、上条当麻です」ペコ

風斬「か、風斬氷華です」ペコリ

154 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:10:20.84 ID:SrEEsF5q0

固法「初めまして、固法美偉です。じゃあそちらの彼女が、あなたの……?」

上条「え!えーと、そういうことになるんでせうか……?」

上条(ここは話を合わせとかないと後あと面倒になるよな………)

風斬(はわわわわわわわわ///)

固法(……何で疑問形なのかしら?)

固法「じゃあ今日はよろしくね、上条くん、風斬さん」

上条「は、はい!」

垣根「よし、全員そろったしそろそろ行くか。昼飯にはまだ早いし、ゲーセンでも行こうぜ」




155 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:11:26.19 ID:SrEEsF5q0

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  11:13  第13学区  ゲームセンター『エンペラー』

垣根たちは第13学区のショッピングモール内にあるゲームセンターに来ていた。
この手のゲームセンターには珍しく、「外」のゲームを中心に設置しているこの店は、
「レトロだが面白いゲームがそろっている」と学生の間でひそかな人気店となっていた。

上条「お前ガンシューティング強すぎだろ!」ガチャガチャ

垣根「ハハハハハ!ちっと前までリアルで現役だったモンでね!ゲームなんざママゴト同然よ!」ガチャガチャ

上条「ウソだ!絶対このゲームやりこんでるよコイツ!」ガチャガチャ

垣根「あっ!上条そこはグレネードだろうが!」ガチャガチャ

上条「え!?二発しかないのにもったいなくないか?」ガチャガチャ

垣根「アホ!この辺は敵がウジャウジャ出てくっから一気に一掃するんだよ!
ゲームの中まで貧乏性もちこむんじゃねえ!」ガチャチャチャ!

上条「おまっ…!言っていいことと悪いことがあるんだぞ!」ガチャチャ!


時空が危機っぽいガンシューティングで盛り上がっている男たちを、
女性陣は呆れ八割、ほほえましさ二割といった微妙な視線でみつめていた。

固法「………楽しそうね」

風斬「ですね」

156 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:12:24.74 ID:SrEEsF5q0

固法「あなたはこういうところよく来るの?」

風斬「いえ、今日で二回目、です」

固法「そう……私は仕事でたまに見回りにくるけど、プライベートで来たのは久しぶりね」

風斬「風紀委員…なんですよね?」

固法「そうよ。言ったかしら?第一七七支部に所属してるの」

風斬「…私、前に風紀委員の人に助けてもらったんです。
   私とあの人と、もう一人のともだちと一緒に地下街に閉じ込められたとき、
   風紀委員の腕章をつけた中学生くらいの女の子が助けにきてくれて…」

風斬「あのときはいろいろあって、結局お礼は言えませんでしたけど…
   代わりに今言わせてくれますか?」

固法「……きかせていただくわ」

風斬「…あのときは、本当にありがとうございました」ペコリ

固法「その風紀委員が誰かは分からないけど、願ってもいない言葉ね。
   その言葉、私がその風紀委員に代わって謹んでお受けします」


垣根「あ〜バカお前なんでそこで一般人撃つんだよ!」

上条「仕方ないだろ!植え込みから急に飛び出してきたんだよ!」

バカ二人がライフを一個無駄にしたその後ろで、ひそかに仲良くなっている女性陣であった。


157 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:13:44.95 ID:SrEEsF5q0



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上条「あ〜〜〜〜〜〜〜!また落ちた………」

垣根「だぁーーっはっはっは!ダッセェなあ上条!お前もういくら突っ込んでるんだよ!」

上条「うう、どうせ俺にはプライズなんてこの世で一番向いてませんのことよ…」


俗に「プライズゲーム」と呼ばれる、この世でもっとも中毒性の高いゲームに興じる男たちを、
彼女らは全てがどうでもいいといった視線で眺めていた・

固法「……盛り上がってるわね」

風斬「ですね」

固法「この手のゲームにお金を費やす思考が理解できないのよね、私。
   千円も二千円もつぎ込むなら買った方が早いと思わない?」

風斬「でも、こういうゲームでしか手に入らない商品とかたくさんあるみたいですよ。
   コレクションと同じ感覚なんじゃないでしょうか?」

固法「そういうものかしら…」

風斬「そうですよ」

158 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:14:47.05 ID:SrEEsF5q0

固法「…ところで訊きたいことが一つあるんだけど」

風斬「はい、何ですか…?」

ここで固法はある話題を切り出した。
仲良くなった女学生が男の目を忍んですることと言えば、千年の昔から一つだけ。

固法「あのツンツン頭の彼…上条くんとは、その、ど、どこで知り合ったの?///」

恋バナである。

風斬「ふえっ!!?どどどどどどどういう意味ですか!?///」

固法「いや、だからどうやって付き合うことになったのかなって意味で訊いたんだけど…」

風斬「つつつつつつつつつつ付き合ってないでふ!!」

固法「そ、そうなの……?」

固法(さっきと話が違うような……)

風斬「は、はい!あの人は、その、全然そういうのじゃないっていうか……
   私なんかにはもったいなさすぎるっていうか!」

固法「……そうやって自分を下に見るものではないわ」

風斬「…え?」

159 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:15:37.39 ID:SrEEsF5q0

自分を卑下する風斬を見かねたかのように、固法はとうとうと語り始める。
まるで自分に言い聞かせるかの様に。

固法「男の人ってね、目を離すとすぐ遠いところへ行ってしまうの。
  一度見失ったら、もう二度と手が届かなくなってしまうこともあるわ」

固法「だからね、自分が後悔しないように生きなきゃだめよ?」

風斬「自分が………後悔しないように………」

固法「といっても、私が言えた立場じゃないんだけどね。十六にして後悔ばかりの人生よ」クスッ

風斬「………」

そう言って笑った彼女の顔は、風斬には何だかさびしそうに見えた。

固法「なんだか変な空気になっちゃったわね!今のは忘れ………あ………」

160 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:16:23.82 ID:SrEEsF5q0

風斬「どうかしましたか?」

固法「え!?い、いや!何でもないわよ?」

風斬「?そうですか…」キョトン



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固法(な、何あのぬいぐるみ!か、カワイイ………///)

固法(でも……さっきあんなこと言った手前、い、言えない!)


161 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:17:41.92 ID:SrEEsF5q0




垣根「あー笑った。さっきので三年分くらい笑ったわ。
上条のヤツ、プレイするたびに賞品がとりだし口から遠ざかるんだぜ?ケッサクだろ?」ケラケラ

固法「そ、そうね」チラッ

垣根「ん?どうした?」

固法「え?な、何でもありません!」チラチラ



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垣根「なに?そのぬいぐるみほしいの?んじゃあオレがサクッと…」チャリン

固法「だ、誰もそんなこと言って…」

垣根「いーからいーから。まぁみてろって……コイツはコツがいるんだよ」ウィーンガチャ

162 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:18:23.48 ID:SrEEsF5q0

固法「ちょ、ちょっと…あ」

垣根「……ウシ!一発でとれたぁ!」

固法「うわ、すご…」

垣根「ホレ」



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. ,   -―- 、 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ     |
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: : ` - _-: : : :tイ し : i i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i | : : |   <とられたにゃ
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固法「えっ?」

垣根「だからやるよ。ほしかったんだろ?」

固法「だから、あの………」

垣根「いらねえの?」

固法「……いただきます。ありがとうございます」

垣根「よろしい」

固法「…………///」



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163 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:19:15.15 ID:SrEEsF5q0


キーミーガーイタナーツーハー トオイーユーメーノナカーアー♪

固法「え?え??これどうなってるの??」ドンドコドコドン

風斬「ふえええええええええ!??」ドンドンドコドン


垣根「…………………」

上条「……………なあ」

垣根「………何だ」



プルンプルン
プルルンプルン


ソーラーニキエテーエーッタ ウチアーゲーハーナービー♪

固法「何?この黄色いの何!?もうワケわかんない!!」ドコドコドコドンドンドコドンプルンプルン


風斬「くぁwせdrftgyふじこlp」ドンドンドコドンドコドコドンドンドンタユンタユン



上条「………………幸せだ」

垣根「…………………世界一似合わねえセリフだな」

上条「でも本当のことだろ………?」

垣根「あぁ…………」


ノルマクリアシッパーイ ゲームオーバーダドン…



固法「あーもう全然ダメ!」

風斬「ノルマクリアできませんでした……」

垣根上条「「ありがとうございます」」フカブカ

固法風斬「「?」」キョトン



164 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:20:27.74 ID:SrEEsF5q0


固法と風斬はすっかり意気投合し、一緒に写真を撮ると言って二人してプリクラコーナーへ消えてしまった。
一方そのころ2対2の対戦アクションゲームに白熱する垣根と上条(バカ2ひき)
四人とも、今日の趣旨が『デート』であることを完全に忘れていた。

垣根「テメエズサキャンも出来ねえくせにゴッドなんざ使ってんじゃねえよ!」ガチャガチャバンバン

上条「おっかしいなあ、いつもは出来るのに…あっ垣根!そっちにゲロビ行ったぞ!」ガチャバンバン

垣根「オレのゼロカスにそんなしょっぱい攻撃が当たるかぁ!」ガガファサァ

上条「うお!ステップで誘導切って飛翔でかわした!?」

垣根「オレのゼロに常識は通用しねえ!……ん?乱入か?」

165 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:21:54.67 ID:SrEEsF5q0


画面に表示される《WARNING!!》の文字。
それは二人に対人戦を申し込んだ挑戦者が現れたことを意味している。


上条「向こうの筐体みたいだな。機体は……ケルディム?」

垣根「ハッ、そんな産廃機体でオレたちに挑もうなんざ十年…………














……………………………元帥だと?」



元帥。

それは、『最強』の証。
このゲームを極めた者にのみ許される名誉ある称号。
二人に闘いを挑んだのは、この店の『主』だった。


上条「な、なんだコイツ!メチャクチャ上手いぞ!?」ガガガガ

垣根「バカな!ケルディムのメインでゼロの着地に100%合わせるなんぞ不可能…うううぇえ!!?」

上条「しかもビットとピストルで捌かれて……間合いに入れない!」

垣根「うおおおお!負けたぁ!!」
166 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:23:07.18 ID:SrEEsF5q0



上条「強い……強すぎる………」

垣根「バスターライフルがカスりもしねえ……何モンだよコイツ…」


まさに圧倒的。
2対2が基本であるこのゲームで、突然の挑戦者はCPUの力をほとんど借りずに二人をまとめて倒してしまった。



??「どう?少しは身の程ってやつが分かったかしら?」



敗軍の顔を拝みに来たのか、先ほどの対戦相手が上条達に声をかけてきた。


上条「いやー痛いほど……ってこの声…」



それを聞いて上条は不安に襲われた。
その対戦相手の声が、あまりにも聞きなじんだものだったからである。



上条「…………………ビリビリ!!?」

美琴「あ、アンタ!こんなところでなにしてるのよ!!」


その声の主は、御坂美琴(みさか 美琴)。
常盤台中学が誇る序列第3位の超能力者、『超電磁砲』(レールガン)の異名をとる電撃使いにして
上条の「天敵」であった。
167 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:23:53.74 ID:SrEEsF5q0

美琴「調子に乗ってる神と羽がいるっていうからいっぺんシメてやろうと思って来てみれば…何でアンタがこのゲーセンにいるわけ!?」

上条「えーと!上条さんとしてはこっちが訊きたいというか、そのセリフそのままバットで打ち返すというか…」

美琴「あ、アンタに関係ないでしょ!?この店寮から遠くて学校の子たちにバレにくいから便利なのよ!」


垣根(第3位か……面倒なことになったな)

垣根(とりあえず戦線離脱、っと)コソコソ

美琴は対戦相手が上条であったことに驚き、垣根の存在に気づいていない。
それをいいことに垣根はそっと二人から安全な距離を取る。



そのとき、

風斬「またともだちの写真が増えました〜♪」ルンルン


固法とプリクラコーナーへ消えたはずの風斬がなぜか一人ホクホク顔で戻ってきた。
この最悪の修羅場に、まさに最悪のタイミングで


168 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:25:45.64 ID:SrEEsF5q0

美琴「ちょっとその子……この間のテロリスト騒ぎ(垣根「原作6巻参照だぜ!」)の時に地下街にいた……!」

風斬「ひぃ!?」ビクッ

美琴「アンタ!是非とも納得のいく説明をしてもらおうかしら!!?」バチバチ

風斬「はわわわわわ……」ガタガタブルブル


前髪から文字通り火花を散らしながら上条に詰め寄る美琴。
それに怯える風斬をなだめるため上条が放った一言は、


上条「あ!大丈夫だぞ風斬!お前が怖がる必要はどこにもない!
   コイツは何もお前に怒ってるわけじゃないし、自分がいかに理不尽な理由で怒ってるかは重々承知だろうから!な!」



どう贔屓目に見てもこの場で言ってはいけない言葉だった。


美琴「!……ええ、そうよ………私がムカついてるのは……
   ……後にも先にもアンタだけよぉぉぉぉぉぉ!!!!」バリバリバリバリ


ギャーコウアツデンリューガー!

ガメンカラヒバナデター!

オキャクサマーテンナイデノノウリョクノシヨウハオヤメクダサーイ!


169 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:27:13.27 ID:SrEEsF5q0


固法「どうしたの?いったい何の騒ぎ!?」

垣根「おお、アンタか。今までどこにいたんだ?」


美琴の怒りが電撃とともに炸裂したそのとき、固法が写真を小脇に抱えてもどってきた。


固法「風斬さんが自分の分の写真を一枚忘れてて、カウンターでハサミを借りて切り分けてたんです。
それよりこの騒動はいったい………って御坂さん!?」

垣根「何だよ、アンタも第3位と知り合いなのか?」

固法「ええ、以前に風紀委員の仕事でちょっと…それより早く止めないと…」

垣根「待った」


垣根は、事態を収拾するべく人ごみの中心へ向かおうとする固法を呼び止めた。


170 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:27:57.47 ID:SrEEsF5q0


固法「どうして止めるんですか!?風紀委員としてこの場を納めないと…」

垣根「だから落ち着けって。いいか、ケンカの原因が上条である以上ここでアンタが出て行くのはむしろ逆効果だ。
せいぜい第3位の怒りに油を注ぐのがオチだろ」


確かに固法が仕事中ならば、ここで止めに入るのが風紀委員としての義務だ。
美琴の知り合いであることを鑑みても、ここはむしろ固法が出て行くのが限りなく正解だろう。

ただし、それは美琴の相手がタダの不良であれば、の話だ。
だが今の美琴の相手はあの上条当麻であり、
騒ぎの直接の発端は(上条の余計なひと言を除けば)「上条が他の女性と一緒にいた」ことに他ならない。
もしここで固法が出て行って、曲がりなりにも上条と行動を共にしていたことが知れたら………
結果は火を見るよりも明らかである。


垣根「わかったか?ここでアンタが出ていくのはどう考えても得策じゃねえ」

固法「だったらどうすれば……」

垣根「うーん………」


171 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:28:58.24 ID:SrEEsF5q0


垣根は考える。
この修羅場を切り抜ける最善の一手を。
そして一つの結論に到る。


垣根「よし!」

固法「何か思いつきました?」

垣根「」ガシッ

固法「え?」

固法(て、手を…………///)



それはまさに逆転の発想ともいうべき妙案であった。
自分たち二人ではこの状況を打開することは不可能。
   ・・・・・・・・・・・・・
ならば上条たちに丸投げすればいい。
垣根はここで、ある先人の教えに従うことにした。
その教えとは、

172 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:29:52.74 ID:SrEEsF5q0

















垣根「バックレるぞ」ダッシュ!

固法「えぇ!!??」


――――「三十六計逃げるに如かず」
垣根はこの局面であっさりと、友人を見捨てることを選んだ。



173 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:36:25.45 ID:SrEEsF5q0
ここまでです。
今回はいつにも増して突っ込みどころ満載なので
補足という名の言い訳をさせてください。

・ウチの風斬は超いい子なので、
 あの時にやってきた黒子に「助けてもらった」と思っています。

・にゃ○ぱいあかわいいよね?

・美琴はあれだけゲーセンのコイン持ってるんだから
 それなりにゲーマーなのかなと勝手に思ってます。

これくらいでしょうか…
もっとあったらガンガン突っ込んでください。

読んでくださってありがとうございます。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/21(土) 00:48:45.75 ID:AGQsQdj10
乙!風斬がメイン級張れるSSってなかなか無いからありがたい。
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/21(土) 00:56:33.59 ID:niSxYG/AO
>>1
だが一つ訂正してほしい
氷華はウチの子だ
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/21(土) 02:12:43.90 ID:/iQmNoNAO
どうでもいいが美琴は強機体厨なイメージ
177 ::VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 07:52:07.05 ID:AbmxPVox0

だが、垣根、第二位なんだから未元物質を美琴の周りに発現させて自滅ぐらいやれよ。未元物質は存生する物質の法則や性質を変えることができるから簡単だろう。
あとなんで氷華はあんないい子なんだろう?学園都市の人間のAIMの集合体(だったけ?)だから学園都市の男が理想とする女子があんな感じだったからかな?
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/05/21(土) 18:27:59.81 ID:vZlXfA3fo
超電磁砲迷惑極まりないな。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/21(土) 19:18:51.55 ID:ullWyRmFo
やっぱりにゃんぱいあかwwwwww
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 19:27:12.33 ID:bXrEVA7eo
>>177
AIM拡散力場と書いて「男たちの理想」と読むのか、納得。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/21(土) 21:41:39.93 ID:PyWfu/pe0
>>177
学園都市の男の理想は気弱系眼鏡巨乳か、マニアックだな
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/21(土) 21:49:02.84 ID:izgQm0m+0
垣根お前第二位だろww
美琴は第三位だし、上条さんは友人なんだから救ってやれよww
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 06:41:28.03 ID:f+Vp37T3o
女たちの願望が入っている可能性も高いがな
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:24:15.05 ID:Ujqv/jrC0
1です。
何か風斬がやたら人気なのでこんなん書いてみました。
以下、投下します。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:25:04.35 ID:Ujqv/jrC0


オマケ とある少女の臨戦態勢(アサルトモード)

美琴「アンタのせいであの追い出されちゃったじゃないのよ!しかも出禁にされちゃったし、
   これからどこであのゲームやればいいのよ!」

上条「知らねーよ!追い出されたのも出禁にされたのもお前が電撃で筐体ダメにしたからだろ!被害者はこっちなんだよ!」


風斬(どうしてこうなっちゃうのかなぁ)


美琴「アンタがあんなところであのゲームやってるのが悪いんでしょ!」

上条「ふざけんな!…あとさあ、一個訊きたいことがあるんだけど」

美琴「へ!?なななな、何よ?」

上条「お前チート使っただろ」

美琴「……………………は?」


風斬(楽しそうに話してるなぁ…)

186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:25:52.60 ID:Ujqv/jrC0


上条「だってそうだろ!冷静に考えてケルディムがあんな強ぇわけねえじゃん!」

美琴「ふざけないでよ!アンタそれ本気で言ってんの!?そんなことするわけないでしょ!!」

上条「いーや絶対してるね!よく考えたらメインのリロードがやけに早かった気がするし!
   シールドビットの耐久もやたら高かった気がする!」

美琴「全部アンタの思い込みじゃない!チートしてまで勝って何が楽しいのよ!私がそんなセコイ人間だと本気で思ってるワケ!」

上条「だからこそお前はやりかねないんだよ!お前の勝ちへの執念は半端じゃないからな!
   それにお前の能力なら電子回路に直接干渉することだって簡単だろうしな!」

美琴「なっ……そろそろ本気で怒るわよ!」


風斬(やっぱり共通の話題がある相手といる方が楽しいよね)


187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:27:01.49 ID:Ujqv/jrC0


風斬(……このまま帰っちゃおうかな)



固法『男の人ってね、目を離すとすぐ遠いところへ行ってしまうの。
  一度見失ったら、もう二度と手が届かなくなってしまうこともあるわ』



風斬(!!)



固法『だからね、自分が後悔しないように生きなきゃだめよ?』



風斬(固法さん………)

風斬(ようし…!)


美琴「アンタにケルディムの何が分かるのよ!そりゃ、稼働初期は敵なしだったけど自重しないバカのせいで一カ月でゴミみたいな修正くらって、
   それでも勝つためにビットの使い方とか軸合わせと着地取りのタイミングとか必死で研究して、
最近やっと上方修正が入って私たちケルディム使いはようやく日の目を見たのよ!!
アンタにケルディム使いの背負ってきた十字架の重みが分かんの!!?」

上条「ケルディム使いが背負ってるのが十字架なら俺らゴッドがしょってるのは悲しみだ!敵を追えないブーストにカット耐性皆無のN格!
最近は垣根が固定で相方入ってくれるからいいけどシャッフルでやってた頃はゴッドが入っただけで試合を投げる奴までいたんだぞ!」

美琴「そんなのケルディムだって…!」


風斬「あ、あの!」

188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:27:46.82 ID:Ujqv/jrC0

美琴「え?」

上条「ん?ああ悪いどうした風き……」

風斬「わわ、私ちょっと行きたいところがあるので、ちょ、ちょっと付き合ってください!」ムギュ

上条「い、行きたいところってどこ…?」グイッ

上条(な、何だ!この左腕の感触はぁぁぁぁ!)

風斬「ちょ、ちょっと眼鏡のフレーム変えてみようかなー、なんて思って!
   ほら、あそこに眼鏡屋さんがあるので、一緒に選んでください!」ムニュ

上条「え、でもお前の眼鏡は…」

上条(ヤバイ!上条さんの左腕がえらいことになってる!幻想入りしちゃう!)

風斬「ほら!今割引キャンペーン中なんですよ!早く行きましょう!」グイグイ

上条「わ、分かった、分かったから風斬、腕を離して…」

美琴「ちょ、ちょっと!置いていかないでよ!!」


この日、少女はすこしだけ自分に素直になった。

とある少女の臨戦態勢(アサルトモード) 終わり
189 :酉忘れてた ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/22(日) 23:30:27.36 ID:Ujqv/jrC0
短いですが以上です。
読んでくださってありがとうございます。

風斬にいい意味での積極性がついたら最強だよねってお話です。

それとリアルの事情が立て込んできたので
この先一週間くらい更新できないかもしれません。
気長に待ってていただければ幸いです。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/23(月) 04:45:33.86 ID:UACUgGEAO
乙、>>1はEXVS勢かwwww
上条はエクシアと金スモにごめんなさいするべき
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 20:00:53.18 ID:kHkwAj5ao
固法先輩結婚して下さい
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:07:08.71 ID:VvebhT6ro
追いついた
乙!
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/25(水) 00:04:48.49 ID:GksfdtJW0
1です。
試験勉強の合間に書き溜めてたら結構な量がたまってました。

その前に前回の脱字の訂正です
>>185
誤:美琴「アンタのせいであの追い出されちゃったじゃないのよ!」
正:美琴「アンタのせいであの店追い出されちゃったじゃないのよ!」

以上です。


>>190
上条さんの愛機が神なのは
「オレの右手が真っ赤に燃えるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
 幻想殺せと轟き叫ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!
 ひっさぁぁぁぁぁぁつ!
 イィィィマジン!!ブレイッカァァァァァ!!!!」
>>1の脳内の某カッシュさんがうるさかったからです。
あと美琴の台詞が今のところ一番の長台詞なのは秘密です。


長々としつれいしました。以下、投下します。

今日から初デート・後編です。
194 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:06:07.28 ID:GksfdtJW0
------------------------------------------------------------


  11:49  第13学区  ショッピングモール一階・エントランス(レストラン街入口)


垣根「『………んじゃ、あとは適当にガンバレ。目標を撒いたらエントランス集合』、っと。送信」ピッ

固法「本当にこれでよかったのかしら………」


垣根「心配いらねえよ。この街で第3位の扱いにかけてアイツの右に出る奴はいねえ。
  まあ氷華ちゃんを残してきたのが心配っちゃ心配だが、それも含めて何とかするだろ」

固法(………「氷華ちゃん」、ですって)


垣根「どした?」

固法「別に」プイッ

垣根「変な奴……それよりこれからどうする?いい時間だしそろそろ………」


垣根(ってちょっと待て。ひょっとして、いやひょっとしなくても今、




   …………コイツと二人きり?)


195 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:07:13.63 ID:GksfdtJW0

垣根(やっべぇぇぇぇぇぇ完っ全に忘れてた!)

垣根(あの修羅場から脱出することばっかり考えててこうなることに全く気が回らなかったぁぁぁぁっ!)

垣根(そうだよ!上条とゲームすんのが楽しすぎて忘れてたけど今日ダブルデートじゃん!ダブルでデートじゃん!)

垣根(これじゃあ何のために上条に土下座した上に
シスターちゃんの食費まで出したのかわかんねえじゃねえかぁぁぁぁぁぁぁっ!)


固法「どうかしましたか?」

垣根「へ!?い、いや、何でもねえ!」

固法「?そう………」


垣根(まままままずは落ち着け。KOOLになれ垣根帝督!)

垣根(とりあえずこうなった以上、上条たちのサポートは期待できねえ)

垣根(こっからは何とかして自分でリードしねえと)

垣根(だがオレに出来るのか?ヘタレと言われて久しいこのオレに?)

垣根(否!出来るかどうかじゃねえ。やるしかねえんだ!)


196 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:08:03.03 ID:GksfdtJW0



固法「そういえばそろそろおなかが空きませんか?いい時間ですし、食事にしましょう」

垣根「そ、そうだな!じゃあとりあえずそこのレストラン街で適当な店に……」



ハヤクハヤクーッテミサカハミサカハアナタヲセカシテミタリ!

ハシルンジャネェクソガキ! コロブゾ!



垣根「!!!」


垣根(こ、この声は)





打ち止め「大丈夫だいじょーぶー、ってミサカはミサカはっ、きゃあっ!」バタッ

一方「だァから言っただろォが!店は逃げねェンだからおとなしくしてろ!」

打止「はぁーい……ってミサカはミサカはしおらしくショゲてみる…」ショボーン






垣根(も、)


垣根(モヤシィィィィィィィィィィィ!!何でテメエがここにいるんだァァァァァァァァァァ!!!)



197 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:09:55.55 ID:GksfdtJW0



打止「ほら!あそこがパスタのおいしいお店だよ!ってミサカはミサカはとび跳ねながら指さしてみたり!」ピョンピョン

一方「チッ、肉はあるンだろォなァ」ツカツカ



垣根(や、ヤバイ!こっちに来る!)

垣根(冗談じゃねえ!ここでアイツと鉢合わせたらデートどころじゃなくなる!)

固法「さっきからどうしたの垣根さん?」

垣根「いや!べ、別になんにも!あ、よく見たらどの店もいっぱいみてえだな!
   よし!3階のフードコートに行ってみようぜ!」ギュッ

固法「え?えっ??」

固法(ちょっ、また……///)

垣根「そうだ、ちょうどハンバーガー食いたかったんだよ!さ、急ごうぜ!!」ダッシュ!

固法「ちょ、ちょっと!」///


打止「……行ったみたいだね」

一方「………」


198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 00:10:01.40 ID:hY7C00Ra0
ペロ、・・・・これは、メジャーちゃんと偶然出会ってデートをだいなしにされるフラグ
199 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:11:18.23 ID:GksfdtJW0

アノヒボクノココーロハ オトーモーナーククズーレサッタ♪


ピッ

一方「…オレだ。目標がポイントBに向かった。これよりプランCに移行する」

??『りょーかーい☆』

一方「ヤロウを目視するまで気取られンじゃねェぞ」

??『ハァ?誰に向かってクチ聞いてんの?アナタじゃあるまいしそんなヘマしないってーの☆じゃねー(はぁと』

ピッ


打止「面白くなってきたね、ってミサカはミサカは垣根のお兄ちゃんのテンパリっぷりにニヤニヤしてみたり!」ニヨニヨ

一方「あァ。ケッサクだったぜェ」ケケケケ

打止「…………うまくいくといいね」

一方「知らねェよ。ソイツはあのメルヘンがテメェで決めることだ」

打止「もうっ!天の邪鬼なんだから!ってミサカはミサカはプリプリしてみたり!」プンプン

一方「ウゼェぞクソガキ。オラ、オレらも次の準備に取りかかンぞ」ツカツカ

打止「うん!」テクテク



200 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:12:07.48 ID:GksfdtJW0


------------------------------------------------------------

   12:01  ショッピングモール三階・フードコート


垣根(ここまで来れば安心………か?)

固法「あ、あの………」

垣根(あのモヤシと打ち止めちゃんがきてるとは想定外だった………なんでわざわざ第13学区【こんなところ】まで?)

固法「あの、垣根さん………」

垣根(とりあえずこれからはアイツらと鉢合わせないように注意しねえとな。
   いっそのこと今すぐここを出るか?いや、上条たちを置いていくのは…)


固法「か、垣根さん!」

垣根「……ん?おぉ、悪い、聞いてなかった。どうした?」


固法「その…………手………そろそろ離して…くれませんか?///」


垣根「手?………うぉあ!?わわ、悪ぃ!!」

固法「い、いえ…………」


201 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:13:19.76 ID:GksfdtJW0


垣根(や、ヤベエ、モヤシたちから離れるのに必死でずっと手ェ握ったままだった…)

固法(びっくりした………いきなり私の手をつかんで走り出すんだもの)ドキドキ

垣根(怒ってる……よな、やっぱり。さっきから黙りこくってるしよ)

固法(…そういうの気にしない人なのかしら……)

垣根(ち、沈黙が気まずい!何か話題を切り出さねえと!)


垣根「あー、そうだ。早く何か食おうぜ!ちょっとどっかで席取っててくれよ、オレが買ってくっから。
   何食いたい?今日はオレのおごりだ」

固法「え?いや、困ります!今日は私がお礼をしなきゃいけないのに、垣根さんにお金を出させるワケには…」

垣根「いーからいーから、そういう細けぇことは。こういうときは男にカッコつけさせるもんなんだよ。
   何食べる?」

固法「じゃあ……ベーグルサンドとカフェオレを、あ、あったらでいいので牛乳をおねがいします…」

垣根「ベーグルサンドとカフェオレか牛乳ね、りょーかい。んじゃ席取っててくれ。もうすぐ埋まりそうだからな」

固法「は、はい」




垣根(とりあえず、一旦距離をとって冷静になろう。テンパってたらまたなにやらかすか分からんからな)

垣根(あと機嫌とってフォローしねえとな。多分さっきの今で怒ってるだろうしよ…)



202 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:14:01.95 ID:GksfdtJW0




固法「そうだ、席探さないと。二人掛け、二人掛け…あった、あそこね」

ガタガタッ


固法「ふぅ……疲れるわ」

固法(本当に何なのかしら、あの人……)

固法(見た目はチャラチャラしてるけど妙に子供っぽいところあるし)

固法(何だか私に対してそっけないと思ったらいきなり、て、手とか握ってくるし)

固法(もしかして女として認識されてないのかしら?)

固法(…だんだんそんな気がしてきたわ。何だか風斬さんと私とで接し方が違うようなきがするし)

固法(…私のことは、名前で呼ばないし………)

固法(…せっかく、この服おろしてきたのにな……)



垣根「買ってきたぞー。いやーメ○てり復活してたから思わず買っちまったよ。
   ホイ、ベーグルサンドと牛乳だよな」

固法「は、はい!ありがとうございます」

垣根「ん。じゃ、いただきます」ガツガツ

固法「い、いただきます」モグモグ


203 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:15:00.24 ID:GksfdtJW0


------------------------------------------------------------

垣根「あーやっぱメガ○りマジうめえわ。あ、ポテト食べる?」モグモグ

固法「い、いえ結構です…」

垣根「そんなこと言わずに食べろよ。オレもう腹いっぱいでこんな食えねえ」モグモグ

固法「じゃ、じゃあ、遠慮なく」モグモグ

垣根「ん」モグモグ



固法「…」モグモグ

垣根「…なぁ」

固法「は、はい!何でしょう!?」ビクッ

垣根「その服」

固法「え?こ、これですか?」

垣根「いいじゃん」

固法「!?」

垣根「アンタ見るからに真面目そうだからよ。そういうの着てるとイメージ変わるな」ウンウン

固法「ホントですか?…に、似合ってます?」

垣根「おー似合ってる似合ってる」

固法「あ、ありがとうございます……」

固法(ほめられた………)

垣根(ほめられて悪い気がする奴はいねえよな、うん)


204 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:16:09.72 ID:GksfdtJW0


垣根「しかし今ごろ上条たちどうしてっかなー。あれからメールの返信もねえしよ。いやー心配だ」

固法「あっさり見捨てた人のセリフとは思えませんね」

垣根「いや、あの状況だったらだれでもああするだろ?」

固法「…というか、垣根さんが何とかすれば何とかすればよかったんじゃないですか?
御坂さんより序列が上なんでしょ?あなた」

垣根「まあ確かにオレの『未元物質』なら電撃を無効化することも手っ取り早くねじ伏せることもできただろうが、
あの場で騒ぎを大きくするのはダメだろ。しかも風紀委員の目の前で」ビッ

固法「う、それは確かに……」

垣根「それに……」

固法「?」

垣根「………女に手を上げるのはシュミじゃねえ」

固法「そう、ですか…」


垣根「さて、そろそろ行くか。今度は適当に服でも見に……」




モヤシー クソガキー ドコニイルノカナー?☆



垣根「……ッ!!!!」

205 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:17:34.11 ID:GksfdtJW0


固法「どうしたんですか?垣根さ…」

垣根「伏せろ!!!」ガバッ

固法「きゃっ!?」グイッ





番外個体「出てこないとここで第一位の名前を泣き叫びながらストリップおっぱじめるよーん!ギャハ☆」






垣根(そうだ……………モヤシと打ち止めちゃんがいた時点でコイツがいることも予想しておくべきだった!!!)


垣根(そうだろ番外個体ォォォォォォォォォォォォ!!!)


206 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:18:50.29 ID:GksfdtJW0


垣根(ふざっけんな!今ここで見つかったらモヤシに見つかったのと同じことだ!)

垣根(大体あの悪意が服着て歩いてるような女にこんなトコ見られたら何いわれるかわかったもんじゃねえ!)

固法「か、垣根さん…一体何が…」

固法(顔!顔が…顔が近い!)

垣根「(悪い!しばらく声を出さないでこのままでいてくれ!!)」

垣根(ここは何が何でもやり過ごす!)

固法「(えぇ!?)」

固法(ず、ずっとこの体勢!!?)

垣根(早く…早く通り過ぎてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!)

固法(…やっぱり顔立ちは整ってるなあ…まつ毛長いし……それに肌すごくキレイ…って何考えてるのよ!)


…………………


垣根(行った?行ったか!?よし、もう行ったな!!)

固法「垣根さん……あの、もういいですか……?」

垣根「え!?あ!す、すまねえ!!」

垣根(またやっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!折角ほめて機嫌とったのに台無しじゃねえかぁぁぁ!)

固法(心臓止まるかと思った……さっきから何なのよもう!)


垣根「ああそうだ!まだ上条から連絡もこねえからよ!さっき言ったみてえに適当に服でも見て時間つぶそうぜ!」

固法「そ、そうですね!そうしましょうか!」

垣根「んじゃあこのすぐ下の階から回ってみるか!よし行こう!すぐ行こう!」タタタ

固法「はい!」タタタタ


207 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:19:59.88 ID:GksfdtJW0


番外「………」プルプル


ピッポッパ
prrrrrrrrrr

ピッ

一方『オレだ』

番外「…プッ、あーーーーっはっはっはっはっは!!!あひゃひゃひゃひゃひゃ!あー面白かった!!
   いやー笑いをこらえるのがあそこまで難しいなんてミサカ知らなかったよ」ケケケケ

一方『そォか』

番外『プッ…あのいっつもフカしこいてるメルヘンがあんなにテンパって…
   ダメだ、思い出しただけで、ククククク…』プルプル

一方『首尾は順調みてェだな』

番外「まーねぇ。アナタと違ってミサカ優秀だから☆」

一方『言ってろ』

番外「あ・でもアナタと上位個体の名前を呼びながら歩き回ったからミサカたちが一緒に来てるのはバレたっぽいね」

一方『安心しろ、それもミッションの範囲内だァ』

番外「そ。ならいいけど」

一方『とにかく目標が所定の場所に到着次第プランGに移行する。それまでは待機だ』

番外『アイアイマム♪』

一方『死ね。以上だ』

ピッ

番外「くっくっく。せいぜいミサカを笑わせてよね、第2位」



208 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:20:49.79 ID:GksfdtJW0
-----------------------------------------------------------


   12:37  ショッピングモールニ階・専門店街

家具や雑貨・日用品を多く取り扱う店が多く並ぶ一階に対し、
ニ階は学生向けの服やアクセサリーを取り扱う店が中心である。
垣根と固法は、季節に先駆けて冬に染まりつつあるウィンドウを眺めながら並んで歩いていた。

垣根「おー、どこも結構冬物入ってるな」

固法「そうですね。最近朝晩が肌寒い日も増えましたし」

垣根「…その割に今日は薄着だな」チラッ

垣根は薄手のセーターにショートパンツという出で立ちの固法を一瞥して言った。

固法「お、おしゃれはガマンなんです!」

垣根「ハハハ、違ぇねえ。…お、ちょっとあの店みてみようぜ」

固法「ええ、いいですよ」


メンズとレディースの両方を取り扱っている店を見つけ、垣根と固法はそこに立ち寄ってみることにした。


209 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:21:28.22 ID:GksfdtJW0


……………………


固法「キャー!このブラウスかわいい!あ、こっちのジャケットもカッコいい!こっちのチュニックも………」

垣根(しまった………コイツがこんなにブランド好きだとは…)

何かのスイッチが入ってしまったのか、服選びに没頭する固法を、垣根は手持無沙汰に眺めていた。


固法「垣根さん!こっちのスカートとこっちのパンツだったらどっちがいいですか?」

垣根「…そっちのパンツ」

固法「そうですよね!私もそう思います」

垣根「自分で決めてんなら訊くなよ…」ボソッ

「女性が他人に何かを相談するとき、相手に求めているのは意見ではなく同意である」
垣根はかつて呼んだ論文のそんな一節を思い出しながら聞こえないようにつぶやく。

固法「あっコレもかわいい……」ガチャガチャ

垣根(…あんな顔で笑うんだな)

楽しそうに服を選ぶ固法の顔は、今日垣根が見た中で一番輝いて見えた。


210 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:22:04.85 ID:GksfdtJW0


固法「あ、すみません、コレ試着してもいいですか?」

店員「はい、かしこまりました。…ねぇねぇ」

固法「はい?」

その女性店員は垣根の方をチラリと見た後、固法の耳元でこう囁いた。

店員「彼氏さん、カッコいいですね」クスッ

固法「かっ……!彼氏なんかじゃありません!!」///

店員「あら、違うんですか?とってもお似合いなのに」

固法「あ、あの人にはお世話になったというか、助けてもらったというか…
だから今日はそのお礼ってことで来てるんです」

店員「……でもそれってデートってことですよね?」ニヨニヨ

必要以上にうろたえる固法の反応が面白くなってきたのか、店員はさらにたたみかける。

固法「違っ…わないですけど、ホントにそんな関係じゃないですから!」

店員「ハイハイ、そういうことにしておきます。あ、こちらが試着室になります。ごゆっくりどうぞ」

固法「は、はい」


店員に促された固法は、商品をもって試着室へはいって行った。


211 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:22:50.64 ID:GksfdtJW0
数分後


固法「か、垣根さん……」

垣根「おお、意外に早かった……な…」

試着室から出てきた固法を一目見て垣根は言葉を失った。
チェックのカットソーに黒いナポレオンジャケットを羽織り、
デニムのタイトスカートをはいたそのスタイルは、
女性らしさのなかにも年齢相応の可憐さがあり、
早い話がとても似合っていた。

固法「どう…ですか?」

垣根「え、えーとその…うん、いいんじゃねえのか?…かわいいし」


機嫌を直してほしい一心だったフードコートのときとは違い、垣根は素直にそう思った。

固法「じゃあ、コレください」

店員「はーい、ありがとうございまーす♪」

垣根の反応に満足したのか、会計に向かう固法。
二人は商品をもってレジに向かう店員の営業スマイルに、
「計画通り」の四文字が浮いていることに最後まで気がつかなかった。

212 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:23:44.32 ID:GksfdtJW0
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行間 とある垣根の心的外傷(レイゾーコ)

固法「本当になんでもあるんですね、このショッピングモール」

垣根「ああ。食料品・日用品から雑貨や家具、そして最新ファッションまで何でもそろうってふれこみだからな」

固法「だったらアレもあるかしら…」

垣根「アレ?」

固法「ええ、ちょっと買いたいものが…あ、ここにあるみたいですね」

垣根「! おい、ここは……」


電機量販店


固法「よかった。ウチのドライヤー最近調子悪くてそろそろ買い換えようかと思ってたんです」

垣根「マジかよ…………」
213 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:24:36.01 ID:GksfdtJW0

固法「………何だか顔色が悪いですけど、大丈夫ですか?」

垣根「ああ、なんとか、……と言いてえところだが、正直に言うとあまりここには来たくなかった」

固法「そうですか……すみません」

垣根「あ、いや、別にアンタが気に病む必要はねえ。ただ電機屋はどうにも好きになれなくてな」

固法「男の人ってみんな家電が好きなんだと思ってました」

垣根「ちょっとトラウマがあってな」

固法「トラウマ?」

垣根「あんまり見たくねえんだよ








   ………………冷蔵庫」


214 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:25:14.99 ID:GksfdtJW0


固法「冷蔵庫?」

垣根「ああ、あの白くてデカい箱をみてるとちょっと眩暈がしてくるんだよ」

固法「垣根さんの家にはないんですか?」

垣根「一台だけならそこまでじゃないんだがあれだけの数が並んでるとな。
   それにウチにあるのは外装が黒いやつだ」

固法「そうですか…じゃあ、私が一人で買ってくるので入口で待っててもらえますか?」

垣根「そうしてくれると助かるわ。そこのベンチに座って待ってるからよ」

固法「わかりました。すぐに戻ってきますので、少しだけお願いします」タタタ

垣根「ん」


固法(冷蔵庫にトラウマ……一体何があったのかしら?閉じ込められたとか?)

固法(すごく気になるけど、何だか辛そうだったし…)


垣根(だっせぇとこ見せちまった……しかし、内臓つぶされてつながれてた機械が冷蔵庫に見えて以来冷蔵庫が怖ぇなんて……)


固法(訊けないわよね……)

垣根(言えねえよな……)


とある垣根の心的外傷(レイゾーコ) 終わり


215 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:26:12.81 ID:GksfdtJW0


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   15:42  ショッピングモール一階・メインストリート


固法「それでウチの同居人がヘンなことばっかり言って……」

垣根「へぇ……」


それから垣根と固法はいろいろな話をした。
友人のこと、学校のこと、そして自分たちのことを。
無論、垣根の方は「話せる範囲で」のことではあったのだが。


固法「……で、その支部の後輩って言うのが生意気な子ばっかりで」

垣根「アンタも苦労してるんだな…」

固法「分かります?本当に大変なんですよ。事件とみると単独行動に走るわ、目を離すとすぐサボろうとするわで、もう大変…」

垣根「ふーん」

固法「…新人研修のころから面倒を見てるんですけど、私が卒業した後ちゃんとできるのか今から心配で心配で……」

垣根「…大丈夫なんじゃねえの」

固法「え?」

216 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:27:39.67 ID:GksfdtJW0

垣根「そいつらがどんな子かは知らねえけどよ、その子たちはアンタを見本に頑張ってるんだろ?
   だったらアンタみてえな立派な風紀委員になれるさ」

固法「そう…でしょうか。あ、ありがとうございます///」

垣根(あれ?ひょっとしてオレ今コイツと普通に喋れてる?)

固法「垣根さんは普段何をされてるんですか?」

垣根「え?ああ、いや、別に特別なことなんてなにもねえよ。フツーに学校言って放課後ダチと駄弁って、そんな感じだ」

固法「垣根さんの学校って長点上機なんですよね。すごいなぁ。やっぱり学生の皆さんは優秀なんですか?」

垣根「優秀かどうかは知らねえがどいつもコイツもクソ真面目ではあるな。おかげでオレが浮いてしょうがねえよ」

固法「………浮いてるんですか?学校で」

垣根「ああ。そのせいで学校にゃあんまり…って何笑ってんだよ」

声をおさえるようにして笑い出した固法に対して垣根は憮然としながら言う。

固法「だって……この間と言ってることが違うんですもの」クスクス

垣根「あ?」

固法「二度目に会った時…知り合いが多いから私の名前が探せないって言ってたのに……学校で浮いてるって……」クスクス


217 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:28:35.59 ID:GksfdtJW0


垣根「なっ……ち、違ぇよ!そりゃ学校の連中で親しい奴は…まぁ多いわけじゃねえけど、
   だからってダチがいねえワケじゃねえからな!」

固法「そこまでは言ってませんけど……ひょっとして友達少ないんですか?」

垣根「ウグッ!!」グサッ


垣根は図星をつかれその場で膝をつく。


固法「あ、あれ?垣根さん?」

垣根「…………アンタなんか嫌いだ」

固法「ご、ごめんなさい!傷つけるつもりはなかったんです!ただまさか本当に気にしてるとは思わなくて……」

垣根「…………なんてな。気にしてねえよ。ホントのこと、だしな」

固法(やっぱり気にしてる…)

固法のフォローにさっと立ちあがって答える垣根。
気にしていない風を装っているが、さすがに『友達が少ない』発言は堪えたらしく、
微妙に根に持っているような口ぶりだった。

218 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:29:34.04 ID:GksfdtJW0


垣根「それにダチなら増えたしよ」

固法「……え?」

垣根「オレたち……もうダチ、だろ?」

固法「!そう、ですね。私たち、友達ですよね」

路地裏の時とは違い、この時垣根は、固法の表情がわずかに曇ったことに気がつかなかった。


垣根「さて、次はどこに行く……………」


そんなことは露知らず、垣根が顔を前に向けると、


219 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:31:23.59 ID:GksfdtJW0





打ち止め「ねえねえ、ジェラート買ってよー、ってミサカはミサカはかわいくおねだりしてみたり!」キャルーン

一方「さっきたらふくスパゲッティ食っただろォが!大体今何月だと思ってンだ!腹ァこわしても知らねェぞ!」

打止「お腹なんてこわさないもーん、ってミサカはミサカは根拠のない自信を前面に押し出してみたり!」フンス



垣根(モヤシぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!またテメエかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

本日最も会いたくない顔が再び視界に入った。


垣根(よし、ここは引き返して…………っ!!)

そしてその場を離脱しようと振り向いた視線のその先に、



番外個体「モヤシー、クソガキー、どーこでーすかぁー?」


本日最も会いたくない顔その2がいた。


垣根(番外個体ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!アンタもかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

垣根(まずい、退路をふさがれた!かなりまずい!)

垣根たちがいるエリアは広い一本道の両側にそれぞれの店舗が並ぶレイアウトになっているため、
わき道に逃げるという手段が使えないのだ。

220 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:32:36.27 ID:GksfdtJW0

垣根(怪物2匹に挟まれた!まさに前門のキマイラ後門の鵺(ぬえ)!!)

本人たちに聞かれたらタダではすまなさそうなことを考えながら、
垣根は現状を打破すべく思考を巡らせる。


垣根(どうする!この状況をどう打開する!!)

垣根(考えろ!考えろ垣根帝督!お前ならできる!お前に常識は通用しねえ!!)


固法「か、垣根さん?さっきから眉間にしわが寄ってますけどどうしたんですか?」

垣根「え!い、いや!何でもねえ!何でもねえよ!?」


垣根(どうする…!抜け道なんざあるわけもねえし…)


グズグズしているあいだにも、刻一刻と彼らは垣根に近づいてくる。

垣根(抜け道じゃなくてもいい!せめて身を隠す場所さえあれば…!)


固法「垣根さん?本当にどうしたんですか?」


221 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:33:28.42 ID:GksfdtJW0


垣根「!…やむをえねえか………こっちだ!」グイッ

固法「へ?」







垣根「そしてすまん!!」ギュッ

固法「ふえええええええええ!!?」


垣根は固法を通路の端まで引っ張って行ったかと思うと、
自分の背中を通路側にむけて固法をいきなり抱きよせた。

ナンダアレー

スゴク。ダイタン

ナンカチョウダキアッテマスヨ

ハマヅラ、コンドワタシニモアレヤッテ

ヒトマエデカヨ!

ハマヅラァ、イイドキョウシテルジャナイ

オレカ?オレガワルイノカ!?



固法(え?え??何がどうなってるのよコレ!!??)

垣根(もうこうなったらアイツらから顔を隠すにはこれしかねえ!最悪も最悪の手段だけどな!)ギュッ

222 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:35:00.29 ID:GksfdtJW0

固法(何何何何!!??どういう状況なの!??
   手をひかれたと思ったらいきなり抱き締められて……えぇっ?!?!?)

垣根(だがあのアルビノ野郎と性悪娘、そして天然地雷にブチ壊されるより百倍マシだ!!)

垣根(早く!!早くこの場から消え失せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!)ギューッ

固法(ふあああああああああああ/////)



番外「あ、モヤシとクソガ…上位個体みーっけ☆」

打止「あー番外個体!どこ行ってたの?ってミサカはミサカはクソガキって言いかけたのを広い心で許してあげたり!」

一方「オレの方は言い直さねェんだなァ。よほど肉塊になりてェらしい」カチッ

番外「何のことかなあ☆」

一方「チッ、まァいい。用はすンだか」カチッ

番外「まあねえ。頼まれたことは一通り」ニヤッ

一方「わかった。じゃあ帰ンぞお前ら」

打止「えー、ジェラートはぁー?ってミサカはミサカは忘れたころに蒸し返してみる!」

一方「ウチで黄泉川に炊飯器で作ってもらえェ。とにかく今日は引き上げだァ」ツカツカ

打止「エー待ってよーってミサカはミサカは………」トテトテ


223 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:35:59.48 ID:GksfdtJW0


垣根(行った……か……)

固法「あの………垣根さん……苦しいです…………///」

垣根「あ!ああ!悪い!!」バッ

固法「い、いえ………」

悪魔の一家が去ったことを確認し、垣根はやっと固法の拘束を解いた。


垣根(終わった………今日からオレはヘタレメルヘンならぬセクハラメルヘンだ……)

固法(まだ顔が熱い……///)ドキドキ

垣根「本当に済まねえ!あのときはああするしかなかったっていうか、やむにやまれぬ事情があったっていうか………
   とにかくゴメン!!」フカブカ

垣根(許してもらえるとは思わねえが、とりあえず死ぬ気で謝るしかねえ!)

固法「いえ、本当に大丈夫です…ただちょっとビックリしたっていうか……」ドキドキ

224 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:37:04.62 ID:GksfdtJW0

垣根「マジ?ホントに怒ってない?」

固法「怒ってないですってば。本当に」


垣根(マジか……絶対シバかれると思ったのに……いいヤツ過ぎんだろ)

固法(細いけど意外に筋肉あるんだ……)ドキドキ

垣根固法「…………………」


ナーミダ キラーキラ ニシーノソラニヒカル♪


二人が微妙な沈黙につつまれたとき、垣根の携帯が鳴った。

垣根「!お、おお、上条からだ………どうやらやっと撒いたらしいな」

固法「じ、じゃあさっきのエントランスに向かいましょうか!」

垣根「そ、そうだな!さっきは悪いことしたからな!アイツらにも謝らねえと!」

固法「そうですね!急ぎましょう!」タタタ

垣根「お、おう!!」タタタ


225 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:38:06.67 ID:GksfdtJW0







番外「」プルプルプルプル



一方「……まだ笑うンじゃねェ」ピクピク



打止「プッ、そういうあなたもほっぺがピクピクしてるよって、ミサカはミサカは、半笑いで、指摘してみたり」ププププ




番外通行止め「「「ぷ」」」



226 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:39:11.18 ID:GksfdtJW0



「「「あーーーーーーっはっはっはっはっは!!!!!」」」




番外「ヒィーヒィー、あー可笑しい、わき腹痛い!あれで隠れたつもりなの、ぷっ、ギャハハハハ!」ケケケケ

一方「ったく、やっぱあのメルヘンは、最っ高だねェ!!クカカカカカカ!!」ケタケタ

打止「あんなに、テンパってる、垣根のお兄ちゃん、初めて見た、って、
   ミサカはミサカは、息も絶え絶えに、感想をのべてみたり!きゃはははははは!」ケラケラ

番外「しかも、ハグとか、ぷっ、ヘタレメルヘンのくせに、ククククククク!」

一方「クケカキコカコケキカ!メルヘンだと思ってバカにしてたがなかなか魅せるじゃねェかよ!」

打止「ね!見てるこっちがドキドキしちゃった!ってミサカはミサカは乙女な一面を披露してみる!」

番外通行「「いや、それはない(ねェ)」」

打止「むぅー!」

一方「とにかくこれをもって本日のミッションその全てのプランを完了とする。撤収だァ」

番外止め「「イエッサー!」」



227 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:40:15.73 ID:GksfdtJW0



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   15:53   ショッピングモール一階・エントランス


上条「垣根……………ゲーセンではよくも俺を置いてバックレやがったな…!」ゴゴゴゴ

垣根「そのことは散々謝ったじゃねえかよ」

上条「あれしきの謝罪で足りると思ってんのか!
   こっちはあの後店追い出されるわビリビリに追いかけまわされるわで大変だったんだぞ!」



固法「風斬さんも大変だったみたいね…」

風斬「はい、でも私は楽しかったですよ?」ニコッ

固法「そ、そう……」

固法(なんだかさっきまでと印象が微妙に違うような……一体何があったのかしら)

風斬「……固法さんのおかげです」ポソッ

固法「え?」

風斬「何でもありません」

228 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:41:31.55 ID:GksfdtJW0


垣根「んじゃ、そろそろ帰るとしますか。おっとその前に上条、ちょっとこっち来い」チョイチョイ

上条「何だよ。いい訳ならもう聞かねえぞ」

垣根「そんなんじゃねえって。ほら、コレ持ってけ」スッ

上条「何だこれ……ケーキ?」

垣根「留守番させられたシスターちゃんと面倒見てくれてるっていう先生の分だ。
   それ持ってってせいぜい機嫌でもとるんだな」ポリポリ

上条「垣根……」ウルウル

垣根「まあ、今日一日お前と氷華ちゃんを借りた礼だとでも言っといてくれ。お前はお前でちゃんと何か土産持ってってやれよ」ビシ

上条「お、お前ってやつは…何てデキる男なんだ!見直したぞ!」

垣根「やめろ気色悪い。ほら、さっさといくぞ!」


風斬「……垣根さんって優しいですね」

固法「…そうね」

固法(ちょっと強引なとことがあるけど…)

風斬「ほら、私たちも行きましょう?」

固法「ええ」


229 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:42:14.09 ID:GksfdtJW0


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   16:28  第7学区 無人バス停留所


上条「じゃあ俺たちは小萌先生のところにインデックスを迎えにいかなきゃだから、ここで」

風斬「今日はありがとうございました」ペコリ

垣根「おう、じゃあな」

固法「またね、風斬さん」

風斬「ハイ!」トテテテ


垣根「……さて、オレらも帰りますか。家どっちだ?送ってくからよ」

固法「い、いえ、大丈夫です!」

垣根「さっきも言ったろ?こういうときは男にカッコつけさせるモンなの。ほら行くぞ」

固法「はぁ、じゃあ…お願いします」ペコ

垣根「ん」


230 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:43:58.99 ID:GksfdtJW0


垣根「あー楽しかった!遊ぶときはいっつも同じメンツだったから新鮮だったわ」

固法「いつものメンツって、上条くんですか?」

垣根「ああ、アイツともう一人、…またこれがムカつくやつでよ」

固法(その割に楽しそうに話すわね…)

垣根「人のことメルヘンメルヘンってバカにしやがって…」

固法「メルヘン?」

垣根「ああ、オレの能力…『未元物質』は基本的に羽の形で発現させてるんだが、アンタも見たよな?
   それがメルヘンチックで似合わねえってよ。
   ったくふざけんなよあのモヤシ………」

固法(…確かにそんなガラじゃないわね)

垣根「…何か言いたそうだな」

固法「別に何も?…ックチッ」

231 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:45:07.49 ID:GksfdtJW0

垣根「何だ今の?くしゃみか?」

固法「いえ、何でもないですから…ックシュン!」

垣根「ったく、だから言わんこっちゃねえ…ほらよ」シュルッ

固法「へ?」

垣根「知ってるだろ?首ってのは太い血管が集まってるからそこから体温が逃げやすいんだ。それ巻いとけ」

固法「でも…ックシュッ!」

垣根「文句はくしゃみ止めてからたれやがれ。…あそこか?」

固法「あ、はい、そうです。……ここで結構ですから」

垣根「そうか」

232 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:46:50.78 ID:GksfdtJW0

固法「今日はいろいろとありがとうございました」

垣根「礼を言うのはこっちだ。元々オレが言いだしたことだしな。んじゃ、また縁があったら…」





固法「また、どこか行きましょうね」



垣根「はぁ?何で?もうデート一回って約束はチャラじゃ…」


固法「あら、友達同士が遊びに行くのに、特別な理由が必要なの?」



垣根「!」

233 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:47:41.58 ID:GksfdtJW0

固法「…ね?」ニコッ


垣根「……そうだな。またどっか行こうぜ」

固法「ええ」

垣根「じゃ、そのストールは今度会ったときにでも返してくれ。









          またな、固法」



固法「!!」

固法(初めて名前呼ばれた……)

固法「お、おやすみなさい!」

垣根「ん、おやすみ」ヒラヒラ



こうして、二人の奇妙な『初デート』は、終わりを告げた。



234 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/25(水) 00:51:27.42 ID:GksfdtJW0
以上です。読んでくださってありがとうございます。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/25(水) 00:58:11.83 ID:DsLoH7Cuo
ていとくんいちいちテンパりすぎ吹いたwwwwww
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 07:53:11.36 ID:aSv+mlYqo
乙!
一方と番外固体ワロタww
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 08:02:48.96 ID:hY7C00Ra0
乙!
>>75にメジャーちゃんがいるってことは某垣根が風紀委員になるスレの定規カーチャンガ出ると期待していいですか?
238 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:26:14.18 ID:GbDjdVgw0
1です。
時間が無いってのは甘えだということに気がつきました。
アホみたいにストックできました。

投下の前に前回の誤字・誤記の訂正です。
>>204
誤:固法「…というか、垣根さんが何とかすれば何とかすればよかったんじゃないですか?(後略)」
正:固法「…というか、垣根さんが何とかすればよかったんじゃないですか?(後略)」

>>228
誤:固法(ちょっと強引なとことがあるけど…)
正:固法(ちょっと強引なところがあるけど…)

割と重要な台詞に限って間違う癖ってどうやったら直るんでしょうね。
では本日分投下していきます。
239 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:27:20.12 ID:GbDjdVgw0


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   16:48   月詠小萌の(ボロ)アパート

トントン ガチャ


上条「インデックスー、帰ったぞー」

風斬「お邪魔しまーす………」

トテテテ

禁書「おかえりーひょうかー」

上条「お前な…………」

禁書「だいじょうぶ?とうまに変なことされてない?」

風斬「う、うん!大丈夫!へんなことはしてな……いやいや、されてないから!」

禁書「ほんとに?よかったー!ひょうかがとうまの毒牙にかかってないか心配だったんだよ!」

240 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:28:17.96 ID:GbDjdVgw0


上条「…………………そうか、これはいらないんだな?」スッ

禁書「え?とうまその箱は何?」ピクッ

上条「垣根がお前に留守番させたお詫びにってくれたんだよ。今日一日お世話になった小萌先生の分もな」

禁書「え!?」

上条「いらないなら小萌先生と結標にあげよっかなー」ススッ

禁書「いるいる!とうま、ごめんなんだよ!」

上条「よろしい」ハイ

禁書「わーい!ケーキ、ケーキ♪」ルンルン


小萌「シスターちゃん?いつまで玄関に…ああ、上条ちゃん!おかえりなさいなのです」

上条「ただいま帰りました。すみません先生、いきなりインデックスを預かってもらって」

小萌「それは別に構わないのです。だけど上条ちゃん、
   出がけにも言いましたが女の子の純情と食費を天秤にかけるなんて言語道断なのですよ!わかってますか?」

上条「う、肝に銘じておきます…………あ、お礼ってワケじゃないですけどインデックスが持ってる箱にケーキが、
   ってインデックス!まだ食うな!先生の分も残しとけよ!」

241 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:29:16.46 ID:GbDjdVgw0
小萌「ふふっ、さあ、あがってください。シスターちゃんと結標ちゃんが作ったカレーがもうすぐできるのです。
   あ、あなたが風斬氷華さんですね?あなたも食べていってください!」

風斬「いえ、私はもう………」

小萌「たくさん作ったので一人や二人増えたところで問題はないのです!さあ、はやくはやく」グイ

禁書「そうだよ!わたしとあわきで……ちょっとこもえに手伝ってもらったけど、
   でも一生懸命つくったからひょうかにも食べてほしいんだよ!」グイグイ

風斬「じゃあ、いただきます」



結標「あら、おかえりなさい」

上条「よう、結標。今日はありがとな」

結標「別にあなたのためにしたことじゃないわ。
   女と遊び歩くために家主にほっぽり出されたその子がかわいそうだっただけよ。
   引き受けたのは小萌だしね」シレッ

上条「ぐっ、言い返せん……」


結標「……………その子が?」

風斬「は、はい!風斬氷華です」ペコリ


242 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:29:58.41 ID:GbDjdVgw0


結標(霧ヶ丘の制服………それにカザキリヒョウカ………
   聞いたことあるような気がするけど、私ほとんど学校行ってないし)

結標(まあ、いいか)

結標「そう。私は結標淡希(むすじめ あわき)。ワケあってここにお世話になってるの。よろしくね」

風斬「よ、よろしくお願いします」

結標「しかしあなたも大変ね。こんな甲斐性なしに付き合わされて」

上条「ちょっと待て。その甲斐性なしってのは誰のことだ?」

結標「あら、二週間分の食費につられていたいけな女の子をたぶらかしてきた
   あなたのことだとは一言も言ってないわ」シレッ

上条「くっ!!」グサッ

小萌「さあさあ、もうすぐできるのですよー。結標ちゃん、お皿を出してください」

結標「はいはい。4枚でいいわね?」

上条「1枚足りねえよ!そんでそれ絶対俺の分だろ!!」


243 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:30:31.06 ID:GbDjdVgw0


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   同時刻   黄泉川のマンション

一方「帰ったぞォ」

番外止め「「ただいまー」」

芳川「あら、おかえりなさい」

黄泉川「おかえりじゃん」

番外「あーつっかれたぁー」ボスッ

芳川「ふふ、楽しんできたようね」

番外「まあ目いっぱい笑ってきたかな。あひゃひゃひゃひゃ☆」

黄泉川「でもめずらしいじゃんよ、アンタら3人がそろって出かけるなんて」

一方「とあるバカの生態調査だァ」ボスッ

黄泉川「ふーん。でも楽しかったみたいで何よりじゃん」

244 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:31:48.76 ID:GbDjdVgw0


打止「ねえねえヨミカワ、ってミサカはミサカはヨミカワのジャージの裾をひっぱってみる」クイクイ


黄泉川「ん?どうしたじゃん、打ち止め?」

打止「あのねあのね、炊飯器でジェラートって作れる?ってミサカはミサカはバカなことと知りながら尋ねてみたり」




黄泉川「ジェラート?ああ、それならこっちのマシンで作れるじゃん」ポンポン


打止「作れるの!?」パァ

一方「作れンのかよ!!」



黄泉川「炊飯器に不可能はないじゃん!」フンス



芳川「………………ありえないわ」

番外「ねえ、あれは本当に炊飯器なの?何か得体のしれないオーバーテクノロジーの産物なんじゃないの?」

一方「ウソォ………………………」


黄泉川「そんなに食べたいなら明日一緒に作るじゃん」

打止「ホント!わーいありがとー!ヨミカワ大好き!ってミサカはミサカは母性の塊に抱きついてみたり!」ムギュッ

245 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:32:37.69 ID:GbDjdVgw0


黄泉川「はいはいわかったじゃん。それよりそろそろご飯にするじゃんよ。桔梗、手伝うじゃん」

芳川「めんどくs」

黄泉川「桔梗の夕飯は水と塩でいいじゃん?」

芳川「今日は何を作るのかしら?シチュー?ハンバーグ?何でも手伝うわよ」

黄泉川「わかればいいじゃんよ。ちなみに今日はおでんにするじゃん」

打止「わーいおでん大好き!ってミサカはミサカは喜びを全身で表現してみたり!」ミョンミョン



黄泉川「あ、そうだ番外個体、頼んでた大根買ってきてくれたじゃん?」

番外「へ?」


番外(やっべ!完全に忘れてた!)


番外「あ、ああ!それなら代わりに一方通行に頼んでおいたよん」


一方「あァ!?なンだそりゃ聞いてねェぞ!!」

番外「ウソばっかり!『あァ、任せとけェ』って言ってたのに!忘れるなんてひどいわ!」スンスン

一方「なンだその似てねェ声マネはァ!あとそのウソくせェすすり泣きもやめろォ!!」


246 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:33:24.14 ID:GbDjdVgw0







黄泉川「……………………………………一方通行」ユラァ





一方「よ、黄泉川!……違う!オレはそンなこと一言も聞いて…」


黄泉川「おでんの大根を忘れるなんて…………この罪は重いじゃん……………」ゴゴゴゴ


一方「だァからオレは関係…」


黄泉川「打ち止め」

打止「はーい」プチッ

一方「あqwせdrftgyふじk」ビターン!


黄泉川「さぁ、演算補助を返してほしかったら今すぐそこのスーパーで買ってくるじゃん」

一方「ふ……ざ………………け…………」ジタバタジタバタ

打止「ごめんね、ってミサカはミサカはジェラートの恨みをここで晴らしてみたり」

番外「」ニヤニヤ

芳川「あらあら」


一方「くそ…………が………………………」ビクビク



247 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:34:16.61 ID:GbDjdVgw0


-----------------------------------------------------------

   17:02   固法・柳迫の部屋

固法「ただいま」

柳迫「おかえり〜♪ねね、どうだった?今日ので・え・と♡」

固法「………とっても疲れたわ」

柳迫「ふ〜ん?……あれ?どうしたの?そのストール」

固法「え?あ、これは彼…垣根さんが貸してくれたの」

柳迫「キャー!何そのベタな展開!それでそれで?手ぐらいはつないできた?
   それとももうキスまでいっちゃった??」

固法「キ……っ!そ、そんなワケないでしょ!今日で会うのまだ3回目よ!?」

柳迫「そうなの?なーんだ、つまーんないの。…………じゃあ手は?」



固法「手は……つないだ、のかな。一応」

柳迫「え!マジで!?」
248 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:35:26.46 ID:GbDjdVgw0

固法「いや、つないだというか、一方的に握られたというか…」

柳迫「えっ?…それは何?無理やりってこと?」ピクッ

固法「違っ……そりゃあいきなりだったけど、でも強引にって感じでもなくて、
   その、何ていうか、向こうも切羽詰まってたというか…」


柳迫「…わかった、質問を変えるわ。美偉はさ、いきなり手を握られてどうだったの?イヤだったの?」




固法「その、えっと…いきなりだったし、びっくりはしたけど………
   ―――イヤではなかった、かな」


柳迫「………………そっか。で?他には?」

固法「他に、って、別に何も?」

柳迫「……ホントに?」

固法「ホントに何もないってば!」

固法(まさか抱きしめられたなんて言えない……)

柳迫「…怪しいなー」

柳迫(私の勘が告げている…これはまだ何かあるに違いないわ!)
249 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:36:08.43 ID:GbDjdVgw0




固法「……でも」

柳迫「ん?」

固法「また遊びに行く約束は……してきた」

柳迫「ほうほう。やっぱり腐ってもイケメン、さすがに一回会ってハイサヨウナラ、
ってほどヘタレ…もとい初心ではなかったってワケね」

固法「や、そうじゃなくて」

柳迫「は?」



固法「私から言ったの。またどこか行きましょうって」

柳迫「ちょっ!マジで!?」

固法「何でそんなに驚くのよ!」

柳迫「だって………アンタが自分からそんなこと言い出すなんて……
   ………明日は雪ね。しかも大雪よ」

固法「どういう意味よ!ふ、普通のことじゃない!」

柳迫「普通じゃない!特にアンタに関して言えば全っ然普通じゃない!」




固法「どうしてよ!友達なんだから当り前でしょ?」



250 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:36:49.56 ID:GbDjdVgw0


柳迫「…………は?……今何て?」

固法「だから、……と、友達と遊びに行くくらい普通でしょ?」


柳迫「」

固法「あれ?碧美?どうしてそこで固まるの?」



柳迫「………………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」ガッカリ

固法「何よその大きいため息は!」

柳迫「アンタって子はどこまで………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」ヤレヤレ

固法「2回もつかないでよ!」


251 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:37:45.52 ID:GbDjdVgw0


柳迫「何?アンタそれも自分から言い出したわけ?」

柳迫(もしそうだったら気の毒すぎるわね、その人)

固法「いえ、先にそう言ったのは彼の方よ?『オレたちもう友達だろ?』って」



柳迫「…………………………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

固法「3回目!?」

柳迫(前言撤回!何で自分からフラグへし折るのよこのヘタレ!…………アレ?)


柳迫「でもさ」

固法「?」


柳迫「『友達』って思ってる相手の手なんか握るかな、普通?」

固法「それはだからさっきも言ったように、何か事情があったからで…」

柳迫「理由があったにしてもよ?仮にも友達だと思ってる女の子の手を軽々しく握ると思う?
   アンタの目にその人はそんな人間に見えたの?」


固法「それは…………見えなかった、かも」

柳迫「でしょ?」

固法「………………」


柳迫(これは………ますます面白くなってきたわね♪)
252 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:38:19.70 ID:GbDjdVgw0
柳迫「はいはい、いじめてごめんごめん。晩御飯にしよっか。今日は私がつくるから」

固法「え、でも今日の当番は私じゃ…」

柳迫「いいっていいって、疲れてるんでしょ?明日代わってくれればいいわよ。
   あ、新しいドライヤー買ってきてくれた?」

固法「え、ええ、買ってきたわよ」ゴソゴソ

柳迫「ありがと〜♪今度お金半分渡すね」

固法「いつでもいいわ。私も使うものだし」

柳迫「今使ってるヤツ調子悪かったもんね」

固法「ゆうべなんか使ってたら火花出たしね……」



253 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:39:03.93 ID:GbDjdVgw0


-----------------------------------------------------------


   17:19   垣根のマンション


垣根「誰もいないけどただいまー、っと」

垣根「ふぅ……疲れたぜ」ボスン


垣根「………」


垣根「……………」


垣根「………………………」




垣根「うおおおおおおおおお恥ずかしいいいいいいいいいいい!!」ジタバタゴロゴロ


垣根(帰ってきたら一気にフラッシュバックしてきたぁぁぁぁぁぁ!)

垣根(ないわぁぁぁぁぁぁオレ色々とないわぁぁぁぁぁぁ!)

垣根(寒がってる女にストール巻いてやるとかどこの少女漫画だぁぁぁぁぁ読んだことねえけど!)

254 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:39:48.77 ID:GbDjdVgw0

垣根(しかもいきなり手ぇ握って引っぱりまわしたりとかいきなり抱きついたりとか!!
   引くわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ自分でも引くわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

垣根(張り倒されても文句言えねえぞ普通!!)



垣根(……………でも)

垣根(アイツは怒ってなかったな………)

垣根(オレに気を遣ってた……ってワケじゃねよな。見た感じイヤなことはイヤってはっきり言いそうなタイプだし。
   マジで優しすぎんだろ)

垣根(………こんなオレをダチって言ってくれたしよ)


垣根(………女友達か。初めてだな)

垣根(やべえ、なんかテンション上がってきた)ウズウズ

垣根(女の知り合いがいなかったワケじゃねえが、心理定規はそんな関係じゃなかったからな……)

255 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:40:30.87 ID:GbDjdVgw0


垣根(………やめよう、昔のこと考えんのは)

垣根(……『またどっか行こう』、か)

垣根「………あとでメールしとくか」


グゥー


垣根「あ、そういや今日まだ晩飯食ってねえ」

垣根(いつもはアイツらとファミレスで済ますからな)


垣根「…めんどくせ。マカロニにケチャップかけて食うか」ドッコイショ

垣根(便利だよなーマカロニ。炭水化物だしスパゲッティよりゆで時間短ぇしよ)

垣根(しかし一人暮らしで飯作んのもなかなかめんどくせえモンがあるよな)


垣根「誰か作ってくれねえかなー……そんなヤツいねえか」ゴソゴソ

256 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:41:10.66 ID:GbDjdVgw0


-----------------------------------------------------------

   21:34   固法・柳迫の部屋

固法「…碧美?もう寝ちゃった?」


柳迫「」スゥスゥ


固法「……みたいね」

もう尋問に飽きてしまったのか、固法が風呂からあがると柳迫はすでに床に就いていた。

『夜更かしは美容の敵!』

というのが彼女の口癖であるであるから、いつも通りと言えばいつも通りだ。

固法「ふぅ」ギシ

固法(今日は疲れたわ……いろんな意味で)

自分のベッドに腰掛け、固法は一日のことを振り返る。

固法(垣根さん、か)

そしてその中心にいたのは、あの金髪の青年だった。
257 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:41:51.51 ID:GbDjdVgw0


固法(面白い人だったなぁ。見た目ほどチャラチャラしてないし)

固法(上条くんと遊んでるときは子供みたいなのに、私といるときは妙に落ち着いてるし)

固法(ちょ、ちょっと強引なところがあるけど、あとで本気で謝ってくれたし)

固法(………垣根さんの手、きれいだけど大きくて「男の人」って感じだったな…)

固法(あと細身なのに結構引き締まってて……やば、思い出してきたらまた顔が熱い…)

固法(それから……優しい、よね。上条くんのことは割とあっさり放って逃げたけど、
   あとでフォローしてたし、要所要所で紳士的だし)

今日一日で見た垣根の様々な表情。


しかし―――――――



固法(……………路地裏のときと全然違う)

そのうちの一つとして、あの日路地裏で見せた暗い笑みとは重ならなかった。

258 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:42:31.65 ID:GbDjdVgw0

しかし固法から見て、今日の垣根が表情を取りつくろっているようには到底見えない。

固法(あのときの垣根さんは、少し怖かった)

風紀委員として日々不良や卑劣な犯罪者と相対することの多い固法ですら、
あそこまで負の感情に満ちた貌は見たことがなかった。
特に、

固法(私が殴られたとき、ものすごい表情になってた)

あのときの垣根に浮かんでいたのは、激しい『怒り』、
いや、もっとはっきりとした―――――――――

固法(……………………『殺意』?)

何が垣根の怒りをそこまで掻き立てるのか、固法にはわからない。
だが今日一度だけ、その片鱗のようなものを見たことを思い出す。

固法(そう言えばフードコートで――――――――)


垣根『女に手を上げるのはシュミじゃねえ』


固法(何かあったのかしら…………)



なぜ徹底して女性への暴力を嫌うのか。
垣根の過去に、一体何があったのか。

259 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:43:03.55 ID:GbDjdVgw0



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. ヽ;;;;;;;;;;;;;ン. / : : : : o : : ::i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;} .i : : V    
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\ ./ ○ ゚ /   ヽ_ノ : :  , ー-、-―'' : : : X   
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ふと視線を向けた先に、ゲームセンターで垣根にもらったぬいぐるみがあった。


固法(…………どうしてこんなに気になるのかしらね?)

愛くるしいその瞳は、固法の疑問に答えてはくれなかった。
260 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/26(木) 19:44:58.41 ID:GbDjdVgw0
以上です。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 20:45:28.61 ID:YarCGhAco
乙!
ていとくんマジ乙女
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 20:46:15.61 ID:YarCGhAco
乙!
ていとくんマジ乙女
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 20:48:38.37 ID:YarCGhAco
乙!
ていとくんマジ乙女
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 20:50:33.54 ID:YarCGhAco
書き込みできませんでしたって出てたのに書き込みできてた
やだ、恥ずかしい・・・
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 21:16:21.65 ID:FPslmchQ0
>>1乙!
ていとくんまじ乙女同意
見た目ちゃらってるけど中身は若干へたれな感じが素敵です 碧美さんとは気が合いそうだ
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/26(木) 21:42:03.15 ID:TH0VMZID0
初春さんまじトラウマ
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 13:01:26.12 ID:B2GU1GzIO
黄泉川家楽しそうだなー
268 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/27(金) 19:01:24.58 ID:xzIj54oy0
1です。
前回の更新でなんの前触れもなく出てきた人たちの紹介をしておきます。
あくまでこのSS内での設定です。

月詠小萌(??)……上条の高校の担任教師。時に厳しく、時に優しく教え子を見守る教師の鑑だが見た目は小学生。
学園都市の人間の中では上条の次にインデックスと付き合いが長い。
見た目に反して大酒飲みでヘビースモーカー。住んでいるボロアパートはワケあって倒壊寸前。

結標淡希(16)……ワケあって小萌の家に居候している女子高生。能力はレベル4の「座標移動」。
小萌の指導の成果なのか料理の腕は以前よりマシになった。
ちょくちょく小萌に食事をたかりに来るインデックスとそこそこ仲がいい。
上条のことはなんとなく気に入らない。ショタコン疑惑をかけられている。

黄泉川愛穂(??)……上条の高校に勤務する教師で小萌の同僚。一方通行と打ち止め、番外個体を預かっている。
警備員(アンチスキル)としても活動しており、教師として揺るぎない信念をもっているがおっぱいは揺れまくっている。
本気で怒ると一方通行ですら全く抵抗できない黄泉川家の最高権力者。炊飯器の魔術師。

芳川桔梗(??)……黄泉川の旧友で元研究員。ある事件がきっかけで黄泉川家に居候している。
黄泉川家最強のニート。だが家の中では黄泉川に逆らえない。


以上です。
ではまた夜にきます。
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga ]:2011/05/28(土) 00:42:59.71 ID:U/EEOyQX0
こんばんは。1です。
では今日の分投下していきます。

今日でようやく初デートの一日が終了です。
270 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:44:12.48 ID:U/EEOyQX0

固法「………牛乳でも飲もう」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「メール」

固法(垣根さんから……?)

ピッ


受信メール
=======================
【from】 垣根帝督
【sub】  無題
―――――――――――――――――――――――
    電話しても大丈夫か?

=======================

271 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:44:59.10 ID:U/EEOyQX0

固法(電話?一体どうしたのかしら)

返信
=======================
【to】 垣根帝督
【sub】  Re;
―――――――――――――――――――――――
    大丈夫ですよ

=======================


ピッ

固法(………)


272 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:45:43.00 ID:U/EEOyQX0

ケガレタユービサキデー ヨルヲソソーギコンデー♪
チギーレルーマデーキミーヲコジアーケテー♪


固法「ひゃっ!」

固法(もうかかってきた…)

ピッ


垣根『よう、悪いなこんな時間に電話してよ』

固法「ええ、別に構いませんが、どうしたんですか?」

垣根『あー、何ていうか…最初はメールで済まそうと思ったんだがイマイチ書くことがまとまらなくてよ。
   それなら電話の方が手っ取り早いと思ってな』

固法「はぁ……それで、ご用件は?」

垣根『いや、用と言われると困るんだが………』



垣根『その、今度はアンタの行きたいところに付き合うから』

273 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:46:29.73 ID:U/EEOyQX0

固法「え?」

垣根『あ、いや、今日はオレの都合でアンタを引っぱりまわす形になっちまったからよ。
   今度どっか行くときはアンタの好きなところに…』


固法「ふふふ………」クスクス

垣根『…何がおかしいんだよ』

固法「ごめんなさい…カワイイこと言うなぁって思って」

垣根『あぁ!?』


固法「ひょっとして、今日一日私を振り回して退屈させたと思ってたんですか?」

垣根『……………』

固法「私も楽しかったですよ、今日一日。ちょっと心臓に悪かったですけど」

垣根『う、その………悪かった』

274 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:47:24.33 ID:U/EEOyQX0

固法「もう、気にしてませんってば。
   ……でもせっかくですしお言葉に甘えてもいいですか?」

垣根『ん?』

固法「今度は甘いものでも食べに行きましょう?実は前から行ってみたかったお店があるんです。
   そこに付き合ってもらってもいいですか?」

垣根『あ、ああ』

固法「決まりですね!いつにしますか?」

垣根『オレはいつでもいいぜ。基本的に暇だからな』

固法「じゃあ私の次の休みが決まったら連絡しますね」

垣根『そうか。大変だな、風紀委員も』

固法「楽な仕事ではないですけど、学生たちを守るためですから」
275 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:47:58.69 ID:U/EEOyQX0

垣根『そーかい…………なぁ』

固法「はい?」



垣根『その…………オレに敬語使うのやめねえか?』

固法「え!ど、どうしたんですか急に?」

垣根『いや、何か知らねえけどアンタに敬語使われるとすげえムズムズする』

固法「でも…垣根さんは年上ですし…」


垣根『アンタはダチと敬語で話すのか?』

固法「!そ、それは………」

垣根『別れ際にちょっとタメ口になっただろ?あんな感じで頼む』

固法「うう………わかりまし……わかったわ」

垣根『そうそう』
276 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:48:44.91 ID:U/EEOyQX0

固法「じゃあ私からも一ついい?」

垣根「あん?」



固法「わ、私のことは名前で呼んで?」

垣根『はぁ!?』

固法「だ、だって垣根さん、上条くんや風斬さんは名前で呼ぶのに
   私のことは『アンタ』としか言わないじゃない!不公平よ!」


垣根『不公平ってアンタ子どもじゃねえんだから………』

固法「ほらまた!」

垣根『やべっ……』


固法「…………じゃない」ボソ

垣根『は?』

277 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:49:49.34 ID:U/EEOyQX0

固法「垣根さんも、今日別れるときに呼んでくれたじゃない。
   『またな、固法』って」

垣根『ウグっ!それは……わ、わかったよ…………………固法』

固法「うん、それでいいわ」


垣根『…………』


固法「…………………」



垣根『じゃあ時間も時間だし、そろそろ切るぜ』

固法「え、ええ………あの」

垣根『あん?』



固法「…………いいえ、何でもないわ」

垣根『変なヤツ……じゃ、おやすみ』

固法「おやすみなさい」


ピッ


固法(今は……………訊けないよね)




柳迫「楽しそうだったじゃない」

固法「ひああああああああ!!?あ、碧美!?起きてたの!?」
278 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:50:38.39 ID:U/EEOyQX0

柳迫「起きてたの?じゃないわよ。
   もー隣であんなイチャイチャイチャイチャストロベリートークされてねむれるかっつーの」


固法(ストロベリートークって……古くない?)

固法(って問題はそこじゃなくて)


固法「………いつから聞いてたの?」

柳迫「『それで、ご用件は?』の辺りから」

固法「ほぼ最初からじゃない!起きてたなら言いなさいよ!」

柳迫「やーよ。起きてるって分かったらアンタすぐ電話切っちゃうでしょ。
   それで?一体何の話をしてたのかにゃー?」

固法「それは、その…………」

279 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:51:24.35 ID:U/EEOyQX0

柳迫「なーんか『私も楽しかった』とか、『名前で呼んで?』とか言ってたじゃない?
   早めに白状した方がいいわよ?」ワキワキ

固法「ひ、秘密よ秘密!だいたい尋問はさっき終わったんじゃないの!?」

柳迫「本法廷に新しい証拠が提出されたため、固法被告に更なる証言を要請します」ビシッ

固法「黙秘権を行使します!」



280 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:52:05.90 ID:U/EEOyQX0

-----------------------------------------------------------------------

   21:56   垣根のマンション

パチッ

垣根「………ったく、名前で呼べ、なんていきなり何言い出すんだよアイツ…ん?」


垣根「でも何で今までアイツのこと名前で呼ばなかったんだ、オレ?」


垣根(上条は「上条」だし……まあモヤシはモヤシでいいや。クソムカつくし)

垣根(女だからか?いや、本名がクソ長いシスターちゃんをのぞけば打ち止めちゃんや氷華ちゃんも名前で呼んでるな)



垣根「………………………固法」




垣根「…………………………………………」


垣根(な、なんでこんなに恥ずかしいんだ?)ムズムズ

垣根(クッソ、ワケわかんねえ………)



垣根「……………寝よ」ゴソゴソ


281 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:52:58.92 ID:U/EEOyQX0
-----------------------------------------------------------------------


   同日   某時刻

??「ふふふふっ…………………面白いものを見たわ」

明りの消えたビルの屋上、

年齢に不相応な派手なドレスをまとった少女が、静かに笑いながらたたずんでいた。

??「あの人のあんな表情、初めて見たわ」


心理定規(メジャーハート)。

それが彼女の能力にして呼び名。

人と人の『こころの距離』を見透かし、
自分と相手の“それ”を自在に操る能力である。

そして、垣根がかつてリーダーを務めていた学園都市の暗部組織『スクール』の元構成員でもある。
282 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:53:29.23 ID:U/EEOyQX0

心理「『未元物質』ともあろう男があんなに動揺しちゃって」

心理「元暗部の人間が見たらどんな顔するかしらね」クスクス

心理「―――――まあ一方通行は爆笑してたけど」


彼女は今日一日、垣根を尾けていた。

しかし普通に尾行したのでは垣根に気づかれてしまう。

だから彼女は自らの能力で、自分と垣根の距離単位を2000、
『限りなく無関係な他人』レベルまで遠ざけ、垣根の警戒を免れていたのだ。

そうして彼女は、垣根の一日の行動のすべてを見ていた。
彼が笑い、戸惑い、慌てふためく様を。

そして、


心理「その原因は………彼女かしらね?」

彼の隣りにいた彼女のことを。
283 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:54:16.51 ID:U/EEOyQX0

心理「でも、彼女も一筋縄ではいかないみたいね」

少女は、昼間彼女の心をのぞいた時のことを思い出す。

心理「………………………ちょっとからかってみましょうか」



心理「うふふふふ………………………」


夜空には、血の滴りそうな三日月が薄く嗤っていた。

284 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/28(土) 00:56:45.35 ID:U/EEOyQX0
みんな大好き、心理定規さんが出てきたところでここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

>>265
>>1はそのスレを読んでないのです…
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/05/28(土) 01:45:55.75 ID:fyQfw5Ajo
(`・ω・´)ゞ 乙であります!
286 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/28(土) 02:02:54.30 ID:U/EEOyQX0
安価ミス。
誤:>>265
正:>>237
ごめんなさい。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 08:23:08.89 ID:aOHw53k0o
乙です
心理さん登場wktk
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 18:54:11.06 ID:VvQp1ZTq0

これこそが本当の心理定規さんや。
あと名前で呼んでって固法さんの名前って美偉じゃないの?固法って名字じゃ・・・・
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 19:57:21.40 ID:XWfiQ4aAo
さだのり!さだのりじゃないか!
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/28(土) 20:50:42.10 ID:WqpHw9sVo
>>288
名前でってのは『アンタ』じゃなくてって意味でしょ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/29(日) 21:52:17.19 ID:yBvtz0HC0
1です。

試 験 終 わ っ た ー !

ひとつ重大なタスクから解放されました。
更新速度も上がると思います。

では本日分投下します。
292 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:53:03.81 ID:yBvtz0HC0
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   数日後  15:35  風紀委員活動第一七七支部

固法「〜♪」カタカタ


初春「しし、白井さん!佐天さん!見てください!固法先輩がご機嫌ですよ!」

黒子「本当ですわね。鼻歌まで歌って珍しいですの」

佐天「何かいいことでもあったのかな?」


固法「……ドンクラーイ こわれそうなほっどー…♪」カタカタカタカタ♪


初春「こ、今度は本当に歌い始めました!」

黒子「本当に珍しいですわね」

佐天「……ちょっとカマかけてみよっか?」コソコソ

初春「え?さ、佐天さん?」

293 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:54:24.40 ID:yBvtz0HC0

佐天「こーのーりーさん♪」

固法「あら、佐天さん。どうしたの?」ニコッ


初春「佐天さんが支部にいるのにいやな顔一つしない!」

黒子「あの固法先輩が………信じられませんわ」


佐天「ちょっと耳貸してください」チョイチョイ

固法「どうしたの?」

佐天「……この間のお休み、楽しかったですか?」ボソッ

固法「なな、何で知ってるの!?」ガタガタッ

佐天「あは♪やっぱり休みの日に何かあったんですね!」

固法「なっ………図ったわね!」

佐天「何があったんですか?彼氏でもできました?あ、それともデートだったとか!」

固法「かっ………!違います!彼氏なんかじゃ…」

佐天「あ、デートって部分は否定しないんですね?」ニヤニヤ

固法「しまっ…!」


初春「さっきからどんどんボロが出てますよ、固法先輩」ヒソヒソ

黒子「語るに落ちるとはこのことですわね」ヒソヒソ


固法「初春さん白井さん!聞こえてるわよ!佐天さんも年上をからかうんじゃありません!」

294 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:55:22.22 ID:yBvtz0HC0

初春「佐天さんが調子に乗るから私たちまで怒られちゃったじゃないですかぁ」プンプン

佐天「てへ☆」(・ω<) キャピ

黒子「かわいこぶってもだめですの!」


固法「まったく………〜♪」カタカタ


初春「あ、機嫌がもどりました」

黒子「一体どうしてしまわれたのでしょう…………」

佐天「あの顔はやっぱり恋ですよ、恋!」


初春黒子「「………」」


初春黒子「「まっさか〜〜〜〜〜〜!」」ケラケラ


固法「そこの二人、口より手を動かしなさい」

初春「は〜い」

黒子「ですの」

佐天「」ニヤニヤ

固法「ところで佐天さん。今日はいつまで居すわるつもりかしら?」

佐天「やば、調子に乗りすぎたか……じゃあ初春!また後でね!」

初春「はーい」


固法「……われにつづけー♪」カタカタ♪


295 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:56:10.12 ID:yBvtz0HC0

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   同時刻  第7学区  ファミレス『ジョイナス』

垣根「………つまり半信半疑あっちこっち♪」

上条「気持ち悪いくらい機嫌いいな」

一方「つか実際キメェ」ズズー

垣根「あんだよ、人がせっかくいい気分なんだから邪魔すんなよ」

一方「いい気分だァ?」

垣根「あ、そうか、モヤシは知らねえよなぁ?そっかそっか」ニヤニヤ

一方「ウッッッゼェー本気でウッゼェー」

上条「固法さんのことか?」

垣根「そう!そうなんだよ。よくわかったな上条、さすがヒーローだぜ!」

上条「わからいでか………」

296 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:56:49.84 ID:yBvtz0HC0

一方「ンだァ?ソイツが例の女かァ?」

垣根「そうだけど?」

上条「で、何か進展でもあったのか?」

垣根「それが聞いてくれよ。あのな……
   アイツとダチになった!」

上条「へ?」

一方「はァ?」

カクカクシカジカ! マルマルウマウマ!

垣根「……ってな感じでよ!」

上条「」

一方「」

垣根「いやー女友達って初めてだからテンションあがって……って何固まってんだお前ら?」



上条通行「「はァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」」

垣根「ため息でシンクロすんな!」

297 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:58:00.20 ID:yBvtz0HC0

上条「そんだけしといてフラグの一つも立てられんとは……」ハァ

一方「ヘタレはどこまでもヘタレだなァ」ヘラヘラ

垣根「うるせえ!日常的に女が周りにいるお前らと一緒にすんな!
   特に上条!テメエにフラグを語る資格はねえ!!」



一方「せっかくオレが休みツブして膳立てしてやったのに台無しじゃねェか」








垣根「………………………あ?」


一方「あ、やべ、口が滑った」

垣根「モヤシテメエ……………この間のアレはやっぱりわざとか………」

一方「なァンのことですかァ?」

垣根「今更しらばっくれんな!10秒前に口が滑ったっつったろうが!」
298 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:59:01.81 ID:yBvtz0HC0

一方「チッ、うっせェなァ………反省してまァーす」フンス

垣根「態度で示せ!ぶっ殺すぞ!こちとらテメエら親子のせいでかかなくてもいい恥かかされたんだぞ!」

一方「終わりよければすべてよしって言うだろォが」

垣根「一歩間違えば破滅一直線だったわ!」

一方「大丈夫だってェ。お前の場合存在自体がすでに恥ずかしいンだからコレ以上恥かいたって屁でもねェよ」

垣根「よぉぉぉぉし!どうやら愉快な死体になりてえらしいな!!
   とびっきりステキなバラバラオブジェにしてやっから表出ろゴルアアアアア!!!」ガタッ

一方「ソイツはこっちのセリフだァこのクッソメルヘンがァァァァァ!
   血溜まりにのたうち回りやがれェェェェェェェ!!」ガタガタッ

上条「落ち着け二人とも!あと今のは一方通行が悪い!」


299 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 21:59:55.58 ID:yBvtz0HC0

   数分後

上条「っていうかさ」

垣根「あん?」

上条「お前この間までヒロインがどうとか主人公が何とかって言ってなかったっけ?」

垣根「ああ、アレな。アイツとダチになったのがうれしすぎてぶっちゃけどうでもよくなった」

上条「そこまでか………」


垣根「…それに今度また遊びに行くしよ」

上条「え、マジで!?」

垣根「ああ、何か甘ぇモンが食いてえらしくてよ。今度行くことになったんだよ」

上条「」

垣根「でも女ってホントに甘ぇモンすきだよなー。オレも食えねえわけじゃねえがあそこまで情熱燃やせねえわ」

一方「」



上条「(筋金入りだなコイツ……鈍感すぎるだろ)」ヒソヒソ

一方「(いやァコイツもお前にだけは言われたくねェンじゃねェか?)」ヒソヒソ

上条「(何で!?)」ヒソヒソ!


垣根「さってと…そろそろ出ようぜ」ドッコイショ

上条「そ、そうだな」ヨッ

一方「ン」ウンショ

300 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:01:02.32 ID:yBvtz0HC0


-----------------------------------------------------------------------

   16:15   第7学区  路上

固法「まったく、相変わらず生意気なんだから」ツカツカ

固法(でもそんなに浮かれてたのかしら、私)

固法(だめね、浮ついた気持ちで仕事をしないようにいつも白井さんたちに言って聞かせてるのに、
   当の私がこんなんじゃ)

固法(……でも、楽しみだな)

固法(来週の日曜にお休みももらったし、あとで垣根さんに確認を……あら?)



垣根「あーモヤシうっっぜえええええマジぶち殺してえ」テクテク

垣根「結局アイツらに遊ばれてたってことじゃねえかよ。ムカつくわー」

垣根「ひとをオモチャか何かと勘違いしてんじゃ…」


??「垣根さん!」


垣根「ん?…おお、固法。今帰りか?」

固法「ええ。垣根さんも?」

301 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:01:51.48 ID:yBvtz0HC0

垣根「ああ。上条たちとメシ食ってきたところだ」

固法「いつもこの時間に?」

垣根「まあ大体」

固法「晩御飯にしては早くないかしら?」

垣根「一人暮らしで自炊すんのは見た目以上に面倒なんだよ。それにたまには自分で作ってる」

固法「そう……」

垣根「…まあ、立ち話もなんだからボチボチ歩こうぜ。送ってくから」

固法「そ、そうね、お願いするわ」


固法「あ、そうそう、来週の日曜日にお休みが取れたの。その日で大丈夫?」

垣根「来週の日曜か。わかった、空けとくわ」メモメモ

固法「じゃあお昼の12時にこの間の公園に集合ってことでいいかしら?」

垣根「いいぜ、12時だな」メモメモ

固法「決まりね!」



??「あれれ〜〜〜〜〜〜??垣根のお兄ちゃん?ってミサカはミサカはどこぞの小学生探偵よろしく声をかけてみたり!」

垣根「!!」

固法(……子ども?)

302 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:02:45.92 ID:yBvtz0HC0

垣根「ら、打ち止めちゃん……?」

打ち止め「なーにぃ?ってミサカはミサカはわざとらしい猫なで声で答えてみる!」

垣根「……!」キョロキョロ

打止「あのひとならいないよ、ってミサカはミサカはお兄ちゃんの疑問に先回りして答えてみたり」ヒソヒソ

垣根「そ、そう……」

固法「垣根さん?その子知り合いなの?ラストオーダーってその子の名前?」

垣根「あ、ああ!ダチの下宿先で預かってる娘さんでな!たまに遊んでやってるんだよ!な!」

打止「そういう設定なの?ってミサカはミs」モゴッ

垣根「(打ち止めちゃんんんんんん!ちょっとの間お兄さんに話し合わせてもらっていいかなあ後でクレープ買ってあげるから!)」ヒソヒソ

打止「(本当に?ってミサカはミサカは言質を取ってみる!)」ヒソヒソ

垣根「(本当!本当だから!)」ヒソヒソ

303 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:03:38.41 ID:yBvtz0HC0

固法「それにその子さっきからミサカって………よく見たら御坂さんにそっくりだし…」

垣根「はとこ!はとこなんだよ第3位の!そんでお母さんが外国人なんだよな!な!!」

打止「違うよ!ミサカはお姉様のクr」モガッ

垣根「(打ち止めちゃんんんんんんんんん!お願いだから少し黙っててくれるかなああ!
    今度ケーキでもパフェでもおごってあげるから!!)」ヒソヒソ!

打止「(約束だよ!)」ヒソヒソ


固法「どうしたの?」

垣根「いや!別に!」

打止「何でもないよ!初めましてお姉さん!打ち止めです!ってミサカはミサカは遅い自己紹介をしてみたり!」ペコリ

固法「そ、そう……あ、私も名乗らないとね。初めまして、固法美偉です。よろしくね」ニコッ

打止「よろしくね、固法お姉ちゃん!ってミサカはミサカは子どもらしさをアピールしてみる!」ニパー

固法(か、かわいい……)

304 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:04:48.45 ID:yBvtz0HC0

打止「うーん………」

固法「ど、どうしたの?私の顔に何かついてるかしら?」





打止「固法お姉ちゃんは垣根のお兄ちゃんの恋人さんなの?ってミサカはミサカはぶっちゃけたところを訊いてみたり!」



固法「なっ!」

垣根「打ち止めちゃんんんんんん!クレープ買ってあげるからお兄さんとちょっとこっち来ような…」



打止「とってもお似合いだよ!ってミサカはミサカは見たままの感想を率直に述べてたり!」


固法「」


垣根「打ち止めちゃん……頼むからオレの言うこと聞いて………」

305 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:05:40.11 ID:yBvtz0HC0

打止「あ!ヨミカワに卵買ってきてって頼まれてたんだった、ってミサカはミサカは計ったようなタイミングで用事を思い出してみたり!」

垣根「そ、そうか、お使いとは感心だな。車に気をつけろよ」

垣根(頼むから早く帰ってくれえええええええ)

打止「うん!じゃーねー、垣根のお兄ちゃん!ケーキの約束わすれないでねー、ってミサカはミサカはねんおししてみたりー………!」タタタタ

垣根「黄泉川さんと芳川さんによろしくなー……」


固法(こここ、恋人って……!お似合いって………!)

垣根「お、おい。大丈夫か?」

固法「え?あ、だ、大丈夫よ!」

306 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:06:17.65 ID:yBvtz0HC0

垣根「い、いやー、年の割にマセたガキでさ!すーぐああいうこと言い出すんだよ!
   んなこと言われても困っちまうよなあ実際!」



固法「……垣根さんは、困るの?」

垣根「!?」

垣根(なんだそりゃ!どういう意味だ!?)

垣根「そ、そりゃアンタ困るだろ?オレら恋人でも何でもねえんだし」

垣根(ココはこう言っとかねえとマズいだろ…コイツそういう浮ついた話題好きじゃなさそうだし)

固法「………そうね。友達ですものね、私たち」

垣根(……あれ?敬語?)

固法「ここまでで結構ですから」

307 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/29(日) 22:06:55.96 ID:yBvtz0HC0

垣根「は?いやまだ全然着かね…」

固法「こ こ ま で で 結構です!」

垣根「オイ、アンタ何イライラして…」

固法「別にイライラなんてしてませんから」

垣根「じゃあ何でいきなり敬語に戻ってんだよ?意味わかんねえ…」

固法「………………………………………ばか」

垣根「へ?」

固法「……………………失礼します」ダッ!

垣根「おい、ちょっと待っ…………」





垣根「……………嫌われた」orz





308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/29(日) 22:08:55.30 ID:yBvtz0HC0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

>>288
あそこの会話は伝わりにくいかなーと自分でも思っていました。
自分の文章力のなさが憎いです。

>>290
わざわざありがとうございます。
ずばりそういうことです。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/05/29(日) 22:17:48.87 ID:5laiwAqAO

せっかくの打ち止めからの絶好のパスを外しやがって…
ていと君マジ鈍感、そして打ち止めマジ小悪魔
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 23:31:14.66 ID:n4pvnHja0
>>309
ヒント・打ち止めの環境と美琴のクローン
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/29(日) 23:48:10.68 ID:OlBJeEFF0

ていとくん鈍感なんだからっ♪
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/30(月) 21:50:20.08 ID:sdhe+nyto
一回のすれ違いの後くっつくって王道で良いよね
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/30(月) 23:43:40.69 ID:NMlqSKBQ0
レスありがとうございます。
1です。
今日の分を投下していきます。
314 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:44:59.00 ID:NMlqSKBQ0

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    16:40   上条の学生寮

上条「………で、何でいるわけ?」

垣根「」

禁書「いきなりケーキ持ってきたと思ったらずっとあの調子なんだよ」モグモグ

上条「そこ、上条さんも久しく使ってないベッドと毛布なんですけど」

垣根「」

上条「……固法さんのことか」

垣根「!」ビクッ

上条「図星か」

垣根「」シクシク

上条「あ―もう泣くなって。あ、お前毛布で鼻水拭くな!とりあえず何があったのか最初から話してみろ」

315 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:45:54.02 ID:NMlqSKBQ0

数分後

上条「……なるほど。で、どうして嫌われたかも、これからどうすればいいかも分からず、
   誰かに相談しようとここに来た、と」

垣根「」コクコク

上条「さらに間接的な原因と思われる打ち止めちゃんにも知られたくないから一方通行にも秘密にしたいと、そういうことか?」

垣根「」コクコク

禁書「んー!やっぱりていとくのもってくるケーキはいつもおいしいんだよ!」モキュモキュ

上条「あ、ごめんインデックス、ちょっと黙っててな」




垣根「………………………ぜだ」

上条「は?」






垣根「なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁ!何が悪かったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ジタバタ

上条「お、落ち着け垣根!」

316 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:46:39.20 ID:NMlqSKBQ0

垣根「もう終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!こんなクズが調子に乗るからバチが当たったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ジタバタ

上条「落ち着けって言ってんだろ!そげぶっ!!」バキッ

垣根「へぶっ!!」ゴロゴロビターン!



上条「ハァ……ハァ……落ち着いたか」

垣根「あ、…ああ。取り乱してすまねえ」

上条「勢いで思い切りぶん殴っちまったけど大丈夫か?」

垣根「いや、おかげで目が覚めたぜ。顔超痛いけど」ヒリヒリ

上条「で、お前はどうしたいんだ?」

垣根「何とかして謝りてえんだけど、正直何でアイツが怒ってんのかわかんねえし、
   そんな状態で『とりあえず謝っとけー』みたいなノリでいっても余計怒らせるだけだろ」

上条「確かに……」

317 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:47:28.70 ID:NMlqSKBQ0

垣根「で、日常的にシスターちゃんや第3位を泣かしてるお前なら理由に心当たりがあるんじゃねえかと」

上条「人をゲスみたいに言うな!」

禁書「あーおいしかった!ごちそうさま、ていとく!…ってあれ?ていとく、泣いてるの?」

垣根「あ、いや!目にゴミが入ってな!」ゴシゴシ

垣根「……そうだ。なぁシスターちゃん、シスターちゃんは上条が他の女にデレデレしてたらどうする?」

禁書「………とうま、またなの?」ギロッ

上条「またって何だよ!」

垣根「いやいやいや!違う違う、たとえば、たとえばの話だ!どうやって機嫌を直してる?」

禁書「まずかみつく!」

垣根「………そうか」

上条「……………あきらめろ、コイツに常識は通用しない」

垣根「ああ……何でだろうな、決めゼリフ取られたのにまったく悔しくねえ」

上条「まあインデックスを参考にしようとしたのにそもそも無理があったな…」

318 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:48:10.43 ID:NMlqSKBQ0

禁書「あとはこもえに相談するかも」

上条「!」

垣根「こもえ?」

禁書「うん!とうまのがっこうのせんせいでね、いつもごはんをくれるんだよ」

上条「…そうだ、小萌先生に相談してみよう」

垣根「ひょっとして、この間シスターちゃんを預かってくれた先生か?」

上条「ああ、小萌先生ならなにか役にたつ助言をくれるかもしれない」

垣根「だが、オレみてえな見ず知らずの学生の相談になんて乗ってくれんのか?」

上条「先生はそんなこと気にしないさ。あの人にとって迷える学生はみんな自分の教え子なんだ」

禁書「え?いまからこもえの家に行くの?やったあ!こもえにごはんつくってもらうんだよ!」

上条「こらインデックス!メシたかりに行くんじゃないぞ!」



319 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:48:58.47 ID:NMlqSKBQ0

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   17:02   月詠小萌のアパート

ガチャ

小萌「ああ、上条ちゃん、いらっしゃい。待ってたのですよ」

上条「すみません先生。いきなり『友達の相談に乗ってやってほしい』なんて無理言って」

小萌「全然構わないのですよ。迷える子羊ちゃんに手を差し伸べるのが教師の務めなのです!………その子が?」

垣根「……垣根 帝督です。お世話になります」ペコ

垣根(何だ?この理解不能な生き物は)

小萌「垣根ちゃんですね。初めまして、月詠小萌なのです。小萌先生と呼んでください!」

垣根「はぁ………」

垣根(……………垣根ちゃん?)

小萌「さぁ、玄関で立ち話も何ですからあがってください」サァサァ

禁書「おっじゃまっしまーす!!」トテテテ

上条「おじゃましまーす」スタスタ

垣根「お、おじゃまします」イソイソ

320 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:50:24.35 ID:NMlqSKBQ0

結標「あら、あの子たちもう来たの……っ!あなた…!」スクッ

垣根「……あ?誰かと思えば元・『案内人』じゃねえか。何でテメエがここにいる」

結標「それはこっちのセリフよ!何で第2位が、『未元物質』がここに…!」

小萌「はいはい、ケンカはナシなのですよー」

結標「小萌!そこをどいて!コイツは…『未元物質』は危険…」

小萌「彼は『未元物質』なんていう名前ではありません。垣根帝督ちゃんです」

結標「同じことよ!」

小萌「違います。いいですか結標ちゃん。確かにこの街の学生さんはみな能力開発を受けています。
   そして彼のような高いレベルの学生さんはその能力で呼ばれることが多々あります。
   でもですね、能力がその学生さんの全てではないのです。いえ、全てであってはならないのですよ。
   もしそんなことになればこの学園都市は牧場と同じです。」






小萌「能力は学生さんの大事な個性ですが、決してアイデンティティではないのです」






結標「……………」

321 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:51:25.97 ID:NMlqSKBQ0

小萌「……それはあなたが一番よく知っているでしょう?」

結標「…………」

小萌「今の彼はあなたと同じ、かわいい迷える子羊ちゃんなのです」ニコッ

垣根(………このオレが、迷える子羊ときたよ)フッ

結標「……………そうね、悪かったわ」

垣根「いや、気にしてねえよ」

小萌「さあ、早速お話を聞かせてもらってもいいですか?」

垣根「あ、はい。実は……」



   数分後

小萌「……なるほど。それでどうしたらいいのか途方に暮れている、と」

垣根「正直相手がなんで怒ってるのかもサッパリで……」

結標(呆れた………本当に理由が分からないの?この男………)

322 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:52:20.04 ID:NMlqSKBQ0

小萌「それで、垣根ちゃんはどうしたいんですか?」

垣根「……謝りたい、です。でも……」

小萌「ならもう結論は出てるじゃないですか。誠意をこめてきちんと謝れば、その子はきっと許してくれますよ」

垣根「……でもアイツが怒ってる理由も分からないのに、謝って誠意とやらが伝わると思いますか?」

結標「…ああもうじれったい!そんなに知りたいなら教えて…」

小萌「結標ちゃん、ちょっと静かにしててください」

結標「…っ」

小萌「垣根ちゃん、彼女がどうして怒った、いえ、傷ついたのかを先生が説明するのは簡単なのです。でもそれじゃ意味がないのですよ。
   その答えは垣根ちゃん自身が見つけないとダメなのです。」

垣根「…じゃあオレはどうすれば」




小萌「…いいじゃないですか、理由が分からなくても」



垣根「は?」

323 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:53:29.51 ID:NMlqSKBQ0


小萌「だって垣根ちゃんはこんなにも彼女のことを思いやっているじゃないですか。
   傷つけた、悪いことをしたって分かっているのでしょう?それが分かっているから、ちゃんと謝りたくて、
   それができなくて悩んでいるのでしょう?」

垣根「………」





小萌「そうやって他人のために悩みぬくことを『誠意』と呼ぶのだと、先生は思うのです」ニコッ





垣根「……そう、ですかね」

小萌「きっとそうです!」

垣根「………」


324 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:54:23.66 ID:NMlqSKBQ0

小萌「さぁ、この話はここまでにするのです!そろそろ晩御飯にしますけど上条ちゃんたちも食べていきますか?今日は鶏の水炊きなのですよー」

禁書「たべる!たべるんだよ!」

上条「おいコラインデックス!たかりに来たんじゃないって言っただろ!」

小萌「ふふふっ…垣根ちゃんも食べていくでしょう?」

垣根「……いえ、オレは失礼します」スクッ

小萌「……え?」

垣根「今からアイツのところへ行きます。ちゃんと謝るなら早い方がいい、でしょ」

小萌「………そうですか」

垣根「ありがとな、上条。先生紹介してくれて」

上条「垣根………」

垣根「……小萌、先生」

小萌「何ですか、垣根ちゃん」





垣根「ありがとうございました」


325 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:55:05.62 ID:NMlqSKBQ0


小萌「礼には及ばないのです!さっきも言ったでしょう?迷える子羊ちゃんに手を差し伸べるのが教師の務めなのです!」

垣根「……じゃあ、オレはこれで」


ガチャ バッサァ!


上条「大丈夫かなぁ」

小萌「きっと大丈夫なのです。さあ、早く食べましょう!」

禁書「いっただっきまーす!」モグモグバクバク

結標「あ、ちょっと!まだ煮えてないわよ!」

上条「やめろインデックス!」



326 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:57:40.87 ID:NMlqSKBQ0


-----------------------------------------------------------------------
   17:23  固法・柳迫の部屋

固法「ああもう!このっ!このっ!」ボスッ!ボスッ!

固法「このっ!!」

    _
   / ヽ::\
  /     ':,::\
. /      ',:::::ヽ            .  _
/        i:::::::ヽ             く: : :>、
         i:::::::::}           /: : /  Y
.       --┴ー┴―-  、    /: :/    |
 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :く: :/      |
  : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ       |
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ     |
. ,   -―- 、 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ     |
/ , -;;;;;;;;;;:、\ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ   |
../;;;;;;;;;;;;;;;;;:l  i : : : : : : : : :., -―- 、 : : : : :i  / .      
.l;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;} i : : : : : : : : :/ ./;;;;;;;;;;;;;、ヽ : : :i /    
. ヽ;;;;;;;;;;;;;ン. / : : : : o : : ::i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;} .i : : V    
: : ` - _-: : : :tイ し : i i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i | : : |   <いたいにゃ
: : : : /。。\ : : レー-/ : :\ヽ;;;;;;;;;;;;/ / : : /     
\ ./ ○ ゚ /   ヽ_ノ : :  , ー-、-―'' : : : X   
;;;;;;/ : : : : / : : : : : : : : : : / ゚○゚/ : : : : : X  \
;;;/ : : : : /--: : : _: : :- / : : : /__\/ \
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/;;;;;;;;;;;て\
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/;;;;;;;;;;;(
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〈⌒\/




固法「ハァ、ハァ…………」

327 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:58:18.41 ID:NMlqSKBQ0


固法「………」

ピポッパ


   新着メッセージは ありません


固法「はぁ………」パタン

柳迫「いつまでそうしてるつもり?」

固法「だって……」

柳迫「そんなに気になるなら自分からメールでも何でもすればいいじゃない」

固法「な、何で私から連絡しなきゃいけないのよ」

柳迫「……大体さ」

固法「え?」



柳迫「どうして美偉は怒ってるの?」

固法「!」

328 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:59:10.31 ID:NMlqSKBQ0

柳迫「アンタ自分でも言ってたじゃない。『あの人は友達だ』って。だったら何でそんなにプリプリしてるの?」

固法「それは…」


ケガレタユービサキデー ヨルヲソソーギコンデー♪
チギーレルーマデーキミーヲコジアーケテー♪

固法「!」

柳迫「電話?」


   【着信】
  垣根 帝督


固法「……垣根さん」

ピッ

固法「も、もしもし?……………え?」

柳迫「お?」

固法「は、はい、わかりました。そこで待っててくださいね。動いちゃだめですよ!」

ピッ

329 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/30(月) 23:59:48.72 ID:NMlqSKBQ0

柳迫「どうしたの?」

固法「ごめん、ちょっと出てくる」

柳迫「なになに、呼び出しですかぁ?」ニヤニヤ

固法「すぐ戻るから!」

ガチャ バタン!

柳迫「………行っちゃった」



-----------------------------------------------------------------------

固法「……垣根さん!」タタタタ

垣根「……よう」

330 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/31(火) 00:00:33.16 ID:ZxI+UtJH0

固法「ビックリした…いきなり電話で『寮の前にいるから出てきてくれ』なんて言い出すんですもの」

垣根「…悪い」

固法「それで、何のご用ですか?」

垣根「いや、何ていうか、その………………」






垣根「…ご、ゴメン!!」

固法「え?」


331 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/31(火) 00:01:19.83 ID:ZxI+UtJH0

垣根「正直、あの時何でアンタが怒ったのかわかんねえし、今もあんまりわかってねえんだけど、
   でもオレの行ったことでアンタを傷つけたっていうのは何となくわかって…」

固法「………」

垣根「オレ、こういうときどうしたらいいのかわかんなくてよ、どうすれば許してもらえるかわかんねえし、許してもらえるとも思ってねえけど、
   とにかく死ぬ気で謝るしかねえなって思って、えーと結局何が言いたいかっつーと………」

固法「……………」





垣根「とにかく、ゴメン!!」



固法「…………顔を、上げて?」

垣根「!」

332 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/31(火) 00:02:12.06 ID:ZxI+UtJH0

固法「…私も些細なことで感情的になりすぎたわ。こちらこそ、ごめんなさい」

垣根「い、いや、謝んないでくれよ!悪ぃのはこっちなんだからよ」

固法「でも、そもそも私が変なこと言ったから…」

垣根「それ言い出したら、そもそもの発端は打ち止めちゃんってことになるじゃねえか」

固法「……じゃあ、お互い様、かしら?」

垣根「そう、なるのか………?」

固法「じゃあこの話はおしまい!ね?」

垣根「………そうだな。あ、それとこれ」スッ

固法「コレは……ケーキ?」

垣根「せめてもの詫びにと思って持ってきたんだが…同居人ってやつと食べてくれ」

固法「ええ、ありがとう」

333 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/31(火) 00:03:17.58 ID:ZxI+UtJH0

垣根「じゃあ、そういうことで」




固法「垣根さん」

垣根「ん?」


固法「今度の日曜、楽しみにしてますから」


垣根「ああ…………オレもだよ、固法」

固法「!う、うん……おやすみなさい」

垣根「ああ、おやすみ」ヒラヒラ
334 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/31(火) 00:06:39.12 ID:ZxI+UtJH0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

※補足という名の言い訳
・小萌先生は結標の事情をなんとなく知ってます。
・もちろん教師なので垣根が第2位だということも知ってます。

ちなみにこれでようやく半分くらいです。
5月中には終わらせたかったんだけどな…
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 05:35:28.98 ID:PJA7Maabo
乙 さすがは小萌先生やでえ
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 07:32:57.97 ID:skQjSbwuo
乙です
幼児先生流石です
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 20:26:31.06 ID:UOJ2Kc5IO
>>1
また楽しみなスレを見つけてしまった
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/01(水) 20:22:05.72 ID:vr1f+qvmo
さすがの合法ロリ
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/06/02(木) 21:29:07.22 ID:vDPhHMDZ0
1です。期待通りのレスばかりで非常に嬉しいです。

投下の前に前回の誤字の修正です。

誤:垣根「でもオレの行ったことでアンタを傷つけたっていうのは何となくわかって…」
正:垣根「でもオレの言ったことでアンタを傷つけたっていうのは何となくわかって…」

すみませんでした。
340 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:31:24.40 ID:vDPhHMDZ0
そういえば碧美さんの紹介をしてなかったのでここで投下しておきます。


柳迫碧美(16)……固法のルームメイトで同じ学校に通っている。固法の恋路を面白がりながらも応援している。
ややミーハーだが固法のことを親友としてとても大事に思っている。
「美偉がかわいすぎていきるのがつらい」とは本人の談。
固法と同じく風紀委員……なのだが仕事をしているところを誰も見たことがない。

では、次から本当にスタートです。
341 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:32:22.08 ID:vDPhHMDZ0

-----------------------------------------------------------------------

固法「ただいま」

柳迫「おかえりー。あ、何その箱?ケーキ?」

固法「うん、垣根さんがお詫びにってくれたの。同居人と一緒に食べろって」

柳迫「え!私の分も?やったー!さすがイケメン、気が利くじゃない!」

固法「別に顔は関係ないと思うけど…」

柳迫「早速食べよう!美偉、お皿とフォーク出して!」

固法「だーめ。まだ晩御飯食べてないでしょ。すぐ作るから、これは食後のデザート」

柳迫「えー、美偉のいけずー」ブーブー

固法「ぶーたれてもダメなものはダメ」

柳迫「ちっ、融通がきかないんだから、このデカチチ女」ボソッ

固法「……いらないのね、夕飯?」

柳迫「ごめんなさい」



342 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:33:12.92 ID:vDPhHMDZ0

-----------------------------------------------------------------------
   1時間後


固法「……で、人を呼び出したかと思ったらいきなり頭下げてきてね」

柳迫「………」モグモグ

固法「それを見て『ああ、この人はこういう人なんだ』なんて思ったりしてね」

固法「そうしたらいつまでもつまらない意地張ってるのがバカらしくなっちゃって」

柳迫「……………」モグモグ

食事を終え、固法は垣根からもらったチーズケーキをつつきながら
先ほどの一部始終を話していた。
柳迫は柳迫で、ガトーショコラをほおばりながら黙って固法の話に耳を傾ける。

固法「それに、私のことを考えてくれてるのが分かったから、許してあげてもいいかなって」

柳迫「……………………」モグモグ

固法「あとね、今度の日曜楽しみにしてますって言ったら垣根さんも『オレもだよ』って言ってくれて…」

柳迫「………ねえ」

固法「うん?」

柳迫はそこで初めて口をはさみ、





柳迫「好きなの?垣根さんのこと」

固法「ッッッ!!!」ゲホゲホ

核心を突く一言を放った。

343 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:34:33.43 ID:vDPhHMDZ0

柳迫「あーもーせきこまないでよ」

固法「碧美がヘンなこと言うからでしょ!?」

柳迫「違うの?」

固法「違うわよ!前にも言ったけど、あの人はそんなんじゃ…」

柳迫「じゃあ嫌いなの?」

固法「好きとか嫌いとか、そうやって簡単に割り切れるものじゃないでしょ?」

柳迫「……さっきの話に戻るけどさ、どうしてあんなに怒ってたの?」

固法「それは………」

柳迫「本当に友達だと思ってるならさ、恋人なんかじゃないって否定されても腹を立てることないでしょ?」

固法「それはそうだけど……」

柳迫「でも美偉はちがったじゃない。それは垣根さんを『男』として意識してるからじゃないの?」

固法「…………」

柳迫はわざと意地の悪い言い方で固法を問い詰める。
そうすることが、この親友には必要だと思ったから。

―――今ごまかしてしまったら、この子はもう前には進めない。

そして柳迫は、最後の一手を打つ。




柳迫「……まだ『あの人』、……黒妻さんのこと気にしてるの?」

固法「!!!」

344 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:35:31.04 ID:vDPhHMDZ0

黒妻綿流(くろづま わたる)。
かつて第10学区を中心に活動していたスキルアウト『ビッグスパイダー』を束ねていた男であり、
固法が想いを寄せていた男でもある。
しかし彼は今、学園都市にはいない。
彼のチーム『ビッグスパイダー』が起こした事件の責任を取り、風紀委員に自首したのだ。
そして彼を逮捕したのは、ほかでもない固法であった。



柳迫「まだ黒妻さんのこと忘れられないの?」

固法「………」


柳迫「垣根さんが超能力者だから?黒妻さんに義理立てでもしてるつもり?」


固法「………めて」


柳迫「垣根さんを好きになることに罪悪感でも感じてるの?黒妻さんを否定することになるから?」


固法「やめて………」


柳迫「それとも垣根さんを黒妻さんに重ねてるだけなの?だから認めたくないの?」

柳迫は容赦なく辛らつな言葉をぶつける。
そして、




固法「やめてよ!!!」




固法は耐えかねたように声を張り上げた。


柳迫「………」



固法「……そうよ」



固法「私は垣根さんのことが、好きよ」



345 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:36:22.65 ID:vDPhHMDZ0

固法「気がつけば垣根さんのことばかり考えてる。垣根さんの存在が自分の中でどんどん大きくなるのが分かる」


いつからなのか、固法にも分からない。
だが気がついたときには、あの青年は固法の心の多くを占めていた。

たとえば、その不器用な優しさが、
たとえば、子どものように無邪気な笑顔が、
たとえば、不意に見せる憂いを秘めた横顔が、
固法の心から離れない。



しかし―――――――――――


固法「でも………私の中には……まだ、黒妻先輩が………いる…」

柳迫「………」


固法「わかってるのに……忘れなきゃ、前を向かなきゃって思ってるのに………
   先輩を忘れたくないって思ってる自分がいるの。
   今の私があるのは、先輩のおかげだから…………」


固法のクローゼットには、赤い革のライダースジャケットが眠っている。
いつも黒のライダースジャケットを羽織っていた黒妻と揃いで仕立てたものである。
そのジャケットは、彼と固法を結ぶ最後の絆でもあった。


固法「だけど……そんな中途半端な、気持ちで、垣根さんに、向きあうことなんて…できない…」ポロポロ


固法「向き合うのが…………怖い………」ボロボロ


346 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:37:40.74 ID:vDPhHMDZ0

いつの間にか、固法は泣いていた。
その涙が未練を捨てられない自分への不甲斐なさからくるのか、
または垣根に対する申し訳なさからくるのか、
固法自身にも分からない。

レベルが伸びずふさぎこんでいた固法に居場所を提供し、
道を示してくれた黒妻の存在は、
固法にとってあまりにも大きすぎた。


そして彼女は今、黒妻への想いの化石にとらわれている。




まるで、主を失った蜘蛛の巣に絡めとられた蝶のように。




柳迫「………私は、違うと思うな」

固法「……え……?」

ぽつぽつと、涙と共に言葉を絞り出す固法を見ていた柳迫は、
固法が語り終えるのを待って、こう切り出した。

347 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:39:19.31 ID:vDPhHMDZ0

柳迫「確かにさ、黒妻さんは美偉の殻をこわしてくれた、恩人だと思うよ」

固法「………」

柳迫「だけど、ううん、だからこそ、今の美偉が自分に縛られることを喜ばないと思うの」

固法「……う……」ポロッ

柳迫「何も全部忘れる必要なんてないじゃない。
   そりゃあ、いつかは気持にも整理をつけなきゃいけないだろうけど、思い出まで捨てる必要はないでしょ?
   それは、美偉が美偉であるために必要なものなんだから」

固法「…う………っく、うう……」ポロポロ



柳迫「預かってるあのバイク突っ返すときにさ、
アンタよりいい男捕まえてやったぞって自慢してやればいいのよ」ニコッ


固法「うう、うわああああああああああああん!ああああああああああああ……………」ボロボロ

柳迫「おー泣け泣け、私の胸でよければいくらでも貸してやる」ナデナデ

固法は堰を切ったように声を上げて泣き始めた。
柳迫の胸に顔をうずめ、いつまでもいつまでも、まるで子どものように泣き続けた。

きっと固法も気づいていたのだろう。
今の自分が、黒妻が導いた世界にとらわれていることに。
そして当の黒妻自身、それを望んではいないだろうということに。
黒妻はいつも言っていた。
「お前のいるべき場所は『ココ』ではない」と。
黒妻を逮捕し、ふっ切ったつもりでいても、
固法はまだ狭い世界に閉じこもったままだったのだ。

そして今、やっと彼女の前に現れた。
いつまでも固法の心にうごめく想いの亡骸を撃ち抜く、
金髪で長身の魔弾の射手が。


――――ちょっとヘタレみたいだけど、ね。

柳迫は固法の頭をなでながら、そんなことを思った。



348 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:40:24.01 ID:vDPhHMDZ0

-----------------------------------------------------------------------

柳迫「……落ち着いた?」

固法「…グスン」コクン

柳迫「よし、それでは早速作戦会議に移ります!」

固法「…作戦?」

柳迫「決まってるでしょ?垣根帝督攻略大作戦よ!」

固法「こここ、攻略!?」

柳迫「そうよ!美偉の話を聞く限り相当なヘタレ……もとい、鈍感ヤローみたいだしね!
   もっとこう、ガッと行かないといつまでたっても気づいてもらえないわよ!」

固法「というか単に、脈がないだけなんじゃ………」ショボーン

柳迫「もう!どうしてアンタって子はそんなに自己評価が低いのかしら?
   美偉がちょっと本気だせば落ちない男なんてホモかロリコンぐらいなものよ!」

固法「まさか……私、そんなに魅力ないし…」

柳迫「何言ってんの!顔よし、スタイルよし、性格は……まあちょっとキツイけど、
   むしろそれがいい!我々の業界ではご褒美です!!」

固法「………キツイ?」

柳迫「おまけに料理上手で眼鏡っ子!ああもう言ってる内に他の男に渡すのが何かもったいなくなってきた!
   やっぱり美偉は私がもらう!!」ムギュ

固法「碧美!?ちょっと、抱きつかないで……やだ、どこ触ってるの!!?」


………! ……!? …………!! ……… ‥ ‥ ‥  ‥  ‥


349 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:41:28.89 ID:vDPhHMDZ0

柳迫「っつー………」ヒリヒリ

固法「調子に乗るからよ!!」プンプン

柳迫「………でもね」

固法「?」


柳迫「垣根さんも、美偉のこと意識してるのは、ホントだと思うな」

固法「……え?」


柳迫「だってさぁ、いくら女の子だからって『ただの友達』に道端でばったり会って、家まで送ろうなんて普通言う?」

固法「それは…垣根さんは優しいから……」

柳迫「じゃあ、何とも思ってない娘とケンカして、わざわざケーキ持って謝りに来る?」

固法「………」

柳迫「『今度の日曜、楽しみにしてます』なんて言われて、
   『オレもだよ、固法。愛してるぜ』なんて言うと本気で思うの!?」

固法「あ、愛してるなんて言われてないわよ!」

柳迫「言われたも同然よそんなもん。副音声よ、副音声」

固法「意味が分からない!あとさっきの声マネそんなに似てないからね!?」

柳迫「で、作戦会議に戻るけど」

固法「話をそらさないで!」

柳迫「何言ってんの、むしろ本題でしょ?
   まずはやっぱり何を着ていくかっていうのが重要よね」

固法「…この間は手伝ってくれなかったくせに」

柳迫「あのときはこんなにおもしろ……重要なことになるなんて思わなかったからね〜」

固法「おもしろ?」

柳迫「やっぱり前回のデートで買ってきた服がいいかなー。直接ほめられたわけだし。
   それにこのキュロットを合わせて……」

固法「ごまかさないで!」


350 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:43:02.11 ID:vDPhHMDZ0

-----------------------------------------------------------------------

    20:45  垣根のマンション

垣根「……ああ、何とか機嫌直してもらったわ。」

垣根「……色々とありがとな、上条。…あ!?気持ち悪ぃって何だテメエ!」

垣根「……あ、あと小萌先生にもお世話になりましたって伝えといてくれ。
   今度菓子折り持って礼に行くからって。…あ?いや、そんなワケにも………
   …そうか、分かった」

垣根「……ん、じゃあまたな」

ピッ

垣根「………」

垣根「よかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

垣根(よかった…マジで許してもらえてホントによかった)

垣根(念のために持って行ったケーキも喜んでたみてえだしよ)

垣根(何持っていけばいいのかわかんねえからとりあえずケーキにしちまったが…)

垣根(まあ甘いモンが嫌いな女はいねえよな。シスターちゃんと打ち止めちゃんしか知らんけど)

垣根(今度の日曜も甘いモン食いに行くわけだし)




垣根(そういえばアイツの好きなものって何だ?)




垣根(まぁ………服は好きみてえだったな、この間のアレから察するに)

垣根(他に何か好きなもんとかあんのか?)

垣根(………オレ何にも知らねえんだな、アイツのこと)



垣根「………もっと知りてえな、アイツのこと」


垣根(……え)


垣根(何でオレ、こんなこっぱずかしいこと口走ってんの!!?)


垣根「………ワケわかんねえ………」



351 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/02(木) 21:44:34.51 ID:vDPhHMDZ0
以上です。
読んでくださってありがとうございます。
今回は更新が遅れてしまい、申し訳ありません。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/06/02(木) 22:31:06.98 ID:YNbieVYAO
オレが恋愛でいちばん一生懸命だった頃を思い出した。
マジで好きな人ができると世界が変わるよね。
続きが楽しみです。本当にありがとうございます。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/02(木) 22:31:08.25 ID:4jCbgImao
乙、デート期待してるお
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/02(木) 23:29:16.59 ID:ryj7cNPn0
菓子折りってていとくん、義理堅いなwwwwww
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/06/04(土) 00:29:25.47 ID:JxzZyj1t0
1です。
昨日は初恋の人の誕生日でした。

では今日の分投下していきます。
356 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:30:59.57 ID:JxzZyj1t0

   日曜日  11:42 第13学区 時計台公園

垣根(さっみ〜〜〜)

垣根(さすがに早すぎたか)

垣根(だが昨日はあんまり眠れなかったしな)

垣根(さすがにまだ来ねえだろうが……)



固法「おはよう、垣根さん」

垣根「お、おお、早ぇな」

固法「垣根さんこそ。いつから待ってたの?」

垣根「別に待ってねえよ。今来たところだ」

固法「ウソばっかり」クスッ

垣根「……男はカッコつけたがる生き物なんだよ」

固法「それ、前も聞いたわ」

垣根「そうだっけか?………その服、この間買ったやつか?」

固法「これ?そうよ………やっぱり、似合ってない?」

垣根「いや……かわいいじゃん」

固法「!そ、そう……」


垣根(あ、あれ?俯いちまったぞ…!また地雷踏んじまったかオレ!?)


固法(人の気も知らないで……そういうこと言うんだから!)


357 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:31:58.50 ID:JxzZyj1t0

垣根「そ、そういや今日も冷えるな!」

固法「そ、そうね!もう完全に冬って感じね!
   あ、そうそう、これこの間お借りしたストール。ちゃんと洗っておいたから」

垣根「お、おお、わざわざ悪ぃな」

固法「いえ…じゃあ、行きましょうか」

垣根「ああ。その行きたい店ってのはどこにあるんだ?」

固法「ここからちょっと歩いた大通り沿いにあるの。大体15分くらいかしら……」



一方「………行ったか。よし、追うぞ三下ァ」

上条「やっぱりまずいんじゃないのか?尾行なんて。バレたらタダじゃ済まないんじゃ……」

一方「バァカ。こんな面白ェことほっとくなンざあり得ねェだろォが」

上条「面白いねえ……確かにこの数日アホみたいに機嫌がよかったよな」

一方「大体よォ、家のカレンダーに待ち合わせ場所と時間をあンだけデカデカと書き込むなンざ
   尾行してくれと言ってるようなモンだろォが」

上条「手帳盗み見るまでもなかったからなあ」

一方「なンだかンだ言ってテメェも結構ノッてるじゃねェか」

上条「あ、バレた?」シレッ

一方「チッ…まァいい。……おっと、グズグズしてたら見失っちまう。行くぞ三下ァ」コソコソ

上条「イエッサー」コソコソ


358 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:32:59.32 ID:JxzZyj1t0

   11:55  喫茶『Freedom』

垣根「………ここか?」

固法「そう!学校の子たちの間で流行っててね、素材にこだわったメニューが人気で…」

垣根「いや、それはいいんだが…………」


キャッキャッ  ウフフ


垣根「……何でカップルしかいねえの?」

固法「そっ、それは………多分アレのせい、じゃないかしら…………」スッ

垣根「あぁん?」


   休日限定!カップル限定サービスメニュー!!
   ただいまカップルでご来店いただいたお客様限定で、
   マスター特製スイーツをご提供しております!
   1日限定50食!お早めにどうぞ!!



垣根「…………なるほど」

固法「ち、違うの!友達からはこんなこと一言も聞いてなくて、私も何がなんだか…」

垣根「ふーん……」

固法「うう……イヤなら別のお店にする……?」


垣根「何言ってんだ」


固法「え?」

359 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:35:16.02 ID:JxzZyj1t0

垣根「言っただろ?今日は固法の行きたいところに付き合うってよ」

固法「でも………」

垣根「大丈夫だって。こういうのは堂々としてりゃいいんだよ。ホラ、行くぞ」

固法「う、うん……」


店員「いらっしゃいませー♪2名様ですね?こちらのお席にどうぞー♪」

店員「こちらお冷になりまーす♪」コト


垣根「おー見渡す限りホントにカップルしかいねえな」キョロキョロ

固法「そ、そうね………」ソワソワ

垣根「ん?どした?」グビッ



固法「私たちも……こ、恋人同士に見えるのかしら?」

垣根「っ!!!」ゲホゲホ

固法「だ、大丈夫!?」

垣根「あ、ああ」フキフキ


垣根(ハイ来た!来たよコレ!半端ねえ地雷臭のする質問が!)

垣根(ここミスったらこの前の二の舞だ!上手いこと考えて答えねえとな…)

360 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:36:21.62 ID:JxzZyj1t0

垣根「……そ、そうだな。まあこんだけ店の中にいたら客観的に見て、見えないことはねえんじゃねえ…か?」

固法「そう、かしら………」


垣根(うおーーーーーーーーーーーーい!また俯いちまったぞ!ミスった?またミスったかコレ!?)


固法(私ったら何訊いてるの!?こんなこといったら垣根さんが困るに決まってるじゃない!)


柳迫『もっとこう、ガッと行かないといつまでたっても気づいてもらえないわよ!』


固法(!)

固法(碧美……)

固法(よ、ようし……!)



店員「ご注文はお決まりですかー?」

固法「あ、はい!えーと…マルガリータピザとイチゴのタルト、あとムサシノ牛乳を一つ。垣根さんは?」

垣根「たらこスパとエスプレッソ」

固法「じゃあ、以上で」


店員「ただいまカップルでご来店のお客様限定で特製スイーツをご提供しておりますが、いかがですかー?」





固法「じゃあ、それ一つ」

垣根「!?」ガタッ

店員「かしこまりましたー♪少々お待ちくださーい♪」スタスタ


361 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:37:10.65 ID:JxzZyj1t0

垣根「お、オイ、固法?」

固法「なぁに?」

垣根「イヤ、なぁに?じゃねえだろ!どういうことださっきのは!」

固法「あら、堂々としてればいいって言ったのは垣根さんよ?」

垣根「そりゃそうだけどよ……」

固法「それに今日は私に付き合ってくれるんでしょ?」

垣根「いや、それとこれとは………」

固法「…………そんなに、イヤ?」

垣根「ウグッ……!わ、分かったよ。好きにしろ」

固法「ええ、そうさせてもらうわ」ルンルン



垣根(くそっ、なんだコイツ!さっきまでと全然態度が違うじゃねえか!)







固法(ははははは、恥ずかしい!穴があったら入りたい!!)


362 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:38:01.87 ID:JxzZyj1t0
店員「お待たせしましたー♪ピッツァ・マルゲリータとたらこスパゲッティ、
   そしてこちらがムサシノ牛乳でーす♪」コトコトッ

固法「あ、はい、どうも」

垣根「じゃ、食おうぜ」

垣根固法「「いただきます」」

カチャカチャ  モグモグ  オータラコウメー

垣根「………さっきも思ったんだけどよ」クルクル

固法「うん?」

垣根「牛乳好きなのか?」モグモグ

固法「牛乳?ええ、割と」

垣根「ふーん。この間フードコートでも牛乳頼んでただろ?だからよ、好きなのかなーって」

固法「そうね、牛乳全般好きだけど……一番好きなのはやっぱりこのムサシノ牛乳かしら」

垣根「へぇ……でもそんなに違うもんなのか?結局は同じ牛乳だろ?」


固法「全然違うわ!のどごし、コク、そして飲みやすさ、どれをとってもムサシノ牛乳が一番よ!」

垣根「そ、そうか……悪い」

固法「はっ……!ご、ごめんなさい!大きな声だして……」

垣根「いや……アンタもそんな声出すんだな」クスッ

固法「あ……」

垣根「ん?どうした?」

固法「いえ…笑ってくれたの、初めて会ったとき以来だなぁって思って」

垣根「そうだっけか?」

363 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:39:14.73 ID:JxzZyj1t0

固法「そうよ。垣根さん、私といるときはそっけないか焦ってるかのどちらかなんだもの」

垣根「そっ、それはだな!」

固法「ほら」

垣根「ぐっ……!」



固法「………やっぱり私といても、楽しくない?」





垣根「ンなワケねえだろ!」


固法「……え?」



垣根「あっ、いや……オレ、こういうの慣れてなくてよ、どんなこと話せばいいのかとか全然わかんなくて…」


垣根「この間もアンタを怒らせちまったし、どうすれば喜ぶのか、
   とか色々考えるんだけどアンタのこと何も知らなくて…」


垣根「えーと、なんというか、つまりだな……」


固法「………つまり?」





垣根「あ、アンタのことが一個わかって、その…………うれしい」カァァァ

固法「!!!!!」


垣根(ななななな何を言ってんだバカかオレは!!)


固法(か、垣根さんの赤くなった顔……か、かわいい……!何アレ!反則よ!)

固法(というか、私のことがわかってうれしいって……!!)カァァ


垣根(ほら見ろ!相手ドン引きじゃねえか!!)

364 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:40:02.64 ID:JxzZyj1t0

垣根「はは、答えになってねえよな。悪い、聞かなかったことにしてくれ」

固法「へ?」


垣根(いや!これでごまかすのは無理だろ!)

固法(無理!無理に決まってるじゃない!)




一方「あァン?どォなってンだありゃァ?」デバガメ

上条「何か知らないけど二人とも俯いちまったな。心なしか顔が赤いような」デバガメ

一方「クカカカカカカ!ますます面白くなってきたじゃねェか」ゴソゴソ

上条「…ていうかお前ヅラまで用意してんの?」

一方「おォ。オレの場合マスクとグラサンで顔は隠せても髪でバレちまうからよォ。
   例の医者から医療用のウィッグをなァ。尾行と言えば変装だろォ?」

上条「…お前って意外に形から入る派なんだな」

一方「そンな褒めンなってェ」テレテレ

上条「………まあ楽しいならいいや」

上条(ジャケットとかその他諸々が白すぎて意味がないってことは黙っとこう。
   上条さんまだ死にたくないし)


365 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:41:13.40 ID:JxzZyj1t0

店員「お待たせしましたー♪こちらエスプレッソとイチゴのタルト、そしてこちら限定スイーツでーす♪」コトッ


        パチチチチチチチチチ
              ▲▼▲▼
             ■     ▼       /::
            ■      ▼▲▼▲☆<::
        ■■■■■■          \::
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    ●●●●●●●●●●
      ●●●●●●●



固法「……これは?」

垣根「………花火だな。線香花火」

固法「というか、この黒くて丸い独特の形………」

垣根「ああ、爆弾だな。しかもかなり懐かしい感じの」


店員「こちら当店のマスター渾身の力作『リア充爆発しろ!ガトーショコラ』でーす♪
   以上でご注文お揃いでしょうか?」

固法「は、はい」

店員「かしこまりましたー♪ごゆっくりどうぞー♪」スタスタ

366 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:42:39.10 ID:JxzZyj1t0


垣根(どんな顔して作ったんだろうな、このケーキ)


固法「あの、垣根さん」オズオズ

垣根「あん?」

固法「その、『リアジュウ』って、何?」

垣根「ああ、リア充ってのは『リアルが充実してるやつ』の略で、色々定義はあるんだが一般的には……あ」

固法「一般的には?」


垣根「こ、恋人のいるやつのことを指す、らしい」

固法「こっ……!」

垣根「こんなもんまで作って、ここんちのマスターってヤツはよっぽどカップルが嫌いなんだなあ!
   あ、ちょっともらっていいか?タルトも食ってこれもってのはキツイだろ?」

固法「え!ええ、どうぞどうぞ!」



一方「オイ、どォなってやがる」

上条「ウーン、なんか……爆弾が運ばれてきた」

一方「………本気で言ってんのか?」イラッ

上条「ホントだって!自分で見てみろよ!」ホラ

一方「どれェ…………マジで爆弾だな」

上条「だろ?」

一方「オイ、アイツらあの爆弾食い始めたぞ」

上条「マジで?……ホントだ。爆弾って食えるんだな」

一方「ツッコむトコ違うンじゃねェ?」

上条「さすがに冗談だよ」

367 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/04(土) 00:43:39.05 ID:JxzZyj1t0
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

店員の口調が若干イラッとするのは仕様です。
368 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/04(土) 00:54:00.73 ID:JxzZyj1t0
あ、やべ。早速誤字発見です。

>>366
誤:一方「………本気で言ってんのか?」
正:一方「………本気で言ってンのか?」

無くならないなあ、誤字
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/04(土) 02:24:38.40 ID:3FEs62pP0
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/04(土) 06:43:47.27 ID:U5P0xHl5o
面白いな。乙
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/04(土) 09:07:38.72 ID:oabU8a71o
乙!
爆弾は本物でもよかったなww
372 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:44:01.14 ID:ecUnbd9t0
1です。こんばんわ。
この土日軽くスランプ状態でした。
更新が遅れてすみません。
では今回の分投下します。
373 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:45:36.17 ID:ecUnbd9t0
-----------------------------------------------------------------------

垣根「ふう、うまかった」ズズー

固法「本当?」

垣根「ああ」

固法「よかった、喜んでもらえて」

垣根「あの爆弾ケーキも見た目の割にフツーに食えたし。結局どうやって作ったのかはわかんねえけど」

固法「生地を球形にするのって相当難しいわよね……」

垣根「その生地をどう焼いたら生焼けにならずに済むのかも疑問だぜ」

固法「学園都市の技術なのかしら…?」

垣根「ありうるな。こないだモヤシが『炊飯器でどうやってジェラート作るンだ?』って意味わかんねえことほざいてたし」

固法「炊飯器でジェラート!?」

垣根「ああ。アイツの家主が作ったらしいぜ?」

固法「そんなバカな……」

垣根「アイツも同じこと思ったらしいぜ。実物を食った後に」

固法「……つくづく不気味な街ね」

垣根「ハッ、違ぇねえ………そろそろ出るか」

固法「そうね」


374 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:46:38.91 ID:ecUnbd9t0
-----------------------------------------------------------------------

固法「はぁーおいしかった!」マンゾク

垣根「でもワリカンでよかったのか?」

固法「今日は私が誘ったんだし、それにこの間もごちそうしてもらったのに
   今日も払ってもらったら申し訳ないわ」

垣根「かーっ、ホント真面目だなアンタ。長点上機の連中といい勝負だぜ」

固法「褒め言葉として受け取っておくわ」

垣根「そーかい。まあアンタがいいならそれでいいけど……しかしサ店のケーキってあんなに高いモンなんだな
   普段行かねえから知らなかったぜ」

固法「そうね、あのお店は特に素材にこだわってるらしいからその分さらにコストがかかるのかも」

垣根「でもよぉ、どうせならたくさん食いてえモンなんじゃねえのか?ホラ、ケーキバイキングとかあるだろ」

固法「中学生くらいのころはそうだったけど、今は甘いものでお腹いっぱいっていうのはちょっとね……
   それよりも少しでいいからおいしいものを食べる方がいいわ」

垣根「そんなもんか」

固法「それに………」

垣根「あん?」

固法「その………油断してると、すぐ……」チラッ

垣根「………あぁー、わかった、何となく」

375 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:47:16.01 ID:ecUnbd9t0

固法「うう……」カァァ

垣根「まぁ、気にするなとは言わねえよ。女は色々あるよな」

固法「最近ホントに食べたら食べた分だけ………そういえば垣根さんってあんまり贅肉付いてないわね」

垣根「ああ、オレ贅肉つかねえ体質なんだよ。食いすぎても大体三日で元に戻るし」

固法「………………………うらめしい」ゴゴゴ

垣根「うらやましいじゃなくてか!?」

固法「運動しなきゃ……今日のカロリー消費しなきゃ……」ハァ




垣根「……じゃあ、運動しにいくか?」

固法「ふええ!!?」

垣根「たしか13学区に一軒……」ケンサク

固法(ううう、運動ってどういうこと!?…まさか!?)

垣根「……あった。向こうだな、行くぞ。いやー久しぶりだ」

固法(久しぶり!!??)

垣根「オーイ、早く来ないと置いてくぜ」スタスタ

固法「ちょっと待って!まだ心の準備が…」

垣根「はぁ?何言ってんだ?」

固法「へ?」




-----------------------------------------------------------------------

垣根「ナメんなゴルアアアアアアアア!!!!」ブンッ!

カッキーーーーーーーーン

固法「……こういうこと、ね」


   12:48  13学区  バッティングセンター

376 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:48:18.61 ID:ecUnbd9t0

垣根「あークソ、いいところまで飛んだんだがツーベースか」

固法「………楽しそうね」

垣根「おー、バッティングセンター久しぶりだからな。しかもココは
   世にも珍しいジャイロボールが打てるバッティングセンターで………」


固法(はぁ………私だけドキドキして、バカみたい……)

固法(って私ったら何でガッカリしてるのよ!)


垣根「…オイ、聞いてんのか?」

固法「へ?あ、な、何?」

垣根「いや、何じゃなくて。やってみるか?カロリー消費するんだろ?」

固法「いえ、私は……やったことないし」

垣根「簡単だって。ボール来たらバット振って当てりゃいいんだよ」

固法「でも……」

垣根「アンタ透視能力者だろ?球の回転が見えるなら楽勝だって。
   それにストレス解消に最高だぞ?」

固法(ストレス解消………)

固法「…わかった。やってみるわ」

垣根「そうそう来なくっちゃな。スピードは80km/hくらいまで下げりゃいいか?」ピッピッ

固法「そのままで結構よ」

垣根「え?でもそのままって140km/h……」

固法「いいから」

垣根「わ、分かった」ピッ

377 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:49:09.78 ID:ecUnbd9t0

ガシャン ヴィーン


固法(垣根さんの…………)ギュッ

ビュンッ!

固法「バカァーーーーーー!!!」ブォン!

カッキーーーーー………ン

テレレレッテレー!


垣根「ホームランだと!?」

固法「……いい」

垣根「あ?」

固法「気持ちいい!これすっごく楽しいわ!」

垣根「そ、そうか。よかったな」

固法「ねぇ、もっとやっていい?」

垣根「ああ、もちろん……」

固法「ようし……えい!」ブンッ!

カッキーーーーーーン!

垣根「コレはまたいいとこ飛ぶなオイ……」

固法「垣根さん!上着預かってて!何だか暑くなってきちゃった」ポイッ

垣根「お、オイ!おっと」バサッ

固法「………せいやっ!」ブンッ!


タユンタユン


垣根「ぶっ!!」

378 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:50:18.65 ID:ecUnbd9t0

固法「……えい!」ブンッ


ブルンブルン


垣根「グハッ!!」


垣根(や、ヤベェ……!!前から思ってたけど、アイツやっぱ……デケェ!!)


固法「……ふんっ!」ポヨンポヨン

垣根「も、もうやめろ………」



上条「さすがにコレは……フンッ!…バレるんじゃないか?」ブンッ!

一方「大丈夫だってェ」モグモグ

上条「だってココ……フンッ!アイツらの隣りの隣りだぞ?」ブンッ!

一方「尾行ってのはなァ、中途半端に距離を取るより思い切って近づいた方がバレねェンだよ」モグモグ

上条「へぇ、それも……フンッ!昔の経験か?」ブオン!

一方「いや、この間見た刑事ドラマでやってた」モグモグ

上条「あっそう……ところでさっきから何食ってんだ?」

一方「バァカ。尾行と言えばアンパンと牛乳だろォが」ゴキュゴキュ

上条「どっちかっていうと張り込みじゃねえのか?」

一方「似たようなモンだろォが」モグモグ

上条「お前に刑事ドラマを語る資格はない!!」

379 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 20:51:20.02 ID:ecUnbd9t0

-----------------------------------------------------------------------

   13:15  第13学区  路上

固法「楽しかったー!連れてきてくれてありがとう、垣根さん」

垣根「いえ、こちらこそ………」

固法「?」

垣根「な、何でもねえ!」ブンブン

固法「そう……」

垣根「それより、ちゃんとカロリー消費出来たか?」

固法「ええ、それどころか汗かいちゃったみたい」バサバサ

垣根「!」


垣根(それはマズい!服バサバサはマズい!汗がうっすら浮いた首筋とか谷間とか色々けしからんことになってる!!)


垣根「ああそうだ!こんなクソ寒いなかで汗そのままにしてたら風邪ひいちまうよな!
   ちょっと待ってろ!コンビニでタオル買ってくる!」ダッシュ!

固法「え?ちょっと……」

380 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/06(月) 20:54:05.98 ID:ecUnbd9t0
ご飯食べてきます
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/06(月) 21:02:04.26 ID:oN04P6Uj0
舞ってるよ
382 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/06(月) 21:37:04.97 ID:ecUnbd9t0
お待たせしました。投下再開します。
383 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:39:55.55 ID:ecUnbd9t0

垣根「ついでに何か飲み物買ってくるから!そこ動くなよ!………」ダダダ…


固法「………行っちゃった」


固法(垣根さん………今日は何だかいつもと違うよね)

固法(優しいのは一緒だけど……何というか……)

固法(……かわいい?)

固法(と、年上の男の人にかわいいなんて失礼よね!)

固法(でも……)




垣根『あ、アンタのことが一個わかって、その…………うれしい』




固法(……だめ、思い出しただけでこっちがドキドキしてきたわ)




固法(……ズルイなぁ)

384 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:41:21.74 ID:ecUnbd9t0

固法(私だけ垣根さんのことどんどん好きになっていく)

固法(垣根さんは、私のことどう思ってるのかな?)

固法(碧美は垣根さんも私のこと意識してる、っていうけど……とてもそんな感じには見えないよね)

固法(喫茶店のときだって、うまいことはぐらかされてたし)

固法(………やっぱり、私じゃダメ、なのかな)






垣根「ホラ」ピト

固法「ひああああああ!?」ビクゥ!

垣根「わ、悪ぃ。そんなに驚くとは思わなくてよ」

固法「か、垣根さん!」

385 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:42:27.33 ID:ecUnbd9t0

垣根「これ、タオル買ってきたぞ」ホレ

固法「どうも…」

垣根「それとこれ、あのナントカ牛乳もあったけど、このクソ寒いなか
そんなモン飲んだら腹こわすからな。ホットレモネードだ」

固法「……あ、ありがとう」

垣根「礼には及ばねえさ。体冷やしちゃまずいだろ?」



ヒソヒソ……

アノヒト? ソウソウ……

固法(……こっちを見てる?)



ギャルA「ホラ、あそこの金髪の人!超イケメンじゃない?」

ギャルB「ホントだ!…あれ、隣にいる眼鏡の女の人、彼女かな?」

ギャルA「そんなワケないじゃーん!あんな地味な子!」



固法「!!」



386 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:43:18.17 ID:ecUnbd9t0

ギャルB「だよねー。全然タイプ違うし。釣り合ってないっていうか?」

ギャルA「言えてるー!あ、例のお店向こうだっけ?……」スタスタ



固法「………………」




固法(そっか……他の人にもそう見えるんだ……)




固法(そうだよね………私なんか……)ジワ













垣根「言わせとけ」



固法「………え?」


387 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:44:32.29 ID:ecUnbd9t0

垣根「ハッ、アイツらがアンタの何を知ってるっつーんだよ」


固法「…………?」




垣根「そりゃ、俺だって付き合いが長いワケじゃねえけどよ、それでもアンタのいいとこ知ってるぜ」


固法「………」




垣根「ドがつくほどマジメなとことか、すっげえ優しいとことか、
   普段は割とキレイ系なのに笑った顔は意外にかわいいとことかさ……」


固法「……………」




垣根「そんなことも知らねえ連中の戯れ言なんざほっときゃいいんだよ」

固法「……………………う」

388 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:46:01.31 ID:ecUnbd9t0










垣根「……そんな奴らに固法を否定する資格なんざありゃしねえ」








389 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:47:55.16 ID:ecUnbd9t0



固法「…っく、うううううううううううう!」ポロポロ

垣根「!!??」



固法(――――どうしてこの人は)



垣根「ど、どうした!?またオレ何か気に障ること言ったか!!?」

固法「うううううううう……」



固法(こんなに鈍感なくせに)



垣根「悪い、泣かすつもりはなかったんだ!ただアンタが下らねえこと気にしてるみてえだから元気づけようと…………」

固法「うううううう………」



固法(こんなときに限って)



垣根「あっ、下らねえってのはそういう意味じゃなくて!えーとつまり何が言いてえかっつーとだな…」

固法「」ギュッ

垣根「!?!?!」





固法「垣根さんの…………ばかぁぁぁぁぁぁぁ」ギューッ


垣根「はぁ!?」アタフタ







固法(―――――――――私が一番ほしい言葉をくれるのだろう)


390 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:49:32.73 ID:ecUnbd9t0


垣根(何だコレ!どういう状況!?何か落ち込んでたから元気づけようとしたらいきなり泣き出して、
   かと思ったらいきなり抱きついてきて………えぇ!?)



垣根「と、とりあえずどこか座れるトコ行こうぜ!だから一回落ち着け、な?」ヨシヨシ

固法「」コクン

垣根「よし!向こうの公園にベンチあるからそこ行こう!自分で歩けるよな?」

固法「…グスン」コクン

垣根「よーしいい子だ!ちょっと歩くけど我慢して……はぁ!?手?
   …わ、わかった、つないでやるから泣くなって……」






上条「…………………なんだアレ」マジマジ

一方「どしたァ」マジマジ

上条「何か垣根がしゃべったら固法さんが泣き出した」

一方「……………終わったなァ、あのメルヘン」

上条「…かと思ったら固法さんが垣根に抱きついた」

一方「…………お前何言ってンだ?」

上条「だから言ったじゃねえか、なんだアレって」
391 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/06(月) 21:50:24.56 ID:ecUnbd9t0

一方「……………………女ってヤツはワケが分かンねェ」

上条「その意見には全面的に同意……お、移動するみたいだぞ」

一方「よし、オレらも移動だァ」イソイソ

上条「……………………あ」

一方「あン?」

上条「………………………………………手ぇつないでる」

一方「ホォ…………」

上条「………………死なないかな、垣根のヤツ」

一方「おそらくテメェにそのセリフを吐く資格はねェなァ」ハァ

上条「だから何で!?」

392 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/06(月) 21:53:31.79 ID:ecUnbd9t0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

毎回レス感謝していますm(_ _)m
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/06(月) 21:53:53.53 ID:LTvyp99jo
乙。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/06(月) 22:55:28.16 ID:RQCMI58Go
運動でズッコンバッコン想像する固法さんえろい
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/06(月) 23:01:23.75 ID:oN04P6Uj0
垣根△
396 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:08:10.30 ID:dr6AV7v50
お待たせしました。1です。
気がついたら4日も経ってました。
その分今回の投下分はがんばったので
楽しんでいただければ幸いです。

では投下します
397 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:08:59.23 ID:dr6AV7v50

-----------------------------------------------------------------------

   13:32  第13学区  緑地公園

垣根「ホラ、ちゃんと涙拭け」

固法「」グスグス

垣根「目ぇこするなよ、赤くなっちまうからな」

固法「はい………」グスグス

固法(最悪ね……勝手に泣き出して挙句いきなり抱きついたりして…垣根さんもきっと呆れてるわ)

垣根「………落ち着いたか?」

固法「……はい。ごめんなさい、取り乱してしまって」

垣根「いや、オレも焦ったぜ。また何かやらかしたんじゃねえか、ってな」

固法「違うの、垣根さんが悪いんじゃなくて……」




垣根「……それ、悪い癖だぜ」

固法「え?」

398 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:10:50.77 ID:dr6AV7v50

垣根「そうやって何でも自分の内にため込むのが、だ。
   アンタ普段からそうやって相手に無駄な気ぃ遣うタイプだろ」

固法「!」ギクッ

垣根「図星か。こう見えて修羅場くぐってるんでね、人を見る目には自信があるんだよ」

固法「……………」



垣根「まぁアンタにも色々立場とかあんのは分かるけどよ、
   あんまり若いうちからそんな生き方してたら今にハゲるか胃に穴が開くぜ」

固法「は…………!」




垣根「………だからさ」ポンポン

固法「?」




垣根「オレなんかに余計な気を回すな。ちったぁ言いてえこととかわがままとか吐き出した方がいいぜ」ナデナデ

固法「!!」



垣根「まぁ具体的に何かできるかはわかんねえがな。バッセンくらいならいくらでも付き合ってやるよ」ナデナデ



固法「…………………どうして?」

垣根「ん?何か言ったか?」



固法(どうしてあなたは、そんなに優しいの?)



399 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:11:36.01 ID:dr6AV7v50

固法「……………………こ、子ども扱いしないで、って言ったの」

垣根「ハッ、そう言ってるウチはまだまだガキってことだ」ナデナデ



固法(あなたがそんなに優しくするから、私はますます惹かれていって)



固法「あ、頭をなでないで!」

垣根「ハイハイ、かしこまりました、お嬢さん」

固法「もうっ!」



固法(…………でも、それが伝えられないから苦しいんだなんて)


固法「………………言えるわけ、ないじゃない」

垣根「あん?」

固法「いいえ、垣根さんはズルイなぁって言っただけ」

垣根「あぁ?そりゃどういうこと…」

固法「はぁ、思い切り泣いたらまたお腹空いてきた。
   あっ、クレープのワゴンが来てる。ちょっと買ってくるわね」スクッ

垣根「オイオイ、さっきケーキ食ったばっかでまた食うのか?」

固法「甘いものは別バラなの。垣根さんも食べる?」

垣根「いや、オレは別に」ヒラヒラ

固法「そう、わかったわ。それじゃあ少しだけ待ってて」タタタ……

垣根「お、オイ!…………行っちまった」

400 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:12:26.24 ID:dr6AV7v50


垣根(ったく、ワケがわからねえ)

垣根(泣きだしたと思ったら急に元気になりやがって)

垣根(ずっと泣かれるよりはいいけどよ)



垣根(……………しかし、オレは何であんなに腹を立てたんだ?)



垣根(最初の方は全然聞こえなかったがあのクソアマどもがアイツの悪口言い始めたあたりから段々ムカついてきて………)

垣根(……まぁダチを悪く言われていい気はしねえよな、フツー)



垣根(だが………………………)




垣根「なーんか放っておけねえんだよなぁ、アイツの場合」




垣根(何つーか、心配?……いや、ちょっと違うような………)


固法「……お待たせ!」タタタ


垣根(………何でだろうな?)クスッ

401 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:13:25.43 ID:dr6AV7v50


固法「どうしたの?」

垣根「別に。泣いたカラスがもう笑ったな、って思ってよ」

固法「またそうやって子ども扱いして……甘いものが嫌いな女子高生なんていないの」

垣根「あーハイハイ、わかったわかった」

固法「もうっ……じゃあ、私だけ申し訳ないけど、いただきます」パクッ

垣根「どうぞ」


固法「……んーおいしい!」モグモグ

垣根「……うまそうだな」

固法「垣根さん、本当にいらない?」

垣根「正直、ちょっとだけほしくなった。丸々一個もいらねえけど」

固法「じゃあ、少し食べる?」

垣根「!…………………いや」スッ

固法「え?」



ピトッ



固法「!!!」

固法(ゆ、指が……)



垣根「これだけでいい」ペロッ

固法「なっ……………!!」

402 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:14:28.08 ID:dr6AV7v50

垣根「…あんめぇー。どんだけ砂糖使ってんだこれ」

固法「かかか、垣根さん!」

垣根「何?」

固法「何じゃなくて!い、今……!!!」

垣根「あんだよ、くれるんじゃなかったのか?」

固法「だからって、何でわざわざ私の顔に付いたクリームを!」


固法(今……気のせいかもしれないけど、指が……く、唇に!!)


垣根「うるせー、さっき抱きつかれたお返しだ」

固法「やっぱり根にもってたのね!?」





上条「」

一方「」ピロリロリーン

上条「………まずはそのふざけた幻想 ご と ぶち殺す」ユラァ

一方「落ち着け三下ァ」ガシッ
403 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:15:37.31 ID:dr6AV7v50

上条「離せ一方通行!アイツは……垣根だけはこの手でぶん殴ってやらないと気が済まねえ!!」

一方「テメェはオリジナルとか10032号とかにもっとすげェことしてるけどなァ」

上条「してねえよ!この間から言われてるけど言いがかりだ!!」

一方「ホォ……ツーショットで写メ撮ったりハートのネックレス買ってやったってのも言いがかりだとォ?」

上条「何で知ってんの!?」

一方「ウチにネットワークの元締めがいることを忘れンなァ」

上条「でもアレはアイツらに頼まれたからであって、別に他意はないし」

一方「………………………コレじゃァオリジナルも苦労するワケだぜェ」ハァ

上条「苦労してるのはこっちだっつーの!って今はそんなことはどうでもいい!垣根をぶん殴って……」

一方「だァから落ち着けェ。尾行がバレたらヤバイっつったのはテメェだろォがァ」ガシッ

上条「…言われてみれば確かに」ハッ

一方「ったくよォ………嫌がらせってのはこうすンだよ」ピポピポメルメル

上条「メールか?誰に打ってんだ?」

一方「さっき言ったMNWの元締めだァ」

上条「打ち止めちゃん?何で?」

404 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:16:54.75 ID:dr6AV7v50

一方「だから見てろってェ」メルメル


新規メール作成
=======================
【to】 打ち止め
【sub】  無題
―――――――――――――――――――――――
この動画をミサカネットワークに流せ

添付ファイル
201X112X13450000.mpg

=======================


一方「送信」ピッ

上条「お前まさかそれさっき撮ってた……」

一方「おォ」


スキダヨトー キョウーモイーエナイママー ミオクーッタ イママーデイッショニイターノニー♪


一方「早ェな」ピッ


受信メール
=======================
【from】 打ち止め
【sub】  Re;
―――――――――――――――――――――――
もうっ!!折角のお休みに何やってるの!?
ってミサカはミサカはご立腹!
(,,#゚Д゚):∴;'・,;`:ゴルァ!!

p.s.了解!ってミサカはミサカは敬礼してみる!
(゚∀゚)ゝビシッ

=======================


一方「これでよし」パチン

上条「鬼かお前ら」

一方「それをテメェが言うかァ?」

上条「さしもの上条さんでもそこまではしねえよ」



405 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:17:50.03 ID:dr6AV7v50

-----------------------------------------------------------------------

   14:13  緑地公園

垣根「それでよ、そこで上条のやつが………」

固法「……………」

垣根「……オイ、オレの話聞いて…」

固法「」コテン

垣根「!?」


垣根(ここ、コイツ、オレの肩に頭を…!)


垣根「お、オイ、急にどうした?」

固法「…………」

垣根「黙ってねえで何とか言ったら…」



固法「…………スゥ…」



垣根「………………………寝てんのかよ」ガクッ

固法「」スゥスゥ

垣根「オイ起きろ。こんなとこで寝たら風邪ひくぞ」

固法「」ムニャムニャ

垣根「………………………起きろ、固法」

固法「……………ン……」モゾモゾ

垣根「反応なし、と」

406 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:18:59.66 ID:dr6AV7v50

垣根「ったくよぉ、はしゃいで泣いて、満腹になったらお昼寝か?まるっきりガキじゃねえか」

垣根「無防備な姿晒しやがって。それでも風紀委員かよ。襲われても知らねえぞ」


垣根(………それとも)

垣根(少なくとも信用されてはいるってことなのか)

垣根(ハハッ、こんなクズのどこをどう見りゃ信用できる人間に見えるっつーんだよ)


固法「……………スゥ……」


垣根(………にしても、コイツの寝顔見てると妙な気分になるな)


垣根(エロい気分じゃなくてむしろ…………庇護欲をそそられるというか)


垣根(…………って、何に言い訳してんだろうな、オレは)


固法「…………ン……」ブルッ

垣根「おっと、このままだとマジで風邪ひくな」

垣根「とりあえずオレの上着を……あ」

垣根「なんだよ、もっと手っ取り早い方法があるじゃねえか」ニヤッ

バッサァ!

垣根「とりあえず冷気だけ通さねえように演算を組んで…」

垣根「そんでコイツに巻きつかせて、と」バサッ

垣根「よし、オレ特製『未元物質』毛布だ」

垣根(ちっと目立つのが玉に瑕だが、今のとこ人もいねえし大丈夫だろ)

407 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:19:45.39 ID:dr6AV7v50





――――

――――――――

――――――――――――――

  ……何だろう…

  ……すごく暖かい……

  何かに包まれてるみたい……

  ……それに…………


  …………誰かの匂いがする………


  ………すごく、安心する匂い………


  …………これは…………



    ………………垣根さん……………?







上条「」

一方「」パシャパシャ

408 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:22:21.32 ID:dr6AV7v50

上条「………何か、ムカつく通り越してアホらしくなってきた」

一方「なァに言ってやがりますかァ。これから面白くなるンだろォが」

上条「つってもなあ……そろそろ帰ってインデックスに飯作ってやらないと」

一方「あの暴食シスターか。大変だなァテメェも」ホゾン

上条「その写真も打ち止めちゃんに送るのか?」

一方「イヤ、今夜あたりメルヘンの携帯に送りつける」

上条「悪魔かお前」

一方「バァカ。悪魔じゃねェ。オレは一流の『悪……」

上条「ハイハイ、『悪党』なんだろ」

一方「…………死にてェならそう言えェ」カチッ

上条「わわ、悪い!!だから電極は元に戻せ!!」

一方「チッ」カチッ

上条「っていうかそんな写メ送ったら尾行してたのばれるじゃん」

一方「どンなドッキリも最後にネタばらしすンだろォが」

上条「ドッキリなのかよこれ………あれ?」

一方「何かあったかァ?」

上条「垣根が空中から白い毛布を出した」

一方「えェー…何それェ……」

上条「あれ垣根の『未元物質』だよな?」

一方「……あァ、間違いねェ。どっちかっつーと羽毛布団だなァ」

上条「それを固法さんに掛けて………あれ、もしかして固法さん寝てるんじゃないのか?」

一方「………どォやらそうらしいな。さっきから全然動かねえし」

上条「当分起きそうにないな」

一方「だなァ」

上条「…………………帰るか」ヨッコラセ

一方「そォだな。こっちは十分楽しんだしよォ」ドッコイショ

上条「あ、さっきの写真後で俺にも送ってくれ」

一方「ン」
409 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:23:02.33 ID:dr6AV7v50



-----------------------------------------------------------------------

   16:26  緑地公園

固法「……………ン……?」

固法(暖かい………冬なのに……?)

垣根「よぉ、目ぇ覚めたかお嬢さん。いや、お姫様っつった方がいいか?」ククッ

固法「……垣根さん…え?何これ?羽?」モフモフ

垣根「あのまま寝てたら確実に風邪ひいてたからよ。オレの『未元物質』でチョイと、な」

固法「!…そうだ、私あのあとウトウトしちゃって…」

垣根「ウトウトねぇ。もうこんな時間だが」トケイチラッ

固法「…私そんなに寝てたの!?」

垣根「そりゃあもうぐっすりと」

固法「ご、ごめんなさい!」

垣根「別にいいさ。起こすのも忍びねえし、それに………」

固法「…?」

垣根「………固法の寝顔も見れたしな」ニッ

固法「あっ………!」カァァァ


垣根「さ、そろそろ帰ろうぜ。今から冷える一方だからな」スクッ

固法「あ、はい…」モゾモゾ

垣根「おっとすまねえ、その前に…」パチン

ファッサァ………

固法「わぁ、きれい……」

垣根「うし、んじゃあボチボチ行こうぜ。送ってくから」

固法「………ええ」

固法(まだ……帰りたくないな)


410 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/09(木) 22:26:25.92 ID:dr6AV7v50
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

>>394
処女ほど余計な知識あったりしません?
耳年増というか
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/09(木) 22:51:16.69 ID:J4vBB2igo
未元物質便利すぎるw
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/10(金) 01:36:55.14 ID:lZ6kO7eGo
なんというイケメン…
ちょっくら僕も開発されて布団出せる能力身に付けてきますね
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/10(金) 17:37:58.17 ID:ZKVbLPN6o
来てたか
乙です
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/10(金) 20:12:45.30 ID:RxJ/OnCio
>>412
一瞬どうやってそんな大きい物出すんだよって思ったけど
よく考えたら別に何所もおかしく無かった
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 11:23:39.57 ID:dqFwbM/IO
なんだこのイケメン
416 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:30:49.91 ID:yfUcrR8Y0
レスありがとうございます。1です。

では今日の分投下していきます。
417 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:31:39.14 ID:yfUcrR8Y0
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   16:58  第7学区  路上

垣根「……あー楽しかった」

固法「ホントに?」

垣根「ああ。あの店もウマかったし」

固法「よかった。喜んでもらえて」ニコッ


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「あ、ごめんなさい」パカ

垣根「ん」

固法「……碧美からだわ。帰りに買い物してきて、ですって」

垣根「…………なぁ」

固法「なに?」

垣根「アンタTM好きなの?」

固法「え!?」

418 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:32:13.12 ID:yfUcrR8Y0

垣根「その着うた、『魔弾』だろ?結構前の曲だし珍しいから、好きなのかなーって」

固法「え、ええ割と」

垣根「ふーん……まあ他意はねえけど。オレも結構聴くし」

固法「本当!?」

垣根「ウソついてどうすんだよ。TMも聴くけどどっちかっつーとabsの方がよく聴くかな」

固法「じゃあ、absの中だったらどの曲がいい?」

垣根「そうだな。やっぱり………」

固法「ひょっとして………」



垣根固法「「『HOWLING』だな(かしら)」」


垣根「お、マジか!」

固法「垣根さんも?」

垣根「ああ、『STERNGTH.』とか『アテナ』とかも好きなんだけどよ、やっぱり『HOWLING』が一番だな」

固法「私も!『HOWLING』が一番だけど『STRENGTH,』のピアノも好きなの!」

垣根「おお、アンタ話が分かるな!そうだよ、あの曲はピアノがいいんだよな!」


………! ……!? …………!! ……… ‥ ‥ ‥  ‥  ‥


419 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:32:56.85 ID:yfUcrR8Y0

固法「ふふふっ、こんなに盛り上がるとは思わなかったわ」

垣根「だな。あんまり話題に上んなかったし………そうだ」

固法「え?」

垣根「今度はカラオケでも行こうぜ」

固法「カラオケ?私あんまり行ったことないんけど……」

垣根「マジで?アンタ遊ばなさすぎだろ。オレなんか2週間に一回は行ってるぞ」

固法「それはさすがに通いすぎじゃないかしら……」

垣根「男子高校生の娯楽はカラオケかゲーセンって相場が決まってんだ。男三人で買い物なんか行かねえし」

固法「男三人って、上条くんともう一人のお友達と?」

垣根「ああ、アイツらと行くのも楽しいんだがいっつも同じメンツってのもな。
   アンタだったら知ってる曲多くて楽しそうだし」

固法「私が行ってお邪魔にならないかしら?」

垣根「ならねえならねえ。アイツらも野郎ばっかより彩りがいた方がいいだろ。
   あ、野郎ばっかりがイヤならアンタもダチ連れてこいよ。例の同居人でもいいし」

固法「そうね…………」


固法(本当は垣根さんと二人がいいんだけど…………)


固法「……わかったわ。碧美にも声かけておくわね」

垣根「そうこねえとな」


固法(み、密室に二人だけなんて………む、無理!!)

420 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:33:54.38 ID:yfUcrR8Y0


固法「じゃあ頼まれた買い物もあるし、ここまででいいわ」

垣根「ん?いや、買い物くらい付き合うぜ?」

固法「日用品の買い物がほとんどだし、その…………」

垣根「あん?」

固法「あ、あんまり見られたくないものもあるから………」

垣根「……あー……悪い、気が利かなくて」

固法「い、いえ、こちらこそごめんなさい」

垣根「謝るなって。じゃ、また今度な。カラオケ行くときは声かけるからよ」

固法「………か、垣根さん!」

垣根「何?」

固法「その………今日は、ありがとう」

垣根「………ああ。じゃあな」



垣根「さってと。晩飯どうすっかな」スタスタ

垣根(昼にスパゲッティ食っちまったし、正直最近マカロニ飽きたしな)

垣根(しかしあの店のたらこスパはやたらウマかったな)

垣根(………また行こう)




??「機嫌がいいわね。何かいいことでもあったの?」




垣根「!!……………テメエは………っ!!!」

421 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:34:33.64 ID:yfUcrR8Y0






心理「久しぶり。元気だったかしら?」

垣根「…………………心理定規」






422 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:35:39.87 ID:yfUcrR8Y0

心理「あら、そんな怖い顔されるなんて心外だわ。元仕事仲間に再会した感想とかないの?」

垣根「テメエを仲間だと認識したことは一度たりともねえよ。そんなことより何の用だ?」

心理「つれないのね」

垣根「何 の 用 だ ?」

心理「…………あなたの顔を見にきた、って言ったら?」

垣根「用がねえなら失せろ。もうオレはテメエらとは関係…」



心理「……ないって言いきれる?」

垣根「………何だと?」

心理「別に。深い意味はないわ。ただ………」

心理「過去を切り捨てた気になってるなら、それはステキな勘違いよ」

垣根「あ?」

心理「私が懇意にしてる情報屋さんがね、いつも言ってるの。
  『過去ってヤツはさびしがり屋でさ、オレたちがそれを忘れようと、あるいはのたれ死のうと
   お構いなしにひたすらひたすらひたすらひたすら追いまわすんだ。
   だから過去からはどう足掻いても逃げられないんだよ』ってね」

垣根「…………」

心理「そうでなくても、あなたが背負っている、
   いいえ、あなたにまとわりついている過去はただでさえ大きくて重すぎるわ」

垣根「………」

心理「その過去はいつか必ずあなたに牙を剥く」

423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/12(日) 01:36:15.02 ID:WlHJMf2AO
>>1は間違いなくDTB好き
424 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:36:42.14 ID:yfUcrR8Y0

垣根「………くだらねえ。そんな下らねえことをわざわざ言いに来たのか。ご苦労なこったな」

心理「くだらないかしら?」

垣根「ああ、くだらねえな。オレが過去の亡霊ごときにやられるって?ハッ、笑えねえ冗談だ」

心理「そうね。確かにあなたは強いわ。それは私もよく知ってる。









   ……………だけど、彼女はどうかしら?」

垣根「!!!!」

心理「ああいう娘が好みなの?意外に地味なタイプが好きなのね」クスクス

垣根「アイツに手ぇ出してみろ。必ずテメエを探し出してぶっ殺す」

心理「あらあら、ずいぶんとあの子にご執心みたいね」

垣根「そんなんじゃねえ。オレの『今』に土足で踏み込むヤツは許さねえっつってんだ」

心理「許さない、ねぇ………できるの?今のあなたに」

垣根「!」

425 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:38:10.17 ID:yfUcrR8Y0

心理「それに、そこまでムキになることもないんじゃない?『友達』、なんでしょう?」

垣根「………相変わらず趣味の悪ぃ能力だ」

心理「最高の褒め言葉ね。でもこれはあくまで親切で言ってるのよ?」

垣根「まだそんなくだらねえ戯れ言ぬかす気ならまずは下あごから吹き飛ばしてやろうか?」

心理「ひとの言うことは最後まで聞くものよ」

垣根「…………チッ」

心理「あなたの過去が傷つけるのはあなただけじゃない。あなたは自分で火の粉を払えるだろうけど、
   あの子にも同じことができるかしら……?」

垣根「…………」

心理「そうでなくても、あなたの力は単純に大きすぎるわ。力加減を間違えればあの子、あっという間にひき肉になっちゃうかもね」

垣根「………オレがアイツを殺すってのか」

心理「あなたが、とは言ってないわ。あなたの力が、よ。あなたの意思に関係なくね」

垣根「人を殺すのは銃か人か、ってか?ばかばかしい。人を殺すのはいつだって人だ」

心理「あら、死因はいつだって心臓の鉛弾なんじゃなくて?」

垣根「引き金を引くのは人だ」

心理「暴発ってことがあるわ。あるいは流れ弾とか、ね」

垣根「………」




心理「あなたが守らなきゃいけないものは自分だけじゃないってこと、
   覚えておいて損はないと思うけど?」




426 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:39:00.56 ID:yfUcrR8Y0

垣根「…………話は終わりか?」

心理「ええ」

垣根「だったらオレは帰るぜ」





心理「最後にもう一つだけ」

垣根「あ?」




心理「あの子とあなたの距離単位、知りたい?」



垣根「………………興味ねえな」


心理「そう」ニコッ



心理「………これは、予想以上に面白いことになってきたわね」

心理「あの分だとあの人、本当に自分の気持ちに気づいてないのかしら?」

心理「………早くしないと、おばあさんになっちゃうわよ」クスクス



427 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:40:20.46 ID:yfUcrR8Y0

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  17:20  固法・柳迫の部屋

固法「ただいま」

柳迫「おかえりー♪どうだった?初めての二人っきりので・え・と(はぁと」

固法「楽しかったわ。とっても」

柳迫「おや?この間とずいぶん反応が違うじゃない?何かあったの〜?」ニヤニヤ

固法「な、何もないわよ!」

柳迫「本当にー?怪しいなぁ」

固法「本当よ!」

柳迫「ふーん。ま、そういうことにしておいてやりますか」

固法(ほっ……)

柳迫「あ、あのお店のカップル限定スイーツおいしかった?」

固法「やっぱり知ってたのね!」

柳迫「あったり前じゃない。学校で知らなかったのアンタくらいよ?」

固法「知ってたなら教えてくれてもいいじゃない!おかげでこっちは顔から火が出るくらい恥ずかしかったのよ!?」

柳迫「だって、教えたらアンタ行かなかったでしょ?」

固法「それは………」

柳迫「いいじゃない、どうせ周りの雰囲気に呑まれてイチャイチャしてきたんでしょ?」

固法「い、イチャイチャなんてしてないわよ!変なこと言わないで!」
428 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:42:06.85 ID:yfUcrR8Y0

柳迫「どうだかねー♪」クスクス

固法「しては、いないけど…………」

柳迫「……………けど?」

固法「わ、私の好きなものが分かって、うれしいって、言われた………」カァァァ

柳迫「おお!!!」

固法「それで……………」

柳迫「お、まだ続きが?」

固法「その時に照れて赤くなった垣根さんの顔が……その……か、かわいかった」

柳迫「oh...」

固法「何その反応!?」

柳迫「美偉、私はね、進 展 が あったかを訊いてるの。
   赤くなったイケメンがかわいかったかどうかはこの際どうでもいいの!ホントはちょっと興味あるけど!」

固法「し、進展って………!べ、別に何も……」

柳迫「なかったの?」ズイッ

固法「うう………な、成り行きで……」

柳迫「成り行きで!?」

固法「だ、抱きついちゃった……」

柳迫「おおおおおおおおお!それでそれで?」ワクワク

固法「それで、私が落ち着くまでそばにいてくれて、その、あ、頭なでてもらった」

柳迫「そうそれ!そういう話を待ってたのよ!」

固法「……碧美、さっきからテンションおかしくない?」

柳迫「気のせい気のせい。で?他には何かなかったの?」

429 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:42:52.64 ID:yfUcrR8Y0

固法「………他には……バッティングセンターに連れて行ってもらったり、公園でお話したくらいで、何も……」

柳迫「ふーん……?」ジー

固法「な、何?」

柳迫「べっつにー?」


柳迫(……これはまだ絶対何かあるわね!でもバッティングセンターとか公園とは、なんて色気のない……)


固法(い、言えない……!かか、間接キス(未遂かもしれないけど)されたり、寝顔を見られたりしたなんて!)


柳迫「でもまぁ、楽しかったなら何よりよ。……がんばったね、美偉」

固法「うん………あ、そうそう、これ頼まれた買い物」ゴソゴソ

柳迫「ありがと!あ、もしかしてジャマしちゃった?」

固法「ううん、メールが来たときはもう帰る途中だったし……思い出した、ねえ碧美」

柳迫「ん?」

固法「その……今度カラオケ行かない?」

柳迫「カラオケ!?行く行く!!カラオケはちょっとうるさいわよ、私」

固法「そう、よかった」

430 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:43:35.36 ID:yfUcrR8Y0

柳迫「でもどうしたの急に?珍しいじゃない、美偉がそんなところ行きたがるなんて。
   普段は誘っても来ないのに」

固法「それは……帰り道に、垣根さんと音楽の話で盛り上がって、
それで今度垣根さんたちとカラオケに行こうって話になって…」

柳迫「ふむふむ………うん?」

固法「それで垣根さんが、男の人ばっかりだと私が嫌だろうから同居人でも連れて来いって……」

柳迫「はぁ……押しが強いんだか弱いんだか………」

固法「え?」

柳迫「何でもない!でも男の人とカラオケかぁ。普段歌えない曲も歌っちゃおうかなぁ。友達と一緒の時だと反応悪いんだよね」

固法「普段歌えないって、いつも聴いてる曲?」

柳迫「そうっ!すっごくいいユニットなのに友達は誰も知らないんだよ?おまけにもう解散しちゃったし………」

固法「それは知らないでしょうね……」

柳迫「それに美偉に約束を守ってもらういい機会だし?」

固法「約束?」

柳迫「言ったじゃない!上手くいったら彼の友達紹介してねって!」

固法「本気で言ってたのアレ!?」



431 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 01:44:43.75 ID:yfUcrR8Y0

-----------------------------------------------------------------------
   17:38   垣根のマンション

垣根「だれもいないけどただいまー、っと」

垣根「ふぅ……………」ボスッ


垣根(心理定規…………あの女、今更ノコノコ出てきてどういうつもりだ)

垣根(オレの力がアイツを、固法を傷つける、だと………?)

垣根(しかも『過去はさびしがり屋』?『どう足掻いても逃げられない』?………くっだらねえ)



垣根「誰であろうと、オレの『今』を、アイツを壊そうってんなら容赦しねえ」



垣根(チッ、あの女に会ったせいでしょうもねえこと考えちまった)

垣根(昔の話はやめやめ。もっと建設的なことを…)

垣根「あ、そういや晩飯どうするか考えてねえな。めんどくせえからコンビニで…」


テーイクーノテイクーヲ ハシッテールノーガボクナラ♪


垣根「あん?メール?一方通行からか?」パチン





垣根「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??なんだこの写メ……つか何でコイツがこの写真を…」

垣根「まさか俺を尾けて……!あんのクソモヤシがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

垣根「ぶ ち 殺 す ! ! ! !」

ガタガタバタン!  バッサァ……
432 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/12(日) 01:46:23.65 ID:yfUcrR8Y0
以上です読んでくださってありがとうございます。

このSSはクロスオーバーではないので
新宿の情報屋さんは出ません。出ませんってば。

>>423
何故ばれたし
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/06/12(日) 03:39:33.74 ID:52AXhUrP0
続き楽しみにしてるよ
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 06:39:26.97 ID:9yGfK76Oo
乙。シリアルになる予感がするな
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(河口湖) [sage]:2011/06/12(日) 07:52:59.91 ID:QdC3GQzE0

心理定規がデート中の垣根と固法に現れて「初めまして、私垣根帝督の元彼女で〜す☆」と言って垣根とを翻弄する展開があると・・・そんな風に考えていた時期が俺にもありました
やっぱり心理ちゃんには力不足だったのかな?
436 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 17:22:09.28 ID:cqV6XW0d0
レスありがとうございます。1です。

筆が進まないので気晴らしにひと足早くこんなん書いてみました。
時間軸は本編が終わったあとですが時事ネタです。
では投下します。
437 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 17:25:15.82 ID:cqV6XW0d0
First Epilogue  GO! GO! 選挙
   19:22   垣根のマンション

垣根「………」ボーッ

固法「何見てるの?」

垣根「ん。テレビ点けたらなんかアイドルの特番やってた」

固法「特番?……ああ、総選挙ね」

垣根「総選挙?コイツら選挙出てんの?」

固法「違うわよ。いうなれば大がかりなファン投票ね。CDを買った人が自分の好きなメンバーに投票して、
   その結果で出番を増やすかどうか決めるんですって」

垣根「なんだそりゃ。選挙じゃなくて株主総会じゃねえか。金払ったやつが一番発言力があるってことだろ?」

固法「言われてみればその通りね。でもファンが満足してるならそれでいいんじゃない?」クスッ

垣根「そんなモンか」

固法「きっとそうよ。………ねえ、一つ訊いてもいい?」

垣根「あん?」

438 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 17:26:06.82 ID:cqV6XW0d0

固法「その………帝督さんはどの子が一番好き?」

垣根「は?」

固法「だからその…………帝督さんはどんなタイプが好きなのかなぁって、少し気になって」

垣根「んなこと言われてもな。名前を聞いたことぐらいはあるがぶっちゃけ興味ねえし」

固法「でもほら、今映ってるメンバーで『あ、この子カワイイ』って思う子はいるでしょう?」

垣根「何?美偉はどうしてもオレをアイドル好きにしたいワケ?」

固法「そういうワケじゃないけど………」






垣根「………いねえよ」ボソッ

固法「え?」

垣根「っつーか、オレが好きなのは美偉だけだし」

固法「!」

垣根「隣にこんないい女がいて、何で芸能人に興味持ってる暇なんざねえっつーの」

固法「もう……すぐそういうこと言うんだから」カァァァ
439 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 17:27:16.07 ID:cqV6XW0d0

固法「それは………」

垣根「まあ大方予想はつくけどな。どうせオレが選んだメンバーが自分と逆のタイプだったらどうしよう、
とか考えたんだろ?」

固法「!」ギクッ

垣根「図星か」ニヤニヤ

固法「うう………///」

垣根「お前、かわいすぎ」グイッ

固法「………帝督さんなんか、キライ」プイッ

垣根「………本当は?」




固法「………………ウソ。大好き」ギュッ

垣根「オレもだよ、美偉」

固法「帝督さん……………」





ピンポンピンポーン ガチャッ

一方「いるかァーメルヘン。鍋やンぞ鍋ェ」

上条「邪魔するぞー」

禁書止め「「おじゃましまーす!」」

440 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/12(日) 17:27:53.57 ID:cqV6XW0d0

垣根「」

固法「」

上条「あれ……、もしかして、ホントにお邪魔だった?」

垣根「なっ……お前ら!鍋は今度の金曜って言ってただろうが!」

一方「うるせェ、地鶏のイイ肉が手に入ったンだよ。あァン?なンだよ取り込み中だったかァ?」

固法「は………あ……………」カァァァァァ

禁書「みい、かおが真っ赤なんだよ」

打止「ねえねえ、ひょっとしてチューするところだったの?ってミサカはミサカは野次馬根性丸出しで尋ねてみたり!!」ネェネェ



垣根「で……」

垣根「出ていけぇーーーーーー!!!」
441 : ◆r4vICyDKLo [saga saga]:2011/06/12(日) 17:29:16.19 ID:cqV6XW0d0
終わりです。読んでくださってありがとうございます。

本編後の二人はこんな感じです。
展開もオチもベッタベタでしたね。
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 22:18:41.48 ID:9yGfK76Oo
乙!
443 : ◆r4vICyDKLo [saga saga]:2011/06/12(日) 22:27:12.08 ID:cqV6XW0d0
誤字多すぎワロエナイ。1です。

>>439の最初に、

垣根「……何で急にそんなこと訊いたんだ?」

この文章を足して読んでください。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/13(月) 08:44:23.85 ID:RHv8B1cxo
>>437
> 垣根「なんだそりゃ。選挙じゃなくて株主総会じゃねえか。金払ったやつが一番発言力があるってことだろ?」

的確すぎwwww
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 12:36:28.61 ID:p/mSMTFDo
しかし今回の選挙で一番金払った奴は結果見て涙したはずだがな……
446 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:19:34.07 ID:q3K1F1g60
1です。
ほぼ1週間も放置して申し訳ありません。

では今回の分投下していきます。
今日からカラオケ回です。
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 02:20:40.55 ID:Nj8YR5EJo
舞ってた
448 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:20:51.08 ID:q3K1F1g60
-----------------------------------------------------------------------

   5日後 金曜日 15:42 第7学区 ファミレス『ジョイナス』

垣根「」ムッスー

上条「なあ、いい加減機嫌直せよ垣根」

垣根「モヤシが土下座して謝るまで絶対に許さねえ」ムッスー

一方「はァ?調子乗ってンじゃねェぞメルヘン」

垣根「それはこっちのセリフだクソボケ!人のこと尾け回してあんな写メまで送りつけやがって!!」バンッ

上条「やめろ一方通行!今回は完全にオレ達が悪い!」

一方「チッ」

垣根「何『三下がそこまで言うンだったら仕方ねェなァ』みてえな顔してんだよ!謝れよ!!」

一方「…反省してまァーす」フンス

垣根「だから態度で示せっつってんだろうが!!」

上条「まぁまぁ垣根も落ち着けって。ここは俺に免じて、な?」ゴメンネ

垣根「………まあ上条がそこまで言うんなら、ここはモヤシのおごりってことで手打ちにしてやらあ」

一方「あァン!?」

垣根「イヤだってんならオレんちで預かってるテメエの巨乳モノAVテメエんちに送りつけるぞ?」

一方「!!」

449 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:22:18.52 ID:q3K1F1g60

垣根「打ち止めちゃんに見つかりそうだから預かってろって言われてそのままなんだよなぁアレ。
   何だったら宛名は打ち止めちゃんにしてやろうか?」アーン?

一方「…………チッ」

垣根「決まりだな。折角だからもっと何か頼むか。おっ、このティラミスウマそう」

一方「オイメルヘン、テメェあンまり図にのってっと…」

垣根「ナースモノとメイドモノも追加してやろうか?」ギロッ

一方「クッソ野郎がァ…………!」

垣根「すいませーん!注文いいですかぁー?」ピンポーン



450 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:23:09.35 ID:q3K1F1g60

-----------------------------------------------------------------------

   15:51 第7学区 路上

垣根「ごちそーさん」

一方「クソッ」

上条「これからどうする?またどこか行くか?まだ日は高いけど」

垣根「今日はシスターちゃんの世話はいいのか?」

上条「インデックスは小萌先生のところに泊りに行くって言ってた『おりょうり合宿なんだよ!』とか何とか言ってたけど」

垣根「……がんばってんな、シスターちゃん」

上条「そうだなー、アイツが少し家事を覚えてくれるだけで上条さんだいぶ楽になるんだけどなー」アハハ

垣根「…………マジでがんばれよ、シスターちゃん」ボソッ

上条「へ?」

垣根「テメエはいっぺん死ねっつったんだよ」

上条「お前ら最近俺に対する風当たり強くない!?」


451 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:23:44.59 ID:q3K1F1g60

一方「…………カラオケでも行くかァ」

上条「カラオケかぁ。そう言えば最近行ってないな」

一方「おォ、イイ感じに時間も潰せるだろォ?」

上条「そうだな、じゃあカラオケにするか」

垣根「……ちょっと待ってろ。カラオケなら人を呼ぶ」ピッポッパ

上条「人?」

垣根「ああ」prrrrr



-----------------------------------------------------------------------

   同時刻 固法・柳迫の高校・校門前

柳迫「みーいー!」タタタ

固法「碧美」

柳迫「今日非番でしょ?一緒に帰ろ」ギュッ

固法「ええ」

452 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:24:15.83 ID:q3K1F1g60

柳迫「そう言えばさぁ」

固法「うん?」

柳迫「あれから連絡ないね、あの人から」

固法「………垣根さんのこと?」

柳迫「そう!薄情だとか、冷たいとか思わないの?」

固法「あの人は……そういうタイプじゃないから」

柳迫「ふーん?」

固法「な、何?」

柳迫「べっつにー?」ニヤニヤ

固法「もうっ……でも…」

柳迫「でも?」



固法「ちょっとだけさびしい……かな」

柳迫(何この子かわいい。抱きしめたい)

453 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:25:36.00 ID:q3K1F1g60


ケガレタユービサキデー ヨルヲソソーギコンデー♪
チギーレルーマデーキミーヲコジアーケテー♪


固法「あ、ちょっとゴメン」

 【着信】
 垣根 帝督

固法(垣根さん!)

柳迫「おんやー?ウワサをすればなんとやら、ですか?」ニヨニヨ

ピッ

固法「はい、固法です」

垣根『おお、オレだ。突然で悪ぃがアンタ今日はヒマか?』

固法「今日?ええ、今日は非番で特に予定もないけど」

垣根『そっか。実は今から上条達とカラオケに行くことになってよ。よかったら来ねえか?』

固法「カラオケ?」

垣根『ほら、この間言っただろ?カラオケ行くときは声かけるって』

固法「えーと………」チラッ

柳迫(行く!行くって言いなさい!)ヒソヒソ

垣根『ひょっとして都合悪かったか?』

固法「そういうワケじゃないんだけど、今友達と一緒で…………」チラッ

柳迫(折角連絡来たのに何言ってんのこの子は!)

垣根『そうか、んじゃ残念だがまたの機会に……』

柳迫(これ逃したらまた当分音沙汰なしよ!分かってんの!?)

固法(!!)

454 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:26:15.37 ID:q3K1F1g60

固法「だ、大丈夫!行く、行くから!」

垣根『お、マジ?別に無理しなくてもこっちはいつでも…』

固法「本当に大丈夫だから!何だったらさっきまで碧美とカラオケでも行きたいなーって話してたくらいで!」

垣根『ああ、友達って例の同居人か。わかった、じゃ今から20分後に第7学区のカラオケBOXに集合な』

固法「ええ、わかったわ」

垣根「それじゃまた後でな」

ピッ

固法「はぁ」パタン

柳迫「何でアンタって子はわざわざ降ってきたチャンスを逃そうとするの?」

固法「だって、いきなりだったからビックリして……」

柳迫「彼もそうだけどアンタのヘタレも大概ね…」

固法「うう…………」

柳迫「まあいいわ、最後に勇気を出したごほうびにイイコト教えてあげる」

固法「いいこと?」

柳迫「耳貸しなさい」チョイチョイ

固法「?」ススッ

柳迫「いい?………で……」ヒソヒソ

固法「………ふええ!?」

455 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:27:33.53 ID:q3K1F1g60




ピッ

垣根「でかしたぞモヤシ。今この瞬間だけ褒めてやる」

一方「何コイツ本気でウゼェンだけど。殺してイイ?」

上条「誰か呼んだのか?」

垣根「ああ。固法とそのダチ」シレッ

上条「うええ!?」

一方「どォしてそォなる」

垣根「こないだアイツと約束したんだよ、カラオケ行くときは声かけるって」

上条(コイツの行動力はたまにいみがわからないな)ヒソヒソ

一方(タダの天然だろォ?)ヒソヒソ

垣根「おい、何をコソコソ話してやがる」

上条「いや、別に何でも……でもそれなら二人で行けばよかったんじゃないのか?」

垣根「は?何言ってんだ。二人でカラオケ行ったってつまんねえだろ」

上条通行「「」」

垣根「やっぱ3人はいねえと盛り上がらねえよなぁ。オレの理想は5人くらいなんだが、
   カラオケ行く相手なんざお前らくらいしかいなかったし。
   そう考えると固法ともう一人でピッタリだな!」ヒャッホウ


上条(天然だ)ヒソヒソ

一方(天然だなァ)ヒソヒソ


垣根「だから何コソコソ話してんの?」



456 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:28:41.35 ID:q3K1F1g60

-----------------------------------------------------------------------

   16:08  第7学区 カラオケ『パサラ』

固法「お待たせ、垣根さん」

垣根「よう」

上条(この人が固法さんの友達か……)

垣根「……そっちが?」

柳迫「はい!美偉のルームメイトで親友の柳迫碧美でーす。よろしくね」ニコッ


柳迫(おお、写真で見るよりイケメンじゃない!美偉のヤツ、うまいことやったわね)


垣根「垣根帝督。よろしく、お嬢さん」

柳迫「やっだもぉ、お嬢さんなんて!」

上条「………誰にでも言うんですよ、それ」ハァ

柳迫「え?」

457 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:29:34.72 ID:q3K1F1g60

垣根「ああ、こっちがオレのツレで…」

上条「か、上条当麻です」

一方「……………一方通行だ」

固法「アク……っ!ひょっとして、第1位!?」

柳迫「うっそ、マジで!?」

一方「あァ?」ギロッ

固柳「「!」」ビクッ

垣根「あーゴメンな。コイツあんまり同年代の女とうまくコミュニケーションとれねえんだよ。
   ただのかわいそうなコミュ障だから気にしないでやってくれ」

一方「あ゛ァ!?ブチ殺すぞクソメルヘン!!」

垣根「あぁん!?純然たる事実だろうが!!」

上条「やめろ二人とも!一方通行も固法さん達に謝って!」



一方「チッ…………悪かった」ゴメンネ

固法「い、いえ、私たちも大声出してごめんなさい」

柳迫「ごめん、なさい」ペコリ

垣根「……じゃ、全員そろったところでそろそろ入るか」



458 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:31:04.34 ID:q3K1F1g60

-----------------------------------------------------------------------

垣根「離せぇぇぇぇぇぇぇぇ!!オレが最初だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」グイグイ

一方「うるせェェェェェェェ!最初はオレだァァァァァァ!!」グイグイ

上条「リモコンは一個じゃないんだなーこれが」ピッピッピピッ

垣根「あっ上条てめっ!」


    ぶっ生き返す!! / マキシマム ザ ホルモン


垣根「おおおおしょっぱなから熱いな!」

一方「………イイねェ、最っ高だねェ!!」

固法「?」

柳迫「あ、ホルモン歌えるんだ。すごーい」

上条「いやあ、単に好きなだけで全然……あっ始まりますね」


   《♪記憶の墓場にバラ撒かれた まるで「生命のダスト」「感動の迷宮」♪》

      《♪積もり積もる骨に涙涸れて 薄っぺらなメモリアルと化した♪》



垣根「やっぱ最初はこれくらいテンション上げていかねえとな」

一方「空気を温めるには持ってこいだぜェ」
459 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:31:57.63 ID:q3K1F1g60

柳迫「謙遜してた割にウマいじゃん!」

固法(………すごい曲)



   《♪猛烈球 股間にデッドボール 死体蹴っ飛ばして♪》

垣根通行「「ゲップ出すBOMB!!!」」

固法「!」ビクッ


  《♪ブッイキス!! てめーらブッイキス!! I wanna ブッイキス!! てめーらブッイキス!!♪》

垣根通行「「ブッイキス!! 貴様らブッイキス!! 貴様らブッイキス!! 貴様らブッイキス!!」」

柳迫「て、テンション高いね」

固法「…………帰りたい」



   《♪脳味噌 常に震わせて 荒々と運命に背く♪》

   《♪もういっそ オレに生まれたなら♪》


垣根通行「君をーぶっ生きかえーーーす!!!」


           《♪君を ぶっ生き返す!!♪》


460 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:32:47.98 ID:q3K1F1g60

垣根通行「「イエェーーーーーイ」」シャンシャンシャン

固法「す、すごい一体感ね」

垣根「ん?ああ、こうした方が盛り上がるだろ?」

固法「そういうものなの?あまり来たことないから……」

垣根「あーそうか。まあ無視されるよりマシだろ?」

固法「そう、ね」

柳迫「よぉし、次は私よ!」ピッピッピピッ

一方「オイ女ァ!テメェ何を勝手に…」


    さぁ / SURFACE


垣根上条通行『SURFACEだと!!?』

柳迫「分かるの!?」

垣根「あったり前だろ!」

一方「人生の応援歌だァ」

上条「むしろ女の人でSURFACE知ってる人初めて見ましたよ」

柳迫「うれしいー!友達で知ってる子いないからマイナーなのかと思ってた!」キラキラ

461 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:33:45.74 ID:q3K1F1g60



    《♪何でも自分でできるって 強がるだけ強がってもね♪》

       《♪キミがいなきゃ何も出来ないし♪》


一方「……名曲だァ」

垣根「ああ、疑いようがない」

上条「何で解散しちまったんだ……」シクシク

固法(泣くほど?)


     《♪冷蔵庫開けりゃ 何もありゃしないや♪》

垣根上条通行『さぁ!』

       《♪吸いこんでくれ 僕の寂しさ孤独を 全部君が♪》


垣根上条通行『さぁ!』


     《♪噛み砕いてくれ くだらんこと悩みすぎる 僕の悪いクセを♪》



固法「あの、垣根さん」チョンチョン

垣根「ん?」

固法「このリモコンの使い方がよくわからないんだけど……」ススッ

垣根「!?」
462 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:34:55.26 ID:q3K1F1g60


垣根(か、顔が近ぇ!)


固法(こ、これでいいのかしら……)



柳迫『いい?カラオケBOXっていうのはそりゃあもう大音量で音楽が鳴り響いてるわけ。
   普通に会話してたんじゃ互いの声なんて聞きとれるわけないじゃない?だからこうやって』グイッ

固法『きゃっ』

柳迫『自然に相手との距離を詰める。物理的な距離が縮まれば心理的な距離も縮まるって寸法よ』



固法(……って言われて近づいたのはいいけど……は、恥ずかしい!)

垣根(髪サラッサラだなコイツ。目とかすげぇキレイだし、何かいい匂いする……って何考えてんだオレ!変態か!!)


垣根「あ、ああ、この店はほかの店と違ってよ、ちょっと特殊だがそのかわり曲数はすげえんだぜ」ピッピッ

固法「へぇ……」

垣根「折角だから何か歌うか?」

固法「え、ええ、そうね……でも私に歌える曲なんてあるかしら……」

垣根「何もそんな難しく考える必要はねえよ。ほら、西川なら覚えてるだろ?」ピッピッピピッ

固法「じゃあ………この曲で」ピピピピッ

463 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:35:58.53 ID:q3K1F1g60





     《♪やっぱり君が 誰より好きだから♪》


        《♪『サヨナラ』できない♪》



垣根「うおおおおおおおすげえ!」

一方「何で解散しちまったんだァ……」

上条「それさっき俺が言った」

固法(………本当に好きなのね)

一方「じゃ、次はオレだな……」ピピピッ

垣根「あ、違う違う、コイツだから」

一方「オイィ!!何回オレのジャマすりゃァ気が済むン……」


     JAP / abingdon boys school


上条「おお、absですか。意外ですね」

固法「そ、そうかしら」

一方「…………仕方ねェ、西川に免じてここは譲ってやらァ」

柳迫「何?ツンデレってやつ?」

一方「はァ!?」
464 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:36:36.75 ID:q3K1F1g60



     《♪Inside out ぶった斬れ 煩悩絶つTrigger♪》

       《♪しょうもない Pride なんて ゴミの日に捨てて♪》

垣根上条「「ハイハイ!」」


一方「う、ウメェじゃねェか……」

柳迫「でしょ?あの子仕事柄体鍛えてるから見た目の割に声量あるのよ。音感もいいし」

一方「へェ………」

柳迫「ところでさ」ヒソヒソ

一方「あァ?」



柳迫「あの二人ってどこまで行ったの?」ヒソヒソ

一方「あ、それ訊いちゃうゥ?」

柳迫「え!?何か知ってるの?」ヒソヒソ

465 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:38:23.70 ID:q3K1F1g60

一方「知ってるも何も……」チラッ


      《♪神風(かぜ)よ誘え 未知なる方へ♪》


垣根上条「「アンテーーーーーイム!!!」」


      《♪沸き上がる熱と 燻ぶる魂が胸を締めつける♪》



一方「………いいか別にィ」ピッポッパ

柳迫「?」

一方「コレ、押さえた現場写メ」ホレ

柳迫「ウソ!どうしたのこの写真!」ヒソヒソ

一方「野郎を一日尾行して撮ったァ」

柳迫「………何ですって?」ピクッ

一方(あ、ヤベェ、地雷マズったかァ?)



柳迫「あなた達、そんな面白そうなことしてたの!?」

一方「」

466 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/18(土) 02:39:32.30 ID:q3K1F1g60

柳迫「うわー、そんな面白いことになってるなら私も行けばよかった〜」

一方「……こンなムービーもあるンだが」ピッポッ

柳迫「何なに?………おおおおおおおお!コレは!!」

一方「……オマエとは気が合いそうな気がするなァ」



     《♪I’m  gonna  live  out  my  life  untaimed!!♪》



垣根上条「「ォォオオオ!ファイ!ファイ!」」


固法「お、お粗末でした」

垣根「いやいや、十分うめえって!」

上条「そうですよ」



柳迫「………じゃ、さっきのアドレスに送ってね」ヒソヒソ

一方「おォ、任せろォ」ヒソヒソ



固法(……あの二人、いつの間に仲良くなったのかしら)


467 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/18(土) 02:41:51.68 ID:q3K1F1g60
以上です。読んでくださってありがとうございます。
選曲は完全に>>1の趣味です。カラオケ行きたい。

今回の投下分は一方通行に
「人生の応援歌だァ」
って言わせたかっただけなんて口が裂けても。
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 06:16:12.45 ID:5TohwP1Ho
乙!待ってたぜ
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 06:56:29.43 ID:2TZos53e0
乙。
>>1とはうまい酒が飲めそうだ・・・
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 15:40:49.87 ID:6nozY2WIO
守って守護月天思い出したわ
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 00:21:36.92 ID:5w9amy7IO
surface良いよなぁ
472 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:09:26.33 ID:VSQ0l8Sr0
レスありがとうございます。1です。

中途半端な時間ですが投下していきます。
カラオケ回・後篇です。

SURFACE、いいよね。
473 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:10:40.61 ID:VSQ0l8Sr0

垣根「んじゃ、次はオレだな」

一方「ふざけンな!ふざっけンなよメルヘン!!次はオレだァ!!」

垣根「は?もう入れたし」



    オリオンをなぞる / UNISON SQUARE GARDEN



上条「おお、これか」

柳迫「ユニゾンだー!」

垣根「知ってんのか?」

柳迫「大好き!」

固法(……………知らない曲だわ)



    《♪ ごきげんよう どうかしたんだろ?顔を見れば一瞬で分かるよ ♪》

    《♪ 千里眼千里眼? めっそうないです ♪》



固法「………いい曲ね」

柳迫「これね、最近勢いのあるバンドなんだよ。」

固法「へぇ………」

474 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:11:49.28 ID:VSQ0l8Sr0

上条「っていうか柳迫さん、音楽詳しいですよね」

柳迫「えー?そんなことないよ、普通だよ」

一方「普通の女はSURFACEなンか知らねェ」

柳迫「そんなことないもん!美偉だって知ってるし!ねえ美偉……」



     《♪ ほら僕たちなんて 十分適度に ドラマチックさ 軽くスーパースター ♪》

     《♪ オリオンをなぞる こんな深い夜 ♪》

     《♪ つながりたい 離されたい つまり半信半疑あっちこっち ♪》


固法(かっこいい………)



柳迫「………聞いてないし」

上条「むしろ聴き入ってますね」

一方「ったく、あンなメルヘンのどこがいいンだァ?」

柳迫「………女の子には色々あるのよ」

上条「おお、何かそれっぽいですね」

475 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:12:41.38 ID:VSQ0l8Sr0

一方「くっだらねェ」

柳迫「それに人の好みにケチなんてつけるもんじゃないしね」

一方「ハッ、確かになァ。こういうことはやっぱり………」



柳迫通行「「イジり倒して面白がるに限るのよ(ンだよ)」」

上条「」



柳迫「あなたもそう思う?」ニヤッ

一方「あったりめェだろォ?」ニィッ

柳迫「明らかに何か隠してるあの子から根掘り葉掘り聞き出すときのあの感じがたまらないのよねー」

一方「わかるゥ。不測の事態に慌てまくるあのメルヘンの顔ときたら爆笑モンだぜェ。まあ半分以上オレの仕掛けだがなァ」

柳迫「え?あなた尾行以外にそんなこともしてるの?趣味悪いわよ?」ニヨニヨ

一方「ウソつけ。悪趣味って考えてるヤツの表情〈かお〉じゃねェぞ」ニヤニヤ

柳迫「あ?バレた?」シレッ

一方「やっぱりオマエとは気が合いそォだなァ」

柳迫「奇遇ね!私もそう思ってたの」

一方「まったく、あの女もいい『オトモダチ』をもったモンだぜ」

柳迫「褒め言葉として受け取っておくわ」

一方「……っとにイイ根性してやがる」ククク

柳迫「あなたこそ」クスクス

上条「最悪のコンビが誕生した気がする……」

476 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:13:32.66 ID:VSQ0l8Sr0



     《♪ …僕がいて あなたがいて それだけで十分かな ♪》


     《♪ 新未来を願う空前絶後の 言葉がもし もし、つむげるなら♪》


     《♪ 一緒に飛ばそうよ ♪》


     《♪ 昨日までをちゃんと愛して 見たこともない景色をみるよ ♪》


     《♪ 『ココデオワルハズガナイノニ』 ♪》



固法「……」パチパチパチ

垣根「ああ、ありがとよ。それにしてもアイツら途中から全然聴いてねえじゃねえか。
アンタだけだぜ、最後まで聴いてたの。どうだったこの曲?」

固法「ええ………素敵だったわ」

垣根「!?」

固法「え……あっ!違っ、その、曲が!素敵な曲だなぁって言ったの!」

垣根「あっ、ああ!曲がな!うん、そうだよ曲の話だよな。むしろ曲以外の話題なんて存在しねえし!」

固法「そ、そうそう!」

477 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:14:32.75 ID:VSQ0l8Sr0


垣根(な、何だ今の心臓を鷲掴みにされたような感覚……!不整脈か!?)


固法(あ、危なかった。思わず本音が………何とかごまかせた、よね?)



一方「……………!」バンバン

柳迫「……ッ!…………!!」プルプル


一方(バカだ!アイツはホンモノのバカだ!!)バンバン

柳迫(あれでごまかせたと本気で思ってる……!それで垣根さんもごまかされてる…!何あの二人、中学生?)プルプル


上条(……とか考えてるんだろうなあ)

垣根「なにやってんのお前ら?」






一方「ようやっとオレの番だァァァ!」ピピピピピッ

上条「リモコン操作速っ!」



      激動 / UVERworld



478 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:15:33.26 ID:VSQ0l8Sr0

上条「おお」

垣根「まあ最初はこの辺だろ」

柳迫「UVERだー」

固法「……これなら、知ってる」

     《♪ 〜 ♪》

上条「毎回思うんだけどこの曲前奏長いよな?」

垣根「オレも気になって計ってみたら55秒あった」

     《♪ 〜 ♪》


垣根上条「「ォォォオオオオファイッ!!」」



上条「ここまで55秒?」

垣根「そうそう」

柳迫(…ヒマなのかしら、この人?)


    《♪ 研ぎ澄ますeyes 聞き飽きたフレーズや ♪》

    《♪ 誰かのコピーじゃ満たされないんだよ ♪》


柳迫「……彼UVER好きなの?」

垣根「ホラ、アイツ中ニ病だから」

上条「………その理由もどうかと思うけどな」

固法(……………何かしら、『チュウニ病』って)

479 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:17:02.22 ID:VSQ0l8Sr0



     《♪ 末期でドス黒のベストプレイ インザハウス ♪》

     《♪ 第一線のステージで これっぽっちも負ける気がしねーな ♪》



上条「さて、次は何歌おっかなー」ピッピッ

垣根「なんで、ホルモンだったら『絶望ビリー』でいいじゃねえか」

上条「2曲続けてホルモンとか上条さんのノドが死んでしまうわ」ピッピッ

柳迫「確かにね」

上条「………これでいいや」ピピッ

垣根「お、いいんじゃねえの?じゃあオレはこれで」ピピピッ

柳迫「私はこれ!」ピッピッ

固法「私は……この曲で」ピッピッ



     《♪ 見えていたものまで 見失って僕らは ♪》

     《♪ 思い出の海の中 溺れていくのに ♪》

     《♪ どうして 誓い合ったことまで なかったことにして次のpassport ♪》

上条柳迫「「ファイ!」」


垣根「あ、そうだ。ドリンク頼んでねえ。何飲む?」

固法「じゃあ…」

垣根「言っとくが牛乳はねえぞ?」

固法「わ、わかってるわよ!……アイスミルクティー一つ」

柳迫「私はホワイトウォーター!」

上条「オレはコーラ」

垣根「オッケ、モヤシはどうせコーヒーだろ……あ、すいません、注文いいスか?アイスミルクティー一つと…」

480 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:18:07.40 ID:VSQ0l8Sr0



     《♪ うまく置いていけたら 溺れないで 捨てないで また会えるから ♪》


上条柳迫「「レベルワーンッ!」」


     《♪ 永遠の声 again 心にいつ届く? ♪》

     《♪ Rebel one, turning point ♪》



上条柳迫「「イエーーーーーーイ!」」

垣根「ハイハイおつかれ」

固法「垣根さん、さっきから彼の扱いが雑じゃないかしら……?」

垣根「あん?いいんだよ別に。どうせモヤシだし」

一方「何か言ったかメルヘン。ひょっとして遺言かァ?」

垣根「打ち止めちゃんからの着信音を『君の好きなうた』にすんのはやめろっつったんだよ」

一方「テメッ、何でソレを知ってやがる!」

固法「打ち止めちゃん?ってこの間の子?」

垣根「ああ、打ち止めちゃんを預かってる家で下宿してるのがコイツだ」

481 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:19:08.36 ID:VSQ0l8Sr0

一方「あン?オマエ打ち止めのこと知ってンのかァ?」

固法「ええ、この間道端で………」





打止『固法お姉ちゃんは垣根のお兄ちゃんの恋人さんなの?ってミサカはミサカはぶっちゃけたところを訊いてみたり!』





固法「………っ!」カァァァ

一方「あ?」

垣根「あー!その、アレだ。そん時の打ち止めちゃんがかわいかったなって話だよ」

一方「あァ?何当り前のことほざいてやがるクソメルヘン。
   っつーかテメェ打ち止めに変なこと吹きこンでねェだろォなァ」アーン?

垣根「そのセリフそっくりそのままバットで打ち返すぜこのクソモヤシが。
   ケーキ代はテメエ宛に請求してやるからな」ギロッ

一方「はァ?」


固法(お、思い出しちゃった……)


垣根(ああああああせっかく水に流してもらったのに何やってんだオレのバカァァァァ!)

482 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:20:05.20 ID:VSQ0l8Sr0



      FLYING IN THE SKY / 鵜島仁文



上条「次は俺だな」

垣根「これもまた違う意味で熱い曲だよな」




     《♪ FLYING IN THE SKY 高くはばたけ 大空をどこまでも ♪》


垣根通行柳迫「「「SHINING FINGER!」」」


     《♪ 輝く光が 地の果て照らし奇跡をよぶ SPELL! ♪》




垣根「え、この曲知ってんの?」

柳迫「え?ネオジャパン国歌でしょ?」

一方「この女底が知れねェ……」


………! ……!? …………!! ……… ‥ ‥ ‥  ‥  ‥



483 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:21:18.15 ID:VSQ0l8Sr0

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   18:12  第7学区 路上

柳迫「やっぱりさぁ、SURFACEのアルバムは『Invitation No.6』が至高だと思うのよ。
   捨て曲ないもん。」

上条「気持ちはわかりますけど、俺は『Fate』を推したいですね」

一方「あァ?『Last Attraction』一択に決まってンだろォ?」

上条柳迫「「それはズルイ!」」



垣根「盛り上がってんなー」

固法「そうね」

上条、一方通行、柳迫の三人はすっかり意気投合したようで、
アーティスト談議に花を咲かせていた。
なんとなくあぶれてしまった垣根と固法はつかず離れず、
微妙な距離を保ちながら三人の後ろを歩いてついて行く。


垣根「しかしすげーなあの子。柳迫、だっけか。モヤシと初対面であそこまで物おじせずに話せる女初めて見たぜ」

固法「もともと人見知りしない子なんだけど、それにしてもすごく気が合ったみたいね。
   何か共鳴するところがあったのかしら?」




上条(……これでいいんですか?)ヒソヒソ

柳迫(ええ、私たち三人が固まってれば必然的にあの子たち二人きりになるでしょ?)ヒソヒソ

一方(惜しむらくはオレらから様子が見えねェとこだがなァ)ヒソヒソ


よもや自分たちが話のネタにされてるとは思いもしない垣根と固法であった。

484 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:22:27.03 ID:VSQ0l8Sr0

固法「それにしても思い切り大声だすのって楽しいのね。すっきりしたわ」

垣根「そうか?」

固法「ええ。誘ってくれてありがとう、垣根さん」ニコッ

垣根「!」

固法が不意にむけた笑顔に、垣根は思わず言葉を詰まらせる。


垣根(クソッ、さっきから何なんだ?コイツの顔見るたびに脈拍が……)


垣根「い、いや、こっちも楽しかったぜ。アイツらも心なしかいつもよりテンション高めだったし」

何となく固法の顔を見られなくなった垣根は、フイと視線をそらしながら答えた。

固法「そうなの?」

垣根「常時あのテンションだったらさすがにビョーキだろ」

固法「ふふふっ………そういえば垣根さん」

垣根「あん?」

固法「今日垣根さんが歌ってた曲、ほとんど同じグループだったけど……」

垣根「お、気に入った?」
485 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:23:13.84 ID:VSQ0l8Sr0

固法「え、ええ。いい曲ばかりだなぁって思って。確かゆにぞん?っていうバンドなのよね」

垣根「ああ。UNISON SQUARE GARDEN。ユニゾンは通称だな。まだ一般的な知名度はイマイチだが……」





柳迫「よーし決めた!もう一軒行こう!もう一軒!!」

一方「望むところだァ!!」

と、前を歩いていた柳迫たちが突然大声を張り上げた。

固法「あ、碧美?もう一軒って、どこに?」

柳迫「決まってるじゃない!カラオケよ、カラオケ!こうなったら三人で朝までSURFACE縛りよ!」

垣根「…つってももうそろそろ完全下校時刻だぞ?今から入店できる店なんざ……」

柳迫「大丈夫大丈夫!朝までいられるサロン使うから!」

固法「でもそういうサロンって高いんじゃ…」

一方「何か言ったかァ?」スッ

上条「そ、それは!」

一方通行はポケットから静かに一枚のカードを取り出す。
それは垣根が以前上条に貸与したものと同じ会社のブラックカードであった。

垣根「テメエはホントに金の使い方間違ってるよな!!」

486 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:24:07.37 ID:VSQ0l8Sr0

柳迫「キャー!あーくん太っ腹!おっとこまえー!」ギュッ

一方「ウッゼェ!離れろォ!あとあーくンって言うンじゃねェ!!」

柳迫「じゃあ私たちはここで!美偉、寮監にはうまいこと言っておいてね?」

固法「ちょっと碧美!?」

柳迫「あ、垣根さん垣根さん」チョイチョイ

垣根「は?」ナニナニ

柳迫「美偉のこと、ヨ・ロ・シ・ク・ね?(はぁと」

垣根「はぁ!!?」




柳迫通行「「じゃァ〜ねェ〜」」ダッシュ!

上条「お、おい!置いてくな!!」



アッカンベーシテサヨナラー カルイノリデユキマショー
サンザンナヤンデミテモー ホントナンニモナリャシナイヨー………


487 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:25:02.57 ID:VSQ0l8Sr0

垣根「………行っちまった……」

こうして、垣根と固法は暮れなずむ街の真ん中に残された。

垣根「何なんだあのテンション。ほぼ酔っ払いじゃねえか」

固法「…………」

垣根「………んじゃ、オレらは大人しく帰ろうぜ。寮こっちだよな?もう道覚えちまっ……」

そう言って垣根が歩き出そうとしたその時、








固法「」キュッ

垣根「!?」




固法が小さく、本当に小さく、垣根の上着の裾をつかんだ。

488 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/06/21(火) 03:25:53.61 ID:VSQ0l8Sr0

垣根「あのー……固法さん?」


垣根は思わず固法の方へ向き直った。
垣根の問いかけに、固法は顔を耳まで赤くしながら答える。


固法「ご、ごめんなさい!その………










   も、もう少し一緒にいてもらってもいいですか?」



垣根「!!!???」






『何……………だと………!!?』


そんな定型文が、垣根の脳内を光の速さで駆け巡っていた。
489 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/21(火) 03:29:08.91 ID:VSQ0l8Sr0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

帝春、人気ですよねぇ。
心折れそうになりながら己が萌えと
みなさんのレスを糧に書いてます。





次回、3歩進んで5歩下がる状態の本編にいよいよ進展が!?
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage saga]:2011/06/21(火) 04:25:37.09 ID:WGKqLtF00
乙です。毎度毎度ニヤニヤさせてもらってます!
某SS書きなんですが、こっそり垣根×このりんの話題出しちゃいました。
カップリングとして出した訳では無く、多少のネタとしてですが事後報告ですいません。

次回も楽しみにして待ってます!
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/06/21(火) 20:09:56.70 ID:dI35lvwx0
このりんの最後の台詞は反則やでぇ・・・

次回もwwktkしながら待ってます
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 20:29:59.67 ID:NmK32fJLo
いい加減付き合っちゃえよ
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 00:24:17.40 ID:lPzZPTu3o

柳迫通行も期待
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 00:43:59.71 ID:LMkZ+whIO
鳥肌が立つほどいいぜェ
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/06/24(金) 20:36:20.14 ID:Gg/Bl2Ta0
こんばんは。1です。

投下の前に注意事項です。
今回の更新分には一部暴力的・不健全な表現が含まれます。
閲覧には注意してください。

では投下していきます。

ちょっと長いよ。
496 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:46:01.44 ID:Gg/Bl2Ta0

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     18:22  第7学区 噴水公園

垣根帝督。

17歳。

高3。

『未元物質』を操る序列第2位超能力者、つまり学園都市第二位の頭脳を持つ彼は今、


垣根(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイどうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)


未だかつてないほどに焦っていた。



柳迫たちと別れた二人は、たまたま近くにあった公園でベンチに腰掛けていた。
二人の間には、もう一人入れるかどうか位の空間がある。
普通ならば何の違和感もない光景だが、今、この場所に限ってはどうしようもなく浮いていた。
何故ならば―――――――――

キャッキャッ……  ウフフ……  ネェネェ……


垣根「………そりゃ夜の公園なんざこうなってるに決まってるわな」

固法「うう……………」

公園内には彼ら二人を除けば仲睦まじい男女、というかイチャイチャしてるカップルしかいなかったからである。
497 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:47:11.97 ID:Gg/Bl2Ta0

寒くなってきた所為か、公園内のカップル達は誰も皆ぴったりと寄り添い合っている。
そんな状況にあって垣根たちの間にある空間は明らかに異質だった。

垣根「もっと他に場所なかったのかよ……」

固法「だって、ウチの寮に男の人は入れないし、この格好でお店に入るのはちょっと………」

完全下校時刻が間近に迫っている今、制服のまま飲食店などに入るのは
他の風紀委員や警備員に見つかるリスクが高い。
現職の風紀委員である固法にとってそれは都合が悪いためこの場所を選んだのだが―――


垣根(だからってここはねえよ……この間のサ店よりひでえぞ)

垣根(ノコノコついて来たオレもオレだけどよぉ………っつーかあんな顔されて断れるワケねえだろ。
   真っ赤な顔で上目遣いとかほとんど反則だぜ)

垣根(…………どうやらオレは、コイツのあの顔に弱いらしい)


時間が経ってだんだん落ち着いてきた垣根は、隣の固法の様子をチラリと見やった。
彼女は先ほどから顔を赤くしたまま俯いている。
どうやら夜の公園がどんな場所なのか本当に知らないまま来てしまったらしい。


垣根(ったく、こうなるくらいならもうちょっと考えて行動しやがれってんだ)

垣根(大体コイツはこの間から無防備すぎる。
   人を信用すんのは勝手だが、男に対する警戒心が薄すぎるぜ)



垣根(…………ちょっとからかってやるか?)



垣根は少々世間知らずな隣の少女に、軽く灸をすえてやることにした。

498 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:47:59.71 ID:Gg/Bl2Ta0


一方、当の固法はというと、


固法(どどどどどどうしよう!思わず引き留めちゃったけどこれからどうすればいいの!?)


さっきまでの垣根同様軽い錯乱状態にあった。


固法(し、知らなかった……まさか公園がこんな場所だったなんて)

固法(垣根さん、怒ってるかな………いきなりこんなところに連れてきて)

固法(軽い女だと思われたらどうしよう…………)


二人の間にしばし沈黙が流れる。
そしてそれを破ったのは、



垣根「なぁ、寒くねえか?」

固法「え?」

切れ長の瞳をいたずらっぽく光らせた垣根だった。

499 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:48:48.19 ID:Gg/Bl2Ta0

固法「そ、そうね。もうすっかり日も暮れちゃったし」

垣根「だよなあ。














   だからさ、暖めてくれよ」

固法「ふえ?キャッ!!」

そんなセリフを吐くや否や、垣根は固法との間に会った距離を詰め、その肩を抱き寄せた。



固法「かかか、垣根さん!!?一体どうしたの!?」アタフタ

垣根「いや、寒いからひっついて暖め合おうかと」ギュッ

固法「だからってこんな………ま、周りに人もいるのよ!?」

垣根「大丈夫だって、他の奴らも似たようなことしてんだろ?」

固法「そういう問題じゃ………」フイッ

突然のことに顔をそむけようとした固法だったが、



垣根「こっち見ろよ」グイッ

固法「!!」

顔に添えられた垣根の指がそれを許さなかった。



500 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:49:42.07 ID:Gg/Bl2Ta0

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柳迫(おおおおおおおおおおおおお!!さあさあ盛り上がって参りました!!)

一方(クカカカカカカカカ!メルヘンのクセになかなかやるじゃねェか!!)

上条(…………何で俺まで…)

  同時刻  噴水公園

公園内の茂みでは、カラオケをハシゴしているはずの柳迫たちが
二人の様子を覗い………もとい、見守っていた。
夜の街に消えたふりをして大急ぎで戻り、ずっと二人の後をつけていたのである。

上条(徹カラなんて嘘までついて……そんなにデバガメりたかったんですか?)

柳迫(こうなることは大体予想ついてたからね。それにあんな写メ見たら尾行するっしょ、普通!)

一方(オマエマジ見所あるわァ)

柳迫(それに垣根さんの方も適当に煽っておいたしね)

上条(固法さんが垣根にお持ちかえりされる可能性とか何で考えなかったんですか?)

柳迫(………それは…)

一方(それはァ?)





柳迫(……あの短い付き合いの中で『それはない』と思わせる言動があったから、かな)

上条通行((確かにwwwwww))

501 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:50:25.63 ID:Gg/Bl2Ta0

柳迫(だってさぁ、垣根さんって全然遊び慣れてないでしょ?特に女の子と。
   そんな人にお持ちかえりなんてできるわけないじゃーん)ケラケラ

上条(……短い時間でそこまで見抜くとは…)

柳迫(でしょ?人を見る目には自信があるの)ドヤッ

一方(オイ、また何かブツブツ言ってンぞ)

上条柳迫((お?))ドレドレ





垣根「アンタさぁ、わざとやってる?」

固法「え?」

固法の顔を引き寄せながら垣根はそんなことを言い出した。

垣根「え、じゃねえよ。こんなところ連れてきて、誘ってんのか?」

固法「そんなつもりは……私はただ……」

垣根「アンタにその気があろうが無かろうが関係ねえんだよ。男ってヤツはバカな生き物だからな、
   簡単に狼になれるんだぜ?たとえ相手がダチでもな」

固法「あっ………」

垣根の口から今まで聞いたことのない厳しい言葉が紡がれる。

垣根「それともオレなら大丈夫だと思ったのか?残念だったな、オレだって一人の男なんだよ」

固法「か、垣根さん、ちょっと……………!」

502 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:51:10.70 ID:Gg/Bl2Ta0

突き放すような言葉とは裏腹に垣根の顔はどんどん固法に近づいてくる。
この距離で彼の顔を見たことは何度かあった。
しかし垣根の目は、初めて会った時ともフードコートの時とも違う何かを湛えている。
その瞳は強烈な色気をまとい、固法をまっすぐに見つめてくる。


固法(垣根さん、何だか………こわい…)


固法は垣根の熱のこもった視線に射すくめられ、まったく抵抗できない。


そして、二人の距離がゼロになるその瞬間――――――










垣根「―――――――――なんてな」

固法「…………………へ?」


垣根はいつか見た悪戯っぽい笑みを浮かべながら固法の耳元でそう囁いた。

垣根「アンタちょっと男に対する警戒心が薄いみてえだからな、灸をすえてやろうと思ってよ」ニヤッ

固法「かっ………!からかったのね!!?」

503 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:51:53.28 ID:Gg/Bl2Ta0

垣根「ハハハッ。どうよ?ドキッとしたか?」

固法「信じられない!最っ低!!」プイッ

垣根「………悪かった。でもな、さっき言ったことは本当だぜ?」

垣根は急に先ほどまでの真剣な表情に戻りこう続けた。

固法「……え?」

垣根「固法はさ、人を信用しすぎなんだよ。もうちっと自分の身を守ることを知るべきだ」

固法「………これでも風紀委員よ。護身術や逮捕術くらい心得て…」

垣根「そういうこと言ってるんじゃねえ」

固法「!」

垣根は語気を強くして固法の言葉を遮った。

垣根「言ったろ?アンタは無防備すぎる。今だって相手がオレじゃなかったらホントに襲われてたぞ」

固法「…………」



垣根「アンタだってそれなりに強いかも知れねえがな、万が一そうなったら女は力では男に絶対勝てねえ。よく覚えておけ」



504 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:52:42.65 ID:Gg/Bl2Ta0



――――ああ、そうか。
この言葉で、固法は垣根の言いたかったことを理解した。
――――――心配、してくれてるんだ。
垣根は自分の身を案じて、わざとあんなことをしたのだろう。
恐らく『灸をすえる』という表現もあながち冗談ではないに違いない。
だが一つだけ、垣根は思い違いをしている。
自分はだれでも簡単に信用してるわけでは、ない。


固法(垣根さんだから……信じてるんだけどな…)


固法「……ごめん、なさい」

釈然としないものを感じるが心配させたことには変わらない。
何より純粋にうれしかった固法は、素直に謝っておくことにした。
その言葉を聞いて、垣根はようやく表情を緩めた。

垣根「わかりゃいい………アンタを見てるとさ、こっちまで不安になるんだよ」ハァ

固法「…え?」

垣根「頼むからもっと自分を大事にしてくれ。固法に何かあったらオレは………」

固法「!」


固法(い、今とんでもないこと言われた気が……)


固法「か、垣根さん?それって……」

垣根「は?別に他意はねえよ。……ほら、マジで冷えてきたしそろそろ帰るぞ。
柳迫にアンタのこと頼まれてんだからな、風邪でも引かれたらこっちが困る」ツカツカ

固法「う、うん……」

垣根は急に立ち上がって歩きだす。
固法も慌ててあとをついていくが、垣根はこちらを見ようとしない。


固法(やっぱりまだ怒ってるのかな……)






垣根(やっべえええええええええええええええ調子に乗りすぎたあああああああああああああああああああ!!!)

垣根(無理!もう無理!もうコイツの顔見らんねえ!!恥ずか死ぬ!!!)




505 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:53:37.67 ID:Gg/Bl2Ta0


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上条(お、歩き出したな。もう時間も時間だし、これで解散かな?)

柳迫(そうみたいね。美偉って時間にうるさいし。あーあ、せめてキスシーンぐらいは見れると思ったのになー)

一方(ハッ、メルヘンにそンな度胸あるワケねェ)フン

上条(確かに………)

柳迫(じゃあ私たちも帰りますか)



上条通行((……どこに?))

柳迫(へ?……………あっ!)

上条(柳迫さん、今日は俺たちと徹カラに行ってることになってるんですよ)

一方(そこにノコノコ帰ったらウソついてたのがバレるなァ)ハァ

柳迫(そうだった……ということは私ってば、今夜一晩宿なし………?)

上条(そういうことに………)

一方(なるねェ)



柳迫「不幸だわーーーーーーーーー!!」




506 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:54:14.41 ID:Gg/Bl2Ta0

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  18:44  第7学区  路上

固法「………?」

垣根「どうした?」

固法「いえ、今碧美の声が聞こえたような気がしたんだけど………」

垣根「気のせいだろ。アイツらなら今頃SURFACE縛りカラオケで盛り上がってる頃だろうぜ」

固法「………そうね」

垣根たちは固法の寮に向かって街灯のともり始めた道を歩いている。
垣根は固法の半歩先の位置をキープしているため、固法から垣根の表情をうかがうことはできない。
気づけば二人の間にはまた沈黙が流れていた。


固法(うう、気まずい………垣根さんはこっち見てくれないし……まだ怒ってるのかな)


垣根(おいぃぃぃぃぃぃぃぃ黙り込んじまったぞ!ちょっとキツく言いすぎたか?
   せめて表情が分かればいいんだが………今アイツの顔見たら恥ずかしさで死ねる自信がある)



垣根固法((一体どうすればいいの(んだ)………?))



二人してそんなことを考えていたそのとき――――――、



ッキャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


垣根固法「「!!!」」

絹を裂くような悲鳴が夜の学園都市に響いた。

507 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:55:44.94 ID:Gg/Bl2Ta0

固法「この悲鳴……!」

固法(どこから!?)

垣根「……こっちだ」ダッ!

固法「えっ?」

言うがはやく垣根は悲鳴のした方へと驚くべき速度で駆け出した。

固法「ま、待って!!」タタタッ!

一拍遅れて固法も走り出す。
垣根の足の速さは知っている。垣根が走っている間は追いつくことはできないだろう。
せめて見失わないようについていくのが精いっぱいだ。

しかし固法にも意地がある。


固法(そう何回も垣根さんを……一般人を巻き込むわけにはいかない………!)


風紀委員としての責任、自負、信念――――――
垣根に助けられたことで揺らぎそうになったそれらを今一度確固たるものにするべく固法は走る。
―――その先に、想像を絶する光景が待っているとも知らずに。



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   同時刻  第7学区 路地裏

女生徒「イヤァァァァァァ!離して!!離してよぉ!!」

不良「おーおー泣け泣け。どーせ助けなんざ来ねえんだからよぉ!」

そこでは一人の女生徒が大柄な不良に組み敷かれ、今まさに暴行される寸前だった。

508 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:56:37.85 ID:Gg/Bl2Ta0

女生徒「何で……どうして私がこんな目に……」ポロポロ

不良「何でなんだろうねぇ……ま、運が悪かったと思って諦めるんだ、なっ!」


ビリィッ!!


馬乗りになっていた不良が女生徒の制服を力ずくで引き裂いた。


女生徒「ヒッ!」ビクッ

不良「いーねぇ、その表情。たまんねえよなあ、恐怖に歪む女の顔はよぉ…」ジュルリ

女生徒「いや………助けて……だれかぁ……」ボロボロ

不良「言っただろ?もう完全下校時刻だ。こんな路地裏わざわざ通りかかるやつなんて入るワケねえ」

女生徒「ううう…………」ボロボロ

不良「仮に巡回中の風紀委員が来たとして、その時てめえはすでにボロ雑巾だな。クックックック………」



―――もうだめだ。

――――自分はこの男に犯される。

少女の心が恐怖と絶望に支配されたそのとき、
509 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:57:14.42 ID:Gg/Bl2Ta0











            「何してんだコラ」

声がした。






510 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:58:03.55 ID:Gg/Bl2Ta0

不良「あぁ?」

ビュン バキィッ!

不良「グボッ!」

どこからともなく現れた長身の青年が、不良の側頭部に体重の乗った飛び後ろ回し蹴りを見舞った。
吹き飛ばされた不良と入れ替わる形で青年が少女の正面に降り立つ。
錯覚だろうか、青年の周りに白い羽が舞っているように見えた。

垣根「大丈夫……ではなさそうだな。ケガもしてる」

女性徒「あっ………」

ズタボロにされた制服はもう役には立たないだろう。
無理やり押し倒されたために体中も擦り傷だらけだ。

垣根「……」バサッ

女生徒「あ…」

青年は自分の制服の上着を脱ぐと無言で少女に差し出した。
どこかぼんやりしたままそれを受け取る少女。

不良「てめぇ………っ!!」

垣根「ほぉ…コメカミにいいのが入ったと思ったがまだ意識があるのか。頑丈だな」

511 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:59:05.19 ID:Gg/Bl2Ta0

青年に蹴り飛ばされた不良が起き上がり青年を思い切り睨みつけた。

不良「何モンだ!風紀委員か!!?」

垣根「風紀委員?違えよ。テメエの同類だ」

不良「あぁ!!!?」

垣根「テメエと同じ、泥の中這いずり回るクズだっつってんだよ」

不良「ンだとゴラァ!!」ブンッ!

垣根「遅え」スカッ

ボグッ!

激高し殴りかかる不良を青年はたやすくいなし、カウンターでみぞおちにひざ蹴りをたたきこんだ。
不良は自分の勢いが上乗せされた一撃をくらい、両膝を折る。

不良「ウグ…ッ!」

垣根「……今の蹴りを耐えた褒美だ。テメエにも教えてやるよ」

不良「あん………だとぉ………!!!」

青年は不良を挑発するかの様に青年は冷たい視線で不良を見下ろす。
そして、





垣根「本物の“恐怖”ってヤツをな」ニィ

獰猛な笑みを浮かべてそう言い放った。



512 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 20:59:53.54 ID:Gg/Bl2Ta0

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固法(垣根さんが入ったのは……この路地!)ダッ!

固法は垣根を追って現場の路地にたどり着いた。
風紀委員の腕章はすでに装着済みである。
固法の経験上、この時間に発生する事件の大半は暴行か不良同士の喧嘩だ。
だがさっきの悲鳴では後者の線は限りなく薄い。
それに現場は狭い路地。大人数による犯行とも考えにくい。
つまり、


固法(相手は多くてもニ、三人……大丈夫!)


固法の逮捕術は一七七支部の風紀委員の中でも一、ニを争うレベルである。
拳銃でも持ちだされない限りものの数ではない。

固法「風紀委員です!!その子から離れなさ……」

だが現場に到着した固法の目に飛び込んできたのは、
固法の想像をはるかに超えるものだった。




垣根「オラ、何とか言ったらどうなんだよ。コラ!」ガスッ!

不良「ガフッ!」バキッ

そこには血まみれで横たわる不良と、
それを馬乗りになって殴り続ける垣根の姿があった。



513 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:00:42.46 ID:Gg/Bl2Ta0

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――――殺ス


垣根「ホラ、何とか言ってみろ、よ!」ガスッ!


――――戮ス


垣根「楽しかったか?あ?」

不良「ガ……あ……?」


――――――コイツハ、殺ス


垣根「…弱えヤツを力でねじ伏せるのは楽しかったかって…訊いてんだよ!!」ボグッ!

不良「ガァ……ッ!」バキッ


―――――殺サナキャナラネエ


垣根「オイまだ寝るんじゃねえぞ。こんなもんで済むなんて思ってねえよなぁ?あ!!?」パシパシ

不良「も゛ぅ……許じで……」

垣根「許されるワケねえだろうが!!!!」ゴスッ!

514 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:01:30.60 ID:Gg/Bl2Ta0


―――――コイツハ………ダ


垣根「分かった。質問を変える……気分はどうだ?圧倒的な“力”にねじ伏せられる気分はよお!!!」バキッ!

グシャッ

何か固いものがひしゃげるようなくぐもった音がした。
同時に不良の下あごがダランとたれ下がる。
どうやら顎の骨が砕けた音らしかった。

不良「ア………アァ……」

こうなってしまってはもうまともな受け答えはできない。
しかし垣根は意に介することなく不良を蹂躙し続ける。


垣根「さて、テメエは今何を考えてる?『殺される』?『死にたくない』?…ああ、答えなくていい。テメエの遺言なんざ聞きたくもねえ」


―――――――死ネ


垣根「わかるか?それが『恐怖』だ。存在の危機に直面した生物に死神の如く忍びよる感覚、
それが『恐怖』だ」


515 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:02:33.17 ID:Gg/Bl2Ta0


―――――――――死ンデシマエ


垣根「恐怖はオレたち人間に残された最後の『野生』だ。それはつまり自己保存の本能だからな」

そう言いながら垣根は立ち上がり、同時に不良の胸倉をつかみ上げる。


―――――――テメエノヨウナヤツハ


垣根「わかるか?頭蓋を割り、脳髄を切り開き、神経を掻き分けたその奥の奥に刻み込まれた根元的感情こそが恐怖なんだよ!!」


――――――――――テメエノヨウナ………


垣根「……最後にこれだけ覚えておけ」


―――――――――――――………ノヨウナ…



垣根「他人を恐怖で踏みにじるヤツは、必ず別の恐怖によって踏みつぶされる」

垣根「―――――――わかったらよお……」

バッサァ!!
銀白色の羽が展開する。
それは一つの終焉を意味していた。

――――――――――――――――オレミテエナクズハヒトリノコラズ、


そして垣根は、目の前の男に最後の呪詛を吐いた。

516 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:03:31.09 ID:Gg/Bl2Ta0












          「死ね」




ビュゴッ!!
垣根の翼が標的を貫こうとしたそのとき、




ガシッ

固法「やめて垣根さん!!それ以上やったら本当に死んでしまうわ!!!」



517 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:04:53.85 ID:Gg/Bl2Ta0

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固法は自分の目に映る光景が信じられなかった。
垣根がこの路地に入ってから自分が到着するまでのタイムラグは5分もなかったはずだ。
それだというのにここまで一方的な展開になるだろうか。
それ以前に、


固法「垣根、さん…………?」


目の前の人物は、本当にさっきまで自分の隣を歩いていた青年だろうか。

垣根「…弱えヤツを力でねじ伏せるのは楽しかったかって…訊いてんだよ!!」ボグッ!

不良「ガァ……ッ!」バキッ

女生徒「は……………あ…………」

垣根から少し離れた路地の隅で中学生くらいの少女が震えている。
固法はその姿を確認するとすぐさま彼女のそばに駆け寄った。

固法「風紀委員です。もう大丈夫だから、怖がらないで」

見ると少女の肩には男物のブレザーが掛けられている。
確かめるまでもなく先ほどまで垣根が着ていたものだ。
その下の制服は見るも無残な状態だった。

固法「なんてひどいことを………」ギリッ

女生徒「あ、いえ……制服は破かれちゃったけど、乱暴される前にあの人が助けてくれたので……」

固法「そ、そう……」

518 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:05:34.84 ID:Gg/Bl2Ta0

どうやら垣根は間に合ったらしい。
とにかく、この少女に見た目以上の被害はないようだ。
つまり今、固法がやるべきことは――――


固法(垣根さんを止めないと……)


と、固法が背後の垣根に向き直った瞬間、



垣根「―――――――わかったらよお……」

バッサァ!!


白銀の翼が垣根の背中で展開した。


固法(あれは!)


《未元物質》
あの時の路地裏で、3人の暴漢を一瞬で制圧した垣根の『力』。
だが垣根がつかみ上げている不良はすでに完膚なきまでに叩きのめされ虫の息だ。
その局面であれを出したということは。


固法(いけない!)



垣根は、彼を殺すつもりだ。

519 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:06:28.93 ID:Gg/Bl2Ta0

固法「垣根さん!お願いやめて!!」

固法の叫びに垣根は答えない。
今の垣根に、固法の言葉は届かない。
ユラリ、と、垣根の翼がうごめいた。
固法は反射的に垣根に駆け寄り、



固法「やめて垣根さん!!それ以上やったら本当に死んでしまうわ!!!」ガシッ

垣根を背中から抱きとめた。



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時間が止まったかのような沈黙がその場を支配した。
路地裏に流れる音は不良のヒューヒューというか細い呼吸音のみ。
垣根はそこで初めて我に返った。

まず目に飛び込んできたのは、自分が叩きのめした不良と、返り血で真っ赤に染まった自分の服と拳。
それから、誰かが背中に抱きついていることに気がついた。
恐る恐る振り返ると、そこには―――――――――

垣根「……………………………固法?」

固法「…………………か、きね、さん?」

先ほどまで自分の隣にいた風紀委員の少女が、小さな肩を震わせていた。



520 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:07:28.78 ID:Gg/Bl2Ta0



―――――――ほらな


固法「……………どうして?」

垣根「………悪い」


――――――――結局、このザマだ


垣根「あの子は、無事か?」

固法「ええ、でも今は……」


―――――――――――何も変わっちゃいねえじゃねえかよ


垣根「ああ、このゴミクズか」ドサッ

不良「がっ…………!」


―――――――――――――――やっぱり、クズはどこまで行ってもクズってか


垣根「じゃあ後は適当に誤魔化しといてくれ。オレはバックレる」

固法「待って。いくら何でもこれはやり過ぎよ。
   風紀委員として見逃すわけには……」

垣根「……じゃあオレからも超能力者第2位、『未元物質』として一つ言わせてもらうぜ」

バサッ

そう言いながら垣根は再び翼を広げる。

521 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/24(金) 21:08:47.75 ID:Gg/Bl2Ta0



垣根「―――――捕まえてみな」

バサバサッ!!

6枚の翼を羽ばたかせ、垣根は空中に舞い上がった。

固法「待って!垣根さん!!」

垣根「……………あばよ」

ヒュバッ!!!

白い爆風が吹き荒れる。



風がやんで固法が目を開くと、もう垣根の姿はどこにもなかった。



522 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/24(金) 21:11:21.39 ID:Gg/Bl2Ta0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。


バイオレンス描写難しい。
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/06/24(金) 21:27:26.84 ID:bxJms88X0
いちゃラブから一転してシリアスに・・・これからどうなってしまうん?

次回も楽しみにしてます!
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/24(金) 21:32:34.37 ID:nUouyi2U0
かきね・・・
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/24(金) 21:32:59.78 ID:uIP9AXm9o
つーか一方さん柳迫さん泊めてやれよ
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 22:47:09.29 ID:MqkgDC/do
柳迫通行も期待乙
527 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:25:12.19 ID:QCFCHYWO0
レスありがとうございます。1です。

前回の更新で
「素直にラブコメ書いてりゃよかったのに…」とか思った人、
   正  解   。
というわけで今回はラブコメ番外編。
前回の更新など無かったかのようなギャグ回です。

では投下します
528 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:26:49.61 ID:QCFCHYWO0
番外    とある一夜の柳迫通行(アオミラレータ)

柳迫「うわーどうしよう……カラオケでお金使っちゃったからホテルにも泊まれない……」

一方「オイ三下ァ、オマエ例のミュータント教師紹介してやればァ?」

上条「人の担任の先生を人外扱いすんな!!」

柳迫「担任の先生?」

上条「ああ、俺の担任の先生っていうのが生徒の世話を焼くのが趣味、みたいな人で、
   行くところのない学生を保護したりしてるんです。一晩くらいなら泊めてくれるかも………あ」

一方「どしたァ?」

上条「………今日は駄目だ」

柳迫「え!?どうして?」

一方「………あのシスターか」

上条「ああ、インデックスがいる。それに結標もいるのに
   『宿なしの女のひとを保護したので泊めてあげてください』なんて言ったら……」ブルブル

一方「ならオマエの部屋でイイじゃねェか」

上条「インデックスがいきなり帰ってこない保証がどこにある」

一方「なるほどねェ………」

柳迫「……ねえ、いんでっくすって、誰?」

一方「……コイツン家の居候だァ」

柳迫「何それ!?同棲ってコト?」

一方「まァあンまり突っ込ンでやるなァ」

柳迫「そ、そう………」

529 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:27:37.70 ID:QCFCHYWO0

上条「いやだ………もうすけすけみるみるはコリゴリだ………」ガタガタ

柳迫「何かスイッチ入っちゃったけど」

一方「とりあえずコイツはアテにならねェよォだ」

柳迫「うう、ダメか……しょうがないからネカフェかなぁ。ちょっと持ち合わせ厳しいんだけど」トホホ



一方「…………しょォがねェ。ちょっと待ってろォ」ピッポッパッprrrr

柳迫「へ?」

一方「………おォ、オレだ。……あァ………でよォ……」

柳迫(誰と話してるんだろう………)

一方「………じゃ、そンな感じでェ」ピッ

柳迫「どこに掛けてたの?」

一方「おォ、オマエ今晩ウチに来い」

柳迫「ふえええ!?」

上条「はぁ!?」

一方「ウチの家主も教師でよォ。生徒が一人路頭に迷ってるっつったらアッサリOKだったぜェ」

上条「黄泉川先生ェ………」

柳迫「上条くんも知ってるの?」

上条「……ウチの学校の教師です」
530 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:28:33.33 ID:QCFCHYWO0

一方「マンションのクセにやったらデケェ家だから一晩ぐれェどォってこたァねェよ」

柳迫「いや、でも今日会ったばっかりの男の人の家に泊まるっていうのは、ちょっと……」

一方「ンなこと言ってる場合かァ?行くアテねェンだろォ?」

柳迫「うっ!」ギクッ

一方「ワケあって一晩締め出しくらったとしか言ってねェから言い訳はテメェで考えろよ」

柳迫「………」

一方「返事ィ!」

柳迫「は、はいぃ!お世話になります!!」ペコリ

一方「チッ、最初からそう言やァイインだよ。オラ、行くぞ」ツカツカ

柳迫「う、うん……あ、上条くん!またね!」タタタタ…



上条「相変わらず強引だな、一方通行………」

上条「………俺も帰ろう」



531 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:29:50.42 ID:QCFCHYWO0

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    18:55  第7学区 黄泉川のマンション

一方「帰ったぞォ」

柳迫「おじゃましまーす………」


トテテテテテテ


打止「おっそーい!どこ行ってたの!?ってミサカはミサカは空中ミサカチョップを……」ッピョーン

一方「ウゼェ」ヒョイ

打止「あ、ちょ、避けちゃダメ…きゃあ!」

柳迫「きゃっ」ボスッ

打止「ご、ゴメンナサイ!ってミサカはミサカは謝意を表明したり……?アレ?」

一方「黄泉川から話は聞いてンだろォ。ソイツを今晩泊めることになった」

打止「あ、ウン!聞いてるよ!初めましてお姉さん!打ち止めです、ってミサカはミサカは子どもらしさをアピールして
さっきの粗相をなかったことにしてみたり!」

柳迫「これはこれはご丁寧に。初めまして、柳迫碧美です。今夜一晩お世話になります。よろしくね、打ち止めちゃん」ニコッ

打止「よろしく、碧美お姉ちゃん!ってミサカはミサカは親愛の情をハグで表現してみたり!」ギュッ

柳迫「うわー何この子超かわいい!頭なでていい?」ナデコナデコ

打止「うにゃー、もうなでてるよお姉ちゃん、ってミサカはミサカはモジモジしてみる」
532 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:31:04.86 ID:QCFCHYWO0

柳迫「なっはっは、ごめんごめん。でもホントにお邪魔しちゃっていいのかなあ?」

打止「全然大丈夫だよ!どうせあの人が半分無理やり連れて来たんでしょ?
   ってミサカはミサカは見透かしたようなことを言ってみたり!」

柳迫「ははは…………」

打止「強引な人でごめんね。でも悪い人じゃないから、ってミサカはミサカはわざとらしいフォローを入れてみる!」

一方「くだらねェこと言ってねェで黄泉川呼ンで来い」

打止「はぁーい」トテテテテ…

柳迫「…兄妹ってワケじゃないよね。全然似てないし」

一方「……オレと同じ居候だァ。それ以上突っ込むな」

柳迫「わかった……」



黄泉川「おかえり、一方通行。夜遊びついでに女連れて帰るなんていい度胸じゃん」

一方「うるせェ、そンなンじゃねェよ。行くトコねェって言うから連れてきただけだ。
   大体夜遊びって何だよ。まだ7時前だろォが」

黄泉川「冗談じゃんよ。んで、その子がそうじゃん?」

柳迫「は、ハイ!柳迫碧美です!」

柳迫(え、何あの胸!?美偉より大きい!!)

533 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:31:52.84 ID:QCFCHYWO0

黄泉川「……いち教師としては、女子生徒の外泊はあんまり褒められたことではないじゃん」

柳迫「う、すみません………」

黄泉川「…って建前上お説教してないとマズいじゃんか?」

柳迫「へ?」

黄泉川「あんまり堅っ苦しいことは言ってもしょうがないじゃんよ?
    学生生活なんてあっという間なんだから満喫しないと損じゃんか」

柳迫「はぁ……」

黄泉川「という訳で今夜はここをウチだと思ってゆっくりするじゃん」パタパタ

柳迫「……言い訳どころか理由すら訊かれなかったんだけど」

一方「見た目通り適当な教師だからなァ。とりあえず上がれェ」

柳迫「う、うん。じゃあ、改めてお邪魔します」ヨイショ

一方「ン」



芳川「おかえりなさい。遅かったわね」

一方「おォ」

番外「どこで何してたのぉ?ベッドの上で運動会?」ギャハハ

一方「死ね」

柳迫(何だか影と幸の薄そうな女の人と、大きい打ち止めちゃん?)
534 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:32:39.07 ID:QCFCHYWO0

黄泉川「碧美ぃー。よかったら夕飯の支度手伝ってほしいじゃん」

柳迫「あ、はい!」トタタタ



芳川「ふふ、あなたも隅に置けないわね、一方通行」

打止「ね!ヒーローさんの影響かな?ってミサカはミサカは勘ぐってみたり!」

一方「ケッ、そンなンじゃねぇよ。メルヘンの尻拭いみてェなモンだ」

番外「えっ!?あなた第2位とそんな関係だったの!!?☆」

一方「尻の一文字だけに反応するンじゃねェよクソビッチが」



芳川「………でも、本当に珍しいわね」

一方「あァン?」

芳川「あなたが『あの顔』以外の女の子に優しくするなんて。どういう心境の変化?」

一方「………別に。困ってたから助けたンだよ。文句あるか」

芳川「……もうその言い訳が既にあなたらしくないってわかってる?」クスクス

一方「そう思うンならそれはテメェの認識不足だ。今までもこれからもオレはオレだ」

番外「出たー!厨ニ発言!!カッコイーッ!!惚れちゃいそーだぜ一方通行ァ!!」ニヤニヤ

一方「オイ打ち止め、裁縫道具持ってこい。この女の目と口と鼻と耳を縫合してやる」

打止「何だか絃の花月みたいだね!ってミサカはミサカは今時十中八九伝わらない喩えを持ちだしてみたり!」

芳川「………研究所にゲッ○バッ○ーズなんて置いてたかしら?」

打止「病院で読んだの!」

535 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:33:57.99 ID:QCFCHYWO0




一方「っていうかオマエらも手伝えよ。ナニ客こき使ってテメエらだけ寛いでンだよ」

打止「はぁーい!」トテテテテ

一方「………イヤ、オマエらも行けよ。っつーかオマエらに向かって言ったつもりなンだけどォ」

芳川「昼間買出しに行って疲れちゃった」

一方「仕事探せよ」

番外「なぁーんか体がダルくてぇー。一歩も動けなーい」

一方「黄泉川ァー!コイツら晩飯塩水だけでイイってよォー!」


リョーカイジャーン


番外桔梗「「ちょっ!!」」



536 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:34:43.99 ID:QCFCHYWO0

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    19:21  ダイニングキッチン

黄泉川「今日のおかずはブリ大根じゃん」

一方「肉ゥ」

芳川「魚だって立派な動物性タンパク質よ。日本酒がほしくなるわね」

黄泉川「働かずに飲む酒は大層美味そうじゃんか、桔梗?」

芳川「」

打止「この大根ね、ミサカが皮むいたんだよ!!」ミテミテ

柳迫「…………」

一方「どしたァ」

柳迫「……どうやったら炊飯器でブリ大根が作れるの?」

一方「オマエ手伝ってたンじゃねェのか?」

柳迫「自分の目で見ても信じられないものくらいあるわ」

一方「確かに………いくらなんでもジェラートはないよなァ…」

柳迫「ジェラート?」

一方「いや、コッチの話だァ」

黄泉川「さぁ、早速食べるじゃんよ。手を合わせるじゃん」



『いただきます』



537 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:35:41.40 ID:QCFCHYWO0

柳迫「じゃあ打ち止めちゃんとワーストさんは御坂さんのはとこなんだね」

打止「そうだよ!碧美お姉ちゃんは固法お姉ちゃんのお友達なんだよね?」モグモグ

柳迫「そうよ。美偉と一緒に住んでるの」

打止「知ってる!『るーむしぇあ』って言うんだよね!ってミサカはミサカは最近仕入れた知識を披露してみたり!」モグモグ

柳迫「うーん、ウチは寮だからちょっと違うかなー。どっちかっていうと相部屋かな?」

一方「クチにモノ入れたまましゃべンじゃねェ」モグモグ

打止「はぁーい」モグモグ


柳迫(……お父さんみたい)


番外「何ソレ?父親気どり?気色悪っ」ガツガツ

一方「あァ?」ギロッ

黄泉川「はいはい、食卓でケンカはナシじゃん」

番外「はーい☆」

一方「チッ」

538 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:37:02.92 ID:QCFCHYWO0

柳迫「仲がいいんだね」

番外「はぁ?冗談はやめてよね、ミサカはこんなモヤシと馴れ合うつもりなんてないし」

一方「それはこっちのセリフだァ」モグモグ

柳迫「ふぅ〜ん?」ニヤニヤ

一方「なァにニヤニヤしてやがりますかァ?」

柳迫「べっつにー?」


打止(仲がいいのはどっちだろうね、ってミサカはミサカはヨミカワに耳打ちしてみる)ヒソヒソ

黄泉川(確かにじゃん)ヒソヒソ



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    19:45  



『ごちそうさまでした』



黄泉川「さってと、片づけるじゃん」ヨイショ

柳迫「あっ、手伝います」ガタッ

黄泉川「ありがと。じゃあ食器をまとめてほしいじゃん」

打止「ミサカも手伝うー!」



芳川「気が利く子ね」ズズー

一方「イヤだから手伝えよ。ナニ当り前のように食後のコーヒーすすってンだよ」

芳川「……立ち上がったら負けかなって」

一方「それすらかよ。オマエホントに自立する気あンのかァ?」
539 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:37:53.06 ID:QCFCHYWO0



黄泉川「手際いいじゃんか、碧美」ガチャコガチャコ

柳迫「本当ですか?ありがとうございます」ガチャガチャ

打止「うん!ヨシカワや番外個体より頼りになるかも、ってミサカはミサカはあえて辛らつな言葉を選んでみたり!」フキフキ

柳迫「そうかなー?じゃあ私もここに住もうかな?なーんちゃっ…」エヘヘ



打止「そうだ!碧美お姉ちゃんがあの人のお嫁さんになってウチに来ればいいんだよ!」

柳迫「!」ポロッ


ガシャーン!


柳迫「ご、ごめんなさい!」

黄泉川「いーじゃんいーじゃん気にしなくて。番外個体にやらせたら毎回1枚や2枚じゃ済まないじゃんよ」

一方「オイ、騒がしィぞ」

柳迫「今片づけ……いつっ…」

打止「お姉ちゃん、血が出てるよ!」アワアワ

一方「………チッ、世話の焼ける」スッ

柳迫「え?」

一方「」チュパ

柳迫「!!?」

540 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:38:45.73 ID:QCFCHYWO0

打止「わお!」

黄泉川「見せつけてくれるじゃんか」

柳迫「ちょ、ちょっと!」

一方「」ヂウー

柳迫「ちょっと、ヤダ………」

一方「」ヂウー

柳迫「うう………」カァァァァ

一方「……ヨシ、止まった。打ち止めァ、救急箱ォ」

打止「もう準備してあるよ、ってミサカはミサカは光の速さで差し出してみたり!」ハイ

ペタペタ

一方「………ホレ、終わりだァ」

柳迫「あ、ありがと………」

一方「フン………オイ芳川ァ、オレの分もコーヒー淹れろォ…あァ!?メンドくせェって何だこのクソニートがァ!!」



541 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:40:47.15 ID:QCFCHYWO0

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   20:11   リビング

〜♪

黄泉川「風呂が沸いたみたいじゃんよ。ガキども、さっさと入るじゃん」

打止「はーい。碧美お姉ちゃん、一緒に入ろ?」ニパー

柳迫「うん、あっ………そういえば着替えが…」

一方「芳川ァ。テメェの貸してやれ」

柳迫「え、いや、そんな申し訳ないです!」

芳川「私は構わないわよ……それに…」チラッ

黄泉川「私の顔に何かついてるじゃん?」


バイーン


芳川「……愛穂のじゃ大きいでしょ?」ヒソヒソ

柳迫「………ハイ、スミマセン」シクシク

黄泉川「?」

一方「あと寝間着は……」

番外「ミサカは貸さないよ。ってか持ってないし」シレッ

一方「わァーってる。ハナから期待なンざしてねェ。……おい打ち止め、オレのジャージ出せ」

柳迫「え!?」

打止「はーい」
542 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:41:50.10 ID:QCFCHYWO0

柳迫「いや、ホントに申し訳ないから…」

一方「まァ、このクソ寒いなか下着で寝てェってンなら止めねェけどォ?」

柳迫「あう……」

打止「お姉ちゃん、早く入ろ!」クイクイ

柳迫「あ、うん………」



芳川「ふふふっ、打ち止めもすっかり懐いちゃったわね」クスクス

一方「いいンじゃねェの?普段周りにニートと人格破綻者しかいねェンじゃ教育上よろしくねェからなァ」ズズー

番外「っていうかさぁ、アナタあの子に優しすぎるんじゃないの?ハッキリ言ってちょっとヒクよ?」ケラケラ

一方「うるせェ」

番外「………ひょっとしてホレちゃった、とか?」ククク





一方「だったら何だよ」ズズー





番外桔梗「「!?」」ガタガタッ
543 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:42:30.18 ID:QCFCHYWO0

一方「あンだよ?」

芳川「え、あ、いや………あまりに予想外の答えが返ってきたから…」

番外「は?何それ意味分かんないし。え?アナタそんなキャラだったっけ?」

一方「うるせェっつってンだろ。大体『だったら何だ』っつっただけでホレたとは言ってねェし」

芳川(ほぼ言ったようなものじゃない………)

番外「いいのかにゃー?上位個体泣いちゃうよ?」

一方「打ち止めはそンなンじゃねェよ。それはアイツも分かってる」

芳川「ふーん………?」

番外「何それ?もっと焦るかと思ったのにつまーんなーい」プイッ

一方「言ってろクソガキが」



544 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:43:39.49 ID:QCFCHYWO0

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   20:15  バスルーム

カポーーーーーーーーーーーーーーーン

打止「ふいーーー生き返るぅー、ってミサカはミサカはオバサン臭い感想を吐露してみたり〜」ゴクラク

柳迫「ふふふっ、誰のマネなの、それ?」

打止「ヨミカワとヨシカワだよ!ってミサカはミサカはバレたらブッ飛ばされそうな事実を暴露してみたり!」

柳迫「……それは本当に秘密にしておいた方がよかったね」

打止「うーん………」ジーッ

柳迫「なあに?そんなに見られたら恥ずかしいよー」チャプ

打止「えっとね、碧美お姉ちゃんってすっごくキレイだなって思ってたの!」

柳迫「どうしたの、急に?」クスッ

打止「固法お姉ちゃんも美人さんだったけど、お姉ちゃんはこう、スラッとしててほれぼれするな、
   ってミサカはミサカは羨望のまなざしで見つめてみる」

柳迫「もぉー、そんなおだてたって何にも…」テレテレ

打止「つくづくあの人にはもったいないかな!ってミサカはミサカはようやく核心をついてみたり!」

柳迫「ぶっ!!!」バッシャア!

545 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:44:56.51 ID:QCFCHYWO0

打止「ねぇねぇ、あの人のどこがいいの?顔?声?それともお姉ちゃんツンデレ萌えとか?」ネェネェ

柳迫「ちょっと、打ち止めちゃん、声が大きい……」

打止「どこで知り合ったの?もうチューした?ねぇねぇ教えてよー、ってミサカはミサカは……」



柳迫「……で、音楽の話で盛り上がって、ちょっとイイなー、なんて思ったりして…」

打止「なるほどー。で、さっきの指チュパでクラッときたってわけだね」

柳迫(結局洗いざらい吐かされた……幼女に凌辱された…主に精神面を)

打止「碧美お姉ちゃんって案外単純なんだね!ってミサカはミサカは突然毒を吐いてみたり!」

柳迫「ヒドイ!散々言わせておいて!」

打止「そのままだとお姉ちゃん絶対悪い男に引っかかるよ。気をつけておいた方がいいかも!
   ってミサカはミサカはお昼のワイドショーの受け売りを偉そうに語ってみたり!」

柳迫「子どもになんてもの見せてるの芳川さん!!」

打止「………でもね」

柳迫「?」

打止「あの人は悪い人じゃないから安心していいよ、ってミサカはミサカは太鼓判を押してみる」

柳迫「………///」ブクブクブクブク

546 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:46:13.69 ID:QCFCHYWO0

打止「それにお姉ちゃんだったらあの人を任せられるかなって思うから。
   ホントは『お前なんぞに娘はやらん!』みたいなセリフが言ってみたかったんだけど、
   ってミサカはミサカは小姑プレイを所望してみる!」バシャバシャ

柳迫「………あーく…あの人は、打ち止めちゃんにとっても大切な人なんじゃないの?」

打止「そうだよ。だからあの人とお姉ちゃんが一緒にいてくれたらミサカもうれしいかな!」

柳迫「さびしくない?」

打止「何で?大事な人が増えるってすごくうれしいことじゃない?」

柳迫「そういう……ものかな」

打止「きっとそうだよ!」ニコッ

柳迫「……打ち止めちゃんは大人だなぁ」

打止「でっしょー?あの人も番外個体もお子ちゃまだからさー、ミサカが大人にならないとねー、
   ってミサカはミサカはドヤ顔で薄い胸を張ってみたり!」フンス

柳迫「ふふふっ………」



打止「っていうかお姉ちゃん」ザブ

柳迫「何?」

打止「多分あの人もお姉ちゃんのこと嫌いじゃないと思うよ、ってミサカはミサカは乙女の第六感を働かせてみたり!」

柳迫「え」

547 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:47:20.97 ID:QCFCHYWO0

打止「だってあの人がいくら困ってるからって女の人連れてくるなんてありえないもん!
   ましてや何とも思ってない人なんか絶対相手にしないよ。
   そういう好き嫌いハッキリしてるから、ってミサカはミサカはあの子ピーマンダメなのよーみたいなノリで言ってみる!」

柳迫「へぇ……」


柳迫(誰にでもああなんだと思ったけど……冷静に考えたらそんなわけないよね)

柳迫(………///)ブクブク


打止「だからチャンスだよ!」グッ

柳迫「へ?チャンス?」

打止「だって気になる人と一晩とはいえ一つ屋根の下ですごすんだよ?チャンスと言わずに何というの!?」

柳迫「言われてみれば確かに………」ハッ

打止「だから今夜、決めちゃいなよ!ってミサカはミサカはヨシカワに教えてもらったハンドサインをキメてみたり!
   ところでこれってどういう意味?」ビシッ

柳迫「子どもになんてこと教えてるのあの人!?」



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   20:49   リビング


打止「上がったよー」ホケホケ

柳迫「お先にお湯いただきましたー」パタパタ

一方「おォ」
548 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:48:44.38 ID:QCFCHYWO0

芳川「随分長風呂だったわね。何だか話しこんでたみたいだけど」クスクス

打止「乙女の秘密だもんねー、お姉ちゃん♪ってミサカはミサカは無駄に意味深な返事をしてみたり!」ギュッ

柳迫「ね、ねー」ヒクヒク

一方「フーン……ンじゃ、オレも入りますかァ」ヨッコイショ

番外「えー次はミサカが入るー」ヤダヤダ

一方「オマエや芳川みてェに家でダラダラしてただけのヤツが2番風呂なンかもらえるとか思ってンじゃねェぞ!」

芳川「今の流れで私も罵倒されるのはおかしくないかしら?」

番外「そんなの上位個体だって一緒じゃーん!!ひいきだー、ひーいーきー!」ブーブー

一方「ウッゼェ………ン」チラッ

柳迫「?な、何……?」

一方「……別にィ。サイズは大丈夫かァ」

柳迫「え、ええ、おかげさまで。というか寧ろピッタリなのが色々悔しいんだけど」ショボーン

一方「あっそォ」テクテク

柳迫「……?」
549 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:50:17.39 ID:QCFCHYWO0

芳川「ふふふっ……いいことを教えてあげるわ」チョイチョイ

柳迫「え?な、何ですか?」

芳川「湯上りの女の子にときめかない男子高校生はいないのよ」ビシッ

番外「まぁヨミカワとヨシカワはもう賞味期限切れ……」


ビュン ドスドスッ!


ビィーン……


黄泉川「あーゴメン、手が滑ったじゃんか。で、何の話じゃん?」

芳川「あらごめんなさい。護身用のメスしまうの忘れてたわ」

番外「」

打止「ヨミカワとヨシカワすごーい!ドクタージャッカルみたい!」

柳迫「そんなに好きなの?ゲ○トバ○カーズ……」



550 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:51:58.42 ID:QCFCHYWO0

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   22:45   リビング

番外「」スコー

芳川「……もう飲めない……」スピー

黄泉川「じゃあそろそろ寝るじゃんよ」

打止「うん………もう眠いって…ミサカはミサカはまぶたをゴシゴシ……」ネムネム

黄泉川「じゃあ碧美の布団をだすからちょっと待つじゃん」

一方「メンドくせェからオレの部屋で打ち止めと寝ろォ。
   オレは週明けまでに仕上げなきゃならねェ論文があるから適当にソファーで寝る。
   黄泉川ァ、毛布だけ出しといてくれェ」

黄泉川「わかったじゃん」

柳迫「そんな、そこまでしてもらうワケには…」

打止「お姉ちゃあん……一緒に寝ようよぉ……」クイクイ

柳迫「クッ、良心が痛む!良心と良心の板挟みにあってる、何コレどういう状況?」

黄泉川「じゃあ悪いけど碧美、打ち止めを寝かしてやってほしいじゃんか?
    一方通行もああ言ってるし」ネッ

柳迫「……はい、すみません」

一方「謝ってばっかりだなァオマエ」

柳迫「!……あ、ありがとう」

一方「ン」



551 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:53:40.88 ID:QCFCHYWO0

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   23:52   リビング

一方「………」カタカタカタカタ

ガラッ

一方「ン?……なんだよオマエか」カタカタカタカタカタ

柳迫「ちょっと眠れなくて……邪魔しちゃった?」

一方「別にィ……打ち止めはもう寝たかァ?」カタカタカタカタ

柳迫「ええ、あれからすぐに」

一方「あっそォ………」カタカタカタカタ

柳迫「………眼鏡」

一方「はァ?」

柳迫「眼鏡するんだ」

一方「あァ、コレか。視力が悪いワケじゃねェンだが刺激に弱くてな。
   パソコンイジる時だけ着けてンだよ」

柳迫「へぇ……」


柳迫(ちょっとときめいたかも………私、眼鏡属性ないのに)

552 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:55:12.74 ID:QCFCHYWO0

一方「………」カタカタカタカタカタカタカタカタ

柳迫「………」ジー

一方「……………」カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

柳迫「……………」ジー

一方「………………あァもォ!」ガタッ

柳迫「えっ!」ビクッ

一方「ちょっと待ってろォ!」ドスドス…

柳迫「……キッチン?」


ゴソゴソ ボッ コポコポ トクトクトク…


一方「……ほらよォ」コトッ

柳迫「…………ココア?」

一方「牛乳と粉だけで作ったからよく眠れンだろォ。それ飲んでさっさと寝ろォ」ズズーッ

柳迫「あ、ありがと………」

一方「べっつにィ…自分のコーヒー淹れるついでだァ」

柳迫「………おいし」コクン

一方「そりゃどォもォ………」カタカタカタカタカタカタカタカタ



553 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:56:10.97 ID:QCFCHYWO0

柳迫「……それ、何書いてるの?論文って言ってたけど…」

一方「『11次元空間におけるベクトル変換に付随する影響の規模と波及する範囲』」キパッ

柳迫「」

一方「…まァわかんねェわな。オレ以外の人間にはコイツを理解することすらできないだろォぜ」

柳迫「誰も読めない論文を書いてるの?」

一方「この街にはそういうのをありがたがるバカが多いンだよ」カタカタカタカタカタ

柳迫「ふぅーん……」

一方「まァ、別にいいけどよォ。奨学金〈カネ〉にはなるし。オレのことなンざ必要なヤツが知ってればイイし」カタカタカタカタカタカタカタカタ

柳迫「………」コクン

一方「……………だが」ピタッ

柳迫「?」





一方「もしオレのことを理解できるヤツが増えるとしたらそれは………悪くねェかもな」カタカタカタカタカタ





554 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:57:28.95 ID:QCFCHYWO0

柳迫「フフッ…」

一方「……何が可笑しい?」ギロッ

柳迫「ごめんごめん……打ち止めちゃんと同じこと言ってるから」

一方「へェ………?」

柳迫「『大切な人が増えるのはすごくうれしいことじゃない?』だって。
   カワイイのに大人だね、あの子」ニコッ

一方「………確かに」カタカタカタカタカタカタカタカタ

柳迫「……………ごちそうさま」コトッ

一方「おゥ」カタカタカタカタカタ

柳迫「カップ片づけるね」ガタッ

一方「流しに浸けとくだけでイイ。後で自分の分とまとめてやる」カタカタカタカタ

柳迫「でも………」

一方「寝る前に体冷やすモンじゃねェ」カタカタカタカタ

柳迫「…………わかった。じゃあ……」

一方「…………」カタカタカタカタ

柳迫「………」ジッ

一方「……」カタカタカタカタカタ チラッ

柳迫「…………」シュン



一方「………ジャマしねェなら」カタカタカタ

柳迫「……えっ?」

一方「…………オレのジャマをしねェなら、もう少し居ろォ」カタカタカタカタカタカタカタカタ

柳迫「!……うん!」パァァ


一方(あ、ヤベェ、今のコイツちょっとかわいかったかもォ)



555 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:58:21.23 ID:QCFCHYWO0

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   25:48

一方「………ま、こんなモンかァ」カタカタカタッ!

柳迫「ン………終わったの…?」

一方「一応なァ。後は体裁とフォーマット整えりゃ終わりだァ」ホゾンシテシュウリョウ!

柳迫「……おつかれさま」ニコッ

一方「ホント、つっかれたぜェ」セノビーーーッ

柳迫「……じゃあ、私もそろそろ寝るね」

一方「………オイ」

柳迫「ん?なぁに?」

一方「ちょっと耳貸せェ」チョイチョイ

柳迫「?」ナニナニ







チュッ







柳迫「!!!!????」バッ

556 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 03:59:26.21 ID:QCFCHYWO0

一方「じゃ、オレは寝るぜェ。おやすみィ」ノソノソ

柳迫「ちょ、ちょっと待っていただけないでしょうか!?」アタフタ

一方「ンだよ、うるせェなァ…連中起きンだろォが」

柳迫「イヤ、そうやって冷静に返されると逆に焦るんだけど…え!?何?
   今私、何されたの!?」ヒソヒソ

一方「はァ?キスに決まってんだろォ?」

柳迫「何でキスされたのかを訊いたつもりなんだけど!?」

一方「したかったから、じゃダメかァ?」

柳迫「いいわけないでしょ!?」

一方「あァもォまどろっこしィ……」ツカツカ

柳迫「え、ちょ、近…」





ギュッ





柳迫「!?!?!?」

一方「……コレで分かったかァ?」ボソッ

柳迫「///」コクコクコクコク!

557 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 04:00:48.39 ID:QCFCHYWO0

一方「よろしィ。じゃあ今度こそおやすみィ…」

柳迫「待って待って最後に一つだけ!」

一方「なァンだよもォ。眠いンだけどォ!」プンプン

柳迫「その……何で私、なの?」

一方「何でって言われてもなァ……打ち止めが懐いてたから悪いヤツじゃなさそォだしィ?
   話合うし面白ェし、あと表情がクルクル変わってぶっちゃけカワイイし。あとはァ……」

柳迫「わかった!もういい!おなか一杯っていうかコレ以上は嬉し死にするから!!///」

一方「そォ……あ、コレは言っといた方がイイのかァ?」

柳迫「ふえ?」





一方「…好きだから付き合ってくれねェ?」

柳迫「色々順番間違ってない!?」



558 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 04:02:13.11 ID:QCFCHYWO0

--------------------------------------------------------------------------------------

   翌日  10:28  玄関

柳迫「何から何までお世話になりました」ペコリ

黄泉川「今回みたいなことは立場上感心しないけど、遊びに来る分には大歓迎じゃん。またな」

打止「バイバーイ、碧美お姉ちゃん!ってミサカはミサカはちぎれんばかりに手を振ってみる!」ブンブン

柳迫「またね、打ち止めちゃん」フリフリ

一方「じゃ、コイツ送ってくっからァ」ツカツカ

打止「いってらっしゃーい」フリフリ


バタム


黄泉川「いやー、ゆうべのアレはさすがの私もビビったじゃんか」

打止「ミサカもお姉ちゃんにチャンスだよ、とは言ったけど、まさかあの人から仕掛けてくるとは思わなかったなー、
   ってミサカはミサカは驚愕しながら情報をガッツリネットワークに垂れ流してみたり!」

黄泉川「あの一方通行がねぇ……」

打止「キレたナイフっていうか抜き身の日本刀みたいだったあの人がねぇ……」

黄泉川止め「「ま、面白いからいいけど(じゃん)」」クスクス



559 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 04:03:22.58 ID:QCFCHYWO0

一方「あァーやっぱダメだァー。ハムごときじゃ昨日の分の肉分補給出来ねェ」


柳迫(えぇーこの人何でこんな普通なの!?ゆうべは結局あのまま寝ちゃったし、
   今朝、顔合わせても何も言ってこないし…)


一方「……なァ、そォ言えばよォ」

柳迫「へ!?な、何?」ビクッ

一方「ゆうべの返事まだ聞いてねェンだけどォ?」

柳迫「何で今ここで聞くの!?道の真ん中だよ!?」

一方「ンだァ?黄泉川やクソガキどもに聞かれた方が良かったかァ?」

柳迫「そ!それは………」

一方「で?どうなンだよ?」ズイッ

柳迫「うぅ………ゎ」

一方「わ?」
560 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 04:04:04.06 ID:QCFCHYWO0














柳迫「私で、よければ………///」







とある一夜の柳迫通行  終わり
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/26(日) 04:04:35.29 ID:gUSAeG67o
天井なぁ…
562 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/26(日) 04:07:28.72 ID:QCFCHYWO0
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

………………………
「どうしてこうなった」って思ってる人、
   正   解   。

思いついたはいいが本編中で使えなさそうなネタを全部突っ込んだらこうなった。
反省は………して……いない!



っつーか柳迫通行とか誰得だよ………
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/06/26(日) 04:42:02.98 ID:0ywPvtIIo
俺得だなwww
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/06/26(日) 04:57:38.96 ID:l4K5HLp6o
もうこれで別スレ建ててくれってくらいの俺得
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 07:37:23.58 ID:sNEolcqIO
これは、やばい…wwwニヤニヤとまらねーwwww
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage saga]:2011/06/26(日) 09:09:25.13 ID:UgNSRjua0
俺得すぎてコーヒー吹いたじゃねェか
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/26(日) 09:20:29.24 ID:iNmol0qk0
てs
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/26(日) 09:36:09.68 ID:8BWanx5vo
俺得すぎてヤバイ
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/06/26(日) 10:09:04.53 ID:1ZY8KZ+AO
俺得以外の何物でもないな
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/06/26(日) 12:52:47.94 ID:OsLV0OrZ0
あんめぇぇぇえええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 13:42:16.30 ID:d6178tPSo
これはメルヘンとのダブルデートががっっg
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 14:58:50.45 ID:90yLMPB70
まさかの展開だって言うwwwwwwwwwwwwww
それにしても、嫉妬の一言もない番外個体は最初からいらなかったんじゃ・・・・・
ここの番外個体は、御坂妹の一人でも別にかわらないような・・・・
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/26(日) 21:43:06.87 ID:/erQ9KxSo
ていとくんとは違って積極的だなwwww
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/06/27(月) 01:39:18.49 ID:JFLrti1ko
出会ってすぐに・・・これが第一位
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/06/27(月) 01:40:01.50 ID:DXQ9ToLlo
これが一位と二位の間の絶対的な差ってやつか・・・
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 01:49:37.76 ID:KWrqQ/e9o
おれも空中ミサカチョップされたい
577 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:11:18.14 ID:zVHE7Na10
こんばんは。>>1です。

うおおおおおおたくさんのレスありがとうございます。
マジか………みんな愛してる。

>>572
確かにそうなんですけど
ミサワさんが本気で嫉妬とかしちゃったら
碧美さん殺されるじゃないですか……
だから打ち止めが嫉妬らしい嫉妬をしていなかったのと、
碧美さんが帰るまで碧美さんが帰るまでネットワークの感覚共有を切っていた、
ということで
脳内補完よろしくです。


前置きが長くなりました。
短いですが今日の分投下していきます。
578 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:11:59.05 ID:zVHE7Na10

------------------------------------------------------------------------------------------

   金曜日  21:05  固法・柳迫の部屋

ガチャ

固法「………やっと解放されたわ」

あの後すぐにやってきた風紀委員たちに状況を説明し、
被害者の少女と共に詰所で事情聴取を受けた固法はようやく自宅へ帰りついた。
普通ならば合わせて30分ほどで終わるはずなのだが、ここまで時間がかかったのには理由があった。

固法「垣根さん………どこに行ったの?」

現場となったあの路地には、垣根がいた痕跡がまったく残っていなかったからである。
路地の壁や被疑者の男の服、さらに少女の制服まで徹底的に調べたが、
それらから指紋は一切検出されなかった。
少女の肩にかかっていた上着も垣根が姿を消すと同時に、
得体のしれない素材でできた白くて大きい布にすり替えられていた。
断定はできないが、十中八九垣根の能力によるものだろう。
その布も少女が風紀委員の用意した車両に乗り込むと同時に消滅したため、
垣根につながりそうな手掛かりは一つも残っていない。

つまり記録の上では、あのとき路地裏にいた人間は被疑者の男と被害者の少女、
そして偶然居合わせた固法の3人だけということになっている。

579 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:12:53.71 ID:zVHE7Na10

しかしそうなると困った事態が起こる。
容疑者の不良を半殺しにした人間は誰なのか、という問題だ。
もちろん被害者にそんなことができるわけもなく、
消去法的にその場にいた固法に疑いがかかったために事情聴取が長引いた、というわけである。


固法(結局自分たちは見てない、ってことで押し通したけど……)


被害者の少女は襲われたショックで記憶が混乱しており、十分な証言が得られなかった。
そういうわけで固法の証言が唯一の手掛かりだったのだが、
「現場にもう一人いた」と証言しても証拠がないのでは信じてもらえるとは到底思えず、
余計な誤解を招く恐れもあったので不本意ながらしらを切ることにした。


固法(まぁ、私の素性を明かしたら信じてくれたし、いいよね………?)


《一七七支部の固法》という名前は風紀委員達の間でそれなりにとどろいているらしく、
担当の風紀委員とは面識はなかったものの
自分の名前を明かすなり立ち上がって敬礼されてしまった。
本来、風紀委員に階級は存在しないのだが。


固法(複雑な気分だわ………)


とはいえ、そのおかげで解放されたのだから文句は言わないことにしよう。

580 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:13:42.42 ID:zVHE7Na10

それよりも今現在、固法の心に重くのしかかかっていることが一つ。



固法「………垣根さん……どうして……?」



夜の闇に消えたあの青年のことだ。
あの時の垣根は明らかに正気ではなかった。
心神喪失というよりも、理性のタガが外れたような状態。
内から湧き上がる衝動にしたがって暴れているように見えた。


固法(思えば初めて会った時もその次の時もそうだった……)


最初は、男子中学生を脅迫していた不良。
二度目は、自分を羽交い絞めにしていたその仲間たち。

固法と垣根の出会いは、垣根の『怒り』、いや、『殺意』とともにあった。


固法(どうしてそこまで………)


581 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:14:32.81 ID:zVHE7Na10

最初はただのフェミニストだと思っていた。
だがそれだけではあそこまで痛めつける理由にはならない。
何がそこまで垣根を掻き立てるのか。
固法は垣根の言葉を反芻する。
以前出せなかったその答えを見つけるために。



『…弱えヤツを力でねじ伏せるのは楽しかったかって訊いてんだよ!!』


『わかるか?頭蓋を割り、脳髄を切り開き、神経を掻き分けたその奥の奥に刻み込まれた根元的感情こそが恐怖なんだよ!!』


『他人を恐怖で踏みにじるヤツは、必ず別の恐怖によって踏みつぶされる』



『力』、そして『恐怖』

垣根の口から出たキーワードはその二つのようだった。
そして、もう一つ。



『許されるワケねえだろうが!!!!』



垣根はあのとき、『許される』という言葉を使った。
会話の流れから考えるにそこは『許す』と言う方が自然だろう。
些細なことだが、どうにも引っかかって仕方がなかった。
なぜならまるで―――――――――


固法(まるで、自分に向かって言ってるみたいだった)





――――――――結局、何も答えなど出るはずもない。
ただ一つだけわかったのは、垣根が自分の想像もつかないほど重い十字架を背負っているらしい、ということだ。


582 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:15:13.53 ID:zVHE7Na10




    _
   / ヽ::\
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: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〈⌒\/




不意に、ぬいぐるみと目が合った。
初めて出かけたときにゲームセンターで垣根がとってくれた猫のぬいぐるみ。


固法(垣根さん……………)


ギュッ

なぜだか急にその猫がいとおしくなった固法は、
そっとそれを抱き寄せた。



垣根とは、もう二度と会えないような気がした。



583 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:15:58.82 ID:zVHE7Na10

――――

――――――――

――――――――――――――

   その夜、夢をみた。

   どこまでも真っ白な空間で、男の子がうずくまって泣いている。

   どこかでみたような、金色に近い、色素の薄い髪をした男の子だった。

   どうしたの?   何で泣いてるの?

   少年は答えない。

   近くに行こうとしても、前に進むことができない。

   突然、水の音がした。

   足元をみると、いつの間にか赤い水たまりができていた。

   再び少年に目を向けると、その水たまりは少年を中心に広がっていた。

   もう一度少年に歩み寄ろうとしたが、水たまりがバシャバシャと音を立てるだけで一向に近づくことはできない。

   結局自分にはどうする事もできず、少年はいつまでもその真っ赤な水たまり―――――――――

   血の海の真ん中で泣き続けていた。



――――――――――――朝目覚めた時、固法は夢の内容を全く覚えていなかった。



584 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:16:43.32 ID:zVHE7Na10

------------------------------------------------------------------------------------------

    同日  19:01   垣根のマンション

ガチャッ

バタンッ

垣根「…………」

バサッ

垣根は帰ってくるとすぐに血まみれのシャツを脱いでゴミ箱へ放り込んだ。
ここまで汚れてしまったら洗っても落ちないだろうし、
なにより下衆の血が付いた服など二度と身に着ける気にはならなかった。

洗面所で鏡を見ると、顔や髪にも血が飛んでいた。


垣根(ちっ、手だけ洗ってさっさと寝ちまおうと思ってたら、こうなったら風呂に入った方が………っ)


垣根「くっ、ハハハ……」

そこまで考えて、あまりの可笑しさに吹き出してしまった。


585 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:18:08.10 ID:zVHE7Na10


垣根(何考えてんだろうな、オレは)





垣根(どれほど見てくれだけ小奇麗にしたって、オレの手はとっくに血みどろじゃねえか)



垣根(今更洗い落とせるわけ、ねえだろうがよ………)


垣根「クククッ、ケッサクだなぁ、オイ」クククク…

そうやって、垣根はしばらく笑っていた。



586 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:18:49.90 ID:zVHE7Na10


------------------------------------------------------------------------------------------

ジャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キュッ

垣根「ふぅ」ドサッ

結局、間を取ってシャワーで済ませることにした。
寝間着に着換え、ソファーに身を投げる。
夕飯は食べそこなったが、食欲はまったくなかった


垣根(……………また、やっちまったな)


あの手の連中を見ると抑制が利かなくなる。
力で他者を踏みつけにする輩――――――
それはまぎれもなくかつての垣根自身の姿だった。
垣根が憎んでいるのは街にはびこる不良たちでも、ましてや『悪』などという抽象的な概念でもない。
垣根が殺したいほど憎んでいるのは、自分の『過去』以外の何物でもなかった。
『力』、そして『恐怖』。
それが昔の自分が持っていたすべてだ。
それしか、もっていなかった。



だから垣根は拳を振るう。
そんなものを振りかざす連中を薙ぎ払うために。
―――――――――過去の幻影を振り払うように。

587 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:19:34.71 ID:zVHE7Na10





垣根(…………………固法………)



そして垣根の胸に去来するのは、あの少女の顔だった。

凛々しく毅然とした顔。
顔を赤らめ恥じらう顔。
年相応に屈託なく笑う顔。

そして――――――――



肩を震わせ怯える顔。



いずれこうした形で破滅が訪れるであろうということは予想していた。
結局のところ、『垣根帝督』という人間は何一つ変わってはいないのだから。
それが彼女に出会って、つかの間の夢を見ていただけだ。



優しく暖かい胡蝶の夢を。

588 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:21:05.38 ID:zVHE7Na10



それを垣根は自分で壊してしまった。
それも、『力』と『恐怖』という、垣根が最も憎む方法によって。


垣根(心理定規の言うとおりになっちまったな………)


垣根は、常に人を小馬鹿にした笑いを顔にはり付けた少女の言ったことを思い出していた。



『過去を切り捨てた気になってるなら、それはステキな勘違いよ』

『力加減を間違えればあの子、あっという間にひき肉になっちゃうかもね』


垣根(もう会えねえ、よな)


またこんなことになった場合、垣根は固法の前から消えようと心に決めていた。
そんな資格はないと思ったし、垣根自身も彼女の怯えた顔を見たくはなかった。
彼女にはずっと笑っていてほしかったから。
その笑顔を奪うのが自分なら、自分などいない方がいい。
そういう覚悟があったからだろうか、意外に冷静な自分に垣根は内心驚いていた。

そう、覚悟していたことだ。
悲しくはない。自分の前から誰かが居なくなるのには慣れている。
さびしくはない。幸いなことに、今の自分には自分なんかよりずっと強い友人がいる。

ただ少し、
ほんの、少しだけ―――――――――――
589 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/06/29(水) 01:21:36.90 ID:zVHE7Na10




垣根(名残惜しいけどな……………)




垣根は、その感情に名前をつけることなく、
そっと鍵をかけることを決めた。

ブルッ

垣根「寒ぃ……………」ゴソゴソ

ソファーに敷きっぱなしになっている毛布にくるまるようにして、垣根は床に就いた。
手足を折り曲げて眠る様は、まるで泣きつかれた子どものようだった。



590 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/06/29(水) 01:28:30.84 ID:zVHE7Na10
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

前回のダダ甘っぷりがウソのようですが、
ちゃんとハッピーエンドの予定なのでご安心ください。

あと軽くアンケートを取りたいのですが、
本編終了後のイチャイチャ後日談のネタを用意してるんですが、
執筆順を決めようと思うのでよろしければご協力ください。

現在考えてるネタは
@垣根「花火大会?」
A固法「温泉?」
B一方「オレの彼女超カワイイ」垣根「ふざけろ」
の3つです。

どれが一番読みたいかをレスで書きこんでいただけると助かります。
では。
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/06/29(水) 01:32:22.28 ID:G3EWlV6Do
B
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 02:03:36.82 ID:EpgGINoz0
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/06/29(水) 02:10:47.96 ID:PlKgIFWM0
B
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/29(水) 02:45:41.79 ID:JZFSTqKAO
さン
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/06/29(水) 05:04:22.51 ID:+G3s47/Bo
全部やれ
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/06/29(水) 08:57:04.57 ID:2qrbAepAO
3
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/29(水) 09:50:18.83 ID:OqAsImvJo
3
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2011/06/29(水) 15:31:11.79 ID:q5vsAYLNo
一、十、百、千、万丈目サンダー!!
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 18:06:16.20 ID:rZKcGX0h0
3
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/29(水) 19:03:08.58 ID:xCLFJc5AO
どれ選んでも上条さんに春は来なさそうだな

よし、2で
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/30(木) 00:23:57.07 ID:dNxFpVqAO
B

楽しみに待ってる乙
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/06/30(木) 00:25:21.85 ID:rgdTGWy0o
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 13:43:06.54 ID:b3BiRF320
固法先輩は一途な感じだよね
碧美さんに言われて少し過去と向き合う姿勢は変わっただろうけど
黒妻さんのことまだ心に残ってそう
再会したら気持ち揺れるんじゃないかな?

てことでまだまだ垣根とくっつきそうにないんでアンケは…B!!
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/30(木) 23:14:55.35 ID:UJtHJh/D0
B→A→@
605 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:17:27.28 ID:bb+AXNae0
おはようございます(?)。>>1です。

まずはアンケにご協力ありがとうございます。
…………っていうか皆そんなに碧美さん好きか。
がんばって書きます。

では、本日の分投下です。
606 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:18:21.09 ID:bb+AXNae0

------------------------------------------------------------------------------------------

   数日後   12:51  第13学区  喫茶『Freedom』

店員「お待たせしましたー♪こちらチョコレートムースとブレンドコーヒーでーす♪」コトコトッ

店員「ごゆっくりどうぞー♪」

打止「いっただっきまーす!」

垣根「どうぞ」

打止「…んーおいしー!ってミサカはミサカは未知の味覚体験に驚きを隠しきれなかったり!」

垣根「そりゃよかった」

打止「垣根のお兄ちゃん、こんなおいしいお店よく知ってるね!ってミサカはミサカは
お兄ちゃんの意外な女子力に複雑な気持ちになってみたり!」

垣根「ああ、ダチ……知り合いに教えてもらったんだ」ズズッ

打止「それって固法お姉ちゃん?」

垣根「っ!な、何でわかった?」ゲホゲホ


打止「だってこんなお店女の子と一緒じゃないと来ないでしょ?お兄ちゃん、女の人の知り合い少ないし、
   さらにその中でこういうお店知ってそうなのは固法お姉ちゃんくらいかな、ってミサカはミサカは鮮やかな論理的推理を披露してみたり!」フンス

垣根「……打ち止めちゃんにはかなわねえなぁ」クスッ

打止「………何かあったの?」

垣根「どうして?」
607 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:19:02.04 ID:bb+AXNae0

打止「垣根のお兄ちゃん、さっきから愛想笑いしかしてないよ、ってミサカはミサカは子どもらしからぬ観察眼で指摘してみる」

垣根「………ちょっとヘコむことがあってな。なあに、些細な事さ」

打止「それに学校はどうしたの?今頃はまだあの人と学校に入ってる時間なんじゃないの?
   ってミサカはミサカはおサボりさんのお兄ちゃんを叱ってみたり」メッ

垣根「ああ、いいんだよガッコなんて。オレくらいになるともう単位は足りてるから登校しなくても卒業できるし。
   学校は行きてえから行ってるだけだ。だから行きたくねえ時は行かない」ズズー

打止「もーへ理屈ばっかりこねてー、ってミサカはミサカはプリプリしてみたり」プンプン

垣根「フッ…………」



打止「……同じだよ」

垣根「は?」

打止「垣根のお兄ちゃん、昔のあの人と同じ目をしてるよ、ってミサカはミサカはお兄ちゃんをまっすぐ見て言い放ってみる」

垣根「一方通行と?オレが?冗談だろ?」クククッ

打止「冗談なんかじゃないよ」

垣根「?」

打止「あの人もそうだった…………いつも何かを諦めたような眼をしてたよ、
   ってミサカはミサカはしんみりしながら思い出してみる」

垣根「…………」



打止「ねぇ、お兄ちゃんは何を諦めたの?」



608 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:19:42.16 ID:bb+AXNae0

垣根「……オレが悪いんだ。自業自得なんだよ。だからもういいんだ」

打止「それがわかってるなら……」

垣根「違うんだ。謝って済むとか、そういう問題じゃねえんだよ」

打止「………お兄ちゃんは、それでいいの?ってミサカはミサカは……」



垣根「いいんだよ。オレがそう決めたんだから」



打止「…………」



垣根「さて、くだらねえ話は終わりにしよう。それよりもっと面白ぇ話をしようぜ!」ニッ

打止「お兄ちゃん……」

垣根「あっ、そうそう!なあ、モヤシに彼女ができたって話あれマジか?
   この間クソうぜえメールがきてよ、ぜってーウソだと思って無視してんだけど。ウソだよな?」

打止「あっ、ううん、本当だよ」

垣根「は?マジで?アイツと付き合うとかどんな聖人君子だよマジで」ケラケラ

打止「とってもキレイでいい人だよ。碧美お姉ちゃんっていうの、ってミサカはミサカはあっさり白状してみたり」

垣根「はぁ!?碧美って、まさか柳迫碧美か!!?」ガタッ

打止「あれ?知ってるの?」

垣根「知ってるもなにもオレが紹介したようなモンだし……」

打止「え?え??どういうこと!?ってミサカはミサカは詳細キボンヌしてみたり」kwsk

垣根「それがさぁ………」



609 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:20:30.69 ID:bb+AXNae0

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   14:15  第7学区 路上

打止「ごちそうさま!ってミサカはミサカは笑顔でお礼を言ってみたり!」

垣根「経緯はどうあれ、約束だったしな……どうせ支払いはオレじゃないし」ボソッ

打止「?」

垣根「何でもねえ。うまかったか?」

打止「とっても!」ニコッ

垣根「それはなによりで」

打止「今度は休日限定スイーツっていうのが食べてみたいかも!ってミサカはミサカは調子にのっておねだりしてみたり!」

垣根「あー、あれな………」

打止「え?食べたことあるの?」

垣根「ああ、フツーにうまかったけど色々とアレな代物だったな……」

打止「えーどんなのどんなの?ってミサカはミサカは期待に胸を膨らませつつ質問攻めにしてみたり!」

垣根「まぁ……オレの口からはちょっと。今度はモヤシにでも連れてってもらいな」

打止「えぇー?もったいぶらないでよーってミサカはミサカは……」


ナイテル、マダナイテルヨ ッテシランカオシヤガッテ♪

オイテカレタシンショウフウケイモ トンデユケジダイノカナター♪


610 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:21:17.38 ID:bb+AXNae0

垣根「あん?電話……上条からか。ちょっとゴメンな」


ピッ


垣根「おお、オレだ。………おお…………は?……………ああ………ああ、わかった。あと15分くらいで行く。じゃあな」


ピッ


打止「ヒーローさん?」

垣根「ああ。なんでもテレビが映らなくなったから直してほしいとかなんとか……
   後ろでシスターちゃんがわめいてたな」

打止「あー!そういえば今日カナミンの再放送があるんだった!ってミサカはミサカはシスターさんと聞いて思い出してみたり!」

垣根「なるほどな。それでシスターちゃんが騒いでたのか……」

打止「っていうか垣根のお兄ちゃん、テレビなんか直せるの?」

垣根「こう見えても手先は器用でね。
   それに上条んところの旧式くらいならウチの学校の連中なら誰でも直せる」

打止「でもあの人は黄泉川が炊飯器壊れた!って騒いでも知らんぷりしてるよ?ってミサカはミサカは不満をあらわにしてみる」ムゥ

垣根「…………さすがのアイツも得体のしれないテクノロジーの産物には触りたくないだろうぜ」ボソッ

打止「何か言った?」

垣根「別に何も?」

611 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:21:54.75 ID:bb+AXNae0

打止「ふーん……でもテレビの修理なら電機屋さんに頼めばいいのに、ってミサカはミサカは至極まっとうな疑問をていしてみたり!」

垣根「今から修理に出したんじゃ間に合わねえだろうな。再放送今日なんだろ?
   上条が歯形だらけになるビジョンしか見えない」

打止「それはそうかも………」

垣根「それに……」

打止「それに?」





垣根「……修理代なんか支払ったらアイツは年を越せなくなる」

打止「」( ´;ω;‵) ブワッ

垣根「まあアイツには色々借りがあるし、ちょっと行ってくるわ」

打止「うん…3時半から始まるから急いであげた方がいいかも、ってミサカはミサカは涙をぬぐいながら教えてあげてみたり」グスッ

垣根「じゃあ家に工具取りに帰らねえといけねえから、悪いんだけど打ち止めちゃん、ここまででいいかな?」

打止「うん!垣根のお兄ちゃん、今日はありがと!ってミサカはミサカはヒーローさんのことは一旦棚上げしてお礼をしてみたり」

垣根「こっちこそ暇つぶしにつきあってくれてありがとな。また遊んでくれ」ナデナデ

打止「うん!」ニコッ


612 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:22:40.80 ID:bb+AXNae0




垣根(…………………どうしてこの子は、オレなんかに笑ってくれるんだろうな)

垣根(……………自分を殺そうとした野郎によ)


打止「お兄ちゃん?」

垣根「………何でもない。じゃあ打ち止めちゃん、またな」ツカツカ





打止「………お兄ちゃん」

垣根「?」

打止「……人は、変われるよ」

垣根「……え?」

打止「言ったでしょ?あの人もそうだった。いつも何かを諦めたような眼をしてたんだよ」

垣根「………」

打止「………でも、戻ってきた。あの人はミサカたちのところに戻ってきてくれたよ、
   ってミサカはミサカはあの日のことを思い出してみる」

垣根「………」

打止「だから、お兄ちゃんも変われるよ。あの人が変われたように、ってミサカはミサカは……」



垣根「それは違うな、打ち止めちゃん」

613 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:23:23.16 ID:bb+AXNae0

打止「えっ?」

垣根「アイツとオレはまるっきり違うって言ってるんだよ」

打止「どういうこと?」

垣根「アイツにはまず、何よりも守りてえものがあった。それこそ何を犠牲にしても、おのれのプライドをかなぐり捨ててもな
   だからアイツは『悪党』って矜持さえも捨てた。守りたいもの―――打ち止めちゃんのためにだ」

打止「……………」

垣根「逆なんだよ打ち止めちゃん。アイツはこの街の『闇』―――暗部から這い上がって帰って来たんじゃない。
   打ち止めちゃんのところへ帰るために死ぬ気で這い上がって来たんだよ」

打止「……それのどこがお兄ちゃんと違うの?」

垣根「ここまで言えば分かるだろ?」







垣根「オレには………そうまでして守りたいものが、ない」

打止「!」

614 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:24:33.53 ID:bb+AXNae0

垣根「もっと言おうか?芯がねえんだよ、オレには。上条や一方通行みてえに一本通った芯がねえ。だから、簡単に揺らぐし、ブレる」

打止「で、でも、お兄ちゃんだって帰ってきたじゃない、ってミサカはミサカは……」

垣根「それは運が良かっただけだ。アイツらがいなかったらオレは今も冷蔵庫に繋がれたままか、
とっくに電気炉でDNAマップも残らねえ灰になってるところさ」

打止「あ………」

垣根「そう、一方通行や上条のおかげで日常に帰ってこれた。打ち止めちゃんやシスターちゃんとも仲良くなれた。幸運なことにな。
けどよ、オレを構成するものは何一つ変わっちゃいねえんだよ。『怒り』と『恐怖』。それがオレの全てだ」



垣根「『表』の生活に戻っても、オレは何も変わってねえんだよ。
   ―――――――――ずっと甘ったれたクズのままだ」

打止「お兄ちゃん……」



垣根「……っと、話しこんでる場合じゃなかった。上条やシスターちゃんが待ってるからそろそろ行くわ。
   じゃあな、打ち止めちゃん。気をつけて帰れよ」スタスタ





打止「……………クズなんかじゃないよ!!」

垣根「!」



打止「垣根のお兄ちゃんはクズなんかじゃない!!ってミサカはミサカは精一杯叫んでみたり!」

垣根「………」

打止「だってお兄ちゃんはこんなに優しいじゃない!お兄ちゃんは……」

垣根「………もういい」

打止「お兄ちゃん!」

垣根「いいって。
   …………………ありがとな、打ち止めちゃん」スタスタ



615 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:25:05.65 ID:bb+AXNae0

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同時刻  第7学区  風紀委員活動・第一七七支部

固法「…………」



初春「どうしたんでしょう、固法先輩。さっきから、っていうより来た時から心ここに在らずって感じですけど」ヒソヒソ

黒子「作業も捗っていないようですし………どうされたのでしょう」ヒソヒソ

佐天「やっぱり恋煩いじゃないですか?」ヒソヒソ

初春「佐天さんってばこの間からそればっかりですね」



固法(あれから全然連絡が取れない………メールも届いてないみたいだし……)

固法(…………垣根さん…………)



固法「…………ハァ」



初春「今度はため息ついてます」ヒソヒソ

黒子「……………心配ですわね」ヒソヒソ

佐天「うーん、絶対恋の病だと思うんだけどなー」ヒソヒソ

初春「佐天さん、それしか考えてないんですか?」ヒソヒソ

佐天「女子中学生なんて基本オシャレと恋愛のことしか考えてない生き物なんだよ、初春」ヒソヒソ

初春「私も女子中学生なんですけど………」ヒソヒソ

616 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:25:45.64 ID:bb+AXNae0



オーリオンヲナーゾル コンナーフカイヨール♪

ツナガリターイハナサレターイ ツマリハンシンハンギアッチコッチ♪



初春「電話…?誰の携帯ですか?」

黒子「私ではありませんわね」

佐天「私のでもないよ?」

佐天(でもこの曲……?)

固法「あっ、いけない、私だわ」

ピッ

固法「はい、固法です。……碧美?ええ大丈夫……………え?……」



初春「固法先輩の着うたってあんな曲でしたっけ?先輩って基本的に西川さんの曲しか聴かないのに」

黒子「気分転換ではないですの?お姉様は2週間に1回は変えますわよ」

佐天「……ちょいと失礼♪」コソコソ



固法「………わかったわ。じゃあね」

ピッ

固法「もう……勝手なんだから。でも何でかしら、『今日は炊飯器使わないで』って?
   試したいことがあるとか言ってたけど……」ハテ

617 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:26:18.50 ID:bb+AXNae0

佐天「こーのーりーさん♪」

固法「佐天さん……どうしたの?」

佐天「さっきの着うた、ユニゾンの新曲ですか?」

固法「着うた?ええ、友達に教えてもらっていい曲だから落としてみたんだけど……
   佐天さんも知ってるの?」

佐天「もっちろんですよ!ユニゾンを知らないなんてモグリです!」


固法(垣根さんは知名度はイマイチって言ってたけど……)


佐天「他の曲聴いたことありますか?1stフルアルバム最高ですよ!」

固法「聴こうと思ったんだけどどこにもCD置いてなくて…」

佐天「ああ!それだったら………」



618 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:26:53.76 ID:bb+AXNae0

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   15:09   第7学区  上条の学生寮

垣根「………」カチャカチャ

上条「……直りそうか?」ドキドキ

禁書「ていとく、はやくしないとカナミンが始まっちゃうかも!」ハラハラ

垣根「ちっと黙ってろ………これでどうだ?」


プチッ


ジャンッ!デンキハタイセツニネ、ビリビリ!


幻想目録「「おぉー、直った(んだよ)!!」」

垣根「中身の基盤がダメになってたから洗浄して強引に回路を繋いだ。
   応急処置だからもって3カ月だ。その間に修理するなり買い換えるなりしやがれ」ゴソゴソ

禁書「ありがとうなんだよ、ていとく!これで今日のカナミンの再放送見れるかも!」

上条「垣根………オレは何と礼を言っていいか……」ウッウッ

垣根「やめろ気色悪ぃ」

619 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:27:30.99 ID:bb+AXNae0

上条「いや……今日直らなかったらオレは20分後に歯形だらけになるところだった……」シクシク

垣根「……今度ファミレスで何かおごれ。それでチャラにしてやる」

上条「ファミレスか………これはマジメな話だけど。垣根、お前どうしたんだ?
最近学校来てないらしいじゃないか」

垣根「なんだよ、お前にもバレてたのか。どうせモヤシが喋ったんだろ?」

上条「ああ……一方通行も、口では言わないけど気にしてたぞ」

垣根「……やれやれ、なんでオレの周りはオレの出席日数の心配ばっかりしてんだかな」ヘラヘラ

上条「垣根」

垣根「………悪い。だけど心配すんなって。大したことじゃねえから。ちょっと一人になりたいだけだ。じゃあな」ガチャッ



禁書「………ていとく、辛そうな顔してたんだよ」

上条「ああ………一体何があったんだ?」

禁書「………ちょっと行ってくる!!」ダッシュ!

上条「お、おい!インデックス!!」





620 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:28:10.22 ID:bb+AXNae0



垣根「さーてこれから何して時間つぶすか………上条んトコで茶でもたかってくればよかったな」ツカツカ

禁書「……………ていとく!」

垣根「……シスターちゃん?」

禁書「ちょっと………きいてほしいことがあるんだよ」ハァハァ

垣根「銀髪碧眼の美少女シスターに追いかけられるってのはなかなかステキなシチュエーションだが、
   はやく帰らないと始まっちまうぜ?えーと……マナミン、だっけ?」

禁書「それを言うなら…カナミンなんだよ」

垣根「そっか」クスクス



禁書「………ていとく、なにを後悔してるの?」

垣根「!……どうして、そう思う?」

禁書「見くびらないでほしいかも。わたしはシスターなんだよ」

垣根「知ってるけど?」

禁書「教会にはいろんな人たちが来るけど、そこで今のていとくとおなじ顔をした人たちをたくさん見てきたんだよ」



禁書「いまのていとくの顔はその人たち、自分の罪を懺悔しにきた人たちとそっくりなんだよ」

621 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:29:04.41 ID:bb+AXNae0

垣根「………打ち止めちゃんといいシスターちゃんといい、どうしてみんなそう勘がいいんだ……?」フッ

禁書「やっぱり、そうなんだね?」

垣根「ああ、大当たりだ。15ラウンド確変の大当たりだぜ」

禁書「ていとく、どんな罪も、悔い改めれば主はおゆるしになるんだよ」

垣根「あー悪いんだがシスターちゃん、あいにくオレは無神論者でね。
   どこにいるかもわからねえカミサマなんざ信じちゃいないんだ。
  『信じる者は救われる』ってんなら、オレは救いようのない不信心者だぜ」

禁書「そうじゃないんだよ」

垣根「………何だって?」

禁書「……立場上こういうことを言うのはあまりよくないんだけど、ていとくが言うところの『カミサマ』は私たちに何もしてくれないんだよ」

垣根「それはまた思い切った発言だな」

禁書「でもだからって神がいないってことじゃないかも。神は人々のこころの中にいるものだから。
   わたしたち聖職者は人がじぶんのこころにいる神を見つけるおてつだいをするのがしごとなんだよ」

垣根「………何もしてくれねえカミサマが見つかったとして、一体何の役に立つってんだ?」

禁書「それはね、『許す』ことなんだよ」

垣根「許す…………?」

622 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:29:45.59 ID:bb+AXNae0

禁書「さっき言ったよね?どんな罪も悔い改めれば主はお赦しになるって。
   それはつまりじぶんの罪を受け止めて、背負って、そしてじぶんを許してあげるってことなんだよ」

垣根「………」



禁書「『信じる者は救われる』っていうことばのほんとうの意味はね、
   悔い改めているじぶんを、変わりたいと思えたじぶんを信じてあげなさいってことなんだよ」





垣根「だったらなおさらだ、シスターちゃん」

禁書「ていとく?」



垣根「信じる?一体何を信じるってんだ?シスターちゃん、オレはな、カラッポなんだよ」

禁書「からっぽ?」

垣根「ああそうさ。オレには何もない。上条みてえな揺るぎない信念も。一方通行みてえに命をかけられる位大切なものもな
   唯一あるとすれば…………このクソ忌々しい『能力』だけだ」ギリッ

禁書「なら今から探せばいいんだよ!ていとくのたいせつなものを!」

垣根「簡単に言ってくれるぜ……………いや、そうでもないか」

禁書「え?」

623 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:30:55.62 ID:bb+AXNae0

垣根「実はさ、見つかった気がしたんだよ。大切にしたいもの…………したかったものがさ」

禁書「だったら……」



垣根「……だけどオレは、ソイツを自分でブチこわすところだったよ」

垣根「オレの手は、今更何かを抱えるにはヨゴレすぎてんだ」

垣根「………結局さ、オレは変われねえんだよ。オレにできるのは壊すことだけだ」



垣根「オレには…………何も守れない」



禁書「ていとく…………」

垣根「そんな顔すんなよシスターちゃん。カワイイ顔が台無しだ。
   別にオレは人生悲観してるワケじゃねえんだぜ?」

禁書「どういうこと?」

垣根「オレはすっげえラッキーだってことさ。こんなクズが人並みの生活送れてんだからな。
   昔のクソみてえな暮らしからは考えられねえくらい幸せな人生だぜ?」ニッ

624 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:31:28.26 ID:bb+AXNae0

禁書「でも………」

垣根「そうなんだって。オレは幸せモンだ。





   だから………………コレ以上は何も望まねえ」

禁書「そんな……………」

垣根「ほら、カナミンとやらが始まっちまうぜ。早く帰んな」ツカツカ

禁書「ていと…」

垣根「…………じゃあまたな、シスターちゃん」ツカツカ…





禁書(ちがうよ、ていとく)




625 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:31:56.18 ID:bb+AXNae0








禁書(しあわせなひとは、そんな悲しそうな顔で笑わないんだよ)










626 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/02(土) 04:34:04.85 ID:bb+AXNae0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
第1位は一晩でキメたっていうのに
この男はいつまでウジウジしてるつもりなんでしょうね。
1にもわかりません。

シスターしてるインデックスさんが書きたかったんだ……
反省も後悔もしてないんだ……
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/07/02(土) 07:20:29.62 ID:Pkd2ttOY0
乙!

マスターボリュームか、ていとくんはいいセンスしてる
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 08:21:35.76 ID:ap89jq3no
乙!これはていとくんをソゲブするしかないな
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 12:09:33.41 ID:V6URD+9IO
もっと皆インデックスを綺麗に描くべき、ポテンシャルはあるんだからさー。

つまり>>1
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/07/04(月) 20:43:54.59 ID:cplf/hHQ0
初めて読んだが面白いよ。
>>1乙なんだぜ。
631 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:33:34.80 ID:y1HE2DMN0
お久しぶりです。>>1です。

4日も放置してマジすみませんでした。
では久しぶりの投下です。
632 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:34:14.48 ID:y1HE2DMN0

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   15:42  第7学区  噴水公園

垣根「あー、やっぱアイツらとつるまねえとヒマだなーオイ」

上条の寮を辞去した垣根は公園で盛大に暇をもてあましていた。
時間が中途半端なせいなのか、垣根のほかに人の姿はない。
だれもいない公園で垣根は噴水の正面にあるベンチにだらしなく腰掛けている。
そこが“あの夜”二人で座っていたベンチであることに垣根は気付いていなかった。


垣根(学校サボっただけでここまでヒマとは、オレも大概だな)


そんな自虐的なことを考えながら時間つぶしている垣根であったが、
何の目的もなくここへ来たわけではない。


垣根(………………そろそろ来るか)


垣根は待っていた。
自分を必ず『追ってくる』であろう男を。


ザッ


「…………ここにいたか、垣根」



垣根「……よお、遅かったじゃねえか、上条」



上条当麻。
先ほど別れた黒髪の英雄〈ヒーロー〉がそこに立っていた
633 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:34:58.50 ID:y1HE2DMN0

上条「探したぞ」

垣根「わかりやすい場所だと思ったんだがな。待ち合わせ場所といえば公園だろ?」

上条の言葉に軽口で答える垣根。
上条は意に介さず続ける。

上条「……お前を追いかけていったインデックスが泣きながら帰ってきた。
  『自分じゃていとくを助けられない。ていとくをたすけて』ってな」

垣根「………まいったな。泣かすつもりはこれっぽっちもなかったんだが」ガリガリ

垣根は弱ったとでも言うように頭を掻いた。

上条「なぁ、垣根。お前本当にどうしちまったんだ?」

垣根「言っただろ、大したことじゃ……」

上条「インデックスを泣かしておいて今更そんな言い訳が通ると思うなよ」キッ

上条は垣根の言葉を遮り、キツく睨みながら低い声でそう言った。

垣根「わお、おっかねえな。そんなにらむなよ」

上条「あの日、何かあったのか?」

垣根「っ……」

上条「……そうなんだな」

――――コイツらは何でこうそろいもそろってカンがいいんだろうな?
垣根はそんなことを考えながら観念したように薄く笑った。

上条「何があったのか全部話せ。イヤとは言わせねえぞ」

垣根「………分かった。話すからそんなコワイ顔すんなって」

634 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:35:42.84 ID:y1HE2DMN0



垣根「…………っと、まあザッとこんなもんさ」

上条「………」

垣根はあの日あったことを一つ残らず話した。

路地裏で暴漢に襲われている少女を見つけたこと。

その暴漢を半殺しにしたこと。

そして、その場面を固法に見られたことを。

垣根「クソつまんねえオチだろ?ジョークにしたって出来がいいとは言えねえ」

上条「…………」

垣根「まあ兎にも角にもそんな感じで、もうアイツには会えねえのよ」

上条「………………」

上条は、口をはさむことなく垣根の話を聞いていた。

635 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:36:15.58 ID:y1HE2DMN0

垣根「惜しいことしたと思わねえこともねえが、自業自得だしな。仕方ねえよ」

上条「…………………」

垣根「オイオイ、黙ってねえで何とか言えよ。反応がねえとちょっと悲しいだろ」

上条「…………何だよそれ」

垣根「あ?」

そこで上条は初めて口を開いた。
そしてその言葉は、





上条「……そんなの、お前は全然悪くねえじゃねえか!」

垣根が全く想像しないものだった。



636 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:36:56.96 ID:y1HE2DMN0

垣根「オイ、話聞いてたのか上条?」

上条「聞いてたよ。お前はその襲われてた女の子を助けただけだろ?
   それと固法さんと何の関係があるって……」

垣根「大事なのはそこじゃねえよ」

それは単なるきっかけであり、本質ではない。
重要なのは、自分がその暴漢を怒りにまかせて半殺しに、いや、殺そうとしたこと。
そしてそれを固法に見られてしまったこと。その2点だけだ。

垣根「わかるか?オレが固法のそばにいてもアイツを怖がらせるだけなんだよ。
   オレはそれを見たくないわけ。だから会わない。論理的だろ?」

そう。論理的で、合理的だ。
いささか単純ではあるが、
論理構造とブービートラップはシンプルな方が破られにくいというのが垣根の持論だ。

――――――いくらテメエでも、コイツは崩せねえだろ?

目の前の黒髪の少年はの最大の武器は不可思議な右手でも、強靭な精神でもなく、
“言葉”であると垣根は常々考えていた。
上条の放つ言葉は理屈や正論を軽々と飛び越え、相手の心に突き刺さる。
だがそれは余計なことをゴチャゴチャ考えているからだ。
目的と手段の間で『回り道』をするから、そこに付け込まれる。
だからこそ、この少年を黙らせるにはこれくらいの動機でちょうどいい。
垣根はそう思っていた。

しかし、



上条「…………んな」

垣根「………何だと?」



垣根は一番肝心なことを忘れていた。



上条「ふざけんな!!!そんなもん全部お前の思い込みじゃねえか!!!」

垣根「!!」

――――この少年が『幻想殺し』と呼ばれる、その本当の理由を。

637 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:37:50.04 ID:y1HE2DMN0

上条「怖がらせる?もう会えない?決めつけてんじゃねえよ!!」

垣根「………」

上条「少なくとも俺が見た固法さんはな、お前といる時すげえ楽しそうに笑ってたぞ!!」

上条のはげしい言葉に垣根は押し黙る。

上条「固法さんだけじゃない、お前だって幸せそうに笑ってたじゃねえか!!」

垣根「……………………やめろ……」

上条「それをたった一度間違えたからって、全部ウソにしてしまっていいのかよ!?
   いいわけないだろうが!!」

垣根「…………うるせえ…」

垣根は震える声で上条に反駁する。
だが上条は追及の手を緩めない。
そして―――――――、



上条「お前が大切にしたかったのは、守りたかったのはその笑顔だったんじゃないのか、垣根!!」

垣根「うるせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」ガッ



垣根の咆哮が、無人の公園に響いた。
638 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:38:43.00 ID:y1HE2DMN0

完全に激昂した垣根は、上条に詰め寄りその胸倉をつかみ上げた。


垣根「お前に何が分かる!!」ギリギリ

上条「な……に……?」

垣根「初めから正しかったお前に、最初からヒーローだったお前に!!
   一体オレの何が分かるってんだ!!あ゛ぁ!!?」

それは、あまりに悲痛な叫びだった。

垣根「オレはお前とは違う!オレはお前みたいに何かを守ることなんざ出来やしねえんだよ!
   オレの手は血みどろだ!そんな手で今更何かを守ろうなんざ虫がよすぎんだよ!!!」

上条「だけど………それでもお前はあの人を……」ギリギリ

垣根「それ以上言うんじゃねえ!!!」

上条には、その叫びは命令ではなく寧ろ嘆願に聞こえた。

垣根「…………初めてだったんだよ」

上条「何だって………?」

絞り出すような声で垣根は語り続ける。



垣根「………誰かに笑っててほしいなんて思ったのは、生まれて初めてだったんだよ」



639 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:39:25.90 ID:y1HE2DMN0

上条「垣根………」

上条の制服の襟をつかんでいた垣根の手はいつの間にかほどかれ、
垣根は俯き加減でぽつぽつと言葉を紡いでいた。

垣根「アイツの笑った顔見てるとよ、何かすっげえムズムズすんだけど、全然イヤな気分じゃなくてさ。
   上手く言えねえけど、ずっと笑ってりゃいいのに、とかガラにもねえこと思ったりしてよ」

上条「……………」





垣根「だけどオレは、ソイツを自分で全部台無しにしちまった」


垣根「わかるか!?生まれて初めて大事にしてえと思ったものをぶっ壊したのは他でもねえ自分だったんだよ!!
   一番ほしかったものは、オレが触れちゃいけないものだったんだよ!!
   そんなのってあるかよ!!

垣根「オレはもう見たくねえんだよ!アイツの怯えた目も、震える姿も!
   その原因がオレなんだったらもうアイツの前から消えるしかねえじゃねえか!!
   全部ウソにして、フタをしてなかったことにするしかねえだろうが!!
   それでアイツが笑ってくれるなら上等だろ!!」



垣根「結局オレみてえなクズには!!何も守れやしねえんだよ!!!!
   オレはお前らのようにはなれない!誰かを守れるヒーローになんかなれねえんだよ!!!!」


640 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:40:04.21 ID:y1HE2DMN0


それは垣根の心からの叫びだった。
永い間この街の『裏』に生きてきた彼は、今まであまりに多くのものを失ってきた。
それが上条と一方通行に助けられ、インデックスや打ち止めと知り合い、
そして固法と出会って、失ってきた何かを埋められるような気がした。

――――――――――だが、その幻想を砕いたのは、他でもない自分だった。

人は変われない。
垣根の失意の大本はその『現実』だ。
『守る』ことは『ヒーロー』の役目であり、特権であって、
『クズ』であるところの自分にそんな資格はない、という『現実』だ
しかし――――



上条「…………関係あるかよ」

垣根「あぁ!!?」



垣根の前に立ちはだかる少年は、



上条「誰かを大切にしたいって思いに、ヒーローもなにも関係ねえだろうが!!」

その『現実』すらも、幻想だと言い放った。


641 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:42:11.58 ID:y1HE2DMN0

上条「お前がクズであろうと何であろうと、お前がその笑顔を守りたいって思った気持ちはまぎれもなく本物だったはずだろ!」

垣根「テメエ、勝手なことを……!」

上条「勝手なのはどっちだよ!!」

上条は垣根の反論を一蹴する。

上条「……固法さんはどうなる?」

垣根「!!!」

上条「言っただろ。お前といる時の固法さんは楽しそうに笑ってたって。いい顔で笑ってたって!
   それをお前は、たった一度取りこぼしただけであの人の分まで勝手に諦めるのかよ!!
   そんな資格がお前にあるのか!!」

垣根「資格だ!?資格っつーんならそもそもオレにはアイツのそばにいる資格がねえんだよ!!
   オレがアイツの笑顔を奪う限りよぉ!!!」





上条「だったら取り戻せよ!!!」



垣根「!!」



642 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:43:36.09 ID:y1HE2DMN0

上条「泣いているならその涙を拭ってやればいい。
   震えているならそれが止まるまでそばにいてやればいい。
   仮にあの人の笑顔を奪ったのがお前なら、お前がそれを取り戻すのがスジってもんだろ!
   お前の手にはそれができるはずだろ!!







   だって、お前はこんなにも優しいじゃねえか!!」

垣根「!!」

上条は失意に沈む垣根に向かってそう叫んだ。
その言葉は奇しくも、打ち止めが投げかけたものと全く一緒だった。


上条「お前はこんなに苦しんでるのに、それでも固法さんのことを思いやれてるじゃねえか。
   会わないって決めたことだって、やり方はどうあれあの人のために、それこそ身を切るような覚悟で出した結論だったんだろ!」

垣根「うる……せえ……」

上条はやめない。

上条「それならどうして同じ覚悟で笑わせてやろうと思わない!
   どうしてその笑顔を守りたいと思えたことを誇りに思わない!!」

垣根「やめろ…………」

上条は次々に言葉の矢を放つ。



上条「そんだけの覚悟があるなら、こんどこそお前の大事にしたかったものを守って見せろよ!」



この青年を、今一度地獄から引きずり上げるために。



垣根「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

643 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/06(水) 22:45:43.70 ID:y1HE2DMN0

ゴバッ!!

垣根の背中から白銀の奔流が上条に向かってあふれだす。
だが、その攻撃は強度も照準もメチャクチャだった。
上条はとっさに右手を前方に構え、垣根に向かって大きく踏み込む。

バキィン!

と、ガラスが割れるような音とともに垣根の翼は消滅する。

上条「――――いいぜ」



上条はそのまま垣根の懐へ飛び込む。



上条「それでもまだ、お前が何も守れないって言うんなら、」



上条「まずは………」



一度構えた右手を戻し、大きく振りかぶる。
垣根は蛇に睨まれた蛙のように全く動くことができなかった。






上条「そ の 幻 想 を ぶ ち 殺 す ! ! ! ! ! 」

上条の渾身の右ストレートが垣根の顔面に突き刺さった。
644 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/07/06(水) 22:51:30.20 ID:y1HE2DMN0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

本当はここで出てくるのは一方通行の予定だったんですが
気がついたら上条さんになっていた。不思議。
正直今日の投下分はかなり悩んだのでその分楽しんでいただければ幸いです。

>>627
おお、わかる人がいましたか。
このスレにおけるていとくんのキャラ付けはユニゾンの曲にかなり影響されてます。
マスターボリュームもその一つです。
ちなみに>>1は箱庭ロック・ショーが一番好きです。
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/06(水) 22:54:36.95 ID:IVxrZQ9AO
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:00:26.91 ID:2zZWsOjN0
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:01:06.50 ID:2zZWsOjN0
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:10:56.61 ID:MzOkGEP2o
やっぱソゲブきたかww
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/06(水) 23:14:06.80 ID:jxKg+/q6o
男女平等パンチは有能だなぁ
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/07/07(木) 00:38:15.67 ID:Bcjo9xmEo
その頃一方さんは……
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/07/07(木) 09:05:58.17 ID:lctm+RRAO
そげぶキタ―――(゜∀゜)―――

これで勝つる!!

>>1
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 23:50:48.16 ID:9PYlqE+Yo
           そ・げ・ぶ
       そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ
    そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ
  そ・げ・ぶ ∩   ∩ ノ)   そ・げ・ぶ
 そ・げ・ぶ  川 ∩ 川彡'三つ  そ・げ・ぶ
そ・げ・ぶ ⊂ミ∩、⊂ミ∩彡⊃    そ・げ・ぶ
そ・げ・ぶ⊂三ミ( ゚∀゚)彡三彡三⊃ そ・げ・ぶ
そ・げ・ぶ ⊂彡川⊂彡川ミ⊃    そ・げ・ぶ
そ・げ・ぶ⊂彡川∪⊃ U川彡⊃   そ・げ・ぶ
 そ・げ・ぶ (ノ ∪  川 ∪ミ)  そ・げ・ぶ
  そ・げ・ぶ      ∪     そ・げ・ぶ
    そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ
        そ・げ・ぶ そ・げ・ぶ
            そ・げ・ぶ
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/08(金) 01:56:50.12 ID:nkwxPhtlo
安定のそげぶ
654 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:29:12.60 ID:bfhbDsr10
レスありがとうございます。>>1です。

>>650
知 り た い ?

という訳で投下です。
655 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:29:52.10 ID:bfhbDsr10

------------------------------------------------------------------------------------------

番外  とある男女の花嫁修業(アルケミー)

  同日  15:50  固法・柳迫の部屋

一方「で、なンでオレはこンなところに呼び出されたのでしょォか?」

柳迫「もうちょっと待ってて!」ゴソゴソ

一方「っつーかここ一応寮なンだろォ?男がホイホイ入ンのはマズくねェ?」

柳迫「それは大丈夫。私か美偉のIDで一緒に入れば問題ないから!訪問者の映像記録も取ってないしね」

一方「…………余計心配だなァオイ」

柳迫「だから大丈夫大丈夫!あーくんって意外に小心者なんだね♪」ニッ

一方「違ェよ!あとあーくンって言うなっつってンだろ!………心配なのはオマエだよ」ボソッ

柳迫「えっ?」

一方「何でもねェよ。それよりまだですかァ?いい加減帰ンぞ」

柳迫「あと20分!」

一方「ガッツリ待たせる気満々じゃねェかコノヤロォ……帰る」スクッ

ハシッ

一方「!」

柳迫「お願い……」ジッ

一方「」

柳迫「……………」ウルウル

一方「ハァ………20分だな」ドサッ

柳迫「うん!」


一方(ヤレヤレ………大概甘ェよなァ、オレもよォ)


656 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:31:16.48 ID:bfhbDsr10

一方「ところで今日ツレはどォしたァ?」

柳迫「美偉のこと?今日は風紀委員の仕事があるからまだしばらく帰ってこないはずよ」

一方「あっそォ……」

柳迫「………こ、コーヒーでも飲む?」スクッ

一方「あァ、悪ィ」

柳迫「じゃあ、少し待ってて」トテトテ


一方(どォも様子がおかしい………何なンだァ、一体?)


柳迫「……どうぞ」コトッ

一方「おォ………ウメェ」ズズー

柳迫「タダのインスタントだけど」

一方「インスタントもバカには出来ねェンだぜ?」

柳迫「そうなの?」

一方「『コーヒーメーカーには最大の欠点がある。インスタントコーヒーの味を再現できないことだ』
   って言いきった物理学者がいるらしいぜ?」

柳迫「それは好みの問題じゃ……」



657 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:31:59.44 ID:bfhbDsr10

20分後

一方「オイィもう20分経ったンですけどォ?」

柳迫「もうすぐだから……」アワアワ


〜〜〜♪


一方「あン?何の音だァ?」


一方(ってか、この電子音のメロディ…………)

柳迫「できた!」スクッ

一方「はァ?」

柳迫「すぐもってくる!」

一方「オイ………まさか……」


ドンッ


一方「オイ、これは一体何だ」

柳迫「えーと…………一応、シフォンケーキ」テヘ

一方「見りゃァ分かる。オレが聞きてェのはそォいうことじゃねェ」

柳迫「な、なーんのことかしら?」

一方「………どォやって作った?っていうか、何を使って作ったァ?」

柳迫「!」ギックゥ

一方「答えろ」ギロッ

658 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:32:37.41 ID:bfhbDsr10








柳迫「………………………………す、炊飯器」

一方「」






659 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:33:16.08 ID:bfhbDsr10

柳迫「こ、この間黄泉川先生に教えてもらってね?炊飯器料理の中でも一番簡単なものの一つだって聞いて、
   私にもできるかなーと思って試しに作ってみたの!」

一方「ホォ…………」

柳迫「それでね、せっかく作るなら誰かに食べてもらいたいなー、っていうか…………


一方「?」





柳迫「…………あ、あなたに食べてもらいたいなー、なんて」カァァァ

一方「…………」


一方(えェー、何コイツ超カワイイ。抱きしめてェ…………………言わねェけど)


一方「なるほど、毒味か」

柳迫「せめて味見って言ってよ!」

660 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:34:19.50 ID:bfhbDsr10

柳迫「もういいもん…………美偉と二人でモソモソ食べるもん…………」

一方「誰が食わねえっつったァ」

柳迫「ふえ?」

一方「ホラ、速くよこせ。腹ァ減ってンだ」

柳迫「…………うん!」



一方「」モグモグ

柳迫「ど、どう?」

一方「………」カチャ

柳迫「……………」ドキドキ

一方「………………………56点」

柳迫「微妙に低い!!」

一方「何だァ?このボッソボソのスポンジはァ。シフォンはフワフワ・サクサクが基本だろォが」モグモグ

柳迫「うぅ…………しかもやたら具体的だし……」

一方「だがちゃンとダージリンの香りがきいてるのは、まァ合格だな」モグモグ

柳迫「やめて!その優しいフォローが心に刺さる!!」

一方「フン………」モグモグ

柳迫「も、もう食べなくていいから!おいしくないでしょ?」

一方「残念でしたァ。出された食いモンは全部食べる主義なンですゥ」モグモグ

柳迫「うう、イジワル……」

一方「ってかよォ」

柳迫「?」

一方「オマエが一生懸命作ったモン残すワケねェだろ」モグモグ

柳迫「!」


柳迫(この人は……ホンットにもう!)


661 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:35:11.75 ID:bfhbDsr10





一方「………ごちそォさま」カチャ

柳迫「……お粗末さま」

一方「味は悪くねェ。やっぱ問題はスポンジだな」

柳迫「…………精進します。うーんやっぱり普通に作るのとは勝手が違うなー」ポリポリ



一方「ちょっと待て…………今何つった?」

柳迫「え?普通にオーブンで作るのとは違うなって」

一方「普通に作れンのかよ!なら最初っからそうしやがれェ!」ビシッ

柳迫「だめよ!炊飯器で作れるようにならないと!」

一方「意外に強情だなオマエ!何でそこまで炊飯器にこだわンだよ!」

柳迫「!…………い、言えない」

一方「ホホォ……このオレに隠し事たァイイ度胸だなァオイ」スクッ

柳迫「これだけはホントにムリ!お願い!」

一方「聞きませェン。今日の分のオマエのオネガイは終了でェす」ズイッ

柳迫「うう、そんな殺生な……………………わ、笑わない?」

一方「あァ笑わねェ。だからサッサと吐いてラクになりやがれェ」

柳迫「…………あ」

一方「あ?」





柳迫「あなたのか、家庭の味だから…………」

662 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:36:04.40 ID:bfhbDsr10

一方「ハイィ?」

柳迫「あなたは普段黄泉川先生の炊飯器料理を食べてるでしょ?だから私も覚えなきゃって思って……」

一方「何でェ?」

柳迫「………………そこまで、言わせるの?」ジッ

一方「………………あァ、言わなきゃ分かンねえからな」ニヤッ


柳迫(ウソ!絶対ウソ!分かってるくせに!!)


一方「で?どうしてオマエがあの得体の知れねェ錬金術みてェな料理覚えなきゃいけないわけ?」

柳迫「うううぅ……………じゃあ……耳、貸して」

一方「あァ?仕方ねェ」



ギュッ



柳迫「ふぁ!!?」

一方「ホラ、耳貸したぞ。早く話せ」ギュー

柳迫「いや、これは私の知ってる『耳を貸す』体勢ではないような………」

一方「相手の口元に耳を寄せればどんな体勢だろォが関係ねェだろ」ギュー

663 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:37:27.90 ID:bfhbDsr10

柳迫「だからって、コレは…………」///

一方「あァもォうるせェうるせェ。……―――――」

柳迫「え?」





チュッ





柳迫「!!!!!」

一方「ハイ時間切れェ」

柳迫「…………またやられた……」カァァァ

一方「ハッ、オレから一本取ろォなンざ10年早ェ」

柳迫「!…………どうしてわかったの?」

一方「どォしてでしょォねェ」シレッ

柳迫「イジワル…………」

一方「心配すンなァ、自覚はある」キリッ

柳迫「もう、キライ!」

一方「オレは好きだけどォ?」

柳迫「!!!…………ズルイよ」///

一方「それも知ってる」ニッ



664 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:38:26.78 ID:bfhbDsr10

------------------------------------------------------------------------------------------

   16:15  女子寮・エントランス

一方「じゃァな」

柳迫「うん、またね」

一方「…………なァ」

柳迫「うん?」

一方「また今度ウチ来い」

柳迫「え?」

一方「オマエにホンモノのシフォンケーキってヤツを食わせてやるよォ」

柳迫「やめて!コレ以上私のプライドを傷つけないで!!」

一方「違ェ。打ち止めが会いたがってンだよ。『碧美お姉ちゃン、今度はいつ来るの?』ってうるせェから顔出せ。アイツも喜ぶ」

柳迫「………そっか。わかった。私も打ち止めちゃんに会いたいし、またお邪魔するね」

一方「まァ一番喜ぶのはオレですけどォ」

柳迫「またそういうこと言う!」

665 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:39:28.46 ID:bfhbDsr10

一方「じゃ、また来るわ」ツカツカ

柳迫「もう来んな!!」プンプン

一方「フン…………」ニヤッ





柳迫(…………………あのとき)



    ――――花嫁修業ならオレが仕込ンでやるよ―――



柳迫(どどどどどどどういう意味!?っていうか花嫁って!!)




柳迫「…………やっぱり、ズルイよ」クスッ




666 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/07/08(金) 02:40:00.72 ID:bfhbDsr10

------------------------------------------------------------------------------------------

   16:23   第7学区  黄泉川のマンション

一方「戻ったぞォ」ツカツカツカツカ

打止「おかえりー!あのね、今日垣根のお兄ちゃんにね!」

一方「悪ィ、晩飯まで部屋にこもるから話しかけンな」ツカツカツカツカ

打止「もう、ちゃんと聞いてよー!ってミサカはミサカは杖持ちとは思えない早歩きのあなたに食いさがってみたり!」

一方「」バタムッ

打止「あ」



打止「…………顔が真っ赤っかだけど何か……あったみたいだね」ニヨニヨ



とある男女の花嫁修業  終わり
667 :ツンギレ彼氏 ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/07/08(金) 02:42:19.70 ID:bfhbDsr10
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

この二人を書くときだけ異常に筆の滑りがいいです。
っていうか誰これ。

このスレも残り3分の1になりました。
2スレ目行くか……?
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/08(金) 05:31:18.75 ID:tr/w57/DO
甘ったるすぎて携帯投げそうになったおつ
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/08(金) 05:57:43.58 ID:IfMpUbWAO
ニヤニヤ出来る最高の話しでした
甘いのはいいねぇ乙です
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 07:50:37.06 ID:8ObZnK8L0

一方さん爆発しろ
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/07/08(金) 08:48:16.22 ID:L4lHwLJAO


ちょっと木原神拳習得してくる
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/08(金) 11:20:20.65 ID:zSszEynAO
一方さん[ピーーー]よ……くそ……

673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 14:26:32.77 ID:JVrXnCiIO
これは天井
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/08(金) 16:30:36.54 ID:Qqwv/N1to
垣根のスレなのに一方通行のほうが気になるのはなぜなんだぜ?

675 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/07/15(金) 21:16:28.85 ID:f2Xz4ivQ0
1です。とりあえず生きてます。
一週間も放置してすみません。
今日の夜中ごろ回線の機嫌が良ければ投下します。
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/15(金) 21:59:04.88 ID:SnsLJ/41o
お、くるか
期待してる
677 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:24:41.44 ID:1HkCl38x0
どうも、>>1です。
1週間も放置して申し訳ありませんでした。
では、今から投下していきます。

今日から本編再開だよ。
678 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:25:38.86 ID:1HkCl38x0

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  同日  17:13  垣根のマンション

   (♪ 目を覚ませば 三十本の光の束の ♪)

   (♪ 言い訳たちをただもてあそぶ 時間がゆるす限り ♪)

垣根「いっつ………あの野郎、本気で殴りやがって。ちょっと腫れてんじゃねえか」ペタペタ

公園での一件の後、フラフラになりながらも何とか自宅に帰りついた垣根は、
上条に殴られた顔の傷を自分で手当てしている。
同時に、上条からぶつけられた言葉の数々を反芻していた。



上条『ふざけんな!!!そんなもん全部お前の思い込みじゃねえか!!!』


上条『お前がクズであろうと何であろうと、お前がその笑顔を守りたいって思った気持ちはまぎれもなく本物だったはずだろ!』


上条『そんだけの覚悟があるなら、こんどこそお前の大事にしたかったものを守って見せろよ!』



垣根「クソッ、勝手なことばかり言いやがってよ」

679 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:27:00.61 ID:1HkCl38x0

   (♪ 何百回繰り返した後で もう一回始まっていく ♪)

   (♪ 泣いてるの? 笑ってるの? ってもうたくさんだよ ♪)

部屋の中では先ほどからCDがずっとリピート再生されている
同じナンバーを再生し続けるプレイヤーのように、
垣根の思考は堂々めぐりを繰り返していた。


垣根(今更どのツラさげて会えばいいんだよ…………)


上条の叱責と拳は確かに垣根のよどんで凝り固まった妄執に楔を打ち込むことに成功した。
しかし垣根はいまだに踏ん切りをつけることができない。
その理由は―――――――



垣根(…………アイツの顔を見るのが、怖ぇ………)



脳裏を彼女の顔がよぎる。
そのたびに、垣根は言い様のない胸の痛みに襲われる。
時に刺すように。時にしめつけるように。
正体のわからない疼痛が、垣根を苛んでいた。
今まで誰にも頼らず、たった一人で生きてきた垣根には、まだ分からない。
その痛みの意味するところも、自分が何をなすべきなのかも。

680 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:27:48.87 ID:1HkCl38x0


   (♪ 僕らは声が枯れるまで 存在し続けるんだよ 太陽に背を向けながら ♪)

   (♪ あなたの声が痛いほどに突き刺さるから ♪)

   (♪ どうにも思い通りに進まない 少し黙ってよ ♪)


垣根(チッ、こっちまで知ったようなことを…………)


歌詞の内容を今の自分にだぶらせ、思わず悪態をつく垣根。
そのとき、


グゥ


垣根「……………腹減った」

そういえば遅めの昼食を喫茶店で打ち止めと済ませてから何も口にしていない。
どこか適当なところへ食べに行こうかと一瞬思ったが、いまから外出するのはおっくうだ。
何よりこのみっともない顔で人前に出るのは憚られる。

垣根「……買い置きが何かあんだろ」スクッ

ありもので何か作ることに決めた垣根は台所へ向かった。
しかし、





垣根「…………………………ウソだろ、何もねえ」

681 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:28:26.44 ID:1HkCl38x0

冷蔵庫の中身はおろか、普段絶対に切らすことのないマカロニなど各種パスタさえも底をついていた。
こもりがちだったここ数日の間に食料のストックを使いきってしまっていたようだ。
残っているものといえばペットボトルの緑茶や牛乳といった飲み物類と調味料くらいだ。

垣根「マジかよ……どっちにしろ買い物行かなきゃなんねえじゃねえか。
   朝の食パンもねえとか………」ハァ

垣根は、冷蔵庫が空になるまで気づかなかった自分に呆れるやら、
買出しにすら出られなかったことが情けないやらで思わずため息をついた。


垣根(仕方ねえ………メンドくせえが買い物行くか。ついでにアンカバ2買ってこよ)ゴソゴソ


意を決した垣根はいそいそと支度を始める。
久しぶりにいつものCDショップへよって帰ることにした。

垣根「じゃ、誰もいないけどいってきまーす、っと」

バタムッ

…………………………


   (♪ 世界が 変わる夢をみたよ ♪)

   (♪ だけど今日も ひとりぼっち ♪)

   (♪ 救済の 崇拝は 粉砕で こぼれおちた ♪)


垣根はステレオを消し忘れたまま家を出てきてしまった。
そうして入れっぱなしのアルバムは、またはじめからトラックを再生し始める。
垣根自身の『物語』のように。
リピートは、まだ終わらない

682 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:29:38.56 ID:1HkCl38x0



------------------------------------------------------------------------------------------

   17:42  第7学区  路上

垣根「卵、ケチャップ、マカロニ、スパゲッティ、ベーコン、その他日持ちのしそうな保存食………よし、コレで当分大丈夫だろ」スタスタ

垣根は左手に下げた買い物袋の中身を確認しながら例のCDショップに向かっていた。
第7学区の大通りの片隅にその店はある。
『本物の音楽をとどける』をモットーにするその店は、
最新のヒットチャートから売り出し中のバンドまで幅広く取りそろえており、
音楽好きの一部学生の間ではそれなりに知られた店であった。

だがその店を知る学生たちは、場所は知っていても
『あの店』とか『例の店』などと名前をぼかして呼ぶ。
というよりも、その店の「現在の」名前を正確に知る学生の方が少ないのだ。
その理由は―――――――――――

垣根(………着いた)




   オーディオショップ『Smile of Darkness』

垣根「なるほど、今度はそういう名前ね」

定期的にその店の名前が変わるからである。

683 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:30:41.57 ID:1HkCl38x0

垣根(つーか何だよ『暗黒微笑』って。厨ニ病じゃあるまいし……いや、そうとも言い切れねえな)


垣根は常に胡散臭さを漂わせている店主の顔を思い浮かべた。
普段はアルバイトにまかせっきりでほとんど店にいない癖に、
突然ふらりと帰ってきたかと思ったら
『名前なんかに縛られてたら本物のミュージックは届けられねえ!』などとワケの分からないことを言いながら、
新しい看板を自分で描いて勝手に掛け替え、そしてまた忽然といなくなるのだ。
たまたま店にいるときに買い物に来ると、やたらフレンドリーに絡んできて鬱陶しいことこの上ない。

そう言う訳で、この店の名前が学生の間で定着することはない。
定着する前に店名が変わってしまうからだ。


垣根(営業許可とかどうなってんだ………?)


本来ならば垣根もこういったエキセントリックな人種との付き合いは御免被りたいのだが、
ほしいCDは必ず発売日1日前に手に入る貴重な店であるため、
あの胡散臭いオヤジのことは「仕入担当兼看板職人」だと思って割り切ることにしていた。


ウィーン


店員「いらっしゃいませー。………あ、お久しぶりです」

店に入るとアルバイトの店員が棚の補充をしていた。
普段店にいないバカ店長の代わりに店を回している彼とはすでに顔なじみだった。

垣根「あ、ども。オヤジはいないんスか?」

店員「………ええ、いつも通り」

684 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:31:44.05 ID:1HkCl38x0

やはりあのバカ店長はいないらしい。
おそらくいつもの通りどこかのライブハウスで将来有望なバンドの青田買いに励んでいるのだろう。
胡散臭いが、音楽に対しては真剣な中年である。

垣根「そっスか。そりゃよかった………………で、今度の看板はいつ?」

店員「3日前に。何でもインターネット掲示板の過去ログを見て閃いたとか」

垣根「何やってんだか………………」

逆に言えば、音楽以外のことは恐ろしく適当なのだが。

店員「まあ、店長ですから」ニコッ

何でもないことのように微笑む店員。
そこには何か達観のようなものすら浮かんでいた。
その境地に至るまでどれほどの苦労があったのか、あえて垣根は考えないことにした。
その方が互いのためだと判断したからだ。

店員「それより、何かお探しですか?」

垣根「あ、ああ。TMのアンカバ2ってもう出てると思ったんだが……」

店員「T. M. Revolutionの『under; cover 2』ですね?多分まだ在庫があったと思いますけど……
   あ、いけない。レジにお客さんが…ちょっと失礼します!」タタタ

店員は並んでいた別の客に応対するためにレジの方へ行ってしまった。
あとで在庫を調べてくれるらしい。

685 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:32:32.52 ID:1HkCl38x0


垣根(ひきこもってる間に売り切れとかだったら笑えねえぜ……)


この店は個人経営の店としてはケタ違いの品ぞろえを誇っているが、店舗の規模に対して
取り扱う商品の種類が多すぎるため、結果1種類当たりの入荷量を抑えざるを得ない。
またこの店では新譜ならば確実に発売日の1日前には店頭に並んでいる。
そのため油断してるとすぐ売り切れてしまうのだ。
以前にもCDの発売日を3日間違えて覚えていたために初回限定版が手に入らなかったことがあった。



垣根「…………さっきの客が持ってたヤツが最後の一枚だったりしてな。もしそうなら恨むぜカミサマ。
   …………………らしくねえか」ククッ



繰り返すが、垣根はこの科学の庭の住人の大多数と同じく無神論者だ。
垣根にはすがる神も、ましてや呪う神もいない。
だが、



店員「…………申し訳ありません!先ほどのお客様にお買い上げいただいたのが最後の1枚だったみたいで……」

垣根「やっぱりな!!」

自分のめぐりあわせの悪さに思わず叫びたくなることくらいある。

686 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:33:41.41 ID:1HkCl38x0

垣根「で、そっちも買っていったんスか?」

店員「それが今ちょうど売り切れてまして。とても残念そうにしておられました」

垣根「………………そっスか」



―――――――――――ツイてねえのはお互い様だったか。

垣根は顔も知らないその客に心の底から同情した。
結果的に、互いに自分のほしかったものを取りあう形になってしまった。
世の中は皮肉に満ち溢れている。
やはりこの世にカミサマなんかいない、いてたまるかと、垣根はとりとめのないことを考えていた。

店員「ではこちらの用紙にご記入お願いいたします」スッ

レジカウンターに案内された垣根は渡された注文用紙に記入を始める
控えを受け取り、出口へ向かう。



―――――――――――今日は厄日だな。



上条には思い切り殴られ、食料はなくなり、挙句の果てに目当ての商品は手に入らなかった。
半分以上は自業自得とはいえ、不平の一つも言いたくなる。
687 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:34:19.35 ID:1HkCl38x0

こんな自分を見ても、あの銀髪のシスターは『信じる者は救われる』と言うのだろうか。
いや、きっとそう言い切れるからこそ、彼女は強く、そして優しいのだろうと垣根は結論付けた。



―――――だが、


同時に、垣根は考える。



―――――――――シスターちゃんは否定してたが、




―――――もしも、人の運命をこねくりまわす『カミサマ』ってヤツがいるのだとしたら………







         固法「垣根……………さん………?」




―――――――――――――ソイツはよっぽど性格の悪いヤツに違いねえ。



688 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:35:12.22 ID:1HkCl38x0

垣根は一瞬振り返ることができなかった。
否、動くことができなかった。
背後からかけられたその声は、もう二度と聴くことはないと思っていたものだったからだ。
垣根はゆっくりと声のした方へ振り返った。
すると、



固法「今までどこで何してたの!?」



いつの間にか眼前に詰め寄った固法が垣根の視界を独占していた。

垣根「よ、よう。久しぶり…」

固法「久しぶりじゃないわよ!あの日から電話もつながらないし、メールも帰ってこないし……!」

固法は大声で垣根を問い詰める。
余りの迫力に、店内にいた他の客の視線は垣根たちに集まり始めている。
垣根は興奮している固法を何とかなだめようとした。

垣根「わ、悪かった。ちょっと携帯の調子が悪くてよ。連絡無視したのは謝るから落ち着けって…」

固法「落ち着けるわけないでしょ!?」

結果は、全くの逆効果だったのだが。

689 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:35:53.81 ID:1HkCl38x0

状況はますます悪化する一方だ。

店員「」ニコニコ


垣根(……やべえ!店員の兄ちゃんがこっち見てる!)


顔はいつも通りニコニコ笑っているように見えるがよく見ると目が笑っていない。
彼があの顔をしているときは怒りが爆発する一歩手前だ。
『以前店内で大声で騒いでいたチンピラ達を、笑顔のまま眉ひとつ動かさずに畳んで縛って燃えないゴミの日に出しやがった』
とバカ店長から聞いたことがある。
あのいい加減な中年の言うことを真に受けるわけではないが、
それくらいはやりかねない、と思わせる剣呑さが感じられた。


垣根(このまま店内で騒いでたら………最悪殺される!)


生命の危機を感じた垣根は、



固法「私がどれだけしん……ッ!」ムグッ

垣根(すまねえがちょっと静かにしてくれ)シーッ

実力行使に打って出た。

690 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:36:30.11 ID:1HkCl38x0

固法(………ッ!)ムグムグ

固法はいきなり口を手でふさがれ、目を白黒させている。
垣根はコレ以上店員を刺激しないように固法に語りかける。

垣根(コレ以上騒いだら殺され……店に迷惑だろ?とりあえず外に……な?)ヒソヒソ

固法(…………ッ!!)コクコク

垣根(よし。じゃあ一旦出ようぜ)ソソクサ

垣根は固法を連れて足早に店を出る。


ウィーン


店員「ありがとうございましたー♪」ニコニコ

店員のにこやかな挨拶が、やけに空々しく聞こえた。



691 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 00:38:34.38 ID:1HkCl38x0
一週間放置してこんだけかよって感じですがここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

楽しみにしてくださってる方は本当にすみません……
更新速度は相変わらずだと思いますが
気長にお付き合いいただけるなら幸いです。
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2011/07/16(土) 01:21:33.63 ID:nmJTvuZAO
相変わらず素晴らしい!
693 :やっちまったあああああああああ ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/07/16(土) 02:38:11.79 ID:1HkCl38x0
すみません!
>>684->>685の間に






垣根「マジかよ………予約しときゃよかった……」トホホ

店員「申し訳ありません。お取り置きしておこうかとも思ったんですが、店長があまり一部の客を特別扱いするなというもので………」

垣根「あの不良中年、余計なところで商売人の鑑だなコノヤロー………」

店員「今からですとご注文と言うことになりますが、よろしいですか?」

垣根「んじゃ、それでお願いします」

店員「かしこまりました。ではレジまでお願いします」

店員に促されてレジへ向かう垣根。

店員「……そういえばさっきのお客様、UNISON SQUARE GARDENのアルバムもおさがしでしたよ」

垣根「へぇ………オレみたいッスね」

店員「ええ、私もそう思いました」



―――――――――――――ホントに妙なめぐり合わせだ

垣根は一人ごちる。
まさか最後の一枚をタッチの差で他の客に持っていかれるとは思わなかった。
しかもその客が探していたもう一枚がユニゾンとは。
聞けばそのアルバムは垣根が先ほどまで自宅で聴いていたものだった。
奇妙な符合もあったものである。




この文章を入れるのを忘れてました!
ごめんなさい!
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/07/16(土) 08:22:41.82 ID:P1cKGt3co
オツカレチャ━━━━( ´∀`)━━━━ン!!!!
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 10:00:07.06 ID:8DRxcqTro
待ってた。乙
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/16(土) 21:40:44.67 ID:6VB4dRh90
>>685->>686じゃね?
697 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/07/19(火) 06:47:17.48 ID:JIby9JTW0
>>696
その通りです・・・
なんかもう本当にすみません。
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 07:38:11.02 ID:8GIgDRpDO
このSSが今は一番楽しみです
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/27(水) 23:23:58.39 ID:7qLU2MjGo
まだかな?
700 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/08/01(月) 21:37:57.69 ID:ksiQfljt0
>>1です。全然更新できなくてすみません。
今期のテストで卒業できるかどうかが決まるのでぜんぜん書き溜めができていません。
今週末には投下できればいいなとおもってます。
もう少し待っていただけるなら幸いです。
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/01(月) 21:39:20.87 ID:Nou+gfU8o
>>700
テストがんばってね
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 21:44:30.08 ID:br3dbIMCo
おお!来てた!

後悔無いよう頑張れ!
全力で舞ってる!
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/08/05(金) 20:56:22.42 ID:rziGVChAO
私ま〜つ〜わ〜
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 20:09:32.35 ID:kMMrPc0DO
テスト頑張って!ずっと待ってます
705 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:04:28.56 ID:ACXP3iPb0
こんばんは。>>1です。

まずは










本っっっっっっっっっっっ当にすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

もうね、前回の更新からもうすぐ1カ月ってとこまで放置とかアホかと。
しかも週末に投下っつってんのに気がついたら月曜も終わってるとかバカかと。
今回の投下が終わった暁には思うさま罵っていただいて結構です。


前置きが長くなったところで、投下していきます。

ていとくんマジ小学生
706 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:05:24.76 ID:ACXP3iPb0

------------------------------------------------------------------------------------------
   同日  17:56  第7学区 路上

垣根「……落ち着いたか?」

固法「……ええ。取り乱してごめんなさい」


垣根(………………ビビったのはこっちだっつーの………)


垣根「あ、ああ。しかしめずらしい所で会うモンだな。そこまで有名な店じゃねえはずだが」

固法「後輩の友達の女の子に教えてもらって……」

垣根「なるほどね……ソイツか?さっき買ったのは」

固法「え、ええ」

固法の手元にはあのCDショップの紙袋があった。
ご丁寧に3日前に変えたばかりの店名のロゴまで入っている。
相変わらずいい加減なクセに芸の細かいオヤジだ。

垣根「あの店ならたいていのモンは手に入るからな。何買ったんだよ?」

固法「これ?」

ゴソゴソ

固法「先週発売したT. M. Revolutionの『under; cover 2』を」

垣根「アンタだったのかよ!」

固法「えっ?」

垣根「あっ、いや………それ、最後の一枚だったらしいんだよ。オレもそれを買いに来たんだがあと一歩で……」
707 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:06:31.88 ID:ACXP3iPb0




垣根(さて、これからどうする……)

垣根(っていうかこのタイミングでコイツと鉢合わせるとか運悪すぎだろオレ。上条のこと言えねえじゃねえか)

垣根(うわーやべえ。今顔が引きつってない自信がねえ。ってか帰りてえ……ん?)





垣根「っつーことは、ユニゾンのアルバム探してた客ってのもアンタか?」


――――――何フツーに会話続けてんだ!!さっさとバックレろよオレ!


固法「ええ、そうだけど……どうしてそれを?」

垣根「いや、店員の兄ちゃんが言ってたから。在庫なかったんだろ?」

固法「ええ……あそこならあるって聞いてたんだけど」ショボーン


――――――ああ、そいつは残念だったな。それじゃ適当なところで切り上げて………


垣根「………そのアルバムならウチにあるぜ」

固法「え?」


――――――オイィ!何を口走ってんだオレは!!


脳内の思考と口から飛び出すセリフがかみ合っていなかった。
店を出た時から、垣根は早く話を終わらせてこの場を立ち去ることばかり考えている。
しかし口を衝いて出る言葉は、話を打ち切るどころか彼女を引きとめるようなものばかりで。

垣根「ああ。さっきまで家で聴いてたし。聴きてえなら今度貸してやるよ」

固法「本当?」

垣根「オレがアンタにウソついたことがあるか?」

固法「ありがとう!」

彼女の顔を見るのもつらいはずなのに、もっとこうやって話していたいと思う自分が居たのも事実だった。
708 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:07:45.85 ID:ACXP3iPb0


――――――どうしちまったっつーんだよ…………


それでもまだ、垣根は気付かない。
常識の通用しないその感情の、本当の名前に。

固法「ところで垣根さん、その荷物は?」

固法は垣根がぶら下げている買い物袋を指差した。

垣根「これか?食料の買い置きが無くなったから買出しに行ってきたんだよ」

固法「何だかやけにパスタ類が多いような気がするけど」

垣根「米より調理時間がかからねえからな」

固法「偏食してると体調崩すわよ?」

垣根「あいにく料理は得意じゃなくてな。腹が膨れりゃ何でも食うさ。
   誰かが作ってくれんなら話は別だけどよ」

固法「………」



――――――――――――潮時だな。



垣根「じゃあオレはここで失礼する」クルッ

そう言って垣根は固法に背を向けて歩き出した。

垣根「悪いな、送ってやれなくて。腹が減って死にそうなんだ」スタスタ
709 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:08:23.12 ID:ACXP3iPb0



思えば、

この瞬間に全速力で、

たとえ袋の中の卵が全滅しても走って立ち去るべきだったのだ。






         固法「待って!!!」



呼び止められた。
もう何度目だろう。
彼女に背中から呼び止められるのは。

垣根「…………何だ?」

垣根は振り返ることなく答える。

固法「あっ、いや、その…………」


垣根(まさか今更この間の件でしょっぴくつもりじゃねえだろうな?)


垣根の脳裏を、路地裏の一件がよぎった。
結局自分はあの一件の落とし前をつけていない。
あの後どう処理されたかは垣根の知るところではないが、真面目な彼女のことだ。
逮捕とまではいかなくても事情聴取くらいは求められるかもしれない。
710 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:09:25.65 ID:ACXP3iPb0


――――仮にそうだとして、どんな手を使ってでも逃げ切るつもりだけどな。
――――しかし最初からそのつもりなら悠長に世間話なんかするか?


垣根はあらゆる答えを想定し、シミュレートする。
だが彼女が次に放った言葉は、





固法「わ、私が作ります」

垣根「…………は?」



固法「だから、私が作ります!垣根さんの晩御飯を!」

垣根「はぁ!!!?」



垣根の予想の遥か斜め上を行くものだった。

711 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:10:08.48 ID:ACXP3iPb0

垣根「いきなり何言い出すんだアンタ!?」

固法「だって垣根さん言ったでしょう?『誰かが作ってくれればいいのに』って」

垣根「アレはそういう意味で言ったんじゃねえ!それならどっか適当な店に入るわ!!」

固法「買い物袋をさげて?」

垣根「うっ!」

涼しい顔で痛いところを突いてくる固法。
ただでさえ予想外の展開に泡を食っている垣根は冷静に対処することができなかった。

垣根「いや、でも申し訳ねえし……」

固法「それじゃあ、代わりにさっき言ってたCD貸してくれない?それでおあいこってことでいいでしょ?」

垣根「だけどよぉ……………」

固法「…………」ジッ

垣根「うぐっ!!」タジッ

突然固法は言葉を切ってまっすぐ垣根を見つめていた。
二人の間には結構な身長差があるため、自然と固法が垣根を上目遣いに見上げる形になる。
心なしか頬が上気し、その目はうるんでいるようにも見えた。

712 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:10:39.19 ID:ACXP3iPb0


垣根(ここでその顔は反則だろ…………)


垣根はこれまでの経験上、固法が狙ってこういうことができる人間ではないことを知っている。
それゆえに、彼女は常に真剣だ。
恐らく、垣根がこれ以上何を言っても彼女は自分の意見を曲げないだろう。
だからこそ、








垣根「……………………わかった。そこまで言うなら、頼む」

固法「!……ええ!」ニコッ

垣根は、ようやく負けを認めた。



713 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:11:22.63 ID:ACXP3iPb0

------------------------------------------------------------------------------------------
   18:12   垣根のマンション


ガチャガチャ


垣根「んじゃ、上がってくれ」

固法「お、お邪魔します」

固法は垣根に案内されるまま、垣根の自宅に足を踏み入れた。


   (♪ 見つからないよ絶対に 僕の隠し事は絶対に ♪)

   (♪ 夢の中ではいつも 伝えられるんだけど ♪)


垣根「あ、やべ。ステレオ消すの忘れてたぜ」

固法「…………」

垣根「……ん?どうした?」



固法「……広すぎじゃないかしら、この部屋?」

タワーマンションの25階。
そこが垣根の住居である。
714 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:11:56.73 ID:ACXP3iPb0

------------------------------------------------------------------------------------------
   18:12   垣根のマンション


ガチャガチャ


垣根「んじゃ、上がってくれ」

固法「お、お邪魔します」

固法は垣根に案内されるまま、垣根の自宅に足を踏み入れた。


   (♪ 見つからないよ絶対に 僕の隠し事は絶対に ♪)

   (♪ 夢の中ではいつも 伝えられるんだけど ♪)


垣根「あ、やべ。ステレオ消すの忘れてたぜ」

固法「…………」

垣根「……ん?どうした?」



固法「……広すぎじゃないかしら、この部屋?」

タワーマンションの25階。
そこが垣根の住居である。
715 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:12:50.24 ID:ACXP3iPb0
間取りにして5LDK。
学生の一人暮らしには贅沢すぎる代物だった。

固法「一体家賃とかいくらするのかしら………?」

垣根「あまり考えたことねえな。悩むような金額でもなかったしよ」

固法「絶対に間違ってるわ、その金銭感覚」

学園都市では、学生たちの能力強度(レベル)によって奨学金の支給額が大きく異なる。
この街の頂点に位置する超能力者ともなれば、その額は相当なものになるのだろう。
強能力者である固法もそれなりの額を支給されているが、恐らく垣根のそれの足元にも及ばないだろう。

固法「あまり若いうちから贅沢するものじゃないわよ?」

垣根「金は天下の回りものって言うだろ?大体オレの一個下だろ、アンタ」

固法「そういうこと言ってるんじゃないの」

垣根「ヘイヘイ、分かりましたよ」

固法「もうっ………じゃあ、キッチンお借りするわね」

垣根「ああ」

716 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:13:40.47 ID:ACXP3iPb0

固法は荷物を持った垣根の後ろについてキッチンに向かう。
こちらも部屋のグレードに見合った豪華なシステムキッチンだったが、あまり使われた形跡はない。


固法(料理が得意じゃないっていうのは本当なのかしら)


しかし、作りつけのガラス棚に納められた食器や調理器具はどれも外国製の高級品ばかりだ。
どれも『料理が苦手な』人間の持つようなものではない。

固法「ル・クルーゼのホーロー鍋にゾーリンゲンの包丁…………垣根さん、料理は苦手なはずじゃ……」

垣根「う、うるせえ!オレは何事も形から入る主義なんだよ」

固法「そして入っただけで満足するタイプね……」ポソッ

垣根「何か言ったか?」

固法「いいえ、何も?……そうだ、冷蔵庫の中のものも少し使っていいかしら?」

垣根「いいぜ。使えるモンがあったら使ってくれ」

固法「ありがとっ」

垣根の了解を得た固法は冷蔵庫の扉に手をかけたところであることに気がついた。


固法(本当に黒いんだ……)


垣根がいつか言っていた通り、冷蔵庫の外装は一般的なそれとちがい真っ黒に塗られていた。
気になって部屋を見渡すと、他の家電製品も白いものは一台もなかった。


固法(すごいこだわり方ね……)


717 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:14:24.90 ID:ACXP3iPb0

最近は白物家電といっても様々なカラーリングが展開されてはいるが、
ここまで徹底されていると何か執念めいたものを感じざるをえない。
そういえば、垣根は白くて大型の家電が好きではないようなことを言っていた。
…………一体何が彼をそこまで駆り立てるのだろうか。


固法(………いつか話してくれるかな)



あの時の垣根も、あまりそのことについて多くを語ろうとしなかった。
垣根の意思を尊重し、固法も無用な詮索をしないことにした。

垣根「ロクなモンがなかったはずだが…………ん?まてよ………?あっ!」

リビングの片づけをしていた垣根が何かつぶやいた。
そのつぶやきが固法に届くことはなく、彼女が冷蔵庫の扉にかけた手に力を込めたそのとき。

垣根「ま、待て!やっぱそこは……!!」

血相を変えた垣根がキッチンに駆け込んできた。
が、時すでに遅く。

固法「〜♪」ガチャ

………確かに冷蔵庫の中には、ほぼ空と言っていいほど物が入っていなかった。
特に生鮮食品は、先ほど補充した卵以外何も入っていない。
しかしそのなかで、ドアポケットに入っていたあるものに固法は思わず目を奪われた。
なぜなら、

718 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:15:51.96 ID:ACXP3iPb0






固法「…………………ムサシノ牛乳?」

その2本並んだ1リットル入りの紙パックには、彼女にとってあまりにもなじみ深いロゴがプリントしてあったからだ。

垣根「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」バターン!

垣根は冷蔵庫に駆け寄り、力の限り扉を閉めた。

垣根「ちっ、違うぞ!断じて違う!!コレはたまたま近所のスーパーで一番安かったヤツを買ってきただけで………!」

固法「…………」

垣根「決してアンタのために用意したとか、そんなんじゃねえからな!!」カァァァ

何も言っていないのに、顔を赤くしながら言い訳を始める垣根。

固法「……ふふふっ」クスッ

そんな垣根が可愛くて、似合わなくて。
固法は思わず吹き出してしまった。

垣根「………なにがおかしい!?」

固法「ごめんなさい……かわいいなあって思ってつい」クスクス

垣根「はぁ!!?」

固法「さ、すぐできるからあっちで待ってて」ニコッ

垣根「お、おぅ………」

ガチャッ

固法「……垣根さんって粉チーズ冷蔵庫に入れる派なのね」

垣根「もうそこは開けるな!」

719 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:16:51.96 ID:ACXP3iPb0





―――――――――どうしてこうなった。


固法が料理をしている間、垣根は思い切り散らかったリビングの片づけをしながら
この意味のわからない状況について考えていた。

他人をこの部屋に入れたのは今日が初めてでは、ない。
上条や一方通行は何度も来ているし、その二人と一緒にインデックスや打ち止めがついて来たこともある。

だが、この家で異性とふたりきりになったことなど今まで一度もなかった。
そんな重大イベントをこのような形で迎えることになろうとは、さすがの垣根も想像していなかった。
しかもその相手が固法とは一体何の因果なのか。

垣根(っつーか普通にあり得ねえだろこの状況……何でコイツ当り前のようについて来るんだよ……)

垣根(公園で説教したこと覚えてねえのか…………?)


720 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:18:24.53 ID:ACXP3iPb0

「あの日」、夜の公園で垣根は固法の無防備さをたしなめた。
他人をむやみに信用するな、特に男には気をつけろと釘を刺したはずだったのだが、
現在彼女はなぜか我が家のキッチンで自分の夕飯を作っている。

固法「……あっちこっち♪」ジュー


垣根(なんか鼻歌まで唄ってるし)


垣根の心中を知ってか知らずか、
彼女は変わらずに笑っている。



――――「あの日」の路地裏を忘れたかのように。



垣根(マジで何がしてえんだこの女………)



垣根(………このオレが、怖くねえのか…………?)



今の垣根には、フライパンに向かう固法の背中を黙って見守ることしかできなかった。
721 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/08/09(火) 03:21:55.82 ID:ACXP3iPb0
ここまでです。
よんでくださって本当にありがとうございます。

>>1が生きていたら
次の投下は二週間後位になると思います。

また間が空いてしまいますが
気長に待っていただけるなら幸いです。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 03:50:12.32 ID:xShSpvwIO
きたきたきたきたきたー!!
お疲れ様です! 楽しみに待ってた甲斐があったぜぇー
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 05:46:41.43 ID:GFHpn+KSO
私はまーつーわ
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/09(火) 07:13:12.39 ID:Ej2KMAtAO
良かった続きが読めた…乙です。

入院とは大変でしたね、無理はせずに続けて下さい。待ってます。
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 07:15:47.86 ID:WWX9ArF/o
やっと来たか
待ってたぞ
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 07:56:04.34 ID:PI1XLhuYo
いつまでもまーつーわ
727 :魏 志軍 [asd123nation@yahoo.co.jp]:2011/08/09(火) 13:02:18.52 ID:tvKU2I/+0
いくらでも舞っています。
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 13:14:46.08 ID:vafaQzyDO
いつわでェーもォーたァーつゥーわァ
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 13:31:46.97 ID:1YCIzE4Y0
いっきに読みました
待ってます
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/09(火) 15:06:10.01 ID:KeP0PHMn0
いつまでも舞ってるぜ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/08/11(木) 21:18:13.11 ID:aCxQ5Vw+0
きてたああああああああああああ!!!
次も楽しみにしてますぜ!
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 12:59:03.76 ID:jdDiKseR0
>>731
ageんな
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/08/23(火) 23:23:22.50 ID:HfaUMnEJo
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/08/26(金) 22:39:30.70 ID:cDdyxj+m0
まだ、まだなのか>>1よ。
私はもう待ちきれないぞ
貴方のSSがテスト勉強をおろそかにするほどに楽しみなんだ。
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 03:05:29.12 ID:lOxyxI3DO
もう来ないのかな…
736 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/08/29(月) 06:31:57.77 ID:OR2peopX0
1です。
何とか生きてます。
進路がかかった試験が一通り終わりました。
できれば今日更新したいと思います。
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/29(月) 20:01:21.04 ID:ZDLgxZwQo
試験おつかれ待機
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 23:38:33.28 ID:vifbV0rIO
\(^o^)/
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 00:33:35.88 ID:raRJoV/co
院試か?
何にせよお疲れさん
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 05:29:10.61 ID:e/DT2dTIO

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
741 :魏 志軍 [asd123nation@yahoo.co.jp]:2011/09/01(木) 18:22:46.83 ID:k4mvCSiH0
おつかれさまです。

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742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/09/01(木) 18:49:07.74 ID:6JWvW5jAO
>>741
なにがあった
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743 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:50:39.18 ID:bgMPUQLg0
やっほ〜☆ひっさしっぶりー!!!
みんな元気?>>1だよー!☆









……すみません、テンションでごまかしきれませんでした。
遅れに遅れて木曜日です。重ねてすみません。
では投下していきます。

みんな忘れてると思うけどこれ三部構成の第2部なのよね。
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744 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:51:54.32 ID:bgMPUQLg0

------------------------------------------------------------------------------------------
    15分後

固法「お待ちどうさま」

垣根「お、おう」

一足先にテーブルについて待っていた垣根のところへ、固法が二人分の皿をもってやってきた。
食堂にはすでに美味そうな匂いが漂っている。

固法「どうぞ」コトッ

垣根「おお、サンキュ…………おっ、カルボナーラか」

固法「卵と粉チーズがあったから作ってみたの。垣根さん、お腹空いてるみたいだから、これならさっと作れるしね」

垣根「……何か悪いな、そこまで気ィ遣わせて」

固法「気にしないで。さぁ、温かいうちに食べましょう」

垣根「あ、ああ」



垣根固法「「いただきます」」


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745 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:52:49.70 ID:bgMPUQLg0


垣根「…………」モグモグ

固法「どう、かしら?」

垣根「…………………美味い」

固法「本当!?」

垣根「……世辞は言わない主義だ」

固法「よかった。本当はね、スパゲッティは飽きてるだろうから別のものにしようと思ってたの。
   せめて小麦粉があればマカロニグラタンくらい作れたんだけど……」

垣根「いや、カルボだけで十分すげえよ。家でこんなまともなパスタ料理食ったことねえ」

固法「そうなの?」

垣根「普段のオレの食生活ナメんなよ?昨日なんかゆでたマカロニにケチャップかけて食ってたし」

固法「マカロニケチャップ!?」

垣根「イタリア人みたいだろ?」

固法「垣根さんは今すぐイタリア人に謝るべきね」クスッ



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746 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:53:34.17 ID:bgMPUQLg0

食卓で繰り広げられるとりとめのない会話。
垣根がおどけてみせると、固法は柔らかい笑顔を向けてくる。
変わらない笑顔を向けてくる。
そしてそのたびに、


―――――――――おかしいだろ、やっぱり。


垣根の心は、ざらりと波立つのだ。
なぜならその笑顔は垣根が何よりも大切にしたかったもので、
そして大切にしたかったがゆえに手放したものだったからだ。

―――――――無様ったらねえよなぁ、垣根帝督。

その彼女が今、自分の目の前で笑っている。

――――――自分(テメエ)の覚悟はこんなもんかよ。

垣根には、その状況がどうしても納得できなかった。



――――この程度で揺らぐほどのもんだったのかよ。

何より、その笑顔に安堵している自分が許せなかったのだ。



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747 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:54:17.73 ID:bgMPUQLg0
   『もう何も望まない』


それが、自らを「クズ」と断じた垣根に残された最後の矜持だ。
この血にまみれた両手は、何も抱えることなどできない。
何も守ることなどできない。

だから垣根は逃げだした。
あの路地裏から。そして、彼女から。
あの時の垣根には、そうする以外の方法が見つからなかった。

二度と会わないつもりだった。
その覚悟も決めたつもりだった。
それが、それだけが、
欠けている自分に、「クズ」である自分にできる全てだと思っていた。



しかし。
彼女はそんなこと構うものかと言わんばかりに垣根の背中を追いかけてきた。
その結果、彼女は今も垣根の目の前にいる。

垣根は情けなかった。
偶然鉢合わせただけで揺らいでいる自分が。
固法の変わらぬ笑顔に、すがりつきそうになっている自分が。
それだけではない。
彼女を見ていると、感情の抑えがきかなくなるのが自分でも分かった。
あの日フタをしたはずの、なかったことにしたはずの感情。



だが垣根は同時に、
その感情がパンドラの箱であることを理解していた。
そのフタを開いたが最後、
飛び出した災厄と絶望が間違いなく固法を押しつぶす。
もしそうなってしまったとき、垣根には耐えられる自信がなかった。


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748 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:55:10.72 ID:bgMPUQLg0


――――――テメエの言うとおりだ、上条。

―――――どうやらオレは、どうあってもコイツには笑っててほしいみたいだ。


結局のところ、垣根の行動の指針となっているのはその一念だけだ。
それだけが、自分を「カラッポ」と称した垣根が手にした唯一の「本物」だった。


―――――――だから、今度こそ守る。


――――――クズにふさわしい、最っ低の方法でな。




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749 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:55:47.15 ID:bgMPUQLg0

------------------------------------------------------------------------------------------
   20分後

垣根「………ごちそーさん」

固法「はい、お粗末様。食器片付けてもいい?」

垣根「いい。自分でやる」

固法「えっ?でも……」

垣根「自分で食ったものくらい自分で始末するさ。それにココ、オレん家」

固法「そう……じゃあお願いするわね」

垣根「ああ……あとリビングのソファにでも座っててくれ。コーヒー淹れるからよ」

固法「いえ、何もそこまで……」

垣根「いーからいーから。コイツの礼ぐらいさせろよ」

垣根は綺麗に平らげられた皿を指差しながら努めて明るく言った。

固法「……わかったわ」

それまでの口調と打って変わって急に声のトーンが明るくなった垣根を怪訝に思いながらも、固法はうなずいた。
そしてリビングに向かおうと振り向き、ダイニングの垣根に背を向けた瞬間、



垣根「――――――スキあり」

ガシッ
と、いきなり垣根が固法の腕をつかんだ。


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750 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:56:15.82 ID:bgMPUQLg0

固法「えっ?」

垣根「」グイッ

固法「きゃっ!」ドン!

そのまま垣根は固法を引き寄せ、壁に押し付ける。


固法「垣根さん、痛い……ムグッ」

垣根は片手で固法の両腕を拘束し、もう片方の手で口をふさぐ


垣根「アンタさぁ、ホント学習しねえのな」ボソッ

何が何だかわからない固法に垣根は耳元でそっと囁いた。
それは、ゾッとするほど冷たい響きだった。




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751 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:57:24.14 ID:bgMPUQLg0
------------------------------------------------------------------------------------------

―――――これでいい。これでコイツが、オレから離れれば。

それが、垣根の出した結論だった。
おそらくこのマジメな少女は、逃げ回るだけでは離れてはくれない。
ならば、彼女が自分から離れていくように仕向ければいい。

垣根「このマンションはな、全室完全防音になっててよ」

固法「…………!」

垣根「どんな大声を出したってだーれも気づかねえ。……どういう意味か分かるよな?」

固法「……」

垣根「たとえアンタが泣き叫んだって誰も助けに来ねえ」

固法「…………!!」ムグムグ

公園の時とは違う、これは本気の脅しだった。
これくらい脅しておけば、もう自分に寄ってくることはないだろう。
それが垣根の書いたシナリオだ。
―――「恐怖」という、よりにもよって垣根が最も忌み嫌う方法によって幕を引く最低の戯曲だ。



―――――――我ながら見事なまでのクズっぷりだな。泣けてくるぜ。



何より卑怯だと垣根が思うところは、選択の余地がない状況に追い込みつつ、
相手に決断を委ねるという点だ。
自分では終わらせることができないから。
この優しくもあたたかいうたかたの幻想〈ゆめ〉を。


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752 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:58:29.81 ID:bgMPUQLg0

垣根「オレ言ったよな?男は狼だって。オレも例外じゃねぇぞって」

固法「…………」

垣根「それだってのに人ン家に誘われるまま入ってきてよぉ……バカじゃねーのか?」

固法「………………」

垣根「……こうやってオレから襲われる可能性とか考えなかったワケ?」

固法「…………」ムグムグ

垣根「何とか言ったらどう……ああ、口を塞いでんのはオレか」ククッ

垣根は固法の口をふさいでいた左手を下す。

その口から飛び出す言葉は虚勢か嘆願か。
垣根にとってはどちらも同じことだ。

本気で抵抗してきたら離してやればいい。
それで、自分の『物語』はオシマイだ。



固法「…………どうして」

垣根「あ?」

しかし、固法が発した言葉は、



固法「どうして、そんな人を試すようなことをするの?」

そのどちらでもなかった。


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753 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 20:59:42.58 ID:bgMPUQLg0

垣根「試す……だと?」

固法「そう。垣根さんの恫喝は、人の反応を見て値踏みしてるような気がするわ」

垣根「オイオイ、アンタ自分の置かれた状況分かってる?」

固法は全くひるむことなく、まっすぐ垣根を見てそう言った。
思わぬ反撃にあい、垣根はかろうじて言い返したものの、声が裏返ったのが自分でも分かった。
だが、固法の態度は変わらない。

固法「まず第一に、私が男の人だったら、本当に乱暴するつもりなら壁に押し付けずに床に押し倒すわ」

垣根「……」

固法「そして第二に……」スルッ

垣根「あっ、てめ……っ!」

固法は、垣根が押さえていた手を振りほどいた。

固法「ほら、簡単に抜けられる。本気でおさえられたらこうはいかないわ」

垣根「………………」

全て図星だった。
床に組み伏せなかったのはそうしてしまうと彼女を逃がせないからだ。
腕を本気で押さえなかったのは抵抗したらすぐ解放出来るようにするためだ。

――――コイツ………

垣根は思わず唇を噛んだ。

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754 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:01:15.44 ID:bgMPUQLg0

垣根「………随分と見透かしたような口をきくじゃねえか。
   さすがは透視能力者ってトコロか?」

動揺していることを悟られないよう、精一杯の軽口をたたく。
だがそれは無駄な抵抗だった。

固法「そういうわけじゃないけど……」チラッ

垣根「………………けど、何だよ?」

固法「…………人を見る目には自信があるの」

垣根「!!」

それは、いつか垣根が固法に言ったセリフだった。


―――――――何だ。


固法「……どうしたの?」


――――――何なんだコイツは。


固法「ひょっとして、この間のことを気にしているのかしら?」


――――――――どうしてコイツは、オレを恐れない?



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755 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:01:57.21 ID:bgMPUQLg0


固法「そりゃあ、垣根さんはいつも意地悪で、自信満々で、時々よくわからなくなるけど……」


―――――――やめろ。


固法「こんなの……」


―――――――ヤメロ!!





固法「こんなの垣根さんらしくないわ」



ブチッ、と。
垣根の頭の芯で、何かが切れる音がした。




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756 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:02:38.43 ID:bgMPUQLg0

垣根「…………!!」ガタッ

固法「痛っ……!」

垣根は無言で固法の肩をつかみ、力任せに床に押し倒した。
今度は手加減なしに、本気で襲いかかった。

垣根「…………えよ」

固法「えっ……?」

垣根「アンタまでそんな分かったような言うんじゃねえよ!!!」

固法「!」

垣根「何がオレらしくねえだよ!!アンタがオレの何を知ってるって言うんだ!あぁ!?」

垣根「アンタ知らねえだろ!オレが何をしてきたか!!オレがどんな人間か!!!」

そして、どれだけ血にまみれているか。
ひた隠しにしてきたのは、他でもない自分なのに。
垣根の叫びは続く。

垣根「それで何が『オレらしくねえ』だ!!ふざけんなよ!!!」
オレは……!アンタが思ってるような人間じゃない!!オレは…………!!」




―――――――オレはアンタのそばにいちゃいけないんだ!!!



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757 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:03:36.74 ID:bgMPUQLg0

固法「…………確かに」

垣根「あぁ!?」

固法「確かに、私は垣根さんの全部を知ってるわけじゃない。でもね、何も知らないわけでもないわ」

垣根「何を……」

固法「少なくとも、私の知ってる垣根さんは理由もなく女の子に手を上げない」

垣根「…………」

固法「理由もなくウソをつかない」

垣根「……」

固法「私は人の言葉より、自分の目で見たものを信じる」

そこで固法は言葉を切り、最早力の入っていない垣根の手に自分の手を重ねた。



固法「私の見てきた垣根さんは、不器用だけどとっても優しい人よ」ニコッ



限界だった。

垣根「くっ……そぉ……」ポロッ

固法「…………」

一度あふれた涙は止まることはなくて。

垣根「オレは…………!オレはっ…………!」ボロボロ

糸が切れた人形のごとく、垣根はうなだれて泣いていた。
固法は、そのそばを離れることはなかった。




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758 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:04:52.97 ID:bgMPUQLg0

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   19:07  リビング

垣根「さっきも言ったけどさ…………オレはアンタが思ってるような人間じゃねえんだ」

固法「……うん」

垣根と固法は、二人でリビングのソファに腰掛けていた。
普段垣根が寝台代わりに使っているそれは二人で座ってもかなりのゆとりがあり、
垣根は出来るだけ端に座って固法から顔をそむけていた。
泣いた顔を見られたくないからだ。

垣根「オレは……この街のドロドロした部分をイヤっつーほど見てきた。
   オレ自身、ヨゴレ仕事に手を染めたこともあった」

固法「…………」

この期に及んでも、ハッキリと『人殺し』と口に出すのは憚られた。
だが固法は言葉のニュアンスで察してくれたようで、黙って垣根の話に耳を傾けていた。

垣根「クソみてえな生活だったよ…………文字通りこの街のどん底だったからな」

垣根「オレには何もなかった。夢も希望も、生きる意味ってヤツも。
   あったのはクソ忌々しいこの『暴力』だけだ」

固法「………………」


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759 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:06:02.71 ID:bgMPUQLg0

垣根「オレにはコレしかなかった。この『暴力』と『恐怖』で相手を支配することしか知らなかったんだ」

固法「…………だから、あの時?」

垣根「!……ああそうだ。あの手合いを見ると未だに抑えが利かなくなる。
   頭に血がのぼって、ソイツをぶちのめすことしか考えられなくなる」



垣根「自分より弱ぇヤツを力でねじ伏せる…………それはまぎれもねえオレ自身だからだ」

固法「…………」

垣根「オレは一度死んだ。正確には死んだも同然、っていうか、死んだ方がマシって状態だったんだけどよ。
   オレはこのまま死んでも構わないと思ってた。それが、こんなクズにふさわしい末路だと思った」

だが、何の因果か垣根は生き残った。二人の『ヒーロー』によって。
手に入れた平穏は実に心地よかった。
今までの生活とは真逆の世界。
しかし。

垣根「でもさ、オレ自身は何も変わっちゃいねえんだよ。
   いつまでもカラッポで、甘ったれたクズのままなんだ」

垣根「結局オレには、人を傷つけることしかできない。
   …………それが今、たまらなくイヤなんだよ……」ギリッ


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760 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:09:56.96 ID:bgMPUQLg0

垣根には分かっていた。
力を振りかざす連中を薙ぎ払うが、八つ当たりの憂さ晴らしでしかないことが。
そしてその結果、本当に大事なものさえも傷つけてしまった。
だから、幕を下ろそうと思った。
その大事なものを壊してしまう前に。

垣根「オレのやってきたことは全部『逃げ』でしかねえんだ。
   オレは自分の過去から逃げて、罪から逃げて………………」
   
固法「…………」

垣根「挙句の果てに……アンタからも逃げだしたんだ」



ひと時の静寂が二人を包んだ。
垣根は今度こそ全てを話した。
その結果出てきた言葉は情けない泣きごとだ。


垣根(ま、今更カッコつけても意味ねえしな……)


既に思い切り情けない姿を晒した後だ。
何を取り繕うことがある。
そう思って自嘲気味に薄く笑う垣根。


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761 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:10:47.40 ID:bgMPUQLg0
そこで、今まで余計な口をはさまず耳を傾けていた固法が口を開いた。



固法「…………逃げてなんかいないわ」

垣根「……え?」

その言葉は、垣根が全く予想しないものだった。
驚いた垣根は、思わず固法の方へ向き直った。

固法「だったら、垣根さんは何でそんなに悩んでるの?どうしてそんなに苦しんでいるの?」

垣根「………」

固法「申し訳ないけど、私には垣根さんの背負っている過去がどれだけ重いのかは分からない。
  だけど、垣根さんがその重みを受け止めてるのは分かるわ」


何だろう。

この感じは。

この満たされていくような感覚は。



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762 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:11:42.01 ID:bgMPUQLg0

固法「自分の過去とキレイに折り合いをつけられる人なんていないわ。
   私にも覚えがあるから、それだけは分かる」


固法の言うことは綺麗事だ。

少なくとも、垣根はそう思った。

なのに、


固法「だったら、その重さに付き合ってあげましょう?
   垣根さんが、自分で納得できる日がくるまで」


彼女の言葉は、こんなにも胸に響くのだろう。


垣根「…………何にも解決してねえだろ、それじゃ」

固法「どうして?」

垣根「結局オレは、ずっと苦しまなきゃならねえ。
   ずっと一人で、十字架を背負っていかなきゃならねえんだからよ」

固法「……一人じゃないわ」

垣根「!!」

固法「垣根さんの周りには私たちがいるわ」

垣根「………」

固法「だから、もう一人で抱え込むのはやめて。
   人は、誰かに頼っていいの。ずっと一人でがんばる必要はないんだから」


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763 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:13:30.18 ID:bgMPUQLg0

なんて。
なんて月並みな結論だ。

だがその月並みでありふれた言葉こそ、
垣根が求めたものだった。


垣根「…………オレは、変われるのか………?」

固法「垣根さんの痛みや苦しみが、その証拠よ。
   だから…………」



固法「その痛みや苦しみと一緒に、少しずつ前に進めばいい。
   少なくとも私はそう思うわ」



垣根「…………!」


と。
それまで視線だけを固法からそらしていた垣根は、
今度は体ごと彼女に背を向けるように座りなおした。


固法「…………?どうしたの、垣根さ……」

垣根「……あんまり、見ないでくれ…………」

その肩と声は、小さく震えていた。


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764 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:14:10.01 ID:bgMPUQLg0

固法「今日は珍しいものが見れたわ。しかもニ回も」クスッ

垣根「テメエ…見るなっつってんだろ……」グスグス

固法「ハイハイ。じゃあ…………」

トンッ
と、垣根の背中に何か温かいものが触れた。

垣根「…………?」

固法「垣根さんが見るなって言うから。これなら、問題ないでしょ?」

固法は、垣根の背中に自らの背中を合わせて座っていた。

固法「垣根さんが帰れ、出ていけって言うまで、私はここにいるから」ニコッ

垣根「………………勝手に、しろ」

固法「ええ、そうさせてもらうわ」



二人は、ずっと背中合わせで座っていた。
何も言わず、何も語らず。



垣根の涙が止まるまで。




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765 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:14:45.63 ID:bgMPUQLg0
------------------------------------------------------------------------------------------
   19:58  玄関

垣根「あー………だっせー」

固法「何が?」

垣根「テメエいけしゃあしゃあと……」

固法「フフフ……」クスクス

垣根「なあ、アンタ何かキャラ変わってねえ?」

固法「そうかしら?」

垣根「まあいいけど……そんなことより時間大丈夫か」

固法「残念だけど最終のバスはもう出てるわね。
   でも歩けない距離じゃないし、問題ないわ」

垣根「………悪かったな、こんな時間までひきとめて。……!そうだ、オレが送ってやるよ」

固法「えっ?」

垣根「靴もってベランダまで来い」スタスタ

固法「え?え??」




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766 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:15:16.99 ID:bgMPUQLg0

ガラガラッ

垣根「……風はないな」

固法「垣根さん、私今猛烈にいやな予感がするんだけど……」

垣根「ヨイショ」ヒョイ

固法「ひあっ!?」

垣根「暴れるな。落ちんぞ」

固法「そんなこと言っても……」


固法(だってこれ……いわゆるお、お姫様抱っこじゃ……!)


垣根「しっかりつかまってろよ」バッサァ

固法「ま、待って!」

ダンッ

固法「イヤーーーーーーーーーっ!!!!」



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767 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:15:56.00 ID:bgMPUQLg0

------------------------------------------------------------------------------------------
   20:05  第七学区・路上(固法・柳迫の学生寮前)

固法「怖かった…………」ドキドキ

「死ぬかと思った」と言わんばかりの面持ちで固法はそうつぶやいた。

垣根「いい眺めだっただろ?」

固法「それどころじゃないわよもうっ!…………でも、ありがとう」

垣根「!……あ、いや、礼を言うのはこっちだって。
   ありがとな、今日は。あと……ごめん」

固法「……もう謝らないで。それじゃあ、またね」

そう言って寮へと歩き出す固法。





垣根「固法!」

気がついたときには、声を張り上げていた。
自分を何度も何度も呼び止めてくれた彼女を、垣根は初めて自分から呼んだ。


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768 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:16:35.11 ID:bgMPUQLg0

固法「?」

振り向く固法。

垣根「え、あ、その、何ていうか…………」

しかし呼び止めてはみたものの、うまく言葉が出てこない。
伝えたいことは、いくらでもあるというのに。
垣根は自らの内でどんどん大きくなる「ある感情」に戸惑っていた。
自分でひきとめておきながら垣根に、固法は微笑みながらこう切り出した。

固法「また……」

彼女にとってはいつもの約束のつもりだったのだろう。
だが、その言葉で十分だった。



固法「また作るから」ニコッ



垣根が閉ざした「フタ」を開くには、それで十分だった。


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769 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:17:17.29 ID:bgMPUQLg0

固法「じゃあおやすみなさ……」





ギュッ

気が付いた時には、抱きしめていた。

固法「!?」

垣根「」ギューッ

固法「かっ、垣根さん……?」

一度開いたフタはもう戻らない。
もう、この気持ちはごまかせない。
だがその全てを今この場で言葉にするには、
垣根はあまりに遠回りをしすぎてしまった。



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770 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/09/01(木) 21:17:57.97 ID:bgMPUQLg0

固法(何?何何何!?どういうことなのコレ!?)


垣根「………………固法」

固法「ふえ!?」

だから垣根は固法を抱きしめたまま、絞り出すような声で一言だけささやいた。





           「ありがとう」



抱擁とその短い言葉に、思いのすべてをこめて。



固法「か、きねさ……」

垣根「………………じゃあ、またな」

そう言うと垣根はすぐに踵を返して立ち去った。
表情は見えなかったが、その長めの金髪からのぞいた耳は真っ赤だった。

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771 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/09/01(木) 21:25:46.40 ID:bgMPUQLg0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

気が付いたら前回の更新から4週間経ってました。
待っていてくれた方は本当に申し訳ありません。

次回で第二部「接近編」は終わりになると思います。
ちなみにまだ二人はくっつきません。
まだあの人とかあの人の見せ場が残ってるので。

それでは。

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772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 21:58:00.85 ID:5bTR5aQIO

≫1は長門「黒歴史」の作者?
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773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/09/01(木) 22:39:56.43 ID:OBMSnRg5o
その頃一方さんは?
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774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:37:11.99 ID:ztA1lWn8o
乙!
お姫様抱っこで空飛ぶとか、さすがメルヘン
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775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/09/02(金) 00:19:07.31 ID:KT6YjJzAO
>>1乙

久しぶりだけどやっぱり良いね!!
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776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 00:44:13.56 ID:9vhlq4noo
いいシーンだけに下にでるローカルルール云々が悔やまれるね……



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777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 05:12:16.69 ID:pNF5qLnco
ミサカはミサカは
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778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/02(金) 17:44:08.60 ID:q0g6Fx3Z0
>>1

固法先輩かっけー
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779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/09/02(金) 20:33:10.73 ID:clKOCMZG0
待っていた。
待っていたぞ>>1よ!!
この時をどれだけ待ち焦がれたことか
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780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/03(土) 00:50:49.77 ID:bdJlport0
待ち続けた甲斐があったぜ!
次の更新も楽しみにしてます
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781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/03(土) 02:53:26.19 ID:jf07dq9SO

ていとくんは後はまっすぐ突き進むだけだな
よし、お祝いの言葉は準備済みだぞ
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782 :魏 志軍 [asd123nation@yahoo.co.jp]:2011/09/04(日) 01:38:53.60 ID:ScCUHnaf0
待ちましょう、それが、アンバーの意志であるなら。

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783 :クロツキ ◆DcubshI73Y [sage saga]:2011/09/04(日) 02:01:22.31 ID:BJYwb2FP0
まだ足りない!もっと俺に砂糖を吐かせろォォォ!!









吐かせてくださいお願いします
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784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 02:53:09.47 ID:DW8NUksDo

いや待ったかいがあった

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785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 03:01:25.89 ID:DW8NUksDo

いや待ったかいがあった

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786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/05(月) 05:34:24.33 ID:1LO9/Cmeo
天使の羽を生やしてベランダから女の子をお姫様抱っこして飛ぶ・・・
かなりメルヘンだなwwww
乙〜
787 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:55:08.19 ID:2gA3BWDv0
こんばんは。>>1です。
このSSを書き始めて変わったことは
恋愛漫画を衝動買いするようになったことです。
こう、恥ずかしい感じの。

では投下していきます。
788 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:56:21.87 ID:2gA3BWDv0
------------------------------------------------------------------------------------------
   20:12  固法・柳迫の部屋

ガチャッ

固法「」

柳迫「美偉?」

固法「」フラフラ

柳迫「遅かったじゃない?めずらしいわね、美偉がこんな時間まで一人でフラフラしてるなんて」

固法「」

柳迫「…………ひょっとして、一人じゃなかったとか?」ニヤニヤ

固法「!」



垣根『オレは…………!オレはっ…………!』


垣根『……あんまり、見ないでくれ…………』


垣根『   ありがとう   』



固法「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜///」ペタン

柳迫「美偉!?急にへたり込んでどうしたの!?」

789 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:57:14.44 ID:2gA3BWDv0


固法(抱きしめられた…………)

固法(初めてではないけど………でもショッピングモールの時より優しかった)

固法(それに最後………)



垣根『………………じゃあ、またな』



固法(またな、って言ってくれた…………)

固法(また会おうって言ってくれた………///)


柳迫「美偉ホントに大丈夫!?顔赤いよ!?」



790 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:57:54.71 ID:2gA3BWDv0
------------------------------------------------------------------------------------------
   20:17  垣根のマンション

垣根「誰もいないけどただいまーっと」ガチャッ


ボスッ


垣根「ふぅ……………」

固法を寮の前まで送り届けた垣根は、帰り着くや否やソファに身を投げた。
ついさっきまで、二人で腰かけていたソファだった。


垣根(………ホントはわかってたんだよなぁ………)


最初は「変な女」としか認識していなかった。
だが顔を合わせるたびに違う表情を見せる彼女に、いつの間にか興味がわいた。
そして、彼女の笑った顔が嫌いじゃないということに気が付いた。

『嫌いじゃない』
考えてみればおかしな話だ。
その時点でもう答えは九分九厘出ているというのに、垣根はそれに気づけなかった。
長くこの町の暗がりに身を置いていた垣根は知らなかった。
その感情の名前を。



自覚したのは路地裏で別れた時だ。
791 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:58:23.17 ID:2gA3BWDv0
彼女の声が、表情が、すべてが、垣根の胸に深々と突き刺さった。
皮肉なことに、垣根はこの時ようやく気が付いたのだ。
自分が守りたかったものに。
そして、それが自分の手から滑り落ちてしまったことに。
だからこの感情に鍵をかけようと決めた。



だけど。



垣根(アイツは………またオレに笑ってくれた……)



792 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 00:59:24.87 ID:2gA3BWDv0
壊れてなんていなかった。
上条の言うとおりだ。
自分は勝手に絶望して、彼女の分まで勝手に諦めていただけだったのだ。

うれしかった。
それ以上に救われた気がした。
自分のこの両手は、何かを抱えてもいいのだと気付いたから。
誰かを抱きしめてもいいのだとわかったから。
――――それを教えてくれたのが、彼女だったから。


垣根(………そうか…………)





垣根(オレは………………)





垣根「固法のことが、好きだったのか…………」




垣根は初めてその感情の名前を知った。



第2部「接近編」 了




793 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:00:23.17 ID:2gA3BWDv0
------------------------------------------------------------------------------------------

オマケ  とある深夜の恋人会話(ストロベリートーク)

同日  21:48  固法・柳迫の部屋

柳迫「……うん、今はもう寝てる。なんかポーッとしてたみたいだけど」

一方『そォか』

柳迫「でも結局何があったのか教えてくれなかったのよねー。何を訊いても上の空というか」

一方『……大方見当はついてるンだろ?』

柳迫「まぁね」テヘ

一方『チッ、相変わらず食えねェ女だ』

柳迫「あら、その食えない女が好きなのはどこの誰?」

一方『フン、さァてな』

794 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:01:04.99 ID:2gA3BWDv0

柳迫「もぉ〜素直じゃないんだからー」

一方『言ってろ』

柳迫「…………でもそんなあなたが好き」

一方『!テメェ………』

柳迫「今ドキッとした!?やーい!」

一方『……オマエも言うようになったじゃねェか』

柳迫「いつまでも負けっぱなしってワケにはいかないもん」

一方『そォかよ……ン?あァ今電話して、ってオイやめろォ!』

ガッチャンガッチャンドンガラガッシャーン

柳迫「あ、アレ?もしもーし。あーくん?」



??『もしもーし!こちら碧美お姉ちゃんの携帯ですかー?ってミサカはミサカは絡んでみたりー!』ヒック

795 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:01:57.21 ID:2gA3BWDv0
柳迫「この声……打ち止めちゃん!?」

打ち止め『そうらよ〜』ヒック

柳迫「ろれつが回ってないような気がするけど……」

打止『あのね〜、ヨシカワにもらったジュース飲んだら何だか体が軽いの〜、ってミサカはミサカはぶっちゃけてみたりー』

柳迫「打ち止めちゃん!それ違うから!それ絶対ジュースじゃないから!!」

打止『え〜?でもヨシカワはジュースみたいなものだってヒック、言ってたよー?』

柳迫「あぁ、もうどこからツッコんでいいやら……」

一方『芳川ァァァァァァァァ!!!テメェまた打ち止めに飲ませやがったなァ!!』

芳川『たまには若いのと飲みたい時もあるのよ』

一方『若すぎンだろォが!!大体打ち止めの体がほかのヤツらと違うの知ってンだろォがァ!!』

芳川『大丈夫よ、誤差の範囲に留めてあるから』

一方『そォいう問題じゃねェェェェ!!今日という今日はぜってェ許さねェ!』

芳川『オホホホホ、捕まえてごらんなさーい』ダッシュ!

一方『待ちやがれこの酔っ払いニートがァ!!!』

………! ……!? …………!! ……… ‥ ‥ ‥  ‥  ‥

796 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:02:34.69 ID:2gA3BWDv0

一方『ハァ……ハァ……あの酔っ払いマジありえねェ』

柳迫「だ、大丈夫……?」

一方『あのクソニートぜってェシメる……起きたら必ずシメる……』ゼェゼェ

柳迫「騒ぐだけ騒いで結局寝ちゃったんだ……」

一方『本当だったらたたき起こしてるトコだが、打ち止めも寝ちまったからなァ』

柳迫「………打ち止めちゃんが?」

一方『おォ。アイツ一回起きるとまた寝付くのに時間がかかンだよ。芳川に説教かまして起こしちまったら面倒だからなァ』

柳迫「………………」

一方『あン?オイどォした?』

柳迫「ねぇ……」

一方『あ?』



柳迫「打ち止めちゃんと私だったら、どっちが大事?」



797 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:03:17.03 ID:2gA3BWDv0
一方『ハァ?』

柳迫「あなたが打ち止めちゃんを大事に思ってるのは知ってる。
   今も打ち止めちゃんのために怒ってるんでしょ?」

一方『…………』

柳迫「だからね、すこし不安になったの。
   ―――――この人は私のためにここまで必死になってくれないんじゃないかって」

一方『……………オマエ』

柳迫「!……ヤダ、私ったら何言ってるんだろ。
   あーやっぱり今の話はナシナシ!なかったことに……」






一方『オマエはなンにも分かってねェな』

柳迫「え?」

798 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:04:29.77 ID:2gA3BWDv0

一方『オレにとって他人から与えられた選択肢は何の意味もねェ。
   何かを手に入れるために別の何かを犠牲にするなンざ二度とゴメンだ』

柳迫「…………そういう答えは、ズルイよ」

一方『はン。今更なァに分かり切ったことを言ってやがりますかァ?』

柳迫「…………」


柳迫(…………最低だ、私)

柳迫(自分と打ち止めちゃんを秤にかけてる)

柳迫(「こんな答えが欲しかったんじゃない」って、がっかりしてる)

柳迫(………………打ち止めちゃんに嫉妬してる)

柳迫(バッカみたい……)


一方『………………わかった。それでもオマエが不安だってンなら一つ約束してやるよ』

柳迫「?」





一方『オレの心は、全部オマエにやる』




柳迫「!」

799 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:06:32.86 ID:2gA3BWDv0

一方『オレはこの通りの人間だからよォ。
   知らねェオマエのことを後回しにしたり蔑ろにしちまうかもしれねェ。
   だけどオレの心は、オレの『スキ』は全部オマエにやる』

柳迫「え?え??」

一方『そのかわり』

柳迫「……こ、今度は何?」

一方『オマエの『スキ』は全部オレにくれ』

柳迫「!!!」

一方『……それでプラスマイナスゼロだ。異存は?』


柳迫(え、ウソ、何コレ……)

柳迫(うわー、うわーヤバい。顔が熱い)


一方『返事ィ!』

柳迫「えっ!?あっ……ない、です」///

一方『よろしィ』
800 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:07:12.87 ID:2gA3BWDv0


柳迫(ズルイ。ズルイズルイズルイ)

柳迫(えー何コレ。もう意味わかんない……)


一方『……っつーかよォ、オマエ何か勘違いしてねェ?』

柳迫「な、何をでしょうか……?」

一方『打ち止めのことだァ』

柳迫「うっ!」ドキッ

一方『言っとくがあのガキだってお前が気に入ってンだ。
   元々人見知りはしねェンだが勘のイイガキだからよォ。初対面であそこまで懐くのは珍しィンだ』

柳迫「そう、なんだ……」

一方『まァ何が言いてェかってェとオレもあのガキもオマエが大切だってことだ。
わかったらもォくだらねェコト言うンじゃねェぞ。
   ……じゃ切るぜ』

柳迫「……あっ、うん、おやすみなさい」

一方『あァ。
   …………―――――』

柳迫「!?」

一方『じゃァな』ピッ

ツー…ツー…ツー…

801 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:07:43.56 ID:2gA3BWDv0

柳迫「………………何、今の」



――おやすみ、碧美―――



柳迫(うぁぁぁぁぁぁぁ反則だぁぁぁ反則だよぉぉぉぉぉぉ!!!///)ジタバタジタバタ

柳迫(何で最後の最後でサラッとそういうこと言うかなぁぁぁぁぁぁ!!///)ゴロゴロ

柳迫(それにそれに!!)


一方『オレの心は、全部オマエにやる』

一方『そのかわりオマエの『スキ』は全部オレにくれ』


柳迫(あんな武器持ってるなんて聞いてないよぉぉぉぉぉぉ!!)

柳迫(あんなこと言われたら一人で悩んでた私がバカみたいじゃない!!)

柳迫(何なの!!ホントに何なの!!?)ジタバタゴロゴロ

柳迫(ホントに………)ピタッ





柳迫「ホントに、バカみたい」クスッ





とある深夜の恋人会話(ストロベリートーク)  終わり
802 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/08(木) 01:13:25.82 ID:2gA3BWDv0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

これで第二部「接近編」が無事終了しました。
これも皆さまの応援のおかげです。本当にありがとうございます。
次回の更新から第三部に入っていくわけですが、
これからも応援していただけるなら幸いです。


あと主役二人をほったらかして勝手に動き出すこのバカップルどうにかなりませんか。

P.S.ウチの一方さんは去り際に爆弾投下するのが好きみたいです。
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/08(木) 01:17:58.07 ID:tJkCDUpM0
>>1乙!!
あーくんがまさかここまでできるとは…
甘い、甘い!甘すぎる!! もっとやれ。
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/09/08(木) 01:18:14.98 ID:axXHaSFAO
誰だよ俺のホットミルクに砂糖ぶち込んだの…

甘過ぎて飲めねぇよ乙!!
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 01:19:34.97 ID:ID3tCa7yo
乙!
他でハーレムになってる一方さんは爆発しろと思わないのに
ここの一方さんは爆発しろと思ってしまう
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 07:50:25.69 ID:V2mkeCdj0
正直一方さんのパートはあまいというか気持ち悪いレベルになっていて
まぁ、もういいんじゃね?
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/08(木) 11:21:38.90 ID:RYb/G7Owo
なんだよこの>>1砂糖の量適当過ぎるだろうがありがとうございます!!
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/09(金) 07:01:03.95 ID:gcusPm1wo
ベリベリストロベリーですね
>>806が言うように若干きもいぞ一方さんwwwwww
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/09/09(金) 22:50:02.28 ID:2NKrZdvUo
ダブルデートマダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/09/11(日) 10:59:58.74 ID:1DIsU4w00
おい、このコーヒーくっそ甘ェンですけどォ
811 :VIPにかわりましてAIWASSがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/09/16(金) 23:02:53.97 ID:MsXm2aQ90
………続きまだァ?
812 : ◆r4vICyDKLo [sage]:2011/09/20(火) 02:32:54.27 ID:/Q+2NddDO
>>1です。
ただいま実家にいるのですが一台しかないPCを妹が占領してるので
なかなか続きが書けません。すみません。
もうちょっとだけ待っていただけると嬉しいです。
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 03:01:13.90 ID:+lT5nlP6o
がんば!いつも見てるよー
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 12:04:24.76 ID:W0ZWIRXDo
妹ようちのPCを使っていいから
>>1に続きを書かせるんだ
815 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:31:17.80 ID:jQBVI+IJ0
>>1です。こんばんは。
妹からPCを奪還して(頭下げて貸してもらって)ようやくまとまった量になりました。
それでは投下していきます。


三歩進んで五歩下がる?
816 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:32:01.25 ID:jQBVI+IJ0

------------------------------------------------------------------------------------------
   数日後  16:08  第7学区 ファミレス『ジョイナス』

垣根「ちょっとお前らに相談がある」

一方「やっと出てきたと思ったらいきなり何だァ?」

上条「まぁ、元気になったならそれはそれでいいけど…………
   で、相談ってのは?」

垣根「いや、何つーか、その……………」

一方「ンだァ?ハッキリ言えェハッキリ」

垣根「るせぇ急かすな!!アレだ、ほら……
   …………お、」

上条通行「「お?」」




垣根「女を遊びに誘うにはどうしたらいいんだ……?」

上条「」

一方「」



817 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:32:43.58 ID:jQBVI+IJ0

垣根「いやな?紆余曲折はあれど、腐ってたオレはアイツの……固法のおかげで何とか立ち直ったわけだ。」

上条「……」

一方「……っ」プッ

垣根「んで、その礼も兼ねて、今度アイツをどこか遊びに誘おうと思ったはいいんだが…………」

上条「…………!」プルプル

一方「…………っ」ププププ

垣根「…………いざ誘うとなるとどうしても手が止まっちまうんだ」

上条通行「「あーーーーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!」」

垣根「テメエら何がおかしい!!?」

上条「だって、だって……っ!あの垣根が……ぷっ!だめだ、笑いが止まらねえ……!」プププッ

一方「オイオイオーイ、引きこもりから出戻ったと思ったらイキナリ中学生の恋愛相談ですかァ?
   面白ェ冗談だぜ。メルヘンにしちゃァ上出来だァ」ケタケタ

垣根「こちとら笑いごとじゃねーんだよ!!」

上条「だってお前、この間まで、普通に会話、してたじゃねえか。あー腹痛ぇ」ヒィヒィ

垣根「………………初めてなんだよ」

上条通行「「ハイ?」」

垣根「……お、女にマジ惚れしたのなんてこれが初めてなんだよ!」ウガー

上条(前に聞いたようなセリフだなー)

818 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:33:18.41 ID:jQBVI+IJ0

垣根「もうな、やべぇんだよ!
   なにがやべぇって自覚した途端に今までアイツと交わしたやり取りが急に恥ずかしくなって!」

上条「(確かにコイツ割と最初からアクセル全開だったもんなぁ)」ヒソヒソ

一方「(むしろ今までシラフでアレだったのかよコイツ。逆にスゲェわ)」ヒソヒソ

垣根「何が未元物質毛布だよ!!意味わかんねえ!!!」モーイヤー

上条通行「「((そこかよ))」」

垣根「それだけじゃねえんだよ……」

一方「ハァ?」

垣根「アイツのこと好きなんだってわかった瞬間アイツが今まで以上に可愛く見えて仕方がねぇ」

一方「何コイツキモイ」

上条「一方通行、本音がダダ漏れだぞ」

819 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:34:51.40 ID:jQBVI+IJ0

垣根「何ていうの?アイツの全てがドストライクっていうか。
   意外に細い腰とか、妙なタイミングで発揮されるクソ度胸とか、あと色々。
   あ、あと知ってた?アイツ料理メチャメチャ上手ぇの」

上条「(よくもまぁ恥ずかしげもなくペラペラと……しかも前半微妙にマニアックじゃね?)」ボソッ

一方「(アホくせェ……帰っていいかァ?)」ヒソヒソ

上条「(まぁまぁ、もう少し聞いてみようぜ)」

垣根「でもよぉ、そうやってハッキリ意識しだすともうダメなんだよ」

上条「……ん?でもそれって別に今までと大差なくないか?」

垣根「全然違う。ダブル○ーザンライザーとダ○ルオーガン○ムセブンソード/Gくらい違う」

上条「そんな本編に出てこないバリエーションで例えられても……」

一方「そォいやァもォすぐマスターグレードで発売だっけかァ?」

垣根「そんなこたぁどうだっていいんだよ!!」

上条(自分から話振ったクセに……)

垣根「………………どうしよう」

一方「あンだってェ?」





垣根「振られたらどうしよう…………」

一方「…………は?」イラッ

820 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:35:50.10 ID:jQBVI+IJ0

垣根「だってよぉ、今までダチだと思ってたやつからいきなり告られても困るだろフツー!
   固法がオレのこと何とも思ってない可能性だってあるだろ!?」

上条「あの、垣根さーん……?」

一方「…………」イライラ

垣根「お前らには分からねえかも知れねえがな、オレはお前らみたいにフラグ職人でもなんでもねぇんだよ!
   これでもし振られでもしたら一人で舞い上がってるオレがバカみてぇだろうが!」

一方「……………………」イライライライラ

垣根「……それ以前に、アイツに嫌われたらもう今度こそ生きていける気がしねぇ」



ブチッ



一方「っ!!!!!」ガッターーーーン!!!!

垣根「オウッ!?」ビクゥッ

一方「……ケータイ出せ。早く」

垣根「…………は?」

一方「出さねェとこの場で殺すぞ」ギロッ

垣根「」

一方「…………」チラッ


上条(! ああなるほど、そういうことか……)コソコソ


821 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:36:28.17 ID:jQBVI+IJ0

垣根「い、嫌に決まって……」

上条「確かいつも鞄のこの辺に……」ガサゴソ

垣根「なっ!上条テメエ!!」

上条「あった!ヘイ、パース」ヒョイ

一方「上出来だァ」パシッ

垣根「テメエらいい加減に……」

一方「」ピポパprrrr

垣根「勝手に電話かけてんじゃねえよぶっ飛ばすぞ!!!」

一方「ツーン」prrrrrrrrr

垣根「無視すんな!!いったいどこにかけて……ってまさかモヤシテメッ……!!」



------------------------------------------------------------------------------------------
   16:03  風紀委員活動第一七七支部

固法「…………」ボーッ

黒子「固法先輩、さっきから手が動いていませんの」ヒソヒソ

初春「あー、pのキーが押しっぱなしになって報告書がゼロシステムの起動音みたいになってますよー」

黒子「…………初春、また昔のアニメですの?」

初春「佐天さんから勧められたんですけど、すっかりハマっちゃって。
   トールギスが無機質カッコイイんですよ!やっぱりガン○ムの主役はキャラではなくMSなんです!」テカテカ

黒子「………付き合いきれませんの」ハァ



固法「………フフっ」ニヘラ

黒子「」ビクッ

初春「」ビクッ

822 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:37:21.11 ID:jQBVI+IJ0

固法「……あ、いっけない。書き直さないと……〜♪」


初春「…………固法先輩って、たまに行動がバグりますよね」

黒子「ああ……あの凛々しかった固法先輩はどこへ……」


コードーウーノオークーニー カーザースネガーイーヲー♪
サダーメトーイウーナラー♪


固法「ごめんなさい、私の携帯みたい………」


         【着信】
         垣根 帝督

固法「!!!」



------------------------------------------------------------------------------------------
   同時刻  第七学区  ファミレス『ジョイナス』

垣根「あ〜〜〜〜〜っ!!モヤシテメエどこに電話してんだゴルァ!!」prrrr

一方「ンだよ、テメェがいつまでもウジウジしてっから代わりにかけてやったンだろォが」フンス

垣根「ふざっけんなよ!!」prrrrr

一方「嫌なら切ればァ?切れるモンならなァ」ケケケケ

垣根「!!」

823 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:38:31.12 ID:jQBVI+IJ0

上条「まぁ固法さんの性格上、切っても120%折り返してくるだろうけど。
   ……まさかそこまで計算済みで?」

一方「……有力な情報提供者がいるンでね」ニヤァ

垣根「クッソ、お前らいつか必ずシバく……」


ピッ


固法『は、はい、固法です』

垣根「!!!!!!」

固法『あの……垣根さん?』

垣根(どうすんだよコレ!!つながっちまったじゃねえか!!!)ヒソヒソ!

一方「つながったとか何それエロい」ププー

垣根(モヤシいい加減にしろよマジでぶっ殺すぞ!!!)ヒッソォォォォォ!

固法『あの、もしもし……?』

垣根「あ、ああ!悪い!」

一方「……」サラサラ

上条(……何書いてるんだ?)

固法『それで、その、今日はどうしたの?』

垣根「い、いやぁ別に何ってワケでもねぇんだが……」

一方「」トントントントン

垣根(あぁん!?)


    【なンかしゃべれ】


上条(カンペ!?しかも丸投げ!?)
824 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:39:49.87 ID:jQBVI+IJ0

固法『ごめんなさい、私今風紀委員の詰所なので……何かご用なら後でかけ直すけど…』

垣根「いや、ホント大した用じゃねぇんだ。ただ、その……」

固法『?』


垣根(ええい、ままよ!!)



垣根「こ、今度二人でどっか遊びに行こうぜ!」

固法『へぁ!?』

上条(よしっ!)グッ

一方(……まずは最低ラインクリアっとォ)サラサラ

固法『どどどどうしたの急に!?』

垣根「ホラ、この間メシ作ってくれただろ?その礼をしてなかったのを思い出してよ」

固法『えっ!?あっ、ああ!そういうこと!』

垣根「それで、都合のいい日とかあるか?」

固法『そうね……来週は全学特別警戒週間だから、ちょっと忙しいかもしれないわ』


一方「」トントントントン

垣根(あぁん!?今度はなんだよ!)


     【再来週の土曜日】


垣根「……じゃあ、再来週の土曜なんてどうだ?それくらい先なら、今からでも休みとれるんじゃねえの?」

固法『!?さ、再来週の土曜!!?』
825 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:40:45.78 ID:jQBVI+IJ0

垣根「どうした?その日も都合つかねえのか?ひょっとして先約か?」

固法『いや!全然!!全然大丈夫だから!!』

垣根「……?そっか。ならいいんだが」

固法『……かっ、垣根さんもその日でいいの?』

垣根「あ、ああ。もちろん」

固法『……わかったわ。じゃあその日で』

垣根「オッケ。んじゃまた連絡するから……」

固法『垣根さん!』

垣根「お、おう、どうした?」

固法『……………………私、楽しみにしてるからね』

垣根「………………おう」

固法『じゃあ、またね』


ピッ


上条通行「「おめでとォー」」パチパチパチ

垣根「……!?………っ!!!」ガッ

一方「暴力はんたァーい」ツーン

上条「まぁまぁ垣根、まずは落ち着けって」

垣根「 ブ チ コ ロ ス ぞ て め え ら 」ワナワナ
826 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/22(木) 22:41:13.30 ID:jQBVI+IJ0

一方「だァから落ち着けよ童貞メルヘン。当初の目的は果たしたろォが」

垣根「!そりゃ、まぁ確かに……」

上条「それにお前はさっき振られる心配してたけど、その日でOKもらえたってことはかなり勝算はあるぞ」

垣根「あん?…………そういや急に慌てた様子だったが、何かあんのか?」

一方「ここでメルヘンに問題でェーす。今は何月で、再来週の土曜は何日でしょうか???」

垣根「……えーと火、水、木、金、……ハッ!!!」

上条「そういう……」ニッ

一方「ことだァ」ニヤァ



------------------------------------------------------------------------------------------
   同時刻  風紀委員活動第一七七支部・給湯室


固法(…………ビックリした……まさか垣根さんから声をかけてくるなんて)

固法(だって再来週の土曜日って…………)





固法「………………クリスマスイブじゃない!」



827 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/09/22(木) 22:42:58.39 ID:jQBVI+IJ0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
いつもに増して文章が荒い……
推敲する時間と文才が欲しい。
ではまた。

次回、決戦は土曜日。
828 :名無しNIPPER(栃木県) [sage]:2011/09/22(木) 22:47:24.65 ID:2ipK1f8AO



毎回毎回
楽しみに読ませてもらってます
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 23:39:42.57 ID:GRmeGwrBo
乙!
ニヤニヤさせてもらいました
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 01:37:31.84 ID:hMy9rGgXo
乙です!

トールギスに注目するとは…やはり天才か
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/23(金) 02:24:15.80 ID:7JNNkDcFo
こんなんで文才がうんたん言ってたら俺が泣くんだぜ
まああれだリアルクリスマスイブまでは十分すぎるくらい時間がある
それまで舞ってるんだぜ


>>830
ちょっと初春さんだまっててwwwwww
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 17:28:12.57 ID:HgDojlGSO


固法先輩は首付近が最高にエロイ
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/23(金) 22:48:43.44 ID:werReOZlo


>>832
同意
あれはたまらん
834 :魏 志軍 [asd123nation@yahoo.co.jp]:2011/09/24(土) 18:38:50.58 ID:lwYeOZnl0
ていとく〜〜〜〜〜〜んwwwwwwwwwwwwww
835 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/25(日) 00:57:51.96 ID:z8TuZGGE0
こんばんは。>>1です

続きというか番外編です。
バカップルではないです。

ではこっそり投下。
836 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/25(日) 00:58:45.89 ID:z8TuZGGE0
------------------------------------------------------------------------------------------
行間  とある女子の不毛論争(エンドレスワルツ)

  某日 某時刻  柵川中学校・校門前

初春「佐天さーん」タタタタ

佐天「あ、初春」

初春「今帰りですか?」

佐天「そうだよ。初春はこれから風紀委員の仕事?」

初春「いえ、今日は非番なので私も帰るところです」

佐天「そっか、じゃ一緒に帰ろ」

初春「はい!」



初春「あっ、そうだ佐天さん。ウィング全部見ましたよ」

佐天「ホント?面白かったでしょ!」

初春「もう最高でした!エンドレスワルツまでイッキ見しちゃいました!」

佐天「OVA版?それとも劇場版?」

初春「もちろん両方です!」

佐天「さっすがぁ!初春分かってる!」

837 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/25(日) 01:00:09.31 ID:z8TuZGGE0

初春「佐天さんこそ、あんな名作を教えてくれてありがとうございます」

佐天「いやいや、私は分かってくれる人にしか教えないことにしてるんだよ」

初春「…ということは佐天さんにも分かるんですね!?」





佐天「デュオきゅんのかわいさが!!!」
初春「トールギスのカッコよさが!!!」




佐天「」

初春「」



佐天「…………えっ」

初春「えっ」

佐天「……えっ、えっちょっと待って。トールギスが何??」

初春「……デュオきゅんって、佐天さんまさかキャラ萌え厨だったんですか!?」

佐天「キャラ萌え……!そう言う初春こそMSオタの硬派厨だったのね!」

初春「べっ、別に硬派厨じゃないです!私はただガンダムの主役たるMSが好きなんです!」

佐天「何言ってんの!ウィングは敵味方入り乱れる人間ドラマこそが見所でしょ!?
   MSはあくまでそれを演出する舞台装置なんだよ!
   何でそれが分からないかなぁ……」

初春「九割方頭のおかしい人間しか出てこないアニメで何が人間ドラマですか!」

佐天「言ったわね!!」

初春「何ですか!!!」

佐天「何よ!!!」


………! ……!? …………!! ……… ‥ ‥ ‥  ‥  ‥
838 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/09/25(日) 01:01:40.54 ID:z8TuZGGE0
   数十分後

佐天「」ゼェゼェ

初春「」ハァハァ

佐天「…………ホントは知ってたよ。トールギスUがエレガントカッコいいってこと」

初春「……私もわかってました。トレーズ閣下マジエレガント、って」

佐天「初春、ゴメン!私間違ってたよ!!」

初春「佐天さん…………私こそキャラ萌え厨なんてひどいこと言ってごめんなさい!!」

佐天「ううん、それはお互い様だから言いっこなしだよ」

初春「佐天さん……!」ガシッ

佐天「初春………!!」ガシィッ



初春佐天「「任務、完了……!」」



佐天「話は変わるんだけどさー、やっぱりTV版とエンドレスワルツじゃ作画のクオリティが段違いだよね」

初春「かけられる時間も予算も違いますからねー」

佐天「ガンダムチームなんかデザインからリファインされてるもんなー」

初春「私はEW版のガンダムも好きですよ」

佐天「でも何も知らないで見ると『えっ?えっ??』ってなるよね」

初春「ナタクの腕伸びすぎwwwww」

佐天「五飛さんマジごひwwwww」




初春「………佐天さん、今日ウチにきませんか?」

佐天「えっ?」

初春「マスターグレードのヘルカスを買ってたのを思い出したんです。
   一緒に組みましょう!」

佐天「何それ、超面白そう!行く行く!!」

初春「デュオの1/100フィギュアも付いてるので塗装してプレゼントしますよ」

佐天「マジで!?もー初春大好き!!」ギュッ

初春「私もです、佐天さん!」ギューッ



とある女子の不毛論争  終わり
839 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/09/25(日) 01:04:36.41 ID:z8TuZGGE0
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

厨二だろうがなんだろうがデスサイズとヘビーアームズはEW版がガチ。
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/09/25(日) 02:22:30.98 ID:rW7ElXTao

ガトリングは男のロマン
ガンダムよく分からんけど、色とガトリングでレオパルドって奴が好きだったなぁ
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 02:37:24.59 ID:xQiISYSzo
>>1

あれだ、ヘビーアームズが一発でも貫通被弾起こした瞬間に火の車に包まれるのは秘密だよな。
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 02:45:51.91 ID:SNQQR1ASO

ガンダムはよくわからんが旧ザクが好き
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/25(日) 03:43:25.02 ID:4EU6wqE0o

ガンダムはよくわからんけどヅダが好き
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/25(日) 04:52:31.58 ID:9CbiNaego

ガンダムはよくわからんけどデンドロビウムが好き
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/25(日) 08:42:31.92 ID:EdLS1MMso
乙!
DVD ボックスとCD全部とアニメイトのテープからアンソロジーコミックまで持ってる俺得過ぎる …男なのにね
トレーズ閣下で分かり合えるとかやっぱりトレーズ閣下マジエレガント。ガンダム史上最高の悪役だと信じてる。24歳とか信じられんくらい大人

ガンダムはよくわからんけどマグアナックが好き

846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/25(日) 09:22:10.86 ID:Aq5214NAO

ガンダムはよくわからんけどガブスレイが好き
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(藤枝) [sage]:2011/09/25(日) 10:34:47.21 ID:yoY/eUBt0
>>1乙です。これは砂糖が大量生産できるな!!

デスサイズとナタクはかっこいいと思うよ、うん。
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/25(日) 15:14:01.22 ID:3QVGZ/yRo

ガンダムはよくわからないけど愛を通りすぎて憎いくらいだけど、やっぱりフラッグが好き
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 08:44:33.04 ID:OkF4r86DO

ガンダムはよくわからないけど、ヒートテールと有線式大型ビームソード装備の
近接戦闘特化MSエピオンが好きです
850 :sonin :2011/09/27(火) 11:10:57.78 ID:n4606ywi0
働きたくないでごじゃるヽ(〃▽〃 )ノ★ http://nn7.biz/anime/movie.html
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 09:41:57.66 ID:GYE2SpGy0
乙!
追いついたぜェ!

続きキボンヌだァ
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 12:04:02.94 ID:pCQyKZnPo

ガンダムはよくわからんけどRX-79[G]Ez-8が好き
853 :VIPにかわりまして統括理事会がお送りします [sage]:2011/10/03(月) 12:43:23.84 ID:YTMyS+aR0
とある魔術の禁書目録劇場版公開決定!!!!!
更に新約とある魔術の禁書目録3巻は12月10日に発売決定!!!
劇場版の詳細は10月11日発売の電撃文庫マガジンで!
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 00:11:21.71 ID:QWE4nAuq0
>853

情報提供どォも!

楽しみだなァ☆
855 :VIPにかわりましてAIWASSがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/10/07(金) 20:56:10.59 ID:vsAxKa0y0

ガンダムはよくわからんけど グラブロ と ズゴッグ が大好き!!
856 : ◆r4vICyDKLo [sage]:2011/10/07(金) 21:00:50.07 ID:89Wc1nSF0
こんばんは。>>1です。

遅くなってすみません。今日の夜中ごろ更新します。
P4が始まるまでには投下したいとおもいます。
857 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:48:14.09 ID:h26fK5i+0
>>1です。

お待たせしました。では投下していきます。

最後に半オリキャラおよび>>1の妄想が出てくるから注意だよ!!
858 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:49:09.12 ID:h26fK5i+0
------------------------------------------------------------------------------------------
同日  17:12  垣根のマンション

垣根「…………マジでどうすっかなー…」

一方「オイメルヘン、コーヒー切れたぞ。おかわり」

垣根「お、おお……」コポコポ

一方「ン……」ズズー

垣根「んー……ここは考えどころだな……」

上条「垣根ー。この漫画の続きってあるか?」ペラペラ

垣根「あ、あぁ、オレの寝室の本棚にあるぜ」

上条「さんきゅー」

垣根「…………あーもう全然分かんねえ……」

一方「…………まっず」ズズー

上条「……プッ」クスクス





垣根「……………………って」

垣根「違うだろォォォォォォォォォ!!!」ッバーン!!!

上条「うぉっ!ビックリした!!」

859 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:50:05.50 ID:h26fK5i+0

一方「うるっせェぞメルヘン!」

垣根「やかましい!!テメェら何人ん家でフツーにくつろいでんだゴルァ!!!
   一体何のためにお前らを連れてきたと思ってんだ!!」

一方「……おォ、そォいやそうだったな」

垣根「わかってくれたか?」

一方「晩飯はまだかァ?」

垣根「手料理をふるまうためじゃねぇよ!!」

上条「あ、垣根。この漫画借りて行っていいか?」

垣根「帰ろうとするんじゃねえ!!」



一方「でェ?これから何をどうするってンだよ」

垣根「決まってるだろ!コースだよ、デートコース!どこ行くか、とか何するか、とか一緒に考えてほしいんだよ」

上条「デートコース?」

垣根「ああ。今までオレとアイツが行ったところと言えばゲーセン、喫茶店、バッティングセンターに公園……」

一方「ムードのカケラもありゃしねェなァ」

垣根「そう!ずばりそういうことなんだよ!!」

上条「えーと……どういうこと?」

垣根「だってよぉ、成り行きとはいえイブだぜ?
   他に行くトコなんざいくらでもあるだろ。いるみねーしょん?とかよ」

一方「まァ要するに気分盛り上げてエロいことがしてェんだよなァ」

垣根「ちっげえよバカ!違ぇよ!…………その、アレだよ、ホラ」

一方「あァン?なァにが違うンですかァ?」

垣根「………………仮にもアイツの一日をもらうんだぜ?しかもクリスマスイブだ。
   ちゃんと演出してえ、っつーか喜ばせてやりてえじゃねえかよ」

上条通行「「……………………」」



上条「(こいつ……本気で固法さんに惚れてるんだな)」ヒソヒソ

一方「(無駄に感慨深ェモンがあるなァ)」ヒソヒソ

垣根「……………………何か文句でもあんのか?」

860 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:51:05.16 ID:h26fK5i+0

上条「いや、別に」フルフル

一方「……フン、仕方ねェ。今回はその殊勝な態度に免じて特別に協力してやらァ」

垣根「助かる。



   …………で、参考になるかと思って買ってきた雑誌がコレだ」ドサドサッ

上条「多いぞ!?」

垣根「どれがいいのか分かんねえから手当たり次第買ってきたんだが」

一方「学園都市W○lker、学園都市ぴ○、……オイオイ、学園都市る○ぶまであンのかよ。
  しかも学区ごとに分かれてるってどンだけ手ェ込ンでンだ」

上条「しかもこのタウン誌、よく見たら全部発行元が統括理事会なんだけど…………」

一方「………………まだくたばってなかったのか、あのヒマ人」

垣根「……で、どこがいいと思う?」パラパラ

上条「そうだなぁ……」

一方「……こことかどォだァ?」

垣根「お、いいんじゃね?となると……」



………… … … …  ‥  ‥



861 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:51:41.13 ID:h26fK5i+0
-----------------------------------------------------------------------------------------
同日  18:28  固法・柳迫の部屋

固法「…………ということなんだけど」

柳迫「キターーーーーーーーーーーーー(゜∀゜)ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

固法「急に何!?」ビクゥ

柳迫「キタってそれ!完全に告白フラグじゃない!!」

固法「こく……っ!ないないない!それはないわよ!!……多分」カァァァ

柳迫「イブに二人で会いたいとかフラグじゃなかったら何だって言うの?」

固法「それは………ほら、だって、垣根さんだし」

柳迫「あー……それは考えられなくもないわね」

固法「でしょう?」

柳迫「じゃあもう美偉から告っちゃえばいいんじゃない?」

固法「えぇっ!?」

柳迫「だってもうそっちの方が手っ取り早くない?」

固法「そう、かな……」

柳迫「そうでなくてもアンタら120%両想いなんだからさぁ」

固法「!そ、それは……」

柳迫「心当たりがないとは言わせないわよ」

固法「うう……」////



862 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:52:20.76 ID:h26fK5i+0

柳迫「あ、そうだ。ねぇ美偉、明日とか空いてる?」

固法「?そうね、明後日なら非番だけど……何で?」

柳迫「もう、決まってるでしょ?買い物よ、買い物。デートに来て行く服買いに行こ!」

固法「い、いいわよ!別にそんな…」

柳迫「よくない!せっかくのイブなんだから、目いっぱいオシャレして行かないと!」

固法「それは…」

柳迫「……あと大人の階段登ることになっちゃった時の準備もしとかないとね」

固法「ば、バカじゃないの!?」



-----------------------------------------------------------------------------------------
  17:35  第七学区・路上

上条「大丈夫かな、垣根のヤツ」テクテク

一方「どォだろォなァ……土壇場でヘタるのがアイツだからなァ」ツカツカ

上条「確かに………」

一方「……まァ、なるよォにしかならねェだろ」

上条「それもそうだな……ところで、お前はどうするんだ、クリスマス?」

一方「あァ、多分ウチで宴会だろォなァ。今飲みモン担当のニートがせっせと酒をため込ンでやがる」

上条「駄目な大人だ……」

一方「ちなみに食材・調理担当が黄泉川で、パーティーグッズ担当がガキどもだァ」

上条「打ち止めちゃんとワーストさんか………で、お前は何担当なんだ?」

863 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:52:59.56 ID:h26fK5i+0

一方「あァ、オレは当日まで仕事はナシだ」

上条「ふーん……?めずらしいな、黄泉川先生が手伝いをさせないなんて」

一方「…………オレァ一番メンドくせェ仕事を押し付けるための前フリだと踏ンでる」

上条「……まさか」

一方「あァ……アイツらが酔いつぶれた後の片づけ担当だ」

上条「うわぁ…………」

一方「まァ、能力使えばチョチョイのサッ、だけどなァ」

上条「怒られそうな擬態語を使うのはやめろ」

一方「…………それにアイツらが酔いツブれたらイチャコラし放題だしィ」ボソッ

上条「何か言ったか?」

一方「べっつにィ。ところでオマエはどォなンだよ三下ァ」

上条「オレ?オレは小萌先生の家に呼ばれることになってるんだ」

一方「ホォ」

864 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:53:33.75 ID:h26fK5i+0

上条「なんかインデックスと結標の料理がモノになったかどうかのテストも兼ねてるらしいけど」

一方「そォか………あの露出狂女が料理、ねェ」

上条「そう言えばお前結標と知り合いだったっけ?」

一方「あァ。昔ちょっと、な………まァ、あったらヨロシク言っといてくれ」

上条「おぉ。お前がそういう殊勝な態度をとるのは珍しいな」

一方「バァカ、嫌がらせだよ。アイツはオレの顔なンざ二度と見たくないだろォからなァ」

上条「そう言えばお前はそういうヤツだったよ……」

一方「…………お互い、昔のことは思い出さねェ方がいいだろ」

上条「?」

一方「何でもねェよ。…………オレはコッチだ」

上条「おお、じゃあまた明日な」

一方「おォ」ツカツカ



上条「…………ホント、お前は素直じゃないヤツだよ」



865 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 01:54:13.83 ID:h26fK5i+0
-----------------------------------------------------------------------------------------
   行間   とある路上の勤労学生(ハッピーピアス)

  17:37  第七学区・路上

上条「ちゅーちゅーらぶりむにーむにーむらむら……♪」


オーイ カミヤーン


上条「?……気のせいか。……SWINGサマーアイスクリームゲッチュメガラバ…♪」


??「おーい、カミやんって!無視せんといてーな」ブンブン


上条「……って青髪!?何してんだよこんなところで!しかも何だ、そのゴキゲンな格好は?」

青ピ「見たら分かるやろ?どっからどうみてもサンタさんやん」

上条「いや、だからどうして今からそんな格好してるのかって訊いたんだけど」

青ピ「そうやそうや。なぁカミやん、クリスマスケーキ、買わへん?」

上条「………十字教の祝日は再来週だったと記憶しているが」

青ピ「何も今買っていけとは言うてへんがな。まだ準備してないなら僕んとこで予約していかへんか?」

上条「どういうこと?」

866 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 02:26:28.51 ID:h26fK5i+0

青ピ「僕がパン屋に下宿してるのは知ってるやろ?そこのお店でな、クリスマス用にケーキ出すねん。それで僕が営業を買って出てこうして予約取ってるんや」

上条「………お前が?」

青ピ「何やカミやん、その怪訝そうな顔は?」

上条「いやぁ、だってお前がマジメに働くとか想像できないし」

青ピ「ヒドいわぁカミやん!普段お世話になってる旦那さんやおかみさんを少しでもお手伝いしたいっていう僕の真摯な気持ちが分からへんのか?」

上条「ふーん……で、そのケーキも旦那さんって人が作るのか?」

青ピ「いやあ、旦那さんはパン一筋の職人さんやから作るんはおかみさんと誘波ちゃん…」

上条「………誘波ちゃん?」ピクッ

青ピ「!し、しもた!!」

上条「………青髪」ユラァ

青ピ「ちゃ、ちゃうねん!その子とコレは何も関係な……あ!わ、分かった!正直に話すからその右手は引っ込めてェェェェェ!!」



867 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 02:28:09.15 ID:h26fK5i+0

青ピ「誘波ちゃんは、5月くらいから店に修行に来とる子でな。
   ずっとデートに誘っててんけど断られっぱなしで………」

上条「ほぅ……?」

青ピ「でもな、この間『クリスマスケーキの予約を50個分取ってきたら、考えてもいい』って言うてくれてな!」

上条「へぇ……」

青ピ「これはもう死ぬ気で予約取るやん!?」

上条「そうか、がんばれよ。オレは帰る」ツカツカ

青ピ「待って待って待ってーなカミやん!!ここまで僕に言わせといてそらないで!!」グワシッ

上条「ええい離せ!!お前がそのアホみたいな恰好でケーキ売ってんのは要するにその子とデートしたいからってだけだろうが!!」

青ピ「女の子と遊びに行く……男が体張るのに、それ以上の理由が要るんか?」キリリィィィッ

上条「帰る」ツカツカ

青ピ「いやぁぁぁぁぁぁカミやんのいけずぅぅぅぅぅ!!!」ガシィッ



青ピ「誘波ちゃんはな、昔色々あってやさぐれてた時期があったみたいなんよ。
   本人はもう更生したって言うてるけどな。現にパン職人目指して仕事もマジメにやってはるし。
   でもな…………」

上条「?」

青ピ「僕ぁ、まだ誘波ちゃんが笑ったところをみたことがないんよ」

868 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 02:28:49.47 ID:h26fK5i+0

青ピ「デートしたいってのは半分冗談やけど、僕ぁ誘波ちゃんの笑った顔が見たいんや」

青ピ「笑顔に勝るアクセサリーはないからな」

上条「青髪…………」

上条(コイツのこんなマジメな顔は見たことがない……)

青ピ「まぁ、カミやんに言うてもしゃーないねんけどな。
   ケーキは別にええわ。ズルしたんがバレたらドヤされるからなあ」ケラケラ

上条「…………わかったよ。じゃあケーキ一つ、よろしく頼む」

青ピ「へ?ほ、ホンマかカミやん!?」

上条「そのかわり少しぐらいまけろよ?」

青ピ「もちろんや!」



上条「サイズは三種類か……」

青ピ「シスターちゃんと二人ならSサイズで十分やとおもうけどな。
   どうせカミやんはそんなに食べへんやろ?」

上条「そうだな…………あ、いいや。やっぱりこっちにする」

青ピ「Lサイズでええんか?これ結構ボリュームあるで?食べきれるか?」

上条「よく考えたらオレらだけじゃなくて小萌先生たちの分も買っていかないと」

青ピ「なん………やと………」

上条「4人だからそれなりのサイズを……ってどうした青髪!?」

青ピ「カミやん………みんなの小萌先生をクリスマスに独り占めなんて……神をも恐れぬ所業やでぇ……っ!」

上条「違っ…!そういうのじゃねえよ!!」

青ピ「しかも4人いうことは少なくともあと一人おるっちゅうことやな?
   僕の勘が正しければ……女の子が!!」クワッ

上条「何そのキモい洞察力!?大体お前その誘波さんって人はどうした!!」

青ピ「それはそれ、これはこれや!!歯ぁ食いしばれやカミやんんんんんん!!!」

上条「理不尽だァァァァァァァ!!!」



とある路上の勤労学生 終わり
869 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/08(土) 02:31:22.67 ID:h26fK5i+0
ここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

久しぶりに原作読み返したら妄想が滾った。
反省も後悔もしていない。


今回も投下が遅れてすみませんorz
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/08(土) 02:55:04.88 ID:5czeR+6I0
おお、きてたか!
乙です
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 03:02:21.82 ID:XtU4UHbSO

みんな幸せそうでなによりだな
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 03:29:04.44 ID:Jdcnrqymo
乙ー
最近屋さンシリーズ読み返したところにネタがきて吹いたwwwwww
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/10/08(土) 03:51:28.17 ID:s56X41N9o

やっぱこんな幸せな感じは大好きだ
それに比べて現実ときたら・・・orz
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 06:32:20.84 ID:z+bFQ3yIO
屋さンシリーズは面白かったからな
使いたくもなる
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/08(土) 09:12:24.95 ID:gZr6hyofo
>>1はホルモン好きなん?
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 21:00:08.86 ID:nIHPXEgh0
乙!

早くていとくんと固法さんのデート見たいなってミサカは期待してみたり☆
877 :名無しNIPPER(栃木県) [sage]:2011/10/08(土) 21:13:36.98 ID:oiyscMsAO
待つ価値がある作品
ありがとう
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 23:16:02.89 ID:SKW8g6ABo
つぅなーいーだ たまっしいの灯が 胸ーをさーすなーらー…
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/10(月) 20:54:46.02 ID:N80dx9iT0
うでのーなかでーねむるーきみにーぼくはーねーがーうーよー♪

ヴォォォォォォォ乙!!
880 : ◆r4vICyDKLo [sage]:2011/10/15(土) 23:06:01.01 ID:4cqV/OMO0
こんばんわ。>>1です。

一週間ぶりですね。では投下していきます。
881 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:06:41.66 ID:4cqV/OMO0

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  土曜日(イブ一週間前)  12:22  第七学区 ファミレス『ジョイナス』

垣根「うーす」

上条「おお、こっちこっち」

一方「フン……」モグモグ

垣根「わりいわりい、待たせたな」

一方「別に待ってねェ」フンス

垣根「テメエ……」

上条「そういえば今日は遅かったな。どうしたんだよ?
   ここ最近一人であちこちまわってたみたいだし」

垣根「ああ。下見に行ってたんだよ」

上条「下見?」

垣根「おお。この間どこに行くかお前らといくつか候補出しただろ?実際どんなもんなのか見ておいた方がいいと思ってな。
   ぶっつけ本番でアタフタするのはだせぇだろ?」

上条「それは一理あるけど………」

一方「…………一人で?」

垣根「もちろん一人だ!」

上条「か、悲しい……」

882 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:07:08.32 ID:4cqV/OMO0
垣根「何でだよ!デートの下見とか超リア充じゃん!超充実してるじゃん!!」

一方「定番のデートスポットを男一人で延々回るって絵面が既に悲しいわボケ」

上条「コテコテの定番スポットばっかりだからなぁ。プラネタリウムとかイルミネーションとか」

垣根「ハッ、そんなことかよ。今更そんなことで動揺するオレだと思ったら大間違いだぜ!」フンス

一方「………何でこンな元気なンだよコイツ」ヒソヒソ

上条「まぁ、落ち込んでるよりはいいんじゃないか?」ヒソヒソ

一方「それにしたってこの間とテンションの差ァ激しすぎンだろォ……」ヒソヒソ





垣根「お前ら、色々ありがとな」

上条「えっ!?」ギョッ

一方「ンだァいきなり?ぶっちゃけキモいンですけどォ」

垣根「心配するな、自覚はある。
……でもここまで来れたのもお前らのおかげだからさ。ひとつ節目ってことで礼を言っとこうと思ってよ」



垣根「本当に、ありがとう」



883 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:07:34.62 ID:4cqV/OMO0

上条「垣根……」ジーン

一方「…………フン」ニッ

垣根「っつーわけで、当日はバッチリ決めてくるからよ!」ビシッ

上条「ああ。がんばれよ」

一方「心配すンなァ。玉砕したらホネぐらい拾ってやるよォ」ニヤニヤ

垣根「うっせ!……つってもまだやることが一つだけ残ってるんだよな」

上条「やること?」

垣根「ああ。やることっつーと語弊があるんだが……」



------------------------------------------------------------------------------------------


垣根「プレゼントだよなぁ」


翌日(日曜日)  13:03  第十三学区 ショッピングモール

垣根「まだ何にするかぜーんぜん決まってねえが……まぁ、ここなら何でもあるだろ」ツカツカ


   二階・専門店街

垣根「さて、実際問題どうするか…………」ツカツカ


垣根(固法の喜びそうなもの……か)ウーン
884 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:08:06.25 ID:4cqV/OMO0

垣根(服は好きみてぇだったが……趣味が出るんだよなぁ、服は。合わないと思ったら着ないし)

垣根(どうせやるなら使ってもらいてぇしなぁ……)

垣根(そうするとアクセサリーあたりが妥当か……)

垣根(ストラップは、ねえな。中学生じゃあるまいし)

垣根(指輪は……重いよな。そもそもサイズわかんねえし。ネックレスくらいにしとくか)

垣根(デザインはシンプルな方がいいな。ハデなのとか奇をてらったのは服にも合わせにくいし)

垣根(出来るだけシンプルで、なおかつセンスが光るような…………)


垣根「………ま、何とかなるか」ツカツカ






柳迫「あれ?あそこの人垣根さんじゃない?おーい!垣根さーん!!」

固法「ちょっと碧美!」

垣根「!?」

柳迫「こんなところで会うなんてすごい偶然ね!他の二人は一緒じゃないの?」

垣根「あ、ああ。アンタらも二人仲良く買い物か?」

固法「ええ。年末の準備とか、色々ね。年の瀬になると、混んじゃうから」
885 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:08:35.25 ID:4cqV/OMO0

柳迫「そうそう。勝負服とか勝負ホニャララとか、色々ね」ニヤニヤ

固法「碧美!」///

柳迫「てへっ☆」(・ω<)キャピ

垣根「なるほどな………」

垣根(勝負服?今勝負服っつったかコイツ!?)



柳迫「じゃ、私は先に帰るから。垣根さん、美偉のことお願いね(はぁと」

垣根「はぁ!?」

柳迫「じゃねー!」タタタタ…

固法「ちょっと、碧美!?」





柳迫「…………」カチッ

ピッポッパprrrrrrr

ピッ

一方『おォ、首尾はどォだ?』

柳迫「完璧!」

一方『上出来だァ』クックック

886 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:09:08.39 ID:4cqV/OMO0




垣根「………行っちまったな」

固法「そうね……」


垣根(最初はイキナリでビビったが………やべ、超うれしい)

垣根(こんな偶然ってあるんだな……)


固法(ど、どうしよう!)

固法(こんな展開望んで……ない、と言えばウソになるけど……正直うれしいけど……)


垣根「……あの時以来だな」

固法「えっ?」

垣根「こうやって、顔を合わせんのは、さ」

固法「そう、だったかしら……」

垣根「それで、アンタはどうするんだ?」

固法「え、わ、私?私はもうちょっとお店を回ってみようかと思ってるの。
   碧美と一緒だと何かスゴイの着せられるし……」

垣根「そうか。







   じゃあついでと言っちゃ何だが、ちょっとオレの買い物にも付き合ってくれねえか?」

固法「ええっ!?」

887 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:09:45.75 ID:4cqV/OMO0


垣根(人の好みを探るのは一緒に買い物すんのが一番手っ取り早いらしいからな。知らんけど)


垣根「実はオレも服とかアクセとか見にきたんだ。ああいう身に着けるモノは実物を見ねえと決められねえしな」

固法「……そうね、それは分かるわ」

垣根「だろ?」


垣根(何にもウソは言ってないよな。『自分の』とは一言も言ってないし)


垣根「決まりだな。じゃ、行こうぜ」

固法「ええ!」



------------------------------------------------------------------------------------------

垣根「さっきから気になってたんだがどうして制服なんだ?日曜だろ、今日」

固法「今日は学校で全国模試があって。一応『外』の大学も受けるつもりだから、受けとかないと」

888 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:10:13.54 ID:4cqV/OMO0

垣根「あーそういや高二の今頃から急に増えるんだよなー、模試ってやつは」

固法「………垣根さんも、模試受けてるの?」

垣根「いや、全然」

固法「やっぱり……」

垣根「でも大変そうだな、受験って」

固法「……それをあなたが言う?」

垣根「それもそうだな。オレに限らずレベル4以上なら寧ろオレたちが学校を選ぶ側だからな」

固法「……一度でいいから言ってみたいわ、そんなセリフ」ハァ

垣根「ハハッ」

固法「というか、もうすぐ受験なのは垣根さんでしょ?
   どこの大学に行くの?それとももうどこかの研究所に就職とか?」

垣根「いや、オレは……」





禁書「あ、ていとくだ!」

結標「あら、奇遇ね」

垣根「し、シスターちゃん!?」

固法(……修道服?)

889 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:11:06.56 ID:4cqV/OMO0

禁書「こんなところであうなんてすっごいぐうぜんかも」

垣根「そうだな……っつーか、そっちこそ珍しい取り合わせだな。上条は一緒じゃねえのか?」

固法「上条くん?上条くんの知り合いなの、この子?」

垣根「!」


垣根(しまった!コイツの中では上条の彼女は氷華ちゃんってことになってるんだった!)


垣根「あ、ああ!この子はイギリスの神学校からの留学生で、上条のウチにホームステイしてんだ!」

固法「……ホームステイの受け入れ先が一人暮らしの男子高校生っていうのはちょっと考えにくいけど」


垣根(やべえ!苦しい言い訳だったか……っ!!)


垣根「ああああアイツは教師に信用されてるからな!」

固法「そう……」

禁書「ねえねえあわき、ほーむすていって何?」

結標「超短期の留学制度のことよ。っていうか何で発音がひらがななのよ。ホームステイは英語でしょ?」

禁書「むむっ、ゆいしょ正しいクイーンズイングリッシュにそんなわけのわからない単語はないかも!」

結標「はいはい、和製英語ってヤツね………
   ああ、自己紹介が遅れてごめんなさい。私は結標淡希。高二よ。よろしく」

禁書「はじめまして、わたしのことはインデックスって呼んでほしいんだよ!」
890 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:11:57.22 ID:4cqV/OMO0

固法「あ、私は固法美偉。私も高二。よろしくね」

垣根「で、さっきも言ったけど、どうしてお前ら二人?」

結標「小萌に言われて買出しに来たのよ。ここなら食料品もそろうしね」

禁書「クリスマスにわたしとあわきでごはん作るんだよ!」

垣根「へぇ……」

結標「ついでにこの子に服でも買ってあげようと思って」

禁書「わ、わたしはいいって言ったんだよ!」アワアワ

垣根「えっ」

結標「…………何よ?何か文句でもあるの?」

垣根「え?あ、いやあ別に………仲いいなあって思ってさ」

結標「……たの」

垣根「は?」



結標「この子……私の作った料理を『おいしい』って言ってくれたの!」



垣根「」

固法「」

891 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:12:23.22 ID:4cqV/OMO0

結標「消し炭になった野菜炒めを……笑顔で残さず食べて……」ウルウル

固法「あの……結標、さん?」

結標「その時思った、いえ、誓ったの!『この子のために料理を覚えよう』って!」

垣根「あっそ……」

禁書「あわき」クイクイ

結標「ん?何?」ニコッ

垣根(うわぁ、あからさまに表情変わった)

禁書「わたしもいっしょかも。わたしもとうまとあわき、それにこもえやひょうかに喜んでほしいから、おりょうりもがんばれるんだよ」ニコッ

結標「……ッ!!ちょっ、今の聞いた!?天使?天使なの?」ギューッ

禁書「あぅぅ……あ、あわき。くるしいかも」

固法「……ん?『ひょうか』って……もしかして、風斬氷華さん?」

禁書「え?ひょうかのこと知ってるの?」

固法「ええ、友達よ。ホラ」シャシン

禁書「あ!このちっちゃい写真わたしももってるかも!」ホラ

固法「!!」

固法(す、すごい格好……)///

禁書「ひょうかはね、わたしがこの街に来てはじめてできたともだちなんだよ」

固法「そうなの……」



禁書「じゃあひょうかのともだちってことは、みいもわたしのともだちだね!」ニコッ

固法「!!!!」キューン!

垣根(あ、落ちた)
892 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:13:07.29 ID:4cqV/OMO0
今夜はここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

誰だよこの聖女
893 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/10/15(土) 23:29:56.95 ID:4cqV/OMO0
>>875

>>1は気に入ったものなら結構何でも聴きます。邦楽(笑)限定ですが。
ホルモンもすきですよ。
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 00:10:41.11 ID:SzBm/V0SO


インデックスさんがいい子でなんか泣いた
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 00:41:24.77 ID:fvki/6rk0
乙!

あわきんが不動のショタでワロタwwww
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sagr]:2011/10/16(日) 01:02:54.66 ID:qrWcVEPD0
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 06:25:35.10 ID:NHSteBxy0
インさん一巻だけならいい子なのにな
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/16(日) 08:41:44.45 ID:l8zHzmfWo
インさんマジ天使
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ

ホルモンいいね!wwwwww
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 19:33:33.50 ID:Z560KIy0o
乙ー
やっぱりインデックスはかわいいんだよ!
900 :名無し :2011/10/17(月) 21:31:03.43 ID:ODkBZK8j0
はやく続きこないかな〜wktk wktk
901 :名無し :2011/10/17(月) 21:32:43.30 ID:ODkBZK8j0
はやく続きこないかな〜wktk wktk
902 :名無し :2011/10/17(月) 21:33:10.06 ID:ODkBZK8j0
はやく続きこないかな〜wktk wktk
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 03:33:52.39 ID:7XT/lHeX0
追い付いた
invitation NO6はマジいいよな
上条さんにも相方作ってトリプルデート期待
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 03:34:42.66 ID:7XT/lHeX0
追い付いた
invitation NO6はマジいいよな
上条さんにも相方作ってトリプルデート期待
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/28(金) 16:14:03.70 ID:Snaax2jAO
保守
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/10/28(金) 16:43:16.89 ID:SE5egJgWo
この板保守いらない
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/28(金) 17:06:39.36 ID:2FmnTGM/o
>>905
くせぇな
帰れよ
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 17:23:37.53 ID:lsEhXmLfo
>>906
ローカルルール改訂で月一の保守は必要になったけどな
909 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:48:30.93 ID:XFZqjnpq0
おはようございます(?)。>>1です。中途半端に飲んだせいで眠れねえよ。
今回もお待たせしました。それでは投下していきます。
910 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:49:03.36 ID:XFZqjnpq0

結標「それにしても……」チラッ

固法「?」

垣根「あ?」

結標「…………あなた」

固法「え?あ、わ、私?」

結標「そうそう。固法さん……だったわよね?ちょっといい?」チョイチョイ

固法「…………?」ナニナニ

結標「」ガシッ

固法「!?」

結標「あなた、男の趣味悪いわよ」ボソッ

固法「へ!!?」

結標「あなただったらもっとイイ男がいるんじゃない?ハッキリ言ってまともなのは見た目だけよ、あの男」ヒソヒソ

固法「ど、どうしてわかったの?」ヒソヒソ



禁書「何を話してるのかな?」

垣根「さぁ……?」



911 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:49:40.19 ID:XFZqjnpq0

結標「わかるわよ。あれだけ好き好きオーラ出てれば」フッ

固法「嘘っ!?」

結標「嘘よ」

固法「なっ……!」

結標「ふふふっ……ごめんなさい、反応がいいから面白くてつい」クスクス

固法「か、からかわないで!」カァァァ

結標「………………つくづくあの男にはもったいないわね」ボソッ

固法「?」

結標「何でもないわ。まぁこいつに何かされたらすぐ言いなさい。
   針千本胃の中に強制テレポートしてやるから」

垣根「あぁん?何だとこのアマ!ブッ飛ばされてえか!!」

結標「あ、忘れてた。これ、私の連絡先」ピッ

固法「ああ、じゃあ私も」ピピッ

垣根「聞けよ!」

結標「うるさいわよホスト崩れ。あなたも余計なこと言ってまた嫌われないようにせいぜい気をつけることね」

固法「えっ?」

垣根「あっ、バカ……!」

結標「あら、失言だったかしら」クスクス

垣根「テメエ……」

912 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:51:10.90 ID:XFZqjnpq0

結標「さて、お邪魔みたいだし私たちも行きましょうか」

禁書「うん!ていとく、みい、またねー!」ブンブン

垣根「お、おぉ、じゃあな」

固法「またね、結標さん、インデックスちゃん」フリフリ



垣根「……何だったんだ、あいつら」ハァ

固法「垣根さん、結標さんが言ってたのって……」

垣根「えっ!イヤ、オレにも何が何だかさっぱり!ホント何の話だったんだろうな!?
   あっ!それはそうと腹減ったな!固法はもう昼飯食ったのか?」

固法「えっ、お昼?まだだけど」

垣根「んじゃ下のレストラン街でも行こうぜ。買い物はそのあとでもいいだろ?」

固法「そうね、そうしましょうか」

垣根「オッケ、決まりだな。行こうぜ」スタスタ…

固法「ええ」タタタ…






??「ふふふっ…………見ぃーつけた♪」





913 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:51:59.34 ID:XFZqjnpq0
------------------------------------------------------------------------------------------
  13:20  ショッピングモール一階・レストラン街

垣根「さて、何食うかな……固法は何か食いたいモンある?」キョロキョロ

固法「私は別に何でも。垣根さんは?」

垣根「そうだな…………」ウーン


固法(お昼ぐらいでそんな真剣になって……かわいいなあもう)


垣根「……………………カレー」ハッ

固法「カレー?」

垣根「ああ。何か無性にカレーが食べたくなった。そう、チキンカツカレーが」

固法「それはまた具体的かつピンポイントなリクエストね」

垣根「どっか置いてそうな店あるか?」

固法「そうね……あっ、あそこなんてどうかしら?」

垣根「何なに?……カレー&グリル、か。確かにそれっぽいな。
   よし、じゃああの店にするか」

固法「そうね」



------------------------------------------------------------------------------------------
  13:22   カレー&グリル『南蛮渡来』

垣根「スゲエ!ホントにあったぜ!ほら!!」


    ジューシーチキンカツカレー  \750(税込)


固法「あら、本当だわ」

垣根「固法スゲエ!!マジ天才だな!」キラキラ

固法「えぇっ!?そんな、偶然よ……」ドキッ

914 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:52:35.41 ID:XFZqjnpq0

垣根「偶然だとしてもスゲエよ。普通狙っても当たらねえぜ」

固法「そ、そうかしら……」

垣根「そうだって。
   あ、固法は決まったか?」

固法「えっ、ええ!コレにするわ」

垣根「オッケ。あ、すみませーん!」ピンポーン



……………………

固法「さっきの話の続きなんだけど」

垣根「あん?」

固法「垣根さんは卒業した後はどうするの?」

垣根「何だよ、オレの進路がそんなに気になる?」

固法「さっき何か言いかけたでしょ?
   結標さんとインデックスちゃんが来て聞きそびれちゃったけど」

垣根「んー……まあいいか。隠すつもりもねえし」

固法「そうこなくっちゃ。
   それで、垣根さんはどこの大学に行くの?それともどこかの研究機関に……」






垣根「いや、オレは大学には行かねえ。就職先も研究所じゃない」






915 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:53:19.63 ID:XFZqjnpq0

固法「…………」

垣根「おい、どうした?」

固法「えっ、ええええええええええ!!?どういうこと!?」

垣根「オイオイ、デカい声だすなよ」

固法「あっごめんなさい……ってそうじゃなくて!
   何?一般企業で働くってこと?超能力者の垣根さんが?」

垣根「超能力者が高卒で働くなって法律はねえだろ?」

固法「それはそうだけど……」

垣根「人間演算機がほしいならモヤシがいるし。別にオレまでその道に進む必要はねえさ。
   それよりもっとやりてえこともあるしな」

固法「やりたいこと?」

垣根「ああ。
   オレはさ、デザイナーになりてえんだ」

固法「でっ、デザイナー!?」

垣根「そうそう。服とかアクセサリーとか作りてえんだよ。
   アンタも結構好きだろ?そういうの」

固法「まぁ、服は好きだけど……」

垣根「だろ?」

固法「でも、何でよりによってデザイナーなの?」

垣根「…………アンタなら分かると思うんだけどよ」

固法「……?」

垣根「この街―――学園都市は表向きは学生の街ってことで通ってるが、
   十代かそこらのガキには生きづらい場所だろ、結構」

固法「!」

916 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:54:51.16 ID:XFZqjnpq0

垣根「能力強度(レベル)の低い連中はあらゆる面でないがしろにされるし、
   逆にオレらみたいな超能力者(レベル5)になるとみんな研究者のモルモット扱いだ」

垣根「どいつもこいつも『科学の更なる発展のため』なんて大義名分は掲げちゃいるが、実際は出世欲や名誉欲の塊みてえな連中ばっかりだ。
   少なくとも、オレの知ってる研究者はみんなそういう人種だった」

垣根「まぁレベル上げるだけが人生じゃねえけどな。そういうヤツも知ってるし。
   だけどこの街の、オレを含めたガキどもはみんな程度の差はあれどそういう事情を抱えてるはずなんだよ」

固法「……………」

垣根「そんでよ、そんなガキどもの生活をイイ感じに出来るかって考えたんだ。たとえ気休めだったとしてもさ。
   で、自分がどんなときテンションあがるかって考えたんだ」

固法「その結果が、服?」

垣根「そ。カッコイイ服とか一目ぼれして衝動買いした服とか買って帰って、
   着てみる前にしばらく眺めまわしたりしねえ?」

固法「する。すっごいする」

垣根「だろ?そんなふうにしてガキどもが喜べばいいなって思ったんだ。
   服を着ねえヤツはいねえだろ?」

固法「そうね……」

垣根「実はもう入る会社も決まってんだ。デザインとかデッサン送ったらアシスタントとして入らねえかって声かけてくれてよ。
   最初は見習いだけど最終的には独立して自分のブランドを立ち上げるのが目標だな」

固法「…………」

917 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:56:00.45 ID:XFZqjnpq0

垣根「……ま、ガラじゃねえのは分かってるんだけどよ。
   上条とか一方通行にもまだ言ってねえんだ。腹かかえて笑われるに決まってるからな
   アンタもそう思うだろ?」クスクス

固法「そんなことないわ」

垣根「え?」

固法「垣根さんが決めた道だもの。それを笑う資格なんて私には、
   いいえ、誰にもないわ」

垣根「…………イマドキ中学生でも言わねえぜ、服が作りてえなんて」

固法「あら、高校生になってもお嫁さんになりたいって子は結構いるのよ?」

垣根「…………アンタのそういうとこ、嫌いじゃねえ」ボソッ

固法「えっ?」

垣根「何でもない」ニッ

店員「お待たせいたしましたー♪ジューシーチキンカツカレーとチキン南蛮プレートでーす♪」

垣根「おっ、来たきた。さ、食おうぜ」

固法「ええ」



『いただきます』



918 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:56:42.90 ID:XFZqjnpq0

……………………

垣根「うめー。マジうめー」モグモグ

固法「ホント、すっごく美味しい」

垣根「固法信じてよかったわ、ガチで」

固法「そ、そんなことは……」////

垣根「あるね、絶対ある。
   しかもチキン南蛮も置いてるんだなこの店。今度来たらそっち食おう」モグモグ

固法「好きなの?チキン南蛮」

垣根「というかあんまり置いてる店ないだろ。その辺のファミレスじゃまず食えないし」

固法「………じゃあ、一切れ食べる?」

垣根「お、マジで?くれんの?じゃあオレのチキンカツも一口やる……」








固法「あ、アーン………」ススッ

垣根「」








919 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:57:30.46 ID:XFZqjnpq0

固法「あの、垣根さん……」カァァァ

垣根「えっ!?あ、ああ悪い。一瞬目の前の光景が理解できなかった」

固法「は、早く食べて。…………恥ずかしいから」////

垣根「あ…………うん。じゃあ……」


パクッ


固法「…………おいしい?」

垣根「…………ゴクン」コクコク

固法「そう。よかった……」

垣根「ん」ズイッ

固法「えっ!?」

垣根「代わりにやる。オレのチキンカツ」

固法「あっ、ああ!ありがとう。じゃあお皿のここに……」

垣根「あーん」ズイッ

固法「…………えっ」

垣根「『代わりに』っつったろ」

固法「…………!!!」

垣根「早く」カァァァ

固法「あっ……うん」





パクッ





920 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/10/29(土) 05:57:59.28 ID:XFZqjnpq0

垣根「うまい?」

固法「…………うん」

垣根「そっか」

固法「………………」

垣根「……………………」





垣根(味なんぞ分かるかクソボケエエエエエエエエエ!!!!
   えっ、何なのコイツ!?固法ってこういうキャラだっけ!!?)


固法(も、猛烈に死にたい!!何考えてたの30秒前の私!!?というか垣根さん何考えてるの!?
   いや、先にやったのは確かに私だけど!)




店員「店長ぉー、たった今新メニュー考えましたー♪『リア充もげろ!キーマカレー』とかどうですかー?」



921 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/10/29(土) 05:59:06.78 ID:XFZqjnpq0
二週間ぶりの投下ですがここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/29(土) 06:40:13.42 ID:otQC5eWio

カレーなのに天井
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/29(土) 08:48:40.45 ID:j69GGvVqo
うん、カレーなのに華麗だ…
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 11:41:24.26 ID:RhTLsO+6o
乙ー
このカレー砂糖入ってンですけどォ
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 13:19:47.35 ID:I5mTbYWEo
頬が緩みっぱなしだ
責任取ってよね
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/10/29(土) 16:58:02.13 ID:goDP2Ygr0
店員さん私怨が駄々漏れですぜ
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/29(土) 20:37:03.54 ID:g3Ik4m9X0
ンだよこのカレー甘口じゃねェか
928 :名無しNIPPER [sage]:2011/10/29(土) 22:57:07.12 ID:VMYRfOdAO
乙カレー
929 :BK201 [soushi05@gmail.com]:2011/10/31(月) 17:27:49.98 ID:w3T6rJOG0
カツカレ〜
930 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:22:15.40 ID:Qdm/XJuU0
こんにちは。>>1です。

お久しぶりですね。
では、出かける前に投下していきます。
931 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:22:44.55 ID:Qdm/XJuU0
------------------------------------------------------------------------------------------
  13:57  ショッピングモール一階・メインストリート

佐天「御坂さん超強かったね、あのゲーム!」

初春「私のトールギスが……近づくことすらできないなんて……」

佐天「初春はまだいいよ、私なんてメインすら当てられなかったんだよ?」

初春「うう……でも悔しいです。あのゲームなら勝てると思ったんですけど」

佐天「まぁ私はヘルカスを動かせただけで満足だったけどね」

初春「こうなったら特訓ですよ、佐天さん!」

佐天「ええっ!?でもそんなゲーセンに通えるほどお金ないよ?」

初春「ふっふっふ……佐天さん知らないんですか?この間コンシューマー版が出たんですよ、あのゲーム!」

佐天「こんしゅーまー?」

初春「家庭版のことですよ。PS3のソフトになってるんです」

佐天「おお!」

初春「もうほとんどの機体解禁してるのでヘルカスでも練習できますよ。
   それで特訓して御坂さんをアッと言わせましょう!」

佐天「いいね!やられっぱなしは性に合わないし。
   やろう、初春!!」フンス

初春「それでこそ佐天さんです!」フンス



佐天「よしっ、そうと決まれば早速初春の家に……アレ?」

初春「どうしたんですか?」

佐天「いや、あそこの人……固法さんじゃない?」アレ

932 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:23:37.62 ID:Qdm/XJuU0

初春「んー……?あっ、ホントですね」

佐天「だよねだよね。……おっ!隣にいるの男の人じゃない!?」

初春「…………!!」





垣根「何も十円単位まで割り勘にすることはねえだろ」

固法「ダメよ、お金のことに関してはキッチリしておかないと。
   ただでさえ垣根さんは金銭感覚が他の人とズレてるんだから」

垣根「……アンタのそういうとこ、嫌いじゃねえけどやりにくいぜ」ハァ

固法「何か言った?」

垣根「何でもねえよ」





佐天「ぅおおおお!すごいもの見ちゃった!ここ最近どうも様子がおかしいと思ったらこういうことだったのね」

初春(…………嘘)

佐天「しかも超イケメンじゃん!あの人が固法さんの好きな人なのかな?」

初春(そんな………だって、あの人は『あの時』……何で?)

佐天「初春?いきなり黙りこくってどうしたの?」オーイ

初春「……えっ!?あっ、別に何でもないです!ただちょっとビックリしたって言うか……」

佐天「そりゃびっくりもするよねぇ。あの固法さんが……」ククク

初春「…………」

佐天「……で、これからどうする?邪魔するのも悪いから帰る?」ニヤニヤ

初春「…………追いかけましょう」

佐天「そうこなくっちゃ!」


初春(あの人が何をたくらんでいるのか知りませんが……固法先輩に危害を加えるつもりなら絶対に許しません……!)

933 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:24:38.44 ID:Qdm/XJuU0




------------------------------------------------------------------------------------------
  14:10  アクセサリー『Lord Lancelot(ロード・ランスロット)』

店員「いらっしゃいませ」

固法「うわあ、キレイ……」

垣根「しばらく来ねえ間に結構新作入ってるな」

店員「こちらの棚が新しく入荷したモデルです」

垣根「すいません、『Lycanthrope(ライカンスロープ)』の冬新作入ってます?」

店員「ああ、でしたらこちらに……」

固法「あっ……」

垣根「お、何か気になるのあったか?」




初春「…………」

佐天「完全にカップルだね」ヒソヒソ

初春「どこがですか!」ヒソヒソ!

佐天「いや、どこからどうみても、としか」ヒソヒソ

初春「……固法先輩は騙されてるんです、絶対」ヒソヒソ

佐天「え?初春、あの男の人知り合い?」ヒソヒソ

初春「前に、ちょっと」ヒソヒソ

佐天「マジで!あんなイケメンと知り合いだなんて聞いてないよ!」

初春「さ、佐天さんが考えてるようなことではないです!」
934 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:26:13.13 ID:Qdm/XJuU0

佐天「へぇ〜え?……でもさ」

初春「何ですか?」

佐天「見た感じあの人も固法さんのこと好きっぽいよ?」

初春「………………」

佐天「固法さんの言うことを信じるとするとまだ付き合ってないんだよね。
   ちょっと信じられないなー。だってどう見ても両想いだし……」

初春「……もうちょっと様子を見ましょう」



垣根「へぇ、クロスのペンダントか」

固法「ええ、カワイイなぁと思って」

垣根「ふーん、いいじゃね。あんまりハードじゃなくて」

固法「うっ、でも高い……」

垣根「……あー、確かにフツーの高校生にはキツイわな」

固法「どっちにしろ今月は厳しいわね。色々入用だし……」ジーッ


垣根(よっぽど気に入ったんだな……)ハッ


垣根「……すいません」ボソッ

店員「はい?」ヒソヒソ

垣根「あれってまだ在庫あります?」ヒソヒソ

店員「ええ、ございますが」ヒソヒソ
935 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:28:08.17 ID:Qdm/XJuU0

垣根「んじゃ、アレ一つ。チェーン付きで」ヒソヒソ

店員「はい、ありがとうございます……包装は、いかがなさいますか?」ヒソヒソ

垣根「…………プレゼント用で」ビシッ

店員「かしこまりました」ニコッ



固法「……しょうがない、諦めるわ」

垣根「いいのか?こういうのは一期一会だぜ?」

固法「正直すごく気になるんだけど、縁がなかったということにしておくわ」

垣根「そーかい」

固法「垣根さんの方はもういいの?」

垣根「ああ、オレの用事は済んだ」

店員「ふふっ」クスクス

固法「?」

垣根「んじゃ、次は固法の買い物か」

固法「そのつもりだったけど、先に帰った碧美も待ってるし、今日は引き上げるわ」
936 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:28:55.07 ID:Qdm/XJuU0

垣根「そうか。んじゃオレはもうちょっとぶらぶらしてから帰ることにするぜ」

固法「じゃあ、また来週」

垣根「ああ、今日はありがとな。待ち合わせの場所と時間はまた連絡するからよ」

固法「うん。……あの」

垣根「ん?」



固法「期待……してもいいのよね」///

垣根「!!」


垣根(やべぇ、ここにきて今日一番カワイイぞコイツ!!)


垣根「あ、ああ!女子高生の喜びそうなところバッチリリサーチしてきたからよ!」

固法「うん、楽しみにしてるわね」ニコッ

垣根「おお……」

固法「それじゃ」タタタ…



------------------------------------------------------------------------------------------

垣根「…………これでよし、と」

垣根はショップの前で固法を見送り、その姿が見えなくなった事を確認してそうつぶやいた。
937 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:29:44.63 ID:Qdm/XJuU0

店員「お客様、お品物の包装が出来ましたので確認お願いいたします」

垣根「あ、はい」

店員にそう促され、垣根は再び店内に入る。
その背後から、何やら大声で騒ぐ声が聞こえてきた。



??「ちょっと、マズいって!」

??「離してください!!」

??「だってここ出てったら……!」



垣根(……姦しいこったな)


声音から察するに女子中学生くらいだろうか。
休日のショッピングモールでは何も珍しい光景ではない。
垣根はそんな少女たちのやり取りを気にも留めていなかった。





初春「…………お久しぶりですね」


その中学生が、自分に声をかけてくるまでは。



938 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:30:34.23 ID:Qdm/XJuU0

------------------------------------------------------------------------------------------
  14:15   ショッピングモール一階・メインストリート

タンタンタンッ
タンタンタンッ

心なしか足取りが軽い。
固法は今にもスキップでも始めそうな勢いで、休日でごった返すショッピングモールを闊歩していた。

固法(……私って単純ね)

折角の日曜に模擬テストをねじ込まれ若干憂鬱だった気分が、
偶然垣根に会えたことでチャラどころか一気にプラスまで戻ってしまった。

固法(……それに)

固法(き、期待してていいって言ってたし……)///

別れ際のやり取りを思い出し、顔が熱くなる。
垣根の返事は微妙に固法のニュアンスと一致していないような気がしたが、
それでも自分のことを垣根なりに考えてくれたことは伝わってくる。
そのことが、何よりもうれしかった。


柳迫『男ってね、実は女以上に雰囲気に弱いのよ』


この間、親友がそう力説していたことを思い出した。


柳迫『ロマンチストじゃない男はいないからねー。度が過ぎると中ニ病とか言われるんだけど』

一体誰のことを言っているのだろうか。

柳迫『まぁその話は置いといて。
   アンタらの場合、もう詰めの段階なんだから大事なのはその場の雰囲気だけよ!』


――――と、こんな感じだっただろうか。


939 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:31:11.18 ID:Qdm/XJuU0

固法「すべては当日次第、ってことかしら」

固法(が、がんばらないと……!)


タンタンタンッ
タンタンタンッ

決戦にむけ、決意を新たにした固法はさらに歩調を早めた。

が。


固法「……っ」

タンッ


リノリウムの床と軽快なリズムを刻んでいた固法の足が止まった。






心理定規「……こんにちは♪」



真っ赤な夜会服に身を包んだ少女が、突如固法の目の前に現れたからだ。

940 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:32:02.33 ID:Qdm/XJuU0

固法「す、すみません。ぶつかって……ないですよね?」

心理「いいえ、大丈夫よ。そちらこそケガはないかしら?」

固法「え、ええ……」


固法(すごい服……)

カクテルドレス、というのだろうか。
似合っていないわけではないのだが、年齢に対してあまりに不相応に見えた。
背格好からして風紀委員の後輩たちと同じくらいだろう、と固法は予想した。

それよりも、固法の脳内を占めている疑問があった。


固法(私、どうしてこの子が立ってることに気がつかなかったの?)


いくら人が多いとはいえ、人一人が通路の真ん中に突っ立っていたら、ここまで近づくまでに普通は気付く。
だが固法は、あと一歩でぶつかる、という距離までこの少女の存在に気がつかなかった。
ずっとそこにいたはずなのに、まるで何もない所から突然――――


―――――ちょっと待って。



……………ずっとそこにいたはず?



何故自分はこの少女がずっと通路の真ん中に立っていたことを知っている?

941 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:32:33.56 ID:Qdm/XJuU0

通行人の影からひょっこり出てきた可能性も、
単に反対方向から歩いて来てお見合いになっただけという可能性もある。

なのにどうして自分はこの子がずっとここに立っていたと思ったのか?


固法(……関わらない方がよさそうね)


固法「本当にごめんなさい。それじゃ……」

固法はそう言ってその場を立ち去ろうとした。
しかし



心理「待って」



ドレスの少女に呼び止められ、固法は再び足を止めてしまった。

固法「えっと……何かしら?」

心理「あなた、固法 美偉さん、よね?」

固法「!!!」


942 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/06(日) 14:34:01.04 ID:Qdm/XJuU0


ゾクリ、と体中が総毛だった。



心理「私、あなたに一度会ってみたかったの。
   折角だからもうすこしお話していきましょう?」


タン……タン……


何かの足音が、固法の頭の中に響く。
自分のものでも、ましてや目の前の少女のものでもない。





心理「たとえばあの人…………垣根帝督のこととか」ニコッ





その足音の正体は分からない。

ただ一つ、固法に分かることは、

自分はその『何か』に魅入られてしまったということだけだった。
943 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/11/06(日) 14:37:25.13 ID:Qdm/XJuU0
みんな大好き、心理定規さんが再登場したところでここまでです。
読んでくださってありがとうございます。

このスレも終わりに近づいてきましたね。
次に投下するときは新スレでしょうか。

以下余談
このSSに出てくるショップや飲食店は実在するブランドやレストランがモデルになってます。
一部バレバレだけどね。
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 15:19:29.88 ID:A8TGxAzSO


修羅場きたか
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 15:47:36.62 ID:26Np+4JFo

甘い展開から一転…
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 17:37:35.04 ID:43e2aulIO
うっはああああああ
百合展開クルー?
947 :BK201 [soushi05@gmail.com]:2011/11/06(日) 17:45:23.29 ID:RwPrMcP60
心理たん
テラカワユス(#^.^#)
948 :Called [sage]:2011/11/06(日) 17:49:10.73 ID:OVCH0ICAO
>>947
それメアド……か?

メール欄はsageにしとけ……危ないぞ

後次からはsageとけよ
勘違いする人居るから
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 00:34:54.56 ID:XVX+UxFCo
>>948
そういうあなたも名前欄☆
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/07(月) 00:37:35.43 ID:FCVLIP790
>>947 愉快に素敵に勘違いしたぞこの野郎
951 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:12:08.89 ID:ddYaDQ4H0
こんばんは。>>1です
埋めがてら番外編を投下します。
バカップルじゃないよ。
952 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:12:53.75 ID:ddYaDQ4H0
------------------------------------------------------------------------------------------
行間  とある女子の極限進化(エクストリームバーサス)

  同日  12:11 ファミレス『Joseph’s』

佐天「御坂さん、ドリンクバーから帰ってこないね」

白井「またヘンなミックスドリンクでも作っているのではないんですの?」

初春「あー、御坂さんゲテモノドリンク好きですもんね」

佐天「あ、そうだ初春アレ読んだ?」

初春「アレ……?ああ、フローズンティアドロップですか!もちろん発売日の前日に手に入れて読みました!」

白井「…………何の話ですの?」

初春「この間支部で話したアニメの続編ですよ。小説なんですけど最新刊がちょっと前に出たんです」

佐天「で、どうだった?」

初春「まぁ……言いたいことは色々あるんですけどねぇ。
   デュオの中ニ病がヒドイとか、今回も新機体のイラストはないのかーとか。
   それは置いといて」

953 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:14:06.03 ID:ddYaDQ4H0








佐天「エピオンパイかっこいいいいいいいいいいい!!!」バンバン

初春「五飛かっこいいいいいいいいいいいいい!!!!」バンバン

白井「」








954 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:14:50.29 ID:ddYaDQ4H0
初春「佐天さんもそう思いますか?」

佐天「もっちろんだよ!っていうか珍しいね、初春が特定のキャラに食いつくなんて」

初春「いやー4巻はどう考えても五飛回でしょう完全に」

佐天「だよね。私は五飛に対する認識を改めたよ……」

初春「今までごひwwwとか言ってバカにしてすみませんでした……」

佐天「あとキャシィとの会話がいちいち萌えるんだけど」

初春「そのやり取りも含めて成長したなぁって思いました」

佐天「それにしてもキャシィマジ天使……」

初春「完全に同意です……」

白井「……つきあい切れませんの」ハァ



御坂「ただいまー、ってあれ?」

佐天「wwwwwwwww」

初春「wwwwwwwwwww」

御坂「どうしたの、あの二人。何だか盛り上がってるみたいだけど」ハテ
955 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:15:30.78 ID:ddYaDQ4H0

白井「…………ロボットアニメの話ですの」ハァ

御坂「ロボット……ひょっとしてガンダム!?」パァァァ

白井「えっ」

佐天「御坂さんも見てたんですか!?」

御坂「うん、見てるわよ。と言っても私はゲームから入ったクチなんだけどね」

初春「…………そのゲームってもしかして、このカードを使うヤツですか?」スッ

御坂「初春さんもやってるの?」

初春「自慢じゃありませんが、地元では『西○西のトールギス』で通ってます!」フンス

御坂「ギス使いなんだ!私はケルディムメインなんだけど……」キャイキャイ

白井「お、お姉様……」

956 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:16:20.61 ID:ddYaDQ4H0

初春「そうだ、これからゲームセンター行きませんか?」

佐天「いいね、行こう!私もやってみたい、そのゲーム!」

初春「御坂さんたちも行きますよね?」

御坂「もちろんよ!!」ビシッ

白井「わ、私はお姉様の行くところならばどこへでもお供いたしますの!」



数時間後、初春の自信は粉々に狙い撃たれるのであった。













御坂「あっ…………初春さん、佐天さん。お店に付いたら帽子とマフラー貸してくれない?」

初春佐天「「えっ?」」

御坂「あんまり顔見られたくないのよね……店員さんに」


とある女子の極限進化  終わり
957 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/09(水) 02:17:53.88 ID:ddYaDQ4H0
短いですが以上です。
読んでくださってありがとうございます。



あ、ネタバレ注意って書くの忘れてた。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/09(水) 02:50:01.34 ID:nrRQMFJAO
エクシア使いが乙
959 :Called [sage]:2011/11/09(水) 07:32:44.05 ID:MGJIN13AO

>>1乙です゚∀゚)ノ


>>949言わないでくれ
何故俺もこの名前にしたか分からないんだ
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 07:43:25.22 ID:mfiuC4PIO
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 08:06:14.74 ID:90YB4AOIo
乙!
あれ小説だったのか。通りで見つからんわけだ
情報はちゃんとチェックしないとだめなのか…
ナイス情報だったよ サンクス

>>959
ただの読者なのにコテハン使う男の人って…
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/09(水) 12:02:52.96 ID:gy3ENOfQo
>>959
なにこいつきもい
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 16:23:49.34 ID:MGJIN13AO

皆どうした?
964 :Called [sage]:2011/11/09(水) 16:28:50.50 ID:MGJIN13AO
>>961

まぁ別にいいだろ気にしない気にしない
>>962
あった事ないし喋った事ないし誰なのかも分かんないのにきもいとか意味不だわ(笑)
もう少し頭使いましょうねぇおバカさん
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東日本) [sage]:2011/11/09(水) 16:58:49.60 ID:UVQ8dY1co
>>964
新参は半年ROMれ
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 16:59:36.26 ID:QMKDALNJo
>>964
コテはずせやクソガキ
967 :Called [sage]:2011/11/09(水) 17:21:41.32 ID:MGJIN13AO
>>965
そういうお前は半年間ROMったのか?
まずはお前がROMってろ
>>966
外せと言われて外す俺ではないんで
それぐらい分かれ(笑)
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 17:41:02.95 ID:mfiuC4PIO
>>1以外のコテは荒れる原因になるから
この作品が好きならここではコテを外してくれ
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/09(水) 17:42:02.09 ID:8ljtzVTvo
構って欲しくてコテつけてるんだろ
それわかってて構う奴って何なの
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 18:21:31.94 ID:MGJIN13AO

皆さんごめんなさい
調子ノリ過ぎました
いろんな暴言吐いてすいませんでした

後コテハン付けてた理由はつけなきゃ駄目かなって思ってたから付けてたんです
>>962>>965>>966>>968>>969さん本当にすみませんでした
二度とやりません
971 :BK201 [sage]:2011/11/09(水) 18:44:44.15 ID:797Y5pqm0
忠告ありがとう
そしておつ1
972 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/09(水) 19:09:37.33 ID:7yJNvbq80
こんばんは。>>1です。

何だか埋まりそうな勢いなので急いで新スレを立てました
↓こちらです。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320833059/

このスレの残りは好きに使っていただいて構いませんが、
次回の投下まで残っていたら埋めます。

それでは、新スレでお会いしましょう。
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/10(木) 00:40:31.56 ID:D5Hu8bB6o
せっかくの良スレだったのに最後の最後で気分わるくなった
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/10(木) 00:41:04.94 ID:D5Hu8bB6o
せっかくの良スレだったのに最後の最後で気分わるくなった
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/10(木) 07:25:41.30 ID:PzUVv2xAO
>>974
ごめんなさい
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 08:21:50.25 ID:BDchWtfIO
シャーナイナイ
もう終わったことは水に流すよ
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/10(木) 16:54:09.47 ID:PzUVv2xAO
>>976
ありがとうございます
978 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 01:21:26.87 ID:i1EeBlcm0
>>1です。新スレ更新しました。
約束通り埋めます、と言いたいところですが明日早いのでもう寝ます。
明日の夕方まで残ってたら本当に埋めます。

では、おやすみなさい。
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 08:13:37.10 ID:xMouwXqIO
うめ支援!!!
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
980 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 17:57:27.91 ID:rbkWKEJ30
>>1だよ!
それじゃあ約束通りサクサク埋めて行くよ!!
981 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 17:57:58.20 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
982 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 17:58:24.08 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
983 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 17:58:56.48 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
984 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 18:00:06.92 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
985 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 18:00:32.42 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
986 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 18:01:01.66 ID:rbkWKEJ30
サクサク埋めるよ!
987 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 18:01:29.41 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
988 : ◆r4vICyDKLo [saga  sage]:2011/11/14(月) 18:01:55.68 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:02:07.63 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
990 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/14(月) 18:02:23.10 ID:rbkWKEJ30
だんだん疲れてきたから手伝ってくれると助かるよ!
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:02:35.47 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
992 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/14(月) 18:02:44.88 ID:rbkWKEJ30
埋めるよ!
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:02:53.98 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:03:20.86 ID:tPkLxyDIO
次スレも楽しみなんだよ!
995 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/14(月) 18:03:43.60 ID:rbkWKEJ30
ありがとう!助かるよ!
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:04:24.19 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:04:49.54 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
998 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/11/14(月) 18:05:14.45 ID:rbkWKEJ30
この作業チョイチョイエラーがウザいよ!
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:05:14.83 ID:tPkLxyDIO
埋めるよ!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 18:05:32.25 ID:3oZxLIKSO
1000ならていとくんと固法先輩が結婚
1001 :1001 :Over 1000 Thread
____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′

                                                 SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
                                                 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/


1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
バイクスレ @ 2011/11/14(月) 17:12:07.42 ID:Loo1H5LPo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1321258326/

【脚フェチの男性】ししゃも脚ってどう思いますか?【教えてください】 @ 2011/11/14(月) 12:59:30.09 ID:vNd5GsfAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1321243170/

にじり @ 2011/11/14(月) 11:54:56.28 ID:z5U6MYtZo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1321239296/

旅人「…………」 @ 2011/11/14(月) 11:26:41.74 ID:dYaKWNFe0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321237601/

【避難】今日も会社でVIP【避難】 @ 2011/11/14(月) 11:03:05.42 ID:9hdYp2SIO
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凄まじい漢字を発見してしまった Part40 @ 2011/11/14(月) 11:01:37.00 ID:hD0HTBIS0
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人に感謝されるとは何か気分がいいものだな @ 2011/11/14(月) 10:16:53.20 ID:1C7SLPnmo
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お尻に突っ込んだ指からは銀河の誕生を思わせるような香りがした @ 2011/11/14(月) 07:32:35.73
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