このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

シャロ「あたしたちの事務所が燃えてますー……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/17(金) 05:13:38.66 ID:SUTb9Q11o
ボオオオオオオオオオオオオオオオオオ...

シャロ「ってなんでですかー!? ひどいじゃないですかアンリエットさぁん!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル

コーデリア「どうしていつも爆破とか放火ばかりなんですか!」

ネロ「やり方がえげつないんだよ!」

アンリエット「※知りません」

ネロ「知りませんってなんだー! この横暴生徒会長!」

コーデリア「自分の学院に火を点けるとか正気ですか!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル

シャロ「犯行の動機はなんなんですか、アンリエットさん!」

アンリエット「人を放火魔みたいに言わないで下さい」

ネロ「違うのかよ!」

アンリエット「※違います」

アンリエット「あなた方がいけないのですよ、ミルキィホームズ」

「「「「はあ?」」」」
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/

コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753199622/

4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753112915/

クリスタ「かわいいだけじゃだめですか?」 @ 2025/07/19(土) 08:45:13.17 ID:AK1WfFLxO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752882313/

八幡「新はまち劇場」【俺ガイル】Part1 @ 2025/07/19(土) 06:35:32.67 ID:BGCulupRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752874532/

【安価・コンマ】力と魔法が支配した世界で【二次創作】 @ 2025/07/18(金) 23:44:57.84 ID:Xc8IdKRvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752849897/

どかーんと一発 @ 2025/07/18(金) 21:10:10.35 ID:CEsRuBor0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752840609/

冒険者育成学校 @ 2025/07/18(金) 01:36:01.28 ID:PkrtUMnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752770160/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:16:26.89 ID:SUTb9Q11o
アンリエット「紆余曲折の末、なんやかんやでトイズを取り戻した事は褒めてあげましょう」

シャロ「ほめられましたあ!」ワーイ

アンリエット「しかし、その途端に今度は才能にあぐらをかいた高慢なミルキィホームズに逆戻り……」

アンリエット「一流の探偵を志す者ならば、自分から事件を探す……いえ、自分から事件を起こすぐらいの気構えでいて当然」

アンリエット「だと言うのに、普段のあなた方はその特権階級に物を言わせた怠慢三昧の贅沢三昧」

アンリエット「放火せずにはいられません」

シャロ「ってなんでですかぁ!?」ガビーン

コーデリア「支離滅裂すぎます!」

ネロ「探偵が事件起こしていーわけないだろ常識的に考えて!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル

シャロ「アンリエットさん! 探偵は、探偵の使命は――」

シャロ「謎を解き明かし、平和を脅かす怪盗を捕まえること……」

シャロ「そうして守り抜いた暮らしの中で、おいしいかまぼこを食べながらみんなで笑いあうこと。それこそが探偵の喜び……違いますか!?」

アンリエット「※違います」

シャロ「違いました!!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:17:26.23 ID:SUTb9Q11o
アンリエット「とにかく、探偵としての活動を怠るミルキィホームズに事務所など不要」

アンリエット「この件に関してわたくしは一切の補償をしませんので悪しからず。それでは」スッ

ネロ「あっ逃げんな卑怯者ー!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル

シャロ「待ってくださいよアンリエットさん!」

コーデリア「せめて警察と消防に連絡を!」

アンリエット「それには及びません」

「「「「えっ?」」」」

ピーポーピーポーピーポー...

「「「「あっ!」」」」

アンリエット「こんなこともあろうかと、放火の前に呼んでおきました」

シャロ「わぁーさすがアンリエットさんですー! ……ってなんでですかー!」

ネロ「ぬぁーにがこんなこともあろうかとだよ!」

コーデリア「ただのマッチポンプじゃありませんか!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル

アンリエット「ではごきげんよう」ソソクサ

ネロ「逃げた!」

コーデリア「逃げたわ!」

シャロ「逃げました!」

エリー「あんまり……です……!」プルプル
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:18:04.45 ID:SUTb9Q11o
……

…………

………………

シャロ「事務所は全焼したけど死傷者はゼロでしたー……」

ネロ「ま、もう夜だしね……」

コーデリア「消防士の方達の鎮圧も爆裂的に早かったわね……」

エリー「ち、チン圧……///」

「「「「……」」」」

シャロ「事務所、なくなっちゃいましたね……」

コーデリア「ええ……」

ネロ「……あーあ。買い置きのお菓子がまだいっぱいあったのにな〜」

コーデリア「もう! ネロったらこんな時にまで……」

エリー「私も……読みかけの本が、たくさん……」グスン

コーデリア「な、エリーまで……」

シャロ「あたしもシャロリングのスペアが焼けちゃいましたー……」

コーデリア「シャロ……」

コーデリア「……」

コーデリア「わ、私だって、お気に入りの茶葉が……」

「「「「……はぁ……」」」」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:19:29.04 ID:SUTb9Q11o
コーデリア「まさかこんなことになるなんて……教官にどう説明すればいいのかしら……」

ネロ「ほんとだよ……」

ネロ「……」

ネロ「あ゛」

エリー「ネロ……?」

ネロ「……」

シャロ「ネーロー?」

ネロ「……コーデリア。今、なんて言った?」

コーデリア「え? 何って……教官にどう説、明……あっ――」

???「こ、これは……!」

「「「「!!!」」」」

シャロ「せ……」

シャロ「先生!」
ネロ「小林!」
エリー「小林さん……!」
コーデリア「教官!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:20:17.49 ID:SUTb9Q11o
小林「き、キミ達……一体、何があったんだい? どうしてこんな……」

シャロ「そ、そりは……そにょ……」

コーデリア「教官、実は……」

ネロ「カクカクシカジカでさ」

エリー「か、カクカク……///」

小林「ええっ、アンリエットさんに事務所を燃やされた!?」

「「「「――」」」」コクコク

小林「な、何をバカな……アンリエットさんは優しく、穏やかで、それでいてとても聡明な女性だ」

小林「そんな人が事も有ろうに放火だなんて……何かの間違いさ。キミ達だってそう思うだろう?」

「「「「……」」」」

小林「あ、あれぇー……?」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:21:13.30 ID:SUTb9Q11o
シャロ「先生」

小林「シャーロック?」

シャロ「焼けちゃった事務所のことなんですけど……」

小林「うん」

シャロ「あそこ、先生がいない間は立ち入り禁止になってたんです」

小林「え、どうして……?」

シャロ「実はアンリエットさんが、“放課後にティータイムをするだけの為に事務所を利用するなど認めません”ってー……」

小林「そ、それはキミ達にも原因があるって事だよね……? それだけの事でアンリエットさんを悪者扱いするなんて……」

ネロ「それだけじゃないよ、小林」

小林「ね、ネロ?」

ネロ「覚えてる? ミルキィホームズが結成された時に貰った、おそろいのPDA」

小林「勿論さ。そういえば、僕がヨコハマに帰ってきてからキミ達が使っているのを見た事がないけれど……」

ネロ「そりゃそうだよ。だってあれ、全部アンリエットさんにへし折られたんだもん」

小林「え?」

ネロ「いやぁ、物凄かったなぁ〜。会長の黄金の膝が次々とPDAを逆パカしていく光景……」

小林「ちょっ、えぇ……!? 渡英した途端にキミ達と連絡がつかなくなった理由って、ひょっとして……!?」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:23:13.73 ID:SUTb9Q11o
エリー「ま、まだあるんです、小林さん……」

小林「エルキュール!?」

エリー「あのあのあの……私たちミルキィホームズが、はじめて事件を解決した時の記念写真……ありましたよね……?」

小林「ああ……覚えてるよ。残念ながら僕の顔は見切れていたけど、大切な一枚だからって、確か生徒会長室に飾っ」

エリー「あれも爆散しました……か、会長の手で……」

小林「ええぇ……」

エリー「わ、私たちを試す為に……アンリエットさんが爆弾に貼りつけて……」

小林「そ、そんな……」

コーデリア「教官……」

小林「コーデリア……まさか……」

コーデリア「はい……教官が不在の間、私たちが寮の屋根裏部屋に住んでいたことはご存知ですよね?」

小林「い、一応ね」

コーデリア「その屋根裏部屋……今でこそ綺麗なものですけど、あそこも一度、」

小林「……アンリエットさんに?」

コーデリア「焼かれてます」

小林「」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:24:41.45 ID:SUTb9Q11o
小林「ばんなそかな……」ガクッ

シャロ「ああっ、せんせー!」

エリー「こ、小林さん……!」

コーデリア「ぁ、で、でも! 教官にお怪我がなくて何よりです!」

ネロ「そ、そうそう! 不幸中の幸いってやつ?」

小林「ああ……ちょうど外出していたからね。財布も無事だよ……」

ネロ「そうなの? なーんだ、お金があるならなんとかなるじゃん」

小林「まあね……ただ、目下一番の問題は……」

エリー「問題、は……?」

小林「……今夜の寝床、かな」

「「「「あ」」」」

小林「……」

シャロ「……」

ネロ「……」

エリー「……」

コーデリア「……」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/17(金) 05:25:13.21 ID:SUTb9Q11o
小林「……はぁ……」

シャロ「――」

シャロ「先生!」

小林「え?」

シャロ「行きましょう!」

小林「行きましょう、って……どこに?」

シャロ「あたしの部屋です!」

小林「え?」



シャロ「小林先生、今日はあたしの部屋に泊まってください!!」



ネロ「!?」

エリー「!?」

コーデリア「!?」

小林「」



小林「!!?」
11 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/06/17(金) 05:28:51.70 ID:SUTb9Q11o
というお話です。結構やりたい放題やると思いますが、レスとか貰えたら嬉しいです。頑張れます
投下頻度はあまり高くないですが、どうぞ宜しくお願いします
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 09:18:39.03 ID:V1mvEv6c0

楽しみにしてる
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/17(金) 11:21:39.70 ID:fgQhgPEIO
wktk
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 11:55:53.10 ID:UzrjOltjo
乙!
期待してます
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 13:00:41.75 ID:VTtS1BCb0
期待
エルキュールちゃんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 17:12:01.38 ID:WtM+mx2no
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/06/17(金) 22:54:08.03 ID:2JJfPhj9o
期待
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 11:46:36.49 ID:MFSi0e9DO
超期待
19 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/07(木) 04:47:04.99 ID:tJQR7QmRo
今夜辺り投下できそう……な、気がします
予定は未定ですけど、ケツに火を点ける意味でも予告しときますので、野生の俺に遭遇された方は何卒ご贔屓に
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 08:28:27.52 ID:fWwpdrwxo
楽しみにしているぞ
21 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/08(金) 01:12:33.68 ID:O9eydEFko
け、ケツに火の手がー!!!
もう30分?ばかしお待ちを……! ね、寝るまでが夜だから!
22 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/08(金) 02:00:13.85 ID:O9eydEFko
ぬおお、お待たせしました!以下たくさん!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/08(金) 02:01:31.03 ID:O9eydEFko
トイズ

それは、選ばれし者の心に膨らむ奇跡の蕾

ある者は清浄の花を咲かせ、ある者は毒の花を咲かせる

大探偵時代

美しさを競い合う二つの花

その名を、探偵と怪盗と言った



〜OP♪正解はひとつ!じゃない!!〜
24 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:02:49.37 ID:O9eydEFko
小林「……」

 僕は小林オペラ。トイズを持たない私立探偵だ。
 爆炎の中でトイズを失って早5年……今度は放火(身内の犯行)で職場と寝床を一度に失ってしまった。
 探偵としての再スタートを決意した矢先の事だけに、少し堪える。
 しかも、災難はそれだけに留まらず……

――シャロの個室

シャロ「先生、本当にお風呂入らなくていいんですか?」

小林「だ、大丈夫大丈夫。今日はもう済ませてたから……」

シャロ「そうですか? じゃああたしもすぐ入っちゃいますから、ゆっくりしててくださいね!」

小林「あ、ああ……キミこそ僕の事は気にしないで、ゆっくり浸かっておいで」

シャロ「はーい!」

パタパタパタ...バタン

小林「……」

小林「どうしてこうなった……!?」

……

…………

………………
25 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:03:28.21 ID:O9eydEFko
シャロ「小林先生、今日はあたしの部屋に泊まってください!!」

「「「!?」」」

小林「」

小林「!!?」

シャロ「――」フンス

小林「……しゃ、シャーロッ、ク? キミは、自分が何を言っているか、分かっているのかい……!?」

シャロ「なにをって……なにがですか?」コクビッ

小林「だからっ! その、なんだ……僕が? キミの? 部屋に?」

シャロ「泊まりましょう!」

小林「いやいやいや……! そんな事出来ないよ、出来る筈がないだろう!?」

シャロ「そんなって……どんなですか?」コクビッ

小林「だからぁ!? 僕がね!? キミのね!? 部屋にね!?」

シャロ「はい、先生とあたしが一緒に寝るだけですよね?」キョトン

小林「一緒に!?」

シャロ「えっ、ダメなんですか?」

小林「駄――」

コーデリア「ダメよ!!!」
ネロ「ダメだよ!!!」
エリー「ダメぇぇぇ///」

小林「わっ!?」
26 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:04:45.46 ID:O9eydEFko
コーデリア「きょ、きょきょっ、教官と一緒に、ねねね寝るですって!? そんなのダメに決まってるじゃない!」ズイッ

ネロ「そうだそうだ! ダメダメ、ぜーったいにダメっ!」ズズイッ

エリー「ダメよシャロ……/// そんな、寝、いっしょ、ゃ、ダメっ……いけません、っ……///」ズズズイッ

シャロ「あわわわわ! み、みんなしてそんなダメダメダメって……なんでなんですかぁ?」

「「「えっ?」」」

シャロ「なんでですか? コーデリアさん」ジッ

コーデリア「わ、私っ!? な、なんでって……それは、その、ごにょごにょ…………ね、ネロっ! 教えてあげなさい! 先輩命令よ!」

ネロ「ハァ!? なんで僕が! だいたい何が先輩だよダメダメコーデリア!」

シャロ「ネーロー?」ジー

ネロ「うっ……だって、小林とシャロがいっしょとか、なんか…………なんかダメなの!」

シャロ「理由は?」

ネロ「それはエリーが説明するよ!」

エリー「ふぇっ!?」

シャロ「エリーさ〜ん?」ジトォ

エリー「あ、ぁぅぁぅぁぅ……/// り、理由、は……ぁ、危ない……から……///」

「「!」」

ネロ「それだ!!」
コーデリア「それよ!!」
27 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:05:23.56 ID:O9eydEFko
シャロ「あぶない?」

コーデリア「そう、危ないのよシャロ! うら若き乙女はみだりに男性と寝所を共にしてはいけないの!」

シャロ「先生と一緒に寝たら……あぶない?」

「「「――」」」コクコクコク!

シャロ「ってなんでですかぁ〜」テシッ

「「「へっ?」」」

シャロ「みんな、あたしが寝ぼけて先生をベッドから落とさないか心配なんですよね? あたし寝相いいから大丈夫ですってー」

ネロ「ちがーう!」
コーデリア「違うわよ!」
エリー「違い、ます///」

シャロ「ほわっ!?」ビクッ

コーデリア「そうじゃないの、私が言いたいのはそういう事じゃなくて……!」

ネロ「だいたい寝相いいとかどの口が言うんだよ! 屋根裏部屋で何回僕のこと蹴飛ばしたと思ってんだ!」

エリー「そ、それはネロもおあいこ……」

ネロ「エリーは黙ってて!」

エリー「はぅ……///」
28 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:05:59.63 ID:O9eydEFko
ネロ「ねぇシャロ。エリーやコーデリアが危ないって言ってるのはさ、小林が、じゃなくて、シャロが、って意味なんだよ」

シャロ「えっあたし?」

ネロ「そ。前にエリーが貸してくれた青年向けでもないのにやたらと際どいシーンの多いマンガに描いてあったけど、男はみんなオオカミなんだってさ。もちろん小林もね?」

シャロ「先生も!?」

ネロ「小林も。オオカミになった男は夜になると傍にいる女の子を……食べちゃうんだぞー!」ガオー

シャロ「ぎやあ!? こここ、怖いです、なまらおっかないですー!」ガクガクブルブル

ネロ「だろー? だから小林と寝るのは危ないんだって。分かったなら諦め――」

シャロ「あ、でも、」

ネロ「へ?」

シャロ「あたしたち、捜査で何度も小林先生と夜まで一緒にいますよね?」

ネロ「あ゛」

シャロ「でも先生がオオカミさんになったことなんか……ネーロー?」ジロリ

ネロ「あ、は。は、ははは……はてー<(。ε゚)>」ハテー
29 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:06:42.47 ID:O9eydEFko
コーデリア「ああもう、このままじゃ埒が明かないじゃないの……、…………決めたわ。こうなったら……」

「「「こうなったら?」」」

コーデリア「こうなったら――私が教官と一緒に寝るわ!!!」

シャロ「ってなんでですかー!」
ネロ「ってなんでだよっ!」
エリー「ってなんでですかぁ///」

コーデリア「かっ、勘違いしないで頂戴? これは仕方のない事なのよ。だって私はコーデリア……ミルキィホームズの頼れるお姉さん、コーデリア・グラウカですもの! 年長者が責任を取るのは至極当然な〜の〜よ〜♪」

ネロ「歌ってごまかしてんじゃないよこのお花畑頭! ちっとも説明になってないじゃんか!」

シャロ「そうですよ! だいたい15のあたしがダメで17のコーデリアさんがダメダメじゃないなんておかしいです! これは無視できない矛盾点だと思います!」

コーデリア「ぅぐ!」

エリー「コーデリアさん……今のは、さすがに無理が……」

コーデリア「くぅう……!」

ネロ「ほんと無理ありすぎ! とゆーわけで、小林は僕と一緒に寝ることに決まりました!」

コーデリア「待ちなさい!! どーゆーわけなのよ!?」

ネロ「だって僕ボーイッシュだし♪」ケロッ

コーデリア「それこそなんの説明にもなってないじゃない! そもそもそんな事で教官と一緒に寝れるなら私だって断髪の一度や二度くらい!!」フンガー!

エリー「ど、どうどう……///」

コーデリア「私は馬じゃないわよっ!!!」

エリー「ひ、ひぃん……///」
30 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:08:18.34 ID:O9eydEFko
エリー「!」

エリー「あ、あのあのあの……それならいっそ、私が小林さんと一緒に寝るのは……///」

「「どうしてそうなった!?」」

エリー「う、馬だけに、草食系……なんつってー……///」

ネロ「ねーよ!」

コーデリア「ないわね!」

シャロ「ないですね!」

エリー「ぇぇぇ……///」

コーデリア「草食系だから大丈夫だよ、何もしないよ――なんて、巷に繁殖する下衆野郎の常套手段じゃない!」

ネロ「だいたい小林だって草食系っていうか、もはや草じゃん。狙い撃ちじゃん。草食系の前に草を差し出すとかありえないじゃん」

シャロ「ですね!」

エリー「ぶるるっ……///」ビクッビクッ
31 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:09:57.84 ID:O9eydEFko
「「「「ぐぬぬ……」」」」

シャロ「――」

シャロ「あ!!!」

「「「?」」」

シャロ「あたし……思いついちゃった!」

「「「??」」」

シャロ「逆転の発想です!」

「「「???」」」

シャロ「みんなが小林先生と一緒がいいなら、みんなが小林先生と一緒ならいいんですよ!」

「「「「????」」」

シャロ「つまり――」



シャロ「一日交代で小林先生を部屋に泊めましょう!!!」



「「「!!!!!」」」
32 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:10:59.20 ID:O9eydEFko
……

…………

………………

 ――そして今に至る、という訳だった。
 ひどい。もう色々ひどい。
 何がひどいって僕の意見が一切聞き入れてもらえてないのが特にひどい。
 ネロ達も、最初は僕がシャーロックの部屋に泊まるのを止める側だったのに、最終的には誰から僕を泊めるかの口論に発展していた。
 ジャンケンで順番を決める事が決まった頃には、すでに僕の存在は完全に無視されていた。当事者なのに。草て。

小林「……」

 廊下の向こうからは、シャワーの流れる音に紛れて、シャーロックの鼻歌が聞こえてくる。
 どこかで聞いたような、それでいて微妙なコレジャナイ感を醸す、精神を不安定にさせてしまう類のものだ。
 もし僕が野生の熊だったなら、迷わずシャーロックの顎にアッパーを叩き込んでしまうだろう。

小林「……シャーロック……が、シャワー、を……」

 言葉にしてしまうと、現在自分が置かれている状況の異常さが際立ってどうにも落ち着かなくなる。
 何か気を紛らわせるものは……

小林「――」キョロキョロ

 見渡したシャーロックの部屋は、およそ想像通りといった、女の子らしい部屋だった。
 好物のカマボコをイメージしているのか、家具調度の類は白とピンクで揃えられている。
 ちょっと散らかっているけど、学生の一人暮らしともなればこんなものだろう。
 忘れ物防止の為か、所々に貼りつけられたメモ用紙もシャーロックらしく、見ていて微笑ましい気持ちになってくる。

小林「、ん……?」
33 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:11:52.62 ID:O9eydEFko
 気付けば、今まで聞こえていたシャワーの水音は止み、パタパタと動き回る足音に代わっていた。
 それは次第にこちらに近づき、やがて――

シャロ「せんせー、おまたせしましたぁー」ホッコリーン

 パジャマを着たシャーロックが姿を現した。

小林「あ、ああ……早かったね? ゆっくりでいいって言ったのに」

シャロ「えへへ、先生を退屈させちゃいけないと思って」

 そう言って緩みきった笑顔を見せるシャーロック。
 ぽすんとベッドに腰を下ろすと、タオルで髪を拭き始めた。

シャロ「……でも、なんか不思議な感じです。先生があたしの部屋にいるなんて」

小林「確かに、二人きりっていうのは珍しいね。キミ達はいつも4人一緒だから」

シャロ「はい、なんかワクワクしちゃいますよね。何して遊びますか? カードゲーム? ボードゲーム? あ、カブトボーグもありますよ!」ジャン!

小林「あ、遊ぶんだ……」

シャロ「あったりまえじゃないですかぁ! 今夜は寝かせませんよ〜?」ニヤリ

小林「ッ……、……は、ははは……お手柔らかに頼むよ……」

シャロ「はーい♪」
34 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:14:35.98 ID:O9eydEFko
 ……不覚にもドキッとさせられてしまった。当人にそんなつもりはないのだろうけど……
 解かれた髪。湯上りで上気した頬。室内を包む甘いシャンプーの香り。二人の距離。
 それらすべてのファクターが、シャーロックの中に確かに存在する「女性」の部分を僕に感じさせ――って!

小林「ッ!」ゴッ「ッ!」ゴッ「ッ!」ゴッ「ッ!」ゴッ

シャロ「ぎにゃあ!? ど、どうしたんですか先生! 床に穴が空いちゃいますよぉ!!」ガバッ

小林「離してくれシャーロック! これは……そう、天罰! 僕への天罰なんだ!!」

シャロ「なーんだ天罰ですかー。なら離します!」パッ

小林「ありがとうございます!」ゴッゴッゴッゴッ

 引き続き頭を床に叩きつける作業に没頭する(実際頭はどんどん床に没している)。
 まったく、何を考えているんだ僕って奴は!!!
 相手は教え子! シャーロックだぞシャーロック!! YESロリータ・NOタッチ!!!

シャロ「あのぉ。もう天罰終わりましたか?」

小林「え? ああ、今日はここまでにしておこうかな……」

シャロ「じゃあ遊びましょう!」

小林「っと……待つんだシャーロック。まだ髪が濡れているね? ちゃんと乾かさないと風邪をひくよ?」

シャロ「あ、そうでした! じゃあ……トイズ!」ピコン!
35 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:15:28.92 ID:O9eydEFko
 シャーロックの瞳に光が宿り、彼女のトイズ・サイコキネシスが発動する。

フワッ スイーッ カチッ ブォォォォォォ...

 離れた位置に転がっていたドライヤーが浮き上がり、ベッドの傍のコンセントにプラグが差し込まれる。
 温風を吐き出すドライヤーを器用に操り、シャーロックは手早く髪を乾かしていく。

小林「へぇ……便利なものだね」

シャーロック「はい、コーデリアさんにはものぐさーって怒られるんですけど、トイズの練習にもなるんですよ、これ!」

小林「なるほど。確かに、日常生活でトイズを役立てるのは応用力を鍛える意味でも有意義かもしれないね」

シャーロック「そうなんです! でも……」

小林「でも? ……あ」

ポスン

シャロ「えへへ……まだ見えてないと思い通りに動かせなくて……」

小林「ハハ、まだまだ練習が必要って訳だ」

シャロ「はいー」テヘペロ

小林「……なんだったら、後ろは僕がしようか?」

シャロ「えっ、いいんですか!?」

小林「泊めてくれるせめてものお礼にね。もちろん、キミさえ良かったら、だけど……」

シャロ「わぁっ……! うれしいです! お願いします!」
36 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:17:35.93 ID:O9eydEFko
 ベッドの上でピョンと一跳ね、僕に背を向けるシャーロック。
 僕はドライヤーを手に、彼女のすぐ後ろに座った。

ブォォォォォォ...

 ドライヤーの風を当てながら、上から下へと髪を梳く。

シャロ「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ウットリ

小林「えっと……どうかな、シャーロック?」

シャロ「はいぃ……すごくいいですぅ……」ウットリーン

小林「そう? なら良かった」

ブォォォォォォ...

シャロ「ふわぁ、とってもきもちーですー……先生、こうゆうの、なれてるんですかぁ?」

小林「ま、まさか! 初めてだよ。変にしてしまわないか、心臓がバクバクしてるよ」

シャロ「そうなんですか? だいじょぶですよ、先生の手、すっごくやさしくてあたたかいですから……」

 蕩けた声で答えるシャーロック。お世辞とは思えない声色だし、作法を間違えてはいないようだ。
 片手のタオルで水気を取りながら、慎重に、丁寧に、髪を乾かしていく。
37 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:19:29.06 ID:O9eydEFko
ブォォォォォォ...

小林「……シャーロックって、意外に髪が長いんだね」

シャロ「ふぇ……いがい、ですかぁ?」

小林「うん、少し。いつもの髪型を見慣れてるからかな、新鮮だよ」

シャロ「そういえば先生の前じゃあ髪を下ろしたこと、なかったかもしれないですねー……」

小林「だね。エルキュールやコーデリアと同じぐらいの長さだけど、誰が一番長いんだい?」

シャロ「どぉでしょー……でも、あたしはふたりみたいにきれーな髪じゃないですからぁ」

小林「とんでもない、キミの髪だって充分に綺麗だよ」

シャロ「……えへ。ありが、とー、ございま、すぅ……」

 その後も、僕とシャーロックは他愛もない会話を続けた。
 ミルキィホームズのみんなの話。僕がいなかった頃の話。小衣ちゃんの話。
 自然と聞き役に回っていた僕だったが、次第にシャーロックの口数が減ってきた事に気付く。

小林「シャーロック?」

シャロ「……くー……」コックリ、コックリ

 よほどドライヤーが気持良かったのか、あからさまに船を漕いでいた。

小林「やれやれ、仕方ないな……」

 もう髪が乾いた事を確認してドライヤーを止める。
 驚くほど軽いシャーロックの身体を抱き上げ、ベッドに寝かしつけた。
38 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:21:16.95 ID:O9eydEFko
小林「さて……僕はどうするかな」

 常識的に考えて、このまま速やかに退室し、街でホテルでも探すべきなのだろう。
 幸いにも財布の中身は全て無事。カードもあるし、当面の宿泊費ぐらいは賄える。
 ただ、それは彼女の、彼女達の厚意を無下にする行いのように思えた。

小林「……いやいやいや……しっかりしろ小林オペラ。厚意は厚意でも、こればかりは……」

 倫理的にマズかろう。さぞマズかろう。そう考えていると、足も自然にドアを目指し――

シャロ「……せんせい……」

小林「!」

シャロ「……」ムニャムニャ

小林「ね、寝言……か?」

シャロ「せんせぇ……だいじょぶですよー……」

小林「え――」

シャロ「おうちが焼けても……あたしたちが、たすけて、あげましゅ……」

シャロ「せんせいを、ひとりぼっちになんて、させません、からぁ……」

シャロ「……だから……」

シャロ「……」ムニャムニャ
39 :1日目・夜/シャロ@ [saga]:2011/07/08(金) 02:28:32.68 ID:O9eydEFko
小林「……」

小林「――」フッ

 思わず苦笑がこぼれる。
 僕は観念したように踵を返し、電気を消してベッドに近づく。
 天蓋付きのベッドに抱かれたお姫様のようなシャーロックの髪を撫で、その隣に背を預けて座り込んだ。

小林「このぐらいの距離なら、キミも許してくれるよね?」

 明日からの事は、明日から考えればいい。
 僕だけじゃなく、僕を心配してくれる、みんなと一緒に。
 だから、今は――

小林「おやすみ、シャーロック」
40 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/08(金) 02:33:41.75 ID:O9eydEFko
1日目夜パート終了、で、続く!
今回のテーマは『ドライヤーかけてあげてる内に気持ちよくなって眠っちゃう女の子って可愛いよね』。共感できる全国の教官は僕と握手

あと、当SSでは小林先生ソロのシーンが多い為にモノローグ調の地の文を採用してますけど、どうでしょう? その辺のご意見も宜しければ

では次回は2日目朝パートから。そう近からぬ内にお会いしましょう
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県) [sage]:2011/07/08(金) 02:35:55.98 ID:UGM/3SObo
何か綺麗な話風になってるとこ悪いけど>>36で抜いた乙
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/08(金) 02:36:12.84 ID:TZlAIRbdo
わっぜ良か。楽しみに待ちもそ。
43 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/08(金) 02:41:10.17 ID:O9eydEFko
ああそうだ、言い忘れ

当SSのジャンルは『コメディ寄りのラブコメ』、カップリングは『小林オペラ×メス共オールスターズ』です。ご了承ください
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 03:57:06.40 ID:5idw6FRxo


>メス共オールスターズ
つまりあの人の出番も……!?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 04:48:32.77 ID:/WDyI6bIO
まさかの平乃さんも・・・
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/07/08(金) 05:10:48.41 ID:umeFsBOAO
つーか同じブシロードなんだからカブトボーグよりヴァンガード薦めろよwwwwww



というか冷静になって考えてみたら
事務所燃やされたのはミルキィのせいなのに寝床に困ってるのは小林さんだけって……理不尽ってレベルじゃねーぞ
はっ!?まさかこれも会長の策略なのか!?
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 14:35:41.45 ID:FMJejHbHo
作者は生粋のミルキアンだな。
期待大!
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 14:50:31.63 ID:JYTAR6HDO
原作知らんけど小林さんってこんなに紳士なの?
49 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/08(金) 15:55:43.07 ID:O9eydEFko
Oh,寝て起きたらちょっとしたミスを発見

>>24

>……
>…………
>………………

ですが、正しくは、

………………
…………
……

になります。前者が時間経過、後者が回想を意味しています

>>48
小林先生マジ紳士
気になる人はPSP版『探偵オペラ ミルキィホームズ』を宜しく!
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 18:32:49.48 ID:p6mAwV1Eo
小林先生マジ熱血紳士
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/07/08(金) 20:05:59.00 ID:qs2w8C2AO
コミック版だったら神津(オペラの幼なじみでG4の上司)と寝食をともすはず
>>48 齢19のレディーでもあるし、「名探偵」と呼ばれるのを嫌がるか事件が起きると南光太郎みたいになる
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/08(金) 20:14:40.19 ID:GQJEK7a1o
こんな良スレがあったなんて……素敵!
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/08(金) 20:30:51.04 ID:37oHPv01o
雰囲気でててうめーなー
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/08(金) 21:28:33.50 ID:ZrAIjdkJo
>カップリングは『小林オペラ×メス共オールスターズ』です

ということは、G4やアルセーヌ様はもちろん
クラリス王女やメアリー&ケイト、来栖ソニア、アイリーンちゃんまで……
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2011/07/20(水) 13:15:21.14 ID:2uLNVO5zo
雰囲気でてるのに
続きまーだー
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/20(水) 13:20:59.69 ID:tQ+lxjw/o
ああ、続きまだなのかア

しかし掛け算が逆になってないのがおかしい
57 : ◆ss34b122A2 [saga 意訳:もうしばらく待っててね]:2011/07/21(木) 14:33:43.14 ID:nDAGaEbho
          ――彼女との再開は、同時に運命の邂逅を齎した――

                   「あら? 貴方は……」
       「僕は小林オペラと言います。お会いできて光栄です、クラリス王女」

                ――王女からの二度目の依頼――

            「わたしを連れて逃げて下さいませんか!?」
 
               ――ミルキィホームズに迫る黒い影――

              「天罰DEATH」「DEATHネー」「DEATHネー」
              「DEATHネー」「DEATHネー」「DEATHネー」

                 ――離れ離れになる仲間達――

                    「小林、ここは僕らが!」
                     「シャロも行くのよ!」
                   「王女を……守って……!」

                    ――激化する戦い――

                       「バリツ!!!」

                 ――逃走を続ける探偵と王女――  

            「……ごめんなさい。こんな事に巻き込んでしまって」
      「僕は探偵で、貴女は依頼人だ。探偵は依頼人を決して見捨てません」

                      ――そして――

              「シャーロック……わたしも、夢を見つけました」

                「わたしは――貴方と、恋がしたい、です」



                 劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ


                     マーロの休日-崩壊篇-


                       Vidal Sassoon...
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/21(木) 14:35:40.54 ID:o4zNHiKEo
王女もホントに出るのか
59 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/07/21(木) 14:48:15.32 ID:nDAGaEbho
※出ません
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 17:54:49.37 ID:hZ60NV0mo
乙DEATHネー
61 : ◆ss34b122A2 [saga もっともう少し待ってね……]:2011/07/29(金) 05:58:38.41 ID:wHHJMYXLo
シャロ「ぢゃぢゃぢゃぢゃっ↑ぢゃっ↓ぢゃ↑ぢゃっ↓ぢゃー↑んっ♪」

小林「お、シャーロック。キミが遊んでいるのそのカードはまさか……」

シャロ「はい、そのまさかです!」

小林「8/6にブースターパック第三弾も発売予定の、ヴァ」

シャロ「カードボーグです!」

小林「他っ社あーーー!!?」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/08/01(月) 18:39:08.05 ID:4oMPl2SAO
ちょっと上げてみたり
63 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/08/07(日) 11:13:31.85 ID:/otvzp9no
上げられると期待されてるように感じるのは俺だけ?
意外と早く一区切りついたんで、パパッと投下しちゃいましょう
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/07(日) 11:14:26.91 ID:/otvzp9no
  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

    /r 、    l:::::::::::::. /  /           /
   〈  ヽ、`'ー―\::::::::. /_/ ........................    /, <´ヾ,`ヽ
    |  /´  , ∠...ヽ::::ri'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::  //  \レ |
    l /   // ,   `゙ー-、..   _::::::::;/ `\   L'ノ
    | 〈. イ ,l /l ,、'___/  ,  i ヾi ̄ヾ´ ./      l /
    l   y' ./ \.レl -r‐‐/| ,i: |  |./      ,.ノ    
    | //´  ̄ ̄ `"´`、―― / ./    ....:::/
   _レ  ,l " " /´ ̄ ヽ ,, ヽ /゙ i/   ..::::::::/
  i/  ./ヽ.  |    l  " ./ |ヽ  ..::::::::/          よくじつ!
 ./ ,.i  /;;;;;;;>、 l     /   /  lノ..:::::::,: イ `i
  ´∧ !;;// >=----‐ri';;l  .|;ヽ-イ ノ  ./
   l;;`// //| |   |.|;|  :l;;;;;;;;;;;;ヽ....::ノ
   / ./ //L /l l   .l l;;l ::|;;;;;;;;;r‐' ̄
   / レ'./;;;/ |;;;| l   | |;丶ノ;;;;;;;;;ノ
  '-‐i‐;';;;;;;;;;/  l;;;;;l |  .//;;;/ ̄ ̄
     |;;;;;;;/  /;;;;ヾヽ' /;;/

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇
65 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:17:13.09 ID:/otvzp9no
 目が覚めると、そこは見慣れない景色の只中だった。

小林「……」

 瞬きを数回、あくびと伸びを大きく1回ずつ。意識の覚醒を促す。
 そうしてようやく、ここがシャーロックの部屋だと認識する事が出来た。

小林「そうか……僕は昨夜……」

 火事から一夜明け、宿無し生活2日目が始まっていた。
 それにしても――

小林「………………変な夢を見た」

 ハリウッド映画の予告のような夢だった。
 どうして僕がマーロ国の王女と逃避行を演じていたのだろう。
 クラリス王女の名前や顔はニュースなどで知っているが、実際に面識はない。
 なのに夢の中では、アクションからラブロマンスまで網羅した超大作風味。謎だ。
 そういえば彼女はシャーロックとクリソツだけれど、それが原因だったりするのだろうか?

小林「……ま、いいか」

 夢は夢。現実は現実。棲み分けは大事だ。
 特に、今の僕には大層シビアな現実が待ち構えているのだから、荒唐無稽な夢に現を抜かしている場合ではない。

小林「――」チラッ

シャロ「すぴー……すぴー……」

 ふとシャーロックを見遣ると、彼女はまだ寝息を立て、気持ち良さそうに眠っていた。
 ……ちなみに、僕は断じてシャーロックと同じベッドで夜を過ごしてはいない。ベッドにもたれかかって床で眠っただけだ。
 昨夜の描写では勘違いされかねないと思ったので、そこの所くれぐれも正しい理解を――
66 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:18:19.65 ID:/otvzp9no
コンコン

小林「!」

 何奴!?

コーデリア「シャロ、起きてる? もう学校に行く時間よ」

小林「コーデリアか……」

 ホッと一息、壁掛け時計を見る。
 遅刻ギリギリとまでは行かないが、確かに少し危ない時間だ。

コーデリア「返事が無いわ……まだ寝てるのかしら?」

ネロ「そうなんじゃない? なんせシャロだしねー」

エリー「……」

 扉の向こうでコーデリアと話しているのはネロだ。
 気配から察するにもう一人――おそらくはエルキュールもいるだろう。

シャロ「むにゃむにゃ……」

 しかしシャーロックは未だに起きる素振りも見せない。このままでは遅刻だ。
 ここは一宿の礼として、モーニングコールぐらいは務めるとしよう。

小林「シャーロック。起きるんだ、朝だよ。シャーロック」ユサユサ

 身体を軽くゆすりながら声をかけるが、やはり反応はない。

小林「参ったな……このままじゃ遅刻させてしまう」

 この眠り姫を起こすにはどうすればいいだろう――そう考えた時、ふと閃いた。
67 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:19:04.52 ID:/otvzp9no
小林「――」スッ

 大声はまずいので、シャーロックの耳元で囁く。

小林「シャーロック。窓の外で空飛ぶかまぼこに乗った小衣ちゃんが手を振っているよ。早く着替えて追いかけよう」

シャロ「ココロちゃんが!?」ガバッ

 こうかはばつぐんだ!

小林「おはようシャーロック。さあ、遅刻しない内に――」

シャロ「はいっ、脱ぎましょう!」ガバッ

小林「うわああああああああああああっっっ!!?」

 ばつぐん過ぎた!?
 なんとシャーロックは、僕がいるにも関わらず寝間着の裾を思い切り捲り上げたのだ!
 とんだ誤算だ、この子まだ寝ぼけてる!
 完全な不意打ちに目を逸らす暇もなく、僕の視線は下から上へと駆け抜ける。

小林「――」ゴクリ

 ほっそりとしたおみ足。
 真っ白なお腹。
 可愛らしいおへそ。
 危うく頂上制覇寸前のお山。
 ぽかんと開いたお口。
 僕を見つめるまんまるお目め――目?

シャロ「……っ」パチクリ

 起 き て る 。
68 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:19:56.98 ID:/otvzp9no
 小林「――!」

 マズい。
 マズいマズいマズいマズいもう一杯! マズい!!
 何がマズいって流石のシャーロックも顔を赤らめ悲鳴を上げる準備万端なのがマズい。
 更に言うなら――

ネロ「ちょっと、さっきの声って……」

コーデリア「教官の声だわ!」

エリー「な、なにか、あったんでしょうか……」

 僕が上げた叫び声を聞いたコーデリア達が突入してきそうなのがまたマズい!

コーデリア「教官、どうされたんですか!? 教官!」ドンドン

ネロ「こらー小林ー! でてこーい!」ドンドン

エリー「あ、あの……あまり、大声は……」オロオロ

小林「………………」ダラダラダラダラ

 落ち着け、落ち着くんだ小林オペラ。
 下手なアクションは逆効果。冷静に正解を導き出す事が重要だ。
 幸いにもここは寮の個室。扉には鍵がかかっている。
 対して外にいるのは非力な女の子が3人。彼女達にこの扉を破る術なんて――

ネロ「エリー、出番だよ!」
コーデリア「エリー、出番よ!」

 あ っ た 。
69 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:20:27.28 ID:/otvzp9no
エリー「え、ぇぇぇ……///」

ネロ「ホラ早く! ドカーンってやっちゃってよ、ドカーンって」

エリー「で、でも……///」

コーデリア「教官かシャロの身に何か起きてるかもしれないのよ、恥ずかしがってないで!」

エリー「そんなぁ……///」

 直感が語りかけます。マズい、マズ過ぎる。
 目の前のシャーロックはマジで叫ぶ5秒前。
 部屋の外のコーデリア達はマジで踏み込む5秒前。
 叫ばれてもアウト。踏み込まれてもアウト。
 叫ばれた所に踏み込まれたらダブルプレー+ご祝儀で人生スリーアウトのG4沙汰だ。

小林「くっ――!」

 時間はない。早急な決断を要される。
 この絶体絶命の状況を劇的に回避する方法はただ一つ。
 必要なのは、覚悟だけ。

コーデリア「さぁ、行くのよエリー!」

エリー「み、見ないでぇぇ……///」ピコン!

ネロ「やっちゃえー!」

シャロ「きゃ――」

小林「!」クワッ
70 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:21:06.65 ID:/otvzp9no
  *  ( \/ /_∧   <./|   /| +     /\___
   + ..ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
。     / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/ * /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
   +     i⌒ヽ  ./   ̄>__  + 。    ..|| |::
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\  + .|| |::
 *  ..i    | /ヽ   ヽ  *∠__/   ̄ +  *..|| |::
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>  *    || |::
  。    \|  )  ̄  ./V   *     。   .|| |::
____  .ノ ./⌒)∧ /  ..+_________||___
  。  / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\ + ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
71 :2日目・朝 [saga]:2011/08/07(日) 11:21:56.25 ID:/otvzp9no
……

…………

………………

小林「防弾私服じゃなければ即死だった」キリッ

 腕時計を見れば、いつの間にかもうすぐ正午。
 こそこそと逃げ回るのもこのくらいにしておこう。

小林「……さて、と……」

 最低限の警戒だけは怠らず、僕はある場所を目指す。
 その場所とは――

――生徒会長室

コンコン

アンリエット「どうぞ」

ガチャ

小林「失礼します」

アンリエット「あら小林さん。ごきげんよう」

小林「どうも。実は、アンリエットさんにお話がありまして」
72 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:23:34.42 ID:/otvzp9no
アンリエット「昨夜の火事の件についてですね?」

小林「え?」

アンリエット「違うのですか?」

小林「あ、いえ、そうですけど……」

アンリエット「そろそろお見えになる頃だと思っていましたわ」ニッコリ

小林「はぁ……」

 そう言ったアンリエットさんは、普段通り落ち着いた様子だ。
 とても人の住処を焼き払った張本人とは思えない。
 やっぱり、彼女の仕業だなんて勘違いでは――そう考えていると、

アンリエット「大方、シャーロック達に泣きつかれでもしたのでしょう?」

小林「……はい?」

アンリエット「意地悪な生徒会長に文句の一つでも言ってきて欲しい……と。違いますか?」

小林「ち、違いますよ! 大体、その件の是非については、彼女達と貴女との問題だと思ってますから……」

アンリエット「あら……流石は名探偵、物事の本質がよく見えてらっしゃる」フフッ

小林「そ、それはどうも……」
73 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:24:36.32 ID:/otvzp9no
アンリエット「……はて、では理解に苦しみますね」

小林「え?」

アンリエット「わたくしに物申すのでなければ、何をしにここまで?」

小林「えっ」

アンリエット「?」

小林「アンリエットさん……本気ですか?」

アンリエット「どういう意味でしょう」

小林「……僕が」

アンリエット「……?」

小林「僕が暮らしているあの事務所を燃やしたのは、一体どういうつもりだったんですか?」

アンリエット「えっ」

小林「えっ」

アンリエット「……」

小林「……」

アンリエット「……あっ」

小林「えっ!?」
74 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:25:08.00 ID:/otvzp9no
アンリエット「………………」タラリ

小林「あの、アンリエットさん……今、“あっ”って」

アンリエット「※言ってません」

小林「いや言いましたよね?」

アンリエット「※違います」

小林「何が違うんですか。忘れてましたよね。事務所に火を点けるにあたって僕の存在を完全に失念してましたよね」

アンリエット「………………」ダラダラダラダラ

小林「何とか言ってくださいアンリエットさん! そんな冷や汗ダラッダラかいてないで!」

アンリエット「……」

小林「……」

アンリエット「……」

アンリエット「………………」カチッ シュボッ

小林「ちょっ!? 正気を失った表情(


      ,. ...´.::::::::::::::::....`... ,
    /:;  ´ ̄    ̄` ヽ 、:\
    //             \ヽ,
    /   / / /    M       ヾ!
 r'v'  :| /! /! ,i  /| / ヽ |  |:   l〉、
 {Y  :| ト|/-V、__/ |!__,r‐ヒ|i /   |fフ
 ヒ|   | |,,==≡!/ / 三==−:./  厄'_
 ∧ \Vく ()        ()  ゞ|/ /く::V:;ゝ   
 〉tヾ\:.ゝ ‐‐  ,   -- j/vイ/7:::|i:i    
 |::!|::|: :ヒ !.              ´,ノ: /::;イ!::|
.//| V : ヾ_、   、-─,   /¨ : :|:::| ||::|
V | : : : : : : :ヽ、   ̄ , ィ': : : : : :.V /j;/
  ヾNMWV、: :,:,it、二,t、:/VYNMノjハ|
        `_,r! ||⌒||`'t_
    rvtt''´  ∧ー∧  `ヽ、__
   ,.ノ:::::||   ||:::〉〈:::||    ||::゙-、

)でライター取り出して何するつもりですか!?」
75 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:26:05.81 ID:/otvzp9no
アンリエット「わたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くないわたくしは悪くない……」ブツブツブツブツ...

小林「わ、わかりました! わかりましたから! とにかくライターをしまってください!」

アンリエット「……」ゴソゴソ...

小林「ふぅ……!」

アンリエット「……」

小林「……」

アンリエット「……」

小林「……」

アンリエット「……」

小林「……」

アンリエット「あなたがいけないのですよ、小林さん」キリッ

小林「突然なんですか!?」
76 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:26:35.06 ID:/otvzp9no
アンリエット「住居を失ったのは不幸な事故でしたが――」

小林「貴女の過失ですよね?」

アンリエット「――その原因があなたにないとは言い切れないのですよ、小林さん」キリッ

小林「聞いてますか?」

アンリエット「あなたの過ち……それはずばり生活態度にあります」

小林「生活態度……? どういう意味ですか。納得の行く説明を求めます」

アンリエット「いいでしょう」

アンリエット「ひとつ――朝はゆっくり8時過ぎに起床、“さ〜て……世界情勢は……っと……”とか言いながらはなまるマーケットを見る」

小林「そ、それは……たまたまチャンネルが……」

アンリエット「ふたつ――ミルキィホームズとの飲食費をすべて経費で落とそうとする」

小林「いや、だって、流石に毎度毎度5人分の出費は……」

アンリエット「みっつ――コーヒー豆を経費で落とそうとする」

小林「飲み物くらい……」

アンリエット「よっつ――ハードボイルド小説を経費で落とそうとする」

小林「あれは探偵の教科書です」キリッ

アンリエット「※違います」
77 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:27:10.07 ID:/otvzp9no
アンリエット「以上4点。細かく挙げればもっとありますが……大まかにはこんな所でしょう」

小林「ぐぬぬ……」

アンリエット「何か反論は?」

小林「反論は……あ、あ、あり……ません」ガクッ

アンリエット「結構」

小林「くっ……!」

 ぐうの音も出ないとはこの事だった。
 項垂れる僕に、アンリエットさんがそっと手を差し伸べる。

アンリエット「小林さん」

小林「アンリエットさん……」

アンリエット「あなたにチャンスを与えましょう」

小林「チャンス……?」

アンリエット「ええ」

アンリエット「小林オペラを欠いてダメダメとなったミルキィホームズ」

アンリエット「彼女たちに感化されダメダメとなった小林オペラ」

アンリエット「あなた方がイケイケのアゲアゲでサイヴァー且つおシャンティな探偵として返り咲く事が出来たなら……」

アンリエット「その時は、また元通りの待遇をお約束しましょう」
78 :2日目・朝/アンリエット@ [saga]:2011/08/07(日) 11:27:38.67 ID:/otvzp9no
小林「ほ、本当ですか!?」

アンリエット「もちろんです。わたくしに二言はありません」

小林「アンリエットさん……!」

アンリエット「さあ、こんな所で落ち込んでいる場合ではありませんよ」

アンリエット「立派な探偵として、またわたくしにその勇姿を見せてください。ね?」ニコッ

小林「――」

小林「はいっ!」

小林「では、失礼します!」

アンリエット「ええ。頑張ってくださいね」

小林「任せてください!」

ガチャッ バタン!

小林「……」

小林「…………」

小林「………………」

小林「上手く言いくるめられてしまった気がする」
79 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/08/07(日) 11:29:57.15 ID:/otvzp9no
朝パート終了で続く
次の子と街で遭遇する昼パートも早い内に書けそうな気がします。気のせいかもしれません
それでは、ご意見ご感想お待ちしておりミルキィ
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/08/07(日) 20:07:36.65 ID:7S6CJqUAO
経費で小説とかどこの翔太郎だよ先生
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/09(火) 17:43:54.00 ID:fZOxWZUDO
じゃあ期待age
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/10(水) 09:07:18.47 ID:5zodrHLao
先生がハーフボイルド探偵になってしまったか……
83 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/08/25(木) 05:57:11.99 ID:l+guf7uVo
やっぱ気のせいでした。調子に乗るとすぐこれだから……
2日目・昼パート投下します
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/25(木) 05:58:36.76 ID:l+guf7uVo
  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

                       __,,,,,,,,,,,,,,,,,__  c_ゝ〈 ./      \
                      ,, -''゙゙        ''}j  ρ ¬-!      \
              _, -===-<  ==ニニニ==、.{  ̄ ヽ_lっ-,,,,_      \
           ,-',゙ '゙  ,,-'´                ヽ、   ./ ̄¬-,ニ_ 、    ヽ
        .//  /,           、 .ヽヽ,  , ヾヾ .lll、      .\.、   ヽ
        /./   / / /      /    l !\ ヽヽ  ヽ  .ミ ノl l       \   .lj
        //   / / ./   /  .! /  ij゙,'トミjレヽヽ, , ヽ ', tノj.l______   \ .l l
        ‖  ./ ./ ./   .│ , l .l    ll l l   l lll,゙ , .j  }.}\l       ゙̄''- ゙、 .j.j __
   _,,,,,-lf――! /j ./    .│ l.l! !    ll .l l   l.l.ll.xlj^ll .ll.l \,,           ''l .ll//_
< ̄: : : :j !: : : :l l :l .│  .││ l lj1   .jjj l.l   ,,ll キ_ll_l l.l .lキ .、 .゙'''''- 、、    │/./ .亅   計画通りですわ
 \: : : : :ll: : : :.lj: :l ll j  .ハ Lニコキキ,,__ノ l .lj./彡コl,,キキタ }.)ト,  ゙ヽ.__  .i.l     .l/./ ./7
   \: : : :l: : : : l: :.l l:j j  トキ'キl, ュ.主土タミヽ+l' /マ'lllllァュllj/lj.), ヾ-__  ゙゙ヾlト――-jl l  /メ- ,,,___
    ヽ: : :ヽ: : : :!: : lj:.l l !:lヽ j.∠^llllll゙゙゙゙jヾァl .',__ .ゞllン_-マ.))t゙-冖¬ 、 .l jl: : : : : :l !  ./: : : : :  ̄¬ ._
     ヽ: : : : : : : : : ll: ヽl.l.l ゙, l\,゙,.゙゙ァllllァ.',, -¬---一¬レ'' ll .ア゙-, l l./: : : : : :ll.,  !: : : ;,;_: : : : : : : : :'' 、
       \: : : : : : : : ヽ: キl,.│.ミュ___キ_,,, -''  '  ,,   /: : // .''-く__Y .ィ: : : : : : : :.l l l└っ ./: : : : : ;,; --''゙゙
        ヽヽ ;,: : : : : : : /゙゙゙+  l\ゞニ=-、 ''゙゙ ̄   イ; : : : ゙゙゙''-、__/: : : : : : : : : : :\l-. イ .レ-'゙ ̄
          ヽ//゙゙-;、: :.イ   l  レ'゙ ./\ j-.、、___/ .l l : : : : : : : :゙'゙: : : : : : : : :_;,;,;,;--'''' ̄l │
        \/////゙''゙ 、ム_ l  (__ッ'./ l: /ン    .ン: : : : : : : : : ;,;,;-////////     .ll│
          `゙- 、///\_\x---.' l.〉j   ._./: : : : : : ;,;,-/////////,-'゙―-- 、,,,__ j_lュァ
             /Τー┬ミミミヽ-´ヾ`、_./: : : : : ;,;-''゙////////ャ''゙////////////// ̄冖¬ー--,、

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇
85 :2日目・昼 [saga]:2011/08/25(木) 05:59:13.23 ID:l+guf7uVo
――ヨコハマ市街

 結局、釈然としないまま街まで来てしまった。
 とは言え、アンリエットさんがそう簡単に決定を覆すとも思えないし、仕方ないか。

小林「……」

 アンリエットさんが提示した条件――立派な探偵として復活を遂げる事。
 その実現の目処が立たない以上、ひとまず学院を離れるざるをえないだろう。

小林「……どこか、安いアパートでも探すかな……」

 独り呟き、僕はヨコハマの雑踏を歩き出した。

……

…………

………………
86 :2日目・昼 [saga]:2011/08/25(木) 06:00:00.70 ID:l+guf7uVo
小林「ええっ、駅まで徒歩20分……!?」
87 :2日目・昼 [saga]:2011/08/25(木) 06:00:36.40 ID:l+guf7uVo
……

…………

………………

――中華街

 新居探しの初動は失敗に終わった。
 昼食を摂り損ねていた事もあり、その後の僕の足は自然とヨコハマ中華街に向かっていた。

小林「時間も時間だし、何か軽いもので良いんだけど……」

 となれば店舗よりも屋台の方が適当だ。
 いつかのシャーロック達のように、肉まんなんてどうだろう?

小林「――っと、」

 空腹任せにあれこれ考えながら歩いていると、前方に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
 あれは……
88 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:02:15.37 ID:l+guf7uVo
小林「次子くん」

次子「ん?」

 振り向いたその人は、やはり次子くんで間違いなかった。
 声の主が僕だと知れると、ニカッと爽やかな笑みを浮かべてくれる。

次子「おーアンタか! こんなトコで会うたぁ奇遇だねえ」

小林「本当に。次子くんは仕事?」

次子「そっ、今はちょうど休憩してたトコでさ。この辺で腹拵えしとこーかなって」

小林「お昼も食べずにこんな時間まで? 警察も大変だね」

 もう昼の3時を回っていた。

次子「まーな。けど、これも世の為人の為ってね! そういうアンタは?」

小林「僕?」

次子「おー。なんか悩み事? いつにも増して辛気臭い顔してるよ」

 普段から多少は辛気臭いんだ、僕……
 などと密かにショックを受けていると、次子くんが僕に近づき、ひょいと顔を覗き込んでくる。

小林「わっ――」

次子「なぁ。あたしでいいなら力になるよ?」

小林「、え?」

次子「年下に囲まれてちゃあ話し辛い事とかもあるんじゃない? アンタにゃ何かと世話んなってるし、話すだけで楽になる事もあるからさ」

 な? と次子くんは優しく笑った。

小林「――」
89 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:03:12.82 ID:l+guf7uVo
 不意に、目頭が熱くなる。
 ミルキィのみんなのような無垢な好意とは違った、気遣いに満ちた大人の厚意。
 それは、普段から様々な問題を自分一人で抱え込む事の多い僕のような人間には、とても効果的で。
 更には同い年の気安さという重要なファクターが加わり、気付けば僕は自然と口を開いていた。

小林「実は――」

 昨夜の出来事を掻い摘んで伝える。
 途中、危うく次子くんへのプロポーズが口を衝いて出そうになるのを何度も堪え、慎重に言葉を選んだ。
 そして数時間前のアンリエットさんとの一件までを語り終えた時、次子くんは――

次子「苦労人すぎっぞ……!」ホロリ

小林「ご同情ありがとうございます……!」ホロリ

 一緒に泣いてくれた。
 ぐしっ、と江戸っ子っぽく涙を拭い鼻をすすり、次子くんは一転して快活な表情を見せた。

次子「っしゃ! だったら景気付けにあたしがなんか奢ってやるよ!」

小林「えっ? い、いいよそんな、キミに悪いし……」タジ

次子「そんな遠慮すんなって! えーっと、何がいいかなー……」キョロキョロ

 僕の言葉を軽く流し、通りを見渡し始めた次子くん。
 その様子が妙に楽しげなので、固辞し続けるのも逆に躊躇われてしまう……

次子「お!」

 と、次子くんが声を上げる。何かめぼしい物を見つけたらしい。

次子「アレなんて良いなぁ。うっし、ちょっと待ってな!」ダッ

小林「ちょっ次子くん!?」                                             オッチャン、2ツチョーダイ!デッカイノネ!>
                                                      アイヨ!ネーチャンノオッパイグライノデケーノヲサービスダ!>
 制止も間に合わず、次子くんは僕から離れて行ってしまった。            オーアンガト!ツギオナジコトイッタラセクハラデショッピクケドナ>
 向かう先は、何かの屋台のようだけれど……?                                     ヒィ!?オ、オマワリサンデシタカ!>

小林「……」
90 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:04:31.03 ID:l+guf7uVo
タッタッタッタッタッタ...

次子「お待ちどうさん! 熱いから気ィつけてな」スッ

小林「わっ、っ、熱つつっ!? こ、これって……」

 次子くんが僕に手渡したのは、石焼き芋だった。
 皮の裂け目から黄金色の中身が覗き、豊かな香りが鼻腔をくすぐる。
 人通りの多い場所を避け、身近な店舗の壁に二人で背を預けて芋をかじった。

次子「ほふぁ、あふっ……んくっ……くーっ、うまい!」

小林「うん、これは美味しい。焼き芋なんて久しぶりに食べるよ」

次子「だなぁ」

モグモグ...ハフハフ...モフモフ...ハグハグ...

次子「……に、しても」

小林「?」

 しばらく続いた無言を、次子くんの呟きが遮った。

次子「男と並んで食べるのが焼き芋たぁ……へへっ、我ながら女らしくないもんだねぇ」

小林「そうかな? 焼き芋ならシャーロック達も大好きだし、むしろ女の子らしい食べ物だと思うけど?」

次子「ぁ……そ、そうかい?」テレッ

小林「ああ。それに……」

次子「それに?」

小林「それに――おみくじの結果を真に受けてしまったりするし、次子くんはとても女の子らしいと思うよ?」
91 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:05:06.35 ID:l+guf7uVo
次子「んなっ……!」カァッ

 僕がそう言った途端、次子くんは何故か明らかに狼狽した様子を見せた。
 心なしか顔も赤い……もしかして、芋でも喉に引っかけた? 心配だなぁ。

次子「よ、よく覚えてんじゃんか……そんな昔の事を覚えてるたぁ、あんたも大概女々しいねぇ」ニヤリ

 しかしどうやら違ったらしい。次子くんは挑戦的な笑みで僕を見る。

小林「ハハ……まあ職業柄、ね。そうでなくても動揺する次子くんなんて貴重で重要なファクター、忘れろというのが無理な注文だよ」ニコッ

次子「ぐ、ぐぬぬ……!」

 あれ、なんか悔しがってる。
 なんだろう、今更になって僕の芋の方が大きかった事に気付いたとか?

次子「よ、よーし……そこまで言うなら!」

小林「え?」

次子「ちょっと待ってな!」ダッ

小林「あっ次子くん!?」

 制止も間に合わず、次子くんは人混みの向こうに消えてしまった。
 一体どうしたというのだろう。

小林「……あっちにもっと大きな焼き芋の屋台でもあるのかな?」

 その時、脳裏にシャーロックの「ってなんでですかー」という声が響いた……気がした。
92 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:05:58.66 ID:l+guf7uVo
次子「ヘイお待ち!!!」

 結局、次子くんは5分もせずに僕の前に戻ってきた。
 その手には……

小林「……フォーチュンクッキー?」

次子「そ! コイツで勝負だ!」ズビシッ

小林「し、勝負って……」

次子「今度はどんな結果が出ても絶っ対に動じないから! あたしの女子力の低さを舐めんなよー?」

小林「いや、それ、自慢げに言う事じゃないよね……?」

次子「あーらよっと」パキッ

 僕のツッコミも右から左、早速フォーチュンクッキーを叩き割る次子くん。
 手渡された破片をかじりながら大人しく眺める僕。

次子「どれどれ……」ガサガサ

 おみくじの内容に目を通す次子くん。の、顔が、

次子「〜〜〜〜〜〜ッ」カァァァァァァッ

 見る見る内に赤く茹だった。
93 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:07:01.47 ID:l+guf7uVo
小林「つ、次子くん!? どうしたんだい、大丈夫?」スッ

次子「ひぅッ」バシッ

小林「!?」

次子「あっ、ご、ごめ……」

小林「い、いや、平気平気……」

 振り払われた手をさすりながら答える。
 しかし、次子くんのこの反応はどうした事だろう。
 もしかして、おみくじに『目の前の男が貴方のご両親の仇です!!!』と書かれてたとか? ないない。
 なんにせよこの過敏な反応の原因はおみくじにある事は間違いない筈だ。

小林「つ、次子くん」

次子「っ」ビクッ

小林「そのおみくじ……中を見せてもらって、いいかな……?」

次子「………………」スッ

 逡巡の末、といった様子で、まるでラブレターを渡すように僕におみくじを差し出す次子くん。
 受け取り、折り畳まれていたそれを恐る恐る開くと――
94 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:12:54.27 ID:l+guf7uVo
☆★☆★☆マジ吉☆★☆★☆
目の前に立っている黒髪で華
奢で一見すると頼りなさそうな
優男だけど実は洞察力・推理
力・判断力に長けたエロい声
の熱血イケメン半熟卵こそが
貴女の運命の人です!!!
彼と貴女は心も体も相性バ
ツグン!昼も夜も最高の伴
侶となれること間違いナシ!
ラッキーデイは今日!百発
百中で子宝に恵まれ、彼と
幸せな暮らしを築くでしょう。
もし今日を逃してしまったら
一生嫁き遅れかも!?そし
て貴女は家庭に入り、エプロ
ンの似合う良妻賢母となりま
す。髪も伸ばせば自慢のボヨ
ヨンと相まって彼の視線は釘
付け!浮気の心配などご無
用!家庭円満!大安吉日!
先手必勝!疾風怒濤!一騎
当千!朝令暮改!東奔西走
!一撃必殺!第三部完!!
95 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:13:50.64 ID:l+guf7uVo
小林「――」

次子「――」

小林「……」

 なにこれ。
 ツッコミどころはある。山のようにある。数え切れないほどある。
 けれど、なんだろう、ひとつでもツッコんでしまうと負け――そんな気がした。
 なので、当たり障りなく受け流してみる。

小林「は、ハハ……ずいぶん過激なおみくじだね?」

次子「……」

小林「次子くん?」

次子「――」ボソッ

小林「?」

次子「……イケメン……ウンメイノヒト……カラダノアイショウ……ハンリョ……コダカラ……シアワセナクラシ……ボヨヨン……センテヒッショウ……」ブツブツ

小林「」

次子「………………イッショウイキオクレ………………」ゴクリ

小林「つ、つぎ」
96 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:14:34.35 ID:l+guf7uVo
次子「な、なぁ!!!」

小林「はいぃ!?」ビクッ

次子「きょっ、今日、さ。あたし、現場から直帰なんだ」

小林「へ、へえーそうなんだあー」

次子「お、おぉ……」

小林「うん……」

次子「……で、さ。アンタ、これから行く当てとか……あるの?」

小林「へっ?」

 教え子の部屋に転がりこんでるなんて口が裂けても言えない。

次子「ここで会ったのも、なんかの縁、っつーか……なんつーか……」モジモジ

小林「?」

次子「……う、ウチで一緒に晩飯でもどうかなー……つって」

小林「!」

次子「で、そんで、さ」

小林「……」ゴクリ

次子「――」キッ

次子「あっ、あたしの部屋でよければ、泊まってかないか!? た、他意はないけどッ!!?」

小林「」
97 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:15:24.32 ID:l+guf7uVo
……

…………

………………

――ホームズ探偵学院

小林「……」

 気が付くと、僕は学院の正門に立っていた。
 次子くんの放つただならない気配に本能が危険を察知し、必死で逃げてきたのだ。
 あのまま次子くんと一緒にいたら、今頃どうなっていただろう……
 そう考えただけで背筋が凍えるのだから、相当だ。

小林「さて……」

 今はちょうど下校時刻。生徒達が続々と校舎から出てきている。
 2日目の小林オペラ当番(なんだそれ)はネロ。この際だからここで合流してしまおう。

小林「ネロ、まだ帰ってないといいけど……」キョロキョロ

 同じ格好をした人混みの中からネロを探す。
 トレードマークの帽子を被っていれば見つけやすいだろうし、被ってなくてもチャームポイントのアホ毛は目印にもってこいだ。
 そんな事を考えながら周囲を見渡していると――

???「――!」ヒシッ

小林「わっ!?」ヨロッ
98 :2日目・昼/次子 [saga]:2011/08/25(木) 06:16:13.07 ID:l+guf7uVo
 突然、背後から誰かに……抱きつかれた?
 仰天して振り向くと、そこには……

???「――」ピョコン

 目当てのアホ毛が鼻先で踊っていた。

小林「……ネロ?」

 視線を下にずらすと、僕の背中に顔を埋めたネロの姿があった。
 またいつもの悪戯か――呆れ半分に安堵する。

小林「丁度良かった。今キミを探し、て、」

 僕の言葉は半ばで途切れる。
 何故なら、顔を上げたネロが――

ネロ「――」

 ――泣いて、いたからだ。

小林「ネロ……?」

ネロ「小林……こばやし……っ」ギュゥゥ

 一心に僕の名前を呼び、涙に濡れた顔を擦りつけるネロ。
 腰に回された手は、僕を離すまい、僕から離れまいと力強い。

小林「どうしたんだい……? キミは、何故泣いているんだい?」

 努めて優しく尋ねると、くぐもった嗚咽を繰り返していたネロが再び顔を上げた。
 その深い翠の瞳がまっすぐに僕を見据える。
 そしてネロは、とても弱々しい声で。
99 :2日目・昼 [saga]:2011/08/25(木) 06:16:54.04 ID:l+guf7uVo
ネロ「おねがい、小林……」

小林「え?」

ネロ「なにも言わないで……僕といっしょに、きて……?」

小林「――!」

ネロ「おねがい……っ」

小林「――」

ネロ「――」

小林「ネロ……」

 そして僕達は、宵闇が迫る街の奥深くへと溶けていった――
100 : ◆ss34b122A2 [saga]:2011/08/25(木) 06:20:20.47 ID:l+guf7uVo
しまった……>>97-98の時点で名前欄は【2日目・昼】になってなきゃいけないのに……もっと緊張感持って投下しないとダメですねホント

では次回はとうとうネロちゃんが大人の階段を登ります
国際指名手配中の過激派ネロリストなのでこれぐらいの贔屓は平気でやります!
それではおやすミルキィ。もう朝じゃーん……
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/08/25(木) 06:26:14.56 ID:KV4ugi4AO

次子さんの可愛いさはもっと評価されるべき
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 06:29:23.11 ID:64v/97PAo
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/25(木) 12:34:50.84 ID:9CUmUWQx0

小林は半熟確定なんだな
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/15(木) 22:38:27.01 ID:uATnJKkJ0
続きマダー?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/15(木) 23:43:21.40 ID:NVItgtYOo
俺の嫁シャロの出番まだあるよね?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/23(金) 21:04:04.80 ID:0s92e7JWo
待ちますですハイ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:35:59.35 ID:/kVe0eZDO
わたし待つ〜は
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:37:43.08 ID:/kVe0eZDO
待つ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/31(月) 22:23:29.70 ID:x7WoaM7E0
どんだけ長いんだよ、大人の階段wwww
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岩手県) :2011/11/22(火) 00:28:54.51 ID:iPB/3krR0
大人の階段の〜ぼる〜
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 00:24:01.40 ID:CIxkC1rIO
小林〜まだ〜?
66.88 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)