このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

奈々子「高須君の彼女なんだよ。」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:29:27.36 ID:wcwGkRoho
初SSですが宜しくお願いします。
書きためというか全部書き終わっているので
ただ投下していく感じになると思います。
書き方とかのアドバイスくれると嬉しいです。
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:30:33.95 ID:wcwGkRoho
「もう最悪よ・・・」
そう隣にいた親友がぼやいた。
無理もない。
憧れの北村君と同じクラスになれたと舞いあがっていた矢先に
掲示板に二つの名前を見つけてしまったのだから。

―高須 竜児、逢坂 大河―

大橋学園の二大番長が見事に集結されていた。先生達もなにを考えてるのかしら?
今年も騒がしい1年になりそうね・・・

第一章    ミルクティーとロイヤルミルクティー

「じゃあみんなこれから1年間よろしくね。これでHRを終わりにします。」
「起立っ!礼!」

担任の恋ヶ窪ゆり(30、いまだ独身)の声に合わせてきびきびと仕切る北村。
クラス委員も立候補でとんとん拍子に進んでくれたので奈々子にはありがたいばかりだ。

「奈々子ー!スドバいかない?まるおとかも誘ってさっ!」
 とたんに麻耶が話しかけてきた。
まるおっていうのは北村君につけたあだ名らしい。健気な麻耶が可愛くてつい微笑んでしまう。
断る理由もないので快諾すると

「じゃあまるお誘ってくるっ!」

 と駆けて行った。
しょうがない、親友の恋路を手伝ってあげますか、と奈々子も腰を上げる・・・
の、だが一分もたたないうちに
「奈々子ー、助けてー」

 とさっきかけていった麻耶が泣きついてきた。
何事かと声のする方をみてみれば、なるほど。
北村君とあの大橋の魔王とまで呼ばれる高須竜児が一緒に話していた。

「どうしようぅ、割り込んで話しかけたら犯されて売られるのかなぁ?目合っちゃったよー」

「大げさよぉ、ほら高須竜児も北村君から離れたみたいだから行ってきなさい」
 と親友の背中を押してやる。
高須竜児はこちらの方を見ると北村君に何か話して教室から出て行っていた。
感じ悪いなぁ、変な奴。
「まるおー、このあと時間あるー?」
 いつのまに行動したのか、とたんに明るくなった麻耶が北村君に近付いていく。

「おお、木原か。どうした?なんか用か?」

「うん。このあと一緒にスドバでお茶しない?奈々子とかも一緒に!」

「そういうことなら別にいいぞ。こっちも一人友達を連れて行きたいんだが・・・」

「全然オッケーだよ!ね?奈々子?」
 
北村君がこちらのほうを見てきたので微笑んで承諾の意を伝えると
安心そうな顔をして友達の名前を呼んだ。

「おーい、高須ぅ。女子からのお誘いだぞー」

「・・・えっ」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:31:20.37 ID:wcwGkRoho
「北村・・・。空気読め」
 
北村君の声を聞いて掃除ロッカーの陰からのそのそと高須竜児が出てくる。

「・・・」

予想は出来ていたことだが
さすがにこの時ばかりは隣で固まる麻耶に同情する奈々子であった。

「空気?いきなり何を言い出すんだ?
 ちょうど俺たちもこのあとどこかに行こうって言ってたところじゃないか」

「いや、そうじゃなくてだな・・・」

びっくりした。あの高須竜児がこんなにもおとなしく北村君の前でうろたえてるなんて・・・。
こういう人を見てるとなんというかこう・・・

「あら?高須君は私たちとじゃ不満なの?」

「い、いやっ!別にそういうわけじゃないんだが・・・///」

からかいたくなってくる。

想像通りに可愛くうろたえる高須竜児をみてつい笑ってしまった。
この人は私たちが思ってるよりずっと可愛い人なのかもしれない。

「おーい、高須と女子たちー。置いて行くぞ―」

こんなやり取りの間に北村君はもう廊下に出ていた。

「じ、じゃあとりあえず俺先に行ってるよ。」

そういうと彼もそそくさと北村君のあとを追って行ってしまった。
私も呆けている麻耶を起こし二人のあとに続いて曇り始めた春の街へと向かった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:31:46.77 ID:wcwGkRoho
目的地についた私たちは
私と高須君、北村君と麻耶が向かい合うように座り、それぞれ飲み物を注文した。

「まるおって、その、た、高須君と仲がいいんだねっ」

「そうだな!高須とは1年のころから親友でな。
 こいつ顔のせいで色々誤解されがちだけど中身はとってもいい奴なんだよ。」

北村君は誇らしげにそういったが麻耶の顔はひきつっていた。
まあ今までいろんな噂を聞いていた私たちにすぐに信じろってのが無理なのかもしれない。
ガチガチに緊張して北村君を見つめている。
でも私は教室での高須君をみて少なくとも悪い人じゃないってのはかんじていた。
だから私から話しかけた。

「ごめんなさいね。この子まだ信じられないみたいで」
「い、いや。いいんだよ、こういうの慣れてるからっ・・・
 さっきだって木原さんたちが北村と話したそうだったから空気読んで隠れたのに・・・」

タイミング的にそうじゃないかとは思ってはいたけど・・・
推測が確信に変わってから打ちとけるのにそう時間はかからなかった。
高須君の家庭が片親だというのは前から知っていたので幾分気軽に自分の家の事情も話せた。
分かったことは
「高須君も家の仕事を一手に引き受けていること」と
「悪い人じゃないんじゃなくていい人だということ」だ。
そんなことを話しているうちに飲み物が持ってこられた。
私と麻耶はレモンティー、高須君はコーヒー、北村君はロイヤルミルクティーだった。
4人がたわいもない歓談にふけっていると北村君がふいに声を上げた。

「なあ高須、ロイヤルミルクティーってミルクティーとどうちがうんだ?」

なんで高須君なのかしら?男の子にきいてもこまるだけでしょうに。ここは私が助け船を・・・

「ロイy「ロイヤルミルクティーは牛乳で紅茶葉を煮だしてるんだよ。
 手間はかかるけどおいしくなるんだ。」

え?

「へえー、そうなのか。やっぱり料理関係は高須に聞くのが一番だな。」

麻耶もぽかんとしている。それもそのはず。
なんで分かるのかしら?
自慢じゃないが私も料理については多少の自信がある。
でもロイヤルミルクティーのことはこの間本で見かけただけなのだ。
それを目の前の彼は当たりまえのように質問に答えていた。不思議でしょうがなかった。

「もうこんな時間か!そろそろ俺は帰らせてもらおうかな。」

合わせて高須君も帰るというのでその日は解散になった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:32:14.20 ID:wcwGkRoho
奈々子「それで高須君ったらね、冬休みずっと掃除してばっかだったんだってぇ」
麻耶 『・・・』
今私はお風呂からあがり麻耶と今日のことで電話をしていた。

「麻耶ー、聞いてる?」

『あのさー、奈々子、ちょっといい?』

「どうしたのよ、急に?」

『奈々子、さっきから高須竜児の話ばっかなんだけど・・・もしかして・・・」

「っっ!?」

思い返してみればもう2時間も高須君のこと話していた。
解散してから頭のなかは高須君のことでいっぱいだった。

「な、な言ってるのよ!そ、そんなわけないじゃない」

『ふーん、まあ本気なら応援はするけどさっ。そろそろ私は寝るねー。おやすみ。』

「あっ、ちょ・・・もう麻耶ったら!」

気になっていない・・・と言えばうそになる。
でも、まだ本気かどうかなんて自分でも分からない。
私ももう寝よう。そう思って瞼を閉じても彼の不器用な笑顔が浮かんで消えなかった。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:32:56.51 ID:wcwGkRoho
(うぅ、やばいわ・・・。高須君のことばっかり考えててあんまり眠れなかったわ。)

いつもよりちょっとだけ長めに朝風呂にはいり
いつもよりちょっとだけ気合を入れた化粧をして
いつもよりちょっとだけ早く家を出た奈々子はまだ寒さの残る初春の通学路を歩いていた。

(くまとか出来てないかしら?高須君に会ったらなんて声をかけたらいいのかしら。)

友人等には大人大人と言われ、ちょっと得意気だった奈々子も
こと恋愛においては知識や大人な余裕など一つも持ち合わせてはいなかった。
そんなことを考えていた時。
 
「奈々子ー、おはようっ!」

そう言って声をかけてきたのは親友の麻耶だった。
こちらも笑顔で挨拶を返す。


「そういえばさ昨日のってマジ?」

 やはり話題はそのことだった。

「まだ自分でもよく分からないのよね・・・。
 気にはなるなぁって程度で」

「えー、奈々子ならもっとイケメン狙えるってぇ。しかもよりにもよってアレ?
 その筋からももうスカウト来ちゃったりしてるんでしょ?」

「もうっ!親友が気になってる人をアレ呼ばわりはないんじゃない?」

口では怒ったふりをしていたが
内心は彼のいいところを知っているのは自分と北村君ぐらいなんじゃないかという
優越感でいっぱいだった。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:33:49.09 ID:wcwGkRoho
「ごめん、ごめん。もうそんなに怒らなくてもいいじゃん。
 こりゃ奈々子が思ってる以上に重症かもね。」
 

気がつけば学校はもうすぐだった。もうすぐ彼に会えると思うと自然と足取りは軽くなる。
そんな時後ろから彼の声が聞こえた。

「だ・か・ら!俺は最初にいっただろうがっ!米は2合しか焚いてねえって。
 お前が馬鹿みたいに喰うからすぐなくなっちまっただけだ!」

「うるさいわね!ご主人様に向かって馬鹿って。
 そっくりそのままあんたに返すわ。このバ・カ・犬!」

挨拶をしようと振り向いた私には一体なにがなんだか分からなかった。
彼と一緒に歩いてくるのは「手乗りタイガー」こと逢坂大河。
なんだか知らないが喧嘩をしているようだ。
本当は優しい人だと知っていても
この二人の喧嘩は見ていてクるものがある。
ここでひるんでたりしてたら高須君と仲良くなんかなれない。
奈々子はそう思って思い切って話しかけてみた。

「おはよう。高須君。昨日は楽しかったわ。」

「だいたいお前はなあ・・・ん?ああ香椎さん。おはよう。
 俺も昨日は料理の話とかできて楽しかったよ。」

「あぁ?昨日?なんかあったの?
 ってかだれよこいつ。」

(クラスメートでしょ・・・名前くらいは覚えてくれててもいいんじゃないかな・・・)

そう思う奈々子であったがあの手乗りタイガーにそれをいう勇気はまだなかった。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:34:15.63 ID:wcwGkRoho
「なんか悪いな香椎・・・。また教室でな。」

「う、うん、大丈夫。じゃあね高須君。」

そういうと彼らはまた騒ぎながら校門の中へと消えていった。

「なんで高須竜児と手乗りタイガーが一緒に登校してんのよ?」

「さ、さあ?私にもよく分からないわ。」

落ち付いた風にそういう奈々子だったが内心は不安でいっぱいだった。

(いつのまに仲良くなったのかな?なんで一緒に登校してるんだろ?
 いままでそんな話聞いたこともなかったのに・・・)

そんなことを考えながら奈々子は教室へと向かった。
教室でも逢坂大河と彼は何かを話していて
私が教室についても気づいてはくれなかった。

午前中の授業はほとんど頭に入らなかった。
朝の出来事が頭から離れず、休み時間の麻耶の話しさえろくには聞いていなかった。

「お昼ご飯食べようぜぇ〜」
「北村、高須。一緒に喰おうぜ。」

「高須」
この一言で奈々子はいっきに現実へと引き戻された。

「奈々子、奈々子。まるおも高須君もいるみたいだしあの人達と一緒に食べない?」

実を言うと奈々子は昨日竜児が料理好きと聞いてからある計画を立てていたのだ。

(この気合の入ったお弁当を見れば高須君は絶対に食いついてきてくれるはずっ!)

奈々子は麻耶の提案に快く乗ると4人の元へと向かった。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:34:48.43 ID:wcwGkRoho
私たちが声をかけると北村君は笑って椅子をもってきてくれた。
すかさず麻耶は北村君の、あたしは高須君の隣の席を確保している。
おたがい目的が明確だと行動も早くなるものだ。

「お、おお。香椎か。朝はなんだか見苦しいとこ見せちゃってすまんな。」

「うふふ。高須君もああやって怒ることがあるのね。」
 
竜児のほうから話しかけてくれた。たったこれだけのことなのに
奈々子は自分の胸が温かいもので満たされていくのを感じていた。

「木原さんと香椎さんはなんで俺たちと食おうと思ったの?」

「新しいクラス始まったばかりでしょ?だから今のうちの友達増やしとこうと思って。」

こういうときに率先して明るくふるまえる親友にはいつも感謝している。
そうこうして皆でお弁当をつついていると
自分の弁当を見た高須君が思惑通り食いついてきた。

「おっ?それって鶏肉の赤ワイン煮か?
 それってすごい時間かけて煮ないとおいしくならないんだよな。
 お弁当にそんなもの入れるなんて香椎はすごいな。」

「そんなにすごいものでもないわよ。もしよければ食べてみる?」

自分でもびっくりするくらい積極的な発言をしたことに
奈々子の胸は自分でも驚くくらいにドキドキしていた。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:35:24.28 ID:wcwGkRoho
一方・・
高須竜児16歳は一瞬なにを言われているのか理解できなかった。
今まで落としたハンカチを拾ってあげれば連続強姦魔に間違われ警官隊に囲まれ
電車で席を譲ろうとすれば泣き崩れられ大問題に
そんな俺にこの子は何と?
普通に話してくれるだけでありがたいのにお弁当を食べてみる?だと
竜児は思わず奈々子の手を握った。


「香椎さん・・・。俺には香椎さんが女神に見えるよ!香椎さんじゃない、香椎様だ!」

「え、え、いやそこまで言ってくれなくても、嬉し・・・じゃなくて恥ずかしいわよ///」

「いいねぇ〜。じゃあこれから香椎さんのあだ名は奈々子様だ〜。」

春田の馬鹿がまたあほなことを言い出した。
香椎さんの顔が赤くなったような気がしたが
よっぱど春田の付けたあだ名が恥ずかしかったんだろう。

それよりも今は女子の手作りお弁当を食べられる幸運をかみしめるべきだろうと
竜児はゆるむ頬を必死に抑えつつ箸を伸ばすのだった。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:35:54.64 ID:wcwGkRoho
(も、もう。急になにをいいだすのかしら・・・///)

高須君と料理の話で盛り上がることには成功したのだが
いきなり手を握られ嬉しいやら恥ずかしいやら、ただ赤面するしかない奈々子。
ふと麻耶のほうを見ると、ニヤニヤしながら机の影でガッツポーズなんかしている。
奈々子の頬も自然とゆるんでいく。

(こんなことぐらいでにやけちゃうなんて・・・)

今まで築いてきた大人っぽい奈々子のイメージは丸崩れだが
いまはこうして高須君と仲良くなれたのが何よりうれしかった。

「お!高須、もう女子とうちとけたのか。感心だな!」

「いや、香椎さんぐらいだぜ。俺と笑顔で会話してくれんのは!!」
 
竜児の言葉を聞いて今は自分が高須君の中で一番なのかと思ってにやけてしまう。
そんなことを考えてる自分は恋する乙女なんだなと
もっとにやけてしまう奈々子がいた。


「そういえば高須これいるか?」

そういって北村君が差し出したのは一枚のチケットのようなもの。

「あん?なんだこれ?」

「会長からもらったんだがスーパーかのうやの10%割引券だそうだ。」

「かのうやの割引券だとっ!!!」

その刹那竜児の三白眼が一層の輝きを増す。
廊下から悲鳴のようなものが聞こえたが気にしないようにしよう。

「高須君もかのうや良く行くの?」

かのうやといえば余り知られていないが
新鮮な食材をそろえているとこのあたりの主婦に評判のいいスーパーだ。
かくいう奈々子も家の料理を任されているため良く利用していた。

「いや、予算の都合上いつもは駅前のカワ○チで済ませているんだが
 割引券があるとなれば別だ!今日はいい食材が手に入りそうだぜぇ。」

そういって舌なめずりをする彼ははた目からみれば連続殺人犯と誤解されそうだった。

(これは神様がくれたチャンスだわっ!いくのよ奈々子!)

奈々子は自分にそう言い聞かせると竜児にこういった。

「わ、私も今日かのうやによろうと思っていたの!
 あの・・・もしよかったらなんだけど・・・一緒に行かない?」

「おう、それいいな。香椎の食材選びも見てみたいしな。」

奈々子はこの一言で今まで生きてて良かったとまたにやけてしまうのだった。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:36:23.47 ID:wcwGkRoho
きーんこーんかーんこーん

待ちに待った放課後が訪れ、奈々子は竜児のもとへと向かった。

「高須君っ!早く行きましょ。」

「おう。ちょっと待ってくれ。」

そう言って竜児は逢坂大河の元へと駆けて行った。

(また逢坂さん・・・)

はたから見ればなんのこともない、クラスメートと会話しているだけ。
それだけ、たったそれだけなのに自分の心が冷えていくのを感じた。

「悪い、悪い。じゃあかのうや行こうぜ。」
それでも竜児とこれからふたりで歩くことを思うと
くじけずがんばろうと思えるのであった。

「今日はどんなものを買おうと思ってるの?」


「とりあえずいつもは手が出ない肉系を買っていこうかと思う。
 
「昨日大飯ぐらいが一人増えちまったから安く済む生姜焼きあたりがいいかな。」

そういって竜児は夕飯の献立を考え始めていた。

「ねえ?もしかしてその大飯ぐらいって逢坂さん・・・?」

「おう。良く分かったな。あいつが馬鹿みたいに飯食うから
 高須家の財布はこれまで以上にピンチなんだよな・・・」

違うと言ってほしかった。俺の輪の中には私だけだと言ってほしかった。
もし二人が付き合っていたらこの想いはどこに行くのだろう?
毎晩叶いもしない想いを抱いて自分で自分を慰めるのだろうか?
そんな不安を隠すように奈々子は笑った。

「高須君ぐらいの料理の腕があれば生姜焼きでもすごくおいしくなるんでしょうね。」

「い、いや。そんなに持ちあげられるとどうしたらいいのか分かんねえって///」

今すぐ自分の部屋でベッドにこもりたいのを必死に我慢して
それを隠して奈々子は商店街を歩いていく。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 14:39:54.52 ID:wcwGkRoho
用事が入ってしまったので今日はこれぐらいで終わりです。

三点リーダーに関しては作品の最後まで……になっていませんが
目をつむっていただければ幸いです。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 14:47:20.16 ID:snFOgXbIO
この組み合わせは始めてみるな
期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/16(月) 15:46:04.70 ID:/HGHy3sL0
あなたが神か
香椎好きの俺得
期待して待ってる
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/05/16(月) 16:05:03.98 ID:+68VqJ5P0
とらドラ久しぶりだな
期待
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/05/16(月) 16:52:40.40 ID:lYJb1szc0
俺もとらドラのSS書こうかな…
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/05/16(月) 17:01:17.78 ID:jAcCxOZAO
>>17
大河が泣くような展開は勘弁な
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/16(月) 17:10:29.05 ID:a4WQioHAO
また珍しい
期待するぜ
というか大河と夕飯食ってるってことそんな簡単に言っていいのか
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 17:36:30.60 ID:a5khh2yBP
この話どこかで見た気がする
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:49:05.25 ID:wcwGkRoho
>>19
原作でも特に意識して書くすようなシーンがなかったので
そのままm書いてしまったけど
見逃してるだけかな?
原作もまた読み直さないといけないですね……すいません。

>>20
むかしvipで桃香してたんですけど
投下した当日に韓国云々でスレ落ちてそれを仕上げた感じなので……
見たことあったら最初からはつまらないかもです。
すいません。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:51:05.72 ID:wcwGkRoho
「お、かのうや見えてきたぞ。
 そういえば香椎はなに狙ってるんだ?」

「え、えーっと、そ、そう!ひき肉よ!今日はハンバーグにしようかなんて思ってたの。」

「じゃあ肉売り場まで一緒に行くか。」

当然ハンバーグの予定などあったわけではないのだが
少しでも竜児と一緒にいたかった奈々子はとっさにそう言った。

「んー、俺はこんなもんかな?
 香椎は他に買いたいものとかるのか?」

竜児は全部自分に合わせてくれていた。
醤油がキレていたことを思い出して探しに行った時もついてきてくれた。
きっと私が最初に肉売り場に行かなくともそうしてくれたであろう。

「私はもう大丈夫よ。高須君こそ大丈夫?」
 
「おう。俺も大丈夫だ。じゃあさっさと会計済ましちゃうか。」

そう言って高須君とともにレジへ向かう。
その途中でも高須君は逢坂さんの好物だというプリンをかごに入れていた。
そんな些細なことでも心に醜いものがたまっていく自分が嫌だ。
このままこの思いが募れば自分はどんどん醜い人間になってしまうのが分かってもっといやだ。
奈々子はそう唇をかみしめた。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:51:38.38 ID:OkEV4Rom0
みのりんなんかしゃべれお

まあいいや
香椎というところにセンスを感じる
期待して舞ってる
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:52:27.11 ID:wcwGkRoho
「今日はいい買い物したなぁ。ってかもうこんな時間かよ!?
 泰子の飯が間に合わねえ!今日はなかなか楽しい買い物だったぜ。じゃあな。」

今日も今日とて盛況だったかのうやだったが
なんとか会計を済ませたかと思うとそういってすぐに竜児は帰ってしまった。

「あっ。ちょっ・・・もう!」

もう少し一緒に話でもしたかったのに。
家が反対方向なので追いかけることもできず、奈々子は帰路についた。

(やっぱり高須君は優しい。いいところいっぱいもってる。
 逢坂さんもそれに気付いたからなついてるのかしら?
 気付いてないとしても遠くないうちに気付くんでしょうね・・・
 そしてきっと高須君のことを好きになる。でも私だって負ける気はないわ)

少し暗くなった商店街を歩いていても頭は竜児のことでいっぱいだった。
だからだろうか
踏み出した横断歩道の信号など確認はしていなかった。
薄暗い夕暮れの街にけたたましいクラクションが鳴り響いた。
奈々子がはっとして音のする方へ眼を向けると
そこにはこちらに迫るリムジンがあった。

私なにやってるんだろう・・・・
奈々子は急いで歩道に引き返そうとしたが腰が抜けてしまってうまく動けない。

嘘でしょ?やだよ!誰か助けてよ!
奈々子にはもう目をつぶることしかできなかった。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:53:02.09 ID:wcwGkRoho
息をのんでうずくまっていた奈々子が最初にきいたものは
誰かの叫び声だった。

「―――――ィッ!!!」

今にも死んでしまうかもしれない。
そんな恐ろしい状況なのになぜか奈々子の胸は安心していた。

「香椎いいいいぃぃっ!!!」

どういうことか竜児が駆けてきていた。

「くっ・・・・!」

高須君は半ば私にタックルするようにして私を歩道に押し上げてくれた。
リムジンのほうも私とは反対側にハンドルを切ってくれたようで
二人ともめだったけがはなかった。

「だいじょうぶか!?怪我ないか!?」

「た、たか、すくぅん。」

奈々子は極度の緊張から解き放たれ涙が止まらなくなった。

「怪我はないみたいだな・・・。本当に良かった。」

「ありがとうね・・・本当ありがとう・・・」

泣き崩れた奈々子を竜児が抱きかかえていると
リムジンの中から一人の女性が飛び出してきた。

「大丈夫!?どこか怪我はない?」

その女性はいかにもできる女といったかんじでとても美しかった。
なぜか奈々子にはその女性に見覚えがあった。

「大丈夫です。私の不注意でこんなことになってしまってすいませんでした。」

「そう・・・。良かった。そこの男の子が駆け付けなかったらどうなっていたか…。
 私からも感謝するわ。ありがとう。
 申し訳ないのだけど急ぎの用事があるの。もういってもいいかしら?」

「ちょ、ちょっとそれはあんまりじゃないんですか?」


竜児が声を荒げて反論する。
 
「本当にごめんなさい。でも焦らないでも大丈夫。
 あなたたちとはこれからも縁があるようだから。
 あとであらためて謝罪に伺わせてもらうわね香椎さん。」

そういうと竜児の制止を振り切ってリムジンは出発していった。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:53:35.16 ID:wcwGkRoho
―リムジン内

「ちょっとお母さん!どうだったのよ?あの子に怪我とかあった?」

「大丈夫だったそうよ。二人ともけがはなかったみたい。」

「なんだ・・・。亜美ちゃんびっくりしちゃったー。」

そう言って後方をちらっと振り返る少女の名は川嶋亜美。
パッチリした大きな瞳、長いまつ毛、端正な顔立ち、すらっとしたスタイル。
どれをとっても美少女と呼ぶにふさわしい少女だ。

「それより亜美。今の子たち多分転校先での同級生よ。
 たしか名簿で見たのと同じ顔だわ。」

「げっ!あの目つき悪いのも?
    いまどきヤンキーやってるようなダサい奴と同じクラスなんて亜美ちゃんやだ。」

「ふふっ。まあそう言わないの。とりあえず事故にならなくて良かったじゃない。」
 
そう言って杏奈は微笑を浮かべる。

 (あの男の子、高須君って言ったかしら。
 いい眼をしてたわね・・・あの男の子と触れ合って亜美も何か得るものがあるでしょう。)



「なんだよ、全く。態度わるいな・・・ほら香椎立てるか?」

奈々子は差し出された手をぎゅっと握って立ち上がった。

「高須君、本当にありがとう・・・高須君が来なかったら今頃私・・・」

「まあこうして無事なわけだしもう考えるのはやめにしようぜ。
 家まで送って行こうか?」

その一言で奈々子は急に現実に引き戻され一瞬で顔が赤くなる。

「じ、じゃあお言葉に甘えようかしら。」

「おう、荷物も持つぞ。」

死にそうな目にあったとはいえ
思いがけず竜児と一緒に帰れることになったのだ。
こんなことならもう一度くらい危ない目にあってもいいかな
なんて不謹慎なことを考えてしまう奈々子だった。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:54:17.35 ID:wcwGkRoho
竜児はいつのまにか奈々子の分の荷物を拾い集めてくれていた。
多分そのまま家まで持って行ってくれるつもりなのだろう。
正直言ってまだ体にうまくちからが入らなかったので
ここは竜児の好意に甘えようとおもった。

「そういえばなんで高須君はわざわざ戻ってきてくれたの?」

「ああ!どたばたして忘れるところだった。」

そう言って竜児はポケットをごそごそとあさり一枚の紙を渡してきた。

「ほら、レジでもらった割引券。2枚あったのに俺が独り占めじゃ悪いからな。」

「え?そんなのわざわざよかったのに・・・」

「なに言ってんだ。俺が戻ってこなかったら今頃大変だったんだぞ。」

「・・・それもそうね。ありがとう。」

奈々子は嬉しかった。竜児が本当にそんな理由で戻ってきてくれたのだったら
少なくとも帰り道で私のことを考えていてくれたということだ。
奈々子はさっきまでの恐怖なんて忘れてとびきりの笑顔で竜児にお礼を言う。
しかしそれと同時に
奈々子と離れたくなかったなんて甘い台詞を期待していた自分に気付き
再び赤面してしまうのだった。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:55:42.17 ID:wcwGkRoho
奈々子「それもそうね。ありがとう。」

思わずドキッとした。
竜児にはもう心に決めた人がいるのだが
他の女の子に興味がないかといわれるとそんなことはない。
竜児もお年頃の男の子なのだ。

(香椎って良く見ると可愛いな。こりゃクラスの中でもだいぶ上の方なんじゃないか?
 それに大河と違って出るとこもちゃんと・・・っていかんいかん。)

竜児にとって奈々子は自分に笑顔を向けてくれる数少ない女子の一人だ。
今までこんなふうに櫛枝みのり以外の女子にどきりとしたこともない。
自分でも気付かないうちに竜児の中の「香椎奈々子」が次第に大きくなりつつあった。

えてしてそんなふうに盛り上がった帰り道などというのは一瞬で終わるように感じるものだ。

「あっ、あそこがうちよ。」

実際には15分ほどかかっているのだが5分のようにも1分のようにも感じられ
奈々子は少しがっかりした。
家に上がってもらってお茶でもと言おうとしたが
竜児がかのうやをでたあと急いでたことを思い出し言葉をのみこんだ。

「今日は色々ありがとうね。本当に助かったわ。」

「気にすんなって。じゃあまた明日学校でな。」

そういって走っていったところを見るとやっぱり急いでいたんだろう。
それでもここまで送ってくれた竜児の優しさが奈々子には温かかった。
今まで淡いピンク色の塊だったようなものが
今ははっきりと恋だとわかる。
いつもは帰ってこない「お帰り」のことも考えず鍵を回す奈々子だった。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:56:11.62 ID:wcwGkRoho
家のカギをあけて中に入る。
当然のように誰もいない。
奈々子にとってはそれが普通なだが少しさびしくもある。
父親は今日は早番だと言っていたのであと一時間もしないで帰ってくるだろう。
奈々子は早速夕飯の準備に取り掛かることにした。


奈々子の家には母親はいない。
正確にはいたんだけど出て行った。
仕事が一番の父親に愛想をつかし浮気の果てに離婚という良くあるパターンである。
父親には不満もないし、自分を大切にしてくれているのだが
母親がいれば今日みたいな時に涙を流して心配してくれるのだろうか?
竜児の見返りを求めない優しさが不意に昔の優しかった母親と重なった。
奈々子はただただひき肉をこねていた。
下準備も終わり炊飯器のスイッチを入れて
ひと段落ついたところでちょうど父が帰ってきた。

「ただいま。あれ?まだご飯出来てないのか。めずらしいな。」

「しょうがないでしょ。今日事故っちゃって帰ってくるの遅かったんだから。」

今日も上司にぐちぐちと説教でもされたのだろう。
いつものようにしかめっ面だった父の顔が
みるみるうちに青ざめていった。

「事故って!?どうしたんだ?怪我ないのか。」

「事故って言っても未遂よ。クラスメートが助けてくれたの。」

「なんだ、それなら良かった。お前まで俺の前からいなくなったら俺は・・・」

父も母が出て行ってなにも思わないわけがなかった。
だが奈々子がいたためいつまでも悲しみに浸っているわけにはいかないだけ。
奈々子はそんな父親の弱さも知っていた。
父は奈々子を失うのを極端に怖がる。
それは一人になりたくないという恐怖かもしれない。
それでも奈々子はそこに父の愛を感じていた。
だからいつものようにわらう。

「もうすぐご飯炊けるからそうしたらご飯にしましょ。今日も仕事お疲れさま。」

シャワーを浴びて着替えたりしているうちにご飯がたけたので
香椎家のちょっと遅めの夕飯が始まる。
その日のハンバーグは少ししょっぱいような気がしたが
今の奈々子には同じ食卓で父が笑っている、それで充分だった。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 17:57:38.37 ID:wcwGkRoho
―次の日
「今日はこのクラスに転校生がきます。」

朝のHR、担任の一言でクラスがざわつく。

「え?マジ?女の子がいいな〜」

そんな春田の一言に男子がわっと盛り上がる。

「はい、静かにー。それじゃあ川島さんはいってきて。」

「えーと、川島亜美です。これからよろしくお願いします。」

「ねえ、奈々子。あの子雑誌に出てなかった?ほらあのモデルの。」

そう言われると確かにそうだ。やはりモデルというだけあってものすごく可愛い。

「え〜、もうばれちゃった?隠そうかなと思ってたのに亜美ちゃん困っちゃーう。」

------------------------------------------------------------------------

「香椎さんだっけ?ちょっといいかな・・・?」

おずおずといった感じでいきなり亜美が話しかけてくるもんだから奈々子は驚く。

「ええ、なにかな亜美ちゃん。私のことは奈々子でいいわよ。」

「じゃあ奈々子って呼ばせてもらうね。
 奈々子この間車にひかれかけなかった・・・?」

「・・・えっ?」

今度こそ奈々子は本気で驚いた。
あの場には竜児と奈々子しかいなかったから亜美が知っているはずはないのだ。

「確かに事故っぽいことにはなったけど・・・どうしてしってるの?」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/16(月) 18:01:02.83 ID:wcwGkRoho
すいません。
なんか話し繋がってない部分があったので
ここで切って続き書き直してきます。

>>23
一応みのりをあまりしゃべらせないのは考えがあるんですが
さすがにもう少ししゃべってもよさそうですね。
申し訳ないです。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/16(月) 18:31:38.72 ID:P3B6gW7Qo
ゲームやるとみのりん以外とくっつくのもある程度許せるな
やっぱりみのりんが1番だけど
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/16(月) 22:03:40.29 ID:GMdOyxdIo
すばらしい
応援してるよー
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/05/16(月) 23:43:24.05 ID:+68VqJ5P0
>>32
そういえばゲームになってたな
竜児が記憶喪失になるんだっけ?

>>1
もうちょっと漢字使おうぜ
少し読み難い
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/17(火) 03:29:32.91 ID:saGvnjmGo
これって前vipにあったよね?
完結してるの?
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/05/17(火) 05:26:32.30 ID:nSJceJg/o
おつ!
ゲームは亜美ちゃんエンドが素晴らしかったなぁ
100じゃなくて98だか96だかのが一番よかった気がする
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/05/19(木) 22:08:50.75 ID:9SYvxG1/0
これは期待してる
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 13:00:07.24 ID:66I9hGADO
前に見たことあると思ったらVIPでやってたやつか
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 00:31:20.21 ID:7JUsubzIO
期待
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/05/22(日) 08:18:05.66 ID:Y4f6IT2AO
とらドラかわいいよね〜
みんな大好き! 応援してます!!


あと、「……。」の。は入れなくていいと思います。
頑張って!
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:49:49.78 ID:0Ma4oOI4o
実はあのリムジンに乗っていたのは
亜美ちゃんのお母さんだったらしい。
そのことをわざわざ謝罪に来てくれるなど亜美ちゃんはとてもいい子だった。
ちょっと猫かぶりなところもあるけど私たちには比較的素で接してくれていた。

そんな亜美も奈々子や麻耶のことは親友だと思っているようで
3人でいることが多くなっていく。
6月のある日3人はいつものようにスドバで語っていた。

「それでさー高須君ったら祐作と一緒になってずっとうたっててさww」

「あの高須君がwwwwwwまじで?wwww」

「ってかなんかこのごろ亜美ちゃん高須君のことばっかり話してない?」

「え、いや、違うって。別に奈々子が想像してるようなのじゃないから全然。まじで。」

「そうだって。さすがにそれはないよ。」

麻耶はそういって笑うが自分もそうだったからこそ分かるものがあった。
亜美は確実に高須君のことを意識していた。

奈々子(・・・誰が相手でもあきらめることはないけどね。)
奈々子はひそかに亜美へのライバル心を燃やすのだった。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:50:16.83 ID:0Ma4oOI4o
そして季節は夏になりプールの授業が始まった。
あれから竜児に対しては目立ったアプローチはしていないが
毎日談笑をかわすくらいの間柄となっていた。

「ふふっ、ねえ高須君。この水着どうかしら?」

「お、おう。その、だな・・・すごく似合ってていいと思うぞ俺は。」

すぐに赤くなって照れてしまうのも竜児の可愛いところだなと奈々子は一人微笑んだ。

「ちょっと竜児ー!
 このバカチワワが妄想と現実の区別がつかなくなって大変だから
 病院に連れて行ってあげてちょうだい!」

「亜美ちゃんのほうがチビタイガーよりぜぇぇったい可愛いもんね!
 高須君もそう思うよねぇー?

このごろ竜児は大河と亜美と話していることが圧倒的に多くなった。
もちろん奈々子とも同じくらいしゃべってはいるのだが隣の芝はなんとやらである。

(大河はともかく亜美ちゃんは絶対高須君に惚れてるし・・・このままじゃ負けちゃうかも・・・)

奈々子はどうやったら自分が亜美や大河と一緒に
高須竜児の心の奥にはいれるのかをずっと考えていた。
でもその答えが見つからないままここまで来てしまったのだ。

「そこまで言うならせっかくプールなんだし、泳ぎで勝負しない?」

「な、なにを言ってるのかしらこのバカチーは?
 なんで私があんたと勝負しなきゃなんないのよ。」

「へぇー、逃げるんだぁー。亜美ちゃんの不戦勝ってことでいいのかな?」

「なっ!?いいわ、そこまで言うなら勝負してあげようじゃないの!」

「お、おい。大河・・・」

「じゃあ勝った方は高須君を夏休みの間好きに出来るってことで!
 一緒に亜美ちゃんの別荘いこうねぇー高須君?」

「か、川嶋まで落ち付けよ・・・」

これは願ってもないチャンスだった。
この勝負に勝てば高須君は亜美ちゃんと大河に私を並べてくれるかもしれない・・・
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:51:04.23 ID:0Ma4oOI4o
「亜美ちゃん、逢坂さんその勝負私も混ざっていいかしら?」

「え?」 「は?」

「あのね、私昔水泳ならってたんだけど久しぶりに誰かと本気で泳いでみたくなって。」

「はんっ!別にいいわ。エロボクロが一人増えたところで私の勝ちは決まっていいるもの。」
「ありがとう、逢坂さん。亜美ちゃんはいい?」

「え・・・別にダメってわけじゃないけど・・・」
「じゃあよかった!私も混ぜてもらうね。
 あ!あと亜美ちゃんに話したいことあるからあとで時間くれる?」

「お、おい・・・みんな・・・」
ただひとりただならぬ雰囲気を感じ取った竜児だけが不安にびくついていた。


------------------------------------------------------------------
「で?話ってなによ、奈々子。」
「あのね。私好きな人できたの・・・。」
「え?マジで?じゃあ麻耶とかも呼んで3人で話そうよ!」
「いいの。これは亜美ちゃんに聞いてもらいたいことだから。」

亜美の表情がわずかにくもるがまたいつもの笑顔に戻る。

「分かった、で誰なのよ?」

「それがね・・・高須君・・・」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:53:11.90 ID:0Ma4oOI4o
「え?」

「でひとつ亜美ちゃんに聞きたいんだけど
     亜美ちゃんって高須君のこと好きだったりしないよね?」

「私は・・・別に・・・」

「よかったぁ!私亜美ちゃんと張り合って勝てる自信ないもの。
 親友同士でとりあうようなことしたくなかったし。」

「そうね・・・」

「じゃあこれから私と高須君のこと応援してくれるよね・・・?」
「え、ええ。もちろん亜美ちゃん頑張っちゃう。」

さすがモデルというところだろう。
一度崩れた美貌はすぐに元通りになった。

「ありがとう!じゃあもうすぐ授業だから戻りましょ。」

「私ちょっと飲み物買ってからいくわ。」

じゃあねといってふたりは別れた。

「あんな奴すきになっても痛い目みるだけなのに・・・ 
 月と太陽じゃうまくいくはずないの・・・!」

自動販売機の間に座りこんだ亜美は誰にも聞こえないぐらいの小さな声で呟く。
いつもと同じひんやりとした床は竜児の丹念な掃除のおかげでほこり一つない。
竜児を連想させてくれるそんな場所は今日も冷たく静かだった。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:53:57.54 ID:0Ma4oOI4o
「あ、香椎。ちょっといいか?」

教室にもどった奈々子に竜児がちかよってくる。

「ええいいわよ。」
「あのさ水泳勝負のことなんだけどさ・・・
 大河の奴実は泳げなくてよ・・・
 香椎水泳やってたんだろ?よかったら今度教えてやってくれないか。」

「それは別にいいんだけど・・・高須君もくるの?」

「え?どこにだ?」
「だから私と逢坂さんの二人きりでプールに行くのって聞いてるのよ。」
「ああ。もちろん俺も行くつもりだぞ。香椎が嫌じゃなければだが・・・」
「嫌なわけないわ。新しい水着買っておくからたのしみにしててね!」
「お、おう!」

思いがけない竜児の誘いに奈々子の胸が躍る。
恋敵?である大河も一緒だが竜児と過ごす機会が増えるのだ。
いつもより気合を入れてお風呂に入ろうと人知れず奈々子は決意するのだった。



「わりいわりい、待ったか?」
「おそいわよ馬鹿犬!」
「ちょっと遅れただけじゃない。大丈夫、私達も今来たところよ。」


勝負は1週間後の水曜日に決まっていた。
そして今日は日曜日、大河の特訓の日である。

「それじゃあ行きましょうか。」

今日きたのはレジャー施設のラクージャ。
デートスポットとしても人気でなかなかチケットがとれないのだが
能登君が余っていた券をくれたそうなのだ。

竜児とデートという響きだけで今日の奈々子はご機嫌だ。
まあ実際には3人なのでデートでも何でもないのだが今の奈々子は
そんなこと関係ないと言わんばかりに浮かれていた。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:55:18.19 ID:0Ma4oOI4o
水着に着替えてプールの中で再び竜児と合流した奈々子たちは
いきなり普通のプールに入ってもダメだということで
子供用のプールに向かっていた。

「香椎、大河は全く泳げないらしいんだがどこから始めたらいいんだ?」
「うーんそうね・・・とりあえず顔を水につけるとこから始めましょうか」
「あたしだってそれぐらいできるわよ!馬鹿にしないでよ!」

そういって大河は鼻先をちょこんと水につけたあと
得意げな顔でこちらをむいた。

「・・・いくらなんでもそりゃねえよ大河・・・」

竜児と奈々子がかわるがわるお手本を見せようやく決心がついたのか
大河は顔を水に沈め始めた。

「ふぅ、やっとか・・・」
「でもこうしてみると私たち親子みたいね。
 高須君がパパで私がママで、逢坂さんが子供。」

てっきり竜児は顔を赤らめてまた照れるのかと思っていた。

「そうだな。香椎は家庭的だしすごいいい家族になれてそうな気がするぜ。」

いままでこういう冗談を行ったことはいくらでもあったけど
こんな反応は初めてだった。
竜児の思いがけない反撃に奈々子は顔を赤らめる。

「ぷはっ!ねえ、見た見た?今結構水についてたでしょ!」

そこで大河が顔をあげ二人きりの時間はいちど止まる。
そのあとも昼過ぎまで大河の泳ぎの練習は続き、なんとかビート板をつかえば前に進めるようにはなった。

「今日はこれぐらいでいいだろ、これからどうする?」
「私疲れたからリラクゼーション行ってくる!」

そういうと大河はとことこと駆けて行ってしまった。

「行っちまった・・・香椎はどうするんだ?
「そうね、小腹もすいたしちょっとお茶にしない?」
「おう、いいぞ。」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:56:39.56 ID:0Ma4oOI4o
二人はたわいもない話で盛り上がりいつのまにか恋愛方面の話になっていた。

「高須君って好きな人とかいるの?」
「え、ど、どうしたんだよ急に・・・ま、まあいるっちゃいるんだけどな」
「どんな子?」
「元気で、俺なんかとちがって活発でいつも笑ってて・・・」

それだけでもうじぶんではないことは分かった。
どちらかというとおとなしい方でどう転んでも活発などとは言われないことは
自分がよく分かっている。
もしかしたらと期待していた想いがあった。

「そう、なんだ・・・」
「でもな、こんなこといったら軽蔑するかもしれないけどもう一人いるんだ。」

どうせ亜美か大河のことだろう。
結局私はあの子たちには勝てないのか。
奈々子の華奢な心が押しつぶされそうになっていた。

「・・・その子はどんなこなの?」
「こんな俺といつでも笑顔で話してくれてな、すごい家庭的で理想の女の子って感じなんだ。
  その人と知り合う前からずっと好きな人がいたんだけど、その子のこと考えてる時間が
    だんだん増えてきて自分でもどっちが好きなのかよく分からないんだ・・・・
   おかしいよなこんなの・・・」

竜児の言っているもうひとりとは奈々子のことである。
しかしすでにあきらめかけていた奈々子の耳にはそうは届かなかった。

「そう・・・二人ともすごいいい子なのね。私も高須君の恋を応援するわ。
    悩んだっていいじゃない。ほら命短しこいせよ乙女っていうでしょ。」

奈々子は一生懸命に笑って自分の心に刃を立て続けた。
恋愛ドラマで嫉妬する女役を見て面白がっていたが
今の奈々子にはその気持ちがよく分かる。
醜い嫉妬がたまり、そんな自分がいやで何度も何度も刃を立て続ける。
人の少なくなった甘味処には激しい夕立の音だけが響いていた。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 22:57:47.48 ID:0Ma4oOI4o
「ああ!こんなところにいたのねあんた達!しかもおいしそうなもんまで食べちゃって!
  私にもよk・・・じゃなかった!今日は見たい番組があったの忘れてたの!すぐかえろ!」

正直救われた。
今の奈々子にはこれ以上笑って自分を殺し続けるほどの
勇気も元気もない。


「じゃあ今日はもう解散しましょうか。また明日も学校あるし。」
「お、おう。そうだな、じゃあまた明日な」

奈々子は竜児たちから見えなくなるまで笑顔で歩き続けた。
商店街を抜け一個目の路地に入った。近所の公園が見えてきた。
自宅につき鍵を開けて自分の部屋に入る。
それでも奈々子がつかれて眠りにつくまで夕立ちはやむことはなかった。


そして水曜日
あれからというものの今まで以上に奈々子は踏み出す勇気が出せなくなった。
しかし今まで通り笑って話をするぐらいならなんとかって言った具合だ。

「チビタイガーだけには負けないわ。」
「進化した私を見てから言うことね!」

そういった大河はビート板をかかえてやる気まんまんだ。
一方奈々子はいまいちやる気がわかなかった。
竜児の気を引くために参加したのにもう竜児の心には別の人がいたのだから。
しかしそんな奈々子の気持ちを知ってか知らずか竜児はみなを応援していた。

「香椎ー、がんばれよー」

とりあえず奈々子はこの勝負だけでも頑張ろうと思った。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 23:01:51.58 ID:0Ma4oOI4o
すいません。
ひどいのど風邪をひいてしまい喘息を併発してしまったため
更新おくれそうです……

久しぶりにパソコンをつけたので切りのいいところまで
桃香させてもらいました。

アドバイス等ありがとうございます。
初SSなので色々不甲斐ないとは思いますがよろしくです。

あと一つだけ
原作の設定等になるべく近づけていますが
都合上むりくりな部分があると思います。
そこは目をつぶっていただければ幸いです。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/05/22(日) 23:03:22.09 ID:auvXhF7Ko
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 23:03:28.43 ID:0Ma4oOI4o
すいません。
ひどいのど風邪をひいてしまい喘息を併発してしまったため
更新おくれそうです……

久しぶりにパソコンをつけたので切りのいいところまで
桃香させてもらいました。

アドバイス等ありがとうございます。
初SSなので色々不甲斐ないとは思いますがよろしくです。

あと一つだけ
原作の設定等になるべく近づけていますが
都合上むりくりな部分があると思います。
そこは目をつぶっていただければ幸いです。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/05/22(日) 23:35:35.86 ID:t9eHuu030

お大事に
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/05/23(月) 05:56:39.80 ID:Wp12Cv9AO

大丈夫? 風邪が治ってから続けた方がいいですよ!
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 18:35:09.49 ID:6D6rnk8SO
喉風邪は辛いよね
牛乳とかのむと激痛が走る
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/05/23(月) 19:11:54.73 ID:7QxdKayAo
喉にくる風邪は本当につらいな
風邪で声がでなくなるとか都市伝説だと思ってたけどマジだった
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 22:04:44.17 ID:hp0nK07IO


風邪なら仕方ない

ここにいれば嫌でも待つことには慣れてくる
だからしっかり休んで体調を直してください
期待して待ってます。
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 02:09:26.29 ID:Cyqd2OYDO
乙です。

自分も今風邪っぴき。
何回も咳をしたからなのか、腹筋が筋肉痛になってて咳すると辛いww

みのりん出ないな。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 23:27:37.53 ID:6l6ANGxSO

みんなsageてるから投稿されてるのに気付かなかったよ
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/05/27(金) 18:00:05.54 ID:bRmRS9hx0
随分サガってるので>>1が来たときはアゲてほしいな
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/05/29(日) 01:04:55.06 ID:eu581s0e0
VIPでやってたこれの続きか?待ってたぞ
http://unkar.org/r/news4vip/1266620178
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/29(日) 01:07:18.60 ID:lk8XhM6Xo
まさかの奈々子さま来たああああああああああああああああ
エロパロのほうじゃいいところで止まりっぱなしだから奈々子成分不足してたんだ!
これは期待
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 06:11:33.27 ID:y4TTwAAi0
奈々子さまはエロい
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 06:40:22.41 ID:Ebt2fJSSO
>>60
一年以上前のだったんか……
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/09(木) 01:25:39.21 ID:Uh66HV9ro
珍しいなとらドラ
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/11(土) 01:58:07.03 ID:P3bSJqRAO
いや、出来上がってるなら早く投下しろよ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 14:55:35.39 ID:4X3wreMMo
夏休み

「おおう、みなみなさんおはようであります。不肖櫛枝みのりどうぞよろしくです。」
「じゃあみんなそろったことだし出発しましょうか。」


結局途中でやる気をなくしかけた奈々子が勝てるはずもなく亜美が勝利した。
勝者の亜美ちゃんの提案で夏休みはみんなんで別荘へと行くことになったのだ。
別荘へ向かう新幹線の中で高須君の作ってくれたおにぎりをみんなで食べる。
たかがおにぎりでも高須君の作ってくれたものならなんでもおいしかった。

奈々子にはある決心があった。
この別荘で高須君に告白しようそう思っていた。
でもこの中に竜児の好きな人がいるのは間違いない。
あんなふうにそわそわする竜児は見たことがなかった。
でももう動き出してしまったものはしょうがない。
竜児が2人の間で揺れているというならその2人以外にも可能性はあるのだから。


「もうすぐじゃないかな。多分窓からも見えるわ。」

逢坂さんと櫛枝さんは大はしゃぎだ。
奈々子もこれから起きるであろう一大イベントを前に気合を入れ直す。

「うおー、でっかいですなぁ。」

亜美の別荘は破格だった。
目の前には広大な海。そしてなによりふつうの一軒家より広いであろう別荘。
奈々子は純粋にここにこれてよかったと思った。


「まあここ結構使ってないから掃除とかしなきゃやばいんだけどね」
「なん・・・だと・・・!」
「そんなことより海行こ!海!」

みんなは早く海へ行きたくて仕方がないようだが高須君は一人残って掃除をしたがっているようだ。
正直言って奈々子も早く海で遊びたかったので
ここは心の中で竜児に謝りつつみんなで竜児をうみまで引きずっていった。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 14:57:23.15 ID:4X3wreMMo
そのあとは昼過ぎまでみんなで遊びたおした。
最初は乗り気ではなかった竜児も
最後の方には全力でバレーボールを追っかける熱血少年になっていた。

「ふう、つい熱くなってしまったぜ。これからが本番だってのに。」
「えー、私疲れたー、掃除なんてあんた一人でやりなさいよ。」
「これこれ大河よ、みなで協力してやる掃除もなかなか乙なものじゃよ。」
「みのりんがそういうならまあやるけどさぁ・・・」

こうして大掃除が始まった。
竜児はさすがといった感じで高須棒片手にてきぱきと掃除をこなしていく。
みんなも文句を言いながらも掃除をこなしていく。
そして3時間ほど経ち日も落ちてきたころやっと掃除が終わり
夕飯の支度をするかかりになったのは竜児と奈々子だった。

「香椎はそっちのなべに大河用の甘いカレー作っといてくれるか?
 おれはこっちにみんなのリクエスト通り特別からいの作るから」
「わかったわ。任せといて。」

なんだかんだ言って奈々子は全くあきらめ切れていなかった。
こうして竜児と台所に立つだけでにやけないようにするのに手いっぱいなほどだ。
なんか新婚夫婦のようだなと奈々子の顔には抑えきれない笑みが浮かぶ。
ほどなくして夕飯が出来上がりみんなでいただきますをした。

その夜海岸では別荘から謎の絶叫が聞こえたそうである。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 14:57:54.57 ID:4X3wreMMo
「ねえ、近くに洞窟があるんだけどさ・・・肝試ししない?」
 「むっ、いいなそれ、じゃあくじ引きで二人一組をつくって順番に行くか!」

亜美の言いだした一言でとんとん拍子で進んだ突発肝試し大会。
ちょうど6人ということでくじ引きで3組作って順番に出発という形になった。

そしてくじ引きの結果
みのり+祐作

竜児+大河
 
亜美+奈々子  という組み合わせに決まる。

まずは一組目
北村櫛枝ペア
体育会系2人ということもあり速攻で出てきた。
亜美ちゃんがつまんなーいと文句を垂れていたが2組目はスルーして出発。
なぜか櫛枝さんがつやつやしてたけど気にしないようにしよう。

2組目
高須君逢坂さんペア
高須君と一緒にいける逢坂さんがうらやましいなぁ。
意外に高須君って頼りがいあるから・・・
「怖くないか香椎、俺がついてるぞ(キリッ」なんて言ってくれたりしてキャーキャー
とか言ってるうちにもう出てきちゃったわ。
つぎは亜美ちゃんと私が行く番ね。

「へぇー、結構いい雰囲気でてるのね。ちょっとまじで怖いかも。」
「でしょでしょー、亜美ちゃんのお勧めなんだ。
 ・・・っていうか奈々子ちょっと話していかない?」

奈々子には亜美の話したい内容はすぐに分かった。
前のように強引に押し切ったのではやはり納得がいかないのだろう。
でも一度負けられないと決めたからには奈々子はここで逃げるわけにはいかなかった。

「とりあえずじゃあそこの岩に座りましょ。」

ちょうど平べったくベンチのような岩を発見し、
ふたりは腰を落ち着けた。
これは簡単に引くつもりはないという亜美の心境の表れだったのかもしれない。

「いきなりだけど奈々子って高須君のこと好きなんだよね。
  でも高須君には好きな人がいるって知ってる?」

「知ってるわよ。櫛枝さんでしょ?それがどうかしたの?」

「高須君ね、この旅行中に告白するつもりよ。」

「っ!!で、でもなんで亜美ちゃんがそれを知ってるの?」

「タイガーと話してるのが聞こえたのよ。タイガーのほうもなんかたくらんでたみたいだけど。」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:01:44.40 ID:4X3wreMMo
「話はそれで終わり?
 私もちょっと企みがあったから予想外だったけど問題ないわ。
 早く行きましょ。」

「ちょっと待ってよ!奈々子はそれでいいの?あの男はね、高須竜児はね
 人にやさしくするだけしといて、輪の中に入れるだけ入れといて
 それでもうわっつらの家族ごっこなんてやってるやつなんだよ!
 あんな奴好きでいたら絶対傷つく・・・もうそんなのやだよ!」

「それは亜美ちゃんの考えでしょ?それとも・・・亜美ちゃんの実体験?」

「くっ・・・分かんないわよ、自分でも!
 私の仮面を取ってくれて、異分子の私を輪の中に入れてくれた、
 それだけでうれしかった!でもっ、あいつにとってはそれがあたりまえのことで
 私の方をみてくれてたわけじゃないのよ!奈々子にはそれが耐えられるの!?」

「でも亜美ちゃんは高須君のそんな当たり前が好きになったんでしょ?私もよ。
 高須君が櫛枝さんに告白しようが構わない、付き合うようなことになっても構わない
 それでも私や亜美ちゃんにやさしくしてくれるのが高須君のあたりまえじゃない。」

「でも、でもっ!」

「私もねこの旅行中に高須君に告白するつもり。
 振られてもいい、ただ高須君には知っといてほしいから私の気持ちを。
 高須君はこのままじゃ亜美ちゃんに好かれてたなんて一生気付かないわよ。
 逆に聞くけど亜美ちゃんはそれが耐えられるの?」

「そ、それは・・・だってっ!」

奈々子も亜美もお互いヒートアップし始めたところで声が聞こえた。

「おーい香椎、川島ー!大丈夫かー!返事しろー!」

どうやら帰りの遅い自分たちを心配して竜児たちが探しに来たようだ。

「亜美ちゃん、とりあえず今は外に出ましょ。」

そういって二人は洞窟の外にむかって歩き始めた。

「亜美どうしたんだ?遅かったじゃないか。」

北村君や高須君が私たちのことを心配してくれている。

「うっさいわね!どうでもいいでしょ。それより疲れたから亜美ちゃんもう寝る。」

そう言って別荘に戻ろうとする亜美を北村達がもう少し遊ぼうと引きとめる。
このままでは喧嘩になりそうだったので一応止めておくことにした。

「まあまあ、まだ明日もあるんだし今日はとりあえず別荘に帰りましょ。」

みのりや大河を一人ずつなだめてようやくみんなで帰ることができた。

竜児がみのりに告白する・・・・
奈々子はみのりとはクラスメイト程度の付き合いしかないが
よく考えてみれば竜児の言ってたことにぴったりなのかもしれない。
竜児は自分の知らない顔で彼女の前で笑うのだろう。
考えてるだけでも胸が張り裂けそうになった奈々子もその日はもう寝ることにした。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:04:22.41 ID:4X3wreMMo
2010-09-15 Wed 07:06
次の日

竜児がすでにみのりに告白してるのかどうかが気になった。
まずはみのりとあいさつを交わす。

「お、奈々子様おはようございます!今日も立派なものをお持ちで」

そう言って手をわきわきさせている。
特に変わった様子はないのでまだ告白などされてはいないのだろうか?
次に竜児に挨拶をした。

「お、おう香椎か・・・おはよう・・・・」

明らかにおかしい。なにかあったに違いない。
でもみのりがピンピンしてる以上奈々子には推測の余地すらなかった。
その日一日は素直に楽しむなんてできるはずがなかった。
なんで竜児は落ち込んでいるのだろうか・・・
そればかり考えてしまう。しかしあしたになれば帰らなければならない。
だから奈々子には今日の夜に竜児を呼び出すほかなかった。

「ごめんね、急に呼びだしたりして。来てくれてありがとう。」
「お、おう。大丈夫だぞ。」

「あのね、私ね、ずっと前から高須君のことが好きだったの!」

奈々子はそれだけ言うのが精いっぱいだった。
理由とか甘い口説き文句は昨晩必死に考えてたはずなのに目の前に立つと
その一言を絞り出すのにさえ苦労がいった。
波の音も風の音も全て消え去り二人だけの世界に来てしまったような錯覚に陥る。
奈々子はただ目をつぶって竜児の反応をまった。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:07:50.58 ID:4X3wreMMo
 「あ、そのありがとう。俺なんかのこと好きになってくれて。 
 でも、そのなんて言えばいいのか分からにけど
 今は香椎の気持ちにこたえられない。ごめん。」

「ううん。こっちこそ突然ごめんね。ふられちゃったけどこれからもよろしくね。」
「いや、ちがうんだ!香椎をふったとかじゃなくてそのうまく説明できないんだけど・・・」
「どういうこと?ゆっくり落ち着いてでいいから話してほしいな。」

「ごめん」の一言で崩れかけた奈々子だったが続く竜児の言葉に
何とか自分をもちなおし笑顔を被った。

「あのな、香椎には幽霊は見えてるか?」
「幽霊?私は霊能力者じゃないもの。みえないわ。」
「そうだよな・・・あの俺なずっと櫛枝のことが好きで昨日告白したんだ。」

やっぱり告白していたようだ。
落ち込みようを見るに振られてしまったのだろう。
それにしてはあのみのりの態度はなんなのだろう?

「それでだな、告白したんだけど幽霊がみえない(ryっていわれて・・・
 なにがなんだか分からなくて、告白はぐらかされちゃった感じなんだ。」
「そう・・・それはちょっとひどいわね。でもそれと私に何の関係が?」
「その、らくーじゃでいったこと覚えてるか?」

もちろん覚えている。みのりともう一人の間で揺れ動いてるという話のことだろう。
忘れられるはずがない。

「あの時言ったもう一人ってのは実は、な・・・おまえなんだよ・・・」
「え?本当に?」

奈々子には全く信じられなかった。
てっきり大河か亜美だと思っていたのだから

「本当だ。それでおれのなかで決着がついてから告白しようって思ってたんだけどな
 その、大河とかにせかされる形で櫛枝に告白したんだよ・・・
 言い訳がましいかも知んないけどまだ俺のなかで整理が出来てないんだ、すまん」


「私高須君のこと信じるわ。
 ようするに決着がついたらちゃんと返事するから保留にしてほしいってことよね?」
「あ、ああ。そういうことだ、本当にすまん・・・」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:08:17.07 ID:4X3wreMMo
次の日予定通りに奈々子たちは帰路についた。
帰りの電車の中はどことなくしんみりしていた

「どうしたんだよっ!みんな元気ないぞ!ほら大河、おじさんのポッキー食べるかい?」

「そうだぞ、高須!この窓のサッシを見てみろ埃だらけで・・・」

テンションが高いのはこの2人だけ。
亜美ちゃんは電車に乗った途端に

「私は明日からも仕事なの!疲れてるから寝る!」

と言って窓際で寝ている。

竜児は北村君の言葉にぴくりと反応はするもののそれでもやはり元気がない。
振られたと思ったら次は告白、ドタバタしていて整理がつかないのかもしれない。
ただでさえみのりのことがあるのにもう少し竜児を気遣うべきだったかなと奈々子は独りごちた。
今はそっとしておくしかできない、我慢するしかないんだと自分に言い聞かせ窓の外へ目を向ける。



(これからどうしょうか・・・櫛枝には、まあ、振られたってことだよな・・・
 でもあんな返事でモヤモヤしてないのも確かだ。そこに香椎からの告白・・・)

少年は悩んでいた。
自分の人生、誰かを好きになり告白し砕けることはあっても、
好きだと思いをぶつけられることなどないと思っていた。
そして竜児は返事をはぐらかされ、それでもあきらめきれない痛みを知った。
だからこそ香椎にも早く返事をしなければと考えていたのだ。

(香椎か・・・そういやクラスで最初にできた女友達は香椎だったな。
 こんな俺に笑いかけてくれて不覚にも櫛枝以外の女にドキッと来てしまった・・・)

思えばそのころから香椎奈々子というピースが竜児の心で育ちはじめていたのかもしれない。

(顔はまあ俺なんかにはもったいないぐらいに可愛いし、性格もいい。
それに・・・m、mm胸も結構・・・///)

春田達がいい女ランキングなんてのを作ってるのを近くで見ていたがいつも麻耶や亜美と一緒に上位陣に組み込んでいる。

 (だぁっーーーー!なんで俺なのかますます分からねえ・・・)

北村  「高須どうした?さっきから怪盗二十面相みたいになってるぞ。」

そして。え、そんなに顔に出てたか? ああ出てた出てた。 等と言って笑い合う
2人の姿を大河はじっと見つめていた。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:08:50.65 ID:4X3wreMMo
「よし、みんな揃っているな。楽しかった旅行ももうすぐおしまいだ。
 今日はここで解散にしよう」

駅に着き皆自宅へと帰ろうとする。
竜児も泰子は無事だろうかと歩みをすすめようとしたのだが

「おい、バカ犬」

------------------------------------------------------------------------------------

スドバ

「あんた結局みのりんとはどうなったのよ、私報告受けてないんだけど」

「・・・そうだな、お前には報告しなきゃならねえよな。
 まあとりあえず、あれだ。この旅行中いろいろ協力してくれてありがとうな」

「ふん、飼い犬の面倒をみるのは飼い主として当然なのよ。
 ていうかもったいぶってないでさっさと・・・」

「振られたよ・・・多分だけどな」

大河「え!?どういうこと、ほんとにみのりんにちゃんと好きだって伝えたの!?」

竜児「当たり前だろ、ちゃんと正面からぶつかってそれでも受け流された。
   十中八九振られたんだろうな」

そういって竜児は苦笑した。

「嘘・・・嘘よ!だってみのりんはあんたのこと・・・」

「大河・・・色々協力してくれたのにすまねえな。でももういいんだ。」

「は?なに言ってんの? あんたのみのりんへの思いはその程度だったって言うの?」

「そんなわけないだろ!!」

「・・・っ!!」

「そんなわけ・・・ないに決まってんだろ・・・
 俺だってあきらめたくねえよ・・・振られてはいそうですか何て言えるわけねえだろ。」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:09:29.82 ID:4X3wreMMo
「正直に言っちまうとな、櫛枝に告白した次の日香椎に告白された。好きでしたって」

「は!?じゃああんたみのりんに振られても次の女がいるからってこと!?」

「ちげえよ!そんなんじゃねえ!
 ただはじめての告白だったんだ……するのもされるのも
 っていうかされること自体考えてなかった、想定外だった。
 考えることが多すぎてどうしたらいいのか分かんねえんだよ」

「どうしたらいいのかって、みのりんをあきらめていいわけないでしょ!」

「だから自分でもどうしたらいいのか分からないんだ!
 だけどこればっかりは自分で答えを見つけなきゃいけない気がする、だからお前を頼れないんだ。」

「・・・」

「今まで協力してくれたこと本当に感謝してる。これからも北村とのことは応援する。
 それは約束する。」

「本当に他の女に乗り換えたとか、そういう下衆な理由じゃないのね。」

「ああ、それも保障する。」

「そこまで言うなら信じてあげる、話はそれだけ、帰っていいわよ。」

「え?お前も一緒に帰らないのか?」

「あんたの話がグジグジ長いせいでこっちはろくにお茶も飲めてないのよ!」

「へいへい、わかったよ。夕飯までには帰ってこいよ。」


こうして竜児は店を出た。

「どうして・・・どうしてなのよみのりん・・・」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:09:59.07 ID:4X3wreMMo
奈々子宅

 『それで?高須君とはどうなったのよ告白したの?』

帰宅して荷物を整理し、シャワーを浴びてしばらくすると親友から電話があった。

「……一応気持ちは伝えたつもりなんだけど。」

『え?なに?・・・まさか振られたの!?』

「違うわよ!なんていうか保留みたいな感じ。」

『えー、なにそれ。奈々子はそれでいいわけ?』

「色々事情があるのよ彼にも。必ず返事はするって言ってくれてるし私は信じてるわよ。」

『あーはいはい、御馳走様。高須君も悪い人じゃないってのはまあなんとなくわかるんだけどさ
奈々子がそこまで夢中になるわけってなによ?」

「そう言われるとなぁ……まあ強いていうならさりげない優しさかな?うふふ」

『はぁ……こりゃまじね……』
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:10:27.08 ID:4X3wreMMo
そして新学期
5人はそれぞれの思惑を胸に秘めて動き出す。

竜児は一人で通学路を歩いている。
どこぞの小さな虎はいくら呼んでも朝飯にすらこないし
いつもの交差点には待ち人はいないし
新学期だというのに竜児の心は晴れてはいなかった。

「高須君っ!」

「うおっ!!って香椎か・・・びっくりさせんなよ」

「うふふ、びっくりしてもらわなきゃ!高須君を驚かせるためにまってたんだし」

「お、おう。そうなのか。あ、ありがとうでいいのか・・・?」

「あのー、二人の世界に入ってるとこ悪いんですけど・・・
一応私もいるんだよねー・・・おはよ高須君」

「あ、ああ悪い気付かなくて、おはよう木原」

こうして孤独な漢の世界から一転
両手に花となった竜児は教室に入った途端に
能登等に尋問されることになるのだがそれはまた別のお話。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/13(月) 15:12:32.45 ID:4X3wreMMo
すいません。
PCのディスプレイが壊れ東芝に修理に出していたんですが
2週間近く帰ってこなくて…
とりあえずバイト前にきりいいとこまで投下させてもらいました。

修羅場?とか告白シーンの書き方がよく分からず
失速感というか色々否めませんが宜しくお願いします。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/06/13(月) 17:48:27.79 ID:jkOhGA/D0

久々の更新、読めてよかったぜ
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/06/13(月) 18:02:44.73 ID:6lYimL6S0
楽しみにしてる
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/13(月) 20:06:48.42 ID:3WQKeGZo0
たのしみだ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/13(月) 22:03:44.28 ID:5KRCZC+70
>>1
奈々ドラ楽しみにしている。1年は長かった。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/13(月) 22:26:27.85 ID:5ku9STXzo
き、きてたーーー

待ってたかいがあったわ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 22:55:44.28 ID:AtB09bXSO
この悶えたくなるようなもどかしさがいいね
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/06/13(月) 23:11:03.23 ID:AcHL+rIK0
おお来てた
乙です

なんだか地の文に奈々子の一人称と三人称が混ざっていて不安定。
あと、>>34で言ってるように漢字使ってくれ。
>>66の最後の2行で上の行は「海」は漢字なんだが、下の行ではひらがなになってる。

もう全部書き終わって投下するだけなんだよな?だからこそ、推敲して欲しい。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/16(木) 14:33:22.10 ID:Jey15l950
まだー
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:19:48.01 ID:D9wpZRI6o
奈々子の心も快晴というわけにはいかなかった。
もちろん大好きな竜児と登校出来て嬉しいのは間違いないのだが・・・
原因は昨晩の電話にあった。

『うっわ・・・櫛枝もえぐいなあ。生殺しってある意味振られるよりきついのに』

奈々子は旅行から帰った後も麻耶に色々相談していた。
相談というよりはほぼのろけに近いものがあったが
それでもなんだかんだ付き合ってくれた麻耶を奈々子は親友だと思っている。
だからこそ事のあらましを親友だけには話すことにしたのだ。

亜美も親友である事に間違いはないのだが、
さすがにこんな相談を持ちかけるほどデリカシーが無い訳ではない。


「うん、私もちょっと可哀想になってそっとしておこうとは思ったんだけど・・・  
 スタートラインから出遅れてるわけだし今行かないとって思っちゃって。」

『まあ正直間違ってはないと思うよ。旅行中にやっとかないと次いつ会えるか分かんないわけだし』

「でもここからどうしたらいいのか分かんないのよね・・・」

『うーん、とりあえず櫛枝とも話はつけなきゃいけないよねー。
 亜美ちゃんとはそっからは話してない感じなの?』

「うん・・・なんか仕事あるとか言ってたし連絡も取りづらいんだよね。」

『でもいつかは仲直りしなきゃんだからしっかりしなきゃ!
 とりあえず亜美ちゃんは放課後スドバに連れ出しとくから』

「うん、いつもありがとね麻耶。」

『なに言ってるのよ、私達親友でしょ!』

------------------------------------------------------------------------
(麻耶があそこまでやってくれてるんだから私もしっかりやらなきゃな)

教室に入ると奈々子は荷物を置き櫛枝の姿を探した。
しかし櫛枝の姿はどこにも見つからず奈々子は首をかしげた。

(朝練にでも行っているのかしら?)

結局HRが始まっても櫛枝は教室に帰ってこなかった。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:21:13.53 ID:D9wpZRI6o
みのりと大河は2時間目の休み時間に二人揃って登校してきた。
竜児はあわてて駆け寄りなにかあったのかと心配している。

それを見るとやっぱりあの二人は特別なんだなと心を痛めてしまう奈々子だった。
そして二人が落ち付いたころ奈々子は意を決してみのりへと近づいた。

「櫛枝さん、ちょっといいかしら?」

「おおう、奈々子さまがわたくしめにお声をかけてくださるなんて。
 何の御用でしょう?」

「奈々子さまじゃないわよぅ、突然なんだけど昼休みちょっと時間いいかしら?」

---------------------------------------------------------------------

「さてと!待ちに待った昼休みなわけだが!この櫛枝に一体何の用だい?」

「お互いまどろっこしいことは無しにしましょうね。話って言うのは高須君のこと。」

その一言でみのりの表情が一変した。
やはり櫛枝にも思うところがないわけじゃないのだろう。
しかしすぐにまたもとの笑顔へと変わる。

「ちょっとよく分からないなあ?高須君に何かあったの?」

「まどろっこしいのはやめてって言ったはずよ。   
 別荘に行った時高須君に告白されたわよね、そしてみのりちゃんはまだ返事をしてあげてない。」

「・・・そっか、もう知ってるのか。今朝ね、大河にも同じこといわれたよ。
 みのりんも竜児のことが好きなんでしょーって」

「っ!?どういうことよ?」

「っていうか香椎さんにはこのこと関係なくない?ちょっとうざいんだけど」

「関係なくない!だってっ・・・私も高須君のことが好きだから、想いを伝えたから・・・」

そこからしばらく沈黙が続いた。
みのりは奈々子の言葉を聞いて一瞬さびしそうな顔をした。
そこから何かをいおうとするのだが呑み込んで その繰り返しだ。

「ならしょうがないか・・・」

「香椎さんもわかってるとおもうけど大河は高須君に惚れてるんだ。
 高須君以外じゃどうしようもないほどに、あの二人はくっつくべきなんだよ。」

「だから返事をしないの?それじゃあ高須君が可哀想じゃない。
 それに逢坂さんだってそんな形でくっつきたいって思ってるわけ・・・」

「誰がどう思うかとかじゃなくて、私が高須くんのこと好きかどうかとかじゃなくって
 くっつくべきなんだよ、大河は幸せにならなきゃいけないんだ」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:23:15.47 ID:D9wpZRI6o
みのりは言葉を絞り出している間もずっと俯いていた。
そんな普段とは打って変わったみのりを見て奈々子も不用意なことを言えなかった。

「やっぱりあんたそんなこと考えてたんだ。」

沈黙を破ったのは奈々子でもみのりでもなかった。

「亜美ちゃん!?」

「なんか麻耶に放課後しつこく誘われたからなんかあるんだろうなーとは思ってたのよね。」

「まさかこんなことしてるなんてね。」

「あーみん、ちょっと今はあーみんとしゃべる気分じゃないんだ。 
 部外者はちょっと黙っててくれないかn・・」

「はぁー?私が部外者なわけないでしょ。
 私だって・・・私だって高須君のことが好きなんだから。
 ・・・ごめんね、奈々子。あの時のはうそ。ケンカとかしてるつもりもない。悪いのは私だから」

奈々子は驚かなかった。
亜美を見てればそんなのは分かっていたから。
それを知った上でくぎを刺した自分のずるさを責めるのにも疲れていた時だったから。

「誰かを好きになるのは他人が止められることじゃないもの。私に謝る必要なんて・・・
 それに誰と誰が付き合うのかも他人が決めていいことじゃない。」

「そうよ、あんたは、私が引いてチビトラと高須君が幸せになれればとか言ってるけどね。
 私はこうして自分の気持ちに向き合ったわ。あんたはどうするのよ。」

亜美はみのりにむけて諭すように言った。
この2人は自分なんかよりもずっと近い距離で大河と竜児を見ていたのだ。そしてお互いのことも。
お互いの気持ちに気付いていないはずがない。

「どうするもこうするもないよ、私はただ・・・」

「今朝あいつと話してきたんだってね、そこで分からなかったの?
 今でもずっと悲しそうな顔してる。そんな顔にさせたのはあんたなんだよ。」

亜美のこの言葉にみのりははっとなる。
確かに大河は昼休みまで竜児がずっとご機嫌取りをしていたのにどこか元気がなかった。

「・・・あたしがしたかったのはこういうことじゃないんだけどな・・・
 違うんだけどな・・・頭冷やさなきゃいけないみたいだね・・・」

「高須君のことはどうするの?」

「ちゃんと自分でけじめつけるから心配しないでいいよ。ごめん。
 勝手だけど少し一人で考えさせて」

そう言ってみのりは歩いて行った。
亜美との二人きりになり少し気まずいなと奈々子が思っていると

「ほんと、ごめんね。」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:25:07.92 ID:D9wpZRI6o
高須竜児は焦っていた。
ある事をしようと決意をしたはいいが、その人を呼び出すことすら出来ていなかったからだ。
朝は不意をつかれたせいで頭からそのことが素っぽぬけ、
休み時間は元気のない大河が気になりご機嫌とり。
昼休みには教室から完全にいなくなっていた。
そして無情にも帰りのHRを迎えてしまったというわけだ。

「起立!礼っ!」

メガネの学級委員長の一言で皆は思い思いに帰宅準備を始める。
竜児の探し人もいつもの仲良しトリオでさっさと帰ろうとしてしまっていた。

「あっ!おい、香椎!まってくれっ」

「あっ、高須君。どうしたの?」

「あ、えと、その・・ちょっと時間いいか?」

----------------------------------------------------------------

「それでおはなしって何?今日はちょっと麻耶とかと約束があるからあんま長くは無理だけど。」

「わ、わざわざすまん!どうしても言っておきたい事があって。」

竜児は今まで自分で何かを決めるということをしてこなかった。
周りのため、母のため自分のことは二の次で生きてきた。
だから怖かったのだ。初めて自分で考えて行動する、時間をおいてまた流されるのが怖かった。

「夏休みのこと覚えてるか?あの時返事を待ってほしいって言ったよな。」

「もちろん覚えてるに決まってるじゃない、もしかして話しって・・・」

「あ、ああ。そのことだ。」

ついに来ちゃったか・・・
奈々子は自嘲気味にほほ笑んだ。
みのりはけじめをつけると言ったのだ、自分も好きだと伝えたのかもしれない。
亜美も自分の気持ちに向き合うと言った、どうあがいても勝ち目は薄いだろうなと昼休みから考えてはいたのだ。

「・・・じゃあ、聞かせてほしいな。」

でもここで逃げたら竜児を困らせることになる、その一心だけで奈々子は微笑んでいた。

「お、俺は今まで誰にも告白とかされたことなくて・・・されるとも思ってなくて。 
 あの時は櫛枝のこととか重なっちゃって返事できなかったけど・・・」


「俺も香椎のこと好きだ、一緒にいて安心させてくれる香椎が好きだ。
 こんな俺でよければ宜しくお願いしたい。」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:26:54.03 ID:D9wpZRI6o
そう言って竜児は頭を下げた。
奈々子は何が起きているのか分からなかった。
目の前の愛しき人の発した言葉は自分の想像と百八十度ちがったから。

「え・・・、だってみのりちゃんとか・あ、亜美ちゃんだって・・・」

「櫛枝には昼休みに言われたよ、結局幽霊は見えなかったごめんってな。
 でもそれを言われる前から決めてたんだ、香椎を選ぼうって。言い訳っぽいけど信じてほしい」

「ほんとに高須君はそれでいいの?みのりちゃんみたいに明るくないし
 亜美ちゃんみたいに可愛くない、こんな私でいいの?」

「ああ、っていうか結構Sっ気があって冗談も言えて、しかもか、可愛い香椎じゃないとダメだ」

奈々子の目からはこらえきれなくなったように涙がこぼれた。
恋愛ドラマで想いが成就して泣くシーンを、リアリティがないなどと思っていた奈々子だが
いまこの瞬間にその気持ちを痛感した。

「・・・あ、ありがとぅ・グスッ、ほんとありがとうね・・・」

「え、あ、いや泣くな香椎!?」

まさか泣かれるとは思っていなかった竜児がおろおろしていると
帰ってこない親友を心配したであろう麻耶たちが向こうからやって来た。

「あーーっ!!高須君、なに奈々子泣かせてんのよ!!
 あっ!?まさかあんた奈々子のこと振ったんじゃないでしょうね!!」

「い、いや俺はそのだな・・」

「違うわよ、その逆。」

亜美とはまた話さなきゃいけないことが出来てしまったが
それでも心配してくれている親友のためにいつまでも泣いているわけにはいかない。

「奈々子、大丈夫?・・・ってか逆って・・・え!?まさかもしかして!?」

「私達このたびめでたくカップルになりました。宜しくね」

「カ、カップルって・・・まあ嘘ではないんだが・・・」

いきなり女子に囲まれてしまいすっかり委縮してしまった竜児をおいて
奈々子たちは会話に華をさかせる。

「はぁー、亜美ちゃん宣戦布告した瞬間に終戦とかまじ切ないんですけど・・・」

「ごめんね、亜美ちゃん。」

「なーに謝ってんの、さっきの約束もう忘れたの?
 それにあんまり油断してると横からかっさらうからね!・・・ねっ、竜児!!」

「ちょ、ちょっと亜美ちゃん人の彼氏にちょっかいださないでよ!高須君も反応しないで!!」


自分は告白をしに来たはずなのに相手に泣かれて
なぜか川嶋に名前で呼ばれ、出来たばっかの彼女に怒られ
ただでさえ落ち着かない自分の周りが一層騒がしくなってしまった。
そううろたえる竜児だったが、その顔には自然と笑顔が浮かんでいた。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:28:16.18 ID:D9wpZRI6o
こっからは蛇足です。
後日談が欲しいとのことで書かせてもらいましたが
完全に最後の方無理やりで・・・
〆方がよく分からないんですよね。すいません。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:28:54.74 ID:D9wpZRI6o
「はぁ・・・さっきから鏡ばっか見て、飯の時くらい落ち着かんか。」

「うるさいわね、私にもいろいろあんの。ってかどっかへんなとこないよね?」

「変ってこたぁないが・・・男か?」

そう言って目の前の中年親父はさびしそうな眼をする。

「・・・そうよー、今日はデートなの。今度家にも連れてくるわね。」

でもその胸の内をしってるからこそ嘘はつかない。
要するにまた置いて行かれるんじゃないかと怖がってるだけなのだ。

それにしてもあの奥手の竜児とデートなんて、と思うかもしれないが
昨日こんなことがあったのだ。

----------------------------------------------------------------
「奈々子ー、高須君とはどこまでいったのよ。あれから結構たつけど。」

「どこまでって言われても・・・」

奈々子たちは放課後3人でスドバでだべっていた。
竜児と付き合うようになっても3人の時間は大切にしたいのでここらへんはしっかりとしている。

「え!?まさかもうやっちゃったとか?どうなのよー。」

実際はその逆なのだ。やっちゃったどころか手すら繋いでこない。
それどころか名前さえ呼んでもらえないのだ。
ただメールとか電話ではよくはなすし、度々好きって口に出してくれているので
奈々子も我慢しているのだがやはり不満はあった。

「だから言ったじゃん。あいつはそういう奴なのよ。もう押し倒しちゃえばー?」

「もう!お、押し倒すとかはまだはやいわよ・・・それにちゃんとデートとかもしてるし」

「えー!あれはデートって言わないよ!二人で学校帰りにスーパー行ってるだけじゃん。」

「げっ、さすがにそれじゃダメでしょ。やっぱこうロマンチックなとことか行かないと。」

奈々子も分かってはいるのだが、竜児の金銭的な都合も知っているだけになかなか休日デートには誘いづらい。
かといって平日も家事があるのだから夜遅くまでは一緒にいられない。

「しょうがないなあ、はい。」

そう言って亜美は2枚のチケットを渡してきた。

「これ・・・」

それはらくーじゃの1日パスだった。
らくーじゃには少なからず竜児との思い出があるのでまた行きたいとは思っていたのだが。

「どうせ前言った時もチビトラが一緒だったとかそんなんでしょ。
   今度は二人で行ってきなさいよ。」

「でもこれ結構高い奴なんじゃ・・・」

「いいのいいの、どうせ撮影でもらった奴だし、ママにゴマすっとこうって考えが見え見え。」

そういうと亜美はあ〜いやだと言ってアイスティーを飲み干した。

「そういうことならありがたくもらうけど・・・」

「そうそう、もらっておいて。奈々子スタイルいいんだからしっかり水着で悩殺しちゃいなよ。」

「らくーじゃって確かプチシアターとかもあったよね。
   デートコースにぴったりじゃん、亜美ちゃんナイス!」

盛り上がる二人に顔を赤くする奈々子だったが
その場ですぐ竜児に電話をして了承をもらうあたり
やはりデートらしいデートがしたかったのであろう。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:31:19.20 ID:D9wpZRI6o
少年はいつものようにエプロン姿で台所に立ちながら
いつもと違う表情でなにかを考えていた。
長年の恋の悩みも解決して何を悩む事があろうかという話だが
ここは少年の考えも聞いてやって欲しい。
学校でこんな話があったのだ。

-----------------------------------------------------------------------------
「高須君、ちょっといい?」

放課後になり特売に乗り込もうとしていた少年に話しかけてきたのは
担任の独神(恋ヶ窪ゆり30歳独身)だった。

「今日のHRで進路の話をしたわよね
 高須君は真面目だし成績いいから国立の選抜コースに推薦しようと思うんだけどいいかしら?」

この時点まで少年の頭の進路表は「就職」の一本道だった。
家庭が苦しいことは理解しているし
母親に反対はされているがそれも説得すれば何とかなるだろう。
そう考えていた少年にとって担任の言葉は深く突き刺さった。

「就職か…確かに高須君の考えも分かります。
 だけど大学受験ってのは一生を左右するものだから焦って決めて得なんてことはないの。」

もう一度じっくり考えてみてね、と言い残し独神は職員室へと戻っていった。
たしかに担任の言っていることも分かる、しかし自分が大学に行くとしてそのお金はどこから出るのか。
母親にこれ以上負担をかけることはできない。
その狭間で苦しむ少年に答えはなかなか見つからなかった。

「ん?こんな時に誰だ?」

そんな時ふと鳴った携帯電話。
呼びだし人は最近できたばかりの愛する彼女。
実をいうとクラスが同じこともあり、メールは頻繁によくしているのだが
電話でわざわざ話すという機会は少なかった。
なんか初々しいなと多少顔を赤くしつつも待たせてはいけないので電話に出る。

『あ、もしもし。いま時間とか大丈夫?』

「おう、大丈夫だぞ。それにしても電話とか珍しいな、急ぎの用事か?」

『そういうわけじゃないんだけど電話しろってうるさくて・・・」

「え?誰がうるさいんだ?」

『い、いやいや、いいの、今のは気にしないで。
 それよりも本題なんだけど・・・竜児今週末って暇かな?」

「今週末か?うーん、特にこれといった用事ははいってないな。」

『じゃ、じゃあ一緒にらくーじゃとか行かない?・・・もちろん二人で』

そういう彼女の声は少し恥ずかしそうだった。
竜児は自然と顔がにやけてしまうのを感じた。
自分に彼女が出来たばかりでなく、その彼女がデートに誘ってくれたのだ。
これがにやけずにいられるかという話だ。

「おう!もちろんいいぞ、行こう行こう。待ち合わせは10時頃駅でいいか?」

『ほんとっ!?ありがとう。私もそれくらいにしようと思ってたからちょうどいいわ。』

こうして竜児は生まれて初めてデートなるものの約束をしたのだった。
しかし返事を待たせておいて、デートまで相手から誘われるまで待ってたなんて
我ながら情けないと竜児はにやけっぱなしの自分に喝を入れるのだった。

その日高須家の食卓にはいつもより若干焦げ臭い料理が並ぶことになったとさ。
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:32:40.80 ID:D9wpZRI6o
土曜日の朝、竜児は思い切って9時に家を出た。
こんなに早く出たら待ち合わせの30分以上前に着く事になるのだが
デートをしたことのない初心な竜児は

『ごめーん、待った?』 『ううん、今来たところ?』

とべたべたなやり取りをするのがデートの常なんだと信じていたのだ。

(やっぱ最初だしかっこいいとこ見せとかなきゃな、うん)

そう意気込む竜児の顔を見て通りがかりのおばさんが小さく悲鳴を上げている事など
いまの竜児には些細なものなのだろう。

そして予定通り9時半には駅に着いた竜児なのだがそこにはすでに待ち人がいた。

「あっ、おはよう!竜児も早いのね。」

「え、あれ?約束は10時じゃなかったか?」

「うん、そうよ。だけどほら・・・初デートじゃない?楽しみで早くきすぎちゃった。」

そう言って花が咲いたような笑顔を見せる奈々子を見て、自分の幸せを実感する竜児だった。

「待たせたりしてないか?」

「ううん、早く来たって言ってもほんの10分前ぐらいだし。」

「そうか・・・もう少し早く来ればよかったな。」

「ほんと気にしないでいいってば、それに竜児だって十分早いわよ。」

「だって、その方がもっと早く香椎に会えただろ?」

いいながら顔が赤くなるのを感じる竜児だったが、
待ち合わせの計画が崩れた今、少しでもかっこつけたいので恥ずかしさは抑え込む。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:35:05.99 ID:D9wpZRI6o
「だって、その方がもっと早く香椎に会えただろ?」

どきっ
やだ、不意打ちは卑怯よ・・・
竜児はものすごい鈍いくせに、たまにこういうことをいうから困る。

(まあそういうところも大好きなんだけどね!)
奈々子は自分の幸せをかみしめていた。

「もうそんな恥ずかしいこといってないで行きましょ。
 せっかく早く来たんだから思いっきり遊ばなきゃ。」

そう言ってにやけ顔を見られまいと先に歩き出す奈々子。
それを慌てながら追いかけてくる彼氏が可愛くて
またにやけてしまう自分には無駄な努力かもね、と心の中でも笑っていた。

----------------------------------------------------
夏休み直後ということでらくーじゃも人がごった返している訳ではなかった。
なにより亜美のくれた1日パスというのが相当すごいものだったらしく
施設の待ち時間はほとんど無いに等しいし、食事までただだというのが驚きだ。

奈々子このデートが終わったら改めて亜美ちゃんにお礼をしなきゃなと改めて思う。

二人はある程度のアトラクションを遊び終え、いったん甘味処で休憩を取っていた。

そういえば前に竜児と話したのもこの甘味処だったな、等と奈々子が考えていると
テレパシーでも伝わったのか竜児が口を開く。

「香椎は覚えてるか分かんないけど、ここって前にも来たよな。ほら大河と3人で」

「もちろん覚えてるわよ、だって私そのころから竜児のこと好きだったのよ。」

「え、あ・・・ありがとう」

「でもあの時は結構ショックだったなあ。竜児2人の女の子が気になるって言ってたでしょ?
 あれ絶対亜美ちゃんとタイガーのことだと思ってたもん。」

「だ、だからおれは香椎と櫛枝のことを・・・なんかそのすまん。」

「ううん、いいの。だってこうして竜児はいま私といてくれてるしそれに・・・」

「私のこと好きっていってくれたでしょ?」

「も、もちろん!いまはもう香椎一筋だ、誓ってもいいぞ。」

「ありがと、私も竜児のこと大好きだよ。」

メニューを持ってきた店員が軽く引くぐらいに二人の世界を作り出す彼女たちだったが
幸せそうなので良しとしよう。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:37:58.14 ID:D9wpZRI6o
「そういえば香椎は将来の夢とかって決まってるか?とりあえずの進路とかでもいいんだけど。」

「なんか学校でそういう話出たわね。うーん、竜児のお嫁さんってのはどう?」

「ばっ、いや、そうじゃなくて、いやその気持ちはありがたいし俺もそうなったらって思ってるけど・・・」

「ふふっ、分かってるわよ。ちょっとからかってみただけ。
 真面目な話をすると普通にどっかの大学行ければいいかなって。」

「ずいぶん漠然としてるんだな。」

「そりゃそうよ、竜児が大学行くなら私も同じ大学行きたいし。
 でも私文系だから勉強し直しなのよね。まあ最後は竜児に教わればいいから楽なんだけど。」

「・・・」

「ん?どうしたの?」

「大学の話なんだけどな、俺就職しようかなって思ってるんだ。」

「・・・泰子さんのため?」

竜児はうなずく。
奈々子は竜児の家庭のことをある程度聞いていた。
自分も片親であるが故に考えそうなことは容易に想像がつく。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:38:24.16 ID:D9wpZRI6o
「先生には言ったの?」

「ああ、先生は俺を選抜に推薦したいって言われた。それを断ったけどもう一度よく考えなさいって。」

「まあそう言うでしょうね。」

「でもいくら考えてもこれ以外に出てこないんだよな。泰子にこれ以上無理させる訳にいかないし。
 かといってバイトすら許してくれないし。」

「香椎だったら分かってくれるか、俺の気持ち。」

「分かるか分からないかって言うと・・・分かるわよ。」

「私の家庭も似てるもの。泰子さんに無理させたくないって気持ちもわかる。」

「だ、だよな!じゃあこのまま泰子を頑張って説得してm・・・」

「でも」

竜児の言葉をさえぎってそれでも奈々子は言葉を続けた。

「それって結局竜児独り相撲じゃないのかな?」

「だって竜児の家庭がつらいのは今に始まったことじゃないでしょ?
 それでも高校卒業までやれてるじゃない。」

「で、でもだな・・・」

「泰子さんだって進学を望んでるんだし進学すればいいじゃない。」

「そんな簡単に言うけど・・・」

「ただ、ただ私は竜児がどんな道を選んだとしてもそばにいたい。
 竜児がつらければ支えてあげたい。いまだってもっと早く相談に乗れたのに。」

「・・・すまん」

「竜児はね、一人で何でも抱え込みすぎなのよ。泰子さんのことにしてもそう。
 母親なめちゃダメよ。子供のためだったら自分の限界なんて軽く超えられちゃうんだから。」

「竜児はそれをいままで通り支えてあげればいいじゃない、ご飯作ってマッサージして。
 それが泰子さんの活力にもなってると思うよ。」

「それに・・・」

「辛かったらもっと私を頼ってよ、私はいつでも竜児の味方だよ。」

「香椎・・・」

「あ、でも竜児もちゃんと私の味方でいてね。優しくしてくれないと怒るからね。」

「も、もちろんっ!それは約束する。」

「じゃあこの話はこれでおしまい。これからは全部私に相談することっ。いい?」

「お、おう……なんか香椎って強引っていうかなんていうか真面目になると結構怖いんだな……」

「しょうがないでしょ!だって私は大橋学園の番長、高須竜児の彼女なんだよ?」


これまた懐かしいネタを引っ張り出されて慌てる竜児に
それを見て楽しそうに笑う奈々子。
これからも二人は様々な出来事を経験していくのだが
それはまた別のお話。                                   〜fin〜
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/16(木) 16:41:04.77 ID:D9wpZRI6o
一応これで終わりです。
わずか100レス足らずでここまで時間かけちゃってすいません。
ってか最後の桃香また推敲出来てませんね・・・・・・・
本当申し訳ないです。

そして今タイトル間違えたことに気がつきました。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 20:49:28.89 ID:h/SmpuaIO


欲を言えば結局この竜児は進路どうしたのかまでみたいなーなんて思ったり
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/06/16(木) 21:19:53.91 ID:CtYLrFwq0
万雷の乙を!!
上に同じく竜児と奈々子がどうなっていくか文章で読んでみたいってのはあります
何気なく亜美ちゃんがいい子でよかった。らくーじゃの券とかやっぱり優しすぎる
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 21:24:00.24 ID:8i6cRF4DO


ちょっとあっさりした話だったな。この後も欲しいところです。

一人相撲→一人善がりじゃない?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/16(木) 21:41:50.37 ID:jnekTS2a0
>>1 支援 endingまで読めて感謝している。これなら入試編できるんじゃない?
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 23:25:02.90 ID:v7hc5IQSO

話があっさりと進行しててちょっと物足りないかな
ドロドロとした恋愛話を期待してたから……

大河や亜美視点で展開される話も見てみたかった
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 23:29:29.71 ID:2++xgjTIO


もっととらドラSS増えないかねえ
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/17(金) 04:42:56.69 ID:dUvFQL+So
>>1です。
バイトから帰ってきました。
予想より読んでくれてる人多くて嬉しいですww

あっさりした話しって感想が多いですね…
確かに最初はもっとからませてどろどろにする予定だったんですが
竜児の性格上大河の父親の場面あたりまでくると
放っておけなくなって大河ルート確定な気がするんですよね、自分の中では。
盛り上げるって意味ではドロドロ必須ですね・・むむむ
あえてあっさり行ったんですが失敗でしたねwwww申し訳ない……

遅レスにはなると思いますが一応後日談とういう形で投下しようとは思います。
改めて、読んでくれた人ありがとうです。
亜美ちゃん派です。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/18(土) 01:47:01.49 ID:h5JN77wAO
乙ですドロドロちょっと期待してたw
とらドラって色んなキャラの視点で見たいよね。みのりサイド、タイガサイド 一番見たいのは亜美サイド
107 :名無しNIPPER [sage]:2011/06/18(土) 05:39:56.54 ID:0BgtK8iAO
精液ドロドロ展開ですね…わかります
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/19(日) 10:16:03.51 ID:HbhpWLvAO
はーれm(ry ゲフンゲフン
…いや、何でもない
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 19:52:04.05 ID:c6EMHoISO
続きまだ?
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 00:32:05.93 ID:wtLSDR+4o
>>108
俺もそれ見たい
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/29(水) 12:34:33.90 ID:HW4updyp0
俺もハーレムみたい
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/29(水) 12:48:46.70 ID:HW4updyp0
ラタージャでのデートを終えてから数日経ったある日。
いつもの3人でスドバに寄って、経過を報告していた。

「亜美ちゃん、本当にありがとね。思い出に残る素敵なデートができたわ」
「ううん、いいのよ。気にしないで。それよりも……奈々子に貸しができたわね」

と、いたずらっこな笑顔で奈々子に微笑む亜美。
奈々子も多少たじろぎながらも、借りを返す意思があることを伝える。

「私にできることならなんでも言って? さすがにお金関係とかはムリだけど……」
「それじゃあねぇ……亜美ちゃん、竜児とデートしたいな♪」
「「ブッ!?」」

奈々子だけじゃなく、麻耶まで口に含んでいたカプチーノを吹いた。
瞬く間に3人が使っているテーブルが汚れ、二人と対面している亜美の顔にもカプチーノが掛かった。

「ちょっ、マジ汚いんですけど!? うわっ、最悪〜……」
「げほっごほっ、亜美ちゃん、ごめん、でも」
「じょ、冗談だよね、亜美ちゃん?」

奈々子はむせながら謝り、麻耶は亜美の真意を確かめようとするが、

「本気よ? 竜児は奈々子のモノになったけど、私だって諦められないんだから。かといって、
親友から彼氏を奪い取るマネしたくないし……それならいっそのこと、共有したほうが平和的じゃない?」

と、真面目な顔で言ってのけた。
これには奈々子と麻耶の両名は面食らい……

(続きが省略されました。続きを表示するにはオタンコナスと打ってください)
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/29(水) 13:05:35.16 ID:jffLbhKDo
オ夕ンコナス
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/29(水) 13:11:49.00 ID:HW4updyp0
なんだと!?
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/29(水) 14:08:28.37 ID:n2GNWWQ90
オタンコナス
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 15:55:18.70 ID:W/xodXf2o
「よし、俺がみっちりと教え込んでやるよ。」

「えー、優しくしてよ。」

場所は高須家。
あれから竜児の家に度々お呼ばれし、
泰子ともすっかり仲良くなった奈々子たちにはおなじみの光景だった。

季節はすっかり秋も深まろうかという頃
二人は恋人同士の階段をまた一つ上り新たな段階へ踏み出そうとしている……
わけではなく二人の視線はちゃぶ台の上の教科書へと注がれていた。


結局奈々子に説得され
進学の道を選んだ竜児を後追いする形で勉強を始めた奈々子だったが
もともと文系志望だっただけにこうして数学等を教わっているのだ。

「いいか、この形を見つけたらまずこの公式に当てはめてだな。」

竜児の教え方はとても丁寧で分かりやすく大助かりの奈々子。
何より真面目になると結構格好いい恋人の顔を見ているのが幸せだった。

「まあ今のやり方でこのページは解けるはずだから、
 また分からない所があったら遠慮なく言ってくれな。」

正直言って今も竜児の顔に見とれ上の空気味だったのだが
そんなこと言えるはずもなく勉強会の度に四苦八苦しているというわけである。

「でもやっぱり考え直した方がいいんじゃないか?
 な、奈々子はもともと国語とかの成績も悪くなかったわけだしわざわざ志望校かえなくても……」

奈々子が教科書と睨めっこしているのを見ると決まって竜児はこう言う。

「何言ってるのよ。私が頑張るって決めたからいいのよ。
 何より竜児とおんなじ大学でまた4年間過ごせるならこんなのへっちゃらよ。」

「奈々子……」

この返しももう何度目になるだろう。
二人の仲はゆっくりだけど、それでも確実に深まっていった。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 16:04:37.60 ID:W/xodXf2o
「あのー、お二人さんいちゃいちゃするのもいいんですけど、
 亜美ちゃん真面目な気持ちで勉強しに来てるんだよねー。」

はっ!
見つめ合う二人の間に出来ていた桃色空間が一瞬にして消え去る。

「か、川嶋、すまん別にいちゃいちゃしてたわけじゃ……」

「別に二人がなにしてたって文句言えませんけどー、
 私だってバカップルの邪魔しに来ちゃ悪いかなーってほんの少しは考えてるわよ。」

「んなバカップルって・・・」

そう、この勉強会には亜美も参加している。
モデルの仕事があるため毎回とは行かないが空きを見計らっては
ちょくちょく来ているのだ。

「それにさ私の事はいつまでもよんでくれないのに
 奈々子は呼び捨てに……」

「ん?すまん。よく聞こえなかった。もう一度頼む。」

「なんでもありませんよーだ。」

まあ亜美もまだ竜児の事をあきらめたわけではないようだが
別に寝取ったりそういう展開を希望しているわけではなさそうなので
奈々子も安心していた。
何より亜美がそういう娘でないことは奈々子自身がよく知っている。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 16:19:54.04 ID:W/xodXf2o
「ごめんね、亜美ちゃん。
 でも本当にいちゃいちゃしてたわけじゃないのよ・・・・・」

「まあ別にいいわよ。それより奈々子の方は大丈夫なの?
 もう模試まで時間ないわよ。」

奈々子たちの目指す大学は幸い指定校推薦があり
模試でいい結果を残し少しでも有利に進めようという腹だ。
最初からこの大学を志望していた竜児に譲るために
一般試験を頑張るという話もあったのだが、
自分は一般でも大丈夫だから気にするな等という。
別に他意もなくこんなセリフがサラっと言える竜児に二人は思わず苦笑いしたものだ。

「そうね……物理と化学は何とかなったんだけど数学Aがちょっと。」

奈々子は比較的記憶物が得意な方だと自分では思っていたのだが
三平方等同じような数字や記号が並べられるとパ二くってしまいよく分からない状態が続いていた。

「まあ確かにAは目立った対策とかもないからな……
 でもその分やりこめば誰でも解けるようになるってことだから。」

すかさず竜児がフォローを入れる。

「ふーん。まあ私も数Aは苦手なのよね、模試までに何とかなるといいけど。」

そんな風に弱音をはき始めてしまった二人を竜児がなだめていると
ふすまの奥から声が聞こえた。

「竜ちゃーん、だれかいるのぉ?」

奥から出てきたのはこの家の主である泰子だ。
例のごとく仕事帰りにそのまま寝てしまったらしく
メイクも落ち切っていなく髪もぼさぼさなのだが
本当に一児の母なのかというぐらい若々しい。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 16:26:48.12 ID:W/xodXf2o
「あ、すいません。起こしちゃいましたか?」

「あ、奈々子ちゃんと亜美ちゃんだ。いらっしゃいでがんすー。」

「メイクぐらいちゃんと落として寝ろって言っただろ。
 それとまだそんなしゃべり方してるのか……」

いつものように竜児のお小言が始まるが
すぐにメイク落としのシートを持ってきて顔を拭いてやり
着替えをも用意しているあたりさすがである。

「えー今の若い子にはこれが普通なんだよー。
 それよりみんなちゃんとお勉強してて偉いねー。」

よしよしと言って頭をなでてくれる。
泰子はすぐに奈々子を受け入れてくれたし何よりとても優しい人だった。
こんな人なら嫁姑問題も心配ないだろうなんて
一人で想像し、そんな自分に思わず笑ってしまう。
奈々子はそんな日常を大切にしている。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 16:29:57.70 ID:W/xodXf2o
まあ例のごとくきりがいいとこまでです。
最近祖父の不幸や色々なことが重なり
書きため出来ていません……

今回のも即興で書いたのでくだらないかもしれませんが宜しくです。

あと>>112の方の方がおもしろそうですし
需要があるようですので書いていただいてかまいません。
まあその時は自然にいなくなってるので気になさらずww

本当に個人的な意見なのですが
ハーレム物は竜児の性格的に原作レイプなので書きたくありません。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/29(水) 20:18:40.75 ID:HW4updyp0
>>112だけど続き待ってる
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/30(木) 08:49:20.30 ID:9xj24FYko
亜美ちゃんは天使だから>>112的なことはないだろうし
>>1の言いたいこともわかる
それでもハーレm・・・
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 12:43:59.15 ID:XcozZ273o
まだ・・・まだ続きが足りないでガンス
おたんこなす、おたんこなーす!!!
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/06/30(木) 15:12:08.47 ID:RtDEtINP0
>>120
待ってる
俺もこんな日常が大好きだ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/30(木) 20:19:36.63 ID:rien7KTQ0
高校2年生の初秋を描いてくれる、そんな優しい>>1を応援している。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 12:01:37.43 ID:ROb8lnAIO

おもしろかった
書けない事情は言い訳っぽく見えるかもしれないし、わざわざ書かなくっていいよ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/07/01(金) 17:26:46.44 ID:LiSdncr5o
やっちゃあああああああああああああああああああああああああああああああん
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 06:55:34.32 ID:+5jUrnDSO
まったりと松
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/02(土) 15:01:25.37 ID:0GhPlwOdo
ゆったりと竹
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/02(土) 15:45:40.63 ID:nNLaFsq+o
べったりと梅

にはまだ早いか
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/06(水) 19:51:45.69 ID:mKxZQa3AO
それより早くせくr…
言わせんな恥ずかしい
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/07/15(金) 17:10:39.01 ID:7K0ZtnQI0
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/07/15(金) 17:11:52.21 ID:7K0ZtnQI0
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/20(水) 13:23:01.49 ID:Wp96cPXAO
誰か来てる?
>>1コールをするから皆続けー
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/07/22(金) 00:13:51.72 ID:hVrcTFCq0
>>1コール
まーだー!?
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/22(金) 02:46:39.50 ID:dio9GGmd0
なんだよ・・・上がってるから>>1がきたのかと思ったじゃねえか・・・
期待させやがって
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 17:09:32.74 ID:HYGQQaxIO
東海と埼玉、黙ってろ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/09(火) 23:22:34.42 ID:MH0/59ySo
まだか
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 17:50:11.12 ID:qbaQHlQt0
もう1は来ないようだな
102.67 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)