銀「黒が好き」　滝壺「そんな銀を私は応援してる」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:31:56.00 ID:j5EEjjjh0

ご存知の方は少ないかもしれませんが『Darker Than Black』というマイナーな作品と
『禁書』のクロスオーバーです。


お目汚しですが、第二期を見てどうしても書きたくなり、投稿させていただきました。

時期は第一期の終了後、外伝の間です。

なお、下記の事項にご了承頂けない方はブラウザの戻るをクリックしてください。


１．原作のキャラクターが死ぬことに耐えられない方
２．特定のカップリングのみしか受け入れることができない方
３．流血等の残酷な描写を苦手とする方
４．特定のキャラクターの扱いが悪いことが許せない方
５．黒と銀のカップリングを認められない方


以上を踏まえたうえでスクロールしてください。

1.5 ：荒巻＠管理人★(お知らせ) [Twitter]： ID:???

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少し暑くて少し寒くて ＠ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 ＠ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 ＠ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 ＠ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする（´；ω；｀）part56 ばばあ化気味 ＠ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 ＠ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ ＠ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 ＠ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:34:06.91 ID:j5EEjjjh0

　この世界の夜空が全て偽りとなる少し前に、日本のある一部を開拓して
『学園都市』と呼ばれる都市が生み出された。そして、その大半は特殊な
能力を持った学生たちに占められることとなった。『能力者』と呼ばれる
人間だ。その強弱に差があるものの、虚空から雷を産出す、炎を産出す、
空間を移動する、肉体を変形させる等様々な能力を備えた子供たちが
学園都市にはいる。まるで、ファンタジーの博物館だと言わんばかりに。

　しかし、学園都市の内部事情はそんな穏やかなものではない。
どんな独裁国家よりも閉鎖的であり、外部への情報流出を許さない。
誰もが、その戦力を欲するが故に。


『超能力者が支配する町。学園都市。その最上位となると国家規模の戦力となる』


　そんな兵器の塊が住む、学園都市が誕生した後に、この世界の
全ての空は偽りの夜空となり、『契約者』と呼ばれる『感情を失い、
特定の対価を引き換えに特殊な能力を身に付けた者たち』が姿を現し、
世界を震撼させ、『南米』『東京』に『門』と呼ばれる絶対封鎖地域が誕生した。


　異能を持つ者たちが世界の裏を操り、無知な者達は仮初の平穏を貪る。
そんな中で、各勢力を司る者たちが徐々に終末へと向けて動き出した。


　学園都市統括理事長『アレイスター・クロウリー』


　古来より存在した『魔術』を司る各勢力の上位者達


　そして、『契約者』たち。



　各々はただ流されるままに、物語の終着点に向かって進んでいく。


　沢山の星と血を流しながら。



　全ての元凶である『幻想殺し』を巡って。


　この物語は『イレギュラー』によって構成されている。
定められたレールの上をただ進むだけの駒たちが場外に落ちて踊り始めるイレギュラー。


　故にこの物語は最もイレギュラーな人物から始まる。


　その名を『浜面仕上』という。

3 ：ID:Fs9J18yb0 ：2011/06/19(日) 18:35:43.05 ID:++RGwHZAO

そんなアナタにスレ汚しｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

けど出来たらみんなにも無視して欲しい
後名無しNIPPER君よ、君に書ける大作なんて無いからねｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ俺は出来る！！とか思って
立てたんだろうけど、君に書けるなら世界のみんな大作書けるからｗｗｗｗｗｗｗｗ
小学生でも君より良い作文書けるんじゃ無いのかなｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗそこのスレの人が気分悪くしてんだよ気持ち悪い
自治中心的な糞餓鬼がギャーギャー喚いてんじゃねえよ栃木さん（笑）
レスすんな構ってちゃん（笑）
偉そうにって言ってるけどお前の方が偉そうだよな（笑）
そんなに君は偉い立場なのかな（笑）そんなに上からギャーギャー言える立場なのかな？（笑）
迷惑かけてないって言ってるけど、レスしたスレもう一回行って見たら？
気持ち悪いとか、もうくんなとか言われてるんじゃないのかな（笑）
あっ、見ても書き込まないでね気持ち悪いから、君は迷惑かけてるから（笑）
本当は構って欲しかったんだよね（笑）自分にレスして欲しかったんだよね（笑）
『俺に指図すんな』一匹狼（笑）お疲れさん（笑）
黙れよ屑が、もう二度とレスすんなよ？お前のせいで色んなス

4 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:36:11.72 ID:j5EEjjjh0

Part 1. I don’t know what to do but to live my life.



『兄さん。ご飯できたって』
『ん、今行く』
『お兄ちゃん遅い！』
『悪い』


　五人家族。両親と弟と妹と自分。自分が一番上だから、しっかりしないといけない。
そう思って、そう言われて、我武者羅に努力した。運動神経の良さならそう簡単に
負けない自信があった。何でもできる弟に負けたくなかったということもあるのかも
しれない。我ながら仲のいい兄弟だったと思う。


　なのに、どうして家族がバラバラになった時にあまり悲しいとは思わなかった？


　『契約者』になった弟と妹を見て最初どう思った？


　『超能力者』を産出す『学園都市』の技術なら『契約者』を『人間』に
できるかもしれない。そんな噂を聞いてすぐに飛び出した。


　でも、結局何も見つからなかった。



『待ってるから、行ってらっしゃい』
『気を付けてね。兄さん』

　行く前に聞いたその言葉は結局嘘となってしまったのに、未だに忘れられずに
覚えている。契約者にも心はあった。表面に出難くなってしまっただけで。
ちゃんと、そこにあった。それをその時まで気付こうとしなかった自分が許せなかった。


　だから、ちゃんと用事が終わったら帰ろうと思った。


　帰って謝らないと。


　なのに何故、今もこの掃き溜めのような街にいる？


　何故、こんなにも堕ちた？


　何故？決まってる。もう、家には誰もいないから。


　誰も居ない。何もない。だから、もう家には帰りたくない。



「浜面。起きろ時間だ」
「ああ、分かったって」

　ほぼ毎晩、浜面仕上は同じ夢を見る。まだ、自分に家族がいた頃の夢を。
そして、噛み締める自分が救いようのない屑であることを。

「また、いつもの夢か？」
「まあな」

5 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:37:27.96 ID:j5EEjjjh0

　長い付き合いなのに、浜面は未だこの友人の名をよく知らない。『半蔵』と呼ばれているし、呼んでいるが、フルネームではないだろうし、本名の可能性も低い。別に重要なことでもないと浜面はふと浮かんだ疑問を振り払った。寝起きはいつもそうだ。頭の悪い自分が妙にセンチメンタルになる。たぶん、いつまで経っても慣れない夢のせいだ。

「行ってくる」
「大丈夫か？」
「なんでもねぇ」

　高級車を盗んでブローカーに渡す。それだけの簡単な仕事。下っ端がやっても問題ないが、ただ単純に自分の仕事が早いから任されているだけだ。ピッキングで車のロックを解除するのに、約10秒、エンジンがかかるまで約15秒。30秒以内に車を動かすことがこの仕事のコツだ。1,2,3,4,5,6,7台。今日のノルマは達成。

「ああ、畜生！」

　今日はどうかしていると浜面はハンドルに頭突きをした。クラッションが騒音となって響く、周囲から視線が集まるが知ったことではない。ガンッ、ガンッと繰り返しハンドルに頭をぶつける。

「なんで、今更」

　覚えている。

　生真面目で優しかった弟の事を。

　映画監督になりたかった妹の事を。

　コツコツと自分たちのために働いてくれていた両親の事を。

「ちくしょう！ちくしょう！」

　適当に煙草を吸うなり、酒を飲むなりすれば忘れられるようなモノじゃなかった。普段なら全く気にすることなどない。不良、この町ではスキルアウトと呼ばれるチンピラらしく、無意味に、怠惰に、自堕落的に生きていれば楽に済む。今日に限って浜面にはそれができないだけで。

6 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:39:25.85 ID:j5EEjjjh0

「……っ」

　歯を食いしばりアクセルを踏み込む、ハンドルを切り、高速に乗り、
最高速度まで車を走らせる。窓を全開にして、風が車内に吹き荒れるようにする。
金色に染めた髪がバサバサと音を立てる。声を張り上げて叫ぶ。それも風に搔き消される。


　そのまま浜面はガソリンが尽きるまで車を走らせた。


　動かなくなった車をどうかするのが煩わしく、浜面は目の前にあった古びた映画館に
足を踏み入れた。ビールを買い込み、適当な席に座り、ボンヤリと何も映っていない
スクリーンを眺める。誰も居ない映画館にいると不思議と心が落ち着き始めていた。

「超珍しいですね。この映画館に私以外の誰か来るなんて」

　そんな声を掛けられ、浜面が振り向いた先に居たのはニットセーターにかなり
際どい永さのスカートを履いた少女だった。ボブカットのその顔にはまだ幼い色が
濃く残っている。

「そんな人気無いのか、ココ？」

「基本的に超B級かC級しか上映してませんからね」

「へえ」

「そんなことも知らずに来たんですか」

「なんとなく来ただけだ」

「超変なヒトですね。まさか、私を狙って！？」

「そんな趣味ねぇよ！？」

「その顔して言いますか？」

「どんな顔だ、コラ。初対面の人間に対して最低限のマナー位守れよ」

「チンピラに超言われたくありません」

「……チンピラか」

「どう見ても超下っ端のチンピラです」

「はっ、だろうな」


「で、そんな超下っ端がこの超マニア向けの映画館に何の用ですか？」

「そりゃあ、映画館じゃ、映画見るだろ普通」

「ふむ、超納得しませんが、もう始めるのでそういうことにしておきましょう」

　その後、二人の間に会話はなく、席も少し離れたところで映画を眺める。
陳腐なヤクザもののストーリーだった。用心棒である主人公が少しその場を
離れた間に護衛対象が殺されてしまう。その復讐を誓う用心棒だが、相手側
の組長の娘に恋してしまう。想定外だったのはその娘がヤンデレ化して
用心棒を最後に食べてしまることくらいだろう。

7 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:40:17.16 ID:j5EEjjjh0

「だあっー、超ハズレです」

「そうだな」

　元々期待などしていないがこれは酷いと浜面ですら思った。

「でも、頑張って作ったんだろうなこんな映画でも」

　誰も笑わないようなこんなストーリーでも演じている側は精一杯だったの
だろうと浜面は苦笑した。こんなストーリーにも始まりがあって、終わりがあるのだから。

「超下っ端が良いこと言うじゃないですか」

「俺は下っ端確定かよ」

「下っ端じゃないです。超下っ端です」

「マジで失礼だなこのチビガキ」

「レディに向かって失礼な」

　腰に手を当てて、少女は浜面を睨みつけた。

「私には絹旗最愛って名前があるんです」

「そっか、悪かった」

　ボリボリと頭を掻きながら、浜面は謝罪した。そして、特に振り返ることも無く、映画館の出口へと足を向けた。

「んじゃ、またな」

「……はい、また」

8 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:41:13.35 ID:j5EEjjjh0

　古びた映画館を出た頃にはもう日が暮れていた。上を見上げれば
偽りの夜空が見える。星が煌々と輝いている。あの星が『契約者』の
命そのものであることを知る者は少ない。


　『契約者』に関する情報を知ったものは基本的にその記憶を消されるからだ。


　だが、浜面仕上は知っている。この夜空の真相を。


　セブンスターが不味い。ニコチンが不味い。今日は本当にらしくないと浜面は首を振った。


　そして、浜面仕上は目撃する。


　　遭遇する。


　望まなくとも彼の運命を狂わす最初の歯車に。


　かつてまで家族と暮らしていた頃、傍に住んでいた『李舜生』という懐かしい留学生を。


　その横に寄り添う様に歩く、銀色の喪服姿の少女を。


　こうして、イレギュラーは介入する。

9 ：loss [saga]：2011/06/19(日) 18:42:26.03 ID:j5EEjjjh0

今日はここまでです。

途中であまりにも心の無い感想があったのですが、こういう場合は投稿を控えるべきなのでしょうか？

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]：2011/06/19(日) 18:46:34.89 ID:L208w8tAO

>>9
大丈夫だ、問題ない。
アレは 禁書スレを巡回してるだけだから、気にしないほうが良いよ

11 ：名無しNIPPER [sage]：2011/06/19(日) 18:52:21.87 ID:MhNV1RyDO

乙
DTBは解釈難しい作品だけど期待してる。
あと書き込みに関しては禁書スレには時々あることだから気にしないでいんじゃね。

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2011/06/19(日) 19:14:59.64 ID:Ep9rs9BDO

期待あげ

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2011/06/19(日) 19:56:06.28 ID:zVezxtIt0

>>9
問題ない。このクロス、李と黒の書き分けが難しいだけに、期待。

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]：2011/06/19(日) 20:17:41.83 ID:V+Zvvg+R0

銀とか黒とか言うから
シルバークロース×黒夜だと思ったじゃねえか乙

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2011/06/19(日) 21:40:58.55 ID:HJD3aoXDO

>>1のＩＤ凄いな
あと、ダーカーは一時期流行ってたしマイナーでもなくね？

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage　saga]：2011/06/19(日) 22:38:05.06 ID:rg5bBupP0

ＤＴＢ面白いよな
二期見てみようかな

17 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]：2011/06/20(月) 01:37:35.26 ID:UgaX6jf5o

DTBってマイナーでもなんでもなくね？
そんな>>1を私は応援してる。

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2011/06/20(月) 14:10:19.09 ID:mjOByLHC0

蘇芳ちゃんでないの？

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2011/06/20(月) 20:11:36.06 ID:9xnqV5IWo

二期の評判よくないから敬遠してるんだけど
一期は面白かった

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]：2011/06/21(火) 08:46:04.96 ID:VKfUobfoo

いろいろ言われてるが２期も好きだな、俺は
蘇芳とジュライが可愛い

21 ：名無しNIPPER [sage]：2011/06/21(火) 14:30:10.64 ID:5oDYyBkDO

二期も嫌いじゃないんだけど一期の方がキレイにまとまってた感じがあるな。

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2011/06/21(火) 15:39:11.23 ID:o9sTWF0/o

二期までやったＤＴＢをマイナーな作品と表現するのはちょっとおかしいだろ
そんな形容詞いらないことは少しでも考えたらわかることだ

23 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:17:23.31 ID:oHhFULTO0

皆様たくさんの書き込みありがとうございました。
本編投稿します

24 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:21:23.99 ID:oHhFULTO0

浜面仕上、正確には浜面家にとって、『李舜生』という留学生は恩人だった。


どこから紛れ込んだのか、道端を徘徊していた野良犬に妹が襲われた時に
助けてくれたのが、その場を通り過ぎた李舜生だった。


浜面とはすれ違った時に挨拶をする程度の関係だったが、浜面は妹が淡い恋心を
李舜生に対して抱いていたのをよく知っていた。会えた日にはとても嬉しそうに
話すのだ。本当に幸せそうな笑顔で。


妹は時折、大量の料理を作っては差し入れに持って行っていた。恐らく十人前近く
あったソレを豪快に、そしてかなり余裕を持って食い尽くす中国人学生の姿は
中々壮観だった。あの細い体にどうやってあれだけの食料が消えていくのが不思議だった。


そして、近隣のタバコ屋の銀髪の看板娘。名前を訊ねたことはなかったが、
北欧系の容姿に人形の様な美貌は近所ではちょっとした噂になっていた。
妹が時折、店を訪れ彼女と話をしていたのを浜面はよく覚えている。


綺麗な女性だった。ただ、彼女が自分より年上だったと聞いて驚いた。
妹から見れば恋のライバルだったらしい。何故か、よく李舜生の部屋の
近くで見かけたとか。

25 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:24:59.49 ID:oHhFULTO0

　繰り返し見る懐かしい悪夢が、いつもより鮮明だったのはこの出会いを
暗示していたのか、浜面は左を大きく振りながら、少し離れた歩道にいる人物に声を掛けた。


「李さん！」


　まるで、弾かれたように緑色の若干くたびれたコートを着た人物は
振り向き、しっかりと隣を歩く銀髪の女性を抱き寄せ、鋭い眼光で浜面を睨みつけた。

「…誰だ？」

　そのあまりの鋭さに浜面は鳥肌がたった。浜面の知る李舜生という学生は
どこか天然でいつも優しげな笑顔を浮かべている青年だった。なのに、
目の前にいる人物は誰だ。本物の殺し屋にでも出くわした様な錯覚に陥る。

「あの浜面です。ほら、よく飯作りに行ってた『実美』の兄の仕上っす」

「…仕上君？」

「そうっすよ」

あまりの威圧感に浜面は下っ端だったころの昔の口調に戻ってしまった。
それと同時に何故か、自分がまだまともだった頃を知っている人物がいて
くれたことがたまらなく嬉しかった。

「どうしてこんな所に？」

　殺気立っていた雰囲気が消え、浜面が知っている李舜生の顔に戻った。

　どうしてこんな所にいるのか。それは家に誰も居ないから。

　だが、それは別にここに留まる理由にはならない。


　ここは想像以上に危険な町。兵器が学生として徘徊する町。

「…家族を探しに」

　そんな言葉が口から洩れていた。それとも、それが本音だったのかもしれない。
ひょっとしたらここにいれば会えるんじゃないかとどこかで思っているのかもしれない。
そんな想いに浜面は囚われた。妙にノスタルジックな気分だった。

26 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:26:45.49 ID:oHhFULTO0

「みんなバラバラになって、今どこにいるか分からなくて」

「…そうですか」

「…李さんはどうしてこんなところに？それにその人は確かたばこ屋の？」

「ええ、まあ、色々ありまして」

　困ったような曖昧な苦笑いでポリポリと頭を掻く李舜生の姿は浜面が知る当時のままだった。表情豊かな李舜生とは正反対に隣に物静かに佇む銀色の髪の女性は無表情。だが、怒りや感じの悪い無表情ではなく、どこか落ち着きのある無表情。静かな水面を思わせる。

「黒」

　そんな彼女の唇が僅かに開かれ、浜面にとって『黒』という聞き覚えの無い単語を口にした。


「大丈夫」


　淡々と言葉は紡がれるスッと彼女が伸ばした指先ははっきりと浜面を差していた。

「…銀？」

「この人は大丈夫」

「…本当だな？」

　コクリと『銀』と呼ばれた銀髪の少女は頷いた。どこか半分諦めた様に首を振ると李舜生は浜面に向き直った。

「仕上君。ホテル以外でこの辺りにどこか泊まれる場所はありますか？」

「ボロいけど、すぐに借りれる部屋ならある」

「それでお願いします」

27 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:42:44.87 ID:oHhFULTO0

　学園都市の技術は最先端のものが常に使用されており、警備システムももちろん、
その例外ではない。防犯カメラなどの設備をなるべく備えていない施設を探したく
とも、学園都市の情報を有していない者にとって、それは非常に困難だ。


　逆に学園都市の裏路地を知り尽くしている『スキルアウト』浜面仕上にとって
隠れ場所を用意する等朝飯前だ。家族の恩人が相手となれば、それなりの気合が
入るというものだ。

「十畳、バスルーム付きで一月４万」

　浜面が二人に提供した部屋は古び、所々解れが目立つものの、かつては
綺麗であったなごりを残していた。窓は裏通りに面しており、入り口も表通り
からは外れている。まさに隠れ家としては理想の物件だろう。

「ありがとうございます」

　周りを見渡しながら、李舜生は礼を述べた。

「あと、何かできることがあれば何でも言ってくれ」

　いつもの調子に戻りつつある浜面はドンッと胸を叩いた。
その顔はまさにドヤ顔と呼ぶのにふさわしいもの。

「そうですね。この都市に関してよく知りたいです」

　人の好い笑顔で李舜生は答えた。だが、それに対して浜面にしては
難しい表情でこう応じた。

28 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:44:26.82 ID:oHhFULTO0

「それは『表』も『裏』ってことでいいのか？」

「……ああ」

　ガラリと互いの雰囲気が変わる。裏路地で生きる者と戦場で生きる者に通じる何かがあったのか、浜面は自分が『李舜生』として知っている人物が複雑な事情を抱えていることを察していた。

「ん、わかった」

　若干、悲しげな表情で浜面は『李舜生』と向き合った。

「どんな情報が欲しいのか分からねぇけど、いい場所がある」

そして、浜面らしい爆弾発言を落とした。




『なあ、李さん。アンタはホストのバイトできるか？』




　美人相手だし、いけるかと。キスまでらしいしな、浜面がこの言葉を発した後に銀の視線が無表情のまま、険しくなったことに誰も気付かない。


　感情を抱くはずの無いドールが、銀が抱いたその感情の名は



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『嫉妬と不安』



　物語のイレギュラーである『浜面仕上』はいきなり竜の逆鱗に触れてしまった。

29 ：loss [saga]：2011/06/22(水) 03:49:38.68 ID:oHhFULTO0

今日はここまでです。


次回


あの天然ジゴロである『李舜生』こと『リーさん』がリアルホストをやります。


それを見た銀ちゃんは………


ついでに客として訪れてほしい人のリクエストがあれば本編かおまけでお応えしたいので

安価で　>>35 お願いします

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2011/06/22(水) 05:06:37.53 ID:UgjoEnvy0

>>1　乙
待ってたのである。

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2011/06/22(水) 07:28:49.40 ID:Exxv8AISo

ＤＴＢとか俺得
期待して舞ってる

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]：2011/06/22(水) 09:06:06.98 ID:MlgINSfAO

>>14あれ、俺が居る

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2011/06/22(水) 13:26:38.40 ID:6UUNpaFAo

DTBがマイナーって、バスカッシュおちょくってんの？

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2011/06/22(水) 14:39:22.45 ID:8YbeZohh0

>33 あれはマクロスの監督の自己満足

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2011/06/22(水) 19:04:24.64 ID:xWqUX0WDO

乙です

教師三人組 in ホストクラブでお願いします

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2011/06/22(水) 19:39:35.77 ID:UgjoEnvy0

教師というと、
1.ロリ
2.ジャン
3.だれや？

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2011/06/22(水) 21:22:52.69 ID:Exxv8AISo

鉄盾？

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]：2011/06/22(水) 22:25:07.37 ID:OpIv32wAO

鉄装綴里って人じゃない？

39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2011/06/24(金) 17:29:09.35 ID:TdWYvGl10

2期なんて無かった
1期で終わっとけばよかったよなぁDTBは

40 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2011/06/24(金) 20:29:16.44 ID:wcw1IcaL0

そんな2期を応援している。

41 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2011/06/24(金) 21:20:23.74 ID:bhPyfViIO

そういえば外伝はまだ途中までしか見てないんだよな〜
このSSをきっかけにTSUTAYAで借りてこようかね