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テクパトル「あの月はもう、空には出ない」 -
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1 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 16:43:42.10 ID:RprShNyX0
1スレ目 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1304/13045/1304506297.html
2スレ目 美琴「当麻♪」上条「なんだ、美琴」垣根「俺も仲間に入れて」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1305/13053/1305377166.html
3スレ目 上条「美琴、愛してる」美琴「私も♪」垣根「俺も♪」心理「ジャマしないの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306063255/
4スレ目 上条「美琴は可愛いな」美琴「えへへ//」垣根「速さが足りない」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306724889/
5スレ目 上条「放さないからな」美琴「うん♪」垣根「話さないからな」心理「しゃべりなさいよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307282872/
6スレ目 上条「抱きしめようか?」美琴「うん//」垣根「抱こうか?」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307709819/
7スレ目 上条「守り続けるからな」美琴「うん//」垣根「これがリア充です」心理「あなたもよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308139244/
8スレ目(番外編) 美琴「私の好きな人のことを、それ以上悪く言わないで!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308667506/
9スレ目 上条「結婚に必要な物は?」美琴「愛!」心理「お金」垣根「念のため三行半」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308992651/
10スレ目 上条「まずは!」美琴「そのふざけた!」心理「幻想を!」垣根「守るのこそ愛だ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309355502/
11スレ目 上条「マイホームか・・・」美琴「い、いいわね//」心理「そうね」垣根「欠陥住宅か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309860801/
超番外編 さだのり「桜は散る、陽は沈む・・・そして、思い出はいつかは消える」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309780773/
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/
いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/
【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/
こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/
アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/
2 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 16:45:42.26 ID:RprShNyX0
登場人物
テクパトル 今回は主人公になってしまいます
愛称テっくん
妹達の生活のお手伝いさん
美月こと19090号と恋人になってます
19090号 通称美月
テクパトルと恋人になってます
本スレではヒロイン
メインはこの二人、あとは前スレでも見ていただけたら・・・
3 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 16:47:39.02 ID:RprShNyX0
さて、今回は今までのスレの番外編に
ちょっとシリアス?というかなんというか・・・
リアルがそろそろ多忙につきやや速さが落ちるかもしれませんがお許しを
あと、今回はラジオやリクは受け付けられません、ごめんなさいね
では、そろそろスタート
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/10(日) 16:50:35.38 ID:jjbZMlJG0
>>1
乙!
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
:2011/07/10(日) 16:52:24.21 ID:BumPWZYK0
たった五日で次スレなんて…どんだけ早いんですか、とミサカは
>>1
に問いかけます。
ミサカはまだ満足していませんよ?
ほら13回戦めいきますよ、早くしてくださいこの早漏、とミサカは
>>1
に話しかけます。
早くミサカを満足させてください。
6 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 16:53:13.77 ID:RprShNyX0
>>6
ふぅ・・・
ミサカってなんか絶倫っぽいよね、うん
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
:2011/07/10(日) 16:58:53.77 ID:BumPWZYK0
>>1
よ、お前が
>>6
だぞ!
自分に満足してどうする!
8 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 16:58:55.56 ID:RprShNyX0
さて・・・本編の始まり
テクパトル「・・・寒いな」
冬の冷たい空気で満たされた部屋の中
テクパトルは一人でつぶやいていた
テクパトル「えっと・・・美月とのデートは来週だっけ?」
テクパトルがカレンダーを見つめる
9 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:01:36.94 ID:RprShNyX0
>>7
なにをとち狂ったんだろう
やべぇよ・・・
テクパトル「・・・さて、起きるかな」
テクパトルが部屋のドアを開ける
19090「あ、テっくん!おはようございます、とミサカはあいさつをします!!」
10033「おはようございます、テっくん」
20000「腹が減ったぜ」
17600「だな、とミサカは20000号に同意します」
御坂妹「こらこら、テっくんは起きたばかりですよ、とミサカは他のミサカを嗜めます」
14510「ですが、お腹がすきました・・・」
10 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:04:44.97 ID:RprShNyX0
テクパトル「あぁ、すぐ作るからな」
テクパトルがキッチンへ向かう
テクパトル(・・・幸せ、か)
妹達と暮らし始めて
テクパトルは幸せを手に入れた
テクパトル(嬉しいな、こういうのも)
11 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:07:59.27 ID:RprShNyX0
テクパトル「ほら、出来たぞー」
テクパトルが朝食を運ぶ
20000「お、おいしそうだな」
19090「では、いただきます!!」
ミサカ一同「いただきます!!」
テクパトル「あぁ、どうぞ」
平和な食事風景
それは、いつもの当たり前な光景だった
12 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:09:49.50 ID:RprShNyX0
テクパトル「14510号、ほっぺにご飯がついてるぞ」
14510「!!」
19090「あはは、ホントですね、とミサカは微笑んでみます」
17600「ドジっこか、とミサカはツッコんでみます」
10033「味噌汁は日本の味です、とミサカは感想を抱きます」
御坂妹「そうですね、とミサカは同意します」
テクパトル(にぎやかだなぁ)
13 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:15:39.08 ID:RprShNyX0
テクパトル「それじゃ、俺はバイトだから」
ミサカ一同「いってらっしゃい!テっくん!!」
テクパトル「あぁ」
テクパトルがコンビニに向かう
彼がバイトをしているコンビニだ
テクパトル(さて・・・がんばるかな)
14 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:21:17.54 ID:RprShNyX0
テクパトルのいつもの一日が始まる
バイトは8時間
途中、1時間の休憩を挟み、その勤務を終える
テクパトル「・・・はぁ、疲れた」
テクパトルが着替えながら一人つぶやく
テクパトル(今日は・・・このあと美月とデートか)
テクパトル(楽しみだな・・・)
15 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:25:27.61 ID:RprShNyX0
テクパトルがコンビニから出る
そこには
19090「あ、テっくん!!」
愛する女性がいた
テクパトル「待っててくれたのか・・・悪いな」
19090「いえ、さっき来たところですから、と美月は返事をします!」
テクパトル「ははは・・・ありがとな」
16 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:28:24.74 ID:RprShNyX0
テクパトルがそっと、19090号の手を握り締める
テクパトル「どこに行く?」
19090「そうですね・・・では、二人でショッピングにでも」
テクパトル「ん、そうだな」
二人が歩き出す
テクパトル(・・・来週のデートは・・・俺がミサカたちと出会って一周年だからな)
テクパトル(・・・特別なことをしたいな・・・)
そんなことを考えながら、テクパトルは歩いていた
17 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:31:15.90 ID:RprShNyX0
テクパトル「さて・・・アクセサリーでも買うか」
19090「テっくん、指輪がほしいです、と美月は・・・」
テクパトル「?前も買わなかったか?」
19090「そ、それは・・・」
テクパトル「二つ目、ほしいのか?」
19090「は、はい!!」
テクパトル「分かった」
テクパトルが、少し高めの指輪を見る
18 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:33:48.26 ID:RprShNyX0
テクパトル「うーん・・・どういうのがいいかな?」
19090「テっくん・・・これ、高いですよ?と美月は問いかけます」
テクパトル「あぁ、そうだけどさ・・・」
テクパトル「少しくらい高くても、お前が喜んでくれるならそれでいいんだよ」
19090「あ、ありがとうございます・・・」カァッ
19090号が顔を赤く染める
19 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:38:09.14 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・よし、これでいいか?」
テクパトルが差し出したのは、シルバーの指輪だった
19090「・・・本当にいいんですか?と美月は問いかけます」
テクパトル「あぁ、もちろん」
19090「テっくん、ありがとうございます」
19090号がニコリと微笑む
テクパトル(・・・この笑顔が見られれば、俺は他には何も要らないさ)
20 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:41:56.59 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・ただいまー」
19090「ただいま、とミサカは我が家に入ります!」
17600「おー、お二人さん、今日もデートだったか、とミサカは呆れてみます」
20000「かー、熱いね」
テクパトル「いいだろ・・・さ、夕食作るぞ」
20000「あーい」
いつものように、テクパトルがキッチンに向かう
こんな幸せが、もう一年近く続いていた
その幸せは、当たり前だった
21 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:44:58.06 ID:RprShNyX0
テクパトル「はい、夕食なー」
10033「今日はすき焼きですか、とミサカは皿を準備します」
14510「ミサカは箸を・・・」
御坂妹「ではミサカは野菜を運びます」
テクパトル「みんなありがとうな」
ずっと、幸せで
19090「テっくん、これはどこに?」
テクパトル「ん、そこに置いてくれ」
ずっと、一緒にいられると思っていた
22 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:52:55.54 ID:RprShNyX0
テクパトル「おはよう」
そう、挨拶をすれば
19090「おはようございます、テっくん」
愛している人が笑顔で挨拶をしてくれる
そんな日常は、ずっと続くはずだった
テクパトル「さーて、今日もバイトか・・・」
19090「がんばってくださいね、と美月は応援します!」
テクパトル「あぁ」
23 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:55:26.60 ID:RprShNyX0
テクパトル(・・・今日の夕食は・・・)
そうやって、帰ったときのことを考えながら
テクパトルはバイトをしていた
テクパトル(さて・・・あと三時間か・・・)
時計をチラチラと確認しながらも、テクパトルはてきぱきと仕事をこなす
テクパトル(・・・美月、今頃何してるのかな)
そう考えていたとき
20000「おいテっくん!!!!」
一人のミサカが、コンビニに駆け込んできた
24 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 17:56:57.72 ID:RprShNyX0
テクパトル「おい、今勤務中・・・」
周りには客はいなかったが、彼はまだ勤務中だった
だが
20000「そんなこと言ってる場合じゃないんだ!!」
20000号の顔はいつになく真剣で
20000「19090号が倒れたんだよ!!」
テクパトル「・・・なに?」
そして、その口から放たれた言葉はあまりにも残酷だった
25 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:01:54.93 ID:RprShNyX0
テクパトル「倒れたってどういうことだよ・・・?」
あまりの衝撃で
最初、テクパトルは20000号の言葉を信じられなかった
テクパトル「なんで・・・」
20000「今、先生が診察してるんだ!急いで来て!!」
頭の中は真っ白だった
26 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:03:55.78 ID:RprShNyX0
バイトを早く切り上げ
テクパトルは20000号と走っていた
テクパトル(美月・・・!!)
出かけるときはあんなに元気だったのに
いったいなぜ
17600「!来たかテっくん!!」
テクパトル「アイツは!?」
27 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:07:24.54 ID:RprShNyX0
17600「落ち着いて!!そろそろ診察が終わるはずだ・・・」
そのとき
ガラっと、診察室の扉が開いた
テクパトル「先生!!どうなんだよ!?」
冥土「まぁまぁ、ちょっと冷静になってくれないかね」
冥土帰しがテクパトルをなだめる
テクパトル「冷静になんて・・・」
冥土「いいから、冷静になるんだ」
28 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:09:07.19 ID:RprShNyX0
テクパトル「なれるわけないだろ!?19090号が・・・」
冥土「話を聞いてくれ、テクパトル」
冥土帰しの声は、とても暗かった
冥土「少し、長い話になるが・・・いいかい?」
テクパトル「長い・・・話?」
冥土「できれば・・・他の妹達にも聞いてほしいね」
冥土「これは、19090号だけの問題ではないからね」
29 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:11:33.32 ID:RprShNyX0
テクパトル「どういうことだ・・・」
冥土「それを今から話すんだよ」
冥土「さて、では彼女が倒れた理由を説明するよ」
テクパトル「・・・」
冥土「簡単に説明すると・・・バグ、だね」
テクパトル「バグ?」
30 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:13:31.38 ID:RprShNyX0
10033「バグ・・・とは、あのバグですか?とミサカは確認を取ります」
冥土「あぁ、そうだ・・・今の段階ではね」
テクパトル「今の段階・・・だって?」
テクパトルが眉をひそめる
冥土「・・・君達は、かつて打ち止めがウイルスコードをインストールされたのを知っているかね?」
御坂妹「はい、たしか・・・ミサカネットワークを使って全妹達にウイルスを撒き散らそうとした研究者が・・・」
冥土「うん、そのことだよ」
31 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:15:07.20 ID:RprShNyX0
冥土「今の19090号は、体の中になんらかの影響でバグが発生しているんだね」
テクパトル「・・・なぜ?」
冥土「分からないね」
冥土帰しが首を振る
冥土「・・・原因を解明すればいい話・・・というわけにもいかなくてね」
17600「それはどういう・・・」
冥土「進行しているんだね、バグが」
テクパトル「なに?」
32 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:17:18.81 ID:RprShNyX0
冥土「信じられないことではない、人間の体の中でウイルスが徐々に強まるのと同じだ」
テクパトル「・・・ちょっと待ってくれ、バグが進行しているってことは・・・」
冥土「どんどん症状は悪化するね」
テクパトル「!!」
テクパトルの顔が青ざめる
冥土「分かるかね、原因不明なウイルスの恐ろしさが」
冥土「・・・妹達の場合、それはさらに致命的だ」
33 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:23:01.37 ID:RprShNyX0
冥土「一人のミサカがウイルスに犯されれば、やがてネットワークを介して全てのミサカが侵される」
テクパトル「・・・原因は・・・」
冥土「・・・彼女だけが侵されている、ということは・・・考えられるのは二つ」
冥土「一つは、なんらかの原因で体に外部からウイルスが入ってしまった」
冥土「打ち止め似ている場合」
冥土「そして二つ目・・・」
冥土「彼女だけが保有している記憶が、なんらかの理由でバグになってしまった、という場合」
34 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:26:08.77 ID:RprShNyX0
テクパトル「あいつだけが・・・」
冥土「最近、妹達は必要なこと以外はネットワークに流さないようにしているらしいね」
冥土「個性を出すため・・・自分という存在を、作り上げるために」
それは当然だ、と冥土帰しが続ける
冥土「そして、彼女だけの記憶である電気信号が、なにかしらの理由で・・・」
テクパトル「ちょ、ちょっと待て・・・なら、ネットワークからあいつだけを切断したら?」
テクパトル「そうすれば、ウイルスはばら撒かれない・・・ゆっくり原因を探せば」
冥土「進行している、と言っただろう?」
35 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:29:52.41 ID:RprShNyX0
冥土「このままでは、あと二日で彼女は死ぬんだね」
テクパトル「!!それまでに原因を解明は・・・」
冥土「無理だね」
冥土帰しが答える
冥土「バグのワクチンを作るには時間がかかる・・・それは無理だ」
冥土「原因となっているものだけを無くすにしても、その原因がまだ分からない・・・」
冥土「原因を解明し、それをなくすにも・・・ウイルスだけを殺すワクチンを作るにも・・・」
冥土「時間は足りないね」
36 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:32:24.86 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・黙って・・・あいつが死ぬのを見届けろ・・・と?」
冥土「・・・いや、一つ方法はある、19090号を助ける方法が」
テクパトル「!?それは!?」
冥土「だが、残酷な方法だね・・・」
テクパトル「助かるのか!?それは・・・」
冥土「打ち止めと同じだよ、個体の初期化だ」
テクパトル「・・・なに?」
冥土「つまり」
冥土「彼女の記憶を、肉体を、全て初期化する」
冥土「それだけだね」
37 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 18:33:05.34 ID:RprShNyX0
さて、いったん休憩
てか、なんかMNWの仕組みってそんなもんなの?ってツッコミが来そうだ
でも、許してくだされ
だって
>>1
はバカなんだから
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/10(日) 18:37:21.78 ID:jjbZMlJG0
>>1
乙
前スレの
>>995
の浜面クソ吹いたwwwwww
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/07/10(日) 18:54:02.66 ID:bsyyDuv90
\
(/o^) <乙パトルううううううぅぅぅぅぅぅぅ!!
( /
/ く
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/10(日) 19:23:21.23 ID:k7fL9QpBo
乙ァリ
41 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:30:06.86 ID:RprShNyX0
続き
テクパトル「・・・初期化?」
それは
テクパトル「初期化ってことは・・・」
つまり
冥土「忘れるね、君と彼女だけの記憶は」
テクパトルと19090号が過ごしてきた、二人だけの時間が
テクパトル「・・・忘れられる・・・のか?」
なくなってしまうということだった
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
:2011/07/10(日) 19:31:37.25 ID:BumPWZYK0
>>1
乙
前スレで
>>1000
取ったので黒子はもらっていきますね。
初めて
>>1000
取ったんだ邪魔しないでくれよ。
43 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:32:59.23 ID:RprShNyX0
冥土「・・・君のプロフィールなんかは他のミサカが知っているから問題はないね」
冥土「ただ、たとえば君とのデート、君との話・・・そういった、彼女が共有していなかったものは・・・」
冥土「全て忘れてしまう」
10033「そんな・・・で、では今から19090号の記憶をネットワークに・・・」
テクパトル「・・・無理、なんだろ?」
テクパトルが10033号の声を遮る
テクパトル「もしも、俺との記憶が原因だったら・・・」
テクパトル「ネットワークに接続している妹達は全員、ウイルスにやられる」
44 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:36:37.70 ID:RprShNyX0
冥土「・・・そうだね」
テクパトル「・・・あいつは・・・今、どうしてるんだ・・・?」
冥土「一応寝ているね・・・そろそろ起きるはずだね」
テクパトル「・・・そうか」
テクパトルが溜め息をつく
17600「テっくん・・・」
20000「・・・二日で、ワクチンを作れる可能性は?」
冥土「ほんの少しだけだね・・・期待はしないほうがいい、一応申請はしたがね」
テクパトル「・・・あいつと」
テクパトルが口を開いた
テクパトル「19090号と・・・話がしたい」
45 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:38:45.54 ID:RprShNyX0
冥土「・・・分かった、二人でいいのかい?」
テクパトル「あぁ、頼む」
テクパトルが立ち上がる
テクパトル「・・・こんなことになるなんてな」
テクパトルが失笑する
その表情には、力がなかった
20000「テっくん・・・」
テクパトル「・・・大丈夫だ」
46 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:43:11.21 ID:RprShNyX0
テクパトルがふらふらとした足取りで病室に入る
そこには、少し顔色の悪い19090号が寝ていた
テクパトル「・・・突発的なウイルス・・・か」
テクパトルがつぶやいた
朝までは、あんなに元気だったのに
朝までは、あんなに
テクパトル(・・・目を覚ましてくれ・・・美月・・・)
19090「・・・あ、テっくん・・・」
47 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:48:31.94 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・美月、おはよう」
テクパトルが微笑む
無理な笑みだった
19090「・・・ここは、病院ですか?と美月は・・・」
テクパトル「・・・美月、大事な話がある」
テクパトル「お前の・・・命に関わることなんだ」
19090「・・・それは、どういうことですか?と美月は訊ねます・・・」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/10(日) 19:49:54.75 ID:nt/FdIdIO
天井のクソ野郎は許さない絶対にだァ
49 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:50:57.71 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・お前の体の中で・・・原因不明のウイルスが生まれたんだ」
19090「・・・」
テクパトル「体の中に・・・なにが原因か分からないウイルスが・・・」
テクパトルの声は震えていた
テクパトル「・・・このままじゃ、お前は・・・」
19090「・・・そう、ですか・・・」
テクパトル「美月、俺はお前に生きててほしい・・・」
50 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:54:43.14 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・助かる方法が一つだけあるんだ・・・」
19090「上位個体と同じ方法ですか?と美月は訊ねます」
19090号が苦笑しながら訊ねる
テクパトル「・・・あぁ、初期化だ・・・」
テクパトル「お前との・・・思い出も、全部消えるんだよ・・・」
19090「・・・」
51 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 19:57:07.89 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・お前は、どうしたいんだ?」
19090「・・・テっくんのことを、全部・・・ですか?」
テクパトル「あぁ・・・全部、忘れるんだよ」
テクパトル「・・・好きだったっていう感情も・・・全部だ」
テクパトルの瞳から涙が落ちる
テクパトル「・・・」
19090「忘れたくありません、と美月は・・・」
52 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:00:05.97 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・俺もだよ、忘れられたくはない」
テクパトル「でもさ・・・でもさ・・・」
テクパトル「お前が死ぬのなんて・・・耐えられないんだよ・・・」
19090「・・・」
テクパトル「・・・美月・・・」
19090「・・・美月の限界は、いつですか・・・?」
テクパトル「あと、二日だそうだ・・・」
53 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:01:55.36 ID:RprShNyX0
19090「・・・気持ちの整理をさせてください、と美月はお願いします」
テクパトル「・・・分かった」
テクパトルがしっかりと、19090号を抱きしめる
テクパトル「ゴメンな・・・俺には何もできないんだ・・・」
19090「テっくん、テっくんはなにも悪くありませんよ・・・と美月は・・・」
その声は震えていた
54 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:06:44.79 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・今日はゆっくり寝たほうがいい・・・あんまり無理は禁物だからな」
19090「はい・・・と美月は返事をします」
テクパトルが病室の扉を開く
19090「おやすみなさい、テっくん」
テクパトル「・・・あぁ、おやすみ」
テクパトルが病室から出る
他の妹達が何かを言ってきたが、もう耳には入ってこなかった
外には、綺麗な月が浮かんでいた
55 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:08:49.93 ID:RprShNyX0
19090「・・・」
窓からは、まぶしい朝日の光が差していた
朝
19090号は、ベッドの上でずっと考えていた
どうすればいのか
どうすれば、テクパトルを悲しませずに済むのか
どうすれば
56 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:10:38.45 ID:RprShNyX0
19090(・・・美月の記憶は・・・消えてしまうんですね、と・・・)
悲しかった
彼女が初めてキスをしたとき
彼女が初めて愛しているといわれたとき
彼女は、とても嬉しかった
だからこそ、その記憶がなくなるなんて
悲しかった
57 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:11:54.57 ID:RprShNyX0
19090(・・・)
19090号は、一人で涙をこらえていた
19090(テっくん・・・)
助けて、そう思ったとき
20000「よっ」
病室に、一人のミサカが入ってきた
58 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:15:44.14 ID:RprShNyX0
19090「・・・20000号、おはようございます・・・とミサカは」
20000「・・・いいよ、無理に明るく振舞わないで」
20000号が19090号の近くに座る
20000「・・・今、芳川さんがワクチン作ってくれてるらしいよ・・・」
19090「・・・間に合うわけはないですよ、とミサカは・・・」
20000「そうだね・・・もう、間に合わないよ」
20000「・・・たくさんの人が・・・19090号のことを思ってる」
59 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:19:33.24 ID:RprShNyX0
19090「・・・それは、素直に嬉しいですね・・・とミサカは苦笑します」
19090号が力なく笑う
20000「・・・テっくんさ・・・」
20000号が悲しそうな顔で続ける
20000「昨日、一晩中泣いてた」
20000「・・・自分が替われるなら替わりたいって・・・」
19090「それでは、ミサカが辛いです・・・」
60 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:23:30.59 ID:RprShNyX0
20000「・・・19090号、どうするの?」
19090「・・・ミサカは・・・テっくんのことを忘れたくはないです・・・」
19090「ですが、ミサカが死んでしまえば・・・テっくんは泣いてしまいますよね?」
20000「テっくんだけじゃないよ・・・ミサカだって、泣くに決まってるじゃん」
19090「それはよかったです、とミサカは微笑みます」
20000「・・・19090号・・・」
61 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:25:38.90 ID:RprShNyX0
19090「・・・ミサカは・・・」
19090「初期化・・・されても構いません」
20000「・・・」
19090「忘れてしまっても・・・きっと、テっくんや他のみんなは、ミサカと今まで通り接してくれるはずです・・・とミサカはつぶやきます」
20000「だけど・・・」
19090「・・・テっくんが、泣いていたんですよね?とミサカは確認します」
20000「・・・うん」
62 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:27:22.65 ID:RprShNyX0
19090「・・・だったら・・・せめて、少しでも悲しみを和らげたいんです・・・」
20000「・・・そっか、わかった」
20000号がそっと立ち上がる
20000「・・・ミサカ、今のを研究員さんに伝えてくる」
20000「・・・できれば、ワクチンができるのがいいけどさ」
19090「いえ、ありがとうございます、とミサカは・・・」
20000「ミサカはさ」
63 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:29:17.71 ID:RprShNyX0
20000「ミサカは・・・二人がうらやましかったんだ」
20000「仲がよくて、信頼しあっていて・・・」
20000「・・・そんな二人がこんなことになるなんて、辛いよ」
19090「・・・」
20000「・・・ゴメン、一番辛いのは19090号だよね」
19090「いえ、気にしないでください・・・とミサカは返事をします」
20000「んじゃ、またね」
64 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:30:48.34 ID:RprShNyX0
20000号が病室から出て行く
19090(またね・・・ですか)
19090号は一人、寂しく笑っていた
19090(・・・また・・・が、あるのでしょうか・・・)
記憶が消えたら
今の自分は消えてしまって
新しい自分が、みんなと日常を過ごすのだろう
65 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:32:16.74 ID:RprShNyX0
19090(・・・怖いです)
19090(でも・・・テっくんが悲しむのは・・・もっとイヤです、と美月は考えます)
そうしていると
病室の扉がまた開いた
美琴「・・・19090号・・・」
19090「お姉様・・・」
入ってきたのは、美琴だった
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/10(日) 20:33:00.84 ID:KLFljrAJ0
これは…
67 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:34:27.47 ID:RprShNyX0
美琴「・・・聞いたわ・・・ウイルスのこと・・・」
19090「そうですか・・・とミサカは返事をします」
美琴の表情は曇っていた
美琴「・・・忘れちゃう・・・んだ」
19090「・・・みたいですね、とミサカは・・・」
美琴「ゴメン・・・私には、治すことはできないんだ・・・」
19090「いえ、お姉様は何も悪くありませんよ、とミサカは答えます」
68 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:36:06.81 ID:RprShNyX0
>>66
ちょいと無理矢理だったかもしれませんね
19090「・・・お姉様・・・」
19090号が、美琴に抱きつく
19090「怖いです・・・忘れてしまうのが・・・」
美琴「・・・ゴメンね・・・ゴメンね・・・」
涙を流しながら、美琴は謝る
姉だというのに
もう、妹達を悲しませはしないと決めたのに
69 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:37:39.44 ID:RprShNyX0
美琴「一人の妹が泣いてるのに・・・」
美琴「助けてあげられないなんて・・・」
どんなに強い能力を持っていても
たった一人の妹さえも、守ってはあげられないのだ
19090「・・・お姉様、ミサカはこれでいいんですよ、とミサカはつぶやきます」
美琴「どうして・・・」
19090「・・・これは、仕方のないことです・・・」
70 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:39:40.66 ID:RprShNyX0
19090「・・・ミサカは、テっくんの悲しむ顔を見たくはないんです・・・」
19090「ミサカが死ぬのが、一番テっくんは悲しんでしまいます」
19090「だから・・・忘れてしまうとしても、そのほうがいいんです」
美琴「・・・アンタ・・・」
19090「・・・本当は・・・」
19090「悔しいんですよ・・・ミサカ一人のせいで・・・お姉様も、20000号も・・・テっくんも悲しませてしまうのが・・・」
71 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:41:24.95 ID:RprShNyX0
19090「ですが、これ以上の選択肢はありません」
19090「ゴメンなさい、お姉様」
美琴「・・・19090号、私はアンタのこと忘れないわ」
美琴が、そっと19090号の頭に手を触れる
そっと、目を閉じて美琴が口を閉じる
少し、その唇は震えていた
19090(・・・お姉様・・・)
美琴「・・・ごめんね・・・」
72 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:43:06.22 ID:RprShNyX0
19090「・・・ありがとうございました、お姉様・・・」
美琴「ううん・・・私にできることなんて何もないわよ」
美琴が、悲しそうに笑う
19090「・・・お姉様・・・」
19090「さようなら、とミサカは頭を下げます」
美琴「・・・」
9982『さようなら』
美琴「・・・バカ・・・」
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/10(日) 20:44:27.85 ID:KLFljrAJ0
>>1
いやいや、シリアスも大事。とりま乙
74 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:44:33.83 ID:RprShNyX0
美琴が病室から出て行く
19090「・・・空が・・・青いですね・・・」
太陽が空には輝いていて
そして、雲がその周りに浮かんでいて
鳥たちが飛んでいて
19090「これが、世界なんですよね・・・と美月はつぶやきます」
19090「・・・忘れたくないです・・・」
75 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:46:58.09 ID:RprShNyX0
19090号は、そっと目を閉じた
思い出すのは、全てテクパトルとの楽しい思い出だった
初めてテクパトルに会ったときは、少し恥ずかしかった
テクパトルが名前をつけてくれたときは、胸が高鳴った
自分が、愛情を抱いていると気づいたときは不思議な感情を覚えた
彼に告白されたときは、嬉しかった
それらも、もう明日で忘れてしまう
76 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:48:41.76 ID:RprShNyX0
19090「・・・」
病室のドアが、コンコンとノックされる
19090「どうぞ・・・」
入ってきたのは
テクパトル「・・・よ、どうだ?」
テクパトルだった
19090「・・・意外と・・・平気ですよ、と美月は答えます」
テクパトル「そっか」
77 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:51:26.81 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくん、昨日は・・・泣いていたんですか?と美月は訊ねます」
テクパトル「・・・あぁ、泣いてた」
テクパトル「・・・なんでだろうな・・・なんでお前なんだろうな」
テクパトル「昨日まで・・・俺が出掛けるまで、全然いつもみたいに元気だったのに・・・」
テクパトル「・・・お前が・・・どうしてだろうな」
テクパトルが19090号を抱きしめる
78 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:53:18.06 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくん、仕方ないですよ・・・」
19090号が抱きしめ返す
二人とも、手は震えていた
19090「・・・美月は・・・初期化されることを選びます・・・」
テクパトル「・・・さっき、20000号から聞いた」
テクパトル「辛いよな・・・ゴメン」
19090「辛いです・・・怖いです・・・でも・・・」
19090「今は、テっくんがいるから大丈夫です、と美月は伝えます」
79 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:55:52.53 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくん、今日はずっと一緒にいてくれませんか?と美月はお願いします」
テクパトル「あぁ、大丈夫だ」
テクパトルが優しく微笑む
19090「・・・テっくん、美月が・・・忘れてしまっても、美月と一緒に暮らしてくれますか?」
テクパトル「当たり前だろ?俺はお前を守るって決めたんだから」
19090「・・・安心しました、と美月は安堵します」
それから
二人は、いつものように他愛無い会話をした
80 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 20:58:31.47 ID:RprShNyX0
19090「・・・もう少しで、テっくんと出会って一周年なんですね・・・と美月は思い出します」
テクパトル「・・・そうだな、もうそんなに経つんだ・・・」
19090「・・・懐かしいですね・・・」
テクパトル「・・・初めてお前と会ったときは・・・恥ずかしがり屋だなって思ったよ」
テクパトルが笑う
テクパトル「でも、毎日話してたら・・・少しずつ、お前だけが特別になっていった」
81 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:01:52.01 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・愛してるんだ・・・お前のことを」
テクパトルが、19090号の手を握る
テクパトル「・・・忘れちまうんだよな、明日には」
19090「はい・・・と美月は返事をします・・・」
テクパトル「・・・でも、俺は忘れないよ」
19090「分かってますよ、と美月は返事をします」
19090号が、ニコリと微笑む
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2011/07/10(日) 21:03:43.79 ID:XFylpkNAO
美月…そしてこのタイトル…つまり…?
83 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:05:40.35 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくん、来週のデートはどこに行きますか?と美月は問いかけます」
テクパトル「ん・・・そうだな、一緒にショッピングして・・・一緒に食事もして・・・」
19090「とても楽しみです、と美月は返事をします」
19090号が顔を輝かせる
テクパトル「・・・絶対、行こうな」
19090「・・・もちろんですよ、と美月は返事をします」
テクパトル「・・・」
84 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:07:33.21 ID:RprShNyX0
>>82
深読みは禁物です、あくまで番外編ですから
テクパトル「美月、少し寝たらどうだ?」
19090「・・・テっくんと話していたいです、と美月は少し甘えてみます」
テクパトル「ははは・・・そっか、分かった」
テクパトルが19090号の頭を撫でる
テクパトル「・・・」
19090「テっくん」
85 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:09:28.24 ID:RprShNyX0
テクパトル「なんだ?」
19090「・・・テっくんは、美月が記憶を無くしても・・・愛し続けるのですか?」
テクパトル「・・・正直に言ってもいいのか?」
19090「はい・・・」
テクパトル「・・・きっと、俺は愛せないと思う」
テクパトル「俺が好きなのは19090号じゃない、美月・・・お前なんだ」
テクパトル「今のお前なんだよ」
19090「それはよかったです・・・と美月は微笑みます」
86 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:11:59.94 ID:RprShNyX0
テクパトル「いいのか?」
19090「テっくんは、美月だけを愛してくれているんですね・・・」
19090号がテクパトルの肩に頭を乗せる
テクパトル「・・・美月・・・愛してる」
19090「美月も、愛していますよ・・・」
テクパトル「よかったよ」
テクパトルは笑う
19090号も笑う
19090号の体の限界は、もうすぐそこだった
87 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:13:57.40 ID:RprShNyX0
突然、テクパトルの体にかかる重さが増した
テクパトル「・・・美月?」
19090「・・・テっくん、なんだか・・・体が重いです・・・と・・・」
テクパトル「美月!!」
テクパトルが急いでナースコールを押す
冥土「どうしたんだね・・・」
テクパトル「先生!!」
冥土「!!思ったより進行が早かったみたいだね・・・!」
88 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:16:59.16 ID:RprShNyX0
テクパトル「まさか・・・」
冥土「今なら間に合う・・・こちらの設備で初期化できるね」
テクパトル「・・・今・・・か」
テクパトルが顔を曇らせる
テクパトル「・・・美月・・・」
テクパトル「・・・先生、頼みます」
89 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:18:17.41 ID:RprShNyX0
10033「テっくん!!19090号は・・・」
テクパトル「・・・今・・・初期化してるところだ」
17600「・・・それでよかったのか、テっくん・・・」
テクパトル「あいつが望んだことだったんだ・・・」
テクパトルが両手で顔を覆う
テクパトル(・・・美月・・・)
90 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:20:28.26 ID:RprShNyX0
19090「テっくん、美月のこと・・・愛していますか?と美月は訊ねます」
テクパトル「あぁ、愛してるよ」
19090「テっくん、今日はどこに行きますか?と美月は問いかけます」
テクパトル「うーん・・・そうだな・・・行きたいところはあるか?」
19090「・・・美月は、テっくんに出会えて本当に幸せ者です、と美月はつぶやきます」
テクパトル「あぁ、俺もだよ」
91 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:22:43.49 ID:RprShNyX0
消えていく
思い出が
愛情が
全て
消されていく
大切な、愛する人が
機械と同じように、初期化されていく
92 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:23:56.58 ID:RprShNyX0
14510「テっくん・・・」
テクパトル「・・・大丈夫だ」
大丈夫ではなかった
19090号が、機械のように扱われるなんて
ウイルスのせいで、全ての時間を巻き戻されるなんて
信じたくはなかった
93 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:26:02.45 ID:RprShNyX0
冥土「終わったよ」
テクパトル「・・・助かったか?」
冥土「あぁ、どうにか初期化は成功したよ」
冥土帰しがたんたんと告げる
だが、その声は少し震えていた
冥土「・・・自分の患者なのに救えないなんて・・・僕はまだまだだね・・・」
テクパトル「なに言ってる、助けてくれたじゃないか」
94 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:27:34.75 ID:RprShNyX0
冥土「・・・助かったのかね、あの子は」
テクパトル「命さえあれば、また思い出を作ることはできる」
冥土「でもね」
冥土「君の愛したあの子は帰ってこないんだよ」
テクパトル「・・・分かってるよ」
テクパトル「でも、だったらどうすればよかったんだよ」
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/10(日) 21:30:13.79 ID:+8mNGVpSO
悲しい…
96 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:30:30.61 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・19090号は?」
冥土「病室で寝ているよ」
テクパトル「もう少しで起きるのか?」
冥土「あぁ・・・会うのかい?」
テクパトル「当たり前だろ」
テクパトルが病室に向かう
20000「ミサカたちも行こう」
御坂妹「そうですね・・・」
97 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:32:27.04 ID:RprShNyX0
>>95
恋人を忘れるってのは、忘れられるのとどちらが辛いんでしょうね
テクパトル「・・・」
病室の扉を開けば
いつもみたいに19090号は笑ってくれて
自分のことを覚えていてくれて
そんな、悲しい想像をしてしまう
98 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:33:46.18 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・」
テクパトルが、ドアをノックする
「どうぞ」
聞き覚えがあるはずなのに
でも
その声は、もう彼女のものではなかった
テクパトル「入るぞ」
手の震えを、声の震えを抑えて
テクパトルはドアを開いた
99 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:35:15.49 ID:RprShNyX0
19090「・・・?」
テクパトル「・・・19090号・・・だよな」
19090「はい、とミサカは返事をします」
御坂妹「・・・事情を知らないでしょうから説明を・・・」
テクパトル「お前は、今日から新しく俺たちと暮らすことになったんだ」
御坂妹「!テっくん・・・」
テクパトル「・・・よろしくな」
100 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:36:55.36 ID:RprShNyX0
19090「こちらこそ、よろしくお願いします」
19090号が頭を深々と下げる
10033「・・・こちらは・・・テっくんです」
17600「ミサカたちのお手伝いさんだよ、とミサカは説明します」
19090「あ、基礎的なことはもうネットワークを通じて知っています、とミサカは答えます」
今の19090号は
ネットワークを通してしか、テクパトルを知ってはいなかった
101 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:38:28.05 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・お前も、テっくんと呼んでくれていいからな」
19090「はい・・・テっくん」
少しだけ
テクパトルの顔が微笑んだ
19090「?」
テクパトル「いや・・・なんでもないよ」
19090「そうですか、とミサカは返事をします」
感情プログラムも初期化されたのだろう
表情も、それほど豊かではなくなっていた
102 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:39:50.93 ID:RprShNyX0
19090「明日から一緒に暮らすのですよね?とミサカは訊ねます」
テクパトル「あぁ・・・今日はもうゆっくり休んだらどうだ?」
19090「では、そうします」
テクパトル「・・・おやすみな」
ミサカたちと、テクパトルが部屋を出ようとする
19090「・・・テっくん・・・」
テクパトル「・・・なんだ?」
103 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:41:32.97 ID:RprShNyX0
19090「もしかして・・・」
19090「ミサカとどこかで、会った事はありませんか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「・・・」
テクパトル「いや、お前と会うのは初めてだよ」
19090「そうですか・・・とミサカはうなずきます」
テクパトル「じゃ、いい夢を見てくれ」
テクパトルがドアを閉じる
104 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:42:58.30 ID:RprShNyX0
20000「・・・テっくん・・・」
テクパトル「悪い、先に寝る」
テクパトルが少し早足で、部屋へと帰る
御坂妹「・・・」
17600「・・・そっとしといてやろう、とミサカはつぶやきます」
14510「はい・・・」
テクパトル(・・・忘れてたな・・・本当に)
布団に横たわりながらテクパトルは考えていた
105 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:44:10.97 ID:RprShNyX0
テクパトル(・・・美月・・・)
昨日までは
いや、さきほどまではそばにいたのに
もう会えはしない彼女のことを思う
テクパトル(・・・寝よう)
考えたくなかった
全てが、色を失ってしまった
106 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:47:15.43 ID:RprShNyX0
19090(・・・なぜでしょうか)
19090(会ったことはないはずなのに・・・テっくんの顔を見るとなぜか、少し胸が騒ぎます)
19090(・・・この感情は、なんなのでしょうか)
19090号には分からなかった
ふと、ベッドの上から夜空を見上げる
19090(月が雲に隠れて・・・暗いですね、とミサカは感想を抱きます)
月は、もうその姿を見せてはいなかった
107 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:49:27.22 ID:RprShNyX0
全てが終わり
全てが無くなった
次の日になるのが
テクパトルは怖かった
道化を演じる毎日が
とうとう、始まってしまった
番外編 あの月はもう、空には出ない
始まり始まり
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/10(日) 21:50:29.46 ID:k7fL9QpBo
ハッピーエンドですよね!!!そうですよね!!!
109 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:50:53.13 ID:RprShNyX0
さて・・・今日はここまで
ちょっと展開が速いですが、あくまで19090号が記憶をなくしてからがメインなので
好きな人が自分を忘れてしまったら
あなたは道化を演じられますか?
>>1
はきっと無理です
ピエロのメイクは顔は笑い、目には涙が浮かんでいますね
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/10(日) 21:51:54.08 ID:KLFljrAJ0
この
>>1
はできるジャガイモだと俺は信じてる。
111 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:52:18.17 ID:RprShNyX0
>>108
あ、それは安心してください
上琴番外編とおんなじですからw
愛が深まるにはときとしてこういうのも必要かな、と
最終的にはいつものグダグダに戻ります、なので肩の力を抜いて見ていただけたらありがたいです
112 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 21:53:06.32 ID:RprShNyX0
>>110
さだのりか・・・
でも、さだのりはハッピーエンドではなかったですね
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2011/07/10(日) 21:53:09.96 ID:BoHmJk9c0
この
>>1
に限ってBADENDなんてあり得ないさ…
なあ?
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/10(日) 21:54:59.80 ID:KLFljrAJ0
信じろ…大丈夫だ…
115 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:06:32.24 ID:RprShNyX0
>>113
もちろん、大丈夫です、本当に
>>1
はハッピーエンド好きなので
>>114
大丈夫ですよ
これからは、テクパトルと何もかもを忘れた19090号の二人の一週間を描きます
1日を100〜150レス程度で
でも、意外と早く終わりそうで怖い・・・w
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岩手県)
:2011/07/10(日) 22:22:07.78 ID:518rS+ng0
ショタコンの登場巻の打ち止めのセリフを忘れちまったか?
117 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:29:26.71 ID:RprShNyX0
>>116
あれです、細かいツッコミはなしで
そういうことを気にするならそもそもテクパトルが生きているのがおかしいですからw
118 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:32:40.25 ID:RprShNyX0
ちょいと続きを
明日バイト休みだった、ひゃっほー
テクパトル「朝か・・・」
眩しい日差しが窓から部屋に差し込む
その眩しさが、テクパトルには痛かった
テクパトル「・・・今日から新しい生活、か」
ふとテクパトルが笑う
テクパトル「・・・行こう」
テクパトルが食卓に向かう
119 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:33:18.49 ID:RprShNyX0
20000「テっくん、おはよう・・・」
14510「・・・大丈夫ですか?とミサカは尋ねます」
テクパトル「・・・あぁ」
テーブルには、もう朝食が並べられていた
テクパトル「作ってくれたのか?」
17600「あぁ、テっくんが少しでも楽できるようにな・・・とミサカは答えます」
120 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:33:45.97 ID:RprShNyX0
テクパトル「ありがとうな、みんな」
テクパトルが微笑む
御坂妹「・・・無理をして笑わなくてもいいんですよ、とミサカはテっくんに伝えます」
テクパトル「・・・そうかもしれないけどさ」
テクパトルが寂しそうにつぶやく
テクパトル「笑っていないと、潰れそうなんだよ」
121 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:34:15.80 ID:RprShNyX0
いつもの食卓
いつものような食事風景
なのに
たった一人がいないだけで
それは、とても悲しいものになってしまった
122 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:34:45.45 ID:RprShNyX0
冥土「うん、体調も良さそうだし・・・すぐにみんなと暮らせるね」
19090「そうですか、とミサカは返事をします」
冥土「・・・君は、彼らと馴染めるかな」
19090「ミサカの適応力は高いですから、とミサカは胸を張ります」
冥土「そうかい」
冥土帰しが少しだけ微笑む
123 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:35:19.51 ID:RprShNyX0
冥土「・・・そろそろ迎えに来るだろうね」
19090「・・・」
ふと19090号が自分の右手を見つめる
そこには、見覚えがないはずの指輪が付けられていた
19090「これはなんですか?とミサカは尋ねます」
冥土「ん?それは指輪だね・・・」
124 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:35:55.04 ID:RprShNyX0
19090「どうしてミサカの右手に?とミサカは首を捻ります」
冥土「・・・」
冥土帰しが顔をしかめる
その時
テクパトル「・・・先生、迎えに来たぞ」
テクパトルがその場に現れた
125 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:36:20.43 ID:RprShNyX0
冥土「あぁ、もうそんな時間かね」
テクパトル「・・・19090号、今日からよろしくな」
19090「はい、こちらこそよろしくお願いします、とミサカは頭を下げます」
テクパトル「ははは・・・そんなに畏まらなくてもいいさ」
テクパトルが苦笑する
19090「・・・テっくん、他のミサカはどこですか?とミサカは尋ねます」
テクパトル「家にいるよ・・・何人も連れてくるのもあれだからな」
126 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:36:49.13 ID:RprShNyX0
19090「そうですか、では行きましょう、とミサカはテっくんの手を引きます」
19090号がテクパトルの手を取る
一瞬だけ、テクパトルが驚いたような表情をする
19090「?どうかしましたか?」
テクパトル「・・・いや、なんでもない」
すぐにテクパトルも歩き出した
127 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:37:16.70 ID:RprShNyX0
冥土「・・・辛いだろうね」
冥土「・・・記憶のバックアップを取っている時間も無かった・・・申し訳ないね」
残された冥土帰しが、ただ辛そうにつぶやいていた
10033「ようこそ19090号、とミサカはお出迎えをします」
19090「ここがミサカの家ですか・・・とミサカは辺りを見回します」
御坂妹「・・・今日からあなたもここで暮らすんですよ、とミサカは説明します」
128 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:37:51.41 ID:RprShNyX0
19090「なんだか楽しみです・・・とミサカは胸の高鳴りを抑えられません」
20000「よっしゃ、なら今から19090号の歓迎会を・・・」
テクパトル「悪い、俺は今からバイトなんだ」
テクパトルが20000号の言葉を遮る
19090「おや・・・そうですか、とミサカは少し残念そうに答えます」
テクパトル「・・・悪いなみんな、俺抜きで歓迎会やっててくれ」
17600「・・・テっくん・・・」
129 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:38:17.34 ID:RprShNyX0
テクパトル「じゃ、行ってきます」
19090「いってらっしゃい、とミサカはテっくんを見送ります」
テクパトル「・・・」
テクパトルがコンビニに向かう
「あれ、テクパトル君・・・」
テクパトル「店長、今日ってシフト入ってなかったですかね?」
130 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:38:44.84 ID:RprShNyX0
「うん、入ってなかったけど・・・それより昨日は大丈夫だったのかい?家族が倒れたって聞いたけど」
テクパトル「あぁ、大丈夫でしたよ」
テクパトルが微笑む
「そうか、よかった・・・」
テクパトル「あ、じゃあ俺はこれで」
「明日はシフト入ってるからね」
テクパトル「はい」
131 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:39:25.68 ID:RprShNyX0
テクパトルは街をふらついていた
無意識の内に向かってしまうのは、全て彼女と共に訪れた場所だった
テクパトル(・・・おかしいよな、俺)
テクパトル(妹達全員を守るなんて言ったのに)
テクパトル(・・・19090号の歓迎会にも参加しないで・・・)
テクパトル(・・・美月・・・)
132 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:40:47.10 ID:RprShNyX0
テクパトルが空を仰ぐ
その瞳から涙が零れ落ちないように
だが、すぐに下を向いてしまう
空に浮かぶ太陽が眩しすぎて
彼の求めていた
たった一つの月よりも、ずっと眩しくて
133 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:41:16.67 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくんとはどんな人ですか?とミサカは尋ねます」
20000「・・・優しいよ、自分が傷ついてもミサカ達を守ってくれる」
17600「・・・そうだな、大事なお父さんみたいな人だよ」
19090「なるほど・・・テっくんには恋人などはいないのですか?とミサカは尋ねます」
御坂妹「・・・えぇ、いませんよ・・・とミサカは答えます」
19090「そうですか・・・とミサカはうなずきます」
134 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:42:59.64 ID:RprShNyX0
14510「・・・ミサカは、テっくんが大好きです、とミサカはつぶやきます」
10033「ミサカもですよ」
御坂妹「テっくんは、ミサカたちを守ってくれてます・・・とミサカはうなずきます」
20000「だったら、今度はミサカたちが守る番だね」
19090「?なにからですか?とミサカは訊ねます」
17600「・・・決まってるだろ」
17600「悲しみから、さ」
135 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:44:14.06 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・ここは・・・」
テクパトルがある店の前で立ち止まる
よく、19090号と訪れた喫茶店だった
テクパトル「・・・来週のデート・・・ここに来たかったんだよな」
ぽつりとテクパトルがつぶやく
テクパトル「・・・いまさら言ってもしかたないか」
136 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:45:28.23 ID:RprShNyX0
美琴「・・・あれ、テクパトル?」
テクパトルの後ろから、聞き覚えのある声がした
テクパトル「・・・ん、義姉さんか」
美琴「・・・あの子、どう?」
テクパトル「もう初期化された」
美琴「え!?今日の予定じゃ・・・」
テクパトル「昨日、容態が急変したんだ」
137 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:47:01.22 ID:RprShNyX0
美琴「・・・アンタ、こんなところで何してるのよ・・・」
テクパトル「・・・フラフラしてるのさ」
美琴「アンタがあの子を守らなきゃ誰が・・・」
テクパトル「俺のなにが分かる?」
テクパトルの声が少しとげを持つ
テクパトル「・・・見た目は・・・声は・・・19090号そのものだ」
テクパトル「でも違う・・・」
138 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:48:01.51 ID:RprShNyX0
美琴「だからって・・・」
テクパトル「怖いんだ・・・」
テクパトルがつぶやく
その肩は震えていた
テクパトル「忘れられてるんだ、俺は・・・」
テクパトル「なにも・・・覚えてないんだ・・・」
139 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:49:03.09 ID:RprShNyX0
テクパトル「守ってやらなきゃならないのに・・・」
テクパトル「心が悲鳴を上げるんだ・・・」
テクパトル「・・・なんでだろうな・・・あいつは悪くないのに・・・」
テクパトル「拒絶してしまうんだよ・・・」
美琴「・・・テクパトル・・・」
テクパトル「・・・」
140 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:50:24.49 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・時間が必要なんだ・・・」
美琴「・・・ごめん、アンタの気持ちも考えずに・・・」
テクパトル「いや、いいんだ・・・間違ってるのは俺だから」
テクパトルがフラフラと歩き出す
テクパトル「・・・あいつはもういないんだ」
テクパトル「・・・もう、俺も・・・忘れなきゃならないのかな」
141 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:51:25.80 ID:RprShNyX0
美琴「・・・」
その場に残された美琴は、拳を握り締めていた
美琴(あの子はもう・・・)
美琴(・・・覚えてないんだ)
美琴(・・・)
美琴(テクパトル、ゴメンね・・・)
142 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:52:42.28 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・ここも、懐かしいな」
テクパトルは次々と思い出の場所を訪れていた
気持ちに整理をつけるために
もう、あの思い出を清算してしまえるように
テクパトル「・・・忘れられるわけ・・ないだろ」
143 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:53:40.06 ID:RprShNyX0
あんなにも誰かのことを思ったのは
あんなにも誰かを守りたいと思ったのは
初めてだったのだ
テクパトル「・・・ははは・・・俺は、とことん運命に嫌われているようだな」
テクパトルが笑う
狂ったように、笑う
144 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:54:48.87 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・守りたいものは腕をすり抜け・・・」
テクパトル「大事なものは離れていく・・・」
テクパトル「・・・何が・・・」
テクパトル「何が愛情だよ・・・ちくしょう・・・」
失うと分かっていたはずなのに
それでも彼は求めてしまった
145 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:55:48.99 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・美月・・・俺はどうすればいい?」
空を仰ぎながら、テクパトルはつぶやく
答えなんて返ってこなかった
今も空には月があるはずなのに
それは、姿が見えなかった
146 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:57:23.43 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくんは、どんなことが好きなのですか?とミサカは問いかけます」
20000「・・・ずっとテっくんの質問だね・・・」
19090「だって、ミサカたちのことは知っていますから、とミサカは答えます」
17600「たしかにそうだが・・・」
19090「それに・・・」
19090「なんだか、彼のことをよく知りたいんです、とミサカはつぶやきます」
御坂妹「・・・」
147 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 22:58:48.10 ID:RprShNyX0
19090「ミサカは、人の温もりをよくは知りませんから・・・」
20000「・・・19090号・・・」
テクパトル「ただいま」
17600「!は、早かったなテっくん・・・」
14510「もうバイトは終わりでしたか?とミサカは問いかけます」
テクパトル「ん?あぁ、そうだ」
148 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:00:02.34 ID:RprShNyX0
19090「テっくん、おかえりなさい」
19090号が微笑む
テクパトル「・・・」
19090「?テっくん?」
テクパトル「あぁ、悪い・・・」
いつも迎えてくれた、一人の少女を思い出す
テクパトル「・・・」
テクパトル「ただいま」
149 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:01:36.76 ID:RprShNyX0
19090「あれ、テっくん・・・そっちは寝室ですよ?とミサカは・・・」
テクパトル「悪い、疲れてるんだ」
19090「・・・そうですか、とミサカは少し残念そうに答えます」
テクパトル「・・・残念・・・か」
19090「はい」
19090「もっと、テっくんと話していたいですから、とミサカは・・・」
10033「19090号!!!!!」
150 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:02:48.83 ID:RprShNyX0
19090「は、はい・・・」ビクッ
10033「あ・・・いや・・・テ、テっくんも疲れているようですから・・・」
19090「そ、そうですね・・・ごめんなさい、テっくん・・・」
テクパトル「・・・」
19090「テっくん・・・?」
テクパトル「いいんだよ・・・」
テクパトル「全部、俺が悪いんだ・・・」
151 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:04:07.72 ID:RprShNyX0
テクパトル「おやすみ・・・悪いな、夕食も作ってやらないで・・・」
御坂妹「ミサカたちで作れますから、とミサカは答えます」
テクパトル「そうか・・・よかった」
テクパトルが部屋へと入っていく
20000「・・・さ、夕食作ろう」
19090「・・・はい」
152 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:05:14.82 ID:RprShNyX0
テクパトルは布団に顔をうずめていた
テクパトル(・・・面影があるんだ)
テクパトル(重ねてしまうんだ・・・)
テクパトル(・・・そこに、美月を感じてしまうんだ・・・)
もう、彼女はいないのに
テクパトル(どうすればいいんだよ・・・)
153 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:06:24.57 ID:RprShNyX0
テクパトル(・・・寝よう、考えないほうがいい)
リビングからはミサカたちの声が聞こえた
いつもなら微笑ましいはずのそれが
なぜか、今は耳障りにさえ聞こえてしまう
テクパトル(悪い・・・みんな・・・)
テクパトル(俺はやっぱり・・・ダメなヤツだよ)
154 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:07:43.88 ID:RprShNyX0
19090「・・・テっくんは、ミサカを避けているのでしょうか?とミサカは訊ねます」
20000「なんで?」
19090「いえ・・・なんだか、距離を置かれているようですから・・・」
17600「・・・緊張してるのさ、テっくんは」
14510「あ、あぁ見えてシャイですから・・・」
19090「そう、ですか・・・」
155 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:09:32.98 ID:RprShNyX0
ミサカたちが料理を終え、食卓に座る
20000「・・・いただきまーす」
御坂妹「うん、美味しくできています・・・とミサカは感想を述べます」
19090「本当ですね、とミサカも賛同します」
10033「・・・」
19090「?10033号、どうかしましたか?とミサカは訊ねます」
10033「いえ・・・」
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/07/10(日) 23:10:47.41 ID:XPo/2fFGo
これは辛いな……
俺の彼女も事故った時に目覚めてすぐは記憶が曖昧で
俺のことが分からないらしく「誰ですか?」って尋ねられたんだが
記憶がちゃんと戻るまでの数分だけでも足から崩れそうになった
157 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:11:29.57 ID:RprShNyX0
14510「・・・さて、食事も終わりましたし、お風呂ですね・・・とミサカは次の予定を口にします」
20000「みんなで背中とか流し合おうぜ」
10033「・・・あ、ミサカはあとで行きます・・・」
19090「?どうかしましたか?とミサカは・・・」
10033「少し胃もたれがしているだけですよ、とミサカは答えます」
17600「・・・じゃ、先に入っとくぞ」
10033「はい」
158 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:13:10.36 ID:RprShNyX0
>>156
戻ってよかったですね、本当に
忘れられるのは辛いですよ、うん
10033「・・・」
10033号が、テクパトルのいる部屋へ向かう
10033「テっくん、起きていますか?」
テクパトル「・・・どうした、10033号」
10033「声だけで分かるのですね・・・とミサカは驚嘆します」
159 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:14:33.58 ID:RprShNyX0
テクパトル「家族だからな」
10033「・・・ちょっと失礼しますね」
10033号がテクパトルに近づく
10033「・・・やっぱり、19090号と一緒に居ると辛いですか?」
テクパトル「あぁ・・・辛い」
テクパトル「あいつを、まだ前の19090号と重ねてしまう自分がイヤだ」
160 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:15:51.76 ID:RprShNyX0
テクパトル「・・・記憶を消すと決めたのは」
テクパトル「そう最後に決断したのは俺なんだ」
テクパトル「19090号は悪くないのに」
テクパトル「あいつを避けてしまう」
テクパトル「・・・最低だよ・・・」
10033「そんなことはありませんよ・・・」
161 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:17:16.34 ID:RprShNyX0
テクパトル「忘れたくないんだ・・・」
テクパトル「でも、忘れない限りはずっとあいつを避けてしまう・・・」
テクパトル「・・・」
10033「約束・・・したんじゃないんですか?ずっと、彼女を忘れないと」
テクパトル「したさ・・・」
テクパトル「だから・・・忘れたくないんだ」
162 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:18:23.20 ID:RprShNyX0
10033「だったら、忘れなくても・・・」
テクパトル「・・・あいつはもういないんだ」
テクパトルの声が震える
それが、布団越しでさえ分かるほどに
テクパトル「隣を見ても・・・名前を呼んでも・・・」
テクパトル「いないんだよ・・・」
163 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:19:24.79 ID:RprShNyX0
10033「テっくん・・・」
テクパトル「あんなにもそばにいたのに・・・」
テクパトル「もう、手が届かないんだ・・・」
テクパトル「どうすればいい・・・」
テクパトル「俺はどうすれば・・・」
10033「・・・テっくん、時間はたっぷりありますよ・・・」
164 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:20:47.85 ID:RprShNyX0
10033「すぐにでなくてもいいんです」
10033「何年掛かってもいいんです・・・」
10033「テっくんが、気持ちを整理さえできれば・・・」
10033「それまでミサカたちは待ちますから」
テクパトル「・・・ありがとう・・・」
テクパトル「・・・ごめん、今日は寝たいんだ」
10033「はい」
165 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:22:29.27 ID:RprShNyX0
10033号が部屋から出る
残されたテクパトルは泣いていた
テクパトル「・・・助けてくれ・・・美月・・・」
もういない、愛していた人の名前を呼びながら
テクパトル「どうすればいい・・・」
テクパトル「・・・美月・・・」
166 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:23:45.99 ID:RprShNyX0
アルバムを燃やすことは
写真を捨てることは
きっと誰にでも出来るはずだ
だが、過ごした時間は
残った思い出は
形がない故に、いつまでも残り続ける
それは時として、人を縛り付ける鎖にさえも形を変えて
167 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/10(日) 23:25:45.62 ID:RprShNyX0
さて、今日は本当におしまい
別に全てが
>>1
の実体験ってわけではありませんが
まぁちょこちょこ体験談みたいなのもあります
記憶喪失ももちろんですが、別れてから心に整理が着くまで、忘れられるというのはとても辛いことです
テっくん、がんばれ
ではおやすみなさい
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/10(日) 23:28:02.29 ID:KLFljrAJ0
乙!楽しみにしてるぜェ?
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/10(日) 23:32:49.60 ID:QsA9ULGIo
くぁー切ないねぇ…
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/10(日) 23:41:35.86 ID:v2NqmORJ0
テクパトルぅぅぅぅ!!
ハッピーエンドを待ってるぜェ!
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/07/11(月) 06:26:30.30 ID:y9qbdHlIO
心がめっちゃモヤモヤする…
辛いぜ…
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 06:41:20.06 ID:bnAbcFqSO
ほのぼのからこの展開は……
急な展開なだけに上琴シリアスよりきつい
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 06:53:49.57 ID:6ezeet5g0
クソッ、ここまで読んだだけで涙出た……
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/11(月) 07:41:05.35 ID:ySvyIyiSo
でもねぇ、俺はこういうシリアスは
大好きだ
より絆が試されるというか
浮き彫りになってくるというか
ほのぼのもいいけど
シリアスはばんばんやってほしいな
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 09:21:42.44 ID:0rxhMziIO
いいねェいいねェ最ッ高だねェ!
これからの展開に超期待してます
176 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 09:59:13.20 ID:wZ/la8q+0
急な展開にしたのはもちろん、1スレで終わらせるため・・・というのもありますが
交通事故なんかで、大切な人は一瞬でいなくなってしまいます
だからこそ、リアルでは信じられないほどの急展開なんです
それをちょっと分かっていただけたらな、と
記憶喪失は、肉体が生きているから死んでいない、というものなのか
それとも、前の記憶がなくなった時点でその人物は死んだのか
そこは人それぞれですね
では投下
177 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 09:59:46.14 ID:wZ/la8q+0
次の朝も
テクパトルには、嬉しくない朝だった
テクパトル「・・・今日も一日が始まったのか」
それは楽しみだ、という意味ではなく
ただ、めんどくさいという意味だった
テクパトル「おはよう・・・」
178 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:00:30.15 ID:wZ/la8q+0
19090「あ、おはようございます・・・とミサカは返事をします」
テクパトル「・・・他のミサカは?」
19090「・・・先程急に出かけました、とミサカは答えます」
テクパトル「・・・あいつら・・・」
そういえば昨晩、10033号と話したような記憶がある
きっと10033号が気を遣ったのだろう
179 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:01:00.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが気持ちの整理を出来るように
19090号と二人きりの時間を作れるように
テクパトル(・・・世話焼きやがって・・・)
情けなかった
そんなにも、妹達に心配をかけていたなんて
テクパトル(・・・みんな、ありがとな)
180 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:01:27.15 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・朝ごはん、ありますよ・・・とミサカはテっくんに伝えます」
テクパトル「お、本当だ・・・ありがとう」
テクパトルが微笑みながら食卓に座る
夜通し泣いたおかげだろうか
整理がついた、というほどではないが少しだけ何かが吹っ切れたのかもしれない
181 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:02:12.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「お前はもう食べたのか?」
19090「はい、とミサカはうなずきます」
テクパトル「そうか・・・」
19090「・・・本当は待っていたかったのですが・・・」
テクパトル「いや、俺が遅く起きたのが悪いんだから」
一人で黙々と料理を口に運んでいく
182 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:02:42.68 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・テっくんは・・・ミサカのこと、嫌いですか?とミサカは尋ねます」
テクパトル「・・・そんなことはないさ」
テクパトルが微笑みかける
テクパトル「ただ・・・どう接すればいいのか分からないんだよ」
19090「なぜですか?とミサカは問い掛けます」
テクパトル「なぜ・・・か」
183 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:03:09.62 ID:wZ/la8q+0
19090「他のミサカに対するように接してもらえればいいんですよ、とミサカは・・・」
テクパトル「出来るわけ・・・ないだろ」
テクパトルの表情が一瞬曇る
19090「・・・」
テクパトル「悪い・・・お前は何も悪くはないのにな・・・本当にすまない」
19090「テっくん、何か・・・ミサカとあったのですか?とミサカは尋ねます」
184 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:03:39.91 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「なんもないよ・・・なんも」
本当は
今すぐにでも、伝えたかった
自分は、昔の19090号を、美月を愛していた、と
だがそんなことを言って何になるというのだろうか
19090号を苦しめてしまうだけだ
185 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:04:05.79 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・バイトあるから行かなきゃならない・・・他のミサカ達はすぐ帰ってくるだろう」
19090「・・・そうですか、とミサカは返事をします」
テクパトル「・・・」
テクパトルがバイトに向かうための準備を始める
19090「テっくん・・・ミサカは、少し前の記憶がないんです・・・基礎的な知識はあります、ですが思い出というものが全くないんです・・・なぜでしょうか、とミサカは尋ねます・・・」
テクパトル「・・・」
その問いには答えず、テクパトルが部屋から出ようとする
186 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:04:32.96 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくん・・・」
テクパトル「19090号」
ただ一言
テクパトル「すまない」
謝罪だけを述べて
テクパトルは、そのドアを閉じた
187 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:05:07.06 ID:wZ/la8q+0
廊下には、一人のミサカがいた
テクパトル「・・・出かけたんじゃなかったのか?」
20000「・・・ちょっと早く帰り着いただけだよ」
テクパトル「そうか、ならいいけどな」
20000「ねぇテっくん・・・」
テクパトル「今からバイトなんだよ、お前も聞いてただろ」
188 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:05:33.27 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・いってらっしゃい、ちゃんと帰ってきてね」
テクパトル「・・・分かってるよ」
不機嫌そうにテクパトルが答える
テクパトル「じゃあな、夕食は適当に作っててくれ」
20000「・・・分かった」
189 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:05:59.71 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・最低だな、俺は)
バイトの最中も、テクパトルは自分を責めていた
テクパトル(20000号は俺を心配してくれただけなのに・・・あんなに冷たくしてしまって)
テクパトル(本当に・・・イヤになる)
テクパトル(・・・帰りたくないな、今は)
あんなに帰りたいと思っていた場所さえも
今は、ただの柵でしかなかった
190 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:06:26.71 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「店長、お疲れ様でした」
「お疲れ様、また明日ね」
テクパトル「はい」
バイトを終えたテクパトルは適当に夜の街をふらついていた
何をするというわけでもなく、ただふらついていた
テクパトル「・・・」
191 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:06:58.56 ID:wZ/la8q+0
垣根「お、テクパトルじゃねぇか」
そうしていると、後ろからいきなり話し掛けられた
テクパトル「・・・垣根じゃないか、どうした」
垣根「聞いたぜ・・・19090号のこと」
テクパトル「・・・慰めにきたってわけか?」
垣根「別に、俺が慰めて解決するほど簡単な問題じゃないだろ」
垣根が笑う
192 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:07:25.19 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・そうだな、かなり難しい問題だ」
垣根「帰らないのか、家には」
テクパトル「今は帰りたくないんだよ」
垣根「それも仕方ないかもな」
テクパトル「・・・いいな、お前は・・・」
テクパトル「守りたいものがそばにあって」
193 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:07:55.50 ID:wZ/la8q+0
垣根「おいおい、ついこの間までお前だってあったんじゃねぇか」
テクパトル「今は・・・無くなったよ」
垣根「そうかい」
垣根が呆れたようにため息をつく
垣根「ま、これからどうするかはお前次第だ・・・がんばれよ」
じゃーな、と垣根が歩き出す
194 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:08:24.43 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「分かってるさ、それぐらい」
テクパトルが垣根と違う方向へ歩き出す
ふと空を見上げる
昨日と同じで、分厚い雲が空を覆っていた
テクパトル(・・・今日も曇ってるんだな)
月は、やはり見えなかった
195 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:08:50.73 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・テっくん、帰ってきませんね・・・とミサカはため息をつきます・・・」
20000「あの野郎・・・ちゃんと帰ってくるって言ったのに・・・」
御坂妹「仕方ありませんよ、とミサカは・・・」
14510「ですがテっくんがいないのは辛いです、とミサカはつぶやきます」
17600「テっくんにもたまには一人の時間が必要さ・・・」
19090「ミサカは・・・少しテっくんを探してきます、とミサカは伝えます」
196 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:09:20.57 ID:wZ/la8q+0
御坂妹「ダメです、そんな勝手な行動は許しません、とミサカは19090号を叱り付けます」
19090「ですが・・・」
20000「あー、ミサカが探してくるよ」
20000号が勢いよく立ち上がる
御坂妹「だから、勝手な行動は・・・」
だが、20000号は10032号の静止を振り切る
197 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:09:55.27 ID:wZ/la8q+0
20000「ミサカはこういうときのフォローは得意なんだよ」
手をヒラヒラと振りながら20000号が部屋を出る
19090「・・・テっくん・・・」
10033「そんなに気になるのですか・・・?とミサカは尋ねます」
19090「よくは分かりませんが・・・」
19090号が、少しうつむきながら答える
198 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:10:21.66 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくんのことは、なぜか気になってしまいます、とミサカは答えます・・・」
14510「そう、ですか・・・」
ミサカ達が口を閉じる
ただ、テクパトルのことを思いながら
大切な家族のことを思いながら
199 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:10:47.84 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・お、いたいた・・・テっくん!」
テクパトル「・・・なんだ、20000号か」
20000「なんだ、とはひどいね」
テクパトル「あぁ・・・悪い・・・別に落胆してるわけじゃないんだよ」
20000「もしかして」
20000「・・・19090号を思い出しちゃう・・・とか?」
200 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:11:16.07 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・あぁ、それもあるな」
テクパトルが苦笑する
テクパトル「ダメだよ、何もしていないと・・・すぐにあいつのことを考えてしまう」
20000「そんなもんだよ、最初のうちは」
テクパトル「・・・いつか、忘れてしまうのかな」
20000「・・・わからない、未来は誰にもわからないよ」
201 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:11:42.58 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺を連れ戻しに来たのか?」
20000「うん、そうだよ」
テクパトル「・・・分かった、帰るよ」
テクパトルが病院に向かって歩き出す
20000(・・・テっくん、背中が泣いてるよ)
202 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:12:08.46 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ただいま」
19090「!テっくん、今までどこにいたんですか!?」
テクパトル「・・・すまない、心配をかけたか」
御坂妹「遅くなるのは構いませんが、せめて連絡を下さい・・・とミサカは・・・」
テクパトル「悪い、今日も疲れてるんだ」
ミサカたちの真横を通り、テクパトルが寝室に向かう
203 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:13:00.83 ID:wZ/la8q+0
17600「おいテっくん・・・」
テクパトル「おやすみ」
バタン、と強めに扉が閉められる
テクパトルの姿は扉の向こうに消えた
残されたのは、重々しい沈黙だけだった
204 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:16:54.21 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・ミサカは、テっくんになにかしてしまったのでしょうか?とミサカは問いかけます・・・」
20000「なんもないって・・・19090号は悪くないよ」
14510「そ、そうですよ・・・」
19090「・・・」
19090号が泣きそうな顔をする
19090「テっくん・・・」
17600「・・・19090号」
205 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:18:40.40 ID:wZ/la8q+0
19090「はい・・・」
17600「今は、テっくんとはあんまり関わらないほうがいいかもしれない」
19090「そ、それは・・・」
17600「分かるだろ・・・それがお互いのためなんだ」
17600号が淡々と進める
その表情はどこか悲しげだった
19090「・・・分かりました、とミサカはうなずきます」
206 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:20:44.45 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・)
テクパトル(・・・このままじゃダメだよな・・・)
テクパトル(・・・)
忘れられるわけはなかった
忘れない、と約束したから
忘れたくなかったから
207 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:22:44.42 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・19090号・・・)
テクパトルは、今の19090号のことを思っていた
どう接すればいいのかも分からない
ただ、彼女は困惑しているだろう
初対面のテクパトルに拒絶されてしまって
周りが、なぜか自分に気を遣っていて
そんな、状況に
208 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:25:38.77 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・どうにか、話してみないとな)
彼女と同じ顔と話すのは辛かった
でも、そうしないと前には進めない
テクパトル(・・・美月・・・)
それでも
そうと決めても、テクパトルの頭に浮かぶのは彼女のことだった
209 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:27:23.05 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・おはよう、みんな」
10033「あ、おはようございます・・・とミサカは挨拶をします」
テクパトル「・・・?19090号と17600号は?」
14510「買い物に行きました、とミサカは説明します」
御坂妹「・・・19090号にも、生活のノウハウを教えないといけませんから、とミサカは・・・」
テクパトル「・・・そっか」
210 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:29:58.53 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・テっくん、辛いんじゃない?」
テクパトル「辛いさ、でも弱音を吐いて何になる?」
10033「テっくん、強がらなくても・・・」
テクパトル「強がる?別に強がってなんかないさ」
テクパトルが笑う
御坂妹「・・・今も・・・」
211 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:31:16.90 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・お前たちには分からないさ」
10033「テっくん、ミサカたちも悲しいんですよ?」
20000「19090号がいなくなったのは寂しいに決まって・・・」
テクパトル「お前たちにとっては家族だった・・・でも」
テクパトル「俺にとっては世界の全てだったんだ」
テクパトル「お前らに分かるか?」
212 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:33:39.77 ID:wZ/la8q+0
御坂妹「分かりますよ・・・だって・・・」
テクパトル「ふざけんじゃねぇよ!!!!!!!!!!!」
ミサカたちの体がビクリと震える
これほどまでに彼が大声を上げたことはなかったからだ
テクパトル「分かるわけないだろ!?俺の苦しみが・・・」
213 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:35:43.14 ID:wZ/la8q+0
14510「テっくん!ミサカたちも家族を失う悲しみは分かります!!」
テクパトル「恋人を失う悲しみは!?たった一人の好きだった人を失う悲しみが分かるか!?」
14510「それは・・・」
テクパトル「知った風な口を利くな!!!!!!!!!」
テクパトル「お前らに俺の気持ちが分かるかよ!!」
テクパトルが、机を叩く
214 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:37:25.38 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・分かるわけないだろ・・・」
テクパトル「最後に・・・最後にあいつと話した俺の気持ちが・・・」
テクパトル「来週も一緒に出かけようなんて・・・話した俺の気持ちが・・・」
テクパトル「・・・あいつの初期化を先生に頼んだ俺の気持ちが・・・」
テクパトルの声が震える
ミサカたちは、声を出せなかった
215 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:39:27.40 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・分かるのかよ・・・」
10033「テっくん・・・」
御坂妹「・・・テっくん、すいません・・・」
テクパトル「・・・悪い、頭冷やしてくる」
テクパトルがいきなり立ち上がる
14510「テ、テっくん・・・」
20000「ミサカもついていこうか?」
テクパトル「いや、いい」
216 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:41:14.60 ID:wZ/la8q+0
がちゃり、とテクパトルが扉を開けると
19090「テ、テっくん・・・」
17600「・・・テっくん、外のこと、考えたほうがいいぜ」
二人のミサカがいた
テクパトル「・・・」
19090「テっくん、初期化・・・とはなんの・・・」
テクパトル「悪い」
217 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:42:44.50 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが19090号を押しのけて部屋から出る
17600「・・・夕飯、いるか?」
テクパトル「いらないと思う」
17600「そうか、気をつけてな」
テクパトル「あぁ」
19090「・・・さっきの話は・・・どういうことなんですか?とミサカは問いかけます」
218 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:43:59.65 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・なんでもないさ、なんでも」
19090「ですがテっくんは・・・」
20000「いいの、気にしなくて・・・」
20000号が19090号の頭を撫でる
10033「・・・テっくんに・・・嫌われたかもしれません、とミサカは・・・」
御坂妹「・・・大丈夫ですよ・・・」
219 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:44:56.98 ID:wZ/la8q+0
テクパトルは
昨日と同じように街をふらついていた
何を考えていたのか
なぜ、ミサカたちを責めてしまったのか
何も悪くないミサカたちを
悪いのは全て自分なのに
220 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:46:09.06 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・カップル、か)
周りには幸せそうなカップルが溢れていた
テクパトル(・・・俺も、少し前まであんなふうに笑っていたんだよな)
隣に美月、という愛する女性がいて
それが当たり前で
テクパトル(・・・当たり前、か)
221 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:47:21.71 ID:wZ/la8q+0
なにが当たり前なのだろうか
たった一年だけだった
その前の人生は、幸せな一年の何倍もあった
そして、今まではこんな生活が当たり前だった
幸せなのが当たり前ではなく
テクパトルにとっては、絶望が当たり前だったはずだ
222 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:48:38.40 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・自惚れすぎたな)
幸せを掴んだ自分に
満足しすぎていたのだろう
テクパトル(・・・帰りたくない)
怖かった
ミサカたちと顔を合わせるのが
自分に優しくしてくれるミサカたちが
223 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:50:37.28 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・怖い)
当たり前の風景が続いていて
その中に、ポツンと一つだけ穴が開いていて
それがやがて、日常という砂に埋められて
まるで、最初から穴などなかったかのようになってしまうのが
怖かった
美月という存在が、世界から忘れられるのが
怖かった
224 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:51:38.63 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・)
何をすればいいのだろうか
もう、何をしても彼女は帰ってこない
頭では理解していても
心は悲鳴をあげている
テクパトル(・・・こんな・・・急なものなんだな、不幸と言うのは)
225 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:52:49.32 ID:wZ/la8q+0
今まで訪れなかったのが不思議なくらいに
それは、テクパトルの周りをうろついていたのだ
テクパトル(・・・)
周りからは幸せそうな笑い声が聞こえる
その中には、自分達はいなかった
テクパトル(あぁ、そうだよ・・・いるわけがないんだ)
テクパトル(美月は・・・死んだんだ)
226 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:53:42.64 ID:wZ/la8q+0
記憶がなくなるだけ
初期化をするだけ
彼女の体は元通り
19090号は生きている
そんな、甘い考えだったのだろうか
彼女の記憶がなくなれば
美月、という少女は死んでしまうはずだったのに
227 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:57:00.83 ID:wZ/la8q+0
初期化をしてくれと冥土帰しに頼んだのはテクパトルだった
それは
彼女にとっては死刑宣告ではなかったのか
テクパトル(そうだ)
彼女を殺したのは
美月を殺したのは
テクパトル(俺なんだ)
228 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:58:00.89 ID:wZ/la8q+0
テクパトルは自嘲する
愛した人を手にかけたのと
果たして何が違うのか、と
空には太陽が浮かんでいた
その眩しい光は
月の灯りなど、掻き消してしまうほどに強かった
229 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 10:58:34.20 ID:wZ/la8q+0
いったん休憩
こういうときって、絶対自分を責めてしまいますよね
本当に辛いですから
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 12:27:26.48 ID:HV1CZOWIO
辿る経緯が変わらないならどの選択肢をとっても同じ気持ちになるだろ
誰も悪くないのに誰かが傷つくって、よくあることだけど一番しんどいことだよな
231 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:30:42.70 ID:wZ/la8q+0
>>230
誰も悪くないからこそ傷つくんでしょうね
さて、投下は2時くらいから
というかここからハッピーにするのが難しい気がしてきた
でもがんばる
232 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:54:02.60 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
うるさい街だった
誰もがみな笑っていて
誰もがみな幸せそうで
テクパトル(・・・幸せ、か)
彼は、その幸せを自らの手で殺してしまった
233 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:54:31.04 ID:wZ/la8q+0
もう帰っては来ない
テクパトル「・・・」
ふと、バカな考えが頭に浮かぶ
あの日、20000号と出会う前まで考えていたこと
もしも
自分が死んでしまえば
こんな世界を見ずに済むのではないか
234 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:54:57.17 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・違うな)
それは違った
彼の望みは、幸せな世界から目を背けることではなく
もう一度幸せな世界の中で暮らすことだったのだ
テクパトル「・・・」
235 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:55:23.40 ID:wZ/la8q+0
時間は無情に過ぎていく
テクパトル「・・・来週、デートの約束してたっけ」
ぽつりとテクパトルがつぶやく
テクパトル「・・・美月、お前は・・・」
今
どこにいるのだろうか
236 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:55:49.24 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・テっくん、帰ってこないな」
17600「もしかしたらしばらくは帰ってこないかもしれないな」
10033「・・・しばらく、でしょうか」
14510「・・・ずっとかもしれませんよ」
御坂妹「・・・ずっと・・・ですか」
ミサカ達は一人足りない食事の最中だった
237 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:56:15.55 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・ミサカは、やっぱりテっくんを探してきます」
20000「だーかーらー、今19090号が行ってもどうにもならないんだってば」
19090「ですが・・・」
17600「いや、行っていいぞ」
おもむろに17600号が口を開く
19090「い・・・いいんですか?とミサカは確認を取ります」
238 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:56:42.37 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・あぁ、行っていい、ただしミサカもついていくがな」
20000「・・・大丈夫?」
17600「心配ないさ」
17600号が19090号の手を取る
17600「・・・いや」
17600「心配しか、ないのかもな」
239 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:57:09.22 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・夜になっても相変わらずうるさいんだな」
テクパトルは夜の街を一人で歩いていた
テクパトル「・・・美月」
17600「テっくん、見つけたぞ」
後ろからミサカの声がしたが、テクパトルは振り向かない
240 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:57:35.13 ID:wZ/la8q+0
17600「シカトしてんじゃねー・・・ってそんなわけではないか」
テクパトル「なんの用だ」
テクパトルの声は冷たかった
17600「こいつがテっくんと話がしたいって言うんでね」
テクパトル「・・・」
17600号の後ろで、19090号が気まずそうに立っていた
241 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:58:01.41 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・なんの話だよ」
19090「テっくん・・・ミサカに、何があったのかを教えてください」
テクパトル「何もないって言っただろ」
テクパトルの声が鋭くなる
19090「テっくん・・・」
テクパトル「・・・17600号、すまないな・・・迷惑をかけて」
242 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:58:27.50 ID:wZ/la8q+0
17600「なぁテっくん」
17600「テっくんにとってミサカ達ってのはその程度の存在なのか?」
テクパトル「・・・その程度?」
17600「・・・たった一人のミサカがいないくらいで、他のミサカを捨ててしまうほどだったのか、ってことさ」
テクパトル「たった一人だと?」
二人の視線がぶつかり合う
243 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:58:54.01 ID:wZ/la8q+0
19090号は、ただ口を閉じていることしか出来なかった
テクパトル「お前、もう一度言ってみろ、ただじゃ済ませないぞ」
17600「たった一人のミサカ、だよ」
テクパトル「・・・」
17600「何が守るだ、何が家族だ」
244 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 12:59:53.81 ID:wZ/la8q+0
17600「どうせ他のミサカは、あいつのオマケだったんだろ?」
17600「あいつがミサカの中の一人じゃなかったら」
17600「あいつが普通の人間だったら」
17600「ここまでミサカ達に世話を焼いたりはしなかっただろ」
テクパトル「ふざけるな、俺は妹達を・・・」
17600「傷つけてるんだぜ、テっくん」
245 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:00:20.09 ID:wZ/la8q+0
17600「みんな、傷ついてる」
17600「テっくんが帰ってこないことに悩み・・・テっくんを慰められないことに苦しみ」
17600「同じ顔、同じ声なのに」
17600「ミサカ達が替わりになることさえできない」
17600「・・・苦しいのさ、ミサカ達だって」
246 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:00:48.31 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
17600「よく考えてくれ、テっくん」
17600「ミサカ達全員と、たった一人のあいつ」
17600「どっちが大切なんだ?」
17600「テっくんの出した答えなら、ミサカ達は責めない」
17600「ただな、ミサカは他の姉妹の悲しい顔は見たくないんだよ」
247 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:01:32.14 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・もしテっくんが、ミサカ達よりあいつが大切だって言うなら・・・」
17600号の顔が悲しい表情になる
17600「今後一切、テっくんとはコンタクトを取りたくない」
それは
決意か諦めか
17600「答えろテっくん、どっちが大切なんだ?」
248 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:02:22.93 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・どっちが、か」
テクパトルがふと19090号を見る
その顔は怯えていた
気の弱かった、彼女と同じように
テクパトルが愛した
「たった一人」と同じように
249 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:02:48.25 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「重ねてしまうのさ、美月と」
テクパトル「妹達を」
テクパトル「俺は苦しい、そしてお前達も苦しめてしまう」
テクパトル「でも、美月を忘れることはできない」
テクパトル「・・・美月が、一番大切なんだ・・・今も、やっぱり」
17600「そうか・・・そうだと思ってたよ、それに」
17600「そう答えてくれなかったら、ミサカはテっくんを軽蔑していた」
250 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:03:14.39 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・悪い、テっくん」
17600「でも、ミサカ達と距離を置かなきゃもうテっくんは壊れてしまう」
17600「・・・ミサカだって本当はイヤなんだよ」
テクパトル「分かってるさ、お前達はみんな優しいからな」
テクパトルが笑う
251 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:03:40.78 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくん・・・」
テクパトル「・・・19090号」
テクパトル「すまない」
いつまでも彼は
自分を責め続けるのだろう
252 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:04:07.34 ID:wZ/la8q+0
そして
テクパトル「本当にすまない」
別れの言葉も
最後の言葉も
そんな、悲しい一言だった
253 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:04:33.67 ID:wZ/la8q+0
17600「ただいま」
19090「・・・ただいま」
20000「!テっくんは!?」
御坂妹「見つからなかったのですか?とミサカは問い掛けます」
17600「テっくんはな」
17600「もう帰ってはこない」
254 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:05:00.13 ID:wZ/la8q+0
10033「・・・どういう・・・ことですか?」
17600「三行半をたたき付けてきた、もうミサカ達に関わらないようにって」
14510「なぜそんなことを!?今のテっくんを支えられるのはミサカ達だけ・・・」
17600「支える?苦しめるの間違いさ」
17600号が鼻で笑う
17600「テっくんがミサカ達の顔を見たいと思うだろうか」
255 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:05:27.65 ID:wZ/la8q+0
17600「愛していた人と同じ顔なんだぞ?」
17600「容姿を、声を、面影を」
17600「重ねてしまうに決まってるだろ」
17600「ミサカ達と関わり続ければ、いつまでもテっくんはあいつのことを引きずってしまう」
256 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:06:06.25 ID:wZ/la8q+0
14510「ですが・・・」
17600「・・・最良の選択じゃないのは分かってる、でも最悪の選択は避けなければならない」
17600「仕方ないんだよ」
17600「・・・仕方、ないのさ」
19090「・・・テっくんは、過去に・・・ミサカの一人と恋人だったのですか?とミサカは問いかけます」
257 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:07:04.41 ID:wZ/la8q+0
17600「あぁ、そうだ」
17600「テっくんは苦しんでる、もうそいつはいないから」
17600「・・・ミサカたちが関わっちゃいけない」
17600「・・・ダメなんだ、もう」
19090「・・・」
全員が、悲しそうな表情をする
何も、できないのだ
258 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:08:31.66 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・仕方、ない」
10033「はい・・・」
14510「・・・さ、テっくんがいなくても問題ないようにみんなで家事を覚えましょう!とミサカは張り切ってみます!」
御坂妹「そうですね、とミサカも返事をします」
17600「よし、がんばるか!!」
ミサカたちは笑っていた
道化と同じで
その瞳に、涙を浮かべながら
259 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:09:49.24 ID:wZ/la8q+0
月がなければ闇は照らされず
周りの星が瞬くだけ
その輝きも人には届かず
哀れな最後を辿るだけ
テクパトルには
妹達には
月のない夜が、迫っていた
260 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 13:10:53.32 ID:wZ/la8q+0
また、いったん休憩です
テっくんは恋人どころか家族も失ったのでしょうかね
ですが、ハッピーエンド目指してがんばりますよ
上琴はたしか200くらいでもう復興の兆しを見せましたが、このスレは500くらいまでは堕ちるだけかもしれないですね
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 13:22:29.46 ID:0rxhMziIO
超期待
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 14:04:25.33 ID:ACVn+RYIO
やべェなァ…
最高だぜェ…
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 14:42:22.48 ID:bnAbcFqSO
一方通行が絡んで来ないのが気になる所
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 14:43:25.85 ID:+f8PVGqIO
このスレで泣きそうな自分と原作インデックスの過去編で盛大に泣いた自分がかぶる
不思議・・・だな
265 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:11:42.96 ID:wZ/la8q+0
>>263
彼は、妹達の命を守ります
でも、思い出を守れるのは家族であるテっくんではないかな、と
さて・・・続きを投下
266 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:12:51.22 ID:wZ/la8q+0
テクパトルは、歩いていた
行く宛てのない、闇の中を
テクパトル(・・・)
何も見えない、何も聞こえない
光のない闇の中を
恋人も家族も失ってしまった
どうすればいいのだろうか
267 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:14:05.36 ID:wZ/la8q+0
「おーい!!そこの兄ちゃん!!」
誰かがテクパトルを呼んだ
一瞥をくれるが、とくに友人と言うわけではない
ただのタクシーの運転手だった
「タクシー、乗ってかない?」
テクパトル「・・・俺は歩きたい気分なんだよ」
「いいからいいから、回送だしただでいいって」
268 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:15:10.28 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
「悩みでもあるんじゃないの?聞いてやるよ」
テクパトル「・・・分かるのか?」
「そりゃ、そんな顔してたらな」
運転手が笑う
テクパトル「・・・どんな顔をしてる?」
「この世の終わり、みたいな顔だな」
269 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:16:20.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・なるほど、今にはぴったりだな」
「おいおい、この世の中はまだ終わっちゃいないぜ?」
テクパトル「俺の世界は終わってるんだよ」
テクパトルが睨みつける
そういう普通の会話でさえ、今は鬱陶しかった
「・・・ふーん、そりゃ大層なこった」
テクパトル「だから俺は乗らない」
270 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:18:58.10 ID:wZ/la8q+0
「いいから、悩みなら俺が聞いてやるよ」
運転手がニカっと笑う
コーンロウの、少しいかつい運転手だった
テクパトル「・・・訴えるぞ」
「どうぞご自由に」
テクパトル「・・・」
271 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:21:11.02 ID:wZ/la8q+0
「・・・で、どんな悩みなんだい」
テクパトル「関係ないだろ」
「人に悩みをぶつけるのも大切なことだ」
運転手がつぶやく
テクパトル「・・・なぁ、アンタ」
「なんだ」
テクパトル「恋人を・・・失ったことはあるか」
272 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:23:11.30 ID:wZ/la8q+0
「・・・兄ちゃんは失ったのかい」
運転手の声が少し静かになる
テクパトル「・・・なんだろうな、恋人が記憶を失ったんだ」
「なんだ、なら助かるかも・・・」
テクパトル「いや、絶対に戻らないんだ」
テクパトルが答える
自分にも言い聞かせるように
273 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:25:14.61 ID:wZ/la8q+0
「絶対?」
テクパトル「あぁ、もう戻らない・・・それは死んだのと同じだよな」
「そうだな、それは死んだのと同じだぜ」
テクパトル「・・・それが、辛いんだ」
「いつのことだ」
テクパトル「・・・おとといだよ」
「そうか・・・」
274 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:27:01.23 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺は、その恋人の妹達と一緒に住んでるんだ・・・いや、住んでたのほうが正しいか」
「へぇ・・・それはどういう意味だ?」
テクパトル「もう、一緒には暮らせないんだ」
「なんで」
テクパトル「・・・思い出してしまうんだ」
テクパトル「顔が似ていて・・・声も似てる・・・」
テクパトル「もういない・・・あいつのことを重ねてしまう」
275 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:28:38.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・それで、理不尽に傷付けてしまったんだ」
「それで、もう一緒には暮らせない、と」
テクパトル「そうだ・・・」
「・・・アンタ、そこまで彼女のことを愛してたのか」
テクパトル「・・・俺の全てだった・・・」
テクパトルが顔を手で覆う
もう、何が残されているだろうか
276 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:30:49.09 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・何が・・・悪かったんだろうな」
「誰も悪くないさ、運がなかっただけだ」
テクパトル「・・・俺が悪かったんだ」
テクパトル「あいつの記憶を消すと決めたのは俺だった」
この運転手は事情を知らないのだ
そんなこと、言ってもしょうがなかった
なのに
277 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:32:39.89 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺が・・・」
誰にでもいいから
テクパトル「あいつを・・・」
責めてほしかった
テクパトル「殺したんだ・・・」
「ふーん・・・」
「お前さん、そりゃ辛いな」
278 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:34:43.43 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「恋人を・・・あいつを殺したのは俺なんだ」
テクパトル「忘れたらいけない・・・忘れられない・・・」
テクパトル「誰にでもいいから・・・責めてほしいんだよ・・・」
テクパトル「みんな・・・俺を慰めてくる・・・」
テクパトル「俺が・・・俺が・・・」
「そうだな、アンタが殺したんだ」
279 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:36:51.83 ID:wZ/la8q+0
「バカじゃねぇのか、そんなこと確認しなくても分かるだろ」
「アンタが決断した、アンタが殺した」
「そうだな・・・その彼女はアンタを恨んでると思うぜ」
「助けてくれると信じていたのに」
「自分の存在を、簡単に諦めたんだから」
テクパトル「簡単になわけないだろ・・・」
280 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:38:44.98 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺は、悩んださ・・・」
テクパトル「・・・あいつをどうすれば助けられるのかと・・・」
テクパトル「・・・命だけでも、守ってやりたかった」
テクパトル「でもさ・・・あいつは死んだのと同じだったんだな・・・」
テクパトル「だったら・・・どっちの決断をしても同じだったんだ・・・」
テクパトル「同じ・・・だったんだ」
「そうかねぇ」
281 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:41:34.77 ID:wZ/la8q+0
「今の選択肢を選ばなければ、アンタは苦しまなかった」
「自分が殺したのとは違うからな」
「ま、いまさらグダグダ言っても仕方ないな」
「どっちにしろ、もうその恋人は帰ってこないんだ」
テクパトル「・・・そうだな」
「その妹さんと暮らすのは辛いだろうがな」
282 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:43:58.45 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・どうすればいいのかな」
「それはアンタが決めることだが・・・」
「でもさ、その妹さんとは家族だったんだろ?」
テクパトル「あぁ・・・」
「血は繋がってなくても、心は繋がってたはずだ」
「そこが、帰るべき家だったはずだ」
283 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:46:17.44 ID:wZ/la8q+0
「家族なんて、喧嘩はよくするもんだ」
「でも、すぐに仲直りできるだろ」
「・・・アンタ、その妹さんのこと・・・好きじゃないのか?」
テクパトル「・・・あいつらは家族なんだ」
テクパトル「大事な家族だ・・・」
テクパトル「でも・・・」
284 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:49:07.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「家には・・・あいつがいるんだ」
「記憶を失った彼女さんか?」
テクパトル「あぁ・・・」
「いいじゃねぇか、それでも」
「そこに面影を見るのは当たり前だ、同じ体なんだから」
「・・・面影を見るってことは、その彼女さんのことを忘れずに済むってことさ」
285 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:51:18.16 ID:wZ/la8q+0
「アンタがその子と話すたび」
「そこに、彼女さんとの思い出が蘇るなら」
「別にそれでもいいじゃねぇか」
テクパトル「・・・もう、会えないとしてもか?」
「会えないからこそさ」
「会えないからこそ、そこでしか見れないんだよ」
「淡い夢の中でしかな」
286 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:53:40.07 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・そういうものかな」
「辛けりゃいつだって逃げればいいさ」
「でもな、忘れるのだけはダメなんだ」
「アンタが忘れたら誰がその子を思い出す?」
「一番愛したアンタが忘れたら・・・」
「その子の愛は本当に消えてしまう」
287 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:55:32.75 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・それは、辛いことだな」
「忘れないってのは縛り続けられるってことだ・・・」
「他の女と、その彼女を比べてしまう」
「でもさ、もしいつかその彼女を越える人が現れたらそれでいい」
「・・・もし、現れなかったら」
「お前は、そんなにいい女と付き合えたんだと、喜べばいい」
288 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:57:38.61 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・あいつらは・・・許してくれるかな」
「家族なんだろ?大丈夫さ」
テクパトル「・・・そうか」
テクパトル「なぁ、降ろしてくれるか?」
「おいおい、なに言ってるんだよ」
「送っていってやるよ」
「俺もちょうどそっちに用事があるからな」
テクパトル「・・・どこか知らないだろ」
「いいってことよ」
289 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 15:59:51.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・ありがとう、ここでいい」
「そうかい、頑張れよ」
テクパトル「・・・あいつら・・・どうしてるかな」
「家族だろ、待ってるさ」
テクパトル「どうだかな」
嫌われているかもしれない、とテクパトルは思う
テクパトル「・・・そうだ、最後にききたいんだけど」
290 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:02:46.87 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「お前・・・いったい誰なんだ?」
「さぁね」
テクパトル「・・・ありがとう、少しは前を向けそうだ」
「そうか、それはアンタの道だぜ」
「アンタだけが見つけた道だ」
テクパトル「俺の・・・道、か」
291 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:05:24.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトルは歩く
我が家に帰るために
テクパトル(・・・17600号、怒ってるかな)
テクパトル(・・・19090号・・・)
テクパトル(みんな、悪い)
テクパトル(俺は美月を忘れたりはしない)
テクパトル(お前たちと、あいつを重ねてしまう)
292 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:08:33.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(でもさ・・・俺は、お前たちを守りたい)
テクパトル(美月にそっくりなお前たちを)
テクパトル(そんなくだらない理由でも)
テクパトル(そんな自己中心的な理由でも)
テクパトル(お前たちが認めてくれるなら)
テクパトルが、部屋の前に立つ
中からは、うっすらと光が漏れていた
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/07/11(月) 16:09:17.49 ID:ajjrOVB60
運転手はもしかしてさだのりか?
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 16:11:00.44 ID:ZXsU57QIO
>>293
コーンロウだから…
295 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:11:00.33 ID:wZ/la8q+0
震える手が、テクパトルの心を表していた
でも
テクパトル(それでもお前たちが俺を迎え入れてくれるなら・・・)
ガチャリ、と乾いた音がする
テクパトル(俺はお前たちを・・・)
ミサカ一同「・・・おかえりなさい、テっくん」
テクパトル「・・・ただいま」
テクパトル(守りたいんだ)
296 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:13:58.65 ID:wZ/la8q+0
>>293
>>294
そこらへんはつっこまずにw
17600「・・・いまさらのうのうと帰ってきたのか、とミサカは問いかけます」
テクパトル「すまん、何度だって謝るつもりだ」
10033「・・・どれだけ心配したと思ってるんですか、とミサカはテっくんを責めます」
テクパトル「・・・すまん」
297 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:16:45.98 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・ご飯、できてるよ」
テクパトル「作っててくれたのか・・・?」
14510「帰ってくるって信じてましたから、とミサカは答えます」
御坂妹「・・・17600号に感謝してください、とミサカはテっくんに命令します」
17600「ま、そういうことだ」
テクパトル「・・・ありがとう」
298 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:19:55.66 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが家に上がる
もう一人、ミサカがいた
19090「・・・テっくん」
テクパトル「・・・19090号」
19090「お、おかえりなさい・・・とミサカは笑顔で迎えてみます」
テクパトル「・・・」
少し、懐かしい笑顔だった
299 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:22:18.00 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・違うよな、美月じゃない)
それでも
テクパトル「・・・ただいま」
テクパトルは笑った
彼女はどこにもいない
もう、どこにも
空には月は昇っていない
星だけが、変わらず瞬いていた
300 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:24:33.28 ID:wZ/la8q+0
さて、これから500までは少しほのぼのと、いつもどおりの日常かな
でも、そこにはたった一人の誰かがいない
登場人物が欠けた舞台は
音の鳴らないオーケストラと同じですね
って先生が昔言ってた気がする
301 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:26:06.06 ID:wZ/la8q+0
翌朝
テクパトル「おはよう、みんな」
19090「あ、テっくん、おはようございます、とミサカはあいさつをします」
テクパトル「おはよう、19090号・・・みんなは?」
19090「・・・あれ、見てください・・・とミサカは指差します」
19090号の指差す先には
17600「あー、だりー」
20000「さみーよー」
二人のミサカが転がっていた
302 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:28:11.82 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ははは・・・いつもどおりか」
テクパトルが呆れたように笑う
19090「あと、あっちはあっちで・・・」
14510「一方通行の魅力は・・・」
10033「いやいや、そこは・・・」
テクパトル「・・・なんだ、あれは・・・」
御坂妹「あ、テっくん」
303 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:29:59.53 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ん、おはよう」
御坂妹「朝ごはん、できてますよ、とミサカは食卓を指差します」
テクパトル「お、悪いな・・・」
御坂妹「テっくんがなんとかひきこもりから復帰してよかったです、とミサカは安堵します」
テクパトル「ひきこもり・・・」
19090「?」
304 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:32:33.28 ID:wZ/la8q+0
10033「テっくん、テっくんは一方通行はSだと思いますよね!?とミサカは・・・」
14510「いえ、意外とMっぽい・・・」
20000「はぁ?どっちもいけるだろ」
19090「テっくん、あれはどういう意味ですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「知らなくていい・・・」
テクパトルが頭を抱えながら食卓に向かう
テクパトル(・・・普通の日常か・・・)
305 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:34:44.86 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが少し寂しく笑う
ここに、彼女がいなくても
当たり前のように時間は過ぎていく
テクパトル(・・・来週・・・か)
カレンダーを見ると、そこにはデートの予定が書き込まれていた
テクパトル(・・・美月・・・)
306 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:37:33.06 ID:wZ/la8q+0
19090「?テっくん、どうしました?とミサカは訊ねます」
テクパトル「いや・・・なんでもない」
テクパトルが食事を始める
御坂妹「テっくん、どうですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「ん、いつでも嫁にいけるくらいに美味いぞ」
御坂妹「そ、それは・・・とミサカは少し顔を赤らめます」
テクパトル(?・・・ダメだったかな?)
307 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:40:09.76 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・うん、この目玉焼きも塩コショウが抜群です、とミサカは評価します」
20000「どれどれ・・・」
テクパトル「こら、箸を使え」
17600「テっくん、急にいつもどおりになったな」
テクパトル「・・・まぁな」
19090「?」
308 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:43:16.58 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「今日はバイト休みだな・・・」
朝食を終えたテクパトルがぽつりとつぶやく
テクパトル「・・・何しようかな」
14510「では、みんででかけませんか?とミサカは問いかけます」
テクパトル「ん、いいな」
19090「では、アクセサリーが見たいです、とミサカはお願いします」
テクパトル「・・・あぁ、分かった」
309 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:45:48.10 ID:wZ/la8q+0
全員が、アクセサリーショップへ向かう
御坂妹「昔、お義兄様にネックレスを買ってもらいましたね・・・とミサカは・・・」
17600「抜け駆けかよおい」
10033「はー、一方通行に買ってもらえたら・・・」
14510「激しく同意です・・・とミサカは・・・」
20000「むしろセロリたんの・・・あれをもらえればいいかな」
19090「?」
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 16:48:02.08 ID:wFufdrvIO
>>294-295
時空を超えた………。
311 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:48:07.51 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
テクパトルがじっと、ペアリングを見つめている
テクパトル(・・・そういえば・・・この前、一緒に買ったな)
小さく、テクパトルが笑う
ペアリングは、まだ右手につけていた
テクパトル「・・・」
19090「あ、テっくん・・・ペアリングですか?とミサカは訊ねます」
312 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:49:55.37 ID:wZ/la8q+0
>>310
いっけね、話書くのに集中しすぎちゃったよ
テクパトル「・・・あぁ」
19090「・・・?テっくん、右手についているのは・・・」
テクパトル「なんでもないさ」
テクパトルが右手をポケットに入れる
テクパトル「なにかほしいのあったか?」
19090「そうですね・・・」
313 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:51:41.62 ID:wZ/la8q+0
19090「これがほしいです、とミサカはお願いします」
19090号が手に取ったのはブレスレットだった
テクパトル「ブレスレットか、いいぞ」
19090「ありがとうございます、とミサカは頭を下げます」
20000「・・・よかったな、テっくんもなんとか立ち直ったみたいで」
17600「・・・そうかな」
314 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:53:01.59 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「みんなも決まったか?」
10033「オーケーですよ、とミサカは返事をします」
19090「テっくんは買わないんですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「・・・俺はいいよ」
テクパトルが苦笑する
17600「・・・19090号、テっくんに選んでやったらどうだ」
19090「え、ミサカがですか?」
315 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:54:09.83 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・いいって、俺は」
17600「みんなで買い物、だろ」
19090「で、では・・・」
19090号がブレスレットを手に取る
彼女が選んだのと同じものだ
19090「お、おそろいでいいでしょうか?とミサカは問いかけます」
テクパトル「・・・」
316 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:56:57.29 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺はいいよ」
テクパトルがつぶやく
19090「・・・そうですか、とミサカは肩を・・・」
17600「こらこらテっくん、せっかくなんだから買おうぜ」
無理矢理17600号がブレスレットをカゴに入れる
テクパトル「おい」
17600「・・・テっくん、いいじゃないか」
テクパトル「・・・分かったよ」
317 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 16:59:13.93 ID:wZ/la8q+0
テクパトルがしぶしぶうなずく
19090「じゃあ・・・次は何をしますか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「・・・日用品でも見るか?」
御坂妹「そうですね、とミサカはうなずきます」
20000「じゃ、レッツゴー」
テクパトル「・・・」
318 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:03:15.59 ID:wZ/la8q+0
一同は日用雑貨を見ていた
14510「・・・椅子もいいですね、とミサカは・・・」
テクパトル「いや、いらないよもう・・・」
17600「おいおい、ちょっとしたときに休みたいんだよ、とミサカはテっくんに呆れます」
テクパトル「そういうもんなのか・・・?」
19090「そうですよ、とミサカはテっくんに教えます」
テクパトル「ふーん・・・」
319 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:05:15.81 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・テっくん、19090号にちょっと冷たいよ」
テクパトル「え、そうか?」
17600「こう、愛が足りないよ」
テクパトル「・・・うるせぇ・・・」
20000「さっきのブレスレットもそうだったし」
テクパトル「・・・」
テクパトルが不機嫌そうな顔をする
320 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:08:21.93 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・仕方ないだろ」
14510「・・・さ、次に行きましょう、とミサカはみんなを先導します」
テクパトル「・・・」
19090号と普通に接しようとしても
どこか、ぎこちなくなってしまう
テクパトル(・・・仕方・・・ないよな)
321 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:10:23.87 ID:wZ/la8q+0
テクパトルは迷っていた
いつもどおり過ぎる日常
最初から美月、なんていう女性はいなくて
もしかしたら、これが当たり前だったのではないか、と
そんなことはないのに
20000「ね、これ可愛くない?」
322 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:11:40.02 ID:wZ/la8q+0
10033「あ、可愛いですね・・・とミサカは賛同します」
17600「うん、可愛い」
御坂妹「テっくん、買ってもいいですか?とミサカは問いかけます」
あまりにも、今までどおり時間が過ぎて
世界は回っていて
御坂妹「テっくん?」
323 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:14:43.59 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ん?あ、あぁ・・・」
御坂妹「・・・聞いていましたか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「悪い、なんだ?」
御坂妹「・・・はぁ、いいですよ・・・とミサカはそっぽを向きます」
テクパトル「・・・悪い」
テクパトル(・・・ダメだな)
テクパトル(まだ、立ち直れそうにはない)
324 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:17:03.95 ID:wZ/la8q+0
19090「そろそろお昼にしませんか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「あぁ、そうだな」
14510「ではレストランにでも、とミサカは提案します」
20000「おー、わりと空いててよかったね」
17600「座ろうぜー」
テクパトル「落ち着け・・・」
325 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:20:29.99 ID:wZ/la8q+0
一同が席に着く
19090「ミサカは・・・これにします」
20000「ミサカも」
14510「ミサカはこれですね」
それぞれが自分の好きなメニューを選ぶ
テクパトル(・・・美月とも、よくレストランには来たな・・・)
ボーっと、テクパトルが外を眺める
326 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:22:29.83 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・あぁ、そういえば・・・あいつはいっつもハンバーグを頼んでた)
テクパトル(子供っぽいところが好きだったな・・・)
20000「テっくんは何にする?」
テクパトル「・・・俺は適当に選んでてくれ」
17600「ったく・・・自分で選べよ・・・」
ミサカたちが少し不思議そうな目で見てくるが、テクパトルは気づかない
327 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:25:49.49 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・こんなところでも思い出してしまうんだな・・・)
テクパトル(それほど、当たり前の存在だったんだ・・・)
テクパトル(・・・)
20000「お、来たぞ」
17600「テっくん、ステーキでよかったか?」
テクパトル「ん・・・サンキューな」
328 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:28:58.58 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・ハンバーグ、美味しいです・・・」
19090号が嬉しそうに表情を崩す
テクパトル(・・・味覚は同じ・・・当たり前か)
テクパトル(・・・ははは・・・ダメだ、比べるんじゃない・・・)
19090「・・・テっくん」
テクパトル「ん、どうした?」
19090「あ、あーん・・・とミサカはテっくんにハンバーグを一口・・・」
329 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:31:02.52 ID:wZ/la8q+0
20000「19090号!!!!」
20000号の声が響いた気がした
19090号が、驚いたような顔をした気がした
17600号が、頭を抱えているような気がした
10033号が自分を呼んでいる気がした
10032号が19090号を落ち着かせているような気がした
330 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:33:09.42 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
頭の中が真っ白だった
19090『あ、あーん・・・』
彼女が重なって
吐き気がした
気持ちが悪かった
なぜだろうか
331 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:34:35.01 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
唇が震えていた
ミサカたちが、テクパトルを呼んでいる
怖かった
全員が、彼女に似ている
テクパトル「・・・だ、大丈夫だ・・・」
なんとか、不気味な感情を押さえつける
332 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:37:02.02 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「19090号、ゴメンな」
テクパトルが頭を下げる
19090「い、いえ・・・ミサカこそ・・・」
17600「19090号、まぁその・・・テっくんは・・・な」
19090「は、はい・・・」
19090「その・・・ミサカたちの一人と恋人関係だったとは聞いています・・・」
333 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:39:15.73 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
19090「・・・」
10033「19090号、それ以上は・・・」
19090「テっくん」
19090号が静かに訊ねる
19090「その右手につけているペアリング・・・ミサカの右手にあるものと、同じです」
テクパトル「・・・」
334 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:40:58.11 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・答えてください」
19090「・・・テっくんが・・・テっくんが付き合っていたのは・・・」
19090「テっくんが愛していたのは・・・」
19090「ミサカではないのですか?」
20000「19090号・・・」
テクパトル「・・・今のお前じゃないさ」
335 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:42:45.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・ごめん、先に帰るな・・・」
テクパトルが席から立ち上がる
19090「・・・テっくん」
20000「・・・」
17600「ミサカもついていくよ」
テクパトル「財布は置いとくから」
テクパトルがテーブルに財布を置く
336 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:45:37.03 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・」
御坂妹「・・・19090号・・・」
19090「ミサカは・・・」
19090「ミサカは、誰なんですか・・・?」
10033「それは・・・」
19090「テっくんが・・・愛したミサカではないのですか?」
337 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:46:52.56 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「一つだけ言えることがある・・・」
テクパトルが歩きながら答える
テクパトル「俺の愛してた人は死んだ」
テクパトル「もう、ここにはいないんだよ」
ただ、そうとだけ
テクパトルの日常は
道化の立った舞台には
やはり、月の光は当たらない
338 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 17:48:09.74 ID:wZ/la8q+0
さて、ちょいと展開が急ですが休憩を
記憶がない19090号にはそもそも悪気はないんです
ではテっくんが悪いのか、といったら違います
立ち直ったと自分では思っていても、実は決してそうではない
人とはそういうものかもしれません
339 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/11(月) 17:52:06.67 ID:EpXG0Pe6o
このすれ違い感が泣けるんだけど……最終的には今まで以上に絆は深まるよね!ね!
340 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:03:24.65 ID:wZ/la8q+0
>>339
大丈夫・・・です、たぶん
続き
テクパトル「・・・」
17600「・・・テっくん、辛いか?」
テクパトル「大丈夫だ・・・大丈夫だ」
17600「・・・」
17600号がテクパトルの顔を見つめる
その額には、尋常ではないほどの汗が浮かんでいた
341 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:08:36.53 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・19090号・・・悪気はないんだ」
テクパトル「分かってる・・・分かってるさ・・・」
テクパトル「でもな・・・やっぱり重なるんだよ・・・」
17600「・・・」
テクパトル「それに・・・」
テクパトル「・・・気づかれたかもな・・・」
342 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:09:51.49 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「やっと・・・19090号は慣れてきただろうに・・・」
テクパトル「俺のせいだ・・・」
ぎゅっ、とテクパトルが拳を握り締める
テクパトル「また俺は・・・辛い思いをさせてしまう・・・」
17600「テっくん、それは違う」
17600「テっくんは・・・苦しめるために選んだわけじゃない」
343 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:11:06.11 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「分からない・・・俺は正しかったのか?」
17600「・・・それは、あいつだけが・・・19090号だけが知ってることだ」
テクパトル「・・・美月は・・・俺を恨んでるだろう・・・」
テクパトルの肩が震える
テクパトル「俺は・・・自分のことしか考えてなかった・・・」
テクパトル「他人事だったのかな・・・」
344 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:12:15.64 ID:wZ/la8q+0
17600「そんあことないさ、テっくんは親身になってた」
テクパトル「・・・」
17600「帰ろう、大丈夫・・・」
17600「19090号だって深くは追求してこないさ」
テクパトル「・・・前のあいつは」
テクパトルがつぶやく
彼女を思い出しながら
345 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:13:18.42 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・美月は・・・」
テクパトル「俺のことをよく分かっていた・・・」
テクパトル「今の19090号も・・・もしかしたら・・・」
17600「落ち着けテっくん、それはない・・・」
17600「今の19090号は、前の19090号とは違う・・・」
テクパトル「根本が似てるんだよ・・・」
346 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:14:18.85 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「あいつが俺に・・・話しかけてくるたび・・・」
テクパトル「あいつの言葉から優しさを感じるんだ」
テクパトル「・・・美月と・・・とても似た優しさなんだよ・・・」
17600「・・・テっくん、もういい」
テクパトル「・・・」
17600「今日は帰って寝よう、な?」
347 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:15:25.71 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「あぁ・・・すまない・・・」
17600「・・・」
二人が病院に向かって歩く
周りは幸せそうな笑顔で溢れている
17600(神様・・・アンタは残酷だ)
17600(こんなに優しいテっくんを苦しめるなんて・・・)
17600(アンタは、テっくんに嫉妬でもしてるのかよ・・・)
348 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:16:37.89 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・ミサカたちも帰りましょう、とミサカは提案します」
10033「・・・今帰ったら・・・」
19090「・・・テっくんに・・・」
19090「テっくんに、説明してほしいんです」
19090「ミサカはなぜか、テっくんのことが気になります」
19090「出会ったばかりのはずなのに、そんな感じがしないんです・・・」
349 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:17:52.41 ID:wZ/la8q+0
20000「・・・どうして?」
19090「・・・ミサカは記憶はありません、もう思い出は消えています・・・」
14510「・・・」
19090「ですが、テっくんを見ているとなぜか少しだけ胸が高鳴るんです、とミサカは伝えます」
御坂妹「なぜですか?とミサカは訊ねます」
19090「きっと・・・」
19090号が、ぎゅっとペアリングを握る
350 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:19:12.24 ID:wZ/la8q+0
19090「きっと、心が残っているからです、とミサカは答えます」
19090「プログラムからは消えていても」
19090「記憶にはなくても」
19090「・・・この胸の中には、残っているんです・・・」
20000「・・・分かった、帰ろう」
10033「テっくん・・・大丈夫でしょうか、とミサカはつぶやきます」
20000「大丈夫、テっくんは強いから」
351 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:20:16.34 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・眠い)
テクパトル(もう、起きたくない)
テクパトル(・・・もう・・・)
テクパトル(辛い思いはしたくないんだ・・・)
テクパトル(もう・・・)
19090「テっくん」
テクパトル「・・・」
352 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:21:10.94 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・美月・・・か?」
19090「テっくん、どうして美月を殺したのですか?」
テクパトル「!!」
19090「守ってくれると信じていたのに」
テクパトル「違う・・・俺は・・・」
19090「なにが違うのですか?」
353 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:22:16.10 ID:wZ/la8q+0
19090「聞こえましたよ、テっくんの声が」
19090「初期化を頼んだ声が」
19090「美月を殺したのはあなたです」
19090「愛しているという言葉はうそだったのですか?」
19090「守るという言葉は偽りだったのですか?」
テクパトル「違うんだ!!」
354 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:23:30.01 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺だってこんなことはしたくなかった!!」
19090「・・・」
テクパトル「恨んでるのか・・・?」
19090「当たり前です」
19090「テっくん、あなたは美月を裏切りました」
19090「いまさら美月にすがらないでください」
355 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:24:32.02 ID:wZ/la8q+0
19090「あなたが捨てたんですよ?」
19090「それに戻ってきてほしいなど、甘い考えです」
19090「テっくん」
19090「美月は、あなたを恨んでいます」
テクパトル「美月!!」
テクパトルが起き上がると、真っ暗な部屋が目に入ってきた
356 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:25:17.27 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・夢・・・か」
テクパトルが頭を抱える
イヤな夢だった
それは本当に夢なのか
真実ではないのか
美月は、彼を恨んではいないだろうか
357 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:26:18.51 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(夢でさえも・・・俺は苦しむのか・・・)
テクパトルの胸を、何か熱いものがこみ上げる
テクパトル「・・・」
ふらふらと、水面所へ向かう
17600「お、おいどうしたテっくん・・・」
17600号の声を無視して、水面所へ入る
358 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:27:23.73 ID:wZ/la8q+0
ビチャビチャ、と口の中から何かが飛び出る
気持ちが悪かった
テクパトル(・・・)
恨んでいます
そんな言葉が、彼の頭の中をグルグルと回る
もしかしたら
今の19090号が自分にしつこく構ってくるのは
359 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:28:36.71 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(恨んでいるから・・・か・・・?)
テクパトルを苦しめるために
彼女は
テクパトル(なんでだよ・・・どうして疑うんだ・・・)
イヤだった
そうやって疑ってしまう自分が
17600「テ、テっくん!!」
17600号が駆け寄ってくる
360 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:29:44.40 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・くれ・・・」
17600「テっくん・・・」
鏡の中のテクパトルの表情はゆがんでいた
テクパトル「許してくれよ・・・」
テクパトル「許してくれ・・・美月・・・」
かろうじて出てきたのは
やはり
謝罪の言葉でしかなかった
361 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:31:17.63 ID:wZ/la8q+0
19090「ただいま・・・」
20000「17600号・・・テっくんは?・・・ってあれ」
ミサカたちが帰り着いたときには、部屋には二人の姿はなかった
14510「あ、机の上に置手紙がありますよ・・・とミサカは指差します」
20000「ん、ホントだ」
362 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:32:29.82 ID:wZ/la8q+0
御坂妹「どれどれ・・・」
全員が、手紙を読み進める
10033「・・・テっくんが・・・?」
14510「今、先生の診察を受けている・・・?」
20000「・・・テっくん」
追い詰めすぎたな、と20000号がつぶやく
19090「い、行きましょう・・・」
20000「ダメだ、今だけは絶対・・・」
363 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:35:05.02 ID:wZ/la8q+0
19090「ですが・・・」
10033「・・・19090号、テっくんは・・・」
19090「ミサカのせいで苦しんでいます、それは分かっていますよ・・・」
19090「だとしたら、その苦しみを無くせるのもミサカだけです・・・」
御坂妹「・・・17600号が帰ってくるのを待ちましょう、とミサカはいったん場を収めます」
19090「・・・はい」
364 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:36:17.70 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・先生、テっくんは・・・」
冥土「・・・責任を感じていることがストレスになってるね・・・」
17600「・・・」
冥土「・・・彼はまだ若い、あんなことがあったんだ・・・」
冥土「相当の責任を感じ、それを抑えきれないんだね」
17600「このままじゃテっくんは・・・」
365 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:37:36.38 ID:wZ/la8q+0
冥土「・・・廃人になる可能性さえあるね」
冥土「夢でも責め続けられる・・・それは辛いことだ」
冥土「起きていれば現実に戸惑い」
冥土「眠ってしまえば夢で苦しむ」
冥土「・・・僕がもう少し早く、19090号の異変に気づけば・・・ね」
17600「先生は悪くないさ・・・」
366 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:39:46.88 ID:wZ/la8q+0
冥土「・・・とにかく、今は精神安定剤を打っているが・・・」
17600「・・・問題を解決できるのは当事者、か」
冥土「19090号と・・・彼だけだね」
17600「分かった」
17600号が椅子から立ち上がる
17600「先生」
冥土「なんだね」
367 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:41:24.40 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・19090号の記憶のコピーデータはないのか?」
冥土「・・・残念ながら、ないんだね・・・」
冥土「それを取っているヒマがなかった」
冥土「・・・さきほど、ワクチンが届いたよ」
冥土「コピーデータがあれば今すぐにでも19090号を元通りにできるのに・・・」
冥土「記憶にバグの原因があったとしても・・・もう、問題ないのにね・・・」
368 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:42:45.54 ID:wZ/la8q+0
17600「・・・となると、奇跡を願うしかないか」
冥土「・・・記憶が戻ることかい?」
17600「・・・でも、ネットワークには二人だけの思い出はほとんどない」
17600「・・・19090号にとって、秘密にしたいほど・・・」
17600「大切な記憶・・・だったのかもな」
冥土「そう・・・だね」
369 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:43:54.64 ID:wZ/la8q+0
17600「そんなものを消したんだ・・・テっくんが責任を感じるのも無理はない」
冥土「早く19090号を連れてきてくれ」
冥土「テクパトルに、会わせてやってくれ」
17600「あぁ、分かってる」
診察室から17600号が出る
17600(・・・待ってろテっくん)
370 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:46:24.52 ID:wZ/la8q+0
17600「19090号!!」
19090「!!テっくんは・・・」
17600「詳しい話はあとだ、テっくんのところに行ってやってくれ!」
御坂妹「しかし・・・」
17600「いいから!!」
17600号が真剣な顔で叫ぶ
371 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:47:28.89 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・分かりました」
19090号がうなずいて、部屋から出て行く
10033「よかったのでしょうか・・・」
20000「・・・信じるしかないよ」
20000号が目を細める
20000「19090号の胸に残ってる・・・」
20000「たった一つの感情だけを」
372 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:48:20.02 ID:wZ/la8q+0
月の姿が空から消えて
星は涙を拭っていた
月を照らした太陽は
何を照らせばいいのだろうか
空には闇が広がっていた
373 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 18:49:40.59 ID:wZ/la8q+0
いったん休憩
500くらいまでは本当にモヤモヤさせるつもりです
そして、500くらいから600くらいまでは少しずつテっくんが前向きになり・・・
それから900までが本編のクライマックス
900からは後日談、となります
・・・なんか書いてるほうも欝になりますねw
374 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 19:23:14.07 ID:wFufdrvIO
鬱になりそうな
>>1
も応援してる、と誰かの口調を真似ながらミサカはミサカは…(ry
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/11(月) 19:23:56.55 ID:HM3cb+VAO
なんていうかね…
続きが気になって仕方ないんだ
ちなみに6スレ目でテっくんと美月にベロチューさせたのは俺です
376 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 19:56:33.98 ID:wZ/la8q+0
>>374
こっちにおいで・・・おっと誰かが(ry
>>375
あー、ありましたねそんなこともw
377 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 19:58:16.10 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
テクパトルが目を覚ますと、白い無機質な天井が目に入ってきた
テクパトル「・・・俺は・・・」
気持ちが悪くて吐いてしまったのは覚えている
たしか、17600号が心配していたはずだ
テクパトル「あぁ・・・ここ、病室か」
378 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 19:59:43.12 ID:wZ/la8q+0
ふ、とテクパトルが笑う
さっきまで寝ている間も、やはりイヤな夢を見てしまった
美月に、恨まれていると言われ
否定の言葉は届かなかった
テクパトル(恨んでるのかな・・・)
不安だった
信じたくなかった
379 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:01:55.52 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・月、見えないな」
窓から外を見ても
明るくはなかった
テクパトル「・・・」
胃がキリキリと痛む
ストレスだろうか、少し吐き気も残っている
テクパトル(・・・)
380 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:03:09.55 ID:wZ/la8q+0
コンコン、とドアがノックされる
テクパトル「誰だ?」
19090「・・・ミサカです」
テクパトル「!!」
冷や汗が背中を流れる
何を言われるだろうか
何を追及されるだろうか
381 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:06:01.69 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・は、入っていいぞ」
声が震えてしまう
19090「・・・失礼します、とミサカはあいさつをします」
その顔が
夢で出てきた彼女と重なる
怖かった
382 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:07:08.56 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・テっくん、大丈夫ですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「あ、あぁ・・・」
19090「・・・ごめんなさい、テっくん」
テクパトル「・・・なんでお前が謝るんだよ」
19090「・・・」
19090号が右手のペアリングを見つめる
同じものがテクパトルの右手にもあった
383 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/11(月) 20:08:01.80 ID:GhIe8+7Mo
こんな話も大好きだよ、とミサカは
>>1
を褒めてみます。
384 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:08:50.61 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・テっくん、話してほしいんです」
19090「ミサカは・・・テっくんの苦しみをなくしたいんです、とミサカはつぶやきます」
テクパトル「・・・どういうことだ?」
19090「・・・ミサカがテっくんの苦しみの原因なら・・・」
19090「それを無くせるのもミサカだけです、とミサカは答えます」
テクパトル「・・・」
385 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:10:16.57 ID:wZ/la8q+0
>>383
うへへへへ
テクパトル「・・・俺は・・・お前を・・・」
テクパトルの声は、かすれていた
19090「・・・大丈夫ですよ」
19090号がそっとテクパトルを抱きしめる
その温もりが
少しだけ懐かしかった
386 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:12:10.46 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺は・・・お前と・・・付き合っていたんだ」
涙をこらえて
テクパトルは言葉を紡ぐ
テクパトル「・・・最初は・・・ただの家族みたいな感じだった」
テクパトル「お前が俺にいろいろアプローチしてくれて・・・」
テクパトル「でも俺は鈍感で・・・」
過去のことをテクパトルが思い出していく
387 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:14:17.08 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・お前の気持ちにずっと気づかなくて・・・」
テクパトル「でも、俺も次第に・・・お前のことを好きになっていったんだ・・・」
テクパトル「・・・俺は、お前のことが・・・好きだったんだ・・・」
19090「・・・テっくんは、本当に・・・好きだったんですね」
テクパトル「・・・俺は・・・俺は・・・」
テクパトル「お前を愛してたんだよ・・・」
388 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:15:26.79 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・」
テクパトル「いろいろあったよ・・・」
テクパトル「一緒にデートをして・・・一緒に笑いあって・・・」
テクパトル「本当に、毎日が楽しかった・・・」
テクパトル「・・・この前な」
テクパトル「お前の中でウイルスが生まれたんだ」
389 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:17:13.22 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・助けるには、初期化しなければならなかった」
テクパトル「お前は・・・それを受け入れると言っていた」
テクパトル「でもさ・・・」
テクパトル「俺はいやだったんだ・・・」
テクパトル「お前に忘れられるのが・・・」
テクパトル「だってさ・・・それは俺のことを好きじゃなくなるってことなんだ・・・」
390 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:18:30.35 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・なんでだろうな・・・」
テクパトル「お前を守るために・・・お前を消してしまったんだ・・・」
テクパトル「大切なはずのお前を・・・」
テクパトル「俺が消してしまったんだ・・・」
19090「そんなことはありませんよ・・・とミサカは・・・」
テクパトル「・・・忘れてるんだよな、なにもかも」
391 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:20:30.69 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「なぁ、俺がお前と初めて会った日のことは・・・」
19090「・・・覚えていません・・・」
テクパトル「初めてお前が俺のバイト先に迎えに来てくれた日は・・・」
19090「覚えていません・・・」
テクパトル「お前が俺に好きだって言ってくれた日は・・・」
19090「・・・ごめんなさい・・・」
392 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:22:45.80 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺がお前に告白したときは・・・」
19090「・・・分かりません・・・」
テクパトル「俺が初めてお前にキスをしたときは・・・」
19090「・・・覚えていないです・・・」
テクパトル「・・・俺が・・・俺が・・・」
テクパトル「お前を・・・愛していたことは・・・?」
393 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:24:00.05 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・」
無言で
19090号が首を振る
テクパトル「・・・ははは・・・そうだよな・・・覚えてないよな・・・」
テクパトルが力なく笑う
19090「テっくん・・・」
394 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:25:32.63 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・ごめんな・・・ごめんな・・・」
テクパトル「俺のせいなんだよ・・・お前が何も覚えていないのは・・・」
19090「・・・」
テクパトル「恨んでくれ・・・俺のせいなんだよ・・・」
19090「テっくん・・・」
テクパトル「お前も・・・昔のお前も・・・」
テクパトル「きっと俺を・・・恨んでるから・・・」
19090「・・・」
395 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:27:36.30 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくん、ちょっと歯をくいしばっていてください」
テクパトル「・・・は?」
パチン、と音がした
19090号が無言でテクパトルの頬に平手打ちをしたのだ
テクパトル「・・・」
19090「テっくん」
396 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:29:37.18 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・昔のミサカは、そんなに最低な人間だったのですか?」
19090「自分のために・・・涙を飲んで、悲しみをこらえてくれた人を・・・」
19090「そんな風に恨むような人間だったのですか?」
19090「・・・ミサカのことをバカにしないでください」
19090「ミサカには分かります」
19090「昔のミサカは・・・あなたのことを大好きだったんです」
397 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:30:56.86 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・このペアリングを外したくないんです」
19090「あなたのことを見てしまうんです」
19090「悲しい顔をしないでほしいと思うんです」
19090「・・・心のどこかに、愛情が残っているんですよ」
19090「記憶からは消えていても」
19090「ミサカの胸には、愛があるんです」
398 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:32:19.29 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・テっくんの愛したミサカは・・・そんな人間だったのですか?」
19090「テっくんを・・・愛した男性を恨むような」
19090「そんな人間だったのですか?」
テクパトル「・・・いや」
テクパトル「・・・お前は優しかったよ、本当に」
19090「・・・なら、そんなことを言わないでください」
399 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:33:32.58 ID:wZ/la8q+0
19090「あなたが愛した人を信じてください」
19090「・・・ミサカを信じてください」
19090「・・・無理ですか?」
テクパトル「・・・19090号・・・」
19090「・・・部屋の中に、テっくんとミサカが映っている写真がありました」
19090「・・・とても、幸せそうでしたよ」
400 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:34:42.37 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・あぁ、幸せだった」
19090「・・・ミサカはテっくんを恨んでいません」
19090「さっきの平手打ちで許します」
19090「だから、テっくんも自分を許してください」
19090「ミサカのお願いです」
テクパトル「・・・」
401 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:36:02.21 ID:wZ/la8q+0
19090「ミサカたちに面影を感じるのも」
19090「あなたが今苦しんでいるのも」
19090「・・・それほどに、愛していたからですよね」
テクパトル「・・・愛していた・・・か」
19090「・・・テっくん、ミサカはなぜだかあなたのことが好きなんです」
テクパトル「今も?」
402 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:38:12.47 ID:wZ/la8q+0
19090「はい、そうです」
19090号がうなずく
その顔には迷いはなかった
テクパトル「・・・なんで?」
19090「・・・きっと・・・」
19090「ミサカは、まだ・・・あなたのことを覚えているんですよ」
403 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:39:25.72 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・それほどまでに、俺のことを思ってくれてたんだな」
テクパトルが笑う
とても嬉しそうに
19090「・・・ごめんなさい、記憶にはありません」
19090「でも、分かるんです」
テクパトル「・・・あぁ、ありがとう」
404 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:41:08.67 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺は、今もあいつのことが好きだ」
テクパトル「それはたぶんこれからも変わらない」
19090「それは、とても嬉しいです、とミサカは微笑みます」
テクパトル「・・・お前はやっぱり、あいつじゃないんだよ」
テクパトル「ごめんな、お前は悪くないのに」
19090「いえ・・・安心しました」
405 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:42:27.60 ID:wZ/la8q+0
19090「記憶が無くて最初は怖かったです・・・とミサカはつぶやきます」
19090「でも、テっくんみたいな優しい人に愛されていたのなら・・・」
19090「きっと、ミサカは幸せだったんですね、とミサカは微笑みます」
テクパトル「・・・幸せだったのかな」
19090「はい、きっと」
テクパトル「そっか・・・」
406 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:44:33.49 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺も・・・幸せだったよ」
テクパトル「・・・でも、もうあの幸せは帰ってこないんだよな」
19090「・・・テっくん、ミサカは・・・テっくんの役に立ちたいです、とミサカは伝えます」
テクパトル「・・・ありがとう」
テクパトルが19090号の頭を撫でる
19090「・・・なぜだか落ち着きますね・・・」
テクパトル「お前は・・・頭を撫でられるのも好きだったからな」
407 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:46:10.02 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・そうなんですか、とミサカは返事をします」
テクパトル「・・・19090号、ありがとうな」
テクパトルが優しく微笑みかける
テクパトル「・・・少しさ、落ち着いたよ」
19090「・・・テっくん、なにかあったらまずミサカに相談してください、とミサカはお願いします」
テクパトル「・・・」
408 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:47:37.88 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺は、お前にはもう迷惑はかけたくない」
19090「迷惑ではありませんよ、とミサカは答えます」
テクパトル「はは・・・そうか」
19090「・・・はい」
二人が笑いあう
少し、昔までは当たり前だった光景
今は、それに少しだけ似ていた
409 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:49:00.81 ID:wZ/la8q+0
19090「それでは、ミサカはそろそろ・・・」
テクパトル「あぁ、ありがとうな」
19090「・・・では、とミサカは病室を出ます」
テクパトル「おやすみ、19090号」
19090「おやすみなさい」
19090号が病室を出る
残されたテクパトルは、少し複雑そうな顔をしていた
410 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:50:25.96 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・覚えてる、か)
テクパトル(違うよな・・・きっと、なんとなくそう思ってるだけだ)
テクパトル(・・・美月はもういないんだ)
テクパトル(・・・それでも)
テクパトル(・・・俺は忘れられないんだよな)
テクパトル(・・・ごめんな、美月)
411 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:52:03.39 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・ずっと、責め続けてしまう)
テクパトル(美月、お前は許してくれるのかな)
テクパトル(俺のことを・・・許してくれるのかな)
返事は返ってこない
もう、返ってくることもないだろう
テクパトル(・・・おやすみ、美月)
少しだけ
テクパトルの肩は震えていた
412 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:53:30.28 ID:wZ/la8q+0
19090「ただいま、とミサカは・・・」
20000「テっくんはどうだった!?」
10033「息をしていましたか!?とミサカは・・・」
14510「無事でしたか!?とミサカは問いかけます!!」
御坂妹「ま、まさかもう・・・」
17600「おいおい、19090号が困ってるじゃないか」
ミサカ一同は扉の前で待機していたようだ
413 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:55:03.00 ID:wZ/la8q+0
19090「だ、大丈夫でしたよ・・・とミサカは返事をします」
20000「そ、そうか・・・よかった・・・」
10033「テっくん・・・無事だったんですね・・・とミサカは・・・」
御坂妹「さーて、聞くことは聞いたし寝ますか、とミサカは寝室へ向かいます」
19090「え?え?」
御坂妹「おやすみなさい・・・」
414 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:56:17.61 ID:wZ/la8q+0
19090「お、おやすみなさい・・・」
17600「・・・19090号、聞いたのか?」
19090「え、あ、はい・・・とミサカは答えます」
17600「・・・テっくんは、苦しんでるんだ」
17600「それを助けられるのはお前しかいない」
17600「テっくんのこと頼む」
19090「・・・はい」
415 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:57:51.99 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・では、おやすみなさい、とミサカも寝室へ向かいます」
17600「おう、おやすみ」
19090(・・・ミサカは・・・恋人だったんですね・・・)
19090号は寝室で、一人考えていた
19090(・・・だから・・・あんなにもよそよそしかったんですね、とミサカは考えます・・・)
19090(・・・)
416 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 20:58:49.92 ID:wZ/la8q+0
19090(・・・昔のミサカは・・・どんな人だったのでしょうか・・・)
19090(・・・分かりません)
19090(・・・)
19090号がそっと目を閉じる
19090(そうですね)
19090(明日、テっくんに聞きましょう)
417 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:00:36.23 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・朝か・・・)
テクパトルが目を開くと、やはり無機質な天井が広がっていた
テクパトル(・・・眩しいな・・・)
窓からは眩しい陽射しが差していた
テクパトル(・・・いつもなら起きたらすぐに・・・)
19090「おはようございます、とミサカはあいさつをします」
テクパトル「え?」
418 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:02:07.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「なんだ、来てたのか・・・」
19090「はい、テっくんにいろいろ聞きたくて・・・とミサカは答えます」
テクパトル「・・・いろいろ?」
19090「・・・少し辛いかもしれませんが・・・」
19090「昔のミサカとの思い出を教えてもらえませんか?」
テクパトル「・・・思い出、か」
419 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:03:02.86 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・なんなら、今日一日デートしてみるか?」
19090「・・・え?」
テクパトル「体調は問題ないし・・・」
テクパトル「バイトも休みだし・・・」
テクパトル「よし、そうしよう」
19090「い、いいんですか・・・?」
420 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:04:18.24 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ん?あぁ」
テクパトル「お前にはいろいろ迷惑かけたからな・・・」
テクパトル「少しくらいいいだろ」
19090「・・・テっくん、ありがとうございます・・・」
テクパトル「俺たちがよくやってたデートを再現すれば・・・」
テクパトル「きっと、分かるだろ」
421 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:05:46.18 ID:wZ/la8q+0
19090「では、少し準備をしてきますね、とミサカは伝えます」
テクパトル「ん、俺も準備をするかな」
テクパトルが立ち上がる
テクパトル「じゃ、あとで部屋に迎えに行くから」
19090「はい、とミサカは返事をします」
19090号がいったん部屋に帰る
422 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:07:07.85 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・さて、着替え着替え・・・」
冥土「外出の際は許可がいるんだがね」
テクパトル「いつからいたんだよ・・・先生」
冥土「まぁ、君なら別に大丈夫か」
テクパトル「いや、聞いて・・・」
冥土「ただし、無理は禁物だよ」
テクパトル「おーい」
423 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:08:24.63 ID:wZ/la8q+0
冥土「・・・テクパトル、やっと少しずつ向き合い始めたらしいね」
テクパトル「・・・向き合う、か」
テクパトルが鼻で笑う
テクパトル「向き合ってるのかな」
冥土「あぁ、前に進んでいるよ」
テクパトル「そりゃまずいな」
424 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:09:42.14 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「俺は今、絶望と向き合ってるんだよな」
テクパトル「だったら目の前には絶望がいる」
テクパトル「前に進んだら・・・切望にぶつかっちまう」
冥土「・・・まぁ、そこは君次第だよ」
冥土帰しが溜め息をつく
冥土「・・・あぁ、そうそう・・・」
425 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:10:58.29 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ん、なんだ?」
冥土「御坂美琴君から電話があってね」
テクパトル「義姉さんから?」
冥土「後で君に話したいことがあるらしくてね」
テクパトル「ふーん・・・ま、帰ってきたら電話するよ」
冥土「よろしく頼むね」
426 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:12:21.13 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが着替えを終え、病室から出る
テクパトル(話したいこと・・・なんだろうな)
テクパトル(いや、今はいいか)
そのまま自分たちの暮らす部屋へ向かう
テクパトル「とりあえず今は」
扉をノックする
427 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:14:13.79 ID:wZ/la8q+0
19090「はい!!とミサカはお出迎えします!!」
テクパトル「お、準備終わったか?」
19090「は、はい・・・では行きましょう、とミサカはテっくんに伝えます!」
テクパトル「さて・・・」
19090「どこから行きましょうか」
テクパトル「まずは・・・ショッピングかな」
428 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:15:31.27 ID:wZ/la8q+0
二人はショッピンモールに来ていた
テクパトル「・・・よく、ここで二人で買い物したんだよ」
19090「すごく大きなショッピングモールですね・・・」
テクパトル「えっと・・・まずは・・・」
19090「あ、本屋に向かいたいです!」
テクパトル「あぁ、分かった」
429 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:16:48.92 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・何の本を探してるんだ?」
19090「えっと・・・三国志が・・・」
テクパトル「三国志か・・・」
テクパトルが周りの本棚を見渡す
テクパトル「お、あそこじゃないか?」
テクパトルが一つの本棚を指差す
430 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:18:12.13 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「あったあった」
19090「話には聞いていましたが・・・」
テクパトル「お前は本とか好きなのか?」
19090「?なぜだか好きなんですよ・・・とミサカは少し不思議そうに答えます」
テクパトル「・・・そっか」
テクパトルが笑う
テクパトル(美月も・・・たまに読んでたな)
431 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:19:20.99 ID:wZ/la8q+0
19090「あの・・・買ってもいいですか?」
テクパトル「あぁ、もちろん」
19090「ありがとうございます!!」
19090号が顔を輝かせる
テクパトル「はは、いいっていいって」
19090「やっと読めます・・・」
テクパトル「・・・やっと・・・か」
432 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:20:41.52 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「さて・・・本屋は終わったし・・・」
19090「ぬいぐるみを見てもいいですか?」
テクパトル「・・・相変わらずファンシーな趣味だな」
19090「昔のミサカも・・・そうでしたか?」
テクパトル「あぁ・・・少し呆れるくらいに」
19090「む、それはひどいです・・・」
433 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:21:54.22 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・お、これとかどうだ?」
19090「ライオンですか・・・」
ぬいぐるみを売っている店で、二人は品定めをしていた
テクパトル「いやか?」
19090「そうですね・・・ですが、もう少し可愛いほうが・・・」
テクパトル「うーん・・・可愛いと思うけどな・・・」
434 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:23:14.42 ID:wZ/la8q+0
19090「いえいえ、どちらかというとカッコイイ感じですよ」
テクパトル「ふーん・・・」
テクパトルがライオンのぬいぐるみをじっと見つめる
旅行のときに動物園にデートに行ったこともあった
少し、それを思い出して笑ってしまう
テクパトル「・・・懐かしいな・・・」
435 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:24:30.04 ID:wZ/la8q+0
19090「?昔持っていたのですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「いや・・・違うよ」
ポン、と棚にライオンを戻す
テクパトル「・・・お前はどういうのが好きなんだ?」
19090「・・・テっくんはミサカと付き合っていたんですよね?」
テクパトル「あ、あぁ・・・」
436 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:25:45.98 ID:wZ/la8q+0
19090「だったら、ミサカのことも分かりますよね?」
テクパトル「そ、それは・・・」
19090「分かりますよね?」
ニコ、と19090号が笑う
その顔は分かるよな?と問いかけていた
19090「どれが、ミサカのお目にかかるでしょうか?」ニコ
テクパトル「そ、そうだな・・・」
437 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:26:57.31 ID:wZ/la8q+0
テクパトルが人形を見つめる
猫や犬、鳥にワニ・・・
その中に、見覚えのあるキャラクターがあった
テクパトル(?これは)
テクパトルがそのぬいぐるみを手に取る
テクパトル「ゲコ太・・・か」
438 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:28:10.63 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくん!!」
19090号が大声でテクパトルを呼ぶ
テクパトル「あ、あぁ・・・さすがにこんな子供っぽいの・・・」
19090「いいです!!正解ですよ!!」
テクパトル「・・・え?」
どうやら、正解だったようだ
19090「これ・・・買ってもいいですか?」
439 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:29:23.63 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「い、いいけど・・・」
19090「ありがとうございますテっくん!!」
ぬいぐるみを抱きかかえながら、19090号はピョンピョンと跳ねる
テクパトル(・・・美月とそっくりだな)
19090「・・・♪」
テクパトル(何はともあれ・・・)
テクパトル(喜んでるようでよかった)
440 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:30:59.22 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくん、ミサカとのデートはいつもこんな感じだったんですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「あぁ、いっつもこんな感じだよ」
テクパトルが答える
19090「・・・そうですか」
テクパトル「・・・懐かしく感じるよ」
19090「・・・」
441 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:32:17.71 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「さて・・・次は・・・」
19090「服を買いましょう、とミサカは提案します!」
テクパトル「ん?ほしい服があるのか?」
19090「いえいえ、ミサカの服ではありませんよ」
19090号が指を振る
19090「テっくんの服です」
442 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:33:58.34 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺の服はいいのに・・・」
19090「♪」
19090号は嬉しそうにスキップしている
テクパトル「なぁ・・・」
19090「テっくんはジーパン派ですか?」
テクパトル「カーゴ派だけど・・・」
443 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:35:49.07 ID:wZ/la8q+0
19090「ではこれなどどうですか?」
19090号が手に取ったのは、黒のカーゴパンツだった
テクパトル「ん、いいな」
19090「あとは・・・ジーパンを・・・」
テクパトル「・・・いや、ジーンズは・・・」
19090「嫌いなんですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「・・・そうではないけど・・・」
444 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:37:18.64 ID:wZ/la8q+0
19090「では買いましょうよ、とミサカは提案します!!」
テクパトル「・・・分かったよ」
こうやって、振り回されるのもいつも通りだった
テクパトル「・・・なぁ、似合ってるか?」
19090「テっくん・・・モデルさんみたいです・・・」
テクパトル「そうか?」
445 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:38:56.85 ID:wZ/la8q+0
19090「あと・・・Tシャツを・・・」
テクパトル「・・・それ・・・か?」
19090号が手にしたのは、少し子供っぽいデザインのTシャツだった
テクパトル「・・・いや、英語が・・・たくさん書いてあるのはどうかと思う」
19090「え?オシャレですよね?」
テクパトル「いや・・・」
446 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:40:32.72 ID:wZ/la8q+0
19090「テっくんって意外と無地とか好きですか?」
テクパトル「いや、今着てるの見れば違うって分かるだろ・・・」
19090「パーカー・・・ですか、とミサカは確認を取ります」
テクパトル「オーバーサイズが好きなんだよ」
19090「テっくんってばヤンキーなんですね、とミサカはつぶやきます」
テクパトル「いや、違うから」
447 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:42:16.86 ID:wZ/la8q+0
19090「では・・・これなんかはどうですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「・・・ワンポイントか・・・うん、いいな」
テクパトルがうなずく
19090「よし、テっくんのお気に入りの服を買いました!!とミサカはガッツポーズをします!」
テクパトル「ありがと」
テクパトルが笑う
テクパトル(・・・子供っぽい趣味か・・・)
448 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:43:37.97 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
19090「・・・テっくん、ミサカに服を選んでもらったことはあるんですか?」
テクパトル「何度かな」
テクパトルが微笑む
テクパトル「お前はいっつも子供っぽい服を買ってたよ」
19090「子供っぽい・・・ですか」
19090号がムスっと拗ねた顔をする
449 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:44:59.09 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・それも、好きだったんだよな」
19090「そうですか・・・とミサカは微笑みます」
テクパトル「悪いな、しんみりしたか」
テクパトルが頭を掻きながら申しわけなさそうに言う
テクパトル「じゃ、次は・・・」
19090「そうですね・・・」
450 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:46:06.04 ID:wZ/la8q+0
その後
二人は、デートを続けた
昔と同じように
そこにいるのは、19090号であって美月ではなかった
でも
テクパトルはなぜか笑っていた
451 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/07/11(月) 21:46:18.94 ID:Zy3eAgcvo
>>445
まぁ中学生なら普通だよな
452 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:47:33.90 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・さて・・・そろそろショッピングは終わりかな」
19090「・・・まだ帰るには早いですね、とミサカは時計を見ます」
テクパトル「そうだな・・・」
テクパトルが腕を組みながら考える
テクパトル「あ、じゃあ」
テクパトル「公園でも行くか?」
453 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:49:39.58 ID:wZ/la8q+0
>>451
中学生の頃すでに
>>1
のファッションは崩壊していたんですよ
テクパトル「・・・ここ、たまに来てたんだよ」
19090「・・・そうですか」
テクパトル「ん、ちょっと待っててな」
テクパトルが自動販売機に向かう
少し側面がへこんでいる変な自動販売機だったが、構わずジュースを買う
454 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:51:20.38 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ヤシの実サイダー・・・でよかったかな?」
19090「ありがとうございます」
19090号がテクパトルからジュースを手渡される
テクパトル「・・・なんかさ、こうしてるとお前が記憶をなくしてるなんて信じられないよ」
19090「ミサカも・・・初めてのデートではないみたいです」
テクパトル「・・・あいつに怒られちゃうな・・・浮気はダメだって」
19090「そうですね」
455 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:52:48.17 ID:wZ/la8q+0
クスクス、と19090号が笑う
テクパトル「・・・こうやって、だんだん慣れていくのかな・・・」
一口ジュースを飲んでからテクパトルがつぶやく
19090「・・・どうでしょうか、とミサカは首を捻ります」
テクパトル「・・・」
無言のまま、テクパトルがベンチの背もたれに体を預ける
456 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:55:07.05 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・いつか忘れるのかな」
19090「・・・それも、仕方ないかもしれません」
テクパトル「お前はどう思う?」
19090「・・・忘れられるのは悲しいです」
19090「きっと、前のミサカもそれはイヤだと思います」
19090「ですが、テっくんの幸せが一番ですよ」
457 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:56:14.63 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「そっか・・・」
忘れたくなかった
でも、こうしているとほんの一瞬だが忘れてしまう
この一瞬が
やがては、永遠になるのだろうか
テクパトル(・・・美月)
忘れるのだろうか
458 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:56:59.78 ID:wZ/la8q+0
その名前を
あの笑顔を
愛していたという事実を
テクパトルは忘れてしまうのだろうか
テクパトル「・・・やっぱ、忘れたくは無いな」
19090「そうですか・・・」
459 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:58:31.77 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・なぁ、どうしてお前は俺のことがまだ好きなんだろうな」
19090「心が残っているのでしょうか」
テクパトル「・・・心か」
19090「ミサカたちの心は、プログラムですが・・・」
19090「・・・ですが、きっと生まれた感情もあるのでしょう」
19090「それは、残ったのではないでしょうか」
460 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 21:59:33.04 ID:wZ/la8q+0
19090「・・・愛情は・・残ったのではないでしょうか」
テクパトル「そうだといいな」
テクパトルが笑う
生まれた愛情はいつまでも残る
そんなロマンチックな話があれば
いつまでも、愛し合えるのだろうか
461 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:00:43.54 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・さて、帰るか?」
19090「はい、とミサカは立ち上がります」
二人が病院に向かって歩き出す
テクパトル「今日の夕食は何にするかな・・・」
19090「そうですね・・・」
テクパトル「うーん・・・オムライスとかかな」
462 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:01:48.46 ID:wZ/la8q+0
19090「あ、いいですね、とミサカは賛成します」
テクパトル「じゃ、さっさと帰るか」
テクパトルが19090号の手を引く
走っているのは、テクパトルと19090号だった
でも
少しだけ、そこには懐かしい影があった
463 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:03:17.05 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「ただいま」
20000「よっ、もう腹ペコだぜ」
家に帰ればいつもの日常があり
17600「今日の夕食はなんなんだ?」
テクパトル「オムライスだよ」
迎えてくれる家族がいて
464 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:04:24.90 ID:wZ/la8q+0
10033「それは楽しみです」
そこには幸せがあって
御坂妹「ではミサカは手伝いますね」
14510「あ、ミサカも手伝います、とミサカは手を上げます」
テクパトル「お、ありがとう」
彼は、そんな幸せが大好きだった
465 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:05:51.72 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「いただきます」
20000「いただきまーす!!」
19090「美味しいですよ、テっくん」
17600「うん、やっぱテっくんの料理が一番だ」
10033「ありがとうございますね、テっくん」
テクパトル「どういたしまして」
466 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:07:04.22 ID:wZ/la8q+0
少しずつ
美月のいない生活にも、慣れてきた
忘れることは無いが
縛り付けられることもなく
少しずつ
少しずつ
テクパトルは、前に進み始めた
467 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:07:56.90 ID:wZ/la8q+0
だが
それはつまり、新しい19090号が生まれたということだ
新しい命が
新しい家族が
もしそれを
失わないといけないとしたら
彼は
468 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:09:30.01 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・そういえば義姉さんから電話があったんだったな」
眠ろうと思ったその時、テクパトルは思い出す
テクパトル「少し遅いが・・・まぁ起きてるだろ」
テクパトルが携帯を取り出す
もしも未来に進むことがあるのなら
その途中にあるかけがえのない今は
過去になってしまうのだ
469 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:10:45.64 ID:wZ/la8q+0
美琴「・・・」
上条「・・・なぁ、美琴・・・急に構ってくれなくなったのはどうして?」
美琴「だから・・・ゴメンってば・・・」
上条「なぁ・・・」
上条が美琴にそっと手を伸ばすが
美琴「もうちょっと待って?」
上条「うぅ・・・」
470 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:11:59.07 ID:wZ/la8q+0
美琴「私だって構いたいけど・・・今、他のこと考えたら忘れちゃうのよ」
上条「?忘れるって・・・なにを?」
美琴「長い暗号よ」
美琴が溜め息をつく
上条「暗号って・・・なに?」
美琴「・・・あ」
471 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:12:58.52 ID:wZ/la8q+0
美琴がいきなり、驚いたような声を上げる
彼女の携帯に着信があった
相手はテクパトル
美琴「来た!!」
上条「え?なに?」
美琴「テクパトル!?」
472 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:14:16.62 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(・・・出るかな)
少し緊張しながらテクパトルが携帯を握っていると
美琴『テクパトル!?』
聞き覚えのある声がした
テクパトル「あぁ、電話もらってたみたいだけど・・・」
473 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:15:33.31 ID:wZ/la8q+0
美琴『いい、テクパトル?よく聞いて』
テクパトル「?あぁ」
美琴『19090号は今どうしてるの?』
テクパトル「は?寝てるけど」
美琴『大事なことよ、よく聞いてね』
テクパトル「あぁ」
美琴『あの子の記憶、戻せるのよ』
テクパトル「・・・なんだって?」
474 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:16:50.36 ID:wZ/la8q+0
テクパトルの額を、汗が流れる
それは期待からか
それとも、緊張からか
テクパトル「待ってくれ、バックアップはないぞ?」
美琴『あるのよ、それが』
テクパトル「どこにだよ?」
テクパトルが不思議そうに訊ねる
475 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:18:24.54 ID:wZ/la8q+0
冥土帰しはコピーデータを取ってはいない
機械を準備するには時間がかかると言っていた
かといって、彼女の記憶を他に記憶していそうな機械には心当たりが無い
仮にあったとしても
テクパトルに出会ってから、そんなことをさせた覚えは無い
つまり、コピーデータは彼に会う前のものになるのではないか
476 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:19:45.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「なぁ・・・冗談か?」
美琴『違うわよ』
テクパトル「だって、そんなものどこに保管してるんだよ・・・」
美琴『ここよ』
テクパトル「は?いや・・・家に入るような機械じゃ・・・」
美琴『機械じゃないの』
美琴『私の、頭の中よ』
477 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:21:26.38 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「頭の・・・中?」
美琴『そうよ、あの子が倒れてからお見舞いに行ってね・・・』
美琴『あの子の記憶を読み取ったのよ』
頭に触れれば、生体電気を読み取るくらいはできるの、と美琴が続ける
テクパトル「・・・いや、でもその記憶は信号なんだろ?」
テクパトル「それを記憶しているなんて・・・」
478 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:23:02.58 ID:wZ/la8q+0
美琴『並の頭なら無理だけど・・・』
美琴『幸い、私は超能力者なのよ?』
そのおかげであの子たちは生まれたんだし、と美琴が笑う
テクパトル「・・・記憶・・・してるのか?」
美琴『えぇ、どんな思い出かは理解できないけど・・・』
美琴『私が、あの子の脳に信号を戻せばいいのよ』
479 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:24:29.80 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・記憶にウイルスの原因があったら・・・」
美琴『ワクチン、できたらしいじゃない』
美琴『それなら大丈夫よ』
美琴『仮に記憶が原因でも・・・ウイルスだけを破壊できるもの』
テクパトル「・・・記憶の書き込みなんて・・・」
美琴『えぇ、やったことはないわ』
480 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:25:45.01 ID:wZ/la8q+0
美琴『上手くいくかは・・・分からない』
美琴『でも、成功すれば元通りなのよ』
美琴『だから・・・』
テクパトル「失敗したら?」
美琴『・・・記憶は戻らないわ』
美琴『・・・ヘタをすれば、脳にダメージが残るかも』
美琴の声が少し暗くなる
481 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:27:21.30 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「あいつが・・・死ぬかもしれないのか」
美琴『・・・そうね・・・』
テクパトル「・・・書き込みをすれば、全部戻るのか?」
美琴『えぇ、それは保証するわよ』
テクパトル「・・・人格も?」
美琴『もちろん、全部コピーはとっているもの』
テクパトル「・・・そうか」
482 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:28:21.60 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・」
テクパトルの胸は高鳴っていた
もしかしたら
美月が帰って来るかもしれない
あの少女が
彼が愛した少女が
483 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:29:34.81 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・でも」
テクパトルは少しひっかかりを覚える
テクパトル「・・・それじゃ・・・今のあいつはどうなる?」
美琴『今の記憶は引き継げるわ・・・』
テクパトル「違う」
テクパトル「今の・・・あいつ、だよ」
484 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:30:40.83 ID:wZ/la8q+0
美琴『・・・人格だけは・・・上書きになるわ』
美琴『記憶は別々でいいの、ただ・・・』
美琴『人格は一つじゃないと』
テクパトル「今の19090号は・・・消えるのか」
消える
美月が帰ってくるかわりに
今の19090号は
485 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:31:37.75 ID:wZ/la8q+0
たった数日一緒に暮らしただけだ
一度しかデートをしたこともない
美月のほうが大切に決まっていた
そんなこと、分かりきっていた
でも
「ミサカはなぜだか、あなたのことが好きなんです」
そう言った彼女は
486 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:32:33.52 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・消える・・・のか」
イヤだった
美月には帰ってきてほしい
でも、その代わりに一人のミサカを失ってしまうのか
たった数日でも
彼女は人間だったのだ
それを
487 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:33:56.57 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・消すのか」
美琴『・・・辛いのは分かるわよ』
美琴『でも、19090号と・・・昔の、19090号・・・どっちが大切?』
テクパトル「昔のあいつに決まってる」
テクパトル「でも・・・」
今の彼女も
大切な家族なのだ
488 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:35:27.19 ID:wZ/la8q+0
美琴『・・・話し合って決めてくれないかしら』
テクパトル「ちょっと・・・時間をもらえるか?」
美琴『言っておくけど・・・こっちも記憶してるだけで精一杯よ』
美琴『今はまだ全部完璧に記憶してるけど・・・』
テクパトル「・・・一つでも忘れたら?」
美琴『面倒なことになるわ』
489 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:36:43.78 ID:wZ/la8q+0
美琴『少しの記憶が無くなるならマシなほう』
美琴『・・・人格が変わったり・・・』
美琴『ヘタをすれば、全てがオシャカになるわよ』
テクパトル「・・・明日で決める」
美琴『お願い、こっちも出来る限り忘れないようにするから』
テクパトル「あぁ」
490 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:37:33.46 ID:wZ/la8q+0
通話が終わる
テクパトル(・・・美月)
戻ってくるかもしれない
失敗すれば
美琴が忘れてしまえば
でも、それでも可能性はあった
目の前に、月が昇ろうとしているのだ
491 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:38:43.44 ID:wZ/la8q+0
テクパトル(でも・・・)
今の19090号を
犠牲にしていいのだろうか
彼女は、自分をやっと作り出してきている
他のミサカたちと仲良くなり
自分とも、仲良くなった
デートをしていたときの笑顔は
ウソではなかった
492 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:39:45.88 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「どちらかを・・・選ぶのか」
思いは、美月のほうが大きかった
事実、それに傾いていた
だが
決断ができなかった
美月が自分を恨んでいたら
美月が、犠牲が出たと知ったら
493 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:40:43.44 ID:wZ/la8q+0
テクパトル「・・・俺を軽蔑するかもな」
怖かった
美月に嫌われるのが
拒絶されるのが
19090号を取るか
美月を取るか
命のかかった問題だ
簡単になど決断はできない
494 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:42:06.65 ID:wZ/la8q+0
それを、明日には決めなければならない
テクパトル「・・・どうすればいい」
少し前とは逆だった
目の前にあるのは希望だった
だが、少しの犠牲を伴う
そちらを選ぶべきか
テクパトルはずっと考えていた
495 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:43:21.36 ID:wZ/la8q+0
上条「・・・なるほどね・・・」
美琴「ゴメン・・・今は覚えてなきゃいけないの・・・」
上条「分かった、あいつらのためだ」
上条がどんと胸を叩く
美琴「ありがと、当麻」
上条「解決したら構ってくれよ?」
美琴「当たり前じゃない」
496 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:44:22.69 ID:wZ/la8q+0
上条「じゃ、おやすみ」
美琴「うん、おやすみ」
出来る限り寝る時間も削り
美琴は少しでも覚えていられるようにしていた
一度は助けられなかった妹を守るために
497 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:45:31.09 ID:wZ/la8q+0
上条(・・・そっか、テクパトルたちのためか・・・)
布団の中、上条は拳を握り締める
きっとテクパトルは迷っているだろう
彼だって、その気持ちは分かる
今まで守りたいものがたくさんあったから
美琴を一番にすると決めるのには、勇気が必要だったから
498 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:46:34.78 ID:wZ/la8q+0
だから
テクパトルの気持ちはよく分かる
上条(・・・手伝ってやれることがあるはずだ)
上条は思う
大切な友達のために
自分は何ができるのかと
上条(俺に出来るのは・・・)
上条(幻想を殺すことだけだ)
499 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:47:38.59 ID:wZ/la8q+0
上条(あいつを苦しめている柵を)
上条(殺してやるだけだ)
てめぇの気持ちを天秤にかけろ
上条(テクパトル)
上条(・・・俺は、信じてる)
上条(お前なら、きっと決められるさ)
500 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:49:25.58 ID:wZ/la8q+0
19090(テっくんとのデート・・・楽しかったです・・・)
19090号は布団の中で微笑んでいた
19090(・・・昔のミサカは幸せだったんですね・・・)
19090(・・・少し、うらやましいです)
19090号は眠りに落ちた
夢の中では、テクパトルと楽しい日々を過ごしていた
501 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:50:26.88 ID:wZ/la8q+0
空に浮かぶ月は一つ
一つしか、月は存在しない
周りにあるのは小さな星と
まぶしすぎる太陽だけ
そして
もうすぐ、二つの月のうち
どちらかは消えてしまう
502 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 22:52:22.24 ID:wZ/la8q+0
今日はここまで
どうにか500行きました
明日は600とちょっとまで、テっくんと「今の」19090号の日常を描きます
そしてそれから900までで解決を
それから後日談、ですね
もちろんテっくんは美月を欲しています
でも、そしたら19090号はどうなるのでしょうか?
残酷な現実と、彼は向き合わなければいけません
ではおやすみなさい
今日は月が綺麗ですね
503 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 22:57:00.73 ID:+f8PVGqIO
おやすみ乙
「月が綺麗ですね」って夏目漱石が考えたプロポーズの言葉なんだよな
504 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 22:59:08.45 ID:b5itVlGSO
もどかしい…
505 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 23:00:55.64 ID:HV1CZOWIO
乙
なんていうのかな……美月か19090号かを選ぶんじゃなくて、どちらを望む自分を選ぶか、だからドツボにハマるよな
でも選ばなくて進んだ未来と選んで進む未来は結果は同じでも中身は絶対違うからテっくん頑張れ
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 23:00:59.18 ID:+HcvPerq0
>>1
乙
さすが速さが足りてるぜ……!!
507 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/11(月) 23:01:12.78 ID:GhIe8+7Mo
>>503
と言う事はいま
>>1
はサトリナにプロポーズした訳か
508 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/11(月) 23:02:16.37 ID:HM3cb+VAO
切ないねえ…
509 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/11(月) 23:03:31.86 ID:wZ/la8q+0
>>503
え、知らなかったw
>>504
もどかしい、それが恋です
>>505
彼は妹達全員を愛していますから
それは19090号も例外ではなく
家族を取るのか恋人を取るのか
でも、第三の選択肢があってもいいですよね、本当なら
>>506
あれです、今日はヒマだっただけです
>>507
はい、そして断られました
510 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/11(月) 23:09:32.76 ID:UGlnveP1o
>>503
アイラブユーを月が綺麗ですね
と訳したんだっけ?
511 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 23:11:26.40 ID:+f8PVGqIO
>>510
たしかそうだった
512 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/11(月) 23:12:17.03 ID:+f8PVGqIO
>>509
いや、知ってて言ってると思ってたwww
513 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岩手県)
:2011/07/11(月) 23:46:22.80 ID:dn+WOxTa0
幻想殺しを研究所に持っていけばヒモにならなくてすむかも……
514 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岩手県)
:2011/07/11(月) 23:47:06.57 ID:dn+WOxTa0
幻想殺しを研究所に持っていけばヒモにならなくてすむかも……
515 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/11(月) 23:55:35.36 ID:Q57jukCQ0
泣かせやがって…脱水症状になったらどうしてくれんだよ…
516 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/12(火) 00:09:47.70 ID:AyLi5GQVo
>>514
科学には解明されないと思う
魔術サイドの研究所なら・・・
517 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 00:41:29.53 ID:RTZssHzSO
むしろ科学と魔術の合同研究
難しいだろうけど上条さんが掛橋になればそれで仕事になるかも
518 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/12(火) 07:18:45.35 ID:AyLi5GQVo
上条さんが雇われの傭兵として片っ端から魔術結社を倒すのを手伝えば・・・
519 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 08:57:19.57 ID:8ViaxmiY0
いや、上条さんは美琴の嫁に永久就職でしょ
あれ?
今日の投下は17時くらいから
書いてるこっちが悲しくなってきました
520 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/12(火) 09:25:42.29 ID:ulVe0XpI0
>>1
どうしても悲しいなら・・・・・・ミ、ミサカが慰めてあげますよ、とミサカは膝枕で頭をなでなでしてあげる用意があることを伝えます
521 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 12:15:21.69 ID:riNx+FSSO
>>520
む、抜け駆けはいけませんとミサカは準備に移行してみます
522 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山形県)
[sage]:2011/07/12(火) 15:43:53.79 ID:9yVEvUuE0
>>520
>>1
はミ、ミサカがなでなでするのですよ、とはにかみながら言ってみます。
523 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 16:12:40.81 ID:zItKzEeIO
ギャハハハwww
ハーレム乙だなァ、
>>1
さンよォwwww(脇腹ゲシゲシ)
524 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/12(火) 16:25:40.49 ID:DqYTnsm20
>>1
にビリビリマッサージがしたいな、ってミサカはミサカは願望を語ってみたり
525 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:32:49.94 ID:8ViaxmiY0
やっべぇ
バイトから帰ってきたらスレがピンクな雰囲気になってた
でもいいと思う
ではそろそろ投下
今日は700くらいまでかな
526 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:42:17.85 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・おはよう」
次の日の朝
19090「おはようございます、テっくん!」
部屋には二人だけだった
テクパトル「あれ、他のミサカ達は?」
19090「聞いてくださいよ・・・みんなで映画に行ったんですよ・・・とミサカは愚痴をこぼします」
19090号が頬をふくらませる
527 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:43:17.36 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「映画?なんでお前は行かなかったんだ?」
19090「昨日テっくんとデートが出来たからいいだろ、と・・・」
テクパトル「ひどいなおい」
テクパトルが呆れたように言う
19090「た、たしかに・・・昨日は楽しかったですが・・・」
19090号が顔を赤らめる
本当に、美月と似ている
528 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:43:51.71 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
19090「?どうしました?」
テクパトル「いや、なんでもない」
食卓につき、朝食をとりながらテクパトルは考える
テクパトル(今日・・・決めなければならない)
529 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:44:19.83 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(美月を取るのか・・・それとも)
19090「テっくん、今日もデート・・・してくれませんか?」
テクパトル「あぁ」
テクパトル(19090号を取るのか・・・か)
辛かった
530 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:45:46.93 ID:8ViaxmiY0
美月を選ぶはずなのに
なぜか、19090号を簡単には切り捨てられなかった
美月に似ているからだろうか
それとも、家族だからだろうか
テクパトル(・・・こいつにも、話さないといけないのか)
辛かった
531 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:46:55.39 ID:8ViaxmiY0
話すことも
彼女を悲しませることも
テクパトル「行こうか」
19090「はい!」
19090号がテクパトルの手を取る
19090「・・・い、いいですよね・・・?」
532 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:48:14.25 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あぁ、いいぞ」
こんなにも
自分に懐いてくれた彼女を
テクパトルは
消さなければならない
533 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:48:44.84 ID:8ViaxmiY0
あの日、美月を消すことを選んだ
今度は、19090号を消すのだろう
テクパトル(・・・最低だな、俺は)
テクパトル(自分の都合だけで・・・)
吐き気がした
534 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:49:58.13 ID:8ViaxmiY0
自分は守ると決めたはずなのに
そんな、大切な存在を
天秤にかけてしまうのだから
天秤は、美月のほうに傾いているはずだった
なのに
なぜかそれは均衡を保っているように思えてしまった
535 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:50:54.10 ID:8ViaxmiY0
19090「テっくん、今日はどこに行きますか?とミサカは問い掛けます」
テクパトル「ん・・・今日は外を散歩したりしないか?」
19090「はい、とミサカは返事をします」
二人が少し人通りの少ない道を通る
テクパトル「・・・幸せか、今」
19090「はい・・・こんな幸せな生活を、今までのミサカは続けていたんですね」
536 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:52:31.67 ID:8ViaxmiY0
うらやましそうな表情で19090が答える
その表情が、眩しかった
テクパトル(・・・生きているんだよな)
当たり前のことだった
それは、当たり前で
テクパトル(こいつを・・・俺は殺すのか)
537 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:53:43.32 ID:8ViaxmiY0
19090「?テっくん、今日はなんだかボーっとしてますね、とミサカは怪しがります」
テクパトル「・・・なんでもないよ」
19090「・・・昔のミサカと重ねているのですか?とミサカは質問します」
テクパトル「違うって」
19090「・・・それほど、昔のミサカが好きだったのですか?」
テクパトル「・・・あぁ、大好きだったよ」
538 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:54:46.32 ID:8ViaxmiY0
自分の命を懸けてもいいほどに
テクパトルは美月を愛していた
テクパトル「本当に、あいつは愛しかった」
だからこそ
帰ってきてほしいのだ
539 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:56:14.78 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・そうですか・・・うらやましいです、とミサカはつぶやきます」
テクパトル「うらやましいのか?」
19090「・・・テっくんみたいな人に愛されるなんて、うらやましいですよ」
19090号が顔を赤らめる
テクパトル「・・・俺のこと・・・好きなのか?」
19090「・・・」
540 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:58:10.14 ID:8ViaxmiY0
無言で19090号がうなずく
19090「は、初恋ですね・・・とミサカは・・・」
辛かった
こんなにも普通の少女を
テクパトルは、殺すのだから
541 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 16:59:32.82 ID:8ViaxmiY0
自分を好きだと言ってくれて
自分とのデートを楽しいと言ってくれて
今も、自分のこと思ってくれている少女を
テクパトル「・・・19090号、俺って優しいのかな」
19090「はい、とても優しいですよ、とミサカは答えます」
テクパトル「・・・そっか」
542 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:00:51.00 ID:8ViaxmiY0
19090「テっくんは・・・本当に優しいですよ」
19090「ミサカのことを受け止めてくれて・・・」
19090「辛いはずなのに、一人の人間として接してくれています」
テクパトル「当たり前だろ?」
19090「それを当たり前と言えるのが優しいんですよ」
543 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:01:44.59 ID:8ViaxmiY0
19090号が笑う
テクパトル「・・・」
本当に、屈託のない笑顔だった
テクパトル「・・・景色の綺麗な丘があるんだ」
19090「行ってみたいです、とミサカはお願いします」
544 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:02:51.99 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あぁ、行こうか」
テクパトルが19090号の手を引く
彼女の手は温かかった
温もりがそこにはあった
その温もりを
彼は、奪わなければならないのか
545 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:03:55.43 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・緑が綺麗です・・・」
テクパトル「だろ?ここは街も一望できる」
お気に入りなんだよ、とテクパトルがつぶやく
19090「・・・前のミサカにも教えたんですか?」
テクパトル「・・・そういやここはまだ教えてなかったな・・・」
19090「・・・だったらここにはテっくんと初めて来たんですね」
546 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:05:04.09 ID:8ViaxmiY0
19090号が頬を染めながらつぶやく
19090「・・・なんだか少し、嬉しいです・・・」
テクパトル「・・・そっか」
テクパトルがちらりと19090号の横顔を見る
本当に美月とそっくりだった
547 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:06:11.13 ID:8ViaxmiY0
最初の二日くらいは、ただ拒絶してしまった
でも、少しずつ接して分かった
彼女は、美月と似ている
それは当然かもしれない
だが、記憶を失っているにも関わらず、本当に何もかもが似ているのだ
548 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:07:43.63 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・俺と付き合う前の・・・不器用な頃の美月みたいだ)
懐かしい感じがした
彼女は、過去の美月のようだったのだ
19090「?テっくん?」
テクパトル「あ、悪い」
19090「そ、そんなにじっと見つめられたら恥ずかしいです・・・とミサカは・・・」
549 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:09:16.36 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
そうやって恥ずかしがり屋なところも
ハンバーグが好き、子供っぽいものが好きという少し幼いところも
何かあったらまずテクパトルの顔を見てくるところも
そっくりだった
テクパトル(・・・消す・・・のか、この子を)
こんなにも純粋な子を
550 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:10:37.94 ID:8ViaxmiY0
19090「テっくんは、ミサカのこと、好きですか?」
テクパトル「・・・あぁ、大好きだよ」
19090「そ、それは・・・」
テクパトル「大切な家族だもんな」
テクパトルが優しく微笑む
551 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:12:06.04 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・はぁ、テっくんは前のミサカに鈍感だ、と言われたことはありませんか?」
テクパトル「え、なんで知ってるんだよ・・・」
19090「はぁ・・・前のミサカも苦労したでしょうね」
テクパトル「なんでだよ?」
19090「・・・内緒です、とミサカはそっぽを向きます」
テクパトル「内緒って・・・」
552 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:13:48.70 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・世界は美しいですね」
19090号が目を細める
19090「・・・こんな美しい世界にミサカは住んでいたのですか・・・とミサカは驚嘆します」
テクパトル「あぁ、ずっとこの世界にいたんだ」
19090「・・・ミサカもずっといれたら嬉しいです」
553 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:14:49.65 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
テクパトル「ずっと生きていたいか?」
19090「はい、とミサカは返事をします」
テクパトル「・・・そうだよな」
テクパトルの顔が曇る
美月を助けたかった
554 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:15:51.56 ID:8ViaxmiY0
でも、今の19090号を殺したくもなかった
どちらかを選ばなければいけない
どちらも生かす、なんていうのは無理なのだ
テクパトル「・・・お前は・・・他にどんなことがしたい?」
だからこそ
少しでも彼女の願いを叶えたかった
555 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:17:28.07 ID:8ViaxmiY0
自分に出来るのはそれだけだったから
19090「そうですね・・・まずはテっくんとキスをしてみたいです」
テクパトル「え、あ・・・いや・・・」
19090「ふふふ・・・冗談ですよ」
19090「テっくんが愛しているのは前のミサカでしょう、とミサカは確認を取ります」
テクパトル「・・・あぁ・・・ごめん」
556 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:18:36.41 ID:8ViaxmiY0
19090「む、だから冗談ですよ・・・とミサカは誤解を解きます」
テクパトル「あ、そうだったな」
テクパトルが苦笑する
19090「・・・したいことですか・・・」
19090号がうーん、と唸る
その表情も似ていた
557 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:19:44.91 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・では、一度だけ告白、というものをしてみたいです」
テクパトル「・・・恋をしたい年頃か?」
19090「あ、ちょうどいいところにテっくんがいるじゃないですか!」
テクパトル「おーい」
19090「し、仕方ありません!テっくんに告白するしかありませんね!」
558 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:20:59.92 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
理不尽な言い訳だな、とテクパトルは思う
19090「ダ、ダメでしょうか?」
テクパトル「・・・いや、いいよ」
本当は辛かった
559 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:22:12.49 ID:8ViaxmiY0
彼女を知れば知るほど
選択を迷ってしまう
冷徹な人間になれたなら
さっさと、美月を選んだだろう
だがなぜか
テクパトルにはそれが出来なかった
560 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2011/07/12(火) 17:23:15.14 ID:qqqrMcP3o
もう一体作ってそこにどっちかの人格を入れるっていうのは……
やっぱり命を弄ぶことになるから駄目だよな
561 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:23:40.10 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・いいぞ」
19090「・・・テっくん、愛しています・・・」
19090「その・・・ミサカと・・・お付き合いしてください」
テクパトル「・・・」
似ていた
不器用で恥ずかしがり屋で
そういう大切な話をしたら、自信がなさ気にうつむく
本当に
似ていた
562 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:24:55.60 ID:8ViaxmiY0
>>560
過去に戻るか未来に進むかのどっちかだけです
テクパトル「ごめん、俺には好きな人がいるから」
19090「う・・・まさか失恋も経験するとは」
19090号が少しお茶目に言う
テクパトル「ははは・・・でも、恋には付き物だぞ」
19090「くっ・・・それは辛いですね・・・」
テクパトル「そうだな」
テクパトルが笑う
19090号も笑う
563 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:26:55.20 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・これがこいつにとっての、憧れる日常なんだ)
テクパトル(それを、俺は奪わなきゃいけないんだよな)
美月を選ぶ
そう決めていたのに
簡単には割り切れなかった
564 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/12(火) 17:27:35.93 ID:AyLi5GQVo
俺は美月も19090も生かしたい•••
565 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:27:59.90 ID:8ViaxmiY0
誰かがいなくなる悲しみを味わったから
テクパトルは決められなかった
テクパトル「・・・他にはしたいこととかあるか?」
19090「うーん・・・何があるでしょうか」
テクパトル「中学生くらいなら・・・友達とゲーセンとかかな」
566 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:29:17.22 ID:8ViaxmiY0
>>564
どちらを生かすか、ではなく
どちらを守るか、でしょうね
19090「ゲーセンですか?」
テクパトル「あぁ・・・興味なかったか?」
19090「いいえ、行ってみたいです!とミサカはお願いします!」
テクパトル「なんだ、興味津々なんだな」
19090「はい!」
二人が歩いてゲーセンへと向かう
567 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:30:36.50 ID:8ViaxmiY0
少し音楽のうるさい店内
若いカップルや学生が多かった
19090「これが・・・ゲーセンですか・・・」
テクパトル「ちょっとうるさいけど・・・結構楽しいぞ?」
19090「これはなんですか、テっくん?」
テクパトル「クレーンゲームだよ」
568 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:31:51.98 ID:8ViaxmiY0
19090「あ、ゲコ太があります!とミサカははしゃいでみます!」
テクパトル「やってみるか?」
19090「はい!」
お金を入れ、19090号がゲームを始める
19090「・・・ここです!」
19090号がアームの位置を決める
しかし、もう少しというところで人形は落ちてしまった
569 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:33:32.08 ID:8ViaxmiY0
19090「うぅ・・・出口の位置が悪いんです・・・ミサカの腕が悪いのでは・・・」
テクパトル「・・・俺が取ろうか?」
テクパトルがお金を入れる
こういうゲームが得意なのだろうか、一回でゲコ太の人形を取ってしまった
19090「おー・・・テっくんって遊び人ですか」
570 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:34:39.08 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「いや、意味が違うからなそれ」
19090「・・・ありがとうございます、テっくん!」
19090号が嬉しそうにお礼を言う
テクパトル「いいっていいって・・・あとは・・・」
19090「おや、これはなんですか?」
571 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:35:28.99 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「パンチングマシーンか・・・能力が関係ないタイプみたいだな」
19090「よし!ミサカはハイスコアを目指します!」
19090号が挑戦する
しかし、さすがにトップには届かなかった
19090「くっ・・・一体一位は誰なんですか・・・」
572 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:36:41.34 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「えっと・・・SADANORI・・・?誰だ?」
とりあえず、二位に有り得ないほどの差をつけていた
19090「いつか超えてみせます!」
テクパトル「いつか・・・か」
19090「?」
テクパトル「あ、シューティングゲームとかもやるか?」
19090「はい!」
二人が並んで座る
573 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:37:35.89 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「うげ、やられた・・・お前は上手いな」
19090「ふっふっふ・・・ミサカたちの実力をナメてはいけませんよ」
楽しそうに19090号が言う
テクパトル「得意なんだな・・・」
19090「えい!」
一人ですべての敵を倒し終え、19090号は上機嫌になる
574 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:38:37.72 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「さて・・・あらかた遊び尽くしたかな・・・」
19090「・・・?テっくん」
19090号がテクパトルの肩をつつく
テクパトル「ん、どうした?」
19090「あれはなんですか?とミサカは尋ねます」
575 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:39:40.49 ID:8ViaxmiY0
19090号が指差していたのは
プリクラだった
テクパトル「あぁ、プリクラか・・・前に何度か撮ったな」
19090「・・・ミサカも撮りたいです」
テクパトル「ん、分かった」
576 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:43:23.34 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・なんでそんなにくっついてくるんだ?」
19090「テっくん、二人きりなんですよ?とミサカは問い掛けます」
テクパトル「あぁ・・・で、それが・・・?」
19090「はぁ・・・本当に鈍感ですね」
テクパトル「?」
19090「・・・あ、撮られますよ」
577 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:44:49.31 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あぁ」
二人が少し寄り添いながら写っていた
テクパトル「落書き、するか?」
19090「もちろんです、とミサカは返事をします!」
19090号がテクパトルの顔に髭を書き加える
昔の老人がしていそうな、たいそうな髭を
578 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:46:08.22 ID:8ViaxmiY0
19090「あ、似合ってますね・・・」
テクパトル「いやだ!なんか知らないけどいやだ!」
19090「あ!なんでほっぺたに渦巻きを書くんですか!」
テクパトル「仕返しだよ仕返し!」
19090「では・・・」
テクパトル「・・・なんで猫耳・・・」
579 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:47:48.29 ID:8ViaxmiY0
19090「似合ってますよ・・・」
テクパトル「笑うな!」
楽しそうな会話がプリクラの中から響いていた
もう、空には夕日が浮かぶ時間だった
580 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:49:12.38 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・もうこんな時間か」
二人は、橋の上に来ていた
前に垣根に教えてもらった橋だ
なんでも、ここで見る夕日は最高に美しいらしい
テクパトル「・・・街がオレンジ色に染まってるな」
テクパトルがぽつりとつぶやく
581 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:49:43.23 ID:8ViaxmiY0
19090「ホントですね・・・」
テクパトル「・・・」
もう、夜は近づいていた
今日のうちに決めなければならないのだ
時間はない
582 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:50:39.49 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・19090号、あのさ」
19090「何かあったんですよね、とミサカは先に問い掛けます」
19090が苦笑する
テクパトル「・・・知ってたのか?」
19090「テっくんの様子がおかしかったですから、とミサカは答えます」
583 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:51:23.68 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「おかしかったかな?」
19090「はい」
19090号がうなずく
その顔は、夕日に照らされていた
584 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:52:51.00 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・前のお前の記憶が残ってるみたいなんだ」
19090「コピーデータですか」
テクパトル「あぁ・・・それがあれば、前のお前は帰ってくる」
19090「・・・そのかわり、今のミサカは消えてしまうんですね」
テクパトル「・・・記憶は残るが・・・人格がな」
585 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:54:12.26 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・」
19090号がうつむく
19090「・・・」
19090「よかったですね、テっくん」
テクパトル「・・・良くないさ」
586 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:54:51.60 ID:8ViaxmiY0
19090「いえ、これでよかったんですよ」
19090号が微笑む
少し、悲しそうに
19090「・・・あなたの愛した人は帰ってくるんです、何もかもが帰ってくるんです」
19090「・・・幸せじゃないですか」
587 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:55:25.12 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「お前は消えるんだよ」
19090「ミサカはいいんです・・・もともと、いるはずのない存在ですから」
テクパトル「今はここにいるじゃないか」
19090「・・・ありがとうございます」
19090号が笑う
588 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:56:12.06 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・テっくん、あなたは前のミサカが何よりも大切なんですよね」
テクパトル「・・・あぁ、そうだ」
19090「だったら、今のミサカよりも前のミサカを選ぶべきです」
テクパトル「・・・」
19090「ミサカがテっくんの立場だったらそうしますよ」
589 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:57:00.87 ID:8ViaxmiY0
19090号が続ける
その肩は少しだけ震えていた
19090「・・・当たり前の選択ではないですか」
19090「好きな人を選ぶのは、当たり前ですよ」
テクパトル「・・・お前に死んでほしくないんだよ」
590 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:57:39.01 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・記憶は残りますよ」
テクパトル「そんな問題じゃないんだ・・・お前はお前なんだよ」
19090「テっくん」
19090「甘えてはいけませんよ」
テクパトル「・・・」
591 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:58:14.76 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・どちらかを選ばなければならないんですよ、それ以外はありません」
テクパトル「分かってる・・・」
19090「割り切れとは言いません、でも妥協しなくちゃいけないんですよ」
19090「・・・テっくん、ミサカとテっくんはほんの数日一緒に過ごしただけですよ?」
19090「前のミサカとのほうが長い期間いたのでしょう?」
19090「何を迷うことがあるんですか」
592 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:58:55.56 ID:8ViaxmiY0
19090「ミサカは恨みません、軽蔑もしません」
19090「テっくん、ミサカを切り捨ててください」
テクパトル「・・・」
テクパトルが拳を握り締める
美月か
19090号か
593 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 17:59:41.49 ID:8ViaxmiY0
どちらかしか選べない、なんていう運命に逆らいたかった
19090「・・・」
テクパトル「怖くないのかよ、死ぬのが」
19090「怖いですよ」
19090号の声は震えていた
だが、その表情は笑顔のまま
594 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:00:31.49 ID:8ViaxmiY0
19090「でも・・・テっくんはミサカのことを忘れはしないでしょう」
19090「ミサカはテっくんの心で生き続けるじゃないですか」
テクパトル「・・・そんなの、言い訳だよ」
テクパトル「心の中で生きてどうする・・・お前がいなきゃダメじゃないか」
首を勢いよく振りながらテクパトルがつぶやく
595 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:01:11.75 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・なぜ、戸惑うのですか?」
テクパトル「・・・誰かがいなくなる悲しみを知ったんだよ」
テクパトル「辛いんだ、自分を責めてしまう・・・」
テクパトル「・・・その誰かがいない世界が回り続けるのも・・・辛いんだよ」
19090「・・・」
596 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:01:53.22 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・どうすればいい?」
19090「テっくん、ミサカのことを・・・最初、気持ち悪いと思っていたでしょう?」
テクパトル「・・・あぁ」
19090「でも、あなたはすぐにミサカを一人の人間として見てくれました」
19090「これ以上の幸せなんて、ないんですよ」
597 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:02:27.98 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あるさ・・・生きていけば、これからたくさんある」
19090「・・・テっくん、聞いてください」
19090号が苦笑する
なぜだろうか
そんな表情さえも、美月に似ていたのだ
598 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:03:08.99 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・ミサカは十分幸せだったんです」
19090「たった数日の日常でしたが・・・普通の人の一生以上の幸せをもらいました」
19090「ミサカ達と買い物に行けました」
19090「一緒にアクセサリーを選んで・・・テっくんとお揃いのブレスレットを買えましたよ?」
19090「ミサカ達と一緒にご飯を作りました」
599 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:03:41.49 ID:8ViaxmiY0
19090「初めて作った料理は・・・少ししょっぱかったです」
19090「ミサカ達と一緒にくだらない話をしました」
19090「・・・恋愛の悩みや、好きな本の話・・・たくさん、話しましたよ?」
19090「テっくん」
19090号の瞳から
一筋の涙が流れる
600 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:04:12.43 ID:8ViaxmiY0
19090「ミサカは、テっくんと出会えました」
19090「・・・こんなミサカのことを、認めてくれる・・・優しい人に」
19090「ミサカは、テっくんと話が出来ました」
19090「・・・あんなに心が落ち着いたのは初めてでした」
19090「ミサカは、テっくんと一緒に笑うことができました」
601 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:04:42.30 ID:8ViaxmiY0
19090「前のミサカは・・・きっと、もっと一緒に笑ったんでしょうね」
19090「ミサカは、テっくんとデートができました」
19090「ショッピングをしたり、公園に行ったり・・・」
19090「・・・綺麗な景色を見て、プリクラを撮って」
19090「幸せな時間を過ごせました」
602 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:05:12.50 ID:8ViaxmiY0
19090号の瞳から
次々と涙が溢れ出す
19090「ミサカは」
19090「テっくんに・・・恋をしたんですよ」
603 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:05:45.55 ID:8ViaxmiY0
19090「たった数日ですけれど」
19090「・・・恋に落ちたんですよ」
19090「・・・前のミサカの気持ちもあったかもしれません」
19090「・・・ですが、それ以上に・・・」
19090「ミサカの中で、愛が生まれたんです」
604 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:06:35.34 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・名前なんて分かりません」
19090「もしかしたら愛ではないかもしれません」
19090「ですが、何よりも大きく、何よりも優しく・・・」
19090「何よりも温かい感情が生まれたんですよ」
19090「テっくん、あなたのおかげで生まれたんですよ」
605 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:07:10.80 ID:8ViaxmiY0
19090号が微笑む
19090「こんな幸せな人生・・・普通は歩めませんよ」
19090「長さじゃなくて、どれだけ幸せだったか」
19090「きっと、それが大切なんです」
19090「テっくん」
606 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:07:50.53 ID:8ViaxmiY0
19090「ミサカを幸せにしてくれたのはあなたなんです」
テクパトル「・・・違うんだよ」
テクパトルが首を横に振る
涙がこぼれそうになるのをこらえ、テクパトルは続ける
テクパトル「・・・最初は、気持ち悪かったんだ・・・」
テクパトル「お前に、あいつを重ねてしまって・・・」
607 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:08:33.18 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「やっと、少しして整理がついたと思ったのに・・・」
テクパトル「やっぱり、お前には面影を感じてしまって・・・」
テクパトル「なんでお前と一緒にいたのか分からないんだ」
声が、かすれていく
テクパトル「・・・同情だったのかもしれない」
608 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:09:02.96 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「お前がかわいそうだったのかもな」
テクパトル「・・・惰性だったのかもしれない」
テクパトル「妹達を守るというルールがあったからかもな」
テクパトル「・・・そして・・・」
テクパトル「お前が・・・あいつだったからかもしれない」
609 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:09:35.78 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「同じ見た目、同じ声・・・」
テクパトル「お前があいつじゃなければ・・・」
テクパトル「俺は見向きもしなかったかもしれないんだよ」
テクパトル「幸せになんて出来なかった、愛してなんてやれなかった」
テクパトル「俺は結局、お前をあいつと重ねてたんだよ」
610 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:10:21.90 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・だから、感謝なんて・・・」
19090「それでも構いません」
19090号が答える
その声は力強かった
19090「それのおかげでミサカは幸せだったんです」
611 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:11:12.51 ID:8ViaxmiY0
19090「理由なんていいんです、ミサカは幸せですよ?」
19090「テっくん、ミサカは幸せにしてもらえました」
19090「・・・テっくんに告白も出来ましたし」
少し恥ずかしそうに19090号が笑う
19090「・・・あれ、本当は冗談なんかじゃなかったんですよ」
612 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:11:39.74 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あぁ、分かってる」
19090「・・・鈍感なテっくんも気づいてましたか」
19090号が笑う
テクパトル「・・・」
19090「好きなんですよ、テっくんのことが」
613 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:12:35.30 ID:8ViaxmiY0
19090「ちょっと頑固です」
19090「礼儀に厳しくて、あんまり冗談が通じなくて」
19090「ちょっと鈍感です」
19090「誰かの好意には気づかないで、自分の気持ちにも気づかないで」
19090「ちょっと繊細です」
19090「・・・自分の責任でもないことを、いつまでも考えてしまって」
614 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:13:07.93 ID:8ViaxmiY0
19090「ちょっとおバカさんです」
19090「・・・ミサカを・・・ミサカをこんなにも大切にしてくれて」
19090「すごく優しいです」
19090「・・・ミサカに微笑みかけてくれて、ミサカとデートをしてくれて」
19090「すごく力強いです」
19090「普通の人なら諦めそうなことからも逃げないで」
615 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:13:49.98 ID:8ViaxmiY0
19090「すごく温かいです」
19090「春よりも・・・ミサカに温もりをくれて」
19090「すごく愛しいです」
19090「この思いは届きません・・・ミサカの思いは通じません」
19090「それが悔しくて・・・辛くて・・・」
616 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:14:41.65 ID:8ViaxmiY0
19090「でも、嬉しいんです」
19090「前のミサカをそれほどまでに愛してくれていたことが」
19090「こんなことになっても、まだ一途でいてくれることが」
19090「・・・すごく」
19090「愛していますよ」
617 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:15:23.88 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・だから、ミサカを捨ててください」
19090「テっくん、あなたにはもう十分の幸せをいただいたんです」
19090「だったら、今度はミサカが幸せにしないといけません」
19090「あなたは、自分の悲しみを抑えてミサカの命を守ってくれました」
19090「・・・今度は、ミサカが悲しみを抑える番ですよ」
618 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:15:58.73 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・テっくんを幸せに出来るのはミサカではありません」
19090「・・・前のミサカだけですよね」
19090「うらやましいです、ヤキモチが妬けます」
19090「一日でいいから、ミサカもそんな恋をしてみたくて・・・」
19090「でも・・・」
19090「ミサカは、テっくんだけが好きなんです」
619 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:16:36.53 ID:8ViaxmiY0
19090「そして、テっくんは前のミサカだけが好きなんですよね?」
19090「誰かを思うということは」
19090「誰かを愛するということは」
19090「こんなにも幸せなことなんですね」
テクパトル「・・・19090号・・・」
620 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:17:12.75 ID:8ViaxmiY0
19090「何を迷っているんですか?」
19090「早く前のミサカを助けてあげてください」
19090「そうじゃないとミサカは怒りますよ?」
19090「・・・」
夕日が沈んでしまう
辺りは暗闇に包まれた
621 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:17:59.00 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
19090「・・・ミサカがいた病室で待ってます」
19090「決められたら、来て下さい」
19090号がテクパトルに背を向ける
622 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:18:44.55 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・ごめんな、俺はお前の気持ちには応えられないのかもしれない」
19090「・・・いいんですよ、片思いで」
19090「・・・待ってますからね、テっくん」
19090号が走り出す
その姿は、すぐに見えなくなった
623 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:19:17.53 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
テクパトル「・・・決められないよな」
テクパトル「あんなこと言われたら・・・余計に無理だよ・・・」
上条「何言ってんだよ」
624 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:20:13.92 ID:8ViaxmiY0
いつからだろうか
テクパトルの後ろに、上条が立っていた
テクパトル「・・・上条、なんでここに・・・」
上条「美琴が19090号のほうをフォローするって言うから・・・俺はこっちにな」
上条が笑う
625 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 18:20:49.99 ID:MPNCRHIq0
ヒーローがキター!!!
626 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:21:17.10 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
上条「・・・何を悩んでるんだ?」
テクパトル「犠牲にしなきゃいけないんだ」
テクパトル「あんなに、俺を慕ってくれているあいつを」
上条「・・・辛いな」
627 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:21:58.18 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あぁ、辛い」
テクパトルが顔をしかめる
テクパトル「・・・上条、お前ならどうする?」
上条「・・・守りたいものを優先するさ」
テクパトル「・・・」
上条「・・・なぁテクパトル」
628 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:22:39.85 ID:8ViaxmiY0
上条「なんで・・・あの子の気持ちを無駄にするんだよ?」
テクパトル「無駄に?」
上条「・・・あの子は、お前に立ち直ってほしいんだ」
上条「自分を犠牲にしてでも」
上条が話す
辛そうな顔で
629 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:23:20.77 ID:8ViaxmiY0
上条「・・・なんで、応えてやらないんだよ」
テクパトル「応えられるわけがないだろう」
上条「・・・気持ちを無駄にするのか」
テクパトル「だって・・・俺はあいつを殺したくない・・・」
630 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:23:46.36 ID:8ViaxmiY0
上条「だったら、お前が愛した彼女は殺してもいいのか?」
テクパトル「!」
上条「せっかくチャンスがあるんだ・・・もう一度会えるんだ」
上条「どうして手放すんだよ?」
テクパトル「・・・あいつはもういない、そして19090号はいる・・・」
631 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:24:32.03 ID:8ViaxmiY0
上条「言い訳はしなくていい」
上条が遮る
上条「お前は、前の彼女と今の彼女」
上条「どっちが大切なんだよ」
632 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:25:01.87 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・前のあいつが大切だ」
テクパトル「・・・でもお前にならわかるだろう?」
テクパトル「・・・誰かを犠牲にした幸せが」
テクパトル「本当に幸せと言えるのか?」
上条「・・・」
633 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:25:29.88 ID:8ViaxmiY0
上条が無言のまま右手を握り締める
テクパトル「俺を好きだと言ってくれたあいつを」
テクパトル「愛していると言ってくれたあいつを」
テクパトル「・・・俺の判断で殺すのか・・・」
そんなのはイヤだった
634 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:25:58.51 ID:8ViaxmiY0
殺すことなんて、ずっと昔のテクパトルには日常茶飯事だった
それがいつしか
幸せを手に入れ
恋人を手に入れ
普通の日常を手に入れてから
635 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:26:31.81 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「殺すのが怖いのさ」
怖くなった
テクパトル「また会える希望はない」
テクパトル「声をかけても返事がない」
テクパトル「ずっと背負って、ずっと思って」
テクパトル「それでも救いなんてそこにはない」
636 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:27:11.38 ID:8ViaxmiY0
頭を抱えながらテクパトルが言う
テクパトル「殺せと言うのか?あいつを」
テクパトル「・・・帰ってきてほしいさ、前のあいつには」
テクパトル「・・・でも今のあいつにも死んでほしくない・・・」
テクパトル「俺はどうすればいい?」
637 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:28:02.31 ID:8ViaxmiY0
上条「選ばなきゃならない」
上条「どちらを選ぶ未来が幸せなのかを」
テクパトル「どちらも幸せなんかじゃないさ」
美月が帰ってきても
今の19090号はいなくなる
今の19090号を選べば
もう美月は帰ってこない
638 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:28:55.42 ID:8ViaxmiY0
どちらを選べばいいだとか
どちらを選べば幸せだとか
そんなことはなかった
テクパトル「・・・どちらも、幸せなんかじゃないのさ」
639 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:29:30.64 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・」
19090号は走っていた
涙がこぼれ落ちるがそれにも構わず
これでよかった
テクパトルのことを思えば、彼を笑顔にできるなら
自分の命を犠牲にしてもよかった
640 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:30:01.97 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・分かっています」
ならばどうして
こんなにも涙が出てくるのだろう
彼との会話が
彼との時間が
彼との日常が
641 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:30:28.02 ID:8ViaxmiY0
たった数日だけだったはずの日々が
蘇ってくるのだろうか
19090「・・・辛いです」
死にたくなかった
今の自分がいなくなるなんてイヤだった
642 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:30:58.91 ID:8ViaxmiY0
でも
こんな思いを、前の自分もしたのだろう
19090「・・・テっくん」
なぜかその名を呼んでしまう
困ったときに彼を呼べば解決されるような気がしたのだ
なぜかは分からない
なぜかは
643 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:31:28.43 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・到着しましたね」
19090号は病院の前に立っていた
あれからどれほど走っただろうか
19090「・・・」
無言のまま中に入っていく
644 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:32:11.15 ID:8ViaxmiY0
真っ暗な廊下や
静かな待ち合い室
それらがなぜか、とても不気味に感じた
19090「・・・」
一つの病室へ向かう
645 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:32:53.58 ID:8ViaxmiY0
彼女が目を覚ました病室
そして、今から記憶の復元を行われる病室
19090「・・・」
ドアを開ける
646 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:33:40.08 ID:8ViaxmiY0
綺麗なベッド
外の風景が見える窓
清潔感のある白い壁紙
その部屋の真ん中に
美琴「・・・19090号ね?」
美琴がいた
647 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:34:09.88 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・お姉様?」
美琴「・・・今のあなたと会うのは初めて・・・か」
美琴が笑う
きっと、前の19090号とはよく会っていたのだろう
19090(・・・お姉様も)
648 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:34:47.64 ID:8ViaxmiY0
19090(前のミサカを望んでいるのでしょうか)
美琴「・・・話は・・・聞いてるかしら」
19090「はい、テっくんから全部聞きました」
そっと19090号がベッドに座る
柔らかなスプリングの感触が心地好かった
649 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:35:34.28 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・ミサカは、消えるのですね」
美琴「・・・そうね」
包み隠さず
美琴はうなずいた
650 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:36:05.70 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・怖いです」
19090号が震える声で言葉を紡ぐ
19090「全部・・・無くなってしまうんですよね?」
美琴「・・・人格は、ね」
今のあなたは前のあなたとそっくりだけど、と美琴が続ける
651 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:37:06.34 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・テっくんに・・・また辛い思いをさせるのが・・・」
19090「一番怖いんです」
美琴「・・・アンタ」
19090「前のミサカのことで・・・」
19090「最初、テっくんはとても悩んでいました」
652 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:37:35.98 ID:8ViaxmiY0
19090「優しいテっくんのことです、きっとミサカのことも抱えてしまいます」
19090「・・・それが一番イヤなんです・・・」
美琴「テクパトルのこと好きなのね」
美琴が確認する
19090「大好きです・・・」
19090「たった数日で、恋に落ちたんです」
653 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:38:16.87 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・どうしてでしょうか」
美琴「・・・」
似ていた
美琴の知っている前の19090号と
驚くほどに似ていた
654 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:38:58.04 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・記憶を無くすとは・・・どんなことなんでしょうか」
19090号がぽつりとつぶやく
19090「・・・前のミサカはどんな気持ちだったんでしょうか」
美琴「・・・私の彼氏もね」
美琴がぽつりと言う
655 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:39:50.70 ID:8ViaxmiY0
美琴「記憶喪失なのよ」
19090「え・・・?」
美琴「私と出会ったときの記憶はなくて・・・」
美琴「まぁ付き合う前の記憶だけどね」
美琴が少し苦笑する
656 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:40:23.70 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・でも、私の彼氏は・・・言ってたわ」
美琴「記憶のあるなしで揺らぐほど自分は曖昧な存在じゃないんだって」
美琴「正直、私もあいつが記憶喪失だなんて最初は気づかなかったもん」
19090「・・・似ていたのですか?」
美琴「似てるなんてもんじゃないわよ、まさに同一人物」
657 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:41:13.77 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・だから、昔の記憶が戻っても変わらないと思うのよ」
美琴「だって全く同じような・・・人格なんだから」
19090「・・・素敵ですね、そういうの」
19090号が微笑む
658 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:42:13.46 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・怖いなら泣いてもいいのよ」
美琴「辛いんだったら話してもいいのよ」
美琴「私はあなたの姉なんだから」
美琴の声に、19090号の心は揺れた
659 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:42:48.94 ID:8ViaxmiY0
語るべきではないのかもしれない
伝える必要もないのかもしれない
でも
19090「ミサカは」
たった一人の姉に
最後に、そして初めて
弱音を吐いてみたかった
660 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:43:26.45 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
上条「幸せじゃないか」
テクパトル「あぁ、幸せなわけがあるまい」
上条「そうだよな・・・誰かを犠牲にするなんてそういうもんだ」
テクパトル「・・・俺の都合で何度も命を弄んでいいのか?」
テクパトル「そんなことできない」
661 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:44:14.71 ID:8ViaxmiY0
上条「・・・テクパトル」
上条には何も言えなかった
今のテクパトルは
上条と似ているのだ
誰かが傷つくのを良しとはしない
誰かの涙を見たくない
662 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:44:57.16 ID:8ViaxmiY0
テクパトルを否定できるのは
上条のような人間ではないのかもしれない
上条「・・・俺は」
テクパトルに何をしてやれるのだろうか
何も
663 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:45:48.87 ID:8ViaxmiY0
垣根「いっやー、さっすがヒーローだぜ上条」
その場の空気に少し馴染まない
妙にちゃらけた声が聞こえた
664 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:46:21.40 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・恋をしてしまいました」
19090「絶対に叶わない恋です」
19090「それなのに、なぜだか胸が苦しいんです」
19090「ミサカは恋をしてしまったんです」
美琴「・・・そっくりね、本当に」
665 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:47:03.11 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・前のミサカの愛情が残っているのかもしれません」
それでも
19090「ミサカは、テっくんが大好きなんです」
この感情は、自分のものだった
19090「・・・だから、テっくんには幸せになってほしいんです」
666 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:47:46.61 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・前のミサカと付き合っていた・・・」
19090「きっと、余程大切にしてくれていたんでしょうね」
美琴「・・・えぇ、呆れるくらいに大切にしてたわよ」
19090「・・・だったら、ミサカは消えてもいいんです」
19090「・・・ミサカには、ほかに何もできません」
667 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:48:25.49 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・ただ、彼の愛した人を連れてくることはできます」
19090号が右手を握り締める
その手の中にある温もりは
偽りだったのだろうか
668 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:49:25.31 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・怖いんです、消えるのが」
19090「ですがそれ以上に」
19090「彼を幸せにしたいんです」
19090「自分のことよりも、テっくんのことが大切なんです」
19090「・・・おかしいでしょうか」
669 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:50:49.65 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・それが、恋ってものだと思うわ」
19090「よかったです」
19090号が笑う
その表情も何もかも
美月に似ていた
670 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:51:50.11 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・だから、テっくんが望めば・・・」
19090「ミサカは喜んでいなくなります」
19090「・・・一緒にいたいのもあるます、でも」
19090「前のミサカを忘れなかったように」
19090「ミサカのことも忘れないと思うんです」
671 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:52:48.23 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・彼の心の中で生き続けるなら」
19090「それも悪くないと思うんです」
美琴「・・・ごめんね」
美琴が19090号を抱きしめる
672 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:53:51.15 ID:8ViaxmiY0
美琴「私には・・・何もできないのよ」
美琴「二つの人格を保つなんてこと、私にはできないの」
美琴「・・・アンタを消しちゃうのは私の責任なんだ」
19090「そんなことはありませんよ」
19090号が抱きしめ返す
673 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:54:39.06 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・前のミサカを・・・連れて帰ってこれるのは」
19090「お姉様だけなんですよ?」
美琴「・・・うん」
19090「・・・テっくんはミサカのことを忘れないと思います」
19090「だから・・・ミサカは幸せですよ」
674 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:55:16.30 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・垣根・・・か」
垣根「上条、お前説得するのってヘタなのな」
上条「そ、そうか?」
垣根「説教は得意なのによ・・・」
ため息をつきながら垣根がテクパトルに近づく
675 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:56:06.94 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・なんだ」
垣根「まぁ御坂から事情は聞いてるわけだよ」
テクパトル「・・・」
垣根「・・・あいつの記憶はなくなって」
垣根「・・・そして、別の人生を歩み始めた」
676 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 18:57:20.36 ID:8ViaxmiY0
垣根「お前はそんなあいつも」
垣根「昔のあいつも愛している、か」
垣根「・・・」
垣根がニヤリと笑う
テクパトル「なにがおかしい」
垣根「おかしいだろ」
677 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:04:04.01 ID:8ViaxmiY0
垣根「なにが守るだ」
垣根「なにが愛するだ」
垣根「お前よ、愛の意味を履き違えてるだろ」
垣根がテクパトルを睨む
垣根「・・・愛ってのは」
垣根「一つしかねぇだろ」
678 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:05:54.25 ID:8ViaxmiY0
垣根「たいそうなこったな」
テクパトル「・・・何がだよ」
テクパトル「二人を守りたいんだよ」
垣根「それは愛か?」
垣根「ナメんな」
垣根「てめぇ、自分が責められるのが怖いだけじゃねぇのか?」
679 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:09:39.85 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
垣根「昔のあいつを助ければ」
垣根「戻ってきてから罵られる」
垣根「今のあいつを助ければ」
垣根「昔のあいつは帰ってこない」
垣根「それが怖いか」
680 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:11:50.36 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あいつが死ぬのが怖い」
垣根「死なせるのが怖い?」
垣根「・・・お前さ、調子に乗ってんじゃねぇよ」
テクパトル「なに?」
垣根「どっちも助ける選択肢なんざねーって言ってんだろ」
テクパトル「それは分かって・・・」
681 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:12:19.81 ID:8ViaxmiY0
垣根「だったら決めろ」
テクパトル「・・・」
テクパトルが口を閉じる
テクパトル「・・・命を比べるなんて出来ない」
垣根「お前よ、赤の他人が死ぬのと恋人が死ぬのならどっちを選ぶ?」
682 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:13:07.34 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・赤の他人が死ぬのを選ぶさ」
垣根がうなずく
垣根「今回はそれの延長線上の問題だ」
垣根「てめぇが一番守りたいのは誰なんだよ?」
テクパトル「・・・だけど」
683 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:13:41.81 ID:8ViaxmiY0
垣根「甘えるんじゃねぇ、一番以外は赤の他人だ」
テクパトル「・・・あいつは死んでいいとでも言うのかよ?」
垣根「・・・そうかもしんない、って言ったらどうするよ」
二人の視線がぶつかる
垣根「・・・一番と二番、どっちが大切かなんざ分かりきったことだ」
684 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:14:12.89 ID:8ViaxmiY0
垣根「てめぇの空に浮かんでるのは月と星だけ」
垣根「てめぇが照らさなきゃいけないのは月だけなんだよ」
垣根がテクパトルを睨む
上条「・・・垣根」
垣根「上条、お前は御坂を一番に守ると誓ったとき」
685 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:14:58.15 ID:8ViaxmiY0
垣根「迷ったか?」
上条「・・・あぁ、迷ったよ」
上条「迷わないわけはないと思う」
垣根「テクパトル、辛いのはお前だけじゃない」
垣根「上条だって、俺だって」
686 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:15:52.74 ID:8ViaxmiY0
垣根「今のお前と同じ気持ちを味わったことがある」
垣根「自分が悲劇の主人公か?ふざけてんじゃねぇよ」
垣根「てめぇの物語のヒロインは誰なんだよ?え?」
テクパトル「・・・あいつとデートしたんだ」
テクパトル「あいつと一緒に笑ったんだ」
687 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:16:52.90 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あいつと一緒に・・・過ごしたんだよ」
テクパトルの頬を涙が伝う
テクパトル「そんな簡単に割り切れって言うのかよ・・・」
垣根「ふざけてんじゃねぇよ!」
688 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:17:27.72 ID:8ViaxmiY0
垣根がテクパトルの襟首を掴む
彼がここまで声を荒げたのを
上条は聞いたことがなかった
テクパトル「ふざけてる?何が・・・」
垣根「・・・てめぇに、今の19090号の気持ちが分かるか?」
689 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:18:09.14 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あいつの・・・気持ち・・・?」
垣根「・・・死ぬのが怖いはずだ」
垣根「胸が潰れるほどに辛いはずだ」
垣根「・・・なのに」
垣根「あいつはお前の幸せを取ったんだろ」
690 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:18:35.95 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・なんでそれを」
垣根「んなことはどうでもいい」
垣根「・・・お前は何を守りたいんだよ」
垣根の静かな声が
テクパトルには妙に大きく響いた
691 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:19:17.58 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・綺麗な夜空ね」
19090「月は見えませんけれど・・・たしかに綺麗です」
美琴「・・・曇りだからね」
美琴が苦笑する
雨が降りそうな天気だった
でも、星は輝いていて
その小さな輝きが美しくて
692 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:20:00.87 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・お姉様、少しだけ屋上に行ってもいいでしょうか?」
美琴「いいけど・・・なんで?」
19090「一度だけでも」
19090「この目で空を見たいのです」
美琴と19090号は屋上に立っていた
693 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:20:34.07 ID:8ViaxmiY0
19090「これが・・・空ですか」
19090号が驚いたようにつぶやく
19090「・・・綺麗ですね」
美琴「うん・・・綺麗よね」
19090「・・・大好きです、この世界が」
694 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:21:30.56 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・アンタは、こんなに綺麗な世界で生きてるのよ」
19090「・・・ミサカは・・・幸せですね」
美琴「・・・あの空には、たくさんの光が浮かんでるのね」
19090「・・・綺麗です」
美琴「・・・ゴメンね、やっぱり私には何も出来ないわ」
695 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:22:38.40 ID:8ViaxmiY0
19090「いえ・・・こんなに綺麗な空を見せてくれたんですから」
19090「お姉様、ありがとうございます」
19090号が嬉しそうに微笑む
美琴「・・・テクパトル、どうするかな」
19090「きっと来ますよ」
19090「・・・ミサカを助けに来てくれます」
696 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:23:32.78 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・俺は・・・」
垣根「命を守るのが目的か?」
垣根「命だけを守るのがお前の目的なのか?」
垣根「・・・その悲しみをお前は知ってるだろ」
垣根が辛そうな顔をする
697 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:24:12.29 ID:8ViaxmiY0
垣根「・・・命だけなんて」
垣根「・・・それだけを守って何になる」
垣根「・・・今の19090号の命だけを守って何になる」
垣根「・・・お前には、その辛さがよく分かるだろ」
垣根が悲しそうな顔をする
698 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:24:45.45 ID:8ViaxmiY0
垣根「・・・あいつを守って・・・昔の19090号を捨てたら」
垣根「今のあいつは喜ぶのか?」
垣根「あいつの命を守っただけで」
垣根「今を守って喜ぶだけで」
垣根「・・・今の19090号は満足するか?」
699 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:25:18.11 ID:8ViaxmiY0
垣根「・・・あいつの心は誰が守る」
垣根「・・・お前にしか守れないんだよ」
垣根「・・・あいつの心を守れるのは」
垣根「テクパトル、お前だけだろうが」
700 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:25:48.26 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・俺が守れるって?」
テクパトル「あいつを守れるわけがないだろ」
テクパトル「・・・あいつを殺すしかできねぇよ・・・」
テクパトル「それで何が・・・」
垣根「守るのは命じゃねぇよ」
垣根「心だ」
701 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:26:37.03 ID:8ViaxmiY0
垣根「あいつの心をムダにするな」
垣根「・・・お前が今のあいつの命を守って」
垣根「昔のあいつを諦めて」
垣根「今のあいつは喜ぶか?」
テクパトル「・・・」
702 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:27:22.90 ID:8ViaxmiY0
上条「テクパトル、俺は・・・お前なら大丈夫だと思う」
上条「・・・垣根も信じてるんだ」
垣根「・・・テクパトル」
垣根「愛した女を守るのか」
垣根「目の前の今を守るのか」
703 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:28:00.87 ID:8ViaxmiY0
垣根「・・・お前がどちらを選ぶのか」
垣根「それを選ぶのはお前だけだ」
垣根「・・・ただな、テクパトル」
垣根「・・・お前が選ぶべきは自分の進みたい道だけだ」
704 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:28:49.50 ID:8ViaxmiY0
垣根「他人が望む道でも」
垣根「誰かが夢見る道でも」
垣根「・・・今のあいつが、昔のあいつが望む道でもない」
垣根「お前が望む道なんだよ」
テクパトル「・・・俺が望む道か・・・」
705 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:29:31.67 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
テクパトル「・・・分かった」
テクパトルが決める
誰の選ぶ未来でもなく
テクパトル「・・・俺は」
テクパトル「・・・あいつを選ぶ」
706 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:30:16.32 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「昔のあいつだ」
テクパトル「俺が愛したあいつをだ」
テクパトル「・・・行ってくる」
テクパトルは走る
自分の足で
ただ、走る
707 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:31:25.76 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(見下されても構わない)
テクパトル(下衆だと言われても構わない)
テクパトル(・・・でも)
テクパトル「俺は美月が好きなんだ」
708 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/12(火) 19:31:36.71 ID:zn3WbN/A0
やべ、一瞬自分の足でが
自分の兄でに見えたw
709 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:32:32.57 ID:8ViaxmiY0
テクパトルが走る
空にはうっすらと
月が浮かんでいた
本当にうっすらと
月が、浮かんでいた
710 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:33:20.92 ID:8ViaxmiY0
19090号と美琴は、屋上から病室に帰ってきていた
美琴「・・・」
19090「・・・ミサカは幸せですよ」
19090「・・・もしテっくんが来てくれたら」
19090「もっと・・・」
19090「幸せ・・・なんですけどね」
711 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 19:34:20.85 ID:8ViaxmiY0
さて、いったん休憩
テクパトルは美月を選びました
さて、19090号とはお別れ・・・でしょうか
まぁ
>>1
はハッピーエンドが好きですが、こういう別れも仕方ありません
712 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 19:42:22.19 ID:riNx+FSSO
…
>>1
、お疲れ様です。
…救いはないのかなあ…
713 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/12(火) 19:42:50.15 ID:bqGt1AsYo
んー・・・・・・これは今の19090の記憶も残るのならどう感じたかとかっていう思いも残るから、人格とかも融合に近い形になるのかねぇ(´・ω・`)
714 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 19:45:13.88 ID:9cWhEu7IO
これをバッドと呼ぶのは贅沢な気がする
19090号を踏み台扱いするつもりはないけど、これはこの数日があってこそテっくんの地盤がしっかりすると思う
715 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/12(火) 19:56:12.20 ID:ApLL9z7W0
これ、何気に美琴も相当辛いよな
以前、少しだけど本当の姉妹のように過ごした9982号を目の前で殺されて、止めようとしてあがいてたときにモニター越しに10031号を殺されるのを見て、自分の命を賭してまでも助けたいと願った妹達を、また助けられないという状況だしな・・・
716 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:18:52.33 ID:8ViaxmiY0
あれですね
このスレで描きたいのは、もちろんテっくんの心の葛藤ですが
>>715
さんのいうとおり、美琴の苦しみ
19090号の悲しい思い
何よりも、大切な誰かを守るために誰かを犠牲にしなければならないという現実
そんなとこですね
では続きを
717 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:20:47.34 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・幸せって、なんなのかな」
19090「ミサカには・・・分かりません」
美琴「うん・・・私も分からないわ」
二人が静かに話す
美琴「・・・アンタが・・・いなくなるのは辛いわ」
19090「ミサカは、本当のミサカではないですよ?とミサカは訊ねます」
718 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:22:54.80 ID:8ViaxmiY0
美琴「でも、アンタも妹よ」
美琴「たった少しの間だけど」
美琴「アンタは・・・生きてたんじゃない」
19090「・・・そうですね、とミサカは微笑みます」
生きている
それが、どれほど幸せなことだろうか
719 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:24:37.54 ID:8ViaxmiY0
なのに、19090号はテクパトルのためにその幸せに終止符を打とうとしている
美琴「・・・アンタは・・・やっぱりそっくりよ」
19090「・・・前のミサカにですか?」
美琴「うん・・・」
美琴がうなずく
美琴「・・・テクパトルに会う前のアンタみたい」
720 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:26:10.69 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・ということは、このまま生き続ければいつかテっくんと付き合えるんでしょうか」
19090号が笑いながら言う
そんなつもりはなかった
19090「・・・遅いですね、テっくん」
美琴「うん・・・」
美琴「でも、きっと来るわよ」
721 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:27:14.47 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「はっ・・・はっ・・・」
テクパトルは、少し立ち止まって息を整えていた
ずっと、走っていた
止まることなく
だが、さすがに体力にも限界が来てしまった
テクパトル(・・・急がないと)
722 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:28:00.57 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・あいつは)
テクパトル(待ってるんだ、俺を)
19090号は
そして美月は
テクパトルを待っているのだ
テクパトル(もう・・・待たせないって決めたんだ)
723 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:28:55.04 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「くそ・・・」
足が震えていた
走り続けたからだろう
いや、それのほかにも理由がある
怖かった
19090号を、見捨てるのが
テクパトル(・・・迷うな)
724 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:29:55.57 ID:8ViaxmiY0
迷ってはいられなかった
テクパトル(そうだ、19090号は俺を信じている)
テクパトル(・・・そして美月は・・・)
テクパトル(・・・俺が守るという言葉を信じてくれた)
テクパトル(・・・なら)
テクパトル(俺は・・・進むしかないんだ)
725 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:30:52.32 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「くそ・・・」
テクパトルが前を向いて走りだそうとしたとき
「お、兄ちゃん」
あのタクシーがやってきた
「なんだ、乗ってくか?」
726 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:32:00.71 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・お前」
「まぁまぁ、急いでるんだろ?」
ドアが開く
「出世払いでいいぜ」
テクパトル「・・・出世の予定はないんだが」
「じゃ、来世にでも」
ニカリと笑う運転手
その顔は、少し見覚えがある気がした
727 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:33:22.26 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
「自分の足で走るのはもちろん大切だ」
「でもよ、夢や未来に走り続けたら壁にぶち当たる」
「そういうときはこういう乗り物でドカーンと壁を破壊すんのさ」
テクパトル「・・・なにを言ってんだ・・・」
「まぁまぁ」
728 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:34:11.60 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
「なんか、活路が見えたのか?」
テクパトル「分かるのか?」
「顔が輝いてるからな」
「ま、詳しくは聞かないよ」
テクパトル「・・・代償が大きいがな」
「へぇ」
729 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:35:17.49 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あいつの記憶は元に戻せる」
テクパトル「・・・今の記憶も引き継げる」
テクパトル「・・・人格は・・・無理なんだ」
「二重人格になるから、か」
テクパトル「・・・」
「いやぁ、俺には詳しい事情は分からんけどな」
730 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:36:32.00 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・正解なのかな」
「バカ言ったらいけない」
「人生に正解も間違いもあるもんか」
「解答も、参考書もない」
「真っ白のページがあるだけさ」
テクパトル「・・・」
「自分が出した答えが正解だろ」
731 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:37:37.22 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
「悩んだらいけないぜ、兄ちゃん」
「男は進むか戻るかだけさ」
「俺もそうしてきた」
テクパトル「・・・お前はいったい何者なんだ?」
「運転手さ」
「ちょいとナビ付きのな」
732 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:38:34.25 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・俺は、間違ってるかもしれない」
テクパトル「でも、それがどうした」
テクパトル「・・・愛したのはあいつだけだ」
テクパトル「美月だけなんだ」
「へぇ、いい名前だな」
テクパトル「そうか?俺がつけたんだ」
「へぇ、オシャレだな」
733 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:39:30.06 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・月・・・か」
「・・・いいじゃねぇか」
テクパトル「・・・あの月はもう・・・」
テクパトル「空には出ない」
テクパトル「雲で隠れて」
テクパトル「俺には光を与えてくれない」
734 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:40:33.01 ID:8ViaxmiY0
「いや、そいつは違うぜ」
テクパトル「なに?」
「だったらなんで兄ちゃんは月を探して空を見る?」
「涙が落ちないようにするためか?」
テクパトル「・・・俺は」
テクパトル「そこに月が登るのを待ってるんだ」
「だろうな」
735 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:42:13.92 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・月は、欠けるものなんだ」
テクパトル「少しずつ欠けていって」
テクパトル「いつか、新月になる」
テクパトル「その時は・・・月は無くなった様に見えてしまう」
テクパトル「でもな、ずっと見続けていれば」
テクパトル「いつかもう一度空に昇るんだ」
テクパトル「そこに姿を見せてくれるんだ」
736 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:43:52.50 ID:8ViaxmiY0
「兄ちゃん、ロマンチストだな」
テクパトル「まさか」
テクパトル「・・・美月・・・あいつは」
テクパトル「もう一度俺に姿を見せてくれるかな」
「兄ちゃんが望むのならな」
タクシーは進む
737 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:45:33.33 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・もうすぐか」
「・・・いいのか兄ちゃん、戻るなら今だ
テクパトル「逃げれば逃げるほど」
テクパトル「出口は遠くなるだろ」
「・・・男だな」
運転手が笑う
738 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:46:48.88 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・俺は、迷ってるように見えるか?」
「うーん・・・少しな」
「だがそれ以上に、決意が見える」
テクパトル「・・・ならそれでいい」
テクパトルが笑う
自嘲のそれでも
諦めのそれでもなく
ただ、希望を見つけた嬉しさから
739 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:47:58.32 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「着いたか」
タクシーが病院の前に止まる
「さて、一応ここで待ってるぜ」
テクパトル「いや・・・必要ないさ」
テクパトル「戻るつもりはないからな」
「ふーん・・・ま、一応さ」
「必要になるかもしれないしな」
740 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:48:48.41 ID:8ViaxmiY0
テクパトルが廊下を進む
ひんやりとした空気が彼を包む
少しだけ、胸が高鳴る
美月に会えるという喜びと
19090号を殺すという悲しみ
テクパトル(・・・)
741 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:49:45.63 ID:8ViaxmiY0
テクパトルが守りたいのは妹達だった
絶対に、守りたいと思っていた
テクパトルが救いたいのは妹達だった
いつでも、救いたいと思っていた
でも
テクパトル(愛したいのは、美月だけだ)
742 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:50:39.48 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(他のミサカではない)
テクパトル(・・・19090号でもない)
美月だけが
テクパトルが愛している相手だった
テクパトル(あぁそうだ)
テクパトル(19090号を・・・踏み台にするんだ)
743 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:51:56.79 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・好きだと言ってくれたあいつを)
テクパトル(俺を愛してくれたあいつを)
テクパトル(踏み台にする)
だが、それがなんなのだろうか
テクパトル(俺はクズだ)
テクパトル(誰かの犠牲を使わなければ、幸せには手が届かない)
744 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:53:39.93 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(俺には翼なんて無いからな)
テクパトル(空に昇って、あの月の隣に行くには)
テクパトル(踏み台を使わないといけないんだ)
テクパトル(・・・だったら)
なんでも踏み台にするつもりだった
テクパトル(踏み台が高いほど)
テクパトル(・・・空に近づけるだろ)
745 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:54:45.37 ID:8ViaxmiY0
愛した女を守るため
心を殺した馬鹿がいた
無くした空に近づくために
誰かを殺す馬鹿がいる
テクパトル(馬鹿でいいさ、クズでもいいさ)
テクパトル(そんな俺を、美月は愛してくれてるんだ)
746 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:56:03.62 ID:8ViaxmiY0
階段を上がり、病室へ向かう
前にここにきたときは、絶望に打つひしがれていた
今は、希望で高鳴っている
テクパトル(・・・)
ガラリ、とドアを開ける
19090「・・・やっと、来たんですね」
そこには、美月によく似た少女がいた
747 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:57:06.22 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「悪いな、遅くなった」
19090「待たせる男はダメですよ、とミサカは文句を言います」
美琴「・・・決めたのね?」
テクパトル「あぁ」
テクパトルがうなずく
美琴も
19090号も
信じていた
748 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:58:36.56 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「19090号に、あいつの記憶を植え付ける」
テクパトル「・・・いいか、19090号」
19090「もちろんですよ、とミサカは微笑みます」
テクパトル「・・・義姉さん」
美琴「うん、分かった」
美琴「救えなくても・・・何かの役には立てるわよ」
749 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 20:59:40.86 ID:8ViaxmiY0
美琴が19090号の頭に手を伸ばそうとする
そのとき
テクパトル「ちょっと待ってくれ」
テクパトルがそれを静止させた
美琴「どうしたの?」
テクパトル「・・・」
テクパトルが19090号を見つめる
750 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:00:50.51 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・たった数日だったけど」
テクパトル「一緒に暮らした家族なんだ」
テクパトル「・・・お別れがしたい」
美琴「・・・」
テクパトル「時間・・・いいか?」
美琴「私は構わないわよ」
そこまで長くならなければ、と美琴が言う
751 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:02:17.87 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・いいか、19090号」
19090「・・・はい」
19090号がうなずく
テクパトル「・・・できれば・・・」
美琴「分かってるわよ」
美琴がドアへと向かう
752 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:03:10.86 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・悪いな」
美琴「いいのよ」
扉を開きながら美琴が笑う
美琴「・・・二人で、しっかりお別れしなさい」
テクパトル「あぁ」
テクパトルがうなずいた
753 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:04:32.26 ID:8ViaxmiY0
美琴「じゃ、あとで」
美琴が扉を閉めようとする
19090「あ、お姉様」
19090号が美琴を呼び止める
美琴「・・・なに?」
19090「・・・ありがとうございます」
754 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:05:41.29 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・私は」
19090「お姉様はミサカを救ってくれます」
19090「ミサカが愛しているテっくんも救ってくれます」
19090「最高のお姉様ですよ」
美琴「・・・バカよ、アンタ」
美琴「・・・ありがと」
755 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:06:37.29 ID:8ViaxmiY0
美琴の声は少し震えていた
ドアが閉じられる
部屋には、二人だけが残された
19090「・・・テっくん、決めてくれたんですね」
テクパトル「・・・お前には謝ることしかできない」
756 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:08:20.39 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・お前を殺すんだ」
19090「・・・」
テクパトル「・・・お前とあいつを天秤にかけた」
テクパトル「・・・すまない」
19090「テっくん」
19090号がテクパトルを抱きしめる
757 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:09:55.72 ID:8ViaxmiY0
19090「ミサカも、それでいいんです」
19090「ミサカの望んだ結末ですよ・・・」
テクパトル「お前も・・・幸せにしてやりたかった」
19090「む、幸せだったんですよ?」
19090号が頬を膨らませる
美月の影がそこに重なる
758 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:11:37.73 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・そうか」
19090「ミサカは、幸せでした」
19090「こういうのが、幸せなんだと知りました」
19090「誰かに教えてもらうわけでもなく」
19090「何かに書いてあるわけでもなく」
19090「テっくんに、作ってもらった幸せですよ?」
759 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:13:17.75 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「その幸せを・・・」
19090「テっくんが壊すんじゃありません」
19090「・・・ただ、見えなくなるだけですよ?」
19090「目の前にあった幸せが・・・」
19090「見えなくなってしまうだけです」
19090「でも、ミサカがいたということはいつまでもテっくんの心の中に残り続けます」
760 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:14:17.68 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・忘れないさ」
19090「前のミサカのことと同じように、ですか?」
テクパトル「あぁ、覚えておく」
テクパトルが胸を叩く
テクパトル「目の中にじゃない」
テクパトル「頭の中にじゃない」
761 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:15:31.56 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「俺の心の中に」
テクパトル「ちっぽけな胸の中に」
テクパトル「いつまでも・・・覚えておくさ」
テクパトル「・・・ありがとう」
19090「お礼を言うのはミサカですよ?」
19090「・・・テっくんの心の中は、居心地がよさそうです」
762 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:16:45.59 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・そうか?」
19090「温かくて・・・優しくて・・・」
19090「きっと、ずっと春みたいだと思います」
テクパトル「・・・春・・・か」
19090「・・・ミサカには・・・温かすぎるかもしれませんけれど」
19090号が苦笑する
763 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:18:11.67 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・19090号」
テクパトルが19090号の頭に手を乗せる
テクパトル「・・・前のお前にも、こうやってよく触れていた」
テクパトル「温もりを感じられるんだ・・・」
テクパトル「生きているということを」
テクパトル「・・・俺は、それを感じられるんだ」
764 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:20:18.70 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・お前も、生きているんだな」
19090「テっくんの心の中で・・・これからも生きますよ?」
テクパトル「・・・」
テクパトルが寂しそうな表情をする
19090「・・・おそろいのブレスレット・・・つけてくれているんですね」
テクパトル「・・・あぁ」
765 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:22:27.98 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・嬉しいですね」
19090号が少し顔を赤らめる
19090「・・・ミサカも、同じものをつけています」
右手の手首には、ブレスレットが光っていた
19090「・・・テっくんと、おそろいなんですよ?」
テクパトル「あぁ、おそろいだ」
766 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:23:48.50 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・これも・・・大切な思い出なんだ」
テクパトル「・・・」
19090「・・・テっくん」
19090「ミサカは、いなくなってしまうかもしれません」
19090「でも、それは死ぬのではないのですよ?」
テクパトル「・・・違うのか?」
767 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:25:34.91 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・テっくんの心の中に行くだけです」
19090「・・・目には見えなくなりますけど・・・」
19090「でも、心の中で生き続けます」
19090「大好きなテっくんの心のなかに行けるんですよ?」
19090「ずっと一緒なんですよ?」
19090「・・・幸せですよ、とミサカはつぶやきます」
768 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:26:57.85 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・あぁ、そうだ」
テクパトルは決めた
もう、前に
美月を選ぶと
19090号を選ぶのではない
ただ、一人
一人しか選べない
769 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:28:00.21 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・心の中の大半は・・・昔のミサカがいるんでしょうね」
テクパトル「・・・そうだな、ほとんどはそうかもしれない」
19090「む、窮屈そうです・・・とミサカは顔をしかめます」
テクパトル「ははは・・・悪いな」
19090「・・・」
19090「ですが・・・」
770 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:30:05.29 ID:8ViaxmiY0
19090「一番ではなくても・・・二番にはなれますか?」
テクパトル「二番・・・か」
19090「・・・他のミサカたちもいるでしょうけれど」
19090「・・・そのミサカたちと同じでも構いません」
19090「他のミサカと同じくらい・・・」
19090「思っていてくれますか?」
771 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:32:37.08 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「当たり前だろ」
テクパトル「お前が妹達だからじゃない」
テクパトル「・・・お前が」
テクパトル「家族だからだよ」
19090「ありがとうございます」
772 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:36:40.58 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・お別れ・・・か」
19090「うーん・・・テっくんの心にいるので、お別れとは少し違いますね・・・」
テクパトル「・・・でも、会えなくなるぞ?」
19090「それだからお別れ、ではありませんよ」
19090号が微笑む
19090「・・・お別れでは、ありません」
773 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:39:00.25 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・19090号、ありがとう」
テクパトル「・・・お前と過ごした数日間、悪く無かったよ」
19090「むむむ、幸せだった、といわれたほうが嬉しいですよ?」
テクパトル「ははは・・・なんか照れくさいだろ?」
テクパトルが頭をかく
19090「ミサカは幸せでしたよ?」
774 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:41:03.73 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・そうか」
19090「・・・テっくんは、前のミサカがいなくて退屈だったかもしれませんけど・・・」
テクパトル「最初はな」
テクパトルが苦笑する
テクパトル「・・・でも」
テクパトル「お前との時間は楽しかった」
775 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:45:41.73 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・幸せだったよ」
19090「前のミサカと同じ幸せでしたか?」
テクパトル「・・・似てはいた」
テクパトル「でも、形の違う幸せだった」
19090「そうですか・・・」
19090号が笑う
776 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:47:25.92 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・ありがとうな、19090号」
テクパトルが右手を差し出す
テクパトル「・・・お前も、大切な家族だよ」
19090「・・・はい」
19090号は、その右手を握り返す
テクパトル「・・・」
777 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:49:45.84 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「最後に・・・なにか言いたいこととかあるかな?」
19090「うーん・・・一応はお別れ・・・ですからね」
19090号が顎に手をやり考えるような仕草をする
テクパトル「あぁ、やり残したこととか・・・」
19090「それはたくさんあります」
19090号が苦笑する
778 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:51:53.19 ID:8ViaxmiY0
19090「デートはもっとしたいですし・・・」
19090「あーん、もできませんでした・・・」
19090「一緒に水族館や動物園にも行きたかったですし・・・」
19090「・・・恋も・・・もっとしたかったです」
19090号の声が少し小さくなる
テクパトル「・・・」
779 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:53:48.60 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・そっか」
19090「ですが、テっくんの心の中にいれば・・・」
19090「一緒に出かけたり、一緒に過ごしたり・・・」
19090「・・・思い続けることだってできますよね?」
テクパトル「あぁ、できるさ」
19090「ならよしとしましょう!」
780 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:56:35.68 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・じゃあ・・・」
19090「・・・あ、一つやり残したことがありました」
19090号がぽん、と手を叩く
テクパトル「?なんだ?」
19090「テっくん、ちょっとこっちに来てください」
手招きをしながら19090号が言う
781 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 21:58:28.43 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「あぁ・・・」
テクパトルが19090号に近づく
19090「もう少し・・・あ、そこでいいですよ」
テクパトル「何・・・?」
19090「め、目を閉じてください!!」
テクパトル「?」
782 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:00:00.14 ID:8ViaxmiY0
テクパトルが目を閉じる
少ししてから
温かいものが、彼の唇に触れた
テクパトル「・・・お前・・・」
783 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:01:32.91 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・ミサカのファーストキスです」
19090「・・・これくらいのわがまま、許してください」
19090号の瞳からは涙が流れていた
19090「もう会えないんですよ?」
19090「もう・・・一緒にはいられないんです」
テクパトル「・・・」
784 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:03:18.51 ID:8ViaxmiY0
19090「・・・この温もりを覚えていてください・・・」
19090「ミサカのこと、忘れないでください」
19090「もう会えないから・・・もう、話せないから・・・」
19090「・・・最後のわがままです」
19090「お願いします」
テクパトル「・・・分かった」
785 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:06:01.66 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「忘れないよ、お前のことは」
テクパトル「・・・心の中に一緒に居るんだろ?」
テクパトル「どうやって忘れるんだよ」
テクパトル「・・・19090号」
テクパトル「お前に会えて幸せだった」
19090「ミサカもですよ」
786 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:07:10.25 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・じゃ、19090号」
19090「はい、テっくん」
テクパトル「・・・ホントは、さよならのほうがいいんだろうけどさ」
19090「でも、それは似合いませんね」
二人がクスクスと笑う
テクパトル「19090号」
19090「テっくん」
787 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:08:16.69 ID:8ViaxmiY0
またね、という言葉が
叶うことはあるのだろうか
もう会えないかもしれない
もう話せないかもしれない
それでも
788 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:09:33.86 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「またな」
19090「はい、また・・・ですね」
美琴「・・・いいの?」
テクパトル「あぁ、大丈夫だ」
病室の外には美琴がいた
美琴「・・・私は・・・いいお姉さんかな?」
789 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:11:47.73 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「最高の姉だと思う」
テクパトルが答える
美琴「・・・行ってくるわね」
テクパトル「悪いな」
美琴「いいのよ」
病室のドアを美琴が開ける
美琴「これが私にできる・・・唯一のお節介、でしょ?」
790 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:13:34.47 ID:8ViaxmiY0
美琴「・・・19090号」
19090「お姉様、お願いします」
美琴「うん」
美琴がそっと、19090号の頭に触れる
美琴「・・・?」
そこで、少し違和感を覚える
791 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:16:25.51 ID:8ViaxmiY0
美琴(・・・人格データ・・・まるで同じね)
美琴(・・・というより、同じだわ)
美琴が眉をひそめる
そんなことがあるだろうか
たしかに、同じ個体だとはしても
全く同じ人格なんて
792 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:17:56.61 ID:8ViaxmiY0
理屈ではありえない
だが
美琴(・・・同じデータ・・・なら)
上書きをしても
今の人格も、そして前の人格も
消えないのではないか
美琴(・・・でも)
賭けでもあった
793 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:18:56.77 ID:8ViaxmiY0
簡単に言えば
美月の人格と
今の19090号は同じだ、という保証はない
美琴の感じ取れる電気信号では同じだと考えられても
細かいところが違えば
もしも、何か少しでも相違があれば
794 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:20:02.08 ID:8ViaxmiY0
美琴(・・・そうよ、ありえないわ)
二つの存在が、同じ人格を持っているなんて
ありえないのだ
美琴(普通は・・・諦めるわよね、そこで)
だが
美琴は救いたかった
二人の、いや、一人の妹を
795 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:20:57.77 ID:8ViaxmiY0
美琴(お願い)
美琴が、19090号の脳にデータを書き込んでいく
もしも違えば
もしも、バグが発生したら
もしも
美琴(・・・お願い)
救いたかった
大切な妹を
796 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:22:04.34 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
テクパトルは、病室の前で手を組んでいた
テクパトル(・・・成功する保証はない)
美琴は、そんなことをした経験などないだろう
もし記憶データは完璧に暗記していても
書き込む方法を間違えれば
797 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:23:09.95 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・失敗したら・・・)
不安で押しつぶされそうだった
怖かった
テクパトル(・・・美月・・・)
会えるだろうか
一度、手を放してしまった彼女に
テクパトル(・・・いや)
798 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:24:04.73 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(信じろ)
テクパトル(義姉さんを信じろ)
テクパトル(19090号を信じろ)
テクパトル(美月を信じろ)
テクパトル(この道を選んだ・・・)
テクパトル(テクパトル、お前を信じろ)
799 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:24:58.58 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・頼む)
少しして
病室の扉が開いた
美琴「はぁー・・・」
出てきた美琴は、溜め息をついていた
一瞬、イヤな予感がする
800 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:26:15.91 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「どうだった・・・まさか・・・」
美琴「ん?」
美琴が一瞬とぼけたような顔をする
そして、親指をぐっと立てる
美琴「成功!」
テクパトル「本当・・・か?」
美琴「しかも、最高のオマケつきよ?」
801 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:27:40.92 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「オマケ?」
美琴「二人の人格データね・・・まったく一緒だったのよ」
テクパトル「まったく?そんなことあるのか?」
美琴「これは仮説だけど」
美琴が説明する
美琴「過去と今、ってとこかしら」
802 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:29:09.31 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「いや・・・分からないんだが」
美琴「そうね・・・アンタ、あの子に会う前のこと・・・覚えてる?」
テクパトル「あぁ」
テクパトルがうなずく
美琴「過去のアンタと今のアンタ、人格は違う?」
テクパトル「・・・は?」
803 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:30:33.67 ID:8ViaxmiY0
美琴「どう思う?」
テクパトル「いや・・・同じだろ?」
美琴「そう?今のアンタと昔のアンタは違うでしょ?」
美琴「あの子の記憶があるときとないとき」
美琴「同じ人格なの?」
テクパトル「あぁ、同じだろ」
804 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:32:15.17 ID:8ViaxmiY0
美琴「つまり」
美琴「あの子の場合・・・というよりも妹達の場合」
美琴「初期化ってのは生まれ変わり、じゃなくて巻き戻しなんじゃないかしら?」
テクパトル「・・・どういうことだ?」
美琴「記憶は消えても、根本の人間的な部分は変わらない」
美琴「昔のアンタと今のアンタの人格が同じように」
美琴「今の19090号と昔の19090号は、同じ人格なのよ」
805 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:33:39.30 ID:8ViaxmiY0
テクパトル(・・・19090号は、過去の美月だったってことか?)
たしかに、19090号の行動は昔の美月そっくりだった
テクパトル「・・・そんなこと、ありえるのか?」
美琴「現にありえたのよ」
美琴がおどけてみせる
美琴「長い話はこれくらい」
806 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:34:31.76 ID:8ViaxmiY0
美琴「会ってきてあげなさい」
テクパトル「あぁ」
テクパトルが病室に入ろうとする
一瞬だけ
ためらってしまう
テクパトル(・・・許してもらえるかな)
807 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:35:40.80 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「・・・」
ベッドの上には
19090号が
19090「・・・お久しぶりです、テっくん・・・と」
19090「美月は微笑みます」
美月がいた
808 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:36:36.07 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「美月・・・」
テクパトルの声が震える
19090「・・・テっくん」
19090号がテクパトルに声をかける
19090「・・・浮気・・・しましたね」
テクパトル「・・・はい?」
809 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:38:30.27 ID:8ViaxmiY0
19090「美月の記憶が無い間にデートをしましたね!?と美月はテっくんに問いかけます!!」
テクパトル「いや、あれは・・・」
19090「た、たしかにその時の記憶はありますし・・・楽しかったですし・・・」
テクパトル(・・・記憶も・・・人格も残ってるんだ)
ご都合主義だった
本当に、夢物語だった
何も失わず
誰も殺さず
810 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/12(火) 22:39:57.29 ID:AyLi5GQVo
>>1
、恐ろしい子・・・!
811 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:40:04.19 ID:8ViaxmiY0
19090「今お姉様はワクチンを取ってきてくれています、と美月は・・・」
19090号の体をテクパトルが抱きしめる
テクパトル「・・・」
19090「・・・美月は、恨んでなんかいませんよ」
19090「こうやって、また会えたのですから」
19090「テっくん、愛しています」
812 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/12(火) 22:40:42.40 ID:f3kBAgnAO
途中だけど一言いわせてくれ
>>1
超GJ
813 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:42:16.01 ID:8ViaxmiY0
>>810
よく分からんのですが、記憶を失っても性格や人格って同じ事が多いらしいです
もちろん変わる人も中にはいるらしいですが
それに、パソコンの初期化と同じでどこか奥深くにはデータが残っているんでしょう
それが今回は心だったよ、という話でしょうか
テクパトル「美月」
テクパトルが19090号にキスをする
とても、久しぶりだった
19090「・・・さっきのキスと似ていますね」
テクパトル「でも、今のほうが幸せだ」
814 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:43:57.10 ID:8ViaxmiY0
>>812
言ったでしょう
>>1
はサトリナが好き・・・じゃなくてハッピーエンドが好きだと
19090「でも、浮気は・・・その・・・」
テクパトル「過去のお前だったんだろ?」
19090「むむ、開き直らないでください、と美月はテっくんに詰めよります」
テクパトル「う・・・」
815 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2011/07/12(火) 22:45:03.60 ID:SiTornX50
>>1
...あんたすげーよ
と、ミサカは賞賛をおくりますb
816 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/12(火) 22:45:10.86 ID:DqYTnsm20
>>1
は流石だな
やっぱりていとくんは大活躍だったね
ちくしょう、よかった、本当によかった
もうメルヘン相談室始めようぜ
817 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/12(火) 22:45:16.07 ID:IeSKP1Wc0
>>1
のせいで脱水症状に陥りましたと、ミサカは
>>1
に惜しみない感動と感謝を伝えます。
818 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:45:44.64 ID:8ViaxmiY0
美琴「あ、ワクチンデータ持ってきたわよ!」
19090「お姉様、ありがとうございます、と美・・・ミサカはお礼を述べます」
美琴「ゴメンね、お楽しみ中」クスクス
テクパトル「そんなんじゃないさ」
19090「むむ、お楽しみではないですか?とミサカは訊ねます」
テクパトル「いや、まぁ・・・」
819 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:47:52.71 ID:8ViaxmiY0
>>815
すげーのはテっくんとていとくんとタクシードライバー、それだけは言っておこう
>>816
上条さんもそれなりにがんばりましたよ
彼はテっくんと似てますが
>>817
俺も暑くて脱水ですw
美琴「はい、ワクチンデータも書き込んだわ」
テクパトル「便利だな、学習装置代わりに」
美琴「・・・馬鹿にしてるの?」
テクパトル「まさか」
820 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:48:54.82 ID:8ViaxmiY0
19090「さて・・・」
テクパトル「ん、今日は寝るか?」
19090「まさか!!」
19090号が立ち上がる
19090「テっくん、デートです!!」
テクパトル「・・・は?」
テクパトルが素っ頓狂な声を上げる
821 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:50:52.57 ID:8ViaxmiY0
19090「だって、せっかく元に戻ったんですよ?とミサカは問いかけます!!」
テクパトル「いや、夜だし・・・な、義姉さん・・・」
美琴「いいんじゃない?彼女のお願いでしょ?」
テクパトル「そ、それが姉の言葉か!?」
19090「さ、テっくん!!」
19090号がテクパトルの手を引く
テクパトル「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
822 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/07/12(火) 22:50:55.94 ID:1uNFwYiCo
くっそう!よかったなぁテッくん!
泪がアババババ
823 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:52:18.67 ID:8ViaxmiY0
>>822
やっぱ俺にはシリアスは向かんですw
テクパトル「・・・本気かよ・・・」
19090「美月は本気です!!ブレスレットとかプリクラとかうらやましいです!!」
テクパトル「はぁ・・・分かったよ」
テクパトルが溜め息をつく
だが、その横顔は嬉しそうだった
824 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:53:50.53 ID:8ViaxmiY0
テクパトル「でも、いまさら歩いて・・・」
19090「あ!!タクシーが止まってますよテっくん!!」
テクパトル「え?」
病院の前には、あのタクシーが止まっていた
「よぉ兄ちゃん、やっぱり必要になっただろ?」
テクパトル「お前・・・」
825 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:55:23.85 ID:8ViaxmiY0
「さて、彼女さんとデートだろ?送ってってやるよ」
テクパトル「いや、金持ってきてないんだが・・・」
「ちょうど回送で同じ方向なんだよ」
テクパトル「・・・どこ行くか言ってないよな?」
19090「テっくん、早く早く!!と美月ははしゃぎます!」
テクパトル「あ、あぁ」
826 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/12(火) 22:55:25.34 ID:IeSKP1Wc0
まさかのタクシーwwイケメンすぎるww
827 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/12(火) 22:56:18.72 ID:DqYTnsm20
さだのりぃぃぃぃぃぃぃ
828 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 22:57:02.97 ID:jFbYbe6Xo
こんなタクシードライバーと出会いたい!!!
829 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:57:04.40 ID:8ViaxmiY0
>>826
この運転手誰なんでしょうねw
テクパトルと19090号、美月を乗せたタクシーは街中を走っていた
静かな夜
暗い空
だが
その空には、たった一つ
美しい月が浮かんでいた
830 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/12(火) 22:58:32.16 ID:f3kBAgnAO
月は見えているか!!
831 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 22:58:49.25 ID:8ViaxmiY0
>>827
さだのりと断定したわけでは(ry
>>828
いや、ダメでしょうww
あの月はもう、空には出ない
テクパトルはそう思っていた
でも
月は、少し隠れていただけだった
雲の晴れ間から、悲しみの晴れ間から
また、月は姿を覗かせていた
832 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 23:02:48.74 ID:8ViaxmiY0
>>830
サトリナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!
月が綺麗ですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
さて、今日はここまで
予定の700よりも進んで安心した
上琴もそうだったけど、こういう一組のカップルにスポットラト当てたほうが早くできる
さて
超がつくほどのご都合主義でしたが
まぁそれなりに伏線は張って・・・なかったか
でも、美月は記憶を失っても美月だったんですよ
さて、明日は後日談
美月とテっくん、復活デートをミサカたち、美月のお帰りなさいパーティー、さだのりの濡れ枕
の三本を・・・いや、最後はウソだ
とりあえず、ハッピーエンドが好きなんだよ、
>>1
は
もう少し時間をかけるべきだった
まだこのスレ二日半だっぺよ・・・
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2011/07/12(火) 23:04:40.89 ID:D2qKfMau0
うおおおおおおおおおおおおお
こんなハッピーな終わり方でいいのか?
いいのか?
いいのだーーーーーーーーーーーーーー
834 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 23:05:59.17 ID:XZrqVvnLo
いい話だった・・・かけねなしに
黒子とソギーのシリアス話まだー
835 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/12(火) 23:06:58.56 ID:f3kBAgnAO
超乙!
>>1
がその気になれば作家にでもなれそうな気がする
836 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/12(火) 23:07:17.10 ID:IeSKP1Wc0
速さが足りない…
837 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 23:11:09.29 ID:8VqhXL5o0
俺は
>>1
を甘く見ていたようだ……
>>1
乙パトルうぅぅぅぅぅぅ!!
838 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/12(火) 23:11:09.29 ID:EbGhHfWg0
二日半でここまで書ける
>>1
に脱帽
839 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/12(火) 23:17:36.22 ID:AyLi5GQVo
>>1
は密かに人気な作家になれる!と、ミサカは
>>1
をべた褒めします。
840 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 23:25:43.37 ID:jFbYbe6Xo
毎日楽しみにしてます、とミサカry
841 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 23:28:45.57 ID:8ViaxmiY0
>>833
いいじゃない、だって
>>1
だもの
>>834
あの二人は・・・えぇ・・・
>>835
いや、なれないですよw
だってシリアス苦手だもん☆
>>836
ラディカルグッドスピード脚部限定!!
>>837
乙パトルぅぅうううううううう!!ももはや定番に
>>838
書き溜め自体は三日くらいかけましたが
>>839
うへへ、作家はいいからこっちにおい・・・おや、テっくんが来たようだ
842 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/12(火) 23:29:09.03 ID:DqYTnsm20
最短記録更新か?
843 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/12(火) 23:32:42.68 ID:8ViaxmiY0
>>840
うへへ、こっち(ry
さて・・・そろそろ寝ますね
にしても、こんなシリアス紛いでよかったのか
>>1
のやりたいことはフラフラと流れる月のよう
じゃ、サトリナの声で癒されながら眠りますか、ふへへ
明日には新スレ建てたいななんて思ってないんだから//
風邪ひいたから、ミサカ口調で看病してください
いろんなところが熱をもっちゃうけど
844 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/12(火) 23:33:58.02 ID:ApLL9z7W0
>>1
GJです、とミサカは惜しみない賞賛と共に
>>1
の頭をナデナデします
845 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 23:38:24.09 ID:riNx+FSSO
乗り遅れてしまって感激の言葉をのべられませんでしたが、変わりに…とミサカは
>>1
の頬っぺたにキスをしてみます//
846 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/12(火) 23:41:37.58 ID:TcbC+0uIO
ではミサカは
>>1
のどこにナデナデとキスをすればいいのでしょうか……とミサカは困惑します
847 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/12(火) 23:44:13.92 ID:zn3WbN/A0
乙!
それとスポットライトじゃなくてスポットラトになってるよ、
こういうドジなところもまた
>>1
の魅力!
848 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/13(水) 00:02:03.02 ID:3cv6uCGCo
やべええええ!すげええええ!
>>1
乙ァリ!
849 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/13(水) 00:31:27.35 ID:o2fnzjsVo
んじゃあミサカは
>>1
の肉棒をナデナデしてあげる☆とミサカ20000号は平常運転します
850 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/13(水) 01:28:41.31 ID:VHZws9IE0
>>600
前後の書き込みをゆっくりに喋らせたら感動的
851 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/13(水) 07:56:45.94 ID:P3wpdYeSO
素晴らしかった乙!
ただ冥土帰しが頼りなく見えたのは残念
あの人だったら記憶を取り戻すべく奮闘する気がする
852 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/13(水) 08:55:26.15 ID:DJWNyTs40
>>851
冥土帰しは患者を助けるので
きっとテクパトルと19090号の二人の関係に割り込みたくなかったのではないでしょうか
>>844
えへへぐへへ
>>845
ふぉぉぉぉぉぉぉ!!
>>846
さて、俺のトラ・・・おっとテっくんが(ry
>>847
本当だw
>>848
こんなのでよかったのかなーと思いつつ
まぁよかったか、と
>>849
いや、お前はいい・・・ふぅ
>>850
それは・・・感動的・・・?
853 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/13(水) 09:18:10.67 ID:3cv6uCGCo
テッくんは捕獲した!妹達行けーいまだー!
854 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:54:14.13 ID:U+jt/Lvo0
・・・
・・・あのね
鯖に速さが足りなすぎんだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
速さが足りないよ!?
一日半書けないってどういうこと!?
その間に俺が何回サトリナでゲフンゲフン
ま、書き溜めもボチボチあるので今日で新スレ
4日切りたかったがまぁしかたない
855 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:55:07.34 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・なぁ美月・・・」
19090「なんですか?と美月は問い掛けます」
テクパトル「夜通しデートは・・・辛かったんだけど」
19090「こ、ここここのあとはどうしますか?と美月は若干顔を赤らめながら・・・」
テクパトル「寝たいんだけど」
856 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:55:34.05 ID:U+jt/Lvo0
19090「み、美月とですか!?と美月は・・・」
テクパトル「・・・違うよ」
こういうはちゃめちゃなやり取りも
懐かしく、愛おしかった
テクパトル「なんかちょっとだけ積極的になったな」
19090「む・・・記憶を失ってる間に少し大胆になれましたから、と美月は説明します」
857 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:56:00.15 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「ふーん」
テクパトルが返事をする
たしかに、人格は残っているようだった
テクパトルには分かる
なぜだかは分からないが
858 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:56:35.28 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「さて・・・もう遅い・・・ていうか早すぎる時間だけど」
19090「朝の4時ですね、と美月は時計を確認します」
テクパトル「家・・・帰るか」
19090「はい、と美月は返事をします」
ぎゅ、と19090号がテクパトルの手を握る
テクパトル「・・・愛してる、美月」
19090「美月もですよ、と美月は微笑みます」
859 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:57:03.69 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「帰るか」
19090「えぇ」
二人は向かう
自分達の家に
帰るべき場所に
860 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:57:35.39 ID:U+jt/Lvo0
20000「おかえり!」
テクパトル「なんだ・・・みんなまだ起きてたのか」
10033「・・・19090号、おかえりなさい、とミサカは出迎えます」
19090「ただいま、とミサカは返事をしながら我が家へ上がります」
御坂妹「まったく・・・お姉様から事情は聞きましたが・・・」
17600「夜中から今までデートとはな」
861 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:58:04.45 ID:U+jt/Lvo0
14510「本当に、呆れるほどのバカップルですね・・・とミサカはため息をつきます」
テクパトル「・・・いいだろ久しぶりなんだから」
テクパトルが少し顔を赤らめながら言う
19090「・・・みんな、起きて待ってくれていたんですか?とミサカは尋ねます」
20000「うん、みんなでお出迎えしたかったから」
14510「ミサカたちは家族ですから、とミサカは答えます」
862 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:58:35.16 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・ありがとうございます」
19090号の声が少し震える
17600「おいおい泣くなよ」
御坂妹「・・・そうですよ、とミサカは・・・」
10033「・・・10032号だって・・・泣いてるじゃ・・・」
14510「テっくん以外みんな泣いてますよ?とミサカは感動ぶち壊しのテっくんを責めます・・・」
863 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:59:02.60 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「俺か?俺はもう十分泣いたし・・・」
御坂妹「分かっていませんね・・・とミサカは・・・」
17600「ちっ、潮風が目に染みるぜ・・・」
テクパトル「屋内だぞ、ここ」
20000「あぁもうテっくんのバカ!」
864 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 12:59:45.45 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「何がだよ!?」
19090「・・・なんだか懐かしい雰囲気です」
10033「・・・ミサカもです、とミサカは微笑みます」
14510「19090号はやっぱり19090号です、とミサカは感動的な台詞を述べてみます!」
テクパトル「・・・そうだな、その通りだと思う」
865 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:00:19.16 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・」
19090号が部屋を見渡す
いつものテーブル、いつものテレビ
いつもの布団にいつもの家族
いつもの、愛している人
19090「・・・ただいま」
テクパトル「おう、お帰り」
866 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:00:47.57 ID:U+jt/Lvo0
たった一つの小さな月を
愛してしまったバカがいた
小さな月の明かりを求め
涙を流したバカがいた
空には、綺麗な月が浮かんでいた
867 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:01:24.92 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・なぁ、美月」
19090「なんですかテっくん?」
テクパトル「明日・・・俺達が出会って一周年だな」
19090「そうですね・・・おとといまではいろいろありましたが・・・こうやってテっくんと迎えられて嬉しいです」
19090号がテクパトルに寄り添う
テクパトル「・・・明日、どこ行こうか?」
19090「そうですね・・・では」
19090「遊園地に、と美月はお願いします」
868 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:01:54.54 ID:U+jt/Lvo0
翌日
ほかのミサカ達をなんとか説得した二人は遊園地に来ていた
テクパトル「・・・遊園地なんて久しぶりだな・・・アステカに旅行したとき以来か」
19090「テっくん、手を繋いでもいいですか?と美月は尋ねます」
テクパトル「もちろん」
少し顔を赤らめながら、19090号がテクパトルの手を取る
869 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:02:36.02 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・なんか・・・ドキドキするな」
19090「初めてのデートみたいです・・・と美月は・・・」
テクパトル「ん、俺もだよ」
19090「・・・」
テクパトル「・・・」
顔を赤く染めた二人は
まず、メリーゴーランドに向かった
870 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:03:17.07 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「美月はメリーゴーランドとか好きなのか?」
19090「はい、と美月は返事をします!」
早く乗りたくてうずうずしているようだ
テクパトル「よし、じゃあ・・・」
19090「テっくん!同じお馬さんに乗りましょう、と美月はお願いします!」
テクパトル「ん、いいぞ」
テクパトルが19090の後ろに乗る
871 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:04:02.58 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・か、体が密着しますね・・・と美月は・・・」カァッ
テクパトル「そうだな・・・」
19090「・・・テっくん、胸がドキドキしていますね・・・」
テクパトル「そりゃまぁ・・・久しぶりのデートだからな・・・」
19090「この前もしたではないですか、と美月は頬を膨らませます」
テクパトル「あ、あれはお前の記憶は無かったし・・・」
872 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:04:36.07 ID:U+jt/Lvo0
19090「むむ、美月は美月ですよ?と美月は問い掛けます!」
テクパトル「あ、あぁ・・・そうだな」
頬を膨らませる、可愛い表情にどぎまぎしながらテクパトルがうなずく
19090「・・・テっくん」
19090号がテクパトルの目を見つめる
テクパトル「前見てないと危ないぞ?」
19090「テっくんが抱きしめてくれてるから大丈夫です、と美月は答えます」
873 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:05:08.36 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・そうか」
テクパトルが少し、腕に力を込める
19090「・・・大好きですよ、テっくん」
19090「今も昔も、大好きです」
テクパトル「俺だって、ずっと美月が大好きだよ」
二人を乗せたメリーゴーランドが動き始める
874 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:05:56.70 ID:U+jt/Lvo0
19090「景色が回って綺麗ですね・・・」
テクパトル「あぁ・・・綺麗だ」
19090「・・・テっくん・・・幸せですか?と美月は尋ねます」
テクパトル「あぁ、とっても幸せだよ」
19090「・・・テっくんの腕の中・・・落ち着きます」
テクパトル「・・・いつだって抱きしめてやるさ」
19090「・・・ありがとうございます、と美月は・・・」カァッ
テクパトル(・・・可愛いな)
875 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:06:27.98 ID:U+jt/Lvo0
メリーゴーランドが終わり、次に二人はお化け屋敷に向かう
テクパトル「・・・怖いのか?」
19090「ま、ままままままさか・・・と美月はごみゃ・・・ごまかします」
テクパトル「怖いんだな・・・」
19090「み、美月はお化けなんて信じてませんから!と美月は・・・」
テクパトル「あれ、お前の肩に手が・・・」
876 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:06:55.48 ID:U+jt/Lvo0
19090「ひっ!?」
テクパトル「冗談だよ」
19090「・・・テっくんの意地悪・・・」
19090号が少し涙目になる
テクパトル「悪かったって」
877 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 13:07:03.08 ID:QaybN16S0
>>1
おつかれ様です。
昨日このスレみようとして見れなかったからもうねふて寝ましたよ。
毎日更新されるこのスレが楽しみでしょうがないんですよ。
本当に鯖に速さが欲しいです。
878 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:07:25.32 ID:U+jt/Lvo0
よしよし、とテクパトルが頭を撫でる
19090「う・・・ば、罰として美月が怖くないようにずっと腕を握っていてください!」
テクパトル「分かってるって」
手を握る力を少し強める
19090「・・・こ、怖くないように・・・ですよ?」
テクパトル「あぁ」
879 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:08:36.58 ID:U+jt/Lvo0
>>877
俺もふて寝したせいで昨日50レスちょっとしか書き溜め書き溜めしませんでしたw
毎日毎日・・・
>>1
はヒマなんだ・・・グスン
少し薄暗いお化け屋敷の中を二人は進む
テクパトル「うーん・・・怖くはないな・・・」
19090「ひ・・・い、今・・・美月の肩に何かが触れました!」
テクパトル「?何もないぞ?」
19090「そ、そんな・・・」
880 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:09:07.16 ID:U+jt/Lvo0
19090号が振り返る
そこには誰もいなかった
19090「」
テクパトル「どうした?美月・・・」
19090「こ、これは夢です・・・テっくんとのデートも夢なのはイヤですがこれは夢です・・・」
881 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:09:44.17 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「おーい・・・」
19090「夢・・・」
「うらめしや」
突然
19090号の後ろに影が現れた
882 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:10:30.67 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・」
ゆっくりと首を回す19090号
そこには
テクパトル(あぁ、お化けか・・・まったく手が込んでるな・・・)
テクパトル(でも怖くはないな、ベタだし・・・)
19090「・・・テっくん」
883 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:11:29.14 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「?どした?」
19090「み・・・美月を抱きしめてください」
テクパトル「いいけど・・・どした?」
テクパトルが優しく19090号を抱きしめる
19090「・・・これは、悪い夢です、テっくんに助けてもらいます・・・」
テクパトル「いや、夢じゃない・・・」
884 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:12:00.46 ID:U+jt/Lvo0
「お、誰かと思えばいつぞやの兄ちゃんじゃないか」
お化けがテクパトルに話し掛けてくる
テクパトル「・・・あれ?お前タクシーの運転手だよな?」
「ま、こっちは短期のバイトさ」
テクパトル「は?運転手ってそんなにヒマじゃ・・・」
「いいからいいから、それよりデートかい?」
885 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:12:27.27 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「あぁ、そうだけど・・・」
19090「テっくん!テっくんはお化けと知り合いなんですか!?と美月は尋ねます!」
テクパトル「ん?まぁ知り合い・・・てかお前も会ったこと・・・」
19090「ありません!ありませんからそんなホラーなことを言わないでください!」
19090号がテクパトルにしがみついてくる
そういうことをされると、色々な場所が密着してしまうため、テクパトルもドキドキしてくる
886 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:12:57.62 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「あ、ほら美月・・・その・・・胸が・・・」
19090「今はそれどころではありません!と美月はさらにしがみつきます!」
「お、ヤキモチ妬けるな」
19090「こ、来ないでください!」
「うわ・・・傷つくなおい」
テクパトル「美月・・・そんなに怖いのか?」
887 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:13:37.27 ID:U+jt/Lvo0
19090「は、早く出ましょう・・・と美月は・・・」
本当に怯えているようだった
テクパトル「あぁ・・・じゃ、またな」
「仲良くしろよ」
テクパトル「もちろん」
テクパトルと19090号がその場から去る
888 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:14:08.74 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「美月、大丈夫か?」
19090「うぅ・・・次は楽しいものにしましょう、と美月は提案します・・・」
テクパトル「楽しいもの・・・か」
テクパトルが辺りを見回す
お化け屋敷から近く、楽しそうなもの
テクパトル「あ、コーヒーカップとかかな?」
889 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:14:41.11 ID:U+jt/Lvo0
19090「可愛いデザインがいっぱいです・・・」
テクパトル「へぇ・・・キャラクターのデザインとかもあるんだな・・・」
19090「!テっくん、ゲコ太があります!と美月は報告します!」
テクパトル「ん、あれに乗るか?」
19090「はい!」
ゲコ太デザインのコーヒーカップに二人が乗る
890 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:15:23.79 ID:U+jt/Lvo0
19090「はぁ・・・幸せです、と美月は微笑みます・・・」
テクパトル「そりゃよかった」
19090「テっくん、キス・・・してください、と美月はお願いします・・・」カァッ
テクパトル「いきなり・・・しかもここでか?」
19090「・・・ダメ・・・ですか?」
19090号が涙目になる
そんな表情をされるとテクパトルも拒否はできず・・・
テクパトル「い、一回だけな」
その唇を奪ってしまった
891 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:15:57.73 ID:U+jt/Lvo0
「見て、あのカップル」
「女の子可愛いー!」
「彼氏のほうは外国人じゃない?」
「いいなー」
「キスしちゃって・・・うらやましい!」
周りからはそんな声が聞こえる
892 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:16:37.62 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・なんか恥ずかしいな」
19090「・・・テっくん、愛してますよ」
19090号が顔を真っ赤にしながらつぶやく
テクパトル「俺もだよ」
19090「・・・そ、そろそろ始まりますよ!と美月はごまかします!」
テクパトル「ごまかせてない・・・けどいいか」
テクパトルが苦笑する
893 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:17:52.31 ID:U+jt/Lvo0
19090「あ、回り始めました・・・」
テクパトル「さて・・・ゆっくり回すか」
タキツボ!ソンナニマワサナイデ!
ウフフ、ハマヅラガグルグルマワッテル
コワイ!イマノタキツボハチョットコワイ!
ハマヅラガグルグルマワッテルハマヅラガグルグルマワッテルハマヅラガグルグルマワッテルハマヅラガグルグルマワッテル
コワイカラヤメテ!
ハマヅラダイスキ
ウレシイデスカラトメテ!
894 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:18:36.89 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「あのカップルはなんか楽しんでるな」
19090「あれは回しすぎな気が・・・あ、彼氏さんが気絶しました、と美月はつぶやきます」
テクパトル「・・・俺達は楽しもうな」
19090「はい、と美月は返事をします」
19090号がゆっくりとハンドルを回す
テクパトル「うん、いい感じだな」
895 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:19:25.15 ID:U+jt/Lvo0
19090「これくらいの回転でいいですか?」
テクパトル「これ以上早かったら楽しめないさ」
テクパトルが笑う
19090「・・・はぁ、ほのぼのしますね・・・」
テクパトル「・・・お前とのこういう時間が本当に幸せだよ」
896 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
:2011/07/14(木) 13:19:38.54 ID:/B52a+im0
鯖復活おめ&支援
897 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:20:06.37 ID:U+jt/Lvo0
19090「そ、そんなこと・・・その・・・照れますよ、と美は・・・」カァッ
テクパトル「ははは、本当だよ」
19090「テっくんはプレイボーイですね・・・と美月はため息をつきます」
テクパトル「?俺は美月にしか興味ないけどな」
19090「//」
テクパトル(・・・今日の美はなんかいつにも増して照れ屋だな)
なんでだろう、とテクパトルが首を捻る
19090「つ、次は・・・」
テクパトル「そろそろ昼ご飯、だな」
898 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:20:57.19 ID:U+jt/Lvo0
>>896
速さが足りませんよ、ホント
19090「美月は・・・ハンバーグが食べたいです!と美月はメニューを見ながら決めてみます」
テクパトル「お前は本当にハンバーグ好きなんだな」
19090「む、味覚が子供っぽいとか言わないでくださいよ?」
テクパトル「いや・・・まぁ可愛らしいけどさ」
19090「//」
テクパトル「俺はスパゲティーでいいや」
899 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:21:39.03 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「うん、美味しいな・・・ここの遊園地ってレストランのご飯が美味しいって評判だったな」
19090「ふむ、テっくんは意外とそういう事情に詳しいんですね、と美月はうなずいてみます」
テクパトル「いや・・・上条とか垣根とかに聞いたんだけどな」
19090「あの人達もここに・・・」
19090号が辺りを見回す
19090「・・・カップルにはもってこいの場所・・・そして夜の観覧車で二人きりで・・・ふにゃぁぁぁぁぁぁ・・・」
テクパトル(何を想像したんだ)
900 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:22:08.46 ID:U+jt/Lvo0
19090「はっ!テっくんは紳士だから大丈夫です!と美月は結論付けます!」
テクパトル「なぁ、どんな想像・・・」
19090「教えません!と美月は顔を赤らめながら答えます!」
テクパトル「・・・」
テクパトルがじっと19090号の顔を見つめる
気まずそうに、顔を逸らす19090号
901 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:22:35.31 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・あぁ、キスとかか」
19090「・・・い、一瞬だけですがその先を想像してしまいました・・・と美月は・・・」
テクパトル「・・・お前・・・いつから変態さんになったんだ?」
19090「!背中フェチのテっくんには言われたくないです!」
テクパトル「えぇ・・・背中は神聖だぞ?」
19090「へ、変態という名の紳士ですね!?と美月は尋ねます!」
902 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:23:35.09 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「なんだそりゃ・・・」
はぁ、とテクパトルがため息をつく
19090「・・・き、気まずくなってしまいましたね・・・」
テクパトル「そうか?こういうのもたまにはいいと思うけど」
19090「・・・」
19090号がそっとテクパトルにハンバーグを差し出す
903 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:24:07.13 ID:U+jt/Lvo0
19090「あ、あーん・・・」
テクパトル「ん、ありがとう」
パクッ、とテクパトルがそれを口に入れる
19090「・・・テっくんのスパゲティーはあーん・・・できませんね」
テクパトル「じゃ、ハンバーグ貸してくれ」
テクパトルがハンバーグを一切れ取る
904 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:24:51.11 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「はい、あーん」
19090「・・・//」
テクパトル「?食べないのか?」
19090「あ、あーん・・・」
テクパトル「うん、よし」
テクパトルが嬉しそうに笑う
905 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:25:18.18 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・ひ、久しぶりだと緊張しますね・・・この前はテっくんが拒否してきましたし」
テクパトル「あ、あれは・・・精神が不安定だったんだよ・・・」
19090「む、でも結構ショックでしたよ?」
テクパトル「すまなかったって・・・」
19090「仕方ないですが、ショックでしたよ?」
テクパトル「お前は俺をどうしたいんだよ!?」
906 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:25:45.33 ID:U+jt/Lvo0
ぎゃー!とテクパトルが頭を掻きむしる
19090「・・・ですが、テっくんと初々しい雰囲気を味わえたので許してあげましょう!と美月は寛大な措置を取ります」
テクパトル「自分で言うか・・・」
19090「おや、何か文句でも?」
テクパトル「ないよ」
テクパトルがよしよし、と19090号の頭を撫でる
907 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:26:11.22 ID:U+jt/Lvo0
19090「き、急に撫でられると・・・その・・・」
テクパトル「顔、真っ赤じゃないか」
19090「い、いいんですよ!と美月はもう少しこの時間を楽しみたいことを伝えます!」
テクパトル「はは、そっか」
レストランの端の席に
幸せそうなカップルが一組いた
908 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:27:50.90 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「さて・・・ジェットコースターにも乗ったし・・・」
19090「ミラーハウスやゴーカートも乗りましたね、と美月は補足します」
テクパトル「じゃ、そろそろ帰らないといけないし・・・」
19090「・・・テっくん、今日はナイトパレードがあるんですよ?」
テクパトル「え、そうなのか?」
19090「はい!!」
見たい、といった表情で19090号が返事をする
909 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:29:24.12 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「ん・・・じゃ、見ていくか」
19090「ありがとうございますテっくん!!」
19090号がとても嬉しそうに顔を輝かす
テクパトル(この顔が見られるならなんだってするさ・・・)
19090「ではテっくん、早速向かいましょう!」
テクパトル「?どこにだ?」
19090「カップルといえば・・・」
19090「噴水ですよ」
910 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 13:30:19.34 ID:exIy42bAO
やっと復旧したか…
待ち遠しかったww
911 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:31:19.03 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「噴水でナイトパレード・・・か」
19090「少しベタですけど・・・いいですよね?」
テクパトル「うん、いいじゃないか」
19090「//」
テクパトル「そろそろか・・・なんか飲み物買ってくるか?」
19090「では、ココアを、と美月はお願いします」
テクパトル「了解」
テクパトルがココアを買いに行く
912 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 13:32:41.52 ID:BnQvKCJU0
復旧してもうこれだけ投下されてるとかwwww
913 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:35:10.36 ID:U+jt/Lvo0
>>910
一番待ち遠しかったのは間違いなく
>>1
ですww
テクパトル「はい、買ってきたぞ」
19090「ありがとうございます、と美月はお礼を述べます」
テクパトル「・・・最高の一周年だな」
19090「来年も、その来年も・・・一緒ですよ?」
テクパトル「もちろん」
テクパトルが19090号の腕を握る
空には、とても綺麗な月が浮かんでいた
914 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 13:37:46.47 ID:U+jt/Lvo0
>>912
もうそろそろ次スレも考えないと・・・
次スレではギャグを多めにしたいですね、今回が少し悲しかっただけに
このあとは二人のナイトパレードを書いたらお終い
自動車学校あるので、投下は18時くらいかと
鯖よ・・・お前には速さが足りない!!
ミサカ口調のコメ読むの俺がどんだけ楽しみに(ry
915 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 14:11:46.09 ID:ju6JBWcIO
暇で暇でしにそうになっていました、とミサカは再開を喜びながら書き込みます!
916 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
:2011/07/14(木) 14:24:54.68 ID:Om+n3wWy0
やっと追いついた・・・
これからもがんばってください
917 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 15:05:28.80 ID:exIy42bAO
えっナイトパレードで終わり?
この2人はやっぱりお風呂場でしめないとwwww
918 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 15:06:20.56 ID:k4lmQ4Ly0
暇だったから昔のゲームをしてしまった
919 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 15:17:30.11 ID:nz7tQLEs0
昨日メンテナンスでもしてたのか?
何故か速報に繋げようとすると表示できませんってなってたんだが、
それと一日で進みすぎです、
>>1
920 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 16:06:40.87 ID:U+jt/Lvo0
>>915
うへへ、こっ(ry
>>916
がんばりますよー
>>917
いや、それは次スレでww
>>918
お、なんのゲームですの?
>>919
めざせ速さの向こう側
筋トレなので投下はあとで
最短記録更新できなかった腹いせにサトリナでははははーんしてた
ウソだ
921 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 16:07:17.84 ID:k4lmQ4Ly0
ゼルダの伝説風のタクトですの
922 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 16:09:56.85 ID:7OT2o6YN0
>>919
サーバー料金が支払われてなく落ちることが多いらしい。
923 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 16:16:54.33 ID:nz7tQLEs0
>>921
風タクか、懐かしいなよくやったわ
あれトライフォースの欠片集めが限りなく面倒くさいんだよな
924 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 16:25:52.99 ID:k4lmQ4Ly0
次のスレが立つまでにトライフォース集める
無謀だけど
925 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/07/14(木) 16:28:55.49 ID:ZaydaAbk0
鯖復活記念カキコ
サトリナは速さの足りすぎた
>>1
の嫁
926 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2011/07/14(木) 17:10:23.89 ID:lXmaCu8s0
よかった、復活しとるやん
毎度毎度、
>>1
乙!
927 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 17:32:23.20 ID:nz7tQLEs0
>>924
ヤムチャしやがって………
あれは最低でも二日かかると思う、
実際に俺は二日で集めれたし
928 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:32:23.96 ID:U+jt/Lvo0
>>921
懐かしいww
>>925
ちょっと式場の予約を
では、続き
929 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:34:22.44 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「お、始まった」
テクパトルが一点を見つめる
二人のいる場所から少し離れたアトラクション近くが、眩しく輝いていた
19090「ここに来るまでもう少しですね・・・」ドキドキ
テクパトル「あぁ、そうだな」
19090「は、はやく来ないでしょうか・・・」ワクワク
テクパトル「だったら移動するか?」
19090「む、そこは待つのが楽しいんですよ、テっくん」
テクパトル「ふーん・・・」
930 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 17:35:05.11 ID:k4lmQ4Ly0
調べながらだけどまだ2つの神殿攻略してない・・
931 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:35:37.08 ID:U+jt/Lvo0
テクパトルには女心は分からない
テクパトル(待つのが楽しいのか・・・)
よく、女性が先にデート場所に着いているということは聞く
だが、それは相手が恋人だからではないか
テクパトル「なぁ、美月って待たされたい人なのか?」
19090「?」
テクパトル「いや、違うならいいんだ」
932 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:37:56.25 ID:U+jt/Lvo0
>>930
早くしないと次スレ建っちゃいますよーほらほらー
テクパトル「・・・来た・・・」
19090「綺麗です・・・」
テクパトルはこういうパレードというものを見たことがない
だが、おそらくこれ以上に美しいパレードはないだろうな、と思った
テクパトル「・・・お前がいるからかな」
19090「?何か言いましたかテっくん?」
テクパトル「いや、綺麗だなって」
19090「はい!!」
933 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:39:03.18 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・パレード・・・か」
思えば、こんなものを見ている余裕は昔にはなかった
仕事をして
仲間はいても、家族はいなくて
寂しい毎日を過ごしていたあの頃は
テクパトル(・・・変わったな、俺も)
テクパトルが苦笑する
934 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:40:18.95 ID:U+jt/Lvo0
19090「テっくん、何を黄昏ているのですか?と美月は訊ねます」
テクパトル「ん、幸せだなって」
19090「美月も幸せですよ」
19090号がニコリと微笑む
テクパトル(・・・いいな)
こういう生活が、大好きだった
テクパトル(・・・愛しいよな、こういうのって)
935 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:41:42.91 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「美月、楽しかったか?」
19090「はい!!とてもいい一日でした!!」
テクパトル「ははは、そっか」
19090「・・・来年も来たいですね」
テクパトル「別に来年まで待たなくてもいいだろ?」
19090「そ、それは・・・すぐにデートをしたい、と・・・//」
テクパトル「?そうだけど・・・」
936 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:42:58.98 ID:U+jt/Lvo0
19090「テっくんは本当にプレイボーイですね・・・//」
テクパトル「だから、お前にしか興味ない・・・ってなんで真っ赤になってるんだ?」
19090「そ、そういうところは鈍感です・・・」
テクパトル「・・・?」
19090「・・・テっくん」
そっと握り締められた右手
そこには、何よりも大切な温もりがある
937 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 17:43:31.38 ID:nz7tQLEs0
大地と風の神殿だっけ?
あの二つの神殿と欠片集めの面倒くささは異常
ほんとにダルイよな
後、時オカの水の神殿で詰んで諦めて、ダイゴロン刀イベント
をやったのは俺だけか?
938 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 17:45:17.59 ID:k4lmQ4Ly0
大地は今終わった時オカはやってない
939 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:47:20.81 ID:U+jt/Lvo0
ナイトパレードが終わり、遊園地には静けさが戻ってくる
テクパトル「・・・帰ろうか、家に」
19090「そうですね・・・」
周りのカップルも、ほとんどが帰ろうとしている
テクパトル「・・・月が綺麗だな」
19090「そうですね・・・」
940 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:48:50.87 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「・・・美月」
19090「なんですか?」
テクパトル「いつまで・・・俺の隣にいてくれる?」
ふと、テクパトルが訊ねる
19090「?いつまで、というと?」
テクパトル「いや・・・いつまでかな、ってさ」
19090「そんなの決まってるじゃないですか」
19090「テっくんが美月を照らしてくれる限り、ですよ?」
テクパトル「そっか」
941 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:49:49.07 ID:U+jt/Lvo0
19090「むむ、なんだかそっけないですね・・・」
テクパトル「ははは・・・そうかな?」
テクパトルが頭を掻く
気のせいか、少し顔が赤い
19090「あ、照れていますね?」
テクパトル「ん、少し」
19090「本当に少しですか?」
テクパトル「少しだよ」
942 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:51:35.73 ID:U+jt/Lvo0
19090「・・・それにしては、赤いですよ?」
テクパトル「・・・いいだろ別に」
テクパトルがそっと19090号の手を取る
テクパトル「お前のせいだからな?」
19090「分かっていますよ」
テクパトル「分かってるか」
地面に伸びる影が二つ
楽しそうに笑っていた
943 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:52:27.12 ID:U+jt/Lvo0
19090「テっくん、愛してます」
テクパトル「あぁ、俺だって愛してるさ」
19090「ずっとずっとですよ?」
テクパトル「もちろん、ずっとだよ」
二人が家へと向かう
帰るべき場所へ
帰りたい場所へ
944 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:53:27.21 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル「ただいま!!」
ミサカ一同「おかえりなさい、テっくん、19090号!!」
19090「ご飯にしましょう!!」
ミサカ一同「おー!!」
テクパトル「みんな手伝ってな!」
ミサカ一同「はーい!!」
945 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:54:23.38 ID:U+jt/Lvo0
テクパトルの空には今日も
綺麗な月が昇っている
それはあまりに美しく
それはあまりに繊細で
誰かの輝きを受けなければ
自分が輝くことはない
946 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:55:32.72 ID:U+jt/Lvo0
テクパトル(だったら俺が照らしてやるさ)
テクパトル(いつまでも・・・)
テクパトル(あの月はもう、空には出ない)
テクパトル(あんなに遠い空じゃなくて)
テクパトル(俺の隣にいるんだから)
947 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 17:56:54.81 ID:U+jt/Lvo0
さて、番外編?「あの月はもう、空には出ない」は終了
スレタイはこういうことです、バッドエンドじゃなくて
さて・・・残り50弱
単発を投下するにも中途半端ですし、あとがき&このスレで考えてた他の展開を箇条書きで書いたりしますかね
948 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:00:09.73 ID:U+jt/Lvo0
あとがき
さて、このスレも意外と早く進められました
1レス分が短いんだよハゲ!!という意見もあるでしょうが
長々やるより、さっぱりしてていいかな、と
いや、本当は長く書くのが苦手なだけで
上琴番外編よりも暗い感じが続きましたね
上琴のは何個かのストーリーを混ぜた感じでしたが、このスレは一つの話で丸々1スレ使ってしまい
>>1
はシリアスが苦手だから最初は不安でしたがなんとかやり切れました
ひとえに皆さんの応援のおかげですね
ありがとうございます
949 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:03:24.82 ID:U+jt/Lvo0
さて、記憶喪失という王道をやってしまいました・・・よかったのか
とうとうそこにまで手を出したか、って感じですよね
リアリティーを出すにも難しく・・・
なかなか書き溜めも進みませんでした
かといって、遅くしすぎるとみなさんをお待たせしてしまいますし・・・大変でしたが
わりといいペースで進んだのではないでしょうか
いや、そんなことねーよ背中フェチ童貞、って方もいるでしょう、背中は綺麗なんだよ
いろいろ書きたいこともあったのですが、それは箇条書きで
縦読みじゃないんだからね//
950 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:06:09.44 ID:U+jt/Lvo0
・テっくん、廃人化
これはあまりにも救いようがありませんでしたのでボツ
19090号も救われませんし
・19090号は結局記憶は戻らず
これも、救われないので
・実はドッキリ
論外
・19090号の人格を別の個体に植えつける
そんな外道は許しません
・19090号の人格は綺麗サッパリ消えてしまう
これは、わりと最後までそのつもりでした
でも、書いているうちに
>>1
も愛着がわいてしまい
急遽伏線なんかを加えて助けてみました
これらからお分かりのとおり、
>>1
はハッピーエンドが好きです
基本バッドエンドは書けませんw
951 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:10:38.99 ID:U+jt/Lvo0
さて・・・これから
>>1
が書きたいものは
やっぱりみんなのグダグダな日常
こういう悲しいスレのあとは、無性に書きたくなってしまう現実
もちろん、マンネリはダメですけどね
・・・そろそろカラオケネタも書きたい気もしますが
もうネタ切れだからやりたくないんですよね
クオリティーが上がるなら書きたいですが、劣化になるなら書かないほうがいいので
気が向いたら、でしょうか
952 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:11:59.46 ID:U+jt/Lvo0
では、こっから先は雑談や
>>1
への質問、罵詈雑言、要望なんかで埋めちゃいましょう
スレの最後はみんなで楽しく座談会、これもこのシリーズの名物にしてやるんだ!!
953 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 18:16:01.44 ID:nz7tQLEs0
美琴が能力で操られて上条さんと戦うBADENDなら考えた事もあるが
鬱になるのでボツにしたことはありますw
954 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/14(木) 18:16:59.95 ID:gE3QJPBs0
乙です!
次スレでは垣根家のまったりライフなんかも見てみたいかも
955 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:18:41.61 ID:U+jt/Lvo0
>>953
上条さんならやってくれるはず、そげぶ
>>954
次スレ・・・どうしようかな・・・
意外と今回みたいなスレのほうがやりやすかったりしますね、うん
956 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 18:25:33.46 ID:nz7tQLEs0
ただいま常盤台女子寮というBGMを聴きながら
このスレを見ております、
超電磁砲1話で流れたあのBGMです、
分からない方はこちらをどうぞ↓
http://www.youtube.com/watch?v=NUqzaUFepzk&feature=related
この曲なごみますよね
957 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:28:52.07 ID:U+jt/Lvo0
>>956
超電磁砲なら変態のテーマが一番
垣根「テテーン!!テレレレレレテッテーン!!!」
垣根「テン!!テテレテン!!テテレテン!!テテレテン・・・」
心理「歌わないで」
958 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:31:03.46 ID:U+jt/Lvo0
あれだ、残りはこのシリーズで一番好きなキャラに一言書いてください、できたら返信しますんでww
959 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 18:33:38.87 ID:nz7tQLEs0
あの曲か、
これのことですね分かります↓
http://www.youtube.com/watch?v=1__XLKr2z9U&feature=related
普通に良い曲だと思うんでせうがね?
黒子の変態行動のせいでね?
960 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/14(木) 18:42:37.27 ID:Y5P8gfMc0
美琴さんへ
早く上条さんとの子供が見t(ry
末永くお幸せに〜
961 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 18:42:49.65 ID:nz7tQLEs0
>>958
じゃあ、御言葉に甘えさせて頂きます。
上条さん、あなたの生き様は本当にすごいです、
条件があろうと僕にはあなたのような生き方は出来ないと思います、
さんかい負けたら四回立ち上がるそれがあなたの生き方ですよね、な
んかいでも立ち向かう、そしてその人を助けるには
大きな敵と戦わなければいけないそれでも自分を犠牲にして助けるあなたの姿が
好きです、
きっとこれからも頑張ってください
962 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:45:11.04 ID:U+jt/Lvo0
>>960
美琴「す、すぐには作らないわよ!?」
美琴「が、学生だし・・・」
美琴「・・・でも、みんな早く見たいんだ・・・」
美琴「・・・で、できるかぎり早く・・・で、でもそしたら生で・・・」
美琴「ふにゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
上条(・・・子供はまだです)
963 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 18:46:47.32 ID:U+jt/Lvo0
>>961
上条「三回負けたら・・・か」
上条「ちょっと違う、負けも勝ちもないんだよ」
上条「誰かを救うために誰かと戦うんじゃない」
上条「戦った相手さえも救いたいんだ」
上条「そこにあるのは勝ち負けじゃない」
上条「たった一つの、幸せを作るための努力さ」
垣根(言うねぇ)
964 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/14(木) 19:38:28.19 ID:gE3QJPBs0
女性陣の皆様へ
何カップですか?
965 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 19:40:03.95 ID:uUePPGXIO
木原くンが大好きです。
966 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage saga]:2011/07/14(木) 19:43:06.81 ID:qS8uWva1o
上琴の子供か…
電撃に幻想殺しが宿ってたりしそうだな
チートだ
967 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 19:45:12.07 ID:je4H0s/A0
>>879
50レスちょっとも書き溜めたのか……
さすが
>>1
だなwwwwwwww
968 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 19:45:27.86 ID:nz7tQLEs0
上琴の子供?
ああ、麻琴ちゃんの事か
969 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 19:50:23.86 ID:U+jt/Lvo0
女性陣の皆様へ
何カップですか?
美琴「最近は・・・Cになりかけてきたわ」
心理「私はDくらいかしら」
黒子「・・・A・・・ですの・・・」
ショチトル「Eだがなにか?」
19090「お、お答えできません!!」
番外「ミサカはDだよ」
970 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 19:51:44.58 ID:U+jt/Lvo0
木原「あぁ?俺かよ」
木原くンが大好きです。
木原「はっはぁ!!すげぇなおい・・・」
木原「まともに登場してねぇのに人気たぁ・・・さすが俺じゃねぇか!!」
木原「だろぉ!?一方通行!!」
一方「木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
971 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/14(木) 19:52:48.38 ID:nLR8K2nao
じれったいご両人のために、このゴムちゃんに針でアナをっとミサカは・・・おっと帰宅してきたようなのでさっさとにげましょうか
972 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 19:52:50.86 ID:U+jt/Lvo0
>>967
時間あるときは2時間でちょい150レス分くらいはいけますよw
短いですけど
さて、次スレ建ててきます
973 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 19:54:19.98 ID:U+jt/Lvo0
上条「あぁ!!!」
じれったいご両人のために、このゴムちゃんに針でアナをっとミサカは・・・おっと帰宅してきたようなのでさっさとにげましょうか
上条「も、もったいない・・・」
美琴「ロ、ロシアンルーレットね・・・」ドキドキ
上条「仕方ない!!」
美琴(ま、まさか・・・使っちゃう・・・)
上条「全部捨て・・・」
美琴「甲斐性なしが!!!!!!!!!!!」
上条(えぇ・・・)
974 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 20:01:34.08 ID:exIy42bAO
アレイ蔵庫さん最近見かけないですけど元気ですか?
975 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/07/14(木) 20:03:02.95 ID:lsfIUTK+0
美琴さんへ
交際は柵川中の2人にも知られてるんですかー?
柵川コンビも見たい(チラッ
976 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/14(木) 20:04:13.29 ID:Y5P8gfMc0
ごめん、座標移動で美琴のあれに上条さんのあれをこうしてああしちゃったわ
977 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:04:26.79 ID:U+jt/Lvo0
アレイ「元気だ」
アレイ「扇風機さんとハァハァしてる、いやウソだ」
アレイ「こう、寒い時期になるとあったかいものを入れられちゃうんだよ」
アレイ「保存したいのか知らないけど」
アレイ「腐れた熱いものを入れられるんだよ」
アレイ「下ネタじゃないからね」
978 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 20:05:50.16 ID:k4lmQ4Ly0
>>972
風タクはあきらめる・・
979 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:06:13.47 ID:U+jt/Lvo0
新スレこちら
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310641032/
美琴「うん・・・知られてるわよ?」
美琴「初春さんは・・・ぬっふぇ!!って言ってたわね」
美琴「佐天さんは、おめでとうございます!死ねよリア充!!って言ってきたわ・・・」
美琴「あの二人は・・・出てくるかしら?」
980 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:08:05.45 ID:U+jt/Lvo0
>>978
上条「諦めたらそこで試合終了だぞ?」
垣根「試合がそもそも始まってないのさ」キリッ
美琴「・・・?なにも起きないけど?」
上条(俺に能力は通用しねぇ)キリッ
垣根「うぜぇ」
981 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 20:09:03.57 ID:k4lmQ4Ly0
じゃあ次のスレが終わるまでに全クリする
982 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/14(木) 20:10:09.45 ID:qS8uWva1o
>>982
TASかなにかですか
983 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:10:37.14 ID:U+jt/Lvo0
>>981
猶予は5日くらいですね、がんばってください
俺ががんばればがんばるほど鬼畜になりますね、がんばりますw
984 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:11:15.38 ID:U+jt/Lvo0
>>982
うん、自分に話しかけても答えは帰ってこないんです、落ち着いて
985 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 20:11:50.00 ID:exIy42bAO
>>982
自分安価だぞww落ちつけww
986 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
:2011/07/14(木) 20:12:27.28 ID:cHBt5E/Y0
ていとくんへ
みんなでカラオケに行って下さい。
普通じゃつまらないのでランダムカラオケで
ルールは知ってる曲をやたらに入れみんなで一曲ずつ歌うんです
これは実際やってるんですが自分が知らない曲がくるとオワタ\(^q^)/ってなりますよ……
987 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/14(木) 20:13:21.76 ID:qS8uWva1o
/(^o^)\ヤッチマッタ
しかも勘違いじゃないかorz
988 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)
[sage saga]:2011/07/14(木) 20:13:38.39 ID:nz7tQLEs0
>>981
おい止めろ、全クリっていったら
フィギュアコンプリート
アイテムコンプリート
ミニイベントオールクリア
もう数えきれないほどの
障害があるんだぞ、無茶はするなよ
989 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(田舎おでん)
[sage]:2011/07/14(木) 20:15:19.67 ID:k4lmQ4Ly0
じゃあストーリークリアで
990 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:17:29.52 ID:U+jt/Lvo0
>>986
お願い、それはやめて
それで魔王を自分で入れて自分に当たったことがあるんだ、やめて
>>989
俺の速さに追いつこうってのかい?
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
:2011/07/14(木) 20:19:42.16 ID:cHBt5E/Y0
>>1000
取りGO!!
992 :
◆G2uuPnv9Q.
[saga]:2011/07/14(木) 20:20:49.11 ID:U+jt/Lvo0
さて・・・1000取り合戦か・・・
わりとこのスレは速くできて安心した
993 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 20:21:21.44 ID:7OT2o6YN0
-‐< ̄ミ .
______ /'⌒ヽ、 \\ 丶\
´: : : : :/ ̄ミ: 、 / , i 、\ 、\\ ヽ
/: /}:' : , ' : :/:い: : :\ /i | 、\\\ 丶丶 .
': xく// : /: : :/ : !|: :i: : :〈| | i,〉、iヽ.\\ \\ {
/:∨ : : :/ : /: : :/ : : i: |:i: :|: : i弋 ,__i| }芥爪} \丶く.Vi|トミ
'. : :| : :i i: /'i: : /|: : i| l: |:i: :|: : l: :i〉、 ]| 「 ̄「从| i丶 、i }i|i !{
/:i: :/| : :i i/ `iミ'__|: : i| l: |:i: :|: : |: :|.ン\ト| ノ' | | {〉、刈l い
: :i: |{」 : :i |i7´|'{_|`: i| |i:|:i: :|: : |: :|\` ノ'i .iイ i | i ‘,
: :i:弋| : :i:爪 (|ノ }|: /'| |i:|:i: :|: : |: :l 也三二ニ=-‐ i i| l| i | 代|
: :i: ./| : :i: ト ミ |/ }爪{:i:|リ : i|: :l、 -‐ /| l| l| i l`| `
: :l: i/|: : i: U ( (ノ '川 : : リ: :l \ / | l| l|.八ト、___
:i l: |'イ ;ハ| __ / ミー .彡i: : /八l、 i`T爪\ |ハ川 ) |/} 厂 ̄ミ 、_
:i i八 i∧ `ヽ uイ: :ノイ:〈 | ヽ| |ハ{〉小、 /:|/:/ / : : : : : ヽ. {\
:リ \_{`:┬‐:‐:ァ: :´: :i: : : : |: i'\| ノ{.{\}__./: : : :/ /: : : : : : : : |/
ハ,___,ノ厂`7く:ノ /: : /|: : : :ハ| _,/ 厂\:_: : : : : : : / /: : : : : : : : i/ /:
{\.厶__ノ| i∨: / ̄ ̄ ̄\ 八 { : : : : : : : : : : / /: : : : : : : :j| { /: :
‘, i`7 | i/〉' ‐┐ ヽ. /: : :\\: : : : : : : :{/ /: : : : : : : : :|| i| i: : :
‘, |/ _|__j/ {: : : : : :ヽ丶 : : : : : :} . : : : : : : : : : || i| l: : :i
《 {iry'  ̄ ̄ |{: : : : : : :} }: :、: : : :| i: : / ̄\_:_{{厶. !: :|
∨ ‐┼‐ ロ |ミ 、_: : :{ {: : :}\: | l: / /\___ _j〈: : :|
i ノフ lヽ{:\ \i 、: 〈 {: | | { イ: : : : : : : : : | \{
| 、 マ リ l \{__ い \\l: | /: i |: : : : : : : : : :l `
| 廴用_, コ | ヽ{ {: \{: : :ノ': : :, ,: : :}\___,、j
| ノ ─ | ‘. ‘、: : : : : : : :/ / : :| ,、__,、{
|、 イ 丁 ン | {\\: : : : / /: : : / /: : : : : :!
__ い └‐ ' |i : \{:}、 : }/: : : / /: : : : : : :|
三三≧ 、_ }∧ ┼ ヽヽ / _}}: : :_:_:}_》' : : : : :/ /: : : : : : : :|
(\{ 、 | こ / 八\_ ̄}/: : : : : / /: : : : : : :∧|
三三三≧ 、__} ヽ\_____/ } (:\{ : : : : : _:ノ'.ノ : : : : : : / ,|
______`⌒ミ } 、 ヽ 人{:\:\ : : : }厂 : : : : : : / /:|
三三三三三≧ く \ \ / ̄ミ : 丶 : : ノ': : : : : :_:/ / : : |
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/07/14(木) 20:21:40.26 ID:nLR8K2nao
>>992
ていとくんが1000を狙っているダト!?ゆずらないぞ・・・
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 20:21:40.31 ID:exIy42bAO
鯖落ちがなければねえww
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/07/14(木) 20:21:44.99 ID:qS8uWva1o
>>1000
なら上琴ペアと
>>1
とサトリナが結婚
997 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2011/07/14(木) 20:22:21.51 ID:exIy42bAO
>>1000
ならテっくん童貞卒業
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/07/14(木) 20:22:32.82 ID:7OT2o6YN0
997
999 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/07/14(木) 20:22:42.82 ID:4kCw5OlAo
>>1000
1000 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/07/14(木) 20:22:48.86 ID:gE3QJPBs0
>>1000
なら次スレで未元定規ケコーン
1001 :
1001
:Over 1000 Thread
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| 帝凍庫クン |
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/ l '叨¨ヽ `ー-、 .|ト、 \
r、 / .!〕 ` ー /叨¨) || \ \ ,、
) `ー''"´ ̄ ̄ / | ヽ, || \  ̄` ー‐'´ (_
とニ二ゝソ____/ | `ヽ.___´, || \____(、,二つ
| `ニ´ ||
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|´ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄`i|
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|〕 常識は通用しねぇ ||
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==三/ `ニ ー――-- 、..-''´ ゙ー‐ァ--―''" ̄`丶、 u 丶、ヽト、 ,.. --、
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1002 :
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軍事学を学んでないボケ老人の石原が核武装を主張 @ 2011/07/14(木) 20:06:04.23
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