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「狂った妹は好きですか?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 16:47:04.81 ID:chgbxTd/0


即答した。

考えるまでもない。

狂っていようが、壊れていようが、終わっていようが……どんな妹であれ、
妹なんだから。

妹を愛すのに、理由は要らない。

「ふ〜〜〜ん、そっか」

妹はボクの返答にウンウンと、軽く首を縦に振りながら頷くと、嬉しそうにはにかむ。

はにかんで、そして……

「じゃあ明日!あたしと一緒に人を殺してくれないかな?」

と、まるでショッピングにでも誘うような口調でボクを口説きながら、笑顔で振り向いた。
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 16:48:23.93 ID:chgbxTd/0
本来なら、ここでボクは妹を叱らなければいけなかったのかもしれない。

いやそれ以前に、もっと面喰った顔をしながら

「なんて事言ってるんだ?」「本気か?」「冗談だろ」

なんて合いの手でも入れるのが正解だったのかも。


けどやっぱり……


「いいよ」

と、ボクは即答した。


妹は優しく微笑んでいた。そんな妹を眺めながら、ボクも笑った。

明日は大変な一日になりそうだ。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 16:49:14.05 ID:chgbxTd/0
翌日




朝から暑い。

せっかくの日曜だってのに。

今日は妹と一緒に人を殺さなくちゃいけないってのに。


うだるような暑さで目が覚めたボクは、本日の気温にひとしきり文句を述べた。


普段のボクならば「グチグチ文句言ってると罰が当たるぞ!」とかなんとか
偽善者の如き考えで、こんな文句なんざ並べたりはしないのだが。

今日これからの事を考えたら、文句をいくら言った所でどうということはない。

なんせ人を殺すんだ。

いまさら罰の一つや二つ増えた所で怖くない。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 16:57:09.48 ID:chgbxTd/0
「もしも〜〜〜し!起きてますかぁ?」

なんてそんな至極どうでもいい事を考えていると、妹が部屋のドアを蹴破って
入ってきた。

元気な奴め。


「起きてるよ」


包丁を片手に持ち、器用にクルクル回している妹にそう挨拶する。


「良かった〜。ちゃんと起きてるなんてお兄ちゃんエライエライ〜♪」


もしボクが起きていなかったら妹はどうする気だったんだろう?
その手に持っている包丁でボクを優しく起こしてくれていたんだろうか?

その場合、目覚めたとしてもすぐにまた眠る可能性もあったのだが……
主に二度と目覚めない方向で。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 17:04:23.46 ID:chgbxTd/0
「あ、コレ?」

そんなボクの視線を感じ取ったか妹は手元の包丁を見ながら答える。

「コレね、朝ごはんの準備してたから」


なんだ、家庭的な良い子じゃないか。


「ついでに今日のターゲットを殺すのにも使えるし」


ワオ!さすがボクの妹だ。今日もぶっ飛んでる。

人を殺そうって気迫が凄まじい。


「あとお兄ちゃんが起きてなかったら、これで……」


その先は聞きたくない。


「一本で3つの事に使えるなんて優秀ね!」


主に使い方が間違ってるのが二つあると思うけど、あえて言うまい。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 17:27:24.67 ID:chgbxTd/0
「……で、もしかしてもう出かけるのか?」

妹の張り切り具合を目の当たりにして、ボクは尋ねる。

きっとコレを聞かなきゃ始まらんのだろう。

妹がさっきからソワソワしてるし、兄として妹の期待にゃあ応えねば。


「うん♪お弁当作ったし、準備バッチシ!」


妹は相も変わらず元気いっぱいだ。

それにしても、人を殺しに行くのにお弁当を持参するとは、なかなかどうして
楽しい現場になりそうだなと思う。


「そっか、じゃ行くか!」

「うんうん、レッツGO〜〜〜♪」


ボクは昨夜用意していたリュックサックを背負い、妹が持っていた弁当を
受け取りながら、ジャージ姿のまま部屋を出る。


このとき、時計の針は午前4時23分を指していた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/03(日) 17:30:44.31 ID:OWmsVFOD0
ドキドキ
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/03(日) 17:42:52.78 ID:D9lwLVyqo
                                         __________________
                                     ,. ‐''"´お兄ちゃんっ``'‐.、
               _,,, --──- 、                ,.‐´お兄ちゃん!お兄ちゃん`‐、
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     /          \    \ー-、ノ
     /     \   ヽ    ヽ \
   _/     ヽ     ゙、    \_ゝ\
  ヽ _,, -‐ '''  ̄    ヽ    ̄/`ヽ、_ ̄''''''─-‐─-、
  /                \  /        ̄`ヾニ_   \‐-
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 17:50:39.66 ID:chgbxTd/0
さて。

突然だが、皆さんは『迷子』という単語を耳にした事があるだろうか?

恐らくあると思う。いや、あって欲しい。

何故あって欲しいのかというと、今現在、まさにその状況だからである。


家を出て数分。

そう、まだ数分しか経っていないにも関わらず、ボクと妹は現在お互いが
ドコにいるのか分からない状態に陥っている。


なぜか?

……答えるまでもない。


妹が全速力で走って、ボクがそれに追いつけなかった。只それだけだからだ。

こちとら弁当とリュックを持って妹を追いかける若干運動不足気味の兄。

かたや中学生のころからハーフマラソンを難なく走破する化け物じみた運動神経と
体力を保有する妹。

日の目を見ずとも結果は明らか。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 18:15:58.90 ID:chgbxTd/0
瞬く間に、妹はボクの視界から姿を消した。



「これは困ったね、どうも」


一人、誰もいない早朝の道端で呟く。

こんな早朝では、妹がどっちの方向に行ったか道行く人に尋ねるのも困難だ。


まあ、

「片手に包丁持って笑顔で全速力の女の子見かけませんでしたか?」

とか尋ねたとしても、まともな返答は期待できないのだけれど。


むしろ、そんな質問してるボクの方がそのまま警察にしょっ引かれそうな勢いだ。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 18:41:35.15 ID:chgbxTd/0
「やれやれ」

どうやって妹を探そう?

リュックに入れておいた携帯に手を伸ばしつつも、ボクは深いため息を吐く。


「こんなとき、あいつが携帯持っててくれたらなあ」


持っていても果たして手に取ってくれるかは疑問だが。


「困ったね」

「うん」

本気で困った。今頃どっかで人を殺して泣いてるんじゃないだろうか?


「誰を探してるの?」

「妹」

に決まってるだろ。いちいち聞くなよ。

「そっか、妹さんか」

「そうなんだよ、さっきそこの道ではぐれちゃ……へ?」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 18:55:50.40 ID:chgbxTd/0
振り向くと後ろに女が立っていた。しかも美人だ。



「よっす」

ポンポンと軽く肩を叩かれ挨拶された。

「うっす」

一瞬何がなんだかよく分からなくなってしまったが、とりあえず返しておいた。
挨拶されたのに返さないのはボクの主義に反するからね。

「うんうん♪」

すると、女は満足そうに微笑む。しかし誰だろう?心当たりがない。


「……」


一呼吸置いて思考を巡らしてみるも、やはり思い当たる筋は無い。


「……あのぅ、どちら様ですか?」

誰かも分からずに会話するのも危険な気がするので一応聞いておく事にした。

知り合いのつもりで会話を進めていながら、もし逆に初対面だったらソレは
ソレで恥ずかしい物があるし。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/03(日) 19:08:07.02 ID:chgbxTd/0
「え?あたしのこと知らないの!?」

女はビックリしながら、さも自分の事をボクが知っているかのように叫ぶ。

けどなぁ……。

「うん」

すみません、知らないんですよ。

「ホントに!?」

「イエス」

「ホントにホント!?」

「I don't knou」


「……」

「ハァァァ〜〜〜」


いやそんな溜息吐かれても。知らないものは知らないんですよ。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/03(日) 19:10:29.36 ID:m/yQssKGo
なんだてっきりelona関係のスレかと
期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/03(日) 19:32:39.16 ID:B9WkIaZAO
今日は終わりかな?

最近じゃ一番引き込まれた出だしだわ
期待してる
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/03(日) 19:37:20.20 ID:RtHZGgCAO
期待
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/03(日) 19:42:36.14 ID:e2Q92lVAO
無粋なつっこみだが
knou×
know○
がんがれ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 20:11:16.15 ID:ghb3N1PF0
「すみません」

「も〜〜〜」


女は顔をリンゴみたく膨らませる。ちょっと可愛い。

口をアヒル口にしなければもっと良いのに。……おっと、これはどうでも良いな。


しかし、どうやら初対面ではなかったらしい。


けど……

「ホントに申し訳ないんですが記憶にないんですよ。あなたみたいな美人、
一度会ったら忘れるハズないんですがね」


うん。この場はこれで誤魔化しておこう。
こういう台詞を言われて気を悪くする女性はいまい。

もしいたとすれば、それは日常的におべっか言われ過ぎて少々気疲れしている方くらいだ。


いや、本気で美人だと思ってるんだよ? ボクの好みじゃないだけで。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 20:20:43.59 ID:ghb3N1PF0
「それ、本気で思ってる?」

「そりゃ勿論」

美人なのは間違いない。


「神さまに誓って?」

「妹に誓って」



こういった問答に対する決まり文句をボクが言い終えると

「ハァァァァ〜〜〜」

ってな具合に、女はもう一度深く溜息を吐いてから

「仕方ないか……4年ぶりだもんね」

そう、呟く。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 20:26:10.15 ID:ghb3N1PF0
どうやらボクと彼女は4年前に面識があるらしい。


はて、4年前……。

ということは中学時代?


うんうん、と唸りながら記憶のピントを中学時代に合わせてみるモノの
やはりそれらしい記憶は見つからない。


そしてそんなボクを傍らに、

「その顔見てハッキリした。やっぱり覚えてないんだ」

「それに……相変わらず妹LOVEなんだね」

彼女はボクの顔を値踏みするかのごとく覗き込みながら、心底落胆した
面持ちでボソッと言い放つ。


「そりゃもう、妹を愛せない兄は兄失格ですから」


「この……シスコンめ」


落胆を見せる彼女と対照的に

「ハハッ」

ボクは笑った。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 20:43:36.00 ID:ghb3N1PF0


とにもかくにも。


せっかくこんな新聞配達関係の人くらいしか起きていないような
時間帯に出会ったのだからいろいろ話を聞いてみると、

どうやら彼女はボクの同級生だったそうな。


しかも中学で三年間クラスも同じ。


…………。


「なんか、ゴメンね」


これにはさすがのボクも謝らざるを得ない。

三年間もクラスが一緒だったのに、顔も名前も思い出せないのは我ながらどうかと思う。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 21:16:48.59 ID:ghb3N1PF0
「ううん、もう良いの」

「思えばあたし、存在感薄かったし!覚えてなくても当然かも!」


けれど、こんなにも不甲斐ないボクを、ポニーテールを揺らしながら彼女は許してくれた。

……ええ子や。


「いやいや。けどさ、忘れてたボクが言うのもなんだけど、一応さん美人になっ……」

「イ・チ・ヨ・ウ!!!」

「……い、壱葉さん。これまた凄い美人になりましたね」


ちなみに彼女の名前は『壱葉』さん。間違って『一応』さんなどとでも呼んだりしたら、
今みたく烈火のごとく叱られる。

どうやら小さい頃から『一応女の子』とか『一応クラスメイト』とか散々からかわれた
ようで、自分の名字にひどくコンプレックスを持っているご様子。

叱られたがりなドMな男性諸君以外はくれぐれも間違って呼んだりしない事だ。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/04(月) 23:32:20.78 ID:ghb3N1PF0
「えぇ〜?そっかなぁ?」

壱葉さんは腰をくねらせながらブリっ子ポーズをとる。
顔が綺麗なだけに、似合わぬ行動とのギャップがまた凄まじい。

しかもジョギングタイツにTシャツという恰好なもんだから、さらにチグハグに見える。


「綺麗になったって。ボクが保証するよ」


好みではないけど。


「またまた〜人を乗せるのが上手いんだからっ!」


「ボクはあんまり嘘は吐かない主義だよ?」


冗談は言うけどね。


「もう!あんまりそんな事言ってると……本気にしちゃうからね!」



…………え?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/05(火) 05:51:14.93 ID:ULop3OqAO
一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応さん一応
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 16:02:19.76 ID:EjscLxYIO
ドMや!
ドMがおるで!
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 16:12:37.54 ID:S6/xv9P10
どうなっても知らないぜい
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/05(火) 16:13:41.03 ID:p2uTuHUAO
以下ドMホイホイ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 21:05:56.49 ID:+lSNPDNh0
「それってもしかし……」

「ん?」


『もしかしてボクのこと……』と、喉まで台詞が出かかったが、すんでの所で
なんとか最後まで言い終わる前にとどまれた。


危ない危ない。

男って奴はどうしてこう、勘違いする生き物なんだ。
過去にも似たような状況で手痛い失敗した経験があるというのに。

まるで懲りてない。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 21:09:58.35 ID:+lSNPDNh0
そもそも今はこんな所でランニング美女と乳繰り合ってる暇はないだろうに。

早く妹を探さないと今頃あいつ…………ア。


ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああ……



「あぅうぅぅぅ……」

「どしたの?」


……しまった。すっかり忘れていた。ボクは馬鹿か?


「妹と……はぐれたんだった」

「ア!」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 21:20:35.88 ID:+lSNPDNh0
「ゴメン!ゴメンね?」

「……アー」


今度はさっきとは正反対に壱葉さんが平謝りに平謝りだった。


「久し振りに会えて嬉しくて、テンション上がっちゃって!」

「アゥアゥ」

「本当にゴメンなさい!」

「アゥアゥアー……」


だがしかし、彼女の所為だとばかりは言えないだろう。

ボクだってテンション上がって昔話に花を咲かせてたんだから同罪だ。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 21:35:28.67 ID:+lSNPDNh0
いやむしろ、妹の脚力について行けず早々に見失ったボクの責任の方が大きい。
彼女を咎めるのはお門違いだ。


「…………ふぅ」


大きな溜息をひとつ……肺の底から捻り出す。…………とにもかくにも、妹の
捜索を開始せねばなるまい。

このままだと妹は『一人で』人を殺す事になってしまう。

あいつの傍に、隣に、ボクがいてやらなくちゃ。

『ボク』が『一緒に』人を殺すのが、あいつの望みなのだから。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 21:53:39.25 ID:+lSNPDNh0
「…………」


「ゴメンなさい!ゴメンなさい!」


顔を上げると、壱葉さんは未だボクに謝り続けていた。
なんて真面目な……将来、悪い男に引っかからないかボクは心配ですよ。


……ところで、さっきから壱葉さんがペコペコお辞儀をする度にTシャツ
に収まりきれてない胸が

        『ここが見せ場だ!』

とでも言わんばかりにブルンブルン揺れているのだが、彼女は果たして
気づいていないのだろうか?

それとも、ささやかとはとても言えない激しい自己主張なのだろうか。


どっちにしろ、オッパイ星人にはたまらない。

ボクも妹を探す必要がないのなら、あと小一時間は鑑賞していたいのだが、
そうもいくまい。


「イッチ・ヨウ・さんっ!」

「は、はい!」


壱葉さんはボクが声を掛けるとおっぱいを揺らすのを……モトイ、謝るのを
やめて顔を上げる。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/05(火) 22:15:15.57 ID:+lSNPDNh0
「もう充分!充分ですよ。謝るのはストップ、ストーップ!」

「で、でも!」

「いえいえ、元はといえばボクが妹とはぐれたのが悪かったんだし、
壱葉さんがそんな責任感じるこたぁ無いですって」


なるだけ明るく


「そんな!あたしが喋るのに夢中で……」

「そ・れ・よ・り!」


おどけた感じで


「それよりボカァこれから妹の捜索に行かにゃならんのです」

「え、ええ」


ボクは言った。


「だから今日はこの辺で!シーユーアゲイン♪」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/06(水) 02:13:35.07 ID:hFfH9m4AO
この黙々と書いていくスタイル、嫌いじゃないぜ乙
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/06(水) 22:24:30.60 ID:IrvP5H+o0
「え?ちょ!?ちょっとまっ……」


壱葉さんが言い終わるのを待たず、ボクは駆け出す。


真面目そうな彼女のことだ。
下手したらこのまま一緒に妹を探そうと言いかねない。


それは、すこぶる不味い。


妹と二人で人殺しに出かけたというのに。
妹は包丁片手に笑顔で全力疾走しているというのに。
妹は誰を殺すかなんて、一言もボクに告げていないのに。


それに。

妹は、今日、『何人殺す』かもボクに告げていないというのに。


もしも、ボクの隣に壱葉さんがいる状態で妹と再会したら?
本来ターゲットではなかったハズの彼女もターゲットになる可能性がある?


んなのボクにも分からない、分からないさ。

けどね……そうならないなんて保証も、何処にもない。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/06(水) 22:52:15.90 ID:IrvP5H+o0
だったら一緒にいない方がマシってもんだ。


故の逃走。故の逃亡。


せっかく久し振りに会った同級生を手に掛けたくはない。

まあ、同級生だろうが、見知らぬオッサンだろうが、はたまたボクや妹を捕まえよう
とするであろう国家権力様であろうが


「出来る事なら、人を殺したくはないんだけどね」


走りながら、まるで独白の真似事のようにボクは喋る。

別に誰かに聞いてもらいたい訳でも、ましてや未だ誰も殺害してすらいない今から
懺悔しようとは思ってない。

なんとなく、言っておいてみたかっただけ。

ボクは、「別に好きで人を殺すんじゃありませんよ」って予防線を張っておきたいだけ。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/06(水) 23:19:21.52 ID:IrvP5H+o0
だったら殺さなきゃ良いのに、って話なんだけどさ。



交差点を曲がって、付近の家の壁に背荷物を押しつけながら辺りを窺う。

けっこう走ったけどどうだろう。
ここに来るまでも、何度か交差点と人目に付きにくそうな小道を選んだつもりだが。


…………。


壱葉さんの姿は確認できない。
どうやら振り切ったみたいだ。


「ふい〜〜〜っ」


久し振りに、しかも本日早くも二度目の全力疾走したおかげで全身から汗が噴き出る。
夏の暑さも相まってベタついて気持ち悪い。


ボクは乱れた息を整えながら天を仰いだ。


上空には、綺麗な朝焼けが広がっていた。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/06(水) 23:44:37.67 ID:IrvP5H+o0




そんなこんなで。



ボクは現在、一人ぼっちで妹を捜索しているのであった。


ちなみに現在の時刻は午前6時32分。

あろうことか、妹とはぐれて既に2時間近くが経過しているのだった。

その2時間近くのうちの8割以上を、壱葉さんとの他愛もない雑談に
費やしていたボクが言うのもどうかと思うが、これはヤバい。

妹のヤツ、下手したら本気で既に人を殺しててもおかしくない。
どうしよう。



それにこの時間帯になると、いくら日曜とは言っても人が活動し始める。

万が一、妹が殺人を犯していたら、いや、殺人を犯していなくとも、まだ
包丁片手に笑顔で街を駆けずり回っているんだとしたら、デカイ騒ぎになる。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/07(木) 00:53:00.12 ID:U88jMulVo
乙した
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/07(木) 11:01:57.65 ID:PvX/LorAO
「大好きです。今度は嘘じゃないっす。」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 20:22:40.17 ID:NT7VRXQi0




「きゃぁあああああああああああああああ!!!」

「う、うわぁぁぁぁああああああああああああああああ!?」

「おいおい、こりゃあ一体……」

「ちょっとぉ、コレ……」

「ひ、ひっひっひ人が……人が!!!」



そうそう、まさにこんな感じ…………って、え?


アレ?


「あの、もしかして……」


ビンゴですか?
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 21:09:57.86 ID:NT7VRXQi0

「ハッ、ハッ、ハッ…………はあ……はあ、はあ」


………………。

一も二もなく、叫び声のする方に駆け付けたボクの目に飛び込んできたのは、
悲惨な光景だった。

悲惨としか、表現しにくい光景だった。


人が数人『ソレ』から離れて群がっている。

しかし、決して『ソレ』の傍には近づこうとしない異質な空間。


当然だ。


そこにあるのは、黒い影、黒い塊、黒い空間。


……大量の、カラス。


バサバサバサ、バサバサバサと。

まるで、『ソレ』を隠すかのように。
あるいは、『ソレ』を守るかのように。
またあるいは、『ソレ』を他の者には盗られまいと攻撃するように。


カラス達は、『ソレ』に群がっていた。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 22:08:21.39 ID:NT7VRXQi0
「……」

ゴクリと、唾を飲み込む。


群がるカラスの隙間から、若干食み出て見える、赤い血だまり。

鼻をつく、独特の香り。

ここで何が起きたのか、ここにナニが存在するのか、理解するには充分だ。


「マジ……かよ」


呟きながら、誰も近づこうとはしない『ソレ』に向かって、一歩足を踏み出す。


「…………」

そろり、そろりと。

カラスを刺激しないように。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 22:23:30.42 ID:NT7VRXQi0
やがて、カラスが支配する黒い空間の中に、ボクはすっぽりと埋没した。

そして改めて中を確認すると、
やっぱりそこには、死体があった。

ボクと、あまり年も変わらなそうな、若い男の死体が。



「……うぅっ」


思わず口に手をあてがう。

強烈な吐き気。それから眩暈。


目の前にある死体。
そこから発せられる臭いが、容赦なくボクの嗅覚を刺激する。


……夏だもんな。そりゃこうなるか。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 23:34:10.11 ID:NT7VRXQi0
長時間の接近は不可だと悟り、ボクは素早く死体の状況を確認する。


男は左手を腹の下に潜り込ませ、右手はまるで誰かに助けを求めるかのように
伸ばした状態。

赤い血だまりの広がり方と倒れ方から見ても、出血は主に腹部から。


……一目で分かる、誰かに刺されたんだという現場。



妹が、やったのか。


「…………ッチ」


心の中で、舌打ちする。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/07(木) 23:39:21.75 ID:U88jMulVo
ハラハラ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/07(木) 23:58:52.25 ID:NT7VRXQi0
よりによって。

よりによって、こんな目立つ所で、こんな隠しようのない殺し方で、殺したもんだ。


これでは隠蔽も隠匿も不可能。
仮に本当に妹がやったのだとしたら……間違いなく独房行きは免れないだろう。

妹の代わりにボクが罪を被ることすら許されない。


なぜなら周りの野次馬たちによって、ボクが駆け付ける前に、この男が既に殺害されて
いたという証言が出てくるからだ。

わざわざ事件現場に犯人が舞い戻ったんだと、警察が無意味な想像力を働かせてボクを
犯人に仕立てあげてくれたらありがたいが……その可能性は残念ながら無いだろう。


ボクはこの男を殺害したであろう凶器も持っていないし、なにより、返り血も浴びていない。
ボクの嘘なんか、すぐに見抜かれてオシマイだ。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/08(金) 00:13:19.23 ID:FV1V9THt0
それに、ボクが嘘を吐いているという事実が判明したら、警察はすぐに妹に
捜査の目を向けるだろうしね。


「自分が犯人だ」という嘘を吐くからには、理由があるもんだ、ふつう。

すなわち、誰かを庇って嘘を吐いているんだと。



つまり、ボクがやったんだと警察に嘘の自首をしに行けば、より一層妹が捕まる
可能性が高くなるという事。


…………。


妹の幸せを願う兄としては、選べないルートだ。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/08(金) 09:33:37.52 ID:mw5fROfPo
乙した
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2011/07/08(金) 10:55:32.45 ID:0ZDpyu2E0
戯言みたいな書き方だな
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/07/08(金) 16:10:49.56 ID:MwzTDGKro
>>50
思った
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/08(金) 19:39:26.36 ID:FV1V9THt0
「あ〜〜〜あ、ったく」


心の中で毒気づいて、そのまま踵を返す。


ここには最早、用は無い。


このまま現場に残って証拠の隠滅でもしてやろうかと考えたが、やっぱ
んなもん、どうでもいい。

野次馬たちに目撃されてチクラレでもしたら、余計に妹が捕まるのが早まるだけ。
分かり切ってる。

なら、しない方がまだマシってもんだ。


触らぬ神に祟りなし。


それに、警察が駆けつけるまでにカラスが充分荒らしてくれるだろうさ。
証拠の隠滅なんざ、それで十分だ。


ボクが今しなければいけないのは、警察よりも先に妹を見つけること。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/08(金) 19:51:37.29 ID:FV1V9THt0
見つけて、保護して、返り血のついているであろう服や凶器の処分する。

コレが一番、冴えた方法。


「うしっ!」


気合を入れて、来た道を引き返す。

まずは家に戻って、それからまた、出直しだ。


――――妹の未来は、ボクが守る。



……でも、このときのボクは気付いていなかった。

カラスによって作り出された黒い空間の外、人だかりの中に、壱葉さんが
いたという事に。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/08(金) 20:52:29.81 ID:mw5fROfPo
ワクワク
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/09(土) 11:52:07.52 ID:fbH6IW+AO
テカテカ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 13:40:16.77 ID:MYUn0fCf0
                                         __________________
                                     ,. ‐''"´お兄ちゃんっ``'‐.、
               _,,, --──- 、                ,.‐´お兄ちゃん!お兄ちゃん`‐、
              /..::::::::::::::::::::::::::::.... `ヽ           /お兄ちゃん?お兄ちゃん♪お兄\
    _,,,  /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... 丶        ,i´んっ☆お兄ちゃんっ!お兄ちゃん〜お 、
   <´   `Y、_:::::::::/:::::::::::::::::::::iヽ:::::::':、:::::...  、     /ちゃん?お兄ちゃん。お兄ちゃん〜お兄ちヽ.
   〉  '''‐〈  ノ、_/:::::::::::/:::::::::::゙、 \::::ヽ:::::.  、   ,iお兄ちゃんっお兄ちゃん?お兄ちゃんーお兄ちi
   〈 / ̄ノ    !::::::::::::|ヽ:::::::::::゙、  ヽ::::゙、::: 、 、 .iゃん!お兄ちゃん♪お兄ちゃんお兄ちゃん。お兄i.
   /::;;;;;;;/ /∨ |:::::::::::::| _\::::::ヽ  \|:::: !ヽ 、 .iお兄ちゃん!お兄ちゃん?お兄ちゃん〜お兄ちゃl
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  {::::::::i;:::::::;;l \;;;::`ー-、\|     f''ー‐'''゙/:|   <んっ☆お兄ちゃんっ!お兄ちゃん〜お兄ちゃん,!
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   ゙、:::{、ヽ:;:::::\_ ,,,,ノニ/、_ 7'''''  ̄  |:::::::i:j      `:、ちゃん?お兄ちゃん。お兄ちゃんっお兄/
   ヽ::゙、\ヽ:;;:::::_}\      ̄j、_    |:::: /゙        `‐、兄ちゃん☆お兄ちゃん♪お兄ち, ‐´
    \!  ` _ノ   \   /二、}   |/           ` ‐.、お兄ちゃん?お兄ちゃ_, ‐''"
            ) ,,. - 、    ̄´|  ! \                  ´`‐------------‐ '´
        / / -‐=\ 、  }  ヽ  ` 、
         / ' /     ヽi  |i   ゙、    )
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      /     \    丶ヘ| ヽ_  /
      /       ヽ    ヽ |    ゙̄j
     /          \    \ー-、ノ
     /     \   ヽ    ヽ \
   _/     ヽ     ゙、    \_ゝ\
  ヽ _,, -‐ '''  ̄    ヽ    ̄/`ヽ、_ ̄''''''─-‐─-、
  /                \  /        ̄`ヾニ_   \‐-

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 13:43:19.90 ID:MYUn0fCf0




「あの〜、大丈夫?」


場所は変わって、ボクの部屋。

ミニテーブルにコーヒーを置きながら、ボクが尋ねる。


「……」


返事は無い。

ただの壱葉さんのようだ。


……やれやれ。

さて、妹を捜索していなければならないボクと、ポニーテールにTシャツ、
ジョギングタイツを装備したスレンダーダイナマイトセクシーボディを有する
壱葉さんが、なぜボクの部屋でミニテーブルを囲み、コーヒーを愉しんでいるか
説明せねばなるまい。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 13:48:54.61 ID:MYUn0fCf0


あのあと、ボクが死体から離れて一時、家に帰ろうと足を伸ばしたその矢先、


「あ」

「ア」


壱葉さんが目の前にいた。



「あの、その、あたし……悲鳴が聞こえて……」

「……うん」

「それで、駆け付けたら……」


壱葉さんはボクを指さす。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 13:58:47.26 ID:MYUn0fCf0
「そっか、まあ……だよね」


ボクが壱葉さんと別れてから、それほど時間も距離も離れていない場所で
あの悲鳴だ。

壱葉さんが気になって見に来ていても不思議はなかった。


「ボクも悲鳴が聞こえてね。慌てて飛んできたんだ」


ボクは白々しく答えた。


「……」

「そしたら、道端に『アレ』があった」

「ねえ。『アレ』って……」

「死体……人のね」

「…………」


壱葉さんは再び口を噤む。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 14:23:40.73 ID:MYUn0fCf0

「……」

「…………」


しばらくの沈黙のあと


「送ってくよ」


と、ボクは言った。

そして、壱葉さんの手を取り、ボク等はその場を離れたんだった。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 14:25:02.95 ID:MYUn0fCf0
以上、過去の回想、説明終了。

現在に至るというわけだ。


ちなみに本当はこのあと、家まで送り届けようとしたボクに壱葉さんが
急に抱きついてきて

「帰りたくない」

と仰られたので、仕方なくボクは壱葉さんを我が家に迎え入れたという
シーンが存在するのだが……


その時のボクの心情や、ボクと壱葉さんとのちょっぴりドロドロした
諸事情により、上手く言語化、説明出来るとは思えないので、今回は
割愛する事にする。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 14:55:05.54 ID:MYUn0fCf0


とにもかくにも。


ボクは家に戻ってきた。

もしかしたら妹が着替え云々をしに戻っているかもしれないと睨んでの
帰宅だったが、予想は外れ、家には誰もいなかったけど。


「……」


ま、いいんだけどね。

逆に妹がそんなに浅はかでなかったことの方が素直にうれしいし。

人を殺して、そのまま自宅に逃げ帰って籠城なんざ、見つけて下さい
と言ってるようなもんだ。


一先ず付近を離れて身を隠しながら、ほとぼりが冷めるのを待つ。
つかず離れず、これが最も効果的だ。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 15:14:36.29 ID:MYUn0fCf0
あまり離れた場所に移動しすぎると、事件の前後に所在が不明になったと
不審がられるし、

かといって堂々と殺して直帰なんかしてしまうと警察犬などの追跡から
すぐばれる。現場付近の家だったら尚更だ。


いや……、


「……考えすぎだな」


ボクは首を横に振りながら、さっきまでの自分を否定する。


妹がそんなこと、考えて行動している筈がない。

そこまで考えているんだったら、そもそもあんな殺し方はしないし、
あんな場所に放置もしない。


妹は――――ただ殺したかったから、殺したんだろう。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 15:43:41.28 ID:MYUn0fCf0



ウィィン


と、パソコンの起動音が、静かな部屋に響き渡る。

壱葉さんがベッドに腰掛けて動かないのを横目に、ボクが立ち上げたんだった。


「……」


無言で検索サイトにカチャカチャとキーを打ち込む。

もちろん、打ち込む文字は決まっている。


              『殺人事件』


ボクがキーを打ちこんでエンターを押すと、パッと画面が切り替わった。


『女子高生コンクリート詰め殺人事件』

『東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件』


それから……


『本日の殺人事件ニュースの検索結果』
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/09(土) 16:40:29.78 ID:ouhfl8MAO
妹は零崎
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 23:21:18.17 ID:MYUn0fCf0
迷わずカーソルを『本日の殺人事件ニュースの検索結果』に持って行き
クリック。

すぐに内容が画面上に映し出される。


結果は……。


うちの近所で若い男性が殺害された――――程度しか書かれていなかった。


「フム」


まだ、この程度しか騒ぎになっていない、か。

ホッと胸を撫で下ろす。


まあ、悲鳴を聞いてボクが駆けつけてから、まだほんの1時間も経ってないし、
こんなものかもしれない。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/09(土) 23:24:50.08 ID:24x1LKSCo
乙した
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/09(土) 23:25:30.46 ID:24x1LKSCo
うおお、読んでたらキテター
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 23:36:37.11 ID:MYUn0fCf0
逆に言えば、警察への通報があってからさほど時間も経過してないだろうに
「もう記事になるとは、ネット社会恐るべし」とでも揶揄すべき状況かも
しれないが。


「……」


どちらにせよ、さしたる問題ではない。


ボクは再びカチャカチャとキーを打ちこみ、別のページに飛んだ。

リンク先は……某巨大掲示板。


掲示板の検索ワードに『殺人事件』と打ち込み、ヒットしたスレッドを片っ端から
チェック。

もしもここで引っかかなければ、一般からの情報も、今のところ表に出ている可能性
は少ないだろう。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/09(土) 23:52:37.84 ID:MYUn0fCf0
ボクは普段、こんな掲示板なんか覗かないが、



「あそこ、情報だけは早いんだぜ」

「そうなの?」

「ま、大半がデマだったり、どうでも良い話だったりするんだけどさ」

「ふ〜〜〜ん」

「それでも、たまにワケの分からんくらい早くて、しかもたまに誰も知らないような
情報が入ってくるんだ。お前らは探偵ですか? ってレベルのな」

「そ、そうなのか……」

「おう! だからお前も一回やってみろって! ハマるからよぅ!」

「……考えとくよ」


てな情報を、大学の友人から聞かされた事があったからだ。


話半分では有るものの、何回か試しに覗いた時は、確かにやたらどうでも良い情報
だけは提供されるのが早かったので、今回も一応、確認という意味で。


はてさて……。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/10(日) 00:28:41.38 ID:aP7/pQOe0


「――――くん」


う〜〜〜ん。これは外れ。これも外れ。

ピッピと、カーソルをスクロール。スクロール。


「ねえ、――――くんってば!」


これも、昔の殺人事件で今日のとは違うな。

カチカチっと。


「ちょっと聞いてる?」


ふむ、意外と少なかったな。それとも検索ワードの設定が不味かったか?


「もう! こっち向いてよ!」

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/10(日) 00:31:57.25 ID:aP7/pQOe0

やれやれ。壱葉さんがどうやら元気になってしまったようだ。
残念ながら、ボクは今あなたに構ってる場合じゃねーんですよ。

んなワケで、無視無視。


「ちょっとぉ!?」


ボクはブッチを決め込んでパソコンのモニターから目を離さない。
次のキーワードとして自分の住んでる街の名前を入力。

検索を開始。

よ〜〜〜し、これならどうだ?

壱葉さんを完全に無視して突っ走るボク。 さすがにやりすぎだった。


「エイッ☆」


さっきから聞こえている、耳元で飛ぶような蚊の羽音に似た声を無視っていると、
グリッと、首を捻られた。目の前には、壱葉さんの顔。

……怒ってらっやる。


「ねえ、聞いてる?」


怒りながらも笑顔の壱葉さんに、ボクは


「う、うん。ゴメン、夢中で気付かなかった。どうかした?」


とりあえず、嘘を吐いた。

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/10(日) 15:50:39.75 ID:aP7/pQOe0



シャワ〜〜〜〜♪



はて、シャワーを浴びているときの擬音はこれで正解だったかと首を唸りながら、
ボクは現在、脱衣所にバスタオルと着替えを運んでいる。


お姫様がシャワーを御所望されたからだ。


まあ、ボクと出会う前まで彼女はランニングしていた訳だし、暑くて汗もかいて
いるから水浴びしたいというのは分からんでもないが。


「……でも普通、4年振りに再開した同級生の家に突然上がりこんで、シャワー
借りるかな?」


ボクは風呂場の艶めかしいシルエットに向かって、聞こえない程度の小声で囁いた。


「なにか言った?」


シルエットが反応する。……どんな地獄耳だよ。


「うんにゃ、それより湯加減はいかがです、お姫様?」


「うむ! 悪うはないぞよ♪」


ノリノリである。とてもさっきまで、人の死体を見て落ち込んでいた人間とは思えない。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/10(日) 15:55:55.13 ID:aP7/pQOe0
「ハァ……」


溜息を吐きながら、着替えを置く。

もちろん、ボクは女装癖や女性物の下着を集める趣味は持ち合わせていない
ので、着替えは妹のを拝借している。


「……怒られは、しないだろな」


妹は性格はアレでも、外見には中々気を使う奴なので、服で困っている人が
居たなら、自分の服くらい文句言わず貸すだろう。……ボクの勝手な想像だけど。


「いいや、こっそり返しとけばバレないだろ」


バレたらバレたで、謝まりゃいい。それより問題は、


「……サイズ、合うのか?」

だった。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/10(日) 16:16:54.86 ID:aP7/pQOe0
妹贔屓で知られるボクだが、妹と壱葉さんを比べると、比べると、比べると、うん。

比べるまでもなく、勝敗は明らかだ。


いや、どっちが勝ってどっちが負けたとか言うつもりはない。

そもそも体型に勝ち負けなどは存在しないし、人にはそれぞれ好みの体型
とでも言うべきものが存在する。

昨今は幼女趣味と呼ばれる人達がいるくらいだし。


「けどなぁ……」


あんまりにも、あんまりだ。

ボクは、洗濯機の横に備えられているカゴの中に無造作に放り込まれている
壱葉さんの下着を眺めながら、そう思った。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/10(日) 17:09:04.20 ID:RIAAKgbSO
なにやら良スレを見つけてしまったぜ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/10(日) 17:56:20.98 ID:YG1a+Oz90
またお気に入りが増えちまったよ
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 01:07:33.18 ID:lcJKLkbL0
ちなみにこの時「壱葉さんスリーサイズいくつですか?」とか聞こうとも考えたが、
女性にサイズを尋ねるなんて

年配の女性に年を聞くのと同じくらいタブーかも、とか
逆に、答えられたらどういう反応をすんだよ、とか
そもそも聞いてどうするんだ、とか

とか、とかとか、色々頭を駆け巡り、結局やめた。


別にいいや。


下着のサイズが合わなくて困るのはボクじゃないし。

あまりにもサイズが合わなけりゃノーブラという選択肢もあるし。
それに洗濯機廻してないんだから、着ようと思えば脱いだの着れるし。


うん。


「じゃ、着替えここに置いとくから」


ボクは壱葉さんにそう言って、背を向けた。
先程の検索結果の続きも気になるし、さっさと戻ろう。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 01:20:52.13 ID:lcJKLkbL0
――――しかし、そんなボクの思惑とは裏腹に、


「ピンポンパンポン☆」


「御免くださぁい」



玄関からインターホンと声が鳴り響く。

どうやらお客、新しい登場人物のお出ましみたいだ。


物語が狂い始めたと、ボクが思った。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 01:37:34.25 ID:lcJKLkbL0



「どうぞ、粗茶ですが……」


「あぁ、お構いなく」

「どもども〜」


ボクは二人の前にコップを置く。

さっきからコーヒー煎れたり、着替えを出したり、ずいぶん甲斐甲斐しく働くな、ボク。
自分で自分を褒めてやりたいよ。


ま、それはそうと……


「何の用です? 刑事さん」


ボクは二人の顔を見ながら訊ねる。笑みを崩さずに。
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/11(月) 02:22:38.21 ID:CpIYJtJgo
乙した
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/11(月) 09:30:39.14 ID:L/LhhiwAO
続き待ってるよ〜
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/11(月) 13:30:16.56 ID:OSB0SGSAO
おつおつ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/11(月) 18:02:54.25 ID:4lifG1L2o
マダカナー
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 22:56:38.17 ID:lcJKLkbL0
「フン。そんなに緊張しなくても良い。二、三聞きたい事があるだけだからな」

「そうですそうです!」


男の刑事はこちらの様子を監視するかのようにジッとボクを見据える。

反対に女の刑事(?)はニコニコと笑顔を垂れ流してるだけで、どこを見てるかは不明。


「……」


なんなんだ、こいつら。なんなんだよ、こいつら!

いやいや、それよりも。

刑事……だと。

何故刑事がうちに来るんだ? こいつら……一体どこまで。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 23:05:15.75 ID:lcJKLkbL0



さっき。


「ピンポンパンポン☆」

「御免くださぁい」


玄関から聞こえるチャイムと声。


「……」


ボクは多少訝しみながらも、とりあえず覗き穴から確認する。

表にはスーツ姿の二人組。

中肉中背の40台と思われる男。
それともう一人。身長こそ、そこまで低くないが、やたら童顔の年齢不詳女。


「……」


怪しい。今は壱葉さんもシャワー浴びてる事だし、お帰り願いたい気分だ。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 23:20:46.36 ID:lcJKLkbL0
「開けてくださ〜い」


ダンダンと、女がドアを叩く。

どうだろう、このまま居留守を決め込んでみるか?
こっちが黙っていれば大人しく帰るかもしれないし。


「開けてくださいってばぁ〜〜〜!聞きたい事があるんですよぅ!」


「……」


諦めてくんないかなぁ。


「スゥゥゥゥ……」


うん? なんだ、今度は男の方か? 息吸い込んでなんのつも……。


「帰ってるのは知っている!!! 大人しく開けろ! 我々は警察だ!」


「!?」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 23:29:36.89 ID:lcJKLkbL0
け、警察!? つかなんでそんな大声?


「開けない場合は公務執行妨害でしょっ引くから、そのつもりでいろ!!!」


はあ? い、意味ワカンネェ。公務執行妨害って、あんた……。


「警告はした! では、強行策に移らせてもらう!」


へ? へ?


「では行くぞ!!!」


ちょ!? ハンマー?


「せーの!!!」


「ちょ、ちょっと待った〜〜〜〜!!!」


「ア」


「い、居ます! 居ますってば!ドア壊さないでくださいよ!」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/11(月) 23:44:47.76 ID:lcJKLkbL0
「ふん! 最初から開けないからだ。では上がらせてもらうぞ」

「お邪魔しまぁす☆」


「ちょ、話だけなら玄関でも?」


「そう言うな。立話で話す内容でもない」

「えへへ。そういうこと!」


――――てな事があったので、こいつ等に対するボクの心証は最悪なのだが、
それでも正直、こいつらがどこまで知り得ているかは非常に気になる。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/07/11(月) 23:48:24.47 ID:AVffyaXAO
これは素直に苦情をしていいレベル
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/11(月) 23:50:47.41 ID:yTamYPjKo
偽刑事だろ
まさか「組織」のっ――!
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/13(水) 00:59:05.52 ID:Ho3/XqGp0
…………。


「聞きたい事……ですか」


「そうだ」


「それはいったい……」

まさかとは思うが、妹に関しての……。


「しかしその前に、まずは自己紹介をしておこう」

男はすっとスーツの内ポケットに手を入れ、なにやら黒い手帳のような物を
取り出して、ボクに見せる。

「見た事あるか? 警察手帳」

「俺の名前は刺賀啓二(さすが けいじ)。刑事局捜査第一課所属。名前の通り、腕利きの刑事だ」

「あ♪あたしは荒谷(あらたに)です〜。この度、新たに配属されたんですよぅ! ヨロシク〜♪」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/13(水) 01:16:25.62 ID:Ho3/XqGp0
「ど、どうも」


なんだかコントみたいな名前だな。しかし、まさか本当に刑事だったとは。
いきなり懐からハンマー出して鍵ぶち壊そうなんざとても刑事の考える事とは思えん。

本気で日本の将来が心配です。


「フフン!」

「えっへん☆」


……さらに勝ち誇った顔してるし。う〜〜〜む。

それより、ボクも名乗っといた方がいいのかな。
この人たちの名乗りから比べると、いささかインパクトに欠けるけど。


「えぇと、ボクは……」

「おっと! あんたの自己紹介は必要ないぞ」


おい、ちょっと待て。
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/13(水) 01:46:09.87 ID:Ho3/XqGp0
「んなことは聞かなくても、ちゃんと調べてある。俺らが知りたいのは、
そういうのじゃないんだよ。『お兄ちゃん』」


「!?」


瞬間、猛烈な寒気に襲われる。

男の視線も、さっきとは打って変わって真剣そのものだ。


「俺らが聞きたいのは一つだけ。『お兄ちゃん』も知ってるだろう? 俺ら捜査一課が
主に担当するのは――――」


「――――殺人事件、なのだ☆」


…………。


「こら荒谷! おいしい台詞だけ持ってくな!」


「ナハハハハハ☆ すんません警部!」


「警部じゃねぇ! 俺の事は刺賀先輩と呼べといつも言ってるだろうが!」


「イエス! マイロード☆ キャハハハハハハハ♪」


うわあ、凄い天然。凄いエアークラッシャー。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/07/13(水) 10:55:22.89 ID:aEV6BYKX0
こいつら捜査する気ねぇ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/07/14(木) 15:03:51.19 ID:70JBKGVAO
脅迫、不法侵入、偽物破損(未遂)、名誉毀損(ギリギリ)…本物だったらがっつり職権濫用だな、捜査から外されかねん
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 19:20:24.16 ID:9Ghseqw20
「ゴホン!」


刺賀と名乗った刑事がひとつ、咳払いする。同時に、緩んだ空間に緊張感が舞い戻る。

「とにかく、だ」

「俺たちが知りたいのは殺人事件に関してさ、『お兄ちゃん』」

「とーぜん、さっきのカラスに食べられてた人のもね〜☆」


!?

も? カラスに食べられてた人『も』だと? どういう事だ? まさか他にも殺された人間が?

…………。

不味いな、妹のヤツ、いったい何人……、くそっ。


「…………分かりました。ボクの知る範囲でいいならお答えします」


こうなったら、こっちもこいつ等から情報を探るしかない。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 19:47:32.61 ID:9Ghseqw20
「そうかい、そうかい。安心したよ『お兄ちゃん』。あんたが協力的で」

「警察の事情聴取に素直に応じないなんて、善良な市民の風上にも置けませんから」

「どうだか。あんたの顔は『善良な市民』からは程遠そうだけどな」

「まさか」

失礼な奴。


「それで、ボクに聞きたいってのは何なんです? ああ、殺人事件についてってのは
分かってますが、そんな大雑把に聞かれても答えにくいんで、もうちょっと噛み砕いた
質問でお願いします」

如何にコッチの事情を悟られず、相手の情報を引き出すか。
刑事相手にどこまでやれるか不安だが、やるっきゃない。頑張れボク。

「ハン、可愛げがねえな……まあ良い、こっちも時間が惜しい」

男は一呼吸置いて、ボクの目をしっかと見ながら質問した。

「率直に聞くぜ、『お兄ちゃん』。あんた、巷で噂の殺人鬼を知ってるな?」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 20:03:25.37 ID:9Ghseqw20
「はあ?」


思わず、そんな間の抜けた返事をしてしまった。

いや、だってさ。妹のことを聞かれるとばかり想像してたもんだから、これは
思わぬ変化球。


「…………」


数瞬考えが脳裏を駆け巡り、

「あの〜、本当に申し訳ないんですが、『殺人鬼』って?」

ボクは聞き返す他なかった。

だって知らないし。答えようがないし。


すると、

「へぇ?」

今度は逆に、刑事の方が気の抜けた返事をした。うわあ、gdgd。
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 20:41:07.36 ID:9Ghseqw20
「…………」

「…………」

「…………」


しばし沈黙が流れる。

刑事二人の視線が痛い。

女の方は相変わらずドコ見てんのかは分かんないけど。


「えぇと……」

さっきまでの元気が嘘のように男は黙り俯く。

「お兄ちゃんは、殺人鬼を知らないのか?」

「はあ、まあ……」

「…………」

ボクがそう言うと男は再び黙った。

右手で顔を覆い、なにやらブツブツ呟いている。大体の察しはつくが。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 20:52:02.39 ID:9Ghseqw20

「本当に本当だろうな?」

男は再度確認する。

「そりゃまあ」

「嘘吐いてたら分かってるよな」

「ええ」


そのまま「妹に誓って」と、お決まりの文句を言う前に、男はもう一度
深いため息を吐いた。


「はぁぁぁぁぁあああ〜〜〜〜」

御愁傷様です。

「おいおいおい、想定外だぞ。こりゃあ」

そんなのボクに言われても。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/16(土) 21:10:47.71 ID:9Ghseqw20
「まさか、このご時世に殺人鬼を知らない奴がいるとは……」

「ね〜☆あんだけニュースになってんのに知らないなんて驚き桃の木〜」


「すいませんね。世間知らずで」


「本当だよ、うわぁ、すげぇ無駄足だったかも」

「責任とってよね! 責任! あ、ソッチの責任じゃないから誤解しないでね?
いくらあたしが美人さんでも襲っちゃや〜よ☆」


この二人に馬鹿にされるとなんか腹立つ。とくに女の刑事。
女をここまで殴りたいと思ったのは始めてかもしんない。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/17(日) 08:51:27.03 ID:ul8ydMS60
「その、殺人鬼って?」

ボクは訊ねる。


「……仕方ねぇ、荒谷、教えてやれ」

男は心底嫌そうな顔で部下に振った。


「アイアイサー☆」

「う〜〜〜んとね、最近、この辺りは殺人鬼がうろついてるの☆今月で既に二人、さっきの
人入れて三人目だね。先月から数えたら七人目だったり!」


……七人。


「死因は全員、出血多量による失血死」

「凶器はいずれも包丁か、もしくはそれに近い刃物。証拠としてはまだ一個も挙がってないけど!」


…………包丁。


「ちなみに被害者は揃いも揃って若い男性。18歳〜22歳に限られてる☆フォウ☆」


18〜22歳、年齢的に大学生……間違いなく狙って殺してる。ボクも含まれてるな。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/17(日) 13:25:41.63 ID:lIoqymEOo
乙した
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/17(日) 13:28:42.37 ID:h6YdnKli0
支援!
いい文だな期待!
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/17(日) 21:31:41.78 ID:30AcUgHAO
おつおつ
続きが気になる
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 11:15:28.75 ID:DXd9ycnSO
おっつ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/23(土) 01:30:12.05 ID:VWfTj4dG0
にしても知らなかった。
いつから日本はそんなに物騒な国になったんだ?

前途ある若者を2カ月以内で七人も殺してのけるなんざ、切り裂きジャックの再来かよ。


「ま、この程度ならネットやニュースでもバンバン出てるんだけど☆」


それは悪うござんした、ったく。


でもなあ……。


「それで、その殺人鬼の何をボクに聞きたかったんです?」

「まさかボクが最近のニュースも知らない碌でなしだった、ってのは置いといて、
殺人鬼との繋がりでも見出しちゃったんですか? 捜査一課さんは」


さっきから、あまりにも馬鹿にされてる気がしたので腹いせに軽口を叩いてみた。


……すると、


「ハン! その通りだよ、『お兄ちゃん』」


予想だにしない答えが返ってきた。マジかよ。
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/23(土) 01:42:27.55 ID:VWfTj4dG0
「マジですか?」


一応確認、念のため。


「マジだ。えらく、マジ」


刺賀と名乗る刑事は眉間にしわを寄せて頷く。


「……う〜〜〜〜〜〜〜〜ん」


対するボクは、唸ってみた。


「一応、知り合いに殺人鬼なんていないハズなんですけど」


心当たりはない、多分。
もしも殺人鬼はお前の身内、兄妹だと言われでもしない限りは。


「……因みに、どんな繋がりだったりします? ボク」


聞いて良いのかどうかも若干どうかと考えたが、まさか当の本人の目の前で
「お前の妹が殺人鬼だ」とは言うまいと思い直し、質問してみる。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/23(土) 01:53:31.74 ID:wbGGteZSo
ワクワク
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/23(土) 02:02:06.15 ID:VWfTj4dG0
けれど……


「あ〜っと言い方が不味かったかもな。繋がりっつっても、お前さんは殺人鬼に
繋がりがあるんじゃなくて、殺された被害者の方の繋がりがあるんだよ」


「へ? 被害者?」


「あぁ〜、簡潔に述べるとだな」


質問すべきではなかったのかもしれない。だって……


「はい」


「次のターゲット、次に殺されるのはお前さんかもしれん、ということだ」


「はいぃ?」


まさか、これは予想の斜め上過ぎるだろう。
散々、「殺人鬼は妹かも」って引っ張ってきて、実は殺人鬼の次の標的がボクかもだって?

バカも休み休み言ってくれ。いや、わりと本気で。


……勘弁してくれよ。死ぬんですか、ボク?
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/23(土) 02:19:09.52 ID:VWfTj4dG0


「あぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと」


さっき刺賀刑事がしたように右手で顔を覆い、ボクは俯く。

グルグルグルグル、頭が混乱してる。気持ち悪い。


「ふっ、可哀想な奴だ」

「ヤツだ☆」


黙れ、凸凹コンビ。笑ってんじゃねえよ。
ついでにどっちが凸でどっちが凹なのかはっきりしろ。

って、んなもんどうでもいい。


「あぁ〜〜〜、ちょっと。ちょっと待って。ちょっと待って下さいよ」


考えが上手く纏まらない。なんなんだ一体。どうなってたんだ、ボクの人生?
いつからこんなにおかしくなったんだ?

狂ってるのは妹『だけ』のハズだろ?
どうして『ボク』の人生まで一所に狂ってるんだ? 分かんねえ。


「待つのは嫌いだ」

「もう我儘さんなんだから☆」


くそう。お前らはもう少し黙ってろよ。こっちはこれでも真剣に悩んでんだ。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/23(土) 02:34:10.10 ID:2R6uJKcp0
お、きたか
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 11:34:08.66 ID:t6+IgxgSO
きたァァァァァァァ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/23(土) 12:32:23.19 ID:XZJK8XXAO
おつさん
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/23(土) 13:12:44.92 ID:ug+wLjCl0
コイツら普通に訴えられるよな?リアルだったら
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/23(土) 16:47:05.50 ID:t3KJfxsn0
あーこれなんとなく分かった気がする
つまり壱葉さんは…
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/23(土) 16:52:02.77 ID:t3KJfxsn0
あーこれなんとなく分かった気がする
つまり壱葉さんは…
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/23(土) 18:58:09.91 ID:bF4RLEHAO
何がわかったのかは知らんがとりあえずsageろ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 11:32:50.10 ID:INR0+wpb0
「あぁ〜〜〜……そうだ、おかしくないですか?」


やめればいいのに、苦し紛れに口を出す。


「何がだ」

「だって、刑事さんはさっき、ボクが殺人鬼を知らないって言ったらガッカリしたでしょ?」

「まあな」

「それに、殺人鬼との繋がりは今のところ、ボクには確認されていない」

「おう」

「だったら、ボクに殺人鬼のなにを聞きに来たんですか、矛盾してますよ」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 11:34:54.72 ID:INR0+wpb0
「フン、そんな事か」

刺賀刑事は咳払いをひとつし、ボクに向き直る。

「なんのこたぁない。さっき言った通りさ。お前さんと殺人鬼との繋がり、因果関係は
認められていないが、被害者との繋がりはある」

「つまり、これは殺人狂による無差別殺人なんかじゃなく、明らかな殺意を持って人を
殺してまわってるという事」


「……」


「なら、殺人鬼が街をうろうろしているこの状況から、お前さんが何らかのアクションを
とれば、ヤツもそれに反応して、手掛かりを落とすんじゃねーかと俺らは踏んだ訳だ」

「そして、犯人よりも先にお前さんに接触して、なんのアクションとったのか聞いときゃ
捜査もバンバン進展するって寸法よ」

「なんにも矛盾してねーよ」


「……だから今、このタイミングでボクが殺される前に、会いに来た、と」

「ボクは体の良い餌という訳ですね」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 11:36:30.83 ID:INR0+wpb0
「まあな。けどよ、なんせこんなに朝早くから家を抜け出してんだ」

「何かしたと思うだろう、ふつう?」


……確かに、そうかもしれない。

けど、なにか引っかかる。なんだ?


「ただ誤算は、お前さんが今まで殺人鬼の情報をまったく持ち得ず、なんのアクションも
起こしてなかったつーところだ。やれやれだよ」


そりゃ、ボクは殺人鬼の話なんて聞いたことなかったから、とうぜ……ん?

あれ?


「ちょっと待って下さい、なにを言ってるんです?」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 11:37:32.90 ID:INR0+wpb0
「どうしたよ、『お兄ちゃん』」

「また質問かい?あんまり質問ばっかしてると嫌われるぞぉ」

「そうだよ、そうだよ☆」


うるさい、黙れ。
別にお前らに嫌われても構うもんか。

いいから質問させろ。


「ボクがアクションを起こしていないのが誤算?」


そうだ、と刺賀刑事は頷く。


「仮に殺人鬼の事を知ってたからって、どうして警察でもない一般人のボクが、
事件にクビを突っ込むと?」

「そんな確証、無いはずだ」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 11:44:43.29 ID:INR0+wpb0
「あるさ」

刺賀刑事は、間髪を入れずに、ボクの問いかけを問答無用でぶった切った。

「そりゃあ、今までこんなに人が殺されてるのに気がついてなかったお前さん
だから仕方ねえが、被害者の名前を聞けば、嫌でもお前さんは今回の事件に
首を突っ込んでたハズだ」


「そんなワケ……」


「彼我(ひが)はじめ」


「!?」


「それと石谷浩二(いしやこうじ)」

「殺された七人の内の二人だ」

「この名前に、聞き覚えがあるだろう?」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 12:00:34.58 ID:INR0+wpb0
そんな……まさか。


「あの二人が……?」


「それだけじゃねぇ、もっと言ってやろうか?」

「殺された七人のうち、まあ、まだ六人しか身元は把握しきれてねえが、全員
お前さんと深い関係にある連中だぜ」



「あ、あぁぁぁあぁぁ」


やめろ、やめてくれ。


「ちなみに、さっきの二人は被害者の一人目と二人目だ。三人目は……」


やめろ!!!!!


ボクが心の中でそう叫んだ瞬間、


「お待たせ〜〜〜〜、良いお湯だった〜❤」


一葉さんがドアを開け、それに反応するかのように、刺賀刑事の話は止まった。

それが幸か不幸か分からないが、少なくとも、この時のボクは、心から壱葉さんに感謝した。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/24(日) 13:54:39.66 ID:TH/RCRvSo
ワクワク
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県) [sage]:2011/07/24(日) 14:49:31.14 ID:3pPOwS5Po
テカテカ
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 18:15:20.04 ID:INR0+wpb0
「あれ? え〜と、どちらさまでしょうか?」


部屋に入ってくるなり、壱葉さんは固まった。


「……」

「……」

「……」


RPG風に言うならば、「壱葉さんはうろたえている」といったところか。

当然だ。

人の家でシャワー浴びてリビングに戻ったら、知らない人間が二人も
増えているんだ。

もしボクが壱葉さんと同じ状況に陥ったとしても、似たような態度を取るだろう。

まあ、それはさておき、なんでバスタオル一枚なんだよ。着替え置いといただろ?
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 18:22:20.81 ID:INR0+wpb0
「あ〜っと」

「えとえと☆」


流石に虚をつかれたのか、刑事二人も固まっている。
二人とも口をパクパクさせて一言二言、やっと絞り出すのに成功した感じ。


「……」

かくいうボクも、なんと声を掛けたらいいのかとっさには思い浮かばない。
それくらいインパクトのある登場だった。


「え、え〜と、もしかして、あたし。まずった、かな?」


そりゃもう、ええ。


「あ、あははははは……」


笑って誤魔化されても……。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 18:31:16.04 ID:INR0+wpb0
「は、ははは」


どうリアクションをとればいいのかボクにも良く分からなかったので、一応
釣られて笑ってみた。


「あははははは」


壱葉さんも苦笑いだ。


「は、はっははははははは」

「わ、わはははははは……☆」


数秒遅れて、刑事達も笑い始めた。


「はははははは、ははは……」

「あははははは……」

「はっはははははは……」

「わはははは……」


リビングは、大人四人の笑い声がこだまする、不気味な空間へと様変わりする。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 18:35:38.54 ID:INR0+wpb0
「ははははははは」

「あははははは」

「はっははははははは」

「わはははは」

「ははははははは」

「あははははは」

「はっははははははは」

「わはははは」

「ははははははは」

「あははははは」

「はっははははははは」

「わはははは」


…………いつまで笑えばいいんだよ!?
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 18:42:19.71 ID:INR0+wpb0
ボクがそう口にしようとした矢先、


「は〜〜あ、笑った、笑った」


男が、笑いをやめて立ち上がった。


「おら、荒谷、帰るぞ」

「へっ? い、良いんですか?」

「良いもなにも、これ以上は不味いだろ」

「はあ……」

「だよな、『お兄ちゃん』?」


「……」

あんた何か誤解してないだろうな。


「ま、俺らは帰るからさ、よろしくやれや」


「いや、ボク達はですね……そういう関係じゃ」


「わ〜ってるって、女の前じゃあそう言いたくなる気持ちもよぅ。けどな、
時には諦めも肝心だぜ?」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/24(日) 19:01:08.19 ID:INR0+wpb0
やっぱりあんた誤解してるだろ。

「???」

壱葉さんはボク等の会話を頭の上にクエスチョンマークを3つ浮かべて聞いている。
淫乱なのか純情なのか判断しにくい人だ……。


「っと、そうだ。最後に『お兄ちゃん』に忠告を一つ」

まだ何かあるのか。

「せいぜい、激しく動きまくってくれよ?」

それは、殺人鬼の方の話ですよね?

「あと、気をつけろよ。勝手に逝くと、怒られるからな」

だから殺人鬼の話ですよね?

「そんじゃ〜な、甘い夢の中で野たれ死んじまえ!」

二度とくんな。セクハラ刑事!!!
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/25(月) 12:06:14.86 ID:/LD7ymXPo
乙した
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/25(月) 13:46:40.24 ID:rCFjFUEAO
>>1
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 23:11:00.80 ID:5Z5ZKlrSO
おつ
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 17:10:02.14 ID:F3TH/j/m0
>>119
下げ忘れたのはすまん
この殺人の犯人が実は妹じゃなくて、壱葉さんだと予想される
兄貴が顔覚えてないってのも本当は顔見知りの振りした初対面で[ピーーー]ために近付いてきたって感じじゃないかと
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/26(火) 17:29:08.81 ID:DOHpI4mLo
>>120
[ピーーー]ばいいと思うよ
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/26(火) 17:29:44.71 ID:DOHpI4mLo
間違えた>>137
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 21:57:37.13 ID:0fYJQ4gSO
憶測はチラ裏にやれよ…
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 23:42:12.42 ID:9Nz7dQLqo
>>137
お前マナーは守れよ
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/27(水) 09:22:34.56 ID:3mm0Fty7o
>>137
思っても口に出さないって大事だと思うんだ
分かるよね?
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/27(水) 22:44:44.72 ID:DmzRdsDK0
……まったく、最後まで嫌な奴らだったぜ。

まあ、帰った連中の事はさておき、


「……」

「……」


……気まずい。

それもこれもあの刑事の所為だ。

ボクと壱葉さんは、今日偶然再会しただけの元クラスメイト。
それ以上でも以下でもない。

他に何の関係もない。

ただ、久し振りに会って話して、一緒に死体を見て、家に上がってもらって、
シャワーを貸しただけの極々ありふれたゆ……。

……ありふれては、ないか。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/27(水) 22:58:10.23 ID:DmzRdsDK0
けど、別に友達以上とか、恋人同士とかそういう関係では断じて無い。

それだけは確かだ。


「……」

「?」


チラッと壱葉さんの方を見る。
すると彼女は「どうかした?」というような表情でボクを見つめ返す。

照れ臭くなって、慌ててボクは目線を逸らした。

しかし、玄関の近くに掛けてあった鏡に彼女が映っており、結局失敗。

鏡の中で、壱葉さんと目が合う。

目が合って、離れない。

風呂上がりの彼女はとても綺麗で、胸から腰にかけて水気を含んだタオル
がぴったりと張り付いており、やけに艶めかしい。


胸の鼓動が速くなった。そんな気がした。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/27(水) 23:06:10.59 ID:DmzRdsDK0
「あ、のさ」

「うん」


ドキドキ。


「気にしないで。さっき言ってた事」

「さっき言ってた? え、なんの話?」


ドキドキ。


「いや、分かってないんだったら、良いんだ」

「教えてよ〜〜〜! あたしだけ仲間外れは嫌〜〜〜」


ドキドキ。


「なんでもないんだって。本当に……」

「本当〜?」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/28(木) 06:25:32.77 ID:4oYIV1l80
「本当、本当。そんなことより壱葉さん」

「はい」

「なんで服着てないの?」


着替えは置いといたはずですが……。


「うん、えっとね。実はサイズが……」


やっぱ合わなかったか。


「ダメでした?」

「ちょっとね。本当にちょっとよ?」


そんな強調して言わなくても分かってますって。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/28(木) 06:30:33.87 ID:4oYIV1l80
「でも困ったな……」


正直、目のやり場に困るし出来たらなんか着てほしい。


「……って、ちょっと待ってよ」

「?」

「家に来たとき着てた服があるでしょ?」


ブラもパンツも、Tシャツも、ジョギングタイツも。


「あれはどうした?」

「洗濯中です」


おい、コラ。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/28(木) 06:41:29.36 ID:4oYIV1l80
勝手に洗濯機、廻してんじゃねーよ。


「だって、汗かいてたし。あのままじゃ気持ち悪かったから……」


だからって、人んちで洗濯するな。持って帰って自分ちでしろ。


「ゴメンね?」

「う……」


そんな可愛らしい顔で見上げたってダメだ。
つうかそんな恰好で「ゴメンね」のポーズを決めるな。

見える、いろいろ。


「はぁ……別に、良いけどさ」

「本当? 良かった〜♪」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/28(木) 07:23:06.24 ID:4oYIV1l80
「でもどうする? 妹の着替えが入らなくて、着て来たのも洗濯中となると……」

「おばさんのは?」

「ムリ」


この家に母親の私物なんざ存在しない。後は――


「んと、申し訳ないけど。ボクのでも良い?」

「うんっ♪」


壱葉さんは目をきらきら輝かせながら、小さくガッツポーズした。

男物の服で喜ぶなんて変った人だ。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/29(金) 17:35:51.06 ID:bgZlpvf80


「ふんふふ〜〜〜ん♪ふ〜〜〜ん♪」


よっぽど機嫌がいいのか、壱葉さんはボクのベッドに腰掛けて、
鼻歌を歌っている。

胸にはボクの枕を抱きかかえて。


「随分機嫌良いね」

「うん♪」


いい返事だこと。

この人、死体見て怖くなったから帰れなくなったんじゃなかったのかよ。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/29(金) 17:40:54.23 ID:bgZlpvf80
まぁ、良いんだけどさ。


「ふんふふ〜〜〜〜ん♪」


そう可愛らしく頷くと、再び壱葉さんは鼻歌を口ずさみ、ボクの枕を
モフモフ抱きしめて、顔を埋める。


モフモフ、モフモフ!モフモフ!!!


くそう、枕め。その場所代われ、今スグに。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/29(金) 22:42:48.07 ID:d1mGBA5lo
乙した

枕に転職するわ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 23:48:20.00 ID:Dtuma8SSO
乙!
壱葉さんにモフモフされたいお!!
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/08(月) 17:27:58.78 ID:UpvGHBFAO
まだですかぁ?☆
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/11(木) 01:02:18.72 ID:3FVK3lvy0
まだー
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/11(木) 12:06:10.02 ID:mL9E5haAO
>>1が来るまでおとなしく待て
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/13(土) 23:06:22.17 ID:OHXbdYVC0
「うん?」


無邪気な顔で壱葉さんがこちらに振り向く。

枕への呪いが失敗に終わり、ボクは肩を落として椅子を回転させた。


「なんでもないよ」


ボクは言う。

彼女もそれ以上の詮索はしなかった。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/13(土) 23:21:37.42 ID:OHXbdYVC0
さて。


上手く場面を展開させるにはどうすれば良いんだろう?等とメタなことを
考えているうちにどうやら場面は次に進んだみたいだ。


と言っても、別に妹について有益な情報が集まった訳でも、刺賀刑事に聞か
された事件についてなにか進展した訳でもない。


ただ、壱葉さんと二人で昼飯を食っているだけである。


……この人、いつまでいるつもりなんだろ?


「どうしたの?」

「いえ、なんでもないです」


もうそろそろ、『帰ったら?』の一言くらい掛けるべきなのかどうなのか、
悩ましいところだ。時間的に。
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/13(土) 23:32:40.50 ID:OHXbdYVC0
そう、時間的に、だ。


ボクが妹の顔を最後に見たのは今朝の5時前だったか……現在の時間は
11時32分だから、あれからゆうに6時間以上経過している事になる。


えらいこっちゃ。


包丁持って笑顔で全速力の女子高生が6時間行方知らず?

ははっ、なんの冗談なんだか。


笑えないな……。


カチャカチャとフォークにパスタを巻きつける。

上手く巻きつかない。イライラする。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/13(土) 23:42:27.49 ID:OHXbdYVC0
「なかなか巻きつかない時は、2、3本だけ巻きつけてくと上手くいくよ?」


パスタと格闘しているボクを見て、壱葉さんがアドバイスをくれた。
ボクは「ふぅん」と頷きながらさっそく実践してみた。

するとどうだろう?

あんなにも手こずっていたパスタがみるみるフォークに巻きついて行くではないか!


……だからどうした?


うん、この際だからハッキリさせておこう。

壱葉さんは邪魔だ。

まぎれもなく邪魔だ。

妹の捜索をするにしろ、刺賀刑事達のいう殺人鬼について調べてみるにしろ、
圧倒的に邪魔でしかない。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/13(土) 23:54:43.44 ID:OHXbdYVC0
壱葉さんがいてくれてプラスになったのは、せいぜいさっきの刺賀刑事の会話を
中断してくれた事と、彼らを追い払う口実になってくれた事。

あとはおっぱい要員、お色気要員として、ボクの周りの空間に少し彩りを添えて
くれてるトコくらいか。


あれ?

思い返してみると、思ったより役に立ってる?
そんなバカな……。


ついでに自分のことも思い返してみると、妹に置いてかれて必死になって探してる
だけという事に気がつく。

途中で殺人事件とかに遭遇もしてるけど、それは話の本筋ではないし、ボクが今現在
すぐに取りかかるべきモノでもない、只の付属品だ。今のところは。


つまり、ボクは壱葉さんより……。


……うわぁ。

人をさんざん邪魔者あつかいしといて、自分がソレかよ。

軽く自己嫌悪。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/14(日) 03:10:12.84 ID:Eqd7N4CAO
待ってた
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 04:22:47.57 ID:UCKTxVHIO
妹が出てこないなw
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/14(日) 12:28:41.03 ID:E6Rmfvuuo
乙した
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/15(月) 02:06:01.60 ID:kMeGGWOAO
打ち切りかよ………
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 04:16:34.63 ID:rOn0JG2SO
えー
ルール外れてる、とか関係なしに完走はしてほしいです。気長に待つんで
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 11:27:47.40 ID:8nn7fBdlo
いや、何のルールから外れてるのかよく解らんのだが
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 11:49:19.35 ID:rOn0JG2SO
>>167
HTML化スレにいた作者曰く
「書き溜めという掲示板のルールから外れている」とのこと
書き溜めしない作品だってたくさんあるのにねぇ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 03:58:31.61 ID:24OEs82Vo
ああ、自治スレで書き溜め嫌だ嫌だ騒いでた人か。納得した
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/08/17(水) 19:32:28.81 ID:khEhKLY/o
待ってるぞ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2011/08/20(土) 03:23:47.92 ID:IojU/b4ho
まだ?
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