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嘘つきみーちゃんと壊れたまーくん - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/06/17(金) 23:06:46.01 ID:hV1Ppw6+0
・アイデアを入間人間さんの作品「嘘つきみー君と壊れたまーちゃん」から借りてます。


・禁書SSになります。


・思いつきで始めたので書き溜めとか全然ないのでゆっくり更新になると思います。



こうした方が見やすい。等のアドバイスや矛盾の指摘はどんどんお願いします。
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga]:2011/06/17(金) 23:08:47.13 ID:hV1Ppw6+0
「かみやーん、今日はゲーセン寄ってかないかにゃー?」

「悪い、今日はパス。タイムセールがあるから早く帰らなきゃいけないんだ」

「なんや最近かみやん付き合い悪いなぁ」

「まぁまぁ青ピよ、かみやんにもいろいろあるんだろうぜぃ。今日は二人で寂しくスパ4やるとするにゃー」

「ボクのリュウに勝てると思うな! ほんなら、またなかみやん」

「……ああ」


そう言って土御門と青髪の間違いだらけの関西弁を使う友人達は去って行った。もう教室でやるべきことがなくなった上条は早速帰路についた。
その様子を見ていた人物がいたことに気付かずに。


「思っていたよりも普通の生活ができているようです。と私は安堵した表情で胸を撫で下ろします」


そして呟く。――今日の私は探偵です。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga]:2011/06/17(金) 23:14:18.04 ID:hV1Ppw6+0
私は周りにいる学生たちからの視線を浴びている。名門常盤台中学の制服をきているからだろう。そんなことは気にせずに上条の後を追う。

彼を尾行し始めて10分は経過していた。何分初めてのことなので適切な距離がつかめなかったが見失うことはないであろうという距離を維持する。


「思ったよりも遠いようです」


と若干の疲労を感じながら私は彼の後を追う。

何故自転車を使わないのだろうと思うかもしれない。しかし彼が自転車を使っていると毎回のように事故が起きそうになることを私は知っている。

路地裏の多い商店街へ入った。彼は買い物にでも向かうのだろう。などと考えていると、昭和の漫画にしか存在しないような二人のスキルアウトらしき男に絡まれている女性が視界に入った。


――やれやれ。と私は零した。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga]:2011/06/17(金) 23:15:45.36 ID:hV1Ppw6+0
私は一歩踏み出そうとした。

不意に彼の方を見やる。案の定彼は既にスキルアウトへ向かい歩きだしていた。

「おい、何してんだよ女の子一人に寄ってたかって何してんだよ」

「何だてめぇ、いいところなんだから邪魔すんなよ」

「まぁ、待て。ちょうどいいや、ウニ頭、お前ちょっと俺たちに金よこしてくんねぇか?」

「あ?てめえらに貸す金はねぇよ。」

「舐めてんのかこいつ、やっちまうか?」

「だな」

何故だろう。私は違和感を覚えていた。考えこんで暫く、気がついた。彼が普段から人助けをしているのは知っている。だがいつもの彼ならば今のように喧嘩を売るようなことはせずなるべく波風が立たないように女性を連れてすぐに逃げるはずだ。それならば何故こんなことを……
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga]:2011/06/17(金) 23:19:01.93 ID:hV1Ppw6+0
――色々考えているうちに彼らの姿はなくなっていた。路地裏にでも行ったのだろうか。絡まれていた女性もいない。おそらく一緒に連れて行かれたのであろう。……探さなければ。







……見つけた。

予想した通り彼らは近くの路地裏にいた。だがなにか様子がおかしい。

近寄って辺りを見回すと、血液があちこちの壁に付着している。

彼が心配になって見てみる。彼の拳からは血が滴っていた。近くには先程の不良達が倒れている。そんな中彼は狂ったように笑いながら横になって倒れているスキルアウトの腹を蹴り続けている。柔らかいなにかを思い切り殴りつけたような音が何度も響く。既にこのスキルアウトに意識はないが彼はその行為をやめようとはしない。もう一人のスキルアウトを見やる。

紅(あか)い。顔も服も倒れているアスファルトさえもがただひたすら紅い。


笑みを浮かべている彼を見て私は思う――完全に壊れている、と。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga]:2011/06/17(金) 23:21:09.45 ID:hV1Ppw6+0
「そこまでにして下さい」

私は抑揚のない声で言い放つ。

「あ?お前もこいつらの仲間か?ならぶっ[ピーーー]。」

やはり彼には私がわからないようだ。分かっていたことだが実際に現実を突き付けられると少し……いや、とても寂しく、とても悲しい。

「私ですよ。まーくん」

傷ついたことを隠すように平坦に、それでいて優しく語りかけた。

「もしかして、みーちゃん?」

明らかに声色が変わった。

「そうです。みーちゃんですよ」

……もう後戻りはできない。
7 :入力ミスってた…… [sage saga ]:2011/06/17(金) 23:23:21.63 ID:hV1Ppw6+0
「そこまでにして下さい」

私は抑揚のない声で言い放つ。

「あ?お前もこいつらの仲間か?ならぶっ殺す。」

やはり彼には私がわからないようだ。分かっていたことだが実際に現実を突き付けられると少し……いや、とても寂しく、とても悲しい。

「私ですよ。まーくん」

傷ついたことを隠すように平坦に、それでいて優しく語りかけた。

「もしかして、みーちゃん?」

明らかに声色が変わった。

「そうです。みーちゃんですよ」

……もう後戻りはできない。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage saga ]:2011/06/17(金) 23:25:05.42 ID:hV1Ppw6+0
「みーちゃん!?みーちゃんだ!!」

つい先程まで非情な暴力を奮っていた人物と同じとは思えないような無邪気な声で彼は喜びを表している。

「全く、みーちゃんは酷いよ!どんだけ待ってたと思ってんのさ!!」

不貞腐れた子供のように彼は言う。

ごめん。と謝る私。

「会いに来てくれたから許してあげる」

ありがとう。と返す。

「でも本当に待ちくたびれちゃった。みーちゃんは今なにしてたの?」

あなたを尾行していました。なんて言えるはずがない。いや、たとえ言ったとしても彼は何とも思わないのかもしれない。

結局うやむやに誤魔化した。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 23:25:10.34 ID:FyNHBAcDO
みーちゃんが誰だったかが争点でよろしいでしょうか
一巻しか読んでないからようわからんけど
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 23:27:36.36 ID:umem/yiDO
普通に考えると御ーちゃんと麻ーくんだよな
期待
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/06/17(金) 23:32:10.08 ID:hV1Ppw6+0
「みーちゃんは今日これから予定ある?」

予定なんてあるのなら尾行なんてしない。それに私に予定なんて入っている日は皆無といってもいいくらいだ。

「んーん、暇だよ」

「それならよかった。みーちゃん! うちにきなよ!!」

はしゃいでいる彼に従い、彼の住む学生寮へと向かう私たち、気付けば寮はすぐそこだ。

寮の階段を上り始める彼の後を追う。私が上がり終える頃には彼は部屋のドアを開けて私を待っていた。


「早くはやく!」


分かってますよ。そう返し玄関へたどり着く。




>>9設定を借りただけなので嘘つきみー君の方は知らなくても問題はないと思われます。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/06/17(金) 23:33:50.22 ID:hV1Ppw6+0
「お邪魔します」

私は内心ドキドキしながら入室の意思を伝える。

「そんなかしこまらなくていいのに」

「そういう訳にもいきませんよ」

「そういうもんなのかなぁ?」

「そんなものですよ。部屋はきれいにしているのですね。」

「でしょ? みーちゃんてば惚れ直しちゃったかな?」


そんなことよりも、と私は続ける。


「あれはなんですか?」

「ん、あれ?昨日そこらへんから拾ってきたんだ」

『あれ』とはこの部屋に1つしかない――1人暮らしなのだから当然なのだが――ベッドの上ですやすやと寝ている修道女の格好をした少女のことだ。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/06/17(金) 23:37:13.66 ID:hV1Ppw6+0
「拾ってきたって、どこからですか?」

「道端でおなか減って倒れてたからつい拾ってきちゃった」


思わずため息をつく。困っている人を見つけると黙っていられないのは彼の美点なのは確かだがこれは流石にどうしたものかと思う。

ベッドの少女が動き出した。


「んーっ、よく眠れたかも……って、とうま!!この人だれ?」

「みーちゃんだよ!!」

「よく分からないけど、まぁいいんだよ」


納得したのか。

しかし名前くらいは聞いておくべきだろう、と私は話しかける。

「こんばんは。お名前を聞いてもよろしいでしょうかシスターさん」

「もちろん。私はインデックスっていうんだよ。あなたの名前は?」


私の名前は−−

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/06/17(金) 23:45:14.99 ID:hV1Ppw6+0
「みーちゃん。と呼んでください」

「何か事情があるのかな?私もそうだしインデックスって呼んでくれればいいんだよ」

「分かりました。それではインデックス、とお呼びしましょう」

「そうしてくれると嬉しいな。ってそんなことよりもとうま! ご飯!!」

「ご飯? ……しまった!買い物行ってねぇ!!」

「それじゃあ私のご飯はどうなるの!?」

「つーかお前飯食いすぎなんだよ! 昨日だけで家の冷蔵庫空にしやがって、冷凍食品まで全部なくなったんだぞ!?」

「育ち盛りの女の子はいっぱい食べなきゃ大きくならないからそこはしょうがないかも」

「なにがしょうがないだ!どこも育ってない癖に!!」

「そこは触れちゃいけない問題なんだよ!!がうーーー」

「不幸だーーーーーー」


一連の流れをみて私は安心する。いつもの彼だ。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/17(金) 23:48:34.89 ID:hV1Ppw6+0
取り敢えずここまで。読みづらかったらいって欲しいんだよ。

それと文章投下する時はやっぱり長文モードにするべき?

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/18(土) 01:32:22.27 ID:xnxolgmF0
とりあえず乙
投下に関してはわからんがみーまー好きなんで期待してるぜ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/18(土) 19:48:06.93 ID:0b8QG0ma0
すみません。エタらないように先のこと考えるのでちょっと時間ください。
休日中には続き投下しようと思いますんで。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/20(月) 19:58:18.23 ID:NqDaqUcw0
すいません。大体話の流れはつくれたので今日から投下していきたいと思います。

最初なにも考えなしで書いたためにインデックスを昨日拾った、としましたが一カ月くらい前ということに変更させてください。

19 :>>14はなしで [saga]:2011/06/20(月) 20:02:18.03 ID:NqDaqUcw0
「御坂です。」

「下の名前は?」

「聞かないで頂けると嬉しいのですが……」

「事情があるんだね。分かったんだよ。私はインデックスっていうんだよ」

「分かりました。インデックスと呼んでよろしいですか?」

「そう呼んでくれるとくれると嬉しいな。ってそんなことよりもとうま! ご飯!!」

「ご飯? ……しまった!買い物行ってねぇ!!」

「それじゃあ私のご飯はどうなるの!?」

「つーかお前飯食いすぎなんだよ! 昨日だけで家の冷蔵庫空にしやがって、冷凍食品まで全部なくなったんだぞ!?」

「育ち盛りの女の子はいっぱい食べなきゃ大きくならないからそこはしょうがないかも」

「なにがしょうがないだ!どこも育ってない癖に!!」

「そこは触れちゃいけない問題なんだよ!!がうーーー」

「不幸だーーーーーー」


インデックスに噛みつかれながら叫ぶ彼をみて私は安心する。いつもの彼だ。
20 :>>14はなしで [saga]:2011/06/20(月) 20:05:21.16 ID:NqDaqUcw0
「すごい痛かった……」

「大丈夫ですか?」


私は彼が先程インデックスに噛まれた傷口を見ようとする、しかし彼の体には噛まれた以外にも無数の打撲があった。二人のスキルアウトと殴り合いの喧嘩をしていたのだから当然だ。勝てた事が不思議である。それにしてもあの時は彼は狂気に満ちていた。思い出すだけで寒気を覚える程に。


一通りの手当てを終え、お腹を満たそう。ということになった。しかし材料もない、いまから買いに行くにはスーパーは閉まってしまう。多少お金はかかるが出前にしようと決まった。問題はなにをとるか、なのだが、


「はいはいはいはい!! 私お寿司が食べたいんだよ!!!」

「寿司なんてそんな高いもん頼めるか! ラーメンだラーメン!!」

「ラーメンでもいいかも!!」


食べられればなんでもいいのですね。と私は笑った。



――電話で注文を取る彼

の受話器をひったくったインデックス

そして声高々に言い放つ。






ラーメン30人前、と。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/20(月) 20:09:18.76 ID:NqDaqUcw0
インデックスの食べっぷりは驚異的だった。私と彼が1人前のラーメンを半分ほど食べた頃には彼女はもう残りの28杯ラーメンを食べ終えていた。あろうことか分けてほしそうな目でこちらをうかがっている。与えたのならば仲間に加わって一緒に魔物と戦ってくれそうな勢いである。

余りの暴食ぶりに見ているだけでお腹がいっぱいになってしまった私は残りをインデックスにあげる。彼女はとても喜んだ。なんだろう、ペットに餌付けしているようで愛らしい。


あ、そういえば、お金はもちろん彼持ちである。商品を受け取りお金を支払う際に彼の瞳から涙がこぼれていた。可哀想だと思う。嘘ですが。




「さて、飯も食ったし今日はもうねるか?みーちゃんは泊まってくよね?」

「そうですね。お言葉に甘えるとしましょう」


ここへ来る前にしばらく帰らないであろうことは保護者に許可を取っておいたので彼の提案を快く受けることにした。


「やったぁ! みーちゃん! 一緒に寝ようよ!!」


私の返事を聞くとインデックスがはしゃぎ始めた。一緒に寝るのもいい、と考えていると横から私のこめかみに穴が開きそうなほどの視線を感じた。


「……むぅー」

「一緒に寝るくらいで妬かないで下さいよ、まーくん」


その視線はやはり彼だった。――といっても私とインデックスの他には彼しかいないのだが――嫉妬の対称が女の子だろうと猫であろうと嫉妬されている、というのは嬉しかった

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/20(月) 20:11:38.30 ID:NqDaqUcw0
「それもそうだけどみーちゃんをみーちゃんって呼んでいいのはまーくんだけなのです」

「とうま、気持ちが悪いんだよ」

「すみません。インデックス。ならば私のことは『御坂』と読んでください。」

「みさか、だね。しっかり覚えたんだよ」

「インデックス、絶対みーちゃんって呼ぶなよ?」

「とうま、ちょっとしつこいかも」

「だってみーちゃんを×番愛してるのはまーくんだからいいのだ」

「……私もですよ」



嘘ですが。



「二人とも、私もいるんだよ」

「すみません、こんなことしていないで今日はもう寝ましょう」


話しを強引に打ち切って話を戻す。


「まーくんもみーちゃんと一緒に寝る!」

「「お風呂で寝「て下さい」「て欲しいかも」

「……はい」


しゅん、と肩を落としお風呂の方へ歩く彼の姿にここで生活するのは楽しい。そう思った。

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/20(月) 20:12:47.62 ID:NqDaqUcw0
次の日の朝、誰かが料理を作っている音で目が覚めた。

隣では修道服の少女が幸せそうな表情で寝息をたてている。食べ物の夢でも見ているのであろう。おそらく合っているだろう。

身体を起こしキッチンを見やると彼が手際よく何かをつくっているのが分かった。


「おはようございます」

「あ、みーちゃん起きた?ちょっと待ってて、もうできるから」

「はい。それにしてもとんでもない量の朝食ですね」

「これでも今日は少ない方さ、いつものあいつは一人で米5合は下らないくらい食べるし」

「それは大変そうですね。そういえば、昨日はなんで料理をしなかったのですか?」

「だって、あいつの夕食はこのくらいの量じゃ全然足りないんだもん。どうせなら腹いっぱい食わせてやりたいじゃないか。」

「優しいのですね。それでは今日の材料はまーくんの心優しいお財布の中身で買ってきてくださいね。」


「みーちゃん!他人事だと思ってんでしょー」

「……それでは、インデックスを起こしてきます」


逃げるなー! という彼の声を聞き流しインデックスの寝ているベッドに近づく。

「インデックス、起きて下さい」


――すやすや


身体を揺らす。


――すやすや


起きる気配がない。かくなるうえは……


「ご飯でs「おはようなんだよ。」


歪みないですね。と苦笑しつつ食卓に着いた


朝食を食べながら今日の予定を聞いたところ彼は今日も学校があるらしく私とインデックスの二人は夕食の買い出しとお留守番をすることとなった。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/20(月) 20:14:21.44 ID:NqDaqUcw0
みさか、暇なんだよー」

「私も、です」


まーくんを送り出してしばらく。日も暮れ始めたころ、私は一通りの家事を終え、やることもなくなった私とインデックスが夕食の買い出しへ向かった。いざ、参らん。




近くのスーパーで戦争のようなタイムセールを勝ち抜き買い物を終えた私たちは帰り道を歩きながらお互いのことを話していた。

「そういえばみさかもなにか能力を持ってたりするのかな」

「ええ、持っていますよ」

「本当!?どんな能力!?」

「暴飲暴食(アンリミテットグラトニー)と言う能力で名前の通りいくらでもご飯を食べられるという……」

「流石の私でも馬鹿にされてることは分かるんだよ」


彼女なら何でも信じそうだから嘘の吐きがいもあるとおもったのだが……次はもっとうまく嘘をついてやろう。


「冗談ですよ。許して下さいインデックス」

「じゃあ本当の能力を教えてくれたら許してあげるんだよ」

「私の能力は電撃使いといって電気を操ることができます」

「電気か、なんかかっこいいかも」

「そうでもないです。この能力を私はあまり好いてはいません」

「え? どうして?」

「それは……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/20(月) 20:16:09.85 ID:NqDaqUcw0
にゃあ、という声が聞こえた。声の方をみると小さな三毛猫がダンボールの中に入っている。インデックスが猫の方へ駆け寄り、抱き上げる。

「とっても可愛いんだよ! みさかも見て!」


その三毛猫を抱いて嬉しがるインデックスをみて、そしてインデックスの腕の中で心地よさそうにまるくなっている猫をみて、少し悲しい気分になった。気がした。


「みさかもさわってみるといいんだよ」

「いえ、私が近寄ると逃げてしまうので……」

「どうして?」

「私の能力の影響で私は常に微弱な電波を周囲に放っているようで、その電波が動物たちは苦手なんです」

「そう、なんだ……」


重苦しくなった空気に耐え切れずに帰りましょう、と切り出す。インデックスもそれを了承し、と猫を元の段ボールへ戻し、私たちは上条の寮へと歩き出した。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/21(火) 16:11:16.69 ID:Qk50o1rAO
スフィンクス放置wwww
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 18:30:53.81 ID:7ErNcv0Z0
寮に着いた私達は夕食の仕度をしていた。
二人で作っているのだが一向に調理が始まらない。
というのも私が切り揃えた食材をインデックスが片っ端から食べ尽くす、という摩訶不思議な共同作業?を行っているためである。
もはやつまみ食いのレベルではない。


「インデックス、これではいつまで経っても料理が作れません」

「ううー、だっておいしそうなんだよ」

「ただ切り揃えただけの何も調理していない生の大根も、ですか?」

「大根は不味かったかも、でもでもジャガイモは美味しかったんだよ」

「違いが分かりませんがもういいです。テレビでも見ていてください」


戦力外通告を言い渡すとインデックスはすごすごと去っていった。素直に落ち込む素直さが彼女の可愛いところである。

インデックスがいなくなり滑らかに進んだ夕食作りもあと少しで終わる。という所で玄関が開く音がした。


「ただいま! みーちゃん! 見て見て!!」


まーくんが学校から帰ってきた。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 18:33:38.71 ID:7ErNcv0Z0
「ただいま! みーちゃん! 見て見て!!」


お帰りなさい。と言いきる前に彼は私の元へ駆け寄ってきて両腕を私に突き出してきた。手には先程見かけた三毛猫抱えている。

はぁ。と溜息をつく。

「まーくん、この猫をどこで?」

「学校の帰り道にダンボールに捨てられてるこいつを見つけちゃってさ、だって可愛いだろ?見捨てらんなくてさー。あと、みーちゃんも動物好きだったよね?だからいいかなって」

「それとこれとはべつですよ、飼うのならお金も掛かりますし」

「そこはインデックスがすこーーし食欲を抑えてくれれば大丈夫さ」

「それはそうですけど……」

悪びれない彼を非難する私だが猫の余りの可愛さに頬が緩む。

さて、どうしようかと思っているとインデックスも駆け寄ってきた。


「うわーっ! さっきの子猫さんだ!! やっぱり可愛いんだよー」

「だろ? お前は分かってるよインデックス!」

「うん! 私にも触らせてー!」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 18:35:55.82 ID:7ErNcv0Z0
楽しそうにはしゃぐインデックス。
しばらく遊んでいるとインデックスは急に動きを止め、私の方を申し訳なさそうに見てきた。


でも、とインデックスは私を見つめる。


「でも、みさかが可哀想なんだよ」

「みーちゃんが?どうしてそう思うんだ?」

「だって、みさかは能力のせいで猫を怖がらせてしまうからって触るのを我慢しちゃうかもしれない、ううん。我慢してしまうと思うんだよ。だから……」


インデックスに気をつかわれてしまった。
すぐに私の事は気にしないで下さい。とは言うもののこれでは気にしろ、といっているようなものだ。私は自己嫌悪に陥った。


「よくわかんないけどみーちゃんの能力が問題なんだな?」

それなら、と彼は私の頭に右手を置き、猫を私に近づけた。


「みーちゃんの能力がみーちゃんを不幸にさせるっていうなら、そんな幻想はまーくんがぶち殺しちゃうぞー。」

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 18:46:57.09 ID:7ErNcv0Z0
にしし、と悪戯をしようと企む子供のような笑顔で私を見つめてくる彼。

確かに、彼の右手が私に触れているのなら私はこの仔猫に触っても怖がらせることはないかもしれない。


この仔猫を抱いてみたい。


私は恐る恐る猫を受け取り腕の中にいる仔猫を撫でる。怯えていない、それどころか気持ちがよさそうだ。……嬉しかった。

ずっとしてみたいと思っていても諦めていた事を今やっているのだ、興奮しないわけがない。


「ありがとうございます。まーくん」


あくまで表では冷静にしているが心は踊り狂ってしまいそうなほど喜んでいる。決して悟られたくはない、だって恥ずかしいじゃないですか。


「みーちゃんの為ならお安い御用さ」


なんでもないように言う彼。彼はいつもそうだった。私が苦しんでいるとすぐに自分の苦労は考えずに助けてくれる。


「でもこれだとみさかの側に何時もとうまがいないとダメなんだよ」

「みーちゃんとまーくんはずーっとずうーっと一緒に居るから問題ないない!ね?」

 まさかこんなところでプロポーズ紛いのことをされるとは思ってなかった。
私はその提案を丁重に断った。の反対をした。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 18:54:50.32 ID:7ErNcv0Z0
猫を飼うことに決まった以上やらなければいけないことが一つある。

これからこの猫を飼うにあたって最も重要な事といっても過言ではない

そう、『名づけ』である。

互いに考え抜いた至高の名前、与えられる勝者の椅子はただ一つ

譲れない戦いが今、始まる。





「今から、この猫の名前を決めたいと思う」

「うん」

「異論ありません」


寝ている猫を中心に輪を描くように集まり互いを見合う私たち。皆、自分の考えた名前こそこの猫に相応しいと思っていることだろう。
どうすれば自分の案が採用されるのか、互いが互いの出方を見合っている。先手をとることは確かに重要だ。しかし後半に出た案のインパクトに押されその時の感情をうまく思い出せなくなってしまうことがある。しかし私の考えた名前はインパクトは十分にある。最初に名前を教えたとしてその衝撃を最後まで持たせることは可能かもしれない。しかし――


そんな中、インデックスがこの長い沈黙を破った。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 19:01:12.07 ID:7ErNcv0Z0
「私が考えた名前はスフィンクス、だよ」

「スフィンクス、ですか」


スフィンクスとはエジプトにおいてはネメスと呼ばれる頭巾を付けたファラオの顔とライオンの体を持つ、神聖な存在である。王者の象徴である顎鬚をつけ、敵を打破する力、あるいは王または神を守護するシンボルとされている。古王国時代には既に存在し、神格化したファラオと百獣の王であるライオンを重ね合わせたものと考えられている。
スフィンクスの種類には複数あり、男性も女性もいる。動物や鳥の頭部を持つものも見受けられる。
最も有名で大きなスフィンクス像は、古王国時代のギザの大スフィンクスである中王国降は――(wikipedia参照、以下略)
であり、雄々しくもありそれと同時に守護者としての強い風格も感じる名前である。


「悪くない、と言っておこうか」

「なかなかやりますね。では次は私が、」

勝った。ほくそ笑む私。確かにスフィンクスという名前は雄々しく格好がいい。そこは認めよう。
だがしかし、彼女は重要なことを忘れている。
この国はどこだ?――そう、日本国である。
ならばそこに住む我々が与える名前が横文字であっていいのか?
断じて否である。もう一度言う。断じて否である。
それに加え彼女の考えはユーモアに欠けるところがある。それでは人の心は動かせない。
日本らしくそれでいてユーモアも入れる、我ながら完璧な名前である。

その名前とは――


「いぬ、というのはどうでしょう」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 19:08:24.70 ID:7ErNcv0Z0
「……いぬ、だと! 馬鹿な!?」

「そうだよみさか! だって猫だもん!!」


やはりきたか。

誰かは言うと分かっていたその反論を放つ者に私は問いたい。
なぜ、猫には『いぬ』という名前をつけてはならないのですか、と。


「その考えが古いというのです。それを言うのならインデックス、貴方は目次でなければならない。」

「そんなの屁理屈なんだよ!」

「いいえ、これが屁理屈ならあなたのスフィンクスだって『それ、スフィンクスじゃなくて猫じゃん。何言ってんの』という非常に苛立たしい一言で論破できてしまいますよ?」

「ううー! とうま、次行って!!」


逃げたか、まぁいい。これで残るはあと一人。あの常識のない彼の事である、まともな名前は思いつくまい、――私の勝利は近い。


「よし、最後は俺だな。俺が考えたのはだな。まず、」

「もったいぶらずに早く言ってください」

「そうだよ。早くするんだよ」

「わーったよ! 言えばいんだろ言えば!!」

「分かっているなら初めからそうして欲しいものです」

「まったくの同感なんだよ」




「大五郎」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 19:16:48.92 ID:7ErNcv0Z0
「は?」」


私とインデックスの声が被った。


「だから、大五郎だよ」

「この愛らしい猫の名前が、ですか?」


嘘であってくれ。という願いを込めて問いかける私。しかし答えは無情であった。


「この愛らしい猫の名前が、大五郎だ」

「この小さく柔らかい猫も?」


彼女もわずかな希望を信じて問うたのだろう。彼女の瞳はひのきのぼうで魔王と戦う覚悟を決めた戦士のような色をしていた。
ようするに、怯えていた。


「大五郎だ」


やはりこの世には救いなど存在しないのだろうか、いや、まだである。突然に私とインデックスの耳が幻聴を捉え始めたのかもしれない。

自らの耳を疑うべきか彼の頭を心配するべきか、答えはすぐに出た。


私はインデックスと目を合わせため息をつく。そしてまたもや同時に言い放つ。

だめだこいつ、はやくなんとかしないと――
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 19:30:53.58 ID:7ErNcv0Z0
夕食を終えた私たちは団欒していた。

結論はスフィンクス、ということで落ち着いた。

あの後、イヌという名前では初めて聞く人が混乱してしまう。やお馬鹿さんのとうまの頭も混乱してしまう。という意見を受けたので渋々スフィンクスにする、ということに合意した。



いい名前だと思うんだけどなぁ、イヌ。











今日はここまでです。予想以上に進まない……今まで普通にSS見てたけどこんなに大変なもんだったのか。一気に30レスくらいしたいのに結構書いたと思ってても10レス程度だったり、難しいです。

あと、途中で気付いたんですけど御坂妹の付けた名前は『イヌ』でしたっけ?すいません。間違えたと思います。

っていうか見てる人いるのかな?批判でもなんでもいいからレスして貰えると嬉しいです。

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/22(水) 21:17:01.33 ID:RJW9cKfM0
いぬだった気がする。


微笑ましいんだけどこれはダークな話が入るな……
期待
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 19:07:26.53 ID:zu0i/RRDO
>>1
見ているぞ〜<●> <●>
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:07:03.23 ID:TOV9XYG80
彼の寮へ来てから数週間時が経ち、また、朝がやってきた。

今日は寝過ぎたのか、身体が少し気だるい。

時計をみると案の定、短い針が頂点を指していた。昨日は確か日付けがかわる前には寝ていたはずなので半日以上寝ていたことになる。

ベッドを出て冷蔵庫から最近健康にいいと聞いた緑茶を取り出して口に含む。緑茶に含まれるカテキンは美容にも効く、とも聞いたことを思い出し更にもう一度口をつける。

お茶を飲んだことで今まで忘れていた空腹感が一気に押し寄せてきた。それも当然である、昨日の夜から何も食べていないのだ。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:09:47.37 ID:TOV9XYG80
「あ、みーちゃん起きたんだ」

「ええ、少し寝すぎたようです。学校はどうしたのですか」

「今日は日曜日だから学校はお休み」

「日曜日……そうでした、日曜日はお休みでしたね」

「今更何言ってるの、まーちゃん。今までずっとそうだったでしょ」

「その通りです。ずうっと……そうでした」


ずっと。何気ない一言が心を抉る。その痛みを無視するように彼に話しかける。


「それなら制服を着て何処に行っていたと言うのですか?」

「学校だよ」

「先程学校はお休みだ、と行ったばかりではないですか」

「高校には補修という制度があってね……」

「それは分かります。つまり、まーくんは馬鹿なのですね」

「うっ、そんなはっきり言わないでよ……」

「知ってはいましたがそこまでとは思いませんでした……」


そう、彼は馬鹿なのだった。だが平日の放課後に補習、というのは今までにも何度かあったが流石に休日にさえ学校へ駆り出されるほどではなかったはずである。


「今回の補修は一昨日学校へ行く途中に出会った御婆ちゃんが重そうな荷物を持ってたもんだからつい…… でも!補修だけじゃなくて担任の子萌って先生に今日一日インデックスとスフィンクスの面倒を見てくれるよう頼んできたんだよ!」

「ほう、それは何故ですか」

「だって折角の休みなんだしみーちゃんと何処か出掛けたいなー、と」

「それは、本当ですかっ!?」


嬉しくない。といったら嘘である。しかしまんまと餌に食いついてしまった感もあり、少し恥ずかしい。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:22:25.13 ID:TOV9XYG80
「みーちゃんに嘘はつかないって!」


この顔が嘘を言っている奴の顔に見えるか、と言わんばかりに真っ直ぐに私を見つめる彼。

私は咄嗟に顔を背けた。そんな純粋で素直な瞳に見つめられたら目を逸らさずに居られる程私は綺麗に生きていない。

目を逸らしたまま、信じますよ。と私は言った。




インデックスを起こし、昼食を終え、インデックスとスフィンクスを子萌、と言う先生の家に送り出す。

インデックス今までも何度か彼女の家に行ったことがあるらしく、意気揚々と出て行った。

二人になった私たちは出掛ける準備を始めた。準備といっても大したことはしないので直ぐにそれも終わり外へと飛び出す。

勢いよく学生寮を出たところまでは良かった。だが彼にどこに行くのですか?と問いかけると彼はうっ、と言葉を詰まらせる。

そんなことだろうと思っていた私は何をするでもなくじっと彼が考え付くのを待った。


少しの間が空き彼は映画館はどうでせう?と言った。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:25:27.95 ID:TOV9XYG80
映画館へ着いた。休日だからか映画館にはそれなりの人がおり、券を買おうと多くの人たちが受付に並んでいる。列の最後尾に着くと彼が話しかけてくる。


「いっぱい映画やってるけど何見よっか?」

「そうですね、まーくんは何か見たいものありますか?」

「俺はそうだな、『復活!正義の味方昆虫ライダー!!』かな」

「なんですかその映画、正義の味方の顔がバッタじゃないですか」

「バッタでもいいじゃん!! かっこいいじゃん!! じゃあみーちゃんは何が見たいの?」

「そうですね私は……あ、これは面白そうです」

「えっと、嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん?面白いの、これ」

「良さそうじゃないですか。それにみーくんとまーちゃんなんて私達に凄いそっくりじゃないですか?」

「……ホントだ! みーちゃんこれ観よう!」


そうしましょうか。と言い、私たちはようやく回ってきた受け付けで券を購入する。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:27:39.04 ID:TOV9XYG80
―――――――

映画を見終えた私達は近くの喫茶店へ行ったり彼の財布の都合も考えた結果のウィンドウショッピングをしたり。

只々楽しかった。私がこんなにも幸せでいていいのだろうか、と不安になる。

そんな心配を胸に抱いたまま彼と帰り道を進む。


「それにしても映画はなかなか面白かったですね」

「まさかの展開だったね。 いい意味で裏切られたよ……」

「あと印象に残ったのは後ろで『超意外です!』とか『ちゃんと見てるんですか? 超馬面の癖に』とか言っていた女の子でしょうか」

「あの子は凄かったね……でもあんなに騒いでたのに最後の方は静かになってたし多分寝ちゃってたんじゃないかなぁ」

「そうかもしれないですね。 一緒に見ていた馬面さんが不憫でした」

「女の子と映画を見れたって考えれば馬面さんもそのくらい役得だよ」

「男の人はなんてそんなものでしょうか」

「男の人はなんてそんなものです」

自信満々に言う彼に不覚にも少し笑ってしまった。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:36:13.70 ID:TOV9XYG80
「今日はとても楽しかったです。それにこんなものも買って頂いて……」


私は先ほど彼に買ってもらったハートのネックレスを申し訳なさそうに見る。


「いいんだよ。だってみーちゃんすっごく似合ってるんだもん」

「本当ですか? もし本当なら嬉しいです。それだけでなく色々なところまで連れて行ってもらって嬉しいです」

「ほんとに?良かったー。こんな連れ回してみーちゃんに詰まらないなんて言われたらどうしようかと思ったよ」


ほっ、安心した様に息を吐く彼。そんな彼が可愛くて、つい嘘をつく。

「でも楽しかったって言うのは嘘です」

「ええ!? 嘘だったの?」

「はい。嘘だったのは嘘なので嘘は本当だった、という事になります」

「嘘が本当で嘘なのに本当??全然分からないよっ!みーちゃん!」


騒ぎながら道を歩いてゆく二人。


勿論その光景を見ていた人物がいたことなど知る由もない。

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/09(土) 20:41:22.90 ID:TOV9XYG80
書き込みが二週間も空いてしまってすいません……

しかも結構書いたと思っても全然少なかったり…誰か会話の書き方教えてくださいorz
今日からはもっとぐいぐい書いていきますんでどーぞよろしくお願いします。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 22:20:00.19 ID:UKlEg+8no
ここで相談してみたら?
SS製作者総合スレ8
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309883914/
46 :>>45サンクス [saga]:2011/07/11(月) 22:49:33.66 ID:0KSoT6WT0
「ふーっ、やっと着いたね。みーちゃん」

「今日は色々な場所歩いて行ったので疲れてしまいましたよ」


ようやく寮へと帰宅した私達。靴がないのでインデックスが未だ帰ってきていない事が分かった。


「インデックスの奴、まだ子萌先生の家にいるのか。迷惑掛けてなきゃいいんだけど」

「彼女もそこまで子どもではありませんよ。……きっと」

「説得力無いよ、みーちゃん」

「い、いいのですよ! インデックスもがんばっているんですから」

「そうだといいんだけどねー」

「それにしても、やっぱり帰ってくるの遅いな。もう暗くなってきたし迎えに行った方がいいのかな」

「そうしましょうか」


そんな話をしているとふと玄関が開いた。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 22:52:29.22 ID:0KSoT6WT0
「ただいまなんだよー」

「おう!インデックス!! 丁度迎えに行こうかと思ってたとこなんだ」

「そうだったんだ。今日は事件が有って物騒だからって寮の前まで子萌が車で送ってくれたんだよ」

「子萌先生が車、ね。アクセルに足が届かなそうだけど……」

「とうま、失礼なこと言っちゃダメかも。仮にも先生なんだよ」

「そんな仮にもなんて付けるお前も失礼だと思うぞ」

「それは上げ足をとってるかも!」

「そんなことよりも事件ってなんですか?」


二人の争いが止まるのに相当な時間が掛かりそうなので話しを変えた。先程まで言い争っていたインデックスが、そうそう、その話なんだよ。全く、とうまはこれだから……と言うと負けじと彼も何だと!?これで再び言い争いが始まった。


「二人ともいい加減にしないとバチッとしますよ?」


そう言って手から目で見える程度の電気を放出してみせる。私も怒るのだ、ということをこの二人に分からせなければいけない。

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 22:57:15.93 ID:0KSoT6WT0
「い、いやぁ、インデックスさん? 今日の事件の話がどうしたんでせうか?」

「そ、そう。その話をしようと思っていたところなんだよ」


明らかに急激な対応の変化を見せる二人に笑いを堪えつつもまだ怒っているように見せる私。今の私はどんな演技派女優にだって引けを取らない。嘘ですが。

「それでいいのですよ」

「続けるよ? 私も子萌から聞いた話なんだけど、最近能力者による無能力者狩りが多いらしくてね、学園都市じゃ何時だってそういう事件はあるって聞いたんだけどね。その中でもいつもと違って一際酷いのがあって此処の近くであった事件なんだけど、スキルアウトの人たちがもう何人も襲われてるんだって。」

「襲われた被害者はどうなったのですか?」

「被害者はおそらく感電によるショック?で被害を受けた全員が意識不明になって病院に運ばれてるらしいんだよ。辛うじて全員死んではいないらしいけどまだ気は抜けないって。それと犯人は電撃使いの線が濃いって子萌が言ってたんだよ」

「へぇー。詳しいな」

「へへん。これでも記憶力には自信があるんだよ」

「電撃使いによる無能力者狩り、ですか」


何処かに何か違和感を感じた気がした。それがなんなのかは全くつかめないけれど確かに不穏な予感を私は感じ取った。

そんな私をみて不思議に思ったのかまーくんがこちらの様子をうかがっていた。


「どうかしたの?みーちゃん」

「いえ、なんでもありませんよ」

「? ならいいけど」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:19:35.59 ID:0KSoT6WT0
「それにしても凶悪な犯人だな。まーくんは許せないであります」

「まーくん。下手に首を突っ込んだりして大怪我することになっても私知りませんからね」

「またまたぁ、実はみーちゃんもその犯人が気になってるんでしょ?」

「ええ、まぁ少しは……」

「ほーら、みーちゃんはやっぱり正義の味方なんだ!」

「正義の味方!? ちょっとかっこいいかも」

「そうではなくてですね……」

「みーちゃんかーっこいい!!」

「ああ、もういいです。今日は疲れました」

「色んなとこいったからしょうがないよ」

「二人だけずるいんだよ。今度は私も連れて行って欲しいかも」

「今度、な」

「約束なんだよ」


インデックスと次の外出時には連れていく、という約束を固く誓わされて一日は終わりを迎えた。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:24:35.93 ID:0KSoT6WT0
次の日、私は一人病院へ来ていた。

この場所へ来るのも久方ぶりである。以前の私はここに住み込んでいたのだ。


「久しぶり、だね」


振り返るとそこにはカエルのような顔をした医者が立っていた。見知った顔である。今日は彼に用事があったので丁度よかった、と彼に言葉を返す。


「そうですね、1か月ぶりでしょうか」

「そのくらいだね。どうだい、体の調子は」

「おかげさまで絶好調以上、といっても過言ではありませんね」

「ハッハッハ、ついに御世辞まで覚えたか。全く、君達はどんどん成長していく」

「御世辞ではありませんよ。あなたの腕は他の誰であったとしても並ぶことはおろか足元にすら及ばないでしょうから」


この医者がいなければ私はあの事件の後に命を落としていたであろう。学園都市の闇は私を生み出し私を殺そうとした。そこから救い出してくれた人物内の一人であり今も世話になっている。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:25:55.00 ID:0KSoT6WT0
「そう言ってくれるなら私も嬉しいよ。それで、今日はメンテナンスの日でよかったかい?」

「はい。調子はいいといってもこればかりは此処へ来なければいけないので」

「ふむ、それもそうか。では早速メンテナンス室へ行こうか」


そう言って彼は私に背を向け病院内を歩きだした。私もそれに従い彼の後を付いていく。





「そうだ、彼は元気にしているかね?」


メンテナンスの途中でカエル顔の医者は私に話しかけてきた。


「彼、とは?」

「分かっているだろう。上条君のことだよ」

「ああ、まーくんのことですか」


彼、というのが誰を指していたのかなど、とうに知っていたが、白々しく返す。


「まーくん、ねぇ。随分親しくなっているようだけど?」

「あなたこそ、そこらへんの情報は既に聞いているのでしょう?」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:28:16.32 ID:0KSoT6WT0
これは一本とられた。とカエル顔の医者は愉快そうに笑う。


「君の仲間から話を聞く限りでは楽しくやっているように思えるんだけど、実際どうなんだい?」

「楽しくない。と言ったら嘘になりますけど、なにも心配がないわけではありませんよ」


その言葉を境に空気が重苦しいものへと変わっていくのが良く分かる。



「……やはり、彼は『壊れて』しまったか」

「はい。完全に『壊れて』います」

「本当に残念なことだね」


この医者も彼の事は相当気にかけていたのだろう。続く言葉からも容易にそれが感じ取れた。


「いくら僕と言えども人の内側の傷はそう簡単に直せるものではないからね。どんなに綺麗に表面の傷を治しても内面にある大きな傷が残ってしまっては意味がない。悔しいね。僕が直すことができない唯一の傷と言っていいかもしれない」

「いえ、あなたは十分彼を傷を癒してくれました。後は、私が彼の傷を覆います」

「……覆うだけでは、傷の治療とは言えないよ」

「ではどうしろというのですか!? 私には他に何もすることが出来ない!!」


知ったような顔で言う医者につい怒鳴り散らしてしまった。この医者は彼のために最善を尽くしてくれたことは分かっている。もしかしたら私なんかよりも彼の事をよく理解しているのかもしれない。


「誰であっても、どうする事も出来ないのかもね。彼女さえ生きていれば話は違っていたかもしれないけど」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:34:05.17 ID:0KSoT6WT0
「彼女は死んだ。だから今は私がいるのです」

「そうだったね。しかしそれはとても辛いことだ。君はそれでいいのかい?」

「自分で決めたことです。引き返すつもりはありません」

「君がそういうのなら私はもう何も言わないよ」



しばらく無言の空間が続く。いつしかメンテナンスは終了していた。私はカエル顔の医者に礼を告げて治療室を出た。

「まーくんを守るのは私、です」






病院での用は既に済んだため彼とインデックスの待っているであろう寮へと帰ろうと病院内の通路を歩いていると前方から騒々しく誰かが担架で運び込まれて来る。

良く見てみると見覚えのあるツンツンとした黒髪の少年。そう、彼だった。

彼を運んでいる看護婦が周囲に必死に呼びかけている。


「通路を空けてください。要治療患者です! 通して下さい!!」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:38:00.51 ID:0KSoT6WT0
急いで駆け寄る私。分かりにくいが彼の体にはいくつも殴打されたような傷があり、刃物で切り付けられたであろう傷も多数見られた。かなりの重症である。たった1つの救いは彼が意識を失っている事だろう。もし意識があったのならば、ものすごい痛みに襲われていたであろうことは想像するに容易かった。


「すいません。この人の知り合いですが、何故こんなことになっているのでしょうか」

「お知り合いの方ですか!? 詳しい情報は分かりませんが警備員の方に通報があって現場へ到着した警備員の一人が彼を発見した時には既に意識を失っていて傷も多数見られる、ということで輸送されてきたのです。今は一刻を争うので失礼ですが話は後でお願いします!」


そういって彼を運んでいた看護婦達は彼とともに集中治療室の中へ飛び込んで行った。

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/07/11(月) 23:39:19.03 ID:0KSoT6WT0
今日はここまでです。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 20:54:01.73 ID:Ayau2b9bo
みてるぜ
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/16(土) 17:24:06.02 ID:MqDEcvbX0
>>56そう言って貰えるとやる気が出てきます!!
ペースあげると言って置いて悪いのですが週末は投下できないかもしれません。申し訳ないです。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/19(火) 11:33:38.43 ID:JYC1uxHAO
みーまーは一巻しか持ってないけど面白い
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/12(水) 17:52:50.73 ID:nz2wSzz+o
みてるぜ
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