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魔法少女は魔法少女の夢を見るか? - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:25:22.24 ID:MmarsrJU0
「――こんばんは」


「そちらではこんにちはかしら。それともおはよう?」


「私の名前は壱原侑子、『次元の魔女』と言った方がいいかしら」


「いいえ、この世にあるのは必然だけ。この出遭いも偶然ではなく必然」


「アナタには願いがある。そうでしょう?」


「ええ、ただしそれには対価が必要よ」


「与えすぎてもいけない、奪いすぎてもいけない」


「過不足なく、対等に、均等に――」


「アナタの願いはあまりに大きすぎる。世界の命運を左右するなんてことアナタの魂を頂いたって釣り合わないわ」


「けれど、似たようなことというのなら不可能ではないかしら」


「私がするのはただの仲介。その程度であれば対価も支払えるでしょう」


「対価はアナタの記憶――」


「過去のではなく、アナタが得るはずだった未来の記憶」


「――契約、成立ね」


――――――――

――――

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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:27:18.68 ID:MmarsrJU0
「はぁ……はぁ……」

知らない女の子が走ってる……

EXIT、あれは……非常口?

ガチャン、キィ……

ここは、……どこなの?

別の女の子が大きな怪物と戦ってる……

「ひどい……」

「仕方ないよ、彼女一人では荷が重すぎた。でも彼女は覚悟の上だよ」

白い、犬?みたいな人形が喋ってる……

「そんな……、あんまりだよ、こんなのってないよ」

「諦めたらそれまでだ。でも君なら運命を変えられる」

これは、夢なの?

「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。そのための力が君には備わってるんだから」

「本当なの? 私なんかでも本当に何かできるの? こんな結末を変えられるの?」

「もちろんさ。だから僕と契約して魔法少女なってよ」

ねぇ、あなたは誰?
3 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:28:38.75 ID:MmarsrJU0
ジリリリリリリ……

「ほえ……?」

「やっと起きたか、さくら」

さくら「ケロ、ちゃん? 今のって、……夢?」

ケロ「なんや、変な夢でも見たんか?」

さくら「うん。えっとね、……えっと、あれ?」

ケロ「もしかして……」

さくら「……忘れちゃった」

ケロ「なんじゃそりゃーーーっ!!」ビシィッ

さくら「えへへ……」

わたし、木之本 桜。
友枝中学校に通う中学一年生。
好きな科目は体育と音楽、
嫌いな科目は特にないけど中学になって算数が数学に名前が変わってちょっと不安な
とりあえず元気が取り得の女の子です。

そしてこっちの子はケロちゃん。
本当の名前は『ケルベロス』さん。
クロウカードっていう魔法が使えるカードを守ってた『封印の獣』さんなの。
4 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:30:15.02 ID:MmarsrJU0
ケロ「けど、さくらが夢見るのって久しぶりやなぁ。クロウと分かれて以来とちゃうか?」

さくら「うーん、そうだね」←着替えて髪梳かし中

ケロ「ちょっとだけ不安やなぁ。もしかしたら危険を知らせるような夢やったかも知れん」

さくら「予知夢だったかもしれないってこと?」

ケロ「かもしれへんけど、そうやないかもしれん」

ケロ「ただ、さくらの力は安定してるし望まんかったら見ぃへんはずや」

さくら「それじゃあ、普通の夢だったかもしれないのかな?」

ケロ「んー……、かもしれへんけど、」

さくら「そうじゃないかもしれない、と」

ケロ「まぁ、封印の鍵はいつも持ち歩いとるんやし、なんかあっても大丈夫やろ」

さくら「うん。……ねえケロちゃん、後ろの方、髪の毛跳ねてない?」

ケロ「おう、問題な……ぅん?」

さくら「ほえ? どこか変だったりする?」

ケロ「さくら、鏡見てみい!」

さくら「鏡? ……ほええええええ!? 何これ、水面みたいに波打ってる……」

……きて、こちらへ……

さくら「今、何か聞こえたような……。きゃっ、鏡の中に引っ張られ――」

さくら「きゃああああああ!!」

ケロ「さくらああああああ!!」
5 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:31:46.41 ID:MmarsrJU0
――――――――

――――

――

ズズズズズ、

……べしゃり。

さくら「イタタ……、一体何がどうなって」

ケロ「う〜ん、さくら大丈夫かぁ?」

「ようこそ、二人とも」

さくら「……ほえ?」

ケロ「……お前は!」

「初めまして、桜ちゃん。ケロベロスは久しぶりね」

ケロ「さっきのは次元の魔女の仕業やったってことかい」

さくら「ケロちゃん、知ってる人なの?」

侑子「私の名前は壱原侑子、次元の魔女なんて呼び方をする者もいるわね」

ケロ「言うたらクロウの知り合いや」

さくら「クロウさんの……」
6 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:33:14.56 ID:MmarsrJU0
ケロ「で、お前がさくらに何の用なんや?」

侑子「ちょっとね。人を救って貰いたいの」

さくら「人助け、ですか?」

侑子「とある別の世界で苦しんでる人がいるの。桜ちゃんにはその人を救ってもらいたいの」

さくら「べ、別の世界……? 海外ってことですか?」

侑子「いいえ、違うわ。多重世界って言えばわかるかしら? 色んな、たくさんの世界」

さくら「えっと、漫画やテレビのSFみたいな感じですか?」

侑子「まぁそんな感じよ。桜ちゃんにはその異世界へ行って人助けをして欲しいのよ」

さくら「異世界……なんとなくピンと来ないですけど」

侑子「あら、そうは言ってもアナタはすでに異世界にきてしまっているわよ?」

さくら「ほえ?」

ケロ「さくらがさっきまでおった世界と今おるここは別の世界なんや」

さくら「ほええええええ!?」

 :
 :
 :

侑子「落ち着いたかしら?」

さくら「は、はい。なんとか」アセアセ
7 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:34:52.57 ID:MmarsrJU0
侑子「それで、桜ちゃんは人助けの話、引き受けてくれるかしら?」

さくら「わたしにしかできないのなら助けてあげたいんですが……」

侑子「何か問題があるの?」

さくら「その、わたし、今日学校の日直で……」

侑子「……プッ。あはははははは!」ヒィーヒィー

さくら「ほ、ほえー……」

侑子「あははは……、あーもう桜ちゃんってばほんと可愛いわね」

さくら「あ、ありがとうございます?」

侑子「そういう心配なら平気よ、あなたがこちらへ来た時間と同じ時間に戻してあげるわ」

さくら「そんなことできるんですか?」

侑子「ええ、可能よ」

さくら「それなら……」

ケロ「ちょっと待つんやさくら」

さくら「ケロちゃん?」
8 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:36:09.17 ID:MmarsrJU0
ケロ「人助けやなんて簡単に言うたけど、さくらに危険はないんやろうなぁ?」

侑子「危険なことよ。とてもとても」

ケロ「あかん! さくらを危ない目に合わせるやなんてわいが許さへん!」

さくら「ケロちゃん……」

侑子「桜ちゃん、当然だけどアナタには断る権利があるわ」

さくら「……でもわたしじゃないとダメなんですよね?」

ケロ「さくら!」

侑子「ええ、その通りよ。アナタが手を伸ばさなければ彼女は絶対に救われない」

さくら「……なら、わたしやります!」

ケロ「さくら……、ほんまにええんか?」

さくら「うん、苦しんでる人がいるならほっとけないし、私にしかできないことならなおさらだよ」

侑子「ありがとう。アナタならそう言ってくれると思っていたわ。……ではこれを」スッ

さくら「私の靴! それと……クロウカード? けど何も書かれてない……」

侑子「それはクロウがこうなることを知って私に託したカード。きっとアナタの助けになってくれるわ」

ケロ「クロウの奴、それならそうと言うとかんかい」マッタク

侑子「桜ちゃんにこのことを伝えないこと、それが彼が私に払った対価だからね」

ケロ「ふん!」
9 : ◆tVP11EVtkPKg [sage saga]:2011/05/31(火) 00:38:16.22 ID:MmarsrJU0
侑子「桜ちゃん、これはとても危険なことだけど……」

侑子「アナタなら彼女を救って無事にアナタの世界に戻ることができるわ」

さくら「はい。絶対、大丈夫です。……ところでその別の世界ってどうやって行けば」

侑子「その世界に行くのは簡単よ、正門をあっちの世界に繋いでおいたからこの店から出ればいいだけ」

侑子「本当なら世界を渡るために対価が必要なんだけど、それは依頼主から頂いてるからそれはいいの」

さくら「ここってお店だったんですか?」

侑子「ええ、そうよ」

侑子(いずれあなたも客としてここへくることになるのだけれど……)

さくら「じゃあ、行ってきます」タッ

ケロ「できればもう二度と会いたないけどな」パタパタ

シュゥーン……

侑子「良い旅になることを祈ってるわ」

パタパタパタ……

侑子「あら?」

「こんにちは侑子さん。もしかして誰かきてたんですか?」

侑子「ええ、ちょっとね。それより四月一日にお願いがあるんだけど――」
10 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/05/31(火) 00:52:34.64 ID:MmarsrJU0
カードキャプターさくら×魔法少女まどか☆マギカのクロスSSになります。
ストーリーの展開上ホリックから侑子さんが出張して来てますが、まぁ出番はほぼ終わりです。

設定についてですが、CCさくらは原作漫画準拠のクロウ(さくら)カード19枚設定です。
アニメだと52枚+αで枚数多すぎて手に負えないしたぶんさくら無双になりそうだから・・・
時期は中学になって一ヶ月ほど、小狼と再会したかしてないかぐらいで(いつ再会したかわからんので)
まどかについては若干設定いじります
それほど長いお話にはならないと思いますが、よろしければ最後までお付き合いいただければ幸いです
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 01:12:16.94 ID:fjvbqV2fo
>>10
乙です。CCさくらとのクロスキター。
しかし、スレタイで損してそうな予感が。

最初に侑子が話してる相手はさくらかまどかかどっちかな。
どちらの可能性もありえそうだから、作中で判明する時を楽しみにしとこう。

カードは原作準拠19枚のみですか。そういや、鏡のカードが好きだったのを思いだした。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 16:33:21.08 ID:hD26ThdIO
このスレタイなんか聞いたことあるんだけどなんだっけ?
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 19:04:40.61 ID:VEluXyuA0
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? のパロディかと 期待
14 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/05/31(火) 19:32:09.20 ID:oFu/K3hS0
レスどもです。
>>12
>>13さんのおっしゃるのが元ネタです。
もしくは別のSSでこのタイトルの作品書きますって予告したことあるんでそれかと。
15 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:00:01.90 ID:51w857Di0
――――――――

――――

――

シュゥーン……

さくら(壱原さんのお店を出るとそこは…)

どんがらがっしゃ〜ん

さくら「ほええええ!!」

ケロ「さ、さくら!? いきなり何すっ転んどるんや」

さくら「あいたた……、だって急に暗くなったからバランス崩しちゃって」

ケロ「まぁ、さっきまで明るかったからなぁ」

ケロ「どこやろここ、暗がりってわけやないけど薄暗いし狭いし」

さくら「路地裏みたいだね。左右にあるの大きな建物みたいだし、都会なのかな?」

ケロ「さくらが住んどったとことはぜんぜんちゃうなぁ」

さくら「ねぇ、ケロちゃん」

ケロ「なんや、さくら?」

さくら「そういえばわたし、『人を救って』って言われたけど、誰を救えばいいのかな?」

さくら「どこの誰を救えばいいか何も聞いてなかったよね……」

ケロ「それなら問題あらへん」

さくら「ほえ? ケロちゃんは壱原さんに聞いてたの?」

ケロ「そうやない。あいつが何も言わんかったってことは、初めから伝えるつもりなんかないっちゅーこっちゃ」

ケロ「もしさくらが聞いとったとしても『行けばわかるわ』としか言わんかったやろうな」

さくら「それじゃあ、私はどうしたら……」

ケロ「とりあえずもっと広いとこ出よ」

さくら「うん、そうだね」
16 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:04:10.45 ID:51w857Di0
テクテクテク……

さくら「……」

ケロ「……」

テクテク、ピタ

さくら「ケロちゃん」

ケロ「ああ、わかっとる」

さくら「なんか変だよ、結構歩いてるのにどこまで行っても出口が見えないなんて」

ケロ「それに、これは魔力か……? 変な気配がしおる」

さくら「誰かが魔法を使ってるってこと? どんな世界かわからないけど、ここは魔法が普通にある世界なのかな?」

ケロ「わからん、とりあえずこっから急いで離れた方がええんは間違いないわ」

『星の力を秘めし鍵よ、真の力を我の前に示せ。契約の元さくらが命じる』

さくら「封印解除(レリーズ!)」

さくら「よし、跳(ジャンプ)のカードで……、ぇ?」

ぐにゃり……

ケロ「なんや! 急に気配が大きなったで!?」

さくら「辺りも変だよ! さっきまで路地裏にいたのに……」

パァァァ!

ケルベロス「気ぃつけろさくら、何が起こるかわからん!」ヘンシン

さくら「わかってる!」ギュッ
17 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:08:29.95 ID:51w857Di0
クケケケ、ヒヒヒ
  アハハハ、ウフフフ

さくら「なんだろ……、ちっちゃい小人さんみたいなのが出てきたけど」

ケルベロス「使い魔みたいなもんか? 今んとこ攻撃してくる様子はないが」

「あなたたち! 早く逃げなさい!」

さくら「ほえ!? だ、誰?」

「私が誰かなんて関係ない。あなたは私が来たほうに向かって走ればいい」

「早くしないと、このペットも一緒に……ッ!?」ビクッ

ケルベロス「」ジー

「この子は……犬か何かかしら?」

ケルベロス「誰が犬やねん!」ガォ

「しゃ、喋った!? まさかこいつが魔女なの!? それともインキュベーターの仲間!?」ジャキッ

さくら「ほええええ! け、拳銃!? ダメェ! ケロちゃんを撃たないで!」バッ

ケルベロス「さくら! 下がるんや!」

「……」

さくら「……」ウルウル

ケルベロス「……」グルル

「敵では、ないようね」

さくら「ほっ」
18 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:12:42.16 ID:51w857Di0
「見たことないけれど、あなたたちも魔法少女なのかしら?」

さくら「魔法少女? うん、魔法は使えるよ」

「……それとそっちの、黄色いあなた」

ケルベロス「ケルベロスや」フン

「ケルベロス? インキュベーター……、キュゥべえと名乗る生き物に心当たりはないかしら」

ケルベロス「知らん知らん、聞いたこともあらへん」

「そう。ならあなたたちはここから早く立ち去りなさい」

さくら「え、えっと」

ケルベロス「そうはいかん、そっちこそ何者なんや」

ケルベロス「大体、お前の言うこと聞いて助かるっちゅう保証どこにあるんや」

「なら好きにすればいいわ。私は私のやるべきことをやるだけ」

「邪魔さえしなければ構わないわ」

さくら「(ねぇケロちゃん、どうしよう)ヒソヒソ」

ケルベロス「(下手に動くよりこいつ見張っといたほうがええ)ヒソヒソ」

ケルベロス「(さくらも気付いとるやろうけどこいつ魔法が使えるはずや)ヒソヒソ」

さくら「(うん、魔力の気配を感じるよ)ヒソヒソ」

「……」カツン

テクテクテク……

ケルベロス「さくら、追うんや」ダッ

さくら「うん!」タッ
19 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:16:19.71 ID:51w857Di0
テクテクテク……

「……」チラッ

さくら「あ、あはは……。邪魔にはならないようにするので」

「そう。ならいいわ」スッ

ケルベロス(魔力の気配はさくらの方が断然でかい……。何が『ならいいわ』やっちゅうねん)

テクテク、ピタ

さくら「ほえ?」

「くるわよ」

グルルルルルル……

唸り声とともに地面から染み出るように現れたのは巨大な獣の化物だった。

さくら「大きなケロちゃん!? 5メートルくらいあるよ!」

ケルベロス「わいはあんなかっこ悪ぅないわ!」

「そこっ!」

少女は手にしていた拳銃を化物へと向けトリガーを引き銃弾を発射する。

パン!パン!

ワオォーーーン!

二発、三発と発射された銃弾は化物に命中しているが致命傷にはなり得ていない様子だ。

「これでおしまい」

カチリ、と音がしたかと思うと直後に爆発が起こりオレンジ色の炎が化物を包み込んだ。
気付けばついさっきまでさくらたち近くにいたその少女はずいぶんと離れた場所に立っている。

さくら「ほえー!?」

ケルベロス「あの嬢ちゃん、何したんや……」

目の前の光景に理解が追いついていないさくらとケルベロスは目を白黒させるばかりだった。
20 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:17:53.37 ID:51w857Di0
さくら「今の爆発、あなたがやったの?」

「そうよ。一応このことは誰にも言わないでもらえると助かるわ」ファサ

さくら「あ、はい。わかりました」

二人の少女が短い会話を交わす一方で、ケルベロスはいまだ炎に包まれている獣の化物を注視していた。

グルル……、ゥワオォーーーン!!

ケルベロス「!! さくら、あいつはまだ死んでへん!」

さくら「え?」

「なっ!」

化物が起き上がるのを逸早く察知したケルベロスが二人に注意を喚起する。

ケルベロス「さくら、剣(ソード)のカードや!」

さくら「わかった! 力を貸して、『剣(ソード)』!」

さくらはポケットからカードを取り出して空中に投げると、それに向かって持っていた杖を振り下ろす。
すると、さくらの持っていた杖が長剣(ロングソード)へと変貌を遂げていた。

「これがこの子の魔法!?」

ワォーーーン!

さくら「ヤアァァァ!」

炎をまとったまま飛び掛ってきたその化物に向かって、さくらは長剣を縦に振り抜く。
まだ化物との距離は数メートルほどあるというのに――。

ガ、ガアアァ……

そこにあったのは真っ二つに斬り捨てられた化物の姿だった。
21 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/01(水) 22:37:35.45 ID:51w857Di0
獣の魔女、適当に作ったオリジナルです
あまり地の文は使いたくないんだけど、戦闘描写なんかで時折使います
書き溜めはあるんですけど、まどか側の時系列で矛盾がないようにとかいろいろあって進みが遅いです
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 22:42:53.04 ID:29xmsBnro
黒さんとまどかのクロスかと思ったら
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/01(水) 22:47:11.53 ID:j0JY4DQAO
おお、待ってたぞ
期待してる
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/02(木) 10:26:47.22 ID:yljlluYSO
CCさくらとクロスとはなんという俺得

続き期待してる!
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/02(木) 17:04:10.94 ID:MufIZOLSO
乙ほむ
26 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/02(木) 23:55:39.49 ID:N+lpzhTm0
「あれを一撃で倒すなんて……」

ぐにゃり……

さくら「あ、元の場所に戻ってこれたよ」

ケルベロス「元凶やったさっきの化物を倒したからやな」

パァァァ!

ケロ「ふぅ、敵も倒したったしこっちの姿でええやろ」

「なっ……。あなたたちは一体何者なの……?」

さくら「えっとですね、わたしたちは人助けでこの世界にやってきたんですけど……」アセアセ

(人助け? この世界?)

さくら「でも誰を助けたらいいかわからなくって……」ワタワタ

さくら「そうだ! あなたは私の助けが必要だったりしませんか?」ピコーン

ケロ「おー、嬢ちゃんも魔法使えるみたいやし同業者っぽいもんな」

「ふふ、本当に助けてもらえるのならありがたい話だけれど」

さくら「じゃあ!」

「結構よ。もう誰にも頼らないって決めてるの」キッパリ

さくら「そう、ですか……」ショボン

「私はもう帰るけど、これはあなたにあげるわ」スッ

さくら「これは?」

「さっきあなたが倒した魔女のグリーフシードよ。私はまだ蓄えがあるから大丈夫だから」

さくら「ぐりーふ、しーど?」

「……それじゃ」

さくら「ぁ……、行っちゃった」
27 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/02(木) 23:57:10.25 ID:N+lpzhTm0
さくら「ねぇケロちゃん、これからどうしようか」

ケロ「ぶっちゃけなんも手がかりないもんなぁ」ゥーン

ケロ「とりあえず、この路地裏から出て困ってそうな人探すしかあらへんやろ」

さくら「そうだね。ところで、さっきもらったこれ……」

ケロ「グリーフシード言うとったな。なんに使うんやろ?」

さくら「蓄えがあるとか言ってたから、何かに使うと思うんだけど」

ケロ「この世界のお金かなんかかいなぁ、とりあえず持っといたほうがええやろ」

さくら「うん」

ケロ「それじゃあ困ってそうな人を探して、レッツゴーや!」

さくら「おー!」

――――――――
――――
――

さくら「うー、もう二時間ぐらい歩き回ってるよね……」

ケロ「せやなぁ。いざ路地裏から出てみたら普通の人ばっかりやし」

ケロ「わいらみたいなんの手助けが必要そうな人て、ぜんぜん見当たらへんわ」

さくら「辺りも暗くなってきちゃったし、今日の泊まる場所とかどうしようか」

さくら「わたし、こっちにきたら困ってる人とかすぐ見つかってすぐに帰ってこれるんだと思ってたよ」

ケロ「次元の魔女め、今度会うたらとっちめたる!」
28 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/02(木) 23:58:30.92 ID:N+lpzhTm0
さくら「わたし喉渇いてきちゃった……」

ケロ「水(ウォーティ)のカードでも使うか?」

さくら「それはちょっと……。どこかに自動販売機とかないかな」

ケロ「んー、お! あっちに公園があるで」

さくら「ジュースとか売ってるといいなぁ」

 :
 :
 :

さくら「しくしく……」

ケロ「そんな落ち込むなや、さくら」

さくら「自動販売機はあったけど私が持ってるお金、全部使えないなんて……」

ケロ「まぁ、別の世界やししゃーないっちゃあしゃーないんやろうけど」

ケロ「やっぱここは水(ウォーティ)のカードで」

さくら「今はそれでいいかもだけど、ご飯とか泊まるところとかお金が使えないんじゃ何もできないよう……」

ケロ「飯は花(フラワー)のカードで食べられそうな花でも出して、夜は樹(ウッド)のカードでこの辺に家でも」

さくら「ケロちゃんむちゃくちゃだよー!」ワーン!
29 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/02(木) 23:59:16.52 ID:N+lpzhTm0
「お嬢ちゃん、お困りかな〜?」

さくら「ほえぇ!?(ケロちゃん、人形のふり!)ヒソヒソ」

ケロ「」ピタッ

「あはは、ごめんごめん、突然後ろから声をかけられたら誰だって驚くよね」

さくら「えっと」

「いやいや、私はまったくもって怪しいものじゃありませんよ?」

ケロ(自分で自分こと怪しい者ですなんていう奴おらへんわ!)

「私、さやかって言うんだ。趣味は人助けの可愛い可愛い女の子だよ!」

さくら「わたしは木之本 桜です」

さやか「困ってることとかあったら相談に乗るよ? 私なんかでよかったらだけど」

さくら「えっと、でも、その……」

ぐ〜……

さくら「」///

さやか「もしかして、お腹空いてる?」

さくら「うぅ、はい……」
30 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/03(金) 00:01:12.64 ID:LX3NBIR50
――――――――
――――
――

――バーガーショップ。

さくら「あの、ありがとうございます!」

さやか「いいよいいよこのぐらい。困ったときはお互い様ってね」

さやか「でも災難って言うか天然って言うか、他所の国からきたばっかりで日本のお金持ってないなんて」プププ

さくら「ずいぶんと急だったので……」モグモグ

さくら(こっちの世界でも日本って言うんだ……。そういえば別の世界なのに日本語で通じてるよね)

さくら(でもお金だけは使えないんだね……ぐすん)

さやか「さくらちゃんって何年生なの?」

さくら「私は中学一年生です」モグモグ

さやか「じゃあ私の一つ下だね。今着てるのは前の学校の制服? もしかして見滝原中に転校してくるの?」

さくら「ええっと、それは……んぐっ!」

さやか「うわっ、喉詰まった!? はいジュース!」

さくら「ごくごく……、ぷは。ありがとうございます」ホッ

さやか「こっちこそごめんね、こんなにいっぱい話しかけられたら食べにくいよね」

さやか「最近、他人(ヒト)とお喋りなんかしてなかったから、ついね」

さくら「ほえ? ヒトとって家族ともですか?」

さやか「あー……、あたしってば今絶賛家出中だったりなんかしたりしてー」

さくら「えぇー!?」

さやか「声大きいって!」

さくら「あ、ごめんなさい……」シュン
31 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/03(金) 00:01:57.45 ID:LX3NBIR50
さくら「喧嘩、しちゃったんですか?」オソルオソル

さやか「そういうわけでもないんだけどねー」アハハ

さやか「世間のしがらみとかそういうのが嫌になったいうか、まぁ中学二年生にはありがちな話なのよ」

さくら「ほえー、私はまだ一年生なので……」

さやか「ごめんね、しんみりした話しちゃって……」

さくら「いえ、そんなこと……。でもおうちには帰ったほうがいいと思います」

さやか「さくらちゃんはいい子だねぇ、私の嫁になって欲しいわ」

さくら「わわわたしは、そういうのは! それにわたしには小狼君が」ゴニョゴニョ

さやか「冗談だってば。っていうか、さくらちゃん好きな人いるの?」

さくら「えっとええっと……」カオマッカ

さやか「あははは、わかりやすいなー、ほんと」

さやか「その人のこと、ほんとに好きなんだったら早めに告白したほうがいいぞ。コレお姉さんの経験則!」

さくら「ぁ、はい」

さやか「……」

さくら「……」

さやか「食べ終わったみたいだし、出よっか」

さくら「はい」
32 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/03(金) 00:04:37.92 ID:LX3NBIR50
現地の人、その2
ほえほえ言ってるイメージ強すぎてほえほえ言わせすぎなんじゃないだろうかとちょっと不安
桜は漢字で書くべきだったかなぁと今更ながらに後悔
さやかと並ぶと見にくくないですか?
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/03(金) 00:09:09.03 ID:IwzBZEDOo
さくらとさやかは特に気にはなりませんが・・・・・・・
気になるようでしたら、一度、桜を試されてみては如何でしょうか。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 00:31:23.66 ID:1qM0rrua0
一瞬気になったけど口調が違うから問題ないと思った
むしろさやか家出中のほうがやばい
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 01:14:37.21 ID:YFIMIopSO
>>1乙!

個人的にはさくらのままでいいと思うけどなぁ

桜だと逆に違和感を覚えるような…
36 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:31:57.32 ID:aHCYqHOn0
――――――――

さくら「初対面なのにご馳走してもらって……。ありがとうございました」

さやか「いいよ、このくらい。それじゃ私はこれで」バイバイ

さくら「……あの」

さやか「ん?」

さくら「何か困ってることとか、助けて欲しいこととかありませんか?」

さやか「……へ?」ポカーン

さくら「いや、その、ハンバーガーご馳走してもらいましたし、そのお礼って言うかなんていうか」

さやか「あー、ほんと気にしないでいいから。その気持ちだけで私はお腹いっぱいです」

さやか「ありがとね、実はちょっと落ち込んでたんだけどさ」

さやか「この街にあなたみたいな子がいるなら私はもう少しがんばれる気がするよ」

さやか「私、これから行かなきゃいけないとこあるから、今度こそバイバイ」フリフリ

さくら「……はい、さようなら」フリフリ

さくら「……」

さくら「行っちゃった」

ケロ「さくらだけうまそうなもん食うてずるい〜……」ドヨーン

さくら「け、ケロちゃん?!」

ケロ「まぁ、わいは腹減ったりとかせぇへんしー、道楽で食っとんのやで別にええねんけどなー」メソメソ
37 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:34:25.97 ID:aHCYqHOn0
ケロ「それにしてもさっき嬢ちゃん、ええ子やったなぁ」

ケロ「見ず知らずのさくらに飯おごってくれるやなんて」

さくら「だね。何かお礼とかしたかったんだけど」

ケロ「礼ができるくらいなら空腹で困ってへんわなぁ」

さくら「あはは……。あれ?」ピクッ

さくら「ケロちゃん、これって」

ケロ「こっちの世界に来たとき感じた変な魔力と似とる」

さくら「それにこの反応、さやかさんが走っていった方角だよ!」

ケロ「あの嬢ちゃんが化物に襲われるかもしれへん。さくら!」

さくら「わかってる、助けなくちゃ!」タタッ

 :
 :
 :

ケロ「反応はこの路地裏の先や!」

さくら「ここまで走ってきたけどさやかさんいなかった……、もしかして」

ケロ「大丈夫や、そんなに時間は経ってない。もしおったとしても間に合うはずや」

さくら「お願い、無事でいて……」
38 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:36:09.28 ID:aHCYqHOn0
さくらたちは背の高い建物に囲まれて薄暗い路地裏を駆けていく。

ケロ「近いで、さくら!」

さくら「わかってる!」

封印の鍵はすでに封印解除され杖の形に変えてある。
魔力の強さからもうすぐまたあの化物が現れるのだと考えると思わず杖を握る手に力がこもるのを感じた。

ケロ「そこを右や! その先に敵が……」

T字路を右へ曲がる。
そしてその先でさくらたちが目にしたもの、それは。

さくら「さやかさん!?」

意識を失い倒れているさやかの姿だった。

ケロ「どういうことや、さっきまでは反応があったのに何も感じへん……」

さくらたちはおかしな魔力の反応を負ってここまで来たのだ。
だというのにここには何もない、何の反応も感じなくなっていた。

さくら「さやかさん! さやかさん!」

さやか「……ん、ぁ」

さやかが気がついたため、ケルベロスはさくらのポケットへと隠れる。

さやか「あれ? さくらちゃんどうしてここに……」ヨロヨロ

さくら「さやかさんこそ、どうしてこんなところで倒れて」

さやか「あたしはー。その、ちょっと無茶しちゃって……」

さやか「痛いとかそういうことはないんだけど、一人じゃ立てそうにないんだ。肩貸してもらえないかな?」

さくら「わかりました。掴って下さい」

さくらはさやかに肩を貸し、路地裏を後にした。
39 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:36:49.88 ID:aHCYqHOn0
――――――――
――――
――

――???

さやか「ごめんね、ここまで運んでもらっちゃって」

さくら「いえ、ご馳走になったハンバーガーのお礼です」

さやか「ところでさ、さくらちゃんって天然とか世間知らずとか言われない?」

さくら「え? ……たまに、言われますけど」

さやか「くすくす、やっぱり。私はふらふらだったし、女同士だしって思うけどさ」

さくら「?」

さやか「頼まれてラブホテルに人を運ぶなんてさ」アハハハ

さくら「らぶほてる?」

さやか「えっ?」

さくら「ほえ?」

さやか(まさか、ラブホテルを知らないだと……?)

さやか「いや、なんでもないよ。ここまで運んでくれてありがとう」ニコリ

さくら「どういたしまして」ニコリ
40 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:37:51.45 ID:aHCYqHOn0
さくら「その、立ち入ったことを聞きますが、持病か何かあるんですか?」

さやか「へ? なんで?」

さくら「なんでって……。さやかさん、何もないところで意識を失って倒れてたから」

さやか「あー、そりゃそうだよね、そう思うのが普通だよ」

さくら「……」

さやか「ちょっと悪い奴を見つけたもんだから懲らしめてたんだよね」

さくら(でも、あそこには誰も……)

さやか「やっつけたはいいんだけど、力尽きちゃったみたいで」

さやか「気付いたらさくらちゃんの可愛い顔が目の前にあったってわけですよ」アハハー

さくら「……あの、病院とかには」

さやか「平気平気、ちょっと疲れただけだし(病院じゃ魔力の輸血はやってくれないし)ボソボソ」

さくら「そう、ですか」

さやか「さくらちゃんはもう帰りなよ。おうちの人が心配してるでしょ」

さくら「……その」

さやか「ん?」

さくら「私も一緒に泊まっちゃダメですか?」

さやか「はいぃ!?」
41 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:39:07.94 ID:aHCYqHOn0
さくら「実は私も家出してきたんです!」

さやか「え、ほ、ほんとに?」パチクリ

さくら「はい、だからその一緒に泊めてもらえないかな、と」

さやか「私のことほっとけないから嘘ついてるとかないよね?」

さくら「えっと、そういう気持ちもありますけど、家出してきたのも、……ほんとです」シュン

さくら「あ、でも、二人で泊まったらお金が多くかかっちゃうし」

さやか「ああ、それは大丈夫だから。元々二人で泊まる施設だからここ」

さくら「そうなんですか?」ホエー

さやか「そういうことなら……、いいよ。泊まっても」

さくら「ほんとですか!」

さやか「けど。早めに家に帰ったほうがいいと思うよ、私が言えた義理じゃないけどさ」

さくら「……はぃ、ありがとうございます」

さやか「はぁ、グリーフシードさえあればなぁ」

さくら「ほえ? グリーフシード?」

さやか「ううん、なんでもないよ。ただのひとりご、」

さくら「グリーフシードならありますよ。これですよね?」ハイ

さやか「……ええっ!?」
42 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/04(土) 22:43:36.15 ID:aHCYqHOn0
さくらちゃんは可愛いなぁほんと(はにゃーん)
ぼくもさくらちゃんとラブホテル泊まりたいぶひいいいいいいいい、
なんて言う人には小狼君に雷帝招来されるんで気を付けて下さい
平気だということなので「さくら」のままでいこうと思います
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/05(日) 10:21:27.23 ID:WImeRibSO

今は8話か けっこう手遅れ感があるけど助けられるか…
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/06/05(日) 13:44:25.92 ID:SLuABEEqo
じゃあマミさん、ガンネクやろうぜ!
マミさんハンデでコスト半分で良いよ!俺も機体ドムにするし!



は…ははは……マミさんプロヴィデンス使うの上手いじゃん………
俺もうエクシア使うけど良いよね?答えは聞かないよマミさん 俺を怒らせた罪は重いんだよッ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/05(日) 14:51:51.54 ID:SLuABEEqo
誤爆してた事に気がついたのは、1時間超過ぎた後でしたとさ。
めでたくなしめでたくなし
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/05(日) 14:52:24.64 ID:SLuABEEqo
誤爆してた事に気がついたのは、1時間超過ぎた後でしたとさ。
めでたくなしめでたくなし
47 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:17:37.67 ID:5AiwRAyP0
さくら「……」

さやか「……」

さくら「あの、」

さやか「さくらちゃんって魔法少女なの?」

さくら「あ、はい。そうです」ビク

さくら(ほえええ、なんだか急に空気が重く……)

さやか「じゃあ、一つだけ教えてくれる? さくらちゃんは『使い魔』がいたら倒す人? それとも……」ゴクリ

さくら「え、えっと、その、……使い魔による、かな?」チラッ

さやか「……それってどういう意味?」

さくら「悪い使い魔さんなら倒さないといけないけど、良い使い魔さんなら」

さやか「いるわけないよ、そんなの」キッパリ

さくら「で、でも」

さやか「『使い魔』も『魔女』も、私は全部やっつける。マミさんなら絶対にそうするから」

さやか「私、このグリーフシードは受け取れないわ。気持ちだけ受け取っとくよ」

さくら「……」

さくら(さやかさんはそれっきり口を聞いてくれなくなり、気まずい状態で同じベッドで眠りました)
48 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:18:52.46 ID:5AiwRAyP0
――次の日。

チュンチュン……

さやか「んー……」ノビ

さやか「朝か。そういやラブホに泊まったんだっけ……」

さやか(さすがに身体動かないのに野宿なんてできなかったしなあ)

さやか(普通のホテルには中学生一人じゃ泊まれないしね)

さやか「あれ、さくらちゃんは……?」

くしゃり

さやか「紙……、置き手紙か」


さやかさんへ

泊めてくれてありがとうございました。
正直、昨日はさやかさんがなぜ怒ってしまったのかわかりません。
今度会ったときに理由を教えてください。
そしたらごめんなさいって言って仲直りできたらいいなと思います。

追伸、グリーフシードは置いていきます。さやかさんが使ってください。

   さくらより


さやか「そういえばさくらちゃんって外国からきたんだっけ……」

さやか「あの子もキュゥべえに騙されてるんだよね」

さやか「ちゃんと話せばわかってくれたかもしれないのに……」

さやか(あたしってほんと馬鹿だ)
49 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:20:11.35 ID:5AiwRAyP0
――――――――

さくら「封印解除(レリーズ)! 我が空腹を満たせ、樹(ウッド)!」

みしみし、ずもももももも……

さくら「跳(ジャンプ)! えーい!」モギッ!

さくら「やった、取れたよケロちゃん」

ケロ「バナナの樹か、考えたなさくらー」

さくら「こういうことにカード使うのってすごく抵抗あるけどね……」

さくら「公園にバナナの樹があったら変だよね、消(イレイズ)!」

しゅぅーん……

さくら「ベンチで食べよ」

 :
 :
 :

ケロ「なかなかうまいなぁ、このバナナ」モグモグ

さくら「だね。樹(ウッド)さんありがとう」モグモグ


ケロ・さくら「「ごちそうさまでした」」
50 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:23:20.39 ID:5AiwRAyP0
ケロ「さて、腹ごしらえも終わったし、これからどうしょうなぁ」

さくら「闇雲に歩き回ってもダメっぽいよね」

ケロ「今んとこ怪しいんはここきて初めに会うた嬢ちゃんやな」

ケロ「さやかもグリーフシードとか魔法少女とかいろいろ知っとるみたいやったし、その辺聞いてみたかったんやけどなぁ」

さくら「喧嘩別れみたいになっちゃったもんね……」

さくら「やっぱりさやかさんの質問に対する答えがまずかったんだよね」

さくら「この世界の使い魔はみんな悪い使い魔なのかな」

ケロ「どやろなぁ。とりあえず、さやかが使い魔に対して敵対心剥き出しっちゅーんはよぉわかったわ」

さくら「今度会ったらな仲直りできるよね?」

ケロ「おう、きっとな」

さくら「よーし、頑張るぞー!」オー!

ケロ「その意気やでさくら」

さくら「そうだ! カードの占いで何かわからないかな?」

ケロ「せやなぁ、なんか手がかりが掴めるかもしれへん。やってみよか」

さくら「うん」
51 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:23:47.05 ID:5AiwRAyP0
さくら「よーく混ぜて、っと」

さくら「左手で四つに分けて、また左手で元に戻す、だったよね」

ケロ「そやで。じゃあ並べて……」

『さくらカードよ、我が問いに答えよ』

『我が救うべき者の手がかりを示せ』

フワアァァァ……

ケロ「ほならここめくって」

さくら「闇(ダーク)……」ペラ

ケロ「次はこっちや」

さくら「影(シャドウ)……」ペラ

ケロ「この端のカード」

さくら「迷(メイズ)……」ペラ

ケロ「闇、影、迷か。どれも不安を掻き立てるカードばっかやなぁ」

ケロ「暗くて迷いそうな場所、そういうとこに行けってことやわ」

さくら「路地裏とか?」

ケロ「そんな感じや」
52 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:24:19.93 ID:5AiwRAyP0
ケロ「さくら、最後にこっちの2枚めくってみぃ」

さくら「うん。えっと、炎(ファイアリー)に剣(ソード)だよ」ペラ、ペラ

ケロ「炎に剣、今度は攻撃的なカードやなぁ」

さくら「これはどういう意味なの?」

ケロ「まぁなんや……。襲われるから気ぃつけえってことやわ」

さくら「ほえええ!? わ、わたし襲われるの?」

ケロ「けどまぁ、始めから襲われるってわかっとったらちっとはましやろ」ナ?

さくら「それはそうだけど……」ウゥ

ケロ「ほれ、張り切っていくでー!」オー!

さくら「おー……」ショボーン
53 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/06(月) 21:29:49.79 ID:5AiwRAyP0
ウッドがこんな使い方できるかは不明
特に考えてなかったけど無一文スタートは厳しいな
>>44
誤爆どまい、ゴーカイジャー読んでますよ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/07(火) 20:29:26.53 ID:QwHaNYxz0
乙!
さくらカードは色々応用できて便利だなwwww
55 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:02:20.93 ID:UHOAzSTX0
――――――――
――――
――

テクテクテク……

さくら「知らない場所で暗そうな場所や迷いそうな場所を歩くのってすっごく不安だよ……」

ケロ「安心せい、わいがついとるでー」ファイトー

さくら「おっきい時のケロちゃんは頼もしいんだけどなー」ハァ

さくら「それにあの占いも気になるし」

ケロ「火と剣、か。さくらが襲われそうになったらそれこそわいが守ったる!」

ケロ「守護者の名にかけて、な」

さくら「ケロちゃん……」ジーン…

ケロ「まぁ、今は魔力節約でこのまんまやけどな」

さくら「むぅ」

ケロ「……分かれ道やでさくら、今度はどっち行くんや?」

さくら「うーん、じゃあ今度は右にしようかな」

ケロ「いや。待つんやさくら」

さくら「ほえ? どうして?」

ケロ「左からわずかに魔力の気配を感じる……。昨日の化物に近い感じや」

さくら「じゃ、じゃあやっぱり右に……」コワイシ

ケロ「何言うてんのやさくら。魔法少女とか言うんはあの化物と敵対しとるんやで」

ケロ「あの嬢ちゃんもおるかもしれん。情報を得るためにも当然左やろ」

さくら「あぁ、やっぱり……」
56 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:03:01.79 ID:UHOAzSTX0
――――――――

さくら「魔力の気配、強くなってきたね……」

ケロ「それだけ近付いとるっちゅうことや。気ぃ引き締めや」

さくら「わかってる……。ぁ、あれは?」

さくらが指を差したのは何もない壁。
否、何もないはずの壁に人型の影がゆらゆらと蠢いている。

ケロ「この魔力の気配はあれやな。化物の子どもみたいなもんか」

さくら「た、倒した方がいいのかな?」

ケロ「なんとなくやけど、あれが人にとって悪いもんやってのはわかる」

ケロ「それに魂もないみたいやし、生き物って感じはせえへんな」

さくら「それで?」

ケロ「さくらに任す。この世界であれがどういう働きしとるんかわからんからな」

ケロ「さっきも言うたけど生き物ちゃうから倒しても罪悪感はあらへんやろ」

さくら「う、うーん……。それじゃあ」

「そこのアンタ。あれ使い魔だよ? わかってる?」

ケロ「!? さくら、後ろや!」

さくら「ほえ? だ、誰なの?」

「アタシ? アタシはアンタと同じ、魔法少女だよ」チャキ
57 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:05:21.21 ID:UHOAzSTX0
突然後ろから話しかけてきた少女は自身を『魔法少女』と名乗ると
手に持っていた槍をさくらに向け構える。

パァァァ!

ケルベロス「やめろ、さくらに手ぇ出すんやったらわいが許さへん!」

「ふーん、ケルベロスってのはテメェか。これがアンタの魔法なのか?」

さくら「ケロちゃんのことを知ってる!?」

ケルベロス「お前、わいのことを誰に聞いたんや」ガルル

「さって、誰だったかな。忘れちまったよ」

ケルベロス「答えろ!」

「アタシは他人に命令されんのって大嫌いなの」

ケルベロス「なんやとっ!」

「なんだよっ!」

さくら「ほええ……、えっと、えっと」

さくら「あのっ!」

「あん?」

さくら「困ってたり助けて欲しいことってありませんか!?」

「はぁ……?」

ケルベロス「さ、さくらぁ……」

さくら「」ジィー…
58 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:06:05.33 ID:UHOAzSTX0
「とりあえず、コイツに睨まれて困ってる」

ケルベロス「こいつ!」

さくら「ケロちゃん」

ケルベロス「なんや、さくら」

さくら「元の姿に戻って」

ケルベロス「なっ! ……ほんまにええんか?」

さくら「うん」

ケルベロス「さくらが言うんならしゃーないわ……」

ケルベロス「お前、さくらに変なことしたら許さへんからな」

「……」

パァァァ!

ケロ「これでええか?」

さくら「ありがとう、ケロちゃん」

「……なんだ、話せばわかる相手じゃねえか」スチャ

さくら(よかった。槍、しまってくれた)ホッ

ケロ(わいの『元の姿』はあっちの方なんやけどなぁ)トホホ
59 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:07:04.23 ID:UHOAzSTX0
さくら「ケロちゃんのこと、黒っぽい魔法少女の子に聞いたの?」

「なんでそう思う?」

さくら「こっちの人でケロちゃんのおっきい姿はあの子しか見てないから」

「正解。アイツはアンタのことをイレギュラーだとか呼んで関わらないようにアタシに釘刺してきたけど」

「アタシにとってイレギュラーなのはアイツも同じだからね」

「どういう奴かはアタシが自分の目で見て判断するっての」

「で。アンタはどこから何しにきたんだ?」

さくら「その前に」

「ん?」

さくら「自己紹介。わたしは木之本 桜、友枝中学に通う一年生です」

「ぉ、おう。アタシは杏子ってんだ」

さくら「ケロちゃんも」

ケロ「……知っとるやろうけど。ケルベロスや」
60 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:10:08.05 ID:UHOAzSTX0
さくら「わたしはね、別の世界からきたの」

杏子「別の世界? 海外ってことか?」

さくら「ううん。壱原さんは多重世界って言ってたかな?」

さくら「漫画とかテレビのSFなイメージって言ったらわかる?」

杏子「どっちもあんま見ねえよ」

ケロ「わからんかったらとりあえず他所からきた人やと思っとき」

杏子「……で、その他所から何しに来たんだ?」

さくら「えっと、……人助け?」カナ?

杏子「なんでアタシに聞いてんだよ!?」

さくら「壱原さんって人に頼まれて、苦しんでる人がいるから助けてあげてって言われて」

杏子「ここにきたと? 別の世界から? 眉唾じゃねえか」

さくら「うー、でもでも、ほんとなんです!」

さくら「こっちの世界にも昨日きたばっかりでよくわからないし」

さくら「魔法少女とか、魔女とか使い魔とか、いろいろ教えて欲しいんですけど……」チラッ

杏子「あん? ちょっと待て、アンタは魔法少女じゃないのか?」

さくら「魔法は使えるけど、わたしは魔法少女じゃないよ」

さくら「カードキャプターなの」

杏子「かーど、きゃぷたー?」
61 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:11:21.56 ID:UHOAzSTX0
杏子「……アンタ、ソウルジェムは?」

さくら「?」

杏子「これだよ、これ」パァァ

さくら「わー、きれい……」

ケロ「っ!? お前これ……」

さくら「どうしたの、ケロちゃん?」

杏子「へぇ、アンタわかるんだ」

ケロ「これは人間の魂、そのものや」

さくら「え?」

杏子「アタシら魔法少女は人間じゃない」

杏子「身体から抜き出されたこのソウルジェムで操縦するロボットみたいなもんさ」

さくら「ほ、ほえええ!?」

ケロ「お前、なんでこんなことしたんや」

杏子「アタシだって望んでこんな身体になったわけじゃない。騙されたんだ、キュゥべえに」

ケロ「キュゥべえ、あの黒い嬢ちゃんが言うとった……」
62 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:14:08.63 ID:UHOAzSTX0
ケロ「なにもんや、そいつ」

杏子「ふぅ、ほんとに何も知らねえんだな」

杏子「こんな場所で立ち話ってのもなんだ、ついてこいよ」クイ

さくら「けど、アレが……。ぁ、いなくなってる」

杏子「使い魔のことか? とっくに逃げ出したよ」

杏子「てか、その話もしないといけねえのか……。チッ、めんどくせえ」

杏子「ほら、いくぞ」

さくら「あ、うん」

ケロ「(さくら、一応油断するんやないで)ヒソヒソ」

さくら「(わかった)ヒソ」
63 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/08(水) 09:21:38.76 ID:UHOAzSTX0
物語がちょっと進展
さすがあんこちゃん、ほむほむやさやかにはできないこと平気でやってのける!そこに(ry
てかこの時間帯で混雑ってありえねーだろ、システムバグってね?
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 14:46:55.62 ID:Pj+/Ij6co
乙ー

最近よく止められるよな
それを勘違いした重複書き込みも多いし
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 21:21:16.18 ID:lF1DVwMSO
おつあん
66 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:12:33.97 ID:dSDMYlOl0
――――――――
――――
――

杏子「ここで飯でも食いながら話そうぜ」

さくら「ファミレス?」

さくら「けど、わたしお金持ってなくて……」

杏子「なら、アタシがおごってやるよ」

さくら「いいの?」

杏子「ああ」

さくら「ありがとう、杏子ちゃん」

 :
 :
 :

店員「ご注文をお伺いします」

杏子「アタシはこの、『包み焼きハンバーグ』で付け合せはパンとスープ」

さくら「わたしは『ナポリタン』をお願いします」

店員「ご注文を繰り返します。――――以上でよろしいでしょうか?」

杏子「ああ」
67 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:14:06.56 ID:dSDMYlOl0
――――――――

――食後。

ケロ「うー、わいもなんか食べたいー!」ジタバタ

杏子「人形が飯食ってたら騒ぎになるだろ。っていうかお前も腹減ったりするのか?」ジットシテロ

ケロ「わいはなんも食わんでも平気やけど、うまいもんは食いたいねん」

杏子「ずいぶんと食い意地張ってやがんな」

杏子「いいぜ。クレープのテイクアウトがあるから帰りに買ってやるよ」

ケロ「ほんまか!? 最初会うた時はけったいな嬢ちゃんや思たけどなかなかええ子やないか」ニコニコ

さくら「ケロちゃんったら」クス

杏子「ったく、現金な奴だな」

杏子「さて、飯も食ったし。何から話したもんかな」

さくら「まず杏子ちゃんの、魔法少女のことを教えて欲しいな」

杏子「そうだな。アタシら魔法少女ってのは一言でいうと『魔女を狩る者』だ」

さくら「魔女を……」

杏子「魔女や使い魔ってのはこの世界に干渉して不可解な事故や自殺を引き起こす、天災みたいなもんだ」

杏子「アタシら魔法少女は願いを叶えてもらった代償としてそいつらを倒さなきゃならない」

さくら「願いを叶えてもらったって、誰に?」

杏子「キュゥべえって奴さ」
68 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:16:36.31 ID:dSDMYlOl0
杏子「キュゥべえってのはこんな感じの奴なんだが」

  ∧_∧
 //(・ー・)ヽ
/ノ ( uu ) ヽ)

さくら「わぁ、可愛いね」

杏子「見た目に騙されんじゃねえぞ、アタシや他の魔法少女をこんな……」パァァ

杏子「ソウルジェムなんてもんにしたのはこいつだ」

さくら「こんなに可愛いのに……」

杏子「願いを叶える。その代わりに魔法少女として魔女と戦って欲しい」

杏子「そう言ってアイツはアタシらに近づいてくる」

ケロ「そんで願いを叶えてもろたらその有様か」

杏子「あぁ。ぶっちゃけ、こんな風になったって知ったのも最近だ」

杏子「アイツは怪我ですぐに動けなくなる身体より、魔力で修復できるこっちの方が便利だろうなんて言ってたが」フン

さくら「そんな、ひどい……。元の身体には戻れないの?」

杏子「ああ。実際アイツが言ってることが正しいかどうかはわからねえけどな」

さくら「……」

ケロ「……」

杏子(そんな顔すんなよ……)

杏子(こっちは割り切ってんのに、これじゃアタシが『不幸』みたいじゃないか……)
69 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:18:25.65 ID:dSDMYlOl0
杏子「もう他に聞きたいことはないか?」

ケロ「ならわいから一つ」

杏子「なんだ?」

ケロ「グリーフシードってのはなんなんや?」

杏子「グリーフシードは魔女の卵みたいなもんだって聞かされてる」

杏子「アタシら魔法少女は魔法を使うとソウルジェムに穢れが溜まる」

杏子「で、ソウルジェムが完全に濁りきる前にその穢れをグリーフシードに移さなきゃならない」

杏子「けど、アンタらは魔法少女じゃないんだろ? グリーフシードは必要ないんじゃないか?」

さくら「昨日、魔女を倒した時にもらったの。あなたが倒した魔女のものだからって」

さくら「ケロちゃんと何に使うんだろうね、って話してたの」

杏子「魔女を倒した、って。さくらはそれなりに結構強いのか」

さくら「強い、のかな? 私の力って言うかカードさんのおかげだから」

杏子「カード……? 今度はさくらたちの話し聞かせなよ」

杏子「たしかカードキャプター、だっけ?」
70 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:20:44.77 ID:dSDMYlOl0
さくら「うん。カードキャプター、カードの捕縛者って意味なんだけど」

さくら「わたしの魔法はこのカードさんたちを使うの」ズラッ

杏子「ただのカードじゃねえな、魔力がこもってるみたいだが」ペラ

さくら「1枚1枚が生きててちゃんと意志があるの」

さくら「火(ファイアリー)なら炎が、水(ウォーティ)なら水が操れるの」

杏子「それが19枚。結構……いや、かなり万能じゃねえか?」

さくら「えへへ、そうかな?」テレテレ

ケロ「こう見えてさくらのおった世界でいっちゃん強い力持っとる魔術師やからな」エヘン!

杏子「はぁっ!? マジかよ!」

さくら「う、うん。一応」

杏子(もし、あのままやりあってたらアタシの方がヤバかったんじゃねえか?)

杏子「人は見かけによらないもんだな」

さくら「ほえ?」ポヤヤン
71 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:22:59.41 ID:dSDMYlOl0
杏子「じゃあ、次はアンタ。ケロすけ?」

ケロ「け、ケロすけ?! 封印の獣ケルベロス様に向かってケロすけやとぉぉぉ!?」

杏子「馬鹿! 声がでけえ!」

店員「」ジロリ

さくら「あ、あははは。杏子ちゃん、わたしの腹話術どうかな〜」アセアセ

さくら「なんでやねん、なんでやねん」

ケロ「」パクパク

杏子「お、おお。うめえなさくら!」

杏子「あ、店員さん? テイクアウトでクレープ一つ頼むよ!」

店員「……かしこまりました」

 :
 :
 :

――川原。

ケロ「もぐもぐ、うまいなぁこれ」ホクホク

杏子「ったくこいつは……」

さくら「あはは……」
72 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 00:29:25.73 ID:dSDMYlOl0
自重しないケロちゃん
話進んでるようで進んでない、ただの再確認パート(読者視点)
そろそろさやかのソウルジェム割ろうかなー?チラ
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/10(金) 00:32:17.87 ID:adJxtuxvo
つタイム風呂敷
74 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/10(金) 13:00:34.23 ID:dSDMYlOl0
ちょっとだけ訂正:
× 杏子「グリーフシードは魔女の卵みたいなもんだって聞かされてる」
○ 杏子「グリーフシードは魔女を倒せば手に入る魔女の卵みたいなもんだって聞かされてる」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/06/12(日) 22:17:59.16 ID:YnJ2tH440
アクタベさんくらい力付けるとさ、等価交換なんて嘘っ八って感じだよね。
自分にとって価値のあるものが相手にとって価値があるとは限らないんだし、寧ろ自分にとっての日常を得る為に無知な相手を破滅させる
方便としてしか機能していない。でなきゃ大統領1人殺せる悪魔からの呪いを解く対価が零したカレー(しかも共食い肉)なんて無理。

QBなんて最たるものでさ。文明への干渉なんて信じようも無い詭弁を弄してまで搾取をしようとする。対価は10日で絶滅しても屁でも
ない人間の浮き沈み。使い切れば後はどうでもいいんだから、そもそも等価という前提が成立しない。その辺は素人⇔魔術師間でも
割と成り立つのだが。

一行にすると「願いの施行者を対価引渡し無しで破滅させないと等価交換にはなり得ない」
てか中世の悪魔との取引って割と人間の知恵と主の思し召しで魔からの一方的搾取で終わってるのよね。
76 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:32:05.30 ID:iTg6YzMT0
杏子「で、ケルベロスはさくらの使い魔みたいなもんってことでいいのか?」

ケロ「位置づけとしてはそんなとこや。さくらは『なかよし』言うてくれるけどな」

杏子「アタシらの世界の使い魔とはずいぶんと違うんだな」

さくら「わたしの世界だと魔女って言うと魔法が使える女の人って意味だから」

さくら「広い意味だとわたしも魔女だし、魔法少女だと思うよ」

杏子「とりあえず、アタシらの世界だとさくらは魔女でも魔法少女でもないわけだ」

杏子「じゃあ、やっぱりアイツの言ってた通り何もする必要なかったってわけかよ」チッ

さくら「そういえば、杏子ちゃんはなんでわたしに会いにきたの?」

さくら「ほむらちゃんに聞いてきたんだよね?」

杏子「アタシら魔法少女は魔女と戦うためにもグリーフシードが必要って話しただろ?」

さくら「うん。グリーフシードを手に入れるためには魔女と戦わなきゃいけないんだよね?」

杏子「魔女ってのはどこにでもいるもんじゃないんだよ」

杏子「現れやすい場所に陣取ってそこで狩りをする、その方が効率がいいだろ?」

杏子「それでちょうど今、ここら辺の縄張りをかけて他の魔法少女と争ってるんだけど、そんなときにさくらが現れた」

ケロ「ほうほう、ライバルが現れたと思って顔見にきたっちゅうわけか」

杏子「ああ、その通り」

杏子「ほむらは相手にするなって言ってたけどな」
77 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:32:57.72 ID:iTg6YzMT0
杏子「そういや、さくらは人を助けにアタシらの世界にきたって言ってたよな」

杏子「誰を助けにきたんだ?」

さくら「それがそのー……」

杏子「ん?」

ケロ「誰かわからんくてなー」ハハハー

杏子「はい?」

さくら「壱原さんって人にこの世界で苦しんでる人がいるから助けてあげてって言われて」

杏子「誰を助ければいいかは聞かずきたと?」

さくら「うん……」ショボン

杏子「抜けてるというか、天然というか……」ククク

さくら「たぶん、わたしに頼んだってことはわたしにしかできないことだと思うから」

さくら「きっと魔法が関係してる人だと思って」

杏子「それであたしにあんなこと言ったのか」


さくら『困ってたり助けて欲しいことってありませんか!?』


杏子「困ってるっちゃあ困ってるけど……」

杏子「アタシは人の手を借りたいと思うほど困ってないかな」

さくら「そっかぁ……」

さくら「でもそれはいいことだよね、困ってないに越したことはないよ」ウン
78 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:34:27.77 ID:iTg6YzMT0
杏子「そうだ、魔女を倒してグリーフシードを手に入れたって言ってたよな?」

杏子「なら、アタシにそれくれないか? さくらには必要ないもんなんだろ?」

さくら「うん。でも他の人にあげちゃって」

杏子「人に? そいつも魔法少女なのか!?」エ!?

さくら「どうだろう? 変身してなかったからわからない、かな」

さくら「杏子ちゃんも魔法少女の姿に変身してる時しか魔力の気配がしないし」

さくら「その子の名前、さやかさんって言ってたよ」

杏子「さやかだって!?」ザッ

さくら「え、知り合いなの?」

杏子「あぁ、まぁな」

杏子「おそらくこの街の魔法少女の中で、今一番助けが必要な奴だよ」

さくら「えぇっ!!」

ケロ「なんやて!!」

杏子「グリーフシードも必要なくて、魔女も倒せる……」

杏子「確かに適任かもな、さくらは」
79 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:35:58.70 ID:iTg6YzMT0
さくら「どういうことなの?」

杏子「めんどくさい話だよ……」

杏子「魔女を倒せばグリーフシードが手に入るって言ったけど」

杏子「魔女の使い魔を倒してもグリーフシードは手に入らない」

杏子「けど、魔女だけじゃなく使い魔も人間を襲うんだ。さやかはそれを見過ごせないんだよ」

さくら「けどそれは……」

杏子「さくらはグリーフシードがなくても魔法が使えるからわからないだろうけど」

杏子「アタシらにとってグリーフシードの有無は死活問題なんだ」

杏子「魔法を使えばソウルジェムに穢れが溜まり、穢れが強くなると魔法が弱くなっていく」

杏子「そうしたら魔女にも勝てなくなっちまう……」

杏子「使い魔が人を襲うのは見逃して数人食って魔女になってから倒す」

杏子「そうしなきゃ魔法少女としてやっていけないって言ってるのにあの馬鹿ときたら」ブツブツ

さくら(そっか……。それでさやかさん、わたしに『使い魔』を倒すか質問したんだ)
80 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:36:43.23 ID:iTg6YzMT0
杏子「けど、それならさくらはもうさやかを助けたことになるんじゃないのか?」

杏子「グリーフシード、さやかにあげたんだろ?」

さくら「うん、でも怒らせちゃって……」

さくら「一度渡したんだけど受け取れないって言われて」

杏子「はぁ? なんだよそりゃ」

さくら「一応、押し付けるみたいな形で置いてきたんだけど」

さくら「きっと誤解を解かないと使ってくれないと思う」

杏子「アイツも頑固だからなぁ」

杏子「今夜、さやかに会えると思うから伝えてやるよ。さくらが会いたがってたって」

さくら「ならわたしも一緒に!」

杏子「やめときなよ。さやかってばすぐ頭に血が上るから直接顔を合わせたら話も聞かずに駆け出しかねない」

杏子「それにアタシ、今はほむらと一緒に行動してるからな」

杏子「アイツの言ったこと無視してさくらと会ったことばれたくないんだよね」

さくら「そうなんだ……」
81 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:37:53.39 ID:iTg6YzMT0
杏子「さくらはこっちの世界にきたばかりだって言ってたけど、泊まるあてはあるのか?」

さくら「ううん、お金もないし昨日はさやかさんがホテルに泊めてくれたけど」

杏子「ならアタシが泊まってるホテルにきなよ」

さくら「いいの? すごく助かるよ〜」

ケロ「よかったなぁ、さくら」

さくら「うん、ありがとう杏子ちゃん」

杏子「おう。さやかは今夜ホテルに連れていくか、明日どこかで待ち合わせさせるからさ」

さくら「わかった」

杏子「ちょっと早いけど、これからホテルに向かうか。道とかホテルの場所、わからないだろうしね」


さくら(はにゃーん、杏子ちゃんってほんといい子だなー)
82 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:39:10.85 ID:iTg6YzMT0
――――――――
――――
――

――杏子の宿泊ホテル。

ケロ「杏子もでかけてったし留守番してんの暇やー」ジタバタ

さくら「……」

ケロ「なぁさくらー、なんかして遊ぼうやー」パタパタ

さくら「……」ウーン

ケロ「さーくーらー?」

さくら「ほえ?」

ケロ「どないしたんや? ずいぶん考えこんどるみたいやけど」

さくら「うん、さやかさんがグリーフシードを使ってくれたとしてさ」

さくら「それで本当にわたしの人助けはおしまいなのかなって」

ケロ「というと?」

さくら「なんて言えばいいのかな……」

さくら「さやかさんがわたしがあげたグリーフシードを使ってくれても、魔女がいなくなるわけじゃないっていうか」

さくら「これからも戦っていくんだろうし、それなら助けられたっていえるのかな、って」

さくら「他にもソウルジェムのことも気になるし」

ケロ「うーん。そやなー」
83 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:40:54.59 ID:iTg6YzMT0
ケロ「さやかがグリーフシードをつこてこれからも戦い続けたら、またいつかグリーフシードが足りんくなる」

ケロ「使い魔を倒さんかったら誰かが被害に遭うてまう」

ケロ「仮にさくらが、さやかに当分平気なようにぎょーさん魔女を倒してグリーフシードやったとしたら」

ケロ「それはそれで他の魔法少女がグリーフシードを手に入れれんことになる」

ケロ「だからってさくらが一生この街で魔女狩って過ごすわけにもいかへんやろ?」

さくら「うん、それはいやだよ……」

さくら「お父さんやお兄ちゃん、知世ちゃんや学校の友達に月(ユエ)さん……」

ケロ「それに小僧にも会えへんようなるしな」

さくら「小狼くん……」

ケロ「正直、わいはこの世界のことはこの世界で解決するしかないと思うで?」

ケロ「本来、こうやってわいらがここにおること自体がおかしいんや」

ケロ「さくらは薄情やと思うかも知れへんけども……」

さくら「ううん、ケロちゃんのことそんな風に思ったりしないよ」

さくら「ケロちゃんはわたしのことが心配なんだよね」

さくら「何か、気なること全部解決できそうなすごい案とか見つからないかな……」

ケロ「うーん……」

さくら「うーん……」
84 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/14(火) 22:47:00.15 ID:iTg6YzMT0
旅の目的発見?
まだ少し書き溜めあるけどもうすぐなくなる・・・
間空けてごめんなさい、二日前後ぐらいでまたきます
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 22:50:09.56 ID:p2UhmveV0
乙でしたー
あんこちゃんはやっぱり面倒見が良いな
しかし、さくらお嬢はこの世界のシステムに気付いてしまうのか??
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagasage]:2011/06/16(木) 01:46:46.75 ID:XpEg38BG0
おつおつ
87 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 02:58:04.71 ID:OGeG1fAe0
――――――――

その少女は使い魔を狩っていた。

さやか「うああああああ!!」

誰かを守るためでもなく、自分のためでもなく、
ただ、ていよく怒りをぶつける対象が見つかったから。

さやか「はぁ……はぁ……」

さやか「仁美……、恭介……」ギリリ

カツン

不意に聞こえた足音にはっとなり、音がした方向へと目を向ける。

ほむら「どうしてわからないの?」

ほむら「余裕がないのなら魔女だけを狙いなさい」

さやか「転校生か……」

現れたのは黒の魔法少女。

ほむら「使いなさい。ソウルジェムはもう限界のはずよ」カラン

ほむらが投げたのはグリーフシードと呼ばれるもの。
それは2度ほどバウンドした後転がりさやかの足元で停止する。

さやか「……いならいわよ。あんたの施しなんか受けない」カン

さやかは僅かに一瞥した後、転がってきたグリーフシードを蹴り返す。

さやか「あいにくと、まだストックは残ってるからね」
88 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:03:35.42 ID:OGeG1fAe0
ほむら「そんな強がりに何の意味があると言うの?」

ほむら「あなたこのままだいけば……」

さやか「これ。見える?」スッ

ほむら「それは、グリーフシード……。あなたいつの間に」

さやか「これでわかったでしょ、あんたの施しなんか受けなくても大丈夫だって」

ほむら「ならそれを早く使いなさい。ソウルジェムが限界なことは変わらないでしょう」

さやか「グリーフシードをあたしがいつ使おうと勝手、転校生は黙っててくれる?」

さやか「あたしはさ、あんたたちとは違う魔法少女になるって決めたんだ」

さやか「誰も見捨てない、利用しない、見返りも求めない」

さやか「それであたしが魔女を殺せなくなったら、あたしは用済み」

さやか「魔女に勝てないあたしなんて、この世界に必要ないのよ」

ほむら「……」

ほむら「私はただ……、あなたを助けたいだけなのに」

ほむら「どうして信じてくれないの?」
89 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:04:04.08 ID:OGeG1fAe0
さやか「あんたが嘘つきだからだよ」

ほむら「っ……」

さやか「あんた、何もかも諦めた目をしている」

さやか「いつも空っぽの言葉を喋ってる」

さやか「本当はあたしのためとか言いながら全然別のこと考えてるでしょ?」

さやか「誤魔化しきれるもんじゃないよ、そういうのって」

ほむら「……」

ほむら「……そう」

ほむら「あたなって、鋭いわ」

さやか「!」

ほむら「ええ、図星よ」

ほむら「私はあなたを助けたいわけじゃない」

ほむら「あなたが破滅していく姿をまどかに見せたくないだけ」

ほむら「全てはあの子の為なのよ?」
90 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:04:55.96 ID:OGeG1fAe0
ほむら「ここで私の言葉を拒むならどうせあなたは死ぬしかない」

さやか「ッ!?」ゾク

ほむら「これ以上まどかを悲しませるくらいなら……」

ほむら「いっそこの場で私が殺してあげるわ」

ほむら「美樹さやか!」

放たれる殺気。
ほむらの手が左手に装備された盾の内側へと伸びていく。

ガシッ。

ほむら「!?」

杏子「何やってる! さっさと逃げろ!」

さやか「……!」タッ

咄嗟に走り出すさやか。

杏子「正気かテメェは! アイツを助けるんじゃなかったのかよ!」

ほむら「くっ……、離して!」

杏子「どうやらこの状態だとあの妙な技も使えないみたいだな?」フン

ほむら「この……」ピィン

杏子「うぇ!? ば、ばくだっ」
91 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:07:08.27 ID:OGeG1fAe0
杏子はほむらがどこからともなく取り出した手榴弾を目にし、
ほむらを押さえる手を離すと咄嗟に伏せて頭を抱える。

カッ!!

辺りは激しい閃光と爆音に包まれる。
しかし、それ以上の被害はなく杏子はそっと頭を上げてみる。
辺りには誰一人おらず、スタングレネードの残骸が残っているだけだった。

杏子「くそっ、逃げられたか……」

杏子「いや、今はほむらよりさやかを追わねぇと」

――――――――

さくら「杏子ちゃん戻ってこないね、ケロちゃん……」

ケロ「子どもが外歩くには遅すぎるわ」

さくら「魔女に襲われたりしてないといいんだけど」

さくら「わたしなんだか心配になってきちゃった。探しに行ってくるよ!」

ケロ「探しに行く言うたかてどこ向かう気や」

ケロ「わいらはここの地理にも詳しくないし、もしかしたら行き違いになるかも知れん」

ケロ「心配なんはわかるけど……」

『……ぃ! おい! 聞こえるか、さくら! ケルベロス!』

さくら「ほえ!? この声、杏子ちゃん?」

杏子『ラッキー、魔法少女相手じゃなくてもテレパシーは使えるみたいだな』

ケロ「念話か? 無事やったんやなぁ。帰りが遅いから心配しとったとこや」
92 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:08:32.27 ID:OGeG1fAe0
杏子『アタシが魔女にやられたとでも思ったか? これでもベテランだぜ』フン

杏子『そんなことより、二人とも出てきてくれねえか?』

さくら「どうかしたの?」

杏子『すまねえ、さやかの説得に失敗した』

ケロ「あちゃあ」

杏子『何かあったみたいで精神的にまいってるらしいんだ』

杏子『それで走って逃げちまってよ』

さくら「わかった。すぐそっちに行くよ、今どこにいるの?」

杏子『外まで出てきてくれればいい。こっちも、もうすぐホテルの前に着く』

さくら「了解」タッ

――――――――

――ほぼ同時刻、噴水のある公園。

「どこにいるの? さやかちゃん……」

「今日も見つからなかった……」フラ…

トッ

「君も僕のことを恨んでいるのかな、まどか」

まどか「キュゥべえ……」

まどか「あなたを恨んだらさやかちゃんを元に戻してくれるの?」

キュゥべえ「無理だ。それは僕の力の及ぶことじゃない」
93 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:09:00.21 ID:OGeG1fAe0
まどか「……ねぇ、前に話してた私がすごい魔法少女になれるって話、本当なの?」

キュゥべえ「すごいなんていうのはひかえめな表現だ」

キュゥべえ「おそらく世界で最強の魔法少女になるだろう」

キュゥべえ「望めば万能の神にだってなれるかもしれない」

キュゥべえ「なぜ君がそれほどまでの素質を持っているのか、理由は僕にもわからないけどね」

まどか「キュゥべえにできないことでもわたしならできるのかな……」

キュゥべえ「?」

まどか「わたしがキュゥべえと契約したら、さやかちゃんの身体を元に戻せるのかな」

キュゥべえ「造作もないことだよ」

キュゥべえ「君にとってそれは魂を差し出すに足るものなのかい?」

まどか「……うん。さやかちゃんのためなら、いいよ」

まどか「わたし、魔法少女に」

パァン!

気付けばキュゥべえと呼ばれた人形のような小動物のようなそれは、
音ともに弾け無残な姿へと成り果てていた。

まどか「ひっ――!」

まどかと呼ばれた少女は思わず口元を押さえ無残な破片から目をそむける。
94 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:09:37.96 ID:OGeG1fAe0
ほむら「鹿目、まどか……」カシャン

まどか「ほむらちゃん……?」

まどか「その銃……、ほむらちゃんがやったの?」

まどか「ひどいよ、なにも殺さなくたって」ガタッ

ほむら「あなたは……ッ!」

ほむら「いい加減にしてよ! 勝手に自分を粗末にしないで!!」

ほむら「あなたを失えば悲しむ人がいるってどうして気付かないの?」

ほむら「あなたを守ろうとしてた人はどうなるの!?」

まどか「……」

まどか「それって……、ほむらちゃんのことなの?」

ほむら「!」

まどか「わたしたちって、どこかで会ったこと……、あるの?」

まどか「ここじゃない、どこかで」

ほむら「そ……、それは……っ」
95 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:10:39.80 ID:OGeG1fAe0
まどか「……」

まどか「ごめんね、わたしさやかちゃんを探さないと」タッ

ほむら「待って! 美樹さやかはもう……!」

ほむら「あ……」ガクッ

トトッ……

「……無駄なことだとわかってるくせに。懲りないんだなぁ君も」

――――――――
――――
――

とある電車の中で二人の男たちが会話をしていた。
話の内容は聞くに堪えないようなことばかり。

もし、あなたに世界を守る魔法みたいな力があるとして、
この会話を聞いた直後にこの世界に守る価値が『ある』と、断言できるだろうか?

彼女は……、美樹さやかは――。

さやか「ねぇ、この世界って守る価値あるの?」

さやか「あたし何のために戦ってたの?」

さやか「教えてよ……」

さやか「今すぐあんたが教えてよ」

さやか「でないとあたし、どうにかなっちゃうよ?」

ガタンガタン、ガタンガタン……
96 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:11:07.10 ID:OGeG1fAe0
――――――――

さくら「翔(フライ)! わたしは空から探すから、杏子ちゃんは下からお願い」ピューン

杏子「了解。つーか、さくらは羽生やして空も飛べるのかよ……」

ケロ「さくらー、そのままやったら下から丸見えや。騒ぎになるで!」

さくら「それじゃあ……」

さくら「我が姿を星々の幻影で隠せ、幻(イリュージョン)!」

キラキラ……

さくら「これでわたしの姿は見えないはず……」

さくら「ねぇケロちゃん、わたしなんだか胸騒ぎがするの」

ケロ「さくら?」

さくら「ソウルジェムの穢れが限界だったって杏子ちゃんは言ってたけど……」

さくら「ソウルジェムってその人の魂なんだよね?」

さくら「それに穢れが溜まるってよくないことだと思うの」

ケロ「杏子は魔法が使えんくなるくらいにしか考えてなかったみたいやけど、相当まずいはずやわ」

ケロ「意地かなんか知らんけど、さくらのやったグリーフシードつこてくれてると助かるんやが……」

さくら「さやかさん。お願い、無事でいて……」
97 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/17(金) 03:17:33.32 ID:OGeG1fAe0
場面転換多くてすみません、半分以上原作コピペっす
そろそろ100だってのにまださやかも救えてないとか・・・
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/17(金) 10:50:40.59 ID:uLNGpkFIO
面白い。続けてね。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 12:10:52.51 ID:fGefjMsSO
乙乙

どうにかして魔女化をくいとめられればいいけどな…
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 13:03:33.72 ID:3x9WUGUDO
100記念
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/06/17(金) 13:12:06.53 ID:7VKtN1kAO
侑子さんが交換宣言したし正直無理だろうなぁ…TUBASA/HOLICは確か「大丈夫だけどなんとか出来ずに殺された」世界だし…
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/18(土) 00:26:18.49 ID:Ctqo9RI+o
お疲れ様でした
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/18(土) 03:45:47.74 ID:NJx3BTIB0
もしかして漫画版?
だとしたらショウさん殺っちゃった?
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/18(土) 04:29:35.70 ID:NJx3BTIB0
ごめん・・・間違ってsagaって打ってた
105 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:53:59.92 ID:8zN+MrmJ0
――――――――
――――
――

――さやか捜索からおよそ30分。

杏子『いたぞ!』

さくら「ほんと、杏子ちゃん?」

杏子『ああ、駅のホームだ』

さくら「えっと……、見えた!」

さくら「杏子ちゃん待ってて、すぐ降りるから」

――――――――

さやか「……」

さくら「……さやかさん」

杏子「……やっと見つけた」

さやか「さくらちゃんに、杏子……」

さやか「そっか、さくらちゃんは杏子の仲間だったんだ……」

杏子「ばっか、ちげえよ。そもそもさくらは……」

さやか「いいよ、別に言い訳なんかしなくても」

さやか「もう、どうでもよくなっちゃったし」

杏子「!?」ゾクッ

さくら「!?」ゾクッ

ケロ(なんやこの気配は……!)
106 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:55:44.35 ID:8zN+MrmJ0
さやか「結局あたしは一体何が大切で、何を守ろうとしてたのか」

さやか「なにもかも、分けわかんなくなっちゃった」スッ

杏子「ソウルジェム……、真っ黒じゃねえか」ゴクッ

さやか「そういえばさくらちゃん、グリーフシード忘れてったよね」

さやか「私にはもう必要ないし、返すね」ポン

さくら「違うの、わたしは……」

杏子「貸せッ! いいんだよ、こいつは魔法少女じゃないんどころか」

杏子「そもそも魔法少女が何かもわかってなかったんだから……」

杏子「これはアンタが使えばいいんだよ。ほら……」

杏子はさくらが手渡されたグリーフシードをひったくると力付くでさやかのソウルジェムにくっつける。
本来ならこれでソウルジェムに溜まった穢れを移すことができるのだが……。

杏子「どういうことだ……、穢れが祓えねえだと?」

さやか「言ったでしょ、『もう必要ない』って」
107 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:56:38.72 ID:8zN+MrmJ0
さやか「希望と絶望のバランスは差し引きゼロだって話、今ならよくわかるよ」

さやか「確かにあたしは何人か救いもしたけど、その分心には恨みや妬みが溜まって」

さやか「一番大切な友達さえ傷つけて……」

杏子「アンタ……」

さやか「誰かの幸せを祈った分、誰かを呪わずにはいられない」

さやか「あたしたち魔法少女ってそういう仕組みだったんだね」

さくら「……」


さやか「あたしって、ほんとバカ」


ピシッ! パキン

ゴオオオオオオォォォ


さくら「きゃっ、さやかさん!」

杏子「なっ!? さやかああああああ」
108 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:57:06.83 ID:8zN+MrmJ0
キュゥべえ「この国では成長途中の女性のことを、『少女』って呼ぶんだろ?」

キュゥべえ「だったら、やがて『魔女』になる君たちのことは……」

キュゥべえ「『魔法少女』と呼ぶべきだよね」
109 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:58:12.52 ID:8zN+MrmJ0
さやかのソウルジェムにひびが入り、割れてしまったかと思った次の瞬間、
さくらと杏子を突如吹き荒れた強風が襲った。
思わず目を閉じた二人が再び目を開けたとき、周囲はすでに異常な空間。
三人は魔女の結界に取り込まれてしまったのだ。

さくら「一体何が……」

杏子「くそっ、何なんだよこれは」

目を開けた二人の目に最初に飛び込んできたのはさやかともう一つ、巨大な魔女の姿。
杏子は咄嗟に意識を失っているらしいさやかを抱きかかえバックステップで距離をとる。

杏子「テメェ、さやかに何をしやがった!」

アアアアアアァァァ!!

杏子の問いに魔女は答えない。
ただ、悲鳴のような叫び声をあげるだけ。

ケロ「そんな、あほな……。魂が、変質しおったやて!?」

さくら「ケロちゃん! どういうことなの?」

ケロ「さやかの身体からは魂が感じられやん、抜け殻同然や……」

杏子「なんだと!?」

ケロ「そして、あいつが……」
110 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:58:58.58 ID:8zN+MrmJ0
ケルベロスが何かを大事なことを言いかけたところで、魔女がその腕を振り上げ攻撃の姿勢をとる。

「退がって!」

杏子「!」

さくら「!」

そして突然背後から聞こえてきた少女のものと思われる声。

ドン!

さらに追って聞こえてきたのは、今度は前方で起こった爆発の音だった。

アアアァァァアアァ!!

ほむら「二人とも掴って」

杏子「お前!」

ほむら「いいから早くなさい。それとその飛んでいる黄色い人形、あなたも私にしがみつきなさい」

さくら「はい!」グッ

杏子「チッ!」グッ

ケロ「おう!」ヒシッ

キュイィィィ! カチッ!
111 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 20:59:40.65 ID:8zN+MrmJ0
さくら「わっ……!」

杏子「こいつは……!」

ほむら「気をつけて。手を離せばあなたたちの時間も止まってしまう」

タッタッタッタッ……

杏子「どうなってんだよ……。あの魔女は何なんだ!?」

ほむら「かつて『美樹さやかだったモノ』よ」

ほむら「あなたたち、見届けたんでしょう?」

さくら「っ! そんな……」

杏子「くっ……」

ケロ「嬢ちゃんは知っとったんか、こうなることを……」

ほむら「……ええ」
112 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:00:28.82 ID:8zN+MrmJ0
杏子「……逃げるのか?」

ほむら「ならばあなたたちはアレと戦えるの?」

杏子「それは……」

さくら「っ……」

ほむら「いったん退くしかないわね」

ブワッ

ほむら「結界の外よ」

まどか「ほむらちゃん!? それに杏子ちゃんに、さやかちゃんも……」

ほむら「ッ!? 鹿目、まどか……」

杏子「あ……」

さくら「……」

まどか「さやかちゃん! どうしたの?」

まどか「ソウルジェムは? ねぇ、さやかちゃんっ!」ユサユサ

さやか「」


ほむら「彼女のソウルジェムはグリーフシードに変化した後、魔女を産んで消滅したわ」
113 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:01:12.42 ID:8zN+MrmJ0
まどか「…………」

まどか「嘘……だよね……?」

ほむら「事実よ。この宝石が濁り黒く染まる時……」

ほむら「私たちはグリーフシードとなり魔女として生まれ変わるの」

まどか「そんな……どうして!?」

まどか「だってさやかちゃんは……」

まどか「魔女から人を守りたいって、正義の味方になりたいって」

まどか「それで魔法少女になったんだよ!? なのに……」

ほむら「その祈りに見合うだけの呪いを背負い込んだまでよ」

ほむら「誰かを救った分だけこれからは誰かを呪いながらあの子は生きていくの」

ほむら「今度こそ理解できたわね」

ほむら「あなたが憧れていたものの正体がどんなものか」
114 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:01:44.09 ID:8zN+MrmJ0
まどか「っ……ぅううあぁ……っ」

ほむら「わざわざ死体を持ってきた以上扱いには気をつけて」

ほむら「迂闊なところに置き去りにすると、後々厄介なことになるわよ」

杏子「な……。お前、それでも人間かよ!?」

ほむら「もちろん違うわ」

ほむら「あなたたちもね」

杏子「……っ。くそッ……!」

さくら「……」

ケロ「……」
115 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:03:10.71 ID:8zN+MrmJ0
――――――――

さくら(わたしたちはまどかさん――名前は杏子ちゃんに聞きました――と別れ……)

さくら(さやかさんの身体を持ってホテルまで帰ってきました)

さくら「……」

杏子「悪いな、死体と同じ部屋で……」

さくら「杏子ちゃんまでそんな言い方しないで!」

杏子「……あぁ、悪かった……」

さくら「ねぇケロちゃん。さやかさんを元に戻せないかな……」

ケロ「元々、魂が抜き出されてソウルジェムなんてものになっとる時点でおかしいんや」

ケロ「それがさらに変質してあないなことになってしもたら、いくらなんでも……」

さくら「そう、なんだ……」

さくら「……」

ケロ「……」

杏子「……」
116 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:04:24.35 ID:8zN+MrmJ0
キュゥべえ「……こんばんは、少しいいかな」

さくら「な、なに!?」

ケロ「!?」

杏子「ッ!! テメェ、どの面下げて……」

キュゥべえ「さくら、と言ったかい? 君に話があってきたんだ」

さくら「わたし……?」

キュゥべえ「単刀直入に聞こう。君と、その隣の黄色い君は何者なんだい?」

さくら「わたしは……」

パァァァ!

ケルベロス「人にモノ尋ねるときはまず自分から名乗るもんやろ」ガルル

キュゥべえ「……驚いた、君は変身できるんだね」

ケルベロス「魂のないその身体、式紙の類か……」

キュゥべえ「しかも一目見ただけでそこまで把握できるなんて、実に興味深いね」
117 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:05:05.44 ID:8zN+MrmJ0
キュゥべえ「僕の名前はキュゥべえだよ。これでいいかい?」

ケルベロス「おまえが……」

さくら(確かに、杏子ちゃんが描いた絵に似てる……)

キュゥべえ「僕は名乗ったよ、今度は君たちのことを教えてくれないかい?」

さくら「わたしの名前は木之本 桜。こっちはケロちゃん」

ケルベロス「ケルベロスや」

さくら「それでわたしたちは、」

ケルベロス「待てさくら。お前はわいらに何が聞きたいんや?」

キュゥべえ「そうだね。とりあえず、君たちがどこから来て何しにきたのかが知りたいかな」

ケルベロス「なら先にお前が同じこと喋らんかい」

キュゥべえ「ふぅ……。わかったよ」

キュゥべえ「僕は他の星から来た、君たちからすれば宇宙人という奴だね」

杏子「はっ!?」

さくら「うちゅう、じん?」

ケルベロス「……」
118 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:06:15.74 ID:8zN+MrmJ0
キュゥべえ「そうさ。そしてその目的はね、宇宙の寿命を延ばすことにあるんだ」

キュゥべえ「君たちはエントロピーという言葉を知っているかい?」

さくら「」フルフル

キュゥべえ「簡単に例えると焚き火で得られる熱エネルギーは気を育てる労力と釣り合わないってことさ」

キュゥべえ「エネルギーは形を変換するごとにロスが生じる」

キュゥべえ「宇宙全体のエネルギーは目減りしていく一方なんだ」

キュゥべえ「だから僕たちは熱力学の法則にとらわれないエネルギーを探し求めてきた」

キュゥべえ「そうして見つけたの魔法少女の魔力だよ」

杏子「!!」

キュゥべえ「僕たちの文明は知的生命体の感情をエネルギーに変換するテクノロジーを発明したんだ」

キュゥべえ「ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかったからね」

キュゥべえ「宇宙のさまざまな異種族の中から君たち人類を見出したんだ」

キュゥべえ「そして、一人の人間が生み出す感情エネルギーはその固体が誕生し成長するまでの、」

ケルベロス「……もうええわ。大方予想はついた」

キュゥべえ「そうかい? 君たちのことを教えてくれるのなら僕はそれでも構わないよ」

ケルベロス「こんな気分の悪い話、さくらに聞かせたない」

さくら「ケロちゃん……?」
119 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:08:16.09 ID:8zN+MrmJ0
ケルベロス「教えてもろた礼にわいらのこと教えたるわ」

ケルベロス「わいらは人に頼まれて他所の世界から人助けにきたカードキャプターとそのお供や」

キュゥべえ「ずいぶんと抽象的な答え方をするんだね。それはわざとなのかな?」

ケルベロス「言うた通りに受け取ってくれたらええ」

ケルベロス「ぶっちゃけ、わいらも誰を助けたらええか聞かんときてしもて困っとるくらいや」

キュゥべえ「どうやら僕は、直接君たちに会う前から嫌われていたみたいだね」

ケルベロス「人の魂いじくる奴にええ印象持つ奴なんかおらへんわ、とっとと失せろ」

キュゥべえ「そうかい。一応聞いておきたいんだけど……」

キュゥべえ「さくら、君は僕と契約して魔法少女になる気はないかい?」

ケルベロス「お前ッ……!」ガルル

さくら「……」

キュゥべえ「すでに別の力を持っているみたいだけど、力が多くて困ることもないだろう?」

キュゥべえ「契約してくれたら君の願いをなんでも一つだけ叶えてあげられるよ?」

キュゥべえ「君の才能ならかなりの無理難題でも叶えられそうだ」

キュゥべえ「代わりに魔女と戦ってもらうことになるけどね」

さくら「……」
120 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:09:30.13 ID:8zN+MrmJ0
さくら「わたしは契約しません」

さくら「あなたと契約したら、大事なものを失ってしまうから……」

キュゥべえ「そうかい。気が変わったらいつでも呼んでよ」

キュゥべえ「それじゃあ、僕はこれで」

杏子「待ちな」

キュゥべえ「? 何か用かい? 杏子」

杏子「……こいつのソウルジェムを取り戻す方法はあるのか?」

キュゥべえ「ないね。『僕の知る限りでは』」

杏子「『知る限りでは』だと?」

キュゥべえ「魔法少女は条理を覆す存在だ」

キュゥべえ「君たちがどれほどの不条理を成し遂げたとしても驚くに値しないよ」

杏子「できるんだな?」

キュゥべえ「前例はないね。悪いけど助言しようがない」

杏子「フン、いらねーよ!」

杏子「誰がテメェの手助けなんか借りるもんか……」

キュゥべえ「じゃあ、今度こそ僕は帰るよ」

キュゥべえ「バイバイ。杏子、さくら、ケルベロス」

杏子「ちっ」

さくら「……」

ケルベロス「」

パァァァ

ケロ「フン」
121 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/19(日) 21:17:08.14 ID:8zN+MrmJ0
絶対大丈夫、そう思っていた時期が私にもありました
砕けるソウルジェム、未知との遭遇、危険なお誘い
この世界に来てわずか二日でいろいろなことを知りさくらちゃんの頭の中ぐちゃぐちゃだろうね
>>103
セリフは基本漫画の方から、でもアニメと大して変わってないと思ったけど?
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/19(日) 21:24:54.09 ID:V0xwX9ZOo
なんでもさやかさんは、アニメ版ではショウさんたちを殺さなかったけど、
コミック版では殺害した・・・・・・そうです。
脚本家さんあたりは殺しても殺さなくてもどっちでもいいよ、みたいな考えだったとか。
123 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/06/19(日) 21:32:06.36 ID:8zN+MrmJ0
ほうほう。俺もぶっちゃけどっちでもいいけど、せっかくだしせめて死人は出てない方向で
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/21(火) 20:30:09.37 ID:s+uvcRKAO
さくらとまどか、どっちの方が素質あるの?
125 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/06/22(水) 07:18:07.98 ID:c9LX3S5r0
>>124
さくらちゃんじゃ神(概念)にはなれないけど国一つくらいなら左右できるぐらい、だろうか?
ループなしの純粋な素質ならトップクラスってことで

今夜にでもオクタヴィア編終結まで投下します
126 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:17:59.70 ID:c9LX3S5r0
――翌朝。

てくてくてく……。

仁美「まどかさん、今朝は顔色が優れませんわよ? 大丈夫ですの?」

まどか「うん……、ちょっと寝不足でね」

仁美「それにしても、今日もさやかさんはお休みかしら」

仁美「あとでお見舞いに行くべきでしょうか……?」

仁美「でも、私が行っていいのか……。今、ちょっとさやかさんとはお話しづらいんですの」

まどか「仁美ちゃん、あのね……」

杏子『昨日の今日で、のん気に学校なんて行ってる場合かよ』

まどか「ぁっ!」ピタ

仁美「まどかさん?」

まどか「……」

杏子『ちょっと話があるんだ。顔貸してくれる?』

まどか「……仁美ちゃん、ごめん。今日はわたしも学校お休みするね!」タッタッタッ

仁美「え!? そんな、まどかさんちょっと……!」
127 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:18:51.70 ID:c9LX3S5r0
――――――――
――――
――

まどか「あの、話って……」

杏子「美樹さやか、助けたいと思わない……?」

まどか「っ! 助けられるの!?」

杏子「わかんねーよ」

杏子「でもさ、あたしは助けられないってわかるまで諦めたくないんだ」

杏子「バカかって思われるかも知れないけどね」

まどか「……」

杏子「アイツは魔女になっちまったけど友達のアンタが呼びかければ……」

杏子「もしかしたら人間だった頃の記憶を思い出すかもしれない」

杏子「だから、それをアンタに頼めないかと思ってさ……」

まどか「それって……」

杏子「案外さ、あの魔女を真っ二つにしたらさ、中からソウルジェムが出てきて万事解決! とかさ」

杏子「そういうもんじゃん? 最後に愛と勇気が勝つストーリーってのはさ」

杏子「思えばアタシもそーゆうのに憧れて魔法少女になったんだよね」

杏子「さやかはそれを思い出させてくれたんだよ」
128 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:19:39.85 ID:c9LX3S5r0
杏子「無理強いはしないよ? アンタを守りきる保障もできないし……」

まどか「……ううん、手伝わせて欲しい」

まどか「あたし、鹿目まどか」スッ

杏子「!」

杏子「……はは。調子狂うなぁ、もう」

杏子「佐倉杏子だ、よろしくね」ポン

まどか「……」

まどか(握手しようと手を差し出したらうまい棒貰っちゃった……)

杏子「さやかの居場所はもうわかってるんだ。さぁ行くよ」

まどか「あ、うん」
129 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:31:15.57 ID:c9LX3S5r0
――――――――

てくてくてく……

まどか「ほむらちゃんも手伝ってくれないかな……」

杏子「アイツは駄目だ。そーゆうタマじゃない」

まどか「友だちじゃないの?」

杏子「違うね。利害の一致でつるんでるだけさ」

まどか「そうなんだ」

杏子「……もうすぐさやかのいる結界だ」

杏子「その前に一つ、まだ言ってないことがあるんだけど」

まどか「何かな?」

杏子「ほむらの奴は手伝ってくれないが、一人……いや二人か」

杏子「強力な助っ人がいるんだ」

まどか「助っ人? わたしの知ってる人なの?」

杏子「昨日、アタシと一緒にいた同い年ぐらいのがいただろ」

杏子「ほれ、あそこでこっちに向かって手を振ってる」

さくら「――」フリフリ

まどか「あの子が……」
130 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:32:34.12 ID:c9LX3S5r0
さくら「初めまして、木之本 桜です」

まどか「初めまして、鹿目まどか……です」

まどか「……さくらちゃんも魔法少女なの?」

さくら「うーん、ちょっと違うんだけど」

さくら「説明すると長くなるし、今は似たようなものって思ってくれれば」

まどか「そっか」

まどか「でも、助っ人は二人って言ってたけど、もう一人は……」チラッ

さやか「」

まどか「さやかちゃんの身体、とか……?」

杏子「違うよ。もう一人ってのは」クックッ

ケロ「こにゃにゃちわー!」バァ

まどか「わぁっ!?」
131 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:34:15.58 ID:c9LX3S5r0
さくら「ケロちゃん、まどかさんを驚かせちゃだめだよ」メッ

ケロ「いやぁ、スマンスマン」

まどか「ぁ、あなたは……?」

ケロ「わいはケロベロス、さくらの守護者の一人や」

まどか「キュゥべえとは……」

ケロ「なんも関係あらへん。あんなけったいな潰れ饅頭と一緒にせんといてや」

まどか「えっと、ごめんなさい?」

杏子「とまぁ、この二人がさっき言ってた助っ人だ」

杏子「さくら、結界の見張りご苦労様」

さくら「うん」

杏子「さぁ、パーティも揃ったことだし、お姫様の救出と参りますか」

まどか「さやかちゃんの身体は、どうするの?」

杏子「おっと危ねえ、忘れるとこだった。アタシが背負うよ」ヨイショ
132 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:36:58.77 ID:c9LX3S5r0
杏子「それじゃ改めて、と。頼むよさくら」

さくら「うん。封印解除(レリーズ)!」

まどか「キーホルダーが杖に……!」

さくら「えい!」ブン

カッ

さくらは封印解除した杖を何もない壁に向かって振り下ろす。
すると壁は歪み、一瞬だがまるで天井が床に、床が天井になったような錯覚にとらわれた後、
気付けばその場にいた全員は魔女の結界に取り込まれていた。

杏子「行くよ」カツン

まどか「ぅ、うん」チラ

さくら「……」ニコ

ケロ「……」パタパタ
133 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:54:18.14 ID:c9LX3S5r0
――――――――

テクテクテク……

まどか「……ねぇ杏子ちゃん、さくらちゃん」

杏子「あ?」

さくら「ほえ?」

まどか「いつも誰かに戦わせてばっかりで何もしないわたしって、やっぱり卑怯なのかな」

さくら「……?」チラリ

杏子「なんでアンタが魔法少女になるわけさ?」

まどか「なんでって……」

杏子「……舐めんなよ」

まどか「!」

杏子「この仕事はお遊びじゃねーんだ」

杏子「幸せ家族に囲まれて何の不自由もなく暮らしてる奴がさ」

杏子「ただの気まぐれで魔法少女になろうなんて、そんなのアタシが許さない」

まどか「……」

杏子「……あんただって」

杏子「いつかは命がけで戦わなきゃならない時がくるかもしれない」

杏子「その時になって考えればいいんだよ」

まどか「……うん」
134 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:55:43.29 ID:c9LX3S5r0
さくら「……」テクテク…、ピタ

言葉数少なく歩き続けていた一行の足がピタリと止まる。
彼女らの前には映画館にあるような重たい扉が立ちふさがっていた。

杏子「……行くぞ。覚悟はいいな?」

コクリ。

その場にいた全員がゆっくりと首を縦に振る。
杏子が先陣を切り扉に蹴りを入れる。

ギィィィ、ゴォッ!

ここにくるまで、すでに現実離れした場所だと思っていたが
扉の先は輪をかけて異常な空間が広がっていた。

楽器を演奏する小人たちに、それを指揮する小人。
音楽にあわせてバレエのような踊りを披露する小人。
そしてその中心にいるのが人魚の魔女、美樹さやかの成れの果て――。

キィアアアアアァァァ!!

まどか「あれが、さやかちゃんなの……?」ゴクリ

杏子「あぁ。昨日より瘴気が増してやがるな……」
135 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:58:00.63 ID:c9LX3S5r0
杏子「さやか、お前はここで待っててくれ」ヨイショ

さくら「盾(シールド)!」

杏子はここまで背負ってきていたさやかの身体を床に下ろすと
そこへさくらが盾(シールド)のカードを使ってさやかの身体をバリアで覆う。

さくら「打ち合わせ通りに……」

杏子「行くぞ!」

まどか「うん!」

ダッ!

まどか「さやかちゃん! わたしだよ、まどかだよ!」

まどか「聞こえる? わたしの声が解る!?」

ガキィィィン!

まどか「っ!?」

杏子「怯むな! 呼び続けろ!」ギリギリ

まどか「さやかちゃん、やめて! お願い! 思い出して!!」
136 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 21:59:12.38 ID:c9LX3S5r0
さくら「跳(ジャンプ)! さやかさん、こっちだよ!」

杏子「チッ、聞き分けがねぇにも程があるぜ!」

さくらは跳(ジャンプ)のカードで攻撃の的を絞らせないよう囮として縦横無尽に飛び回り、
杏子はまどかの盾として魔女オクタヴィアの攻撃をいなし続けている。

さくら「さやかさん! まだ会ったばっかりだけどさやかさんは優しい人だって知ってるから!」ビシュ

さくら「ちゃんと仲直りもできてないのにお別れなんて嫌だよ、戻ってきて!」ピョーン

杏子「さやかぁぁっ! アンタ、信じてるって言ってたじゃないか!」ギシッ

杏子「この力で人を幸せに出来るって! なのに簡単に挫けてんじゃねーぞ!」ガキン!

まどか「さやかちゃん……、もうやめて! わたしたちに気付いて!」ポロポロ…


ケロ(頼む……、届いてくれ!)

ケロ(さくらや嬢ちゃんらの声に耳を傾けてくれ!)

ケロ(きっかけさえあれば……)
137 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 22:01:40.57 ID:c9LX3S5r0
――
――――
――――――――

――昨晩、ホテルにて。

杏子「なぁ、ケルベロス……」

ケロ「なんや?」

杏子「さやかのソウルジェムをどうにかして取り戻す方法とか、わからないか?」

ケロ「なんでわいに聞くんや?」

ケロ「さっき、あの潰れ饅頭と話しとったやないか」

杏子「半日程度だけど、一緒にいてアンタが『魂』なんて曖昧なもんにそこそこ詳しそうに見えたから」

杏子「それと、今までアタシらのこと騙してたアイツよりも、まだアンタの方が信用できそうだからな」

ケロ「そうか……」

ケロ「けどな、残念やけどわいにはさっぱりや」

ケロ「『魂』そのものならともかく、ソウルジェムってもんが理解できへん」

杏子「やっぱ無理か……」

さくら「ケロちゃん……」

ケロ「……」
138 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 22:06:28.72 ID:c9LX3S5r0
ケロ「……もしかしたらや」

杏子「!! なんだ、何かあるのか!?」

ケロ「正直、魔女になってしもたさやかをソウルジェムに戻すなんて方法はわいには思いつかん……」

ケロ「さやかが魔女になった時に感じたことやけど、魔女っちゅうんは変質した魂そのものなんやと思う」

杏子「あん? よくわかんねーよ、もう少しわかりやすく説明してくれ」

ケロ「……人間をたこ焼きに例えるなら、人の魂は中に入っとるタコや」

さくら「ぅ、うん……」

ケロ「で、魔法少女にされた人間ってのはタコを抜き取って別の箱へと移されたようなもの」

ケロ「これがソウルジェムやな」

ケロ「この箱がどういうもんかわからへんからわいらには手出しできへんけど」

ケロ「魔法少女が魔女になって、箱が壊れればタコは外に放り出されたら……」

杏子「つまり……」

ケロ「さっきも言うたな」

ケロ「ソウルジェムの状態やったらお手上げやが、魂そのものならどうにかできるかも知れん」

杏子「!」

さくら「本当なの、ケロちゃん!」
139 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 22:08:10.56 ID:c9LX3S5r0
ケロ「可能性の話や。ゼロやないって言うだけで、限りなくゼロに近い」

ケロ「それに魂を扱うなんてリスクも半端やない」

杏子「リスクとかそんな話はどうだっていい! 可能性はゼロじゃないんだろ!?」

杏子「頼む、その方法を教えてくれ!」ガバッ

ケロ「無理や」

杏子「そこをなんとか!」

ケロ「どんに頼まれても……杏子、お前には無理なんや」

杏子「どうしてだ!」

ケロ「魂を扱うには膨大な魔力が必要や」

ケロ「けど、杏子。お前の魔力じゃぜんぜん足りへん」

杏子「そんな……」

さくら「なら……」

ケロ「……」

さくら「わたしなら、できるの?」

杏子「!?」

ケロ「……」ハァ
140 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 22:09:59.34 ID:c9LX3S5r0
さくら「どうなの、ケロちゃん?」

ケロ「……あぁ、さくらなら可能性はある」

さくら「じゃあ!」

ケロ「それでも! 1パーセントにも満たん確率や」

ケロ「それに失敗したら、最悪さくらが魔女になるかもしれん」

杏子「なんだと!?」

ケロ「魂を扱うってことはそういうことなんや」

杏子「……ッ!」

さくら「……それでも、わたしはやるよ」

杏子「! さくら、アンタ……」

さくら「さやかさん、公園で困ってたわたしを助けてくれたもん」

さくら「そんな優しいさやかさんが魔女になるなんて間違ってる、わたし見過ごせないよ」

ケロ「……」

ケロ「はぁ〜……、だから言いたなかったんや」

ケロ「わいはさくらの守護者や。さくらを危険な目には遭わせたない」
141 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 22:11:08.16 ID:c9LX3S5r0
さくら「ありがとう、ケロちゃん。でもわたしは」

ケロ「わかっとる。さくらはそういうとこ頑固やから言うだけ無駄や」

杏子「さくら、ほんとにいいのかい?」

さくら「うん、任せて! 『絶対だいじょうぶだよ』」

ケロ「しゃあない、一回しか言わへんからちゃんと聞いときや」

――――――――
――――
――

キン! ガキッ、ガシャン!

ケロ(一瞬でええんや!)

ケロ(一瞬でも人間やった頃の記憶を思い出してくれれば……)

ケロ(それまではわいもさくらも魔力の消費は最小限に抑えとかなあかん)

ケルベロスはさやかの身体とともに盾(シールド)のバリアの中で
さくらたちを信じてただ待つことしか出来なかった。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) [sage]:2011/06/22(水) 23:06:39.04 ID:++jDbULVo
寝落ちか?
143 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:52:22.84 ID:c9LX3S5r0
キン! ガキッ、ガシャン!

杏子「ちっ、くっしょう……」ハァ、ハァ

ひたすらまどかの盾としてオクタヴィアの攻撃をいなし続けていた杏子だったが
そろそろ体力の限界が見え始めていた。
さくらが囮となって引きつけてくれているがだんだんと増してくる手数に
じわりじわりと体力を削られ荒い呼吸で肩を上下させている。

さくら「杏子ちゃん!」

杏子「まだ大丈夫だ! さくらのおかげでちょっとは楽させてもらってるからな」ニッ

杏子「どうしたさやか! へばってきてんじゃねえか?」

杏子「怒ってんだろ? 何もかも許せないんだろ?」

杏子「解るよ。好きなだけ暴れなよ」

杏子「アタシがいくらでも付き合ってやるからさ」

杏子「それで気が済んだら、目ぇ覚ましてくれよ、な……?」

ズズ……、キィアアァアアァァァ!!

ゴッ、ズゥン!

杏子「うああああああ!!」ドゴッ

さくら「杏子ちゃん!」

まどか「さくらちゃん、駄目! 後ろから……!」

ズガァッ!

さくら「きゃああああああ!!」ベシャ
144 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:54:25.75 ID:c9LX3S5r0
がしっ! ギリギリギリ……

まどか「ぐぅぅ……、痛ぅっ。さやか、ちゃん……」

杏子が吹き飛ばされたのを皮切りに連携が途切れ、
その隙にオクタヴィアの腕がまどかを掴み絞めあげる。

杏子「まどか!」

さくら「まどかさん!」

キィアァアアァァア!

まどか「かはっ、さやかちゃん……。さやか、ちゃん……」キッ

まどか「さやかちゃんの……ばかああああああ!!!」

杏子「なっ!?」

さくら「ほえー!?」

まどか「さやかちゃんの意気地なし! 弱いくせに変なとこで意地張ったりするし!」

まどか「わたしがどれだけ心配してると思ってるの!?」

まどか「そんな身体になるなら上条君の腕なんか治さなければよかったって思ってる!?」

まどか「違うよね、始めから知ってたとしてもそれでもさやかちゃんは魔法少女になってたよ!」

まどか「親友のわたしが言うんだから間違いないんだよ!」

まどか「こんなにたくさんの人に迷惑かけて……、いい加減に戻ってきてよッ!!」
145 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:56:08.09 ID:c9LX3S5r0
まどか「ぜぇ……はぁ……」ケホ

ギ……ギギ……

ギィゥゥゥアアアアアア!!

まどか「さやかちゃん!?」

突如として苦悶の(ように聞こえる)声をあげ、オクタヴィアはまどかを掴んでいたその手を離す。

まどか「きゃっ!」

4,5メートルはあろうかという高さから投げ出され、まどかの身体は真っ逆さまに落下していく。

杏子「まどかぁっ!」

さくら「まどかさん!」

杏子(くそっ、間に合わねえ……)

ヒュッ、……トサッ

ほむら「……まどか、怪我はないかしら?」タン

まどか「ほむら、ちゃん?」パチクリ

杏子「ほむら!」

さくら「よかった……」

ケロ「あぁ、ようやったで」

さくら「ケロちゃん!」
146 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:57:39.55 ID:c9LX3S5r0
ギィィァァゥウウウアアアアア!!

さくら「さやかさん、苦しんでる……?」

ケロ「まどかの言葉に反応したんや、僅かながら人間やった頃の記憶が蘇ってきとるはずや」

ケロ「さくら、やるなら今しかない!」

さくら「うん、行くよケロちゃん!」

パァァァ

ケルベロス「いつでもええで!」

『器を失いし魔女よ、汝の身体はここにある』

『汝の名は美樹さやか』

『今一度、汝のあるべき姿に戻れ!』

カッ!

さくらが掲げた杖から眩い光の球体が降り注ぎ魔女の空間を埋め尽くす。

ほむら「まぶしっ、彼女は何をしようというの……?」
147 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:58:40.02 ID:c9LX3S5r0
杖から発せられた優しい光がオクタヴィアを包み込んでいく。

ギィィァアアアアアア!!

その光球が苦しいのかオクタヴィアは両腕を振りまして振り払おうとする。

ケルベロス「さくら、わいを杖に取り込め!」

さくら「うん!」

次いでケルベロスの身体からも輝きが増したかと思うと、
ケルベロスはさくらの持つ杖へと吸い込まれてしまう。

パァッ!

直後、杖から発せられていた光はより強いものになり
同時に杖の先端のトレードマークともいえる星の飾りが太陽を模した形状へと姿を変える。

杏子「さやかー!」

まどか「さやかちゃん!」

ほむら「……」

光球はどんどんと数を増やし、オクタヴィアを完全に包み込む。
苦しそうに振り回していた腕もだらりと下げている。

さくら「さやかさん、お願い! 戻ってきて……!」

カッ!
148 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/22(水) 23:59:28.74 ID:c9LX3S5r0
輝きが最高潮に達し空間全てを光球が埋め尽くす。
そのあまりの眩しさにその場にいた全員が目を閉じ顔を伏せていた。

杏子「どうなったんだ……?」

うっすらと目を開け、光球が消えていることを確認してから辺りを見回す。

まどか「あれ……、ここって結界の外?」

さくら「……」

ほむら「魔女を倒したから結界が解けたのよ」

まどか「倒した……? そんな、それじゃさやかちゃんは!?」

ほむら「あれは美樹さやかではなく魔女よ。魔女の末路は決まっているわ」

まどか「そんな……そんなのってないよ……ぐすっ」ポロポロ

杏子「さやか……せめてアタシも一緒に行ってやれば……」

さくら「……だいじょうぶ」

まどか「……へ?」

さくら「絶対だいじょうぶだよ」ニコ

杏子「何を言って……」ハッ

さやか「こほっ……」

ほむら「!?」
149 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/23(木) 00:00:50.06 ID:Z0ASe1jl0
さやか「」スー、スー

まどか「さやかちゃん……。息、してるよ……」

杏子「ほんとだ……、やったぜ! うまくいったんだ!!」

ほむら「どういうことなの……?」

さくら「よかった……、本当によかった」フラッ

どさっ

まどか「さくらちゃん!」

杏子「おい、どうしたさくら!」

パァッ! シュルルル……

ケロ「心配ない、魔力の使いすぎで疲れて眠ってしもただけや」

まどか「そうなんだ……」

ケロ「それより、さやかの嬢ちゃんや」

ケロ「さっきまで身体は死んどったんや、病院連れてった方がええで」

まどか「!! 杏子ちゃん、そっち持って!」セーノ!

杏子「あいよ!」ホッ!
150 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/23(木) 00:02:50.16 ID:Z0ASe1jl0
ほむら「病院まで何キロあると思っているの? 救急車を呼びましょう」ピポパ

まどか「あ、そうだよね」アハハ

ほむら「もしもし。――でクラスメイト、女子中学生が倒れていまして……」

杏子「ありがとな、さくら。アンタのおかげだよ」

ケロ「杏子やまどかの嬢ちゃんもよおやったで」パタパタ

杏子「ケルベロスはずっと出番待ちだったもんな」クックッ

ケロ「ほんま、ハラハラしっぱなしやったわ。何度飛び出そと思たことか」

杏子「アンタもありがとな、アタシらのこと信じてくれて」

ケロ「アホ言え、わいはさくらを信じただけや」ツーン

杏子「なんでえ、かわいくねえな」

ケロ「なんやと!?」

杏子「なんだよ!!」

ほむら「やめなさい、二人とも。美樹さやかはまどかに任せて、そっちの……」

ほむら「さくら、だったかしら? その子を私の家まで運びましょう。すぐ近くなの」

ほむら「それに目が覚めたらいろいろと聞きたいことがあるわ」
151 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/23(木) 00:09:19.62 ID:Z0ASe1jl0
絶対だいじょうぶ、さくらちゃんがそう言ったんですからだいじょうぶに決まってるよね
人助けも上手くいったし後は自分の世界に帰るだけ・・・?
自分で書いといてなんだけど、本編でさやか助かってたらって考えたら泣きそうになった
>>142
飯食って校正して風呂入って構成してた、すまぬ
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 00:10:57.67 ID:YmuHl+q70
乙でしたー
やった!感動した!!
でも…これで終わりな気がしないのは気のせい??
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/23(木) 00:12:41.18 ID:s/E2bYcAO
ヌクモリティ溢れる流れだ>>1乙です
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 00:14:24.27 ID:YmuHl+q70
それにしても

>まどか「!! 杏子ちゃん、そっち持って!」セーノ!

>杏子「あいよ!」ホッ!

このやり取りが何とも愉快というか、可愛らしいというかw
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/23(木) 11:22:58.69 ID:OXWhJPBOo
キュゥべえ「素晴らしいね。これで何度でも感情エネルギーが採取できるってことじゃないか」
156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 00:21:15.27 ID:Mn0wY5i/o
後遺症が怖い
157 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:28:12.22 ID:SJ+Sxu0p0
ほぇ……? これは……

「はーい、それじゃあ自己紹介いってみよー」

あぁ……これ、きっと夢だ……

昔のほむらさんの、夢……

「あ……、あのあのっ、私……」

「暁美、ほむらです……。よろしく、……お願いします」オズオズ

ほむらさん……眼鏡かけてる?

「暁美さんは心臓の病気でずっと入院していたの」

「みんな、仲良くしてあげてね」

ほむらさんって、転校生だったんだ
158 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:29:34.24 ID:SJ+Sxu0p0
「ねぇねぇ暁美さん、前はどこの学校だったの?」

「部活とかやってた?」

「すっごく長い髪だよね、編むの大変じゃない?」

「その、私……」ワタワタ

「ちょっとごめんね、みんな!」

あ、まどかさんだ

「暁美さん、休み時間は保健室でお薬飲まないといけないの」

「そうだったの? ごめんね暁美さん」

「いえ……」

「わたし保険委員なんだ。保健室の場所、わかる?」

パッ、パッ

あれ? 急に場面が飛んで……
159 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:30:26.48 ID:SJ+Sxu0p0
「なに!? どこなのここ!?」

ほむらさんが魔女の結界に……!

『ア…ァァア…』ユラァ

「い、いやっ、こっちにこないで!」ドサッ

ほむらさんが危ない!

ギュルン!

え?

「間一髪ってところかしら」キリリ

「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん!」ファサ

知らない黄色い魔法少女に、魔法少女のまどかさん……?

「彼女たちは魔法少女、魔女を狩る者たちさ」

「いきなり秘密がばれちゃったね。クラスのみんなには内緒だよ?」

この夢は一体……、ほむらさんの過去じゃないの……?
160 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:38:10.71 ID:SJ+Sxu0p0
――病院。

ガララ。

まどか「さやかちゃん!」

さやか「おっす、まどかー」ヤホー

まどか「もう起き上がっても大丈夫なの?」

さやか「うん。今朝目が覚めたんだけど、びっくりするぐらいなんともないよ」

さやか「お医者さんも明日には退院できるだろうってさ」

まどか「よかった……、ほんとによかったよ……」ポロポロ

さやか「ちょっとちょっと、泣かないでよまどか!?」アワワ

まどか「だって、さやかちゃん、魔女になって身体は半日ぐらい死んでたんだし……」エグ

まどか「もう二度とお話できないんじゃないかって不安で……」エグ

さやか「ごめんね、まどか……」

まどか「え……?」

さやか「この前、まどかは心配してくれてたのにあたしひどいこと言っちゃって」

さやか「ずっと後悔してたんだ……、なんであんなこと言ったんだろうって」

まどか「それならわたしの方こそっ!」

さやか「いいの」

さやか「こうやって今、まどかにごめんって言えたのが物凄く嬉しいんだ」ニコ

まどか「わたしも、すごく嬉しいよ……。さやかちゃん」ニコ
161 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:38:58.14 ID:SJ+Sxu0p0
ガララ。

まどか「え?」

仁美「こんにちは、さやかさん。まどかさんもいらしてたんですね」

恭介「さやか、気分はどうだい?」

さやか「ひひひ仁美ぃ!? それに恭介まで、どうして……」フギャー

仁美「どうしてって、クラスメイトが入院したのですからお見舞いにくるのは普通のことではないですか?」

さやか「そりゃそうかもだけど……」

恭介「……」

さやか「……」

まどか(なんとも言えない空気が……)

仁美「……思ったより元気そうですわね」

さやか「あぁ、うん。明日には退院できるってさ」

仁美「そうですか、それはよかったです」

仁美「さやかさんの元気な顔が見れましたし、私は先にお暇させていただきますね」

さやか「そ、そう?」

仁美「はい。このあと用事がありますので」
162 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:40:20.72 ID:SJ+Sxu0p0
仁美「では、お見舞いの品は置いていきますので」

さやか「お見舞いの品? って手ぶらじゃん。何のこと?」

恭介「あはは……」ポリポリ

仁美「まどかさん、用事に付き合ってくれませんか?」

まどか「えぇ!? わ、わたし!?」

仁美「はい、お願いしますわ」ウィンク

まどか「あ……、うん。わかったよ」

さやか「へ? え、ちょっと二人とも……!」

まどか「じゃあね、さやかちゃん。明後日の朝、いつもの場所で待ち合わせだよ」

仁美「さようなら、さやかさん」

ガララ。

さやか「えー……?」チラ

恭介「……」

さやか「……」
163 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:41:07.23 ID:SJ+Sxu0p0
さやか「よかったの? 仁美だけ先に帰しちゃって」

さやか「二人って……その、付き合ってるんでしょ?」

恭介「うん……、『付き合ってた』ってのが正しいけど」

さやか「付き合って『た』? どどどういうこと!?」

恭介「まぁ、一言で言えばフラれたんだよ」アハハ…

さやか「はいぃぃぃ?」

恭介「女の子に告白されたのなんて生まれて初めてで、舞い上がってオーケーしたんだけど」

恭介「丁度その日からさやかが学校を休み始めたじゃないか?」

恭介「それで心配だねって何度か口にしてたと思うんだ」

さやか「うん。それで?」

恭介「本人を前にして言うのもなんだけど、今までさやかのことって幼馴染としてしか見てなかったし」

さやか(オゥフッ)ザクッ

恭介「女の子として見たことなんて、はっきり言って一度もなかったかもしれない」

さやか(あたし立ち直れそうにないんだけど……)ズーン
164 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:43:22.31 ID:SJ+Sxu0p0
恭介「仁美さんと付き合って、自分は本当にこの人が好きなのかな? なんてまじめに考えちゃってさ」

恭介「仁美さんが話しかけてきてくれるのも上の空でさやかのことばかり話してたら機嫌を損ねちゃって」

さやか(あれ……? 話の流れが、何か、おかしい気がする……)

恭介「そして昨日、さやかが事件に巻き込まれて病院に搬送されたって聞いてからいてもたってもいられなくなって」

恭介「今日、仁美さんに『行きたい所がある』って言われてついてきたら病院の前で」

恭介「そこで哀れ僕はフラれてしまいましたとさ」

さやか「は、はぁ……」

恭介「仁美さんに言われたよ。結論は出てるはずだって」

恭介「代わりにされるのもごめんです、とも言われたな」

さやか「……」

恭介「その……、さやか」

さやか「ひゃい!」

恭介「気付いたんだ、僕。僕は君のことが好きなんだって」

さやか「なっ!?///」プシュー

ばたんきゅ〜

恭介「ちょ!? さ、さやか!」
165 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:44:19.13 ID:SJ+Sxu0p0
――――――――

さやか「いやはや、お見苦しいところを……」///

恭介「そんなことは別に……」///

さやか「……」

恭介「……その、答えを聞きたいんだけど……」

さやか「……あたしなんかで、ほんとにいいの?」

恭介「もちろん!」

さやか「仁美の方がおしとやかだし、習い事とかいっぱいしてるし、家もお金持ち出し」

さやか「それに比べあたしはがさつだし馬鹿だし、今回もみんなにいっぱい迷惑かけちゃったし」

さやか「それにそれに」

恭介「さやか」

さやか「?」

恭介「あんまり僕の好きな人を悪く言わないで欲しいな」

さやか「へ?」

さやか「///」プシュー

ばたんきゅ〜

恭介「さやかー!」
166 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:44:52.39 ID:SJ+Sxu0p0
――カフェ。

仁美「――とまぁ、そういうわけなんです」ムシャムシャ

まどか「あはは……そうだったんだ」

仁美「戦った私が戦わなかったさやかさんに負けるなんて、正直納得いきませんわ」ムシャムシャ

まどか「なんて言っていいのかわからないけど……、ご愁傷様っていうのかな?」

仁美「私、たくさん習い事をさせられましたし躾も厳しく育てられてきましたわ」ムシャムシャ

仁美「自分で言うのもなんですが、それなりにいい女だと思ってましてよ?」ムシャムシャ

まどか「仁美ちゃん、ラブレターとかもいっぱい貰ってるしね」

仁美「なのになのになのにぃぃぃ……きぃぃぃ!!」ムシャムシャ

まどか「あわわわ、仁美ちゃん落ち着いて!」

仁美「……ふぅ、すみません。少し取り乱しましたわ」ムシャ、カラン

仁美「あら、もう空っぽ」

仁美「すみません、もう一つおかわりをお願いします」

まどか「ダメだよ、仁美ちゃん! 自棄食いにしたってアンビリーバブル3杯目突入なんてしたら……!」

仁美「止めないで下さいまどかさん!」

まどか「絶対ダメー!」
167 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/25(土) 09:49:12.14 ID:SJ+Sxu0p0
仁美スマヌ・・・大食いキャラとか新しすぎだろ
そろそろ終わりたいのに時期設定間違えたせいで今後の展開がヤバい
クロウの残したカードとかすっかり忘れとる、これが苦労カードの力・・・
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/25(土) 09:51:40.62 ID:gfrLCcqUo
乙っち乙まど


このスレの仁美はキューピッドEDを迎えたか
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/25(土) 10:54:12.49 ID:J7ADskI9o
仁美、おたくには上条は釣り合わんかったと考えるんや
いつかもっと素敵な恋ができるがな
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 11:10:49.14 ID:PfnqqwhIO
乙乙
仁美ちゃん男らしい…
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/25(土) 12:04:00.75 ID:jpvTb1HAO
ブラボー! Ohー、ブラボー!!
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/25(土) 12:06:26.47 ID:4r1YX4umo
お疲れ様でした
173 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:00:46.70 ID:zIzSK5MN0
――――――――

――通学路。

キュゥべえ「……やぁ」

ほむら「インキュベーター……!」

キュゥべえ「少しいいかい? 暁美ほむら」

ほむら「待ち伏せとはずいぶんと宇宙人らしいことをするようになったわね」

ほむら「いいわ、少しくらいなら付き合ってあげましょう」

ほむら「ここでは人の目に付くわ。近くの公園へ行きましょう」

キュゥべえ「わかったよ」

――――――――

ほむら「それで……、話というのは美樹さやかのことかしら?」

キュゥべえ「そうだね。今回のことについて僕らはすごく驚いているよ」

キュゥべえ「魔女となった魔法少女を人間に戻すことができるなんてね」

ほむら「あなた、佐倉杏子をけしかけたらしいけど、正直なところうまくいくと思っていたのかしら?」

キュゥべえ「けしかけたなんて言い方は心外だな。杏子には可能性の問題としてゼロではないとそう答えただけだよ」

キュゥべえ「ただ、僕個人の意見としては99%失敗して杏子も魔女化するか死ぬかのどちらかだろうと考えていたね」

ほむら「なら、どうして止めなかったの?」ギリ…
174 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:02:46.07 ID:zIzSK5MN0
キュゥべえ「本当なら止めるところなんだけど、杏子が脱落することには大きな意味があったからね」

キュゥべえ「……君一人じゃワルプルギスの夜に勝ち目はない」

キュゥべえ「この街を守るためにはまどかが魔法少女になるしかないわけだ」

ほむら「そのはずが……、ずいぶんと残念な結果だったんじゃない?」クス

キュゥべえ「そうだね。残念といえば残念だったね」

キュゥべえ「実はさっき、さやかに会いに行ってきたんだ」

ほむら「なっ! あなたまさか……」

キュゥべえ「魔法少女になれる人間は貴重だからね」

キュゥべえ「よければもう一度魔法少女になってもらえれば僕としては喜ばしい限りだったんだけど」

キュゥべえ「話しかけてもなんの返答ももらえなかったよ」

ほむら「ふっ、当然でしょう。あんな目に遭った後であなたなんかとは口も聞きたくないでしょうね」

キュゥべえ「いや、そうじゃないよ」

ほむら「……?」

キュゥべえ「さやかには僕の姿が見えていなかったみたいだね」

ほむら「それは、つまり……」

キュゥべえ「魔法少女としての素質が失われていたんだ。これは実に残念なことだよ」
175 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:06:47.60 ID:zIzSK5MN0
キュゥべえ「僕らはね、過去に魔女を魔法少女に戻す研究をおこなったことがあるんだよ」

ほむら「魔法少女を再び魔女化させて効率のいいエネルギー回収法でも考えていたのかしら?」

キュゥべえ「君は何でも知っているね、その通りだよ」

ほむら「……ッ!」

キュゥべえ「過去の研究で魔女を魔法少女に戻すことができないということはわかっていた」

キュゥべえ「だから、今回魔女が人間が戻ったというのは非常に興味深い出来事だった」

キュゥべえ「貴重な人材を再利用できるかもしれないという可能性を示してくれたんだから」

ほむら「再利用って……、キサマは人間を何だと思っているのよ!」

キュゥべえ「強いて言うなら……。宇宙をより良い方向へ導く協力者、かな」

ほむら「冗談でしょう? 使い捨ての乾電池程度にしか考えてないでしょうに」

キュゥべえ「曲がりなりにも知的生命体として接してきたつもりなんだけどね」ハァ

ほむら「不愉快極まりないわ。私、そろそろ帰らせてもらっても良いかしら?」

キュゥべえ「待ってくれ、まだ僕の話は終わっていないよ、暁美ほむら」
176 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:07:46.76 ID:zIzSK5MN0
ほむら「これ以上なんの話があるというの?」

キュゥべえ「これ以上も何もさやかのことは本題じゃない」

キュゥべえ「君がさやかの話題を出したから僕はそれに乗っただけだよ」

ほむら「そう、ならその本題とやらも短めにお願いできるかしら」

キュゥべえ「……本題といっても、君に一つだけ確認したことがあっただけなんだ」

ほむら「なにかしら?」

キュゥべえ「僕が契約した覚えのない魔法少女……、君という存在に僕らの結論が出たよ」

キュゥべえ「時間遡行者、暁美ほむら。数多の平行世界を横断し……」

キュゥべえ「君が望む結末を求めてこの一ヶ月間を繰り返してきていたんだね」

ほむら「ええ、その通りよ」

キュゥべえ「やはり……。そして君の願いはまどかに関わることだ、違うかい?」

ほむら「そうね、あなたの言う通りだわ」

キュゥべえ「なるほどね。これで一つ納得がいったよ」

ほむら「? 何の話……」
177 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:08:44.92 ID:zIzSK5MN0
キュゥべえ「鹿目まどかの『素質』だよ」

キュゥべえ「魔法少女としての素質は背負い込んだ因果の量で決まるんだ」

キュゥべえ「一国の女王や救世主ならともかく、ごく平凡な人生を与えられたまどかに」

キュゥべえ「どうしてあれほど莫大な因果の意図が集中してしまったのか不可解だった」

キュゥべえ「ねぇほむら。ひょっとしてまどかは君が時間を繰り返すたびに」

キュゥべえ「強力な魔法少女になっていったんじゃないかな?」

ほむら「!!」ハッ

キュゥべえ「やっぱりね。原因は君にあったんだ」

ほむら「どういうことなの……」

キュゥべえ「君が彼女のために何度も時間を遡るうちに」

キュゥべえ「彼女の存在を中心軸に幾つもの並行世界を螺旋状に束ねてしまったんだろう」

キュゥべえ「君が繰り返してきた時間、その中で循環した因果の全てが」

キュゥべえ「巡り巡って鹿目まどかに繋がってしまったのさ」

ほむら「……」

ほむら「それって……、まさか……」

キュゥべえ「お手柄だよ、ほむら」

キュゥべえ「君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ」
178 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:10:21.88 ID:zIzSK5MN0
――――――――

「私、鹿目さんとの出会いをやり直したい!」

「鹿目さん! 私魔法少女になったんだよ! これから一緒に頑張ろうね!」

「鹿目さんしっかり! どうしちゃったの!?」

「ワルプルギス……倒したのにぃ……」

「ソウルジェムが魔女を生むなら……、みんな死ぬしかないじゃない!」

「キュゥべえに騙される前の馬鹿なわたしを、助けてあげてくれないかな……」

『私はもう 誰にも頼らない』

『まどかには絶対に戦わせない』

『全ての魔女は私一人で片付ける。そして今度こそ……』

『ワルプルギスの夜を、この手で――』

「ひどい……、こんなのってないよ!」

「まどか、運命を変えたいかい?」

「そいつの言葉に耳を貸しちゃダメ!!」

「この世界の何もかも君が覆してしまえばいい」

「騙されないでまどか!」

「それを可能にする力が君にはあるんだ」

「……本当に?」

「もちろんだよ。だから、僕と契約して魔法少女になってよ」

「駄目ええええええええええええ!!」
179 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:12:09.58 ID:zIzSK5MN0
そうだったんだ……

『何度でも繰り返す』

ほむらさんはまどかさんを助けるために……

『たった一人の、私の友達』

何度も何度も……

『あなたの為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められても構わない』

とても、悲しいお話……


ジ……ジジッ……


ほぇ?

「もう……やめてくれ……。もう見たくないんだ……」

この人は……一体……

「私はどうすればいいというのだ……」

「私のせいだ……」

「私がこの星の命運を決めてしまった……」
180 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:13:46.57 ID:zIzSK5MN0
「『次元の魔女』よ、どうかこの世界を救ってくれ……!」

今、次元の魔女って!?

「できないというのなら、せめて……」

「彼女だけでも……、救ってやって欲しい」

もしかしてこれって……

ほむらさんの夢じゃなくて、この人の……


ガチャリ。

ほむら「彼女はまだ寝ているかしら?」

ケロ「あぁ、まだ――」

さくら「ほえ……?」

ケロ「っと、言うとったらようやく目ぇ覚ましたで」

ほむら「さくら……、話があるのだけれど」

さくら「うにゅぅ〜……」

ケロ「あかんわ、まだ寝ぼけとる」

さくら「ぅー、おといれ……」ノソノソ

ほむら「……トイレなら部屋を出て右よ」

さくら「ありがと……」フラフラ

ほむら「……」
181 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:14:28.80 ID:zIzSK5MN0
カチャ、パタン。

さくら(う〜ん、頭がボーっとするよー)

さくら「さっきの夢……」

さくら(ほむらさんと、壱原さんとお話してた知らない人……)

キュ、ジャー……!

さくら「……ほえ? この格好……」

さくら「パジャマに……下着も私のじゃない……」

さくら「え? な、なんでなの? っていうか、ここってどこ!?」

さくら「ほえええええええええ!!?」


ほむら「騒がしい子ね……」

ケロ「さくらは元気なんが取り得やからなぁ」
182 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/26(日) 10:19:22.83 ID:zIzSK5MN0
姫が目を覚ましたぞー!
ちなみにVSオクタヴィアの次の日で推定睡眠時間24時間オーバー
さくらちゃんはそれだけ頑張ったんです
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/26(日) 11:41:57.09 ID:yqM4gl4AO
新記録更新!さくらお疲れー。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 14:50:30.95 ID:WV5XakrIO
寝る子は育つっていうやないの
ひとまず乙
185 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:20:43.70 ID:kvy0tbDJ0
――――――――

さくら「ここ、ほむらさんのおうちだったんですか……」

ほむら「ええ。あなたが今着ているパジャマも私のものよ」

ほむら「一応、下着はちゃんと新しいものだから」

さくら「ありがとうございます」ペコリ

ほむら「このぐらい……。お礼を言いたいのはこちらの方よ」

さくら「ほえ?」

ほむら「美樹さやかを救ってくれた。おかげでまどかを悲しませずに済んだわ」

さくら「それじゃあさやかさんは無事なんですね!」

ほむら「ええ、目も覚まして身体もほとんど健康体そのものだそうよ」

さくら「よかった……」ホッ

さくら「魂はうまく戻せたと思ったけど、目が覚めるかはわからなかったから」

さくら「少し不安だったの」

ケロ「わいはさくらなら絶対だいじょうぶやって信じとったで〜」

ほむら「改めてお礼を言わせて貰うわ」

ほむら「あなたは美樹さやかだけでなく、間接的に佐倉杏子も救ってくれた」

ほむら「本当にありがとう」フカブカ

さくら「そんな……! わたしはあたりまえのことをしただけで」ワタワタ
186 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:28:39.52 ID:kvy0tbDJ0
ほむら「……」

ほむら「さくら、あなたはこれからどうするのかしら?」

ほむら「そこそこの事情はケルベロスから聞いたわ、なんでも別の世界から人助けに来たとか」

ケロ「まぁ、その人助けも終わったし。あとは帰るだけ……」

さくら「ううん、まだ終わってないよ」

ケロ「ん?」

さくら「まだ、ワルプルギスの夜を倒してない」

ほむら「!? あなた、どうしてそのことを……!」

ケロ「なんやそれ? 聞いたことないけど嬢ちゃんは知っとるんか?」

さくら「……その前に、ほむらさんに謝らないといけないことがあります」

ほむら「謝るって……、一体何のことかしら」

さくら「わたし、ほむらさんの記憶を夢で見ました」

ほむら「え? それってどういう……?」

ケロ「……過去夢か」
187 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:34:27.99 ID:kvy0tbDJ0
さくら「ほむらさんは、キュゥべえと契約して時間を巻き戻す魔法が使えるんですよね?」

ほむら「ッ!! そんなことまで……えぇ、その通りよ」

ほむら「私はただまどかを守りたかった」

ほむら「助けてもらった恩返しがしたかっただけ……」

さくら「キュゥべえと契約して魔法少女になったほむらさんは何度もワルプルギスの夜と戦って…」

ほむら「何度も何度も時間を巻き戻し続けたわ」

ほむら「この一ヶ月をもう何度繰り返したことか……」

ほむら「……さくらはその私の記憶を夢で見たというの?」

さくら「はい。ごめんなさい……」

ほむら「それは、偶然なの?」

さくら「見ようと思って見れるものでもなくて、その……」

ほむら「ならいいわ、別に悪気があったわけでもないのでしょう?」

さくら「許してくれるんですか?」

ほむら「気分のいいものではなかったでしょうに」

ほむら「説明が省けたと思えばそのくらい気にしないわ」

ほむら「それよりも」
188 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:36:46.51 ID:kvy0tbDJ0
ほむら「さっきあなたは『まだ、ワルプルギスの夜を倒してない』って言ったわよね?」

さくら「はい」

ほむら「さくらはワルプルギスの迎撃に手を貸してくれるというの?」

さくら「そのつもりです」

ほむら「……なぜ?」

さくら「え?」

ほむら「あなたは別の世界の住人なのでしょう?」

ほむら「なんの見返りもなしに無関係のあなたがどうして命がけの戦いに望もうというの?」

さくら「……ほっとけないんです」

さくら「目の前で苦しんでる人がいたら助けたいって思うのはおかしいですか?」

ほむら「……おかしいわ」

ほむら「少なくても私は会って数日の人間を命をかけてまで助けようとは思わない」

さくら「……でも、わたしは助けたいって思うんです」
189 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:38:30.00 ID:kvy0tbDJ0
さくら「壱原侑子さん。その人がわたしをこの世界に送ってくれました」

さくら「壱原さんはわたしならできるって期待してくれた」

さくら「クロウリードさんはこのカードをわたしに託してくれました」ゴソゴソ

ほむら「……何も描かれてないけど、何に使うものなの?」

さくら「わたしも何に使うのかはまだわからないけど、きっとわたしの助けになってくれる」

さくら「クロウさんはわたしのことを心配してくれたんだと思う」

さくら「そして、この世界にきて出会った人たち」

さくら「さやかさん、杏子ちゃん、まどかさん、……それにほむらさんも」

ほむら「……」

さくら「みんなを助けたいって思う気持ちが一番強いから」

ほむら「さくら……あなたは、とても甘いわ」

さくら「あはは……、やっぱりそう思いますか」

ほむら「けど、それで救われる人がいるのなら、それは紛れもない優しさだと思うわ」

さくら「ほむらさん……」

ほむら「ワルプルギスの夜が現れるのは三日後。明日、杏子と一緒に作戦を立てましょう」
190 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:39:40.85 ID:kvy0tbDJ0
――――――――

まどか「ただいまー」

知久「おかえり。遅かったけど病院の方に?」

まどか「うん、さやかちゃんすっかり元気だったよ!」

知久「それはよかったね」

タツヤ「よあったよあったー」

まどか「ありがとね、タツヤー」ヨシヨシ

まどか「それじゃわたし、お夕飯まで部屋で宿題してるね」

知久「うん、わかったよ」

トタトタ……、ガチャ、パタン。

キュゥべえ「やぁまどか。お邪魔してるよ」

まどか「っ! キュゥべえ……!」ドサッ

――――――――
ー―――
――
191 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/06/29(水) 22:46:05.72 ID:kvy0tbDJ0
ほむら&杏子と共同戦線
ほむらはさくらちゃんを認めてくれました、信じてくれました
けど、きっと頼ってはくれません・・・
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/30(木) 00:16:56.49 ID:krbwwEfAO
乙でごんす

桜嬢を応援せざるおえない
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 23:34:53.47 ID:NCx9z1K80
乙です
魔法少女→魔女で大量のエネルギーが発生するなら
魔女→人間にもそれ相応のエネルギーが必要なのかな
だからこそ奇跡以外では異世界のさくらにしか不可能だったってことか…
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2011/07/07(木) 20:16:28.34 ID:jPrlVegb0
続きマダー?
195 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:49:15.40 ID:GTLZKVNI0
――――――――

――翌日。

キーンコーンカーンコーン……

先生「あまり道草などせず真っ直ぐ家に帰って下さいね」

先生「では、また明日。さようなら」

 サヨナラー  ガヤ
  マタアシタネー  ガヤ

ほむら「……」ガタン

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「鹿目、まどか……」

まどか「これから、ほむらちゃんのお家に行ってもいいかな……。話があるの」

ほむら「……私にはないわ。それに悪いけど今日は」

まどか「大事な!」

ほむら「!」

まどか「……話なの」

ほむら「……わかったわ」ハァ

まどか「ほむらちゃん……、ごめんね」

ほむら「(謝るくらいなら……)ボソ。行きましょう」
196 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:51:20.02 ID:GTLZKVNI0
――――――――
――――
――

まどか「ここがほむらちゃんのお家……」

ほむら「さぁ、入って」

ガチャリ。

さくら「あ、お帰りなさい、ほむらさん!」

ほむら「……」ピク

まどか「え? なんでさくらちゃんが……?」

さくら「こんにちは、まどかさん」

さくら「わけがあって、少しの間ほむらさんの家に泊めてもらってるんです」

まどか「そうなんだ」

ほむら「えぇ、そうなのよ」

ほむら「さくら、悪いのだけど少し用事を頼まれてくれないかしら」

さくら「ほえ?」

ほむら「(まどかと二人で話がしたいの)ゴニョゴニョ」

ほむら「(もうすぐ杏子がくると思うから少しの間、二人で時間を潰してきて)ゴニョゴニョゴニョ」

さくら「(うん、わかった)ゴニョニョ」

さくら「それじゃあわたしはお夕飯の買い物に行ってきますね」

さくら「そうだ、冷蔵庫にプリンを作って冷やしてあるのでよかったらどうぞ」イッテキマス
197 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:52:31.18 ID:GTLZKVNI0
まどか「行っちゃった……」

まどか「さくらちゃんにも悪いことしちゃったね」

ほむら「それだけ重要な話があったのでしょう……?」

まどか「それはそうなんだけど……」

ほむら「リビングに行きましょう。ついてきて」

まどか「うん」


コトッ。

ほむら「紅茶よ。それとさくらの言っていた通り、冷蔵庫にプリンがあったけど」

まどか「お話したらすぐに帰るから」

ほむら「そう」

まどか「……」

ほむら「……」

まどか「…………」

ほむら「…………」ズズ
198 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:55:44.25 ID:GTLZKVNI0
まどか「……話っていうのはね、『ワルプルギスの夜』のことなの」

ほむら「ッ! 何故あなたがそれを……?」

まどか「昨日キュゥべえが教えてくれたんだ」

ほむら「あいつ……!」ギリッ

まどか「キュゥべえは街中が危ないって言ってたけど、本当なの?」

ほむら「……えぇ、本当よ」

ほむら「あいつは結界に隠れて身を守る必要なんてない」

ほむら「一度具現しただけでも何千人という人が犠牲になるわ」

まどか「なら絶対にやっつけなきゃ駄目だよね……」

ほむら「そうね。先に言っておくけど戦力的にはもう十分よ」

まどか「……っ」

ほむら「そういうこと……。あいつは、キュゥべえはなんと言っていたのかしら」

まどか「『ワルプルギスの夜は誰にも倒せない。奇跡でも起こらない限り絶対に』って」

ほむら「そう……」

ほむら「あいつは意図的に話を誤魔化すことはあっても、嘘は吐かないものだと思ってたけどそうでもないのね」

まどか「うそ……?」

ほむら「真っ赤な嘘よ。あれは魔法少女が二人もいれば相討ちぐらいには持ち込める」

ほむら「私に杏子、さくらも手伝ってくれると言っているわ。はっきり言って負ける要素は皆無よ」

まどか「……どうしてそんなことわかるの?」

ほむら「それは……っ」
199 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:57:10.89 ID:GTLZKVNI0
まどか「ほむらちゃんが……未来から、きたから?」

ほむら「ッ! ……それもあいつに聞いたのね」

まどか「本当、なんだね……」

ほむら「私は……、これまで何度も何度もまどかと出会って」

ほむら「それと同じだけあなたが死ぬところを見てきたわ」

ほむら「どうすればあなたを救えるか、その答えだけを探して何度もやり直して……」

まどか「ほむら、ちゃん……」

繰り返せば繰り返すほどあなたとの時間はズレていく。

気持ちもズレて言葉も通じなくなっていく。

たぶん私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う。

ほむら「何度も繰り返してきたから私は知っている」

ほむら「ワルプルギスの夜は私たちだけで大丈夫、まどかが魔法少女になる必要はないわ」

ほむら「『まどかを救う』、それが私の最初の気持ち」

ほむら「どうかお願いだから……、私にあなたを守らせて」

まどか「……」

――――――――
――――
――
200 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/07(木) 23:59:39.89 ID:GTLZKVNI0
短めだけど再開
もう少しだ、頑張ろう
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 00:05:02.04 ID:GAdJp0bd0

クライマックスがんばって
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/08(金) 07:29:26.56 ID:eiVyQGdAO
乙!
203 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:18:29.45 ID:DeaNisK90
――――――――

杏子「…まどかがきてたんだって?」パク

ほむら「ええ。ワルプルギスがくるってキュゥべえに聞かされて怯えていただけよ」

ほむら「私たちだけでどうにかできるって言ったら納得して帰ってくれたわ」

杏子「そうか…。まぁ、アイツは魔法少女には向いてねえだろうし」パク

杏子「関わらないで済むならその方が良いだろうな」

杏子「それにしても……」パク

ほむら「?」

杏子「このプリンうめぇな! さくらが作ったのか?」キラキラ

さくら「うん、牛乳の賞味期限が今日までなのにたくさん残ってたから」エヘヘ

杏子「アタシは普通の料理はできるけど、デザート系は作ったことないからなぁ」

杏子「さくらは良いお嫁さんになるな、なんならアタシの嫁に」

ほむら「……ふざけるなら帰りなさい、佐倉杏子」イラッ

杏子「そんな怒るなよ、イライラしてる時は甘いものが良いぞ」ホレ

ほむら「それより作戦会議を……、(パクッ)あら、ほんとにおいしいわね」ホムゥ

杏子「だろ?」

さくら「二人とも、喜んでくれたみたいでよかった〜」
204 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:19:05.01 ID:DeaNisK90
ケロ「こっちの方から甘い匂いがする〜」スンスン

ケロ「おー、プリンやプリンー!」

さくら「ケロちゃんお帰り、どこ行ってたの?」

ケロ「ちょっとなー、それよりわいにもプリンー」

さくら「はいはい、ちょっと待っててね」

 :
 :
 :

ほむら「決戦まで後二日だというのに、こんなに和んでていいのかしら……」

杏子「あんま気を張っててもソウルジェムが濁るだけだよ」

杏子「なら、『はにゃーん』ってしてた方がいいだろ」

ほむら「確かに一理あるかもだけど……」ハ、ハニャーン?

ほむら「プリンも食べ終わったし、今度こそ作戦会議を始めましょう」

さくら「うん」
205 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:20:09.47 ID:DeaNisK90
――――――――

ほむら「という感じでお願いしたいの」

杏子「まぁ、妥当な判断だろうな。統計ってのが当たってればの話だが」

さくら「わたしもそれでいいと思うよ」

ほむら「それと基本的に相手の攻撃、一発一発が即死レベル」

ほむら「直撃を食らうことだけは絶対に回避すること」

杏子「あぁ、わかった」

ケロ「さくらにはわいがついとるから安心しぃ」

さくら「うん、ありがとうケロちゃん」

さくら「……あと、二日か……」グッ
206 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:50:34.40 ID:DeaNisK90
ケロ「なぁ、杏子にほむら、ちょっとええか?」

杏子「ぅん?」

ほむら「なにかしら?」

ケロ「魔女ってどっからくるかわかるか?」

杏子「どこから……だと?」

杏子「どこからも何も魔女は魔法少女のなれの果て、お前も知ってるだろ」

ほむら「もしくは使い魔が人を喰らい成長して魔女になるわ」

ケロ「なら、その使い魔ってのはどこからくるんや?」

ほむら「それは……魔女が生み出すのよ」

ケロ「……」
207 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:51:25.15 ID:DeaNisK90
ケロ「今、この街には魔女も使い魔も、二人以外の魔法少女もおらん」

ケロ「なのに明日、魔女が一匹現れる、そうやなほむら」

ほむら「……ええ。強くもないから楽にグリーフシードが手に入るわ」

ほむら「その魔女がどこから、と言うのならおそらくは他の街からでしょう」

ケロ「そうかぁ……」

杏子「何か気になることでもあるのか?」

ケロ「ちょっと、な」

ケロ「言うてもわいはこっちの世界のことをよお知らんから」

ケロ「そういうもんやー、言われたらお手上げやからなぁ」

ケロ「ただの知的好奇心みたいなもんやから、そんな気にせんでええで」

ほむら「そう……」

ケロ「……」

さくら(ケロちゃん……?)
208 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 01:56:59.04 ID:DeaNisK90
その翌日の晩、三人の連携の再確認を兼ねた魔女狩りが行われた。
ほむらの言った通り、魔女は脆弱で容易に倒すことができた。
三人は帰路に着きさらに翌日の『ワルプルギスの夜』に備える。

さくら「いよいよ明日だね……」

ケロ「あぁ、気ぃ引き締めていくで」

さくら「うん。頑張ろうね、ケロちゃん」

ケロ「わいにどーんと任しとけー!」

さくら「……ありがとね、ケロちゃん。おやすみなさい」

ケロ「……おう。おやすみ、さくら」
209 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/09(土) 02:00:07.63 ID:DeaNisK90
次回、ついにワルプルギスの夜が現れる!
バトルシーンがいまいちうまく書けないからでかいイベントバトルはやりたくないお・・・
もういっそ『剣(ソード)! 斬った! 第三部完!』とかやりたい
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 02:03:30.03 ID:1c4kXrQm0
乙ですたー
もういっそクリエイトで怪獣作ってワル夜さんと対決させるとかwwww
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/09(土) 02:15:16.72 ID:ACmznwFbo
お疲れ様でした。
212 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/07/09(土) 02:42:38.39 ID:DeaNisK90
>>210
まぁそうならないように原作準拠の19枚
火、水、剣、花、光、闇、盾、灯、雷、土、木、跳、翔、消、風、影、幻、迷
しか使えない設定でやってます、アニメの方は枚数多すぎww
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/09(土) 07:23:39.70 ID:fvJvkwTAO
迷を使えば街への被害は軽減できそうだな
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/09(土) 15:44:26.51 ID:cPpg11zJ0
あれっ・・・消でワル夜消せるんじゃね?
215 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/07/09(土) 19:37:53.66 ID:9eq+Xohv0
土→地、木→樹だった。しかも鏡忘れてるし・・・
>>214
ちょっwww
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 21:52:59.33 ID:fki5RSvYo
光と闇が合わさり最強に見える
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/09(土) 22:53:06.75 ID:609kgYeAO
プリンのところでモモタロスが居たら喜んで力になってくれたんだろうなとふと妄想

>>1さん乙です。
218 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 01:18:30.21 ID:2AZrvKnE0
風呂出たらワルプル戦開幕
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 01:44:38.59 ID:dN3idk4Fo
きたー
220 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:15:28.74 ID:vJT2ASnR0
――な、なんだこれは!?

――スーパーセルの前兆だと……、何の前触れもなかっただろう!!

――とにかく住民の安全が最優先、今は迅速な対応を!

『本日午前七時』

『突発的異常気象に伴う避難指示が発令されました』

『付近にお住まいの皆様は、速やかに最寄の避難場所への移動をお願いします』

『繰り返します。こちらは――』

ヒュォオオオ……

避難指示が出され街中に閑古鳥が鳴いていた。
商店街、ビル街、学校、住居区、あらゆる場所から人の気配が消え
高齢者が少ないこの街で残っている者といえば命知らずな火事場泥棒ぐらいのものか。

否。

さらに例外として四人(三人と一匹?)がいた。

ほむら「……」

杏子「……」

さくら「……」

ケルベロス「……」

この異常気象の原因、ワルプルギスの夜を打倒する者たちだ。
221 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:17:29.77 ID:vJT2ASnR0
二人の魔法少女はすでに変身しており、もう一人の少女は星の鍵と呼ばれる杖を両手で握り締めている。
また、その守護者は普段の小さな姿ではなくメスライオンに羽が生えたような真の姿となっている。

ほむら「……くる」

杏子「!」

ほむらの呟きで全員により一層の緊張が走る。

ズ、ズズズ……

アハ、アハハハハ、キャハハハ

さくら「この哂い声……」

さくら(夢見て知ってたけど、目の前で見ると迫力が……)ブルル

ケルベロス「あれがワルプルギスの夜っちゅう魔女か」

ケルベロス「聞いてはおったけどばかでかいにも程があるやろ、昨日倒した奴とは桁違いや」

ほむら(今度こそ、決着を付ける!)

ほむら「いくわよ!」

杏子「おう!」

さくら「うん!」

ケルベロス「任せとき!」

ほむらの掛け声に三人が呼応する。
今、少女たちと魔女の戦争の火蓋が切って落とされた。
222 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:19:32.08 ID:vJT2ASnR0
まず最初に動いたのはほむらだった。

キュイィィィ! カチッ!

魔法で時間停止を行うと、同時に駆け出していく。
他の三人から距離をとったところで盾の後ろから殺傷を目的として作られた大きな兵器を取り出す。
RPGと呼ばれるそれを肩に担ぐとトリガーを引き発射、
射出された弾はほむらから離れると魔法の効果範囲外に出たことで停止した時間の中で凍りつく。
同様の動作を十数回繰り返して、繰り返した回数分の弾が空中で停止している。

ほむら「停止、解除……」

ほむらが時間停止の魔法を解くと辺りに爆音を轟かせて十数発のRPGが魔女目掛けて飛んでいく。

次いで動いたのはさくらだった。
カチリ、という音を聞いたかと思えば追って聞こえてきた爆音に僅かに肩をビクつかせるが
事前の打ち合わせ通りにほむらが行動しただけのこととすぐに理解する。
そしてポケットからカードを取り出すと空中に投げそこに杖を振り下ろす。

さくら「翔(フライ)!」

魔法で自身の背中に羽を生やして宙へと飛び上がる。
そのままスピードを上げて真っ直ぐに飛んでいく。
ほむらを視界に収めると僅かに旋回し右前方へと進路を変更する。
その後ろをケルベロスがぴったりとくっついて飛んでいく。

最後に動いたのは杏子だった。
時間が動き出したと同時に視線を前方に向ける。
RPGの発射で発生した煙で視界が悪いもののどうにかほむらの存在が確認できた。
隣ではさくらが魔法を使って空を飛び、ケルベロスがその後を追って移動する。
しかし、杏子はその場から動こうとしない。
ほむらがさくらを視界の端に捉えたと同時に左前方へと駆け出していくのを見て
杏子はようやく動き始める。
223 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:26:20.74 ID:vJT2ASnR0
――
――――
――――――――

ほむら「まず最初に私が動くわ」

ほむら「時間を止め、少し離れたところから遠距離射撃で魔女に先制攻撃を仕掛ける」

ほむら「そのまま手持ちの武器を片っ端からぶつけていくわ」

ほむら「杏子にはそのサポートをしてもらいたいの」

杏子「そこは前に立てた作戦と同じだな」

ほむら「ええ。ワルプルギスの夜は巨大で頑強、接近戦のあなたは不向きだから」

杏子「わかってる、アタシはアンタの邪魔させないように使い魔をぶっ潰せばいいんだろ」

ほむら「そしてさくら、あなたにも前衛で戦ってもらいたい」

ほむら「さくらの魔法で直接的に効果がありそうなのは火(ファイアリー)と雷(サンダー)」

ほむら「そして、どんなものでも斬ることができるという剣(ソード)」

ほむら「可能なら剣(ソード)の魔法で一刀両断にしてしまって頂戴」

さくら「はい、わかりました」コク

ほむら「それと明日、この街に一匹の魔女が現れる」

ほむら「戦闘能力は低いからそれを練習台に、さくらにはいくつか魔法を見せてほしいの」

ほむら「特に消(イレイズ)の魔法。もしも魔女を消すことができるとすれば何も恐れることはなくなるわ」

ケロ「消(イレイズ)は対象を完全に消滅させる魔法やないからなぁ」

ケロ「ゼロから魔法によって作り出されたもんやったら効果は期待できるやろうけども」ウーム

ほむら「物は試しよ。大まかな作戦はこんなところだけど質問はあるかしら」

――――――――
――――
――
224 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:28:45.77 ID:vJT2ASnR0
ドドドドーン! ドガーン!!

ほむらの攻撃が連続で直撃し赤黒い爆発の焔を巻き上げる。
しかし――、

アハハハッ

響き渡る魔女の哂い声。

さくら「ぜんぜん効いてないみたい……」

ケルベロス「でかさも桁違いやが、魔力も桁違いや。生半可な攻撃じゃ傷一つつかん」

さくら(生半可って……、すごい爆発が何度も起こってるんだけど……)

さくら「とにかくわたしたちも加勢しないと」

さくら「昨日試したけど魔女に消(イレイズ)のカードは効果がなかったから……」

さくら「よし、まずはこのカード、火(ファイアリー)!」

さくらは新たに取り出したカードへと杖を振り下ろす。
それは四大元素カードの一つであり、ケルベロスが司る『太陽』の属性のカード。

ケルベロス「グルル……、グオォォァ!!」

ケルベロスが唸り声をあげると、さくらの使用した火(ファイアリー)がケルベロスを中心に渦を巻く。
そして、大きく一吼えするとさくらがそのままカードを使用するよりも遥かに強い炎が魔女へと襲い掛かる。

キャハハハッ

全身を炎に包まれているというのにそれでも魔女は哂い続ける。

ケルベロス「いつまでもわろとれると思うなよ。さくら、風(ウィンディ)のカードや!」

さくら「風(ウィンディ)!」

ケルベロスの指示ですぐさま次のカードを取り出し杖を振り下ろす。
風を起こし操る魔法、しかし、ワルプルギスほどの巨大な魔女を相手に突風などでは意味はない。
故に狙いは直接の攻撃ではなく、火(ファイアリー)のカードとの相乗効果。
風(ウィンディ)が生み出した風が炎に空気を送り込み燃焼を加速させ元々強力だった炎がより強い火柱と化す。
225 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:33:09.34 ID:vJT2ASnR0
杏子「やっぱさくらはすげぇな」ヒュー

さくらの作った火柱に焼かれる魔女を遠目に眺め、口笛を吹かす。

杏子「これはアタシも負けてらんないね」

どこからともなく取り出した槍をくるくると片手で回し、ヒュパッと空気を切り裂く。

ほむら「杏子!」

杏子「わかってる!」

全身が黒い、影のような使い魔の出現に伴いほむらは杏子に声をかける。
ここまでほむらから付かず離れずといった調子で動いていた杏子もようやく本格的に動き始める。
スッと切っ先を前方に向けて構えると凄まじいスピードで使い魔目掛け突進していく。
十数メートルの距離を一秒足らずで駆け抜け、ほむらに攻撃を仕掛けようとしていた使い魔を一瞬で貫く。

ギギィッ!?

貫かれた使い魔は短い悲鳴にも似た鳴き声をあげて霧散する。

杏子「手応えなさすぎだろ」フン

ほむら「そうね。けど、『束になって』かかられるとそれなりに厄介よ」

一匹始末したのも束の間、二人を囲うように数匹の使い魔が姿を現す。
それはまるで子どもの遊びの『カゴメカゴメ』の様にも見えた。

杏子「確かに、『それなりに』遊び甲斐はありそうだな」

杏子「アンタは早く次の攻撃ポイントに移動しな。じゃないとさくらにいいとこ全部持ってかれるよ」

ほむら「けど」

片手では数え切れないほどの使い魔を前に、ほむらは一抹の不安を覚える。

杏子「アンタが立てた『作戦』だろ、立案者が崩してんじゃねえよ」

ほむら「杏子……」

杏子の叱責を受け、この場にいる全員の共通の目的を再確認する。
全員が全力で最善を尽くさなければアレを打倒することなど不可能なのだ。

ほむら「わかったわ。……頼んだわよ」

その言葉の後、カチリという音が聞こえたかと思えばほむらの姿は忽然と消えてしまっていた。

杏子「きなよ、使い魔ども。まとめて相手してやる」ドン!
226 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:35:04.16 ID:vJT2ASnR0
無人の街を一台の車両が走っていく。
石油を満載したタンクローリーの運転席には誰もいない。
代わりというのもおかしな話だが運転席の真上、車両の屋根に少女が乗っていた。
タンクローリーはほむらの魔法でコントロールされ魔女に向かって猛スピードで突き進んでいく。
丁度、魔女は橋のすぐ真横でさくらの作った火柱に焼かれている。
橋の両端にあるアーチをジャンプ台にしてタンクローリーを火柱に包まれる魔女に突っ込ませる。
衝突の衝撃でタンクが破損し、火柱の熱で即座に発火する。

ドオォォーーーン!!

今までで一際大きな爆発が起こり黒煙が魔女を包みこむ。

さくら「これで……」

これほどの爆発、さすがに無傷というわけにはいかないはず。
あわよくば、という単語がさくらの脳裏に浮かぶ。
一方で突撃の際に車両の屋根から飛び降りていたほむらは水面に投げ出されくるくると落ちていく。
落下しながらも険しい目で黒煙の中を睨み続けている。
そして、スタッと水面に着地を決めたかと思えば、同時に下から何かが競りあがってくる。

さくら「ほ、ほえええ!?」

その水面下から競りあがってきたものを目にし、さくらは思わず驚きの声をあげる。
それは国家のような大規模な母体がなければ保有できないであろう対艦誘導弾。
RPGや迫撃砲ぐらいなら漫画や映画の世界で見たことがあるが、
完全な軍用兵器の出現に驚きを隠せずにいた。

ほむら「吹き飛びなさい!」

掛け声とともに爆音を響かせ数十発もの誘導弾が発射される。

ドオォォーーーン!!

黒煙の中にいるであろう魔女に直撃し、タンクローリーの爆発に負けず劣らない轟音が聞こえてくる。
しかもこちらは破壊することに特化して作られた軍用兵器だ。
タンクローリーとは比べ物にならないほどの高い効果が期待できるだろう。
227 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/11(月) 02:39:54.63 ID:vJT2ASnR0
連続して発射されるミサイルとかそういうのってドラゴンボールの連続エネルギー弾に近いもの感じるよね
てか地の文多すぎて血吐きそう
地の文のってたくさん書いた気がするのにレス数にすると少ないのがいやだわ・・・
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 07:06:25.32 ID:uVh/1siIO
乙でした
タンクローリーがクローリーにみえて仕方ないwww
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 07:44:08.45 ID:ZFlTH7RBo
お疲れ様でした。
230 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:32:29.56 ID:OUuixHRT0
さくらとほむらは黒煙が徐々に晴れていく光景を固唾を呑んで見守っていた。
あれだけの攻撃を受けて無事なはずがない。
気付けばいつの間にか不快な魔女の哂い声は聞こえなくなっていた。
倒せたのだろうか?という期待を膨らんでいくの感じる。
しかしだ。

……ギャハッ!

ほむら・さくら「!?」

ギャハ、ギャハハハハ!!

再び辺りに響き渡る不快な哂い声。
さっきまでのどこか品のある哂いとは違い、
楽しくて楽しくてしょうがないといった品のない子どものような哂い声。

ゴオォッ!

突然吹き荒れた突風が黒煙を吹き飛ばし、魔女がいまだ健在なことを魔法少女たちに知らしめる。

ほむら(予想はしていたけどここまで効果がないなんて……)ギリ

さっきまでの攻撃で全身を煤で汚してはいるが、身体の一部を大きく欠くようなダメージは見当たらなかった。
よくて僅かなヒビや小さな破片が飛び散った程度だろうか。

ほむら(少しは魔力を込めているのだけれど、やはり近代兵器では倒すことができないのね)

ほむら(ワルプルギスを倒すには純粋な魔法による攻撃のみ……)

ほむら『杏子、聞こえているかしら。残念だけど私の攻撃では効果が薄いわ』

ほむら『リスクは高くなるけど、あなたが前衛に……って聞いているの杏子?』

テレパシーを使って杏子に呼びかけるが反応がない。
まさか、という考えが頭を過ぎり冷や汗が首筋を伝う。
231 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:34:36.55 ID:OUuixHRT0
さくら「きゃあああぁぁっ!!」

突如として聞こえてきたのはさくらの悲鳴。

ほむら「ッ!?」

ケルベロス「さくらぁっ!」

ハッとなり視線を前線へと戻しさくらの姿を探す。

ほむら「いた!」

上空を飛び回る四つの影。
一人はさくら、もう一人はケルベロス、そして残る二つの影は文字通り影のような使い魔だ。
おそらくは使い魔がさくらに襲い掛かったのだろう。
けれど、見た限りでは大きな怪我をした様子もない。
きっと不意打ちで攻撃がかすった程度なのだろう。
戦況は刻一刻と変化し続けている。
呆然と立ち尽くすだけでは状況は悪化するばかりなのだ。

ギャーハハハハハ!

ほむらは哂い声の主をキッと睨みつける。
魔力を武器や直接の攻撃に変換できないほむらに残された、ワルプルギスを倒す唯一の手段。
できることならワルプルギスを倒した後、まどかたちと遊びたかった。
永遠の迷路を抜けて一緒に笑いあいたかった。

ほむら「私はもう迷わない、そう誓ったじゃない……」

大切な守りたいモノのために何もかも失ったって構わない。
それが私の、最後に残った道しるべ。
232 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:36:30.11 ID:OUuixHRT0
ほむらは走る。
がむしゃらに前だけを向いて走り続ける。
そんなほむらの前に数体の使い魔が立ちはだかる。

ほむら「私の邪魔をするなあああ!!」

盾の後ろから小機関銃を取り出して四方八方に乱射する。
砂時計の中の砂は落ちきってしまっていた。
時間停止の魔法は落下する砂時計の砂の流れを阻害して発動させる。
そのため時間停止の魔法はもう使えない。

ほむら(砂が落ちきった砂時計は逆さにするか、うち捨てられてただの置物と化すかのどちらか)

ほむら(これ以上まどかに因果を背負わせるわけにはいかないの)

少女の目指す未来に、少女自身は含まれているのだろうか――。


ケルベロス「さくら、いったん下に降りるんや」

ケルベロス「こいつらなんとかせんと魔女を攻撃できん」

さくら「わかった」

さくらとケルベロスは使い魔たちから離れて滑空していく。
二体の使い魔もそれを追って二人同様に滑空する。
途中、視界の端にほむらの姿を捉えた気がしたが確認している余裕はない。
まして、その顔が大きな決意に満ちていたことなど知る由もなかった。

さくら(とにかく今はこの使い魔を倒さないと……)
233 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:37:54.47 ID:OUuixHRT0
アスファルトの地面に向かって滑空を続けるさくらとケルベロス、それを追う二体の使い魔。
地面が目の前まで迫ってきたところでさくらは次のカードを取り出す。

さくら「跳(ジャンプ)!」

翔(フライ)の魔法を解除し、跳(ジャンプ)の魔法で綺麗な着地を決め、そのまま駆け出していく。
跳(ジャンプ)の魔法の効果でその歩幅は大きくスピードも速い。
そしてその横をケルベロスが俊敏な獣の動きで疾走している。

ケルベロス「そこを左や!」

さくら「うん!」

ケルベロスの指示の元、二人は交差点を直角に曲がる。
その後ろを使い魔たちは緩やかな弧を描いて左折する。

ケルベロス「今や!」

さくら「影(シャドウ)!」

死角から待ち構えていたさくらがカードに杖を振り下ろす。
するとさくらの影が使い魔たちに向かって植物の蔓ように伸びていく。
そして一瞬のうちに二体の使い魔を縛り上げ身動きできないように拘束してしまう。

さくら「剣(ソード)! えーい!」

続けて取り出したカードに杖を振り下ろすと、杖が長剣(ロングソード)へと姿を変える。
息つく暇もなく長剣を横薙ぎに振り抜き二体の使い魔をまとめて斬り捨てる。
斬られた使い魔たちはその場で霧散して跡形もなく消滅した。

さくら「はぁ……やっと倒せた」ヘタリ
234 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:39:34.83 ID:OUuixHRT0
杏子「たかが使い魔二体にあんまりてこずんなよな、さくら」

さくら「杏子ちゃん!」

ケルベロス「そっちも無事やったか」

杏子「この格好見てどっから『無事』って単語が出てくるんだよ」ッタク

さくら「服がぼろぼろ……、怪我とかしてない? どこか痛かったりしない?」

杏子「あぁ、見た目はぼろっちくなっちまったけど、擦り傷ぐらいでどこも痛くないよ」

杏子「さっきほむらがテレパシーで話しかけてきたときは焦ったけどな」

杏子「戦ってる最中に話しかけられても返事できないし気も散るし、ったく」

さくら「そうなんだ、よかった」ホッ

ケルベロス「で、ほむらの嬢ちゃんは何の用やったんや?」

杏子「あー、それが残りの使い魔倒した後でテレパシー送ってみたんだけど返事がなくてね」

杏子「安否確認を兼ねて加勢にきたんだよ」

さくら「ほむらさんならさっき魔女の方に向かって走って行くのを見たよ」

杏子「あん? ほむらの奴、自分の攻撃じゃ効果が薄いとか言ってたのに何をする気だ……?」

さくら「とにかく行ってみようよ」

さくら「テレパシーの返事がないってことはほむらさんも使い魔と戦ってるのかも」
235 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 00:41:28.63 ID:OUuixHRT0
更新短すぎかな?
まぁ、そうは言っても明日ぐらいに決着つくと思うけど
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 01:04:18.13 ID:g2ad3eJF0
乙ですたー
ほむほむ、まさか自決覚悟か・・・?
237 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:16:11.16 ID:OUuixHRT0
キュゥべえ「ちょっと待ってくれないかな」

今にも駆け出さんとする三人の前に唐突に白い獣が姿を現す。

ケルベロス「お前は……!」

杏子「一体何しにきやがった!」

キュゥべえ「何しにきたとはご挨拶だね」

キュゥべえ「君たち魔法少女が魔女を狩るのと同じで、僕も僕の仕事をこなすだけだよ」

キュゥべえ「杏子、君の手持ちのグリーフシードは限界まで穢れを溜め込んでいるだろう?」

杏子「いつもの回収作業ってわけか」チッ

杏子「ほらよ、どんなにお前が憎くてもこればっかりはアタシじゃ処理できないしね」

杏子はポケットからいくつかの真っ黒なグリーフシードを取り出すと、
それをキュゥべえに向かって放り投げる。
キュゥべえは器用に耳と尻尾を使って全て受け止めた後、
ぱかっと空いた背中の穴でグリーフシードを吸い込んでしまった。

キュゥべえ「げぷぅ、これで僕の仕事は終わりだよ。邪魔したね」

そういい残すとトコトコと歩いてさくらたちの進行方向とは逆のほうへと歩き去っていった。

杏子「食えねえやろうだ。だいたいなんでこのタイミングで……」

そこまで言いかけて一つのことに思い至る。

杏子「まさかあのやろう……ッ!」

さくら「ど、どうしたの杏子ちゃん?」

杏子「急がないとほむらが危ねえ!」

さくら「ほむらさんが危ないってどういうこと?!」

ケルベロス「……そういうことか、わいの背中に乗れ、全速力で運んだる!」

杏子「助かるよ。さくらはとにかく羽出せ羽、説明なんか飛びながらでもできる」

さくら「わ、わかったよ。翔(フライ)!」

さくらは再び翔(フライ)のカードで背中に羽を生やし空へと飛び上がる。
杏子を乗せたケルベロスも飛び上がり三人は猛スピードでほむらの下へと急ぐ。
238 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:18:46.95 ID:OUuixHRT0
パーン!

ほむら「道をあけなさい!」

撃ち抜かれた使い魔が散っていく。
小機関銃は弾を使い果たし残す武器は今握っている拳銃といくつかの手榴弾のみ。

ほむら「けど、どうにか間に合ったみたいね」

目の前には舞台装置の魔女、ワルプルギスの夜がいる。
ほむらはビルの屋上に立ち真正面から向かい合う。

ほむら「これで終わり。これでまどかを守れる……」

少し後ろに下がって助走をつけると全速力で駆け出す。
そして魔女に向かって一気に跳躍し、

杏子「やめろ馬鹿やろおおおおおおおおお!!」

ほむら「なっ!?」

真上から降ってきた杏子にしがみ付かれて真っ逆さまに落下することになる。

ケルベロス「あほぅ、無茶しすぎや!」

さくら「盾(シールド)!」

さくらがカードに杖を振り下ろすと、落下する杏子とほむらを光の球体が包みこみ、
二人をゆっくりとした速度で地面へと着地させる。

ほむら「……杏子、無事だったのね」

杏子「当たり前だ。お前の方こそちょっと返事が遅れたくらいで無茶しようとしやがって」

ほむら「返事が、遅れた……?」

杏子「チッ、やっぱりこっちのテレパシー届いてなかったのかよ。キュゥべえのやろう!」

ほむら「わけがわからないわ。もう少し順序だてて説明してもらえるかしら」ファサ
239 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:19:58.69 ID:OUuixHRT0
ケルベロス「どっちも無事やったんや、今はそれでええやろ」

ケルベロス「説明はこいつら倒してからにしてくれや」

ケルベロスが顎で指した方向から数体の使い魔がゆらゆらと現れる。

ほむら「それもそうね」

杏子「アンタの攻撃は効かなかったんだろ? ならパターンCでいいか」

ほむら「えぇ、こうなったらあなたたちに託すしかないわ」

ケルベロス「ほれ、もっかい背中乗りや。さくらのとこまで運んだる」

杏子「このくらい、一人で上れるよ。それよりケルベロスはほむらを頼む」

ケルベロスの提案を断ると杏子はビルに向かって駆け出していく。
そして高く垂直に跳び上がると窓枠や壁に槍を突き立てて足場にし屋上まで駆け上がる。

ケルベロス「器用なやつや」

ほむら「パターンC……、私とケルベロスで使い魔の相手をして杏子とさくらがワルプルギスを叩く」

ケルベロス「足手まといにならんように頼むで」

ほむら「それはこちらの台詞よ」ファサ
240 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:20:57.39 ID:OUuixHRT0
杏子「よっと。さくら、パターンCだ」

ビルの側面を駆け上がり屋上までたどり着いた杏子がさくらに作戦を伝える。

さくら「了解、わたしと杏子ちゃんでワルプルギスを攻撃するんだね」

杏子「あぁ。しかし、間近で見るとほんとでけえな」

杏子「しかもむちゃくちゃ頑丈ときたもんだ。こんなのほんとに倒せるのか?」

さくら「絶対だいじょうぶ、まずは自分を信じなくちゃ」

杏子「絶対、ってその自身はどこからくるんだか……」

杏子「さくらはあきれるほどポジティブだな」

さくら「そうかな? じゃあ杏子ちゃんもポジティブになれる魔法を……、跳(ジャンプ)!」

さくらは跳(ジャンプ)の魔法を自分にではなく杏子に使い、杏子の両の靴の側面に羽を生やす。

杏子「おお、カッコいいじゃんこれ」

さくら「それじゃ、行くよ」

杏子「おう!」
241 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:22:59.35 ID:OUuixHRT0
さくらの跳(ジャンプ)の魔法を受けた杏子が颯爽と飛び出していく。

杏子「ひゃっほー! こりゃすげえな」

普段の何倍もの速さで俊敏に跳ね回る姿は野生のうさぎを連想させる。

杏子「とりあえず一発、……食らいやがれ!」

杏子は槍を担ぐような姿勢で構えると、飛び跳ねる勢いに乗せて思い切り投擲する。
高速の槍は赤い尾を引いて流星のように飛びワルプルギスの夜に突き刺さる。

ギャハ、ギャハハハ!

しかしワルプルギスの夜は全く意に返さぬ様子で尚も哂い続ける。

さくら「これなら……、雷(サンダー)!」

さくらがカードに杖を振り下ろすと、杖の先端から雷が迸る。
電撃は突き刺さった槍を避雷針にしてワルプルギスの夜を襲う。

ギャ、ギャハ?

杏子「効いてるみたいだな。この調子で行くぞ、さくら!」

さくら「うん!」

効果が確認できたことで杏子は地上をピョンピョンと飛び跳ねながら次々に槍を投げつけ、
さくらも自由自在に宙を舞い次々に突き立てられる槍に雷を落としていく。
攻撃を受け続けるワルプルギスの夜の動きは僅かにだが鈍くなり始めていた。
242 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:23:42.67 ID:OUuixHRT0
ギャハ? ギャハハハハ?

さっきまでの楽しげな哂いと異なり、まるで理解できないといった哂いが響き渡る。
哂い声に合わせてまるで疑問を投げかけるような突風がさくらと杏子を襲う。

杏子「アンタが元は魔法少女だったのか、魔女の使い魔だったのかは知らない」

杏子「けど、根っこを辿れば幸せを祈った誰かの願いなんだろ?」

杏子「なら、誰かに災厄が降り注ぐことをアンタは望んでいないはずだ」

杏子の語りが耳障りに感じたのか、ワルプルギスの夜はより大きく哂い声をあげ、
呼応するように風も激しさを増す。

さくら「きゃっ!」

空を舞っていたさくらは思わずビルの屋上に降り立ち吹き飛ばされまいと姿勢を低くする。
一方で杏子は風に身を任せるように跳び上がるとビルの壁面へと着地する。

杏子「もう休め」

杏子は優しく呟くと両手に一本ずつ、二本の槍を現出させる。
そしてその二本の槍を重ね、捻りあげて一本の槍にしてしまう。

杏子「トドメだあああ!!」

これまでで最も強く高く跳び上がるとありったけの魔力を込めて全力の一撃を放つ。
音速を超えた槍の重い一撃がワルプルギスの夜に深々と突き刺さる。

ギャッ、ギヒ!?

さくら「風(ウィンディ)! 水(ウォーティ)!」

槍を突き刺さされ怯んだ一瞬の隙をついて、さくらは二枚のカードを取り出して杖を振り下ろす。
風(ウィンディ)が雲を運び、水(ウォーティ)が湿度を増して雨雲を作り上げ雨を降らせ始める。

さくら「雷(サンダー)!」

続けて三枚目のカードに杖を振り下ろすと雨雲がゴロゴロと轟音を響かせる。
そしてピカッと光ったかと思えば杏子の突き立てた槍を目掛けて正真正銘の雷が落ちる。
243 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:24:49.81 ID:OUuixHRT0
ドオォォォン!

落雷がワルプルギスに直撃し爆音をあげる。

ほむら「やったの!?」

想像を絶する大きな音に驚き、ほむらは思わず視線を魔女へと向ける。

ケルベロス「戦いの最中に余所見すんなや!」

隙を見せたほむらに襲い掛からんとする使い魔をケルベロスが爪で引き裂くように吹き飛ばす。

ほむら「っ! ごめんなさい、つい……」

ケルベロス「まだ魔女の気配を感じる。倒せてへんわ」

ほむら「あんな強い攻撃を受けたのに……」

ケルベロス「心配せんでももう終わるわ」

ケルベロス「やから今は目の前の敵に集中しとけ」

ほむら「くっ……、二人を信じるほかにないのね」
244 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:25:45.60 ID:OUuixHRT0
ギャヒ、ギャヒヒャハヒヒ……

魔女の哂い声はずいぶんと小さくなりぐらぐらとふらついているように見える。
その正面、さくらは空中に立ち止まるように停止していた。

さくら「剣(ソード)!」

杖を長剣の姿に変えると天高くに掲げるようにして振りかざす。
そして魔女の身体にはしる亀裂に目掛け、長剣を全力で振り下ろす。


ケルベロス『剣(ソード)は術者が望めばどんなもんでも斬れる』

ケルベロス『やけど、術者が無理やと思たら豆腐一つ斬れへん』

ケルベロス『もし一太刀目で斬れへんかったらそんだけ硬いもんやと思い込んでしまう』

ケルベロス『だから剣(ソード)使うんやったら一撃必殺……』

ケルベロス『必ず斬り捨てられるイメージをしっかり作った上で全力で振り抜け』


さくら(わかったよ、ケロちゃん)

さくら(この一刀で斬り開いてみせる……、未来を!)

さくら「やあぁぁっ!」

ギィィィン!!

金属同士の擦れる高い超音波のような音が響き渡る。

ゲ、ヒヒ……キャハッ……
245 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:26:23.88 ID:OUuixHRT0
ギィッ!?

突然使い魔たちが悲鳴のような声をあげたかと思うと霧のように消えていく。

ほむら「使い魔たちが消えた……、もしかして!」

さっきの失敗を思い出し、周囲を見渡して安全を確認した上で振り向く。
そこでほむらの目に映ったのは真っ二つに両断されたワルプルギスの夜の姿だった。

ケルベロス「やったな、さくら」

ケルベロスの視線の先には徐々に姿を虚ろにしていく魔女を背にして、
ゆっくりと地上に降り立つさくらの姿があった。

さくら「やったよ、ケロちゃん! ほむらさん!」

さくらも指でピースをしながら小走りに駆け寄ってくる。

杏子「最後の一撃すごかったな、さくら!」

細い路地裏から姿を現した杏子もそこへ合流する。

ほむら「倒したのね……、ワルプルギスの夜を、ようやく……」

杏子「そうさ、やったんだよアタシたち!」

パァァァ!

ケロ「さすがやでー、さくらー!」ヒシ

少女たちは互いに抱きしめあい喜びを表現しあう。
こうして長く厳しい戦いに終止符がうたれたのだ。
246 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/12(火) 23:37:43.21 ID:OUuixHRT0
途中だけど風呂、もしかしたらそのまま寝るかも。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/14(木) 20:10:58.48 ID:++nz4PwAO
さすがさくら、強い!この世界だと何番目ぐらいだろ?魔法少女化したまどかの次くらい?
248 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 20:24:49.79 ID:r5fCWzYs0
やった、復活してる!
>>247
そんなとこかな
杏子<越えられない壁<さくら<越えられない壁<4ループ以降のまどかぐらい?
249 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 20:58:29.06 ID:r5fCWzYs0
まどか「ほむらちゃん!」

まどか「みんなも!」ハァ、ハァ…

突然の声にその場にいた全員が振り返る。

さくら「まどかさん……!」

ほむら「まどか……、どうしてここに」

まどか「ほむらちゃんが相討ち覚悟で戦ってるって聞いたから……」

まどか「どうしてもじっとしてられなくて」ハァ、ハァ…

まどか「でも、倒したんだね。ワルプルギスの夜を」

ほむら「えぇ、みんなのおかげでね」

まどか「またキュゥべえに騙されちゃったんだね、わたし。ごめんね、ほむらちゃん」シュン

申し訳なさそうな顔をするまどかを、ほむらは優しく抱きしめる。

ほむら「いいのよ。もう終わったんだもの、何もかも」

そう、これは永遠の迷路の終わり。

ほむら「大事なもの……。私、ようやく守りきれた……」

――そのはずだった。

キュゥべえ「ずいぶんと喜んでるみたいだけど、何が終わったんだい?」

杏子「テメェ!?」

ケロ「また出やがったな、この潰れ饅頭!」
250 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:02:39.85 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「もう一度聞くよ。何が終わったって言うんだい?」

杏子「戦いが、だよ! ワルプルギスの夜を倒したんだ」

キュゥべえ「ワルプルギスの夜? もしかしてさっき倒した『使い魔』のことを言ってるのかな?」

さくら「えっ?」

ほむら「……なんですって?」

キュゥべえ「ワルプルギスの夜は終焉の幕開け」

キュゥべえ「地球上から全ての魔女と使い魔が消えた時、本当のワルプルギスの夜が始まる」

ほむら「何を、言っているの……?」

キュゥべえ「君はずいぶんとワルプルギスの夜について詳しかったみたいだけど」

キュゥべえ「もしかして、知らなかったのかい?」

まどか「ほむらちゃん、どういうことなの……?」

ほむら「知らない……、そんなの嘘よ。出鱈目に決まってるわ!」

キュゥべえ「その反応、どうやら本当に知らなかったようだね」

ケロ「わかるように一から説明せえ」

キュゥべえ「構わないよ。君たちはワルプルギスの夜の真実を知るべきだ」

キュゥべえ「そうすればきっと、否が応でも僕と契約したくなるはずさ」

杏子「この野郎……!」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 21:25:23.79 ID:H0htnlYR0
あれが使い魔・・・だと・・・?
252 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:34:11.84 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「まず、ワルプルギスの夜というのは魔女でもなければ使い魔でもない」

キュゥべえ「お祭りの名称のようなものさ」

さくら「お祭り?」

キュゥべえ「そう、『魔女たちの』お祭りさ」

杏子「魔女の祭りだと!?」

キュゥべえ「君たちが倒した使い魔はお祭りの開会セレモニーみたいなものだ」

キュゥべえ「真のワルプルギスの夜が始まれば数万という魔女たちが地球上に溢れることになる」

ほむら「それはおかしいわ……、さっきお前は地球上の全ての魔女と使い魔が消えたと言った」

ほむら「そして魔女は使い魔が人を喰らって成長するか魔法少女の成れの果てのはず」

ほむら「それがいきなり数千の魔女で溢れることになるですって?」

ほむら「そんなわかりやすい嘘に騙されないわよ!」

まどか「そうだよ、キュゥべえ。そんなたくさんの魔女がどこから現れるっていうの?」

キュゥべえ「……月からだよ」

ほむら「なん、ですって……?」

キュゥべえ「月は魔女の集合体だって言ったら、君たちは信じるかい?」

杏子「じょ、冗談だろ!?」

キュゥべえ「あいにくと感情を持たない僕たちには『冗談』というものが理解できないんだ」

キュゥべえ「だからこれは真実。何一つ嘘偽りのない現実だよ」
253 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:37:02.28 ID:r5fCWzYs0
さくら「ケロちゃん、キュゥべえが言ってることどう思う……?」

ケロ「なんとも言えん……。ただ」

さくら「ただ?」

ケロ「あいつの言うとることがほんまやったら一つ疑問に思っとったことに納得がいく」

ケロ「魔女がおらんはずの街に使い魔が現れる原因、それは月にあったんや」

さくら「それって昨日倒した……あの?」

ケロ「あぁ。あの使い魔は月の魔女の影響で生まれたもんやとしたら合点がいく」

キュゥべえ「君の言う通りさ、ケルベロス」

ケロ「!!」

キュゥべえ「時折、魔女もいないのに使い魔が現れることがある」

キュゥべえ「それは君の推測通り月の魔女が原因なのさ」

ケロ「やはりか……」
254 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:40:02.81 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「発端はといえば数世紀ほど過去に遡る」

西の大陸で魔法少女の数を魔女の数が上回ったんだ。
魔女が絶望をふりまき、魔法少女たちはどんどんと魔女化し事態は深刻化していく。

このままでは大陸が滅ぶという時、一人の少女が祈りを捧げた。
『この星から全ての魔女を消し去って欲しい』、と。
そして少女は魔法少女になった。願いが叶ったんだ。

ただ、魔女たちは消滅したわけじゃなかった。
月に封印されただけだったんだ。

一時的には地球上から魔女は消えたものの、月に封印された魔女たちの影響で再び世界中に使い魔が現れる。
魔法少女もグリーフシードがなければ魔女となってしまう。
魂のない身体を動かすだけでも魔力は消費しているからね。

真実を知ったその魔法少女は自らの祈りに裏切られ、わずか数日で魔女になってしまったよ。

結果として、世界は魔法少女の数を魔女が上回る前とほとんど同じ状態になった。
そのままなら大陸は滅び、その呪いが世界中に広がっていた可能性を考えれば少女は間違ってなかったと僕は思うよ。

当時、西の大陸が魔女で溢れてしまったことを後に『ワルプルギスの夜』と呼ぶようになった。

キュゥべえ「どういうわけか君たちは強力な魔女の出現のことだと勘違いしていたようだけどね」
255 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:43:01.85 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「これが僕の知るワルプルギスの夜の全てさ」

まどか「……」

さくら「……」

ケロ「……」

杏子「……じゃあ、あの使い魔を倒したのは間違いだったってのかよ!」

ほむら「杏子……」

キュゥべえ「どうだろうね」

キュゥべえ「倒さなければあの使い魔は一通り暴れた後に月の魔女たちの魔力に引かれて天に昇っていっただろう」

キュゥべえ「結果、地球上から最後の使い魔が消えワルプルギスの夜が始まる」

キュゥべえ「この街が無事だったという点では意味はあったんじゃないかな」

杏子「……」

杏子「……今、地球上に魔法少女は何人いるんだ……」

ほむら「杏子、あなた……!」

キュゥべえ「さぁ? 僕の管轄はそれほど広くないからね。正確な数は把握できていないよ」

キュゥべえ「ただこれだけは言えるよ。少なく見積もっても魔法少女の数とほぼ同数」

キュゥべえ「そして永きに渡って力を蓄えてきた魔女たちは君たちが戦った使い魔と同程度の強さを誇る」

さくら「そんな!」

キュゥべえ「魔法少女たちは絶望するだろうね。そして彼女たちは魔女になる」

キュゥべえ「まさに魔女たちのお祭り、『ワルプルギスの夜』の再来と言えるね」
256 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:46:25.13 ID:r5fCWzYs0
杏子「無理だ……、勝てるわけねえ……」

杏子「もうグリーフシードは一個も残ってない、ソウルジェムの穢れも溜まってる」

杏子「弱い魔女を倒すのが精一杯って状態で数千匹の魔女と戦うなんて、無理に決まってる!」

ほむら「落ち着きなさい、杏子!」

杏子「これが落ち着いていられるわけないだろっ!」

ほむら「それでも! それ以上穢れが増せばあなたも魔女になってしまうわ……」

杏子「ぐっ……、悪い」

ほむら「……まだよ、まだ何か方法があるはずよ……」

キュゥべえ「方法ならあるじゃないか」

ほむら「!?」

まどか「……」

キュゥべえ「鹿目まどか、君が魔法少女になればいい」

ほむら「ふざけないで! そんなこと……」

まどか「……わかったよ、キュゥべえ」

ほむら「ッ! まどか!」

まどか「もういいんだよ、ほむらちゃん」

ケロ「嬢ちゃん……」
257 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:47:50.74 ID:r5fCWzYs0
まどか「ごめんね、ほむらちゃんずっと頑張ってきてくれてたのに」

ほむら「ダメよまどか! 今の私に過去に戻る魔力は残っていないわ!」

ほむら「それに何よりあなたにこれ以上の因果を背負わせたくないの!」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

まどか「ずっと考えてた、わたしにできること」

まどか「そしてようやく叶えたい願い事見つけたよ」

キュゥべえ「あまたの世界の運命を束ね因果の特異点となった君は今地球上でもっとも高い魔法少女の素質を持つ」

キュゥべえ「そんな君ならば今この瞬間も地球に降下してきている魔女たちを再度封印するどころか」

キュゥべえ「完全に消滅させることも可能だろう」

まどか「これまでずっとほむらちゃんに望まれてきたから今のわたしが在るんだと思う」

まどか「そんなわたしがやっと見つけた答え……」

キュゥべえ「さぁ、鹿目まどか。その魂を対価にして、君は何を希う?」

まどか「わたしは……」スゥ

まどか「『全ての魔女を生まれる前に消し去りたい』」

まどか「『全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女をこの手で……』」

キュゥべえ「!? その祈りは……」
258 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 21:48:39.05 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「そんな祈りが叶うとしたら、それは時間干渉なんてレベルじゃない……」

キュゥべえ「因果律そのものに対する叛逆だよ」

まどか「キュゥべえは私が望めば万能の神にだってなれるって言ったよね」

まどか「これまで希望を信じてきたみんなを泣かせたくない」

まどか「最後まで笑顔でいて欲しい」

まどか「そのためならわたし、神様にだってなってみせるよ」

まどか「さぁ、私の願いを叶えてよ。インキュベーター!」

ほむら「やめてまどかぁー!」

キュゥべえ「鹿目まどか、その願いは……」
259 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 22:03:47.47 ID:r5fCWzYs0
キュゥべえ「残念ながら叶えることができない」

ほむら「……え?」

まどか「どういうことなの? あの時言ったことは嘘だったの……?」

キュゥべえ「僕は嘘をつくつもりも、ついたこともないよ。鹿目まどか」

まどか「じゃあどうして……」

キュゥべえ「あの時の君なら間違いなく今の願いを叶えることができていたよ」

キュゥべえ「けど、状況が変わった。君の因果はほどけてしまった……」

キュゥべえ「木之本 桜。君が原因だよ」

さくら「わ、わたし!?」

まどか「さくらちゃんが……?」

キュゥべえ「君たちはこの世界の住人じゃないんだろう?」

キュゥべえ「この世界の住人ではない人間に因果は存在しない」

キュゥべえ「そんな君たちが莫大な因果の糸が集中しているまどかと出会ってしまった」

キュゥべえ「君たちが力を持つ者だったがためにまどかの因果の糸はほどけ君たちに絡め取られてしまった」

キュゥべえ「そういうわけで、今の願いは叶えられないんだ。ごめんねまどか」
260 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 22:08:07.27 ID:r5fCWzYs0
まどか「そんな……」

杏子「どういうことだよ、アタシにはさっぱり理解できねえ……」

杏子「まどかの願いが叶わなかったのは良かったのか、悪かったのかどっちだなんだよ」

ほむら「……私にとっては良かったわ。ただ、状況は何一つ変わっていたない」

キュゥべえ「残念ながら今の願いは叶えられないけど、君が今地球上でもっとも素質があることには変わりない」

キュゥべえ「どうするんだい? 月の魔女たちを消滅させるかい? それとも別の願いかな?」

まどか「キュゥべえ……」

キュゥべえ「別に願いを叶えるのはまどかじゃなくても僕は構わないよ」

キュゥべえ「木之本 桜、君がまどかから絡め取った因果の量でも魔女たちを月に再度封印するぐらいはできるはずだよ」

さくら「わたしが、魔法少女に……」

ケロ「やめろさくら、こいつの口車に乗ったらあかん!」

さくら「けどわたしにある願いの力は元々はまどかさんの……」

まどか「ダメだよ、さくらちゃん。ケルベロスさんの言う通り」

さくら「まどかさん……」
261 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 22:12:30.38 ID:r5fCWzYs0
まどか「魔女を消し去ったり封印したんじゃ結局同じなんだよね」

まどか「わたしはもう魔法少女が泣いたり苦しんだりするのは嫌なの」

まどか「だからわたしは願いを変えられない」

キュゥべえ「はぁ……。まどか、そんなこと言ってもできないものはできないし……」

まどか「今のわたしにはできなくても……」チラッ

ほむら「……えっ?」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん……」

まどか「キュゥべえ……、わたしの願いはほむらちゃんにもう一度だけやり直してもらうこと!」カッ

キュゥべえ「そういうことか……。いいよ、その願いを叶えよう」

ほむら「そんな、まどかっ!」

カチッ、カチッ……

まどか「本当にごめんね、ほむらちゃん……」ポロ

まどか「何度も繰り返してきて、辛かったって知ってるのに……」ポロポロ…

カチ、カチカチカチ……

まどか「もう一度だけ、わたしのわがままに付き合って」

まどか「わたしの叶えようとした願いを次の私に伝えて……お願い」

ほむら「いやよ! もうこれ以上まどかを悲しむ顔を見たくないの! 苦しめたくないのよ!」

ガチリッ! ピカッ!

ほむら「まどかああああああ!!」
262 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 22:14:30.52 ID:r5fCWzYs0
まどか「わたしの願いはほむらちゃんにもう一度だけやり直してもらうこと!」カッ

まどかさんがそう叫ぶとまどかさんの身体が仄かな光に包まれたの。

キュゥべえ「そういうことか……。いいよ、その願いを叶えよう」

光はほむらさんに移り、ほむらさんの左手の盾が輝き始めて……

その時、その様子をみんなの一番後ろで見守っていたわたしにも異変が起きたの。

さくら(わたしのポケットも……光ってるの?)

ケロ「さくら、それ……」

そっと取り出すとそれは壱原さんに貰ったクロウカード。

さくら「R…E…T…U…R…N…、『戻(リターン)』……?」

クロウカードはわたしの手を離れてふわりと浮き上がって……、

わたしが驚いている間にもほむらさんの盾の輝きは強くなってて……、

さくら(戻る……、元の世界に戻るってこと? ダメ、まだ終わってないのに……!)

ガチリッ! ピカッ!


――鹿目まどかの願いが叶えられほむらの盾の輝きが最高潮に達した。

――眩しさからそこにいた全員が目を閉じ、次に目を開いたときには……

―― 一人の少女とその友だちがその場から姿を消していた。
263 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/14(木) 22:19:52.43 ID:r5fCWzYs0
あとはさらに後味の悪いエピローグを残すのみ。
やりたいことやってフラグ回収に走ったらこんなことに・・・
今日も鯖落ちてたらVIPに一からまとめてぶん投げてたわ
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 22:26:20.65 ID:H0htnlYR0
他の世界からの介入があったところで、一つの世界の現実と言う強固な壁の突破は簡単ではない、か・・・
とりあえず乙ですたー
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/14(木) 22:30:36.75 ID:RVx+LWcLo
結局救うってのは誰のことだったんだ……
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/07/15(金) 08:33:50.54 ID:oKzrxgTAO
乙ー
ラストの超展開ラッシュぱねぇ
リターンのカードってことはニヤニヤしていいのかな
267 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/16(土) 01:59:32.36 ID:TSRXCn7P0
ほむら「まどかああああああ!!」

少女の悲痛な叫びが辺りにこだまする。
少女の盾から放たれる眩い光が徐々に収束し、やがて光は完全に消える。
その光に目をくらませていた全員がそっと目を開くと、ある意味驚きの光景が飛び込んできた。

「「「えっ?」」」

その驚きは思わず声をハモらせるほど。

まどか「ほむら、ちゃん……?」

ほむら「まどか……、どうしてあなたがここに……」

杏子「何も起こってねえじゃねえか、さっきの光はなんだったんだよ」

キュゥべえ「鹿目まどか、君の祈りはエントロピーを凌駕した」

キュゥべえ「きちんと願いは叶ったはずだよ」

ほむら「何を言っているの?」

まどか「願いは叶ったって、ほむらちゃんはここにいるよ……?」

キュゥべえ「そうだね、それがどうかしたかい?」

まどか「どうもこうもわたしの願い、叶ってないよ!? なのにこの姿……」

杏子「どう見ても魔法少女、だよな」

キュゥべえ「君の願いは『暁美ほむらの時間遡行能力を強制的に発動させること』じゃないのかい?」

キュゥべえ「それならきちんと願いは叶ったはずだよ?」

ほむら「私はここにいる! 願いは叶っていないわ!」
268 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/16(土) 02:01:15.02 ID:TSRXCn7P0
キュゥべえ「いいや、願いは確かに成就しているよ」

キュゥべえ「暁美ほむら、どうやら君は自分の能力をきちんと把握していないみたいだね」

ほむら「それってどういう……」

キュゥべえ「もしかして君は自分の能力を『時間を巻き戻す』能力だとでも勘違いしてたんじゃないのかい?」

キュゥべえ「君の能力は『過去の自分に記憶を送る』こと」

キュゥべえ「その影響で『記憶を受け取ったほむら』のいる世界と『記憶を受け取らなかったほむら』のいる世界に世界線が分岐する」

キュゥべえ「起きてしまったことをなかったことにするなんて、万能の神でもなければ不可能に決まっているよ」

ほむら「そんな……、それじゃあ私は……」ズズズ…

まどか「ほむらちゃん、落ち着いて!」

キュゥべえ「この世界線のほむらはは失敗してしまったかもしれない」

キュゥべえ「けど、新しい世界線のほむらが理想を叶えられればそれでいいじゃないか」

キュゥべえ「なのに君はどうしてそんなにショックを受けているんだい? わけがわからないよ」

――――――――
――――
――
269 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/16(土) 02:04:20.90 ID:TSRXCn7P0
ズーン! ズーン! グオオォォォ!!

杏子「まどかも、ほむらも……。二人とも魔女になっちまった……」

キュゥべえ「自らの祈りに裏切られたんだ、当然といえば当然だね」

杏子「けっ……、もう怒る気力も残ってねえよ」

杏子「……なぁ、一つ聞いていいか?」

キュゥべえ「なんだい? 言ってごらんよ」

杏子「さくらがどこいったかわからねえか?」

杏子「いつの間にかケルベロスと一緒に消えちまってた」

杏子「どこ行ったか知らないけどどうせ後数時間で魔女の大群が押し寄せてくるんだ」

杏子「世界中どこにいたって一緒だろう」

キュゥべえ「木之本 桜か、彼女たちならもうこの世界にはいないよ」

キュゥべえ「まどかの願いが叶ったと同時に地球上から存在が確認できなくなっていた」

杏子「なんだよ、宇宙にでも逃げたってのか? アイツはほんとすげえな」ククク

キュゥべえ「いや、今のはそういう意味じゃないよ」

キュゥべえ「おそらくは彼女の元いた世界に戻ったんじゃないかな?」

杏子「……プッ。あははは、マジかよ、じゃあさくらはほんとに他所の世界からきたっていうのか」

杏子「適当に相槌打ってわかったようなふりしてたけど、アタシはぶっちゃけ信じてなかったんだ」

杏子「けど……、そうかそうか。そりゃぁよかった」
270 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/16(土) 02:06:52.98 ID:TSRXCn7P0
キュゥべえ「杏子? 何がよかったって言うんだい?」

杏子「べつに。ただ、さくらは良い奴だからさ、アイツらだけでも無事ならそれでいいかって」

キュゥべえ「……君はずいぶんと変わったね」

杏子「あん?」

キュゥべえ「以前の杏子は、もっと自分本位だったと思ってね」

杏子「そう、だね。最後の最後で悪ぶるのにも疲れちまったのかもね」

キュゥべえ「よくわからないな」

杏子「そうかい」

キュゥべえ「それじゃあ僕はそろそろ行くとするよ」

キュゥべえ「あとは君たち人類の問題だ、バイバイ杏子」

杏子「あばよ」


――その日、突然発生した異常気象の数々世界中を襲った。

――異常気象の原因を知る少女たちは三日で一人残らず異常気象へと変化してしまった。

――さらに二日、異常気象発生から五日目には地球上から陸地が消え人類は死滅した。

――そして七日目、海が消え、ほとんどの生物が息絶えてしまった。

その星に彼女たちを傷つけるものなどもう何もない。
地球は彼女たちの楽園となったのだ。
271 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/16(土) 02:25:39.87 ID:TSRXCn7P0
第一部、完。←え?

エピローグ終わり。
独自解釈のオンパレードでごめんなさい、それにしてもキュゥべえマジぶん殴りたい。
読み返してみるといろいろミスあるなぁ・・・
気を付けてたつもりだったけどケ『ロ』べロスが二つくらいあるし
致命的なのは>>207のワルプル前夜に魔女が出現したことになってる(汗
自分の中では>>253との兼ね合いで使い魔のはずだったのに・・・
これはもうキュゥべえぶん殴るしかないな。

今後の話。
一応話は続きますがちょっと雰囲気が変わるかなぁ?
プロット尽きてるからどうなることやら・・・
アニメ見てると>>266さんみたいにニヤニヤできるかもしれません
もうちょっとはにゃーんって感じの楽しい話が書きたい
続き投下できるかは別として1週間ぐらいで経過報告しにきます、ではノシ
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 09:04:55.87 ID:cg1BYImT0
それが世界の選択でちゅか……!

乙!
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 17:47:26.21 ID:m94GOYSc0
乙ですたー
そうか・・・ニヤニヤして待っていて良いんだね??
274 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/07/22(金) 22:50:18.25 ID:3WDZ9zM20
続き1行も書けてねえええええ!!
あと一週間、あと一週間だけ待って下さい!(なんだこの締め切り直前の漫画家みたいなの

ちょっと考えてることなんですが、もしかしたらこのSSに若干の加筆修正を加えてVIPの方にあげるかもしれません
今回はそのご報告だけ
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/23(土) 23:05:58.72 ID:LDZ1BxfAO
待ってるよ!
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:56:19.29 ID:Zf5d8aO20
おK
じっくり考えて書いてくれ
277 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/07/27(水) 20:19:37.67 ID:BdNpVqh00
今、VIPで加筆修正版やってるんだけど、12レス/h制限+30行制限で瀕死
続き書けたんだけど、あっち終わるまで投下したくない・・・
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 10:14:15.64 ID:0NgYnjs1o
あれはないわ
もうちょっと加筆修正するのかと思ったけど
279 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 21:37:08.89 ID:igYatnLY0
そうか・・・自分としては手抜いたとかそういうつもりはないんで
そこは作風として受け取ってもらうしか。
とりあえず風呂出たら続き投下します。
280 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:19:37.23 ID:igYatnLY0
ほむら「……」

見慣れた天井。

手の平の上のソウルジェム。

カレンダーを見ればきっと今日は16日、私が病院を退院する日。

ほむら「もう、やだよ……。ぅ、うぅっ……」

こみ上げてくる感情が両の目から零れ落ちていく。

ほむら「私はただ、まどかを救いたいだけなのに……」

何度繰り返してもまどかを救えない。

何度繰り返しても、私には何一つ救うことはできない。
281 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:25:56.04 ID:igYatnLY0
――16日。

『退院したばっかりなのに、ごめんねほむらちゃん』

ほむら「ううん、大丈夫だよ。入院中はしょっちゅうお見舞いにきてくれてたんだもの」

『何かあったらいつでも電話してきて良いからね』

ほむら「ありがとう、ママ」

『来月末には日本に戻れると思うの、寂しいと思うけどそれまで頑張ってね』

ほむら「うん、じゃあ。おやすみなさい」

『おやすみ、ほむらちゃん』

ピッ。

ほむら「……」

ほむら「そっか……、ママにもパパにも、もう二度と……」

ワルプルギスの夜が、あの使い魔が現れるのはママたちが帰ってくる一週間前。

何度繰り返しても愛しい二人に会うことはできない。

それが私の、世界の、そしてまどかの運命。

ほむら「……いいえ、私はまだ諦めない。きっとまだ何か……」

その日、私は夜遅くまで調べものを続けた。

目的は魔女たちが封じられている月を砕くこと。

地球の衛星軌道上から切り離すだけでもいい。
282 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:34:28.83 ID:igYatnLY0
――17日。

ほむら「ぅん……、あれ?」

ほむら「朝……というかもうすぐお昼ね」

いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

パソコンに目を向けるとモニターに『ERROR!』と表示されている。

机の上のメモ用紙には赤いペンで書かれたいくつもの『不可能』の三文字。

わかったことは二つ。

大気圏を抜けることがどれだけ大変かということと、

月を砕くなんて夢物語だということ。

ぐ〜。

ほむら「……」

落胆していようといまいとお腹はへる。

レトルト食品を温め食した後、買い物に出かけた。

買うものは数日分の食材、日用雑貨、1週間分のキャットフードにいくつかのペット用品。

外は雲一つない晴天。

太陽が目に染みて、また涙が零れた。

もう、諦めちゃおうかな……。
283 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:37:53.76 ID:igYatnLY0
――18日。

今日はいろいろと忙しい日。

洗濯物を干し終え、昼前に『あの』事務所へと向かう。

カチリ。

魔法少女に変身して、時間を止める。

ありったけの銃器火器弾薬その他諸々を盾に収納すると早々に帰宅。

昼食を取った後、今度は公園へ向かう。

ほむら「……おいで、エイミー」

手を差し出すと『ナー』と一鳴きして擦り寄ってくる。

ほむら「いい子いい子……」

二度三度撫でた後、そっと抱き上げる。

ほむら「あなたは本当に人懐っこいわね」

まどかも詳しくは知らないらしいけどエイミーは元は飼い猫だったのかもしれない。

エイミーを家に連れ帰り、お風呂に入れてあげる。

ほむら「一週間だけ我慢してね」

ナー。

買ってきた猫用おもちゃで少しだけ遊んだ後に夕食。

夕食後、手早くパイプ爆弾を作ると魔女退治に出かける。
284 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:40:41.07 ID:igYatnLY0
――19日。

はっきり言って、今日以降はやることがない。

前のループではワルプルギスの夜と戦うため、三泊四日で米軍基地に重火器や軍用兵器を盗みに行ったりもした。

けど、真実を知った今、そんな気力はどこからも湧いてこない。

魔力そのものを武器としなければワルプルギスの使い魔にダメージを与えられないことも判明した。

考えれば考えるほど、身動きが取れなくなっていく。

あれもダメ、これもダメ、ならどうすればいいというの。

わからない……、わからない……。

「こんにちは、暁美ほむら。お邪魔するよ」

あぁ、そういえばこいつがいた。

キュゥべえ「勝手に入ってごめんね。僕の名前はキュゥべえ、君に聞きたいことがあってきたんだ」

ほむら「……何かしら」

キュゥべえ「単刀直入に聞くね、君は『魔法少女』なのかい?」

ほむら「ええそうよ」

キュゥべえ「ということは、誰かと契約したってことだよね」

キュゥべえ「誰と契約したか答えてもらってもいいかな?」

ほむら「答えたくないわ」

キュゥべえ「どうしてだい?」

ほむら「答えたくないからよ」

ほむら「殺されたくなければ帰りなさい、『インキュベーター』。無意味に潰されるのは『勿体ない』のでしょう?」

キュゥべえ「暁美ほむら、君は一体……!」

キュゥべえ「わかったよ。今日のところはこのまま帰るとするよ」

今日は一日中エイミーと遊んで過ごした。
285 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:42:40.14 ID:igYatnLY0
――20日。

「今日も良いお天気だね、エイミー」

ナー。

窓から射し込む暖かい太陽の光を浴びながら、ふと過去の自分を思い返してみる。

のんびりとテレビを見て過ごしたこともあった。

学校の授業に追いつくため、勉強したこともあった。

一人で特訓したり、まどかにキュゥべえが近付かないように殺して回ったり、

ワルプルギスの夜と戦うための武器をかき集めたり、

ただまどかを守るために戦い続けてきた。

でも、結局それはまどかを苦しめることにしかならなかった。

「私が魔法少女になんかならなければよかったんだよね……」

永遠の迷路に、出口なんてなかったんだね。

――21日。

――22日。

――――――――
――――
――
286 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/28(木) 22:44:15.26 ID:igYatnLY0
25日――。

ナー。

まどか「あれ? エイミー? 久しぶりだねー」

すりすり。

まどか「よしよし、最近見かけなかったから心配してたんだよ」ウェヒヒ

まどか「でも、元気そうだね」

ナー。

まどか「もう少し撫でていたいけど、これから学校だから。またね、エイミー」バイバイ


まどか「ごめんっ、さやかちゃん。仁美ちゃん」

さやか「遅いぞまどかー!」

仁美「まどかさん、おはようございます」
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/29(金) 01:41:38.12 ID:XjTPFYYA0
>>279
普通完結すると考えて向こうも読むからね・・・
1部終わった時こっちに誘導するのかなー、と思ったけどそんなこと無かったし
取り合えずvip投下お疲れさまでした
288 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:03:29.21 ID:C2JAWp980
――――――――

先生「目玉焼きとは、半熟ですか!? それとも固焼きですか!? はい、中沢君!!」

中沢「えっ!? えっと……どっちでもいいんじゃないかと」

先生「その通り! どっちでもいいんです! たかが卵の焼き加減なんか――」


さやか「ダメだったかぁ……」

まどか「ダメだったんだねぇ……」


先生「――わかりましたね? ……あぁ、それと今日は転校生を紹介するはずだったんですが」


さやか「そっちが後回しかい! ってか、『はずだった』?」


先生「残念ながらお休みだそうです」

先生「暁美さんは心臓の病気で入院してたそうなので、退院したばかりでまだ本調子じゃないんでしょうね」

先生「学校に来ることができるようになったら、皆さん仲良くしてあげて下さいね」
289 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:05:12.52 ID:C2JAWp980
――放課後。

さやか「ねぇねぇ、知ってる? 病院の近くに新しくカフェができるんだってさ」

まどか「あ、ママが言ってたところかな。確か『キャッツカフェ』っていうんだよね」

さやか「そうそうそんな名前」

仁美「パフェが有名なチェーン店ですわね」

仁美「何でも『アンビリーバブル』というパフェがおススメめだとか」

まどか「へー、オープンしたらみんなで行ってみようね」

仁美「いいですわね。……あら、もうこんな時間」

仁美「私、そろそろ……」ガタン

まどか「今日も習い事? 大変だねぇ」

さやか「ピアノに日本舞踊に茶道だっけ? さすがお嬢様」

仁美「では、また明日」

さやか「また明日ー」

まどか「また明日ね」


さやか「まどか、いつものCD屋寄ってもいい?」

まどか「うん、いいよ」
290 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:06:28.02 ID:C2JAWp980
まどか「そういえば」

さやか「ん?」

まどか「先生が言ってた転校生。どんな子なのかなぁ」

さやか「暁美ほむら、だっけ? 女の子らしいけど」

まどか「早く学校に来られるようになるといいね」

さやか「そうだねー……ん?」

まどか「どうかしたの、さやかちゃん?」

さやか「いや、アレ……」ユビサシ

キュゥべえ「」

まどか「わぁー、可愛いぬいぐるみ。誰かの落し物かな?」

さやか「ぬいぐるみ? でも尻尾動いてるよ?」

まどか「ほんとだ」

まどか「けど、あんな生き物見たことないよ。電池で動いてるんじゃない?」

キュゥべえ「」チラッ

さやか「見た!? 今こっち見たよ?」

まどか「う、うん……!」
291 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:08:18.40 ID:C2JAWp980
キュゥべえ「」

トトッ……

さやか「歩き出した……。やっぱ生きてるんだって」

まどか「そうみたい」

さやか「よし、追いかけてみよう」

まどか「ちょっと、さやかちゃん!?」

さやか「いくよ、まどか!」タタッ

まどか「待ってよさやかちゃん!」タタッ


さやか「迷いました」

まどか「えー!?」
292 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:10:15.28 ID:C2JAWp980
さやか「おっかしいなぁ、確かこっちの方にきたと思ったんだけど」

まどか「さやかちゃん、もう戻ろうよー。薄暗いしなんだか気味が悪いよ」

さやか「そうだね、見失っちゃったし戻ろっか」

まどか「うん」

さやか「それで」

まどか「うん?」

さやか「あたしたち、どっちからきたっけ?」

まどか「えー……」

さやか「だってなんか辺りの雰囲気変わってない?」

まどか「そういえば……」

ヒラ、ヒラ……

まどか「蝶々?」
293 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:12:24.77 ID:C2JAWp980
薄暗い屋内に舞い込んできた一匹の蝶。
それは予兆。

ブワッ!

まどか「!!」

キィ、キキィッ!

さやか「な、何コレ!? 冗談でしょう!?」

二人の足元をテケテケと頭部が球体にヒゲの小さくて奇妙な生物――使い魔――が歩いていく。

さやか「に、逃げよう……!」ガクガク

まどか「逃げるって、どこへ!?」ブルブル

気付けば辺りは異質な空間に包まれていてどこからきたかも、
どっちへ行けば助かるのかもまるでわからない。

キィッ!

さやか「うわああぁ、こっちくんなー!」ゲシゲシ
294 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:14:40.76 ID:C2JAWp980
パァン!

ギィッ!?

さやか「えっ!?」

二人にじわじわと近付いてきていた一匹の使い魔が弾け飛んだのだ。

ほむら「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」

まどか「だ、誰なの!? いつの間にわたしたちの目の前に……」

まどかが驚くのも無理はない。
瞬き一つしていなかったというのに、気付けば目の前に一人の少女が立っていたのだ。
長い黒髪を三つ編みでまとめ、何かのコスプレにも見える服装に、落ち着いた色のメガネの少女。

ほむら「少し待って下さい。今片付けますから」

そう言うとその少女はどこからともなくショットガンを取り出し、使い魔に向けて発砲する。

まどか「きゃぁっ!」

ドンドンという大きな発砲音とギィギィという使い魔たちの鳴き声が耳障りに響き渡る。
295 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:16:10.91 ID:C2JAWp980
しばらくして使い魔たちが一掃されると、結界が消え元いた場所へと戻ってきていた。

ほむら「片付きました」

さやか「片付きましたってあんた……」ゴクリ

さやか「それ本物の銃よね? ここ日本だよ? っていうかあんた何者なの?」

ほむら「私は魔法少女、魔女を狩るものです」

さやか「魔女ってさっきの変な小人? 妖精? みたいなあれのこと?」

ほむら「さっきのは使い魔です」

さやか「魔女に使い魔に魔法少女!? わけわかんないわよ!」

さやか「結局その銃は本物なの!? 警察呼ぶよ!?」

ほむら「本物ですけど……、はい消えました。証拠不十分です」

さやか「えええ!? あの大きさの物が消えるわけないでしょ、どこやったのよ!」

ほむら「魔法で消しました。魔法少女ですから」

さやか「魔法!? 魔法って言ったらエクスペクトなんちゃかんちゃらみたいな呪文を唱えてピカッてやったり」

まどか「さやかちゃん、ストップストップ! 落ちついて」
296 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:17:21.73 ID:C2JAWp980
さやか「だってこの子が魔法とか魔女とかわけわかんないこと言うから」ビシィッ

まどか「うん。けど、その前に」

さやか「その前に?」

まどか「助けてもらったんだし、お礼を言わないと」

さやか「うっ……、確かに」

まどか「あなたのおかげで助かったよ。ありがとう」

さやか「その、……ありがと」

ほむら「いえ、気にしないで下さい」

まどか「わたし鹿目まどかっていうの、名前教えてもらっていいかな?」ニコ

ほむら「名前……、私の名前は」

キュゥべえ「暁美ほむら、また会ったね」

ほむら「!」

まどか「え?」
297 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:19:02.17 ID:C2JAWp980
さやか「あー! さっきの不思議動物!」

キュゥべえ「不思議動物だなんて失敬だな。僕はキュゥべえだよ」

三人が声のした方を振り向くと一人の少女が、
二人の追いかけていた白いぬいぐるみのような生物を抱えてこちらへ歩いてくるところだった。

「あら? あなたたち、キュゥべえのことが見えるの?」

まどか「『見える』ってどういうこと?」

「キュゥべえはね、魔法少女か魔法少女になる素質がある女の子にしか見えないのよ」

さやか「また魔法少女……。っていうかその格好、あなたも魔法少女?」

「ごめんなさい、自己紹介がまだだったわね」スゥ

フワァ……

マミ「私の名前は巴マミ、あなたたちと同じ見滝原の生徒。ちなみに三年生よ」

さやか「わあっ、変身した! むしろ変身を解いた!?」

まどか「わたしは鹿目まどかって言います。先輩だったんですね」

さやか「えっと、あたしは美樹さやかです」

マミ「二人ともよろしくね」

ほむら「……」
298 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:19:36.72 ID:C2JAWp980
マミ「それでそっちの、暁美ほむらさんだったかしら?」

マミ「その格好、あなたも魔法少女なのよね? この辺りに住んでるの?」

ほむら「はい、私も……」スゥ

フワァ……

ほむら「見滝原の生徒で、」

さやか「ああああああ! 思い出した!!」

ほむら「」ビクッ

まどか「ど、どうしたのさやかちゃん?」

さやか「暁美ほむらってあんたが転校生!?」

ほむら「え……、思い出したってまさか……」

ほむら(前の世界のことを……)

まどか「あっ! 今日転校してくるはずだったって先生が言ってた!」

ほむら「……」

ほむら「はい、たぶん私のことだと思います」
299 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:22:02.58 ID:C2JAWp980
マミ「暁美さんは転校生だったのね、通りで見かけないと思ったわ」

まどか「暁美さん、体調悪かったんじゃないの? こんなことしてて体は平気なの?」

ほむら「はい、午後には良くなったので。あと」

まどか「?」

ほむら「私のことはほむらって呼んで下さい。代わりに私もまどかって呼んでいいですか?」

まどか「わかったよ、ほむらちゃん。私のこともまどかって呼んでね」

さやか「そういえばさっき、マミさんがキュゥべえが見えるのは」

さやか「魔法少女と魔法少女になる素質がある女の子だけって言ってましたよね」

マミ「えぇ」

さやか「キュゥべえってこの白いのですよね?」ヨシヨシ

キュゥべえ「僕は犬じゃないから撫でられても喜ばないよ」ムギュ

さやか「ってことはあたしも魔法少女になれるんですか?」

マミ「そのはずよ。そうよね、キュゥべえ?」
300 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:22:30.18 ID:C2JAWp980
キュゥべえ「うん、さやかもまどかも素質は十分だ」

キュゥべえ「君たちにお願いなんだけど、よかったら……」

キュゥべえ「僕と契約して魔法少女になってほしいんだ!」
301 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/30(土) 00:26:10.20 ID:C2JAWp980
めがほむの口調で悩んでたら一晩経ってた(ぉぃ
杏子の口調も結構悩んでた記憶あるけど、それより難しいわ
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 00:26:42.34 ID:h0b5yu+m0
タッチの差でほむらの方が先にまどか達と接触か
これがどう影響するのか・・・
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/30(土) 19:49:05.55 ID:e4v44x5Xo
さくらは再び接触することにになるのかな?
304 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:19:21.36 ID:VXOKdHG40
さやか「あたしたちが……」

まどか「魔法少女に?」ポカーン

キュゥべえ「そう、魔法少女になって魔女や使い魔たちと戦って欲しいんだ」

ほむら「……」

さやか「ほへー……、何それ楽しそう!」

まどか「えぇ!? さ、さやかちゃん?」

さやか「だってそうじゃない? 魔法だよ、魔法!」

まどか「うん、それはわかってるけど……」

さやか「転校生は銃とかぶっ放してたけど他に何ができるの? 空飛んだりとかは?」ワクワク

マミ(銃!?)ピクッ

ほむら「私は……、美樹さんたちは魔法少女にならない方がいいと思います」

さやか「へ? ……なんで?」

ほむら「美樹さんが想像してるような楽しいものじゃないからです」

さやか「なんだと〜!」グヌヌ
305 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:21:48.59 ID:VXOKdHG40
マミ「けどそうね、これは暁美さんの言う通りかな」

さやか「マミさんまで!?」ガーン!

マミ「実際、ほんとに楽しいものじゃないのよ? 友だちと遊ぶ時間も少なくなるし怪我だってするし」

まどか「大変なんですね……」

マミ「えぇ……。でもちゃんと見返りもあるのよ?」

まどか「見返り?」

マミ「うーん……。ねぇ、三人ともこれから私の家にこない?」

マミ「もっと落ち着いた場所で、魔法少女のことをゆっくりと説明させて欲しいの」

マミ「この後、何も用事とかなくてもしよかったらなんだけど……」

まどか「特に用事はありませんけど……、どうするさやかちゃん?」

さやか「あたしは行きたいな、CD屋はまた今度でいいし」

ほむら「私は、もう魔法少女ですから遠慮しておきます」

マミ「別に気にしなくて良いわよ? 魔法少女のお友だちっていなかったからお話してみたいし」

ほむら「でも……」
306 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:24:09.84 ID:VXOKdHG40
まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「まどか?」

まどか「せっかくだし、ほむらちゃんも一緒に行こうよ。ネ?」ニコ

ほむら「……やっぱり私もおじゃましてもいいですか、巴先輩」

マミ「ええ、歓迎するわ」


――マミ宅前。

マミ「そうそう。私今ね、友だちとホームステイしてるの」

ほむら(え? 今まで一度もそんなことは……)

マミ「ちょっと訳ありの子なんだけど、とってもいい子でね」

ガチャ。

マミ「ただいま。木之本さんいる? 後輩連れてきちゃった」

ほむら(木之本……!?)
307 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:26:21.89 ID:VXOKdHG40
さくら「おかえりなさい、マミさん。さっきシフォンケーキを焼いて……ほえ?」パタパタ

さくら「……ほむらさん!?」

ほむら「どうしてあなたが……?」

マミ「あら?」

さやか「何? 転校生の知り合い?」

ほむら「……」アゼン

さくら「それに、さやかさんとまどかさんも……」

さやか・まどか「えっ!?」

マミ「もしかして、二人も知り合いなのかしら? すごい偶然ね!」

さやか「いやいやいや! あたしは知らないですよ?」

まどか「もしかして、わたしたちが覚えてないだけで前にどこかであったことあるの?」

さくら「あっ……。それは、その」

マミ「(ピコーン!)……『アレ』なのね、木之本さん?」

ほむら「アレ?」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/31(日) 00:29:24.53 ID:yn79VC2so
ホームステイ?ルームシェアではなく?
309 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:29:29.86 ID:VXOKdHG40
マミ「木之本さんはね、予知夢を見ることがあるのよ」

さやか「予知夢?」

マミ「そう、未来の出来事を夢で見ることができるの」

マミ「それで三人のことを知っていたのね、木之本さん?」

さくら「え、あ、はい。そうなんです」

まどか「へー。わたしたちは知らないけど、あなたはわたしたちのこと知ってるんだ」

まどか「不思議な感覚だね、ほむらちゃん」

ほむら「そう、だね……」

さくら「と、とりあえず上がってもらったらどうですか? 玄関でお話しするのもなんですし」

マミ「それもそうよね、三人とも遠慮せずに上がってちょうだい」

まどか「はい、おじゃまします」
310 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:32:46.05 ID:VXOKdHG40
さやか「うわぁ、素敵な部屋……」

さくら「どうぞ、シフォンケーキです」コト

まどか「ありがとう。えっと……」

さくら「木之本 桜です」

まどか「ありがとう、さくらちゃん」

さやか「うまっ! 何これうまっ!」

まどか「さやかちゃんてば……」

さやか「これってさくらちゃんが作ったんだよね?」

さくら「はい」

さやか「とってもおいしいよ! 私の嫁になって欲しいぐらいおいしい!」

さくら「……くすくす、やっぱり同じなんだ」

さやか「へ? 同じって?」

さくら「さやかさん、わたしの見た『夢』と同じこと言うからおかしくって」クスクス

さやか「ぉ、おぉぅ? なんだろう、なぜかとっても恥ずかしい……」///

ほむら「……」
311 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:33:56.48 ID:VXOKdHG40
マミ「はい、紅茶を淹れてきたわ」カチャカチャ

マミ「って、美樹さんはもう食べちゃってるの?」

さやか「メープルシロップの甘い匂いに勝てなくてつい……」テヘヘ

マミ「仕方ないわね、もう」ウフフ


マミ「さて、それじゃあそろそろ魔法少女の説明を始めましょうかしら」

まどか「お願いします」

マミ「二人とも、これを見てくれる?」キラリ

さやか「きれい……」

マミ「これはソウルジェムって言ってね、魔法少女の魔力の源なのよ」

マミ「キュゥべえに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石なの」
312 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:35:54.41 ID:VXOKdHG40
さやか「契約って?」

キュゥべえ「僕との契約によってソウルジェムを手にした者は『魔女』と戦う使命を課されるんだ」

キュゥべえ「でも、その代わりに一つだけどんな願いでも叶えてあげられるよ」

まどか・さやか「!!」

さやか「なんでもって、あんなことやこんなことも!?」

キュゥべえ「うん」

まどか「あんなこと……?」

さやか「あ、でも戦わなきゃいけない魔女ってなんなの?」

キュゥべえ「マミのように希望を振りまくのが魔法少女なら、魔女は絶望をまき散らす」

キュゥべえ「理由のはっきりしない事故や事件は高確率で魔女の呪いが原因なんだ」
313 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:37:48.93 ID:VXOKdHG40
マミ「魔女は常にあなたたちが迷い込んだ結界に身を隠しているわ」

マミ「魔法少女が助けに来なければあの場所から生きて帰れる者は少ないでしょうね」

さやか「じゃあ、もし転校生が助けにきてくれなかったら……」ゾワァ

まどか「改めてありがとう、ほむらちゃん。もしかしたらわたしたち死んじゃってたかもしれなかったんだね」

ほむら「い、いえ……。私が助けなくても巴先輩が近くにいたみたいですし」

マミ「暁美さんは奥ゆかしいのね」

マミ「と、そういうわけで、魔法少女になって戦うってことは命懸けなの」

マミ「だからあなたたちも契約するかどうかは慎重に選んだほうがいいわ」

さやか「うーん、ハイリスクハイリターンってやつかぁ」

まどか「マミさんやほむらちゃん以外に魔法少女っていないんですか?」

さやか「例えばさくらちゃんとか」

さくら「ほえ? わたしですか?」
314 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:38:39.07 ID:VXOKdHG40
まどか「予知夢を見るって言ってたし、さくらちゃんも魔法少女なのかな?」

さくら「わたしも魔法は使えるんだけど、マミさんたちとは違う力で……」

さやか「???」

マミ「木之本さんのことを説明しようと思うと少し長くなっちゃうのよね」

マミ「とりあえず、木之元さんは魔法少女じゃないってことでお願いできるかしら」

さやか「よくわかりませんが、わかりました」

マミ「ごめんなさいね。えっと、私たち以外に魔法少女はいないのかって話だったわね」

マミ「一応、暁美さんがくるまでこの街には魔法少女は私一人だったわ」

まどか「一人で大変だったんじゃないですか?」

マミ「えぇ、それなりに。だけど、魔法少女がたくさんいたとしてもそれはそれで問題なの」

さやか「どういうことですか?」
315 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:39:18.71 ID:VXOKdHG40
マミ「魔法少女は必ずしも仲間同士ってわけじゃないの」

マミ「魔女を倒すとね、それなりの見返りがあって手柄の取り合いで衝突することの方が多いのよ」

さやか「うーん、なんだか思ってたよりずっと大変そう……」

マミ「ふふ、よく考えて決めてね」

マミ「……ところで、暁美さん。あなた、私と一緒に戦うつもりないかしら?」

ほむら「……」ピク

さやか「(こ、これってもしかして……)ヒソヒソ」

まどか「(今言ってた『手柄の取り合い』?)ヒソヒソ」

さやか「(もし転校生がこれをつっぱねたりしたら)ヒソヒソ」

まどか「(そ、そんなのダメだよ!)ヒソヒソ」

ほむら「私は……」

まどか「」ゴクリ
316 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:40:03.01 ID:VXOKdHG40
ほむら「その話は、お断りさせていただきます」

マミ「!!」

さやか「!?」

まどか「ほ、ほむらちゃん!」

さくら「……」

キュゥべえ「……」

マミ「理由を、聞かせてもらってもいいかしら?」

ほむら「それは……」
317 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:43:32.22 ID:VXOKdHG40
ほむら「私はもう、『戦わない』からです」

マミ「え……? それはどういう意味なの?」

ほむら「私はもう、疲れたんです。もう魔女と戦うつもりはありません」

ほむら「だから安心して下さい。巴先輩と手柄を取り合うことはありませんから」

さやか「どういうこと? 願いだけ叶えてもらって魔女とは戦わないってこと? そんなのありなの?」

マミ「あ……ありなわけないじゃない!! 願いを叶えてもらったからには魔女と戦う義務が!」ドン!

ほむら「私はそこにいるキュゥべえと契約したわけじゃありません」

マミ「なっ!? どういうことなの、キュゥべえ? 本当なの?」

キュゥべえ「うん。ほむらの言う通りだよ、マミ」

キュゥべえ「さくらのように魔法少女と別のシステムというわけでもないみたいだし」

キュゥべえ「暁美ほむら、君がいつ誰と契約して魔法少女になったのか、とても興味深いよ」

ほむら「……」

キュゥべえ「教えてはくれないんだね」

ほむら「そのつもりです」
318 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:45:52.33 ID:VXOKdHG40
ほむら「二人が知り合いによく似ていたので思わず助けに入ってしまいましたけど」

ほむら「本当は、二人のことも助けるつもりはありませんでした」

さやか「あんですとー!」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「二人がもし魔法少女になるつもりなら私は止めません」

ほむら「けど、覚悟だけはしておいて下さい。人間をやめる覚悟、死ぬ覚悟……」

ほむら「美樹さんによく似た知り合いは魔法少女になって1週間で死んでしまいました」

さやか「なっ!?」

ほむら「クラスメイトがいなくなるのは悲しいです」

さやか「人が黙って聞いてれば、あんたねぇ!」

ほむら「私は経験者として忠告しているだけです」

ほむら「魔法少女になるなら好きな人に告白できるくらいの覚悟は、」

さやか「!!」ブチッ

パチン!
319 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:47:44.16 ID:VXOKdHG40
ほむら「っ……!」ヒリヒリ

マミ「美樹さん!」

まどか「さやかちゃん、落ちついて! ただの例え話だから、ね……?」オロオロ

さやか「はぁ……はぁ……」

ほむら「……そろそろ帰ります。ケーキと紅茶、ご馳走様でした」スッ

マミ「待って、魔法で頬を」

ほむら「平気です、私も魔法少女ですから。それじゃあ」

ガチャ、バタン。

まどか「……」

さやか「……」

マミ「……」

さくら(ほむらさん……)
320 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:53:37.90 ID:VXOKdHG40
マミ「美樹さん、手を出したのはいけないわ」

さやか「……つい、カッとなって」

マミ「彼女もきっと悪気はなかったはずよ」

マミ「口ではいろいろ言ってたけど、ちゃんと二人のこと助けてくれたんでしょう?」

まどか「はい……」

マミ「あの忠告も二人のことを思ってのことよ」

マミ「美樹さんも明日学校で会ったら、ちゃんと謝るのよ?」

さやか「はい、わかりました」

マミ「よろしい」ニコリ

マミ「っと、もうこんな時間なのね。今日はもう遅いしお開きにしましょう」

マミ「魔法少女については一晩ゆっくり考えてみて」

マミ「もし、少しでも興味があるなら明日の放課後、私に付き合って欲しいの」

マミ「魔法少女がどんなものか、自分自身の目で確かめてみればいいと思うわ」
321 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 00:59:15.66 ID:VXOKdHG40
ほむらちゃん心折れちゃってるよ・・・現在お前らもう勝手にしろよモード
そしてさくらちゃんは、ナチュラルに合流
もう少しテンポよくいきたい
>>308
意味調べた後でもどっちか悩むな・・・異国からお越しだしホームステイで良いんじゃないだろうか
居候って意味が理想なんだけど、和英で調べたらパラサイトとか出てきてわろたww
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/31(日) 01:05:38.51 ID:yn79VC2so
>>321
友達がホームステイ、じゃなくて友達とホームステイっていうのに違和感が何となくあったんだ
323 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 01:14:35.34 ID:VXOKdHG40
そう考えるとルームシェアか・・・
マミさんだからって横文字使わせようとせず居候って言わせときゃよかったのかな
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 03:03:44.78 ID:rmmtGj3e0
乙ですたー
マミさんがさくらちゃんの事を、他の世界からやって来たと理解しているなら
ホームステイでも良いんじゃないかと思ったり
しかしほむほむ、さくらちゃんとの再会でどうにかモチベが回復しないものか・・・
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/07/31(日) 10:42:16.51 ID:aoiXuV+10
ほむほむ口では諦めてるとか言いながら諦めてないな。
なんだかんだでまどかがピンチになったらいの一番に駆けつけてくるにちがいない。
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/31(日) 19:13:52.63 ID:n4Euh5nn0
まあ本当に諦めてたら魔女化してるもんな
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2011/07/31(日) 21:59:43.97 ID:VXOKdHG40
――その夜。

ピンポーン。

ほむら「……」

ガチャ。

さくら「……こんばんは、ほむらさん」

ほむら「木之本さん……こんな夜遅くに何か用ですか?」

さくら「ほむらさんとお話したくて……、上がってもいいですか?」

ほむら「……どうぞ」


ほむら「紅茶です、巴先輩と違ってティーバックですけど」カチャ

さくら「ありがとうございます」
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [saga]:2011/07/31(日) 22:01:57.38 ID:VXOKdHG40
さくら「まず初めに聞いておきたいことなんですけど、ほむらさんはわたしのこと覚えてるんですよね?」

ほむら「……」

さくら「ほむら、さん……?」

ほむら「いいえ、木之本さんが何を言ってるのか……わたしにはさっぱりわかりません」

さくら「本当ですか?」

ほむら「はい。……もし他に用件がないのなら、」

ケロ「ばぁっ!」ティロ!

ほむら「ひゃっ、け、ケロベロスさ……っ!」

ケロ「なんや、やっぱり覚えとるんやないか」

ほむら「……テーブルの下からいきなり現れないでください」

さくら「ほむらさん、どうして嘘なんか……」

ほむら「巴先輩のお宅でも言いましたが、もう疲れたんです」
329 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:05:24.67 ID:VXOKdHG40
ほむら「何度も何度も繰り返して、ずっと魔女だと思ってた相手が実は使い魔で」

ほむら「それを倒せば月から同じくらい強い魔女が何千という数で押し寄せてくる……」

ほむら「どんなに頑張ってもまどかを救えない。なら、もう誰も救おうとは思わない」

ほむら「まどかと美樹さんが魔法少女になろうと、誰が魔女になろうともう知らない」

さくら「でも、ほむらさんはまどかさんとさやかさんを使い魔から助けたじゃないですか」

さくら「それは、ほむらさんがまだ負けたくないって思ってるからだと思うんです」

ほむら「あれは……ただの、気まぐれです。二度目はありません」

さくら「そんな……」

ほむら「今、木之本さんたちは巴先輩の家でご厄介になってるんですよね?」

さくら「はい、三日前に偶然マミさんに拾われて……」

ほむら「魔法少女の秘密やワルプルギスの夜のこと、話しましたか?」

さくら「ううん、いろいろあって機会がなかったから。それに」

ほむら「それに?」
330 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:11:18.56 ID:VXOKdHG40
さくら「夢でほむらさんの記憶を垣間見た時、マミさんすごく取り乱してたから、言い出しにくくて……」

ほむら「賢明な判断だと思います。できればそのまま何も話さずにいて下さい」

さくら「どうしてですか?」

ほむら「もうどうにもならないのならそんな現実は知らない方が幸せです」

ほむら「人間、いつ死ぬかなんて知ったらまともでいられませんから」

ほむら「残り3週間の短い命、苦しむ必要なんてどこにもありません」

ケロ「ほむら、お前本気で諦めるんか?」

ほむら「そう言ったつもりです。まさか、二人は諦めてないんですか?」

ケロ「当たり前や! 守りたいもんがあるんやったら何があっても諦めたあかん」

ケロ「諦めよう思ても諦めきれるもんやないわ」

さくら「ほむらさん、わたしは絶対に諦めません。精一杯頑張れば絶対だいじょうぶだって信じてます」

ほむら「木之本さんは、不思議な人ですね」

ほむら(あなたがそう言うと本当に何とかなるような気がしてくる……、でも私は)
331 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:18:58.98 ID:VXOKdHG40
ほむら「木之本さん、何か困ってることはないですか?」

さくら「ほえ? と、突然なんですか?」

ほむら「前の世界でお世話になったお礼と思って下さい」

ほむら「どうしてあなたがこの時間軸にいるのかは知りませんけど」

ほむら「この世界の人間でないあなたは何かと苦労してるんじゃないかと……」

ケロ「なら、さくらと一緒にワルプルギスの夜を、」

ほむら「魔法少女や魔女と関係のないことなら手を貸しますよ」

ケロ「」イラッ

さくら「そんな、わたしが好きで勝手にやったことですし!」

ほむら「言うだけ言ってみて下さい」

さくら「はうー……、そ、それじゃあ……」

さくら「こっちの世界にきて1週間以上経つけど、ぜんぜん勉強とかできてないから」

さくら「元の世界に戻った後、学校の授業についていけるか不安で……」
332 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:22:10.43 ID:VXOKdHG40
ほむら「……」プルプル

ほむら「ぷっ……ふふ、あははは!」

さくら「ほえー!? な、なんで笑うんですか?」

ほむら「だ、だってこんな状況で、学校の授業の不安なんて……くすくす」

ケロ「さくらはいつでもどこでもさくらやなぁ」フゥ

さくら「ケロちゃんまで!?」

ほむら「くすくす、ほんとに面白い人ですね」

ほむら(こんなに笑ったの、いつ以来だろう……)

さくら「その、本気でじゃないんですよ? だ、だから今言ったことは気にしないで下さい」アセアセ

――――
――
333 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:26:06.96 ID:VXOKdHG40
さくら「それじゃあ、そろそろ帰ります。あんまり遅いとマミさんが心配するので」

ほむら「なら、最後に一つだけ忠告しておきます」

さくら「……なんですか?」

ほむら「前の世界で巴先輩がいなかった理由です」

さくら「そういえば……。何かあったんですか?」

ほむら「何日かすると、病院に魔女が現れます」

ほむら「巴先輩は、前の世界でその魔女に殺されました」

さくら「えっ……」

ほむら「結界が消えるまでは油断しないで下さい」

ほむら「私は魔女と戦わないけど、巴先輩に死んでほしいわけじゃないから……」

ほむら「おやすみなさい、木之本さん」

さくら「……おやすみなさい、ほむらさん」

ガチャ、バタン。
334 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/07/31(日) 22:28:48.94 ID:VXOKdHG40
ようやく実質の一日目終わり、盆休みまでに終わらせたい気持ちなんだけどワルプルまであと何日だよ・・・
ってか、これめがほむに見えてる?その一点が心底心配
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:00:17.95 ID:rmmtGj3e0
乙ですたー
丁寧な敬語で話してるから、普通にメガほむで脳内再生してたよ
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:11:44.04 ID:4A+h0pjro

諦めてるなら視力を回復させる理由もないよな
髪はともかく
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/01(月) 07:21:06.57 ID:Mw9byFj3o
お疲れ様でした
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/01(月) 12:38:13.48 ID:2RJv2bWAO
ちゃんと眼鏡おさげで再生されてまっせ乙
339 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:28:21.30 ID:mqd0b7we0
――26日。

ジリリリリリリ!!

カチ。

マミ「んー……」

さくら「ふぁ〜……」

マミ「おはよう、木之本さん」

さくら「おはようございます、マミさん」

今わたしは、マミさんのお家に居候中だったりします。

マミ「ごめんなさいね、こんなに早く起こしてしまって」

さくら「学校に行ってたときも同じくらいの時間に起きてたので平気です」

ケロ「」ZZZzzz
340 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:31:03.18 ID:mqd0b7we0
さくら「はい、朝ごはんできました」

マミ「ありがとう。木之本さんがいてくれると朝は本当に助かるわ」イタダキマス

さくら「マミさん、髪長いですからセットとか大変そうですもんね」イタダキマス

マミ「そうなの。今は髪をセットしてる間に木之本さんが朝ごはん作ってくれるけど」パク

マミ「前は1時間早く目覚ましをセットしていたのよ」パク

さくら「1時間もですか!?」モグ

マミ「ほんとは30分ぐらいで良いんだけど、前に二度寝しちゃったことがあってそれからね……」

さくら「あはは……」


マミ「ごちそうさま」

さくら「おそまつさまでした」
341 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:31:58.23 ID:mqd0b7we0
さくら「これお弁当です」

マミ「ありがとう、何から何までなんだか申し訳ないわね」

さくら「居候させてもらってますし、このぐらいは」

マミ「こんな風に感じるのは慣れてないからかしら」

マミ「朝ごはんにお弁当、もしお母さんお父さんが生きてたらこんな毎日だったのかな、なんて少し思ったり」

さくら「マミさん……」

マミ「あらら、朝から湿っぽい話しちゃってごめんなさい」

マミ「それじゃあ行ってくるわね」

さくら「行ってらっしゃい」

ガチャ、バタン。

ケロ「にぅ〜、マミはもう出かけてったんか?」

さくら「うん。お父さんはお寝坊さんだね」

ケロ「? なんでわいがおとんになんねん?」

さくら「さぁ?」クスクス
342 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:32:55.50 ID:mqd0b7we0
ケロ「さて、過去にきて今日で5日目か……」

さくら「クロウカードが光って元の世界に戻ったと思ったら、マミさんが現れてびっくりしたよ」

まどかさんがキュゥべえに願いを叶えてもらったあの時、同時にクロウカードが輝きだしたかと思えば、
気付いた時にはわたしとケロちゃんは過去の見滝原にきていたんです。

――
――――
――――――――

さくら「R…E…T…U…R…N…、『戻(リターン)』……?」

さくら(戻る……、元の世界に戻るってこと? ダメ、まだ終わってないのに……!)

ピカッ。

とても強い光にわたしは目を開けていられなかった。
目の前にいたまどかさんたちの気配がなくなって、そっと目を開けると
戻(リターン)のカードが光の欠片になって空気中へ溶けるように消えていくところでした。

さくら「……」

ケロ「さくら、気を落とすな。さくらはよおやったわ」
343 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:35:49.50 ID:mqd0b7we0
さくら「……」

ケロ「ただ、ほんの少しだけ、運が悪かったちゅうか……」

さくら「ねぇ……、ケロちゃん」

ケロ「なんや、さくら?」

さくら「ここって……どこなの?」

ケロ「はぁ? どこって友枝町……やない!?」

さくら「おっきな建物が多いし、まるで見滝原市みたい……」

ケロ「けど、天気もええしワルプルギスの夜どころか、平和な街そのものや」

さくら「なに、が……。あ、れ?」グラリ

ドサッ。

ケロ「さ、さくら!? どうしたんやさくら!」

さくら「なんだか、急に、眠気が……」

「大丈夫!? どうかしたの!?」

ケロ「!?」
344 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:36:39.39 ID:mqd0b7we0
ケロ(なっ! まずい、人形のふりせんと……けどさくらが!)

「気分が悪いの? 意識はある?」

さくら「え……? 巴、ま、み、さん……?」カクン

ケロ(ともえまみ? さくらはこの嬢ちゃんのこと知っとるんか?)

マミ「えっ? どうして私の名前を……?」

マミ「ねぇ、あなたどうして私の名前を知ってるの?」

さくら「」スゥスゥ…

マミ「眠ってるだけ……? あれかしら、ナルコプレシーとかいう……」

マミ「それにこの子……」

マミ「…………」

マミ「このままここに寝かせておくわけにもいかないし、……よいしょっと」

ケロ(さくらを背負ってどこに連れてく気や……?)
345 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:37:35.10 ID:mqd0b7we0
ガチャ、バタン。

マミ「ふぅ、さすがに同い年くらいの子をここまでおぶってくるのは骨が折れたわね」

ケロ(ここはこの嬢ちゃんの家か? 悪いこと考えてるようには見えへんけど……)

マミ「すぐ目が覚めるといいんだけど……」

マミ「ねぇ、キュゥべえ。いる?」

ケロ(!?)

キュゥべえ「呼んだかい、マミ」

ケロ(潰れ饅頭……!)

マミ「相談なんだけど……、あなた彼女のこと知ってるかしら?」

キュゥべえ「彼女というと君のベッドで眠っているあの子のことかい?」

マミ「ええ、帰り道の途中で倒れていたのよ」
346 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:39:35.88 ID:mqd0b7we0
キュゥべえ「うーん、見覚えはないね」

ケロ(見覚えがない、やと?)

キュゥべえ「けどこの子は……」

マミ「あなたも気付いたのね。この子、魔法少女でしょう?」

キュゥべえ「? どうしてそう思ったんだい?」

マミ「もしかして違うの? 魔力を感じたからてっきり……」

キュゥべえ「うん、確かに魔力を感じるけど、魔法少女のそれとは異なるよ」

マミ「どういうこと?」

キュゥべえ「僕にもよくわからないよ」

キュゥべえ「わかるのはこの子が魔法少女とは異なる魔法の力を持っているということ」

キュゥべえ「それに加えて魔法少女の才能も持ち合わせているみたいだね」

マミ「見かけによらずすごい子なのね……、けどどうしようかしら」

キュゥべえ「目を覚ますまで待つしかないんじゃないかい?」

マミ「やっぱりそうよね……」
347 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:45:28.71 ID:mqd0b7we0
ケロ「……」

ケロ(どうやらあの嬢ちゃんも魔法少女らしいな……)

ケロ(しかし潰れ饅頭の奴、どういうつもりや? さくらのこと知らんやなんて……)

ケロ(あの嬢ちゃんにさくらのことを知られると困る?)

ケロ(いや、そうやないな。なんかが引っかかっとる……)

ケロ(いっそわいの方から話しかけてみるか……?)

ケロ(さくらが眠ってしもたんは魔力の使い過ぎが原因みたいや)

ケロ(けど、ワルプルギスの夜を撃退した時はここまで消耗してへんかったはずや)

ケロ(さやかを助けた時みたいに魔力使いきっとるわけやないし、丸一日寝続けることはないと思うが……)

ケロ(さくら〜、頼むからはよ目ぇ覚ましてくれ〜)

さくら「」スゥスゥ

――――
――
348 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:48:47.00 ID:mqd0b7we0
『許して欲しい、この星の生き物たちよ……』

『このままでは宇宙そのものが危ないのだ』

『それが遠い未来であったとしても、早いうちに対処しなければ手遅れになってしまう』

この人……、確か壱原さんとお話してた人だ

『……例え、宇宙全体のためと言っても他者に犠牲を迫るのは間違っているのだろう』

『しかし、他に手段がないのだ……』

『ほぼ全ての民が人の身体を捨てた私たちの種族ではこのシステムは機能しない』

聞こえてくる声……、言葉はわからないけど、心が伝わってくる……
349 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:49:15.13 ID:mqd0b7we0
『皮肉なものだ。繁栄のために心を捨てた我々が、心を必要とすることになろうとは……』

【博士、そろそろよろしいですか?】

どうしてここにキュゥべえが……?

『そうだな。この星の生き物たちをくれぐれもよろしく頼む』

【はい、わかっています】

『私の願い……、それはこの星の行く末を見守ることだ』

【その願い、叶えましょう】

パァァァ……

『例えわずかでも我が魂が宇宙の延命の糧とならんことを……』

あなたは、一体……
350 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:50:37.95 ID:mqd0b7we0
さくら「……誰なの?」

マミ「あら、ようやく起きたのね」

マミ「私は巴マミ……ってあなた、私のこと知ってたんじゃないの?」

さくら「ほえ……?」

マミ「もしかして、寝ぼけてたの?」クスクス

さくら「なんでマミさんが……? っていうかここはどこですか?」

マミ「ここは私の家よ。あなたが倒れてるのを見つけて駆け寄ったの、覚えてる?」

マミ「あなた、私の顔を見て私の名前を呼んだんだけど」

さくら「えっと……、はい、覚えてます。あの後わたし、眠っちゃって……」

マミ「いろいろ聞きたいこともあるけど、その前に……」

ぐぅ〜……

さくら「あ……」///

マミ「お夕飯にしましょうか」ニコ
351 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:51:31.95 ID:mqd0b7we0
さくら「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」

マミ「他人に料理をふるまうなんて滅多にしないから、お口にあったみたいでよかったわ」

マミ「じゃあお腹もふくれたところで、そろそろあなたのことを聞かせてもらおうかしら」

さくら「はい」

マミ「そうね、まず名前を教えてくれる? いつまでもあなたじゃ呼びにくいわ」

さくら「木之本 桜って言います」

マミ「可愛い名前ね。木之本さんはどうしてあんなところで倒れてたのかしら?」

さくら「わたしにもよくわからなくて……」

マミ「よくわからないって?」

さくら「気付いたらあそこにいたんです。ここって見滝原で合ってますよね?」

マミ「ええ、ここは見滝原市で間違いないわ」

マミ「それにしても気付いたらあそこにいただなんて……」

マミ「それって木之本さんの魔法が関係してるのかしら」

マミ「そういえば、私のこと知ってるみたいだけど、初めて会うわよね?」

さくら「えっとえっと」アセアセ
352 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:53:07.75 ID:mqd0b7we0
さくら「わたしがあそこにいたのはたぶん壱原さんに貰ったクロウカードのせいで」

さくら「マミさんのことは夢の中で見て、それで」

マミ「夢? 予知夢ってこと? あなた予知夢が見れるの?」

さくら「あ、はい。滅多に見ることはないんですけど……」

さくら「ってあれ? マミさんはどうしてわたしが魔法を使えるって知ってるんですか?」

マミ「あぁ、それは私が魔法少女だから」

マミ「魔力を感じたから私と同じかと思ったんだけど、木之本さんは魔法少女じゃないのよね?」

マミ「って、魔法少女ってわかるかしら?」

さくら「はい、魔法少女は魔女を狩る者、ですよね?」

マミ「うん、そんな感じ。魔法少女のことは知っているのね」

マミ「魔法は使えるけど、魔法少女じゃない……なんだか別の世界の人みたいね」

さくら「えっ……」

マミ「別に悪い意味じゃないのよ? ただなんていうか、そんな気がしただけで」

さくら「もし……、わたしが別の世界から来たって言ったら」

マミ「え?」
353 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:57:20.37 ID:mqd0b7we0
さくら「もし、世界がそれを知る人の前にはいくつもあって」

さくら「わたしがその別の世界から来たって言ったら信じてくれますか?」

マミ「……」ゴクリ

さくら「……」ジィ…

マミ「そうね。半信半疑、ってところかしら」

マミ「魔法少女なんて人とは違うことをしているせいでそんなこともあるのかもしれないと思う自分と」

マミ「世の中、そこまで不思議なことで溢れてはいないでしょうって疑ってしまう自分。それが半分半分」

さくら「そう、ですか」シュン

マミ「じゃあ聞くけど、木之本さんは何しに別の世界から私たちの世界にやってきたの?」

さくら「そ、それは、人助けに……」

マミ「ずいぶんと大雑把ね」

さくら「わたしは頼まれてこの世界にきたんですけど、その内容が大雑把だったもので」

マミ「そう……」
354 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:58:35.11 ID:mqd0b7we0
マミ「長くなってしまったけど、最後にもう一つだけ質問いいかしら」

さくら「どうぞ」

マミ「木之本さんはこれからどうするつもり?」

さくら「どうする……、どうしましょうか……?」

マミ「えっ? そこで聞き返されても困るのだけど……。人助けに来たのよね?」

さくら「はい、そうなんですけど」

マミ「それは特定の誰か? それともこれから事件や災害が起きるからそれを防ぐとか?」

さくら「壱原さんは『彼女を救ってほしい』、そう言ってました。けどそれ以上のことは……」

マミ「彼女……、女の人というのはわかるけどそれが誰かはわからない、と」

さくら「わたしに頼んだってことは、わたしにしかできないことだと思うんです」

さくら「だから、きっと魔法が関係してるんじゃないかとは考えているんですが」

マミ「なんだか雲を掴むような話ねぇ」

さくら「……すみません」ショボン
355 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 02:59:51.33 ID:mqd0b7we0
マミ「じゃあ、泊まる場所とかって決まってないのよね」

さくら「うぅ……。はい、まったく」

マミ「なら今夜はうちに泊まっていく?」

さくら「えっ、いいんですか!?」

マミ「一晩くらい構わないわよ」

マミ「それに同い年くらいの子とお泊りなんて、修学旅行みたいで楽しそうじゃない?」

さくら「ありがとうございます!」ペコリ

マミ「そうだ。デザートにゼリーがあるの、一緒に食べ、」

がさっ、ごそっ。

マミ「……? 今ベッドの辺りで、何か物音がしなかった?」

さくら「あっ!」
356 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 03:00:56.68 ID:mqd0b7we0
さくら「ケロちゃん、もうじっとしてなくてもいいよ」

マミ「ケロちゃん?」

ケロ「わいもゼリー食べたい〜」パタパタ

マミ「えっ、ぬいぐるみが……!」

さくら「ふふっ、ケロちゃんったら」クスッ

マミ「この子が『ケロちゃん』なの?」

さくら「うん、わたしの大事なお友だちです」

マミさんはわたしの話を聞いていた時よりも、ケロちゃんを見た時の方が何倍も驚いてたと思います。
その後、マミさんにケロちゃんのことをゼリーを食べながら簡単に紹介して、
お風呂をいただいて(着替えも借りました)マミさんと同じベッドで眠りました。
357 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 03:02:02.84 ID:mqd0b7we0
ケロ「」ZZZzzz

マミ「そっち、上布団からはみ出してない?」

さくら「はい、ベッドも大きいですし、大丈夫です」

マミ「よかった。……このベッドね、お母さんのベッドだったの」

さくら「ほえ?」

マミ「私がまだ小さかった頃はお母さんと一緒に寝てたから、それで大きめなの」

マミ「それを私が一人暮らしを始める時に貰ってきて……、お母さんはお父さんと同じベッドで眠るからって」

さくら「マミさんのお母さんとお父さん、とっても仲良しなんですね」

マミ「ええ、娘の私が妬いちゃうくらいに……」


マミ「もう少しお話していたいけど、明日も学校があるから。そろそろ眠りましょうか」

さくら「はい、おやすみなさい」

マミ「おやすみなさい」
358 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/03(水) 03:10:43.06 ID:mqd0b7we0
ほむらパートからさくらパートへ
マミさんは情報封鎖しないとすぐ死んじゃうからめんどくさい
約三日分の回想に入って一日目消化
それにしてもまどかの空気っぷりがやばい・・・
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/03(水) 07:09:23.95 ID:ARzGc89Do
お疲れ様でした。
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 17:55:12.46 ID:HaqedwdSO
このループではマミさんは生き残れるんだろうか…
361 : ◆tVP11EVtkPKg :2011/08/03(水) 20:21:47.41 ID:mqd0b7we0
やらかした・・・さくらの発言がおかしいだろ・・・
一応、さやかを救えて目的は達成したと考えてるんだから人探しする必要ないじゃん
これさすがに修正入れると思う、申し訳ないorz
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/03(水) 20:32:48.15 ID:3G62EBjAO
気にすンな
363 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 00:53:27.26 ID:86h9+ozN0
>>354-355
ここで誰を助けたらいいかわからなくて困ってるみたいなこと言ってますが

助けることはできました、ならなぜ元の世界に戻らないの?、ワルプルギスと戦わなきゃいけなかったから
この街にワルプル?信じられないわ、わたしもよくわからなくて混乱してるんです
何が起こったか調べるためにワルプルと戦った場所に行ったり一緒に戦った仲間に会いに行ってみます
大変そうね今日はもう遅いから泊って行きなさい、いいんですか?ありがとうございます

こんな流れだと脳内変換・・・にしては量多いよね
気にすんなとも言って下さってますしどうしようかと悩んでますが、
その部分の差し替え読みたいって言って下されば投下することにします
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/04(木) 01:26:09.89 ID:tO5W6Dhd0
脳内変換余裕だけどせっかくだから差し替えも読んでみたいかも
365 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 03:21:36.10 ID:86h9+ozN0
>>353

マミ「長くなってしまったけど、最後にもう一つだけ質問いいかしら」

さくら「どうぞ」

マミ「木之本さんはこれからどうするつもり?」

さくら「どうする……、どうしましょうか……?」

マミ「えっ? そこで聞き返されても困るのだけど……。人助けに来たのよね?」

さくら「はい、そうなんですけど」

マミ「それは特定の誰か? それともこれから事件や災害が起きるからそれを防ぐとか?」

さくら「違うんです。助けたかったその人はもう助けることができたんです」

マミ「あら、そうなの? ならどうしてまだこの世界に残っているの?」

さくら「魔女を、ワルプルギスの夜を倒すために……」

マミ「ワルプルギスの夜!? あの魔法少女たちの間で絶望の象徴として語られる……!」

さくら「わたしこの街で仲間と一緒に戦ったんです」

マミ「戦ったって、ワルプルギスの夜と戦って言うの!?」
366 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 03:22:12.35 ID:86h9+ozN0
さくら「はい、それで……」

マミ「ちょっと待って。いくらなんでもそれは信じられないわ」

さくら「え……、どうしてですか?」

マミ「ワルプルギスの夜って言えば結界に隠れる必要もないと言われている強力な魔女よ」

マミ「そしてそれが具現化すれば街一つぐらい簡単に消えてしまう」

マミ「それがこの街に現れて木之本さんがそれと戦っただなんて……」

マミ「街の様子は平和そのもの、私だってそんなのが現れたら気付くはずよ。けど私は知らない」

マミ「それとも私に気付かれないような何かを施して、街に一切の被害を出さず圧勝したって言うの?」

さくら「えっと、そ、それは……」

マミ「あぁ、ごめんなさい。少し熱くなりすぎたわね」

さくら「いえ……」シュン
367 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 03:23:11.18 ID:86h9+ozN0
マミ「木之本さんは……、嘘を言ってるわけじゃないのよね?」

さくら「はい。マミさんが疑うのも仕方ないと思います」

さくら「ワルプルギスの夜が現れて街にも被害が出ていました」

さくら「なのに、街は何ともなくて気付いたらマミさんと会ったあの場所に立っていて」

さくら「正直、自分でも何がどうなってるのかよくわからないんです……」

マミ「そう。でも、実際に街は平和そのものよ」

さくら「だから、まずは何が起こったのかを調べてみようと思います」

マミ「調べるってどうやって?」

さくら「とりあえず、ワルプルギスの夜が現れた場所へ行ってみようと思います」

さくら「あとは、一緒に戦った仲間を探して……」

マミ「大変そうね」
368 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 03:24:29.68 ID:86h9+ozN0
マミ「けど、今日はもう遅いし。泊って行くでしょう?」

さくら「えっ、いいんですか!?」

マミ「一晩くらい構わないわよ」

マミ「それに同い年くらいの子とお泊りなんて、修学旅行みたいで楽しそうじゃない?」

さくら「ありがとうございます!」ペコリ

マミ「そうだ。デザートにゼリーがあるの、一緒に食べ、」

がさっ、ごそっ。

マミ「……? 今ベッドの辺りで、何か物音がしなかった?」

さくら「あっ!」

>>356-357
369 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/04(木) 03:27:37.87 ID:86h9+ozN0
こんな感じです。
あと、さらに修正が・・・
>>329のさくらの台詞、マミに拾われたのは三日前から二日前に
>>342のケロちゃんの台詞、五日目を四日目に
スケジュール管理だめだめすぎて泣きたい・・・
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/04(木) 11:44:19.94 ID:FlYRRuLW0
修正お疲れ様でした!
371 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:22:58.89 ID:oBhkplOx0
>>357

――翌日。

ガチャ、バタン、カチャリ。

マミ「鍵、よしっと」

マミ「それじゃあね、木之本さん。一晩だけだったけど楽しかったわ」

さくら「こちらこそ、お世話になりました」

ケロ「嬢ちゃんの手作りゼリー、うまかったで」

マミ「手伝えそうなことがあったら言ってね、必ず力になるから」

さくら「はい、ありがとうございます」

マミ「それと、もし手掛かりが見つからなかったらまたうちにくるといいわ」

マミ「もう2,3日ぐらいなら面倒見てあげる」

さくら「できればそうならないといいんですが……」

マミ「それもそうよね。何か手掛かりが見つかることを祈ってるわ。またね」

さくら「はい、いってらっしゃい」
372 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:24:10.33 ID:oBhkplOx0
ケロ「さて、マミは学校に行ってしもたけど、これからどうするんや?」

さくら「まず、ワルプルギスの夜を倒した場所へ行ってみようと思うの」

ケロ「ワルプルギスの夜って言うても、ほんまはただの使い魔やったけどな」

さくら「じゃあなんて呼べばいいの?」

ケロ「……ワルプルギスの夜でええか」

さくら「ケロちゃん……」

ケロ「倒したんは確か橋の近くやったな」

さくら「あそこに目印に使ってたビルがあるからあっちの方だね」

ケロ「鬼が出るか蛇が出るか……」

さくら「お化けとか幽霊じゃなければいいよ」
373 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:25:14.06 ID:oBhkplOx0
――橋の周辺。

さくら「この辺りだよね。でも……」

ケロ「なんもあらへん。何の変哲もない街の一風景や」

さくら「ほんとにワルプルギスの夜なんてこなかったんじゃないかって、そう思っちゃうね」

ケロ「この辺見て回ったけど手掛かりゼロ、次はどこ行くんや?」

さくら「ここからなら杏子ちゃんが泊ってたホテルが近いかな」

さくら「そこに行ってみるよ」

――ホテル。

さくら「すみません、こちらに佐倉杏子って名前の女の子が宿泊してませんか?」

さくら「私と同じくらいの年の女の子なんですけど」

受付係「申し訳ありません、お客様。ご宿泊頂いてるお客様のことをお話しすることはできません」

さくら「はう……、それもそうですよね……」

受付係「ただ、中学生のお客様お一人でのご宿泊はお断りしています」

さくら「! そうですか。ありがとうございました」ペコリ
374 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:26:14.89 ID:oBhkplOx0
ケロ「受付のにいちゃん、ええ人やったな」

さくら「だね。けど、また収穫なしだよ〜」

ケロ「次で最後、ほむらの家か?」

さくら「うん。そのつもり」

ケロ「ほむらの家は向こうの方やったな……」

ケロ「結構歩いたし、昼飯にしたらどうや、さくら」

さくら「そうだね、もうすぐお昼だしほむらさんの家の方角に公園があったからそこでお弁当食べよっか」

ケロ「マミはほんまええ奴やったな。さくらに弁当まで作ってくれたり」

さくら「うん。元の世界に帰る前に恩返ししたいね」

ケロ「せやな」
375 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:27:00.20 ID:oBhkplOx0
――公園。

さくら「いただきます」

さくら「うん、おにぎりは塩加減がちょうどいいし、卵焼きも甘くておいしいよ」モグモグ

ケロ「卵焼きだけ一個食ってええか」

さくら「いいよ、はい。あーん」

ケロ「んー、さくらの言う通りうまいわー」パクッ

さくら「これで午後からも頑張れるよ」モグモグ

ごくん

さくら「ごちそうさまでした」

ケロ「さぁ、張り切っていくでー」

さくら「おー」
376 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:28:57.50 ID:oBhkplOx0
ケロ「そういえば、さくらにまだ話してなかったことがあるんや」

さくら「なに、ケロちゃん?」

ケロ「昨日、倒れたさくらをマミが自分の家に連れて帰った時な」

ケロ「マミの家にあの潰れ饅頭がおったんや」

さくら「潰れ饅頭……ってキュゥべえのこと?」

さくら「でも、マミさんも魔法少女なんだしおかしくないでしょ?」

ケロ「いや、それがな。マミが潰れ饅頭にさくらのことを知らへんかって聞いたんや」

ケロ「それに対して潰れ饅頭はさくらのこと『見覚えはない』、そう言うとった」

さくら「え? それってどういうこと?」

ケロ「さぁな。さくらと知り合いってことをマミに知られると困るんか、それとも……」

さくら「うーん……」

さくら(そういえば、マミさんはソウルジェムのことは知らないはずだよね。だからなのかな)

ケロ「ほむらの家、見えてきたで」
377 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:29:34.06 ID:oBhkplOx0
――ほむらの家。

さくら「呼び鈴押すね」

ピンポーン。

さくら「……」

ピンポーン。

さくら「……いないのかな?」

ケロ「どやろ。試しにノブ回してみ」

さくら「うん」

ガチャ、ガチャ。

さくら「鍵、閉まってるよ」

ケロ「留守か〜、とことんついてへんなぁ」

警官「そこの君、何をしているのかな?」

さくら「ほえっ!?」
378 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:31:17.04 ID:oBhkplOx0
警官「この辺りじゃ見かけない制服だし、こんな昼間にこの家にどんな用事なのかな」

さくら「えっと、友だちに用事があって……。けど留守みたいで」

警官「友だちは君と同い年ぐらいなのかい? なら学校に行ってるんじゃないかな、今日は平日だからね」

さくら「あっ……、そっか」

警官「君……、もしかして家出でもしてきたのかな?」

さくら「えっ、ち、違います」

警官「考えてみれば、こんな時間に君ぐらいの年の子が一人でいるなんて不自然じゃないか」

さくら「(うわーん、ケロちゃんどうしよう〜!)ヒソヒソ」

ケロ「(逃げるしかないやろ。適当に気を逸らせて走れ)ヒソヒソ」

警官「一度、一緒に署まで来てもらってもいいかな」

さくら「それはその……あっ! お父さーん!」オーイ

警官「ん? お父さんと一緒なのかい? ……どこにもそれらしい人はいないが」

さくら「」ソロリソロリ

警官「やっぱり、署まで……あれ? あっ、待ちなさい君!」ダッ

さくら「ごめんなさーい、待てませんー!」タタタッ
379 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:32:14.97 ID:oBhkplOx0
さくら「はぁ、はぁ……。もう追いかけてきてないよね……」

ケロ「またこんな路地裏に逃げてきて、魔女や使い魔でも出てきそうやな」

さくら「そういうこと言うとほんとに出てきそうだから言わないで」

ケロ「はははは、さすがにそれは……」

ギュイ?

さくら「えっ?」

ギギギィー!

さくら「ほらー!!? いっぱいいるし使い魔だよ、どうしようケロちゃん!」

ケロ「噂をすればなんとやらって奴か。まぁ、この程度の連中、わいが一瞬で片付けたるわ」

パァァ!

ケロ「さぁ、どっからでもかかってこんかーい!」

さくら「ほえ……?」
380 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:33:12.49 ID:oBhkplOx0
さくら「ケロちゃんどうしたの? 小さいままだよ?」

ケロ「ん? ってほんまやー!? このっ、このっ……なんでや、元の姿に戻れへん!」ホッ、ヤッ!

ギギッギィ!

さくら「うわーん、こっちにきたよー!?」

ケロ「なんでもええ、攻撃カードを使うんや!」

さくら「わかった」ゴソゴソ

さくら「……あれ? あれあれ!?」

さくら「ほええええええええええええ!?!?!?」

ギュギュギュィー!?

ケロ「今度はどないしたんやー?」

さくら「カードが……」
381 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 01:33:50.90 ID:oBhkplOx0



さくら「さくらカードがなくなってるの!!」



382 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:13:52.95 ID:oBhkplOx0
ケロ「は……、なんやと!? 全部ないんか!?」

さくら「ううん、今あるのは8枚だけ」

ケロ「とにかくこいつら蹴散らさんと……! さくら、風(ウィンディ)のカードはあるか?」

さくら「うん、あるよ!」

ケロ「風(ウィンディ)でこいつら吹き飛ばしたれ!」

さくら「封印解除(レリーズ)! 風よ、かの者たちを吹き飛ばせ、風(ウィンディ)!」カッ

ヒュゴォッ!

ギュギィー!

さくら「飛んでっちゃった……」

ケロ「とりあえずはなんとかなったが、カードがなくなっとるってしゃれにならんで」
383 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:14:26.74 ID:oBhkplOx0
ケロ「手元には何のカードが残っとるんや?」

さくら「うんとね、風(ウィンディ)、翔(フライ)、水(ウォーティ)、花(フラワー)、影(シャドウ)……」

さくら「迷(メイズ)、消(イレイズ)、灯(グロウ)の8枚だよ」

ケロ「さっき変身できんかったんは、火(ファイアリー)のカードがのぉなっとったせいかぁ……」

ケロ「けど、いつなくなったんや? 最後にカード確認したんはいつや、さくら」

さくら「んー、ワルプルギスの夜を倒した時にはちゃんと全部あったよ」

ケロ「その後いうたら……、次元の魔女に渡されたクロウカードが光った時がいっちゃん怪しいか」

ケロ「普通にポケットから落ちたんやったらカードも黙ってへんはずやわ」

さくら「光(ライト)さん、闇(ダーク)さんとか喋れる子もいるもんね」

ケロ「とことんついてへんなんてもんやないわ。どん底のどん底、厄日としか思えん……」ハァ

さくら「一体何が起きてるのかもわからないままなのに、問題が増える一方だなんて……」ハァ

キュゥべえ「ずいぶんとお困りの様子だね」

ケロ「泣きっ面に蜂……」ハァ
384 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:15:47.86 ID:oBhkplOx0
キュゥべえ「顔を見るなり溜息をつくなんてひどいなぁ」

キュゥべえ「僕の名前はキュゥべえ、君たちに話が聞きたいことがあって探していたんだよ」

さくら「わたしたちに聞きたいこと?」ホエ?

キュゥべえ「マミに聞いたよ、君たちは他の世界からやってきたそうだね」

さくら「……? うん、そうだよ」

キュゥべえ「マミの様に疑うつもりはないよ。君たちがこの世界の人間じゃないことには結論が出ている」

ケロ「だったらなんの用やねん」

キュゥべえ「ずばり、他の世界を観測し関渉する方法が知りたいのさ」

ケロ「あん?」

さくら「それって……」

キュゥべえ「君たちは他の世界から僕らのいるこの世界に渡航してきたんだろう?」

キュゥべえ「その方法を教えて欲しいんだ」
385 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:16:54.96 ID:oBhkplOx0
さくら「来た時は壱原さんのお店の門を出たらこっちの世界だったから……」

キュゥべえ「よくわからないと。じゃあ帰る時はどうするんだい?」

さくら「帰る時?」

キュゥべえ「目的を果たしたら自分の世界に帰るんだろう?」

さくら「そう、だよね……。ねぇケロちゃん……?」

ケロ「……」

さくら「わたしたちって元の世界にどうやって戻るのかな?」

さくら「さやかさんを助けられたんだから始めの目的は果たせてるよね……?」

ケロ「……ど」

さくら「ど?」

ケロ「どないしょう……」ズーン

さくら「」ガーン
386 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:17:51.46 ID:oBhkplOx0
さくら「……」

ケロ「……」

キュゥべえ「もしかしなくても帰る方法がわからないのかい?」

さくら「……うん」

キュゥべえ「君たちをこの世界に送った人物と連絡は取れないのかな?」

さくら「それも……」

キュゥべえ「どうしようもない状態みたいだね。そうだ、もしよかったらなんだけど、」

ケロ「契約なら間に合っとるで」

キュゥべえ「まだ何も言ってないんだけど」

ケロ「違うんか?」

キュゥべえ「いや、その通りだよ。けど、どうしてだい?」

さくら「どうしてって……」
387 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:19:00.64 ID:oBhkplOx0
キュゥべえ「どうして契約のことを知っているんだい?」

キュゥべえ「君たちとは初対面だと思うんだけど」

さくら「初対面……?」

キュゥべえ「そうだろう?」

さくら「キュゥべえはわたしのこと知らないの?」

キュゥべえ「なんだか話が噛みあってないね」

キュゥべえ「僕が知っているのは木之本 桜とケルベロス、君たちの名前と魔法が使えると言うこと」

キュゥべえ「それと君たちが余所の世界からきたということくらいだよ」

キュゥべえ「逆に君たちは僕のことを知っているみたいな口ぶりだね」

ケロ「知っとるもなにもお前が自分で話したんやないか」

ケロ「宇宙人ちゅうんは三歩歩けば忘れる鳥頭なんかい」
388 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 02:19:44.56 ID:oBhkplOx0
キュゥべえ「僕が自分で話した? おかしいな、そんな記憶はないんだけど……」

キュゥべえ「しかし、君たちが僕のことを知っているのは確かなようだね。それも随分と詳しく」

キュゥべえ「なら、魔女がどうやって生まれるかや僕らの目的も知っているのかな」

さくら「一応……」

キュゥべえ「ふぅ……これでイレギュラーが二人目か」

さくら「二人目?」

キュゥべえ「僕はこれで失礼させてもらうよ。今のところ魔法少女になってもらえそうにないしね」

トットッ……。

さくら「行っちゃった……」

ケロ「わけわからんわ……」
389 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:05:15.61 ID:oBhkplOx0
――表通り。

さくら「これからどうしようか、ケロちゃん……」トボトボ

ケロ「とりあえずのぉなったカード見つけんとなぁ……」

ケロ「ようよう考えたら次元の魔女はやな奴やけど嘘つくような奴やあらへん」

ケロ「あいつが元の時間に戻す言うたんやからその約束は死んでも果たすはずや」

『ぷよぷよマートでーす、よろしくお願いしまーす』

ケロ「いつ戻ることになるかもわからんし、その時になって困らんようにカードだけは集めとかんと」

『セールスやってまーす。広告チラシどうぞー』サッ

さくら「あ、どうも」

ケロ「さくら、聞いとるかー?」

さくら「うん、ちゃんと聞いてるよ」

『毎月24日はぷよの日、ぷよぷよマートをよろしくお願いしまーす』
390 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:06:43.64 ID:oBhkplOx0
さくら「またカードを集めるなんて、なんだか昔を思い出すね」

ケロ「そうやなぁ、もう三年も経つんか。あの頃が懐かしいなぁ」

さくら「そうだね。……あっ、これ見て、ホットケーキミックスがお買い得だよ」

ケロ「わい、ポケットから出れへんからこっちに近づけてくれんと見れへんし」

ケロ「大体、さくらはこっちの世界の金持ってへんやろ」

さくら「ぶーぶー、それでも好きなものが安売りしてるの見ると嬉しくなるの」

ケロ「ようわからんわ」

さくら「あれ、この広告……」

ケロ「んー? 今度は何が安いんや?」

さくら「ここ、ここ見て! 日付のところ……」

ケロ「うん? なんやこれ、先月のチラシやないか」

ケロ「なんで先月のチラシ、なんか……。先月?」
391 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:07:36.17 ID:oBhkplOx0
さくら「ねぇ、ケロちゃん。もしかして……」

ケロ「わいも同じこと考えてるわ。今わいらがおるんは……」

さくら「ひと月前の見滝原市……!」

ケロ「戻(リターン)のカードはそういう言う意味か、あれは過去へと遡るカードや」

ケロ「道理で潰れ饅頭はわいらのことを知らんはずやわ」

ケロ「さくらが異様に魔力を消耗しとったんは戻(リターン)が原因やったんか」

ケロ「時間移動はかなりの魔力が必要になる」

ケロ「元々ある程度の魔力は込められとったが足りへん分をさくらの魔力で補ったんやわ」

さくら「過去に飛ぶカード……」

さくら(クロウさんはどうしてそんなカードをわたしに託したんだろう)

ケロ「とりあえず、状況は理解できた。次はどうするかやな……」
392 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:09:03.48 ID:oBhkplOx0
さくら「さくらカードを集めながらって意味だよね」

ケロ「あぁ、このままやったらまたワルプルギスの夜と戦うことになる」

ケロ「あいつ倒したっても月に封印されとる魔女のこともあるし考えやなあかんことよぉけあるわ」

さくら(今日が24日ってことはほむらさんの転校の前日だね)

マミ「あら、木之本さん。何か手掛かりは見つかった?」バッタリ

さくら「あっ、マミさん!」

ケロ「奇遇やな、学校の帰りか?」

マミ「ええ、そうよ。ケロちゃんはそうしているとぬいぐるみにしか見えないわね」カワイイ

さくら「一応、手掛かりは見つかったんですけど……」

マミ「どうかしたの?」
393 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:09:58.30 ID:oBhkplOx0
マミ「あらあら、問題が増えちゃったのね……」

マミ「そのさくらカードっていうのは何かで代用したり作り直したりはできないの?」

さくら「はい。カードさんたちにもちゃんと意志があるので……」

マミ「そっか。それじゃあ代わりなんて無理な話よね」

さくら「中にはいたずら好きな子もいるので早めに見つけないと」

マミ「そうなの? カードって言っても結構やんちゃなのね」

ケロ「なぁ、マミ。この街にはマミ以外の魔法少女っておるんか?」

マミ「いいえ、いないわ。私がこの街で魔法少女になってから、ずっと一人で戦ってるわ」

さくら(ほむらさんとはまだ会ってなくて、まどかさん、さやかさんもまだ契約してないみたいだね)
394 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 03:11:43.36 ID:oBhkplOx0
マミ「ねぇ、これから一緒にお買い物に行かない?」

さくら「買い物ですか?」

マミ「そう、お夕飯の買い物。言ったでしょ、もう2,3日ぐらいなら面倒みてあげるって」ニコリ

さくら「マミさん……、マミさーん!」ウワーン

マミ「よしよし、知らない土地で心細かったわよね」

マミ「大丈夫、大丈夫だから。ね?」

さくら「えっぐ、えっぐ……」グスッ


マミ「木之本さん、そろそろ離れてもらってもいいかしら。その、周りの目が……」

ヒソヒソ、ヒソヒソ。

さくら「わわっ! すみません」///
395 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:29:42.04 ID:oBhkplOx0
――ぷよぷよマート。

ピッ、ピッ。

マミ「もう2,3日なんて言わず、カードが全部見つかるまで面倒みてあげたいんだけど」

マミ「いやらしい話だけど食費とかちょっとね……」

ピッ、ピッ。

さくら「いえ、十分良くしてもらってますし、2,3日の間になんとか……」

さくら「でもやっぱり、こっちの世界でも中学生がアルバイトなんてできませんよね?」

ピッ、ピッ。

マミ「普通はね。それにできたらできたで逆に不安ね」

さくら「確かに……」

店員「全部で2072円です」
396 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:30:27.94 ID:oBhkplOx0
マミ「はい、2100円」

店員「2100円お預かりします」パチパチ、ガチャン

店員「28円のお釣りとレシート、それと福引券になります」テワタシ

マミ「福引券?」ウケトリ

店員「はい、会計2000円につき1枚の福引券をお渡ししております」

店員「向こうのスペースで福引を行っていますのでお帰りの際にお立ち寄りください」

マミ「ありがとうございます」


マミ「福引、ねぇ……」

さくら「荷物、持ちますね」

マミ「あら、ありがとう」
397 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:32:21.42 ID:oBhkplOx0
ガラガラガラ……コトン。

『あー、残念賞〜。ポケットティッシュをどうぞー』

さくら「福引ですか?」

マミ「えぇ。さっき貰ったの」

さくら「残念賞:ポケットティッシュ、5等:ぷよぷよマート割引券500円分、4等:ハーゲンダッツ10個…

…」

ケロ(ハーゲンダッツ!)キラーン!

マミ「狙うはもちろん1等よ、木之本さん」

さくら「1等は……全国で使える商品券10万円?」

マミ「そうよ。もし1等が出れば一つ問題が解決する、そう思わない?」

さくら「その通りですけど、そんな簡単には……」

『次の人どうぞー』

マミ「ほら、荷物は私が持ってるから頑張って」パシ

さくら「ってわたしが回すんですか!?」
398 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:33:05.84 ID:oBhkplOx0
係員「福引券1枚ね、玉が一つ出るまで回してねー」

マミ「未来は自分の手で切り開くものよ!」

さくら「は、はい……」

ガラガラガラ……

さくら(けど、今日ってすっごくついてないんだよね……)

ケロ(4等のハーゲンダッツ、4等のハーゲンダッツ、4等の……!!)

さくら(それにこういうのってそう簡単に当たりが出たり……)

ガラガラ……コトン。

係員「おっ……、おっ……!」

さくら「金色の玉……?」

係員「おめでとうございまああああす!!!」

ガランガランガランガラン!!

さくら「ほえええええ!?」
399 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:33:41.61 ID:oBhkplOx0
係員「1等:全国で使える商品券10万円分でましたー!」ガランガラン

さくら「あ、当たっちゃいました……」ホエー

マミ「あは、あははは! すごいわ、木之本さん!」

係員「はい、1等の商品だよ、お嬢ちゃん」テワタシ

さくら「ありがとうございます」ウケトリ


マミ「びっくりしたわ。木之本さん、ほんとに当てちゃうんだもの」ウフフ

さくら「わたしも……。夢じゃないですよね?」

マミ「ほっぺた、抓ってあげましょうか?」ツンツン

さくら「くすぐったいですよー」アハハ
400 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:36:05.32 ID:oBhkplOx0
マミ「それじゃあ、一度荷物を置きに帰ったらもう一度出てきましょうか」

マミ「替えの服や下着なんかも必要でしょう?」

マミ「安くていいお店知ってるのよ」

さくら「ありがとうございます」

ケロ「なら、わいは家で留守番しとるわ」

マミ「ダメよ、ケロちゃんには木之本さんに似合う服を一緒に選んでもらわないと」

さくら「帰りにアイス買ってあげるから」

ケロ「しゃーないなぁ」ジュル

その日の夜のケルベロスは、少女たちの買い物に付き合わされ、
物言わぬぬいぐるみと化していたとかいないとか。

ケロ「」グッタリ
401 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/05(金) 05:44:20.39 ID:oBhkplOx0
今日一日散々だったしこのぐらいいいよね?
ツバサのサクラ姫はチンチロでシゴロ無双してたしさくらちゃん補正ならこのくらい余裕なはず
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 18:13:38.54 ID:5IfuQ6ZD0
乙ですたー
さくらちゃん、福引当たった勢いで宝くじかロトを買ったら更に懐が温まりそうだなw
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/13(土) 19:00:12.69 ID:jI2CEgLi0
まだかなー?
404 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:41:45.28 ID:HhQbUIJW0
――25日。

さくら「マミさんも学校に行っちゃったし今日はどうしようか、ケロちゃん」

ケロ「とにもかくにもカードの回収が先決やわ」

ケロ「ほむらにも話聞きにいかなあかんけど……」

さくら「今日はほむらさんがマミさんやまどかさんたちの通う中学に転校してくる日」

さくら「それはほむらさんが帰宅する夕方以降かな」

ケロ「ほんなら早速、カードキャプターさくら出陣やー!」

さくら「マミさんにもらった合鍵でちゃんと鍵を閉めてっと」

さくら「おー!」

 :
 :
 :

ケロ「とは言ったものの……」

ケロ「あかんわ、手掛かりなしじゃどうにもならん」

さくら「はうー……」
405 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:43:23.17 ID:HhQbUIJW0
さくら「クロウカード集めの時と一緒だね……」パク

さくら「カードさんたちが何か事件を起こしてくれないと見つけられそうにないよ」モグ

ケロ「火(ファイアリー)のカードがあったらすぐにわいが見つけたるんやけどなぁ」

ケロ「そういうとこもクロウカードの時と同じか」

さくら「やみくもに探してても見つかりそうにないし……。後あのお巡りさんも」パク

さくら「今日は咄嗟に隠れられたけどまた会ったら派出所に連れて行かれちゃうよね」モグ

ケロ「さくらのこと完全に家出少女やと思とるやろうしなぁ」

さくら「実際その通りだしね。このままもし元の世界に戻れなかったらどうなっちゃうのかな」ゴクン

さくら「学校も行ってないから勉強したことも忘れちゃいそうだよ」

ケロ「落ち込んでてもしゃあないで、さくら。こういう時こそ魔法の呪文や」

さくら「そうだね。絶対だいじょうぶ、なんとかなるよね」


さくら「ごちそうさまでした」
406 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:45:02.77 ID:HhQbUIJW0
さくら「お昼も食べたし、もう一度探しに行こっか」

ケロ「いや、昼からはわい一人で行くわ」

さくら「ほえ? どうして?」

ケロ「今朝見た夢のことも忘れたんか」

ケロ「マミがまどかとさやか連れて帰ってくる夢見たんやろ?」

さくら「そういえば!」

ケロ「ならさくらは二人と顔合わせといた方がええやろ」

ケロ「向こうはさくらのこと知らんのやから、知り合いくらいにはなっとかんと」

ケロ「なんかあった時対処しにくいやろ」

さくら「そうだね……。そっか、二人は私のこと覚えてないんだよね」

ケロ「覚えてないっていうか、さくらに会う前の二人やからな。当然やわ」

さくら「ちょっと寂しいかなって」

ケロ「さくら……」
407 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:46:30.87 ID:HhQbUIJW0
ケロ「ほな、わいはカード探しに行ってくるわ」

さくら「うん。人に見つからないようにね。ケーキでも焼いて待ってるよ」

ケロ「よっしゃー、ケーキでやる気3割り増しや!」ピューン

さくら「ケロちゃんったら」クス

さくら「さてと、何のケーキ作ろうかな〜♪」

 :
 :
 :

ガチャ。

マミ「ただいま。木之本さんいる? 後輩連れてきちゃった」

さくら「おかえりなさい、マミさん。さっきシフォンケーキを焼いて……ほえ?」パタパタ

さくら「……ほむらさん!?」

ほむら「どうしてあなたが……?」
408 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:48:37.86 ID:HhQbUIJW0
――――――――
――――
――

さくら「振り返ってみると長いようでまだ三日しか経ってないんだよね」

さくら「気持ち的にはもう一週間ぐらいは経ってる気がするよ」

ケロ「ほんまいろいろあったからなぁ」

さくら「過去に飛ばされたかと思えばさくらカードをなくしちゃうし」

ケロ「ほむらはずいぶん弱気やったしなぁ」

さくら「ほむらさん、もう諦めちゃうのかな……」

ケロ「もしほんまに絶望しとんのならとっくに魔女になっとるやろ」

ケロ「口ではなんやかんや言うても諦めきれとらん、そんな感じちゃうか?」

さくら「そっか……」

ケロ「わいらまで落ち込んでもしゃあないわ。そろそろ時間やで、さくら」

さくら「あ、ほんとだ。そろそろ出ないとマミさん待たせちゃうね」

――――――――
409 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:50:22.96 ID:HhQbUIJW0
まどか「さやかちゃん、仁美ちゃんおはよー」

仁美「おはようございます、まどかさん」

さやか「おはよう、まどっ……!?」

キュゥべえ「やぁ」フリフリ

さやか「(ちょっ、なんでいるの!?)ヒソヒソ」

まどか「(大丈夫、私たち以外は見えないんだって)ヒソヒソ」

まどか『それに声に出さなくても会話できるらしいよ』

さやか『テレパシー!?』ズガーン

さやか『あたしたちもうそんなマジカルな力を』

キュゥべえ「これ僕の力だからね」

仁美「?」
410 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:52:50.33 ID:HhQbUIJW0
――学校。

さやか『学校までついてきて、結構暇なの?』

キュゥべえ「暇と言えば暇かな。僕はあくまで魔法少女のサポート役だからね」

まどか『ならマミさんの方に行った方がいいんじゃないの?』

キュゥべえ「まどかが邪魔だって言うならそうするよ」

まどか『そ、そんなこと言わないよっ』

キュゥべえ「ありがとう。……それに気になることもあるしね」

まどか『気になる、こと?』

がらり。

さやか「まどか、先生きたよ」

まどか「あ、うん」
411 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:55:53.45 ID:HhQbUIJW0
先生「今日は昨日お話しした転校生を紹介したいと思います」

先生「暁美さん、入ってきてー」

がらり。

ほむら「はい」

カッカッ……。

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」ペコ

「ちょっと地味だけど可愛い子だな」

「メガネ似合ってるし頭良さそー」

わいわい…

先生「はいはい、皆さん静かにして。暁美さんは席についてね」

ほむら「はい」スッ
412 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 00:59:05.07 ID:HhQbUIJW0
「暁美さんって髪すごくきれいだねー」

ほむら「ありがとうございます」

「前の学校はどこに通ってたの?」

ほむら「ミッション系の学校だったんですけど通う前に入院してしまって」

「クラスメイトなんだし敬語とかなしにしようよ」

「今日の帰り、親睦会ってことでカラオケとか行かない?」

ほむら「カラオケですか? 行ったことがないので……少し考えさせて下さい」

「別にカラオケじゃなくてもいいよ、一緒に遊びたいだけだから」


さやか「いやぁ、転校生ってば大人気ですなー」

さやか「あれじゃあ話しかけるのも難しそうだなー」

まどか「さやかちゃん……マミさんに言いつけちゃうよ?」

さやか「うぐっ……」
413 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:02:17.06 ID:HhQbUIJW0
まどか「昨日のほむらちゃんの言い方はきつかったと思うけど、叩いたのは謝らないと。ね?」

さやか「うー、わかってるよー。でもあそこに突っ込んで『昨日はごめん』とか言ったら」

さやか「さやかちゃん、変な子に見えない? 空気悪くしちゃいそうだし……」

まどか「うーん、それはわかるけど……」

仁美「あら、お二人は暁美さんと昨日お会いしているのですか?」

まどか「あ、仁美ちゃん」

さやか「昨日の帰りに街で偶然ね」

仁美「すごい偶然ですわね」

さやか「だよねー」

まどか「あ、そういえば……」

仁美「どうかしましたか?」

まどか「んー、ちょっとほむらちゃんのとこ行ってくるね」

さやか「えっ?」
414 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:05:24.33 ID:HhQbUIJW0
まどか「おはよう、ほむらちゃん」

「か、鹿目さん?」

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「ほむらちゃんって、休み時間にお薬飲まないといけなかったりしない?」

「えっ、そうだったの? ごめんね、質問攻めにしちゃって」

ほむら「? そんなことないけど……、どうしてそんなこと聞くの?」

まどか「……ううん、入院してたって言ってたから大丈夫なのかな思って」

ほむら「ありがとう、心配してくれたんだね。けど私は大丈夫だから」

まどか「そっか、邪魔しちゃったね」

「ねぇ……二人とも、ずいぶんと親しそうだけど、昔からの友達だったりするの?」

まどか「えっ? あ、それは……」

「暁美さん、鹿目さんには敬語も使わずに普通に話してるし、二人のこと教えてよ」


さやか「食われたか……。っていうか、まどかは何がしたかったんだよ」

仁美「さやかさんにライバル登場ですわね」ウフフ
415 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:08:11.21 ID:HhQbUIJW0
教師「で、あるからしてー」

さやか『ねぇ、まどかー。さっきのなんだったの?』

まどか「!?」ガタン

教師「ん? 鹿目、どうかしたか?」

まどか「すみません、ちょっとくしゃみが」

教師「そうか。この対角線とこっちの線分がー」

まどか『いきなり話しかけられたらびっくりするよ、さやかちゃん』

さやか『いやぁ、ごめんごめん。で、さっきの……薬がどうとかって転校生に話しかけてたの』

まどか『別に……、ただこの間まで入院してたのなら薬とかあるんじゃないかなって思って』

さやか『そういうのが必要なくなったから退院したんじゃん、まどかは心配性だね』

さやか『もしあったとしても、転校生ははっきり口にするでしょ。物怖じしない性格みたいだし』

まどか『それもそうだね』

教師「次の問題を……美樹、やってみろ」

さやか「は、はい!?」
416 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:11:14.37 ID:HhQbUIJW0
さやか(げぇー、完全に聞いてなかったよー)

さやか「え、えーっとぉー……」

教師「……」

ほむら『……その答えは3:5です』

さやか「えっ!?」

教師「ん?」

さやか「えっと、3:5……です?」

教師「もう少し自身を持て。正解だ」

教師「じゃあ、次の項に入るぞー」

さやか『転校生……あんた』

ほむら『私も魔法少女ですから。物怖じしない性格でごめんなさい』

さやか『盗み聞きしてんじゃねー!!』
417 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:13:49.46 ID:HhQbUIJW0
キュゥべえ『ごめんね。僕の説明不足だよ』

キュゥべえ『魔法少女じゃない君たちじゃテレパシーを特定の誰かに聞かせることはできないんだ』

さやか『えっ、じゃあ何? まどかとの会話って全部垂れ流しなわけ?』

マミ『なかなか言い出すタイミングがなくて……』

まどか『ま、マミさん!?』

さやか『早く言って下さいよ〜』メソメソ

ほむら『そういうことなので、テレパシーで会話はしない方が……』

まどか『そ、そうだね……』

さやか『……ねぇ、転校生』

ほむら『なんですか?』

さやか『さっきは答え教えてくれてありがと……』

ほむら『別に気にしなくてもいいですよ』
418 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:14:36.08 ID:HhQbUIJW0
さやか『それと……昨日のこと。叩いてごめん』

ほむら『……』

さやか『転校生は例え話のつもりだったんだろうけど、あたし今好きな人がいるんだ』

マミ(あらあら!)

さやか『それでカッとなって……、叩いたのはやりすぎだったって反省してる。ほんとごめん』

ほむら『いえ、私も言い方がきつかったのは自覚してるので』

さやか『許してくれるの……?』

ほむら『はい。元々怒ってなんかいませんから』

さやか『転校生……あんた良い奴だね』

教師「次の問題、転校生……暁美、やってみろ」

ほむら「はい」

さやか(!! これは早速恩を返すチャンス!)
419 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:15:42.35 ID:HhQbUIJW0
さやか『転校生、そこの答えは6だよ!』

ほむら「答えは2ルート3です」

教師「正解だ。転校してきたばかりだがきちんと予習してたみたいだな、えらいぞ」

さやか「……」

まどか『さやかちゃん、どんまい……』

ほむら『気持ちだけ受け取っておきます』

さやか『ちくしょー!』

マミ(きちんと仲直りできたみたいね)

教師「今日の授業はここまでにしよう」

教師「日直、号令」
420 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:16:26.33 ID:HhQbUIJW0
さやか「ホームルームも終わったし、これからどうする?」

まどか「わたしは一回家に帰るよ。パパがお昼作って待ってるから」

さやか「そっか。じゃああたしも一回家に帰るかなー。帰ってもレトルトしかないけど」

「鹿目さん、美樹さん、ちょっといい?」

まどか「ぅん?」

さやか「なにか用?」

「これから暁美さんの歓迎会やろうって話してたんだけど、二人もこない?」

さやか「お、いいね。何やるの?」

「ファミレスでお昼食べて、そのあとカラオケ」

さやか「カラオケも久しぶりだなぁ、その話乗った!」

まどか「わたしも行きたいけど……ちょっとパパに電話してみるね」

――――
――
421 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:17:02.61 ID:HhQbUIJW0
まどか「うん、大丈夫。わたしも行けるよ」

まどか「あっ、けど4時過ぎに帰らないといけないの。ね、さやかちゃん?」

さやか「え? ……あぁ、そうだったそうだった」

まどか「さやかちゃんてば……」

「オッケー、これで全員聞いたよね?」

「うん、委員長は習い事あるからってさっさと帰っちゃったし」

さやか「仁美ともたまには一緒に遊べるといいんだけどねぇ」

まどか「ねぇ、ほむらちゃんってどんな歌、唄うの?」

ほむら「私はあまり流行りは詳しくないから……。まどかは? やっぱり演歌?」

まどか「えっ!? なんでわかったの?」

ほむら「なんとなく。まどかはそういうの好きそうだから」

まどか「わたしってお年寄りっぽかったりするかな……?」

「鹿目さんは暁美さん独占しないようにー。出発するよー」
422 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/08/26(金) 01:21:46.26 ID:HhQbUIJW0
皆さんお久しぶりです
盆休み中には完結させられるはず、なんて甘い夢を見ていたら現実はこのざまです
回想パートがちょっと冗長過ぎたね、わかってても一度始めた以上やめられんかった
もう少しテンポよくいきたいところだがいかんせん才能の壁が・・・
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 01:25:29.24 ID:KNOkwcGT0
乙ですたー
待ってたよー!
無理なく続けてくれるなら、それはとっても嬉しいなって
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 01:49:00.93 ID:gaRW08VRo
乙でしたー
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/26(金) 07:16:20.25 ID:q/SagF9Co
お疲れ様でした
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 14:22:54.71 ID:9+3XBTtGo
まだか
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 14:23:22.93 ID:9+3XBTtGo
まだか
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/10/01(土) 14:10:35.03 ID:7moe2YIZ0
まだか
429 :由美亜 :2011/10/22(土) 10:51:07.73 ID:W4uxRURf0
いつなんでしょうか?
430 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:30:00.70 ID:TCRA+sGno
カラオケ店――。

さやか『私〜の世界ー、夢と恋と不安で出来てーるー♪』


ほむら「(まどか、今いいかな?)ヒソヒソ」

まどか「(うん? どうかしたの、ほむらちゃん)ヒソヒソ」

ほむら「4時過ぎに用事って言ってたけど……、それってやっぱり巴先輩との?」

まどか「うん、魔法少女ってまだどういうものかよくわかってないから」

まどか「魔法少女の体験期間? みたいなこと言ってたよ、マミさん」

ほむら「そう……。気をつけてね、まどか」

ほむら「魔法少女ってすごく危ない仕事だから」

まどか「うん。ありがとう、ほむらちゃん」
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/24(木) 00:30:48.10 ID:rhHim1TAO
舞い続けてた
432 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:31:09.00 ID:TCRA+sGno
さやか『きっとー、きっとー、驚くくらいー♪』

さやか「次、ほむらの番だよね」マイク、ハイ

ほむら「ありがとうございます」


ほむら『会いたいな、会えないな、切ないな、この気持ちー♪』


さやか「おー、ほむら歌うまいじゃん」

まどか「だね。わたしあまり得意じゃないからうらやましいな」

さやか「……ねぇ、まどか。ほむらとなんかあった?」

まどか「え? どうしてそう思うの?」
433 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:32:29.86 ID:TCRA+sGno
さやか「んー、まどかだけずいぶんと懐かれてるなーと思ってさ」

さやか「ほむら、あたしたちには丁寧語で話すのに、まどかは違うじゃん」ダカラ

まどか「教室でも言ってたけど、なんとなくわたしとは話し易いんだって」

さやか「わかるけど……わからないなぁ」

さやか「なんとなくだけど、そういう感じじゃないと思うんだよ」

まどか「なんとなくって……、ほむらちゃんと言ってること一緒だよ」クス

さやか「なんとなくっていうか、その……女の勘? みたいな感じ?」

まどか「えー……」

さやか「なによその『えー』って」
434 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:34:07.75 ID:TCRA+sGno
ほむら『あなたに世界で一番一番一番一番♪』

ほむら『コ・イ・シ・テ・ル』

ほむら「はい、まどか。次はまどかの番だよね」

まどか「うん、ありがとう」


まどか『It's all right 大丈夫、ダイジョウブ、だいじょうぶ♪』


ほむら「ふぅ」チュー、ゴクゴク

さやか「ねぇねぇ、ほむら」

ほむら「なんですか、美樹さん?」
435 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:35:12.30 ID:TCRA+sGno
さやか「まずそれっ! あたしのことはさやかでいいよ」

ほむら「あ、はい。さやかさん」

さやか「さん付けも禁止!」

ほむら「さやか……さん」

さやか「うーん……、同級生なんだしもっと気楽にいこうよ」

さやか「まどかには普通に話してるじゃん」

ほむら「でも……」

さやか「でも?」

ほむら「私、さやかさんみたいなタイプは苦手なので」ザックリ

さやか「おぉぅ!? その割にははっきり言うよね、ほむらって」

さやか「さやかちゃん、ちょっと驚いちゃったよ」
436 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:35:56.45 ID:TCRA+sGno
さやか「あたしって親しみやすい性格してると思うんだけどなぁ」

ほむら「ふふっ、自分で言うんですか?」

さやか「まぁね〜」

さやか「要するにさ、あたしはもっと仲良くなりたいわけよ、ほむらと」

ほむら「ありがとうございます」

ほむら「そのうち……学校にも慣れたら、普通に話せるようになると思います」

さやか「あたしがまどかに嫉妬しないうちに頼むよ」ニシシ


まどか『そして扉が〜、開くよー♪』
437 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:36:36.25 ID:TCRA+sGno
時間は瞬く間に過ぎていき――。

まどか「さやかちゃん、そろそろ……」

さやか「え? あー、ほんとだ。もうこんな時間かぁ」

さやか「ごめん、みんな。あたしたちこれから用事あるんだ」

「そういえばそんなこと言ってたね。じゃ、また来週ー」

まどか「ばいばい、ほむらちゃん」フリフリ

ほむら「うん、また来週」フリフリ

ガチャ、バタン。

ほむら「……」

『私らはまだまだ歌うよー!!』

「いえーい♪」
438 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:37:29.60 ID:TCRA+sGno
――――――――

店員「ありがとうございましたー」

うぃーん。

さやか「マミさんとの待ち合わせどこだっけ?」

まどか「えっと、向こうの大通りのハンバーガー屋さんだよ」

さやか「ぎりぎりまで歌ってたから急がないとね」タタッ

まどか「あっ、待ってよさやかちゃん」タタッ
439 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/11/24(木) 00:41:26.51 ID:TCRA+sGno
ようやく続き投下したかと思えばこれだけとか…
つーか、3ヶ月ルール引っかかる寸前とかマジでしっかりしろよ俺orz
小出しになるとは思うけど、しばらくは定期的に投下できそうなんで許してください、ほんとすんませんした
>>431
すまんかった
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 00:42:54.25 ID:NtXifhSz0
乙ですたー!
ムリせず投下してくれれば嬉しいよ
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 00:58:25.46 ID:L24DhjlSO
投下きてたー!!

完結してくれるまでいつまでだって待つんだぜ!
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県) :2011/11/24(木) 01:03:27.52 ID:rwL7x83P0

次も楽しみにしてるぜ!
443 : ◆tVP11EVtkPKg [saga sage]:2011/11/30(水) 23:24:25.19 ID:Pjvz2xR4o
誤爆って若干憂鬱ですが、明日にでも投下できそうです
444 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:17:14.01 ID:gyUmvdSPo
――――――――

ドムドムバーガー――。

さやか「すみません、マミさん。遅れちゃいましたか……?」ハァハァ…

マミ「そんなことないわ、時間ぴったりよ」

まどか「さやかちゃん、速いよぅ……」ハァハァ…

マミ「もしかして友達と遊んでたの?」ウフフ

さやか「あ、はい。転校生の歓迎会やろうってことになってさっきまでカラオケ屋に」

マミ「そう、暁美さんはクラスのみんなに馴染めてたかしら?」

さやか「んー、転校初日だし壁は感じるけど、仲良くはやっていけそうかな」

さやか「まどかだけはずいぶん懐かれてるけど」ニヒヒ

マミ「あら、何かあったの?」

まどか「うぅ、その話はもういいよぅ」

さくら「はい、どうぞ」コト

さやか「えっ? さくらちゃん?」
445 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:19:16.20 ID:gyUmvdSPo
さくら「オレンジジュースです。ガラス張りから二人が走ってくるのが見えたので」

さやか「いやいや、そういうことじゃなくて」

さやか「さくらちゃんは魔法少女じゃないって言ってたからさ」

まどか「てっきりマミさんだけかと思ってた」

さくら「街の人たちを苦しめる魔女を放ってはおけませんから」

さやか「おー、よく出来たお嬢さんやー」アタシノヨメニ…

マミ「さて、それじゃあそろそろ魔法少女体験コース、いってみましょうか?」ハイハイ

まどか「はい!」

さやか「オッス、お願いします!」
446 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:21:00.47 ID:gyUmvdSPo
――――――――

マミ「これ……、ソウルジェムが光ってるのが分かる?」スッ

マミ「昨日ここにいた魔女の魔力に反応しているの」

キュゥべえ「基本的にはこの反応を頼りに魔女を追うんだ」

さやか「わー、結構地味……」

マミ「魔女や呪いで起こるのは交通事故や傷害事件…、自殺なんかが多いわ」

マミ「だからそういう事が起こりやすいところを優先的にチェックするの」

マミ「それと病院みたいに弱った人がたくさんいる場所に魔女が取り憑くと大変なことになるわ」

さやか「病院……」

さくら(病院に魔女、ほむらさんが忠告された……)

マミ「! 反応が強くなった……」フッ

まどか「えっ!?」

マミ「近いわ、こっちよ!」ダッ
447 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:23:22.72 ID:gyUmvdSPo
タッタッタッ……

マミ「廃ビル……、ここだわ!」

さくら「……あ! マミさん、あれ!」ビシッ

さやか「屋上に人が……!」

まどか「え……、まさかあの人……」

女の人「……」トン

さやか「とんっ……!」ダ…

さくら「樹(ウッド)のカードで……! あっ!」スカ

さくら(そうだった、樹(ウッド)はなくして今は……)

マミ「みんな、離れてっ!」フワァ

シュルルッ……

女の人「」ガクン
448 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:24:05.87 ID:gyUmvdSPo
ドサッ

まどか「マミさんっ!」

マミ「大丈夫、気を失ってるだけよ」

さくら「よかった……」ホッ

女の人「」◆

マミ「この印……、やっぱりね。魔女の口づけだわ」

さやか「魔女の口づけ?」

マミ「詳しい話は後! 魔女はビルの中よ、追い詰めましょう!」

さやか・まどか「はい!」

マミ「木之本さんは二人のこと、お願いね」パチ

さくら「任せて下さい」
449 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:25:08.31 ID:gyUmvdSPo
ガチャ、バタン

マミ「さてと」

うじゃうじゃ……

さやか「昨日の奴らがいっぱいいる……」

まどか「もっと大きいのもいるよぅ……」

マミ「この使い魔の群れを抜ければ魔女の所へ辿り着けるわ」

マミ「それじゃあ行くわよ、三人とも!」ダッ


マミ「はっ! ほっ!」ガッ、バシン、ドォン!

さやか「マミさん、かっこいー!」ヤッチャエ!

さくら「! まどかさん、さやかさん、後ろ気をつけてください!」ヒュンヒュンパシン

まどか「えっ!?」
450 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:25:52.57 ID:gyUmvdSPo
さくら「クロウの創りしカードよ、我が鍵に力を貸せ! 水(ウォーティ)!」バシャーン

ギギィィィィ!

まどか「あ、ありがとう、さくらちゃん!」

さくら「必ず守るから……」ブゥン、バシン

さくら(まどかさんたちのこと絶対に傷つけさせない、だから……ほむらさん)

さやか「おー、さくらちゃんもやるねー!」ドキドキ

まどか(怖いけど……、でも)

ケロ「さくら、上からくるで!」

さくら「!!」ハッ

さくら「風(ウィンディ)! まとめて吹き飛ばして!」ゴォッ

さやか「すげー……って、今の声って誰の声!?」
451 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:26:18.21 ID:gyUmvdSPo
マミ「木之本さん、なかなかやるわね。私も負けてられないわ!」カシャン、ドォン!

キュゥべえ「見つけた! マミ、魔女はこの扉の向こうだ」

マミ「ありがとう、キュゥべえ」

マミ「木之本さん、鹿目さん、美樹さん、ちゃんと全員ついてきてるわね?」

さくら「大丈夫です」

マミ「行くわよ……!」グッ

ギイィ……

魔女「」ズゥゥゥン…

ケロ(この気配……、まさか!?)
452 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:29:15.41 ID:gyUmvdSPo
この気配って・・・?
現在のさくらちゃんの強さは魔女にも劣る状態です、攻撃カード少なすぎてやばい
カード落としたって設定覚えてくれてますか?
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) [sage]:2011/12/02(金) 00:36:48.03 ID:FE84oxF30
ゲルトルート・花かな?それぞれの未練にまつわるカードを取り込んでいるとか。
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 00:37:39.65 ID:qwxV4o5E0
今回はここまでかな?
乙ですたー!
カード落としてたのは、樹がスカったところで思い出しますた
455 : ◆tVP11EVtkPKg [saga]:2011/12/02(金) 00:57:55.63 ID:gyUmvdSPo
あ、やらかしてる・・・か?
『クロウの創りしカードよ』の呪文ってさくらカード編入ってからってどうなってましたっけ
他所で使ってるの見てかっこいいなーって思ってぱくったらこのざまかorz
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県) [sage]:2011/12/05(月) 21:44:21.28 ID:cej1brlQ0
そもそも鍵じゃなくて杖だしな
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