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唯「津波?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:12:43.22 ID:L7AwlejV0
sageで書く
問題があればスレごと削除して下さい
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:14:22.54 ID:L7AwlejV0
気が狂う光景だった

その日、私たちの住んでいる街が海にのまれた
3 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:20:10.72 ID:L7AwlejV0
その日私は午後からお昼寝していた
(今更ながら今後時間は有意義に使う様にしたい)

グラグラという揺れでぼんやり目を覚ます

なんだ、地震か

それ位にしか思わず再び目を閉じようとした時、
急に揺れが強くなる

ガタガタガタガタガタガタガタガタッ

私はそこでようやく起き上がり
状況の把握に勤める

心臓がドキドキする、呼吸も少し荒くなる

慌てて上着を羽織り、電気を付ける

ながい

揺れがおさまらない

ギー太が倒れてしまった
手を伸ばし起き上がらせる

揺れはおさまらない

ガタガタガタ バサバサ
本棚がぐらつき、本が落ちる

机も動いている

ガチャガチャガチャ バジッジッジジッ
蛍光灯が激しく揺れて点滅する

この段階で私は怖くて泣いていた
4 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:25:22.75 ID:L7AwlejV0
こんなにながい地震は初めてだ

妹の憂は学校に行っていて、両親は仕事で遠くに居る
家には私一人しかいない

こわい

揺れはまだおさまらない

ふるえながら本棚を手で抑える
いや違う、何かに捕まらないと立っていられない

もし、この本棚が倒れてしまったら?

私が潰される?
そこまで鈍くはないはずだ

ドアがふさがって部屋から出られなくなる?

それだ
今、家には私一人しかいない


まだ揺れはおさまらない

再びギー太が倒れる
片手を伸ばしギー太を拾ってベットに寝かせる

ここなら物が落ちてこないし、
倒れて壊れる心配も無い

ドサドサッガチャンガチャパリン
部屋の中の物という物が落ちて壊れる

バジッ ジジッ
蛍光灯が音をたてて点滅を繰り返している

揺れはおさまらない
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/11(月) 13:26:56.89 ID:xBqec3ou0
けいおんSSか…期待してる
6 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:30:55.50 ID:L7AwlejV0
泣きながら本棚を抑える

こわい

揺れがながいなんてもんじゃない
この揺れはおさまるのだろうか?

ミシミシッ ミシミシッ
家が壊れてしまうかもしれないと思う程壁がきしむ

家が崩れたら?
私は生まれて初めて死ぬかもしれないと意識した

ついに蛍光灯が消え、エアコンが止まる

停電だ

外では揺れのさなか既にサイレンが響いている

こわい、こわい、こわい


このあたりから私は完全にパニックになり、揺れがおさまるまでの記憶が曖昧だ

と言っても、ずっと泣きながら本棚を抑えていたはずだ
(もし私に腕力があれば、安全な方向に自分で本棚を倒す方法があったのかもしれない)

立つ事がままならず、
膝立ちで本棚に寄り掛かっていたはずだ

地震がおさまる頃、地鳴りなのか私の心音なのか
揺れなのか私の震えなのか区別がつかず数秒呆然としていた
7 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:40:29.51 ID:L7AwlejV0
地震がおさまる頃、地鳴りなのか私の心音なのか
揺れなのか私の震えなのか区別がつかず数秒呆然としていた

よかった、生きてる
そう自分で確認し、胸をなで下ろす

そして、ようやく私の意識に外の放送が入ってくる

津波の警戒を呼びかける放送と
消防車と救急車とパトカーのサイレンが聞こえた

津波が来る・・・?

高台に逃げないと

急いで靴下をはき、コートを着る
辺りを探してサイフだけは見つけた

ついこの前まで通学に使っていたバッグに
サイフと携帯、目についた使えそうな物を詰める

この春から大学へ行く為に買った新品のノートPCに、上からプリンターが落ちて割れている
見なかった事にした

洋服タンスの前は蛍光灯が落ちていた
電球などが割れていて容易に近づけない。時間がかかりそうだ

着替えは持って行けないか

窓から外を見ると、近所のブロック塀が崩れていた

人が皆外に出てきて、放送を聞いたり家の被害の確認をしていた
既に走って避難を始めたとみえる人もいる
地震で潰れた家というのは、ここから確認する限り見当たらない
8 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:46:21.66 ID:L7AwlejV0
部屋を出ると自分の家だとわからないほど
めちゃくちゃだった

スリッパを履いて移動する
花瓶や額縁のガラスが落ちて割れているからだ

癖で階段の電気のスイッチを入れるが、
当然反応は無い

防災用品を入れた鞄があるが、
この様子では置き場所にたどり着けそうに無い

階段を手すりに掴まりゆっくりと降りる

崩れた物が落ちているせいもあるが
なにより私の脚がいまだにふるえているために、上手く階段を降りられない

グラッ
「・・・ッ!!!」


余震だ

急がないと


キッチンは特にひどい有様で、コップや茶碗がほぼ全て落ちて割れている
戸棚の中で割れている物も見える

どうにか冷蔵庫から500mlのジュース2本を
取り出してバックに入れ、家を飛び出す

この場に長居はできない

憂に電話をかけるが繋がらない
無事でいて、憂
9 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:51:49.12 ID:L7AwlejV0
携帯のバッテリーが半分を切っている

寝る前にちゃんと充電しておけばよかったと後悔した

車を使わず徒歩で逃げる様にと放送が呼びかけていた

元より免許は持って無い
ドアに鍵をかけ、自転車に乗る


この家にまた無事で帰って来たい、と思った


自転車で走っていると、街は思ったよりひどい有様だった

そこかしこの地面は割れており、ブロック壁は崩れて
地震の振動のせいか、カーブミラーがあらぬ方向を向いていた
(平均90度位ズレている)

信号が消えているため交差点では周囲を確認しながらゆっくり進む
(しかし、あまり車は通っていない)

自転車に乗りながら電話をかけるが(違法だが、緊急時だ)
誰にも繋がらない

途中で何か買えないかと思いコンビニを覗くが、
誰も居らず閉まっていた

高台へ急いだ方が良さそうだ

途中何度か地割れを乗り越えるために
自転車を下りて押し歩きながら
(いつもの倍位かかっただろうか)

どうにか高台の公園にたどり着けた
10 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:55:39.41 ID:L7AwlejV0
その時すでに百人がその公園にいただろうか

避難所に行くべきか、考えながら電話をかける

やはり繋がらない

少し休憩しよう
今後どうするかは、周りの人について行く事にしようかな

そんな事を考えていた時に、ちらちらと雪が降ってきた

こんな状況で雪まで降らなくても、そう思った

3月も中旬に差し掛かっているのに、寒いわけだ

そして、小さな余震が何度も続く


誰かが叫んだ


津波だ!


慌てて眼下の街に目をやる

海から、見た事の無い物が襲ってきた
11 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 13:58:01.85 ID:L7AwlejV0
周囲はパニックだった

私もだっただろう

街が波に潰されていく

見ていたくなかった
見ていられなかった

私は避難所に行く事を決めた

津波を見つめている人垣を抜け、
ここよりさらに高い所にある避難所に自転車を走らせる


第一話・終わり
12 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/11(月) 14:19:57.67 ID:L7AwlejV0
今日はこれまで

あの地獄の日から早4ヶ月
吹雪に近い降雪の中避難所へ走った事は今も忘れられません

被災地では未だに瓦礫の撤去作業、インフラ整備が続いています
住居や職も足りず、原発事故に伴う風評被害による沈黙の春が終わっておらず
騒々しい夏の到来にはまだ時間がかかりそうです

被災地の復興のためにも、みなさんが協力してくれれば幸いです
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 14:26:45.62 ID:expAzHtOo
乙。楽しみにしてるって言うとあれだけど楽しみにしてる
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/11(月) 16:09:20.36 ID:0xszC33Q0
宮城で被災したが、「家が崩れるかも」とか「物が落ちてくるかも」とかじゃなくて「揺れによって死にそう」って感じちゃうんだよね。
津波も、でかい波が向かってくるというよりは水かさがぐんぐん上がってくるって感じだった。
15 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 14:46:45.61 ID:3QjPDYCt0
2

避難所に着くころには吹雪になった

寒い

コートが雪まみれになっている

コートの下は寝間着のTシャツに薄手のパーカーだけだ
服を取り出す余裕は無かった

地面が真っ白で地割れが見えない
自転車を下りて押して歩く事にする

避難所にはすでに150人以上が詰め掛けていた

私もかなり早く来た方だと思っていたが
まぁそこは私だ
全く寄り道しなかったわけじゃないみたい


よく逃げて来れたものだ


電気がない為避難所内は薄暗く、人々の顔が識別出来無い

知っている人を捜す

近所に住む幼馴なじみの和ちゃんも、
避難するとしたらここにくるはずだ

あとは、同じ軽音部の律っちゃんと澪ちゃんも、
もしかしたらここに来ると思う


電話をかけるがやはり繋がらない

だんだん不安になってきた

みんな、お願い無事でいて
私はまた泣いていた
16 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 14:50:17.19 ID:3QjPDYCt0
「唯?」

ふいに名前を呼ばれ、振り返るとそこにはよく知る元気な笑顔があった

律っちゃんがいた

「良かった、無事だったか!」

「律っぢゃ〜ん」

私は律っちゃんに抱きついた

「律っちゃ〜ん、生ぎてて、よかっだよ〜」

「よしよし、怖かったな」
律っちゃんが頭を撫でてくれた

「律っぢゃ〜ん、憂とも和ぢゃんとも連絡づかないよ〜!」

大泣きだった
お互い同じめにあっているのに、私は甘えてしまった

「あ、あたしも」

そこで、律っちゃんの声が振るえだした

「澪と、連絡、づかないよ〜!」

律っちゃんも大泣きだった

「なんで、あいつ、たまに一人で、出かけちゃうんだよ〜!」

「「うわ〜〜ん!」」

二人で泣いた

澪ちゃんは時折ふらっと一人で出掛ける事がある
今日も出掛けてしまったのだという

無事でいてくれるといいが
17 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 14:54:25.53 ID:3QjPDYCt0
その時、私の携帯が鳴る

憂からのメールだ!

発信は30分前!津波の後だ

そうか、メールは時間がかかるけど送れるんだ!

桜高は無事らしい
私を心配してる!

あずにゃんと純ちゃんもいっしょに居るそうだ

本当によかった
本当に本当によかった

「律っちゃん!憂からメールきた!」

「本当か!?無事か!?」

メールの内容を伝える

「梓も無事か、良かった・・・!
っていうか、メール送れるのか!?」

「送れるみたいだよ!律っちゃん!」

二人ともメールを送れる事に
気付いていなかったらしい

おバカ組?

早速各方面にメールを送る
18 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 14:56:18.06 ID:3QjPDYCt0
今度は律っちゃんの携帯が鳴る

「澪からだ!」

本文の受信に時間がかかる

律っちゃんの携帯を覗き込む

送信は1時間前
津波の前だ

「良かった、澪無事だった」

律っちゃんは津波の事を知っているのだろうか?

まだその話をしていない

この状況で言うべきだろうか?


本文の受信が終わる

『近くの避難所に行く、律も逃げろ!』

「だってさ!」

避難所に行ったなら無事なはず・・・

どこの避難所だろうか

澪ちゃんなら、避難が完了した時点で連絡が来るだろう

まずは、第二報を待とう
19 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 15:01:52.72 ID:3QjPDYCt0
暗い避難所に大勢の人が詰めかけてくる
人々のざわめき声が、私たちを不安にさせた


あと連絡が無いのは、
ムギちゃん、和ちゃん、さわちゃん先生だ

「あれ?もう一通受信し始めた」

「律っちゃん誰から!?」

「まだ受信中・・・!」

受信にかかる時間が長い

「また澪からだ!」

「やったね!律っちゃん!」

そっと携帯を覗き、送信時間を確認する

送信時間、ついさっき!
澪ちゃん津波で無事だったよ!


回線が混んでるときにはメールを受信しても、次に本文の受信と言う項目がある

これがとても長く、気持ちをやきもきさせる

「受信した!」

『律無事か?お願い返事が欲しい
誰とも連絡がつかない
私は避難所に着いた
さっきの津波すごかったな
お願いみんな無事でいて』

「津波!?津波があったのか!?」

私は自分の見た物を説明した

「そうか、街は・・・もう」

しばらく二人とも沈黙が続いた

その間も余震が続くが、もう一々反応する気力が無い

避難者は先程の倍近くに増えていた
20 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 15:05:08.03 ID:3QjPDYCt0
二人の携帯がほぼ同時に震えた(マナーモードにした)

ムギちゃんからメールだ!
今送ってきたメールが本文まで一発で受信している

偶然?ムギちゃんのパワー?

送られて来たメールは二人とも同じものだった

『私は今xxx駅前の避難所にいます!無事です!
避難所で澪ちゃん、さわ子先生に会えました
梓ちゃんからのメールで、憂ちゃんの無事も確認済みです!
唯ちゃん、律っちゃん、和ちゃんと連絡取れません
無事だと信じています
連絡をください!舞ってます!』


「良かった!ムギもさわちゃんも無事だー!」

「舞ってますは絶対ボケだよね!律っちゃん!」

とりあえず、メールを受信した旨をメールで送信

私達のメールは誰も受信していないのだろうか?

あと連絡がつかないのは和ちゃんだけ
不安のあまり私は座り込んだまま動けなくなってしまった

お願いします!どうか無事でいて、和ちゃん
私は神様に祈るほかなかった
21 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 15:08:27.56 ID:3QjPDYCt0
その時声が聞こえた
「こっちがまだ空いています!毛布もあるので使って下さい」

聞きなれた幼馴染みの声が聞こえる

和ちゃん、避難所に居ました

いやいや!しょうがないでしょ!?この避難所何百人も居るんだよ!?

和ちゃんはテキパキと老人ホームからの避難者を誘導したり
介護士さんの手伝いをしています

わ〜
私とは根本的に出来が違う!凄いね!

唯?律!2人とも無事だったのね、良かったわ」

「和!」「和ちゃん!」

「ムギからのメール来た?安否が確認出来なくて心配してたのよ」

和ちゃんハイパークール
でも、そこが好き!
22 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 15:09:59.82 ID:3QjPDYCt0
しかも、避難して来る途中に水と食糧まで買ってきたんだって

私とほとんど同じくらいの距離を逃げて来たはずなんだけどな、この避難所まで

あれ〜?

何はともあれ、軽音部とその仲間たちはコレで全員無事を確認

良かった
本当に良かったよ


ちなみに、
私が和ちゃんに抱きついたのは言うまでもない
23 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/07/14(木) 15:11:39.21 ID:3QjPDYCt0
いつの間にかずいぶん時間が経っていたらしく、
もう夕方だ

雪はもう止んでいた

さっきまでの天気が嘘のように晴れていて、
広く青い空に夕陽の赤が差し込む

見た事が無いほど綺麗な空に
水浸しの街と黒い煙の上がる火災した家

激しいサイレンの音と震災の放送が鳴り響いていた


私はこの光景を生涯忘れられないだろう


第二話・終わり
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/17(日) 19:06:23.22 ID:PGWCRnuIO
実体験か…ってことは、鬱展開あり…?
25 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:21:17.50 ID:SIUUhEtt0
3

この津波で亡くなった方も居るのだろうか?

・・・居るだろう
だからこそ、私は津波を見る事が出来なかった

グラグラ

また余震だ

最初の地震から数時間
自転車での移動中にも揺れていただろう事を考えると、もう数え切れないほどの余震があっただろう

また大きな余震がきたら
また津波がきたら

自分が今生きているのが奇跡に思えた

私は夕日から目を離すのが惜しくて、沈むまで見つめていた

電気を失った街に夜が訪れる
次に空が明るくなるまで、私は生きていられるのだろうか?
26 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:23:50.32 ID:SIUUhEtt0
3

この津波で亡くなった方も居るのだろうか?

・・・居るだろう
だからこそ、私は津波を見る事が出来なかった

グラグラ

また余震だ

最初の地震から数時間
自転車での移動中にも揺れていただろう事を考えると、もう数え切れないほどの余震があっただろう

また大きな余震がきたら
また津波がきたら

自分が今生きているのが奇跡に思えた

私は夕日から目を離すのが惜しくて、沈むまで見つめていた

電気を失った街に夜が訪れる
次に空が明るくなるまで、私は生きていられるのだろうか?
27 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:35:13.61 ID:SIUUhEtt0
「唯、戻りましょう。暗くなる前に寝床を確保しないと」

和ちゃんが呼びに来てくれた

「うん、もう少しだけ」

「わかった。3人一緒でいいわね?」

「むしろ一緒に寝て欲しいです」

「そう、今は・・・一緒にいようか?一人になりたい?」

「わかんない。けど、夕日みてたい」

「そう、私は戻るわ毛布をもらわないと」

「ありがとう和ちゃん」

「真っ暗になるまで戻るのよ?」

「うん、わかってる」

こんな風に夕日を一人で眺めるのは初めてだ
あんなことがあった後なのに、夕日は驚くほど美しかった

雪が止み、雲が消え、澄んだ紅に染まった空
もっと見ていたいと思った
28 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:44:44.33 ID:SIUUhEtt0
避難所には小型の発電機が2つあり、非常灯を灯すために可動していた

窓から明かりが入らなくなった避難所内では灯りが有るのは3カ所だけ
ロビーに1つ、被災者が寝泊りする事になる室内運動場の入口に一つ、職員が働く事務所に一つ

いや、発電機があるだけましなのだ
他の一般家庭では一切の明かりも無く、真っ暗なはずだ

ロビーでは一人につき紙コップ1杯分の水(と、お湯)の配給が行われている
食料品の配給は無いらしい、お腹すいたな

「こっちよ」

和ちゃんに手をひかれて、室内運動場にむかう
室内運動場には大勢の被災者が詰めかけていた。400人くらいだろうか
29 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:50:37.39 ID:SIUUhEtt0
「暗いから、足元気を付けて。他のひと踏んじゃダメよ?」

和ちゃんが懐中電灯で足元を照らしてくれた。用意がいい
ギリギリ一人が通れる程度に布団が敷かれている

「お、来たか」
律っちゃんが3枚並べられた布団の上にいた

ホントにギリギリのスペースしか無い

一応、周囲は女性の避難者だけが固められているが、仕切りなどは無い
子供の泣声やざわざわという話声、ラジオの音が聞こえて来る
・・・今夜は眠れるだろうか?

「過去最大級の震災だってさ」

律っちゃんがラジオの内容を要約して教えてくれる

「めぼしい被害の状況はほとんど入って来ない、確定して無い情報は多いけどさ。
情報を発信する人も被災してるからなんだと思う」

「すごかったもんね・・・揺れとか、いろいろ」

「ただ、全域で停電、復旧の目処がたたないってさ」

「当分真っ暗なんだね」

そして、明日の朝には私の携帯の電池がなくなる
憂と連絡が取れなくなってしまう
30 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/05(金) 23:54:17.08 ID:SIUUhEtt0
「さらに、原発が津波でやられてヤバイらしい」

その原発からここまではかなり距離が離れているが、万一の事があれば被害は免れないだろう

「ま、それも不確定な情報だけどな」

律っちゃんが付け加える

「ラジオでは原発の専門家が議論してるよ、今、原発廃止論なんかどうだっていいっつの!」

律っちゃんはイラついているようだった。ちょっと怖いな

周囲の人たちも、普段よりイラだっている感じだ
空気がピリピリしてる

命の危機感を伴う、感じた事のない緊張した空気だった
31 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 13:53:48.28 ID:T718/tUf0
「・・・お腹すいたな」

「ああ、しかも寒いしな」

空腹、緊張、寒さ、疲労、不安・・・恐怖
私たちはたった数時間ですっかり疲弊していた

「唯、律。ちょっとこっちに来てくれる?」

「ん?うん・・・」

和ちゃんが自分のバッグを持って避難所の裏口へと向かう

トイレへと続く通路の側を通ると、激しい便臭が鼻をついた
水道が断水してる上に、これだけの人数が使用しているからだ
たった数時間でこの臭いだ、何日避難生活がわからない以上、衛生状態の悪化は死活問題だ

裏口には10人ほどの人がタバコを吸っていた
さらに人気のない方へ向かう、建物の裏まで来たが、まだちらほら人が歩いている
じっとしては居られない避難者や、付近の住人、家族を探しに来た者まで様々な人が懐中電灯片手に歩いている

車は・・・めったに通らない。
通るときにはいつもより大勢の人が真っ暗な道を歩いているので徐行運転だ
32 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 14:08:32.94 ID:T718/tUf0
「ここら辺でいいかしらね?二人とも、晩ご飯にしましょう」

そう言って和ちゃんがバッグから菓子パンを取り出す

「えっ?ごはん!?」

「そっか、ここに来る途中に買い物できたってさっき言ってたもんな」

「ええ、周囲に分け与える程の量は無いから、今ここでみんなで食べちゃいましょう」

「和ちゃーん!」

「さっすが和!太っ腹だよ!」

「ほら、大声ださない。周囲との余計なトラブルは避けたいわ」

・・・その通りだ。みんないらだってる、あまり食べ物をひけらかさないのが賢明なのだろう

「う、うん・・・」

「食料、今全部食べちまうのか?」

「そうよ、食べて体力をつけましょう。・・・明日の分は明日どうにかしましょうね」

明日どうにか・・・いや、どうにかなる。きっと・・・

「・・・そだね。寒さで風邪でも引いたらアウトだもんね」

「よっしゃ!食っちまおうか!」

「ええ、いただきましょう」

私たちは普段食べなれた菓子パンを最後の食事かのように食べつくした
普段よりも味を噛み締めながら、残さず食べきった
33 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 14:25:43.75 ID:T718/tUf0
食後には和ちゃんがガムをくれた
歯磨きの代わりだそうだ

「虫歯にでもなったら地獄だわ。歯周病は不摂生とストレスが原因よ、
残念ながら今はどちらの条件にも当てはまる・・・気をつけましょう」

「給水が始まるまでの辛抱だな。今は飲水だけでいっぱいいっぱいだもんな」

たとえ水が希少でも、一日に一度くらいは歯を磨きたいな

「給水が始まってもお風呂に入れるのはずっと先なんだよね」

・・・ネガティブな話題を振ってしまった。気を付けないと

「そうね、でもきっとまた元の生活に戻れるわ」

「ああ、それまで協力してがんばろうな!」

「うん、もちろんだよ!みんなよろしくね!」

グラグラグラグラ

みんなと協力を誓い合った瞬間にも、地震はおさまる事をしらない
みんなで力を合わせれば、この状況でもきっと大丈夫だ

そう、信じたい・・・
34 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 14:52:36.84 ID:T718/tUf0
室内にもどると、もう眠る人もいるようでラジオを聞く人は別室で、との事だった

「じゃあ、あたしはもう少しラジオ聞いてるな」

「うん、私は布団にもぐってるね。先に寝るかも」

「私も寝るわ」

律ちゃんはロビーでラジオ、私と和ちゃんは眠ることにした
眠れるかは別として

「そか、おやすみー。あたしもあとで戻るよ」

「お休み律ちゃん、気をつけてね?」

「おう!まあ、すぐ戻るよ」

そう言って律ちゃんと別れ、和ちゃんと布団に向かう

「真っ暗だと、8時でも眠くなるものね」

「そうだね・・・」

実のところ私は眠れそうに無い
寒いから布団に潜り込むだけだ
35 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 15:04:09.60 ID:T718/tUf0
ふと携帯を見ると憂からメールが来ていた
向こうでもどうにか食事を摂ったらしい。私を心配してるのでメールを返す

「バッテリーから考えるとコレが最後のメールだね」

明日の朝には携帯は機能を失う、憂との最後の連絡だ

「明日は高校まで行ってみましょう。おそらく高校までの道は無事だと思うから」

私の気持ちを察したのか和ちゃんが声をかけてくれる
一緒に行ってもらえるなら本当に心強い

「うん、あ・・・でも律ちゃんは駅の方へ行くのかな?澪ちゃんを探しに」

みんなはご飯食べられただろうか?難しいだろうな

「そうね、律が戻ったら明日の予定を立てましょう」

食料の調達もしないといけない、家の様子は見に行けるだろうか?
やることはいっぱいある

「うん・・・憂と会いたいな」

「そうね、私も会いたいわ」

そんな話をしているうち、律ちゃんが戻ってきた
36 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 15:20:12.52 ID:T718/tUf0
「なにかめぼしい情報はあった?」

と、和ちゃんが尋ねる

「いや、やっぱり原発の話ばっかりだ。あとは津波に飲まれた建物の屋上に取り残されちゃった人とか・・・」

律ちゃんがわずかに言いよどむ

「・・・遺体が上がった場所も何ヶ所かあるみたいだ」

「ああ・・・」

やっぱり津波で死者が出たんだ
あまり考えないようにしていた事が、急に現実になって押し寄せる

私の知り合いや、その家族も被災してしまったのだろうか・・・

「そろそろ消灯時間ね。寝ましょうか?」

そう言って和ちゃんが私の肩に手をかける
ふるえている・・・のは和ちゃんの手だろうか?私の肩だろういか?

「ああ、寝よう明日は早起きして物資を調達しような」

「ええ、午後から桜高に行こうかと思うんだけど、律はどうする?」

「私は残る。澪とさわちゃんがこっちに来てくれるらしい」

「そう・・・じゃあ明日は午前中に買い出しできそうな場所を探して、
午後からそれぞれ分担して家族や友達に会いに行きましょう」

「わかった」

「唯もそれでいい?」

「え?ああ、うん。おっけーだよ」

気づいたら黙り込んでいた
人まかせで流されるの、卒業できてるとおもってたんだけどな
37 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 15:28:09.62 ID:T718/tUf0
「そうだ唯!コレを飲んでみなさい」

そう言って和ちゃんが茶色い?(暗くてわからない)飲み物を紙コップに入れて差し出す

「??、何これ?」

「気分の落ち着くお茶よ、一気に飲み干してね」

「う、うん?」

言われるままに一気飲みする私

「〜〜〜〜げほっ!!な、何これー!?」

「ウィスキーよ。アルコールなら何かには使えると思って家から持ってきたのよ」

「お酒!?私まだ未成年だよぉ!」

「この状況でそんなの気にしないの。身体が温まるわよ?」

「で、でも・・・」

まさに一杯食わされてしまった。
私の意識はだんだんとろん、としてきた
38 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 15:37:58.74 ID:T718/tUf0
「あっはっは、和も意外とやるなー」

律ちゃんがクスクスと笑う

「不安も吹き飛んで、よく眠れるわ
多少の余震でも目を覚まさない方がこの状況ではむしろ良いと思うの」

だからって騙して飲ませなくてもぉ・・・
こんなに強いお酒など飲んだことがない、しかもコップ一杯一気飲み
胃がヒリヒリする

「あたしも一杯いいか?」

「もちろんよ、グッといって」
トクトクトク

「へっへっへ、まさかお酒が飲めるとは・・・」
ぐいっ

律ちゃんが美味しそうに飲む
こんなものをそんな風に飲めるのが不思議だ

「ぷはっ!」

「いい飲みっぷりね、律」

「う〜〜、それはむしろ私なんじゃない?」

絡み酒してやるー
39 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/08/06(土) 15:43:48.66 ID:T718/tUf0
「ごめんごめん。あなたは言っても飲まないと思ったのよ。まずいー、とか言って」

「まぁ、そうだけどー」

ぶつぶつと文句を言う

「はいはい、もう寝ましょうね。目がしょぼしょぼしてるわよ?」

「うー・・・夜中におっきい地震来たら和ちゃんに担いでもらって避難するんだからー・・・」

「そうね、私が責任持って引きずって行くわ」

このあたりで、私の意識は途切れた

その夜は朝までとても良く眠れた


第三話・終わり
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 16:30:05.25 ID:OCN5Ux6Qo
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/19(金) 23:49:31.71 ID:Wk8QX+QX0
津波なー。次の日が一番ショックなんだよなー。ピアノの上に自動車のってたりしてさぁ。
42 : ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/09/11(日) 14:49:21.11 ID:DJafcnN5o
続きはまだ書いてません
落ちるかもわからんね
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/14(水) 00:33:14.38 ID:7JTXRslWo
期待して待っとく
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/15(木) 00:54:09.22 ID:NVItgtYOo
age
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/15(木) 23:12:16.17 ID:ApgYDZeSO
けいおんキャラを使ってまで、震災ネタをやるのはなんか引くわ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/15(木) 23:47:07.68 ID:R8HfncFmo
だったら読むなよ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/16(金) 00:03:42.80 ID:uVUBIfsro
>>45
いちいち書き込まなくていいよks
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/09/16(金) 04:46:23.34 ID:KkHRMbhGo
>>45
何様だよw
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/23(金) 20:59:21.12 ID:kAp6kBaVo
待ってるよ
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 22:01:24.77 ID:v256/NuSO
VIPで他のSSを乗っ取る暇があるなら、さっさと進めてほしい
51 :UCM ◆WOzlYvh7m2 [sage]:2011/10/09(日) 12:36:26.24 ID:/0zuLDGto
中断します
ありがとうございました
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/09(日) 13:06:09.60 ID:HS09azZJo
んーもったいない。
いろんな意味で続けて欲しかったです。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/10/09(日) 17:55:57.93 ID:1j4HNoW3o
VIPでも指摘されてたとおり
こっちには俺含め>>1のSSを読みたがる人間が居るのに……
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