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女「死にさらせ!」男「……誰?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 11:12:05.25 ID:Ap3/U+kDO
女「この姿を見て分からないのか!」

男「全身白装束と言えば……あ!」

女「ふふっ、そうだ!それが私の正体」

男「パナ○ェーブ研究所の?」

女「そうそう、スカラー電磁波から身を守る――って違うわ!」

男「違うの?」

女「何でそこで不思議そうな顔するのさ!」

男「え、だって」

幽霊女「これならどうだ!」

男「……?」

幽霊女「ほ、ほら、私の名前」

男「あ!そういえば名前知らないや。どうも男です、初めまして」

女「あ、女です――じゃなくて!」

男「?」
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 11:13:48.12 ID:Ap3/U+kDO
男「そういえばどうやってこの部屋に入ったの?」

女「ちょうどいいわね、私の正体を教えてあげる」

男「ま、まさか泥棒」

女「そんな低俗な人じゃないわ――私は幽霊なの」

男「幽……霊?でもさっき女って」

女「名前じゃないわよ!ゆ・う・れ・い!!」

男「ゆ・う・れ・い!!」

男女「ゆ・う・れ・い!!」



男「へぇ、可愛い名前だね」

女「……もう嫌だこの人」
3 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 11:15:14.88 ID:Ap3/U+kDO
男「――えっ!?もしかして白装束で体が透けてて宙に浮いたり勝手に写真に写ったりする、あの幽霊!?」

女「よ、ようやく理解したようね……」

男「でも体透けてないし足もあるよね?」

女「私は特別でねー。な、なんと!実体化することが出来るのだー!」

男「あ、それじゃあ握手してもいい?」

女「し、仕方ないわね……私と握手出来ることを光栄に思いなさいよ」

男「おぉ――冷え症?」

女「だーかーらー!幽霊、死んだ人、分かる!?」

男「え、君死んでるの!?」

女「……気付くの遅いわよ」
4 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 11:16:45.75 ID:Ap3/U+kDO
男「で、でも、君の肌の色を見る限りじゃとても死んだようには見えないんだけど」

女「あら?それは私が綺麗ってことかしら?」

男「いや、うーん……どうだろ」

女「ちょ、そこは認めなさいよ!!」

男「というか本当に幽霊なの?」

女「本当も何も、現にこうしてあなたの部屋に」

男「実は金目の物を盗みに来たら俺に見付かって、警察が怖いから幽霊の振りを」

女「あなたねぇ……最初の会話覚えてるかしら?」

男「死にさらせ?」

女「そうよ!私はあなたを殺しに来たのよ!」

男「君が?ふふっ……殺すだって?ははっ!!……誰を?」

女「こ、こいつ……絶対に呪い殺してやるんだから!!」
5 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 11:18:37.79 ID:Ap3/U+kDO
男「その前に……そろそろ寝ていいかな?」

女「はぁ!?殺すって言われたのに何呑気なこと」

男「だって、時間が時間だし」

女「時間ってまだ午前2時じゃない!」

男「いやあの……俺、明日仕事あるし」

女「あ、あっそう……なら仕方ないわね」

男「すまんな」

女「べっ、別に気にしないでいいわよ。いつだって殺すチャンスはあるしね」

男「あ、ところで君はどうするの?帰る場所とかは?」

女「……無いわ」

男「だったらそこの布団使いなよ」

女「え?あ、あの……」

男「俺はソファーで寝るから。じゃあおやすみ」

女「待っ………………お、おやすみ」
6 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/05(火) 11:20:17.10 ID:Ap3/U+kDO
こんな感じに行きたいと思います

電池残量が無いので帰宅してから続き書きます
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/05(火) 11:47:07.37 ID:MJkSkgDFo
待ってるぞ
8 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 15:17:37.78 ID:Ap3/U+kDO



男「ん……ああ、もう朝か」

男「実は昨晩のことは全部夢オチとか――よし、確認してみよう」



男「失礼しまーす」

女「すぅー……すぅー……」

男「はぁ……んなわけないか」

男「おーい、朝だぞー」

女「んっ……あ、あと5分……だけ……」

男「幽霊なのに睡眠時間を延ばそうとするなよ」

女「朝は……無理……」

男「こうなったら――くらえっ、朝の日差し!!」シャッ

女「うひゃぁっ!?目が、目があっ!!」

男「おはよう」

女「お……はよ……」
9 : ◆uPLvM1/uq6 [sage sage]:2011/07/05(火) 15:19:54.76 ID:Ap3/U+kDO
男「寝起きの所悪いんだけどさ、幾つか聞きたいことがあるんだ」

女「……何かしら?」

男「料理出来る?」

女「は、はい?そんなこと聞いてどうするのよ」

男「いや、せっかく居るなら料理作って貰おうかなと」

女「あのねぇ……私が実体化したの覚えてる?」

男「握手した時?」

女「そう。あれやる時さ、カロリー消費するのよ」

男「あ、そんな設定なんだ」

女「それに他の幽霊はどうなのか知らないけど、私は何か食べないと成仏しちゃうの」

男「……生きてるのか死んでるのか分からないな」

女「そんなこと言われても知らないわよ」
10 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 15:22:12.10 ID:Ap3/U+kDO
男「つまり、料理をするには実体化しないといけないけど、その為にはカロリーを消費する……と」

女「その通り!」

男「でも料理するのに関係なくない?」

女「だってその間は段々とお腹が減って行くのよ!?」

男「そ、そうか……肝心の腕前の方は?」

女「ふっふーん!味は保証するわよ」

男「へー、上手いんだ」

女「何よその意外そうな顔は」

男「じゃあ家事全般は任せたよ」

女「なっ、だ、誰がここに住むって決めたのよ!?」

男「違うの?」

女「あー!もー!やります、やらせていただきますー!!」

男「朝からテンション高いね」

女「怒ってるのよ馬鹿!!」
11 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 15:23:51.17 ID:Ap3/U+kDO
男「じゃあ二つ目の質問」

女「答えるのは朝食を作りながらでいいかしら?」

男「いやー、それはもう是非お願いします」

女「冷蔵庫の中身が残念な感じだから少ししか作れないけど」

男「そこは女さんの腕の見せ所でしょう!」

女「な、何故かしら……あなたと話してると苛々してくるわ」

男「そう?」

女「……質問をどうぞ」

男「率直に聞くけどさ」



男「何で俺を殺そうとするの?」

女「うぅっ……そ、それは……」

男「俺が何かしたなら謝るけど――って、もう死んでる人に謝るってのはおかしいかな?」

女「…………別にあなたは悪くないわ」

男「え?」
12 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 15:27:34.45 ID:Ap3/U+kDO
女「なーんでもないよーだ!ほら、さっさと食べてとっとと仕事にでも行きなさい!」

男「ちょ、まだ他にも……」

女「これ以上話してたら出勤時間に間に合わなくなるかもよ?」

男「げ、げっ!?もうこんな時間か!!」

女「ほらー、急がないと遅刻しちゃうぞー?」

男「おう!……あ、朝食旨かったよ、ありがとうな!」

女「う、うん」

男「いってきまーす!!」

女「…………ばーか」



女「さてと――見送ったのはいいけど幽霊である私は正直言って暇なわけで」

女「とりあえず男の後を付いていってみようかしら」

女「限界まで透明化すれば他の人間にもばれないよね?」



男「な、何だ?いきなり寒気が……」

女(これが本当の背後霊!……とか言ってみたり)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/05(火) 16:14:33.51 ID:+j4BYUF60
wwktk
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/05(火) 16:42:51.97 ID:/t9nNA7to
期待してる 頑張ってくれ
15 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 18:52:37.61 ID:Ap3/U+kDO
上司「おはよー男」

男「おはようございます」

上「今日はどうしたー?時間ギリギリだったじゃん」

男「いやまあ、いろいろと」

上「もしよかったらお姉さんが相談に乗るよー?」

女(な、何なのよこの女は……!)

男「っ!?……??」ゾワッ

上「ん?後ろが気になるのかい?」

男「い、いや、多分気のせいですよ」

上「どうしても体調が優れないなら早退していいから」

男「はい、ありがとうございます」



女(さすがに仕事の邪魔はしない方がいいわね……)

女(あー、早く終わらないかなー)

女(……お腹空いたなー)

女(食堂とかないのかな?)スッ
16 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 18:54:19.09 ID:Ap3/U+kDO



「「きゃあぁーーーー!!」」



上「む?何事だ」

男「さあ?」

同僚「た、大変です上司さんっ!!」バンッ

上「どうした?一体何があったと言うのだ」

同「我が社の食堂に……ゆ、幽霊が出たそうです!!」

上「おいおい。まだ昼前だというのに幽霊なんか出るわけないだろう」

男(い、いやいやいや。ま、まさかな……あいつは今頃家で留守番をだな)

同「発見者によるとその幽霊とやらは、白い着物に長い髪の――」

男「あっ!!」ガタッ

上「男?」

男「ト、トイレに行ってきてもいいでしょうか?」

上「あ、ああ、構わんが……もしかしてお前」

男「失礼します!」

上(ふむ……どうやら男は相当な怖がりのようだな)
17 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 18:55:54.26 ID:Ap3/U+kDO
女(ど、どうしよう……)

女(つまみ食いをしようと一瞬だけ実体化したら、運悪くおばちゃんに見られて……)

野次馬1「誰も近付くんじゃないぞ!」

野次馬2「だ、誰か警察呼んで来い!」

野次馬3「馬鹿!こういうのは陰陽師かエクソシストじゃないと無理だ!」

野次馬4「ほら、呪われたくない奴は仕事場に戻れー!」

女(――こんな大騒ぎに!)



男「ちょっと通してくださーい」

野次馬5「おい、今行くのは危険だぞ!」

男「大丈夫ですよ。実は俺、こう見えても陰陽師なんで」

野次馬5「陰陽……?」

男「『悪霊退散悪霊退散怨霊物の怪困った時は』の、あれです」

野次馬5「そ、そうか……とりあえず頑張ってくれよ」

男「おう!」
18 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 18:58:13.94 ID:Ap3/U+kDO
男「えー、あー、幽霊に告ぐ!」

女(お、男っ!?……ん?男が持ってる紙に何か書いてあるわね)

『この後屋上に来い』

女(あう……どうせ怒られるんだろうなー)

『PS.適当に悲鳴あげろ』

女(悲鳴?)

男「悪霊退散悪霊退散――はいっ!」

女「えっと……き、きゃあぁーーーー!!」



野次馬1「ど、どうなったんだ……?」

野次馬2「あいつが呪文みたいのを唱えたら急に叫び声が……」

野次馬3「ということは、あの人が本物の陰陽師か?」

野次馬4「わ、我らの救世主様だー!!」

男(馬鹿ばっかで助かった……)
19 : ◆uPLvM1/uq6 [sage saga]:2011/07/05(火) 19:02:26.14 ID:Ap3/U+kDO



男「出て来ていいぞー」

女「……殴らない?」

男「暴力はあまり好きじゃなんで」

女「ご、ごめんなさい……」スウッ

男「はぁ……お前なあ」

女「っ!?」ビクッ

男「ついて来たければ一言言えばよかったじゃないか」

女「え?で、でも……」

男「どうせ朝の寒気もお前の仕業なんだろ?」

女「ま、まあ」

男「仮にも幽霊なんだしさ、もうちょっと行動に気を付けてくれないと」

女「……」

男「あ、鈴でもつけておけば居場所くらい分かるかも」

女「――もう私のことなんか放っておいてよ!!」

男「は?俺はお前が心配で」

女「もう男なんか知らない!!」

男「お、おいっ!!ここ屋上――ああ、“幽霊”だったな」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/07/05(火) 19:24:12.32 ID:IjKtBZ140
2828
21 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/05(火) 23:12:05.45 ID:Ap3/U+kDO
男「体調が悪化したので早退してもよろしいでしょうか?」

上「だ、大丈夫なのか?」

男「祟られたかもしれません」

上「そうか……明日には良くなるといいな」

男「お気遣いありがとうございます」

上(祟り、か……非常に心配だ)

上(知り合いの精神科医でも教えてあげるべきか……)



男「さーて、あいつは何処に行ったかなっと」

男「近くに居ればいいんだけど壁通り抜けたり出来るしなー……」

男「とりあえず家路に――ん?」

女「はぁ……」

男(あいつ何見て……)ハッ

男「な、何で見えてんだ!?」

女「あっ、やばっ!」

男「ま、待ってくれ!もう怒ってないから!」

女「……ふ、ふんっ」スッ

男「あぁ……あのステルスもどきは反則だろ」
22 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/05(火) 23:13:31.78 ID:Ap3/U+kDO
男「女が見てたのはこれか?」

『夏先取り!新作ワンピース』

男「……まあ、一応あいつも女の子だしな」

男「値段は――お、おおう……カ、カード支払いでいいかな」

男「すみませーん!」



男「ただいまー」

女「…………ぃ」

男「ぃ……?」

女「おか……なさい」

男「ああ、ただいま。とりあえず姿見せてくれよ」

女「お腹空くんだけど……」

男「まあまあ」



女「――で、何それ?」

男「やっぱり気になる?」

女「そ、そうでもないけど」

男「まあいいや……ほれ」

女「へ?」

男「へ?じゃなくて、プレゼント」

女「ど、どうせ鈴付き首輪でも買って来たんでしょ?」

男「見てみれば分かるよ」
23 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/05(火) 23:15:14.43 ID:Ap3/U+kDO
女「あっ、これって!」

男「い、いつも着物じゃ暑いかなーと思ってだな」

女(……私は暑さや寒さは感じないんだけどね)

男「あ、もしかして俺、隣の商品と間違えたとか?」

女「ううん!私が欲しかったのはこれよっ!」

男「鈴付き首輪はいいのか?」

女「い、いらないわよ。欲しくないし」



男「とりあえず一安心……」

女「ふふっ――なあに?もしかして幽霊のくせに命を狙ってる私に情でも移ったのかしら?」

男「それはない」

女「そ、即答……」

男「でもこんなに人間らしいのに幽霊扱いするのはどうかなと思っただけ」

女「当たり前でしょ?元人間だもん」

男「……それもそうだな」
24 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/05(火) 23:17:37.66 ID:Ap3/U+kDO



女「じゃーん!」

男「……姿が見えないんだが」

女「あ、そういえば着替えを見られないように透明化してたわね」

男「だから見ないって」

女「じゃあ……ど、どうかしら?」スウッ

男「お、おぉ!いいと思うよ」

女「具体的過ぎてよく分からないんだけど」

男「えと……に、似合ってるし可愛いし綺麗だよ」

女「ばっ、馬鹿!死ねっ!!」

男「おまっ、死ねは言い過ぎだろ!」

女「ど、どうせお世辞なんでしょ?」

男「お世辞ならもっといい言葉で褒めてるよ!」

女「あ……あぅ……」

男「や、そ、その……」

男女「…………ごめん」
25 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/05(火) 23:19:40.11 ID:Ap3/U+kDO
女「さ、さーて、夕飯の準備でも」ガチャ

男「……冷蔵庫空だな」

女「そういえば朝食で材料全部使い切っちゃってたわ」

男「やれやれ、買い物にでも行くか」

女「あ、いってらっし」

男「来ないのか?」

女「え?わ、私人間じゃないし……一緒に歩くと迷惑掛かるよ?」

男「人間がどうとか関係ない。行きたいか行きたくないか」

女「――行きたいっ!」

男「じゃあ行こうか」



女「ふんふ〜ん♪」

男「今夜は何を作る予定?」

女「うーん……何がいい?」

男「何でもいいって言ったら何が出て」

女「白米のみかなー」

男「……せめて丼物でお願いします」

女「ではでは、親子丼でもお作りしましょー!」
26 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 00:35:46.02 ID:e9KTLbEDO
男「ご馳走様でした」

女「お粗末様でした」

男「……あ、やっぱり幽霊も風呂に入るの?」

女「入らなくても問題無いけど、個人的には入りたいなー」

男「一緒に?」

女「なっ、は、はあっ!?」

男「もしかして嫌だった?」

女「そ、そもそも!私達の関係というのは――」

男「正○とQ太○みたいな」

女「う、うん、間違ってはないよ?……人間とオバケなんだし……でも、私そんな配役なんだ」



男「まあ、一緒にっていうのは冗談なんだけどね」

女「うぅ!い、言って良い冗談と悪い冗談があるわよ!!」

男「その良い冗談っていうのは?」

女「例えばー……背中流し」

男「背中流してくれ」

女「えっ……ま、待って、私にも心の準備が」

男「冗談だよ?」

女「く、くそうっ!」
27 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 00:41:36.76 ID:e9KTLbEDO
男「ふあ……そろそろ寝ようかな」

女「き、今日は私がソファーで寝るから布団はあなたが」

男「いやいいよ、女さん使いなよ」

女「だ、駄目!私が許さないんだから!」

男「なら俺も許さない!!」

女「はぁ……こういう時はどうしたらいいのかしら」

男「一つの布団に二人寄り添ってとか?」

女「私超低体温ですが」

男「今の時期なら抱きしめて寝たい程大歓迎だね!」

女「……す、少し離れて寝るわ」



男「それにしても不思議だな」

女「幽霊が眠ること?」

男「それもあるけど……女さんから俺に対する殺意が全く感じられないんだよね」

女「っ!?そ、そんなはず」

男「まあ気のせいかな?……それじゃおやすみ」

女「…………おやすみなさい」
28 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/06(水) 00:44:32.45 ID:e9KTLbEDO
とりあえず今日はここまでにします。

時間が空き次第、次の話を投稿したいと思います。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 00:55:20.15 ID:v0sRq+X6o
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/07/06(水) 07:07:16.37 ID:31aHmyXk0
これはいいss
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/07/06(水) 08:43:57.14 ID:o+WIZ/Xv0
続きがめっちゃ楽しみ
32 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 09:19:50.59 ID:e9KTLbEDO
男(うっ……な、何だこの全身に渡る金縛りと鋭い殺気は……)

男(そうか、これが女の本性――)



上「起きろ男よ」

女「さっさと起きなさい」

男「……え?何この状況」

上「こいつは誰だ?男の彼女か?」

男「は?彼女?……誰が?」

上「彼女か、と聞いてるんだ」

男「違います」

上「家族か?」

男「少し違います」

上「じゃあ何者なんだ!」

男「……ペットです」

上「ペット?どう見ても人間じゃないか」

女「――あのー上司さん。少しお時間をよろしいでしょうか?」

上「あ、ああ、構わないが」

女「男さん、ちょっとこちらへ」

男「こちらってそこ玄関」

女「いいから早く!」

男「朝から何なんだよ……」
33 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 09:23:02.78 ID:e9KTLbEDO
女「ちょっと、ペットって何よ!?」

男「し、仕方ないだろ?他に思い付かなかったんだよ」

女「そもそもあの女は」

男「上司だ」

女「昨日見たから知ってるわよ!そうじゃなくて、どうしてこの家に」

男「そこは俺も聞きたいんだけど……いきなり入って来たのか?」

女「えっと、私が朝食を作っていたら」

男「ほほう、朝早くから感心ですなぁ」

女「作れって言ったのはあんたでしょうが!」

男「……続けて?」

女「くっ――そ、それで突然ノックがあったと思ったら、急に鍵が開いて」

男「ノックするだけで鍵が開くわけなかろう」

女「本当に開いたんだってば!」

男「またまたー、そうやって俺を怖がらせようとしてー」

女「私だって怖かったわよ!!」

男「幽霊が怖がるなよ!」

女「う、うるさいっ!!」
34 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 09:25:14.09 ID:e9KTLbEDO
上「話は済んだか?」

男「まあ」

上「そうか。では話の続きを」

男「その前に……手に持っている針金の用途についてお聞かせ下さい」

上「こ、これか?これはだな……知恵の輪を制作しようと」

男「不法侵入は犯罪です」

上「失敬な!私はちゃんとノックをしたぞ!」

男「ノックをしたらいいなんて法律はないですよ」

上「だって昨日の今日だぞ!?もし男が熱にうなされて倒れていると思ったら心配で心配で……」

男「……はぁ」



上「では遅刻しないように」

男「せっかく家に来てくれたのですから、よかったら一緒に朝食でもどうですか?」

上「き、君が作ってくれるのか?」

男「いやいや、女が作る料理は絶品でしてね」

女(……えへへ)

上「女?料理?……ほ、ほう?何やら“ペット”と妙に仲がよろしいようで」

男「一つ訂正します。住み込みの家政婦です」

上「す、住み込みっ!?……駄目だ!私が許さない!」

男(ああ、また説明か……めんどくさいな)
35 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 09:26:20.81 ID:e9KTLbEDO
男「んじゃ行ってくる」

女「いってらっしゃーい」

上「ふ、ふんっ!」

女「――せいぜい頑張るといいわ、社・畜・さ・ん?」

上「なっ!?き、貴様っ!!」

男「上司さーん?置いていきますよー」

上「こ、こらっ!待ってくれ!」



女(ふぅ……あの上司ってのは相当厄介な存在ね)

女(こうなったら出来る女アピールをしないと!)

女(うーん、そうねー……まずは部屋の掃除でもしようかしら?)



上「君が家政婦無しでは生きていけないということがよーく分かった!」

男「あの……仕事中なのでもう少し声のボリュームを」

上「明日からあの女に代わって私がお前の家政婦になる!」

男「意味が分かりません。第一上司さんには家があるじゃないですか」

上「男の部屋の隣の空き部屋に引っ越そうと思うのだがどうだろうか?」

男「ストーカーは嫌いです」

上「むむむ……」
36 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 09:28:04.42 ID:e9KTLbEDO



上「あ、男っ!どうせ今日も一人侘しく食堂に行くのだろう?」

男「うーん……あ!」

上「そんなお前の為に私が弁当を」

男「女さんが弁当作ってくれたんで食堂は行かなくて済みそうです」

上「なん……だと……?」

男「そういや昨日それらしいこと言ってたな」

上(またしても……またしてもあいつに……!)

男「ところでその弁当は」

上「いいんだ……男が弁当持ちなら同僚か野良犬にあげてることにする」

男「いやいや、せっかく作ったのなら食べさせてくださいよ」

上「無理しなくていい」

男「無理じゃないです。俺の弁当の中身、夕飯の残り物しか入ってないんですよ」

上「……つまり?」

男「弁当の一つや二つ食べれます。特に上司さんのなら」

上「ほ、本当かっ!?」

男「ついでに一緒にどうですか?」

上「えっ!?……し、仕方ないなぁ男は」



上(急展開急接近キターーーー!!)

男(上司さんの機嫌損ねると後が怖いからなぁ)
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 09:32:47.21 ID:GgAp5EJJo
ロリ上司思い出した
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/06(水) 11:04:58.02 ID:vT4RiHmDo
乙した

上司かわいいな
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 12:31:13.22 ID:nK6fvpOSO
>>37
ロリ上司とはまた懐かしいものをwwwwww
40 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:30:59.91 ID:e9KTLbEDO
男「お先に失礼しまーす」

上「ああ、お疲れ」

男「弁当ありがとうございました」

上「こっちこそ残さず食べてくれて嬉しかったよ」

男「美味しい物を残すわけにはいきませんから」

上「そ、そうか……明日も作ってこようか?」

男「二人分作るのって大変じゃないですか?」

上「そんなことないぞ?私は料理が好きだからな」

男「じゃあ女と相談しないといけないな」

上「…………またあの女か」

男「え?」

上「何でもない。気を付けて帰れ」

男「?……はーい」



上「はぁ。今のは私らしくなかったな」

上(私は男が入社した時から目を付けていたというのに……)

上(あんな色白で不健康そうな奴なんかに男を取られてたまるもんか)

上(でもあの二人は一つ屋根の下――)

上「ど、同棲生活かっ!?」

同(今日の上司さんいつもより変だな……)
41 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:32:21.46 ID:e9KTLbEDO
男「ただいまー」

女「お、男…………助……けて……」

男「ちょっ、その声どうしたんだ?」

女「掃除する為に実体化してたら……カロリーのこと忘れてた」

男「成仏寸前ってか!?な、何か食べ物は」

女「そこの机の上……」

男「――よし、出でよ女!」

女「こ、ここ」

男「って、足元かよ!……ほら、あーん」

女「…………」

男「早く食えよ!」

女「は、恥ずかしいんだけど」

男「こんな非常時に恥ずかしいも何も無いだろ!……あーん!!」

女「あ……あーん」

男「もういっちょあーん!」

女「あーん……」



男「はぁ。間に合ってよかった……」

女「も、もしかして私のこと心配してくれた?」

男「当たり前だ馬鹿!」

女「ば、馬鹿って何よ!」

男「あ?馬鹿っていうのは昔、馬と鹿を見間違えた人が居てだな」

女「も、もうっ……雰囲気台無しじゃんか!」
42 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:34:17.76 ID:e9KTLbEDO
男「と、とにかく!お前は俺に多大な迷惑と心配を掛けさせたわけだ」

女「……ごめんなさい」

男「よって今後は――勝手にいなくならないと誓え」

女「誓えって……何で?」

男「成仏するのも俺が死んでからにしろ」

女「……意味分かんないんだけど」

男「だから、今日みたいなことがないようにしろってこと!」

女「わ、私……幽霊だよ?」

男「うん、何回も聞いた」

女「私の目的忘れたの?」

男「はっ、俺は寿命が来るまで生き延びてやるさ」

女「それってずっと私が傍にいることになるんだよ?」

男「料理とか掃除とかの家事をやってくれるんだろ?だったらここに居たいだけ居てくれればいい」

女「でも」

男「ただし無理はすんな――以上!ほら、誓え誓え」

女「……男ってやっぱり変だね」

男「変とは何だ、変とは!こ、こうなったら誓約書を作って」

女「はいはい、誓いますよーだ!」

男「誠意がこもってないぞー。はい、やり直し!」

女「ち、誓いますっ」

男「よし――夕飯食べようか」

女「作ってませんっ!」

男「……」
43 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:38:54.31 ID:e9KTLbEDO



男「……大変なことに気が付いてしまった」

上「どうした男ー?ミスでもしたのかー?」

男「ミスではないんですが……とにかく大変なんです、一大事です」

上「一大事なのはお前の頭だろう?ほら、さっさと顔でも洗って冷やしてこい」

男「り、了解っす」



男(どうして今まで気が付かなかったんだろう)

男(……俺はワンピースしかプレゼントしていないんだ)

男(だから女は――――――替えの服と下着を持っていない)

男(服に関しては最初に着ていた白の着物があるはずだが……)

男(あのワンピースをあげてからは着物自体を見てないし)

男(下着の替えが無いということはつまり、洗濯中は……ノー)

上「おい」

男「うわっ!……な、何だ、上司さんじゃないですか。どうしたんですか?」

上「そ、それはこっちのセリフだ。全く君はこんな所で……」

男「こんな所って――こ、ここ女子トイレの入り口っ!?」

上「まさか無意識の内にだったとは……君が変態ということがよく分かったよ」

男「ご、誤解ですって!」
44 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:42:07.07 ID:e9KTLbEDO
男「さ、先に上がります」

上「…………」ツーン

同(おい、上司さんと何かあったのかよ)

男(全ては誤解なんだ、信じてくれ)

同(信じるも何も話の内容が分からないんだけど……)



男「ただいま」

女「あ、おかえ」

男「ちょっと来い」

女「い、いきなりどうしたの?」

男「いいから――ちゃんと洗濯してるよな?」

女「うん、一応家事だし……もしかして何か文句でもあるの?」

男「その時に自分のも洗うよな?」

女「ま、まあ、私綺麗好きだし……」

男「ズバリ問おう!その間の格好は?」

女「格好って着物かワンピ…………あぁっ!!もしかして気付いたの!?」

男「仕事中にふと思ってな」

女「へ、変態っ!!」

男「お前も俺を変態呼ばわりするのか!」

女「だって仕事中にそんなこと考えてるじゃない!」

男「俺はな、お前が洗濯中にノーブラノーパンにならなきゃいけないことで困ってると思ってこうして話をしたんだよ!」

女「あう……そんなストレートに言わないでよ……」
45 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/06(水) 16:51:06.01 ID:e9KTLbEDO
男「そもそも幽霊に下着とかおかしくないか?」

女「わ、私は特別なの!」

男「心霊写真もそうだけどさ、裸で死んだ奴は裸で写れよ。何恥ずかしがって顔だけとか服着た状態で写るんだよ」

女(……全世界の幽霊や亡霊に喧嘩売ったわね)



男「まあいいけど……そしたらこれをあげよう」

女「諭吉?」

男「今から一万円以内で欲しい物を全て買ってきなさい」

女「い、いや、どう考えても諭吉だけじゃ足りないんだけど……」

男「今月はお財布状況が厳しいんだよ!……返事は!」

女「はいっ!」

男(今週末に会社の飲み会があるって話だったけど……欠席するしかないな)

女「男は来ないの?」

男「一緒に下着選んでいいなら行くけど?」

女「そ、その時は遠くに居ればいいじゃない」

男「あー……それもそうか」

女「暇潰しにいいかもよ?」

男「じゃあ先に飯食ってから行くとしよう」

女「えー、外食しないのー?」

男「そうじゃないとお前の命――じゃなくて、体力?気力?が危なくなるだろ」

女「や、そこは実体化さえしなければ」

男「お前なぁ……公の場でポルターガイスト現象を起こすつもりか?」

女「そ、そうでした……」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/06(水) 18:52:01.42 ID:5bF15qbDO
wktk
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) :2011/07/06(水) 19:11:25.26 ID:+/H5cu/m0
wktk
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 20:29:27.70 ID:BlxYUQeDO
女が貞子で脳内再生される
49 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 00:50:16.45 ID:kAT6RRtDO



男「おー、さすがに今の時間帯は涼しいな」

女「そうかな?……と、ところで男って何色が好きなの?」

男「んー。白ワンピースには白色が一番だが、淡い水色も捨て難いな。ここは思い切って赤色や黒色にして大人な雰囲気を」

女「なっ……!?そんなこと聞いてないでしょ!」

男「下着の色かと思ったのだが――ん?」

女「死ね変態っ!!」

男「また変態って言われた……ちょっくら死んでくるわ」

女「え?あ、ちょ、冗談だよ?……ま、待ってってば」

男「さようならっ!」ダッ

女「足早っ!?あ、そっち道路だって!それに今はトラックが――」



キキーッ!!



グシャッ!!



野次馬1「何だ何だ?交通事故か!?」

野次馬2「何か人が飛び込んだのが見えたけど……見間違いだったかな?」

野次馬3「こんな所で自殺とかやめて欲しいわー」

運転手「あ……ああ……」

野次馬4「おい、念のため救急車呼べ!!」



女「……う、嘘……だよね?」

女「だってさっきまで会話して……これから買い物に」

女「っ!男ーーーーっ!!」

男「何?」

女「い、生きてんじゃん!というか無傷じゃん!」

男「いやー、こいつが見えたから思わず飛び込んじまったよ」

猫<ニャー

女「ね、猫?」

男「よしよし、もう大丈夫だぞー」

猫<ウナンナ
50 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 00:53:18.97 ID:kAT6RRtDO
男「それにしても間一髪だったなぁ」

女「間一髪って……あんたその猫と一緒に死ぬ所だったのよ?」

男「せっかく女が成仏出来るチャンスだったのに生きてて悪かったよ」

女「なっ!?――この馬鹿っ!!」バチンッ!

男「痛っ……殴ったね!」

女「当たり前でしょ!?私はこんなことであんたに死んで欲しくないの!」

男「お、俺がそんな死に方をする安っぽい人間に見えると言うのか!」

女「現にさっき猫を助ける為に飛び込んだでしょうが!」バチンッ!!

男「い、今のは結構効い…………二度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!!」



女「あの……そろそろいいかしら?」

男「あ、ああ。まさか本気で殴られるとは思わなかった」

女「……ごめん」

男「女は悪くない。俺がもう少し言葉を選ぶべきだったよ……ごめん」

女「――あーあ、せっかくの買い物が台無しじゃん」

男「ま、また今度でいいでしょうか?週末なら丸一日休みなので」

女「いいけど……何でいきなり他人行儀になったの?」

男「いや、うん、その……とりあえず明日もノーブラノーパンで頼む」

女「そ、そういやそうだったわね……死っ――爆ぜろ!」

男「んな無茶な!?」
51 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 00:54:23.84 ID:kAT6RRtDO



男「おはようございまーす」

上「あ、男!ちょうどいい所に」

男「何か用ですか?」

上「実は明日の飲み会の会費を集めていてな」

男「あー……すみません、俺行けないです」

上「うん?おかしいな、男の口からは『行けない』と聞こえたのだが」

男「行けないです」

上「……欠席理由を教えてもらおうか」

男「えっと、多忙の為」

上「断る」

男「……急に出掛ける予定が入りまして」

上「誰と?」

男「はぁ……分かってるなら聞かないで下さいよ」

上「やはりか――本当はあの女、男の彼女じゃないのか?」

男「断じて違います」

上「でも同棲してるではないか」

男「世間的にはそうかもしれないですが、まだキスすらしてないですよ」

上「なっ、お、お前っ!キ、キキキスはまだ早いだろう!?」

男「まあ、俺からキスをするつもりは無いと思いますが」

上「あ、当たり前だっ!……ま、まだ私だって……」

男(キスという単語でここまで取り乱すとは……超がつくほど純情な人だな)

同(だがそれもいい)
52 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 00:55:32.22 ID:kAT6RRtDO
上「しかしまあ、用事があるのなら仕方がないな」

男「すみません……」

上「――時に男よ」

男「はい?」

上「その次の日は暇か?」

男「次の日は……多分暇ですが」

上「よしっ!ならば私と出掛けよう!」

男「……お言葉ですが、上司さんと出掛けなければならない理由をご説明願います」

上「うっ……わ、私のことは嫌いなのか?」

男「あのですね、会話が全く噛み合って」

上「だってそうじゃないか!女とは出掛けられるのに私とは出掛けられないとでも言うのか!?」

男「そ、そういうわけじゃないですが」

上「だったらどうして!?」

男(……あれ?いつの間にか立場が逆転してるな)

上(くぅっ、私には無くて女にはある物は一体何なんだ?――ま、まさか胸か?胸なのかっ!?)



男「やれやれ……上司さんの熱意には参りました」

上「じゃ、じゃあ!」パァッ

男「デートでもしましょうか」

上「はいっ!――って、デ、デートぉ!?」

男「違うんですか?」

上「いいかっ!?そもそもデートっていうのはお付き合いしてる男女が……あ、あれ?もしかして私達、付き合って」

男「ないですから」

上「あ、あはは……そうでした」
53 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 00:56:50.87 ID:kAT6RRtDO
男「じゃあその日の朝9時頃、上司さんの家へ迎えに行けばいいですかね?」

上「い、いや、私が君を迎えに行くよ」

男「何か不自然じゃないですか?こういうのは普通、男性が」

上「い、いいんだ!気にしないでくれ」

男「――やっぱりどこかで待ち合わせとかしましょうよ」

上「私が迎えに行くっ!!異論は認めないからな!!」

男「わ、分かりました……」

上(ふふっ……これでようやくあの女に、私と男との親密度アピールが出来るな)

上(悪いが男のことは諦めてもらうぞ!)



男「帰宅なう」

女「……何その言葉」

男「あ、そうだ――これ」

女「な、何よ。今度こそ首輪でも買って来たのかしら?」

男(そんなに欲しいなら言えばいいのに……)

男「まあ、ただの帽子と靴なんだけど」

女「あー!この麦わら帽子もメッシュサンダルも可愛いー!一体どうしたの?」

男「前は夜だったから気にしてないみたいだったけど、次は昼間に行くじゃん?だから身嗜みを」

女「えー、私は気にしないからいいのに」

男「必要無かったら返品してくるけど」

女「あ、ありがたく頂戴致しますっ」

男「それで、買い物ついでにデートでもどうかな?」

女「喜んでっ!――って、デ、デートぉ!?」

男(まさかの同じ反応……)
54 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 01:01:15.12 ID:kAT6RRtDO
女「で、でもいいの?服とか色々貰っちゃって」

男「もしかしてあの着慣れた着物の方がよかった?」

女「まさか!今更あんなの着たままじゃ出歩けないわよ……」

男「それは分かる気がする」

女「え、えっと、だからその……ありがと」

男「どういたしまして」



男「それで?」

女「な、何かしら?」

男「昼間どうやって過ごし」

女「ストップ!……それ以上は聞かないで」

男「……あのさ、その時だけ姿消せばいいじゃん」

女「ふっ――履いてないという事実は消えないわよ」

男「おお、何気に上手いこと言ったね」

女「いやあの、褒められても全然嬉しくないんだけど」

男「『ふっ――履いてないという事実は消えないわよ』」キリッ

女「…………おやすみ」イラッ
55 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/07(木) 01:09:37.34 ID:kAT6RRtDO
本日はここまでにします。

それではおやすみなさい……
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/07(木) 02:10:55.17 ID:U88jMulVo
乙した
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 07:01:46.43 ID:B3OaUAkSO
なんだろ
こいつオーバーソウルできんじゃね?
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/07/07(木) 10:41:26.91 ID:1IEOGi6E0
乙っした
59 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:38:05.86 ID:kAT6RRtDO



女「朝ですよー」

男「ん……って、まだ6時前……」

女「今日買い物に行く約束したでしょ?ほら、さっさと準備するっ!」

男「こんな時間に行っても店開いてねーよ……」

女「つべこべ言うならこうしてやる!」ペタッ

男「冷たっ!?……あ、結構気持ちいい……」

女「ふっふっふっ、早くしないと低体温症で――」

男「もうちょい下も……」

女「いっ、いい加減起きなさい!!」バチンッ!

男「き、昨日に続き三度目っ……」



男「うしっ、そろそろデートに行くか」

女「だ、だから違うって!……ただの買い物なんだから」

男「まあまあ。でも途中で会社の奴には出会いたくないな」

女「特に上司っていう人?」

男「正解ー。あの人変な噂流すからなぁ」

上(ふふっ、ここでまさかの私が登場)コソコソ

上(ストーカー?……違うな。これは言わば男の生態観察だ)

上(なーに、この変装なら見付かる心配など皆無に等しいわ)

女「変な噂って、例えばどんな?」

男「『独り身の男に新恋人発覚!?』みたいな」

女「へ、へぇ」

女(いっそのことそうやって広めてくれれば生活しやすいのに……)
60 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:39:40.12 ID:kAT6RRtDO
男「まずはどこから行く?」

女「うーん……ここら辺のこととかよく分かんないから男に任せるわね」

男「なら最初はランジェ」

女「待った!じ、順番ってものがあるでしょ!?」

男「え?だって任せるって」

女「うっ……さ、散策しながらにしましょう」

男「もう好きにしてくれ……」

女「ほらほら、私の右手がお留守になってるわよー?」

男「はいはい」ギュッ

女「……えへへ」

男(……デートという言葉には恥ずかしがるのに手を握る行為には抵抗ないなのか)



上(な、何ということだ……まさか手を握るほどの仲になっているとは)

上(これでは私が一方的に精神的ダメージを受けるだけではないか……)

上(い、いいさ!明日実行するだけだからなっ!――――まずは手を握る、と)メモメモ



女「これもいいけどあっちのもいいなー」

男「この店だけで2時間…………いくらなんでも長過ぎるだろ」

女「ねえねえ、どっちが可愛いかな?」

男「悩むくらいなら二つとも買っちまえよ」

女「だって上限一万円なんだから仕方ないじゃない!」

男「やれやれ……俺は右の方が似合うと思う」

女「本当!?じゃあこっち買ってくる!」

上(……服は選ばせる)メモメモ
61 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:41:07.65 ID:kAT6RRtDO
女「いい?こ、ここで待ってなさいよ」

男「分かってるって」

女「絶対に入って来ないでよ!?」

男「俺は白とか薄い青みたいな淡い系がいいなー!」

女「ちょっ、こ、声が大きいわよっ!」

上(これはありなのか?……い、一応下着購入、と)メモメモ



男「腹減ったな……何か食べたい物とかある?」

女「そうねー。久々にパスタが食べてみたいなー」

男「その久々っていうのは死んでからってこと?それとも長らく食べてなかったってこと?」

女「どちらかと言えば後者かしら」

男「そうかそうか。なら最近出来た駅前の店に行こう」

女「うんっ!勿論男の奢りだよね?」

男「や、やっぱり?」

上(ま、まずいぞ……この先にあるのは明日行こうとしていた店が――)

男「うわー、結構混んでるな」

女「でも一席なら空いてるみたいよ?」

男「ラッキー!」

上(ま、待っ……くっ、とりあえず私も入るしかないな)



店員「お一人様でいらっしゃいますか?」

上「ああ、見ての通り――何だその哀れんだような目は?そんなに一人で来るのが滑稽か?」

店「い、いえ……あの、先程のお客様と相席になってしまいますがよろしいでしょうか?」

上「構わない」

店「そ、それではこちらへどうぞ」

上(ん?相席とな?…………しまったあぁ!!)
62 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:43:18.41 ID:kAT6RRtDO
店「失礼ですがお客様」

男「はい」

店「こちらのお客様とご相席してもよろしかったでしょうか?」

男「あ、いいですよ」

上「すまな……い、いえ、申し訳ないですわ」

男「どうぞどうぞ」

店「それではご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」

女(……ねね、サングラスしてるってこはと有名人なのかな?)

男(どうだろ?でもスタイルいいし、声も可愛いよね)

女(むっ)

女「うふふ、私これが食べたーい!」

男「ん?どれどれ――」

『ランチセット2480円』

男「……え?」

女「駄目ー?」

男「た、単品にしてもらえると助かるなー……」



上(……残念ながら君達の会話は聞こえているよ)

上(スタイルがいいのは、私の胸にはいつも以上にパッドが入っているからであり)

上(声は少し高くしただけなんだ……)

上(そして何より――――)

上(女に対する私の嫉妬深さに腹が立ってきた)

上(お、落ち着け……明日があるじゃないか!)

上(とにかく今は耐えるんだ私!)
63 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:44:58.32 ID:kAT6RRtDO
女「満足満足〜♪」

男「……次は公園に行こう」

女「えー」

男「えー、じゃない」

女「何で公園なの?」

男「お前が買った荷物は俺が持ってるし、食後だから少し落ち着いた場所で休みたいんだよ」

女「そ、そっか……なら仕方ないわね」

男「仕方ないと思うなら自分でも持ってくれよ……」

上(任務続行)コソコソ

上(それにしても公園とは――これはありだな)メモメモ



男「んぁー……」ボー

女「何でそんなに眠そうなの?」

男「誰かさんに文字通り叩き起こされたからな」

女「あ、あれはあんたが悪いんじゃない!」

男「まあそれもあるけど、やっぱり仕事の疲れが出て来たかも」

女「そう……少しだけ寝たら?」

男「せっかくのデートだぞ?」

女「ち、違っ――あーもう、デートでいいわよ!」

男「とりあえず落ち着こうぜ」

女「……無理しないでっていったのは男でしょ?」

男「いや、あれはお前に対して」

女「あの時の言葉、全部オウム返ししてあげる」

男「む……そいつは困ったな。俺は成仏出来ないぞ」

女「細かいことはいいのっ!」
64 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/07(木) 15:46:39.10 ID:kAT6RRtDO
男「それじゃお言葉に甘えて少し横にならせてもらう」

女「うん」

男「適当にこの荷物を枕にするけどいいよな?」

女「あ……」

女(どどどうしよう!?こ、こういう時ってやっぱり膝枕してあげたほうがいいのかな?)

男「よっこい」

女「――待った!ここは私が日頃の感謝の意味を込めて膝枕をしてあげるわよ」

男「いや、嬉しいけど……さっきの店で悪い物でも食べたか?」

女(わ、私が恥ずかしさと葛藤しながら勇気を出して提案したのに……)プルプル

男「でもまあ、女がやってくれるって言うんであればお願いするよ」

女「ただしっ!……か、顔は外向けること」

男「お、おう」

女「あと、幽霊だから居心地悪いかもしれないけど……」

男「突然霊体にならないのならさほど気にしない」

女「ありがと…………じゃあ、どうぞ」

男「し、失礼します」



上(ば、馬鹿なっ!?あの男に膝枕をするだと!?)

上(うらやまけしからんが――これは重要だ)メモメモ

上(……それにしても……あれだな)

上(私は休日の朝から何をやっているんだ……)

上(――――今日は飲み会があるからそろそろ帰るとしよう)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 16:11:50.49 ID:JvJTunMe0
これは期待
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage ]:2011/07/07(木) 17:39:36.26 ID:1IEOGi6E0
上司おもしれー
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/07/07(木) 19:43:24.96 ID:PUUrh9Fn0
wktkだ。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 23:27:43.49 ID:a7V0DC9Yo
いろいろとかわいすぎわろた
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/07(木) 23:46:17.14 ID:U88jMulVo
こんなかわいい上司に愛されたい
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/08(金) 22:00:22.59 ID:qGlxyDqo0
まだか
71 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/08(金) 22:37:46.05 ID:t1GeSJoDO



男(……そよ風が気持ちいいな)

男(というかここは何処だ……?)

男(それに何かいい匂いが――)

男「……ん」

女「あ、起きた?」

男「女?…………しまった!!今何時!?」

女「もう夕方の5時だよー」

男「お、俺は3時間近くも寝てたのか!?」

女「それはもうぐっすりとね。見ている私まで眠たくなっちゃった」

男「ごめんっ!……まだ買いたい物とかあるだろ?」

女「ううん。欲しい物はほとんど買っちゃったわよ」

男「そうなのか……そ、そしたら」

女「帰りましょ?」

男「いやでも3時間分の埋め合わせが」

女「い・い・か・らっ!……行こ?」

男「あ、ああ――ありがとう」



女「ところで私の膝枕はどうだったかしら?」

男「……今までの枕の中で一番の寝心地だったよ」

女「へぇ、私が一番なんだ」

男「よかったらまたやってくれないか?」

女「い、嫌よ!あんたが寝てる間、通る人からの視線が痛いほど恥ずかしかったんだから……」

男「いやいや、家で耳かきしながらでいいから」

女「耳かきって……わ、私達そんな仲じゃないでしょうが!」

男「えー」

女「そんな顔しても駄目!」
72 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/08(金) 22:39:53.61 ID:t1GeSJoDO
上(もう朝か……)

上(私としたことが緊張のあまり少ししか眠ることが出来なかった)

上(……いかんな。どうも最近は男のことを――)



ザー



上(この音は…………嘘だよな?)

上(いやまだだ、私の目で直接確認するまでは)シャッ



ザー



上「……な、何故だっ!」

上「降水確率はたったの10%だったじゃないかっ!」

上「それなのにどうして雨が降るんだっ!?」

上「せっかくこの日の行動予定を悩みまくって考えたと言うのにっ!!」

上(こ、こうなったら……あの手段で行くとしよう)



男「雨か――何と清々しい朝なんだ」

女(全然清々しくないじゃない……)

〜〜♪

女「あれ?男の携帯鳴ってるけど」

男「パスミー」

女「はい…………ん?」

男「サンキュー」

女(今画面に『上司』って表示されてたけど――まさかね?)

男(……ああ、やっぱり上司さんだ)

男(この雨だと今日出掛けるのは無理じゃないのかな)

男(それとも中止の連絡とかか?)



男「もしもし」

上『い、今から私の家に来てくれ!……以上っ!』

女「っ!?」ガタッ

男「でも雨が」

上『約束は約束だ。今日一日、君は私に付き合ってもらうよ』

男「い、いやいや」

上『いいから早く来るんだぞっ!』ガチャ
73 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/08(金) 22:41:27.82 ID:t1GeSJoDO
女「約束ってどういうこと?」

男「……聞いていたのか」

女「昨日の私とのデートだけじゃ物足りず、今日は上司とデートに行くの?」

男「そ、そういうわけじゃないんだ」

女「じゃあどういうこと?」

男(女からの威圧感が半端ないな……ここは正直に答えるしか)

女「ねえ」

男「実は昨日、会社の飲み会があるはずだったけど休ませてもらったんだよ」

女「何で?」

男「あのなあ……最初にあけだワンピースもお前に渡した一万円も、元は誰のお金か分かるだろ?」

女「誰って男しか――あ!」

男「そゆこと。節約も大事だしな」

女「でも、それってつまり……会社より私を選んだってこと?」

男「ん?選んじゃいけなかったのか?それともこれ以上家計を火の車にする気か?」

女「そ、そうじゃないけど」

女(……単に鈍いだけなのかしら?)



男「さて、話が逸れたが……上司さんには強引に誘われたんだ」

女「さ、さっきの話全く関係ないじゃないっ!」

男「あれ?そうか?」

女「どうやったら節約と強引に誘われたことが結び付くのよ!?」

男「……確かに」

女「全くあんたは……」
74 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/08(金) 22:44:13.02 ID:t1GeSJoDO
男「とりあえず夕飯までには戻りたい」

女「戻りたいって……変なことされないように気を付けなさいよ?」

男「例えば?」

女「えっ、や、あ……そ、それはほら、膝枕耳かきとか」

男「是非してもらいたいのだが」

女「だ、駄目っ!上司にしてもらうくらいなら私がするわよ!」

男「え?マジっすか!?」

女「あ、違っ――わなくないけども……」

男「よっしゃ!即行って即帰って来る!!」ダッ

女「ま、待っ」

女(うぅ……どうしようどうしようどうしよう!つい口が滑ってあんなこと言っちゃったけど)

女(恥ずかし過ぎて出来るわけないじゃない……)

女(で、でもあの女より先にやっておけば後々――ふふ、ふふふ……)



男「上司さーん?来ましたよー?」ピンポーン

上『う、うむ、入りたまえ』

男「お邪魔しまーす」

上「わざわざ雨の中をすまなかった」

男「いい運動になりました」

上「と、とりあえずシャワーでも浴びたらどうだ?」

男「……はい?」

上「明日から仕事が始まるというのに風邪をひかれては困るからな!」

男(なら何故呼んだんだ……)

上「タオルは自由に使っていいぞ」

男「そ、それじゃ遠慮なく使わせていただきます」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/07/08(金) 23:23:06.84 ID:BbPrMADLo
途中で魔女の宅急便が気になったのか?ん?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/07/08(金) 23:30:50.02 ID:BbPrMADLo
>>75
間違っては無いけどごばwごばww誤爆wwww
77 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/09(土) 22:29:42.75 ID:Tm3JSpKDO
男(一体今日の上司さんはどうしたというんだ……)

男(普通に考えて初めて家に来た男に風呂は貸さないだろ)

男(それともこれは孔明の――)

上「おおお男君っ!」

男「な、何でしょう」

上「よければ、せ、背中流すけども」

男「よ、よくないです!全然よくないですって!!」

上「まあまあ、そんなこと言わずに」シュル

男「な、何脱ぎ始めてるんですか!?帰りますよ!!」

上「冗談だから帰るとか言わないでくれ……」

男「……別に帰りはしませんけど」

上「だったらよいではないか、よいではないか!」シュルシュル

男「も、もう上がりますんで!」

上「……ちっ」



男「――俺は上司さんの部下なんですよね?」

上「そうだが?」

男「だったらもう少し行動に気を付けていただかないと……」

上「気になる人にそういうことをするのはいけないことなのか?」

男「気になるって…………え、えぇっ!?」

上(と、とうとう言ってしまったな……)

男「また冗談ですか?」

上「冗談に聞こえたのか?」

男「まあ、一連の行動からして……」

上(……鈍感にも程があるだろう)
78 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/09(土) 22:30:42.45 ID:Tm3JSpKDO
上「……」

男「……」

上「な、何か映画でも見よう」

男「あ、はい」

上「……男?」

男「その……何がありますかね?」

上「えーと確かここに……バイオ4、エイリアンVSプレデター、リング2、輪廻、呪怨――」

男(うわぁ……後半の3つはある意味凄いな)

上「最近はリアル鬼ごっこを見てみたいと思ってるんだ」

男「あ、それならDVD持ってますよ」

上「本当かっ!?今度貸してくれないだろうか?」

男「了解です」

男(……相当な怖い物好きだな)



上「今日は無難にリング2を見よう」

男「……無難ですかね?」

上「どうした?もしかして怖いのか?んー?」ニヤニヤ

男「まさか。上司さんこそ無理してませんか?」

上「嫌いならこんなホラー映画をわざわざ買わないぞ」

男「あ、確かに……これだけのDVD持ってるなら平気ですよね」

上「あ、ああ。怖いわけないじゃないか」

男「だったらカーテン閉めて雰囲気出しませんか?」

上「い、いや、そこまでしなくても……部屋が暑くなるだろう?」

男「扇風機かエアコン付ければ大丈夫ですよ」

上「しかしだな」

男「自分やりますね」シャッ

上(……今更怖がりだなんて言えないな)

上(DVDも悲鳴を上げてストレス発散をする為に買っただけだし……)

上(はっきり言えばどれも途中までしか見てないんだ)

上(唯一最後までみたのがリング2だが……また貞子を見ないといけないのか)ガクブル

上(でも男のあのわくわくした笑顔を見たら断れないだろっ……!)
79 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/09(土) 22:32:32.10 ID:Tm3JSpKDO
※ネタバレ注意!









『よーいち……よーいち……』ドロドロ

男(うへぇ……ん?)

上「ち、血が喋っ…………無理…………怖い」ガクブル

男(今の所はそんなに)

上「男は……へ、平気なのか?」ガシッ

男「怖いんですか?」

上「ばっ、ち、違うぞ!決して怖いとかそういうんじゃ……」

男「怖いんですか?」

上「……意地悪な奴は嫌いだ」グスッ

男(普段がしっかりしてるから可愛く見えるな)



『ひいっ!』

ギシ…ギシ…

『……貞子……』

上「ひゃっ!?……あ、あれ?」スカッ

男(面白そうなので隠れてみました)

上「男?……ま、まさか貞子に!?」オロオロ

男(さすがにそれは無いでしょうが)



『あなたはもう死んだのよ……!』

ススッ…

ギロッ!

上「うわあぁ!?男っ!?男ーっ!?わ、私一人じゃ……」オロオロ

男(これは貴重な光景だ)

上「……悪かった……私が悪かったから……出て来てくれ」グスッ

男「――怖いですか?」

上「わ、私は怖いのが苦手なんだ……何処にも行かないで欲しい」

男「俺はここに居ますから」

上「……ふっ、捕まえたぞ」ガシッ

男「あ」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2011/07/09(土) 22:58:07.09 ID:bK1kjhvSo
エイリアンVSプレデターはホラーでは無いな
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/09(土) 23:15:01.34 ID:24x1LKSCo
かわええの上司チュッチュッ
82 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 03:20:46.47 ID:tFjAhPCDO



男「すみませんでした」

上「……ふんっ」ムスッ

男「上司さんの怖がり方、結構可愛いですね」

上「か、可愛っ!?……そんなこと言っても私は許さないからな!」

男「うーん」

上「何を言われても私の機嫌は直らないぞ?」

男「今度俺と『七つまでは神の〜』っていうホラー映画見に行きませんか?」

上「わざとか?わざとなのか?」

男「その後はどこかでご飯食べて」

上「――待て。それはもしかして……デ、デートの誘いか?」

男「どうでしょう?」

上「お、男君がそこまで言うのなら仕方がないないな!」

男(公開日の関係上まだ先の話なんだけど……まあいいか)

上「あの……強いて言うならホラー映画を変えてほしいのだが」

男「あれ?怖いんで」

上「しつこいぞっ!!」



上「そろそろお腹空かないか?」

男「そうですねー……あ、もしかして作ってくれるんですか?」

上「作って欲しいか?」

男(何故に上から目線……)

上「どうなんだ?」ニヤニヤ

男「――実は今、空腹より睡魔の方が勝ってるんですよね」

上「……つまり?」

男「ベッド借りまーす」ボフッ

上「ちょ待っ、お、男っ!?」

男「ああ……これはすぐに眠れそうだ……」スーハー

上「わあああぁっ!?止めっ……た、頼むから下りてくれ!何でも作るからっ!!」
83 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 03:21:56.82 ID:tFjAhPCDO
男「ご馳走様でした」

上「どうだった?」

男「上司さんの料理がまずいわけないじゃないですか」

上「……」

男「さて、この後何をしましょう」

上「……」

男「あ、あの?」

上「ん?さっきから男君は誰に向かって話しかけてるのだ?」

男「誰ってそりゃ、上司さんに」

上「上司さん?」

男「……上司に」

上「何がしたい?」

男「映画の続きでもどうですか?まだ他にもあ」

上「断る」

男「じゃあ帰っていいですか?」

上「却下だ」

男(……俺にどうしろと)



男「雨止まないですねー」

上「そうだな」

男「そういえば上司――に聞きたいことがあるんですけど聞いていいですか?」

上「奇遇だな。私も男に聞いてみたいことがあるんだ」

男「俺に?何ですか?」

上「そうやって私に敬語で話すの止めてくれないか?」

男(それはお願いではないだろうか)

上「いつも思ってたのだが、何故わざわざ敬語を使うのだ?」

男「何を言うかと思ったら……」

上「何って、よそよそしいじゃないか」

男「上司は俺にとっての目上であり、年上でもあるんですよ!?」

上「それがどうした?」

男「くっ……!」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/11(月) 09:05:51.81 ID:CpIYJtJgo
乙した
85 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:47:27.16 ID:tFjAhPCDO
男「第一、俺がタメ口で話したことを課長や部長に知られたらクビ確定ですよ?」

上「大丈夫だ、君はクビにはならない。私が守ってやるからな」

男(……綾波上司)フッ

上「な、何が可笑しいのだ?」

男「いえ。ただ頼もしいなと」

上「んん?よく分からんな」

男「分からなくて結構です」

上「だからその喋り方――」

男「俺は何と言われようが敬語は直しませんので」

上「……上司命令であってもか?」

男「何故なら貴女は、俺の中の数少ない尊敬出来る人物だからです」

上「ほう、尊敬とは光栄だな」

男「まあ、相当な怖がりという意外な一面もありますが……」

上「そ、相当じゃないぞ!?多少の……いや、若干怖がりなだけだっ!」

男「あ、認めましたね」

上「しまった!?」



男「仕事をこなす速さ、部下からの人望――上司は何を取っても素晴らしい人です」

上「そ、そこまで褒められると恥ずかくなるじゃないか」

男「まあ冗談なんですけど」

上「え」

男「嘘ですよ」フフッ

上(おのれ男め……!)
86 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:49:05.91 ID:tFjAhPCDO
上「それで男が聞きたいことというのは?」

男「えと…………幽霊についてなんですが」

上「ゆっ……!?」ビクッ

男(名前出すだけでも駄目なのか)

上「そ、そんな非科学的なものが存在するわけないだろう?」

男「今は非科学的かどうかは置いておいて」

上「どうしても信じなくてはいけないのかっ!?」

男「ほら、心霊写真とかあるでしょ?」

上「あ、あんなのはまがい物だ」

男「確かに加工されたのもありますが……」

男(現に俺の家に居るんだし)



上「そもそも君は何故そんなことを聞くんだ?」

男「……実はですね」

上「わ、私が怖がってる姿を見て楽しんでいるのか!?」

男「それもあるんですが」

上「……いつもいつも君はそうやって私を……」ブツブツ

男「ほ、ほら!もし上司が幽霊を克服出来れば、一緒にホラー映画を楽しめるじゃないですか」

上「……私はファンタジーとか他の類の映画で楽しみたいよ」

男「まあまあ――――そしたらですね、何故幽霊が居ると思いますか?」


上「それは……あれだろう」

上「この世に未練があるからとか」

男「例えば?」

上「飼い猫に餌やってなかったー!とか、女の子の手を握ったことがないー!とか」

男「……しょうもない理由ですね」

上「ああ……そんな奴らは早急に成仏してしまえばいいのに」
87 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:50:55.24 ID:tFjAhPCDO
上「他には殺したい程憎い人がいるとか」

男(女はこれっぽいけど……違う気がするな)

上「助けを求めている、かな」

男(助け……助けか)

上「どうした?」

男「もし俺が幽霊になったら毎晩上司の枕元に立ってあげますよ」

上「お、恐ろしいことを言うんだな君は……」

男「そしたらちゃんと助けてくださいね」

上「…………まさか男っ!?自殺を考えて」

男「そんなわけないでしょうが!もしもの話ですよ」

上「な、何だ……本気で心配してしまったではないか」

男「ははは、ありがとうございます」



上「おや、綺麗な夕日だな」

男「今更晴れてもらっても困りますね」

上「全くだ。せっかく予定をだな……」ブツブツ

男「?……あ、そろそろおいとましますね」

上「泊まっていけばいいじゃないか」

男「な、何言ってるんですか!?明日から仕事があるんですよ?」

上「ならせめて夕飯でもどうだ?」

男「すみません。家に準備がしてあるので」

上「そうか……それは仕方ないな」

男「今度は外に行けるといいですね」

上「こ、今度だとっ!?明日か!?」

男「だから明日は仕事ですってば……」



男(よし、何とか女が指定した時間には間に合いそうだな)

男(……帰りにレンタルショップ行ってリングでも借りてみるか)
88 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:52:06.34 ID:tFjAhPCDO



男「無事帰還!」

女「あら、思ってたより早かったじゃない」

男「夕飯出来てるか?」

女「あ、当たり前じゃない」

男「そしたらリング見ながら飯にしよう」

女「リングって……あの?」

男「くーる、きっとくるー」

女(な、なんで私が……それもご飯食べながら)

男「怖いのか?」

女「だ、誰もそんなこと言ってないじゃないっ!」

男「ちなみに上司の家では2を見たんだけど」

女「……上司?上司さんじゃなく?」

男「い、いろいろと事情があるんだよ」

女「いろいろ?ふーん?」

男「ちなみに膝枕耳かきはしてもらってない」

女「へ、へえ?」

男「帰ったらやってくれる約束だったよな?」

女「……覚えていたのね」

男「忘れるわけないだろ!」

女「うぅ……あ、後でね」

男「イエスっ!」



女「――ねえ、本当に見るの?」

男「幽霊のくせに人間が演じている貞子が怖いのか?」

女「こ、怖いわけないじゃないけど……」

男「生前に一回は見たことあるだろ」

女(……怖くて見れなかったなんて言えないわね)
89 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:53:15.73 ID:tFjAhPCDO
※ネタバレ注意!!









ズズッ

男「いよいよクライマックスだな」

女「あ……い、井戸から貞子……」

男「ここは有名なシーンだからそんなに怖くないだろ?」

女(言えない……怖すぎて泣きそうなんて言えない)



ズズッ

『何で!?』

プルルルル、プルルルル…

『そうだ!あさかわっ!!』

ガタッ

ズズッ…



女「きゃああぁっ!な、何でテレビから貞子が!?」

男「ちょ、ちょっと待て!この部屋のテレビからも何か出て――」

女「いやああぁっ!!」ガシッ

男「お、おいおい」

男(上司もそうだったけど……)

男(怖くないって言った人が怖がる姿は何とも可愛いではないか)



女「男……怖いよぉ……」グスッ

男「えぇっ!?な、何も泣かなくても」

女「私……お化けが大の苦手なの……」

男(そしてその大の苦手なものになってしまった、と)

男「……よしよーし」ナデナデ

女「ちょっ、子供じゃないんだから……」

男「とか言いつつ素直に撫でられてるのは誰だよ」

女「あう……」
90 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/11(月) 12:54:30.53 ID:tFjAhPCDO



女「さ、さっさと寝転びなさいよ」

男「よしきたっ!」ゴロン

女「こっち向くなーっ!!」バチンッ

男「……よ、容赦無いな」

女「次からはグーにして殴るわよ?」

男「ご、ご勘弁を……」



男「ああ……これは……いい……」

女「し、静かにしてなさいよ」

男「あ、そこそこ!いいね!」

女「うーごーくーなー」

男「……はい」



女(結構疲れるわね……)

男「――――お前さ、実は助けて欲しいんじゃないのか?」

女「っ!?」ビクッ

男「うっ!……こ、鼓膜は突いたら駄目だろ……」

女「ご、ごめんなさい」

男「……その反応から察するに図星なのか?」

女「何で男はそう思ったの?」

男「ふっ……」

女(この自信ありげな態度……もしかして男はもう気付いて)


男「――――勘だ」

女「……へ?勘?」

男「漢のインスピレーションだ!」

女「あ、そ、そう」

男「で、違うのか?」

女「それは……」

男「言えないのか」

女「ごめん……まだ言えないの」

男「“まだ”ならいつか話してくれよ。俺なら女の力になれるかもしれないからな」

女「うん……ありがとう」



男「あ、反対もお願い」ゴロン

女「はいはい……って、さりげなくこっち向いて寝ないの!」ペチンッ

男「……へーい」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 16:45:19.79 ID:7nhndiiEo
上司ウザすぎワロタ
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 22:21:31.62 ID:oYQbrM7I0
女可愛いよ女
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/11(月) 23:24:37.33 ID:1dFWyKXAO
幽霊とホラー鑑賞会ww
94 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 01:12:56.67 ID:X0Pqy0EDO
男「行ってきまーす」

女「あ、あの、これ……」スッ

男「ん?お、もしかしてまた弁当かっ!?」

女「今日のは早起きして一から作ってみたけど……」

男「女最高ー!」ダキッ

女「きゃっ!?ちょっ、は、離れなさいよ!」

男「わ、悪い……つい嬉しくてだな」

女「もう……でも口に合わなかったらごめんなさい」

男「何言ってんだよ!女が作る飯は全部旨いじゃないか!」

女「あ、ありがとう」

男「うしっ!では行ってくる!」

女「いってらっしゃーい」


女(私が男の家に来てから今日でちょうど一週間……つまり七日目)

女(残された時間は――――あと六週間、か)



男「早起きしてかぁ……うへへ」ニヤニヤ

同「や、やけに嬉しそうだな」

男「あ、分かる?」

同(ニヤニヤしながらうへへ言ってりゃ誰だって分かるよ……)

男「同僚っていつも食堂で昼飯食べてるっけ?」

同「ああ、俺には上司さんみたいに弁当を作ってくれる人がいないからな」チラッ

上「ん?何だ?」

同「い、いえ、何でも無いです」

上「何でも無いならさっさと手を動かしたらどうだ?」

同「は、はいっ!」

男「……うへへ」ニヤニヤ

上「男もだぞー」

男「はいよっ!」

上(……今日の男は何か変だな)
95 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 01:14:50.64 ID:X0Pqy0EDO



男「昼飯の時間キターー!!」

同「うわっ!?……き、急に大声上げるなよ」

男「食堂のおばちゃんと上手くいくといいな」ポンポン

同「は、はい?」

男「シーユー!」ダッ

同(……男が意味不明過ぎて怖い)

上(ふむ……同僚は食堂で働いているあの方が好きなのか)メモメモ



男「いただきますっ!」

男「…………旨いっ!!」モグモグ

男「何て言うかこう、いつもとは違って家庭的な味――」ハッ

男(もしかして女……俺の死んだ母ちゃんじゃ?)

男(社会人になっても恋人の一人や二人作らない俺が心配になって……)

男(外見がああ見えるのは若かりし頃をモチーフに……)

男(ま、待てよ?そしたら俺は昨日、女に何をしてもらった?)

男(……膝枕耳かきだよな……)ゾッ

男(しかも今日の朝は抱き着いて……)ゾゾッ

男「うわああああぁっ!?」

男(今まで他人のように接してごめんな母ちゃん……)モグモグ

男(……でも母ちゃんの弁当はやっぱり美味しいや)モグモグ



男「……」ガラッ

同「あれ?お前俺より先に出ていったのに帰って来るの遅くないか?」

男「……帰ったら謝るんだ……」ブツブツ

同(一体男の身に何があったと言うんだ……)
96 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 01:16:45.03 ID:X0Pqy0EDO
男「……」ガチャ

女「わっ!?び、びっくりしたぁ……帰ったなら何か一言」

男「ごめんよ母ちゃんっ!!」ダキッ

女「か、母ちゃん!?……というか離れなさいよっ!」

男「俺、母ちゃんにずっと迷惑掛けてたよ……ごめんな」グスッ

女「私がいつあんたのお母さんになったわけ!?」

男「もうそんな芝居はしなくていいんだ」

女「し、芝居?――いい加減にしなさいっ!」ドカッ!

男「ぐっ……本当にグーで殴りやがった……」

女「はぁ……はぁ……」

女(1日に2回も抱き着かれるこっちの身にもなってみなさいよ……!)ドキドキ



男「――はっ」

女「会社で何か嫌なことでもあったの?」

男「うぅ……母ちゃ」

女「だから違うって言ってるでしょ!?」

男「違う?そんな馬鹿なっ!」

女「馬鹿はあんたよ……何で私をお母さんと思ったわけ?」

男「今日の弁当、凄く家庭的な味がしたんだぞ?」

女「そ、それは……男に喜んでもらえるようにって思いながら作っただけで」

男「……言ってて恥ずかしくないか?」

女「なっ!?……あんたが言わせたんでしょうが!」ブンッ

男「暴力反対っ!」
97 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 01:17:52.96 ID:X0Pqy0EDO
男「――本当に女は俺の母ちゃんじゃないんだな?」

女「何回も説明したじゃない!……それとももう一回殴られたいのかしら?」

男「い、いえ……とりあえずよかったぁ」

女「何がよかったの?」

男「だってほら、公園で膝枕してもらうだけならず、昨日は耳かきまでしてもらったんだぞ!?」

女「ふんふん」

男「もしお前が俺の母ちゃんだったら――今すぐ死んでもいい」

女「そ、そんなにお母さんを嫌がらなくていいじゃない」

男「問題はそこじゃない。俺が二十歳を過ぎた社会人だということだ」

女「あ、あー……成る程ね」



男「ところで弁当さ、特に煮物が美味しかったよ。しっかり味がしみててさ」

女「でしょー?あれが一番上手に出来たのよ」

男「いつでもいいからまた作ってくれないか?」

女「……私は毎日作るつもりだったんだけど」

男「マジかっ!?ど、どういう心変わりだよ」

女「えーと……ほ、ほら、私が現れてから一週間が経つじゃない?」

男「え?もうそんなに経ったのか?」

女「うん。その間に男はいろいろしてくれたからそのお礼にね?」

男「でもあんまり実体化すると女に負担が……」

女「わ、私が好きでやってるんだからいいじゃないっ!」

男「……面倒臭くなったら止めていいからな」

女「ふんっ、絶対毎日作ってやるんだから!」
98 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 01:19:37.04 ID:X0Pqy0EDO



男「風呂先にどうぞ」

女「いつも私が先でいいの?」

男「一応レディファーストだからな」

女「……た、偶には男から先に入ったら?」

男「いやいいよ、女が先に入りなよ」

女「だってこの部屋の所有者は男なんだし」

男「じゃあ間を取って、一緒に――」

女「入りませんっ!!」バタンッ!

男「……やれやれ」



女「ふーんふんーふっふふふんー♪」

男(この鼻歌は……リングのエンディング曲か)

男(まあ確かに耳に残るっちゃ残るけど……怖いんじゃなかったのか?)

女「ふんふ…………ひっ!?」

男「ど、どうした?」

女「きゃあぁっ!く、蜘蛛っ!!」バンッ

男「ば、ちょ、おまっ!?ま、前隠せ!!」

女「え?あ……みっ、見るな馬鹿ー!!」

男「見せたくないならタオルで隠すか透明になれよ!」

女「透明?……な、成る程っ!」スウッ

男「ったくお前は……」

女『い、いいから早く退治しなさいよ!』

男「へいへい」

女『でないと……い、いつまでも裸で居なくちゃいけないでしょ?』

男「!…………実は俺、蜘蛛が苦手でして。いやー、参ったなぁこれは」

女「こ、このっ――死ねっ!!」ドカッ

男「……後ろからは……卑怯」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 14:39:53.71 ID:yntJ2Zl+0
待ってる
100 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/12(火) 20:36:05.95 ID:X0Pqy0EDO
明日から忙しくなるので更新が遅れかもしれないです

とりあえず今日の分を…
101 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:37:48.24 ID:X0Pqy0EDO
上「男君、ちょっといいか?」

男「何でしょう」

上「明後日から新しい取引先への出張を頼まれてもらえないだろうか」

男「明後日?えらい急ですね」

上「向こうの会社と時間がうまく合わなくてな……」

男「場所は何処ですか?」

上「海が綺麗な場所だ」

男「へぇ――もしかして俺一人ですか?」

上「ん?私について来て欲しいのか?」

男「そ、そういうわけじゃ……前回は同僚と一緒だったもので」

上「同僚は明日から出張だ」

男「明日!?そ、それはまた……」

上「他にも社員はいるからいいが、君達二人が居なくなるとここも淋しくなるな」

男「一時的に、でしょう?」

上「ふっ……それもそうだな」

男「では仕事に戻ります」

上「お土産頼んだよ」



男(出張かぁ……女に言わないといけないな)

男(まあ、絶対ついて行くとか言いそうだけど)

男(海が綺麗なら水着を買わないといけなくなりそうだ……)
102 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:40:16.94 ID:X0Pqy0EDO



男「実は明後日、出張に――」

女「行きたーい!」

男(……やっぱりか)

女「あんた一人だけ行くなんてずるいわ!」

男「だからこうして伝えたじゃんか」

女「ねえねえ、いいでしょ?」

男「……好きにしろ」

女「やったー!!男だーい――」ハッ

男「だーい?」

女「だ、台拭いてちょうだい」

男「え?もう飯食べるの?」

女「そうよ!だ、だから台拭いてちょうだい」

男「はいはいっと」



女「ちなみにそこってどんな所なの?」

男「うーん……海が綺麗だとか」

女「海!お、泳げるのかな?かな!?」

男「知らんけど……女は水着買わないと無いだろ?」

女「あ……や、やっぱりいいや」

男「お前が遠慮するなんて気持ち悪いな」

女「気持ち悪い言うな!」

男「それで――どういう風の吹き回し?」

女「だって私の宿泊代だけでも相当な出費なのに、更に水着まで買ったら」

男「……俺が女の水着姿をどうしても見たいって言ったら?」

女「み、見せてあげないこともないけど」

男「だったら買うぞ!」

女「下心見え見えじゃない……」

男「下心ではない!純粋な青少年の心だ!!」
103 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:43:47.31 ID:X0Pqy0EDO
男「じゃあ今日は早く帰るから出掛けられるように準備しておけよ」

女「はーいはい」

男「返事は一回!」

女「はーい」

男「もっと元気よくはっきりと!」

女「は、早く仕事に行きなさいよっ!」

男「そうだな――んじゃ行ってきまーす」バタン

女「……全く」

女(それにしても海かー)

女(最後に行ったのは……高校生の時かも)

女(クラスの皆と一緒に泳いで、ビーチバレーとかして……楽しかったなぁ)

女(でも今回は男とだもん!目一杯楽しまないと損だよね!)

女(……ああ、何一人で盛り上がってるんだろう)

女(気分転換を兼ねて散歩にでも行こっと)ガチャ



女「前の公園まで行ってみようかなー」

猫<ニャー

スリスリ

女「んー?……あ、この猫は確か男が助けた――」

主婦「あら、こんにちは」ニコッ

女「っ!?……こ、こんにちは」

婦「その猫ちゃんが人に懐くなんて珍しいわね」

女「そ、そうなんですか?」

婦「ええ。だって私が近付くと……」スッ

猫<フーッ!

婦「ほらね?」

女「……こらっ」

猫<ウナ…

婦「あらあらまあまあ!あなた凄いわねっ!お名前は?」

女「お、女です」
104 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:45:17.62 ID:X0Pqy0EDO
婦「女ちゃん……?――あ、もしかしてあなたが噂の男君の彼女さん?」

女「か、彼女っ!?ち、違います違います!」ブンブン

婦「でも公園でデートしてたって」

女「み、見てたんですかっ!?」

婦「それとも彼女じゃなくて――奥様かしら?」ウフフッ

女「奥っ……!?ま、まだそんな関係じゃないです!」

婦「まだ?――じゃあやっぱり彼女さんじゃない!」

女「あ、あう……あう……」

婦(嫌だわ私ったら、少しからかい過ぎたかしら)



女「――ところで主婦さんは男のことを知っているんですか?」

婦「『男』?」ニヤニヤ

女「も、もうっ!怒りますよ!?」

婦「ごめんなさい、あなたの初々しい反応を見るとつい」フフッ

女(ついって……)

婦「男君は礼儀正しくてね、私に会う度にきちんと挨拶をしてくれるのよ」

女「そ、それは主婦さんが美人だからでは?」

婦「だったら嬉しいわ――でもね、男君は違うのよ」

女「違う?」

婦「例え相手がお爺さんや小さな子供であっても、挨拶をしない男君は見たことないの」

女「意外ですね……」

婦「そんなこと言うと男君に怒られちゃうぞ?――――布団の・な・か・で」ウフフッ

女「なっ!?……主婦さんっ!!!」
105 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:47:32.36 ID:X0Pqy0EDO
婦「それにほら、男君ってご両親がいないじゃない?」

女「ご両親って……お父さんもですか?」

婦「そうよー?だから前まではおかずとかをおすそ分けしてあげたのだけど」チラッ

女「?」

婦「何でも女ちゃんがご飯を作ってるそうじゃない?」

女「だっ、誰からそれを!?」

婦「誰って……勿論男君じゃないのっ!」ポンポン

女(あ、あいつ……!)

婦「この前は可愛い巾着袋を下げていたから中身を尋ねてみたらね」

婦「『女が早起きして作ってくれた大切な弁当です』だって!」

女「た……大切な……」カアッ

婦「それはもう嬉しそうに言うからね、今の男君は幸せなんだろうなーと」

女「……えへへ」

婦「だから――――男君と幸せにね」

女「え、えぇっ!?」

婦「そこは“はい!”じゃないと」

女「……でも私なんかじゃ」

婦「女ちゃんはさ、男君のこと好きなんでしょ?」

女「す、好き!?……な、何でそう思っ」

婦「ふふっ、あなたの顔に書いてあるわよ」

女「あ、あああ……失礼しますっ!!」ダッ

婦「……若いっていいわねぇ」ニヤニヤ
106 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:50:39.72 ID:X0Pqy0EDO
女「はぁ……はぁ……こ、こまで来れば」

猫<ニャ-

女「つ、付いて来ちゃったの!?」

猫<ウナン

女「……家にお昼ご飯でも食べに来る?」

猫<ニャー!

女(勝手に部屋に入れても大丈夫だよね……?)



男「お先っす!」

上「明日の道中、くれぐれも気を付けるんだぞ」

男「お土産に期待してて下さいよ!」

上「ああ、出来れば食べ物系を頼む」

男「了解です!」



男(久しぶりの遠出だなー)

男(あ、俺も新しい水着買おうか――)ガチャ

女「あ」

猫<ニャッ…

男「あれ?……まさかお前はあの時の」

女「そ、そうなのよー!男が助けた猫が偶然この部屋にやってきてね」

男「偶然って……ここ3階だぞ?」

女「……しまった!」

男「しまったって何だ?まさか猫の奴、粗相でも」

猫<フシャー!

バリッ!

男「痛っ!?」

女「そんなことしてないってさ」

男「こいつ……命の恩人に向かって何てことをっ!」

女「どうどうー。ささ、買い物行こうねー?」

男「く、くそう!」
107 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/12(火) 20:53:17.94 ID:X0Pqy0EDO



女「うーん……たくさんあって悩むわねー」

男「なあなあ!これはどうだ?」

女「どれー?――って、それスクール水着じゃない!」

男「大丈夫!女なら絶対似合うって!」

女「似合う似合わないの問題じゃないでしょうが……」

男「だったらせめて試着だけでも」

女「戻してきなさいっ!」

男「ちぇー」

女(ったく……誰があんな物を着るもんですか)

女(着るなら断然こっちの水着を――)

店「彼氏さんの為にご試着はいかがですか?」

女「え?ち、違っ」

店「遠慮なさらずに――ささ、こちらの試着室へ」

女「い、嫌ああぁ……」ズルズル



男「ならこの紐のは――あ、あれ?女ー?」

店「お探しの方はこちらですよ」

男「あ、どうも」

男(……ん?先週行ったパスタ屋の店員?)

男「あの」

店「違います」ニコッ

男「……そ、そうですか」



店「――ここです」

男「試着室?…………まさかっ!」

店「出て来て構いませんよ」

女「うぅ……」シャッ

男「お……おお」

女「どうせ似合ってないわよ……」

男「いやいや、物凄く可愛いじゃん!」

女「……わ、私にはもう少し地味なのが」

男「これいくらですかね?」

女「え、え?」

店「はいー!今なら半額セールでこのお値段でーす!」

男「買います」

店「ありがとうございまーす!」

女(……何も言い返せなかった)
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/07/12(火) 21:57:55.45 ID:ZLDRyvnMo
女可愛いよ女
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/13(水) 00:28:00.69 ID:Nep7kzfIO
でも消えちゃうんだろ泣いた
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/13(水) 06:40:04.94 ID:x6duqL6P0
うなんな猫を思い出した
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/07/14(木) 14:41:38.93 ID:ci2v+58AO
復活
112 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/14(木) 15:06:16.62 ID:X6kQht8DO
物語に関係があるかもしれないちょっとしたショートストーリーみたいのを挟んでみました。

暇つぶし程度に呼んでみて下さい。
113 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 15:08:25.96 ID:X6kQht8DO
男『女が実体から霊体になった時、持っている物はどうなるの?』

女「え?何この質問コーナー」

男「いいから答えろ」

女「……結論から言うと、一緒に透明になるわね」

男「ほう、それは便利だな」

女「透明というよりこの世から消す感じかしら」

男「ま、待てよ…………人間を触ったまま霊体になったらその人間はこの世から消えるのかっ!?」

女「生きているものは無理に決まってるじゃない」

男「そうなのか……てっきりそれが神隠しの原因かと思ったが」

女「でも死んでるもの――例えば私以外の幽霊を実体化することは出来ると思うわ」

男「そ、そんな恐ろしいことが出来るのか……?」

女「まあ出来たとしても、長くて1分くらいかな?」

男「絶対に俺の近くで試すなよ!」

女「わ、私だって嫌よ」
114 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 15:13:42.95 ID:X6kQht8DO
男『風邪はひくの?』

女「あ、まだあるんだ……」

男「さあ答えたまえ!」

女「幽霊が風邪をひくわけないじゃない」

男「ただし寝不足にはなります!」

女「なっ……!」

男「次っ!」



男『女が幽霊になる前、恋人もしくは付き合った人はいたの?』

女「は、はぁ!?何なのよこの質問……」

男「おじさんも気になりますなぁ!料理が上手いですし」ニヤニヤ

女「……ノーコメントで」

男「つまり、誰一人としていなかったということですな!」

女「だ、黙らっしゃい!!」



男『ズバリ!女のスリーサイズは?』

女「……そんなに死にたいの?」

男「目測でよければ私自らお答えしますが!」

女「死ねっ!!」ドカッ

男「ぐはっ…………上から81、5」

女「きゃあぁっ!?」バシッ!!

男「……む、無念……」
115 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 15:16:35.31 ID:X6kQht8DO
男『女を写真に撮るとどうなるの?』

女「……生きてたんだ」

男「ごめんなさいでした」

女「分かればよろしい」

男「では回答をお願いします」

女「回答も何も、実際にやってみればいいじゃない」

男「そうだな……携帯で撮ってみよう」

女(霊体時は心霊写真のようになるけども……)

男「笑って笑ってー、はいチーズ」カシャッ



男「……」

女「ど、どう?」

男「待受にします」

女「ちょっ、消しなさいよ!」

男「残念でした!SDカードへの保存は勿論、パソコンにも送信済みだ!」

女(い、いつの間に……)
116 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 15:18:57.09 ID:X6kQht8DO
男『女と上司、より怖がりなのは?』

上「呼ばれて飛び出てジャジャジャ…………っ」

女(……あ、やっぱり恥ずかしいんだ)

上「お、男と映画を見れると聞いてやって来たのだが」

男「はい、今日はこちらの映画を女と見ていただきます」



“リング0〜バースデイ〜”



女上「……え?」

男「先に悲鳴を上げたら負けなので、最後まで耐えてて下さい」

女上「ちょ、ちょっと……」



女「あ、あんたになんか負けないわよ!」

上「ふ、ふんっ!私はリング2を見たんだぞ?降参するなら今の内だ」

女「わ、私だってリングを最後まで」



『それで?そのビデオって何が映ってるの?』



女上「きゃああぁっ!」

男(……さすがに早過ぎだろ)
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/14(木) 15:53:17.25 ID:2MT6OMnFo
なんだこいつら可愛すぎる
118 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 17:07:13.95 ID:X6kQht8DO
男『最後!――付き合うなら女と上司、どっち?』

男「え?……これ誰宛ての質問?」

女上「……」モジモジ

男「あー、俺ですかそうですか」

男「――今から俺が逃げるから、先に捕まえた奴とのデートに“付き合って”やるよ」

女上「!!」

男「1分後に動いていいからなっ!」ダッ

女「……あんたには負けないわ」

上「……足の速さは私の方が上だ」



男「へっ!あの二人が降参するまで逃げ切ってやるさ」

男「さて、とりあえず公園に――」

婦「うふふ、男君見ー付けたっ♪」ガシッ

男「なっ、伏兵だと……?」

婦「来週の日曜日はどうかしら?」

男「だ、旦那さんいるんでしょ!?」

婦「旦那?だあれ?」

男(この人には逆らえない……!)ガクガク
119 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/14(木) 17:08:56.42 ID:X6kQht8DO
ここまでです。ありがとうございました。

本編は夜頃に更新再開します。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/07/14(木) 17:53:53.09 ID:CkNxrpET0
待て。婦がなぜ知っていた?
すなわち男家には盗聴機が仕掛けてあっ(
なんでもない
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 20:57:27.36 ID:VlsE4xbro
野暮なのはわかってるんだが
女が何かもの持って消えると生き物である菌類は消えないからそのまま落ちて除菌出来るのかな
ウィルスがどうなるか問題だけど
あと植物は…
122 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/14(木) 22:38:57.91 ID:X6kQht8DO
>>121
鋭いですね……さすがです

例えばカビの生えた物を持ったまま女が消えると、生き物であるカビは落下するということになります

ウィルスはWikipediaによると、
『生命の最小単位である細胞をもたないので、生物学上は非生物とされている』
とのことなので、一緒に消えることは可能のようです

植物は生物に分類されるので不可能です



質問ありがとうございました!それでは本編スタートです
123 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 22:51:30.95 ID:X6kQht8DO



男「おーい」ユサユサ

女「すぅ……すぅ……」

男「女さーん?」ユサユサ

女「ん……んぅ……」

男「はぁ……早く起きないとチューするぞー」

女「……っ」ピクッ

男「はいっ!さーん、にー、いーち――」

女「起きた!起きたからストーップ!」ガバッ

男「おっと残念」

女「何が残念よ!」

男「……それにしてもお前が俺より遅く起きるなんて珍しいな」

女「い、いろいろあって……」

男「もしかして今日が楽しみでなかなか寝付けなかったのか?」

女「うっ……」

男「遠足前日の小学生かよ」ニヤニヤ

女「し、仕方ないじゃないっ!早く明日にならないかなぁってずっと思ってたんだから……」

男「あのなあ、お楽しみの所悪いが念のため確認するけど――」

男「今日はあくまで仕事の為の出張であって、決して遊びに行くのでは」

女「何度も聞いたから分かってますよーだっ!」

男「じゃあさっさと出掛ける支度をせい!」

女「……はーい」
124 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 22:55:44.89 ID:X6kQht8DO
女「あんた車持ってたんだ……」

男「びっくりした?この車どう思う?かっこよくない?」ドヤッ

女(……うっざ)

男「そういえば――去年の夏はよくドライブに行ったなぁ」

女「へぇ……だ、誰と?」

男「一人ですけど何か?」

女「そ、そうなんだ……てっきり上司とか他の女の人を」

男「駄目だ。この車にはこの車の良さが分かる人しか乗せない」

女「私は?」

男「ちょうどいいな――俺の車の一番良い所はどこだと思う?」

女「え、えっと」

男「よーく見てごらん?」

女「…………全部?」

男「なっ!?お、お前……」

女(車なんてどれも同じだから分かるわけないじゃない)



男「正解だっ!!」ガシッ

女「え、えっ?嘘……」

男「そう、二匹の猫を飼っている人がその猫達に甲乙をつけられないように」

女(猫?)

男「我が愛車も素晴らしい所がありすぎて一番を決めることが出来ないんだ!」

女(……その例えはどうなのかしら)

男「よって女の答えは――正解だっ!!」

女「……どうでもいいから早く出発しましょうよ」

男「どうでもよくない!いいか、例えばこのハンドルもだな」

女「はいはい」バタンッ

男「俺の話を最後まで聞けよっ!」
125 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 23:01:11.31 ID:X6kQht8DO
女「この車早ーい♪」

男「……なあ」

女「なぁに?」

男「最近ずっと実体化してるけど大丈夫なのか?」

女「どういうこと?」

男「徐々に実体化出来る時間が減るとか……」

女「某眼鏡探偵じゃないんだからそんな心配はいらないわよ」

男「そうなのか」

女「それにこの身体って便利でねー、霊体になれば空を飛ぶことも出来るんだよ!」

男(……この身体?)

女「人間がこうなるの何て言うんだっけ」

男「んー、確か幽体離脱――――お前まさかっ!?」

女「残念でしたー。幽体離脱では実体化することは出来ないわよ」

男「そうか……そうだったらよかったのにな」

女「何で?」

男「どこかで寝ている女を叩き起こして、それで――」

女「そ、それで?」

男(一緒に…………ああ、結局こいつは幽霊だから無理なんだよな)

女「どうしたの男?急に黙り込んで」

男「何でもない――――それよりほら、海が見えてきたぞ」

女「あっ、本当だー!綺麗ー♪」

男「だがまずは仕事だ」

女「あー……早く泳ぎたいなぁ」
126 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 23:07:36.60 ID:X6kQht8DO



男「……ここが取引先か」

女「何するか分かんないけど頑張ってねー」

男「いつ終わるかは未定だが、正直その間は暇だろ?」

女「うん。だから先に泳」

男「駄目だ。女の水着姿を俺が見る前に他の奴へ見せるのは許さん」

女「……そ、そんな真顔で言わなくても」

男「幸いにもここら辺には土産屋とかがあるから――ほれ」

女「男の財布?い、いいの?」

男「俺は名刺と小銭があれば十分だからな」

女「……ありがとう」

男「だが無駄遣いをしないよう、騒ぎだけは起こさないようにと警告をしておく」

女「無駄遣いはともかく、騒ぎなんて起こすわけないじゃないっ!」

男「食堂幽霊事件」キッ

女「き、気を付けます」

男「……終わったらすぐ海に行くからな」

女「うんっ!」



女「さーて、とりあえず適当にぶらついて――」

幼女『……お母さーん……』グスッ

女「な、何も聞こえなーいから、お、男へのお土産を」

幼『……お母……さん……』グスッ

女(うぅ……他の幽霊との接触は出来るだけ避けてきたけど)

女(――男だったらあの女の子を見捨るわけないよね?)ダッ
127 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 23:13:47.64 ID:X6kQht8DO
女「ど、どうしたのかなー?」ビクビク

幼『お姉ちゃんは……私が見えるの?』グスッ

女「う、うん、お姉ちゃんも幽霊だからねー」

幼『でも……』

女『……これならどう?』スウッ

幼『わっ、すごーい!』

女(この子可愛いなー)



女『私は女っていう名前なの。あなたは?』

幼『あたしは幼女!』

女『そっかぁ、幼女ちゃんね――――どうして幼女ちゃんは泣いていたのかな?』

幼『あたしはね、この先の交差点でお車に轢かれちゃったの』

女(……まだこんなに幼いのに)

幼『それで気付いたらここに立ってて』

女『あれ?でもさっき、お母さんを呼んでいなかった?』

幼『うん……その前にお母さんと喧嘩しちゃって……』

幼『それでお家を飛び出したらお車が……』グスッ

女『よ、よしよし』ナデナデ



幼『…………お母さんは悪くないのに毎日ここに来てあたしに謝ってくれるの』グスッ

女『ん?幼女ちゃんはお母さんに謝って欲しくないの?』

幼『だってあの日、お母さんに大嫌いって……言っちゃって……』グスッ



女(つまり幼女ちゃんが幽霊になったのは――)

女(お母さんに大嫌いって言ったことを謝りたいという未練があるから……)

女(でも逆にお母さんが謝っちゃうから……うーん)
128 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 23:19:13.11 ID:X6kQht8DO
女『――幼女ちゃんはお母さんとお話したい?』

幼『でもあたし……幽霊だよ?』

女『大丈夫よ、お姉ちゃんに任せなさいっ!』

幼『わぁーい!』

女『少しの時間しか無理だけど、言うことは決まってる?』

幼『あたしは――――――かなぁ?』

女(この子しっかりしてるわね……誰かさんも見習って欲しいなぁ)

幼『お姉ちゃんお姉ちゃんっ!他には無ーい?』

女『え?そ、そうねー、私なら――』



男「ありがとうございます」

社長「うむ。これからよろしく頼むよ」

男「はい!」

男(…………いよっしゃああぁ!思ったより早く終わったぞ!!)

男(さてさて、女は何処に行ったかなーっと)



幼女母「……」スタスタ

女『あの人がお母さん?』

幼『うん、いつもこの時間になると来るの』

女『――あのね』

幼『?』

女『もしかしたら幼女ちゃんは消えちゃうかもしれないけど……それでもいいの?』

幼『いいよっ!あたしはちゃんとお母さんに謝れればそれでいいから!』

女『そっか……それじゃあ行くよ』スッ
129 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/14(木) 23:31:55.11 ID:X6kQht8DO



女「幼女ちゃんのお母さんですね?」

母「……あなたは?」

女「私のことはともかく、今はこの子と話をしてあげてください」

幼「――お母さんっ!」

母「……よ、幼女!?ど、どうしてあなたが……」

幼「あのね、えっとね」

女(幼女ちゃん、落ち着いて)

幼(……うんっ)



幼「お母さんのこと大嫌いって言ってごめんなさい!」

幼「あたし、本当はお母さんのこと大好きだから!」

母「っ……!」

幼「だ、だから……うぅ……」グスッ



母「――お母さんもね、幼女のこと大好きよ?」

母「これまでも……これからも」

幼「……お母さん、あたしを産んでくれてありがとう!」

幼「お母さんの子供で……幸せだったよ!……」スウッ

母「幼……女?」



幼『ばいばい、お母さん……』



幼『ありがとう……お姉ちゃん――――』



男(……)

男(……はぁ)

男(今更見なかった振りは出来ないな)

男(帰ったら何て声をかければいいんだよ……)

男(…………女もいずれああなっちまうのかな)
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 00:03:52.77 ID:otYZJDEIO
やめろ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/15(金) 08:51:07.09 ID:2F77rVZvo
乙した

悲しいぜ
132 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/15(金) 19:56:59.02 ID:KXRjWIWDO
女「ごめんっ!遅くなっちゃった」

男「……」

女「お、怒ってる?」

男「目元赤いぞ」

女「あ、えっと、これは……め、目にゴミが」ゴシゴシ

男「あの女の子――天国に行けるといいな」ポンポン

女「……見てたの?」

男「ふっ、俺は広目天も真っ青な千里眼の持ち主なんだぜ?」

女(誰?)



男「しかし驚いたよ」

女「幼女ちゃんのこと?」

男「いや、まさかあんなに幽霊とかお化けを怖がっていた女が成仏までさせてあげるなんて」

女「……あの時はね、男なら助けると思って声を掛けたの」

男「俺なら?」

女「――道端で可愛い幼女が泣いています。あなたはどうしますか?」

男「ぐふふっ……お嬢ちゃん、おじさんとイイコトしようよ」ハァハァ

女「泳いでる時に海底まで引きずり込まれたいのかなぁ?」

男「じ、冗談です!……その幼女をなだめつつ、泣いてる原因を探るよ」

女「ほらね?」

男「むむ…………は、はいはい。こんな暗い話はもう終わり!」

男「そしてお待ちかねの――――海水浴だー!!」ダッ

女「あ、こら!待ちなさいよーっ!!」
133 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/15(金) 20:04:19.50 ID:KXRjWIWDO



男「……」ソワソワ

女「お、お待たせ……」

男「うおっ!?」

女「何でそんなに驚くの?」

男「い、いや、別に――――」

女「ちょっ、あんまりじろじろ見ないでよ!?」

男「ふむ……実にけしからん!」

女「……や、やっぱり変かな?」

男「違うわ馬鹿!けしからんというのは男心をくすぐるという意味で」

女「男心?」



男「ええいっ、店でも言ったけどもう一度言うぞ!!」



男「――――可愛いよ」

女「な……なっ……!」カアッ

男「さ、さーてと!早く泳ぐぞ!」グイッ

女「わ、わわっ!」

男「あそこの浮きまで競争しようじゃないか」

女「私泳ぐの久しぶりだから自信無いよ……?」

男「途中で溺れそうになったら助けてやるから、はいスタート!」



男(とは言ったものの、俺も女と同じく久しぶりに泳ぐからなぁ……)

男(――でもここは男らしさを見せてやるっ!)ザバッ

女(むっ、男には負けたくない!)ザバッ

男(何をこしゃくな…………っ!?)
134 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/15(金) 20:09:34.51 ID:KXRjWIWDO



男「げほっ!……え、ちょっ……あ、足に、何か……」ドプンッ

女「ぷはぁっ!……お、男っ!?」

男(な、何だ?海藻か何か――)

老婆『生きた人間よ……』

男(嘘んっ!?)

女(ひっ、あれが海の怨霊!?)

老『こちら側へ来い……』

男(ちょっと、このお婆さんの引っ張る力強いんですけど!)

女(あ、あはは……1日に2回も幽霊に会うなんて今日はとんだ厄日ね……)



老『わしの苦しみを味わえ……!』グイッ

男(怖っ!!……ていうか、も、もう息が――)

女『そ、その手を離しなさい』

老『貴様には用は無い……』

男(……女……?)

女『私はその男に用があるの』

老『何故幽霊が人間に……しかもお前は生』

女『――ねえ、生身の体になるのはいつ以来かしら?』ピタッ

老『な……』



女「……っ」

老「一体……何……を……」ゴボッ

女(よし、今の内に男を陸へっ!)
135 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/15(金) 20:16:23.04 ID:KXRjWIWDO
女「はぁ……人を引きながら泳ぐのは……結構きついわね……」

男「……」

女「だ、大丈夫ですかー?」

男「……」

女「男さーん?」ピシッ

男「……ぅ」

女「こういう時は心臓マッサージと――」

女(…………人工呼吸)ドキドキ



女「――――28、29、30!」

女「えっと次は……」

男「……うぅ」

女(お、起きてないよね?)

女「えー、これはあくまで人工呼吸であるわけで、決してキスとかそういうんじゃないんだからねっ」

男「……」

女(こ、こんなこと言ってる場合じゃなくて早くしないとっ)アセアセ

女「…………いざ」スッ



チュッ



女(い、息を送り込む……)

女(えと……どうやればいいんだろう)

女(あれ?わ、私何やってるんだっけ……人工呼吸だよね?)

女(い、一回顔を上げてもう一度――)スッ

男「……な、何をしていらっしゃるのでしょうか」

女「えっ!?ななな何でっ!!?」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/15(金) 20:20:57.58 ID:KXRjWIWDO
男「一応確認をしたいのだが――――俺は生きてるんだよな?」

女「……え、ええ」

男「本当にありがとう!おかげで助かった!!」ガシッ

女「わ、私は別に……ただ無我夢中で」

男「いやー、やっぱり俺にはお前が居ないと駄目だな」

女(俺にはお前が居ないと駄目だ俺にはお前が居ないと駄目だ俺にはお前が居ないと……)シュー



男「ところであのお婆さんはどうなったんだ?」

女「さあ?」

男「お、おいおい……」

女「でもね、私はあいつを実体化させてあげたことしかしてないわよ」

男「無理矢理ってこと?」

女「うん。あと幽霊は呼吸しなくても存在出来るの」

男「ん?つまり?」

女「――水中でいきなり呼吸をせざるを得ない状況になった時、人間がどうなるか分かるでしょ?」

男「飲み込んだ水が肺に入って…………沈む」ゾゾッ

女「そういうこと!海の幽霊らしい最期かな?」

男「ということは幽霊も“死ぬ”のか?」

女「そこまでは分からないけど……」

男(肉体も魂も死んだら完全な無になったりして……おお怖い)
137 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/15(金) 20:27:42.55 ID:KXRjWIWDO
>>136

すみません…酉忘れました
138 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/15(金) 20:33:52.08 ID:KXRjWIWDO
男「――お忙しい所すみません」

上『どうした?問題でも発生したか?』

男「期待外れで申し訳ないですが……明日一日、有給休暇取れないですかね?」

上『帰りたくないのか?』

男「ち、違います。社長さんがですね、是非とも地元を観光して行ってはどうかねと言われまして」

男(ちなみに嘘ではないんだな、これが)



上『……そうか』

男「断るわけにはいかないので、お言葉に甘えることにしました」

上『さぞかし楽しいのだろうなぁ……』

男「……うっ」

上『私は一日中仕事なのに男君は朝から観光かぁ……』

男「そ、そんなこと言わずに――そうだ、今度仕事帰りに飲みに行きましょうよ!」

上『今度?映画も今度だったが?』

男「あ……で、では来週辺りに」

上『来週か……ふむ、悪くはないな』

男「……それではお疲れ様です」

上『ああ、おやすみ』



男「休み取れたー!!」

女「……大変ね」

男「さあ、宿を探しに行くぞ!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 22:42:36.76 ID:YUfY+Abc0
老婆怖すぎる
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/15(金) 22:48:28.50 ID:UJZ/ybtyo
女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは生女ちゃんは……
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 00:04:51.50 ID:VnWR28HIO
いいから女は男が死ぬ寸前まで実体化してろや
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 07:30:02.44 ID:ps8QPwVb0
ホテルと言えば……いや、何でもない
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/16(土) 10:17:41.83 ID:PLPsPCpzo
乙した
上司も女もかわええ
144 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/16(土) 20:58:44.11 ID:Y0g268FDO
男「あのー」

従業員「何かご用でしょうか?」

男女「あ」

従「違います」ニコッ

男女「え?」

従「私の名前は従業員ですよ?」ウフフッ

男女「そ、そうですか……」

男女(……絶対あの店員さんだ)



従「それではご用件をお伺いしますね」

男「あ、こちらに泊まりたいんですけど空いている部屋って無いですか?」

従「少々お待ち下さい」カチャカチャ

男女「……」ジー

従「違いますよ?」ニコッ

男女「っ!?」ビクッ



従「――お待たせ致しました。一部屋だけ空いています」

男「本当ですかっ!?」

従「ただしシングルルームになりますが、それでもよろしかったでしょうか?」

男「いいよな?」

女「えっ、で、でもシングルルームって……」

女(……ベッドが一つしかないような)

従「いかがなさいますか?」

男「じゃあそこでお願いします」

従「かしこまりました。ではこちらに住所氏名等をお書き下さい」

女(……う、嘘でしょ?)



従「――こちらがお客様のお部屋で、今からお渡しするのがお部屋の鍵になります」チャリ

男「ありがとう」

従「ごゆっくりどうぞ」ニヤニヤ

女「なっ……!?」

女(……気付いているなら言いなさいよ!)
145 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/16(土) 21:12:51.32 ID:Y0g268FDO
女「疲れたぁ」ドサッ

男「はじめてのチュウー」

女「……いきなりどうしたの?」

男「自分のファーストキスは無情にも幽霊に奪われてしまいました」

女「わ、私だって初めてだったのよ!?第一あれは人工呼吸をするために」

男「いやいや女さん、あなた息を吹き込んでないでしょうが」

女「うっ……」

男「いいですか?人工呼吸っていうのは、こう――」スッ

女「ま、待っ」



コンコン

従「お夕食をお持ち致しました」ガチャ

男女「わっ!?」バッ

従「あ……これは失礼しました」ニヤニヤ

男「えと、これは」

女「べ、別に何もして」

従「入り直しますね」バタンッ


コンコン

男女「……どうぞ」

従「お夕食をお持ち致しました」ニヤニヤ

男「あ、はい……」

従「そちらの机の上に置いていいですか?」ニヤニヤ

女「もう何処へなりと……」

従「――お邪魔して大変申し訳ございませんでした」ニヤニヤ

男「いえ……」

従「それではこの後も“お楽しみ”下さいね」バタンッ



男「あの人ニヤニヤしっぱなしだったな」

女「もう!男のせいで誤解されたじゃないっ!」

男「はっはっ、参ったなこりゃ」

女(……凄く腹立たしいわね)
146 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/16(土) 21:17:18.09 ID:Y0g268FDO



男「飯も食ったことだし――風呂に行くぞ!」

女「行くぞって言われても……行けば?」

男「はぁ!?ここには運良く混浴があるんだぞ!?」

女「余計行きたくないわよ」

男「ちぇっ、一人寂しく混浴風呂に入るとかもう混浴じゃないじゃん」

女「一人でもいいじゃない。もしかしたら誰か入ってるかもよ?」

男「……それならいっそのこと女風呂に堂々と」

女「そ、それは犯罪だからっ!」

男「じゃあ大人しく男風呂に行けって言うのか!?」

女「普通に考えたらそうでしょ!?」

男「ちっ、こうなったら従業員さんでも誘おうかな」

女「むっ」カチン



女「……やっぱり行く」

男「よっしゃ!ついて来い!」

女「え?何でそんなあっさり……」

男「いいから行くぞ!」グイッ

女「ま、まだ準備が出来てないからちょっと待っててよ」

男「はーやーくー」ダンダン

女「……はいはい」
147 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/16(土) 21:22:49.18 ID:Y0g268FDO
男「何だよ、脱衣所は別かよ……」

女「覗きに来たら容赦なく殴り付けるから」

男「……ち、ちなみに何を使って?」

女「手当たり次第硬い物で」

男「湯煙殺人事件!?」

女「大丈夫よ。温泉の中じゃないからただの殺人事件――いいえ、事故死になるわ」

男(……そうか、犯人は幽霊だからか)

女「分かったら変な真似はしないことね」フッ

男「そういうお前こそ壁をすり抜けて来るなよ?」

女「行かないわよっ!」



男「ふっふっふっ、甘いな女よ。先に入ってタオル一枚の姿を目に焼き付――」ガラッ

従「あら?」

男「きゃあぁっ!」

女「こ、こらっ!!あれほど変な真似はするなって――」ガラッ

従「あらあら」

女「きゃあぁっ!」
148 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/16(土) 21:27:31.17 ID:Y0g268FDO
従「一緒にお風呂に入るなんてまるで夫婦みたいねー」

男女「……違います」

従「私みたいなお邪魔虫は出た方がいいかしら?」

男「いえ、是非居てください……」

女「私からもお願いします……」

従「それじゃあ楽しくお話しましょう」

男女「……はい」



男「――従業員さんはどうしてここに?」

従「休憩時間を利用してお風呂へ入りに来ましたの」

女「ここは混浴ですけど……女風呂じゃなくていいんですか?」

従「あちらは多くのお客様が利用するでしょ?でもこっちは利用者が少ないから気軽に入れるんです」

男「でも万が一宿泊客が入って来たりしたら……」

従「あなた達がその『万が一の宿泊客』になりましたよ」フフッ

女「あ、あう……」

男(……墓穴った)
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/17(日) 13:23:38.58 ID:lIoqymEOo
乙した

従業員何者なのっ⁉
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/17(日) 14:44:21.75 ID:Fn/fIelL0
ニヤニヤwwww
151 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/18(月) 00:55:02.03 ID:hJeVSgoDO
睡魔に勝てそうにないのでキリのいい所まで投下します

3レス分しかなくてすみません…
152 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/18(月) 00:56:12.45 ID:hJeVSgoDO
従「あ、そうそう――――あなた達が今日泊まりに来たのは駆け落ちか何かですか?」

男(……この人さりげなく話題を変えたつもりだろうけど)

女(思い切り核心を突いてきたわね……)

従「どうなんですか?」ニヤニヤ

男「いやあの、俺は出張でこいつはついでに来た――ただそれだけですよ」

女「そ、そうなんですっ!」

従「本当かしら?そういうカップルさんは今まで何度も見てきましたよ?」

男「い、いや、そもそも俺達……」

女「付き合ってないですから……」

従「一緒にお風呂入っているのに?」

男「そ、そこはまあ、流れと言いますか……」

従「そうですかー」ニヤニヤ
153 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/18(月) 00:57:09.17 ID:hJeVSgoDO
男(……俺達のボロ負けだ)チラッ

女(……ええ、そのようね)コクン

従「?」

女「そ、そろそろ私達出ますね」

従「あ、最後に――――キスはもうしましたか?」

男女「えっ!?……あ、その」アセアセ

従「おやおや、これはこれは」ニヤニヤ

男女「……もう勘弁して下さい」

従「やっぱりレモンみたいな甘酸っぱい味なのかしら?」

男「そうなんですかっ!?」

女「うっ……えっと」

女(……海水の味しかしなかったなんてとてもじゃないけど言えないわね……)



従「それでは楽しいお時間をありがとうございました」

男「は、はは……」

男女(……“楽しい”、ね)

従「このお礼と言ってはなんですが、後でお部屋の方に差し入れをしますね」

男「え、でも……悪いですよ」

従「特別料金は発生しないので遠慮なさらないで下さい」

女「だそうよ?どうする男?」

男「うーむ…………じゃあお願いしてもいいですかね?」

従「はい。それでは後程お部屋へお運びしますね」

男女「ありがとうございます!」
154 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/18(月) 01:01:02.99 ID:hJeVSgoDO



コンコン

男「はい」

従「……」コホンッ

男「な、何もやってないですから入っても大丈夫ですよっ!」

従「――失礼致します」ガチャ

女「あ、それって……お酒?」

従「はい、この地域の地酒になりす。よろしかったら差し上げますよ」

男「……一升瓶ごとですか?」

従「翌日以降の荷物になると感じたなら今夜中に全て飲み干すことをお勧めします」

女(これを全部……)

従「それではごゆるりとおくつろぎ下さいませ」バタン

従(……ふふっ、お酒の勢いで是非一線を越えちゃって下さいね)ニヤニヤ



男「えーでは、俺と女のファーストキスを祝って」

女「い、祝わなくていいからっ!」

男「ちぇー……あの老婆の消滅を祈って!」

女「そんなの祈ってたらお酒がまずくなっちゃうでしょ!?」

男「じゃああれだ!――女がいつまでも居られるよう願って……」

女「えっ……?」

男「乾杯っ!!」カチャンッ

女「か、乾杯……」カチャンッ

女(……いつまでも、か)ハァ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 02:26:25.64 ID:fozxPreIO
だからやめろって泣きそう
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 10:51:25.18 ID:JXFRasYH0
一線わっふる
157 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 18:48:41.33 ID:mvPWovyDO
男「おおっ!これは旨いな――――ほれ女、酌をせい」

女「誰があんたなんかにするもんですか……手酌でもしてなさいよ」

男「そんなこと言わずにさぁ」スリスリ

女「わ、分かった!やるから離れてよっ!!」

男「へっへっへっ」

女「……あんたって相当酒癖悪いわね」ハァ

男「いや、俺は全く酔ってないが」キリッ

女「はあ?」

男「そもそもお前は、男共が女の人に酌をしてもらえることがどれほど貴重なことか分かっているのか!?」

女「し、知らないけど……」

男「知らないなら知れ!」

女「知れって言われてもどうやって?」

男「はっ、俺が注いでやるよ」トクトク

女「あ、ありがと……」

男「ってこれ逆じゃね!?」

女「……ねえ、本当に酔ってないの?」

男「ああ、勿論だ」キリッ
158 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 18:50:53.87 ID:mvPWovyDO



男「おーい、コップが空になったぞー」

女「……」

男「女ー?」

女「……あ?」ヒック

男「え?」

女「何よ偉そうにっ」グイッ

男「ちょっ、顔近いですよ女さん?」

女「私にも注ぎなさいよっ!」

男「あ、はい……」

女「――ったく、男は……」ブツブツ

男「すみません」

女「……私の気持ちも知らないで……」ゴクゴク

男「女の気持ち?」

女「そのくらい察しなさいよ!!」ダンッ!

男「で、ですよねー」

女「……ん」ゴクゴク

男(いくらなんでもこの酒癖は悪過ぎだろ……)



女「だいだいさぁ」ヒック

男「……何でしょう」

女「上司のどこが良いわけ?」

男「は、はい?」

女「だってほら――」グイッ

男「あ」

女「胸は私の方が大きいじゃんっ!」ムニッ

男「うえっ!?お、おおお、おおおまっ、何やってんのっ!?」

女「それとも上司みたいな貧乳が好きなの?」

男「し、知るか!!」バッ

女「それともまさか主婦さんみたいな巨乳好きっ!?」ガーン

男「――あのさ、とりあえず黙って落ち着け」

女「うるさいこの乳たらし!!」

男「乳……たらし?」ピクッ

男(いや、ここは我慢だ…………しかしまあ)

男(――感触はマシュマロみたいに柔らかい――男、心の一句)
159 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 18:54:58.13 ID:mvPWovyDO
女「そういえば乳たらしに質」

男「その名前やめろ」

女「えー……じゃあ男に質問があるんだけど」

男「質問?」

女「ぶっちゃけさ――私のことどう思ってるの?」ヒック

男「お前のしゃっくりと酒臭さのせいで雰囲気台無しだぞおい」

女「いいから答えなさいよぉ」ゴクッ

男(……まだ飲むのか)



男「女が俺のことをどう思ってるか教えてくれたら教えてやるよ」

女「何で私からなのよ!」

男「お前は自分の名前を言う前に人の名前を尋ねているのか?」

女「そ、それは……」

男「それで女はどうなんだ?」

女「……私はね――――」



女「好きだよ」

男(!?…………そうか。好き、なのか)

女「でもこの恋は実らないの」

男「女が幽霊だから?」

女「そうね……所詮人間は人間と幸せになるのが一番なのよ」

男「――いや、幸せかどうかは当人達が決めることだけどな」

女「……男?」
160 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 18:58:20.55 ID:mvPWovyDO
男「――俺も好きだって言ったら?」

女「顔面を引っ叩いて目を覚まさせてあげるわ」

男「まずはお前が酔いから醒めろ」

女「それに……忘れたの?私は幽霊なんだよ?」

男「じゃああのお婆さんが言っていた『お前は生……』ってどういう意味だよ」

女「……き、聞こえてたんだ」

男「何せ幽霊の声は直接頭に響くからな」

女「あれは……あれよ」

男「どれだ」

女「直前まで実体化してたから『お前は生きている人間ではないのか』……とか?」

男「疑問形なのはこれ如何に」

女「こ、細かいことはいいのっ!……おかわり!」ダンッ

男「もう空だけど」

女「……あれ?」



女「だいたい何で私なの?私よりいい人なんてたくさん居るじゃん」

男「……数分前に何て言ってたか思い出してみろ」

女「好きだよ」

男「ち、違うわ馬鹿っ!!」

女「乳たらし」

男「……冷水を顔にかけてやろうか?」

女「あー、はいはい。あれね、あれ」

男(酔っ払いの女と機嫌が悪い上司ほど厄介なものは無いな……)
161 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 19:03:30.33 ID:mvPWovyDO
男「ん?もしかして人間が幽霊と付き合うってことになったら人類初の快挙かもな」

女「……だから無理だってば」

男「無理じゃない。やれば出来る」

女「それに私には……時間が無いの」

男「時間?何の?」

女「あ……お、男には関係ないですー」

男「は?何だよそれ」

女「――そ、それより早く寝よ?」

男「一つしかベッドがないのに?」

女「何で?一緒に寝ればいいじゃない」

男「お前な……心の準備とかあるだろうが」

女「勝手に準備してなさいよ。私は先に寝るから」

男「お、おやすみ」

女「……おや……すみ」



モゾモゾ



男(こちら男、これよりミッションを開始する)

男(どれ、最後にもう一揉みだけ――――)スカッ

男(おや?)スカッ

男(…………くそっ、やられた!!)

男(そうだよな……実体化するのにカロリー消費するんだから、当然寝る時は霊体にならないとな)

男(あーあ、何を期待したんだか……もう寝よう)
162 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 19:10:29.18 ID:mvPWovyDO



女「う……頭痛い……」

女(……あ、ここは――)

男「おっはー」

女「男っ!?な、何で私と寝て……」

男「何でって、女が一緒に寝ればいいって言ったじゃん」

女「私が?い、言うわけないでしょ!?」

男「いやいや……昨日のこと覚えて無いわけ?」

女「お酒飲んで――――寝た?」

男「違う」

女「……わ、私は何をしたの?」

男「俺に胸を揉ませてた」

女「こ、この乳たらしっ!!」バシンッ!

男「……本当に……覚えてないのか……?」

女「いいえ、今のは頭に思い浮かんだだけよ」

男「そ、そうか……」ヒリヒリ



女「他は?」

男「俺に告白をしたな」

女「嘘っ!?」

男「好きだよって」ニヤニヤ

女(と、とうとう言っちゃったんだ……)

男「酔ってない時でも俺のこと好きなの?」

女「……そうよ。男が好きで何が悪いの?」

男「わ、悪くはないけど」

女「それとも幽霊が人間を好きになっちゃいけないっていうの!?」

男(……昨日言ったことと真逆の意見じゃないか)

女「それに私だってまだ……死にたくないのよ……」

男「いや、死んでんじゃん」

女「あ」ギクッ

男「……何か怪しいな」

女「ひゅ、ひゅっひゅー♪」
163 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 19:14:11.55 ID:mvPWovyDO
男「あ、あと時間が無いみたいなこと言ってたな」

女(うっ……そんなことまで喋っちゃったのか)

男「つまりどういうこと?」

女「えーと……実は五週間後の月曜日は私の誕生日なんだよっ!」

男「五週間って、時間が無いことないじゃないか」

女「ほ、ほら、時間が経つのって結構早いじゃない?」

男「そうか?」

女「だって私が現れてからもうすぐで二週間が経つんだよ?」

男「あー、確かに」

女「まあ覚えなくてもいいけど、一応言っておこうと思って……えへへ」

男「――そういうことはもっと早く言えよ!」

女「え?」

男「上司とか同僚とか呼んで盛大に祝わないとな!」

女「う、うん」

男「楽しみだなー」

女(…………ごめんなさい)
164 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/19(火) 19:21:12.88 ID:mvPWovyDO
女「そういえば男は私の告白を聞いてどういう返事をしたの?」

男「……聞きたいか?」

女「当たり前じゃない」

男「勿論好き・嫌い・保留のどれかだが、どうしても聞きたいのか?」

女「な、何でそんなに念を押すの?……いいから教えなさいよ」

男「俺はな、すき――」

女(す、好き!?)ドキッ

男「焼きが食べたいなぁ」



女「…………死にさらせ」ボソッ

男「何?」

女「死ねって言ったのっ!」ブンッ

男「まさかの一升瓶っ!?」サッ

女「私の気持ちを思い知りなさいよっ!!」

男(これはやばいぞ――殴られる前に両手を押さえないと俺が死んじまう!)

女「男なんて……男なんてっ!」グスッ

男「……俺も好きだっ!!」

女「――えっ」

男「はい女確保ー!」ガシッ
女「は、離し」



ドサッ



男「おっと」

女「そ、そんな、朝早くからは……」カアッ

男「は?」



コンコン

従「朝食をお持ちしま――」ガチャ

男女「……あ」

従(えーと、男さんが泣きながら嫌がっている女さんの両手を握りながら押し倒してキスを迫っている……?)

従「――続きをどうぞ」バタン

男女「またっ!?」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 19:35:23.87 ID:bsnFuDy40
タイミング良すぎwwwwww
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/19(火) 22:28:04.41 ID:qfWpu6Izo
乙した
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 01:15:00.70 ID:hvPPtYyHo
だから女
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 23:53:18.68 ID:BrVucn2M0
いいね
169 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 00:11:12.99 ID:uDCf+uMDO
従「朝からお盛んですね」ニヤニヤ

男「あれは誤解なんです!」

女「な、何が誤解よ……私を押し倒したくせに」モジモジ

男「お前が一升瓶を振り回すからだろっ!?」

従「力任せは感心しないですよ?」

男「だから違うんですって!」

従(相変わらず面白いですねー)フフッ



女「今日はまず何処から行くの?」

男「……好きなように決めてくれ」

女「どうしたの?元気無いわね」

男「わざとか?お前はわざと言っているのか?ん?」

女「ち、ちゃんと従業員さんと一緒に謝ったじゃない」

男「はあ……それで女の行きたい所は?」

女「昨日行けなかったお土産屋さん巡りと海!」

男「海は止めにしないか」

女「なぁに?そんなに海が怖いのかしら?」ニヤニヤ

男「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

女「――大丈夫よ。私が守ってあげるんだからっ!」

男(女に守られる男とかとんでもなく情けないな……)

女「ほら、あなたを救った私を敬いなさいよ」

男「ありがとな――――でもあんまり無理するなよ」ナデナデ

女「あ、あう……はい」
170 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 00:13:34.89 ID:uDCf+uMDO



女「このストラップ可愛いー!」

男「買ってやってもいいが何処に付けるんだ?」

女「あ……どうしよう」

男「鞄は持って無かったっけ?」

女「うん、特に必要無いから……」



男(……今更というか当たり前のことだが)

男(女は必要最低限の物しか持ってないんだよな)

男(家事をやるなら食材なんかを買う時に財布は必要だろうし)

男(連絡手段に携帯も欠かせないし……)

男(でも今まで働いて貯めたお金は今後の生活資金でもあるわけで)

男(まあ、今後っていうのはマイホームを買ったり、いつか俺と誰かが結婚して――――)



女「うーんと……えーと」

男「よし!明日か明後日、お前の携帯と財布を買うぞ」

女「……と、突然どうしたの?」

男「欲しくないのか?」

女「ちゃんとした理由を聞かないと欲しいとは言えないよ……」

女(……所詮私は幽霊のくせにいつまでも居候している迷惑な存在なんだから)
171 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 00:17:39.45 ID:uDCf+uMDO
男「…………ずっと傍に居るって言っただろ」ボソッ

女「ん?聞こえないよ?」

男「ほ、ほら!携帯があればいつでも連絡が取れるようになって」

女「ふんふん」

男「財布を持ってれば一人でも買い物が出来るようになるじゃん?」

女「でも……また出費がかさんじゃうけどいいの?それに名義とか……」

男「そんな心配すんなって!名義だって俺の使えばいいんだしさ」

女「そっか――――ありがとう男!だーい……」

男「だーい?」

女「……ダ、ダイビングがしたいなー」

男「はあ?こんな所じゃ出来ないぞ?」

女「だよねー。は、はは……」

男「?」

女(……私は何を口走ろうとしたのよ)



女「あ、そうだ――――花が欲しいな」

男「花?そんなの今買っても枯れ」

女「もう。幼女ちゃんのこと忘れたの?」

男「……ああ、昨日のあの子か」

女「供えてあげれば喜んでくれると思って……駄目かな?」

男「駄目なもんか。むしろ俺は女の行動に終始感動しっ放しだ!」

女「あ、そ、そう」

男「さあ、選べ選べ!」

女「うんっ!」
172 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 00:21:04.03 ID:uDCf+uMDO
女「見るものは見たし、買うものは買ったよね?」

男「まあ大体は」

女「それでは――いざ、海へ行かんっ!」

男「えぇ……やっぱり帰」

女「りません。観念なさい!」

男「ちぇー……それにしてもやけに元気いいな」

女「わ、悪い!?せっかく昨日は思う存分泳ぎたかったのに……」

男「あれは俺が悪かったよ。だから今日は大人しく砂浜に居るからさ」

女「ダーメ!私と一緒に泳ぎなさいよ」

男「ちっ――――お姉ちゃん僕泳ぎたくなーい」

女「うっ……子供の真似して駄々こねても駄目なものは駄目なのっ!」

男「くそっ――――時に女さんや、ポロリの予定は?」ニヤニヤ

女「あるわけないでしょうがこの変態っ!!」バチンッ!

男「……グレ……イト」ドサッ



女「やっぱり海はいいわねー」チャプチャプ

男「あ、ああ」ビクビク

女「さっきから下ばっか気にしてるけど何か居るの?」

男「いやだってお前、いきなり引きずり込まれたんだぞ?」

女「あー、トラウマっていうやつね」

男「な、何も居ないよな?泳いでもいいよな?」

女「男のくせにどれだけ臆病なのよ」フッ

男「……へえ?」カチン

女「あ、悔しい?ねえ、悔しい?」ニヤニヤ

男「泣くなよ?」ザブンッ

女「え?」
173 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 00:25:00.61 ID:uDCf+uMDO



男「ナマコ獲ったどーーー!!」ザバァッ

女「ひっ!?な、何て気持ち悪いもの触ってるのよ!」

男「ほーら、こんなに可愛いじゃないか」ウニウニ

女「そ、それ以上近付かないでよ……?」

男「ふっふっふっ――女ちゃーん!」

女「い、いやあぁ!!?」


従(買い出しは終わったし、あとは…………あら?)

女「来ーるーなー!!」

男「よいではないか、よいではないか!」

従「おやおや――お帰りになられたと思っていたのですが、こんな所で遊んでいたのですね」

女「じ、従業員さん!助けて下さい!!」

男「なっ、卑怯だぞ!」

従「どうしましたか?」

女「お、男がナマコを持って、追い掛けてくるんですっ!」

従(これはもしかして――ナマコを使っての擬似触手プレイ……?)

従「……そういうのは時と場合を選ばないといけませんよ?」コホンッ

男「い、いや……」

女「あ、あの……」

男女「……違います」ハァ
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/07/22(金) 00:30:21.40 ID:Y/myeBfro
従業員さんおもろいわwww
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 00:38:40.38 ID:EYNDGJM6o
今日は終わりか乙
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 02:05:06.17 ID:YOtebA+vo
上司がうざいから女と幸せになってほしい
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 09:21:28.83 ID:h4ZJBgSDO
なんでだ!どっちもかわいいだろ!
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/22(金) 19:35:53.03 ID:Yzf8GQhg0
面白いな
179 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 23:19:24.07 ID:uDCf+uMDO
女「は、早く捨てなさいよ!」

男「勿体無いじゃん」ウニウニ

女「いいから海に――」

従「実は酢の物として食べることが出来ますよ?」

女「うっわ……最初に食べようとした人の気が知れないわね」

従「それに内臓を塩辛にしたものは、日本三大珍味の一つになっているんですよ」

男「なら食おうぜ!」

女「捨てなさいっ!!」

男「へいへい……じゃあな!」ブンッ



従「ふふっ、本当に仲良しなんですね。羨ましいです」

男女「いやいや」

従「何で結婚なさらないのですか?」

女「け、結婚っ!!?」

男「……結婚、ね」

従(男さんは満更でもないという顔をしていますねー)ニヤニヤ

女「……結婚……結婚」

男「えっと、お時間は大丈夫なんですか?」

従「あ、そうですね。そろそろ戻らないといけないです

男「お仕事ご苦労様です!」

従「ありがとうございます」

男「おい、従業員さんのお帰りだ」ユサユサ

女「あ……えと、いろいろとありがとうございました!」

従「またどこかで会えるといいですね」ニコッ

男女「は、はい!」

女(明日にでも会えそうな気がするけど……)

男(その時は店員とかになっていそうだな……)
180 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 23:21:41.84 ID:uDCf+uMDO
男「帰宅!」

女「あーあ……もっと滞在したかったなぁ」

男「何?」

女「ひ、非常に楽しかったです!」

男「そうかそうか――じゃあ俺は明日に備えて早めに寝るから」

女「えー」

男「お前な……長時間車を運転すると疲れるんだよ!」

女「そ、そうだよね……でもまた行きたいなぁ」

男「……いつか違う所に連れて行ってやるよ」

女「本当にっ!?やったー!」

男(子供みたいだな)フッ



男「寝る。おやすみ」

女「ど、どこ行くの?」

男「いつも通りの所だけど?」

女「せ、せっかく昨日は二人で寝たんだから、今日も……」

男「ん?もしかして誘ってるわけ?」

女「か、勘違いしないでよ!?一緒に寝たいとかそういうんじゃなくて――」

男(……あれ?前にもこんなやり取りがあったような)

女「私はただ、いつまでも男の布団を私が占有していることが申し訳なく思って……」

男「じゃあ一緒に寝ようぜ!」ニヤニヤ

女「その代わり変なことしたら……分かるわよね?」

男「どうせ霊体になるんだから何も出来ないけどな」

女「――――あ」ポンッ

男「……気付いてなかったのか」

女「……」
181 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 23:25:41.18 ID:uDCf+uMDO



女「朝だよー」ユサユサ

男「…………今何時?」

女「5時!」

男「おま……早過ぎ……」

女「し、しょうがないじゃない!目が覚めちゃったんだから……」

男「……もう一眠りしようぜ」ダキッ

女「ちょ、えっ?」

男「冷たいなぁ……夏にはずっと抱き着いていたい……」スリスリ

女「や、やめっ――」

男「……」

女「男?」

男「……」スースー

女(あれま……寝ちゃった)

女(まだこのままでもいいよね……?)ギュッ



男「…………寒っ!?」

女「……」スースー

男「あれ?な、何で女が……」

女「ん……おはよう……」

男「あ、ああ、おはよう」

女「今何時?」

男「今は――お、10時だな」

女「10時っ!?」

男「何だ、いい時間じゃないか」

女(……あれから5時間も寝ちゃったんだ)

男「いやー、いい朝だ!」

女(確か私は人肌を感じないはずなんだけど――)

女(“温かくて”心地良かったなぁ)
182 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/22(金) 23:28:25.76 ID:uDCf+uMDO
男「携帯か財布、どっちを先に買う?」

女「私は買って貰う立場なんだから男の好きなようにしていいわよ」

男「……好きなように?」ワキワキ

女「――男が殴られるっていう選択肢は無いのかしら?」

男「な、無いようです……」

女「なーんだ、残念ね」

男「携帯が先でよろしいでしょうか?」

女「いいわよ」

男(冗談だったのに……)



女「どの機種にしようかなぁ」

男「これなんかどうだ?」

女「わー、ボタンが大きくて押しやすい!これならマニュアル要らずね!」

女「――って、らくらく○ンじゃないっ!!」

男「いいノリツッコミだな」ニヤニヤ

女「……ここで男が蹴られるっていう選択肢は?」

男「ご、ございません」

女「全く……」

男「――それにしても種類豊富だな」

女「お、男はどれを使ってるの?」

男「俺のは……どうだろう?今もあるかなー」

?(…………ふふっ)ニヤリ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/23(土) 03:37:38.94 ID:wbGGteZSo
乙した

上司もかわいくて好きだ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 17:50:43.99 ID:qxoNEiPX0
俺は上司派だな
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/23(土) 18:33:48.53 ID:Mvg5IImAO
なら従さんは頂いて行きますね
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 12:29:17.12 ID:yYjaw+FIO

あえて言うなら男が一番うざい
187 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/07/25(月) 22:50:56.41 ID:HJC1q7bDO
更新が遅れてしまいすみませんでした……

再開します!
188 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 22:51:43.71 ID:HJC1q7bDO
受付「何をお探しですか?」スッ

男女(――やっぱり来た!!)

男女「あのっ!」

受「はい?」

男「もしかして店員さんですか?」

女「それとも従業員さんですか?」

受「受付さんです」ニコッ

男女「……え?」

受「どうされましたか?」

男「受付……さん?」

女「だ、だって……」



受「――私が海のある町の旅館に?」

男「またまたそうやってー」

女「ほら、駅前のパスタ屋にも居たじゃないですか」

受「ふふっ――他人の空似じゃないでしょうか」ニヤリ

女(ふ、不敵な笑み……)

男(……絶対何かを隠しているな)
189 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 22:59:09.91 ID:HJC1q7bDO



受「――こちらの機種でよろしかったでしょうか?」

女「はい!」

男「本当に俺と同じのでいいのか?なんなら最新機種を」

女「これでいいのっ!」

男「そ、そうか……じゃあこれをお願いします」

受「かしこまりました」



男「……何で俺のと一緒にしたんだ?」

女「つ、使いやすそうだったからよ」

男「ふーん……実は嬉しかったりする?」

女「だ、誰がっ!?」

受「――そこでご提案がございますが」スッ

男女「わっ!?」

受「ファミリー割引にお申し込みされてはいかがですか?」

男「ファミリー割引?」

受「家族間の通話・通信料が割引になるサービスです」

男「……家族に見えますか?」

受「はい」ニコッ

男(またこのパターンだよ……)

男(ここでいつもの女による必死の弁解が――)

女「家族……つまり、夫婦……」ブツブツ

男「え?」

受「それではご利用になるということでよろしいですね」ニヤリ

女「はいっ!」

男「え?……え?」
190 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 23:00:10.37 ID:HJC1q7bDO
受「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」ニヤリ

男「…………あの『ニヤリ』ってやつ止めてくれないかなー」

女「受付さんは店員さんや従業員さんとは別人なのかもしれないわね」

男「いや、この際誰でもいいけどさ……」

女「い、いいんだ」

男「――さーて、そろそろ家」

女「次は財布ね!」

男「……ちっ」

女「『ちっ』?」

男「い、いや、よく覚えていたなーと思いまして」

女「……ヴ○トンやエル○スみたいな財布を買ってもらおうかしら?」ウフフッ

男「そんな殺生なっ!?」

女「高いのだと軽自動車一台買えるくらいだもんね」ニヤニヤ

男「か、勘弁して下さい……」

女「嫌だったら大人しくついて来なさいよ?」

男「……イエッサー」
191 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 23:02:19.00 ID:HJC1q7bDO



女「うーん……迷うなぁ」

男「どれでもいいじゃん」

女「駄目よ!せっかくの男が買ってくれるんだから……」

男「だったら俺が決めて――」チラッ

男(一十百千万十…………あ、あれ?何桁か多くないか?)

女「それ買うの?」

男「買いません買えません買わせません」

女(……何の三原則なのかしら)

男「も、もっとこう――手軽な値段のがいいよな!」

女「そこまで言うのなら男が選びなさいよ」

男「俺でいいなら……百均に売ってるバリバリとか」

女「そ、それは断固拒否するわ」



男「じゃあこの――――シルバーかピンクの財布は?」

女「あっ!それ可愛いー!」

男「だろ?」

女「本当に買ってくれるんだよね?」

男「凄い今更な話だな」

女「だってこれまでに服や靴、更には携帯も買ってもらってるんだし……」

男「嬉しくないのか?」

女「う、嬉しいに決まってるじゃないっ!」

男「ならそれでいいじゃないか」

女「……ありがとう」

男(あれ?……今の俺、超絶にかっこよくね?)ドヤッ

女(おかしいわね……何故か無性に苛ついてきたわ)イラッ
192 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 23:05:26.53 ID:HJC1q7bDO
女「よーし!今日は豪華な夕飯にしようかなっ!」

男「マジですか女さん!」

女「勿論よ!――ん」ズイッ

男「……その手は?」

女「ほら、早く!」

男「い、いえーい!」パシッ

女「……何やってんの?」

男「指示通りロータッチを」

女「は?」

男「違うの?」

女「あのねぇ……財布があっても中身が空だと意味が無いでしょ?」

男「……つまり?」

女「お小遣が欲しいなぁ」

男(こ、こいつ……案外ちゃっかりしてやがる……!)

女「ねぇ、いいでしょ?」

男「ちなみにいくら欲しいんだ?」

女「えーと――――とりあえず今夜の食材費くらいは」

男「……ほらよ」スッ

女「あ、ありが……そういえば最近お礼しか言ってないわね」

男「いいことじゃないか」

女「いいことなのかな?」

男「でもまあ、偶には満面の笑みで言われてみたいけどな」

女「満面…………男、ありがとうっ!」ニコッ

男「っ!?」ドキッ

女「どうだった?」

男「い、いいんじゃないかな」

女「はぁ?」

男(……結構可愛いじゃないか)ドキドキ
193 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/25(月) 23:12:58.75 ID:HJC1q7bDO
女「――どうだった?」

男「最高に旨かった!」

女「『最高』かぁ……えへへ」

男「こんなに料理が上手なら店開けそうだよな」

女「経営するお金あるの?」

男「あるわけないだろ」

女「まあ、分かってたんだけどね」

男「馬鹿にしてるのか?お?」

女「か、顔近いわよ馬鹿!?」



男「……満腹になったから眠い」

女「あの……これ」

男「それは――旅先で買ったストラップ?」

女「よかったら携帯に付けない?」

男「ペアにしたいのか?」ニヤニヤ

女「つ、付けたくないなら付けなければいいじゃないっ!」

男「素直じゃないなー」

女「ふんっ、どうせ私は……」

男「――これでいいか?」チャラ

女「あ……うん!」

男「阿吽!」

女「し、死ねっ!」バシッ

男「……こめかみは……ダメ。ゼッタイ……」

女(全く……何でこんな奴を好きになっちゃったのかしら)ハァ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/07/25(月) 23:54:44.21 ID:LlpXAIYI0
うぇ、うぇーい
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 18:17:03.72 ID:5bQNnT1t0
ほのぼのしてるな
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2011/07/26(火) 19:29:04.12 ID:JjFl/b7To
七変化する謎のひとは恋のキューピットだろうか
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 22:43:37.91 ID:wPiSAU1SO
なんでこんなやつ好きになったんだって思うあの感じ

長らく感じてないな……
198 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/28(木) 22:43:56.19 ID:qx+xOp6DO
男「おはようございますー」

同「おっす」

男「……あれ?あの人は?」

同「上司さんは風邪で休みだとさ」

男「へえ……珍しいこともあるもんだな」

同「だよなー」

男(せっかくお土産を持ってきたんだから帰りに見舞いにでも――)

同「仕事終わったら見舞いに行かね?」

男「断る」

同「即答!?」

男「野郎と一緒に行っても迷惑なだけだろ?」

同「ま、まあ」

男「行くなら一人で行けよ」

同「……一人は無理だから諦めるぜ」

男「小心者だな……大丈夫、お前には食堂の」

同「うるせー!!」



ブーブー

男(ん?――あ、上司からメールだ)

上『気持ち悪い』

男(……俺がか?俺が気持ち悪いのか!?)ガーン

ブーブー

上『間違えた。頭が痛くて気持ち悪い』

男(仕事中の俺にどうしろと……)

男『いたいのいたいのとんでけー!キラっ☆』

ブーブー

上『気持ち悪い』

男(…………さ、さーて、仕事仕事っと)
199 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/28(木) 22:51:54.41 ID:qx+xOp6DO

ピンポーン

男「男でーす。お見舞いに来ましたよー」

ピンポーン

男「…………おかしいな」

ピンポーンピンポーン

男「…………上司ー?」

ピンッピピピンピン、ピンポーン

ガチャ

上「……うるさい……」ドサッ

男「え、ちょっ――――救急車ー!!」

上「……だからうるさいと」

男「とりあえずベッドまで運びますよ」

上「ま、待て……私一人でも――」

男「よっこいしょういち!」ズイッ

上「ひゃっ!?」

男「お邪魔しまーす」

上「こ、こら!早く下ろさんか!!」

男「あんまり暴れると落ちちゃいますよー」

上「うぅ……」

上(それにしても…………これがお姫様だっこというやつか)ドキドキ



男「39度1分――高熱です、病院へ行きましょう」

上「嫌だ。病院は嫌いなんだ」

男「あなた何歳ですか……」

上「どうせ注射をするのだろう?」

男「そりゃ治るもんも治りませんからね」

上「だから行きたくない」

男「……やれやれ」
200 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/28(木) 22:54:55.99 ID:qx+xOp6DO
男「――どうしても病院には行かないんですね?」

上「ああ、私は私自身の治癒力に頼る」

男「でしたら看病する人を付けます」

上「男がしてくれるのか!?」

男「さて、どうでしょう?」ニヤリ

上(まさか……まさかな)



男「もしもし、俺だよ俺」

女『俺?……新キャラクター?』

男「そういうのはいいから」

女『どうしたの?』

男「ちょっとさ、看病してほしい人が居るんだけど」

女『上司?』

男「あ、ああ、よく分かったな」

女『……ふーん』

男「嫌だったら無理に来なくていいんだ」

女『……』

男「ただ、女しか頼れる人がいないというか……」

女『――いいわよ』

男「え!?」

女『な、何よ』

男「いや、いつもなら上司のことを邪険に」

女『……子供じゃないんだし、いつまでもいがみ合うわけにもいかないでしょ?』

女(それに男には私の気持ちを伝えたんだしね)

男「――大人になったな」

女『元から大人ですよーだ!』
201 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/28(木) 22:57:37.71 ID:qx+xOp6DO
男「――どうしても病院には行かないんですね?」

上「ああ、私は私自身の治癒力に頼る」

男「でしたら看病する人を付けます」

上「男がしてくれるのか!?」

男「さて、どうでしょう?」ニヤリ

上(まさか……まさかな)



男「もしもし、俺だよ俺」

女『俺?……新キャラクター?』

男「そういうのはいいから」

女『どうしたの?』

男「ちょっとさ、看病してほしい人が居るんだけど」

女『上司?』

男「あ、ああ、よく分かったな」

女『……ふーん』

男「嫌だったら無理に来なくていいんだ」

女『……』

男「ただ、女しか頼れる人がいないというか……」

女『――いいわよ』

男「え!?」

女『な、何よ』

男「いや、いつもなら上司のことを邪険に」

女『……子供じゃないんだし、いつまでもいがみ合うわけにもいかないでしょ?』

女(それに男には私の気持ちを伝えたんだしね)

男「――大人になったな」

女『元から大人ですよーだ!』
202 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/07/28(木) 23:01:10.88 ID:qx+xOp6DO
上「誰と電話していたのだ?」

男「誰でもいいじゃないですか」ニヤニヤ

上「……その笑みは何なんだ」

男「そんなことより昼飯は食べましたか?」

上「いや、食欲が無いから食べてないな」

男「駄目じゃないですか、ちゃんと栄養を取らないと」

上「き、君は私の母親か!?」

男「何を言い出すのかと思ったら……」

上「何をって、つまりだな」

男「俺が上司のことを心配するのは当たり前のことじゃないですか」

上「お、男……!?」ドキッ

男「上司がいないと――」

上「……」ドキドキ



男「仕事が捗どりませんからね」

上(……仕事か)ガクッ

男「それにちょっぴり淋しかったですし」

上「っ!?……私が居なくて淋しかったのか?」

男「ま、まあそういうわけなんで早く治して下さいね」

上「ふっ――全く仕方ないな男君は!」

男「仕方ないって何で上から目線なんですか……」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/29(金) 00:43:29.85 ID:5ScUGViwo
風邪で弱った上司ちゃんちゅっちゆ
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/29(金) 04:07:59.91 ID:YH/m46yPo
追いついた。

頑張れー
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/29(金) 22:51:23.76 ID:d1mGBA5lo
上司かわいい
206 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/08/02(火) 00:17:10.88 ID:vSWGcTRDO
更新が遅れてすみません…

少しですが進めます。
207 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/02(火) 00:18:26.87 ID:vSWGcTRDO



男(……遅いなー女)

男(場所は教えたから迷子の心配は無いとして)

男(事故とかに巻き込まれてなければいいけど……)ソワソワ

上「ト、トイレは部屋を出て右側に」

男「……違いますよ」

上「そうか?もしあれだったら遠慮なく」

男「へへっ、自由に使っちゃっていいんですか?」ハァハァ

上「……やっぱり君は使用禁止だ」

男「冗談ですって」



ピンポーン

上「む?」

男「来た!!」

上「電話の相手がか?」

男「まあそんな感じですね――少し待っててくだ」

上「私も出よう……というか、ここは私の家だからな」

男「……無理しないでくださいよ?」

上「歩くことくらいは出来るさ」



女「すみませーん」

上「はい、どちら様で――」ガチャ

女「やっほー」

上(…………やはりか)

男「来るの遅かったけど何かあったのか?」

女「せっかくだからご飯でも作ってあげようと思ってね」ガサガサ

上(ご飯?)

男「お、気が利くな」

女「台所はー?」

上「あ、すぐそこの扉を――」

女「借りるわね」

上「……え?」
208 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/02(火) 00:22:28.83 ID:vSWGcTRDO
女「ねえ、塩はどこ?」

上「塩はそこの赤い入れ物に」

女「ありがとー」

男「味見マダー?」

女「はあ?まだ何も出来てないじゃない」

男「……女の“味見”という選択」

女「何か?」スッ

男「ほ、包丁は反則です、はい」

上(……待てよ?ここは私の家だよな?)

上「――どうして女が料理をしているのだ?」

女「どうしてって……あんた風邪ひいてるじゃない」

上「それはそうだが……」

女「それに、どうせ食欲が無いとかでお昼ご飯食べてないんでしょ?」

上「な、なぜそれを!?」

女「だったら大人しく待ってなさいよ」

上「む……分かった」

男(馬鹿な……あの上司を言いくるめただと?)

男(うーむ……今日の女はどこか一味違うな)ジロジロ

女「ひ、暇そうにしてるなら食器ぐらい並べなさいよ!」

男「はいよ」
209 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/02(火) 00:26:45.88 ID:vSWGcTRDO
女「――はい完成っ!」

男「おお……これはまた豪勢だな」

上(一応私は病人なのだが……)

女「は、張り切り過ぎたのよ!悪いっ!?」

男「悪いなんて言ってないだろ?」

上「――むしろ私のために卵粥まで作ってくれたのだからな」

女「……そ、そう?」

上「ありがとう」

女「えへへ……どういたしまして」テレッ



上「ではいただこうか」

男「あ、俺が食べさせてあげましょうか?」

女上「なっ!?」ガタッ

男「え?」

上「た、食べさせてあげる……?」

女「い、いきなりあんたは何を言い出すのよ……」

上「そうだぞ?私とてもう子供ではないのだし……」

女「それにあんな恥ずかしいことをまた――」

上「……『あんな恥ずかしいこと』?『また』?」

女「しまっ……!?」

上「――男君、是非“あーん”を」

男「はいはい」

男(……いつもの二人だな)ニヤニヤ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/02(火) 02:13:54.46 ID:jjFr4HMs0
上がってなかったから気がつかなかった…
上司かわゆすなぁ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/03(水) 08:57:50.24 ID:YUyG7oaAO
2828
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/03(水) 12:23:20.72 ID:EYVG7jO8o
乙した
213 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/04(木) 22:35:02.21 ID:RL/itMiDO
男「あーん」

上「あむ……ん」

男「おいしいですかー?」

上「ば、馬鹿にしているのか!?」

男「ちゃんと感想を言わないと女に失礼ですよ」

女「……別に」ムスッ

男「ほら、上司が馬鹿とか言うから」

上(不機嫌になったのは男君のせいだと思うのだが……)

男「ということでもう一口、あーん」

上「あ、あーん……ん」

男「どうですか?」

上「おいしいな」



男「どれ、俺も一口――」

女「……あぁ……うぅ」

男「はぁ……ほら、箸よこせよ」

女「え?は、はい」

男「大きく口開いてー」

女「あーん……?」

男「ほれ」

女「んっ…………あ、ありがと」

男(ったく……雛鳥に餌を与える親鳥かっての)ニヤニヤ

女「こらっ、両手に華状態だからって変な想像をしない!」

男「し、してないぞ?」
214 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/04(木) 22:36:45.13 ID:RL/itMiDO



男上「ごちそうさまでした」

女「お粗末さまでした」

男「……結局俺達3人で全部食べたんだな」

女「残してもらってもよかったんだけど……」

上「残してしまうとせっかくの料理が勿体ないではないか」

男「それに俺達は満足しているんだからもっと嬉しそうにしろよ」

女「そ、そんなに褒めてもりんごしか出ないんだからねっ!」

男「……あるのか」

女「言っておくけどこれはあんたのじゃなくて上司のよ?」

男「ちぇっ……なら俺が皮をむく」

女「出来るの?」

男「はっ、全国りんご皮むき大会地区予選準優勝の俺にかかれば余裕だ」

女「何その大会……」

上「う、うさぎりんごは作れるのか?」ワクワク

男「勿論ですよ。なんなら猫バージョンも作りましょうか?」

女(……猫?)

上「お、お願いしようか」

男「了解っす!」
215 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/04(木) 22:38:59.82 ID:RL/itMiDO
女「さてと、その間に私は机の上の片付けでも――」

上「わ、私も手伝おう」

女「あんたは病人なんだから座ってていいわよ」

上「いや、ちゃんとお礼をしたいんだ」

女「お礼なんて今じゃなくてもまた」

上「頼むっ!」

女(そういえば男から聞いたけど……)

女(上司って相当な頑固者だったわね)ハァ



上「さあ、私は何をしたらいいんだ?」

女「自称地区予選準優勝様が苦戦しているみたいだから、そのお手伝いは?」

男上「断る」

女「うわー……二人揃って即答とか」

上「私は夕飯を作ってくれた女に恩返しをしたいのだ」

男「それに苦戦じゃなくてわざと時間をかけているんだよ」

女(……このペースだといつ頃出来上がるののかしら)

上「――ということでその他に」

女「……じゃあ食器をこっちまで運んでくれないかしら?」

上「うむ!任せたまえ」カチャカチャ

女「あ、そんなにたくさん持つと――」

上「大丈夫だ、問題ない」

女(危なっかしいわね……)
216 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/04(木) 22:42:53.42 ID:RL/itMiDO
男「――こうやって二人を後ろから見ると、まるで本当の姉妹みたいだな」

上「姉妹?」

女「ど、どっちが上になるのかしら?」

男「どう考えても上司に決まってるだろ」

女「……ですよねー」

上「私が女の姉か――ふむ、悪くはないな」

女「まあ年齢的には私の方が下だし妥当かもね」

上「くっ……男君、私は妹がいい!」

男「ど、どうぞ」

女「ならお姉様の言うことでも聞いてもらおうかしら?」

上「なっ……やっぱり姉でいい……」

男(……あれ?この二人ってこんなにも仲がよかったっけ?)

男(ま、まさか女は上司の生き別れた妹とか……!?)



上「――私にはお姉ちゃんが一人いるから妹が欲しかったところだ」

男女「お姉ちゃん!?」

上「そ、そんなに驚かなくてもいいではないか」

男「いや……上司なら『姉上』って呼んでそうだから、つい」

上「失礼だな君は」

女「もしかして“お姉ちゃん”って呼ばれたいの?」

上「ち、違う!」

男(……分かりやすいなぁ)ニヤニヤ
217 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/04(木) 22:47:14.82 ID:RL/itMiDO
男「ねーねーお姉ちゃーん」

上「……不思議だな。殺意が湧いたぞ?」

男「ちっ、里子の弟風じゃ駄目か」

上「里子?」

男「どさんこラー」

上「……もういい」

男「そ、そんな……」

上「もっと誠意を込めて呼べないのか?」

男「自分の兄弟や姉妹に誠意ってのはどうかと思いますが……」

上「……確かにそうだな」



男「ということで次は女の番な!」

女「えー、私もやるの?」

男「勿論」

女「…………お、お姉ちゃん」モジモジ

上「っ!!?」ズキューンッ!

上(な、なんという破壊力……)クラッ

男「ついでに『お兄ちゃん』もお願いします」

女「はあ?何で私が」

男「早くっ!」

女「…………お兄ちゃん?」

男「かはっ!!」ズキューンッ!

男(理性が吹っ飛びそうになったぜ……)ハァハァ

女「――これで満足?」

男上「是非」

男「俺の……」
上「私の……」

男上「妹になってください!」

女「ち、調子に乗るなぁっ!!」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 00:05:18.77 ID:dTPdrmZc0
妹欲しい
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/08/05(金) 01:07:44.04 ID:UQWOrdbo0
コブラっぽかった
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/05(金) 11:13:55.30 ID:4hT+dpHco
乙した!
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/05(金) 23:20:30.34 ID:bLemRF4AO
幽霊・ツンデレ・妹属性付でぜひ一家に1人、今なら送料無料!!

…ウチに1人言い値でお願いします。
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/05(金) 23:21:17.69 ID:bLemRF4AO
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223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/06(土) 04:24:37.82 ID:LxbZLDA20
もはやスレタイとは大きくかけ離れたデレっぷりだよな
てかこのスレ開くたびにパナ○ェーブ研究所が目に入って噴くんだがwwww
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 17:54:54.23 ID:0zuD824W0
上司かわいい
225 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/11(木) 22:36:44.85 ID:Oad811KDO
女「全くあんた達は……」シャリシャリ

男「……そのりんごって上司の分じゃ」

女「ん?別にいいでしょ?」

上「ど、どうぞ」

女「ほら見なさい」

男「はあ……」

上「その代わりにもう一回だけ――」

女「言いませんっ!」

上「……そうか」シュン

女「あ、えっと、嫌とかそういうんじゃなくてただ単に恥ずかしいって言うか……」

男「嫌じゃないなら呼んであげたらどうだ?」

上「是非」

女「立ち直り早っ!?」

男「ほら早く」

女「――それじゃあ、あんたも男のことを『お兄ちゃん』って呼んだらいいわよ」

上「ふっ、お姉ちゃんがいる私にとっては容易いことだな」

女「あ……そういえばそうだったわね」

男「ならば俺を悶絶させるというのを追加条件にしよう」

女(悶絶って苦しみ悶えて気絶するっていう意味だけど……いいのかな?)

上「いいだろう!」キッ

男「さあ、悶絶させてくれ!」キッ

女「何でそんなに真剣なのか私には分からないわ……」
226 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/11(木) 22:38:55.08 ID:Oad811KDO
上「……」スゥ

男「……」ゴクッ

上「お兄ちゃん」

男「……全然駄目。萌え要素が全く無いです」

上「萌え要素?」

男「いいですか、萌えというのはですね……」

女(何でこんな面倒なことになったのかしら)

女(私が言えばそれでいいはずだけど、それだと私のプライドが……)ウーン

女(……今の内に帰る仕度でもしておこうかな)

男「――とまあ、そんな感じのが萌えです」

上「よく分からないな」

男「実践してみれば分かりますよ」

上「そうか?」

男「では、チャンスはあと2回ということにしておきましょう」

上「構わない」

男「ではどうぞ」
227 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/08/11(木) 22:42:16.98 ID:Oad811KDO



上「――お兄ちゃんっ!」ニコッ

男「ぐふっ!!」

上「大丈夫お兄ちゃん?」

男「かゆい……うま……」

上「…………ふっふっ、男君に勝ったぞ!」

女「はいはい、おめでとうおめでとう」

上「では約束通り呼んでもらおうか」

女「いいわよ」

上「それでは」

女「お姉ちゃん――これで満足?」

上「……もう少し心をこめて言ってもらえないだろうか」

女「帰ります」

上「や、わ、私が悪かった!」

女「ほら、あんたもさっさと起きなさいっ!」バシッ

男「う……オスボイアロンペルアペダソース!」

女「意味分かんないこと言ってないで帰るわよ」

男「あ、はい……」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 23:29:45.15 ID:kmsJXXXoo

漏れも女にお兄ちゃんって呼ばれたいでつ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/14(日) 12:18:48.09 ID:E6Rmfvuuo
乙した
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 00:04:52.76 ID:1e37ZhIg0
頑張れ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/30(火) 01:23:41.41 ID:7TTYSuOv0
ここまで書いてて投げない…よね?
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 00:13:50.69 ID:oI99EliIO
え?あれ?
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 12:13:02.17 ID:Nqj7YYrDO
くーるーきっとくるー
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 12:13:37.97 ID:Nqj7YYrDO
くーるーきっとくるー
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 12:14:20.07 ID:Nqj7YYrDO
くーるーきっとくるー
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 14:08:34.66 ID:rJPLm+7IO
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
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バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンンバンバン゙ンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン  (∩`・ω・)    バンバンバン゙ンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/ バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン   \/___/ ̄バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
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バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
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バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 17:57:23.58 ID:ztITseKIO
え?
238 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/21(金) 12:08:58.73 ID:rqR5GIuDO
すみませんお久しぶりでございます

いろいろあって更新出来ないでいましたが、何とか完結させたいと思います

2ヶ月程前の読者さんがいればまたよろしくお願いします

初見の方もよろしくお願いします
239 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/21(金) 12:14:04.50 ID:rqR5GIuDO
男「おはようございまーす」

上「おはよう」

男「あれ?もう治ったんですか?」

上「ああ、おかげさまでな」

男「そうですか……まあ、無理しないで下さいよ?」

上「大丈夫だ、問題ない」

男「あ。でしたら、改めて女に感謝の言葉を伝えないといけないですね」ニヤニヤ

上「そ、そうだな」

男「――これ女のアドレスです」スッ

上「いや、あの……」

男「どうぞ」

上「ち、直接会ってじゃ駄目か?」

男「駄目です」

上「……分かった」

男「後で電話もしてあげて下さいね」

上「……はい」

男「あと、女のメル友になってやって下さい」

上「……は?」

男「じ、じゃあ仕事します」

上「こら待っ――何なんだ?」

男(せっかく携帯があるんだから使ってもらわないとな)
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 12:15:11.28 ID:+YQtoXOSO
おせえよ

べ、別に待ってたわけじゃなry
241 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/21(金) 12:28:52.09 ID:rqR5GIuDO
女「ふう……ゴミ出し完了っと」

女「さて、今日は何をして過ごそ――」

婦「あら?」

女「あ…………せ、洗濯しなくちゃ」ダッ

婦「私の女ちゃん捕まえたー」ガシッ

女「私のって何ですか!?」

婦「違うの?」

女「違います……」

婦「正しくは“男の”かしら?」

女「ち、違いま」

婦「だったら別に私のでも」

女「……せん」

婦「?」

女「違いませんっ……!」

婦「まあまあ」ニヤニヤ



女「――撮影を兼ねての散歩ですか?」

婦「そう。最近写真撮影にはまってるの」

女「へえ」

婦「例えば……この野良猫さんとか」

女「か、可愛いっ!」

婦「でしょ?」

女「でも疲れませんか?」

婦「うーん、疲れるというよりただひたすら暑いだけね」

女「あ、だったら私の家結構近いのでよかったらお茶でも」

婦「是非」ニコニコ

女「え」

婦「うふふ」
242 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 12:39:32.79 ID:rqR5GIuDO
女「ここです」

婦「ここが男君と女ちゃんの愛の巣かぁ」

女「は、はぁ!?」

婦「記念に――っと」カシャッ

女「ちょ、な、何撮ってるんですか!?」

婦「お邪魔しまーす」

女「あ……」

女(……何このフリーダムな人)



女「麦茶です」

婦「ありがとう」

女「私も――んっ」ゴクッ

婦「シャッターチャンス」カシャッ

女「……え?あの」

婦「『ごっくんする女ちゃん』っと」カチカチ

女「ちょっと!?」

婦「送信完了!」

女「誰に!?」



ブーブー

男「ん?同僚のか?」

同「いや、お前のじゃね?」

男「お、本当だ」パカ

男(一体誰だろ――――って主婦さん?)

男(俺に何か用かな)

『ごっくんする女ちゃん』

男「なん……だと?」

男(となると、この添付されている画像は……!)
243 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 12:45:19.33 ID:rqR5GIuDO
女「ちゃ、ちゃんと消して下さいよ?」

婦「印刷したらね」

女「何に使うんですか!?」ガタッ

婦「あらあら、そんなに勢いよく立ち上がったら」

女「え?……冷たっ」

婦「ほらぁ、コップが倒れ」カシャッ

女「ちょっ、今のどこに写真を撮る要素が」

婦「まあまあ」カチカチ



男「いいよな?別に写真を見るくらい許されるよな?」

同「いきなりどうしたよ」

男(い、いざ――)

ブーブー

男(ん?また主婦さん?)

『濡れる女ちゃん』

男「嘘……だろ?」
244 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 13:04:36.46 ID:rqR5GIuDO
婦「とりあえず私が片付けておくから女ちゃんは着替えておいで」

女「あ、はい」

婦「雑巾あるかしら?」

女「これです」

婦「ありがとう」

女「……じゃあ、向こうの部屋で着替えてきます」

婦「どうぞ」ニコニコ

女(……主婦さんいい人だなぁ)

女(ちゃんとお礼しないと――)シュル

婦「油断大敵」カシャッ

女「…………前言撤回!!」

婦「甘いわね」ニヤニヤ



同「さーて、昼飯の時間だぞっと」

男「お、おおう……」

同「さっきから何に悩んでるんだ?」

男「……お前さ、突然いかがわしい画像が送られて来たらすぐ見るか?」

同「いかがわしい画像ってどんな画像だよ」

男「どんなって……」

ブーブー

男(……ま、またか)

『エロティックな女ちゃん』

男「――例えばエロティックな上司ちゃんという画像なら」

同「何を迷う必要があるというのだ」

男「濡れる上司ちゃんとか」

同「愚問だな」

上「お前達減給な」

男同「え」
245 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 13:06:03.75 ID:rqR5GIuDO
婦(うーん……男君から返事が来ないわねー)

婦(もっと過激な写真じゃないと反応しないのかしら)

女「……あ、もうお昼ご飯の時間ですね」

婦「あら、もうそんな時間?」

女「主婦さんはどうしますか?」

婦「そうねー……一旦家に戻ろうかしら」

女(よしっ!)

婦「それじゃあ行きましょうね」ガシッ

女「え」



男「いやもう本当にすみませんでした」

上「ふんっ」ツーン

男「いい加減機嫌直して下さいよー」

上「せっかく昨日のお礼に弁当をだな……」ブツブツ

男「え?弁天?そりゃ上司さんは弁天ですけど」

上「ち、違う!だいたい何だ、エロティックな上司ちゃんというのは」

男「やっぱりちゃんは付けない方がいいですかね?」

上「そういう問題じゃないっ!」
246 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 13:27:13.34 ID:rqR5GIuDO
婦「――これが豆腐を使ったハンバーグで、これがおからを使ったドーナツなの」

女「す、凄い……」

婦「主婦だからこれくらいの節約料理は覚えておかないとね」

女「……弟子にして下さい」

婦「うん?」

女「私を弟子にして下さい!」

婦「勿論いいわよ」

女「え、あ、ありがとうござ」

婦「その代わりちょっとの間だけ被写体になってもらえるかしら?」ニヤニヤ

女「被写体……ですか?」



上「……ほら」

男「何ですかそれは?」

上「き、昨日の礼に弁当を作ってきたんだ」

男「いやいや、俺は何もしてないじゃないですか」

上「私はその……男が見舞いに来てくれて嬉しかったんだ」

男「まあ、あんなに重症だとは思わなかったですけど」

上「だから……来てくれてありがとう」

男「ど、どうもです」ドキッ

上「……」

男「じ、じゃあ遠慮なくいただきます」

上「あ」

男「ん?」

上「私の分の箸が無い」

男「ちょ、もう使っちゃいましたけど……」

上「……」ジー
247 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 18:19:31.92 ID:rqR5GIuDO
女「ご馳走様でした」

婦「お粗末様でした」

女「……えっと」

婦「ふふっ、お味の方はどうだったかしら?」

女「凄く美味しかったです」

婦「これがさっきのレシピだからちゃんと男君に食べさせてあげるのよ?」

女「はい!……それではそろそろ帰」

婦「これを着けましょうか」ニャーン

女「うっ……」

婦「さあ女ちゃん」

女(……何故か逆らえないのよね)



上「ん」

男「ん、じゃないですよ」

上「じゃあ、あーん」

男「じゃあの意味が分かりませんから」

上「そ、そうしないと私が弁当を食べれないではないか」

男「だから俺が先に食べてこの箸を洗って返しますから、それを使えば」

上「わざわざ洗わなくてもいいだろう!」

男「怒る所そこですか!?」

上「いいから箸をよこせ!」

男「……やれやれ」

ブーブー

男(ん?……お、今度はどんな女が)

『猫耳女ちゃん』

男「おいおい」
248 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 18:23:20.52 ID:rqR5GIuDO
婦「次は――これね」

女「ど、どうしてそんなものが」

婦「うふふ……趣・味」

女「これ着たら帰っても」

婦「あらあら、今日は帰さないつもりなんだけど」

女「だっ、誰か助けて下さーい!!」



上「そういえば朝からちょくちょく携帯を構っているな」

男「ああ、実は数時間おきにメールが届くんですよ」

上「……女から?」

男「いえ、主婦さんっていう近所に住んでる人ですが」

上「主婦さん?」

ブーブー

男「っと、また来たか」

『キャス狐女ちゃん』

男「……?」

上「どうした?」

男「キャス狐って何か分かりますかね?」

上「いや?初耳だが」

男「うーむ……百聞は一見に如かずってか」

男(すまん女――だけどここまで我慢した俺を褒めてくれ!)カチカチ
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/21(金) 18:28:25.18 ID:/cmoH08AO
きてたか…!!
  ( ゚д゚ ) ガタッ
  .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    /
250 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 18:33:40.87 ID:rqR5GIuDO
婦「女ちゃんって何着ても似合うのね」ニコニコ

女「……ありがとうございます」

婦「これはさっき着たから――これなんてどうかしら?」

女「し、主婦さん、そろそろ旦那さんが帰ってくるんじゃ」

婦「旦那?男君のこと?」

女「全然違いますからっ!主婦さん“の”旦那さんです」

婦「あの人より男君の方が先に来るんじゃないかしら」

女「え、どうして」

婦「あの写真を送っていた相手――あれね、男君なのよ」

女「…………はい?」

婦「返信が無いってことはやっぱり仕事中は迷惑だったかしら?」

女「しゅ、主婦さあああぁん!!」

婦「――はい、怒った女ちゃんいただき」カシャッ

女「あ、い、今のはさすがに駄目ですよ?」

婦「ふふふ」ニコリ



上「ふっ、この写真の女は猫耳着けてるぞ」ニヤニヤ

男「欲しいならあげますよ」

上「では待受画面にしておこうか」

男「それじゃ送ります」

上「だがその前にエロティックな女という写真は消すんだ」

男「そ、そんな殺生なっ!?」
251 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 18:37:32.29 ID:rqR5GIuDO

ピンポーン

婦「あら?」

女「……旦那さんじゃないですか?」

婦「うーん?」

女「というか、こんな格好じゃ誰にも会えないですよ!?」

婦「待って。この足音は男君と――女の人かしら?」

女(足音?)



男「こんばんはー」

婦「お帰りなさいあなた」ニコッ

男「へ?」

婦「ご飯にする?お風呂にする?それとも、わ・た・し?」

上「お、おおお前結婚していたのか!?」

男「帰宅時にこんばんはーってどうなのさ」

上「あ、そうか」

婦「それであなた、何にする?」

男「え、ええと」

女「答えなくていい!!」ダッ

男上「なっ!?」

女「し、しまっ……」

婦「あらまあ」ニコニコ

男上「……」カシャッ

女「あんたらは二人揃って何やってんのよ!」

男上「生メイドを見るのが初めてで、つい」

女「ち、ちゃんと消しておきなさいよ!?」

男上「了解」カチカチ

『保存しました』
252 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 21:52:07.71 ID:rqR5GIuDO
婦「初めまして、でいいかしら?」

上「あ、はい。私は上司と申します」

婦「上司ちゃん、ね」

上「会社で男の上司やっています」

婦「私はそこにいる男君の内縁の妻で」

男「違います」

婦「愛人?」

男「何で疑問形なんですか」

婦「だって他の肩書きが思い付かないんだもん」

男「……えー、会社で説明した通り近所に住んでる主婦さんです」

上「よ、よろしくお願いします」



女「というか何であんたがここにいるのよ?」

上「その」

婦「違うでしょ女ちゃん。『お帰りなさいご主人様』でしょ?」

女「えっ、で、でも」

婦「ほら、男君と上司ちゃんが待ってるじゃない」

上「い、いや私は……」

男「あー、今日も一日仕事して疲れたなー。メイドさんに『お帰りなさいご主人様』って言われたら明日も頑張れるのになー」

女「くっ……」

男「さあさあ!」

女「お、お帰りなさいませ、ご主人様!」

男「――主婦さんっ!」

婦「はーい、録音完了よ」

上「い、いつの間に……」

女「消しなさいよおぉ!!」ダンダン
253 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 22:01:02.25 ID:rqR5GIuDO
男「それじゃあそろそろ帰りますね」

婦「もう帰っちゃうの?」

男「ええ、時間的に長居はちょっと……」

婦「そっかぁ。女ちゃんも上司ちゃんも気を付けて帰ってね」

男「あれ?俺は?」

婦「男君も帰るの?」

男「当たり前じゃないですか」

婦「えー、せっかくいろいろと準備したのに」

男「……何の準備ですか」



婦「また来てねー」

女「わ、私は遠慮したいかなぁ」

上「何故だ?いろいろと料理のレシピを教えてもらったではないか」

女「だったら次はあんたがコスプレしなさいよ?」

上「む……」

男(主婦さん)チラッ

婦(分かってるわ。上司ちゃんの写真ね?)コクッ

男(さすがです)グッ
254 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 22:07:56.06 ID:rqR5GIuDO
女「それで?」

男「で、デンマーク」

女「ちょっと男は黙ってなさい」

男「すみません」

上「じ、実はだな……昨日のお礼をちゃんと言おうかと」

女「……お礼なんていいのに」

上「いや、おかげで風邪が治ったんだ。ありがとう」

女「そ、そう?」

男「もしかして照れてる?」

女「うっさい!」



男「じゃあ俺達はこっちなので」

上「ああ、ではまた明日」

女「気を付けて帰りなさいよ?」

上「……まさか女が私の心配してくれるとはな」

女「べ、別にあんたのためじゃないわよ」

男「ツンデレ?」

上「憂い奴め」

女「黙らっしゃい!」
255 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/21(金) 22:34:18.75 ID:rqR5GIuDO
男「……何故か非常に疲れた」

女「あ、そうそう。このアドレスって誰のか分かる?」

男「んー?って、これ上司さんのだ」

女「何か昼過ぎに届いたんだけど……本文が『ありがとう』だけだったのよ」

男(確かにメールを送れとは言ったけど、まさか差出人不明でお礼だけとは……)

男「返信は?」

女「誰か分からなかったから出来ないじゃない」

男「そりゃそうか……まあ、とりあえず登録しておけよ」

女「ふふっ、毎日迷惑メールでも送ってあげようかしら」

男「お前のアドレス知られてるじゃん」

女「冗談に決まってるでしょ」
256 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/21(金) 22:42:36.08 ID:rqR5GIuDO
とりあえず今日の分はここまでです

おやすみなさい
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/21(金) 23:13:20.94 ID:Bb4HysfG0
遅かったじゃねえか…
乙!
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 00:48:57.66 ID:5e7dCKSr0
待ってたぞ! 乙
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/22(土) 06:09:35.05 ID:tGRTcbCqo
1時に見つけて一気に読んじまったじゃねえかこのやろう!



続き期待してます
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/22(土) 09:25:53.33 ID:MmrKGz8Jo
帰ってきてるじゃねえか
待ってたぜ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/23(日) 22:31:30.68 ID:usi9mjRAO
やあ おかえり
262 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/24(月) 21:25:47.65 ID:ehd6pqnDO
こんばんは

お待たせしました
本日分を開始します
263 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 21:30:02.77 ID:ehd6pqnDO
女「男ー?朝だけどー」

男「う……」

女「ほら、早く起きないと遅刻するわよー」

男「っくし!…………今起きる」

女「ちょ、風邪でも引いたの?」

男「……分からんけど頭痛いし気持ち悪い」

女「熱測ってみる?」

男「一応測る……」



男「――というわけで休みます」

上『いや、いきなり「というわけで」と言われてもだな』

男「あー、すみません……風邪引いたっぽいです」

上『風邪って大丈夫か?も、もしかして私のが』

男「いやいや、多分違いますしそれ程酷くはないので大丈夫です」

上『だといいのだが……』

男「まあ今日――へっくしょい!」

上『お、おい、本当に大丈夫なのか?』

男「だから大丈夫ですって」

上『しかしだな……』

男「今日は俺居ないですけど頑張って下さい」

上『……分かった』
264 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 21:33:06.39 ID:ehd6pqnDO



女「それじゃ買い物に行ってくるから」

男「悪いな……2日前と同じことさせて」

女「私が好きでやってるからいいのっ」

男「今度お前が風邪引いた時は俺が看病してやるよ」

女「は、はぁ?私幽霊だから風邪引かない設定なんだけど」

男「設定とか言うな」

女「そりゃ看病してもらえるなら嬉しいけど……」ブツブツ

男「は?寒曳山に行きたい?」

女「どう聞き間違えたらそうなるのよ!?」

男「いいか、そもそも寒曳山というのは広島の」

女「あーもう、そういうのどうでもいいから」

男(どうでもいい……)

女「――それよりあんたは早く治るように努力しなさいよ?」

男「努力?何の?」

女「それは、その……と、とにかく大人しく寝てるように!」

男「はいよ」
265 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 21:42:41.78 ID:ehd6pqnDO

バタン

男「ふぅ……ようやく行ったか」

男(あまり心配かけないように振る舞ってみたけど……)

男(や、やっぱり無理はよくないな)フラッ

男「とりあえず布団、布団っと」フラフラ



男「静かすぎる部屋だ。耳がうずくほど」

男(……そういえば久しぶりの一人だなー)

男(前までは別に何とも思わなかったけど……やっぱり女がいないと淋しいな)

男(女が幽霊じゃなかったら――って、人間だったとしても俺は今までに会ったことないし……)

男(そもそも何で女は俺の所に来たんだ?)

男(…………ダメだ……熱のせいで頭が働かないな)

男「まあ何にせよ女には感謝しないと」

婦「私には?」

男「う、うわあああああっ!!?」
266 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 21:51:48.92 ID:ehd6pqnDO
男「ど、どうして主婦さんがここに……?」

婦「男君が風邪引いたと思って」ニコッ

男「思って?」

婦「ほら、去年もこの時期に何回か体調を崩していたでしょ?」

男「あ、ああ……あの時はお世話になりました」

婦「ふふ、男君にそう言われたのこれで29回目よ?」

男「すみません」

婦「それは28回目かしら」

男「う……」


婦「でもあの時はびっくりしたわね」

男「え?」

婦「いつもの時間に家の前を通るはずの男君が来ないから心配して見に行ってみたら――」


男「い、いや、もうその話は」

婦「パジャマの上に服を着た男君が玄関に倒れていたんですもの」ニヤニヤ

男「……あれは遅刻しないよう必死になった結果でして」

婦「あれほど日頃から無理はしないようにって言っていたのにねー」

男「い、いつもお世話になっていた主婦さんにこれ以上迷惑を掛けないように、と思ったのですが……」

婦「逆に迷惑になったって分かったかしら?」

男「はい……もしあのまま家を出てたら道に倒れていたんでしょうね」

婦「それはそれで家に連れ込めたからよかったんだけどな」

男「連れ込め……?」

婦「うふふ、何でもないのよー?」
267 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 22:02:13.61 ID:ehd6pqnDO
男「へっくし!」

婦「そういえば男君って風邪引いていたのよね」

男「あ、すみません……うつるといけないので主婦さんは」

婦「私が看病してあげよっか?」

男「え?あ、いや、その……」

婦「汗をかいてると思うから私が拭いてあげるわね」

男「い、いやいやいや!!ちょっと待っ」ドキドキ


婦「――なーんて冗談よ?」

男「な……に?」

婦「さっき女ちゃんが嬉しそうに走ってたから私は帰るわね」

男「せ、せっかく来ていただいたのにすみません……」

婦「こら男君。今日は謝ってばっかじゃない」

男「……はは、何ででしょうね」

婦「もう……女ちゃんには謝るんじゃなくって感謝の言葉を言いなさいよ?」

男「分かってます」

婦「ちゃんと休んで早く治してね」

男「ありがとうございます」

婦「それじゃあまた明日」

男(……ん?明日?)
268 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 22:13:50.54 ID:ehd6pqnDO
婦(そっかぁ……男君には女ちゃんがいるんだもんね)

婦(あのまま看病してもよかったけど、女ちゃんって怒ると怖いし……)

婦(でも男君のこと心配だしなぁ)

カツカツ

婦「ん?」

上「……」カツカツ

婦「上司ちゃん捕獲っ」ガシッ

上「ひゃっ!?――し、主婦さん!?」

婦「れっつごー」

上「ま、待っ」ズルズル



男(……やっと眠れる……)

男(……女いつ帰ってくるかな……)

上『――やっぱり迷惑ではないだろうか』

婦『そんなことないわよ?もしかしたら上司ちゃんに会いたがってるかもしれないしね』

上『そ、そうなのか?』カァッ

婦『それにもう寝てると思うから大丈夫よ』

上『余計駄目な気がするのだが……』

婦『いいからいいから』ガチャ
269 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 22:41:47.24 ID:ehd6pqnDO
上「お邪魔します……」ソロリ

婦「ようこそ我が家へ」

上「え!?や、やはり主婦さんは男の」

婦「――あのね上司ちゃん。冗談って言葉知ってる?」

上「……な、成る程」

婦「ところで上司ちゃんは一体何をしに来たのかしら?」ニヤニヤ

上「その……お見舞いに」

婦「まだお昼前だけどお仕事は?」ニヤニヤ

上「体調不良で早退を……」

婦「そんなに男君のことが大事なのかしら?」ニヤニヤ

上「ぶ、部下の心配をするのも上司の仕事かと思って」

婦「お仕事と男君ならどっちを選ぶの?」

上「それは勿論…………仕」

婦「本当にお仕事?」

上「…………」

婦「それとも男君?」

上「…………はい」コクン

婦「もー上司ちゃん可愛いー!」ダキッ

上「や、やめっ」

ガラッ

男「……あんたらはさっきから人ん家で何やってるんですか」

上「うわっ、お、男っ!?」

婦「えへへ。男君も――えいっ」ダキッ

男「ちょ、風邪うつりますって!?」
270 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 22:48:05.23 ID:ehd6pqnDO
女「ただいまー。ちょっと買い過ぎちゃって遅く――」ガチャ

男上「あ」

婦「あらまあ」

女「何……やってんのよ」

男「い、いやな?二人とも看病に来たらしくて」


女「…………っ」バタンッ

男「おい!?――く、くそっ!!」ダッ

婦「はい、これ男君の携帯電話」

男「助かります!」ガチャ

上「主婦さん!?と、止めるべきでは……」

婦「だったら男君の代わりに私達が追いかければそれでいいの?」

上「……それは」

婦「ふふっ、あの二人ならきっと大丈夫よ」



男(――電話は駄目か)パタン

男「女ー!女さーん!女ちゃーん!!」

男「はぁ、はぁ……げほっげほっ!」

男(これはさすがにやばいかもな……現に視界が霞んできてるし)

男「というかすぐ追いかけたのに影すら見えないってどうなってるんだよ」

男「もしかしてもう家に帰ってるとか――っと」フラッ

男(……やっぱり熱があるから思うように体を動かせないな)

男(一応もう一回掛けてみよう)
271 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/24(月) 23:12:24.04 ID:ehd6pqnDO
男「はぁ……やっぱり出ないか」パタン

少女「あ、ママー!」タッタッ

男「おー、健気だねぇ。俺もあんな風に捜せるのならどんなに楽に――」

パッパー

男「い、いや、いやいやいや」ゴシゴシ

少「あのねー、さっきねー!」タッタッ

少母「少女!車が来てるから早く戻りなさい!!」

少「何ー?」

男「ばっ、何で止まるんだよっ!!」ダッ

男(何とか間に合ってくれよ!!)

男(もうあんな思いは……二度と御免だ――)



上「……二人とも大丈夫だろうか」ソワソワ

婦「あら、それは?」

上「どうやら男の奴、財布を忘れていったようで」

婦「それは困ったわね」

上「え?しかし捜すだけなら」

婦「違うの。その中にはね、大切なお守りが入ってるのよ」

上「お守り……ですか」

婦「無事だといいのだけどね」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2011/10/24(月) 23:13:08.98 ID:2AhCvjN40
今追いついた身でなんだけど

まだか
273 : ◆uPLvM1/uq6 :2011/10/24(月) 23:14:32.48 ID:ehd6pqnDO
果たして男の運命は……?

ということで今日はここまでです

おやすみなさい
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/24(月) 23:57:58.08 ID:ZT3FqGBAO
幽霊になれたら 女と合体出来るね
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 00:43:22.79 ID:hoBOV3a00
男大丈夫かよ…
乙!
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2011/10/25(火) 17:09:17.14 ID:URfUaFyW0
学校帰りの俺が来ましたよ

やっと追いついたー続き頑張ってー
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [[sage]]:2011/10/25(火) 20:35:05.28 ID:URfUaFyW0
まだかにゃー?
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [[sage]]:2011/10/25(火) 20:35:48.03 ID:URfUaFyW0
まだかにゃー?
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [[sage]]:2011/10/25(火) 20:38:59.89 ID:URfUaFyW0
まだかにゃー?
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 20:40:10.12 ID:aiYsnFTCo
まだだから落ち着けや
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 09:59:38.91 ID:PlBqFhy4o
戻ってきてたか
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/26(水) 18:41:08.07 ID:eoeU29Bz0
ま、まだかにゃー?///
283 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/10/26(水) 18:54:25.55 ID:gnqAQqgDO
こんばんはです

お待たせしてしまい申し訳ないです

それでは本日分を始めます
284 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 18:57:22.63 ID:gnqAQqgDO



男『……んん……?』ハッ

男『知らない天井だ……』

男『もしかして俺、助かっ』

幼『あれ?』

男『うおっ!?』

幼『あ、もしかしてあの時のお兄ちゃん?』

男『……あの時?』

幼『お姉ちゃんと一緒にいた人じゃないの?』

男『お、お前まさか!?』

幼『はいっ、幼女です!』

男『そっか――ってちょい待ち。何で俺のことを知ってるんだ?』

幼『だって茂みに隠れてたじゃん!』

男『は、はは……よく見付けたな』

幼『それでお兄ちゃんはどうしてここにいるの?』

男『そうだった!そもそも“ここ”って何処なんだ?』

男『それに成仏したはずの君がどうして――』

幼『待ってよお兄ちゃん』

男『ん?』

幼『一度にたくさん聞かれても私答えられないよ?』

男『わ、悪い……』
285 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 18:59:50.91 ID:gnqAQqgDO
幼『それでお兄ちゃんは何から聞きたいの?』

男『そうだな……とりあえず俺って死んじまったのか?』

幼『あ、だからここに来れたんだね』

男『来れたって……嘘……だよな?』

幼『でも大丈夫だよ。お兄ちゃんはまだ生きてるから』

男『よ、よかったぁ……』

幼『違うよお兄ちゃん』

男『何が?』

幼『“まだ”生きてるんだから、下手したら死んじゃうってことだよ?』

男『た、助けて幼女様!』

幼『そういえばここに来る前、お兄ちゃんに何が起きたの?』

男『えーと、確か車に轢かれそうになった女の子を助けようとして――』

幼『おだぶつ?』

男『さっきまだ生きてるって言ってたじゃん!?』

幼『でもここには生きてる人は来れないはずだよ』

男『…………あ』

幼『どうしたのお兄ちゃん?』

男『果たして風邪を引いて高熱の人が叫びながら走り回ったらどうなるかな?』

幼『瀕死?』

男『じゃあそれが理由だ』

幼『お兄ちゃん……』グスッ

男『ま、まだ大丈夫なんだろ!?』
286 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:02:51.09 ID:gnqAQqgDO
男『というかここは何処なんだ?見た感じは病室っぽいけど』

幼『残念だけどこの世じゃないよ』

男『だけどあの世でもない、と』

幼『うんそうだよ。ここは――――ある人の記憶の中』

男『……はい?』

幼『そして多分、お兄ちゃんが助けたかった人の――』

男『っ!?』ビクッ

幼『ちなみに今日の女の子じゃないよ?』

男『……それは分かってる』

幼『……』



男『そんな幼女ちゃんはどうしてここに?』

幼『私は気付いたらここにいたの』

男『気付いたら?』

幼『私が成仏したのは覚えてる?』

男『まあ、あれだけ感動的だと忘れようとしても忘れられないんだけどね』

幼『それで成仏した後は新しく生まれ変わるまで待つだけなんだけど……』

男『あ、輪廻ってやつだろ?そのタイトルの映画なら見たことあるぞ』

幼『それホラーじゃないの?』

男『ちょっと女を怖がらせようとだな』ニヤニヤ

幼『実はお兄ちゃんいじめっ子?』

男『失敬な。俺はただ怖がる女を見るのが楽しくて』

幼『そういうのをいじめっ子って言うんだよ』

男『……そうなのか』
287 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:10:10.58 ID:gnqAQqgDO
幼『次は?』

男『ちょっ、ゆっくりしてたら俺の本体が力尽きちまうんじゃ』

幼『外側から名前を呼んでもらわない限りここからは出られないよ?』

男『外側ってことは本体にってことか?』

幼『そうだよ』

男『つまり放置されてたら……』

幼『お姉ちゃんと私の仲間になるね』

男『だ、誰かーーー!!』



幼『それじゃあ最後に一つだけ』

男『うん?』

幼『お姉ちゃんは“まだ”幽霊じゃないよ』

男『は?それってどういう――』

?「…………と……!」ザザッ

男『な……んだよこれ……』

幼『この声は――あのお姉ちゃんだね』

男『ま、まだ聞きたいことが……くっ』

幼『ばいばいお兄ちゃん』

男『……また会えるよな?』

幼『分からないけどお兄ちゃんなら会えるかも』

男『そうか……じゃあまたな』スウッ

幼『うん!』
288 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:14:03.94 ID:gnqAQqgDO



女「早く起きなさいよー!!」ユサユサ

少母「ちょっとあなた!さっきから何やって」

女「このっ、いい加減に――」ブンッ

男「ん…………え?」

女「あ」

バチンッ!

男「痛いっ!!」

女「よ、よかったぁ」

男「全然よくねえよ!寝起きに張り手とか何やってんだよ!」

女「それだけ元気なら大丈夫そうね」

男「他に言うことは!?」

少「お兄ちゃん大丈夫?」

男「あ、お前……無事だったんだな」ホッ

少「ありがとうお兄ちゃん!」

男「今度からは気を付けろよ?」

少「うんっ!」

少母「娘を助けていただいて本当にありがとうございました」

男「いやいや、無事でよかったですよ」

少母「車の方ですが、どうやらそのまま走り去ってしまったようで……」

男「そうですか……それは仕方ないですね」

女「何言ってんのよ?犯人捕まえてたんまり慰謝料を」

男「まあまあ、怪我人が出なかったんだからそれでいいじゃん」

女「よくないわよ!私は男が死んじゃったかと……思って……」グスッ

男「お、おい……」

少「あー!お兄ちゃんがお姉ちゃん泣かせたー!」

男「俺が悪いのか!?」
289 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:18:47.63 ID:gnqAQqgDO
女「うぅ……ぐすっ……」

男「元はと言えばお前が急に出てくから」

女「だって……あの二人に看病してもらってたんでしょ?」グスッ

男「だから誤解なんだって。気付いたら主婦さんがいるわ、目が覚めたら上司さんも増えてるわで」

女「……嘘つき」

男(あーもう、どうすりゃいいんだよ……)

男「おっと……?」フラッ

女「男?」

男(そういや風邪引いてたんだったな)

女「そうだ!体はもう大丈夫なの?」

男「ごめん、ちょっと寝させて……」

女「ここで!?ね、寝るなら家に帰ってから――」

男「……体力の限界……」ドサッ

女「ちょっと、今すぐ起きないとまた叩――」

男「……はぁ……はぁ」

女「わ、凄い熱――き、救急車呼ばないと!」
290 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:26:41.17 ID:gnqAQqgDO



男「…………またか」ハッ

男「また知らない天井だ……」

男「ということはまた俺は生死をさ迷って――」キョロキョロ

婦「あ、男君が目を覚ましたわー!」

上「何!?本当か!」

婦「ほらほら、女ちゃんも早く」

女「私は……その」

婦「えいっ」ドンッ

女「わ、わわっ」

男「え?……え?」

女「ご、ごめんなさい!」

男「……何が?というか今どういう状況なの?」

婦「ほら女ちゃん、そこで一言よ!」

女「でも……」

上「先程練習したではないか」

女「うん――あのね、男」

男「な、何だよ」

女「私を……私を叩いて!!」

男「はぁ!?お、お前自分が何言ってるのか分かってるのか?」

女「分かってるわよ!男が倒れちゃったのは私の所為なんだから……き、気の済むまで叩きなさいよ!」

男「俺にはそんな趣味は無いし、そもそもお前はそれでいいのか?」

女「え?で、でも主婦さんが男の人はこうすると許してくれるって……」

男「……主婦さん?」キッ

婦「あれ?もしかして男君ってMだったのかしら?」

男「違います!」
291 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/26(水) 19:29:17.14 ID:gnqAQqgDO
男「というか上司さんは嘘だって気付いてましたよね?」

上「い、いやな?男君の困った姿が見れると聞いて、つい協力を」

男「“つい”で協力しないで下さい」

上「……すまなかった」

男「別にいいんですけどね」ムクッ

女「も、もう起きても大丈夫なの?」

男「ああ、つか腹減った」

婦「ふっふっふっ、そんなこともあろうかと――」ゴソゴソ

上「これは私から」

婦「上司ちゃんフライング!」

女「私のもよかったら」

婦「女ちゃんまで!?」

男「病院って持ち込み可だっけ?」

婦「だって病院のお食事ってまずいじゃない?」

男「まあ」

婦「それにせっかく女ちゃんが買い物をしてきてくれたんだもん」

上「それを使って各々料理を作ったというわけだ」

女「本当は出来立てを渡したかったんだけど……しょうがないよね」

男「皆……あ、ありがとう」

婦「ちなみに男君は審査員です」

男「……え?」

婦「誰のが一番美味しかったか判断してね」

男「いや、普通に食べたいんですけど……」

婦「だーめ」

男「……勘弁して下さい」
292 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/10/26(水) 19:31:47.55 ID:gnqAQqgDO
ひとまずここまでにします

続きは深夜になるかもです
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/26(水) 23:07:24.95 ID:eoeU29Bz0
おおお

なんか含んだ感じになってきてますます俺得に・・・・乙です
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/26(水) 23:12:09.68 ID:cGZvMXIAO

さて本体探しだ
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 04:10:24.23 ID:PMSCT4jUo
がんばれ
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/27(木) 19:06:34.86 ID:drC0jHrQ0
>>294

ああね

理解できたわ
297 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/10/27(木) 19:57:08.62 ID:es8L9KPDO
こんばんは

深夜とか言いながら結局次の日になってしまいました…

それでは本日分始めます
298 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 19:59:04.02 ID:es8L9KPDO
男「んー…………あれ?」ゴシゴシ

男(あ、そういえば昨日の内に3人とも家に帰ったんだったな)

男「ふぁ…………それにしても眠い」

コンコン

看護婦「男さーん、朝食のお時間ですよー」

男「あ、はい――?」

看「どうしましたか?」

男「い、いや……」

男(店員、従業員、受付ときて今度は看護婦ときたか)

看「?」

男「えっと、今日の献立は何ですかね」

看「今日は男さんに渡すよう頼まれていた物が3つあります」

男「俺に?」

看「一応メモがあるのでご確認されてはいかがですか?」

男「分かりました」



『男君へ。早く元気になってね!主婦より』

男「やべえ……こういうシンプルなのが一番心にくるんだよな……」ジーン



『今日はちゃんと仕事へ行く。君がいないとやる気が出ないから早く復帰したまえ。今度飲みに行こう。勿論私の奢りだ』

男「素直じゃないなー」ニヤニヤ



『男へ。無理させてごめんね。やっぱり私が居ると迷惑かな?でも一人は寂しいので早く帰ってきてほしいな』

男(女……)
299 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:01:01.34 ID:es8L9KPDO
男「……あの」

看「どうしましたか?」

男「今すぐ帰っちゃ駄目ですか?」

看「先生に怒られちゃいますよ?」

男「すみません。でも待ってる人がいるので」

看「うーん……じゃあこうしましょう」

男「へ?」

看「3人が持って来たお弁当をしっかり味わって食べる――というのはどうでしょう?」

男「そんなことでいいんですか?」

看「“そんなこと”じゃないですよ」

男「ど、どういう意味で」

看「お弁当箱を見れば分かりますよ」ニコリ

男「……まさか」



看「はーい、あと一箱ですよー」

男「……」

看「ギブアップですかー?」

男「ま、まだまだ……!」

看「それじゃあ最後のは――どうやら女さんのお弁当ですね」

男(……頼むぞ、女!)パカッ

『帰ってからのお楽しみ』

男「……空?」

看「そう来るとは予想外でしたねー」

男「ということは――」

看「退院おめでとうございます」

男「あ、ありがとうございます!」

看「でも無理は禁物ですからね?」

男「分かってます!それじゃあお世話になりました!」ダッ

看「廊下は走らないで下さーい!」
300 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:09:41.35 ID:es8L9KPDO
女「…………はぁ」

女(そろそろ病院に行こうかな?)チラッ

女(でも朝行ったばかりだから迷惑になっちゃうし……)

バタバタ

女「?」

ガチャガチャ

女「ど、泥棒?」

ピンポーンピンポーン

女「――じゃないとしたら一体誰が」カチャリ

男「何で鍵閉めてんだよ!」

女「きゃっ!?」

男「うわっ!?」



ドサッ



女「いたた……」

男「迷惑じゃないから!」

女「い、いきなりどうしたのよ」

男「ここに居ても問題ないからな!」

女「あ……ありがとう」

男「こっちこそ居てくれてありがとな」

女「…………で?」

男「え?」

女「い、いつまでこうしてるつもりなのかしら?」モゾモゾ

男「すまん!」
301 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:13:08.46 ID:es8L9KPDO
女「――病院を抜け出してきた!?」

男「だから違うって。退院だよ、退院」

女「で、でも2〜3日は入院しないといけないって」

男「あのな、一人じゃ寂しいんだろ?」

女「なっ!?…………はい」

男「それにまだ女に看病してもらってないしな」ニヤニヤ

女「な、なによそれー!」

男「じゃあ寝るから布団敷いて下さい」

女「そのくらい自分でやりなさいよ」

男「ごほっごほ……昨日走り回った所為で咳が……ごほっごほっ!」チラッ

女「わ、分かったわよ!やればいいんでしょ!?」

男「喉も渇いてきたなー」

女(全く……私がいないと何も出来ないじゃない)フフッ

男「女さーん?」

女「……あんまり調子に乗ってると洗剤入りお粥とか作るからね」

男「そ、そういうドジっ子キャラはやめてほしいかな……」

女「分かったら布団くらい自分で敷きなさい!」

男「い、イエスマム!!」
302 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:24:23.18 ID:es8L9KPDO



女「よし、夕食の下準備も出来たし昼寝でもしようかな」

女(……べ、別に男と一緒に寝たいとかそういうんじゃ)オロオロ

ブーブー

女「男の携帯?……もしかして病院からとか」

『上司』

女「……何なのよ」ピッ

上『もしもし私だが、病院にいないってどういうことだ?』

女「男は今朝に退院しました」

上『……その声は女か?』

女「そうだけど何?」

上『男は家にいるのか?』

女「いるけど」

上『そうか……ならいいのだが』

女「……今から家に来れるかしら?」

上『まあ、行けないこともないが』

女「ちょっと渡したい物があるから」

上『分かった。すぐ向かおう』



女「あとは主婦さんか……」

婦「私がとうかしたの?」

女「きゃあっ!?」

婦「そんな大きな声出しちゃうと男君が起きちゃうわよ?」

女「す、すみま――じゃなくて、どうして主婦さんがここに!?」

婦「今朝入院してるはずの男君を見掛けたから、かな?」

女「……そうですか」

女(深く追求したらいけない気がするわね……)
303 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:29:51.71 ID:es8L9KPDO
上「それで渡したい物というのは?」

女「私が渡すのもどうかと思ったんだけど、今男は寝てるし……」

男「俺がどうかしたのか?」

女「わっ!?ちょ、ちょっと驚かさないでよ!」

上「驚かすもなにも、男君はずっと後ろに立っていたではないか」

婦「やったね男君、大成功よ!」

男「もう使う機会は無いと思いますけどね」

女「…………どういうこと?」

男「お前が俺の代わりに渡したかった物って――これだろ?」

上「それは……」

婦「私達のお弁当箱?」

女「あ、あう……」

男「まあ、俺が出し忘れてそのままにしてたのが悪いんだけど」

上「しかしちゃんと洗ってあるのだが」

男「それは女がやってくれたんですよ」

女「ちょ、ちょっと」

婦「ありがとう女ちゃん!」

上「わざわざすまなかったな」

女「……ど、どういたしまして」テレッ
304 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:34:35.23 ID:es8L9KPDO
男「俺からも皆にありがとうと伝えておきます」

男「それにわざわざ病院にまで料理を持っていただいて」

婦「いいのよ、私達が好きでやったんだから」

上「そうだぞ?むしろあれだけで満足出来たのか不安で……」

男「いやもう、十分過ぎてお釣りが出るくらいでしたよ」

婦「そのお釣り分は何か貰えるの?」

男「残念ですけど何もありません」

婦「男君のけちー」

上(……少し期待してしまった自分が恥ずかしい)



女「わ、私はまだ……」

男「夕飯に期待していいか?」

婦「あらあら、それじゃあお邪魔虫は退散しましょうかしら」ニヤニヤ

女「し、主婦さんっ!」

上「明日も休んでいいが週明けまでには治しておけよ」

男「分かりました」
305 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 20:37:33.83 ID:es8L9KPDO
女「……何よ、せっかく私が渡してあげようと思ったのに」

男「ああいうのはちゃんと本人が返さないといけないだろ?」

女「確かにそうだけど……」

男「ところで夕飯の準備は出来てるのか?」

女「勿論よ!私を誰だと思ってるの?」

男「ドジっ子幽霊幽子ちゃん」

女「誰がドジっ子で幽子ちゃんよ!」

男「女」

女「漢字一文字で終わらせるな!」

男「お腹空いた」

女「こ、この……!」

男「ほら、やっぱり二人でいた方が楽しいだろ?」

女「うん……け、結構楽しいわよ」

男「ツンデレ幽霊幽奈ちゃん?」

女「だから変な名前つけないでよ!?」

男「ツッコミ幽霊幽香ちゃん?」

女「あーもう……好きに呼べばいいじゃない」

男「女ちゃん」

女「そ、それは駄目!」ドキドキ
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/27(木) 21:29:49.63 ID:LOdo+Wpyo
ちょっと可愛い女の子の幽霊探してくる
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2011/10/27(木) 22:17:36.79 ID:drC0jHrQ0
>>306
呼んだ?
308 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 22:31:52.13 ID:es8L9KPDO
男(やばい……やることがない休日とか自分史上最高DAYだな)

男(ほとんどのことは昨日と一昨日でやっちまったし……)

男(仕方ない。またホラー映画でも見て女を怖がらせようか)

女「ねえ男ー。見て見てー」フワフワ

男「ん?……って、生首気持ち悪っ!」

女「ちょっと、私に向かって気持ち悪いって酷くない?」

男「ちょ、おい!そ、その状態で近付くなよ!」

女「あ、ごめんごめん」スウッ

男「それで何やってたんだ?」

女「頑張って霊体と実体になる練習をしてたらね、偶然習得したのよ」

男(さて……どこからツッコミを入れようか)



女「――――というわけ」

男「へえ」

女「もっと驚かないの?」

男「……例えば手首だけ実体にすることは出来るのか?」

女「やってみるね」スウッ

男「おお……本当に手首だけが実体してるのか……」スリスリ

男「これは凄いな!」

女『でしょでしょ!』

男「ぐっ、久しぶりに脳内へ直接声が響き渡る攻撃が……!」

女「わ、忘れてた」スウッ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/27(木) 22:43:00.90 ID:LOdo+Wpyo
>>307
ちょっと実体化して家まで来てメイド服着てご奉仕してくれ
310 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 22:43:04.19 ID:es8L9KPDO
男「でも使い道が無いな」

女「か、考えれば一つや二つくらいあるわよ」

男「……うーん」

女「……えーと」

男「あ」

女「な、何か思い付いた!?」

男「実体になるための消費カロリーを抑えられるとか?」

女「……ごめん。これ全身を実体にする時より多く消費するみたい」

男「全然使えねーじゃん!」

女「う、うるさいわね!」



男「……お、これなら行けそうだな」

女「教えなさいよ」

男「何で上から目線なんだよ」

女「いいから早く」

男「ったく…………例えばこのマンションで火事が発生したとしよう」

女「犯人を怖がらせて捕まえるのね!」

男「違うから最後までちゃんと聞け」ゴツッ

女「痛っ……はい」シュン

男「それで上の階の人達が逃げ遅れた場合は、一旦霊体になって浮遊するだろ?」

女「ふむふむ」

男「助けたい人を見付けたら腕とかその辺を実体化させて抱え、あとはエレベーターみたいにその人を……」

女「そんな手があるのね」

男「でもこれは使用禁止だ」

女「どうして?」

男「お前に無理はして欲しくないからな」

女「お、男……」カアッ
311 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/27(木) 22:44:39.50 ID:es8L9KPDO
男「もしかして服だけ残して霊体に――は、さすがに無理か」

女「ふふんっ、今の私に出来ないことは無いわ!」スウッ

パサッ

男「……本当にやるとか馬鹿だろ」

女『な、何でよ』

男「じゃあもう元に戻っていいぞ」

女『分かっ……た』

男「どうしたー?」ニヤニヤ

女『こ、こうなるって知ってたなら教えなさいよー!』

男「普通気付くだろ」

女『……あ!あの技使えば裸を見られないし服だって取れるじゃない』

男「技なんだ」

女『それも必殺技よ』

男「ふっ、だがお前の服は俺が死守してやるぜ!」ガシッ

女『こ、こら!離しなさいよ!』グイッ

男「断る」

女『はーなーせー!!』

男「み、耳がっ!……というか脳がっ!」ゴロゴロ

女『ははんっ、ざまあみなさい』

男「くっ……清めの塩!」パラパラ

女『ちょっと、掃除するの私なんだからね!?』

男「効かんのかい!」



男「……せっかくの休日なのに俺達は何やってんだろうな」

女「全くもってその通りね……」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/27(木) 23:42:48.72 ID:DVuQjsmD0
再開してたことを今更気付いた
超絶支援!!
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 23:58:42.82 ID:vd7TWcqZ0
清めの塩ワロタwwww
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 13:25:16.34 ID:9J7nrYDIo
ニヤニヤできるスレ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/28(金) 17:31:19.79 ID:TuHCDDbQ0
>>309
今ちょっと予約が立て込んでて・・・・
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/28(金) 17:33:10.13 ID:a83qvikVo
>>315
どのくらい先になりますか?
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/28(金) 21:44:39.12 ID:TuHCDDbQ0
>>316
とりあえず下半身が実体化してからかな

あ、ご奉仕の内容が限られてきちゃうか///
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/28(金) 22:58:26.75 ID:a83qvikVo
>>317
ふぅ…
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/29(土) 11:06:07.19 ID:a4cDsu1u0
>>318

早いわ

そんなんで私のご奉仕に耐えら(ry
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/29(土) 15:46:00.66 ID:a4cDsu1u0
>>318
早すぎワロタ

そんなんじゃ私のご奉仕に耐えら(ry
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/29(土) 18:16:34.80 ID:a4cDsu1u0
うっほう
恥ずかしす↑
322 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/10/31(月) 19:57:07.22 ID:84FFwNsDO
こんばんは

更新が不規則ですが読んでいただければ幸いです

それでは本日分を始めます
323 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 19:59:08.21 ID:84FFwNsDO



男「お先ーっす」

上「まあ待ちたまえ」

男「はい?」

上「まさか忘れてはいないと思うが……」

男「え、ええと……何がでしょうか?」

上「前に映画を見に行くと約束をしただろう?」

男「『七つまでは〜』ってやつですか?」

上「そうだ。何でも公開日はまだ先だそうじゃないか」

男「あ、あれ?そうでしたっけ?」

上「まさか知らないで誘ったのか?」

男「いや、そういうわけじゃ……」

上「よって今日は飲みに行こう」

男「全然話繋がってないじゃないですか!?」

上「む?ちゃんと弁当のメモに書いてあったではないか」

男「確かにそうですが……今実行しますかね?」

上「男君の復帰祝いになるだろう?」

男「やれやれ……では喜んで行かせていただきます」

上「よしっ!」
324 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:04:02.28 ID:84FFwNsDO
同「お、俺も参加していいっすか!?」

上「貴様は駄目だ」

男「うっわ、まさかの即答とか」

同「どうして男の奴はよくて俺は駄目なんすか!?」

上「なにやら取引先の受付嬢に手を出したそうじゃないか」

男「今すぐ警察に通報しましょう」

同「違いますって!ただメアドを交換しただけで……」

上「そんなことをするための出張だったのか?ん?」

同「で、でもちゃんと取引も」

男「俺は真面目に仕事をしに行ったのに、お前って奴は……!」

上「それに比べて何だ貴様は!」

同「す、すみませんでした……」

男(まあ俺の場合は、その後に海で泳いだりしたんだけど)



上「それでどうするつもりなんだ?」

男「……食堂のおばちゃん、今頃泣いてるぜ?」ポンポン

同「お前さっきから何なんだよ」

男「というかキャラ被るから喋り方変えろ」

同「意味不明なんすけど!?」

上「とりあえず今日は大人しく帰ることだな」

同「……了解っす」

男「後日その受付嬢とおばちゃんのことについて話し合おうな?」

同「おばちゃん関係ないから!」
325 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:06:20.60 ID:84FFwNsDO
男「それで何処で飲むんですか?」

上「こっちだ」

男「もしかしてそこの常連だったりします?」

上「…………悪いか?」

男「え?」

上「誘う人がいなくて一人で飲んでたら店長に名前まで覚えられた私はそんなに悪いのか!?」

男「悪いなんて一言も言ってないじゃないですか」

上「どうせ惨めだとか思っているんだろう……?」グスッ

男「お、思ってないですから大丈夫ですよ!」

上「口先だけでは何とでも――」

男「だったら俺も常連になります」

上「……い、今何と?」

男「上司さんが奢ってくれのであれば毎日行きますよ」

上「そ、そんなに奢るわけないだろう!?」

男「なら出来る限りということで」

上「それならいいが……」

男(案外上司さんって可愛いんだな)

上(待てよ?カード使えば毎日行けないことも……)
326 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:27:38.80 ID:84FFwNsDO
上「その店はな、いつも私の座る席が空いてるんだ」

男「常連の特権ってやつですか?」

上「多分店長が私のために――」ガラガラ

店長「あ……いっ、いらっしゃい!」

男(店長どうしたんでしょうね)

上(私の顔に何か付いているか?)

男(いえ、特には…………何も…………)スタスタ

上(お、おい)



男「……何やってるんですか?」

女「ほ、本当に来た!?」

男「何がだよ」

婦「はろろーん男くーん」

男「どうして主婦さんまで――って、酒臭っ!?」

婦「失礼しちゃうわねー!」プンプン

上「男ー?知り合いでもいた……のか……?」

女「ちゃんと上司までいるし……」

男「だから何が」

上「お、お前達!そこは私がいつも座ってる席だぞ!?」

婦「早い者勝ちー」ヘラヘラ

長「すまんね上司さん、この人達にちゃんと席のことを伝えたんだけど……」

上「べ、別に気にしてないですから……本当に……」

男(うわぁ、確実に落ち込んでるよ)

婦「悔しかったらもっと早く来なさーい!」

男「……とりあえず女、説明を」

女「わ、分かってるわよ」
327 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:31:02.79 ID:84FFwNsDO
婦『女ちゃん女ちゃん、いいこと教えてあげよっか?』

女『いいこと?』

婦『今日ね、男君が勤めてる会社の近くの居酒屋に二人が来るのよ』

女『二人?』

婦『男君と上司ちゃんが!』

女「へえ。そういう夢でも見たんですか?」

婦「ということでれっつごー!」

女「え?ちょっと!?」



女「――みたいな?」

男「つまり主婦さんが、今日俺達がこの居酒屋に来ることを予言したと?」

女「それ以外に説明のしようがないんだけど……」

婦「ほらー、ちゃんと来たでしょー?」

男「貴女何者ですか」

女「私は遠慮したんだけど、どうしても主婦さんが一緒に行きたいって言うから……」

上「それで私達が来るまで二人で、“私の席で”飲んでいたんだな?」

女「だからさっきから謝って」

婦「さっきの上司ちゃんの顔面白かったわよー」

男「主婦さんは少しくらい反省して下さい」

婦「……今日の男君怖い」

女「あれは店長さんを無視した主婦さんが悪いですからね?」

婦「まさか女ちゃんまで男君サイドへ!?」
328 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:33:46.64 ID:84FFwNsDO
男「そういうことで今日は主婦さんに奢ってもらいましょう」

婦「えー、私財布持って来てないわよー?」

男「本当に何しにここへ来たんですか!?」

女「もし二人が来なかったら……」

上「間違いなく女が支払いをしていただろうな」

女「……主婦さんっ!」

婦「ふふふ。店長おかわり!」

長「へいっ!熱燗一丁!」



男「……駄目だ、聞いちゃいない」

女「一口飲んだだけでああなっちゃったのよ……」

上「さぞかし一人は大変だったんだろうな」

女「ごめんなさい。せっかく二人だけの予定だったのに」

上「いやいいんだ、気にしないでくれ」

男(お、何かいい雰囲気じゃね?)

女(……二人きりにさせなくてよかったわー。さすが主婦さんね)

上(……くそっ、酔い潰れた振りをして男君に家までおんぶをしてもらうつもりだったのに)

男「よきかなよきかな」ウンウン
329 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:35:00.73 ID:84FFwNsDO



男「ぷはーっ!仕事帰りの酒は一味違うなー」

女「このお店のおつまみも結構美味しいわね」

上「そうだろう?やはり私が常連になるだけあるな!」

女「普通それを自分で言う……?」

上「それより女ももっと飲んだらどうだ?」

女「わ、私はさっき飲んだばかりだから」

上「まあまあそう言わずに」

女「いや、だからいらな」

上「店長!この人におかわりよろしく」

長「はいよ!」

女「ちょっと、いらないって言ったじゃない!」

男(主婦さんに席を替わってもらってからこの調子だよ)ニヤニヤ



婦「えへへー。男君大好きだよー」ヒック

女上「なっ!?」

男「はいはいありがとうございます」

婦「えー?もっと他に言うことはないの?」

男「しゃっくりで台無しでした」

婦「……私は本気なんだよ?」ウルウル

男「すみませーん。お冷や一つ下さーい」
330 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 20:36:07.51 ID:84FFwNsDO
女「前から言ってると思いますが、旦那さんのことはどうするんですか?」

上「そういえば名前ぐらいしか聞かないな……」

婦「だから私の旦那は男君だって」

女上「は?」カチン

婦「お、男くん……?」チラッ

男「今のはあなたが悪いですから」



婦「いいもん、こうなったら既成事実を作るだけだもん!」

男「はい?」

婦「ふ……ふふふ……」ヒタヒタ

男「怖っ!ちょっ、誰か代わりに相手を――」

女「そうか……既成事実で晴れて恋人に……」ブツブツ

上「成る程……既成事実で念願の寿退社……」ブツブツ

男「お、お前らまで何言ってんだよ」

長「兄ちゃんひょっとしてハーレム作りの達人か何かかい?」

男「ハーレム作りって何ですか!?」

長「おじさんも若い頃は兄ちゃんに負けないくらい――」

婦「ふふっ……」ヒタヒタ

女上「……もしくはこういう手も……」ブツブツ

男(な、何だよこのカオスな状況は……)
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/31(月) 21:08:34.24 ID:mE0a0m860
おおおおおおおおお

いやっふー!!!

久々更新ktkr!!!!

完結まで頑張ってね!!
332 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 23:18:34.51 ID:84FFwNsDO



男「……そろそろ帰るか」

婦「えー、もう帰っちゃうのー?」

男「いや、2人があんな状態ですから」

女上「うえぇ……気持ち悪い……」

男「……ったく、ちゃんと量を考えろってんだ」

婦「私はまだ飲めるんだけどなー」

男「……どれだけ飲むつもりでいるんですか」

長「おや、お帰りですかい?」

男「とりあえず勘定だけ済そうかと」

長「毎度!21280円になりやす!」

男「え……ちょ、た、高くないですか!?」

長「いやー、まさかお隣りの人がこの店の一番高いお酒を頼むとはね!」

婦「美味しかったでーす」ニコリ

男「くそっ…………カードで!」

長「毎度あり!」

婦「ゴチになりまーす」ニヤニヤ

男(……後日その酒代だけ請求してやろうかな)
333 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 23:20:12.08 ID:84FFwNsDO
男「おお、すっかり真っ暗だなー」

婦「とりあえず2人を運ばないといけないわね」

男「それならタクシーでも呼びましょうか?」

婦「男君のお金でいいなら」ニヤニヤ

男「……歩きましょう」

婦「じゃあ上司ちゃんは私がおんぶするから」

男「おんぶって……家まで運べますか?」

婦「だって女ちゃんより胸の分が軽そうだからね」

男「成る程」



男「ほら女、おんぶするから背中に」

女「うん……」フラフラ

男「よっと」

男(……思ってたより軽いんだな)

婦「男くーん。背中に何が当たってるー?」ニヤニヤ

男「き、気にしないようにしてたんですから余計なこと言わんで下さい!」

婦「もしかして柔らかい?」ニヤニヤ

男「あーあーあー!!」
334 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/10/31(月) 23:22:51.78 ID:84FFwNsDO
婦「そうだ――ねえ男君」

男「何ですか?」

婦「星空と私、どっちが綺麗?」

男「おっと、これは超難問だ」

婦「超難問じゃなくて超簡単な質問じゃない」

男「まあ、どちらかと言えば澄み切っている星空の方ですかね」

婦「なによー!私の心は澄み切ってないって言うの?」

男「あ、分かってたんですか」

婦「むー!」

女上「うぅ……」

男「主婦さん声が大きいです」

婦「……年下のくせに生意気なんだから」ムスッ

男「嫌いになりました?なりましたよね?」

婦「ううん!もっと好きになっちゃった」

男「恥ずかしいからそういうことはあまり口に……」

婦「男君大好きー!」

男「ちょ、こんな夜遅くに何叫んでるんですか!?」

婦「これで公式な恋人同士ね」

男「別れましょう」

婦「やーだ!」

男「…………はぁ」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 21:55:46.59 ID:CwhofRQYo
>>1がんばれー

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 01:58:58.90 ID:BJaEva0DO
いいの見つけた期待
女も上司もかわいいなー
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 16:48:00.63 ID:ScPOJsOM0
これは面白い
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/04(金) 20:11:17.74 ID:VbXENsMV0
>>336
おいおいどうした主婦さんが抜けてるぞ
まったくうっかりサンだなぁはっはっは
え?わざと?ゲルバナにすんぞこら
339 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/04(金) 22:03:22.17 ID:L8TgCbpDO
こんばんは

そろそろ女の秘密とかを焦らしながら明かして行きたいと思います

では続きをどうぞ!
340 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:10:29.50 ID:L8TgCbpDO



男「やれやれ……飲み会の翌日に残業とか勘弁してほしいぜ」

男「そもそも上司さんが二日酔いのせいで――」

占い師「ちょっとそこのお兄さん」

男「……ん?空耳か?」

占「右を向きなさい」

男「うおっ!い、居たのかよ」

占「気付いて下さい……」

男「俺に何か用か?」

占「特別に無料で占って差し上げましょう」

男「急いでるんで失礼する」

占「特別に無料で占って差し上げましょう」

男「いや、だから急い」

占「特別に無料で占って差し上げましょう!」

男「はぁ……分かったよ」

占「ささっ、そちらの椅子へお掛けになって下さい」

男(何か胡散臭いけど……無料だしいっか)
341 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:13:52.45 ID:L8TgCbpDO
占「今から簡単な質問をするので正直に答えて下さいね」

男「手短に頼むぞ」

占「あなたのお名前は?」

男「田中太郎だ」

占「男……と」カキカキ

男「おいこら、田中太郎だって言っただろ」

占「性別は?」

男「見て分からないか?」

占「不明……と」カキカキ

男「男だ、男。不明って何だよ」

占「何故この占いを利用に?」

男「お前が呼び止めたんだろうが!」バンッ

占「わー!ごめんなさいごめんなさい!」

男「ったく……」

占「と、とりあえず座って下さい」

男(……ん?この声何処かで――)



占「今まで幽霊を見たことがありますか?」

男「あるっちゃあるが……それがどうした?」

占「ぶっちゃけその幽霊に見覚えがないですか?」

男「全くないな」

占「では――――今も一緒に住んでいますね?」

男「……あんた何者だ」

占「しがない占い師です」クスッ

男「しがない占い師がそんなことを知ってるとは思えないが?」

占「ふふっ、そうですか?」
342 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:17:03.67 ID:L8TgCbpDO
占「まあ、どうせ私の正体なんて近い内に分かりますから」

男「は?」

占「それよりもあなた!」ビシッ

男「な、何だよ」

占「このまま放っておくと、大変なことになりますよ」クスクス

男「……殴っていいか?」

占「こんなに可愛い女の子を殴ろうとするなんて酷いです!」

男「可愛い(笑)」

占「そ、そんな態度の人には教えないですよ!」

男「言いたいことがあるならはっきり言え」

占「まだ言えません」

男「まだ?」



女『ごめん……まだ言えないの』

幼『お姉ちゃんは“まだ”幽霊じゃないよ』



男(どいつもこいつもまだまだって……)

男「いつなら言える?」

占「来週のこの時間なら多分大丈夫かもしれません」

男「……確率低そうだな」

占「運良く会えることが出来ればいい話ですから」

男「はっ、例え風邪引いた状態でも会ってやるさ」

占「ふふ……では私はこれにて」

男「夜道気を付けろよ」

占「心配ご無用でーす!」

占(……やっぱりお姉ちゃん達の言う通り優しい人ですね)
343 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:23:03.95 ID:L8TgCbpDO
男「ただいまー」

シーン

男(……ま、寝てて当然か)

男「残業だっていう連絡を忘れてたから怒ってないといいけど……」

男(それよりも早く風呂に入って飯を)

『今日の晩御飯です』

男「さすが女!…………ん?」

『必ずレンジで温めて食べて下さい』

男「お、おいおい。カップ麺と生卵しか無いじゃん」

男「何?生卵でも温めろってか?」

男「数秒でゆで卵に――って、そんなことしたら爆ぜるわ!」

男「……一人は虚しいな」

男(とりあえず風呂にでも入るか)ガチャ



スウッ

女「全く……残業なら残業だって連絡しなさいよ」

女「これじゃ怒ろうにも怒れないじゃない……」

女「と、とにかく男が出て来るまでにご飯の支度をしないと」
344 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:27:02.99 ID:L8TgCbpDO
男「ふぅ……」

男(そういえばあれから幼女に会ってないな)

男(だけどあっちに行くには死にかけないといけないし……)

男「――うし、一か八か風呂で溺れかけてみるか」

男「大丈夫だ落ち着け俺……幼女に会ってほんの少し話をするだけじゃないか」

男(それに寝てはいるけど近くには女がいるんだ)

男「では、いざ行かんっ」


ブクブク



男『…………お?』

幼『お、お兄ちゃん!?』

男『幼女がいるってことは――成功したのか!』

幼『そ、その前に……その格好は……ちょっと……』カアッ

男『格好?…………って俺真っ裸やんけ!!』

幼『とりあえずこのシーツでも……』

男『あ、ありがとう』スッ

幼『っ!?』ビクッ

男『……』

幼『ご、ごめんねお兄ちゃん?私わざとじゃ』

男『いいんだ幼女ちゃん……今日から俺のことは裸王とか変態とでも呼ぶといいさ』
345 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:34:28.51 ID:L8TgCbpDO
幼『……』チラッ

男『ん?』

幼『と、ところで今日はどうやってここに来たの?』

男『風呂で溺れてみました』テヘッ

幼『駄目だよお兄ちゃん!』

男『へ?』

幼『故意にここへ来ると身体に戻れなくなる確率が高まっちゃうんだよ!?』

男『何……だと?』

幼『ここに来てくれるのは嬉しいんだけど、もっと自分のことを考えてくれないと……』グスッ

男『お、俺が悪かったから泣かないでくれ!』

幼『それにもしお兄ちゃんが死んじゃったらお姉ちゃんは――』

男『女……そっか、そうだよな。軽率な行動だったよ』

幼『だから今日はすぐ帰ってもらうからね?』

男『あ、ああ。だが幼女に聞きたいことがあるんだ』

幼『んーと……じゃあ一つだけだよ』

男『一つ、か』

男(もしここが誰の記憶の中なのかって聞いたら教えてもらえるのだろうか……)

幼『ごめんね。それはお兄ちゃんには教えられないの』

男『考え筒抜け!?なら括弧の種類を変える必要ないじゃん!』
346 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:46:08.09 ID:L8TgCbpDO
男『前に言ってた“まだ幽霊じゃない”の意味は』

幼『それもまだ言えないの』

男『これも駄目か……』

幼『他のことなら大丈夫かも』

男『なら女が幽霊になった原因とか』

幼『お姉ちゃんに直接聞いたら?』

男『……ごもっともで』

幼『もう戻していーい?』

男『ま、待った!……女に残された時間は?』

幼『それなら教えてもいいのかな?』

男『いいのかよ』

幼『――人の噂は75日までだけど、人の魂は何日までかな?』

男『人の魂?……何じゃそりゃ』

幼『今回は特別だからね。バイバイお兄ちゃん』

男『強制送還!?』スウッ



ブクブク

男「んぐっ!?……がはっがはっ!」

男「は、肺と鼻に水が入って……」

コンコン

女「ちょっとお風呂に入ったまま寝ないでよー?」

男「お前起きてたのか」

女「た、たまたま目が覚めただけなんだから!」

男「そんなこと聞いてないし」

女「……じゃあ私は寝るから」

男「おう。あ、心配してくれてありがとうな」

女「そ、その……ご飯あるからよかったらどうぞ」タッタッ

男「マジか!女好きだー!!」

女「こ、声が大きいわよ!?」
347 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:51:02.53 ID:L8TgCbpDO



男「……うーん……」

同「どうした?」

男(人の噂も七十五日――これはよく聞くんだがな)

男(三つ子の魂は百まで――この場合の魂は性格のことだから違うし)

男(そもそも人が死んでから百年も幽霊でいられるかどうか……)

同「おーい」

男(今のところ四十九日の可能性が一番高いけど……)

男(あれは死後四十九日の話であって、幼女が言ってた『まだ幽霊じゃない』に矛盾しちまうな)

男(それとも幽霊にも幾つか種類が――)

同「男おおぉ!」ユサユサ

男「何だよ!つか今は仕事中だろ」

同「はぁ?もう昼だぞ」

男「……ちっ」

同「何に対する舌打ちだよ!?」

男「同僚の存在?」

同「疑問形なのに凄い失礼だな」
348 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:54:23.79 ID:L8TgCbpDO
上「お、男!よかったら一緒にお昼でも」

男「いいですよ」

上「どう……え?」

男「何処かベンチ空いてますかね?」

上「と、とりあえず移動しようか」

同「…………俺はスルーみたいな?」



上(あぁ……久々に男と二人きりになれた)

男(幼女に会えれば早いんだが、故意は駄目だって言われたし……)ウーン

上(……しかし男は先程から無言か)

男(こうなったら仕方ない)

上(よし、ここは年上の私が会話をリードして)

男上「あの」

男「……あ、すみません。上司さんからどうぞ」

上「いや、私に話があるのなら先に聞こう」

男「いやいや、ここは年功序列ということで」

上「私が年寄りだとでも言いたいのか?ん?」

男「そ、そんなこと全然思ってないですから!」

上「では男から」

男「……はい」
349 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 22:58:38.10 ID:L8TgCbpDO
男(……あの作戦を試してみようか)

男「俺を思い切り殴ってくれませんかね?」

上「よし、任せ――――られるわけないだろう!?」

男「なんならレンガとかコンクリートブロックでもいいです」

上「君は私を犯罪者にしたいのか!?」

男「気を失う程度で構わないですよ」

上「私は十分構うのだが……」

男「お願いです!上司さんにしか頼めないんです!」

上「わ、私だけ……?」

男「そうです!他の人にこんなこと言いませんよ!」

上「女や主婦さんにも?」

男「あの2人は……ある意味危険なので」

上「…………分かった」

男「ありがとうございます!」

上(……何故叩く側が感謝されているのだろうか)

男(よしよし、願ったり叶ったりだ)ニヤニヤ

上(も、もしかして男君はそういう性癖が?)
350 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 23:12:02.13 ID:L8TgCbpDO
上「本当にいいのか?渾身の力を篭めて本気で叩くぞ?」

男「むしろ大歓迎です」

上「歓迎してどうする」

男「いいから早く!」

上(だが私は男を叩くなど到底――)

男「さあ、俺を全裸の同僚と思って殴って下さい!」

上「死ねっ!!」ブンッ



バチンッ!!



男「くっ……もう一丁!」

上「や、やはり私にはお前を叩くなど無理だ」

男「あとちょっとで行けそうなんです!」

上「イけそうって……お前は変態か!!」ブンッ



バチンッ!!!



男「ぐっ……やはり上司さんの力じゃ無理だな」

上「も、もう満足したか?これ以上は私の良心が許さないぞ」

男(まさか失敗するとは……結局殴られ損かよ)ヒリヒリ
351 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 23:14:07.96 ID:L8TgCbpDO
男「それで上司さんの話っていうのは?」

上「え?あ……い、家ではいつもああなのか?」

男「“ああ”って?」

上「ほ、ほら!女に叩いてもらったり……とか」

男「あー、あれ(ツッコミ)ですか?」

上「うむ」

男「いつも(ツッコミを)するのは女なんですが、たまに逆だったりしますよ」

上「逆!?」

男「どうしようもないこと(ボケ)をした時は容赦なく(ツッコミを)してますね」

上「そ、それは駄目だろ!?女子に暴力など……」

男「大丈夫です。あいつ痛がってませんし」

上「既にベテランの領域にいるのか!?」

男「ベテランというよりかは日常茶飯事行ってるんですよ」

上「もっと駄目ではないか!」

男「そうしないと学習しないじゃないですか」

上「スパルタ教育!?」

男「おお……さっきからツッコミが冴えてますね」

上「……私は今日から人間を見る目が変わりそうだよ」
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 23:34:36.08 ID:ChhqeIp5o
イイネ
353 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/04(金) 23:44:05.28 ID:L8TgCbpDO



女「ご飯の用意出来たけど……」

男「はいよ」

女「そ、そのほっぺたどうしたの?」

男「これか?」

女「ちょっと、真っ赤に腫れてるじゃない!」

男「これは……あれだ」

女「どれよ」

男「愚かなる者の勲章だ」

女「どうせまた変なことでもしたんでしょ?」

男「変?俺は変態でも裸王でもねえよ」

女「誰もそんなこと聞いてないわよ」



男「――なあ、幾つか質問があるんだが」モグモグ

女「今更?……というか食べ終わってからにしなさいよ」

男「お前って何でゆうっぶほっ!げほっごほっ!」

女「きゃっ!?な、何すんのよ!汚いじゃない!」

男「き、汚い……」ガーン

女「あ、いや、違――わなくもないけど」

男「せめて否定くらいはしてくれ!」

女「あーもう!さっきから何なのよ!」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/07(月) 23:45:26.61 ID:cH7OYFkZ0
女可愛い
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 12:36:39.18 ID:0ingxNpN0
まだかな
356 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/10(木) 00:26:09.31 ID:Mh7XNHWDO
こんばんは

危うく一週間空きそうになりましたが、前回更新の続きを投下します
357 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:28:38.78 ID:Mh7XNHWDO
男「そもそも何で女は幽霊になったんだ?」

女「何でって言われても……」

男「一応お前には黙秘権があるから無理に言わなくてもいいぞ」

女「だったら黙秘する」

男「ちなみに3回までだからあと2回な」

女「……何その自分ルール」

男「んじゃ次は――」

女「も、もし3回使っちゃったら?」

男「んー、そうだな……またメイド服でも着てもらおうか」

女「絶対に嫌っ!」

男「素直に答えてくれたら俺が着てやるよ」

女「誰得!?」

男「分かった分かった。ならこうしよう」

女「どうするの?」

男「俺が質問したら次は女が俺に質問をする」

女「それならいいけど……まだ不公平じゃない?」

男「俺もパスは3回までにしておくから」

女「仮に男が全部使い切ったら?」

男「同じ条件として俺がメイド服を着よう」

女「だから誰得なのよ!」
358 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:31:48.64 ID:Mh7XNHWDO
男「ほら、何でも質問していいぞ?」

女「何でもって言われても……」

男「まあ俺はパスなんて使わなくても」

女「あ、さっきも聞いたけどそのほっぺたはどうしたの?」

男「…………次俺の番な」

女「何でも質問していいって言ったじゃない!」

男「パスはパスだ。深く追求するのはやめてもらおうか」

女「くっ……ここぞとばかりにルールを持ち出すのね」

男「不服なら明日にでもメイド服を」

女「誰が着るもんですか!」



男「んーと、女が俺の所に来た理由は?」

女「え?」

男「普通は『うらめしやー』の所を『死にさらせ!』って言って現れただろ?」

女「あれは……そう!たまたまあんたの部屋が目に留まって」

男「嘘だな」

女「ど、どうして嘘だって言い切れるのよ」

男「自覚してないと思うけどお前は嘘をつく時に特殊な癖があるから」

女「ど、どんな?」

男「……右目と左目が入れ代わる」

女「怖っ!?というか絶対にありえないし!」
359 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:33:58.01 ID:Mh7XNHWDO
女「次は私ね」

男「ん?俺のスリーサイズか?」

女「知りたくもないから」

男「ですよねー……」

女「男はいつから一人暮らしをしてるの?」

男「いつから、か……これは意外な質問だな」

女「勿論パスをしてくれても構わないわ」

男「いや、別に隠す必要は無いから教えるよ」

女「うん」

男「――あれは俺がまだよちよち歩きを」

女「と、とりあえず結論だけでいいから」

男「高校生の時からだ」

女「私に会うまで?」

男「そうなるな」

女(……男はずっと一人だったんだ)

男「あ、2回質問したよな?よな?」

女「し、してない」

男「だから目が入れ代わってるから分かるって」

女「いつまでそのネタを引っ張るつもりなのよ!」
360 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:35:38.37 ID:Mh7XNHWDO
男「得意料理は?」

女「作ろうと思えば何でも作れるわね」

男「確かに女が作る料理は全部美味いな」

女「……私が来る前は何を食べてたの?」

男「毎日がコンビニ弁当とカップ麺のオンパレードだった」

女「うわぁ……」

男「だからこれからもよろしく頼むぞ」

女「はいはい」



男「それにしてもパス1からお互いに進展がないな……」

女「難易度上げていい?」

男「はっ、難易度なぞ俺には無関係」

女「昔主婦さんとの間に何があったの?」

男「……特に何も」

女「答えになってないわよ」

男「い、いや、本当に何も」

女「前から思ってたんだけど、近所に住んでるからってだけであんなに仲がいいものなのかしら?」

男「……パス!!」

女(逃げたわね)チッ

男(どう説明しても誤解されるのがオチだしな)
361 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:39:52.28 ID:Mh7XNHWDO
男「こ、こうなったら女が今までに付き合ってた人とか」

女「いるわけないじゃない」

男「即答かよ……」

女「そういう男は今までに何人の人と付き合ってたの?」

男「ゼロ」

女「……そうなんだ」ホッ

男「ちなみに俺は自分が可愛いと思った人としか付き合わない」

女「へ、へぇ……ふーん」

男「どうした?」

女「…………別に」

男「はい次俺ー」





チュンチュン

男「――――これならどうだ」

女「その答えは『いいえ』ね」

男「くそっ……」

女「ねえ、もう朝なんだけど……」

男「お前がメイド服を着るまで俺は諦めない」

女「じゃあ男の初恋の人は?」

男「…………おいおい、俺のメイド服姿なんて見たくないだろ?」

女「え?パスなの?何で?」

男「パスというか黙秘なんだが」

女「言えない理由とかあるの?」

男「だったらお前はどうなんだよ」

女「私は――って、男が3回パスした時点で質問タイムは終了でしょ?」

男「その通りでございます……」

女「それにただメイド服着るだけじゃつまらないから着たまま町内一周しなさいよ」

男「……いきなりハードルが高くなったな」
362 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:43:14.45 ID:Mh7XNHWDO



男「ちょっとスネークしてくる」

女「……すねーく?」

男「とある人の正体を暴きに行くんだよ」

女「せっかくの休みの日なのに?」

男「その人は休みじゃないかもしれないんだ」

女「それって所謂ストーカーじゃ――」

男「お黙りなさい」ガシッ

女「んーんー!」バシバシ

男「じゃあ行こうかー!」

女「んーっ!?」



女「……何で私まで行かなきゃいけないのよ」

男「たまには外出がてら遠くへ散歩もしないとな」

女「こんな日差しが強い日に?」

男「……し、しかし暑いなー」

女「だったらアイス買ってきてよ」

男「だったらの意味が分からん」

女「私は無理矢理連れて来られたの!」

男「でもお前は暑さや寒さを感じないんだろ?」

女「あ、あれは……偽情報よ」

男「今更設定変更するな」

女「とにかくアイスを買ってくれないと一緒に行かないからね!」

男「ったく……ほれ」

女「英世?」

男「ガツンとみかんをよろしく」

女「私はパシリか!」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 00:44:16.38 ID:tL9RHP6SO
>右目と左目が入れ代わる

こええよwwwwww
364 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:47:22.02 ID:Mh7XNHWDO
女「それでさっきの“とある人”っていうのは?」

男「占い師だ」

女「今時?……どうせおじさんとかが扮して」

男「いや、声からして若い女の人だったな」

女「ふーん。若い女ねぇ」ニヤリ

男「……笑顔怖いですよ女さん」

女「何を占ってもらったのかしら?」

男「占いというか何というか……」

女「ま、まさか私に言えないような変態なことを」

男「全く違うから俺の変態というイメージを払拭してくれ」

女「だったら何よ」

男「まあ、手相を見てもらったりとかそんな感じだ」

女「手相かぁ……私もやってみたいなー」

男(本当にやってもらえるかどうかは知らないが……)

男(今は占い師が女=幽霊だって知っていることは隠しておくべきだな)
365 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:48:57.75 ID:Mh7XNHWDO
男「……確かこの辺りだったような」キョロキョロ

女「覚えてないの?」

男「聞いたことのある声だったってことは覚えてるぞ」

女「え……?」

男「何その『うっわ、この人正真正銘のストーカーだ』っていう目は」

女「分かった?」

男「はぁ……女も聞いてみればそう思うはずだって」

女「うっわ、この人正真正銘のストーカーだ、って?」

男「それじゃねえよ」



占「また来て下さいね」

女子高生「ありがとうございました!」

占「それでは次の方どうぞー」



女「もしかしてあの人?」

男「そのようだ」

女「ようだって……」

男「俺が占ってもらったのは夜だったから、はっきりと姿を見たわけじゃないんだよ」

女「そうなの?」

男「ああ……それにしても凄い行列だな」

女「看板に書いてあるけど無料だからじゃない?」

男(……俺だけ特別ってわけじゃなかったのか)

女「とりあえず並びましょ?」

男「いや、ここは人が少なくなるまで離れて様子見だ」

女「えー」
366 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:51:41.82 ID:Mh7XNHWDO
占「次の方どうぞー」

泥棒「……」

占「どうぞ?」

泥「いただき!」ダッ

占「あ、私の水晶!」

泥「へっへっ、さらば!」

占「か、返して下さーい!」



ザワ……ザワ……

男「何やら騒がしいな」

女「何かあったのかしら?」

泥「どけどけ!」タッタッ

男「ん?誰か走ってくるぞ」

占「その人水晶泥棒ですー!捕まえて下さーい!」

女「水晶泥棒って……行きなさい男!」

男「飼い主みたいに命令すんな」

女「ほら、近付いて来たわよ!」

男「ぼ、僕には捕まえるなんて無理だよぉ」オロオロ

女「変なキャラ演じてる暇があるなら立ち向かいなさい!」ドンッ

男「こら、いきなりは危ないって――」ズサッ

泥「……誰だてめえは?」

男「まあまあ、少し付き合って下さいな」

泥「は?」

女「男!そこで体当たりよっ!」

男「水晶はどうなってもいいのか!?」
367 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:53:47.80 ID:Mh7XNHWDO
泥「怪我したくなかったらそこを退きな!」

男「だとさ」

女「じ、自分で何とかしなさいよね!」

男「放棄するの早いな!?」

女「じゃあ突進!」

男「だから水晶はお構いなしかよって……」

泥「……さっきから誰と話してるんだ?」

男「あん?誰ってそりゃそこに居る――」

泥「そこ?」

男(もしかして女が見えていないのか?)

女「何ぼさっとしてるのよー!」

男「え?」

泥「おっと、よそ見させて隙を作ろうとしたようだがそうは行かないぜ!」

男「あ、悪い。お前のことすっかり忘れてたわ」

泥「……くそがっ!」チャキ

女「な、ナイフ!?」

男「オーケーオーケー。ひとまず落ち着こうぜ」

泥「うるせえ!そこを退かないとこいつを刺すぞ!」

男「自分に?」

泥「我が人生に悔いは――って、お前にだよ馬鹿野郎!」

男(こいつノリいいな)
368 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:56:08.32 ID:Mh7XNHWDO
男(さすがに素手にナイフは厳しいな……)

男(ここは安全策としてネネゴシエーションでもしてみるか)

男「……ふう」

泥「大人しく退く気になったか?」

男「交渉をしよう」

泥「何?」

男「水晶とナイフ、両方を俺に渡すんだ」

泥「交渉どころかジャイアニズムじゃねえか!」

男「まあ待ちたまえ。もし渡してくれたら1日3食は勿論、寝る所も用意しよう」

女「ちょ、男!?何言って」

泥「ほう。それは本当だろうな?」

男「約束は必ず守る」

泥「……ちなみに場所は?」

男「ここからじゃ少し遠い所にある」

泥「建物の名前は?」

男「刑務所だ」

泥「だと思ったよ!!」

男「しまった、つい口が!?」

女「あんた馬鹿でしょ……」

泥「死ね!!」ブンッ

女「逃げて男っ!!」

男「ちっ――」
369 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:57:52.52 ID:Mh7XNHWDO
婦警「そこまでよ」ジャキ

泥「警察……だと!?」

警「武器を捨てて両手を上げなさい」

泥「まさかあの男――くそっ!」ブンッ

警「ばーん!」

泥「ぎゃああぁ!?」ドサッ

男女「……え?」

泥「ほ、本当に撃ちやがっ……て?」

男女「……ふふっ」

泥「今すぐ殺してくれ……」

警「はい現行犯逮捕っと」



占「お姉ちゃん遅ーい!」

警「仕方ないでしょ?警察官だって暇じゃないのよ」

占「いつもそう言ってるじゃん」

警「まあまあ、占い師ちゃんが無事でよかったわ」

占「あの人達のおかげだよ!」

男女「どうも」

男「……って、お前何もしてないだろ」

女「あ、あれは私の的確な指示があったから」

男「体当たりと突進がか?お?」

女「……ごめんなさい」

警「あら、あなた達は?」

男女「初めまし……………え?」

占「あ」

男「よ、よう」
370 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/10(木) 00:59:10.69 ID:Mh7XNHWDO
警「――というわけ」

男「え、えーと……?」

女「つまりこうね」

女「長女 婦警さん、次女 看護婦さん、三女 受付さん、四女 従業員さん、五女 店員さん、六女 占い師さん」

警「はい正解」

男「……通りで占い師の声に聞き覚えがあったってわけだ」

女「それにしてもこの順番って――」

男「一部を除いて出会った日付が近い順だな」

女「それもあるけど……」チラッ

占「ん?」

男「あー、学歴というか働き先が偉い順でもあるな」

占「な、何だとー!」

女「……わざわざ口に出さなくてもいいのに」

警「よく分かりましたね」

占「お姉ちゃんまで!?」

警「だって本当のことでしょ?」

占「う、うぅ……」
371 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/10(木) 01:00:20.31 ID:Mh7XNHWDO
本日分はここまでです

おやすみなさい
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/10(木) 03:05:51.47 ID:ZHlMR8uEo
おつ

>違いますよ?
本当に違ってたんだw
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/10(木) 23:35:51.01 ID:yfjcNPVAO

ポケモンのジョーイさんを思い出した
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 00:13:09.42 ID:jJ5mLgV4o
おつ
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 00:17:49.65 ID:bQ2b4VjD0
おつー
段々面白くなっているな
376 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/11(金) 01:42:47.39 ID:ezY9X1RDO
こんばんはです

早速続きをどうぞ
377 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 01:53:39.08 ID:ezY9X1RDO
警察官「婦警さん、そろそろ戻らないと警部に……」

警「もうそんな時間?」

男「待って下さい!何故あなた達は俺達の前に――」

警「あ、そのことなら占い師ちゃんに聞いておいてね」

占「私?」

女「でも……」

警「大丈夫よ。私達はあなたの“味方”だから」

男「いや、警察官が市民の味方なのは当たり前かと」

警「ふふっ、それじゃあまた会いましょう」

男「……これも聞けってか?」



占「えっと……水晶泥棒を捕まえていただきありがとうございました」

男「捕まえたのは婦警さんだろ?」

占「それでもあなたのおかげでお姉ちゃんが捕まえることに成功しました」

女「あの無駄話が時間稼ぎに繋がったみたいね」

男「無駄話じゃなくてネゴシエーションな」

占「それにあの水晶は特別な物で……」

男「いやまあ、皆は怪我無し水晶は傷無しで良かったじゃん」

占「は、はい!」

女「それとあなた達が姉妹だったことに一安心だわ」

男「……もし全員が同一人物だったら恐ろしいことになってたな」

占「そんなに私達って似てますか?」

男「ああ、顔とか声とかが似過ぎだ」

女「今度6人が揃っているところを見てみたいわね」

男「おおう……想像したら鳥肌が立った」ブルブル
378 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 01:56:06.91 ID:ezY9X1RDO
女「それはさておき――」

男「とりあえず俺達に説明してもらおうか」

占「説明と言われても何から説明すればいいのやら……」

女「立ち話するくらいなら近くの喫茶店にでも行きましょ?」

占「分かりました」

男(……何やら嫌な予感が)



女「アーモンドショコラと苺ショートケーキパフェを一つ」

男「うわ……凄い甘そうなんだけど」

女「ほら、占い師ちゃんも遠慮せず注文していいわよ」

占「わ、私あまりお金を持っていないので……」

女「男が奢ってくれるから心配いらないわ!」

男「せめて本人に確認してから言えや」

占「じゃあこのミルクティーアップルパイとワッフルベリーパフェを下さい」

男「しかも1000円越えのとか容赦無いな!」

バイト「かしこまりました。それでは少々」

男「そして俺は無視かよ!」

バ「そちらのお客様は?」

男「あ、コーヒー一つ……」
379 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 02:01:00.10 ID:ezY9X1RDO
占「まずはあなたのことについてお話ししますね」

女「私?」

男「ちょ、ちょっと待った」

占「はい?」

男(……おいおい。いきなり本題か?)

占(何も隠す必要は無いでしょう?)

男(しかしだな……)

占「女さん、あなたは幽霊ですね?」

男「ストレート過ぎるだろ!」

女「な、ななな何のことかしら?」

男「女は女で動揺隠し切れてないし!」

占「そこでこの水晶の出番です」

女「そ、それで私に何をするつもりなの……?」

占「男さん、これを手の上に置いて下さい」

男「分かった」

占「――それでは女さんは何処に居ますか?」

男「何処って目の前に…………あれ?」

女「どうしたの?」

男「女ー?」

女「無視するなー!」

占「女さんが『無視するなー!』と言ってますよ」

男「あいつ喋ってるのか!?」

女「……もしかして私が見えてないの?」

占「声も聞こえていないはずです」

男「確かさっきまでこの辺に――」ソー

ムニッ

女「ひゃっ!?ど、何処触ってんのよ!!」バチン!

男「痛いっ!?……え?何で俺は叩かれたわけ?」

占「ご、ご愁傷様です」
380 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 02:04:18.77 ID:ezY9X1RDO
男「何がどうなってるんだ?」

占「簡単に言うと人間と幽霊を見分ける道具です」

女「そんな物が……」

占「いくら実体化している幽霊でもこれを持っている間は不可視となります」

男「……つまり?」

占「成仏出来てない幽霊達を成仏させることが出来ます」

男「もしかして水晶に向かって念じたりするのか?」

占「いえ、あくまで見分けるだけの道具なので後はほとんどお姉ちゃん達がやってくれます」

女「わ、私も狙われてるの?」

占「そのつもりでした」

男「はっ!悪いが女を成仏させようってんならそうは行かないぜ?」

女「男……っ!」

占「ま、待って下さい。私は『そのつもりでした』と言いましたよ?」

男「でしたって……何故に過去形?」

占「説明ばかりで申し訳ないのですが、私達姉妹のことについても教えます」

男「頼む」
381 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 02:06:28.10 ID:ezY9X1RDO
占「私達姉妹はこの町の神社に住んでいる巫女です」

男女「巫女?」

占「占いもそうですが主に幽霊退治を請け負っています」

男「でも警察官のお姉さんがいたよな?あの人は特別なのか?」

占「それは私が姉妹の中で一番霊感が強いからです」

男「霊感ときたか」

女「何か困ることとか無いの?」

占「やっぱり“見え過ぎ”には困りますね……」

女「分かる!分かるよその気持ち!」

占「まさか女さんも?」

女「……幽霊だからってたまに同族の人に声掛けられるのよ」

男「苦手なのに?」

女「そ、そんなの無視してるわよ」

男(幽霊なりに苦労もあるんだな)



占「それでお姉ちゃん達は霊感が弱いのでこの水晶のかけらを渡しているのですが……」

男「ほう」

占「私の一つ上のお姉ちゃん――店員さんを覚えていますか?」

女「一番最初に会った人?」

男「成る程……つまり店員さんが初めに女の正体に気付いたわけか」

占「その通りです」

女「でも姿が見えなくなるのなら気付くも何も」

占「所詮かけらなので完全に見えなくなるわけではないのですよ」
382 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/11(金) 02:08:25.79 ID:ezY9X1RDO
占「いくら元人間とは言え長い時間幽霊で居続けると、自我を忘れて人々を襲う悪霊となりますからね」

占「だから女さんも――」

男「お、その苺食べないのなら貰うぞ」ヒョイ

女「あー!!後で食べようと残しておいたのに何するのよっ!」

男「さっさと食わん方が悪い」

女「返しなさいー!」ユサユサ

男「返してもいいが……ほれ」ベー

女「そんなのいるか!」バシッ

男「うぐっ!?…………あ、悪霊はこんなイメージでいいのか?」

占「全然違います」

女「こうなったらもう一個頼むだけだもん」

男「さすがにもう食べれないだろ?」

女「すみませーん!」

男「ちょっ、ばっ、これ以上はやめてくれ!」

占(ふふっ……こんなに面白い幽霊さんは初めてです)

占(それに男さんとも上手くやっているようですし……)

占(そう、まるでまだ生きているような――)
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 07:34:35.96 ID:2tQdrb9SO
きてたか
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/16(水) 07:41:57.58 ID:mIVqDkcx0
寝る前に読んだらもうこんな時間かよ…
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/16(水) 18:25:30.32 ID:F8jvvRc70
>>384
何時から読んだんだお前
386 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/17(木) 01:04:18.74 ID:wUBATUEDO
バ「お待たせ致しました」

女「待ってました!」

男「……注文やめろ言うたやん」

占「あの……やっぱり私の分は自分で」

男「いやいや、俺が払うからいいよ」

占「あ、ありがとうございます」

男(それにしても今月は特に出費が……来月からは節約しないとな)



女「それで私を成仏させない理由は?」モグモグ

占「幼女ちゃん――と言えば分かりますよね?」

女「……あの海の町の子ね」

占「先程も伝えた通り幽霊は存在するだけで私達に悪影響を及ぼします」

男「当然良い奴もいるんだよな?」

占「いえ、女さんに会うまで一人もいませんでしたね」

男「何と……」

女「私は良い幽霊なの?」

占「少なくとも幼女ちゃんの未練を無くしたり、悪霊のお婆さんを消滅させたりした女さんは悪い幽霊ではないです」

女「ど、どうしてそのことを?」

占「受付お姉ちゃんと従業員お姉ちゃんがいたからじゃないですか」

女「あー、それは納得ね」

男(待ちなよ女さん……悪霊の婆さんとの出来事は海の中だぜ?)

男(どうやって二人が知ったのか疑問に思わないのかよ)
387 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/17(木) 01:08:19.46 ID:wUBATUEDO
占「それで……その」チラッ

男「もしかして俺が聞いちゃまずい話か?」

占「出来れば聞かない方がよろしいかと」

女「つまり邪魔ってことよ」

男「邪魔ときたか…………この生クリーム貰い!」ペロッ

女「あ、こらっ!」

男「ちょっと外の空気吸ってくる」タッタッ

女「全くもう……」

占「男さんって面白い方ですね」

女「ただの世話の焼ける子供みたいじゃない?」ニヤリ

占「だからこそ話しておかなければいけないです」

女「……分かったわ」



占「女さんは自分が幽霊になってから何日経ったかを覚えていますか?」

女「んーと……明後日でちょうど四週間ね」

占「四週間ということは、残り――」

女「いいの!」

占「え?」

女「例え私があと何日で消えちゃうとしてもそれでいいの」

占「でも男さんに……」

女「それに霊感の強いあなたなら気付いているはずでしょ?」

占「ほ、本当にそのようなことが!?」

女「ええそうよ。本人が認めるんだから間違いないわ」

占「そんな……まさか……」

女「あなたの思う通り、私はまだ――――」










男「しまったなー……テーブルの上に財布を忘れてしもうた」

男「面倒臭いが取りに戻りますかっと」
388 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/17(木) 01:17:01.32 ID:wUBATUEDO



女「まあ私の場合は死んでるも同然なんだけどね」

占「……男さんにそのことは?」

女「言うわけないじゃない」

占「だったら今すぐにでも伝えましょう」

女「駄目よ!」グイッ

占「お、女さん?」

女「もし男がこのことを知ったら、私は――」



男「わっすれーもの、忘れ物…………うおっ!?」

女占「あ」

男「え、ちょっ、お前達そんな趣味が……」

占「わあっ!?こ、これは違うんです!」バッ

女「そ、そうよ!全部あんたの誤解なんだから!」

男「いや、二人のその必死さは何なんだよ」

女「それよりもあんたこそ何しに――――ま、まさか盗み聞きでもしてたの!?」

男「財布を取りに来ただけなんだが」

占「……どうやら嘘ではないようです」

男「霊感が強いと嘘発見機的な能力もあるのか?」

女「それじゃあ男が戻って来たことだし、そろそろ帰りましょうか」

占「はい」

男「待っ……お、おいっ!?」
389 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/17(木) 01:26:26.14 ID:wUBATUEDO
これでようやく六姉妹の秘密篇は終了です

まさか話の中の一日に17レスも消費してしまうとは……Oh


それではおやすみなさい
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/17(木) 01:31:38.14 ID:KnzxpSxEo

おやすみなさい
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:35:07.79 ID:+FBgKUfro
おつかれ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) :2011/11/17(木) 05:39:15.59 ID:7gRH+32I0
早く続きを・・・続きを頼む!
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/17(木) 08:10:39.41 ID:Tdc4/ZbAO
男「わわわ忘れ物〜♪」
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/11/17(木) 21:40:44.40 ID:u07DbF1go
アカギなんてたった一晩の対戦に何年かかっていることか……
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/18(金) 22:40:52.00 ID:XjicCB3E0
キャプテン翼なんかシュートのために飛び上がったまんま

何週間も放置
396 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/18(金) 23:20:00.46 ID:J12WbEwDO
こんばんは

世の中にはある意味凄い漫画があるのですね……

それでは本日分をどうぞ
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/18(金) 23:21:06.70 ID:RHZM2QhAO
期待待機
398 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:21:10.90 ID:J12WbEwDO
占『一応あなたにもかけらを渡しておきます』

男『ありがとさん』

占『もし幽霊などを見付けた場合は婦警お姉ちゃんに連絡して下さい』

男『110に掛ければいいのか?』

占『あ、そうでした…………こちらが私達姉妹の連絡先です』スッ

男『じゃあ何かあったら連絡するわ』

占『よろしくお願いします』



男「――とまあ、6人全員の連絡先を教えてもらったのはいいが……」

男「自分のは教えていないはずだったけどな」



警『不審者に注意したまえ』

看『体調管理には十分気を付けて下さいね』

受『新しい機種が出ましたので女さんと一緒に変えてみてはいかがでしょうか』

従『お二人で旅行の際には是非我が旅館をご利用下さい』

店『只今カップル割実施中です』

占『……ごめんなさい』



男「――とりあえず占い師の仕業ということは分かった」

男「女と二人になった時に教えてもらったのを聞かれたんだろう」

男「別にそれは構わないし、むしろ婦警さんと看護婦さんの気遣いに感動した」

男「……だけど何なんだよ一部メールは」

男「くそっ、嫌でも受付と従業員と店員のニヤニヤした顔が思い浮かぶぜ」
399 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:25:14.23 ID:J12WbEwDO
男「それにしてもこの水晶のかけらは凄いなー」

男「実体化している女を半透明にしたり、完全に霊体になっている場合も半透明にしてしまう」

女(……さっきから男はぶつぶつと何を言ってるのかしら?)

男「はっ!そうか!そうだったのか!」

男「これで着替えとかも――」

女「粉々にしていい?」

男「すみませんそれだけは勘弁して下さい」

ピンポーン

女「あら、誰かしら?」

男「休日だってのに珍しいな」

ピンポーン

女「はーい、どちら様ですか」ガチャ

女「…………あれ?」

男「ピンポンダッシュか?」

女「うーん……そうなのかな?」

婦「ピンポンダッシュと思いました?……残念!主婦さんでしたー」ヌッ

男女「うわっ!?」ビクッ

婦「お邪魔しまーす」ニコニコ

男「ちょっ、今何処から現れて」

婦「女ちゃんの後ろよ」

女「わ、私がドアを開けた時は居なかったですよね?」

婦「ちゃんとそこに居たじゃないー」

女「え?……あれ?」
400 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:30:07.94 ID:J12WbEwDO
男(そういえば主婦さんはいつも突然現れたりするんだよな……)

男(も、もしかして主婦さんも幽霊なんじゃ)バクバク

婦「?」

男(今こそ水晶を使う時――!)ゴクッ



男「なっ!?……いない……だと?」

男(ということは女と同じで幽)

婦「何それー?」

男「うひょっ!?」

婦「どうしたの?」

男「い、いきなり後ろから声を掛けないで下さいよ!」

婦「だって男君が急に黙り込むんだもん」

男「あ……す、すみませんでした」

男(はっきり姿が見えると言うことは……まあ主婦さんが幽霊なわけないよな)

男(だとしたらあの神出鬼没な現象は何がどうなって――)

婦「それでその手に持っているのは何?」

男「こ、これは特に」サッ

婦「えいっ」パシッ

男女「あーーーっ!?」

婦「うふふのふ」

男女(どうしようどうしようどうしよう)ビクビク



婦「……なーんだ、ただのガラスのかけらじゃない」

男女「え?」

婦「男君の宝物?」

男「え、ええ、まあそんなところです」

婦「だったら返すわね」

男「ありがとう……ございます?」

女(ちょっと、どうなってるのよ)

男(全く分からん)
401 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:32:32.22 ID:J12WbEwDO
男「これは一体どういうこっちゃ」

占『――つまり、主婦さんという方が水晶のかけらを持ったのにも関わらず、女さんの見える姿に変化が無かったと』

男「ああ。だが俺は主婦さんが嘘ついているとは思えない」

占『答えは簡単ですよ』

男「簡単?」

占『多分主婦さんは霊感が皆無なのです』

男「そんな理由でか?」

占『あの水晶は持ち主の霊感を増幅させるのですが、零に近いと増幅が出来ないのです』

男「……つまりあれだな。鉱石類をフエールピッケルで増やすみたいに」

占『鉱石?フエールピッケル?』

男「……いや、何でもない。忘れてくれ」

占『今後は不用意に水晶を他人に触らせてはいけないですよ?』

男「気を付ける」

占『……それから明日の約束なのですが』

男「昨日聞いた分で全部じゃないのか?」

占『え、えーと……』

男「何だよ。まだ何か隠し」

女「ご飯出来たよー」

男「へーい」

占『――やっぱりいいです!また今度にしましょう』

男「何だそりゃ」

占『それではおやすみなさいです』ガチャ

男「……んん?」



占(女さん……男さんに言わないままでいいのですか?)

占(本当にこのままで……あなたは後悔しませんか?)
402 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:36:07.89 ID:J12WbEwDO



男「おはようさん」

女「おはよー」

男「朝飯は?」

女「もうすぐ出来るから待ってて」

男(改めて思ったけど……こういうのって新婚みたいだなぁ)

女「何?」

男「さ、さてさて。今日の運勢はっと」ピッ

女「あんたテレビの占いなんか信じるの?」

男「信じるも信じないもあなた次第ですよ」ニヤニヤ

女「まあどうでもいいんだけど」

男「あ、もしかして最下位になるのが嫌な人ですか?」クスクス

女「……顔面殴っていい?」

男「さらっと恐ろしいことを言うなよ!」



アナウンサー『皆様おはようございます。今日から新しい月の始まりですね』

女「い、いつの間に新しい月になったの?」

男「いや、カレンダー見れば分かるだろ」

女「でもこれまでは曜日とか何日過ぎたとかしか分からなかったし……」

男「何言うてはるんですか!」

女「はい?」

男「今日から8月っすよ!テンション上げて行きまっしょい!」

女(……性格にも影響があるのかしら?)
403 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:38:17.88 ID:J12WbEwDO
男「ところで女は何座なん?」

女「ふふん、何座に見える?」

男「うーむ……」

女「そんなに悩まなくても適当に言えば当たるかもよ?」

男「エリダヌス座?」

女「何その星座……初耳なんだけど」

男「だとしたらあのレチクル座なのか!?」

女「わざとよね?わざとなら何されても文句は言わないよね?」

男「ごめんなさいでしたっ!!」



ア『今日最も運勢が良いのは水瓶座のあなたです』

女「あ、私だ」

男「お前水瓶座だったのか!?」

女「水も滴るいい女ってね」

男「あ、そう……」

ア『何をやっても成功の連続です。思い切って宝くじを買ってみてはいかがでしょうか』

女「だって!」

男「はっ、そんなの嘘に決まってるだろ?」

女「本当かどうかなんて分からないじゃない」

男「もし本当だったら全国の水瓶座が一日で億万長者になっちまうぜ?」

女「……ねえ、さっき私に言ったこと覚えてる?」
404 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/18(金) 23:41:23.54 ID:J12WbEwDO
ア『そして今日最も運勢が悪いのは乙女座のあなたです』

男「俺終了のお知らせ」

女「……乙女座なのね」

ア『何をやっても上手く行きません。怪我をしやすいので外出をする際は特に注意しましょう』

男「つまり家から出るなと?」

女「仕事はどうするのよ」

男「ぐぅ……行かねばなるまい」

女「徒歩じゃなくて車で行けば?」

男「もっと危険な気がする」

女「だったら観念していつも通り――」



ガタンッ



男「な、何事かっ!?」ビクビク

女「壁にあった掛け時計が落ちたみたいね」

男「どういうことだよ……家の中も危険じゃないか!」

女「……それよりも今の驚き方は何なの?」

男「そ、そりゃお前――」



ガシャンッ



男「ノウッ!?」ビクッ

女(今度は外人かしら?)

男「い、一体何が起きたんだ」

女「この音はフライパンでも落ちたのかしら」

男「お、お助け下さい女様……」ガタガタ

女「占いの結果でここまで臆病になった人は初めて見たわよ」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:14:54.15 ID:HWqoYS8zo
この分は終わりか
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/19(土) 12:55:46.51 ID:MFukq29AO
やったね!
幼女ちゃんにまた会えるよ!ww
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/19(土) 20:23:24.59 ID:P80Lyoff0
幼女「毎回毎回ここ来るの疲れたんですけど……」
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/19(土) 21:11:18.65 ID:22cDQT9ro
やったねみんな!
幼女に会えるよ!
409 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/25(金) 00:13:10.37 ID:u1Qj7A8DO
こんばんはです

残念ながらまだ幼女ちゃんには会えませんが、続きをどうぞ
410 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:15:13.43 ID:u1Qj7A8DO
女「――本当に私がついて行かなくていいの?」

男「よく考えたら恥ずかしいことに気付いた」

女「まあ、たかが占いだしね」

男「されど占いだ!掛け時計なんて滅多に落ちないだろうが!」

女「それ言ったの何回目よ……」

男「だってあの時計が落ちたの買って以来初めてなんだぞ?」

女「そうなの!?」

男「しかも俺がいつも座る位置に落ちたし……これも偶然だと言うのか?」

女「だったら占い師の子に電話して、お祓いでもしてもらった方がいいんじゃないの?」

男「大丈夫だ。まだ怪我をしていないからな」

女「余計に心配なんだけど……」



男「そんじゃそろそろ行ってくるわ」

女「気を付けて行きなさいよ」

男「心配すんな、これ(水晶)がある限り俺の身は安全さ」

女「ま、待って。確かそれってお守りじゃなかったよね?」

男「帰りに寿司でも買ってくるから一緒に食べような」

女「無事に帰ってこようって気あるの!?」
411 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:18:13.80 ID:u1Qj7A8DO
男(やれやれ…………そういえばあの日も朝から嫌なことが続いたんだよな)

男(頼むから何も起きないでくれよ――)

黒猫<ニャー

男「何て不吉な!?」

婦「あ、男君おはよー」

男「なんということでしょう……」

黒猫<ニャオー

婦「ばいばいクロちゃん」

男(クロちゃん……こういう日には会いたくなかったぜ)



婦「ねえ聞いてよ男君!」

男「どうしました?」

婦「朝ご飯を作ってたらね、包丁で指を切っちゃったのよー」

男「は、はあ」

婦「あと沸騰したお湯で火傷もしちゃって」

男「大丈夫でしたか?」

婦「私ドジっ子じゃないんだけどなぁ」

男「あ……もしかして乙女座だったりします?」

婦「うふふ。やっぱり私が乙女だから分かっちゃったのかな?」ニコニコ

男「いえ、そういうわけじゃないんですけど……というかどうしてそんな話に」

婦「うん?なあに?」ニコニコ

男「い、いやー!あまりの主婦さんの乙女っぷりについ伺っちゃいましたけど、やっぱり乙女座なんですね!」

婦「そうなのよー」ニコニコ

男(ああ……主婦さんの中の乙女像が分からない)
412 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:19:09.28 ID:u1Qj7A8DO
婦「それで乙女座がどうしたの?」

男「今日の運勢は最悪とのことなので注意して下さい」

婦「男君占いなんて信じるんだね。何か可愛いー」クスクス

男「いやいや、現に主婦さん怪我してるじゃないですか」

婦「あれは私の不注意だもん」

男「……そう言われるとそう納得せざるを得ないんですが」

婦「でしょ?」

男「い、一応知り合いの占い師に相談してみて下さい」

婦「もしかして私のことが心配なの?」ニヤニヤ

男「そりゃまあ、いろいろとお世話になってるので」

婦「だ、駄目よ男君!私には旦那が…………でも男君なら」

男「場所は会社の近くなので。それでは」スタスタ

婦「反応冷たっ!?」

男「あ、車には気を付けて下さい」

婦「はーい」
413 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:21:20.87 ID:u1Qj7A8DO



男「よし、車は来ないな」キョロキョロ

男(ったく、会社行くだけなのに何でこんなことを……)タッタッ

少「あ!この前のお兄ちゃん!」

男「よう。もう夏休みか?」

少「うん!今から学校に行ってウサギの世話をするの」

男「ウサギか……懐かしいな」

少「お兄ちゃんはさっきから何やってるのー?」

男「ちょっと道の安全を確認してるんだよ」

少「ふーん」

男(頼むからこの子だけは乙女座でありませんように!)

少「そうそう聞いてよお兄ちゃん!」

男「な、何かな?」

少「来月はねぇ、私の誕生日があるんだよ!」

男「……まさかのカミングアウトありがとうございます」

少「何ー?」

男「いや、少女ちゃんが乙女座だっていうことに――」



ドンッ



男「あ、すみません」

ヤーさん「いってーな」

男「こっちも痛かったのでお相子ですよ。よかったですね」

ヤ「何がじゃ!慰謝料払わんかいワレ!」

男「100円でいいですか?」

ヤ「安すぎるだろボケ!」

男「あの人がいらないみたいだから少女ちゃんいる?」

少「いいの?」

男「その代わりあんな文句ばっか言う大人になっちゃ駄目だよ」

少「うん!」

ヤ「無視してんじゃねえよ!」
414 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:22:47.18 ID:u1Qj7A8DO
ヤ「どうやら痛い目に合いたいようだな」バキバキ

男「お互い痛い目に合ったばかりじゃないですか」

ヤ「もう一度だオラ!」

男「目には目を、歯には?」

ヤ「殴られるのはお前だけだ!」

男「だが断る」

ヤ「何でお前が偉そうにしてんだよ!」

少「あ、お兄ちゃん。私そろそろ学校に行かないと」

男「そうか。気を付けて行くんだぞ」

少「ばいばーい!」

男「ははっ、元気な奴だな」

男「――よし!俺も会社に」

ヤ「行かせねえよ」

男「まだ居たのかよ……」

ヤ「こうなったら俺の鬱憤が晴れるまで殴らせてもらうぜ」

男「あ」

ヤ「今更謝っても許さねえからな。覚悟しろや!」

男「婦警さーん!」

警「ん?どうした男。そいつと殴り合いの最中か?」

ヤ「げっ……!?」

男「あのですね、この人とぶつかったんですが何故か慰謝料を請求されたんですよ」

ヤ「なっ、おまっ!?」

男「それで100円をあげようとしたら殴ってやるって言われて……」グスッ

ヤ「下手な芝居してんじゃねえよ!」

警「立派な恐喝罪だな。署まで来てもらおうか」

ヤ「く、くそっ!乙女座なんかに生まれるんじゃなかったぜ!」

男(何だあいつもか……今日はやけに乙女座との遭遇率が高いな)
415 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:24:52.32 ID:u1Qj7A8DO



婦「この辺りっぽいなー」

婦(うーん……本当に占い師なんているのかしら)テクテク

占「むっ、そこのあなた!あなたから何やら――」

婦「うわぁ……」

占「しょ、初対面の人に「うわぁ……」なんて失礼ですよ!」

婦「ごめんなさい。ところであなたが占い師ちゃん?」

占「どうして私の名前を?」

婦「男君に教えてもらったのよ」

占「男さんに?」

婦「ちょっと怪我をしちゃっただけなのに、何故かあなたを紹介されたの」

占「怪我……ですか」

婦「まあ私の不注意だと思うんだけどね」

占(だとしたらこの不吉な気配はまさか――!?)



婦「それで占い師ちゃんに相談してみろーって」

占「……とりあえずこのお守りを差し上げます。今日はずっと身につけていて下さい」

婦「いいの?」

占「はい。危険からあなたを守ってくれます」

婦「……まさかあとから高額請求とか」

占「しません!!」

婦「なら遠慮なくいただくわね」

占「あ、男さんに変わった様子などは見られましたか?」

婦「そういえば乙女座がどうとか言ってたわよ」

占「やはりそうですか……」

婦(男君に何かあったのかな?)

占(とにかく婦警お姉ちゃんに電話してみないと)
416 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:27:43.16 ID:u1Qj7A8DO
占「お姉ちゃん男さん見なかった?」

警『男ならさっき会ったばかりだけど』

占「何か起きてなかった!?」

警『あー、ヤクザみたいな奴に絡まれていたよ』

占「やっぱり……その時何も感じなかったの?」

警『男の奴運が無いなーとか?』

占「違うから!こう……悪霊みたいな気配とか」

警『したな。まあ、あんなのはどうせ雑魚だから放っておいたが』

占「その雑魚が男さんに取り憑いているのよ!」

警『何……?』

占「多分その悪霊は――――」



バシャッ

男「うおっ!?」

おばちゃん「あらごめんなさい!」

男「い、いえ……夏と言えば打ち水ですからね」

おば「これで涼しくなったかしら?」

男「ま、まあ、はい」

男(はぁ……さっきから何なんだよ。これじゃまるで誰かが)

ガシャンッ!

男「意図的にっ!?」ビクッ

お姉さん「きゃー!大丈夫お兄さーん!?」

男「あ、あんまりベランダに植木鉢とか置かない方がいいですよー」

お姉「ごめんなさーい!」

男(危なかった……もし直撃してたら……)ゾゾッ

男(……会社行きたくないけど今更引き返せないしな)

男(こうなったらひたすら突き進むのみ!)ダッ
417 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/11/25(金) 00:29:28.20 ID:u1Qj7A8DO



警『……すまん。もう一度頼む』

占「だからあれは『乙女になれなかった乙女座の悪霊』なの」

警『ふざけているのか?』

占「本当なんだって!」

警『ならどうして男に取り憑くんだ』

占「男さんが乙女座だからだよ」

警『乙女座の奴なんてこの世にいくらでも居るじゃないか』

占「それは…………女さんの影響かと」

警『女は良い霊じゃなかったのか?』

占「ほら。前も言った通り――」

警『まあ、とにかく男を見付ければいいんだな?』

占「早くしないと最悪男さんが死んじゃうかもしれないから!」

警『分かった』



占「……ふう」

婦「ねえ占い師ちゃん」

占「にゃあっ!?……しゅ、主婦さん、もしかして今の話――」

婦「このお守りなら男君は助かるの?」

占「え?い、一応そうですが」

婦「だったらこれ渡してくるね」タッタッ

占「あ、ちょっと!」
418 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/11/25(金) 00:32:04.83 ID:u1Qj7A8DO
今回はここまでです

おやすみなさい
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:37:33.66 ID:0T7jA2nMo
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:00:05.01 ID:qFxKODXSO
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) :2011/11/25(金) 18:57:50.40 ID:+934JXNL0
どっちも怪我しませんように…

嫌な予感がするし…
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/26(土) 15:40:45.06 ID:sJHDpvdu0
あの主婦だぞ?誰かがフラグを立てない限り大丈夫だよ
423 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/12/02(金) 22:48:25.79 ID:OCAtv76DO
こんばんは

もう12月ですね…
何とか年内に完結出来るように頑張ります

1週間空いてしまいましたが続きをどうぞ
424 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 22:51:16.91 ID:OCAtv76DO
女「全く……こういう日に限って男は弁当を忘れるのよね」

女「怪我してないといいけど、朝のこともあるから心配だなぁ」

女(どうか無事でいますように――)



男「あと少しだ……あと少しで会社に着く」

男「……しかしまあ、人生そんなに上手く行かないわけで」

同「よし、このカーブを曲がれば直線だぜ」シャー

同「上司さん!もし居たら俺の華麗なるドリフトを是非見ていて下さいね!」シャー

男(あいつは朝から何を叫んでるんだ)

悪霊『ほい』キィン

同「う、うわっ!?」ガタガタ

男「来るなよ!絶対にこっちへ来るなよ!」

同「違っ、ブレーキが効かないんだって!」ガタッ

ガシャンッ

男「緊急回避っ!」

同「ぐへっ!?」ドサッ

悪『ちっ』

同「……う……うぅ」

男「おーい。大丈夫かー?」

同「お前……俺を受け止めようとは思わなかったのか……?」

男「いや、同僚の華麗なるドリフトとやらを見ようとだな」

同「俺の異変に気付けよ……」

男「もしかして髪型変えたか?」

同「そういう異変じゃなくて……もういい」ガクッ

男「安らかに眠りたまへ」
425 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 22:53:59.66 ID:OCAtv76DO
悪『あっはっはっ!やっぱり人間の必死な姿はいつ見ても滑稽だねぇ』

悪『しかしあの男は何故あんなにも運が良いんだ?』

悪『あたしの力があればあんな男など一気に仕留められるのだが……』

悪『――まあいい。お遊びはここまでにしておくとしよう』

悪『次は外さないさ』

男「何を?」

悪『何をってそりゃ――――な!?』

男「な?」

悪『まさかあたしが見えるのか!?』

男「おうよ」

悪『ど、どうして人間があたしを』

男「人間じゃねえよ。俺には男っていう名前があってだな」

悪『人間じゃない!?』

男「そこだけ拾うな」

悪『男か……では男よ』

男「お前の名前は?」

悪『あたしは悪霊。人間共に不幸な出来事をもたらす存在よ』

男「悪霊?……じゃあ朝から続くあれは」

悪『そう、全部あたしの仕業さ』ククク

男「どうして俺ばかりを狙うんだ」

悪『それはあんたが幽霊の近くに居たからさ』

男「幽霊……女のことか?」

悪『女っていうのかい?』

男「どうだ、悪霊より可愛い名前だろう」

悪『まさか自分の所為で男がこんな目に合っているとは思ってもいないでしょうね』

男「……どういうことだ?」
426 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 22:56:53.68 ID:OCAtv76DO



婦「えーと、男君の気配はこっちかしら」タッタッ

占「ま、待って下さいよー!」

婦「次は右折ね」

占(何の躊躇いもなく進んで行くなんて……)

占(本当に気配で居場所が分かるのでしょうか?)

婦「うーん……この辺りのはずなんだけど」キョロキョロ

占「そんなすぐ見付かるわけ――」

婦「あ、居たわ!」

占「嘘っ!?」



警「おい、こんな男を見なかったか?」

女「すみません。今急いでて……あれ?」

警「何だお前か」

女「ちょっ、何であなたが男の写真を持っているんですか!」

警「普通は『男が何かしたの?』とかを聞くべきだと思うのだが」

女「そ、それいつ撮りましたか?」

警「これは先日撮ったものだ」

女(……先日っていつのことかしら)

警「どうした?」

女「わ、私に譲ってくれるのなら一緒に捜してあげてもいいですよ?」

警「幽霊のくせにこんな物が欲しいのか」ニヤニヤ

女「別にいいじゃ…………あー!男!!」

警「なんだ、結構近くに居たのか」

女「ということで写真下さい!」

警「ほら」

女「ありがとうございます!」

警(……本当に幽霊なのかか分からない奴だな)
427 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:01:38.88 ID:OCAtv76DO
警(……ん?もしかしてあの後ろ姿は占い師?)

警「おーい」

占「あ、お姉ちゃん!」

警「やっぱりか。男ならあそこに居るぞ」

占「う、うん」

警「しかしよく場所が分かったな」

占「まあ、気配というか何と言うか……主婦さんがね?」

警「……熱は無い、か」

占「本当にそうなんだって!」



上(ふふ、まさか男君と一緒にお昼ご飯を食べられるとは)

上(……もしかして私に気があるのでは?)ドキドキ

上「よ、よし。今日も誘ってみようではないか」

ドンッ

女「わっ、ごめんなさい!」

上「いや、こちらこそ悪かっ……」

女上「あ」

婦「あれ?何で二人共固まってるの?」

女上「どうして主婦さんまで!?」

婦「皆して男君に会いに来たのかしら?」ニヤニヤ

女「私は男に弁当を届けようと……」

上「私は会社まで一緒に行こうとしたのだが……」

婦「それじゃあ早い者勝ちねー」

女上「はい?」

婦「よーい――」ダッ

女上「ちょ、ちょっと主婦さん!」
428 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:07:48.38 ID:OCAtv76DO
婦「ところで男君はさっきから何をしているのかしら?」タッタッ

上「誰かと話しているように見えるが……誰もいないな」

女「男ー!あんた弁当を忘れ――」

悪『あの女が悪い幽霊達や不幸を呼び寄せているんだよ』

女「…………え?」ガシャッ

婦「あー!女ちゃん、弁当!」

上「お前何をやっているんだ……ほら」

女「あ、ありがとう……」



男「理由はあるのかよ」

悪『勿論――おい、あいつらは?』

男「ん?な、何で3人がここに」

女「ねえ、さっきのことは本当なの?」グイッ

男「馬鹿かお前は。こいつが言ったことは――」

悪『「嘘だ。」とでも言いたいのかい?』

悪『だけど思い出してご覧よ』

男「おい待て」

悪『そこの女が現れてからこの男が死にかけたことはないかい?』

男「断じて無い!」

女「猫を助けようとして車に轢かれそうに……」

男「いやいや、あれは100%お前の所為ではないぞ」

女「……だったら海のは?」

男「あ、あれは……」

悪『ほら。やっぱりあるじゃないか』



婦(いきなり私達空気化したわね)

上(くそっ、あの二人は一体誰と何の話をしているのだ)

占(今の内にっと)コソコソ
429 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:16:05.37 ID:OCAtv76DO
悪『それでもお前は否定するのかい?』

悪『そこの幽霊という女の存在が男にとってどれほどの脅威なのか』

女「っ……!」

男「はぁ?脅威?笑わせんな」

悪『な、何が可笑しい』

男「女がどれほどの脅威かって?」

悪「別に聞いちゃいないけど」

男「いいか。こいつの胸囲はな、81もあるんだ!」

悪『……は?』

女「何が81――ああっ!?」

男「脅威じゃなくて胸囲だ」キリッ

女「だ、だから何であんたがそれを知ってんのよ!!」

男「そもそも俺は女のことを脅威とかそんな風に思ったことはない」

悪『何を根拠にそんなことが言える?』

男「別に根拠なんて無いさ。俺がそう思っただけだ」

悪『どうせ心の何処かでは邪魔だとか』

男「いや、むしろ居てくれて本当に良かったと思っている」

女(私が居て……良かった?)

男「例えお前が言っていることが正しいとしてもな」ビシッ

悪『……そうかい』

男「だから俺のことは諦めてくれ」

悪『それは出来ない』

男「ですよねー」
430 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:19:28.62 ID:OCAtv76DO
女「男……ありがとう」

男「いいってことよ。そんじゃ我が家に帰るとしますか」

女「うんっ!」

悪『こら、何勝手に終わりにしようとしてるんだい!』

男女「あれ?まだ終わらないんだ」

悪『……こうなったら無差別に災いをもたらしてやるよ』

男「ちなみに女には物理攻撃は効かないぞ」

悪『この場には乙女座の奴がたくさんいるから心配ないさ』

悪『特に私が見えていないあそこの二人には、幽霊の脅威とやらを教えてやらないとねぇ』

男「なっ、まさか上司さんも乙女座!?」

上「……私が乙女座じゃ駄目なのか?」

男「い、いえ。すみませんでした」



男(しかし何故そこまで星座にこだわるんだ?)

男(何か特別な理由が――)

占「気を付けて下さい男さん!」

占「その霊は『乙女になれなかった乙女座の悪霊』です!」

男「乙女になれなかった……」

女「乙女座の悪霊……?」

占「故に乙女座の人に対する憎悪が力の源だと思われます!」

悪『ちっ、余計なことを』

男(つまりどういうことだってばよ)ヒソヒソ

女(多分恋人が出来なかったとかそういうのじゃないの?)ヒソヒソ

男(それを俺達乙女座の所為にするのか?)ヒソヒソ

女(きっと何でも責任転嫁したい年頃なのよ)ヒソヒソ

悪『全部あたしに聞こえてるよ!』
431 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:24:05.98 ID:OCAtv76DO
悪『はっ!』キィン

男「今度は何をした?」

悪『それは起きてからのお楽しみさ』ククク

女「あっ、あれ見て!」

男「くそっ――上司さん!上からタイルが落ちてきてます!」

上「上?」

婦「上司ちゃん避けないと!」

上「あ――」



バンッ!…パラパラ



警「ふう。怪我は無いか?」

上「た、助かった……ありがたい」

男「街中で発砲してもいいんですか!?」

警「ゴム弾だから大丈夫だ」

男「そういうことじゃなくて……」

警「それにな」バンッ

悪『ぐっ!』

警「退魔の力もあるぞ」ドヤ

男「……そうですか」

警「もう一発っと」ガチャッ

悪『こ、こうなったら――』

警「消えろ」バンッ



悪『悪霊リフレクター!』



男「……」

女「……」

警「ネーミングセンスに問題有りだな」

悪『う、うるさい!』

男「女は幽霊シールドとか出せないのか?」

女「出来るわけないでしょうが!」
432 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:26:33.02 ID:OCAtv76DO
悪『くっくっくっ……ただのリフレクターだと思ったかい?』

警「リフレクター(笑)」

悪『名前はもういいじゃないか!』

警「何か特殊なのか?」


悪『単に跳ね返すだけじゃないってことさ!』チュンッ

警「よっと」

悪『自分の身しか守れない愚か者めが!』

婦「わ、何か飛んで来た」

警「しまった!」

悪『これでまずは一人目――』ニヤリ



婦「とーっ」バッ

警(あの速さの弾を避けただと!?)

悪(……本当に人間なのか?)

チュンッ

女「きゃっ!」

男「ちょばっ、何避け――ぐあっ!?」ビシッ

女「だ、大丈夫?」

男「……凄く……痛いです」

警「跳弾に当たるとは相当あいつに好かれているようだな」

男「い、いや、元はと言えば婦警さんが」

警「せいっ」バンッ

男「ストーップ!」

悪『次は――悪霊シールド!』キンッ

女「あ」

男「ほらー、早く使わないから名前持ってかれたじゃんか」

女「だから無理だって言ってるでしょ!」
433 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/02(金) 23:29:23.21 ID:OCAtv76DO
上「男よ。この場で何が起きているんだ?」

婦「もしかして何かと戦ってるの?」

男「それは……その」

警(もしかしてあいつらは女が幽霊だということを知らないのか?)

男(ええ、まあ)

警(だったらこの場で悪霊のことと一緒に話してみたらどうだ?)

女(そ、それだけは止めて欲しいです)

男(俺もそれだけはちょっとよろしくないかと)

警(うーむ……人それぞれならぬ、幽霊それぞれか)

男(何とかあの二人を巻き込まない方法とか無いんですかね?)

警(悪霊を消し去ることが一番良い手段なんだがな)

男(でもあのリフレクターとかシールドが厄介ですね)

警(確かに……まだ最初の一発しか当たっていないしな)

女(あ、占い師ちゃんなら何とかしてくれそうじゃない?)

警(おや?そういえばあいつは何処に――)

婦「占い師ちゃんならあそこに居るわよー」

男女「ひゃいっ!?」

警「あ、ありがたい」

上「何だ。そのことについて話していたのか?」

男「……そんな感じです」

男女(あの悪霊より主婦さんの方がある意味恐ろしい)ガタガタ

警(いつの間に私の後ろに居たんだ……?)
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 01:23:28.55 ID:YDxJUr2SO
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 01:26:46.21 ID:zSYN4pEIO
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/12/03(土) 20:30:15.42 ID:BHxSw5Wg0
437 :ばぼん :2011/12/11(日) 07:18:27.39 ID:Dnbru31L0
まだかのー
438 :ばぼん :2011/12/17(土) 22:47:17.32 ID:IvKRElfw0
まだかぁぁぁぁぁ!
439 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 01:29:00.50 ID:+0AM+QuX0
まぁ落ち着きなさい

とりあえずsageろよ…な?
440 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 01:38:30.43 ID:ywCftTe80
441 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:30:49.46 ID:AI5QLKtU0
そろそろ更新してもいいんじゃないかにゃー?
442 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 12:54:04.46 ID:3RUY/2+AO
来ーるー
443 :ばぼん :2011/12/20(火) 17:13:28.51 ID:PU2tKa8h0
きっと?
444 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 17:51:47.12 ID:7K7hyXBSO
そんな急かすなよ



>>443
sageくらい覚えろks
445 :ばぼん [sage]:2011/12/20(火) 21:58:24.25 ID:PU2tKa8h0
すみません・・・忘れてました
446 : ◆uPLvM1/uq6 [sage]:2011/12/23(金) 12:48:28.56 ID:azkMfrYDO
久方ぶりで申し訳ないです…。

クリスマスという休みが来たので更新します。
447 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 12:50:23.09 ID:azkMfrYDO
悪『作戦会議はもういいのかい?』

男「くそっ……」

占「――お姉ちゃん、さっきのをあいつに撃って!」

警「しかしだな」

占「いいから早くっ!」

警「どうなっても知らんぞ!」バンッ

悪『懲りない奴め……また弾き返』

占「すことが出来なかったらどうでしょう」ニヤリ

悪『何だと』

占「真・清めの塩!」パッ

悪『……塩?』

男「ば、馬鹿な!女には効かなかったんだぞ!?」

女「いや、あんたのはただの食塩だったからよ」

男「そういやそうだったな」



悪『無駄なことを!リフレク』シュン

占「無理です」

悪『な――――ぐっ!?』ビシッ

警「よし」

男女「当たった!」

上婦「え……何に?」
448 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 12:53:33.59 ID:azkMfrYDO
悪『くっ……たかが塩にやられるとは』

占「されど塩です」

警「あれが使えないのなら、ずっと私のターンだな」ニヤニヤ

占「これで大丈夫そう?」

警「助かった」

占「じゃあ“あの”準備をしてくるね」

警「何だ。“あれ”をやっていたのか」

占「もうちょっとで完成するから、それまで頑張ってね!」

警「ああ」

悪『隙ありっ!』

警「私の後ろに立つな!」バンッ

悪『な……に……?』ヨロッ



男「やっぱり凄いな」ゴクリ

女「ええ……さすが巫女さんね」

上「巫女?警察官じゃないのか?」

婦「――あの婦警さんこそ、真の戦う巫女さんだったのよ!」

男女上「な……なんだってー!!」

上「ん?何故お前達まで」

男女「いや、つい」
449 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 12:56:50.82 ID:azkMfrYDO
悪(な、何故当たるんだ……)

悪(あの女はあたしの完全な霊体の状態ですら、居場所が分かるというのか?)

悪(仕方ない……今日の所は――)スッ

警「そこだ」バンッ

悪『ぎゃっ!?』

警「ふぅ。またつまらぬ物を撃ってしまった」

占「お姉ちゃん準備出来たよ!」

警「了解」

女「何の準備?」

警「とりあえず女は遠くに離れていろ」

女「わ、分かったわ」



占「――今ここに、妙多羅天の力を示せ!」

悪『な、何だこれは……』

占「これは悪霊封じの陣です」

占「当然悪霊であるあなたは封じられます」

悪『封じ――!?』

占「お前の悪行は、断じて許されるものではない」キッ

占「己が何をしたのかを、身を以て知るがよい!」

悪『う……うぁ……!』

占「はっはっはっ、苦しめ苦しめぇ!」

男(……あれって誰ですか?)

警(すまない。占い師の奴はああいう時だけ性格が変わってしまうんだ)

男(へ、へえ)

婦(あれがギャップ萌えっていうやつかな?)

上(……萌え?)
450 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:03:46.51 ID:azkMfrYDO
悪『こうなったら男も道連れにしてやる!』

男「何故に」

悪『私級の幽霊ならな、本気出せば人間の魂くらい――こうだ!』クイッ

男「やめろ!あ、いえ、やめて下さ」

悪『せいっ』

男『お、今なら幽体離脱が出来そうな気がする』スウッ

警「おい占い師!何とかならないのか!」

占「ああん?」

警「ほう……ほうほう」ニヤニヤ

占「え、あ、ちょ、お姉様?」

警「どうやらお仕置きが必要だな」

占「何で!?」

男『おいお前ら姉妹喧嘩なんてしてないで助けろよ!』

警「売られた喧嘩は買うまでだ」

占「ひいっ!?」

男『こうなったら……助けて女さん!』

女「うん、待ってて男!今助けに」

悪『残念ながら手遅れだ』

男『うそん』



カッ!



男「」ドサ

警「あ」

占「お、お姉ちゃんのせいだよ!?」

警「いやいや、まさかそんな」

上「おい、大丈夫か男?」ユサユサ

婦「夏のコンクリートは熱いわよー」

女「男が……どうしよう……」ドサ

婦「女ちゃん?」

上「今度は女もか?」

占(あの女さんの状態は――!?)

占「お姉ちゃん二人を家まで運んで!」

警「お前誰に向かって命令を」

占「いいから早く!」

警「あ、ああ」
451 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:06:54.75 ID:azkMfrYDO



男『この久しぶりの感覚は……やはり来てしまったのか』

男『――幼女の間に』

幼『ち、違うよお兄ちゃん』

男『久しぶりだな。元気だったか?』

幼『まあまあ……って、幽霊には元気とか関係無いよ?』

男『ですよねー』

悪『んん……?……ど、何処だよここは』

男『お前までいるのか!』

悪『げっ、男!?』

男『ちなみにここは幼女の間だ』

悪『……幼女の間?』

幼『だから違うってお兄ちゃん』

悪『ん?……あー!お前はあの時の!』

幼『あ、まだこの世に居たんだ』

悪『うるせー!』

男『え、何?どういうこと?』

幼『実はこの人……悪霊はね、良い悪霊なの』

悪『ばっ、こら!』

男『あっはっはっ!って笑ってた奴が?』

悪『笑い方は関係ねーだろ!』

幼『実はまだ、私があの町に居た時の話なんだけど――』

悪『だー!話さんでいいから!』

男『仲良しじゃないか』ニヤニヤ

悪『どこをどう見たらそう思えるんだよ!?』
452 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:10:19.51 ID:azkMfrYDO
幼『悪霊はね、幽霊になったばかりの私を助けてくれたの』

男『だから良い悪霊なのか?』

幼『正しくは良い心を持った悪霊かな?』

男『でもこいつは俺を殺そうと』

幼『その時お兄ちゃんは怪我とかしたの?』

男『……そういえば婦警さんのゴム弾に当たっただけだな』

幼『ほら』

悪『か、勘違いするなよ!あれは偶々だ!』

男『はいはい、ツンデレツンデレ』

悪『ツンデレ言うな!』

幼『だからお兄ちゃん……悪霊を成仏させてあげて?』

悪『……幼女?』

男『無茶言うなよ。第一、俺にはそんな力なんて』

幼『乙女になれなかった(笑)乙女座の幽霊なんでしょ?』

幼『それなら悪霊を乙女(笑)にしてあげればいいんじゃないの?』

男『……あれ?今幼女の黒い笑顔を見た気がするんだが……』

幼『気のせいだよお兄ちゃん』ニコッ
453 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:15:06.82 ID:azkMfrYDO
男『うーむ……何かして俺に欲しいことは無いのか?』

悪『な、何も無いっ!』

男『――だそうです幼女さん』

幼『もし悪霊が成仏しなかったら、お兄ちゃんはずっとここに居ることになっちゃうよ?』

男『え』

幼『お兄ちゃんは今、悪霊に憑かれてるんだから――あとは分かる?』

男(何かに憑かれたままだと、魂が離れられない……!?)

男『ちょっ、何でもするから何か言ってくれ悪霊!』

悪『ほ、本当に何でもしてくれるのか?』

男『あ、いやその……いくら俺がイケメンだからって、キスとかは駄目だからな』キリッ

悪『誰が頼むか気持ち悪い!』

幼『イケメンは否定しないんだ』

悪『だったら…………て、手を繋いでくれ』

男『ん?手を繋ぐだけでいいのか?』

悪『い、嫌だったらいいんだ。どうせあたしなんか……』

男『ほら』ギュッ

悪『あ――』

男『これでいいか?』

悪『うん……ありがとう……』グスッ

幼『あーあ、お兄ちゃんが泣かせちゃった』

男『お、俺が悪いのか!?つかお前も泣くなよ!』

悪『だ、だって……』

幼『夢が叶って良かったね』

悪『……うん』
454 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:18:01.87 ID:azkMfrYDO
悪『――――よし、これで思い残すことは無いよ』

男『成仏しちまうのか?』

悪『何言ってるんだい。あたしは悪霊なんだぜ?』

悪『悪い奴が消えるのはお約束じゃないか』

男『いやまあ、それはそうなんだけど……』

幼『またね悪霊』

悪『ま、またって何だよ』

幼『あと、いろいろありがとう』

悪『礼を言いたいのは、あたしの方……だ』グスッ

男『お前って相当の泣き虫なんだな』

泣『う、うるさい!ってか勝手に名前変えんな!』スッ

男幼『あ』

悪『これでようやく眠れるか……』

男『あんなことしかしてやれなくてごめんな』

悪『いや、十分だったよ……ありがと』

幼『……私も後から行くからね』ボソッ

悪『どうした幼女?』

幼『ううん!ばいばい悪霊!』

悪『ああ。ばいばい――』スウッ
455 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:21:49.47 ID:azkMfrYDO



幼『漫画みたいな恋をしたかった――これが悪霊が幽霊になった原因なの』

男『へー、そうだったのか』

幼『そもそも、どうして幽霊が悪霊になるのかは知ってるよね?』

男『長時間幽霊でいたからだろ?』

幼『そうだよ。そして悪霊もそうだったなの』

男『ほう』

幼『だけど“悪”霊になっちゃったからには、当然悪いことしか出来ないから……』

男『人に気付いて貰いたくてもか……成る程な』

幼『多分、お兄ちゃんはお姉ちゃんと一緒に居たから――』

男『あ、そうだ!女について聞きたいことがあるんだった』

幼『聞きたいこと?』

男『“ここ”は女の記憶の中なんだろ?』

幼『……お兄ちゃんはどうしてそう思ったの?』

男『勘だ』

幼『うん?なぁに?』ニコニコ

男『ま、まあ、今から俺の考えを話して』

幼『いいよ。私が全部話すから』

男『お、そいつは助かる』

幼『その前にお兄ちゃんはどこまでお姉ちゃんのことを知っているの?』

男『……あいつは、まだ生きてるんだよな?』

幼『直接聞いたの?』

男『いや、偶然聞こえたと言うか何と言うか……』

男『でも、女がそう言ってたんだ』

幼『そう……分かった』
456 : ◆uPLvM1/uq6 [saga]:2011/12/23(金) 13:24:27.69 ID:azkMfrYDO
幼『お兄ちゃんの言う通り、お姉ちゃんはまだ生きてるよ』

男『本当かっ!?』

幼『うん』

男『そうか……生きてるんだな……良かった』

幼『ちなみにお姉ちゃんが幽霊になった理由なんだけど――』

男『そ、そんなことまで知っているのか?』

幼『だってここはお姉ちゃんの記憶の中じゃん』

男『……確かに』

幼『まあ、これは本人から聞いてね』

男『何やねん!』

幼『それじゃあ良い事実と悪い事実があるんだけど、どっちから先に聞きたい?』

男『こ、ここに来て選択肢を出すとは……』

幼『どっち?』

男『くっ……わ、悪い方からで』

幼『あと二週間でお姉ちゃんは消えて、更に一週間後には死んじゃうよ』

男『…………え?』

幼『更に言うと、今すぐ消えてもおかしくない状態なの』

男『ちょ、ちょっと待ってくれ!』

幼『ちょっと。えっと、それでね』

男『いやいやいや』
457 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 18:23:34.51 ID:iWRem7bw0


>>446
奇遇だな…俺も休みだぞ
だから部屋に篭ることにした
458 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:23:57.87 ID:3qZOAX9AO
>>446>>457
アレ?俺が居る…?
459 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 19:29:20.49 ID:Q3Q+JXIg0
乙 独り身はさびしい
460 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 23:17:33.62 ID:UzkXB3iN0
男友達だけで遊んでるともっと悲しい
461 :ばぼん [sage]:2011/12/25(日) 13:23:09.11 ID:YjR8CLDi0
Oh...独りのクリスマス・・・
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/06(金) 08:12:40.10 ID:WqN0yeFAO
もう、クリスマスなんて悪の祭典は終わったのよ!!
もうあなた達が苦しむ必要はないの!
463 :ばぼん [sage]:2012/01/06(金) 09:57:15.81 ID:QCTXej7m0
昨日丸一日ここに繋がらないのはなんだったんだ・・・?
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/01/15(日) 00:36:43.68 ID:PTrykW6p0
憑かれてるんじゃね裏山
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/31(火) 00:01:33.73 ID:brkMf2mDO
マダー?
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/02/06(月) 10:04:59.83 ID:NRQlXNqAO
(>>1が)逝ってしまったわ…
円還の理に導かれて
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/03/04(日) 03:11:57.67 ID:ehwTG5GAO
待ってるよ
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/03/05(月) 14:57:51.05 ID:x84vw4nAO
もう詰んだんじゃね
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/14(水) 19:29:39.01 ID:4UBdBUn70
もうこないなこれは
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/03/21(水) 10:21:06.66 ID:JawRhASAO
落つ!
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