このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

まどか「名護さんは最高です!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 20:13:25.00 ID:hNhtP7r1o
>>1による初SS

スレタイに名護さんが入ってるけど詳しくは
魔法少女まどか☆マギカ×平成ライダーシリーズのクロスです

ライダー側は本編終了後からそれぞれ2012年に進んだ状態(設定の関係上)

>>1が見てない作品や、既にクロスしているものは出てきません(あと絡ませにくい555)

見てない…龍騎、響鬼、電王

既にクロスしている…アギト、カブト、DCD(VIP)、W&OOO

台本形式と地の文両方ありです

日本語もおかしいこともあるので指摘していただければありがたいです

キャラ崩壊あり

遅筆です。でも一週間に一回はできるように頑張ります

最後に、

名護さんは最高です!
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:08:31.92 ID:A9RjOWcxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421311/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:56.06 ID:9l741hD4o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421275/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:18.78 ID:XCIH42NJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421238/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:42.32 ID:sMr/Yf+to
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421202/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:05.72 ID:A9RjOWcxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421165/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:05:29.13 ID:9l741hD4o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421128/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:04:47.30 ID:XCIH42NJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421087/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:04:05.72 ID:sMr/Yf+to
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421045/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 20:13:54.75 ID:hNhtP7r1o
―また、駄目だった…

「ん…」
病院のベッドで寝ていた少女『暁美ほむら』が目を覚ます。

見慣れた景色。
ほむらが入院している病室。

「また、救えなかった」
彼女は『鹿目まどか』を救うためにいくつもの時間を彷徨ってきた。

鹿目まどかを救えた事は一度もないが…

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/06/19(日) 20:14:08.08 ID:IMI2wc1AO
書きなさーい、やりなさーい
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 20:14:33.80 ID:hNhtP7r1o
前回の時間軸ではインキュベータにまどかを契約されるのは阻止した。
だが、『ワルプルギスの夜』との戦闘の余波に巻き込まれ、まどかは死んでしまった。

「一体何が駄目なの…?」

前回の時間軸でワルプルギスの夜との戦闘までに生き残った魔法少女はほむら一人のみ。

巴マミが生き残ったまま美樹さやかが上条恭介の為に契約。

しかしその後魔法少女の秘密がバレると巴マミが発狂。
それに追い討ちをかけるかのように美樹さやかが魔女化。

巴マミに殺される前に佐倉杏子が巴マミを殺害。
その後、魔女となった美樹さやかと心中。

いつも通りの最悪のパターン。
時間軸によっては美樹さやかが契約する前に
巴マミが死んでいるか否かの違いはあれど、大体同じようなものだった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:15:22.96 ID:hNhtP7r1o
「一体何が駄目なの…?」
彼女は最早両手足では数えきられないほどの時間軸を廻ってきた。

「この世界では必ず救ってみせる」
一番最初に必ず自分にそう言い聞かせる。

そうでもしなければ、自分を支えているものが崩れ落ちてしまいそうな気がして。
実際、彼女を支えているのは『鹿目まどかを助ける』
その気持だけで彼女の心を支えている。

「…」
ほむらはベッドから降りて鏡の前に立ち、
三つ編みをしていた髪をほどき、メガネを外して、
魔翌力を使って目を矯正した。

この行動も既に何回も繰り返している。

「必ず救ってみせるわ、まどか」
誰に言うわけでもなくそう呟き、夜の見滝原に駆け出した
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:16:07.67 ID:hNhtP7r1o
まず、一番最初にこの世界で活動するためにグリーフシードを集めることにした。

今までの統計から、この時期で何処にどのような魔女が現れるかは大体把握していた。
多少のランダム要素はあれど、ほぼ確実だった。

「ここね」
ソウルジェムの反応を追って、魔女の結界を見つけた。

魔法少女に変身し、魔女の結界の中へ飛び込んだ。


――魔女の結界内――

結界の中で銃声が鳴り響く。

(あまり強い魔女ではないわね。特別弱いという訳でもないけど)
できれば弱い魔女と戦って、消費する魔翌力を極力抑えたかった。

それでも十分一人で対処できるレベルだった。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:16:38.04 ID:hNhtP7r1o


ほむらが使い魔を倒しながら進んでいると、結界の入り口に何か反応があった。

(まさか、巴マミ?)
ここで巴マミに会いたくはなかった。
彼女は自分の計画の障害となるものだ。

(ここで出会って変に警戒されると後々面倒なことになる)

だが結界内に入ってきたのは巴マミでもなく他の魔法少女でもなかった。

(男…?)

普通魔女の結界は、魔法少女か、魔法少女と一緒にいた者、
もしくは魔女の結界に閉じ込められたものだけが入ることの出来る場所だ。

そこに普通の人間、ましてや男が入ってくるなどありえない。

男はほむらを見て口を開いた。
「マミちゃんでも杏子ちゃんでもない魔法少女?」

(マミ?杏子?それに魔法少女?どうしてこの男がそのことを知っているの?)

男が口にした言葉について考えていると再び男が口を開いた。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:17:04.69 ID:hNhtP7r1o
「誰だかわからないが魔女を倒すために共に戦ってくれ」

共に戦ってほしいと頼み込んできた。

「無理よ」
ほむらはそう返した。

「グリーフシードなら君に譲ろう。俺には必要のないものだ」

「普通の人間に戦えるほど、魔女は弱くない。だからお断りするわ」

そう、普通の人間にはけっして魔女を倒すことはできない。

「俺は戦士だ。素晴らしき青空の会のな。だから大丈夫だ」

そう言うと男は懐から、何かのハンドルのような、カイザーナックルにも見えるものを取り出した。

右手に持ったハンドルを胸の前で左手に押し付けた。

すると、
『レ・ディ・イ』
と電子音が発せられ、重低音が鳴り響く。
今度は右腕を大きく横に広げ、肘を曲げた状態で再び胸の前に持ってきた。

「変身!」
右手のハンドルを腰に巻いていたベルトに取り付けた。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:17:31.07 ID:hNhtP7r1o
『フィ・ス・ト・オ・ン』
再び電子音が発せられ、ホログラムのようなものが空中に浮かび上がり

それがパワードスーツのようなものに変わり、男の体に装着された。

顔のバイザーのが開かれ、赤い目を持つ、白い戦士が爆現した。

「あなたは…一体…」

何者?そう聞く前に白い戦士が

「その命、神に返しなさい」
拡声機を使って発せられたような声を出した。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/19(日) 20:18:08.85 ID:36kKvdeAO
はやく続きを書きなさい
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/19(日) 20:18:53.55 ID:0RaMVupAO
名護さんはもっと高圧的な物言いだろ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:21:01.34 ID:hNhtP7r1o
とりあえず、最初の投下はここまでにしておきます

ちなみにまどかの方はアニメしか見てないので、マンガの方やその他外伝の設定はwikiでも見ながらやっていきます


>>3そう言ってもらえるとやる気が出ますね。ありがとうございます
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 20:23:20.91 ID:hNhtP7r1o
>>10
自分の執筆速度じゃ一回の投下につき10有るか無いかぐらいです
すいません

>>11
本編終了後なのでかなり性格が丸くなったという設定で 
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/19(日) 20:25:28.64 ID:00KQ2ab1o
誤爆は罪だ、罪は許されない……何て事は言えた義理じゃねぇな
でも確かに「〜くん」の方がそれっぽいかなと思ったり


これからに期待してます、頑張って
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/06/19(日) 20:33:38.91 ID:DQhhtssco
電王と龍騎は見てないのか
クロス的にはやりやすいし暇があったら見ておくといい
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/19(日) 20:35:08.91 ID:00KQ2ab1o
あぁ思い出した。電王は一応あったよ
内容もひどくてすぐ投げ出された奴だけど
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/06/19(日) 21:00:28.83 ID:WfxTzAj2o
マミさんは最高です! 弟子にしてください!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/19(日) 22:17:23.49 ID:YOD+Epwyo
乙ベント!

>>1はクウガは見てないのかな??
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/06/20(月) 16:31:30.31 ID:cpk9wcXAO
龍騎はやりやすそうだが、見てないとは残念。
そしてスレタイが最高です!
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/22(水) 22:09:11.82 ID:Hj8+Xjoko
一週間のうちに10レス以上はSSを進めたいという欲望ォォォォォォ!

というわけで今日も更新しに来ました。

というか、この調子だと、毎週2回は来ることになるかも。

なので、基本は毎週日曜日に更新。目標の10レス未満ならもう一回その週のうちに投下しに来る予定。


あと、見てる作品見てない作品ですが、詳しく書くと、
全話視聴…クウガ、アギト、555、剣、カブト、キバ、W

全話じゃないけどある程度は見た…龍騎(1〜4話、39〜最終話)、DCD(キバ、龍騎、555、シンケン、ブラック、アマゾンの世界以外)

未視聴…響鬼、電王

オーズは終わってないので外してます。

それでは投下開始
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 22:10:12.14 ID:Hj8+Xjoko
そこからは圧倒的だった。

戦士が手に持った銃で使い魔を撃ち抜き、
近づいたものは銃を剣に変形させ、切り払う。

ほむらも負けじど数々の使い魔を倒してゆく。

そしてついに魔女がいる場所までたどり着いた。

「君の魔法はどのようなものなんだ?」
戦士がそうほむらに問いかける。

「教えると思っているの?」
そう返した。そして見せつけるように左腕の盾の中から、新たな銃を取り出した。

「それが君の能力か」

「どんな風に捉えても構わない。ただし邪魔だけはしないで」

「俺も全力で行く。むしろ君が付いてこられるかな?」
男がそういった。

男の挑発に言い返しそうな衝動を抑え前に進んだ。

(この男、勘が鋭そうね。能力を使うのはよした方が良さそうね)

そう思いながら前へ前へと進みついに魔女と対峙した。

(ちゃんとグリーフシードを孕んでそうね)

自作の爆弾を盾から取り出し、ピンを抜こうとすると、戦士がそれを止めた。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 22:10:40.26 ID:Hj8+Xjoko
「何をするの」

「俺にやらせてほしい。見たところ君が使っているのはすべて現代兵器。
 無限にあるという訳ではないのだろう?」

よく見ているとほむらは思った。
たしかにほむらが使うものはすべて自作か盗んできたものだ。

できるだけ物資の消費も抑えるため、ここは任せることにした。

「わかったわ」
そう言ってほむらは引き下がった。

「良い判断だ。65点といったところだな」

訳のわからないことを言われたがほむらは気にしない。

(ここでこの男の戦力を見極めたい。いい戦力になりそうなら計画の一部に組み込もうかしら)

ほむらがそう思っていると戦士は、ベルトの右側についている
笛のようなものを取り出した。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 22:11:13.05 ID:Hj8+Xjoko
「一気に決めさせてもらう!」

それをベルトに挿し込みハンドルを押しこむと
『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』
と電子音が発せられた。

ほむらは戦士の背後にまるで太陽があるかのような錯覚を感じた。

戦士は飛び上がり、上からまっぷたつに魔女を切り裂いた。

魔女が爆発し、魔女のいなくなった結界が崩壊する。

キンという音がし、グリーフシードが地面に落ちた。

男は変身を解除して、グリーフシードを拾い上げほむらの方へ投げ渡した。

「これは君が目をつけた魔女の報酬だ。受け取りなさい」

「元からそういうモノだったでしょう」
そう言いながらもほむらはしっかりと受け取った。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 22:11:55.84 ID:Hj8+Xjoko
「ところであなたは何者なの?どうして魔女の結界に入り込めたの?
 魔法少女のことをなぜ知っているの?そしてあなたの使っていたあれは何?」
ほむらは目の前にいる男にそう問いただした。

「人に名前を聞く場合はまずは自分からではないか」
テレビなどでよくある返しをしてきた。

「暁美ほむら。分かっていると思うけれど魔法少女よ」

「そうか、俺は名護啓介。イクサに変身する素晴らしき青空の会の戦士だ」

「そのイクサとは何?素晴らしき青空の会は?他の質問にも答えて」
とにかく気になる事柄をすべて目の前にいる『名護啓介』と名乗った人物にぶつけた。

「今日はもう遅い。そのことについては明日話そう。君は夕方は時間があるか?」
名護がそう聞いてきた。

「ええ」
短く肯定で返した。

「そうか、ならこの地図に書いてある場所へ明日の夕方4時半頃に来てくれ。
 君の質問はそこで答えよう。それに俺からも君に聞きたいことや話したいことがあるからな」
そういって一枚のメモ用紙を渡された。

「じゃあ、また明日会おう」
そういってバイクに乗ってどこかへ行ってしまった。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 22:14:01.77 ID:Hj8+Xjoko
とりあえず、日曜の6+今日の4で10レスに行ったんで今日のところはこの辺で。

次回はようやくこの2人以外の人物たちが出てきます。

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/22(水) 22:49:53.86 ID:VvokY1ico
乙やっぱり名護さんは最高です!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 23:17:28.51 ID:S3F3SKX0o
さっき書き溜め数えたら100レスあった

まあ、特に修正せずにそのまま投下したらの話だけど

とりあえず、明日の晩に投下予定

というかこの調子だと毎週2回投下の予感
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 20:13:47.44 ID:CDBIyxNGo
飯食ったし、予告通り投下ベント
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 20:14:16.40 ID:CDBIyxNGo
――見滝原市の何処か――

Prrrr Prrrr

???「名護さんから?急用かしら」

???「もしもし。何か用ですか名護さん」

名護『マミちゃん、明日の夕方、研究所の方に来てほしい。
   君に…というより君達に紹介したい人物がいる』

マミ「わかりました。学校が終わったらすぐに行きます」ッピ

???「名護啓介からかい?マミ」

マミ「あら聞いていたのキュゥべえ。趣味が悪いわよ」

QB「僕は君のすぐそばにいるんだ。聞こえて当然だよ」

マミ「ちょっとした冗談よ」

QB「それより僕達に紹介したい人物って誰だろうね?」

マミ「『私達』の中には佐倉さんや橘さんたちのことも入っているでしょうし、
   魔法少女候補を見つけたとかかしら?」

QB「それはないよ。なんて言ったって僕が見つけてないんだから。
  普通の人間に魔法少女の素質が有るか無いかなんて見分けられないよ」

マミ「それもそうね。でもほんとに誰なのかしら、その紹介したい人っていうのは」
30 :なんか繋がりにくかった :2011/06/26(日) 20:17:25.52 ID:WO5WBOyMo
――とある研究所――

Prrrr Prrrr

???「ん?名護さんから電話だ。もしもし。こんな時間に何か用ですか名護さん」

名護『その声は陸月君か。橘さんと杏子ちゃんに伝えておいてくれ。
   君達に会わせたい人物がいる、と』

陸月「わかりました、伝えておきます。
   時間はマミちゃんのことを考えて夕方ですか?」

名護『もちろんだ。ちなみに会わせたい人物というのには4時半頃に来てくれと言っている』

陸月「はい、わかりました。明日の夕方4時半頃ですね。2人にもしっかり伝えておきます」ガチャ

???「どうした?誰からの電話だ」

陸月「あ、橘さんいいところに。さっき名護さんから電話がありました。
   僕達に会わせたい人物がいる、ということです」

橘「それは、杏子ちゃんにも伝えておくのか?」

陸月「はい。彼女にも伝えておいてくれって言ってましたよ」

橘「あの子はもう寝たぞ。まあ、明日の朝にでも伝えればいいか。それで時間は?」

陸月「夕方4時半頃です」

橘「わかった。それまでに部屋の準備をしないとな」

陸月「ですね」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:18:05.26 ID:WO5WBOyMo
―名護と別れたほむら―

ほむらは名護に渡されたメモ用紙を見ていた。

(建物の地図…みたいね)

メモには地図が描かれていた。

(場所は…大体この町と隣町のちょうど間ぐらい)

自分の家から近すぎることもなく、遠すぎることもない、
その上、見滝原中からも歩いていける距離だった。

(罠…とは思いづらいわね。こちらに敵対するつもりなら
共闘をするとは思えないし、グリーフシードをこちらへ渡す意味が無い)

もちろん、後から奪い返しに来るという可能性もあったが、
ほむらはそれをありえないものとして判断した。

(明日の4時半…ここに行けばあの男の正体がわかる。
それにある程度信頼関係を築けば計画に組み込めるはずでしょうし)

ひとまずほむらは当初の目的を果たしたので帰ることにした。

もしかすると、今度こそ、この地獄から抜け出せるかもしれないと思いながら。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:18:43.04 ID:WO5WBOyMo
―翌日 AM6:25―

(ドアが開く音)

???「おーい、橘に陸月、朝だぞー。飯もそろそろできるぞー」

橘・陸月「う…ん…」

???「早く起きろって。あたしが全部食っちまうぞ」

橘「ああ、わかってる。おい起きろ陸月」

陸月「ふぁあい。おはようございます」

???「おはよう。2人とも」

橘・陸月「おはよう、杏子ちゃん」

杏子「早くしないと飯が冷めちまう。食い物は大事にしないとな」

橘「だな。朝食にしよう」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:19:17.71 ID:WO5WBOyMo
―AM6:30 食事中―

杏子「お前ら何やってったんだ?その様子だとえらく遅くまで起きてたみたいだけど」

橘「ちょっと部屋の掃除をな」

陸月「今日、名護さんが夕方に来るんだよ。それで」

杏子「名護が?何の用だ?」

橘「俺達に紹介したい人物がいるらしい。マミちゃんも呼んである」

杏子「マミのやつまでってことは、魔法少女に関することか?」

橘「おそらくな」

陸月「でもなんでしょうね。その紹介したい人ってのは」

杏子「新しい魔法少女だったりしてな」

橘「可能性としてはあるだろうな」

杏子「じゃあ今日はここでゆっくりしとくか。夜は魔女探しに行くけど」

陸月「夕方の4時半頃にいてくれたら構わないよ」

杏子「わかった。とりあえず…」

「「「ごちそうさま」」」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:19:46.92 ID:WO5WBOyMo
―巴マミ宅 AM6:30―

マミ「〜♪〜〜♪」

QB「かなりご機嫌だね、マミ」

マミ「新しい魔法少女、私達の後輩ができるんだもの。
   うれしくなるのは当然よ」

QB「魔法少女と限ったわけではないだろう?」

マミ「でも、名護さんがみんなを集めるぐらいですもの、きっと魔法少女よ♪」

QB「僕すら、把握していない魔法少女か。もしそうだったとしたらそれはとても興味深い話だ」

マミ「あなたもそう思うでしょ。それを考えると嬉しくて
   その子が魔法少女だったとしたらその子は名護さんの弟子になってくれるかしら?」

QB「僕にそれを聞くかい?生憎だけどそういったものはわからないよ」

マミ「たしかに人の考え方は人それぞれ。でも、できるだけ仲間は多いほうがいいでしょ?」

QB「一概にそうとは言えないんじゃないかな?人は簡単に他人の気持ちを裏切る。
  それがたとえ、最高の親友や、自分の両親であっても」

マミ「あなたの言い分も一理あるわ。あなたの言う通り醜い部分もある。
   でも私は信じたい。その子が私達の仲間になってくれると」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:20:14.31 ID:WO5WBOyMo
QB「でも、その魔法少女があくまでも一人で戦い続けるといったら?」

マミ「その子がひとりで戦うと言っても、人は決して一人では生きていけないの。
   たとえ、孤独で生きようとしても、いつかはそれが崩れてしまう。
   かつての私や佐倉さんのように。
   だから、誰かと一緒にいたい。その気持ちがいつまでもあり続けるのよ」

QB「やっぱりはまだまだ人間は理解出来ない部分が多いね。でも…」

マミ「それが逆にあなたの興味をひく。というわけね」

QB「そういうことさ」

マミ「ところでキュゥべえ。今何時かしら?」

QB「7時30分だね。そろそろ学校にいくかい?」

マミ「ええ。いつもの時間に家を出て、いつもの時間に学校につく。
   規則正しい生活は、ちゃんと生きて行く中で大切よ」

QB「そんなものなのかい?」

マミ「そんなものよ」

マミ「それじゃ、出かけるわよ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:20:41.11 ID:WO5WBOyMo
―名護家 AM6:30―

???「あなた。起きなさい」

名護「ああ。よいしょっと。おはよう恵」

恵「おはよう、啓介。朝食、できてるわよ」


―AM6:35 食事中―

恵「昨日も魔女退治してたの?」

名護「ああ。それと新しい魔法少女を見つけた」

恵「てことは、また誘拐するの?」

名護「保護と言いなさい。保護と」

恵「どっちでもいいじゃないそんなこと。
  で、新しい魔法少女を見つけたって事は、研究所で話し合い?」

名護「ああ。とりあえず夕方の4時半頃とみんなに伝えてある」

恵「ふーん。その後はいつも通り魔女探しってところ?」

名護「とりあえずな。あくまで予定だから変わるかもしれないが。
   あと、ごちそうさま。今日もうまかったよ」

恵「ありがとう」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:21:08.01 ID:WO5WBOyMo
―AM7:00 朝食後―

恵「それで、あなたはこれからどうするの?」

名護「約束の時間までは時間がある。まあ、時間の30分前ぐらいには
   向こうに着いておくつもりだ」

名護「とりあえず午前中は特に何もしないでおく。
   戦士にも休息は必要だからな。
   午後からはジムにでも行ってこようかと思っている」

名護(あの娘について少し考えておきたいこともあるしな)

恵「私も付いて行っていい?久々に二人でトレーニングといきたいし」

名護「わかった。だがたしかに久しぶりだな」

恵「二人でトレーニングと言ったら、あの時のことを思い出すわね。
  あの時のあなたの弱気ぶりったら。普段からは考えられなかったわよ」

名護「そんな事もあったな」

恵「そんな事とは何よ」

名護「でも、あの時のおかげで今こうして君と暮らせている。
   そのことには感謝してるよ。ビショップを倒せたのも君のおかげだ」

名護「あの時、君が俺にガツンと言ってくれなかったら、
   俺は間違いなくあの場から逃げていた。
   戦士として、イクサとして戦えたのも君の存在あってのことだった」

恵「ちょっと、何そんなに昔の話に浸ってるのよ//恥ずかしいじゃない///」

名護「俺もなんだか恥ずかしくなってきた、少し外に出てくる」ガタ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/26(日) 20:21:40.49 ID:WO5WBOyMo
(それにしてもあの娘は何者だ?あの町で新しく契約した魔法少女?)

名護啓介は昨夜出会った魔法少女『暁美ほむら』について考えていた。

(だが、それならキュゥべえが伝えなくとも、マミちゃんが俺達に伝えるはずだ)

キュゥべえがマミや杏子に教え、彼女達が名護達に伝える。もしくはこちらから彼女たちに伝えることもあった。
魔法少女に関することは、大体いつも同じだった。
だから、今回の『暁美ほむら』の登場はかなり不自然に感じた。

(それに、戦い方が素人の戦い方ではなかった。あの魔女の対処法もかなり分かっていた。
まるでなんどもあの魔女と戦っているように…)

戦い方は歴戦の戦士。名護がうけた印象はそうだった。

(ん?何度も戦っている?)

彼女の戦い方に違和感があった。

(もしかすると、彼女の魔法は時間遡行?)

といってもまだまだ憶測に過ぎないことだった。

(彼女と二人きりになったときに少し尋ねてみるか)

そうして名護は再び家に戻った。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/26(日) 20:26:47.90 ID:hVsIf1z+o
とりあえずここまで。

投下中にIDが変わったけど>>28から全部自分です。

一応、今のところの全員の設定でも出す。

魔法少女Side

暁美ほむら…一応、このSSの魔法少女側の主人公。
      まどかを助ける。そのためだけに動いているので、利用出来るものは利用する。
      この世界では、名護さん達を利用し、ワルプルギスの夜と戦おうとしている。

巴マミ…ほむらの計画の障害その1。
    他の世界ではメンタルが豆腐だけど、この世界では名護さんの洗n…特訓のおかげで
    結構アレ。厨二病は相変わらずのはず。あとぼっちじゃない。

佐倉杏子…マミと同じく、名護さんに特訓され、精神的に言えば、さやかに出会った後ぐらいの
     正義の味方。ただし、面倒という理由で魔女退治したりしなかったり。
     普段は、橘や陸月の研究所に居候。
     お菓子は基本的に買い溜め。金はすべて、橘達がだしている。
     その代わりとして、研究所の家事をするのは基本的にこの子。
     服装は見た目変わらないように見えるが、パーカーの下は常に753Tシャツ弟子Ver

キュゥべえ…正式名称インキュベーダー。
      他に説明がめんどくさい。


仮面ライダーSide

名護啓介…仮面ライダー側の主人公。仮面ライダーイクサ
     キバを見たなら言わずと知れた、最高の人。
     本編終了から3年後(ネオファンガイアとの戦いを1年と設定)経っていて
     恵と結婚したおかげか、性格はかなり丸くなった。
     マミ達との出会いは本編でマミ達が語る予定

橘朔也…本編終了後の橘さん。一応ギャレンに変身する。
    BOARDを再発足後、剣崎の体をもとに戻す為に、研究を続けている。
    魔法少女に協力しているのは、研究の一つ。

上城陸月…元自称・最強の仮面ライダー、レンゲル。
     このSSでは大学卒業後、BOARDに就職(?)して、橘さんの研究を手伝っている。
     精神的には、剣終盤とあまり変わってない。
     基本的に空気。

名護恵…旧姓:麻生。名護さんの性格が丸くなった要因。
    結婚3年目でなお、名護さんとはラブラブ。
    あと、魔法少女についても、ある程度は知っている。



次回の投下も多分水曜日になる
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/26(日) 20:30:30.46 ID:C4NZEvDuo
乙っち乙まど
ネオファンガイアぶっ潰したのか、やっぱり名護さんは最高や!




始さーん……?渡くーん……?ジンジーン?太牙ニーサぁーン?
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 21:10:26.09 ID:ByGPeDgco
乙です。
ちなみにムツキは睦月なので、直してくれると嬉しいかも。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 22:51:23.98 ID:rPTDnnTDO
多重クロスなのか
キバは魔術絡みで割りと上手くクロスできそうだ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 10:42:47.85 ID:R9tPcl0b0
出てこないライダーにクウガが入っていないけど、
五代さんが見滝原に寄り道することを期待してもいい?
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/27(月) 14:04:33.37 ID:0fY2IcwMo
出てこないライダーにGが入ってないけど、
ダンスやってるゴローちゃんと魔法少女のマリアージュを期待してもいい?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 20:41:45.18 ID:Ytfbb1Ipo
皆さん…今回睦月の名前を間違えたのは、私の責任です。私が未熟だから、弱いから……。
このSSはお返しします……

なので今、書き溜めの、陸月を全部睦月に直しているところ

あと、仮面ライダーGとジンジンについては完全に忘れてました

Gはみてないので出てこないです

ジンジンは今からなら、なんとかどこかで絡められそう

あと、劇中で死んでないライダーは結構出てくるはず
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/29(水) 23:38:13.51 ID:hNRTUoI9o
エラーが多い時間帯に投下開始。

あと、今回の最初の方の投下は前回の投下の際に出す予定だったけど、間違って出せてなかったんだ。

だけどそれも乾巧って奴の仕業なんだ…
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/29(水) 23:38:49.41 ID:hNRTUoI9o
―Side ほむら AM6:30―

「…ん…」

自宅のベッドから目を覚ましたほむら。
昨日は結局家に帰ってきてすぐにシャワーを浴びそのままベッドに倒れこむよにして眠っていたらしい

「おはよう。まどか」

写真に写る『鹿目まどか』に向かって挨拶をする。

彼女は初めて自分から思いを伝えられた相手。

当時魔法少女ではなかった自分の命の恩人。

そして今は、何があっても必ず救わなければいけない大切な友達。



―AM6:45―

「いただきます」

ほむらが食べているのは近くのコンビニで買ってきたパンなどだ。

普段なら、普通に自分で料理をするのだが、昨夜のこともあり、その時間すら惜しく感じた。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/06/29(水) 23:39:28.07 ID:hNRTUoI9o
(あの男の正体…普通の人間だったけれど…)

やはり疑問は絶えない。昨日と同じような疑問が繰り返される。

(あの『イクサ』というものは、鎧みたいなものかしら)

この時のほむらはまだ知らないが間違いではない。

『IXA』正式名称『Intercept X Attacker(未知なる驚異=ファンガイアに対する迎撃戦士)』

かつて人間がファンガイアに対抗するために作られたパワードスーツである。

だが、現代のファンガイアのキング=登太牙の意思によりファンガイアと人間の共存関係が
築かれている今となっては、対魔女用パワードスーツとして扱われている。

(対魔女兵器としては破格の強さね。あのベルトを奪ってでも私の戦力にしたい)

ワルプルギスの夜を倒すのに必要な戦力はできるだけ確保したい。
それが、ほむらの目的でもあった。

(ただ、奪ったとしてもあれを誰が使うかが問題ね)

やはり、あの男に協力してもらうしか方法は…

そう考えようとしたが、ほむらはその考えを振り払った。

(いいえ、ワルプルギスの夜は私の力で必ず倒す)

最高の友達との約束を必ず果たすために…
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:40:04.20 ID:hNRTUoI9o
―トレーニングジム PM1:15―

名護「久しぶりに来るな、このジムも」

恵「そうねー。特にあなたはここ2年は研究所でトレーニングしてたもんね」

名護「そっちのほうが都合が良かったからな」

恵「あ、あそこ見て」

名護「あの後ろ姿は…」


???(フィットネスバイクを漕いでいる)


なごめぐ「お久しぶりです。嶋さん」

嶋「名護君に恵君か。久しぶりだな。1年ぶりぐらいか?」

名護「それぐらいになりますね。それより、現在もこちらの支援に回っていただき
   ありがとうございます」

嶋「そのことはいい。ファンガイア、ネオファンガイアの驚異はなくなった。
  君達が魔女という化物を倒しているのならまだ力を貸すつもりだ」

名護「そのことですが昨晩、新しい魔法少女を見つけました」

嶋「新しい魔法少女と言うことは、まだ契約したてか?」

名護「はっきり言いますと、わかりません」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:40:45.78 ID:hNRTUoI9o
嶋「わからない?なぜだ」

名護「契約したてにしてはかなりの戦闘能力です。そこらにいるものより段違いに強いです」

嶋「一緒に戦ったのか?腕は?」

名護「はい。明らかに素人の戦い方ではなかったです。
   それに使っている武器、ハンドガンなど、どこかの軍事基地から盗んできたようなものばかりでした」

恵「それってちょっとマズくない?」

嶋「ここ最近、そういったものが盗まれたという話は聞かないな
  ほんとに通常兵器だったのか?それがその少女の能力ではないのか?」

名護「魔力を使って威力を強化していたようですが、間違いなく普通の物でした」

名護「それに彼女は左腕の盾のようなものから銃を取り出したししていました。
   彼女の魔法はそれに似た類かと思います」

嶋「特定の場所に、物を収納することのできる魔法少女か…
  にわかには信じられんな」

名護「我々が接触した魔法少女は極少数です。他にも色々な能力を持った魔法少女がいるはずです。
   それに、事例がないからと言って、可能性を0と判断するには早すぎます」

嶋「君に言われるとはな。だが君の言う通りだ。
  我々が知っている魔法少女は名護君が出会った者を合わせてまだ3人だ」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:41:36.74 ID:hNRTUoI9o
名護(だがあの『暁美ほむら』と名乗った魔法少女。盾に物を収納する…
   それは、能力の一部に過ぎないのではないだろうか…やはり時間遡行が有力か?)

恵「どうしたの?なんかえらく考えてるみたいだけど」

名護「いや、なんでもない。では嶋さん、俺達はこの辺で失礼します」

嶋「わかった。これからも出来る限りの支援はする。何か新しい情報が入ったら教えてくれ」

名護「わかりました。では」


――――1時間半後 PM2:45

名護「ここら辺にしておくか。汗もかいたしシャワーも浴びて研究所に行きたい」

恵「私も久々にこんなに体動かしたから、かなりくるわ。筋肉痛になりそう」

名護「じゃあ、30分後このジムの前に集まろう」

恵「おーけー。それじゃ、お先に」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:42:12.02 ID:hNRTUoI9o
―PM3:15 ジム前―

恵「ごめん。待った?」

名護「たしかに少し待ったが、時間通りに来てるんだ問題はない」

恵「じゃあ、帰ろっか」


―帰り道―

恵「家についたらすぐに出かけるの?」

名護「この調子だと少し早めにつくが、どのみちすぐに出かけなければいけないな」

恵「夜はどうするの?」

名護「話し合いが終わった後に決まると思うから、遅くなりそうでもなりそうでなくとも連絡する」

恵「わかった。でも、できるだけ早く帰ってきてね。危ないことをしているのは昔から変わってないんだから」

名護「マミちゃんたちには負けていられないさ。
   それに魔法少女とはいえ、彼女たちは肉体的にも、精神的にもまだまだ子供だ。
   俺達大人がしっかりと見守ってあげなければならない」

恵「成長したといえば渡君よね。なんか短い間に急にたくましくなっちゃって」

名護「そして今は兄の登太牙君と共に人間とファンガイアが共存できる社会を作っているしな」

恵「なんだか知らない間に成長していく。子どもがいたらこんな感じなのかな」

名護「知らない間に成長していく…それが寂しくもあり、嬉しくもある。そういったものじゃないか?」

恵「そうね。それも楽しみの一つね。それより、そろそろつくわよ」

名護「わかっている」



「ただいま」 「おかえり」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:42:43.11 ID:hNRTUoI9o
―研究所 AM11:50―

杏子「お前ら昼飯はどうするんだ?」

橘「一応食うよ」

杏子「それじゃあ、昨日とか今朝の余り物でなんか作っとく。食いたくなったらいつでも食べといてくれ」

睦月「わかった。とりあえず一区切りついたら食べるよ」

橘「それと、金を渡すから名護達が来るまでに何かお菓子などを買ってきてくれないか?」

杏子「あーわかった。どうせ今日はやることないし、それぐらい行ってやるよ
   自分の分は自分で確保しておいて構わないかい?」

橘「よほど買い過ぎなければ問題ない。どうせ普通に買いすぎても君が殆ど食べるだろう?」

杏子「マミがケーキ買ってくる可能性もあるし、いつもより少なめにはするよ。
   じゃあ、あたしは今から昼飯作るから」

橘「期待してるよ」

杏子「まかせとけ」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:43:14.40 ID:hNRTUoI9o
―PM1:00―

睦月「橘さん、これここでいいですかね?」

橘「そこじゃなくて、机の上に置いてくれ」

睦月「わかりました。よいしょっと。はぁー、これで終わりですかね?」

橘「まあ、こんなモノだろ。腹も減ったし飯にしよう」

<おーい

杏子「お前らまだ飯食ってなかったのか?」

睦月「丁度片付けが終わったから、今から食べるよ」

杏子「そうか。じゃあ、あたしはなんか買ってくるよ」

橘「寄り道したりせずに、ちゃんと帰ってくるようにな」

杏子「あんたはあたしの親父か。いってきます」

橘・睦月「いってらっしゃい」


ナカナカウマイ イツモドオリデスネ コレ、クッテモイイカナ チョ、タチバナサン、ソレオレノデス
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:43:54.83 ID:hNRTUoI9o
―PM1:05 近所のスーパー―

杏子「これと、これと、あとついでにこれも入れて」

杏子「これはあたしが食べる分だろ。これはみんなで食べる分だから…こんなもんかな」

杏子「精算お願いしまーす」

ヒャクゴエンガイッテン ニヒャクジュウエンガイッテン…
オカイケイ3154ニナリマス 4000エンオアズカリシマス 846エンノオカエシニナリマス アリガトウゴザイマシター

杏子「買うもんは買ったし、さっさと帰ってこれからのことも考えて、昼寝でもしよっかな」


―PM1:25 研究所―

杏子「ただいまー」

睦月「おかえり」

杏子「買ったもんはここに置いとくよ。あと中にもう一つ袋が入ってるけど
   それはあたしの分だから置いといてくれ」

橘「わかった。これからどうすつつもりだ?」

杏子「昼寝。起きるとは思うけど4時頃には起こしてくれよ」スタスタ

睦月「わかった。そのぐらいに起こしにいくよ」

―杏子の部屋―

杏子「寝る前にイクササイズでもしとこう」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:44:32.98 ID:hNRTUoI9o
―PM3:55 市立見滝原中学校校門前―

マミ「家まで、10分。そして研究所まで歩いて20分。
   学校から直接研究所までは15分程度。
   家に帰ってる暇はなさそうね」

QB「そのまま行くのかい?」

マミ(そうなるわね)テレパシー中

QB(なんでテレパシーで話すんだい?)

マミ(周りから見たらあなたの姿や声は識別できないけど、
   私は周りに聞こえるの。ブツブツ独り言を言ってるみたいに見えるでしょ)

QB(僕はそんなことは気にしないのだけれど)

マミ(あなたはそうでも私は違うの。それより早く行くわ。
   結構時間も押してるし。
   でもケーキ屋さんにはよるわよ。美味しい物を食べながら話を聞く。
   私の楽しみの一つでもあるしね)

QB(わかったよ。でも遅れないようにしなよ)
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:44:58.97 ID:hNRTUoI9o
―PM4:05 研究所―

<ピンポーン

睦月「はいはーい。いまでますよ」ガチャ

名護「少し早かったが上がっても構わないかな?」

睦月「いいですよ。マミちゃんはまだ来てませんけど」

名護「彼女は今学校が終わったばかりだろうから、もう少し後だろう」

睦月「それじゃあ、いつもの部屋まで行きましょうか」

名護「ああ」

〜移動中〜
睦月「それで俺達に紹介したい人っていうのは?」

名護「まあそうあせるな。といっても君達には全員に聞かれるんだろうな」

睦月「やっぱり魔法少女の関係者ですか?」

名護「ああ。詳しいことはあとでその娘も交えて話すよ」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/06/29(水) 23:45:25.97 ID:hNRTUoI9o
―客室―

杏子「おっす、名護」

名護「君は相変わらずだな。敬語を使いたまえ。仮にも君の師匠だぞ俺は」

杏子「でもこれがあたしだからなぁ。ところで今日の紹介したいやつっていうのは?」

名護「睦月君にも聞かれたぞ。あとでいっぺんに話すんだ。今聞かなくてもいいだろう」

橘「だが俺も気になるな。お前の紹介したい人物が」

名護「あなたまで…では、一言で言えば魔法少女」

杏子「やっぱりか。てことはあの事教えるんだな」

名護「当たり前だ。まだまだ魔法少女には秘密がたくさん潜んでいる」

橘「俺達がしているのはそれの究明と、魂の戻し方だ」

杏子「ほんと、あの野郎、肝心な部分を教えてこねえからな」

橘「俺達が聞いても曖昧な返事しかしないからな。こちらも骨が折れるよ」

名護「そのためのここの研究所だろう。それにここでも特訓ができる。
   魔法少女を保護するのには最適だ」

睦月「保護、育成、説明。結構色んな物が集まっていますからねここ」

杏子「飯にもありつけるし、屋根のある寝床があるしでいい場所なんだよな」

橘「そのかわり、ある程度の研究の手伝いや家事ぐらいはやってもらうがな」

<ピンポーン

橘「マミちゃんかな?」

睦月「俺が出てきます」

名護「よろしく頼むよ」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 23:46:57.97 ID:hNRTUoI9o
―PM4:20 研究所玄関―

睦月「マミちゃん?」

マミ「こんにちは睦月さん。お邪魔します」

睦月「名護さんは来てるよ。マミちゃんが来たから後一人だね」

マミ「名護さんの言う紹介したいって人は?」

睦月「一言で言うと魔法少女、だって」

マミ「ほらねキュゥべえ、言った通りでしょ」

QB「参ったね。マミの言う通り魔法少女だったなんて」

睦月「そこにキュゥべえがいるのかい?」

マミ「いますよ。私の予想が当たったんでそのことに悔しがってます」

睦月「だけど無表情なんだろう」

QB「僕には君達人間のような"感情"がないからね」

マミ「自分たちには私みたいに感情がないからっていってます」

睦月「俺は意思疎通が出来ればそれでいいよ。俺はキュゥべえ声が聞けないし、姿も見えないしね」

マミ「仮面ライダーでも変身しなければただの人間ですからね」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 23:47:48.71 ID:hNRTUoI9o
睦月「俺は人間として生きて人間として死んでいく。
   でも君達はそれができないかもしれない。ま、それを救うために俺達が頑張ってるんだけど」

マミ「分かってますよ。いつか、元に戻ることができる日が来ることを信じてますから」

睦月「きっと救ってみせるよ。君達を」

マミ「ありがとうございます。でも無理はしないでくださいね」

睦月「わかってるよ」

ガチャ

杏子「来たかマミ」

マミ「こんにちは、みなさん」

橘「ようこそ」

名護「あとは呼んである彼女だけだな」

マミ「睦月さんに聞きました。魔法少女なんですよね」

名護「ああ。昨日初めて出会ったんだ。何か知らないか?」

QB『僕はこのあたりでは最近契約してないから僕は知らないよ』テレパシー

名護「キュゥべえが知らないのならこれ以上は分からないな」

橘「とりあえずその子を待とう」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/29(水) 23:50:31.17 ID:hNRTUoI9o
今回の投下終了。

睦月が陸月になってる部分があったら、そこは補完お願いします。

次回の投下は日曜に予定があるため、土曜の夕方以降になります。



ちなみに、書き溜めはまどか☆マギカでいう、4話終わりあたりです。

ただし、オリジナル展開をそこそこ入れてるので、なかなか進まないという…
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 20:31:06.14 ID:GnJEUvKSO
名護さんと杏子の絡みが自然すぎて吹いた
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/02(土) 19:49:19.69 ID:+NGept88o
さーて、(レスを)稼ぎますか!

相変わらず分楚瑜がめちゃくちゃだったりしますがそこはバンバン言ってください

そのほうが嬉しいです。

あと前回出てきた嶋さんのキャラ設定を


嶋護…素晴らしき青空の会会長。
   名護さんとめぐみんの上司。
   ネオファンガイアとの戦いの後もよくジムに来てる。
   めぐみんと同じである程度は魔法少女のことを知っている。
   名護さんや橘さん達への協力もしたりしてる。


投下開始
64 :いきなりミスった 分楚瑜→文章で脳内で変えてください [sage saga]:2011/07/02(土) 19:50:42.82 ID:+NGept88o
―PM4:28 研究所前 暁美ほむら―

(地図に書いてあるのはここよね)

見た目は何かの研究施設のようだ。

玄関に取り付けてある呼び鈴を鳴らす。

少しの間があり中から一人の青年が出てくる。

「君が名護さんの言ってた最後の一人かな?」

「名護啓介が他に呼んでいないのならそうね」

「とりあえず、入りなよ。中で他の人も待ってるから」
そう言われ、ほむらは研究所の中に入った。

「あなたは誰なの?」
ほむらは目の前を歩いている男に問いかけた。

「俺も含めてみんな後で自己紹介するよ。…ここだよ」
男が部屋の扉を開ける。

部屋の中には4人いた。

「巴マミに佐倉杏子…」
部屋にいた4人の中に巴マミと佐倉杏子がいた。

「マミちゃんに杏子ちゃん、知り合いか?」
名護が2人に尋ねる。

「私は知らないぜ。こんなやつ」「私も知らないのだけど」
2人はそう答えた
65 :いきなりミスった 分楚瑜→文章で脳内で変えてください [sage saga]:2011/07/02(土) 19:51:10.20 ID:+NGept88o
「とりあえず、立ち話もなんだ。席に座らないか」
名の知らない男がそう促してきた。
年齢は20代後半から30代前半だろうか。そう考えながらもほむらは言われたとおり椅子に座った。

「まずは自己紹介と行こうか。俺から行こう」

「俺は、橘。橘朔也だ」
男、橘がそう名乗った。

「俺は昨日会ってるから知ってるだろうが、名護啓介だ」

「俺は上城睦月。よろしく」

「私は巴マミよ」

「あたしは佐倉杏子だ」
それぞれ順番に名を名乗っていく。

「暁美ほむらよ」
最後にほむらが名乗った。

その次の瞬間

「やあ、僕はキュゥべえ。聞くところによると、君は魔法少女の力を持ってるらしいね。
 何処でその力を手に入れたんだい?」
邪悪の根源がほむらの目の前に現れた。

この場で、何かしてやりたいという衝動を抑え、

「お前には関係ない」
そう返した。
66 :いきなりミスった 分楚瑜→文章で脳内で変えてください [sage saga]:2011/07/02(土) 19:51:36.51 ID:+NGept88o
「君はキュゥべえと話ができるのか。まあ魔法少女なら当たり前か」
名護がそう言った。

「あなたこいつのことまで知ってるの?」

「姿は見えないし、声も聞こえないが知ってる。ただテレパシーを使ってもらえれば
 キュゥべえの言いたいこともわかる」

「なるほどね。じゃあ昨日の約束果たしてもらおうかしら」
そう、此処に来たのは昨晩聞けなかった質問に答えてもらうためだ。

「質問って?」
杏子が尋ねる。

「昨日約束してたんだ。ここに来たら彼女の質問に答えると」
名護が答える。

「早くして頂戴」
ほむらが急かす。

「まあまあ、暁美さん紅茶でもどうかしら」
巴マミがほむらの前に紅茶を出してきた。

「みなさんの分もありますよ」
マミがそれぞれに紅茶を配る

「それじゃあ、暁美ほむらちゃん、君の質問に答えようとしよう」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:52:13.04 ID:+NGept88o
ようやく、話が動き出した。

「じゃあ聞くわ。まず貴方は、いや貴方達は何者なの」
最初は相手の正体を探ることにした。

「俺は素晴らしき青空の会所属の戦士だ」

「それは昨日聞いたわ」

「俺と睦月はこの人類基盤史研究所、BOARDの研究員だ」

「私と佐倉さんは魔法少女よ。この見滝原市を拠点にしてるね」

「あたしは隣町だけどな」
マミと杏子は今までの時間軸と同じように別々の町を拠点にしているらしい。

ただ、二人の中が良好に見えるということを除けば。

ほむらは新しい疑問をぶつけた。

「名護啓介、貴方の言う素晴らしき青空の会とは?
 そっちの2人は人類基盤史研究所とは何?」
3人の男の言葉について尋ねた。

「素晴らしき青空の会は今は魔女と戦っている組織だ。
 かつてはファンガイアと戦っていた、がこの話は長くなるからこれ以上聞かないでくれ」

「人類基盤史研究所って言うのは
 『ヒトが地球を制した背景には、進化論では説明できない理由が存在する』
 という仮定を元に人類の歴史について研究していたところだけど、
 今はどうすれば、人外になってしまったものをもとに戻せるか研究しているところだよ」
上城睦月と名乗った男が答える。

「その研究と魔法少女に何の関係があるというの?」

「それもあとで話そう。俺達と魔法少女の関係についてもな。君にとっても重要な話だ」
橘がそう言って遮った。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:52:44.23 ID:+NGept88o
「わかったわ。じゃあ次の質問をするわ。どうして魔女の結界に入り込めたの?」
一番の疑問をぶつけた。ありえないことを平然とやってのけたのだこれが一番引っかかる。

「それも魔法少女との関係があるからあとでいっぺんに話そう」
名護がそう返す。

「えらく答えてくれないわね」
ほむらは苛立っていた。こちらの質問に殆ど答えていない。

目の前にいる名護啓介に怒りをこめてそういった。

「話が長くなるからな。いっぺんに話すぐらいがちょうどいい」

「仕方が無いわね。最後の質問よ。イクサとは何」

「イクサは俺の妻、旧姓麻生恵の祖母がさっき言ったファンガイアに対抗するために作った
 ライダーシステムだ。わかりやすく言えばパワードスーツだな。
 といっても今はファンガイアの驚異はなくなったから魔女退治用に使っているが」

ほむらの立てた仮説はほとんどあっていた。

「ちなみにこっちの2人もライダーシステムを持っている。
 俺とは役割や、根本的なシステムが違うがな」

「名護が使うのは敵を倒すための物。
 俺達はどうやっても殺せない不死生物を封印するのが目的で作られたからな」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:53:15.52 ID:+NGept88o
「バックルだけでも見せてやれないか?」

「わかった」
そう言うと橘が立ち上がり、机の中から、ベルトのバックルを2つ取り出した。

「これが俺の使っているライダーシステム。
 第1号のギャレンだ」

「それでこっちは俺が使ってる、最後のライダーシステム。
 第3号のレンゲル」

橘と睦月がそれぞれのベルトの紹介をする。

「それは魔女に対して通用するものなのかしら」
ほむらはそう問いかけた。

といってもイクサが通用したのだ、これも通用するはずだろうとほむらは考えていた。

「もちろんだ。ただしこいつは誰にでも簡単に使えるわけじゃない」

「変身するためにはこれとは別に、ラウズカードっていう物が必要なんだ。こういったね」

そう言うと睦月はポケットの中から一枚のカードを取り出した。

カードの見た目はトランプのようだった。
カードには1を表すAが左上に書かれていて、絵柄は、金色を背景とした蜘蛛の絵が描かれていた。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:53:41.30 ID:+NGept88o
「このカテゴリーAとの適合率が高ければ、それぞれのライダーに変身できる」
橘がそう言った。

「適合率が中途半端に高くてもだめだ。下手をすれば四肢を失う可能性だってある」
そう付け加えた。

その証拠に、最初のギャレン適格者とされていた桐生豪がテスト中の事故により右腕を失った。

「あなた達二人が持ってるベルトは1号機と3号機で合ってるわね?」

「ああ。それがどうかしたか」

「2号機は何処にあるの?」
橘のライダーシステム1号と陸月のライダーシステム3号。

なら間のライダーシステム2号は何処にあるかと、そういった意味でほむらは尋ねた。

「第2号はベルトとラウズカードはこの研究所にある。
 変身者は、今何処にいるのかわからない」

「行方不明ってこと?貴方達の仲間ではないの?」
システムは置いてあるのに変身する者がいない。

なぜそんな状態でいるのか、その質問に橘たちは口をつぐんだ。

「これには深いわけがある。彼らが話したくないのなら俺が話そう。
 話はある程度聞いてある」

そう言うと名護はなぜそうなったかについて話しだした。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:54:19.82 ID:+NGept88o
ほむらは黙って話を聞いた。

その話を聞くと、『ジョーカー』という化物が最後に残ってしまった。

ジョーカーは世界を滅ぼす存在。最後の一体に残してはならない存在であった。

そのせいで、各地で大量の化物が発生。

ジョーカーは人間の心を持っていて世界が滅ぶことを望んでいなかった。

当時、ライダーシステム2号…仮面ライダーブレイドに変身していた『剣崎一真』は
ジョーカーを救うために、自らが封印したアンデットと融合を続け、最終的には2体目のジョーカーが生まれることになった。

そのため、アンデッドが2体存在することになり、世界の滅亡が止まった。

だが、剣崎一真は、ジョーカー…『相川始』を人間の中で生かすために、戦わないようにどこかへ行ってしまった。

その後の足取りは掴めていないらしい。

ただ、世界の紛争地帯で人とも獣ともつかない、怪物が戦場の子供たちを逃がしているという話が出てくるらしい。


「これが俺が2人から聞いた話だ。2人は、特に橘さんは彼を人間に戻す方法を探す為に今も研究を続けている。
 そのついでとして、魔法少女をもとに戻す方法も一緒に探しているところだ」

ほむらはその話を聞いて、なんとも言えない気持ちになった。

(人の心を持った化物を救うために、自らが化物に…?)

魔法少女の中にも、似た境遇にある者もいる。

誰かの為に、奇跡を願う。

そして、魔女との戦いで死ぬか、絶望し、魔女になる。

例として挙げるなら、美樹さやか、佐倉杏子がそうだろう。

剣崎一真と魔法少女の違い。

それは、剣崎は救えないのに対し、魔法少女は救われない。

この差はとても激しいだろう。それ故にほむらはどうしようもない運命があるのだと認識してしまう。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:54:55.87 ID:+NGept88o
「だが…」
橘が口を開いた。

「剣崎は言った。『俺は運命と戦う。そして勝ってみせる』と」

(運命と戦う…そして勝ってみせる…私もどうしようもない運命と戦っている。
その運命に勝つために色々なものを利用してきた。でも勝てない…)

運命と戦う。そして勝つ。それがどれだけ難しいことかほむらは身を持って実感していた。

彼女もまた、自分の力では到底抗えないような運命と戦っていた。

その中からたった一つの可能性を探す為に何度も何度もやり直した。

未だにその可能性は見えてこない。

「それで、新しい質問はあるか?」
名護が聞いてきた。

「後は貴方達の知ってる魔法少女のことについてだけよ」

「わかった。これはとても重要な話だ。しっかり聞いてくれ」

「ええ」

「君はソウルジェムを持っているだろう。そのソウルジェムは君の魂だ」

「!?」

「驚くのも無理もない。これはほとんどの魔法少女が知らないことだ。
 俺達も偶然見つけたのだからな」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:55:36.40 ID:+NGept88o
ほむらが驚いたのはそのことではない。

その事実ともう一つ魔法少女にとっての最大の秘密をほむらは知っているが、なによりマミが動揺していないのが驚きだった。

(自分がすでに人間とは違うということに気づいているのに巴マミはなんとも思っていない?)

名護がさらに続けた。

「キュゥべえの話によると君達の体とソウルジェムはせいぜい100メートル以上離れると
 肉体の制御が出来なくなるらしいな」

「なぜ…貴方達がそのことを…」
ほむらはそう口にした。

「知っていたのか…なら話は早い。俺達に協力してくれないか?」
名護がそう提案してきた。

「俺達は一人でも多くの少女たちを救いたい。君は既に契約してしまっているようだが、
 さっきも言ったように、俺達は人でなくなった者をもとに戻す研究をしている。
 そのためにも君にも協力してもらえれば助かる」

「もちろんただでとは言わない」
橘が言った。

「協力してくれれば、俺達が君の援護に回ろう」

「話は大体わかったわ。貴方達に協力するわ」

ほむらにとってとても魅力的な提案だった。

魔女と対等に渡り合える人材を、マミと杏子の他に3人も確保することができた。

問題はワルプルギスの夜までに何人残っているかだが。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:56:08.58 ID:+NGept88o
「それじゃ、これからよろしくね。暁美さん」
巴マミが手を差し伸べてきた。

「…ええ」
少し戸惑いながらもほむらはその手を握る。

「それであんたはこれからどうするんだ?」

「約一週間後、私は見滝原中学校に転校することになっているわ。
 それまでは、この町の魔女を狩りつつグリーフシードを集めるわ」

当分の目的を話した。
もちろん口には出さないが、キュゥべえとまどかをで合わせないようにするのも目的の一つだ。

「ここにいるのは魔法少女3人に、ライダー3人だちょうど2人づつで行動ができるな」
橘が言った。

「なら俺はほむらちゃんと行動しよう」
名護はほむらと行動すると言ってきた。

「ということは私はしばらく、睦月さんか橘さんと行動することに?」

「そういうことになる」

どうやらマミは今まで名護啓介と一緒に行動していたらしい。

「俺がマミちゃんの援護に回りますよ」
睦月がそういった。

「俺は杏子ちゃんと組むことになるが、たまに出てこれない時があるぞ」

「その辺は心配いらねえよ。だが油断もしねえ」
杏子が言った。

「何時までもお前らに頼ってるわけにもいかねーしな」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 19:56:42.80 ID:+NGept88o
「本当に大丈夫か?」
名護が心配そうに聞いた。

「言ったろ。油断はしねえ。ただ全力で魔女を叩き潰す」

「俺もできるだけ時間を空けよう。だが無茶はするなよ」

橘も杏子に言った。

「佐倉さんなら大丈夫ですよ。出会った頃とはまるで別人ですから」

「ちょ、マミそのことは言うな。あたしにだって言われたくないことだってある」

杏子が慌てたようにして、マミに飛びかかる。

といっても本気ではなく、あくまで友達同士がじゃれ合ってる、そのようにしか見えなかった。

「遊びはそのへんにして、そろそろ魔女を探索に行くか」

名護が場を空気を切り替えるようにして言った。

「この時間だと魔女も活発になり始める頃だしな。ちょうどいい」

杏子がマミから離れ、外に出ようとする。

「それじゃ、解散だな。また何かあったら連絡してくれ」
橘が杏子の後を追う。

「俺達も行くとするか。それじゃ、陸月くんマミちゃん」
名護が部屋を出ようとし、ほむらはその後ろを付いていく。

「俺達も行こう。マミちゃん」

「よろしくお願いしますね。睦月さん」
最後に睦月とマミが部屋をでた。
76 :ちょっと席外す [sage saga]:2011/07/02(土) 19:57:11.61 ID:+NGept88o
ほむらは名護と夜の見滝原市を歩いていた。

「そういえば聞きそびれていたけれど、貴方達はどうやって結界を探しているの?」

剣崎の話がかなり印象に残ったせいで、ちゃんと聞けてなかった質問があった。

「その答えはコレだ」

名護が手に持った携帯端末をみせる。

「コレは橘君がソウルジェムの仕組みをある程度解明して作った、魔女探知機だ」

ソウルジェムを科学を持って解明。ありえなさそうな話だが、事実なのだろう。とほむらは思った。

「こいつを使えば魔女の結界をさがすことができる。
 と言っても潜んでいる魔女なら1km程度、戦闘中の魔女でも3kmが限界だ」

だが、ソウルジェムを使わず、魔女を探せる。このことはかなりのメリットだった。

「探し終えて見つけた後は、どうやって中へ」

「コレを使えば、そのまま魔女の結界に入ることができる。かなり電力を食うから、1日1回ぐらいが限度だがな」

これで、なぜ名護が魔女の結界に入り込めたか納得した。

「それじゃ、俺のほうからも質問していいか」

「かまわないわ」

質問にはほとんど答えるつもりがないからだ。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:21:50.29 ID:+NGept88o
「質問というよりは、推測だが君の能力。
 ある一定期間を遡る事ができる。つまり時間遡行。それが君の能力ではないか」

ほむらはキュゥべえが周りに居ないのを確認し、

「…当たってるわ」

名護の質問に答えた。

「やはりそうか」

「いつ気づいたの?」

自分の能力がたった一回一緒に戦っただけで見破られた。そのことが不思議でたまらなかった。

「昨晩の魔女との戦闘。君の戦い方は初めてあの魔女とやるようには見えなかった。
 そして今日、君はソウルジェムの秘密についてすでに知っていた。あえてあげるならその2つだ」

「たったその二つだけでよくその結論に至ったわね」
素直に感心した。

「今朝の時点では、まだ曖昧だったが、今日の君の反応を見て確信した」

もの凄い判断能力である。ある意味化け物に近かった。

「私の能力については、黙っていてほしい。特にあのキュゥべえには知られたくない」

「何か複雑な理由があるみたいだな。なら深くは聞くまい」

「…ありがとう」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:22:22.79 ID:+NGept88o
そうしているとほむらのソウルジェムが強く輝いた。

「ここだな」

名護も探知機を確認した。

「いくわよ」

2人は結界の中へ侵入した。


―結界内―

「この結界は魔女ではないわね。手下の使い魔のものよ」

一目みれば魔女の結界か、使い魔の結界かはすぐわかる。

「無駄な魔力を消費したくないのなら戦わなくてもいい。グリーフシードも無限ではないしな」

「なら、今回は貴方に任せるわ。貴方だけの実力がどんなものか知りたいしね」
使い魔に手こずるようなら、用はない。そんな者はほむらの計画にとって邪魔でしかないからだ。

「いいだろう。言葉を失わないようにな」

「変身!」
そして名護は昨晩と同じように変身した。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:22:59.43 ID:+NGept88o
勝敗は一瞬で決まった。

イクサカリバーガンモードで牽制。そこに一気に近づきソードモードで真っ二つにする。

「見極められたか?俺の実力を」
名護が変身を解き、そう言ってきた。

「今回はたまたま使い魔だった。だから完璧にとは言いづらいけど、なかなかのものね」

戦い方には無駄がない。さすがは自己評価しているだけはある。

「今度魔女と戦うときには完璧に見極めさせてもらうわ」

「それじゃ、さよなら」
そう言って別れを告げ、自分の家に帰るほむら。

名護はほむらが見えなくなるのを見届けた。

その直後に電話がかかってきた。

『名護、今から研究所に来てくれないか』

「何か緊急の用が?それに明日で全員を呼んでではなく?」

『できればこのことは魔法少女である3人には秘密にしておきたい』

「…わかった。とても重要な話のようだ。今から行こう」
携帯を切り、名護はもう一度研究所へ向かった。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:23:50.88 ID:+NGept88o
―BOARD―

名護「それで話というのはなんだ?」

睦月「俺達3人にしか呼んでないのはなにか意味があるんでしょ?」

橘「まずはこのグラフを見てくれ」

名護「これは?」

橘「魔法少女のソウルジェムと、グリーフシードの放出する微弱な魔力をグラフにしたものだ」

睦月「特に変わったようには見えませんけど」

名護「いや、これはかなり似てる」

橘「名護は気づいたようだな。そうだ、ソウルジェムとグリーフシード。
  両方の魔力の波がかなりそっくりだ」

睦月「このことから挙げられる可能性は…」

「魔女はかつて魔法少女だった」


睦月「でもまだ可能性があるって話ですよね」

橘「だが、この似方はそう思わざるをえないだろう」

名護「いままでソウルジェムが濁りきったらどうなるか分かっていなかったが、
   これが真実ならば、ソウルジェムはやがてグリーフシードになり魔女となる」

橘「もちろん、使い魔から魔女になるものもいるが、土台となっているのはそれだろう」

睦月「その事実を彼女たちに隠すというわけですね?」

橘「まだ結論を出すには早いものがある、というのも含めてまだ黙っておいてくれ」

名護「わかった。じゃあ俺はこれで失礼する」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:24:47.71 ID:+NGept88o
―帰り道 Side:名護―

(今日出た新しい真実も合わせて、魔法少女を纏めると)
名護は新しい真実を含め、魔法少女についてもう一度考えていた。

(魔法少女は願いを叶えてもらう代わりに、魔女と戦うことになる。
契約時に、魂はソウルジェムにされ、100メートル以上離れると、体を制御することが出来なくなる。
半分偶然で見つけたようなものだが、魔法少女への見方を変えた真実であった)

そう、本当に偶然。その偶然がなければ今こうしているのかも怪しかった。

(そして今日の、魔女は元々魔法少女で、魔法少女はやがて魔女になる)

まだ予測の段階ではあるが、BOARDで出た結果だ。

ほぼ当たっていると見て間違いないだろう、と名護は考えた。

(3人には秘密にしておくといったが、暁美ほむら。彼女は既に知っているだろう)

その通りだった。彼女は今までの時間軸でその事実をなんども聞かされている。

故に、このことを知らないのは、『マミ』と『杏子』この二人になる。

(いずれは話さなければいけない。だが彼女たちがその事を受け入れられるか…)

ただそれだけが心配であった
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/02(土) 20:29:14.20 ID:+NGept88o
今回はここまで。

名護さんはほむほむにストレートに能力聞いちゃうし、それに素直に答えるほむほむ。

かなりアレですけど、こうしないと話が進まないので。

あと次回はようやくまどマギでいう1話に入ります。

今回は0話『その命神に返しなさい』とかいうサブタイで。

次回 1話『753…どういう意味?』

次回の投下は水曜日になるはず。
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/02(土) 20:31:19.06 ID:hjU5JMPyo


名護さん超ハイスペックだな

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/02(土) 20:32:31.71 ID:qrLV+KsJo
乙っち乙マミ



……だって、名護さんは最高だから
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/03(日) 05:09:30.07 ID:aL1WOevTo
乙。
剣崎の話との絡みはぐっとくるものがあるな。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/06(水) 21:04:16.50 ID:wBtEI8bzo
昨日、7月5日は名護さんの日にもかかわらず書き込みがなかった1

忘れてたわけじゃないんです
ただ、なんとなく明日来るからいいかぁ、と思い書き込みませんでした

それと今回は冒頭はほむほむ特訓編

時間が少し飛びます

そしてようやく、まどか1話に入ります



名護さんのハイスペックぶりはこのSSではずっと続きます


>>83聞こえないな、もっと大きな声で言いなさい
87 :いきなり安価間違えた>>84ですね [saga sage]:2011/07/06(水) 21:05:17.52 ID:wBtEI8bzo
翌日以降は名護達は魔法少女と協力しつつ、魔女を撃破していった。

もちろん、名護本人はほむらの能力のことや魔女化の可能性については一切口にしなかった。

ほむらはほむらでキュゥべえがまどかに接触するのを防いでいた。

―一週間後 BOARD―

名護「これまでに倒したのは使い魔を含め14体。そのうちの6体がグリーフシードを持っていた」

マミ「結構な確率ですね。ほぼ半分ですよ」

杏子「これだけあれば、しばらくは問題ないな」

QB「よくこれだけのグリーフシードが集まったね。大収穫だよ」

橘「研究のサンプルにもできるし、ほむらちゃんが入って行動範囲が増えたぶん手に入れやすくなった」

睦月「これで研究がさらにはかどりますね」

ほむら「貴方達仮面ライダーのおかげでもあるわ。魔力に縛られない分私達より自由に動ける貴方達はとても貴重な存在よ」
88 :いきなり安価間違えた>>84ですね [saga sage]:2011/07/06(水) 21:05:43.58 ID:wBtEI8bzo
マミ「そういえば暁美さんは明日から学校に来るのよね」

ほむら「ええ。貴方と同じ市立見滝原中学校よ。学年は一つ下だけどね」

QB「そのことで僕から話があるんだ。名護啓介や上城陸月にも聞こえるようにテレパシーで話すよ」

〜以下テレパシーにて会話中〜

QB「新しい魔法少女候補を見つけたんだ」

マミ「わざわざ今話すということは、見滝原中の生徒なのね」

QB「その通りだよ。少し前から接触しようとしてるんだけどなぜか上手くいかないんだ」

ほむら「…」

橘「契約しようとするのはいいが、まずは俺達に紹介してからにしてほしい」

睦月「魔法少女になることへのメリット・デメリット両方を知った上で考えてもらいたいからね」

杏子「あたしもその考えに賛成だな。あたしらみたいなのを簡単に増やしちゃいけねえ」

名護「マミちゃんとほむらちゃん、君達は接触しやすいだろうから、
   接触できたら此処に集まるように言ってくれ」

マミ「わかりました」

〜テレパシー終了〜
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:06:10.18 ID:wBtEI8bzo
名護「新しい魔法少女候補か、俺は出来ればその子には魔法少女になってほしくないな」

杏子「人間をやめてまでも叶える願いなんてあるわけないからな」

マミ「死の瀬戸際に立っていたとしても、契約後にさらに過酷な運命が待ち受けているんだもの。
   私も出来ればその子には契約して欲しくはないわね」

橘「それに今の状態でも全く問題ないくらいの戦力がある」

睦月「でもなんだかんだ言って特訓はさせるんでしょう?」

ほむら「特訓?」

名護「そういえば君は俺達の特訓をしてなかったな」

マミ「今から久々にやりません?暁美さんも一緒になって」

杏子「よしやろうぜ」

名護「じゃあまず着替えてきなさい。ほむらちゃん、君もこれを着なさい」

ほむら「『753』…?どういう意味」

名護「おそろいのTシャツを着て気持ちを一つにするんだ。
   ちなみにこの数字は『な・ご・さん』常に俺の名を胸に抱き正義を行いなさい」

名護「さあ早く着替えてきなさい。マミちゃん、杏子ちゃん彼女をロッカールームに連れていってあげなさい」

まみあん「了解♪」

ほむら「え…?えぇ…?」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:06:38.57 ID:wBtEI8bzo
―BOARD 屋内訓練場―
デデーン

名護「特訓を始める前に、周りにぶつかるような危ないものがないか。確かめなさい」

ほむら「……」753Tシャツ(白)&ハーフパンツ

(マミと杏子(2人ともほむらと同じ服装)が周りにぶつかるようなものがないか確かめる音)

名護「まずは、軽くイクササーイズ!」(イクササイズ→ttp://www.youtube.com/watch?v=ZpmdxO8NPnE&feature=related

イクササーイズ!オレハタダシイ ツイテキナサイ

―――――――――――――――――――――

――――――――――――――

―――――――

名護「イクササーイズ!俺は正しい」デーン

名護「その命、神に返しなさい」

名護(満面の笑み)
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:07:05.17 ID:wBtEI8bzo
ほむら「…ねぇ」ゼーハー

名護「なんだ」

ほむら「これは本当に意味があるの?」ゼーハー

名護「戦士であるには強い体でなければならない」

名護「この動きは、強い体を作る基礎だ。何事も基礎が大事だ」

名護「基礎がなければ応用も効かない。俺が戦えるのも基礎鍛錬を怠らないからだ」

マミ「というか暁美さん、貴方体力無さすぎじゃない?」

ほむら「立ち回り以外、ここにいる全員より下よ」ゼー、ハー

杏子「お前、そんなんで大丈夫か?」

名護「やはり君も正式な俺の弟子になりなさい。一から鍛え直してやろう」

橘「まあまあ、近いうちに新しい魔法少女候補も来るんだ。彼女はその子と一緒にやればいいさ」

名護「たしかに。では俺はこれぐらいで終わりだ」

橘「次に行くか」

ほむら「次が…あるの…?」

橘「ああ。次の特訓は動体視力だ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:07:32.82 ID:wBtEI8bzo
―動体視力訓練場―

橘「これから動体視力の特訓をする」

橘「ギャレンになるための基礎訓練の一つで、バッティングマシンから放たれるボールに書いてある数字を読むんだ」

橘「まずは手本を見せよう」

(マシンからボールが放たれる音)

( 0M0)「ザン!」パシッ

橘「どうだ」つB

ほむら「わけがわからないわ…」

その後、全員が10球ずつ訓練をした。結果は

橘・名護…10球中10球 パーフェクト。睦月…10球中9球。

マミ…10球中8球。杏子…10球中7球。ほむら…10球中3球。

ほむら「貴方達絶対何処かおかしいわ…」

マミ「久しぶりだったから、ちょっと調子が出にくかったわ」

杏子「まあ、こんなもんだろ。久しぶりにしては」

睦月「でもよくやったほうだよ。俺なんて最初は全然できなくて
   橘さんに『デタラメヲイウナ!』って言われてたし」

橘「流石は魔法少女というべきか」

ほむら「全然嬉しくないわ…」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:08:11.66 ID:wBtEI8bzo
名護「さて、今日はこのぐらいにしておくか」

橘「明日はどうするんだ?」

ほむら「その事で頼みたいことがある」

名護「なんだ、言ってみなさい」

ほむら「明日は私一人で行動させてほしい」

睦月「何か有るの?」

ほむら「今は詳しくは言えない。でも明日は私一人でやらせてほしい」

名護「…わかった。明日は俺はマミちゃんと行動しよう」

ほむら「ありがとう」

名護「だが困ったらすぐ、俺達に連絡しなさい」

マミ「同じ町だし、私達もすぐ行けるはずよ」

ほむら「その必要はないように動くわ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:09:05.00 ID:wBtEI8bzo
―Side???―

少女は夢を見ていた。

自分と同じぐらいの髪の長い女の子が、強大な怪物と戦っている夢。

自分の傍には、何かよくわからない白い姿をした小さな生き物までいる。

「どうして…こんなことに…」

力の差は見てわかるほどだった。

女の子は、怪物に押されていた。

「彼女も覚悟の上さ」

その直後、女の子は壁に叩きつけられる。

「どうにかできないの…?」

この状況を解決する方法を聞く。

「君が僕と契約してくれれば、彼女はおろか、世界すら救えるよ」

「だめ…」
か弱い声で言ってみるが、少女には聞こえない。

「わかったよ。キュゥべえ。私の願いは―」

「そいつの言う事を聞いちゃダメ!まどかー!」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:09:31.84 ID:wBtEI8bzo
布団から少女が出てくる。

「夢オチ…?」

夢にしてはえらくリアルであったが、夢で終わってよかったと少女…『鹿目まどか』はそう思った。


―――

「おはよー、パパ」

「おはよう、まどか」

まどかは自宅の庭の菜園で野菜をとっていた、父『知久』に挨拶する。

専業主婦である父は、いつも笑顔でいて、家事はすべてやってくれている。

「ママは?」

「タツヤが行ってる。手伝ってやって」

「はーい」
そう言って、そう言ってまどかはバリバリのキャリアウーマンである『絢子』を起こしに寝室に向かった。

クスっと知久が微笑んだ。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:09:59.11 ID:wBtEI8bzo
「ままぁー、ままぁー、あさぁ、あーさぁ。あさ、おーきてぇ」

まどかの弟の『タツヤ』が絢子を起こそうとするが、絢子は一向に目覚めない。

すると、ドン!という音を立てて、まどかが部屋の中に入ってきた。

そして、部屋のカーテンを全開にし、

「起ーきろー」

布団をひっペがした。

「ぜえぇぇええぇぇぇ…あれ?」

「まま、おきたね」

ここまでやってようやく絢子が起きた。

このやりとりもほとんど毎日やっている。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:10:29.77 ID:wBtEI8bzo
まどかは母、絢子と並んで歯を磨く。

「最近、どんなよ」

「仁美ちゃんにまたラブレターが届いたよ。今月でももう2通目」

「ふん。直に告る根性のねえ男は駄目だ」

「「あがががが。ぺえ」」

母親とそういった生活の事を話しながら、歯磨きを終了した。

「和子はどう?」

「先生はまだ続いてるみたい。HRで惚気けまくりだよぉ」

「今月で3ヶ月目だから、記録更新だよねー」

「さぁーどうだか。今が危なっかしい頃合いだよ?」

「そうなの?」

「本物じゃなければ、この辺でボロが出始めるものなのさ。まあ、乗り切ったら1年は持つだろうけど」

「ふーん」

まどかの担任である『早乙女和子』の話をしながら、絢子は化粧をする。

化粧が終わり、セットを片付け、鏡の前でもう一度確認をする。

「完成♪」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:11:00.18 ID:wBtEI8bzo
「リボン、どっちかなぁ?」

まどかは手に黄色のリボンと、ピンクのリボンを持ってどちらにしようか迷っている。

「ん」
絢子はまどかが右手に持っているピンクのリボンを指さした。

「えぇ?派手すぎない?」

「それくらいでいいのさぁ。女は外見でなめられたら終わりだよ?」

そういわれ、まどかはピンクのリボンをつける。

「いいじゃん。これならまどかの隠れファンもメロメロだ」

「いないよ、そんなの」

「いると思っておくんだよ。それがぁ、美人のヒ・ケ・ツ」

そうして、絢子は洗面所を出て行った。

まどかは鏡の前で微笑んだ。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:11:29.58 ID:wBtEI8bzo
「あぁー、あう」

タツヤがプチトマトにフォークを突き刺さそうとするが、刺さらずにトレイから出て、机から

「うぇあっと。セーフ」
落ちそうなところを絢子がキャッチした。

「はい、残さないで食べてねぇ」

「えーい」

「コーヒー、おかわりは?」
知久が絢子に聞く。

「おぁー、いいや」
時間を見て、それを断る。そして残ったコーヒーを一気に飲み干した。

タツヤ、知久に行ってきますのキスをし、まどかとハイタッチする。

「よぉし、行ってくる」

「「「行ってらっしゃーい」」」
三人は仕事に行く絢子を見送る。

「さぁ、まどかも急がないと」

「え、うん!」
時計を見てみると、待ち合わせの時間まであまり余裕がなかった。
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/06(水) 21:11:55.26 ID:wBtEI8bzo
「行って来まーす」

「行ってらっしゃーい」「いってらしゃぁい」
知久とタツヤがまどかを見送る

まどかはパンを咥えて、外に出た。

そして、外でパンの残りを頬張り、嬉しそうに
「うふっ」
今日も彼女は上機嫌だ。

だが、彼女の日常はこの日から、非日常へと変わることを、彼女はまだ知らない。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 21:16:26.27 ID:wBtEI8bzo
今回はここまで

最後はなんかありきたり

ちなみにイクササイズ

やった人は分かるけど、アレを声を出しながらやるとかなり疲れます


それより昨日地震が来たんですよ

運良くアーツはダイキャスト足は当たり前に、タジャドルまで倒れなかったという


1話は少し短め

あと、この後の話で、同じ日なのに突然サブタイが変わったりするけど腕怪人が「気にするな!」って言ってるので気にしないでください

別になくても問題ないものですしね

次回は日曜に来ますよ

名護さんは最高です!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/06(水) 21:17:54.60 ID:rTNgFmyJo
>>1さんは乙高です!
和歌山県民か何か?
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/07/07(木) 00:24:59.48 ID:WBnv/zMVo
つまり>>1はイクササイズをやったことがあるんだな
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/10(日) 20:21:17.76 ID:MlbfQ1hLo
今日も来ましたよ

今回で1話の部分は終わり

ちなみに最初の方はアニメとほとんど同じ

>>102 和歌山じゃないけど、地震は来ました
     それほど強くなかったですし

>>103 ええ、やりましたよ。誰も見てないのを確認して
     口にだしながらやると巻なさーい、巻なさーい、変身ベルトを巻きなさいあたりで息が続かなくなるという


投下開始です
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:21:52.38 ID:MlbfQ1hLo
いつもの待ち合わせ場所につくと、友人の『美樹さやか』と『志筑仁美』は既にいた。

「お〜はよ〜」
いつものように、二人に挨拶するまどか。

「おはようございます」

「まどか遅ーい…おぉ!かわいいリボン」
お嬢様口調の仁美、そこら辺にいる一般庶民のさやか。

そのさやかが、まどかのリボンを見て、かわいいと感想を述べる。

「そ、そうかな?ちょっと派手すぎない?」
自分を謙遜するまどか。

「とても素敵ですわ」
仁美もさやかと同じような感想を言う。

3人は仲良く学校へ向かう。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:22:32.92 ID:MlbfQ1hLo
「でね、ラブレターでなくて、直に告白できるようじゃなくちゃダメだって」
朝の絢子とのやりとりを伝えるまどか。

「相変わらず、まどかのママはかっこいいなぁ。美人だし、バリキャリだし」

「そんな風にきっぱり割り切れたらいいんだけれど…ハァ」

「羨ましい悩みだねぇ」

「いいなぁ。私も一通ぐらい貰ってみたいなぁ。ラブレター」

「ほう、まどかも仁美みたいなモテモテな美少女に変身したいと?」

「そこでまずはリボンからイメチェンですかな?」

「ちがうよ!これはママが…!」

「さては、ママからモテる秘訣を教わったな?けしからん。
 そんなハレンチな子は〜…こうだぁ!」

そう言って、まどかに抱きつくさやか。

友人同士のスキンシップ。あくまで遊びである。

「ちょっと、アハハ、やめて」

「かわいいねえ。でも男子にモテようなんて許さんぞぉ」

「まどかは私の嫁になるのだー!」

そんな二人のやりとりを見ていた仁美が咳払いを一つ。

「ううぇ」

そこでようやく二人は止まった。

ちなみにここは学校の前だ。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:23:42.86 ID:MlbfQ1hLo
キーンコーンカーンコーン

和子「今日は皆さんに大事なお話があります。心して聞くように!」キーンコーンカーンコーン

ドン!

和子「目玉焼きとは固焼きですか半熟ですか?はいっ、中沢くん!」

中沢「えぇ!?え、えーと、どっちでもいいんじゃないかと…」

和子「その通り!たかが卵の焼き加減なんかで女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」
(指示棒が折れる音)

和子「女子の皆さんはくれぐれも、半熟しか食べられない、という男とは交際しないように!」

さやか「駄目だったかぁ…」

まどか「駄目だったんだねぇ…」

和子「そして、男子の皆さんは絶対に卵の焼き加減にケチを付ける大人にならないこと!」

和子「…はいっ、あとそれから、皆さんに転校生を紹介します」

さやか「そっちが後回しかよぉ」

和子「じゃあ、暁美さん。いらっしゃい」

カツッカツッカツ

ウワーカワイイナー カワイイ ガヤガヤ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:24:13.24 ID:MlbfQ1hLo
「うわー、すげえ美人」
さやかが教室に入ってきたほむらに思わず感想を漏らす。

「…」

「……ハッ」
まどかの見た夢が再生される。あの娘は確か夢に出てきた…

「嘘…!?まさか…!?」
信じられない…そういった表情でまどかはほむらを見つめる。

「はぁい、それじゃあ自己紹介行ってみよう」

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
和子に言われ、自己紹介をするほむら。

「………」
全員が唖然としている中、ホワイトボードに自分の名前を書くほむら。

「…」
その場でお辞儀をし、すると

「わぁ」パチパチパチ
クラスから拍手が起きた。

「…」

「え…?」
まどかはほむらが自分に微笑んできたように見えた。

が、すぐ元の表情に戻っていた。

「ええっと、暁美さん…?」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:24:39.17 ID:MlbfQ1hLo
―教室の外 Side:ほむら―

「今日は皆さんに大事なお話があります。心して聞くように!」
和子の声が教室の外にいるほむらの所にまで聞こえてくる。

この話を聞くのも何回目だろうか…

そう思いつつ、ほむらは和子の無駄に長い話が終わるのを待った。

教室の中が静かになり、

「…はいっ、あとそれから、皆さんに転校生を紹介します」
ようやく、自分の出番がきた。

(今回の時間軸では、今までにない戦力がある。ここでまどかや美樹さやか達と友好な関係を結んでおきたい)
名護や橘、睦月。メンタルが強いマミ、さやかに感化された後のような杏子。

今回の時間軸は、いままでで最高と言っていいほどのメンバーだった。

故に、ここでまどか達と仲良くなっていれば、計画の障害その2であるさやかの契約を防げるかもしれない。

ほむらはそう思ったのだった。

「じゃあ、暁美さん。いらっしゃい」

和子に呼ばれ、教室の中に入るほむら。

「うわー、すげえ美人」
さやかが自分に対して『いつも』と同じような感想を言ってくる。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:25:06.47 ID:MlbfQ1hLo
クラス中の視線を感じる。

「はぁい、それじゃあ自己紹介行ってみよう」

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
和子に言われ、自己紹介をする。

そして、全員が唖然としている中一人ホワイトボードに自分の名前を書き込む。

書き終わり、その場で軽くお辞儀をすると、クラスから拍手が起こった。

ほむらは、まどかの方をみつめ、軽く微笑んだ。

まどかが見たかどうかもわからない、ほんの一瞬。

だが、ほむらは、まどかは自分のことを見ていてくれたと確信していた。

「ええっと、暁美さん…?」

和子が困ったような顔をしていた。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:25:34.03 ID:MlbfQ1hLo
―HR終了後―

「ねえねえ、暁美さんって、前は何処の学校だったの?」

「東京のミッション系の学校よ」

「前は部活とかやってなかったの?運動系?文化系?」

「やってなかったわ」

「スッゲーきれいな髪だよね。シャンプーは何使ってるの?」

いつのと同じようにくだらない質問ばかり。

頃合いを見計らって、

「ちょっと緊張しすぎたみたい。気分が悪いわ」
そうして席をたつ。

「じゃあ、私が案内してあげる」「私が」
近くにいた生徒が自分がつれていくと言い出す。

これもいつもと同じだ。

それに対してほむらは
「お構い無く。係の人に案内してもらうから」

そして、鹿目まどかの方へ近づいていく。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:26:08.63 ID:MlbfQ1hLo
まどかの席の前に立ち、

「鹿目まどかさんよね。連れていってくれる?保健室」

いつもとは違い少し愛想良く微笑む。

「う、うん」

どうやら連れていってくれるようだ。

―廊下―

「事前に地図は見たのだけれど、迷っちゃいそうで」

「それで早乙女先生から事前に聞いておいた保健委員である貴方にお願いしたの」
もちろん嘘だ。保健室への行き方など、まどかに接触するための口実にしか過ぎない。

「そうなんだ。ええっと…暁美さん?」

「ほむらでいいわ」

「ほむらちゃん…」

「何?」
いつも思う。まどかに名前を呼ばれるのはすごく嬉しい。

「ほむらちゃん、さっき教室で自己紹介したときに、私の方向いて笑ってくれたよね?」

たった一瞬であったが本当に分かっていたらしい。

「よくわかったわね。なんだか貴方とは仲良くなれそうな気がして」
ここで仲良くなっておけば、QBへの牽制もしやすい上、QBに接触された後も契約を妨害がしやすくなる。

そう思って近づいた。だが、彼女に見せた微笑みは間違いなく本物だった。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:27:06.83 ID:MlbfQ1hLo
「そうなんだ。じゃあこれからよろしくね、ほむらちゃん」

「よろしく、えっと…」
いままでもなんども呼んだ名前だ。

できることなら、今すぐ言ってしまいたい。

が、ここでいきなり名前を呼ばれても、普通は困惑するだけだ。

「ほむらちゃんの事を下の名前で呼ぶし、私もまどかでいいよ」

「ええ。よろしく、まどか」
珍しく初対面から名前を呼ぶことができた。

「ここだよ。保健室」

「あっ」
いつの間にか保健室前についていた。

「それじゃあ教室でね」

「ちょっと待って」
まどかを呼び止める。

「何?ほむらちゃん?」

「放課後、この町を案内してくれない?まだ知らないところがたくさんあって」
統計で、まどか達の行くデパートで、まどかとさやかは結界に巻き込まれる。

その出来事を回避出来れば、彼女たちがQBに接触するのも遅らせることができるはず。

ほむらはそう考えた。

「わかった。さやかちゃんや仁美ちゃん…私の友達にも言っておくね」
そうして、まどかは教室へ戻っていった。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:27:37.33 ID:MlbfQ1hLo
―放課後―

「おっす転校生!」

「よろしくお願いします、ええっと…」

「ほむらでいいわ」
まどかに言ったことと同じ返しをする。

「よろしく!ほむら。ちなみに私は美樹さやか。気軽にさやかって呼んでね」

「私は志筑仁美ですわ。仁美って呼んでください」

「わかったわ。さやか、仁美」
この2人にここまで接近したのも数えるほどしかない。

「じゃあ、ほむらちゃんを案内しようか?」

「お願いするわ」
そうして、いつもまどか達を閉じ込める魔女がいるデパートへ向かった。


―デパート―

ほむらはデパートの中を色々案内してもらい、今はデパートの中にある喫茶店にいた。

「すみません皆さん。私、稽古のお時間ですわ」

仁美がそういって席をたつ。

「もうそんな時間かー。今日は歌?日本舞踊?」

「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験ですのにいつまで続けさせられるのか」


「仁美ちゃんは、色々なお稽古をしてて、すっごいお金持ちなんだよ」
ほむらに聞こえるように、まどかが耳打ちをしてくる。

「へぇ。すごいのね、彼女」

「本人はあんまり嬉しくないみたいだけどね」
それもそうだ。自分の意志でやりたいことができないなど、そんな縛られた人生は嫌であるのが人間だ。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:28:03.26 ID:MlbfQ1hLo
「はぁー、小市民に生まれてよかったわー」

「私達も行こっか」
まどかが席をたつ。

「ねぇ2人とも、CDショップよってもいい?」

「また上条くんの?私はいいよ。ほむらちゃんは?」

「私もいいわよ」

「あ、ちなみに上条くんはさやかちゃんの幼馴染で、今は理由があって入院してるの」
その事は、既に知っている。

というよりその男が、さやかの魔法少女になる原因の一つであった。

「すっごいバイオリンが上手なんだよ。今は無理だけどいつか、ほむらも聴いてみなよ」

さやかがまるで自分のことのように話をする。

「機会があれば、一度聴いてみたいわね」

だが、それは叶わぬ願い。

ただし、さやかが魔法少女になれば話は別だが…

「じゃあ、行こっか」

―デパート内 CDショップ―

(そろそろね…)

いつもならこの時間に彼女はキュゥべえを追いかけている。

「ねえ、まどか」

「なに、ほむらちゃん?」

「私急用ができたの。先に帰ってもいいかしら」

「わかった。さやかちゃんに言っておくね」

「ありがとう」
そう言って、魔女を倒すためにまどか達から離れるほむら。

これで、キュゥべえに接触する確率を下げられるはずだ。
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:28:29.35 ID:MlbfQ1hLo
―Side:まどか―

「ありがとう」

「バイバイ。ほむらちゃん」
そう言ってほむらを見送る。

すると、さやかがCDを手に持って近づいてきた。

「あれ?ほむらは?」
さやかがほむらがいなくなったことについて疑問をもつ。

「急用ができたんだって。だからさっき出たところだよ…さやかちゃん?」

なんだかさやかの様子がおかしい。まるで自分のはるか後ろにいる何かを見ているような感じだ。

「ねえ、まどか。あれほむらじゃない?」

さやかが指を差した方を見るとたしかにほむらがいた。

そして、人気のない方へと進んでいくのがまどかから見ても簡単に分かった。

「なんかヤバそうじゃない?」

「でも、今から追いかけるのはどうかと思うよ?」

「友達だったら考えるより行動でしょ。それにほむらが危ないことに巻き込まれてたらそれこそ大変でしょ?」

さやかの言うことも一理ある。

そしてまどかは、

「分かった。ほむらちゃんの後を追ってみよう」

「そうこなくっちゃね」

さやかと一緒にほむらの後を追うことにした。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:29:19.96 ID:MlbfQ1hLo
―Side:ほむら―

(ここね)

いつもまどか達が巻き込まれる場所。

既に何回も此処に来たことがあるので、その位置は完璧に覚えている。

指輪に変化させていたソウルジェムを本来の形に戻し、ほむらは、魔法少女に変身した。

(あとはこのまま、魔女を待つだけね)

そう思っていた矢先…

「ほむらちゃん…?」

なぜかこの場所にまどかとさやかが現われた。

「なんで…貴方達が此処に…?」

さっきCDショップで別れたはずだ。

それがなんでこんな人気のない場所に。

「だって、ほむらちゃん、だんだん人気の少ないところに行くから、心配になって」

迂闊だった。まどか達に此処へ来る姿を見られた上に、尾行されていたことに今まで全く気づかなかった。

「ところでほむら、その格好何?コスプレ?…ってここどこ!?」

(しまった!)

そう思った頃にはもう遅い。すでに魔女の結界が組み上がり、周りには使い魔達が押し寄せている。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:29:52.35 ID:MlbfQ1hLo
「ひっ!なんなの、これ?」

まどかが使い魔をみて怯える。

「私から離れないで」

そう言いつつも心のなかでは

(彼女たちの前で、能力をみせるのは極力避けたい)

そうして、能力を使わず、こちらに近づいてくる使い魔を的確に撃ち落としていく。

しかし、

「きゃっ!」
さやかが使い魔の体当たりをくらって尻餅を付いた。

そして別の使い魔がさやかに突っ込んでいく。

間に合わない…そう思ったとき。

「伏せて!」

別の声がこの空間に響いた。

その声を聞きさやかはその場にうずくまり、ほむらは無理やりまどかを伏せさせた。

直後、空中から大量の弾丸が発射された。

「まだまだだな。君も」

闇の中から男の声。

暗闇の中から出てきたのは、名護啓介と魔法少女の姿に変身した巴マミ、

そしてその2人の足元にはキュゥべえ。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:30:18.28 ID:MlbfQ1hLo
「なにこれ?」

さやかが思っていたことを口に出す。

「ねえ、キュゥべえ。あなたの言ってた魔法少女候補って2人だったの?」

「そうだよ。そういえば言ってなかったね」

出会うべきではない者たちが出会ってしまった。

こうなってしまっては仕方がない。

そう思い、ほむらは事の成り行きを見守った。

すると、魔女の結界が消えてゆき、元いた場所に戻ってきた。

「追わないの?」

ほむらがマミに聞いた。

「追わなきゃいけないけど、この子達が優先よ。なんて言ったって魔法少女候補なんですもの」

どうやら追う気はないらしい。

「魔法少女って何?」

さやかが聞いた。

するとキュゥべえがまどかとさやかに近づき、

「詳しい話は後にして、僕と契約して、魔法少女になってよ!」

あの、絶望への言葉が発せられた。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:30:46.17 ID:MlbfQ1hLo
「こら、キュゥべえ。いきなり契約迫っちゃダメって言ったでしょ?」

マミがそれを止めた。

そういえば、この世界でのマミはいつもの世界とは違い、常識的な思考の持ち主だった。

「とりあえず、こんな暗いところに何時までもいるわけにはいかない。外に出よう」

名護が提案した。

「ええ」

ほむらは肯定し、変身を解き、外へ出た。


―外―

「まずは、自己紹介といこう。俺は名護啓介だ」

「私は巴マミよ。こっちはキュゥべえ」
2人はそれぞれまどかとさやかに自己紹介をする。

「鹿目まどかです」

「美樹さやかです。おじさんたち何者なんですか?」
まどかとさやかも自己紹介をし、さやかが質問を投げかけた。

「俺はまだ26だ。おじさんというのはやめなさい」

「あ、はい。じゃあ、名護さんで」
さやかが言い直す。

「いまから説明してやりたいところだが、今日はもう遅い。明日にしよう」

「それがいいですね」
日も沈みかけて空はだんだん暗くなっていた。

「じゃあ、鹿目さん、美樹さん、明日連れていきたい場所があるのだけど構わないかしら?」

「それって、魔法少女と関係あるんですか?」

まどかが聞いた。

「あるわ。それに貴方達は魔女に関わった。このことは聞いておくべきよ」
ほむらがまどかの質問に答えた。

「じゃあ、マミちゃん。ほむらちゃん。明日君達はこの二人を連れて研究所に来てくれ」

「はい、名護さん」

すると、名護はどこかへ行ってしまった。

「じゃあ、明日の放課後、よろしくね」

「よろしくお願いします、巴さん」

「マミでいいわ」

明日の放課後の予定がすでに決まってしまった。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:31:38.98 ID:MlbfQ1hLo
―帰り道 まどかとさやか―

ほむら達と別れた後、2人で帰っていたまどかとさやか。

いつもの2人には珍しく、長い間会話がなかった。

「ねえ、まどか」

すると、さやかが口を開く。

「なにかな、さやかちゃん」

「あれ、夢だったのかな」

「夢だったらよかったのに」

2人して現実を受け入れられない。

それもそうだ。

今まで普通に生きてきた2人。それがたった1日で崩れ去ったのだ。

「やっぱり、夢じゃない」

あそこでほむらを追わなければ、また未来は変わっていたのかもしれない、とさやかは思う。

「さやかちゃん、私ね…」

まどかが何か言いたそうな顔をしている。

「どうしたの、まどか。言いたいことがあるなら言って。親友じゃん、私達」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:32:13.13 ID:MlbfQ1hLo
「うん…ありがと」

さやかが自分の親友である。このことに変わりはない。

「私ね…夢のなかであったような気がするの」

朝、起きる前に見た夢をさやかに語る。

「は?誰に?」

「――ほむらちゃんに」

「はぁ?」

訳がわからなかった。いきなりまどかの口から、ほむらと夢のなかであっている。

そんなことを言われても、ただ反応に困るだけである。

まどかは続ける。

「それも、学校の制服じゃなかった。あの、魔法少女って言ってたあの姿だった」

「あのコスプレみたいな格好?」

さやかの魔法少女への認識は、この時点ではまだコスプレのような物だ。

「うん…夢のなかで、ほむらちゃんは大きな怪物と戦ってた」

「でもそれは夢でしょ?なんで今その事を話すの?」

今はその話は関係ない。さやかはそう言いたかった。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:32:41.88 ID:MlbfQ1hLo
「今日ね、教室でほむらちゃんを見たとき、嘘って思った」

「それでね、保健室に連れて行く時の会話で、夢でよかったって思ったの」

「でも、さっきのであれはただの夢じゃなくて、私達の未来なんじゃないかなって思うようになったの」

「ありえないっしょ、そんなこと」

冗談はほどほどにしてくれ。さやかはそう思った。

「でもあれが私達の未来なら、みんないなくなっちゃう…あのマミさんも名護さんも…」

最悪の未来がまどかの脳内に映る。

「うじうじすんな!絶対なんとかなる。私、ほむらの事信じてる」

「え…?」

さやかの言葉に唖然とするまどか。

「あれは現実だった。そして、私達はまどかの言う通りになっちゃうかもしれない」

「さやかちゃんだってそう思ってるんでしょ?」

まどかがさやかに同意を求める。

「私だって少しはそう思うよ。でもね、ほむらはそんな私達を救うために未来からやってきた
 『正義の味方』なんじゃない?」

「でも私の夢じゃ…!」

夢のなかで戦っていたほむらは、化物の圧倒的な力に為す術もなかった。

「それは、まどかの夢の話。現実はきっと違うよ。私はそう信じてる」

さやかはそう思うことにした。

「ま、明日になったら詳しい話をしてくれるみたいだし、とりあえず帰ろ」

そう、全ては明日になれば分かることだ。

「バイバイ、まどか」

「う、うん。バイバイ」

そう言って、まどかはさやかと別れた。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:33:09.02 ID:MlbfQ1hLo
―まどか達と別れた後のほむら達―

名護「君はあの娘たちのことを知っていたのか?」

ほむら「いいえ。今日友達になったばかりよ」

マミ「という事は、昨日言ってたお願いって言うのは、あの魔女の反応を前から知ってて、
   それを一人で倒すため?」

ほむら「そう思ってくれて構わないわ」

名護(彼女の言ってることは嘘だ。この娘はあの2人を魔法少女にしたくない。
   と言っても理由はまだ不明だが、彼女の能力の特性上、未来でなにかあるのだろう)

名護「とりあえず、彼女達は魔法少女に関わってしまった。
   ならせめて説明だけでも聞かせてやらねければならない」

マミ「どんな願いが叶うと言っても、真実を知ればその考えが変わるかもしれないでしょ?」

ほむら「…わかったわ」

名護「それじゃ、解散にしよう」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 20:39:35.58 ID:MlbfQ1hLo
キャラ設定

鹿目まどか…数々の時間軸での最強の魔法少女兼最悪の魔女。
         このSSでは主役が名護さんとほむらのため出番少なめ。

美樹さやか…ほむらの計画の障害その2。
        他の世界では、魔法少女になるたびに魔女化する。
        ただしこのSSでは空気。なかなか出番が来ない。

志筑仁美…空気。それ以上でもそれ以下でもない。
       扱いはTV本編と同等。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/10(日) 20:40:33.79 ID:MlbfQ1hLo
投下終了

名護さんが最高過ぎて生きるのが辛い


あとまどかの夢と話ですけど、何気に最初のほむらの記憶と違ってるんですよね

なので、まどかはQBと契約する直前に死んだということにしておいてください


あと今完全にオリジナル展開を書いてるから筆がほとんど進まない

2時間使って3ぐらいかな

別に日常生活が忙しいってわけじゃないんですけどね


次回の投下は相変わらずの水曜日

バイトがあるので9時半頃に来れたらいいなと思ってます


次回、第2話『名護さんは最高です』
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 06:23:27.72 ID:8LPFpxTIO
753 の一人称は「私」じゃなかったっけ?
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 13:38:38.97 ID:u4Ct/gxio
「私」も「俺」も使ってるよん
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/07/14(木) 21:03:14.26 ID:LKau0jkAO
携帯から>>1です

昨日はSS速報に繋がらず、投下が出来ませんでした

今日にしようかなと思ったけど日曜日に昨日の分も合わせて投下します

最初の投下は午後1時以降です
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/17(日) 13:25:21.11 ID:nH3uBgr4o
>>127 >>128の言う通り、753は「私」と「俺」を使っていますが、このSSでは性格がかなり丸くなっているので「俺」しか使いません。

いや、別に>>1がめんどくさいというわけではないですよ?

そして、昼の投下開始。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:25:47.33 ID:nH3uBgr4o
―翌日 朝―

朝。まどかは昨日と同じように起き、母親の絢子を起こし、朝食を食べ、家を出た。

「やっぱり、夢じゃないんだね…」

昨日の夕方の記憶がしっかりと残っている。

「さやかちゃん、口ではああ言ってたけど、今日ちゃんと来てるかなぁ?」

さやかの親友であるまどかは、彼女はいつもは強気でいるだけで、いざという時には心が弱いことを知っていた。

「せめて、私だけでも元気にしてなくちゃ、仁美ちゃんに心配かけちゃう」

そう思い、まどかは2人が待っているであろう、いつもの待ち合わせ場所に走った。


―待ち合わせ場所―

「おっはよー」

手を振りながらさやかと仁美に挨拶するまどか。

「おっはよー!まどかは今日もかわいいね〜」

「おはようございます」

さやかを見てほっとするまどか。

どうやら杞憂で終わたようだ。

「じゃ、行こっか」

さやかが学校に向かって歩き出す。

まどかと仁美がそれに続いて一緒に歩く。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:26:14.53 ID:nH3uBgr4o
―登校中―

「ねえ仁美」

「なんですか、さやかさん」

どうやらさやかが仁美に今日は遊べないというみたいだ。

「私とまどか今日の放課後ちょっと用事があるんだ。だから先に帰っててくれる?」

もちろん用事というのは、魔法少女に関しての話を聞く、ということだ。

「それなら心配いりません。今日は、早くからお稽古がありますので。
 私の方も、今日は一緒に遊べませんというところでしたの」

どうやら仁美のほうにも稽古があり、どのみち遊べなかったらしい。

「わかった」

さやかは短くそう返す。

その会話が終わると学校が見えてきた。

とにかく放課後は大変な用事がある。

その事だけを頭に入れて過ごそう、とまどかは思った。
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:26:41.71 ID:nH3uBgr4o
―放課後―

本日の学校がようやく終わった。

これから2人を連れて巴マミと共に、BOARDへ連れていかなければならない。

ほむらがそう思っていると、

「おーし、ほむら。私達を連れて行ってくれるんでしょ?」

さやかが話しかけてきた。

「マミさんは何処にいるの?」

「巴マミなら校門の前で待ってるそうよ」

昼休みのうちに彼女と話はして、校門前で待ち合わせすることにしておいたのだ。

「そっか、じゃあ行こう」

さやかが気軽に言う。

「これから貴方達が知ることは、思っている以上に深刻な話よ。
 軽い気持ちで聞くべきことじゃないわ」

まるで、小さい子が楽しそうなお伽話を聞くような雰囲気を出している2人…特にさやかに注意した。

「とにかく、詳しい話は後にするから、ついてきて」

そうして教室を出た。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:27:07.81 ID:nH3uBgr4o
―校門前―

「待ってたわよ、暁美さん」

校門の前で待ち合わせしていたマミと合流した。

「やあ、鹿目まどかに美樹さやか」

白い動物。キュゥべえが2人に話しかける。

「あなた、私達のことを知ってるの?」

まどかがキュゥべえに聞く。

「当たり前だよ。君達に魔法少女の素質があるなら、僕は君達の簡単なことならだいたい分かるよ」

「ところで、あんたはなんなのよ」

さやかがキュゥべえに聞いた。

「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はキュゥべえ」

キュゥべえ。何処の誰がつけた名前かは知らないが、ふざけた名前だとほむらは思った。

「とりあえずそこら辺にして、行きましょう、BOARDへ」

「ぼーど?なんですかそれ」

聞いたことのない単語にさやかが反応する。

まどかも一応反応はしているが聞きたいことはさやかが全部聞いているようだ。

「私達、魔法少女について研究している研究所よ」

「行けばわかるわ。行くわよ」

ほむらはそう言って歩き出した。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:27:36.82 ID:nH3uBgr4o
―15分後 BOARD前―

ピンポーン

「いらっしゃーい」

マミ「連れてきましたよ」

睦月「えーと後ろの2人が魔法少女候補?」

ほむら「そうよ」

まどさや「初めまして」

睦月「初めまして。じゃあ、橘さん達がいる部屋に案内するよ。自己紹介とかはそこでね」


―橘達のいる部屋―

<コンコン 入りまーす

名護「ようやく来たか」

杏子「遅かったな」

橘「君と違って学校へ行ってるんだ。ある程度の時間のズレは起こるさ」

杏子「悪かったなー。小卒で」

名護「誰もそこまでは言ってないだろう」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:28:03.71 ID:nH3uBgr4o
ほむらとマミについて行き、研究所で一人の青年に出会ったまどかとさやか。

その男に案内され、入った部屋に居たのは、2人の男と1人の少女。

2人が部屋に入った途端、男の1人が口を開いた。

「待ってたよ」

20代後半から30代前半ぐらいの男がそういった。

次に少女が話しかけてきた。

「あんた達2人がキュゥべえの言ってた魔法少女候補かい?」

少女がそう聞いてくる。

「そうだよ、杏子」

キュゥべえがその質問に答える。

「まじかよ。こんなそこら辺にいくらでもいる幸せそうな奴らが?」

杏子と呼ばれた、少女が、不思議そうに2人を見つめる。

「そこら辺にしなさい。まずは自己紹介だ」

昨日出会った名護が全体の指揮をとる。

「俺とマミちゃん、ほむらちゃんは既に知っているから、君達3人だ」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:28:30.92 ID:nH3uBgr4o
「じゃあ、俺からいこう。俺は橘朔也。ここBOARDの研究員だ。よろしく」

橘と名乗った男が挨拶をしてくる。

「次は俺がいくよ。俺は上城睦月。ここで橘さんの助手をしてる。よろしく」

2人目の男、玄関から出てきた男が名乗った。

「最後はあたしだな。佐倉杏子だ。よろしく」

最後にこちらに話しかけてきた少女が名乗る。

「鹿目まどかです」

「美樹さやかです。よろしくお願いします」

妙に緊張してしまって、声が裏返りそうになった。

「そうあまり畏まらなくてもいい。楽にしてくれ」

橘にそう言われるが、やっぱり緊張してしまう2人。

「緊張をほぐすためだ。食うかい?」

杏子がポッキーをさし出してきた。

「あ、ありがとう」

差し出されたポッキーを1本ずつ抜き取るまどかとさやか。
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:28:56.41 ID:nH3uBgr4o
抜きっ取ったポッキーを口に運ぶ。

口の中で、チョコの甘い香りと、プリッツ部のサクサクした食感が広がる。

「うまいだろ?」

「うん」

杏子のおかげか緊張がほぐれてきた。

「さあ、話といこう。とりあえず座りなさい」

「あ、はい」

名護に言われ椅子に腰を掛ける2人。

「まずは、魔法少女についてから話そうか」
橘が言う。

「なんだかよくわからないけどお願いします」

「魔法少女のことに関してなら僕に任せてよ」

今までマミの足元にいたキュゥべえがテーブルの上に登ってくる。

「君達には僕と契約して魔女と戦ってほしいんだ」

いきなり話し始めた。

「もちろんただじゃないよ。契約するときに君達の願いを何でも叶えてあげる。
 その代わりとして、魔女と戦ってもらいたい」

願いが何でも叶う…がその代わりに化物と戦え。そういう意味だった。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:29:29.93 ID:nH3uBgr4o
「それてホントに何でも叶うの?」

さやかがキュゥべえに聞く。

「契約する娘の素質に合っていれば、何でも叶うよ」

「てことは、不老不死だとか、億万長者とか、満漢全席とか!」

「さやかちゃん、それちょっと違う」

意味が分からないことをいうさやかにまどかがツッコミを入れる。

「さっきも言ったけど、それは素質次第だね」

力が大きければ大きいほどより強い願いが叶えられるということだ。

「じゃあさ、その願いって誰かのために使えるの?」

さやかが聞いた。

「もちろんだよ!君は誰かに何かしてあげたいことがあるのかい?」

「いや…そういうわけじゃないけど…」

さやかの表情が曇る。

すると、

「もし誰かのために奇跡を使うつもりならやめとけ。絶対に後悔するぞ」

杏子が言った。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:29:55.76 ID:nH3uBgr4o
「どういう事?杏子ちゃん」

まどかが杏子に聞く。

「それに、あんたらは人間をやめてまで叶えたい願いがあるのかい?」

「何言ってるの?私達訳がわからないよ」

いきなり杏子の口から人間をやめるという言葉が出てきて、まどか達は意味が分からなくなる。

「私達魔法少女は契約するときに、ソウルジェムというものをもらうの」

今度はマミが宝石のような物…ソウルジェムを見せてきた。

「すごく綺麗…」

さやかから感想が出る

「でもそれがなにか関係があるんですか?」

まどかが聞く。

「ソウルジェムは私達魔法少女の魂よ」

「え…?」

「どういう事?ほむら」

「言った通りのことよ。今の私達はこれが本体。
 こっちの体は外付けのハードウェアでしかないわ」

事実を聞き、動揺する二人。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:30:21.47 ID:nH3uBgr4o
「でもキュゥべえはさっきそんな事言わなかったよ?」

「どういう事?キュゥべえ」
さやかがキュゥべえに聞く。

「聞かれなかったからね」

「ふざけてるの…!?」

怒りを顕にするさやか。

「いきなり言われてもわかんないよ」

まどかが混乱する。

「俺達も初めて知ったときには驚いた。その時の話をしよう」

「あれは約2年前の出来事だった…」


〜2年前〜

名護はマミを連れて、嶋に紹介された研究所に来ていた。

玄関に取り付けてある、呼び鈴を鳴らす。

扉が開いて出てきたのは、一人の青年。

「あなたが名護さんですか?」

どうやら向こうはこちらのことを知っているらしい。

「ああ、そうだ」

「とりあえず中に入ってください」

そう言われ、研究所の中に入る名護とマミ。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:31:02.85 ID:nH3uBgr4o
研究所にある、一室に招待された名護とマミ。

中には一人の男がいた。

「ようこそBOARDへ。俺は橘、橘朔也だ」

「助手の上城睦月です」

「名護啓介だ」

「巴マミです」

それぞれ自己紹介する。

「魔法少女…という物に関してこちらに来たという話だが合ってるな?」

嶋に話は聞いているらしい。

「ええ、この娘…マミちゃんのことについてあなた方に調べてもらいたい」

「わかった」

無事承諾してくれた。

「なにか研究材料になるものはあるかい?」

睦月が聞く。

「それならこれを。魔法少女の証みたいなものです」

そういって、指輪を変形させ、宝石にしたマミ。

それをテーブルに置く。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:31:33.68 ID:nH3uBgr4o
「なるほど…わかった、これはあとで返す。とりあえずそれまでゆっくりしてくれ」

「しばらく掛かりそうだから、外に行っててもいですよ。なんせ俺達も初めてですからね。魔法少女についてなんて」

「なら、外で何か飲み物を買ってこよう」

「はい、名護さん」

そうして席をたつ名護とマミ。

全員気づかなかったがこの一連のやりとりをキュゥべえは黙ってみていた。


―研究所の外―

「確か、この少し向こうに自販機があった。そこで買おう」

「わかりました」

名護とマミは来る途中で見かけた、研究所から300メートルほど離れた自動販売機に向かうことにした。

すると、研究所から出て、100メートルもしないうちに、マミが突然倒れた。

「マミちゃん!どうした!?」

突然倒れたマミに必死に呼びかける名護。

そして、念の為に脈を測る名護。

だが…

「止まっている…!?なぜだ!」

そう、マミの脈は既に止まってしまっていた。

どうすればいいかと考えていると頭の中に声が響いた。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/17(日) 13:32:01.21 ID:nH3uBgr4o
『あーあ、やっちゃたね。名護啓介』

何度か聞いたことある声が聞こえた。

「キュゥべえか!どうなっている!なぜ彼女は突然倒れた!」

数々の質問をキュゥべえに投げかける名護。

それに対してキュゥべえは

『落ち着きなよ。まずマミが倒れたわけだけど、魔法少女が体を自由に操ることができるのは
 せいぜい100メートルが限界だね』

体を自由に操る?100メートル?

「どういう事だ」

『魔法少女の魂はソウルジェムにあるのさ。体は外付けのハードウェアでしかないよ』

「ふざけたことを…!」

名護はキュゥべえに怒りをぶつけたかった。

だが、テレパシーで声を聞くことはできても、姿までは見えない。

『そんなことより、早くしないとほんとにマミが死ぬよ』

「くっ!」

マミを担いで名護は研究所に走って戻った。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/17(日) 13:34:30.54 ID:nH3uBgr4o
昼の分は終了。

マミがぶっ倒れました。

ちなみに753とマミさん出会い編はもっと後です。


そして夜の投下は7時以降にまた来ます。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/17(日) 13:49:33.29 ID:Q5VsdkT5o

753は315です
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2011/07/17(日) 15:30:24.93 ID:WQtFsEPL0
乙乙
イクササイズだ!夜に備えなさい!
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/17(日) 17:15:30.80 ID:lQp/dPkAO
ワルプルとかキャッスルドランとパワードイクサがあれば余裕じゃん

やったねパワードイクサ!本編では活躍なかったけど挽回のチャンスだね!
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/17(日) 19:46:19.72 ID:jTji9Wexo
>>148 まあ、ライダーの方は本編でなかなか出番のなかったアイツとかアイツとかアイツが活躍するはず
     誰とは言いませんけどね


夜の投下開始

マミさんがぶっ倒れた後からの話です
昼に比べて少し短め

それと今回は本編とは別に3レスほど使って小ネタがあります
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/17(日) 19:46:52.22 ID:jTji9Wexo
―研究所―

ソウルジェムを取り戻したマミが目を覚ました。

「ここは…?」

「無事だったか…」

目を覚ましたマミを見てほっとする名護。

「まさかソウルジェムが魔法少女の本体であったとはな」

「え…?どういう意味ですか」

「そのままの意味に決まってるじゃないかマミ」

突然キュゥべえが出てきた。

「なんだお前」

橘がキュゥべえを見つけ、何者か聞く。

「君は男なのに、僕が見えるのかい?」

「若干ぼんやりしているが見える。睦月達は見えないのか?」

橘が睦月に聞く。

「何も見えませんけど…そこに何かいるんですか?」

「俺にも見えない。ただ上城君でもテレパシーなら聞こえるはずだ」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:47:35.98 ID:jTji9Wexo
「驚いたね…僕の姿は魔法少女か、魔法少女の素質があるものにしか見えないのにね」

「だが俺はなぜか見える。そういうわけだな」

橘朔也がキュゥべえの姿を見ることができ、声を聞くことができる原因があった。

彼ら全員、もちろん橘自身も知らないが、橘はジョーカーになった剣崎を救うために色々な実験を自分の体を使って試した。

その結果、少しずつではあるが、橘は人間の体から遠くなっていた。

「ねえ、キュゥべえ。ソウルジェムってなんなの?」

マミがキュゥべえに聞いた。

「ソウルジェムは魔法少女の魂だよ。ソウルジェムが無事なら体はいくらでも直せる。
 さすがの僕も、壊れやすい人間の体で魔女と戦ってくれとは言わないよ」

「でも貴方、いままでそんなこと一回も言わなかったわよね」

「聞かれなかったからね。そもそも知る必要もあまり無いんじゃないかな?」

聞かれなかったから。キュゥべえが言ったことを頭の中で繰り返すマミ。

「じゃあ、今のこの子の体はからっぽだということか」

橘がキュゥべえに質問する。

「そういうことになるね」

「なら契約した瞬間から、この子は人ではなくなったということか?」

「そうとってもらって構わないよ」

余裕の表情…と言っても無表情だがそう返すキュゥべえ。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:48:01.68 ID:jTji9Wexo
「ふざけるな!」

名護が大声を張り上げる。

「君達は事実がわかると決まって同じ反応をする。なぜ人間は魂の在り処にこだわるんだい?」

「お前と俺達じゃ物の見方が違うらしいな」

橘が口にする。

「俺は今、無性にお前を殺したい」

橘がキュゥべえにそういった。

すると

「待ってください」

マミが口を開いた。

「マミちゃん…」

「私は納得しています。もしあそこでキュゥべえが現れなかったら私は既に死んでいました」

さらにマミは続ける。

「今の私は既に死んでいます。けど生きてます。かなり中途半端な存在です。
 でも私は今を一生懸命生きたい。やがて死ぬ運命であっても生きていることを素晴らしいと思いたいんです」

そういってマミは泣き出した。

名護はマミを慰めるように近づき、

「君の気持ちは伝わった」

「キュゥべえといったか。このことを知っている魔法少女はどれぐらいいる」

橘が聞く。

「ほとんどいないんじゃないかな。知らずに死んでいく魔法少女だっているしね」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:48:27.55 ID:jTji9Wexo
「なら俺達がその事を伝えていこう。魔法少女になれる素質がある子達にもだ」

「そうしよう。こいつがその事を知らせないのなら、別の者が伝えなければならない」

名護も橘の意見に賛同する。

「ねえ、橘さん」

睦月が口を開く。

「どうした」

「これって、研究の一つにできませんかね。
 やがて剣崎さんをもとに戻すための過程の一つになりそうな気がするんです」

睦月がそういった。

「なるほど。彼女たちは魂が別の物に移った。それを何とか出来ればやがてあいつももとに戻せるようになるかもしれないな」

「私も出来る限り協力します」

泣き止んだマミが言った。

「これから忙しくなりそうだな」

名護がそう口から漏らした。
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:49:01.42 ID:jTji9Wexo
その約半年後、名護達は杏子と出会い、その事実を告げた。

杏子も初めは半信半疑であったがやがて信じるようになり、名護達の仲間になった。


〜回想終了〜

「そんなことがあったなんて…」

まどかが泣きそうになりながら言う。

「でも信じられないよ。マミさんが、いや魔法少女の魂がそれに入ってるなんて」

さやかはまだ信じることができないようだ。

「だよな。あたしも初めはそうだったよ。だが見ればわかる。
 百聞は一見にしかずってやつだ。見てみるかい?」

杏子が提案する。

「佐倉さん!貴方…」

マミが杏子を止めようとする。

「大丈夫かい杏子。もしかすると二度と目覚めなくなるかもしれないよ」

キュゥべえも危険なことをしていると、杏子に忠告する。

「でも、こいつらには真実をちゃんと知ってもらいたい。ならやるしかねえだろ」

杏子の意思は既に固まっているようだ。

それを見た名護は

「仕方がないな。俺達も協力しよう。まずはみんな外に出るんだ」

そういって全員研究所の外へ出た。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:49:30.30 ID:jTji9Wexo
―研究所の外―

「じゃ、これあたしのソウルジェム」

赤いルビーのようなソウルジェムを杏子は橘に渡す。

「ほんとにいいのか」

橘がもう一度確認する。

「だーかーらー、あたしはもう決めたんだ」

「分かった」
橘はそれ以上何も言わなかった。

「じゃあ、もう一度確認しますね…」

陸月が説明する。

橘が杏子のソウルジェムをもって150メートル移動する。

その後、杏子の状態を確認し、合図をして橘に戻ってきてもらうということだった。

「これでいいですね。じゃあ始めますよ」

そうして橘が杏子から遠ざかっていった。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:49:57.65 ID:jTji9Wexo
―Side:ほむら―

危険なことをしていると分かっていた。

まさか佐倉杏子が自分のことを犠牲にして真実を彼女達に伝えようとしている。

『いつも』の彼女なら到底ありえなかった。

それほど、この世界はイレギュラーが多かった。

橘朔也が杏子から離れていく。

よくみると、杏子の体は震えていた。

当たり前だ。死ぬのが怖くない人間などいない。

ましてや彼女はまだ年端もいかない子供なのだ。

「なぁ、マミ。手握ってくれるか」

「それぐらいならいつもしてあげるわ」

マミが杏子の手を握る。

だが、それでも震えているのがわかる。

「佐倉杏子…」

ほむらは思わずもう片方の杏子の手を握った。

「ほむら…」

杏子は少し驚いたようだが徐々に震えは収まっていった。

「2人ともありがと――」

言い終わる前に杏子の体が倒れた。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:50:58.78 ID:jTji9Wexo
――――――――――――

――――――――

――――

杏子ちゃん!杏子ちゃん!

誰かが自分の名前を呼ぶ。

(誰だよ…あたしの名前を何度も呼ぶやつは)

ちょっと!杏子!

さらに一人

(なんだよ、もう少し寝かしておいてくれ)

佐倉さん!

また一人。今度はなんども聞いたことのある声だ。

(どうしたんだよマミのやつまで)

佐倉杏子!起きなさい!

最後にここ一週間の間に知り合った声が聞こえた。

(仕方ねーな。起きてやるよ)


「う、うーん」

もぞもぞと杏子が動く。

「後5分…」

全員の顔が明るくなった。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:51:26.04 ID:jTji9Wexo
「起きなさい佐倉さん。美味しいケーキと紅茶があるわよ」

マミがそう言うと

「マジか!」

杏子が飛び起きた。

「よかった…」

「ホントにね。見たときはかなり驚いたよ」

まどかとさやかもかなり落ち着いた。

「何処にも異常はないか」

橘が杏子に聞く。

「んー?特に問題ないかな」

何処にも異常はなく、いつも通りだった。

「なあ、マミ。ケーキは何処だ?」

さっきまで自分が危ないことになっていたことなど忘れたかのようにマミに聞く。

「貴方ね…こっちよ」

マミもなにか言いたそうにしていたが、杏子の性格を考え黙っておいた。
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:52:00.76 ID:jTji9Wexo
ケーキを食べ終わった後さやかが口を開いた。

「ありがとう」

「なにがだ?」

杏子が不思議そうに聞く。

「さっきのことよ。あんた、いや杏子は自分を犠牲にして私達に現実を見せてくれた」

魔法少女の現実。奇跡の代償としてはかなり不釣合な条件。

「杏子は後悔してないの?願いを叶えた代わりに人間じゃなくなったってこと」

さやかが杏子に聞いた。

「後悔してないって言えば嘘になる。けどな、その事から逃げちゃいけない。
 今を逃げたところで、今は嘘にならないからな」

「それにな、」

杏子は言葉を続ける。

「お前らみたいに幸せそうな奴を事前に救えてよかったって思ってる。
 実際、救えられなかった奴だっているんだ。一気に2人も救えて満足だよ」

言い終わった杏子の顔はとてもいい顔をしていた。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/17(日) 19:52:27.31 ID:jTji9Wexo
「ま、暗い話はここまでだ。そろそろ魔女も活発に動き出す時間だ」

杏子に言われ、時計を見ると、午後6時を指そうとしていた。

「この2人はどうする」

橘がまどかとさやかを見て言う。

「どうするの?このまま帰ってもいいのだけれど」

ほむらには正直、2人にはこれ以上関わらずに帰ってほしかった。

「もっと間近で真実を見てみたい。だから、一緒に行くよ」

まどかが言った。

「魔女の結界の中は危険よ。敵とみなされれば、力がなくとも襲いかかってくるわ」

マミが警告する。

「でも、ほむら達が頑張ってるのに、私達はここでさよならっていうのもなんだか」

さやかもまどかと同じ意見のようだ。

「そこまで言うのなら仕方がない。今日から俺とマミちゃんほむらちゃんの3人で行動し、
 この2人を守りながら戦う。それが一番最適ではないか?」

「ありがとうございます!名護さん!」

2人が名護に頭を下げた。

ほむらは溜息を付き、面倒なことになったと思った。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/17(日) 19:56:58.27 ID:jTji9Wexo
本編投下終了

何気にID変わってるけど本人です

マミさんが倒れたかと思えば次はあんこが倒れるという死体祭り
そしてあんこちゃんがフラグがなんか恋人にフラグが立ちまくる人みたいなこと言っていますけど大丈夫です

あと、過去マミのキャラ設定


巴マミ(過去編)…名護さんと出会った後。
           橘さん達と出会う前〜出会った直後のマミ。
            胸とか身長が一回り小さい。 
            なんか氷川さんみたいなこと言ってるけど気にしない。
162 :figma暁美ほむら予約開始記念小ネタ [saga sage]:2011/07/17(日) 19:58:23.84 ID:jTji9Wexo
名護「何だ、このタイトルは」

ほむら「その名のとおりよ。figma暁美ほむら予約開始記念小ネタ」

名護「つまり、本編とは何ら関係がないということか」

ほむら「ええ。というより>>1が言いたいことを私達に言わせようという企画よ」

名護「そうか、なら俺も宣伝といこう」

ほむら「貴方に宣伝するものなんて有るかしら」

名護「あるさ」

ほむら「まあ、聞いてあげるわ」

名護「では行くぞ。八月、S.H.フィギュアーツ仮面ライダーイクサが再版する」

ほむら「そういえばAmaz○nやあ○あ○やその他通販サイトで予約開始してるわね」

名護「お一人様3個までの販売だ。俺の人気っぷりが出ているな」

ほむら「売れ残ってるだけじゃないの?」

名護「馬鹿な事を言うのはやめなさい。俺は既に二度目の再販だ。
   それに初版には俺の台詞が入った魂Stageまで付いているという豪華仕様だ」

ほむら「イクサは貴方以外にも数多くの変身者がいるのになぜかあなたの台詞しかないわね」

名護「だろ?これなら俺の人気を認めざるをえないだろう」

ほむら「そう」

名護「そこは乗りたまえ」

ほむら「わー、名護さんすごーい(棒)」

名護「心がこもってなさすぎだろ」

ほむら「だってどうでもいいもの」

名護「くっ。ちなみにイクサだが、今ならAmaz○nで送料無料の2800円だ
   もちろん、その他のサイトでも値下げしてある。お財布に優しい価格だ。
   俺の弟子になりたいのなら一つは買いなさい」
163 :figma暁美ほむら予約開始記念小ネタ [saga sage]:2011/07/17(日) 19:59:13.42 ID:jTji9Wexo
ほむら「イクサについて話しすぎたわ」

名護「ここからは、figmaのターンだ」

ほむら「貴方が言うの?」

名護「なんとなくだ」

ほむら「まあいいわ。さて、八月にイクサが再販するけど翌月の九月にはfigmaまどかが発売するわ」

名護「魔法少女衣装の鹿目まどかちゃんだ」

ほむら「予約は既に開始してるけど、売り切れのところが多いわね」

名護「新発売だから仕方ないと思えばいいさ」

ほむら「そう思うことにするわ。でも今なら私のfigmaが予約できるわ」

名護「大抵の通販サイトで20%オフぐらいで売っているな」

ほむら「figmaは大抵値下げされるわ。あのAmaz○nは新発売だろうとアーツ以外は値下げされる」

名護「あ○あ○はなんでも20%オフぐらいだがな」

ほむら「まあ、まどかが九月に発売するということを覚えておいてほしいわ」

93加「同月発売の俺と一緒に飾っておけばいいんじゃないかなぁ」

名護「貴様は…指名手配犯の93加MA310!」

93加「チィッ!」ダッ

名護「待ちなさーい!」ダダダ

ほむら「行ってしまったわ…
    とにかく、今ならまだ十一月発売の私が予約できるから是非チェックしておいて」

名護「魔法少女が全員揃えられる日はいつ来るんだろうな」

ほむら(いつ戻ってきやがったこいつ…)

名護「逃げられたんだ」

ほむら「心を読まないでくれる?」


93加「邪魔なんだよ!俺のことを好きにならない奴は全て!」
164 :figma暁美ほむら予約開始記念小ネタ [saga sage]:2011/07/17(日) 20:00:07.48 ID:jTji9Wexo
名護「小ネタに3レスも使うとは…」

ほむら「長くしすぎたわね」

名護「全ての責任は>>1にある」

ほむら「そうね」

名護「さて、次回の投下だが」

ほむら「いつも通り水曜の9時頃予定よ」

名護「今回はSS速報が落ちていたため繋がらなかったが、何かあればちゃんと報告する」

ほむら「投下が出来無かった場合は今日みたいに2回に分けて投下すると思うから」

名護「まあ、そんなところだ」

ほむら「それじゃあ、この辺でさよならよ」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/17(日) 20:08:40.95 ID:V3z7qyu/o
劇団乙カレー


……信頼しあう魔法少女か、本編だったら何ループすれば見られるんだろうなぁ
ドラマCDでは仲いいのになぁ



ええ、figまどかちゃん買いますとも 「異形の花々」再現の為にね……(デビルスマイル)
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/17(日) 21:09:50.75 ID:FFbgxVM4o
いいスレだ、65点といったところか。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/20(水) 21:17:24.72 ID:DN3xBETCo
今日ははねトびに翔太郎たちが出てましたね

矢車さんの古畑任三郎のモノマネが面白かった


投下開始
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:18:13.53 ID:DN3xBETCo

―見滝原市―

「魔女の結界の探し方はソウルジェムを使うの」

マミが2人に見せながら言う。

手のひらの上にはソウルジェム。それが輝いている。

「出来れば、昨日逃してしまった魔女を見つけたいところだ」

「ええ、結界を見る限り、魔女としてかなり成長したに見えました」

そう言っていると、ソウルジェムの輝きが強いものになった。

「此処に魔女の結界があるわ。準備はいいかしら?」

マミが2人に確認する。

「ちょっと怖いけど行けます」

「いつでもオッケーです!」

「そう、じゃあ行くわよ!」

そして魔女の結界に入り込んだ。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:18:40.13 ID:DN3xBETCo
―魔女の結界内―

「この結界は…昨日逃した魔女よ」

ほむらは結界の内装を見て言う。

「ドンピシャと言うわけか」

無事、逃してしまった魔女を見つけ安心する名護。

「今回は誰が鹿目さんと美樹さんを守るんですか?」

「俺がやろう。君達2人で協力して魔女を倒してみろ」

今回は名護が護衛に回り、マミとほむらに共闘してほしいということだ。

「初めての共闘ね。よろしく、暁美さん」

「足手まといにならないようにして」

この世界にきて初めてマミと一緒に戦う。

『いつも』の彼女ですら、十分に強い。

ただそれが油断を産み、これまでの世界でマミを殺してきたものだった。

ただ、この世界ではどうなっているものか…
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:19:15.80 ID:DN3xBETCo
「全員準備はいいな…」

名護がイクサナックルを取り出し、手のひらに当てる。

『レ・ディ・イ』「変身!」『フィ・ス・ト・オ・ン』

名護啓介が仮面ライダーイクサに変身した。

それに続いて、ほむらとマミも魔法少女の姿に変わる。

「魔女よ、その命神に返しなさい」

いつものセリフが出てくる。

「かっこいい…」

妙にさやかのツボに入ったらしい。

(そういえば彼女は『正義の味方』に憧れているってのを忘れてたわ)

「行きましょう」

マミがそう言って前へ進んでいった。


―道中―

まどかとさやかに近づく使い魔を、イクサが確実に撃ち落としていく。

(やっぱり、かなり出来るわね、この男)

進んでいく中でも、ほむらは名護の実力を見極めていた。

すると、使い魔に近づかれすぎた。

焦らず、確実に撃ち抜ことしていると、

「よそ見は禁物よ、暁美さん」

ほむらが倒す前にマミが使い魔を撃ちぬいた。
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:19:50.93 ID:DN3xBETCo
「別に貴方の助けは必要なかったのだけれど」

「そうかも知れないけど、そう見えたから仕方ないじゃない」

とことんお人好し。それがマミだった。

「余計なことは言わず、前に進みなさい」

名護が二人に言った。

「分かってますよ名護さん、っと」

そんなやりとりをしていると魔女がいる結界の最深部までたどり着いた。

「君達2人は俺の後ろにいなさい。此処からはあの2人が本格的に戦う」

名護はそう言って、まどかとさやかをイクサの後ろにつかせた。

「一応、防御壁つくっておきますね」

そう言ってマミが名護達の前に魔力で作った防御壁を作る。

これでイクサである名護はともかく、まどかとさやかも安全だろう。
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:20:46.44 ID:DN3xBETCo
「じゃあ、行くわよ暁美さん」

マミが高く飛び、空中で大量のマスケット銃を出現させる。

ほむらはその場で、銃を構える。

マミとほむら、すべての銃弾がほぼ同時に直撃した。

「これで終わりよ!ティロ・フィナーレ!」

マミの必殺技である『ティロ・フィナーレ』が決まった。

ただ、それとは別の爆発も起こった。

魔女が倒されたことにより、結界が消滅する。

魔女がいたであろう場所にグリーフシードが落ちていた。

「これはどっちのものになるのかしら」

ほむらがグリーシードを拾い上げ、マミに聞く

「わからないのなら、また今度集まったにでも山分けすればいいわ」

「それもそうね」

ほむらはマミの考えに賛同した。

「なら、此処で解散しよう。こっちの2人は俺が送っていこう」

「ありがとうございます、名護さん」

まどかが礼を言う。

「それじゃあ、また明日ね」

「明日、学校で会いましょう。まどか、さやか」

そう言ってほむらとマミはそれぞれ自宅の方向へと帰っていった。

「よし、ここから近いほうをまずは送ろう。案内を頼む」

「こっから近いのは私の家だね。名護さん、こっちです」

まずはさやかを家に送ることにした。
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:21:13.60 ID:DN3xBETCo
―鹿目家宅前―

「ありがとうございました、名護さん」

名護に丁寧に礼をするまどか。

「じゃ、おやすみ。ゆっくり休みなさい」

そして、名護も自分の家に帰る。


(あの時のあの妙な感じはなんだったんだ)

まどかと別れた後、名護は魔女との戦いの最中に感じた違和感がなんなのかを考えていた。

(まるで、時が止まっていたように感じた。暁美ほむら…彼女の能力の一つか。
なら彼女の魔法は時間遡行と時間停止)

(一度に二つの能力を持つ魔法少女は聞いたことがないが…彼女の能力を時間操作と考えると…)

あながち間違いではない。

ほむらの能力は一定期間の時間遡行。その期間の間なら、魔力の続く限り、自由に時を止められる。

名護はほむらの撃った弾丸が同時に直撃したり、突然謎の爆発が起こったのもその能力の仕業だと考えた。

(彼女はこのことは話さないだろう。ならこれも俺の考えとして心にとどめておこう)

そう思い、名護は恵の待っている自宅へ帰ることにした。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:21:49.52 ID:DN3xBETCo
―Side:ほむら―

自宅に帰ったほむらは今後のことについて考えていた。

(今日はこの時間軸で初めて能力を使った…名護啓介が気づいていないことを望むのだけれど…)

(いや、気づいているものとして動いたほうがいいわね。時間遡行の件もあるし)

実際、名護は僅かな時間でほむらの能力を見破った。

冷静な時は名護は驚異的な判断能力を持っている。

冷静なときはだが、ほむらはそんなことは知らない。

(そして、明日、病院であの魔女が出てくる。いつもの巴マミなら、後輩ができることに浮かれて
死ぬのだけれど、この世界では違う…だけど念には念を入れ、私があの魔女を倒す)

別の世界のマミが魔女に油断し、死ぬ可能性はかなり高い。

もちろん、その原因が彼女のメンタルの弱さであるのだが、この世界は違う。

魔法少女の仲間が2人。仮面ライダーが3人。

巴マミがたった一人ではないということが彼女の精神を強くしていた。

(その為には、名護啓介を通じて、巴マミを説得してもらうことが必要ね…
名護啓介は私の能力について知っている。その事を考えれば私の言うことを信じるはず…)

今のところ、ほむらの魔法を知っているのは名護だけだ。

なら、名護に伝えられれば大体のことは信じてもらえる。

そして、名護はマミや杏子の師匠であるため、マミが名護の言うことを聞く可能性が高いとほむらは踏んだ。
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:22:28.89 ID:DN3xBETCo
(そして、あの魔女にできるだけ早く接触する必要がある。
いつもなら、美樹さやかがその場に残り、まどかが巴マミを呼ぶ)

今までのパターンがそれだった。

(その為、まどかが巴マミのところまで行き、連れてくるタイムロスがある。
そのタイムロスを少なくする為に、明日まどかか美樹さやか、どちらかの連絡先を聞く必要がある)

無駄な時間をなくし、素早く魔女に接触する。

その上で、自分の力で魔女を倒す。それが理想のパターンだった。

(ふぅ…今日はもう寝ましょう。とにかく明日は、まどかかさやか、どちらかの連絡先を聞くことに徹すればいいわ)

そうして、ほむらは布団に入り、眠りについた。


―翌日 学校―

学校についたほむらは昨晩の考えを実行するために、まどか達に話しかけた。

「ねえ、連絡先交換しない?たしかまだしてなかったでしょう?」

そう言って携帯を取り出すほむら。

「そういえば、まだでしたわねえ。ちょっとお待ちください」

「いいよー」

「確かにまだだったね」

携帯を取り出すまどか達。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:22:57.85 ID:DN3xBETCo
「最初に、私としよっ、ほむらちゃん」

「ええ」

まずはまどかと連絡先を交換した。

「じゃあ、次は私だねー」

「わかったわ、さやか」

さやかが携帯を出してくる。

「最後に私ですね」

「そうね」

そして最後に仁美と交換をする。

「これでいつでも貴方達と連絡ができるわね」

「毎日、愛のメールを送ってやろうかー?」

さやかが冗談を言ってくる。

「やめて」

「そこまではっきり言われると傷つくんだけど」

がっくりと項垂れるさやか。

「冗談よ。普通のメールなら返信してあげる」

「よっしゃー!毎日送ってやるから覚悟しろー」

テンションが上がるさやか。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:23:27.47 ID:DN3xBETCo
頃合いを見てほむらは

『まどか、さやか』

2人にテレパシーを送る。

「え…?」

「どうかしましたか?」

困惑する2人。

『テレパシーよ、一方的に話すから何も無いようにに装って』

「なんでもないよ仁美」

言うとおりにしてくれた2人を見てほむらは続ける。

『魔女とかの事で何かあったら、連絡して。それだけよ』

それを伝え終えて、テレパシーを切るほむら。

これで少なくとも今日の魔女は対処できるはず、とほむらは安心した。

すると教室の扉が開き和子が入ってきた。

「はーい、皆さん席についてくださーい。授業を始めますよー」

授業が始めるため、ほむら達はそれぞれの席に戻った。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:24:01.11 ID:DN3xBETCo
―ある日の回想―

上条恭介の病室の前に来たさやか。

いつものお見舞いだ。

「すぅ、ふぅ」

深呼吸をするさやか。

恭介に会うときはいつも、緊張してしまう。

(そういえばいつからだっけ…恭介を男として意識するようになったのは…)

知らずのうちに、美樹さやかは上条恭介を一人の男として意識するようになっていた。

そして、恭介の事故のあと、こうしてよくお見舞いに来ている。

いずれ、恭介が再びステージにたってバイオリンを弾ける日を夢に見て。

そして、病室に入る。

数歩進むと、恭介もこちらに気がついた。

「やあ」

いつもと同じ光景。

さやかは椅子に腰を掛け、

「はい、これ」

恭介にCDを渡した。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:24:35.23 ID:DN3xBETCo
中身はクラシック音楽。

「わあ」

怪我の前はよく弾いていたバイオリンだ。

「いつも本当にありがとう。さやかはレアなCDを見つける天才だね」

そう言って、ベッドの隣に置いてある棚のCDプレーヤーに手を伸ばす恭介。

「あははは、そんな、運がいいだけだよ、きっと」

恭介の言った言葉に照れるさやか。

「この人の演奏はほんとにすごいんだ、さやかも聞いてみる?」

「わっ、い、いいのかな…」

そう言いながらも、恭介の手にある片方のイヤホンを手に取る。

「本当はスピーカーで聞かせたいんだけど、病院だしね」

さやかがイヤホンをつけ終える。

すると2人は、イヤホンの長さが足りないことに気づいた。

自然と寄り添う形になる2人。

恭介がCDプレーヤの再生ボタンを押す。

イヤホンから、綺麗なバイオリンの音色が聞こえてくる。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:25:16.73 ID:DN3xBETCo
さやかはそれを静かに聴き、目を瞑る。

頭の中に浮かんでくるのは、幼い頃に見た上条恭介のコンサート。

思えばあの時からそうだったのかもしれない。

恭介を男として認識したのは。

すると、涙が流れるのを押し殺すかのような声が聞こえた。

さやかが目を開けると、窓の外を見ながら、恭介は泣いていた。

殆ど動かない左腕を必死に動かそうとする恭介。

しかし、それは指が微かに動くだけであった。

そんな好きな人の姿を見て、自分も気が滅入るさやか。


そして美樹さやかは数日後、魔法少女と魔女、そして白い悪魔と出会うことになる。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/20(水) 21:29:05.33 ID:DN3xBETCo
投下終了


シャルロッテの出番が早くなったためさやかの恭介お見舞いを回想として扱います


次回の投下で2話が終わります

日曜の9時半頃に投下予定
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/20(水) 21:29:54.59 ID:1+05HmNno
乙まど
今日はゆったりだね やっぱ大人が一人いると安心だなぁ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/21(木) 00:53:50.75 ID:JOiOaQ7AO
初期753は子供っぽいけどな
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/24(日) 21:34:07.09 ID:iZjlrC5Bo
前回がゆったりというより、前々回が異常だった。

あと初期753は子供というよりぶっちゃけキチg・・・


別のSS見てると戦闘描写がうまくて自分の腕がたいしたことがないとわかるね

W&OOOとか、牙狼の人とかみてるこっちがどきどきする


投下開始
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:34:36.78 ID:iZjlrC5Bo
―放課後―

「じゃ、私達恭介のとこに行ってくるから、待ち合わせの場所で」

「ええ、またあとで」

そういって病院へ向かうさやか達。

(きっと2人が孵化寸前のグリーフシードを見つける。
ただし、いつもとは違い、私達がすぐに駆けつけられる)

予定通りに行けば、魔女を簡単に倒すことができる。

その為の準備は作ることができた。

そしてほむらは名護とマミに合流することにした。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:35:09.29 ID:iZjlrC5Bo
―病院―

(エレベータのドアが開く音)

さやか「よぉ、お待たせ」

まどか「あれ、上条くんとは会えなかったの?」

さやか「なんか今日は都合悪いみたいでさー」

〜病院の外〜

さやか「わざわざ来てやったのに失礼ちゃうわよね」

まどか「…」ジッ

さやか「ん?どうしたの」

まどか「あそこ、何か有るような…」

さやか「グリーフシードじゃない」

まどか「でもなんか様子が変だよ」

(QBが何処からか出てくる)

QB「孵化しかかってる!早く逃げないと!」

まどか「嘘…!?こんなところで…!?」

QB「もうすぐ結界が出来上がる!」

さやか「またあの迷路が…?」

さやか「そうだ!まどか。ほむらに連絡して!」

まどか「分かったよ!」

まどか「(携帯を操作)…もしもし、ほむらちゃん!――」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:35:40.37 ID:iZjlrC5Bo
―合流場所 Side:ほむら―

電話が掛かって来る。

(来たわね)

事前に何かあったら呼ぶように言っていたためなんの用かは分かっていた。

携帯の画面には『まどか』と表示されていた。

ほむらは電話にでる。

「もしもし、まどか。何かあったの?」

『もしもし、ほむらちゃん!早く来て!グリーフシードが孵化しかかってるの!』

「何ですって、それは本当!?」

どうやら隣のマミにも聞こえたらしく、電話の向こうにいるまどかに聞くマミ。

「本当です!だから早く!」

「わかったわ。すぐに行くわ」

そう言って、電話を切る。

「行くわよ、2人のところに」

「話は聞いた。急ぐぞ!」

走りだす3人。

(これで未来をすこし変えることができる)

ほむらはそう確信し、2人のもとへ急いだ。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:36:15.63 ID:iZjlrC5Bo
―孵化寸前のグリーフシード前―

「早く来て…!ほむらちゃん…!」

そう願うまどか、だが

「孵化するよ!逃げられない!」

グリーフシードが孵化し、結界が出来上がる。

「大丈夫。絶対にほむら達は間に合う」

表情はそのままだが、心のなかではかなり怯えているさやか。

「まだ、結界が出来上がっただけだ。だけどいざとなったら2人のどちらかが契約すればいいさ」

さも、当然のように言うキュゥべえ。

「あんな話を聞いた後じゃ、死にそうでも契約したくないね」

キュゥべえが言ったことを即否定するさやか。

「ま、気が変わったらいつでも言ってよ。僕の方はいつでも準備出来てるからさ」

そして、魔女が出来る前の場所でほむら達を待つ2人。

絶対に間に合うと信じて…
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:37:34.00 ID:j+2bsKSYo
―結界外―

「ここよ」

結界ができてある場所で立ち止まる名護達。

「私が先行するわ。名護さん、暁美さん。着いてきてください!」

そういって、結界の中へ飛び込むマミ。

2人もそれに続く。

―結界内―

結界の中はまるで絵本に出てくるお菓子の家のようだった。

ただし、あんなメルヘンチックなものではなく、かなりグロテスクな見ためだが。

「巴マミ、今回の魔女はいつもとは違う。私にやらせて」

ほむらがマミに言う。

「あら、私は大丈夫よ。油断はしないわ」

マミは大丈夫だと言うが、

「いや、此処は彼女の言うとおりにしなさい」

「何故です、名護さん」

不思議そうに聞くマミ。

「野獣の勘だ」

名護が訳のわからないことを口走った。
190 :なんか知らんがID変わった [sage saga]:2011/07/24(日) 21:38:05.94 ID:j+2bsKSYo
だが、名護もちゃんと考えている。

(ここで、彼女が言うということは、何かあるに違いない。
なら、彼女の言うとおりにしたほうが得策だ…だが)

「ただし、俺もその魔女を倒す。マミちゃん、君はまどかちゃんとさやかちゃんの護衛に回りなさい」

そうマミに言う名護。

「名護さんが言うなら…わかりました」

「ほむらちゃん、俺も戦おう」

「できれば、私一人が良かったのだけれど…仕方ないわ」

(でも名護啓介が囮になる分、私が本体に近づきやすいわね)

「じゃあ行くぞ!『レ・ディ・イ』変身!『フィ・ス・ト・オ・ン』」

名護の体にイクサが装着される。

ほむらとマミの2人もそれに続いて変身する。

「2人の待っている最深部まで行くわよ」

ほむらが言い、3人は同時に走りだす。

ただし、道中にいるすべての使い魔を一瞬で倒しながら。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:38:34.42 ID:j+2bsKSYo
襲ってくる使い魔を倒しながら進む3人。

中には怯えている使い魔もいたが容赦なく蜂の巣にする。

そしてついに、結界の最深部の前の扉まで来た。

「さっき言った通り、マミちゃん、君は2人を頼む」

もう一度扉の前で確認する名護。

「分かってます。名護さん達も気をつけてください」

そして扉を開ける。

「待たせたわね、まどか、さやか」

物陰に隠れていた2人に話しかけるほむら。

「よかった、間に合った…」

気が抜けたようだ。だが…

「気をつけて!出てくるよ!」

キュゥべえの言葉に反応し、再び緊張する2人。

「今回は私が貴方達を守るわ。魔女は名護さんと暁美さんが倒すから大丈夫よ」

「今回はマミさんかぁ。あの2人は大丈夫なんですか?」

マミに聞くさやか。

「大丈夫よ。名護さんは私なんかよりずっと強いし、暁美さんもかなり出来る子だわ」

だから、安心して見守りましょうとマミが言う。

マミの言うことを信じ、2人を見守るまどかとさやか。
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:39:02.76 ID:j+2bsKSYo
そして、魔女が姿を現した。

魔女の見た目は何かのテーマキャラクターのような可愛らしかった。

「油断しないで、名護啓介」

「何があっても俺なら反応できる!一気に決めるぞ!魔女よその命神に返しなさい!」

魔女に向かって飛び上がりながらイクサカリバーを連射し、魔女の前に行くと銃底で魔女をたたき落とした。

魔女と少しの間があき地面に着地したイクサ。

いつもとは違い、カリバーフエッスルではなくナックルフエッスルを読み込ませる。

『イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

その音声と共にイクサのパワーがイクサナックルに集中する。

「ハァ!」

ベルトからナックルを取り外し、魔女を殴るイクサ。

その一撃で勝負は決まったかのように見えたが、魔女の口から別のものが出てきた。

「何!?」

寸でのところで避ける。

『だから気をつけてといったでしょう』

テレパシーでほむらが話しかける。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:39:32.08 ID:j+2bsKSYo
「なるほど、そういう事か!」

ほむらが言った意味を理解し、口から出てきたピエロのような顔をしたものと距離を取る。

『できるだけあいつを引き付けて。本体は私が倒す。倒したら貴方に言うわ』

「言うとおりにしてやろう!」

そう言って、イクサはイクサカリバーを乱射する。

魔女の体が蜂の巣になるが、すぐに再生してしまう。

しかし、ほむらはその間に魔女の本体のある場所に行き、そいつに向かってベレッタM92の装弾数15発をすべて撃ち込んだ。

『本体は倒したわ、今よ』

名護に本体を倒したことを伝えるほむら。

これで奴はもう再生できない。

「今度こそ、その命神に返しなさい!」

イクサの口の部分が外れ、警告音が鳴り響く。

イクサはイクサライザーを開き『1』『9』『3』の順番でボタンを押した。

『ラ・イ・ジ・ン・グ』

その後、最後の決定ボタンである通話ボタンを押す。

するとイクサの装甲がはじけ飛び、白い印象だったイクサが
メタリックブルーの『ライジングイクサ』へと変わる。

そしてイクサライザーにライザーフエッスルを挿し込み起動せた。

そのすぐ後に、ライザーフエッスルをベルトへ読み込ませた。

ライジングイクサの全パワーがイクサライザーに集中する。

それを魔女に向けて放つイクサ。

魔女に直撃すると、ピエロ顔の魔女は動きを止めた。

ライジングイクサは止まった魔女に向かってライダーキックを決める。

そして、魔女が爆発し、結界が消滅した。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:40:00.55 ID:j+2bsKSYo
(グリーフシードが落ちる音)

ほむら「これは私がもらう。その代わり、昨日のグリーフシードは巴マミに譲るわ」

名護「いいだろう。マミちゃん、受け取りなさい」

(グリーフシードをキャッチするマミ)

マミ「たしかにこれでちょうどね。でもさっきの魔女は私でも倒せたように思うのだけれど、暁美さん?」

ほむら「少し胸騒ぎがしただけよ」

名護「まあいい。今日はもう全員帰りなさい」

まどさや「…」

名護「どうした?」

まどか「…私達を弟子にしてください」

さやか「契約はできないけど、強くなりたいんです」

名護「なるほど、しかし何故俺に?」

まどさや「だって名護さん……最高だから……」

名護「聞こえないな、もっと大きな声で言いなさい」

まどさや「名護さんは最高です!弟子にしてください!」

名護(満面の笑み)
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:40:32.66 ID:j+2bsKSYo
かなりおかしい雰囲気になっているところにほむらが口を開いた。
「なんか盛り上がってるところ悪いのだけどちょっといいかしら」

「なんだね、言ってみなさい。なんでも聞いてあげよう。
 俺は今気分が良い」

どうやら名護も変なテンションだ。

というか、ほむら以外冷静な奴がいない。

「とても重要な話なの。今度の土曜日にじっくり話したいから、そう、橘朔也たちに伝えてくれる?」
(この状況は乗り切った。この世界の巴マミならきっと魔女化の真実を受け入れられるはず…)

ほむらは魔法少女最後の真実を伝えるために、名護に言った。

ほむらの雰囲気を感じたのか、名護の雰囲気が変わり、いつもの名護啓介に戻った。

「わかった。皆に伝えておこう。じゃあ今度の土曜に朝からBOARDに集まってくれ」

「えーと、お昼は?」

ほむらが話さずとも話が進む。

「あそこはかなり設備が良い。10人ぐらいなら普通につくることができる」

ちょっとしたパーティーみたいになっている。

「じゃあ、今度こそ解散といこう。全員気をつけて帰りなさい」

「はい、名護さん。それじゃあまた」

「さようなら」

そう言って全員家に帰る。

名護はすぐに橘に連絡した。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/24(日) 21:40:58.83 ID:j+2bsKSYo
『どうした?』

「今度の土曜、朝から全員をBOARDに集めるがいいか?」

休日の予定を聞く。

『問題ないが、どうした』

「その時に、魔法少女の真実を伝える」

『まだ早くないか?』

「大丈夫だ、俺にもちゃんと考えがある」

『お前が言うのなら大丈夫だろう』

「じゃあ、次の土曜に朝から行く」

そういって電話を切る。

(おそらく暁美ほむら…彼女は魔法少女の真実を伝えるつもりだろう。俺も協力しなければな…)

そう思いながら、自宅へ向かって歩き出した名護。

名護もマミ達が真実を受け入れられるか心配しているが、彼女たちを信頼している。

(絶対大丈夫だ。なんといっても俺達が鍛えたんだ)

その想いを胸にいだいて。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/24(日) 21:44:28.18 ID:j+2bsKSYo
投下終了

>>193で↓入れようかと思ったけど結局入れないことに

         ヽヽ  //    < 仮面ライダーイクサこと名護啓介が>>193GET!>
       |\_||ヤ||_/|  ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
. ┼゙     \ _ 」V___/
/│ヽタア |ヽ {(;;;ヽ○/;;;)}/| ァァァァァァァン!!!!!
      __ヽ_\,ヾ;;| |;;;ノ//r⌒>
    < 。ヽ_ |⌒|__/ 〃 `ー―-、
      /\/~ /三\c/^^^ ))))))))))
 л ,,―イ_{  | ◎ |ー`/'`'~/ー--―'
Ε )   ,./ゝ_  \_/ /ノ
  ー''"   |三三∋==|
   人,_,人,_,人,_,人_,人_,人_,人_,人_,人_,人_,人_,人_,人
 < まあまあよくやった 65点と言ったところだな >


スレタイも回収したし、2話はここで終了

次の投下から第3話が始まり、キャラが増えてきます

一人は次回予告でネタバレですけどね!


第3話『王の判決を言い渡す…死だ』


次の投下は水曜午後9時以降
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 21:49:36.75 ID:vKAr1OLDO
乙!
シャルに本体もクソもないってのは秘密
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:56:13.34 ID:fXxzoBvdo
乙。

なんか3話のタイトルに王様が見えるのですががが。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 02:42:34.22 ID:MWJL2gIDO
そういやpixivに王様がマミさんを助けて魔女をボコる絵があったね
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/25(月) 16:47:15.75 ID:VAlo6iVBo
オチはQBにジャコーダー突きつけて「こいつも今やっちまった方が良くないか?」だっけ
サガじゃなくてダキバならシールフエッスルで封印出来る……かも?
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/25(月) 23:13:59.79 ID:MY0YNSwAO
草加さんとまどか絡みのネタはあるがキング兄弟もまどかを見たらかつての想い人を思い出すのだろうか?
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/27(水) 21:19:32.58 ID:pQmVYrdNo
シュシュッと参上

シャルはまあ、第一形態・第二形態+本体みたいなので一セットみたいなもんかな

pixivにあった太牙ニーサンの云々は当時のライダースレで欝フラグブレイクできないだろって言われてた
まあサガの太牙は欝フラグ立てまくりですもんね



それでは、投下開始

ついでに短い
計6レス
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:20:04.99 ID:pQmVYrdNo
時間は遡る。


―ほむらが転校した翌日―

一人の男が見滝原市を歩いていた。

男の格好は普通だった。ただ、左手だけに手袋をしているということ以外は。

その男の近くには蝙蝠のようなものまでいる。

「この町は雰囲気がおかしい。太牙、わかるか」

蝙蝠もどきが男に話しかける。

「ああ、話には聞いていたがここまでとは」

『太牙』と呼ばれた男が返事をする。

男の名前は『登太牙』ファンガイアのキングであり、闇のキバを受け継ぎし者。
歴代最強のキングとしてファンガイアを統括している。
現在は人間とファンガイアの共存のために日夜苦労している。

蝙蝠もどきの名は『キバットバットU世』
闇の鎧を封印しているキバット族の一匹である。

しばらくすると太牙達は迷路のような場所に入り込んでいた。

「なるほど、ここが魔女の結界か」

「太牙、あそこを見ろ」

キバットに言われた方を見ると、なにやら妙なものが向かってくるのが分かった。
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:20:36.55 ID:pQmVYrdNo
「あれが魔女の使い魔か。いいだろう、相手してやる。キバット!」

そう言うとキバットが太牙に近づく。

「ありがたく思え、絶滅タイムだ」

太牙がキバットを手に持ち、キバットが口を開く。

そして太牙はキバットに手を噛み付かせる。

「ガブリッ」

太牙の顔にステンドグラスに似た牙のような模様が浮かび上がる。

「変身」

その声の後、太牙の姿が変わった。

『闇の鎧』を纏いし姿『仮面ライダーダークキバ』へ変身した。

「王の判決を言い渡す…死だ!」

ファンガイアの王である証とも言えるダークキバが魔女を倒すためにその力を見せる。

―――――――――

――――――

―――

ダークキバは魔女と戦っていた。

と言ってもかなり一方的にダークキバが殴っているだけにも見えた。

「これで決まりだ!」

腰のフエッスルを取り出し、キバットに咥えさせる。

咥えさせた後、キバットの顎を1回押す。

「ウェイクアップ・1」

ダークキバは高く飛び上がり、落下しながら魔女を殴った。

魔女が地面に叩きつけられると、その地面に強大なキバの紋章が浮かび上がる。

魔女が爆散し、結界が消滅する。

グリーフシードが落ちる。

太牙はそれを拾い上げた。

「なんだこれは」

「わからん」

そしてそれを握りつぶした。

魔法少女にとってはかなり重要なものだが太牙達はそんなことはまだ知らない。

なので訳もわからずとりあえず、破壊しておいた。
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:21:08.46 ID:pQmVYrdNo
「無駄な時間を過ごしてしまった。行くぞ、太牙」

「『上条恭介』という少年の自宅だな。それならもうそろそろだ」

登太牙が『上条恭介』に会うために、見滝原市にやってきた。

しかしなぜ、上条恭介に会うためにこの町にやってきたのかというと…


―時間はさらに遡り、数日前―

太牙は嶋に呼ばれ、『カフェ・マル・ダムール』に来ていた。

2人と、店長である木戸明以外に人はいない。

よほど重要な話のようだ。

「それで、話というのは?」

「太牙、君にこの少年の腕を治してほしい」

そういって嶋が差し出したのは1枚の少年の写真。

「これは?」

「この少年はバイオリニストだったが事故により、腕が動かなくなってしまった」

「つまりこの少年の腕を動かせられるようにしろってわけですね」

嶋に確認する太牙。

「しかし、何故こんなモノを」

当然疑問に思う太牙。

「次狼を知っているな?」

「ウルフェン族、最後の1匹ですよね」

「ああ、その次狼が頼んできたんだ。少年の名は上条恭介」

「でもなぜ、突然こんなことを頼んできたんだ」

ウルフェン族が人間の腕を治してほしいなどと頼むなど極めて異質だ。

「わからない。だが次狼は『未来を変えるためだ』と言っていた」

次狼の言った意味が分からない2人。
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:21:38.12 ID:pQmVYrdNo
「ま、行きますよ」

「ありがとう太牙。場所は見滝原市だ」

見滝原市という言葉に反応する太牙。

「そこは確か、名護啓介がいる場所ですよね」

「ああ、彼は今魔法少女についての研究をしている。少し前にも私に新しい魔法少女を見つけたと言ってきた」

「ついでといっては何だが太牙、名護君たちに協力してやってくれ」

名護達がいる見滝原市に行くついでに、名護達と協力してもらいたい嶋。

「いいですよ、俺も魔法少女について少し知りたかったですし、丁度いいですよ」

「ありがとう、太牙」

嶋の頼みを快く引き受けた大河。

これが、太牙が見滝原市に来たわけである。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:22:45.58 ID:pQmVYrdNo
―キャッスルドラン内部―

次狼…ガルルは一枚のタロットカードを見つめていた。

「これで未来が変わるな…ただ、どう変わるかはわからんがな」

独り言を言う次狼。

すると、

「何、何、何、何やってるの?」

ラモン…バッシャーが次狼に近づいてきた。

「なーんだ、またそれかー」

興味を無くしたように次狼から離れるラモン。

「人間の未来を変えるなんて勝手にやっていいの?」

ラモンは次狼のやっていることに疑問を感じる。

「音也との、約束には、入ってない」

今度は力…ドッガが入ってきた。

「ああ。だが、最悪の結末を辿るよりはいいだろう」

今回は音也との約束とは別に、独断で動いた次狼。

音也の息子である『渡』ではなく、1人の人間を救うための行動。

「ま、次狼が決めたなら僕は文句は言わないよ」

「俺も」

この中では一番の権限を持っている次狼にはあまり何も言わない2人。

「そうか」

次狼は軽く一言で返す。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:23:27.24 ID:pQmVYrdNo
「こいつが吉と出るか、凶と出るか」

そう言って、次狼はタロットカードに映っている、1体の化物に目を向けた。

化物は元は人間であった。

人間の時の名を『美樹さやか』という。

ほむらの知らないところで、事態はさらにいい方向に向かっていた。

「後はキングがうまく動いてくれればいい」

そしてタロットカードを片付ける次狼。

それから、3人でトランプを使いポーカーを始めた。

「俺の勝ちだな」

次狼が手札を見せる。

カードは、『スペード10 J Q K A』

最強の役、ロイヤルストレートフラッシュであった。

「今日はとてつもなく運がいい。きっと成功するはずだ」

次狼はそう言って、外を見つめる。

「もういっかいだ」

ビリだった力がそう言ってくる。

次狼達は再びポーカーを続けた。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/07/27(水) 21:27:33.86 ID:pQmVYrdNo
ここまで

キバの設定がとても便利

ついでにキャラ設定

登太牙…現代のファンガイアの王。
      歴代最強のファンガイアの王とも言われる。
      以前は人間は餌だと考えていたが、渡の説得により、
      現在では人間とファンガイアの共存を目指して頑張っている。

次狼…またの名をガルル。
    キャッスルドラン内部に住んでいるアームズモンスターの1人。
    キバに呼ばれることでガルルセイバーへ変化し、キバをガルルフォームへ変身させる力を持つ。
    3人(匹)のアームズモンスターの中では、一番の権限を持っている。

ラモン…またの名をバッシャー。
     次狼と同じくキャッスルドランの内部に住んでいるアームズモンスターの1人。
     キバに呼ばれることでバッシャーマグナムに変化し、キバをバッシャーフォームへ変身させる力を持つ。
     次狼や力とは26年前からの知り合い。
     キバTV本編では唯一フィーバ技がなかった。

力…またの名をドッガ。
   他2人と同じくキャッスルドラン内部に住んでいる。
   キバに呼ばれることでドッガハンマーに変化し、キバをドッガフォームへ変身させる力を持つ。
   音也との約束を、3人で何時までも守っている。

ちなみに次狼、ラモン、力の3人の台詞はここ以降なし

けど一人一回ずつ出番アリ

次の投下は日曜夜9時以降
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/07/27(水) 21:28:42.26 ID:pQmVYrdNo
ここまで

キバの設定がとても便利

ついでにキャラ設定

登太牙…現代のファンガイアの王。
      歴代最強のファンガイアの王とも言われる。
      以前は人間は餌だと考えていたが、渡の説得により、
      現在では人間とファンガイアの共存を目指して頑張っている。

次狼…またの名をガルル。
    キャッスルドラン内部に住んでいるアームズモンスターの1人。
    キバに呼ばれることでガルルセイバーへ変化し、キバをガルルフォームへ変身させる力を持つ。
    3人(匹)のアームズモンスターの中では、一番の権限を持っている。

ラモン…またの名をバッシャー。
     次狼と同じくキャッスルドランの内部に住んでいるアームズモンスターの1人。
     キバに呼ばれることでバッシャーマグナムに変化し、キバをバッシャーフォームへ変身させる力を持つ。
     次狼や力とは26年前からの知り合い。
     キバTV本編では唯一フィーバ技がなかった。

力…またの名をドッガ。
   他2人と同じくキャッスルドラン内部に住んでいる。
   キバに呼ばれることでドッガハンマーに変化し、キバをドッガフォームへ変身させる力を持つ。
   音也との約束を、3人で何時までも守っている。

ちなみに次狼、ラモン、力の3人の台詞はここ以降なし

けど一人一回ずつ出番アリ

次の投下は日曜夜9時以降
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/27(水) 21:30:11.53 ID:pQmVYrdNo
多重投稿になっとる…orz

そういえばリロードしてねえと思ったらこのザマだよ!

この命神に返してくる
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/27(水) 21:59:29.10 ID:88QF9rqqo


スペードのロイヤルストレートフラッシュとは・・
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/27(水) 22:54:04.47 ID:k8APKJS/o


スペードのロイヤルストレートフラッシュ……変えた未来を考えれば間違い無く吉兆だな。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/07/29(金) 08:34:39.19 ID:YFjxQgVEo
でも映画版的な未来もありえるよね
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/31(日) 21:38:09.07 ID:PincXEguo
次狼のロイストは別に他のでも良かったけどわかりやすく最強の役に


どうでもいいけどフィギュアーツ555AFカッコイイ


投下開始
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:38:43.51 ID:PincXEguo
―時間は戻り、太牙の視点へ―

「これからどうするつもりだ、太牙」

キバットが太牙に聞く。

「まずは、上条恭介の両親に話をつける。そして明日、上条恭介本人に伝え、考えてもらう」

今のところの予定をキバットに告げる太牙。

「なるほど、では、俺は少し身を潜めておこう」

キバットのような物がいるだけで普通の人間はパニックになるだろう。

そう考え、キバットは自ら身を潜めると言ってきた。

「そうしてくれ」

そう言って、地図を確認し、上条家の前についた太牙。

「太牙、俺は近くにいる。お前がこの家から出てきたら戻ってくる」

「わかった」

そう約束し、呼び鈴を押す太牙。

『はい、何の用でしょうか』

上条恭介の母親であろう人物が返事に出た。

「お宅の息子さん…上条恭介君の腕のことについて話があります」

単刀直入に伝える太牙。すると、

『…わかりました。少々お待ち下さい』

と返ってきた。

しばらくすると、先ほど太牙と会話していた上条恭介の母が出てきた。

「どうぞ、お入りください」

上条家の敷地に足を踏み入れる太牙。
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:39:20.51 ID:PincXEguo
客室に案内された太牙はまずは名刺を渡した。

「D&P?何か用があるのですか?」

「ええ、貴方達の息子さん…恭介君の腕が治る見込みは?」

そう聞かれ、黙りこむ恭介の両親。

「やはりそうでしたか…では、貴方達は1%でも可能性があるのならその可能性にかけてみようと思えますか?」

「…え?」

太牙の言った言葉に顔を上げる両親。

「私の方で開発した新しい医療技術なら恭介君の腕を治せるかもしれません」

「是非お願いします!あの子が元気な姿でバイオリンを弾いてくれるならいくらでも出します!」

だから…!と両親が言ったところで太牙が止めた。

「お金は要りません。我々も最善を尽くします」

ファンガイアの技術を使えば、嶋の体を治したように、人の腕を治すことなど簡単だろう。

すると両親は

「ありがとうございます!」

その場で土下座をし、太牙に頭を下げた。

「頭を上げてください。私は明日恭介君に会いに行きます。そこで彼にも確認します」

「あの子もきっと喜びます!」

両親の許可を得た。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:40:01.44 ID:PincXEguo
「どうだ太牙?」

上条家の敷地から出てきた太牙にキバットが話しかける。

「完璧だ。予定通り明日彼と接触する」

キバットにそう言い、予約してあるホテルへ向かう太牙。

そしてこの出来事が上条恭介と美樹さやかの運命を大きく変えることになる。


―翌日 PM2:00 上条恭介の入院している病院―

「ちょっといいかな?」

「誰ですか、貴方?」

突然やって来た人物に質問をする恭介。

「俺は登太牙。君の腕について話があるんだ」

「僕の…腕…?」

「君自身気づいているはずだ。自分の腕はもう動かないと」

心の中でずっと否定し続けていたことを言われる。

「…はい。分かってますよ、僕の腕が動かないなんて。
 貴方は一体何をしに来たんです!腕の動かない僕を虐めに来たんですか!」

病院であることを忘れ、大声を張り上げる。

「君は、自分の腕が治るのなら、1%の希望に賭ける勇気はあるかい?」

「え…?」

自らの両親と同じような反応をする。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:40:30.34 ID:PincXEguo
「俺の会社で開発した、新しい医療技術なら君の腕を治せるかもしれない」

「…本当ですか?」

恭介が太牙に聞く。

「可能性はある。君の両親にも許可は貰ってある。まあ、ゆっくり考えてくれ、明日また来る」

そう言って、部屋をでる太牙。


一人部屋に取り残された恭介は、医者に頼みこみ、面会をすべて断ってもらい、
太牙の言っていたことを考えていた。

「もう一度、バイオリンが弾けるように…」

目を瞑り、自分がホールで演奏している姿を思い浮かべる。

観客席は大勢の人で埋め尽くされている。

一番前の席には両親やさやかの姿が浮かぶ。

「さやか…?」

目の前に幼馴染の姿が浮かぶ。

思えば、いつも自分を見ていてくれた者の一人だった。

もう一度、彼女に笑ってもらいたい。

そう思うと、こんなところで悩んでなどいられない。

上条恭介は、もう一度バイオリンを弾くために、さやかの笑顔を作るために決意した。


彼自身気づいてないが、美樹さやかに対する恋だった。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:41:15.57 ID:PincXEguo
―Side:太牙―

「さて、これからどうしようかな」

上条と別れた太牙は、これからの予定が決まっていなく、暇だった。

「魔女も動いていないだろうし、ほんとにやることがないなあ」

まだ午後3時を少し回ったところだ。

普通の人は会社に勤務していたり、学校に行っていたりと人もかなり少ない。

「そうだ、良い事を思いついた」

太牙はそう言うと、ポケットから携帯を取り出した。

そして電話帳を開き、電話をかける。

『兄さん?何か用ですか?』

目的の男、『紅渡』が電話に出た。

「近いうちに君に会わせたい子がいる」

上条恭介と、渡を会わせてみる。

それが太牙の考えだった。

『どんな子なんです?』

「バイオリニストだ」

渡はバイオリニストであり、バイオリン職人でもある。

渡の弾くバイオリンはとても素晴らしい。

兄である太牙の誇りの一つでもあった。
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:41:45.03 ID:PincXEguo
『わかったよ』

渡は引き受けてくれた。

「そうか、なら詳しい日時が決まったらまた連絡する」

そう言って、電話を切る太牙。

同じバイオリニストである渡なら、きっと恭介の話を親身になって聞いてやれる。

そう思い、行ったことだった。

「いいのか、太牙。人間を簡単に紹介してしまって」

どうやらキバットは恭介を渡に会わせるのは反対らしい。

「あいつなら、今のあの少年を癒してくれる。そう考えてやったことだ」

かつては思想の違いから対立していたこともあったが、今は兄弟として生きている。

「そうか…なら俺からは何も言うことはない」

キバットも渋々納得してくれたようだ。

「じゃ、これからこの街の探索とでも行きますか」

そう言って、まだ日の高い見滝原市を歩き始める太牙。


この数時間後、太牙は名護に接触することになる。
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:42:21.96 ID:PincXEguo
―Side:名護―

自宅の近くまで行くと、見知った顔の男が見えた。

「やあ、名護啓介」

手を上げて挨拶してくる男。

「太牙か。なぜこんなところにいる」

太牙がこのような場所にいることを不思議に思う名護。

「ちょっと、野暮用でね。それでついでに君達に協力しようかなと思って」

その用がなんなのかは名護は知らないが、

「そうか、なら家に来なさい。話はそこでしよう」

とりあえず、悪い奴ではないので家まで連れていくことにした。


―名護家宅―

「あら、太牙君じゃない、久しぶり」

自宅にやってきた、太牙に挨拶する恵。

「俺達に協力したいらしい」

そう言って、家に上がる二人。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:42:48.29 ID:PincXEguo
椅子に座る2人。

太牙が話題を切り出した。

「魔法少女について教えてほしい」

「いいだろう…」

太牙に魔法少女についてのこと、そして自分達が今何をしているのか話す名護。

話し終えると、

「なるほど、魂を元の体に戻す…ね」

「以前嶋さんをファンガイアにした後、元に戻したことがあったろう。その技術を応用できないか?」

以前、嶋が重傷を負った時、ファンガイアにした後、それを分離させたことがあった。

その技術の応用として、ソウルジェムから魂を再び肉体に融合できないかと聞く。

「わからないな。あれはファンガイアを知っていたからできたことだ。
 それが未知なる力を持つ魔法少女となると…」

「資料なら、研究所にかなりの数がある。明日案内する」

橘達に太牙を紹介することにした名護。

ファンガイアの技術を応用すればさらに研究がはかどるだろう。

「わかった。こちらからも出来る限りの技術提供はする」

太牙は名護の要求を受け入れた。

「ありがとう。これで彼女達を救う道がまた一歩進んだ」

太牙に礼を言う名護。

「じゃあ、俺はこのあたりで」

「わかった。明日は朝から大丈夫か?」

「ああ」

「なら、明日の朝、此処に来てくれ。それから研究所に案内する」

約束を交わす2人。

そして2人は別れた。
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:43:16.42 ID:PincXEguo
―翌日 AM8:00 名護家宅―

「来たな、では案内しよう」

車に乗り、BOARDまで太牙を連れて行く名護。

橘達にはすで連絡はしてあった。

橘達もこれでさらに研究が進むと喜んでいた。

(ここで太牙が来てくれて本当によかった…)

心から感謝する名護。

そして、車を走らせた。


―BOARD―

自己紹介を終えた名護達。

「まずはこれを見てくれ」

そう言って資料を出す橘。

太牙はそれを手にとって目を通す。

「なるほど、たしかにファンガイアの技術を応用すれば、なんとかなるかもしれないな…」

「なら…」

「ええ、協力しますよ」

ファンガイアとBOARD、二つの技術が重なりあい、魔法少女の研究が次々と進むであろう。
ただ、それは今の話とはまた別の話だが。

「では、俺はもう少しでこの町から離れます。他にやるべきことがあるので」

太牙は上条恭介の腕を治すためにこの街に来た。

「そうか。ではこれからよろしく頼む」

「ええ」

手を握り合う橘と太牙。


絶望からまた一歩遠ざかった。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:43:44.02 ID:PincXEguo
―病院―

上条恭介は昨日来た登太牙が来るのを今か今かと待っていた。

「やあ、昨日の答えを聞きに来たよ」

来た。

昨日心に決めた。

どんなに低い可能性であっても、その可能性に賭けると。

「お願いします。僕の腕を…治してください」

「そうか、なら今から準備してくれ。既に転院許可は出てるよ」

「今の僕には持ち物なんてこの体だけです」

できれば今すぐにでもここで治してほしかった。

「じゃあ、案内するよ」

こうして恭介は知らずのうちにファンガイアと接触し、そのファンガイアに助けてもらうことになった。

が、今の恭介にはそんなことはどうでもいい。

「…さやか」

幼馴染の名前を呼んで、病院を出た。
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:44:15.51 ID:PincXEguo
―D&P医療病院―

「今すぐ始められるがどうする?」

病院に着き、太牙がそう聞いてくる。

「始めてください」

一刻も早く、腕を直したかった。

「そうか、じゃあ始めることにする」

ファンガイアによる上条恭介の腕の手術が始まった。


―数時間後―

「ん…」

恭介が目を覚ます。

ベッドの中から腕を取り出し、動かしてみる。

まだ、麻酔が効いていて少し動かしづらいが、完全だ。

すると、病室のドアが開いた。

「気分はどうだい?」

太牙が聞いてきた。

「あ…」

うまく喋れない。

「まあ、無理はしなくてもいい。そして結果的に言うと手術は成功だ」

成功と告げられ、涙が出てきた。

「あ…りがと…ござい、ます」

なんとか感謝の言葉を口にできた恭介。

「とりあえず、今日一日はゆっくりしてくれ」

そう言われると再び眠気が押し寄せてきた。

そしてそのまま恭介は眠りについた。
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:44:42.61 ID:PincXEguo
―同時間 見滝原市―

「ええ!?恭介が転院!?」

上条恭介が今日、転院したと聞いた美樹さやかは驚いていた。

「はい、腕が治るかもしれないと言う事で別の病院で手術をうけることになりました」

看護師がさやかに告げる。

そんな話は聞いていなかった。と思うさやか。

「でも、治るかもしれないってことは…」

また彼の弾くバイオリンが聴ける。

その姿を想像し、嬉しくなるさやか。

「ありがとうございました」

看護師に礼を言い、病院を後にする。

外ではまどかが待っていた。

「あれ?さやかちゃん、今日も会えなかったの?」

昨日と同じく、かなり早く病院から出たため、まどかに聞かれる。

「なんかねー、恭介の腕、治るかもしれないんだって」

「へぇ、そうなんだぁ」

まどかはあまり上条恭介の状態を知らないから反応が薄い。
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:47:20.66 ID:PincXEguo
「今日はなんか、名護さん達について行ってる場合じゃないかも」

うれしくてたまらないさやか。

「それじゃあ、名護さん達には連絡しておくから、さやかちゃん帰ってもいいよ」

「お、サンキューまどか」

「バイバイ」

そして別れる2人。

さやかと別れた後、名護達に連絡し、待ち合わせ場所に向かっていたまどか。

すると、見慣れた顔をした一人の人物を見つけた。

「仁美ちゃん?」

それにしては様子が変だ。

人気のない方向へと向かっている。

「仁美ちゃーん」

仁美に近づいたまどかはすぐに異変に気づいた。

仁美だけではなく、多くの人達が同じ方向に向かって進んでいた。

全員首筋に同じ紋章。魔女の口づけだ。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:47:49.71 ID:PincXEguo
「あら、鹿目さん、ごきげんよう」

まどかに気がついた仁美。

「これから、とても素晴らしいところに行くのですけど鹿目さんもご一緒しませんか?」

腕を掴まれるまどか。

すぐに振り払おうとするが普段の仁美からは考えられないような力で押さえつけられていた。

「あなたも私もきっと楽になれますわ」

そして、無理やりまどかを連れて行く仁美。

と、その時まどかの携帯が鳴る。

それを片方の手で取ろうとするが、仁美に奪われてしまった。

「こんなモノは必要ないですから」

そう言って仁美は電源を切り、まどかの携帯を投げ捨てた。

「そんな…」

唯一の解決法が閉ざされてしまった。

結局、まどかは仁美に引きずられて着いて行ってしまった。
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/07/31(日) 21:48:27.31 ID:PincXEguo
―Side:ほむら―

まどかが待ち合わせ場所に来ないことを不審に思ったほむらは電話をかけた。

が、4コールほどした後で、電話を切られてしまった。

「しくじったわ…」

ボソリと言う。

このまま行くと、まどかは魔女に殺される。

いつもなら、この時期にさやかが契約し、間一髪で助かるのだが今回はそうもいかない。

(なんとかして、まどかを助けないと…)

せっかくここまで順調に進んできたのに、ここでまどかが死んでしまっては全て水の泡だ。

ほむらは何とかできないかと考えた。

具体的な解決方法が浮かばない。

こうなれば自分が行ってまどかを助けるしか方法はない。

そう思い、ほむらは名護とマミに気付かれないようにその場を離れた。
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/31(日) 21:52:23.04 ID:PincXEguo
投下終了

上条くんは本編では『恭介』で統一します

今回の話の時系列が分かんねーよという人のため(>>1自身がわからなくならないように)のまとめ
初日
ほむら目覚める(同日名護に接触)

翌日
名護、嶋に会う。ほむらのことを伝える
ほむら、マミと杏子が一緒にいることに驚く
ほむら、仮面ライダーのことを知る

その翌日(この間にほむら、名護達と魔女狩り)
次狼、未来を見る
そして、嶋にその事を伝える

数日後(この間にほむら、名護達と魔女狩り)
嶋が太牙に要件を伝える

数日後
ほむら、イクササイズを体験
翌日
まどか、魔法少女に出会う

翌日
まどかとさやか、魔法少女の真実(ソウルジェムが魔法少女の魂)を知る
ついでに名護達と魔女狩りを体験
太牙、見滝原に到着。魔女と交戦。これを撃破する(グリーフシードは破壊)

その翌日
太牙、恭介と接触
恭介、医者に頼み面会拒否
さやか、恭介のお見舞いに来るが帰される
名護とほむらが魔女(シャルロッテ)を撃破
太牙と名護が再会

こうなってるはず


ついでに上条くんのキャラ設定

上条恭介…さやかの幼馴染。
        さやか空気化の原因。


次回の投下は水曜9時以降
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/31(日) 21:57:07.58 ID:uhid8dY8o
乙まどっ


ニーサンに任せておけば恭さやカップルは安泰……かな?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:51:24.61 ID:7Wz/v86so
(^U^)
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:52:07.70 ID:7Wz/v86so
(^U^)
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:52:53.37 ID:7Wz/v86so
>>233
(^U^)いい判断だ 感動的だな
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/07/31(日) 23:53:51.19 ID:pd3Corq5o
(^U^)
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 23:56:46.80 ID:7Wz/v86so
更新しても何も出なかったから本当に書き込めてないのかと思ったら連投してたスマソ
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2011/08/01(月) 01:11:21.91 ID:N6zghPrX0
>>234-235
( 0M0)<ジェミニ
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/01(月) 23:00:09.69 ID:c4Brjs3X0
問題は渡がコミュニケーションが苦手ってところだな。
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/02(火) 00:50:55.97 ID:PJFLrgyAO
ディケ後の渡なら問題ないかと
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/02(火) 01:59:45.53 ID:8tHXjphLo
あの渡はいろいろとダメな気がするが…
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/02(火) 12:35:21.09 ID:PJFLrgyAO
とりあえず変身前で使い魔蹴散らすくらいやりそうな気ガス

そして、廃校舎でさやかを追い回すキバット
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/03(水) 21:40:35.87 ID:BKFGDoW9o
>>234-236>>238
エラーが出て書き込めていないと思ったら書き込みができている
SS速報ではよくあることだ

ちなみに渡ですけど本編終了後なのでコミュ障は大丈夫と思ってください
ディケの渡が駄目なのは分かりますけど


555最終回後でまどかクロスが書きたいという欲望
恐竜ヤミーで無効化するべきか、普通に解放するべきか悩む


投下開始
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/03(水) 21:41:14.02 ID:BKFGDoW9o
―Side:まどか―

仁美に連れてこられてやって来たのは廃工場だった。

「そうだよ…俺は、駄目なんだ…」

一人の男がうずくまっている。

ここを切り盛りしていた工場長みたいだ。

しかし、経営がうまくいかず潰れてしまったようだった。

一人の女性がバケツを置き、その中に液体を注ぐ。

まどかはそれを見て母、絢子が言っていたことを思い出した。

絶対に混ぜてはいけない薬品。

混ぜればここにいるものは全員死ぬだろう。

「ダメ…!それはダメ!」

走ろうとするまどか。

だが、仁美がそれを止める。

「邪魔をしてはだめです。あれは神聖な儀式ですもの」

「だって、あれ危ないんだよ!ここにいる人たち皆死んじゃうよ!?」

そう仁美に訴えかけるまどか。

しかし、仁美は聞く耳を持たない。

「そう、私達は今からもっと素晴らしい世界に旅に出ますの」

「それが、どんなに素晴らしいことかわかりませんか?生きている身体なんて邪魔なだけですの」

操られてしまって正気では無くなっている仁美達。

「あなたもすぐに分かりますから」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/03(水) 21:41:42.56 ID:BKFGDoW9o
もうダメかと思っていたとき、閉まっていた工場のシャッターが開いた。

「ここか?祭りの場所は」

入ってきたのは杏子、それと橘だった。

「どうやら間に合ったようだな」

その場に居た者が突然入ってきた橘達の方を見る。

「魔女の口付けだ。みんな操られてやがる」

杏子が全員の首筋を見て言う。

「ここにいる人を全員逃がせ。魔女は俺が倒す」

「あいよ。油断すんなよ!」

杏子はそう言うと、それぞれの者の後ろに回り込み、気絶させてゆく。

「まどかちゃん!君も早く逃げるんだ!」

橘に言われ、工場の外へ走りだすまどか。

そして、なんとか逃げ切れた。

後ろを振り返ると、橘は結界に飲み込まれたようで既にそこにはいなかった。

「橘さん…」

心配そうに橘が居た場所を見つめるまどか。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:42:20.77 ID:BKFGDoW9o
―結界内部 Side:橘―

カードをギャレンバックルに入れる。

腰にベルトが巻かれ、変身ポーズをとる。

「変身!」

掛け声と共に右手でバックルのレバーを引く。

『Turn Up』

バックルの一部が回転し、オリハルコンエレメントが出現する。

橘の体がそれを通ると、橘にギャレンアーマーが装着され、仮面ライダーギャレンが現われた。

「ハァ!」

橘は近づく使い魔を一掃する。

一発たりとも外さない。動体視力はかなりの物だ。

すると、橘は体に異変を感じた。

脳内にかつてのトラウマが蘇ってくる。

(これは…俺の記憶?)

小夜子を守れなかったときの記憶。

剣崎を救えなかった記憶。

橘が後悔している出来事が一つ一つ鮮明に浮かび上がってくる。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:42:51.90 ID:BKFGDoW9o
「ガァっ!」

頭を抱える橘。

すると、使い魔達がギャレンの腕と足を持ち、それぞれ別の方向へ引っ張った。

体に激痛の走る橘。

いくらギャレンの装甲が固くとも、これほどの力で引っ張られば長くは持たないだろう。

橘の頭の中では未だに小夜子と剣崎、二人の姿が見えている。

(小夜子…!剣崎…!)

愛する者と、仲間。救えなかったもののことが頭で繰り返される。

(俺は…俺は…!)

「うおぉおおおおおお!」

(そうだ、俺は救わなければならない!剣崎を!)

右手に持ったギャレンラウザーで一体の使い魔を撃ち落とす。

右腕が自由になり、他の使い魔も次々と倒してゆく。

完全に自由になった橘の前に箱のような形をしたものが現われた。

この結界の魔女だ。

「貴様か!貴様がぁああああああああ!」

怒りの矛先が魔女に向いた。

この魔女を殺すことでしか、橘の怒りは収まらない。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:43:28.93 ID:BKFGDoW9o
―BOARD―

橘が魔女と戦っている頃、一台のパソコンの画面が表示されていた。

画面には、『GARREN』と表示されており、ある数値が映っていた。

最初は700程度だった数値が爆発的に上昇していく。

800…900…1000…

そしてようやく数値が止まった。

画面に表示されている数値は『2200』


怒りと特殊な状態にある橘の体。

その2つが重なりあい、融合係数を上昇させていた。

現在、キングフォームでないに関わらずかなりアンデッドに近づいていた。

ある意味、魔法少女よりもひどい体をしていた。
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:44:05.06 ID:BKFGDoW9o
―Side:橘―

体に力がみなぎってくる。

以前もこのようなことがあったが、今回はそれの比ではない。

ギャレンラウザーを連射し、魔女の動きを止める。

ラウザーのオープントレイを開く。

その中から『5』『6』『9』のラウズカードを取り出す。

そしてそれをギャレンラウザーにラウズする。

『FIRE』『DROP』『GEMINI』
『BURNING DIVIDE』

「ウオォオオおオオオオオ!」

『ファイア・フライ』『ドロップ・ホエール』『ジェミニ・ゼブラ』の3枚のカードをラウズし、
コンボ技である『バーニングディバイド』が発生した。

ギャレンが分身し、飛び上がる。

空中で体を捻り、2体のギャレンがドロップキックを魔女に喰らわせる。

魔女が吹き飛び爆発する。

そして結界が消え、グリーフシードが落ちる。

「大丈夫ですか、橘さん!」

まどかが近づいてくる。が橘は返事をしない。

「橘?」

杏子も心配して声を掛けてきた。

「…なんでもない」

変身を解除した。

「悪いが、先に帰っててくれないか」

「あ、ああ」

いつもとは違う橘の雰囲気に飲まれそうになる杏子。

そしてまどかと杏子はその場を後にした。

「…剣崎…!」

魔女に見せられたビジョンは今でも頭に残っていた。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:44:33.61 ID:BKFGDoW9o
―とある場所 魔女の結界―

こちらの結界でも仮面ライダーが戦っていた。

具体的に言えば仮面ライダーではないが、システムの基礎になったものだ。

間違いではないだろう。

ライダーの名は『カリス』

ジョーカーアンデッド、相川始の変身する仮面ライダーであった。

ベルトのバックルを外し、カリスアローに付ける。

3枚のカードを取り出しカリスラウザーにラウズさせる。

『TORNADO』『DRILL』『FLOAT』
『SPINING DANCE』

カリスの体が浮かび上がり激しい竜巻が発生する。

そしてカリスは魔女にドリルキックを打ち込んだ。

魔女が消えたことで結界も消える。

『SPIRIT』

カテゴリー2『スピリット』を使い、相川始に戻る。

(それにしてもさっきのあの感じはなんだったんだ)

始は魔女との交戦中、少しの間だが微かにアンデッドの気配を感じた。

(剣崎ではない…まさか、橘…?)

橘の体のことは薄々感づいていたが、アンデッドの気配を感じたのは初めてであった。

(無理しすぎだ…剣崎を救っても今度はあいつがアンデッドに…)

そうすれば、剣崎はきっと橘を救うために何でもするだろう。

(俺も剣崎をどうにかしなければな…)

そう思い、グリーフシードを踏みつぶしてハカランダへ向かった。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:45:10.20 ID:BKFGDoW9o
―世界の何処か 戦場―

(アンデッド…?)

戦場でジョーカーの姿になっていた剣崎は別のアンデッドの気配を感じた。

しかし、その気配はすぐに消え何があったのかわからなくなった。

(何があったんだ…仕方ない。日本へ戻るか…)

真相を確かめるべく、剣崎は反応があった方へ向かうことにした。

が、突然妙な空間に入り込んでしまった。

魔女の結界だ。

「はぁ…またか…」

そう言いつつも右手に持った大剣『オールオーバー』を振り、一撃で魔女を倒す。

結界が消滅し、元の場所へ戻ってくる。

「よし、行くか」

剣崎は日本へ向かって歩き出した。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:45:36.37 ID:BKFGDoW9o
―Side:ほむら―

ほむらが結界があった場所についたときには既に魔女は倒された後であった。

(まどかはどこ…)

此処に来る途中でまどかの携帯を拾った。

直前の着信履歴には『ほむらちゃん』と映っていたので、あの時に捨てられたと見て間違いないだろう。

まどかを探して、あたりを見渡していると、人が一人うずくまっていた。

「橘…朔也…?」

ここ最近よく合わせる顔。

そして橘がここにいるということはかなり遠くの方まで来ていたらしい。

そして、ほむらは橘に近づく。

近づいてみて分かったことがある。

橘が泣いている。

(そういえば、この魔女は精神攻撃を仕掛けてくる魔女だったわね)

橘の記憶で何かあったのだろうと推測するほむら。

ここで話しかけずに帰ろうかと思ったが、結局、声を掛けた。

「橘朔也。泣いてるの?」

「あ…。ほむら…ちゃん…」

ようやくこちらに気づいた。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:46:28.44 ID:BKFGDoW9o
こちらを見つめる橘の顔を見ると、目から涙が出ているのが分かった。

それに長いこと泣いていたのか、目が真っ赤に腫れている。

「なにがあったの?まどかがここにいたでしょう。あの子はどうしたの」

橘の心配より、まどかのことを優先するほむら。

「いや、なんでもない」

服の袖で涙を拭う橘。

「まどかちゃんと杏子ちゃんならもう帰してある。2人とも無事だ」

「そう…」

(まどかが無事でよかった…)

魔法少女のリスクを既に知っているまどかは契約していない。

その為、彼女は無力だ。

彼女が無事で本当によかったと思うほむら。

「君ももう帰りたまえ。俺ももう少ししたら帰る」

橘に早く帰れと言われた。

「ええ、そのつもりよ」

その場で180度回転し、自分の自宅へ向かうほむら。

約束の休日は明後日だ。

その日のうちに、インキュベーダーに仲間はいなくなるだろう。

その時が待ち遠しかった。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/03(水) 21:46:56.41 ID:BKFGDoW9o
―Side:橘―

ほむらを帰らせた後も橘はその場で呆然としていた。

いまだに頭から離れない小夜子と剣崎の顔。

小夜子のことに関してはもう割り切ったつもりだった。

しかし未だにその事を引きずっているのが今回の魔女との戦いで分かってしまった。

剣崎のことに関しても、本当に救えるのかと考えてしまう。

(いや…絶対に助けてみせる。あいつこそ、人間の中で生きるべきだ)

ようやく橘は立ち上がった。

「遅くなってしまったな…睦月達も心配してるだろう」

そして、橘は研究所に向かって動き出した。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/03(水) 21:54:11.29 ID:BKFGDoW9o
投下終了。ついでに3話もこれで終わり

ギャレンの綴りが『GARREN』なのか『GALLEN』なのかよくわからなかったので前者にしました。
あとラウズカードについても綴り違うかもしれないけど脳内補完でよろしくお願いします。

剣崎ジョーカーは剣を持っている以外は始ジョーカーと同じです

キャラ設定

相川始…ハカランダで働きながら、剣崎のことも気にかけている。
      栗原家の2人には自分が普通の人間ではないとばれているが、
      2人がその事に触れないことに感謝している。

剣崎一真…最終回でジョーカー化した後、世界中を旅している。
        もちろん不法入国が殆ど。
        戦場にいる子供たちを外に逃がしてたりもする。


次回4話『バイオリンの名はブラッディ・ローズ』

次の投下は日曜夜9時以降


あと土曜日はオーズ・ゴーカイ映画と再販アーツイクサとガタックがありますね
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/03(水) 21:56:11.36 ID:iob6iy8zo
乙彼ー



ギャレンはRの方ですね、合ってますよ
橘さん頑張ったなぁ
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 22:45:58.85 ID:2FP8BePGo
乙です。

橘さんはどうも後悔抱いてる時が一番強い気がするな……
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/07(日) 21:17:04.72 ID:+DRFJvSDo
ライダースレで見たけど橘さんは強敵と戦うと強くなるけど雑魚と戦うと弱くなる
まさにその通りだなと

前回名護さんの出番は殆どなかったけどこのSSでの主人公は名護さんです
ちなみに剣崎はしばらくお休み

あと睦月の活躍が出てないですけどワルプル戦までにはライダー一人につき一回は見せ場作ります
睦月も見えないところで頑張ってるんです


4話は3回に分けて投下するので今回と次回は短め
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:17:32.76 ID:+DRFJvSDo
―翌日 学校―

仁美「ふわぁ〜」アクビ~

仁美「あら、みっともない。ごめんあそばせ」

さやか「うわ、でっかい欠伸。寝不足?」

仁美「ええ、昨日は病院やら、警察やらで夜遅くまで」

さやか「へえ〜、何かあったの?」

仁美「なんだか私、夢遊病っていうのか、それも同じ症状の方が大勢いて、
   気づいてみたら皆同じ場所で倒れていたんですの」

さやか「はは、なにそれ」

仁美「お医者様は集団幻覚とかなんとか…今日も放課後に精密検査に行かなくてはなりませんの」

仁美「はあ、めんどくさいわぁ」

さやか「そんなことなら学校休んじゃえばいいのに」

仁美「だめですわ。それではほんとに病気みたいで、家の者がますます心配してしまいますもの」

さやか「さっすが、優等生。えらいわ〜ハハッ」

まどか(やっぱり、昨日のことは覚えていないんだね…)

ほむら『まどか』

まどか「ひゃっ!?」

さやか「ん?どうした、まどか」

まどか「い、いや、なんでもないよ」

ほむら『昨日あったことを話してくれる?屋上で待ってるわ』

まどか「ちょっと席外すよ」

さやか「ん?ああ、行ってらっしゃーい」
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:18:02.11 ID:+DRFJvSDo
―屋上―

ほむら「来たわね」

まどか「ほむらちゃん…それにマミさんまで」

マミ「おはよう」

まどか「おはようございます」

ほむら「それで昨日、あの場所で何があったか教えてくれる?」

まどか「うん…」

まどか「昨日、さやかちゃんが待ち合わせ場所に行かないって連絡したでしょ?」

マミ「ええ。それは全員確認したわ」

まどか「それでね、早く行かなきゃって思ってたら仁美ちゃんを見かけたの」

ほむら「それでどうしたの」

まどか「なんか様子が変だったから近づいてみたの。それで周りを見たら他にも大勢の人が同じ方向に歩いていたの」

マミ「おそらく、魔女に魅入られて誘われたのね」

まどか「うん…でね、その後仁美ちゃんに腕を引っ張られて、廃工場まで連れて行かれたの」

ほむら「急に電話が切れたのは仁美が切ったのね。それとこれ落ちてたわ。あなたのものでしょう」

まどか「あ、ありがとう。それで、皆死んじゃいそうなときに、杏子ちゃんと橘さんが来たの」

マミ「あの2人が?えらく遠くまで行ってたわね」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:18:31.99 ID:+DRFJvSDo
まどか「はい…ええっと、その後は工場の外に逃げて、他の人達は杏子ちゃんが連れ出して、
     結界に入ってた橘さんが出てきたんだけど、なんか様子が変だったよ」

ほむら「私も貴方がいなくなった後に橘朔也にあったけれど、たしかに変だったわ」

まどか「でね、その後すぐ帰ってって言われたから帰ったよ」

マミ「ありがとう、鹿目さん」

ほむら「さやかはこのことは知ってる?」

まどか「知らないと思うよ、私は話してないし…」

マミ「まあ、知らなくてもいいと思うわ。貴方も偶然巻き込まれたわけだしね」

ほむら「ありがとう、まどか」

マミ「そろそろ、時間だわ。自分の教室に戻りましょう」

ほむら「まどか、行くわよ」

まどか「うん。それじゃあ、マミさん、また」

マミ「ええ、放課後ね」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:19:00.50 ID:+DRFJvSDo
―病院―

恭介「ん…」

恭介「もう朝か…」

???「やっと起きたか」

恭介「あ、えっと…太牙さん。おはようございます」

太牙「ああ、おはよう。気分はどうだい?」

恭介「ばっちりです。腕のほうも怪我してたのが嘘みたいに動きます」

太牙「それはよかった。それで今日は一日足のほうのリハビリといこう」

恭介「足なら以前から少しづつマシな状態になってきてますけど」

太牙「だからだ。それに明日君に紹介したい人がいる」

恭介「どんな人なんですか?」

太牙「俺の弟さ」

恭介「僕に何か関係が?」

太牙「ああ。俺の弟はバイオリン職人でな、それにバイオリンの腕もなかなかのものだ。君と合いそうな気がしてね」

恭介「そうなんですか」

太牙「よし、もう少ししたら朝食が届く。その30分後にリハビリを始めるぞ」

恭介「はい!」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:19:29.37 ID:+DRFJvSDo
―昼頃 病院―

太牙「よし、それぐらいにして昼食にしよう」

恭介「ハァ…ハァ…はい…」

―食堂―

太牙「かなり頑張ってるな。この調子だと、今日中に杖をついて歩けそうだ」

恭介「はい。僕の元気な姿を見せたい人がいるんです」

太牙「へえ。それは君の両親かい?」

恭介「たしかに自分の両親には早く見せてあげたいですけどそれよりも…」

太牙「見せたい人がいるってことか」

恭介「はい」

太牙「君にとってそれはどんな人だい?」

恭介「えっと…ん?考えてみるとよく分かりません…」

太牙「フッ。それは君にとって…いや此処から先は自分で答えを出すべきだ」

恭介「え?どういう事ですか」

太牙「自分の胸に手を当てて考えればいいさ」

恭介「…」

太牙「よし、午後のリハビリを始めるぞ。杖で歩けるようにな」

恭介「…はい」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:20:33.87 ID:+DRFJvSDo
―放課後―

さやか「〜♪」

マミ「今日の美樹さん機嫌がいいわね。何かあったの?」

まどか「上条くん…幼馴染の腕が治るかもしれないって」

ほむら「嬉しいのは分かるけど、あまり浮かれないようにして。
    私達が付いているとはいえ、危ないことをしているのは事実なんだから」

さやか「おぉ?私の心配してくれんのかぁ?私は嬉しいぞ〜」ダキッ

ほむら「ほむ!?」

さやか「おらおらー、ほむらも私の嫁になるのだー」グリグリ

まどか「はは…」

名護「とりあえずそこら辺にしなさい。といっても魔女の反応が全くないな」

マミ「ええ。不思議なぐらいにないです」

まどか「それってなにか困るんですか?」

マミ「何もないに越したことはないけれど、グリーフシードがね」

名護「そういえば説明してなかったな」

QB「魔法少女はグリーフシードを使って魔力を回復するんだよ」

まどか「あ、キュゥべえ。いたんだ」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:21:29.86 ID:+DRFJvSDo
QB「気づかなかったんだね…まあ、ソウルジェムの濁りを浄化するためにグリーフシードが必要なんだ」

さやか「へぇー、でも、名護さんみたいに仮面ライダーは関係ないんでしょ?」グリグリ

QB「そうだね。仮面ライダーは魔法少女とは全く性質が異なる存在だ。
   魔力の消費なしに魔女と渡り合えるというのはとても凄いことなんだ」

まどか「じゃあ、使い魔がでたら名護さんに任せれば大丈夫だね」

マミ「名護さんなら変身しなくてもそこら辺の使い魔なら倒せるわよ」

名護「さすがに言いすぎだ。まあ、死なない程度には相手ができるな」

さやか「やっぱり名護さんは最高です!」グリグリ

ほむら「というか、はやく離れなさい…」

まどか「離してあげなよ…」

さやか「もう少しほむらの柔肌を味わいたかったけどしかたないなぁ」パッ

ほむら「ようやく解放されたわ…」

名護「それにしてもこれだけ魔女も使い魔もでないとなるとあまり意味が無いな」

マミ「そうですねぇ、もう解散しましょうか?」

名護「ああ、君達はもう帰りなさい。俺はもう少しだけ結界を探す」

まどか「はい、名護さんも気をつけてくださいね」

名護「俺を誰だと思っている?俺は名護だぞ」

さやか「くぅ〜、名護さん格好いい!それじゃあ、私たちはこのへんで」

名護「気をつけて帰りなさい」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:21:57.79 ID:+DRFJvSDo
―病院―

太牙「すごいな、本当にこの1日で杖で歩けるようになるとは」

恭介「僕も頑張らなきゃいけませんからね」

太牙「とりあえず、明日は今朝言ったように俺の弟の家に行くぞ」

恭介「わかりました」

太牙「よく頑張ったな、今日はもうゆっくり休め」

恭介「おやすみなさい」

太牙「ああ、おやすみ」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:22:27.94 ID:+DRFJvSDo
―魔法少女組―

マミ「ところで明日は何処で集まるの?」

まどか「あ…そういえば何処で集まるか決めてませんでしたね」

さやか「それぞれ、行けばって思うけど私まだ道順覚えてないしなぁ」

まどか「私もだよ。一人で行ったら絶対に迷子になっちゃう」

ほむら「それなら学校に集まればいいわ。学校ならここにいる全員分かってるしね」

さやか「そうか、学校か。なら、明日は何時集合?」

マミ「9時頃でいいと思うわ」

まどか「じゃあ、明日は朝9時に校門前に集合ですか」

ほむら「ええ。全員遅れないようにね。特にさやか」

さやか「そんなに私遅れそう?」

ほむら「冗談よ。たけど本当に遅れてこないようにね」

さやか「わかってるよ。じゃあ私はこの辺で」

マミ「ええ、さよなら」

まどか「私も近くだから」

ほむら「じゃあね。まどか、さやか」

まどか「バイバイ、ほむらちゃん、マミさん」

〜少し歩いて〜

マミ「私こっちの道だから」

ほむら「私は逆よ」

マミ「なら、ここでさよならね」

ほむら「さよなら、巴マミ」

マミ「(いつまでフルネームで呼ばれるのかしら?)さよなら、暁美さん」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/07(日) 21:22:55.70 ID:+DRFJvSDo
―翌日 AM8:50―

ほむら「あとはさやかだけね」

マミ「この中で一番早かったのは鹿目さんよね?何時に出たの?」

まどか「えーっと、此処に来るまでに10分ぐらいだったから、8時半には出ましたね」

ほむら「私も同じぐらいに出たわ。ただ、貴方より家が遠いから仕方ないのだけれど」

マミ「私は40分ぐらいに出たけれど、暁美さんとほぼ同時についたわね」

ほむら「ここから家まで15分ちょっとかかるわ」

まどか「ほむらちゃんって結構遠くから来てるんだね」

ほむら「別に構わないわ。魔法少女の活動以外でいい運動になるもの」

マミ「それにしても美樹さんまだかしら?」

「お〜い!」

まどか「噂をすれば来たね」

ほむら「間が良いのか悪いのか…」

さやか「あれ〜?私ドンケツ?」

マミ「ええ。鹿目さんにいたっては10分以上前からいるらしいわ」

さやか「マジでっ!?」

ほむら「そんなことより早く行きましょう」

マミ「そうね、それじゃあBOARDに向かいましょう」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/07(日) 21:26:39.12 ID:+DRFJvSDo
投下終了

久々にQB登場

ポンポン場面が変わるので自分でも分かりにくかったりする今回の話
そして取ってつけたようなグリーフシードの説明

最近モチベーションが落ち気味
結構先まで書いてるから問題はあまりないんだけど

とりあえず別の話でも書きながら徐々に上げていくことにする

次回は水曜夜9時頃
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/07(日) 22:40:03.48 ID:SmG1LsIEo


健吾は出ないのかな?
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/10(水) 21:36:01.77 ID:BwVaF+Hko
グリードを形成してるのがメダルではなく釦だったらという妄想をしていたらこんな時間に
グリードのキャストは全員加藤さんで

アンク「釦、釦、釦。君達はそれ以外になにか無いのか。生まれ変わりなさい」


>健吾は出ないのかな?
健吾は一応出てきます

投下開始
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:36:31.37 ID:BwVaF+Hko
―BOARD AM9:05―

「全員集まったな」

名護が指揮をとる。

「それで話って何だ」

杏子はいまいち何故集まったか理解できてない。

「私が話したいことがあったの。とても重要なことよ」

「へえ、それは興味深いね。ぜひ聞かせてほしいな」

ほむらの言ったことに興味をもつキュゥべえ。

「よし、話してくれ。ほむらちゃん」

「その前に私達のソウルジェムを預かってくれないかしら?」

ほむらの言ったことがいまいち理解できてない。

特にマミと杏子はさっぱりというような顔をしている。

だが名護は違う。ほむらの言うことが分かった。

「橘さん、睦月君。彼女達のソウルジェムを預かろう」

「まあ、お前がそう言うのならな…」

「私も」

「あたしも名護が言うならな」

3人の魔法少女は3人の仮面ライダーに自分達のソウルジェムを預けた。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:36:59.40 ID:BwVaF+Hko
「これでいいか?」

名護がほむらに確認する。

「ええ」

「よし始めてくれ」

「わかったわ。ねえキュゥべえ、ソウルジェムが濁りきったら私達魔法少女はどうなるのかしら」

「それは俺達も疑問に思っていた。どうなるんだ?」

ほむらの質問に名護達も同意する。

「まず魔法が使えなくなるのは間違いないね」

「本当にそれだけ?もっと重要なことを隠してないの?」

ほむらはさらに問い詰める。

「もしかして君は…」

「なぜ貴方はわざわざ私達"魔法少女"を魔女と戦わせるのかしら」

「君達にとってとても害になる存在だろ?ならそれを倒す手助けをしているだけだよ」

キュゥべえは在り来りな答えを返す。

「そもそも魔女はどうやって生まれているの?」

「人間の絶望の集合体や、使い魔が成長したものだよ」

その通りではあるが、ほむらはまだ問う。

「ねえ、その人間の絶望の中に『魔法少女の絶望』は混ざっていないわよね?」

「やっぱり君は…」

「質問に答えろ」

質問に答えないキュゥべえに強く当たるほむら。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:37:46.39 ID:BwVaF+Hko
「ほむらちゃん…?」

まどか達は戸惑いを隠せない。

出会ってまだ一週間ほどしかたってないが、このようなほむらを見るのは初めてだった。

「キュゥべえ…いやインキュベーター。魔法少女はやがて魔女になる。違うかしら」

「…どこでそれを知ったのかわからないけれど、そうだよ暁美ほむら。
 君の言う通り魔法少女のソウルジェムは穢れきると、グリーフシードとなり魔女になるよ」

ついに答えをだしたキュゥべえ。

「おいおい、マジかよ…いままでそんなことは聞いてなかったぞ」

「だってそこまで深く聞かれなかったからね」

やはり『聞かれなかったから』という。

「でも、それを確信付ける証拠がないじゃない」

マミはまだキュゥべえの事を信じたいらしい。

だが、

「やはりそういう事か…睦月、アレを持ってきてくれ」

「はい…」

橘に言われて睦月が持ってきたのは数枚の紙。

そこにはグラフが描かれていた。

「これは何ですか?」

まどかが橘達に聞く。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:38:16.08 ID:BwVaF+Hko
「魔法少女の持つソウルジェムと、取ったばかりのグリーフシードの魔力をグラフにしたものだ」

「かなりそっくりですね。てゆうか、ほとんど違いがないですけど…」

さやかがグラフの特徴に気づいた。

「まさか、ほんとに…?」

マミはまだこの真実を受け入れられないようだ。

「こんなものまで出来ていたとはね…もう言い逃れようがないよ」

完全に事実を認めたインキュベーター。

「てめえ!あたし達をゾンビにした挙句、最後は魔女になるってどういう事だ!」

杏子がインキュベーターを掴み上げる。

「これも宇宙のためなんだ」

「意味がわからねえよ!」

「君達はエントロピーという言葉を知ってるかい?」

そしてインキュベーターが語りだした。

「一本の木を燃やしたとする。しかし、その熱エネルギーは木一本が育ったエネルギーには値しない
 そして、使えば使うほどなくなっていく」

「どういう事だよ…わけが分からねえぞ」

「まあ、話を聞きなよ。宇宙も同じさ。エネルギーを使えば使うほどなくなっていく」
 そして、僕達はある物を利用したエネルギーを得る方法を開発したんだ」

「お前達が開発した物。それは感情を利用したエネルギーの搾取法」

ほむらがインキュベーターが言う前に答えを出す。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:39:14.85 ID:BwVaF+Hko
「そんな事まで知ってるのかい。まあ、君の言う通りだよ」

「だが何故わざわざ地球に来たんだ。自分達で開発したのなら自分達で使えばいい話だ」

橘がキュゥべえに聞く。

「残念ながら僕達はいわば情報だけの存在でね。全体が一つの個体なんだ。
 だから、人間のような感情を持つ必要がなかったんだ」

「そして長い時間を掛け、ようやく見つけたんだ。それぞれ別の個体が感情を持ち、生命活動をしている生物をね」

「それが、地球人だったと…」

「そうだよ、橘朔也。僕達はすぐに接触した。そして希望から絶望へのエネルギーの転移を利用し、
 エネルギーを回収し続けた」

「僕達のおかげで今の君達の生活があると行っても過言じゃないんじゃないかな」

上から目線で話すインキュベーター。

すると、

「過言だろ。人間はお前らの助けがなくてもこうなっていたさ」

「そうだな。1万年前のバトルファイトにヒューマンが勝利してからの決定事項だ」

部屋の外から男の声が聞こえる。

「誰だい?」

部屋のドアが開き、入ってきたのは2人の男。

「急に橘に呼ばれたから何かと思えば、こんなゴミの話を聞かなければいけないとはな」

年齢は20代前半に見える男が言った。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/10(水) 21:39:41.20 ID:BwVaF+Hko
「貴方達は誰?」

ほむらは急に入ってきた男達に名を聞く。

「自己紹介がまだだったな。俺は相川始」

「あなたが…ジョーカー…」

以前に話は聞いてあったがまさか目の前に本人が現れるとは思ってもいなかった。

「俺は登太牙。ファンガイアのキングだ」

「ファンガイアって…何?」

さやかが太牙に聞く。

「古来から存在してきた魔族…とでも思ってくれ。説明がめんどくさい」

「はあ」

だがめんどくさいの一言で片付けられた。

「何しにきたんだい?」

インキュベーターも太牙達の存在に疑問を感じる。

「ああ、俺達が呼んだんだ。とても重要な話があると言ってな」

橘が答えた。

「どれほどのものかと思えばゴミにすらならなかったがな」

鼻でわらう始。

「相川始…君は僕の言ったことを真っ向から否定したね。初めてだよ、君みたいなのは」

始の存在はかなりイレギュラーであったようだ。

「伊達に1万年前に戦ってないからな」

当時…バトルファイトのことを思い出す始。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/10(水) 21:41:40.05 ID:BwVaF+Hko
「ねえ、キュゥべえ。貴方が言ったのは全部本当なのね」

マミがインキュベーターに聞く。

「だから、そう言ってるじゃないか。なんども確認する必要はないと思うよ、マミ」

やれやれという風に首を振るインキュベーター。

「残念だわ、貴方とは何時までもお友達でいたかったけれど、それもここでお終いね」

「どうして少しの意見の齟齬から始まったことを憎悪するんだい?わけがわからないよ」

「私は貴方の存在が理解出来ないわ。消えて頂戴」

『いつも』のマミからは感じることのできない気迫だった。

「それともこの場で殺してあげようかしら」

ついにインキュベーターを殺すことで解決にいたろうとしたマミ。

しかしそれをほむらが止める。

「無駄よ。こいつは殺しても別の個体が存在する。ゴキブリのようにいくらでも出てくるわ」

「あら、そうなの。なら、早くしなさい」

「仕方ないね。ここでどこかへ行ったら僕が悪者みたいじゃないか」

「実際に悪だろう。いまさら覆すことができないぐらいのな」

始がインキュベーターに言う。

「まあ、まどかにさやか。命を投げ捨ててまでも叶えたい願いができたら言ってよ。
 僕はいつでも準備してるからさ」

「するわけねーだろ、バーカ」

さやかがインキュベーターの言う事を否定する。

「じゃあね。まあ、まどかはいずれ契約せざるをえない状況になると思うけどね」

そう言い残し、インキュベーターは何処かへ行った。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/10(水) 21:42:06.29 ID:BwVaF+Hko
「さて、これからどうする?」

インキュベーターが居なくなった後、名護が全員に確認した。

「俺はもう帰るぞ。店の手伝いがあるからな」

「俺も帰らせてもらおう。王としてやるべきことがありすぎる」

始と太牙はそれぞれやるべきことがあると言って帰ることにした。

「そうか」

「まあ、何かあったら呼んでくれ」

「出来る限り手を貸す」

「分かった」

始と太牙はそう約束した。


「じゃあな」

始は赤いXR250に、太牙は黒いDN-01に乗ってそれぞれ帰った。

「いまからどうするの?」

ほむらが聞く。

すると、グゥ〜と誰かの腹の音が聞こえた。

全員一斉に音の聞こえた方を向く。

音の主は佐倉杏子だった。

「プッ…」

さやかが最初に笑い始め、それに釣られて全員笑い始める。
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/10(水) 21:42:42.54 ID:BwVaF+Hko
「腹が減ったから仕方ねえじゃねえか」

そっぽを向く杏子。

「ごめんさないね佐倉さん。さっきまで本気で怒ってたから貴方のお腹の音が…」

すべてを言い終わる前にまた笑い出すマミ。

「でもお腹が空いたのはたしかね」

ほむらが言った。

「あたしは作んねーぞ」

全員に笑われたことに関して怒っているようだった。

「ならいいところを知っている。少し待ってくれ」

そう言って、橘が携帯を取り出し、電話をかけ始めた。

少したった後、電話がつながった。

『オォリエンタルな〜味と〜香りの〜ポレポレ〜ポレポレです』

なんとも気の抜ける声だった。

「その声、五代か?」

橘が電話に出た者に聞く。

『あれ?その声橘さんじゃないですか。お久しぶりです』

五代と呼ばれた男が答える。

「お前いつ日本へ帰ってきてたんだ?…と言いたいがその話はそっちでしよう。
 ちょっと大人数で行くことになるが、店空いてるか?」

『大丈夫ですよ。予約席にしときますんで。何人で来るんです?』

「えーっと…8人だ」

魔法少女3人、魔法少女候補が2人、仮面ライダーが3人の計8人。

『了解です。それじゃ、お待ちてまーす』

電話を切る橘。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/10(水) 21:43:08.39 ID:BwVaF+Hko
「五代さん帰ってきてたんですね」

マミが橘に言う。

「あいつほんとに自由だからなぁ」

杏子は五代の性格を思い出す。

「だが、彼がこちらに居るということはかなり好都合だ」

名護がニヤリと笑う。

「えーっと、五代さんって誰ですか?」

まどかが名護達に聞く。

「ポレポレという店の店員だ。普段は世界中を旅してる自由な男だけどな」

橘が質問に答える。

「あいつのとこのカレーはマジでうまいからなぁ。早くしようぜ!」

杏子は早く店のカレーが食べたいらしい。

「分かった。睦月、車こっちに持ってきてくれるか?」

「分かりました。ちょっと待って下さいね」

そういって研究所の裏に回る睦月。

すこしすると、8人乗りの車が出てきた。

「よし、行こう」

全員が車に乗り込み、ポレポレへ向かった。
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/10(水) 21:45:53.22 ID:BwVaF+Hko
投下終了

間違ってる所がある?
こまけえことはいいんだよ!

あと時間の経過については結構長く話をしていたということで
投下した後で気づいたから後付


どうでもいいけどイクサはセーブモードが一番かっこいいよね
バーストで飾ってるけど

次回は日曜9時頃
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/10(水) 21:54:56.63 ID:kb2zzCFAO
まさか、1000の技を持つ男が御出陣とは…

>>1さんにバク宙しながら乙せざるえない
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/10(水) 22:08:54.18 ID:+XGFnEB4o
26の死の秘密がV3
99の技がスカイライダー
そして2000の技を持つ男が仮面ライダークウガ

うーむ、覚えづらい



……私はライジング派です
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/10(水) 22:11:56.99 ID:vY5rEOXSo
五代きたか!

乙ベント
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 22:16:02.66 ID:9fa+P6DIo
乙です。

五代さんは心無き凄まじき戦士になる運命を覆した男だからな。
魔法少女の先達としては良い人選なのやも。
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 22:26:36.19 ID:oF7a8mFYo
乙五代さんが居るとか、正直ほんとにもう何も怖くなくなってきたww
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/10(水) 22:27:39.92 ID:onQk5fS3o
お疲れ様でした
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/10(水) 23:53:59.48 ID:kb2zzCFAO
間違えた2000の技かorz


ちょいと発火されてきます
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 01:28:42.54 ID:H58u6oJDO
誰よりも笑顔と青空が好きな男の登場か
只の冒険野郎なのか、さて……
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 09:01:21.41 ID:fauGzJgDO
あの頃のオダギリは爽やかな好青年だったね。何故ああなったorz
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/12(金) 04:52:44.21 ID:BuNCdIJd0
>>285
V3は26の秘密に4つの弱点だ
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/12(金) 14:45:33.25 ID:ejoDHl2go
>>293
Σ(´∀`;)




すまねぇ本郷先輩、ちょっとカメバズーカと心中してくる
295 :>>1 [sage]:2011/08/13(土) 17:07:42.55 ID:YLQ8mUV5o
今から田舎に出かける

もしかすると明日投下に来れないかも

帰ってきた時に日付変わってなかったら投下する
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/14(日) 21:38:35.06 ID:Kids5Lg0o
なんとか投下までに田舎から帰ってきた

>私はライジング派です
そのライジングはクウガなのかイクサなのか
どっちもカッコイイけど

ライジングイクサは変身の仕方がカッコイイ
男が持つ厨二を存分に引き出してくれる

というより、キバは設定が厨二すぎ
中身は昼ドラだったけど

戦闘シーンがかっこよかっただけに残念
まあ好きですけどね


一日パソコンつつかなかったらチェックしてたスレがかなり進んでて見るのがキツイ
どうせ全部見るけどね

あとこの前オーズ映画見に行った
なかなか面白かったよ


それじゃ、投下開始です
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:39:29.03 ID:Kids5Lg0o
―同日 AM7:00―

「わかった。俺もそっちに向かう」

太牙が電話を切る。

橘達から電話が来た。

重要な話をするので見滝原に来てほしいと。

今日は恭介を渡に会わせる約束をしていたのだが、予定が少し早まった。

「渡に連絡しとかないとな」

そう言って、携帯のアドレス帳から『紅渡』を選び、電話を掛ける。

『もしもし?どうかしたの兄さん』

電話に出た。

「今日のことだが、急用が入ってな見滝原に行くことになったんだ。だから予定を早めてもう少ししたら出る」

見滝原まではそこまで遠くはないが、ある程度余裕をもって動くのが常識的だろう。

『わかったよ。じゃあ待ってるからね』

「すまないな」

そして電話を切る。

次に恭介の居る病室のドアを開ける。

「あれ?どうしたんですか?」

恭介は起きてはいるがまだ着替えていなかった。

「ちょっと急用が入ってな、今から出かけるぞ」

「わかりました。ちょっと待ってください」

そう言って恭介は服を着替え始める。


―十数分後―

「準備はいいか?」

朝食を採り終え、恭介に確認する太牙。

「いいですけど、バイクの2人乗りって初めてです」

「俺も後ろに人を乗せるのは初めてだ」

太牙もまさか人間を自分の後ろに乗せて走る日が来るとは思ってもいなかった。

「まあ、ヘルメットは彼から渡してもらえればいい」

「弟さんですか?」

「ああ、じゃあ行くぞ」

そしてバイクを紅渡の家に向かって走らせた。
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:40:01.76 ID:Kids5Lg0o
―十数分後―

「よし着いたぞ」

バイクを止める太牙。

「かなり大きいですね…」

渡の家はなぜかは知らないが無駄に広い。

音也が住んでいる頃からそうだった。

「とりあえず出てきてもらおう」

そう言って呼び鈴を鳴らす。

「いらっしゃい、太牙兄さん」

若い男が出てきた。

20代前半どころか二十歳を超えていないと言われても通じそうな顔だ。

「その子がこの前言ってた?」

「ああ」

少し前に言っていた少年は恭介のことだ。

「俺はこれから見滝原へ向かう。とりあえずこの子は夕方ぐらいに帰してやってくれ」

「わかった」

そして再びバイクに乗り、見滝原へと向かった太牙。

取り残された恭介。

「とりあえず入りなよ」

「お、お邪魔します…」

恭介は渡に言われ、緊張しながら家に入った。
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:40:39.86 ID:Kids5Lg0o
―紅家―

「まずは自己紹介といくよ。僕は紅渡。よろしくね」

「上条恭介です」

自己紹介し終えて少し疑問を感じた恭介。

「えっと、お兄さんは登太牙と言ってましたけど、渡さんは紅ですよね?」

「ああ、それはね僕と兄さんは父親が違うんだ」

「す、すいません」

聞いてはいけないことを聞いてしまった。

「大丈夫だよ。僕達も3年ちょっと前まで全然知らなかったからね」

そう言って渡が微笑む。

それに少しの安堵感を覚える。

(あれ?紅ってどこかで聞いたような…?)

珍しい苗字だ、普通なら見たり聞いたりしたらなかなか忘れづらい。

とりあえず、このことは置いておくことにした。

「そういえば、太牙さんから聞いたんですけど、渡さんはバイオリン職人なんですね」

太牙の言っていたことを確認する恭介。

「そうだよ。僕は父さんの作ったバイオリンを越えるのが夢なんだ」

「お父さんもバイオリン職人だったんですか?」

親のことを聞いてみる。

「職人というより、自分の持つバイオリンを作ったって感じかな?基本的には自分で弾いていたようだし」

自分が弾くバイオリンを自分で作る。

余程自分の職人技術に自身がなければできないことだ。
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:41:08.04 ID:Kids5Lg0o
「あれが父さんの作ったバイオリンだよ」

そう言って棚の方を指す渡。

たしかに、バイオリンが飾ってあった。

近づいてみて、その全体をじっくりと見る。

「すごい…」

しかしバイオリンを見て口に出せたのはその一言だけだった。

「ストラディバリウスにも劣らない感じがします」

実際、作ったのは音也だが、その技術を伝えたのは300年前ストラディバリの弟子であった真夜だ。

そして、その創り上げられたバイオリンに込められた願いは、『人々の心の音楽を守りたい』

「でも、こんな物をどうやって…いままで見たことありませんよ」

「そのバイオリンの名前はね『ブラッディ・ローズ』って言うんだ」

今まで聞いたことのない名前だった。

そして恭介はバイオリンの傍に飾ってある写真に気がついた。

先ほど言っていた、渡の父親の写真であろう。

しかし、どこかで見たことのある顔だ。

「…思い出した。渡さん、貴方のお父さんの名前ってなんですか?」

その写真の人物の名を渡に聞く。

(もしかすると…この人は…)

自分の記憶が正しければ、この男は…
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:42:11.27 ID:Kids5Lg0o
「紅音也って言うんだ」

渡が答えた。

「やっぱり、この人が紅音也さんだったんですね」

「父さんのこと知ってるの!?」

驚く渡。

無理もない、紅音也は26年前に闇のキバの副作用により死んでいる。

14歳前後の少年が自分の父親の名前を知っているのだ。

当然の反応だろう。

「いや、前にネットでその名前と写真を見たことがあるんです」

その時のことを思い出す。

「ちょっとしたニュースの記事で、僕のことが載ってあったんです」

当時の記事を思い出す。

確か記事には『天才バイオリニスト、上条恭介!』と書かれていたはずだ。

「僕は基本的に自分のことが書いてある記事には目を通さないんですけど、その時は違いました」

周りには凄いと言われるが、彼自身はあまり好ましく思っていない。

「父さんが僕に無理やり見るように言ったんです」

いままで、そんなことはなかった恭介にとっては不思議なことだった。

「そこで、貴方のお父さん…紅音也さんの事を知ったんです」

「その記者は、こう書いてありました。
 『確かに、上条恭介君の腕は素晴らしい。だが私はもっと素晴らしい音を奏でる人物を知っている。
  紅音也という男だ』と」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:42:48.96 ID:Kids5Lg0o
「へえ…」

渡はかなり世間のことに疎い。

かつてひきこもりであったこともあり、父親の音也がそんなふうに取り上げられていたのは初めて知った。

「たしかその記事を書いた人は女性でした。
 僕はいままで周りから天才と言われ続けてきたので初めてでした。
 あんな事を書かれていたのは」

昔から天才と呼ばれ続けていた恭介にとって、その男がどのような人物かを知りたくなった。

「それからしばらくは、音也さんの事について調べ続けました。
 ですがまともな情報は一切出てこない上、20年以上前のある日から姿を消した、そうわかったんです」

音也を最後に見たとすれば、キングとの戦いの前。

これ以降はもはや普通の人間の前にはその姿を表していないだろう。

「20年以上前に、紅音也さんに一体何があったんです?」

「父さんはね、もういないんだ」

「え…」

また聞いてはいけないことを聞いてしまったと恭介は思った。

「でも母さんは言ってたよ父さんは心清く誠実な人間だったって」

その事は3年前、22年間過去へ遡り、短い間とはいえ共に過ごしたのだ。

何かを守るために、文字通り命を削って過去のキングに立ち向かった音也。

あれが紅親子の最初で最後の時間だった。
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:43:16.62 ID:Kids5Lg0o
「なんかすいません…初対面なのにこんなことを聞いてしまって…」

「気にしてないよ、全然。それどころか君が父さんのことを知っていたのに驚きだよ」

渡の顔を見ると、先ほどと変わっていない。

それどころか、よりいい顔になっている気がした。

「僕は父さんの知り合いにあったことがあるんだ。その時に聞かせてもらった演奏を僕はまだ忘れていないよ」

「その演奏、どうでした?」

「すごかったよ。心が優しくなれる、そういう音だった」

渡は音也の演奏を聞かせてくれた人物、『大村武男』を思い出す。

彼は結局、音也との約束を守れず、名護に倒されてしまった。

「そんなに素晴らしい演奏だったなんて、僕も聞いてみたかったです」

そこまで言われると、音也がどのような演奏をしていたかが知りたくなってくる。

すると、

「父さんじゃなくて、僕でいいなら、弾こうか?」

渡が言ってきた。

「貴方が…?」

恭介は太牙の言っていたことを思い出す。

渡はバイオリニストとしてもなかなかの腕前だと。
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:43:42.33 ID:Kids5Lg0o
「お願いします」

承諾した。

「じゃあ、これを出さないとね」

そして、棚の中から『ブラッディ・ローズ』を取り出した。

渡が演奏を始める。

(…これは…)

聴き始めてすぐ、恭介は凄いと思った。

いままでの自分がバカバカしく思えてくるほどに。

(凄い…これがあのバイオリンの、そして紅渡さんの音…)

凄いという感想以外に言葉が出てこない。

そしてしばらくして、演奏が終わった。

「どうだった?」

「素晴らしかったです。それ以上の言葉が僕から出てきません」

「ありがとう。うれしいよ、僕の演奏でよかったって言ってくれて」

きっと音也もこれに劣ることのない音色を奏でていたと思うと胸が熱くなった。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:44:11.36 ID:Kids5Lg0o
「僕、渡さんの演奏を聞いて思ったことがあります」

恭介がポツリと漏らした。

「今まで、周りから天才と呼ばれ続けていました。表面上ではその呼び方は好きじゃなかったけど、
 心の何処かではそれを心地良く感じていた自分がいました」

「そして、事故にあった後、僕の周りにはいつの間にかほとんどの人がいなくなっていました」

いままで自分のことを追ってきた他のバイオリニスト達も、マスコミもすべて居なくなっていた。

「僕に残されたのは、動かない腕だけ」

今は動くようになったが、当時のことを思い出す。

「でも、そんな僕を必死に励まそうとしてくれた、両親と、幼馴染にはとても感謝してます」

両親とさやかだけは怪我をした後も必死に励ましてくれた。

「だけど怖かったんです。いつか全員本当に僕の傍から居なくなってしまうような気がして…」

腕の動かない自分に価値なんてない。そう思っていた。

だが、

「もし、君の腕が本当に動かなくなったとしても、両親は当たり前で、その幼馴染の子も絶対に君の傍から離れたりしなかったよ」

渡がそういった。

「え?」

「だって親が子供を守るのは当たり前だし、幼馴染の子も腕が動かないぐらいじゃ君のそばを離れない。
 たぶんその子にとっては君の腕がどうとかじゃなくて、君のそばに居続けたかったんだと思うよ」

「さやかが…僕に…?」

確かに、事故の直後からよくさやかはお見舞いに来てくれた。

そして渡は続ける。

「君もその子から離れたくなかったんじゃないかな?」

言われてみると、そうだった。

いつまでも自分を見てくれる人がいてほしい。

バイオリニストとしての『上条恭介』ではなく、一人の人間である『上条恭介』として見てもらいたかった。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:45:02.01 ID:Kids5Lg0o
「でも、その子は動かなかった僕のことも考えずに、よくバイオリンの演奏を聞かされました。
 僕はその度に、やっぱり僕はその程度なんだって…ずっと思ってました」

ろくに弾くこともできない自分の好きだったバイオリンを聴かされる。

恭介にとっては苦痛でしかなかった。

だが渡は、

「多分その子はそうすることでしか、君のことを励ましてあげられないって思ったんだと思うよ」

「え…?」

いままで自分のことばかりを考えて、そんなことは一切思いつかなかった。

「そうすることで、君がまた音楽を目指してくれる。そうすれば君は笑顔ができる。
 君の笑顔を見たかったんじゃないかな?」

そう言われた。

「僕も、腕が治ると聞いたとき、その娘の笑顔をもう一度みたいって思いました」

「それって、世間じゃ『恋』って言うんじゃないのかな?」

「恋…?」

自分が?さやかに?

だがよく考えてみるとそうだった。

さやかが見ていてくれれば、自分はどんな場所だろうと生きていける。

そんな考えがあったのも事実だ。

「その娘に伝えてあげなよ。君の想いを。『好き』っていう気持ちを」

少し考えた後、

「はい!」

力強く返事した。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:45:31.91 ID:Kids5Lg0o
すると、家の呼び鈴がなった。

「誰だろう?」

渡が玄関を開ける。

そこにいたのは一人の男。

「おっす、渡。久しぶりやなぁ」

「健吾さん。どうして此処に?」

男の名前は襟立健吾。

「えっとその方は…?」

恭介は急に家に来た男について尋ねた。

「俺は襟立健吾や。よろしく…ってお前どっかで見た気が…」

「えっと、上条恭介です」

自分の名前を言う。

「あ!そうか、あの上条恭介か!ちょっと前の雑誌で見たことあるわ」

「そうなんですか…」

健吾のテンションの高さに追いついていけない恭介。

「ちょうどこんな時間だし、健吾さんもお昼どうです?」

渡に言われて時計を見ると、時間は既に12時を回っていた。

「お、すまんなあ渡。お願いするわ」

こうして、3人で食事を取ることが決まった。
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:46:00.02 ID:Kids5Lg0o
―AM12:15 ポレポレ―

カラカラン

杏子「おーっす」

マミ「此処に来るのも久しぶりね」

名護「実に1年ぶりだな」

橘「もうそんなになるか」

睦月「こんにちはー」

五代「皆いらっしゃい。お、マミちゃんに杏子ちゃん、背伸びた?」

杏子「当たり前だろ。前にあったのが1年前だぜ?」

マミ「私達もかなり成長しましたよ」

名護「それにしても五代君、君はいつ日本へ?」

五代「大体3ヶ月前ですね…皆さんに連絡しようと思ったんですけど、ゴタゴタしてて忘れてました」

橘「君らしいと言うかなんというか」

五代「ん?そっちの3人は?」

名護「1人は魔法少女。2人は魔法少女候補だ」

ほむら「一般人にそんなこと言っていいの?」

五代「俺ある程度は知ってるよ?あと、キュゥべえがいないみたいだけど…」

まどか「キュゥべえの事まで知ってるんですか?」

五代「うん。この中で居る男じゃ俺と橘さんしかキュゥべえが見えないんだけど」

さやか「ほえー、なんか凄い人だなぁ」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:46:27.83 ID:Kids5Lg0o
五代「そういえば君達の名前聞いてなかったね。俺は五代雄介。よろしく」グッd

まどか「鹿目まどかです」

ほむら「暁美ほむらよ」

さやか「美樹さやかです。その右手は?」

五代「あれ?知らない?古代ローマで納得出来る行動をしたものに与えられた仕草だよ」

まどか「へえー、こうですか?」d

五代「そうそう。いい感じだよ」

さやか「普段しないだけに、妙な感じだなぁ」

五代「まあ、そのうち慣れていってよ。それにしてもキュゥべえはどうしたの?」

マミ「キュゥべえはもう私達の仲間じゃありません」

杏子「むしろ敵だな」

五代「何かあったの?」

名護「ありすぎた、というべきか」

橘「あいつの話によると、魔法少女はやがて魔女になるらしい」

睦月「それが宇宙のためだとか言ってたけど俺は信じてませんよ」

五代「そっか…結局、グロンギとかと同じだったのかなぁ?」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:47:00.16 ID:Kids5Lg0o
ほむら「グロンギって何?」

名護「とりあえずご飯にしよう。五代君、よかったら彼女たちにも話してやってくれないか?」

五代「まあいいですよ。あとご注文は?」

橘「ポレポレカレー8つ、それと俺と名護にコーヒー雄介ブレンドを頼む」

五代「ちょっと待って下さいねー」

杏子「久々だなー、ポレポレカレー」

マミ「それにしても玉三郎さんは?」

五代「はい、ポレポレカレー。
   おやっさんはそろそろ引退だなって言って今は静かに暮らしてるよ」

名護「なるほど、だから急に帰ってきたというわけか」

五代「そうですねぇ、いきなり電話がかかってきて、『おい雄介、お前俺の店引き継げ』って言われたときはびっくりしましたよ」

橘「まあ、結構なお年だったからな。仕方ない」

五代「だから今俺がこうして店をやってるんですけどね。はい、コーヒー2つ」

名護「これで全員に行き渡ったな。それじゃあ」

『いただきます』
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:47:33.37 ID:Kids5Lg0o
―食後―

まどか「おいしかったねー」

さやか「ほんと、どうやったらこんな味が出せるんですか?」

五代「んー、経験…かな?」

橘「というかお前、前より腕上げたな」

五代「そうですか?」

名護「ああ。前より旨みが増している」

杏子「1年ぶりとかそんなの関係なしに美味くなってるな」

マミ「流石は五代さんですね」

ほむら「私もこれは美味しいと思ったわ」

五代「そんなに美味くなったかな?俺はいつも通りだと思うけど」

名護「コーヒーの方もなかなかだ」

ほむら「それとさっき話してたグロンギって言うのは?」

名護「ああ。それは」

五代「いいですよ。俺から話します」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:48:05.35 ID:Kids5Lg0o
五代「君達は未確認生命体って聞いたことある?」

さやか「未確認生命体?UMAじゃなくて?」

五代「UMAじゃないよ。といっても未確認って呼ばれてたのが10年以上前の話だからなぁ。知らないか」

まどか「あ、私ママから聞いたことがあります。
    私達がまだ2歳、3歳の時に長野県を中心に未確認生命体って言う化物が出たって」

五代「そうそう」

まどか「それで、その未確認生命体はたくさんいて、東京で人をたくさん殺したって。
    でも、そのなかで4号だけは他の未確認と戦って、人間の味方をしたって聞きました」

五代「で、その未確認生命体第4号が、俺」

さやか「ええっ!?」

五代「正確にはクウガって言って、まあ名護さん達のいう仮面ライダーだよ」

ほむら「貴方も仮面ライダー?」

五代「俺も周りもその当時はクウガって呼んでたけど、名護さん達はそれは仮面ライダーだっていうからさ。
   で、俺も結構その仮面ライダーが気に入ったんだ。仮面ライダークウガ。格好良くない?」

さやか「すごいですね…ここにいる男の人、全員仮面ライダーじゃん」

ほむら「仮面ライダーのバーゲンセールかしら」

五代「話を戻すよ。んで俺はその未確認達と戦ったんだ。
   それで11年前、最強の未確認生命体第0号と戦って、それで戦いはおしまい」

まどか「1年間も戦ったんですか?たった一人で」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:48:37.20 ID:Kids5Lg0o
五代「いや、一人じゃないよ。警視庁の方にも色々お世話になったし、一条さんや桜子さんにも迷惑掛けたしなぁ」

ほむら「当時の新聞の記事とかはないかしら」

五代「あるよ、ちょっと待ってね…」ガサゴゾ

五代「あったあった。はいこれ。おやっさんが作ったスクラップ記事」

ほむら「ありがとう」パラ

さやか「この赤いのがクウガですか?」

五代「うん、そうだよ」

まどか「でも写真によっては青だったり紫だったりしますけど」

五代「クウガは4つの色に超変身できるんだ。他にもうちょっとだけあるけどね」

五代「色によって特性が違っててね、赤はパンチとかキックが主体で、トドメはキックで決める。
    青は、高く飛べたり、速く走れたりして、棒を使って敵を倒すんだ」

さやか「すげー」

五代「緑は感覚が50秒だけとても研ぎ澄まされて、ボウガンを使って空をとぶ敵や、見えない敵を倒したよ。
    それで紫は頑丈な体になって、敵の攻撃を物ともせずに突き進み、最後は剣で一刺し」

五代「あと緑で50秒たった時とか俺の身体が弱ってたりしてる時は身体が白くなっちゃうんだ。
    緑の後は2時間変身できなくて、白で戦うときは力が赤の半分ぐらいしか出ないんだ」

ほむら「それがクウガの能力?」

五代「あと、金の力があってね。で、その前に俺一回未確認の攻撃で心臓が止まってるんだ」

さやか「え?ホントですか?」

五代「うん。で、その時に電気ショックをされたんだけど、その後から身体に電気がこう
    ビリビリってきて、それでちゃんと意識したら、それぞれの力をさらに強くして引き出せたんだ」

さやか「強化されたんですね」

五代「うん。でも赤の金は力が強すぎて使うときを考えないといけなかったけどね」
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:49:23.84 ID:Kids5Lg0o
ほむら「それだけの力を持っててなんで自分がとは思わなかったの?」

五代「俺はね、ある人の涙を見て、こんな奴らのために誰かの涙は見たくないって思って戦う決意をしたんだ。
   それに俺クウガだし」

名護「そして五代くんは戦い続けた。がそれでもなかなか倒せなかった敵もいる」

五代「46号の時は一回負けて、それでもっと強い力を得るために、また電気ショックをしてもらったんだ」

まどか「そんな簡単にできたんですか?」

五代「俺の意思にお腹にあるベルトが反応してね、心臓を止めたんだ。それで電気ショックしてもらったんだ。
   その後はなんかこう力が湧いてきて、いままで30秒しかもたなかった金の力がずっと使えるようになったんだ」

五代「それで、46号と2回目戦ったときに赤の金がさらに強くなって身体が黒くなったんだ。
   それで46号は倒したんだけど、0号はもっと強くて、全然かなわなかった」

まどか「え?じゃあどうやって倒したんですか?」

五代「その前にね、グロンギは意味もなく、ゲーム感覚で人を殺す。
   それで、その標的にされた男の子がいるんだ」

五代「確か、42号だったかな。あの時は頭に血が登って、周りにたくさんの人が居たにもかかわらず、
   赤の金の力を使いそうになって、なんとか紫の金で倒したんだけど、その時ベルトのイメージで黒い戦士を見せられたんだ」

ほむら「それが46号との戦いで目覚めた力?」

五代「違うよ。クウガの本当の姿で、力はどの色以上に強く、そして究極の闇をもたらす存在と言われたんだ」

まどか「究極の闇…?」

五代「うん。0号とその黒いクウガ。その2つが世界に闇をもたらす。
   でも、俺はその力を制御できて、イメージでは目まで黒だったけど、目が赤いまま使えたんだ」

さやか「それでどうなったんです?」

五代「力は0号と同じだった。だから後残されているのは自分の拳だけ。
   殴り合いだよ。もう時間の感覚がなかったよ」

ほむら「そして、世界が存在していて貴方が生きてるということは」

五代「うん。俺は0号に勝った。0号は最後まで笑いながら戦っていたよ」

さやか「あのインキュベーターと同じぐらいふざけた奴らだったんですね」

五代「まあ、グロンギは全滅して、俺はそれ以降力は使ってないけどね」
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/14(日) 21:49:54.79 ID:Kids5Lg0o
まどか「名護さん達はどうやっって五代さんと知り合ったんですか?」

名護「あれは今から1年ちょっと前になるな」

マミ「たまには見滝原を離れて別のところで魔女を狩ろうって話になって」

杏子「それで、あたしら3人でこのへんの魔女を狩りに来たんだ」

名護「少し遅くなってしまってな、杏子ちゃんがおなかがすいたと言い出したんだ」

杏子「どっかにファミレスでもないかな〜って探してたら」

五代「ここだったって訳だよ」

さやか「へえ〜偶然見つけた名店ってわけか〜」

五代「前からいる常連さんとかもいるし、この辺りじゃ有名なんだよ?この店」

名護「まあ、そこで知り合った時点では、まだ玉三郎さんもいて、五代君がクウガとは知らなくてな」

マミ「その日は美味しかったっていって帰って、後日、橘さんと睦月さんをつれて、もう一回来たのよ」

五代「そこで、クウガの記事を見つけて、俺がそのクウガだって言って、仮面ライダーがどうのこうのって話になったんだよ」

まどか「仮面ライダー同士、なにか呼び合ってたんですかね」

五代「もしかするとそうかもね。まあさっきも言ったけど、俺はグロンギとの戦い以降は変身してないからね」

橘「お前が戦うべき相手もいないし、それでいいだろう」

五代「俺としては魔女が人々の笑顔を奪ってるって言うのを聞いて、また戦うべきなのかなあって思ってますけどね」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/14(日) 21:56:26.14 ID:Kids5Lg0o
投下終了

太牙が自分で探せといった答えを普通に出しちゃう渡空気読めねえ
まあ渡のキャラを考えるとこうでもしないと

五代君さりげなくグロンギ化の可能性を省いちゃってるんですよねえ
クウガは見かたによっては魔法少女と似たようなシステムですよね

どうでもいいけどクウガが放送してた時期にまどかがやってたら
放送時間は間違いなくゴールデン


あと4話終了

次回は主に過去編

第5話『その命、あたしがもらう』

投下はいつも通り水曜夜9時
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/14(日) 21:59:22.47 ID:GZ3u33Tbo
お疲れ様でした
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/14(日) 22:01:19.29 ID:caSAShU+o
乙おー


……通りすがりのJCに未確認である事をバラして良いのか雄介wwwwwwwwww
しかしやっぱり包容力抜群やねぇ

私の好みは当然怒れるライジング・ブルーの方ですのよ
金のクウガだと青の金が一番好きかな
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/15(月) 02:03:46.08 ID:R7JEIaTro
本当にクウガはじょじょに強くしていったよな
まあほとんど反則みたいなものだけど
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 22:34:11.80 ID:o/O/LW8SO
乙。名護さんは最高です!!
ホントに面白くて一気に読んでしまった。とりあえず頑張って完結させてください。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/17(水) 21:40:34.29 ID:0z1elG10o
>通りすがりのJCに(ry
きっと彼ならこう答えるはず「だって俺クウガだし」と

偶然から強力な力を得る
そんな展開、嫌いじゃないわ!

あとぶちゃけますけど実はワルプル戦まで書いてます
ただ、最近になって加筆修正したくなったんでだいぶ話が変わると思いますけど

絶対に完結させます
だって名護さん…最高だから…


投下開始
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:41:26.99 ID:0z1elG10o
「五代さんの戦う理由を聞いて思いついたんだけど、マミさんや杏子が契約した理由や
 名護さん達と一緒にいる理由って?」

さやかは今まで聞いていなかったことを聞いた。

「ちょっと昔話になるわねえ」

少し遠い目をするマミ

「契約した順番で行ったらマミが先だな」

杏子が言う。

「そうねぇ、あれは2年前の事だったわ。私事故に巻き込まれてね…」

〜2年前〜

「ううっ…」

身体が動かない。

何があったの?お母さん?お父さん?大丈夫なの?

「やあ大丈夫かい?巴マミ」

突然目の前に現われた白い獣。

「どうして…私の名前を…?」

当然の疑問が浮かぶ。

が、体中に激痛が走る。

「かなり危険な状態だね。ねえマミ、僕と契約して魔法少女になってよ!君の願いを1つ叶えてあげるからさ」

「私は…生きたい…」

「それが君の願いだね。君の願いはエントロピーを凌駕した」
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:42:01.77 ID:0z1elG10o
「それが私の契約した理由よ」

生きたい。それがマミの願いだった。

「で、親御さんは…」

さやかが聞く。

「助からなかったわ。助かったのは魔法少女になった私だけ」

「すいません…わかってたことなのに…」

落ち込むさやか。

「大丈夫よ。その事に関しては今は名護さん達がいるし、名護さんの奥さんの恵さんにもいろいろお世話になったしね」

「恵さんって誰ですか?」

名護の妻である恵のことはまどか達は知らない。

「それは名護さんとの出会いからになるわね。私が魔法少女になって1ヶ月ぐらいたった時かしら…」

〜2年前〜

魔女の結界だ。

「マミ、準備はいいかい?」

「え、ええ」

この時のマミはまだ現実を受け止めきれていなく、戦い方も危なっかしかった。

「当たって!」

マスケット銃を撃つが素早く動きまわる使い魔には全く当たらない。
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:42:40.12 ID:0z1elG10o
「きゃっ」

使い魔の攻撃で尻餅を付いたマミ。

「マミ!危ない!」

使い魔の攻撃が向かっていた。

もう、間に合わないと思ったとき、急に使い魔が横から来た何かに吹き飛ばされた。

「危なかったな。そこの君大丈夫か?」

何かが飛んできた先にいたのは一人の男。

「なんだか知らないが下がっていなさい。俺がやる」

そう言って、ハンドルを手のひらに当てる。

『レ・ディ・イ』「変身!」『フィ・ス・ト・オ・ン』

男の姿が変わる。

「その命、神に返しなさい」


「まあそれが名護さんだったわけ」

当時のことを思い出しクスリと笑う。

「凄いですね名護さん」

まどかが名護の方を見る。

「そういえば俺が魔法少女と魔女を知ったのもそれが最初だったな」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:43:20.67 ID:0z1elG10o
「昔から知ってたわけじゃあないんですね」

さやかが言う。

「ああ。あれはネオファンガイアとの戦いの直後だった」

ネオファンガイア。19年後に現われた新たな脅威である。

しかし、それらは名護達によって完全に倒された。

「それで、その魔女を後した後に私が名護さんの弟子になったの」

「あの時はなにか独り言言ってるみたいで妙な感じがしたな」

インキュベーターは名護には見えていないので、傍から見ると、マミが独り言を言ってるようにも見えるだろう。

「その時のことも覚えてますよ」

〜2年前〜

「すいません」

突然出てきて魔女を倒した男に話しかけるマミ。

「何だ?」

男が振り向く。

「あの、えっと、私を強くしてください。私は魔女…さっきのと戦わなくてはいけないんです」

「まあ落ち着きなさい。君の名前は?」

「巴マミです」

「そうか。俺は名護啓介」
326 :エラーしまくりだな…時間が時間だから仕方ないけど [saga sage]:2011/08/17(水) 21:44:15.30 ID:0z1elG10o
「魔女というのは?」

名護がマミに聞く。

「えっとキュゥべえ説明してあげて」

「何に話しかけてるんだ?」

名護は何もいない方に話しかけるマミを不審に感じる。

「マミ。僕の姿や声は魔法少女にしか認知できないんだよ」

「あ、そうだったの?」

「君は何を言ってるんだ?」

とその時、名護の頭に声が響いた。

『やあ、僕はキュゥべえ。ダメもとでやってみたけど案外いけるものなんだね』

「!?俺の頭に直接話しかけているのか」

頭に響く声…キュゥべえに聞く。

『そうだよ。で、魔女って言うのは……』


「なるほど、マミちゃん。君の言いたいことは分かった。俺の元で身体を鍛えなさい」

「ありがとうございます!」

マミが名護に向かって頭を下げる。


これがマミが名護の弟子になった理由だった。
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:44:58.27 ID:0z1elG10o
「それから、名護さんの奥さんの恵さんにお世話になったりしたのよ。
 ちなみに佐倉さんも後からある程度お世話になったわ」

「名護さんの奥さん?見てみたいなあ」

名護と結婚しているのだ、美人に間違いないと思うまどか。

「実際美人なのよ。モデルもやってたらしいし」

「モデル…恵…マミさん、その人の旧姓って麻生ですか?」

「あら美樹さん知ってるの?」

まさかさやかが麻生恵のことを知っているとは思わなかった。

「前に雑誌で見たことがあるんですよ。で、かなり美人だなーって思っていて今でも頭に残ってるんです」

母親が読んでいた雑誌に載っていた記憶がさやかにあった。

「まあそんなことは置いといて、私は遠い親戚しかいなかったから、
 恵さんに家事とか教えてもらいながら、身体を鍛えたのよ」

マミの料理は恵に教えてもらい、培ったものだ。

「それからちょっとして、橘さん達に出会ったの。この前言ったでしょ。ソウルジェムのこと」

「あーそういえば」

つい先日話したばかりで、その上杏子に真実を見せられたのだ。
しっかりと頭にのこっている。

「で、橘さん達にも鍛えてもらって、今の私があるのよ」

その特訓のおかげで、マミのメンタルはとても鍛えられた。

「それで鍛えてもらってる時にね、名護さんに君のは遊び心が足りないって言われたのよ」

「と言ってもかつて俺がある人に言われた言葉だ。俺の言葉じゃない」

名護は青空の会の危機に次狼に導かれ26年前、1986年に飛び、ある人物を救った。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:45:52.36 ID:0z1elG10o
名護は1986年にある人物を救うためにその男の護衛をしていた。

そこで1986年のイクサに変身する男に出会った。

男の名前を名護は知らないが『紅音也』という。

知らずのうちに名護を変えたのは紅親子だった。

「俺とその人では力では俺のほうが上だっただろう。
 だが俺はその人には勝てないと言われた。何故だと思う?」

名護はまどか達に尋ねる。

「それが、遊び心が足りないってことですか?」

話の流れからそう答えを出した。

「ああ。あの時の俺は戦士として、ただ敵を倒せばいい。そう考えていた。
 だがあの人はこう言った。『お前には遊び心がない。心の余裕が無い。張り詰めた糸はすぐ切れる』と」

その一言や真夜への恋で名護啓介は大きく変わった。

心に余裕ができ、それまで自分のことだけを考えていた名護が誰かのことを考えてやれるようになった。

そして後に渡や嶋、健吾のことを気にかけ、彼らを救おうと名護なりに頑張った。

だからこそ、今の名護がいるわけである。

「あの時のマミちゃんはただ倒さなくてはいけないから倒す。
 心に余裕がなく、常に張り詰めた状態で戦っていた。だからこそあんな事を言ったんだ」

「うふふ、確かに名護さんの言う通りです。あの頃の私はただ魔女を倒してただけ。
 いくら体を鍛えようとも、心が全く変わってなかった」

「それで考えついたのが必殺技だ」

「必殺技?」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/17(水) 21:46:46.42 ID:0z1elG10o
「ああ、マミちゃんが魔女を倒すときに口にする言葉があるだろう?」

巨大な銃を出し、その弾丸を魔女に撃ち込むマミの必殺技。その名も

「『ティロ・フィナーレ』でしたっけ?」

さやかが言った。

『ティロ・フィナーレ』
その意味は『最後の銃撃』

その名の通り、マミが魔女に向けて放つ止めの一撃だった。

「ええ。正義の味方といえばこう、なにか一つぐらいは必殺技を持ってるじゃない?」

この世界では平行世界ではあるが、スーパー戦隊はそれぞれが必殺技を持っており、
その見た目や技の特性も数多くある。

「それで、そのぐらいから心に余裕ができるようになったの」

「ああ、あの頃から今に到るまでは必殺技があってのことだ」

その頃からマミは成長し、多少強い魔女も一人で対処できるようになった。

「まあ、そんなところかしらね。次は佐倉さんの番ね」

ついに杏子の番が回ってきた。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/17(水) 21:53:13.94 ID:0z1elG10o
投下終了

今回短い…多分次回も短いけど

理由としてはマミ編・杏子編・αでいくので短くなります

そしてマミさんの設定
必殺技は厨二病ではなく遊び心


忘れてた五代君のキャラ設定

五代雄介…前は冒険家だったが、おやっさんのこともあり、現在はポレポレで働いてる。
       ちなみにダグバ戦以降は変身してないが、一応変身はできる。
       あと、ポレポレカレーのウマさに磨きがかかった。


土曜はアーツプトティラが発売するね
ちなみに自分は買いますよ


次回は日曜夜9時 杏子編
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/17(水) 22:49:11.95 ID:0z1elG10o
なんか理由は分からないけどかなり下まで落ちてる

ID変わってるかもしれないし信じられないかもしれないけど>>1です

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 22:53:36.33 ID:e6VJBDDeo
変わってない……ぜ?
乙カレー空間




753も遊び心に目覚めて必殺のファイナルライジングブラスト+キックに開眼しましたねぇ……
一回しか使わなかったけど……
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 22:55:37.71 ID:FYhWKpeno
お疲れ様でした。
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/18(木) 20:21:39.49 ID:5tgfM6hA0
乙でした

>>332
きっとその後足だけ改造してタコレッグになったんだよ
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/08/19(金) 18:26:07.68 ID:z0YW1K7t0
GJ!名護さんは最高です!
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/21(日) 21:37:26.69 ID:4ELXsci5o
なんかNIPの仕様変わった?
ageたはずのものほど下に落ちてるようにみえるんだけど

あとこのスレJaneのタブで見て名護さんアンチスレ開いてたっけ?と勘違いしそうなときが


それにしてもオーズも来週で終わりとは…
一年間もあっという間でしたねえ


投下開始

今回の投下で5話は終わらせます
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:38:10.14 ID:4ELXsci5o
「あたしが契約した理由か…」

「何か嫌な思い出があるの?」

表情が暗くなる杏子にまどかが聞く。

「いや…まあ、話すよ」

そして話し始めた。

「あたしの親父はな、とある教会の神父で、正直すぎて、優しすぎる人だった」

「それと何の関係が…?」

さやかが口をはさむ。

「まあ聞けよ。毎朝新聞読むたびに真剣に悩んでるような人でさあ」

そう笑いながらはなす杏子。

「新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だ。それが親父の言い分だった」

「だからある時、教義にないことまで信者に説教し始めた。もちろん信者の足はぱったり途絶えたよ」

思っていたことと違うことが起きれば人間はそれなりの対応をする。

それを考えれば当たり前のことだった。

「本部からも破門された。誰も、親父の話を聞こうとはしなかった」

巨大な輪を乱す存在は見放される。

「当然だよね、傍から見れば胡散臭い新興宗教さ」

「どんなに正しいことを、当たり前の事を話そうとしても、世間じゃ鼻つまみ者さ」

一度居た場所から離れると、同じ場所に戻るのは難しい。

杏子の家族はそれを身を持って知らされた。
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:38:37.67 ID:4ELXsci5o
「あたし達家族は食い物にも事欠く始末だった」

「納得いかなかったよ。親父は間違ったことは言ってなかった」

自分が一番近くに居た身だ。それぐらいのことは簡単に分かった。

「5分でもいい。ちゃんと話を聞いてもらえれば誰にでも分かったはずなんだ」

「なのに…誰も相手をしてくれなかった…」

「難しいよね、人間って。ちょっとの話の行き違いでその人を取り巻く環境が大きく変わっちゃう。
 輪が乱れれば、必ずそれを排除する」

五代は世界の色々な場所を旅してきた。

もちろん、宗教上の見解の違いから、同じ国同士で戦争を起こしている国にも行った。

杏子の家族はそれの規模を小さくしたものだった。

「五代は分かってるなぁ…流石、世界を旅してることだけある」

「悲しいことだよね。何かを攻撃することでしか、自分の意見を主張できないなんて」

五代自身、グロンギとは殴り合い、殺しあった相手だ。

暴力が意味を持たないことはあの戦いで嫌というほど思った。

「綺麗事ね…」

ほむらが五代の言うことに言った。

「そうだよ、綺麗事だよ。でもだからこそ、現実にしたいじゃない。
 だってほんとは皆、綺麗事が一番いいんだもの」

かつて朝比奈奈々に言ったことを繰り返す。

朝比奈奈々はその後無事友人と和解することができた。
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:39:04.34 ID:4ELXsci5o
「ちょっと、話がそれたな。続けるぞ」

話を元に戻す杏子。

「悔しかった、許せなかった。誰もあの人の話を聞かないのがあたしには我慢できなかった」

杏子が唇を噛み締める。

「そんな時に出会ったのがあいつ…キュゥべえだった」

「あたしは願ったよ『みんなが親父の話を聞いてくれますように』って」

「翌日には親父の協会は大勢の人でごった返していた。
 毎日おっかなくなるぐらいの勢いで信者が増えていった」

当時のことを思い出す。あの頃は本当によかったと杏子は思う。

「あたしはあたしで晴れて魔法少女の仲間入りさ。
 いくら親父の説法が正しくったってそれで魔女が倒せるわけじゃない」

「だからそこはあたしの出番だって思って、馬鹿みたいに意気込んでいたよ」

今まで倒した魔女の姿を思い出す。

「あたしと親父で表と裏からこの世界を救うんだって」

顔が多少明るくなる。

「でも、」

だがそこに否定の言葉が入る。

「ある日親父にからくりがバレた。
 信者が集まってるのはあたしの力で集まってきたと知ったとき、親父はブチ切れたよ」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:39:50.64 ID:4ELXsci5o
「娘のあたしを『人の心を惑わす魔女だ』って言ったよ」

「ひどい…」

まどかはそんなことは考えられなかった。

自分の娘に対して、そんな酷い言葉を浴びせるなんてありえないと思った。

「ひどくないよ、当たり前の事だ。自業自得さ」

自虐する杏子。

「笑っちゃうよね。あたしは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたっていうのに」

「それで親父は壊れちまった。最後は呆気なかったよ。
 酒に溺れて、頭がイカレて、とうとう家族を道連れに無理心中さ」

「あたし一人を置き去りにしてね…」

もう一度杏子の表情が暗くなる。

「あたしの祈りが、家族を壊しちまったんだ…」

今更後悔しても遅い。

頭では分かっているのだが、未だにその事を振りきれない。

「他人の事を知りもせず、勝手な願い事をしたせいで、結局誰もが不幸になった」

「その時決めたんだ。もう他人のために魔法を使ったりしない。この力は総て自分のためだけに使い切るって…」

その時は心に誓った。

だが杏子の意思を変える存在が現われた。
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:40:33.46 ID:4ELXsci5o
「そう決めてから1ヶ月もしないうちにキュゥべえに聞いたんだ。
 見滝原には魔女がたくさん出る。でももう魔法少女がいるから問題ないってね」

杏子はまだマミのことは殆ど知らなかった。

「噂には聞いてたよ。魔法を自分の為に使わず、誰かの為に使う、正義の魔法少女が居るってね」

「それが私だった、ってわけ。まあ、正義の魔法少女って言われてたのは全然気づかなかったけれど」

マミが説明をする。

「まあその魔法少女…マミの事を知りたかったってのもあったけどもう一つの噂が気になったんだ」

「もう一つの噂…?」

まどかが不思議そうに聞く。

「ああ、その正義の魔法少女と行動してる、白い鎧が歩いてるって噂があったんだ」

「白い鎧…?それって…」

「さすがに分かるか。そうだよ、名護…仮面ライダーイクサの事さ」

だが当時の杏子にとってそんなことはどうでも良かった。

獲物が大量にいる場所を力づくで奪うつもりでいた。

「それで見滝原に来て、マミ達に出会ったんだ」

「懐かしいな…初めてあった君は近寄るものはすべて殺す。そういった雰囲気が出ていたからな」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:41:16.05 ID:4ELXsci5o

「元々そのつもりで挑んだんだ。でも結果は完敗。具体的に言うならあたしは攻撃を食らってない。
 でもマミ達も一発も攻撃を受けてない。いや、マミ達には攻撃する意思がなかった」

「当たり前じゃない。初めて出会った、他の魔法少女だもの。
 すぐに真実を教えようとしたわ」

ソウルジェムは魔法少女の魂である。

その事を杏子に伝えようとしたが、最初はうまくいかなかった。

「まあ、結局あたしが折れて、こいつらが話したいことがあるって言ったから仕方なく聞いてやったんだ」

「そしたらあたしは既に死んでて、魂はソウルジェムに変換されたって言うからさ、最初は信じられなかったよ」

当初は杏子もマミと同じような反応をしていた。

「それでキュゥべえの野郎に聞いたらそれが真実だって言われて、あたしは暴走状態さ」

信じられない、そんな一心で町を駆けまわったことを覚えている。

「そんなあたしを知ってか知らずか、ちょうど魔女が現れたよ。
 といってもそんな状態で戦えるわけもなく、あっという間に槍を飛ばされた」

発狂状態にある頭で魔女と戦って勝てわけがなかった。

「ああ、あたしここで死ぬんだ…って思ったよ。
 けどな、あたしが死を覚悟した瞬間、それを全て吹き飛ばした存在が現われたよ」

「それってやっぱり…」

「ああ、イクサだ。あの時のあたしにとって救世主だったよ。
 こいつならあたしを闇から引き上げてくれる、そう思った存在だった」

「あの時はギリギリだった。あと少し遅ければ君はここにはいなかったぞ」

本当にギリギリだった。

魔女の攻撃が当たる寸前、イクサの放ったイクサカリバーの弾丸が魔女の動きを止めた。

そしてその後は流れるように魔女を倒した。

「分かってるって。それで、あたしは名護達の仲間になって、今に至るってわけさ」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:42:10.27 ID:4ELXsci5o
「あら、あの時の貴方の泣きっぷりは見ててとても微笑ましかったわよ」

「え?どういう事です、マミさん?」

さやかが尋ねる。

「ちょっと!マミ、その事は!」

「いやその魔女を倒した後にね、佐倉さん泣きじゃくりながら名護さんに抱きついてたのよ」

「うわあああああぁぁぁぁぁあああああああああああ!」

杏子が叫ぶ。

恥ずかしそうに机に突っ伏し、腕に顔を埋めて足をバタバタさせていた。

「へえ〜、それでそれで〜?」

さやかがニヤニヤしながら尋ねる。

「もう大泣きよ。名護さんがそれを慰めて、親子みたいだったわ」

「佐倉杏子にもそんなことがあったのね」

クスリと笑うほむら。

杏子はまだ突っ伏している。

そしてそのまま、

「恥ずかしいから黙っとこうと思ったのに…なんで言うんだよぉ…」

本人にしてはかなり恥ずかしかったらしい。

声も涙声になっていた。
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:42:39.27 ID:4ELXsci5o
「ごめんなさいね」

全く悪びれる様子がない。

「許さない」

杏子はまだ怒っている。

「許してよ」

マミもこれにはさすがに罪悪感を感じた。

「ヤダ」

「じゃあケーキ買ってあげるから」

杏子の好きな物で釣ってみる。

「だめだ」

「じゃあ2つ買ってあげる」

数を増やしてみた。

「……無理」

少しの間があった。

もう一押しだ。

「2つだけじゃなくて今なら5つにしちゃうわよ?」

一気に3つ増やし5つにしてみた。

「ほんとだな…?」

釣れた。

杏子は食べ物に弱い。

1年半以上共に居たマミだから分かることだ。

「本当よ。私は嘘をつかないわ」

「分かった。それで許してやる」

ようやく杏子が顔を上げる。

「ありがとう、佐倉さん」

周りから見ると仲の良い姉妹のようだった。
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:43:31.44 ID:4ELXsci5o
「あれ?そういえば杏子ちゃんの遊び心って?」

聞いてなかった事をまどかが聞く。

「ああそれなら、お菓子だ。お前らは見てないだろうけど、あたしは戦いの最中も食べてるし、
 戦いの後のお菓子を食べるのが楽しみなんだ」

「そう言われてみれば、あんたよくなにか食べてるわね」

初めてあった時も、その次の時も常に口には何かを含んでいた。

「まあそれがあたしの心の余裕だ。ちなみに今も持ってるぞ」

そう言ってポケットから飴玉を取り出す。

一体どれだけ入っているのかと思うほど大量にあった。

「すごいわね…」

ほむらも思わず一言。

「私の持ってくるお菓子も佐倉さんの楽しみの一つなのよ」

そう言って微笑むマミ。

やっぱりこの2人は姉妹に見える。

「あ、そういえばあたしらがイクサになったときのこと話してないだろ」

「え?マジで?」

まさか名護ではなく、マミや杏子がイクサに変身しているなどとは思わなかった。

「そういえばね…あれは、佐倉さんと出会ってどれぐらいの頃かしら…」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:43:58.99 ID:4ELXsci5o
―1年と少し前―

「マミちゃん、杏子ちゃん。たまには別の戦い方もしてみないか?」

魔女を倒し終えた後、名護がいきなりそう言い出した。

「どういう事だ?あたしらが武器の交換でもしろって言うのかい?」

名護の言っている意味が分からない。

それはマミも同じだった。

「ほんとにどういう意味ですか?」

「いや、君達もイクサに変身してみないか?」

「「え?」」

マミと杏子、2人が口をそろえていう。

「これを手に押し付けてくれ」

言われるがままに、まずはマミがイクサナックルを手に押し付けた。

すると『レ・ディ・イ』とイクサナックルがマミを装着者として認識した。

「半分冗談のつもりだったんだが…まあいい、次の魔女との戦いはイクサでやってみなさい」

「でも名護さんはどうするんですか?」

さすがに名護でもイクサがなければただの人間。

と言っても、名護は60キロほど出している車を走って追いかけたり、
車の前に立ち、足で車を止めたりしているので普通の人間とは思いづらい。

だがマミ達はそんなことは知らないので心から名護を心配する。
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:44:25.72 ID:4ELXsci5o
「俺にはこいつがある」

そう言って新たに取り出したのは、ハンドガンのようなものと、剣のような物。

イクサより前に、人間が少しでもファンガイアに抵抗するために作られた
『ファンガイアバスター』と『ファンガイアスレイヤー』だ。

「使い魔程度ならこいつで捌ける。どうしてもカバーできないところはイクサに変身していない方に任せる」

「てことは結界の最深部に居る魔女とはイクサだけで戦うのか?」

「そういう事になるな」

最初は冗談だったが本気にそう考えている名護。

「分かりました。次は私がイクサに変身します」

「仕方ねえなぁ…あたしは名護のフォローに回るよ」

マミが承諾し、杏子も渋々それに合わせる。

「じゃあ、次は頼んだぞ」


―翌日―

「それじゃあ行きます」

魔女を探し始めてすぐ、結界を見つけられた。

マミは深呼吸をしイクサナックルを構えた。

まずは名護と同じように手のひらにイクサナックルを当てる。

『レ・ディ・イ』という音声が鳴り、重低音が鳴り響く。

マミはイクサナックルを持った手を左側に突き出し、その腕を回転させるように上に上げる。

「変身!」

腕を頭の上まで持って行き、その後は名護と同じく胸の前に持って行きベルトに装着させる。

『フィ・ス・ト・オ・ン』の音声と共にマミにイクサが装着される。

「よし、行こう!」

そして名護達は走りだした。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:44:55.04 ID:4ELXsci5o
「ハッ!」

マミが正確に使い魔を撃ちぬく。

普段の戦い方から考えて、マミにはこの戦い方が一番あっていた。

一方の名護も、ファンガイアバスターとファンガイアスレイヤーを使い魔を倒していた。

「お前、あたしの援護いらないだろ!」

名護の戦いっぷりに杏子は驚きを隠せない。

イクサに変身していない名護の戦い方を見るのは初めてだった。

それ故に、使い魔を確実に倒していく名護は何処かおかしい。

「そうでも!ないぞ!こう見えてかなりしんどい!」

そう言いながらも、また使い魔を倒す。

しかし、名護の背後に一匹の使い魔が忍び寄る。

「名護さん!伏せて!」

その言葉に従い名護はその場で伏せ、イクサが使い魔を撃ちぬく。

「ナイスショットだ!」

賛美の言葉をマミに向ける。

「おい、そろそろ魔女の居るところだぞ」

杏子に言われてみてみると、いつの間にか結界の最深部まで来ていた。

「よし、ここからはマミちゃん。君だけで戦うんだ」

予定通り、マミのイクサだけが魔女と戦う。

「分かりました。見ててください。私の戦い」
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:45:31.72 ID:4ELXsci5o
まずは先制攻撃でイクサが魔女に攻撃を仕掛ける。

魔女もただやられるわけにもいかず、イクサに反撃する。

しかし、イクサはその攻撃を華麗に避け、イクサカリバーで接近戦に持ち込む。

「ハア!」

魔女の腕に見える部分が切り落とされる。

すると、

「今だ!ライジングになりなさーい!」

名護の声が聞こえてきた。

イクサライザーを外し、『1』『9』『3』を押す。

『ラ・イ・ジ・ン・グ』

イクサの装甲がはじけ飛び、ライジングイクサになる。

そしてすぐにライザーフエッスルを読み込ませた。

ライジングイクサのパワーがイクサライザーに集まる。

「イクサ・ライジングブラスト!」

こんな時にも心の余裕である必殺技は忘れない。

そしてエネルギーが放出され、それに当たった魔女の動きが止まる。

そして飛び上がり、空中から魔女を踏みつぶした。

魔女の結界が消えグリーフシードが落ちる。
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:46:20.65 ID:4ELXsci5o
「ふぅ…」

イクサの変身を解き、ほっと一息をつく。

「初めてにしてはよくやった」

名護がマミの頭を撫でる。

「わ、ありがとうございます」

頭を撫でられながらマミが礼を言う。

杏子はそれをほっぺたを膨らませながら見ていた。

「これ、どうするんだ?」

グリーフシードを拾い上げ、杏子が聞く。

「まあ、君が持ってていいんじゃないか」

今回のマミは魔力を消耗していない。

ならグリーフシードを杏子が持つのは当然のことだ。

「イクサってすごい力ですね。制御するのに苦労しますよ」

「俺がイクサを扱えるのも基礎が出来ているからだ。君も頑張りなさい」

「はい!」

嬉しそうに返事をするマミ。

「じゃあ次はあたしの番だな」

「ええ。はい、これ」

そう言ってマミの手にあるイクサナックルを今度は杏子が持つ。

「マミには負けねえぞ」

そう意気込む。

「頑張ってね。佐倉さん」
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:46:51.70 ID:4ELXsci5o
―翌日―

先日に比べて少し歩いたが運良く2日連続で魔女の結界を見つけた。

3人は結界の中へ入る。

「よし、いっちょやるか」

杏子がイクサナックルを構える。

『レ・ディ・イ』とイクサナックルが認識した。

重心を左足に置き、右手を前にする。

そして、重心を右に移しながら力強く振りかぶる。

「変身!」

後は名護と同じように胸の前に持って行きベルトに装着する。

『フィ・ス・ト・オ・ン』

杏子の身体にイクサが装着された。

「っしゃあ!」

イクサに変身した杏子は声を出し、使い魔を倒しながら一人で進んでいった。

「ちょっと!佐倉さん!」

「全く…俺達も急ごう」

名護とマミも杏子の後を追った。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:47:20.27 ID:4ELXsci5o
「おりゃあ!」

マミとは違い、イクサカリバーで接近戦を主体にする杏子のイクサ。

やや名護に近い戦闘スタイルだった。

だが、イクサに変身してまだ一回もイクサカリバーをガンモードとして使っていない。

いつもの戦い方的にもこの方が杏子にはあっているだろう。

「名護さん、佐倉さんの戦い方はどうですか?」

マミが杏子の戦い方を見て名護に聞く。

「よくやってる方じゃないか?一体一体確実に倒せている」

杏子が引き付けているおかげか、名護たちの方には使い魔が寄ってこなかった。

「おーい!そろそろ最深部に付くぞー!」

意外と早く結界の最深部まで来た。

「佐倉さん、頑張ってね」

「当たり前だ」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:47:49.25 ID:4ELXsci5o
「その命あたしがもらう!」

「俺のセリフだ!」

かつて名護がキバに対して放ったセリフとほぼ同じ事を杏子が言った。

もちろん名護はそれにツッコミを入れる。

「だあ!」

イクサカリバーで魔女の身体を素早く切り刻む。

そしてすぐさまイクサライザーを取り出しライジングイクサに変身した。

そしてライザーフエッスルを使い、此処で初めて飛び道具を使った。

と言っても、魔女の真上から零距離に近い形で撃ったためなんとも言いづらい。

魔女の動きが止まった後は踵落としで魔女を倒した。

魔女の結界が消える。

「ま、こんなもんかな」

変身を解除した杏子が言った。

「かなり滅茶苦茶に動いたな…君らしいといえば君らしいが。だがよくやった」

杏子の戦い方に若干の不安を感じるがなんだかんだ言っても頭はしっかり撫でる。

「へへ」

頭を撫でられ杏子が笑う。

「じゃあこれは私がもらうわよ」

マミがグリーフシードを拾い上げる。

「ああ。あたしは昨日もらったしな」

前日は杏子がもらったので、今度はマミがもらう番だ。

「よし、今日はもう帰るとしよう」

そうして3人はそれぞれ自分の住んでいる場所へ帰った。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:48:17.36 ID:4ELXsci5o
――――――――――――

―――――――

―――

名護「まあそんなことがあってな」

さやか「いいな〜私もイクサになってみたい!」

マミ「あれは結構体に来るわよ。実際私は3日後に体中が痛み出したわ」

杏子「あたしも次の日から1週間ぐらいは痛みでまともに動けなかったからなぁ」

橘「見せてもらった資料ではプロトイクサはもっと体に負担がかかっていたみたいだがな」

まどか「でも名護さんはちゃんと制御してるんですよね?」

名護「体の鍛え方が違うからな。それに2人はまだまだ子供だ。よくやったほうだと思う」

さやか「へえ〜、じゃあ私もイクサになれるぐらい特訓してみたいなぁ」

睦月「なんなら今からやったらどうかな?」

ほむら「!?」

マミ「でも、私や暁美さん達の服がないですよ?」

ほむら「そ、そうよ。というより私は弟子じゃないわ」

名護「フッ、こんな事もあろうかと」ヒョイ

名護「ちゃんと持ってきてある。サイズは分からないのは3着ずつ入れてきた」

杏子「抜かりねーな。流石名護だ」

名護「さあ、男は外に出よう。彼女たちが着替えられない」

五代「カーテンも閉めれるよ」

橘「着替え終わったら呼んでくれ」
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/21(日) 21:48:50.32 ID:4ELXsci5o
―数分後―

杏子「おーい着替えたぞー」

名護「分かった」

まどか「似あってますか?」

名護「ああ。じゃあまず特訓を始める前に周りにぶつかるような危ないものがないか、確かめなさい」

ほむら「………」

名護「まずは軽く、イクササーイズ!」

―――――――――――――――

――――――――

――――

名護「その命、神に返しなさい」

さやか「ハアー、ハアー、これ結構疲れますね」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫?」

ほむら「大丈夫じゃないわ」ゼエーハアー

名護「相変わらず体力がないな。どれ、早過ぎるくらいだが休憩にしよう」

―――――――――――――――

――――――――

――――

睦月「これからどうします?」

橘「このまま、帰してもいいくらいだがな」

名護「…ちょっと待ってくれ」

睦月「どうしたんですか?」

名護「なあ、ほむらちゃん、本当のことを話してくれないか?」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/21(日) 21:55:53.04 ID:4ELXsci5o
投下終了

クロスSSだからこれぐらいのことは許されるはず
というか許して下さい

書き始めた頃からずっと考えてたんですよね
マミと杏子のイクサ

ちなみに二人にはモチーフになった変身ポーズがあります
特に理由はないですけど


あとこのSSの進み具合にもよるけど九月に入ったら555本編終了後のクロスを建てようと思ってるんですよ
そこで皆さんに相談です

―ほむらの性格をどうするか
IfルートとしてこのSSからループしたほむらか
普通にアニメ基準のほむらか

前者は準主役、後者はあまり活躍なし

まあ、皆さんのご意見お待ちしてます


さて次回から第6話『仮面ライダー』に入ります
今更ですけどね仮面ライダー

次回は水曜夜9時
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/21(日) 22:02:03.30 ID:dUnQ4FCyo
お疲れ様でした
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 22:05:15.93 ID:Dc670GJFo
いい流れだ
65点といったところか
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 00:30:34.79 ID:cL18UnQ0o
乙でした。
IFとはいえ流石にこのルートからループしちゃうとしたら後味悪い、
けどほむらの出番がないのはちょっと……というジレンマ。
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/22(月) 03:02:29.01 ID:BmMCy2NPo
555くるか!!

アニメ基準でいいんじゃない?
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 13:40:54.40 ID:QFbRmFBIo
俺は後者
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/22(月) 15:21:01.02 ID:/QXB6Pcao
おお立てたら報告頼むぜ
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/24(水) 21:18:00.12 ID:zH+GMZFRo
新しいマウス買った
使い始めたばっかりだから微妙に使いにくい


アニメほむらの人気っぷり

主人公はまだ秘密
適当に期待しておいてください

今週にはここの書き溜めを完成させて来週の月曜か火曜ぐらいから続きが作れるといいなと思ってます

ちなみに2話までは書いてます
ほむらの性格が本編の影響し始めるのが3話ぐらいからなのでこれからです

このままの調子だとアニメ基準になりそうですが


投下開始
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:18:53.95 ID:zH+GMZFRo
―紅家 AM12:05―

渡「はい、健吾さん、上条君」

健吾「おっ、なかなかウマそうやな〜いただきま〜す」

恭介「いただきます」

健吾「ん〜やっぱうまい!渡はすごいなぁ!料理できるし、バイオリンは弾けるし作れるしで完璧や!」

渡「そんな、完璧だなんて」

健吾「将来渡の嫁になる人は幸せやなぁ」

渡「いませんよ、そんな人。あ、でも正夫のこととかあるし…」

健吾「絶対おるって。お前を好きな奴がどっかに」

渡「そうかも…しれませんね」

健吾「そう思っとけ」

渡「そういえば、健吾さんはなんで家に?」

健吾「お、そうやった。俺のギター、聞いて欲しくてな」

渡「治ったんですか?腕」

健吾「あん時に比べれば問題あらへんよ、飯食い終わったら聞いてくれ」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:19:22.27 ID:zH+GMZFRo
―食後―

演奏が終わる。

「どうやった?」

健吾が渡に聞く。

「前とは全然違いますね」

「まあ、怪我する前に比べりゃまだまだやけどな」

といっても、普通の人に比べれば十分に弾けている状態であり、誰も彼が怪我をしていたとは思わないだろう。

「なあ、上条。お前の演奏も聞かせてくれへん?」

健吾が恭介に言った。

「え?」

「いや、お前の演奏がどんなもんか聞いてみたくてな。渡のは何回も聞いたし、たまには別の奴の演奏が聞きたくてな」

健吾が渡と出会ってはや3年。

渡のバイオリンは聞く人が少ない。

そもそも、渡が人前で弾くこと自体が珍しかった。

かなりの腕を持っているにもかかわらず、演奏会などにも出たことがなかった。

「まあ、いいですけど…」

恭介は健吾の頼みを聞く。

「でも、バイオリンが…」

「これ、使ってよ」

渡が『ブラッディ・ローズ』をさし出してきた。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:20:30.98 ID:zH+GMZFRo
「無理ですよ!貴方の大切なモノを」

恭介にはこのバイオリンの価値がわかる。

音色も聞いた。ストラディバリウスに匹敵するものだった。

市場に出し、価値のわかるものに見せれば数億はくだらないだろう。

それほどの物を、簡単に弾くわけにはいかない。

「大丈夫。君の想いが届けばこれはその想いに反応する」

「え?」

人の想いに反応するバイオリンなど聞いたことがない。

「まあ、弾いてみてよ」

かなり強引に渡にブラッディ・ローズを渡された。

そして手に持った瞬間、今までにない何かを感じた。

(人の想いに反応するバイオリン…僕の想いは…)

演奏を始める。

すると、今までの自分とは格段に違う音色が聞こえた。

(これが…このバイオリンの?…いや、僕自身の腕が怪我以前より?)

バイオリンの出来や、想いを込めたのとは別に、恭介自身の腕が上がっている。

まるで腕の怪我が嘘のように動く。

そして、演奏が終わる。
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:20:57.03 ID:zH+GMZFRo
「すごいよ、上条君」

「そ、そうですか?」

渡に褒められ、恭介は照れる。

「お前の音楽、ロックじゃないけど、俺の胸にジンジンきたでぇ!」

「あ、ありがとうございます」

正直ジンジンの意味が分からないが、褒められていることは分かった。

「君の想い、早く幼馴染に聞かせてあげなよ」

渡には分かったようだ。自分が何の想いを込めて弾いたのかが。

「はい!」

はやくさやかに生まれ変わった自分の演奏を聞かせたい。

「僕、しばらくしたらこの子を送らなくちゃいけないので」

「そうか、じゃあ俺もお前が出る頃には帰るわ」

どうやら渡が恭介を見滝原まで送って行くようだ。

そして、恭介はさやかにメールを送った。
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:21:32.17 ID:zH+GMZFRo
―ポレポレ Side:ほむら―

「なあ、ほむらちゃん、本当のことを話してくれないか?」

いきなり、名護啓介がそう言ってきた。

「何のことかしら?」

名護の言いたいこともわかる。

自分の能力を時間遡行と知っているのは名護だけだ。

つまり、自分の能力も願いもすべて打ち明けろ。そう言いたいのだ。

「君が何を背負って戦っているかは知らない」

「そう。それならそれでいいじゃない」

もちろん、話す気など全くない。

もう、誰にも頼らない。

そう決めた時からずっとそうしてきた。

自分が話したところで誰も自分の言っていることを信じない。

協力しているのは、あくまでワルプルギスの夜を倒すための戦力の確保。

それ以上でも、それ以下でもなかった。

「以前俺は、いや俺達は言った。魔法少女を救ってみせる、と」

なぜこの男はこうまでしてこちらに踏み入ろうとするのか、ほむらには理解できなかった。

「その中にはマミちゃん、杏子ちゃんはもちろん、君も入ってるんだ」

「私はそんなことは頼んでいないのだけれど」

頼んでもいないことを押し付けるな。

こっちにはこっちの事情がある。

何も知らない第3者に介入されてはたまったものではない。
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:22:08.94 ID:zH+GMZFRo
「君は、自分の運命を受け入れているのか?」

「ええ、魔女になりそうならその場で死ぬ覚悟だって出来てるわ」

だが、まどかを救うまでは決して死ねない。

「だめだよ!ほむらちゃん!死んじゃダメ!」

まどかが口を挟んできた。

「私達魔法少女は魔女になるか、魔女に殺されるか。その2つしかないのよ」

「で、でも、名護さんもほむらちゃん達を救おうとしてるんだよ!?それなのに死ぬなんて」

まどかは優しすぎる。

その優しさがほむらの胸を痛めさせる。

「そんなの、何年先になるの?1年後?10年後?もしかするともっと長いかもしれない。その頃には私は死んでるわ」

「うぅ…」

根拠のない物に頼る気などさらさらない。

「出来るなら俺は、君を永遠の地獄から救ってやりたい」

名護が言った。

「名護さん…?」

「君が今まで、どんな世界を巡ってきたかは分からない。
 だが、いままでがそうだったからと言ってこの世界でもそうとは限らない」

「それが、未来への可能性というものではないか?」

何故。

何故この男はここまでして私の心に入り込んでくるの?

「何故そこまでして魔法少女を救いたいの?」
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:22:36.80 ID:zH+GMZFRo
「君が一人の人間だからだ」

ありきたりな答えが返ってきた。

「そんなの理由になってないわ」

「いや、十分理由になってるんじゃないかな?」

五代雄介が言った。

「ああ、五代の言う通りだ」

橘朔也も同意する。

「君は多分、一人で抱え込み過ぎなんじゃないかな?」

上条睦月まで。

「あたしさ、あんたと出会ってまだ2週間ぐらいしかたってないけど、
 あんたが背負っちまってるものあたしにも背負わせてくれよ。まだ信用がないかもしれないけどさ」

佐倉杏子も。

「暁美さん。貴方は確かに強い。でも、心まではそうともいかない。
 なら、周りの人に頼ってもいいじゃない」

巴マミさえも私を支えようとしている。

思い出してみれば、周りに頼れる者が居たことなんて、初めてループしたとき以来かもしれない。

でも、私は…

「ほむら、皆仲間なんだよ」

「だからね、もう迷わなくてもいいんだよ?」

さやかとまどか。

この2人まで自分の事を心配してくれる。

この世界なら、『いつも』とは違うこの世界なら…

今度こそ…
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:23:05.40 ID:zH+GMZFRo
「昔の私は…体が弱くて、何も出来ない一人の人間だったわ」

「心臓の病気で、入退院を繰り返してた。それで、ある日見滝原にやって来た」

眼鏡を掛け、髪を三つ編みにしていた頃の自分。

そして、まだ魔法少女の存在を知らなかった頃。

「もちろん、この世界と同じように色々な質問をクラスメイトからされたわ。
 でも、人見知りもあった私は、うまく答えられなかった」

その上、体の関係上、決まった時間に薬を飲まないといけなかった。

だが、その事も言い出せなかった。

「けど、そんな私に普通に話しかけてくれたのが、まどか。貴方よ」

「え…?」

早乙女和子から話を聞いており、ほむらの事情を知っていたまどかが保健室まで案内をしてくれた。

「それでその帰り、魔女の結界に巻き込まれたの」

自分なんか死んでしまえばいい。

その心の隙に入り込まれ、いつの間にか魔女の結界に入り込んでいた。

「そこで初めて魔法少女の存在を知った。私が初めて会った魔法少女はまどか」

「私?」

そのまどかと一緒に、巴マミはいた。

「ええ、と言っても私と会った時点でまだ1週間ぐらいしか経ってなかったようだけど」

「私が魔法少女…でも、なんで?」

「貴方達が魔法少女のリスクを殆ど知らなかったからよ」

もちろん、自分もその一人だ。

「魔法少女が希望をもたらし、魔女が絶望を撒き散らす」

その言葉に騙され、多くの少女がインキュベーターと契約した。

「でも、希望があるのは一刻だけ。やがて自分も絶望を撒き散らす存在となる」

あの世界のまどかもインキュベーターに騙され、契約した。
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:23:43.25 ID:zH+GMZFRo
「そして、1ヶ月後、見滝原にワルプルギスの夜が来た」

「ワルプルギスの夜ですって!?」

「知ってんのか、マミ」

「ええ、キュゥべえに聞いたことがあるの。とてつもなく強い力を持った魔女が居るって」

どの世界でも、巴マミは噂程度にはワルプルギスの夜のことを知っていた。

「そして巴マミはワルプルギスにやられ、残ったのはまどかだけ」

「私は止めようとしたわ。でも、止めることはできなかった」

ワルプルギスの夜は倒された。がまどかも相討ちという形で終わった。

「そして、私は魔法少女になった。私の願いは『まどかとの出会いをやり直したい』」

その能力を使い、見滝原に転校する前まで戻れるようになった。

「魔法少女になったばかりの私は、これでまどかと一緒に戦える。嬉々とした気持ちで学校に行ったわ」

「で、どうなったんだ?」

「その世界で、魔法少女は魔女になる。この事実を知った」

原因は美樹さやか。

上条恭介の腕を治すために契約し、絶望し魔女になった。

「さやかのおかげで、巴マミが発狂し、それに巻き込まれた佐倉杏子が死亡。
 巴マミはその場に居た魔法少女を全員殺そうと思っていたのだけれど、まどかにソウルジェムを破壊されて死んだわ」

元々、マミはメンタルは弱いが、頭の回転は早い。

味方にいると頼もしいが、敵に回るととてつもなく厄介な存在、それが巴マミだった。
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:24:16.92 ID:zH+GMZFRo
「もちろん、その世界にもワルプルギスの夜がやって来たわ。私とまどかは協力してなんとか倒すことができた。
 2人ともソウルジェムは濁りきって、私はそこで死ぬはずだった」

「だが、君がここにいるということは、何かあったんだな」

「ええ、まどかの持っていたグリーフシードで私はなんとか魔女にならずに済んだ」

そしてまどかと約束した。

キュゥべえに騙されてる、だめな自分を救ってほしいをいう約束を。

「それからは地獄だった。すぐに真実を伝えようとしても誰も私の言うことなんか信じない。
 誰も現実を受け入れられない」

「だからか、君が一人で抱え込むようになったのは」

やはり名護は察しが良い。

相変わらず凄い男だった。

「ええ、貴方の言う通りよ。私はまどかを守るために何度も時間を繰り返した」

しかし、その結果はすべて駄目であった。

「何度も何度も気の遠くなるような時間を観てきたわ。
 でも、そんな中でたどり着いた世界が」

「ここだったというわけか」

「ええ。仮面ライダー。今までの世界ではいなかった謎の存在」

まさにイレギュラー。

魔法少女の他に魔女と戦う存在など今まではいなかった。
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/24(水) 21:24:49.87 ID:zH+GMZFRo
「そして今日まで、その事を黙り過ごしてきたというわけか」

橘朔也が確認した。

「ええ。名護啓介にはすぐに見抜かれたけれど」

「まさか俺も当たっているとは思わなかったよ。そして君は時間停止まで出来る。そうじゃないか?」

「本当に見抜かれてたとはね。たった一回の魔女との戦いで使っただけなのに
 まあ具体的に言うのなら、時間遡行の副作用みたいなものよ」

本当に見抜かれていた。

この男、イレギュラーで収められない人間だった。

「それにしても信じれんねーな。名護達は別として、あたしら何回も会ったんだろ?」

杏子がほむらの言ったことを確認した。

「ええ。何十回と会っているわ」

「なんか実感ないわね…」

当たり前だろう。

「私以外は誰も覚えていないわ。時の地獄を彷徨っている私しか」

「時の地獄…か、だがそれもこの世界で終わりだな」

名護が笑いながら言った。

「君の周りには大勢の仲間がいる。今までではなかっただろう?」

「ありがとう、名護啓介」

素直に名護に礼を言う。

名護がいなければ、いまも自分は一人だっただろう。

心なしか、今まで自分が背負っていた何かが軽くなったような気がした。

「俺だけじゃないさ。ここにいる全員がそうだ」

「そうだったわね。ありがとう、皆」

すると、誰かの携帯が鳴った。

「ん?恭介から?」

さやかだった。
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/24(水) 21:29:15.95 ID:zH+GMZFRo
投下終了

ほむらに足りなかったのは信じられる仲間
実際、初ループの時とかは結構いい感じでしたし

ちなみに健吾の出番はこれで終わり
音やんより扱いが雑です


このSSも終わりまで150ぐらいです
順調に行けば9月下旬には終わりそう

ちなみにこっちが終わるまでは555は週一更新


次回は日曜夜9時

ほむらの性格に関してもまだまだ意見待ってます
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/24(水) 21:45:44.60 ID:+tqTK31po
お疲れ様でした。
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 22:45:24.67 ID:Le9xL598o
ブラッディ・オーツ
378 :sage :2011/08/28(日) 12:51:41.20 ID:estmh8WG0
乙!続きを楽しみに待ってる。
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/28(日) 21:30:42.26 ID:dITNUR5zo
今日でオーズも終わったし、ここの書き溜めも…と言いたいですけど
終わってないです。なんか話が思い浮かばないんですよね

とりあえず555クロスの方の続きを書き溜めようと思います

どうでもいいけど別のSS読み返していて考えたネタ
『まどか☆マギカの登場人物で誰が阿修羅すら凌駕する存在になれるか』
脳内シュミレートの結果…まどか、絢子、ショウさん
この3人なら「阿修羅すら凌駕する存在だ!」が似合いそう

理由は適当に考えておいてください


投下開始
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:31:14.83 ID:dITNUR5zo
―Side:さやか―

「ん?恭介から?」

恭介とメールアドレスは交換していたため、向こうがアドレスを知っているのは分かる。

が、怪我の以降は連絡はほとんどしてなかった。

もちろん、自分が恭介のお見舞いによく行くという理由もあったが、腕の動かせない彼がメールを送ってくることはなかった。

それが今日突然送ってきたのでなんだか変な感じだ。

メールを開いてみる。

するとそこには

『今日の4時、公園に来てほしい』

公園というのは家の近くにある人気のない公園のことだろう。

あそこは多少騒がしくても迷惑がかからない。

「って、4時?」

そのまま携帯で時間を確認すると、15:10と表示されていた。

「どうしたの?」

マミが尋ねてくる。

「あ、ちょっとこれから用事ができて」

「ん?いつの間にかこんな時間か。よし、君達2人を家まで送っていこう」

どうやら此処に来た車で家まで積んで行ってくれるらしい。

正直、ありがたい。

「じゃあな五代。カレー美味かったよ」

橘が席を立った。

「また来ますね。五代さん」

さやかも別れのあいさつをする。

「じゃあ、また」

五代が手を振って見送ってくれた。
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:32:07.48 ID:dITNUR5zo
「ここでいいです」

車で家のかなり近くまで積んでもらった。

ここからなら、歩いて1分と経たずに家につく。

「そうか、じゃあ気をつけてな」

「はい」

そして、車から降りる。

まどかはまだ車に乗っている。

「じゃあね、さやかちゃん」

「魔女に襲われたら連絡しなさい」

まどかとほむらに別れを告げる。

「まあ、魔女に会わない様に気をつけるよ。バイバイ、まどか、ほむら」

そう言って、車から離れる。

時間は午後3時45分。

本来ならそのまま家に帰るのだが、今日は違う。

恭介からもらったメールに載っていた公園に向かう。

ここからでも5分とかからないだろう。

「なーにかなー?なんかすっごく嬉しい気分」

すこし、早足気味に公園へ向かった。
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:32:37.32 ID:dITNUR5zo
―公園 PM3:40 Side:恭介―

「来るかなあ、さやか」

正直、来るかどうか心配だった。

「来るよ、絶対。それに君は彼女に演奏を聴かせるために此処に呼んだんでしょ?」

渡に言われて、腕の中にあるバイオリンを見つめる。

そのバイオリンはブラッディ・ローズ…ではなく、普通のバイオリンだ。

「というより、渡さんって普通のバイオリン持ってるじゃないですか」

正直、あの家でブラッディ・ローズを渡されたときは対応に困った。

まあ、最終的には受け取り、最後まで演奏しきったわけだが。

「まあ、基本的に持ち歩きたくないからね。父さんの作った大事な物だし」

「形見ってやつですか?」

「うん」

父親の形見。

天才バイオリニスト、『紅音也』のバイオリン。

「でも、なんで僕にブラッディ・ローズを弾かせたんです?」

「なんでかなぁ?ただ、父さんの声が聞こえた気がしてね。この少年に弾かせてみろって」

「はあ」

相変わらず、よくわからないことを言うが、嬉しかった。

父親の形見であるにも拘らず、自分に弾かせてくれた。

自分のバイオリンを人に貸すなど、普通はありえない。

それ故に、あのバイオリンを弾けたのは自分の記憶に一生残るだろう。

それだけ嬉しかった。
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:33:13.41 ID:dITNUR5zo
「ねえ、渡さん」

「何かな?」

ブラッディ・ローズを弾かせてもらった時から考えていることがあった。

「渡さんはバイオリンを作るんですよね」

「うん、目標はブラッディ・ローズだよ」

この人なら、任せられる。

「僕のバイオリンを作ってくれませんか?」

「え?僕でいいの?」

未完成のものも見せてもらったが、あれはかなりのものだった。

「はい。でも、今すぐじゃなくて、僕が二十歳を超えたらです」

その頃には、きっと世界を代表するバイオリニストになっているだろう。

ただし、自分の目標は紅渡とその父親、紅音也だ。

「いいよ。じゃあ約束だね」

「はい、約束です」

年甲斐もなく指切りをする。

「あれ?あの子じゃない?」

渡の指を差した方向を見ると、見慣れた顔が見えた。

さやかだ。

手を振ってみる。

すると向こうもこちらに気づいたらしく、手を振りながら走ってきた。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:33:43.30 ID:dITNUR5zo
―公園 Side:さやか―

公園についた。

既に恭介が来ていないかあたりを見回す。

すると、恭介が手を降っているのが見えた。

その隣にはもう一人別の男。

知らない顔だ。

とりあえず手を振りながら走って近づく。

「恭介!おかえり!」

「ただいま、さやか」

近づいてよく見ると、その腕にはバイオリンケース。

「え?恭介腕治ったの?」

「うん。僕の演奏を君に聴いてほしくて此処に呼んだんだ」

そう言われて胸が熱くなるのが分かった。

自分なんかのために好きな人がバイオリンを弾いてくれる。

嬉しくて仕方がなかった。

「じゃあ、僕はここで。上条君、今度僕の家に遊びにおいでよ。バイオリンはその時に返してくれればいいからさ」

大型のバイクに腰をかけていた男が言った。

「はい、渡さん。またいつか」

そう言って男はバイクに跨り、何処かへ行った。

「誰?あの人」

恭介の知り合いだったようなので尋ねてみた。

「僕の…目標としてる人かな」

天才と呼ばれる恭介が目標とする人?

ぜひ一度演奏を聴いてみたかった。

「じゃあ、いくよ」

恭介の演奏が始まる。

至福の時間が始まった。
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:34:14.40 ID:dITNUR5zo
―見滝原市 Side:渡―

上条恭介と別れ、愛馬『マシンキバー』を走らせていた渡。

だが突然走るのをやめる。

(嫌な予感がする…)

この町に来てからすっと感じていた。

どうやら恭介はなんとも思っていなかったみたいだが、渡は何かを感じていた。

(この感じ…ファンガイアでも、ネオファンガイアでもない…別の何かがこの町にはたくさんいる)

なんとなく雰囲気で魔女が居ることが分かる。

すると、頭の中で突然ブラッディ・ローズの音色が鳴り響いた。

(わかったよ、父さん。行くよ)

先程まで走っていた道を戻る。

渡の戦う理由…人の心に流れる音楽を守るため、彼は何時までも戦い続ける。

そしてバイクのスピードを上げた。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:34:41.62 ID:dITNUR5zo
―公園―

恭介の演奏が終わった。

「すごい…てゆうか、怪我の前より上手になってない?」

「やっぱり分かる?僕もなんか変な感じだよ」

正直、怪我の後のほうが上手になっている。

普通は逆だ。

バイオリンを使う腕を怪我していたにも拘らず、ここまで上手になっているとちょっとしたホラーのようだ。

「そういや、なんでこんなところで?」

今まで聞きたかったことを聞いてみた。

「君一人に聴いてほしかったから」

「え…」

それは…どういう事なのだろうか?

「さやか。僕は…君のことが好きだ。僕の傍にいてくれ」

「え…」

さやかの顔が真っ赤に染まっていく。

「…うん。私も恭介のことが、好き」

「ありがとう…さやか」

みると恭介の顔まで真っ赤だ。

まさか恭介の方から告白してくるとは思わなかった。
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:35:12.94 ID:dITNUR5zo
「ねえ、もう少し近寄ってもいいかな?」

恭介に聞いてみた。

「うん、僕もちょうど言おうとしてたところだよ」

好きな人と考えていたことが同じ。

その事にもとても嬉しくなる。

「温かい…」

「僕もだよ」

だが、次の瞬間、周りの景色が変わっていく。

今まで何度か見た、魔女の結界だ。

「恭介!走れる?」

近くに杖があるところから考えて無理だと思うが尋ねてみる。

「む、無理だよ!というよりここはどこなんだい?」

説明してもわからないだろう。

実際自分もそうだった。

「説明してる場合じゃないかも。とりあえず私の背中に乗って!」

「う、うん」

とにかく、使い魔共から逃げることが優先だ。

せっかく恋人になれたのだ。こんな所では死ねない。
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:35:38.00 ID:dITNUR5zo
「君が魔法少女になれば、全て解決するよ」

聞いたことのある声だ。

「あんたは!」

インキュベーターがさやかの目の前に現われた。

「さやか?」

恭介には見えていないようだ。

名護達の言っていたことを思い出す。

インキュベーターは魔法少女かその素質のあるものにしか見えない。

だが、人間を超越しているものには見えるようだった。

「ここで2人とも死ぬか、魔法少女として死ぬかどちらがいいか、君でも分かるよね?」

使い魔が迫ってくるのが分かる。

ここで2人とも死ぬか、自分だけが死ぬか。

今までなら恭介の腕のために契約していただろうが今は違う。

彼の腕は治ってしまっている。

ならこの場で最良の選択は…

使い魔はすぐ傍まで迫っている。

考えている暇はない。

「キュゥべえ!私の願いは―」

『恭介と幸せでいられますように』
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:36:05.33 ID:dITNUR5zo
だが言い終える前にキュゥべえを踏みつけ、使い魔を吹き飛ばした何かがさやか達の前に停まる。

「大丈夫!?」

先ほど別れた男がヘルメットのバイザーを上げ、こちらの安否を確認してくる。

「渡さん!?」

「とにかく、2人とも下がってて!」

渡が来たことにより、使い魔の狙いが変わる。

だが渡が使い魔を睨むと多くの使い魔がたじろいだ。

もちろん、中には渡に歯向かう使い魔もいる。

しかし渡は向かってくる全ての使い魔に生身で立ち向かう。

使い魔達は渡に殴られるたびに数を減らしていく。

尋常ではない腕力だ。

だが使い魔の数が多すぎる。

流石に渡も数で押されれば追い込まれてしまう。

そう思い、

「キバット!タツロット!」

渡が何かの名前を呼ぶ。

「おっしゃぁ!キバッて、行くぜ!」

蝙蝠のような生き物…キバットバットV世が渡の近くに飛んで来る。

「テンション、フォルテッシモ!おや?そちらは上条くんじゃないですか〜」

「え?」

小さな龍のような生き物…タツロットが恭介に話しかける。

「渡さんの家での演奏、素晴らしかったですよ〜」

「おい!タツロット!お前何してんだ!」

キバットがタツロットを呼ぶ。

「おや、では私はこの辺で〜」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:36:37.69 ID:dITNUR5zo
「行くよ!」

渡がキバットを持ち、キバットが口を開く。

そして左手にキバットを噛み付かせる。

「ガブッ」

すると、太牙と同じように顔にステンドグラスに似た牙のような模様が浮かび上がる。

「変身」

「ドラマチックに行っきまっしょ〜」

変身途中のキバの腕にタツロットが合体した。

するとキバの体が金色に輝き、その中から出てきたのは『黄金の鎧』を纏う、仮面ライダーキバエンペラーフォームだった。

「仮面…ライダー?」

さやかがキバの姿を見て言う。

「ハア!」

キバの攻撃が使い魔にヒットする。

一体目をたたき落とし、次々と倒していく。

さやかは恭介を背負ったまま、キバへ着いて行った。

どれぐらい進んだだろうか。

ようやく結界の最深部までたどり着いた。
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:37:27.17 ID:dITNUR5zo
「これが…魔女…」

キバが魔女を見上げる。

流石に武器なしでは無理がある。

そう判断したキバはタツロットの角【ホーントリガー】を弾いた。

タツロットの背中にある【インペリアルスロット】が回転し、止まった。

止まった色は緑。

「バッシャーフィーバー!」

キバの手元にバッシャーマグナムが現れる。

そしてタツロットをバッシャーマグナムのマズルにはめ込んだ。

「カチャ」

タツロットが自分で効果音をいう。

そして、キバの足元にアクアフィールドが形成され、その上を滑るようにキバが動く。

タツロットの口に緑色のエネルギー弾が集まる。

「ハア!」

その声と共に撃ち出されたエネルギーは無数の弾になり、その全てが魔女に直撃した。

魔女が叫び声を上げ、結界が消滅した。

キバの変身が解かれ、紅渡の姿へ戻る。
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:38:11.64 ID:dITNUR5zo
渡が落ちていたグリーフシードを拾い上げる。

「何これ?」

渡はグリーフシードのことを知らない。

その渡にさやかが声を掛けた。

「あの、それ私に譲ってくれませんか?」

「あ、うん」

何の疑いもなく渡してきた。

明日にでもほむらに渡せばいいだろう。

「渡さん、あの姿は…」

恭介が渡の姿…キバについて質問する。

「ああ、あんまり人に話せないことなんだ。ごめんね」

「あ、はい」

そう言われると、恭介はここで引き下がるしかない。

「大丈夫だよ、恭介。あれは仮面ライダーって言って、正義の味方だよ」

とりあえず恭介に説明しておく。

「仮面ライダー?」

「まあ、とりあえずこれで置いといて」

他に説明のしようがない。

「用も済んだし、僕は帰るよ。じゃあね、2人とも」

そう言って、渡は再びマシンキバーに跨り、何処かへ行った。

「私達も帰ろっか。家まで送って行くよ」

「ありがとう、さやか」

少し歩いていて恭介が

「あ、バイオリン返しとけばよかったな」

「でも遊びに来てって言われたんでしょ?そのときでいいじゃん」

「それもそうだね」

恭介を支えながら、さやかは歩いて行く。

胸の奥にとても大きな幸せを抱えながら。
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:38:40.93 ID:dITNUR5zo
―BOARD―

まどかを家に返した後、名護達は再びBOARDに集まった。

「ほむらちゃんの話だと、この世界にもワルプルギスの夜が来る、そうだろ?」

「ええ、今までの統計上、確定事項よ」

そのワルプルギスに何度も挑んだ。

勝てたとしても、まどかが犠牲になる。

結果として、一人で倒せたことはない。

「そうか、確定事項か…」

名護が何かを考える。

「なら、今のうちにグリーフシードを集めながら最低この6人のチームワークを磨いておくのはどうだ?」

橘が提案する。

「私は賛成です」

マミは賛成した。

「グリーフシードが誰の手に渡るかはわからないけど、あたしもそれでいいよ」

杏子も賛成した。

「なら、早速今日から行動をしよう」

魔法少女3人、仮面ライダー3人で戦うことが決まった。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:39:10.07 ID:dITNUR5zo
―見滝原の何処か―

「此処に魔女の結界があるわ」

ほむらの持っているソウルジェムが輝く。

「よし、行こう」

6人が結界の中に侵入した。

―魔女の結界内―

最初にほむら、マミ、杏子が変身した。

橘、睦月がバックルにカードを入れる。

体にベルトが巻かれ、待機音が鳴る。

名護もイクサナックルを手のひらに当てる。

『レ・ディ・イ』

「「「変身!」」」

『フィ・ス・ト・オ・ン』『Turn Up』『Open Up』

名護の体にイクサが装着され、橘と睦月の前にオリハルコンエレメント、スピリチアエレメントが発生する。

2人の体がその光を通ると、ギャレン、レンゲルが姿を現した。

「行くぞ!皆!」

橘が指揮をとる。

「ああ!その命、神に返しなさい」

魔女との戦闘が始まった。
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:39:51.10 ID:dITNUR5zo
(グリーフシードが落ちる音)

名護「瞬殺…」

橘「まあ6人だからな」

杏子「で、明日はどうするんだ?」

ほむら「ワルプルギスの夜について話があるわ」

マミ「なら明日はまたBOARDに集まるのかしら」

ほむら「いいえ、あの研究所よりも私の家のほうがちゃんとした資料がある」

睦月「じゃあ、明日はほむらちゃんの家に?」

ほむら「ええ。1時に見滝原中に集まってくれる?」

名護「分かった」

橘「五代や始達にも連絡して、その時のことを話しておいたほうがいいか?」

ほむら「戦力が多いことに越したことはないわ」

橘「わかった。俺から連絡しておく」

ほむら「ありがとう」
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:40:25.04 ID:dITNUR5zo
―暁美家―

「ふう」

帰ってきてすぐにベッドに倒れ込む。

今日は色々なことがありすぎた。

だが、ほむら自身はとてもいい気分だった。

(今までありえなかった…私が誰かと協力するなんて…)

これも全部、名護啓介のおかげだ。

彼の気持ちがほむらの心を開かせた。

『時間の波を捕まえて 今すぐに行こう 約束の場所』

ほむらの携帯が鳴った。

誰かと思い、画面を見ると、『美樹さやか』と表示されていた。

何かあったのだろうかと思いつつ電話にでる。

「もしもし」

『もしもし?ほむら?』

「…何かあったの?」

なんだか様子が変だ。

いつもテンションのおかしいさやかだが今回はさらにトチ狂ってるように感じる。

『えへへ〜わかる〜?』

なかなかうざい。

『私ね〜恭介と付き合うことになったの』

「そう、上条恭介と…って、え?もう一度言ってくれる?」

今、上条恭介と言ったか。

まさかと思いつつもう一度聞いてみる。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:41:23.07 ID:dITNUR5zo
『もう〜じゃあ後一回だけだぞ。私、恭介と付き合うことになったんだ』

「マジ?」

私の知る上条恭介は美樹さやかと付き合うような人間ではなかったはずだ。

『しかも〜告白してきたのは恭介の方で〜腕も治ってたよ』

意味がわからなかった。

さやかの契約なしで上条恭介の腕が治った?

今までではありえなかった。

が、よくよく考えてみると、この世界はいつもとは違う世界だ。

これぐらいで驚いていては身がもたない。

「そ、そう。それはよかったじゃない。おめでとう」

とりあえず、2人が結ばれたことを祝福する。

これでさやかが契約することはないだろう。

『あ、あとグリーフシード拾った』

「ハア!?」

おもわず声を張り上げる。

一体彼女に何があったのか。

『叫ばないでよ…』

「いや、ごめんなさい」

声を張り上げたことに謝る。
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:41:58.15 ID:dITNUR5zo
「それで何があったのよ…」

グリーフシードを拾った経緯を聞いてみる。

『いやね、恭介に告白された後に魔女に襲われたのよ』

「貴方!もしかして!」

襲われたのに生きている。

このことから考えられるのは彼女が奴と契約した。

『いや、契約してないけど?』

「え?」

驚きの連続だった。

『いやね、なんか恭介の知り合いになった人が仮面ライダーだったみたいでその人に助けられたのよ』

「そう、よかったわ」

また『仮面ライダー』

この世界で見た物、聞いた物を含め、既に8体だ。

だが、ありがたかった。

結果的にそれがまどかとさやかを魔法少女にしていない要因だ。

『それでその人がグリーフシードがなんだか知らなかったみたいだから私が預かったのよ。
 で、それをあんたに渡しといたほうがいいかなって思ってね』

「ええ、そうしてちょうだい」

ワルプルギスの夜に備えて、グリーフシードはできるだけ確保しておきたかった。

『あんたに渡すにはどうしたらいいのよ』

「明日1時に学校に来てくれる?名護啓介達も来るから」

とにかく、さやかからグリーフシードを受け取ることにする。
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/28(日) 21:42:30.49 ID:dITNUR5zo
『まどかも呼んでいい?』

「貴方達も知っておいたほうがいいのかしら?まあいいわ」

とりあえず許可しておくことにする。

『んー分かった。じゃあ明日の1時に学校ね』

「遅れないようにしなさい」

『今日の二の舞にならないようにするよ。じゃあね』

「ええ」

電話を切る。

時間を見ると、まだ7時を少し回ったところだ。

「夕食にしましょう」

ひとまず、腹ごしらえをすることにした。

―食後―

「さて、これからどうしようかしら」

やることがなさすぎる。

「明日の準備をするべきかしら」

資料をまとめることにした。

そして、風呂に入り、寝た。
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/08/28(日) 21:47:02.56 ID:dITNUR5zo
投下終了

恭介がの告白が告白じゃなくてプロポーズみたいなのはわざとです

ほむらの着うたも特に意味はないです
時間つながりでCLIMAX JUMPにしただけです

あとキバ本編で『バッシャーフィーバー』は出てない
なので今回のバッシャーフィーバーは>>1の妄想です

ドッガフィーバーなどを参考に考えた捏造技です
本気にしないでください



次回の投下は水曜夜9時頃
第7話『変身』
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 23:55:54.54 ID:HTJWeOOCo
乙!

タイトルからしてついにクウガ来るのか
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/08/29(月) 00:39:53.11 ID:vmMe28Yj0
乙でした

みんなの笑顔を守るクウガキタ―――(゜∀゜)―――!
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/08/31(水) 21:14:03.38 ID:ihoCAo84o
初登場時も思ったけど五代くん人気すぎ

ちゅーか自治がどうのこうのででSS速報見づらくね?
落ち着くまで投下すんのやめようかと思うぐらいだよ

とりあえず今回はそのまま投下するけど次回はちょっと考える

投下開始
短め
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:14:34.30 ID:ihoCAo84o
―翌日 PM12:55 学校―

さやか「あれ名護さんたちじゃない?」

まどか「そうだね。でもなんかいっぱいいるよ」

ほむら「他にも五代雄介達を呼んでるわ」

さやか「へえ〜」

名護「遅くなったな」

さやか「あれ?貴方は昨日の」

渡「君は上条くんと一緒に居た」

さやか「美樹さやかです」ペコリ

渡「どうも、僕は紅渡。よろしく」

太牙「知り合いか?」

渡「兄さんの紹介してくれた上条くんの幼馴染なんだって」

さやか「いまは恋人ですけどね」

まどか「えぇ!?さやかちゃん上条くんと付き合ってるの!?」

さやか「そういやまどかにはいってなかったな〜」ニヤニヤ

まどか「そうなんだ、おめでと。さやかちゃん」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:15:01.72 ID:ihoCAo84o
ほむら「なにはともあれ全員揃ったわね」

名護「君の家はここからどのぐらいかかるんだ?」

ほむら「歩いてせいぜい15分程度よ」

まどか「ほむらちゃん家か〜なんかわくわくするね」

マミ「遊びじゃないのよ。もっと気を引き締めなさい」

まどか「す、すいません」

ほむら「たしかに巴マミの言う通りね。じゃあ行くわよ」

〜移動中〜

マミ「ねえ、暁美さん、ずっと思ってたけれど貴方私達をフルネームで呼ぶわよね」

杏子「そういやそうだな」

ほむら「ええ。それがどうかしたの?」

マミ「鹿目さんや美樹さんのことは下の名前で呼び捨てなのに私達はフルネームってなんか変じゃない?」

睦月「俺達はあんまり気にしないけど…」

名護「呼びやすいようにしてくれれば構わないさ」

ほむら「じゃあ、どうしたらいいのよ」

マミ「呼び捨てでも構わないから、下の名前で呼んでくれない?」

杏子「あたしも呼ばれてみたいな」

ほむら「…マミ。…杏子」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:15:31.27 ID:ihoCAo84o
マミ「うふふ、何?暁美さん、いえ、ほむらさん」

杏子「なんか変な気分だな、でも悪くない」

まどか「私達はどうなんですか?マミさん」

マミ「そうね、じゃあ貴方達も下の名前で呼んであげる。まどかさん、さやかさん」

杏子「なあ〜マミ〜あたしのことはどうなんだよ〜」

マミ「なんだか今更な気もするけど、杏子」

杏子「なんであたしだけ呼び捨て!?」

マミ「貴方はなんか、妹みたいって言うかなんというか」

杏子「妹…それならよし」

さやか「あ、それでいいんだ…」

杏子「まあ、長い付き合いだからな。マミはほんっとお節介でさあ」

マミ「貴方がほっとけないのよ。なんか危なっかしいし」

まどか「本当に姉妹みたいだね」

杏子「それはそれでアリ」

さやか「ありなのか…」

マミ「名護さんと恵さんが両親で、橘さんは近所のおじさん、睦月さんは近所のお兄さんで」

橘「たしかに俺はもうおじさんだが」

睦月「なんかすごい設定だね」

ほむら「そんな事しているうちに着いたわよ」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:16:30.91 ID:ihoCAo84o
―暁美家―

「ここに腰をかけてちょうだい」

周りの空間から隔離されたような雰囲気の部屋に全員を案内した。

無駄に広く見えるが、そのほとんどがホログラムだ。
もちろん、この部屋はそれなりに広い。

「紅茶でも用意するわ。マミ、手伝ってくれる?」

「いいわよ、ほむらさん」

巴マミは紅茶を入れることに関してはかなりのものだ。

「ちょっと待ってて」

そう言って台所へ向かう。

―数分後―

「お待たせ」

マミと二人で紅茶を全員に配る。

配り終えた後、ようやく話しだす。

「それでワルプルギスの夜についてだけど、奴は強い。
 奴は他の魔女とは違い、結界を張らない。周りの人間には災害として認識されるわ。
 そして私一人では到底勝つことができないわ」

それほどまでに強い。

そもそも、まどかと二人で挑んだ時でさえ、勝てたのは奇跡だった。

「そして、奴の出現予測地点および、進行方向がこれよ」

ホワイトボードに今までの統計から得たデータを書き込む。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:17:06.31 ID:ihoCAo84o
「ねえ、さやかちゃん、これって…」

「うん…私も同じこと考えてた」

「ねえ、ほむらさん。この進路は…」

まどか、さやか、マミが有ることに気づく。

「やはり貴方達には分かるわね。そうよ、ワルプルギスの進行方向に見滝原の避難所がある」

見滝原市民の避難所であるホールがワルプルギスの夜の進行方向に位置してしまっている。

「つまり、それまでに決着を付けろという訳か」

名護がほむらに確認をする。

「そう。ここに辿りつくまでに倒せなかったら多くの被害が出る。
 辿り着く前に奴を倒すか、何とかして進行方向をずらす必要がある」

さらに新しく線を引く。

「理想としては、こっちの海の方向にずらすことが出来れば、被害が最小限に抑えられるわ」

「横から追い詰めるのが得策だな」

橘が言う。

「全員出し惜しみはしないで、全力で奴を潰すのよ」

自分の持つ最大の力を使い、ワルプルギスの夜を殲滅する。

「それで俺達仮面ライダーはどうすればいい」

始がほむらに尋ねる。

「私達魔法少女3人に対して、仮面ライダーが7人。
 つまり魔法少女1人につき、最低2人の仮面ライダーがつく」

だがそうすると、一人余りが出る。

「余った1人はどうするんだ?」

「私についてきてほしい。私の魔力はすべて時間操作にかかってると言ってもいいわ。
 だから、それを補うための力が必要なの」
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:17:39.85 ID:ihoCAo84o
「なるほど。では誰がどの魔法少女につくか話し合わないとな」

名護が話を切り出す。

「1人だけ私に指名させて」

ほむらがそういった。

「別にいいが、誰だ?」

「貴方よ、名護啓介」

ほむらが名護を指名した。

「何故名護なんだ?」

当然のように橘が質問する。

「私の能力にいち早く気づいたのは名護啓介よ。そして、私が一番信用している人物だから」

名護の今までの行動から、ついには名護を信頼するまでに至ったほむら。

「そこまでいうなら仕方ない。ほむらちゃん、よろしく頼むよ」

そう言って名護がほむらに手を差し出す。

「ええ、よろしく」

ほむらはその手をしっかりと握り返す。

「他の者も決めないとな」

橘が言った。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:18:17.37 ID:ihoCAo84o
「まずはマミちゃんから決めよう」

マミの能力は遠距離向きだ。

それを誰がどのようにカバーするかが問題だ。

「俺と渡がいこう。いいな?」

「うん」

太牙が提案し、渡もそれに乗る。

マミの戦闘能力は決して低いわけではないが、キバが2人つけばかなりの力になるだろう。

「次は杏子ちゃんだな」

こっちはマミとは違い、近接向きだ。

中途半端に銃を使うものを入れるより、どちらもこなせる者が入るべきだ。

「俺がやるよ」

始が立候補として上がった。

「始が行くのなら俺も行こう」

そして橘が杏子についた。

「つまり、残りはほむらちゃんになりますね」

余った、睦月、五代がほむらに付くこととなった。

「よろしく、ほむらちゃん」

五代がサムズアップをする。

「ええ」

ほむらはそれにサムズアップで返した。

纏まったメンバーは。

マミ、渡、太牙。
杏子、始、橘。
ほむら、名護、五代、睦月となった。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:18:47.96 ID:ihoCAo84o
「まどかとさやかは絶対にこの範囲にきては駄目よ」

ホワイトボードに戦闘領域となる部分を印した。

「でも、ほむらちゃん達は…」

まどかはほむら達の心配をしている。

「大丈夫よ。これだけの仲間が集まった。絶対に勝てるわ」

初対面の者まで味方をしてくれる。

これだけの力があれば、必ず奴を倒せる。

そうほむらは思っている。

「そして気をつけて、多分インキュベーターが貴方達に近寄ってくる。
 何があっても契約しては駄目よ」

一応、釘を差しておく。

「わかったよほむらちゃん」

「まあ、ほむら達なら大丈夫っしょ」

これで少しはマシになる。

だが、もしものことを考え、まどかに真実を告げる。

「ならよかったわ。でもまどか、貴方だけは絶対に駄目。
 貴方の力は歴代の魔法少女を凌駕する力を持ってるの。貴方が魔女になれば世界が終わる。分かっておいて」

「う、うん」

自分にそんな力があるとは思ってもいないまどか。

だがこれは事実だ。

まどかの魔女がどれほどのものか、自分の目でしっかりと観てきた。

だからこそ、彼女に言って於かなければならないのだ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/08/31(水) 21:19:33.50 ID:ihoCAo84o
「これから2週間。今言ったメンバーで魔女を倒して、出来る限りのグリーフシードを集めるのよ」

ワルプルギス戦はかなりの魔力を消費する。

ならば、それまでに大量のグリーフシード集めておくのは当たり前のことだと言える。

「だが、この人数で魔女を探すとなると、同じ魔女を狙ったりして非効率的でじゃないのか?」

始がほむらに聞いた。

「その点は問題ないわ。私の統計上、少なくともこの2週間でこのあたりに魔女が出てくる」

見滝原の地図に印を入れる。

「使い魔がでたら仮面ライダーに任せて、あくまで魔法少女が倒すのは魔女だけよ。
 その事をしっかり頭に入れておいて」

ちゃんと言って於かなければマミや杏子はきっと使い魔にも全力で挑むだろう。

「なんでだ?あたしら魔法少女は使い魔も倒すことが使命みたいなもんだろ?」

ほむらが思っていたような質問が飛んできた。

「ほむらさんの言った意味がわからないの?」

「マミは分かるのかよ」

「当たり前よ。ほむらさんが言ったのはワルプルギスまでに私達魔法少女の魔力を温存させるため。
 せっかく手に入れたグリーフシードをその場で使ってちゃ意味が無いでしょ?」

流石はマミ。頭の回転が速い。

頭の悪い杏子とは大違いだ。

「なるほど…」

ほんとに分かってなかったのか。

「とにかく、この2週間で出来る限りのグリーフシードを集めるわよ」

やれるだけのことをやる。

そして今度こそワルプルギスを倒し、まどかを助け、約束を果たす。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/08/31(水) 21:23:02.17 ID:ihoCAo84o
投下終了

投下前にも言ったけど次回の投下はちょっと考える
元に戻ってたら普通に投下するけど、戻ってなかったら小ネタでもやって時間稼ぎ

555の方はまだ進まねえ
MG作りたいし、スレ立てるのはもう少し待ってほしい


予定では次回の投下は日曜夜9時
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:01:59.30 ID:b8G1owaFo
9時だよー\(^o^)/
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:04:35.18 ID:F4GRT091o
俺は別に本編投下してもいいと思うんだぜ

BB2Cだとそんなに苦じゃない
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/04(日) 21:17:33.81 ID:XuGZKu1so
小ネタ作って更新してみたら下の広告が消えてた件。

せっかく作ったし最後に投下する。

ちなみに今回オリジナル魔女、オリジナル必殺、オリジナル(?)フォームが登場。
そういうのが嫌いな方は見ないほうがいいかも。

それにしてもフォーゼ面白すぎ。
バレ画見た時の自分を殴りたくなる。


投下開始
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:18:24.71 ID:XuGZKu1so
―マミ&太牙&渡―

マミ「巴マミです。よろしくお願いします」

太牙「登太牙だ。よろしく」

渡「僕は紅渡。よろしくね、マミちゃん」

マミ「はい。ところでお二人はどんな仲なんですか?」

太牙「兄弟だ」

渡「父親が違うけどね」

マミ「そうなんですか。ということは、渡さんもファンガイアっていう魔族の一人ですか?」

太牙「そうだといえば、そうだが…」

渡「僕は人間とファンガイアのハーフだから、どっちとも言えないかな」

マミ「それって、普通のファンガイアとなにか違うんですか?」

渡「んー?寿命ぐらいだと思うよ。人間以上、ファンガイア未満みたいな」

マミ「それって辛くないですか?」

渡「別にいいけどね。人間として生きるのも悪くないし」

マミ「私も貴方達のように完全に人じゃなかったら…」

渡「君は絶対に助かるよ。僕の兄さんも協力してるわけだし」

マミ「渡さんの言うとおりですね。こんな事言ってたら名護さんに怒られちゃう」

渡「その意気だよ」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:19:18.26 ID:XuGZKu1so
太牙「それにしてもこの町は居心地が悪いな」

渡「兄さんも感じてたんだね。この町の変な感じ」

マミ「え?私は特に…」

太牙「多分俺達がファンガイアだからだろう。人間に感じられない何かを感じてるんだ」

渡「ファンガイアでも、ネオファンガイアでもない、もっと別の何かがこの町には沢山潜んでる」

マミ「多分、それが魔女だと思います」

太牙「俺も魔女と戦ったが、その辺の雑魚よりはマシだったな」

渡「僕も戦ったけど、それほど強くなかったかな」

マミ「やっぱりすごいんですね。仮面ライダーって」

太牙「それほどでもないさ」

渡「君達魔法少女だって十分だよ」

マミ「ふふ、ありがとうございます。おっと、此処に魔女の結界があります」

太牙「そうか。なら行くぞ!」

渡「うん!行こう!」

マミ「二人とも着いてきてください!」
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:19:46.94 ID:XuGZKu1so
―結界内―

「キバット!タツロット!」

「来い、キバット!」

渡と太牙がキバットを呼ぶ。

「キバッて、行くぜ!」

「テンション、フォルッテシモ!」

「ありがたく思え!」

それぞれが決め台詞を言いながら渡と太牙の元へ飛んでくる。

渡と太牙がキバットを掴み、口を開かせる。

そして、自分の手に噛み付かせた。

「ガブッ」「ガブリッ」

2人の顔にステンドグラスに似た牙のような模様が浮かび上がる。

「「変身」」

渡と太牙、2人がベルトにキバットをぶら下げると、2人の姿が変わり始める。

「行っきますよ〜」

変身途中の渡にタツロットが合体すると、体が光に包まれた。

そしてその光の中から出てきたのは、禍々しい姿をした『闇のキバ』

正義を象徴するかのような『黄金のキバ』が結界の中に現われた。

「私も準備しないとね」

そう言いながら、ソウルジェムを手に置き、まるでダンスをするかのように魔法少女へと姿を変えるマミ。

戦闘準備が整った。

「俺達が先行するぞ!着いて来い!」

太牙と渡が道を切り開いていく。
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:20:18.20 ID:XuGZKu1so
渡と太牙のおかげでマミは特に何もすることもなく魔女までたどり着くことができた。

「魔女との戦いは援護してくれ」

太牙がマミに頼む。

「はい。といっても私の能力は後方支援向きですから」

リボンで敵を拘束し、銃で使い敵を撃ち抜く。

それがマミの本来の戦い方だ。

「じゃあ、行くよ!」

渡が魔女の居る部屋に入り込んだ。

「ザンバット!」

その声と共に、タツロットの口からザンバットソードが出てくる。

侵入者を倒すために魔女が触手を振るうが3人はそれを飛び上がり回避する。

魔女の見た目は生々しく、虫がモチーフになったようなものだった。

「そっちがそれならこっちも同じようなもので行かせてもらおう!」

太牙が手に持ったジャコーダーで触手に対抗する。

だが魔女にはもう一本の触手がある。

魔女がそれを振り払おうとするが、マミのリボンにより動かすことができない。

「悪いけど貴方に攻撃する暇は与えないわ」

勝ち誇った顔で言う。

が、直後に触手に異変が起こった。

触手が鉤爪のような形に変わった。

当然の如くマミのリボンはその鉤爪によって切断されてしまった。
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:21:09.33 ID:XuGZKu1so
「初めてよ!貴方みたいな魔女は!」

状況に応じて肉体の一部を変化させ、戦い方を変える。

魔女にしては、かなり異質な存在だった。

魔女が唸りながら鉤爪を振り下ろす。

振り下ろす先にいるのはエンペラーキバ。

だがキバは避けない。

それどころか、真っ向からザンバットソードで受け止めた。

「クッ!」

キバの足が地面にめり込む。

「ハァアアアアア!ハァ!」

そして、魔女に比べ小さい体で魔女の攻撃を押し返した。

「今だ!力を合わせろ!」

キバットバットU世が叫ぶ。

「フンッ!」

魔女の体にジャコーダーが巻きつく。

「今だ!渡!やれ!」

その言葉を聞き、渡はザンバットバットからウェイクアップフエッスルを外し、キバットに咥えさせる。

「ウェイクアップ!」

結界にフエッスルの音色が鳴り響く。

ザンバットバットによって研がれたザンバットソードの刀身が赤く光る。

ザンバットバットを元の位置に戻し、キバが高く飛び上がった。

そして、魔女が拘束から解き放たれるが、既にキバは目の前まで迫っている。

結果、為す術も無く魔女は上空から真っ二つに斬られた。

キバが着地し、ザンバットバットを再び動かし、元に戻す。

ザンバットソードの刀身が元に戻り、魔女が爆散した。

結界が消え、グリーフシードが落ちる。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:21:55.36 ID:XuGZKu1so
マミ「グリーフシードゲット、と」ヒョイ

太牙「そういえば、魔女はどうやって生まれてるんだったかな」

マミ「キュゥべえやほむらさんの話だと、魔法少女が魔女になるというのと、
   使い魔が人を喰らって魔女になるの二種類だと思います」

太牙「つまり、ライフエナジーを吸収し、生きているということか。魔族と何ら変わらないな」

マミ「ええ。あと、魔女や使い魔に狙われやすいのは精神的に弱っている者が多いです」

渡「人の弱みに漬け込んで、自分の方へおびき出し、それを喰らうってやり方だね」

マミ「そうです」

太牙「ところで使い魔が魔女になるには何人ぐらい喰らう必要があるんだ?」

マミ「具体的な人数は分かりませんけど…多分4、5人は必要かと。でもそれがどうかしたんですか?」

太牙「いや、使い魔に遭遇してもグリーフシードを得られる方法が思い浮かんでな」

マミ「…もしかして、他人を犠牲にするつもりですか?」

太牙「なにか勘違いをしているな。俺達は人間との共存を目指している。人間を犠牲にするなどもってのほかだ」

マミ「じゃあどういう意味です?」

太牙「それは明日のお楽しみだな」

渡「兄さんがやりたい事って、アレでしょ?」

マミ「アレ?」

太牙「渡には分かるか。ああ、お前の思ってる通りだよ」

渡「確かにアレなら誰かの犠牲なしに使い魔を成長させられるね」

マミ「えっと…アレってなんですか?」

太牙「明日のお楽しみといっただろう?」

マミ「なんだかよくわかりませんけど、とにかく無関係の人が犠牲にならなければそれでいいです」

太牙「楽しみに待っててくれよ?」
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:22:29.32 ID:XuGZKu1so
―杏子&橘&始―

始「自己紹介する必要があるか?」

杏子「いやー、あたしあんたの名前と正体ぐらいは橘から聞いたけど、あんたはあたしの事知らないだろ?」

始「おい、橘。どういう事だ?」ギロ

橘「しょうがないだろ。剣崎の事を話すとお前の事が必ず出てくる」

始「チッ。あまりこのことは他人にバラしたくないんだがな」

杏子「まあまあ、あたしは気にしねえよ?」

始「ハァ…お前の名前は何だ?」

杏子「佐倉杏子だ。よろしく」

始「ああ、よろしく頼む」

杏子「それにしても始はなんであたしより前にいるんだ?」

始「ん?なんとなく進んでいるだけだ」

杏子「いやいや、何気に結界に近付いているから逆に驚きだよ」

始「この町から感じる気配を読んでいるだけだ」

橘「俺もたまにこの町の妙な居心地に襲われることがあるな」

杏子「そうか?普通の町だろ?」

始「魔法少女と言ってもやはり人間か…」

杏子「?」

始「ここに何か居るぞ」

杏子「結局、始が見つけやがった。まあ、此処に魔女の結界があるよ」

橘「そうか、なら行くぞ!」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:22:57.92 ID:XuGZKu1so
―結界内―

始の腰に『カリスベイル』が現れる。

橘はギャレンバックルにカードを入れ、ベルトが体に巻きつく。

始がカテゴリーA『チェンジマンティス』のカードを持ち、橘も変身ポーズを構える。

「「変身!」」

その声と共に、橘はバックルのレバーを引き、始はカードをベルトにラウズさせる。

『Turn Up』『Change』

橘の前にはオリハルコンエレメントが出現し、体がそれを通るとギャレンへの変身が完了する。

一方始は、肉体が変化し、ハートスートのカテゴリーAマンティスアンデッド、通称『カリス』への変身が完了する。

「それじゃああたしも、派手に行くぜぇ!」

ソウルジェムをかざし、素早く魔法少女に変身する。

「さーて、一稼ぎしますかねえ!」

杏子が走りだす。

「おい、待て!」

始が杏子の後を追う。

「全く…話し聞いてたか?」

橘も呆れながら2人の後を追うことにした。
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:23:26.35 ID:XuGZKu1so
最初に杏子が無駄に突っ走ったが特に問題なく魔女のいる場所までたどり着いた。

「で、あたしはどうすればいいんだ?」

杏子が首を傾げる。

「俺達に任せろ。お前の出番はないさ」

始が言った。

「ま、任せるよ」

珍しく大人しく従う杏子。

「始、行くぞ」

魔女のいる部屋に入る。

魔女の見た目は左腕に盾のようなものが付いている。

そして下半身は車輪のようなものが付いていた。

「何だ…あの魔女…」

杏子が魔女の姿を見て唖然としている。

「こんな魔女は初めてだ。始、様子を見ながら戦うぞ」

橘もかなり警戒している。

「当たり前だ。馬鹿みたいに突っ込む奴があるか」

始もこの魔女がいつもと違うのは十分に分かっていた。

「来るぞ!気をつけろ橘!始!」

杏子が叫ぶ。

見ると、何処から出したのかわからない剣のような物を振りかざしながら魔女が向かってきた。

3人はそれぞれ別の方向に避ける。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:24:29.84 ID:XuGZKu1so
人は距離をとるが次の瞬間、魔女に異変が起こった。

盾のようなものが車輪に変わり、四つん這いになるようにして見た目を変えた。

パッと見では人面バイクとも言える姿をしていた。

「おいおい、マジで初めてだぞ。こんな魔女」

杏子の一言の後、魔女が始に向かって突撃した。

「クッ」

始がかろうじて避ける。

だが、魔女はまだ始を狙っている。

魔女がその場で旋回し、再び始に向かって突撃した。

しかし始も二度も同じ手を喰らうほど愚かではない。

カードを一枚取り出し、カリスラウザーにラウズさせた。

『REFLECT』

カリスの体の周りにバリアが発生する。

魔女はそのまま突っ込むが、カリスには何のダメージもない。

それどころか、突っ込んだはずの魔女のほうが吹き飛ばされた。

「始!これを使え!」

大きな隙ができ、橘が一枚のカードを始に投げ渡す。

始はそのカードを受け取り、それとは別にカードを二枚出した。

そして、その三枚のカードをラウズさせる。

『GEMINI』『TORNADO』『DRILL』
『SPINING DIVIDE』

本来ならありえないはずのコンボが発生した。

カリスが二人に分身し、その二体がスピニングアタックを魔女に決める。

魔女が爆発し、結界が消える。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:25:01.35 ID:XuGZKu1so
杏子「よし、グリーフシードゲット」ヒョイ

橘「このまま二週間、順調に集めていきたいところだな」

始「そうも行かないだろう。この町は使い魔も大量に潜んでいるんだ」

杏子「ほむらが言ってたから仕方ないけど、使い魔は任せるよ」

橘「そもそも、君が無駄に突っ込み過ぎなんだ」

杏子「じっとしてるのは性に合わなくてね」

始「フォローする俺達の身にもなってくれ」

杏子「ごめんごめん。でも感謝してるよ。こんなあたしの為に頑張ってくれて」

始「お前のためじゃないさ。俺は剣崎が残そうとしたこの世界を守る。その為に戦ってるんだ」

杏子「守りたいものを守るためか…あたしはそれを自分で壊しちまったよ」

始「ならもう一度探せばいいさ。自分の守りたいものをな」

杏子「お前、優しいな」

始「俺は人間が好きだ。誰かと笑い、泣き、そして生きていく。
   ジョーカーだった頃の俺には考えられなかった」

杏子「お前もなんか凄い生き方してんだな」

始「今更のことだ。じゃあ俺は帰る。明日もよろしく頼む」

杏子「じゃあな、始」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:25:33.34 ID:XuGZKu1so
―ほむら&名護&陸月&五代―

ほむら「このメンバーだと今さら自己紹介する必要もないわね」

名護「見事に知り合いだけ集まったな」

睦月「でもいいじゃないですか」

五代「特に気を使う必要もないしね」

ほむら「ところで、五代雄介。貴方の手に持っているものは何?」

五代「これ?まあクウガになった後で必要かなって思って」

名護「見たところ、警棒のようにも、バイクのアクセル部分にも見えるが」

五代「大体その解釈であってますよ。これは俺のバイクの起動キーみたいなもんです」

睦月「どんなバイクなんです?」

五代「未確認と戦ってたときに警視庁からもらったバイクだよ」

ほむら「警察が貴方の為に?」

五代「まあ、警察にも結構頼られてたからね」

名護「そのバイクはまだ君が持ってるのか?」

五代「警察に返そうと思ったんですけど、それは君のものだって言われて返してないから今もポレポレに置いてありますよ」

睦月「BOARDも大概だけど、警察もすごいなあ」

名護「青空の会もなかなかのものだぞ」

ほむら「お喋りはお終いにするわよ。魔女の結界があるわ」

名護「そうか」

ほむら「行くわよ。着いてきて」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:26:16.70 ID:XuGZKu1so
―結界内―

睦月がレンゲルバックルにカードを入れるとベルトが体に巻きついた。

名護はイクサナックルを取り出し、手のひらに当てた。

『レ・ディ・イ』

待機音が鳴り響く。

そして五代が自分の腹に手をかざすと、服の上にベルトが現われた。

「貴方は他のライダーと少し違うのね」

ほむらが五代を見て言う。

「まあ、俺のは古代の力だしね」

リントが創り上げた超科学。

それがクウガのベルトであった。

3人はそれぞれの変身ポーズをとりながら、

「「「変身!」」」

『フィ・ス・ト・オ・ン ラ・イ・ジ・ン・グ』『Open Up』

名護にイクサが装着された直後にライジングイクサに、睦月の前にはスピリチアエレメントが出現する。

睦月の体をスピリチアエレメントが通ると、睦月の体をレンゲルクロスが包む。

レンゲルの左腕には、専用の『ラウズアブゾーバー』が装着されている。

五代の方はベルトから何かの回転音のような音が聞こえ、姿が変わった。

仮面ライダークウガ・マイティフォームが現われた。

残ったほむらも魔法少女へと変身を始める。

「…変身」

誰にも聞こえないように、つぶやいた。

そして、魔法少女の姿へ変わった。

「行くぞ!」

名護が走り出し、残った者がその後を追う。
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:27:08.44 ID:XuGZKu1so
こちらメンバーも他のメンバーと同じく、もしくはそれより早く魔女のいる場所にたどり着いた。

「さすがに三人だと早いな」

使い魔を仮面ライダー三人で蹴散らして来たのだ、遅いはずがない。

「早く決めましょう」

ほむらが魔女のいる部屋に入った。

ライダー達もあとに続く。

だが、四人の動きがそこで止まった。

魔女の結界の最深部で四人が見たのは二体の魔女。

一体は右腕が異常に発達しており、もう一体は左脚が異常に発達しているというアンバランスな形をしていた。

「ほむらちゃん、あれの対処法は」

名護がほむらに聞く。

「わからないわ。今までの時間軸であんな魔女見たことが無いもの」

ほむらも見たことのない魔女だった。

何処か一箇所だけ異常発達しているどころか、一つの結界に魔女が二体存在してる事自体初めての事だった。

「君の体験してきた世界にはないイレギュラーということか」

仮面ライダーと同じように、今までにないイレギュラーだった。
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:27:46.00 ID:XuGZKu1so
「来ますよ!」

五代が叫び、魔女の方を見る。

二体の魔女が四人に向かって走ってくるのが分かった。

四人はそれを回避する。

ライダー達が反撃しようと振り向くが既にそこには魔女はいなかった。

「何!?」

名護が驚いたような声を出す。

そして次の瞬間、四人の体が吹き飛ばされた。

「何だ!?あの魔女!?」

睦月が叫ぶが、それはこの場に居る全員が同じ考えだった。

魔女の姿が見えた、だが動き出すと見えなくなった。

「超高速移動…」

見たところ、魔女の動きが速すぎて通常では捉えることができないようだ。

「速過ぎるだろ…!!」

名護がイクサのモニターから魔女を索敵するが、処理が追いつかない。

「こうなったら…」

ほむらが能力を発動させようとすると、

「ほむらちゃん!銃貸して!」

五代がほむらに向かってそう言った。

その言葉を聞き、ほむらの動きが止まった。

ほむらは意味がわからなかったが、ひとまず言われた通りに五代に銃を投げ渡した。

五代がそれを受け取る。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:28:20.00 ID:XuGZKu1so
「よし!超変身!」

そう言いながら、変身ポーズをとると、クウガの姿が変わった。

赤かった体が緑に変わり、その直後に金色の装飾がはいった。

「緑のクウガ…」

ほむらは五代の言っていた緑色のクウガを思い出す。

50秒間だけ全身の神経が研ぎ澄まされ、見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえるようになる姿だった。

「あれなら…」

ほむらがつぶやいた直後に、五代に渡した銃に異変が起こった。

みるみるうちに形が変わっていき、ボウガンの形になった。

そして、ボウガンのレバーを引いた。

クウガはそこから動かず、耳に手を当て、何かをさがすような素振りを見せる。

十秒ほど経った後、五代が動きを見せた。

「そこか!」

他の者には見えない何かを感じ取り、何もいない場所へライジングペガサスボウガンを向ける。

クウガが引き金を引くと、弾丸となった封印エネルギーが銃口から三連射された。

そして、それまで見えなかった魔女に初めて攻撃が当たった。

右腕の魔女の動きが止まり、その場で動かなくなった。

「よし!」

魔女が動かなくなったのを確認し、クウガが緑の金から赤に戻る。
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:29:05.08 ID:XuGZKu1so
「あと一体だけだな」

名護がそう言った直後に脚の魔女の動きが止まった。

脚の魔女が動かなくなった腕の魔女へ近づくと突然、腕の魔女を食い始めた。

ほむらも見ていて気持ち悪くなってくる。

「今がチャンスだ!」

名護が叫ぶ。

確かに、今なら魔女を簡単に倒せるだろう。

だが、攻撃を始める前に魔女が共食いを終えた。

そして、上半身は普通だった魔女の体に異変が起こる。

腕の魔女のように、右腕が異常発達し始め、右腕と左脚が異常に発達した形になった。

そして魔女は再び高速移動を始めた。

「そっちがスピードならこっちはパワーだ!」

睦月が叫び、左腕のレンゲル専用ラウズアブゾーバーから二枚のカードを取り出す。

そしてそのうちの一枚をラウズアブゾーバーに入れた。

『Absorb Queen』

そして、残った一枚をスラッシュリーダににラウズさせた。

『Fusion Jack』

その音声の後、レンゲルの姿が変わった。

強化変身し、レンゲルジャックフォームへ姿を変えた。

レンゲルがジャックフォームへ変身しため、レンゲルラウザーも強化された。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:29:35.13 ID:XuGZKu1so

「動きが速いならこいつでどうだ!皆さん、伏せてください!」

レンゲルが鎖のついた鉄球を何の目標も決めず滅茶苦茶に振り回す。

すると、その鉄球が魔女に当たり、魔女の動きが止まる。

「今だ!」

レンゲルはそのまま魔女を縛り上げ、ラウズカードを取り出しラウズさせる。

『BLIZZARD』『RUSH』『POISON』
『BLIZZARD VENOM』

コンボが発動し、レンゲルが魔女に向かって突っ込む。

そして、冷気を伴ったレンゲルラウザーを魔女に突き立て凍らせた。

さらにポイズンの効果で魔女に猛毒が流し込まれる。

「でぇえい!」

魔女にレンゲルラウザーを押しこみ、魔女が叫び声のようなものをあげながら消滅する。

魔女が倒されたことにより、結界が消え、グリーフシードが落ちる。
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/04(日) 21:30:28.51 ID:XuGZKu1so
ほむら「二体の魔女が居たのにグリーフシードは一つしか落とさない」

名護「二体で一体の魔女、というわけだな」

睦月「ある意味ハズレクジを引いた感じが…」

五代「なかなか手強かったね」

ほむら「私の経験した時間軸の中にもいない魔女だったわ。
    もしかするとマミや杏子も今までに見たことのない魔女と戦ってるかもしれないわ」

名護「まあ、大丈夫だろう。渡君の強さは分かっている。
    彼の力と彼の兄、太牙の二人ならどんな敵でも倒せるさ」

ほむら「随分と信頼しているようね」

名護「渡君は俺の弟子だったからな」

ほむら「過去形ね」

名護「今の彼は自分の生きたい道を歩んでいる。
    それを黙って見届けるのも師匠の役目だ」

五代「話が変わるけど、ほむらちゃん」

ほむら「何?五代雄介」

五代「君、魔法少女に変わるときに『変身』って呟かなかった?」

ほむら「!?き、気のせいよ」

五代「そうかなあ…?」

名護「とにかく、今日は解散しよう」

睦月「明日は何処へ?」

五代「ほむらちゃん家でいいんじゃない?」

名護「それでいいだろう。全員、明日も頼むぞ」

ほむら「ええ。さよなら」
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/04(日) 21:32:53.93 ID:XuGZKu1so
本編投下終了

オリジナル魔女のモチーフは…わかりやすいように描写してます。
別になんでも良かったんですけど作りやすかったたのが今回出てきた魔女たちでした。

レンゲル弱フォームはSIC参考に適当に妄想してください。


次からさっき作った小ネタ。
437 :ちなみに本編とは全く関係が無いです [saga sage]:2011/09/04(日) 21:33:57.90 ID:XuGZKu1so
現在、巴マミはプラモデルを作っている。

いわゆるガンプラという物だ。

マミ自身はガンダムには詳しくはなかった。

暇な時間を潰すためにプラモデルを作っているだけであった。

が、少しづつ興味を持ち始め全作品を見たがその事は今は関係ない。

一人で時間を潰せるものを探していたときにデパートで目についたのがガンプラであった。

既にプラモデルを作り始めて数年。

最初の方は素組をするだけで満足していたが最近では多少の改造までしなければ気が済まなくなってきていた。

そして今、HGUCデンドロビウムに挑戦している。

HGUCデンドロビウム。

1/144というサイズでありながら全長は1メートルを超えるHGシリーズでも最大級の大きさを誇る。

もちろん、そのサイズに合った値段をしていて定価29,400円もする。

本体となるガンダムGP03ステイメンは既に完成した。

ただしこの場合の完成は素組が終わったということである。

そしてこの商品の目玉とも言えるデンドロビウムに取り掛かる。

こいつを作るために大型のプラモデルをいくつか作って練習をした。

HGSEEDシリーズミーティア
HG00シリーズGNアームズTypeE・TypeD
HGUCクシャトリア

この4つはHGシリーズの中でもかなりの大きさ、パーツ数を誇る。

デンドロビウムを作るための練習としても丁度良かった。

精密ニッパーを使ってランナーを切り、ゲート処理用ニッパーでゲートを切る。

残ったゲートはデザインナイフを使って切り落とす。

パーツをしっかりと持ち、ナイフの射角と力の入れ具合を考え、ゲートを切り落とす。

そして…

「きゃああああああ!指に!キュゥべえ!絆創膏持ってきて!」

指に深々とデザインナイフの刃が刺さった。

プラモデラーにはよくあることである。

「やれやれ、君が一人で集中したいって言ったから静かにしていたのに。そもそもそれぐらい魔法で直せばいいじゃないか」

「そ、そうだったわ!」

魔法を使い、指の怪我を治す。

「ふぅ…さて、続けるわ。今日はデンドロビウムの素組が終わるまで寝ないわよ!」

「全く、人間の考える事はわけがわからないよ」

こうして、マミの休日は過ぎていく。


みんなも刃物の取り扱いには気をつけよう!
438 :ちなみに本編とは全く関係が無いです [saga sage]:2011/09/04(日) 21:37:35.00 ID:XuGZKu1so
ロストアンク「ルイス!」
ほむら「沙慈!」

ウルトラマンゼロ「俺がガンダムだ」
アカレッド「僕こそが真のイノベイターだ!」
デラツエイガー「今の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!」

ホスト「ロックオン・ストラトス、目標を狙い打つぜ!」

ショウ「貴様のような奴は屑だ!生きていてはいけない人間なんだ!」


絢子「てゆうかここは何処ですか〜」

キバット「やれやれ、またハルヒの奴の仕業か」



木場「来週の土曜日に、555クロスを立てる予定なんだ
    その場合、ここのURLを載せるべきか、載せないべきか」

たっくん「読者からの意見を参考にその事を決める。
      つっても、こっちにはちゃんと向こうのスレのURLを載せるがな」

草加「薄汚いオルフェノク共は置いといて、次の投下は水曜夜9時頃からだ」


      ゴキッ
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/04(日) 21:42:55.60 ID:fPJcbNN5o
最後のはアレか


「ロ→ケッ↑ト→オン↓」「ド↑リ↑ル→オン↓」した『宇宙、キタァーッ!』かなwwwwwwwwwwww


ゴーカイのナレはドモン(タイムイエローじゃないヨ)、フォーゼのナレはシロー(兜甲児の弟じゃないヨ)でガンダム主人公コンビ(ついでにオーレンジャーでのライバル同志)なんだよね


URL貼りはやっても良いと想いますよん
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 22:12:22.23 ID:F4GRT091o
さじってロストアンクだったのか初知
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/05(月) 02:22:37.24 ID:2zz8uf43o
2番目のはアクセル?それしかわからなかった

ムッキージャックキター
でもエレファントだから飛行能力無いんだよな・・・フロート()
キングフォームにも期待

URLは別に貼っても大丈夫かと
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 02:44:49.99 ID:mnAsX/Mho
乙。
マミさんとこはエクシードギルス、あんこのとこはアクセル、ほむら達の所はキックホッパー&パンチホッパー、
ホッパー戦でクウガペガサスでクロックアップ破るのはDCDのオマージュかな。
>>1でアギトとカブトがクロスしているような表記があるけど本家は出るのだろうか。
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 13:42:56.46 ID:NP6Zcvu1o
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 13:43:29.76 ID:NP6Zcvu1o
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 13:43:59.06 ID:NP6Zcvu1o
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 13:49:41.86 ID:NP6Zcvu1o
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 14:13:58.69 ID:NP6Zcvu1o
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 14:19:59.91 ID:1ZydMkrRo
地獄兄弟だったのか
二体で一体のって言うからあれかと
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/06(火) 09:26:18.06 ID:iWQM7OKD0
>>443-448昆虫モチーフなだけにガタキリバしとる・・・
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/07(水) 21:22:39.62 ID:amAIrSCWo
>>449
待て。もしかすると最初の投稿以外がワームだという可能性も…
アンチミミック弾を用意しろ!

>>442
その通りです

ただし、このスレでの魔女の能力は『クロックアップシステム』ではなく
魔力で強化した動体視力でも追いつけない高速移動という設定です

…いや、設定だからね?

それとアギト、カブトのクロスについては別に書いている作者さんがいるので出さないということです
残念ながらアギトの方はHTML化しちゃいましたが


投下開始
ちなみに今回もオリジナル魔女が登場
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:23:24.72 ID:amAIrSCWo
ほむらと別れた後、名護達はBOARDに向かっていた。

ライダー達で集まるのならあの研究所しか無いという理由だった。

だが、名護達の後ろでドサッと何かが倒れるような音がした。

「グアッ…!ハァ…ハァ…ガァッ!」

一番後ろを歩いていたの五代だった。

だが様子がおかしい。

腹のあたり…ベルトが浮き出る部分を抑えて悶えている。

「大丈夫ですか!?」

「睦月君!早く彼をBOARDに連れていくぞ!」

―BOARD―

名護達が戻ると既に橘が帰ってきていた。

五代の様子がおかしいと伝え、レントゲンまで撮った。

そして、10分程たって五代が目覚めた。

「五代君…君は…」

「見ちゃいましたか…」

一年前、自分がクウガだとは話した。

だが、その力の源が自分の体に大きな負担をかけているとは伝えてなかった。

「五代…お前の体は…」

「ええ、わかってます」

五代のレントゲン写真。

腹にある異物…アマダムから無数の神経細胞が伸びているのが分かる。

そしてその神経は11年前と比べ明らかに太く長く伸びている。
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:23:53.47 ID:amAIrSCWo
今回の激痛は11年のブランクだけではない。

五代自身の体に異変が起こり始めているのだ。

今回の戦闘も、金の力を使うつもりはなかった。

しかし、五代の意思とは関係なくフォームチェンジをした瞬間にライジングフォームを使っていた。

とてもわかりやすい異変だった。

「俺の体は俺が一番分かっています」

「なら…」

変身をやめろと言うつもりだった。

「でも、やめませんよ」

「五代さん。貴方は!」

睦月が思わず声を張り上げる。

「言いましたよね。俺は皆の笑顔を守るために戦うと」

「だが君は…」

「俺しか居ないならやるしか無い。だって俺クウガだし」

12年前沢渡桜子に言ったことと同じ事を言う。

あの時から五代の考えは変わっていない。

「クウガである以前に君は君だ。もっと自分のことも気にしろ」

「まあ、考えておきます」

飽く迄考えておく。

そういう奴は大抵、考えていない。

「あと、このことはほむらちゃん達には言わないでください」

「ああ、彼女達に話してしまうと間違いなく遠慮してしまう」

「んじゃ、俺はこれで」
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:24:22.82 ID:amAIrSCWo
ほむらの自宅の前に見慣れた人物がいるのが分かった。

「まどかにさやか。貴方達、帰ったんじゃなかったの?」

魔女狩りをするといった後で確かに帰したはずだ。

しかし何故か、二人はほむらの前にいる。

「いやー、何かね」

「わ、私が言ったの。ほむらちゃんちに戻ろうって」

何やら事情があるらしい。

「まあいいわ。上がって頂戴」

4月下旬とはいえ流石に外で長時間話すような気温ではない。

その上、ほむらは先程まで魔女退治をしていて汗もかいている。

あまり体を冷やしたくなかった。


「それで、どうして此処にいるの」

ほむらは2人に尋ねる。

「ほむらちゃんは…別の世界の私との約束を守るために戦ってるって言ったよね?」

「ええ、あいつ…キュゥべえにに騙されてるバカな自分を助けて欲しいって」

まどかと交わした約束。

それを忘れず、一ヶ月の時間を何度も繰り返した。

「じゃあ、此処にいる…私自身とも約束して!」

「絶対に、ワルプルギスの夜を倒して、みんなで仲良く暮らせるように帰ってきてね」

「ええ、約束するわ」

2つ目の約束が出来た。

だが問題ない。

この世界なら、どんな困難が待ち受けていようとも乗り越えられる。
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:24:57.26 ID:amAIrSCWo
「なかなか面白い事を言ってるね」

3人以外の声が部屋に響く。

ほむらは直ぐ様変身し銃を向けた。

「その物騒なものを降ろしてほしいな」

「…」

ほむらは無言のまま銃を下ろさない。

「まどかと契約しに来たわけじゃないんだ。五分でいいから聞いてよ」

「…」

銃を下ろし、変身を解除した。

「話というのは君の能力とワルプルギスの夜についてだ」

ほむら達は黙って話を聞く。

「君が今まで見た世界に仮面ライダーは存在しなかった。つまりイレギュラーな存在だ」

「そのイレギュラーが出た以上、ワルプルギスの夜も君が戦ったものとは比べ物にならない力を持っているはずだ」

インキュベーターの言う通りかもしれない。

だが、仮面ライダーがいる限りそんな者は障害になるとは思えなかった。

「まあ、ワルプルギスの夜については此処までだ」

「なら早く消えなさい」

「まあ、そう急かさないでよ」

出来れば殺したかったがほむら自身こいつの死体を自宅に置いておくのは嫌だった。

「まどかについてのことだけど…君のおかげでまどかは最高の素質を得ることが出来た」

「何が言いたい…」

「魔法少女の素質はその者が持つ因果が大きく関係しているのは分かってるはずだろう?
  一国の女王ならともかく一般市民であるまどかがどうしてこれほどまでに大きな力を持つことが出来たのか…」

インキュベーターの言いたいことは分かる。

だが、それに何の関係があるのだろうか。

「まさか…」

「分かったみたいだね。そうだよ、君が世界を繰り返すたびにまどかに因果が集中しその力を強くしていった」

「でも関係ないわ。この世界じゃまどかが契約する必要はない。仮面ライダーが存在する限りね」

「ま、そう思いたければそうでいいよ。じゃ、僕はこれで失礼するよ」

そう言って、インキュベーターは再び何処かへ消えた。

「ねえ、ほむらちゃん。さっきの話って…」

「貴方達は何も聞かなくていい。大丈夫、この世界なら」

そう、この世界なら。

仮面ライダーなら、目の前に立ちはだかる全ての物を破壊し道を切り開いていく。

ならばほむらも、仮面ライダーと共にその道を切り開いていくだけだ。
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:25:25.97 ID:amAIrSCWo
あれから色々なことがあった。

上條恭介が学校に復帰し、すぐさま学年全体に恭介とさやかが付き合っているという話が流れ、

以前から恭介に好意を抱いていた仁美を慰めるためのパーティーを開き、
最後の方にはパーティーなど忘れたようにカラオケ大会をしていたりした。

仁美もひと通り騒いだらある程度すっきりしたらしく、今ではさやかと恭介の仲を弄りたおしているようである。

尤も、もはや2人の関係は教師まで公認している仲であり早乙女先生は
『教え子に先を越された…』と呆然とした様子で言っていた。

しかし、2人は手を繋ぐまでしかしていないらしく、その事について仁美と先生が中心となって弄っているようである、

仁美は別としても、先生は大人気ないと周りの生徒からも言われている。

魔女退治に関しては、ワルプルギスの夜の前日に収穫を報告するということで
グリーフシードがどれぐらい集まっているかは聞かないことにしている。

そして、五代が『やっぱりほむらちゃんって変身って呟いてるよね』と言ったのをきっかけに
マミも杏子も『変身』と言い始めた…らしい。

正直、かなり恥ずかしい。

戦闘にさやかから貰ったグリーフシードのおかげで少しの余裕があった。

名護啓介や五代雄介、上城睦月に自分がどのような能力を使っているかを体験してもらった。


そして、ワルプルギスの夜襲来前日になった。
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:25:52.86 ID:amAIrSCWo
―ワルプルギスの夜襲来前日―

二週間前に集まったメンバーで再びほむらの家に集合した一同。

「さて、この二週間でどれだけのグリーフシードが集まったかしら」

ほむらが仕切る。

「あたしらから報告するよ」

そう言って杏子がポケットからグリーフシードを取り出した。

「あたしらはなんか使い魔が多かったからな、未使用が3つしかないよ」

「お前が突っ込みすぎるのも悪いけどな」

始が杏子の頭をコツンと叩く。

「はは、ごめんごめん。反省はしてるよ」

笑いながら言う。

「私は…ちょっと後にして」

マミが言った。

「まあいいけど。じゃあ私の番ね」

ほむらがテーブルの上にグリーフシードを置く。

「私も杏子と似たようなものよ。4つしか集まらなかったわ」

「本当はもう一つあったが彼女の能力を3人のライダーが確かめたからな、仕方がない」

名護が補足を入れる。

あの日以降、3人がほむらと協力し、どのような能力かを体験してきた。

「ほむらの能力が特殊すぎんだよ」

マミや杏子に比べて、極めて特殊な方に特化したほむらの能力。
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:26:20.56 ID:amAIrSCWo
「まあいいわ。それじゃあ最後にマミ。貴方達が集められたグリーフシードはいくつ?」

テーブルの上には杏子の分を合わせて7つ。

「まさか一つもないとか言わないよな」

杏子が笑う。

「ちょっと待って。よいしょっと」

そう言ってマミがグリーフシード…いや大きな袋をテーブルの上に置いた。

「何ですかそれ」

さやかが袋を見て尋ねる。

そしてマミが袋を開けると、その中から大量のグリーフシードが出てきた。

「全部で20個あるわ」

マミがその数を言う。

「「はあ!?」」

ほむらと杏子の声が揃った。

「いやいや、待て。まあ、13個ってのなら話は分かる。
 たまたま、毎日魔女に当たって全部がグリーフシードを落としったってことだ」

「でもありえないでしょ。どれだけの強運よ」

杏子とほむらは驚きを隠せない。

「ちょっと、裏技を使ったのよ」

「そこからは俺達が説明しよう」

太牙が話に入ってくる。
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:26:49.02 ID:amAIrSCWo
「まず、使い魔も力を蓄えればやがて魔女になる…というのは知ってるよな」

マミに聞いた事を全員に確認する。

「まあ、知ってるけど…」

魔法少女としての基本知識の一つだ。
知ってないはずがない。

「じゃあ、使い魔はどうやって力を蓄える?」

「そりゃあ、人間を食ったり…って、てめえら!もしかして人間を食わせたのか!」

杏子が怒鳴り声を上げる。

「杏子、落ち着いて。そんな事を私がさせると思う?」

マミが杏子を落ち着かせる。

「…確かにな」

どうにか落ち着いたようだ。

「でも、本当にどうやったの?」

ほむらが尋ねる。

「魔女や使い魔は人間の魂…ファンガイアをこれをライフエナジーと言うが、それを喰らうのだろう?
 そこで、俺達の技術の登場だ」

「そうか!ライフエナジーに変わる、新エネルギーを使い魔に食わせたのか」

事情を知っている名護が答えを出す。

「そうだ。まあ、その時の話でもしよう」
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:27:41.31 ID:amAIrSCWo
―暁美家に集まった翌日―

マミ「すいません遅くなりました!」ペコリ

渡「まあ、学生だししょうがないよ」

太牙「じゃあ、結界を探してくれ」

マミ「はい!」

〜探索中〜

太牙「試したいことがあるからな。できれば使い魔に出会いたい」

マミ「試したいことって?」

太牙「俺達ファンガイアは人間のライフエナジーを吸収して生きていた。
   と言っても今は別のエネルギーの開発に成功したからな」

マミ「なるほど…それでそのエネルギーを使い魔に食べさせて魔女に成長させるってわけですね」

太牙「成功するとは限らないがな」

渡「成功したらラッキーぐらいでちょうどだよね」

マミ「確かに、成功するとも限りませんしね」

太牙「そういう事だ」

マミ「…渡さん、太牙さん。結界です」
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:28:07.40 ID:amAIrSCWo
―結界内―

「これは…魔女じゃないです」

結界の雰囲気から魔女のものか使い魔のものかは分かる。

「運がいい…とも言えないが、試してみるか」

結界の中で、使い魔を見つけた。

「こいつを食らえ!」

そう言って使い魔に近づき、注射のような物を打ち込む。

打ち込んだあとは、反撃をくらわないように下がる。

「ライフエナジーで言うなら4人分ぐらいだ。成功すれば魔女になるだろう」

太牙が言った直後に使い魔の姿が変わり始める。

3人は黙ってそれを見続ける。

そして、使い魔が魔女に変わった。

暗い色を基調とする魔女には珍しく、その姿はオレンジ色に輝いているように見える。

そして魔女の姿は両腕が鋏の様になっており、蟹にも見える姿だった。

「成功だな」

太牙が呟くが既に魔女は3人に狙いを付けている。

マミはそれを横へ、渡と太牙は変身していないにも拘らず驚異的な身体能力でそれを躱す。

「「キバット!」」

2人が同時にキバットを呼ぶ。

「キバッて、行くぜ!」

「行くぞ、太牙」

2人がキバットを持ち、自分の手に噛み付かせる。

「ガブッ」「ガブリッ」

2人の顔に模様が浮かび上がり、

「「変身」」

その声と共に2人の姿が変わる。

闇のキバ、キバが現われた。
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:28:34.20 ID:amAIrSCWo
「黄金の鎧はどうした」

太牙がキバフォームのままの渡に問いかける。

「あっ、忘れてた」

素で忘れられていた。

「お前なあ…まあいい。そのままやるぞ!」

「うん!」

2人のキバが蟹に向かって走る。

蟹も鋏を振り上げて向かってくるが、突然転んだ。

「今です!やってください!」

魔法少女に変身したマミがリボンで蟹の脚を縛ったのだ。

「一気に決めるぞ!」」

2人はウェイクアップフエッスルを取り出し、キバットに咥えさせる。

「ウェイクアップ!」「ウェイクアップ・2」

キバが大きく脚を振り上げる。

キバットが脚の拘束具を開放し、キバ、ダークキバが高く飛び上がる。

「「ハア!」」

そして、今だに転んでいる蟹に追い打ちをかけるように、必殺技を決める。

蟹が蹴られた後、地面に巨大なキバの紋章が浮かび上がる。

蟹が倒され、結界が消える。

そして、グリーフシードが落ちた。
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:29:03.46 ID:amAIrSCWo
〜回想終了〜

マミ「まあこんな事があったのよ」

太牙「あまりに早く倒しすぎて、一日に二体狩れる時があったからな」

渡「それで、色々やってたらこんなに集まってたってわけ」

ほむら「なにそれ、反則でしょ。私達のところなんて初日に一つの結界に魔女が二体いたのにグリーフシードは一つだったわよ」

杏子「ほむらも妙なのに当たってんなあ」

橘「俺達もいままで見たこともない魔女に当たったが、二体の魔女はないな」

名護「それも、高速移動で全く姿を捉えられなかった」

五代「まあ緑のクウガと、睦月君とでなんとか倒したけどね」

睦月「あの魔女は気持ち悪かったです。一体倒したらもう一体が死んだほうを食い始めて」

ほむら「思い出したくないわ。私が見てきた中でもマミが魔女に食われたりしてたけど、あれほどじゃなかったわ」

マミ「私食べられたの?」

ほむら「まどかやさやかを連れて、魔法少女体験コースというのをやってて、仲間ができる嬉しさに魔女に油断。
    私と名護啓介が倒したあの変な魔女に食われたわ」

マミ「なにやってるのよ、別の世界の私…って言いたいところだけどわからないこともないわ」

まどか「え?わかるんですか?」

マミ「私も一ヶ月とはいえ一人で戦ってたのよ。その時の寂しさは今も忘れてないわ」

ほむら「前にも言ったけど、誰も私の言うことなんて信じなかったから、貴方を助けようにも助けられなかった」

マミ「ごめんなさい」

ほむら「貴方が謝る必要もないわ。ちゃんと協力しようと思わなかった私にも責任がある」

マミ「やっぱり優しいわね。ほむらさんは」
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/07(水) 21:29:31.90 ID:amAIrSCWo
「で、全部で27個のグリーフシードが集まったわけだが、こいつをどう分ける」

名護が尋ねた。

「これだけ多ければ全員9個ずつでいいと思うわ」

昨晩インキュベーターに言われたことも気になるが、これだけあれば問題ないと判断する。

「戦闘中はソウルジェムの濁り方に気をつけて。隙を見てこまめに回復するのよ」

魔力の出し惜しみをしている場合ではないが、使い方には注意しなければならない。

戦闘中に魔女になっては元も子もない。

「あたしだって、まだ死ぬ気じゃねえよ」

「私もよ。最後まで戦い抜く。そして、生きる」

杏子もマミも、インキュベーターの思い通りになるきなどない。

「よかったわ。私も同じ気持ちよ」

もちろんほむらもだ。

インキュベーターが何を言おうと知った事ではない。

この場にいる全員で協力してワルプルギスの夜を潰す。

その為に、これまで頑張ってきたのだ。

「じゃあ、今日は明日に備えてゆっくり休みなさい」

名護が言った。

「明日この世界の運命が決まる。奴に勝つわよ」

全員が頷いた。
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/07(水) 21:33:44.80 ID:amAIrSCWo
投下終了

魔女がわりと始めの方から『蟹』と表記しているのはわざとです

ファンガイアのライフエナジー云々ですけどあれって動植物なら何でもいいんでしょうかねえ?
一応人間も動物や植物から栄養=ライフエナジーを吸収してるって設定ですけど

ファンガイアにはそれじゃ足らないってことですかね


そして次回、ワルプルギスの夜との戦い…ではなく
番外話『決意』
描き直さない限り、魔法少女は出てきません

日曜夜9時頃から投下予定
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 21:42:24.25 ID:hfIS/QOHo
追記

予定通り土曜に555スレ建てます
一応夜9時から10時の間です
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/07(水) 21:48:32.54 ID:/6OkNevSo
お疲れ様でした
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/08(木) 03:12:30.94 ID:Jl/RYN2oo
おつ

どっちも楽しみに待ってるエンペラーじゃないとは・・・やっぱり蟹だな
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 12:51:37.26 ID:GU1xiO11o
てす
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/08(木) 13:15:10.26 ID:vEkFORbKo


最近見つけたけどまどかとライダーって結構あるんだな
ディケイドとか気になるじゃないかくそう
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/08(木) 16:52:10.29 ID:NKkTQavao
ウルトラ・戦隊に比べてライダーがダントツで多いのは……
やっぱり闇に生きるヒーローだから?


ゴセイナイトがマミさん助ける漫画しか知らんからなぁ
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 23:06:55.04 ID:McD7ejbPo
平成になってからは闇に生きるイメージは無いな
闇に生きるヒーローって言われると牙狼とか思い浮かぶ
単に人気と便利さ、絡ませ易さだと思う
五人六人と出さなくていいし、巨大戦もしなくていいし
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/09/09(金) 01:31:29.71 ID:BWvYN+Efo
>>470
そもそも特撮SS全体で見た時に、ライダーのSSの分母が戦隊やウルトラに比べると桁違いだから…
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/11(日) 21:16:32.04 ID:WyyLuScqo
555スレ建てたよー
"さやか「魔法少女と魔女。そして、オルフェノク」"
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315657800/


SSでもなんでライダーばっかりなんでしょうね

VIPでもライダースレはあるのに戦隊スレはないし
ただしあそこはライダースレという名のニチアサ+特撮スレですけど

ディケイドクロスは『士「ここがまどか☆マギカの世界か」』でググるとまとめとか出てくるはず


前回の蟹戦についてはダークネスムーンブレイクを使いたかっただけ
キバの必殺技の中で一番カッコイイわ、アレ

投下開始
今回魔法少女は出てこず、見なくても問題ないかも
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/11(日) 21:17:00.08 ID:WyyLuScqo
―同日 ポレポレ―

店の中には、五代雄介と、別の男がいた。

「いつ日本に戻ってきてたんだ?五代」

古くからの友人のように男が五代に尋ねる。

「三ヶ月位前ですよ。ゴタゴタしてて連絡できませんでした」

同じことを橘たちにも言った。

「そうか。それで沢渡さんも呼んでるんだろ?」

「ええ。一条さんと桜子さん。二人には話しておいたほうがいいかなって」

一条…それが男の名前だ。

すると、ポレポレの扉が開いた。

「ごめん!遅くなった!」

入ってきたのは三十路ぐらいの女性。

「いらっしゃい。桜子さん」

「俺もそれほど待っていませんよ」

女性の名前は『沢渡 桜子』

「そうなんだ。五代君、コーヒー頂戴」

一条と桜子、二人とも、五代の知り合いだ。

「はい、雄介ブレンド」

五代が桜子の前にコーヒーを置く。

桜子がそれを啜る。
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/11(日) 21:17:36.34 ID:WyyLuScqo
「それで、話って何だ?」

一条が五代に聞く。

「絶対に止めないでください」

最初に言っておいた。

「俺…もう一度、究極の闇になります」

そして、本心を話した。

桜子の動きが止まり、コーヒーを机においた。

「どういう事?もう戦わなくてもいいんでしょ?」

桜子としては、五代にこれ以上戦ってもらいたくなどなかった。

「そうだ、君がそこまでする理由が何処にある」

一条とて同じだ。

二人は五代がどんな思いでグロンギと戦ってきたかを知っている。

だからこそ、もう一度『究極の闇』になると言っている五代を止めたかった。

「グロンギとの戦いの時に俺言いましたよね。これ以上、誰かの涙を見たくないって」

それが五代を突き動かし、グロンギと戦ってきた理由だった。

「出会っちゃたんですよ。悪の為に涙を流している子を。
 そして、俺はその子を助けたい。俺の他にも沢山の仲間がいます」

ほむらを救いたい。

それが、五代がもう一度『究極の闇』になると言わせた原因だった。
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:18:22.02 ID:WyyLuScqo
「仲間…君の言っていた名護啓介という男か」

話には聞いていた。

名護啓介という男が仮面ライダーを名乗り、魔法少女というものと共に化物と戦っていると。

「はい。これまでにない、強大な敵が迫っているんです。そいつはとても強くて、だから…」

「しょうが無いなぁ…五代くんがそこまで言うなら私はもう止めない」

五代が言い終える前に桜子が五代の気持ちを受け止めた。

「君は一度決めると止まらないからな。俺も言うことはないさ」

一条も桜子と同じ気持だ。

「でもひとつだけ約束して」

桜子が条件を出した。

「絶対に帰ってくること」

0号の時のように、必ず帰ってくる。

それが桜子の出した条件だった。

そして、五代は

「大丈夫!だって俺、クウガだし!」

そう言って、笑顔でサムズアップをする。

一条と桜子、二人もそれにサムズアップで返す。

これで、五代が言いたいことは終えた。
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:18:52.71 ID:WyyLuScqo
―BOARD―

上条睦月が電話を取り出し、電話帳から一人の人物を探し出す。

そして、その人物に電話を掛けた。

1コール、2コール、3コール。

そして、4コール目に目的の人物が出た。

『もしもし?どうしたの?睦月から電話かけてくるなんて』

相手は『山中 望美』

睦月の彼女だ。

「いや、なんか望美の声が聞きたくて」

正直怖かった。

もしかすると、自分がワルプルギスの夜との戦いで命を落とすかもしれない。

そう考えると橘でも、杏子でもない、別の誰かに支えてほしくて望美に電話した。

『何それ。変な睦月』

望美が電話越しに笑う。

「ありがとう」

本当に声が聞けただけで、心が安らいだ。

『ちょっと、悪いものでも食べた?』

望美が本気で睦月の心配をしている。

「大丈夫だよ。ちょっと寝不足かもしれないけどちゃんとご飯は食べてるって」

この二週間はかなり忙しかった。
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:19:22.46 ID:WyyLuScqo
『そっか。無理しないでね』

「うん」

残念ながら、その約束はできない。

だが、望美を心配させないように頷いた。

「じゃあね。今度暇があったらそっちに行くよ」

ワルプルギスの夜を倒すことができれば、きっと暇ができる。

その時、自分が生きていれば、望美に会って自分の元気な姿を見せたかった。

『うん、じゃあね。睦月も仮面ライダーとしても、頑張ってね』

望美がそう言い終えると、電話を切った。

ベッドの上に倒れこむ。

「ふう…あのグリーフシードだけじゃ足りない。橘さんは完成したって言ったけど、実験してないし…」

色々考えていると眠くなってきた。

「いや、成功する。絶対にあの子達を救う。そして、剣崎さんも…」

その言葉の後が続かない。

すでに熟睡していた。
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:19:52.11 ID:WyyLuScqo
―ハカランダ―

相川始はベッドに寝そべっていた。

(明日…あの子達の運命が決まる…)

三人の少女の命。

その命が明日どのような運命を迎えるかによって話が変わる。

(いや、勝つ。剣崎が運命と戦うといったんだ。俺も戦わなくてどうする)

そう考えていると、ドアがノックされた。

「始さーん、入っていい?」

栗原天音の声だ。

「うん。入っていいよ」

ドアが開き、天音が始の部屋に入ってきた。

「ねえ始さん。あしたも夕方から居なくなるの?」

ここ二週間、夕方からよく居なくなっていた始。

天音や遥香には何の説明もしていなかった。

もちろん、彼女たちの事を心配してのことだ。

「ごめん、天音ちゃん。明日は朝から居ない」

ワルプルギスの夜は普通の魔女とは違う。

活動時間も同じだ。

「一応書置きはしていくけど、遥香さんに伝えておいてくれ」

朝早くから出かけなければならない。

「…うん。晩ご飯までには帰ってくるよね?」

「ああ。絶対な」

指切りをする。

天音ももう17歳だ。

正直、あんまりそんなことをする年には見えないが、始はどうでも良かった。

明日は決戦。

ジョーカーアンデッド、相川始は人間を守るために戦う。
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:20:25.23 ID:WyyLuScqo
―日本―

魔女の結界の中にジョーカーアンデッドが居た。

魔女の姿は頭はクワガタのようで、胴体はカマキリのような腕がついており、脚はバッタのような姿だった。

「はぁ…これで何体目だよ…」

ジョーカーが愚痴をいう。

日本に入って既に5体は魔女と出会っていた。

しかも、目的の場所に近づけば近づくほど頻繁に出てくるようになっている。

「いい加減にしろ!」

魔女が鎌を振り下ろすが、ジョーカーはそれを剣で払いのけ、魔女を切り刻む。

分身した偽物らしく、まだ20体ほど残っている。

「こいつで!」

手当たり次第に斬っていくと残っていた全ての魔女が消滅した。

魔女が消え、結界も消える。

その場に残ったジョーカーは人間の姿に戻る。

「はぁ…なんか嫌な感じだなあ…」

人間に戻ったジョーカー…剣崎一真は妙な雰囲気を感じとっていた。

「なんかがあそこに向かっている」

そう言って、遠くを見つめる。

少し遠いが、その目線の先にある町は『見滝原』

アンデッドの反応を追って、剣崎は全く知らない土地まで来ていた。

「早く真実を確かめないとな」

まだ名も知らぬ町、見滝原に向かって剣崎は走りだす。

これが、誰かの運命を大きく変えることになる。
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:20:56.01 ID:WyyLuScqo
―見滝原市 ホテル―

渡と太牙は見滝原市のホテルで自分の体を休めていた。

「ねえ、兄さん」

渡が寝そべったまま太牙に話しかける。

「何だ」

「明日、絶対に負けられないね」

太牙は体を起こし、

「勝つさ、俺達が」

負ける気などさらさらない。

どんな敵が相手であろうと、兄弟なら絶対に勝てると信じていた。

「そうだね。僕達が守らないと」

居なくなった未央ために、この世界を守る。

「なんだなんだ?渡、キバッていこうぜ〜」

キバットがいつもの調子で渡に話しかける。

「大丈夫だよ、キバット。僕は、いや、僕達は絶対に勝つよ」

「おう、その意気だ」

この世界を守る。

人間として、仮面ライダーとして。
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:21:28.97 ID:WyyLuScqo
―BOARD―

橘朔也は一枚の写真を見つめていた。

その写真に映っているのはかつて共にアンデッドと戦ったメンバーだ。

その写真に映っているものは皆、いい顔をしていた。

「剣崎…お前は今何処で何をしているんだ」

あの日から、剣崎の姿を見ていない。

最後に見た始ですら、剣崎の行方がわからないのだ。

「俺がお前を救ってみせる…」

救えなかった小夜子とは違う。

絶対に剣崎を救う。

それが、今の橘を突き動かしているものだった。

「だが、その前にワルプルギスの夜を倒さないとな」

そう、明日全てが決まる。

剣崎を救う前に、三人の少女たちを救ってやらなければならない。

「こいつを持っていくべきか…」

そして、ケースの中に入れた。

これで、明日の準備はできた。

後は体を休めるだけだ。

ここ二週間、色々やり過ぎた。
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/11(日) 21:22:29.04 ID:WyyLuScqo
―名護家―

名護啓介は恵と向かい合っていた。

先程からこの姿勢のまま両者動かずだった。

そして、ようやく口を開く。

「明日は大事な日なんだ。世界の運命が明日決まる」

名護が恵に話したいことを話し始める。

「魔法少女を救うためでもある。だから…えっとだな…その…」

うまく言葉が出てこない。

「ちゃんと戻ってくること。ま、貴方の場合心配いらなさそうだけど」

恵が言った。

「啓介。貴方が魔法少女のために頑張ってるのは知ってる。
 でも、貴方を心配している人もいるってことを覚えておいて」

恵は名護が動のような人間か知っている。

だから、何があろうと絶対に帰ってくるように言ったのだ。

「…ああ。絶対だ。必ず勝って戻ってくる」

ワルプルギスの夜を倒し、魔法少女達を救う。

そう、決意した。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/11(日) 21:26:35.65 ID:WyyLuScqo
投下終了

桜子さんや一条さんが結婚しているかは特に決めてないです
ただ結婚してないとなると桜子さん[ピーー]歳ですけど大丈夫か?


次回からワルプルギスの夜戦に入ります

最終話『絶対に貴方のもとに戻ってくる』
次の投下は水曜夜9時頃から


向こうのスレは火曜か土曜日どっちにしようか迷ってます
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/11(日) 21:27:06.48 ID:d8larzKbo
お疲れ様でした
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/11(日) 21:36:27.24 ID:fW04zt5so
乙です




……剣崎くん、残り一体しか居ないアンデッドの所に向かったらまずいんじゃない?
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/11(日) 22:50:29.15 ID:FkSkuW1s0
乙でした

……あれ、ジョーカーアンデッドってウヴァさんのことだたっけ?
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/12(月) 02:51:22.48 ID:iRJg818AO
乙ですた。
今更だが、ワルプルさん強化フラグか……


関係ない事だけど、某太陽の王子って平成元年まで放送が食い込んだんだよな。

主は王子は平成ライダーに含めていいと考えますか?
俺は違うと思うけどなっ!!(チラッチラッ
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 02:58:50.13 ID:Podgv9+so
シン「平成ライダーです」
ZO「平成ライダーです」
J「平成ライダーです」
G「平成……ライダーです」

キュゥべえ「騙したつもりはないよ?」
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/12(月) 18:45:11.05 ID:ZIojSREI0
ウヴァプルギスの夜
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/12(月) 21:05:51.85 ID:QfzMVjv+o
最終話のアレか
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/13(火) 23:32:02.14 ID:WGD5BA9Fo
ウヴァさんだと途端に勝てる気がする!ふしぎ!
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/14(水) 21:43:47.36 ID:quDakBU5o
>>488
アーッエ!は出さない
それに見てない

>>489
あんた達はG以外ネオライダー枠です
Gは…お前は駄目だ

前回剣崎と魔女との戦闘
○<フン、俺の実力だ!
ケンジャキ「ウェーイ!」(メダルを割る音)
実際はガタキリバだけどいいよね


剣崎は始がヒューマンの姿を使って変身しているのと違い、
人間からアンデッドになったイレギュラー

ジョーカーから人間の姿に戻ることができるのもそのおかげ

そして本能をある程度は理性で抑えつけるのが可能
13体エヴォリーションでもない限りは暴走することは少ない…という設定です


投下開始
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:44:15.94 ID:quDakBU5o
その日、見滝原市は静まり返っていた。

その日は突如巨大な台風が接近し、市民は全員避難していた。

すでにホールには大勢の人達で溢れかえっていた。

しかし、その中に『暁美ほむら』『巴マミ』の姿はない。

「ほむらちゃん…」

まどかがボソリと口に出す。

ほむら達はワルプルギスの夜を倒すために戦闘準備をしていた。


―同日 AM6:00 暁美家―

「もう一度確認するわ」

ほむらの家にはまどかとさやかを除く、魔法少女関係者が集まっていた。

「奴の出現予測地点はここ。そして奴をこっちの方向へ押し出す」

ホワイトボードに貼りつけた地図に線を書き込む。

「3チームがそれぞれ全力を出して奴を迎え撃って」

ほむらが全員に確認する。

「押し出した後はどうするんだ?」

名護がほむらに聞く。

「倒す。それだけよ」

「分かっていたよ」

分かりきっていたことだが、もう一度、その気持を確認しておきたかった。

「私の能力が持つのは、私がインキュベーターと契約する直前まで。
 戦闘開始から、およそ2時間が限界だと思うわ」

その時間を超えると、ほむらは時間停止が出来なくなる。

「それまでに決着を付けるさ」

橘が言った。

「じゃあ、行くわよ」

魔法少女3人、仮面ライダー7人の決戦が始まる。
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:44:45.31 ID:quDakBU5o
―マミ&渡&太牙―

3人が空を見上げると、そこにいるのは逆さまに浮かんで笑っているワルプルギスの夜。

初めて見るワルプルギスの夜に3人は言葉が出なかった。

だが、いつまでも見続けているわけにはいかない。

「キバット、タツロット」

「来い、キバット」

渡と太牙、2人がキバット達を静かに呼ぶ。

「やばい雰囲気が漂ってくるが、キバっていくぜ!」

「勝ちますよ!絶対にね!」

「ワルプルギスよありがたく思え。俺達が相手してやる」

3体の下僕はいつもとは違う雰囲気を感じながら飛んできた。

2人がキバット達を掴み、手に噛み付かせた。

「ガブッ」「ガブリッ」

2人の顔に模様が浮かび上がる。

マミもソウルジェムを取り出し、

「「「変身」」」

3人の声が重なり、それぞれが変身した。

エンペラーキバ、ダークキバ、そして魔法少女がワルプルギスの夜に立ち向かうために立ち上がった。

「絶対に勝つ。キュゥべえ、貴方の思い通りにはいかないって事を証明してあげる」

マミが呟いた。

「来るぞ!」

戦闘を開始した。
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:45:20.95 ID:quDakBU5o
―杏子&橘&始―

「とうとう来たな」

杏子がワルプルギスの夜を見てつぶやく。

「アレがワルプルギスの夜か…確かに普通の魔女とは違うな」

始も何かを感じとっていた。

姿形だけではない。

もっと別の、巨大な何かがワルプルギスの夜に集まっている。

「だとしても、勝たなければならない。剣崎を救うためにもな」

「当たり前だ。行くぞ」

橘がカードをセットし、始の腰にカリスベイルが浮かび上がる。

杏子もソウルジェムを構え

「「「変身!」」」

『Turn Up』『Change』

3人の姿が変わり、ギャレン、カリス、魔法少女が降り立った。

「ほむらを救うためにも、お前をぶっ潰す」

杏子が槍を構え、ワルプルギスに言った。

橘がラウズアブソーバーから2枚のカードを取り出し、1枚を差し込む。

『Absorb Queen』

そして、もう一枚をラウズした。

『Fusion Jack』

カテゴリーJ、フュージョンピーコックの力を使った、ギャレンジャックフォームへ変身した。

「行くぞ!」

マミ達に続き、こちらも戦闘を開始した。
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:46:00.60 ID:quDakBU5o
―ほむら&名護&陸月&五代―

ほむらは言葉が出せないでいた、

絶望ではない、歓喜に似た感情が胸の奥から込み上げてくる。

今まで自分を苦しめてきた奴を倒せることに対する気持ちだった。

「行くぞ、他はもう戦闘を始めている」

名護が言った。

「ええ、必ず奴を倒す」

ほむらはソウルジェムをかざした。

五代と睦月は別のことを考えていた。

変身していないとはいえ、2人はいつでも戦闘を始めることができた。

そして、仮面ライダー3人が変身を始める。

『レ・ディ・イ』

(一条さん…見ててください…俺の…)

(絶対戻ってくる…剣崎さんを救うためにも俺は戦う)

「「「「変身!」」」」

ほむらも今回ばかりは叫ぶように変身した。

『フィ・ス・ト・オ・ン ラ・イ・ジ・ン・グ』

名護の体にイクサが装着され、すぐさまライジングイクサへ変わる。

『Open Up』

睦月の体にレンゲルクロスが装着される。

そして、五代の体は今までのような赤い体ではなく、4本角の赤い目を持つ黒い体。

仮面ライダークウガアルティメットフォームへ変身した。

他2組に続き、ほむら、名護、睦月、五代が戦闘を開始する。


ほむらの能力使用不可まで残り約2時間。
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:46:32.98 ID:quDakBU5o
ほむらはまず、牽制の意味も込め、名護から貰った強化ライフルでワルプルギスを狙う。

通常の銃から考えられないような反動が来るが、魔法少女には関係ない。

弾丸は風の抵抗など全く受けずにワルプルギスの夜まで辿り着くが、効いているようには見えない。

「チッ」

すぐさま全弾撃ち切り、ライフルを投げ捨てた。


五代雄介の頭にベルトからのイメージが映し出される。

見せられたイメージは黒いクウガが各色の武器を使う姿。

その意味を即座に理解し、ほむらが投げ捨てたライフルを拾った。

手にした直後にライフルの形状が変わり、ライジングボウガンへと変化する。

レバーを引き、封印エネルギーを射出する。

ワルプルギスの夜に全段ヒットし、ワルプルギスの膨大な魔力に反応したのか、エネルギーが爆発する。

「よしっ」

確実にダメージが与えられている。

この調子なら、奴を倒せるに違いないと五代は確信した。


イクサとレンゲルはビルの屋上を飛び交いながら、ワルプルギスにダメージを与えていた。

イクサはほむらがライフルを捨てたのを見た。

(やはり効かないな)

ある程度予測はしていたが、ワルプルギスは強い。

「名護さん!来ます!」

睦月の叫んだ後に、ワルプルギスの使い魔が2人を襲う。

ワルプルギスの使い魔とはいえ、たかが使い魔ごときにやられる2人ではない。

すべて切り裂きながらワルプルギスへと向かう。

イクサがイクサライザーを乱射する。

この二週間の間に急ピッチで性能を上げたためか、反動が凄い。

体が飛ばされそうになるが、踏ん張って耐える。

「こいつを食らえ!」

『BLIZZARD』『STAB』

レンゲルがレンゲルラウザーでワルプルギスを斬りつける。

こちらも確実にダメージを与えられている。


名護と睦月もワルプルギスを倒すのに時間はかからないと確信する。
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:47:02.20 ID:quDakBU5o
―杏子&橘&始―

『BULLET』『FIRE』

ギャレンが上空からワルプルギスを狙う。

「どりゃあ!」

『TORNADO』

杏子が槍でワルプルギスを斬りつけ、カリスがトルネードを使い、ワルプルギスを射抜く。

致命傷になるような攻撃はないが、ワルプルギスにダメージは与えられている。

(気のせいだったか…だが、あの感じは…)

始はワルプルギスの夜を見たときに感じた何かが気になっていた。

「始!前見ろ!」

杏子に言われ、前を見ると、ワルプルギスの攻撃が目の前まで迫っていた。

ラウズカードを使う時間もなく、その攻撃を正面で受ける。

カリスが地面に打ち付けられる。

「始!」

橘も上空からその様子を見ていた。

カリスが落ちた場所に瓦礫が落ちる。

通常の人間なら助からないであろう。

だが、瓦礫が動き、その中から再び姿を見せる。

「アンデッドが、死ねるものか」

しかし、その姿はカリスではなく、本来の姿『ジョーカー』だった。

ダメージによってカテゴリーAとの融合が解けてしまったようだ。

「変身」『Change』

再びカリスに変身する。

反撃を開始する。
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:47:28.27 ID:quDakBU5o
―マミ&渡&太牙―

キバがタツロットの角【ホーントリガー】を引く。

ルーレットが回転し、止まった。

「ドッガフィーバー!」

キバの手にドッガハンマーが握られ、タツロットを柄尻に接続する。

「カチャ」

こんな時にでもタツロットは自分で効果音を言う。

キバがドッガハンマーを構え、タツロットの口に球体状のエネルギーが集まる。

それをドッガハンマーで野球のボールのようにワルプルギスに向かって打つ。

ワルプルギスにエネルギーが直撃し、表面を削る。

ファンガイアなら既に倒せている攻撃だが、流石は最強の魔女。

ダメージは与えられているが、怯む気配がない。

「ティロ・フィナーレ!」

マミが必殺技『ティロ・フィナーレ』を放つ。

こちらも致命傷にはならないが、ワルプルギスにダメージは通っている。

「ウェイクアップ・1」

ダークキバがワルプルギスを殴る。

キバの紋章が浮かび上がるが、こちらも致命傷になっていない。

「これだけのダメージを与えてまだ動いているとはな」

敵ながら褒めてやりたくなる。

「だが、倒させてもらおう。人間とファンガイアの共存のためにも!」


思ったより順調に事は進んでいる。

ただそれが、いつまで続くか。
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:48:27.37 ID:quDakBU5o
戦闘開始から20分が経過していた。

10人の猛攻により、ワルプルギスの夜の進行ルートは大幅にずれていた。

そしてついに、ワルプルギスの夜を海上へ押し出した。

(このままケリを付ける!)

確実な手応えをほむら達は感じていた。

このままワルプルギスの夜を倒せるとさえ思っていた。

だが、海上に押し出したワルプルギスの雰囲気が変わった。

「そんな…」

今までの戦闘で与えた傷が修復している。

それだけではない、ワルプルギスの周りに結界のようなものまで発生していた。

「どういう事だ!」

名護が叫ぶ。

「私だって分からない…ただ、この世界のイレギュラーであることは確かよ」

(インキュベーターの言っていたこと…あれが…)

インキュベーターが言っていたイレギュラー。

ワルプルギスの夜の強化だった。

元々、ほむらが世界を繰り返すうちにまどか、ワルプルギスに因果が集まり、それぞれを強くしていた。

ただ、この世界はそれとは別に『仮面ライダー』が現われたことによりイレギュラーが発生した。

クウガがボウガンを放つ。

だがそれは本体まで辿りつかず、結界によって全て防がれてしまった。

「ならこいつで!」

クウガが手をかざす。

すると、ワルプルギスの夜が突然燃え始めた。

しかしそれも効いているようには見えず、数秒で消えてしまった。

ワルプルギスによる反撃が始まった。
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:48:59.16 ID:quDakBU5o
「なんだなんだ!なんか急に強くなりやがって!」

杏子が槍で結界を斬るが傷一つつかない。

『TORNADO』『DRILL』『FLOAT』
『SPINING DANCE』

カリスがスピニングダンスを放つが、これも結界に阻まれワルプルギスにダメージを与えられない。

「こいつでどうだ!」

ギャレンが3枚のカードをラウズさせる。

『KICK』『THUNDER』『MACH』
『LIGHTNING SONIC』

前日にケースに入れておいたスペードスートのラウズカードを使い『ライトニングソニック』を放つ。

マッハの効果により猛スピードでワルプルギスに蹴りを入れる。

だがこれも結界にすらまともなダメージが与えられていない。

(これがあの時に感じた気配の正体か!)

始はあの時の違和感がなんだったのかを理解した。

(あの子の言っていた俺達『仮面ライダー』が誕生したことにより、こいつを強くしてしまった)

違和感の正体はワルプルギスの強さ。

自分達の存在がワルプルギスを強くしてしまったことに気づいた。

「こいつを喰らいな!」

杏子が叫び、地面から巨大な槍が出現する。

しかし、それもワルプルギスの結界を破るには至らない。

「並大抵の攻撃じゃ通用しねえ」

先程の攻撃で膨大な魔力を消費したため、ひとまず引き下がることにした。

「あんなのが相手じゃグリーフシードが足りねえ。もっと別の方法でアレを何とかしなきゃな」

グリーフシードを使いソウルジェムを浄化し、杏子は再びワルプルギスに向かった。
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:49:35.91 ID:quDakBU5o
「ティロ・フィナーレ!」

マミがティロ・フィナーレを放つがこれもワルプルギスの結界に阻まれ、ダメージを与えられない。

「なんてバケモンだ!」

ベルトにぶら下がっているキバットもワルプルギスが強くなったことに驚きを隠せない。

(どうする…アレを使えば奴を倒せるだろう…だが、この町ごと吹き飛ぶ…)

太牙は迷っていた。

海上へ出た途端、ワルプルギスが強くなったのは事実だ。

それ故に、今このメンバーで奴を倒せる自身がない。

『ウェイクアップ・3』を使えば、ワルプルギスを結界ごと吹き飛ばせるであろう。

だが、それをやってしまうと太牙自身の体どころか見滝原市やその周辺の町にまで被害が及ぶ。

自分の体だけならまだしも周りの者まで巻き込んでしまう。

それだけは絶対に避けたかった。

「渡!力を合わせるぞ!」

「うん!」

キバがホーントリガーを引き、ダークキバがウェイクアップフエッスルを使う。

「ウェイクアップフィーバー!」「ウェイクアップ・2」

2人のキバが飛び上がり連携技『ダブルムーンブレイク』をワルプルギスに叩き込む。

300トン以上の衝撃がワルプルギスを襲うがやはり結界に阻まれダメージが通らない。

それどころか、結界にすらダメージがまともに通ってないようにも見える。

(どうする!どうすれば奴を!)

ワルプルギスの夜の攻撃は止まない。

それどころか強くなってきている。


ほむらの能力使用不可まで残り1時間30分。
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:50:05.35 ID:quDakBU5o
―見滝原市民避難所 Side:まどか―

『本日未明、突如発生した台風○号は日本を横断するように進行しており…』

まどかの母、絢子が携帯のワンセグ機能を使ってニュースを観ている。

しかし、電波が悪いのか突然受信しなくなってしまった。

「だあー!何もこんな時に来なくてもいいのにねえ」

絢子の楽しみは会社で働くことでもあるため、これだけの被害を与えた台風に苛立っていた。

「たまにはゆっくりできていいんじゃない?」

父、知久が絢子に言った。

(ほむらちゃん達大丈夫かな…)

まどかはほむら達が戦っているであろう方向を見つめる。

「どうしたまどか。具合でも悪いのか?」

周りから見ればぼーっとしていたように見えたらしい。

絢子がまどかのことを心配してくる。

「いや…大丈夫だよ」

本当はほむら達が心配でたまらないが家族に心配をかけるわけにもいかない。

『まどか。暁美ほむら達が心配かい?』

インキュベーターの声が頭に響き、視線を下げるとすぐ傍に居た。

「キュゥべえ…」

「かなり苦戦してるみたいだ。僕が案内してあげるよ」

ほむらには絶対に来るなと言われていたが、これを聞くと動かずにはいられない。

「ママ、私トイレ行ってくる」

適当な理由をつけ、その場を離れる。

家族に嘘を付くことに若干の抵抗があったが、それよりもほむら達の事が心配だった。
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:50:41.13 ID:quDakBU5o
―見滝原市民避難所 Side:さやか―

「なんかすごいことになっちゃたね」

恭介が言った。

「うん。しかも今日突然できたって噂でしょ。ありえないっしょ」

さやかは台風の正体を知っている。

だがそれを恭介に話す気はない。

話したところでどうにかなるわけではない。

ほむら達の問題だ。

そしてさやかもほむら達が心配であった。

「ここまでは私の計画通り…ククク…」

「降臨、満を持して…」

隣にはホスト風の男どもが訳のわからないことを口走っている。

(はぁ…変なところに陣取っちゃたな…まあ恭介が近くにいるからマシだけど…ん?)

さやかが何かを見つけた。

「まどか?それに…」

「鹿目さんだ。何処に行ってるんだろう」

やっぱり恭介にはまどかしか見えていない。

さやかの目にはまどかの足元にいるインキュベーターがしっかりと映っている。

「ごめん、恭介。私用事できた」

「さ、さやか!?」

そう言ってホールの外に出たまどかを追う。

魔法少女に関わったのだ。

恭介のことも心配だが、友達であるほむらも心配だった。

此処に入れば恭介は大丈夫だと考え、まどかを追うことにした。
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:51:17.93 ID:quDakBU5o
―見滝原市民避難所 廊下―

まどかはキュゥべえについて行き、ほむら達の場所へ行くつもりであった。

「何処に行くつもりだ」

すると背後から声が聞こえた。

「ママ…」

絢子だった。

「なにか隠してるみたいだがなバレバレだっての。なんの用があってのことかわからんが此処に居ろ」

流石は母親。

まどかが嘘を付いていることなど全部お見通しである。

「でも…私、行かないと…」

それだけ、ほむら達の事が心配だった。

絢子の静止など振り切りたかった。

なんとも言えない空気がこの場を支配する。

だがその空気をぶち壊すかのような声が聞こえる。

「おーい!まどかー!」

さやかがこっちに向かってきた。

「さやかちゃん!?」

絢子が驚いた。

さやかがまどかの傍に来た。

「置いて行くなんて酷いじゃん」

まどかが出て行くのを見てその後を追ってきたのだ。

「まどかのママさん、ごめんなさい。私達行かなきゃいけないんです」

さやかが絢子を見つめ、そして頭をさげる。

「おばさんが何と言っても私達は止まりません」

さやかの心は既に決まっている。

だからこそ、上条恭介を置いてきた。

絢子は溜息をつき、やれやれといった形で手を顔に乗せた。

「いつの間に成長したのかねえ…いいよ。行ってきな」

「ありがとう!ママ!」

絢子の許しが出た。

「ただし!」

だが条件付きで、であった。

「夕飯までにはもどってこい。それだけだ」

「うん!行こ、さやかちゃん!」

さやかの手を引き、ほむら達のいる場所まで向かう。

これが後にどのような影響を与えるか。
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:51:45.51 ID:quDakBU5o
―見滝原市―

「あれがワルプルギスの夜だよ」

キュゥべえが言った方を見ると、上空に浮かんでいるワルプルギスが見えた。

「あんなのとほむらちゃん達は戦ってるの?」

今まで何体か魔女は見てきたが、あそこまで巨大な魔女は見たことがなかった。

「そうだよ。それに進行ルートがズレてからワルプルギスの夜も強くなったみたいだね」

「なら早く行かないとね。まどか!」

さやかが走りだす。

「ま、待ってよ!」

まどかもその後を追い、ほむら達のいる場所へと走る。

―――――――――――――――――

―――――――――――――

――――――――――

ワルプルギスとの戦闘開始から既に1時間以上の時間が過ぎた。

九つあったグリーフシードも既に八つ使ってしまい、残すところ一つとなっていた。

「うおりゃあ!」

クウガがライジングロッドを槍のように投げる。

ロッドが結界に突き刺さり、すかさずライジングボウガンで追い打ちを入れる。

だがそれも全くの無意味であった。

そしていつの間にか離れて戦っていた別のチームも同じ場所へと集まってきている。

ついに、一ヶ所に集まってしまった。

「全員で力を合わせろ!」

名護が叫び、それぞれの最大の力を込め、ワルプルギスに放つ。

しかし、結界を突き破るには至らない。

依然として、打つ手なしといった状況だった。
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:52:15.01 ID:quDakBU5o
ワルプルギスの夜の攻撃が10人を襲い、仮面ライダーたちの変身が解けてしまう。

カリスはダメージによりジョーカーに戻るが、すぐさまスピリットを使い、相川始に変身する。

まるでほむら達を嘲笑うかのようにワルプルギスの夜の声が見滝原に響く。

「なんて奴だ…!」

名護が体を起こそうとするが、先程の攻撃で体が動かない。

名護だけではない。

ほむら達魔法少女、その他の仮面ライダーたちも体を満足に動かすことができない。

すると、この場にいる仮面ライダーでも、魔法少女でもない声が聞こえた。

「ほむらちゃん!名護さん!それに他の皆も!」

まどかだった。

いや、まどかだけではない。

さやかとインキュベーターもいる。

「カッコ悪いねえ。ま、そんなもんだね」

キュゥべえがほむら達を見て言った。

「どうだいまどか。魔法少女と仮面ライダーが協力してもワルプルギスの夜は倒せない」

ほむらは歯を食いしばるが言い返せない。

今この状況から、何をやっても奴は倒せないであろう。

「ここでさやかが契約しても何の意味も持たない。ただ犬死するだけだ」

さやかの素質自体は低いものではない。

だがまどかに比べると遠く及ばない。
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:53:05.21 ID:quDakBU5o
「だけどまどか。君は違う。君が望めばこの状況を変えられる。だからまどか、僕と契約して魔法少女になってよ!」

確かにまどかが契約すればこの状況をひっくり返せる、

だがそれは破滅への道でもあった。

「駄目…そいつの言うことを信じちゃ…」

ほむらがまどかに言う。

「キュゥべえ、私…」

「駄目だまどかちゃん…」

名護も体を動かし契約を阻止しようとするが動けない。

「魔法少女に」

「だめだよ、まどか!あんたがここで魔法少女になったら!」

さやかも必死に止める。

そして、絶望への言葉が…

「ならない」

放たれなかった。

「え?」

「えっ」「何?」

その場に居た者全員が驚きの表情をみせる。

もちろん、インキュベーターも例外ではない。

「いやいや、僕の話を聞いてたかい?」

焦っているようにも見える。

「聞いてたよ。だけど、私は魔法少女にならない」

しっかりとキュゥべえを見据え、はっきりと言い切る。

「魔女が絶望なら、魔法少女と仮面ライダーは希望なんでしょ」

魔法少女も絶望すれば魔女になるが、魔法少女である限り希望は持ち続けている。

「希望は絶望には負けない。どんなに夜が深くても日はまた昇る。それとおんなじだよ」

飽くまでも魔法少女と仮面ライダーを信じる。
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/14(水) 21:53:50.26 ID:quDakBU5o
「だって私はほむらちゃんも、名護さんも。ううん、皆を信じてる。絶対にワルプルギスの夜に勝つって」

すると、名護が痛む体を無理して立ち上がる。

「そうだ、俺は…いや、俺達は世界の希望。輝く太陽のように、決して消えることはない」

グロンギとほぼ同じ体である五代が立てていないのだ。

名護の体にも激痛が走っているだろう。

だが名護はそのままで言葉を続ける。

「インキュベーター…貴様に言っておく。正義の心は永遠に不滅だ!」

見えていないインキュベーターに向かって完全に言い切った。

だがその時、まどかとさやかに向かってビルの破片が飛んできた。

「危ない!」

名護が2人に駆け寄ろうとするが、やはり体にダメージが残っているのか、その場で転んでしまった。

(体が自由に動かない…!)

ほむらの能力も間に合わない。

「まどか!」

さやかとまどかは抱き合い、自分達の死を覚悟し、目をつぶった。
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/14(水) 22:01:10.15 ID:quDakBU5o
投下終了

戦闘描写短い…
キャラが多いのも有るんですけど、それは私の責任です。私が弱いから、未熟だから
この…兎に角お返しします

今回と次回でワルプル戦は終わらせ、その次の投下でエピローグをやって本編は終わりです
本編が終わった後どうしようかと思ってます

1.そのままHTML申請をして落とす
2.ちょっとした過去編をやる

2の場合今のところ候補がこちら

過去編キバ
ネオファンガイアとの戦い『ライズアップ・皇帝の戦』

過去編魔法少女1
巴マミの参観日

過去編魔法少女2
巴マミと佐倉杏子のバレンタイン

一番上は魔法少女とは関係なしのネオファンガイアとの戦いの一部

2.3番目は日常編
だがそれが書けるか不安


次回の投下は日曜夜9時頃から
ワルプル戦終了まで
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/14(水) 22:39:07.58 ID:LcDaGHse0
乙でした!

ワルプルさん…流石絶望の塊やでぇ…
ところで電王が登場しそうな気がしたのは気のせいですよね?
ええ、声優ネタですよねわかります。
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [saga sage]:2011/09/14(水) 23:14:30.39 ID:8uD5jSMAO
( 0M0)< エボリューションキング
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/14(水) 23:32:32.19 ID:Pa3wHbIuo
お疲れ様でした
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 00:01:45.15 ID:542EDFT80
ケンジャキが良い所に来て通りすがりの世界の破壊者が美味しい所を持って行く罠。
何はともあれ>>1乙です。
あと出来れば過去編も見てみたいなとは思ってますね
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/15(木) 05:24:55.07 ID:cW5nSmFLo
過去編か無理がないようなら見てみたい
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 12:51:28.78 ID:H2RF0fUSO
乙!
やっぱワルプルの強さはハンパねぇな…

ところで、ジークっぽい奴の隣の男は誰なんだ…?
無間龍か救星主くらいしか浮かばなかった…
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/18(日) 21:17:06.66 ID:6qNL1h9Lo
キュゥべえ抱きまくら予約した
これで壁を殴ってもキュゥべえがクッションになって手が痛くないよ!

いや、マジであれはクレしんのネネちゃんのように殴るためのものだろうと思うんだけど
キュゥべえくたくたぬいぐるみもあれも殴られるためにあると思いたい

それとカイザが届いた
ライダースレでも散々言われてたけど目、青杉wwww

塗り直そうにも複眼割れるかもしれないし怖くてできん…

こんなに目が青いのも、9月13日に発売できなかったのもそれもこれも全て乾巧って奴の仕業なんだ
あいつはファイズの力を楽しんでいる

そしてこの草加さん
figmaほむらが届けば間違い無くボコられ要員になる


ちなみに前回のさやかの隣にいたホスト
ジークとブラジラ(ブレドラン、武レドラン、ブレドRUN)さん

ホスト二人組を出せていなかったんで中の人ネタで出てもらいました


今回でワルプルギス戦も終わり
投下開始
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:17:54.03 ID:6qNL1h9Lo
ビルの破片が地面に落ち、爆撃音に近い音が鳴り響く。

「…………」

だが、まどかとさやかに死の瞬間は訪れない。

ちゃんとお互いの体温を感じあっている。

2人は何があったのか確かめるべく、恐る恐る目を開けた。

すると、先程までいなかった何かが目の前に立っている。

黒い姿をした化物。

右手には剣が握られている。

そして、自分達の周りを見るとビルが真っ二つになっており、その剣で斬られたものだと推測する。

「大丈夫か?」

化物が2人に尋ねてきた。

「え…」

声が出せない。

おそらく自分達を助けてくれたようだが怖い。

「大丈夫みたいだな。安心したよ」

化物が自分達を見てくる。

「剣崎…」

始が呟いた。
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:18:39.16 ID:6qNL1h9Lo
まどかとさやか以外は自分達の目の前で起こった出来事をしっかりと見ていた。

誰の行動も間に合わないと思ったとき、一人の男が横から走ってきた。

そして、化物の姿になったかと思うと、ビルを真っ二つにしてまどかとさやかを救った。

橘、始、睦月はその姿に見覚えがあった。

特に始は、その姿が本来の自分と同じ姿だ。

「剣崎…」

存在するはずのない二体目のジョーカーアンデッド、剣崎一真。

その剣崎が再び始達の前に姿を現した。

「ギリギリセーフってやつですね」

ジョーカーが軽い口調で言った。

「久しぶり、皆」

7年ぶりの再開であった。

「君は…」

五代が剣崎の姿を見て言った。

「貴方は…」

剣崎も五代の姿を見て驚いている。

(どういう事だ、剣崎と五代に何の関わりが…?)

橘は五代の剣崎に何があったのかが知りたい。

だがそんな時間はない。

「あれを倒さないとこの世界に平和が訪れない。行くぞ、皆!」

ジョーカーが叫び、

「おう!」

かつて共に戦った始達も立ち上がる。

「えっと、あの」

まどかがなにか言いたそうにしている。

「ん?」

ジョーカーが振り返ると少し怯えた表情をしたまどかが居た。

「あの、ありがとうございます!」

ジョーカは笑い、ワルプルギスの夜に視線を移す。
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:19:10.13 ID:6qNL1h9Lo
すると今度は、

「パパァ〜」

この場に合わない、なんとも気の抜けた声が聞こえてきた。

「え?この声は…」

「パパァ〜。久しぶり!会いたかったよパパ」

渡の前で男が止まった。

チャラチャラした格好をしており、声、姿共にこの場の雰囲気をぶち壊している。

「おじさんも久しぶり。2年ぶりだね」

男が太牙をみて馴れ馴れしく言った。

「でも、正夫がなんで?」

男の名前は『紅正夫』

22年後から来た、紅渡の息子である。

「次狼おじさんが『お前の親父が危ない。助けてこい』って言って、過去に飛ばされたと思ったらパパ達が倒れててもー大変!」

どうやら、キャッスルドランの内部にある時の扉を使ってこちらにやってきたようだ。

「ところで、あれ何?」

正夫がワルプルギスの夜を指さす。

「ワルプルギスの夜。アレを」

「倒せばいいんだね、わかったよ。行くよ、パパ!おじさん!」

実に単純だ。

渡の息子というより、音也の息子ではないかと見間違えるほどだ。

「兄さん、行ける?」

まだ立ち上がってない太牙に渡が問う。

「当たり前だ。行くぞ」

2人が立ち上がり、ワルプルギスを見つめる。
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:19:39.06 ID:6qNL1h9Lo
そして五代も再び立ち上がる。

以前会った男がどうして此処にいるかが気になるがそんな問題は後だ。

兎に角、ワルプルギスの夜を倒すために立ち上がる。

「うおぉおおお!」

体に激痛が走るが、そんなことは関係ない。

アマダムの影響により、多少の無理は問題ないことが分かっている。

問題があるとすれば、再び究極の闇になれるかだった。

(頼む…俺にもう一度、皆の笑顔を守る力をくれ!)

心のなかで、アマダムに叫ぶ。

ベルトからの反応があった。

「よし、行ける!」

もう一度、究極の闇となりワルプルギスに立ち向かう事ができる。

闇をもたらすのは世界ではなく、魔女に対してだ。

自らの身体を犠牲にして、五代雄介は戦う。
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:20:13.67 ID:6qNL1h9Lo
「大丈夫か?」

杏子は立ち上がりながらマミに尋ねる。

「ええ、貴方も大丈夫かしら」

マミも立ち上がった。

「ああ」

杏子は短く一言で返す。

「私憧れてたのよ。誰かの声援を受けて強くなるって展開」

「奇遇だな。あたしもだ」

マミの性格と杏子の性格は似ている。

もちろん、この二人が最初から気があっているのは名護達のおかげだ。

「んじゃ、行くか」

「早く帰って、紅茶が飲みたいわ」

軽口を言いながら、ワルプルギスの夜を見上げる。

今ならどんな敵にも負けない。

そんな気がした。

残った最後のグリーフシードでソウルジェムを浄化し、ワルプルギスへ立ち向かった。
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:20:41.88 ID:6qNL1h9Lo
「行けるか?」

倒れたまま、名護がほむらに尋ねる。

「当たり前よ…アレだけ言われたら、戦うしかないじゃない」

痛む体にムチを打ち、もう一度立ち上がろうとするが、やはりうまく立てない。

「大丈夫?ほむらちゃん」

まどかがほむらの腕を掴み、体を持ち上げてくれた。

「貴方…!危ないといったでしょ!」

「ごめんね。でも…」

まどかが顔を下げる。

「まあいいわ。貴方のおかげで私はもう一度戦える」

まどかが何かを言う前に、まどかが来てくれたことに礼を言う。

「そうだ。君がここにこなければ、俺達はあのまま死んでいた」

名護が立ち上がり、まどかに言った。

「さあ行くぞ。他は既に戦えるぞ」

「待って名護啓介。ねえ、まどか。貴方はなんで私達を信じたの」

ほむらはまどかに聞いた。

「理由なんてない。ただ、名護さんは私の最高の師匠で、ほむらちゃんは最高の友達だからだよ!」

笑顔でそういう。

「それとほむらちゃん、これ」

まどかがリボンを外し、ほむらに渡してきた。

「これは?」

「お守り。ほむらちゃんが絶対に戻ってきますようにって」

ほむらはそれを受け取り、カチューシャを外し、リボンをつけた。

「ええ。絶対に貴方のもとに戻ってくる」

そして、もう一つの約束を果たす。

「行ってくるわね、まどか」

ほむらはまどかに背を向け、名護のいる方へ向かう。
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:21:21.35 ID:6qNL1h9Lo
「剣崎!」

橘がケースとカードを投げる。

剣崎はそれを受け取り、ケースの中身を確認する。

「これは…」

ケースの中身を見て、剣崎が息を飲む。

そして、ジョーカーの姿から剣崎一真の姿へ戻った。

「行くぞ!」

再び叫び、カードを『ブレイバックル』に入れる。

始、橘、睦月もベルトを巻き終える。

「「「「変身!」」」」

『Turn Up』『Change』『Turn Up』『Open Up』

4人の姿が変わり、ブレイド、カリス、ギャレン、レンゲルが再び揃った。

そして、カリスを除く3人がラウズアブソーバーから2枚のカードを取り出す。

『Absorb Queen』

カリスも一枚のカードを持つ。

そして、4人のライダーが一斉にカードをラウズする。

『Evolution King』『EVOLUTION』『Evolution King』『Evolution King』

4人のライダーの姿が変わった。

レンゲルは本来あるべき姿のキングフォームへ。

ブレイド、ギャレンは13体のアンデッドと融合した最強のキングフォームへ。

そしてカリスはワイルドカリスへと進化する。

4人のライダーが揃いった。

未来、悲しみが終わる場所へ全てを運ぶために。
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:21:48.04 ID:6qNL1h9Lo
「行くよ!皆!」

渡が声をかけた。

「キバッて、行くぜ!」

「祭りだ祭りだー!」

「ありがたく思え。絶滅タイムだ」

3体のキバットが集まる。

渡、太牙、正夫がキバット達を自分の腕に噛み付かせる。

「ガブッ」「ガブリッ」「ガブッ」

3人の顔に模様が浮かび上がる。

「「「変身」」」

「今度こそクライマックスですよ〜」

変身途中の渡にタツロットが合体した。

そして、エンペラーキバ、ダークキバ、キバが揃う。

3体のキバが、ワルプルギスに立ち向かう。

運命の鎖を解き放ち、明日へと進む。
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:22:17.70 ID:6qNL1h9Lo
(もう一度…俺の…)

「変身!」

五代が変身した。

その姿は弱々しい、角の短い、白いクウガ。

だがその姿だったのは一瞬で、すぐさま赤になり、金の力が加わった。

さらにその姿が黒くなり、そして、4本角のアルティメットクウガが再び誕生する。

何かを守るために戦う。

そのためなら恐れるものは何も無い。

伝説を塗り替え、五代は3度目の究極の闇を体験する。

(行ける!)

今度こそ、ワルプルギスを倒せると確信した。
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:23:28.01 ID:6qNL1h9Lo
とても気分がいい。

初めて味わう気分だ。

「待たせたわね」

ワルプルギスを見上げている名護に言った。

「遅かったな」

「早く行きましょう」

名護に言うと、名護は笑った。

ここへ来るまでに魔力は回復させた。

既に戦う準備はできている。

「決着をつけよう!」「決着を付けるわよ!」

二人は視線を交わし、そして再びワルプルギスを見つめる。

「「その命、神に返しなさい」」

名護とほむらの声が揃った。

名護はイクサナックルを手に当て、それをベルトに合体させた。

『レ・ディ・イ』「変身」『ラ・イ・ジ・ン・グ』

ライジングイクサへ直接変身する。

「私達が世界に希望を!」

自分が求めていたものに正直になった今、本気出して戦うのなら負ける気はない。


9人の仮面ライダーと3人の魔法少女ががワルプルギスの夜に挑む。

ほむらの能力使用不可まで残り10分。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:23:55.56 ID:6qNL1h9Lo
「兄さん、これを!」

渡がザンバットソードを太牙に渡す。

「ぬお!」

太牙がそれを受け取ると、ザンバットバットが吹き飛ばされた。

「キングが持ったことにより俺達の力が必要としなくなったか」

ザンバットバットを通じて、次狼が推測する。

「だが渡、お前は」

そう言い終える前に渡の体に異変が起こる。

体が金色に輝き、姿が変わっていく。

その姿が飛翔体<エンペラーバット>に変わった。

そしてその姿でクウガの前まで移動する。

「乗れってことか!」

自分の前で止まった意味を理解し、クウガがエンペラーバットの背中に乗る。

そしてどこからかキャッスルドランが出てきた。

それを見てイクサがフエッスルを取り出した。

『パ・ワ・ー・ド・イ・ク・サ・ー』

イクサの下にパワードイクサーが到着する。

イクサがそれに乗り込む。

「ほむらちゃん!君も来い!」

名護に言われ、ほむらもパワードイクサーに飛び乗る。

すると、キャッスルドランが口でパワードイクサーを掴み、自らの背中に合体させた。
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:24:32.63 ID:6qNL1h9Lo
アンデッドの力を借りながら、ブレイド達が結界を斬りつる。

それだけではない、エンペラーバットが口から光弾を吐き、すれ違いざまにクウガと共に結界を斬りつける。

キャッスルドランのエネルギー光弾やミサイル、パワードイクサーのイクサポッドをワルプルギスに当てる。

もちろん魔法少女達もそれぞれ自分の持てる最大の力を使い、攻撃を続ける。

「ガルルセイバー!」

正夫のキバがガルルセイバーを呼び、ガルルフォームへ変身する。

「ガルルバイト!」

ガルルセイバーをキバットに噛ませた。

「ハアァアア…」

ダークキバの持つザンバットソードの刀身が赤く輝く。

キャッスルドランで近づきながら、2人のキバが剣を構える。

そして、2人が飛び上がりワルプルギスの結界を斬りつける。

そこへほむら、パワードイクサー、キャッスルドラン、エンペラーバットが追撃を入れる。

今まで傷一つつかなかった結界に亀裂が入った。

そして、クウガがエンペラーバットの背中から飛んだ。

「うおりゃあ!」

炎を纏った拳で亀裂の入った場所を全力で殴る。

ついに、結界を破った。

エンペラーバットがクウガを拾い、キャッスルドランに着地する。

それだけではない、他のライダー、魔法少女達もキャッスルドランに乗り込む。
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:25:20.20 ID:6qNL1h9Lo
「今よ!」

ほむらが叫んだ。

ワイルドカリスの手にハートスート13枚が融合した『WILD』のカードが握られる。

「剣崎!睦月!」「橘さん!」「使ってください!」

橘、剣崎、睦月でカードを渡しあう。

そして、4人がそれぞれのカードをラウズさせた。

『SPADE 10 JACK QUEEN KING ACE』
『DIA 6 SPADE 6 CLOVE 6 DIA 2 SPADE 2』
『CLOVE 5 DIA 5 CLOVE 7 DIA 7 CLOVE10』

『ROYAL STRAIGHT FLUSH』
『WILD』
『FULL HOUSE』
『TWO PAIR』

ブレイドの『ロイヤルストレートフラッシュ』
ワイルドカリスの『ワイルドサイクロン』
ギャレンの『フルハウス』
レンゲルの『2ペア』が発動した。

4つの光線が放たれ、空中でそれが一つになりワルプルギスにヒットする。

クウガがキックの構えに入った。

クウガの持つ全てのパワーが両足に集中する。

助走をつけ、キャッスルドランから飛び上がり、空中で回転しドロップキックをワルプルギスに食らわせる。

「うぉりゃあ!」

ワルプルギスの体に巨大な封印の刻印が浮かび上がる。
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:26:01.33 ID:6qNL1h9Lo
マミがティロ・フィナーレの発射準備を始める。

今まで生きていた中でも最大の巨砲を召喚する。

キャッスルドランと同等とも言える砲台が魔力により生成された。

「ティロ……」

残った全ての魔力を限界まで込める。

杏子も、先程創りだした槍の二回りは大きくなっている。

こちらも最大の力で迎え撃つつもりのようだ。

「フィナーレ!」「こいつでえええぇえ!」

二人の最大の力がワルプルギスの夜を襲う。

ワルプルギスの体に巨大な穴が空き、槍が突き刺さる。

そして、次に正夫達が必殺技を繰り出す。

「行くよ!パパ!おじさん!」

ダークキバ、キバがウェイクアップフエッスルを取り出した。
エンペラーキバがホーントリガーを引く。

「ウェイクアップフィーバー!」「ウェイクアップ!」「ウェイクアップ・2」

正夫のキバを真ん中にし、3人のキバがトリプルムーンブレイクをワルプルギスに叩き込む。

クウガの刻印に上書きするかのようにキバの紋章が浮かぶ。
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:26:59.80 ID:6qNL1h9Lo
「こいつで止めだ!」

ほむらも名護を援護するために魔法を使おうとする。

(そんな…こんなところで…)

しかし砂時計は何の反応も示さない。

魔法が使える限界が来たのだ。

それでも、最後まで戦う。

ワルプルギスの夜は既に虫の息だ。

すると、

「そこの君!こいつを使え!」

ブレイドが何かを投げつけてきた。

ほむらはそれを受け止める。

「これは…」

黄金の刃を持つ大剣『重醒剣キングラウザー』がほむらの手に握られる。

(ありがたく使わせてもらうわ)

「行くわよ!名護啓介!」

キングラウザーを構えるほむら。

ライジングイクサがフエッスルを読み込ませ、イクサライザーに全パワーを集中させる。

「天魔覆滅…」

そのパワーを開放し、ワルプルギスの動きが止まった。

そして、パワードイクサーのアームに飛び乗る。

ほむらもそこへ飛び乗った。

パワードイクサーのアームに投げられる二人。

その二人が同時に剣を構える。

ほむらは下手ながらも強化魔法でキングラウザーを強化する。

キングラウザーの刀身が黄金に輝きだした。

「イクサ、爆現…!」

「これで!最後!」

二人がワルプルギスの夜を斬りつけ、その体を切り裂いた。


そして、ワルプルギスの夜が爆散した。

その場に居た者全員がその爆発に吹き飛ばされ、意識を失った。
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:27:31.83 ID:6qNL1h9Lo
まどかが目覚めると、剣崎が遠くを見つめていた。

気絶する前にさやかに危ないと言われ、その場で多い被されたのは覚えている。

だが、それ以上のことがわからない。

「剣…崎…さん」

とにかく、剣崎を呼ぶ。

弱々しい声。

とてもじゃないが聞き取れたとは思えない。

だが剣崎はその言葉を聞いたのかまどかの方へ振り向いた。

「丁度良かった。君に頼みたいことがある」

剣崎がまどかに近づき、ブレイバックルを握らせる。

「俺はもう行かなくちゃならない」

「なん…で…?」

ワルプルギスは倒した。

剣崎が何処かへ行く必要がないとまどかは思う。

だが、それは違う。

剣崎はイレギュラーだ。

その存在自体が在り得ない。

「俺は此処にいちゃいけない。俺と始が一緒にいれば統制者は俺達に戦いを強要する」

「橘さん達に言っといてくれ。ごめんなさいって」

そう言って、剣崎は誰もいない方向へ歩き出した。

「待って…」

だが、まどかの意識はそこで再び飛んだ。
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:30:53.30 ID:ME3K+Dd9o
3人の少女が仲が良さそうに肩を並べて座っていた。

金髪の巻髪の少女が髪飾りを外した。

「見て。真っ黒よ」

2人の少女がそれを覗き込む。

今度は、赤い髪の少女が胸元の宝石のようなものを外した。

「あたしもだよ」

2人にわかりやすく見せる。

「ほむらはどうなんだ?」

赤い髪の少女が黒髪の少女に聞く。

黒髪の少女は今まで隠すようにしていた左手の甲を2人に見せた。

「貴方達と同じ。私ももう終わりよ」

ほむら、杏子、マミの3人は戦闘中にすべてのグリーフシードを使いきってしまった。

「私達、魔女になるのよね」

マミが言った。

「なあ、ほむら。魔女になる前にこれ割ったらどうなるんだ?」

杏子がほむらに聞く。

「魔女にならないからあいつの思い通りにはならないはずよ」

「そうか…じゃあ、割るか」

単純に考えた結果だった。

「あら、私もそうしようかなって思ってたところよ」

マミも杏子が言ったことと同じ事を考えていた。

「私も同じよ。まどかには悪いけど」

ほむらもだった。

まどかに戻ってくるとは言ったが、魔女となって彼女を傷つける訳にはいかない。
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:31:32.80 ID:ME3K+Dd9o
「皆考えてることは同じね」

ほむらがクスリと笑う。

「じゃあ、せーので行くわよ」

マミが言った。

「「「せーの…」」」

だが、3人がソウルジェムに力を入れる前に、3人の背後から手が伸びてきた。

その手になにか握られていた。

その何かがソウルジェムに当たる。

すると、真っ黒だったソウルジェムが半分ほど輝きを取り戻した。

後ろを見ると、杏子の後ろに橘が、ほむらの後ろには名護が、マミの後ろに睦月がいた。

「成功…か?」

名護が手に持った何かを見ていった。

「次第点といったところだな。名護頼むぞ」

そう言って、橘が何かを名護に渡す。

睦月も同じように名護にそれを渡す。

「よし、行くぞ」

名護が3つのそれを上に投げ、イクサナックルでエネルギーを飛ばし、破壊した。
537 :ID変わってる、さっき鯖との接続が切れたせいかな? [saga sage]:2011/09/18(日) 21:32:33.90 ID:ME3K+Dd9o
「さっきのは…何?」

ほむら達は自分達のみに何が起こったのか理解ができてない。

ただ分かるのは、自分達がまだ魔女にならないということだけだ。

「何が起こったのかわからない…という顔をしているな」

名護が言う…が、ほんとに理解不能だった。

「試作型擬似グリーフシード。この2週間徹夜で作ったんだ」

橘が説明する。

「まあ、実験とか出来なくて結果は半分だけ浄化できたってところだけどね」

まさかとは思ったが杏子には少しだけ思い当たる節があった。

「それでお前ら昼間に寝てたりしてたのか」

この2週間、橘達の様子が少し変だったとは思っていたが、擬似グリーフシードを作っているとは思わなかった。

「でも、なんで」

ほむらが不思議そうに思った。

「言っただろ。俺達は魔法少女を救う。理由はそれだけだ」

名護が以前言ったことを繰り返す。

3人の少女たちに自然と笑顔ができる。

すると、

「おーい!みんな〜」「ほむらちゃん!名護さん!」

さやかとまどかが走ってきた。

「あー、よかった。みんな無事だったんだ〜」

さやかが膝に手をつき、ほむら達を見ていった。

「えっと、橘さん…これ…剣崎さんがごめんなさいって…」

まどかが橘にブレイバックルを差し出す。

「そうか…あいつはまた何処かに行ったんだな」

まどかは頷く。
538 :ID変わってる、さっき鯖との接続が切れたせいかな? [saga sage]:2011/09/18(日) 21:33:07.45 ID:ME3K+Dd9o
今度は渡、太牙、正夫が集まってきた。

「みんな無事だったんだね。よかったよ」

渡も心配性だ。

すると、正夫の体に異変が起こった。

体が透けはじめている。

「あーあ、時間が来ちゃった」

時の扉を越えてその時間軸にいるのには時間制限がある。

そのタイムリミットが近づいてきたようだ。

「ねえパパ。また会えるよね?」

正夫が渡に尋ねる。

「会えなくても、僕はお前と一緒にいる」

「約束だよ?パ―」

最後の言葉を言い終える前に、正夫の体が見えなくなった。

「行っちゃった」

正夫が居た場所を見つめる渡。

「いずれ、また会う時が来る。その時まで笑っていろ」

太牙が渡の頭に手を置き、そのままワシャワシャと乱暴になでる。

「…うん」

渡は顔は笑っていたがその目には涙が浮かんでいた。
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/18(日) 21:34:03.59 ID:ME3K+Dd9o
そして、五代もこちらに近づいてきた。

「皆見てよ!あんなに綺麗な青空が広がってる!」

五代が空を指さしながら言った。

全員、今まで気づかなかったが確かに素晴らしい青空だった。

「綺麗…」

ほむらが青空を見て言った。

難しい道で立ち止まってても空は綺麗な青さでいつも待っててくれる。

すると、空を見ていた橘が倒れそうになった。

「おい!橘!」

始が橘を心配する。

「お前な…キングフォームを使ったんだ。無理をするな」

かつての剣崎と同じく、13体のアンデッドと融合していた橘。

人間の身でジョーカーに限り無く近づく。

その反動が来ているようだった。

「悪い…少し休ませてくれ」

その言葉の後、橘は既に眠っていた。

「皆でお昼寝にしよっか」

まどかが提案し、全員が頷いた。

そして、空を見上げながら、地面に寝そべった。


重い荷物を枕にしたら深呼吸、青空になる。

こうして、ほむらの長い戦いは終わった。
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/18(日) 21:37:51.58 ID:ME3K+Dd9o
投下終了

次回、エピローグをやって本編終了


過去編は出来れば全部やりたいと思ってます

ついでに他の話
『とある日の魔女狩り 女戦士イクサ』
ごらいですかね


次の投下は水曜夜9時から
できるだけ9時ぴったりで始めたいと思ってます

そして次回が終わったら555側を週2回に変えます
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/18(日) 21:39:37.05 ID:VGzuJLiLo
お疲れ様でした。
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/18(日) 23:46:36.95 ID:F1bvgAwT0
乙でした!

正夫が来るとは思ってなかったwwww
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 09:14:34.76 ID:fiBZJY6+o
ケンジャキ……
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 10:10:12.07 ID:fpWU+PfKo
結局ジークはなんだったんだろ
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/20(火) 01:15:48.47 ID:YWqargEKo
乙!オールスターで大団円はやっぱ王道ですね



……「正」しい「音」で「まさお」じゃなかったかしらん 違ったらごめん
違わなくても些細な事すぎだな、もひとつごめん
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/21(水) 21:01:09.55 ID:cPAEiyamo

正夫の出しやすさは異常
時の扉の設定上未来からやって来たというのがやりやすい

正夫か正音かはWiki見た限りでは正夫
確か最終回のエンディングでも正夫だったはず

まあ紛らわしいですよね

考えたのは渡か渡の嫁か
渡なら正音って名付けそうだし嫁か?

こればっかりはどうしようもないですね


ジークとブラジラさんは中の人ネタ
ホスト2人組が三木さんと飛田さん

この二人は出番がなかったんで中の人ネタでちょっとだけ登場

投下し終わったら没設定とかを書き溜め無しで書いていきます

投下開始
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:02:01.50 ID:cPAEiyamo
―ワルプルギスの夜から一ヶ月後―

あの日、使い終わったグリーフシードを投げ渡した後からインキュベーターとは話をしていない。

使い終わったグリーフシードを回収するためだけに現れているようだった。

そしてまどかも接触していない。

こればかりは自分もまどかの家に居るため、確定事項だ。

あの戦いの後、半強制的にまどかの家に住まないといけなくなった。

それはそれで別にいいのだが。

「微妙な天気ね」

空を見上げて言った。

「梅雨だからね。仕方ないよ」

ワルプルギスの夜の時もかなり雨が降っていた。

「それにしてもこの一ヶ月、ホント大変だったわ」

本当に大変だった。

ほむらの能力が使えなくなり、武器の補充もままならなくなった。

しかも、いつもの調子で戦っていて何度も死にかけた。

もちろん、そこはマミや杏子、名護がフォローしてくれたが。
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:02:38.76 ID:cPAEiyamo
「杏子ちゃんは名護さんちにいるんだっけ?」

そう、現在佐倉杏子は名護啓介と恵の家にいる。

理由としては、橘が『休暇』と称し睦月を家に帰したこと。

そして、剣崎の行方を追って海外に渡ったということが原因だった。

流石に一人で研究所に置いとくわけにもいかないだろうということで名護が引き取った。

名護曰く、マミも呼んだそうだが学校から家が遠いという理由で住み着いては居ないらしい。

ただし、休日は泊りに出かけているらしいが。

それと杏子が言っていたが、最近学校に通うために勉強を始めたらしい。

「楽しみだね、杏子ちゃんが学校に来るの」

「そうね、私も楽しみだわ」

と言っても、小学校以来まともに勉強していなかった杏子が学校に通うのはもう少し先になりそうだ。

「みんな待ってるだろうし、行こっか」

「ええ」

まどかに選んでもらった藤色のリボンを揺らし、仲間達のもとへ行く。

(ありがとう、仮面ライダー)

心の中で、自分を助けてくれたヒーローにお礼を言った。
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:03:13.78 ID:cPAEiyamo
―戦場―

一人の少女が家の中でうずくまっていた。
外からは砲弾が飛び交う音が鳴り響いている。

「誰か。助けて」

助けを呼んだところで誰も来ない。

大人は皆兵士として戦場に出ているか軍事工場で働いている。
子供は子供でほぼ全ての者が避難している。

故に少女は一人だった。
そんな彼女の前に一着の白い影が現われた。

「やあ、僕はキュゥべえ。君には魔法少女の素質がある。僕と契約して魔法少女になってよ!」

「あ…私は、ここから…」

だが最後まで言う前に白い影が切り裂かれた。

今少女の前にいるのは黒い影。
それも右手に剣を持っている。

「ひい!」

次は自分の番だ。
少女は死を覚悟し、目を瞑る。

だが次に聞こえてきた言葉は意外だった。

「大丈夫か?」

「え?」

目を開け、顔を上げると黒い影は消え、目の前には一人の男が立っていた。

「大丈夫みたいだな。さ、ここから逃げるぞ」

「え、え?」

男が少女の手を掴み、家の外に出る。

そしてそのまま戦場の外に向かって走りだした。
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:03:49.38 ID:cPAEiyamo
走りだして数分で戦場を抜けてしまった。

人とは思えないスピードだった。

「あ、ありがとうござます!」

相手が何であろうと自分を逃してくれたのは間違いない。
その事に関しては礼を言う。

すると再び白い影が現われた。

「剣崎一真。君はいちいち僕の前に現れるね」

「俺の行く場所にお前がいるんだよ」

二人は何かと縁があるようだった。

ただ、あまりいい関係には見えなかった。

「!」

男が顔を上げる。

それと同時に周りの空間が歪み、先ほどとは打って変わった空間に入り込んだ。

「魔女か…」

「そのようだね。戦場だからここは魔女にとっての餌場だろうからね」

少女は頭が追いつかない。

魔女とは何か?そもそもここは何処なのか?

そんな少女を置いていくように男はさっさと動き出す。

男の腰にベルトのようなものが浮かび上がった。

「え?」

先ほどまではなかったものだ。

それが一体何なのか少女が知ることはないだろう。
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:04:17.49 ID:cPAEiyamo
―Side:剣崎―

剣崎の腰にジョーカーラウザーが浮かび上がった。

カードケースから一枚のカードを取り出す。
ブレイバックルは返したがラウズカードはそのまま持ってきた。

剣崎には、試してみたいことがあった。
始がカリスに変身するように、自分もカテゴリーAを使えばライダーに近い姿になれるのではないかということだ。

「変身!」

そして、そのカードをベルトにラウズさせる。

『Change』

剣崎の姿が変わる。

その姿は大きな赤い目に禍々しい鎧のような黒い姿。
カテゴリーAビートルアンデッドとブレイドの中間のような姿だった。

「なかなかだな」

初めて変身した感覚に体をなじませるように体を動かす。

ふと右手を見るとその腕にはオールオーバーに似た剣が握られている。
剣は途中で別れており二又の剣にも見える。

しかも手元の近い場所が少し広がっておりそこにジョーカーラウザーが嵌りそうだった。

「よし、やってみるか」

周りには既に使い魔が大量にいる。
いつの間にか囲まれてしまったようだ。

先ほど助けた少女が怯えているのが分かる。

「心配するな。お兄さんが一気に倒してやる」

そう声をかけ、戦闘を開始する。
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:04:52.64 ID:cPAEiyamo
「此処にこれを嵌めてっと」

オールオーバーの窪みにジョーカーラウザーをはめ込む。
そして、三枚のカードをそこにラウズする。

『SLASH』『THUNDER』『MACH』
『LIGHTNING RAPIDITY』

マッハが入ったため、コンボの名前が変わる。

腰を落とし、剣を構える。
そして、目にも止まらぬ速さで使い魔共を切り裂いていく。

サンダーの効果によって雷を纏う剣が使い魔を斬るたびに蒼い閃光を残す。
わずか数秒で使い魔を倒してしまった。

そして剣崎は結界の最深部に向かって走りだす。

剣崎の後を少女とインキュベーターが追う。

「貴方ってヒーローなんですか?」

少女が剣崎に尋ねる。

「俺は…仮面ライダー…ブレイド」

「仮面…ライダー?」

聞いたことのない単語に少女は首を傾げる。

そして剣崎は走るのをやめる。
ぶつからないように少女も足を止める。
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:05:21.63 ID:cPAEiyamo
剣崎が魔女を見上げる。

その姿は金色を基調とする三つの角を持つ魔女。
右腕には剣、左腕には盾が握られている。

「やっぱり、キングとは妙な縁があるみたいだな」

その姿はまるでスペードのカテゴリーキング『コーカサスビートルアンデッド』だった。

剣崎は以前キングとの戦いで辛くも勝利を収めた。
その戦いで剣崎はカードを奪われた。

だが、剣崎の執念がそれを打ち破り、キングを封印できた。

「たとえジョーカーになってもお前を倒せるはずだ!俺に、ライダーの資格があるなら!」

そう言って、剣崎は新たにカードを取り出す。

(キング、力を貸せ!)

カテゴリーキングのカードをラウザーにラウズさせる。

『EVOLUTIONE』

黒かった体が金色に変わる。

太ももには少し小振りな剣が付いている。

その剣を手に取り、オールオーバーに取り付ける。

そして意識を集中させた。

5枚のラウズカードが融合し剣崎がよく使っていたコンボ『ROYAL STRAIGHT FLUSH』が出現する。

そして、それをラウズさせた。

『ROYAL STRAIGHT FLUSH』

体の中の力がオールオーバーに集中するのが分かる。

「でぇい!」

その力の溜まった剣で魔女を斬りつける。

藻掻く暇もなく、魔女は消滅した。
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:05:48.51 ID:cPAEiyamo
魔女を倒した後、剣崎一真は悩んでいた。

(戻れるのか、これ)

勢いで変身したものの、人間の姿に戻れるかが心配であった。

(とりあえず、いつも通り…)

何の変化もない。

(ちょっとやり方を変えて…)

一度ジョーカーに戻り、そこから人間の体に戻る。

(成功!)

小さくガッツポーズをする。

「それじゃ、君は此処を真っ直ぐ行くんだ」

少女の目線に合わせ剣崎は安全な方を示す。

「多分もう会うことはないだろうけど、あの白い奴の言うことだけは聞いちゃ駄目だぞ」

少女の頭を撫で、その場を後にした。

「はあ…それにしてもあの人が仮面ライダーだったとはなあ」

あの人とは五代のことである。

「名前ぐらいは聞いといたほうが良かったかもな」

今更言っても遅い。

「ま、生きていればそのうち会えるかもな」

仮面ライダー同士、生きていれば会えそうな気がする。

「ん〜!」

大きく背伸びをし、剣崎は歩き出す。

剣崎が完全に一人になる時代はまだ来そうにない。
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:06:19.50 ID:cPAEiyamo
―ポレポレ―

「あの人が剣崎君かぁ」

五代はポレポレで橘と睦月から聞いた話を思い出していた。

仮面ライダーブレイド、剣崎一真。

以前一度だけ会ったことがあった。

「確かあの時は…」


―五代が日本に戻ってくる1週間ほど前―

「おやっさんもなかなか無茶なことを言うなあ」

玉三郎から国際電話がかかってきて、店を継げと言われた五代。

承諾したが、できるだけ速く来て欲しいというのは妙に困った。

もう少しこの国で支援を続けたかった。

「まあ、仕方ないか。おやっさんには世話になってるし…ん?」

裏路地に人が倒れている。

「大丈夫ですか〜」

怪我をしているわけではなさそうなので、軽く叩いたりして意識を確認する。

「んん…」

もぞもぞと動いたことを確認し、生きていることに安堵する。

「んあ。あ、すいません」

「いやいや、って日本人?」

いろいろな国から支援が来ているので五代の他にも日本人は居たが今目の前にいる人物は見かけたことがなかった。

「えっと、まあ日本人ですけど…失礼します」

「あ、ちょっと」

そう言うと男は走って何処かへ行ってしまった。
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:06:51.51 ID:cPAEiyamo
「あの時の事、ちゃんと覚えてくれてたんだなあ」

ワルプルギスの夜との戦いでジョーカーに変身する前の剣崎の顔を見たときは本当に驚いた。

しかも、剣崎もこちらのことを覚えていた。

「橘さんは剣崎君を追って海外に行っちゃったし…」

すると、ドアが開き客が入ってきた。

「いらっしゃーい。オリエンタルな味と香りのポレポレへようこそ」

電話に出たときと同じように客に応対する。

履いてきた客の姿は変だった。

薔薇のように真っ赤なドレスを着て、帽子を深くまでかぶっている。

五代はこの店に来た者の顔はだいたい覚えている。

というより、一度店に来たら何回も来ることになるからだ。

だが、この女性は今まで見たことがなかった。

そして、カウンター席に座った。

「コーヒーを一つ」

「ちょっと待って下さいね〜」

一分ほど待ってもらい、コーヒーをテーブルに置く。

女性がコーヒーを啜り、一息をつく。

そしてまた啜り始め、口を離しカップを置いた。

「うまかった」

女性がテーブルの上に代金を置き、席を離れる。
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:07:21.32 ID:cPAEiyamo
「ありがとうございました〜」

ドアへ向かっていく女性に店に来てくれたことの礼を言う。

迷いのない歩み。

そして女性がドアノブに手を掛けた。

が、そこで止まった。

「?」

五代は不思議に思った。

だが、また動き出しドアを開いた。

「変わったな…戦士クウガ…」

出ていく瞬間に女性が呟いた。

「!?待て!」

五代もすぐに女性の後を追う。

が、店を出た頃には女性の姿は何処にも見当たらなかった。

「未確認生命体B1号…」

まさか生きていたとは思わなかった。

偶然かもしれないが最後に感じた雰囲気。

間違いなく人間ではなかった。

仕方なく、店に戻る。

そして、B1号が飲んだコーヒカップの傍にある何かを見つけた。

「薔薇の…花びら…」

確信した。

あれは間違いなく未確認生命体であったと。
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:07:50.67 ID:cPAEiyamo
「でも俺もう戦えないしなあ」

そう。

五代雄介はもう戦えない。

この一ヶ月、何度か魔女狩りに参加したがベルトは出てくるのだがそこから反応しない。

唯一変身できたのが買い物の帰りに襲われた時だけ。

しかも色は赤ではなく白いクウガ。

それでも魔女は倒せたが時間がかかった。

「俺ももう戦うなってことかなあ」

未確認生命体を倒し、ワルプルギスの夜を倒した以上五代はもう戦う必要はないのかもしれない。

五代にとって嬉しくもあり、寂しくもある感じだった。

「でもせっかくだし、ゆっくり体を休めるのも大事だな」

五代雄介は誰かの笑顔を守るため、戦い続けるだろう。

いつしか彼にも平穏な時代が来ることを祈ろう。
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:08:29.42 ID:cPAEiyamo
「これが一ヶ月前、俺達が戦った魔女『ワルプルギスの夜』についてのデータだ」

そう言ってスクリーンに資料を移す。

「今回は倒すことが出来た。が、これ以外にも数多くの魔女が存在する」

強さのムラは有るとはいえ、魔女はまだまだ世界に存在する。

再びワルプルギスの夜ような魔女が現れないとも限らない。

「ファンガイアと人間の共存を目指すため、世界各地にいるファンガイアの中から魔女殲滅部隊を作る」

現地にいる魔法少女達と協力し、魔女の殲滅を行う。

それが登太牙の出した結論だった。

「それと同時に、魔法少女についての研究を行う。BOARDの橘朔也が残したデータをベースに研究を開始してくれ」

試作型擬似グリーフシードを完成させること。

ソウルジェムに閉じ込められた魂を再び肉体に戻すこと。

課題はまだまだ有る。

ならば寿命の長いファンガイア達が長い時間を掛け、その問題を一つ一つ解決していこう。

「では、今回の会議はこれにて終了する」


ベッドに腰を掛け、スーツを脱ぐ。

「時間が押してるな」

今日はちょっとした用事がある。

その為の時間が少しづつ迫ってきている。

「急げばなんとかなるな」

そう言って、素早く服を着替え部屋を出る。

「期待してるぞ、上條恭介くん」

バイクに跨り、エンジンを掛け、コンサート会場に向かった。
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:08:59.49 ID:cPAEiyamo
「おい、そろそろでないと間に合わねえぞ」

杏子が名護に言った。

「分かってる」

服装を正し、玄関へ向かう。

外には恵とマミが待っている。

外に出ると、健吾が増えていた。

「お久しぶりです名護さん」

恵も『名護』だが、この名前で呼ばれるのは彼しか居ない。

「ああ、久しぶりだ」

「じゃ、行くわよ」

恵が車のエンジンを掛ける。

全員が車に乗り込んだ。

「それじゃあ、行くわよ〜」

恵の運転する車に乗って、予定の場所へ向かった。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:09:34.50 ID:cPAEiyamo
ここは見滝原市民避難所。

正式名称『見滝原多目的文化ホール』

そして、ホール一階の半分ほどの大きさを占める演奏会場。

そこには、大勢の者たちが座っていた。

ブザーの音が鳴り、騒がしかった声が静かになり、幕が上がった。

ステージの上に立っているのは、青いドレスを着た一人の少女。

「皆さん、ようこそ。おいで下さいました。これより、上條恭介による、バイオリンコンサートを始めたいと思います」

さやかが深々と頭を下げ、ステージの袖に消える。

そして、さやかが消えた方とは逆から今回の主役、上條恭介が出てくる。

「皆さん、今日はお忙しいなか、僕のコンサートに来てくれてありがとうございます」

ちなみに恭介は杖をついていない。

流石に激しい運動は無理だが、日常生活は何ら問題のないレベルにまで回復していた。

「では、一曲目『Ave Maria』」

恭介が演奏を始める。

会場にいた全員がその、綺麗な音に耳を傾けた。
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:10:07.58 ID:cPAEiyamo
既にプログラムに書いてある曲を全て弾き終え、後は最後のあいさつをするだけとなった。

「すごかったね。上条くんの演奏」

まどかがほむらに話しかける。

「ええ、彼の演奏は殆ど聞いたことがなかったのだけれどすごい腕ね」

そこらへんのプロでは歯がたたないであろうというレベルにほむらは素直に関心する。

「ふわぁ〜」

そしてほむらの隣では杏子が大きな欠伸をしている。

「杏子、失礼よ」

「わりいな。確かに凄いけど、あたしには長いのは無理だ」

まあ、そんなものだろうとは思っていたがそれでも失礼なものは失礼である。

すると、再びステージの袖からさやかが出てきた。

「皆さん、先程これで最後と言いましたが、実は次で最後です」

その言葉を聞き、会場がざわめく。

「今日は特別ゲストをお呼びしています。では、紅渡さん、どうぞ!」

その言葉を聞いた瞬間、名護、恵、健吾が口に含んでいた飲み物を吹き出した。

どうやら、彼等にも話していなかったらしい。

しかし、太牙だけは表情が変わっていない。

彼だけは知っていたようだ。

「め、珍しいわね。渡くんが大勢の前で演奏するなんて」

「ああ、あの日以来か」

「そういや、あいつんちで上条がバイオリン弾いとったなあ」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:10:39.50 ID:cPAEiyamo
渡がマイクを手に、頭を下げる。

「皆さんこんにちは。突然ですが『紅音也』という名前にご存じの方は居ますか?」

渡の質問に、数名の者が手を上げた。

「ありがとうございます。まずはごめんなさいと言わせてください」

渡が再び頭を下げた。

「父さんに人生が狂わされた、という人を沢山聞きました」

渡が名護と出会う、ほんの少しだけ前、その事を知った。

「でも、これだけは言わせてください。父さんは誰よりも真っ直ぐで、自分の決めたことには全力で立ち向かう」

本当に真っ直ぐ、ただひたすらに突き進む。

「僕がそれを、父さんから受け継いだ音楽で証明します」

「では、最後の一曲。『Circle of Life』」

恭介と渡がバイオリンを構え、演奏を始める。
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:11:08.29 ID:cPAEiyamo
―コンサート終了後―

コンサートは大成功だった。

最後の2人の演奏も息が合っていて聞く人全てを引き込む魔法のようなものだった。

そして今は、渡、恭介、さやかを含めた全員で道を歩いている。

車は会場より少し離れたところに止めたので、名護達といるのはそれまでだ。

「ふぅ〜、緊張した〜」

さやかが息を吐き出しながら言った。

「どうして貴方が緊張してるのよ」

「いや〜、大勢の前で喋るのは初めてだからさ。噛みそうで噛みそうで」

「でも噛まなかったし、演奏会は大成功。よかったじゃない」

「だな。でも、名護達が吹き出したのにはびっくりしたよ」

「渡さんが出てくることを知らなかったみたいだよ」

5人が仲良く話しあう。

反対側では名護達が話をしていた。

「いや〜渡が出てくるとは思わんかったわ」

「本当に珍しいわね。貴方があんなに大勢の人の前に立つのも」

「上条くんに頼まれて、特に断る理由もなかったから」

実に渡らしい考え方だ。

「でもとてもいい経験でしたよ。渡さんの隣で演奏できたことは」

「それほどでもないよ」

「素直に受け取っておけ。お前にも目標があるように、彼の目標はお前なんだ」

「う〜ん、わかったよ」

なんとか納得したようだ。
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:11:41.60 ID:cPAEiyamo
突然、ほむら、マミ、杏子のソウルジェムが輝きだした。

それとほぼ同時に、先ほどまでの景色とは変わって謎の空間に閉じ込められる。

「ハァ…こんな日には出会いたくなかったんだが…」

名護がため息を付いた。

「出会っちまったもんは仕方がねえ。やるぞ」

「まあ、待て。俺達3人でケリを付ける」

太牙が杏子を止めた。

「俺達って…俺も入るのか」

「当たり前だ」

名護はそう言いながらも既にベルトを巻き終えていた。

『魔法少女の事は上條恭介には隠したほうがいいわ』

ほむらは恭介を除く全員にテレパシーで伝える。

その事を確認し、頷いた。

「えっと…前にもこんな事があったよね?」

恭介がさやかの後ろに隠れている。

「大丈夫だって。だって名護さん達がいるんだもの」

さやかの顔は自信に満ち溢れている。

「いや、前のあれで大体わかってるけど…やっぱり慣れないよ」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/21(水) 21:12:47.90 ID:cPAEiyamo
「てゆうか、あれ何?」

恭介が指をさす方には既に魔女が居た。

それも3体。

姿を見るかぎりは何処にも共通点はなく、偶然同じ場所に魔女が3体集まったと考えるべきか。

「何体集まろうと俺達の敵じゃないな」

「ああ、行くぞ」

名護がイクサナックルを構えた。

「「キバット!」」

太牙と渡がキバット達を呼ぶ。

「おっしゃ!今回も全力でキバッていくぜ!」

「雑魚が何体集まっても、結果は同じ。絶滅タイムだ」

名護がイクサナックルを手に当て、太牙と渡がキバットを手に噛み付かせる。

『レ・ディ・イ』「ガブリッ」「ガブッ」

「「「変身」」」

「ビュンビュンビューン!」

『ラ・イ・ジ・ン・グ」

名護の体がライジングイクサへ。

太牙の体がダークキバへ。

渡の体がエンペラーキバへと変わった。

「その命、神に返しなさい」


名護達もまた、戦いを続ける。

彼等の望む未来が見えるまで戦い続ける。

何と言っても彼等は『仮面ライダー』なのだから。




まどか「名護さんは最高です!」<終>
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:16:22.11 ID:cPAEiyamo
本編終了


ほぼ突発的に書き始め、無事完結できたのは皆さんのおかげです

投下終了後の乙
その1レスついてるだけで胸がドキドキしてました

投下中もかなりビクビクしながら投下していたこともww


皆さん約3ヶ月間このSSでのお付き合いありがとうございました

ただし、このスレにはもう少し仕事をしてもらいますが
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:21:40.34 ID:cPAEiyamo
裏設定やら没設定

<このSSを書き始めた理由>
VIPのクロスSSで『名護さんならさやかを正義の味方にできる』みたいなレスを見たのが始め
その時は軽い妄想で済んでました

ただ、その時から名護さんはマミの知り合いで、橘さんとも知り合いってのはその時から考えてました
その設定をある程度利用し、クロスしてないのも混ぜてしまえ、という考えから出来たのがこのSSです


<スレタイについて>
最初建てようかと思ったときは
マミ「名護さんは最高です!」
でした

でもこれじゃマミさん主役みたいじゃね?って考えから
ほむら「名護さんは最高です!」
を考えました

これはこれで言わせる場面がラストシーン以外になかった
しかもほむらのキャラ的にこれはないなということでスレを立てる数分ほど前に
今のスレタイになりました
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/21(水) 21:31:01.96 ID:cPAEiyamo
上條恭介(手術後)
裏設定になりますが、恭介にはファンガイアの血がほんの少しだけ混ざってる…という設定があります
これが本編で特に影響するわけでもなかったですし、なにより後付に近い形ですので描写はなし

副作用みたいなものとして、一時的な食欲の上昇
キズの治りが一般人より若干(ほんとに少しだけ)早い
寿命も半年から1年ほど長くなっている…などがあります

どれも大したことはないですし、周りや恭介本人も意識しなければ気付かないというレベルです


あと正夫が居る未来
22年後には魔法少女は殆ど存在しません

居ないことはないんですけどすぐに元に戻るので元魔法少女が多いという形になっています

魔女も発生しないことは無いですけどファンガイアや剣崎によってことごとく消されています
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/21(水) 21:51:32.06 ID:cPAEiyamo
没設定

『かみじょう』繋がりで睦月が恭介を励ます

没設定の一つ
虎太郎の描いた『都市伝説 仮面ライダー』という本を使い、睦月が恭介を励ます…という流れを考えました

でもこれをやると渡はともかく、太牙が突然出てきてしまうので無しに

それとこの2人の接点を作るのも面倒くさかったというのもあります


一気に飛んでワルプル戦

オリキャラ
正夫が来たときに一緒に名護の娘を登場させるというのもありました
流石にオリキャラはないわってことで無しに

ちなみに名前は『名護小百合』で恵の母親『ゆり』から名前がきています

設定も無駄に考えて
・正夫の幼馴染でお姉さんみたいな感じ
・22年後のイクサの装着者
・名護と恵の子だけあってかなり勝気な性格
・キバラストで来られなかったのは時の扉の力が足りなかった…など


そして後半の戦闘シーンも最初書いていたのとは変わりました

変わったのは主にラストですが

最初の段階ではイクサはキックで、ほむらがそれを援護する形でワルプルギスを撃破という流れでしたが
面白みがない、と思ってほむらの能力を使用不可にし、キングラウザーでイクサと一緒に切り裂いてもらうことにしました

マミや杏子も簡単に描写されてたけどもっと詳しく書かなければと思って修正


あとの変更点は特に無し
ついでにマミと杏子のイクサへの変身ポーズ
マミ→仮面ライダー1号
杏子→仮面ライダーBLACK
です

マミはまだしも杏子は文字じゃ伝えにくい変身ポーズでした


そして次回の投下
キバ編を先にやろうと思います

まだ書き始めても居ないのでわかりませんが
魔法少女日常編に比べてちょい長めになりそう

来週の日曜に投下できるように頑張ります
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/21(水) 22:03:19.02 ID:fQV0B9e4o
お疲れ様でした
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/21(水) 22:19:38.18 ID:7zNGx3Xt0
乙でした!

確かにBLACKの変身ポーズは言葉で言い表せんわww
にしても…1号のポーズでイクサになるマミさん…ゴクリ
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/22(木) 01:15:06.54 ID:FkoQr7MAO
お疲れ様
キバ好きな俺にはたまらんかった

>>1さんは最高です!
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 17:24:02.14 ID:GoWDAshGo
遅れて読んだけど乙!
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/02(日) 21:27:13.64 ID:2MYR8Jjgo
>>573
そうなんですよねえ
井上だからって見てないって人もいることに残念
確かに中盤辺りの日常パートは見ていて胃が痛いけど戦闘シーンと前期名護さんのキチガイっぷり
後期名護さんの主人公らしさはいいんですよねえ

渡は見ていてイライラするけどあれはあれで結構好き
ただ、ディケイドでどうしてこうなった感はありますけどね


ちなみに>>1は基本的にライダーは全部好きです
まだ響鬼と電王は見てないけど

ただ、電王はライナーとプラットが好き
趣味悪いとか言うな


そして今回、魔法少女は全く関係なし
出番も無し

主人公も名護さんではなく渡
ネオファンガイアとの戦いの一部を妄想

ネオファンガイアの設定
・最終話の魔方陣のようなものから生まれるファンガイアの再生態
・姿はファンガイアのようなステンドグラスではなく、泥人形のような姿

一応、これだけは決めています


投下開始
今回はかなり短め
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:27:48.34 ID:2MYR8Jjgo
キバット「ドビュッシーとは、19世紀から20世紀にかけて活躍した作曲家である」

キバット「彼の曲は『印象主義音楽』と呼ばれ、後の近代・現代音楽の幕開けを告げるものとなった」

タツロット「ねーねー、キバットさん」

キバット「なんだ?」

タツロット「なんで急にそんな事を言い出したんですか?

キバット「いや…なんとなくだ」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:29:02.69 ID:2MYR8Jjgo
渡と正夫。
未来の紅親子がバイオリンを弾いている。

渡の腕は、一流のプロにも劣らない実力を持っている。

正夫も腕は確かなはずなのだが、所々でミスがある。
渡が聞いたところによると、彼は殆ど楽器を弾かないらしい。

それでも、彼が渡の演奏に着いて行けているのは彼の才能なのだろう。

突然、渡の弾いている『ブラッディ・ローズ』の弦が音を出す。

「正夫!行くよ!」

「うん!」

二人が部屋を飛び出す。

「お〜い…待ってくれ〜…ハックション!」

「祭りだ〜…ハックショーイ!」

どうやらキバット達は風邪をひいているようだ。

以前の経験からするに、まともな戦闘はできないだろう。
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:29:30.13 ID:2MYR8Jjgo
渡が音也に導かれるままに走ってみると、一人の人間がネオファンガイアに襲われていた。

正夫と共にスピードを上げ、ネオファンガイアに飛び蹴りを食らわす。

「さあ、今のうちに!」

「は、はい!」

助けた人間がネオファンガイアとは別の方向へと逃げていった。

そして渡はネオファンガイアの方へ注意を向ける。

そして、その姿に既視感を覚えた。
いや、ネオファンガイア自体が以前倒したファンガイア達の強化再生体で有るため既視感が有るのは間違いない。

だが今目の前にいる相手は、親しさを覚えている。

「ほう…君がキバだったのか」

「貴方は…!」

目の前に居るネオファンガイア。
1年前、渡の前に現れ、彼に音也の音楽を伝えた男。

ネオフロッグファンガイア『大村武男』が渡の前にその姿を見せている。

正夫の話を聞き、いずれ会うだろうとは思っていた。

だが、大村は以前とは打って変わって人を襲っていた。

「そんな…どうして力のない人を襲うんです!?父さんとの約束はどうしたんですか!」

「約束、か…そんな物この力を手にした途端どうでも良くなったさ」

信じられない…
その思いが渡の顔から読み取ることができる。
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:30:05.54 ID:2MYR8Jjgo
「パパ!」

「あ、ああ」

正夫が渡を呼ぶ。
戸惑っているがこれからどうするか、二人は既に分かっていた。

「「キバット!」」

2人が自分達のキバットを呼ぶ。

「う〜ん…調子がでないがキバッて、行くぜ」

「まつ…ハックショーイ!」

キバットバットW世は決め台詞を言う前にくしゃみで言えなかった。

「悪いな…できるだけ早く決めてくれ」

キバットV世も体を早く休めたいようだ。

渡と正夫がキバットをつかむ。
キバットの口が開き、自分達の手に噛み付かせた。

「「ガブッ」」

二人の顔に牙のような模様が浮かび上がる。
キバットを前に突き出し、

「「変身」」

その声と共に腰のベルトにキバットをぶら下げた。

「キバットさんが不調でも、私はがんばりますよ〜」

いつものように何処からかタツロットが飛んできて渡の腕に合体した。

エンペラーフォーム、キバフォームがその姿を現した。
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:30:40.63 ID:2MYR8Jjgo
「渡!」

「兄さん!」

太牙がネオフロッグの後ろから走ってきた。

「キバット!」

「ゴホッ、ゴホッ。屑が。絶滅…クシュン」

親、子、孫。
キバット達は揃って風邪をひいていた。

それでも、王の証として、戦わなければならない。

「ガブリッ」

太牙の顔に渡とは色違いの牙のような模様が浮かび上がる。

「変身!」

太牙がベルトにキバットをぶら下げ、太牙の体を闇の鎧が包み込んだ。

ダークキバがネオフロッグを殴り飛ばそうとする。
だが、その攻撃はたやすく止められてしまった。

「闇の鎧がこの程度か…」

そして、ダークキバを吹き飛ばした。
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:31:06.95 ID:2MYR8Jjgo
「「ハアァアアア!」」

エンペラーとキバがネオフロッグに飛びかかる。
しかしそれも、簡単に潰されてしまった。

キバット達の調子が悪いため、魔皇力を完全に制御できていないようだ。
渡のエンペラーはタツロットがある程度補助している分マシだといえるだろう。

それでも、本来の力の半分も引き出せない。

エンペラーが再び立ち上がり、タツロットのホーントリガーを弾く。

「ウェイクアップフィーバー!」

エンペラーが低く構え、上空へ飛び上がる。
空中からエンペラームーンブレイクを放つ。

だが魔皇力の制御が十分でないせいか簡単に防がれてしまう。

すると、エネルギー弾がネオフロッグに当たった。

エネルギー弾を飛ばしたのは名護啓介。
だが、何かおかしい。

まだ戦闘を始めていないにも拘らず、既に息が上がっている。

それに顔色も悪い。

そして名護がいつもの様に手にイクサナックルを当てた。

『レ・ディ・イ』「変身」『フィ・ス・ト・オ・ン』

いつもと同じではなかった。

力なく、手に当てたイクサナックルをベルトに合体させた。
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/02(日) 21:31:38.25 ID:2MYR8Jjgo
「ウオオオオ!」

いつものセリフがない。
名護らしくない声を上げながらイクサカリバーを構えネオフロッグに突っ込む。

我武者羅に剣を振り回すがその攻撃が相手に当たることはなかった。
それどころか、大振りしすぎているせいで空振りした後の隙を狙われすぎている。

渡達もただ見ているだけにはいかない。

ネオフロッグの意識がイクサに向いている瞬間に、飛び蹴りを放つ。

ようやくまともな攻撃が入った。

「雑魚が…」

ネオフロッグが渡達に向かって突っ込んでくる。

普段ならそれを受け止めるところだが、今はそんな余裕はない。

全員が回避行動を取った。

そして、大きな隙が出来たネオフロッグにイクサがイクサカリバーガンモードを構えた。

だが突然、警告音のようなものが鳴り響き、イクサベルトから煙が吹出した。

イクサの変身が解かれ、名護が地面に倒れた。
どうやらイクサベルトが名護の体が危険と判断したみたいだ。

「名護君!」

恵が駆け寄ってきて煙幕弾を発射した。

「3人とも!早くその人を連れて下がって!」

渡達はその言葉に従い、名護を抱えてこの場から退却した。

「フンッ、逃げるぐらいなら最初から出てくるな」
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/02(日) 21:34:15.86 ID:2MYR8Jjgo
投下終了

TVならおそらくここでOPが入る

今回はライダーらしく、2話で一つの話を完結させようと思います
それをするのに時間がかかりそうですけど


ここまでで分かったと思いますけどイクサの装着者を変更したかった

それが今回の話のテーマです


次回の投下は日曜夜9時頃から
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/09(日) 21:05:42.59 ID:6XNPoIO+o
Yahooメール確認したらサヤカって来てて何か笑った

今回も何だかんだで短め

投下開始
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:06:10.38 ID:6XNPoIO+o
―カフェ・マル・ダムール―

先ほどの逃走から一時間程。

今この店にはファンガイアに関係する人物以外は居ない。
店の奥では木戸が名護を寝かしている。

「打つ手なし、か」

嶋が呟いた。

「待て!俺は!いや俺達は戦える!」

太牙が声を張り上げる。

「キバが使えない今、君達にネオファンガイアと戦う力はない。違うか?」

「ッ…!」

太牙が顔を歪める。

突然、カフェ・マル・ダムールの窓を何かが叩いた。
外にいる者に中の様子を見えないようにするためにカーテンまで閉めているため、外にいるものが確認できない。

「俺が様子を見る」

そう言って太牙が窓に近づく。

そして、一気にカーテンを開いた。
カーテンの外に居たのは…

「サガーク…」

「fworg@psa@pr」

太牙が以前使っていたベルト。

サガークが窓を叩いていた。

「fworg@psa@pr」

嶋、恵にはサガークが何を言っているのかが分からない。

「ああ、分かった」

だが太牙はサガークの言葉を聞いて窓を開けた。
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:06:46.01 ID:6XNPoIO+o
「なんて言ったの…?」

恵が口に出した。

「開けて…だと思います」

その言葉に渡が答えを出す。

「あれの言ってることが分かるの!?」

「え、ええ」

所々でノイズが入り、分からない部分もあるが大体は分かった。

「君と太牙の共通すること…ファンガイアの血を引いていることか」

「ええ。その通りですよ」

今度は嶋の質問に太牙が答えた。

「サガークが話しているのは古代ファンガイア語。渡がきちんと聞き取れていないのは人間の血が混ざっているからだろう」

その通りだった。
渡には人間紅音也と元クイーン真夜の血が流れている。

ある程度は理解できるのだが、少しだけ聞きとることができない。

「サガークの力を借りる。コレで俺は戦える」

総合的な能力ではダークキバには劣るサガ。
だが、今の渡達にとっては貴重な戦力だった。
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:07:14.48 ID:6XNPoIO+o
「となると問題は渡くんと正夫くんだな…」

キバットが本調子ではないため、この二人がまともに戦えない。

「嶋さん、私に考えがあります」

恵が口を開く。

「何だ?」

「この二人のどちらかを一時的なイクサの装着者として認めるのはどうでしょう?」

名護は今高熱を出している。
ネオフロッグと出会う前から息が上がっていたのはこのせいだった。

「なるほどな…では、渡くん」

「は、はい!」

「君を一時的なイクサの装着者として任命する。やってくれるな?」

嶋は渡を選んだ。

「できる限りやってみます」

「頼んだぞ」

嶋が微笑みながら言った。
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:08:48.66 ID:6XNPoIO+o
「待って…ください…」

名護が奥から出てきた。

「ちょっとちょっと!寝てなきゃ駄目だよ!」

木戸が必死に名護を止めようとしている。

「俺は…戦えます…」

そうは言っても顔は真っ赤で先ほどと変わらず…
いや、先程より酷くなっている。

肩の上下や息遣いからまともに戦えそうには見えなかった。

すると、恵が席を立ち名護に近づいた。
そして、名護の前に立ち、

「ハァ!」

名護の鳩尾にパンチを叩き込んだ。

「私のパンチも避けられないでどうやって戦うつもりなの?分かったら寝てなさい」

そう言って名護を再び奥に連れていった。

(女の人って怖い…)
(女性って怖い…)
(女というものは…怖いな)
(怖いな…)

その光景を目の当たりにした4人は同じ事を考えていた。
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:09:40.60 ID:6XNPoIO+o
―数時間後―

再び渡と正夫の頭の中にブラッディ・ローズの弦の音色が鳴り響く。

「兄さん!」

「ああ」

太牙を呼び、コートを羽織りカフェ・マル・ダムールを出ていく。

「頑張ってね!パパ!」

正夫の声に渡は右腕を上げた。


―街中―

「ノコノコと…死にに来たか」

大村が渡達を見ていった。

「鎧のない貴様らなど…恐るるに足らず」

どうやら向こうは勘違いをしている。
自分達には鎧がない?

そんな事はない。

「本当に戦えないかどうか…貴方に見せてあげます」

そして、渡はコートを脱ぎ捨てた。

「それは!何故貴様が!?」

渡の腰には、既にイクサベルトが巻かれている。

「サガーク!」

次に太牙がサガークを呼んだ。
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:10:08.20 ID:6XNPoIO+o
渡がイクサナックルを構え、キバットに噛み付かせるときと同じように左手の側面に当てる。

『レ・ディ・イ』

警告音が鳴り響く。

それと同時に太牙の腰にサガークが巻き付いた。
サガへの変身準備が整った。

「「変身」」

渡はイクサナックルを一度前に突き出し、ベルトに装着する。

太牙はサガークの横に付いている窪みにジャコーダーを差し込み引きぬいた。

「aoigoj」

人間には聞きとることのできない古代ファンガイア語。
だが、太牙の渡の耳には『変身』と聞こえていた。

『フィ・ス・ト・オ・ン』

渡の体にイクサが装着され、太牙の体をサガの鎧が包みこむ。

イクサのフェイスガードが開かれキバの時と同じ構えをイクサで取る渡。
太牙はサガ独特のフェンシングスタイルで戦闘態勢に入った。

「黄金の鎧と闇の鎧無しで…今の私に勝てると思うな!」

イクサ・サガ対ネオフロッグファンガイアの戦闘が始まった。
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:10:37.61 ID:6XNPoIO+o
左手に持ったイクサカリバーでイクサがネオフロッグを斬りつける。

名護や恵のイクサとは違う、荒々しい獣のように剣を振るう。
ガルルフォームを色濃く受け継いだ戦い方を続ける渡のイクサ。

「嘗めるなぁ!」

ネオフロッグがイクサに反撃する。

だがイクサはそれを難なく避け、イクサカリバーを右手に持ち替えた。
そして、カリバーモードからガンモードへと移行させ、ネオフロッグを狙い撃つ。

そして、イクサの後ろからサガが飛んできて、ジャコーダービュートでネオフロッグを叩く。

イクサがベルト左側に付いているフエッスルの一つを取り出し、ベルトに読み込ませた。

『バッ・シャ・ー・フェ・イ・ク』

キャッスルドランの口から、バッシャーマグナムが放出され、イクサの下へと召喚された。

右手にはバッシャーマグナム。
左手にはイクサカリバーを持ち、ネオフロッグに向けてそれらを撃ち続ける。
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:11:04.77 ID:6XNPoIO+o
「雑魚が…調子に乗るなァ!」

ネオフロッグがサガへ近づき攻撃を当てる。

「兄さん!」

今いる位置から撃てば、サガにまで当たってしまう。
一度横へ転がり、側面から撃とうとする。

「馬鹿め」

だが、ネオフロッグはイクサが撃つ瞬間にサガを自分の前に突き出し盾にした。

「なっ」

「近くにいたお前が悪い」

動きをしなくなったサガを投げ捨て、再びイクサへ向かって突っ込んでる。

サガを撃ってしまったことに対応出来ていないイクサに向かってネオフロッグが剣を振るう。

ネオフロッグの猛攻が始まった。
最初の一撃を食らい、倒れたイクサへ追撃の銃弾を浴びせる。

銃撃が止み、イクサを蹴り飛ばした。

「ガァ!」

イクサの装甲が硬いといえども、至近距離からの銃撃に耐えていられるものではない。

今のネオフロッグはそれを分かった上でイクサを蹴り飛ばしたのだ。

「まだまだ楽しませてくれよ…」

「ハァ…ハァ…」

だが突然、ネオフロッグの体が少しずつ崩れ始めた。

「時間か!」

そして、ジャコーダービュートがネオフロッグの体に巻きついた。
倒れた状態ではあるが、サガが相手の動きを捉えた。

「今だ!やれ!」

「うん!」
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:11:32.41 ID:6XNPoIO+o
イクサが立ち上がり、カリバーフエッスルを取り出す。

そして、ベルトへと差し込み、認識させた。

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』

左手にイクサカリバーを持ち、姿勢を低くする。
地を這うように走り、空中へ飛ぶ。

残り数メートルで届く。
そう思った瞬間、イクサが横から飛んできたエネルギー弾に吹き飛ばされた。

イクサの変身が解かれ、渡が地面に転がる。

「何が起きたんだ…」

サガがエネルギー弾が飛んできた方向を確認する。

そこに立っていたのは元チェックメイトフォーのメンバーの一人、ビショップ。

「力を過信しすぎるとは…一旦下がりなさい」

「ハッ」

拘束されていたジャコーダービュートをすり抜け、ネオフロッグが何処かへ消えた。

「世界を支配するのは、人間でも、ファンガイアでもない」

ビショップがサガへ近づき、その体を踏みつけた。
強烈な一撃により、サガの変身が解かれた。

「我々、ネオファンガイアだ!」

倒れている太牙にビショップが剣を突きつける。

「その為にも…貴様にはここで死んでもらう!」

ビショップが剣を振り上げ、そして振り下ろされた。
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/09(日) 21:12:00.44 ID:6XNPoIO+o
次回仮面ライダーキバは!


嶋「君は紅音也をどう思っている?」

渡「父…さん…を?」


太牙「そこまでして俺に勝ちたいか」


渡「僕が貴方を倒します」

大村「やれるものなら…やってみろ!キバを継ぎし者よ!」


ウェイクアップ!運命の鎖を、解き放て!

『独奏・渡の奏でる音楽』
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/09(日) 21:13:52.95 ID:6XNPoIO+o
投下終了

戦闘シーンを多めに書いたつもりでも、結果的には結構少ないという
その分555スレでは多めに書いてるつもりなんですけど


次回の投下は日曜夜9時頃から
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 22:58:56.58 ID:oT7RbVRDo
乙ロット
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 23:29:46.48 ID:uu2QWsjDO
乙!

やっと追いついた。
キバ好きの自分には堪らないな。

てか、サガークはどこ行ってたんだ…
太牙がダークキバを使い始めたら、一切出てこなくなったよね?
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 21:06:25.81 ID:V9ENzitvo
ダキバ+ジャコーダーは最高にかっこいい

異論は認める
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 18:29:27.05 ID:y5iZWKFto
やばい

熱はないけど具合悪い
頭痛い

熱があるときの脹脛の痛みが来てる
書き溜めも今日の分投下できるほど作れてない

という訳で、明日改めて投下しに来ます

2〜3時間ほどあれば7、8レスぐらいはできるはず…

明日の夜9時頃に来ます
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 20:36:10.85 ID:SFobvMxmo
やっぱり今日も無理そうです…

というより今週は投下は休みます

頭痛くて「書き溜め作らないと」とか言ってられません
出来るだけ早く復活します

次の投下は日曜日になると思います
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/18(火) 00:03:47.40 ID:jyE5JGzAO
>>600
つ リカバー
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/23(日) 21:10:01.24 ID:Le5wMbNdo
>>601
マミ「バトルチップ『リカバリー』スロット・イン!」

マミさんの中の人(水橋かおりさん)ってディスガイアにも出てたんだね
ラハールの声聞いてたけど全然気付かなかった


>>753まであと150ちょっとか…
まだまだ道は長いね

投下開始
短い
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:10:39.66 ID:Le5wMbNdo
「世界を支配するのは、人間でも、ファンガイアでもない」

ビショップがサガへ近づき、その体を踏みつけた。
強烈な一撃により、サガの変身が解かれた。

「我々、ネオファンガイアだ!」

倒れている太牙にビショップが剣を突きつける。

「その為にも…貴様にはここで死んでもらう!」

ビショップが剣を振り上げ、そして振り下ろされた。

と思われた瞬間、火炎弾が辺りに着弾する。
太牙に当たらないように計算されたような火炎弾。

「ギャオオオオォオン!」

獣の雄叫びが辺りに響き渡る。

「キャッスルドランか…仕方がない。此処は引かせてもらう」

ビショップが撤退をし始める。

「ま、待て!」

渡がその後を追おうとするが、ダメージが大きく意識を失ってしまった。

「渡…」

それを見た太牙も、同じように意識を失った。

「全く、世話のやける兄弟だな…」

次狼が2人を担ぎ、キャッスルドランの中へと入っていった。
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:11:20.61 ID:Le5wMbNdo
「此処は…?」

登太牙が目を覚まし体を上げた瞬間、頭に何かが当たった。

「つっ…!」

太牙と当たった相手。
両方が倒れこむ。

「いたい…」

太牙と頭をぶつけた男が、額を抑えている。

「ようやく目が覚めたか…」

向こう側でチェスをしていた男がこちらへやって来た。

「此処は…いや、渡は何処だ」

「まあ、落ち着け。渡は隣にいるだろ」

男に言われ、隣を見るとたしかにいた。
傷も先程の戦闘で受けた傷だけで、特に変わりはない。

「それにしても此処は…なんだか懐かしい気がする…」

まるで実家にいるような安心感。
それに似た感覚が、太牙を癒していた。

「ま、此処は元々クイーンが持っていたからな」

「母さんが…?つまり此処はキャッスルドランということか」

以前、少しだけ聞いたことがある。
真夜が此処『キャッスルドラン』を飼っていたという話を。

「お前はわずか1年ほどだが、間違いなく此処で過ごしている。懐かしい気がするのもそのせいだろう」

今から約22年前。
此処で、真夜、先代キングと共に暮らしていた。

ほとんど覚えていないが、落ち着くことは確かだった。
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:11:47.08 ID:Le5wMbNdo
「もちろん、お前が此処を出なければならなくなったのも理由があるんだがな」

話は少しだけ知っている。

真夜は人間…渡の父に恋をした。
それが先代キングの怒りを買い、クイーン、そしてファンガイアとしての力を失った。

その怒りの矛先は太牙にも向いた。

その太牙を救うために、渡の父が体を張って止めたという話を。

「懐かしんでいるところ悪いが、眠ってもらうぞ」

「何?」

太牙が反応するよりも早く、次狼の拳が鳩尾に入る。

「後は嶋のやつに引き取らせるか」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:12:15.40 ID:Le5wMbNdo
「此処は…」

「パパ!」

紅渡が目を覚まし、それに正夫が反応する。

「僕は…一体…」

「嶋さんが運んできたんだけど詳しいことを話してくれないんだ」

少しだけ痛い頭を抑えながら体を起こす。
周りを見回すと、此処はカフェ・マル・ダムールの裏のようだった。

「ちょっと待っててパパ。ちょっと嶋さん呼んでくるから」

「え?」

渡が呼び止めるよりも早く、正夫は何処かへ行ってしまった。

そして数分後、正夫の代わりに嶋が部屋に入ってきた。

「すまないな。君と二人きりで話がしたかった」

「何ですか?」

以外に珍しい。
嶋と渡。

この二人は特にこれといった接点もない。
太牙が嶋の育て親、そして音也の上司だったということぐらいにしか認識していないのが現実である。

それが今日、何故か二人きりで話をすることになった。
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:12:45.35 ID:Le5wMbNdo
「君は紅音也をどう思っている?」

「父…さん…を?」

質問の意図がつかめない。
突然二人きりにされたかと思うと、今度は父親をどう思っているか聞かれた。

「とても尊敬してますよ。実際この目で見たわけですから」

心からの言葉。
本当に音也はすごかった。

「それは大層なことだな」

突然、次狼が部屋に現われた。

「何ですか!?突然」

「音也の事を分かっているつもりなら、何故早急にケリを付けられなかった」

そう言われると何も言えない。

「二対一という有利な状況でありながらトドメを刺せなかったのはお前の心に迷いがあるからだ。違うか?」

「次狼、そこまでにしておけ」

「ま、自分で考えておけ。音也ならこういう場合、どうするかをな」

そう言って、次狼は部屋から消えた。
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:13:29.14 ID:Le5wMbNdo
「あの人の言うことも分かってます」

次狼の言う通り、渡の心に迷いがあったのは確かだ。

「嶋さんは…父さんなら、破ってはいけない約束を破った人が居た時どうすると思いますか」

「彼なら…か。きっと、自分で責任を負って後悔しながらでも相手をどうにかするだろうな」

渡も同じ考えをしていた。
音也はそういう人間である。

普段はふざけているが、目的を果たすためなら命すら張れる。

母親の真夜はそういったところにも惚れたのかも知れない。

「やっぱり…そうですよね」

「分かっていたのだろう?ならば君のやりたいようににすればいい」

「僕の…やりたい様に…」

大村を倒す。
それが今渡のやらなければならないこと。

だが、本当に倒せるのだろうか。
かつて渡や音也と同じく、音楽を愛していた者を。

それでもやらねばならない。

「でも…僕は…」

やはり心の中では迷ってしまう。
本当に短い期間であったとはいえ、バイオリンを作る技術まで教えてくれた人なのだ。
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/23(日) 21:14:03.93 ID:Le5wMbNdo
「お前は迷いすぎだ」

何時から居たのか、キバットバットU世が渡に言った。

「お前は音也と一緒だ。何かの為なら命を張れる違うか?」

「それは…」

そうしているのは、ただ人を助けたいということだけで深い理由はない。

「深い理由などいらん。ただ真っ直ぐ、ひたすら突き進め。迷いなど振り払って行け」

それを言うと、キバットは力なく地面に落ちてしまった。
色々言われたが、おかげで目が覚めた。

ベッドから起き上がり、キバットを拾い上げる。

「ありがと、僕のために」

キバットバットU世をV世とW世が寝ている場所へと戻してやった。
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/23(日) 21:17:08.56 ID:Le5wMbNdo
投下終了

渡にボロクソに言うことができる次狼は貴重


555の方を優先してこっちの筆が進まない
これも乾巧って奴の仕業なんだ

555の方も書き溜めを作りたいけど今週は今回の話を終わらせる
それまで555スレは投下だけにして書き溜めを封印する

次回の投下は日曜夜9時頃から
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 21:10:35.11 ID:UzgD+lx8o
今更だけどまどかP予約した
ついでにクラフォ

PSP壊れてて使いものにならないから買うしかないんだよなあ
VITAが出たら値下がりすると信じて


今回でキバ編終了

投下開始
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:11:00.62 ID:UzgD+lx8o
表に出ると、太牙達が話をしていた。

「ビショップが蘇った?」

「ああ」

太牙の話し相手をしていたのは恵。
ビショップについての話をしているようだった。

「あれは名護君が倒したはずよ」

「だが、ネオファンガイアの力を手に入れ蘇った。それは間違いない」

確かにビショップは名護が倒した。
そして、ビショップはその魂『ライフエナジー』を先代キングに捧げ、キングを復活させた。

そのビショップが、ネオファンガイアの力を手に入れて蘇った。

元チェックメイトフォーのメンバーであるだけに強い。
そこにネオファンガイアの力が介入し、手が付けられなくなっていた。

「あいつは俺を敵視している。ならば俺が倒さなければいけない」

ビショップが太牙を敵視。
それは紛れも無い事実。

ビショップは太牙がファンガイアの王として相応しくないといつも言っていた。

先代のキング。
彼こそがキングの名に相応しい。

そして、そのキングを復活させたのもビショップだ。
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:11:28.56 ID:UzgD+lx8o
「兄さん…」

「渡、起きたのか」

ようやく太牙と恵が渡に気がついた。

「兄さんは…あいつを、ビショップを倒す気でいるの?」

「ああ。お前も覚悟を決めろ。男にはなんとしてもやれねばならない時がある。今がその時だ」

太牙の言うことも尤もだ。
迷っていた自分を振り払い、大村を倒す。

先程決めたばかりだった。

「明日は僕があの人を倒す」

「そうか。俺も一人でビショップに挑むつもりだったよ」

二人の目標が完全に決まった。

それなりのダメージは与えたため、大村が出現するのはおそらく明日だろう。

そう考え、3人はそこで解散した。
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:11:56.86 ID:UzgD+lx8o
―翌日・早朝 とある教会―

太牙が寂れた教会の扉を開ける。
その中から、綺麗なピアノの音色が聞こえてきた。

「やはり此処にいたか」

曲の演奏者はビショップ。

太牙の気付いたビショップは不協和音を鳴らし、演奏を止めた。

「そこまでして俺に勝ちたいか」

「言ったでしょう?貴様にキングは相応しく無いと」

見事なまでに変わっていない。
だが、それでこそ倒しがいがあるものだ。

「さあ、決着を付けるぞ」

「雑魚が今の私に一人で勝てるとでも?」

ビショップが不敵な笑みを浮かべる。

「やってみなければ分からないだろう?少なくともお前には負けたくないがな」

「そのプライドを引き裂いてあげますよ、ククク」

二人は一歩ずつ近づいていく。

「サガーク」

太牙がサガークを呼び、その腰に巻きついた。

「変身」

「aoigoj」

ジャコーダーを引き抜き、サガへと変身した。
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:12:23.92 ID:UzgD+lx8o
「王の判決を言い渡す…死だ!」

「貴様は王に相応しく無いといっただろう!」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:12:51.96 ID:UzgD+lx8o
―湖の畔―

「やっぱり此処に居たんですね」

黄昏ていた大村に声をかける渡。

此処はファンガイアだった大村が名護に倒された場所。
渡は知らないが、大村のブラックスターが眠っている湖でもある。

「貴方は父さんとの約束を守れなかった」

「それがどうかしたか?」

本当に変わってしまった。

「だから…僕が貴方を倒します」

「やれるものなら…やってみろ!キバを継ぎし者よ!」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:13:57.73 ID:UzgD+lx8o
渡は黄金の鎧を受け継いだ者。
それも人間とファンガイアの間に生まれた掟破りの存在。
だが、今回はキバではなく、イクサとして戦う。

イクサベルトを腰に巻きつけた。

そして、手にイクサナックルを当てる。

『レ・ディ・イ』

「変身」

イクサナックルを前に突き出し、その後、イクサベルトと合体させる。

『フィ・ス・ト・オ・ン』

渡の体にイクサが装着された。

イクサカリバーを左手に持ち、戦闘を開始した。
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:15:10.11 ID:UzgD+lx8o
イクサが斬りかかり、フロッグがそれに剣で応戦する。

二人の実力は互角。

一度二人が間を空ける。

以前名護が大村を倒した時のイクサはVer.]だった。
だが、今のイクサはVer.?となり、強化されている。

もちろん、大村もファンガイアからネオファンガイアになったため、二人の能力の差は殆ど無い。

再び二人が距離を詰める。

フロッグが振った剣をイクサが避け、カウンター切りを決める。
最初の攻撃があたり、追撃を入れる。

一回、二回、三回斬りつける。
現時点では渡が押している。

だが、フロッグもただやられている訳ではない。

一度吹き飛ばされた後、直ぐ様銃に持ち替え発砲する。

その攻撃でイクサが怯むが、すぐに反撃に移った。

覚悟を決め、戦士としての本能のままに戦う渡。
ネオファンガイアとしての力を最大限に振るう大村。

気が削がれれば、一瞬で勝負がつく。
そんな戦いだった。
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:15:43.48 ID:UzgD+lx8o
一方その頃、太牙とビショップも死闘を繰り広げていた。

ジャコーダーで攻撃するも全て防がる。
かと言ってビショップの攻撃が当たるかといえば違う。

双方が驚異的な回避率を見せ、攻撃が入らない。

単純な力ではエンペラーやダークキバに劣るサガ。
だが太牙はキングとしての誇りを掛け、サガのもつ潜在能力を最大限まで引き出していた。

(何だ、この強さは。明らかにあの男が持つ以上の力を引き出している)

ビショップにとって、太牙の強さは不可解でしかなかった。

力で言えば、キング、ダークキバにつぐ力を持つビショップ。
そこにネオファンガイアの力が組み合わされば敵など無きに等しい。

だが現実はどうだ。

格下のサガにすらまともな攻撃を入れられない。

「いい加減に…くたばれェ!」

ビショップが剣を振り上げる。

だがそれが決定打となった。
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:16:11.82 ID:UzgD+lx8o
太牙はそれを簡単にかわし、ジャコーダービュートでビショップの体を叩く。

最初の攻撃が当たれば、そのチャンスを逃す太牙ではない。

反撃する暇すら与えず、確実に攻撃を当てていく。

そして、ボロボロになったビショップの体を吹き飛ばした。

フエッスルを取り出し、サガークに挿し込む。

「WAKE UP」

人間にも聞き取れるような音声を出した。
ウェイクアップ。

その意味は覚醒。

辺りが闇に包まれ、空には青い三日月が浮かび上がる。

ジャコーダービュートでビショップの体を縛り上げる。
魔皇力をビショップの体に注ぎ込んだ。

ビショップの体が粉々になり、闇が晴れた。

「逃げたか…」

手応えはあった。
だが、完全に仕留められたわけではない。

おそらく、今後もまた現れるであろう。

「何度でも来い。その度に俺が貴様を葬ってやる」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:16:42.45 ID:UzgD+lx8o
渡と大村。
こちらも戦闘終了に近づいていた。

戦闘が長引いたために、どちらも集中力が途切れる寸前だった。

そして、大村が攻撃を仕掛けた。

剣を振りかぶる。
渡はイクサカリバーを手放し、左手でその剣を受け止める。

そしてすかさずカウンターパンチを入れた。

フロッグの体が吹き飛んだ隙にイクサライザーを取り出す。

ライジングイクサへの変身コードである『193』を入力した。

『ラ・イ・ジ・ン・グ』

白い上半身のアーマーが吹き飛び、蒼い体が現れる。

変身した直後にフエッスルを取り出した。

『ドッ・ガ・フェ・イ・ク』

ライジングイクサの下へドッガハンマーが出現する。

そして、ライザーフエッスルを差し込み、イクサのパワーをフル稼働させる。

イクサライザーからエネルギーが放出されフロッグが動きを止めた。

ドッガハンマーを引き摺りながら近づき、動かない体を粉砕した。

「さよなら…大村さん」

かつての師匠に別れを告げた。
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 21:17:10.70 ID:UzgD+lx8o
―翌日―

渡「ゲホッ、ゲホッ」

キバット「おい渡〜大丈夫か〜?」

名護「全く、軟弱だな。君といい、太牙といい」

恵「元はといえば貴方の風邪でしょ。ほら二人共、おかゆよ」

太牙「すまないな、ゴホッ。この忙しい時にゲッホ、風邪なんて引いてしまって」

名護「少しは 恵「貴方は黙ってなさい」

名護「はい…」

渡(辛い事もあるけど…やっぱり自分らしくが一番いいよね。父さん)
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/10/30(日) 21:19:56.15 ID:UzgD+lx8o
投下終了

次回から久々に魔法少女が登場

めんどくさいんでバレンタイン・過去編へ突入
今回久々に台本形式にしたんでこれでよかったのか?って感じでした

珍しくほのぼのが書ける
555スレ書いてるとやる気が削られるからこっちのほのぼのは貴重

次回の投下は日曜夜9時頃から
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/30(日) 22:15:55.88 ID:Mcs8NdNAO
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/01(火) 20:52:05.96 ID:Ja/8mg+ko
乙乙!

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:02:22.81 ID:cjW/TGZNo
なんとも季節外れなイベント
バレンタイン

来月は天皇誕生日…ん?他にもなにかある?知らんがな


投下開始
今回はsage進行で
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:02:51.30 ID:cjW/TGZNo
―とある1月下旬 土曜日 名護家―

ピンポーン

恵「はーい、今開けますよっと」ガチャ

マミ「えへへ、こんにちわ」ニコ

恵「あらマミちゃん。わざわざ遠いところから。電話してくれれば迎えに行ったのに」

マミ「いえ、私の用事で呼ぶのも何か変だと思ったので」

恵「それぐらい気にしなくていいのに」クスクス

マミ「えっと、すいません?」

恵「いいわよ、まあ入ってゆっくりしてて」

マミ「おじゃ…ただいま」

恵「フフ、おかえり」



恵「それで、用事って何?」

マミ「来月ってバレンタインじゃないですか」

恵「そういえばそうね」

マミ「それで、佐倉さんにバレンタインチョコを上げたくて」

恵「友チョコとか言うやつね」

マミ「はい。それで、やっぱり手作りのほうがいいじゃないですか」

恵「まあ、そうよね」

マミ「それで、恵さんに教えてもらいたくて」

恵「お安い御用よ…って言いたいけどいまいちチョコの作り方とか分からないのよね〜」

マミ「以外ですね」
628 :最後の行→×以外○意外 [sage]:2011/11/06(日) 21:03:50.88 ID:cjW/TGZNo
恵「よくよく考えたら、この家の料理は大体あの人が作ってるからね〜」

マミ「そう言えば…恵さんがキッチンに立ってることって少ないですよね」

恵「正直、私より啓介のほうが上手いからね」

マミ「でも私の腕は恵さん仕込みですよ」

恵「あの人、他のことは大体できるくせに料理を人に教えることは苦手なのよ」

マミ「ほんと意外ですね」

恵「ほんとにね〜。それは置いといて、手作りチョコだけど」

マミ「どうすればいいんですかね〜」

恵「インターネットを使いましょ」



〜なんやかんやで夕方〜

マミ「今日はありがとうございました」

恵「いいのいいの。私も勉強になったし」

マミ「それと、佐倉さんが来ても内緒にしておいてほしいんです」

恵「(おんなじ事考えてそうだけどね)いいわよ」

マミ「もし、佐倉さんと同じ事を考えてたらいけないので休日だけ来ます」

恵「ま、別に用がなくても来てもいいわよ」

マミ「そこまでお世話になれませんよ。さようなら」

恵「じゃあね、マミちゃん」
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:04:45.31 ID:cjW/TGZNo
―二日後 平日 午後―

ピンポーン

恵「予想はしていたけど、来たわね」

杏子「うっす」

恵「いらっしゃい、いや、おかえり」

杏子「…ただいま」


恵「それで?何か用があってわざわざ此処に来たんでしょ?」

杏子「ああ、あたしに…チョコの作り方を教えてくれ」ドゲザー

恵「(ああ、やっぱりか)いいわよ」

杏子「ホントか!」ガバッ

恵「嘘ついてどうすんの。キッチンに行くわよ」

杏子「うーい」



〜そんなこんなで夕方〜

杏子「今日はありがと。明日も同じ時間ぐらいに来るよ」

恵「別にいつでも来ていいのよ。貴方も、マミちゃんも」

杏子「あ、マミで思い出した。この事は秘密にしといてくれ」

恵「はいはい、わかってるわかってる」
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:05:50.34 ID:cjW/TGZNo
それから約3週間

恵はマミと杏子、両方にアドバイスをしながら、バレンタインへと準備を進めていった。

そして迎えたバレンタインデー当日



マミ「はいこれ」

杏子「あたしからも…って二人共考えることは一緒なんだな」

マミ「ふふ、なんか恥ずかしいわね」

杏子「久しぶりだな。誰かにチョコをあげるなんて」

マミ「あら、私もよ」

恵「はいはい。そこまでにして。本日のメインイベント、行くわよ」

恵「せーの」

「「「ナッゴサーン」」」

名護「ん?」

恵「喰らえ!」ヒュン

マミ「えい」ポイ

杏子「オラァ!」ビュン

名護「何の!」

パシッ パシッ パシッ

名護「これは…チョコ?」
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:06:37.60 ID:cjW/TGZNo
恵「ええ、今日はバレンタインでしょ」

名護「しかし何故三人が?」

杏子「事の発端は…」

マミ「今から一週間ほど前になりますね」

―1週間前―

杏子『今日は、なかなかうまく作れたんだ』

恵「あら、よかったじゃない」

杏子『この調子なら、本番にはかなり上達してそうだ』

恵「ふーん。あ」

杏子『どうした?』

恵「あの人にも、チョコを上げてみない?」

杏子『あたしだけ?』

恵「そんなわけ無いでしょ。私もちゃんと用意するわ」

杏子『恵がやるなら…あたしもやるよ』

恵「大変かもしれないけど頑張ってね」

杏子『ああ』ブツ

恵「よし、マミちゃんにも連絡っと…」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 21:07:04.61 ID:cjW/TGZNo
――――――――――――――――――――

――――――――――――――――

――――――――――――

名護「なるほど…だが何故投げた?」

恵「ああ、それはなんとなくよ」

マミ「佐倉さんが投げ渡そうって言い始めて」

杏子「あたしだけの責任かよ〜お前らもノリノリだったろ」

恵「否定はしないわね」

杏子「だろ?ま、食べてみてくれよ」

名護「ふむ」パク

名護「!!??」

杏子「?」

名護「プハッ。なんだこれは!」

恵「引っかかったわね!それは私特製、『山葵チョコ』よ!」

名護「この妙な辛さは山葵か」

マミ「あらあら、恵さんったら」

杏子「あたしのは普通だから安心してくれ」

マミ「私も大丈夫ですよ」

恵「流石にやりすぎたわ」

名護「いや、これはこれで問題ない」
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:07:34.64 ID:cjW/TGZNo
恵「あの人味覚おかしいのかしら」ヒソヒソ

マミ「だいぶダメかも知れませんね」ヒソヒソ

杏子「いや、間違いなく駄目だろ」ヒソヒソ

名護「どうした?」

めぐまみあん「いや、なんでもない」

名護「そうか」

恵「じゃ、ホワイトデー楽しみにしてるわよ」

名護「期待添えられるように頑張るさ」
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:08:01.12 ID:cjW/TGZNo
恵「あの人味覚おかしいのかしら」ヒソヒソ

マミ「だいぶダメかも知れませんね」ヒソヒソ

杏子「いや、間違いなく駄目だろ」ヒソヒソ

名護「どうした?」

めぐまみあん「いや、なんでもない」

名護「そうか」

恵「じゃ、ホワイトデー楽しみにしてるわよ」

名護「期待添えられるように頑張るさ」
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:08:55.38 ID:cjW/TGZNo
ホワイトデー当日

恵「さあ、朝起きたらあの人が居ない」

マミ「でも、机の上に何故か蓋で覆われた皿だけが残ってる」

杏子「この事から察するに…」

「「「何かある!」」」

恵「取り敢えず、蓋を外しましょう」

マミ「あれ?手紙が三通」

杏子「それぞれの名前が書いてやがる」

恵「何々…」

『恵へ

 なんというか…ありがとう
 こんな俺を愛してくれて
 不甲斐ないかもしれないが、これからもよろしく頼む
 愛してるよ

                        名護啓介』

恵「言われなくても、わかってるわよ」クス
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:09:47.53 ID:cjW/TGZNo
マミ「私は…」

『マミちゃんへ

 初めて君と出会ったときはなんとも頼りなかったが今ではかなり強くなった
 その調子で、頑張ってくれ

 だが、ハメを外すときはもっと派手にやってもいいぞ
 遊び心だ

 これからもよろしく

               名護啓介』

マミ「遊び心…フフ、分かってますよ」





杏子「どれどれ…」

『杏子ちゃんへ

 初めて出会ったときに比べれば随分丸くなっったな
 もちろん、いいことだ
 マミちゃんとの連携も上手くいっているし、俺は君に期待している

 まあ、歳相応の服装をしてもいいと思うぞ
 もっと可愛らしい服を着るとかな

                  名護啓介』

杏子「余計なお世話だっつーの」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:10:14.28 ID:cjW/TGZNo
恵「それじゃあ、メインのクッキーと行きましょうか」

マミ「はい」

杏子「それじゃあ」

「「「いっただきます」」」

三人「「「! !?」」」

恵「み、水!」

マミ「…」スッ

杏子「フーッ」プルプル

恵「ハァー、ん?お皿の下に何かが…」

『ちなみに、3つだけ山葵を大量に入れたあたりが入ってある
 どれがそのあたりかは俺にも分からない

 P.S.しばらく旅に出ます。探さないでください』

恵「二人共!行くわよ!」

マミ「え?何処へですか?」

恵「決まってるでしょ、あの人のところよ」

杏子「何処へ行ったかわかってるのか?」

恵「おおよその予想はつくわ…」

恵「さあ、着いてきて!」

マミ「はい!」

杏子「はは、待ってろ!名護!」


その後、名護啓介がどうなったかは言うまでもない。
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:19:04.96 ID:cjW/TGZNo
投下終了

後半はギリギリで書いていたため駆け足気味に
あと調理工程については深く追求しないでほしい

チョコなんて貰ったことのないDTに何を求めるか
バレンタイン自体お菓子会社の(以下略


おりマギ読んでたらなんか出したくなってきた
一種のパラレルか、もしくはここのラスト以降からの話にするか

織莉子の父親って議員なんですね
名護父も確か議員でしたっけ

二人の違いは
織莉子…父親は責任を逃れるための自殺
名護さん…釦を毟り、自らの手で父親を追い詰めた

そしてなぜか救世主やら、正義の味方とか言い始める二人


次回は…どうしよう
織莉子編(悪)を書くかラスト以降で書くか

どっちも無しならこのスレはHTML化します
一応、どっちも無しでも1レスか2レス程度のどうでもいい設定編を今週やります
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/06(日) 21:44:55.09 ID:0w0FKf9co
0ww0
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [saga sage]:2011/11/13(日) 21:01:09.83 ID:+LGUU2Byo
―とある日 ポレポレにて―

ほむら「ねえ、キバット」

キバット「なんだ?」

ほむら「『キバ」って誰にでも変身できるの?」

マミ「私も気になるわね」

渡「多分、誰でもできると思うよ」

杏子「何を根拠にそんな事を?」

キバットU「こいつの親父…紅音也は俺の力を借りて変身している」

ほむら「渡の父親は人間?」

キバットU「ああ。だが、闇の鎧の副作用により死んでしまったがな」

キバット「そこを改善させたのが俺とタツロットってわけだ」

太牙「一体だけでは制御しきれない力をニ体に分けたことで完全に制御できるようになったわけだ」

キバットU「俺の場合はファンガイアであっても、それ相応の資格が必要だ。渡や太牙のように王の血を曳いて於かなければならん」

キバット「黄金の鎧を付けないなら、多分お前らにも変身できるんじゃねえか」

ほむら「ただ、そのリスクは分からないってわけ?」

キバット「ああ。ま、最終的に変身させるかどうかは俺が決めるからな」

マミ「ほむらさんの能力の低さもどうにか補わないといけないし…頼んでみたら?」

杏子「イクサ以上の負担だったら笑え…ないな」

マミ「あれは相当痛いからねえ」

ほむら「そこまで言われると逆に変身してみたくなるわね」

キバット「ま、そんな事に陥らないようにするのが仲間ってもんだろ?」

ほむら「そうね」クス

641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [saga]:2011/11/13(日) 21:04:51.23 ID:+LGUU2Byo
投下終了

できれば>>753まで行きたかったけどさすがに無理

ネタ自体はあるんだけど555スレを優先したいから仕方なく…
ちなみにやってみたかったネタ
・ほむらイクサ
・魔女に密着されたところを『ラ・イ・ジ・ン・グ』でキャストオフしてダメージを与える

この二つはやりたかったんだけど…ボツに

取り敢えず2週間後にHTML化申請してきます
それまでにみんなで頑張って>>753まで伸ばしてくれたらそれはとってもうんたらかんたら

>>753取る人にはちゃんとAAでとってほしいな
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 22:02:52.98 ID:er9MOaeDO
>>1乙彼
楽しく読まして貰ってるけど
ワルプルのギャレンキングの件で13体融合て書いてあるけどsicとかだとギャレンキングはカテゴリーKだけと融合した姿である筈で13体融合は剣崎の特異体質に依るものらしいけどそこらへんどうなってんの?
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 22:12:24.62 ID:+LGUU2Byo
>>642
この物語の橘さんは既に剣崎を元に戻すための実験を開始してる
そしてその実験を自分の体を被験体に使っているため、人間よりやや人外によっている
そのせいで融合係数上昇
あとは描写はないけどワルプル戦で感情が高ぶってた云々
よって剣崎や始に比べてエヴォリューションキングの副作用が大きい
だいたいこんな感じです
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/01/20(金) 06:40:23.09 ID:4lxYbbflo
まだか
514.57 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)