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青年「僕と美術室と失踪事件」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :>>1 :2011/05/22(日) 00:50:13.22 ID:578xYQ+AO
――

「先輩は探偵なんですか?」

「探偵もどきだよ」

――
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:51:10.77 ID:578xYQ+AO
◆プロローグ


??「あの、少しよろしいですか?」

下駄箱で靴を履き替えていたとき不意に声がかかった。

振り替えると、ざっと十人ぐらいの少女や少年が並んでいた。

どれも真剣な面持ちだ。

思わず声を失っていると、すっと一人の少女が前に進み出た。

少女「お願いします。力を、貸して下さい」

ぺこりと彼女は頭を下げた。


――九月三十日。

衣替えの前の日のことだった。
3 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:51:46.93 ID:578xYQ+AO
◇登場人物(後に追加入ったりします)

青年……高校二年生。帰宅部。

少女……高校一年生。美術部。

友人……高校二年生。青年のクラスメイト。柔道部。

委員長……高校二年生。青年のクラス委員。バレー部。

委員長友……高校二年生。委員長の友人。弓道部。


部長……“失踪”した少女。高校三年生。

4 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:52:33.36 ID:578xYQ+AO
第一話 「失踪」
5 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:53:10.19 ID:578xYQ+AO
-美術室-

少女「わざわざ来てもらってすいません」

青年「大丈夫だよ。それで、話ってなにかな」

少女「はい。――実は、一昨日から部長が失踪しているんです」

青年「……部長さんが、失踪?」

少女「そうです。家にも学校にも来ていないらしくて……」

青年「警察には?」

美術部員「部長の両親が失踪届け出したみたいです」

青年「そうなんだ。で、なんで僕に声をかけたの?」
6 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:53:41.02 ID:578xYQ+AO
少女「あなたがいくつか事件を解決してきたと聞きました」

美術部員2「通り魔を捕まえたりー!」

美術部員3「命を張ってテロリストと戦ったとか」

青年「えっと、僕が解決した訳じゃないんだけどな…」

青年(どちらかというとシュヴァインが解決したもんだし)

少女「だから……この失踪も解決してほしいんです」

青年(こちらの話を聞いてないよ)
7 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:54:15.11 ID:578xYQ+AO
青年「警察に任せているなら、僕はいらないと思うんだけど」

少女「……警察なんて当てになりません」

青年(おいおい)

美術部員3「心配なんです。部長は真面目だからなおさら」

少女「そう……部長が」

青年「?」

少女「部長が、勝手にいなくなるなんて、おかしいんです」ポタポタ

青年「………」
8 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:56:04.77 ID:578xYQ+AO
少女「もしかしたら事件に巻き込まれたかもしれなくて…」ポロポロ

少女「そう思うと居てもたってもいられなくてっ…」ポロポロ

美術部員3「ちょっと、おい…泣くなよ」

少女「お願いします……先輩を、見つけてくださいっ……!」

青年「………」

青年「分かりました」

全員「!!」

青年「ただの気休めにしかならないだろうけどね」

少女「いいんですか…!」グス

青年「そこまで頼まれちゃさすがに断れないよ」
9 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:56:44.10 ID:578xYQ+AO
青年「期待はしないでね。警察のほうが遥かに仕事早いと思うし」

少女「はい、分かりましたありがとうございます、先輩!」ウルッ

青年「名前知らないと不便かな。 僕はカルネ・ペンサーレ」

美術部員2「全員はキツいから、あんたが代表しなよ」

美術部員5「そうだね」

少女「う、うん。えっと、リント・オーロックスです」

青年「そう。よろしく、オーロックスさん」

少女「お願いします、ペンサーレ先輩」
10 :>>1 [saga]:2011/05/22(日) 00:58:38.11 ID:578xYQ+AO
こんな感じです。
意見感想はいつでもどうぞ。

一応前スレ

青年「僕と体育館とテロリストと」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300184571/
僕「探偵ごっこ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1297007209/
(時系列的にはこっちが先)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 01:00:22.44 ID:Ozo7VZ31o
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/24(火) 22:58:26.97 ID:R3nkbgaio
かルネくん作品キタ!
13 :>>1 :2011/05/26(木) 12:22:03.93 ID:uJrRIWIAO
二話 「不明」
14 :>>1 :2011/05/26(木) 12:22:43.66 ID:uJrRIWIAO
-下校中-

青年(とはいったものの)

青年(結局また事件に関わっちゃったよ……何これ、性なの?)ハァ

青年(それにしても、だ)

青年(真面目な性格の部長さんが突然いなくなるか)

青年(失踪直前、学校内に『いた』はずらしいし)

青年(……家出の類いじゃないと思うんだよね)

青年(問題は彼女が生きているのかすら分からない)

青年(直前まで会ってた人たちを洗ってみるか)

青年「……これは自分の力だけじゃ無理だな……」

青年「……」ピッピッ
15 :>>1 :2011/05/26(木) 12:23:34.42 ID:uJrRIWIAO
トゥルルルルルトゥルルルルル

友人『もしもーし』

青年「僕だけど」

友人『カルネか、どうした?』

青年「頼みたいことがあるんだけど」

友人『ふぅん、珍しい。何?』

青年「最近美術部の部長さんがいなくなったらしいんだ」

友人『ああ、それ知ってる。噂で聞いた』

青年「なら話が早い。美術部員の人達から捜してって頼まれちゃって」

友人『お人好しだなぁ。お前、また死にかけてもしらないぞ?』

青年「……う、うん、多分平気だよ」

友人『三度目の正直って知ってるか?』

青年「なに!?僕今回で死ぬっていうの!?」
16 :>>1 :2011/05/26(木) 12:24:27.47 ID:uJrRIWIAO
友人『で、俺に電話かけてきたってことは?』

青年「部長さんと直前まで会っていた人をリスト化してくれないか?」

友人『また無茶振りを』

青年「頼む。広い交友関を持つ君にしかできない」

友人『そういえばカルネって交友関係狭いもんな……』

青年「ギギギ」

友人『新学期に入院したのが痛かったんだな』

青年「ギギギギギギ」

友人『まあ了解したよ。できるとこまでやってみる』

青年「いい?悪いね」

友人『あ、すべて正しくはないかもしれないからな?』
17 :>>1 [saga]:2011/05/26(木) 12:25:57.26 ID:uJrRIWIAO
青年「分かってる。調べてくれるだけでもありがたいよ」

友人『おう。じゃあな』

青年「じゃあね、また明日」

ツーーツーー

青年「……持つべきものは友って本当だな」

青年(これで一つ手かがりを作れた)

青年(あとは?)

青年(あとは……何がある?)

委員長「あ、カルネくん」

青年(もうちょっと明日、彼女について聞いてみるか)

委員長「カルネくん?」

青年(あと学校に置いた荷物も見せて貰ったり……)

委員長「あ、あの…」シュン

委員長友「ブチ殺すぞ貴様」

青年「ひぎやぁああ!!?」
18 :>>1 [saga]:2011/05/26(木) 12:26:49.70 ID:uJrRIWIAO
委員長友「呼ばれてるんだから返事ぐらいしなさい」

青年「あ、ああ委員長さん達……」

委員長「か、カルネくん大丈夫?すごい考え事してたけど」

青年「え?そんなおかしかった?」

委員長友「おかしいなんてモンじゃないよ」

委員長「さっきなんて二トントラックに跳ねられるところだったんだよ」

青年「そんな!?」

委員長「トラックの運転手さんが鮮やかな運転テクニックで避けたけど」

青年「運転手さんすげぇ!!」

委員長「悩みがあるなら相談して?わ、わたしなんだってやるよ……?」

青年「どうして顔を赤らめるの?」

委員長友「気にしたら負けだからね」
19 :>>1 :2011/05/26(木) 12:35:43.19 ID:uJrRIWIAO
青年「でもまあ、悩みはないから平気だよ」

青年(流石にこの人達まで巻き込まなくても……ね)

青年(じゃあ友人はどうなんだって話だけどな!)

委員長「本当に?」

青年「うん」


委員長友「いつだってあなた厄介事を背負い込むからね」

委員長友「あなたのことが心配なのよ、この子」

委員長「えっ、ちょっ……!!?」カァァァ

青年「? そうなんだ…。ごめんね、ありがとう」

委員長「いやいやどうもっ!」ブンブン

委員長友「……鈍感」ハァ
20 :>>1 [sage]:2011/05/26(木) 12:36:33.49 ID:uJrRIWIAO
今日はここまでです
21 :>>1 [sage]:2011/05/26(木) 21:54:35.07 ID:uJrRIWIAO
委員長「じゃあわたしたちこっちだから…」

青年「そうなんだ。じゃあね」

委員長「ま、また明日ね!」

委員長友「さいなら」

キャー ハジメテ イッショニ カエッチャッタ!

オチツケ!ヒカレルダロウガ!

青年「……? なんかテンション高いなあ、委員長さん」

青年「まあいいや、早く帰ろう」トコトコ
22 :>>1 :2011/05/28(土) 13:15:12.44 ID:mM0rNWJAO
第三話 「中身」
23 :>>1 :2011/05/28(土) 13:15:49.19 ID:mM0rNWJAO
-翌日、教室-

青年「おはよう」

友人「おはよう。あ、頼まれてたもの」

青年「どうも。早いね」

友人「はいよ」ペラ

青年(自分の友達に聞き込んだりしてたんだろうな)

青年「結構会ってたみたいだね……ん?同じ名字?」

友人「弟らしい」

青年「ふぅん。ま、兄弟で会うのは特別珍しいことじゃないからね」

友人「いや、お前には分からないだろうがかなり珍しいと思うぞ」

青年「そうなの?」

友人「学校じゃあんまり接触しないもんだぜ?学年が違えばなおさら」
24 :>>1 :2011/05/28(土) 13:16:23.18 ID:mM0rNWJAO
青年(僕と姉さんは五歳ぐらい離れてるからよく分からないや)

友人「それが会うくらいだからなにかしら事情があったんじゃね?」

青年「事情かぁ」

青年「この人は?三年…てことは部長さんと同学年か」

友人「悪いが知らん。水泳部とかは聞いたけど」

青年「美術部と水泳部?珍しい組み合わせだね。何か接点あるのかな」

友人「ないだろ常識的に考えて」

青年「だよね」

青年(……じゃあ何故接触を?)
25 :>>1 :2011/05/28(土) 13:17:05.76 ID:mM0rNWJAO
青年「あとの数人は……」

友人「彼女の友達とかそんなところだ」

青年「そうみたいだね。ありがとう」

友人「お礼に宿題写させろよー」

青年「はいはい」

青年(そうだ、今日単語テストがあるんだっけ)ガサガサ

タメライヲー ノミホシテー ♪

青年「お?メールだ」カパ

-----------

from オーロックスさん

sab おはようございます

先輩に会いたい人がいるそうなので、
放課後美術室に来て貰ってもいいですか?

-----------

青年「……僕に会いたい人?」
26 :>>1 :2011/05/28(土) 13:33:50.75 ID:SdHAeCqi0
青年(珍しい人も居るんだなあ)

青年(分かりました、と)カチカチ

担任「ホームルーム始めるぞバカ共!」ガラ

青年(あ、担任来た)

同級生「先生も精神年齢的にバカあいだだだだだだ!!!!」メキメキ

担任「貴様、数Bの点数何だったか言ってみろおおおお!!」 メキメキ

同級生「じゅ、13であります大佐!!」ミキ

担任「そうだ!そんな貴様はゴルゴの背中に立って来い!!」ミキャ

同級生「」チーン

青年「………」
27 :>>1 :2011/06/01(水) 13:47:00.66 ID:i5PirNpAO
同級生「あいあんくろーとはやるな、たんにん…」

青年「……大丈夫?」

同級生「お、おお…カルネ……俺は死にそうだ」

青年「いやだめだよ死んじゃ」

同級生「心配してくれるのか…!やはり持つものはとm」

青年「君が居なくなったら体育で誰とペアになればいいんだよ」

同級生「ちくしょう!そういうことかよ!!」

担任「ホームルーム始めるといってるだろぉぉぉぉぉぉ!」ミキャグシャ

同級生「ぎゃああぁぁああああああ!!」

青年「僕までぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!」

28 :>>1 :2011/06/01(水) 13:54:34.70 ID:i5PirNpAO
キーンコーンカーン

担任「相も変わらず地元の暇人達から苦情が寄せられている」

担任「自転車の乗り方には気を付けるように」

委員長「気をつけ、れい」

ガタガタ ワイワイ

委員長「い、生きてる?」

青年「」

同級生「」

委員長友「へんじがない。ただのしかばねのようだ」

青年「生きてるさ…」ムク

委員長友「おおう、生命力が半端ない」

青年「…顔面が軋むよ…」

同級生「こめかみががががが」ピクピク

委員長「放っておこうかな」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/01(水) 14:11:29.11 ID:i5PirNpAO
友人「見てて思ったんだが、今の普通に避けれたんじゃないか?」

青年「簡単にいうけどね…。帰宅部だからか鈍いんだ」

友人「柔道部入ればよかったのに」

青年「お前の入部動機さえ聞かなきゃ入っていたかもねえ!」

委員長友「入部動機?」

委員長「どんなやつなの?」

友人「男同士が体当たりでぶつかり!くんずほぐれず!汗臭さを吸い込み!息を感じあい!」ガタ

同級生「もういい。そういえばお前ソッチだったか」

青年「こいつと柔道部入ったら僕の貞操が危うい気がして」

友人「ノンケでも食うぜ」

同級生「もういい黙れや」
30 :>>1 :2011/06/01(水) 14:18:57.51 ID:i5PirNpAO
委員長友「ああもー、部活したくなったじゃない」ウズウズ

青年「やればいいのに」
委員長友「今できないんだもん」

委員長「なんで?だれかに矢が刺さったの?」

委員長友「いや。なんか部室にタバコが散乱しててさ、それをよりによって顧問に見つかって」

同級生「部停か」

委員長友「そう。なにも弓道部が吸ったって証拠ないのに」

青年「大変だね」

委員長友「本当に。あー!早くぶすって的に射ちたい!」ギャー

キーンコーンカーン

青年「あ、授業始まるよ」
31 :>>1 [sage]:2011/06/01(水) 21:18:05.81 ID:i5PirNpAO
-放課後、美術室-

青年「お待たせ」

少女「いえ、大丈夫ですよ」

青年「それで会いたい人って?」

少女「先輩の――」

青年「後ろ!?……あれ?」バッ

少女「違います。前です」

青年「あるぇ!いつの間に!?」

少年「どうも初めまして」ペコ

青年「あ、初めましてこんにちは」

少女「部長の弟です」

青年「あ、そういうことか」
32 :>>1 [sage]:2011/06/01(水) 22:10:42.63 ID:i5PirNpAO
青年(部長さんの弟くん。部長さんと接触していた一人――)

青年「…ごめん、まだ調べ途中なんだ」

少年「いえ。姉を捜して貰ってるのでそのお礼を言いに来ただけで」

青年「あの、まずなんでそれを知ってるの?」

少女「すいません、ついうっかり漏らしてしまいまして…」

青年「そゆことか…まあ、漏れたルートが分かってるなら良いんだけど」

少女「すいません…」

青年「あとお礼はいらないよ。僕も多少気になってるし」

少年「いいえ。苦労かけさせてますから」
33 :>>1 :2011/06/03(金) 22:08:33.52 ID:1AGdnuOAO
青年(ずいぶんしっかりした子だな)

青年「あ、ねえ」

少年「はい?」

青年「君のお姉さん、消える前の日に何かがおかしかったとかない?」

少年「うーん…これといって、特にありませんでした」

少女「あたしも…いつもどおりに部活に来ていましたし」

青年「…そうか。ううん、なんでもない」

少女「手かがりとか掴めたんですか?」

青年「まだまだ――彼女の足取りだけで精一杯」

少女「そうですか」ショボン

青年「ごめんね」

少女「いいえ…頼んでる身ですから」
34 :>>1 :2011/06/03(金) 22:09:35.36 ID:1AGdnuOAO
少年「そうだ。これから姉のロッカーへ行くんですが、来ますか?」

青年「いいの?というかなんで?」

少年「姉ちゃ…姉はお菓子とかをロッカーに入れる癖があるらしくて」

少女「部長さん、クラスメイトとか部員にお菓子くれるんです」

青年「そうか。腐らしちゃまずいもんね」

少年「ええ。だから一回持ち帰ることにしまして」

少年「姉が帰ってくるまで家で保管するんです」

青年「優しいね。行っていいなら行くよ」

少年「良かったです。一年だけで三年の階にいくのは怖いんで…」

青年「あはは、分かるよそれ」
35 :>>1 :2011/06/03(金) 22:11:19.45 ID:1AGdnuOAO
-三年生の階-

テイテイテイ キャンキャンキャン

青年(まだ三年のクラスにもちらほら人が残ってるな)

少年「えっと、姉ち…姉のロッカーはこれかな」

青年「気になったんだけどさ、ロッカーの鍵をなんで持ってるの?」

少年「これですか?ただのスペアです」

青年「ああ、そうなんだ…」

カチャカチャ カチン

少年「良かった、開いた」ギィ

青年(ロッカーの空気穴?にガムテープが…)

フワン

少年「うわ…なんかもう腐ってるのかな」

少女「それにしては腐るのが早い気が…」

青年「あれ?」

青年(どうして、たかがお菓子のために45リットル袋を使うんだ?)
36 :>>1 :2011/06/03(金) 22:12:37.47 ID:1AGdnuOAO
青年「それ、ちょっとおかしいよね」

少年「え?」

少女「まあなんか…やけにずっしりきますし」

少年「とりあえず開けてみましょう」ガサガサ

青年「っ」

少女「臭いが強くなりましたね…」ウウ

青年(違う……これは、お菓子の腐る臭いじゃない!)

少女「袋が二重にあります。なんでだろう?」

青年「…どいて。あとは僕がやる」

少年「え、そんな。悪いですよ」

青年「ううん。それに少し離れていて」

少年「? はい…」

少女「いったい何を…」

ガサガサ ガサガサ

青年「………!!」
37 :>>1 :2011/06/03(金) 22:13:45.10 ID:1AGdnuOAO
少年「何があったんですか?」

青年「見ちゃ駄目だ!警察を呼んでくれ!」

少女「は………」

ズヌリ

青年(しまった、出てきやがった)

少年「!?」

少女「これは……な、に?」

少年「え?え?」

青年「駄目だよ、目を閉じて!」

少女「訳がわかりません、なに?これ、なに?」

青年(錯乱し始めてる。どこかで落ち着かせなきゃ)

少女「この臭いは、これの?これは、なに?」

少年「マジで何なんだ…吐きそう……」

青年(いったん、ここから離れさせてないと)
38 :>>1 :2011/06/03(金) 22:14:32.56 ID:1AGdnuOAO
少女「ね、なんですか……」

青年「これ以上は見ないで」スッ

青年「…ごめん、弟くん。先生と警察よんでくれないかな」

少年「……あ」

青年「先生と、警察を」

少年「は、はい!」バタバタ

少女「ああ、あ……まさか部長の」

青年「…まだ確定したわけじゃないよ」

少女「でもこれは?コレはなんですか?この臭いは?」

青年「……」

青年(巻き込まれるのは性なのかなぁ。まるで、コナン君みたいだ)




青年「人の、腕だよ」



39 :>>1 :2011/06/03(金) 22:19:24.55 ID:1AGdnuOAO
少女「あ、あはは……」

青年「ちょっとこっちまで来て」

青年(ここなら壁が死角で何も見えない…)

少女「これって、嘘ですよね……?」フラフラ

青年(それならば、どんなに良かったやら)

少女「これは夢ですから…」ツネッ

青年「………」

少女「あいたっ!…あ、あれつまりこれは夢じゃない?」

青年(現実、だ)コク

少女「い」ガタガタ


少女「いやああぁぁああああぁああ!!」


40 :>>1 :2011/06/03(金) 22:21:13.63 ID:1AGdnuOAO


「はーいもしもし。思いの外バレるの早かったですよ」

『        』

「ええ?ま、確かに予想外でしたよ。早すぎて」

『        』

「いひ。大丈夫ですよバレません」

『       ?』

「いざとなったら――殺しちゃえばいいんですから」

41 :>>1 [sage]:2011/06/03(金) 22:22:13.79 ID:1AGdnuOAO
そんなわけでいよいよ物語は滑り始めました。
おい…これ200レスいくのかよ…
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/03(金) 22:23:35.72 ID:O4A6E2/vo
うっひゃおおおおおおおお!!!

逆にどこかの誰かが書いてる探偵ものは滑り出すまでに200レスだ。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/04(土) 02:20:54.58 ID:OsBmGgnFo
おつー
44 :>>1 :2011/06/04(土) 20:48:51.87 ID:NHpds8wAO
人の名前って難しい…
しかも食べ物でくくってるからなおさら…

高校の名前を安価で決めたいと思います
食べ物じゃなくてもなんでもオッケ
>>47
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/04(土) 21:10:32.52 ID:KnmWKMkgo
んだば加速
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/06/04(土) 23:02:14.20 ID:z3sUWgEHo
ksk
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) [sage]:2011/06/04(土) 23:22:58.83 ID:qkRN9PaI0
江戸川湖南第三高等学校
48 :>>1 [sage]:2011/06/05(日) 00:18:05.81 ID:VMGFOzqAO
ちょwwww
分かりました、江戸川湖南第三高等学校ですね
49 :>>1 :2011/06/05(日) 11:15:00.84 ID:VMGFOzqAO
第四話 「取調」
50 :>>1 :2011/06/05(日) 11:15:28.32 ID:VMGFOzqAO
青年「………」

刑事「………」

青年「あの、だからロッカーから腕が出てきたんです…よ」

刑事「うん。その話はちょっと置いておこう」

青年「で、でも事情聴取ですよね?詳しく話したほうがいい気が」

刑事「だから『ちょっと置いておこう』と言ったんだ」

青年「…………もしや怒っていますか?」

刑事「何故そう思う?」

青年「その、なんか、目から光が消えていくので」

刑事「はは、君はずいぶん洞察力が鋭いみたいだね」

青年「あぁ、やっぱり怒ってるんですね…」

51 :>>1 :2011/06/05(日) 11:16:15.03 ID:VMGFOzqAO
刑事「だいたいだ。どうして君は大人しくしてられない?」

青年「…大人しいの代名詞である僕に何をいってるんですか?」

刑事「ふーん、大人しいの代名詞か」

刑事「春休み。連続殺人事件に首突っ込んで」

刑事「そして刺されて死にかけて」

刑事「夏前。テロリストに交渉しようとして」

刑事「そして撃たれて死にかけて」

刑事「今――失踪事件に首を突っ込んでるのに“大人しい”か」

青年「ぐぬぬ……」

刑事「ぼくの中の辞書と君の中の辞書は内容が違うみたいだね」

青年「ほんとうにごめんなさい」
52 :>>1 :2011/06/05(日) 11:21:47.78 ID:VMGFOzqAO
刑事「そもそも、失踪した少女…ミール・エチレンとは何も関係ないじゃないか」

青年「いやまあそうなんですけどね」

青年(さすがに頼まれているとは言えない)

刑事「なあ。君、他人のことばかり見すぎていないか?」

青年「へ?」

刑事「『他人が生き残る道』は探すが『自分が生き残る道』は考えていない」

刑事「まだ17だろ?――自分の安全を第一に行動したほうがいい」

青年「……そうですか」
刑事「また、口封じに殺されそうになったらどうするつもりだい?」
53 :>>1 :2011/06/05(日) 11:26:37.26 ID:VMGFOzqAO
刑事「そう都合よく“正義のヒーロー”はこないよ」

刑事「春も、夏も、どうやら“ヒーロー”は来たそうだけど」

刑事「二度あることが三度あるとは思わないでくれ」

青年「……そんなに心配してくれているんですね」

刑事「そりゃあね。死相がますますくっきり出てるし」

青年「死相出てるの!?くっきり!?」

刑事「妹にみせたら喜びそうなぐらいに」

青年「妹怖い!!」
54 :>>1 :2011/06/05(日) 21:01:57.69 ID:VMGFOzqAO
青年「あ、そうだ刑事さん」

刑事「ん?」

青年「あの腕の持ち主……分かったら教えてください」

刑事「悪いが、一般人には教えられない」

青年「え、そんな」

刑事「それに、君は『分かっている』んだろ?」

青年「……はい」

刑事「だろうと思った」フ

刑事「ずいぶん寄り道をしたが、事情聴取を始めよう」
55 :>>1 :2011/06/05(日) 21:15:39.56 ID:VMGFOzqAO
………

青年「以上です」

刑事「うん、なるほどね」カキカキ

刑事「――あ、ちょっと待って」

青年「? はい」

刑事「ロッカーの鍵は……本当にかかっていたのかい?」

青年「ああ、はい。確かに開けるところを見ました」

刑事「そっかそっか。ありがとう」カキカキ

青年(もしかしたら弟君、被疑者候補に入れられてるのかな)

刑事「また改めて聞きに行くかもしれないけどいいかな?」

青年「拒絶してもくるんでしょう?」

刑事「はは、そうだね」

青年「じゃあ」

刑事「うん、今日はここまでで」
56 :>>1 :2011/06/05(日) 21:20:34.54 ID:VMGFOzqAO
青年「では、お疲れさまでした」

刑事「いや、いいよ。こっちもそれが仕事だしね」

青年「また…会わないといいんですけどね」

刑事「君が事件にこれ以上関わらなければね」

青年「……ははは」

刑事「気を付けなよ、本当に」

青年「刑事さんも気を付けてくださいね」

刑事「?」

青年「…僕と関わった人の周りは何かしら、事件が起こりますから」

刑事「大丈夫だよ。君はそんな疫病神みたいな存在じゃない」

青年「…それもそうですね。さようなら」

ガチャン
57 :>>1 :2011/06/05(日) 21:26:46.88 ID:VMGFOzqAO
トコトコ…

刑事「……ふぅ。やっぱり、取調は苦手だ」

刑事同僚「少しばかり歪んでたな……」

刑事「あんなことあれば当然だよ」

刑事同僚「腕を見つけたことか」

刑事「いいや。彼が自嘲するのも頷けるぐらいに、事件が起きてるんだ」

刑事同僚「へえ。ああ、あのテロ事件か」

刑事「それもある。個人情報だから詳しくいえないんだけど」

刑事「少なくとも、四件は事件に関わってる」

刑事同僚「そんなにか」
58 :>>1 :2011/06/05(日) 21:32:15.89 ID:VMGFOzqAO
刑事「いつか、やけに死体をみても平気だったからね。ちょっと調べたんだ」

刑事同僚「うわーストーカーだー」

刑事「うるさい。でね、わかったこと」

刑事「親をとある事件で失っている」

刑事同僚「…そこからか」

刑事「そして、中学校の頃。先輩の遺体の第一発見者」

刑事同僚「……」

刑事「春に起きた、ストーカー犯による殺人事件の第一発見者」

刑事「江戸川湖南第三高等学校のテロ事件の負傷者」

刑事同僚「この町もなかなか異常だな」

刑事「うん。ちょっとそろそろ真面目に対策しないとやばいかもね」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/05(日) 21:42:59.81 ID:VMGFOzqAO
刑事同僚「さっきからやけにヒーローヒーローでるが、あれはなんだ?」

刑事「彼は…話を聞く限り“ヒーロー”に憧れているんだろうね」

刑事同僚「仮面ライダーみたいな?」

刑事「そう。困ったりピンチの自分を助けてくれる存在を」

刑事「そして無意識に彼は“ヒーロー”になろうとしてるんだよ」

刑事「現れない“ヒーロー”の代わりになろうとしている」

刑事同僚「そういうものなのか…?」
60 :>>1 :2011/06/05(日) 21:46:11.80 ID:VMGFOzqAO
刑事「今回だって、もしかしたら頼まれたからやっているのかもしれないよ?」

刑事同僚「さいでか」

刑事「ま、ぼくの推測だけどね」

刑事同僚「こんなやつが同期だとは考えたくねえな」

刑事「はは。――まあ、いつか分かるといいんだけどな、現実を」

刑事「“ヒーロー”なんていない。自分を助けるのは自分以外いないって」

刑事同僚「妹にはクソ甘いくせに」

刑事「妹は妹だよ。あの可愛さはまさに天使だ」

刑事同僚「はいはい」
61 :>>1 :2011/06/05(日) 21:52:58.12 ID:VMGFOzqAO
刑事同僚「さて、報告しに行くか」

刑事「ああ。そろそろハース・エチレン君の取調も終わるだろうしね」

刑事同僚「トラウマ間違いなしだろうな。ますます警察嫌われちまう」

刑事「それは仕方ないさ。嫌われ職業なんだから」

刑事同僚「そーいうもんか」ハァ

刑事「うん」



刑事(『探偵ごっこ』はほどほどにしなよ、ペンサーレ君――)

刑事(今度こそ死んだらどうするつもりだい?)
62 :>>1 [sage]:2011/06/05(日) 21:54:26.62 ID:VMGFOzqAO
投下完了。
よく良い子に育ったな、カルネ君…
63 :>>1 [sage]:2011/06/05(日) 21:55:37.08 ID:VMGFOzqAO
◇友人から渡されたリスト

ミール・エチレン
……失踪した高校三年生。美術部部長。


―彼女と昼休み〜放課後に接触してた人たち―

ハース・エチレン
……高校一年生。部長の弟。廊下で立ち話してたらしい。

エディブル、エスカル、コンデン
……いずれも部長の友達。彼女とは昇降口で別れたとのこと。

美術部員達
……高校一年〜三年。失踪する前、普通に一緒に部活をしていた。

チョウザ・キャビ
……高校三年生。水泳部部長。噂によると部長が好きだったとか?

カシュ先生
……保健の先生。彼女から相談を受けてた。内容は不明。

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/06(月) 00:44:24.52 ID:E5pKkiOHo
65 :>>1 :2011/06/09(木) 23:51:54.43 ID:S+9KYfQAO
第五話 「視線」
66 :>>1 :2011/06/09(木) 23:52:21.10 ID:S+9KYfQAO
-その翌日、教室-

友人「おはよう」

青年「おはよう。ん?なんかけわしい顔してるよ」

友人「ああ、なんか警察が校内にたくさんいたんだが……」

青年「腕が見つかったからね」

友人「へー、腕か。……何の?」

青年「ヒトの」

友人「へー、ヒトの腕か。……はあ!?」

青年「リアクション芸人を目指してるなら、やめといたほうがいいよ…」

友人「ならねーよ」

青年「そのほうがいいよ。所詮一発屋だし」

友人「いつになく毒舌だな。何があった」

青年「……詳しくはまたあとで」ボソ

友人「……ああ分かった」
67 :>>1 :2011/06/09(木) 23:54:09.93 ID:S+9KYfQAO
オイDグミ イコウゼ-
イイヨ-

ワイワイ ガヤガヤ

青年「………」

友人「………」

シ-ン

青年「クラスに人がいないからかい摘まんで話そうか」

友人「おう。あ、ちょっとまて。廊下みてくる」ガタ

青年「うん」

青年(そっか、もう警察が来てるのか)

青年(今日の学校内ではそこまでうろつけないな…)

友人「大丈夫だ、誰もいなかったぞ」

青年「そう。じゃあ、突っ込んだことも話せるね」

友人「誰に突っ込んだんだ?」

青年「お前が考えてることとは違うからな、いっとくけど」

友人「ちぇっ」
68 :>>1 :2011/06/09(木) 23:54:47.72 ID:S+9KYfQAO
青年「昨日の放課後なんだけど、」

青年「部長さんのロッカーから、ヒトの腕が出てきた」

友人「…腕って収納できるのか?」

青年「うん、ひじを曲げて入れてあった」

青年「それに少し……腐っていた」

友人「……ぅあ。まだ気温高いからな……」

青年「だからか分からないけど、空気孔みたいなところにガムテが貼ってあった」

友人「ずいぶん念入りなこった…使いたくねえな、そのロッカー……」

青年「なんらかの対処はするでしょ、学校も」

友人「そうだな」
69 :>>1 :2011/06/09(木) 23:55:14.86 ID:S+9KYfQAO
友人「それで?」

青年「それでって?」

友人「誰の腕だか、検討はついているんじゃないのか?」

青年「まあ、ね」

友人「やっぱり。…彼女か?」

青年「かもしれない。指先に赤とか茶色の絵の具が付いていたし」

友人「そこまで見てたのかよ。パニクれよ」

青年「僕がパニクったら後輩さんと弟君までさらにパニクるじゃないか」

友人「なんだ、一人じゃなかったのか」

青年「ちょっと付き合って欲しいって言われてついていったんだ」

友人「ホイホイと?」

青年「やめて」
70 :>>1 :2011/06/09(木) 23:56:43.20 ID:S+9KYfQAO
友人「目星はたってるのかよ、犯人の」

青年「ない」

友人「そうだよな。逆に、たってたらただの高校生じゃないな」

青年「そもそも、犯人を見つけても吊し上げる気はないし」

友人「はぁ?」

青年「僕が言われたのは『部長を捜す』ことだ」

青年「『犯人を捕まえる』ことじゃない」

友人「ひねくれてるな」

青年「元からだよ。君ならとうの昔から知ってるだろ?」

友人「確かに」

友人「いや、…ただ怪我したくないだけじゃなくてか?」

青年「ぎく」
71 :>>1 :2011/06/10(金) 00:03:19.80 ID:nczDjrBAO
青年「そりゃ犯人捜しもしたいけどさ…」

友人「したいのか…」

青年「これ以上包帯とか病院とか見たくないんだよ」

友人「包帯と友達状態だもんな」

青年「お断りだけどね…そんなわけで、犯人捜しはしない」

友人「ただ彼女の消息を追うだけと」

青年「うん。彼女と接触した人に話を聞きながらね」

友人「その捜してる人がすでにいなくても、か?」

青年「そう。まだあの腕も彼女のものだと確定した訳じゃないし」

友人「あー、まだ仮定だったんだよな。……あ」

青年「どうしたの?」

友人「昨日聞いたんだが、美術部部長はな、水泳部部長に告られてたんだと」

青年「告られ、た……?」
72 :>>1 [sage]:2011/06/10(金) 00:03:53.30 ID:nczDjrBAO
続く。
テンポわるくてすみません…
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/10(金) 03:07:17.11 ID:z3UNPO3IO
おつー
テンポなんて気にすんな
74 :>>1 :2011/06/10(金) 22:51:16.88 ID:nczDjrBAO
青年「それって一気に怪しさ爆発アンパンマンじゃないか」

友人「お前は何をいっているんだ」

ガララ

青年「!」

友人「もうこんな時間か」

委員長友「おは。早いね二人とも」

委員長「おはよう。カルネ君に…名前なんだっけ」

友人「忘れんなよ!いいか、俺の名前h」

委員長友「ところでところで、なんかやけに校内賑やかだったけど」

友人「聞いてる?俺の名m」
75 :>>1 :2011/06/10(金) 23:05:05.05 ID:nczDjrBAO
青年「警察が来てるんだって」

委員長「あ、パトカー来てたもんねそういえば」

委員長友「またカルネ君なんかやったの?」

青年「またって何!?」

友人「俺のn」

青年「そもそも警察を呼ぶようなことはしたことないよ」

委員長友「『は』って…呼ばれる側?」

青年「………」フイ

委員長友「あ、図星だったんだ…」
76 :>>1 :2011/06/10(金) 23:09:58.74 ID:nczDjrBAO
委員長「不幸だねぇカルネ君」

青年「なんなんだろうね。呪われてるんかな」

委員長「誰に?」ピク

友人「据わった目になったぞコイツ…」

委員長友「カルネ君が関わるとね…」ボソ

友人「なるほどな…」

青年「単なる例え話だよ」

委員長「そうかぁ良かったぁ」ホッ

友人「委員長は二重人格か?」ボソ

委員長友「恋する乙女よ…一応ね…」
77 :>>1 :2011/06/10(金) 23:13:37.88 ID:nczDjrBAO
委員長「でも、前も言ったけど本当に困ったことがあったら相談してね?」

委員長「みんなでなら解決出来ることもあるんだから」

青年「…うん、ありがとう」ニコ

青年(でも、僕は)

青年(あんまり多くの人を巻き込みたくないんだよね)

青年(でもその心遣いはうれしい)

委員長「」ズッキュゥゥゥゥゥン

青年「!?」

友人「罪作りな男…」
78 :>>1 :2011/06/10(金) 23:18:33.79 ID:nczDjrBAO
-しばらくして-

ザワ…ザワ…

青年「クラス興奮気味だね」

同級生「そりゃな。また非日常なことが起こってるんだから」

友人「非日常が日常と化してるな、最近」

担任「おい、体育館に集まれー」

生徒「え?なんでですか?」

担任「緊急全校集会だ。速やかに移動しろ。あ、貴重品持ってけよー」

青年「…………」
79 :>>1 :2011/06/10(金) 23:29:52.11 ID:nczDjrBAO
―――

青年(内容はやっぱり腕のことだったか)

青年(それなりに柔らかい表現だったけども)

青年(衝撃はやっぱり与えちゃうよな…)

同級生「オイ俺の上履きはくなよ!」

同級生2「えっこれ自分のなんだが」

ギャアギャア

少女「先輩」コソ

青年「あ…どうしたの?」
80 :>>1 :2011/06/10(金) 23:32:52.47 ID:nczDjrBAO
少女「今日は…集まれませんね」

青年「うん……君も、今日は休んだ方がいい」

少女「ありがとうございます…」ウル

青年「……まだ彼女だと確定した訳じゃないから。ね?」

少女「はい…」グス

青年「もしかしたらひょっこり帰ってくるかもしれないよ」

青年「だから笑って」

少女「うぐ…はい。では、それでは…」タタタ
81 :>>1 :2011/06/10(金) 23:35:50.96 ID:nczDjrBAO
ザワザワ

友人「嘘つき」

青年「自覚してる」

友人「仮定が現実だったらどうするんだよ?」

青年「それでも、今日ぐらいは安心させて寝かせてあげようよ」

友人「嘘つきって罵られるぞ」

青年「その時はその時だよ…あんまり言われたくないけどさ」

友人「お前なりの優しさのつもりか」
82 :>>1 :2011/06/10(金) 23:42:43.26 ID:nczDjrBAO
青年「かもね。たった一時だけの優しさだよ」

友人「本当にな。ここまでくると優しいのか優しくないのか」ハァ

青年「うーん…それは僕にも分かんないや」

友人「俺にも不明だ」

同級生「おぅい、早く教室帰ろうぜ。このまま下校だろ?」

青年「あ、うん。荷物をとりにいかな――」ゾクリ

青年「ッ!」クルッ

ザワザワ キャアキャア

青年(視線みたいなの感じたけれど…)

青年(………今の、なんなんだ…?)

友人「カルネ?置いてくぞ」

同級生「潰されても知らねえぞ」

青年「うん…今いく」トトト
83 :>>1 :2011/06/10(金) 23:44:33.82 ID:nczDjrBAO



「お。邪魔者みーつけた♪」

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 01:58:22.70 ID:rK40iJmK0
いいから関連スレ全部挙げて 名前だけでいいから
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 07:40:31.21 ID:8TEfeXqSO
>>84
ggrks
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/16(木) 07:53:33.74 ID:4A/tK8ifo
専ブラで青年で検索かけなさい。
87 :>>1 :2011/06/22(水) 23:40:06.85 ID:M/PMYZtAO
第六話 「呼出」
88 :>>1 :2011/06/22(水) 23:41:03.81 ID:M/PMYZtAO
同級生2「なんか呼ばれてるぞ、先輩に」

青年「え、マジ?」
89 :>>1 :2011/06/22(水) 23:41:33.56 ID:M/PMYZtAO
-それから二日経過、放課後-

青年(何故か事件に巻き込まれるのはもう仕方がない)

青年(僕にも責任はあるんだし)

青年(そしてだいたい怪我するのも仕方がない)

青年(それを回避しなかった僕の責任だし)

青年(だけど…)

青年(年上に何故か絡まれているのは納得がいかないよ!)
90 :>>1 :2011/06/22(水) 23:42:00.94 ID:M/PMYZtAO
青年「なぜ今現在僕はあなたに胸ぐらをつかまれているのでしょうか」

上級生「ああ?わかんねーのかカス」

青年(カスって……)

青年「………」ウーン

上級生「…………」

青年「………」ウウン

青年「わ、分からないですね」
91 :>>1 :2011/06/22(水) 23:42:29.07 ID:M/PMYZtAO
上級生「チッ、散々待たせてそれかよ」

青年「すいません」

青年「……そもそも僕になんの用でしょうか…」

上級生「オマエが俺のことを疑ってるって聞いてな!」

青年(と、すると……水泳部の部長さんか?)

上級生「どのツラか見に来てやったんだよ!」

上級生「そしたらどうだ、こんなモヤシみたいな野郎が俺を疑ってんだよ!」

青年(入院続きだからそりゃ筋肉も落ちますし…)
92 :>>1 :2011/06/22(水) 23:43:12.46 ID:M/PMYZtAO
上級生「イラつかないわけにはいかないだろ!」

青年「あーっと、落ち着いて下さい…」

青年(体育館裏に呼び出された時点から嫌な予感はしたんだよ…)

青年(下手するとここで死ぬぞ僕)

青年「僕はまだあなたを被疑者だと――」

上級生「でも疑ってるんだろ?あ?」

青年(めんどくさいよー…誰かー)

青年「………そうですけど」
93 :>>1 :2011/06/22(水) 23:44:21.17 ID:M/PMYZtAO
上級生「なんでだか説明してもらおうか?」

青年(犯人フラグ急上昇だよまったくもう!)

青年「なんでそこまで聞きたがるんですか?」

上級生「そりゃ疑われていい気持ちはしないだろうが?馬鹿か?」

青年(馬鹿はどっちだよ!)

青年「……あなたが美術部部長さんに告白したと聞きました」

青年「だから、痴情のもつれかなんかトラブルがあったのではないかと」

青年(使い方あってるかな。痴情)

上級生「カッ。告白『された』んだよ、俺は」
94 :>>1 :2011/06/22(水) 23:45:21.38 ID:M/PMYZtAO
青年「『された』ですか…」

青年「じゃあ『今から告ってくる』という友人との会話は嘘なんですね?」

上級生「!」

青年(図星か。全く…あいつもどこで仕入れてきたのやら…)

上級生「てめっ……どこからそれを」

青年「恋の噂は早いんですよ」

上級生「………ッ」ギリ

上級生「いいか――また今度俺を疑ってるとか噂が入ったら」

上級生「そんときゃ殺してやるよ!」グッ

青年「わっ」ステン

スタスタ

青年「……………」

青年「だから、犯人捜しじゃないんだってば……」パンパン
95 :>>1 :2011/06/22(水) 23:45:54.02 ID:M/PMYZtAO
ピルルルル

青年「ん?」

青年「はい、もしもし」

委員長友『カルネ君!まだ学校にいる!?』

青年「いるけど、どうして?」

委員長友『あなたに早く言わなきゃいけないの!』

青年「え?告白?」

委員長友『あー、ちょっと殺意がわいたなー。ちょっと殺意わいたわー』

青年「ごめんなさいこの通りです!」

委員長友『――ん?うん。…ちょっと代わるね』

友人『よう』

青年「なんだよ、入れ代わり立ち代わり」

友人『この前、腕が見つかったっていったよな?』
96 :>>1 :2011/06/22(水) 23:46:34.22 ID:M/PMYZtAO
青年「うん」

友人『他のパーツが見つかった』

青年「!?」

友人『弓道部の盛り土みたいなのあるだろ?そこに埋められてたんだよ……』

青年「……っ、今から行く」

友人『ああ。早くこい』
ブツッ

青年「例えばそれが部長さんのだとすると……」

青年「……これじゃあ学校内で殺されたこと確定じゃないか」
97 :>>1 :2011/06/22(水) 23:47:23.16 ID:M/PMYZtAO
-弓道場-

ザワザワ

青年「……」

青年(何か布がかけられてる…あれか?)

友人「来たか」

青年「警察はどうしたの?」

委員長友「さっき呼んだ」

青年「そう…。パーツは?」

友人「足だ。両足がゴミ袋に入れられていただとか」

委員長友「うん、そうなんだ…悪い、トイレ」ヨロ

青年「行ってらっしゃい…」

友人「そりゃあ刺激強いよな…」
98 :>>1 :2011/06/22(水) 23:47:51.71 ID:M/PMYZtAO
青年「ね。ところでそっちは柔道部だろ?何してんだ?」

友人「なんか凄まじい悲鳴が聴こえてよ。思わず駆けてきたんだ」

青年「そうなんだ。…あれは掘り出したってことでいいのかな?」

友人「ん。詳しいことは聞かないが久々に弓道場に来た奴がなんか埋められたの発見してさ」

青年「それを掘り起こしたら…ってことか」

友人「そうだ。普通びっくりするよな」
99 :>>1 :2011/06/22(水) 23:48:48.45 ID:M/PMYZtAO
青年「そういえば弓道部、今部停じゃなかった?」

友人「たまに整備しにこないと駄目なんだろ。わかんねぇけど」

青年「そっか。確か、タバコが散乱してたとかだっけ」

友人「あ、それで思い出した。まるで水泳部と同じだよな」

青年「は?水泳部?」

友人「なんだ、知らないのか?昨日部室とかに立ち入り検査があったらしくてよ」

青年「警察の?」

友人「細かくは知らん。水泳部部室にタバコがめっちゃ散乱してて部停とか」

友人「今の時期はあんまり活動しないみたいだからそこだけは良かっただろうな」
100 :>>1 :2011/06/22(水) 23:49:14.01 ID:M/PMYZtAO
青年(だからあんなに苛立ってたのかな)

青年(でもなー、あの人…更に怪しくなったよな)

青年(しばらく様子を伺ってみるか)

友人「悪いな、呼び出して。誰かと会ってたんだろ?」

青年「ううん、もう平気」

友人「なら良かった。気をつけて帰れよ」

青年「はは、先生みたい。じゃあね」




――そしてその後のこと。

――また新しい犠牲者が増えたと、僕は翌日知ることになる。
101 :>>1 :2011/06/22(水) 23:50:04.09 ID:M/PMYZtAO
終わったー
青年とかカルネでかけるとヒットするかも
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/22(水) 23:52:18.32 ID:M/PMYZtAO
あ、>>88>>89は同じ日です
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 07:43:11.10 ID:SA88BmQSO
104 :>>1 :2011/06/29(水) 12:56:31.59 ID:hZhZRe1AO
第七話 「歯車」
105 :>>1 :2011/06/29(水) 12:56:58.89 ID:hZhZRe1AO
-翌日-

青年「――10月3日か」

トコトコ

青年(頼み事をされてから、四日目)

青年(腕が見つかって三日目)

青年(足が見つかって一日経過)

青年(そろそろ警察は犯人を絞り込めているのだろうか)

友人「カルネー」

青年「どうしたの?今日は英語の英文写しなかったはずだよ」

友人「俺=宿題なんだな、お前の中では…」

青年「そりゃ連日宿題写させて言われるとそうなるよ」
106 :>>1 :2011/06/29(水) 12:57:27.46 ID:hZhZRe1AO
友人「だって俺宿題やるのやだもん」

青年「だから毎回赤点ギリギリなんじゃ…」

友人「入退院繰り返してるのに毎回クラス上位にいるお前がおかしい」

青年「入院中にちゃんと勉強してるんですー」

友人「そんなに暇なのか。雑誌とか読めばいいのに」

青年「姉さんが持ってくる雑誌がエロ雑誌なんだよ…」

同級生「いいお姉ちゃんだな」ウンウン

同級生2「羨ましい。妹に見習ってもらいたいもんだ」

友人「内容による」

青年「エロ雑誌で一気に沸いてくるなァァァァァァァ!!」
107 :>>1 :2011/06/29(水) 12:58:06.46 ID:hZhZRe1AO
友人「もし今度入院するならもっとマシなの頼めよ」

青年「待ってよ、これ以上入院してたまるか。単位やべーよ」

同級生「分からんぞぉ」

同級生2「事件に巻き込まれることは主人公級だからな、カルネ」

友人「良かったな」

青年「嬉しくねえよ!」
友人「回避能力もつけば完璧カッコいい主人公だけどな」

青年「僕のこの一年は無様だったというのか!」

友人同級生、2「うん」

青年「お前らなんて嫌いだぁぁぁ!!」

同級生「おっと、俺らは嫌われても痛くも痒くもないが」

同級生2「お前には超スーパー大打撃じゃないか?」
108 :>>1 :2011/06/29(水) 12:58:34.33 ID:hZhZRe1AO
青年「そうだった……!圧倒的弱点……!僕は友達が少ない……!」

友人「デメリットのみがカルネに降りかかる……!」

青年「圧倒的ぼっち……!」

同級生「なにも『圧倒的』使えばカイジになるわけないからな?」

青年「なん……だと……」

友人「卍解!」

委員長友「収集つかなくなってきてるけど」

友人「おお、時折バイオレンス発言する以外はまともな奴が来た」

委員長友「? 説明口調が気に入らないがいやまて中身も気に入らない!」

委員長「でも事実そうだよね」

委員長友「貴様は黙ってろ!」ガァッ

委員長「ほらぁ!」ビク
109 :>>1 :2011/06/29(水) 12:59:04.72 ID:hZhZRe1AO
青年「そうだ、大丈夫?ほら、あの昨日の…」

委員長友「……まあ、ね。ちょっと夢に出た程度」

青年「そっか…」

委員長友「それよりも、あんなことしたやつがこの学校にいるってことが怖い」

青年「うん…でも大丈夫だよ。犯人も捕まるよ」

青年(……捕まらないかもしれないのにね)

青年(安心させるために嘘をつくのは正しいことなのだろうか)

委員長「……」ジッ

青年「?」

委員長「いい雰囲気だねー」ボソ

委員長友「ちょ、ポロさん!?そのぐらいでヘソ曲げないでよ!」
110 :>>1 :2011/06/29(水) 12:59:52.35 ID:hZhZRe1AO
マッテヨ-

シラナイモン

青年「なんだ一体…」

同級生「ニブチン」

同級生2「これがハーレム展開だったなら俺はお前を許さん」

青年「?」

友人「罪な男」

青年「あ、そうだ。だいぶそれたけど…なにか用があるんだっけ?」

友人「ああ。あの後な――」

ピンポンパンポン

友人「ξ」

『全校生徒に連絡します』

『大切なお話があります。速やかに体育館へ移動してください』

『繰り返します』

青年「また体育館?」

友人「…多分、俺が言おうとしたことと同じだ」
111 :>>1 :2011/06/29(水) 13:04:49.17 ID:hZhZRe1AO
-体育館-

ザワザワ

校長「皆さん、おちついて聞いて下さい」

ザワザワ

校長「校内で殺人事件が起こりました」

青年(………え?)

校長「被害にあった生徒は――……」



----------

TO オーロックスさん
sab 無題

後で美術室前に来てください
僕はまだ何かを見落としているみたいです

-----------

ピッ
112 :>>1 :2011/06/29(水) 13:11:01.77 ID:hZhZRe1AO
偽次回予告!

青年「ああ、バレちゃったか…」

委員長「カルネ君……あなた……女の子?」

青年「ごめんね、ずっと嘘ついてて。本当にごめん」

委員長「……ううん。私も、分かったことがあるの」

青年「え?」

委員長「男の子でも女の子でも、私は『カルネ』が好きなんだって」

青年「……君は……」

委員長「好きです、カルネ君…カルネちゃん、かな?」

収拾がつかない。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 14:27:34.48 ID:MyN18/3SO
がむばれ
114 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 22:53:41.50 ID:jHHDKabAO
-教室-

ワイワイ

副担任「まっすぐ帰れよー」

ハーイ

青年「………」

青年(被害者はキャビさん……水泳部部長)

青年(何故だ?何故、彼は殺されなくてはいけなかった?)

青年(この事件となんらかの関係で殺されたのか?)

青年(……彼を犯人と仮定してみよう)

青年(口封じ?でも、そうすると共犯がいることになる)

青年(考えてみれば人の身体をバラバラにするなんて一人じゃできないか)

青年(もしそう考えるとすると―――)

青年(リストに載っていない第三の人物がいることになる)
115 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 22:56:36.97 ID:jHHDKabAO
-美術室前-

青年(ん?珍しい、まだ来てないや)

青年(緊急下校だからな…もしかしたら先生に捕まったとか)

青年(友達に事情話してるとかかな)

青年(無理しなくていいよって送っておくか)

プルルルルル

青年「……?」

青年(オーロックスさんからだ)

ピッ

青年「はいもしもし」

少女『せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!』

青年「どうしたの!?」

少女『あ、あたし殺されちゃうかもしれないです!』

青年「………はぁ!?」
116 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 22:57:03.95 ID:jHHDKabAO
青年(走りながら電話してるのか息が荒い)

少女『逃げっ、逃げてるんですが!まだっ!撒けなくて!』

青年「今どこ!?」

少女『ご、五階の廊下ですっ!』バタタタ

青年(選択教室しかないところ…人がいないのか!)

青年「すぐに三階まで来て!撒かなくていいから!」

少女『はいっ!』バタタ

プープープー

青年(五階に何故いたんだ?あそこは授業時以外は使わないはず…)

青年(いや、今は考えている暇はないようだ)

バタバタ

少女「せんぱっ……!」ゼェハァ

青年(バッドを持った男子学生が追いかけてきてる)

青年「こっち!」グイ

少女「わっ!」
117 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 22:57:33.16 ID:jHHDKabAO
バタバタ

青年(上履きの色からして一年生)

青年(ならこっちは相手よりも校内をよく知っている)

青年(うまくいけば撒けるか?)

青年(それよりも職員室に逃げ込んだほうが早いかもしれない)

青年「頑張って!」

少女「はい!」

男子学生「………」ダダダ

青年(だいたいの生徒はもう帰ってて誰にも会わない)

青年(良かったのか悪かったのか…)
118 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 22:58:32.25 ID:jHHDKabAO
青年「見えた!早く職員室に!」

少女「分かりました!」バタァン

男子学生「………チッ」ブン

ガン

青年「ッ!!」

青年(バッドを肩に……!地味にダメージでかいぞコレ)

男子学生「………」クルッ
タタタ

青年「逃げた…」

少女「先輩!大丈夫ですか!?」

青年「ん、うん…」

担任「おいどうした?…っておいペンサーレ!?」

青年「どうやら肩が痛んだようです…」

担任「何が……今はそんなことどうでもいい、保健室に見てもらうぞ!」ヒョイ

青年「肩だけなんでお姫様だっこは止めてくれませんかね」

119 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 23:01:25.97 ID:jHHDKabAO
-保健室-

少女「教室に戻ったら手紙が置いてあって、五階に一人で来るようにって…」

青年「ちょっとは怪しもうよ…」

少女「まさかあんなことになるとは思わなくて」

保健の先生「まあまあ。で、逃げてたら君に金属バッドを投げられ当たった…ね」

青年「はい」

保健「ちょっと上脱いでくれる?あ、そこの子、湿布出して」

少女「は、はい」ガサガサ

青年「……脱ぐんですか?」

保健「あんたは一体何を想像してるの?」

青年「いえ、そういうことじゃなくて……」

保健「? 今なら刺青ぐらい見逃すけど」
120 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 23:02:34.67 ID:jHHDKabAO
担任「俺は見逃せないけどな。お前に限ってやってるとは思えんが」

青年「はぁ……脱ぎますよ」パサ

少女「…えっ」

保健「ああ……」

担任「………」

少女「身体中、傷だらけ…」

担任「あまり言うもんじゃないぞ」ギロ

少女「ひゅ、ひゅいません」

青年「いえ、いいですよ。…あんまり見せたくないだけで」

保健「そうか…君は色々巻き込まれてんだよね」

青年「まぁ」

保健「でもこれ、病院でなんとかしてもらえないのかい?」

青年「本当は限界まで見えなく出来るみたいなんですけどね」

少女「なのに、なんで」

青年「出席日数のほうが大切だったんで……」
121 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 23:03:00.66 ID:jHHDKabAO
一同「…………」シーン

青年「だってそうじゃないですか!?進級できないのはいやですよ!」

少女「分からなくはないです」

保健「ひとりぼっちは、寂しいもんね」

青年「優しいセリフはかないでください!」

担任「あの夏の地獄の補習のお陰で進級はできるけどな」

青年「くっ…鎮まれ僕の指タコ」

担任「でもだからってなぁ…仕方ないとはいえ、身体は大切にしろよ」

担任「…親からもらった身体なんだ。丁寧に扱ってやらないと」

青年「う、はい」
122 :>>1 :2011/07/01(金) 23:08:07.00 ID:jHHDKabAO
保健「しかし、見事なアザね」ペタ

青年「これ、病院行くべきですか?」ヒヤ

保健「うん。腫れて動かせなくなるとかマジ勘弁でしょ」

青年「そうですね」

担任「しかし金属バッドな…野球部から盗まれたものかもしれん」

青年「現場調達ってわけですか…」

担任「しかし殴られなくて良かったな。下手すると骨折れてたと思う」

少女「」ゾク

保健「あと、肩で良かったよ。目に当たったらどうなってたことやら」

青年「」ゾク
123 :>>1 :2011/07/01(金) 23:08:57.28 ID:jHHDKabAO
担任「さて、落ち着いたところで聞こう。……お前らはどんな関係だ?」

青年「」ギク

少女「」ギク

担任「ペンサーレは部活をしていないからまず後輩のセンは薄い」

青年「……そうっすね」ダラダラ

少女(帰宅部だったんだ…)ダラダラ

担任「それになにやら親しげだった。しかしカップルには見えない」

少女「そ、そうでしょうか?」ダラダラ

青年「いやぁ、ははっ」

青年(言い訳が思いつかねぇぇぇぇ!)

担任「ペンサーレ」

青年「はははははい」ガクブル
124 :>>1 :2011/07/01(金) 23:09:36.80 ID:jHHDKabAO
担任「俺はお前がテロリストに撃たれて入院し、見舞いに行ったときに言ったはずだ」

青年「…あの大量の宿題をプレゼントしてくれた時ですか?」

担任「違う。不等式の証明100題プリントを持ってきたときだ」

青年「」

少女(思い出しただけで瀕死ッ………!)

担任「『危険だと感じたら首を突っ込まないように』とな」

青年「…………」ダクダク

担任「な に を 企 ん で い る ?」

青年「な、何もいやらしいことは考えてませんよ!?」
125 :>>1 :2011/07/01(金) 23:10:46.77 ID:jHHDKabAO
担任「ほう。じゃあ単位を賭けて言えるか?」

青年「単位、ですか」フ

保健(……なんという爽やかな笑顔なんだろう)

少女(まるで………まるで、すべてをあきらめたような)

青年「僕を舐めないでください」スッ…

少女「?」

青年「怒らないで聞いてくれるなら話します」土下座

少女「か、カッコ悪い…」

保健「これが江戸川湖南第三高等学校のテロリストを鎮圧した男の図…」

青年「散々なこと言われてるけどプライドより単位なんだ……!」

担任「本当に留年したくないんだな、お前…」
126 :>>1 :2011/07/01(金) 23:11:39.15 ID:jHHDKabAO
――説明中――

青年「そんなわけでして」

青年(友人からの情報提供とか、個人が怒られそうなことは省いた)

青年(これは手伝ってくれたお礼ってことで)

担任「はぁぁぁぁぁ…」ゲンナリ

保健「まさか裏で生徒がこんなことしてたなんて」

担任「相変わらず侮れないな、ペンサーレ…」

保健「オーロックスにしちゃ敵討ちみたいなものか」

少女「はい……」

保健「あのこは優しいからね。いや、優しすぎたか」

保健「あんな優しい子が死んだ――殺されたんだから、報いたい気持ちは分かる」

保健「ただ、それで自分たちの命も無駄にするつもりかい?」
127 :>>1 :2011/07/01(金) 23:12:07.57 ID:jHHDKabAO
保健「自分の為に他人が傷つくのをエチレンは許せないはずだ」

青年「………」

少女「………」

保健「ま、ここまで来たなら仕方ない。エチレンの相談事でも暴露するか」

担任「…ちょ、カシュ先生」

保健「職員室のみんなには内緒だよ。ここだけの秘密話だ」

担任「ったく……」

青年「相談事?」

青年(ああ。確か友人がくれた紙に書いてあったような)>>63

保健「一ヶ月ぐらい前から嫌がらせが多くなってきたらしい」

少女「嫌がらせ?先輩がですか?」
128 :>>1 :2011/07/01(金) 23:12:48.19 ID:jHHDKabAO
保健「そ。上履きを隠されたりね…小学生みたいな嫌がらせ」

少女「……」

保健「ただ同学年ではないらしい。教室のものは一切手を触れられていなかった」

保健「となると当たり前だが残るは下級生だ」

保健「だけどな、あいつは恨まれるようなことはしてないはず」

少女「でも恨まれてるんじゃないかと考えているわけですよね?」

保健「ああ」

青年「じゃあ…何か、彼女と直接に関係ないこととかで彼女は恨まれてた?」

保健「そう考えるのが妥当だろう」

青年「ややこしや。それって例えば…?」

保健「恋愛関係、とかじゃないかな」
129 :>>1 :2011/07/01(金) 23:13:47.17 ID:jHHDKabAO
青年(恋愛関係……)

担任「あ、そうだ。明日いうつもりだったんだが」

青年「?」

担任「どこかに制服落ちていなかったか?」

青年「逃げるのに必死で分かりませんでした」

担任「そうか…。いや、被害者がジャージ姿で発見されたんだが」

担任「肝心の制服が見つからないらしい」

青年「そう、なんですか」

青年(恋愛関係。告白。恨まれていた疑惑。嫌がらせ)

青年(男子学生←なくなった制服?肩。金属バッド)

青年(    →水泳部部長→美術室部部長)

青年(歯車は集められた。でも、どうやって組み立てたらいい?)
130 :>>1 :2011/07/01(金) 23:15:16.37 ID:jHHDKabAO
おしまーい
やっぱり怪我するカルネ君
131 :>>1 [sage]:2011/07/01(金) 23:33:32.90 ID:jHHDKabAO
オマケ

少女「ペンサーレ先輩、銭湯とかプール行けるんですか?」

青年「刺青とかじゃないから一応ね。周囲の視線は痛いけど」

少女「傷跡から見るにすごいバトルとか繰り広げたんですか?」

青年「…………」

少女「?」

青年「将棋でいうなら試合始まって三手ぐらいで王手打たれてる感じ」

少女「……初っぱなからやられているんですね…」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/02(土) 04:04:14.97 ID:0GvRG8Bko
乙。留年は怖い。本当に。
留年した主人公とかカッコ悪いもんね!

後、細かいけど細かく無い事。バッドじゃなくてバットじゃね?
133 :>>1 [sage]:2011/07/02(土) 08:52:34.41 ID:A1726eSAO
▽>1 は はずかしくて にげたした !

本当に日本人なのかな、俺…
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 09:27:55.95 ID:CedE9J3DO
>>133
にげたした!? だと?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/02(土) 11:42:56.07 ID:gE8d4rnMo
>>1
は萌えキャラ。いそんはみどめない。
136 :>>1 :2011/07/03(日) 01:51:46.64 ID:m3Rpe0MAO
第八話 「下校」
137 :>>1 :2011/07/03(日) 01:52:20.82 ID:m3Rpe0MAO
担任「よし、話はここまでだ。ペンサーレ、途中まで一緒に帰ってやれ」

青年「はい」

担任「オーロックス、いざとなったらそいつを盾にしていいからな」

少女「は…えっ」

青年「は…ちょおおおおおおお!?」

担任「冗談だ」

青年「心臓に悪いですよ!?」バクバク

保健「それで怪我してまた入院したら本当に洒落にならないね」

担任「もう一年、二年生の勉強だな」

青年「どうしてチクチクと精神攻撃を仕掛けるんですかぁーー!!」
138 :>>1 :2011/07/03(日) 01:52:52.92 ID:m3Rpe0MAO
-下校中-

青年「………」テクテク

少女「………」トコトコ

青年(何を話したらいいんだろう……)

少女「……やっぱり部長さんは…死んだんですよね」

青年「ふぇ!?」

少女「いやなに驚いてるんですか?!バレバレですよ!?」

青年「なんで!?なんでバレたの!?」

少女「だって保健の先生がバッチリ言ってたじゃないですか!」

青年「うわあああああ!そう言えばそうだったよ!ちくしょう!」ダッ

少女「先輩!そっちは用水路ですよ!?」
139 :>>1 :2011/07/03(日) 01:53:19.49 ID:m3Rpe0MAO
青年「」ゼェゼェ

少女「ほんと、用水路に、飛び込もうと、しないで、下さい…」ハァハァ

青年「ごめん…」

少女「通りすがりのおばさんに変な目で見られましたよ…」

青年「ごめん…」

少女「捨て犬みたいな目は止めてください…」

青年「うん…。…君はさ、怒る?」

少女「何にですか?」

青年「その事実を隠してきたこと。いや、あれを聞くまではまだ仮定でしかなかったけど」

青年「本当は腕を見つけたときからなんとなくは分かっていたんだ」

少女「わたしも、です。薄々は気づいていました」
140 :>>1 :2011/07/03(日) 01:53:46.33 ID:m3Rpe0MAO
青年「そうだったんだ」

少女「でも、認めたくなかったんです」

青年「分かるよ」

少女「…シュレディンガーの猫って知っていますか?」

青年「うん」

少女「箱を開けるまで、生きているか死んでいるか分からない」

少女「私は生きている方に賭けた。ひょっこり帰ってくるほうに」

青年「そして、今は?」

少女「箱を開けた結果は私がどう足掻いても変わらないですから…」

青年「………」

少女「やっぱりDNA鑑定とかしたんでしょうかね?」
141 :>>1 :2011/07/03(日) 01:54:36.82 ID:m3Rpe0MAO
青年「じゃないかな。指紋だとかも判断材料になるし」

少女「じゃあもう確定なんですよね…」

青年「そうなっちゃうね」

少女「あはは…もう、当初の依頼は無効ですかね」

  『この失踪も解決して欲しいんです』

青年「………」

青年「よし、悪あがきしてみよう」

少女「え?」

青年「君が言ったのは『部長を捜して』だけじゃない」

青年「『失踪した原因を調べてほしい』も含まれている」

少女「え?え?そんなこと言いましたっけ?」

青年「言ったさ。多分ね」
142 :>>1 :2011/07/03(日) 01:55:11.33 ID:m3Rpe0MAO
少女「多分って」

青年「言っただろう?悪あがきって」

青年「『彼女は死にました』。これで引き下がれるかい?」

少女「い、いえ」

青年「なんで彼女がそんな目に合わなきゃいけなかったのか、聞こう」

少女「誰にですか?」

青年「犯人。容疑者。姿を表さない道化師。うわ厨二だ」

少女「それってまさか捕まえるんですか?」

青年「いいや。ただ聞くだけだよ、直接ね」

青年「テレビラジオ新聞ごしじゃなく、生の声を聞くんだ」

少女「………」
143 :>>1 :2011/07/03(日) 01:55:45.00 ID:m3Rpe0MAO
青年「ってここまで言ってきたけど…。ぶっちゃけ、もう戻れないんだよね」

少女「戻れないって…ああ、今日のあれとかですね」

青年「そう。彼、いや彼女?はガチで僕らを[ピーーー]気だよ」

少女「わたしたちを[ピーーー]気……」

青年「入っちゃいけないところまで入っちゃったんだ」

少女「先輩」

青年「ん?」

少女「先輩、すごく生き生きしてますよ」クス

青年「あ、そ、そう?」

少女「はい。あと――いえ、なんでもありません」

青年「?」

少女(目つきが、冷たくなってる……)
144 :>>1 :2011/07/03(日) 01:56:19.13 ID:m3Rpe0MAO
青年「そんなわけで、僕は続けるよ。止められてもね」

少女「……わたしも、」

青年「君は自分の身の回りに気をつけて。少なくとも、君は殺されかけたのだから」

少女「……はい。ていうか先輩も人のこと言えませんよね…」

青年「まあそうなんだけどね。…さて」

少女「?」

青年「泣きたいときは泣いた方がいいよ」

少女「わたし泣きそうな顔してますか?」

青年「泣いてるよ。シュレディンガーあたりから」

少女「気づきませんでした。なんで、こんな…」

青年「悲しいんだよ。悲しいときは泣きなよ」

少女「………っ」
145 :>>1 :2011/07/03(日) 01:56:47.24 ID:m3Rpe0MAO
少女「わたし、約束したんです」

青年「なにを?」

少女「いつか部長さんより上手くなって、いっぱい賞をとるって」

青年「うん」

少女「わたし下手なんだけど、でも、応援してくれたんです」

青年「そっか」

少女「あの人はコバルトブルー、の、絵の具を、よく使ってて…」

青年「……」

少女「風景画、描いたとき、すごい、褒めてくれてっ…」

青年「うん」
146 :>>1 :2011/07/03(日) 01:57:15.30 ID:m3Rpe0MAO
少女「部活で、ケンカしたときも、頑張ってくれて」

少女「なのに、もうっ、いないんです」

少女「あの席は、誰が埋めればいいんでしょうか?」

少女「あの筆は、誰が使えばいいんでしょうか?」

青年「」ナデ

少女「うっ…わああっ…」

青年「…………」ナデナデ

青年「人が死んで、泣ける君は優しいね」

少女「ひっく…エチレン先輩ぃっ…」

青年(僕は、一番大切な人が死んでも泣けなかったから)
147 :>>1 :2011/07/03(日) 01:58:22.83 ID:m3Rpe0MAO
少年「………あ、えっと」

青年「うおぉ?!いつからそこにいたし!?」

青年(し、私服?学校休んだのかな)

少年「今ですけど…どうしたんですか?」

青年「んー……」チラ

少女「…うぅぅ…っ」

青年「彼女が落ち着いたら、マックでも行こう。奢るよ」

少年「へ?は、はい?」

青年「だから、それまでもう少しここで泣かせてやろうよ」

青年「どうせ田舎道なんだからあんまり人来ないしね」

少年「…優しいんですね、あなたは」

青年「うーん、そうかなぁ…。照れるよ」
148 :>>1 :2011/07/03(日) 01:59:49.70 ID:m3Rpe0MAO
いまいちカルネ君の性格が分からん。
犯人捜しになると冷淡になる感じかな

100円あったらマックへ行こう。
149 :>>1 訂正じゃ! [saga]:2011/07/03(日) 02:01:16.99 ID:m3Rpe0MAO
>>143

青年「ってここまで言ってきたけど…。ぶっちゃけ、もう戻れないんだよね」

少女「戻れないって…ああ、今日のあれとかですね」

青年「そう。彼、いや彼女?はガチで僕らを殺す気だよ」

少女「わたしたちを殺す気……」

青年「入っちゃいけないところまで入っちゃったんだ」

少女「先輩」

青年「ん?」

少女「先輩、すごく生き生きしてますよ」クス

青年「あ、そ、そう?」

少女「はい。あと――いえ、なんでもありません」

青年「?」

少女(目から光が消えていて、怖い……)
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/03(日) 02:02:47.72 ID:YvneOJxEo
乙。
こういう会話好き。
151 :>>1 :2011/07/03(日) 21:42:24.78 ID:m3Rpe0MAO
-ファーストフード店-

イラッシャイマセ-

青年「お昼前だから人はあまりいないみたいだね」

少年「そうですね。下校がやけに早かったですけど、どうかしたんですか?」

青年「その話も含めて、席についてからにしよう。なに頼む?」

少女「いいんですか?」グスグス

青年「いいよ。あ、高いのは勘弁ね」

少年「そんなことできませんよ…じゃあぼくはコーラでお願いします」

少女「アイスティーでお願いします」グスグス

青年「レモン?ミルク?」

少女「ミルクで」
152 :>>1 :2011/07/03(日) 21:43:18.97 ID:m3Rpe0MAO
店員「店内でお召し上がりですか?」

青年「はい。コーラとアイスミルクティーとホットコーヒー、」

青年「それとポテトのSを」

店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」

ピコピコピコ♪

コポコポ

店員「ご注文の品です」スッ

青年「ありがとうございます。…どこ座ろうか」

少女「出来れば窓の側じゃないほうがいいですね」

少年「いつどこで誰がみてるか分からないですし」

青年「それもそうか。じゃあここにしよう」ストン
153 :>>1 :2011/07/03(日) 21:43:53.01 ID:m3Rpe0MAO
青年「さて。まず、君はどうしたんだい?」

少年「えっと、学校に一応連絡をしに」

青年「なんの?」

少年「えっと…ですね」チラ

少女「…エチレン先輩のことならだいたい分かってるよ」

少年「そう…」

少年「…姉の死亡について……報告に。一応電話でも伝えましたが」

少女「……」ギリ

青年「私服で?」

少年「ええ。家族立ち会いみたいのがあって、そのあとすぐ来たので」

青年「そうなんだ。ごめんね、マック行こうとか言い出して」

少年「そんな、いいですよ。――それで何かあったんですか?」
154 :>>1 :2011/07/03(日) 21:44:25.42 ID:m3Rpe0MAO
青年「んっとね…ちょっと待って」キョロ

青年(こちらに興味を示す人はいないみたいだ)

青年(でも用心に越したことはない)

青年「…水泳部部長が校内で死んだ。で、緊急下校」ヒソ

少年「…まさか同一犯とか?」

青年「いいや。その人は被疑者候補の人だったんだ。今回の事件の」

少年「え!?」

少女「他にも犯人がいるってことなんでしょうか?」

青年「僕はそう考えている。共犯に裏切られたんじゃないかって」

少女「共犯を[ピーーー]なんて…そんなこと、どうして?」
155 :>>1 :2011/07/03(日) 21:45:14.79 ID:m3Rpe0MAO
青年「さあ。それは聞いてみないと分からない」

少年「聞くって、まさか被疑者を…殺した犯人からですか?」

青年「イェスオフコース」

少女「英語習い出すと途端に使わなくなりますよね、それ」

青年「……こほん。うんまあそういうわけ」

少年「捕まえるとかじゃなく?」

青年「聞くだけ。あとは自首させる方向に持っていったりなんでも」

少年「でも、危険ですよ?」

少年「いくら『捕まえない』と宣言したところで相手は信じると思いますか?」

青年「うん、ないだろうね」
156 :>>1 :2011/07/03(日) 21:46:10.32 ID:m3Rpe0MAO
少年「きっぱり言い切ったよこの人は…」

青年「話しを聞くってことは接触することだ」

少年「つまり?」

青年「下手するとその場で殺られるかもしれない危険性もある」

少年「おい」

青年「でも、テレビごしに真相を知るよりかはいいんじゃないかな」

少年「そうですね。……その時は僕も混ぜてくれませんか?」

青年「いいよ。ああ、殴るのはなしね」

少年「そんなことはしません。……姉の『残り』を聞きたいんです」

少女「………」

青年「僕には止める権利はない。でも、知って後悔することもあるよ」

青年「それだけは肝に銘じておいて」
157 :>>1 :2011/07/03(日) 21:47:10.14 ID:m3Rpe0MAO
少年「それは、分かっていますよ。ぼくももう15ですから」

ガヤガヤ

少女「…混んできましたね?」

青年「あれ、もうこんな時間か。話しすぎたかな」

少年「早いですね。すいません、ぼくはこれで」ガタ

青年「こっちも一応病院いかなきゃいけないし、解散だね」ガタ

少女「あっ、トイレに行かせてもらいます」パタタ

少年「……病院って、怪我したんですか?」

青年「ちょっとね。まあこれといって日常生活に支障はないよ。多分」

少年「なら良かったです」

青年「あ、そうそう。ひとつ聞きたいんだけどさ」

少年「はい」
158 :>>1 :2011/07/03(日) 21:47:41.26 ID:m3Rpe0MAO


青年「君が犯人ってこと、ないよね?」



少年「………」

少年「どこの世界に姉を[ピーーー]弟がいますか?」

少年「それに、ぼくなら共犯は脅すぐらいで[ピーーー]なんてしませんよ」

青年「そうか。なんでもない、ただの戯言だと思ってくれ」

少年「ええ」

少女「お待たせしましたー」パタタ

青年「じゃあ帰ろうか」

少年「あ、ぼくはこっちなんで」

少女「はい。じゃね、エチレンくん」フリフリ

少年「バイバイ、オーロックスさん」
159 :>>1 :2011/07/03(日) 21:49:11.89 ID:m3Rpe0MAO
イエマデ オクルヨ

イイデスヨ ソンナ

スタスタ

少年「………」

少年「………」

少年「………」

ピタリ クル

少年「まったく、油断できない人だ。いくらなんでも無謀すぎるでしょう」

少年「確かにぼくにアリバイはないけれど」

少年「もし犯人にそう聞いたらどうなるのか考えているのかなぁ……」

160 :>>1 :2011/07/03(日) 21:50:08.22 ID:m3Rpe0MAO
-病院からの帰り道-

青年(病院混んでたな。結構待った)

青年(今は六時。どうりであたりが暗いわけだ)

青年(この時間は苦手だな。刺された傷が痛む)

青年(もう半年も前の話なのにね。あのおっさん元気かな)

青年(あの夏前のテロリストさん達も)

青年「そして、僕を今からどうするつもりだい?そこの子」

青年「隠れてても分かるよ。ハッタリじゃなく」

男子学生「…、……」

青年「病院の帰りを狙って待ち伏せしてたってことか」

青年「それストーカーだからね。女の子相手にやったら刑務所だよ」
161 :>>1 :2011/07/03(日) 21:51:02.15 ID:m3Rpe0MAO
男子学生「………」

青年「君の目的はだいたい分かるよ」

青年「今ここには僕を助けてくれる人はいない」

青年「[ピーーー]なら絶好のチャンスだね」

男子学生「………」

青年「さあ、君はどう僕を[ピーーー]?」

青年「刺殺か銃殺か絞殺か撲殺か毒殺か忙殺か溺殺か焼殺か惨殺か」

男子学生「………」

青年「あ、ひとつ間違えた」

男子学生「………」

青年「あの……何かいったらどうかな」
162 :>>1 :2011/07/03(日) 21:52:21.45 ID:m3Rpe0MAO
男子学生「………」ボソ

青年「え?」

青年(マスクのせいでひどく聞きづらい。男女かすら分からない)

男子学生「これ以上、事件に関わったら。お前を[ピーーー]」

青年「ふぅん、警告か」

男子学生「お前だけじゃない、周りもだ」クル

スタスタ

青年「…………」

青年「は、はぁぁぁ…」グッタリ

青年(怖かった……)

青年(周りって、オーロックスさんのことか?)

青年(気をつけないと。彼女までは怪我させたくない)

青年「守られてるばかりじゃ、ダメなんだ」
163 :>>1 :2011/07/03(日) 22:00:12.85 ID:m3Rpe0MAO
―――

友人『それじゃ、お前大丈夫なのかよ?』

青年「多分大丈夫じゃないかな?」

友人『おっと会話が成り立たないアホがひとり登場』

友人『疑問文に疑問文で返すなと学校で教わらなかったか?』

青年「……ジョジョかよ」

友人『修学旅行も近いんだし、あんまり派手なことするなよ』

青年「わかってる」

友人『ったく。わかってるわかってる大丈夫大丈夫…』

友人『わかってねーし大丈夫じゃないじゃねえか!』
164 :>>1 :2011/07/03(日) 22:06:59.09 ID:m3Rpe0MAO
青年「ご、ごめんなさい」

友人『世話の焼ける奴…お前の姉ちゃんもよく付き合ってられんな』

青年「ほら、姉さん世話好きだから」

友人『世話好き+弟がトラブルに巻き込まれやすい=ブラコンになるんだな』

青年「なんだその図式」

友人『まあともかく、だ。死ぬなよ。こんなくだらんことで』

青年「…………ありがとう」

友人『な、なんか素直に礼言われると気持ち悪いな…』

青年「ひでぇ!人がせっかく!」

友人『いやわりぃわりぃ。あ、もう寝るわ』

青年「うん。おやすみ」

プープープー

青年「小学生から友達でいてくれてありがとう、なんてね」

―――
165 :>>1 [sage]:2011/07/03(日) 22:09:40.31 ID:m3Rpe0MAO
死亡フラグを着々と建築中。

偽次回予告

「僕と契約して魔法少女になってよ!」

青年「僕、男なんですけど」

委員長「ふたな○になぁれ☆」

青年「えっ」

「おめでとう、君の願いはエントロピーを凌駕した」

青年「えっ」

魔法少女かるね☆マギカ
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/03(日) 22:21:53.97 ID:rjgYDLpdo
乙。HKB。
31歳魔法少女と魔王幼女あげるから。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 08:03:11.65 ID:wV521V2N0
このシリーズっていくつあるの?
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 08:05:30.39 ID:wV521V2N0
このシリーズっていくつあるの?
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 10:23:23.93 ID:JGa3rrwao
カルネ君が主役の奴なら確かこれ含めて3。
この世界観の奴なら2+オリジナル総合スレの短編。
この人のスレならさらにもう1個。

…すげぇな。マジで。
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 16:17:33.48 ID:4Aao8Vgx0
連レスごめん
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 17:38:59.49 ID:4Aao8Vgxo
>>169
マジかサンクス

タイトルとか教えてくれたらうれしい
172 :>>1 [sage]:2011/07/04(月) 22:50:24.25 ID:V6jJerHAO
気づいたらシリーズ化してた
別の世界観とかも書いてみたいとは思うんですけどね…

>>171
・カルネシリーズ
僕「探偵ごっこ」
青年「僕と体育館とテロリストと」
これ

・変態探偵シリーズ(ショートショート)
女「ねえ、ちょっと」 と、その2
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 22:56:10.48 ID:u/i/qOaqo
>>172
死神は?
174 :>>1 [sage]:2011/07/04(月) 23:21:13.33 ID:V6jJerHAO
>>173
おおおおそうか
「死神に鎮魂歌を」
探偵シリーズには一切関係ないです
175 :>>1 :2011/07/05(火) 00:19:04.92 ID:ZGxmn3BAO
第九話 「水際」
176 :>>1 :2011/07/05(火) 00:19:30.72 ID:ZGxmn3BAO
-翌日、学校-

青年(やっと金曜日か……なんだか長い一週間だったな)トコトコ

青年(緊急下校だらけでろくに授業できてないんだけど)

パシャパシャ

青年「?」

パシャパシャ

青年(聞き間違えじゃない)

青年(プールに誰かいるのかな?)

青年(…………)

青年(荷物置いてから行ってみよう)ウン
177 :>>1 :2011/07/05(火) 00:19:58.65 ID:ZGxmn3BAO
-教室-

青年(まだ一人しかいない。早すぎたか)

青年「………っ!?」

青年「なんだよ……これ……」

男子「あ。よう、カルネ。早いな」

青年「これは…一体、なにが起きてるんだ?」

男子「………見れば分かるだろ?」



男子「ケーキのデコレーションしてるんだよ」ババーン



青年「わけがわからないよ!なんでケーキなんて作ってんだよ!」

男子「ナヌッ!男がケーキ作ってはいけぬともうすのか!」

青年「違うよ!教室でケーキ作っている理由が分からないんだよ!」
178 :>>1 :2011/07/05(火) 00:20:27.05 ID:ZGxmn3BAO
男子「理由理由って、お前は理由がないと生きれないのか!」

青年「いやそれは理由が必要でしょ!?」

男子「理由なんて後付けなんだよ!偉い人にはそれが分からんのです!」

青年「同い年だ!同い年だから僕ら!!」

男子「ぶっちゃけ最近までお前の名前知らなかった!!」

青年「なにここで暴露してんだよ!?非常に凹むんだけどそれ!」

男子「てか本当に存在してるのかなって思ってた」

青年「してるわ!何度か存在が危ぶまれたけどしてるから!」
179 :>>1 :2011/07/05(火) 00:20:53.54 ID:ZGxmn3BAO
男子「朝からうるさいなお前。そんなキャラだっけ」

青年「誰のせいだ誰の!」

男子「で、なんの話だっけ」

青年「なんで教室でケーキ作っているんだって話」

男子「朝ごはん」

青年「重っ!?」

男子「よければ分けるぞ、生クリーム」

青年「いらねえ!」

男子「じゃあ机にかけといてやる」

青年「さらにいらねえ!というからめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
180 :>>1 :2011/07/05(火) 00:21:20.74 ID:ZGxmn3BAO
-校舎裏-

青年「はぁ、疲れた……」テクテク

青年「なんで朝からこんなに疲れなきゃならないんだ」テクテク

青年「つか、朝からホールケーキとかどんだけだよ」

青年「胸やけ確定だろ」

青年「………」テクテク

青年「ここか」ピタ

青年(プールの入口が開いてる…)

パシャパシャ

青年「…………」

青年(部停のはずなのになぁ)

青年「おじゃま、します」
181 :>>1 :2011/07/05(火) 00:21:55.73 ID:ZGxmn3BAO
-プールサイド-

青年(1とかかれた飛び込み台の上に女の子が座っている)

青年(あの音は足で水を叩く音だったのか)

青年(脇に置いてある上履きは赤。つまり一年生か)

下級生「………ありゃあ?誰ですか?」クル

青年「あ、どうも」

下級生「お客さんなんて珍しいですねー。見学ですか?」

青年「……今は部停じゃないの?」

下級生「うふぅ。まあそうなんですけどねー」パシャパシャ

青年「…寒くない?足」

下級生「今は足が火照ってるから気持ちいいぐらいですよー」
182 :>>1 :2011/07/05(火) 00:22:29.87 ID:ZGxmn3BAO
青年「ふぅん。隣、座っていいかな」

下級生「どうぞー」

青年「」ストン

下級生「……廃部かなぁ、水泳部」パシャパシャ

青年「え?」

下級生「もともと人数少ないし、…せんぱいが死んじゃったから」

下級生「もう継続も難しいかなーなんて思うわけですよ」

青年「……そっか。憎い?」

下級生「なにがですか?」

青年「水泳部の部長さんを殺した犯人がさ」

下級生「そりゃあ憎いですよ」パシャパシャ

下級生「なんで死んじゃったんでしょうね、せんぱいは」
183 :>>1 :2011/07/05(火) 00:23:05.98 ID:ZGxmn3BAO
青年「そりゃ、殺されれば死ぬよ。生き物はみんな」

下級生「そんなもんですかねぇ」パシャパシャ

青年「ところでここ、どう入ったの?」

下級生「ちょいと職員室から鍵を失敬してきたんですよー」

青年「おい」

下級生「えへへー。…もう入れるのも最後かもしれないし」

青年「……残念だね」

下級生「そうですよ。今回でいっぱい色んなものを無くしました」

青年「………」

下級生「誰かの願いが叶う頃、あの子が泣いている」
184 :>>1 :2011/07/05(火) 00:24:05.04 ID:ZGxmn3BAO
青年「?」

下級生「わたしの好きな歌です」パシャパシャ

青年「それ聴いたことあるかもしれない」

下級生「有名な歌ですからね。みんなの願いは同時には叶わない」

青年「……」

下級生「せめて、わたしの願いが叶うといいんですけど」

青年「犯人が捕まりますようにって?」

下級生「そんな感じです」

キーンコーンカーンコーン

青年「予鈴だ。戻らないと」
185 :>>1 :2011/07/05(火) 00:25:05.03 ID:ZGxmn3BAO
下級生「帰りでいいんでまたここきてくれますか?」

青年「いいけど…なんで?」

下級生「わたしのせんぱいのことで、話があるというか」

青年「…うん、分かった」

下級生「無駄な情報じゃないとは思うんですけどー」

ガチャガチャ

青年「じゃあまた後で」

下級生「はい。あ、聞いたんですけど怪我は大丈夫ですかー?」

青年「ああ、大丈夫だよ。万全じゃないけど」

下級生「そうですかー、では」


青年「…………ん?」

186 :>>1 :2011/07/05(火) 00:27:18.52 ID:ZGxmn3BAO
-教室-

青年「………」

委員長友「………」

青年「何の騒ぎ?」

委員長友「こっちが聞きたい」

担任「着席…なにしてんだこれは!?」

青年「見た通りです」

担任「ケーキパーティー……?朝からか?」

青年「もっと別に突っ込むところあるんじゃないかなぁ」

委員長「おいしいよこれ」

委員長友「おい委員長仕事しろよ」
187 :>>1 :2011/07/05(火) 00:27:49.60 ID:ZGxmn3BAO
ホールケーキなんて食べれない
では
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 00:28:33.71 ID:7MqwYLZ0o
ここで終わりかよ!?乙。

正宗さんかお前はってツッコみたかった。
189 :>>1 :2011/07/05(火) 21:07:46.25 ID:ZGxmn3BAO
-時は飛んで昼休み-

青年「だぁー、食欲がない」

友人「お前ただでさえ小食なんだからちゃんと食えよ」

同級生2「お母さんがいる」

青年「一食抜いたぐらいじゃ死なないよ」

友人「はぁ……。だからそんな細っちい身体なんだってばよ」

同級生「あ、じゃあおかず貰っていい?」

青年「どうぞ」

同級生「おう、いとうまし」モシャモシャ

同級生2「いっつもおもうが、料理うまいよなお前」

同級生「これが一人暮らしパワーか」
190 :>>1 :2011/07/05(火) 21:08:17.24 ID:ZGxmn3BAO
青年「パワーってなんだよ、パワーって」

友人「でもこいつのお姉さんその正反対なんだぜ」

同級生「へぇ、料理できない女の子とか可愛いじゃまいか」

青年「………」

友人「………」

同級生「え?な、どうしたんだ?」

青年「“可愛い”のレベルじゃないんだ…」

友人「あれは毒だ。毒としかいえない」

同級生「……毒?」

同級生2「詳しく」

青年「君らは虹色の炭なんか食べられる!?」

友人「四色増えた!?以前は赤青黄の三色じゃなかったか?!」
191 :>>1 :2011/07/05(火) 21:08:44.11 ID:ZGxmn3BAO
青年「あれからなぜか色のレパートリーが増えたんだよ!」

友人「ああ…大変、だなぁ」

同級生「よく分からないがすごいんだな……」

友人「もはやカルネは生半可な毒飲まされても死なないと思うぞ」

同級生2「そんな!?」

青年「今度食べてみる?ふらりきままに天空散歩の旅できるよ」

友人「命の保証はしないけどな」

同級生「………」

同級生2「………」

   n                n
 (ヨ )              ( E)
 / |    ハ,,ハ     ハ,,ハ    | ヽ
 \ \/( ゚ω゚ )/( ゚ω゚ )ヽ/ / お断りします
   \(uu     /     uu)/
    |      ∧     /

192 :>>1 :2011/07/05(火) 21:09:27.73 ID:ZGxmn3BAO
友人「ものすごいシンクロ率だったな」

青年「まるで打ち合わせたようだ」

同級生2「あんなこと聞かされたら全力でお断りするしかないだろ」

青年「そりゃね…あ、そうそう。これ食べる?」

同級生「? うん」パク

友人「……あるぇー、七色のゼリー?」

青年「……姉さんが作ってくれたんだ」ニコ

同級生「ッ!?はかったなカルネェェェェ……」バタ

青年「良かった…食べなくて良かった…この犠牲は忘れないよ…」

同級生2「たまに思うが時折とんでもない鬼畜になるよな、お前」

青年「そうかな?」
193 :>>1 :2011/07/05(火) 21:10:09.73 ID:ZGxmn3BAO
-そして帰りのHR-

担任「部活は今日は禁止だ」

クラス一同「えー」ザワザワ

担任「どうしてもってやつは俺に勝ってからにしろ」

男子2「それなんて無理ゲー…」

男子3「無理だよ勝てないよ…自転車をひん曲げるほどの腕力だろ?」

女子「今日は大人しく帰ろうか……」

女子2「そうだね……」

担任「はい、号令」

委員長「きりーつ」

ガタガタ

委員長「きをつけー、れっ」

クラス一同「さようなら」

ワイワイ ドコイク-

友人「カルネ、いっしょに帰ろうぜ」

青年「あー、ちょっと待ち合わせしてて」
194 :>>1 :2011/07/05(火) 21:10:54.44 ID:ZGxmn3BAO
友人「待ち合わせ?あのオーロックスって子か?」ヒュー

青年「ううん、別の子。少し待てるっていうなら帰ろう」

友人「おう。じゃあ図書室にいるから呼んでくれ」

青年「あいよ。また後で」ヒラヒラ

友人「ん」ヒラヒラ

テクテク

青年「さてと…あ、そうだ」

青年「用務員室はここだったな」トントン

用務員「なんじゃらほい」

青年「プラスドライバーを少しだけ貸してくれませんか?」

用務員「ドライバーね…あったここじゃ。なんか開けるんじゃい?」


青年「ええ。箱を開けるんです」
195 :>>1 :2011/07/05(火) 21:11:24.34 ID:ZGxmn3BAO
-プールサイド-

下級生「マジでくるとは思いませんでしたー」

青年「約束は守るタイプだからね」

下級生「とかいいながらあっさり破りそうなタイプですねー」カチャン

青年「ははは……」

青年「それで、話って何かな」

下級生「そうでしたね。あなたなら聞かせられる」

下級生「……聞いてもらえますかー?せんぱいの犯した“罪”」

青年「………罪」

下級生「ええ。短い短い、つまらない劇の始まり始まり」トン

青年(彼女は1番の飛び込み台に昇った。……観客は僕一人)

青年(それもとびっきり愚かな、ね)
196 :>>1 :2011/07/05(火) 21:11:51.94 ID:ZGxmn3BAO
下級生「せんぱいには好きな女の子がいました」

下級生「せんぱいを好きな女の子がそばにいたにもかかわらずにね」

青年「……うん、で?」
下級生「言ったのに。あんな女、好きになるだけ損だって」

下級生「だからせんぱいの目に触れないように嫌がらせして学校に来させないようにしたのに」

青年「…………」

下級生「だけど図々しくあの女はせんぱいの脳みそを占領し続けた」
197 :>>1 :2011/07/05(火) 21:12:37.73 ID:ZGxmn3BAO
下級生「ある日せんぱいはあの女に告白しました。校舎裏に呼び出して」

青年「結果は?」

下級生「結果はエヌオー。…『NO』でした」

青年「あちゃあ、フラれたのか」

下級生「自分にとっちゃ万々歳でしたけどねー」

下級生「振られて、何故かは知りませんが、せんぱいはあの女を押し倒したんです」

青年(…確かにその時の心情は彼にしか解らないか)

下級生「頭からあの女は落ちて。強く打って、血が出ました」

青年「血?」

下級生「そこに丁度尖った石があったもので」
198 :>>1 :2011/07/05(火) 21:13:48.02 ID:ZGxmn3BAO
下級生「きれいな赤い血でしたよ。あんな奴が出してるとは思えないぐらい」

青年「………」

下級生「せんぱいは推薦志望でした。この時期、騒ぎなんか起こしたら」

青年「一発でアウトだね」

下級生「そう。だから……隠蔽をしたんです。“怪我をさせた”という事実を」

青年「それで殺したんかい……頭おかしいね」

下級生「絞殺でしたねぇ。土をかきむしって死にましたよ、あいつ」

青年(あの指についてた赤と茶は絵の具じゃ、なかったのか……)

青年「ずいぶん詳しいけど、君は何をしてたの?」

下級生「その光景をずぅっと影で見てました」ニコ
199 :>>1 :2011/07/05(火) 21:14:13.24 ID:ZGxmn3BAO
青年「狂ってるね」

下級生「あなたもですよ。顔色ひとつ変えないくせに」

青年「これは前からさ。中学時代からか」

青年「それで?君はどうしたんだい?」

下級生「隠そうっていいました。だから二人で頑張って解体して隠しました」

青年「場所のチョイスの理由は?」

下級生「意味はないです。あの女の鞄の中にロッカーの鍵があったんで、まず腕を」

下級生「足は弓道部に埋めましたー」

下級生「養分となるまで誰も入らないように部室にタバコふりまいて」
200 :>>1 :2011/07/05(火) 21:15:17.23 ID:ZGxmn3BAO
青年「ほう」

下級生「胴体は、まあここ(プール)に沈んでるんですけどね」

青年「へぇ」

青年「で、さ。なんで君はその好きな先輩を殺したの?」

下級生「………」

青年「今更しらばっくれられても…」

下級生「全てお見通しってわけですかー。めんどくさい人に目をつけられましたね」

青年「今日の星座占い悪かったんじゃないかな」

下級生「さーねぇ。殺しましたよ。わたしがいるのにいつまでもあの女に執着してるから」

下級生「悔しくてつい、ナイフでブスリと」

青年「狂ってるね」

下級生「あなたもですよ」
201 :>>1 :2011/07/05(火) 21:15:43.95 ID:ZGxmn3BAO
青年「これがいわゆる愛憎劇か。おお怖っ」

下級生「あんがい当の本人たちは何も感じませんけどねー」

青年「それは死体になってるからだろ?」

下級生「ふふふー、面白いこといいますね」ストン

青年(劇は終わりだとばかりに飛び込み台から降りた)

下級生「誰かに話したくてウズウズしてたんですよー、これ」

青年「あるよねそういうの」

下級生「でも話したら口封じしなきゃならないんでどうしよっかーと考えていたんですが」

青年「僕が来たと」

下級生「そう、あなたは元々殺さなきゃいけない人間なのでー。一石二鳥です」
202 :>>1 :2011/07/05(火) 21:16:30.52 ID:ZGxmn3BAO
下級生「さながらカモがネギ背負ってきた、みたいな?」カラン

青年(どうして気づかなかったんだろう)

青年(それぐらい自然に金属バットが置いてあった)

下級生「鍵はわたしが持ってますから開けられません。鍵もさっきかけましたし」

下級生「今日は部活がないから誰もいませんね」

下級生「さて、ここから分かることは?」

青年(………ははっ。観客から役者に変更か)

青年「僕を[ピーーー]絶好の場ってことかな?」

下級生「正解ですー。警告した翌日も懲りずに犯人捜しなんて」

青年「あいにく人の話は半分しか聞いてなくてね」

下級生「お仕置きが必要ですねー」
203 :>>1 [saga]:2011/07/05(火) 21:16:56.42 ID:ZGxmn3BAO



下級生「死ね」



次の瞬間、視界が白く染まった気がした。
204 :>>1 [saga]:2011/07/05(火) 21:18:29.50 ID:ZGxmn3BAO
犯人といい動機といい色いろアレでしたねすいません。

さて、箱とはなんなのか?
カルネ君はやっぱりカルネ君なのか?
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 21:25:21.80 ID:7MqwYLZ0o
お疲れ様です。
そろそろ本当にデッドオアダイの時期ですね。
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/05(火) 22:07:42.40 ID:b9dYYpa8o
いつも通り目覚めたら白い天井なんだろうな
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 22:33:10.71 ID:bzG1zxeDO
カルネの友達って、無茶するなよって言いながら無茶を煽ったり放置したりひでーよなぁ。
みんな実は歪んでるって設定があるのかな?
208 :>>1 [sage]:2011/07/06(水) 16:46:06.57 ID:/y4N/5OW0
友人のことはまた追々。
委員長同級生たちはカルネから事件に関わっている話を一切してないので知りません。…話してないよね?
無意識のうちに歪ませてたのかな…



209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 17:04:07.18 ID:/dDXsrojo
委員長友が死体発見して真っ先にカルネに電話してたから周囲は結構知ってたかと思ってた。

まぁ、歪みとか考えすぎなのでは?
210 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:15:42.63 ID:ZiRba3UAO
第十話 「凶器」
211 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:16:12.18 ID:ZiRba3UAO
青年(額か…あんまダメージないところで良かった)ヨロ

青年「……女の子、が、そんな言葉、使っちゃだめだよ」

青年(しかし目眩がする。軽く脳震盪でも起こしたか)

下級生「こんなことになるぐらい分からなかったんですか?」

青年「うん、分かってた」

下級生「馬鹿ですか」

青年「今に、始まったことじゃない、かなぁ」

下級生「馬鹿は死んでも治らないといいますよねー」

青年「死んだら、治るものも、治らないしね」

下級生「でも、壊れたものは叩けば治りますよねー?」

青年「あ、なんか言いたいこと分かったかも」
212 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:16:45.28 ID:ZiRba3UAO
下級生「きゃっ、以心伝心ですか。きもちわるー」

青年「会話の流れ的に分かるでしょ、普通」

青年「壊れたもの、つまり僕を叩くんだろ?」

青年(頭痛はしてきた。けどそこまでじゃない)

下級生「治るかどうかは神頼みですけどねー」

青年「神さまも、困るね」

下級生「下手すると再起不能になったりして」

青年「いやいや、君はすでに再起不能する気、まんまんじゃないか?」

下級生「あ、バレました?やっぱ以心伝心?やだ、きもちわるー」

青年「きもちわるー言われ続けると、メンタルやばいね、これ」
213 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:17:45.69 ID:ZiRba3UAO
下級生「メンタル傷ついちゃいます?」

青年「メンタル傷ついちゃいますねー」

下級生「身体も傷つけちゃっていいですかー」

青年「むしろ、こんなに死にかけず時間持ったの初めてかもしれない」

下級生「わぉ。わたしもしや良い子ちゃんって感じですか?」

青年「どうみても良い子とは思えないよね。今この現状をみる限りさ」

下級生「ひどい言われようですねー。これでも昔は良い子だって言われたんですよ?」

青年「そりゃあ大人の目がおかしかったんだね、間違いない。保障するよ」
214 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:18:37.18 ID:ZiRba3UAO
下級生「もー。きっとあなた乙女心とか分からないタイプなんですね」

青年「分かんないねぇ。多分女の子怒らせることも度々かも」

下級生「いつか刺されるんじゃないですか?」

青年「もう刺されてるよ。おじさんにだけど」

下級生「なんでそこで死ななかったんでしょうかね?残念」

青年「ゴキブリ並みの生命力だからね。てか人間ちょっとしたことじゃ死なないよ」

下級生「ふーん。そういやあなたは死にたい願望とかあるんですか?」

青年「ない。けど、ある」

下級生「よく分からないですね」
215 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:19:10.13 ID:ZiRba3UAO
青年「ぶっちゃけ死んだほうが楽かなとは稀に考える」

下級生「よしじゃあ今ここでとどめ指しますんで」

青年「まあまて、早まるな。あとなんかテンション上がってきた」

下級生「叩かれてテンション上がるなんてまさかM?」

青年「悪いがそれはない。大怪我して快感得るタイプじゃない」

下級生「よく分かりませんが、なんで大怪我したんですか?」

青年「首突っ込みまくった結果だよ」

下級生「なんで首を突っ込んでたんですか?」

青年「………………」
216 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:20:33.20 ID:ZiRba3UAO
下級生「……………」

青年「……………」

下級生「…え、なんですかこの無言」

青年「そうだな……考えたこともなかった。自己満なのかな?」

下級生「じゃあ怪我するのも自業自得じゃないですか」

青年「そだね。でも目の前で起こったことを自分でどうにかしないと何かイヤなんだよ」

下級生「はあ。よくわかりません。正義のヒーロー気取りですか?」

青年「なのかなぁ? どう思う?」

下級生「おっと会話が成り立たないアホがひとり登場」

下級生「疑問文に疑問文で返すなと学校で教わりませんでした?」
217 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:21:32.35 ID:ZiRba3UAO
青年「なんかマンガ読んでる人多いなあ」

下級生「そうですか」

青年「ま、結局現実にヒーローなんていないよ。故に僕はヒーローになれない。これが結論」

下級生「まあそうでしょうね。だったらあの女も生きていたはずですから」

青年「悲しいね、事実なんか知っちゃうと。サンタさんの正体並みに悲しい」

下級生「てぇい!!」ボク

青年「ぐふっ」

下級生「わたしサンタさんを未だに信じてる純粋な乙女なんですよ!」

青年「なるほど。純粋な乙女はバットでみぞおち殴るか」ガクッ

下級生「あ、吐かないで下さいよ?」

青年「心配ない、食べてないから」

青年(意識飛びかけた)
218 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:22:06.90 ID:ZiRba3UAO
下級生「夢をこわす人は死んじゃえばいいのです」

青年「なるなる、為になるね。そうすると大人はほとんど死ぬけど」

下級生「新世界の誕生ですねー」

青年「だけど悲しいかな、この世界は子供だけじゃ生きていけない」

下級生「なんと!」

青年「嫌いな大人がいたとしても、その人も世界を回してるんだ」

下級生「えー、だったら死にますよわたし。嫌だもん」

青年「それぐらいで自殺かよ。命って軽いね」

下級生「そうですねー。ふわふわしてますよ」
219 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:22:55.77 ID:ZiRba3UAO
青年「あ、そうだ。これが終わったら自首しなよ?」

下級生「いいですけど。これって、あなたを殺り終わったらってことですか?」

青年「あー……できれば僕に何もせずにのが嬉しいかな。今更だけど」

下級生「あっ、ていうかわたし、あなたを殺すために呼び出したんでした!」

青年「うわぁい、いやなこと思い出したね」

下級生「他人にとっていやな記憶だけはよく覚えちゃうんですー」

青年「そうかそうか、下手すれば君が死にかねない特技だね」

下級生「えへへっ、誉めても何もでませんよ」

青年「誉めてはないかな」
220 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:23:44.17 ID:ZiRba3UAO
下級生「さて、予定が大幅に延びましたがそろそろ」

青年「ちくしょーまた入院かー」

下級生「大丈夫ですよ、起きれないようにしてあげるので」

青年「はっはっは、笑えない親切だねそりゃ」

下級生「そのあと自首でもいきますよ」

青年「ちゃんと動機から何まで正しく刑事さんに言うんだよ?」

下級生「やばっ、部屋掃除忘れてました!あーあ、マスコミがうるさいぞ」

221 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:24:17.88 ID:ZiRba3UAO
青年「ドンマイだね」

下級生「はーぁ、ほんとですよ…未成年だから大丈夫かな?」

青年「未成年だからってマスコミは容赦しないよ、多分」

下級生「ううぅぅぅぅ。まじでかー。やだな」

ガチャン!ガチャッ

下級生「………」

青年「………」

下級生「誰かが入ろうとしてますね。なんかフェンス昇った音もしましたね」

青年「そうだね」

下級生「正義のヒーローじゃないですか?」

青年「さあどうだろ。タイミング的にはそうだろうね」

バタバタバタ

少年「―――見つけましたよ!」

222 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:24:44.87 ID:ZiRba3UAO
青年「……一体何故ここが」

少年「聞いてきたんです。……それで、どうして倒れてるんですか?」

青年「みぞおちのダメージが案外大きくてね」

下級生「誰?」

少年「……ハース・エチレンの弟だ」キッ

下級生「? あー、あの女の」

少年「……何か知ってるのか?」

下級生「バラバラにしたってことぐらいかなー」

少年「………っ!こ、の」

青年「やめろ、落ち着け。相手はバット持ちだ」

下級生「死んじゃったシーンも話してあげよっか?」

少年「………!」

223 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:26:03.47 ID:ZiRba3UAO
少年「おまえが姉ちゃんを!?」

下級生「ちゃうよ。それはわたしのすてきなせんぱい」

下級生「でもバラバラにしたのはわたしの提案」

少年「――――!!」

下級生「あははは、恨んじゃいますかー。いいよ、殺したいほど憎いんでしょ?」

少年「安い挑発だなぁ!自分がバットでぼくが何も持ってないからって!」チキチキチキ

青年「……カッター?」

少年「念のため持ってきたんです。……ぼくが終わらせますよ、ぼくの手で」

青年「殴っちゃだめっていったじゃないか。忘れた?」

少年「覚えてますよ。刺すならいいでしょう?」
224 :>>1 [saga]:2011/07/08(金) 00:26:30.27 ID:ZiRba3UAO
青年「…ひねくれてる」ヨイショ

下級生「さあ来てよ。どうしたのー? 愛しいお姉ちゃんの敵討ちでしょ?」

少年「…たっぷり話聞かせてもらったあとにきっちり苦しませてやる!」ダッ

下級生「あはははははっ!」ブン

少年「うらあああああ!!」グワ

バキ

ザク



青年「………なんだかなぁ、僕の影響?」

青年「みんな、狂ってるよ」

225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/08(金) 06:56:06.92 ID:ZiRba3UAO
……あー、寝オチ…
終了です
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/08(金) 15:53:18.64 ID:TZL2jcsao
オチは?
227 :>>1 [sage]:2011/07/10(日) 14:35:01.77 ID:XFylpkNAO
スランプだ…書けない
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 07:51:44.69 ID:IN54rlhFo
なら仕方ないな
ゆっくりでいいお
229 :>>1 :2011/07/19(火) 02:54:09.30 ID:v9rRS61AO
少年「………」

下級生「………」

青年「………」

少年「なにしてんですか!?」

青年「ゆ、ユパ様ごっこかな……?」

少年「おっと会話が成り立たないアホが――いいやもう」

青年「いいのか」

少年「もう一度聞きます、なにをしてるんですか?」

青年「右手でバットを、左手でカッターを受けてます」

少年「そんなの見れば分かりますよ!」

少年「ぼくが聞きたいのはどうして止めたのかってことです!」
230 :>>1 :2011/07/19(火) 02:54:44.79 ID:v9rRS61AO
青年「どうしてって」

青年「これ以上この高校で負傷人出させてもアレだし」

下級生「………」

少年「でも、ぼくはこいつに復讐しないと気が済まない!」

青年「それで?」

少年「え?」

青年「君の恨みが晴れました。復讐できました――それから?」

少年「それ、から」

青年「めでたしめでたしで終わらないよ? この世界は」

231 :>>1 :2011/07/19(火) 02:55:30.80 ID:v9rRS61AO
青年「君が彼女をどうするべきか知らないけど、場合によっちゃ君まで警察のお世話になるよ」

少年「知ってますよ。……あなたには分からないでしょうね」

青年「え?」

少年「兄弟を…兄弟を殺された恨みなんか、知らないじゃないですか」

青年「…そうだね。兄弟を殺されたことはないから分かんないよ」

少年「なら手を引いてください。ここからは僕のターンです」

青年「いやいや、オーロックスさんに悪いと思わないの君」

青年「あの子これ以上事件あったら耐えきれないんじゃないかな」
232 :>>1 :2011/07/19(火) 02:56:03.49 ID:v9rRS61AO
少年「……彼女も分かってくれるって信じてます」

青年「なにその投げやり。彼女のことなんか考えてないだろ」

下級生「無理ですよー、もう聞く耳持ちません」

青年「君も人のこといえないよね」

少年「…無駄話もそろそろ終わりにしませんか。マジで」

下級生「はぁー。一人の予定が二人になるとはなー」

青年「ちくしょう、どいつも話さっぱり聞きやしねえな!」
233 :>>1 :2011/07/19(火) 02:56:33.87 ID:v9rRS61AO
少年「で、あなたはどっちの味方になるんですか?」

青年「普通に考えて君の方だけどね。正直共倒れすればいいんじゃないかな」

下級生「まあ、それがあなたにとってのハッピーエンドですよね」

青年「ハッピーエンドかはともかく。残念ながらこのまま丸く収める方法を知らないんだよ」

下級生「結局は楽なほう楽なほうに向かっていくんですね、このダメ人間」

青年「間違えてはないけど凹むよねその言葉」

234 :>>1 :2011/07/19(火) 02:57:25.53 ID:v9rRS61AO
青年「……さて。そろそろ終局に向かうか。だらけてちゃだめだし」ズボ

少年「うわっ……!」

下級生「まだカッター刺さりっぱなしだったんですね」

青年「あとそっちのせいで腕にヒビ入ったかもしれないんだけど」ポタポタ

下級生「骨折しなくて良かったですねー」

青年「プラス思考だなぁ……。ん」ギュ

少年「ちょっ!?カッターわしづかみにしたら怪我しますよ?」

青年「知ってる。でもこうでもしないと刺すだろ?」

少年「狂ってる…」
235 :>>1 :2011/07/19(火) 02:58:35.00 ID:v9rRS61AO
下級生「確かに狂ってますね」

青年「君もね」

下級生「あなたって、なんでそこまで狂ったんですか?」

青年「言わなきゃダメ?」

下級生「暴露大会ですよー。どうせ三人しかいませんし」

青年「そうだね。うーん、両親[ピーーー]ば狂えるよ」

少年「なっ」

下級生「へぇ」

青年「幼馴染みに殺されちゃって。別件の通り魔のせいになったけど」

下級生「幼馴染み、かばったんですか?」

青年「かばっちゃった。なんでだかね」

下級生「甘いひとですね」

青年「本当だよ」
236 :>>1 :2011/07/19(火) 02:59:51.54 ID:v9rRS61AO
青年「あとは中学時代、部活に先輩がいてね」

下級生「ははぁ、アバンチュールしちゃったんですね」

青年「いや違う。死んだ。初恋の人だったのに」

下級生「………」

少年「………」

青年「なんで死んじゃったんだろうね。知らず知らずに追い詰めてたのかな」

青年「嫌がらせみたいに長い遺書を書き残して死んでた。両親ぐらいショックだった」

青年「そんなことが起こりまくって、すっかり根暗な子になったわけですが」

下級生「まさかヘタレもその時に?」

青年「……前々からだよ、多分」
237 :>>1 :2011/07/19(火) 03:00:27.36 ID:v9rRS61AO
下級生「で、今は?」

青年「未だに根暗なのか友達できないわ出席日数足りないわ」

下級生「根暗っていうより、元々友達出来そうな顔じゃない気が」

青年「よし今の言わないでおこうか」

下級生「ちぇ」

青年「どう? 僕がなんかおかしい理由は分かった?」

下級生「ばっちりです。なので死んで下さい」

青年「何がなのでなんだ……」

238 :>>1 [sage]:2011/07/19(火) 03:01:20.74 ID:v9rRS61AO
みんなおかしくなってきた
逆に青年はいつも通りに戻ってきてるような
ではまた
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 03:39:17.09 ID:fwE88ZMRo
どことなくみーまーに通ずる物があるな
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 07:21:20.52 ID:hHDWfKASO
いい狂いっぷり
241 :>>1 :2011/07/24(日) 00:27:28.21 ID:RM6Twd6AO
下級生「わたしもそろそろ帰りたいんですよー」フラリ

少年「カッターを離してください…! 死にますよ、ぼくら!」

青年「大丈夫。だから、刃を仕舞って」

少年「でも」

青年「お願いだ」

少年「……分かりました」チキチキ

下級生「勝つ自信でもあるんですかー?」

青年「いや、ない」

少年「えぇ!?」

青年「だからね――ズルいこともさせてもらうよ」
242 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:28:04.80 ID:RM6Twd6AO
下級生「ルール違反は、ダメですよ」

青年「ルールもへったくれもないじゃないか」

下級生「そうですねー。あ、じゃあこれだけは決めましょう」

青年「ん?」

下級生「どっちか死ぬまでバトルしましょう!」

青年「はは、分かりやすいね。だが断る」

下級生「問答無用ですー」

青年「議会では三分の二の承認が得られないと可決されないんだよ?」

下級生「じゃあ死人に口なしってことで! それでいいですよね?」
243 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:28:30.21 ID:RM6Twd6AO
青年「死人に口無しなんてよくいったものだよね…」

下級生「そうですねーっ!」ブン

少年「ちょっ、危な!」

青年(僕だって、あれから何してこなかったわけじゃない)

青年(少し前あいつにそれなりに教えてもらったんだ)

男『棒で殴られそうなときの対策だ』

男『斜め前へ勢いよく踏み込んで、左腕で武器をすかせ。ためらうな』

男『こう、滑らせるようにな。うまくいかなかったら逃げろ』

青年(うまくいかなかったら――さよなら左腕!)
244 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:29:07.00 ID:RM6Twd6AO
ズルッ

下級生「……あれぇ? 」
青年(うまくいった!)

少年「」ホッ

青年(で、後は……)

男『その後はすぐに武器奪うか頭突きで顔面狙え』

下級生「むぅ…」

青年(やっちまった! 反撃のチャンス逃した!)

下級生「縦がダメなら、横から!」ブゥゥン

青年「うわっ」スカッ ズササ

少年「大丈夫ですか!?」

青年「うん、大丈夫」

青年(……っ。くそ、今さらになって頭痛が……)ズキ

245 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:30:38.89 ID:RM6Twd6AO
青年(頭痛のせいで少し判断力が下がった気がする…)ハァ

青年(武器が奪い取れないならやっぱりアレしかないか……)

少年「やっぱりぼくが――」

青年「いや。君はそこにいて」

少年「え?」

青年「」スタスタ

下級生「わざわざ近寄るなんて、飛んで火にいる冬の虫ですね」

青年「夏の虫、ね」

下級生「些細な間違いですよー」グッ

青年「だけどそれはバツだよね」

下級生「で、す、ねっと!」バシッ

青年「………っ!」

青年(肩が……でも)スッ

ガシッ

下級生「ひゃっ……」

少年「だ、抱き締めた…?」
246 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:31:04.66 ID:RM6Twd6AO
下級生「な、なにするんですかー!? 純潔は守りますよ!」バタバタ

青年「僕だってそういう目的じゃないさ!」ズルズル

下級生「せんぱいにだけに捧げる予定なんですからー!」バタバタ

青年「その先輩は死んじゃってるじゃないですかー」ズルズル

少年「えっ、そっちはヤバイんじゃ……」

青年「10月のプールは、寒いかなぁ」

下級生「………え?」

青年「貴様ら、死出の山の供をせよ!」

少年「平教経!?」

バッシャアアアアアン
247 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:31:33.90 ID:RM6Twd6AO
少年「飛び込んだ……? 秋の屋外プールに?」

少年「馬鹿だ! 史上最強の馬鹿ですよ!」

ブクブク

少年(でもバットから手は離したみたいだし…)

少年(結果オーライといえば結果オーライ、なのか?)

少年「これがあなたの作戦ですか……?」

ブクブク

少年(…………)

少年「あがってこない!?」
248 :>>1 [saga]:2011/07/24(日) 00:32:34.99 ID:RM6Twd6AO
短いですがここまでです。
10月ごろの屋外プールは15度ぐらいになります。くそ寒い
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 22:19:01.43 ID:wPiSAU1SO
250 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:08:28.79 ID:XEU5FKXAO
第十一話 「観客」
251 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:14:01.05 ID:XEU5FKXAO
友人「お? ――確か君は」

少女「が、学校内でナンパとか度胸ありますね」

友人「何を勘違いしてるか分からないけど…俺はカルネの友達だよ」

少女「ペンサーレさんの?」

友人「そう。俺も君のことちらって見たぐらいだから知らないのも当然か」

少女「は、はぁ…」

友人「ちょうどいい。聞きたいことがあるんだけど」

少女「えっと、なんでしょう?」

友人「カルネのやつ見なかった?」
252 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:18:09.45 ID:XEU5FKXAO
少女「いいえ、今日は見ていませんよ」

友人(そうか、会うのは彼女じゃないとか言ってたな)

少女「電話とかは繋がらないんですか?」

友人「あいつ、何故だか俺の電話にはすぐでないんだよ」

少女「…そうなんですか」

友人「だけど女子からの電話にはすぐ出る確率が高いんだよな」

少女「じゃあわたしから掛けてみますね」

友人「電話番号は知ってる?」

少女「ええ。交換したんで。えっと……」

友人(女たらしかあいつは)
253 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:22:00.34 ID:XEU5FKXAO
――現在、電波の悪いところにいるか電源を切っているため…

少女「……ダメです。繋がりません」

友人「そうか…。悪かったな、手間かけさせて」

少女「いえ。いいですよ」

友人「ったく…誰に会ってるのやら」

少女「早く会えるといいですね。では、わたしも用事があるので」

友人「わざわざすまなかった。気をつけて」

少女「はい。さようなら」

―――――
254 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:26:59.05 ID:XEU5FKXAO
ブクブク

少年「!」

青年「ぶはぁっ!」

下級生「ひゅうわっ」

少年「生きてたぁぁぁぁ!!」

青年「や、やあ…ごめん、引き上げてくれない?」ガタガタ

下級生「こんな寒いときに入るなんてバカですか!」ガタガタ

青年「ははっ…これで分かったじゃないか。今の季節屋外プールは冷たいって」ガタガタ

少年「いらないですよそんな検証!」ヨイショ
255 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 14:58:56.61 ID:XEU5FKXAO
青年「ありがと、助かった…」

少年「うわぁ、びしょびしょじゃないですか…」

青年「プールに飛び込んだしね……さて、頭も冷めただろうし」

少年「むしろ冷めてください」

青年「君、言いたいことがあるならどうぞ」

下級生「インタビュータイム、ですか?」

青年「なら僕が質問していくことになるね。早めに終わらそう、風邪引く」

下級生「一体誰のせいだというんですか」

青年「僕だね。うんごめん」

青年「それで、何を質問しようか? ――今までを振り返って、なにかある?」

256 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 15:02:22.11 ID:XEU5FKXAO
下級生「……わたし、もしかしてすごく馬鹿なことをしたのかなって」

青年「なんでそう思った?」

下級生「何もかも終わった今、結局私の手に残ったものは何もなかったんです」

青年「うん」

下級生「わたしは何をしたかったんだろう」

青年「君は何をしたかったんだろうね」

下級生「わたしは、――先輩に、近寄りたかった」

下級生「とても好きですなんて、言えなかった」

下級生「すごく遠くて言えなくて、だから近寄りたかった」

下級生「ふたりだけの秘密を持ちたかった」

青年「ふたりだけの秘密、ねぇ」

青年(確かに秘密にせざるを得ないけど。ロマンチックには程遠いな)

下級生「はい」
257 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 15:05:24.30 ID:XEU5FKXAO
青年「でも距離は埋まらなかったんだね」

下級生「はい」

青年「君は気持ちに追い詰められて好きな人を殺したってことなのかな」

下級生「さぁ? そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれない」

青年「悪いのは、こんな結末を生んだのは誰だろう?」

青年「彼女か、君の先輩か、君か。誰でもであって誰でもない。難しいところだね」

少年「………」
              そこ
青年「あ、悪い。しばらく観客席から見ててくれないか?」

少年「…はい」

青年「この悲劇とも喜劇ともつかない劇の終幕をさ」
258 :>>1 [sage]:2011/08/17(水) 15:16:56.58 ID:XEU5FKXAO
下級生「ずいぶん、カッコつけた言いかたしますね」

青年「いやあ、ははは。こうでもしないとやってけない」

下級生「そうですか」

青年「さて。いつまでも引き延ばし続けるのもどうかと思うから」スッ

少年「ドライバー?」

青年「うん、ドライバー。パンドラの箱でも開けようか」

青年「事前に言うけど、ショック受けるよ?」

少年「……大丈夫です」

青年「ならいい。君は…まあ、分かってるだろうしね」スタスタ
259 :>>1 :2011/08/17(水) 16:20:40.82 ID:XEU5FKXAO
少年「その、飛び込み台を開けるんですか?」

青年「そうだよ」カチャカチャ

少年「……」

下級生「……」

青年「っと……開いた」パタン

青年(やっぱり正しかったか)

ガサガサ

青年「良かった。面影はぎりぎり残ってる…」


青年(見つけた。彼女の、首を)


少年「っ。姉ちゃん…」

下級生「うーん……なんで分かったんですか?」

青年「特別理由はない。なんか違和感を覚えてさ」

260 :>>1 :2011/08/17(水) 16:24:59.75 ID:XEU5FKXAO
下級生「違和感?」

青年「なんか上に乗っかったりしてたから」

下級生「飛び込み台は上に立つものですよ?」

青年「ただ上ってたんじゃない気がして。なんというかなぁ、恨みたっぷりに」

下級生「へぇ…全く意識してませんでした」

青年「そうかい」

下級生「もう行きますか?このままじゃあ風邪引きます」

青年「あ、そうだ。君が着てた男子制服のことだけど」
261 :>>1 :2011/08/17(水) 16:28:29.27 ID:XEU5FKXAO
下級生「ああ。あれですか?先輩のですよ」

青年「無理矢理借りたの?」

下級生「いいえ。理由を話したらちゃんと」

青年「………」

青年(あの人、バレるの相当嫌だったんだろうな)

下級生「えへ。じゃあわたしは行くんで、開けときますね」スッ

少年「……、………」
262 :>>1 :2011/08/17(水) 16:33:46.22 ID:XEU5FKXAO
青年(だ、大丈夫かな…背中から刺しにいかないだろうか)ドキマギ

下級生「そうそう、言い忘れてた」ピタ

下級生「ごめんね」

少年「…………」

少年「……そんなんで許されるとでも?」

下級生「まさかー。ただ言っとかないといけないかなって」

少年「会うならまた法廷でだろうな」

下級生「さーねぇ。どうだろ」スタスタ
263 :>>1 :2011/08/17(水) 16:42:24.43 ID:XEU5FKXAO
カチャン キィ… パタン

青年「……」

少年「……」

青年「……突っ立ってるのもなんだし、もう彼女を連れていこう」

少年「ぼくが、連れていきますよ」

青年「うん、赤の他人の僕よりいいと思う」

少年「…おかえり、姉ちゃん」ギュ

青年「鍵は置いていかなかったのか、あの子」キィ

少年「職員室ですか?」

青年「だね。ソフトにいかないと誰か気絶するんじゃないかな…。……つっ」

264 :>>1 :2011/08/17(水) 16:45:47.40 ID:XEU5FKXAO
少年「どうしました?」

青年「いや、あのね…」

青年「頭叩かれてみぞおち叩かれてプール落ちたからか分からないけど、意識がぼんやりする」

少年「えええええっ!? ちょっと、もう少し頑張って下さいよ!」

青年「うーん…て、あ、携帯濡れてるし…最悪…」

少年「自業自得!」

青年「あとは、任せた……」バタ

少年「倒れないで下さいっ! だ、誰かいませんかっ!?」
265 :>>1 :2011/08/17(水) 16:56:45.59 ID:XEU5FKXAO
――

『やあ死神だよ』

青年「お帰りください」

『むしろこっちが言いたい。この三途の川寸止め野郎』

青年「やめて。その称号やめて」

『だったら何回も死の淵立たないで欲しいんだけど』

青年「えっ!? 今回も死にかけてたの!?」

『今回はそこまでじゃないけどね。野次馬で来ただけ』

青年「お帰りください」

『ええー。 そんな素っ気ない』

青年「素っ気なくていいです」

『最近パートナーが冷たくて話し相手が欲しいんだよ…』

青年「知るかそんなもん」
266 :>>1 :2011/08/17(水) 17:01:48.18 ID:XEU5FKXAO
『しかし大変だったね』

青年「清々しいまでの棒読みだね」

『しかしお節介すぎないか?いつか刺されるよ』

青年「既に刺されてるよ」

『そうだったっけ。どんまい』

青年「…そういえば」

『ん?』

青年「君はこの事件の一部始終を見ていたのかい?」

『なんでそう考える?』

青年「だって君は死神だろ? なんか分かってても不思議はないじゃないか」

『しゃべり方被ってるね。やだなぁ』

青年「質問に答えようぜ。キャラ被りはそれからだ」

『気にはしてたか』
267 :>>1 :2011/08/17(水) 17:07:32.86 ID:XEU5FKXAO
『知っていたところで如何にせん? 誰かに言いにいく?』

青年「……」

『妙な奴が“××が死ぬから助けて”なんてファンタジーじゃないか』

青年「まあそうだけど」

『そもそも僕らは君らの世界から投げ出されたものだ。口出しなんかできない』

青年「………」

『分かった? あーゆーあんだすたん?』

青年「…イェス」

『僕は傍観者だ。観客ですらない』

青年「へー…」
268 :>>1 :2011/08/17(水) 17:12:31.89 ID:XEU5FKXAO
『さて、キャラ被りの話題だが』

青年「そっちが一人称を変えなよ」

『いやだよ。おいそれ変えられないし』

青年「じゃあなんか区別つけよう」

『ついてんじゃん。生者と死者。探偵と死神』

青年「役柄じゃなくて話し方をさ。あと正式な探偵じゃない」

『話し方ねぇ』

青年「うん」

『……』

青年「……」

『諦めようか。めったに会わないし、不毛だし』

青年「そうだね」

『もう時間だ。じゃあね』

青年「もう会わないことを祈って」

『それこっちのセリフだから』
269 :>>1 :2011/08/17(水) 17:14:05.08 ID:XEU5FKXAO
今日はおしまい
次回最終話
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 18:33:03.90 ID:Ckg8YAwSO
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 20:30:05.86 ID:/ivEnrsSO

三途の川寸止め野郎…
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/17(水) 21:07:32.35 ID:V5FAPCRDO


カルネ君ようやく冷たいプールから出れたかww
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/17(水) 21:08:15.45 ID:V5FAPCRDO


カルネ君ようやく冷たいプールから出れたかww
274 :>>1 :2011/08/18(木) 15:39:17.80 ID:xbMR0F5AO
最終話 「幕切」
275 :>>1 :2011/08/18(木) 15:40:55.99 ID:xbMR0F5AO
-病院-

青年「……見知らぬ天井」

女「見知った天井になるのも時間の問題ね」

青年「あれ、姉さん?」

女「おはようカルネ君。面会時間に起きるなんてずいぶん手慣れたわね」

青年「手慣れてはいないけど…。うわぁ、いつの間にか朝とか……」

女「もはやこの病院の常連ね」

青年「いやいやいや常連って、全然嬉しくないんだけど」

女「お医者さんに『また君か』って言われてたわよ。意識なかったから知らないだろうけど」

276 :>>1 :2011/08/18(木) 15:41:33.26 ID:xbMR0F5AO
青年「『また君か』って言われるレベルなのか…」

女「あ、そうだ。検査入院だから三日以内には帰れるわよ」

青年「検査入院?」

女「頭のよ。内出血かなんかあったら大変じゃない」

青年「ああ、そういえば…。身体がダルいのもこのせいか」

女「それはあなたが現在進行形で熱出してるからよ」

青年「ね、熱?」

女「風邪よ。今の季節に屋外プールに飛び込んだんだって?」

青年「あ、ああー…。あれのせいか…」

女「で、どうしてこうなったのかしら?」
277 :>>1 :2011/08/18(木) 15:42:59.15 ID:xbMR0F5AO
女「もしやトチ狂ってプールに飛び込んで頭打ったオチじゃないわよね?」

青年「流石にそんな馬鹿なことはしないよ」

女「そうね。じゃあ他にどんな馬鹿なことをしでかしたのかしら?」

青年「……。まさかとは思うけど、お姉さま、あなた怒ってますでしょうか?」

女「うふふ」ニコォ

青年「怒ってるぅぅぅぅぅぅ!!!!」ガクブル

女「当たり前じゃない?高校に入って何回目よ、入院」

青年「……これで三回ぐらい?」

女「うふふ一つの学校にそんな入院するの何人ぐらいいるのかしらね」
278 :>>1 :2011/08/18(木) 15:46:56.09 ID:xbMR0F5AO
青年「ひぃぃぃぃぃ」ガタガタ

女「まぁ……大怪我しなかっただけでもマシとしましょうか」ペシ

青年「……ごめんなさい」

女「なら危ないことはあまりしないの。って言っても効果はないけどね」

青年「あはは…」

女「さてずいぶん遠回りしたけど。何があったの?」

青年「うーんと…話、かなり長くなるんだけど…」

女「心配ないわ。面会終了まであと六時間ぐらいだもの」ニコ

青年「あ、あと資料とかないと分かりにくいなぁって。だからまたゆっくり――」

シャーーッ

男「その必要はない」

青年「わけがわからないよ」
279 :>>1 :2011/08/18(木) 15:52:26.76 ID:xbMR0F5AO
男「はい。新聞です」

青年「準備万端じゃねーかコノヤロー」

女「ありがとう。…いや、まさか、ねぇ…」

青年「………」

女「まさかこのバラバラ事件に関与したの?」

青年「…イェス」

男「そんなことだろうと思ったよ…」

女「あったのは知ってたけど…カルネ君が関与してたなんて…」ハァァァ

青年「もうしわけありません」ペコ

男「運があるのかないのか分からない男だな。今度から三途の川寸止め野郎って呼んでいいか?」

青年「いいわけないだろ豚野郎」

男「あながち名前を間違えてはいない」
280 :>>1 [sage]:2011/08/19(金) 00:21:05.71 ID:cff9EvZAO
女「今度からカルネ君に盗聴器でも仕掛けてみようかしら」

青年「勘弁して下さい」

男「なんだ? 何か人に聞かれちゃいけない…ああ、ナニーか」

青年「なに勝手に一人で納得してるんだよ!違うからな!」

男「……まさか聞かれていると興奮しながらするのか?」

女「ちょっとドキドキしちゃうわ。するなら夜ね。昼は色々やばいから」

青年「なんでそっち方面の話題になっていくんだよ!」

男「元気だな。熱出てるんじゃないのか?」

青年「誰のせいだ誰の!」
281 :>>1 [saga]:2011/08/20(土) 01:03:22.59 ID:6WIN6DFAO
女「何度でもいうけど、コナン君は新一よ」

青年「姉さんは一体なにを話していたつもりだったの?」

男「ええっ!? 新一は死んじゃないんですか!」
青年「主人公が初っぱなから死ぬ漫画ってなんだよ!」

女「じゃあ毎回主人公がボコボコになるなんちゃって探偵小説とかどうなのよ!」

青年「なんのこと!? まさか戯言シリーズのことなの!?」

女「違うわよ!」

男「探偵じゃないだろ。請負人だろ」

青年「かっこいい事いったつもりなんだろうがドヤ顔やめろ!」
282 :>>1 :2011/08/20(土) 01:13:38.26 ID:6WIN6DFAO
男「まあ主人公補正効きまくりなのも萎えますけど」

女「もしカルネ君が主人公だったら主人公補正効かなすぎね」

男「もしやボコボコにされるのが主人公補正…」

青年「そんな補正は嫌だ」

女「あとの補正は……主人公にしかないようなこともあるじゃない?」

青年「だいたい主人公のそばに料理が苦手なヒロインがいるよね」

男「………」

青年「…………」

男「俺か」

青年「認めん」

男「俺にとっちゃ先輩がヒロインだが」

青年「気恥ずかしいことをさらりというな!」

女「シュヴァイン君…」

青年「デレるな!」
283 :>>1 [saga]:2011/08/24(水) 01:24:28.22 ID:REN1boPAO
-数時間後-

少女「………」

青年「………そんな感じでした」

青年(まさかこの子が見舞いに来るとは)

少女「……私ハブられましたね。最後の最後で」

青年「いやほらだってさ、君のメンタルも気にかかるし」

少女「豆腐メンタルじゃないです」

青年「そんなことは言ってないよ…」

少女「私に対する配慮だったんでしょうが…自分を犠牲にして何が面白いんですか」

青年「……もしかして:怒ってる?」

少女「はい」
284 :>>1 [saga]:2011/08/24(水) 01:29:04.65 ID:REN1boPAO
少女「依頼したのは私です。だから、覚悟はできてたのに」

青年「先輩の首を見てもそう言えたかい?」

少女「……そりゃ、腕でダメでしたけど」

青年「それが普通だよ」

少女「じゃああなたは普通じゃないというんですか?」

青年「ごくごく普通の単位がヤバイ高校生だけど」

少女「単位がヤバい時点で普通の高校生とは言わないんじゃ…」

青年「…………」
285 :>>1 [saga]:2011/08/24(水) 01:35:25.62 ID:REN1boPAO
少女「ともあれ、先輩は……見つかりましたし――お疲れ様でした」

青年「君のほうこそ」

少女「あと、ごめんなさい。こんな結末になるとは思いませんでした」

青年「怪我するのはいつものことだから気にしなくてもいいよ」

少女「でもこんなことになってしまったわけですし」

少女「……私にできることがあれば何でも言ってください」クワ

青年「なんだこの覇気」
286 :>>1 [saga]:2011/08/24(水) 01:40:54.94 ID:REN1boPAO
青年「なんでもか……」

少女「はい」

青年「じゃあ、普通に暮らして。…このことを忘れろとは言わないし、一生引きずるだろうけど」

少女「普通に?」

青年「そう。前を見て歩きなよ。あと、こんな奴とは関わらないこと」

少女「…うーん、あなたみたいな人はそうそう見つからない気が…」

青年「なんか良いことを言われてない気がするんだけど」

少女「それはきっと気のせいですよあはははは」

青年「騙されてる、絶対に僕騙されてる」
287 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:03:48.93 ID:LH2IR0gAO
少女「では、私は用事がありますので」ガタ

青年「あ、うん。わざわざありがとう」

少女「お大事に」

青年「どうも」

シャァァッ ←カーテンを閉める音

青年「……」

シャァァッ ←カーテンを開ける音

刑事「やーペンサーレ君」

青年「ぐーぐー」

刑事「……とりあえずぶん殴って良いかな」

青年「国家の警察さんが一般人に暴力振るおうとするー!」

警察「振りたくもなるわこの下手な不良よりも手のかかる一般人君!!」ペシ

青年「アウチ」
288 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:10:32.52 ID:LH2IR0gAO
刑事「…一回名前欄が警察にならなかった?」

青年「名前欄? 警察?」

刑事「いや、こっちの話。さーてと、事情聴取しないとね」

青年「ああ…一週間内で二回も受けるはめになるとは」

刑事「自業自得」

青年「ていうか、もう一人の子は事情聴取とか受けてないんですか?」

刑事「彼はショックでしばらくそっとしといたほうがいいと思ってね」

刑事「軽い聴取だけで帰した」

青年「僕もショックだったんで寝てて良いですか」

刑事「元気じゃないかい?」

289 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:15:34.34 ID:LH2IR0gAO
青年「ははっ」

刑事「ははは」

青年「心の傷は誰にも見えないんですよ」

刑事「そうか」

刑事「じゃあ今現在また君が勝手に行動したことへの怒りも見えるわけないね、ははは」

青年「は、ははは」

刑事「たしかに警察は仕事トロいけどさ、だからって一般人が手を出していい言い訳にはならないよ?」

青年「はは……」

刑事「ほどほどにしないと君ほんとにそろそろ死んじゃうかもよ? 死相が相変わらずくっきりだし」

青年「まだ死相が出てるんですか!?」

刑事「一度お祓いに行ってきたらどう? 紹介するよ」

青年「そこまで!?」
290 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:16:33.22 ID:LH2IR0gAO



――お叱りの混じった事情聴取中――



291 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:24:26.79 ID:LH2IR0gAO
刑事「なるほどね。よし、ありがとう」

青年「お、終わった」グダ

青年(この人といると恐ろしく疲れるな……)

刑事「じゃ、できればもう会わないことを願うよ。お大事に」

青年「ははは、そうですね、ハイ」

シャァァッ ←カーテンを閉める音

青年「……ふぅ」

シャァァッ ←カーテンを開ける音

友人「マンガ雑誌のグラビアっていると思うか?」

青年「いきなりそれかよ」

友人「やっぱりあれで抜く人とかいるのかな」

青年「帰れ」
292 :>>1 [sage]:2011/08/25(木) 22:25:17.50 ID:LH2IR0gAO
グダグダですが次回でエピローグ、最終回です
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/27(土) 22:09:50.40 ID:5UgeGjIo0
294 :>>1 [sage]:2011/08/28(日) 16:11:55.11 ID:KJSFL3CAO
◆エピローグ

あれから二年経っていた。
咲きかけの桜を見上げながら時の早さをしみじみと感じる。
どちらかというと桜は入学式の頃に満開になるので、
卒業式の時はぽつぽつ咲いているぐらいでいささか寂しい。

――事件の結末は、あっけないものだった。

犯人が自首をして、解決した。何故かびしょぬれで。
後に分かったことだが、プールに落とされたらしい。落ちたのではなく。
だが、誰によって落とされたかは数人を除いて知らされてはいない。
295 :>>1 [sage]:2011/08/28(日) 16:13:33.82 ID:KJSFL3CAO
◆エピローグ

あれから二年経っていた。
咲きかけの桜を見上げながら時の早さをしみじみと感じる。
どちらかというと桜は入学式の頃に満開になるので、
卒業式の時はぽつぽつ咲いているぐらいでいささか寂しい。

――事件の結末は、あっけないものだった。

犯人が自首をして、解決した。何故かびしょぬれで。
後に分かったことだが、プールに落とされたらしい。落ちたのではなく。
だが、誰によって落とされたかは数人を除いて知らされてはいない。
296 :>>1 :2011/08/28(日) 16:19:38.57 ID:KJSFL3CAO
落とした(というより一緒に落ちた)張本人は高熱から復帰して、
解決から三日後には学校へ来ているのを見かけた。
で、朝から職員室に呼び出されていた。

自分は日誌を取りに職員室へ行っただけなので詳しくは知らないが、
断片的に『りゅ…ね…』と聞こえた気がする。おおかた留年の件だと思った。
数秒後に『冬休みに挽回しますからぁぁぁ!!』と叫び声があがったので予想は間違ってなかったようだ。

それから会ってはいないが、進級したとき二年のクラスにいなかったと
いうことはなんとか三年になれたのだろう。
297 :>>1 :2011/08/28(日) 16:26:18.34 ID:KJSFL3CAO
「……あ、そうだ。取りにいかなきゃ」

卒業式が終わり、体育館からの帰り途中だった。
確かこのあと最後のホームルーム、そしてクラスパーティーが開かれるはずだ。
それまでに行かなくては。
小走りで人波を渡り、目当ての場所へとたどり着く。
ドアの窪みに手をかけ、開けようとする。

が。

「鍵かかってるがな……」

計画倒れだった。
だがしかし、こんなものでへこたてはいれない。
通気用の小さな扉が足元に鎮座している。
よんつばいにならないと入れないぐらい低い。
普段はこれは内側から開けないと開かないのだが。
298 :>>1 :2011/08/28(日) 16:32:25.45 ID:KJSFL3CAO
「………」

あらかじめ鍵をかけておいたので簡単に開いた。
セキュリティとか心配になるがここは特に凶器はないので大丈夫だろう。

「おじゃま、しまーす」

挨拶をしてから侵入する。
久しぶりの部室に心が弾んだ。何も変わってないし。
コソコソと準備室へと入り込む。
そして、自分専用の絵の具やら筆を腕に抱え込んだ。
専門学校に入ってからも使うので早めの回収が必要だったのだ。
忘れ物はないかキョロキョロと頭を振ったあと、

「……お」

壁に掛けられた二枚の絵が目に入った。
299 :>>1 :2011/08/28(日) 16:37:55.17 ID:KJSFL3CAO
いつ飾ったのだろう。
何度も入ってはいるが、全く気づかなかった。

コバルトブルーで描かれた永遠に描きかけの海。

エメラルドグリーンで描かれた夏の山。

そばには『優秀賞』という文字が印刷された布が貼られていた。

「そういえばあげたんだっけ…。先輩の絵と並べるなんて」

笑みを洩らして二つを見比べる。
と、携帯がポケットの中で震えた。

「あ、いけない」

ギリギリのバランスで携帯を取りながら、準備室を後にしようとして、ふと立ち止まった。
300 :>>1 :2011/08/28(日) 16:39:26.67 ID:KJSFL3CAO




「さよなら、先輩」




それだけを言い残した。


誰もいない部屋に僅かに響いた。
301 :>>1 :2011/08/28(日) 16:46:55.64 ID:KJSFL3CAO
----

「それで、あなたはいつまで高校をながめているつもりで?」

「なんかその言い方、まるで僕が変質者みたいじゃないか」

「その通りですが」

「ええええ!? ちょっと酷くないかコムギちゃん!」

「……あー、しかし。高校ですか。いいですね」

「スルーした! え、高校行きたいとか?」

「まだあたし小学生ぐらいですよ。…飛び級しまくったのでクラスメートと遊んだことがなく」

「ああそうだったね。学校、一回ぐらいはちゃんと行ってみたら?楽しいよ」

「そうですね。でも事件おこるとめんどくさいです…」

「いや…事件は頻繁に起こらないからね?」
302 :>>1 :2011/08/28(日) 16:55:12.26 ID:KJSFL3CAO
言い合いながら二つの影は遠退いていく。

ひらりと早く生まれた蝶々が二人とすれ違う。
蝶々は美術室の窓に止まる。
こそこそと出ていこうとする少女をガラス越しに見届けたあと、またひらりと飛び立つ。

廃部になったものの、水泳同好会としてやり直したプールの近くを飛ぶ。
疲れたのか地面に一度降り立ち、それから再び舞い上がって空へ消えた。


蝶々が降りた近くの花束がカサリと音を立てた。


303 :>>1 :2011/08/28(日) 16:55:57.26 ID:KJSFL3CAO



青年「僕と美術室と失踪事件」 了



304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/08/28(日) 17:01:14.83 ID:KJSFL3CAO
そんなわけで、ありがとうございました。

途中グタグダになりましたが。もう投げたかった。
しばらくカルネ君の話は書きません。いやネタがないわけじゃ…ゴニョゴニョ

今度は探偵コンビが主役です。多分。
ちゃんと話を練りました。読者も解ける感じに。多分。
女「羊羮?」みたいなタイトルがあったら見てやってください。

それでは、もう一度。
ありがとうございました。

305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/28(日) 17:05:28.95 ID:zIpe1M4O0
乙でした!
コムギちゃんが漢字を使えるようになっててよかった
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/29(月) 05:34:46.64 ID:ZlA42gO2o


見つけたら読ませてもらいますぜ
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 21:28:22.27 ID:ULGyVEVSO
終わってたのか乙
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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