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姉「……」 妹「……」 兄「……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:44:45.93 ID:txMx4WVN0
SS速報に書くのはじめてで不安なんですけど頑張って書きます
スレタイが微妙なのはいつものこと

ろくに書いたことのないほのぼの?系なのでうまくやれる自信はないけど
あ、あとエロも入れちゃうかもしれない それと駄文です そして眠いです

でも行けるとこまで行きます書きます
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/22(日) 00:46:09.78 ID:UlINz8PDo
見ているぞ。フヒヒ
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:46:50.15 ID:txMx4WVN0
―――

姉「……」

妹「……」

姉「…あんた人の部屋で何してんの」

妹「お姉ちゃんのBL本捨てちゃおうと思って」

姉「なんであんたにそんなことされなくちゃならないんだよ」

妹「…だって、お姉ちゃんも捨てたじゃん、こないだ」

妹「…あたしのGL本、7割くらい」

妹「それも、黙って、勝手に…!」プルプル
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:47:39.17 ID:txMx4WVN0
姉「…あれは悪かったって言って謝ったでしょーが」ポリポリ

姉「そんであのあと同じ冊数だけ別なの買ってやったじゃん」

妹「…なんであたしが許したことにして進んでんのさ」

姉「…許してくれてなかったの?」

妹「当たり前でしょ」

妹「しかも新しく買ってきた奴だって全部」

妹「お姉ちゃんが売り払ったやつほどハァハァできなかったし」

姉「…あれ全部で500冊くらい買った気がしたんだけど」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:48:19.89 ID:txMx4WVN0
妹「てゆーかさ、そこじゃないよね」

妹「なんで人のお気に入りの本勝手に売っちゃえるんだか」

妹「あたしには理解できないんだけど」

姉「…妹が百合なんていう非生産的かつ排他的な趣味に走ったら」

姉「止めてやんのが姉の仕事でしょーが」

妹「…独断的かつ偏見的な見方の」

妹「腐女子無駄巨乳には言われたかないよ」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:49:43.82 ID:txMx4WVN0
ガチャッ

兄「…おまえら、なんでそんなどーでもいいことで夜遅くまで言い争ってんの?」

姉「ちょっと、女の子の部屋にノックもしないで入るなんて」

姉「最低な腐れ男のすることよ、馬鹿弟」

兄「…なんでそこまでいわれねーといけねーんだよ」

兄「そもそも腐った女の事は女の子って呼んだらいけないんだよ、よく覚えとけ」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:50:11.24 ID:txMx4WVN0
妹「そいで何しに来たの?」

兄「だからおめーらがうるせーから苦情つけに来たの」

妹「…だってさー、お姉ちゃんがひどいんだもん」

兄「おめーの部屋にはパソコンがあんだろ、あれで我慢しろよ」

妹「そうは言ったってさ、お兄ちゃんだってあれでしょ?」

兄「何」

妹「ベッドの下のエロ本お母さんに勝手に捨てられたらどー思う?」

兄「…恐ろしくてかなわないんだけど」

妹「でしょ?そんな感じだよ」

兄「いや、今のお前の感覚はそーいうんじゃないと思うんだ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:51:39.62 ID:txMx4WVN0
姉「じゃあどーいうのになるのさ」

兄「…俺は自分のエロ本を捨てられたとしてもお袋のエロ本を捨てたりしないから」

姉「なるほど」

妹「関係のちがい、みたいな感じかな」

兄「…でさ、おまえら結局どーすんの」

兄「姉貴はBL本捨てられていいの?」

姉「ダメ」

姉「…ってかなんで話の内容知ってんの?」

兄「いや だってさ うち壁薄いし筒抜けなんだわ」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/22(日) 00:52:00.10 ID:xej2n3peo
何この機械的な会話怖い
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:52:37.23 ID:txMx4WVN0
妹「…そろそろ話を進めないと退屈してくるよ!」

兄「わかってるっつーの」

兄「そんで妹、お前は姉貴の本捨ててやらないと気が済まないんだよな?」

妹「そりゃあね」

兄「…普通にさ、姉貴が妹に捨てた分買い戻したように」

兄「同じだけ妹が買ってきてやればいいんじゃね」

妹「…ほう、それで私の味わった微妙なコレジャナイ感を」

妹「このデカチチに味わわせてやろうということかっ!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:54:17.09 ID:txMx4WVN0
>>10 ごめんなさい

無駄レスついでに

兄→高校生 性癖、性欲はふつう

姉→社会人 腐女子 巨乳

妹→中学生 レズビアン
12 :まちがえた >>9だった [saga]:2011/05/22(日) 00:55:00.50 ID:txMx4WVN0
兄「…それでおあいこでいいよな、姉貴」

姉「…仕方ないわね…」

妹(…適当な中古BL本だけ引っこ抜いてありあわせで買ってやればいいんだもんねーだ)

妹(思い知れこの牛が!!)

姉「…でもさ、あたし妹と違って」

姉「………男と男が絡んでればそれだけで興奮するから」

姉「ぶっちゃけどれでもいいかな、なんて」

妹「」

兄「…アホらし、寝るわ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:55:41.37 ID:txMx4WVN0
―――

チュンチュンチュンチュン

兄「…んぁ、朝か」

兄「…あれ?」

兄(…なんか、上に乗っかってる…)

妹「……」

兄「…なんで?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:56:25.34 ID:txMx4WVN0
兄「…おい、起きろ異常性癖」

妹「…むにゃ…誰が……異常…せいへk…だ…」

妹「…むにゃっ」

兄「おいツッコミだけ入れてまた眠ろうとすんな、降りろっつってんだよ」

兄「ていうかありえねーんだよ、なんでおめーがここにいんだ」

兄「俺とお前の部屋は姉貴の部屋をはさんだ向こうじゃねーか!!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:56:54.10 ID:txMx4WVN0
兄「…あれ?ドアが開いてる…」

兄「…とりあえず降りろ」ドサッ

妹「あいてっ」ボフッ

兄「…俺の経験上こいつが一度眠ってから夜中にまた起きたパターンは一度もない」

兄「もしや…」スタスタ


妹「……」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:58:57.92 ID:txMx4WVN0
兄「…やっぱり開いてるし、妹の部屋のドア」

兄「あいつ、寝ぼけて転がってきたのかな、俺の部屋まで…」

妹「…そんなわけないでしょ」

兄「…あ、起きた?」

妹「……」スタスタ

兄「…一階に降りてった…」

兄「変なの」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 00:59:25.64 ID:txMx4WVN0
妹「…ばか」

妹「…いつまでも子ども扱いして」

妹「…最悪」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:00:21.19 ID:txMx4WVN0
姉「あれ、妹」

姉「今日は早いね」

妹「…まぁね」

妹「…ってか、何これ、今日の朝ごはん…」

妹「野菜ばっかじゃない…」

姉「いやー、昨日ご飯当番兄だったでしょ?」

姉「そんでお肉多かったなーと思って」

妹「…だからって、全部野菜は極端でしょ、お姉ちゃん…」

姉「あ、あたし兄呼んでくるね」

妹「…人の話を聞けっ!」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:00:50.06 ID:txMx4WVN0
―――

姉「ごちそうさまでしたー♪」

妹「…ごちそうさま…」

兄「ごっ…ごちそうさま…」

姉「どうしたの、二人とも?」

兄「…どーしたもこーしたもねーよ、野菜だけの朝飯とかマジないわ…」

妹「今日午前中体育あるのに、これじゃ昼まで持たないよ…」

姉「…もう、当番制なんだから仕方ないでしょ、我慢して気力で頑張りなさいな」

姉「それじゃ、あたし行ってくるから、仕事」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:01:34.56 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…あのさ、妹」

妹「……」

兄「…おいってば」

妹「…何?早くいかないと遅刻しちゃうでしょ、お兄ちゃん」

兄「うっ…じ、じゃああとでな…行ってきます」

妹「…行ってらっしゃい」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:02:31.14 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…あーあ、妹のやつ、何怒ってたんだか」

幼馴染「おいおい兄君、独り言にしては声がでっかいかなぁ〜」

幼馴染「妬けちゃうな〜、もー」

兄「なんだ、お前か…」

幼馴染「むむ…ひどいよその反応、幼馴染ちゃんショックで傷ついちゃうよっ!」

兄「お前がショック受けてる姿を今日までみたことない」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:03:07.84 ID:txMx4WVN0
幼馴染「あっはは、それもそっか、言えてる言えてるっ」

幼馴染「で、何悩んでんのよっ?」

兄「…お前に悩みを相談して解決したこともたぶん一度もなかったな」

幼馴染「うっるさいなー、女の子はね、悩み事に首突っ込んでいくのが好きなんだよ!」

兄「…ああ、よーく知ってる」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:03:33.90 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…っていうわけ」

兄(…大したことでもないのに結局話しちまったし)

幼馴染「ほうほう、それはつまりあれかな」

幼馴染「恋の病というやつだよ、きっとそうだ」

兄「…はぁ…? 何、誰が…誰に、だよ」

幼馴染「決まってるじゃん、妹ちゃんが、兄君にねっ」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:04:29.66 ID:txMx4WVN0
兄「…馬鹿言え、あいつはレズなんだぞ」

幼馴染「知ってるよ、僕もこの間襲われかけたし」

兄「!? …ぐはっ!」ブーッ

幼馴染「ちょっとちょっと!鼻血噴出して倒れんなぁっ!!」ガタッ

兄「…わ、悪い…」

幼馴染「うーむ、ちょいと童貞には刺激が強すぎたかぁー」

兄「…お前だって処女だろ」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:04:56.22 ID:txMx4WVN0
幼馴染「ふん、処女と童貞では価値が違うのだよっ!」

兄「もういい、うるせーな、わかったから」

兄「そんで、なんであいつが俺の事…」

幼馴染「確定ではないよ、もちろん」

幼馴染「ただの推測だからね!」

兄「お、お前…」

幼馴染「でも、ただひとつ確かなのは」


幼馴染「兄君が鈍感だってことだよ、あははは!!」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:05:38.23 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…なんだあいつ、人の事おちょくってんのか…」

幼馴染「誰が誰にぃ〜?」ヌッ

兄「うぉおっ!!!? お前、急に出てくんなっての!」

幼馴染「えっへへ、ごめんごめん」

幼馴染「兄君と一緒に帰りたいなぁ、なんて」

兄「…ったく」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:06:09.03 ID:txMx4WVN0
―――

幼馴染「…妹ちゃんに謝るんだよね?」

兄「ぐっ…機嫌悪いのはわかるけどさ…よく考えたら」

兄「…俺は何について謝ればいいんだ…?」

幼馴染「えっ」

兄「…えっ…?」

幼馴染「…ここまで鈍感だったとはねー…」

兄「えー……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:06:44.56 ID:txMx4WVN0
兄「…もしかしてあれか」

兄「今朝ちょっと邪険に扱ったのが悪かったのか…?」

幼馴染「分かってんじゃん」

兄「え…マジで…?」

兄「あいつそんなにメンタル弱かったっけ…?」

幼馴染「メンタルの問題とかじゃない気がするけど?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:07:25.94 ID:txMx4WVN0
幼馴染「ほんじゃー僕こっちだからー、じゃーね、また明日」

兄「おう」

幼馴染「妹ちゃんにちゃんと謝るんだよーっ?」

兄「うぐっ…」

兄「…お、おう…」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:07:52.70 ID:txMx4WVN0
ガチャッ

兄「ただいまー」

姉「あ、お帰り」

兄「…あれ、今日早いんだな」

姉「…勘違いしてたみたいでさ、今日仕事なかったわ」

兄「はっ、相変わらずドジだなぁ姉貴」

姉「巨乳で天然って男に売り込めない?」

兄「腐ってさえいなければな」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:08:36.71 ID:txMx4WVN0
姉「いつかあんたにもおしえてあげよーか、薔薇の美しさを」

兄「遠慮しときますー」

兄「…てか妹はいないの?」

姉「ん、まだ帰ってないと思ったけど」

兄「…あの阿呆、厨房のくせしてこんな時間までどこほっつき歩いてんだ…」

姉「…へー、兄がそんなに妹を気に掛けるなんて珍しいじゃない」

兄「うっ…るせーな! 探しに行ってくるから飯作って待ってろよ姉貴!」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:09:04.74 ID:txMx4WVN0
姉「はいはーいっ」

ガチャッ

姉(…もう出来てるんだけどね)
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:09:49.05 ID:txMx4WVN0
書きためここまで
眠いから寝てもいいかな?
答えは聞かないけど!
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/22(日) 01:19:14.03 ID:KQCwrxHeo
続けるってことか
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 01:19:17.98 ID:txMx4WVN0
次投下できるのはたぶん明日…っていうか今日の午後かも
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 02:51:10.25 ID:qcpKzLlRo
乙した
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 18:27:08.03 ID:txMx4WVN0
ごめん朝録ったゴーカイとオーズ見てたら遅れちまったぜ

あと書き忘れてたけど妹は貧乳 絶壁とまではいかない

書き溜めはあんまりしてない
38 :>>32から [saga]:2011/05/22(日) 18:34:46.66 ID:txMx4WVN0
―――

妹「…あーあ」

妹「何やってんだあたし…」

妹「そもそもなんでこんなとこに…」

妹「……」

妹「…あれ?」


妹「…ここどこ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 18:35:29.77 ID:txMx4WVN0
妹「く、暗くて何にも見えないよ…」

妹「やだ、どこなの、ほんとに…」

妹「誰か、助け…」ベキッ

妹「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

妹「…って、なんだ…お線香か…」

妹「夜も遅いし早く帰らないと…」

妹「…ん? あれ?」

妹「お線香がこんなところに落ちてるってことは…」


妹「…たしかここ、お墓だった…」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 18:51:42.26 ID:txMx4WVN0
妹「…やだ、もうやだ、なんであたし…」

妹「いつの間にか、こんなところにまで来て…」

妹「もういや、帰りたいぃ…」

妹「こわいよぉ…うぅ…」


妹「助けて、誰か…」

妹「おにいちゃんっ…」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:00:07.48 ID:txMx4WVN0
ピカッ

妹「懐中電灯の光…?」

妹「お…おにい…ちゃん…?」

兄「…ったく、手間かけさせやがって」

妹「おにいちゃんっ!!」ダキッ

兄「おい抱き着くなっ、はーなーれーろっ!!」

妹「いーやーだーっ」

妹「…もう、遅いよ、怖かったんだから!!」

兄「…ああ、悪かったよ」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:01:11.74 ID:txMx4WVN0
妹「…えへへ…」

兄「…なーんて、言うと思ったか」

妹「はっ!??」

兄「お前の自業自得だろーが!」

妹「ちょっ、なにそれひどいーっ」

妹「…もうっ、ちょっと見直したあたしが馬鹿だったっ!」

兄「ああ、そーだな、お前は馬鹿でかわいい妹だよ」

妹「……ッ!!」

妹「…もう、減らず口っ!!」ボカッ!!

兄「痛って!!」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:05:14.01 ID:txMx4WVN0
―――

姉「あ、おかえりー」

姉「遅かったね、二人とも」

兄「こいつ、墓場で迷子になっててさ」

兄「夜の墓場ですすり泣く声が聞こえるのは正直ホラーだったわ…」

妹「うっ、うるさいな馬鹿兄!!」

姉「はいはい、いーからいーから」

姉「とりあえずご飯にしよ? お姉ちゃんお腹すいて死にそうだよ」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:10:29.41 ID:txMx4WVN0
―――

兄「あー食った食った、ごちそうさま」

妹「ごちそうさまでした、今日は野菜だけじゃなかったね…」

姉「当たり前でしょ、お姉ちゃんをなんだと思ってんのよ」

兄「腐ったベジタリアン」

姉「しんでしまえ」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:12:52.29 ID:txMx4WVN0
妹「あー、そういえば明日塾だなぁ、嫌になっちゃうよ、もう」

姉「そんなに嫌ならやめちゃえば?」

姉「勉強ついていけなくなってもいいんだったら、の話だけど」

妹「うっ、ぐぐ…っ」

兄「姉貴も俺も、高校受験はかなりギリギリで受かったんだっけ」

兄「俺らみたいになりたくなかったらちゃんと勉強したほうがいいぜ?」ケラケラ

妹「う、うるさいなぁもう!!中学生の女の子はね、恋と部活で手一杯なんだよ!」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:13:30.43 ID:txMx4WVN0
姉「…恋?」

妹「…!!!」

妹「私、もう寝るっ おやすみなさいっ!」タッタッタッ

兄「…なんだあいつ」

姉「…いつもあんなでしょ、ふふっ」

兄「…ま、いーや 俺風呂先入っていい?」

姉「どうぞ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:14:03.44 ID:txMx4WVN0
―――

兄(…なんだったんだろ、あいつ 昨日から)ヌギヌギ

兄「…まぁ、いっか」ガラッ

兄「」

妹「」

兄「」

妹「」

兄「」ピシャッ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:23:09.02 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…服を着て自分の部屋に戻ってきた」

兄「妹の裸で抜こうかと思ったが」

兄「ぶっちゃけさっきは頭が真っ白になったし」

兄「ひとつも思い出せない…なんかこう」

兄「アニメのお風呂シーンの湯気規制みたいなレベルだ」

兄「これじゃクソの役にも立たねーな」
49 :やべぇ順番間違えた ごめん [saga]:2011/05/22(日) 19:24:31.49 ID:txMx4WVN0
>>47>>48の間に↓

兄(…10秒くらい静止してたな、お互いに)

兄(…俺はなんてものを見てしまったんだ、というか見せてしまったんだ)

兄(いや、そもそも俺が悪いのか…?)

兄(だって風呂場にあいつの服は見当たらない)

兄(風呂場に服がないのに誰が先客がいると予想できようか)

兄(…もちろん俺もたぶん悪いのかもしれないけど)

兄(…うんまぁ、きっとあいつも悪い)

兄「…ていうか、どーしよ」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:25:35.23 ID:txMx4WVN0
>>48の後↓

兄「…何言ってんだ俺は」

兄「とりあえず妹と話して風呂入んないとな」

兄「…まだ出てこねーのかな、あいつ」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/22(日) 19:46:12.62 ID:Izq2PHj70
期待
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 19:51:29.52 ID:txMx4WVN0
―――

トットットットットッ

兄「…あっ、上がってきたみたいだな」

ガチャッ

兄「おい、妹…」

妹「…!」ピタッ

兄(…顔が赤い…)

兄(正直めっちゃくちゃ可愛いいいいいいいいいいいっ)

兄(…じゃなくて…っ)

ガチャッ

兄「あ、あいつ自分の部屋に…」

兄(お兄ちゃんの話ぐらい聞くべきだろ…!!)
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:16:39.62 ID:txMx4WVN0
兄「…ったく、あいつ…!」

兄「このまま突入してなんとしても会話にもっていかねば…」

兄「ドアノブに手をかける」

姉『女の子の部屋にノックもしないで入るなんて腐れ男のすることよ』

兄「…なんでいまさらあんなセリフ…」

兄「……チッ」

コンコンッ

兄「…入るぞ」

ガチャッ ガチャガチャガチャッ

兄「…開かない、鍵かけやがったな…」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:17:12.68 ID:txMx4WVN0
妹「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

兄「あいつ部屋の中で爆笑してやがるぞ…」

兄「おのれ、兄をコケにしおって…ゆ゛る゛さ゛ん゛」

兄「…部屋に戻って考えるか」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:32:33.00 ID:txMx4WVN0
兄「…とはいったものの、どうするか…」

コンコンッ

兄「…入っていいぞ」

ガチャッ

姉「なんだ姉貴か、は禁止ね」

兄「なんだ姉k…」

兄「…なんだよ」

姉「ふふっ、よろしい」

姉「…妹となんかあった?」

兄「…なんで知ってんだ」

姉「知ってるわけじゃないよ、わかるだけ。だって妹の部屋今鍵かかってるしさ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:33:30.97 ID:txMx4WVN0
兄「……」

兄「話しても引いたりしないかな」

姉「…え?そういう話なの?」

兄「…いや…まぁ…うん」

姉「引くわー…」

兄「……」

姉「じょ、冗談だよっ」

姉「お姉ちゃんもう大人なんだからさ、ちょっとやそっとじゃ…」

兄「…妹の裸を見た」

姉「…え?」

兄「…ほら、引いたろ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:37:50.69 ID:txMx4WVN0
姉「いや、ううん。話遮られて驚いただけよ」

兄「…嘘つけ」

姉「嘘つく理由がないよ」

兄「……」

姉「大体昔は三人でお風呂入ったりしてたんだし何をいまさらって感じ」

兄「…けどなぁ、あいつ思春期なんだぞ…? そういったって…」

姉「兄君がそこまでわかってるならいいんじゃん?」

姉「きっとあの子には兄君が必要なの、兄君が支えになってあげないと」

兄「……」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:39:14.53 ID:txMx4WVN0
兄「…でもどうやってあいつの部屋に入るんだよ」

姉「壊しちゃう?ほら兄君こないだライダーキックの威力が自慢って言ってたじゃん」

兄「いろんな意味でダメだろ」

姉「だから冗談だってばー」

姉「ちゃんとお姉ちゃんには策があるんだからね」

兄「だったら早くいってくれっての、どーすんの」


姉「…彼女の百合趣味を利用するのさ!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:41:00.31 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…成功すんのか、こんなくっだらない作戦が」

姉「私だって女の子同士とか嫌だよ、吐き気するよ」

兄「俺にしてみれば男同士のほうがもっと吐き気するよ」


姉「…へー、兄君って痴漢もの好みだったんだね…」ゴソゴソ

兄「おいっ、馬鹿!あんまり漁るなよ!!」

姉「でも痴漢ものとかのほうが成功しやすいかもねぇ」

兄「…お前…」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 20:44:43.17 ID:txMx4WVN0
―――

兄「本当にくだらない作戦だな、姉の喘ぎ声の演技とAVの喘ぎ声を重ねてレズプレイに見せようとか」

兄「…逆に姉貴がホモプレイで同じことされたら、釣られるか…?」

姉「…ううん、釣られない気がする」

兄「…じゃあなんでこんな」

姉「うるさいなぁ、他に策もないし」

姉「それにあの子一番単純だからすぐ引っかかってくれるって」ヌギヌギ

兄「うまくいくきがしねー…って」

兄「何脱ぎだしてんだよ馬鹿野郎っ!!」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/05/22(日) 20:50:42.67 ID:gqMbxrTh0
いいと思う
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 21:22:59.19 ID:txMx4WVN0
姉「いや、だってさ、気持ち良くなる演技をするには実際気持ち良くならないとだし」

兄「いや、ならなくていいっつーの!」

兄「大体実の弟の前でそんなことできねーだろ、普通」

姉「あっ…ふぁっ…んくっ…あっぁっ…あああっっ!!!」クチュクチュ

兄「…もうだめだこいつ…」

兄「作戦開始…なのかな」ピッ

AV再生 音量最大
63 :遅筆は許して… [saga]:2011/05/22(日) 21:23:30.22 ID:txMx4WVN0
兄「俺外で待機して妹とっ捕まえるから…」

姉「はぁっ…あああっあっぁっっあ……んっ!!…あっ…ぃあっ…んぁっ!!」

兄「……」ガチャッ

兄(実の姉とAVの音声だってわかってるのに…)

兄(あれだな、息子は正直なんだな、なんか悲しいんだけど)
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 21:24:21.71 ID:txMx4WVN0
―――

兄(…大体10分くらい経ったかな)

兄(そろそろだと思うんだけど…)

兄(…あーやべ、眠くなってきた…)

兄(人間の三大欲求の強さは睡眠欲>性欲だしな…)

兄(俺調べだけど)

兄(あ、食欲は知らん)

ガチャガチャッ ガチャッ

兄「…そろそろ来そうだな…」

バタンッ!!

妹「なんか百合臭い!今夜は百合臭い!!百合のにおいがするよっお姉ちゃん!!!」

兄「馬鹿だこいつ、真性の馬鹿だ」
65 :妹が目立って姉の存在感が薄くなってくる どうしよう [saga]:2011/05/22(日) 21:25:31.58 ID:txMx4WVN0
妹「…!」

兄(俺の存在に気付くや否や恥ずかしげに部屋に戻ろうとする妹)

兄(だが俺は逃がさないぜ…!)

兄「デビルバットダーイブ!」

兄「…という名のただのタックルです!!」ドカッ

妹「うわっ、ちょっと!??」ドシャアッ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 21:32:12.18 ID:txMx4WVN0
兄「……」

妹「……」

兄(…どうやら威力が強すぎたようだ…)

兄(俺は妹を押し倒し、覆いかぶさる形で伏せている)

兄(ただ、顔はくっついていないが…)

妹「……」

兄(…改めて見れば自分の妹なのに可愛い…)

兄(なぜか頬が赤らんでいたりとか)

兄(そういえばこいつの肌は昔から透き通るように白くって)

兄(柔らかくって…)

妹「……いてよ」

兄「…え?」

妹「どいてよ…ばかぁ…っ」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 21:34:51.05 ID:txMx4WVN0
兄(妹は涙を目に溜め、潤んだ瞳で俺のほうを見つめてくれる)

兄(…なんだこれは、まるでこの世のものではないような可愛さだ…)

兄(そんな感じがした)

妹「はやく…どいてぇ…」

兄「……」

兄「口じゃそんなこと言っても、なんだかお前――」

兄「嬉しそうだぞ、あとすっげー可愛い」

妹「…!」


妹「うぅぅ…っ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/22(日) 21:44:47.40 ID:qcpKzLlRo
頑張れ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:04:01.02 ID:txMx4WVN0
妹「…わ、わかったから…」

妹「どいて…お兄ちゃん」

兄「…いやだ」

兄「…もうちょっと…こうしてたい」

妹「…ばか、ヘンタイ」

兄「…なんとでもいえばいい」

兄「お前じゃ説得力ないし」
70 :トリってつけたほうがいい? [saga]:2011/05/22(日) 22:07:26.07 ID:txMx4WVN0
姉「変態」

兄「ビクッ」

妹「お、お姉ちゃん…」

兄「はん、あ、姉貴でも説得力ねーよ」

姉「そう? 残念っ」

姉「…二人とも性欲盛んなのはわかるけど、ちょっと自重しなさい」

姉「ふぁあ… 私は眠いからもう寝るわ、お休み二人とも〜」

兄「…くそっ、なんかムカつく…っ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:08:34.35 ID:txMx4WVN0
妹「…もういいでしょ、はやくどいてよ」

兄「あ、悪い…よいしょっと」

妹「…なんであんなことしたのよ」

兄「…いや、お前の、その…」

妹「ハダカ?」

兄「…あ、ああ…それで、謝ろうと思って…」

妹「あははっ、そのあとあんなことされたらたまったもんじゃないっての」

兄「…つーかそもそもなんでお前風呂入ってたんだよ…」

妹「え?お姉ちゃんにあたしが最初に入るって言っといたんだけど…」

兄「…姉貴のヤロー…ッ!!」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:13:20.48 ID:txMx4WVN0
兄「はぁ…とにかく悪かったよ、今日はもう寝ようぜ、お前明日早いんじゃなかったっけ?」

妹「ああ! そうだった、あたし明日日直なんだった…」

妹「もう、お兄ちゃんのせいだよ!!」

兄「なんとでもいえ、もうどうでもいい」

兄「おやすみ、妹」

妹「お…おやすみなさいっ」

妹「お兄ちゃん」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:14:29.83 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…朝か」

兄「…姉貴のやつ、いつかぶっ殺してやらぁ」

兄「…たしか今日の朝飯当番は俺だったな、早く作んないとどやされるぜ…」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:15:12.75 ID:txMx4WVN0
兄「…よっ、できた」

兄「ほらよ」コトッ コトッ

妹「わぁ、おいしそう〜っ」

妹「お兄ちゃんまた腕上がったんじゃない?」

兄「さぁな」ジャーッ

姉「ほら、兄君、早く席ついて」


「「「いただきますっ」」」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 22:34:49.11 ID:rP+Ds916o
しえん
76 :眠い [saga]:2011/05/22(日) 22:43:13.64 ID:txMx4WVN0
―――

妹「ごちそうさま、じゃああたし行ってくるからー」

兄「…いつもより30分も早いじゃねぇか」

兄「まぁいい、焦って事故ったりすんなよ?」

妹「うん! 行ってきますっ」

姉「はい、行ってらっしゃーい」

姉「…さて、私もそろそろ支度しないとねー」

兄「俺も」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:43:40.65 ID:txMx4WVN0
―――

兄「…姉貴、まだかよ支度…」

姉「えー、もうちょっと待ってよ、くせっけが…」

兄「…先行っていい?」

姉「待って、あと5分っ!!」

兄「…はぁ」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:45:40.79 ID:txMx4WVN0
―――

兄「早くしろよ姉貴…っ」

姉「わ、わかってるよっ!」

―――

兄「…じゃあ俺学校あっちだから、じゃあな」

姉「うん、行ってらっしゃい」

兄「…痴漢されたりすんなよな」

姉「あはは、慣れっこだって」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:47:26.31 ID:txMx4WVN0
―――

姉(…そう、弟のいうとおり)

姉(私はやたらに痴漢に遭いやすい)

姉(でも、今まで一度たりとも興奮したことはない)

姉(なんというか、全然気持ち良くないし)

姉(いつの間にか慣れていたのかと思ったけど)

姉(よく考えたら最初からだった)

姉(…マグロあるいは不感症、なのかもしれない)

姉「…まぁ、どーでもいーや」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:47:50.60 ID:txMx4WVN0
―――

姉(駅のホーム)

姉(ここでじっとしてる時間が一番退屈です…)

姉(あ、電車来た)


姉「……」

姉「……」

姉「……」

姉「……」サワサワ

姉(来た…)
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 22:51:07.51 ID:txMx4WVN0
姉(…これでもお姉さんは優しいから)サワサワ

姉(感じてるフリして相手を萎えさせないように)サワサワ

姉(リアクション…というか演技をかましてやるのです)サワサワ

姉「…んっ…ぁあっ…!」モミモミモミ

姉(…胸なんか揉んだってくすぐったいだけだっつーの)モミモミ

姉(…それにしてもヘッタクソだなぁ…エロスのエの字もないっていうか…)モミモミモミ


姉(…それで、さんざん触らせてやったところで人生強制終了魔法)

姉(『この人痴漢です!』を唱える)

姉(…あれいうとすっごい爽快なんだよねー…)
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/22(日) 22:51:49.96 ID:Gp1jmOY40
支援
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/05/22(日) 22:52:40.14 ID:hVdIUDUOo
>>81
たちわるい姉可愛い支援
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:18:33.22 ID:txMx4WVN0
姉(まぁ冤罪引き起こそうとするほど馬鹿じゃないけどね、さすがに)サワサワサワ

姉(童貞にちょっとでも夢見させてあげただけでも感謝してもらいたいくらい…)サワサワ

姉(って、これは言い過ぎかな)サワサワモミモミモミ

姉「んぁっ…だめっ…激しっ…ぁっ…」

姉(しょぼすぎ…)
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:19:49.57 ID:txMx4WVN0
姉(あ、そろそろ駅停まるかも)

姉(それじゃあそろそろ…)

姉「この人ちk…」

女「あのっ! この人痴漢してます! 私見てました!!」

姉「えっ」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:22:45.76 ID:txMx4WVN0
―――

女「いやーよかったですね、また一人変態の人生が終わって!」

姉「あ、あぁ…うん、まぁね…」

女「あ…すみません、わたし…嫌なこと思い出させるようなこと言って…」

姉「……」

姉(…なんか…何て言えばいいかよくわかんないんだけど…)

姉(とりあえず建前的にお礼は言っておくべきかな…)

姉「あ…ありがとうございました、助けてもらっちゃって…」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:24:02.67 ID:txMx4WVN0
女「あ、いえ いいんですよ、大したことしてないですし」

姉(どっちかっていうと余計なことされたかな…)

女「…あ、もしかして迷惑でした?」

姉(迷惑でした)

姉「いえ、そんなわけないですよ」

姉「…あの、それじゃ私これから仕事があるんで…」

姉(ちょっと遅刻しそうでやばいんだけど)

女「ええー?そんな固いこと言わないで、一緒にお茶していきません?」

女「これもきっと何かの縁ですよっ!」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:25:21.50 ID:txMx4WVN0
姉(…なにこの娘、俗にいうスイーツ(笑)的なにおいがするんだけど…)

姉「いや、でももう遅刻しそうなんですけど」

女「いいじゃないですか仕事なんてサボっちゃえば」

女「私も実はサボって来てるんですよ」

姉「いや、何やってんですか」

姉(しまった、思わず声に出してツッコんでしまった)

姉(…とにかくどうにかこの娘の呪縛から逃れなければ…)

姉(…面倒なことになったなぁ…)
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:35:52.16 ID:txMx4WVN0
―――

姉(…結局強引に連れてこられてしまった…)

姉(意外とこの娘力強かったし…)

女「あ、わたし学生のころはずっと格闘技やってたんですよ、最近はもう衰えちゃいましたけどね」

姉(聞いてないよ)

姉(厳密には心の中では聞いたかもしれないけど答えろとは言ってないよ)

姉(もうやだこの娘…)

女「あ、それでそれでーっ」

姉(唾を飛ばすな)

姉「…はぁ」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2011/05/22(日) 23:37:23.39 ID:txMx4WVN0
姉(一応会社には体調崩したって言って超強引に休ませてもらったけど…)

姉(まあ、減給だろうなぁ…)

姉(まったく、この娘のせいで…)

女「あっ、姉さん、何の仕事なさってるんでしたっけ?」

姉(くっ…人の気も知らないで…)

姉「OLですけど…」

女「あ、わたしもです、奇遇ですねー」

姉(いや、お互いにOLスーツ着てるんだからわかるでしょ…)

姉(本当この娘といると疲れる…)
91 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/22(日) 23:44:01.86 ID:txMx4WVN0
てすと
92 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/22(日) 23:48:55.09 ID:txMx4WVN0
姉(仕方ない、ちょっとくらいはこっちからも聞きに行ってやろうか…)

姉「…女さんはどうして仕事サボってたんですか?」

女「逆にどうして仕事をしなければならないんですか?」

姉(質問を質問で返すな…!)

姉「うちの場合は両親が…わけあって、二人ともいないんです」

姉「だから私が稼がないといけないから…」

女「…私、ずっとニートだったんです」

姉(臆面もなく言うな、そういうことを)

女「それで、親に無理やり働けって言われてOLに」

姉「……」

姉(そろそろ…私でも限界かな…?)
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 00:15:14.65 ID:6R9e/58+o
しえん
94 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:17:33.47 ID:Poux+YCB0
女「ずっと転がって昼寝してたり」

女「一日中PCにかじりついてたりとか」

女「飽きるまでゲームやったり」

姉「……」

女「まともに働いてる人たちを陰で馬鹿にしたりとかねー」

女「何もしないで親の金で生きていけるのは楽でした」

女「…あ…ごめんなさい…わたし…」

姉「……」

女「でっ、でもでも、楽なんですよね、そういう生活って」

女「わたし、どうしても誰かにすがる生活から離れられなくて…」

女「だから仕事サボる癖も治らなくって…」
95 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:18:20.29 ID:Poux+YCB0
姉「…その相談のために私を痴漢から助けたのかしら?」

女「いえ、とんでもないですよ!」

女「目の前で困ってる人がいたら助けようって」

女「子供のときからの信条なんです、それが」

姉「……」

姉「ちょっと来て、女さん」

女「…え、でも…お金…」

姉「私が払ってくるから外で待ってて」

女「は…はい…」
96 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:19:00.33 ID:Poux+YCB0
―――

姉「……」ブォンッ

バチィッ!!

女「び…びんた…!?」

女「…」フラッ

女「…ちょっと、いきなり何するんですか…」

姉「…穀潰しが」

女「…え…?」

姉「…あなた、両親の気持ち考えたことがあるのかしら…?」
97 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:20:37.44 ID:Poux+YCB0
女「なっ…」

姉「あなたはずっとニートだった」

姉「それはいいわ」

姉「きちんとその分だけ働いて」

姉「自分のために稼いでくれた人に恩返しできるならね」

姉「…あなたにはそれができたのかしら」

女「……」

姉「…私はあなたみたいなのが一番嫌いなの」

姉「なぜだか教えてあげる」
98 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:21:46.03 ID:Poux+YCB0
姉「…自分と重ねてしまうからよ」

姉「何もできなかった自分に」

女「…それって…」

姉「…あなた、わたしの会社に来なさい」

女「…え…?」

姉「自分の身ひとつ守れない女が」

姉「目の前の誰かを守れるわけないでしょ?」

姉「…自分の身の守り方…私が教えてあげるわ」

女「……!!」
99 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:23:04.95 ID:Poux+YCB0
姉「…うちの会社、給料もそこそこいいのよ?」

姉「二度とニートなんかになれないよう鍛えてあげるから」

姉「覚悟しておいてね?」

女「……」

女「…はい!ありがとうございます!」

女「これからよろしくお願いします!!」


女「姉さんっ!!」
100 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/23(月) 00:24:09.47 ID:Poux+YCB0
姉を目立たせようとしたらグダグダになってキャラ崩壊までしてしまった
どうしてこうなった
今日はここまでです おやすみなさい
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/05/23(月) 00:31:49.46 ID:KRBLgjH5o
おやすみなさいませ

確かに姉編はいらなかった
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/23(月) 02:01:39.28 ID:Ynr1+4bTo
乙した

頑張れ!
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage ]:2011/05/23(月) 02:34:33.53 ID:fuzq+w4j0
場所とか時間が把握しずらいな
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 22:32:40.14 ID:SeQh+yqN0
痴漢いらんだろ
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 00:27:30.49 ID:TZnHO9EVo
姉いらんだろ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/24(火) 21:27:00.77 ID:1NLqL028o
給料取りの姉が他人を強引に入社させるとかイミフww
>>1は学生かニートだな
107 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/24(火) 22:21:25.17 ID:X5SZu6d70
すまないww昨日は疲れて死んでたwwww
今日に至ってはめまいがして頭がぐらぐらしてやばい死にそうwwwwwww
なので明日からどうにか投下します

姉の不評ぶりがやばいから駅で兄と別れたあたりから分岐でやり直そうかと考えてるんだけどどうしようか…
姉は動かしづらい、キャラ的に

>>103
ごめんなさい次から改善します

>>106
いろいろとごめんなさい

死にそうなんで寝ます ノシ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 01:54:20.14 ID:yCbNAjWm0
そのままで良いと思うけど、姉は変態なのか兄弟のなかでは割と常識人なのかハッキリさせて欲しい

あと妹がどう思ってるか分かりづらい
109 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:34:46.91 ID:T9N64jWV0
ゴーゴーファイブ、タイムレンジャー、ガオレンジャーって三年連続でOPがかっこいいよねなんか

書き溜め投下
110 :>>99から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:36:26.71 ID:T9N64jWV0
―夜 自宅 夕食中―

姉「――ってことがあってさー」

兄「…明日から来ることになったのか」

妹「なにその展開…全然意味わかんないよ」

姉「私にもわからないよ…」

兄「たぶんもう誰にもわかんないだろ」

姉「まーそうなんだけど…ってか妹、今日塾でしょ?遅れるよ?」

妹「あ、忘れてた」

兄「大丈夫かよ、もう3分ないぞ」

妹「大丈夫だって、家から近い塾なんだし」パクパク

妹「っごちそうさま、行ってきますっ」
111 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:37:44.04 ID:T9N64jWV0
―塾―

妹「こんばんはーっ」

塾の先生「こんばんは、すぐに授業が始まりますよ、席についてください」

妹「はーい」タタッ

妹友「よっ、遅かったね」

妹「いやー、塾あんの忘れててね…」

塾の先生「そこ、私語は慎むこと」

妹・妹友「「はーい」」
112 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:38:58.30 ID:T9N64jWV0
―休み時間―

妹友「あー、つかれた、国語とかクソ喰らえってんだ、誰が考えたのよいったい」

妹「あたしは数学のほうが嫌いなんだけどね…」

妹友「…そうだっけ?」

妹「そうだよ」

妹友「あんたが嫌いなのってあんたのお姉さんだけかと思ってたー」

妹「どっちも嫌だよ、同じくらい」

妹友「まぁあんたブラコンだしねぇ」

妹「き、決めつけんなっ! おにい…、兄貴も嫌いだよっ!!」

妹友「嘘ついても無駄よ、バッレバレ、だし」

妹「何ををををっ!!?」
113 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:40:46.71 ID:T9N64jWV0
妹友「だってあんた日頃お姉さんの悪口ばっかり言ってるじゃん、腐女子嫌いーとかBLきもいーとか」

妹「…本当のことだよ、妹友もそう思うでしょ?」

妹友「いや、あんたも似たようなもんじゃん」

妹「ちっ、違うよ、せめて似て非なるものと言って!」

妹友「はいはい、変態はもう喋んなくていいから」

妹友「…その反面、あんたがお兄さんの悪口言ってるの、ほとんど聞いたことないし」

妹友「聞いたことがあったとすれば、あんたとお兄さんが喧嘩してた時だけ」

妹友「それもしばらくすればどっか行っちゃうみたいだし」

妹「ぐぬぬぬ…」
114 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:41:48.06 ID:T9N64jWV0
妹友「ていうかなんでそんなにお姉さんのことが嫌いなのよ」

妹「いつも言ってるじゃん、腐ってるからだよ」

妹友「く、腐ってるって……まぁいいや、」

妹友「なのにわりと普通に接してるよね…それはなんでなのよ」

妹「いや、それ以外はなんていうか、その…」

妹「いいお姉ちゃんだから…」ボソッ

妹友「……えー?なんだってぇー?」ニヤニヤ

妹「な、なんでもないよ、授業始まっちゃうから話さないでよっ!」

妹友「あっはは、はいはいっ」
115 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:43:26.22 ID:T9N64jWV0
―塾から妹帰宅―

妹「はぁ、ただいまぁー」

兄「おかえり、鍵閉めとけよ」

妹「わかってるよ」ガチャッ

妹「……」

妹「…ねぇ、お兄ちゃん」

兄「何」

妹「お姉ちゃんはもう寝てるの?」

兄「たぶんまだ起きてると思うけど、いきなりどうしたんだよ」

妹「ううん、別に」

妹「お休み、お兄ちゃん」タッタタタッ

兄「…?」
116 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:49:36.47 ID:T9N64jWV0
―姉の部屋―

コンコン

姉「……」

―――

妹「…あれ?寝てるのかな…」

妹「も、もっかい」

―――

コンコンコンッ

姉「……」

―――

妹「…うーん…やっぱ寝てるのかな」

妹「…あたしも寝よ」
117 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:51:16.39 ID:T9N64jWV0
姉「ーーーーーーーっっっっ!!!!!っっっ……」

―――

妹「!?」

妹「…なんだったの、今の声なき声は…」

妹「…でもこういう声、自分で出したことあるような…」

妹「……」

妹「…!」

妹「…やっぱり変態だった…姉め」
118 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 21:57:13.17 ID:T9N64jWV0
妹「…おのれ、かわいい妹が呼びかけているのに無視して自慰にはげむとは…」

妹「嫌な姉め」

妹「…まぁいい、今日のところは見逃しておいてやろう」

妹「あたしも眠いし」

妹(たしかお姉ちゃんは男と男が絡んでれば興奮できるって言ってたな…ってことはさしずめ)

妹(材料は妄想かな)

妹(…どうでもいいな)

兄「姉貴の部屋に張り付いてないでさっさと寝ろ、アホ」

妹「お、お兄ちゃん…いつの間に」

兄「わりと最初から」

妹「マジでか」
119 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 22:02:25.49 ID:T9N64jWV0
―朝 朝食中―

妹「お兄ちゃん、お姉ちゃん、おはよーっ」

兄「…お前、またのんきな…」

妹「ほぇ?何が?」

姉「今日ご飯当番妹でしょうよー」

妹「…あ…ごめん、忘れてた…」

妹「明日はちゃんと作るから、ねっ!?」

兄「わかったからはよ席つけ」

妹「うっ……はーい…」
120 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 22:06:13.35 ID:T9N64jWV0
―――

妹「ごちそうさまでした」

兄「ごちそうさま、俺今日早く行かないとだからもう行くわ、んじゃ」

姉「ごちそうさま、いってらっしゃーい」

妹「……」

姉「今日はちょっと時間に余裕があるわね…もうちょっと寝てよっと」

妹「…お姉ちゃん、今寝たら起きれないよ?」

姉「…うぐっ…い、妹が起こしてよー」

妹「やーだぁ」
121 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 22:15:52.66 ID:T9N64jWV0
―朝 妹 登校中―

妹(結局あのあとお姉ちゃんは寝ちゃって…)

妹(必死に起こしたけど起きなかったから放置してきた)

妹(帰ったらそのことで責められそうだけど知ったこっちゃない)

妹(…って、誰に言ってるんだ、あたし)

妹(ていうかあたしも遅刻しそうなんだよね、急がないとっ…!)チリンチリンチリンッ
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/25(水) 23:18:55.15 ID:kTk24nzyo
乙した


ワクワクテカテカ
123 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:36:10.15 ID:T9N64jWV0
―高校 兄の教室―

兄「…あー、朝練だっる…」

幼馴染「やっ、おはよっ、兄君」

兄「…おはよう、お前は疲れたりしなさそうだしうらやましいわ」

幼馴染「…兄君吹奏楽部でしょ?そんなに疲れるの?朝練」

兄「腹筋100回と筒に息吹き込んだりだよ」

幼馴染「あっはは、楽勝じゃん、笑っちゃうよ」

兄「ふん、お前からしたらそうだろ、普段から体力使う陸上部じゃあな」

兄「でもこっちはたまにしか腹筋やんないから攣るんだよ、腹の筋肉が」

幼馴染「はは、昔っから兄君はそんなんだったよねー」

兄「…はぁー」
124 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:37:29.41 ID:T9N64jWV0
幼馴染「…そいえば兄君、数学の宿題やってきた?」

兄「俺は数学という教科の滅亡を小6のころからずっと願ってきたんだよ」

兄「嫌いなものをやる気は起きないな」

幼馴染「要するにやってきてないんでしょ、まったく」

兄「…俺にさっきの質問をしたってことはおまえもやってないんだろ、どーせ」

幼馴染「バレた?」

兄「隠れてないものを見つけてバレたとは言わないはずだろ」

幼馴染「おー手厳しい、てかどーしよ」

兄「俺は中学のころから今まで数学の宿題をやってきたことが一度もない、だから平気だろ」

幼馴染「なにをもって平気といえるんだ、いったい」
125 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:39:26.18 ID:T9N64jWV0
幼馴染「…まったく、そんなんだから成績が安定しないんだよ、兄君は」

兄「常に俺よりも下の位置で安定して上がってこないような成績のやつには言われたくねーよ」

キンコーンカンコーン

幼馴染「…あ、授業始まる じゃ またね〜」

兄「あぁ」

―放課後―

幼馴染「兄君♪」ヒョコッ

兄「…なんだよ」

幼馴染「やー、今日から部活だから兄君と一緒に帰れないなぁって」

兄「……」
126 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:40:57.97 ID:T9N64jWV0
兄「…おまえ、陸上部の先輩とだって仲いいんだから気にすることねーだろ」

幼馴染「…まぁそーなんだけどさ」

幼馴染(…そーいうんじゃないんだけどなぁ)

幼馴染「…まぁいいや」

兄「…なんだよ、また突然」

幼馴染「いや、別に、なんでもないよっ」

幼馴染「後輩の面倒はちゃんと見なよ? じゃねっ」スタスタ

兄「…わーかってるっての」

兄「…あー、だりぃ、部活」テクテク
127 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:42:09.07 ID:T9N64jWV0
―音楽室―

兄(…意外と狭いんだよなぁ、ここの音楽室)ガラッ

兄(そういえばこないだ新入部員が何人か入ったけど…)

兄(何人だっけ?)

兄(とりあえず男子はいまだに俺一人か…)

兄(どーやら俺は女の子に好かれる体質とからしい)

兄(ラノベかエロゲの主人公かっつーの)

兄(…まぁそんなことはいいとして)

兄(…あれだな、たぶん今日もパート練だろーな)

兄(ずっとそーだったし)テクテクテク

兄(……)

兄(だりぃ)ガチャッ
128 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:43:38.30 ID:T9N64jWV0
―兄の教室―

兄(パート練習は空いてる教室でしていいことになってるからうちのクラスで)

兄(…で、後ろの席に着いてるのが…)

後輩「……」

兄(美人で無口な眼鏡っ娘、長門ゆk…じゃなくって)

兄(吹奏楽部の一年生、後輩である)

兄(この娘、びっくりするほど何もしゃべらない…)

兄(なんかもう…あれだ、)

兄(置物レベルだ…)
129 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:45:07.50 ID:T9N64jWV0
兄(言い忘れたが、というかあんまし関係もないのだが)

兄(俺と後輩の担当する楽器はホルンっていうやつで)

兄(なんか…影の薄いかたつむりみたいなのだって覚えておけばいい)

兄(実際見た目もやることもトランペットとかに比べるとだいぶ)

兄(地味、なので)

兄(…正直な話、知名度と人気は低い)

兄(今年ホルンの希望者がいたことは奇跡に近い)

兄(去年なんか誰もいなかったしな、ホルン希望者)
130 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:46:37.79 ID:T9N64jWV0
兄(…まぁ明らかにどうでもいい、なんでもいいような話ばかりをしてしまったが)

兄(せめて練習はしないと部長に大目玉喰らってしまう)

兄(…でもなぁ、この重苦しい空気をどう打開すればいいんだろうか…)

兄(……)

兄「……」チラッ

後輩「……」

兄「……」

後輩「……」ペラッ

兄(…こいつ…本読んでるぞ)

兄(あれだぞ、あの…明らかに)

兄(練習する気がないぞ、こいつ…)
131 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:48:02.92 ID:T9N64jWV0
兄(……)

兄(仕方ないな…マウスピースを吹いて読書の妨害から始めようか…)

兄「」ブーッ

後輩「……」

兄「…」

兄(…見事に無反応だな…)

兄(…なんかもう…面倒くさくなってきたな)

兄「……」

兄「きょ…今日はもうずっと個人練習でいいです…」

後輩「……」スッ

兄(…おっ?顔あげた!こっち向いたぞ!!)
132 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:50:53.86 ID:T9N64jWV0
後輩「……」ジーッ

兄(めっちゃこっち見てるぞ…何これ、どうすればいいの)

後輩「……」コクンッ

兄(うなずいた…)

後輩「……」

後輩「……」ペラッ

兄(…読書に戻った…)

兄(こいつは個人練すらする気がないのか…!)
133 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:52:17.64 ID:T9N64jWV0
―――

兄(パート練の時間が終わって、下校時刻)チリンチリン

兄(…やっぱり後輩といると疲れた…)

兄「…あれ?あそこにいるのは…」


後輩「……」
134 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:55:00.23 ID:T9N64jWV0
兄「…おーい、後輩、どうかしたのか?」チリンチリン

後輩「…!」

後輩「……」スッ

兄(木の上を指さして…?)

兄(つーか…しゃべれよ)

兄「木の上に…本が引っかかってる」

兄(…今日風強いしな…)

兄「…よし、先輩がとってきてあげよう」

後輩「!!」

兄「…そ、そんなに反応することか…?」
135 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:56:24.48 ID:T9N64jWV0
―――

兄「…よっ、ほら」スタッ

後輩「……」

兄「運動神経はよくねーけどバランス感覚とかはいいほうだし」

兄「このくらいは朝飯前だな、ははっ」

後輩「……がとう」

兄「…え?」


後輩「ありがとう、ございます…」

後輩「先輩…」
136 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/25(水) 23:58:16.20 ID:T9N64jWV0
兄「……」

後輩「し、失礼します…」チリンチリン


兄「しゃ、喋った…」

兄「いや、当然といえば当然だけど」

兄「……ふん、まぁ…」

兄「わ、悪い気はしねーな、あはは」


兄「…さて、帰ろ帰ろ…」チリンチリン
137 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/26(木) 00:14:17.25 ID:7J4iAjiK0
もうちょっと書く予定だったけどごめん眠い
明日、じゃなくて今日はほとんどずっと暇だからもう少し進められるかも

結局姉の目立たなさは変わってないなwwww畜生wwwww
寝るww
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 02:22:19.26 ID:vOgXXIId0

これから更新の度に新キャラが増えるとみた
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/26(木) 14:24:38.35 ID:zLFGS9BWo
乙した
140 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/26(木) 18:44:04.14 ID:7J4iAjiK0
一日中暇だったのに全然書けなくてごめん
ここ最近疲れっぱなしで休みが久々だったからつい休んでしまっていたよ申し訳ない

7時半からは書けない マジごめん
でも10時半からは書く 行けるとこまで行く ごめんよごめんよみんな

>>138
兄と姉と妹にそれぞれ絡みのあるキャラをつけただけよ
兄だけ女の子二人と絡んでるけど
141 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/26(木) 23:59:13.49 ID:7J4iAjiK0
幼馴染が何気に一番気に入ってる>>1です
脳内では流子さんのイメージです
電波女2話までしか見てないけど

書けるだけ書く
142 :>>136から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/26(木) 23:59:59.78 ID:7J4iAjiK0
―夕食後 兄の部屋―

兄「…ふぅ」

兄「後輩が喋ったの初めて聞いたな…」

兄「…いや、たぶん俺がもう少し話しかければ向こうも話してくれるのかな…」

兄「…よし、明日からはもう少し話しかけてみるか」

兄「今日はもう寝るか…」パチッ
143 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:06:00.90 ID:Ym8p2iVw0
―朝 朝食中―

姉「」ジャーッ

兄(姉貴がいつもより早く食い終わってる…)

兄(でもなんか…心ここに非ずって感じだな…)

兄「おい妹、姉貴のやつなんかあったのか…?」ヒソヒソ

妹「…二日連続遅刻でクビになりそうなんだって」ヒソヒソ

妹「まぁ、一昨日は一応連絡したらしいからまだしも」ヒソヒソ

妹「昨日は連絡入れずに寝過ごしたみたいで」ヒソヒソ

兄「…なるほど…」
144 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:08:02.78 ID:Ym8p2iVw0
妹「…まぁ今すぐクビってほど危うくはないと思うんだけどさ」

兄「…姉貴が仕事なかったらうちはどうすりゃいいんだよ、路頭に迷っちまう」

妹「そしたらお兄ちゃんがバイトでもすればいいんじゃない?」

兄「馬鹿言え、部活はどーすんだ」

妹「わかってるよ、言ってみただけ」

兄「…ったく」

妹「ごちそうさまー」
145 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:09:02.89 ID:Ym8p2iVw0
―朝 登校中―

兄(姉貴がいなくなったら…姉貴がもし、)チリンチリン

兄(……仕事、なくなっちまったら…?)

兄(…やっぱり俺がどうにかしなくちゃいけないのかなぁ…)

兄(姉貴に頼りすぎるのもどうかとは思うし…)

兄(……)

兄(こんなとき、親父とおふくろがいたらどうすんだろ)

兄(……二人の死んだ日って、いつだっけ)

兄(帰ったら確認しといてやるか…)

幼馴染「…おーい、兄くーんっ」チリンチリン

兄「おう、おはよう」
146 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:11:57.71 ID:Ym8p2iVw0
幼馴染「今日朝練ないの?僕のほうはないけど」

兄「あったらこんなにチンタラしてねぇよ」

幼馴染「…あ、それもそっか」

兄(…そういえば、二人が死んで元気なくしてたとき一番励ましてくれたのもこいつだったっけ…)

幼馴染「…あれ?兄君どーかしたの?暗い顔しちゃって」

兄「…いや、なんでもない」

幼馴染「そう?それならいいけどっ」

兄(多分俺の考えてることもこいつには全部バレてんだろーな、きっと)
147 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:18:38.07 ID:Ym8p2iVw0
―学校―

兄「あー、今日は数学ねーや」

幼馴染「月曜と金曜はないんだっけ?よかったじゃん、兄君」

兄「ああ、月曜のいいところといえばジャンプの発売日なのと数学がないことだけだ」

幼馴染「……兄君、お姉さんに毒された?」

兄「滅多なこと言うな、姉貴が買ってくるんだよ」

兄「俺はめだかボックスだけを目当てに姉貴の部屋に忍び込んで読んでるだけさ」

幼馴染「ふーん、SQのほうが面白い気はするけどなぁ」

兄「そういうこと言わないでくれ、SQを買うか割りと悩んでるんだから」

幼馴染「あはは、変なの」キーンコーンカーンコーン

幼馴染「じゃ、またあとでね」
148 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:23:25.95 ID:Ym8p2iVw0
―放課後―

兄「あー、終わった終わった」

幼馴染「まだ部活があるでしょっ」

兄「…まぁ、そうだけど」

幼馴染「兄君のパートの後輩ちゃん可愛かったよね、うまくいってるの?」

兄「…フラグは立った、のかもな」

幼馴染「ほぇ?フラグ?なにそれ?」

兄「いや、戯言だ、聞き流していい」

幼馴染「あっそう」

兄「うんそう」

幼馴染「運送?」

兄「……」
149 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:26:25.13 ID:Ym8p2iVw0
―音楽室―

兄「じゃなくて」

―兄の教室―

兄「今日もパート練だしな」

後輩「……」

兄(また本読んでる…)

兄(いや、ここから話題作りすればいいのか)

兄「あのさ、後輩…」

後輩「……」

兄「それ、何の本読んでんの? よければ教えてほしいな、なんてな」

後輩「……」

兄「……」(あんまり手応えはないな…)
150 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 00:28:27.94 ID:Ym8p2iVw0
眠いよ
今日はこの辺で
遅筆なくせしてちまちまとしか投下できなくてごめん

後輩が何の本読んでるのかはまだ決めてない
眼鏡っ娘の読んでそうな本があったら教えてください
おやすみなさい
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/27(金) 00:34:01.71 ID:uxQPs+ifo
解体新書
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/05/27(金) 00:54:32.40 ID:N5LgdBI80
このSSがヒットして小説化されたものでも読んでるんじゃね

とりま乙
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/27(金) 02:52:39.07 ID:i69txN5jo
乙した
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/27(金) 07:14:21.57 ID:+0veVLFIO
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 11:02:47.65 ID:zf/cyz9IO
マネジメント
もしドラじゃない方
156 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 19:37:56.22 ID:Ym8p2iVw0
明日一日休みなんだけどちゃんと書いて投下できるか自信ない
ゴマゾウの厳選を始めてしまう可能性が非常に高い
けど少しは進められるようにしたいです

10分くらいで飯食ってそのあと書き溜めて投下します…
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/05/27(金) 20:58:40.18 ID:4D0AyBQAO
>>1はポケモン廃人だったのか。乙
158 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 22:58:27.38 ID:Ym8p2iVw0
>>157 ときどきVIPのゆとリメスレにいます

部活の先輩が腐女子っぽくて困る…
159 :>>149から  ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:00:01.29 ID:Ym8p2iVw0
後輩「……」

兄「……」

後輩「……」

兄「…あ、あの」

後輩「…引いたりしませんか」

兄「え? あ…は、はい」

後輩「ら、ライトノベル…です」

兄「はぁ、ラノベ…」

後輩「…引きます?」

兄「え、なんで…?」
160 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:01:28.63 ID:Ym8p2iVw0
後輩「……」

兄(ま、また黙った…)

後輩「…だって、オタクっぽいじゃないですか…」

兄「君は何を言っているの?」

後輩「……」

兄「俺も同じようなもんなんだけど」

後輩「…え?そうなんですか」

兄「俺はあんまり主張しないんだよ、そういうの主張するやつはなんか大抵…」

兄「痛々しいし」

後輩「先輩もちょっと痛々しいですよ、今だけ」クスクス

兄「…うるせぇ、よけーなお世話だ、ははは」
161 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:04:23.07 ID:Ym8p2iVw0
―放課後―

兄「…やっぱダメだな、久々に楽器吹くと」

兄「ぜんっぜん音出ねぇ、クソ喰らえってんだ」

兄「…まぁ、後輩の趣味はわかったし…これからはもうちょっと話せるかもしれない」

兄「……」

兄「あいつ、笑顔は意外と可愛かったな…」

兄「…って、俺は何を考えてんだ」

兄「…帰るか」
162 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:06:05.77 ID:Ym8p2iVw0
―夜 自宅―

兄「…おい、妹」

妹「なに、お兄ちゃん? 気が散っちゃうよ」トントントン

兄(そーいや今日の夕飯当番は妹だったっけ)

兄「いや、姉貴のやつ遅くないかと思ってさ」

妹「そお? 普段はこんなもんじゃないのー」

妹「ていうか、気が散るってば。手切っちゃうよ」

兄「ああ、ごめん」

兄(残業、とかならいいけど…)
163 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:08:43.86 ID:Ym8p2iVw0
―夕食後―

プルルル プルルルル

兄「あれ、電話だ」

妹「出よっか?」

兄「いや、俺のほうが電話まで近い」ガチャッ

兄「もしもし」

兄「…はい、はい…」

兄「……」

兄「わかりました…今から行きます」ブツッ ガチャ

妹「…どうかしたの?」
164 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:13:29.89 ID:Ym8p2iVw0
兄「…姉貴、今日飲みに行ってたらしくてさ」

妹「えー」

兄「駅前の居酒屋で酔いつぶれてるらしいから迎えに行ってくる」

妹「なにやってんのお姉ちゃん」

兄「留守番頼んでいい?」

妹「うん、行ってらっしゃい」
165 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:15:32.49 ID:Ym8p2iVw0
―――

兄(チャリで居酒屋まで迎えに来た)

兄(今は警察に見つからないようにしつつ二人乗りで帰っているところだ)

兄(それにしても姉貴、なんかべろんべろんだし)

兄(あと、ひどく酒臭い、死にそう、ていうか死ね)

姉「むにゃ…ひどいぃ、兄君…」

兄(…聞こえてた? いや、声には出してないと思うけど…)

姉「…えへへ、兄君の事ならぁ…わかるよぉ、なんでも…」

兄(姉貴を乗せている背中が寒くなってきた、なぜでしょうか…)

姉「だって、ちっちゃいころからずっといっしょだもんねぇ〜」

兄「……」

姉「むにゃ…ふぁ〜あ」

兄(姉貴ってこんな感じだったっけ…?)
166 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:26:19.82 ID:Ym8p2iVw0
姉「これからもいっしょにいてねぇ…ふぁっ」

兄「…ちっ、絶対寝ぼけたフリだろ、コノヤロー…」

兄「…ったく、キャラじゃねーだろ、結構違和感あるぞ」

兄(…俺の心の中は幼馴染より前に)

兄(姉貴にバレバレってことか…)

兄(…なんか、それもそれで嫌だけどな)

兄(…けど)

兄「…ああ、ずっと一緒だから、もう俺に迷惑かけてくんなよ、馬鹿姉貴」

兄(…俺のセリフもキャラじゃない気が…)

兄「……」


兄「あー、酒臭っ」
167 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:29:06.75 ID:Ym8p2iVw0
―自宅―

兄「…姉貴の酒のにおい移っちまいそうな気がする…」

妹「あはは…」

兄「まぁいいや、俺はもう寝る…」

兄「…って言いたいところだけどさ…妹、」

妹「ん? 何?」

兄「……」


兄「…親父とお袋が、いなくなった日ってさ―――」
168 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/27(金) 23:34:20.67 ID:Ym8p2iVw0
どう頑張っても眠気には勝てない
どう頑張っても姉をどうにもできない…

続けようとしてもこの先の展開はまだ考えてないんです
ゴマゾウを厳選しつつ明日考えます みんなごめん
おやすみ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/28(土) 03:44:42.32 ID:cavEqx6Xo
乙した

のんびりいこーよぉ〜♪のんびりいこーよぉ〜♪
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 10:35:04.45 ID:eur+mWvDO
木に本が引っかかるって台風クラスじゃね?
171 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/05/31(火) 19:23:36.09 ID:oSS0qPFb0
やぁみんな
変態まどかに始まり変態まどかで終えたあるSSスレをVIPに立てていたがために
こっちに書き込むことができなくなっていた すまない

そのスレも今日dat落ちしたからまたすこしはこっちにも書けるかもしれない
とはいっても展開はまだ決まっていないからもう少し先だけどな…

展開は決めていないが路線は決まった、俺の持てる力すべてで鬱展開を書くつもりだ
今以上にグダグダになっても俺は知らん、それは知らん

だからもう少し待っててくれ、すまない
では

ゴマゾウの厳選終わってない…
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 01:05:37.75 ID:v3Q8+AEDO
鬱からの逆転が興奮するのに
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/01(水) 04:52:15.04 ID:D+GDrXFpo
鬱か…最近耐性ないからなぁ…
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/11(土) 07:00:27.48 ID:3Zvv4xDDO
まってる
175 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:17:37.75 ID:qEbC+FIy0
ゴーカイシルバーも後藤さんバースも格好良すぎだろ…
特にオーズであんなに燃える回ははじめてだぜ

まぁそれはともかく10日近く間隔あけちゃってごめんね
鬱展開書くとは言ったけど期待しないでくださいね
多分あんまり鬱にはならない気がするし

書き溜めたとこまで書く
176 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:20:34.35 ID:qEbC+FIy0
―10年前―


姉「ねーねー、お父さん?」

姉「あしたちゃんと遊園地連れて行ってくれるよねぇ?」

父「…なんだいまさら、もともとそーいう約束だろうが」

父「男は約束破らない、いつも言ってるだろ?」

父「…なぁ、兄?」

兄「ほぇ? 何が?」

母「――ふふ、まだ小さい兄に言ってもわかりませんよ、あなた」

姉「おかーさんっ!」
177 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:25:42.71 ID:qEbC+FIy0
妹「おかーさん、きょうのばんごはんなぁにー??」

母「今日は妹の好きなものですよー」

妹「わぁい、やったー」

父「…こいつなんでも食うぞ?」

母「それでいいんですよ、子供はそうでなくっちゃあ」

父「…ふん、まぁな」

姉「……」

姉「…ねぇ、お父さん?」

父「…なんだよ、遊園地ならちゃんと連れて行ってやるって」

姉「…わかった」
178 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:31:53.32 ID:qEbC+FIy0
―その翌日―

姉「……っ」

姉「いっ…」





姉「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!」
179 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:39:39.12 ID:qEbC+FIy0
兄「…!?」

兄「いっ、妹!?」

妹「わ…わたしもきこえたっ…」

兄「ね…ねーちゃんの声だった…?」

妹「…う…うん…」

兄「み…見に行く?」

妹「……」

妹「…うん…」
180 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:45:05.38 ID:qEbC+FIy0
兄「…この部屋から…だよな」

兄「」ガラッ

妹「……」

兄「……」


兄「…ねーちゃん?……」

兄「………これって…?」



兄「う、そ… …?」
181 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:51:26.65 ID:qEbC+FIy0
―回想終わり―
182 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:52:59.65 ID:qEbC+FIy0
―――

妹「…どうしていまさらそんなこと…」

兄「…いや…なんていうか…」

妹「…ふざけないでよ」

兄「え…?」

妹「あんなこと思い出したくもないのに…!」

妹「ずっと思い出さないように…心の中に閉じ込めてきたのにっ!!」

妹「どうしてよっ!! どうして今更…っっ!!!」

兄「い…妹…っ」

妹「……寝るよ、私」

兄「おっ、おい、妹…」

妹「…おやすみ」
183 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 18:57:31.65 ID:qEbC+FIy0
―――

兄(…今でも理由はわからない)

兄(あの朝、親父とお袋は二人して)

兄(首吊って二人で死んでた)

兄(…そう、俺たちを残して、たった二人で…)


兄「…なんで死んじまったんだよ、いったい…」

兄「…俺はあんたのこと、ずっと頼りに…」


兄「…クソ親父が」
184 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 19:06:26.79 ID:qEbC+FIy0
兄「…いつまでもこうしていても仕方ないな…」

兄「……」

兄「親父とお袋の死んだ日…」

兄「…いつだっけ…」


兄「…明日でいいか、寝よ…」
185 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/06/12(日) 23:44:37.52 ID:qEbC+FIy0
今日はこの辺で
しんどい
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県) [sage]:2011/06/13(月) 12:16:13.83 ID:caz+KXKio
乙乙
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 22:20:03.52 ID:HfWxB3OM0
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 22:14:32.68 ID:1fFyktU4o
otu
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 06:50:04.73 ID:3wxMBNsDO
ちらっ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/07/09(土) 01:07:43.02 ID:XvsemUy20
ジー
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/09(土) 22:36:04.30 ID:sHgXTw6po
期待
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/25(月) 23:44:46.77 ID:3TezmCFs0
首つりとか・・・
あたしだったらトラウマになってるなぁ。
んでは、期待してま〜す
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/26(火) 00:02:39.04 ID:H81CXl4AO
>>192
ageるなよ。期待しちゃっただろうが。
194 : ◆DsqBcTdku6 [saga]:2011/07/26(火) 00:49:08.38 ID:p1VCZF+F0
てすとす
195 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/26(火) 00:49:37.71 ID:p1VCZF+F0
もっかい
196 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/26(火) 00:51:10.47 ID:p1VCZF+F0
酉忘れてて二度もテストしちまったちくしょう

ごめんみんな本当ごめん
こんな意味不明なSSに期待してくれる人がいるのに一ヶ月以上も開けてごめん

気付いたんだけど明日吹奏楽のコンクールの日なんだよ
金賞獲って帰ってきたいよ

というわけで今まで開けててごめん、期待してくれてありがとう
金賞ゲットしようがしまいが明日には少しSSを進めたいなと思います

明日に備えて今日は寝ます…お休み
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/26(火) 03:30:07.82 ID:0Ptjgjst0
頑張れよーまっとる
198 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/26(火) 21:45:04.90 ID:p1VCZF+F0
頑張ったけど結果は銀賞でした
銀賞wwwwwwwwwいらねぇよ銀なんてwwwwwだwwwれwwwとwwwくwww

今日こそSS進めようと本気で思っていたがどうやらコンクールを甘く見ていたようで
想像してたよりはるかに疲労がたまってやばい眠気に負けてやばいから
明日にさせてくださいごめんなさいおやすみなさい死にそう
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/07/26(火) 23:26:10.66 ID:V4lV2IS0o
おk
完走してくれよ
200 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 00:44:33.91 ID:9amdRNMw0
前回の更新から間隔あけすぎたせいで続きの展開があれなことになってるかもしれないけど
まぁ完走はします絶対
こんなスローペースのくせにこんなこと言っても説得力ないけど実はこのSSさっさと終わらせたいんです
いろいろ他にやりたいこともあるんでね

昨日からいっぱい寝たはずなのにまだ眠いってどういうことなの…
行けるとこまで行くよ
201 :>>184から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 00:52:28.60 ID:9amdRNMw0
―朝―

兄「…もう朝か…」

兄「…そうだ、二人の命日…」

兄「……」

兄「…今日…?…嘘だろ…」

兄「…なんか体重いな…」

兄「もしかして祟られたか」

兄「…ふん」

兄「墓参りなんていかねぇからな…絶対」

兄「っていうかまだ…4時かよ、早すぎ」

兄「先に飯作っといてやるか…」
202 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 00:53:15.67 ID:9amdRNMw0
―――

姉「ふあぁ〜…だっる…二日酔いかなぁ…」

兄「おお…おはよう、姉貴」

姉「…って、兄君!?だめだよ、今日私がご飯当番なのに!」

兄「ああ、いいのいいの、たまたま早く起きちゃったから勝手にやってるだけ」

兄「二日酔いの酔っぱらいはおとなしく寝てな」

姉「うっ…ばかにしおってぇ」

兄「馬鹿になんかしてねぇよ、いいからおとなしく寝てろ、無茶されると困るんだよ」

姉「…ふふ、わかった…ありがとう…せっかくだからご厚意に甘えちゃおうかな」

姉「会社行く時間になったら起こしてね」

兄「さぁ、どうかな」

姉「えっ、えぇー…?」
203 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 00:57:45.16 ID:9amdRNMw0
―――

妹「……」スタスタ

兄「…あっ…」

妹「…何?」

兄「……」

兄「…いや…別に」

妹「……」

兄「……」

兄「…なぁ、昨日の――」

妹「…っ!!!」ギロッ

兄「…っ、な…なんでもない」

妹「……ふんっ」

兄「……」
204 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 01:04:37.66 ID:9amdRNMw0
妹「……」

兄「…ほれ、朝飯」コトッ

妹「……」

兄「…悪かったって」

妹「……」

妹「…お姉ちゃんは?」

兄「二日酔いで寝てる」

妹「…そ」

兄「……」

妹「……いただきます」

兄「…いただきます…」

兄(…ある意味俺のせいだけど…やっぱ気まずいな…)
205 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 01:10:25.31 ID:9amdRNMw0
―――

兄「ごちそうさま」

妹「…ごちそうさまでした」

兄「…そうだ、姉貴起こしてこないと」スタスタ

妹「……」

妹「…お父さん」

妹「…お母さん…」

妹「……」

妹「……」

妹「…はぁ…」
206 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 01:11:53.29 ID:9amdRNMw0
妹「…お兄ちゃん…急になんであんなこと…言い出したんだろ」

妹「……」

兄『…姉貴が仕事なかったらうちはどうすりゃいいんだよ、路頭に迷っちまう』

妹「……」

妹「…まっさかぁ…深読みのしすぎよね」

妹「…はぁ、もういいや…学校行こう」
207 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:10:05.61 ID:9amdRNMw0
―――

兄「…一応ノックしてやるか」コンコン

姉「んっ…んん〜…っ」

兄「姉貴、会社だろ?まだ具合悪いなら寝てていいけど」

姉「…あっ、そういえばそうだ…頭痛酷くて忘れてた」

兄「…大丈夫かよ」

姉「うん…まぁ…」ガチャッ

兄「……」

姉「…兄君?」

兄「…だめだ、大丈夫に見えねぇ」

姉「えっ…?」

兄「鏡見てこい」
208 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:13:14.36 ID:9amdRNMw0
―――

姉「…わぁお…顔真っ青じゃん私」

兄「……」

姉「でも…会社休むわけには…」

兄「馬鹿言うなっての、ここで無理してもっとひどくなったりでもしたらどうすんだ」

姉「そんな、心配し過ぎだってば」

兄「体調悪い時はどんなときでも無茶しちゃいけないって、子供のころ姉貴が言ってたじゃん」

姉「……」

兄(…その姉貴の言葉は)

兄(お袋の言葉の受け売りだ、ってことも…知ってはいるけど)

兄「…とにかく、会社には俺が代わりに連絡しておくから今日は休め」
209 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:15:21.03 ID:9amdRNMw0
姉「…えへへ、ありがとう、ごめんね?迷惑ばっかりで」

兄「うちの家系支えてんのも…俺と妹を引っ張って行ってくれんのも」

兄「姉貴以外居ないんだ…それに、迷惑かけてんのはこっちも同じ、だろ?」

姉「…そ…それもそうかなぁ、あはははっ」

兄「…ったく」

姉「にしても二日酔いで会社休むなんて…なんか…」

兄「…適当に誤魔化しておくから」

兄「ていうか姉貴、自分が酒にあんまり強くないの知ってんだろ」

兄「飲みの席では仕方ないのくらい知ってるけど…あんまり飲み過ぎんなよ、そのうち死ぬぞ」

姉「もう、わかってるって…うえっ、きもちわるっ」

兄「…ほんとに大丈夫か?」

姉「うん、大丈夫大丈夫…っていうか私の事はいいから、兄君は学校行きなよ」

兄「やっべ…そういやそうだ、忘れてたっ!」
210 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:19:09.35 ID:9amdRNMw0
兄「こりゃマジで遅刻かも、部長にどやされるわっ」

兄「い、行ってきます!」ガチャッ

姉「いってらっしゃーい」

姉「……」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 02:24:03.64 ID:31uWp+0Fo
部長?
212 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:25:40.33 ID:9amdRNMw0
姉「…ふふっ」

姉「こんなダメなお姉ちゃんでも…頼りにされてるんだぁ…」

姉「…ちょっと嬉しい…かな、なぁんて」

姉「……」

姉「…ねぇ、」

姉「お父さん」

姉「お母さん」

姉「私…きっと二人のおかげで…いまの私たちがあるんだと思う」

姉「二人のこと怒ってないわけじゃない」

姉「でも…10年間でみんな…強くなれたし」

姉「人は…辛くても、前に進まなきゃ生きていけないんだし…」

姉「…でも…、それでも」
213 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:27:28.06 ID:9amdRNMw0
>>211
兄は吹奏楽部所属の設定なので
吹奏楽部の部長の事です
この日は朝練習があるので
214 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:31:53.66 ID:9amdRNMw0
姉「…私なんかじゃ何もできないかもしれないから」

姉「…ねぇ、お父さん…お母さん」

姉「…せめて」

姉「私たちを…ずっと見守ってて?」

姉「あのときの約束…遊園地はダメだったけど」

姉「…約束して」

姉「私たちを…ずっと…守ってくれるって」

姉「……」

姉「男は約束破らないんでしょ――?」

姉「…今度の約束は…絶対」

姉「守ってね…あのときの約束の、代わりに」
215 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/07/28(木) 02:34:25.01 ID:9amdRNMw0
眠いしそこそこキリがいいような気がするし今日はこの辺で
このレスと>>213まとめちゃえばよかった

明日もかければ書きますのであまり期待はせずに待っていてもらえたなら光栄です
それでは
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 03:14:03.96 ID:31uWp+0Fo
おつ
部長って会社のほうかとおもった
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/07/28(木) 23:48:18.67 ID:XkL7easoo
おつ
頑張れよ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/31(日) 02:26:34.77 ID:d44320ug0
きてたー乙
219 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 21:22:54.90 ID:H4mbrrAn0
こんなスレ早く終わってしまえばいいのに…また間隔あけちゃったよほんとごめん

最初の数レスを見ただけですぐわかる姉のキャラ崩壊
今描いてる姉はなんかすぐふぇぇとか言い出しそうなキャラになってしまったが
こうなってしまった以上はできるだけ今の姉のキャラを貫きますね

今日は早めに寝るつもりなのでいつも通りちまちました投下ですが勘弁してください
220 :>>214から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 21:35:48.07 ID:H4mbrrAn0
―妹の学校―

妹「……」

妹友「おはよう妹っ…って」

妹「…んあーっ?…あー…おはよう…」

妹友「あ…朝なのにずいぶん暗いねぇ…どうかしたの?」

妹「…ううん…別にー…」

妹友「…別にって…全然そうは見えないんだけど」

妹友「あんた普段は学校に来たらすごい良い姿勢で読書してんのに」

妹友「…今日は机に顔突っ伏してどんよりしてんじゃん…」

妹「…本当に何もないよ…」

妹友「嘘だね、絶対嘘だわ…親友でしょ?何か悩んでんなら相談してよ」

妹「うるさいなぁ…妹友には関係ないよ…」
221 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 21:44:01.21 ID:H4mbrrAn0
妹友「ばーか、関係なくったって親友が悩んでたら見過ごせないっつーの」

妹「…余計なお世話なの、放っといてよ」

妹友「あたしがなんでもかんでも首突っ込みたがることくらい知ってるでしょ?」

妹「……」

妹友「あたしとあんた、今もし逆の立場だったらどう?」

妹「…あたしも…首突っ込むかも…関係なくても…」

妹友「そういうこと」

妹「はぁ…やっぱ昔から妹友にはかなわないなぁ…」

妹友「あはは、似た者同士なんだよ、あたしたちって」

妹「…そう?」

妹友「そうっ!」

キーンコーン カーンコーン

妹友「…あっ、朝読書の時間終わりみたい…じゃ、またあとでね」

妹「…うん」
222 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 22:04:15.41 ID:H4mbrrAn0
―昼休み―

妹友「…でさ、何悩んでたわけ?」

妹「…なんでちょっと興味津々なわけ?」

妹友「いいじゃん、早く教えろよぉっ」

妹「……」

妹「…お父さんと…お母さんの事でね…」

妹友「えっ……っと」

妹「なに」

妹友「いやっ…その…」

妹友「…ごめん、真面目に話聞くよ…」

妹「…そんなに固くならなくていいのに」
223 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 22:24:35.01 ID:H4mbrrAn0
妹友「たしか…あんたのお母さんとお父さんは…その」

妹「首吊って二人で心中したよ」

妹友「……」

妹「…大丈夫だよ?そんなに気使わなくたって…」

妹友「…そう?」

妹「そうっ!」

妹友「…じゃあなんで…今になってそんな風に悩んでるわけ?」

妹「…よくわかんないや…昨日おにい…じゃなくって、兄貴がさ」

妹「あの事件の事言い出して…」

妹友「…あんたのお兄さんが絡んでるのか…それで?」

妹「…まぁ…そのせいなんだよ…」

妹友「へぇー…っていうかそれだけで終わりなの…?」

妹「えっ…ぁ…っと…」
224 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/08/02(火) 22:53:29.79 ID:H4mbrrAn0
ダメだ今日は早めに寝よう…
いつもよりだいぶ短い…本当はもうちょっとだけ進める予定だったが今日はこの辺で
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/02(火) 23:33:49.68 ID:gNNw60VH0
乙乙
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/08/04(木) 16:24:30.44 ID:73+KeEvzo
年末
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/04(木) 17:01:01.90 ID:ewAzBmOm0
なんか上がってると思ったら戻ってたのか。
228 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/08/04(木) 20:24:50.68 ID:T2b2DjTq0
他のスレにこの酉つけたままで書きこんじゃった、てへぺろ
明日書けるかもしれないけどわかんない
ごめん
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2011/08/12(金) 06:21:57.32 ID:Tfb/Ry1r0
待ってるよ?
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/12(金) 13:06:59.96 ID:QdAQaLR0o
俺も待ってるんだけどね
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/18(木) 04:35:48.84 ID:ztK+P0r+o
ワクテカワクテカ
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/08/25(木) 00:23:33.26 ID:YCE60lDH0
wktkwktk
233 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/04(日) 01:01:02.62 ID:X1ds2azI0
ごめんまた一か月あけちゃった…
明日には少しでも進められるよう努力する、というか少しだけでも進めるから許してくれ…
今日は寝るけど勘弁してくれ…明日はフォーゼとゴーカイジャー×ジェットマン…wktk…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/04(日) 03:38:46.61 ID:nHfcpn6v0
おっ生きてたか ワクテカして待ってる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
235 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/09/05(月) 01:00:49.25 ID:+xeuQDP40
男は約束を破らない、そうやって自分でこのスレに書いたんだが…
ちょっと今日は書けそうにない、wktkして待っててくれた人もいるのかもしれないが
明日に延ばさせてはくれまいか
約束破りなんて最低なこと許されないのは重々承知なんだけど…明日は必ず書くから許してくださいorz
…お休みなさい…
236 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/09/05(月) 23:52:07.78 ID:+xeuQDP40
眠気が酷い
頭が回らない
展開思いつかない
俺は屑
もう一日待ってください
こんな俺を誰か罵ってください
お休みなさい
237 :>>223から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:01:23.05 ID:ddhSEmp/0
妹「…どういうこと…?」

妹友「あんたが勝手に悩んでるだけで終わりなのかって聞いてんの」

妹「それは…」

妹友「お兄さんのせいにしてるだけじゃない?もしかして」

妹「えっ…」

妹友「なんでお兄さんが今になってそんな風に言い出したのか…あんたも一緒になって考えてみればいいじゃん」

妹友「どうせ気になってるんでしょ?何もないわけないだろうしさ」

妹「妹友…」

妹友「本当に昔の事、もう気にしてないっていうんなら…お兄さんと相談してみればいいんじゃない?」

妹「……」
238 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:06:03.16 ID:ddhSEmp/0
妹友「…あはは、あんまり大したことは言えないけどさ…」

妹「ううん、そんなことないよ…ありがとう、そうしてみる」

妹友「おっ、あたしなんかでも力になれたってこと?」

妹「もちろんだよ」

妹友「えへへ…なんか照れるじゃんか…」

妹「…よく見ると可愛いかもね、妹友って…じゅるっ」

妹友「!?」

妹「…あ、いやいやなんでも」

妹友「…嘘だ、なんか今鳥肌立ったもん…」
239 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:16:38.58 ID:ddhSEmp/0
妹「あ、そろそろ昼休み終わりだね」

妹友「次は掃除かぁ…めんどくさー」

妹「その台詞はもう聞き飽きたよ」

妹友「…はぁーあ、真面目な優等生の妹ちゃんがうらやましいですよぉー」

妹「余計なこと言わなくていいー!」

妹友「あっはは、冗談冗談!じゃ、またあとで」

妹「うん、さぼっちゃだめよ」

妹友「…どうしよっかな」

妹「こら!」
240 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:22:17.31 ID:ddhSEmp/0
―――

妹「…妹友にまた励まされちゃったかもね」

妹「昔っからずっと…妙に人の悩みをピンポイントで解決してくれて…」

妹「ああいう娘だから…きっと頼りになるんだろうけど」

妹「…帰ったら…お兄ちゃんには謝らなくちゃ…」

妹「本当はもう…逃げちゃいけないのもわかってるし」

妹「逃げる必要もないし…ちゃんと向き合わないと…」

妹「…あっ、三角巾忘れた」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/07(水) 02:24:15.37 ID:ub7O0kMw0
きてたか ガタッ
242 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:29:43.34 ID:ddhSEmp/0
―兄の学校、保健室―

兄「……」

幼馴染「…兄君兄君、大丈夫?」

兄「…まさか弁当の中の卵焼きで腹下すとは…」

幼馴染「買ったやつ?」

兄「いや…一応うちで作ってきた奴…」

幼馴染「へんなの混ぜたんじゃないのー?」

兄「さぁ、どうだか…多分祟られたのかもしれないけどな…」

幼馴染「…なにそれ」

兄「お前には関係ないよ」

幼馴染「…ますますなにそれって言いたくなるよ」
243 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:36:57.83 ID:ddhSEmp/0
兄「…そろそろ授業始まるだろ、先に戻ってていいぞ」

幼馴染「本当に大丈夫…?」

兄「ああ、心配いらないよ…ありがとな…」

幼馴染「…あんまり大丈夫には見えないけどなぁ…まぁ、兄君がそういうなら僕は戻るけど」

幼馴染「辛い時はいつでも言ってね?約束だよ、じゃあね!」

兄「おう…後でな…」

兄「…腹いてぇ…」ギュルルルルル

兄「…ったく、約束破りのクソ親父め…」

兄「死んでからもろくなことしやがらねぇ…腹立たしい…」

兄「…うごっ!?…」ギュルルルルル

兄「…くそっ、腹立たしいってそういう意味じゃなっ…!」ギュルルルルル

兄「…限界だ、トイレ…!」ギュルルルルルル
244 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:44:09.45 ID:ddhSEmp/0
―放課後―

幼馴染「…兄君、結局どうだったの?」

兄「…一命は取り留めた…心配かけて悪いな…」

幼馴染「それならいいけど…次からはちゃんとしたもの食べないとだめだよ?」

兄「…一応買ってきてすぐの卵で、品質もそんなに悪くないやつを使ったんだけどな…」

幼馴染「えぇ?そうなの…じゃあ何が原因かな?食べ合わせが悪かったとか?」

兄「それはないと思う…っていうか、大体原因はわかってるんだけどな…」

幼馴染「えー?なになに?教えてよー」

兄「くだらないことだから別にいいって…」

幼馴染「やだよぉ、気になるって!」

兄「…やべっ、そろそろ部活始まる時間だから!じゃあまた明日な!」

幼馴染「あっ、行っちゃった…まったくもう…」
245 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:51:38.25 ID:ddhSEmp/0
―部室―

兄「失礼しまーす」

部長「…兄君、1分43秒遅刻です」

兄「…約2分じゃないですか、勘弁してくださいよ…」

部長「いいえ、そういうわけにはいきませんねぇ…遅刻してきたときはきちんと」

部長「『遅れてすみませんでした』をつけてから部室に入ってきなさい」

部長「そういうふうに何度も言っているでしょう?次こそは守っていただかないとね…」

兄「…あの、また罰金ですか…」

部長「…当然!」
246 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 02:58:31.44 ID:ddhSEmp/0
兄「…あんまり金持ってないんですけど」

部長「…いいですか兄君?私たちは高校生、つまり社会人にかなり近い状態であって自立ができないといけないし」

部長「自分の始末は自分でつけなくてはならない、よって罰金です」

部長「責任はこうして取ってもらわなければいけませんのでね」

兄「…金が欲しいだけなんじゃないんですか」

部長「失礼なことを言わないでください、楽器の吹けない体になりますよ」

兄「それは勘弁してください…」スッ

部長「…千円確かにお預かりいたしました…」

兄「お預かりってことは返してくれるんですよね?」

部長「馬鹿にしないでください」
247 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/07(水) 03:15:19.72 ID:ddhSEmp/0
今日のところはここまで

時間の経過をレスごとでざっとまとめてみると
1日目        夜>>3->>12

2日目 朝>>13->>32 夜>>38->>72

3日目 朝>>73->>99 夜>>110->>120

4日目 朝>>121->>136 夜>>142->>144

5日目 朝>>145->>161 夜>>162->>184

6日目 朝>>201->>246

こんな感じかな
あんまり進まなくてごめんなさい

関係ないけどこの間のゴーカイジャーのジェットマン回、最後の凱のサックスでなんか泣きそうになった
ジェットマン見たことないのになんかすっごく感動した
ジェットマン見てみたいなと思いました
お休みなさい
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/09(金) 20:29:24.43 ID:L5hadp0m0

わかりやすくまとめたな。ここの>>1はマメで好きだ
249 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/09/09(金) 22:49:58.27 ID:raHg4KeH0
>>248
お褒めいただきありがとうございますww

次回進展させられるとしたら月曜日かなぁ…
けど最近疲労がやばいから場合によっては延びるかもしれないし早まるかもしれないです
けど余裕があれば月曜に続き書きますのであまり期待はせずに待っていてくださればありがたいです
ところで吹奏楽部部長は出して正解だったのだろうか…

こころはタマゴは神曲 異論は認めない…!
ではお休みなさい
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/10(土) 03:18:47.45 ID:d3OSy2bEo
乙した!
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/10/04(火) 19:58:09.18 ID:lNQJkolYo
やっと追いついた…乙!
252 :VIPに変わりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 23:24:51.64 ID:r8cyCnGno
まだー?
253 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/01(火) 20:56:46.83 ID:AsvHiUsf0
月曜に書く…書くが…今回 まだ その時の指定まではしていn(ry
ごめんなさい、冗談です
しかも今日火曜日です

結局放置しててごめんなさい 今日もまだ進められなくてごめんなさい
文化祭()の準備とかに追われててなかなか時間が取れなかったんでございます
どうかお許しを…

時間さえあれば明日進めるつもりです でも期待はしないでね、決して

そして関係ないけどゴーオンゴーカイオーかっこよかった!もう一回変形するしね、あいつ
それはまた来週だか再来週かな
とりあえず今日はもうお休みなさい

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/11/01(火) 21:10:53.86 ID:3h4Y8nJYo
自分のペースでいいよ
おやすみ

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255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/01(火) 22:31:49.69 ID:Tog+El2q0
一気に読んだー

面白いな待ってるよ

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
256 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:09:39.89 ID:qNE9pv3g0
結局昨日は書けなかったぁー
ごめんなさいマジで
でも今日は出来るだけ進められるよう頑張ったつもり
今回は後輩推しにございます

相変わらず短いんだけど、投下していきます
257 :>>246から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:17:16.12 ID:qNE9pv3g0
―音楽室―

兄「…はぁ、結局あのまま没収されちゃったよ」

後輩「自業自得です」

兄「うげっ…手厳しい」

後輩「…私なんか…今日はわざわざいつもより早めに来たっていうのに…」

兄「…なんで?練習するため?」

後輩「……」

後輩「…察してくださいよ、それくらい」ペラッ

兄「…はぁ…?」

後輩「…なんでもないです、私が悪かったです」

兄「…突然どうしたの」

後輩「…いいですって…それより早く…」

後輩「…練習しましょう…先輩」

兄「…え…?」
258 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:18:30.84 ID:qNE9pv3g0
後輩「…どうかしたんですか」

兄「…い…いやいやいや…別に大したことじゃないんだけど…ただ」

兄「…まさか後輩が…自分から練習しましょう、なんて言ってくるとは思わなくて…!」

後輩「……」

兄「…あ、えっと…ごめん」

後輩「……」

後輩「…先輩には…いろいろお世話になったので」

後輩「真面目にやらなきゃダメかなぁ…って思って」スッ

後輩「……」ブーッ ブーッ

兄(…おお…自分からマウスピースで練習を…)

兄(こんな姿でさえ初めて見るよ…)

兄(…本当にいきなりどうしたんだろう…?)
259 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:21:22.08 ID:qNE9pv3g0
兄「…けどここじゃ他のパートもいるし…教室行くか」

後輩「…!」

後輩「……」

後輩「…二人きり…」ボソッ

兄「…?」

後輩「…わかりました…早く行きましょう」ガチャッ スタスタ

兄「…今日はなんか妙に生き生きしてんなぁ…あの娘」

兄「…ていうかちょっと待て!先輩を置いていかないで!」ガチャッ
260 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:22:41.79 ID:qNE9pv3g0
―教室―

兄「…さてと、個人練にする?それとも一緒に基礎練習にするか?」

後輩「…一緒に…」ボソッ

後輩「…じ、じゃあ…いいいっしょにきききそれんしゅうがいいです!」

兄「何いきなりどもってんだ、熱でもあんの?」

後輩「なっ、ひっ…ひどい!」

兄「あははは冗談だって、じゃあロングトーンからな」

後輩「…もう…」

兄「はい構えて!」

後輩「わわっ、ちょっと待って!」
261 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:26:23.04 ID:qNE9pv3g0
兄「…別に焦らなくてもいいよ」ブーッ

後輩「…はい」ブププププ

後輩「…あ」

兄「唾抜きしてから入ってね」

後輩「…はーい…」クルッ

後輩「」ビシャッ

後輩「……」

後輩「……」

兄「…よ、よくあることだって…」

後輩「…うぅ…」
262 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 21:45:43.70 ID:qNE9pv3g0
―――

兄「…基礎練終わり」

後輩「曲練習しますか?」

兄「もちろん、コンクールは近いんだからな」

後輩「…私あの曲嫌いです」

兄「…なんで?いい曲じゃん」

後輩「…だって…難しいですもん」

兄「なーに生意気言ってんだ、だったら去年のなんかもっと難しいぞ?」

後輩「…去年の…?」

兄「ノアの方舟」

参考音源↓
http://www.youtube.com/watch?v=SuGeGuLwG9s
263 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:15:45.44 ID:qNE9pv3g0
後輩「…ああ、私やったことありますよノアの方舟…でも」

後輩「…あれより簡単だと思うんですけど…今年のほうが」

兄「馬鹿言うなよ、高音きっつくってしょうがないんだぞ?1stだと」

兄「もしかして2ndとかだったのか?」

後輩「…4thです」

兄「…4thだったらそりゃあ簡単だろ」

兄「今やってる曲…アルカザールは何番?」

後輩「…2ndです」

兄「ほら」

後輩「……」
264 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:16:22.32 ID:qNE9pv3g0
兄「ていうかそんなことはいいの、たとえ難しくっても」

兄「練習すれば上達するし…逆にしなければ出来ないまんま」

兄「コンクールで恥かくぜ?いいの?」

後輩「……」フルフル

兄「…やっぱ嫌なんだろ?」

後輩「……」コクン

兄「……」

兄「…じゃあ…一個聞かせてくれよ」

後輩「はい」

兄「練習して上達したいって言ってるくせに…なんでこの間まで練習する気になってくれなかったんだ?」

後輩「…それは…えっと…」

兄「…怒るわけじゃないけど…気になるんだよ」

兄「今日の後輩…いつもと違うからさ」
265 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:18:04.74 ID:qNE9pv3g0
後輩「…深い理由はないんです」

後輩「ただ…緊張してただけなんです」

後輩「新しい環境に慣れてなくて…それで…」

後輩「…練習もできなくて…だから…!」

兄「…そうか、よくわかった」

兄「ありがとう、それだけで十分だ」

後輩「……先輩」

兄「…なんだ?」

後輩「あの…頑張って…金賞…」

後輩「…獲りましょうね」

後輩「…一緒に」

兄「…ああ…もちろん」

後輩「……」
266 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:20:22.93 ID:qNE9pv3g0
兄「…けど…そんなに甘いもんじゃないぞ?コンクールって」

後輩「…わかってますよ、中学のころからずっと挑み続けてますから」

兄「俺もできれば獲ってみたかったんだけどな…中学の時に」

兄「…結局一度も獲れなかった」

後輩「…私もです」

兄「まぁ…今年獲れなかったとしても来年がある」

兄「…だけど…どうせなら今年獲りたいよな」

後輩「もちろん…3年間追い続けてきた『夢』ですから」

後輩「それに…私、今年はやれそうな気がするんです」

後輩「…先輩と一緒だから」

兄「……」
267 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:26:37.94 ID:qNE9pv3g0
後輩「…あっ…すみません、変なこと言って」

兄「…いや…ありがとう」

後輩「…先輩」

兄「…中学の時の後輩に対しては思わなかったことを…今思ったよ」

後輩「…え…?」

兄「俺は良い後輩を持ったなぁ…ってね」

後輩「せ…せんぱい…!」

兄「…嬉しいよ、ありがとな」

後輩「…いっ…いえ…そんなことっ」

兄「…さて!それじゃあ夏に向けて練習だ!」

後輩「はっ!はいっ!!」
268 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:28:24.49 ID:qNE9pv3g0
―隣の教室―

部長友「部長、隣のホルンパートがちょっと騒がしいと思いまーす」

部長「…見てきましたよ、今」

部長友「まさか遊んでたわけじゃないでしょうね…?」

部長「…ふふっ、ええ…もちろん」

部長「これから練習するところですよ」

部長友「…それならいいけど」

部長「…あれもひとつの青春、というやつなのかもしれません」

部長友「…はぁ?」

部長「彼らが少し…羨ましくなりました」

部長友「……」

部長友「…ぶっ…」

部長「…え?」

部長友「部長が!部長が感傷に!感傷に浸ってるわぁー!うははっ超笑える!!あはははははっ!!」

部長「ちょっ!大声で騒がないでくださいよ!恥ずかしいじゃないですか!ちょっとー!」

部長友「…あれもひとつの青春、というやつなのかもしれません(キリッ」

部長友「だっておー!ぎゃははははは、いつもはそんなこと言わないくせにー!」

部長「ちゃっ…茶化すなぁー!!」
269 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:28:52.63 ID:qNE9pv3g0
―――

部長友「…ぷっ、ふふ…ま…まぁ…これはさっきの千円の分のお釣りっていうことで…ぶふっ!」

部長「…いらないですよ…っていうかいつまで笑ってるんですか…」

部長友「…あーははっ、危うくクラリネット落っことしそうになっちゃった」

部長「冗談はやめてください」

部長友「あーあ、いつもの部長に戻っちゃったー」

部長「誰のせいですか、まったく…っていうかずっといつも通りですよ」

部長友「…それで?ホルンの二人…あいつらは今年もきちんとこの部の皆を」

部長友「中音部の一角として支えていけそうなの?」

部長「ええ、きっと大丈夫ですよ…私が言うんだから間違いありません」

部長友「…ふぅん、じゃあ私も信じてみよっかな」
270 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:31:19.94 ID:qNE9pv3g0
部長友「……」

部長友「…ねぇ部長」

部長「…なんですか?」

部長友「…今年は金賞」

部長友「…獲れるといいなぁ?」

部長「…獲れるといいなぁ…?」

部長「……違います」

部長「…獲りに…行くんです」

部長「…今年こそ…ね」

部長友「そっか」

部長友「…そうだったね」

部長「練習…再開しましょう」

部長友「…おう」
271 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 22:48:08.03 ID:qNE9pv3g0
今日のところは以上で終わり
とある高校の青春の1ページ、みたいなのが描けてたらいいなと思いつつ書きました
もちろんここからが本番なんですけどね

次回の予定は…やっぱり未定かなぁ
というかたとえ予告しても恐らくそれを厳守できないので意味がない…

アルカザールの参考音源も探したんだけどどこにもないない
だから知ってる人だけわかってくれたらいいです
1stとか2ndとか4thとかなんのこっちゃという人は、
数字が若いほど楽譜としてはきついんだよ、ってことが伝わればとりあえずそれでいいです

要するに、専門用語的なのが出てきたとしてもあまり深く考えずに読んでいただけたら幸いですってことが言いたいのでした

来年はマゼランの未知なる大陸への挑戦(http://www.youtube.com/watch?v=cTjeE0GP3cM)を
コンクール曲でやってみたいなぁなんて思ってはいるけど…
難しそうだしなぁ、実現できるかどうか…

まぁこれはそのうち考えるとします、お休みなさい
皆様良い夢を
272 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/03(木) 23:23:21.07 ID:qNE9pv3g0
あ、寝る前に一つ 登場人物を整理しておこう

兄…高校生 吹奏楽部のホルンパート 女の子に好かれる体質 うらやましい氏ね

姉…社会人 キャラ崩壊しまくりの残念な人 巨乳腐女子 だけど一応頼れる人ではあります

妹…中学生 貧乳レズビアン でも兄に気があるようなのでバイの可能性もあり

幼馴染…読んで字のごとく兄にとっての幼馴染 兄に気があるお友達 陸上部 元気系僕っ娘

女…今のところ黒歴史 けどそのうち出すつもりではいる とりあえずわりとどうでもいいやつ

妹友…読んで字のごとく妹にとっての友達 変態の妹に理解のあるいい人

後輩…兄の後輩 同じくホルン 最近デレ始めの無口キャラ 兄に気があり

部長…会社のじゃないです、吹奏楽部の部長です 常に敬語で冷静で、遅刻者に対する罰は厳しい

部長友…読んで字のごとく部長の友達 部長と一緒のクラリネット 元気っ娘

母…三姉弟の優しいお母さん ある日突然父親とともに心中 素性はいまだ謎のまま

父…三姉弟の厳しいお父さん ある日突然母親とともに心中 素性はいまだ謎のまま

簡易的にまとめるなら大体こんな感じ 視点変更が多いせいでキャラが把握しきれなかった面も
ある感じがしたので適当に整理してみた
抜けがあったらどうぞ指摘してください

それじゃあ今度こそお休みなさい
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 08:34:46.60 ID:oguKnVcNo
イイヨイイヨー
274 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:18:17.34 ID:EAHr1sgK0
今週のゴーカイは…なんか微妙だった
詰め込み過ぎて個々の掘り下げがいまいちだったのは非常にもったいないなぁと思いました
でも演出面でもっと工夫すればちゃんと盛り上がれたような気がしなくもない…
だからこそなおさらもったいない

個々の掘り下げがいまいちなのは今書いてるSSも同じでsゲフンゲフン

そもそもいつの間にこんな吹奏楽ゴリ押ししてる感じのSSになったんだろうか
…まぁいいか
275 :>>270から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:21:28.08 ID:EAHr1sgK0
―放課後―

兄「失礼しまーす、さよーならー」ガラッ

兄「…はぁーあ、疲れたー」

兄「後輩のやつが妙に張り切るもんだから…こっちまで振り回されちまった」

後輩「…悪かったですね」ムスッ

兄「うぉおっ、後輩!?」ビクッ

後輩「……」

兄「…さ、先に帰ったんじゃ…?」

後輩「…先に帰っててほしかったですか」

兄「あ、いやそんなこと言ってるわけじゃ…」

後輩「ふんっ」スタスタ

兄「あっ、おいちょっと!」
276 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:30:32.70 ID:EAHr1sgK0
後輩「……」スタスタ

兄「…おい、待てったら…」スタスタ

後輩「……」テクテク

兄(…あ、歩くスピードちょっと遅くなった)

後輩「…なんですか?」

兄「いや、何でそんなに怒ってんだよって」

後輩「教えませんよ」

兄「なんでだよ」

後輩「ていうか怒ってないですし」

兄「怒ってんじゃんか」

後輩「…こういうのはある種の照れ隠…っ」

兄「…?」

後輩「…いえ、なんでもないです」

兄「??」
277 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:34:43.57 ID:EAHr1sgK0
―駐輪場―

後輩「……」ジローッ

兄「…あいつ自転車に荷物くくりながらこっちめっちゃ睨んでくる…」

後輩「…!」ピクッ

兄「目が合った」

後輩「っ!」フイッ

兄「…逸らされた」

兄「…なんなんだあいつ」

後輩「……」ガチャッ チリンチリン

兄「行っちゃったし…」

兄「……」

兄「…きっ…気を付けて帰れよー…?」ボソッ

幼馴染「なーにやってんのっ!」バシッ

兄「あ痛っ!」
278 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:39:00.12 ID:EAHr1sgK0
兄「…いきなり殴るな」

幼馴染「あっははは、ごめんごめん」

幼馴染「兄君がどっか遠くを見ているように感じてさぁ」

兄「…遠く…?」

幼馴染「うーん、なんて言ったらいいかよくわかんないけど」

幼馴染「いろいろ悩んでることがあって…それがごちゃ混ぜになっちゃって」

幼馴染「だから逃げ出したくなっちゃって…って」

幼馴染「そんな風に見えたかなぁー」

兄「…何をわけのわからんことを」

幼馴染「えへへ、まぁ当てずっぽだしねー」

兄「……」

幼馴染「…あっ、またどっか遠くのほう向いてるなぁー?」

兄(…確かに最近いろいろあって…知らずに遠くに意識が逃げてる、なんてことがよくあるような…)

兄(…幼馴染の言ってること…わりかし的を得てるのかな)

幼馴染「兄くーん?もしもーし?」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(茨城県) [saga sage]:2011/11/15(火) 23:41:43.56 ID:EAHr1sgK0
兄(…あんまりぼけっとしてたら…いろいろ迷惑かかっちまう)

兄(まずはひとつ…これから片付けないとな)

幼馴染「兄君、兄くーんっ」

兄「…幼馴染」

幼馴染「あっ、よかったぁ…元通りに――」

兄「ありがとな」

幼馴染「……」

幼馴染「…え…?」
280 :酉入力し忘れた ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:46:45.70 ID:EAHr1sgK0
幼馴染「ななっ、なに?突然…」

兄「えっ…ああ、いや…別に」

幼馴染「…そっ…そう?それならいいんだけど…」

兄「……」

幼馴染「……」

兄(…あれ…なんだこの空気…?なんか俺変なこと言っちゃったのかな!?)

兄「ぇあっ、えっと…」

幼馴染「…ごっ、ごめん!僕用事思い出しちゃった!一緒に帰りたかったんだけど――」

兄「えっ!?…お、おい!」

幼馴染「ごめん、じゃあね!また明日っ!!」ガチャッ チリンチリン

兄「…あっ、おい!待てよ幼馴染!!」ガチャッ チリンチリン
281 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:50:19.17 ID:EAHr1sgK0
幼馴染「…っ…!はぁ…はぁ…っ!!」キコキコキコ

幼馴染(…なんで僕兄君から逃げてるんだ…?)

幼馴染(なんで兄君と一緒に帰ってきてないんだ…?)

幼馴染(なんで兄君を突っ撥ねるようなことしたんだ…)

幼馴染(なんで兄君を混乱させるような真似までしたんだ…!)

幼馴染「…わかんないや、自分でも…いったいどうしちゃったんだろ…?」キコキコキコキコッ

幼馴染「……」キキィッ

幼馴染「…なんか…胸の中に…ぽっかり穴が開いてるみたいだ…」

幼馴染「悲しくなるんじゃないけど…なんか」

幼馴染「……変な感じ」ガチャッ キコキコ
282 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/15(火) 23:57:34.89 ID:EAHr1sgK0
―――

兄「…はぁ…はぁ…くそっ、どこ行きやがった…」

兄「あーくそっ、俺みたいな怠けの吹奏楽部が陸上部に敵うはずないだろ…速すぎだ」

兄「…もうちょっと探したいけど…飛ばし過ぎて足の筋肉がもたねぇ…」

兄「一旦うちに帰って…あいつの家に連絡してみることにするか」
283 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:06:52.97 ID:rFQAlHGS0
―兄自宅―

兄「…はぁ…はぁ…ただいま…」ガチャッ

妹「…お兄ちゃん…お帰り」

兄「…おう…」グッタリ

妹「どしたの…?大丈夫?」

兄「…あ…ああ、まぁ…なんとかな…」

妹「夕食ならできてるよ?」

兄「…誰が作ったんだ?」

妹「…お姉ちゃんが」

兄「あいつ二日酔いだったはずだろ」

妹「…いや、それがさ…」

兄「…?」
284 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:09:35.79 ID:rFQAlHGS0
妹「……」

兄「…なんだよ」

妹「…今日って何の日?」

兄「親父たちの死んだ日」

妹「…そう、だから具合悪い体引きずってお墓参り行っちゃったよ」

兄「お前…止めなかったのか?」

妹「…止められるわけないでしょ、ほら」ピラッ

兄「…置手紙に同じこと書いてある…」

妹「私が来る前に行っちゃったってことだよ」

兄「…今の姉貴じゃいろいろと不安だ…支度して探しに行くぞ」

妹「私も行ったほうがいい?」

兄「あー…そうだな、一緒に行くか」

妹「らじゃーっ」ピッ
285 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:11:12.02 ID:rFQAlHGS0
―――

兄「…おい、支度できたか?」

妹「まだー、あとちょい待ってー」

兄「いいけど…急げよー?」

妹「あーもー!急いでるってばー」

妹「…よし、準備オッケー!」

兄「忘れ物ないか?」

妹「…なんかのイベントに参加するわけじゃないんだから」

兄「…それもそうか」ガチャガチャッ
286 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:13:19.93 ID:rFQAlHGS0
妹「ねぇねぇ、分かれて探そうよ」

兄「馬鹿言え、何時だと思ってんだ」

妹「…もう、冗談だってば」

兄「…まったく」

妹「お母さんたちのお墓は隣町だよね?」

兄「そうだけど…さすがに今の時間だったら隣町にはいないだろ」

妹「あっ、そっか…じゃあこの街の中探したほうが早いね」

兄「自転車で行くか」

妹「オッケー」
287 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:14:58.07 ID:rFQAlHGS0
―幼馴染 自宅―

幼馴染「…はぁ…ただいまー」

幼馴染「…って…返ってくるわけないんだよね、返事なんて…」

幼馴染「はぁーあ、どーせ僕は天涯孤独の女の子ですよー」

幼馴染「……」

幼馴染「…さみしいなぁ、一人って…」

幼馴染「学校や部活じゃなくて…塾や他人の家じゃなくて…」

幼馴染「正真正銘自分の家!…で一人だから…割と応えちゃったりするんだよねー」

幼馴染「……」
288 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:16:30.11 ID:rFQAlHGS0
幼馴染「…こういうときはカーテンでも開けて気晴らしするか…」シャーッ

幼馴染「…ちぇっ、曇ってら…この分だともうすぐ降ってきそうだぁ…あーやだやだ」

幼馴染「…ん…?なんだあれ…」

幼馴染「隣とうちとの間に…まるで誰か…寝そべってるみたいな…」

幼馴染「……」ゴクリッ

幼馴染「…い、一応見てみよう…」ガチャッ
289 :ねえさんじゃないよあねさんだよ ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:18:29.32 ID:rFQAlHGS0
―――

幼馴染「…誰だあれ…なんだか見覚えある気がするんだけど…」

姉「……」グッタリ

幼馴染「…なっ…あ…姉さん…!?なんでこんなところに倒れてるの…?」

幼馴染「あっ、いや…それよりうちに運ばないと…」グイッ

幼馴染「姉さん、しっかりしてください…姉さん!大丈夫ですか!?」
290 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:21:36.52 ID:rFQAlHGS0
姉「…うーん…おと…さ…、…かあ…ん…っ!」

幼馴染「…すごいうなされてるなぁ…大丈夫かなぁ、兄君に連絡したほうが…」

幼馴染「…あっ…そうだ、そういえば僕…さっきはなんであんなことしちゃったんだろ…」

幼馴染「…なんで急に…」

―――

幼馴染『うーん、なんて言ったらいいかよくわかんないけど』

幼馴染『いろいろ悩んでることがあって…それがごちゃ混ぜになっちゃって』

幼馴染『だから逃げ出したくなっちゃって…って』

幼馴染『そんな風に見えたかなぁー』

―――

幼馴染「…そっか…あれは…兄君を元気づけるために言ったわけじゃなくて…」

幼馴染「…遠くを見てたのは…僕のほうで…」

幼馴染「自分の状態を…あの子に押し付けて…」

幼馴染「怖がってたくせに…兄君に押し付けて」

幼馴染「…何がしたかったんだろ」

幼馴染「もう…本当わけわかんないよ」
291 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:23:25.01 ID:rFQAlHGS0
姉「…よくわかんないけど…幼馴染ちゃんは兄君の力になってくれようとしたってことじゃなーい?」

幼馴染「…姉さん…大丈夫なんですか?」

姉「うへへ…やっぱりお母さんの言った通り…体調が悪い時は無茶するもんじゃないね…」

姉「二日酔いでだるかったのに無理やりお母さんたちのお墓参りに行って来たの」

姉「…けど結局限界が来て行き倒れちゃった」

姉「ありがとね、助けてくれて…偶然倒れたのがここでよかったよ」

幼馴染「…いえ、私はそんな…」

姉「…もちろん、それだけじゃないんだけど」

幼馴染「…へ?」
292 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/11/16(水) 00:25:16.59 ID:rFQAlHGS0
姉「兄君の事…いつもお世話になって」

幼馴染「あっ、いやいやいや…お世話になってるのは…その、私のほうですから」

姉「あはは、別に謙遜もかしこまりもしなくていいのよ?」

姉「私にとってはあなたは恩人だし」

幼馴染「…いえ、ですからそんな…」

姉「…まぁ、それは後でお礼させてもらうとして…さっき気になること言ってたよね、幼馴染ちゃん」

幼馴染「…気になること?」

姉「…ほら、さっきの遠くがどうのこうのとか」

幼馴染「……」
293 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/11/16(水) 00:28:40.32 ID:rFQAlHGS0
半端なところで終わって悪いんだけど、頭が回らなくなってきたから今回はここまでです
なかなか思うような展開にならない…

そういやフォーゼもちょっとあれだったな、大文字△回が面白すぎて霞んじゃった気がしたな
ライダー爆熱シュートも派手さに欠けてたし
…でもあれだよね、全ては駅伝のせいだよね
…そういうことにしておこう

次回のゴーカイはメガレンジャー…まぁバレで知ってたけど、ゴーカイジャーが青春ぽいことしたりすんのかな…尺的に無理か

次回の更新も相変わらず未定というかぶっちゃけ気まぐれなのでいつになるやらわかりませんが、
できるだけ近いうちに進められるよう頑張ります
ではお休みなさい
294 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/04(日) 00:51:54.70 ID:nhgiEiqM0
>>275からの部分を改めて見直してみたらなんだこの中途半端な展開…
SSは惰性で書くもんじゃないなー
次からは気を付けないと…

本当にゴーカイジャーで学園青春メガレンジャーしててワロタ
東映公式でやってるメガレンジャー本編も面白すぎてワロタ
タイムレンジャー回も神回でまたさらにワロタ あのラストは反則…

まぁいいか 見てる人いるか知らんが投下
295 :>>292から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 00:55:24.84 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「…時々…あるんですよ、私…ああいう風になっちゃうこと」

姉「……」

幼馴染「姉さんも知ってますよね…?私、幼いころに両親に捨てられて…」

幼馴染「それで…この家に引き取られてきたんです」

姉「うん…よく知ってるよ」

幼馴染「……もともとこの家に住んでいたおじいちゃんに…引き取られて」

幼馴染「でも…おじいちゃんも…その時にはもう寿命が近かった」

幼馴染「私が6歳頃の時に…他界しました」

姉「うん…私たち姉弟にも優しくしてくれて」

姉「みんなでわんわん泣いたよね」

姉「おじいちゃんのお墓参りもしてきたよ」

姉「私の…両親のお墓参りと一緒にね」
296 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 00:56:37.16 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「……」

姉「…幼馴染ちゃん、兄君や妹ちゃんには…言ってないよね?あの事」

幼馴染「…はい、秘密でしたよね?」

姉「うん…ありがとね、守っててくれて」

幼馴染「いえ…私は別に」

幼馴染「あの二人がこんなこと知ったら…大問題ですから」

姉「……そうだね、あの二人は私以上にお父さんたちに懐いていたから」

幼馴染「姉さんは…その、…平気、…なん、ですか…?」

姉「…まぁね、お姉ちゃんだもの」

幼馴染「…すみません」

姉「あ、ううん…気にしないで」
297 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/04(日) 00:58:52.48 ID:nhgiEiqM0
姉「…っていうか話逸れちゃったじゃん、元に戻そっか」

幼馴染「…あ…はい」

姉「さっきの話から察すると、多分幼馴染ちゃんは」

姉「その…寂しい…んじゃないかな?」

幼馴染「…え?」

姉「あ、いやーえっと…あくまでも推測、だから当てずっぽうっていうか…当たってなんかないだろうけど…えっと」

姉「幼馴染ちゃんには愛情が足りないの!そう、きっとそうだよ!…私が思うには、なんだけどね」

幼馴染「……愛、情…」
298 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:00:30.15 ID:nhgiEiqM0
姉「…だって…昔おじいちゃんが使っていたからとはいえこんなに古臭いお家でさ」

姉「誰も家族がいなくて…小学校以来ずっと一人で」

姉「…そんなんじゃ…誰だって寂しいに決まってるよ」

幼馴染「…っ…い…いえ、私そんなこと…!」

姉「…もうっ」ギュッ

幼馴染「…!」

姉「…知ってたんだよ、私」

姉「…知ってた…はずなんだよ、私」

姉「幼馴染ちゃんは…ずっと一人だってこと…」
299 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/04(日) 01:08:36.59 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「…!!」

姉「…だから私たち…家族みんな、世話焼きに行ってたのに」

姉「お料理作って分けに行った、おさがりのお洋服も渡してあげた」

姉「…でも全部、幼馴染ちゃんはいっつも…笑顔で跳ね除けるの」

姉「『自分は一人だから、一人で大丈夫だから』」

姉「どんなときだってそう言って…たった一人で強く生きようとして」

姉「辛かったはずでしょ…?苦しかったはずだよね…」

幼馴染「……」

姉「…普段から元気なのも…印象的なその笑顔も…嫌な気持ち全部封じ込めて」

姉「…背伸びしてたせいなんだよね…!」
300 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:10:53.70 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「…ち…がう……わたし…べつに……そういう…わけじゃ…っ」

姉「…言ったでしょ、こんなの単なる推測」

姉「間違ってるかもしれない」

姉「でも、私は…全部が間違ってるとは思ってない」

姉「だからこんなにべらべら喋ってられるのよ」

幼馴染「……」

姉「…幼馴染ちゃん、ごめんね…本当にごめん」

姉「私たち…貴女に分けてあげられるものがいっぱいあった」

姉「食べ物、飲み物、お小遣い…洋服、小物に勉強道具…ううん、もっとたくさん」

姉「…でもね、だけどね…気付いてなかったの、私たち…誰も」

姉「今になって…ようやく気付いたの」
301 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/04(日) 01:13:22.67 ID:nhgiEiqM0
姉「貴女が一番欲しかったであろうもの」

姉「そうでありながら…一人で生きるために、決して誰にも求めずにいたもの」

幼馴染「……」

姉「…私が勝手にわかったつもりになってるだけかもしれないよね」

姉「もしそうだったなら…ごめんね」

姉「だけど…貴女にはもう…苦しい思いをしてほしくない」

姉「…貴女が…苦しくなるくらいに欲しかったものは…」

幼馴染「…うっ…ぐすっ…」

姉「……誰かの…愛情、だよね…?」
302 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:15:51.71 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「…うぅ…っ、…ぐすっ…」

姉「…どう?」

幼馴染「…ひっく…はい…ぐすっ」

姉「…よかった、当たってて」

姉「私の持ってないものだったらどうしようかと思ったよ」

姉「ごめんね…気付かなくって」

姉「ごめんね…綺麗事ばっかりで」

幼馴染「…姉さん」

姉「…なぁに?」

幼馴染「…姉さんの胸…あったかい…」

姉「…Eカップの自慢の胸ですから」
303 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:18:19.21 ID:nhgiEiqM0
姉「…幼馴染ちゃん」

幼馴染「…はい」

姉「辛くなったら…いつでもおいでよ?」

幼馴染「…ええ」

姉「何ならうちに住んでも構わないから」

幼馴染「…いえ、口が滑って秘密をバラしちゃいそうですから」

姉「…あちゃあ、それは困るわ」

幼馴染「あはは」

ピンポーン ピンポーン

幼馴染「…あれ、こんな時に…お客さん?」

姉「…あ」
304 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:20:13.73 ID:nhgiEiqM0
姉「…幼馴染ちゃん、私が出るね!」

幼馴染「えっ、でも…」

姉「いいから!」タタタッ

幼馴染「…行っちゃった」

―玄関―

ガチャッ

姉「…やっぱり兄君と妹ちゃんだ」

兄「何がやっぱりだよ、心配かけやがって!」

妹「そうだよ、ふたりで自転車で街中駆けまわって探したんだよ!?」

姉「あっ…あはは…ごめんごめん…まぁ事情を話すと長くなっちゃうんだけどー…」
305 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:21:50.38 ID:nhgiEiqM0
―――

幼馴染「…なるほど、そういうことだったんだ」

兄「…悪いな、うちの姉貴が迷惑かけて…」

幼馴染「ううん、全然」

姉「どうもお騒がせして申し訳ございませんでした…」

妹「本当だよ、まったく…っていうかお墓参りなら一緒に連れて行ってくれたらよかったのに」

兄「…けっ、よく言うよ」

妹「なっ!?」
306 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:24:11.75 ID:nhgiEiqM0
兄「あっ…外が本格的に暗くなってきた、もう帰るか」

妹「っていうかもう明るくなりそうなくらい…道理で眠いわけだー」

兄「よし…早く帰って寝よう…幼馴染、本当ごめん、夜遅くまで」

幼馴染「ううん、気にしなくていいよ」

姉「そうよ、家族じゃーん?私たち」

妹「お姉ちゃんが言うな!」

幼馴染「ははは、じゃあね、兄君、妹ちゃん、姉さん」

兄「おう」

姉「いつでも遊びに来てね?」

妹「……」

幼馴染(…最近妹ちゃんに懐かれてないのはどうしてだろう?思春期だからかな?)

幼馴染「…他人の事言えないけど」
307 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:29:17.18 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「……」

幼馴染「…ねえ、兄君、ちょっといい?」

兄「ん?なんだ、どうかしたのか?」

幼馴染「うち野菜余ってるんだよ、よかったらもらって行って」

姉「私持っていくよ?」

兄「いいよ別に、俺が持っていくから先帰ってて」

姉「わかった、行こうか妹ちゃん」

妹「…お兄ちゃん、気を付けて帰ってきてね?」

ガチャッ

幼馴染「…こっちきて」
308 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:30:45.82 ID:nhgiEiqM0
幼馴染「…兄君」

兄「…?」

幼馴染「僕ね、『友情』はたくさん感じたことあるの」

兄「…え?」

幼馴染「それで、家族の『愛情』は…さっき久しぶりに感じられた」

兄「…何言ってんだ、いきなり…?」

幼馴染「ごめんね、変だと思うだろうけど聞いて」

幼馴染「…僕、欲張りだからさ…まだ足りないみたいなんだ」

幼馴染「誰かからもらう…『愛情』」

兄「……」

幼馴染「たまにでいいの、この家に来てくれないかな、兄君」

幼馴染「学校で会うだけじゃなくて」

幼馴染「余裕があるときでいいから」

幼馴染「時々は僕のほうから遊びに行くから」

幼馴染「…こういう時に言うことかわかんないけど…ダメ…かな…?」
309 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:33:51.29 ID:nhgiEiqM0
兄「別にいいけど…なんかあったのか?」

幼馴染「よかった、ありがとう兄君…ごめんね、大した意味はないんだ」

幼馴染「あと…変なこと言ってごめん」

幼馴染「おまけにもう一個、変なことしちゃうから」

兄「…は?」

幼馴染「……」チュッ

兄「!!?」

幼馴染「えへへ…幼稚園の頃以来かな?兄君とのキス♪」

兄「なっ…おまっ、いきなり何すんだ…っ!」

幼馴染「いいじゃーん、ファーストじゃないんだしぃ〜」

幼馴染「……それに…今までのままじゃ気付いてくれなかっただろうからね」

兄「…お…お前さっきからおかしいぞ…熱でもあんのか…?」

幼馴染「…兄君、せっかくの機会だから…言っておくよ」
310 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:35:55.31 ID:nhgiEiqM0
兄「…??」

幼馴染「…私こと幼馴染は、小学校のころから兄君の事が大好きでした」

幼馴染「勿論今でも、当然恋愛的な意味でね」

幼馴染「というわけで好きです、付き合ってください」

兄「……」

幼馴染「あー告白しちゃったー、思ったよりたいしたことなかったなぁーあっはははー」

兄「…病院行くか?」

幼馴染「この時間あいてるとこないんじゃないかなぁ」

兄「…もうこんがらがってきた」

幼馴染「じゃあ僕が整理してあげよっか」

幼馴染「幼馴染に御呼ばれされて」

幼馴染「幼馴染にキスされて」

幼馴染「幼馴染に告白されただけ」

幼馴染「返事はいつでもいいけどね」

兄「…寝ぼけてるのか、俺」

幼馴染「つねってあげるよ」グイッ

兄「いててててててっ」ヒリヒリ
311 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:38:59.24 ID:nhgiEiqM0
兄「…夢であってほしかったよ」

幼馴染「ひっどー」

兄「…なあ、確かめるために聞くけどさっきのあれは冗談なのか?本気なのか…?」

幼馴染「…考えてもみなよ、僕だってお年頃の高校生の女の子なんだよ?いっくら古い付き合いだとはいえ、好きでもなんでもない男の子に軽々しくキスしたりしますかっての」

兄「…ってことは…本気で言ってた…のか…?」

幼馴染「はあ、やっぱ鈍いなぁもう…当然でしょ」

兄「…どどど動揺がかかかかかく隠せせない…」

幼馴染「見ればわかるよ」

兄「かっ…考えさせてくれ…悪い」

幼馴染「…ううん、いいよ…じっくり考えてね」

幼馴染「…僕の気持ちは…ずっと昔から何一つ変わらず」

幼馴染「ずーっと君が…大好きだから」

幼馴染「…それだけ伝えておくね」

幼馴染「はい、野菜持ってって」ズシッ

兄「……」
312 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/04(日) 01:40:41.54 ID:nhgiEiqM0
―自宅―

兄「…あー…ただいまー…」

兄「…って、二人とももう寝てるか…」

兄「……」

兄「親父たちの事については明日になりそうだな…」

兄「幼馴染…あいつ本当に…」

兄「……」

兄(幼馴染は結構可愛いし…いつも優しくて一緒にいると楽しい)

兄(でも…異性として見たことなんてまるでないし…)

兄(あいつを傷つけたくもない、本当は今まで通り友達同士でいたい)

兄(…くそっ…)

兄「俺は…」

兄「…俺は一体どうすればいいんだ…?」
313 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/04(日) 01:42:48.66 ID:nhgiEiqM0
今回はここまで

気付けばもう12月って…
なんでこんな早く1年が過ぎるんかなぁ
時間巻き戻らないかなぁ…

つーか今回後付設定大杉ワロタ
これもできるだけ少なくしないとなぁ…

というよりも今更だけどなんでいつの間にかシリアスになってんだろ
ほのぼの系のつもりだったのに…
もうどうでもいいや
お休みなさい
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 02:11:42.48 ID:UtZ5gpuzo
久々過ぎて内容覚えてない
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/12/05(月) 02:54:36.82 ID:iOj7vyQeo
だよなwwww
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 07:03:20.57 ID:Ho7EtQxYo
またはじめから読むか…
317 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/11(日) 22:33:22.60 ID:O/t10OZk0
てすと
318 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:33:01.36 ID:d0vAALvR0
アイムの過去編よかった
しかしハカセの過去編は2週連続とは…
あそこからどうやって逆転すんだろ

フォーゼは蠍完全には退場してないし橘校長はオンドゥルルラギッタし
今後の展開が楽しみだなーと思いました

レンタルした199ヒーローも神映画でした
見どころしかなかった80分って感じで

…うん、どうでもいいか
それじゃあ投下します
319 :>>312から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:34:09.01 ID:d0vAALvR0
―自宅 朝―

兄「…うっ…ううっ…」

ガチャッ
妹「…おにいちゃーん、朝だよー…?」

兄「うっ…うぐっ…!」ジタバタ

妹「…何でうなされてんの?」

兄「ううっ…うぐぐ…」

妹「おーきーろー」ユサユサ

兄「んっ…うっ…」

妹「…はぁ」

兄「んん…おさななじm…」

妹「……おーきーろっ!」ゴスッ

兄「うげぼっ!??」ドサッ
320 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:35:32.52 ID:d0vAALvR0
兄「げほっ、ごほっ…」

妹「…おはよう馬鹿兄貴、女の子といちゃつく夢でも見てた?」

兄「うげ、おえっ…休みの日くらいゆっくり寝かせろ馬鹿…!」

妹「…私の質問に答えてよ」

兄「知るかよ、見た夢なんかいちいち覚えてねーよ」

妹「ふーん…」

妹「……で、おはようは?」

兄「…なんで怒ってんの?」

妹「…お・は・よ・うは!!」

兄「…おはようございます」

妹「自分じゃ挨拶もできないのか、まったく」スタスタ

兄「……」

兄「…なんだあいつ…」
321 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:36:33.67 ID:d0vAALvR0
兄「…女の子といちゃつく夢、ねえ…」

兄「…幼馴染が出てくる夢なら勝手に出てきやがったな」

姉「…ってことは昨日何かあったの?」ヒョコッ

兄「うわっ、姉貴!?」

姉「……しかもそんなに元気にしちゃって」

兄「…うるせぇな、朝勃ちだよバカヤロー」
322 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:38:02.81 ID:d0vAALvR0
―――

姉「へぇ…幼馴染ちゃんが兄君に告白かぁ…」

兄「…どうにも変な感じでさぁ…」

姉「なんで?付き合っちゃえばいいじゃん」

兄「簡単に言うなよ、あいつとはそういう仲じゃなくて…単なる友達だと思って今まで付き合って来たんだから」

姉「なるほどねー、それじゃあスパッと付き合うってわけにもいかないか」

兄「けど…あいつに傷ついてほしくもないし」

姉「…まぁ確かにあの娘にだって脆い部分はあるから、難しいところだねー」

兄「どうすればいいのか…わかんなくってさ」

姉「…うーむ」
323 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:39:02.01 ID:d0vAALvR0
姉「…返事はいつごろ返す予定なの?」

兄「早めに返したほうがいいとは思うけど…一応あいつはいつでもいいって」

姉「…そっか」

兄「…なぁ姉貴、俺はどうしたら…――」

姉「そういう時は、いっぱい悩め!わが弟よ!」

兄「…え?」

姉「…時間はたっぷりあるんだから、悩んで悩んで悩みまくって」

姉「それで答えが出なければ」

姉「もっともーっと悩みまくってさ、一秒でも一分でも一時間でも」

姉「一日、一週間…いや、一ヶ月…いやいや、一年かかったとしても」

姉「…あの娘なら…きっと待っててくれるよ」

姉「たとえ一世紀かかって返事を返したとしたって…」

姉「…あの娘なら、笑って待っててくれるでしょ」

姉「ね?」
324 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:40:56.56 ID:d0vAALvR0
兄「姉貴…」

姉「…まぁでも女心は秋の空って言葉があるくらいだから過信はできないし」

姉「そもそも男なら素早く決められちゃえば立派でかっこいいんだろうけど」

姉「…兄君はそういう子じゃないし?」

兄「…余計なお世話だ」

姉「あはは、まぁそういうことだよ」

姉「待つ女ってのも画になるもんでしょ、私が言うことじゃないけど…いろんな意味で」

兄「…わかった、ありがとう…姉貴」

姉「…えへへ、それじゃあそろそろご飯作らないとね」

兄「具合はもういいのか?」

姉「あのねぇ、いくらなんでも二日酔いをそう何日も引きずるほど私は馬鹿じゃないですよーだ」

兄「…あっそ、それならいいけどさ」
325 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:43:11.86 ID:d0vAALvR0
―――

兄「…幼馴染の事は…そんなに焦らなくてもいいってことか」

兄「となると、今一番しなくちゃいけないことは…」

チーン!!

兄「…あ、トースターの音だ」

兄「…飯食ってから考えよう」
326 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:46:10.22 ID:d0vAALvR0
妹「いただきます」

姉「いただきます」

兄「いただきます」

パクパク モグモグ

兄「……」

兄「…なぁ姉貴、親父とお袋の墓、どうだった…?」

妹「……」

姉「…どうって?」

兄「いやほら、状態とかさ」

姉「ああ…ちょっと汚かったから綺麗にしてきてあげたよ」

姉「それと、私たち三人分のお花もお供えしてきた」

姉「きっと見守っててくれてるよ、今も…これからもずっとね」

兄「…ムシのいい両親だ、勝手に死んだくせに」

姉「まぁまぁ、いい加減割り切らないと」

妹「……お姉ちゃんは…!」

兄「…!」

妹「…お姉ちゃんは…そんなにあっさり割り切れちゃうっていうの…!?」

姉「…妹ちゃん…?」
327 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:54:20.64 ID:d0vAALvR0
妹「お姉ちゃんは…どう思ってんのよ、二人の事…」

姉「…それは…」

妹「なんとも思わないの!?私たちの面倒見るのも押し付けられたようなもんじゃん!」

妹「私たちの家計繋ぐのも…お姉ちゃんが全部担うことになっちゃってさ!」

姉「……」

兄「おい、妹…」

妹「もしも二人がいればお姉ちゃんはもっと女の子らしくできたでしょ!」

妹「あたしたち三人で、親子で!甘えられたでしょ…!?」

兄「馬鹿!それ以上は――!」

妹「お姉ちゃんが!二人を一番許せないって!!思ってるはずだよね…!!?」

姉「っ…!」

兄「……」

妹「…お姉…ちゃん…」

姉「……」
328 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:55:02.99 ID:d0vAALvR0
姉「…あ…そろそろ仕事の時間…行かなくちゃ…」

妹「!…ちょ、お姉ちゃんっ!!」

姉「…ごめんね、それは…また、今度…」

兄「…姉貴っ…」

ガチャッ バタンッ

兄「……」

妹「……」

兄「…なんで…いきなりあんなこと」

妹「だって…そうでしょ…?」

妹「私たちの中で…一番辛い思いしてるの…絶対、お姉ちゃんでしょ…?」

兄「…そりゃ…そう…だろうけど…」

妹「…あの二人…勝手に死んじゃったんだよ?…私はそれを恨んでる」

妹「私はそれを憎んでる…だって、あれからめちゃくちゃだったじゃん…私たち」

兄「……」

妹「二人が生きてれば…もっと幸せな…もっと…普通な家庭だったはずなんだよ」

妹「おかしいと思わない…?理不尽だとは思わないの?」

兄「…妹…」
329 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:56:40.24 ID:d0vAALvR0
兄「……」

妹「……」

兄「…妹、出かけるぞ」

妹「…え?」

兄「いいから早く支度しろ」

妹「ちょっ…ちょっと、どこ行こうっていうの…?」

兄「…決まってるだろ」
330 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:58:44.51 ID:d0vAALvR0
―――

ガタンガタン ゴトンゴトン

妹「…なんで電車に揺られてるの、私たち」

兄「行けばわかる」

妹「…暇」

兄「…山手線げーーむ」

妹「……イエーイ」

兄「古今東西『スーパー戦隊』」パンパン

妹「なんでよ」

兄「いいから」

妹「…ゴレンジャー」パンパン

兄「ファイブマン」パンパン

妹「ジャッカー」パンパン

兄「ターボレンジャー」パンパン

妹「バトルフィーバー」パンパン

兄「ライブマン」パンパン

妹「…えと…タイムレンジャー」パンパン

兄「マスクマン」パンパン

妹「えと、えっと…ガオレンジャー!」パンパン

兄「メガレンジャー」パンパン

妹「ハリケンジャー」パンパン
331 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 00:59:58.40 ID:d0vAALvR0
―――

妹「…お兄ちゃん」

兄「何?」

妹「まだ着かないの?」

兄「…うーん」

妹「すっごく暇」

兄「…軍艦じゃんけんしようぜ」

妹「…まあいいけど」

兄「せーんそっ」パシッ

妹「…軍艦軍艦軍艦」

兄「ハワイハワイ朝鮮」

妹「軍艦軍艦ハワイ」

妹「一本取って軍艦!」バシッ

兄「いてっ」
332 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 01:01:04.82 ID:d0vAALvR0
―――

兄「…手がヒリヒリするんだけどさ、お前叩くとき本気でやったろ?」

妹「当たり前じゃん、じゃんけんは全力勝負でしょ」

兄「…ふん、ばーか」

妹「うるさいなぁ」

兄「…もうちょっとで着くぞ」

妹「本当?」

兄「…多分」

妹「あ、畑と駅が見える」

兄「…やっぱド田舎だなぁ…ここは」

プシュー… ガコン
333 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 01:02:06.15 ID:d0vAALvR0
―――

兄「着いた着いた、親父とお袋の故郷だ」

妹「あーあー あああああーあー」

兄「それはちょっと違う気が」

妹「…おほん、まぁ冗談は置いといてさ」

兄「……」

妹「ここに来たからには…すること、っていうか…行く場所はひとつだよね…?」

兄「…ああ、もちろん」

兄(…親父、お袋…)

兄(なんとしてでも…俺たちはあんたらの死の真相を暴いてやる…!)
334 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/12(月) 01:03:11.60 ID:d0vAALvR0
兄「妹、地図貸して」

妹「…お兄ちゃんのリュックの中でしょ」

兄「あ、本当だ」

妹「もう、しっかりしてってば」

兄「…ここの空気のせいか妙にたるんじまうぜ」

妹「ていうかさ、地図なんか使わなくてもあそこに見えてるじゃん」

妹「おばあちゃんのうち」

兄「…あれ、あそこだったっけ…?」

妹(…大丈夫かなぁ、これで…)
335 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/12(月) 01:03:54.77 ID:d0vAALvR0
今回はこの辺で
え?長く空けたせいで内容忘れたって?
…俺も忘れてるんですよ、本当は
ちゃんと練れないまま書いてるもんだからもう混沌状態の継ぎ接ぎ状態
結局完走できればそれでいいや的な

…ごめんなさい
次からはできるだけ更新間隔短くします
お休みなさい
336 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 01:04:57.59 ID:GN0B+8l9o

>>1は本当に戦隊もの好きだなww
337 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 01:09:09.03 ID:QCedj6Fdo

お気に入りから消さずに待ってたんだからな!
338 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/15(木) 21:59:32.90 ID:IfxNHlGu0
test
339 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:35:58.10 ID:d4ryUR5oo
来たか! ガタッ
340 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:23:49.46 ID:JNtww2C40
なんか行事とかの用で外出すると、出先でいろいろSSのネタを勝手に考え付いてしまって飽和状態
しかもこのSSのネタじゃないから困る
エロSSと特撮系のSS書きたいなーいつになるかわからんけど……

199のついででレンタルしてた、仮面ライダーエターナルのVシネマ
異常なまでの面白さ、大道が悪魔になった経緯がよく分かる
派手なアクション、濃密ストーリー、京水ギャグ、あとは適度なエロ…
食い入るように見てしまった エターナルマジ悪魔

…やっぱどうでもいいか
眠いから今回かなり短いけど投下します
341 :>>334から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:24:54.53 ID:JNtww2C40
兄「…ごめんごめん、あの家来たときのこととかあんまり覚えてなくって…」

妹「えー?ちっちゃいころ何度か行ったじゃーん」

兄「そうだっけ…?覚えてないや」

妹「もう…」

兄「まぁ…昔からいろんなことあったしな、うちの周りは」

妹「…まぁ…そりゃあ…ね」

兄「…行くか」

妹「……」
342 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:27:21.20 ID:JNtww2C40
―祖母の家―

兄「…うちのおばあちゃんは俺たちが生まれる前に亡くなった」

妹「ていうか、お姉ちゃんが生まれる一年前だよね」

兄「まぁ…生まれた時の事なんか知らねーけどな」

兄「おじいちゃんは…どうなんだったかな」

妹「お母さんとかお姉ちゃんに話聞いても教えてくれなかったよね」

兄「ああ…俺たち会ったこととか見たこととか全然ないんだよな」

妹「お父さん方のおじいちゃんおばあちゃんもそうだよね」

兄「そっちは写真でしか見たことねーや」

妹「え?写真あんの!?」

兄「帰ったら見してやる」

妹「うん!」
343 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:28:39.56 ID:JNtww2C40
兄「…まぁ、そんな理由でこの家には誰もいないんだけど」

妹「なんでこんなところに遊びに来てたんだっけ、私たち」

兄「……」

ガチャッ

妹「…あ、この部屋…」

兄「子供用の遊具とか玩具とか…きっと全部おばあちゃんが買っといてくれたもんなんだろうな」

妹「懐かしいー、ここで遊んだ記憶がいきなりよみがえってきたよ」

兄「俺も…ほんのちょっとだけ」
344 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:29:59.36 ID:JNtww2C40
妹「ねーねー、ちょっと遊んじゃおうよここで」

兄「もう俺たちにとってはちっさくて乗れないだろ」

妹「…あ、本当だ…残念」

兄「それより他の部屋探すぞ」

妹「ラジャー」

―居間―

兄「…ここも質素だな」

妹「あ、見て見てお兄ちゃん」

兄「何?」

妹「机の上に…ノートが」

兄「ノート…?」
345 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:31:22.66 ID:JNtww2C40
兄「どれどれ…」

兄「『―月――日―曜日』…」

兄「字がかすれてて読めないな」

妹「じゃあ読める部分だけでも読んでみようよ」

兄「うーん…じゃあ一応この続きから…」

兄「『―と一緒に、今日は―――――パー―に―きまし―。』」

兄「『―ももちろん―緒。三人で、買い――る―間は―っ―――し―いです―』」

兄「『この――、―人―遠――達でい――たら―いなー…なん―。』」

兄「…なんだこれ?」

妹「うーん…日記帳…とかかな」

兄「なるほど、確かにな…けどこれじゃあはっきり言って手掛かりにはなんねぇぞ」

妹「もうちょっといろいろ探してみよう」

兄「…よし」
346 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:32:39.24 ID:JNtww2C40
兄「…妹、ここにもノートらしきものが」

妹「読んでみて」

兄「…わかった、えーっと」

兄「『二十三日 水曜日』」

兄「……」

兄「『これは奇跡だ。神の与えてくれた奇跡』」

兄「『ついに私が子供を授かった。元気な女の子。』」

兄「『この娘を一生大事にして…私は生きていこう』」

兄「『どんなに辛くても、命を投げ打つような真似はしない』」

兄「『私はこの娘とともに生きていく。ここに誓おう』」

妹「…これって…」

兄「…親父やお袋の字とは違うぞ」

妹「え…?じゃあ、えっと…どういうこと…?」

兄「さあ…赤の他人のものかもな」

妹「なんでそんな日記が…?」

兄「おばあちゃんに聞かなきゃわかんねーよ、そんなの」

妹「…それもそっか…もうちょっと探索してみよう」

兄「…ああ」
347 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 00:34:15.45 ID:JNtww2C40
―物置―

兄「げほっ、ごほっ…きったねぇなここ…げほげほっ」

妹「うわっ、埃っぽい…うげほっ、げほっ、ごっほごほっ」

兄「げほげほっ…ん、なんだこれ…?」

妹「それって…ごほっ、ビデオテープ…?」

兄「…再生してみよう」

妹「どこで?」

兄「居間に再生機器があったはずだ、もっかい戻ろう」

妹「オッケー…げほっげほげほっ」
348 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/16(金) 00:36:07.63 ID:JNtww2C40
ごめんなさい今日はこの辺で
なんで遅れたのかっていうと、ツギハギだらけのこのSSを、うまいことまとめられるよう
設定を練っていたからです
明日また余裕があれば投下したいと思いますので今日のところはどうかお許しください

ところでカクレンジャー回にニンジャマンってマジなんかな…
いやまぁそりゃあ出るには出るだろうけど、人間態じゃないレジェンドから
大いなる力もらうってどないやねん
役者さんの都合関係ないってどういうことやねん
ちょっと心配…
まぁでも面白ければ別にいいか…
お休みなさい
349 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 21:35:11.67 ID:0CdcdEGNo
空き家に電気が果たして通っているのかどうか
350 :>>347から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 23:51:16.53 ID:NCVW4Wjj0
―――

兄「…あった、これこれ」

妹「…使えんの?それ」

兄「いや、わかんない…けどまぁ物は試しだ」ガチャガチャ

兄「…よし、入った」ガコッ

兄「再生ボタン押して、っと…」ポチッ

妹「動くかな…?」

兄「……」

妹「……」
351 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 23:53:15.79 ID:NCVW4Wjj0
兄「…動かねーな」

妹「…まぁそりゃそうでしょ」

兄「うーん…ビデオテープは持って帰って家で見てみるか」

妹「そうだね、そうしよう」

兄「…しかしこの機械もずいぶん埃にまみれて汚ねーな」ガチャガチャ

妹「最近はほとんど放置状態だもん、この家」

兄「ド田舎には親切な人はいないもんなのかね、掃除してくれたっていいようなもんじゃないのか?」

妹「いや、知らない人にとってはどう見ても怪しいでしょ、この家は」

兄「…それもそうか」

妹「お兄ちゃん、今日は無理だけどまた今度来るときには掃除してあげようよ、家じゅう」

兄「ああ」
352 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/16(金) 23:57:49.80 ID:NCVW4Wjj0
妹「…ねぇ、もうちょっと手掛かりとかあったほうがいいよね」

兄「そうだな、まだ帰るわけにはいかない」

妹「…っていってもそもそもここに具体的な手掛かりってあると思う?」

兄「…親父とお袋にとってこの家はただの空き家じゃないはずだ、自殺の前にここに来て」

兄「何か残していった可能性も少なくはない」

兄「探してみる価値はあるんじゃないかと思うんだ」

妹「…それはそうだけど」

兄「…ただ、もちろん一番怪しいのは姉貴だ…今朝の態度とか…10年前のあの日のこととか」

兄「そこから推理すれば…姉貴はなにか秘密を握っている…間違いなく」

妹「……」

兄「…まあだからといって、仕事の邪魔してまでするような話じゃないし…それは家に帰ってからでも間に合う」

妹「…わかった、いろいろやってみよ」

兄「おう、今度はこっちを探してみるか」

妹「じゃあ私こっちの部屋」
353 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:00:05.41 ID:Q3xDS9tD0
―風呂―

兄「…殆どダメもとだけど、こんなところでも探ってみないことにはな」ガチャッ

兄「……ん、あれ…?ここは意外と綺麗…」

兄「てっきりカビでも生えてるもんだと思ってたが…なんで…?」

兄「……まるで最近掃除がされたかのような…」

兄「だとしたら…いったい誰が…?」

兄「……気になるけど…今は手掛かりになりそうな『物』を集めよう」ガチャッ
354 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:02:30.28 ID:Q3xDS9tD0
―寝室―

妹「お邪魔しまーす…なんちゃって、誰もいないっつーの」

妹「…うーん…ここはそんなに埃っぽくないな」

妹「いや…むしろ普通に寝室として使えそうなくらい綺麗にしてある…?」

妹「…ってことは…誰かがここに入って掃除したっていうことになるから…」

妹「……いったい誰が…!?」

兄「…妹」ガラッ

妹「うわ、お兄ちゃん」

兄「ここもずいぶんと片付いてるな…他の部屋とは大違いだ」

妹「そうなんだよ、他の部屋はほとんど荒れた状態で整理なんかされてなかったのにここはすっごく綺麗で…」

兄「風呂場も綺麗にされてたよ、まぁ気になりはするけど今は関係ないと思う」

妹「…まさかお父さんやお母さんが掃除しに来るはずないもんね」

兄「そういうこと、やっぱ親切な人もいたにはいたってことなのかもな、きっと」

妹「…けどなんでその二部屋だけ…?」

兄「だから今はいいってば、先行くぞ」

妹「あ、ちょっと待って!」
355 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:04:40.21 ID:Q3xDS9tD0
―書斎―

妹「うわー…すっごい、本がいっぱい…こんな部屋あったんだぁ、知らなかったなー」

兄「俺が小さいころ、遊んでるうちにここに迷い込んで大泣きしてさ」

兄「まぁ妹はまだそのとき物心つく前だったうえにここは地下の部屋だし、知らないのも当然だ」

妹「…けどやっぱ埃っぽいね、ここ…」

兄「物置よりマシだろ、行くぞ」

妹「はーい」
356 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:06:07.33 ID:Q3xDS9tD0
妹「うーん…難しい本ばっかり…」

兄「読みたかったら後で読め、今探してるのは違う資料だぞ」

妹「いちいちうるさいなぁ、そんなのわかってるよー」

兄「…これだけの本があるんだ、どこかに何かの手掛かりがあってもおかしくないはず…」

妹「…ていうかお兄ちゃん、これ手当たり次第全部の本を探すつもり?」

兄「ああ、たぶんそうでもしなくちゃ見つからん」

妹「…はぁ、それでも見つからない可能性だってあるのに張り切っちゃって…」

妹「けどさ!夕方までに切り上げないと、帰り遅くなっちゃうよー?」

兄「分かってる、だからタイムリミットは夕方までだ!」

妹「…えー、本気かよ…もう、お兄ちゃんのバーカ!」
357 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:07:50.23 ID:Q3xDS9tD0
―――

兄「……」スッ バサッ

バタバタバタッ ドサドササッ

兄「…はぁ、くそっ…これだけ探しても小難しい本ばっかで何にもねぇ…」

妹「…だから無謀だって何度も言ったのに!」バサッ ドサドサッ

兄「…でもここまで来てやめにできるか?…時間はあるし、まだ探してない本はあと少しだけ!」

兄「手掛かりが見つからなかったら何しにここに来たんだかわかんねーよ!」バタバタ ドサッ

妹「…もう、なんでこういうときばっかりムキになるかなぁ…!」

妹「わかったよもう、付き合えばいいんでしょー!」ドサッ ドサドサドサ
358 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:09:22.22 ID:Q3xDS9tD0
―夕方―

兄「…全部探し終えたか?」

妹「…待って、あと一冊…」

兄「あんな高いところに…よし、ちょっと待ってろ、脚立持ってくるから」

妹「え…あ、危ないってそんなの!」

兄「…じゃあどうすんだよ、あそこの一冊は…」

妹「か、肩車してよ、私が取るから!」

兄「待てよ、それこそ危ないんじゃ…」

妹「…お兄ちゃんが支えてくれたら大丈夫」

兄「……」

妹「こうなったらもう付き合うって…言ったでしょ?私」

兄「…わかった、お兄ちゃんの肩に乗れ!」

妹「よっしゃ!炎神合体!」
359 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:10:19.45 ID:Q3xDS9tD0
兄「…妹、手届くか?」

妹「もうちょい、もうちょい…!」

兄「うおっ、バランスが…!!」

妹「うわぁっ!?」グラッ

兄「おっ、とっ、とっ…!」

妹「…ひ、冷や冷やさせないでよ…!」

兄「…悪い、次はしっかり支えるから…」

妹「…信じていいの?」

兄「…酷い言い様だな…」

妹「えへへ、冗談冗談…よっ、ほっ…もうちょいぃ…!」
360 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:11:19.96 ID:Q3xDS9tD0
兄「…頑張れ、妹!」

妹「んっ、んうっ…!!」ガシッ

妹「…やった、取っ――!?」グラッ

兄(…しまった、バランスを…―!)グラグラ

グラッ ゴロゴロドッカーン

兄「…いててて…妹、悪い…」

妹「うう、あいたたぁ…腰打ったぁ…」

兄「大丈夫か…?」

妹「うっ…まぁ、なんとか…ね…」

兄「悪かったな、最後の最後で…」

妹「…えへへ、大丈夫…だってほら」スッ

兄「…!」

妹「手掛かり…ここにあるんだし」
361 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:12:52.15 ID:Q3xDS9tD0
―――

兄「…なぁ、これ…遺書だよな」

妹「うん…多分」

兄「親父の字にそっくりだ…やっぱし…これって…」

妹「…いや…ちょっと待って、すこーしだけ違うよ、これ…」

兄「…え?」

妹「…よーく見てみて…この辺の字とか」

兄「…本当だ、すっごく微妙な違いだけど…」

妹「うん…お父さんの字に比べて少し角張ってる…」

兄「…どういうことだ、これ…!?」

妹「二人は確かにあの日…首を吊って死んでたはずじゃ…」
362 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:14:14.32 ID:Q3xDS9tD0
兄「…待った、状況を整理しよう」

兄「…この遺書の字は親父の字にかなり似ている…」

兄「遺書なんてもんは自殺する本人以外が普通書くもんじゃあない」

兄「ということは他人がわざわざこいつを…親父の字に似せてまで書いた、ってことになる」

妹「一体誰が…なんで、そんな真似を…?」

兄「…それはまだわからない、けど…もしかしたら俺たち、大きな勘違いをしていたのかもしれないな…」

妹「…それって…つまり…」

兄「…二人は…」



兄「…二人が死んだ原因は恐らく…自殺じゃ…ない…」
363 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:15:44.34 ID:Q3xDS9tD0
―姉の会社―

姉「…あーしんどい、目がしぱしぱする…」

女「先輩、大丈夫ですか?少し休憩なさったほうが…」

姉「…大丈夫大丈夫、ちょっとこの仕事遅れ気味だから…なんとかしないとね」

女「どうでもいいですけど先輩、前と性格変わりましたよね」

姉「ああ…よくわからない事情があってね、まぁ気にしないで…」

女「先輩、お肩お揉みします」モニモニ

姉「あっ、ありがとー…気持ちいいー」

姉「…けど、女ちゃんは仕事のほうは…?」

女「まだ残ってますけど大丈夫です、計画立ててやってますから」

姉「…そうなんだ、それならいいけどね」

姉「私も早いとこ片付けなくっちゃなぁ…」

女「手伝わせてください、先輩」

姉「いいよ別に…これ以上させたら迷惑でしょ?」

女「いいえ、滅相もございません!」

女「…だって、先輩は私を救ってくれたじゃないですか」

女「だから…私だって役に立ちたいんですよ」
364 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:17:04.28 ID:Q3xDS9tD0
姉「もう…わかったわよ、好きにしていいから」

女「えへへ、ありがとうございます先輩!」

姉「それじゃあここからここまでの部分を――」チラッ

姉「……」

女「…?先輩、時計なんか見てどうかしたんですか?」

姉「…ううん、なんでもない」

姉「それより…ちょっとトイレ行ってきていい?」

女「ああ、はい!私の事などお気遣いなさらずに!」

姉「ごめんね」スタスタ
365 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:18:55.87 ID:Q3xDS9tD0
―会社の外―

男「……」

姉「…何の用ですか?」

男「…ふん、わかってんだろ?」

姉「…っ…」

姉「…秘密…ですよね」

男「そうだ、きちんと守っててくれてんだろうな?」

姉「…はい、もちろん」

男「そうか…なら構いやしねぇ」

男「けどな、覚えとけ…こっちはいつでもお前らのこと…」

男「…ぐちゃぐちゃにしてやれるんだ、忘れんじゃねぇぞ」

姉「……」

男「あばよ、またそのうち来るぜ」

男「てめーでてめーの首締めねぇよう気ぃつけな」

姉「……わかってるわよ、そんなの…」ボソッ
366 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/17(土) 00:20:00.24 ID:Q3xDS9tD0
―田舎から走る電車内―

兄「……」

妹「…ねぇ」

兄「…なんだよ」

妹「本当にさ…お姉ちゃんに問い詰めるの…?」

兄「ああ…じゃないとすっきりしないだろ」

妹「それは…そうだけどさ」

兄「……」

妹「気のせいかもしれない…っていうか、気のせいなら…いいんだけど」

妹「…なんか…私」

兄「……」

妹「…胸騒ぎがするんだ…」

妹(……すごく…嫌な予感が…)
367 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/17(土) 00:20:47.31 ID:Q3xDS9tD0
今回はここまで
後付とはいえ物語の核心となる部分を昨日決めたからか幾分書き易くなった気がする
あとは伏線の貼り方と回収の仕方か…
いや、そんな立派なSSじゃないけどね

どうでもいいけどフシギダネの厳選がなかなか終わんない…
めざパ炎とかそういうの以前の問題、良個体が生まれないという…

まぁいいや お休みなさい
368 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 01:06:21.55 ID:/iogt7Zno
おつ
369 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 01:07:43.38 ID:W+v48GZ6o
370 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 11:21:30.63 ID:Kl2aQOCDO
不穏な空気……!
371 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/20(火) 20:13:17.88 ID:0pw+E+a+0
てすと
前回あまりにも進め過ぎたことに気付いたので今回は時間を遡って番外編(?)みたいな

書き溜めてから投下します
372 :>>312から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:22:21.00 ID:0pw+E+a+0
―幼馴染宅 朝―

幼馴染「…ふあぁ〜…んんー…むにゃむにゃ…」

幼馴染「…あれ…もう朝か…ふぁあっ…」ゴシゴシ

幼馴染「なんだか今日はいつもより深く眠れたような気がするなぁ…」

幼馴染「今もすっきりしてるし…なんでだろ」

幼馴染「……」

幼馴染「…あ、そっか…兄君に告白しちゃったからか」

幼馴染「…意外と実感ないなぁ…けどこんなんじゃ女の子らしくないかなぁ」

幼馴染「……まぁいっか…ご飯作って食べよっと」
373 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:23:21.84 ID:0pw+E+a+0
―――

幼馴染「…今日は部活は…えーっと、あったっけな…どうだったかな」

幼馴染「パンが焼けるまでに見てこよう」スタスタ

幼馴染「…あ、今日は休み…」

幼馴染「……なーんだ、つまんないの」

幼馴染「今日一日何してよっかなぁ…?」

チーンッ

幼馴染「お、焼けた焼けた」
374 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:24:27.92 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「うーん、我ながら質素な食卓…」

幼馴染「…いただきます」パクッ

幼馴染「……」サクサク モグモグ

幼馴染「……」パリパリ バリボリボリ

幼馴染「……」ゴリッ ゴリゴリゴリッ

幼馴染「…うぇっ、これちょっと焦げてる…けほっ」

幼馴染「まぁ仕方ないか…」パリパリ

幼馴染「んむっ、んぐんぐ…ごくっ」

幼馴染「ごちそうさまでしたぁ…」
375 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:26:25.66 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「…はーあ、暇だなぁ…久々の休みだっていうのはいいけど…」

幼馴染「うちの中に何かあるわけでもないしなぁ…」

幼馴染「このまましばらくごろついてよう…」ゴロゴロ

幼馴染「……」ゴロゴロ

幼馴染「……」ゴロゴロ

幼馴染「…ちょっと暑いなぁ…けど電気代かかるから機械は使いたくないし…」

幼馴染「……あ、そうだ」

幼馴染「…カーテンは閉めといて…」シャーッ

幼馴染「これなら外からじゃ見えないかな…?」

幼馴染「暑…」ヌギヌギ パサッ
376 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:27:11.08 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「はー、やっぱ下着だけだと快適だなー…誰にも見せられないけどねーこんなの…」

幼馴染「今日は一日中これでいよっかなぁー…」ゴロゴロ

幼馴染「……」ゴロゴロ

幼馴染「……」ゴロゴロ ムニッ

幼馴染「…ちょっとおっぱいおっきくなったかな」ムニムニ

幼馴染「姉さんを追い抜いてやらなくちゃ…」ムニムニムニムニ

幼馴染「目指せーFカーップ」ムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニ

幼馴染「……」

幼馴染「…アホくせー…」ゴロゴロ
377 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:30:28.21 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「…はぁ、全然女の子らしくないな僕…」

幼馴染「こんなんじゃ兄君にも幻滅されちゃいそうだなー」

幼馴染「僕、って一人称からしてもう女の子っぽくもないような…」

幼馴染「…っていうか…僕の一人称はいつ変わったんだったかなぁ…」

幼馴染「……うーん…出てこない…」

幼馴染「…けど確か…えーっと、確か…3歳頃の時…?」

幼馴染「ああそうそう、幼稚園のときの――」
378 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:32:09.68 ID:0pw+E+a+0
―――

兄(3歳)『ねぇねぇ幼馴染ちゃん、幼馴染ちゃん』

幼馴染(3歳)『……』

兄『ねぇ、どうしてみんなと一緒に遊ばないのー?』

幼馴染『……!』

兄『ねぇってば、教えてー』

幼馴染『…ほっといてよ!』

兄『!』

幼馴染『…みんなわたしを馬鹿にするんだ…親に捨てられた子だーって…』

幼馴染『お母さんに…愛してもらえなかったかわいそうな子だーって……』

兄『……』

幼馴染『あなただってそう思ってるんでしょ!皆と同じで、わたしを馬鹿にする!そんなのやだよ!』
379 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:35:10.19 ID:0pw+E+a+0
兄『幼馴染ちゃん…』

―――

幼馴染「…兄君との出会いはあの日が最初だったっけ」

幼馴染「懐かしいなぁ、僕は兄君を鬱陶しがって追い払おうとするけど」

幼馴染「あの日以来ずっと付き纏ってきて離れてくれなかったんだよね」

幼馴染「…なんでそんなにしつこくするの、って聞いたら、確か…」
380 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:36:45.62 ID:0pw+E+a+0
―――

兄『だって、君の事…ほっとけないんだもん』

幼馴染『そんな風に言うのやめてよ、この嘘つき!ぎぜんしゃ!』

兄『なんだよぎぜんしゃって!わかんない言葉言われたってわかんないもん!幼馴染ちゃんのバーカ!』

幼馴染『バカって言ったほうがバカなんだよ!兄君バーカ!』

兄『だいたい僕、嘘なんかついてないよ!僕は幼馴染ちゃんを助けたいの!バーカ!』

幼馴染『…助けたい…?』

兄『うん、幼馴染ちゃんの友達になってあげたいだけ!一人でさびしそうにしてるの、見てると僕まで辛いもん』

幼馴染『……』
381 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:37:49.35 ID:0pw+E+a+0
幼馴染『…で…でも!私…お父さんもお母さんもいないんだよ!?』

幼馴染『皆と違うの!皆と違って親に愛されてないんだよ!?それでも…――』

兄『僕のお父さんが言ってた!人と違う生き方をするのは、悪いことじゃないぞって!』

幼馴染『…えっ?』

兄『あと、お母さんは、人は一人じゃ生きていけないから、支え合って生きていくんだよーって言ってたよ!』

兄『幼馴染ちゃんは、一人なの?』

幼馴染『…そうだよ!みんないじめるもん、私の事…』

兄『…本当に?』

幼馴染『…!』

兄『幼馴染ちゃん、うしろ』

幼馴染『え…?』
382 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:40:33.80 ID:0pw+E+a+0
―――

幼馴染「…そんな僕の後ろにはおじいちゃんが迎えに来てくれてて…」

幼馴染「あれ以来だったかな、兄君と友達になれたのは」

幼馴染「…あ、それだけじゃないか…」

―――

兄『ねえねえ幼馴染ちゃん、これから僕んちに遊びにこない?』

幼馴染『え、いいの…?お邪魔でしょ…?』

兄『ううん、全然!僕の家はねー、お父さんがちょっぴり厳しいけどかっこよくて、』

兄『お母さんはいつも優しくてあったかくて、お姉ちゃんは…ちょっとよくわかんないけど』

兄『とにかくすっごくいい家族なんだ!だからおいでよ、幼馴染ちゃんも!』

幼馴染『……』

兄『きっと、幼馴染ちゃんを捨てたようなひどいお母さんお父さんよりももっと大事にしてくれるよ!』

幼馴染『!』

兄『幼馴染ちゃんは、僕のだーいすきな友達だもんね!』

幼馴染『兄、君…』

幼馴染『……///』
383 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:41:45.25 ID:0pw+E+a+0
兄『…あれ?どうかしたの?』

幼馴染『…なっ!なななっ、なんでもないよ!///』

―――

幼馴染「…あれからしばらくずーっと、兄君とばっかり遊んでたからいつの間にかうつっちゃったんだろうなぁ…」

幼馴染「…でも兄君のほうは小学校のクラス替えでしばらく疎遠になっていた間に一人称が『俺』になってたんだっけ」

幼馴染「あれは正直ちょっとショックだったなぁ…今はもう気にしてないけど」

幼馴染「…ねぇ、兄君…兄君はどんな女の子が好きなのかな…?」

幼馴染「僕以外にもたくさんの女の子に好かれてる兄君をずっと見てきたけど」

幼馴染「どんな娘にも気があるような素振りは見せなくて」

幼馴染「…そんな君が…一体どんな娘を好きなのかわからなくて…」

幼馴染「……兄君、君は一体どんな女の子が好きなのかな…?」

幼馴染「……」
384 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:42:52.43 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「…へっくしょんっ!…ずずっ」

幼馴染「…あれ?もうお昼…!?嘘っ、昔を思い出してただけなのに…」

幼馴染「ちょっと冷えてきたし…服着て、お昼ご飯も食べて、そしたら…」

幼馴染「……」
385 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:43:40.60 ID:0pw+E+a+0
―――

幼馴染「…ふぅ、お昼ご飯の用意完了!」

幼馴染「いっただっきまーす」カチャッ

幼馴染「…んむっ、んむ…お、このサラダ結構上手にできたかな」シャクシャク

幼馴染「主食は…やっぱりパンだけど」パクパク

幼馴染「ご飯足りないからなぁ…後で買ってこないと」モグモグ

幼馴染「……」ムグムグ

幼馴染「…なんか面白いテレビやってないかな?」ピッ

幼馴染「……」パクパク ピッピッピッ

幼馴染「…あ、やばっ…こぼした」ピッピッピッ

幼馴染「…特に面白いものもやってないなぁ」プツッ

幼馴染「むぐむぐ、んぐっ…ごくっ」

幼馴染「ごちそうさまでした」
386 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:44:16.43 ID:0pw+E+a+0
―――

幼馴染「服よーし、戸締りよーし、荷物よーし、外の天気もよーし」

幼馴染「オッケー、兄君の家にいざ出陣…」ガチャガチャ

幼馴染「…まぁ、いないっていう可能性もなくはないけど…帰りに買い物してけばいいし、無駄足にはならないかな」

幼馴染「……」スタスタ

幼馴染(兄君の…理想の女の子になれたらいいなぁ…なんつって)
387 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:46:08.14 ID:0pw+E+a+0
―兄の自宅前―

ピーンポーン ピーンポーン

幼馴染「…インターホンさっきからずっと鳴らしてるのに出ない…ってことは…」グッ

ガチャガチャッ ガチャッ

幼馴染「やっぱりいないかぁ…そりゃそうだよね」

幼馴染「しょうがない…明日とかでもいいか」スタスタ

幼馴染「…ん、あれ?あの娘って…」


後輩「…〜♪」スタスタ

幼馴染「あの娘って確か…兄君の吹奏楽部の娘…?」

幼馴染「…ふふ、まぁどうせ暇だし…お近づきになってみよっかなぁ…♪」
388 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:51:44.70 ID:0pw+E+a+0
幼馴染「おーい、そこの女の子ー」

後輩「…!」ピクッ

後輩「…私、…ですか?」

幼馴染「ここには他に誰もいないよ…じゃなくてえっと、怪しいものじゃないんだ、ちょっと時間いい?」

後輩「…あの、貴女は…?」

幼馴染「ああ、えーっと…○○高校の2年生で、兄君って知ってる?あの人の知り合い…って言ったらなんとなくわかってくれるかな」

後輩「兄先輩の…」

幼馴染「…別に何かしようとか言うわけじゃなくて…とりあえず時間作ってもらっても大丈夫…かな?」

後輩「…はい、大丈夫です」
389 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/20(火) 22:52:49.75 ID:0pw+E+a+0
―近くの喫茶店―

幼馴染「一応僕のおごりだから、ガンガン注文しちゃってね」

後輩「はぁ…ありがとうございます」

幼馴染「…えっとー…急に時間取らせちゃってごめんね?」

後輩「いえ、お気になさらないでください…それで、話っていうのは…?」

幼馴染「ああいや、別にこんな風にかしこまって話すようなもんじゃないんだけどね、えっと…」

幼馴染「…後輩ちゃんは…兄君の事どう思ってるのかなぁ、なんて」

後輩「…!…」

後輩「…幼馴染先輩、ずいぶんと踏み込んだ質問をなさるんですね…」

幼馴染「えへへ、ごめんごめん…だって僕…好きだから」

後輩「…え?」

幼馴染「…兄君の事…」

後輩「…本当…ですか」

幼馴染「…うん、だから…貴女の気持ちも教えてくれないかな…もし、良ければの話だけど」

後輩「……」

後輩「…私は――」
390 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/20(火) 22:53:57.43 ID:0pw+E+a+0
今回はここまで
次回は後輩の視点での番外編になるかと思われます
っていうか幼馴染掘り下げすぎた…メインの3兄妹と同じかそれ以上に目立ってるんじゃないかと思ってしまうほど…

こないだの勇者ドンさんはかっこよかったなぁ、けどサンバルカンとファイブマンはやっぱ出演無理かぁ…
ファイブマン密かに期待してたんだけどなぁ
まぁ仕方ないか…

というわけでお休みなさい 次の更新もできるだけ近いうちにやれるよう努力します
391 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:56:12.09 ID:RrVDM6DBo
おつ
392 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:44:47.53 ID:5IXOG7tco
まっつる
393 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 02:28:58.37 ID:k3hTAIASO
完成までガンガレ
394 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/22(木) 18:20:29.89 ID:tFfzkp2g0
test
395 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:51:31.47 ID:tFfzkp2g0
もうちょいでクリスマス、もうちょいで年明け…
このSS5月に立てたのに全然進んでないからまだこんなとこにいるんですよ
非常に後悔してます 俺の馬鹿!

こういうときはギャバンの主題歌を聞いて全て振り切るぜ!
というわけで今回も番外編(?)です、投下します
396 :>>312から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:52:26.26 ID:tFfzkp2g0
―後輩宅 朝―

後輩「…おかーさーん」ユサユサ

後輩母「ん、んんー…?」

後輩「おーきーてーよー、朝ご飯作ってあるよー?」

後輩母「ああ…ありがと、でもあと5分…」

後輩「もう!今日はお母さん仕事でしょ!?早く起きなきゃ遅刻するよーっ!」バシバシ

後輩母「ああもう痛い痛い、わかったわかった、起きるから…」
397 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:53:25.52 ID:tFfzkp2g0
後輩「いただきまーす」

後輩母「いただきます、もぐもぐ」

後輩「…ぱくぱく」

後輩母「いつもありがとね、ご飯作ってもらっちゃって」

後輩「…お母さんがしっかりしてないからだよ、まったくもう…」

後輩母「あはは、ごめんなさいねー」パクパク

後輩「あっ、こぼした!やめてよもうー」

後輩母「えっへへへー、ごめんごめん」
398 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:54:54.64 ID:tFfzkp2g0
後輩母「それじゃあ行ってくるね、留守番よろしくー」

後輩「言われなくてもわかってるって…もう」ガチャッ

後輩「…さて、今日は何してよっかなぁ…」

後輩「部活も学校も休みだから暇だし…」

後輩「……」

後輩「…先輩に会えないの寂しいな…」ボソッ

後輩「……」

後輩「……」

後輩「…って!何言っちゃってんのよ私!?べっ…別にそんな…そんな風に思ってるわけじゃ…!」
399 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:56:29.95 ID:tFfzkp2g0
後輩「…はぁ、ていうかそもそも一人でこんなことしてる時点で恥ずかしいって…」

後輩「……もう、好きになんかなってないっての」

後輩「あほらし、勉強でもしよっか」スタスタ

―後輩の部屋―

後輩「…えーっと、ここには3y+2を代入して…」カキカキ

後輩「中学生の範囲は出来てるから今は別にいっか」

後輩「あ、こないだ習ったとこ出来てなかったな…復習しとかないと」ペラッ

後輩「……」カキカキ

後輩「……」カキカキ
400 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:57:07.58 ID:tFfzkp2g0
―――

後輩「…よし、これなら完璧」パタン

後輩「まだ全然昼にならないなぁ…暇だなあ、どうしよっかなあ」クルクル

後輩「…後輩友…は、確か今日は用事があるって言ってたっけ…」

後輩「他の友達もみんな部活だろうなぁ…大会近いとこ多いし」

後輩「うーん…撮り溜めてたアニメでも見るか…」ガチャッ
401 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:58:20.85 ID:tFfzkp2g0
後輩「…ふぅ、一通り見終わったなぁ…今期のアニメは豊作だわー、えへへー」

後輩「……このままここに置いておくとお母さんに勝手に録画消されちゃうんだよね…移しておかないと」ゴソゴソ

後輩「さて、もうそろそろお昼になるころかな…」シャーッ

後輩「…まだお腹空いてないや、どうしよう…」

後輩「…ラノベでも読んで暇つぶしするか」スッ
402 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 22:59:46.01 ID:tFfzkp2g0
後輩「……」ペラッ

後輩「…何回か読んだことあるけどやっぱり面白いなぁーこれ」ペラッ

後輩「……」

後輩「……」ペラッ

後輩「…ぷっ、ふふふっ」

後輩「……」ペラッ

後輩「…ぶふっ!ふふっ、くふふっ…」

後輩「ふふっ、あっはははっ、ダメダメ、お腹痛いいーっ!くくっ、あっはははは!!」ゲラゲラ
403 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:00:33.28 ID:tFfzkp2g0
―――

後輩「…はぁ、はあ…あー面白かったー」パタン

後輩「…あれ、もうお昼になってるか…」

後輩「部活がないってだけで一日が過ぎるのがすっごく早く感じるなぁ…」

後輩「……」

後輩「部活…?」

後輩「…そういえば今の私はいったい何のために部活に行ってるんだろ…?」
404 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:01:07.35 ID:tFfzkp2g0
後輩「…部長先輩や部長友先輩はパートは違っても優しく教えてくれるし…」

後輩「先生も厳しかったり叱ってきたりするけど、きちんと色々教えてくれる…」

後輩「…あれだけいい先輩たちがそろってて」

後輩「皆…大会で金賞を取る」

後輩「そんな一つの目標に向けてそれぞれ協力して頑張ろうとしてる」

後輩「…それは私も同じだけど」

後輩「それよりもっと大きな理由があるはず…」

後輩「……そうだよ、今の私…」

後輩「兄先輩に会いたいって理由だけであの部に…」

後輩「…なんでだろ、最初はそんなことなかったのに…」

後輩「中学校のころから…ずっとあの賞だけを目指して楽器吹いてきたのに…」

後輩「今になって…その夢より大きなものができちゃうなんて…」
405 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:03:15.24 ID:tFfzkp2g0
後輩「ふっ…不純な動機…だよね、こんなの…」

後輩「兄先輩…の…ためだけに…だ、なんて…」

後輩「…まやかしじゃないのかな」

後輩「私…あの人のどういうところに魅かれたんだろ…?」

後輩「……」

後輩「…えっと…木の上の本を取ってきてくれたり…」

後輩「たくさん話しかけてきてくれたり…」

後輩「…わかんない時には優しく…教えてくれたり…とか…?」

後輩「……な…なんか恥ずかしくなってきちゃった…」
406 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:04:10.54 ID:tFfzkp2g0
後輩「…やっぱり…認めなくちゃ…」

後輩「私…あの人の事好きなんだ」

後輩「中学校のころからの大きな夢を凌ぐくらいに」

後輩「先輩の優しさに…惚れこんじゃったんだ…」

後輩「まやかしじゃない」

後輩「これが…私の今の気持ち…」

後輩「……」

後輩「兄先輩にも…いつの日か伝えなくちゃ…」


後輩「…せめて…今年が終わらないうちに」
407 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:06:08.97 ID:tFfzkp2g0
後輩「……」ギュルルルル

後輩「…そろそろお腹空いてきたな…何か作って食べよっと」スタスタ パカッ

後輩「……うわ、冷蔵庫の中殆ど何にもないや…」

後輩「かろうじて食パンが2枚ある…これだけ食べたら外で何か買ってくるか…」スッ ガサガサ

後輩「…いただきます」パクッ

後輩「…あ、これ消費期限明日だ…」モグモグ

後輩「ギリギリセーフかな?…よかったぁ」パクパク

後輩「んむっ…ごちそうさまでした」

後輩「でもこれだけのパンじゃあんまりお腹の足しにはならないなぁ…」
408 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:07:13.53 ID:tFfzkp2g0
後輩「…戸締りオッケー、これなら大丈夫だね」ガチャガチャ

後輩「お財布も持ったし…買い物メモもしてあるし」

後輩「私ってしっかり者だなぁー」

後輩「…えっと、スーパーはあっちの店のさらに近くだから、信号渡っていって…」スタスタ
409 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:08:10.35 ID:tFfzkp2g0
―――

店員「お買い上げありがとうございましたー」

後輩「結構いっぱい買っちゃった…まぁ、お母さんのお金だし、それにこのくらいならまだ怒られる範囲じゃないだろうし平気かな」

後輩「…さてと…ちょっと重いけど帰ろっかなぁ〜」スタスタ

後輩「〜♪」


幼馴染「…ん、あれ?あの娘って…」

幼馴染「兄君の吹奏楽部の娘…?」
410 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:09:38.66 ID:tFfzkp2g0
―――

後輩「…〜♪」スタスタ

幼馴染「おーい、そこの女の子ー」

後輩「…!」ピクッ

後輩「…私、…ですか?」

幼馴染「ここには他に誰もいないよ…じゃなくてえっと、怪しいものじゃないんだ、ちょっと時間いい?」

後輩「…あの、貴女は…?」

幼馴染「ああ、えーっと…○○高校の2年生で、兄君って知ってる?あの人の知り合い…って言ったらなんとなくわかってくれるかな」

後輩「兄先輩の…」

幼馴染「…別に何かしようとか言うわけじゃなくて…とりあえず時間作ってもらっても大丈夫…かな?」

後輩「…はい、大丈夫です」
411 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/22(木) 23:10:31.60 ID:tFfzkp2g0
―近くの喫茶店―

幼馴染「一応僕のおごりだから、ガンガン注文しちゃってね」

後輩「はぁ…ありがとうございます」

幼馴染「…えっとー…急に時間取らせちゃってごめんね?」

後輩「いえ、お気になさらないでください…それで、話っていうのは…?」

幼馴染「ああいや、別にこんな風にかしこまって話すようなもんじゃないんだけどね、えっと…」

幼馴染「…後輩ちゃんは…兄君の事どう思ってるのかなぁ、なんて」

後輩「…!…」

後輩「…幼馴染先輩、ずいぶんと踏み込んだ質問をなさるんですね…」

幼馴染「えへへ、ごめんごめん…だって僕…好きだから」

後輩「…え?」

幼馴染「…兄君の事…」

後輩「…本当…ですか」

幼馴染「…うん、だから…貴女の気持ちも教えてくれないかな…もし、良ければの話だけど」

後輩「……」

後輩「…私は――」
412 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/22(木) 23:12:09.00 ID:tFfzkp2g0
今回はここまで
兄と妹が必死になって両親の死の真相を暴こうとしている間この二人は午前中ずっとお休みしてただけでしたっていう話
まぁ次回もアナザーストーリー?みたいなもんなんですけど、前回の投下や今回の投下よりかは幾分シリアスになるやもしれません
なにせ兄を狙う恋敵同士の話ですのでwww

ニンジャホワイトとチェンジグリフォンがゴーカイジャーに出演するらしいけどどうなるんだろう
カクレンジャーの大いなる力=ニンジャマンはちょっと想像つかなかった…
せめて番外戦士扱いにしてくれてもよかったんじゃないかな?その辺どうなんだ?
まぁ青二才がそれでいいならいいんだけど…

ということでお休みなさい 年内にあと1、2回くらいは更新できるかな? とりあえず努力してみます
413 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 23:39:33.57 ID:0epChA4Yo
おつ
414 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 13:39:05.11 ID:xpAek98Io
ふーむ
415 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 11:22:27.96 ID:tib9JxsZ0
新キャラの男ってのは悪役か?
416 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/29(木) 15:41:08.45 ID:f2BbiMCM0
てすと
417 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 16:41:50.06 ID:eQ2uezXRo

    ( ´,_ゝ`)           (゚д゚ )  来たの!?  
    .r   ヾ    ガタッ     .r   ヾ   ガタッ
  __|_| / ̄ ̄ ̄/ _____|_| / ̄ ̄ ̄/_
    \/    /          \/    /

    ( ´,_ゝ`) 来てない     ( ゚д゚)  そう  
    .r   ヾ            .r   ヾ
  __|_| / ̄ ̄ ̄/ _____|_| / ̄ ̄ ̄/_
    \/    /          \/    /


    ( ´,_ゝ`)           (゚д゚ ) 今度は来たの!?  
    .r   ヾ    ガタッ     .r   ヾ   ガタッ
  __|_| / ̄ ̄ ̄/ _____|_| / ̄ ̄ ̄/_
    \/    /          \/    /
418 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/29(木) 18:47:30.17 ID:f2BbiMCM0
メテオかっこよすぎてワロタ
オーケィ!ジュピルァー!ってなんだよww

まあ無駄話は短めにして、今回はいつもの二倍書いて投下します
普段からそんなにいっぱい書いてるわけじゃないから大して変わらないとは思うけど…

>>415
次に出てくるのは相当後だと思うけど、重要キャラのつもりです
どちらかといえば一応は悪役なのですが
419 :>>411から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:49:49.81 ID:f2BbiMCM0
後輩「…私は…兄先輩の事…」

後輩「……」

後輩「…好きです」

幼馴染「ほほう…どんな風に?」

後輩「どっ…どんな、風に…!?」

幼馴染「そうそう、たとえば先輩として好きなのか」

幼馴染「それとも…ひとりの男の子として好きなのか」

後輩「いじわるですね、先輩…」

幼馴染「えへへ、よく言われるよ」

幼馴染「…さあ、本当の気持ちはどっちかな…?」

後輩「…もう」
420 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:51:02.12 ID:f2BbiMCM0
後輩「…ひとりの…男の子として…です」

幼馴染「…なるほど、ありがとう後輩ちゃん」

後輩「あのっ!…幼馴染先輩も…ですか?」

幼馴染「そうそう、幼稚園のころからホの字なの」

後輩「よ、幼稚園の頃…から…」

幼馴染「兄君ってさ、昔っからやたらと女の子に好かれる体質なの」

後輩「…そ、そうなんですか?」

幼馴染「うん、原因だの理由だのはよくわかんないけど」

幼馴染「…そのくせ他人の好意に対しては鈍感だし、女の子を好きになったこともないし」

幼馴染「それどころか男友達が少ないことを嘆いてたときもあったくらいだよ」

後輩「…はぁ…」

幼馴染「贅沢だとは思わない?」

後輩「うーん…どうでしょう…」
421 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:52:32.28 ID:f2BbiMCM0
―――

後輩「…あっ、そろそろ晩ごはん作りに帰らないと」

幼馴染「え?後輩ちゃんが支度してるの?」

後輩「は、はい…お母さんがしっかりしてないもんだから」

幼馴染「…お母さん…」ズキッ

後輩「…?…先輩?」

幼馴染「…!…あ、ああ…ううん、なんでもないんだ、ごめんごめん」

後輩「…そ…そうですか?えと…それじゃあ申し訳ないですが私はここで…」

幼馴染「うん、こっちこそごめんね?無理やり付き合わせちゃって…」

後輩「いえいえ、楽しかったです!またそのうちご一緒させていただけませんか…?」

幼馴染「もちろん!いつでもおごってあげるよ?」

後輩「あはは、ありがとうございます」

後輩「それじゃあ失礼します、ごちそうさまでした」

幼馴染「はいはーい、またねー」
422 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:53:41.19 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「…ふぅ、よかったあ受け入れてもらえて…」

幼馴染「唐突に誘っちゃったもんだから嫌に思われてたらどうしようかと…」

幼馴染「それに、前見たときよりも明るくなってたような気がするなぁあの娘」

幼馴染「兄君のおかげなのかな?」

幼馴染「……はぁ、お母さんかぁ…羨ましいなぁ…ご飯作ってあげられる相手がいるなんて」

幼馴染「きっと後輩ちゃんは幸せなんだろうなぁ」

幼馴染「…あったかい、家族がいて」

幼馴染「あの娘は…気付いてなさそうだけど」

幼馴染「…さて、僕もそろそろ出ようかな」

幼馴染「……あんまり高くつかなければいいけど…」
423 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:55:23.58 ID:f2BbiMCM0
―――

後輩「…最初誘われた時にはちょっとびっくりしたけど」

後輩「優しいし楽しい先輩でよかったなぁ」

後輩「…けどまさか…あんな人が事実上の恋敵になるなんて」

後輩「幼稚園のころからずっと好きだって言ってたし…勝ち目あるのかなあ」

後輩「はあ…たまにはお母さんにもご飯作ってもらいたいなあ」

後輩「こんな気分のまま美味しい料理なんて作れっこなさそうだよ…」

後輩「…私、どうすればあの人より魅力的になれるのかなぁ…」

後輩「……」

後輩「…はぁ…」
424 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:55:54.04 ID:f2BbiMCM0
―後輩の自宅―

後輩「…ただいまー」

後輩母「おかえり、どこ行ってたの?」

後輩「ちょっと買い出しに…っていうか帰ってきてたんだ」

後輩母「いつもよりちょっと早めに終わってさ、鍵かかっててびっくりしちゃったよ」

後輩「…そのわりに連絡の一通も入ってないんだけど」ゴソゴソ

後輩母「もし帰りがもうちょっと遅かったら連絡入れてたわよ、けどまだそんなに遅くないからさ」

後輩「薄情者」

後輩母「なんでや」

後輩「言ってみただけだよ」

後輩母「あっそ」
425 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:56:25.60 ID:f2BbiMCM0
後輩「ねえお母さん、何食べる?」

後輩母「んー…昨日何食べたっけ」

後輩「カレー」

後輩母「もう残ってないの?」

後輩「昨日で全部だよ」

後輩母「そっかあ…じゃあラーメン食べたいわ」

後輩「インスタント?」

後輩母「本格的なの作れんの?」

後輩「いやいや無理無理」

後輩母「買ってきてあるんでしょ?カップ麺」

後輩「じゃあそれでいい?」

後輩母「うん、ありがとー」
426 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:57:02.74 ID:f2BbiMCM0
―――

後輩(結局手作りにならなくてよかった…)

後輩「いただきます」

後輩母「いただきまーす」

後輩「……」ズルズル

後輩母「……」ズルズルズル

後輩「…おかーさん、テレビつけていい?」ズルッズルッ

後輩母「面白いのやってないよ?」ズルズル

後輩「…ならいいや」ジュルジュルジュル

後輩母「うむ」ズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズル
427 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:58:13.77 ID:f2BbiMCM0
―幼馴染の自宅―

幼馴染「ただーいまー」

幼馴染「…はぁーあ、誰もいないのになんでいっつも言っちゃうんだろう」パチッ

幼馴染「まだあんまりお腹空いてないしなぁ、お風呂入ってから食べよっかなぁ」スタスタ

幼馴染「お風呂掃除がちょっと面倒だけど…」

幼馴染「…あ、やっぱ最近暑いからシャワーでもいいかな?」

幼馴染「掃除しながら考えよっと」ガチャッ
428 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:58:52.28 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「洗剤よし、ブラシよし、お湯の温度よし」

幼馴染「お掃除開始!」プシューッ ゴシゴシゴシ

幼馴染「…うわ、意外と汚いなぁ…昨日も磨いたのに…」ゴシゴシ

幼馴染「…ん、あれ?…ああ、昨日は兄君が帰ってすぐに寝ちゃったから洗ってないしお風呂も入ってなかったっけ」ゴシゴシ

幼馴染「昨日入ってないなら今日はお風呂でいっか」ゴシゴシゴシ

幼馴染「…ふんっ、ふんっ」ゴシゴシ

幼馴染「あっつくなってきた…」ゴシッ

幼馴染「…いや、頑張った後のお風呂は格別!頑張れ、僕!」ゴシゴシ
429 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:59:22.25 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「…よし、完璧」

幼馴染「掃除したら結局お腹空いちゃった…先に晩ごはんだな」

幼馴染「お風呂が沸くまでに食べ終えられるか…」ピッ

ピン↓ポン↑パン↓ポン↑  ピン↑ポン↓パン↑ポン↓

幼馴染「…それはさすがに無茶かな」

幼馴染「……あっ、ご飯買ってくるの忘れた…」

幼馴染「まぁ明日でいっか」スタスタ
430 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 18:59:50.45 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「夕食もパンか…まぁ自業自得だけどね…」カチャッ

幼馴染「いただきます」

幼馴染「あむっ、んむっ、んぐっ…うん、美味しい♪」

幼馴染「…そういえば兄君、今日留守だったけどどこ行ってたんだろう…?」

幼馴染「一日遅れでお墓参り…かな?」

幼馴染「……だとしたら…ちょっと危ない…かも…」

幼馴染「…あの秘密…あれだけは…二人には――」
431 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 19:00:21.30 ID:f2BbiMCM0
「お風呂が沸きました、お風呂が沸きました」

幼馴染「あっ、やばっ」

幼馴染「…まぁ、いろいろ考えるのは後でいいか…先に食べちゃおう」パクッ

幼馴染「んむっ、もぐもぐもぐっ…ごくん」

幼馴染「ごちそうさまでした」

幼馴染「よし、早く支度して早く入っちゃお…ガス代が勿体ないよ」

432 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 19:01:21.09 ID:f2BbiMCM0
―――

シャァァァァァァァァアアアアアア

幼馴染「はぁー、気持ちいいー…疲れが洗い流されるような感じだよー」

幼馴染「後輩ちゃん…いい娘だったなぁ、また会えるかなぁ」

幼馴染「…一応名目上は恋敵でもあるわけだから、ちょっと敵対視されてそうだけど…」

幼馴染「そういえば明日って部活はあったっけ…後で確認してみよう」

幼馴染「…そろそろ湯船浸かってもいいころかな」

チャポンッ
433 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 19:02:06.55 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「ふー…あったかーい…」ブクブク

幼馴染「…はー、癒されるー…」ゴポゴポゴポッ

幼馴染「……」ボケーッ

幼馴染「……」

幼馴染「……」

幼馴染「…ちょっとぼーっとしてみても」

幼馴染「兄君の事無意識に考えてるなぁ、僕」

幼馴染「告白の返事は…いつになるやら…」

幼馴染「…ふわぁーあ…」
434 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 19:02:46.17 ID:f2BbiMCM0
幼馴染「……」クチュッ

幼馴染「…濡れてる」クチュクチュ

幼馴染「兄君にも負けてないくらいに変態じゃん僕…」クチュクチュ

幼馴染「んっ…けどやっぱり止まんない…んんっ!」ピクピク

幼馴染「兄君の事考えたら…止まんないよぉ…んっ、んあぁっ!」ビクビクビクッ

幼馴染「んっ、んっ…!兄君…っ、兄君兄君兄君…っ!!!」ビクビクビクビクッ

幼馴染「ん…んんぁ…!んっ、くっ…、んあっ、あんぁあっ!!」ビクビクビクッ

幼馴染「あっ、あっ…っ!ああああっ!!!!…」ビクビクビクビクビクッ

幼馴染「…ふぅ」

幼馴染「……」

幼馴染「……」

幼馴染「…あれだね、こういうときだけは家族がいないほうが助かるね…はーあ、なんちゃって」
435 :これで半分 もう半分はちょっと待って ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 19:05:25.07 ID:f2BbiMCM0
―幼馴染の部屋―

幼馴染「…ちょっとのぼせちゃったな…そりゃそうか」ゴーッ

幼馴染「湯冷めしないように気を付けないと…」ゴーッ

幼馴染「髪の毛かわいたらもう寝ちゃおっかな、大してすることないし」ファーイブ

幼馴染「……」ゴーッ

幼馴染「…そろそろ乾いたかな」プツッ

幼馴染「ふあぁ…今朝はすっきり起きられたんだけど…やっぱり寝不足気味だなぁ」

幼馴染「昨日はいろいろあって寝たのは遅くだし、今日は早めに寝ちゃおっか」

幼馴染「…あ、その前に…明日は部活あり、かぁ…退屈しないで済みそうかな」

幼馴染「それじゃあ…誰もいないけどお休みなさーい」パチッ
436 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:31:43.63 ID:f2BbiMCM0
―――

「…そうか…あいつはもういないからあの娘は一人で過ごしているのか」

「姉たちなら…きっとあの娘を仲間に入れてやろうとするはず…しかしそれをしていないということは…」

「何か…事情があるのかの…あの娘は昔から芯が強く…同時に無茶をする娘だ」

「寂しい思いをしていなければいいが…」

「…まあなんにしても…余計な真似はできぬ…すまないがもう少し待っていろ」

「兄、妹…そして姉よ」

「…まったく、馬鹿な男を知り合いに持ったものよ…この落とし前はきっちりつけてもらわねばな」スタスタ

「…なぜ…私の知り合いはこうも簡単に死んでしまうのだろうかな…」

「広い夜空が…虚しく映るわ、ほっほっほ」
437 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/29(木) 20:32:32.62 ID:f2BbiMCM0
番外編はここまでということで
ここで少し時間を戻して、視点も兄姉妹に戻ります
438 :>>366から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:33:07.74 ID:f2BbiMCM0
―兄の自宅 夜―

姉「いただきます」

兄「…いただきます」

妹「…いただきます」

姉「…あの」

兄「……」パクパク

妹「……」モグモグ

姉「…二人とも…何かあった?」

妹「…別に」

姉「もしかして…今朝の事怒ってる…とか?」

妹「…別に」

姉「……」
439 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:34:03.22 ID:f2BbiMCM0
兄「…姉貴」

姉「はっ…はい…」

兄「…後で俺の部屋に来てくれ」

兄「話したいことがあるんだ…三人で」

妹「……」

兄「……」

姉「…はい…わかりました…」

姉(何この威圧感…めっちゃ重苦しいじゃない…)
440 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:37:58.83 ID:f2BbiMCM0
兄「…ごちそうさまでした」

妹「ごちそうさま」

姉「…二人とも、なんかいつもより食べるの早くない…?」

妹「気のせいでしょ…それじゃあ待ってるから」

姉(妹ちゃんまで怖い…)

兄「別に焦らなくていいからな」

姉「はぁ…はい…」

姉(…でも…あのことは…)

姉(何があっても言うわけにはいかないよね…)

姉(……)
441 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:39:15.83 ID:f2BbiMCM0
―兄の部屋―

兄「…妹、今日で絶対…この件にケリをつけるぞ」

妹「わかってるって、聞き飽きたよ」

兄「…親父たちは自殺したわけじゃない…きっと何者かに殺されたんだ」

妹「知っているとしたら…お姉ちゃんだけ」

兄「ああ…だから、姉貴が知っていること…全部話してもらう」

妹「…うん」
442 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:40:06.52 ID:f2BbiMCM0
兄「……」

妹「……」

兄「……」

妹「……」

兄「…姉貴、来ないな…」

妹「…そうだね…」

兄「探してくるか」

妹「いってらっしゃい」
443 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:43:31.20 ID:f2BbiMCM0
ガチャッ

兄「…姉貴ー、まだ飯食ってんのかー?」

姉「ごめんごめん、今トイレー」

兄「……」

妹「私がトイレの前で見張ってくるよ」

兄「頼む」
444 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:44:22.78 ID:f2BbiMCM0
妹「お姉ちゃん、トイレに引きこもっていようとしたって無駄だからね」

姉「しないしない」

妹「本当?」

姉「本当本当」

妹「はぐらかそうとしてたりしない?」

姉「全然全然」

妹「本当に本当?」

姉「本当に本当」

妹「じゃあずっと見張ってるから」

姉「それって意味あるの?」

妹「逃げ出されたら困るもん」

姉「しないしない」

妹「…さっきから返事が空返事っぽいんだけど」

姉「気のせい気のせい」

妹「……」ガチャッ
445 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:46:28.57 ID:f2BbiMCM0
姉「!!」ガチャガチャッ

妹「おい!開けなさいお姉ちゃん!」ガチャガチャ

姉「やだ!やだやだやだ!」ガチャガチャ

妹「鍵を開いて扉を開けろ!あなたは完全に包囲されている!」ガチャガチャ

姉「ぜーったいやだぁー!」

妹「…ちょっとあのさぁー!本当にふざけてる場合じゃないんですけどぉー!」ガチャガチャ

妹「早くそこから出てきてよ!お姉ちゃんのばかぁー!」ガチャガチャ

姉「いーやーだーぁー!」ガチャガチャ

妹「…はぁ…もう…」
446 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:47:39.57 ID:f2BbiMCM0
―――

妹「というわけでお姉ちゃんが出てきてくれなくて…」

兄「……」

妹「どうすればいいかな…」

兄「…任せろ」スタスタ

妹「えっ?」
447 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:48:18.58 ID:f2BbiMCM0
兄「…姉貴」

姉「やだ」

兄「まだ何も言ってないのに…」

姉「やだ」

兄「まぁいい、よく聞け」

姉「やだ!」

兄「…俺たち今日はさ、二人で隣町まで行って来たんだ」

姉「やだ!…って、え?」

兄「それでさ、おばあちゃんの家に行ったんだよ、あの空き家」

姉「…本当に?」

妹「お、食いついた」

兄「ああ」
448 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:48:55.21 ID:f2BbiMCM0
姉「…何かあった?」

兄「それについて話したいんだ」

姉「…いや、何について話すつもりかはわかってた…だから引きこもってたんだけど」ガチャッ

妹「あ、出てきた」

姉「まさか二人とも…自分たちだけでそんなことしてたなんてね」

姉「いつまでも…子供じゃないもんね、二人とも」

妹「お姉ちゃんそれどういう意味なの?」

姉「ふふ、誉めてるの」

兄「嘘こけ」
449 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:49:59.72 ID:f2BbiMCM0
妹「…それにしてもすごいね、一発で引きずり出しちゃうなんて」

兄「ホモビで釣るかどうか迷ったんだけど…」

妹「なんか前言撤回したくなってきた」

兄「いや待ておい、俺はホモじゃないぞ」

妹「知ってるよ」
450 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:51:06.69 ID:f2BbiMCM0
―兄の部屋―

兄「…最初から素直に来てくれたらよかったのに」

妹「そうそう」

姉「だって…話したくないんだもん」

兄「……」

妹「…どうして?何か理由があるの?」

姉「……」

兄「…はっきり答えてくれ」

兄「中途半端に真相を知ったまま…終わりにしたくないんだ」

姉「兄君…そうやって言うけどさ」

姉「…じゃあ」
451 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:51:55.62 ID:f2BbiMCM0
姉「…じゃあさ……知らないままのほうが良かったんじゃない?」

兄「…なっ…」

妹「…なにそれ!どういう意味…!?」

姉「二人とも…根本から間違ってるよ」

兄「…何?」

姉「だって…二人がどうして死んだかなんて知っても意味ないでしょ?」

妹「そっ…!」

妹「そんなことないよ…!私たちの家族の事だもん!知らないままじゃ…家族だなんて言えないじゃん!」

兄「…妹の言うとおりだ…家族として、秘密は無しにしたいんだよ」

兄「姉貴…頼む、知っていること…全部話してくれよ」

姉「……」
452 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:52:57.48 ID:f2BbiMCM0
姉「できないよ…駄目なの」

姉「…だめ…これだけはダメ、言えないよ…もしあなたたちに話したら…」

姉「この家族、崩壊するから…絶対に」

兄「…なんだよそれ、どういうことだ…」

姉「今更こんなこと言って悪いけどさ!」

姉「…とにかくもう!聞かないでよ…これはあなたたちのためなの」

姉「この秘密を抱えていくのは!この家族の中で…私だけでいいの!」

妹「おかしなこと言わないで!私たちもう子供じゃないって…お姉ちゃんがさっき言ったんじゃん!教えてよ、じゃないと私たち…」

姉「…嫌よ、絶対に教えられない…こんなこと聞いたらあなたたち…生きていけなくなるほど…」

姉「…絶望するわ、きっと…」

姉「私が…そうだったから」

兄「馬鹿言え、姉貴はまだ生きてる!だから大丈夫なはずだろ!」

姉「…だめ…だってあの時と今とじゃ…状況が違うから」

姉「時間が経ち過ぎちゃったから…余計にひどく絶望するわ」
453 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:54:09.24 ID:f2BbiMCM0
妹「…そんなのますます気になるじゃん!教えて、ねぇ…ねえ!」

妹「お姉ちゃん!!」

姉「…っ!」ギリッ


姉「うるさい!!!!」


妹「…!!」ビクッ

兄(…姉貴が…)

兄(こんなに…怒るなんて…)

姉「…ごめんね」

姉「けど…どうしても言えない」

姉「今後これに関わる話をしたら…」

姉「…私はこの家を出ていくわ」

兄「…!」

妹「そんな…お姉ちゃん…!」

姉「これはたった今から…この家の暗黙且つ絶対のルールとします」

姉「…勝手だけどさ…兄君、わかってくれるよね?」

姉「男は約束破らないんでしょ――?」

兄「…っ!」

兄(姉貴…!!)ギリッ
454 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/29(木) 20:55:33.97 ID:f2BbiMCM0
今回はここまで
どうでもいいがクリスマスにVIPで書いたSSが反応も評価も微妙でちょっと悲しかった
やっぱまだまだ未熟だなぁ俺…ていうか素直にいちゃラブ系のものを書いていたらもっと反応よかったような…

今回の投下分ちょっとわかりづらくなっちゃってごめんなさい
まとめます
455 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/29(木) 21:27:23.41 ID:f2BbiMCM0
時間の経過をレスごとで改めてざっとまとめてみると

1日目     夜>>3-12

2日目 朝>>13-32 夜>>38-72

3日目 朝>>73-99 夜>>110-120

4日目 朝>>121-136 夜>>142-144

5日目 朝>>145-161 夜>>162-184

6日目 朝>>201-287 夜>>288-312

7日目 朝>>319-366 夜>>438-453

番外 朝>>372-389 >>419-428 夜>>429-436
     >>396-411

(番外 幼馴染>>372-389 後輩>>396-411 →>>419-436)


こんな感じなのかな
わかりづらくてすみません

明日も暇だし進められる…かな?
今日のところはひとまずこれで、おやすみなさい
456 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 21:53:09.96 ID:GfYCxGOBo

何書いてたんだろう
ログ持ってるかなあ…
457 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:28:56.64 ID:rkq3/2Jpo
おつ
458 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/31(土) 16:12:17.59 ID:hsD5xgxW0
酉てすと
結局昨日書けなかったじゃないか
何してんだ俺の馬鹿
459 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 17:56:27.65 ID:hsD5xgxW0
ということで進められなくてすみませんでした
ところで今日を過ぎればもう2012年なんですよね、まったく実感わかないんですけど
地球滅亡って本当なのかなぁ、まあどっちでもいいけど…

言うまでもないですがこれで年内最後の投下になりますね
年末は俺みたいな暇人と違ってみなさん忙しいのでしょうけれど、もしよければ
2011年最後のこの投下分に目を通していただければ幸いでございます

>>456
なんか今更言うのも宣伝?臭くてどうかなぁとは思うけどもし万が一需要みたいなものがあるのなら…
http://logsoku.com/thread/engawa.2ch.net/news4vip/1324794352/
正直自分でもいまいちだとは思わなくもないなんて言えない

…グタグダぬかすより素早く投下してしまったほうがいいですよね、では参ります
460 :>>453から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 17:57:37.67 ID:hsD5xgxW0
―兄の家 朝―

兄「…ん…」

兄「…あれ…もう朝か」

兄「くそっ…全然眠れなかった…」

兄「……」

姉『男は約束破らないんでしょ――?』

兄「…姉貴が…あんなに必死になるなんて…」

兄「やっぱりそれだけ大事なことなんだよな…だったらなおさら言ってくれればいいのに…」

兄「…いや、もしかして…」

兄「……俺たち…信用されてなかったりするのかな…姉貴に…」

兄「……」

兄「…って…!なんてこと考えてるんだ俺は…」

兄(そんなこと…あるはずないのに…)

兄「家族を疑うなんて…最低だ、俺…」
461 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 17:58:40.05 ID:hsD5xgxW0
―――

ジャーッ

姉「あっ、兄君…おはよう」カチャカチャッ

兄「…姉貴が俺より早くに起きてるなんてな」

姉「そんなに珍しいことじゃないでしょ」

兄「今日は雨が降るかな」

姉「ふふっ、まーたおかしなこと言っちゃって」

姉「はい、朝ごはん」コトッ

兄「ありがと…ところで妹は?」

姉「…えっとぉー…実はそれが…」

兄「…?」
462 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 17:59:50.77 ID:hsD5xgxW0
―妹の部屋の前―

ガチャガチャッ ガチャガチャッ

兄「…鍵かかってる…」

姉「…昨日怒鳴っちゃったのが予想以上に効いたみたいで…」

兄「……」

姉「先に言っておくけど秘密は秘密だからね」

兄「わかってるよ…姉貴に出て行かれたら俺たち死んじまう」

姉「偉い偉い」

兄「…でもそれとこれとは別だぞ」

姉「わ…わかってるって…」コンコン

姉「いっ…妹ちゃーん…昨日はごめんねー…?」

妹「……」

兄「…完全無反応だぞ」
463 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:00:35.18 ID:hsD5xgxW0
姉「おっ…お願い、出てきてよぉー…お腹空いたでしょ?」

妹「すいてない」ギュルルルル

兄「……」

姉「……」

妹「……」

妹「すいてない!すいてないもん!」

兄「…なんとなく気持ちはわかるけど、いじけてても仕方ないだろ?お前今日部活は?」

妹「ないよ!お休みだよ!」

兄「…どうすんだ姉貴」

姉「…兄君、ほら…こないださ、ライダーキックの威力が自慢って言ってたじゃん?」

兄「一週間前くらいに聞いたよその台詞」

姉「……」
464 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:01:43.79 ID:hsD5xgxW0
姉「…前にやったおびき出し作戦やってみようよ」

妹「お姉ちゃん、人を何だと思ってるの?そう何度も引っかかるはずないじゃん」

姉「……」

兄「そもそも会話が筒抜けじゃねーか」

妹「……」ギュルルルル

兄「…お前いい加減出てこいよ、俺今日部活だし」

妹「関係ないよ」

兄「関係なくないだろ、基本家族そろわないと食事しちゃいけない暗黙のルールがうちにあるのは知ってるだろ?」

姉「…あったっけそんなの」

兄「姉貴が決めたんだろ確か」

姉「マジかよ」
465 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:02:47.28 ID:hsD5xgxW0
兄「…お前そんなに姉貴が怖かったのか?」

姉「うぅ…」

妹「…うん」

姉「!!…うっ、あうぅ…」

兄「おい、姉貴落ち込んじゃったぞ」

姉「…じゃ…じゃあさ…どうしたら出てきてくれるかなぁ…」

妹「…お姉ちゃんが知ってる秘密、話してくれたらいいよ」

姉「それはちょっと…」

妹「じゃあ私出てこない」

姉「えぇ〜…」

兄「……」
466 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:03:23.84 ID:hsD5xgxW0
姉「…どうしよう、兄君…」

兄「…お互い譲らないくらいだったらいっそのことこのままでいいんじゃないか…?」

妹「…!」

兄「ほっときゃ勝手に出てくるだろうし」ヒソヒソ

姉「…そ…そうだね…妹ちゃんには悪いけど…出てきてくれたら謝ることにするよ…」ヒソヒソ

姉「しょうがないからご飯も食べちゃおう」ヒソヒソ

妹「なっ…なにヒソヒソ話してるの!?ねぇってば!二人ともー!」

シーン

妹「…ふんっ、もういいもん、二度寝しよっと!」ドサッ

妹「……」ギュルルルルル

妹「……」
467 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:04:14.00 ID:hsD5xgxW0
―――

姉「いただきまーす」

兄「ごちそうさま」

姉「はやっ」

兄「今日はもうのんびり食ってられないしな、急がないと」

姉「…兄君」

兄「なんだよ」

姉「その…ごめんね?昨日は」

兄「…なんで姉貴が謝るんだよ」

姉「いや…えっと、いろいろと…」

兄「まぁ許さないけどな、絶対」

姉「…えっ…」
468 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:05:19.52 ID:hsD5xgxW0
兄「…こっちだって秘密があるなら知りたいし」

姉「……」

兄「だから…それを知るときまでは、絶対姉貴を許さない」

兄「…これでさ、おあいこにならない?」

姉「…ぷっ、兄君も馬鹿だなぁもう」

兄「ははっ、姉貴に似たんだろ」

兄「それじゃあ、行ってくるから」

姉「はーい、行ってらっしゃーい」

姉「…姉貴に似た、かぁ…嬉しいこと言ってくれるよ」

姉「……本当にそうだったらよかったんだけど…ね…」

姉「…ってぇ!しんみりしている場合じゃないや…私も急いで食べないと」
469 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:05:51.86 ID:hsD5xgxW0
姉「ふー、ごちそうさま…さてと」

姉「お仕事に行く前に…昨日は気になるものを見つけちゃったんだよねぇ…」

―兄の部屋―

姉「兄君ごめんね…ちょっと失礼しまーす…」ガチャッ

姉「…あったあった、ビデオ発見」

姉「二人の素振りからするとまだ中身は見られてないよね…多分だけど」

姉「…しっかしよくこんなもの見つけてくるなぁ…二人とも大したもんだ」

姉「……」

姉「…もうすぐ…私は必要なくなる…二人にとって」

姉「だからそれまでは…守り通さないとね」

姉「この家も…二人の事も…」

姉「…それじゃあこれは私の部屋に隠しておかないと…見つかったら困るもんね」
470 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:07:41.04 ID:hsD5xgxW0
―――

妹「……」モグモグ

姉「あ、妹ちゃん起きてたんだ…ごめんね?昨日は…」

妹「…ふんっ」モグモグ

姉「あはは…やっぱりご機嫌斜めかぁ…」

妹「……」

姉「まぁしょうがないよね、お姉ちゃんも悪いし」

妹「…ねぇ」

姉「…はぁい」

妹「お姉ちゃんはさ、その…どうしてそんなに立派なの…?」

姉「…へ?」
471 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:09:04.21 ID:hsD5xgxW0
妹「い、いや、ほら…ちょっと残念なところもあるけど…私たちを支えてくれたり、喧嘩も水に流したり…」

姉「えっ…えへへ、あっ…あんまり褒めないでよ…照れちゃうじゃん」

妹「…私とは大違い、っていうか…」

姉「あっははー、まぁねー偉大なお姉ちゃんですもの、あっははあははは」

妹「…お兄ちゃんもそう…私にないものいっぱい持ってるよ」

姉「…な…なんか今日妹ちゃんネガティブだね…どうかしたの…?」

妹「あっ、ううん!ただ卑屈になってるだけじゃないよ!でも…なんていうか…さ…」

姉「…?」

妹「…言いづらいんだけど…えと、私たちって…」

妹「……似てないな、って…」
472 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:10:22.94 ID:hsD5xgxW0
姉「…え?」

妹「…い、え、あっ…あの、えっと…やややっぱなななんでもない!」

姉「…ふふっ、おかしなこと言うんだね、妹ちゃんも」

妹「…え?」

姉「兄妹だからってなにもかも似ているわけじゃないよ、人は人それぞれ違って当然!」

姉「私が怒っちゃったから変なこと考えたんでしょ?縁起でもないこと言わないでちょうだいな」

姉「みんな違ってみんないい、って言うでしょ?」

妹「……」

姉「私たちのどんなところが似ていようが似ていまいが、私たちが家族なのには変わりないでしょ?」

妹「…そう…だよね…ごめん、私おかしくなってたみたい…」

姉「ふふ、分かればよろしい!さっさと食べてお勉強でもしてなさい」

妹「うげっ…はーい…」
473 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:11:23.03 ID:hsD5xgxW0
姉「妹ちゃん、行ってくるから留守番よろしくねー」

妹「もぐもぐ…はーい」

妹「…私、なんであんなこと聞いたんだろ…やっぱ気が滅入ってたのかな」

妹「自分でもよくわかんないのに変なこと聞くとかマジありえない」モグモグ

妹「んむっ…ごちそうさまでした」

妹「そういえば勉強しろって言われちゃったけど…やだやだ、学校と塾だけで十分よ」

妹「ゲームでもやって暇つぶししてよーっと」スタスタ
474 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:13:02.36 ID:hsD5xgxW0
―道路―

兄「やっべ…今日も遅刻しちまいそうだ…言い訳は妹のせい、でいいか!」シャコシャコ

兄「あっ、幼馴染…あいつも遅刻したんかな、珍しいな…」シャコシャコ

兄「けど遠くに見えるだけだし…一緒には行けないなあ」シャコシャコ

兄「って!今は幼馴染の事じゃないだろ、急がないと…!」シャコシャコシャコシャコシャコシャコ

「…兄、元気そうだな」

「事故には気をつけろよ、ほほっ」

兄「…っ!?」キキーッ

兄「なっ…なんだ今の?誰だっ!?」バッ

兄「…い…いない…?」

兄「…なんだったんだろう…」
475 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2011/12/31(土) 18:14:55.72 ID:hsD5xgxW0
―――

「今はお前たちの前に姿は表せないが…」

「来たるべき時になったら…お前たちに真実を話してやるさ」

「…それまでに、お前たちの心が…もっと強くなっていることを願うよ」

「ほっほっほっほっほ…」

「兄、姉、妹…これからも健やかなるままでいてくれよ」

「今の私には…お前たちだけが心の支え…私の宝だ」

「さてと…そろそろこの街を出ることにしようか」

「次に来るとき…何も変わっていなければよいがな…」
476 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2011/12/31(土) 18:16:58.86 ID:hsD5xgxW0
以上で今年度の投下は終わりになります
今年は全然書けなかったけど、それでも支援してくださった方たちというか見てくださった方たちには
感謝の意でいっぱいです
しかし来年は事情がある故、このSSは3月までで必ず完結させます
それまでに畳み切れるか心配ではありますが、どうか応援よろしくお願いします…

それではお休みなさい、皆様良いお年を
477 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 22:55:52.95 ID:0JqiIcCR0

あけおめ
完結期待してるよ
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 06:31:24.26 ID:YDPmHtfmo
どんまい
479 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2012/01/22(日) 22:48:24.00 ID:DioQ81d/0
ものすごく遅くなったけどあけおめてすと
明日には書けそうな気がする…から、もうちょっと待って…
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/01/23(月) 00:16:28.75 ID:EEmCDWclo
待ちます
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 19:28:19.76 ID:ECI2GyhIO
やっと来てwktkが止まらない
482 :>>475から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:12:45.18 ID:sRGnRgKC0
―兄の学校―

兄「はぁ、はあ…間に合った…おはようございまーす…」

部長「…遅刻3秒前です、次からはもう少し早く来てください」

兄「…はい…」

部長「こほん…全員揃いましたね?それじゃあ今日の朝練習は――」

後輩「おはようございます」

兄「…おはよう…げほっ」

後輩「どうしていっつも遅刻してくるんですか先輩は」

兄「早すぎるんだよ時間が…」

後輩「みんな間に合ってます、言い訳ですよ」

兄「…ちぇっ」

部長「そこ!ちゃんと聞いてください」

兄・後輩「「はーい」」
483 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:13:49.97 ID:sRGnRgKC0
部長「…以上が今日のメニューです、何か質問は?」

部長「……それでは解散してください」

「失礼しまーす」

兄「さて、楽器の準備してこないと…」ガタッ

後輩「…あ、先輩」

兄「えっ?…何、どうかした?」

後輩「…!…あ、い、いいえ、なんでもないです、すみません」

兄「じゃあ行ってもいい…?」

後輩「はい…」

後輩「……」

幼馴染『えへへ、ごめんごめん…だって僕…好きだから…兄君の事…』

後輩「…はあ…」

後輩(突然知り合った人にあんな風に言われるなんて…私、どうしたらいいんだろ…?)

後輩(悪い人じゃない、それに私よりも明るい…そもそも、付き合いの長さが全然…)

後輩(もう…練習どころじゃない…)

後輩「…兄先輩…」


部長友「…ねえ、後輩のやつちょっと様子おかしくないかな?」

部長「さあ…?私にはそう見えませんが…」
484 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:15:08.38 ID:sRGnRgKC0
後輩「…どうしよう、私、これから…」

後輩(いっそのこと、最初から兄先輩となんか会わなかったら…!)

後輩「…はっ…な…何考えてんの私、そんな、そんなの…っ!!」ブツブツ

部長友「お…おい、後輩?」ポンッ

後輩「うぇっ!?…あ、あわばばば、部長友先輩!」

部長友「驚き過ぎ…どうかしたのか?様子変だよ」

後輩「…あ…あの…」

部長友「練習しないで本読んでるか、もしくはその真逆で猛練習してるか」

部長友「…普段だったらそのどっちかなのに」

後輩「あ、えと、えっとぉ…」

部長友「あー…まあいいや、今は練習の時間だ、マウスピース鳴らすだけでもいいからなんかしとけ」

部長友「話なら後で聞いてやるから」

後輩「いや、べっ、別にそんな…」

部長友「隠しきれてないっての、じゃあ後でね」スタスタ

後輩「はあ…」
485 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:16:04.64 ID:sRGnRgKC0
部長「…どうでしたか?」

部長友「ああ、ありゃあね、恋煩いだな…まあまだ推測でしかないけど」

部長「うちの部は恋愛禁止ですよ」

部長友「ナイスボケ」

部長「…えへへ」

部長友「本当は言うほどナイスでもなかったけど」

部長「言ってみたかったんですよ、一度」

部長友「変なとこでズレてるよなあ、あんたは」

部長「…しかし、恋煩いとは本当ですか?」

部長友「だからまだ推測だってば…まあ相手を仮定するなら、兄のやつだろうなあ」

部長「一体どこに魅かれたんでしょうかね」

部長友「けっ、なんだかんだ言って部長もあいつのこと気に入ってるんでしょ?」

部長「冗談はよしてください、あんな出来の悪い後輩…練習さえ真面目にやってなかったら今すぐにでもクビにしてるところですよ」

部長友「…あらら」
486 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:17:18.38 ID:sRGnRgKC0
部長友「つーか駄弁ってたらもう朝練の時間終わりに近くなってるぞ」

部長「あなたといると大体いつもこんな感じですよね」

部長友「失礼な奴だなあんたは」

部長「あなた譲りです」

部長友「マジありえねー」

部長「…部長友」

部長友「今度はなんだよ」

部長「後輩のこと、よろしくお願いしますね」

部長「大切な…この部の仲間ですから」

部長友「…はいはい」
487 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:18:25.12 ID:sRGnRgKC0
部長友「…しっかし不思議だな…あいつ入学してきてからついこないだまでは全然喋らないわ練習も不真面目だわで」

部長友「評判はあまりよくなかったのに最近はコロッと変わりやがって」

部長「彼女は人見知りで恥ずかしがり屋なだけですよ、中学のころからあんなでした」

部長友「ああ、そういや同じ中学だったか、あんたら」

部長「…彼女は、中学に入学して最初の頃もあんな風に塞いでて」

部長「入りたい部活もあったわけじゃなかったみたいなんです、それで…適当に吹奏楽部を選んだみたいで」

部長友「なんか聞き捨てならねぇなあ」

部長「落ち着いてください、話はこれからですよ」

部長「…最初は全然練習もしない、本ばっかり読んでる、先輩の言葉にもろくに耳を貸さない」

部長「そんな印象でした」

部長「でも、中一の時の、初めてのコンクール…あの後彼女は変わったんです」

部長友「…へえ?」
488 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:18:58.55 ID:sRGnRgKC0
部長「…後輩たち一年生にとっては初めてのコンクール」

部長「さぞかし緊張したでしょうね」

部長「あの時の彼女のホルンは…聞くに堪えないようなひどいものでした」

部長「せいぜい全体合奏の時に少し吹くくらいで、ろくに練習なんてしてなかったんですから」

部長友「結果は?」

部長「…結果に関しては彼女一人の責任ではないと思いますけど、一応言えば銅賞でした」

部長友「…だろうなあ」

部長「コンクールは8月頃、そのくらいの時期になれば新入生も中学の環境に慣れるころです」

部長「でも彼女は、人見知りが災いしてなかなか慣れることができなかった」

部長「…ように見えた」

部長「そんな自分を、その年9月頃から変え始めたんですよ、あの娘は」

部長友「どんな風に?」

部長「普段は解放できなかった明るい自分を、解放したんです」
489 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:20:25.44 ID:sRGnRgKC0
部長「本当は慣れることができたんです、彼女はああ見えて柔軟な娘だから」

部長「その日からあの娘は必死に練習し、みんなの輪に入って行った」

部長「…そしてあれ以降…変わらず彼女は、金賞を求めて練習してるんです」

部長友「なんだ、ちゃんと練習はしてたのか…どおりで上手いわけだわ」

部長「…しかし不可解なんですが…」

部長「中学で変われたのはコンクールのすごさを知ったから」

部長「では高校で変われたのは何故…」

部長友「それこそ恋煩いだと思うけどね、まあ本人に聞いてみなくちゃわかんないよねー…後で聞いてみるさ」

部長「ですがあまり引っ掻き回さないように」

部長友「こいつぅ…また失礼なこと言っちゃってぇー…!」

部長「そろそろ時間ですね、集合かけましょう」

部長友「しかも無視とか!」
490 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:21:29.47 ID:sRGnRgKC0
―兄の教室―

兄「…あー、しんどーっ」ドサッ

兄「……」

兄「……」

兄「……」

兄「…あれ?なんか足りないような気が…」キョロキョロ

幼馴染「……」

兄「…ああ、あいつが話しかけてこないからか…」

兄「珍しいな、今までこんなことはそうそうなかったのに…」

―――

幼馴染『…私こと幼馴染は、小学校のころから兄君の事が大好きでした』

幼馴染『勿論今でも、当然恋愛的な意味でね』

幼馴染『というわけで好きです、付き合ってください』

―――

兄「…ちくしょー、あいつを見るたびに思い出しちまう…」

兄「どうすりゃいいんだ俺…!」
491 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:22:28.36 ID:sRGnRgKC0
―――

幼馴染「…あ…兄君…」

幼馴染「……」プイッ

幼馴染(…え…あれ…?おかしいな…勝手に視線が…逸れて…)

幼馴染「あっ、兄君…」

幼馴染「…///」ポッ

幼馴染「あ…あれ…どうして…?直視できないよ…」

―――

幼馴染『…私こと幼馴染は、小学校のころから兄君の事が大好きでした』

幼馴染『勿論今でも、当然恋愛的な意味でね』

幼馴染『というわけで好きです、付き合ってください』

―――

幼馴染「…あんな風に言えた時は…別に何ともなかったはずなのに…」

幼馴染「どうしたんだろ僕…?//」
492 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:23:29.97 ID:sRGnRgKC0
―1時間目の休み時間―

兄「……」スタスタ

幼馴染「…あ、兄君…」フイッ

兄「…お…おはよう…幼馴染」フイッ

幼馴染「おっ…お…おはよ…兄…君」

兄「えっ、えっと、えっとぉ…あのさ、」

幼馴染「…ああ、こないだのこと…?そっ、それなら別に…!」

兄「…そう、そのことなんだけど…」

幼馴染「……うん」

兄「…やっぱり、結論が出なくってさ」

兄「で…ずっと待っててくれるって言ったじゃん?幼馴染は…」

幼馴染「…うん」

兄「だけど…こういうのはやっぱ…あんまり待たせるのは悪いかと思うしさ」

兄「…あと…あと3日!…3日以内に――」

幼馴染「やめてよ!」

兄「!」
493 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:25:10.22 ID:sRGnRgKC0
幼馴染「あっ…ごめん…」

幼馴染「でっ、でも!やっぱり…こういうのは…時間をかけないで素早く決めるんじゃなくて…」

幼馴染「じっくり時間をかけて…よく考えてから決めてほしいの…」

幼馴染「僕も…ずっと考えてたんだから」

兄「……」

幼馴染「君への気持ちは本当に本物なのか、とか…言ったり言わなかったりで後悔しないか、とか…」

幼馴染「僕のせいで君を傷つけるかも…とか…いっぱい、いろいろ…ずっと、今まで!」

幼馴染「考えに考え抜いて…ようやく出した答えが…あの日の告白なんだから」

兄「…本当か…?」

幼馴染「…半分くらいはね」

兄「ぷっ…台無しじゃねーかバーカッ」

幼馴染「あはは!…やっぱり僕たち…しんみりしてるの似合わないよね」

兄「そうだな…俺たちはこのくらいがちょうどいい…とりあえず、今のところはな」
494 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:25:59.86 ID:sRGnRgKC0
キーンコーンカーンコーン

幼馴染「あっ、そろそろ次の授業だ」

兄「…幼馴染、お前の言う通りだ…俺が悪かったよ」

兄「時間かけて…きちんと決めるから」

兄「だから…それまで待っててくれ」

幼馴染「…うん、何世紀かけても大丈夫だからね」

兄「ははっ、やっぱりお前はバカだ」

幼馴染「えへへっ」
495 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:27:10.36 ID:sRGnRgKC0
―2時間目の休み時間―

キーンコーンカーンコーン

後輩「はーっ終わったぁー…っ」

後輩「…んっ」

部長友「後輩、ちょっとこっち来ーい」

後輩「うげっ、先輩…まさか本当に来るなんて」

後輩「…まあ…このまま溜め込むよりマシ…なのかなあ」

後輩「…いや、そもそも先輩相手に隠し通せる自信がないし…」

後輩「ええいこの際だ、全部話してすっきりしよっと!」スタスタ

部長友「ほらほら早く来いよーっ」

後輩「はーい」
496 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:28:17.73 ID:sRGnRgKC0
部長友「よし、それじゃあ最近お前の様子がおかしい理由を洗いざらいきっちりと話してもらおうか」

後輩「そんな脅すような感じで言わないでくださいよー…わかってますから」

部長友「いいからはよはよ」

後輩「はーい…実は…」

―――

後輩「…というわけでして」

部長友「なるほどねぇ…私の推測通りだったわけか、あんたは単純だわ」

後輩「うわっ、ひどい」

部長友「あはは、冗談冗談!それよりあんたの恋についてどうにかしないと」

後輩「…でも…幼馴染先輩っていう人が…」

部長友「あーその娘かあ…確かにちょっと難関だね」

部長友「でもさ、あんた大事なこと忘れてない?」

後輩「へ?」
497 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:29:16.92 ID:sRGnRgKC0
部長友「あんたにだってアドバンテージがきちんとあるってことさ」

後輩「…といいますと…?」

部長友「はあー鈍いなあもう、考えてもみなさいな、条件的には確かにこっちが不利かもだけど、そればっかりじゃないよ」

部長友「あんたと兄とは、一体何でつながってる?」

後輩「何って…えっと…あっ!」

部長友「…そう、あんたには部活の時間に猛アピールできるチャンスがあんの」

部長友「勢いで色仕掛けでも告白でもなんでもしちゃいなさい」

後輩「い…色仕掛けって…///」

部長友「そのくらいしなかったら恋愛ってのはかなわないもんだよ」

後輩「は…はあ…」

部長友「まあとにかく、やれるだけやってみなさい」

部長友「もし兄があんたを振るようなことがあったら私と部長でしばき倒してやるからね」

後輩「先輩…」

部長友「私たちがついてるからさ、頑張りなよ?」

後輩「は…はいっ!」
498 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:30:25.87 ID:sRGnRgKC0
―――

部長「部長友、どうでしたか?後輩の様子は」

部長友「んー?ああもうばっちりって感じよ、火が付いたらしくてさ」

部長「そうですか、まあ私的にはコンクールに影響さえしなければそれでいいですが」

部長友「優しいんだか冷たいんだかわかんないなああんたは」

部長「もちろん応援はするつもりですけどね」

部長友「…まあ、影響があったとしても関係ないよ」

部長友「私たちが気力と技量と根性と執念でカバーしてやればいい話さ」

部長「簡単に言ってくれますね…ですが…どうせならそれに追加で」

部長友「追加?」

部長「その時は、後輩の分は…兄君にカバーしてもらいます」

部長友「…なあ部長、あんた本気で兄の事嫌いだろ?」

部長「ふふ、さあ?どうでしょうかね」
499 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:31:35.36 ID:sRGnRgKC0
―妹の学校―

先生「…この問題を…妹、これはいくつだ?」

妹「……」

先生「…妹?」

妹「……」

先生「…妹!」

妹「はいっ!?えと、あのっ、えとっ、あっ、はいぃ!」

先生「この問題の答えはいくつだと聞いている」

妹「えっ…あーっ…わ…わかりません…」

先生「ちゃんと話聞いとけ、ったく…じゃあ次は――」

妹「…はあ…」
500 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:32:21.85 ID:sRGnRgKC0
―――

妹友「よっ、妹!さっきはどうしたの?らしくないじゃん」

妹「ああ…今週はちょっといろいろあり過ぎてね…」

妹友「へえー…まあ詳しくは聞かないけどさ」

妹「…ねえ、妹友」

妹友「はいはい?」

妹「…真面目に聞いてほしいんだけど…さ」

妹友「なっ…なんだよ改まっちゃって?」

妹「…家族の事を好きになるの、って…おっ、おかしい…の、かな…?」

妹友「…はぁ?」
501 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:33:46.94 ID:sRGnRgKC0
妹「ねっ、ねえ…どう思う…?」

妹友「どうって…普通なんじゃないの?そもそもあんたブラコンだし、レズだし」

妹「…そう…なのかなぁ…」

妹友「うおう、いつもだったらここで軽く否定するはずなのに…!今日は本当にちょっとおかしいぞこいつ…!?」

妹「あっ…あのさ、好きっていうのはその…ね?えっと…」

妹友「あれ、likeの意味ではなく…?」

妹「うっ…うん…えっと…どっちかっていうと…」

妹「…らっ…love…///」

妹友「」

妹友「…委員長、この娘頭の螺子が緩んじゃったみたいなんで保健室で付け替えてきます」グイッ

妹「うわっ、ひどーい!」ズルズル
502 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:34:58.68 ID:sRGnRgKC0
妹友「…まあさっきのは冗談として、一旦冷静になったほうがいいよあんたは」

妹「一応は気遣ってくれてるんだねー妹友なりに」

妹友「どういう意味だよ」

妹「そのままの意味」

妹友「…まったく」

妹「じゃあ…気遣いに甘えさせてもらおっかな、ここまでで大丈夫だよ」

妹友「あっ、待って」

妹「?」

妹友「一応さっきのあんたの質問に答えておくと、」

妹友「…近親相姦はあんまりよくないこと…らしいよ」

妹「…うーん…」

妹友「まあ、あんたが真面目に悩んでるなら茶化す気もないしさ」

妹友「じっくり考えるといいよ」

妹「わかった…ありがとう、妹友…」
503 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/01/23(月) 22:36:23.68 ID:sRGnRgKC0
今回はこんな感じで
ここからは兄、姉、妹の問題はしばらく置いといて、恋愛パート?に入るつもりです
今回がその始まりの段階、なのでこのまま掘り下げていきたいと思います
次回は幼馴染と妹の絡み…が、書けたらいいなあ…

東映の公式配信で見たい奴が多すぎて困る、でもとりあえずこれだけは言っておく
メガレンジャーは名作!マジ名作
ゴーカイのカクレン回はちょっとがっかりだったけど…

更新遅くてすみません、本当に3月まで(というか3月以内でした)に片付くのかどうか、冗談抜きで心配になってきた…
出来るだけ頑張ります、それではお休みなさい
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/23(月) 22:39:11.66 ID:NmQ91s4Uo
乙っ

生存報告は入れてね
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/23(月) 23:03:00.85 ID:O1T2/4Jto

キャラの切り捨ては御免
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 08:08:37.63 ID:E30wNVjIO
三月までに片付くかではなく投下続けなさい
507 : ◆HnnxP9phn2 [saga sage]:2012/02/15(水) 22:43:27.76 ID:bJARJqDho
書きたいんだけどなかなか時間がないんです…
テスト終わって余裕ができたら書いてみますからもうちょい待ってください…

あと、キャラの切り捨ては御免、などという言い回しは存在しません
ものすごい気になるのでやめてくださいお願いします
508 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:29:13.01 ID:E+Q/rAgS0
ゴーカイ最終回、いい感じにまとまって終わって最高でした
ゴーバスも楽しみよ

書きます
509 :>>502から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:30:35.97 ID:E+Q/rAgS0
―保健室―

妹「……」

妹友『…近親相姦はあんまりよくないこと…らしいよ』

妹「…あれはさすがに話が飛躍しすぎじゃあ…」

妹「でも…私の心、嘘はついてないんだよね…」

―――

兄『ああ、そーだな、お前は馬鹿でかわいい妹だよ』

―――

妹「何か考えごととかしてると…必ず頭の中には、お兄ちゃんが出てきて…」

妹「そのまま、お兄ちゃんでいっぱいになっちゃって」

妹「…あんなこと言われたら、好きにもなっちゃうよ…」

妹「けど、それも…本当はおかしいことなんだよね…」

妹「私、もうどうしたらいいか…わかんないや…」ゴロン
510 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:32:08.45 ID:E+Q/rAgS0
妹「……」

妹「…お兄ちゃんは…私の事、どう思ってるんだろう…」

妹「私がこの気持ち、伝えちゃったら…」

妹「…それこそ、今までの関係じゃいられない…」

妹「お兄ちゃんと私、もしかしたら家族じゃなければよかったのかな…」

妹「そうすれば、こんなこと考えなくたって…」

妹「……って…!何考えてんの、ダメに決まってるよそんなの…」

妹「はぁ…私、最近ちょっとおかしいみたい…」

妹「これも、お兄ちゃんを好きになっちゃったせい…なのかなぁ…」

妹「……もういいや、しばらく寝ちゃおっと」バサッ
511 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:32:31.42 ID:E+Q/rAgS0
―――

妹友「………と、……うとーっ」

妹「…んっ、んぅっ…」

妹友「…妹、起きてー妹ーっ」

妹「んんーっ…あれっ、妹友…起こしに来てくれたんだ」

妹友「おはよっ、とりあえず涎拭きなさい、はしたないよ」

妹「んむぐっ!」フキフキ

妹「…ど、どう?」

妹友「大丈夫」

妹「…あっ、今何時?私どのくらい寝てたの?」

妹友「えーっと、もう放課後だから…大体4時間かそれ以上だな」
512 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:33:06.29 ID:E+Q/rAgS0
妹「本当に!?…きゅっ、給食は?」

妹友「安心しなさい、あたしが代わりに食べておいた」

妹「お、お腹空いたよぉ…」

妹友「だろうねー、じゃあ一緒に帰ろ?そんでうちから何か持ってくるよ」

妹「…あっ、ありがとう〜…」

妹友「えへへーいいってことよ、さぁいこっか」

妹「うんっ」
513 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:33:48.95 ID:E+Q/rAgS0
―帰り道―

妹友「…で?妹、あんたさっきの答えは出せたの?」

妹「…ううん、やっぱりすぐには無理だったよ」

妹友「あっはは、そりゃあそうかあ」

妹「…だって、家族なんだよ?私たち」

妹友「そっか…万一関係が壊れたら、自分の家にもいられなくなっちゃうんだね」

妹「…うん」

妹友「それは…確かに怖いな」

妹「……」

妹友「…でも、抑えておくのも、同じくらい辛いんでしょ?」

妹「…だって、おんなじ一つ屋根の下で暮らしてるんだもん、お兄ちゃんを見るだけでもう…」

妹友「あーはいはい、あんまりエスカレートすると惚気話になっちゃうからそこまでにしといて」

妹「まっ、真面目に聞いてるー…?」

妹友「聞いてる聞いてる」
514 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:34:40.72 ID:E+Q/rAgS0
妹「けど妹友…私本当にどうしたらいいか…」

妹友「…まあ私だって手伝ってやりたいけど…私も恋愛がどうたらとかわっかんないしなぁ」

妹友「しかもその中でも妹のは特殊なケースだし」

妹友「何より、最終的には妹がケリつけなきゃいけない問題なわけだし」

妹「うぐぐっ、わかってはいたけど改めてそう言われちゃうとなぁ…」

妹友「…けどまあ、親友の力にはなってやらなきゃいけないしさ、私もいろいろ調べたりとか考えたりとかしてみるよ」

妹「ううっ、ありがとうー妹友ぉーっ…ぐすっ」

妹友「おいおいなんで泣くのよ、まったく…はははっ」

妹「ぐすっ…えへへっ、ごめんね…」
515 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:35:12.33 ID:E+Q/rAgS0
チリンチリーン

妹「…ん?あれって…」

兄「――」

幼馴染「――」

妹友「あっ、あれあんたのお兄さんじゃない」

妹友「それと…その隣は幼馴染さんだったっけ」

妹友「一緒に帰っちゃえば?あたしといるよりいいと思うけど」

妹「お、お兄ちゃんだけならいいんだけど、その…幼馴染ちゃんがいるのが…」

妹友「何よそれ、もしかして妬いちゃってんのぉ?」

妹「そっ、そんなんじゃないよっ!」

妹友「あっはは、まぁそれは別にいいけどさ」

妹友「ところでどうすんの?あの二人、結構いい雰囲気だよ?」

妹「…!」
516 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:36:04.97 ID:E+Q/rAgS0
妹友「もしかしたら、あんたのだーい好きなお兄ちゃん、盗られちゃうかもしれないよ?」

妹「ででででもでも、どうすれば…!」

妹友「ふふっ、やっぱ本気なんだねぇ…あんたがどうすべきか、はっきり決めたら?」

妹「…怪しいとは思ってた」

妹「この間幼馴染ちゃんの家に行ったときから、二人ともなんかおかしかった」

妹「…聞き出してみるよ、二人の事」

妹友「ふふっ…よし、行ってらっしゃい」

妹「…あ、あとで…ね」

妹友「」ズコッ
517 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:36:32.84 ID:E+Q/rAgS0
妹「だだだだって!入って行けないよあんなの…」

妹友「…まあそりゃそうだね、けど決心がついたならそれでいいよ」

妹友「でも、一つだけ言っておくよ…幼馴染さんに譲るつもりがないんだったら、手加減しないで全力でぶつかりなさい」

妹友「でないと…あんた一生後悔するから」

妹「…わかってる、ありがとう」

妹友「ん、それじゃあまた明日ね」

妹「ばいばーい」


妹友「…頑張ってね、妹…道は険しいよ」
518 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:37:02.90 ID:E+Q/rAgS0
―兄の家―

妹「ただいまー」

兄「おかえり、お前も帰ってきたところだったのか」

妹「お兄ちゃん、今日はいつもより早いよね?どうかしたの?」

兄「今日は学校じゃ職員会議らしくて、いつもより早いんだ」

妹「ふーん…あと、帰るとき幼馴染ちゃんと一緒だったよね?」

兄「あっ…お前見てたのか…」

妹「何その表情…ひょっとしてあいつといちゃいちゃしてたんでしょ」

兄「しっ、してねーよいちゃいちゃなんて!ただ一緒に帰ってただけだ」

妹「私にはそう見えなかったけど…!」

兄「妹…」
519 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:37:45.32 ID:E+Q/rAgS0
兄「…お前なんか今日様子がおかしくないか?」

妹「そんなことないよ、それより私幼馴染ちゃんの家行ってくるから」

兄「お、おい!行って何するつもりなんだよ」

妹「何もしないよ、ただ遊びに行くだけだから」

兄「嘘つけ、信じられるか!またろくでもねぇこと考えてるんだろ、勘弁してくれ…」

妹「あーもううっさいなぁ、すぐ戻るからほっといて!」ガチャッ

兄「…行っちゃった…何イライラしてやがんだあいつ…」

兄「……もしかして生理か?」

ガチャッ ヒュンッ

バキッ

兄「あいてっ!」

妹「…ふんっ」ガチャッ

兄「聞こえてたのかよ…鍋なんか投げてよこしやがって」

兄「ったく…あいつ最近幼馴染とは関わってなかったのにどうしたんだいきなり…?」
520 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:38:15.25 ID:E+Q/rAgS0
―幼馴染の家―

ピンポーン

妹「……」

ガチャッ

幼馴染「…あれ、妹ちゃん?どうしたのこんな遅くに」

妹「…実は、幼馴染ちゃんに…聞きたいことがあって」

幼馴染「えーっ?いいよいいよ、なんでも聞かせてあげるよぉ」

妹「ごめんね、夜分遅くに…」

幼馴染「ううん全然、暇してたとこだし、さぁ上がった上がった」

妹「お、お邪魔しまぁす…」
521 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:39:08.02 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「…あっ、ちょっと玄関で待ってて!部屋散らかってるし、軽くお片付けしとかないと」

妹「べっ、別に気にしなくていいのに…」

幼馴染「ううん、せっかく久々に妹ちゃんとお話しできるチャンスが来たんだもの、半端なままじゃ入れさせませんて!」

妹(…幼馴染ちゃんは…当然私よりも長いこと、お兄ちゃんと一緒にいて…)

妹(小っちゃいころは一緒に遊んだ、でもそのころは普通に仲良しだった)

妹(私が成長して、知らず知らずお兄ちゃんに好意を抱くうち…)

妹(幼馴染ちゃんがだんだん…邪魔くさく思えてきて…)

妹(だからしばらくは、あまり干渉してこなかった)

妹(だけど、やっぱり…彼女は、私にとっては邪魔者)

妹(彼女はとっても優しくていい人で…けど、それでも…)

妹(お兄ちゃんは、譲りたくないんだ…!)

妹(二人の怪しい関係について…真偽を確かめなくちゃ!)
522 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:40:40.07 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「妹ちゃんお待たせ、大体綺麗になったから入っていいよ」

妹「うん…ありがとう」

幼馴染「ささ、座って座って」

妹「あっ、いいの…すぐ帰るつもりだし」

幼馴染「なぁに言ってるの、小学生のころ…性について覚えたての時なんか僕に襲い掛かって来たくせに」

妹「ななななんであんなこといちいち覚えてるのよっ!!?忘れて忘れて!あれは別に――!」

幼馴染「照れるなっての、兄君にこの話したら鼻血噴出して倒れそうになってたよぉ?くくくっ」

妹「なんで話したんだよぉ、もうーーーーっ、ばかぁっ!!///」

幼馴染(可愛いなぁこの娘!)

妹「うぅっ…」

ギュルルルルルルル

幼馴染「…お腹の音?」

妹「……」

幼馴染「…もしかしてご飯食べてないの?」

妹「…///」コクン

幼馴染「そうだったんだ、まあ僕も夕ご飯はまだだし、一緒に食べよっか」
523 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:42:02.49 ID:E+Q/rAgS0
妹「えぇっ!?…いっ、いいよ別に!私、話が終わったらすぐ…!」

幼馴染「あらぁ?まさか人の厚意を踏みにじるつもりなの?ひどいなぁ妹ちゃんってば」

妹「なぁっ、なによその言い方ぁ!」

幼馴染「もうちょっと素直になりなさい、すぐ拵えてあげるから」

妹「いいって言ってるのに…もう」

幼馴染「ふふっ」
524 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:42:36.22 ID:E+Q/rAgS0
―――

幼馴染「腹が減っては戦はできぬ、お話なら食べながら聞いてあげるから」コトッ

妹「わぁ…美味しそう、全部幼馴染ちゃんが作ったの?」

幼馴染「あたぼうよ、さあじゃんじゃんお食べ!」

妹「ありがとう!いっただっきまーす!」

幼馴染「…さて、僕も…いただきます!」

妹「あむっ、んぐんぐ…ごくっ」

幼馴染「どう?」

妹「うんっ、すっごく美味しいよ!」

幼馴染「本当に?そう言ってくれると、作った甲斐があるってものだよ」

妹「もしかしたらお姉ちゃんたちのよりも美味しいかも!」

幼馴染「えぇー?さすがにそれは大袈裟ってものだと思うけどなぁ」
525 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:43:35.55 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「…おほん、妹ちゃんが喜んでくれたところで話題を変えるけど、話っていうのは何?」

妹「んぐっ!そうだったそうだった、実は…聞きたいことがあってね」

幼馴染「よしよし、どーんと来なさい!」

妹「…幼馴染ちゃんって、お兄ちゃんのこと…どう思ってる…の…?」

幼馴染「…!」

妹「…あむっ」パクパク

幼馴染「…なるほど、もしかしたらライバルが増えちゃうかなぁ…?」

妹「…えっ?」

幼馴染「いや、別に…それより、質問に答えるね…」

幼馴染「僕は…兄君のことが好きだよ」

幼馴染「当然、異性として」

妹「……」
526 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:44:36.90 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「…聞きたいことっていうのはそれだけ?」

妹「…本気、なの…?」

幼馴染「本気も本気、もう告白だってしたよ」

妹「…うっ、嘘っ!」

幼馴染「ライバルに嘘をつくほど、僕は卑怯じゃない」

妹「…そんな…へ、返事は?」

幼馴染「ううん、まだ」

妹「そ…そっか…」

幼馴染「…彼は羨ましいよ、知り合いの女の子三人にこうまで熱烈に好かれるなんてね」

妹「さっ…三人?他にも、誰かいるの…!?」

幼馴染「ああ、僕も接触済みだよ…妹ちゃんには教えてあげないけどねー」

妹「なっ、酷いよ、そんなのずるいずるいっ!」
527 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:47:11.76 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「ごめんよ、意地悪はしたくないが僕だってあんまり不利にはなりたくないんだ」

幼馴染「…まあ一応確認はしておくけど、君も兄君が好きなんだろ?そんなこと聞く以上はさ」

妹「……」コクッ

幼馴染「…だよね、だったら僕たちは…友達ではあるけど、それと同時に兄君を狙う恋敵同士だよ」

幼馴染「いくら彼が鈍感だとはいえ…手の打ちようによっては誰に靡くか知れたものじゃない」

幼馴染「そして勘違いはされたくないから言っておく、僕は妹ちゃんが嫌いなわけじゃなくて…兄君が好きなだけ」

幼馴染「立場を逆にしても、きっとまた然りでしょ?」

妹「うん…そう、だね…」

幼馴染「……」

妹「……」

妹「…でも…」

妹「…でも、でも…私、幼馴染ちゃんと対立することになっても…いい…」

妹「もし…この絆が偽物だったとしても…私の恋心は、本物だから…!」

妹「決して誤魔化せない、本物…!」

妹「たとえ煙たがられようと、たとえ気持ち悪がられようと、私…絶対、諦めない」

妹「戦い抜いて、今より素敵な兄妹に…なって見せるから」

妹「だから…負けないよ、幼馴染ちゃん…ううん、」

妹「…幼馴染」
528 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:48:41.44 ID:E+Q/rAgS0
幼馴染「…あはは、かっこいいねぇ妹ちゃん…私も同じ気持ちだよ」

幼馴染「だけど、この絆は偽物じゃないし、妹ちゃんは気持ち悪がられることもない」

幼馴染「そして、素敵な兄妹になれることもないよ」

幼馴染「……だって、二人は―――」

妹「……?」

幼馴染「…!…ああ、いや…ごめんね」

幼馴染「…だって、兄君は…兄君の心は、僕が射止めて見せるんだからさ」

妹(…どうして今…言い直したんだろ…?)

妹(もしかして、幼馴染も…何か私たちに隠し事を…?)

幼馴染「どっちが勝つのか…たった今から勝負だよ」

幼馴染「妹ちゃん…ううん、」

幼馴染「…妹」
529 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/19(日) 19:49:25.94 ID:E+Q/rAgS0
はい今日はここまで
なんか幼馴染のキャラもぶれてるような気がしてならない
けどまあ気にしたら負けか

キュアピースあざといよキュアピース
次回もできるだけ早めに更新できるように頑張りますごめんなさい
キュアピースあざといよキュアピース
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/02/19(日) 19:51:14.00 ID:eS7cM4vZo
おつ

はい
なんだハーレムか
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/02/19(日) 21:34:39.23 ID:hcxjFZb5o



いいじゃないかハーレム
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/20(月) 01:20:05.36 ID:Pg5qTV660
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/02/20(月) 08:42:56.30 ID:9XSSw3Ado
あれ、兄妹じゃなかったのか?
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 19:41:12.11 ID:K98shK6IO
しっかり3月におわらせるよう書かねば伏線回収しきれない流れ
ちゃんと完結せいよ
535 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:32:20.53 ID:OqHJ8laU0
ゴーバス超かっけえええけどあれ本当に戦隊か?次回にも期待
メテオつえええキッグナス汚ねえええええ二重人格うわあああ
キュアマーチイケメンすぎはえええつえええかっけえええええ

書きます

>>534
3月中に終わるかどうかはともかく、間違いなく完結はさせます
放置したまま未完で終わらすくらいなら腹斬って死にます
536 :>>528から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:35:46.29 ID:OqHJ8laU0
妹「…っ…!」

幼馴染「……」

妹「…くっ、そ…それじゃあ私は、これで…」

幼馴染「…ふぇ?あ、あれ…帰っちゃうの?」

妹「…え?」

幼馴染「せっかく久々に妹と話せて嬉しかったのに、もう帰っちゃうの…?このいけず!」

妹「い、いけずって…」

幼馴染「…お互い宣戦布告しといて何なんだけどさ、何も絶交しようとかそんなんじゃないんだし」

幼馴染「今日はさ、泊まっていってくれたらお姉さんもっと嬉しいんだけどなぁ…なんて」

妹「…でも、何されるかわかんないし…」

幼馴染「ひどい、それはこっちの台詞だよー」

妹「…なっ、どういう意味!?」

幼馴染「このバイセクシャル!」

妹「なな、バイで何が悪いーっ!」
537 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:37:32.02 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「…じゃなくてさあ、どうすんの?泊まっていって、くれるの?くれないのー?」

妹「…変なことしないなら」

幼馴染「あ、じゃあいいんだね?ありがとー、すっごく嬉しいよぉー」

妹「あ、あくまでも条件付きで…」

幼馴染「妹じゃあるまいし、しないよそんなこと」

妹「むぅ、ひどい…あっ、そうだ…一応家には連絡しておかないと」ピピピッ

幼馴染「ああ、心配させるわけにもいかないもんね」

妹「うん…あっ、もしもし?」

幼馴染「……」

妹「…そう、私幼馴染の家に泊まることになったから、うん、わかった、お願いします」

妹「はい、はいはい、ありがとー」

妹「じゃあね、また明日」ピッ

幼馴染「…妹、家族ってかけがえのないものだよ」

幼馴染「大切に、ね」スタスタ

妹「…幼馴染…」
538 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:39:07.54 ID:OqHJ8laU0
妹「…ちょっ、どこ行くのー?」

幼馴染「お風呂ー、入るでしょ?沸かしてくるよー」

妹「あ…そう、ありがとう」

幼馴染「どっかで適当にくつろいでて?」

妹「…うん、それじゃあ…遠慮なく」

妹(そっか、幼馴染…生まれた頃から、血のつながった家族っていうのを持ったことがないんだっけ…)

妹(幼馴染も、寂しい時くらい…あるんだよね)

妹(だから私を…)

妹「…私にも、何かできることってないのかなぁ…」

妹「……」

妹「…まあいいや、幼馴染の家…いろいろ探索させてもらっちゃおうかな」
539 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:40:49.60 ID:OqHJ8laU0
妹「…それに…」

―――

幼馴染『……だって、二人は―――』

―――

妹「…ちょっと、気になることもあるし」スタスタ

―物置部屋―

妹「…物置部屋なのに、結構きれいにされてる…」

妹「幼馴染、もしや見た目に反して綺麗好き…?」ガサゴソ

妹「…うーん、特にめぼしいものはない、かなぁ…?」

ヒラッ

妹「…ん?なんだろこれ…」スッ

妹「……」

妹「黒の、Tバック…あの人、こんなのも履くんだ…い、意外…」

妹「…けど同時に、見てはいけないものを見てしまったような、そんな感覚…」

妹「い、いや…今更、か…」ポイッ

妹「ささささーて、気を取り直して探索探索、っと…」ガサガサ

540 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:43:05.80 ID:OqHJ8laU0
妹「…結局何もなかった…しょうがない、他を当たろうかな」スタスタ

ガチャッ

―二階 空き部屋―

妹「…こんなところがあったのかぁ…空き部屋っぽいけど、一応生活用具はそろってるし…自分の部屋がいくつもあるのかな?」

妹「羨ましい気もするけど…幼馴染はそう思ってないんだろうなあきっと」スタスタ

妹「…CDプレイヤーに、ヘッドホン…勉強机に、箪笥、本棚、冷房器具…色々揃ってるなぁ」

妹「…ん?何これ…玩具箱?」

妹「RVロボ、アクセルチェンジャー…メガボイジャーにデシタイザーにケイタイザー」

妹「ギンガブレスとギンガイオー、ゴーゴーブレスにビクトリーロボ…」

妹「クロノチェンジャー、Vレックスロボ、タイムロボにタイムシャドウまで…」

妹「…お兄ちゃんが特撮オタクなせいで全部わかっちゃうよ…」

妹「もしかして幼馴染もそうだったのかな?このラインナップからして…」

妹「…ってか、ガオレンジャーのも買っておきなさいよ…」ボソッ
541 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:45:53.47 ID:OqHJ8laU0
ガチャガチャ

妹「…ん、あれ?なんだこれ…奥のほうになんか入ってる」

ガチャッ

妹「…ビ、ビデオ…テープ…?なんでここにも…」

妹「そういえばこの間見つけたやつは結局今もまだ見れてない…」

妹「…まあ、とりあえずこれは回収しておいたほうがよさそうね…泥棒するわけにもいかないから早めに返さなきゃだけど」

イモウトー、オフロワイタヨー

妹「階下から声がする…はーい、今行きまーす」スタスタ

妹(…ばれないようにしないとね)
542 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:47:08.29 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「いやーお風呂掃除も楽じゃないよねー、しかもその後は湧くまで待ってないといけないし」

幼馴染「入ってる時は気持ちいいけどさー」

妹「ごめんね、いろいろと…」

幼馴染「何言ってんの、気にしなくていいよ」

幼馴染「あっ、ところでさ、上で何やってたの?」

妹「えっ?い、いやいや別に何も」

幼馴染「…はっ!まさか…」

妹「…え?な、何?」

幼馴染「…空き部屋、入ったりとかした…?」

妹「…うっ」ギクッ
543 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:48:08.83 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「…やっぱり」

妹「い、いや…えっと、ここ来るのも久々だし、ちょーっとだけ探検したくなっちゃって…え、えへへへへへ」

幼馴染「…まあ、部屋を見るのは構わないんだけどさ…」

幼馴染「…その…お、玩具箱があるの…も、見ちゃったの…?」

妹「…あ、え、えっとぉ…」

幼馴染「きゃーっ!やぁ、やだぁーもう、恥ずかしいから忘れて忘れてーっ!」

妹「……」

妹「…え?恥ずかしい、から…?」
544 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:50:53.49 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「だだだだってだって、子供のころはまってた戦隊もののおもちゃいっぱいあったでしょー?」

幼馴染「兄君に影響されて一緒に見てたんだけどさぁ、僕あれが恥ずかしくって恥ずかしくって」

幼馴染「でも、だからといってさあ、捨てるわけにもいかないじゃん?兄君との思い出だって詰まってるし!」

妹「…は、はぁ…」

幼馴染「あっ、でもあれを取っておいてよかったなぁって最近思ったことがあってね、実はこの間うちのRVロボが窓から飛んで行ってね、それで歴代の戦隊ロボと一緒に巨大化してね?それでそれでっ」

妹(なんで199ヒーローの話してんの…何気に最近のも見てるの?この人)

妹(まあ私も、いろんな意味で他人の事言えないけど…)

幼馴染「RVロボ・激走斬りっ!」シャキーン

妹(興奮しすぎ…)
545 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:54:22.01 ID:OqHJ8laU0
妹「……」

幼馴染「…!…」

幼馴染「…お、おほん…ちょっと取り乱しちゃったけど、もうあの部屋に入っちゃダメだよ?恥ずかしいから」

妹「…あ、えー…えーっと、見られたくない理由って…それだけ?」

幼馴染「え?何、他にも何か?」

妹「ああ、いやいや別に…えっと、それじゃあ私お風呂いただいてもいいかなぁ?」

幼馴染「おっとそうだったごめんごめん、どうぞごゆっくりー♪」ガララッ ピシャッ

妹「幼馴染、ありがとーっ」

妹「…はぁ、取り越し苦労だったのか…けど本当に気付いてないのかなぁ…?」
546 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:55:32.25 ID:OqHJ8laU0
―――

幼馴染「…ふぅ」

幼馴染「妹、僕の部屋なんか探索して…どうするつもりだったんだろ」

幼馴染「…玩具箱を漁られたってことは…きっとビデオテープは彼女が持ってるだろう」

幼馴染「取り返すべきなのかな…あれには、姉さんとの約束に関わるような、とんでもない事実が収められてる」

幼馴染「…けど、いつまでも僕が持っていたって仕方ない代物でもある」

幼馴染「第一、姉さんは秘密を貫こうとし続けてるけど…やっぱり、無理があるに決まってる」

幼馴染「…いつかは…あの家族は、きっと必ず瓦解する」

幼馴染「…そしてそのいつかは…多分もうすぐなんだと思う」

幼馴染「辛くても…それは乗り越えなくちゃいけないもの」

幼馴染「…そうしなかったら…兄君も妹も…ずっと弱いままだ」

幼馴染「……」
547 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:56:51.55 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「…僕は…」

幼馴染「…僕は…どうするべきなのかな」

幼馴染「教えてよ…おじいちゃん」

幼馴染「教えて…姉さんの…おじいさん」

幼馴染「…僕には…わからない」

幼馴染「どうすればあの家族のためになるんだろう…」

幼馴染「どうすることが最善なんだろう…」

幼馴染「僕の恋心のせいで…もしかしたら…妹ちゃんは傷つくかも…」

幼馴染「…考えてたら…やりきれない…」

幼馴染「……」
548 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:59:15.40 ID:OqHJ8laU0
―――

妹「〜♪」シャアアアアア

妹「…ぷはっ、気持ちいいー♪」

妹「ビデオテープ、幼馴染に見つからなければいいけどなあ」チラッ

妹「…まあ今はいっか、さて髪の毛も洗わないとね…シャンプー借りますよっ」プシュッ

妹「〜♪〜♪〜」

妹「…〜〜本当のーバートルーは命懸けー」ワシャワシャ

妹「リセットできないー厳しい勝負ー♪」ゴシゴシ
549 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 21:59:45.48 ID:OqHJ8laU0
ガラガラッ

妹「きゃぁっ!?」

幼馴染「飛び込もうぜ、ぶつかろうぜ、今すぐー!♪」

幼馴染「懐かしいねぇメガレンジャー、っていうかよく知ってるなぁ」

妹「お、お兄ちゃんのおかげで…」

妹「…って!そうじゃなくって…どうして幼馴染が入ってくるのよぉっ!?」

幼馴染「あっはっは、いいじゃん別にー、裸の付き合いっていうやつだよ」

妹「やっ、やだぁーっ!」

幼馴染「水臭いこと言わない言わないっ!」ガチャッ

妹「かっ、鍵かけたぁーっ!?」ガチャガチャ
550 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:00:31.34 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「洗いっこしようー、僕が先ねー」

妹「いっ、いいよそんなのーっ!」

幼馴染「まあまあまあまあ、いいじゃないの女同士なんだからさぁ」

妹「いやだぁっ、離してよぉーっ!」

幼馴染「問答無用だよ!行くぜメガ、変わるぜメガ!」ガシッ

妹「きゃあああああっ!??」

幼馴染「ほらほら、じっとしてなさぁい」プシュッ ワシャワシャ

妹「んぅっ…か、髪の毛いじるなよぉ」

幼馴染「うるさいなぁいちいち…別にいいじゃん、髪の毛さらさらしてて綺麗だよー?」

妹「…!…むぅ…」

幼馴染「ぷっ、あはは!まんざらでもないって顔してらぁ、単純な娘だこと」ゲラゲラ

妹「…ぬぬぬっ、ああああっ!もうっ!!」

幼馴染「あっはは、ごめんごめーん」ゴシゴシ
551 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:01:56.22 ID:OqHJ8laU0
妹「もういいよぉ、私もやるー!」

幼馴染「いいよいいよ、どうぞお手柔らかにー」

妹「やなこった!仕返ししてやるんだから」

幼馴染「えーっ、本気ー?」

妹「ふんだっ!」プシュッ ワシャワシャ

幼馴染「いだだっ、乱暴だなぁもう…」

妹「…幼馴染の髪だって、長くてさらさらしてて…すごく綺麗じゃんか」ボソッ

幼馴染「へ?なんだって?」

妹「…っ!うるさいっ、なんでもないよっ!」ゴシゴシゴシゴシ

幼馴染「いだだだだっ!か、髪の毛傷んじゃうよっ」

妹「…あっ、ごめん…」ワシャワシャ

幼馴染「…まったく、変な娘だなぁ妹ってば…」
552 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:03:02.77 ID:OqHJ8laU0
妹「…はい、髪の毛しゅうりょー」

幼馴染「ありがとー、じゃあ今度は体だねぇ」ニヤニヤ

妹「へっ!?いっ、いいよ体は別に!」ゾゾゾッ

幼馴染「問答無用!体が勝手にー動き出すんだー♪」

妹「いやぁぁぁっ、都合よく歌詞にのせて襲おうとしてくるなぁー!」

幼馴染「100万倍のハイテンション!」ガシッ

妹「ひぃぃぃっ!」ビクッ

幼馴染「うひひ、ここかぁ、ここがええのんかあ!」モミモミ

妹「きゃああっ、セクハラセクハラーっ!」

幼馴染「失礼な、スキンシップというがいい!とりゃっ」ワシャワシャ

妹「いやぁぁぁっ、どどどどこさわってんのよこの馬鹿ぁぁっ!」

幼馴染「上の口ではそんなこと言っても、下のお口はこんなにびちょびちょ…」

妹「濡れてないから!シャワー浴びたせいだから!変なこと言わないでー!」
553 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:04:59.87 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「…調査結果、妹はまだ下の毛は生えておらず、胸は小ぶりで成長途中、っと…」

幼馴染「ふぅ」テカテカ

妹「はぁ、はぁ…なんてこと暴露しちゃってんのよ、本当最低…ぜぇぜぇ」

幼馴染「何言ってるの、昔はよく一緒にお風呂だって入ってたじゃんよ」

妹「それは昔の話でしょ!まったく…」

妹「…一応思春期の女の子なんです、もうちょっと気遣ってください…」ゼエゼエ

幼馴染「まあ、ちょっとやり過ぎたかもね…だが私は謝らない!」

妹「もうやだよぉこの人…お家に帰りたい…」

幼馴染「帰さない、帰さない、それはちょっとやだ、えーっと…」

幼馴染「そうだ、まだ僕の体を洗ってもらってないじゃん!」

妹「…はっ、そうか…まだ仕返しのチャンスはある!」

幼馴染「えっ、あっ、いやいやそういうことを言ったわけじゃ…」

妹「覚悟っ!てやっ、成敗ーっ!」ガシッ

幼馴染「霊験があっても、子分にはならないからねっ!?」ビクビク
554 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:05:41.49 ID:OqHJ8laU0
妹「きぃぃぃっ、何なのこのデカパイ…お姉ちゃんに次ぐくらいじゃないっ!」モミモミ

幼馴染「あふぅっ!らめぇっ、感じちゃうぅっ」

妹「何だよそれ、何だよその演技!幼馴染の変態ぃぃぃぃっ!!」ムニムニ

幼馴染「ちょちょちょちょっと待って、待って待って、なんか本当に感じちゃってきた!んっ、んんっ!」ビクビク

妹「知らないそんなの!さっきのお返しだもん…!」モミモミモミモミモミ

幼馴染「んんんっ!?、待って、本当ちょっと待って、こういうSSじゃないって!こういうの違うって!」

妹「うるさいっ、メタ発言はよしなさい!気が済むまで揉ませてもらうからね…っ!!」ムニムニムニムニムニムニ

幼馴染「誰かーっ!誰か助けてぇーっ!あひゃぅぅぅんっ!!」

妹「お姉ちゃんやお兄ちゃんにも負けてないくらい変態だぁ…もっと揉ませろぉぉぉっ!!」モミモミ

幼馴染「妹には言われたくないぃいいいっ!誰かあああああっ!!」

―――
555 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:07:02.02 ID:OqHJ8laU0
―――

チャポン

幼馴染「……」ブクブクブクブク

妹「…汚いよ?お風呂の水って」

幼馴染「……」ブクッ…

妹「ごめんなさい、ちょっとやり過ぎました」

幼馴染「…うん、僕も…ごめん」

妹「…暴走し過ぎちゃったね、二人とも」

幼馴染「…なんか、時々リミッター外れちゃうときってあるよね、ごめんね」

妹「…ううん、気にしなくていいよ」

幼馴染「……」

妹「…調査結果、幼馴染は下の毛が生えてて、胸はお姉ちゃんの次くらいに大きい、っと…」

幼馴染「…おい、おいやめろ」
556 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:07:37.59 ID:OqHJ8laU0
妹「……」

幼馴染「……」

妹「…ねえ、幼馴染?」

幼馴染「なあに?」

妹「…なんだかんだ言っても、今日は楽しかった…ありがとうね」

幼馴染「ふふ、それなら…こっちだってそうだよ」

幼馴染「とっても楽しかった…ありがとう」

幼馴染「…なんならもう一日泊まっていってくれてもいいくらいだよー?」

妹「…そしたら私の体が持たないよ…」

幼馴染「あはは、よく言うよ」

妹「あはははっ」
557 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:08:50.82 ID:OqHJ8laU0
幼馴染「…まだ何か言いたいことでも?」

妹「えっ?」

幼馴染「ふふっ、顔にそう書いてあるよ」

妹「あっ…えっと、それじゃあ…」

幼馴染「うん」

妹「…単刀直入に言うね…幼馴染」


妹「…幼馴染は…私たちに、何か隠し事をしてない…?」

幼馴染「…!」

妹「答えて?…幼馴染」

幼馴染「……」
558 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/26(日) 22:09:41.60 ID:OqHJ8laU0
今日はこの辺で
今回ちょっと暴走して戦隊ネタ連発したり若干ギャグっぽくなってしまったりで
反省してます…

展開の仕方や落としどころ自体は決めてあるんですが、先の展開は書き溜めをしてあるわけではないので
少し行き当たりばったりな部分が…
それが3月中に終わるかどうか心配な理由だったり…

出来る限り更新を早めるために、明日投下しますと予告をしてみる
もしかしたら守れないかもしれないけど、それでも最悪土日には投下する予定です
お休みなさい
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/02/26(日) 22:13:32.42 ID:krl+0WWyo
おつ
かわいいなあ
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/02/26(日) 22:14:07.21 ID:TxWRvU0Zo


頑張れ
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 22:29:56.86 ID:PkGo1owSO
ゴーバス良かったよな
562 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/02/27(月) 22:56:16.73 ID:L34kRiXj0
ダメだ、どうにか書こうとしてみたが眠気が邪魔して上手くいかない…
ごめんなさい今日は無理臭いです、書けたら水曜もしくは木曜、それで無理なら土曜もしくは日曜まで
お待ちいただけるとありがたい
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 23:00:25.24 ID:vhO3BbDWo
まっつる
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/28(火) 23:03:26.22 ID:hG/YYxnxo
あせんなくていいよ
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 13:08:32.86 ID:d6MhtN3IO
そろそろ土曜日だな
566 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:30:09.92 ID:/LZ5RBfd0
ふぅ…
567 :>>557から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:32:36.61 ID:/LZ5RBfd0
幼馴染「…あははは、やっぱり兄君に似て、変なところで鋭いなあ妹は…」

幼馴染「そうだよ、僕は君たち二人に対して、とても重大な秘密を隠してる」

幼馴染「姉さんが教えてくれたことだよ、どうやら信頼されているらしくて僕は嬉しいけどね」

妹「…何、それ…私たちは、信用できないとでも…?」

幼馴染「ああいやいや、別にそういうわけじゃないはずだよ」

妹「だったらどうして…!」

幼馴染「…まあ考えてもみなよ、君たちに言って平気なことなんだったら、わざわざ最初から秘密になんかしたりしないでしょ?」

妹「でも!…なんで幼馴染にだけ…?」

幼馴染「君たち家族に関わる秘密だからだよ、だから僕は言ってみれば部外者で、第三者なんだ」

幼馴染「そして、今ここで教えることもできるけど…とりあえず」

妹「…?」

幼馴染「…お風呂から上がらない?」

妹「…そうだね…」

―――
568 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:33:55.61 ID:/LZ5RBfd0
―後輩の家―

後輩「…ふぅ、さっぱりした…お風呂最高」

ガチャ

部長「あ、後輩」

部長友「よう、邪魔してるぜ」

後輩「……」

後輩「…あの…どうしてお二人がここに…?」

部長「すみません勝手にお邪魔してしまって…」

後輩「別にそれは良いんですけど…」

部長友「…おっほん、いきなりでなんだがな、今日はお前の性根を叩き直しにここへやってきたんだ」

後輩「…へ?何の話ですか…?そんなこと頼みましたっけ…」

部長友「はははっ、とぼけんなよー、恋する乙女のくせしてよぉ」

部長「そうです、今から始めるのはですね…」


部長「…そう、題して…恋の作戦会議!」キリッ

後輩「…突然何言い出すんですか、先輩…?」
569 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:35:00.10 ID:/LZ5RBfd0
部長友「…お前さあ、そんな奥手じゃそのうち誰かに取られるぞ?あいつ」

後輩「だ…だから、話が分かりませんってば」

部長「鈍い娘ですねー、私たちはあなたと兄君をくっつけようとしてるんですよ?」

部長友「言っただろ?協力してやるって」

後輩「…何だ…そういうことなら最初にそう言ってくださいよ…」

部長友「かぁーっ、生意気な奴だな全く」

部長「…ですがまあ、私たちの説明不足もありますし」

後輩「『も』って何ですか『も』って…」

部長友「さあ前振りはここまでにして、さっさと始めようぜ作戦会議」

後輩「えっ、本気でやるんですか?」

部長「当たり前でしょう、私たちが何のためにここへ来たか分かっているんですか?」

後輩「…遊びに…」

部長友「部長、こいつしばいていいか?」

部長「……」
570 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:37:32.64 ID:/LZ5RBfd0
後輩「じょ、冗談です冗談ですって!」

部長友「ったく…」

部長「話が進まないじゃないですか」

後輩「…ごめんなさい」

部長友「まあいいや、最初は何すんだ?」

部長「…今日の反省からですね」

後輩「反省会が最初なんですか…」

部長「本日のあなたのヘタレ…もとい、奥手っぷりを振り返り、今後に生かすのですよ」

後輩「ヘタレ?ヘタレなんですか私!?」

部長友「ざっと振り返ってみましょ、今日の戦いをー」
571 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:44:18.00 ID:/LZ5RBfd0
―放課後―

部長『本日もパート練になります、それでは解散してください』

兄『……だってさ、今日も教室でやるか』

後輩『あ、はい!』

兄『じゃあ、チューナーとメトロノームと楽譜、楽器と一緒に持ってきてね』

後輩『はい』


部長友『…部長』

部長『わかってますわかってます、行きましょう』

部長友『おっしゃ』
572 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:45:23.20 ID:/LZ5RBfd0
後輩「…二人とも、あの時ついてきてたんですか…」

部長友「おい、まだ回想の途中なんだから口出すなよ」

後輩「…はい、すみません」

―――――

―教室―

兄『…よし、じゃあ基礎練習から』

後輩『は、はい』

―隣の教室―

部長『隣を陣取れてよかったですね』

部長友『ああ、そうだな…様子見に行くか』

部長『そうですね、そうしましょうか』

部長友『…あ、ところでさ、まさか練習もちゃんとやるんだろうな?』

部長『…当たり前でしょ、いくらなんでもそれを忘れるほどはっちゃけたりしませんよ』

部長友『…それならいいけどさ』
573 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:46:07.82 ID:/LZ5RBfd0
兄『それじゃあロングトーンから』

後輩『はい』

兄『いち、に…』スゥー


部長『…なんか…普通ですよね』

部長友『おう…普通だな』

部長『普通に練習してますけど』

部長友『ああ…普通だな』

部長『偉いですね』

部長友『…そうだな…』
574 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:49:30.97 ID:/LZ5RBfd0
―――

部長「以上が本日の放課後の、部室での風景でした」

部長友「後輩…おまえマジありえねーわ、基礎練しかしてないとか傍から見たらこんだけ面白くないのもないわ」

後輩「…なんで普通に練習してただけなのにそんな風に言われなくちゃならないんですか…」

部長友「だからさあ…はあもうお前本当わかってねーのな」

部長「そうですよ、普通っていうのが一番ダメなパターンですからね、見てる側からしたら」

後輩「いや元々見せようとしてないし…何ネチネチ勝手な言い分垂れてるんですかこの人たちは」

部長「…まあ、とりあえずあのままじゃダメなのは本当ですよ?あれで好意が伝わるわけないですからね」

後輩「うげっ…そう言われると…」

部長友「その通り、本当に好きなんだったら…想いはきちんと伝えるべきだ」

後輩「…うう、そう…ですよね…」

部長「……」
575 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:56:31.59 ID:/LZ5RBfd0
部長「…後輩、質問をしても構いませんか?」

後輩「へ?は、はい…なんなりと」

部長「ありがとうございます…それじゃあ、…もし…もしですよ?」

後輩「……」

部長「今のあなたに…部活と私生活、どちらが大切ですかと聞いたら」

部長「…どう答えます?」

後輩「えっ…?…それって、どういう…」

部長友「…はは、酷な質問だな、さっすが部長だ…意地がわりいなあ」

部長「うるさいですよ」

後輩「……」
576 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 00:57:31.18 ID:/LZ5RBfd0
部長「じゃあ、わかりやすく言い換えてみましょうか」

部長「…皆の金賞と自分の恋心、どっちが大切ですかと聞いたらどう答えます?」

後輩「…!」

部長「ふふ、難しく考える必要はありませんよ」

部長「答えは有るともいえるし無いともいえる」

部長「そしてその答えはとても単純で簡単なものですから」

後輩「…そんなこと言われたらますますわかりません…」

部長友「なあに、なぞなぞか心理テストみてえなもんだと思えばいいのさ」

部長「そうそう、どう答えても構いません」

後輩「……でも…」
577 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:00:06.02 ID:/LZ5RBfd0
後輩「…金賞は…中学のときに初めて持った、私の…『夢』…」

後輩「…でも、誰かを好きだと思ったのは…高校のときが初めて…」

後輩「……」

後輩「…うう、けど…やっぱり…」

後輩「私は…その二つなら、金賞が大事…です…」

後輩「私一人より…兄先輩も含めて、みんなで一緒に喜びたいから…」

部長「…ふふ…優しいんですね、後輩は」

後輩「…え?」

部長友「…その返答は、場合によっては不正解だろうし、場合によっては正解なんだろうな」

部長「私は不正解だと思いますけどね」

部長友「そうだな、私もそう思う」

後輩「…え…?」
578 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:01:48.98 ID:/LZ5RBfd0
部長「…まあ、明確な正解は当然ありませんが、私たちの見解を述べさせてもらえば」

部長友「後輩は結局、いざとなったら自分の大事なものひとつ捨ててでも、皆のためになるようなことしたいってことだろ」

部長「…でも、それはある意味自己犠牲ともいえますよね」

部長友「どっちもお前にとっては『夢』のはずだ、だろ?」

後輩「……」コクン

部長友「その『夢』は、どっちか捨てなきゃ掴み取れないような夢か?」

後輩「…え?」

部長「いざ金賞を目指すとき、兄君への気持ちを…貴女は本当の本当に捨てきれますか?って言ってるんです」

後輩「それは…」

後輩「……」

部長友「あはは、やっぱできないよな」

部長友「…そうだよ、できないのが普通だ」

後輩「……できないのが、普通…?」
579 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:03:12.91 ID:/LZ5RBfd0
部長友「…おうよ、本当に何かを捨てなきゃいけないときっていうのはな…それ以外どうしようもねえ時だけだ」

部長友「…捨てない限り、本当にやりたいことができないっていう…どうしようもねえ、切羽詰まった瞬間だけだ」

部長「金賞を取ってから兄君を捕まえるでもよし、その逆でもよし」

部長「さっきはあえて意地の悪い質問をしましたが、結局のところ…あなたはどちらも捨てなくたっていいんですよ」

部長「やりたいようにやればいいんです」

部長「『夢』は自分の力で掴み、とらえ、離さないようにずっと持ってるものなんです」

部長友「叶わねえと思って捨てたら、そのままぽっきり折れて終わりだ」

部長「あなたが夢を掴むための両腕なら…ここにどっちもありますから」

部長友「ぶった切ったりしたら、あんたが痛い目見るだけだからな」

後輩「二人とも…」

部長「…なんてね、言ってみたかっただけですよ」

部長友「ちょっとクサかったかな、ははは」

後輩「…はい、すっごく」

部長友「お、おいっ!」

後輩「あはははっ」
580 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:05:16.01 ID:/LZ5RBfd0
部長「…まあ要するに、応援してるから頑張りなさいって意味ですよ」

部長友「さてさて、本題に戻りましょうか」

後輩「あ、でももうこんな遅い時間ですけど…大丈夫なんですか?」

部長「平気です、宿泊許可ならもらってありますから」

後輩「…え?宿…泊?」

部長友「当たり前だろ?だって今後に関わる会議だぜ?たった数時間程度で終わると思ったら大間違いだ」

部長友「今夜は寝かさないぜ…?可愛い後輩よぉっ!」

後輩「…ええー…ほ、本気なんですか…?」

部長「もちろんです、さあ続けますよ!」

後輩「そんなぁー!」

―――
581 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:06:31.52 ID:/LZ5RBfd0
―――

―幼馴染の家 寝室―

妹「布団ふかふかして気持ちいいー!」

幼馴染「洗い立てだからね、遠慮しないでもふもふしていいよー」

妹「わぁい、あったかぁいーっ!」モフモフ

幼馴染「…さてと、お泊りの夜と言ったら…定番はこれだよねー!」ガシッ

妹「…へ?どういう…」

幼馴染「くらえーっ、必殺の枕ボンバーっ!!」ビュン バフッ

妹「わぶっ!…そ、そう来たか…おのれ幼馴染ぃっ!!」ガバッ

幼馴染「まだまだっ、行くよ行くよっ!秘打・千本ノック!」バシバシバシ

妹「ちょっ、そっちだけそんな大量でずるっ…あべしっ!」ドサッ

幼馴染「あははは、悔しかったら反撃してみなさいっ!」

妹「ああああっ!!もういい、それなら遠慮なくやったげる…!」ガシッ

幼馴染「あはは、そらそらっ!」ビュンビュン
582 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:07:50.25 ID:/LZ5RBfd0
幼馴染「くらえっ、ドリルスナイパーカスタム、シュートッ!」ビュン バシッ

妹「うげっ!やったなぁ…?くらえぃ、銀河の戦光っ!」バシッ

幼馴染「いたっ、枕で直接殴るなよもう!お返しだ、兜・五輪弾!」バシバシバシバシバシッ

妹「いててててっ、なら今度はこっちの番!ビッグ、ボンバー!」バシッ

幼馴染「あぶっ!まだまだぁっ、バイモーションバスター!」ババババッ

妹「うぇえっ、ボルテックバズーカ、プレスリフレイザーっ!!」バシュッ

幼馴染「あいたたっ、圧縮冷凍されるのはやだなぁ…」

妹「まだ終わらないよ、おりゃあっ!」ビュンッ

幼馴染「あばぁっ!」バシッ
583 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:09:34.89 ID:/LZ5RBfd0
―――

幼馴染「はぁ、はぁ、はぁ…あー楽しかった…」

妹「えへへ、そうだね…面白かった」

幼馴染「でももうだいぶ遅くなっちゃったし、そろそろ寝ようか」

妹「そうだね…ちょっと、名残惜しい気もするけど」

幼馴染「何言ってんの、またいつでも泊まりに来ていいんだからね」

妹「…うん、ありがとう」

幼馴染「…あ、やっぱ今度は僕が泊りに行こうかなあ?」

妹「だめだめ、お兄ちゃんは渡さないからねっ」

幼馴染「うわぉ、ませちゃって、ぷぷぷっ」

妹「か、からかうなよぉ!」

幼馴染「はいはいごめんごめん…じゃあ電気消すね」

妹「…はーい」

パチッ
584 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:12:08.67 ID:/LZ5RBfd0
妹「……」

幼馴染「……」

妹「…幼馴染」

幼馴染「……」

妹「…まだ起きてる?」

幼馴染「…あんまり寝つきはよくなくてね」

妹「…起きてた」

幼馴染「どうかしたの?寝られない?」

妹「…さっきの件…まだ、話の途中だったでしょ」

幼馴染「ああ…あれね、別にいいけど…どうしてその秘密にやたらとこだわるんだい?妹は」

妹「私たち…家族なのに、隠し事は嫌だよ、だから…」

幼馴染「……なるほどね…立派な絆だ」

妹「……」
585 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:20:31.91 ID:/LZ5RBfd0
幼馴染「…例えるなら、これは爆弾みたいなものなんだけど…」

妹「…爆弾?」

幼馴染「…そうだよ、この秘密はね…君たちの、絆を壊す爆弾」

幼馴染「まあ、そういう例えはちょっと大袈裟なのかもしれないけど」

妹「……」

幼馴染「姉さんも僕も、君たちを思うがゆえに秘密にしていることなんだ」

幼馴染「だから正直…あまり詮索はしてほしくない」

妹「……乗り越えるよ、大丈夫だよ…きっと…」

幼馴染「……」

妹「どんな困難にも、家族でなら…きっと乗り越えられるよ…」

妹「お父さんもお母さんもいなくたって、今までずっと生きてこられたんだし、きっと平気…」

妹「…だからお願い、教えて…幼馴染…」

幼馴染「……」
586 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:28:12.58 ID:/LZ5RBfd0
幼馴染「…もちろん僕も…本当は、真実を伝えて、乗り越えてもらえれば一番嬉しいと思ってはいる」

幼馴染「親友同士の関係も、恋人同士の関係も、家族同士の関係も…人と人との関係というのは、いつか必ず一度は壊れるものだしね」

幼馴染「…だから、教えたくないとも…教えたいとも思ってた、それが本当の気持ちだったよ」

妹「……」

幼馴染「…でも…今のやり取りの中で確信した」

幼馴染「君はまだ、不安がっている…秘密の内容こそ知りたいが、受け入れる覚悟は全然できていない」

幼馴染「それが自分でもわかっているんだろう?妹…」

妹「うっ…だ、だって…!」

幼馴染「さっきの台詞…『きっと』の部分が…もし、『絶対』になっていたなら…あるいは教えられたかもしれない」

幼馴染「僕は、君を…いや、君たちを、…傷つけたいわけじゃない」

幼馴染「せめてもう少し覚悟ができたなら…来たるべき時が来たら、僕でも姉さんでもない人が…」

幼馴染「真実を、教えてくれるはずだよ」

妹「…幼馴染…」

幼馴染「…お休み」
587 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:30:42.65 ID:/LZ5RBfd0
幼馴染(妹、ごめんね…やっぱりダメだ)

幼馴染(今の君には、真実は教えられない)

幼馴染(あの人が…きっともうすぐこの街に来るから)

幼馴染(せめてそのときまでは…待っていてくれ)

幼馴染(だからその時までに…僕たちの恋の戦いも、決着をつけよう)

幼馴染(…その時には、お互い今よりももっと成長しているに違いないから)

幼馴染(……はぁ、それにしてもあの頑固なところは兄君に似たのか僕に似たのか、はたまた姉さんに似たのか…)

幼馴染(…あと、不思議なことに…妹を見ていると、なんだか時々懐かしい感じがする)

幼馴染(あれはなぜだかよくわからないけど…考えてみても答えが出たことはないんだよなぁ)

幼馴染(なんでなんだろ…?)

幼馴染「…まあいいか、もう寝よう…」
588 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/04(日) 01:32:14.51 ID:/LZ5RBfd0
おい気が付いたらもう土曜日じゃなくて日曜日じゃねえか
ふざけんな畜生もういい寝る
お休みなさい でも午後から書きます
589 :以下、名無しが深夜にお送りします [sage]:2012/03/04(日) 01:33:26.70 ID:nuc7l6HL0
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 01:34:53.65 ID:LbFy+w7eo
おつ
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 08:06:29.32 ID:mE+ev3S3o
楽しいぞ
おつん
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 08:07:16.40 ID:BfYxtxBIO
追いついた。これはいいSS
593 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:04:58.14 ID:tGulxgmZ0
キュアビューティかわいい!

本当はテスト近いから勉強しなきゃいけないのに…軽く自暴自棄
書きます
594 :>>587から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:06:17.92 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家 朝―

妹「んぅ…むにゃむにゃ…んんんーっ」ムクッ

妹「……あれ、ここって…」

妹「…あ、そういえば幼馴染の家に泊まりに来てたんだったっけ」

妹「幼馴染…は、もういないし…」

妹「一階にいるのかな…?」バサッ

妹「……」ピクッ

―――

幼馴染『君はまだ、不安がっている…秘密の内容こそ知りたいが、受け入れる覚悟は全然できていない』

幼馴染『それが自分でもわかっているんだろう?妹…』

幼馴染『さっきの台詞…『きっと』の部分が…もし、『絶対』になっていたなら…あるいは教えられたかもしれない』

幼馴染『僕は、君を…いや、君たちを、…傷つけたいわけじゃない』

―――

妹「…幼馴染」

妹「幼馴染まで…お姉ちゃんと似たようなこと言って…」

妹「……何よ、もう」

妹「秘密を知るのって、そんなにいけないことなの…?」

妹「私にだって…信じたいものぐらいあるのに…」

妹「…何が…そんなにいけないっていうのよ…っ!!」ギリッ
595 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:08:53.67 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家 朝―

部長「んぅ…むにゅむにゅ…」

部長友「Zzzz…んんっ、んぅー…」

後輩「むにゃむにゃ…あぅっ…んんっ…」ムクッ

後輩「…あれ、もう朝…?」

後輩「作戦会議してたはずなのに…いつの間にかみんなで寝ちゃってたのかぁ…」

後輩「…ふふ、部長先輩も部長友先輩も…とってもよく寝てる」

後輩「それだけ私の恋に対して全力を尽くしてくれてるってことなんだよね、きっと…」

部長「んん…むにゃ…」

部長友「ZZZZ…」

後輩「…お二人とも、いつも本当にありがとうございます…」

後輩「私はすっごくいい先輩を持ったみたい…よし、ここまで来たら…先輩方の期待にも応えなきゃ」

トントン

後輩「会議の内容は、大体メモしてあります…」

後輩「これがあれば…私、勇気が出せる気がします!」

後輩(私の夢は…私が、全部掴み取るんだ…!)グッ
596 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:10:36.79 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

妹「…幼馴染、おはようー」

幼馴染「ん、妹ー、おはよーっ」

妹「……」

幼馴染「もうちょっと待っててね、すぐ朝ごはん出来るから」

妹「……」ジーッ

幼馴染「…な、何…どうかした?」

妹「…いや、普通の格好だなぁって…」

幼馴染「…え?どういう意味?」

妹「なんとなく、幼馴染だったら裸エプロンとかしそうだなぁとか思ってたんだけど」

幼馴染「ぶふっ!…げほっげほっ、変なこと言わないでよ吹き出しちゃったじゃん、ていうかしないよそんなこと」

妹「……はっ、そうか…裸エプロンね…裸エプロン…裸エプロン…」

幼馴染「…?」

妹「……/////」ボンッ

幼馴染「うわっ、いきなり顔真っ赤にして爆発した」

ボフッ!!

幼馴染「やばっ、放っといたらコンロも爆発したぁっ!!あちちちっ」
597 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:11:49.84 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家―

後輩「お母さーん、おはよー」

後輩母「あ、おはよー…珍しいわね、後輩のほうが起きるの遅いなんて」

後輩「…まあ、いろいろあってね」

後輩母「ふーん、いろいろねぇ…」

後輩「…な、何…?」

後輩母「…あはは、なんでもないよ、顔に書いてあるってだけ」

後輩「かっ、書いてない書いてないっ!」

後輩母「はいはい、じゃあそういうことにしておくね、あはははは」

後輩「…もう、からかわないでよ!まったく…」

後輩「あ、ご飯作らなくちゃ…」

後輩「お母さんの分は抜きだけど」ボソッ

後輩母「ええーっ!?」

後輩「あっはは、冗談冗談」
598 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:12:46.63 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

幼馴染「…はぁ、はぁ…さっきは危なかったぁー…」

妹「火使ってる時は目離しちゃダメだよ」

幼馴染「はぁい、ごめんなさい…」

妹「…でもありがとう、ご飯まで作ってもらっちゃって」

幼馴染「…えへへ、お礼なんていいのに」

妹「…じゃあ」

幼馴染「いただきます」

妹「いただきます」

幼馴染「ぱくっ…んむっ、やっぱちょっと焦げてる…」

妹「…もう、だらしないなあ」

幼馴染「あう、ごめんなさいごめんなさい…」

妹「けどまあ、私のせいでもあるっちゃあるけど…」

幼馴染「……」

妹「…ごめんなさい」
599 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:15:56.54 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家―

部長「おはようございます、後輩と後輩のお母様」

部長友「おはよーございまーす」

後輩母「おお、おはよー!どうだったぁ?作戦会議!」

後輩「おはようございます先輩方…って、なんで知ってるのお母さん…!?」

部長友「へっへっへ、そいつぁもうご心配なく!娘さんは立派に青春してますからぁね、へっへっへ」

後輩母「あらあら本当?ならこれからもよろしくお願いね♪」

部長「はい、お任せください!」

後輩「…なんで私よりお二人のほうが張り切ってるんですか…」

部長友「いやぁ、自分の恋愛には首突っ込まれたらあれだけど、他人の恋愛に首突っ込むんならなかなか楽しいしな、なんちゃって」

後輩「先輩…最低です、それ…」

部長「うふふ、まあまあ」
600 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:17:45.79 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

妹「……」パクパク

幼馴染「…妹、なんだか表情暗いね…もしかして、昨日寝る前にした話のことを…?」

妹「…うん」パクッ

幼馴染「…ごめん、だけどやっぱり僕は――」

妹「…もういい」パクパクッ

幼馴染「――…え?」

妹「もういいの、だってお姉ちゃんも幼馴染も、どれだけ執拗に聞いても秘密については教えてくれないじゃん」

妹「だからもういいの、とりあえず…今はもういいの」

幼馴染「…ふふ、そうだね…君には悪いけど…それが賢明だよ」

幼馴染「でも、諦めたわけじゃないんだろう?瞳を見ればわかる」

妹「…うん、当然」パクッ

妹「だから本当に教えてもらえるようになるまでは…知りたい気持ちは抑えるよ」

妹「……だって私、今のままじゃまだ…弱い娘だってことなんでしょ?」

幼馴染「…妹…」

妹「ごちそうさまでした」カチャッ

幼馴染「…あ、あれ?いつの間に食べ終わった!?」
601 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:19:13.99 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家―

後輩「いただきます」

部長「いただきます」

部長友「いっただきまーす」

後輩母「いただきまーす」

部長友「あむっ…むぐむぐ、なあ、これ後輩の作った料理なんだろ?」

後輩「あ、はい!そうです…どうですか?」

部長友「うん、すっげーうまい!これならすぐにでも嫁に行けそうだな、ははは」

後輩「ちょっ…せ、先輩!」

後輩母「はは、面白いねぇ部長友ちゃんは!もっと言ってやってよ!」

部長友「うははは、そうっすか!じゃあお言葉に甘えて!」

後輩「もっ…もう、お母さんってば!」

後輩「…///」

部長「ごめんなさいね、部長友が迷惑をかけちゃって」

後輩「…まあ、慣れてるっていえば慣れてますけど…」

部長友「あぁん?もっぺん言ってみなさい!」

後輩「ななな何でもないです!」
602 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:21:48.99 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

幼馴染「…ふう、やっと食べ終わった…ごちそうさまでした」

妹「……」

幼馴染「あれ、妹…また何か考え事?」

妹「…うん…今度は、お兄ちゃんの事…」

幼馴染「…そっか」

妹「どれだけ考えてみても…やっぱり、私…ちょっと前までとは違う気持ちを抱いてるみたい」

妹「お兄ちゃんの事…もう、ただの一人の家族だとは思えないの」

幼馴染「当たり前っていえば当たり前かもね、それは」

妹「…え?」

幼馴染「なんでもないよ、ただの戯言…続けて」

妹「…私、この気持ち…嘘か、勘違いなんじゃないかなって…ずぅっと疑ってた」

妹「今でも…半信半疑」

妹「でもやっぱり…ね、きっと勘違いじゃないんだよ…だってお兄ちゃんの事考えると…胸と心と…頭まであっつくなって」

妹「とっても不思議な気持ちになるの…」

妹「だけど本当はおかしいことなんだよね、これって…偽りなしに、お兄ちゃんに恋してるってことなんだよね…!?」
603 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:24:24.04 ID:tGulxgmZ0
幼馴染「…かもね…でも、恐れる必要はないよ」

妹「え?」

幼馴染「君は怖がっているんだよ、家族に恋心を抱いているという…周りとは違う自分の環境をね」

幼馴染「関係が壊れるのを恐れ、人と違っていることに戸惑い、一歩踏み出すための勇気が出せない」

幼馴染「一言で言ったら…妹、君はまだ臆病なんだよ」

妹「…っ!!」

幼馴染「…だけど恥じる必要はない、僕だってそうだし、兄君だってそう…姉さんももちろん同じ」

幼馴染「それだけじゃない、僕や君の知らない人たちも同じ…人間っていうのはそういう風にできてる」

幼馴染「その臆病さを乗り越えたとき…その時こそ、君が想いを伝える瞬間だよ」

幼馴染「そして話が戻ってしまうけど…僕と姉さんが隠している秘密についても同じだ」

幼馴染「人生の選択っていうのは、常に選ぶ者の勇気を試す選択でもある」

幼馴染「だから恐れなくていい…君は自分の気持ちを受け入れるべきだ」

幼馴染「たとえ世間から非難されようと構ってはダメ」

幼馴染「君には、守ってくれる家族と…友達がいる」

幼馴染「それを忘れないで…妹」
604 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:26:09.20 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家―

部長友「ごちそうさまでしたー…って、もうそろそろ学校行かないとやばくないか?」

部長「ごちそうさまでした…そうですね、そろそろ行きましょうか」

後輩母「えーっ、行っちゃうのー?寂しくなるわねぇ…」

部長「…もしよろしければ…またそのうち遊びに来させていただきます」

後輩母「えっ、本当!?いいよいいよ、いつでもおいで!」

部長友「はい、ありがとうございます!」

後輩「それじゃあ支度してきます」

部長「私たちも」

部長友「おう、そうだな」
605 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:27:37.38 ID:tGulxgmZ0
後輩「先輩方、歯ブラシとか使います?」

部長友「なめんなよ、きちんと持参してきてるって」

後輩「そうですか、わかりました…じゃあ私着替えてきます」

部長「後輩、洗面所借りさせていただきますね」ジャーッ

後輩「はい、どこでもどうぞご自由に」

―――

シャカシャカシャカ

部長「ふひょうほほ、ほうはいのほひ…ほへははふはふひふほひひへふへ」(部長友、後輩の恋…これからうまくいくといいですね)

シャコシャコシャコ

部長友「はひいっへふはははんへえほ」(何言ってるか分かんねえよ)
606 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:29:50.73 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

妹「…勇気を…ね…」

妹「分かった、ありがとう…頑張るよ、私」

幼馴染「うんうん、このくらいでないと、ライバルとして張り合いがないしね」

妹「うへぇ、辛辣な…」

幼馴染「ふはははは」

ピンポーン

幼馴染「…あれ、こんな朝早くにお客さん…?」

妹「あ、多分お兄ちゃんかも」

幼馴染「なんでわかるの?」

妹「昨日家に連絡した時、学校行く用意を朝持ってきてもらうように頼んでおいたから」

幼馴染「ああ、なるほど」

妹「じゃあ、ちょっと待ってて」

幼馴染「あっ、ちょっと待った!…って」

幼馴染「…あー、行っちゃった…どうしよう、やばいなこりゃあ」
607 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:33:56.46 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家―

後輩「換えの下着はどこに入れたっけなぁ…あっ、この中か」ガチャッ

後輩「いよっ、ほっ…」パチン スルッ パサッ

後輩「……」ムニムニ

後輩「…こ、こないだよりちょ、ちょっとはおっきくなった…かなぁ…」ムニョムニョ

ガバッ

後輩「ひゃいっ!?」ビクッ

部長友「おいおい、これだけ胸あるのにもっと上を目指そうっつーのかあんたは!」モミモミ

部長友「確かに巨乳とは言えないけど、別段貧乳ってわけでもないから気にしなくていいんじゃなーい?」モミモミモミ

後輩「ひぁぁああっ、く、くすぐったいですよぉ先輩ぃっ!///」ビクビク

部長友「うーん、やっぱこれは並みって感じだなあ、あたしと大体おんなじぐらいかな」ムニムニ

後輩「ひぇぇっ、離してくらはいぃっ!!////」

部長友「とりあえずあれだ、部長よりはおっきいからもうちょっと自信持って――」

ガンッ

部長友「」

部長「ふぅ、まったくもう…少し目を離すとこれだからこの人は…大丈夫でしたか後輩?」ゴゴゴゴ

後輩「はい…あ、ありがとうございます…」ヘタッ

後輩(せ、先輩…割と気にしてるんだ…)ビクビク
608 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:36:21.84 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

ガチャッ

妹「はーい…あ、やっぱりお兄ちゃんだ…」

兄「ほらよ、荷物…」ドサッ

妹「あ…ありがと…お兄ちゃん…」ドキドキ

兄「……」

妹「え、えっと…あの、あの…ね?」ドキドキ

兄「…ぷっ、ぶふっ…げほげほっ、お前…お前、なんだよそれ…くくくっ」

妹「なっ…何よ、なんで笑ってるの!?ひどい!」

兄「酷いのはお前のおでこだろ…くくっ、傑作だこれ」スッ パシャッ

妹「きゃっ!?ちょっ、なんで撮るの!?見せて見せて!」

兄「ははっ、大方寝てる最中に幼馴染にいたずらされてそのままってとこだろうな、くくっ…」ヒョイヒョイ

兄「まあ気にするな、記録はともかく記憶からは消しといてやるからさ…じゃあ俺もう学校行くから!」

兄「ぷっ、ふふっ…くくくく」ガチャッ
609 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:37:29.05 ID:tGulxgmZ0
―後輩の家からの通学路―

部長友「あ…あのー…」

後輩「……」

部長友「え…えっと…」

部長「……」

部長友「い、いやー今日はいい天気だなぁー!あはは、あっははははー!」

後輩「……」

部長「……」

部長友「…ね、ねえ…そんなに怒らなくたっていいじゃん二人とも!さっきはちょっとからかっただけだろー!?」

部長「……」

後輩「……」

部長友「……」

部長「……」

後輩「……」

部長友「…だ…誰かー!誰か私に構ってぇー!私一人じゃさみすぃーっ!!」

後輩「……」

部長「……」

部長友「…あーっ、もうー!ごめんなさいー、私が悪かったです!ごめんなさい!もう後輩のおっぱい揉んだりしませんから許してくださぁーい!」

後輩「…なっ…!///」カァァーッ

ガンッ

部長「朝からそういうことを大声で叫ばないでください」

部長友「…じ、辞書の角使って同じところ二回も殴られたら脳震盪起こしそうだわ…」クラクラ
610 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:40:04.83 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

妹「…ねえ、幼馴染?さっき鏡見てきたんだけどさあ、これどういうことかなぁ説明して…?」ゴゴゴゴ

幼馴染「ひっ、凄まじい殺気を感じる…!」

妹「いいから説明してってば」ゴゴゴゴ

幼馴染「は、はい…遡ること今日の朝、私はご飯を作るために早起きしていました…」ビクビク

幼馴染「…そしたら…たまたま妹の可愛い寝顔が目に入ったので…つい、出来心で…」

妹「…出来心で?」

幼馴染「…妹の額に…『肉』って字を…油性ペン使って書きました…ぷぷっ」

妹「おい」

幼馴染「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい、まさかここまで気が付かないなんて思わなくって…」

妹「おい、ちょっと朝からシリアスなムードで話が進んでたのに台無しじゃねえか」

幼馴染「いつ気が付くかなあいつ気が付くかなあとずっと待ってたのにとうとう気が付かないなんて思わなかったから…」

妹「いや気が付くわけないじゃん!!」

妹「だいいち額に肉って書かれたまま親の秘密や恋心について考える女の子の絵面って何!?やってはいけないでしょ!」

妹「とんでもなくシュールでしょうが!お兄ちゃんにも撮られちゃったし!どうしてくれるのよ、色々ぶち壊しだよ!」

幼馴染「ごめんなさい、本当反省してます、朝からシリアスになると思ってなかったのもあって…もう本当にもう」
611 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:42:24.20 ID:tGulxgmZ0
―高校―

後輩「失礼します、おはようございまーす」

部長「失礼しますおはようございます」

部長友「おはようございまーす」

兄「失礼しまーすおはようございます」

部長「……兄君…!なんで今日は遅刻してないんですか…!?」

部長友「やべーな、今日は雨か雪が降るぜきっと…」

後輩「信じられないです…!」

兄「いやいやいやいや…」


部長「…後輩、今日はしっかりやってくださいね」ヒソヒソ

後輩「は…はい…精一杯、やれるだけやってみます…!」ヒソヒソ

部長友「おう、その意気だ!頑張れよ」ヒソヒソ


部長「――はいそれじゃあ集合して、席に着いてください」パンパン
612 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:43:58.60 ID:tGulxgmZ0
―幼馴染の家―

妹「…はぁ、やっと落ちた…まあ完全じゃないけど…」

妹「幼馴染、今度やるんだったらせめて水性にしといてよ…」

幼馴染「はい…そうします」

妹「もちろんやらないのが一番いいんだけどね」

幼馴染「…ていうかそろそろ行かないとまずいよね?支度して行こう?」

妹「誰のせいだと思ってるのよ…」

幼馴染「僕のせいですよね、ごめんなさい悪ふざけが過ぎました」

妹「…まあなんとか落ちたからいいよ、許す許す」

幼馴染「本当に!?ありがとー、嬉しい!」

妹「わかったから早く行こうってば!」

幼馴染「ああはいはい、行きましょう行きましょう」ガチャッ バタン


妹「……」

妹「…幼馴染」

幼馴染「……何?」

妹「絶対負けないよ…臆病な自分にも、勇敢なライバルにも」

幼馴染「おいおい、買い被らないでくれよ…けどまあ、期待してるよ」

ガチャガチャッ

幼馴染「…僕のライバル」
613 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/05(月) 00:44:50.31 ID:tGulxgmZ0
最近これ書いてると引き伸ばし感がすごい
もうすごいやばい
もうやだ

キュアビューティかわいい!
お休みなさい
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/05(月) 00:45:33.32 ID:Qu6u8VHv0
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 11:45:27.08 ID:Ni50LsAIO
おつ!
かなり引っ張ってるよね
なかなか話が進まない
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 07:40:43.72 ID:/MFWgw4y0
はよ続き
結構楽しみにしてる
617 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/08(木) 21:47:47.34 ID:WmzNknx50
てすと
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 22:06:55.59 ID:fbZlXdp0o
きたね!
619 :>>612から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:14:24.56 ID:JbLjuPCW0
―妹の中学校―

妹友「お、妹!おはよー」

妹「おはよう…危うく遅刻するとこだったよ」

妹友「それはいいけど、部活の顧問にはちゃんと連絡入れたの?」

妹「…あっ」

妹友「あははっ、妹の事だからどーせそんなことだろうと思ったよ」

妹「やばい、どーしよう…」

妹友「まああとで謝って許してもらうしかないよなー」

妹「うぅ…だよね、そうしよう…」

妹友「頑張ってね」

妹「ええー、一緒に来てよぉー!せめて職員室の前までっ!」アタフタ

妹友「わかってるわかってる、冗談だって、はははは」

妹「…むう、妹友め…」
620 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:17:36.45 ID:JbLjuPCW0
妹友「…で、妹…後で謝りに行くのはいいとして」

妹友「昨日あんたが言ってた話…結局どうすることにしたの?」

妹「…ああ、えっと…」

妹友「ちなみに近親婚は法律上不可能とかなんとか」

妹友「…wikipedia調べだけど」

妹「…そう…でも、関係ないよ」

妹友「…と言いますと?」

妹「兄妹関係が壊れるとか、周りから白い目で見られるとか」

妹「そういうことを気にして臆病になってたら…いつまでたっても私の心は弱いまま」

妹「実らなくたっていいの、私はお兄ちゃんに向けて、自分の想いを伝えたいだけ」

妹「全部、私のライバルに教わったことだよ」

妹友「…なるほどね、それがあんたの答えか」

妹「…うん」
621 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:21:05.20 ID:JbLjuPCW0
妹友「…でもさ、水を差すことになるかもだけど…やっぱり家族に向けて本気の告白をするなんてのは、どう考えても一筋縄じゃいかないと思うなあ」

妹友「あたしも昨日似たようなシチュの妄想したけど、気持ち悪くて鳥肌立っちゃったよ」

妹「えー…やっぱそういうものなのかなあ」

妹友「いやいや、別に全否定するわけじゃないよ!?あんたの決意…壊したくないもん」

妹「妹友…」

妹友「…ただ、もしどうしても難しかったら…そうだなあ、いっそのことお兄さんの事…」

妹友「家族じゃなくて赤の他人だと思ってみたらどうよ?告白しやすくはなるでしょ」

妹「…!だっ…だめ!どれだけ難しくたってそれはできないよ」

妹「私とお兄ちゃん…もし家族じゃなかったら、って考えたことある」

妹「…そしたら、怖くてたまらなくなった…私いったいなんてこと考えてるんだろう、って…」

妹「お兄ちゃんは私の好きな人、大切な人」

妹「よく冷たく当たっちゃうけど、お兄ちゃんがいない生活なんて考えられない、考えたくない」

妹「…私のお兄ちゃんはね、私の『好きな人』である以前に…たった一人の私の『お兄ちゃん』なんだ」
622 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:22:40.24 ID:JbLjuPCW0
妹友「…そっか、だったらこれ以上あたしが言うことは何もないね」

妹「え?」

妹友「だってさ、昨日のうちにそれだけ堅い決意をしてきたんでしょ?」

妹友「それなら部外者のあたしにはもう、やれることなんか一切ないよ」

妹友「ただ、強いて言うなら…親友の応援ぐらいはできそうかも」

妹友「…ねっ?」

妹「…ふふ、ありがとう…私頑張るよ!親友!!」

キーンコーンカーンコーン

妹友「さて、じゃあまた後でね」

妹「うん!」
623 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:24:22.11 ID:JbLjuPCW0
―後輩の高校―

部長「…それじゃあみなさん集合してください」

部長「今日の朝練はここまでです、起立…礼!」

部長「解散!」


部長友「…おい、後輩…」

後輩「は…はい…」

部長友「お前ちょっと女子トイレ来いや」

後輩「ひっ…せせせ先輩、なな何するつもりなんですか…!?」ガクブル

部長友「…部長!先行ってるよ?」

部長「はい、お願いします」

部長友「…っていうわけだ、わかったらついてこい」グイッ

後輩「全然わかんないです…」ズルズル
624 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:26:22.58 ID:JbLjuPCW0
―――

部長「……」

部長友「…さて、見ればわかるとおりあたしたちは今立腹しているわけだ」

部長友「なぜだかわかるか?」

後輩「…わ、私が…兄先輩に何もアプローチをしなかったからです…」ビクビク

部長「わかってるじゃありませんか」

部長友「…じゃあもう一個質問するぞ、なんで今回の朝練の分の描写がすっ飛ばされたかお前にはわかるか?」

部長「メタ発言は控えてください」

後輩「…それは…びっくりするくらい地味な朝練で、しかもストーリー的にも一切進んでいないから…」ビクビク

部長友「よくわかってるじゃねえか、ジェット芯とか腹筋とか壁ティッシュとか描写されても面白みに欠けるわけだ」

部長「殴られたくなければそこまでにしておいてください」

部長友「はい」

部長友「…じゃなくって、まあつまるところ地味な画になるばかりなうえにお前は何もしないわで」

部長友「せっかくのチャンスが棒に振られたっていうことだよ」

部長友「お前にはこの重みがわかるのかって聞いてるわけなんだよ、どうなんだ?おい、わかってんのか?」グリグリ

後輩「クラリネットでほっぺをぐりぐりしないでください…おぶっ」

部長「部長友…早く楽器片付けてきてください」
625 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:27:26.83 ID:JbLjuPCW0
部長友「ちっ、じゃあ片付けてこようか…本当は教室に持っていきたいくらいだけど」スタスタ

部長「やめてください」

後輩「……」

部長「…後輩、昨日一体何のために作戦会議をしたと思ってるんですか?」

後輩「…はい…すみませんでした…」

部長「いつまでも奥手なままじゃ…一歩先の関係にはなれないんですよ」

部長「私だって…急かすようなことを何度も言いたくありませんが…」

後輩「…いえ、いいんです…私のせいなんです、わかってます…」

部長「……」

後輩「…でも…やっぱり、勇気が出なくって…」

部長「……そうですか…じゃあ、少し待っていてください」

部長「部室の戸締りのついでに、いいものを持ってきますから」

後輩「…?」
626 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:31:15.28 ID:JbLjuPCW0
―――

部長「お待たせしました」

部長友「…おい、本当に渡しちゃっていいのか?お前が一番大切にしてるだろ、これ」

部長「大切ですよ?だからこそあげるんです」

部長「…後輩、受け取ってください」

後輩「これは…クラリネットの、マウスピース…?」

部長「…かつての私の先輩が卒業する際に受け継いだものです」

部長「まあ結局、私の口にも部長友の口にも馴染まなかったので…ただのお守りになってしまいましたけど」

後輩「…どうして、それを私に…?」

部長「勇気を奮わせるお守りだからです」

部長「…今の私は吹奏楽部を背負って立つ部長という立場ですが…やっぱり、この立場だからこその、怖いものもある」

部長「例えば…部員への指示を間違えてしまったりとか、肝心な時にしっかりとした行動が取れなかったりとか」

部長「…まあ、すぐ近くに反面教師がいるおかげで、特に目立った失敗はせずに済んでいますが…」チラッ

後輩「…ぷっ!」

部長友「あたしか?あたしなのか!?オイ!」
627 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:33:17.38 ID:JbLjuPCW0
部長「…とにかく、不安なときにはこれを握って、勇気を奮い立たせるんです」

部長友「コンクールとかの大舞台の時も、緊張がほぐされるんだよ、これがあるとな」

部長「自分のパートに先輩が一人もいなくて、自分だけで牽引していかなくちゃいけないって時」

部長「自分の指示が、パートの後輩の動きを握っているわけですから…決して簡単な話ではないと思います」

後輩「わかります…私も中三の時、一番上になってすっごく不安でしたから…」

部長「ただまあ、今はだいぶ慣れましたけど…それでも、恐れ知らずというわけではない」

部長「誰にだって、怖いものはありますから」

後輩「……」

部長友「…後輩、お前は何が怖い?何を恐れて、勇気が出せないんだ?」

後輩「…それは…」
628 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:37:47.83 ID:JbLjuPCW0
後輩「…関係が…壊れるのが、恐ろしくって…」

部長友「やっぱりそうか…まあ、なんだかんだ言って意外と引っ込み思案だもんな、お前」

部長「気持ちはわからなくありませんけどね…」

部長友「よし、じゃあさ、こうしよう!今日の放課後…放課後の、教室を決戦の場にしよう」

部長「け、決戦…ですか」

部長友「おうよ、そしてそれ以上の引き伸ばしは無しだ」

部長友「放課後に、後輩が勇気を出せなかったら…私たちは金輪際お前の手伝いはしてやらねえ」

部長友「その代わり、もし勇気を出せたなら…告白の結果にかかわらず、あたしたちが何だってしてやるさ」

後輩「…今日の…放課後…」

部長「……」

部長「…後輩、受け取って?」ストン

後輩「…勇気を、奮わせる、お守り…」

部長「…はい」

部長友「まあ心配すんな、関係が壊れないようしっかり手配してやるから、お前は放課後まで心の準備と告白の練習でもしとけ!」

部長「舞台を整えるお手伝いも、当然させていただきますよ」

後輩「…先輩方…」
629 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:38:49.46 ID:JbLjuPCW0
部長友「…言ってみれば背水の陣ってやつだな…死にたくなければ、てめーで士気を奮わしとけ」

部長友「いいな?」

後輩「…はい…私、もう逃げないです」

後輩「見てくれてる人を、退屈させないためにも…!」

部長「だからメタ発言は控えてくださいってば」

キーンコーンカーンコーン

部長友「やべっ、早く教室行かなきゃ!」

部長「じゃあ後輩、放課後にまた会いましょう」

後輩「はいっ!」
630 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:40:47.81 ID:JbLjuPCW0
―妹の中学校―

妹友「…はー、てっきり怒られるかと思ったけど、先生に許してもらってよかったね」

妹「すぐに切れない分、普段は割と優しいからね」

妹友「…ん、なんだよその言いぐさ…?…まるで許してもらえるってわかってたような感じだなあ」

妹「ぎくっ」

妹友「あんたあれだろ、確信犯だろお」

妹「さーて、何のことかなぁ〜?」ピューピュー

妹友「誤魔化すなよ、まったく…完全に徒労だったじゃん、もう最悪だよ」

妹「あーもう、怒らなくたっていいじゃーん」

妹友「…ならごめんなさいは?」

妹「ごっめんなさぁーい」

妹友「けっ、もういい、もういいよあんたなんか」

妹「ああああっ!ごめんなさいごめんなさいっ!神様仏様妹友様ー!」

妹友「うっさいばーか!このブラコンがっ!」ダッ

妹「あっ、逃げるなぁー!」
631 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:42:25.14 ID:JbLjuPCW0
―昼 兄の高校―

幼馴染「兄君、お弁当一緒に食べよー」

兄「いいけど、どこで食う?」

幼馴染「うーん…じゃあ校庭にでも行こっか」

兄「わかった」

―校庭―

幼馴染「いただきまーす」

兄「いただきます」

幼馴染「あむっ…うん、やっぱり僕の作ったお弁当最高」

兄「自画自賛かよ、あむっ」

幼馴染「あ、もしかしてそれ姉さんが作ったお弁当?」

兄「そうだけど…よくわかったな」

幼馴染「いや、だって兄君はお弁当とか作るの面倒くさがりそうなイメージあるし」

兄「失礼な、たまに作るときもあるっつーの」パクッ

幼馴染「ねえねえ、おかずどれか一個ちょうだーい」

兄「やだよ、お前が余計なこと言ったからやだ」

幼馴染「えー、子供みたいなこと言わないでよー!」
632 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:43:54.81 ID:JbLjuPCW0
兄「…そういえば幼馴染、妹が世話になったみたいだな…ありがとう」

幼馴染「やめてよ、惚れ直しちゃうでしょー」

兄「……」

幼馴染「冗談だってば、それにこっちも楽しかったしね」

兄「あいつ、何か迷惑とかかけなかったか?」

幼馴染「あー…えっと、ちょっと借りパクされそうなものがあったんだけど…取り返しておいたし平気だよ」

兄「…あいつが?そんなことしたってのか」

幼馴染「まあ借りパクっていうのも語弊があるから、怒ってあげないでよね?お願い!」

兄「…そうか、お前がそういうならいいけど」

幼馴染「ありがとー…よし、隙あり!」パシッ パクッ

兄「あーっ、お前勝手に人のおかず取ってんじゃねーよ!こら、返せこら!」

幼馴染「きゃーっ、兄君こわーい♪」

兄「うるせぇ、変な声出すな!返せこら、返せ!」
633 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:45:53.56 ID:JbLjuPCW0
―6時間目―

先生「はいじゃあ次のページ、最上段の3行目から――」

後輩(…昨日の作戦会議の内容メモ、朝からずっとにらめっこしてるよ私…)

後輩(でもまだ不安だし、復習しておかないと…えーっと)

後輩(…まずは、 1 決して焦らず、冷静に…)

後輩(2 自分と、先輩二人を信じること)

後輩(3 結果がどうであれ、決して自分を恥じない)

後輩(4 兄先輩が鈍感で、ピンと来てないようなら色仕掛けで落とせ)

後輩(……いや、これはないな…最終手段として持ってはおくけど、できるだけ平和に行きたいし)

後輩(5 溢れる勇気は魔法に変わる)

後輩(…なんだこれ)

後輩(6 夢は途中で諦めるものじゃない)

後輩(…5と6は今朝追加したやつだけど)

ギュッ…

後輩「…勇気を…出して…か」

後輩「確かにこのお守り、効いてきたかも…!」
634 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:46:39.45 ID:JbLjuPCW0
―放課後―

後輩「…よし、告白の練習は結局できなかったけど、心の準備はもうばっちり」

後輩「気合入れていくぞー…!」

兄「……」スタスタ

後輩「あっ、兄先輩だ」

後輩「…先輩、きちんと受け止めてくれるかな?」

後輩「…いや、そんなこと考えても仕方ないよね…」

後輩「私は、ただ告白するために頑張るだけ」

後輩「…さて、私も行かなくちゃ」スタスタ
635 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:48:27.66 ID:JbLjuPCW0
―部室―

兄「失礼しますこんにちはー」

後輩「失礼しますこんにちは」


部長「…全員揃ったかな…よし、じゃあ今日は基礎練を個人でやった後に全体合奏ということなので、時間は――」


兄「全体合奏久しぶりだなあ、最近ずっとパート練ばっかだったからなあ」

後輩「…最近ずっと…?」

後輩「…あ、そっか…!」

兄「ん?どうかした?」

後輩「あ、いえ!なんでもありません」


後輩(…本当はもうこの時期だったら合奏して、曲の完成度を高めていかなきゃいけないのに…)

後輩(ずっとパート練続きだったのは、部長先輩がわざと…)

後輩(…はぁ、皆に迷惑かけちゃったなあ…いや、でも…だったらその分まで、私が頑張らなくちゃね…)

後輩(部活も、恋愛も…!どっちもかけがえのない、私の…大切な『夢』だもん)
636 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:49:54.61 ID:JbLjuPCW0
―――

部長「…じゃあみなさん基礎練が終わったようなので、全体合奏を始めます」

部長「起立、礼!お願いします!…着席してください」

部長「それじゃあ…頭から64章節目まで、全員でお願いします――」


兄「…後輩、一緒に金賞手に入れるためだからな…頑張ってやるぞ?」

後輩「…言われなくたって、わかってます!」

兄「…そうか、それならいいけど!」

―――
637 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:51:29.32 ID:JbLjuPCW0
―――

部長「意見としては…全体的にあともう少し息のスピードが速ければ、だいぶ良くなると思います」

部長「…そろそろ時間ですね、じゃあ終わりにします」

部長「ありがとうございました、解散」

兄「失礼しまーす」

後輩「失礼します」

部長友「…くくっ、よーし…ここからが本番だな」

兄「部長友先輩…本番って?」

部長友「あははは、まあいいからちょっとこっちに来なさいな」グイッ

兄「いだだだっ、ちょっ、先輩!」ズルズル


部長「…後輩、ここからは貴女の戦いですからね」

後輩「…はい、でももうそういうのは聞き飽きました」

部長「そうですか、ふふ…少ししつこすぎましたかね」

部長「さてと、私も部長友に加勢してこようかな」スタスタ


後輩「……」ギュッ
638 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:54:53.06 ID:JbLjuPCW0
―教室―

部長友「…突然悪いな、兄…でもな、どうしてもお前に話があるっていうやつがいるからさ、そいつの代わりにあんたをここへ連れてきたんだ」

部長「兄君、もうふたつほど、身勝手で申し訳ないのですが…守っていただきたいことがありまして」

兄「は、はぁ…」

部長「…まずひとつ、この後彼女にどんな話をされ、あなたがどんな返事を返したとしても」

部長「明日以降も分け隔てなく、態度を変えず、彼女との今まで通りの関係を維持してください」

兄「…よくわかんないんですけど」

部長友「こういうとき男っつーのはなんでもいいから頷いておくもんだよ」

兄「…はい」

部長「そしてもうひとつ、たとえ彼女が悲しむ結果が訪れたとしても、気遣わないで、そっとしておいてあげてください」

部長「彼女が恐れている事態になるのは、避けたいですから」

兄「……」

部長友「潔く返事しろ、だらしねえぞ」

兄「…はい、了解です」

部長「…ありがとうございます、今度この間の千円返してあげますね」

兄「マジっすか」
639 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:56:27.51 ID:JbLjuPCW0
部長「それじゃあ私たちは退却しますから」

部長友「兄、お前はまだ出て来ちゃダメだからな!」

兄「えっ、ちょっ…どこ行くんですか!」

ガララ ピシャッ

兄「…行っちゃった…どうしよう」

兄「…まあいいか…言われた通りじっとしておくべきだな…」

兄「……」
640 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:57:12.91 ID:JbLjuPCW0
部長「…後輩、私たちはもう何も言いませんからね」

部長友「それでも、ここから見てるから!安心しとけ」

後輩「…はい、ありがとうございます」

後輩「……」
641 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:58:41.13 ID:JbLjuPCW0
―――

部長友『 私たちがついてるからさ、頑張りなよ?』


部長『…そう、題して…恋の作戦会議!』キリッ


部長友『本当に好きなんだったら…想いはきちんと伝えるべきだ』


部長『夢は自分の力で掴み、とらえ、離さないようにずっと持ってるものなんです』

部長友『叶わねえと思って捨てたら、そのままぽっきり折れて終わりだ』


部長『あなたが夢を掴むための両腕なら…ここにどっちもありますから』

部長友『ぶった切ったりしたら、あんたが痛い目見るだけだからな』


部長友『…言ってみれば背水の陣ってやつだな…死にたくなければ、てめーで士気を奮わしとけ』

部長友『いいな?』

―――

後輩「…すぅー…」

後輩「…はぁー…」

後輩「……よし」

ガラガラッ
642 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 01:59:52.93 ID:JbLjuPCW0
後輩「……」

兄「…あれ…後輩?」

後輩「…っ…!」

ドクンドクンドクンドクンドクン

後輩「…あ、兄先輩…」

兄「…は…はい…」

ドクンドクンドクンドクンドクン

 1 決して焦らず、冷静に…

 2 自分と、先輩二人を信じること

 3 結果がどうであれ、決して自分を恥じない

後輩(…先輩…私に、勇気を…っ!)

ギュッ
643 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 02:05:34.42 ID:JbLjuPCW0
後輩「……兄先輩っ!!」

兄「…は、はいっ!」

後輩「私…私、まだ先輩と出会ったばっかりだし、素直じゃないし、よく喋るわけじゃないし、全然みんなの役にも立たないし…」

後輩「…でも、それでも、私…先輩と一緒に過ごす日々が楽しくて!先輩に褒められるのが嬉しくて!」

後輩「夢を掴むために頑張る感覚がすごく好きで…!」

後輩「きっかけは…ほんの少し優しくされた程度だったけど!」

後輩「私を…変えてくれて!それで、それで…っ!!」ポロポロ

兄「…こ、後輩…?」

後輩「ぐすっ…わ、私!幼馴染先輩に!兄先輩を取られたくないからっ!!」

―――――

幼馴染『…後輩ちゃんは…兄君の事どう思ってるのかなぁ、なんて』

―――――

後輩「だから…だから!」

後輩「私…っ、本当の気持ち、伝えなきゃ、って…!!」

後輩「…私は――っ!!」
644 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 02:07:15.47 ID:JbLjuPCW0









後輩「…兄先輩のことがっ、大好きです!だから私と、付き合ってください…――!!」








645 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/09(金) 02:09:26.25 ID:JbLjuPCW0
今日はここまでです
咳めっちゃ出て辛い…だるい
でも先輩の卒業式には這いつくばってでも出る

最後のレスでの空白いっぱいつけて中心の文字を強調する演出はあんまりやったことないからあれでいいのかどうかよくわかんない

お休みなさい
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/03/09(金) 03:29:43.60 ID:JG7U1ycFo

647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 08:22:58.17 ID:CXkUjv6IO
早く善くなっておくれー
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/12(月) 07:10:37.35 ID:ypxyhMYv0
はよ次
とても楽しみにしてる
649 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 20:53:28.71 ID:akoD/QR+0
這いつくばってでも出る…つもりだったんだけどね、無理でした
インフルエンザでした
こんな風邪の蔓延する時期に卒業式なんざ催すんじゃねぇよ畜生死ね

書きます
650 :>>644から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 20:57:54.51 ID:akoD/QR+0
―夜 帰り道―

部長「……」

部長友「……」

後輩「…あの、お二人とも…今まで色々と、本当に有難う御座いました」

後輩「私、二人がいなかったら…全然、なんにも――」

後輩「うぐっ!」カポッ

部長友「…アホ、それ以上何も言うな」スポッ

後輩「…わかりました、でもいきなりマウスピースを口に突っ込むのはやめてくださ――うげっ」カポッ

部長「…私は苛立ちが先行していますけどね」

部長友「…確かにな!こいつがせっかく勇気出して告ったのに、返事は保留で『考えさせて』って…」スポッ

後輩「ああ…いいんです、返事についてなんて考えてませんでしたし」

部長「…それはどういう?」

後輩「たとえどんな返事が返ってこようと関係なかったんですよ、あのとき私はただ一方的に想いを伝えたかっただけ」

後輩「つまりは半分自己満足だったんです、だから…私も、ちょっと安心しちゃって」
651 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:00:42.20 ID:akoD/QR+0
後輩「…それに、先輩ならきっと、ああいう返事だろうなあと予想してました」

部長友「なんじゃそりゃ、根拠でもあんのか?」

後輩「根拠っていうかなんていうか…あの人、ライトノベルの主人公みたいな人なんです」

後輩「普段はダメダメ、冴えない人だけど…場合によっては頼もしくて、格好いい人」

後輩「…そして知らず知らずに、周りの女の子たちをたぶらかしてるんです」

部長友「褒めてんだか貶してんだかわかんねー言い草だな…」

部長「…でも、なんだかわかる気がしなくもないですね」

部長友「あたしにはよくわかんねーけど…まあそれはいいとして、後輩…お前今朝言った話、覚えてるか?」

後輩「今朝…ですか」

部長「後輩がきちんと勇気を出して告白出来たら、私達があなたの言うことなんでもしてあげるって約束です」

後輩「あ、そういえばそうでしたね…」

部長友「おい、やっぱ忘れてたのかよ」

後輩「えへへ、すみません…今日一日いろいろあり過ぎて」

部長友「…まあいいや、その気持ちもわからないでもないしな…さあ、何でも言ってくれ」
652 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:05:22.61 ID:akoD/QR+0
後輩「…あの、先輩方、せっかくなんですけど…それはもうちょっと待ってもらえませんでしょうか」

部長「…?構いませんが…どのくらい?」

後輩「兄先輩からの返事が来る頃まで、です」

後輩「そのときになってから…お願いさせてもらいたいので」

部長友「…またえらく控えめだな、別にいいけどさ」

後輩「えへへ、すみません…」

部長友「ただ、正直いつになるかは知れねーけどな、ははは」

部長「ふふふ…あっ、後輩の家ってここでしたよね?」

後輩「あ、はい…じゃあ今日は失礼させていただきます」

部長友「おう、それじゃあまた明日な」

部長「兄君に、お返事急がせるよう言っておきますからね!」

後輩「あはは、いいですってそんなの!…じゃあ、遅くまで有難う御座いました、失礼します」ガチャッ

部長友「了解、じゃーなーっ!」
653 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:07:38.93 ID:akoD/QR+0
部長「……部長友、貴女本当は感づいているんでしょう?兄君がどういう返事をするのか」

部長友「…あんたこそ、兄のやつが後輩に何て返すか、大体予想つけてるんだろ?」

部長「まあね…ですが、一致してるとは限りませんし」

部長友「…そうだな、実際一致してるのも嫌だし」

部長「…でも…きっと同じ意見なんでしょうね」

部長友「かもな…けどそいつぁナンセンスってやつだ」

部長「どこで覚えたんですかそんな言葉」

部長友「うるせぇな!余計なお世話だ」

部長友「それに…勇気出して頑張って、返事を待ってる後輩に対しても失礼だろ」

部長「…そうですね、わかりました」

部長友「じゃあ私こっちだから」

部長「はい、ではまた明日」
654 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:10:38.76 ID:akoD/QR+0
―兄の家―

妹「ただいまー…わっ、お姉ちゃん」

姉「おかえり、そんなに驚かなくても」

妹「いや、最近前に比べて帰りが早いなぁって…」

姉「うふふ、実はものすごくよく働いてくれる後輩がいてね…その娘がいつも手伝ってくれるもんだから」

妹「そ、そうなんだ…前は深夜帰りだったのに夕飯時より前にまで縮めちゃうとはすごい働きっぷりだね…」

姉「過労で倒れないか心配ではあるんだけどね、ただ言っても聞かない娘だから…」

妹「…なるほど…あ、ところでお兄ちゃんは?さっきから姿が見えないんだけど」

姉「…見てきたら?部屋にいるから」

妹「……え?」
655 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:13:24.77 ID:akoD/QR+0
―兄の部屋―

妹「……」ガチャッ ソローリ

兄「くぁwせdrftgyふじこlp」ブツブツ バタバタ

妹「…何あれ…?お兄ちゃんが枕に顔を埋めながら言葉にならない言葉を発して足をバタバタさせてる…」

兄「後輩…後輩が俺に告白を…幼馴染に続いて後輩まで…あがががwqwwくぁあsd」ブツブツ

妹「こ、後輩…?誰、後輩って…」

妹「…しかも、告白…!?それって、どういう…」

妹「…!」

―――

幼馴染『…彼は羨ましいよ、知り合いの女の子三人にこうまで熱烈に好かれるなんてね』

妹『さっ…三人?他にも、誰かいるの…!?』

幼馴染『ああ、僕も接触済みだよ…妹ちゃんには教えてあげないけどねー』

―――

妹「そっか、幼馴染の言ってた娘のことか…くっ、誰だかわかんないけどまさか先手取られるなんて…!」ギリッ

妹「…こんなにすぐ近くにいるのに…想いを伝えてないのって、もう私だけ…?」

妹「そんなのやだ、悔しいよ…っ」

妹「…でも…」
656 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:14:42.01 ID:akoD/QR+0
―――

姉「…どうだった?」

妹「…後輩って人に…告白されたみたい」

妹「ベッドの上でバタバタしてた」

姉「やっぱり?まだやってるのね」

姉「まああれも青春の形ってものだよね、思春期の男の子には刺激が強いかもだけど…放っておくのが一番――」

妹「…ねっ、ねえお姉ちゃん、今のお兄ちゃんに向かって私が告白しちゃったら、どうなるかな…?」

妹「もっと混乱させて…おかしなことになっちゃう…?」

妹「もしかしたら今までの関係、壊れちゃうかな…!?」

姉「…妹ちゃん」
657 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:16:41.91 ID:akoD/QR+0
妹「……」

姉「…やってみなくちゃ…わかんないんじゃないかな」

妹「…!」

姉「なんてね、無責任で悪いけどさ」

妹「…驚かないの?私が…お兄ちゃんの事、好きって知っても」

姉「…ひとりの、男の子として好きなんでしょ?うん、驚かないよ?だって知ってたもん」

妹「お姉ちゃん…」

姉「妹ちゃんのこと、ずっと見てたらバレバレだよ」

姉「女の子はね、男の子と違って恋のお話には敏感なんだよ?よく知ってるでしょう」

妹「…あはは、そう言われればそうかも」

姉「ふふ、別にお姉ちゃん嫉妬したりしないからさ、たまには男の子を誑かして遊んでみたらどう?」

妹「え、えー…?」

姉「…迷わなくていいんだよ?責任ならお姉ちゃんが持ってあげよう」

妹「…ひひっ…それならしょうがない、乗った!」

姉「うふふ、行ってらっしゃーい♪」
658 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:19:35.72 ID:akoD/QR+0
―兄の部屋―

コンコン

兄「…………」ブツブツブツブツ

妹「…勝手に入るよ?お兄ちゃーん」ガチャッ

兄「…………」ブツブツブツブツ

妹「…いったいどうしちゃったの…おーい」

兄「…後輩後輩後輩後輩…」ブツブツ

妹「……」

兄「…あqwddcxざdfgbんいkml、…」ブツブツ

妹「…はぁ、もう仕方ないなぁ……すぅーっ…」

兄「……」ブツブツ

妹「めぇさませぇえぇぇええぇえぇえええぇええええぇぇぇっ!!!!」

兄「!!!!」ビクッ

妹「…ふぅ、おはよう♪お兄ちゃん」
659 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:22:05.14 ID:akoD/QR+0
兄「い…妹…」

妹「さっきからブツブツブツブツ何言ってたわけ?」

兄「…お前に話すとなんかお前がイライラし始めそうで…」

妹「むしろその発言にイラっと来たわ…まあいいけど」

妹「でもさっき聞こえちゃったんだよねえ、だからわかってんのよ」

妹「この間は幼馴染に、そして今日は後輩って人に…短い間で女の子から立て続けにアプローチされて困ってたんでしょー?」

兄「…うげ…ず、図星でございます…」

妹「…はぁ、わが兄貴ながら情けないと思うよ…」

兄「なっ、なんだと…!」

妹「枕に後輩後輩喋りかけててなんか解決すんのかよって言ってるの」

兄「…っ!……」

妹「それに、幼馴染の告白への返事もまだ返してないんだって?だらしねー、本当に男かよ」

兄「…うっ…くそ…」
660 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:23:54.54 ID:akoD/QR+0
兄「…で、でも…姉貴は、待たせても平気だって…」

妹「ああああああああああああうざいっ!もう面倒くさいっ!!ていうかまさかそれ本気で言ってるわけじゃないよね!?」

兄「なっ…お、俺だって…!」

妹「うるさいわこの玉無し!あんた幼馴染の気持ち考えたことあんのか!」

兄「た、玉無し…!?」

妹「そうよ玉無しよ!男のくせになよなよしちゃって!」

妹「幼馴染は飄々として、どこか食えないところもあるけど!」

妹「その分誰よりも繊細で!明るくて前向きで!そして優しく!女の子らしい娘なんだよ!」

妹「お兄ちゃんが一番よく知ってるはずでしょ!?それなのに本当にただの友達としてしか見てないわけ!?」

兄「うっ、い、妹…」

妹「私はお姉ちゃんとは違うよ、誰かを見守り続けて、自分はじっとしてるなんて器用な真似はできない」

妹「むしろその逆!じっとなんかしてられない、好きなものには好きっていう!嫌いなものには嫌いっていうよ!」

妹「…もちろん、完璧じゃない…踏みとどまったり、悩んだりするときだってある」

妹「でもね、それでも乗り越えていかなかったら、人生なんてやってけないのよ!」
661 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:27:48.75 ID:akoD/QR+0
兄「…っ!知ったような口を…!」

妹「知ってるから言えるの!知らなかったら言えないよ!」

兄「じゃあ何を知ってるっていうんだ!?ずっと友達としてしか見てなかった幼馴染に突然告白されて戸惑ってる俺の気持ちはどうだ?」

妹「…共感はできない…でも、お兄ちゃんの心は知ってるよ」

兄「…だったら、コンクールに行く仲間だとしか思ってなかった後輩に突然告白された俺の気持ちは…?」

妹「…それも同じだよ」

兄「…共感できないのに…知ってるって言えんのか?」

妹「さあね、それは知らないよ…お兄ちゃんには関係ないから」

兄「……」

妹「お兄ちゃんに関わることしか知らないよ、まだ中学生だし」

妹「でも、たとえ知らなかったとしても、それを盾にして逃げたらいけないよ」

妹「その先にはもういけない」

妹「全部が『言い訳』」

妹「二度目はなくなっちゃうの」

662 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:30:03.68 ID:akoD/QR+0
兄「…じゃあどうすればいいんだよ!今まだ足掻いてる最中だっていうのに…!」

妹「また言い訳を増やして…そんなに難しいことなの?大事な友達に向けて返事をするっていうのはそんなに難しいの…?」

兄「当たり前だろ!下手打って傷つけちゃったらどうすんだよ…!」

妹「……」

兄「…なあ…どうすればいいっていうんだ…?」

妹「…じゃあ…逆の立場に置き換えてみれば…?」

妹「お兄ちゃんは…優しすぎるんだよ」

妹「もし…逆の立場だったらどうするのよ」

妹「もし…お兄ちゃんから幼馴染に告白して、それで振られたっていう仮定をした場合」

妹「お兄ちゃんならどうするの…?」
663 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:32:37.37 ID:akoD/QR+0
兄「…俺だったら…」

兄「……」

妹「……」

兄「…なぁ妹、笑ったりしないか?」

妹「うん」

兄「…そうだな…誰にも見られない、薄暗いところで…」

兄「…自嘲しながら、惨めに泣き始めるかも」

妹「…そっか」

兄「…それでさ、次の日には…何事もなかったかのように、笑顔であいつと接するんだろう」

妹「幼馴染も、きっとそうすると思うよ」

兄「…そうか…」

兄「…そう、だよな…あいつは、その程度でヘコんだりするようなタマじゃねえよな…」

兄「そっか…考えればすぐわかったのに…」
664 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:37:25.99 ID:akoD/QR+0
兄「後輩だって同じだ…あいつには、部長先輩と部長友先輩がついてる」

―――

部長『たとえ彼女が悲しむ結果が訪れたとしても、気遣わないで、そっとしておいてあげてください』

部長『彼女が恐れている事態になるのは、避けたいですから』

―――

兄「…誰を選ぶか決めるのは俺自身なんだ…それなのに下手な同情なんかしちゃったら、相手に失礼だよな…」

妹「私の言いたいこと…伝わった?」

妹「要するに、精一杯の想いと勇気を込めた告白で…自分が傷つく覚悟もできない弱っちい女の子なら」

妹「…はじめっから他人を好きになったりしない、ってこと」

妹「だから、お兄ちゃんが気遣う必要なんかない」

妹「誰にだって、支えてくれる人がいるの」

妹「お兄ちゃんは、そういう人に…気にせず甘えておいたらいいの」

兄「…そうだな、ありがとう」

妹「……」

妹「…ね、ねえ…お兄ちゃん…も、もう一つ話があるんだけど…い、いい…かな?」

兄「…えっ?」
665 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:40:18.34 ID:akoD/QR+0
妹「多分…これ以上掻き乱したらお兄ちゃんの頭おかしくなっちゃうと思うけど…」

兄「お、おい…変な話じゃないだろうな」

妹「…んー…まあ、変な話かもしれないけど…ただ聞いてくれるだけでいいよ」

妹「さっきまで言ってたことと矛盾しちゃうけど…とりあえず、答えはすぐには聞かないからさ」

妹「まずは、そこで聞いてて…お願い」

兄「…わ、わかった…」


妹「…行くよ?」

兄「お、おう…」
666 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:48:57.74 ID:akoD/QR+0
妹「…はぁーっ…」

妹「…お兄ちゃん…私、何度も何度も疑った」

妹「いけないことかなって思ってた…最初は、受け入れられなかった」

妹「それなのに、段々段々…日に日に大きくなっていく気持ちが…私の中にあって」

妹「幼馴染にも妹友にも相談した…今まではできなかったけど、やっと答えを出せた…」

妹「臆病な自分を変えるため…そして、お兄ちゃんに本当の気持ちを知ってもらうため」

妹「…もし万が一…これ以上、この気持ちを抑えていたら…私はもう、自分が自分でなくなる気がする」

妹「だから、ずっと迷ってたけど…言うね」


妹「お兄ちゃん…いいえ、兄さん」

妹「妹としてじゃなくて…一人の女の子だと思って」

妹「私と付き合ってください…お願いします」ペコッ
667 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:50:08.62 ID:akoD/QR+0
―幼馴染の家―

幼馴染「…このビデオ…処分しちゃったほうがいいのか、兄君のとこへよこしたほうがいいのか」

幼馴染「やっぱり迷うよ…厄介なものを押し付けられちゃったもんだ」

〜♪ 〜♪

幼馴染「…ん、携帯が鳴ってる…」ピッ

幼馴染「もしもし、幼馴染です…」

幼馴染「…!…姉さんの…おじいさん」

幼馴染「…はい、はい…そうですか、近いうちに…ここへ…」

幼馴染「…わかりました、では…また、今度…」ピッ

幼馴染「……」

幼馴染「…そうか、あの人はもうここへ…予定よりもずっと早い…」

幼馴染「兄君、妹…君達が、喉から手が出るほどにまで知りたがっていた『真実』…」

幼馴染「そろそろ知るときが来そうだけど…果たして、二人に覚悟はあるかな…?」
668 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:53:55.92 ID:akoD/QR+0
男「くっ…!離せクソジジイ!」

老人「ふん、大事なわしの家族を無残に殺してくれおったお前に触れるなど本来ならこっちから願い下げじゃ、汚らわしい」

男「ちっ…てめー何年も前の事なのにまだ根に持ってやがんのかよ、これだからジジイってやつは…」

老人「…時効でも来たならさっぱり忘れてやれるかもしれんがな、生憎殺人事件に公訴時効はないんだと」

男「知るか!いいからさっさと離しやがれ…!」

老人「…まったく、こんな男今すぐにでも豚箱にぶち込んでしまいたいものだが…」

男「おい、聞いてんのかてめぇ!!…くそっ、俺はただ…ただ、兄のやつを…!」

老人「…もういい、その話は…当の兄と会ってからだ」

男「…っぐ…おい、本当に兄のやつに会えるんだろうな…?」

老人「約束しよう…お前が余計な真似をしないのならな」

男「…ふん、約束…か、その言葉は信用ならねえんだよ」

男「…あの時に…あいつらの父親と母親に、破られて以降ずっとな…!」

老人「……」
669 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/13(火) 21:54:50.83 ID:akoD/QR+0
今日はここまで
正直あまりに引っ張り過ぎて若干尺が足りない予感が…
どうしよう、大丈夫かな?
お休みなさい
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 08:09:17.88 ID:SI8LsaAIO
乙!
そしたら次スレで
671 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:19:43.81 ID:71qyKABd0
まどポ面白すぎワロタwwwwwwwww
書きます
672 :>>668から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:22:31.13 ID:71qyKABd0
―姉の家―

姉「妹ちゃん、うまくやっててくれるといいんだけど…大丈夫かな?」

〜♪ 〜♪

姉「あれ、携帯が…」ピッ

姉「…もしもし?」

幼馴染『姉さん、遅くにごめんなさい…』

姉「幼馴染ちゃん…珍しいね、何か用?」

幼馴染『はい、今から少し…お時間いただけます?』

幼馴染『話したいことが…あるんです』

姉「…話したい、こと…?」

幼馴染『はい…できるだけ、手短に済ませますので』

姉「いいけど…嫌な予感がするなぁ」

幼馴染『…大丈夫です、お爺様がついてますから』

姉「…!…」

幼馴染『…姉さん』
673 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:23:21.57 ID:71qyKABd0
―街中 路地裏―

幼馴染「……」

男「…じいさん、ほんといい加減離してくれ…どこにも逃げやしねえからよ」

老人「ちょっと前は、同じこと言って逃げ出したじゃろうが…信用ならん」

男「…けっ」

幼馴染「いい気味だね…普段から周りを裏切ってばかりいるから、自分も誰にも信用されない…さながら狼少年だ」

男「…うるせぇ、知ったような口ききやがって…」

男「大体なぁ、最初に裏切られたのは俺のほうなんだぞ!?」

老人「よさんか!…まったく」

男「…ふん」

幼馴染「……」
674 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:25:21.31 ID:71qyKABd0
姉「…!いたいた、おじいちゃんっ!」

老人(以下、姉祖父)「おお、姉!久しぶりだなぁ」

姉「うんっ!」

男「…おい、感動の再会のとこ悪いが…さっさと兄に会わせちゃくれねぇかなぁ」

姉「…いないわよ、ここには…」

男「何?」

姉「あの子は今…すごく不安定な状態なのよ」

姉「幼馴染ちゃんにも、部活の後輩の女の子にも…そして、妹にも」

幼馴染「…妹…」

姉「告白されて、いっぱいの女の子の気持ちを知って、パンク寸前なの」

姉「今のあの子を…あんまりおかしくさせたくない」

姉「あなたも、男だったらわかるでしょ?思春期の男の子は放っておいたほうがいいのよ」
675 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:26:31.82 ID:71qyKABd0
男「…なんだそれ…どういうことだよ、まるで天然の女タラシじゃねえか」

幼馴染「あまり悪く言わないで…僕の大切な人だ」

男「…ふん、誰に似たんだかな…」

姉「…嫌味な男ね」

男「お前が言うな」

姉祖父「とにかく、タイミングが悪かったってことじゃな…男、今日は諦めい」

男「…ってことは…あんたの一方的な『約束』も、結局破られてしめーだってことか?クソジジイ」

姉祖父「愚か者、逸る気持ちはわかるが今日中だなどと誰が言った?」

男「っ!…ちっ、死ね」

幼馴染「…相変わらずの口の悪さに素行の悪さだね…今でも犯罪は続けているの?」

男「だったら何だよ…」

幼馴染「…いや、別に…ただ」

幼馴染「僕は…兄君がかわいそうだなぁと思って…ね」
676 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:29:17.71 ID:71qyKABd0
男「なんだとてめぇっ…!」

幼馴染「それだけじゃないよ、あなたの奥さんだって…こんなに出来の悪い旦那さんを持ったら、ひどくかわいそうだ」

男「…お前に…お前に何がわかる!お前だって…あいつらに捨てられたかわいそうな餓鬼じゃねぇか!」

男「あいつらは…借金抱えてその苦しさに!耐えきれず…姉の両親や俺たちに全部押し付けてっ!」

男「挙句自殺した!育てきれなかった餓鬼は…段ボールに入れて捨てやがった!」

幼馴染「…何っ…何の話だ…!」

男「てめーの両親の話だよ!あいつらは借金の重さに耐えきれず!餓鬼も金も、全部知人に押し付けて!」

男「みっともなく首吊って死んだのさ…!」

幼馴染「っ…!う、嘘…そんな、ただ行方不明なだけだと思ってたのに…」

男「…幼馴染、お前知らなかったのか…だがな、こいつは全部事実で――」

姉祖父「…もうよい、そのしわ寄せをお前が喰らって散々な目に遭ったことは知っておる」

姉祖父「それ以上…その娘を追いつめる必要はない」

幼馴染「……ごめんなさい、僕…ちょっと水飲んできます」ダッ

姉「幼馴染ちゃん…!」
677 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:30:20.55 ID:71qyKABd0
姉祖父「姉、追いかけてくれ」

姉「…わかった」ダッ

男「……」

姉祖父「…あの一連の事件…どの親たちにも、何かしら責任はある」

姉祖父「それは…十分にわかっている」

姉祖父「いくら短気なお前さんでも…何の理由もなしに人殺しなんぞしたりはしない…」

姉祖父「それももちろん、十分にわかっているよ…」

男「……」

姉祖父「だがな、あの中で人殺しなどという犯罪を犯したのは…お前さんただ一人だ」

姉祖父「わしらは…ただその罪を償ってもらいたいだけなんじゃ」

姉祖父「あのくだらない事件も…もう10年前」

姉祖父「いい加減忘れてもいいころだとは思わんか…?」

男「…くそ…」
678 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:31:43.22 ID:71qyKABd0
男「…けっ」パシッ

姉祖父「っ!……」

男「兄に会えねぇんならもういいわ、帰る」

姉祖父「……」

男「大体、隠し事を隠し事のまま、いちいち気を付けてしゃべってたんじゃ…やりにくくってしょうがねぇ」

男「兄が俺と話せるようになったら…また呼んでくれ」

男「いつでも来てやるからよ」

姉祖父「…どういう風の吹き回しだ?」

男「…言っただろ、俺はもう一度兄のやつと一緒に過ごしたいんだ」

男「一日だけでいい、家族みてぇになりてぇだけだ」

男「…そしたらそのあとは、死刑でも終身刑でも…なんでもされてやるよ」

男「まあ当然、信用しろとは言わねえけどな」

男「…あばよ、クソジジイ」スタスタ

姉祖父「……」
679 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:33:16.29 ID:71qyKABd0
―――

姉「…はぁ、はぁ…あっ、幼馴染ちゃん…」

幼馴染「…っ!…はあっ、姉さん…」

姉「…この公園、小っちゃいころは…よく一緒に遊びに来てたよね」

幼馴染「…そうですね」

姉「ちょっと…お話していかない?あのブランコで」

幼馴染「えっ?」

姉「…私、まだ、さ…兄君と妹ちゃんが、真実を受け入れられるとは…到底思えないんだよね」

幼馴染「……」

姉「だから…今すぐ受け入れてもらう必要はない」

姉「全部…私が黙っていれば、済むことなんだから」

幼馴染「…姉さん…」
680 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:34:36.85 ID:71qyKABd0
キィーコ キィーコ

姉「…夜風が気持ちいい…昔と、なんにも変わってない…」

幼馴染「……」

姉「…ねえ、幼馴染ちゃん」

幼馴染「…はい」

姉「妹ちゃんがね…なんだか今日、兄君を誑かすようになっちゃったの」

姉「…ねえ、何か…した?」

幼馴染「…ふふ、いいえ…姉さんに似て、男心をくすぐるのがうまいだけだと思いますよ」

姉「姉さんに似て、かぁ…言ってくれるじゃない」

姉「…むしろ私には、幼馴染ちゃんに似たような気がするけどなぁ」

幼馴染「そんなはずありませんよ、まあもしあの娘と姉妹だったら分からなくもないですけど」

姉「あはは、そうかな」

幼馴染「はい」
681 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:37:22.15 ID:71qyKABd0
姉「……」

幼馴染「…姉さん、私…兄君や妹のこと、ずっと…弱い、弱い、って…心のどこかで、見下してたのかもしれないです」

姉「…幼馴染ちゃん?」

幼馴染「でもね、私…さっき、私の両親が借金のせいで自殺したって聞いたとき…」

幼馴染「…嘘だ、嘘だ、って…必死に否定して、挙句に逃げ出して…真実から逃げて」

幼馴染「だから、その…弱いのは、私のほうじゃないかな、って…」

幼馴染「これじゃあ二人に、申し訳ないですよね…」

姉「…幼馴染ちゃん、何を恥じる必要があるのかしら…?」

幼馴染「…え?」

姉「何も恥ずかしいことなんてないよ、気にする必要なんてない」

姉「だって、ずっと何も知らなかった…もしかしたら、生きてるかもしれないと思ってた…」

姉「そんな家族の話を聞いて、否定したくなるのは当たり前よ」

姉「…そこで投げ出さない幼馴染ちゃんは…十分に強いよ」

幼馴染「…ほ…本当に…?」

姉「ええ、もちろん」
682 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:51:31.33 ID:71qyKABd0
姉「…でも、ね…偉そうなこと言っといてなんだけど、私も大切な家族の事、信じ切れていないのかも」

姉「…だって…兄君や妹ちゃんで同じ例えをしてみると…なんだか、踏ん切りつかないんだっていうか…」

姉「幼馴染ちゃんと違って…あの子たち、全部投げ出して…自棄になって、家族が壊れるかもしれないって…」

姉「…それももちろん、確証があるわけじゃない…話してみないとわからない」

姉「でも、それでもやっぱり…もしかしたら、って考えたら…言い出せなくって…」

幼馴染「姉、さん…」

姉「…あはは、もしかしたら…一番弱いのは、ずーっとうじうじしてる…私なのかも…なんて…」

幼馴染「そっ、そんなことないです…!」

幼馴染「もっと、自分に自信を持ってください!姉さんは強い人ですよ…!」

幼馴染「…私には家族がいない…両親も、さっきの話が本当なら…自分の親だと信じたくない悲惨な死に方をしてる…」

幼馴染「でも、私…たとえそんな両親だったとしても、家族は欲しかったです…」

幼馴染「実際にいたら、うんざりするのかもしれない…だけど、こういう大切さって…持ってない人じゃないと気付かない」

幼馴染「最初から持ってない私からすれば…喉から手が出るほど欲しかった、大切にしたかった…」

幼馴染「…本当の、家族を…」
683 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:53:11.87 ID:71qyKABd0
姉「お…幼馴染ちゃん…」

幼馴染「つ、つまり…家族をなくすの、怖がるのは当たり前…!」

幼馴染「だからこそ、私にはないものを…大切にしてください…」

幼馴染「姉さんは、強い人です…!」

姉「あはは…ありがとう」

幼馴染「…あっ、それと…もうひとついいですか?」

姉「ん?いいよ、なんでも」

幼馴染「…兄君は、今…悩みに悩んでるはずです」

姉「…うん」

幼馴染「私や妹や…後輩ちゃんのせいで」

幼馴染「…でも、悩んで悩んで、最後に答えを出せたとき」

幼馴染「それが、兄君が…本当に強くなる瞬間だと思います」

姉「…じゃあ、その時まで…?」

幼馴染「はい、もし兄君を…信じるのなら」
684 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:53:56.51 ID:71qyKABd0
姉「……」

幼馴染「…それと、妹はもう…信じて平気だと思います」

姉「どうして?」

幼馴染「彼女が勇気を出せたなら…そのとき、きっと彼女は変わった」

幼馴染「私は、信じてますから」

幼馴染「…残りは、全部兄君次第です」

姉「…そっか…わかった、なら私も信じてみようかな…!」

幼馴染「はい!あ、それと姉さん、私いろいろお話してるうちに気が紛れてきました!」

姉「そう?それならよかった、またいつでも呼んでね」

幼馴染「わかりました、すみません遅くまで…本当に…」

姉「いいのいいの、それじゃあまた今度!」

幼馴染「はい、ありがとうございましたっ!」スタスタ


姉「……」

姉「…信じる、かぁ…」
685 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:57:03.59 ID:71qyKABd0
―兄の家―

妹「……」

妹「……」

姉「ただいまー…って、あれ?何してんの?」

妹「…お、お姉ちゃん…え、えへへへへへ」

姉「な、なになに!?どうかしたの!?」

妹「…頑張って告白したんだけど…締め出されちゃって…どうしよ、泣きそう」

姉「あちゃあ…兄君の頭じゃ許容しきれなかったか…」

姉「女の子に告白され過ぎてパンクしちゃったんだね、案の定…」

妹「…無反応かつ無表情でこっちに近づいてきてドアまで押し付けられて、」

妹「そのまま放り出されてバタン、ガチャって…」

姉「…それはひどいね、確かに…」

妹「どうすればいいかな、私?」

姉「どうもしなくていいよ、放っときなさい」

妹「えっ、それでいいの…?」

姉「いいのいいの」
686 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:58:40.98 ID:71qyKABd0
姉「…ここから先はね、兄君の問題だから…」

妹「…で、でも…私、そわそわして…」

姉「……」

姉(…本当だ…幼馴染ちゃんの言う通り、一見変わってないように見えても…きちんと変わってるみたい)

姉(目の奥に、今まではなかった光が宿って見える…勇気出して、頑張った証拠だね)

姉「せっかく勇気出して、頑張って、好きですって言えたんでしょ?」

妹「…うん」

姉「妹ちゃんにできて、兄君にできないはずないじゃない…今度は、兄君の勇気を試す番だよ」

姉「ヘタレなままのお兄ちゃんとなんて、付き合いたくないでしょ?妹ちゃんも…さ」

妹「…うん…どうせだったら、もっと格好いいほうがいいかなー…なんて」

姉「うんうん、だから今は待つべしだよ妹ちゃん」

妹「…わかった…ありがと」
687 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 21:59:59.84 ID:71qyKABd0
―兄の部屋―

兄「……」

兄「……」

―――

幼馴染『…私こと幼馴染は、小学校のころから兄君の事が大好きでした』

幼馴染『勿論今でも、当然恋愛的な意味でね』

幼馴染『というわけで好きです、付き合ってください』

―――

後輩『…兄先輩のことがっ、大好きです!だから私と、付き合ってください…――!!』

―――

妹『お兄ちゃん…いいえ、兄さん』

妹『妹としてじゃなくて…一人の女の子だと思って』

妹『私と付き合ってください…お願いします』ペコッ

―――

兄「くそっ…幼馴染、後輩、妹…」

兄「俺には…みんながあんまり身近にいすぎて、女の子としてなんて…選べないよ…」

兄「ちくしょう…どうして俺はこんなときにこうなんだよ…」

兄「どうして俺ばっかりなんだよ…!」
688 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 22:01:14.28 ID:71qyKABd0
―――

妹『要するに、精一杯の想いと勇気を込めた告白で…自分が傷つく覚悟もできない弱っちい女の子なら』

妹『…はじめっから他人を好きになったりしない、ってこと』

妹『だから、お兄ちゃんが気遣う必要なんかない』

妹『誰にだって、支えてくれる人がいるの』

妹『お兄ちゃんは、そういう人に…気にせず甘えておいたらいいの』

―――

兄「わかってる…わかってるよ…でも、だけど…」

兄「誰かが傷つくとかじゃなくて…俺自身どう思ってるのかって聞かれたら…」

兄「どう答えるんだよ…!」

兄「…それがわかんないんだ…なんで、なんで俺は…っ!!」
689 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 22:02:59.78 ID:71qyKABd0
―――

後輩『私…私、まだ先輩と出会ったばっかりだし、素直じゃないし、よく喋るわけじゃないし、全然みんなの役にも立たないし…』

後輩『…でも、それでも、私…先輩と一緒に過ごす日々が楽しくて!先輩に褒められるのが嬉しくて!』

後輩『夢を掴むために頑張る感覚がすごく好きで…!』

後輩『きっかけは…ほんの少し優しくされた程度だったけど!』

後輩『私を…変えてくれて!それで、それで…っ!!』

―――

妹『…お兄ちゃん…私、何度も何度も疑った』

妹『いけないことかなって思ってた…最初は、受け入れられなかった』

妹『それなのに、段々段々…日に日に大きくなっていく気持ちが…私の中にあって』

妹『幼馴染にも妹友にも相談した…今まではできなかったけど、やっと答えを出せた…』

妹『臆病な自分を変えるため…そして、お兄ちゃんに本当の気持ちを知ってもらうため』

妹『…もし万が一…これ以上、この気持ちを抑えていたら…私はもう、自分が自分でなくなる気がする』

―――

幼馴染『…僕の気持ちは…ずっと昔から何一つ変わらず』

幼馴染『ずーっと君が…大好きだから』

幼馴染『…それだけ伝えておくね』

―――

兄「…くそ…くそっ、くそっ…!頭の中で、いろんな台詞がぐるぐるぐるぐる…!」

兄「…俺の、本当に好きな女の子は…いったい…誰なんだよ…」

兄「誰なんだよ…っ!!俺にはわかんない…どうすれば、いいのか…っ!!」

兄「あああああああああああああああああああああああっ!!!!」
690 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 22:03:36.18 ID:71qyKABd0
―――

『…じ、じゃあ…いいいっしょにきききそれんしゅうがいいです!』

『私たちの家族の事だもん!知らないままじゃ…家族だなんて言えないじゃん!』

『考えに考え抜いて…ようやく出した答えが…あの日の告白なんだから』

『失礼しますこんにちは』

『きゃっ!?ちょっ、なんで撮るの!?見せて見せて!』

『…ばか、ヘンタイ』

『辛い時はいつでも言ってね?約束だよ、じゃあね!』

『お兄ちゃんは…優しすぎるんだよ』

『やめてよ、惚れ直しちゃうでしょー』

『どうしていっつも遅刻してくるんですか先輩は』

―――

兄(…俺は…)

兄「俺は…―――!!」
691 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/17(土) 22:05:18.55 ID:71qyKABd0
今日はここまで
さっき何の気なしに自分の酉でググってみたらこんなカスみたいなSSをわざわざまとめてくださってるサイトを
見つけてしまってちょっとビビりました…ありがとうございます

次は春分の日に書く予定です、お休みなさい
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 11:19:24.59 ID:+6OpYtdDO
おつおつ
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 13:08:15.73 ID:wK+X121IO
いいねいいね
694 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 18:43:16.63 ID:IW0Ew0MT0
やれ勇気出せとかやれ人を信じろだとか言ってるこのSSですがそれを書いてる俺自身は
ホワイトデーのお返しすら自分一人じゃまともにできないチキン野郎です死にたくなります

書く
695 :>>690から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 18:45:38.81 ID:IW0Ew0MT0
―翌朝―

姉「二人ともおはよー、ご飯出来てるよーっ」

妹「ありがとーお姉ちゃん」

兄「……」

姉「…兄君、元気ないみたいだね」

妹「…お兄ちゃん」

兄「…姉貴…今日俺、学校休むよ…」

姉「えっ、本当?幼馴染ちゃんが心配するよ?」

妹「それと…後輩、って人も…」

兄「…っ!」ギリッ

兄「悪いけど、今は二人の事は考えたくないんだよ…」

妹「お兄ちゃ――」

兄「…妹、お前のことだって…!」

妹「―…!!」
696 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 18:48:58.87 ID:IW0Ew0MT0
姉「…兄君…」

兄「…ごめん、今食欲もないから…部屋に戻ってるね…」スタスタ

姉「…兄君、本当に欠席する気なの…?」

妹「…お兄ちゃん…おにい、ちゃん…!」

姉「……」

妹「…お姉ちゃん…やっぱり私、傷つけちゃったんだ…」

妹「きちんと考えて、勇気振り絞って、それなりの気遣いもしたつもり…」

妹「でも、ダメだったみたいだね…私、傷つけちゃったんだよね…?お兄ちゃんの事…」

姉「…!」

妹「お兄ちゃん…他人の心配ばっかして…自分の気持ちは、後回しにしてたみたいでさ…」

妹「それで、いざ自分の気持ちにぶつかってみたら…きっと、ああなっちゃったんだと思う…」

妹「…当然だよね…実の妹に、女の子として付き合って、なんて言われたって…どうしていいかわかんないよね…!」

妹「私、最低だ…」

姉「妹ちゃん…」
697 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 18:51:05.31 ID:IW0Ew0MT0
姉「…妹ちゃん、あなたがこれ以上悩む必要なんかないよ」

妹「でも…」

姉「昨日も言ったでしょ?妹ちゃんは今まで悩みに悩んで答えを出した」

姉「今度はそれに、兄君が答える番なんだよ」

姉「…だいいち、あまり言いたくないけど、妹ちゃんにこれ以上出来ることがあると思う?」

妹「……」

姉「妹ちゃんのやることなすこと、全部がきっと逆効果だよ?」

妹「…でも、私…やっぱり…」

姉「…もう、告白した時の勇気はどうしちゃったの?せっかく強くなったのにっ」

姉「責任はとるって言ったよね、後は私に任せなさいな」

姉「ねっ?」

妹「…わかった…ちょっと心配だけど…」

姉「ちょっと、どういう意味なの?」

妹「ぷっ、ふふふっ」

姉「あっはは、さあさあ支度して学校行きなさい」

妹「…はーい」
698 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 18:57:26.14 ID:IW0Ew0MT0
妹「じゃあ…行ってきます」ガチャッ

姉「いってらっしゃい、気を付けてねー」

バタン

姉「…さーてと、お姉ちゃんとして…ダメな弟を引っ張ってあげましょっか」スタスタ

―――
699 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:00:43.35 ID:IW0Ew0MT0
―兄の高校―

部長「起立、礼…お願いします」

部長「着席」

「「「失礼しまーす」」」


部長友「…部長、兄のやつはどうしたんだ?」

部長「ああ、それが…体調がすぐれないらしくて、今日は部活も学校も欠席だと…」

部長友「本当か?あいつにしては珍しいこともあるもんだな…遅刻は多くても、欠席は滅多にしないのに」

部長「はい…もしかしたら、昨日の事が引っかかっているのかもしれませんけど…」チラッ

後輩「…!」

後輩「……」

部長「後輩…」

部長友「……」

部長友「…部長、後でもう一つ…話がある」

部長「…わかりました」
700 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:02:41.13 ID:IW0Ew0MT0
―――

ガチャッ

部長「…戸締り完了…で、さっきの話というのは?」

部長友「…昨日の夜の、後輩の態度見てたらさ…いろいろ思うところがあってな」

部長「あいつ…もしかしたら自分でも、恋の行方がどうなるか…知ってるんじゃねえかってな」

部長「…自分でも言ってましたからね、ただの自己満足って」

部長友「それで…そっからまた考えたんだよ」

部長友「…私たちのしたことは…正しかったのかな、って…」

部長「どういうことですか?」

部長友「…一世一代の大勝負に出たようなもんなのに、あいつからは、なんていうかこう…」

部長友「達成感、みたいなものより…安堵感、だけっつーか…うまく言えないけど…」

部長友「…とにかくこう、やってやったぞ、っていう…自信が見てとれなかった、ような…」

部長「…全然わかんないです」

部長友「ごめん…」
701 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:04:02.01 ID:IW0Ew0MT0
部長「…まあでも、なんとなくなら、わからないでもないかもしれません…私も、似た気持ちでいました」

部長友「…もやもやした気持ち、って言ったらいいのかな…ああああ!やっぱわかんねーよ!」

部長「…だけど…きっと私たちのしてきたことは、間違ってないと思います」

部長「だって、私達…先輩として当然のことをしたまででしょう?」

部長「恋煩いで悩む後輩の背中を押し、勇気づけることができた…それだけで十分じゃありませんか」

部長「恋の結果はどうでもいい、あの娘の気持ちも関係ない」

部長「…結局私たちも、ただの自己満足でしょ」

部長友「…けっ、はぐらかしやがって…悩んでた私がバカみてーじゃねーか」

部長「違うんですか?」

部長友「なっ、てっ…てめえ言ったな!?このやろー、ぶっ飛ばしてやらあ!」ダッ

部長「ふふ、あははっ!」ダッ
702 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:06:28.77 ID:IW0Ew0MT0
―妹の学校―

妹友「おはよー妹!昨日はどうだった?」

妹「ああ、おはよう…それが実はね…」

妹友「…?」

妹「…私、お兄ちゃんの事…傷つけちゃったみたいで…」

妹友「…あちゃあ、やっぱりそうなるかぁ…」

妹「…どうすればいいのか、わかんなくて…」

妹友「…妹…」

妹「私…私、関係壊れるのは…やっぱ嫌だったみたいで…」

妹「…ごめんね、妹友に…あんな啖呵まで切ったくせして…」

妹「結局、私は…」

妹友「――嘘吐きだった、ってことね?」

妹「……」

妹「…うん…そう、だね…」
703 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:09:23.54 ID:IW0Ew0MT0
妹友「…おいおい、そこで認めちゃってどうするのよ」

妹「え?」

妹友「あんた本当にそれでいいの?…自分の気持ちに嘘つくだけだったら…自分の言葉に嘘つくだけだっら、まだいいよ」

妹友「…だって、家族だもん…怖がるのも、仕方ないかもって思えるけどさ」

妹友「……けどさ、あんた、あたしの気持ちまで裏切ってくれるなよ」

妹「…!」

妹友「あんたの決意を知ったからこそ…あたしはあんたに協力したのよ」

妹友「それなのに…あたしへかけた決意そのものを否定するってことは、自分の言葉とあたしへの言葉」

妹友「両方まとめて裏切るってことだよ?」

妹友「言いたくないけど…正真正銘嘘吐きの、裏切り者じゃない」

妹「……」

妹友「…あんたがそうなるの、あたしは嫌だ…」

妹友「自分の言葉、もう一度思い出してみて」

妹友「あのときあたしに言ったこと…全部嘘にするつもり…?」

妹「…私は…」
704 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:12:46.73 ID:IW0Ew0MT0
妹「……」

―――

妹『兄妹関係が壊れるとか、周りから白い目で見られるとか』

妹『そういうことを気にして臆病になってたら…いつまでたっても私の心は弱いまま』

妹『実らなくたっていいの、私はお兄ちゃんに向けて、自分の想いを伝えたいだけ』

妹『全部、私のライバルに教わったことだよ』

―――

妹「…そっか、そうだよね…そうだったね…」

妹「せっかく強くなったってのに…否定してたらいけないよね…」

妹「関係ないんだよね…!兄妹だろうとなんだろうと、想いは本物なんだから…」

妹「…ありがとう妹友…目が覚めたよ」

妹友「そう?よかったあ、協力した甲斐があったってものね」

妹「うん…」

妹(……あとは…お姉ちゃんに任せよう…)
705 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:15:14.87 ID:IW0Ew0MT0
―兄の部屋―

兄「…はぁ、結局俺はどうすればいいんだよ…」

兄「幼馴染も妹も後輩も…みんな俺にとって大切な女の子たちだ」

兄「…でも、だからって…見方を変えるとか、今更になって意識するとか…できっこねえよ…」

兄「…ちくしょう、なんで俺はこんなに煮え切らない男なんだよ…!」

兄「くそっ、情けねぇ…」

兄「……」

コンコンッ

兄「…!」

姉「…兄君、学校休むって…連絡入れといたよ」

兄「……」

兄「…ありがとう」

姉「…ううん、別にいいよ…それより」

姉「部屋…入ってもいい?」

兄「……」
706 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:16:43.85 ID:IW0Ew0MT0
姉「……」

ガチャガチャッ

姉「…なんだ、鍵かかってんじゃん…ならここでいいや」

兄「…なんだよ、何の用だよ…」

姉「聞き流したいなら聞き流して構わない…今から私、独り言言うから、ここで」

兄「…はぁ?何言って…――」

姉「お姉ちゃんさあ、ずっと気付いてたんだ…妹ちゃんの、あなたへの気持ちも…もちろん、幼馴染ちゃんの気持ちも」

兄「…本当にしゃべり始めた…」

姉「まあ、後輩ちゃんって娘はわかんないけど」

兄「……」

姉「そして、自分じゃ気付いてないみたいだけど…兄君には、とある天性の才能がある」

兄「…なんだよ、それ…」

姉「…あらら、やっぱ気付いてなかったかぁ…しょうがないなぁ、じゃあ教えてあげよっか」

兄(…独り言じゃなかったのか…)
707 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:17:59.06 ID:IW0Ew0MT0
姉「…兄君はさ、その自分の才能って…何があると思う?」

兄「……」

姉「私は――」

兄「…ないよ、そんなもん…」

姉「――!…」

兄「…ずっと、うじうじ悩んでばっかで…勇気が出なくて、いろんなものを怖がって…」

兄「そんな煮え切らない俺に、取り柄なんか…何があるってんだよ」

兄「妹も…幼馴染も後輩も」

兄「俺なんかよりもずっと強い…俺にないものいっぱい持ってる」

兄「…三人が…俺のいったいどこに魅かれたんだか、俺には理由がわかんない…」

兄「…それに、俺自身…三人を異性として見たことがない…っていうと語弊があるけど…」

兄「でも、少なくとも恋愛対象としては見たことなかったし…だから…!」

姉「…もう、本当に世話が焼けること…」
708 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:23:04.39 ID:IW0Ew0MT0
姉「誰だって最初から強いわけじゃない…誰にだって支えてくれる人がいるものよ」

姉「妹ちゃんや幼馴染ちゃんは、お互い支え合ったり私が支えてあげたり、友達にも支えられてきて今日に至るの」

姉「そして後輩って娘だって、きっと紆余曲折経て、いろんな人に支えられてきて、やっと告白できたんだと思う」

姉「…ねえ、あなたの周りの女の子をそれだけ必死にさせるものってなんだかわかる?」

姉「考えてみたことあるかな?昔から自分の周りにたくさんの女の子がやってくる理由」

兄「…理由なんか…」

姉「…ないわけないよ、たとえ立派な人間じゃないにしても…決してダメダメで終わるような人間でもない」

姉「あなたは、私の大切な…自慢できる弟なんだよ」

兄「…姉貴…」

姉「…あなたの才能はね、底抜けに突き抜けた優しさだよ」

姉「自分じゃ優しいことなんかしてるわけじゃないって思ってるんだろうけど…当たり前のことしてるだけって思ってるんだろうけど」

姉「でもね、あなたは自分より先に他人の心配ができる…人を傷つけないように思い遣れる」

姉「…そんな、美しいまでの優しさを持ってる」

姉「それこそが、天性の才能だよ…人を惹きつける理由」
709 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:25:56.07 ID:IW0Ew0MT0
姉「…まぁ、女の子ばっかりなのは…よくわかんないけどね」

兄「優しさ…?本当か…?そんなものが、俺の才能…?」

姉「うん、誰に対しても優しすぎるくらい優しくできる…それは十分に、あなたの才能といえるものだよ」

姉「もっと自慢しなさい、そして…大切にしなさい」

兄「……」

姉「……自分にはないものが、お兄ちゃんにはある、って…言ってた」

兄「…え?」

姉「妹ちゃんもね、この間…兄君と同じこと言ってたんだよ?」

―――

妹『…お兄ちゃんもそう…私にないものいっぱい持ってるよ』

―――

姉「…本当に大切なものって…いつだって一番近くにあるんだよ」

姉「だけど、人は案外…それに気づかない」

姉「気付くのは、誰かに言われたあとか、きっかけを見つけたあとか…失くしてしまって取り戻せなくなったあとか」

姉「そのうちのどれかでしかないの」

兄「……」

姉「今…ひとつだけ気付けたよね」

姉「だからさ…もうひとつ大切なもの、探してみない?」
710 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:27:14.34 ID:IW0Ew0MT0
兄「…え?」

姉「本当に大切なものってなんだろうね?」

姉「…家族の繋がりか」

姉「友達の繋がりか」

姉「部活の繋がりか」

姉「…どれだろ?」

兄「…!…」

姉「どれでもないのかもしれないし…どれもあってるのかもしれない」

姉「その答えは、自分で探しなさい」

兄「……」

姉「もしくは…信じられる誰かに手伝ってもらうとかね」

兄「…そんなの…誰がいるんだよ…」

姉「いっぱいいるよ、気付いてないだけ…」

姉「…それじゃ、会社行ってくるから」

兄「…姉貴…」
711 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:28:30.39 ID:IW0Ew0MT0
姉「…ふぅ、ちょこっとだけヒントあげてからすぐ出ていくつもりだったんだけど…話し過ぎちゃったかもね」

姉「あんまりうるさく言わないようにと思ってたのになあ…まあいっか」

姉「…兄君、頑張ってね…お姉ちゃん、信じてるから…」

ガチャッ

バタン
712 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:29:37.03 ID:IW0Ew0MT0
―兄の高校―

先生「この問題はこうしてああしてこうなって…あれ、どうしてこうなった…」

幼馴染(…兄君、今日は欠席かぁ…)

幼馴染(やっぱり、いなくなってみないとわかんないなぁ…こういう寂しさって)

幼馴染(僕のせいで傷ついてないといいけど…)

幼馴染(…あ、いや、違うな…信じるって決めたんだったっけ)

幼馴染(でも、やっぱり心配なものは心配だよ…あっ、そうだ…放課後お見舞いにでもいこっか)

幼馴染(後輩ちゃんや妹も誘ってみよっかなあ、ふふっ)

幼馴染(楽しみだなぁ…って、おっといけないいけない…授業もちゃんと聞かないとね…――)
713 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:31:48.57 ID:IW0Ew0MT0
―――

キーンコーンカーンコーン

後輩友「ふぅー…やっと終わったぁ!後輩、あたし疲れちゃったよー」

後輩「うん…そうだね」

後輩友「あれれ、なんか浮かない顔してるね?どーかしたー?」

後輩「ああ、いや…ちょっとね」

後輩友「ふーん?…あ、私教科連絡してこなきゃ!じゃあまたあとでね!」

後輩「はーい、いってらっしゃい…」

後輩(…兄先輩…管楽器って一日吹かないだけでも、相当カンが鈍るのに…)

後輩(私のせいで迷惑かけちゃったかな…だとしたら、謝らないと…)

後輩(でも…上手くできるかな…変に意識しちゃわないかなぁ…)

後輩(…たまには幼馴染先輩にでも、助けてもらおうかな…)

後輩(部長先輩や部長友先輩には、あんまり迷惑かけすぎないようにしたいし)

後輩(…よし、そうしよう)

キーンコーンカーンコーン
714 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/20(火) 19:33:04.83 ID:IW0Ew0MT0
今日はここまで
引っ張りに引っ張ってるせいでもしかしたら誤解されてるかもしれないけど、姉や幼馴染の言う秘密って正直そんなに大した秘密じゃないです
捻ってるわけでもなんでもないからきっとすぐ予想つくと思います
お休みなさい
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) :2012/03/21(水) 06:28:42.82 ID:St8a5I0F0
梓圓
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 07:32:56.12 ID:FsSJNlmIO
紫煙
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/03/21(水) 08:04:09.89 ID:X/IAke8c0
がんばれ
718 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:29:48.54 ID:cMhAoR3h0
まどポどのED見てもバッドエンドばかりでワロタ
さすが虚淵氏監修シナリオ…こっちのソウルジェムまで濁るレベル
あとメテオストームの必殺技コマとかシュールすぎ
スマプリの入れ替わりもだけど
719 :>>713から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:32:59.77 ID:cMhAoR3h0
―放課後―

部長「…部長友」

部長友「何」

部長「今日、部活終わってからどうします?」

部長友「帰って寝る」

部長「……」

部長友「…なんだよ」

部長「いえ、別に…」

部長友「おい、自分から話振って来たくせになんかお前もったいつけてるだろ」

部長「…うちの部には出来の悪い後輩がいるでしょ」

部長友「なんだよ、また兄の事か?おめー気にかけすぎなんじゃねえの」

部長「昨日の事もあるし…兄君のお見舞いにでも、行ったほうがいいかなあなんて…」

部長友「ははっ、珍しいこともあるもんだな…後輩の惚気に影響でもされたか?」

部長「そんなんじゃありません、彼が部にいないと…後輩が寂しがるじゃありませんか」

部長友「おーおー、ツンデレキャラなんかいったいどこで覚えやがったんだ?素直じゃないっていうか、あざといっていうか」

部長「あーもう、からかわないでってば!」
720 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:34:22.47 ID:cMhAoR3h0
部長友「ごめんごめん、じゃあお詫びに兄の家行くの付き合ってやるよ」

部長「…ありがとうございます」

部長友「いいっていいって、しかし後輩も何もしないとは思えないけどな」

部長「鉢合わせしてなにか不都合なことでもあります?」

部長友「…いや、ない…ていうか、誘っちゃおうよ」

部長「いえ、これ以上私たちが世話を焼いてしまうのもどうかと…」

部長友「要するに面倒くさいのね」

部長「そんなこと言ってません」

部長友「…まあ、別にいいけどさ」

部長「じゃあ、部活終わったら一緒に兄君の家へ」

部長友「おう、了解」
721 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:36:59.31 ID:cMhAoR3h0
―夕方 通学路―

〜♪ 〜♪

後輩「あれ、電話が…」ピッ

後輩「…もしもし?」

幼馴染『もしもし後輩ちゃん?』

後輩「あれ、幼馴染先輩?そういえばこの間番号交換したんでしたっけ」

幼馴染『あら、忘れてたの…?まあいいけど、私達これから兄君のお見舞いに行くんだー』

後輩「…私、達?」

幼馴染『…あー、えーっと…それは来てくれればわかるっていうか』

幼馴染『とにかく、一緒に兄君のお見舞い行かない?』

後輩「でも…もしかしたら先輩に、変に思われてるかも…」

後輩「私なんかが行っても大丈夫かなあ…」

幼馴染『おいおい、頑張って告白したんじゃなかったっけー?弱気はNGだよっ』

後輩「…ですよね…じゃあ、今からそっちに行きます」

幼馴染『オッケー、じゃあこの間の喫茶店に来てくれる?』

後輩「はい!」
722 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:40:38.40 ID:cMhAoR3h0
―喫茶店―

後輩「…幼馴染先輩にはこっちから連絡しようと思ってたんだけど…まさか向こうに先に呼ばれるだなんて」

幼馴染「おーい、こっちこっちー」

後輩「あ、先輩!お久しぶりです!」スタスタ

幼馴染「久しぶり、じゃあそっち座ってー」

後輩「はい…あ、えっと…そちらは?」

妹「……」

幼馴染「ああ、この娘?会ったの初めてだよね、紹介してあげよう」

幼馴染「この娘は兄君の…」

幼馴染「…妹、なんだ」

後輩「妹さん…ですか」

後輩(ちっちゃくてかわいいなあ…でも、なんだか兄先輩とは似てないわね)

後輩(…どっちかっていうと、幼馴染先輩に似ているような気が…?)

妹「…はじめまして」ペコッ

後輩「は、はじめまして…」

幼馴染「この娘ちょっと人見知りだから、優しくしてあげてね」

後輩「は、はい…」

妹「……」

後輩(そんなに不貞腐れなくても…)
723 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:46:02.38 ID:cMhAoR3h0
妹「…ねえ幼馴染、私には秘密なんじゃなかったの?もう一人いるのが誰かって」

幼馴染「うん、まあでもみんなもう告白し終わったでしょ?だったら別にいいかなって思ってさあ」

後輩「…え?告白…?」

幼馴染「そうだよー、ここにいる3人みんな兄君の事本気で好きなんだ」

後輩「…あ、あなたもそうなの?」

妹「…はい」

後輩「で、でも…い、妹さん…なんですよね?」

妹「なっ、なにかいけないことでもあるんですか!?」

後輩「あっ…い、いえいえそんな!…ただちょっと、驚いちゃって…」

妹「……」

幼馴染「まあまあ落ち着いて落ち着いて、後輩ちゃんのリアクションのほうが普通なんだから」

後輩「…いや、それよりも…私幼馴染先輩以外に兄先輩を慕う人がいたなんて聞いてません!」

幼馴染「ごめんね、話す機会が無くってさ…妹の想いや決意が本物だってわかったのも、ついこの間だし」

後輩「……」
724 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:48:05.60 ID:cMhAoR3h0
妹「あの…後輩先輩?で、いいのかな…なんかすごい変な感じするけど…」

後輩「は、はい…なんでしょう」

後輩(後輩先輩って矛盾してるもんね…どっちかはっきりしろって感じ)

妹「…兄妹での恋愛って、変だと思います…?」

後輩「えっ、あっ…えっと」

妹「別に怒ってません、ただ…純粋に疑問なんです」

幼馴染「……」

後輩「…えっと…私は兄弟姉妹いないから、よくわかんないけど…」

後輩「普通だったら…その、驚く…とは思います、さっきの私みたいに」

妹「……」

後輩「…だけど、強い気持ちがあるなら…どう思われようと、構わないと思う」

後輩「誰にも、負けない気持ちがあるなら…なんちゃって」

妹「そっか…ありがとうございます」

後輩「いえ…役に立ったかどうかわかんないし」

妹「十分すぎます、勇気づけられました」

後輩「そうかな?えへへ」

妹「…ふふっ」

幼馴染「…よかったじゃん、ちょっと打ち解けられたみたいね」
725 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:50:03.56 ID:cMhAoR3h0
幼馴染「…でさ、せっかく打ち解けたんだし、しかもせっかく喫茶店にいるんだし、何も注文しないのはちょっと味気ないよね」

後輩「はっ…そういえば」

妹「あれ、私もしてなかった…」

幼馴染「…まあ、僕もメニューもらっただけで注文はまだだけど…」

幼馴染「何頼む?」

後輩「…うちにお母さんの分の食べ物あるし、今日は私は外食でいっかな…オムライスにしよう」

幼馴染「僕はカレーでも頼むかな、あとブラックコーヒー」

後輩「し、渋いなぁ…私はドリンクバーもつけちゃお」

幼馴染「妹は?」

妹「…えっと…うちでご飯作るから、飲み物だけ頼む…」

幼馴染「そうなんだ、じゃあ何飲むの?」

妹「…わ、私もコーヒー飲む!」

幼馴染「おいおい、本当に大丈夫?苦くて泣いちゃわない?」

妹「ば、馬鹿にすんな!」

後輩「無理しないほうが…」

妹「い、いいんだってば!もう!」
726 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 19:58:45.01 ID:cMhAoR3h0
―――

店員「お待たせしましたー」

幼馴染「わぁ、ありがとうございます」

後輩「これで全部ですね」

店員「何か御用があればお手元のボタンを押してお呼びください、それでは失礼します」

妹「はーい」

後輩「…ねえ妹さん、本当に大丈夫?」

妹「だっ…大丈夫大丈夫…多分…」

幼馴染「慣れてないと大変だよ?きっと苦いよ〜?」ズズッ

妹「あーもう!大人ぶっちゃって!そういうところが嫌なんだよーもーっ!」

後輩「…ああ、先輩への対抗意識だけが高まっていってる…」

幼馴染「あー美味しい、苦くて最高ーっ」

妹「…むぅ、私も飲む!」ズズッ

後輩「あーあ、大丈夫かなぁ」

妹「…っ!」ブルブルッ

幼馴染「無茶しやがって…」

妹「にっがー…うえっ」
727 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:01:56.46 ID:cMhAoR3h0
妹「……」ズサァーッ

後輩「結局砂糖大量投入で甘くしちゃうんですね…」

妹「だって苦いんだもん…」

幼馴染「まあ中学生ならこういうのに憧れる気持ちも、わかんなくはないけどねー」ズズッ

妹「ちまちま飲むなっ!腹立つ!」

後輩「なんでそんなとこにまで突っ込むの…」

幼馴染「ところで後輩ちゃんはなんか飲まないの?」

後輩「あっ…えっと、オレンジジュースでも持ってこよっかな」

妹「ぷっ、後輩先輩、見かけによらず子供ですね」

後輩「……」

幼馴染「どの口が言うんだ?ええ?おい?」ズサァーッ

妹「あばばばばば、砂糖入れ過ぎ入れ過ぎ!そんなに入れちゃダメ!」

幼馴染「じゃあ先輩にごめんなさいは?」ズサァーッ

妹「ごめんなさい!私が子供でした!ごめんなさい!…あっ、やめてやめてもう無理!勘弁してぇっ!」

後輩「ぷっ…あははは!もう、面白いなぁ二人とも…なんだか姉妹みたいですね」

幼馴染「ちょっとちょっと、いくらなんでもこんな家族は嫌よ」

妹「ああっひどい!それはむしろこっちの台詞――」

幼馴染「何だって?もう一度言ってみな」ズサァーッ

妹「何でもないです!幼馴染は最高です!」

後輩「…あれ?幼馴染先輩それ塩…」

妹「」

幼馴染「…ごめん、さっきまでのは砂糖だけど今のは素で間違えちゃった…」
728 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:02:45.72 ID:cMhAoR3h0
妹「……」ズズッ

幼馴染「…どう?」

妹「…異様なまでに…甘い、甘ったるい…お兄ちゃんみたい」

後輩「どういう例えですか…」

妹「…あれ、そういえばお兄ちゃんのお見舞いは?」

幼馴染「あっ」

後輩「…あ」

妹「…みんな忘れてたんだね…」

後輩「…けどもう夜遅いですよ?」

幼馴染「本当だ、もうこんな時間…どうしよっか」

妹「しょうがないよ、明日にしよう?」

幼馴染「…そうだね、まだご飯食べ終わってないし…」

後輩「とはいえ閉店時間までにはまだ余裕がありますから、急がないで食べましょう」

妹「…ねえ、これどうしよう…甘すぎて無理なんだけど」

幼馴染「頑張って飲みなさい」

妹「えーっ…幼馴染のせいなのに…」

幼馴染「余計なこと言うともっと入れるよ?塩」

妹「ごめんなさい、何も言ってないです」ズズッ
729 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:04:19.78 ID:cMhAoR3h0
―兄の家―

ピンポーン

兄「…誰だよ、こんな時に…」

兄「姉貴も、妹までまだいないし…」

兄「しょうがねえ、俺が出るか…」ガチャッ スタスタ


兄「…はーい、どちら様…」ガチャッ

部長「…こんばんは」

部長友「よう、調子はどうだ?」

兄「…ぶ、部長先輩に…部長友先輩…!」

部長「お邪魔しても構いませんか?」

兄「は、はい…どうぞ…」

部長友「突然悪いな…お邪魔しまーす」

部長「お邪魔します」
730 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:09:35.22 ID:cMhAoR3h0
兄「…お茶でもどうぞ」コトッ コトッ

部長友「別にいいのに」

部長「そうですよ、お構いなく」

兄「いえ、せっかく来ていただいたので…今日はどうして?」

部長友「部長がお前にホの字なんだってさ」

部長「冗談は頭の中だけにしてください」

部長友「うわ、今のはちょっとショック」

部長「…お見舞いに来ただけですよ、滅多に休まない兄君が欠席するなんて珍しいと思いましたので」

兄「そうですか…ありがとうございます」

部長友「熱とかないの?」

兄「いいえ、そうじゃなくて…えーっと」

部長「…後輩の事?」

兄「それもありますけど、その…」

部長友「ああもう!はっきりしねー男だな、悩みがあるなら聞いてやるからとっとと打ち明けろ!」

兄「…わかりました、実は…」
731 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:10:54.17 ID:cMhAoR3h0
―――

部長友「…なるほどねえ、三人の女の子に一度に詰め寄られてパニック起こしてる、と…」

部長「贅沢な悩みですね」

部長友「そもそもどうしてお前みたいな遅刻ばっかりのやつに魅かれるんだろうな、さっぱりわかんねえ」

兄「俺もそう思いますけど…姉貴が言うには、俺の底抜けた優しさにみんな魅かれるんだとか…」

部長「…なるほどね、それならわかりますけど」

部長友「けど裏を返せば、底抜けに甘いってことだぜ?それ」

兄「…甘い…」

部長友「たとえば…砂糖を大量にぶち込んだコーヒーみたいな?」

部長「微妙な例え…」

部長友「けどさ、人によっちゃあそういうほうが好きだったりもするだろ?」

部長「どうでしょう…過度に甘いのは、体に悪いですからね」

兄「……」
732 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:12:11.21 ID:cMhAoR3h0
兄「…それって、俺が誰かを傷つけるかも…ってことですか?」

部長「さあ?そんなに深く考えてませんでしたけど」

兄「……」

部長友「でも別にいいんじゃね、たとえ糖尿病になろうが飲み過ぎて寝不足だろうが」

部長友「それでも飲みたい、甘ったるいやつが大好きだって言うくらいのやつだったらな」

兄「…!」

部長「それだけ彼女たちはあなたに魅かれてるんですよ」

兄「…そう、ですか…」

兄「…でも!…それよりも…俺自身はどうしたらいいか、その答えだけがずっと見つからなくて…」

兄「姉貴に、言われたんです…一番大切なものは何なのか、自分で答えを見つけろって」

兄「どんな繋がりが、一番大切か、って…」

部長「……」

部長友「……」
733 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:13:10.06 ID:cMhAoR3h0
部長友「…なかなか難しい質問だな」

部長「じゃあ、相手の立場に立ってみてはどうでしょうか?」

兄「…相手の、立場に…?」

部長「はい、彼女たちが…あなたのどんなところに魅かれたのか」

兄「…それって…俺の、優しさ?」

部長「そう、そこでもう一度立場を逆転させて」

部長「もう一度…考えてみればいい」

部長「彼女たちの、いったいどんなところが…あなたは好きでしょうか」

兄(…なんだか最近、似たようなことを言われた気が…あっ)

―――

妹『…じゃあ…逆の立場に置き換えてみれば…?』

妹『お兄ちゃんは…優しすぎるんだよ』

妹『もし…逆の立場だったらどうするのよ』

妹『もし…お兄ちゃんから幼馴染に告白して、それで振られたっていう仮定をした場合』

妹『お兄ちゃんならどうするの…?』

―――

兄(…妹にも…言われたな、そういえば…)
734 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:15:46.16 ID:cMhAoR3h0
部長「…容姿、性格?表情、仕草?態度、意志?」

部長友「胸?尻?くびれ?うなじ?腹?脚?」

ガンッ

部長友「」

部長「…それとも、もっと違うものでしょうか」

兄「…いや、俺は…そもそも魅かれてるわけじゃ…」

部長「異性に告白されて…興味を示さない人間がいるものかしら?」

兄「…部長先輩」

部長「私もね、実は昔に一度…告白されたことがありまして」

兄「先輩、モテそうですもんね」

部長「……」

兄「……」

部長「…まあ結局は断ったんですが、今でも…あの男の子のこと、ちょっと意識しちゃうんです」

部長「少なくとも、それまでとは違う関係にはなった」

部長「きっとあなたが気付いていないだけ…兄君、あなたにも、彼女たちへの感情が…」

部長「…特別な感情が、少しくらいはあるはずでしょう」

部長「それがいったいどんなものなのか…考えてみるべきです」
735 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:17:41.24 ID:cMhAoR3h0
部長「それと、さっきの質問…あなたは三人の、いったいどんなところに魅かれたのか」

部長「その答えも…見つけておいてください」

部長「……見つけるまで、部活はやらせませんからね?」ニコッ

兄「えっ…えええええええええ!!!?」

部長「これは宿題です、期限はコンクールの当日までですから、ゆっくり考えてきてください♪」

部長友「」

部長「…よいしょっと…」

部長「じゃあそろそろ帰ります、お邪魔しました」

兄「……お気を、つけて…」

部長「…あなたなりの答えを見つけて、後悔しない結果にたどり着いてくださいね」

部長「それじゃあ、また今度…会いましょう」

ガチャッ

兄「…はぁ…どうすればいいかなぁ…」
736 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:18:55.41 ID:cMhAoR3h0
―――

兄「……みんなは、俺の優しさに…」

兄「それっぽいことといえば…」

―――

兄『だいたい僕、嘘なんかついてないよ!僕は幼馴染ちゃんを助けたいの!バーカ!』

幼馴染『…助けたい…?』

兄『うん、幼馴染ちゃんの友達になってあげたいだけ!一人でさびしそうにしてるの、見てると僕まで辛いもん』

幼馴染『……』

―――

兄『木の上に…本が引っかかってる』

兄『…よし、先輩がとってきてあげよう』

後輩『!!』

兄『…そ、そんなに反応することか…?』

―――

妹『…やだ、もうやだ、なんであたし…』

妹『いつの間にか、こんなところにまで来て…』

妹『もういや、帰りたいぃ…』

妹『こわいよぉ…うぅ…』


妹『助けて、誰か…』

妹『おにいちゃんっ…』

―――

兄(…じゃあ、当の俺は…)

兄(一体誰に?そして、どこに…魅かれてるんだろう…?)
737 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:20:35.03 ID:cMhAoR3h0
妹「ただいまー」

兄「…妹…おかえり」

妹「ごめん…ちょっと用事があって遅くなっちゃった…」

妹(ただ駄弁ってただけだけど)

兄「そうか…飯は?」

妹「うっ、ううん!まだ…お兄ちゃんは?」

兄「軽くなら済ませたんだけどな、なんかまたお腹空いてきちゃったよ」

妹「…そ、そっか…じ、じゃあ…ちょっと待ってて!」

兄「…?」

妹「ご、ご飯作ってあげる!だから…えと、そこ座ってて!」

兄「いいよ別に、俺が…」

妹「いっ、いいから!私にやらせて?ねっ!?」

兄「…なんか様子がおかしくないか?お前…」

妹「そっ…そうかなぁ、気のせいだと思うけどなー?あはははは」

兄「…まあいいや、そこまで言うなら任せるよ」

妹「本当?ありがとー!じゃあちょっと待っててね…」スタスタ


妹「…お兄ちゃんを、モノにするためだもんね…頑張らないと…」ゴクッ

妹「……ちょっと、恥ずかしいけど…」
738 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/25(日) 20:21:55.11 ID:cMhAoR3h0
やばい、想像してた以上にこのSS進行が遅い…いまさら気付いちゃった…
出来れば次スレには行きたくないんだけどなぁ、まあしょうがないか…自業自得だしね

それと、3月中に終わらせる予定だったんですけど…なんだかもうそれも厳しいかも
ただ4月の頭には確実に終わらせます、もうこれ以上は絶対に延ばさないし延ばせない

そのために、これから終わるまでよほどのことがない限り毎日投下していくつもりで頑張っていきます
ではお休みなさい
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 07:14:51.18 ID:Hwl0Z7YIO
宣言は確かに聞いた
走り切ってくれ下さい
740 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:14:40.59 ID:sKfsUWdz0
今日はいつもの二倍の量で行くつもり
ちょっと眠いけど、知ったこっちゃない
俺はこのくだらないSSに命を懸ける
それじゃあ行きます
741 :>>737から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:16:12.18 ID:sKfsUWdz0
妹「……」スルスル パサッ

妹「…ほ、本当にこれを…」

妹「あ、いや…自分でやり始めたことだもんね、別にいいんだけど…」シュルシュル ギュッ

妹「…うぅ、やっぱ恥ずかしいなぁ…」

妹「…って、ああああもう!ここまで来たら…覚悟決めなくちゃ…」

妹「そう、私はお兄ちゃんのために…」

妹「…お兄ちゃんのため…お兄ちゃんのため…」

妹「お兄ちゃんは私のもの…お兄ちゃんは私のもの…!」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん…!」

妹「…あっ、そういえば手のひらに人って字書いて飲み込むと緊張ほぐれるんだったよね…やってみよう」

妹「……」カキカキ

妹「…やべ、人じゃなくて兄って書いちゃった…どんだけ好きなのよもう」

妹「…ぱく」

妹「…よしっ」
742 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:17:10.03 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…もうそろそろ一時間経つな…おーい妹ー?何してんのー?」



妹「…やばい、やっぱ恥ずかしいよこの格好…」

妹「おまけに、ちょっと火傷もしちゃったし…うぅ、腰が熱い…」

妹「料理は10分前に完成したんだけど…早く行かなきゃ冷めちゃうぅぅっ」

妹「…くっ、こうなったらもう一回…」カキカキ

妹「…兄…兄…兄…ぱくっ」

妹「よーし…行くぞっ!」スタスタ
743 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:19:09.25 ID:sKfsUWdz0
妹「…お、お兄ちゃん!…お…お待た、せ…え、えへへへへへ」

兄「……」

妹「…ど、どう…かな?これ…」

兄「…何してんだお前、その格好…?」

妹「み…見ればわかるでしょっ、は…はははは裸エエエプロンだよ…///」

兄「いや、そりゃあ見ればわかるけど…なんでいきなりそんな…」

妹「そっ、それはいいから、いいから…は、はい…これ…」カチャッ

兄「ありがと…っていうか、早く服着ろ…」

妹「……」

兄「いただきます」

妹(…リアクション薄い、すっごい薄い…)

妹(ううううっ、どうすれば靡かせられるのかなぁ…うーん…)

妹(…もっと、もっと密着すれば…?)

妹「…よ、よし」
744 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:21:40.92 ID:sKfsUWdz0
ムギュッ

兄「!……妹?お、おい、なんでいきなり抱きついて…」

妹「…だって、お兄ちゃんが…」

兄「……」

妹「…お兄ちゃんが、すっごく好きなの」

兄「…妹」

妹「私は…お姉ちゃんにも幼馴染にも、気持ちを見透かされてた…」

妹「お兄ちゃんへの気持ちを」

妹「なのにね、当のお兄ちゃんは…全然、そんな素振りがないし」

妹「もしかしたら…私の事、好きじゃないのかな、とか…思ったりして」

兄「…そんなわけない、好きに決まってるだろ…」

妹「…それは、家族としてでしょ?」

兄「!…」

妹「…もちろんそれでも嬉しいけど…違うの、それじゃあね、意味がないの…」
745 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:26:02.92 ID:sKfsUWdz0
妹「わかってる、家族からの告白なんて…簡単には受け入れられないのわかってる…」

妹「まして幼馴染や後輩先輩の告白も簡単には受け入れられない、お兄ちゃんなら…当たり前だってわかってる…」

妹「何度も同じことで葛藤したよ、もう飽きるくらいに…同じ悩みを何度も何度も、考えて考えて、考え続けたの」

妹「…それで、告白した…何もしなかったら、自分が潰れちゃいそうだから」

妹「…でも、告白して終わり、返事を待ってるだけ…だと、好きって気持ちが空回りして…私の勇気が空回りして…」

妹「…虚しいまま、終わっちゃう気がした…お姉ちゃんには、何もするなって言われたけど…できないよ」

妹「だから、くだらないかもしれないけど、私だって、一人の…女の子だもん」

妹「もっと…見てほしくて…」

兄「…いもう、と…」

妹「…ごめんね、ごめんなさい…邪魔、しちゃったね…えへへ」

妹「いいの、いいんだ…私が勝手にやったことなんだし、押しつけだし、そもそもこんなのおかしいわけだし」

妹「…うん、おかしい…わけだし…」

兄「……」

妹「…あ、ごめん…離れなくちゃダメだよね…じゃあ、服着て来ちゃお」スッ

兄「妹…」

兄(…あれ?腰のあたり…怪我、してるのかな…)

兄「…待て、ちょっと待て」

妹「え?」
746 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:27:46.43 ID:sKfsUWdz0
兄「…お前、腰のあたり怪我してるんじゃないか?」

妹「あー、これは…さっきちょっと火傷しちゃって」

兄「はぁ!?お前…この格好のまま料理してたのか?」

妹「え、えへへへ…で、でも別に平気、平気…だから、さ」

兄「バカ!火傷するくらいだったらそんな格好すんじゃねえ!」

妹「え…?」

兄「…お前が、俺のためにいろいろしてくれるのは嬉しいよ」

兄「そんな格好してまで…俺の気を引こうとしてくれたことも、もちろん嬉しい」

兄「でもな、それで怪我なんかされたらたまったもんじゃないんだよ」

兄「もしものことがあったらどうするつもりなんだ?」

妹「い、いやでも大したことないし…」

兄「大したことないとかあるとかじゃなくて、お前が怪我すんのが嫌なんだって」

兄「ちょっとそこにいろ、救急箱持ってくるから」

妹「あっ…い、行っちゃった」

妹「…もう、そういうところがいけないんだよ…ばか、鈍感、女たらし!」
747 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:28:32.71 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…よし、手当て完了」

妹「な、なんか恥ずかしいね、これ…」

兄「自業自得だ」

妹「…むう」

兄「ほら、早く服着ろ」

妹「うう、さっきからそればっかり」

兄「何が?」

妹「人がせっかくこんな格好してるのに、なんとも思ってくれないのかよぉ!」

兄「…いや、それは…」

妹「妹だから?妹だから意識しないっていうの?」

兄「べ、別にそんなんじゃ…」

妹「…それとも、この間は裸を見たから?」

兄「ぶふっ!…おっ、お前、だってあれは…!」

妹「別にいいよ、もう怒ってないから」

兄「……」
748 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:32:13.37 ID:sKfsUWdz0
妹「どっちにしろ、意識してくれてはいないじゃん」

兄「それは…」

妹「……あ、もしかしてちょっと目逸らしてる?」

兄「……」ギクッ

妹「図星かぁ、じゃあもっとちゃんと見ていいよ」

兄「バ…バカ!いいから早く服着ろっつーの…風邪ひくぞ」

妹「別にいいよ、そしたらお兄ちゃんに看病してもらうから」

兄「冗談じゃねえ」

妹「…ねえ、目逸らしちゃダメだよ」

兄「…逸らすに決まってんだろ」

妹「もう、本当にヘタレ…じゃあ無理にでも!」ガッ グイッ

兄「おい、バカ…!」グイッ

妹「…お兄ちゃん…私、胸とかお尻とか、なんにもないけど」

妹「それでも…もっといっぱい見てほしいんだよ」

妹「お願い…」

兄「…っ!!」
749 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:33:41.66 ID:sKfsUWdz0
兄「…ああああもう!わかったから離せ!十分見たよ!もうお腹いっぱいだ!」パシッ

妹「ほ、ほんと?」

兄「ああ本当だ、実の妹とは思えないくらい白くてきれいな肌だった!」

妹「そ、そう…かな」

兄「…ああ、何度も言わせんなよ…恥ずかしくなるから」

妹「え、えへへへ…ま、また見たくなったらいつでも言ってね!」

兄「いや、それはない」

妹「えーっ、なんでー!?」

兄「いいから、さっさと服着ろ!ったく…」

妹「むう…わかったよ、しょうがないなぁ…」スタスタ

兄「…あーあ、料理冷めちゃったし…しょうがないのはお前だよ…」
750 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:34:53.81 ID:sKfsUWdz0
―――

妹「…ごちそうさまでした」

兄「ごちそうさま」

妹「えへへ、お粗末様でした」

兄「片付けと皿洗いやっておくよ」

妹「えー?いいよー、私がやるー」

兄「いいってば、俺がやるって」

妹「私がやるー」

兄「…仕方ない、じゃんけんして決めよう」

妹「わかった」

兄「最初はグー、じゃんけん…」

妹「ピカリンジャンケンじゃないの?」

兄「いやどっちだっていいから」

妹「じゃんけんぽん!」

兄「おい!」

妹「お兄ちゃん後出ししたから負けね」

兄「いやいや、今のはずるい…」
751 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:38:34.04 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…あの後やり直ししたら俺が勝った…妹にばっかいろいろやらせてたまるか」ジャーッ

兄(…それにしてもあいつ、あんなこと考えてたんだな…)

兄(…血のつながりは、別に関係ない…ただ、家族として一緒に過ごした時間が長すぎて…俺にはずっとあいつの告白がピンとこなかった)

兄(幼馴染や後輩も…似たような感じ)

兄(……)

兄(…俺の、大切なものって何なんだろう…?)

―――

姉『本当に大切なものってなんだろうね?』

姉『…家族の繋がりか』

姉『友達の繋がりか』

姉『部活の繋がりか』

―――

兄(それに…さっきの、部長先輩の話も…)

―――

部長『きっとあなたが気付いていないだけ…兄君、あなたにも、彼女たちへの感情が…』

部長『…特別な感情が、少しくらいはあるはずでしょう』

部長『それがいったいどんなものなのか…考えてみるべきです』

部長『それと、さっきの質問…あなたは三人の、いったいどんなところに魅かれたのか』

部長『その答えも…見つけておいてください』

―――

兄(俺は三人の、どんなところが一番好きか)

兄(俺の、一番大切なものは…何か…)

兄(どんなことを考えて、返事をしなくちゃいけないか…)
752 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:42:17.78 ID:sKfsUWdz0
―兄の部屋―

兄「…姉貴、今日は珍しく帰りが遅いな…」

兄「ちょっと前まではこのくらいで普通だったけど」

兄「まあ…そのうち帰ってくるだろう」

兄「それより…今は…」

兄(…俺はあの三人の、どんなところが…好きなのか)

兄(…妹は…ちょっとうるさくて生意気で、だけど…根は素直で優しくて)

兄(さっきみたいに…いろいろ考えたり、気遣ったり…きちんとできる)

兄(幼馴染は…お節介だったり、ちょっと鬱陶しい時があったりもする…でも、あれは弱さの裏返し)

兄(あいつにも弱い部分や繊細な部分はある…滅多に見せないし、ショック受けたような姿も見たことない)

兄(後輩は、本当は努力家で…誰よりも強い気持ちで、夢を追っかけてる)

兄(時々あいつの気持ちがわかんないときもあるけど、それでも…そんな俺をよく信じてくれてる)

兄(…なんだよ、考えてみれば簡単じゃねえか…)

兄(俺は三人の、そんなところが一番好きなんだ…)
753 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:45:00.83 ID:sKfsUWdz0
兄(…じゃあ、俺の大切なものっていうのはなんなんだろう?)

兄(俺が一番、大切に思っているもの…)

兄(大事にしなくちゃ、ならないもの…)

兄(…考えれば、きっと…見つかるはずだ…)

兄(……)

兄(…うーん…たとえば…)

兄(…妹か)

兄(…後輩か)

兄(…幼馴染か)

兄(…って、考えるとどうだ…?)

兄(一番、魅かれているのは…)

兄(一番、大切だと思っているのは…)

兄(…もちろん、みんな大切だけど…でも)

兄(強いて言うなら…いったい、誰だろう…)
754 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:46:49.85 ID:sKfsUWdz0
―深夜―

姉「…ふぅ、まさか女ちゃんがお休みしちゃうなんて…もしかしたら最近無理させ過ぎちゃったかも」

姉「手伝ってくれるのはありがたいけど、それに甘え過ぎちゃう私はダメね」

姉「…さてと、兄君はどうしてるかしら…?」
755 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:58:12.91 ID:sKfsUWdz0
―兄の部屋―

ガチャッ

姉「そーっとそーっと…あら?寝ちゃってる…まあ当たり前か、こんな時間だしね」

姉「…ん、あれ?ベッドにもうひとつ膨らみが…」

姉「…もしかして」

ガチャッ バタン


ゴソゴソ

妹「…お帰り、お姉ちゃん…えへへ、お兄ちゃんの布団にもぐりこんじゃったー」

妹「…お兄ちゃんの背中、あったかい…えへへ」

兄「…zzz」

妹「もう、人がせっかくこんなことしてあげてるのに呑気に寝ちゃって…」

妹「…でも、それでもいいよ…大好きだもん」

妹「愛してる…お兄ちゃん…」ギュッ


キィー…

姉「…やっぱり…ふふ、仲のよろしいこと…」

姉「お休み、二人とも…」

パタン
756 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 18:59:34.17 ID:sKfsUWdz0
―翌朝―

兄「んっ…ふぁーあ、もう朝か…」

兄「…あれ?なんだこれ…」

妹「むにゅむにゅ…んっ…んんむぅ…」

兄「……」

兄「…なんで妹が俺の布団に…?」

兄「昨日の事といいこれといい…こいつもしかして熱でもあるんじゃねえのか?」ピトッ

妹「んむっ…むにゃむにゃ…えへへへ…」

兄「…ない、か…じゃあなんでこんな突然…」

妹「んぅ…お兄ちゃん…えへへ…大好きだよぉ…むにゃむにゃ」

兄「!…」

兄「…なるほど、やっぱ本気なんだな…こいつも」

兄「ありがとよ、妹…俺にはまだ…はっきり答えは出せないけど」

兄「お前の気持ちは…これ以上ないくらいに、しっかりと伝わってくる…」

兄「お前が、俺の妹でよかった」

妹「…んっ…んん…」

兄「…起きてるうちじゃこんなこと小っ恥ずかしくて言えやしねえな…はは」

兄「さてと…そろそろ起こしてやるか」
757 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:02:48.16 ID:sKfsUWdz0
―――

姉「あら二人とも、おはよー」

兄「姉貴、おはよう」

妹「おはよう…最近お姉ちゃんにばっかり朝ごはん作ってもらってるね…ごめんね」

姉「いいのいいの、二人がラブラブなのを邪魔するわけにはいかないからねー」

兄「らっ…ラブラブって…別にそんなこと…」

妹「そ、そうだよ…からかわないでよ…///」

姉「ふふ、照れちゃって…まあいいから、さっさと朝ご飯食べちゃってよ」

兄「う、うん…」

妹「…お、お兄ちゃん…」ボソッ

兄「…なんだよ…」ボソッ

妹「も、もっと…もっと、こっちに来て…」ボソボソ

兄「なんでだよ、また姉貴にからかわれるぞ」ボソボソ

妹「いっ、いいからっ!」

兄「…まったく、しょうがねえ」スッ

妹「えへへ、ありがとう…」

兄「くっつくな…バカ」
758 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:13:09.41 ID:sKfsUWdz0
姉「…あらら、想像以上にラブラブだわ…昨日私がいない間に何があったのかしら?ちょっと妬けちゃうくらいだね」

兄「何にもないよ…ったく、早く食うぞ」

妹「うんっ!」

兄「…いただきます」

妹「いただきます♪」

姉「私もそろそろ…いただきます」

姉「…あ、でも私がいたらお邪魔かな?」

兄「い、いや…そんなことない!むしろ止めてくれ、こいつやたらにべたべたしてきやがるから…」

妹「ひどい、もしかして私の事嫌いになっちゃったの…?」

兄「う、上目遣いやめろ!姉貴、こいつどうにかしてくれよ!」

姉「ふふ、いいじゃない仲良しで…ねえ妹ちゃん?」

妹「だよねだよね、お姉ちゃんもそう思うよね!?だからもっとくっついちゃおうーっ♪」

兄「あーちくしょー姉貴まで!もう勘弁してくれってばぁー!!」

姉「あらあら、さっきまで恥ずかしがってたくせに…もう開き直っちゃうなんてね」

妹「女心は秋の空っ!だよっ!」ムギューッ

兄「それ微妙に使い方間違ってる気がする!…ぐふっ」
759 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:14:14.41 ID:sKfsUWdz0
―――

妹「行ってきまーす!」

兄「い、行ってきます…」

姉「兄君、朝からボロボロだけど大丈夫…?」

兄「…さあ、どうだろ…」

妹「大丈夫大丈夫!私が途中まで一緒に行くからっ!」

姉「…余計に心配だなあ、仲良しなのはいいけどあんまり振り回しちゃダメよ?」

兄「今更言うのかよ…」

妹「はーい♪」グイッ

兄「…もうダメだな、俺今日生きて帰れるか分かんねえや…」ズルズル

姉「頑張ってこーい!」
760 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:17:33.70 ID:sKfsUWdz0
姉「…やれやれ…ずいぶん仲良くなっちゃって」

姉「…私が間違っていたみたいだね…あの子は放っといたほうがいいと思ってたけど」

姉「…そうだよね、妹ちゃんには…性に合わないよね」

姉「ガンガン押していくのが得策だったとは…」

姉「…ふふ、私もまだまだね…いい男見つけないと…」

姉「でも、兄君を横取りするわけにもいかないし…困ったなぁ――」

ズキッ

姉「――…っ!!…」

姉「…な…に、これ…?頭痛が…」

ドクン ドクン ドクン…ッ


姉「あっ…あああっ、ああ…ああああっ!!!??」ガクンッ

姉「…っ、はぁ、はぁ、はぁ…な、何、今の…?」


姉「…三人の…女の子…?」
761 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:20:55.40 ID:sKfsUWdz0
―兄の高校―

兄「…くそ、せっかく早く出たのにまさか本当に部活やらせてもらえないとは思わなかった…」

兄「まあ、部長が冗談でああいうこと言う人じゃないのは知ってるけど…」

幼馴染「おはよー兄君、なんか元気なさそうだねー?」

兄「…妹にちょっと振り回されてな…部活にも行けなかったし」

幼馴染「!…妹に?」

兄「おい食いつくな、お前にまで振り回されたら俺の体が持たなくなるから」

幼馴染「えー?だって気になるもん…ねぇ、どんなことされたの?」

兄「教えねえ、教えたらお前も同じことしそうだから絶対教えねえ」

幼馴染「じゃあ今度ゴーバスターエースの玩具買ってあげるから」

兄「子ども扱いすんな、アホ」

幼馴染「でもどうせ欲しいと思ってるんでしょ?」

兄「…そんなこと…」

幼馴染「バレバレ」

兄「嘘こけ」

幼馴染「嘘じゃないよ、兄君の事はよーく知ってるからね」

兄「…あーもうわかったよ!じゃあそれでいいから!」

幼馴染「よっしゃ」
762 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:23:07.12 ID:sKfsUWdz0
―昼休み―

幼馴染「やっほ、兄君っ!」

兄「おう、幼馴染」

幼馴染「一緒にご飯たーべよっ♪」

兄「いいよ、どこで食う?」

幼馴染「この間と同じで校庭にしよっ」

兄「わかった、じゃあ行こう」

幼馴染「…えへへ」

兄「…なんだよ、どうかした?」

幼馴染「ううん、別に」

兄「…?」
763 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:24:40.46 ID:sKfsUWdz0
―校庭―

兄「いただきます」

幼馴染「いっただっきまーす」

兄「…んぐっ、んむんむ」パクッ

幼馴染「あむっ…今日も姉さんのお弁当?」

兄「ん、ああ…最近姉貴にばっかり任せてるからな、もう少し自分で作るようにしなきゃ…」

幼馴染「へえー…あ、そうだ!今度お弁当、僕が作ってきてあげよっか!」

兄「え?なんで幼馴染が…」

幼馴染「いいじゃん別に、僕兄君より早起きできるしさ…ね?」

兄「お、俺は別にいい、っていうか…ありがたい、けど…」

兄「…本当にいいのか?」

幼馴染「僕は平気だよー、兄君みたいにズボラじゃないし」

兄「なっ…お前が言うな!」

幼馴染「何ー、僕がズボラだとでも?」

兄「そうだよ、お前のほうがよっぽどな!」

幼馴染「ぐぬぬ…」

兄「ふん」
764 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:34:51.39 ID:sKfsUWdz0
幼馴染「…まあいいや、ところで僕やってみたいことが一つあるんだけど」ススッ

兄「…おい、さりげなく近づいてくるな」

幼馴染「いいじゃんいいじゃん、妹にばっかりいい思いさせたくないもん」

兄「ぐっ…」

兄(…今朝の妹の様子をこいつに話したのはやはり失敗だったか…対抗心抱いてやがる…)

幼馴染「…兄君のこれと僕のこれ…交換しよ?」

兄「両方食べかけじゃん」

幼馴染「へへっ、間接キスー♪」

兄「ばっ…バカ!」

幼馴染「何恥ずかしがってんだよー、つい最近直接キスしたことあるのに」

兄「あっ…あれは頬にだったから…!」

幼馴染「ふぅん…?つまりは口と口だったら意識しちゃうってわけね?」

兄「なっ…何言って…!」

幼馴染「だって、まだ僕のこと女の子として見てくれてないでしょ?兄君は」

兄「…!幼馴染…」

幼馴染「それがちょっと悔しくてさ、からかっちゃおっかなぁって」

幼馴染「…まあ、妹に先越されたこともあるんだけどね」
765 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:40:15.86 ID:sKfsUWdz0
幼馴染「…兄君の、あくまで友達のままでいたい気持ちはわかるよ、僕たち長い付き合いだし」

幼馴染「けど、だからこそこうやって色々仕掛けて、その気持ちを変えさせようとしてるつもり」

幼馴染「こっちだって、遊びじゃないんだ…妹も、きっと同じ」

幼馴染「それに、もしかしたら部活行ってから後輩ちゃんにも何かされちゃうかも?」

兄「じょ、冗談だろ…?」

幼馴染「…冗談なもんですか、別にいいじゃないの…弱気になるなよー?せっかく僕を惚れさせてくれたのにー」

幼馴染「大体、全部兄君がいけないのよ?あんまり優しいから、さ」

兄「……」

幼馴染「そんな暗い顔しないの、勝手に交換しちゃうよ?」スッ

兄「…お、おい!」

幼馴染「残念、もう遅ーい」

兄「い、いいって…返すよ、これ」

幼馴染「残念ながら返品は利きませんよー?あはははは」

兄「幼馴染…」

幼馴染「…それとも…僕とじゃ嫌だったりする?…」

兄「…っ!…」
766 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 19:43:03.87 ID:sKfsUWdz0
兄「…わかったわかった、交換するよ」

幼馴染「……」

兄「…それと…悪かった」

幼馴染「!…」

兄「お前の考えてること…気付かなくってさ」

幼馴染「わっ…わかればよろしい!…さあ、さっさと食べちゃおう」

兄「お、おう…」

幼馴染「…あ」

兄「…あ?」

幼馴染「…あっ!で、でもさ、ただ間接キスするだけじゃ面白くないじゃん!?」

兄「いやいやいや!十分面白いって!何思いついた!?これ以上何するつもりだお前!?」

幼馴染「…さっき返品は利かないって言ったけど、やっぱそれ取り消し!」ヒョイッ

兄「あっ、おい!?」

幼馴染「…口、開けて」

兄「はぁ!?ま、まさか…」

幼馴染「ほら、早く!あーん、あーんして!?」

兄「…っ!!」

兄「…あああああああもういいっ!どうにでもなれだっ!」パカッ
767 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:22:17.62 ID:sKfsUWdz0
幼馴染「…ほいっ、よっし、成功…!」

幼馴染「お味はどう?キスの味する?」

兄「す…するわけねーだろ!…ったく…」モグモグ

幼馴染「じ、じゃあ…ここ今度は、あああ兄君の番、だよね…?」

兄「しょっ…正気かよ…」

幼馴染「正気だよ、何しろ僕はここまで計算ずくであーんしよって言ったんだからね…!」

兄「…お前、まるで魔女だな…」

幼馴染「…えっ、えっへっへっへ…ざまあないわね…」

幼馴染「さあ、観念して僕にあーんさせて食べさせなさいっ!」

兄「…くっ、周りに人がいないのが幸いか…わかったよ、やればいいんだろやればっ!!」

幼馴染「ふっ、それでいいのよ…ほらっ、あーん…」パカッ

兄「…ほ、ほら…これでいいか?」

幼馴染「…んむっ…」

幼馴染「……」

兄「…お、幼馴染…?――」

幼馴染「…えへへ、隙ありっ」

兄「――…え?」

ちゅっ…!
768 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:29:30.80 ID:sKfsUWdz0
兄(こ…いつ…頬じゃなくて、口に…直接…!?)

兄(いや、それ以前に…い、いきなり、こんなこと…っ!!)

兄「んんっ、んむっ…んぐ、んんんっ…!」

幼馴染「れろっ…はふっ、んん…んぐっ…ちゅぱっ…んぅ…っ」

兄「…ぷはぁっ、はぁ、はぁ…」ゴクッ

幼馴染「口移し、しちゃった♪…ちょっとびっくりさせすぎちゃったかな?」

兄「あ、ああ…心臓が止まるかと思ったよ…おまけに人のファーストキスまで持っていきやがって」

幼馴染「ふふ、残念でした♪」

兄「…はぁ、はぁ、はぁ…」

幼馴染「…ごめんね、でも…このくらいしないと、やっぱダメなのかなって思ってさ」

幼馴染「兄君が誰を好きになっても文句は言わない…でも、僕だって負けたくないしさ」

幼馴染「まあ本当のこと言えば、僕はただ…兄君と一緒にいられれば、それだけでも別にいいんだ」

幼馴染「…こんな勝手な幼馴染で…ごめんなさい」

兄「……」
769 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:30:31.34 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…くそ、いまだにあの感触がこびりついて離れねえ…」

兄「まさかあそこまでするとは思わなかった…我が幼馴染ながら本当にあいつは恐ろしい…」

兄(…妹も、幼馴染も…あれだけのことされたら、意識しちまうじゃねえか…)

兄(いや、二人はそれが狙いなのか…だとしたら、やっぱり…幼馴染の言ってた通り、後輩も…?)

兄(…けど…放課後部活には行かせてもらえないだろうから、それはないか…)

キーンコーンカーンコーン

兄「やべっ、もう授業!?まだ用意し終わってないのに…急がないと」
770 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:33:06.40 ID:sKfsUWdz0
―放課後 駐輪場―

キーンコーンカーンコーン

兄「…やっぱり、部活はやらせてもらえなかった…」

兄「早く自分なりの答えを見つけないと…みんなの足引っ張っちまう…」

後輩「…あっ、いたいた!おーーーいっ!!」

兄「…あれ、後輩!?…なんでここに…?」

後輩「…はあ、はあ、はあ…」

兄「…ケースごと…ホルン2つ抱えてここまで走って来たのか…結構きついだろ、これ…」

兄「けど、なんでまたこんな…」

後輩「い、いいから、い、行かないで…ちょっ…と、待っててください…はぁ、はぁ…」

兄「…わ、わかった…」
771 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:34:14.31 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…落ち着いた?」

後輩「はぁ、はぁ、はい…だいぶ…」

兄「…それで、どうしてここまで…?」

後輩「先輩と…一緒に、楽器が吹きたくなって…はぁ、はぁ…」

兄「だからって、わざわざこんな無理しなくたって…」

後輩「いいえ、いいんです…私はただ、先輩の音…聞きたくなっただけで」

後輩「いくら理由があるとはいえ…ずっと休んじゃって、先輩の音…聞けなくなるのが、寂しいだけで」

兄「…部長先輩は何て言ってたの?」

後輩「…あはは、何とも言われてないです」

兄「も、もしかして勝手に抜け出してきたのか!?」

後輩「はい、いてもたってもいられなくなって」

兄「おいおい、後で俺が怒られるのに…」

後輩「えっへへ、知ってますよー」

兄「……」

兄(…今日は魔女によく会う日だな…)
772 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:35:20.04 ID:sKfsUWdz0
兄「…もう、どうなっても知らないぞ?」

後輩「はいっ!」

兄「まったく…」ガチャガチャ

後輩「先輩…もうちょっと、近くに寄ってもいいですか?」

兄「…いいけど…もしかして、幼馴染だか部長だかに何か言われたりした…?」

後輩「…?…いいえ、ただ…私がこうしたいだけで…」

兄「そうなの?…それならいいんだけど…」

兄(…二人の事がある以上、なんだかいろいろ勘繰ってしまう…)

後輩「…あ、あそこに座って吹きましょうよ」

兄「…そうだな、そうしよっか」
773 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:37:02.57 ID:sKfsUWdz0
後輩「ふぅ」ペタン

兄「…よっと」ストッ

後輩「……」ブーッブーッブーッ

兄「……」ブーッブーッブーッ

後輩「……」ピトッ

兄「…!…後輩?」

兄(俺の肩に頭を…なんだか今日はみんなしてやたら積極的だな…)

後輩「…嫌なら、いつでも言ってください…すぐどきますから」

兄「……」

後輩「先輩、私…この部に来て最初は、金賞だけが欲しくてたまりませんでした…ただ、そのためだけでした」

後輩「でもね、今はもう…違う」

兄「…え?」
774 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:38:52.02 ID:sKfsUWdz0
後輩「部活に来る意味が…変わっちゃったんです」

後輩「最初は金賞が欲しかった…ただそれだけ」

後輩「でも、いつの間にか兄先輩と一緒にいることが一番楽しみになって…」

後輩「そして今はもう…違う」

後輩「たとえ金賞が取れなくても…もういい」

後輩「せめて、せめて先輩が卒業しちゃうまで…それまで、ずーっと一緒にいたい」

後輩「ずーっと一緒に、楽器を吹いていたい」

後輩「それだけできれば…今の私には、もう何もいらなくなっちゃった」

後輩「兄先輩…やっぱり私、先輩が大好きです」

兄「…後輩…」

後輩「今なら何度でも、胸を張って言えるくらいに…大好きです、すっごく」

後輩「振られても構いません、それでも…私と一緒に、楽器を吹いていてくれるなら」

後輩「それだけで…私は幸せだから」

後輩「…約束してくれますか?」

兄「……」

兄「…ああ、後輩が…それでいいなら」

後輩「えへへ…ありがとうございますっ」
775 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:40:50.55 ID:sKfsUWdz0
―――

兄「…よし、基礎練終わりだな」

後輩「はい、じゃあ曲練習しましょうよ」

兄「そうだな、アルカザールの…どっからがいい?」

後輩「中間部分がいいです!」

兄「わかった、ホルン二人程度じゃほんのちょっと味気ないと思うけど…」

兄「…でも、学校中に響かせるくらいの気持ちで吹こう」

後輩「はい!」

兄「いち、に…――」
776 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:47:30.10 ID:sKfsUWdz0
―――

「…間もなく下校時刻となります、学校内にいる生徒は――」

兄「…やべ、ちょっと吹きすぎたかも」

後輩「先輩、一緒に片付け手伝ってくれませんか…?勝手に持ってきたのに、申し訳ないんですが…」

兄「ああ、いや…自分のものだし、それは別にいいんだけど…果たして入れてもらえるかなぁ」

後輩「嘘ついたとしてもそうそう騙されるような人じゃないですもんね、部長先輩」

兄「…まあいいや、行くだけ行ってみよう…」

後輩「はい…すみません」

兄「なんで謝るんだよ、ほら行こう」

後輩「…はい」
777 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:48:59.24 ID:sKfsUWdz0
―部室―

兄「先輩、部長先輩ーっ」

部長「…兄君、それに後輩も…」

部長友「後輩、お前勝手に抜け出しやがってどこ行ってたんだよ?ああん!?」

後輩「あっ、いや、その…えーっと…」

部長「…どうしてあなたが楽器を?」

兄「…後輩が、俺のためにわざわざ持ってきてくれたんです」

兄「俺の音が、どうしても聞きたいからって」

後輩「…す、すみませんでした…」

部長友「…へえ…?」

部長「後輩…」

後輩「わかってます、兄先輩が部活出れないのは、大きな悩みがあるからだって」

後輩「でも、やっぱり…なんだか寂しくなっちゃって」

部長「……」
778 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:51:11.87 ID:sKfsUWdz0
部長「…こほん、仕方ありませんね、もう…」

部長「…10秒で楽器を片付けてきてください、それまでに間に合わなかったら…このまま鍵閉めますから」ガチャッ

兄「は、はい!ありがとうございますっ!」ダッ

後輩「い、急がなきゃっ!」ダダッ

部長「……」

部長友「…部長、あんた兄よりも後輩のことを苦しめてることに気付いてなかったみたいだな」

部長「…そうですね、兄君を急かすためにわざとああいう処置をしたんですが…いろいろと逆効果でした」

部長友「じゃあ明日からあいつは復帰か?」

部長「いいえ、彼が自分から…答えを見つけた、と…申し出ない限り、復帰はさせないことにしてますから」

部長友「…ははっ、やっぱ厳しいなぁあんたはよぉ」

部長「…そうでなきゃ、こんな曲者ぞろいの部は…引っ張って行けませんからね」

部長友「あっはは、言えてらぁ」

兄「お、終わりました…」

後輩「すみませんでしたぁ…」

部長「忘れ物とかしてないですよね?」

後輩「は、はい…」

部長「そうですか、じゃあ閉めますよ」ガチャッ
779 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 22:54:54.28 ID:sKfsUWdz0
部長「…あ、そういえば…」

部長「…兄君!手を出して」

兄「…?」

部長「はい、この間の千円…昨日返すつもりだったんですけど忘れてしまって」

兄「い、いいんですか?ありがとうございます」

部長「その代わり、早く部活に復帰してください」

兄「…それって…」

部長「…答えを、早く出せって言ってるんです」

兄「…は、はい!」

部長「…ふふ、それじゃあ…また明日」

兄「…また、明日…?…はぁ…」

「下校時刻10分前です、まだ校舎内にいる生徒は――」

兄「…うわっ、やっべぇ!急がなきゃ…」
780 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:02:19.18 ID:sKfsUWdz0
―駐輪場―

後輩「兄先輩、急いで急いで!」

兄「後輩!?なんで…」

後輩「一緒に帰りたいからに決まってるじゃないですか!いちいち言わせないでくださいよ…!」

兄「そ、そっか…わざわざありがと…」

後輩「早くしてください、先生にどやされちゃいますよー」

兄「わ、わかったわかった…」ガチャガチャ

兄「…よし、できた!」

後輩「行きましょう!」

兄「う、うん!」
781 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:09:01.63 ID:sKfsUWdz0
―夜 帰り道―

兄「…後輩、ありがとな…俺なんかのために、わざわざ待っててくれて」

後輩「ち、違いますよ…先輩だからこそ、わざわざ待ってたんです」

兄「…はは、そっか…嬉しいよ」

後輩「…先輩、先輩は…誰が一番好きなのかって、まだ自分でもわかりませんか?」

兄「うん…まあ、今日はいろいろあったしなぁ、余計にわかんなくなっちゃった気も…」

後輩「…そうですか、でも…焦らないでくださいね」

兄「…ああ」

後輩「それと…後悔もしないでください、絶対に」

兄「…ああ、わかってる」

後輩「…それならいいんですけど…あっ、じゃあ…また明日」

兄「…?…あ、ああ…」

兄(…部長先輩もだけど、部活に行けないのにまた明日…ってどういうことだろ…?)
782 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:09:55.08 ID:sKfsUWdz0
―兄の家―

兄「…ただいまー」

妹「お帰りー、遅かったね?」

兄「…!」ドキッ

妹「…?…何、どうかしたの?」

兄「あ、ああ…いいや、なんでもない!」スタスタ

妹「なんだろう…変なの」
783 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:16:56.09 ID:sKfsUWdz0
―兄の部屋―

兄「…っはぁ、はぁ…」

兄「…おかしいな…なんで俺、妹に対してあんなにドキドキしてんだろう…?」

兄「っていうか…あいつ、あんなに可愛かったっけ…?」

兄「…今朝の事が…いや、今日一日の事があって…動揺してるんだろうな、俺…きっと…」

兄「……」

―――

妹『だから、こんなくだらないことかもしれないけど、私だって、一人の…女の子だもん』

妹『もっと…見てほしくて…』

―――

後輩『…私と一緒に、楽器を吹いていてくれるなら』

後輩『それだけで…私は幸せだから』

後輩『…約束してくれますか?』

―――

幼馴染『…弱気になるなよー?せっかく僕を惚れさせてくれたのにー』

幼馴染『大体、全部兄君がいけないのよ?あんまり優しいから、さ』
―――

兄(…三人とも…今日はいつもと違って、なんだか大胆で…)

兄(すごく…意識しちゃったっていうか…)

兄(…もしかしたら、今なら…俺の大切なものが)

兄(一番、好きだと思う人が…わかるかもしれない…)
784 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:20:59.39 ID:sKfsUWdz0
兄「…俺の、一番大切なもの…」

兄「…かけがえのないものは…」

―――

『…家族の繋がりか』

『友達の繋がりか』

『部活の繋がりか』

―――

兄「…部活の繋がり…」

兄「…友達の繋がり…」

兄「…家族の繋がり…」

兄(……)

兄「…よし、一晩考えて…絶対に後悔しないような結論を出そう」

兄「たとえ…誰かを傷つけることになっても…」

兄「…それでも、その答えだけは…俺は曲げない」

兄「…妹…後輩…幼馴染」


兄「俺が、一番好きな女の子は――!」
785 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/26(月) 23:22:13.12 ID:sKfsUWdz0
今日はここまでです
明日でこのヘタレ野郎の恋愛にケリがつきます
無駄に引っ張っちゃってごめんなさい
お休みなさい
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/26(月) 23:57:31.36 ID:1pdBU5CUo
全員だ!


おつですな
787 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 12:54:31.34 ID:rEBeAQIk0
昨日はちょっと急ぎ足になり過ぎちゃったかも、反省してます…
つーか途中グダグダ最後に詰め込みってこれどこのメダルのライダーだよwwww
書きます
788 :>>784から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 12:57:12.57 ID:rEBeAQIk0
―――

姉「…――ってことがあって…」

姉祖父「…なるほど、信じがたいことじゃが…もしかしたらそれは」

姉祖父「…今は亡きわが家族が、お前に語りかけているのかもしれんな…」

姉「…そう、なのかな…確かに、頭の中に…直接映像が映りこんできた、っていうような感じだったから…」

姉「…そう考えたほうがむしろ…納得いくんじゃないかって気も…」

姉祖父「……」

姉祖父「…姉よ、つかぬ話をするが…兄の様子はどうじゃ」

姉「…うん、大丈夫…もうそろそろだよ」

姉「もうすぐ…あの子は答えを見つける…」

姉祖父「…そうか」

姉「うん、それに…あの子が誰を選ぶかも…もうわかっちゃった」

姉祖父「ふん、年よりのわしには色恋沙汰への興味などもう湧かぬよ」

姉「あら、そう?残念」
789 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 12:59:37.68 ID:rEBeAQIk0
―朝 兄の家―

兄「……」フラフラ

妹「あ、お兄ちゃんおはよー…って大丈夫?そんなにふらついて…」

兄「!…あ、ああ…昨日は、ちょっと…寝られなくってな…」

妹「そうなの?何か考え事でもしてた?」

兄「ああ、そんなとこ…昨日はお前が夜這いしてこなくて助かった…」

妹「え、えへへ…私も昨日はちょっと…疲れちゃってね」

兄「…そういえば…姉貴は?」

妹「ああ、机の上に置手紙してあるよー」

兄「…用事があるので今日は帰ってこられません…えらくシンプルだな」

妹「それよりほら、お兄ちゃん」コトッ

兄「あ、そっか…妹に朝飯作らせちゃったのか、ごめんな」

妹「ううん、いいのいいの」

妹「お兄ちゃんのためにいろいろするのが、私にとっても幸せだから!」にこっ

兄「…!」ドキッ

兄(……)
790 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:03:01.91 ID:rEBeAQIk0
―兄の高校―

兄「…はあ、妹と一緒の登校はしんどいな…」

兄(心臓がバクバクいって止まらねえし…)

幼馴染「兄君、おはよー!」

兄「ああ、おはよう」

幼馴染「あれ、ちょっと元気ないね…もしかして今日も妹に振り回されてきた?」

兄「…あはは、まあな」

幼馴染「そっかそっか、あの娘もずいぶん押しが強くなったもんだ」

兄「お前のせいでな」

幼馴染「せいってなんだよ!おかげって言いなさい!」

兄「はは、どっちでも同じだ」

幼馴染「同じじゃないよぉ、もう!」

兄「あっはははは!まったくからかい甲斐があるなあお前は」

幼馴染「…もう、兄君のバーカ!」
791 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:06:30.15 ID:rEBeAQIk0
兄「…あ、そういえば…お前に言いたいことがあったんだった」

幼馴染「えー?なになに?」

兄「今日はさ、昼飯…別々に食べない?」

幼馴染「…え?」

兄「ああ、いやいやいや!別にお前が嫌いだとかそんなんじゃない!本当は俺だってお前と食べたほうが楽しいし」

幼馴染「…じゃあ、なんで…?」

兄「…話が、あるんだ」

幼馴染「ご飯食べながらじゃだめなの?」

兄「ああ、ちゃんと話したいんだよ」

幼馴染「…もしかして、告白の返事…とか?」

兄「…ああ」

幼馴染「へえ、本当?兄君の事だから返事は今月中じゃないと思ってたよ」

兄「あんまりモタモタしてたらだらしがないからな…昨日徹夜して考えて、後悔しないよう答えを出した」

兄「…だから、それを…ちゃんと伝えたい」

幼馴染「……」

兄「昼飯、食い終わってから…校門の前に来てくれ」

兄「俺も遅れないように行くからさ」
792 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:07:41.64 ID:rEBeAQIk0
―――

幼馴染「……」

幼馴染「……」

幼馴染(…授業、全然集中できない…)

幼馴染(今は…まだ二時限目でしょ…?ああもう、早く昼休みになってよ…!)

幼馴染(そわそわして、何も手につかないいいいい…!)ブンブン

幼馴染(……兄君が…僕を選んでくれたら嬉しい、けど…)

幼馴染(…でも、やっぱり不安だな)

幼馴染(…あ、いや…弱気になっちゃダメ…結果はどうあっても、兄君と一緒にいられたら…それでいいんだから!)

幼馴染(……)

幼馴染(…そう、それで…)

幼馴染「……」

キーンコーンカーンコーン
793 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:10:34.64 ID:rEBeAQIk0
―昼休み―

幼馴染「ぱくっ…んむ、んぐ…んむっ、んぐんぐ、ごくっ」

幼馴染「…っはぁ、ごちそうさまでした…!」ダッ

幼馴染「はぁ、こんなに早くご飯食べ終わったの初めてだよ…!」

幼馴染「急いで、兄君のとこ行かなくちゃ…!」ダダッ

幼馴染「……」

幼馴染「……」スタスタ…

幼馴染「……」ピタッ

幼馴染「…でも…万一、振られたら…?」

幼馴染「…ううん、そんなことない…きっと大丈夫…」

幼馴染「…だけどせめて、覚悟だけは…ちゃんとしておかないと」

幼馴染「すぅ…はぁ…」

幼馴染「…よしっ!」ダッ
794 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:12:09.55 ID:rEBeAQIk0
―校門前―

幼馴染「…はぁ、はぁ、っはぁ…ごめんね、待たせちゃって…」

兄「…ううん、俺も…今来たとこだから」

幼馴染「…嘘ばっかり」

兄「ははは」

幼馴染「…他の場所だと…大体みんなご飯食べたり談笑してるから…」

幼馴染「告白の返事なら、人のいないここがベストだね…よくこんなとこ見つけたね、兄君」

兄「いや、昼休みに人気のない場所、っつったらここくらいしか思いつかなかったからさ」

幼馴染「…そっか」

兄「ああ」

幼馴染「……」

兄「……」
795 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:15:51.82 ID:rEBeAQIk0
幼馴染「…兄君、こっちの準備はもう、できてるよ…っ」

兄「…そうか、じゃあ…いいんだな?」

幼馴染「うん…お願い」

兄「……」


兄「…幼馴染」

兄「俺とお前は…ずっと、ただの親友…一生変わりなく、そうだと思ってた」

兄「でも、お前は俺のことが好きだって聞いて…そして、その後もいろいろあって」

兄「…俺の想いも、変わり始めた」

幼馴染「……」

兄「本当は繊細なくせに、俺よりずっと脆いくせに…」

兄「本当は寂しいくせに、誰より強がりのくせに…」

兄「…どうして俺なんか好きになっちまったんだ、まったく…」

兄「…優しいだけじゃ、俺は親友を支えていけない」

兄「…優しいだけじゃ、お前の力になってはやれない」

幼馴染「わかってるよ、僕は強がりだ…でも、それでも…!」

兄「…ああ、俺もわかってる…それでも、お前は俺を好きでいてくれてる」

兄「…そんな気持ちは…嬉しい」

兄「でも」



兄「…ごめん」
796 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 13:18:28.89 ID:rEBeAQIk0
幼馴染「…っ…!!!………」

幼馴染「…………」

幼馴染「……」

幼馴染「……」

兄「…本当にごめん、でも…俺は、決めたんだ」

兄「お前の力になれないのに、お前の恋人になるべきじゃないって」

兄「……」

幼馴染「…そっか、そうなんだ…いや、いいんだ…僕は、それでもいい」

幼馴染「でも、強がりの僕が言うのもなんだけど…理由はそれだけじゃないんでしょ?何か隠してるでしょ」

兄「…!…」

幼馴染「言って」

兄「…でも」

幼馴染「…ここまで来るとさ、もう『優しい』を通り越して『甘い』よ、兄君は…」

幼馴染「人をこれだけ傷つけたくせに、まだ傷つけるつもりなの…?」

兄「お、幼馴染…!」

幼馴染「…いいから言って、ただ僕は…――」

幼馴染「――…ううん、私は…女の子として、初恋を、中途半端に終わらせたくないだけ」

幼馴染「本当の理由を、私は聞きたいだけ」
797 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:04:57.47 ID:rEBeAQIk0
兄「…お前よりも…もっと、魅かれる女の子がいた」

兄「お前を嫌いになったわけでも、お前を女の子扱いしてないわけでもない」

兄「ただ…俺には、もっと好きな人ができてしまった」

兄「…ごめん、それが…本当の理由だ」

幼馴染「…そう…なるほどね…」

幼馴染「…そっか!うん、わかった…すっきりしたよ」

幼馴染「ありがとう…これで、もうこの恋に未練はなくなった!」

幼馴染「…きれいさっぱり、諦めた!…あっはは、まあ、兄君が誰を好きなのかは…辛くなるから聞かないけど」クルッ

幼馴染「でも…その娘とお幸せにね!じゃあまたあとで!」ダッ

兄「…!」

兄「……」

兄「…お、おい…幼馴染!」

幼馴染「…!」ピタッ

兄「…恋人じゃ、いられない…でも」

兄「ずっと、永遠に…俺たちは、幼馴染で、大親友だから!」

兄「…だから…」

幼馴染「わかってる、ありがとう!…」スタスタ

兄「……」

兄「…幼馴染」



兄(…走り出してからそのまま、ただの一度も振り返らないで…あいつは校舎に消えて行った)
798 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:06:22.25 ID:rEBeAQIk0
―放課後―

兄「…幼馴染…あの後ずっと気丈に振る舞ってたけど…きっと、辛いよな…」スタスタ

兄「俺だって同じだよ…」

兄「あいつを傷つけちまったのは…辛い」

兄「…でも、もし妹や姉貴に相談したら…きっと放っておけって言われるんだろう」

兄「幼馴染本人に聞いても、同じ答えが返ってくるに違いない」

兄「強情なあいつは…弱い自分を他人に見せるのが大嫌いなんだから」

兄「…俺が…一番よく知ってるから」

兄「…だから、幼馴染…ごめん」スタスタ


兄「……」

兄「…すぅ、はぁ…よしっ」

ガチャッ

兄「失礼します、こんにちは…」
799 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:07:31.87 ID:rEBeAQIk0
―部室―

部長「…兄君…?」

兄「部長先輩、ありがとうございました…」

兄「俺、やっと答えが見つかったんです」

兄「だから…後輩に、それを見せてあげたくて」

部長「そうですか…わかりました、ひとまず席に着いてください」

兄「…はい」

部長「…ふふ、全員揃いましたね?」

部長「それでは、本日の部活動を開始します」

部長「起立、礼!」

「「「お願いします!」」」

―――
800 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:09:02.10 ID:rEBeAQIk0
兄「…後輩、昨日のとこまで行こう」

後輩「が、楽器だけ持っていけばいいですよね?」

兄「あっはは、当然だろ?自分のものは自分で持っていくしさ」

後輩「ほっ、よかった…」

兄「……後輩…」

兄「俺の一番大切なもの…昨日一晩中考えて、ようやく見つけたんだ」

後輩「……」

兄「聞いてくれるか?」

後輩「……」

後輩「…はい」
801 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:10:19.90 ID:rEBeAQIk0
―――

後輩「…着きましたね」

兄「楽器、ここに置いとこう」カチャッ

後輩「はい…」カチャッ

兄「…言っても、大丈夫か?」

後輩「はい」

兄「見つけた答え、っていうのは…告白の返事、でもあるんだけどさ…」

後輩「ふふ、薄々感づいてましたよ」

兄「…あはは、そうか」

後輩「ええ、いつでもどうぞ?」

兄「…わかった…じゃあ…」


兄「…後輩」

兄「俺と後輩は…もしかしたら、出会うことのない他人だったのかもしれない」

兄「すれ違うことさえ、なかったかもしれない」

兄「…互いの名前を、知ることも…」

後輩「……」
802 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:11:10.95 ID:rEBeAQIk0
兄「…でも、俺たちはこうして…この部で、一緒に高め合う仲間として…出会うことができた」

兄「…それだけで、きっと奇跡なのかもしれない…」

兄「…そしてそのうえ、お前は…俺を好きでいてくれる」

兄「…そんな俺は、おそらくとんでもない幸せもんなんだと思う」

兄「お前の気持ちが、すごく嬉しい」

後輩「……」

兄「…でも、お前には悪いけど…俺には、もっと好きな人がいる」

後輩「…!」

兄「誰なのかは言わないけど…少なくとも俺は、好きな人がいる以上、お前の好意は…受け入れられない」

兄「…本当、ごめん…」

後輩「…そう、ですか…」

兄「……」
803 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:12:54.40 ID:rEBeAQIk0
後輩「…あはは、でも…ほとんど予想通りでした」

兄「え?」

後輩「私、きっと…それこそライトノベルにありがちな主人公みたいに、先輩は誰も選ばず、みんなを好きでいたまま」

後輩「高校生活を過ごし続けるんだと思ってました」

後輩「…けど、そんなことなかったですね…一番好きな人、見つかったんですね」

後輩「それが…兄先輩にとって、本当の幸せ…なんですよね」

兄「…ああ、今ならはっきり言えるよ」

後輩「わかりました!ちょっとショックでしたけど、昨日した約束さえ守っていただけるのなら、私はもう何も望みません」

後輩「本当の幸せ掴み取って、一生離さないように頑張ってください!」

兄「…後輩…ありがとう」

兄「でも、さ…考えたんだけど、やっぱりお前の夢は――…」

後輩「…?」

兄「…あ、いや…やっぱり、なんでもない」

後輩「えーっ?気になるじゃないですかぁーっ!」

兄「あははは、また今度…教えてやるよ」
804 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:15:29.27 ID:rEBeAQIk0
―部活終了後―

後輩「…はあ、見事に振られちゃったなあ…でもいいや!」

後輩「今…ものすごくスッキリした気分だし!」

部長「あら、本当ですか?」

部長友「もっと落ち込んでると思ってたけど、意外だなぁ?」

後輩「せ、先輩方…えへへ、大丈夫です!私の気持ち、ちょっとコロコロ変わり過ぎな気もしますけど」

後輩「…っていうのも、最初は金賞が欲しくて…その次は兄先輩に魅かれ始めて、やがて兄先輩が大好きになって…」

後輩「そして今は、兄先輩が好きとかどうとか関係なしに、一緒に楽器を吹くことだけが、なによりの楽しみになっちゃって!」

部長「ふふ、そうですか…もう私たちにできること、本当に何もなくなっちゃいましたね」

部長友「そうだなぁー…もうちょっと首突っ込んで、引っ掻き回しても面白かったと思うけど!」

後輩「もう、やめてくださいよ二人とも!あっははは…あっ」

部長友「ん、どうした?」

後輩「そういえば…先輩方とも、約束事がありましたよね?」

部長「あー、はいはい…後輩が後回しにって言うから忘れかけてました」

後輩「今から…あの約束のとおり、お二人にお願いしたいことがあるんです!」
805 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:23:47.39 ID:rEBeAQIk0
―兄の家―

兄「ただいま」

妹「おかえりーお兄ちゃーん」

兄「…姉貴は?」

妹「ああ、昨日用事で夜遅くまで起きてたうえに会社に行って仕事してきたせいで、仕事疲れが酷いんだって」

妹「だから今、部屋で寝てる」

兄「そっか、いるならいいんだ…あのままずっとフラつかれてたら心配でかなわねえからな」

妹「朝のお兄ちゃんはフラフラしてたじゃん」

兄「いや、あれは関係ないだろ…」

妹「あ、あと今日はお兄ちゃんがご飯作ってよね」

兄「あー…そういえば最近やってなかったしな、わかったよ」

兄「あ、でもさ…その前に話があるんだ…ちょっと公園まで一緒に来てくれないか?」

妹「…いいけど、なんでわざわざ公園まで…」

兄「いいからいいから」
806 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:33:03.63 ID:rEBeAQIk0
―公園―

妹「…夜の公園って、ちょっと不気味なような…」

兄「でも、独特の雰囲気があっていいだろ?」

妹「うん、まあ…それで、話って?」

兄「…告白の、返事」

妹「…!!」

兄「今朝調子が悪かったのはそのせいだ、心配かけて悪かったな…妹」

妹「えっ、あ…ううん、別にいいけど…」

兄「…本当、突然で悪い…でもさ、今日…全員分話付けとかなかったら、もうチャンスがないような気がして」

妹「全員分…?」

兄「…ああ、幼馴染とも後輩とも…もう、話を付けてきたんだ」

妹「え、ほ、本当…!?」

兄「もちろん」

妹「じ、じゃあ、ちょちょちょっと待って!30秒だけ!心の準備するから…!」

兄「…わ、わかった…」
807 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:36:04.26 ID:rEBeAQIk0
妹「すぅ、はぁ…すぅ、はぁ…」

妹「兄、兄、兄…ぱくっ…よ、よしっ」

妹「…ど、どうぞ…」

兄「…よし…妹」

妹「はっ、はい!」

兄「…お前は、大事な俺の家族で…そして、自慢の妹だ」

兄「だから、最初は…驚いたよ、お前が俺を好きだって…言ったときはさ」

妹「…う、うん…」

兄「それに、生意気なこともいっぱい言うし…素直になってもくれないし」

妹「あ、それは、その…あぅ…」

兄「でも、全部わかってる…あれはお前の照れ隠しだ」

兄「好きって気持ちを、隠すためだったんだろ?」

兄「…俺のためにさ」

妹「は、恥ずかしくなるからやめてよぉ…ぅぅ////」

兄「…一般的に見れば、兄弟愛なんざ変かもしれない」

兄「けど、別に知ったことじゃない」

兄「俺…やっと気づいたよ」

兄「俺が、一番好きな女の子は――」


兄「…妹、お前なんだって」
808 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:58:40.39 ID:rEBeAQIk0
妹「〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」

兄「あっはは、驚き過ぎ驚き過ぎ」

妹「あっ…あわわ…だだだだって、し、信じきれなくて…!!」

兄「まあ、その気持ちもわかるけど」

兄「でも妹…こんなダメな兄貴を好きでいてくれて、ありがとう」

兄「これからは、家族兼恋人同士だ」

兄「誰に気持ち悪がられようと知ったことじゃない、一緒に乗り越えていこう」

兄「…妹、今までごめん…愛してる」

妹「…お、お兄ちゃん…ゆ、夢じゃないよね?本当、だよね…?」

兄「…ああ、本当だよ」グイッ

妹「っぎ、いだだだだっ…ほ、本当に本当??」

兄「本当だってば」

妹「…え、えへへへ…嬉しい…お兄ちゃん、ありがとう…!」

兄「あはは、どういたしまして」
809 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 14:59:26.07 ID:rEBeAQIk0
ポツ…ポツ…

兄「…あれ、雨…?」

妹「あーもう!せっかくいい気分だったのに…!」

兄「しょうがない、さっさとうちに帰るか」

妹「うん!」

兄「……」

兄(…幼馴染と後輩、どうしてるだろ…)

兄(ちょっと心配だけど…)

―――

妹『要するに、精一杯の想いと勇気を込めた告白で…自分が傷つく覚悟もできない弱っちい女の子なら』

妹『…はじめっから他人を好きになったりしない、ってこと』

妹『だから、お兄ちゃんが気遣う必要なんかない』

妹『誰にだって、支えてくれる人がいるの』

妹『お兄ちゃんは、そういう人に…気にせず甘えておいたらいいの』

―――

兄(……)
810 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:02:53.91 ID:rEBeAQIk0
―後輩の家―

ザアアアアアアアア…

部長友「…あちゃー、雨降ってきちゃったな」

後輩「関係ありませんよ、だって今日はお二人とも、うちに泊まっていってくれるんでしょ?」

部長「まあそうですけど…」

部長友「しかしお前は不思議な奴だな、私達に『今晩泊まっていって、私を慰めてください』なんて頼みをするとは…」

後輩「えへへ、実はお二人と約束を取り付けたときから、ずっとその内容で頼もうって決めてたんです」

部長「…やっぱり、最初から告白の結果は見えてたんですね…後輩は」

後輩「はい、それに…前にも言った通り、あれは私の自己満足だったし」

後輩「…それでも、できることならお付き合いしたかったですけど」

部長友「…だとしても、それだけ吹っ切れてるお前を、私達はどうやって慰めりゃあいいんだよ」

後輩「あ、いや…慰めて、っていうのは建前みたいなもんで…」

後輩「本当は、先輩たちと、もっといっぱいお喋りとかしたいな、なんて思って」

後輩「…ダメ、ですかね?」
811 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:04:17.14 ID:rEBeAQIk0
部長友「…あはは、バカ!ダメなわけあるかっつーの!」

部長「そうですよ、あなたの願いなんですから」

部長「私達はそれに付き合うのが道理でしょう」

後輩「えへへ…ありがとうございます」

部長友「じゃあ最初の話題は後輩のスリーサイズの話から…」

ガンッ

部長友「」

部長「…ふう、まったく」

後輩「あの…前から思ってたんですけどどうして部長友先輩はこんなにも親父臭いことばかり言うんですか…」

部長「私が聞きたいですよ…」
812 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:06:20.03 ID:rEBeAQIk0
―喫茶店―
ザァァァァァァァァァ……

からんからんっ

幼馴染「……」

店員「いらっしゃいませー」

幼馴染「…あそこの席で…」

店員「了解いたしましたー」

幼馴染「……」
813 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:15:11.20 ID:rEBeAQIk0
店員「こちらメニューになります、ご注文のほうお決まりになりましたら――」

幼馴染「…ブラックコーヒー一つ、お願いできますか…」

店員「…あ、えーっと…は、はい…わかりました」

幼馴染「……」

幼馴染「……」

―――

兄『…ほ、ほら…これでいいか?』

―――

兄『うん、幼馴染ちゃんの友達になってあげたいだけ!一人でさびしそうにしてるの、見てると僕まで辛いもん』

―――

兄『お前の力になれないのに、お前の恋人になるべきじゃないって』

―――

幼馴染「…あっははは…嘘ばっかり…」

幼馴染「結局は、私の気持ち…裏切っちゃって…兄君の、嘘吐き…」

幼馴染「…なんてね、あーあ…頭の中では、違うんだって…わかってるのに」

幼馴染「どうしてきっぱり…諦められないかなぁ…」

幼馴染「どうしていっつも…強がっちゃうかなぁ…」
814 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:18:20.44 ID:rEBeAQIk0
ザァァァァァァァァァァァ……

店員「…お、お待たせしました…ブラックコーヒーになります…」

幼馴染「あはは…どうも」

店員「し、失礼いたします…」スッ

幼馴染「……」

ざあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ

幼馴染「…雨…」

ざあああああああああああ

          ざあああああああああああああ

ざああああああああああああああああっ

幼馴染「……」

幼馴染「……」
815 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:21:23.33 ID:rEBeAQIk0
幼馴染「……」ズズッ


ざああああああああああああああああああああああああああああああああ


兄『…幼馴染』

兄『俺とお前は…ずっと、ただの親友…一生変わりなく、そうだと思ってた』

兄『でも、お前は俺のことが好きだって聞いて…そして、その後もいろいろあって』

兄『…俺の想いも、変わり始めた』

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

兄『本当は繊細なくせに、俺よりずっと脆いくせに…』

兄『誰より寂しいくせに、誰より強がりのくせに…』

兄『…どうして俺なんか好きになっちまったんだ、まったく…』

兄『…優しいだけじゃ、俺は親友を支えていけない』

兄『…優しいだけじゃ、お前の力になってはやれない』

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

兄『…ああ、俺もわかってる…それでも、お前は俺を好きでいてくれてる』

兄『…そんな気持ちは…嬉しい』

兄『でも』


ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ



兄『…ごめん』
816 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:22:35.62 ID:rEBeAQIk0
幼馴染「……」ズズッ

幼馴染「…はぁ…」

幼馴染「……」

幼馴染「雨、止まないなぁ…」

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

幼馴染「……」

ぽた、ぽた…

幼馴染「……」

ぴちょん…ぴちょん…

幼馴染「……」

幼馴染「……」ズズッ

幼馴染「…!…」

幼馴染「ふっ…ふふ、あはは…ずずっ」

幼馴染「…この店、この間と…コーヒーの味、変わったのかな…」

幼馴染「ふふふ、おかしいなぁ…砂糖も、塩も…入れてないのに」

幼馴染「今度、妹と後輩ちゃんも誘って…一緒に飲みにこようかな…」

幼馴染「…はは、それにしても…なんでこのコーヒー…」ズズッ

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ


幼馴染「こんなに…しょっぱい味がするんだろ…?えへへ…」ズズズッ

幼馴染「ぐすっ…ひっく、ぐすっ…」
817 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/27(火) 15:25:11.34 ID:rEBeAQIk0
今日はここまでです
べっ、別に兄君は妹の裸エプロンに靡いたわけじゃないんだから勘違いしないでよね!
安いエロで釣られるような男じゃないんだからねっ!
あとラストの幼馴染はできるだけ切ない感じを目指して書いたんですけど、上手くいったかな…?

そして次からは姉、兄、妹の秘密に迫る…んですけど、前にも言ったように大した秘密じゃないからあんまり期待は
しないでね…
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/03/27(火) 15:26:35.31 ID:WUQitvOfo
幼馴染がよかったな
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/03/27(火) 16:10:59.23 ID:QTTQfb/Oo
幼馴染いい子や(;ω;)
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2012/03/27(火) 17:01:16.18 ID:XFS4loNAO
一気に読んでみたんだけど
最高だな
支援
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/27(火) 17:02:49.84 ID:fTDiF2sSo
選ばれなかった子は可哀相
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) :2012/03/28(水) 13:46:48.75 ID:tpMuYBml0
大支援
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/28(水) 21:11:10.35 ID:kaBLVG/e0
これ名作やろ
824 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:33:10.83 ID:mf8gLLYq0
まどポがフリーズゲーって聞くけど未だ一度もフリーズしたことないから信じられねえ
しかも今日KHDDDの発売日だし、どっちやればいいやら…
書きます
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/29(木) 17:34:14.21 ID:bvQIM5sHo
はてさてどう補償するのやら
そこだけ気になる
826 :>>816から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:34:31.17 ID:mf8gLLYq0
―翌朝 兄の家―

妹「おにーちゃーん、おーきーてー」

兄「…んっ…ああ…妹、おはよう」

妹「朝ごはん一緒に食べよっ♪」

兄「…朝からえらくテンションが高いな」

妹「そりゃそうだよ、大好きな人とくっつけたんだからっ!」

兄「あははは、そうかそうか」

妹「お兄ちゃん、私すっごぉーく嬉しいよっ」

兄「…おう、俺もだよ」
827 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:37:49.73 ID:mf8gLLYq0
姉「兄君、妹ちゃん、おはよう」

妹「おはようお姉ちゃん!」

兄「姉貴、おはよう」

姉「あらあら、今日も朝から見せつけてくれちゃって」

妹「えへへ、いいでしょー」

兄「…さすがにずっとこのままでいられると、正直ちょっとしんどいんだけどな…」

妹「何それ!?ひどーいっ!」

姉「まあまあ妹ちゃん、兄君も人間なんだから、あんまり遊び過ぎちゃダメよ?」

兄「おい、どういう意味だそれ」

妹「はーい…」

兄「なんでがっかりしてんだよ!…ったく、何も気持ちを偽るわけじゃないけど、やっぱ前途多難かもなあこりゃ…」
828 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:39:21.77 ID:mf8gLLYq0
―――

兄「ごちそうさまでした」

妹「ごちそうさまでした!」

姉「ごちそうさまでしたー」

兄「さて、支度してこないとな」

妹「私も私もっ!」

姉「…私はもう全部終わってるから先行くよ?戸締りよろしくね二人とも」

兄「わかってるって!」

妹「行ってらっしゃい!」

姉「ふふ、行ってきますっ」
829 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:57:30.36 ID:mf8gLLYq0
ガチャッ パタン

姉「……」

姉「…はぁ、気が重いなぁ…ただでさえ言い出せなかったのに、二人ともあんなに幸せそうにしちゃって…」

姉「これじゃあ私…いつまでたっても、嘘吐きのままだ…」

姉「やっぱり、十数年隠し続けた私の選択は…間違いだったのかなぁ…?」

姉「どうすれば、いいかな…」

姉「信じたいけど…信じきれないなんて」

姉「…どうすれば…」
830 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 17:58:47.37 ID:mf8gLLYq0
―――

兄「…よし、戸締り完了」

妹「行ってきます!」

兄「急がないとな」

妹「うん!」

―中学校前―

妹「じゃあねお兄ちゃん、頑張ってね!」

兄「おう、お前こそ部活頑張って――」

ズキッ ズキッ

妹「…っ!?いっ、いたいっ…!!?あ、あたまが…っ!な…なんで…!?」

兄「いもう、と…!…なんだ、これ…頭が、急にガンガンし始めて…っ!!」

ドクン ドクン ドクン…ッ

兄「――…っ!?」
831 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:01:50.62 ID:mf8gLLYq0
―――

少女A『おいおい二人ともーっ!ちょっと遅すぎるんじゃないのーっ!?』

少女B『ま、待ってよぉ…はぁ、はぁ…』

少女C『Aちゃんが足早すぎるんだよ、もっと私たちに合わせてくれてもいーじゃない…』

少女A『ふん、そんなんだからあんたたちは運動全然ダメダメなのよ!もっと鍛えるべきよ』

少女B『べっ、べつに…いいもん…はぁ、はぁ、私…Aちゃんより、頭いいから…!』

少女A『何だとー!?人が気にしていることをよくもまあそうやって…!』

少女B『Aちゃんが先に言って来たんでしょっ!Aちゃんのばーか!ばーかばーかっ!』

少女A『あんた本当むかつく…いっぺんボコボコにされなきゃわかんないみたいね…!』

少女C『あーもー、またこのパターン!?仲裁役として面倒被るのはいつも私なんだからもう勘弁してよっ!』グイッ

少女A『離せよCっ!あいつが、あいつが…!』

少女C『わかったわかった、どっちだっていいから』

少女B『よくないよ!Aちゃんが、Aちゃんが…!』

少女C『…はぁ、もう勘弁してって言ってるでしょー!?』
832 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:05:07.54 ID:mf8gLLYq0
―――

兄「…っ、はぁ、はぁ、はぁ…」

妹「嘘でしょ…何、今の…?誰よ、あれ…!」

兄「妹も、同じ映像を見たのか…?」

妹「た、多分ね…三人の女の子が、一緒に遊んでて、途中で二人が喧嘩して、一人が仲裁して…」

兄「…ああ、俺もだ…一体なんだったんだ…?」

妹「確かに気になるけど、今は急がないと…!」

兄「えっ…うわ、やべっ!急がないとまた千円取られる!」

妹「じ、じゃあまたねお兄ちゃん!」

兄「あ、ああ!気をつけろよ!」
833 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:08:44.61 ID:mf8gLLYq0
―部活終了後 帰り道―

兄「…まさか、時間ぴったりで到着できるとはな…あとコンマ一秒でも遅れてたら罰金取られるとこだったぜ、あれはマジで奇跡だった…」

幼馴染「あははは、厳しい先輩がいると大変だねえー」

兄「……」

兄(…後輩や幼馴染が今日、どう接してくるかが気になったけど…後輩も幼馴染も、普段と何一つ変わらず接してくれた)

兄(きっと二人とも、俺のせいで傷つけてしまったはずなのに…なんであんなに強いんだろう)

兄(俺は本当に…いい友達に恵まれたもんだ)

幼馴染「ところで兄君、帰ってから暇?」

兄「ああ、一応は」

兄(…特に幼馴染は、まるで昨日何もなかったかのように思えてしまうほどいつも通り)

兄(でももしかしたら、こいつのことだから…俺のために強がり、俺のために泣いてくれた、かもしれない)

兄(だとしたら、俺がそれを変につつくような真似はするべきじゃないよな…)

兄「…もしよかったらさ、うちに来ないか?昔みたいに、一緒に遊ぼう」

幼馴染「え、いいの?…ありがとう!」
834 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:11:02.13 ID:mf8gLLYq0
幼馴染「いやー兄君の家行くの久しぶりだなぁー、なにしよっかな――」

ズキッ ズキッ

兄「っ!…ま、また…今朝の、あれが…!」

幼馴染「あ、兄君…僕も、頭痛が…!!」

兄「幼馴染も…!?…っぐ、ぐあっ!」

幼馴染「…っ!!!」ズキッ

ドクン ドクン ドクン…ッ

幼馴染「あ、ああ、あああ…っ!!?」
835 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:13:03.99 ID:mf8gLLYq0
―――

少女A『Cーっ!』

少女B『いーれーてーっ!』

ガラッ

少女C『ちょっと、大声で呼ばないでよ二人とも…!』

少女A『Cの家に遊びに来たのよ』

少女B『Cの家、いろんなものがあって、面白くって、すっごく素敵!』

少女C『やぁ、もう…そんなに褒めないでよ』

少女C『…まあいいや、とりあえず上がって上がって』

少女A『わぁっ、お邪魔しまーす』

少女B『お邪魔しますっ!』
836 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:18:14.57 ID:mf8gLLYq0
幼馴染「…っ、はぁ、はぁ、はあ…何、何なの、あれ…!?」

兄「わかんねえ、ただ…俺も妹も、朝に一度経験して…それと同じのが、今…」

幼馴染「えっ、兄君も?…僕もだよ…朝に一度、頭痛が…」

兄「…幼馴染も、今朝に体験済みだったのか…」

兄「これ、もしかしたら…特定のタイミングで特定の何人かに同時発生して、映像を見せる…」

兄「…って仕組みになってる可能性も、なくはないかも…誰が何のためにどうやってやってるのかは、わかんないけど…」

幼馴染「い、いや…仕組みうんぬんよりも、あの映像の意味を考えよう」

兄「そうだな…あれは一体なんだったんだ…?」

幼馴染「えっと…二人の女の子が、一人の女の子の家に遊びに行って…」

兄「…そのまま、終わった…ってことは、今朝の映像とはさほど関連性はないのかもな…」

幼馴染「でも…兄君、妹、僕…わかってるだけでも三人が、この不可解な映像を頭の中で見てるんだ」

幼馴染「意味がないとは、到底思えない…」

兄「…ああ、それはそうだけど…でも、心当たりとか、全然ないし…」

幼馴染「どうやって調べればいいんだろう…?」
837 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:19:29.11 ID:mf8gLLYq0
―兄の家―

兄「ただいまー…」

幼馴染「お邪魔しまーす」

兄「姉貴はともかく、妹もまだ帰ってきてないのか…」

幼馴染「どうする?妹もそろってから考えるか、それとも今からやれることをやるか…」

兄「…妹が来るまで待ってよう」

幼馴染「うん…わかった」ゴソゴソ

兄「おい、勝手に漁るなよ」

幼馴染「堅いこと言わないの…お、あったあった」

兄「なんでN64引っ張り出してんだよ」

幼馴染「スマブラやろうぜスマブラ」

兄「DXかXじゃダメなのか?一応全部あるんだけど」

幼馴染「いやいや、やっぱ初代が至高でしょー」

兄「…あっそ、まあ俺は別にどれやってもいいけどさ」

幼馴染「容赦はしないよー」

兄「ふん、望むところだ」
838 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:20:59.19 ID:mf8gLLYq0
―――

妹「ただいまー…って、あれ?何してんの?」

兄「よっしゃ、あと一機だ!覚悟しやがれ!」

幼馴染「くそ、ここで負けたら僕の3勝5敗で終わってしまう…!」

兄「あれ、そんなにやってたっけ?」

幼馴染「そうだよ、兄君が意外と強くてびっくりだよ…!」

妹「おーい二人ともー、何してんのー?」

兄「うお、妹!おかえり、いつの間に?」

妹「いや、ついさっきだけど…なんでスマブラやってんのよ、しかも初代」

幼馴染「兄君、油断大敵だよ!おりゃあっ!」

兄「えっ、ちょっ…おま、人が話してる隙になんで二機分吹き飛ばしてんだよ!ずるいだろうが!」

幼馴染「いまさら言っても遅いよ、僕の逆転勝利!」

妹「……」
839 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:24:01.10 ID:mf8gLLYq0
―――

兄「…さてと、妹が来たところで本題に戻るか」

幼馴染「そうだね、ちょっと熱中し過ぎちゃったからね…」

妹「……」

兄「今朝と昼間に二度…俺たちに起こった頭痛、そしてそこから映し出された映像についてだ」

妹「私も昼間に来たよ、部活やってる時に…ズキッって痛みが…」

兄「映像も、三人とも同じものを見た…んだよな?」

妹「うん…なんだか、見覚えのある家だった」

幼馴染「まあ、ちょっともやがかかっててよく見えなかったけどね」

兄「ああ、まるで夢でも見ているみたいな…そんな感じの映像だったな」

妹「考えれば考えるほど気になるなぁ、どうすればいいんだろ」

幼馴染「あ、それなんだけど…わかるかもしれない人に、心当たりがあるよ」

妹「本当?じゃあ相談してみようよ」

幼馴染「うん、今から電話かけてみるね」
840 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:25:00.20 ID:mf8gLLYq0
〜♪ 〜♪

姉祖父『…もしもし?』

幼馴染「あ、もしもし…幼馴染です」

姉祖父『おお、幼馴染か…何の用じゃ?』

幼馴染「…実は、ちょっと気になることが…今朝からいろいろありまして」

姉祖父『ほう、どうしたんじゃ?言ってみなさい』

幼馴染「はい、それが―――」
841 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:28:47.49 ID:mf8gLLYq0
幼馴染「―――…というわけなんです」

姉祖父『なるほどな、姉と同じ現象じゃ』

幼馴染「…姉さんと、同じ…?」

姉祖父『ああ、あいつも昨日お前たちと同じことを言いおってな』

姉祖父『…非現実的ではあるが…わしの推測だと、今は亡き姉の両親が』

姉祖父『お前たちに語りかけて来ているのではないかと…そう思っておる』

幼馴染「…そうですか…確かに非現実的ですけど、でも…」

幼馴染「あなたのことですし、きっと経験則が元なんでしょうね」

姉祖父『…まあ、わしも旅をしていろいろなものを見てきたからな』

姉祖父『似たようなケースが、なかったとは言い切れん』

幼馴染「そもそも、確証がない以上…今はその仮定を信じるより他ありませんしね」

幼馴染「…とにかく、ありがとうございました…あとは、姉さんとも話をするつもりです」

姉祖父『そうか、何かあったらまたすぐに連絡をよこしなさいよ』

幼馴染「はい、それでは…また近いうちに」

姉祖父『ああ、またな』

プツッ
842 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:33:18.80 ID:mf8gLLYq0
兄「…どうだった?」

幼馴染「…君達の両親が、僕たちに語りかけているんじゃないか…って」

妹「何それ?信じられないよそんなの」

兄「そもそも、それは一体誰に聞いたんだ?」

幼馴染「それなんだけど、二人はきっと知らないよね?教えてあげるよ」

幼馴染「今僕が話していた相手は、姉さんのおじいさん…つまり君達のおじいさんでもある人だ」

兄「本当か!?俺たち、会ったことないのに…」

妹「幼馴染ずるいよっ!」

幼馴染「あはは…それで彼は、世界中を旅して人々を助けて回るボランティアをしている」

幼馴染「日本には普段からあまり滞在しておらず、外国を中心に活動しているから日本国内では知らない人がいても無理はないけど…」

幼馴染「でもその分、外国では数えきれないほど多くの人たちを助けている超有名人だよ」

兄「…そんなすごい人が、俺たちのおじいちゃんなのか…」

妹「全然、知らなかった…」

幼馴染「救助、救命、介護など、肉体面で困っている人々をケアする資格をいろいろ持ってるし…」

幼馴染「カウンセリングとかお祓いとかで、精神面のケアをする資格も、あの人はたくさん持ってる」

妹「なんでもありなんだね…」
843 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:37:36.89 ID:mf8gLLYq0
幼馴染「だから多分、さっきのはあの人の経験による推測だろうと思うから…きっと間違ってないと思うんだ」

兄「うーん…そこまで言われたら信じるしかないよな…」

妹「いろいろ、信じきれない気持ちもあるけどね…」

幼馴染「あはは、だろうね…」

兄「…あと、姉貴がどうとかも言ってなかったっけ?」

幼馴染「ああ、どうやら姉さんも同じ症状を訴えたらしくって」

兄「そうか、じゃあ姉貴も交えて四人で話さないとな…」

妹「そうだね…」

幼馴染「じゃあ、姉さんが帰ってくるまでみんなでスマブラやってよっか」

兄「いいぜ、今度はピカチュウだ」

妹「じ、じゃあ私はネス使う!」

幼馴染「よーし、じゃあ僕はカービィ使っちゃおっかなー」
844 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:38:59.41 ID:mf8gLLYq0
―夜―

姉「ただいまー…あれ、幼馴染ちゃん」

幼馴染「あ、お邪魔してます…」

妹「今だ!」

兄「行くぜ!」

幼馴染「あああああ!なんで今の一撃だけ二人で連携攻撃するんだよ、汚いよ!」

妹「幼馴染はさっきお兄ちゃんにも同じことしたでしょ、倍返しよ倍返し」

兄「そういうこった、残念だったな」

幼馴染「むぅー…!くそ、次こそは逆転してみせるからね!」

兄「はいはい、楽しみに待ってますよ」

幼馴染「おのれぇぇぇ…!」

妹「…あ、ところでお姉ちゃん、ちょっと話があるんだけどいいかな?」

姉「え?」
845 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:44:22.78 ID:mf8gLLYq0
―――

姉「…なるほど、三人も私と同じ頭痛、同じ映像を…」

幼馴染「姉さんのおじいさんが言うことがもし本当だったら…これは、やっぱり…」

姉「うん…きっと、そういうこと、なんでしょうね…」

兄「…なんだよ、どういう意味だ?」

幼馴染「……」

姉「……」

妹「…二人が同時に押し黙るってことは…やっぱり、あのことなの…?」

姉「…ええ…あなたたちに、10年近く隠し通してきた…秘密」

姉「私は、話したくないんだけど…やっぱり、できっこない…よね」

妹「……」

兄「…大丈夫だよ、今なら、どんな秘密を明かされてもきっと…」

兄「…いいや、絶対に大丈夫だ」

兄「だから…姉貴、信じてくれ」

兄「…幼馴染も」

幼馴染「…兄君」

姉「……」
846 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:52:06.55 ID:mf8gLLYq0
妹「……わ、私も!…前までは、無理だったかもしれない…」

妹「でも、今なら絶対平気!…どんなことがあっても、絆は壊れないよ…」

妹「だって、だって…勇気を出せば、繋がりを信じれば、辛いことも苦しいことも…必ず乗り越えられるから…!」

姉「……」

姉「…そう…それだけの強い意志があるなら、私のこの口から真実を告げても…平気そうだね」

姉「でも、私は…あなたたちを信じてはいるけど…やっぱり、まだ…」

姉「…信じきれない」

姉「…だから、もし何かが壊れちゃったとしても…別に私は驚かないから」

兄「姉貴…!!」ギリッ

幼馴染「……」
847 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 18:59:16.06 ID:mf8gLLYq0
幼馴染(…兄君にも妹にも言えることだけど、彼らの中じゃ他の何よりも『家族』が大切…)

幼馴染(あの二人は、苦悩の末に手に入れた恋人同士の関係と、物心ついたときから勝手に持ってる家族同士の関係とを、万が一…天秤にかけるとしたら)

幼馴染(…まず間違いなく、家族同士の関係をとるのだろう)

幼馴染(そしてそれが、今回は…仇になる)

幼馴染(なにしろ…これから告げられる真実は、二人の一番の自信であり、一番の憑代である、家族同士の関係というものを…)

幼馴染(正面から、奪い取るものだから)

姉「覚悟はいい?…それじゃあ、言うね」
848 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 19:01:37.71 ID:mf8gLLYq0
姉「…兄君、妹ちゃん…いや」

姉「兄、妹…よく聞いて」

兄「……」

妹「……」

姉「はたから見れば、全然たいしたことないように思うかもしれない」

姉「でも、きっとあなたたちにとっては、一番つらいことだと思うから…だから今まで、何も言わずに生きてきた」

姉「…だけど、今日が限界みたい」

姉「私も覚悟はできたわ…」

姉「…じゃあ、行くよ?」

兄「……」

妹「……」



姉「…私と…兄と、妹は…」


姉「…本当はね、血のつながった兄妹じゃ……」







姉「…ない、んだ…」
849 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/29(木) 19:02:29.67 ID:mf8gLLYq0
今日はここまでです
お休みなさい
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 19:24:00.10 ID:X+Pr9KqIO
意味分からん
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 19:44:24.50 ID:dQseaV5DO
支援
今は傾聴すべきですな
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 00:56:56.11 ID:He4lC2pfo
フラグが立ってたっちゃ立ってたが、凄い上手い立て方ですなあ
wktkして待ってます
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 21:32:26.63 ID:+Z3lIdCDO
支援!
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 23:05:11.23 ID:0wJzaNcLo
春だなぁ
855 :>>848から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:24:54.80 ID:EeHATemP0
姉「……」

妹「……」

兄「……」

妹「…え…?う、そ…でしょ…?」

姉「…残念だけど、本当だよ…」

兄「…しょ…証拠は…?証拠は、どこにあるんだよっ!!」

幼馴染「…今ここにはないと思う…けど、姉さんのおじいさんが持ってたはずだ」

姉「そうだね…連絡してみようか」

兄「……」

妹「……」
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/31(土) 18:26:57.17 ID:Pz7/O39jo
続ききたか!
857 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:29:19.73 ID:EeHATemP0
―公園―

姉祖父「…久しぶりじゃな、兄…妹…」

兄「……」

妹「……」

姉祖父「まあ、わしと最後に会ったのはお前たちが小さいころだったから、きっと覚えてないじゃろうが…」

兄「…そんなことはいい、俺たちはただ、姉貴が言ってたことが本当かどうか…確かめたいだけだ」

姉祖父「…それもそうだな、ではこれを見ろ」スッ

妹「DNA鑑定の…鑑定書…?」

姉祖父「ああ、いつかこんな日が来るだろうと思ってな、昔にやっておいたんじゃよ」

姉祖父「…まあ、これを見たところで信じられるわけではないとは思うが…確かな証拠ではある」

兄「…兄妹である確率…」

妹「…0%…」

姉「だから言ったでしょ…?本当だ、ってさ…」

幼馴染「……」

兄「くそっ、理屈でわかってても…やっぱ、信じられねえよ…!!」

妹「そうだよ、それに…お父さんとお母さんまで本当の家族じゃなかったなんて…」

妹「もう、何を信じて生きていけばいいのか、わからなくなっちゃったよ…!」
858 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:32:55.27 ID:EeHATemP0
姉「…無理もないとは思う…だってあなたたちの育ての親は、本当は私の生みの親でしかないんですもの…」

姉「…だから実質、あなたたちはうちの養子」

姉「…二人とも…裏切っちゃって、ごめんね…でもやっぱり、あなたたちには重すぎるんじゃないかって…」

姉「そう思って、今まで秘密にしてきたの…」

妹「…っ!…」ギロッ

妹「……昔にこう言ってくれてたら…こんなことにはなってなかったかもしれないじゃない…」

姉「……」

妹「家族として過ごした時間が長すぎたんだよ…だから今私たちは…こんなに苦しむ羽目に…!」

姉「…そうね、私もそうは思った…でも、昔に、幼いあなたたちに対して言ったとしても、結局は今よりもっと重くのしかかるんじゃないかって」

姉「そもそも、わかってもらえないんじゃないかって…そういう気持ちが上回って、言えずじまいだった」

妹「…くっ…!」

兄「…姉貴、俺たちの本物の両親は…いったいどこにいるんだよ」

姉「……」

兄「こんな偽りの家族といるくらいだったら…俺は本当の家族と一緒に過ごしたい」

姉「…!…」

姉「…偽りの家族、か…」
859 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:35:09.50 ID:EeHATemP0
姉祖父「…それはお前たちにとっての幸せには、わしはならんと思うがな」

兄「……」

姉祖父「わしの家族は、お前たちの慕う…姉の両親だけじゃが」

姉祖父「わしはお前たち二人の実の両親の事も知っておる」

妹「…本当、ですか…?」

姉祖父「ああ、それと…幼馴染、お前の両親の事もな」

幼馴染「…え?」

姉「…兄君の父親はね、今この街にいるよ」

兄「…!…ほ…本当、か…?」

姉「うん…でも、会わないほうが…絶対に兄君のためだとは思う」

兄「…なんだよ、それ…まるで、俺の本当の親父が…まともな人間じゃ、ないみたいな――!」

幼馴染「そうだよ、まともな人間じゃない」

兄「…何…?」

幼馴染「ただ、僕から詳しく話すつもりはない…姉さんのためにもね」

姉「……」

兄「…姉貴のためだから、詳しく話せない…?どういうことだ?意味分かんねえよ…!」
860 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:36:32.16 ID:EeHATemP0
妹「…ああもう!なんで…なんでこの期に及んで隠し事なんてするわけ!?」

妹「私達の信じたものなんかもうどこにもなくなっちゃったんだから!」

姉「……」

妹「…だから、もう何も隠さないでよ…!」

妹「これ以上…偽りの中で生きていくのは…嫌なんだよ…っ!」

兄「妹の言うとおりだ…三人とも、知ってること全部話してくれ」

兄「もう…俺たちはすべて失っちまったようなもんなんだから…」

幼馴染「兄君、そんなこと…」

姉「…いいの、私が全部悪いんだから…」

幼馴染「っ…姉、さん…」

姉祖父「……」
861 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:37:44.04 ID:EeHATemP0
姉祖父「…いいだろう、もうまどろっこしいのはやめだ」

姉祖父「今から兄の父親を呼び出してここに来させる」

姉祖父「そのあとすべての真実をお前たちに伝える」

姉祖父「…その代わり、お前たちの心がどれほど傷ついたとしても…責任は取れんからな」

妹「…どういう意味ですか?」

姉祖父「…わしらが今までお前たち二人に隠し事をしてきた訳はな、まだ心が未熟なお前たちを傷つけぬようにするためだ」

姉祖父「お前たちが知ったら、きっと耐えきれないだろうと思ったからだ」

姉祖父「…だから、何があっても…必ず受け止めると約束しろ」

姉祖父「難しいことなのはわかっている…だが、そこまでの覚悟がないと…きっとお前たちでは耐えきれぬ」

兄「…わかった、なんでもいいから…早くしてくれ」

姉祖父「…そうか、ならば少し待っていろ」
862 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:38:25.98 ID:EeHATemP0
―――

姉祖父「…男、急に呼び出してすまないな…」

男「…構うもんかよ、兄と会えるなら…俺はそれだけでいい」

兄「…もしかして、あの男の人が…俺の…?」

幼馴染「…ああ」

姉「……」

兄「……」スタスタ

男「…兄…?…お前、兄…か?」

兄「…はい」

男「兄…兄っ!」ガシッ

兄「!!…」
863 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:39:55.41 ID:EeHATemP0
兄「…あなたが、俺の…本当の父親…」

男(以下、兄父)「おお、そうだ、そうだよ…俺が本当の、お前の父親だ…!!」ギュッ

兄「……」

兄父「会いたかった、ずっと会いたかったんだよ、兄…っ!!」

兄父「ずいぶんでかくなりやがって…あの頃は本当にちっちゃかったのになぁ…!!」

兄「…え、えっと…あ、あの!どうして、今まであなたは…俺に会いに来てくれなかったんですか…?」

兄父「…!…」

兄父「……」スッ

兄「あ…」

兄「……」

姉祖父「…気になるか?」

兄「……」コクン

姉祖父「…話しても、構わんよな?姉、兄父…」

兄父「……」

姉「…待って、私から話します…」

姉「いい、わよね…?」

兄父「…勝手にしろ」
864 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:41:58.31 ID:EeHATemP0
姉「…わかった、じゃあ…10年前のあの日に遡るけど」

兄「っ、…」

妹「…お父さんたちの、死んだ日…」

姉「…そう、あれが自殺じゃなくて殺人だっていうのは…二人とも気付いてるよね?」

兄「…ああ」

姉「…兄君にはちょっと辛いかもしれないけど…あの事件をだれが起こしたかを言うと、」

姉「…ここにいる…兄君のお父さん」

姉「彼が起こしたの」

兄父「……」

姉「彼が…あの事件の、犯人」

兄「…え?」
865 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:43:15.23 ID:EeHATemP0
兄「…うっ、嘘だ、嘘だろ…?嘘なんだろ、本当は、違う…んだよな…?」

兄父「…本当だよ、実の息子にこれ以上隠してたって仕方ねえ」

兄「なっ…なんだよ、それ…なんで開き直ってるんだよ!!」

兄「偽りの家族だとしても…あの二人は俺たちをずっと育ててきてくれたんだぞ!?」

兄「なのになんで…!なんで殺したんだよ!?それも、あんな卑怯な殺し方で…!」

兄「なんで今まで隠して!…それで、今…俺に会いに来たんだよ!」

兄父「……」

兄「…もう、わけわかんねえよ…頭がおかしくなりそうだ…」
866 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:44:00.25 ID:EeHATemP0
姉「…落ち着いて、兄君…理由ならちゃんとある」

姉「辛いことばかりだろうけど…頑張って聞いて」

兄「…くそっ、くそっ…!」

姉「…あの事件に至った理由…そして、私達が血の繋がらない家族として今まで生きてきた経緯」

姉「そのすべてを、これから順を追って話すわ」

妹「……」
867 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:52:32.94 ID:EeHATemP0
姉「…事の始まりは、妹ちゃんの本当の両親よ」

妹「え…、私の…?」

姉「ええ…妹ちゃんのご両親はね、もともといい加減で、大雑把で、荒削りな性格をしてた」

姉「具体的に言えば、お金の管理が甘く、すぐ散財してしまったり」

姉「仕事も、ペースこそ速かれいい加減…だからどこ行っても成功しない」

姉「子育てに関してもそう…その証拠に妹ちゃん、二人のもとにいる間ハイハイも二足歩行もできなかったし」

妹「そ、そんな…」

姉「…まあ、全部おじいちゃんたちに聞いた話なんだけど」
868 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:56:57.09 ID:EeHATemP0
姉「…そんないい加減な生活を両親二人、そろってずーっと続けてたから…最終的にはとうとう借金までしちゃって」

妹「そんな…!」

姉「…多額の借金で、一時期は生活が楽になったけど…まともな管理もまともな仕事もできないんですもの」

姉「またすぐに…元の生活に逆戻り」

姉「両親二人はおろか、妹ちゃんさえ食べさせていけなくなる始末」

妹「……」

姉「そこで仕方なく、妹ちゃんだけは兄君の両親に預けて、辛い生活の中で頑張って借金を返済しようとした」

姉「性格上まともな生活はできなくても、子供の事は溺愛してたのよ…だから、そのために心を入れ替えて必死に働いた」

姉「…でも、それでも…返しきれなくて」

姉「最後は、二人とも…自殺してしまったの」

妹「…!!」
869 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 18:59:04.10 ID:EeHATemP0
妹「…そ、んな…じゃあ、私…もう、本当の家族なんて、どこにも…誰も…いない、ってこと…?」

幼馴染「…妹…」ギュッ

妹「あ、ああああ…うぁ、あ、ああ…ああああっ…」

姉「…辛いよね、ごめんね…」

姉「でも、これは事実だから…」

幼馴染「……」

幼馴染「…姉さん、続けてください」

姉「!…」

幼馴染「二人とも、受け入れるっていったはずです…」

幼馴染「だから、今更止めないでください」

姉「……」

兄「……」

妹「うぇっ…ぐす、ぐす…ひっく、ううっ…」

姉「…わかったわ」
870 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:03:56.81 ID:EeHATemP0
姉「…兄君、妹ちゃんの二人を…兄君のご両親は育てることになって」

姉「それと同時に、妹ちゃんの両親が返しきれなかった分の借金も、同時に返すことになった」

姉「だけど、そんなの普通はできっこないじゃない?…だから兄君と妹ちゃんは…うちの家族になったの」

兄「…!…」

妹「…借金を、返すために…私たちは、お姉ちゃんの家へ…?」

姉「…そういうこと、そして兄君のお父さんはそれに条件を付けた」

兄父「…俺たち夫婦で借金を返し終わるまで、って条件だ」

兄父「だから借金を返し終わったら、姉の両親に預けた二人をもう一度こっちに戻してくれって」

兄父「…そしたら、それからはずっと俺たちで二人を育てるって…そういう条件付きで、俺はあいつらに兄妹を預けたんだ」

姉「…そして努力の結果、兄君のご両親は借金を返し終えた」

姉「だから、本来兄君と妹ちゃんは、兄君のお父さんのもとで育てられるはずだったのよ」
871 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:07:19.64 ID:EeHATemP0
兄「…じゃあ、なんで俺たちは…」

姉「…わかってる、今から話すわ」

妹「……」

姉「…私のお父さんは、二人も知っての通り…義理人情に篤くて、約束は必ず守り通す人だった」

姉「でも、あの時の事件はね…そんなお父さんと反対に、約束を破ってしまったお母さんが原因なの」

兄「…どういう意味だ…!?」

姉「…『兄君のご両親が、借金を返済するまで』…」

姉「これを条件にして、兄君と妹ちゃんはうちに預けられた」

姉「でも、うちのお母さんはすっごく優しくて、でも…執念深くて、ちょっと頑固で」

姉「…きっと、性格が災いしたんだろうなぁ」

姉「…兄君と妹ちゃんを、返したくないって言い始めたのよ」

兄父「……」

姉「おかしいよね、お父さんは最初からちゃんと約束を守るつもりで、二人を預かってたのに…」

姉「お母さんは、二人に愛着が湧いちゃったんだろうね…賑やかなの、好きな人だし」

兄「……」
872 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:09:39.81 ID:EeHATemP0
姉「…お父さんも、お母さんのことどうにか説得しようとしたんだけど…全然折れなくて」

兄父「俺たち夫婦も、折れるつもりはなかったからな…しまいには大喧嘩になっちまった」

姉「…それで激昂した兄君のお父さんは…」

兄父「……」

姉「…あの日、私の両親を殺した」

兄「…そういうことだったのか…」

妹「うちの両親から始まって…お兄ちゃんの両親に、それから…お姉ちゃんの両親に…」

兄「その間俺たちは転々として、俺たちを巡って…姉貴の両親は死んだ…」

兄父「……」

姉祖父「……」

幼馴染「……」
873 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:12:18.68 ID:EeHATemP0
兄「…俺、自分の本当の親に会えるって聞いて、一瞬どんな人なのかなって、すごく期待した」

兄父「!」

兄「…でも、同じく一瞬で…その期待は裏切られたよ」

兄「育ての親は非血縁者…生みの親は犯罪者」

兄「…俺には両親が二人いることになるが、どっちを誇ればいいのかわかんねえ」

兄「どっちが本当の家族なのか…俺にはもう、わかんねえ!!」

兄父「…あの事件について、反省はしてる、悪かったって…思ってはいる」

兄「…じゃあなんであんたは今ここにいるんだ!反省してるんならなんで呑気に俺と会ってるんだよ!!」

兄「牢の中で罪を償ってるのが本当の姿であるべきだろうが!…違うのか…?」

兄父「いや…お前の言うとおりだ」

兄父「でも、俺は…俺が犯した犯罪は、それだけじゃないんだよ…」

兄「…なんだと…!!?」
874 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:13:14.27 ID:EeHATemP0
兄父「…初めて殺人を犯した10年前のあの日から、どうにも俺の頭は狂っちまったらしくてな…」

兄父「犯罪犯しても、それやった瞬間はなーんにも思わなくなっちまったんだ」

兄父「どんなことやってもそう…ちっせえ犯罪からでっかい犯罪まで、することなすこと何とも思わねえ」

兄「…てめえは…!!」

兄父「警察から逃げるのもお得意になっちまってな、今や俺は犯罪犯すことで生計立ててんだ」

兄父「…ただ、別にそれを誇るわけじゃねえ…今までやってきたことが正しいとも思ってねえ」

兄「…それなら…今すぐにでも自首したらどうなんだよ…!」

兄父「…ああ、そうしたい…けど、俺にはたった一つ未練がある…」

兄父「…一日だけでいい…お前と、もう一回家族になりたい」

兄「…っ!!!!」

兄父「お前と一緒に、家族として過ごせるなら…それだけでいい」

兄父「そしたら俺は…すぐにでも豚箱へ飛んでいくさ」

兄「…ふざけんな…ふざけんじゃねえ!!どのツラ下げてそんなバカみてえなこと言いやがるんだよ!」

兄「俺たちの育ての親を殺したくせに…なんでそんなことが言えるんだよ…!!?」
875 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:15:37.17 ID:EeHATemP0
兄「大体…、姉貴っ!なんでこいつが人殺しだって知ってるのに…通報も何もしなかった!?」

兄「思えばおかしいじゃねえか…なんで10年前あんな事件があったにもかかわらず、警察もマスコミも何一つ動かない!?」

兄「なんで10年前の事件が…世間の誰にも知られていない…!!」

姉「…口封じ、されてたの…今も、ずっと…」

兄「…はぁ!?」

姉「…この事件に関すること、誰にもバラすな…って、兄父さんは言った」

姉「殺人の直後、両親の死体を真っ先に見つけた、私に対してね…」

兄「…なんだよ、それ…」

姉「それで、もしバラせば…私達家族を、今度こそ本当に皆殺しにするぞ…って」

兄「……」

妹「…なに、それ…?意味、わかんないよ…!」

兄「そうだよ…なんでそんなわけ分かんねえ約束、姉貴が律儀に守る必要があんだよ…!」

姉「お母さんが破ったからよ!!」
876 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:18:17.15 ID:EeHATemP0
兄「…っ!…」

姉「…お母さんも、お父さんも…本当はね、大っ嫌いだよ」

姉「守れない約束なんかして死んじゃうなんて、バカみたいじゃない」

兄「…姉貴」

妹「お姉ちゃん…」

姉「でもね、私は違うよ…一度した約束は、きちんと守り通すから…」

姉「…あの時、何もできなかった私も…こうすれば、何か守れるんじゃないかって…」

姉「そう、思ってね…」

兄「…あね、き…っ…」

妹「……わかんないよ…もう何もかもわかんないっ!!」

妹「私達はどうすればいいのか…お姉ちゃんが何を守ってるのか…秘密も、全ても…なにもかも…っ!!」

姉「…わかんなくていい、私にも…よくわかんない」

姉「でも、事件の真相は誰にもバラしちゃダメだよ…兄君のお父さんは、何するか…わかんない人だから…」

兄父「…ふん」

兄「…っ…!」ギリッ
877 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:19:52.92 ID:EeHATemP0
姉「…それじゃあ…今日はもう、解散にしよう…?夜、遅いし…」

兄父「…ああ、今日のところは…そのほうがいい、か…」

姉祖父「ああ…そうしよう、ではまた今度、な…」


幼馴染「……」

幼馴染「…兄君、妹…大丈夫?」

兄「……」

妹「……」

幼馴染「頭がパンクしちゃうかもしれないけど…姉さんが話したこと、全部真実だから…」

兄「…わかってるよ、別に信じてないわけじゃない…」

兄「…ただ、信じたくないだけだ…身勝手な姉貴も、犯罪者の父親も、お節介なじいさんも…!!」

妹「…私も…もう、信じたくない…何も…」

幼馴染「……」
878 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:21:00.80 ID:EeHATemP0
兄「…幼馴染、妹を連れて先に帰ってくれ」

幼馴染「兄君はどうするの?」

兄「…ちょっと…気持ちを、落ち着けてから…帰るよ…」

幼馴染「…わかった…妹、行こう?」

妹「……」スタスタ

幼馴染「…あんまり遅くならないようにね、兄君…」スタスタ

兄「…ああ…」

兄「……」
879 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:23:29.29 ID:EeHATemP0
兄「……」

兄「なんなんだろ…家族って」

兄「俺は一体何を信じてたんだ…?」

兄「…なんで、俺の声は誰にも届かないのかな」

兄「母親が守れなかったから、代わりに自分が約束を守る…?」

兄「自分の子供と過ごしたいから、被害者の娘にわざわざ約束守らせる…?」

兄「…そんなのおかしいに決まってるのに…ちょっと考えればすぐわかるのに…」

兄「どうしてああなんだろう…?」

兄「…それとも、俺が間違ってるのかな…」

兄「…もしかして姉貴は…血縁関係でもなんでもない、赤の他人の俺の言うことなんて…どうでもいいのかな」

兄「俺、どうしたらいいんだよ…」


兄「だいいち、俺たちがしてきたのは、ただの…」

兄「……」


兄「家族、ごっこ…」
880 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/03/31(土) 19:25:03.13 ID:EeHATemP0
今日はここまでです
今回の内容は最初から最後まで後付設定の暴露なので、
たくさん穴はあるだろうけど気にしちゃダメです
お休みなさい
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 19:57:50.33 ID:rjtaRvfuo

兄と妹ムカつくな
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 22:18:46.41 ID:xvK7Po56o
待つ。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 02:40:29.71 ID:N3fh/jPIO
兄が馬鹿すぎてワロタ
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2012/04/01(日) 07:34:26.37 ID:BAf1gvlfo
割とわかりやすい話だった
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 14:00:41.86 ID:YCpitRbDO

殺人の動機が理解できない…
886 :>>879から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 20:54:02.67 ID:qFhlEj8T0
―姉の家―

ガチャ

妹「…ただいま…」

姉「…おかえり」

幼馴染「…じゃあ僕はこれで…」

姉「…あ、幼馴染ちゃんに送ってもらって来たのか…じゃあちょうどいいや」

幼馴染「へ?」

姉「今言うのもどうかとは思うけど…でも、今言わなかったらもう言う機会無くなっちゃいそうだし」

妹「何よ…今度は幼馴染にまで隠し事を…!?」

姉「…ごめん、本当ごめん!…でも、いろいろ考えた結果なんだよ…許してとは、言わないけど…」

幼馴染「…そっ、そんなことはいいです、早く教えてください…!」

姉「…わかった、さっき事件の経緯を説明する中でさりげなく言っちゃおうかとも思ったけど」

姉「話がややこしくなりそうだったから後回しにしちゃったんだ」

姉「…だって、妹とも関係ある話だから」

妹「…え…私と、幼馴染が…?」

幼馴染「それは…どういう…?」
887 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 20:59:53.88 ID:qFhlEj8T0
姉「…妹ちゃんと幼馴染ちゃんは、実は…血の繋がった姉妹なの」

妹「……」

幼馴染「…え…?」

姉「幼馴染ちゃん、この間兄父さんから話聞いたでしょ?」

―――

男『あいつらは…借金抱えてその苦しさに!耐えきれず…姉の両親や俺たちに全部押し付けてっ!』

男『挙句自殺した!育てきれなかった餓鬼は…段ボールに入れて捨てやがった!』

男『あいつらは借金の重さに耐えきれず!餓鬼も金も、全部知人に押し付けて!』

男『みっともなく首吊って死んだのさ…!』

―――

姉「…って」

幼馴染「…そういえば、確かに…」

妹「借金の重さに耐えきれず…子供、お金、全部知人に押し付けて…自殺…」

妹「それが本当なら、私の両親の話と…シンクロ、してる…」

幼馴染「うそ…で、でも…子供は溺愛してて、それで、知人に預けたって…」

姉「……」

幼馴染「…あ…姉さん、お、お願いです…まだ、まだ何か知ってることがあるなら…」

幼馴染「僕に、教えて…!教えてください…!!」

姉「……」
888 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:01:13.66 ID:qFhlEj8T0
姉「…確かにあなたたち二人の両親は子供の事を溺愛していたわ…」

姉「出来ることなら二人の事も…きちんと育てたいって思ってた」

姉「でも、それができずに自殺した…そして、妹ちゃんは兄君の両親のところへ預けられた」

姉「…ただ、幼馴染ちゃんのことは…」

姉「……」

妹「お姉ちゃんっ!!」

姉「……借金を返し始めた頃に、段ボールに入れて捨てたらしいわ」

幼馴染「……!!!」

姉「きっとまだ、知人に子供を預けるってことまで頭が回らなかったんでしょうね…」

姉「だから、このまま苦しい思いをさせ続けるくらいなら…って、そう考えて…」

姉「幼馴染ちゃんを捨てたんでしょう」

幼馴染「……」

姉「…もしかしたら妹ちゃんも…捨て子になってたかもしれないし…」

妹「…何なのよ、それ…」

妹「最低じゃない、うちの親は…!」
889 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:02:09.20 ID:qFhlEj8T0
幼馴染「…僕が求めてた家族っていうのは…そんなに脆いものだったんですか…」

姉「……」

幼馴染「そんなんで溺愛してたなんて言われても…信じられるはずないじゃないですか…」

妹「……」

姉「…私から話せること…もう、何もない…これが最後よ」

姉「慰めはきっと逆効果だと思うから…私はこのまま寝ちゃうけど」

姉「……」

姉「でも…ひとつだけ」

妹「…何よ」

姉「私は、兄君のことも妹ちゃんのことも、幼馴染ちゃんのことだって…」

姉「ずっと、家族だって思ってる」

姉「…今までも、これからも…変わらず、家族だ…って」

姉「胸を張って、そう言える」

幼馴染「……!」

妹「……」
890 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:02:59.39 ID:qFhlEj8T0
姉「綺麗事ばっかりの…身勝手なお姉ちゃんで、ごめんなさい」

姉「…お休み」スタスタ

妹「……」

幼馴染「…行っちゃった」

妹「…本当に勝手だよ…私達はずっと、みんな…血の繋がった家族だって信じてたのに」

妹「血縁じゃないって言われたら…急に、他人みたいに思えちゃって…」

妹「もう、戻れないよ…元通りの、家族になんか…」

幼馴染「…そう…でも、無理もないよ」

幼馴染「……」
891 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:03:53.58 ID:qFhlEj8T0
妹「…幼馴染、あんまりショック受けてなさそうだね…」

幼馴染「…強がりだからだろうね、きっと…」

妹「……」

幼馴染「それに、君達とは…育ってきた環境が違うってのもある」

妹「え?」

幼馴染「姉さんは、いつでもうちに来ていいって、昔からずっと言い続けてくれてたんだけど…」

幼馴染「…でも、迷惑かけたくないって思って…僕は一人で生きてきたんだ」

幼馴染「まあ、その結果自分を苦しめてたんだけど…それももう過ぎたことさ」

妹「……」

幼馴染「隠し事知ってちょっとはショックを受けたけど、でも…」

幼馴染「…姉さんが最後に言ってた言葉で、僕は気付いたよ」

―――

姉『私は、兄君のことも妹ちゃんのことも、幼馴染ちゃんのことだって…』

姉『ずっと、家族だって思ってる』

姉『…今までも、これからも…変わらず、家族だ…って』

姉『胸を張って、そう言える』

―――

幼馴染「…僕には、ちゃんと家族がいる…ってね」
892 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:04:38.63 ID:qFhlEj8T0
幼馴染「…今までずーっと、家族が欲しいって…悩み続けてた」

幼馴染「姉さんは僕の事、家族だって言ってくれたけど…やっぱどっかで、他人扱いしてたんだ」

幼馴染「でも今、本当の両親がいないって聞いて…そこでああやって言われて」

幼馴染「…やっと気づいた…家族ってのは、血の繋がりなんか関係ない」

幼馴染「一緒にいると、気が休まって…」

幼馴染「困った時には、助け合って…」

幼馴染「嬉しい時には、笑い合って…」

幼馴染「…それを、心の底からしあえる存在」

幼馴染「そんな存在を、家族って呼ぶんだ…きっと」

妹「…幼馴染」

幼馴染「少なくとも、今なら僕は…そう思える」
893 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:05:20.29 ID:qFhlEj8T0
妹「…私はまだ、そうは思えないよ…」

幼馴染「……」

妹「私は幼馴染と逆…家族に縋って生きてきた」

妹「…家族に頼って生きてきた」

妹「しかも、血の繋がりがあるって勘違いをしていたうえでだよ」

妹「…だから、勘違いって知ったら…もうそれだけで、他人に見える」

妹「私にはもう…家族なんかいない…」

幼馴染「…僕と妹は血が繋がってるらしいけど」

妹「…ごめん…でも、でも…!」

幼馴染「…わかったわかった、そりゃそうだよね…」

妹「……」

ガチャッ

兄「…ただいま…」

幼馴染「兄君…」
894 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:06:11.47 ID:qFhlEj8T0
―姉の部屋―

姉「……」ドサッ

姉「はぁー…だから嫌だったんだけどなぁ…」

姉「どうすればみんな元に戻れるかな…」

姉「…お父さん、お母さん…」クルッ

姉「…ん、これは…」スッ

姉「……」

姉「…今なら…二人に見せても、平気かな…」

姉「逆効果になっちゃう可能性もあるけど…」

ズキッ

姉「っぎ!!?いっ…たぁっ…!!」

姉「またこれ…?今朝もあったのに…!!」

姉「もう、なんなのよ二人とも…言いたいことあるなら、こんなんじゃなくてはっきり言ってよ…!」

姉「…お父さん、お母さん…っ!!」

ドクン ドクン ドクン…ッ
895 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:07:06.00 ID:qFhlEj8T0
―――

少女A『げほっ、ごほっ、ごほっ…』

少女B『Aちゃん、大丈夫…?』

少女C『風邪ひいたって聞いて、お見舞いに来たよ』

少女A『げほ、ありがと…二人とも、げほげほ…』

少女A『本当は、無理してでも学校行きたかったんだけど…』

少女C『だーめ!体調悪い時はどんなときでも無茶しちゃいけないの』

少女B『そうそう、おとなしく休んでてっ、ね?』

少女A『うん、わかった…ごめんね、げほげほっ…』

少女B『いいのいいの、だって私たち親友でしょ?』

少女C『しかし頑丈なはずのAちゃんが風邪ひくなんて珍しい…』

少女A『…実は最近、手洗いうがいを怠ってて…』

少女B『なんだ、そういうこと?…自業自得じゃん』

少女C『相変わらずいい加減だなぁ、あんたは…』

―――
896 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:08:00.85 ID:qFhlEj8T0
―――

兄「…っはぁ、はぁ…またこれか…本当になんなんだろう…」

妹「お姉ちゃんのおじいちゃんが言ってたことが、仮に本当だとしたら…」

幼馴染「姉さんのご両親は…いったい何を伝えたいんだろう…?」

兄「…それと、なんだか…聞き覚えのある台詞を聞いたような…」

ズキッ ズキッ ズキッ

兄「…っ!!…れ、連続で…!?」

妹「そんな…今朝まで、こんなことなかったよ…!?」

幼馴染「うぁ…頭、割れそう…!!」

ドクン ドクン ドクン…ッ
897 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:08:59.82 ID:qFhlEj8T0
―――

少女A『…わりぃ、Cっ!…金、貸してくれないか…?』

少女C『…今月だけでもう何回目だと思ってんのよ』

少女A『いいじゃねえか、借りてもその分返してるんだからさぁ!』

少女C『…もう、本当お金の使い方下手くそなんだから…はい、これで最後よ…もう二度と貸さないからね』スッ

少女A『あ…ありがとう!持つべきものは頼れる友だ!必ず返すから安心してくれよっ、じゃあな!』ダッ

少女C『…はぁ、もう高校生だっていうのに…あんなんで平気なのかしら』

少女C『あのままじゃきっとあの娘…ろくな人生にならないわ…』

―――
898 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:10:00.43 ID:qFhlEj8T0
―――

少女B『ねえねえCちゃん、その…か、彼氏…できたって噂、本当…?』

少女C『…う、うん…まあね』

少女B『うっそー!?…だだだ誰!?誰なの!!?』

少女C『お、落ち着いて…えーっと、この高校じゃなくて、よその高校の人なんだ』

少女B『あら、そうなんだ…どんなところに魅かれたの?』

少女C『んー…なんていうか、すっごくかっこよくて、芯を通す人っていうか…』

少女C『…あ、あと何より、一度した約束は絶対破らないって自信を持っていうような人なの』

少女C『そういうところに…惚れ込んだ、かな』

少女B『うわっ、すっごー…羨ましいなぁ…あ、きっかけはどんなだったの?』

少女C『うーんと…確か、河原で遊んでた子供が怪我してたから、それを見つけたあの人が手当てしてたの』

少女C『でも、まるで慣れてない手つきでさ…あまりにへたっぴだったから見てられなくなっちゃって、ふふっ』

少女B『それで代わりに手当てしてあげて…そこから恋が始まった、と…』

少女C『ふふ、そういうこと』

少女B『いいなぁ、運命の出会いって感じで…私もそういうの、体験してみたいーっ』

少女C『…Bちゃんなら、きっとすぐ見つかるよ…Bちゃんに好きな人ができたら、私もいろいろ応援するから』

少女C『ねっ?』

少女B『え、えへへへ…ありがとう、Cちゃんっ!』

―――
899 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:10:49.64 ID:qFhlEj8T0
―――

少女C『…ねえ、最近Aちゃん付き合い悪いと思わない…?いつ誘っても別の用事がある…って言ってさ』

少女B『うん、私もそう思う…せっかく時間ずらして誘っても、結局断られちゃうし…』

少女C『そうだよね、どうしたんだろ…』

少女B『後で他の友達にも聞いて、いろいろ調べてみるね…?』

少女C『あ、私も周りの人に色々聞いてみるよ』

少女B『心配だね…』

少女C『うん…最近物騒だし、あの娘あんまり頭良くないし』

少女B『で、でもその分明るいよ!明るさが取り柄だよ!』

少女C『あーごめんごめん、別に馬鹿にしてるわけじゃないよ』

少女B『そう?それならいいけど…』

少女B『…だけど昔は、三人で一緒に遊んだのにね』

少女C『……』

―――
900 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:11:24.53 ID:qFhlEj8T0
――

少女C『…みんなからいろいろ聞いて回って…情報掴んだよ』

少女B『買春してお金稼いでるって…本当の話なの…?』

少女A『…そうだよ…何か悪いかよ』

少女C『……』

少女A『あんたらにばっか頼ってらんねえと思って始めた…』

少女A『金も溜まった、彼氏もできた…悪いことなんか何一つねえ』

少女C『あんたはそうかもしれないけど…!』

少女A『うるっせえな、ぬるいバイトなんかじゃ全然金溜まんねえからやってんだよ!』

少女A『あたし、金がどれだけあってもすぐ使っちゃうからさ…こうでもしないとやってけねーんだわ…』

少女B『じゃあ、きちんと管理できるようにすればいいじゃない…!』

少女A『そう思ったよ、でもな…どうしても無理だった』

少女A『ずっと続けてれば慣れるのかもしれねえが、そんなのも性に合わねえ』

少女A『だったら尽きねえようにドバっと稼いじゃったほうがいいんじゃねえかって…そう思ってな』

少女C『…っ…!そんな…あんたはそれでいいの…!?』

少女A『…いいよ、別に…こうでもしないと、この先食っていけねえ…』

少女A『あんたらも…嫌だと思うなら、あたしとは関わんじゃねえ…いいな?』

少女B『……』

―――
901 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:12:12.25 ID:qFhlEj8T0
―――

少女B『Cちゃん、久しぶりーっ!』

少女C『B、久しぶり…!』

少女B『高校卒業以来だよね…あれからどうしてたの?』

少女C『あれからは…大学通って、卒業して、就職もして…それと、もうすぐ結婚かな』

少女B『本当!?すごーい!!…じ、実はね、私も…結婚を前提に、付き合ってる人がいて…』

少女C『えっ、嘘!?すごいじゃん、おめでとう!』

少女B『え、えへへへへへ…』

少女C『でも意外だなぁ、Bは可愛いから私より先に結婚するだろうってずっと思ってたんだけど』

少女B『ちょっ、ちょっと!…もう…』

少女C『…ここに、Aもいれば…一番よかったんだけど』

少女B『……そう、だね…』

少女C『…でも、さ!きっと…あの娘はあの娘なりの幸せを…きっと、手に入れてるよ』

少女B『う、うん…そうだよね、そう信じるしかない、よね…』

少女C『それに、あっちがどう思ってたとしても…私たち三人、ずーっと親友なんだからさ』

少女B『…うん!』

―――
902 :ねえちゃんじゃないよあねちゃんだよ ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:12:59.47 ID:qFhlEj8T0
―――

B『久しぶり、Cちゃん』

C『久しぶり、変わんないねBも』

B『あはは、そんなことないよ…そういうCちゃんも、ずっと綺麗なまんま』

C『ふふ、煽てちゃって』

B『あははは!…それでさ、最近どう?』

C『ああ…旦那の趣味で、家の中では違うキャラ演じて優しいお母さんだって思わせとけって言われて』

C『一応言うとおりにしてんだけど、結構肩凝っちゃうんだよねー』

B『えー、そうなの?そっちの旦那さん、そういう人だったんだ…ちょっと意外かも』

C『ふふ、まあ根っこはいい人だから…全然問題ないんだけど』

B『ふぅん…あ、そういえば…姉ちゃんは元気にしてる?』

C『うん、もう元気すぎて困っちゃうくらいだよ…』

B『本当に?ならよかった…うちの兄は病気しちゃってね』

C『えっ…だ、大丈夫なの…?』

B『うん、まあ大したことはないんだって』

C『そっかあ、よかったよかった』

B『……』

C『…ん、どうかした?』
903 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:13:57.52 ID:qFhlEj8T0
B『…Aちゃん、最近になってとうとう連絡すら取れなくなっちゃった…すごく心配だよ…』

C『だ…大丈夫だって、いつだったかに言ったでしょ?あの娘はあの娘なりの幸せを手に入れてるってさ』

B『…でも、もう何年も会ってない…一度でいいから、会ってみたいんだよ…会うのがダメなら、せめて連絡だけでもいい』

C『……』

B『どうすれば…会えるだろう…』

C『…わかった…私、いろいろ調べてみるね』

B『同窓会とか、やる機会…あったらいいんだけど』

C『でも、それにあの娘が来てくれる保証はないじゃない』

B『あ、そっか…』

C『…楽しくやっててくれてたら、それが一番いいんだけど…』

B『うん…』

―――
904 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:14:42.56 ID:qFhlEj8T0
―――

B『Aちゃん…Aちゃん、久しぶり…っ!!』ギュッ

A『お、おい…抱き着くなよ』

C『Aちゃん、久しぶり…変わってないね、昔と…』

A『…そ、そんなことはいいよ…あたし、あんたらに話があって呼び出したんだ』

B『どんな?どんな話?』

C『…Bはちょっと落ち着きなさい』

A『…あたし、さ…今、借金してるんだ…』

B『…!』

C『…そういうとこまで、昔のまんま…?誰から、どのくらい…!』

A『…いろんな会社から借りて…溜まりに溜まって、全部合わせると…』

A『……い、一億…』

B『嘘でしょ…!?どうしてそんなこと…!』

A『知らねえ…気付いたらやっちまってたんだ…旦那も同調して…気が付いたら、戻れなくなってた…!』

C『だから言ったじゃない…昔に散々…!お金の管理位できるようにしておけって…!!』

C『計画性のないままお金を使ったら大変なことになるって…あなた学習してなかったの…!?』
905 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:15:18.51 ID:qFhlEj8T0
A『…わかってる…いや、今ならわかる、って言ったほうが、正しいか…』

A『だから、今は…心入れ替えて、借金を返済してる…生活費ギリギリまで切り詰めて…!』

A『子供も、今は、一人だけ…』

A『…で、それで…さ、頼みっていうのは…子供を、預かってほしい、って…頼みなんだ』

B『…子供を?』

A『あ、ああ…どっちかでいい、もし余裕があれば…預かってくれ』

A『ギリギリの生活の中にいるより、あんたらどっちかの娘になったほうが…妹のやつも幸せだろう』

C『…あんたは本当に、それでいいの?一度だけなら、借金返済を手伝ってあげてもいいけど…』

A『…いや、それでいい…もうあたしたちは、金を借りて返して…また金を借りて返して…』

A『そんな生活になることも、もう覚悟の上なんだ』

A『…ただ、子供にまでそんな生活はさせたくない…苦しむのは、あたしたちだけでいい』

C『…そんな無茶苦茶な…』

A『頼む…一度は決別したくせに、生意気だとは思うだろうけど…』

A『…これが最後の頼みだ…どうか、妹を預かって、あたしなんかと違う…立派な娘に育て上げてやってくれ』

B『…最後なんて言わないで、私たち三人、親友じゃなかった日なんて一度もないよ』

B『…Aちゃんの頼みは、私が聞くよ…妹ちゃんって娘は、うちでしっかり育てるから』

A『Bっ…ごめんな、本当にごめん…ありがとう、恩に着るよ…っ!!』

C『…頑張れよ、親友…』

A『…ぐす、ああ…!!』

―――
906 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:16:07.16 ID:qFhlEj8T0
―――

B『…Cちゃん、今朝の新聞見た…?』

C『…うん、信じられなかったよ…まさか、あいつが自殺するなんてね…』

B『…Cちゃんはさ、Aちゃんのこと…どう思う…?』

C『親友だよ、今でも…』

C『…だけど、それと同時に…あいつは裏切り者だ』

B『…そっか…私は、そうは思わないな…』

C『……』

B『…私、Aちゃんの借金、肩代わりしてあげようかなって思ってるの』

C『…それでいいの?Bちゃんは…』

B『うん、親友だもん』

C『ばか、本当にばか…あんたは優しすぎるんだよ…なんで親友に裏切られても平然としてられるんだよ…』

B『…ごめん、それでこそ私だから…』

C『…はいはいわかった、わかりましたよ…私も旦那と相談して、何か手伝えるようにするから』

C『だからさ…一人で背負い込むのはよそう』

C『…Aちゃんには結局、一人で背負い込ませちゃったわけだし』

B『…うん、ありがとう』

―――
907 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:16:54.66 ID:qFhlEj8T0
―――

兄父『てめぇ…冗談じゃねえ、約束が違えだろうが!!』

姉母『今更になってあなたに返したところで、あの子たちはきっとあなたに懐きませんよ』

兄母『ちょっ…姉母ちゃん!やめてよ、そんなこと言わないで…っ!!』

姉父『そうだ…この二人は借金を返し終わった』

姉父『俺たちがあいつらを預かっておく期間はもう終わりだ!約束を破るつもりか、お前は…!』

姉母『…知りません、あの子たちはこっちに懐いているんです…返したくありません』

兄父『ふざけんな…約束は守るんじゃなかったのかよ!身勝手なことばっか言いやがって…!!』

姉母『…ええ、そのつもりでした…でも、今は…返さないほうが、あの子たちのためだと思うんです』

兄父『冗談じゃねえ、あいつらはうちの子供だ!てめーの子供が欲しいならてめーらで作れ!』

姉母『…嫌です、私は…譲らないわ』

兄父『てんめええ…いい加減にしろぉぉおっ!!!!』ガシャァァッ

姉父『お…おい!やめてくれ…っ!!』

姉母『…上等じゃないの…もうこうなったら喧嘩してケリをつけようかぁ、あぁ!?』ギロッ

兄母『やめて…やめてぇぇっ!!!』

―――
908 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:17:34.94 ID:qFhlEj8T0
―――

姉父『…なんでお前は譲らなかった…?あの場はどうにかなったが、次にあんなことが起きたら…もう止められんぞ』

姉母『だって、だって…兄と妹は、私達が一番面倒を見てきた子なんですよ…!?』

姉母『いくら約束があるからって…そんなに簡単に手放せるわけないじゃないですか…!』

姉父『…確かに気持ちはわかる…俺だって手放したくなんかない』

姉父『でも、もう会えないわけじゃない…会おうと思えば、いつだって会えるだろ?』

姉母『…違う、会えるとか会えないとか…そういう問題じゃありません…!』

姉母『あの子たちは私の家族なんです…家族を手放すなんて、できっこない…!!』

姉父『…たとえ、お前の親友が頼んだことでもか…?』

姉母『…!…兄母…』

姉父『…彼女の頼みでも、お前は聞かなかった…』

姉父『彼女があれ以上頼んだとしても、お前はやはり聞かないつもりなのか…?』

姉母『…はい、あの娘の頼みでも…私は聞かない』

姉母『絶対に、誰にも譲りませんから…!』

―――
909 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:18:14.75 ID:qFhlEj8T0
―――

姉母『今日は遊園地…家族みんなで楽しまないといけませんね、あなた』

姉父『…なぁ、兄父さんや兄母さんと話してから結構経つが…いまだにお前は、兄と妹を返すつもりはないのか…?』

姉母『…っ!…当然です、あの二人は…もう、うちの家族なんですから』

姉父『毎日のように言ってると思うがな…兄のご両親は、家族団欒を取り戻すことを夢見て…』

姉父『借金返済の努力に変えたんだってことをさ』

姉母『……』

姉父『それに…今は良くても、いつか偽物の家族だって気づいたとき…兄は悲しむぞ』

姉父『妹は…仕方ないかもしれないが…』

姉母『…大丈夫です、そんなヤワな子にはしないつもりですから』

姉父『…お前は…』

姉母『幻滅してしまいましたか?』

姉父『いや、そんなことはないが…』

姉母『……』
910 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:18:54.55 ID:qFhlEj8T0
ガシャァァアアアアアアン!!!

姉母『きゃあああっ!!?』

姉父『お、おい!姉母、大丈夫か…!?』

姉母『はい、私は平気ですけど…どうして急に台所の窓が割れて…?』

兄父『…おはよう、意地っ張りのご両親…!!』

姉母『…っ、…!!?』

姉父『兄父、さん…!』

兄父『……』

姉父『…どういうつもりだ?何しに来たんだ…!?』

兄父『…それを言っても仕方ねえ…大人しくしてくれ』ドスッ

姉父『がはっ…!?』

プスッ

兄父『…あんたらが…あんたらが悪いんだぜ…?』

姉父『ぐ…』ドサッ

兄父『ふふ…はは、ははは…あは、あはは…あっははははははははははははははははははははは!!』

姉母『そんな…なんで、なんで…?なんでなんでなんでなんでなんで…!!!!』
911 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:19:37.47 ID:qFhlEj8T0
兄父『はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは』

兄父『あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは』

兄父『あはははあはははははははははははははははあはははははははははあはあはあははははははははははあはははは』

姉母『ひ…ッ、ば…化け物…化け物ォ…っ!!!!』

兄父『てめーが…てめーが、さっさと…!あいつらを、よこしてくれたら…!!』

兄父『俺は…こんなことせずに済んだのに…っ!!』

姉母『嫌…待って、やめて…!私は、ただ…っ!!』

兄父『うああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!』

ガンッ

姉母『…っ!…』

姉母『……』ドサッ

―――
912 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:20:11.58 ID:qFhlEj8T0
―――

兄「……」

妹「……」

幼馴染「……」

兄「…なんだよ、あれ…あれが、姉貴の両親が…俺たちの育ての親が…」

妹「…伝えたかった、真実…?」

幼馴染「いろんなことがあり過ぎて…簡単に呑み込めないね…」

ガチャッ

姉「…っ、みんな…!…みんなも、見た…?」

兄「……」コクン

姉「…そう…」

幼馴染「…あの後は、どうなったんですか…?」

幼馴染「姉さんは、知ってますよね…?」

姉「…あの事件のその後については、さっき公園で話した通りよ…」

幼馴染「…それを、もっと詳しく訊きたいんです…」

幼馴染「姉さんには、辛いことでしょうけど…」

姉「…いえ、いいわ…そんなに聞きたいなら、私の口から…」
913 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:20:47.67 ID:qFhlEj8T0
―10年前―

姉『…お母さん、お父さん…そろそろ出かける準備、しないと―――』ガラッ

姉『……』

姉『…え?』



姉父『』

姉母『』


兄父『…俺は…俺は、なんてことを…』

兄父『い、いや…違う、俺は…俺は…!』



姉『う…うそ…うそよ、そんなの…』

姉『……っ』

姉『いっ…』





姉『いやあああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!』
914 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:21:52.93 ID:qFhlEj8T0
兄父『…っ!!』

兄父『お…おい、餓鬼…っ、あんまりでけえ声出すんじゃねえ馬鹿!』

姉『どういうことよ…何、これ…?意味わかんない、意味わかんないよぉ…』

姉『ねえ、どうして…どうしてこんなことになってるの?あなたが…あなたが何かやったんでしょ…!』

兄父『…そうだ、そうだよ、俺が…俺が殺した…』

兄父『…だけど、言わないでくれ…誰にも、言うな…』

兄父『…そうだ、誰にも…言うんじゃねえ…!』

姉『ひっ…!』

兄父『言うな、言うな言うな言うな…いいか、誰かにバラしたら…』

兄父『お前の残りの家族も、バラバラにしてやる…!』

兄父『いっ、いいな…!?』

姉『そ…そんな…そんなのって…!』

兄父『てめえ…死にてえのか…!!』

姉『い、いや…やだ、やめて…!!』
915 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:22:37.66 ID:qFhlEj8T0
兄父『死にたくなかったら、誰にも言うな…わかったか』

姉『……っ!!』コクコク

兄父『…ちっ…』ダッ

姉『…い…行っちゃった…』

姉『……』

姉『…うえっ、ぐすっ、ひっく…なんで、なんでよ…』

姉『どうして、こんなことに…!!』

姉『うぐっ、あぅ…ううう…』


兄『』ガラッ

妹『……』

兄『……』


兄『…ねーちゃん?……』

兄『………これって…?』



兄『う、そ… …?』
916 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:23:12.75 ID:qFhlEj8T0
―――

姉「…それで私は、あの人の言った通り…誰にも、何も言わなかった」

姉「…ただ一人、おじいちゃんだけを除いてね…」

姉「おじいちゃんは事件のしばらく後、私達の家に帰省してきた…」

姉「私には遺体の処理の仕方もわからなかったけど、誰にも言うなって言われたから…警察はおろか葬儀屋に連絡するのも躊躇った」

姉「…それだけじゃないけどね…いろいろ不便になったわよ、両親が…いないってだけで…」

妹「……」

幼馴染「……」

姉「…おじいちゃんが帰ってきても、遺体の事は隠すつもりだったけど…隠しきれるはずもなくて、見破られちゃった」

姉「…何があったのか聞かれて、事件のこと知ってるだけ話したら…」

姉「…私を、慰めてくれた…」

兄「……」
917 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:23:45.89 ID:qFhlEj8T0
姉「それで、おじいちゃんの知ってること…色々聞いて、しばらくはお世話してもらって」

姉「で、最低限の生活スキルを身につけられたころに、おじいちゃんはまたボランティアの旅に出た」

姉「…こんなところよ、事件の前後で私が知っていることはね」

兄「……」

妹「……」

幼馴染「……」

姉「…いい加減もう寝ましょう、これ以上情報が入ってきたら本当に頭がおかしくなるわ…」

兄「…姉貴…」

妹「……」

幼馴染「…そう、ですね…じゃあ私…これで失礼します…」ガチャッ

姉「うん…気を付けてね…」

姉「兄君、妹ちゃん…今度こそお休み」スタスタ

妹「……」

兄「……」
918 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/01(日) 21:28:53.00 ID:qFhlEj8T0
今日はここまでです
なんか今回の内容を見てると去年のクリスマスの悪夢を思い出してしまう…最悪だ
面白くなくてごめんなさい…

それといつもだったら投下する前に1レス1レス推敲するんですけど、今日はちょっと面倒くさくなって
さっさと投下しちゃいました だから変なとことかあっても気にしちゃダメ…

最後にもう一つ、不可解なとことか質問とかあればお答えします
一応SSの中に全部答えは書いたつもりなんですけどね、まあわかりづらいかもしれないし…

というわけでお休みなさい
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/04/01(日) 21:59:02.23 ID:CB5A0GYmo
おつ

うん
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/04/02(月) 03:39:32.91 ID:ZhxVpPJYo
なるほどなるほど…

妹母(少女AまたはA、幼馴染母)…兄母、姉母とは昔からの親友だった。
妹と幼馴染の実の母親。昔からお金の管理が甘く、気づいたら巨額の借金を背負っており、それに耐えられずに妹父と一緒に自[ピーーー]る。
その際、2人の娘を育てるのは不可能だと判断し、幼馴染は捨て、妹は育てていたが、結局B(すなわち兄母)に妹を託した。

兄母(少女BまたはB)…妹母、姉母とは昔からの親友だった。
兄の実の母親。妹父母の借金を代わりに負い、その返済を優先させる為に姉父母に兄と妹を預けた。
その際、「夫婦で借金を返し終わるまで」という条件をつけたが、後に姉母に裏切られる事になる。

兄父…兄母の旦那。兄の実の父親。
姉父母を殺した犯人。妹父母の借金を背負う事になり、息子である兄と、嫁の友人が託した妹を姉父母に条件付きで預けた。
その後、借金を返済したため、約束通り姉父母に兄と妹を返すように言うと断られてしまった。
それに腹が立ち、姉父母を殺した。今なお、警察に追われてるがまだ捕まっていない。兄に一度会いたいがために逃亡中。
ちなみに、その事は姉に見られていた

姉母(少女CまたはC)…兄母、妹母とは昔から親友だった。
姉の実の母親であり、兄、妹の育ての親でもある。
兄父母と条件付きで兄と妹を預かったが、「懐いてるから」という理由で約束を破り、兄父母と姉父が説得するも頑なに拒否し、最終的に兄父に姉父と一緒に殺された。

って事でFA?
それで、
・兄母は今どうなってたっけ?
・兄、姉、妹、幼馴染が頭痛後に見たのは兄母、妹母、姉母の過去?
なんだよな?
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 04:05:10.82 ID:T0fxYANIO
全部姉母のせいでしょ?
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 06:11:41.18 ID:vS4/5WLDO
妹母が元凶っしょ
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 01:04:43.08 ID:SYs0y19IO
久しぶりに見たらさらにシリアスになってる上に超常現象までとは
続きが気になる
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/04/03(火) 01:16:26.47 ID:NcrRtCpyo
>>183
首吊って死んでたってなってるけど
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/04/03(火) 01:34:59.40 ID:+rsJDJPio
本当だ、兄父母が首吊りで死んだ事になってる
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 20:59:46.91 ID:bpm//xSDO
兄父が首吊りしたように偽装したんだと脳内補完してる…
が、警察の目は欺けないだろうから事件になって兄とかの耳にも入りそう…
ま、気にしたら負けww
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 23:05:24.13 ID:aOM3nYA5o
きっと記憶が摩り替わったんじゃね
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 22:06:41.59 ID:5ntpmD4DO
C
929 :>>917から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:36:34.26 ID:Qbi3rQv10
―翌朝―

姉「……」

妹「……」

兄「……」

姉「…いただきます」

妹「いただきます…」

兄「……」

姉「……」チラッ

兄「…食欲湧かないんだよ」

姉「…無理もないね、今日も学校休む?」

兄「いや、大丈夫…」

兄「…家にいるよりは、学校にいたい…」

姉「……」
930 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:37:31.75 ID:Qbi3rQv10
妹「…あははは…嘘みたいだね、昨日まであんなに楽しかったのに…」

妹「今はなんだか、全部が偽物に見える…この家も、二人の事も、全部」

兄「…俺もだよ」

姉「……」

兄「…なあ、姉貴…」

姉「何?」

兄「…どうして、あんたの両親が死んだあと…うちの親父との約束を守ってたんだ」

兄「…なんで姉貴一人でこの家を支えてきたんだ?」

姉「どういう意味…?」

兄「俺たち二人とも、うちの親父のもとに預けてくれりゃあよかったんじゃないかって言ってるんだよ」

姉「…!」

兄「そしたら、姉貴もあんな馬鹿な約束に付き合う必要なかった」

兄「命の危険に怯える必要もなかった」

兄「何より、俺たち二人を育てていく必要だってなかった」

兄「…違うか?」

姉「…っ…!!」ギリッ
931 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:38:26.92 ID:Qbi3rQv10
ぱしぃん!!

姉「……」

兄「いっ…て…、いきなり何を…!」

姉「……」クルッ

兄「…姉貴、泣いてる…?」

姉「…ばか、ばか…!」ダッ

妹「あっ…!」

兄「…姉貴…」

妹「…おにい、ちゃん…今のは、ちょっとひどかったんじゃないかな…」

兄「…いや、俺はただ…」

兄「……」


兄(…ただ…)

兄(…何だよ?…何を思って俺は、あんな風に…?)

兄「…わかんない、自分でも…」

妹「……」
932 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:39:25.68 ID:Qbi3rQv10
―通学路―

兄「……」

幼馴染「兄君、おはよー!調子はどう?」

兄「…最悪だ」

幼馴染「…あっはは、だよね…」

兄「お前はなんでいつも通りでいられるんだよ…あれだけのことがあったのに…」

幼馴染「……」

兄「自分だけいろいろ知ってたからか?…本当は、俺たちのうろたえる姿を見て…俺たちの事嘲笑ってたんじゃないのか!?」

幼馴染「!…そ…そんな…!」

兄「だからいつも通りなんだろ!内心じゃ俺たちのこと馬鹿にして!結局は楽しんでるんじゃないのか!?」

幼馴染「…っ…!」

兄「おい…幼馴染!!」


幼馴染「いい加減にしろっ!!」


兄「…!?」

幼馴染「……」
933 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:40:07.18 ID:Qbi3rQv10
幼馴染「…確かに昨日の事に一番衝撃を受けているのは他ならぬ君たち二人だと思う」

幼馴染「だから…悩んで当然だ、辛い思いして当然だよ…」

幼馴染「…だけどね、今の兄君は…僕の惚れた兄君じゃない」

幼馴染「はっきり言わせてもらう、失望したってね」

兄「…な、なんで…なんで…!!お前に、そんなこと…!」

幼馴染「…自分で考えろ」

兄「…!!」

兄「……」
934 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:40:36.81 ID:Qbi3rQv10
―朝 部室―

兄「…失礼します、おはようございます…」

部長「おはようございます…今日は5分前に来れましたね、偉いですよ」

兄「…はは、ありがとうございます」

部長「…?」

部長友「…なんか様子おかしいなあいつ…どうしたんだろ」

部長「…さあ…?」
935 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:41:06.57 ID:Qbi3rQv10
後輩「先輩、おはようございます」

兄「…おはよう」

後輩「どうかしたんですか?顔色が…」

兄「ああ、いや…別に…なんでも、ない…」

後輩「全然そんな風に見えないですけど…」

兄「大丈夫、大丈夫だから…」

後輩「……」

兄「…頼む、何も聞かないでくれ…」

後輩「…わかりました…」

兄「…ごめん」

後輩「……」
936 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:41:37.45 ID:Qbi3rQv10
―昼 駐輪場―

兄「…今日は半日練習で助かった…一日だったら、今の俺じゃやってられねぇよ…」

兄「…ん?なんだこれ…自転車のカゴに、何か入ってる…?」

兄「これって…ビデオテープ?…それに、手紙も一緒に…」

『妹に渡してあげてください by幼馴染』

兄「…妹に?…いや、それより…これって…」

―――

兄『げほげほっ…ん、なんだこれ…?』

妹『それって…ごほっ、ビデオテープ…?』

兄『…再生してみよう』

妹『どこで?』

兄『居間に再生機器があったはずだ、もっかい戻ろう』

妹『オッケー…げほっげほげほっ』

―――

兄「…あの時の、あのビデオ…?…いや、違うか…」

兄「まあいい、家に帰ったらあの時のビデオも探してみよう…!」
937 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:42:07.74 ID:Qbi3rQv10
―姉の家―

兄「…ただいま」

姉「…おかえり」

兄「……」スタスタ

姉「……」

姉「…結局元に戻すのに、なんで預かってたんだか…さっぱりわかんないや」

姉「……兄君もずいぶん、生意気なこと言うようになっちゃって…成長している証拠かもね」

姉「…今朝のは、やり過ぎちゃったかな…?」

姉「まあいいや…二人が、本当に大切なものに気付いてくれたら…私は、それだけでいい…」

姉「憎まれようと、恨まれようと…今の私には、それだけが必要なんだもの」

〜♪ 〜♪

姉「…あら、電話…?」
938 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:42:45.89 ID:Qbi3rQv10
―妹の部屋前―

兄「……」

コンコン

妹「…はい」

兄「入ってもいいか?」

妹「…やだ」

兄「わかった、じゃあ…幼馴染から、預かってるものがあるから…それを取りに来てくれ」

妹「ドアの前置いといて…」

兄「…ああ」カチャッ

兄「……」スタスタ

妹「……」
939 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:43:23.17 ID:Qbi3rQv10
ガチャッ

妹「……」

妹「…!…これって…幼馴染の家に行った時に見つけた奴じゃ…!」

妹「いくら探してもないと思ったら…やっぱ、取り返されてたのか…」

妹「でも今、向こうから渡してくるってことは…今の私なら、これを見ても大丈夫ってこと…?」

妹「…よ、よし…!」スタスタ ガチャッ ピッ

妹「ど…どんな内容なんだろう…?すっごく、気になる…!」
940 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:44:08.02 ID:Qbi3rQv10
―兄の部屋―

兄「…あれはいったい、どこに…!」

ガサゴソ

兄「…っ、あ…あった!これだ…!」

兄「よし、さっそく…!」ガチャッ ピッ

兄「……」

兄「…なんで、ずっと忘れてたんだろう…」

兄「何が入ってるかも分かんない、唯一の手がかりでもあったのに…」

兄「…いや、そんなこと言っても仕方ないか…」

兄「とにかく、早く…早く見せてくれ…!!」
941 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:44:56.68 ID:Qbi3rQv10
―――

姉父『…おーい、ちゃんと撮れてるかー?』

姉母『大丈夫、ちゃんと撮れてますよ』

姉父『そ、そうか…緊張するな…おっほん!』

兄「…なんじゃこりゃ…親父、お袋…?」

姉父『…兄!お前が今これを見ているとき…きっとすごく不安な思いでいることだろう』

兄「……」

姉父『…当然だ、お前は俺たちの本当の息子ではないからな…』

姉父『…そしてお前はそれを知って、傷心の想いでいるだろう』

姉父『だけどな、そんなの気にするこたぁない…俺たちは、お前との血の繋がりこそないが…』

姉父『…一瞬たりとも、お前の事を蔑ろにしたことなどない』

姉父『ビデオの中のお前はもうすぐ元の親のところに帰るが…寂しくなったらいつでも遊びに来い』

姉父『お前には、たくさんの家族がいる…血は繋がってなくても、家族は繋がってる』

姉父『そのことを、絶対に忘れるな』

兄「…綺麗事を…!」
942 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:45:46.64 ID:Qbi3rQv10
姉父『…すまない、長くなるが…もう少し聞いてくれるか』

兄「…なんだよ…」

姉父『お前は、優しい子だ…困っている誰かを助けられる』

姉父『そして、誰かを傷つけたら配慮できる』

姉父『それがお前の強さだ』

兄「才能の次は強さかよ…こんなもん、何の役に立つんだ」

兄「俺はただ、甘ったれなだけなのに…」

姉父『しかし、それは弱さにもなりうる…言い換えれば、甘いわけだからな』

姉父『だが、それを補い合うのが家族というもの…辛い時には支え合い、苦しい時には助け合い』

姉父『悲しい時には、涙を流しあう…少々恥ずかしいとも、綺麗事とも思うかもしれないが…』

姉父『…それが、当たり前の事だ…そして人は追いつめられたとき、そんな当たり前のことさえできなくなる』

姉父『当たり前のことが当たり前にできる大人になれ…それが、俺の願いだ』

兄「……」

姉父『お前がこれを見ているとき、お前は俺の近くにはいないだろうが…』

姉父『…だが、それでも…俺と約束してくれ』

姉父『血が繋がってなどいなくても、家族は家族だ!代わりなんかどこにもいない』

姉父『…そのことを、忘れないでいてくれる…ってな』スッ

兄「…カメラに小指なんか出してどうすんだよ…アホか…」

兄「親父…ぐすっ、くそ…なんで涙が出てくんだよ、意味分かんねえよ…!」ポロポロ
943 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:46:16.60 ID:Qbi3rQv10
兄「…わかった、約束する…」

兄「今、ようやく気付いたよ…」

兄「俺の一番大切なものは…失くなってなんかいなかった」

兄「ずっと…傍にあったんだな」

兄「ずっと、変わらず…ここにあった」スッ

兄「…約束するよ、親父…」

兄「もう、二度と忘れない」

兄「絆は…信じてる限り、消えたりしない…」
944 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:47:00.98 ID:Qbi3rQv10
―――

妹「…あれ、何これ…お母さん…?」

姉母『あなた、撮れてますか?』

姉父『おう、大丈夫だ』

姉母『…おっほん、妹!今は元気にしてるかしら?』

妹「……」

姉母『それとも、すごく大きな壁にぶつかって、挫けそうになってるところかな?』

妹「…なんなのよ、いったい…」

姉母『私、本当はね…あなたのこと、手放したくなんかない』

姉母『ずーっと、うちにいてほしい』

妹「……」
945 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:47:53.25 ID:Qbi3rQv10
姉母『妹母ちゃんに似たのか、それとも私に似たのか…妹はちょっぴり強情で、頑固なところがあるわ』

姉母『でも、それも全部あなたにとってのいいところ…』

姉母『妹母ちゃんはもう…この世にはいないし、あなたは私達とは血が繋がってはいないけど』

姉母『あなたは私達の大事な家族なの…他に代わりなんかいない』

妹「……」

姉母『妹は何でもよく食べるし、友達ともよく遊ぶし、何より家族を大事にするよね』

姉母『それだってあなたにとってのいいところ…誇るべき長所よ』

姉母『やがて好きな人もできるでしょうし、その人と喧嘩したりもするでしょう』

姉母『…だけど、大丈夫…お互いを信じていれば、必ず人と人は元通りに結ばれる』

姉母『まあ、だからといって背負わせ過ぎてはいけないわ…私はそのせいで、親友を失ってしまった』

妹「……」
946 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:48:36.57 ID:Qbi3rQv10
姉母『分かち合えることがあるなら分かち合いなさい…そして、みんなで背負っていくこと』

姉母『私にはできなかったこと…妹にはできるって、信じたいから』

妹「…できるわけないじゃない…そんなの…」

姉母『…荷が重いかもしれないけど…私は、あなたがそういう娘になってくれるって…いつまででも祈ってる』

姉母『たとえ離れ離れになっても、心は、家族として繋がってるって信じてる』

姉母『絶対に、忘れないから…』

妹「…もう、結局何が言いたいんだか…」

姉母『…だから、妹も…私の事、忘れないでほしい』

姉母『血の繋がった家族は幼馴染ちゃんしかいないけど…支え合って生きていってね』

姉母『…約束して…妹…』

妹「…ばか」
947 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:49:17.47 ID:Qbi3rQv10
妹「…ほんとにばか…ぐすっ」

妹「私達を愛しすぎたばっかりに…お兄ちゃんのお父さんに殺されちゃうなんて、ほんとばか」

妹「…そんなばかな人の事…忘れたくても忘れられないよ」

妹「…でも、できれば…生きててほしかった」

妹「一番悲しむのは、他でもない…お姉ちゃんなんだから…」

妹「私のためにこんなことするより…私は、二人に生きていてほしかったよ…!!」

妹「…約束する、家族のために…背負えるものは、一緒に背負う」

妹「お姉ちゃんにばっかり負担はかけさせない…」

妹「…これからは、本当の家族として…みんなと、一緒に生きていくよ」

妹「幼馴染も一緒に…」

妹「…お母さんの、分まで…!!」スッ
948 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:50:14.56 ID:Qbi3rQv10
姉父『ゆびきりげんまん』

妹「嘘ついたら」

姉母『針千本』

兄「呑ーます!」



「「ゆびきった!!!!」」
949 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/05(木) 15:53:01.50 ID:Qbi3rQv10
今日はここまで
台詞が臭いのは今に始まったことじゃないし見逃してください

>>920
長文ご苦労様です大体あってます
あ、でも兄父が警察に追われてるのは別件についてのことで、姉父母殺人については誰にも知られてない設定です
10年もの間誰にも事件が知られてないのは不自然だろうけど、警察が無能ってことでどうにか納得してください

>兄母は今どうなってたっけ?

回想の中では後述の理由により語ってないけど生きてます、これから出す予定です

>兄、姉、妹、幼馴染が頭痛後に見たのは兄母、妹母、姉母の過去?

はい、まあ厳密に言えば姉母の過去なんですけどね…
小学生くらいのころから突然高校生くらいの頃まで飛んで、その後大学生、社会人になるとこまで飛んで
最終的に姉母が死ぬって感じです

で、なぜ兄母が>>907を最後に出てきていないかっていうと、
姉母の見てきたものを四人に伝えた結果があの映像なので、姉母が死んだらそれより後の過去は
もう見せようがないからです

>>921>>922
正直どっちも悪いかな…ただ一つ言えるのは、兄母と姉父は単なるとばっちりです

>>924
結論から言ったら>>926の解釈が正解です
なぜか描写入れるの忘れてました…
>>911>>913の間に、殴った後首吊ったように見せかける工作をしたっていう風に脳内補完してくださいごめんなさい

>>925
兄父母は両方存命です

なんかすっごい見づらい返答になっちゃったけど、大体こんな感じです
でもまだ何かわからないことがあれば当然お答えします
それではお休みなさい
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 17:37:18.19 ID:51GdJhBIO
ラストまで支援!
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/04/06(金) 03:14:34.46 ID:otrbqyy0o
ふむ…

乙〜
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 20:46:35.68 ID:RP40gIZDO
乙カリー
953 :>>948から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:48:24.09 ID:4BQiGlSy0
―――

姉「…もしもし?」

姉祖父『おお、姉か?…すまんな、突然』

姉「ううん、いいけど…どうかしたの?」

姉祖父『…お前を…励ましたくてな』

姉「…え?」

姉祖父『昨日は…きっとつらかっただろう』

姉「…いや、私は…」

姉祖父『強がらなくていい…兄や妹ももちろんつらいと思うが…』

姉祖父『…誰よりも一番つらい思いをしてきたのはお前だろう?姉よ…!』

姉「……」
954 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:49:12.40 ID:4BQiGlSy0
―――

ガチャッ ガチャッ

兄「…あ」

妹「…あ…」

兄「……」

妹「……」

兄「…なぁ、妹…」

妹「…何?お兄ちゃん…」

兄「俺たちさ…家族でいても、いい…んだよな…?」

妹「…うん…きっと、そうだよ」

兄「…はは、あははは…そうだよな、そうだよ…」

妹「血の繋がりなんかなくたって、家族は家族なんだよ」

兄「簡単なことだったのにな、なんで今まで悩んでたんだろ」

妹「さあ…なんでかな」

兄「くく…ははは、あはははははは!」

妹「ふふっ、ふふふ…ははははっ!!」
955 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:50:15.17 ID:4BQiGlSy0
兄「…ん、あれ?」



姉「――」



兄「…姉貴?誰かと電話してる…」

妹「何話してるのかな…?」

―――
956 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:50:59.79 ID:4BQiGlSy0
姉祖父『…実の両親の死に様を目の前にし』

姉祖父『おかしな約束を突き付けられたうえ律儀に守り続け』

姉祖父『残った家庭は自分一人で全て支え上げた』

姉祖父『…そして、家族のために重大な秘密も隠し通して』

姉祖父『わしの手も借りず…今まで生きてきた』

姉「……」

姉祖父『お前は強いよ…いかにつらい境遇にあっても、笑顔でいられるお前は…強い』

姉「…違う、私は…ただ…」

姉祖父『…もういい、もうお前一人で抱え込む必要はない…!』

姉祖父『あの時の言葉だって、嘘だったんだろう?』

―――

姉『…お母さんも、お父さんも…本当はね、大っ嫌いだよ』

姉『守れない約束なんかして死んじゃうなんて、バカみたいじゃない』

―――

姉祖父『お前が単なる義務感なんかで約束を守っていたわけじゃないことも』

姉祖父『お前が両親を憎んでいたわけじゃないことも』

姉祖父『…わしは知っているよ』

姉「…っ…」
957 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:51:40.06 ID:4BQiGlSy0
姉祖父『お前は怖かっただけだ』

姉祖父『…いや、怖がって当然だ…自分の最愛の両親を殺した相手なんだもんな…』

姉祖父『…最後に残ったのは、義理の家族だけ…』

姉祖父『お前は、それをなくすのが怖かっただけだ』

姉祖父『だから、下手に警察に相談したりもできなかった』

姉祖父『わしと幼馴染には唯一話してくれたが…他言無用だと固く推していたな』

姉祖父『…絶対に、誰にも言わないと…欠片の情報も漏らしてはならないと…』

姉祖父『…それほどまでに、お前は怖がっていた…手元に残ったわずかなものを、失くしてしまうということを…!』

姉「…うっ…うう…」ポロッ

姉祖父『今までよく隠し通したな…10年間辛いこともいっぱいあっただろう』

姉祖父『…ほとんど力になれなくて…すまなかった…!!』

姉「うっ…ううん、いいの…だって、私が兄君と妹ちゃんを、支えるって言ったんだから…!」

姉「私…おじいちゃんの仕事の邪魔はしたくない…でも、私は家族が欲しかった…」
958 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:52:51.45 ID:4BQiGlSy0
姉「おじいちゃんも、兄君も、妹ちゃんも手放しちゃったら…もう私、何のために生きてるかわかんない…」

姉「すがるものも、守るものも、頼るものも…なーんにもなくなっちゃうんだもん…」

姉「だから今まで、あんな無茶苦茶な約束を…!!」

姉祖父『…そうか、そうか…!私の事まで思ってくれてたんだな…お前は…』

姉「ううっ…ひっく、ぐすっ…おかしいな、なんで涙が…」

姉「…こんなんじゃ、お姉ちゃん失格だね…ひっく、ぐすっ…」

姉祖父『…わしには、お前の涙は拭ってやれぬ…だが』


姉祖父『わしの代わりに…お前の涙を拭ってやれるものが…お前のそばにはいるはずだ』

姉「…え?」


兄「…姉貴!」

妹「お姉ちゃんっ!!」
959 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:53:25.44 ID:4BQiGlSy0
姉「え…嘘、あれ…?い、いつからそこに…!?」

妹「えーっと…『…違う、私は…ただ…』って言ってた辺りからかな?」

姉「ほ、ほとんど全部じゃない!や、やだなぁもう…恥ずかしいとこ見せちゃった…」

兄「姉貴、今朝は…ごめん」

姉「…え?」

兄「さっきのやり取り、勝手に聞いちゃったけど…でも、おかげでわかったよ」

兄「姉貴は、必死に俺たちを守ろうとしてくれてた」

兄「誰よりもつらいのに…俺たちの事、家族と思って信じてくれた」

姉「…ち、違うよ…私は、ただ寂しかっただけで…」

妹「それでもさ、私達を大事にしてくれたことに変わりはないでしょ?」

妹「きっかけは自分のためだったのかもしれない、でも…結局は私達のために、今までいろいろやってくれた」

妹「…そうだよね?」

姉「うぅ、妹ちゃん…」
960 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:54:14.17 ID:4BQiGlSy0
兄「…今まではさ…いろいろ隠し事とかされてきたし、いっぱい守られてきた」

妹「でも、今度からは…生意気かもしれないけど、もう隠し事なんて無しで、一方的に守ったりするのも無しで」

妹「血のつながりとかも、もちろん関係無しの…本当の家族になってさ」

妹「辛いこと苦しいこと悲しいこと…みんなで分かち合おうよ!」

妹「ねっ?」

姉「兄君、妹ちゃん…」

兄「…それと、もう一つ…言わなきゃいけないことがある」

姉「な、何…?」

兄「…姉貴」

妹「お姉ちゃん」


「「今まで守ってきてくれて、本当にありがとうございました!!」」

妹「…これからも、一緒の家族として…」

兄「よろしくお願いします!」

姉「……!!」
961 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:54:59.06 ID:4BQiGlSy0
姉「うう、うううう…あうぅ、うえええぇぇぇっ…、ぐすっ、ぐすっ…」

兄「…ほら、いっぱい泣け」

妹「私達がぜーんぶ受け止めてあげるよ!」

妹「…今まで、守ってもらった分、ぜーんぶ…」

姉「うう、ううぅああぁぁっ…ぐすっ、ありがと…ありがとぉぉっ…!!!」ポロポロ

兄「…なんで姉貴が礼言うんだよ、こっちが言わなきゃいけないのにさ…はははっ」

姉「あぅ、うう…うぇっ、うえええ…ひっく、ひっく…」

妹「よしよーし」ナデナデ

兄「…ありがとう、姉貴…」ポンポン
962 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:55:36.55 ID:4BQiGlSy0
―深夜 兄の部屋―

兄「……」

兄(…俺はやっと、本当の家族ってもんを見つけられた…)

兄(でも、まだ終わりじゃない…他に、俺がやるべきことは…)

兄(……)

兄(そうだ、まず幼馴染に謝らなくちゃいけないな…)

兄(今朝は正直、ちょっと気が滅入ってた…とはいえ、せっかく心配してくれてたあいつに向かって)

兄(俺は何てことを言っちゃったんだよ…あんなの失望されて当然だよな…)

兄(明日、きちんと謝ろう…)

兄(…そしたら、その次は…部活だな、しばらくまともにやれてなかったし…今から挽回しなくちゃいけねえ)

兄(それと、最後にもう一つ…俺の実の母親の事)

兄(…いまだに俺たち三人の実親の中で行方が知れないのは…俺の母親だけ)

兄(一体どこにいるんだろう…それにあの人は、あんな親父と一緒で…果たして大丈夫なのか…)

兄(会って、確かめてみよう…そのためには、もう一度…俺の親父とも会わないと…!!)

兄「…よし、そうと決まったら…明日行動だ」
963 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:56:18.29 ID:4BQiGlSy0
―翌朝 通学路―

兄「…いつもは幼馴染のほうから声かけてくるんだけど…今日は来ないな、当たり前か…」

幼馴染「……」

兄「と思ったら、向こうにちゃんといるじゃねえか…おーい幼馴染―っ!!」

幼馴染「…!」

兄「…おはよう、幼馴染」

幼馴染「…おはよう」

兄「…昨日は、ごめん」

幼馴染「兄君…」

兄「いくら気が滅入ってたとはいえ、言い過ぎた…本当ごめん…!!」

幼馴染「…もういいよ、僕も言い過ぎちゃったから」

兄「…幼馴染」

幼馴染「ごめんね…まだ、友達でいてくれる?」

兄「…バカ、それはこっちの台詞だ…取らないでくれ」

幼馴染「ふふ、あははは!そうだね、ごめんごめん」

兄「なんでお前のほうがいっぱい謝ってるんだ?全く、調子狂うよ…」

兄「…でも、俺たち…友達でいていい…んだよな?」

幼馴染「うん、もちろん!」

兄「そっか…よかった」
964 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:57:08.42 ID:4BQiGlSy0
―放課後 部室―

兄「…今日は合奏か…全然練習してないけど大丈夫かな…」

後輩「先輩、あの…えっと」

兄「あ、何だ?どうかした…?」

後輩「いえ、あの、その…」

兄「…あれ、もしかして昨日の事で気を使わせちゃったかな…?」

後輩「あ、いや、えーっと…」

兄「それならもう大丈夫、どうにか解決したからさ!ごめんな、心配かけて」

後輩「…そ、そうですか?よかったぁ…」

兄「…あはは、そんな自分の事みたいに思ってくれなくたっていいのに…」

後輩「いえ!先輩が元気ないと…私も元気なくなっちゃいますし」

兄「そっか…ありがとな、後輩…」

後輩「えへへっ、いやいや私はそんな…」

部長「そこ!惚気てないで早く準備しなさい」

兄「あっ、は、はい!」

後輩「のっ、惚気てないし!!」
965 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:57:37.67 ID:4BQiGlSy0
―放課後 帰り道―

兄「…幼馴染、うちの親父の携帯番号とか知ってるか?」

幼馴染「うん、まあ一応は…ほとんど使ってないけど」

兄「本当か!?じ、じゃあ教えてくれ!」

幼馴染「わぁ、どっ…どうしたのいきなり?」

兄「あ、ごめん…でも俺、あいつに話があるから」

兄「…いや、正確には…俺の母親に」

幼馴染「…わかった、まあ会って何するつもりなのかは聞かないよ」

幼馴染「携帯貸して」

兄「悪いな、ありがとう…」スッ

幼馴染「どういたしまして!」
966 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:58:04.08 ID:4BQiGlSy0
―――

兄「じゃあな幼馴染!」

幼馴染「うん、バイバイ!」

兄「…さて、さっそくあいつに電話しないと…」ピッピッピッ

兄「……」

兄父『…もしもし?』

兄「…親父」

兄父『…兄?どうしてお前が…』

兄「俺の母親に会わせてくれ…話したいことがあるんだ」

兄父『……』

兄「もちろん、あんたとだって話したいことは山ほどある…でも、今日は…」

兄「…俺の本当の母親に、会いたいんだよ」

兄父『…わかった、今から家までの目印を教えるから…順番にたどって来い』

兄「……」
967 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:58:35.15 ID:4BQiGlSy0
―兄父の家―

兄父『ついたか?』

兄「…ああ、今あんたの家の前にいるよ」

兄父『…そうか、俺はいないほうがいいか?』

兄「……」

兄父『…別にいいよ、兄母と話したいんだろ?』

兄「…ああ」

兄父『わかった、俺は出て行かねえからうちに入ってこい』

兄「…ありがとう」

兄父『……』

ピッ

兄「……」

ピンポーン
968 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:59:07.49 ID:4BQiGlSy0
ガチャッ

兄母「はーい…って、あら?どちら様…?」

兄「…兄です、あなたの…息子の」

兄母「…兄…?えっ、嘘…あなたが…!?」

兄(親父は何も言ってないんだな…やっぱり)

兄母「ほ…本当に…?信じられない、けど…」

兄母「…でも…ちゃんと、面影がある…やっぱり、兄なんだね…!」

兄(…結構綺麗な人だなあ…)

兄母「あ、えっと…あ、あなたー!兄父さーん!」

兄「あ、親父は呼ばなくて大丈夫です…俺は、貴女と話をしに来たんですから」

兄母「…え…?」
969 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 21:59:35.32 ID:4BQiGlSy0
―兄父の家 居間―

兄母「…はい、どうぞ…」コト

兄「ありがとうございます」

兄母「それにしても、兄がこんなに大きくなったなんて…見ているだけでも懐かしくて涙が出そうだわ…」

兄「…あ、あははは…」

兄母「…ごめんなさい、それで…話っていうのは?」

兄「はい、長話になっちゃいますけど…」

兄母「ううん、遠慮しなくて大丈夫」

兄「…ありがとうございます、実は…親父の事についてなんですけど」

兄母「…兄父さんの事…」

兄「…はい」
970 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 22:00:26.56 ID:4BQiGlSy0
兄「…俺、今までずーっと…姉や妹と一緒に暮らしてて…秘密にされてきたことがあるんです」

兄「俺たちは、本当は実の兄妹じゃないんだ、って…」

兄母「……」

兄「最初はショックでしたけど、どうにか乗り越えられました」

兄「…俺の本当の親父に殺されてしまった、姉の両親のおかげで…」

兄母「…っ」

兄「…それと、俺…一昨日まで、不思議な現象に出くわしてたんです」

兄母「不思議な現象?」

兄「はい、姉母の一生を…頭痛とともに、視覚映像として体感しました」

兄「それで、あなたのことや、妹母さんのことを間接的に知ったんです」

兄母「……」

兄「…もちろん、信じてもらえないなら信じてもらえないままでいい…本題はそっちじゃないですから」
971 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 22:01:22.11 ID:4BQiGlSy0
兄「…あなたが、親父の事をいったいどう思ってるのか聞きたいんです」

兄「姉や、その周りの人生を滅茶苦茶にしたあいつを…どう思っているのか」

兄母「…憎いわ、憎らしくってたまらない…!」

兄「…!…」

兄母「彼がいる前じゃこんなこと言えやしないけど…あなたの問いに、素直に答えるとしたら…それが私の想い」

兄母「…当然じゃない、私は必死に止めたのに…あの人は、私の大切な親友を殺してしまった」

兄母「もちろん姉母ちゃんにも悪いところはあったわ、でも…でもね、殺してしまわなくたってよかったじゃない…!」

兄母「…ただ、それを本人に言ったら…何をされるかわからない」

兄母「今までだって言ってみたことはあったわ、そしたら…酒瓶を投げられた」

兄「…!!」

兄母「火の付いたたばこを、肌に押し付けられた…包丁を振り回して暴れ始めた」

兄母「机も箪笥も滅茶苦茶にされて…壁も天井も壊された」

兄母「…最近は少し収まっているけど、今でもたまに暴力を振るわれるわ」

兄母「離婚しようかとも考えた…でも、できなかった…離婚届を破って捨てられた」

兄母「…挙句の果てには家中の電話全てを壊されて誰にも連絡できないようにされてしまった」
972 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 22:02:21.20 ID:4BQiGlSy0
兄「……」

兄母「…近くの人や交番に助けを求めればいいのかもしれないけど、後が怖くてそれもできないし…」

兄「…俺の親父は、そこまで腐りきった人間だったのか…!」ギリッ

兄母「昔は、あんな人じゃなかったのよ…?あの人は、姉ちゃんのご両親を殺したあの日を境に…おかしくなってしまった」

兄母「…もう、元には戻れないのかもしれないわね…」

兄「……」

兄「…元には、戻れないかもしれない…」

兄母「…!」

兄「でも、まだ俺には…」

兄「…やれることが、ある…」

兄母「え…?」
973 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/08(日) 22:02:57.46 ID:4BQiGlSy0
今日はここまで
今後の展開を考えると、もしかしたらこのSSの真のヒロインは妹でも後輩でも幼馴染でもなく
姉かもしれない…

ゴーバスのEDスーパーヒーロー大戦のネタバレしすぎワロタ
お休みなさい
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2012/04/08(日) 22:28:42.26 ID:12RCyYIU0
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 00:15:28.97 ID:M/n/hdzQo

1000ぴったりで完結したら貴方を神と認める
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/04/09(月) 01:38:23.88 ID:RFruwaKmo
乙〜
あと少しだな…
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 23:23:45.23 ID:wYVydgKDO

姉に惚れた腫れた
姉くれくれ
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 05:57:16.53 ID:I9/9iWfDO
(`・ω・)っC
979 :>>972から ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:22:27.05 ID:cqw1qvSp0
―兄父の部屋前―

コンコン

兄「…親父」

兄父「……」

兄「話したいことがある」

兄父「……兄母との話はもういいのか?」

兄「ああ」

兄父「そうか…」

兄「…親父、場所を変えて話したいんだ」

兄「付き合ってくれるか」

兄父「どうしたんだいきなり?」

兄「…いいから、早くしてくれ…」

兄父「……」
980 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:23:19.51 ID:cqw1qvSp0
―河川敷―

兄父「何だってまたこんなところに…」

兄「……」

兄「…親父」

兄父「…?」

兄「夕陽が…随分と綺麗だな」

兄父「…ははっ、どうしたんだ一体?…気持ちの悪い…」

兄「…いや、別に…」

兄「ただ俺は…あんたと、本当の家族として…この夕陽を見たかったってだけだ」

兄父「…何?」

兄「…聞こえなかったか?俺はあんたと一緒に家族ごっこするつもりはねえって言ったんだ」

兄「少なくとも、今のあんたとはな」

兄父「なぜだ?お前の実の父親は…俺だってえのに」

兄「…知るかよ!そんなこと」

兄父「っ!…」
981 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:24:17.83 ID:cqw1qvSp0
兄「…俺にはな、もう既にあんたよりも大切な家族がいるんだ」

兄「血の繋がりはなくとも、過ごした時間の長さで…支え合ってきた絆で繋がった」

兄「…一番、大切な家族がな」

兄父「…姉や…妹の事か…」

兄「そういうこった、だからすっぱり諦めてくれ」

兄「今までだって、俺と会わずに過ごしてきたんだ…何も変わらないじゃないか」

兄父「…お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」

兄「当然だ」

兄父「…相手が、誰だかも…?」

兄「ああ…人殺しで、犯罪者で、偽りの家族に縋りつく――」

兄「――大っ嫌いな、実親だ」

兄父「てめえ…!!」
982 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:25:10.18 ID:cqw1qvSp0
兄「…そうやって、また10年前と同じ過ちを犯すのか?」

兄父「…何…っ!?」

兄「あんた、本当は姉貴の両親の事…殺したくなんかなかったんだろ?」

兄父「……」

兄「激昂して、気が狂って…気付いたら、二人の事を殺してた」

兄「それから突然正気に戻って…そばに姉貴がやってきて」

兄「…それで、わざわざ口封じなんかさせた」

兄「これが何を意味しているか…俺はやっと気づいたよ」

兄「あんたは…」

兄父「…っ!!!」

兄「…ただの、臆病者だ――」



ドスッ
983 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:25:46.58 ID:cqw1qvSp0
兄「…っ…!!…!…」

ばっしゃああああああっ


兄父「…てめえ…いい加減にしろよ…」

兄父「人が下手に出てりゃあいい気になりやがって…誰が臆病者だ…!!」

兄「……」グイッ

兄「…はは、図星突かれてまた激昂して…実の息子に向かって膝蹴りかますなんてな」

兄「それにしても川の中にまで吹き飛ばさなくていいだろ…服がびしょびしょだ」

兄父「…どうして俺が姉のやつに秘密をバラさせることを許可したかわかるか?」

兄父「お前と一緒に…今度こそ過ごせると思ったからだ」

兄父「お前の信じていた家族が偽物と分かって…絶望していたから」

兄父「今なら本当の家族になれると思ったからだ」

兄「…へへ、残念だったな…どうやらあんたは血の繋がりが絶対なもんだと、なぜか勘違いしてたらしいが…」

兄「自分の父親が人殺しだなんて、何の自慢にもなりゃしねえ…とんだ計算違いだったな」
984 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:26:42.17 ID:cqw1qvSp0
兄父「…そうだな…それどころか、他人同士の環境にいる中で…ずいぶん生意気になっちまったみてえだ…」

兄「他人同士だと?笑わせんじゃねえよ、俺からすればあんたのほうがよっぽど他人だ」

兄「ぽっと出のエキストラが、ホームドラマのメイン張れるとでも思ったか?頭冷やせクソ親父」

兄父「もう一度殴られたいのか?次はもっと強く行くぞ」

兄「スパルタ教育熱血親父なんざ今時流行らねえよ、苦情が湧いて出るだけだ」

兄父「……」


ガッ

兄「うぐっ!!」バシャアア

兄父「寝言は寝て言え…お前の家族は俺と兄母だ」

兄父「これ以上の勝手は許さねえ」
985 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:28:11.45 ID:cqw1qvSp0
兄「…そうかそうか…束縛して憎まれて、自己中心的に事を運ばせる…」

兄「自分の犯した罪を、誰にもバラしたくないから」

兄「…そういう都合のいい『命令』のできる相手が、お前の言う『家族』か」

兄父「…っ、お前に…何がわかる!」ブオッ

兄「……」


パシッ

兄父「…!?」

兄「…お袋はな、お前を恨んでた…憎んでた」

兄「大事な親友を殺されて、理不尽な暴力を振るわれて」

兄「あんたが憎くてたまらないってな…!!」

兄父「ぐ…っ」
986 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:29:11.77 ID:cqw1qvSp0
兄「姉貴はな、お前を怖がってた…嫌ってた」

兄「大好きな両親を殺されて、理不尽な約束を突き付けられて」

兄「失くしたくないものが、いっぱいあったってな…!!!」

兄父「……」

兄「俺の言いたいことがわかるか?」

兄「家族っていうのは、信じ合って支え合って生きていくものだ」

兄「なのに…あんたがしていることは、縛り付けて、怖がらせて、言うこと聞かせてるだけだ」

兄「あろうことか妻に憎まれる旦那なんて…いったいどこのどいつが家族だなんて呼ぶんだか」

兄「…俺だって同じだよ…あんたが憎くて仕方ねえ」

兄「姉貴に無茶ばっかさせたのも、姉貴に恐怖を植えつけたのも」

兄「全部、全部…!お前が原因だ」

兄「姉貴の、幸せな家庭を奪って行ったのも…姉貴の、幸せな人生を奪って行ったのも…」

兄「…全部、全部…お前が原因だ…!!!」


ドゴッ


兄父「がはっ!!」バシャアアア
987 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:29:58.39 ID:cqw1qvSp0
兄父「…ちっ、なんで俺ばかりを責めやがる…!」

兄父「悪いのは…姉母って女…!あの女だろうが…!!」

兄父「それも、もっと辿れば…妹の両親だ、あいつらさえ…あいつらさえまともだったなら…!!」

兄「…わかってるよ、姉貴の両親も、妹の両親も…俺は同じくらい憎たらしい」

兄「もしこの世に生きててどこかにいるなら…必ず探し出して一発でもぶん殴ってやりたかった」

兄「全ての元凶で、妹に悲しい思いさせやがった妹の両親も」

兄「最後まで頑固で、挙句勝手に殺されて…姉貴を置き去りにしやがった姉の両親も」

兄「お前と同じくらい…憎たらしい…!」

兄父「……」

兄「…お前のことを、気が済むまで殴ったら…姉貴の両親の墓まで行って、気が済むまでぶん殴ってやるつもりだよ」

兄「だから…お前が最初だ…!」


ドカッ
988 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:30:35.22 ID:cqw1qvSp0
兄父「ぐはぁっ!!」ドシャアアアア

兄「ああああああああああああああああああああああああっ!!!!」ブオンッ

バキッ!!

兄父「ぐぁっ!」ドカッ

兄「…はぁ、はぁ…!」

兄父「…ちっ、どうしても言うこと聞かねえってか…だったらいい、こっちだって…気が済むまでぶん殴ってやるよ!」

兄「…あっははははははは、上等だ…かかってこいよ…!」

兄父「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」ブオンッ

ガスッ!!

兄「うあっ!!」ベシャッ

兄父「…はは、ざまあみやがれ」

兄「…けっ、まだまだ…!!」ガッ
989 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:31:24.05 ID:cqw1qvSp0
ガッ!!

兄「ぐああっ!!」

バキッ!!

兄父「げふぅ!!」

ズドッ!!

兄「うあ!?」

ゴスッ!!

兄父「うげぁ!!」

ベキッ!!

兄「がはっ!?」

ガンッ!!

兄父「ぐぇあ!?」


ばっしゃああああああっ
990 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:32:00.88 ID:cqw1qvSp0
ぽつ…   ぽつ…



ざああああああああああああああああああああああああああああああああ


兄「……」

兄父「……」

兄「…おい、もうお互い血だらけだぜ…どうすんだよ」

兄父「さあな…どうでもいいだろ」

兄「…まだ終わらないよな?」

兄父「当然だ」

兄「…じゃあ立てよ」

兄父「…お前こそ」

兄「……」

兄父「……」


ざああああああああああああああああああああああああああああああああ
991 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:33:06.92 ID:cqw1qvSp0
兄「…じゃあ、せーので行くか」

兄父「いいぜ…、せーのっ…!」







兄「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」ブォンッ

兄父「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ブォンッ

ドガッ バキッ ズドッ ゴシャッ

兄「っ…!」バシャアア

兄父「ぐはっ…」ドシャアア
992 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:33:39.23 ID:cqw1qvSp0
兄「…へへ、軽いな…親父の拳骨ってのはその程度のもんなのか」

兄父「てめえだって人の事言えねえぜ…まだまだケツの青い餓鬼だ」

兄「…ふん、じゃあよ…次でケリつけようか」

兄父「いいぜ、止めさしてやる」

兄「…俺が勝ったら、あんたは豚箱行きだ…いいな?」

兄父「…わかった…だが、俺が勝ったら…お前は俺の家族になることだ…いいな?」

兄「…わかった」

兄父「…行くぞ」

兄「……」




バシャッ
993 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:34:07.36 ID:cqw1qvSp0
兄父「はああああああああああああああああああああっ!!!!」

―――

兄『あんたは……ただの、臆病者だ――』

―――

兄父(…お前の言うとおりだよ、兄…)

兄父(俺は、気が狂って…殺人を犯した)

兄父(豚箱行きが、怖くて仕方なかった)

兄父(だから、兄母にも、姉にも…誰にも言わせなかった)

兄父(結局俺は、ずーっと…自分の身が大事だっただけだ)

兄父(…でも、だからこそ、俺は…)

―――

兄『家族っていうのは、信じ合って支え合って生きていくものだ』

兄『なのに…あんたがしていることは、縛り付けて、怖がらせて、言うこと聞かせてるだけだ』

兄『あろうことか妻に憎まれる旦那なんて…いったいどこのどいつが家族だなんて呼ぶんだか』

―――

兄父(…信じ合って、支え合って生きていけるような…本当の家族が、欲しかったのかもしれない)

兄父(これも、お前の言った通りで…俺が信じていたものこそ、偽りの家族…)

兄父(お前のおかげで、大切なことを思い出した…俺はもう後には引けないが…)

兄父(――せめて、お前だけは…――!)
994 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:35:25.63 ID:cqw1qvSp0
兄「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

―――

姉『うっ…ううん、いいの…だって、私が兄君と妹ちゃんを、支えるって言ったんだから…!』

姉『私…おじいちゃんの仕事の邪魔はしたくない…でも、私は家族が欲しかった…』

姉『おじいちゃんも、兄君も、妹ちゃんも手放しちゃったら…もう私、何のために生きてるかわかんない…』

姉『すがるものも、守るものも、頼るものも…なーんにもなくなっちゃうんだもん…』

姉『だから今まで、あんな無茶苦茶な約束を…!!』

―――

兄(……)

―――

兄母『…憎いわ、憎らしくってたまらない…!』


兄母『昔は、あんな人じゃなかったのよ…?あの人は、姉ちゃんのご両親を殺したあの日を境に…おかしくなってしまった』

兄母『…もう、元には戻れないのかもしれないわね…』

―――

兄(…俺は…あの家族を元通りにしたいわけじゃない)

兄(姉貴や、お袋の怒りの分を…兄父にぶつけてやりたかった)

兄(…それともうひとつ…きちんと罪を償って、もう一度真人間として出てきてほしい)

兄(せめて、その日が来るまでは…俺は、兄父との本当の家族には…決してなれやしない)

兄(だから、だから…俺は…――!!)
995 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:36:15.57 ID:cqw1qvSp0









「「うううううおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」









996 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:36:52.76 ID:cqw1qvSp0
ざああああああああああああああああああああああああああああああああ


ざああああああああああああああああああああああああああああああああ










ざああああああああああああああああああああああああああああああああ
997 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:37:31.14 ID:cqw1qvSp0
―――

幼馴染「…はぁ、はぁ、はぁ…兄くーん!兄くーん!?」タッタッタッ

妹「お兄ちゃーん!お兄ちゃーん!!」

姉「兄君、兄君どこー!?いるなら返事してー!!」

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

幼馴染「はぁ、はぁ…兄君、自分のお母さんに用があるって言ってたのに…なんで兄父さんの家にいないのよ!?」

姉「兄母さんも二人がどこに行ったか知らないって…もう、結局心配かけさせて!」

妹「こんな大雨の中いったいどこ行ったっていうの?まったく…!」

ざああああああああああああああああああああああああああああああああ

幼馴染「…ん、あれ…?…姉さん、妹!見て、あれ…!!」

姉「え…?何あれ…!?」

妹「ちょっ、だ…誰か倒れてるよ!?行ってみようよ!」

幼馴染「そ、そうだね!…おーい!!」

―――――

―――

998 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:38:05.35 ID:cqw1qvSp0
―兄母の家―

兄「…ん、んん…」パチッ

妹「あっ…お兄ちゃん!?」

兄「…あれ、妹…?…なんで…?」

妹「もう、何やってたのよ…ばか…!」ギュッ

兄「!…」

妹「心配したんだよ?…お姉ちゃんも、幼馴染も、私も…!」

兄「…そっか…ごめん」

妹「無茶しないでよ…こんなに怪我して…」

兄「……」

妹「ねえ、何があったの…?」

兄「…それは…――」
999 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:39:24.66 ID:cqw1qvSp0
―――

兄母「――…そんなことが…?」

兄父「ああ…あいつはもう、立派な一人の男だよ…」

兄父「俺なんかよりも、ずっと立派な…」

兄母「……」

兄父「…ところで兄母、話があるんだが…」

兄母「…はい…」

兄父「離婚しよう、俺たち…」

兄母「…え?」

兄父「兄のおかげでな、やっと気付いたんだよ…自分のしていることが、間違ったことばかりだって…」

兄父「…いや、最初から気づいていたのに、気付かないふりをして…臆病な自分を盾にして、逃げていたのかもしれねえが」

兄父「…とにかく、今まですまなかったな…謝っても謝りきれねえ…」

兄父「今まで、本当にごめん…!この通りだ」バッ

兄母「……」
1000 : ◆HnnxP9phn2 [saga]:2012/04/12(木) 23:40:15.51 ID:cqw1qvSp0
兄母「…顔をあげてください」

兄父「……」スッ

兄母「もういいんです、わかってくれたなら、それで…」

兄父「…!…」

兄母「…全て、話してきてください…過去に犯した罪の全てを、警察に行って…」

兄父「…ああ、わかった…」

兄父「兄母、ありがとう…」スッ

兄母「…いいえ…お礼なら、兄に言ってください」

兄母「私の気持ちを全部受け止めて、代弁してくれたのは…あの子ですから…」

兄父「…ああ…もちろん…!」
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     r、       /   .!〕   ` ー    /叨¨)   || \  \        ,、
      ) `ー''"´ ̄ ̄   / |         ヽ,     ||   \   ̄` ー‐'´ (_
   とニ二ゝソ____/   |    `ヽ.___´,       ||    \____(、,二つ
                        |       `ニ´      ||
                        |_____________j|
                  |´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|
                  |               ||
                        |〕 常識は通用しねぇ  ||
                   /|              ||
                   |___________j|
                     / ゚ =ー----'、... __   
 ゚             +  ===== !    ,.        ̄丶  
       __            ,. -'':.、  u     ゚     。 \
==三/ `ニ ー――-- 、..-''´    ゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u  丶、ヽト、 ,.. --、
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てんぷら57 @ 2012/04/12(木) 23:39:38.24 ID:Bj2JMH3S0
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キミ、暇なら雑談しようぜ。27 @ 2012/04/12(木) 23:19:46.65 ID:+/99+Feyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1334240381/

ほむら「大切な仲間たち」 @ 2012/04/12(木) 23:13:25.15 ID:XMdVJydF0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334240004/

チンデカ奇形野郎マジキモイ死ネ @ 2012/04/12(木) 22:57:10.86 ID:7vFBy1VEo
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公家の第一書記 @ 2012/04/12(木) 22:35:30.47 ID:cLCb+PxDo
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【Fate】汝、自らを以って最強を証明せよ!【コンマで聖杯戦争】 @ 2012/04/12(木) 22:12:46.17 ID:AAjqbfys0
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安価で進める魔法少女まどか☆マギカDisc8 @ 2012/04/12(木) 21:51:28.34 ID:m0mikw1I0
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何が出てくるか次はどうなるかAKBSKENMBHKT乃木坂スレ @ 2012/04/12(木) 21:35:40.22 ID:QxddQvkIO
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