このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

一方通行「やれやれだ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 18:44:48.50 ID:lr8GisaJo


・ 多分ほのぼの
・ 番外通行風味
・ キャラ崩壊、設定無視あり
・ 禁書原作終了後の妄想
・ 遅筆

・ ジョジョは関係ない 


【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:45:13.10 ID:lr8GisaJo


終わった。

全部終わった。綺麗サッパリ片付いた。

アレイスターの野郎が何考えてたかなンざ知らねェ、知りたくもねェ。

何れにせよあのクソ野郎のチンケな野望は砕け散り、ヤツはそのまま学園都市から姿を消した。

誰一人欠けることなく迎えた、出来すぎなくらいのハッピーエンド。

裏があるンじゃねェかって思わず疑っちまったくらいだ。

実際はそンな鬱々とした裏ルートに入る事もなく、街は拍子抜けする程順調に平和になって行った。

ちっとばかし物足りねェ気もするが、よォやくつかんだ平穏な時ってわけだ。しばらく平和ボケするのも悪かねェだろ。

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:45:42.86 ID:lr8GisaJo

で、そンな風に平和になったからには四六時中クソガキを守る為に目ェ光らす必要もありゃしねェ。

あのクソガキが独り立ちする為にも、いつまでも俺が側にいちゃァその妨げになっちまう。

だから俺は一人暮らしを始める事にした。

一人で暮らすにしちゃァデカ過ぎるし部屋数も多いが関係ねェ。

金に糸目をつけず、立地だけで選ンだら偶々そォいうのになっただけだ。

まァ構わねェだろ、大は小を兼ねるっつーしなァ。

とにかく、口煩ェ保護者気取りのババアどももいねェ、ワガママ放題のクソガキのお守からも開放される。

全く最高の気分だ。

規則正しい生活なンざクソ喰らえだ。どォせ金は腐るほどあるし、あくせく働く必要もねェ。

好きな時に寝て、好きな時に起きて、好きな時に出かけて、好きな物だけを食う。

そンなバラ色の堕落した生活が、一人暮らしを始めた俺を待っていた。

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:46:11.17 ID:lr8GisaJo

待っていた、はずだった。

はずだったのに……


「あ、お帰り第一位。遅かったね」


……あァ、ただいま。


「ご飯にする?お風呂にする?それともミ・サ・カ?……なんてねー、ぎゃはははは!!」


何故か、コイツが俺の新居に居座っている。

三人掛けのソファに寝そべって爆笑してるこの馬鹿を見るたびに後悔の念に駆られる。

あン時きっちり殺しとくべきだった、ってな。

……いや、殺すは言い過ぎか。もっとトラウマ与えて俺に逆らえないようにしとくンだった。

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:46:38.50 ID:lr8GisaJo

「当然ご飯もお風呂も準備出来てないしミサカはあなたに身体許すつもりも無いから、そこんとこよろしくー」

ケタケタ笑ってンじゃねェ。勝手に住み着いてる癖に何様のつもりだ。

つーかどけよ、そのソファは俺が使う為に買ったンだ。オマエには過ぎた代物なンだよ。

「うるさいなぁ、そんなに座りたいならもう一個買えばいいじゃん。これはミサカのモノにするって決めたの」

ふざけろ!なァンで俺がオマエにソファを献上しなきゃならねェ!?

いい加減黄泉川ン所に帰りやがれってンだ!!何で毎日ここにいるンだオマエは!!

「うひゃひゃひゃ、そりゃあなたのそういう顔見るのがミサカの生き甲斐で存在理由だからね!
ミサカ、あなた無しじゃ生きられなーい☆きゃは!」

あァちくしょう、本当にいい性格してやがンなオマエは……

「あれ、知らなかった?」

いィや、良く知ってンよクソったれ。

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:47:06.42 ID:lr8GisaJo

「そんな事よりミサカはお腹が空いてるんですけどー」

帰宅直後の俺に一息付くまもなく飯を要求しやがンのか。腹減ったンなら指でもしゃぶってろクソボケが。

……おい待て、俺の手を取るな、口元に持って行くな。なンでナチュラルに俺の指をしゃぶろうとしてやがンだオマエは!?

「え、『あなたの指をしゃぶれば食事を恵んでいただけるんですね?』っていうプレイじゃなかったの?」

キョトンとすンな!!どンなプレイだよ!!オマエの中の俺はどンなキャラなンだ!?

あァもォ、いいから手ェ離せ!!……クソ、いつものファミレスでいいな?

「オッケーオッケー、あのファミレスはミサカのお気にだからね」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:47:46.47 ID:lr8GisaJo

嬉しそうにパタパタと歩いて行く番外個体の後を、俺はトボトボと付いて行く。

疲れてンのに家族サービスを強要される父親ってのはこンな気分なのか?

それとも一切家事をしねェニートな専業主婦を持っちまった旦那の気分か?

どっちにしろ、ろくなモンじゃねェ。俺は一生結婚しねェし子供もいらねェな。


「急いでよ第一位、ミサカはお腹ぺこぺこなんだって!」


前を歩いてた番外個体がふくれっ面でなンかほざいてやがる。どンだけ腹減ってンだ?欠食児童かよ。


こっちは杖ついてンだぞ、ちったァ気ィ使いやがれってンだ。

「そっか、ごめんごめん。それじゃミサカが抱えてあげるよ」

何言ってンの?どォしてそォいう結論に達すンの?歩行ペース考えろつってンだよ俺は!!

「大丈夫大丈夫、ミサカ意外と力あるしさ。それに第一位は軽そうだしね、
ひょっとしたらミサカより軽かったりするんじゃないかな?ムカついてきたよこのモヤシが!!」

突然キレてンじゃねェ!男が女に抱えられてるなンざ視覚的に大丈夫じゃねェだろ!!

「プライド高いなぁ、周りの目なんて気にしなけりゃいいのに」

いやプライドっつーか……はァ、分かったよ、急げばいいンだろ?

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:48:17.32 ID:lr8GisaJo

軽く溜息を吐き、チョーカーの電極を切り替える。

番外個体はそンな俺を見て、心の底から馬鹿にしたような笑みを浮かべてやがる。

なンだってンだ。


「そんな風に能力に頼ってるからいつまで経ってもモヤシなんだよ」

うるせェ、急かしたのは誰だクソが。

「何で肉ばっかり食べてるのに筋肉も脂肪もつかないんだろうね?
なんだろう、やっぱり凄くムカつくよこのモヤシ!!」

だからキレるンじゃねェ。おら、飛ばすぞ。


番外個体の首根っこを掴み上げ、能力全開で地面を蹴る。

小さく悲鳴が聞こえた気がしたが知った事か。

ファミレスまでの距離はほんの数百メートル、能力使えばあっという間だ。

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:48:50.33 ID:lr8GisaJo


「信じらんねー!何あの持ち方!?女の子をエスコートしてるって自覚はないわけ!?」


ファミレスに到着して座席に案内されてからもまだキーキー騒いでやがる。

全く、うるせェったらありゃしねェ。ちっとばかし音速超えただけじゃねェか。

それに他にどンな持ち方があったってンだ?まさかお姫様みてェな抱えられ方されたかったわけでもねェだろうし。


なァにがエスコートだ。女扱いされてェンならちったァ女らしくしやがれクソガキ。

「女らしくて従順なのがあなたの好みってわけ?ぎゃはは!死んでもゴメンだね!!」

チッ、口の減らねェガキだ。ンな事より何頼むか決めたか?

「ん、もうちょい。ミサカ、こういう重大な決断はじっくり考えるタイプだからね」

チェーンのファミレスで何言ってンだか。じゃァ決まったら俺の分も頼ンどいてくれ、トイレ行ってくるからよ。

「はぁぁ、あなたは本当にデリカシーの欠片も無いよね。普通、いきなりトイレはないんじゃない?」

家でトイレに行く暇も与えず外に連れ出しやがったのはどこのどいつだコラ。

「さぁ?何の事だかわかんないや」

うっぜェ……とにかく頼ンどけ、このステーキセットな。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:49:21.50 ID:lr8GisaJo


「第一位の癖にステーキなんて生意気だね、こっちのオムライスがお似合いじゃないかな?」

ほざいてろガキが。つーかなンだよ『ハート型オムライス』って、馬鹿じゃねェのか。

「やっぱりチキンライスの方がお似合いかな」

意味わかンねェ、誰がチキンだクソが。


何か突然不機嫌そうな面になりやがった。本気で意味がわからねェ。

トイレに行く途中、顔馴染みになった店員と目が合った。

心なしか同情の視線を向けられている気がする。

あれか、コイツには俺がワガママ女の尻に敷かれてるダメ男にでも見えてンのか?

……あながち間違ってもねェ気がする。クソ、笑えねェ。

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:49:50.84 ID:lr8GisaJo

……おい、オマエの前に置かれてるそいつはなンだ?

「ステーキセットだね。美味しいよ」

じゃァ、俺の前に置かれてるコイツはなンだ?

「お子様ランチだね、美味しそうじゃん」

………やりやがったなクソガキが

「あっひゃひゃひゃ!!ミサカにオーダー任せるあなたが間抜けなんだって!!」


甲高い笑い声が心底癪に障る。

錐台状に盛られた不自然に明るい色のチキンライス、その上に立った爪楊枝の旗。

チキンライスの横に添えられた小さなハンバーグとエビフライ。デザートのプリン。

なるほどガキが好きそうなモンばっかだ。ご丁寧にオモチャまでオマケに付いてやがる。

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:50:22.52 ID:lr8GisaJo

あァホント、オマエに任せた俺が馬鹿だったよちくしょう!つーか店員も止めろよクソが!!

「店員のせいにするなんて器が小さいなぁ、恥ずかしいからやめてよね」

そォだな、店員は何一つ悪かねェ、悪ィのは全部オマエだクソッたれ。

「怒っちゃやだー、ミサカはあなたに喜んで欲しかっただけなのに☆」

媚びた声出してンじゃねェようざってェ。もォつっこみ切れねェよマジで。

「童貞の癖に『つっこむ』だ何て卑猥な言葉使っちゃうんだ?いや、童貞だからそういう言葉が好きなのかな?」

全身穴ボコだらけにしてやろうかクソガキが。そもそも『つっこむ』は別に卑猥じゃねェ。

「あ、オマケのオモチャ頂戴ね。ミサカそれが欲しかったんだー」

これか?……ほらよ。


番外個体は投げ渡されたおもちゃを目を輝かせて見つめている。

どォやら『帝凍庫クン』とかいう冷蔵庫型マスコットのアクションフィギュアらしい。

今学園都市で静かなブームらしいが、なンでこンなモンが流行ってンだかワケがわからねェ。

つーかぶっちゃけきめェ。

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:51:02.10 ID:lr8GisaJo

なンでそンな気持ち悪ィモン欲しがンだ?センスの悪さもオリジナル譲りかよ。

「はぁ?特撮ヒーローみたいな服着てるあなたにだけはセンス悪いとか言われたくないんですけどー?」

ぐァ、痛ェ所を……

「あれ、自覚はあったんだ」

……


そうだ、この服装が何かおかしいってのは俺だってわかってる。

おかしいのはわかってる。だが具体的に何処が変なのかはわからねェ。

だから直しようがねェ。無難な服買ったつもりなのに傍から見たら似たようなモンらしい。

そもそも俺がこの手の服ばっか着てンのは木原のクソ野郎のせいだ。

あの野郎がこういう服ばっか着てたから、当時ガキだった俺はそれが普通だと思いこンじまったンだ。

ガキの頃の食生活が味覚形成に大きく影響を及ぼすってのは有名な話だろう。

美的センスも多分似たようなモンだ。木原のせいで俺の感性はすっかり歪められちまったらしい。

結局俺はまだ木原の呪縛から逃れられてねェってわけだ。


「食べないの?冷めちゃうよ。てか一人でぶつぶつ言わないでよ、五月蝿いしキモいから」

……悪ィ。


途中から声に出ちまってたらしい。

ちくしょう、これも木原のせいだ。

とっくにくたばったクセにまだ俺を苦しめるのか、木原の野郎め……
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:51:32.49 ID:lr8GisaJo


「ふぅご馳走様、お腹一杯だよ」

そいつは良かったな。

「あれれ、第一位全然箸進んでないみたいだけど、どうしたの?」

抜け抜けと……いいか番外個体良く聞け、お子様ランチってのはガキ向けの味付けなンだ。

「あなたにピッタリじゃん」

黙れ!! とにかく、こういうチェーン店のガキ向けメニューにはとりあえず甘口にしとけって風潮があンだよ。

味覚形成が終わってねェガキはひたすら甘い味付けを好む傾向にあるからな。

チキンライスもハンバーグのソースも砂糖たっぷりだ、真っ当な味覚の持ち主にはとても食えたモンじゃねェ。

「ねぇ第一位、プリン貰ってもいいかな?」

あァやっぱり話聞いてねェな。うン、わかってたけどよ。好きにしろクソったれが。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:52:02.33 ID:lr8GisaJo

「いただきまーす」

……太るぞ?

「……どうしてそういう事言うかなぁ、今自分でもビックリするほどテンション下がったよ」

クカカカ、ちょっとした仕返しだボケが。

「プリン取られるのがイヤならはっきりそう言えばいいのに」

違ェよ!そォいう事じゃねェよ!!

「しょうがないなぁ、一口だけだよ?」

だからそうじゃねェつってンだろ!!そもそも元は俺のなのに一口なのかよ!?

「はい、あーん」

何やってンだオマエ、脳に蟲でも湧きやがったか?

「あーんして?」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:52:38.78 ID:lr8GisaJo

ふざけるのも大概に……

「あーん」

………あーン

「なんてねー!食べさせてあげるとでも思った?期待しちゃった?ぶひゃひゃひゃ!!大口開けちゃって、バカみてぇ!!」

偶にノッてやったらこの扱い!!ナメてンのか!?

「まぁ人生ナメきってるのはあなただよね。働かずに食べるご飯は美味しいのかな?」

俺にたかってるオマエがどの口でほざいてンだ。

「タダ飯って最高だよね、第一位のお金だと思うと尚更だよ」

そいつは良かったですねェ。一度くらい感謝の言葉を聞いてみてェモンだ。

「あ、プリンは上げないからね?」

いらねェって……

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:53:04.86 ID:lr8GisaJo


「1,450円になりまーす」


馴染みの店員がいつもの営業スマイルで告げてくる。

払うのは勿論俺だ。

俺が男だから、とか、金持ってるから、とかそォいう理由じゃねェ。

番外個体が一銭も金を持ってねェからだ。

語弊があるな。実際は金を持ってないわけじゃねェ、ただ持ってきてねェだけだ。

このクソったれの性悪、俺と出かける時はわざと財布を家に置いて来やがる。

端から俺にたかる事しか考えてねェってわけだ。

本当にいい性格してやがるぜ。


「財布ならちゃんと持って来てんじゃん。第一位っていう無限にお金が湧く財布をさ」


これだ。

洒落になってねェ、ついにこの俺を財布扱いと来た。

妻にATM扱いされる夫ってのはこンな気分か?

いや、態度だけでけェニートのガキを養ってる親の気分か。

全くろくなモンじゃねェ。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:53:32.09 ID:lr8GisaJo


「ほらほら早く帰ろうよ、ミサカ見たい番組があるんだって」

おい押すな、食後すぐに運動させようとするンじゃねェ。腹痛になったらどォしてくれンだ。

「本当に貧弱だなぁもう、情けなくなってくるよ」

オマエみたいなガサツなガキと違ってこちとら繊細に出来てンだ。頼むからゆっくり歩いて帰らせてくれ。

「繊細って言うか虚弱だよね」

ほっとけ。

あァちくしょう、無理してお子様ランチ食ったせいで気分まで悪くなってきやがった。

「あれそんなに不味かったの?」

不味かったっつーか変に甘ったるいンだよ、さっきも言ったが完璧にガキ向けの味だ。

不自然に甘いチキンライスやらハンバーグ食ってりゃ気分も悪くなるわ。

俺は元々甘い物得意じゃねェしな。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:53:58.34 ID:lr8GisaJo

「あなたはお子様ランチにも勝てないの?第一位の座は返上して来た方がいいんじゃないかな?」

ふざけンな、それに完食したンだから辛うじて勝ってンだろ。

にしても、あンなモンをガキの頃から食わされてたら味覚が狂っちまうぞ。

ガキだからこそちゃンとした味付けのモノを食わせるべきだってのに。

「やけに熱心に考えてるね、子供作る気でもあるわけ?」

全くねェ、皆無だ。ついさっきいらねェって誓ったばっかりだ。

「ふぅん……」

あァ?何不細工な不機嫌面になってやがる?

「別に、ミサカは最初っからこんな顔だよ。それより見たい番組があるんだってば、さっさと帰ろうよ」

だから押すンじゃねェ。大体こっちは杖ついて……

おいやめろ、押すな!オマエやっぱなンか怒ってンだろ!?おいいィィィィ!!!

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:54:35.34 ID:lr8GisaJo

チョーカーの電極を切り替える間もなく、半ば強制的に家まで走らされる。

途中で何度転びそうになった事か。クソが、案の定脇腹が痛くなって来やがった。


「持続力無いなぁ、そんなんじゃ将来女の子に嫌われちゃうよ?まぁあなたには関係無いか」


顰めっ面の俺を嬉しそうに眺めながら、番外個体は再びソファに寝転がり独占する。

コイツには譲り合いの精神や何かを共有しようって観念が欠如しているらしい。

家主である俺に床に座れってのかクソが。


「何?そんなにミサカの隣に座りたいわけ?盛ってんの?」

盛ってンのはオマエの頭だ。

クソ、マジでもう一つソファ買うか……

「ねぇ、ぼーっとつっ立ってるんならお風呂でも沸かしてきてよ」

オマエが風呂掃除に行く、俺がソファに座る、これが一番いい案だと思わねェか?

「あなたの服装並みに最悪の案だね、センスの欠片も感じないよ」

うるせェよボケが。居候の分際で家事の一つもしねェってどォなンだよ、人として。

「大丈夫だよ、そういう人でなしがヒロインやってる作品もあるから」

何のこっちゃ。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:55:03.71 ID:lr8GisaJo


「ま、第一位がどうしてもエプロン装備の家庭的なミサカをご所望って言うんならやってあげてもいいけどー?」

想像したら気持ち悪すぎて思わず舌噛ンじまう所だったぜ。

「本当に失礼だねあなたは。折角ミサカがやる気になってあげたってのにさ」

絶対なってねェだろ?


そうこうしてる間に番外個体の見たがっていた番組が始まっちまった。

ソファに寝そべったまま食い入るようにテレビを睨みつけてやがる。こうなったら梃子でも動きゃしねェ。

やってるのは何の捻りもないベタな恋愛映画。

しばらく後ろから眺めてたが、正直何が面白いのか俺にはサッパリだ。

つーかこの性悪がこンなモン見たがるなンざ意外だな、全くもって似合いやしねェ。


「余計なお世話だよ。ま、お子様の第一位にはこの映画の面白さはわからないかもしれないけどさ」


生後一年未満のクソガキがほざきやがる。

とは言え面白さがわからねェのは事実だ。仕方がねェ、風呂掃除でもして来るか。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:55:46.06 ID:lr8GisaJo


「念入りに頼むよ君ぃ?」

叩き潰すぞクソガキが。


やる気を削がれる声援を背に受け、項垂れながら風呂場に向かう。

あれ、俺本当にただの奴隷じゃねェ?

いやいや……ほらアレだ、年下のガキに振り回されンのは人間なら誰でも通る道だ。

そォいう事にしておこう。決して奴隷の立場に甘ンじてるわけじゃねェ。

ワガママなガキの面倒を仕方なく見てやってるだけだ。俺の方が立場は上……のはず。

……ちくしょう、なンかムカついてきやがった。全部木原のせいだ。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:56:12.54 ID:lr8GisaJo


チョーカーの電極を能力使用モードに切り替え、浴槽を軽くノックする。

それだけで風呂掃除は終了、楽なモンだ。

加減さえ間違えなけりゃ俺の能力は戦闘以外の実生活でも相当役に立つ。

そして俺の演算能力なら加減を間違う事なンざまず有り得ねェ。

能力の無駄遣い?違ェよ、有効活用ってンだ。

さて、番外個体はまだ映画に釘付けだろォし、このままシャワー浴びつつ風呂に入っちまうか。


「そうはいかないよ、一番風呂はミサカが貰うんだから」


いつの間にか風呂場まで来ていた番外個体が背後から声をかけてくる。

コイツは映画を見たかったンじゃなかったのか?

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:56:39.16 ID:lr8GisaJo


「正直、驚くほど面白くありませんでした」

ハッ、背伸びして恋愛映画に興味持って見たもののやっぱり理解出来ませンでしたってか?

あンだけ俺に大見得切っといて、傑作じゃねェか。

「うるさいなぁ、とにかくミサカはお風呂に入るんだからさっさと出てってよ」

ハイハイすぐに退散しますよォ。

「それともぉ、一緒に入っちゃう?うひゃひゃひゃひゃ!!」

……そォだな、そうするか。俺もオマエの身体には興味あるしなァ。

「え?…………え?」

おい、まさか間に受けたンじゃねェだろうな?

……待て、ヒくな!後ずさるな!!目ェ反らすな!!

クソ、ちょっと冗談言ってみたらすぐコレだ!

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:57:07.56 ID:lr8GisaJo

「あーびっくりした、心臓止まるかと思ったよ、第一位は不能だと思ってたからさ」

誰が不能だ淫売が。

「何処でそんな冗談覚えて来たの?童貞の第一位らしくないよ」

童貞を強調するンじゃねェ!

チッ、なンでこンな冗談口走っちまったのか……多分どっかのメルヘン野郎の影響だなァ。

「あぁ、あの第二位だっけ?そういえば最近良くつるんでるよね」

人聞きの悪ィ事言うな、一方的に絡まれてるだけだ。

「純粋無垢で童貞の第一位がイケメンヤリチンの第二位に色々悪い事を教えられてるってわけだ」

勝手な設定作ってンじゃねェ、あの野郎に教わる事なンざ何一つありゃしねェよ。

「色々あるでしょ、人付き合いの方法とか」

オマエが人付き合いについて語るのかよ。

「ところで早く出て行ってくんないかな?本当に一緒に入りたいわけ?」

あァもォ、本当にムカつくなオマエ。俺の寿命がストレスでマッハだよちくしょう。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:57:47.82 ID:lr8GisaJo


風呂場を追い出された俺は仕方無しに居間に戻る。

途中、缶コーヒーを取ろうと冷蔵庫の前まで行った所、
ファミレスで貰った帝凍庫クンのフィギュアが冷蔵庫の上に飾られている事に気付いた。

そンな事でちょっと笑っちまった自分が悔しくて仕方ねェ。


それにしても家主だってのに一番風呂すら許されねェってのはどォいう事だ?

……まァいい、とにかくこれでよォやくゆっくり出来る。


俺は缶コーヒー片手にソファに腰を下ろし、大きく溜息を吐いた。

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:58:17.35 ID:lr8GisaJo


「ねぇ、起きなよー」

……ン?

「起きろってば!」

………あァ、寝ちまってたのか……

「全く油断も隙も無いね!ミサカのソファで勝手に寝ないでよ!」

いや、オマエのソファじゃねェだろ……


疲れていたせいだろうか、どうやらいつの間にか眠っていたらしい。

欠伸をしつつ、覚醒しきっていない頭で理不尽に憤慨している番外個体の顔をぼーっと眺める。

にしても、『ミサカのソファ』とはなァ……開き直りもここまで来るといっそ清々しいってモンだ。

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:58:44.09 ID:lr8GisaJo


「ほら、どいたどいた!お風呂空いたから入って来なよ!」

ったくうるせェなァ、ハイハイ今どきますよォ。

「あ、ミサカが入った後のお湯だからって変な事しないでよ?」

なンだよ変な事って?

「飲んだりとか?」

誰がするかボケが、確実に妙な病気にかかるわ。

「排水溝に溜まってる毛を集めたりとか?」

オマエは俺をなンだと思ってやがる。

「そういえば不能だったね、なら安心だ」

死ねばいいのになァ、オマエ……

29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:59:19.56 ID:lr8GisaJo


悪態を吐きつつソファから起き上がり、軽く頭を振りながら風呂場に向かう。

振り返ってみると番外個体はもうソファに寝転がっていた。どンだけ気に入ってンだ。

まァ妹達よりも値段の高いソファだからな、使い心地がいいのもわからなくもねェ。

ふと、番外個体と視線がぶつかる。

俺が見ている事に気付いたアイツは勝ち誇ったようなドヤ顔を作り、クククと小馬鹿にするような笑みを漏らした。

クッソうぜェ、癪だが明日にでも新しいソファを買ってくるとするか。

あのソファよりもずっといいヤツ買って、そっちを俺専用にしてやる。

決意を固め、未だドヤ顔をしている番外個体に対して舌打ちをくれてやり、俺はさっさと風呂場に移動する。

まさか後日新しく購入した方のソファをぶん取られる事になるとは、この時の俺は想像もしていなかった。

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 18:59:48.25 ID:lr8GisaJo


風呂ってのはいいモンだ。

湯船に使って足を伸ばしてると、全身から一日の疲れが滲み出すような錯覚を覚える。

女どもが馬鹿みてェに長湯してた理由も今なら少しはわかる。

正直なところ、俺の能力を使えば風呂になンざ入る必要もねェ。

汚れを落とすのも血行を促進させるのも簡単なこった。

実際、昔はそうする事が多かった。

風呂なンざ無駄に面倒なだけだと思ってたし、無防備な姿晒すのにも抵抗があったからな。

色ンな事が片付いたお陰で無駄を楽しむ余裕が出てきたって事だろう。いい傾向だ。

そう、楽しンでるンだ。俺は風呂が好きなンだ。

決して、番外個体にギャーギャー言われるのが面倒で風呂場に篭ってるわけじゃねェ。

第一位のこの俺がそンな風に逃げの姿勢を見せるわけねェだろ?


……あ、やべェのぼせてきた。

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 19:00:52.20 ID:lr8GisaJo


若干ふらついた足取りで風呂から上がり、鏡を見る。

少しばかり長湯しただけで全身真っ赤、我ながら自分のヤワな身体に嫌気が差してくるぜ。

そういえば以前、この長湯した後の姿を番外個体に見られた時は『茹でもやし』と散々に笑われたンだったか。

もやしは茹でても赤くならねェってのによ。

それにしても……細ェな、俺。

こう、服脱いだ状態で改めて全身じっくり見るとちょっと怖ェくらい細ェな。

別に誰かに身体を見せる予定もねェが、自分で見ててちょっと凹むわ……

筋肉信奉するわけじゃねェがやっぱもう少し肉付けた方がいいのかね。

でもどンだけ食っても太らねェンだよなァ……


……さて、ぼちぼち赤みも引いて来たし、行くとするか。

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 19:01:32.56 ID:lr8GisaJo


あァ?おい、寝てンのか?


居間に戻ると、番外個体はソファに寝そべったまま目を閉じていた。

寝顔だけは邪気がねェ。ずっとこの面してりゃァ少しは可愛げガあるンだがな。

にしても、寝るンなら自分の部屋に戻れってンだ。わざわざベッドは買い与えてやったってのに。

……風邪でも引かれたらめンどくせェからな。


「んー……起きてるよ」


俺の声に反応した番外個体は辛うじて、と言った具合に薄く目を開き、もたもたと喋る。


半分寝てンじゃねェか、いいからさっさと部屋に行けよ。

「そだね、そうするよ……」


番外個体は素直に頷くと、目を擦りながらソファから立ち上がった。

そのままのろのろと部屋に向かっていくのを黙って見送る。

よっぽど眠いンだろう、足取りが覚束ないのが見て取れる。

ったく、さっさと寝てりゃいいのに、なンであンなになるまで居間に居座ってたンだか……
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/11(土) 19:01:59.88 ID:lr8GisaJo


「あ、そうだ第一位」

あン?

「……おやすみ」

……オマエ、それ言うために待ってたのか?

「んなわけないじゃん、馬鹿じゃないの?自意識過剰はうざいよ」

あァそうですか、そいつはすいませンでしたァ。

「ふん、それじゃミサカはもう寝るから」

おい、ちょっと待てよ番外個体。

「……何さ?」


……おやすみ。


「……うひゃひゃひゃ」

なァに笑ってやがンだか。


全く、やれやれだ。

34 :>>1 :2011/06/11(土) 19:03:34.96 ID:lr8GisaJo

つーわけで最初の投下は終了だ。

どうしよう、ろくに書き溜めも出来てないのに見切り発車しちゃったよ!

まぁなんとかなるよね?

とりあえずこんな感じでよければこの先も読んでくれー
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/06/11(土) 19:10:29.47 ID:ihUE0fOAO
乙!
続き楽しみにしてるよー
36 :sage :2011/06/11(土) 19:10:53.92 ID:Y2MZwFjs0
乙!
次回も期待してる
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/06/11(土) 19:15:16.59 ID:0lcV+gBO0
乙!

この普段悪口の言い合いなのにたまに普通の掛け合いになるのがたまらなく良いね
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/11(土) 19:27:53.57 ID:jzs9WMjw0
また反射的にブクマしちまったぜ
俺の悪い癖だ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 19:43:30.24 ID:vUVBxeJu0
乙!!

とりあえず支援!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/06/11(土) 19:57:54.62 ID:n5xNFcElo
乙。
あー。
また続きを待つ生活が始まるよ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 20:00:16.04 ID:YqhGbzRIO
正直番外通行はそこまで好きではなかったがこのスレはちょっと読んでみたいと思った
期待しとるよ
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/06/11(土) 20:12:28.41 ID:2INTxsQG0
帝凍庫クンだと!?
まさか…戻ったかッ?
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/11(土) 20:12:54.52 ID:Efh2zYtv0
最高!なにこのいちゃいちゃスレwwwwww続き期待してるぜ!
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/11(土) 20:32:59.30 ID:u77ujUxDO
なんか漠然とした不安を感じるんだが…

番外個体が突然ぽっくり行ったりしないよな?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/11(土) 20:59:36.21 ID:2Yon73To0
番外通行ってすでに書かれてるからおそらく大丈夫だろう
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 21:17:11.21 ID:nSp8PSqZ0
雰囲気がいいね。これは期待
47 :>>1 [sage]:2011/06/11(土) 21:52:13.72 ID:lr8GisaJo

追伸

番外通行つったけど番外個体と一方さんの絡みばっか書くつもりはないのです

色々なキャラ出してグダグダと一方さんの日常を書いていく予定だよ!

だから甘々な番外通行オンリーを期待してた人はごめんな!


仕方ないじゃないか、前立てたスレでどんなSSがいいか、いくつか例挙げてリク取ったら「色々混ぜろ」的な事言われたんだもん……

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/06/11(土) 21:56:43.65 ID:n5xNFcElo
アンタだったのかwww
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/06/11(土) 22:37:19.55 ID:1RBHo7vH0
前スレってなに?
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/11(土) 23:35:00.50 ID:YqhGbzRIO
やっぱりおまえだったかw
しかしこの>>1はSSのクオリティといい前スレ含め一方SSしか書いてないことといい某一方さん好きの変態を彷彿させるなww


まさかな
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/11(土) 23:53:13.91 ID:2Yon73To0
マジでぇぇぇぇぇぇぇぇぇl!!!???
あなただったの!?うれしいよ!!!そして待ってた!!!!

酉もしくは名前を名乗ったほうがいいなじゃないですか!!??
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/06/11(土) 23:58:48.55 ID:ihUE0fOAO
むしろ一方通行がいろいろなキャラと絡む日常系は楽しいからウェルカムだ
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/06/12(日) 00:02:10.07 ID:UIeFLnkZ0
>>38
一方通行だけに…ってか?


ごめん
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/06/12(日) 00:12:32.74 ID:GAxGZHVP0
数か月くらい間開けるかと思ったけど
某原作者を思い出すくらいのハイペース復帰で嬉しいぜww

基本ほのぼのでちょびっと鬱展開とかなら俺得だがかなり難しそうだなあ
でも期待ww
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/12(日) 13:13:42.86 ID:C1QXcXwm0
木原くンの扱いwwww
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/12(日) 14:25:50.27 ID:aVZaEvXq0
一方さんの家に番外の部屋があるとはつまり許してるということか……
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 15:19:28.49 ID:3sZuEFSDO
ツンデレ同士って事だろ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/12(日) 19:11:05.55 ID:AgBK/NMAO
スレタイがシンプルすぎて見逃してた
ニヤニヤしながら期待してる
59 :>>1 [sage]:2011/06/12(日) 19:14:33.03 ID:GSMs6K1Yo

一方さん好きの変態さんのSSは面白いよな
ぶっちゃけあの人のSS読んだから俺も久しぶりにSS書いてみようかって気になったんだよ

そんじゃ投下していこうかね
最初くらいはペース上げとかないとな!!
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:15:06.38 ID:GSMs6K1Yo


まだ朝日も昇りきっていない早朝、俺は一人で街中を歩いている。

後ろ暗い事があるわけでもねェし、家出してきたわけでもねェ、ただの散歩だ。

全てが片付いてからというもの、学園都市を散策するのが俺の日課になっていた。

『年寄り臭い』と笑うヤツも多いがこれが意外と面白ェ。

何の憂慮も無くのんびりと街中を歩けるってのはそれだけで新鮮な気分だ。

誰かに傷つけられる恐れも無ければ誰かを傷つける心配もねェ。

そンな風に、心に余裕を持って歩いてると見えるモンも違ってくる。

毎日が新しい発見の連続だ。思わず時間が経つのも忘れちまう。

家に帰るのが遅れると番外個体がなンか不機嫌になっちまうから気をつけてはいるンだがな。

そもそも俺はこの街の表の世界の事をほとンど何も知らなかった。

十何年も住んでるってのに、はっきりと思い出せるのなンざ
良く行く近場のコンビニとファミレスの位置くらいだってンだから笑えてくる。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:15:40.23 ID:GSMs6K1Yo


クソガキにあちこち連れ回された事もあったが、あン時はガキのお守りで手一杯だったしな。

誰に気兼ねする事も無く、自分のペースで自分の好きなように歩く。偶々目についたモンを焼き付ける。

それがこンなに楽しいモンだとは思ってもみなかった。

目的地なンざ存在しねェ。街を見て回る事、それ自体が目的だ。

今日はこっちに行こう、明日はあっちに行ってみようか、まだまだ知らないところに行ってみたい。

そンな感じで毎日あっという間に過ぎて行く。

まるで自転車に乗れるようになったばかりの小学生みてェだ。

童心に返るってのはこォいう事を言うのかねェ?


平和ボケしすぎだって笑うか?そォだな、自分でもそう思う。滑稽だ。

だが、もっと平和ボケした馬鹿が大量にいるせいで中々危機感が湧いて来ねェ。

全く、困ったモンだ。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:16:07.63 ID:GSMs6K1Yo


「よう一方通行、奇遇だな」


噂をすればなンとやら。

平和ボケの最先端を行く男がニヤけながら目の前に現れた。

当然無視。俺は散歩を楽しみてェンだ、こンな野郎に構ってる暇はねェ。

くるりと身を翻し、俺はソイツから逃げるように歩きはじめる。


「おいこら露骨に無視してんじゃねぇよ!」


声を張り上げながら男が俺の肩に手をかけてくる。

チッ、やっぱり杖ついてちゃ逃げられねェか。

朝の爽やかな気分が台無しだ、ちくしょうめ。


「何でいきなり暴言吐かれなきゃならねぇんだ!?台無しになったのは俺の気分の方だよ!!」

あれ、声に出てた?まァ別にいいか……

「どんだけ俺に冷たいのオマエ」

オマエの正しい扱い方なンざこンなモンだろ。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:16:34.37 ID:GSMs6K1Yo


でェ、何か御用ですかァ?

「いや、別に用はねぇけどな」

なンだそりゃ、死ねよ。

「ナチュラルに死ねとか言うなよ!知り合いにあったら声くらいかけるだろ普通!!」

一度自分を殺した相手に普通に声かけるのはどうかと思うぜ?垣根くンよォ。

「あぁ?今更何言ってやがんだ、もう俺とオマエの仲じゃねぇか」

どンな仲だよ、死ねよ。

「ふ……ライバル同士、だろ?」

キメ顔うぜェ、死ねよ。

「死ね死ね言うなよ、本当に死んだらどうすんだ」

また冷蔵庫になるだけだろ?

「冷蔵庫の事は言うな!!」

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:17:03.16 ID:GSMs6K1Yo


学園都市の第二位、自称俺のライバルの垣根帝督。

かつて俺と本気の殺し合いをし、そして俺に殺された男。

実際はギリギリ生きていたらしく、学園都市にバラバラになった脳や身体を回収されていたらしい。

その後、延命や学園都市の都合で冷蔵庫やら工場やらにされていたはずが、
いつの間にか人間の身体に戻っていたそうだ。

だから、しばらく前に突然笑顔で俺の目の前に現れた時は心底驚いたモンだった。

驚きすぎてもう一度殺しかけちまったくらいだ。


「あー、あん時は二度目の死を覚悟したぜ……ったく、争う意思はねぇつってんのにオマエ聞かねぇし」

あァハイハイ、悪ゥございましたァ。つーか一回殺し合った相手をそォ簡単に信じられるわけねェだろォが。

「違いねぇな、逆のパターンだったら俺も絶対信じなかっただろうし」

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:17:40.47 ID:GSMs6K1Yo

垣根は過去を懐かしむように目を細め、クククと笑い声を零している。

自分が殺されかけた思い出を楽しげに回想するってのもどォなンだ?コイツ変態じゃねェ?

しかしまァ不本意ながら、甚だ遺憾ではあるが、この変態と俺の間には友人と呼べる関係が築かれつつある。

心の底から不満だが、俺とコイツにはやはり似た部分があるンだろう。

あァ、イヤだイヤだ……


「……おい、何だその顰めっ面は」

別になンでもねェよ、しかしオマエとはホント良く会うな。

「確かに、約束してるわけでもねぇのにしょっちゅうエンカウントするな」

オマエ実は俺の跡つけてたりしてンじゃねェだろォな?ゲイのストーカーとかマジ勘弁だぞ?

「ふざけろ!俺は女にしか興味ねぇよ!!つーか彼女いるの知ってんだろうが!!」

その彼女も世間の目を誤魔化す為のフェイクで、実は……うわァ、オマエそれ以上俺に近付くなよ?
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:18:09.13 ID:GSMs6K1Yo

「ナメてんのかテメエ!?ナンパ野郎だのホストだのは良く言われるがゲイ呼ばわりされたのは始めてだよ!!」

垣根、ゲイ督……

「おま!?何最悪なあだ名付けようとしてんの!?」

ククク……


垣根の狼狽ぶりが面白くて思わず笑い声が漏れちまう。

こンな、歳相応の馬鹿学生みたいな会話が俺にも出来るなンざ思ってもみなかった。

溜息が出るほど平和な毎日、友人と交わす中身の無い普通の会話。

どちらも自分には無縁のモノだと思っていた。

自分がそんなモノを手に入れてはいけないと思っていた。

多分、目の前で地団駄踏んでる野郎も似たような事を考えた事があったに違いない。

それがいまやこの様とはな。

全く、学園都市のトップ2が揃いも揃って平和ボケし過ぎだ。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 19:18:17.21 ID:/41sTGmno
ktkr
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:18:35.98 ID:GSMs6K1Yo


「つか、テメエは今の会話を普通と言い張るのか?いい性格してやがるなこの野郎」

なンだ、知らなかったのか?

「馬鹿言え、よく知ってるよ」


やれやれ、と垣根は肩をすくめる。

こォいう、からかわれた時の反応はやっぱ俺と似てやがる。この上なく不本意だがな。

それにしてもコイツがこンな朝早くから街中を出歩いてるってのは珍しい。

遭遇した時のうざってェニヤけ面といい、何かいい事でもあったのかね?


「おう、実はあったんだよ!聞く?聞いちゃう?」

いえ、面倒なンで結構です。

「実はだな……」

聞けよメルヘン野郎。

「今日久しぶりにデートなんだよ」

ほォ?
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:19:04.88 ID:GSMs6K1Yo

「ここ数日お互い予定が合わなくて会えてなかったからよ、楽しみで楽しみで……」

そンで思わず早起きして家から飛び出したってか?遠足前のガキかオマエは。

「女が出来りゃオマエもわかるさ。いいモンだぞー彼女って」

あンな凶暴な女の何処がいいンだか……

精々、デート中に他の女見て蹴り飛ばされないように気をつけろよ?

「大丈夫大丈夫、アイツ以上の女なんてそうそういるモンじゃねぇしな」

まァ、確かに見てくれはいいからな。

「つーかオマエの方はどうなのよ?毎日一人で散歩なんてしてていいのか?」

何がだ?

「番外個体だよ。同棲してんだろ?もっと構ってやれって」

馬鹿か、俺とアイツはそォいう関係じゃねェよ。

そもそも同棲じゃなくて勝手に住み着かれてるだけだ。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:19:32.82 ID:GSMs6K1Yo

「え、一つ屋根の下に住んでんのに?オマエこそゲイなんじゃねぇか?」

ぶっ殺すぞ。大体、一緒に暮らしてるだけでそォいう関係だってンなら上条はどォなるンだ。

「幻想殺しなぁ……アイツ、あんな狭い部屋で女の子と二人で暮らしてんのにまだ手ぇ出してねぇのか」

あの三下野郎、最近は開き直ってシスターと同じベッドで寝てるらしいぞ。

「どんだけだよ……」

まァシスターの方が無理にそォさせたらしいンだが……

それでも、女にそこまでさせといて、まァだ『彼女欲しい』『自分に好意持ってる女なんていない』
とかほざいてやがるからなァ、救いようがねェよ。

「シスターちゃん、絶対に手ぇ出してくるの待ってるだろ……どんだけ女に恥かかせてんだ」

もはや鈍いとかそォいう次元じゃねェ。

アイツこそ本当に不能かゲイなンじゃねェかって思うわ。

「一回死ぬべきだな」

あァ、死ぬべきだ。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:20:08.48 ID:GSMs6K1Yo


死ぬべきだ、と言ってから思い出す。

そォいや上条も何度か死ンた事があったンじゃなかったか、と。

馬鹿は死ななきゃ治らないと言うが、どォやら死ンでも治らない馬鹿もいるらしい。

と言うか、目の前にいる男はむしろ死ンでから馬鹿になった気がする。

この街にはイレギュラーな野郎ばっか住ンでンな。


「っと、結構話し込んじまったな。そろそろ行くわ」

ン、そォか。まァ頑張れよ?

「おう、次会った時はオマエの参考になるように今日のデートの土産話を聞かせてやる」

ハイハァイ、最高の失恋話期待してますゥ。

「抜かせ、一人身が死にたくなるような惚気話聞かせてやるから首洗って待ってろ」

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:20:39.20 ID:GSMs6K1Yo


自信に満ちた笑みを浮かべながら去っていく垣根を黙って見送る。

失恋話を期待する、なンて言ったが実際の所アイツらの関係が極めて良好なのは良く知ってる。

多分次に垣根と会った時には本当にうざってェくらい惚気話を聞かされる羽目になるンだろう。

想像しただけで頭痛がしてくる。やれやれだ。

……だが、悪くはねェ。


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:21:10.02 ID:GSMs6K1Yo


だらだらと街を歩く。歩き続ける。

気付いてみればもう夕方だ。

朝家を出て、そこらを適当にほっつき歩いて、日が暮れたら家に帰る。

これがここ最近の俺の生活スタイルだ。

まるでリストラされた事を家族に言い出せないサラリーマンみてェだな、笑えてくるぜ。

さて、そろそろ帰らねェと居候がへそ曲げちまう。

勝手に住み着いてるクソガキの事をなンで気にかけなきゃならねェンだか、自分でもわけがわからねェ。

まァ、拗ねられても面倒だしな……さっさと帰ってやるか。

そォいや今まで気にした事も無かったが、アイツは一人で家にいる時何やってンだろうな?

朝と晩は食わせてやってるが昼はちゃンと食ってンのか?

……って、だから俺が気にかける事じゃねェってのに。

チッ、垣根の馬鹿が『構ってやれ』とか言うから妙な事考えちまった。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:21:51.84 ID:GSMs6K1Yo


帰りがけ、いつものファミレスの前を通る。

今日の晩飯もここになるのかね、そォいや昼飯食い忘れてたな。

そンな事を考えながらちらりとウインドウ越しに店の中を見て、俺は思わず足を止めた。

見知った顔が、本来いるはずのない女がたった一人でそこにいたからだ。

見なかった事にして帰ろうかとも思ったが、どォにも様子がおかしい。

普段、これでもかってくらい強気なはずのソイツが、どンよりと項垂れている。ビールの中ジョッキ片手に。

何かあったンだろうか?まァあったンだろうな、でなきゃ今日一人でこンな所にいるわけねェし。

気付いた時には、俺はファミレスに入店しその女の傍らまで寄っていた。

我ながら随分お人好しになったモンだ。

75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:22:18.30 ID:GSMs6K1Yo


よォ、何やってンだ?

「あぁ?……何だ第一位か、見てわかんない?」

負け犬女が飲ンだくれてるようにしか見えねェが?

「何、喧嘩売りに来たわけ?」

冗談、ファミレスで一人酒してる女に喧嘩売るなンざ、怖くて出来ねェよ。

「チッ、相変わらずムカつくなテメエ」

良く言われる。で、実際何やってンですかァ麦野さァン?今日デートだったンじゃねェのか?

「……何で知ってんの?」

今朝方オマエの彼氏に会ったンだよ。

なンでこンな所にいやがるンだ?デートはどォしたよ?

「ハッ、あんな野郎彼氏でも何でもないわよ」

はァ?上手く行ってたンじゃねェのか?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:22:48.43 ID:GSMs6K1Yo

「あのクソメルヘン、浮気してやがったのよ」

うわァ、あの野郎……

「最悪の気分よもう、ブン投げてデート中断してきてやったわ」

ブン投げたってオマエ……

「はぁ、男運ねぇなぁ私……いっそ女に走ってみようか」

ハッ、そいつはいい。何ならうちに住み着いてる性悪でも紹介してやろォか?

「あらいいわね、クローンだけあってあの子第三位そっくりだし、いぢめ甲斐がありそう」

存外ノリ気なオマエにびっくりだよ。やめてくれ、最悪の歩く十八禁エログロタッグが出来上がっちまう。

「誰が歩く十八禁エログロだ?やっぱ喧嘩売ってんだろテメエ」

滅相も御座いませェン。

で、野郎が浮気してたってのはマジなのか?今朝話した時はオマエにぞっこんっぽかったが。

「マジもマジよ、この前アイツが女の子と二人で歩いてるの見ちゃってさぁ……」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:23:20.71 ID:GSMs6K1Yo

ン?ひょっとしてそれだけで浮気って判断したンじゃねェだろォな?

「まさか、そこまで短絡じゃないわ。でも、気になったから今日聞いてみたのよ『この前のあの子は誰?』って
そしたらアイツ、何て言ったと思う?」

……さァ?

「『女となんて会ってない、お前の見間違えじゃないか』だってさ!ナメられたモンよ!!」

あー……実際見間違えって事はねェのか?

「無いわね、目から原子崩し出るくらいその光景焼き付けたもの」

怖ェよ……ところで正確には何日前の事だ?

「四日前」

四日前ねェ、確か俺もその日アイツに会ったンだが、そンな素振りは全く見えなかったぜ?

どンな女だったンだ?ただの知り合いだったとかじゃねェのか?

「ただの知り合いで疚しい事が無いんだったらシラ切らないでしょ。
そうね……女にしては背が高くて、でも羨ましいくらい華奢で色白だったわ」

ふゥン。

「帽子被ってたし、後姿しか見てないから髪型とか顔はわからないけど……
男ってやっぱ手足細い子が好きなわけ?色は白けりゃ白いほどいいの?」

いや、俺に聞かれてもなァ……
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:23:57.37 ID:GSMs6K1Yo


上の空で麦野に答えながら、俺は何か引っ掛かるものを感じて四日前の事を思い出す。

四日前の昼間、俺は偶然アイツと会って、しばらく一緒に歩きながらいつもみたいに中身の無い馬鹿話して……

そンで、服装を馬鹿にされたンだったか、『いつにも増して妙な格好だ』とかなンとか。

はて、あン時の俺はどンな格好してたっけ?

えっと、確か番外個体に無理矢理コーディネイトされたユニセックスな感じの服を着てたンじゃなかったか。

頭にも何か大きめのハットを被せられてた気がする。

そうそう思い出して来た、そンな格好してたから女と間違われてナンパされたりしたンだったな。

それでユニセックスな服なンか二度と着ねェって誓ったンだった。

あの日会った知り合い全員に笑われたしなァ。

…………あれ?

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:24:23.97 ID:GSMs6K1Yo

「……? どうしたのよ第一位?突然固まっちゃって」

あ、あァいや、なンでもねェ……

……ところでよ、アイツが女と一緒に歩いてたのってどの辺りだ?

まさか、第六学区の駅周辺だったりしねェよな?

「そのまさか、よ。何?アンタもその辺でアイツに会ったの?」

……はい。


言えなかった。

『それ多分俺だ』のたった一言が、どォしても言えなかった。

中ジョッキを傾け、焼き鮭を頬張る麦野を、俺は黙って見つめる。

許せ、垣根……

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:24:49.86 ID:GSMs6K1Yo


「沈利!!!」


突如ファミレスのガラスドアが勢い良く開かれ、一人の男が麦野の名を呼びながら飛び込ンでくる。

垣根だ。一体何があったのか随分ボロボロになっているが、間違いなく垣根だ。


「帝督……」


その姿を認めた麦野は立ち上がり、小さく垣根の名を呟く。

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:25:16.93 ID:GSMs6K1Yo


駆け寄る二人。

抱き合う二人。

ブン投げられる垣根。

宙を舞う垣根。

テーブルに突っ込み派手な音を立てながら転げる垣根。

追撃の原子崩しでさらにダメージは加速した。


馴染みの店員と目が合う。

そンな恨みがましい目で俺を見るな。

俺にどォしろってンだよ。

痴話喧嘩の仲裁なンざ真っ平御免だ。

……帰るか。

次に垣根と会った時の惚気話が楽しみだ。


82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:25:42.69 ID:GSMs6K1Yo


「お帰り第一位」

あァ、ただいま。


番外個体はソファに寝転がったまま、こっちも向かずに挨拶する。

反抗期の娘を持つ父親はこンな気分なのか?

いや、反抗期の娘はそもそも挨拶してくれねェか。

先日購入した新しいソファは早速番外個体の餌食になってしまっている。

……まァいい、古いソファであれ使えるだけマシだ。

そもそも、古いってのも先日購入したソファと比べて、ってだけで実際は新品と大して変わらねェ。

それにしても二人しかいねェのに三人掛けのソファを二つも購入してるってのも贅沢な話だ。


缶コーヒーを取る為に冷蔵庫の前まで行く。

冷蔵庫の上に置かれてる帝凍庫クンのフィギュアが何故か増えててちょっと噴き出しちまった。

ちくしょうめ。
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:26:09.78 ID:GSMs6K1Yo


「ねぇ第一位、お腹空いたから晩御飯食べに行こうよ」

ン?あァそォだな。けどいつものファミレスは使えねェぞ?

「え、どうしてさ?」

……改装中だ、しばらくかかるだろォよ。

いや、最悪店がなくなってるかも知れねェ。

「何それ、じゃあどうすんの?近場にあのファミレス以外無いのに!」

俺に文句言うなよ。

……まァ今日のところはどっか適当な所まで行くとして、明日からは家で作るか。

「作る……?誰が?」

俺が。

「……マジ?」

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:26:43.79 ID:GSMs6K1Yo

だってオマエは絶対やンねェだろ?

「うん、まぁやらないけど……」

じゃァ俺が作るしかねェだろ、めンどくせェけど仕方ねェ。

一応調理器具は一通りあるしな、明日にでも食材買いに行ってくるわ。

「本気?マジ?正気?大丈夫?」

ホントにムカつくなオマエ。本気だって言ってンだろ、明日からは俺が晩飯を作る。

「………」

……なンだよ?

「……ぶ、ひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

あァ!?そンなに面白ェか!!?俺だって似合わねェのは百も承知だクソったれが!!!

「ひゃひゃひゃひゃ……いやいやいや、まさか本当にエプロン装備の家庭的一方通行を拝める日がくるなんてね」

いや、エプロンはしねェよ。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:27:14.06 ID:GSMs6K1Yo

「え、じゃあ全裸?流石のミサカもそれはヒくよ?」

何でエプロン着けなかったら全裸なの?裸エプロンが前提なの?ふざけンなボケ、オマエがやってろ。

「何々?ミサカの裸エプロン姿が見たいって?うひゃひゃひゃひゃ!第一位も男の子だねぇ!!」

生皮ごと引ン剥いてやろうかこのクソビッチが。チッ、とりあえず飯食いに行くぞ。


「……ねぇ第一位、明日何作るか決めてんの?」

あァ?いや、まだ何も考えてねェが。

「てか何が作れるのさ?」

能力使えば大抵なンでも作れるだろ、多分。

「うわ、今世界中の料理人を敵に回したよ?」

知った事か、料理人なンぞが何人束になってかかって来ようと俺は負けねェよ。

……いや、セガールがいたな。正直アイツには勝てる気がしねェ。

「ケイシー・ライバックの事?確かにあれは強そうだよね」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:27:52.26 ID:GSMs6K1Yo

でまァ、多分なンでも作れるがそれがどォした?リクエストでもあンのか?

「うん、えっとね……」

さっさと言え。

「オムライスとか、作って欲しいなぁ、なんてね?」

おむ、らいす……?

「う、うん」

………

「……」

……ぶふっ

「!?」

ふ、ククククク、随分とまァ似合わねェモン食べたがるンだなァ?えェ、番外個体ちゃンよォ?
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:28:19.45 ID:GSMs6K1Yo


「は、はぁ!?違うし!食べたいわけじゃないし!!
第一位がオムライスなんて似合わないモノ作ってるの見て笑いたいだけだし!!」

いやァ、女の子らしくていいンじゃないですかァ?それにしてもオムライスねェ……く、ククククク……

「もういいよ!!オムライスなんてやめやめ!!明日は豪勢にステーキとかにしよ、どうせ第一位のお金だしさ!!」

クククククク……

「いつまで笑ってんの気持ち悪い!!もう、さっさと食べに行こうよ!」

88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/12(日) 19:28:52.97 ID:GSMs6K1Yo


おい番外個体。

「……何?」

そォ怒ンなよ。

「別に怒ってないよ」

ハイハイ。で、ケチャップとデミグラスソースと、どっちが好みだ?

「う……け、ケチャップ、かな……」

そンじゃァ、明日の晩飯はケチャップソースのオムライスでいいな?

「……うん」

……おい、顔がニヤけてンぞ?

「ニヤけてなんかないよ!気持ち悪いからこっち見んな!!」

あァそォですか。

ったく、やれやれだ。

89 :>>1 :2011/06/12(日) 19:30:53.00 ID:GSMs6K1Yo

本日分の投下は終了だ!

で、欝方向を期待されたり不安がられたりしてるみたいだけど、このスレはずっとほのぼのでいく予定だよ

だってお前、ついこの前まで頭のネジ外れたようなギャグSS書いてたのに突然欝SSなんて書けるもんかよ!

もうちょっと時間置かなきゃ無利無理、段階踏んで行こうぜ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 19:34:45.08 ID:/41sTGmno
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/12(日) 19:35:17.37 ID:kE+vbbZt0
乙!最高です!
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 19:37:07.28 ID:ilX3OUODO
このスレはネジがフルスロットルで外れるようなことにはならないのか

乙です
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/12(日) 19:54:58.61 ID:aVZaEvXq0
uwaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!

画面の前ににやけてる俺が居るぅぅぅっぅぅぅ!!!!怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 20:08:36.94 ID:SrOliCiIO
ゲイ凍庫くンは前世の縁でむぎのンと付き合えてるんだな……
あれ、非童帝とか何回か死ぬべきじゃね?
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 20:28:55.91 ID:oUSimpeDO
えっ?つまりむぎのんは非処女ってこと?


前スレの反動でかいな
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/12(日) 20:33:43.46 ID:3sZuEFSDO
相変わらすていとくんの扱いが酷いwwwwww

と思ったけどむぎのんと付き合ってるとかどういう事だよ
爆発しろ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/12(日) 21:15:26.25 ID:JclQH58Co
前スレって童貞一方通行がストーカーされてたやつ?
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/06/12(日) 23:47:52.01 ID:Y4t9uV9j0
番外通行いいなぁ 番外通行こそジャスティスだ。
一時期、番外通行は名作だらけだったけど、最近見ないしね。超期待するよ。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 23:55:01.87 ID:ODGygtHSO
一方通行が相変わらずの童貞…
そして
ていとくん×むぎのん
まさか前回の続き

…と、思いきや…番外個体がヤンデレじゃないから違うか
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/13(月) 00:48:01.96 ID:gIOZF+s80
おつー
前スレの反動で未元崩しへのニヤニヤ感が半端ねえww
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/13(月) 01:41:22.27 ID:9i6PLAXyo
乙です。にやにやが止まらない。

お子さまランチにしてたのは嫌がらせ半分、美味しいものを選んであげたい気持ち半分だったのかな?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 03:15:53.59 ID:ShBkzslDO
この時間に悶えまくって叫んだら寮だから壁叩かれたし>>1
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/06/13(月) 11:23:46.43 ID:5+1cVo810
誰か上条さんのダメっぷりにも触れてあげてください・・・
インさんかわいそうだろ・・・
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/06/13(月) 11:25:35.49 ID:5+1cVo810
ほあぁ上げちまった!
ごめんよう
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 12:11:03.62 ID:arx1UrQIO
>>103
インノケンティウスさんは可哀相だよな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 19:58:46.79 ID:kRmIix1IO
ここまで読んで気付いた、なるほどアレの人か
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 20:11:46.39 ID:+G9MOWcDO
つーか本当に「イヤだ」とか「そンな実験で〜」の人なのか?

今までとスタイル違い過ぎるぞ…
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 21:32:19.07 ID:Pf+j1loDO
そうでもなくね?

前スレのときにこんな感じの文が何度か出てきてたよ?
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/14(火) 08:27:03.50 ID:3TXeGowYo
特定しなきゃ死んじゃう病気でも患ってんのお前等?
黙ってろよ
110 :>>1 [sage saga]:2011/06/14(火) 20:36:14.51 ID:9IKhr161o

おっすおっす、投下にきたぞ

しかしあれだね、甘々なモノ書いてると死にたくなってくるね

自分で書いてて畳毟ったりしてるよ、ハハッ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:36:42.34 ID:9IKhr161o

俺は寝るのが好きだ。

うつらうつらと夢現の中でまどろむのが大好きだ。

朝、まどろみながら布団に身を埋めているこの時間は何よりの至福の一時だ。

いつまでもこうしていたいと、心からそう思う。

どうにかしてこの半分寝ている状態を維持できないものかと考えるが有効な手段は思いつかない。

明けない夜が無いのと同じように、覚めない夢もまたありはしないのだ。

無常にも、頭の中は徐々にクリアになって行く。

あァ待ってくれ、もォ少しだけ……


「朝だよ第一位!!」

ぐふおァ!!?


余韻に浸る暇もなく、俺の意識は悪魔のような女に強制的に覚醒させられた。

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:37:08.49 ID:9IKhr161o


……あのなァ番外個体、あの起こし方、ありゃ流石にねェよ。

「え?」


居間でトーストとコーヒーの簡単すぎるほど簡単な朝食を取りつつ、俺は番外個体に苦言を呈す。

が、案の定このガキは『何が悪いの?』とでも言いたげに首を傾げてやがる。

この馬鹿、あろう事かかつての打ち止めのように俺のベッドにダイブして来やがったのだ。

打ち止めの小さな身体でも毎回痛みに悶えながら目ェ覚ましてたンだから、その目覚まし効果は折り紙つきだ。

それを打ち止めよりも遥かにデカい番外個体がやらかしやがった。その威力は計り知れねェ。

危うく永眠する所だ。つーかアバラ折れたりしてねェだろォな……


「何か問題あったかな?あのおチビがやってたのと同じようにやったつもりだけど」

それ自体が問題だってどォして気付かねェンだ?

いいか、あの起こし方は打ち止めの小せェ身体だから辛うじて耐えれてたンだ。

それをオマエみたいな無駄に育ったクソガキにやられちゃ堪ったモンじゃねェ。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:37:43.51 ID:9IKhr161o

「女の子一人支えられないって生きてて恥ずかしくないわけ?」

無防備に寝てる所に振ってこられたら支えられるモンも支えられねェよ。

とにかくあの起こし方は二度とやンな。

「そんなー、ミサカはただ、ロリコンの第一位が昔を思い出して喜んでくれるかなって思っただけなのに」

だァれがロリコンだクソボケが!!

「あれ、そういえばミサカも実年齢的には一歳未満だからひょっとして第一位の射程圏内だったりするのかな?
うひゃぁ、突然不安になってきたよ!いつ襲われるかわかったもんじゃないね!」

不安ならもォ出てけ出てけ!そンで二度と戻って来ンな!

「なんてね。大丈夫、ミサカは信じてるよ?第一位は不能だって」

もし本当に俺が不能になったとしたら、そりゃ間違いなくオマエのせいだな。

「それはミサカに搾り尽くして欲しいって意味なのかな?
土下座の一つでもしてくれたら考えてあげてもいいけどぉ?あひゃひゃひゃひゃひゃ!」

溜まってンなら売春宿にでも行って勝手に股開いてろクソビッチが。

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:38:22.98 ID:9IKhr161o


すでに日常と化した口喧嘩と言う名のじゃれ合い。

大声で怒鳴りあって、心底小馬鹿にした口調で悪口を言いあっちゃいるが、こンなモン挨拶と一緒だ。

どっちかが本気でキレてる時はこンな風な言い争いは起こらねェ。

そォいう場合はかえって一切口を利かねェ冷戦状態になっちまう。

つってもキレるのは大抵番外個体の方なンだが……コイツは意外と気が短ェ。

いや別に意外でもなンでもねェか。だが、想像以上に些細な事でマジギレしやがる。

この前は遊びに来た打ち止めに買い置きのプリンを食わせてたら突然キレやがった。

『楽しみに取って置いた』とか『どうして打ち止めばかり可愛がるのか』とかワケわかンねェ事言ってやがったが、

そもそもプリン買って来たのは俺だ。キレられる謂れなンざ一つもねェ。

全くもって理不尽極まりねェ話だ。

しかし向かい合って飯食ってンのに両方全く喋らねェ状況ってのは思い出しただけで胃が痛くなってくる。

だからこォいう馬鹿みてェな掛け合いはむしろ望むところだ。

それに、あンまり認めたくねェが俺はコイツとの会話をそれなりに楽しンでいる。

……まァ、悪くねェ。

『勝手に住み着いてる居候』から『うざってェ同居人』くらいに格上げしてやってもいいか。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:38:51.07 ID:9IKhr161o

「ねぇ第一位、今日もこの後散歩行くの?」

あ?あァ、そのつもりだが。

「ふーん、そんな貧弱な身体で一日中歩き回ってて大丈夫なわけ?」

余計なお世話だ馬鹿が。オマエとこォして会話してる方が疲れるわ。

「あなたとこうして会話してるとミサカは何だか元気が湧いてくるけどね」

俺の体力吸い取ってンだろオマエ。

「そうだ、今日の散歩はミサカもついて行っていいかな?」

はァ?どォいう風の吹き回しだ?

「別に、単にあなたが日光で萎れていく姿を間近で見たいだけだよ」

そりゃまた最高にご機嫌な理由だな。死ねよ。

本当にいい性格してやがンなオマエは。

「知ってる癖に」

まァ知ってるけどよ……
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:39:22.00 ID:9IKhr161o

「それに、あなたが途中でぶっ倒れて余所様に迷惑かけないか心配だしね」

だから余計なお世話……まァついて来たいンなら勝手にしろよ。

「あれ、意外だね。てっきり断られるかと思ってたんだけど」

どォせ断っても勝手について来るンだろ?

「まぁね」

言っとくが、俺は自分の好きなペースでしか歩かねェからな?

それでも良けりゃ後ろをついて来るなり隣を歩くなり好きにしろ。

「うひゃひゃひゃ、それじゃ精々好きにさせてもらうよ」


やたらと嬉しそうな笑い声を上げる番外個体を尻目に、俺はトーストを平らげ、残っていたコーヒーを胃に流し込む。

さて今日はどの辺りに行ってみるか……

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:39:48.49 ID:9IKhr161o


「『自分の好きなペースでしか歩かない』『それでも良ければ好きにしろ』
なぁんてかっこよく言い放ったのに、その貧弱っぷりはどうかと思うよ?」

ハァ、ハァ、……うるせェ、このクソガキが……


呆れ半分嫌味半分と言った面持ちで目の前に立っている番外個体が口を開く。

このガキ、最初こそ俺の後ろを歩いたり隣を歩いたり、まァしおらしかったモノの、

杖をついてる俺の歩くペースにすぐに痺れを切らし、さっさと先行し始めやがった。

それならそれでいいか、とこっちはペース変えずにいつも通りのンびり歩いてたンだが、

コイツはどォにもそれが気に入らなかったらしい。

番外個体はぼけっと景色を楽しンでいた俺から杖を奪い取り、

強引に俺の手を取って、半ば引き摺るようにして歩き始めやがった。全く堪ったモンじゃねェ。

もはや散歩でも何でもねェ。俺が番外個体に無理矢理に引き摺り回されてるだけだ。

トンだ晒し者だちくしょうめ。

市中引き回しの刑ってのはこンな感じか?クソったれが。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:40:20.88 ID:9IKhr161o


おい番外個体、止まれ、離せ、休ませろ……

「あれ、もう限界?だらしないなぁ、ミサカはまだ物足りないんですけどー?」

何度も言うが、オマエみてェな体力馬鹿と違ってこっちは繊細に出来てンだ。

つーか杖つきの人間から杖奪って引き摺り回すとかどンだけ鬼畜だよオマエ。

「うんうんいいね、その顔最高だよ。カメラ持って来ればよかったなぁ」

もォオマエちょっと今すぐ転ンでそこのコンクリ塀に頭ぶつけて死ねよ。

「この際ケータイのカメラでもいっか。ほら第一位、笑って笑ってー」

話し聞けよ!おいやめろ、撮るな!!

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:41:00.57 ID:9IKhr161o


俺の願いも虚しく、番外個体は爆笑しながら連続で携帯のシャッターを切る。

きっと後日、汗だくでへばっている俺の写メが知り合い中の手に渡っちまうンだろう。

ちくしょうめ、垣根と土御門の笑い声が今から聞こえて来やがる。

あァ、あと麦野辺りも爆笑するンだろォなァ……

つーか番外個体さン、そろそろ撮るのやめてもらえませン?何枚撮ってるンですか?

写真から俺の立体画像でも作る気かよオマエ。



「ふぅ、これだけ撮れば十分かな。高く売れそうだよ、うん」

売るのかよ!?つーか何処に需要があンだよ……

「さてさて、それじゃ第一位はお疲れみたいだしちょっと休憩しようか?
丁度すぐそこにお誂え向きの公園もあるしね」

……何企ンでやがンだ?急に物分りが良くなっても気持ち悪ィだけだぞ?

「ミサカってそんなに信用ないわけ?心外だなぁ」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:41:26.22 ID:9IKhr161o

どの口がほざいてやがる。信じて貰いてェンなら普段から相応の態度を取りやがれってンだ。

「まず信じてみようっていう気持ちがあってこそだよ?」

うるせェよ、いいから企ンでる事言ってみやがれ。

「いやいや、本当に第一位をあの公園でゆっくり休ませてあげたいだけだってば」

ふゥン、公園か。公園に何か仕掛けがあンのか。

「無い無い、何も無いよ?休むためのベンチくらいはあるかも知れないけどさ」

いい加減にしてさっさと吐きやがれ。でなきゃもォ帰るぞ、絶対に公園なンか行かねェぞ。

「う………いや、ね?あの公園にクレープの屋台があるらしくてね?」

……ほォ。

「それでね、お姉様や他の妹達が『美味しい美味しい』って絶賛するもんだからさ……」

で、オマエも食べてみたくなった、と。

そンでわざわざ今日の散歩について来た挙句、俺をここまで一直線に引き摺って来やがったわけか。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:42:13.17 ID:9IKhr161o

「ま、まぁそんな感じ、かな」

チッ、回りくどい真似しやがる……なンで正直に『クレープ食べに行きたい』って言わねェンだ?

こンな事で一々日課を妨害されて街中引き摺りまわされちゃ堪ったモンじゃねェよ。

「……ごめん」

ハァ、ったく……仕方ねェ、行くぞ。

「え?」

クレープ、食いてェンだろ?さっさと行くぞ。

「いいの?」

俺は公園でゆっくり休みてェだけだ。

だが休ンでる間にオマエにちょっかいかけられちゃ堪らねェからな。

金はやるから大人しくクレープでも貪ってろ。

「……うん!」

ニヤけてンなようざってェ。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:42:45.48 ID:9IKhr161o


公園に到着し、空いているベンチに腰掛けながら周囲を観察する。

なるほど、オリジナルや妹達が絶賛してるってだけあってクレープ屋にはそこそこの行列が出来てやがる。

番外個体にいくらか金をくれてやったら小躍りしながら行列に並びに行きやがった。

ナリはでけェが中身は打ち止めと大して変わらねェなコイツも。

なンでそォまでして甘い物が食いてェのか、俺にはサッパリわかンねェ。

つーか行列に並ンでまで何かを食おうってヤツの気が知れねェ。

美味いに越した事はねェが、時間を犠牲にする位なら俺は迷う事無く並ばずに済む別のモンを選ぶ。

並ぶって行為その物にある種の連帯感を感じて楽しむヤツもいるらしいが、正直全く理解出来ねェ。

まァ理解出来ねェからって否定するつもりはねェが……しかし世の中には変わったヤツもいるモンだ。

……散歩なンつー爺臭ェ酔狂な趣味で一日潰してる俺が『変わってる』なンざ言えた口じゃねェか。

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:43:12.80 ID:9IKhr161o


「お待たせ第一位。はいこれ」

……あァ?


戻ってきた番外個体の手には二つのクレープが握られていた。

で、今俺に向かって一方を突き出している。

つまり……どォいう事だってばよ?


「ちょっと、だるいからさっさと受け取って欲しいんですけどー?」

ン……?あ、ひょっとして俺の分かこれ?

「他に何だっていうのさ?変なところで頭の回転遅いよね第一位は」

だって別に頼ンでねェし、そもそも甘いモノ得意じゃねェし。

「……」

……いやまァ、ありがとよ。

「最初から素直に受け取りなよ、本当に女の子の扱いが下手だよね。
そんなだからいつまで経っても童貞なんだよこのモヤシは」

ハイハイ悪ゥ御座いましたァ。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:43:39.19 ID:9IKhr161o


番外個体の暴言を適当に受け流しつつクレープを受け取る。

本当に口の減らねェガキだ。

しかし、クレープねェ……再三言うが甘いモノは得意じゃねェンだよなァ。

つーかまず食い慣れてねェ。俺が一人で甘いモノ食ってる姿なンて想像出来ねェだろ?

スイーツなンぞ食う金があるンならその金で肉を食うかコーヒーを飲む。俺はそォいう人種だ。

とはいえ、折角俺の分まで買ってきてくれたンだからこれは流石に食わないわけにはいかねェ。

食わなかったらこのガキは多分拗ねる。そンで勝手に帰る。極めつけに当分口を開かなくなるだろう。

冷戦の勃発だ。それは避けてェ。

あァやれやれだ……

うざってェニヤけ面を晒している番外個体から顔を逸らし、俺は手元のクレープに噛り付いた。


……!!?なンだこりゃ、クッソ甘ェ!!

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:44:05.86 ID:9IKhr161o


クレープを食うのは何も初めてってわけじゃねェ。仕方なく何度か食った事がある。

だがこのクレープは今まで食ったモノとはワケが違う。

甘い、甘過ぎる。つーかクリームの味しかしねェ。なンだこりゃ……


「くく……ひゃひゃひゃひゃひゃ!!どうかな!?
生クリームとカスタードをこれでもかってくらい増量してもらった特製クレープのお味は!」

テメエ、やりやがったな……

クソ、今まで食った事のあるモンの中で一番甘ェぞコレ……

「ぷふっクククク……口の周りがクリームでべったべただよ第一位?」

こンなクリームの塊に噛り付いたらこォもなるわ!

「はーい第一位、こっち向いてー」

携帯構えてンじゃねェ!!クソ、こンな所誰かに見られたら……

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:44:32.13 ID:9IKhr161o


「あれ、一方通行?」


あァハイハイ来ると思ってましたよクソったれがァァ!!!!

「『誰かに見られたら〜』とか言うと必ず誰か現れるよね。
ミサカ知ってるよ、そういうのフラグって言うんでしょ?」

「お、番外個体もいるのか。久しぶり……って一方通行、何だよその顔!?
口元にクリームたっぷりのクレープ押し付けたような惨状になってるぞ!?」

死にたくなけりゃ黙ってろ三下……

「いきなりお怒りモード!?」

「うひゃひゃひゃひゃ!八つ当たりはみっともないよ第一位?」


クソったれのウニ頭がビクつきながらも近付いてくる。

全く、最悪のタイミングで現れてくれたモンだ。

まァ現れたのがこの三下野郎なのは不幸中の幸いか……

コイツはこォいう時に他人をからかったりしねェからな。

しかし……
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:45:10.52 ID:9IKhr161o


ハァァァ………

「何で露骨に顔顰めた上に盛大に溜息吐いてんの!?」

ぶっちゃけオマエ、俺が会いたくない人間トップ3には入ってンぞ。

「上条さん何かしましたっけ!?」


口元にクリームつけたまま項垂れて溜息吐いてる俺。

狼狽してる三下。

爆笑してる番外個体。

なンだこのカオス。

とりあえずクリームは拭っとくか……

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:45:36.42 ID:9IKhr161o


『何かしましたっけ』じゃねェだろ、オマエの存在が間違いだったンだよ。

「存在全否定!?あぁ!まさかまだこの前の事根に持ってるのか!?」

「この前の事?」

根にも持つわ、生涯忘れねェよアレは……

「忘れて!忘れてください!!て言うかお互い忘れませんか!?」

いィや忘れねェ。オマエが学園都市から出ても定期的に連絡して思い出させてやる。

オマエが結婚して子供作ったらそのガキに『オマエの親父は過去に俺にこンな事やったンだぞ』って突きつけてやる。

末代まで語り継いでやっから覚悟しろや三下が。

「マジでどんだけ根に持ってんの!?」

「まぁ安心しなよ、どうせ第一位の家系はこの人で末代だし」

黙ってろ。

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:46:05.20 ID:9IKhr161o

「いやもう本当に勘弁して頂けないでしょうか。
上条さん自身も何であんな行動取っちゃったかサッパリわからないんですよ……」

『わからない』つったらそれでチャラになるとでも思ってやがンのか?

「う……」

「ねぇねぇ『この前の事』って何?あなた何されたわけ?ミサカにも分かるように説明してよ」

あ?そォ言や話した事なかったな。

結構前になるンだが、俺と三下と浜面と垣根と土御門の五人で集まる機会があってだなァ、

あァほら、俺が一日家に帰らなかった日があったろ?あン時にだな……

「ちょおおおっと何普通に話そうとしてるんですか!?
アレは完全にオフレコにしとこうって事で話が纏ったはずだろ!!」

あァ?今更何言ってやがる、土御門も垣根もあちこちで喋りまくりだぞ?

「マジで!?」

マジで。オリジナルとかシスターまで話が回るのも時間の問題じゃねェかな。

「うわあぁぁ終わったぁぁ!!俺の人生終わったあああ!!!」

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:46:32.45 ID:9IKhr161o

「……でさ、結局何があったの?」

おォ、五人で集まった時にだな……

「やめて!これ以上俺の傷を広げようとしないで!!」

うるせェ、傷つけられたのはこっちだつってンだろ!!

おい番外個体、この三下ちょっと押さえてろ。

「りょうかーい☆」

「ちょ、やめ!!もご……」


番外個体は馴れた手付きでハンカチを三下の口に押し込み、

その後何処からともなく取り出したロープでヤツの腕を縛り上げる。

え、なンでロープとか持ってンの?なンに使うつもりで持ち歩いてンの?ちょっと怖ェンですけど……

三下は何とか逃れようと必死にもがいてやがったが、もがけばもがく程ロープが食い込み状況が悪化する事に気付き、
ついには項垂れたままピクリとも動かなくなっちまった。

まァ人間諦めが肝心だな。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:47:07.30 ID:9IKhr161o


さて正確に何日前だったかは覚えちゃいねェが、とにかくその日、俺達五人は垣根の部屋に集まってた。

垣根ンとこを選ンだ理由は単純、大人数がくつろげる程度に広くて、邪魔になるよォな居候がいねェからだ。

で、だらだらと話し込ンだりゲームしたりして過ごしてたンだが、その内垣根が酒出して来やがってな。

それもビールとか酎ハイじゃなく、ウイスキーやブランデーみてェなアルコール度数の高ェヤツだ。

野郎が五人も集まってて目の前に酒出されたらそりゃ飲むわな。未成年とか関係無しに。

酒入って酔っ払ってきたのか、まず浜面が馬鹿みてェに饒舌になりやがった。

もォ語る語る、涙ながらに滝壺がどンだけ素晴らしいかを熱弁し始めやがって、ぶっちゃけかなりヒいたぜ。

それで土御門と垣根のスイッチが入っちまってよォ、『俺の彼女の方が良い女だ』つってヒートアップして行きやがった。

厳密に言うと土御門のは彼女じゃねェけどな。義理の妹との肉体関係を赤裸々に語るのは流石にねェわ。

この三人がひたすら惚気やがる。もォホントうざってェくらいに。

一人身の俺と三下は完全に蚊帳の外だ。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:47:41.04 ID:9IKhr161o

そのうちアイツら『オマエらに恋人が出来ないのは男っぷりが足りないからだ』とか言い出してよ、

俺と三下に酒瓶押し付けて一気飲みを強要して来やがった。

まァ俺は瓶でそのまま垣根の頭ブン殴って事無きを得たンだが、

三下は浜面に羽交い絞めにされて土御門に無理矢理飲まされてたな。

しばらくして垣根と土御門が濃厚な性生活を語りはじめやがってよォ、

ふと気付いたらぐでんぐでんに酔っ払った三下がなンかモジモジしてンだよ。

『あァコイツ垣根達の話聞いて興奮しやがったか』程度に思ってたンだが、どォにも様子が変だ。

妙に熱っぽい目で俺の方じっと見てやがる。

そのうち俺の隣まで寄ってきて『お前って綺麗だよな』なンて言いだしやがった。

もォ意味がわからねェ。え、何?なンですか?って感じだよ。

そンで、困惑して何も言い出せねェ俺の肩を掴んで、真っ直ぐこっちを睨みながらこォ言うンだ……
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:48:07.04 ID:9IKhr161o






『熱膨張って知ってるか?』







134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:48:32.81 ID:9IKhr161o


「ぶふぉ!!」


そこまで話した所で遂に耐え切れなくなった番外個体が思いっきり噴き出す。

三下は顔を真っ赤にして地面をゴロゴロ転がってやがる。

前後不覚になるくれェ酔っ払ってる時の出来事とは言え、

こォして自分の失態を突きつけられるのはさぞ苦痛だろうよ。いい気味だ。

さて、続きを話すか……


135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:48:58.33 ID:9IKhr161o

『熱膨張って知ってるか?』


最終決戦でアレイスターと対峙した時と同じくれェ真剣な眼で言い放つ三下。

理解が追いつかず呆然とする俺。

指差して満面の笑みを浮かべる垣根と土御門。

『うわ』って面してる浜面。

あの時、確かに時間が止まった。

制止した時間の中で真っ先に動いたのはやはり三下だった。

酔っ払ってテンションメーター振り切ったアイツは躊躇無くズボンとシャツを脱ぎ捨ててパンツ一丁になると、

これでもかってくらいテメエのブツをおっ勃てながら、もォ一度俺の肩を掴んでこォ言いやがった。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:49:44.35 ID:9IKhr161o







『上条さんの下条さんが限界です』







137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:50:12.04 ID:9IKhr161o


「ぼふぁ!!」


再び派手に噴き出す番外個体。そのまま身体をくの字にして爆笑してやがる。

三下が妙に大人しいなと思ったら地面に転がったまま静かに涙を流してやがった。

僅かばかり罪悪感が湧かねェわけでもねェが、俺の受けた心の傷はこンなモンじゃねェ。

こンな馬鹿に殴られて説教された過去があるかと思うと死にたくなるわ。

つーか、口には出せねェが昔はコイツの生き様に憧れてたンだよなァ……

どォしてこンな事になっちまったンだよ、ヒーロー……


138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:50:38.75 ID:9IKhr161o


あの後、結局俺が三下に犯された、なンて悲劇的な結末にはならなかった。

『限界です』と言い放った直後、三下は盛大に吐瀉物を撒き散らしながら床に倒れ伏した。

酔い具合も限界だったンだろォな、すげェ勢いでウイスキー飲まされてたし。

だが、あの野郎がゲロ吐けば当然目の前で肩掴まれてた俺は直撃だ。ぶっちゃけ泣いた。

部屋にゲロ撒き散らされた垣根も泣いた。土御門は手ェ叩いて笑った。

浜面だけが諦めたような面で掃除を始め、ゲロ塗れの俺をシャワーまで誘導してくれた。

俺の中で浜面の株が急上昇した瞬間だったぜ。

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:51:06.13 ID:9IKhr161o


とまァ、こンな事があったわけだ。

「ひゃひゃひゃひゃひゃ!!本当にあったの!?ミサカを笑い死にさせる為の作り話とかじゃなく!?」

あったンだよこれが……

「くっそー!何でその現場にミサカを呼んでくれなかったのさ!?見たかった!見たかったのに!」

うるせェボケ、もォ自分で話してて凹ンで来たわ……あァちくしょう……

「ぶひゃひゃひゃひゃ!!!壮絶な自爆だよね全く!」


ホント、なンであンな事になっちまったンだろォな?

なァ、答えてくれよヒーロー、一体どこで道を間違えちまったンだ?

違うだろ、オマエはあンな薄汚い世界にいていいよォな人間じゃねェだろ?

なァヒーロー……

……ン、なンだ?雨……いや、俺が泣いてンのか……
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 20:51:34.13 ID:9IKhr161o


立ったまま静かに涙を流す俺。

物言わず転がったままの三下。

爆笑し続ける番外個体。

美味しいクレープ屋があると有名な公園は、今や混沌の坩堝に叩き込まれていた。


あァ、やれやれ……じゃねェよ!なンだこれ!?


141 :>>1 :2011/06/14(火) 20:52:22.50 ID:9IKhr161o

投下終わり。

ラブラブデート編が書きたかった。

どうしてこんな事になったのかはわからない。

多分途中で頭のネジがダース単位で抜けたんだと思います。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 20:57:21.37 ID:tyQ1Cb39o
初春さん、出番です。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/14(火) 21:01:28.46 ID:xxINcDYyo
上条さんぶっ壊れてるなwwwだがそれがいい
おつ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 21:05:43.24 ID:++YrVhkDO
一方さんツンデレすなぁとか思いながら読んでたら
上条さんが全部持って行きおったwwwwww
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2011/06/14(火) 21:31:01.47 ID:ca+3H01Yo
股間の幻想殺し発動か
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/14(火) 22:23:02.74 ID:TMgggOeA0
最高!上条さんwwwwww
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/14(火) 22:26:35.06 ID:sI/iJTpF0
おつー
アマァァァァァいッ!説明不要ッ!!
と思ってたら途中からギャグ路線でござった
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/14(火) 22:27:05.83 ID:puv8G1Mvo
ねぼしクソ吹いた
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 22:59:15.58 ID:A7SM5lmLo
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 08:01:41.26 ID:pDZy+T4DO
布団ダイブとかもうデレデレやないですか番外さん
151 :>>1 :2011/06/15(水) 17:32:45.05 ID:QrweVJ4Lo

>>1からのお詫びとお知らせ


大変申し訳ないのだが、色々思うところあるのでこのスレの投下を丸ごと無かった事にして頂きたい!

つまりは最初からやり直したいというわけだ

それに伴って、一度このスレを落とし、期間を空けネタを練り直した上で後日もう一度スレを立て直させて欲しい

必ず戻ってくるので、どうか時間をくれまいか!
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2011/06/15(水) 20:01:59.62 ID:lgOrfh7jo
残念だけど、もう一度スレを立ててくれるその日を正座で待ってる
楽しみにしてるよー
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/06/15(水) 20:12:27.37 ID:74HPia3B0
>>151
ホントに>>1なんだよな?
それなら仕方ないし待つが…
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/15(水) 20:32:58.69 ID:WY878/8AO
>>151釣りだろ?なあ、釣りなんだろ?
155 :>>1 :2011/06/15(水) 20:38:33.11 ID:QrweVJ4Lo

誠に申し訳ないが>>1本人である!

致命的な設定ミスがあったのだ!大変心苦しいが一度スレを閉じさせてほしい!

その代わり、文章を学びなおして後日最高の番外通行を披露する事を約束しよう!

これにて、閉廷!!
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/15(水) 21:29:12.26 ID:1lJ/b/er0
最高の番外通行ってオマエ……
期待一択
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/15(水) 21:45:12.03 ID:jf6LfEJyo
舞ってる
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 03:36:36.04 ID:eusCcqDDO
番外個体が可愛すぎて生きてry
ミサワが吹き出した瞬間に発射された目には見えない程度の唾液を顔面キャッチしたくなったのは俺だけじゃないはず
84.56 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)