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ほむら「体が縮んだわ…」まどか「じゃあ代わりにわたしが頑張るね!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 [ [saga]]:2011/07/17(日) 23:22:55.80 ID:seDYDNCv0
ほむら(病院で目覚めてみると、体が縮んでいた…)

ほむら(おまけに、どういうわけか『ほむほむ』としか喋れなくなっている…)

ほむら(ううん、こんな体になっても挫けない)

ほむら(今度こそ、まどかを救ってみせる…!)
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:23:51.70 ID:seDYDNCv0
―街中―

子供「あれー? なんだろーこれ」

ほむら「ほむっ?!」

子供「わー、捕まえた。動くお人形さんだー」

ほむら「ほむっ!ほむっ!ほむっ!」

子供「ねー、お母さんー。お人形捕まえたよ」

ほむら「ほむむむむむむむむっ!」バシッ

子供「あー、逃げちゃった」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/07/17(日) 23:24:43.47 ID:mpq1HVUJ0
ああ…某バーローの薬か
4 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:25:19.75 ID:seDYDNCv0
―路地裏―

猫「みゃー」ダダダダダダダダダ

猫「みゃー」ダダダダダダダダダ

エイミー「みゃー」ダダダダダダダダダ

ほむら「ほむぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」テテテテテテテ
5 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:26:06.06 ID:seDYDNCv0
―武器庫―

ほむら「ほむほむ」ハアハア

棚「…」デーン

ほむら「…」

ほむら「ほむっ!ほむっ!」ピョンコピョンコ

棚「…」

ほむら「…」

ほむら「…」グスグス
6 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:26:47.71 ID:seDYDNCv0
ほむら(とてつもない苦労を要したけど)

ほむら(何とか使えそうな武器一式を調達できたわ…)

ほむら(ううう、こんな体で本当にまどかを守れるのかしら)

ほむら(ううん。挫けてなんていられない。まどかは絶対に守らなきゃいけないんだもの)

ほむら(クラスメイトとして接触できない以上、今後はキュゥべえがまどかに接触しないように見
張ることしかできないわね)

ほむら(インキュベーター。あなたの思う通りにはさせないわ…!)
7 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:27:42.36 ID:seDYDNCv0
―廃ビル―

QB(これは…!ものすごい才能を感じる)

QB(これだけの素質があれば、僕らのエネルギー回収のノルマも難なく達成できそうだね)

QB(さっそく彼女には契約してもらおう)タタタ

ほむら『そうはさせない』

QB「ん? 誰だい君は?」

ほむら『お前に名乗る名前はないわ』

ほむら「ほむっ!」チンマリ

QB「…」

ほむら「…」
8 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:28:50.89 ID:seDYDNCv0
QB「えーと。本当に何なんだい君は?」

ほむら「ほむほむほむ」

ほむら『お前を好き勝手にさせない者よ。キュゥベえ』

QB(見たところ、一応魔法少女のようだけど)

QB(僕はこんな生き物と契約した記憶はない)

QB(イレギュラーか。でも放っておいても問題なさそうだね)

QB「悪いけど、僕は君にかまっている暇はないんだ」

ほむら「ほむっ?!」

QB「それなりに興味はあるけど先を急がせてもらうよ」

ほむら「ほむっ!ほむっ!ほむっ!」

ほむ(くっ…、害がないとみて私のことを無視するつもりね)

ほむ(残念だけど、その隙が命取りよ…!)

ほむら「ほむっ!」ジャキ

QB「ん?」

ほむ「ほむむむむむむむ!」パンパンパン

QB「…」ペシペシペシ
9 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:30:07.70 ID:seDYDNCv0
ほむら「ほむっ?!」

ほむら(そんな! 銃が効いてない…)

ほむら(盾に何とか収納できたのはいいけど、銃そのものが縮んでしまうなんて…)

QB(何か撃たれた気がするけど、特に体に問題はない)

QB(やっぱり今はまどかの下に行くのを急ごう)

QB「じゃあね。今日の僕は忙しいんだ」

ほむら「ほむー!ほむー!」

ほむら『ま、待ちなさい!』
10 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:30:52.97 ID:seDYDNCv0
ほむら「ほむむむむむむ!」ガガガガガガ

QB「…」ペペペペペペペペ

ほむら「ほむー!」バシューン

QB「…」ペシン

ほむら「ほむっ」ポイッ

QB「…」ピカーン

QB(…しつこいなぁ)

QB「てぃっ」ウシロアシゲリ

ほむら「ほむっ?!」バシーン

QB「じゃあね。何か用事が出来たらこちらから会いに行くよ」タタタ

ほむら「ほむぅ…」グテ
11 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:32:16.06 ID:seDYDNCv0
ほむら「…」ボロボロ

ほむら(ううう、キュゥべえにすら負けた…)

ほむら(こんな体で、ワルプルギスどころかキュウベェ一匹満足に倒せないなんて…)

ほむら(こんなことじゃ、まどかを守れない…)

ほむら(約束、守れないよ…)

ほむら(ごめん、ごめんね。まどか…)

ほむら「ほむぅ…」グスグス

ほむら「……」グスグス

ほむら「…」

???「あれ…?この子…」
12 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:33:38.94 ID:seDYDNCv0
―――――

ほむら(…ん。私、いつの間にか気を失って…)

ほむら(誰かに…、抱きかかえられている?)

まどか「あ、起きたみたい」

ほむら「ほむっ?!」

ほむら(ま、まどか?!)

まどら「さやかちゃーん、この子起きたみたいだよ」

さやか「あ、ほんとだ」

ほむら「ほむぅ…」

ほむら(まどかの腕の中…)

ほむら(気持ちいい…)グッテリ
13 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:34:34.90 ID:seDYDNCv0
さやか「にしても、何なんだろうねこれ」

まどか「『まどか』って呼ぶ声がしたから来てみたけど、この子が呼んだのかな?」

さやか「まー、へんな生き物だから変なことしてもおかしくないとは思うけど」

ほむら「ほむっ?!」

ほむら(変とは何よ!変とは!)

ほむら「ほむほむほむほむ!」

さやか「あ、何かほむほむ言ってる」

まどか「さやかちゃんが変とか言ったから怒っているんだよ、きっと」

さやか「えー、そんなに賢いのかなーこれ」

ほむら「ほむ!ほむほむ!ほむむ!」

まどか「こらこら、暴れないの」ナデナデ

さやか「ホントだ、確かにこっちの言葉を理解してるっぽいね」

まどか「ちっちゃいけど、わたしたちとあんまり変わらないんじゃないのかな」

さやか「でも、そのちっちゃいのが問題なんだよなー」
14 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:35:59.70 ID:seDYDNCv0
まどか「そういえばこの子、名前はなんていうんだろう?」

さやか「そういえばそうだね、聞いてみるか。おい、お前の名前はなんですか―?」ウリウリ

ほむら「ほむほむ」

ほむら(貴方に答えるつもりはないわ、美樹さやか。ついでに頭をつつかないでちょうだい)

さやか「ほむほむとしか言わないね」

まどか「やっぱり喋れないみたいだね…、困ったなぁ」

まどか「どうにかしてあげたいけど、どうすればいいんだろう」

さやか「飼い主とか…、いるのかコレ?」

まどか「ねえさやかちゃん。わたしこの子助けたい」

さやか「うーん、まどかがそうしたいなら私は止めないけどさ」

さやか「大丈夫?何されるかわかんないよ」

まどか「でも、こんなところに一人じゃかわいそうだよ…」

まどか「他の動物に襲われたのか、ボロボロだったし」

まどか「さやかちゃん、お願い。この子を助けるの手伝ってくれないかな?」

さやか「まぁ、まどかの頼みと会っちゃ断れないね」

さやか「よーし、このさやかちゃんが一肌脱いであげよう!」

まどか「ありがとう!さやかちゃん!」
15 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:37:29.57 ID:seDYDNCv0
さやか「そうと決まれば名前をつけなくちゃね!」

まどか「そうだね!何にしよう。あなたは何がいい?」

ほむら「ほむほむほむ」

ほむら(ま、まどかがつけてくれるなら何でも…)

さやか「よーし、じゃあ『ほむほむ』でけってーい!」

ほむら「ほむっ?!」

ほむら(そ、それは安直すぎるわ美樹さやか!)

まどか「…さやかちゃーん。それは簡単すぎだよ…」

さやか「えー、でもこいつほむほむとしか喋れないし」

さやか「それに覚えやすくて可愛くていいと思ったんだけどなー」

まどか「うーん、確かに言われてみればそうかも」

ほむら「ほむむっ?!」

ほむら『ま、まどか?!』

まどか「うん!わたしもほむほむでいいと思うな。あなたはどう?」

ほむら(…まどかが笑顔でこちらを見ている)

ほむら(可愛い…)

ほむら『ほむほむで問題ないわ!まどか!』

ほむら「ほむっほむっ」

まどか「あ、この子も気に入ったみたい!」

さやか「よーし、お前は今日からほむほむだー!」

まどか「よろしくね!ほむほむ」

ほむら「ほむっ!」

ほむら(ええ、よろしくまどか。と美樹さやか)
16 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:39:03.85 ID:seDYDNCv0
さやか「…あれ?」

まどか「どうしたの、さやかちゃん?」

さやか「何か、周りの景色が…」

ほむら(…!)
17 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:40:00.45 ID:seDYDNCv0
―魔女の結界内―

さやか「な、何よここ…!」

まどか「さ、さやかちゃん…」

さやか「まどか!わたしから離れちゃだめよ!」

まどか「う、うん」

ほむら「ほむっ!ほむっ!」

まどか「大丈夫だよ、あなたはわたし達が守ってあげるから…」

ほむら(違うのまどか!早くここから離れて!)
18 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:41:07.11 ID:seDYDNCv0
さやか「ひっ…、なによこいつら!」

使い魔「…」

使い魔「…」

使い魔「…」

まどか「囲まれちゃった…」

さやか「く、来るなら来てみろ!さやかちゃんの鉄拳をお見舞いするぞ!」

まどか「さ、さやかちゃん危ないよ!」

さやか「安心してまどか! まどかとほむほむは絶対に守って見せるから!」

ほむら「…」

ほむら(このままでは二人とも使い魔の餌食に…)

ほむら(この体でどこまでやれるかわからないけど、仕方ない…!)
19 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:42:07.73 ID:seDYDNCv0
ほむら「ほむっ!」

まどか「あ、ほむほむ!」

さやか「ちょっ、ほむほむ!あんたはまどかの腕の中にいなさい!」

ほむら「ほむほむほむっ!」

さやか「え…。あれ、拳銃?」

まどか「ちっちゃいけど、そうみたい…」

さやか「まさか、ほむほむの奴、あたし達を助けるために戦うつもりじゃ…」

まどか「えっ、そんなのダメだよ!やられちゃうよ!」

ほむら「ほむ…!」

ほむら(いいの、まどか)

ほむら(私は貴方を守るためにここにいる)

ほむら(この体でどこまでやるかわからないけど、時間くらいは稼いで見せるから…!)
20 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:43:25.42 ID:seDYDNCv0
まどか「だめっ!」

さやか「あ、まどか!」

まどか「だめだよ!ほむほむを一人になんてできない!」タタタ

ほむら「ほむっ!ほむっ!」

ほむら(来ないでまどか!このままじゃどうにもならないの)

ほむら(私が…何とかしないと)

まどか「みんな一緒だよ。一人でなんてだめだよ!」

ほむら(まどか…)

まどか「ほむほむ!」ギュッ


ほむら(でも、私がまどかを守らないと…!)
まどか(わたしがほむほむを守らないと…!)
21 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:45:08.02 ID:seDYDNCv0
―カッ!

まどか「えっ…?」

さやか「へ…?」

ほむら「ほむ…?」


―変身…! 魔法少女・鹿目まどか!(ほむら衣装)―

22 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:45:46.53 ID:seDYDNCv0
さやか「ま、まままままままどかが変身した?!」

まどか「な、なななななななにこれ?!」

ほむら「ほ、ほむむむむむむむ?!」

ほむら『ど、どどどどどどどういうこと?!』

ほむら『まどかが魔法少女に変身するなんて』

ほむら『しかも私と、同じ衣装だなんて―!』
23 :1 [saga]:2011/07/17(日) 23:50:18.46 ID:seDYDNCv0
というわけで、魔法少女まどかとマスコットとなったほむほむの話を書いていきます。

一週間に1〜2回投下するつもりです。

SS初書+初投稿で、おかしい箇所が見受けられますがどうかご勘弁を。

よろしくお願いします。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/17(日) 23:51:08.16 ID:QponhVPbo
面白そうだ
期待してる
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/17(日) 23:51:10.16 ID:4TFvNa27o
乙っちまどまど!
期待しとくよ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/17(日) 23:51:21.92 ID:V3z7qyu/o
乙!
ただ可愛いだけかと思ったらいきなり興味深い設定が 楽しみにしてますよ
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/18(月) 00:18:45.73 ID:QyDNOg8Zo
ほほう……これはほむほむまどとな
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/18(月) 01:31:34.46 ID:T/0/KQ6Xo
乙っちほむほむ!
ちっちゃいほむらちゃんの人かと思ったらお初でしたか
期待してます
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 04:05:01.80 ID:wl29gJzIO
某所の様にほむほむを美味しくいただく展開にはならないんですね
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 14:10:24.90 ID:l3LB3q7IO
乙っちまどまど!
いいねー頑張ってください
31 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:02:43.01 ID:1Y+uWPJ00
レスありがとうございます。

続きを投下したいと思います。
32 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:04:18.90 ID:1Y+uWPJ00
まどか「え…? 今まどかって…」

ほむら『ま、まどか?』

ほむら『私の言ってることがわかるの?』

まどか「う、うん。ほむほむなんだよね、この声」

ほむら『ええ、そうよ』

まどか「あ、あのこの格好は、えっと…」

使い魔『…』
使い魔『…』
使い魔『…』

ほむら(まずい、とにかく今は…)
33 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:06:03.45 ID:1Y+uWPJ00
ほむら『聞いて、まどか。今のあなたは、魔法少女と呼ばれる姿になっている』

まどか「ま、魔法少女? それってアニメに出てくる…」

さやか「まどか…? 誰と話してるの?」

まどか「え…?さやかちゃんには分からないの?」

ほむら「ほむほむほむ」

ほむら(やはり、まどかにしか言葉は通じていないようね)

ほむら『色々、説明したいけど…。私にも分からないことがあるのだけれど、とにかく今はこの場
    から離れるわ』

ほむら『美樹さやかを抱いて、走りなさい』

まどか「ええっ!わ、わたしの力じゃさやかちゃんを抱えられないよ!」

ほむら『大丈夫、その姿なら身体能力も上がっている』

ほむら『今のあなたなら出来るはず。信じて!』

まどか「え。う、うん。わかった、やってみるよほむほむ!」
34 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:08:36.39 ID:1Y+uWPJ00
まどか「さやかちゃん!」

さやか「は、はいっ!って、なにまどか?」

まどか「ここから離れるよっ」ダキッ

さやか「おう。って、えええっ!」

さやか(ま、まどかが私を抱えてる。な、何で?!)

ほむら(お姫様抱っこ…。いいなぁ美樹さやか)

ほむら(と、馬鹿なこと考えている場合じゃないわね)

まどか「行くよ!」ダッ

さやか「ちょ、ちょっと待っ…。うぉわっ!」

使い魔『…!』

ほむら『使い魔が追ってくる。後ろを見ないで走って、まどか!』

まどか「うん。わかったよほむほむ!」
35 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:10:27.12 ID:1Y+uWPJ00

    ダダダダダダダ

まどか(すごい…。さやかちゃんが全然重く感じない)

まどか(速く走れるし、走っても全然疲れないし…)

まどか(これなら、いざとなったらあの変なのとも…)

ほむら『あまり無理をしてはだめよ、まどか』

まどか「ほむほむ?」

ほむら『体が強くなっても、あなたは普通の女の子なのだから。戦おうとかは、考えないで』

まどか「う、うん」

ほむら『とにかく走って。ここから抜け出すわ』

ほむら『全員無事に、逃げることを考えましょう』

まどか「うん!」ダダダ

さやか「もう、何が何やら…」
36 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:11:53.80 ID:1Y+uWPJ00
使い魔『…』

まどか「って、うわ!ほむほむ前!」

ほむら(しまった…!前にもう使い魔が)

使い魔『…』
使い魔『…』
使い魔『…』

まどか「か、囲まれちゃった…」

さやか「う、うわぁ…。もしかして大ピンチ?」

ほむら「ほむ…」

ほむら(…まどかは、今私と同じ姿をしている)

ほむら(もしかしたら、能力も…)
37 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:13:42.24 ID:1Y+uWPJ00
ほむら「…ほむむ」

ほむら『…まどか』

まどか「な、なに?ほむほむ」

さやか「あ、やっぱりほむほむと喋れているんだ、まどか」

まどか「う、うん。この姿になってから、なんだか言ってることがわかるようになって…」

ほむら『時間がないわ。よく聞いて』

ほむら『左手に、盾がついているでしょう』

まどか「う、うん」

ほむら『その盾の中身を、動かせる?』

まどか「え、えーと」ゴソゴソ ブンブン

まどか「よくわからないよほむほむ…」

ほむら『そう…』

ほむら(やっぱり、そこまでは上手くいかないようね)
38 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:15:40.67 ID:1Y+uWPJ00
まどか「ほむほむ、やっぱり私がこの変なのと戦うしか…」

ほむら『! だめよ、まどか!』

まどか「で、でももうそれしか…」

ほむら『あなたにそんなことはさせられない』

ほむら『お願いだから、自分を大事にして…』

まどか「ほむほむ…」

ほむら(…でも、今の私にまどかを守る力はない)

ほむら(一体、どうしたらいいの…)
39 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:17:21.57 ID:1Y+uWPJ00
―チュドドドドドドドドド―

まどか「きゃ…!」
さやか「うわっ…!」
ほむら「ほむっ…!」

   シュタッ

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

まどか「あ、あなたは…?」

マミ「あら? あなたももしかして魔法少女」

さやか「ま、魔法少女?ってまどかも?」

まどか「あ、あの。わたし…その…」

マミ「どうやらその様子だと、まだキュゥべぇと契約したばっかりのようね」

まどか「きゅ、きゅうべえ? それって…」
40 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:23:11.92 ID:1Y+uWPJ00
マミ(あら…、キュゥべぇを知らないの?おかしいわね…)

マミ「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

さやか「あ、あのー?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね」

マミ「でもその前に、ちょっと一仕事片付けちゃっていいかしら。待っててね」 バッ

使い魔「!」ドカーン

まどさや「す、すごーい…!」

ほむら(…巴マミ)

ほむら(普段なら、彼女とまどか達は接触するべきじゃないのだけれど…。
    今回ばかりはありがたい)

ほむら(とりあえず、この場は何とかなったようね)
41 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:28:08.23 ID:1Y+uWPJ00
―マミ宅

マミ「それじゃあ、あなたは本当にキュゥべぇと契約していないの?」

まどか「はい…」

マミ「キュゥべぇ、本当?」

QB「僕も彼女と契約した記憶はないよ」

QB(本当は念話で呼び出して契約するつもりだったけど)
QB(途中でマミとばったり会っちゃったから、計画が狂っちゃったよ)

さやか「それにしても魔法少女ねー。現実世界に本当にいるとは…」

マミ「本当よ。私も実際になるまでは信じられなかったけど」

さやか「それで街を守る正義の味方? くぅ〜、かっこいいなぁ!」

ほむら「ほむほむほむほむほむ」

まどか「そんな憧れるようなものじゃないって、ほむほむが言ってるよさやかちゃん」

まどか「大変だし、なにより普通の人間としての生活は望めないって」

さやか「ええー!そうなんですか、マミさん?」

マミ「ええ。でも後悔はないわ。それで街の人が助かるんですもの」
42 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:33:13.94 ID:1Y+uWPJ00
ほむら「ほむほむほむ」

まどか「え…、それはちょっと酷いよーほむほむ」

さやか「ほむほむは何だって?」

まどか「ええと、甘いとか、その先は何もないとか、幸せはないとか」

さやか「ありゃー、かわいい体してほむほむは意外と毒舌だったのか。このやろー」ウリウリ

ほむら「ほむー!ほむー!」

まどか「やめろばかー、って言ってるよさやかちゃん」

さやか「あはははは、かわいいやつめー」

マミ「…」
43 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:35:30.86 ID:1Y+uWPJ00
マミ「…で、その子はいったい何なのかしら?」

まどさや「ほむほむです」

ほむら「ほむ」

マミ(結局、何だかわからない…)
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/21(木) 18:36:44.67 ID:SFgAe+sKo
ほむほむマジほむほむ
45 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:43:24.13 ID:1Y+uWPJ00
マミ「ええと、その子のおかげで鹿目さんは魔法少女に変身できたのよ、ね?」

まどか「はい。なんかこう、くっついたらいきなり」

さやか「あれはびっくりしたよ。いきなり変身するんだもん」

マミ「キュゥべぇ、どういうこと?魔法少女の契約ができるのは貴方だけじゃなかったの?」

QB「僕にだってわけがわからないよ。こんなことは今までだって一度もなかったし」

QB「ただ、分かっていることがいくつかある」

マミ「なに、キュウベェ?」

QB「一つ目は、まどかは魔法少女じゃないってことだ」
46 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:44:24.52 ID:1Y+uWPJ00
さやか「え、なにそれ?」

QB「さっき、マミが説明したけど魔法少女になるには自身のソウルジェムが必要だ。ところが、   まどかからはそれは感じない」

QB「つまり、まどかはまだごく普通の人間だってことだよ」

マミ「でも鹿目さんは変身してたわよ? 手にソウルジェムがついていたし」

まど「あのー、ソウルジェムって、わたしの手についていた宝石のことですよね?」

マミ「ええ、本当はそれを使って変身するのだけれど」

QB「あれは、まどかのソウルジェムじゃないよ。そこの小さな生き物のものだ」

さや「え、ほむほむの?」

マミ「と、いうことは、その…そこのほむほむは」

QB「そう。それが二つ目、それは魔法少女だよ」

ほむ「ほむ…!」
47 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:46:15.86 ID:1Y+uWPJ00
まど「ほむほむが、魔法少女?」

QB「そう。まどかの手についていたソウルジェムはそこの生き物のものだ」

QB「つまり、まどかはほむほむの力を使って変身していたんだよ」

マミ「他人のソウルジェムを使って変身するなんて…」

さや「よくわからないけど、結構使い回しが効くんですね魔法少女って」

QB「本来はできないよ。そんなことは」

マミ「ええ、私も聞いたことがないわ。そんな話は」

QB「だから、どうしてそんなことが可能なのか。そこが僕にはわからないんだ」

QB「そもそも僕には彼女と契約した記憶がないし。わからないことだらけだよ」

マミ「ええと…。ほむほむはその理由を知っているのかしら?」
48 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:47:59.99 ID:1Y+uWPJ00
ほむら「ほむ、ほむむむむ、ほむほむ、ほーむほむ、ほむ」

まどか「…うんうん」

さやか「ほむほむは何だって?」

まどか「朝起きたら体が縮んでいたことも、ほむほむとしか喋れないことも、自分のソウルジェム
    で私が変身したことも」

マミさや「うんうん」

まどか「全部、こっちが説明してほしいって」

マミ「…」
さやか「…」
まどか「…」

まどさやマミ「…はあ」

ほむ「ほむぅ…」
49 :1 [saga]:2011/07/21(木) 18:49:20.15 ID:1Y+uWPJ00
今日はここまでです。

途中で、キャラの名前をちゃんとするのを忘れてました…。すみません
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/21(木) 18:49:55.11 ID:SFgAe+sKo
ほむほむしてるほむほむマジほむほむ
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 18:55:15.43 ID:89FOMM/po
乙ほむ
ほむほむがほむほむしてるだけで世界は平和になりそうほむ
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 19:09:41.72 ID:EkoBIDtDO
ほむむ
ほむっほむっ
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/21(木) 19:16:32.95 ID:iBhltWO7o
ほむほむ〜
ほむほむマジほむほむ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/21(木) 20:19:40.21 ID:Bsw3KxVAO
乙!コレはかなり良スレの予感…!
頑張って完結させてくれ
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/21(木) 20:22:48.29 ID:wQS5YS4go
お疲れ様でした。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/21(木) 21:39:26.63 ID:GNv1WwGbo
ほむほむ美味しいね
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/21(木) 22:03:12.53 ID:bPu6cInyo
乙っちまどまど!
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2011/07/22(金) 08:12:51.50 ID:fnyEI6CKo
ほむほむらかわいい
59 :1 [saga]:2011/07/24(日) 22:51:44.28 ID:N3Zv0Knh0
昼ごろに投下するつもりでしたが、ちょっと遅くなってしまいました…。
続きを投下します。
60 :1 [saga]:2011/07/24(日) 22:53:45.93 ID:N3Zv0Knh0
さやか「というかさ、もしかしたら単なる偶然だったんじゃないの?まどかが変身したのって」

まどか「うーん、そうなのかな?」

さやか「ちょっと試しに、もう一回やってみれば?」

まどか「うん。ほむほむ、いいかな?」

ほむら「ほむっ!」

まどか「そんじゃ、…えい」ダキッ
61 :1 [saga]:2011/07/24(日) 22:54:51.74 ID:N3Zv0Knh0
―ピカッ!

まどか「わ、変身できた」

さやか「うーむ、こうしてみるとなかなかカッコイイ姿だなぁ」ジロジロ

まどか「は、恥ずかしいよさやかちゃん」

ほむら「ほむほむ」ニジリニジリ

まどか「わ、わ、ほむほむは頭に上らないで…」///

マミ「うーん。二人が抱き合うと変身するのかしら?」

マミ「普通はソウルジェムをかざして変身するのだけれど」

さやか「でも、まどかはそれまでずっとほむほむを腕に抱いてたよね?」

まどか「あ、それなら今分かったんだけど」

ほむら「ほむほむ」

まどか「私とほむほむが同時に変身したいと思ってくっつくと変身できるみたい」

まどか「最初の時もそんな感じだったし…」ヘンシンカイジョ

さやか「へー、そうなんだ。じゃあ、私とは?」
62 :1 [saga]:2011/07/24(日) 22:57:03.91 ID:N3Zv0Knh0
ほむら「ほむっ?!」

さやか「まどかにできるなら、私とはどうなんだろ?」

マミ「確かに、ちょっと興味があるわね」

さやか「よーし、それならさっそく変身だー! いくよー、ほむほむ」

ほむら「ほむっ!ほむむむむっ!ほむむぅぅぅぅぅ!」

マミ「…なにか嫌がっているように見えるけれど、どうしたのかしら?」

まどか「ええと…、わたし以外と変身するのはお断りだって」

さやか「なんだとー! このやろー、まどかはよくてあたしはダメとはどういう了見だー!」

ほむら「ほむほむ」

まどか「なんか乱暴に扱われそうだって。ついでに抱きつきたくないって言っている」

さやか「こ、この…。かわいいのにかわいくねー!」

マミ「まあまあ美樹さん落ち着いて。ほむほむもちょっとだけだから、ね?」

まどか「わたしからもお願い、ほむほむ。何が起こってるのか知りたいし…」

ほむら「ほむぅ…」

まどか「頑張って、一回だけなら我慢するって」

さやか「あたしが何したっていうのよ…ううう」
63 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:00:21.65 ID:N3Zv0Knh0
まどか「うーん、変身できなかったね」

さやか「ていうか、ほむほむが変身する気なかったんじゃないの…?」

ほむら「ほむほむほむほむ!」

まどか「失礼な。やると決めた以上、嫌でもキッチリと役目は果たすって、ほむほむが」

さやか「何であたしはそんなに嫌われているのよ…」

マミ「一応私とほむほむや、私のジェムで鹿目さんが変身できるかどうか試してみたけど…。
   結局、変身が出来たのは鹿目さんとほむほむの組み合わせだけだったわね。

さやか「うーん、なんでまどかだけ変身できるんだろ?
   もしかして、まどかには特別な力があるとか?」

ほむら「ほむっ?!」

QB「たしかにまどかには魔法少女として物凄い才能がある」

まどか「わたしに…才能?」

マミ「そうなのQB?」

QB「うん。僕が見てきた中では一番の才能だ。
   ただ、それとこの件となにか関係があるとは思えないな」

さやか「結局、理由はわかんないままかー」

QB「ところで二人とも」

まどさや「?」

QB「色々あって話があって後回しになってたけど、頼みがあるんだ」

ほむら「…!」

QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
64 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:02:21.91 ID:N3Zv0Knh0
ほむら「ほむっ!ほむっ!ほむっ!ほむっほむっほむっほむっ!」

さやか「うおっ、ほむほむどうした?!」

まどか「ええと…、あの…」

マミ「鹿目さんでも、わからないことを言っているのかしら?」

まどか「いや、あの…その…」

さやマミ「?」

まどか「とても口には出せないことを…」

さやマミ「…」
65 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:04:03.90 ID:N3Zv0Knh0
まどか「ああ、だめだよ!ほむほむ、そんなこと女の子が言っちゃ!」

さやか「…ほむほむは、キュウベエのことが嫌いなのかねー?」

マミ「キュウベエもほむほむに攻撃されたって言ってたから、そうなのかもしれないわね」

QB「ところで話を戻していいかい?」

さやか「ああ、ごめんごめん。で、契約だっけ?」

ほむら「ほむほむほむほむほむほむほむほむほむほむ!」

まどか「わわわ」アセアセ

マミ「…中々話は進みそうにないわね」
66 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:06:29.21 ID:N3Zv0Knh0
―帰り道―

ほむら(結局、まどかはあの場ではQBとの契約はしなかった)

ほむら(契約しなくても変身できるし、強く叶えたい願いもないから当然と言えば当然ね)

さやか「にしても魔法少女かー」

まどか「…マミさんはずっと一人で戦ってたんだね」

さやか「まどかはどうするの。キュウベェとちゃんと契約して魔法少女になる?」

まどか「うーん、でももう変身できるし、叶えたい願いも見つからないよ」

さやか「えー、でもせっかく何でも一つ願いが叶うのに、それって勿体なくない?」

ほむら「ほむほむほむ」

さやか「ほむほむは何だって?」

まどか「魔法少女になった時点で、普通の人間としての幸せは無い。
    勿体ないとか、そんな気持ちでなるものじゃないって」

さやか「まあ、一つ願いを叶えるから、そのかわりあんな化け物と戦うってのはちょっとねー」

まどか「うん…。でも…」

さやか「?」
67 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:08:09.31 ID:N3Zv0Knh0
さやか「ところでさ、ほむほむはどうすんの?」

まどか「あ、そういえばそうだね」

さやか「一応、元々は人間らしいけど、住んでいる家とかあるの?」

まどか「そうなの、ほむほむ?」

ほむら『ええ、大丈夫よ。
    一人暮らしだから、この体の説明もする必要はないし。特に問題無いわ』

まど「ってええっ! 一人暮らし?!」

さや「ど、どうしたのまどか?」

まど「ほむほむが一人暮らしだから何の心配もないって…」

さや「はぁ?!そんな体で一人暮らしってできるわけないじゃん!」

まど「そうだよ、ほむほむ!そんなの無理だよ!」

ほむ『心配いらないわ。
   今までだって一人でやってきたし、何とかしてみせる』

まど「…」
68 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:09:17.38 ID:N3Zv0Knh0
まどか「…ねぇ、ほむほむが良かったらでいいんだけど」

ほむら「ほむ?」

まどか「わたしの部屋に、一緒に住まない?」

ほむら「ほむっ?!」
ほむら(まどかに部屋に?!)
69 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:11:50.09 ID:N3Zv0Knh0
さやか「そーだ!それがいいよ。絶対に一人じゃ無理だって」

まどか「体が小さいから、お父さんやお母さんにも見つからないと思うし。ご飯も用意できるか
    ら、ね?」

ほむら『い、いえ。そこまで迷惑かけるわけにはいかないわ』

さやか「それにさー。魔女だっけ?あんなのが街をうろうろしてるんだからさ。
    何かあった時のために、ほむほむはまどかの傍にいたほうがいいと思うんだよね」

まどか「ほむほむがいないと、わたし変身できないしね」

ほむら「ほむむむむむ…」
ほむら『貴方をこれ以上危険に巻き込むわけには…』

さやか「何だって?」

まどか「わたしをこれ以上に危ない目に合わせるわけにはいかないって」

さやか「だったらさ、なおさらまどかの傍にいてあげてよ。魔法少女になれば、少なくとも逃げる
    ことはと思うしさ」

さやか「お願い。まどかを守ってあげてよ、ほむほむ」
70 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:13:42.47 ID:N3Zv0Knh0
まどか「さやかちゃん…」

ほむら(美樹さやか…)

まどか「ほむほむ、私からもお願い」
まどか「何でも一人でできるのかもしれないけど、それってすごく大変だと思うんの」
まどか「だから、そんな体になった時くらい誰かに迷惑かけても、バチは当たらないと思う」
まどか「こんな私だけど…、少しでも頼ってくれると、ちょっと嬉しいな」

ほむら『まどか…』

ほむら「…」
71 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:14:38.68 ID:N3Zv0Knh0
ほむら『…本当に、お邪魔していいのかしら?』

まどか「! うん!大歓迎だよ、ほむほむ!」

さやか「そうそう。魔法少女のマスコットはいつでも一緒にいる物なんだからさ!」

まどか「もー、さやかちゃん。ほむほむは人間なんだから、マスコットは失礼だよ」

ほむら『別にかまわないわ』

さやか「ほむほむ言ってて、かうぃーやつめー」ウリウリ

ほむら『前言撤回するわ。止めて頂戴』

まどか「あはは…」
72 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:15:35.85 ID:N3Zv0Knh0
ほむら(美樹さやかの言うことにも一理ある)

ほむら(今の私にまどかを守る力がない以上、万が一のためにいつでも傍にいるべきね)

ほむら(それに近くにいれば、キュウベエの勧誘を追い払うこともできるわ)

ほむら(……)

ほむら(…)

ほむら(まどかと同棲…、まどかと同棲…)ホムホム
73 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:18:45.39 ID:N3Zv0Knh0
―まどか部屋・夜―

まどか「いらっしゃい、ここがわたしの部屋だよ。ほむほむ!」

ほむら『ありがとう、お邪魔するわ』

ほむら(まどかの部屋…)
ほむら(外から見たことは多々あったけど、入るのは本当に久しぶり…)
ほむら(今日からここでまどかと…)ホムホム

まどか「ちょっと散らかってて、ごめんね」

ほむら『かまわないわ、急にお邪魔しなければならなかったのだし。
    それに片付けなら手伝うわ。しばらく居候させてもらう身なんですもの』

まどか「ありがと。でも無理しないでね。大きいものとかは自分でやるから」

ほむら『ええ』

ほむら(まどかの下着はどこにあるのかしら)
ほむら(それに私物のチェックも必要ね)ホムホムホム
74 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:20:45.61 ID:N3Zv0Knh0
―数分後

ほむら『だいぶ片付いたわね』

まどか「ごめんね。手伝わせちゃって」

ほむら『気にする必要はないわ』
ほむら『こちらも有益な情報が得れたし』

まどか「?」

ほむら『何でもないわ。気にしないで』

まどか「それならいいんだけど…。あ!」

ほむら『どうしたの? まどか』

まどか「ほむほむ、着替えはどうしよう…」

ほむら『着替え?』

まどか「うん。いつまでもその恰好のままじゃ汚れちゃうでしょ?」

ほむら『ああ、それなら大丈夫』
ほむら『魔法少女の衣装は汚れないから、いつまでも着ることができるの』
ほむら『まあ、同じ服をずっと着ているっていう感覚は、気持ちのいいものではないけれど』
75 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:22:46.53 ID:N3Zv0Knh0
まどか「そういえば、ほむほむはずっと魔法少女の姿をしているね」

ほむら『この姿だと、変身していないと行動するのが大変になるの』
ほむら『魔法少女の身体能力じゃなければ、外を歩くのも苦労したわ』

まどか「じゃあ、私の部屋くらいは元の姿に戻ったらいいんじゃないかな?
    危険はないし、何か行きたい場所があったらわたしが運んであげるよ!」

ほむら『そこまで迷惑かけるわけには…』

まどか「いいのいいの。気にしないで!」
まどか「それにここはしばらくはほむほむの家になるんだから、ちゃんと休まないとだめだよ?」

ほむら『そういうのなら…』シュン

まどか(え…? 病院の服?)

ほむら『…やっぱり、元の姿だと行動がだいぶ制限されるわね』

まどか「あの…、ほむほむ? その服は?」

ほむら『…あ』
76 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:25:16.72 ID:N3Zv0Knh0
ほむら(しまった…。着替えがなかったから、病院服のまま…)

まどか「もしかして…、ほむほむって小さくなる前はどこか体が悪かったの?」

ほむら『心配はいらないわ。大した病気じゃないの』

まどか「でも入院してたんでしょ。無理しちゃだめだよ!」

ほむら『魔法少女なら、魔法で体も強化できる』
ほむら『それに病気と言ってももう退院を待つだけだったの。大丈夫よ』

まどか「ほむほむ…、でも…」

ほむら(余計な心配をかけせてしまったようね…)
77 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:27:27.09 ID:N3Zv0Knh0
ほむら『まどか』

まどか「うん?」

ほむら『そんなに心配をしないで。確かに小さくなったことは大変だけど、それ以外のことは以前
    と同じ。自分の体のことはよくわかっているの。大丈夫よ』
ほむら『それに今の私には、あなたがそばにいてくれるだけでも十分ありがたいわ』

まどか「…えへへ、こんなわたしでも役に立てているなら嬉しいな」

ほむら『あまり自分を卑下しないで。その優しさは人に自慢出来るものよ』

ほむら(そう…、あなたは他人に優しすぎる)
ほむら(だからあなたは必ず…)
78 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:30:14.76 ID:N3Zv0Knh0
まどか「でも、いつまでもその服じゃ大変だよね」

ほむら『私はかまわないわ。この体で着れる物があるだけ、マシというものよ』

まどか「そういうわけにも…、あ、そうだ」

ほむら『?』

まどか「たしかここに…」ゴソゴソ

ほむら『??』

まどか「よかった、まだ捨ててなかった! はい、ほむほむこれ!」
79 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:32:11.94 ID:N3Zv0Knh0
ほむら『これは…、人形の服?』

まどか「うん。小さいころ遊んでいたお人形さんの服!
    もしかしたら…って思ったんだけど、これ着れないかな?」

ほむら(まどか…、やっぱり優しいわ)
ほむら(こんな私に、何かできるわけないのに、こんなにも気を使ってくれる)
ほむら(まどか…ありがとう)

ほむら(…でも、これは…)
80 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:34:30.37 ID:N3Zv0Knh0
ほむ『…あの、まどか』

まど「どうしたの? ほむほむ」

ほむ『さすがに、その、これは…』

まど「?」

ほむ『この年齢で着るのは、恥ずかしいというか…』

ほむ(というか、昔テレビでやっていた本物の魔法少女の衣装…。なんでこんな服だけ残っている
   というの?!)
81 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:35:36.14 ID:N3Zv0Knh0
まどか「えー、でもほむほむは可愛いからきっと似合うよ!」

ほむ『…か、かわいい?』

まど「うん!美人さんだし、黒髪だし!あ、そうだ確かこっちにも」ゴソゴソ

ほむ『ま、まどか…?』

まど「やっぱり、これもまだあった!あ、これも!」

ほむ(ひっ…、な、なんであんな衣装がぞろぞろと?!)

まど「うん、こっちも着れそうだね!」

ほむ『…』コソコソ
82 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:36:57.16 ID:N3Zv0Knh0
まどか「…ほ〜む〜ほ〜む?」

ほむら『!』ビクッ

まどか「さー、お着替えしましょうね」ニコニコ

ほむら(い、いやぁぁぁあぁぁぁ!)
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/24(日) 23:36:59.88 ID:/4/M7uWyo
開き直ればイィのに・・・・・。
84 :1 [saga]:2011/07/24(日) 23:38:53.81 ID:N3Zv0Knh0
今日はここまでです。

またも名前の直しが忘れている個所があり、申し訳ない…。

お泊り初日編はあと一回くらい続く予定です。

後、忘れてました。レスありがとうございます。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 23:40:09.87 ID:reEP2eVHo
おつかれさん
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/24(日) 23:40:36.36 ID:/4/M7uWyo
お疲れ様でした
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/24(日) 23:41:09.54 ID:8ijwSARxo
シルバニアほむほむ乙
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/24(日) 23:49:59.99 ID:Urjac7iAO
乙っちまどまど!
ほむほむ可愛いよ
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 00:00:35.33 ID:sHaKaNdSo
乙ほむ
ほむほむがほむほむしてほむほむ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/25(月) 00:28:04.54 ID:PCNeoZeio
乙っちほむほむ!
もうほむほむしか見えないほむほむ
91 :1 [saga]:2011/07/25(月) 01:34:09.48 ID:qsafIlSE0
すみません。色々試しているのですが読みにくくはないでしょうか…。

できましたら、ご意見お願いします。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/07/25(月) 01:57:27.23 ID:MnBZ/Lfxo
乙 ちっちゃい人かと思ったが別の人か
まどかのなら何でも喜ぶかと思ったらまだまだ羞恥心あるほむほむ可愛いw

試してる箇所がわからないけど、
読み易いし括弧の使い方がうまいなと思った
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/25(月) 19:49:58.40 ID:C2R0WusAO
特に問題ないよ
それよりほむほむの容姿はリカちゃん系のスラっとした感じなのか、キユーピー系のデフォルト化した感じなのか、それが気になる
後者だと嬉しいなって
94 :1 [sage]:2011/07/26(火) 18:38:01.90 ID:H1MbmiIa0
>>92
行間とかちょっと色々やってみています。
全部一行ずつ開けるのではなく、同じキャラの文章は繋げてみるとか。

>>93
あまりはっきりとは決めてませんが、一応マスコット扱いなのでそれなりに頭身は縮んでいると考えてください。ほむらちゃんは足が長いので、そのままだとマスコットに見えないので…。

次の投下は、木曜日か金曜日のつもりです。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/26(火) 19:31:22.51 ID:eGlN6Xh1o
乙っちまどまど!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/28(木) 18:47:28.91 ID:YzEvOs00o
しいて言えば、

ほむら「ほむほむ」
ほむら「ほむぅ」
ほむら「マドカァ…」

まどか「ホムラチャン!」

より

まどか「まどまど〜♪」
    「まどぉ」
    「ホムラチャン!」

ほむら「マドカァ!」

のほうが個人的には見やすい
97 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:07:14.42 ID:4pVNOdv80
>>96
ご意見ありがとうございます。参考にさせてもらいます。

続きを投下します。
98 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:08:19.55 ID:4pVNOdv80
ほむら(結局、いろんな服を着せられて、まどかの玩具にされてしまったわ…)
   (けど、まどかのおもちゃにされるというのもこれはこれで)

まどか「うん! これで着るものはなんとかなりそうだね!」

ほむら『…あれを着て、外に行きたくはないわね』

まどか「えー、でもかわいかったよほむほむ♪」

ほむら『私は恥ずかしかったわ…』

まどか「うーん。でも魔法少女の服装もあまり変わらないと思うんだけど…」
   「というか、いま思い出すと結構恥ずかしいよ」///

ほむら『…そうね。慣れって恐ろしいわ』
99 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:10:18.85 ID:4pVNOdv80
まどか「これで、あとの問題は食事だけだね」
   「お夕飯の残りでよければ、私が隠れて持ってきてあげる」

ほむら『何から何までごめんなさい…』

まどか「いいんだよ。困ったときはお互い様だし」
   「それに今日は命を助けてもらったんだから、そのお礼!」

ほむら『まどか…』

まどか「あ、もうこんな時間。遅くなっちゃったね」

ほむら『そうね。今日は色々あったもの』
   『まどか、貴方は明日も学校があるのでしょう? 早く休みましょう』

まどか「うん、でもその前にお風呂入らなくちゃ!」

ほむら『そうね。埃っぽいところを歩いていたのだし、汗も流すべきね』

まどか「うん。それじゃあいこ!」

ほむら『ええ。行ってらっしゃい』
100 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:11:19.51 ID:4pVNOdv80
まどか「え?」

ほむら『…?』

まどか「やだなぁ、ほむほむ。なにいってるの?」



まどか「ほむほむも一緒に入るんだよ?」


101 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:12:40.70 ID:4pVNOdv80
ほむら「ほむっ?!」
    (な、なななななななななんんですって―?!)

ほむら『そそそそそそそ、それには及ばないわ!』

まどか「でもその体じゃ、一人でお風呂入るの大変だよ?」
    「湯船が大きいから、溺れちゃうかもしれないし。お湯を汲むのだって…」

ほむら『だだだだだだ大丈夫よ! 魔法少女に不可能はないわ!それくらい何とか…』

まどか「それくらいで、魔法を使うのはもったいないよ…」

ほむら『あ…あう…』

102 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:14:09.81 ID:4pVNOdv80
まどか「…ねぇ、ほむほむ」

ほむら『…何かしら?』

まどか「わたしとお風呂に入るの…、そんなにいや?」

ほむら『そ、そういうわけじゃ…』

ほむら(逆にどうにかなりそうだわ…)

まどか「よかった、じゃあ入ろ! お母さんたちに見つかったら大変だから、慎重にね」ヒョイ

ほむら『は、はい…』ドキドキ
103 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:15:16.53 ID:4pVNOdv80
―風呂上り

ほむら(まどかと遂に一緒にお風呂に入ってしまった…)
    (今日のことは脳と心に刻み込むわ)

まどか「さっぱりしたね! ほむほむ」

ほむら『ええ、そうね。手伝ってくれてありがとう』

まどか「へへ、どういたしまして♪」

ほむら(後顧の憂いも洗われたわ)

まどか「じゃあ、寝ようか。はい、ほむほむはここ」ポンポン

ほむら『…』

まどか「あしたはちゃんと寝れる場所作るから、今日はここで」
    「わたし、寝相はいいから、たぶん潰さないとは思うんだけど…」

ほむら『お邪魔します…』ゴソゴソ

まどか「うん。それじゃあおやすみ」

    カチッ

ほむら『おやすみなさい、まどか』

まどか「…」

ほむら『…』
104 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:16:21.89 ID:4pVNOdv80
ほむら(体が小さくなって、一度は絶望したけれど)

    (こうしてみると、悪いことばかりでもなさそうね)

    (何より、24時間まどかの護衛につくことができるのが大きい)

    (問題はこの状態でワルプルギスとどう戦うかということだけど…)

    (それにはこれまで以上に、戦力を集める必要がある)

    (巴マミや、佐倉杏子とどうにかして同盟を結ばないと…)
105 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:17:09.34 ID:4pVNOdv80
まどか「…ねえ、ほむほむ?」

ほむら『…まだ起きていたの、まどか? 明日も早いのでしょう?』

まどか「うん。そうなんだけど…、ちょっと聞きたいことがあって」

ほむら『?』

まどか「ねぇ、ほむほむは、本当はなんて名前なの?」
106 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:18:01.59 ID:4pVNOdv80
ほむら『…名前?』

まどか「うん。だってほむほむは、本当は普通の女の子だったんでしょ?」

まどか「『ほむほむ』っていうのは私たちが勝手につけちゃった名前だから、
     本当の名前、聞きたくって」
107 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:19:50.06 ID:4pVNOdv80
ほむら『…』


ほむら『ほむほむでいいわ』

まどか「え…?」

ほむら『今の私は、人間でも何でもない、ただの無力な生き物ですもの』

まどか「そんなこと…」

ほむら『あなたもわかっているでしょう。
    今日一日、貴方がいなければおそらく私はこうしてベットで寝ることもできなかった』     『今の自分のこの状況を、ちゃんと認識していたいの。一人じゃ何も出来ない身だって』
    『…ごめんなさい。だから、名前はしばらく聞かないで。ほむほむで通してほしい』

まどか「…うん、わかった」

ほむら『そんな顔しないで、ほむほむという名前は気に入っているわ』
    『助けてくれた恩人の、貴方達がつけてくれた名前ですもの』

まどか「…うん、そういってもらえるなら嬉しいな」
108 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:21:44.77 ID:4pVNOdv80
※訂正

ほむら『…』



ほむら『ほむほむでいいわ』

まどか「え…?」

ほむら『今の私は、人間でも何でもない、ただの無力な生き物ですもの』

まどか「そんなこと…」

ほむら『あなたもわかっているでしょう。
    今日一日、貴方がいなければおそらく私はこうしてベットで寝ることもできなかった』
    『今の自分のこの状況を、ちゃんと認識していたいの。一人じゃ何も出来ない身だって』
    『…ごめんなさい。だから、名前はしばらく聞かないで。ほむほむで通してほしい』

まどか「…うん、わかった」

ほむら『そんな顔しないで、ほむほむという名前は気に入っているわ』
   『助けてくれた恩人の、貴方達がつけてくれた名前ですもの』

まどか「…うん、そういってもらえるなら嬉しいな」
109 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:23:16.40 ID:4pVNOdv80
ほむら(…これでいい)

    (いずれ私は、まどかの前から姿を消さなくてはいけない)

    (それだったら、一匹の奇妙な弱い生き物のままで、いい)
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/28(木) 19:24:09.70 ID:9UjHQHmPo
ほむほむ……
111 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:24:12.09 ID:4pVNOdv80
ほむら(…そう)
    (今の私は一人じゃ何もできない)
    (まどかを守ることも、魔女と戦うことも、ワルプルギスを倒すことも)
    (もう誰にも頼らない、そう決めた、けど…)

ほむら『…』

    『…ねえ、まどか』

まどか「ん?」

ほむら『少し話しておきたいことがあるの』
    『あなたを巻き込んで傍にいさせてもらう以上、話す義務があると思うから』

まどか「なあに、ほむほむ?」



ほむら『私が…、魔法少女になった理由』
112 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:25:41.80 ID:4pVNOdv80
   『私はね、あるものを守りたかったの』

   『それが好きで、大切で、ずっと幸せでいてほしいと思った』

   『そのためなら、どんな運命も受け入れようと思った』

   『その願いで、私は魔法少女になったの』
113 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:27:42.16 ID:4pVNOdv80
まどか「ほむほむは、なにかを守るために魔法少女になったんだね」

ほむら『ええ』

まどか「もしかして恋人かな?」

ほむら『さあ、どうかしら?大事な家族かもしれないし、生まれ育った街かもしれないわね』

まどか「うーん、そこは教えてくれないんだ?」

ほむら『恥ずかしいから。ここ先はノーコメントにさせてもらうわ』

まどか「えー、別にからかったりしないよ」

ほむら『ごめんなさい。でもこれは、私にとって大切なことなの』

まどか「魔女と戦うことになっても叶えたかった願いだもんね。しょうがないか」

114 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:28:36.38 ID:4pVNOdv80
ほむら『…鹿目まどか』

まどか「なあに?」

ほむら『これを聞いてもらったうえで、頼みたいことがある』



ほむら『貴方に、魔法少女として私と一緒に戦ってほしい』
115 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:29:20.83 ID:4pVNOdv80
ほむら『本当は私一人で、戦うつもりだった』

    『でも、今の私はこの通り、一人じゃ何も出来ない体』

    『このままじゃ、魔女と戦うことも、守ろうとしたものも守ることもできない』

    『だから、私の力を使える貴方に頼みたい』

    『私と一緒に戦って、その…、ほしいの』
116 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:30:18.18 ID:4pVNOdv80
まどか「…」

ほむら『もちろん、ずっととは言わない』

まどか「…」

ほむら『この体が元に戻るまで…、いえ、ある時期を過ぎるまででいい。
     おそらく一か月もかからない』

まどか「…」

ほむら『当然危険はある。そこは否定しない。
     でも、貴方に怪我をさせないように全力で尽くすわ』

まどか「…」

ほむら『だから、お願い。私と一緒に…』
ほむら(あなたの、残酷な運命を…)
117 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:31:56.43 ID:4pVNOdv80
まどか「…嬉しいな」

ほむら『…え?』

まどか「わたしね、自分に価値なんてないと思ってたの」

ほむら『そんなこと…』

まどか「ううん。私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とかなにもなくて」

ほむら『…』

まどか「やりたいこともなくて、特になにかできるわけでもなくて」

ほむら『…他人に、自分が何が出来るかを堂々と言える人なんて、早々いないわ』

まどか「うん。でもね、わたしは自分の中にもそれがなかったんだ」

ほむら『…そうなの』

まどか「でも、今日ね。魔法少女になって、さやかちゃんの抱えて逃げた時。
     初めて自分のやりたいことが見えたような気がしたの」
    「わたしがもし誰かを助けることが出来るのなら、それはとても嬉しいなって」
118 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:33:37.56 ID:4pVNOdv80
ほむら『…魔法少女は甘いものじゃないわ』

まどか「…うん」

ほむら『戦いは毎回命がけだし、そのまま命を落とすこともある』

まどか「うん。今日のを思い出してもなんとなくわかるもの」

ほむら『何となく、ではないわ。事実よ』

まどか「…うん」

ほむら『だからよく考えて。本当に貴方はそれでいいの?』

まどか「ふふ、変なの。ほむほむから誘ったのに、なんだか戦ってほしくないみたい」

ほむら『当たり前だわ。こんなこと頼むほうがどうかしている。
    それをわかっていて頼んでいるの』

ほむら『だから、これは私の勝手を押し付けているだけ』

ほむら『貴方が、私に気を使うことなんてこれっぽっちもないのよ?』

119 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:34:40.72 ID:4pVNOdv80
まどか「ううん。そんなんじゃないの。
     ほむほむが頼まなくても、きっとわたしのほうからほむほむに頼んでいたと思うし」

ほむら『まどか…』

まどか「それにね。怖いけど、でもそれ以上に頑張れるような気がするんだ」

ほむら『…どうして?』

まどか「だって、一緒に戦ってくれるんでしょ、ほむほむ」


ほむら(…!)


ほむら『…当り前よ』

まどか「うん。それならきっと、頑張れる」
120 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:35:30.87 ID:4pVNOdv80
ほむら『…ありがとう』


ほむら『安心して、私がいる以上、まどかには傷一つつけさせないわ』

まどか「あはは、やっぱり頼もしいな。…じゃあ、ほむほむ」

ほむら『…うん』

まどか「これから、よろしく!」

ほむら『ええ、よろしくまどか』
121 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:36:31.75 ID:4pVNOdv80
ほむら(今の私はまどかを守れない)

    (それはどうあがいても変えられない、純然たる事実)

    (でも、私の能力と、助言と、経験はまどかを守ることができる)

    (こんな状態になってもあきらめない)

    (絶対に、今度こそ、まどかを救ってみせる…!)
122 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:37:13.84 ID:4pVNOdv80
まどか「ねぇ…ほむほむ?」

ほむら「ほむ?」

まどか「わたしね。昨日、あなたの夢を見たの」

ほむら「ほむ…」

まどか「あなたが、なにかと戦っている夢」

ほむら「…」

まどか「もしかしたら、あれって正夢だったのかな?」

ほむら「ほむ…」

まどか「もし、ほむほむもなにかと戦っているなら、話して」

ほむら「…」

まどか「わたし、力になりたいの。頼りないかもしれないけど」

ほむら「…」

まどか「おやすみ、ほむほむ」

ほむら「…ほむほむ」
123 :1 [saga]:2011/07/28(木) 19:39:19.81 ID:4pVNOdv80
今日はここまでです。

次は日曜日くらいになると思います。
途中の改行ミス、大変失礼しました。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 20:00:17.97 ID:Eeckyqoso
乙ほむ
ほむらちゃんは自分でほむほむ言ってて恥ずかしくないのん?
125 :NIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 20:34:58.76 ID:wo8CZ5wEo
乙まど

>>124
多分会話の後、ベッドの中で「自分のことほむほむって…」って1人自己嫌悪してるのさ
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/28(木) 20:38:45.46 ID:8U7hYS4vo
冒険遊記プラスターほむら的な
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/28(木) 20:43:03.30 ID:NOip1v/AO
乙…だけど、
なぜお風呂シーンがないんだぁ!!!!!
128 :1 [saga]:2011/07/28(木) 20:45:57.14 ID:4pVNOdv80
>>124
一応、ほむらちゃんは現在「ほむほむ」としか喋れない身なので、
口に出している場合は「」、念話は『』で表現していたのですが、わかりにくかったでしょうか?

最後は、念話での相槌が自然と声に出ていると考えてください。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/07/28(木) 21:11:31.73 ID:3eC/NhWjo
乙ほむほむ可愛いな
お風呂シーンカットかよーwwサイズ的に風呂桶に浸かる状態かなw
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/28(木) 21:25:48.01 ID:9UjHQHmPo

ほむほむが健気すぎてほむほむほむほむ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/28(木) 22:46:16.89 ID:fJlPTQXdo
乙っちまどまど!
切ないねぇ……
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/29(金) 05:45:05.50 ID:8tiNCv540
ミニイカ娘的なイメージだな
133 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:20:47.96 ID:xegW7lXz0
ご感想ありがとうございます。

続きを投下します。
134 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:22:53.12 ID:xegW7lXz0
―翌日 学校―
さやか「それじゃあ、まどかは魔法少女になることにしたんだ?」

まどか「うん。色々考えたけど、やっぱりほむほむやマミさんの手伝いをしたいって思ったの」

さやか「そっかー。じゃあ、まどかもあの変なのと戦うんだよね…」

まどか「あ、でもね。当分は見習いだって」

さやか「へ?なんでまた」

まどか「えっとね、
    『いきなり実践は早すぎる。巴マミの戦いを見たり、練習してからにしましょう』
    ってほむほむが」

さやか「はー。厳しいねーほむほむは」

まどか「そんなことないよ。むしろ危なくないように、大事にしてもらっている感じだよ」

さやか「まぁ、まどかだしねー。なーんか、肝心な時にドジ踏みそうだから、わたしとしてもそっ
     ちのほうが安心かなー」

まどか「さやかちゃん…ひどい…」

さやか「あっはっはっは、ごめんごめん」

まどか「ううう…」
135 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:24:11.86 ID:xegW7lXz0
さやか「わたしもいきなり戦うのは反対。マミさんに頼んでみようよ。
     わたしも一緒にいってあげるからさ」

まどか「うん。ありがとうさやかちゃん」

さやか「ところで、その肝心のほむほむは? おうちでお留守番?」

まどか「あ、ほむほむならここに…」ガサゴソ


―鞄の中

ほむら「ほむ」チンマリ
136 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:25:58.16 ID:xegW7lXz0
さやか「同伴かよ!」

まどか「だって、なにかあってもすぐに対処できるように、ついてくるって聞かなくって…」

ほむか「ほむほむ」

さやか「しかも何かドールハウスみたいなのが入っているし!」

まどか「うん。むかし遊んでたドールハウスをバックに入れてみたんだ。
    そのままだと息苦しいし、少しは快適になるかと思ったんだけど…」

さやか「道理で、いつもより大きなバッグ使ってるわけだ…」

まどか「あ、でも重くはないよ。
     魔法で、体も強くしてもらってるから」

さやか「…なーんか魔法の無駄使いしてるような気がするなー」

まどか「わたしもそう思うんだけど、ほむほむが迷惑はかけられないって…」

ほむら「ほむほむ」
137 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:28:15.21 ID:xegW7lXz0
さやか「おいこら、ほむほむ。授業中に騒いだりして迷惑かけるんじゃないぞ」

仁美「あら、さやかさんまどかさん、おはようございます」

まどか「あ、仁美ちゃんおはよう」

さやか「そういうことだからね、あんたは変な生き物なんだから節度を守ってキッチリと…」

仁美「…?さやかさん、誰と話してますの?」

さやか「え?あ、い、いやー、何でもないよ。ねー、まどか?」

まどか「う、うん」

仁美「?」

ほむら「…」シーン

さやか『ちゃんとそこらへんはわきまえているみたいね…』

まどか『ほむほむは頭がいいから、そのくらい言わなくても大丈夫だよ、さやかちゃん』

さやか『ホントかな…』
138 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:29:09.31 ID:xegW7lXz0
―数学
先生「では、この問題は…鹿目さんお願いします」

まどか「ふぇっ?! あ、あの…」

ほむら『ほむほむ』

まどか「あ、あの、y=2x+6です…」

先生「はい正解です。では次は…」

まどか『ふぃー、ありがとね。ほむほむ』

ほむら『ほむ』

さや『…』
139 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:29:43.85 ID:xegW7lXz0
―英語
先生「では、この訳は鹿目さんで」

ほむら『ほむほむほむ』

まどか「えっと…×××は***の△△△にした、です」

先生「はい。ここの構文は…」

まどか『分からなかったから、助かったよほむほむ』

ほむら『ほむ』

さやか『…』
140 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:30:13.64 ID:xegW7lXz0
―体育
先生「鹿目さん?!いつの間にそんなに足が速く?!」

まどか「あ、あははー…」

さや「…」
141 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:30:58.91 ID:xegW7lXz0
―昼休み―
さやか「ていうか、ほむほむまどかに過保護すぎ!」

ほむら「ほむっ?!」

まどか「さ、さやかちゃん声が大きいってば…」

さやか「いやいや、いくらなんでもバックアップしすぎだってば」

まどか「『迷惑かける以上、これくらいは当然よ』って聞かなくて…」

さやか「にしても、あんた頭良かったのね…」

まどか「そうだね、びっくりしちゃったよ。鞄に隠れてるから、黒板とか見えてないはずなのに」

ほむら「ほむほむ」

さやか「むー、これが魔法少女のマスコットの底力か」

まどか「あんまり、関係ないと思うけど…」

ほむら「ほむほむ」モグモグ

さやか「ねー、ほむほむ。良かったらアタシにもアドバイスを…」

ほむら「ほむほむむ」

まどか「『通訳しなくちゃいけないからまどかの迷惑になるし、何より面倒だわ』だって」

さやか「へいへい、予想できてましたよ…」

ほむら「ほむ」

まどか「『わかっているのなら。無駄な質問しないで』だって」

さやか「うがー、腹立つ―!ていうか、まどかも一々翻訳するなー!」
142 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:32:31.04 ID:xegW7lXz0
マミ「二人ともここにいるのかしら…」

さやか「あ、マミさんだ。マミさんー、こっちですー!」

マミ「ああ、よかった。見つけられて。あら、ほむほむもいるのね」

まどか「はい。何かあった時のためにって、できるだけ一緒にいるようしているんです」

マミ「鹿目さんは一人で変身できないものね。良い判断だと思うわ」

さやか「それがマミさん聞いてくださいよー、こいつったら酷いんですよー!」


ほむら「ほむほむ」

まどか「あ、お茶欲しいの? はい」

ほむら「ほむ」クピクピ

まどか「どういたしまして♪」

マミ「ふふっ、こうして見るとかわいいわね」

さやか「マミさん!騙されちゃいけません!こいつとんでもなく性悪ですよ!」

マミ「あらあら」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/31(日) 15:35:55.59 ID:DaQ5CZlHo
満喫してんなあほむほむ
144 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:36:39.34 ID:xegW7lXz0
―説明終了―
マミ「それじゃあ、鹿目さんは魔法少女として魔女と戦うことにしたのね?」

まどか「はい。マミさん、よろしくお願いします」

マミ「ええ、こちらこそよろしくお願いするわ」


まどか「でも、ほむほむがいうには、まだ実戦には早いって」
     だから、しばらくはさやかちゃんと同じく見学ってことで…その、いいですか…?」

マミ「ええ、それは構わないわ。というより、私もそれを提案しようと思っていたの」

まどか「そうなんですか?」

マミ「ええ、そうよ。しばらく様子を見ましょうってね」

さやか「よかったぁ…。二人なら魔女退治も楽になるから、てっきり、すぐにでも戦ってもらうの
    だと思ってましたよ」

まどか「でも、どうして…?」

さやか「もしかして、まだ力不足だから前線には出せないとか、そういうやつですか?」

マミ「ええ。それもあるのだけれど…」
145 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:39:15.45 ID:xegW7lXz0
マミ「…鹿目さん。今のあなたは魔法少女の力を持っているけれど、でもそれは正規の流れを踏ん
    でなったわけじゃない、言わば特別な存在だわ」

まどか「はい」

マミ「だから、出来るだけ慎重になるべきだと思うの。何が起きるかわからないから、変身も今は
    まだできるだけ控えたほうがいいと思うわ」

まどか「ほむほむもそう言ってました。マミさんには負担をかけるけど、それが良いって」

マミ「あら、私と同じ意見なのね。そうなの、ほむほむ?」

ほむら「ほむ」

まどか「『迷惑かけるけど、まどかを守ってほしい』ってほむほむが言ってます」

マミ「ええ、引き受けるわ。かわいい後輩ですもの」

まどか「ありがとうございます!マミさん!」
146 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:41:29.41 ID:xegW7lXz0
さやか「うーむ。こんな見た目でも頭は良くて、しかもベテラン魔法少女。ギャップ萌えってやつ
    ですな」

マミ「本当。実力は相当なものだと思うわ。
    これで、私たちと同じ大きさなら、とても頼りになると思うのだけれど…」

まどか「…ううう、頼りなくて済みません…」

マミ「え?あっ、ち、違うのよ?鹿目さんが頼りないとかそう言いたいんじゃないの。
    ただ、ほむほむが仲間になってくれるなら、心強いって話で…」


QB「僕はどうかと思うけどね」

さや「あ、キュウベエ」

ほむ「ほむっ!」
147 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:43:10.36 ID:xegW7lXz0
QB「前にも言ったけど、僕は彼女と契約した記憶がない」
 「それに、そんな変な姿になっているんだ。一応、警戒はしておくべきだと思うよ」

ほむら「ほむむむむむ…」

マミ「こら、キュウベエ。言いたいことはわかるけど、本人の前で言うことじゃないわよ」
  「それに、この子は自分の身を顧みず、鹿目さんや美樹さんを守ろうとしたじゃない」
  「少なくとも、そういう気持ちを持った子ってことは間違いないと思うけど」

さやか「そうだぞ、キュウベエ。あまり疑り深いと女の子にもてないぞー」

QB「やれやれ、僕は現実的な話をしているんだけどね」
 「まあ、何はともあれ、そんな体じゃあまり害がないのもまた事実だ」
 「そこらへんの判断はマミにまかせるよ」

マミ「QB、彼女はもう仲間よ。慎重なのもいいけど 少しは信頼してあげなさい」
  「そんな態度なら、ご飯抜きも考えなきゃならないわね♪」
148 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:45:07.12 ID:xegW7lXz0
QB「まったく、わけがわからないよ」

マミ「ふふふ、拗ねないの。さ、お昼を食べちゃいましょう」

さやか「おお、そうそう!早く食べないと」モグモグ

まどか「わたしも…」ムグムグ

ほむら「ほむほむ」


ほむら(巴マミとの協力関係は上手くいきそうね)

    (今の私一人じゃ、まどかを守りきれないかもしれない。そのため彼女の存在は心強いわ)

    (もしかしたら、もっと早くこうするべきだったのかも…)
149 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:47:14.16 ID:xegW7lXz0

―「ソウルジェムが魔女を産むなら―!」 ―


ほむら(…大丈夫)
    (今日明日で訪れる場面じゃない)

    (上手く隠し通せれば、回避できるはずだわ…)

    (現状を把握しなさい。暁美ほむら。今の私は無力なんだから、出来るだけ多くの人の協力
     を得ないといけない)

    (そのためには、多少のリスクには目をつぶらないと…)
150 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:48:17.85 ID:xegW7lXz0

―「嫌だぁ…もう嫌だよ、こんなの…」―

ほむら(…でも)

    (まどかに何か危害が及ぶようなことになるなら…)

    (そのときは…どうしたら…)


マミ「じゃあ二人とも。また放課後にね」

まどさや「はい、マミさん!」

ほむら「…ほむ」
151 :1 [saga]:2011/07/31(日) 15:49:44.91 ID:xegW7lXz0
少々短いですが、今日はここまでです。

次は水曜日か木曜日あたりに投下の予定です。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 15:50:27.36 ID:rmmtGj3e0
10話のあの場面はほむほむにとってトラウマになってるようだな・・・そりゃなるわなぁ・・・
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 15:57:00.10 ID:P2rfY+uco
乙ほむ
翻訳のおかげでキツくなりがちな言葉にもフィルターが
まどかが戦うってリスクを除けば色々うまくいきそうほむ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/31(日) 16:01:53.45 ID:DaQ5CZlHo
ほむ乙
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/31(日) 18:02:21.40 ID:wi8PMOVto
ほむほむが可愛すぎてヤバい
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/07/31(日) 18:35:16.10 ID:wMRtiwqyo

まどかからのお茶、ペットボトルの蓋をコップに飲んでるほむほむ想像してしまったww
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/31(日) 21:24:35.44 ID:cq+fDNlAO
>>156
ほむほむ可愛いよほむほむぅ〜
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/01(月) 02:31:03.65 ID:Uc6h7vODo
乙っちまどまど!
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/01(月) 17:52:11.66 ID:xTJh049Io
ほむほむ
ねんどろいど位の大きさ、という認識で良いのかな
160 :1 [sage]:2011/08/02(火) 18:41:01.78 ID:KAKZF6ct0
>>159
ほむらはwwのファングメモリみたいなものなので、そのくらいです。

やはり、投下は水・木曜日あたりにになりそうです。
161 :1 [sage]:2011/08/02(火) 18:42:09.21 ID:KAKZF6ct0
失礼、Wでした。

何故二つに…。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/02(火) 21:16:45.37 ID:jUp8YfJXo
メ欄にsaga入れないとwwが2つ分になる仕様です
163 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:34:15.67 ID:Z8MjpLZz0
>>162
ありがとうございます。今後は気を付けなければ…

投下します。
164 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:36:37.52 ID:Z8MjpLZz0
―帰宅 まど部屋―
まどか「はー、やっぱりすごかったなぁマミさんは…」

ほむら『そうね。さすが長年魔法少女を続けているベテランなだけはあるわ』

まどか「わたしも、あんな風に戦えるようになるのかな?」

ほむら『戦い方は人それぞれよ。自分の能力にあった戦法をとるのが一番ね。
     まどかには、わたしに近い戦闘スタイルをとってもらうことになると思うけど…』

まどか「そうなんだ。そういえば、ほむほむはどんなふうに戦うの?」

ほむら『そうね。いい機会だし、わたしの魔法少女としての力について説明しておきましょうか』
165 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:39:43.82 ID:Z8MjpLZz0
―説明終了
まどか「…あんまり、マジカルじゃないね」

ほむら『…ごめんなさい。改めて説明したら自分でもそう感じたわ』

まどか「でも、ほむほむの武器は盾なんだね」

まどか(何かを守りたいから、魔法少女になったってほむほむは言ってた)

    (その願いだから、盾になったのかな?)

ほむら『ええ。私だけ少し変身するわね』シュン

    『これで攻撃も防げるし、中に色々なものが収納できるのよ』

まどか「四次元ポケットみたいだね」

ほむら『そういう認識で構わないわ。本当は他にも、能力があるのだけれど…』

まどか「それって、最初に変身した時の?」

ほむら『ええ。中身の話よ』

    『ちょっと、待ってて』カシャ
166 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:42:01.87 ID:Z8MjpLZz0
まどか「…」

ほむら『…やっぱり、私だと使えるみたい』

まどか「…え? え?」キョトン

ほむら『まどかにはわからなかっただろうけど、
     能力そのものが無くなったわけではないみたいだわ』

    『やはり、本来とは違う手段で魔法少女になったから、色々と弊害が出ているみたい』

まどか「と、いうことはやっぱり…」

ほむら『ええ、火器で戦うことになるわね』

167 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:45:06.85 ID:Z8MjpLZz0
まどか「でも、わたしに鉄砲なんて撃てるかなぁ…」

ほむら『そこは練習するしかないわ、まどか。習熟までに時間がかかるけど、それしかないもの。
     撃てるようになるまでは、爆弾を投げて戦いましょう。私も最初そうだったわ』

まどか「ごめんね、なんだか足手まといで…。マミさんにも迷惑かけちゃうし」

ほむら『気にする必要はないわ。誰しも最初はそうだもの』

    『それに巴マミとのコンビなら、遠距離からの攻撃が主流になるから爆発に巻き込むこと
     もないと思うし。
     彼女もフォローはしやすいはずよ』

まどか「うーん、確かに剣とかで戦ってる人がいたら危ないよね。爆弾って」

ほむら『…』

まどか「あれ、どうしたの?」

ほむら『何でもないわ。
     ただ昔、チームを組んでいた人に同じことを言われたのを思い出しただけ』
168 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:46:12.47 ID:Z8MjpLZz0
まどか「ほむほむにも、昔一緒に戦ってた人がいたんだね」

ほむら『…ええ。もう昔の話だけど』

まどか「…」

ほむら『…』

まどか(あ、あれ? な、なにか空気が重いよ〜…)
169 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:47:43.44 ID:Z8MjpLZz0
まどか「そ、そういえばさ!」

ほむら『なあに?まどか』

まどか「どんな人だったのかな、そのほむほむの昔の仲間の人って!」

ほむら『…それを聞いてどうするの?』

まどか「う、うん。ほむほむと一緒に魔女と戦ってたんだから、
     きっと凄い人たちだったんだろうなーって」
    「だから、どんな人だったのか知りたくて!」

ほむら『…』
170 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:50:54.52 ID:Z8MjpLZz0
ほむら『死んでしまったわ』

まどか「…え?」

ほむら『もういないの。みんな死んでしまった、魔女との戦いで』

まどか「…」

ほむら『たくさんの魔法少女が死ぬところを見てきた。
     この目で。良い人も悪い人もみんな死んでしまった』

    『…ごめんなさい。一緒に戦ってくれるって言ってくれたのに。後から、こんな話をして』

    『でも覚えておいて。魔女との戦いは、そういうことなの』

    『…まどか、嫌になったら何時でも言って。あなたが戦えなくなっても、
     それを責められる人なんていないわ。そうなったら、私はあなたの前から姿を消す』

    『だから、無理だけは絶対にしないで』
171 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:52:42.50 ID:Z8MjpLZz0
まどか「…っく」

ほむら『…まどか?』

まどか「…ぐす……」

ほむら『…どうして泣いているの?まどか』

まどか「ご、ごめんね。辛いこと聞いちゃって」グスグス

ほむら『かまわないわ。悪気があったわけじゃないもの』

まどか「…ほむほむ」ギュッ

ほむら『ま、まどか?』

まどか「…わたし、魔法少女を辞めないよ。そうしたら、またほむほむは一人になっちゃうもの」

    「そんなの、淋しすぎるもん…」

ほむら『…いいの?』

まどか「…うん」
172 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:54:47.35 ID:Z8MjpLZz0
ほむら『貴方のことは何があっても守るわ、まどか』

まどか「えへへ、ありがと。でもわたしもね、ほむほむのこと守れるように頑張るよ」

ほむら『それじゃあ、立場が逆だわ』

まどか「それでいいんじゃないかな。お互いに助けあえば、きっと何だってうまくいくよ!」

ほむら『そうね…』


ほむら(本当にそんな関係になれたら…)
173 :1 [saga]:2011/08/03(水) 22:56:20.10 ID:Z8MjpLZz0
ほむら『それじゃあ、明日から武器を使う練習をしないとね』

まどか「うん! でもわたしにできるかな…」

ほむら『出来るようになってもらわないと困るわ、これしか攻撃手段が無いのだもの』

まどか「うん、わたし頑張るよ。ほむほむ!」

ほむら『そう。なら最初から厳しくいくわよ。まどか』

まどか「え、ええーっ! す、少し遠慮してほしいなー…」

ほむら『…ふふっ』
174 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:01:37.76 ID:Z8MjpLZz0
―翌日 放課後―
まどか「マミさん、遅いねー…」

ほむら『そうね』

ほむら(射撃に関しては彼女にも経験があることだし、教えるのを手伝ってもらいたいのだけれ
     ど…)


ほむら『そういえば、今日は美樹さやかはどうしたのかしら?』

まどか「あ、さやかちゃんはね。今日は病院に行ってから合流するって」

ほむら『そう』

まどか「さやかちゃんね。幼馴染の男の子が入院してて、毎日お見舞いしているんだよ!」

ほむら『そうなの?』

まどか「うん。音楽のCD買ってきてあげたりしてるんだ」

    「その人、バイオリンがすごく上手でね。音楽のことが大好きなんだよ!」

ほむら『美樹さやかはその人のことが好きなのね。さっさとくっ付いてしまえばいいのに』

まどか「え?!そ、それは簡単に言いすぎだよ…」

ほむら『何故かしら?こういうのは伝えられるときに伝えるべきだと思うわ』

    『そのうち、伝えることも出来なくなることだってあるのだから』
175 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:03:16.79 ID:Z8MjpLZz0
まどか「でも今がなくなっちゃうのが怖くて、言えないっていうのもあるんじゃないかな」

ほむら『今を取るか、未来を取るかという話ね。私は未来を掴むけど』

まどか「でも、さやかちゃんならいつか上条君に自分の気持ちを伝えられるよ。きっと」

ほむら『いつか言うなら、今からでもいえると思うけど。
     結局、美樹さやかは根性無しのへたれということよ』

まどか「あはは…」


ほむ(…本当に)

ほむ(伝えられる機会があることが、どれだけ幸せなことか…)
176 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:05:43.02 ID:Z8MjpLZz0
   RRRRRR

まど「あ、マミさんからだ…、え?ええっ!」

ほむ『どうしたの、まどか?』

まど「た、大変だよ! さ、さやかちゃんが…」

ほむ『落ち着きなさい。息を吸って、頭の中を整理するのよ』

まど「う、うん。―あのね、さやかちゃんが、病院で…孵化しそうな魔女を見つけたって!」

ほむ『!』

まど「さやかちゃんが先にキュウベエと結界に入っちゃって…。
    マミさんが今追いかけているらしいんだけど…」

ほむ『まどか!巴マミに伝えて!』

まど「え?」

ほむ『その魔女はいつものとは違うわ!私たちが行くまで手を出さないでって!』

まど「う、うん!」
177 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:08:35.63 ID:Z8MjpLZz0
マミ『どうしたの、鹿目さん?』

まどか「あ、はい。マミさん、ほむほむが言うにはその魔女はものすごく強いらしいです」

マミ『あら、そうなの?』

マミ(使い魔が大きくなったら、元の魔女と同じ姿になるけれど…。
    どうしてわかったのかしら?)

まどか「はい。だから、私たちが行くまで手は出さないでって…」

マミ『…悪いけれど、それは出来ないわ。
    もう美樹さんが結界の中に入ってしまっているんですもの』

マミ『それにそんな強い魔女なら、なおさら見習いのあなたを危険にさらすわけにはいかないわ』

まどか「マミさん…。でも…」

マミ『ほむほむに伝えて、鹿目さん。
    忠告は受け取ったわ。でも、美樹さんが危険にさらされているのは間違いないから、
    十分に注意して魔女と戦うって。そうお願い』

まどか「はい…」

マミ『それじゃあ、結界に入るから切るわね。鹿目さん、あなたは結界に来てはダメよ?』
178 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:10:17.42 ID:Z8MjpLZz0
   Pi!

ほむ『巴マミは、なんと?』

まど「あ、うん。さやかちゃんが危ないから待つことは出来ないって…」

ほむ『!』

まど「あと、そんなに強い魔女ならわたしは来ちゃだめだ、って言ってたけど…」

ほむ(まずい…!)

まど「ほむほむ、やっぱりわたしたちも追いかけるべきだよね?」

ほむ『それだけじゃない。巴マミがまずいわ』

まど「え? それって…」

ほむ『説明は後。行くわよまどか』

まど「え、う、うん」

ほむ『巴マミには悪いけれど、そうも言っていられないの。とにかく病院へ急ぐわ』

まど「わかった…!」タタタ

ほむ(お願い、間に合って…!)
179 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:16:36.62 ID:Z8MjpLZz0
―結界内
まどか「結界に入ったよ!ほむほむ」

ほむら『さっそく変身するわよ、まどか』

まどか「うん!」

まどほむ『変身!』
180 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:17:24.68 ID:Z8MjpLZz0
    カッ!

ほむら『いくわよまどか!』ニジリニジリ

まどか「…えーと、ほむほむの位置は頭の上なの?」

ほむら『邪魔かもしれないけど、我慢してちょうだい。ここじゃないと周囲の確認ができないわ』

まどか「う、うん」

ほむら『とにかく急いで先に進みましょう。マミたちが危ないわ』

まどか「うん!」タタタタ
181 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:18:20.26 ID:Z8MjpLZz0
まどか「そんなに今回の魔女は強いの?ほむほむ?」

ほむら『ええ、これまでとはわけが違う』

    『巴マミともいえども、油断をしたらやられるわ』

まどか「そ、そんな…」

ほむら『安心してまどか。そうならないように今私たちは急いでいるの』

    『決して倒せない相手ではないわ。マミを支援しながら戦えば勝てる相手よ』
182 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:19:11.99 ID:Z8MjpLZz0
まどか「…不思議だなぁ」

ほむら『?』

まどか「なんだか、ほむほむって何でも知っているみたい。魔女のこととか私のこととか」

ほむら(…しまった。安心させようとして喋りすぎてしまったかしら…?)

まどか「でも、うん。なんだか怖くなくなった。戦えそうだよ」

    「ほむほむのおかげ。ありがと!」

ほむら『…別に何でも知っているわけではないわ』

    『でも、魔女のことならこれまでの経験から知っていることが多いの』

    『私は戦える身ではないけど、この経験と助言と能力であなたを守るわ、まどか』

まどか「うん!」
183 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:20:38.76 ID:Z8MjpLZz0
使い魔『…』ウジャウジャ

まどか「使い魔!多すぎるよ!」

ほむら『相手にしている暇はないわ。まどか、無視して突っ切るわよ』

まどか「わかった!」ダダダ

ほむら(…私が魔法少女になった時よりも、明らかに足が速い)

    (やはり、元となる身体が丈夫だと変わってくるものね)

まどか「わ、わ、追いつかれちゃうよ!ほむほむ!」

ほむら『心配はないわ。悪いけれど、盾の方の腕をあまり動かさないでちょうだい』ヨジヨジ

まどか「ほむほむ?」
184 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:22:00.51 ID:Z8MjpLZz0
―ヒョイ ポイポイ

使い魔『?』

―ドゴーン!

使い魔『!』


まどか「うぎゃー!」

ほむら『爆弾を後ろに、投げて援護するわ。貴方はただ前を向いて走りなさい』

まどか「ううう…。耳がジンジンする」

ほむら『すぐに慣れるわ。さ、早く』

まどか(結構スパルタだなぁ…ほむほむ)ダダダ
185 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:23:02.07 ID:Z8MjpLZz0
―マミ 戦闘中
まどか「開けた場所に出た!」

ほむら『巴マミは…』

まどか「あ、あそこ!」



マミ「悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」

さやか「マミさん、いっけー!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」



まどか「ティロ・フィナーレだ!」

ほむら『…!』
186 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:23:46.98 ID:Z8MjpLZz0
―ドゴォォォォォォォン

マミ(手ごたえはあった。だけど…)

魔女「」ガバ

マミ(! 来た!)
187 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:24:52.90 ID:Z8MjpLZz0
マミ「フェイクが…」

魔女「♪」アーン

マミ「通用すると思って!」シャッ

魔女「♪」パク

魔女「…?」


―ドンドンドンドンドン!―


魔女「?!」

マミ「悪いけれど、後輩が見ている手前負けられないの!」

魔女「…」

マミ(確かに、油断していたら危なかったわ。ほむほむのおかげね)

   (でも、奇襲を交わしてしまえばこっちのもの)

   (一気に畳み掛けるわ!)
188 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:26:51.23 ID:Z8MjpLZz0
―ドンドンドンドンドンドンドンドン!―

魔女「…」

魔女「…?」

魔女「…」チラリ


さやか「いけー!マミさん!」


魔女「♪」



ほむら(…!)

まどか「よ、よかったぁ〜。マミさん無事だったみたい」

ほむら『まどか!急いで』

まどか「…え?」

ほむら『あの魔女はマミを見ていない!』


ほむら『狙っているのは美樹さやかの方よ!』
189 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:28:07.23 ID:Z8MjpLZz0
魔女「」ガバ

マミ「え?」

さやか「あ」

魔女「♪」アーン


マミ「美樹さん!」ドンッ

さやか「…え、あ、え?」

魔女「♪」

マミ「」



ほむら「ほむ?!」

ほむら(マズイ!)

    (ここからじゃどうやっても間に合…)

まどか「マミさん!」
190 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:29:07.64 ID:Z8MjpLZz0

―カシャ! 

―ピタ
191 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:29:43.02 ID:Z8MjpLZz0
ほむら「…?!」

まどか「え、な、なにこれ?!」

ほむら(時間が…止まった?)

まどか「ほむほむ、なんだか周りのものが急に…」
192 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:31:02.80 ID:Z8MjpLZz0
ほむら『まどか、チャンスよ!今、私たち以外の時間は止まっているわ』

まどか「じ、時間?」

ほむら『これが私の能力なの。時間を止める能力。
     今なら、動けるのは私たちだけ。マミも美樹さやかも助けられるわ』

まどか「本当に?!」

ほむら『でも急いで。あまり長くは止められない。マミ達を助けることを第一に行動するわよ』

まどか「うん!」
193 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:31:55.18 ID:Z8MjpLZz0
マミ(魔女、口…)

マミ(逃げ 無理 赤い 舌)

マミ(終わり お母さん…)

マミ(暗…――)


まど「――マミさん!」

―ドゴォォォォォォォォォォン!!

魔女『?!』
194 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:32:47.98 ID:Z8MjpLZz0
マミ「…」

マミ(私、今、死…)

マミ「…」

   「あ……鹿目…さん?」

まどか「マミさん!マミさん!しっかりしてください!」

ほむら「ほむほむほむ!」

まどか「え、そんな! ショック症状って…!」

マミ「う…あ……」

まどか「安心してください。とにかくいったん離れます!」カシャ
195 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:34:03.25 ID:Z8MjpLZz0
魔女『? ?』

マミ(…あ、景色が急に)
   (鹿目さん?私を抱えて…)

まどか「さやかちゃん!」

さやか「まどか?! あんた急にどこから…ってあれ?場所が…」

まどか「さやかちゃん、話は後!マミさんをお願い!」

さやか「お、おう!って、まどかは?」

まどか「わたしは…」
196 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:34:35.93 ID:Z8MjpLZz0
魔女『??』キョロキョロ

まどか「…魔女を!」

ほむら「ほむっ!」

まどか「行ってくるね!さやかちゃん!」バッ

さやか「え?!ち、ちょっとまどか?!」
197 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:35:28.67 ID:Z8MjpLZz0
魔女『! 〜♪』バク

魔女『??』

―ドゴォォォォォォォォォォン!

魔女『!』

―ドガァァァァァァン!

魔女『?!』

―ヴァォォォォン!

魔女『?!?!?!』

―ドゴォォォン!

魔女『……』

魔女『…』

魔女『』
198 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:36:57.23 ID:Z8MjpLZz0
さやか「すご…! あれまどかがやっているの?」

マミ(――鹿目さん…)


QB(マミがやられそうだったから、さやかに契約を迫れると思ったけど。
   上手くいかなかったみたいだね)

QB(まったく、エネルギー回収の見込みもないのに魔女を倒してしまうなんて、厄介な存在だよ)
199 :1 [saga]:2011/08/03(水) 23:38:31.57 ID:Z8MjpLZz0
今日はここまでです。

次は、日曜日になるかと思います。
ご拝読、ありがとうございました。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/03(水) 23:39:54.02 ID:ARzGc89Do
お疲れ様でした。
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/03(水) 23:56:10.32 ID:P6k3MPyfo
乙ほむ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/03(水) 23:59:28.95 ID:iob6iy8zo
乙マミ


まずはマミさん生存おめでとう
こうして見るとやっぱりシャルとは相性最悪なんだなぁ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/04(木) 03:27:02.39 ID:qHtITgFio
乙っちまどまど!
シャルは本体がややこしいしな
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/04(木) 05:18:17.04 ID:oNtBPFSGo

変身後は頭の上が定位置になってる萌えたwニジリニジリww
マミさん生存よかった〜
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/04(木) 17:33:32.23 ID:fC1YcIhPo
たれパンダとかねここねこみたいな感じで
まど頭にべったり張り付いてるほむほむが脳に思い浮かぶ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/06(土) 22:56:48.50 ID:JhTzHMFAO
>>203
シャルの本体云々は誤解だぞ、あれはシャルお気に入りの女装使い魔。
シャルの中の人、もとい恵方巻きは大ダメージ受けると脱皮で回復しやがるから一撃必殺が基本のマミさんは油断しなくても相性悪いのかなやっぱり。
ティロフィナらずにちまちま射撃していけば勝てるのか、それだと火力が足りないのかは分からんが。
207 :1 [saga]:2011/08/07(日) 12:57:15.03 ID:H/TzFB3z0
>>206
マミさんの場合、おそらく相性うんぬんより『戦えない誰か』といるのが、一番マズいのだと考えています。体験コースをしていましたが、それまで護衛をしたことなんて無いでしょうし。
本編見る限り、メンタル面でもマイナスにしかならないかと…。


続きを投下します。
208 :1 [saga]:2011/08/07(日) 12:58:11.59 ID:H/TzFB3z0
―マミ宅―
まどか「マミさん、ベットに運んだよさやかちゃん」

さやか「悪いね、まどか。運ばせちゃって」

まどか「ううん、いいの。魔法少女のわたしならこれくらいなんともないから」

さやか(魔法少女なら…か)


さやか「…マミさん、大丈夫かな?」

まどか「大きな怪我は無かったし、今はショックで眠っているだけだと思うけど…」

ほむか「ほむほむ、ほむむ」

まどか「うん…ほむほむも大事は無いって言ってる」

さやか「そっかぁ、よかったぁ…」
209 :1 [saga]:2011/08/07(日) 12:59:26.75 ID:H/TzFB3z0
さやか「さて…これからどうしよっか? まどか」

まどか「そのことなんだけど…。さやかちゃん、今日わたしマミさんの家に泊まっていこうと思うの」

さやか「え?」

まどか「実はもう家に連絡はしてあるんだ。先輩の家にお泊りするって。…ちょっと怒られちゃったけど」

まどか「あんなことがあった後で、一人は辛いと思うから…」

さやか「…そっか、そうだよね。よーし!それじゃあアタシも…」

ほむら「ほむっ!」ペシン

さやか「痛っ!なーにすんのよ!ほむほむ!」

まどか「『あまり大人数だとかえって迷惑になるわ』だって」

さやか「だからって、ハタくことはないでしょーが!」

まどか「さやかちゃん、今日はもう遅いし…。マミさんはわたしとほむほむでお世話するから」

さやか「うーん…。しかたないか。ごめんね、まどか。押し付けるみたいになっちゃって」

まどか「いいの。気にしないで、さやかちゃん」
210 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:00:24.25 ID:H/TzFB3z0
さやか「それと、まどか。ちょっと聞いておきたいんだけど」

まどか「なあに?」

さやか「…あんた、まだ魔法少女を続けられる?」


まどか「うん」

さやか「即答かい」

まどか「えー、おかしいかな?」
211 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:02:43.60 ID:H/TzFB3z0
さやか「だって、今日の見たでしょ。あんなに強かったマミさんが、あんな風になっちゃって」

    「まどか達がこなかったら、わたしもマミさんも確実に死んじゃってた。そんなのわたしでもわかるよ」

    「遊びじゃないんだよ? 死んじゃうんだよ。何か一つ間違ったら」

    「死んじゃったら、もうまどかは家族やあたしたちと会えないんだよ。分かってるの?」
212 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:04:53.80 ID:H/TzFB3z0
まどか「…うん。わかってるよ。ほむほむにも何度も念を押されたし」

さやか「…じゃあ、何で」

まどか「それでも、守りたいものがあるの」

さやか「…自分が犠牲になっても?」

まどか「そんなんじゃないよ。わたしだって死にたくないし、死ぬつもりもない」

    「でも、今のわたしにできることがあって、それが誰かのためになるならそうしたいの」

    「それがもしかしたら…、それがわたしのやりたかったことなのかもしれないから」
213 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:07:22.80 ID:H/TzFB3z0
さやか「まどか…」

まどか「それにね、一人で戦うわけじゃないもん!ほむほむも一緒だし!」

まどか「ほむほむはわたしを守ってくれるって言ったもん。ねー?」

ほむら「ほむむっ!」

まどか「一人じゃ無理かもしれないけど、二人なら何とかなるよ!きっと」

さやか「…そっか。まどかは決めたんだね」

    「でも、無理だけはしないでよ。あんたに何かあったらあたし…」

まどか「うん、わかってる。ありがと、さやかちゃん」

さやか「じゃあ、マミさんのことよろしくね、まどか!」

まどか「うん!また明日!さやかちゃん!」
214 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:08:34.02 ID:H/TzFB3z0

マミ「…」スゥスゥ


まどか「マミさん、よく眠っているね」

ほむら『そうね』

まどか「…今日のわたし、マミさんを守れたんだよね?」

ほむら『ええ。胸を張っていいわ』

まどか「…よ、よかった、よかったよ…」グスッ

ほむら『…』ナデナデ
215 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:09:36.44 ID:H/TzFB3z0
まどか「…えへへ。ありがと、ほむほむ」

ほむら『礼には及ばないわ』

まどか「そんなことないよ。ほむほむがいなかったら、きっと何もできなかったし…」

ほむら『それは、私も同じことよまどか』

まどか「じゃあ、二人の勝利!だね!

ほむら『…そうね、二人の力があったから勝てたのよ』
216 : ◆madhom.WGQ [sage]:2011/08/07(日) 13:11:23.74 ID:8LfWoO3Do
ほむまどっ!
217 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:11:46.10 ID:H/TzFB3z0
まどか「あ、力といえばほむほむ。あれが、ほむほむの力なんだよね?」

ほむら『時間停止のこと?そうね、あれが私の魔法少女としての能力よ』

まどか「すごいなぁ、時間を止めちゃうなんて」

ほむら『それほどでもないわ。止められる時間も限られているし、制約もあるわ』

ほむら『何より、私はあれしか能が無くて、それ以外の能力が無いの。総合的な能力を見れば、巴マミのほうがずっと上よ』

まどか「それでもすごいよ!ほかにも武器とかの知識もあって。わたしにはそういうのも無いもん…」

ほむら『必要だから身についただけよ。別に勉強熱心なわけではないわ。それから…、まどか』

まどか「なあに、ほむほむ?」

ほむら『あまり、この能力のことを他人に話してはダメよ』
218 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:15:23.59 ID:H/TzFB3z0
まどか「え? 別に誰かに話すつもりなんてなかったけど…どうして?」

ほむら『さっきもいったけれど、この力は強力だけど弱点が無いわけではない』

ほむら『加えて、私の力はこれ一辺倒で他の能力に乏しい。率直に言って、この力を失ったら私は終わりだといってもいいわ』

ほむら『だからこの能力は隠す必要があるの。できれば、知っているのは自分だけという状況が望ましいわ』

ほむら『だから、むやみやたらと使ったり話したりしてはいけない。注意してね、まどか』
219 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:18:47.79 ID:H/TzFB3z0
まどか「…それってマミさんにも?」

ほむら『…ええ。できるだけ、どうしようもない状況に陥らないかぎりは、彼女の前で力を使うことも避けたいわね』


ほむら(…いつかの時間軸では、私は弱点を突かれて錯乱した巴マミに拘束されて命を奪われかけた)

    (あの時は、まどかに助けてもらえたけど)

    (でも、今はそうはいかない。助けてくれる人なんて、いないもの。できるだけ、リスクは回避しなれば…)


まどか「ほむほむ!」
220 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:20:13.13 ID:H/TzFB3z0
ほむら『きゃっ!』

まどか「あ、ご、ごめん。急に大きな声出しちゃって…」

ほむら『い、いえ。大丈夫よ。ただ、巴マミが寝ていることだしもう少し静かにしましょう…』

まどか「う、うん。それでね、ほむほむ。…それはだめだよ」

ほむら『え?』

まどか「マミさんは敵じゃないよ、ほむほむ。力のこと言わないのって、そういう風に考えているからじゃないのかな?」

ほむら『そ、それは…』

まどか「何でもかんでも話しておく、ってことじゃないけど…。でも、そういう風に考えて仲間と接するっていうのは間違っているよ」

ほむら『…仲間』

まどか「そう。マミさんは仲間なんだよ、ほむほむ。仲間で、頼れる先輩。
    だからさ、マミさんのこと信用しようよ。敵になったりしないよ、絶対」
221 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:22:10.70 ID:H/TzFB3z0
ほむら『…』

まどか「力のこと、あんまり話しちゃいけないのはわかった。けど、それだけを守ろうとして仲間を守ろうとしないのは、嫌だよほむほむ」

ほむら『…そうね』


ほむら(…忘れていた。今の私は、私以外の力がないと、まどかを守れない)

    (こちらが信用しなければ、相手も信用しない。まどかの言うとおりだわ)


ほむら『…ごめんなさい。ずっと一人だったから、必要以上に他人を疑う癖がついているみたい。反省するわ』

まどか「わ、わ、いいよほむほむ。わたしも偉そうなこと言っちゃって…」

    「…ただ、そこまで人を信じてあげられないのは、やっぱり」

ほむら『…ええ。問題があると思うわ』

    『まどかの言うとおり…、だと思うもの』
222 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:28:23.34 ID:H/TzFB3z0
まどか「問題じゃないよ。何でもかんでもすぐ信用するのはよくないって、ママも言ってたし」

    「でも、友達や先輩を信じられないのは、嫌だよ。ほむほむ」

ほむら『そうね。仲間になったのなら信用すべきだと、私も思うわ』

まどか「うん。そっちのほうがいいよ、絶対」

ほむら『でも、まどか。それと能力のことをできるだけ隠しておくのことは別よ』

    『この力が私たちの生命線だということは、理解してほしい』

まどか「うん、わかった」

    『…でも、誰かが危なくなったら躊躇なく使いましょう』

    『それで、後悔はしたくないものね』

まどか「…そうだね」
223 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:30:18.37 ID:H/TzFB3z0
まどか「それでね、ほむほむ。これからのことなんだけど…」

ほむら『ええ。まず私から話をさせてもらっていいかしら』

まどか「わかった。じゃあ、ほむほむからお願い」

ほむら『まず、巴マミのことから話しましょう』

まどか「うん」

ほむら『見た限りでは大きな傷は無い。怪我が全く無いというわけではないけど、魔法少女の回復力なら問題ないレベルよ』

    『…問題は精神のほう。今日の出来事によって、相当なダメージを負っていると考えられる』

まどか「…うん。あのマミさんを思い出すと、今でも辛いよ…」

ほむら『…おそらく、すぐさまの戦列への復帰は無理。しばらくは療養してもらうことになるわね』

まどか「わたしもそのほうがいいと思う。あんな目にあって、またすぐ戦えなんて、そんなこと言えないよ」

224 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:32:03.05 ID:H/TzFB3z0
ほむら『問題はここからよ、まどか』

    『巴マミはしばらく戦えない』

    『そうなると必然的に、私たちだけで当分魔女に対処していくことになるわ』

まどか「…そうだね」

ほむら『今日の戦いで能力が使えるようになったけれど、それでも苦しいことには変わりはない』

    『だからこれからは、できるだけ私の指示に従ってほしいの。魔力の配分やいざという時のための逃げ道とか、私の知識で可能な限りサポートするわ』

ほむら『だから、巴マミが回復するまででいいわ。それまでは、できるだけ私の指示に従ってほしいの』


ほむら(本当はまどかを戦わせるのは、心苦しい)

    (でもここで魔女を放っておけば、確実にまどかと美樹さやかは街を守るために契約して魔法少女になる。それは阻止しなくては)

    (私が戦えれば一番いいのだけれど…。ごめんね、まどか)
225 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:32:53.91 ID:H/TzFB3z0
まどか「うん、ほむほむの言うとおりにする」

ほむら『! いいの?』

まどか「新米のわたしじゃ一人じゃ戦えないし、ほむほむが色々教えてくれるならそれに従うよ」

ほむら『…ごめんなさい。貴方に何もかも押し付けてしまって』

まどか「ううん、気にしないで。わたしが好きでやろうって決めたことなんだから。謝ることはないよ、ほむほむ」

ほむら『それでも、私は貴方に感謝している。私は何もあなたにしてあげられないのに…』

まどか「そんなことないよ。ほむほむがいてくれて、わたしは嬉しいよ?」

ほむら『まどか…』
226 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:33:46.66 ID:H/TzFB3z0
まどか「…ねえ、ほむほむ」

ほむら『なに、まどか?』

まどか「わたし…考えたんだけど」


まどか「マミさんをね…このままずっと魔法少女の仕事から解放してあげられないかな?」


ほむら『…え?』
227 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:35:59.86 ID:H/TzFB3z0
まどか「今日のマミさん見てね、思ったんだ。わたしがマミさんの代わりになれないかなって」

    「わたしにはほむほむがいるけど、マミさんは一人で戦ってたんだよね。ずっと、長い間」

    「だから、これからはわたしが頑張ってマミさんには休んでもらいたいってそう思ったの」

    「お願い!ほむほむ。わたし頑張るから。だからマミさんを休ませてあげて」

ほむら(まどか…)

ほむら『…それは』


QB「それは無理だよ、まどか」
228 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:37:07.00 ID:H/TzFB3z0
まどか「キュゥべえ?!」

ほむら『…キュゥべえ』

QB「魔法少女は願いを叶えた時から、魔女と戦い続ける義務を負う。魔女と戦わない魔法少女なんて存在しないんだよ、まどか」

まどか「で、でも少しぐらい休んだって…」

QB「運命はそんなことを許してくれないんだ、残念なことにね」

  「奇跡の願いを叶えた魔法少女に、安息の時などないんだよ」


ほむら(…よくもそんなことが言えたものね)

    (自分の都合のいいように、奇跡と運命を動かしているくせに…!)
229 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:43:17.06 ID:H/TzFB3z0
マミ「…鹿目さん、そんなに心配しなくて大丈夫よ」

まどか「! マミさん、起きたんですか!」

マミ「ええ、ありがとう。今日は助かったわ。ほむほむもありがとう」

ほむら「…ほむ」

マミ「それからね、鹿目さん。わたしね、出来るだけ早く復帰できるように頑張るわ」

   「だからそれまでの間、ほむほむと一緒に街を守ってちょうだい。お願いね」

まどか「え?で、でも…」

マミ「鹿目さん、聞いて」

   「確かにね。一人で魔女と戦うのは辛かった。怖くなって、泣いたことだって何度もあったわ」
   「でもね、全部私が望んでしていることなの」

   「キュゥべえと契約したのも、街を守って魔女と戦うことも全部ね」

   「だから後悔なんてないわ。止めたいわけでもない。だって全部自分で決めたことだから」

   「今日はちょっと情けないところを見せちゃったかもしれないけど…、でも大丈夫」

   「だから、その気持ちだけで嬉しいわ。心配してくれてありがとう、鹿目さん」
230 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:44:25.91 ID:H/TzFB3z0
まどか「マミさん…」

ほむら『…まどか。私もまどかの意見を聞くことは出来ないわ』

まどか「ほむほむも…」

ほむら『魔法少女が魔女と戦わずにすむ方法なんてない。そういう契約で私たちは存在している。それを回避することは不可能よ』

    『それにまどか。今日は上手くいったけど、あなたの魔法少女としての腕はまだまだ低い。一人で行動するにはまだまだ不安が残る。』

    『一人前になったと思っているなら、大間違いよ』

まどか「ううう…」
231 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:45:48.63 ID:H/TzFB3z0
マミ「…何か言われたの?」

まどか「『一人前になったと思っているなら。大間違いだ』って言われちゃいました…」

マミ「そうね。私も鹿目さんを独り立ちさせるには、まだ早いと思うわ」

まどか「マ、マミさんまで…」

マミ「それが普通。あせらずじっくり地道に努力することが重要よ」

  「…それにね。鹿目さんが力不足ってことだけじゃないの」

まどか「え?」

マミ「このところ、この街では物凄く魔女が多い。異常とも言っていいくらいなの」

  「あなたたちが帰ってからも、何回か戦闘があったりもしたわ。私もこのところ連戦続きでだいぶ疲弊していて、だいぶ苦しかった」

  「そんな状況の街で、鹿目さんだけを戦わせるわけにはいかないの。私もできるだけすぐに復帰しないと、今度はあなたが参ってしまうわ」

まどか「そうだったんですか…」


ほむら(…おそらく、それは私がこんな体になったのが原因ね)

    (本来私が倒しているはずだった魔女や使い魔が、そのまま残っているんだわ)
232 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:47:40.48 ID:H/TzFB3z0
ほむら『…彼女が速く復帰しなければならい理由はまだあるの。まどか』

まどか「ううう…、あんまり苛めないで」

ほむら『…別に苛めたいわけじゃないわよ?』

    (…でもちょっと可愛い)

ほむら『これから先、この街に恐ろしい魔女が出現する』

    『その魔女に対抗するために、私たちは力を集めなければならないの』

まどか「おそろしい…魔女?」

ほむら『ええ、ワルプルギスの夜と呼ばれている魔女。これに勝たなければ私たちに未来はないわ』
233 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:49:08.31 ID:H/TzFB3z0
まどか「ワルプルギスの…夜?」

マミ・QB「!」

マミ「鹿目さん、ワルプルギスの夜のことを知っているの?」

まどか「え? あの、ほむほむが言っていて…」

    「この街に現れるから、その、力を合わさなくちゃいけないって」

マミ「…! 何ですって…!」

QB「驚いた。君はワルプルギスの夜が来ることを知っているのかい? ほむほむ」

ほむら「…」

マミ「キュゥべえ、その話は本当なの?ワルプルギスの夜が現れるという話は」

QB「事実だよ、マミ。というか今日はそのことを告げにここに来たんだ」

 「ワルプルギスの夜は確かに現れる。近いうち、この街にね」

マミ「そんな…」
234 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:50:46.18 ID:H/TzFB3z0
まどか「あ、あのー、マミさん? 何なんですか、その、『ワルプルギスの夜』って」

マミ「…凄まじい力を持った魔女の名前よ。最強の魔女とも言われているわ」

  「出現しては、恐ろしい大破壊をもたらす悪魔のような魔女」

  「この魔女のせいで、廃墟になった街も存在するの。その所業は世の中では大災害と認知されているけど」

まどか「廃墟…? 廃墟になった街…?」

    「…そ、そんな。そんな魔女が、この街に…」

マミ「安心して鹿目さん。そんなことはさせない」

  「私が、…いえ私だけでは無理ね。私たちが力を合わせないと、とても対抗できないわ」
235 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:51:50.80 ID:H/TzFB3z0
まどか「マミさん…」

マミ「ごめんね。今はこんな頼りない姿だけど…」

  「でも安心して。できるだけ早く体調を整えて、戦えるようにするわ」

QB「そうだね、僕もそのほうが良いと思うよ」

まどか「キュゥべえ…」

QB「ワルプルギスの夜は今まで、誰も倒すことができなかった魔女だ」

 「もし戦うのなら、最善を尽くすのが当たり前だと思うね」

まどか「…戦うよ。うん、わたしは戦う」

    「だって、わたしもこの街を守りたい。無くしたくないもの」

マミ「ふふっ、そうね。何としてでも、守らないとね鹿目さん」

  「そのためには、早く一人前にならないと。実力をつけないとね」

まどか「はい!マミさん!」

ほむら「ほむほむ!」

    『私も協力するわ、まどか』

まどか「ほむほむも!ありがとう!」

ほむら「ほむ」
236 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:53:45.70 ID:H/TzFB3z0
マミ「そういえば、ほむほむは何かを守るために魔法少女になったのよね、鹿目さん?」

まどか「? はい。そう言ってましたけど」

マミ「もしかして、この街を守るのが彼女の目的なのかしら?」

   「ワルプルギスの夜が来るのなら、思い入れが無ければ、わざわざこの街に来ることはないのだけれど」

まどか「あ、そういえばそうですね」

マミ「ちょっと聞いてみましょうか。実はそうなんでしょ? ほむほむ」

ほむら「ほむ」

まどか「えっと…『答えるつもりはない。でも関係あることは認めるわ』ですって」

    「ワルプルギスを倒したら、わたしが変わりに魔法少女になることもないし、自分もこの街から離れるって言ってます」

マミ「当たらずとも遠からず、ってことかしら。でも街を守るのに協力してくれるなら嬉しいわ」

まどか「これからは、三人で頑張りましょう。マミさん、ほむほむ」

マミ「ええ!魔法少女トリオ、結成ね!」

ほむら「ほむっ!」
237 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:55:20.96 ID:H/TzFB3z0
まどか(こうしてわたしたちは、ワルプルギスの夜を倒すために動き始めました)

    (ほむほむと出会って、私の運命が少しずつ動き出した、そんな感じがしました)

    (ワルプルギスの夜はものすごく強い魔女だと、その後も何度も聞かされました。でも、あきらめるつもりはありません)

    (だって、この魔女を倒さないと、大事なものを失ってしまうから)

    (だから、わたしは絶対にあきらめません)



まどか「ねぇ、ほむ――」

ほむら『…?』

まどか「…ううん、何でもない」

    「ほむほむ、一緒に頑張ろうね!」

ほむら「ほむ!」
238 :1 [saga]:2011/08/07(日) 13:57:35.98 ID:H/TzFB3z0
今日はここまでです。

なんか最終回のような引きになりましたが、まだ続きます。
次は木曜日か金曜日になると思います。

ご拝読ありがとうございました。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/07(日) 13:58:40.22 ID:UE1OaA0so
お疲れ様でした。
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/07(日) 14:00:30.57 ID:N8MpLlJdo
乙ほむ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/07(日) 14:50:13.03 ID:f7yMoKHN0
おつ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 15:41:30.08 ID:N/HJ3kU7o

この町を離れるなんて言っちゃあ、まどっちのおせっかい焼きが発動しそうなもんだが
ほむほむはどうクリアするつもりなのかねえ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/07(日) 16:49:55.44 ID:40DLWOs1o

ほむほむが凄く綺麗だ…まどかの下着を物色してたほむほむはどこ行ったんだ…
>(…でもちょっと可愛い) ああ、いたなww
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/07(日) 21:39:03.55 ID:+3UQgp8Fo
ほむほむマジほむほむほむ
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 01:26:48.01 ID:WnQZRumDO
>>207
おりこでは一人で倒してたしそうだろうな
あれを公式扱いしていいのかはわからないけど
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/08(月) 02:36:43.83 ID:UD737EKVo
乙っちまどまど!
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 05:46:22.68 ID:r1MVfj2oo
ワル夜って倒そうとするんじゃなくて、被害が少なくなるようにやり過ごすってのはだめなのかな
グリーフシードを多めに確保して、人的被害が出ないようにできれば勝ちだと思うんだが
なんてことをいつも思う
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/08(月) 06:20:42.84 ID:30e8f90m0
>>247
勝ち目がないと判断した時点で、まどかを連れて逃げ延びたSSがあるね。

でも本編のまどかなら見滝原に被害が出ると判断すれば
契約してでも立ち向かっていくだろう。
だからこそほむらは一人でも勝てると言い聞かせてワルプスギスに挑んでいったのだから。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 07:42:23.40 ID:r1MVfj2oo
>>248
敗因は純粋すぎたことですか、なかなか退廃的で美しいですな

250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/08(月) 13:27:37.88 ID:J4mU8P+q0
ところで前々から思ってたんだがほむほむのSGの汚れは今どうなってんだ?
251 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:27:52.26 ID:wSx6q2mH0
>>250
体が縮んだ分、消費量が落ちているので現時点ではあまり穢れは溜まっていません。
さすがにまどかが戦い始めれば穢れは増えますが、その時はグリーフシードが手に入るので。

続きを投下します。
252 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:29:17.98 ID:wSx6q2mH0
QB「…」


QB(まどか達は、ワルプルギスの夜には勝てない)
 
 (彼女たちの絶望は、ソウルジェムを濁らせそして魔女に変える。今回も多くのエネルギーを生んでくれそうだ)

 (だけど、このままだと魔法少女じゃないまどかの分のエネルギーは確保できないね…)
253 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:30:50.14 ID:wSx6q2mH0
―某所、夜―

杏子「マミの奴がくたばったって?」

QB「正確には一時的なリタイアだよ、杏子」

杏子「はん、街を守るだのなんだの甘いこと抜かしてるから、そんなことになるんだ」

   「で、今はあの街は誰のテリトリーでもないってわけか」

QB「それは違うよ。実はあの土地にはもう新しい魔法少女がいるんだ。マミの後輩の子のね」

杏子「おい、ちょっと話が違うんじゃねーか? 危ない地域があるから来てくれって言ってきたのはてめぇだろ」

QB「違わないよ。不可解なことだけど、その子は僕と契約していないんだ」

杏子「?なんだそれ」

QB「契約していないのに、魔法少女になっている。そんなイレギュラーな存在に、一つのエリアを任せるのは僕としても不安でね」

杏子「ああ、まあなんでもいいか。こんな魔女だらけの絶好の縄張り、みすみすルーキーのヒヨッ子にくれてやるってのも癪だし」

QB「どうするつもりだい? 杏子」

杏子「決まってんじゃん、要するに、ぶっ潰しちゃえばいいんだろ?」


杏子「そいつ、『かなめまどか』って奴をさ」

QB「…」
254 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:32:12.16 ID:wSx6q2mH0
―見滝原市―
杏子(さてと、街についたぞ。どーやってそいつを探すかなー)

   (ま、魔女を狩ってるなら、適当にこっちも狩ってればそのうち会えるだろ)

   (さてと、そうと決まれば寝床と飯を確保しねーとな)

   (そのうちゲーセンも、見つけねーと)

   (…ん?)
255 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:33:35.15 ID:wSx6q2mH0


まどか「…」フラフラ


杏子(…なんだ、あいつ)

   (妙にふらふらして。具合でも悪いのか?)

   (ま、どうでもいいか。とりあえず寝床寝床っと)



まどか「…」ドン

杏子「…ぐえっ!」
256 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:35:26.14 ID:wSx6q2mH0
杏子「つつつ…。おい!どこ見て歩いてんだてめー!」

   「…あれ?」

   「っかしーな。確かになにかとぶつかったはずなんだ、け、ど…――」



まどか「…」バタンキュー

杏子「…」
257 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:36:31.05 ID:wSx6q2mH0
杏子(おいおいおいおい、どういうことだ?!)

   (こいつ、死んで―!)

   (は、いねーよな。たぶん)

   (て、ていうか、なんでぶつかっただけで倒れたんだ? アタシは何もしてねーぞ!)

―ガヤガヤ

杏子(うわわ、やべ。人が集まってきやがった!)
258 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:37:36.53 ID:wSx6q2mH0
杏子「お、おい。大丈夫か、アンタ?」

まどか「…」

杏子「ち、ちょっと。返事してくれよ。なー、おい!」ユサユサ

まどか「…」グッタリ

杏子(ま、マジか?! ちょっとヤバくねーかこれ!)

   (び、病院か? あ、でもアタシ、なんとかカードとかもってねーし…)

   (と、とにかく、ここから移動しよう。死んだりしたら、どっかに隠さねーといけねーし!)オンブ
  
   (確かこの辺に公園かなんかが…)
259 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:38:27.15 ID:wSx6q2mH0
通行人A「あ、あのー?」

杏子「ひっ!」

通行人A「だ、大丈夫ですか? もしよろしければ救急車か何か…」

杏子「だ、大丈夫だ、こいつはアタシの知り合いでな! こういうのには慣れてるんだ!」

   「さ、さー。どっか休めるとこ、いかねーとな!それじゃな!」ダダダ

通行人A「あ…」
260 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:39:40.32 ID:wSx6q2mH0
杏子「なんとか公園についた…」

   「ちくしょう、なんであたしがこんな目に…」

まどか「…」

杏子「…とりあえず息はあるみたいだな」
]
   「この野郎、起きたらぜってぇ一言なんかいってやる」

   「そのためには、起きるまで見ていてやらねーとな!」

   「…お?」
261 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:41:20.12 ID:wSx6q2mH0
杏子(そういえば、これはあいつのバッグ)

   (一応放置するのもなんだから、持ってきてやったんだっけ)

   (暇だし、中でも見てみるか)

   (どっかに小銭かなんか入ってねーかな。百円あれば、駄菓子が買えるし。うしうし)


杏子(ん? こんなところに名前が――)




『鹿目まどか』
262 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:42:11.97 ID:wSx6q2mH0
杏子(…)
  
   (…)

   (…ふーん)



杏子(『しかめまどか』っていうのかこいつ。変な名前だな)
263 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:43:03.01 ID:wSx6q2mH0
杏子(しかし『かなめまどか』だったら、とっとと潰して話が進んだのになー)

   (『めまどか』まで合ってて、『か』もあったのに)

   (世の中上手くいかねーな)

   (おっとっと、寝ている間に小銭小銭っと)ゴソゴソ


まどか「…う、うーん」

杏子(やべ!起きたか?!)
264 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:44:14.52 ID:wSx6q2mH0
まどか「え、あれ?ここは…」

杏子「よう、起きたか?」

まどか「え?! あ、あのー、誰ですか?」

杏子「ひでぇな、恩人に向かって。とにかく駄菓子、おごれ駄菓子」

まどか「え、ええー?!!」
265 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:45:26.23 ID:wSx6q2mH0
―数分後

まどか「…ごめんなさい。迷惑かけちゃったみたいで」

杏子「んー、別にいいよ。もう過ぎたことだし」

   「うんまい棒おごってもらったしな」ハムハム

まどか「でも…」

杏子「それより、なんでいきなりぶっ倒れたんだ?」

   「てっきりアタシが殺したのかと思って、ビビったぞ?」
266 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:46:22.14 ID:wSx6q2mH0
まどか「わたし最近、ちょっとやることがあって。それで、うまく体を休めてなかったから、たぶん…」

杏子「ふらふらの状態で歩いてて、ぶつかっただけでぶっ倒れた、ってことか」

まどか「…はい」

杏子「あー、なんだ。何やってるのかはしらねーけどよ」

   「あんまり無理するんじゃねーぞ、体壊したらおしまいなんだからな」

まどか「うん。でも、今は無理しないといけないの」

    「どうしても、やらなくちゃいけないことがあるから…」

杏子「ふーん。ま、忠告を聞くも聞かないもアンタの勝手だ」

   「それで取り返しがつかなくなっても、後悔するんじゃねーぞ」

267 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:48:00.25 ID:wSx6q2mH0
まどか「…ありがとう」

杏子「へ?」

まどか「だって、見ず知らずのわたしにこんなに親身になってくれて…。倒れても、ここまで看病してくれたし…」

杏子「そんなんじゃねーよ。ぜーんぶアタシの為だ。気に病む必要はねーよ」

杏子(うんまい棒タカれたしな!)

杏子「んじゃーな。アタシだからよかったものの、これからはもうぶっ倒れんじゃねーぞ」スタスタ
268 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:48:55.88 ID:wSx6q2mH0
まどか「あ、あのっ!」

杏子「ん?まだなんかあんのか? んじゃ、もう一本うんまい棒くれ」

まどか「え、あ、はい。それじゃわたしの…」

杏子「さんきゅー」ウマウマ

まどか「それであのー、…名前」

杏子「名前?」

まどか「名前、教えてくれませんか?」


杏子「ああ、そんなことか。杏子。佐倉杏子だ」

まどか「杏子ちゃんていうんだ。わたしは…」

杏子「ああ知ってる。まどかだろ。鞄に書いてあったしな」

   「じゃーな、まどか。もう会わねーだろうけど」スタスタ

まどか「バイバイ、杏子ちゃん!」
269 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:49:38.63 ID:wSx6q2mH0


杏子(あー、なんか時間喰っちまったな。早く寝床探さねーと)


まどか(ほむほむ、心配してるだろうな。早く、家に帰らないと…)

270 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:50:59.20 ID:wSx6q2mH0
―放課後

さやか(マミさんが魔女にやられかけてから、数日が経った)

    (まどかはマミさんが復帰するまでの代わりということで、ほむほむと一緒に魔法少女をしている。今日もパトロールの最中だ)



さやか「それにしてもまどかは凄いねー。拳銃やらでっかいマシンガンやらガンガン撃ちまくるんだもん!」

まどか「だ、だって、これしか武器がないし…」

さやか「く〜、まどかがそんな子だったとは。お母さんは悲しいぞー!」

まどか「へ、変なこと言わないでよ!さやかちゃん!」

さやか「でも実際、驚いているんだよ? あんなに簡単に使いこなしてて」

    「…まさか本当に、どこかで撃ってたんじゃ」
271 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:52:24.72 ID:wSx6q2mH0
まどか「それはね、ほむほむのおかげなの」

さやか「ほむほむの?」

まどか「マミさんの時に変身した頃からなんだけど…」

    「なんだかソウルジェムを通して、ほむほむ魔法少女の経験とか癖とかが、そのままわたしに流れ込んでいるみたいなの」

さやか「そうなの?」

まどか「うん。見てもらったんだけど、銃を撃つ時の仕草とか持ち方がそっくりだ、ってほむほむが」

さやか「そういえば変身しているとき、たまに髪をかきあげるようになったけど、アレも癖?」

まどか「うん。わたし髪長くないからから、あんまりしたくないんだけど…」

   「なんか、つい気が付いたらやっちゃっているっていうか…」

さやか「まあ、ほむほむくらい長い髪なら様になるんだろうけど、まどかじゃね〜」

まどか「う〜…。あんまり言わないで」ファサ

さやか「あ」

まどか「…うう」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/11(木) 19:53:56.28 ID:qff/3iCAO
杏子ちゃんばかわいい
273 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:54:15.80 ID:wSx6q2mH0
さやか(あたしは相変わらず、まどかの魔女退治についていっている)

    (何が出来るというわけではないけれど、親友が危ない目にあっているのに、のほほんと日々を過ごすことなんてできなかったから)

    (あたしも魔法少女なれば、なりさえすれば…)



まどか「それは、ダメだよ。さやかちゃん」

さやか「何で?! だってまどか一人にこんなこと危険なこと…」

まどか「わたしは大丈夫。ほむほむもいるし、大丈夫だよ!」

さやか「で、でも一人より二人の方が…」

まどか「…さやかちゃん。魔法少女って思っているよりもずっと辛いんだよ?」

    「できれば、わたしはさやかちゃんに魔法少女になってほしくない」

さやか「まどか…でも」

まどか「わたしは後戻りできるし、マミさんはそれしか選択肢がなかった」

    「さやかちゃんは引き返すことは出来ないし、でも選択肢を選ぶ時間がある」

    「だからよく考えて。本当に普通の生活が出来なくなってもいいか。今日にでも死んでしまうような日々を過ごすようになってもいいか」


まどか「わたしは、…大丈夫だから」

さやか「…」
274 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:56:00.36 ID:wSx6q2mH0
さやか(そのまどかの言葉に、あたしは何も言えなかった)

    (でも、口では大丈夫って言っていても、『魔法少女は辛い』ってまどかは言っていた)

    (まどかは優しい子だから。そんなまどかが戦っている姿は、見ていて苦しかった)



まどか「たぁっ! やっ!」

―パンパンパン、ガガガガガガガガッ!、チュドーン

さやか「まどか―! 頑張れー!」



さやか(まどかは一緒にいて応援してくれるだけで、心強いっていってくれたけど)



さやか「おつかれさん!まどか!」

まどか「ありがとう!さやかちゃん!」



さやか(このままでいいわけ、ないよね…)



QB「…」
275 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:57:30.26 ID:wSx6q2mH0
―病院 屋上―

QB「君はどんな祈りで、君のソウルジェムを輝かせるんだい?」

さやか「あたしは…」



  (さやかはさ――)

  (――どうして、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせの――)

  (もう聴きたくなんか――!)



さやか「恭介の腕を――」



  (他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと)
  
  (あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?)

276 :1 [saga]:2011/08/11(木) 19:58:14.65 ID:wSx6q2mH0
さやか(違う!)

    (あたしは見返りが欲しいわけじゃない)

    (それにこれは、まどかを助けるためでもあるんだから!)


QB「君の祈りはエントロピーを凌駕した!」
277 :1 [saga]:2011/08/11(木) 20:00:23.84 ID:wSx6q2mH0
今日の投下はここまでです。

主役二人の影が薄いですが、すぐに戻ってきます。
次は日曜日になると思います。

ご拝読、ありがとうございました。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 20:02:17.29 ID:Q2uvasnDO
乙!!
てかあんこちゃんはそこまで馬鹿じゃない!!





・・・多分
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 20:03:04.41 ID:E7cer7Ruo
乙乙


俺も↑の人と同意見だけど実際リアルで「しかめまどか」と読む人が多数居たと言う報告を聞くと何とも言えない
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/11(木) 20:06:29.90 ID:nAah26nvo


SSスレ建てたクセにしかめだと間違えてたバカも見たことが……
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/11(木) 20:11:04.63 ID:iQqO3QTco
最初の頃は「しかめまどか」って読んでしまってたさ!
だからあんこちゃんを馬鹿に出来ないので…
あんこちゃんは可愛い、さかちゃんは安定のおかんということで
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/11(木) 21:54:49.98 ID:YZT3PMIGo
しかし実際あんこちゃんはよくて小卒のはずだしな…
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 21:59:32.53 ID:XVWzfOfwo
今日もいい話でしたのう

鹿目を"かなめ"と読むとは知らなかったのである
じ、人名地名は特殊な読み方が多すぎると思うんです><
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 22:07:12.06 ID:YnkF27yH0
何も恥ずかしがることは無いさ
現実でも鹿目って苗字はあるけど読み方は
カノメ シカメ カモク ロクメ カメ
↑このどれかだしな
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 22:46:41.06 ID:1NpuwUhqo
乙。
さやかちゃん、あれだけ言ってるのにあなたって子は!
あとほむほむ何処行ったー!
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 22:56:23.25 ID:DvaSx56/o
お疲れ様でした。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/12(金) 03:15:18.20 ID:OcDW6PETo

杏子とまどかニアミスかw次出会った時が楽しみだな
さやかはやっぱりさやかだったか…ww

文字で見たら「しかめ」って読んじゃうよな
てか鞄にちゃんと名前書いてるまどか可愛いw中学生だし学校指定かなww
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 13:27:42.54 ID:jdDiKseR0

確かに最初しかめって読んじまった自分がいるぜ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 21:46:52.83 ID:SLlmEmLDO
しかめって聞くとミスフルのキャラ思い出すな
そういやあれもピンク髪だったような
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/12(金) 23:38:27.21 ID:ltMtp/Qpo
ああ、ほっぺ先輩か
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/13(土) 04:50:33.88 ID:vDxEMXRAO
乙!
俺の携帯もパソコンも、「かなめ」て変換できないんだぜ
SS書いてるときは「しかめ」で書くから、時々激しい違和感と脱力感に襲われる
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 04:54:52.70 ID:jlggYZdTo
要まどか、になるよな
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/13(土) 06:38:36.49 ID:X0j+2u9go
かなめっつら
294 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:12:52.16 ID:oY4Gb8J70
何か『鹿目』の話題が多いですね…。
自分もアニメでは「かなめ」と呼ばれていたのに表記が「鹿目まどか」だったので、アレ?と思ってました。てっきり「要まどか」だとばかり…。

続きを投下します。
295 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:14:48.76 ID:oY4Gb8J70
―放課後―

ほむら(…まどかの様子がおかしい)

    (魔女退治に力を入れ過ぎている。それこそ、いつかの美樹さやかのように)

    (これまでの世界から、魔法少女になってからは自信がついて行動が大胆になる傾向はあったけど…)

    (今回は少し違う。明らかに、自分から戦いの場に身を置こうとしている)

    (一人で魔法少女を長く続ける状況になったのだから、気合を入れる気持ちはわかるけれど…)

    (…少し、好戦的すぎるわ)

    (変身する回数も日に日に増している。魔女だけでなく、使い魔まで念入りに狩って)

    (魔女の数が多くてグリーフシードには困っていないから、私のソウルジェムには問題ないけれど…)

    (問題はまどかの体のほう。疲労が目に見えて出ているし、調子も良くない)

    (ここは、無理矢理にでもブレーキをかけるべきね)

296 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:16:34.92 ID:oY4Gb8J70
まどか「ふう、今日は使い魔退治だけで終わりそうだね」

ほむら『…そうね。魔女が現れる気配も無い。今日はここまでにしましょう』

まどか「うん!でも、もう少し街を回ろう?今日はまだ元気があるし」

ほむら『いえ、止めておいたほうが良いわ。一戦終えた後だし、無理は禁物よ』

まどか「大丈夫だよ! それにもし魔女が人を襲ってたら大変だもん」

    「できるだけ見回りはしておかなくっちゃ。ね?」

ほむら『…』
297 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:18:41.20 ID:oY4Gb8J70
ほむら『…まどか』

まどか『なに?』

ほむら『やっぱり今日はもう引き上げましょう。そして明日はお休み。変身も禁止するわ』

まどか「ふえっ?! ほ、ほむほむどうしたの急に?」

ほむら『明日は休みだといっているの。パトロールも魔女退治も』

    『変身はもっての外。あなたのこれからの仕事は体を休めること。いいわね?』

まどか「だ、だめだよ。今、この街を守れるのは私たちしかいないんだから!」

ほむら『だからこそ、よ。まどか、あなた授業中も寝てばかりいるでしょう?』

まどか「う…」

ほむら『それに、今日の貴方は明らかに動きが鈍くなっていたわ。危ない場面も増えてきている』

ほむら『自覚していないようなら言っておくけど、今の貴方は、非常に危うい状態よ。疲労で明らかに行動に支障が出始めている。いつ致命的な失敗を犯しても不思議ではないわ』

まどか「そ、そうかな…?」

ほむら『ええ。貴方が危なくなったら、こちらで判断して時間を止めているのは知っているでしょう?』

   『今日だけで6回。周囲の確認もおろそかになっているし、足を滑らしたり等のイージーミスも多い』

   『お望みなら、ここ三日間の貴方の失敗を全て紙に書き出してあげましょうか?』

まどか「い、いいよ…」アセアセ

ほむら『そう、残念ね…』

まどか(寝る前に一生懸命何か手帳に書いていたから、ホントに書き出しているんだろうなぁ…)
298 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:19:51.53 ID:oY4Gb8J70
ほむら『まどか、今この街を守れるのは私たちしかいない』

    『だからこそ、私たちは自分の身をしっかりとさせていなきゃいけないの。何かあったら、魔女を退治する人間がいなくなってしまうのよ?』

まどか「う、うーん、でも…」

ほむら『でも、じゃないの。体調管理は初歩の初歩よ。いざというときに「戦えませんでした」じゃ、話にならない』

    『それとも、こんなことも貴方は指示されないとわからないのかしら?それなら遠慮なく指示を出させてもらうけど?』

まどか「ず、ずるいよ、ほむほむ!それを出されたら…」

ほむら『これはそういうことなの。魔女と戦う上で必要なのことなのよ』

    『とにかく、今日明日はもう変身しないわ。しようとしても、私が許さない。体をゆっくり休めること。いいわね?』
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/14(日) 15:21:28.42 ID:ornhzfsAO
まどまど…
300 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:22:42.97 ID:oY4Gb8J70
まどか「…わかった。明日までお休みするね」

ほむら『ありがとう』

まどか「ううん、いいの。わたし、ちょっと焦ってたみたい」

ほむら『…まどか。いい機会だから言っておくわ』

    『魔女退治に力を入れる気持ちはわかるけど、最近の貴方は無理し過ぎている』

まどか「そうかな…」

ほむら『ええ。明らかにやっていることは貴方のキャパシティを越えている。暴走といってもいいわ』

    『目に見えて疲れがたまっているし、満足に休養もとれていない』

    『そんなことではいつか身を滅ぼすわ。その行動は命取りよ』

まどか「…わたしは一生懸命にやっているだけなんだどなぁ」

ほむら『その気持ちは大事よ。魔女退治は遊びではないもの』

    『でも、力を入れ過ぎるのも問題。無理な行動をし続ければ、やがてツケが回ってくる』

    『まどか、自分が何ができるのか、範囲をよく見極めなさい。無理はいつまでも続かない。無茶をしないことが重要なの』

    『自分をもっと大事にして。貴方になにかあったら悲しむ人が大勢いることを忘れないで』

まどか「…ほむほむもその中の一人なんだよね?」

ほむら『…当り前じゃない』

まどか「…ありがとう。ほむほむ」
301 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:23:52.32 ID:oY4Gb8J70
ほむら『…できれば、使い魔のことは無視して、魔女のみと戦うやり方にしてほしいけど…』

まどか「ごめん。それはできないよ」

    「使い魔だって、人を襲うもの。見過ごすわけにはいかないよ」

ほむら『…そうよね』

まどか「ごめんね、心配してくれているのに…」

ほむら『いいえ。あなたのやろうとしていることは、間違いではないわ』

    『ただ、今の状態をこのまま続けるのは無理。それは理解してほしいの』

まどか「…うん」
302 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:26:01.06 ID:oY4Gb8J70
ほむら『…そうね。こうしましょう』

    『これから、パトロールは私一人で行うわ』

まどか「! そ、そんなのダメだよ!ほむほむ一人じゃ…」

ほむら『大丈夫よ。この体にも慣れてきたし、時間停止も使えるから逃げるだけなら何とかなるわ』

    『何かあったら携帯電話で連絡するわ。それで合流して、魔女や使い魔を狩る。これでいきましょう』



ほむら(これなら、まどかの負担を軽くできる。場合によっては、使い魔を放置することも…)

303 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:37:12.62 ID:oY4Gb8J70
まどか「…本当に、大丈夫?」

ほむら『ええ、むしろ心配なのは貴方のほう』

まどか「え、わたし?」

ほむら『忘れないで。あなた個人は普通の少女と変わらないの。私がいないときに、絶対に無茶はしないでほしい』

まどか「…わたしってそんなに危なっかしいかなぁ」

ほむら『ここ最近は特にね』

まどか「…わかった。ほむほむも無理しないでね」

ほむら『ええ』

まどか「約束だよ?」

ほむら『…私もそんなに危なっかしく見えるのかしら?』

まどか「ま、まあ、小さいから。ちょっと心配かな?」

ほむら『元々、私がやるはずだった事を、貴方にやってもらっているんですもの』

    『このくらいは、本来自分でやるべきことなのよ』

まどか「…でも、無理はダメだよ?」

ほむら『ええ。お互いに…ね?』

まどか「うん」
304 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:38:43.65 ID:oY4Gb8J70
ほむら『じゃあ、さっそく行ってくるわ。一回りするだけだから、時間はかからないと思う』

まどか「それじゃあ、何かあったら電話してね」

ほむら『ええ。電話するわ』ヨイショ


まどか「…大丈夫?」

ほむら『大丈夫よ』

まどか「やっぱり何だか重そうだよ…?背中に電話を紐でを背負って…」

ほむら『仕方ないじゃない。電話を盾にしまって小さくしたら、使えなかったのだから』

まどか「マナーモードは切ってあるよね?」

ほむら『ええ。一度この状態で電話がかかってきたとき、振動で大変な目にあったから…』

まどか「大変だったよね…。お魚みたいに、ピチピチ跳ねて」

ほむら『一度、試しておいて本当に正解だったわ…』
305 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:40:18.07 ID:oY4Gb8J70
まどか「じゃあ、行ってらっしゃい!部屋でご飯用意して待っているよ」

ほむら『お構いなく。それじゃあね、まどか。まっすぐ家に帰るのよ』

まどか「あはは。なんだかほむほむって、お姉ちゃんみたい」

ほむら(まどかが妹…、それもいいわね)

まどか「じゃあ頑張って、ほむほむ!」

ほむら『ええ、まどかも気を付けて』シュタッ

まどか「うん、ほむほむも気を付けてね!」
306 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:47:02.66 ID:oY4Gb8J70

まどか(うーん、ああは言ったけど、本当に一人で大丈夫かな?)

    (体が小さくても、使い魔と戦おうとしていたし。ほむほむのことだから、いざとなったら絶対に無茶するよね…)

    (ああ、でもだめだめ!わたしのせいで心配かけちゃってるんだから、今日は休まないと…)

    (…でも明日になったら、パトロールを二人で半分ずつ、範囲を分けるように提案してみようかな?)

  
まどか「…あれ?」



仁美「…」フラフラ
307 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:48:22.57 ID:oY4Gb8J70
まどか「仁美ちゃん? なにしているの?」

仁美「…あら、鹿目さん、御機嫌よう」

まどか「ど、どうしちゃったの?ねえ、どこ行こうとしてたの?」

仁美「どこって、それは…ここよりもずっといい場所、ですわ」

まどか「いい場所って…。ひ、仁美ちゃん、な、なにを言っているの?」

仁美「ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に…」


まどか(こ、これって…。あ、魔女の口づけ!)

    (ということは、仁美ちゃんは魔女に?! た、大変!)
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/14(日) 15:49:34.59 ID:5/PzQJ87o
びくんびくんほむほむ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/14(日) 15:51:47.28 ID:+oCMuwM1o
いや、ビタンビタンだろ
310 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:53:35.51 ID:oY4Gb8J70
    RRRRRRRRRRRRRR

まどか「ほむほむ!ほむほむ!」

ほむら『…どうしたの、まどか?こちらは今のところ何もないわ』

まどか「仁美ちゃんが大変なの!魔女の口づけがあって、それで…」

ほむら『! 今どこ?!』

まどか「仁美ちゃんを追っているんだけど…、港の倉庫街の方!」

ほむら『すぐに向かうわ。私が来るまで絶対に動いちゃだめよ!』

まどか「で、でも!」

ほむら『ダメ! ただでさえ一戦終えた後で本調子じゃないのだから、おとなしくしていなさい!』

    『とにかく志筑仁美を見張っていて。何かあったら逃げること、いいわね!』

まどか「あ、ほむほむ!」
311 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:54:36.66 ID:oY4Gb8J70
まどか(…切れちゃった)

仁美「…さあ、鹿目さん。行きましょう?素晴らしい世界へ」

まどか「う、うん」



まどか(ごめん、ほむほむ。見張ることは出来ないみたい)

    (仁美ちゃんは何としても守らないと…。出来るなら、他の人たちも)

    (わたし一人でできるかな…。ううん、今はわたし一人しかいないんだから、わたしがなんとかしないと…)

    (お願い。ほむほむ、早く来て。それまでは、わたしが頑張るから…)
312 :1 [saga]:2011/08/14(日) 15:55:20.42 ID:oY4Gb8J70
―倉庫内

男1「これより我々は肉体を捨て、神の座に…」

まどか「だめっ!」


 ガシャーン


男2「何をする!」

女1「ああ、神へと至る道が…」

男3「あ、ああ…」


まどか(いけない、逃げないと…)タタタ
313 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:06:08.40 ID:oY4Gb8J70
    ドンドンドン ガシャガシャ ガタガタ

まどか(とりあえず、ドアの前に置けるだけものを置いたから、しばらくは大丈夫だよね…)

    (バケツはひっくり返したし、持っていた洗剤はぶつかった時に取り上げたから、あんなことはもうできないはず)

    (これで、一応は何とかなったかな?)


 ガンガンガンガンガンガンガンガン 


まどか(凄い勢い…。でも、わたしに注意が向いてるなら、その間はみんな死んじゃうようなことはしないよね)

    (まだ、バリケードは持ってくれそう…。このままなら、ここでほむほむが来るまでやり過ごせるかな?)

    (…でも、何が起きるかわからないし、やっぱり逃げ道を探そう)

    (また、ほむほむに怒られちゃうなぁ…。無茶しないって約束したのに)

    (ううん、とにかく逃げ道を探さないと…)

    (何かあったら、怒られることも出来なくなっちゃうしね)



 ィィィィィィィィィィィィィィン

314 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:11:10.12 ID:oY4Gb8J70
まどか「…!魔女の結界が…」

まどか(いけない。今のわたしじゃ…)


魔女「…」


まどか「魔女?!」

魔女「…」ヴーン

まどか(戦わなきゃ!)ゴソゴソ

    (武器は…。鞄に入っていた拳銃と爆弾が二つしか…)

    (でも、何とかしないと…)

315 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:12:34.07 ID:oY4Gb8J70
魔女「…」ヴーン

まどか「えい!」パンパンパン

魔女「…」ヴーン

まどか(だめ…効果がないよ。何とかして爆弾を当てなきゃ…)

使い魔「…」ワラワラ

まどか「使い魔…こっちなら…!」パンパン

使い魔「――」

まどか(こっちは拳銃でも倒せるけど…。でも、魔女を倒さないときりがないよね)

    (とにかく、投げて当てられるとこまで近づいて、それから…)


―ガシッ―

316 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:14:05.31 ID:oY4Gb8J70
まどか「あ…いやっ!」

使い魔「…」

まどか(後ろにいたのに…。わたし気付かなかったの?!)

ほむら『自覚していないようなら言っておくけど、今の貴方は、非常に危うい状態よ。疲労で明らかに行動に支障が出始めている。いつ致命的な失敗を犯しても不思議ではないわ』

まどか(わたしのバカ…。ほむほむはちゃんと言ってくれてたのに!)

まどか「嫌っ!離して!」

まどか(爆弾は…。嘘…落しちゃってる!)

まどか「や、やだっ…こんな…」 パンパンパン

使い魔「…」ゾロゾロ

317 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:15:13.22 ID:oY4Gb8J70

    カチカチカチ

まどか「…弾が、もう」

使い魔「…」ガシッ
使い魔「…」ガシッ

まどか「いやだっ、助けっ…」


使い魔「…」トテテテ
使い魔「…」トテテテ
使い魔「…」トテテテ

魔女「…」ヴーン


まどか(あうっ…体が…わたし、どうなって…)

    (早く…、早く何とかしないと…)

魔女「…」ヴーン

まどか(そんな…、ここで、終わり?)
318 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:16:27.91 ID:oY4Gb8J70
まどか「…」


まどか(…ダメだなぁ、わたし。守って見せるって決めたのに)

    (それとも罰なのかな…これって)

    (きっとわたしが、弱くて、嘘つきだから…バチが、当たっちゃったんだ)

    (…こんなことなら、もっと色々頑張っておけばよかったな)

    (…ごめんね、ほむほむ。ちゃんと言うことを聞いておけばよかった)

    (…また、泣かせちゃうね)

    (…ごめんね)

    (……)

    (…)


319 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:17:14.91 ID:oY4Gb8J70


???「うぉりゃっ!」ザン!



魔女「…!」

まど「え…?」
320 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:18:17.64 ID:oY4Gb8J70
   ザン ギン ガッ ガガガガガガガガッ

魔女「! ! !」

???「これでとどめだ!」ザシュ!

魔女「…」シュゥゥゥゥゥ

まど(魔女が…消えた?)



???「おっしゃ! 快勝!」

まど「あ、あなたは…」




杏子「…ん? こんなところで何やってんだ、お前?」

まど「杏子…ちゃん?」
321 :1 [saga]:2011/08/14(日) 16:19:58.95 ID:oY4Gb8J70
今日の投下はこれで終わりです。

次はまた木曜日くらいになると思います。
ご拝読、ありがとうございました。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/14(日) 16:25:17.41 ID:caSAShU+o
乙カレー!



話題引っ張るけど、女子中学生「鹿目まどか」じゃなくてどことなく彼女の面影のある男子中学生「円 要(まどか かなめ)」が居る世界線に飛んで来たほむほむちゃんの学園青春ラブコメストーリーとか妄想した事あったり
誰か書いてくれないかなー(チラ見)

しかし危なかったなぁ、あんこ手なづけておいて良かった
ここで魔法少女バレしたら一気に危険度倍増だけど
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/14(日) 16:44:17.64 ID:5/PzQJ87o
拳銃持ってるけどあんこちゃんなら大丈夫だね!
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 20:20:35.15 ID:4C1usCxDO
あんこちゃんペロペロ
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/14(日) 21:23:26.96 ID:EJE/gca90
>>322
pixivで我慢するんだな!
つーか巧妙な宣伝かとおもたwwww
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/15(月) 02:08:42.19 ID:XHug9KSmo

女子中学生にはそぐわない鞄の中身ww
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/17(水) 01:28:30.81 ID:xbN3dIIOo
乙っちまどまど!
328 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:34:33.69 ID:T6HakH5U0
続きを投下します。
329 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:35:44.71 ID:T6HakH5U0
杏子「何だ。結界に巻き込まれてたのか。生きててよかったな」

まどか「杏子ちゃん…その姿…」

杏子「ん? ああ。まあ、なんだ。あんまり気にしないでくれ」

まどか「そ、そんなこと言われても…」



杏子「アンタは、今日は何もなかったし、何も見なかった」

まどか「え?」

杏子「そうしろってこと。いいな」

まどか「無理だよ。あんなこと…」

杏子「無理でもすること。でなきゃ、ロクなことにならねーぞ」

まどか「杏子ちゃん…」
330 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:37:41.41 ID:T6HakH5U0
杏子「さーて、帰るとすっか。噂のルーキーも姿を見せないみたいだし。…っと」

まどか「…?」

杏子「こりゃラッキー! 財布がいっぱいだ!」

まどか「え?え?」

杏子「いやー、今日はツイてるな。グリーフシードも手に入れて、金の工面もつくとは」ゴソゴソ

まどか(倒れている人の、ポケットを漁ってる?!)

杏子「お、これなんかパンパンだ。よく膨らんでるぜ…、って小銭かよ。まあ、いいか」


まどか「だ、だめだよ。杏子ちゃん!」

杏子「あん?なんでだよ。どうせ、死のうとしてた連中じゃねーか」

まどか「それは…」

    (魔女に操られていたから…)

杏子「それに曲がりなりにも助けてやったんだから、これくらいの役得は当然だろ?」

まどか「で、でも…」

杏子「あー、うぜえ。こんなの魔女なんかに魅入られるやつが悪いんだよ、…ってもわかんねーか」

  「とにかく、金をもらうことには変わりねェ。嫌なら、見んな。あっち行ってろ」

まどか「杏子ちゃん!」
331 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:39:13.03 ID:T6HakH5U0
杏子「…あんだよ。邪魔すんなら容赦しねーぞ」

まどか「ダメだよ。そんなこと」

杏子「アタシはアンタと違って、まともな人生を送ってねーんだ。こうでもしないと生きていけねーの」

まどか「…友達」ボソッ

杏子「あん?」

まどか「友達なの」

杏子「? ああ、なるほど。友達が倒れているのか。んじゃ、そいつは勘弁してやるよ。どいつだ? 緑のこいつか?」

まどか「杏子ちゃんも、友達だよ」

杏子「へ?」

まどか「友達がお金取られるのも、お金を取るのも嫌だよ」

杏子「…」

まどか「…」
332 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:41:27.51 ID:T6HakH5U0


杏子「うぜぇ」


まどか「…!」ビクッ

杏子「友達だ? 一回しかあったことがないのに?」

まどか「…うん」

杏子「調子に乗るんじゃねェ。アタシはそんなふうに思ってない。迷惑なんだよ」

まどか「でも、杏子ちゃんは助けてくれたから…」

杏子「あんなのは気まぐれさ。捨て猫に餌をやるようなもんだ。あれぐらいでいい人間だなんて判断するのはバカのすることさ」

まどか「…」

杏子「…ちっ」シュン

まどか(…変身した!)


杏子「もう一度だけだ。嫌なら見んな。さもねーと、無理やり見ないでもらうことになるぞ」ジャキ

まどか「そんなこと、できない。目を瞑ったって何も変わらないから」

杏子「そうかい。引く気は無いってか」

まどか「…」

杏子「ならしかたねーな。加減はしてやるよ」

まどか「…」グッ

杏子(ちっ…! 後味悪ぃ…)



さやか「まどか!」バリーン
333 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:42:35.40 ID:T6HakH5U0
まどか「きゃっ!」

さやか「せりゃぁぁぁ!」バキッ

杏子「うぉっ!」

さやか「まどか! 大丈夫?!」

まどか「さやかちゃん、…え?」

さやか「魔女の気配がして、急いで駆けつけたんだけど、なによこれ! なんなのこいつは!」

まどか「さやかちゃん、その恰好…」

さやか「ん、ああこれ? まあちょっとした心境の変化というやつで…あはは」

まどか「そ、そんな…」

さやか「まあ、大丈夫だって!ちゃんと色々考えてから決めたからさ。後悔はないよ」

まどか「…」

さやか「これからは、3人…いや4人か。魔法少女で頑張ろうよ、まどか!」
334 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:44:52.17 ID:T6HakH5U0
まどか「…何で」ポロポロ

さやか「えっ…?」

まどか「どうして…さやかちゃん…」ポロポロ

さやか「ど、どうしたの…まどか?」

まどか「…う……」ポロポロ

さやか「ま、まどか…。そんなに、怖かったの? だ、大丈夫よ。これからはあたしも守ってあげるから!」

まどか「ち、…違うの。違うんだよ…さやかちゃん…」ポロポロポロ

さやか「…ごめん、もしかして怒ってる?まどかがあれだけ言ってくれたのに。忠告無視する形になっちゃって」



まどか「…」

さやか「ごめん、本当にごめん」

まどか「…わたし…さやかちゃんには…普通のままでいてほしくって…」

さやか「うん、ありがとう。でも、まどか一人にあんなこと背負わせたくなかったから」

まどか「…さやかちゃん」

さやか「あたし、自分の気持ちに嘘はつけなかったの。バカだからさ」

まどか「…」

さやか「…本当にごめんね。まどか」
335 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:46:17.50 ID:T6HakH5U0


杏子「…っつつ。舌噛んじった」

さやか「!」



杏子「ったく、びっくりさせやがって。いきなり斬りかかるとは、いい度胸してんじゃねーか」

さやか「あんた…。どういうつもりよ! まどかに武器向けるなんて」

杏子「ああん? なんでてめえにそんなこと喋らなくちゃならねーんだ?」

さやか「魔法少女でしょ! 人に武器向けるなんてどういうつもりかって聞いてんのよ!」

杏子「どうしようがアタシの勝手だろうが。それとも何か? 魔法少女は人を守らなきゃいけない義務でもあんのか?」

さやか「なっ?!」

杏子「バカじゃねーの、お前。まさかとは思うけど、やれ人助けだの正義だの、そんな冗談かますために、魔法少女になったわけじゃないよな?」

さやか「…だったら、何だって言うのよ!」


杏子「…っつたく遊び半分かよ。ホント、ムカつくわ」

さやか「っ!!」

杏子「見逃してやるから帰んな。今日はもう一戦やらかしたあとだし、お遊びに付き合ってる気分じゃねーんだ」

さやか「お遊び…ですって?」

杏子「そうだ、お遊びだ。何にも分かってねェ。早いとこ、宗旨替えするのが身のためだよ」

さやか「…何よ、偉そうに。アンタにアタシの何がわかるっていうの…!」

杏子「知るかよオマエのことなんか。新人のアンタよりはこの力のことを知っているだけだ。バカに持たせるもんじゃないってね」ホフ

さやか「なん…!」

杏子「…あー、眠ぃ。今日はもう帰るわ。さやか、っつたか。噂のイレギュラーなルーキーとは違うみたいだしな。
   とりあえず今日は見逃してやるから。正義の味方ごっこ頑張れよ」ヒラヒラ
336 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:47:12.27 ID:T6HakH5U0
さやか「…あんたなんか」ジャキ

杏子「…帰れつったのが、聞こえなかったか?」

さやか「あんたなんかぁぁぁぁぁっ!」ダッ

杏子「…あー、うぜぇ」



さやか「だぁりゃぁ!!」

杏子「超うぜぇ」ダッ
337 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:48:43.21 ID:T6HakH5U0
まどか「さやかちゃん…。杏子ちゃん…」
 
    ガンギンガン! バキッ ドゴッ

まどか「なんとか…なんとかしないと」

    ガガガガガ ギッ ガッ

まどか「このままじゃ、二人とも…」



QB「まどか、近づいたら危険だよ」

まどか「…キュウベエ」

QB「二人を止めたいかい、まどか? でも今の君じゃ無理だ。
   魔法少女でもなんでもない、今の君じゃね」

まどか「…」

QB「見たところ、二人とも止める気はないみたいだし。こうなったら、どちらかが倒れないと終わらないね」

まどか「…うん。そうだと思う」

QB「うん、分かってるみたいだね。ま、イレギュラーでも魔法少女なんだから当然か」

まどか「…キュウベェが何が言いたいのかも、わかるよ」

QB「なら話は早い。僕と契約して魔法少女になってよ、本物のね」

まどか「…」

QB「それに君だって薄々感じていたはずだ。不便だってね」

まどか「…不便?」

QB「そう、二人そろわないと変身も出来ないなんて不便極まりない。僕と正規の契約をすれば、そんな煩わしいこともなくなる。
   この状況も打開できるし、悪い話ではないと思うよ」
338 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:50:53.04 ID:T6HakH5U0
まどか「…わかってないね。キュウベエは」

QB「ん?」

まどか「わたしは、ほむほむとの関係を煩わしいなんて思ってないし、不便だなんて感じたこともない」

    「そんなこと気にならないくらい、色々なものをわたしにくれたもの」

QB「やれやれ、わけがわからないよ。人間は。どう考えても、メリットが釣り合っていない」

まどか「キュゥべえの言うメリットと、わたしの大事だと思っているものはたぶん違うよ。だから契約しない。大事なものを失っちゃうから」

QB「でもどうするつもりだい? さっきも言ったけどこの状況はどうにならないよ。現実は非情さ。それとも、君はさやかを見殺しにするのかい?」


まどか「それも、ちょっと違うかな?」

QB「?」

まどか「キュウベエはもうどうしようもならないと思っているみたいだけど、わたしはそうは思わない」
QB「そうかな。状況は、君にとっては絶望的に見えるけれど」

まどか「わたしは契約はしないし、さやかちゃんや杏子ちゃんも見捨てたりしない。きっとあるはずだよ、その方法が」

QB「強欲だね、君は。まあ人間らしいともいえる。でも『二兎を追う者は一兎をも得ず』とは君らの言葉じゃなかったかな?」

まどか「そうかもしれない、でも」



まどか「それが、わたしのやりたいことだから!」ダッ

339 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:51:58.51 ID:T6HakH5U0
さやか「あうっ――!」

杏子「…まったく手間かかりすぎだっつーの」

さやか「こ、この…!」ヒール

杏子「しかも回復かよ。弱いくせにしぶといなんて、ゴキブリかオマエは」

さやか「うるさいうるさい! あんたなんかに負けるもんか――!」ダッ!

杏子「別に勝ちたいわけじゃないんだけどな。とっとと帰りたいし」ヒュン

さやか「この…避けんな!」

杏子「無茶言うな。ほれ、腹がら空き」ドゴ

さやか「うがっ!」

杏子「重傷負わせてもすぐ回復。キリがねぇなこりゃ」

さやか「こん…げほっ…げほっ!」

杏子「大して強くもないのに、先輩に対する態度がなってないね。もう少し痛めつけてあげようか?」

さやか「あんたなんか…先輩じゃない!あたしの先輩はマミさんだけだ!」

杏子「なんだ。あんたもマミの後輩だったのか。通りで甘いわけだ。アイツ、後輩の育成には向いてないんじゃないかね」

さやか「マミさんのことを悪く言うな! うぉりゃぁぁぁ!」ブン
340 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:53:21.16 ID:T6HakH5U0
杏子「…挑発されたら、すぐ頭に血が上る」ヒュン

さやか「あっ…!」

杏子「少しは学習しろ、ボケが」ヒュン


   ドゴッ


さやか「――――!」

杏子「胸にデカいの一発。傷が治せても、しばらく動けないだろ」

さやか「げほっ!…げほっ!…こん!…がはっ!」

杏子「もういい。面倒くせぇ。言って殴ってもわからない、バカとなりゃあ、あとは死ね」

さやか「…」ブルブル


杏子「さっくり決めてやる。消えな、大バカ野郎」ジャキ
341 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:54:51.18 ID:T6HakH5U0


まどか「杏子ちゃん!」

 
杏子「…何考えてるんだオマエ?」


さやか「ま、まどか…」

さやか(まどかが…あたしの前に…)


杏子「どけよ。死にたいのか」

まどか「止めて。杏子ちゃん」

杏子「見逃してやるっていったのに、挑んできたのはそいつだ。そいつだってわかってて戦ってたはずだ。アタシをどうこういうのは筋違いだよ」

まどか「うん。でも止めて」


杏子「…」

さやか「まどか…逃げ…」

まどか「ごめんね、さやかちゃん。でも、それはだめ。友達を見捨てるなんて、できないもん」

さやか「まどか…」
342 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:55:49.60 ID:T6HakH5U0
杏子「…また友達かよ」

まどか「そうだよ。友達。だから、大事にしなくちゃいけないの」

杏子「…悪いが、今回は止める気はねェ。こいつはここでリタイアしたほうが絶対にいい」

   「間違いなく、ロクな末路にならねーぞ」

まどか「…」グッ

杏子「…そうかよ。引く気は無いんだな」

まどか「…」コク

杏子「…そうかい。じゃあな、まどか」

まどか「…」

杏子「嫌いじゃなかったよ」ヒュン

さやか「まどかっ!」

まどか「…っ!」
343 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:56:33.99 ID:T6HakH5U0


    がきん!


さやか「え――?」
杏子「なっ?!」



ほむら「ほむほむほむ!」

344 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:57:22.90 ID:T6HakH5U0
杏子「な、何だこのちっこいの!」

杏子(アタシの攻撃を止めたがった?!)

さやか「ほむほむ!」

杏子「ほ、ほむほむ?」

ほむら「ほむ!」



杏子「何だテメェは! どっから来やがった!」

ほむら「ほむ、ほむむ!」

杏子「なにいってるのかわかんねーよ!」バッ

ほむら「ほむっ! ほむっ!」

杏子「くっそ、ちょこまか動きやがって――!」

まどか「ほむほむ!」
345 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:58:18.46 ID:T6HakH5U0
ほむら『遅れてごめんなさい! 見つけるのに手間取ったわ』

まどか『ほむほむ! 来てくれるって、信じてたよ!』

ほむら『さっそくだけど――大丈夫?』

まどか『うん、大丈夫!』

ほむら『佐倉杏子は手練れよ。加えてあなたの状態から見て長期戦は無理。短時間で済ませましょう』

まどか『ううん、わたし出来ることなら杏子ちゃんとは戦いたくない。何とか説得したいの。できないかな?』

ほむら『まどか…? あなた佐倉杏子と知り合いなの?』

まどか『うん、ちょっとね』

ほむら『後で聞かせてもらうわ。それよりも変身するわよ』

まどか『わかった!』

ほむら『どちらにするしろ、相手と対等な立場にならないとね』

まどか『うん!』



ほむら「ほみゃ!」ペシ

杏子「がっ! この野郎、鼻に蹴り入れやがって!」
346 :1 [saga]:2011/08/18(木) 19:59:35.09 ID:T6HakH5U0
ほむら『…契約しないでくれて、ありがとう』

まどか『わたしには、もうほむほむがいるからね』

ほむら『…いくわよ!まどか!』

まどか「…うん!」



まどほむ「『変身!』」ピカッ
347 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:00:40.41 ID:T6HakH5U0
杏子「んなっ?!」

杏子(が、合体した?!)

まどか「さやかちゃん、運ぶよ!」ヒョイ

さやか「あっ…」

杏子(なんだ…この威圧感! とんでもねー魔力を持ってやがる! こりゃあ気を引き締めねーとやべぇな)



さやか(こ、これが、まどか?)

まどか「ここで待ってて、杏子ちゃんはわたしが何とかするから!」

さやか「う…うん」

さやか(な、なんか、近くにいるだけでいろんなとこがビリビリする)

さやか(魔法少女になったから…まどかの凄さがわかるのかな?)

杏子「…そうかい、アンタが『かなめまどか』だったのか」

まどか「うん。…あれ? バックに書いてあった名前を見たって…」

杏子「…まあいいさ。探す手間が省けた。そっこーで潰してやる!」ダッ!

まどか「杏子ちゃん!」シュン!

    シュ バッ シュシュ ガキンキン ガッ

さやか(げっ…どうやって戦っているんだが全然わかんない)

さやか(あたしって、こんなに力不足なの…?)
348 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:01:31.31 ID:T6HakH5U0
杏子「この野郎!」

まどか「杏子ちゃん!止めて!」シュン

杏子(全然攻撃が当たらねー!)

まどか「杏子ちゃん!」

杏子(どうなってやがるんだ。出たり消えたり、こいつの能力か?!)

まどか「お願い! 話を聞いて!」シュン

杏子(畜生! またかよ!)

ほむら「ほむ!ほむむ!」

まどか「うん、わかってる。けど…!」

杏子(しかもなんだ。あの頭に乗っているちっこいの!)

杏子「おぅりゃ!」ブン

まどか「!」シュン

杏子(わからねーことが多すぎる…。力もルーキーだと思わないほうがいいか…?)
349 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:02:38.72 ID:T6HakH5U0
杏子「…」スッ

まどか「杏子ちゃん?」

杏子「おい、何で戦わねー?」



まどか「…魔法少女同士で戦うのなんておかしいよ」

杏子「はっ? おかしなこと言うじゃねーか。戦うために変身したんだろ?」

まどか「それはちがうよ。杏子ちゃん。同じ立場じゃないと話を聞いてもらえないと思ったから、変身したの」

まどか「だからいうね。魔法少女同士で戦うなんておかしい。こんなの絶対おかしいよ」

杏子「おかしくねぇよ。魔法少女なんてのは、結局は自分の欲望に身を捧げた奴らのことだ。だから自分のために戦う。なんであろうともな。こんなの普通のことだよ」

杏子「それを人助けだのなんだの。そんなこというほうが頭おかしいっての」

さやか「なんですっ…ごほっ!ごほっ!」


まどか「…それはちがうよ杏子ちゃん」

杏子「あん?」
350 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:03:30.16 ID:T6HakH5U0
まどか「魔法少女は祈りによって存在している」

    「何かを祈って、その祈りでソウルジェムを輝かせる。そういう契約」

    「それを欲望っていうのかもしれないけど、それでもただ自分の為だけに祈るなんてことはない」

    「祈りっていうのは、祈りたい誰かや誰かの為にするものだもの」


杏子「…」

ほむら(まどか…)

まどか「杏子ちゃんも…そうだったんじゃないの?」

杏子「…」
351 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:04:33.76 ID:T6HakH5U0
杏子「…」

まどか「…」

杏子「…やめだ」

まどか「えっ?」

杏子「アンタも、その頭に乗っているヤツもわけわかんねぇ。正体も能力もまるでわからねえとあっちゃね。今日のところは帰らせてもらうよ」

さやか「ちょっと、逃げる気?!」

杏子「勘違いすんじゃねェよ。雑魚が」

さやか「なっ…!」

杏子「テメェはいつでも潰せるが、まどかはそうはいかねぇ。やるならキッチリ体調を整えねえとな」

まどか「杏子ちゃん…」

杏子「そういうわけだ。アタシはそのつもりだけど、アンタはどうする、まどか?」

まどか「…杏子ちゃんいいなら、それでいい。でも、杏子ちゃんとはこれからも戦いたくないよ、わたし」

さやか「ちょっと、まど――ごほっ?!」

杏子「…そうかい。じゃあな」シュッ

まどか「…杏子ちゃん」



まどか(帰った…。ううん。帰って、くれたのかな?)

まどか(…ありがとう)
352 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:05:12.06 ID:T6HakH5U0
まどか「さやかちゃん!大丈夫?」

さやか「…うん。なんとか体も治ってきたみたい」

まどか「よかった…」


さやか「それよりもなんなのあいつ?! まどかの知り合い?!」

まどか「う、うん。そんなに知っているわけじゃないけど」

さやか「だめだよまどか、あんなやつの相手しちゃ! 絶対襲ってくるよ!」ガクガク

まどか「わわわ、ゆ、ゆらさないでさやかちゃん」

ほむら「ほむっ!」ペシ

さやか「痛っ!」

まどか「た、助かった…」

さやか「…まどか。何であいつ逃がしたの? あんなやつ、野放しにしちゃ絶対に…」

まどか「…それよりもさやかちゃん。なんで魔法少女に――」
353 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:05:55.78 ID:T6HakH5U0



    グラッ



まどか「…え?」

さやか「まどか?」

ほむら「ほむ?」



まどか「…あ…れ?」

さやか「ちょっとまどか?! どうしたの!?」

まどか「…」バタッ

さやか「まどか?!」

ほむら「ほむほむほむ?!」

さやか「まどか! 起きてよまどか! ねぇ、ちょっと!」

まどか「…」

ほむら「ほ…ほむ……ほ……む………ほ――」


まどか(あ――ほむ――)

まどか「―――」
354 :1 [saga]:2011/08/18(木) 20:08:17.53 ID:T6HakH5U0
今日の投下はここまでです。

相変わらず、改行とかが下手で申し訳ありません…。
もう少し読みやすくなるように、推敲してみます。

次は、土曜か日曜になると思います。
ご拝読ありがとうございました。
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 20:10:59.72 ID:98MLuRiSo
お疲れ様でした
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/18(木) 20:13:10.69 ID:AYYzNhn8o
乙ほむ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 20:25:46.77 ID:vg83Zm5DO
ほむーん
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/18(木) 20:30:56.36 ID:yra4yWvk0
ほむ(乙)
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/18(木) 20:46:24.91 ID:32CWQslqo
ほむほむ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/18(木) 21:15:42.92 ID:GyzZk2g6o
乙。
まどかが成長っつーか、変化してるなあ
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/19(金) 01:16:53.48 ID:KRkGuXj3o

ほむほむマジナイスタイミング
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/20(土) 09:34:47.61 ID:py+EUD7Mo
乙っちまどまど!
うーむ、生身の人間だからかね
363 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:39:36.33 ID:+32FbJjI0
続きを投下します。
364 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:40:37.11 ID:+32FbJjI0
―マミ宅―

マミ「――そう…美樹さんは、その願いで魔法少女になったのね」

さやか「はい」

マミ「…後悔は、しないわね?」

さやか「当然です! だって、ここで願いを叶えなくちゃ絶対後悔するって思ったんですから!」


まどか(…さやかちゃんの声?)

まどか(あれ…あたし…)
365 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:43:32.45 ID:+32FbJjI0
ほむら『まどか?』

ほむら「ほむ、ほむむ」

マミ「あら、鹿目さんが起きたの?」

さやか「え、まどか?!」

まどか「あれ…? ここは…」

さやか「まどかー! 無事でよかったよ!」

まどか「あ…さやかちゃん。それにマミさんも」

マミ「鹿目さん。体は大丈夫? どこも痛むところはない?」

まどか「はい、特には。あの…わたしは」

さやか「まどかが急に倒れちゃったから大変だったんだよ?」

まどか「わたしが?」

マミ「ええ。美樹さんが、鹿目さんを担いでここまで運んで来たの。突然でびっくりしちゃったわ」

さやか「全然起きないから、全力で運んだんだ。感謝してよね〜、まどか〜」

ほむら「ほむほむんむ!」

さやか「はいはい。あんたもたくさん心配したよね〜ほむほむ」
366 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:45:15.36 ID:+32FbJjI0
マミ「鹿目さん、本当に大丈夫? どこか痛むところは無い?」

まどか「あ、はい。大丈夫です」

マミ「あなたは、私たちと違って体の治りは普通と変わらないわ。だから、酷い傷を負っていないか心配したのだけれど…」

まどか「なんだか疲れがたまってたみたいで、急にクラっと…」

さやか「ここ最近ずっと一人で戦ってたからね。無理もないよ」

まどか「一人じゃないよ、さやかちゃん。ほむほむもいたし」

さやか「それでも戦う時は一人じゃん。でもこれからはさやかちゃんに任せなさ〜い!」

マミ「そうそう美樹さん。鹿目さんにもどうして魔法少女になったのか、説明してあげないと」

さや「おっ、そうだね。まどか、あたしはね…」

367 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:48:00.98 ID:+32FbJjI0
ほむ『…まどか、まどか』

まど「…」

ほむ『…まどか?』

まど『あ…ほむほむ』

ほむ『本当に大丈夫? ぼうっとしているようだけれど』

まど『うん…大丈夫だよ』

ほむら『…倒れるまで、疲弊していたなんて。私の認識が甘かったわ、ごめんなさい』

まどか『…ううん。ほむほむは悪くないよ。わたしが勝手に無茶しただけ』

ほむら『貴方を守るって約束したのに…。私なにも出来ていないわね、貴方にばかり負担をかけて…』



まどか「そんなことない!」

さやか「ん?」
マミ「鹿目さん?」

まど「あ…、ごめんなさい。ほむほむとの話でつい…」



まどか『…ほむほむは頑張ってる。十分、助けてくれてるよ?』

ほむら『…』


ほむら(甘かった)

    (今のまどかを一人にすれば、こういう事態になることも予測できたはずなのに…)

    (やはり、今のまどかは危ういわ。こうなったら、できるだけ一緒にいるべきね)


まどか『本当なら、戦えるわたしがもっとしっかりしなくちゃいけないのに…』

ほむら『あなたが気に病む必要はないわ。それより後で佐倉杏子とのことを聞かせてほしいのだけれど』

まどか『あ…うん。わかったよ』
368 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:49:41.91 ID:+32FbJjI0
―数分後、説明終了

まどか「じゃあ、さやかちゃんは上條くんのために…」

さやか「そ。でもそれだけじゃないよ。あたしは、まどかや街の人たちを守るために魔法少女になったの。恭介のことはきっかけだけ」

さやか「だから、まどかは安心していいよ。これからはあたしも街の平和を守るから!」

まどか「…うん。わたしももっと頑張るよ。さやかちゃん!」

マミ「でも、張り切るのもいいけれど無茶しちゃダメよ二人とも。特に鹿目さん」

まどか「え?! わ、わたしですか?」

マミ「ええそう。美樹さんに聞いたわよ?一人で危ないことをしていたってね」

まどか「さ、さやかちゃん!」

さやか「え? い、いや〜マミさんに事後報告は必要かと…」
369 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:51:21.87 ID:+32FbJjI0
マミ「鹿目さん。隠し事はダメよ。それと無理もダメ」

マミ「今回は美樹さんやほむほむが来てくれたから良かったものの、そうでなかったら本当に危なかったのよ?」

まどか「はい…すみません」

マミ「街を守ること。そのことは立派だけど、そのためには自分のことも大事にしなくっちゃ」

まどか「ほむほむにも同じことを言われました。他人を助けたかったら、まずは自分を一番に考えろって…」

マミ「あら、そうなの?」

ほむら「ほむっ!」

マミ「ほむほむはやっぱり頼れる先輩ね。そう、そのとおりよ。美樹さんも、よーく覚えておいてね」

さやか「はい!マミさん!」

マミ「倒れるまで体を酷使するなんて、そんなんじゃまだまだ一人前には程遠いわよ?鹿目さん」

まどか「ううう…」

マミ「これからも、やっぱり鹿目さんにはほむほむが憑いていてもらわないといけないみたいね」

ほむら「ほむほむ」

マミ「お願いね、ほむほむ。鹿目さんに無理させないよう、しっかり管理するのよ?」

ほむら「ほむ!」



さやか「…な〜んか信用無いね、まどか?」

まどか「…」シュン

370 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:53:30.86 ID:+32FbJjI0

さやか「そうだ! まどかにはしばらく休んでいてもらおうよ、マミさん!」

まどか「さやかちゃん?!」

さやか「これまで一人でずーーっと街を守ってきたんだし。あたしが魔法少女になったんだから、ここでまどかには一休みしてもらわないと」

まどか「そんな、さやかちゃんに悪いよ…」

マミ「いえ、美樹さんの言う通りだと私も思うわ、鹿目さん。あなたは、ここで少し休んで体調を整えるべきね」

まどか「でも、さやかちゃんは魔法少女になりたてなんですよ! ひとりで魔女となんて…」

マミ「それなら、大丈夫。私も明日から魔法少女として復帰するわ」

さやか「え?! マミさん、もう大丈夫なんですか!」

マミ「ええ。正直、まだ本調子というわけではないけれど、もう休んでいるわけにもいかないもの」

まどか「マミさん…」

マミ「ワルプルギスの夜と戦うためにも、実戦の勘も戻さなくちゃいけないし、それに先輩として美樹さんの指導もしないとね」

マミ「それに二人がかりなら、魔女にもそうそう遅れも取らないと思うわ」



さやか「マミさん…。よろしくお願いします!」

マミ「こちらこそよろしくね、美樹さん。そういうわけで鹿目さん」

まどか「はい」

マミ「あなたは、しばらく体をしっかり休めること。体調を整えてから、ワルプルギスの夜と戦うための対策を立てましょう」

まどか「わかりました、マミさん」

さやか「まどかが守った街は今度はあたしが守るからね!大船に乗った気でいなよ〜」

マミ「美樹さんは私と特訓よ。鹿目さんと違って、あなたはまだ半人前ですらないんですからね」

さやか「うっ…はーい」
371 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:54:46.35 ID:+32FbJjI0
マミ「それにしても、この街に佐倉さんが現れるなんて…」

さやか「…マミさんは知ってるんですか、あいつのこと」

マミ「ええ。佐倉杏子さん。ベテランの魔法少女よ。ちょっと過激な行動が多いってことは聞いていたけど…」

さやか「過激なんてもんじゃないですよ。あいつ無防備なまどかに武器を向けたんですよ! それに人助けを心底バカにして、自分の為だけに力を使うって」

マミ「…自らの祈りの代償に戦うのが魔法少女の宿命だもの。そんなふうに考える魔法少女が少なくないのも確かね。残念なことだけど」

さやか「そんな…」

マミ「でもどうして、佐倉さんはこの街に来たのかしら?」
372 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:56:13.80 ID:+32FbJjI0
QB「それなら、僕が知っているよ」

まど「キュウベエ? いつの間に…」

QB「彼女はマミがリタイアしたと聞いてこの街に来たんだよ。新人の魔法少女を潰してしまえば、この街のグリーフシードを独り占めできる。そう考えたんだろうね」

さやか「グリーフシードを?」

QB「そう。グリーフシード蓄えておけば、使える魔法の量も増える。そうなれば、魔女や他の魔法少女を戦う時に有利になるからね」

さやか「そんな理由で、使い魔を放置するっていうの!」



マミ「美樹さん。これはそこまで単純な話じゃないわ」

   「穢れが溜まって、魔法が使えなくなれば魔女にやられてしまう。グリーフシードを持っておくことは、魔法少女にとって死活問題なの」

   「グリーフシードが尽きて、ソウルジェムに穢れが溜まってきていたとしたら…。そんな行動をとっても、誰も責めることは出来ないわ」

さやか「でも、アイツは絶対そんな理由で放置してるんじゃない! そうでしょ? キュウベェ」

QB「まあ、彼女はベテランだしね。そこまで追いつめられるようなことは早々ないはずだよ」

さやか「やっぱり…!」

373 :1 [saga]:2011/08/20(土) 20:58:15.92 ID:+32FbJjI0
さやか「マミさん、あたし決めました。あたしはあんな魔法少女には絶対になりません。あんな…、あんな最低な奴みたいに誰が!」

マミ「美樹さん…」

まどか「さやかちゃん…」

マミ「…美樹さん。あなたの人を守ろうとする考えはとても素晴らしいと思うわ。でもだからって考えることを止めてはダメよ?」

さやか「…それはアイツのことを理解しろってことですか?」

マミ「そこまでは言わないわ。でも理解できないことと、理解しようとしないことは全く違う行動よ?」

さやか「アタシは絶対にアイツのことは認めません」

マミ「美樹さん!」

さや「あんな奴、誰が認めるものか! マミさんはあんな奴の肩を持つんですか! あたしはマミさんみたいな…!」



まどほむ「さやかちゃん!『ほむ!』」

さやか「――あ」

まどか「喧嘩はダメだよ!さやかちゃん!」

ほむら「ほむほむ!」

さやか「まどか…。別にアタシはマミさんと喧嘩なんて…」

まどか「…」

さやか「…ごめん、まどか。マミさんもごめんなさい」

マミ「いえ。私も偉そうなことを言ってごめんなさい」

さやか「そんな、マミさんは悪くないですよ! ほらほら、もうアイツの話は止めて。これからの話をしましょうよ、ね?」

マミ「…そうね。そうしましょう」

まどか(さやかちゃん…)
374 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:00:54.99 ID:+32FbJjI0
マミ「それじゃあ、ワルプルギスの夜が来るまでまだ猶予はあるのね?」

まどか「はい。ほむほむがそうだって」

ほむら「ほむ」

マミ「キュゥべえ?」

QB「こちらの見立ても同じさ。現れるのはまだ先だろうね」

さやか「猶予はある…か」

マミ「その間に鹿目さんと美樹さんを一人前にして、可能な限り準備をする。それに加えて街のパトロールと魔女退治。上手く時間をやりくりしないと…」

さやか「それにあいつ、佐倉杏子のこともなんとかしないと。このままじゃ、あいつは何の罪もない人も傷つける。野放しにはできません」

マミ「…そうね。彼女のことも何とかしないと。困ったわね。問題は山積み。解決できなくはないと思いたいけど…」
375 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:02:44.21 ID:+32FbJjI0
まどか「…」



まどか『ねえ、ほむほむ?』

ほむら『なに?』

まど『…わたしね、みんなに提案しようと思う』

ほむ『え?』

まどか『杏子ちゃんを、仲間にできないかなって』

ほむら『!』

まどか『杏子ちゃん、そんなに悪い子じゃないと思うんだ。わたしのこと助けてくれたし。それに仲間にできれば、みんなの負担が減ると思うの』

ほむら『…でも、難しいと思うわ。特に美樹さやかがなんていうか…』

まどか『うん。でも、やってみる』

ほむら『いざとなったら、私が美樹さやかを気絶させるわ』

まどか『ううん、そうならないように頑張るよ』
376 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:04:23.30 ID:+32FbJjI0
まどか「…あの」

マミ「ん? なあに、鹿目さん」

まどか「杏子ちゃんを、その…」

さやか「…あいつがどうかしたの? まどか?」

まどか「杏子ちゃんを、仲間に入れられないでしょうか?」


マミさや「「え?!」」


まどか「ワルプルギスの夜を倒すには、一人でも多くの魔法少女の力が必要だと思うんです。その点、杏子ちゃんはベテランだし、実力もあるし…。それに、一緒に戦えるようになれば魔女退治の負担も減るし、時間もできると思うんです」

まどか「もし出来るなら…の話ですけど」

マミ「…そうね。もし、そうなればかなり楽になるわね。実力は折り紙つき。グリーフシードも多く所持しているだろうから、ワルプルギスの夜も倒せる可能性も上がると思うわ」

マミ「ただ…」

さやか「…」



さやか「…まどかはさ。あいつを見て何も感じなかったの?」

まどか「…さやかちゃん」

さやか「あいつは自分の都合しか考えてない! 自分の為なら他人を犠牲にできるやつなんだよ! わかるでしょ?!」

まどか「…」

さやか「さっきあいつに何されそうになったのかもう忘れたの? あたしが来なきゃ、殺されるところだったんだよ?! あんな奴がいるから、魔女や使い魔に襲われる人が増えるんだよ。まどかは守りたい人が襲われてもいいの?」

さやか「あたしはあいつと手を組むのは反対。誰が…あんな奴と一緒に戦うもんか」
377 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:06:47.31 ID:+32FbJjI0
まどか「…さやかちゃん。さやかちゃんは、どうして魔法少女になったの?」

さやか「…なによ急に。さっきも言ったでしょ。恭介の腕を直すため。でもって魔女から街の人を守るためにこの力を望んだの」

まどか「じゃあ、ワルプルギスの夜が街を壊しちゃうのはいいの?」

さやか「…いいわけないじゃない」

まどか「そう、わたし達は絶対に負けられない。だから少しでもやれることはやっておかないといけない。
    それに、杏子ちゃんだって話せばわかってくれるかもしれない。話もしないうちから、勝手に決めつけるのはおかしいよ」

さやか「相手はGSの為に人間を餌にしようって奴なんだよ? どうやって折り合いつけろって言うの?」

まどか「マミさんだって言ってたよ『理解できないことと、理解しようとしないことは全く違う』って。今のさやかちゃんは理解しようとしていない。
    相手のことを何も知らないのに、どうして敵だって言い切れるの?」

さや「あんな奴、理解なんて…っ!」ガタッ!

マミ「美樹さん…」

ほむら『…!』グッ

さやか「…」



さやか「…大丈夫です、マミさん」
378 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:08:33.07 ID:+32FbJjI0
さやか「…まどか、あんた変だよ。殺されかけたんだよ? なんでそんなにあいつのことを信用するの?」

まどか「…信用しているわけじゃないよ。信用できるかどうか、それを知りたいから相手のことを知りたいの」

まどか「何も知らないのに勝手に決めつけるようなことは、したくないから」

さや「…」

まど「…」



マミ「二人とも、喧嘩はそこまでよ」

まどか「マミさん…」

さやか「…」

マミ「鹿目さん。あなたの考えは確かに理にかなっているし、状況を打開できるかもしれない。でも焦りは禁物よ。
    ましてや今さっき事を構えたばかりだもの。すぐに応じてくれるとは考えにくいわ。誘うにしても少し時間をおいてから考えましょう」

まどか「はい…」

マミ「それから美樹さん」

さやか「…はい」

マミ「鹿目さんの言うとおり、私達は絶対に負けられないの。そのためなら佐倉さんと手を組むことも考えるべきだと、私も思うわ」

さやか「でも…っ」

マミ「確かに彼女と私たちは相容れないかもしれない。でも、一時的に手を組むということなら彼女も力を貸してくれるかもしれない」

マミ「そうできるのなら、そうするべき。忘れないで、私たちは守るという目的が先にあるの。戦うというのは、それを行うための手段の一つに過ぎないわ。
    だから場合によっては戦わないで解決する方法も当然ある。そこをはき違えないでね」

さやか「…はい。マミさん」
379 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:10:04.88 ID:+32FbJjI0
マミ「さて、今日はもう遅いし、話はここまでにしましょう。あんまり遅くなると、家族の人も心配してしまうわ」

まどか「え? あ、もうこんな時間! すみません、こんな時間まで」

マミ「いいのよ。それに、二人とも」

まどさや「はい?」

マミ「…本当に無事でよかったわ。あなたたちに何かあったら、私は…」

まどか「マミさん…」

さやか「心配かけてごめんなさい。でもあたし、これから心配かけないように強くなりますから!」

マミ「ふふっ、そうなれるように明日からは特訓ね♪」

さやか「うげぇ…お、お手柔らかにお願いします」



マミ「鹿目さんは体を休めること。美樹さんは私と一緒にパトロールと特訓。これが明日からの行動よ」

まどさや「はい!」

マミ「それじゃあ二人とも。また明日」

まどか「はい。じゃあ、ほむほむ。帰ろう?」

ほむら「ほむ!」ピョンコ

さやか「…まどか」

まどか「さやかちゃん、また明日ね」

さやか「…うん。また、明日」
380 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:11:07.31 ID:+32FbJjI0
―まど部屋―

まどか「さやかちゃん…。魔法少女になっちゃうなんて…」

ほむら『…ごめんなさい。私の注意が足らなかったわ。貴方が何度も美樹さやかに警告していたから、大丈夫だと思っていたのだけれど、甘かった。これは私のミスよ』

まどか「ううん。ほむほむの責任じゃないよ。でも、さやかちゃん大丈夫かな…」


ほむら『まどか、魔法少女になったからといって美樹さやかのことを見捨てる気は無いのでしょう?』

まどか「当たり前だよ! だって友達だもん…」

ほむら『だったら、できるだけ彼女のそばにいてあげなさい。とにかく、彼女一人に抱え込ませないこと。出来ることがあるとしたら、それくらい』

まどか「…そうなのかな。それしか、わたしにはできないのかな…」

ほむら『でも、それが彼女にとってなによりの助けになるはずよ』

まどか「…うん。わかった」
381 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:12:56.78 ID:+32FbJjI0
まどか「それにしても、上手くいかなかったね…」

ほむら『佐倉杏子のこと?』

まどか「…うん」

ほむら『まどかは頑張ったわ。でも、やはりあの場で良い結論を出すのは難しかったと思う』

まどか「でも、一緒にワルプルギスの夜と戦ってくれるなら、心強いよね」

ほむら『そうね。戦力として非常に魅力的だわ。魔法少女としての資質も申し分ない。できることなら、ぜひ引き入れたいところね』

まどか「…仲良くできないかなあ」

ほむら『…佐倉杏子は自分の為に力を使う子。逆を言えばあっちに得があることを示せれば、こちらについてくれると思う。
    問題はこっちの方ね。巴マミは街を守るためと言えば納得してくれそうだけど…』



まどか「…さやかちゃん、だね」

ほむら『ええ。彼女の佐倉杏子への敵愾心は相当なものよ。一時的、と言ってもそう簡単に納得はしないでしょうね』

まどか「なんとかならないかなぁ…。杏子ちゃんは、わたしには悪い子とは思えないよ」

ほむら『悪いことはしているとは思うわよ。彼女は自分に正直になろうと生きているから』

まどか「そうなの?」

ほむら『でも性格は悪くはないわね。一度信頼すればそう簡単には裏切らない。その信用を得るのが大変なのだけれど』

まどか「うーん。何となく、さやかちゃんとは気が合いそうな気がするんだけどなぁ」
382 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:13:55.26 ID:+32FbJjI0
ほむら『…美樹さやかは思い込みが激しすぎる。最初の印象で人の価値を推し量り過ぎよ。もう少し柔軟性を持つべきだわ』

まどか「でもさやかちゃん、人にはすごく優しいんだよ? わたしも昔なんども助けられたもん」

ほむら『自分や自分の身の周りのものを守ろうとするあまり、視野が狭くなっているのよ。正義感が強いことは認めるけれど、単純な二元論で物事を見るのは感心しないわね』

まどか「ほむほむはさやかちゃんには厳しいなぁ。なにか嫌なことでもされたの?」

ほむら『…別に、ああいったタイプに苦労したことがあるだけよ』

まどか「ダメだよ。ほむほむも人と仲良くしようとしないと。苦手だからって、相手のことを考えない言い訳にはならないんだからね?」

ほむら『…努力するわ』

まどか「うん。で、杏子ちゃんのことだけど…」
383 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:15:51.12 ID:+32FbJjI0
―作戦会議、終了―

まどか「じゃあ、まずは杏子ちゃんを探して説得。そのあとに、わたしがマミさん達との間を取り持つ。これでいいね!」

ほむら『…簡単に言っているけど、大変よ?それ』

まどか「ううん、大変でもやらないと。だってみんな助かってほしいもの」

ほむら『佐倉杏子を説得するときは、私も力になれると思う。彼女の性格はそれなりに知っているから。問題は美樹さやかの方だけど…』

まどか「そっちはわたし一人で頑張ってみる。ほむほむに頼りきりはよくないもん。さやかちゃんの説得くらいは、一人でやってみせるよ」

ほむら『そうね…。じゃあ、そっちはまどかに任せるわ』

まどか「うん。まかせて!」

ほむら『それから、まどか。今日の戦いで能力の使い方で気付いたことがあるのだけれど…』

384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 21:16:53.19 ID:URfJX7Pmo
リアルタイム遭遇ktkr
385 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:17:57.37 ID:+32FbJjI0

まどか「…」クスッ

ほむら『…まどか? どうしたの急に笑ったりして』

まどか「うん。なーんか、いつの間にかほむほむと一緒にいるのが当たり前になっているなぁって」

ほむら『…ごめんなさい。迷惑かけているわよね』

まどか「違うよ。嬉しいの、新しい友達が出来て。いつも一緒にいてくれて、ありがとうほむほむ」

ほむら『まどか…』



まどか「それと、今日はごめん。帰るはずだったのに勝手に行動しちゃって。怒ってる…よね?」

ほむら『…そのことは巴マミがもう言ってくれたから、とやかく言うつもりはないわ。でも、これからは止めてほしいわ。もっともしようとしても、わたしが止めるけど』

まどか「…もしかして、信用ガタ落ち?」

ほむら『むしろ今日の中で、どこに信用される行動があったのか聞きたいものね』

まどか「ひどいよ?! ま、まぁわたしも無茶したと思っているけど…」

ほむら『一度落ちた信用は、そう簡単に取り戻せるものではないわ。よってこれからは四六時中傍にいる。一緒に行動出来るときはすべて一緒にいさせてもらうわ』

まどか「うわー…」

ほむら『…心配、したんだからね?』

まどか「…ごめんなさい」

ほむら『分かってくれたのならいいわ。でも、しばらく傍にいさせてもらうことには変わらないわよ? 貴方を一人にすると無茶することが今回でよくわかったのだから』プンプン

まどか「…」
386 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:19:06.44 ID:+32FbJjI0
まどか「ねぇ…」

ほむら『なに? いまさら嫌と言っても聞かないわよ?』

まどか「一緒にいてね。ほむほむ」

ほむら『当り前じゃないの。そのつもりなんだから』

まどか「ううん。そうじゃないの。…いなくならないでね?」



ほむら『…まどか?』

まどか「ほむほむは、何かを守るためにわたしの力になっている。わたしも守るために、ほむほむの力を借りている。でも、もうわたしはほむほむをそれだけの存在とは思ってないよ?」

ほむら『…』

まどか「最初はそんな関係だったかもしれないけど、でも今はもう違うの。ほむほむはわたしの友達。友達なんだよ?」

ほむら『…どうしたの急に?』
387 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:20:14.95 ID:+32FbJjI0
まどか「へへ、何でだろ、いつの間にか一緒にいるのが当たり前だなぁって感じたら」

まどか「なんだか急に、ほむほむが居なくなったときのこと考えちゃって。そうしたら、なんだかすごく寂しくなって…そしたら…」

ほむら『…それが普通よ、まどか。私がいない生活のほうが日常なの、悲しむことなんて何もないわ』

まどか「それは、ほむほむと知り合う前の生活だよ。今じゃこっちの生活が普通なんだよ?」

ほむら『それは…』



まどか「…ねぇ、ほむほむ。もしもワルプルギスの夜を倒してもね。わたし、ほむほむと一緒に魔法少女を続けたい」

ほむら『…!』

まどか「ワルプルギスの夜を倒しても、魔女はいるんだよね? だったら、大好きなものを守るためにわたし戦いたいの。それにそうすれば、ほむほむとも一緒にいられるし。ね?」

まどか「わたし頑張るよ。武器のことだってもっと覚えるし、魔法の使い方だって勉強する。だから、一緒にいさせて?」

ほむら『…』
388 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:21:48.37 ID:+32FbJjI0
ほむら『悪いけど、それは聞けないわ。まどか』

まどか「え…?」

ほむら『貴方とは、一定期間、一緒に戦ってほしいとの契約だった。それは変わらない。それ以上は契約違反よ、まどか』

まどか「ほむほむ…」

ほむら『貴方自身。美樹さやかに言ったでしょう?魔法少女になるなと。同じことを私も言わせてもらうわ。魔法少女になんて、なるべきじゃない』

まどか「でも、わたしは…!」

ほむら『幸い貴方は、まだ引き返せる場所にいる。これほど幸運なことはないと思うわ。
     私はあなたを魔法少女にする気は無い。なってもらいたくない。時期が来たら、変身もすべてこちらから拒否させてもらう』

まどか「そんな…。じゃあそれからはどうするの? そんな体でどうやって魔女と戦うっていうの?」

ほむら『…貴方には関係ない』

まどか「関係あるよ!」

ほむら『関係ない…!』

まどか「…」

ほむら『…』
389 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:23:17.62 ID:+32FbJjI0
まどか「…ほむほむ。いなくならないで。友達がいなくなっちゃうのは辛いんだよ?」

ほむら『無理よ。私と貴方は、別の場所で生きている。こうして一緒にいるのが、そもそもおかしいの。本来なら、こんなことにはならないはずだったのに』

まどか「だったら、だからこそ一緒にいることを大事にしようよ。あなたと出会ったことが間違いだなんて、わたし思いたくない。友達のこと、そんなふうに思いたくないもん」

ほむら『…貴方は何もわかってないわ。私がいる限り、貴方の身は危険にさらされている。どんなに私が貴方を守っていてもそれは変わらない事実』

ほむら『お願い、聞いて。私は貴方に普通に、笑って、泣いて、でもまた笑えるように生きてほしいの』

まどか「ほむほむ…」



ほむら『…鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?』

まどか「…大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達」

ほむら『ならそう思える自分と、今の生活を大事にして。貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも』

まどか「…」
390 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:24:46.33 ID:+32FbJjI0
まどか「…じゃあね? 二つ約束して」


ほむら『…なに?』

まどか「もし、いなくなっちゃうなら。必ず、何か言って。何も言わずに、いなくならないで」

ほむら『わかった。何も言わないで、消えるようなことはしないわ』

まどか「…もう一つはね。『またね』っていってお別れしてほしいの」

ほむら『…それは』

まどか「また必ず、どこかで会えるって約束してほしいの。それなら、お別れにも耐えられると思うから」

ほむら『…善処するわ』

まどか「ダメ。約束」

ほむら『…わかった、約束する』



まどか「じゃあ、指出して!」

ほむら『指?』

まどか「ゆーびきーりげーんまーん、うーそついーたらはーりせんぼんのーます!」

ほむら『…』

まどか「…破っちゃいやだよ?」

ほむら『…ええ』

まどか「うん、ありがとう」
391 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:27:53.92 ID:+32FbJjI0
まどか「そういえば、わたしたち明日からお休みなんだよね?」

ほむら『そうね。いい機会だから、やりたいことをしてリフレッシュするといいわ』

まどか「せっかくだから、二人でどこかに行こうか?」

ほむら『…いいわよ。私といると休みにならないでしょう? そのくらいなら、許してあげるから』

まどか「えー、でもわたし一人にすると、また魔女探し始めちゃうかもよ?」

ほむら『ま、まどか?!』

まどか「じゃあ、明日はほむほむも一緒に来ることにけってーい! わたし、いろんなお店知ってるんだ。
    あ、そうだ。さやかちゃんやマミさんに、おやつとかの差し入れもしたいなぁ。じゃあね――」



ほむら(…もしも一緒にいていいのなら。わたしだって一緒にいたい)

    (一緒に笑って、どこかに行って、勉強して…)

    (…)

    (でも、そんなことはどうでもいい。私の幸せなんて、些細なこと)

    (まどかが生きて笑っていてくれてさえいれば、それでいい)

    (それで、いい)



まどか「明日は一緒にいこうね! ほむほむ!」

ほむら『ええ。まどか』
392 :1 [saga]:2011/08/20(土) 21:30:20.04 ID:+32FbJjI0
今日の投下はここまでです。

何か板の仕様が変わったんですかね? 表が更新されないので、少し焦りました。
次回は火曜日か、遅くとも木曜日に投下します。

ご拝読、ありがとうございました。
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 21:32:27.13 ID:8hnmkEKDO
乙でした
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 21:40:28.07 ID:14aVy7Oho
お疲れ様でした。
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/20(土) 22:11:26.18 ID:Gn+36hkzo
今日もいい話でした!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/20(土) 23:53:53.73 ID:GlVa3qb5o

ほむほむ…
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/21(日) 01:41:45.69 ID:TFIYHzPvo

今回のほむほむはツン成分が高かったwなだけにデレにも期待ww
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/21(日) 01:51:47.91 ID:9a5qod8Vo
>>369
ほむほむはまどかに憑いてるのか……あながちまちがっちゃいないな!

杏子とはどうなることやら
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 03:25:36.93 ID:97SAZLySO
偶然ながら今スレの順番でもうひとつのちっさいほむほむSSと隣り合ってるな
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 14:52:25.94 ID:wBqFr7mIO
乙っちまどまど!
401 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:00:00.07 ID:mnQW/Jr00
>>398
まぁ、守護霊みたいなものですんで。

続きを投下します。
402 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:01:10.40 ID:mnQW/Jr00
――某所

さやか「てりゃあ!」ザシュ

使い魔「…」シュゥ



マミ「美樹さん、お疲れ様。上手だったわよ」ヘンシンカイジョ

さやか「いやいや、マミさんの援護のおかげですよ。あ、これ食べます?」ヘンシンカイジョ

マミ「あら、何かしら?」

さやか「差し入れだって、まどかから。駅前のお店のシュークリームだそうですよ」

マミ「本当! あそこのお店、評判がよくて、私もよく買っているの。それじゃあ一つ…」

さやか「他に、飲み物とかもありますよ。あ、あたしお茶もらいます」

マミ「それじゃあ、私はこっちをもらおうかしら。あとで鹿目さんにお礼を言わないとね」

さやか「最近のまどかって、妙に気が利いてますよねー。今日だって、差し入れとか」

マミ「そうなのかしら? 私は鹿目さんとは、まだ付き合いが浅いから、よくわからないのだけれど」

さやか「うーん、気が利いてるっていうか、心配されてるのかな? 
    毎日、調子はどうだとか、魔女退治はどうだったとか聞かれますね。なんか母親みたいですよ」

マミ「美樹さんは魔法少女に成りたてだから、鹿目さんも気になってしょうがないんでしょう。
   危ないことだってことは、彼女もよくわかっているでしょうから」

さやか「うーん、まどかに心配かけてしまうとは…。わたしも、早く強くならないといけませんね」

マミ「そうね。それじゃあ、食べながら、今日の反省をしましょう、美樹さん」

さやか「はい! マミさん!」
403 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:02:33.58 ID:mnQW/Jr00
マミ「美樹さん。魔力の消費はもっと抑えなきゃダメよ?
   魔女ならともかく、使い魔ならもっと節約しながら戦わないと」

さやか「うーん、もっとマミさんみたいにかっこよく戦いたいんですけどねー。
     ほらほら、銃をたくさん召喚して。舞うように! 踊るように!」

マミ「私のは、銃に弾丸を込めるだけでいいけれど、美樹さんの場合剣を一つずつ作らないといけないでしょう?」
   それじゃあ、あまりにも効率が悪いわ。一本一本使い捨てだし
   カッコイイって言ってくれるのは嬉しいけれど、もっと自分に合った戦い方を考えないと」

さやか「うーん、アタシに合った戦い方かー」



QB「僕もそうすることを、お勧めするよ」

さやか「あ、キュウベェ」

QB「魔法少女の能力は個々で大きく違うからね。誰かの真似をするのは利口とは言えないな」

さやか「はいはい。どうせあたしはバカですよーだ」

マミ「美樹さん、あせらずじっくり行きましょう。時間はまだあるんだもの」

さやか「でも、早く強くならないといけないし。それならお手本を真似たほうが良いと思ったんですけど…」

マミ「それでおかしな戦い方を身に着けて、ピンチになってしまっては元も子もないわ。
   美樹さん。戦いはずっと続いていくのよ? だからこそ、上手なやり方を考えないといけないの」

QB「そうだね。まどかのような特異な例はともかく、魔法少女に成りたての頃はやられてしまうこと例も多い。
  こうやって、誰かから守ってもらえる機会がある以上、その機会を大切にするべきだ」

マミ「そうね、鹿目さんは一人でも大丈夫だったけど、あなたは違うわ。
   私がしっかりフォローするから、その間に上手な戦い方を身に着けていかないと」
404 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:05:01.69 ID:mnQW/Jr00
さやか「ねえ、マミさん」

マミ「なに、美樹さん?」

さやか「まどかって、そんなに凄いんですか?」

マミ「私は鹿目さんの戦っているところは一度しか見たことがないけど、あれはもう本当に特殊な例。
   鹿目さんだけでなく、ほむほむの経験のおかげという面もあるけれど」

QB「確かに、まどか達の戦い方は実に効率がいいね。
  膨大な魔力を持っているにもかかわらず、攻撃にほとんど使わないから、その分を他に回すことができるし、温存することも出来る」

マミ「加えて時間停止の魔法。あまり長くは止められないみたいだけれど、それでも強力なことに変わりはないわ。
   切り札もあって、魔力の使い方も上手。ちょっと攻め手にかけるけれど、総合的に見ればかなりのものよ」

QB「時間停止? それが彼女の魔法なのかい?」

マミ「ええ、一度見せてもらったわ。あんなに強力な魔法もなかなかないわね」

QB(時間に干渉する魔法…か)



さやか「…なんだか自信なくしちゃいますね。同じ新人魔法少女なのに、こうも実力が違うなんて」

マミ「さっきも言ったけれど、鹿目さんの例は本当に特殊な例よ」

マミ「それに彼女だって、一人で強いわけじゃない。
   ほむほむっていう先輩のサポートがあって、あそこまでの力を発揮できているの」

さやか「サポートかー。あたしにもそんなのがいてくれたらな」

マミ「美樹さんには、私がサポートに着くわ。私達もあの二人に負けないように頑張りましょう?」

さやか「マミさん…。はい! 頑張ります。よーし見てろよ! まどか、ほむほむ!
    あたしとマミさんの師弟タッグの力であんたらを越えてやるー!」

マミ「ふふっ、その意気よ」
405 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:06:02.92 ID:mnQW/Jr00
マミ「でも、本当に鹿目さんは強くなったわよね。魔法少女してじゃなく、精神的にも。
   端から見ても、なんというか自信がついているのがわかるもの」

QB「そうだね。彼女の変化は僕の目から見ても明らかだ。
  方向性ができたというべきなのかな。以前は目標が定まっていなかったけれど、現在はそれが出来ている」

マミ「そうね。何かやりたいことを見つけたという感じだわ。それがおそらく、魔法少女としての強さにも繋がっているのでしょうね。
   そして魔女が退治できて、自信もつく。いい流れだと思うわ」

さやか「…」
406 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:07:12.55 ID:mnQW/Jr00



さやか「…本当にいいことなんでしょうか?」



マミ「え?」

さやか「マミさん。私の知っているまどかって、あんな風に戦えるような子じゃないんです。
誰にでも優しくて、でも今一つ自分に価値が見つけられなくて、守ってあげなくちゃいけないような子で」

    「まだ信じられないんです。あのまどかが、魔法少女になって魔女と戦っているなんて」

    「ねぇ、マミさん。これって本当にいいことなんでしょうか。
     まどかは危ないことしているんですよ? あたし、どうしてもいいことのようには思えなくて…」

マミ「美樹さん…」
407 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:08:46.19 ID:mnQW/Jr00
さやか「って、すみません! 変なこと言っちゃって」

マミ「いいのよ。誰だって急な変化には戸惑うものだわ」

さやか「…急、ですか。やっぱりそう思います?」

マミ「…そうね。でも魔法少女になってそれまでとは違った生活をしているのだから、そう不自然なことではないと思うけれど」

QB「僕もその点は少し気になるかな」

さやか「キュウベェ…」

QB「僕としては、あの小さいのと関わったことがまどかの変化の始まりだと考えている」

  「そもそも、まどかの変身できるようになったプロセス自体がイレギュラーだ。何が起きても不思議じゃない。
   もしかしたら、性格の変化にも何かが関係しているのかもね」

  「まあ、魔法少女になって性格が変わること自体はそう珍しいことじゃないんだけれど。
   それまでとは違う存在になるんだからね」



さやか(ほむほむ…か)

さやか(まどかが変わったのは、ほむほむのせい? 
     うーん、そういえば変身するたびに行動が大胆になっていったような…)

408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/23(火) 23:09:42.79 ID:bC6f5E3jo
うーむ不穏な…
409 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:10:21.28 ID:mnQW/Jr00
QB「マミだって、昔はあんまり戦うような子じゃなかったし。性格の変化そのものは魔法少女にはよくあることだよ」

マミ「ちょ、ちょっとキュウベェ?! 勝手に人の話をしないでちょうだい!」

さやか「え、そうなの? マミさんの昔の頃って?!」

マミ「美樹さんも食いつかないで! 恥ずかしいじゃない…」

QB「マミが嫌ならこの話はしないよ。本人の許可なくすることじゃないしね」

さやか「えー、キュウベエ教えてよ〜」

マミ「…み・き・さ・ん?」ゴゴゴ

さやか「すみませんでした」ブルブル



マミ「…とにかく鹿目さんの変化については、私はいいことだと考えるわ」

  「少なくとも以前の彼女と比べて成長しているのは確かだと思うし、何より彼女自身が目標を持って行動しているんですもの。
   やりたいことが見つからなくておどおどしていた頃より、前に向かっていると思うわ」

  「危ないことをしているのは、そのとおりだけど…。でも、私達だっているもの」

さやか「…あ」

マミ「彼女は一人じゃないわ。もし危険が迫ったら、私たちで守ってあげればいいんじゃなくて? 美樹さん」

さやか「そっか…。うん、そうですよね」



さやか(そうだ…私がまどかを守れるような魔法少女になれればいいんだ)

さやか(うし、そうと決まれば頑張るぞ! まどか、あんたはあたしが守る!)グッ


マミ「…」
410 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:11:33.47 ID:mnQW/Jr00
マミ「…ねぇ、美樹さん」

さやか「何ですか! マミさん!」

マミ「一つ、聞きたいことがあるのだけれど」

さやか「? はい」

マミ「あなたが願いで腕を直した…、その、幼馴染の子とはどうなったのかしら?」

さやか「え、恭介ですか?」

マミ「ええ。その後どうなったのか、少し気になってて」

マミ「それに、ちょっと確認もしたかったから」

411 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:12:30.53 ID:mnQW/Jr00


  「あなたは彼に夢を叶えてほしいの? それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」 


マミ(結局、あの言葉は美樹さんには届いていたのかしら…)
  
  (美樹さんはヒーローに成りたがっている。それこそテレビに出てくるような)
  
  (ヒーローは見返りを求めない。あるのはひたすら自己犠牲によって平和を守ること)
  
  (もし、美樹さんの願いに見返りを求める気持ちがあったのなら、ヒーローとしての彼女は自分を否定してしまう)
  
  (それに気づかないで、ヒーローを続けたらいつか彼女は自分自身を壊してしまうわ。きっと)
  
  (自分の気持ちに気づいているのか、それでもまだヒーローを続けるのか。ここでそれをはっきりさせないと)
412 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:14:08.24 ID:mnQW/Jr00
さやか「恭介なら退院しましたよ、無事に。ちゃんとバイオリンも弾けるようにもなりました!」

マミ「それは、よかったわ。でも、長い間入院していたのに、そんなにすぐ退院して大丈夫かしら?」

さやか「腕と並行して、他のリハビリも続けてましたから。腕さえなんとかできれば、あとは自宅からの通院でも大丈夫だったんです。
    ああ、マミさんにも聞かせてあげたいなぁ、恭介のバイオリン」

マミ「ふふ、そのうち紹介してね。私も楽しみにしているわ」

さやか「学校にも、もう通ってますから。会おうと思えば、いつでも会えますよ!」

マミ「あら、そうなの?」

さやか「はい。まだ松葉杖をついていてえっちらおっちらって感じですけど」



マミ「…それで、美樹さん。あなたはその、それで良かったのかしら?」

さやか「え?」

マミ「あなたは彼の為に願いを使った。そこにはあなた自身の意思や目的ががあるはずよ」

マミ「それは、ちゃんと達することができたのかしら?」

413 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:14:49.45 ID:mnQW/Jr00
さやか「あ、あー。実は…ちょっと恥ずかしいんですけど」

マミ「…?」

さやか「マミさんに言われたじゃないですか。『恩人になりたいのか』って、それともちょっと関係するんですけど」



さやか「実は、その…告白しまして…」

マミ「!」
414 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:15:43.25 ID:mnQW/Jr00
さやか「その、まどかに言われたんです。
    魔法少女は死と隣り合わせだから、出来るだけやりたいことや言いたいことは言っておいたほうが良いって」

マミ「鹿目さんが?」

さやか「それであたし、色々考えたんですけど…。やっぱり恭介のことが好きだって気づいたんです」

さやか「それで…後悔しないように言おうって」

マミ「そう…。でも、それは本当に大事なこと。魔法少女って、本当にいつ終わりが来るかわからないもの」

さやか「…はい。あたしもマミさんがやられそうになったとこ、見てますから。
    それで、告白しました。…恭介に」

マミ「そ、それで、どうだったの? 返事は」






さやか「あ、あははー。こっぴどく振られちゃいました」

マミ「え?!」

415 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:17:18.70 ID:mnQW/Jr00
マミ「ご、ごめんなさい。美樹さん。デリカシーのないこと聞いて!」

さやか「わ、あ、謝らないで下さいよマミさん! あたしが勝手に話し始めたことなんですから」

マミ「でも…」

さやか「そ、それにですね。あんまりショックじゃなかったんです。実は!
    接していても、そういうふうには見てくれていないなーって。何となくわかってましたから」

さやか「案の定、『さやかのことは好きだけど、その、そういう感じじゃない』って言われちゃいました」

マミ「美樹さん…」

さやか「でも、あたし後悔してませんよ! 魔法少女になったことも、気持ちを打ち明けたことも!」
     言って、フラれて。自分でも不思議だったんですけど、後悔なんて気持ちは湧いてきませんでした」

さやか「そこで気が付いたんです。あたしは、恭介のバイオリンがもう一度聞きたかっただって気持ちに」

マミ「…」

さやか「思いが伝わらなかったのは、やっぱり悔しいけど…。でも、言ったらすっきりしちゃいました」

さやか「自分の本当の気持ちに気付けましたしね! 言ってよかったです!」
416 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:18:01.34 ID:mnQW/Jr00
マミ「…美樹さん、本当に大丈夫? 泣きたいのなら、泣いたほうが良いわよ? 抑えるのは良くないわ」

さやか「平気ですよ、マミさん! 実はもうそのうちにベットでわんわん泣きましたし!」

さやか「だからもう大丈夫です! 恭介とも、まだ仲の良い幼馴染でいられていますしね! 
     バイオリンが聞きたくなったら、いつでも言ってくださいよ! 紹介しますから!」

マミ「…」



マミ(大丈夫…、なのかしら?)

マミ(少し無理をしているようにも見えるけど…、でも先ほどの言葉に嘘は感じなかったわ)

マミ(純粋に上条君のことを心配していた、ということでいいのかしら)
417 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:18:37.15 ID:mnQW/Jr00
さやか「さ、マミさん。残りの個所もパトロールしちゃいましょう!」

マミ「あ、そ、そうね」

さやか「…マミさん?」

マミ「ごめんさい、少し考え事をしていたの」

さやか「んじゃ、こっちから行きましょう! 遠回りにしなくて済みますよ!」

マミ「ええ、そうしましょう」




マミ(自分の為ではなく、純粋に彼のため)

マミ(本当にそうなら良いのだけれど…)
418 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:19:18.53 ID:mnQW/Jr00
―放課後―

まどか『ほむほむ、次はこっち見てみようよ!』

ほむら『…ええ』


ほむら(最近のまどかは、巴マミの言うことを聞いておとなしく魔女退治をしないでくれている。
     今日は、久しぶりに学校帰りによく訪れていた雑貨屋を覗いて嬉しそうね…)


まどか『あ、これかわいい。ほむほむはどう思う?』

ほむら『私もいいと思うわ。ちょっと、色がきついような気もするけど』

まどか『ほむほむは、あんまり派手な色は好きそうじゃないしねー。魔法少女の衣装も、落ち着いた感じだし』

ほむら『…別に私の趣味で、あの服になっているわけではないのだけれど』

まどか『でもかわいいよね、あの服も。わたしは好きだなぁ』

ほむら『あの姿、良く似合っているわよまどか。かっこいいわ』

まどか『本当? やったぁ!』
419 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:22:11.11 ID:mnQW/Jr00
ほむら(まどか…)

    (やはり、まどかには魔法少女のような荒んだ生活は似合わない。早くこんな日々に戻してあげないと)

    (…あなたを運命から解放できなくてごめんなさい)

    (…私、もっと頑張るから)

    (今は少しの平穏しかあげられないけれど、この時間をあなたには楽しんでほしい)

    (…)





ほむら『…ねえ、まどか』

まどか『なあに?』

ほむら『…この格好は、その』

まどか『うん』

ほむら『…やっぱり恥ずかしいのだけれど』


ほむら(あの恰好で外に出るのは嫌だといったのに!)

ほむら(しかも、猫耳付きってどういうこと!)

420 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:23:30.79 ID:mnQW/Jr00
まどか『うんうん、かわいいよ。思っていた通り、猫耳が似合うなぁ』ニヤニヤ

ほむら『あの、その、このフリフリの服も…』

まどか『それも昔持っていた人形の服だよ! 長い黒髪で、真っ黒けっけだからこっちも似合うね!』

ほむら『や、やっぱり、鞄に戻るわ!』

まどか『えー、だめだよ。そうしたらほむほむがお店の中見れないよ?』

ほむら『どうして、私がこんな恰好を…』

まどか『だって、ほむほむ。ここ数日色んなところに行ったのに、「こんな姿じゃ出られない」って言って鞄から出てこなかったでしょ?』

ほむら『…当り前じゃない。人前で私と一緒にいるなんて、普通騒ぎになるわ』

まどか『だったら、いっそのことお人形さんみたいに着飾れば、生き物に見えなくなって外に出ても平気だと思って!』

ほむら『…うう』

まどか『大丈夫だよ。動かなければ人形にしか見えないし、それにバレてるならもう騒ぎになっているよきっと』

ほむら(そうじゃなくて! 恥ずかしいの、まどか!)

まどか『本当にお人形さんみたいでかわいいなぁ、うりうり』スリスリ

ほむら『ほ、頬を触るのは止めて…』
421 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:24:07.42 ID:mnQW/Jr00
ほむら『貴方一人で楽しむべきよ。せっかくの休日なのだし…』

まどか『わたしは、ほむほむと一緒がいいなぁ。魔法少女のことばっかりで、こうやって二人で買い物することなんてなかったし』

ほむら『それは…』

ほむら(その気持ちは嬉しいけれど…)

ほむら『でも、代わりにあなたがおかしな子のように見られているわ』


 ヒソヒソ、クスクス


まどか『わたしはそんなの気にしないよ』

ほむら『貴方が気にしなくても、周囲は気にするの。人形を抱えて買い物する中学生なんて、変だもの』

まどか『会話は念話でしているし、そこまでおかしくはないとおもうんだけどなぁ』

ほむら『…ねぇまどか。やはり私は鞄の中にいるべきよ。貴方に迷惑はかけられないわ』
422 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:25:06.11 ID:mnQW/Jr00
まどか『ほむほむは、わたしと一緒は嫌?』

ほむら『…嫌よ』

まどか『うそ』

ほむら『…っ』

まどか『あはは。意外とわかりやすいよね、ほむほむ。結構、顔に出るし♪』

ほむら『そ、そんなこと…』

まどか『わたしね、こんなふうにお休みを過ごしたいな。それができるなら、周囲のことなんて気にしないよ?』

ほむら『でも、私がこんなふうに外にいたら休まらないんじゃ…』

まどか『ううん。一緒にこうやってお話しながらいろんな場所を回る方が、楽しいしお休みになるの』

まどか『休むことが今のわたしの仕事なんでしょ? だったら相棒としてほむほむにも協力してもらわないと♪』


ほむら『…最近、まどかは意地悪だわ』

まどか『でも、本当のことだもん』
423 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:25:54.25 ID:mnQW/Jr00


ほむら(…私の負けね)


ほむら『…わかったわ。今日一日は外にいるわよ』

まどか『本当?!』

ほむら『ええ、まどかの好きにして頂戴。私も協力するから』

まどか『じゃ、じゃあ、念話じゃないおしゃべりを…』

ほむら『それはダメ。これ以上、まどかを残念な子にはできないわ』

まどか『えー。協力するって言ったのに…』

ほむら『限度があるわよ』

まどか『うーん。じゃあ、これからもっと色んなところまわろうね! えーと、商店街に喫茶店にアイス屋に…』

ほむら『そ、そんなに? 家に帰るのが遅くならないかしら…』

まどか『大丈夫だよ。今日は友達の家に行くから遅くなるって、お父さんに言ってあるから。じゃあ行こう!』

ほむら『…こうなったら、とことん付き合うわ』

まどか『えへへ、そうこないと!』



まどか(こうやって、帰りの時間も過ごすのも、すごく久しぶり)

まどか(…楽しんでもらえるかな?)
424 :1 [saga]:2011/08/23(火) 23:33:20.29 ID:mnQW/Jr00
今日の投下はここまでです。

何かデート回みたいでした。さやマミ、まどほむで。
書き終わって気が付きましたが、まどかの両親の呼び方は『パパ』『ママ』でしたね。失礼しました。

次の投下は、土曜日・日曜日になります。
ご拝読ありがとうございました。
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/23(火) 23:36:01.31 ID:bC6f5E3jo

猫耳ほむほむ… お客様の中に、絵師様はいらっしゃいませんかー!?
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/23(火) 23:37:10.50 ID:ooGnpkCTo
乙カレー
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 23:37:42.85 ID:b4Dx0ccTo
お疲れ様でした
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/23(火) 23:44:18.18 ID:0q5Qwwwko
>>425
拾い物だが、好きなのを選ぶんだ
ttp://s.cyrill.lilect.net/uploader/files/201108232343180000.jpg
ttp://s.cyrill.lilect.net/uploader/files/201108232343180001.jpg
ttp://s.cyrill.lilect.net/uploader/files/201108232343180002.jpg
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/24(水) 01:34:01.38 ID:jZRnkqX/o

恥ずかしがってるって所がポイント高いよなw
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 00:31:52.33 ID:m3DanlGDO
真木博士とキヨちゃんが頭に浮かんだ…


続き待ってます!
431 :1 [saga sage]:2011/08/25(木) 00:42:30.54 ID:rV3e484A0
>>430
どちらかというと、フィリップ&ファングメモリな関係なんですけどね。

まどか「良き終わりを」
ほむら(まどかが最近のおかしい)
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 07:09:31.21 ID:odKe7Neio
個人的にはトモルとオーガンの関係を想像してた

まどか「暁美ほむら……それが貴女の……いや、わたしの名前か!」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/25(木) 12:43:43.71 ID:ewj7S5OWo
良太郎&赤鬼イマジン……ってほど乱暴でも無いか



氷川さんと小沢さん、音也とキバット2世、左探偵と来人みたいな感じやろか
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/25(木) 13:27:07.61 ID:A8QXn58AO
>>432
デトネイターオーガン懐かしすぎワロタw
ヒラサワにはまったきっかけだ。

合体、融合変身というか、二人で一人のヒーローってなんかロマンがあるよな。
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/25(木) 13:30:34.15 ID:plh62XUzo
>二人で一人のヒーロー
破壊魔定光とか好きだなー
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/25(木) 18:11:14.77 ID:/Ra0ZOh4o
>>432 オーガンか・・・・確かにこのほむまどはそんな感じだな……
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 19:27:37.07 ID:+OA43T6Bo
>>436
オーガンだとメガほむがまどかに会う前に力尽きちゃうのでは……
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/26(金) 10:29:04.42 ID:UtoEBpqSo
乙っちまどまど!
439 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:06:13.49 ID:mBW079Fl0
>>432
本編のピンチになったらどこからともなく現れる姿が、ファングメモリとかぶったもので。
言われてみれば確かにオーガンですね。

続きを投下します。
440 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:07:55.11 ID:mBW079Fl0

―夜

ほむら『すっかり暗くなってしまったわね』

まどか『うん。アイスおいしかったね! でもわたしの少し食べるだけで、本当に良かったの?』

ほむら『…体、小さいから。あんまり入らないの』

まどか(…あれ? なんか顔真っ赤)

ほむら『そ、それより。そろそろ帰りましょう。言ってあるとはいえ、あまり遅くなりすぎるのもよくないわ』

まどか『そうだね』



まどか『ねぇ、ほむほむは今日は楽しかった?』

ほむら『何故、私に聞くの? 貴方の休日でしょう。貴方がリフレッシュできなければ意味がないわ』

まどか『いいから!』

ほむら『…楽しかったわ』

まどか『本当?!』

ほむら『え、ええ…』

まどか『よかった!』

ほむら(まどかが楽しめれば、嘘でも「楽しかった」というつもりだったけど)

ほむら(でも、楽しかったのは本当よ。まどか)
441 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:09:31.34 ID:mBW079Fl0
まどか『ねぇ、ほむほむ。この街っていい所だよね』

ほむら『そうね。公共機関は充実しているし、商店街やショッピングモールもあって娯楽も充実していると思うわ』

まどか『他にも色々あるんだよ。緑の多い神社とか、魚がたくさんいる沼とか。猫ちゃんがよくいる空地とかもね』

ほむら『そうなの? 知らなかったわ』

まどか『地元の人じゃないと、行かない場所だからね。よそから来た人をわざわざ連れて行くような場所でもないし。
    小さいころは、さやかちゃんとよく遊んだなぁ。色んなところに連れて行かれちゃった』

ほむら『容易に想像できるわね。その場面』



まどか『だからね。思い出たくさん詰まってるんだこの街には』

ほむら『…』

まどか『…わたし達、守れるかな?』

ほむら『守るわ。絶対に』

まどか『うん、そうだよね』

ほむら『ええ。何があってもね』
442 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:10:32.82 ID:mBW079Fl0
まどか『あ、そうだ』

ほむら『どうしたの?』

まどか『最後に、寄りたい場所があるんだけど…』




―ィーン ジャラジャラ ヴァキューン オンオン

ほむら『…ゲームセンター?』

まどか『うん』

ほむら『意外ね。まどかがこんなところに入るなんて』

まどか『ううん。わたしも入るのは初めて』

ほむら『え?』

まどか『なんだかね、たまの休日っていういい機会だから、初めてなことやってみたくなっちゃって』

ほむら『そう。まどかがしたいのなら、別にいいと思うけど』

まどか『うん。でも、色んなゲームがあるんだね。目が回りそう』

ほむら『そうね。私もあまり経験がないから、よくわからないのだけれど』
443 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:11:37.26 ID:mBW079Fl0
まどか『あ、でもあの太鼓のは知ってる!』

ほむら『まどかは、ああいうのをやってみたいのかしら?』

まどか『うーん。ちょっと違うかな。
    なんか、こう、踊るみたいな感じのがあったと思うんだけど…』

ほむら『ああ、それなら私も知っているわ。足で踏む奴でしょう? この表示を見ると、あっちのほうにあるみたいだけど』

まどか『じゃあ行ってみようよ!』

ほむら『そうね。行ってみましょう…』


ほむら(あれ…? そういえばこのゲームは確か…)




杏子「よっ はっ ほっ」タッタタタ

まどか「あ、杏子ちゃん」

ほむら『…!』
444 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:13:49.02 ID:mBW079Fl0
ほむら『まどか、気付かれないうちにここから離れましょう。早く…』

まどか「杏子ちゃん!」

ほむら『ちょっと、まどか?!』

杏子「ん? なんだ『しかめまどか』か。ちょっと待ってくれ。よっ、と」タットッ

まどか「…鹿目まどかだよ、杏子ちゃん」

杏子「読めねーっつうの。『鹿目』で『かなめ』なんて。あ、アタシはバカじゃないぞ。知識がないだけだ」トットットッ

まどか「確かに、初対面で間違えないで呼ばれたことは少ないけど…」

杏子「ほれ、アタシじゃなくてアンタの名字が悪いんだ。ほいほいほいっと」タンタンタン



ほむら『…まどか。どういうつもり?』

まどか『だって杏子ちゃんに会えたんだよ? だったら一緒に戦ってくれるように頼んでみないと!』

ほむら『そう簡単に話を聞いてくれるとは思えないわ。加えて、こちらには交渉するための手札がない。協力を取り付けるのは難しいわよ』

まどか『でも、見かけたのなら話しかけないと。何事も自分から始めないと前に進めないよ?』

ほむら『準備というものがあるでしょう! あなたはどこまで愚かなの!』

まどか『大丈夫大丈夫、ちゃんと考えてあるから! ね?』

ほむら『…最近のまどかは、少し強引な気がするわ』
445 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:16:31.14 ID:mBW079Fl0
杏子「ガッ、と。おおー、自己ベスト更新! で、何の用だい?」

まどか「あ、その前に自己紹介するね! わたしは鹿目まどか。こっちはほむほむ」

ほむら「ほむ」

杏子「…ほむほむ、ねぇ? で、何なんだこいつは?」

まどか「ほむほむは、ほむほむだよ」

ほむら「ほむむ」

杏子「まあいいか。で、今日は何しに来たんだ? 
   この前の続きをやろうっていうんなら、相手になるぜ?」ギロリ

ほむら『やはり、佐倉杏子は私たちに対して敵意を抱いているわね。
    まどか、ここは先手を打ってこちらから見返りを提示しましょう。
    勝手な話になるけれど、この街の一部のエリアを杏子の縄張りに…』

まどか「わたし達と一緒にワルプルギスの夜と戦ってください!」

ほむら『マドカァー?!』



杏子「あん?何だって?」

ほむら『ちょっと、まどか!直球過ぎるわ!』

まどか『えー、でも最初に用件を伝えれば話が分かりやすくなるよ。
    それに、マミさんたちに内緒で勝手に街を預けたりなんてできないし』

ほむら『そ、それはそうだけど…』
446 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:18:26.49 ID:mBW079Fl0
杏子「ワルプルギスの夜だぁ? そんなもんがこの街に来るのか?」

まどか「うん。それでわたし達、街を守るために特訓したり、仲間を集めたりしててね。
    それで杏子ちゃんも仲間になってもらって、一緒に戦ってほしいの」

杏子「ふーん。一つ聞くけど、何でアタシなんか誘うんだ?
   アンタにはあのアマちゃんだっているし、ベテランのマミもついているんだろ?」

まどか「さやかちゃんもマミさんもいるけど、それでも必ず勝てるとは限らないから。
    相手は最強の魔女だし。少しでも油断していたら、たぶん勝てない。
    でも、わたし達は絶対に負けられない。だから、やれることはやっておきたい」

まどか「それでね? 杏子ちゃんがいればワルプルギスの夜との戦いも、ぐっと勝てるようになると思うの。
    強いし、ベテランだし、頼りになるし」

杏子「褒めても何もでねーぞ?」

まどか「ううん。本心だよ? 杏子ちゃんがいれば、ワルプルギスに勝てると思う。
    だから、一緒に戦ってくれれば嬉しいなって」

杏子「…」
447 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:20:21.51 ID:mBW079Fl0
杏子「なるほど、ここに来た用件はよくわかった」

ほむら(会ったのは偶然なんだけど、ね)

杏子「あんたが、マジでワルプルギスの夜を倒そうとしているのも理解したよ」

まどか「うん」

杏子「アタシの力が必要だっていうのも、まあわかった」

まどか「…じゃあ!」




杏子「…で、なんでアタシがそんなことに協力しなきゃならないのかね?」

ほむら(…!)
448 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:21:41.61 ID:mBW079Fl0
杏子「こんな街守ったって、アタシには一文の得もないじゃないか。アタシは正義の味方じゃねぇ。ふざけんのも大概にしろ。
   アタシはこれまで一人でずっとやってきたんだ。誰かとつるむなんてことはお断りだね」

  「それに仲間があの甘ちゃんと、正義の味方気取りのマミだって?
   なんでアタシがわざわざそんな奴らと組まなきゃいけないっつーの。そんなの死んでもやらねぇよ」

  「ワルプルギスはアンタらで勝手にやってくれ。別に邪魔は死ねぇし、そんなのが来ているならアタシはとっとと自分の巣に戻るよ。
   わかったら、とっとと帰れ。仲間探しは、他を当たりな」



ほむら(くっ…やはりこうなってしまうのね)

    (こうなると、彼女は梃子でも動かない。協力を仰ぐのはもう無理…)

    (まどかと巴マミ、それに魔女化を阻止できれば美樹さやか。現在一番最善なのは、三人でワルプルギスに挑むことね)

まどか「…」
449 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:22:15.51 ID:mBW079Fl0
まどか「…悪いけど、杏子ちゃん。そういうわけにはいかないの」

ほむら「ほむ?」

杏子「…あん?なんだって」

まどか「さっきも言ったけど、わたし達は負けられないの。だから杏子ちゃんには仲間になってもらうよ」

杏子「だから嫌だって言ってんだろ。あんまりふざけた事抜かすとぶっ殺すぞ」

ほむら「…!」サッ

まどか「ふざけてないよ。ワルプルギスの夜と戦うには杏子ちゃんの力が必要。だからね」



まど「無理矢理にでも、来てもらうからね?」

450 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:23:33.23 ID:mBW079Fl0
ほむら『まどか?!』

杏子「…面白れぇ。アタシとやろうってか」

まどか「こっちも本気だからね。しかたないよ」

杏子「言っておくが、この前みたいに簡単に行くと思うんじゃねぇぞ? あん時とは違って、こっちの体調は万全なんだ」

まどか「わたしもしばらく休ませてもらったから、元気いっぱいだよ?」

杏子「手加減は無用ってか。アンタ、意外と武闘派だったんだな」


ほむら『まどかダメよ! こんなやり方は…』

まどか『でも、杏子ちゃんを仲間にいれるにはこれしかないみたいだし。大丈夫、ほむほむには迷惑かけないよ』

ほむら『でも…!』
451 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:24:23.20 ID:mBW079Fl0
杏子「さてと、じゃあどこでやるか。あんまり人目につかない場所、知ってっか?」

まどか「ううん、ここでいいよ」

杏子「! おいおい冗談だろ? みんないるんだぞ?」

まどか「わたしは、ここがいい」

杏子「ますます面白れぇな。他人なんかどうでもいいってか。魔法少女ってのはそうでなくちゃな」

まどか「うん。そんなこと、気にしてられないからね」

ほむら『まどか?!』

杏子「じゃあ、やるか」ジェムショウカン!

まどか「…うん」







まどか「わたしが、このゲームで杏子ちゃんに勝ったら仲間になってもらうからね!」

ほむ杏「は?(ほむ?)」

452 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:25:19.99 ID:mBW079Fl0
杏子「…お前何言っていんだ?」

まどか「わたしがこのゲームの杏子ちゃんのスコア塗り替えたら、仲間になってね」

杏子「何でそうなるんだよ?! つーか、戦う流れだろ! 今のは!」

まどか「わたし今、休暇中なの。だからほむほむに止められてて変身できないんだ」

杏子「ふざけんな! だからってゲームはねーだろゲームは。じゃあ後日戦うとか他にあるだろ!」

まどか「時間もないしゲームでいいよ。それに、こんなことで魔力使うの勿体ないし」

杏子「そりゃあ…、まぁ同意するけどよ」

まどか「あれ? お金ってどこに入れるんだろ。杏子ちゃん教えて?」

杏子「あ、ああ。それはそこだよ。ほら、その右手のあたり…」

まどか「あ、ここだね。ありがとう!」


ほむら『…まどか』

まどか「大丈夫。頑張ってみるよ! 見てたら簡単そうだったし」

ほむら『そうじゃなくて、佐倉杏子が本当にこんなことで仲間になるとでも?』

まどか『杏子ちゃん、負けず嫌いだから上手くいくと思うんだけどなぁ』

ほむら『…私は不安しか感じないわ』
453 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:26:15.24 ID:mBW079Fl0
杏子「言っとくけど、アンタがゲームやったって仲間にならねーからな。そこは忘れんなよ」

ほむら『ほら、既に落ち着いてテンション落ちているわよ?』


まどか「もしかして、杏子ちゃん自信ないの?」

杏子「…あんだと?」

まどか「あれだけ頑張って踊ってても、あんまり上手じゃないんだ。ならわたしでも勝てそうだね!」

杏子「おいてめぇふざけんなよ。このゲームはパンピーが簡単に遊べるようなゲームじゃねぇんだ。
   譜面に即時対応しなきゃいけねぇし、運動神経だって必要になる。あんたみたいな鈍くさい奴にはまず無理だね」

まどか「じゃあ、杏子ちゃんは絶対に負けないと思っているんだね」

杏子「当り前さ。100%無理だ。天地がひっくり返ってもあり得ないよ」

まどか「じゃあ、もし杏子ちゃんのスコア越えたら仲間になってね♪」

杏子「それとこれとは話が違う!」

まどか「なーんだ、やっぱり自信が無いんだ」

杏子「おいてめぇ。さっきからふざけた事言ってんんじゃねーぞ」

まどか「だってねぇ。難しいとか言ってるのに、わたしに絶対に負けないって言えないみたいだし」チラッ

ほむら「ほむぅ」チラッ

まどか「もしかして、ただ動いているだけで実は下手なんじゃないかと思ったり…」チラチラ

杏子「…」イライラ
454 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:27:19.02 ID:mBW079Fl0
杏子「…いいじゃねェか。この勝負受けてやる。
   アタシが負けるはずねぇんだ! アンタが勝ったら仲間になってやるよ!」

まどか「その言葉、確かに聞いたよ!」

杏子「はん。絶対に無理だね! 譜面に踊らされて、情けない姿をさらしな!」

まどか『やった! 言質を取ったよ、ほむほむ』

ほむら『…最近、あなたのことがわからなくなってきたわ、まどか。
    というか、勝てる見込みあるの? 結構上級者よ、彼女』

ほむら(以前の世界で、杏子と親密になろうとやってみたけど、結局かなわなかったし)

まどか『たぶん、なんとかなるよ。わたし反復横跳び得意だし!』

ほむら『ようするに無計画なのね』



ほむら(まぁ、これで少しは親密になって話も出来るようになるでしょう。
    そうなれば、再度交渉の道も開けるわ)
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/27(土) 21:27:43.10 ID:6GkiUxN8o
なんだかまどかさんが黒いでゴザル……
456 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:28:45.74 ID:mBW079Fl0



まどか「勝ったよ!」テロテロレーン

ほむら『嘘?!』



457 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:29:25.23 ID:mBW079Fl0
杏子「そ、そんな…アタシのスコアが…」

まどか「わたしの勝ちだよ。杏子ちゃん! 仲間になってね!」

ほむら『…あの、まどか。このゲームやったことあったの?』

まどか『前に少しね。久しぶりだから自信なかったけど、魔力で身体強化してたから何とかなったよ』

ほむら(ますます、まどかが分からなくなってきたわ)

杏子「てめぇ、猫被ってやがったな! どう見ても初心者じゃないじゃねぇか!」

まどか「ささ、杏子ちゃん約束約束」

杏子「こんなの詐欺だー!」

まどか「絶対に負けないっていったのは杏子ちゃんだよ? 言ったことには責任を持ってもらわないと♪」

杏子「ううう…」

まどか「約束、約束♪」

杏子「…」

ほむら(意外と責め立てるわね、まどか)
458 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:30:10.53 ID:mBW079Fl0
杏子「…ふふふ」

まどか「? どうしたの、杏子ちゃん」

杏子「アタシは確かに勝負に負けたら仲間になるといった。
   だが、誰も一回勝負とは言ってない! まだ勝負は続いているぞまどかー!」

まどか「! そ、そんな…」

杏子「よって、勝負は二回戦だ! 0−1で勝った気になっているんじゃねーぞ!」

まどか「こんなのってないよ…あんまりだよ…」

杏子「最初に取り決めをしっかりしなかったアンタが悪い。全面的にそっちの要求を呑んできたんだから、こんどはこっちの要求を聞いてもらうぞ!」

まどか「ううう、こうなったらとことんやるよ! 負けないよ、杏子ちゃん!」

杏子「こっちも今ので目が覚めた。手加減はしねぇぜまどか!」

まどか「じゃあ次はUFOキャッチャーね! どっちが早く人形取れるか勝負だよ!」

杏子「おもしれぇじゃねーか。アタシのテクニック見せてやるよ!」


ほむら(すっかりのせられているわね、杏子)

ほむら(それにしても、ゲームセンターではしゃぐまどかも可愛いわ)ホムホム
459 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:30:42.37 ID:mBW079Fl0


ほむら(それから、まどかたちはゲームセンターで勝負をし続けた)

ほむら(最初は勝敗を数えていたけど、途中からヒートアップして忘れてしまったらしい)

ほむら(まぁ、まどかは休日を楽しんでいるみたいだし、良しとしましょう)

460 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:31:26.63 ID:mBW079Fl0
杏子「…あー、疲れた」

まどか「はい、杏子ちゃんこれ」

杏子「何これ? コーラ?」

まどか「レモネードだよ」

杏子「しらねーなぁ…。あ、うまい」

まどか「わたし達はお茶だね。はい、ほむほむ」

ほむら「ほむほむ」クピクピ

杏子「…なんか今の今までスルーしてたけど、そいつ結局何なんだ?」

まどか「魔法少女だよ。わたし、ほむほむの力借りないと変身できないんだ」

杏子「だからあんとき合体したのか。変なの」

ほむら「ほむっ!」ペシ

杏子「…」ヒョイ

ほむら「むっ!」コロリン

まどか「はいはい。落ち着いてねー、ほむほむ」ヒョイショ

ほむら「むむむ」


杏子「しっかし、契約もしないで魔法少女になるなんてねぇ。何考えているんだか。
   どうせやるなら、キュゥベえに頼んで願いを叶えてもらった方が得じゃねぇの?」

まどか「ふふっ、さやかちゃんと同じこと言うんだね杏子ちゃん」

杏子「んなっ! あんなアマちゃんと同じなんて。畜生、屈辱だ」

まどか「ありがと、杏子ちゃん。でもいいの。わたしは、ほむほむと一緒に戦えればそれでいいから」

ほむら「ほむ…」

杏子「…」
461 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:32:19.65 ID:mBW079Fl0
杏子「なぁ、真面目な話。なんでアンタは魔法少女なんかやってるんだ?」

まどか「杏子ちゃん?」

杏子「アンタはどう考えても、こんなことやるような人間じゃない。平和に暮らせている人間さ」
  
  「この仕事はね、誰にだって務まるもんじゃない」
  
  「アンタは幸せに暮らせている人間だよ。毎日美味いもん食って、たぶん幸せ家族に囲まれてる」
  
  「そんな何不自由ない暮らしをしてる奴が、魔法少女なんてやることはねぇんだ」   
  
  「命を危険に晒すってのはな、そうするしか他に仕方ない奴だけがやることさ。そうじゃない奴が首を突っ込むのはただのお遊びだ。おふざけだ」
  
  「もし、ただの気まぐれでやっているんだとしたらそんなのアタシが許さない。いの一番にぶっ潰してやる」
  
  「だから聞かせてくれ、アンタはなんでわざわざこんなことしてるんだ?」


まどか「…」
462 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:33:06.10 ID:mBW079Fl0
まどか「わたしね、どうしても守りたいものがあるんだ」

杏子「守りたい? 誰を。それともこの街か?」

まどか「両方だよ。何があっても助けてあげたいし守りたい。
    それがわたしが魔法少女になる理由なんだ」

杏子「つまるところ、他人の為ってか」

杏子(こいつも勘違い野郎か。昔の、アタシみたいな)

杏子「誰かを助けたくて、自分の身を削って、犠牲にして誰かを助けるってか。まるで正義のヒーローだね」



まどか「…どうなんだろ。そんな綺麗なものじゃないと思うよ」

杏子「?」
463 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:35:23.17 ID:mBW079Fl0
まどか「わたしね、色んな人に迷惑かけて生きてきたって最近分かったんだ。
    心配させたり、言うこと聞かなかったり、知らないうちに約束破ったり」

    「最初は罪滅ぼしのつもりだったのかな。でも、そんなこと誰も望んでないし、幸せにならないってことも分かったし」

    「だからね、せめて助けたいって思ったんだ」


杏子「…」

まどか「わたしを助けてくれた人たちが、不幸になるのは嫌。そんなの我慢できないし、見たくもない。
     だからこれはきっと自分の為なんだと思う。そんなことになるのがどうしても我慢できないの。
     そうしなきゃ気が済まないし、たぶん一生後悔する。そんなの絶対に嫌」

    「人助けっていっても、結局はそうせずにはいられない自分のため。そうしなきゃ、そのままの現実にわたしは耐えられないんだ。
    だから、全然綺麗でも何でもないよ。助けるっていう自分のやりたいことを、自分勝手にやっているだけだから」

    「でも、それがわたしの願いなの」
464 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:35:59.00 ID:mBW079Fl0
杏子「…そうか」

まどか「うん。長くなっちゃったね」

杏子「魔法少女なんてそんなもんだよ。みんな自分の為に戦うんだ。アンタ一人がそんな風に戦っているわけじゃないよ」

まどか「やっぱり、杏子ちゃんは優しいなぁ」

杏子「優しくなんかねぇよ。ホントのこと言ってるだけだ」

まどか「それでも、ありがと」

杏子「…」
465 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:37:13.76 ID:mBW079Fl0
杏子「…ワルプルギス」

まどか「え?」

杏子「協力してやってもいいぜ」

まどほむ「!」

まどか「本当?!」

杏子「ああ、気が変わった。ただし見返りはちゃんともらうけどな」

杏子(こいつは自分が何を願って、どういう気持ちから動いているか分かっている)
   その上で他人の為に行動する、か)

  (アタシもそんな風できていればね…)



まどか「やったやった! ありがとう杏子ちゃん!」

杏子「おい、抱きつくな!ていうか人の話聞いていたか? 見返りくれないと動かねーぞ?」

まどか「あ、そ、そうだね。何がいいのかな」

杏子「アタシとしては、この街の管轄を渡してほしいんだけどねぇ…」

まどか「それはダメ。わたし一人じゃ決められないし。グリーフシードは?」

杏子「よっぽど多くないとなら自分で稼げるし、それにたぶんワルプルギスで使っちまうしなぁ…」

まどか「うーん…」

杏子「まぁ、今すぐじゃなくていいよ。こっちもアンタが払えそうなもん考えておくし」

まどか「ごめんね、杏子ちゃん」

杏子「いいっての。ちゃんとくれれば文句は言わねーから」

まどか「ありがと。あ、そうだ!」

杏子「え?」

まどか「杏子ちゃん、こっちに来て! ほむほむも」

杏子「え? ちょっ、おいおい」

ほむら「ほむほむ?」
466 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:37:45.04 ID:mBW079Fl0
まどか「じゃあ、3人でプリクラ取ろうよ!」

ほむ杏「…」

杏子「何が『じゃあ』なんだ?」

まどか「せっかく仲良くなったんだから、その記念!」

杏子「…まあ、いいけどよ」

まどか「じゃあ入って入って!」

杏子「アンタは客引きか」

杏子(そういや、アタシ撮ったこと無いな)

ほむら(まどかとプリクラ、まどかとプリクラ…)ホムホム
467 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:38:10.95 ID:mBW079Fl0
まどか「周りから見えないから、ほむほむもきちんと表情作ってね!」

ほむら『表情って…ど、どうすれば』

まどか「ニコって笑うの。ほらほら杏子ちゃんも」

杏子「あ、アタシもか?」

ほむら『…』

まどか「ほむほむ、表情が硬いよ!」

杏子「アタシこーいうのはなぁ…」

まどか「二人とも頑張って! ほら写すよ!」

ほむら『努力するわ、まどか』

まどか「その言い方が既に固いよ…」

杏子「もう写すんじゃないのか? ボタンはこれか?」

まどか「え? あ」パシャ
468 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:38:59.72 ID:mBW079Fl0
まどか「うん、いいのが撮れたね!」

杏子「三回も撮りなおせばそりゃいいのが撮れるだろ…」

ほむら「ほむぅ…」

杏子「…お前も苦労してそうだな」

まどか「はい。これ杏子ちゃんの分!」

杏子「ありがとよ」

杏子(うわー、なんかこっ恥ずかしいな)

まどか「じゃあこれで、魔法少女同盟結成だね!」

杏子「おー」

ほむら「ほむー」

まどか「…二人ともなんかやる気ないよ」

杏子「いや、どう反応したらいいかわからなくてな」

ほむら「ほむほむ」

まどか「もー、こういうのはとにかく気合を入れるんだよ! 最初の一致団結なんだから」

杏子「あー、そうなのか?」

ほむら「ほむむ」



まどか「じゃあ、もう一回。魔法少女同盟結成!」

杏子「おー!」

ほむら「ほむー!」

まかど「よし!」

杏子(そういえば、誰かと一緒にいるっていつ以来だったかな)

杏子(…まぁ、たまにはこういうのも悪くないか)
469 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:39:33.00 ID:mBW079Fl0
まどか「それじゃあ、これからのことなんだけど」

ほむら『待って、まどか。今日はもう遅いわ。
    色々話すには時間がかかるし、詳しいことは明日にしましょう』

まどか「え? わ、もうこんな時間。そうだね。ほむほむ」

杏子「ん? どうした?」

まどか「ごめん杏子ちゃん。話そうと思ったけど、今日はもう時間が無くて」

杏子「ああ、普通なら家にいる時間だもんな。いいよ明日で」

まどか「うん、ありがと。それで杏子ちゃんっていつもどこにいるのかな」

杏子「まぁ基本街をうろうろしているけど。そうだな、夕方はこのゲーセンにいることにするよ。
   そうしたほうが探す手間も省けるだろ」

まどか「うん、そうだね。じゃあ、また明日!」

杏子「おう、じゃーな」

まどか「明日は、マミさん達も連れて来るよ!」

杏子「ちょーっと待った―!」

まどか「え?」

杏子「悪い、ちょっと付いていくわ」
470 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:40:08.95 ID:mBW079Fl0
―帰り道―

杏子「とにかく、すぐにはアタシをマミ達に会わせるべきじゃねぇと思う。
   アタシは協力するつもりだが、あっちがそう簡単に信じてくれるわけねぇからな」

まどか「でも、協力してくれるなら早めにみんなで動けるようにしないと」

杏子「それは正論だが、世の中はそんなに上手くねぇよ。
   昨日まで主義が違った連中と一緒に戦えるほど、みんな物分りがいいとは限らないさ」

ほむら『まどか、私も杏子の意見に賛成するわ。
    すぐに直接会わせないで、私達がクッションになって少しずつ関係を良くしていきましょう』

まどか「…そうだね」

杏子「特にあの青いの。あいつはアタシに対して相当な敵意を持ってたからな。
   会っていきなり斬りかかられちゃ、たまんないよ」

ほむら(まぁ、そうなってもおかしくないわね)
471 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:40:47.49 ID:mBW079Fl0
まどか「さやかちゃんは正義の味方を目指しているから。きっと、あのときの杏子ちゃんが許せなかったんだと思う。
    でも杏子ちゃんって優しいし、それがわかればきっとさやかちゃんだって誤解を解いてくれると思うんだ」
    さやかちゃんも優しいから。

杏子「正義の味方ねぇ。ほんとバカだなソイツ。そんなの、できるわけねぇのに」

まどか「ううん、それがさやかちゃんの凄いところなんだよ。
    正義の味方を信じて、無理やりにでも自分がそうなれるように努力できる。
    わたしじゃ、たぶんできない。自分がそんな風になれるとは到底思えないから…」

杏子「本気で信じているのかそいつ?」

まどか「うん。だから凄いんだよ。さやかちゃん、頑張ってほしいな。本当に正義の味方がいたら、みんな幸せになれるもん」

杏子(さやか…か)


まどか「あ、杏子ちゃんわたしの家ここなんだ」

杏子「お、そうか。じゃあなんかあったら、アタシはここに来るようにするよ」

まどか「じゃあ、おやすみ。杏子ちゃん!」

ほむら「ほむ!」

杏子「おー。また明日な」
472 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:41:20.02 ID:mBW079Fl0
杏子「…」スタスタ

杏子「…キュウベエ、いるか?」

QB「何だい杏子?」

杏子「美樹さやか。知ってるだろ?」

QB「さやかか。最近はマミと一緒に魔女狩りをしているね。使い魔も狩っているみたいだけど、何もしなくていいのかい?」

杏子「そのさやかについて知りたいんだ。どんな奴なんだ?」

QB「さやかに興味があるのかい?」

杏子「ああ、ちょっとね」

QB「まあ、僕の知っている範囲でいいなら答えるよ」



杏子(正義の味方を目指している、魔法少女か…)

杏子(…んなもん無理に決まってるのに)

QB「彼女はね…」
473 :1 [saga]:2011/08/27(土) 21:42:34.27 ID:mBW079Fl0
今日の投下はここまでです。

次の投下は、火曜日を予定しています。
ご拝読ありがとございました。
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/08/27(土) 21:47:13.20 ID:6GkiUxN8o
乙ほむ!
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 21:53:36.80 ID:j07CDPh20
乙ですたー
あんこちゃんとQBの接触が今後にどう働くか・・・期待半分、不安半分で次回を待ってます
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/27(土) 23:18:51.69 ID:URAL5okH0
玉砕とは言え、きっちり告白して想いを終わらせた。
それでもベテランが見て危うさが残っていると言う事は、どう足掻いても安定のさやかなのか。
魔法少女としての才能は、まどかほどじゃないにしろほむらの恩恵を受けているはずだから、さやかも並の魔法少女より高いはず。
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/27(土) 23:56:07.24 ID:ETMvrYSBo
お疲れ様でした。


さやかさん自体は相応に素質ある魔法少女で、
鍛えればマミさん級に強くなったとか・・・・・・・・。
いかんせん本編の各イベントで負った心の傷を癒したり、
受容したりする時間がなかったのが彼女の不幸かと・・・・・・・。
(杏子さんは時間があったんで助かったようですけどね・・・・・・)
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/28(日) 00:53:24.31 ID:sbGCEcoDo

地味にほむほむがホムホムしてるのがよかったw

マミさん生存で指導者ができたさやかは強くなりそうだね。
精神面でも強化されそうだし…大丈夫じゃ・・楽しみにしておこうww
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/28(日) 12:16:11.35 ID:I8YAzLg30
指導者が二人(杏子、マミさん)も居た三週目でさやかは魔女化している。
危うさは今回も変わらない。
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/29(月) 04:12:39.98 ID:eR5ia1VI0
おもしれぇ…超おもしれぇ
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/29(月) 10:05:24.14 ID:pyXHkoTr0
ここのマミさんは杏子と組んでたことはないって設定でいいの?
482 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:39:24.55 ID:9tg250v00
>>481
ドラマCDが手元にないので、今のところその設定はないです。
公式設定なのかパラレルなのかもイマイチよくわかっていないので。

続きを投下します。
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483 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:40:44.46 ID:9tg250v00

―朝―

まどか『何とか、杏子ちゃんを誘うことができたね』

ほむら『ええ。正直、ここまで上手く事が運ぶとは思わなかったわ』

まどか『杏子ちゃんだっていい人だもん。そんなに不思議じゃないよ』

ほむら『と、なると後は巴マミと美樹さやかにどうやって話を切り出すかが問題ね』

まどか『正直に話す…はやっぱりだめかなぁ』

ほむら『私達は佐倉杏子のことを知っているけど、マミ達は彼女を知らないわ。
    最悪、私達が騙されていると疑われてさらに関係が悪化するでしょうね』

まどか『なにかいい方法はないかなぁ…』
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484 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:42:49.21 ID:9tg250v00

まどか「あ、仁美ちゃんさやかちゃん、おはよう!」

仁美「まどかさん、おはようございます」

さやか「おーっす、まどか」

ほむら『とにかく、今はまだ内緒にしましょう。特に美樹さやかには、ね』

まどか『…うん』



さやか「まどか? なんか元気ないなー、もしかしてまた寝冷えでお腹冷やしたのかー?」

仁美「そういえば、以前もそんなことがありましたわね」

まどか「ち、ちがうよさやかちゃん!」

さやか「まどかは子供っぽいもんね」

まどか「だから違うってば!」
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485 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:45:26.22 ID:9tg250v00
さやか『大丈夫、まどか? ちゃんと休んでる?』

まどか『うん、大丈夫だよ。さやかちゃんこそ魔女のほうは上手くいってる?』

さやか『マミさんがついていてくれてるから、こっちは平気だよ。昨日も一匹倒したし』

まどか『すごいなぁ、二人とも』

さやか『へへ。でも一時期一人で戦ってたアンタほどじゃないって』

さやか『見てなよ!この調子で強くなって、まどかもみんな守れるようになるからね』

さやか『そうすれば、あの赤い奴にだって…』

まどか『さやかちゃん…』

ほむら『…』




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486 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:46:06.51 ID:9tg250v00

仁美「あら、あれは…上条君?」

さやか「え? あ、恭介だ」



上条「…」ウイセ ホイセ



まどか「松葉杖で歩いているね」

仁美「すごいですわね。退院してまだ日が経ってないのに、一人で登校だなんて」

さやか「リハビリを兼ねてるからね。あんまり楽とかしたくないんだって」

仁美「そうなんですか。でも、大丈夫なんでしょうか…」

さやか「病院でもずっと訓練してたから、いきなりってわけじゃないよ。
    本人も自分のことはわかっているだろうし、無理はしてないと思うな」

まどか「でも、やっぱり大変そうだなぁ」

さやか「…」ウズウズ

まどか「…」









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487 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:47:08.51 ID:9tg250v00

まどか「さやかちゃん、上条君のとこに行ってあげて」

さやか「え? ど、どうしたのまどか?」

まどか「いくら大丈夫そうに見えても、まだ退院したばっかりなんだから大変なはずだよ。
    少しくらい、手伝ってあげてもいいと思うな」

仁美「そうですわね、わたしもそう思いますわ」

さやか「…いいの?」

まどか「うん。わたし達は先に行ってるよ。行こう仁美ちゃん」

仁美「ええ。上条君のこと、助けてあげてください。さやかさん」

さやか「…ありがと、二人とも。わたしちょっと行ってくるっ!」ダッ








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488 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:47:48.82 ID:9tg250v00



 オーイ、キョウスケー ア、サヤカ



まどか『…さやかちゃん。告白、上手くなかったんだって』

ほむら『そうらしいわね』

まどか『でも、上条君との関係はそんなに変わってないみたい。
    告白、してよかったんだよね?』

ほむら『そんなことは、本人にしかわからないわ。
    でも、心残りが減ったのは確かでしょう。これで巴マミとの訓練にも集中してくれるといいのだけれど』

まどか『もー、さやかちゃんはいつでも本気だよ』

ほむら『どうかしらね』








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489 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:48:59.40 ID:9tg250v00

ほむら(…思いは実らなかったけど、美樹さやかの精神はとても安定している)

    (彼女の魔女化は回避できた…?)

    (いえ、油断は禁物ね。もっと様子をみないと何とも言えないわ)

    (でも、このまま上手くいけばワルプルギスの夜に4人で対抗できる)

    (もしかしたら、今回で…)


まどか「あ、さやかちゃん肩貸してる。あれじゃあ男の子同士みたいだなぁ」


ほむら(まどか…)

    (もしかしたら、ようやく私、貴方との約束を守れるかもしれないよ?)

    (だから、ごめん。もう少しだけ、私に力を貸して)

    (…お願い)

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490 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:50:09.29 ID:9tg250v00

―放課後―

さやか(ふー、今日もマミさんとの特訓は辛かったな)

    (でも、使い魔ならあたし一人でも楽勝になってきたし、魔女にだってそこそこやれるようになってきた)

    (マミさんからは、まだ色々注意されるけれど…)

    (でも、あたしだって強くなっているよね!うん。これなら、ワルプ何とかとかいうやつも何とかなるかも!)

    (あたしとマミさんとまどか。3人もいるんだもん。勝てるに決まってんじゃん!)

    (3人もいれば…)









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491 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:50:48.70 ID:9tg250v00
さやか(…おいおい。違うってあたし)

    (何でナチュラルにまどかを戦わせようとしてるのよ)

    (まどかは本当はこんなことするような子じゃないんだから、早く解放してあげないと)

    (でも、まだあたしはまどかより強くないし…。それにワルなんとかも二人じゃきついかも…)

    (ううん。だったら、あたしがもっと強くなればいいんだ! それこそワルを一人で倒せるくらい!)

    (よーっし。気合入った! 明日からも頑張るぞー!)








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492 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:52:09.24 ID:9tg250v00

―上條宅前―

さやか「…」
   
   「…」

   「…」

さやか(恭介…)



さやか(恭介…元気かな)

    (やだな、恭介のことは決着がついたはずなのに…何で)

    (告白もしたし、実らなかったけどそれで関係が悪くなったわけでもない)

    (…じゃあ、なんで?)

    (なんで、あたしは毎日ここに来ているの…?)







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493 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:53:50.48 ID:9tg250v00


―あなたは彼に夢を叶えてほしいの? それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?―


さやか(!)

    (違う違う違う違う違う違う違う違う!)

    (あたしは後悔なんかしていない――!)

    (見返りを求めてなんか…絶対に)

    (あたしは正義の味方になるんだ!)

    (恭介やまどかやみんなを守れる存在に――!)

    (褒められたり、尊敬されたいわけじゃない!)

    (ただ、みんなを守れればそれで…)




???「何だ。やっぱりこんな所に居やがったか」

さやか「?! あんた!」

杏子「結局、あきらめずきれずにストーカーかよ。情けない」

さやか「杏子――!」






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494 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:54:43.03 ID:9tg250v00

さやか「なんでアンタがこんなところにいるのよ?」

杏子「この家の坊やなんだろ? アンタが契約した理由って」

さやか「なんで知ってんのよ」

杏子「キュゥべえから聞いた。聞けば大抵のことは話すからな、アイツ」

さやか(後で一発殴ってやる)



杏子「にしても、まどかの奴が凄いっていうからてっきりアタシの眼鏡違いかと思えば。
   何のことはねェ。ただの勘違い野郎じゃないか」

さやか「――! あんた、まどかに何かしたの?!」

杏子「別になにもしちゃいねぇよ。ただ話す機会があったから、アンタのことを聞いただけだ」

さやか「まどかが…?」

杏子「そ。本気で正義の味方を目指してる凄い奴だ…ってな。
   それが見てみりゃ、自分が何が欲しいかも分からない奴なんて。まどかはあんまり人を見る目がないな」

さやか「…どういうことよ」

さやか(こいつ…気安くまどかまどかって…!)






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495 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:55:35.34 ID:9tg250v00
杏子「ここの坊やに愛してもらいたんだろ?」

さやか「――!」

杏子「そうしてほしいなら、最初からそうなるように願えばよかったんだ。
   それを回りくどく他人の為に願いなんて使いやがって。勿体ない」

さやか「違う! あたしは恭介にそんなこと望んでない!」

杏子「じゃあ、なんでこんな場所で呆けてるさ? 本当は愛が欲しいんだろ、坊やの」

さやか「違う違う!」

杏子「まったく…。いいか?魔法なんてのは徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんなんだよ。
   他人のために使ったところで、ロクなことにはならないのさ。
   巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」


―あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも―


さやか「…!」

杏子「その様子だと心当たりはあるみたいだね。じゃあ、馬鹿なのはアンタだけか」

さやか「うるさい!」

杏子「せっかくの先輩の忠告も聞かないなんて、何考えてるんだか。ホント見ててムカつくね」

さやか「うるさいうるさいうるさい!」






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496 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:56:38.15 ID:9tg250v00

さやか「あんたにあたしの何がわかるっていうのよ! 
    あんたなんか自分の為に他人を犠牲にする最低の人間じゃない!
    あたしはあんたみたいなやつや魔女から、理不尽からこの街の人を守るために魔法少女になったんだ! 
    その気持ちが間違いだなんてあるはずがない!
    あたしは自分のために力なんて使わない! 誰かの為にこの力を使うんだ! 
    それの何が悪いっていうのよ!」



さやか「…」ハァハァ

杏子「誰かの為、ねぇ。自己犠牲は立派だけど、その先には何もないよ」

さやか「…」

杏子「それをしたところで誰もアンタを褒めたりしないし、坊やもアンタを愛したりはしないよ」

さやか「うるさい! あたしはそんなもの望んでない!」

杏子「望んでるじゃないのさ。ここでこうやって、捨てられた犬みたいに坊やの家を眺めているのがいい証拠だよ」

さやか「これは確認だ! あたしが何を守りたくて魔法少女になったのか。それを忘れないためにここに来ているの! そんな理由じゃない!」

杏子「何だ。もう、そんなことをしないと忘れそうなのか」

さやか「なん…!」

杏子「その程度で忘れてしまう決意なんて、そもそも決意じゃなかったんだよ。
   もう一度、よく考えてみることだね。自分が本当は何を望んでいたのかを、さ」

さやか「…」






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497 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:57:52.80 ID:9tg250v00
さやか「…あんた。なんなのよ」

杏子「あん?」

さやか「いきなり現れて、勝手なこと言って、人のことバカにして。
    何がしたいのよ。気に入らないなら、あの時みたいに戦えばいいでしょ?」

杏子「…さぁ、何なんだろ。言われてみりゃ自分でもよくわからないな」

さやか「…」

杏子(ああ、そうか)

   (こいつ、昔のアタシに…)


杏子「…悪い。少し話をさせてくれ」

さや「…なによ?」

杏子「アタシの昔の話さ。アンタみたいに、誰かの為に願いを使った大馬鹿者の話だよ」

さやか「――え?」

杏子「ちょいと、長くなる。場所を変えるか」






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498 :1 [saga]:2011/08/30(火) 19:59:35.53 ID:9tg250v00

―歩道橋―

杏子「これがアタシの顛末さ。全く我ながら何もわかっちゃいなかったと思うよ」

さやか「…そんな」

杏子「世の中ってのは、意外とバランスが取れていてね。本来あるはずのない奇跡が起きれば、その分どこかで絶望が起きるのさ」

杏子「アタシの末路がいい例だよ」

さやか「…」

杏子「だから願い事なんてのは自分自身のために使うべきなんだ」
   
   「アタシ達の身勝手な奇跡が引き起こした絶望に、他人を巻き込むなんてことはしちゃいけないんだよ」
   
   「他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった」
   
   「その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない、この力は、全て自分のためだけに使い切るって」

さやか「…それで?」

杏子「アンタもアタシも、もう願ったことは取り消せねぇ。
   でもこれからは変えることができる。後悔する前に、そんな生き方は変えるべきだ」

さやか「あたしに、あんたみたいになれって?」

杏子「ああ。といってもアタシの真似をしろってわけじゃない。
   考えを変えてほしいんだ。アンタは今も間違い続けてる。見てられないんだよ、そいつが。
   昔のアタシを見ているみたいでさ」






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499 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:00:15.14 ID:9tg250v00

さやか「…まどかには」

杏子「ん?」

さやか「まどかには言ったの? そのこと」

杏子「アイツは理解していたよ、そのことは」

さやか「…え」

杏子「願いも力を使うことも、全部結局は自分のためだってな。
   アタシが言うまでもなかった。見た目は普通だが、意外とするどいねアイツは」

さやか「まどかが…」

杏子「だからさ。アンタも開き直って好き勝手にやればいい。誰かの為じゃない。自分の為に力を使うべきなんだ。
   もう、無理するのは止めなよ」

さやか「…」






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500 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:01:23.00 ID:9tg250v00
さやか「…無理なんてしていない」

杏子「さやか?」

さやか「ごめん。あんたの事、色々と誤解してた。謝るよ。
    でもね、あたしは人の為に祈った事を後悔してないし、無理なんてしていない。
    その気持ちを嘘にしない為に、後悔だけはしないって決めたの。これからも」   

杏子「バカ野郎! その先には何もねェって言ってんだろ! 誰もお前に感謝なんてしないし、振り向きもしない。
   そんな奴らの為に、なんで自分を犠牲にする必要がある!」

さやか「それでもいいの。それでもあたしはこの力をそんな風に使いたい。誰かを守る為に。
    それが、あたしの使命だと思うもの」

杏子「お前…」

さやか「だって、そうじゃなきゃ誰が魔女と戦うっていうのよ。
    魔女と戦えるのは魔法少女だけ、だったらあたしたちが戦うしかないじゃない。
    それならあたしは、誰かを守っているって考えながら戦いたい。
    自分の為じゃない。放っておいたら魔女にやられてしまう誰かを助けるために、ってね」

杏子「…」

さやか「そう、あたしが守らなきゃいけないんだ。魔女からまどかや恭介たちを…」

杏子「…!」







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501 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:03:30.90 ID:9tg250v00

杏子「…この街にはマミやまどかだっているじゃねぇか。アンタがどうして街を守る必要がある」

さやか「なによ、まだ文句あるわけ?」

杏子「質問に答えろ」

さやか「ここ最近、この街には魔女が多いんだって。アンタも知ってるでしょ。
   マミさんは本調子じゃないし、まどかは今は休業中。あたしがやるしかないじゃない」

杏子「じゃあ、ここら辺の魔女が少なくなったら止めろ。マミやまどかがいれば十分だろ」

さやか「言ったでしょ、わたしは守るためにこの力を使うの。魔女が少なくなったって関係ない。
    それにマミさんはともかく、まどかにこんなことはさせられないの。まどかは本当は戦えるような子じゃないんだから」

杏子「マミは優秀だ。本当なら一人でもこの街は守れるよ。だから、アンタは自分の為に力を使えばいいじゃないか」

さやか「わたしはあんたみたいにできないし、やらない。
    わたしはわたしのやり方で戦い続けるよ。邪魔になるなら、前みたいに殺しに来ればいい。
    負けるつもりはないけど」

杏子「…どうしてそこまで、守ることにこだわるんだ?」

さやか「しつこいわね。それができる力を持ってるんだから、あたしがやらなきゃいけないの。
    
    「あたしがまどかや恭介たちや街のみんなを…」







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502 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:04:24.37 ID:9tg250v00

杏子「…」

さやか「…なによ、何がそんなに気に入らないの?」

杏子「…」

さやか「もうあんたのやることに口出ししたりなんてしないよ。
   そのかわりあんたもわたしのやることに何も言わないで。それが互いの為ってもんでしょ。
   だから邪魔しないで」

杏子「…気に入らねぇ」

さやか「あたしも認められないよ、あんたのこと。でもお互い様でしょ」

杏子「ああ、ホントに気に入らねぇ」






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503 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:05:03.03 ID:9tg250v00



杏子「さやか。何、まどかのこと見下してるんだ?」

さや「…え?」







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504 :1 [saga]:2011/08/30(火) 20:07:42.65 ID:9tg250v00
今日の投下はここまでです。

何か重大な議論が交わされているみたいですね。ちょっと覗いてみます

次の投下は土曜日になるかと思います。
ご拝読ありがとうございました。
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505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 20:09:11.34 ID:mNg4pabDO
乙でした
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506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/30(火) 20:13:01.60 ID:67YR3Ah/o
乙!


杏子ちゃん怒り爆発!……ですかね?
しかし本当に下のこれが邪魔だ……重要な議論だとわかっては居るんですけど、ええ
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507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/30(火) 20:14:44.59 ID:8O3xQP4/o
お疲れ様でした
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508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/08/30(火) 20:24:47.05 ID:mjoFPvVho
乙でした
先が気になるぜ…
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509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/30(火) 20:31:46.17 ID:7e1jLVnR0
更新乙です。
安定のさやかか、魔女化しないかの瀬戸際だな。
さやかはよく言って純粋、普通に言えば単純な性格。今回は杏子に言われるまで気付かなかった、何やっていたんだろアタシって、こぼす相手が居れば済む問題だけど、見下している優越感に浸っている事を指摘され、それが原因で魔女化するかも知れない。
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510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/30(火) 21:08:21.63 ID:tTeOueTAo
乙ほむ
あんこカッコいい
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511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/30(火) 21:57:58.30 ID:1pUUrpHyo
いいとこで切るなぁもう

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512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/30(火) 23:16:43.83 ID:rsh9pfQao

魔女化がちらつくだけにさやかの話は不安になるね
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513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/31(水) 20:25:30.84 ID:F30RxlQFo
乙ほむほむ
さやかちゃんも妹分の成長を認めてくださいな

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514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/03(土) 20:20:28.29 ID:8yOHNfHco
今日投下するかな・・・・下の奴があるからしない可能性もあるけど……
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515 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:10:34.25 ID:OQi//pzz0
こちらの事情で遅くなってしまいました。

続きを投下します。
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516 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:12:18.25 ID:OQi//pzz0

杏子「さっきから聞いてりゃ、守る守るって。そんなにまどかは弱いのかよ?」

さやか「あ、当たり前でしょ。そもそもまどかが魔法少女になって、戦っているのがおかしいのよ。
    あの子はそんなことするような子じゃないんだから」

杏子「アタシは魔法少女になる前のアイツを知らないよ。さやかが言うなら、前のアイツはそんな人間だったのかもしれないさ」

杏子「でも、今のアイツのことならわかる。アイツは強い人間だよ、さやか」

さやか「え?」

杏子「魔法少女としてはもちろん、覚悟や気概もアンタより上だ。わざわざ守る必要なんてないよ」

さやか「そんなことないわよ! だってまどかはちょっと危なっかしくて、優しくて、でも自信がないような子で…」

杏子「それは昔のアイツだろ? 今はそんな奴じゃない。
   あのちっこいのと一緒に力も持っているし、しっかりした気持ちも持ってる」

杏子「知ってるだろ? 少なくとも、実力がまどかの方が上だって気付いてるはずだ」

さや「それは…」






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517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/03(土) 23:12:37.50 ID:8yOHNfHco
全然オッケェ!期待してます!
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518 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:13:45.98 ID:OQi//pzz0




(げっ…どうやって戦っているんだが全然わかんない)
   
(あたしって、こんなに力不足なの…?)




杏子「まどかは一流の魔法少女だ。誰かに守られるような奴じゃないよ」

さやか「そんなことない! まどかは変わらない、昔のままの優しい子だ!」

杏子「おい。何で否定するんだよ?  
   良いことじゃねぇか。アンタが守らずとも強くなったんだから」

杏子「それとも、そうなったら都合が悪いことでもあるのか?」

さやか「そ、それは…」






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519 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:15:56.93 ID:OQi//pzz0

杏子「…やっぱり、そうだ」

  「守る守る守る。そうさアンタはまどかを守りたいのさ」
  
  「それでもまどかが魔法少女じゃないのなら、納得できるよ。戦えねぇから魔女にやられちまうかもしれないしな。
   でも実際はそうじゃねぇ。魔法少女としてもアイツの方が強いのに、アンタはまどかを弱いって言っている」

  「守るっていうのは、強い奴が弱い奴に対してすることさ。
   だから、守るって考えるやつは、そいつのことを弱い奴って考えてる」

  「アンタは、アイツを弱い人間だと思ってる。本当は、まどかの方がアンタよりも強いっていうのに。
   アンタは自分より強いまどかを下に見て、優越感に浸ってるんだよ」

  「ふざけんな」

  「友達なのに、見下してんじゃねぇよ! ふざけんな!」




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520 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:17:39.87 ID:OQi//pzz0
さやか「なん…!」

杏子「街を守るなんて言っているのも同じ気持ちだ! 祈りを捧げた坊やのことも!
   守ってやることで、自分がアイツらより上だと思いたいだけなんだ!」

さやか「違う! あたしは…」

杏子「何が違って言うんだよ。まどかを見下してんじゃねえか!」

さやか「そんなのあんたの想像じゃない! 勝手に決めつけるな!」

杏子「見下している以外に何があるんだよ。『助ける』とか『一緒に戦う』とかならまだわかる。それなら対等だからな。
   それを『守る』しか言わねーで、下にしか見てないじゃないか。他に何があるっていうんだよ!」

さやか「そうじゃない! わたしは…」

杏子「実力もないくせに、強くなったと勘違いして挙句に友達を見下しやがる…!」

杏子「さやかは…最低だ」

さや「…!」ブチッ






さやか「この…言わせておけば!」

杏子「イラつてんのはこっちのほうだ。アタシはアンタみたいな奴が大っ嫌いだ」

さやか「あんたに…あたしとまどかの何がわかるっていうのよ」

杏子「まだ友達面する気かよ。この恥知らずが」

さやか「絶対に…お前だけは絶対に許さない。今度こそ必ず…!」ジェムショウカン

杏子「んなもんこっちのセリフだ。その腐った性根を叩き直してやる…!」ジェムショウカン






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521 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:19:00.34 ID:OQi//pzz0




まどか「二人とも、待って!」

さや杏「まどか?!」




まどか「ダメだよ、こんなのダメ!」

さやか「まどか、どうしてここに…」

マミ「美樹さん、止めなさい!」

さやか「マミさんまで…」

マミ「鹿目さんから連絡があったの。ほむほむが貴方たち二人が一緒にいるところを見かけたって」

さやか「マミさん、止めないでください!
    こんなやつは絶対に許しちゃいけないんだ…!」

マミ「美樹さん、落ち着いて。こんなところで戦ったら人目に付くし、周囲に被害が出るわ。
   それは貴方が望むことではないでしょう?」

さやか「でも…っ!」






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522 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:20:47.47 ID:OQi//pzz0

まどか「杏子ちゃん、止めて!」

ほむら「ほむむむっ!」

杏子「うるせぇ! 止めんなまどか、ほむほむ!」

まどか「ダメだよ! さやかちゃんも杏子ちゃんも!
    こんなこと、放っておけるわけないよ」

杏子「こんなやつに期待したアタシがバカだった。
   一回、本気でぶん殴らねェと気が済まないんだよ!」

まどか「杏子ちゃん、落ち着いて」

杏子「まどか、コイツお前のことどんな目で見てんのか知ってんのか。
   友達をバカにするような奴はアタシは…!」

まどか「杏子ちゃん…」




さやか(なんで…、なんで、まどかはあいつと一緒にいるの?)

    (なんで、あいつと友達みたいになっているの?)

    (あいつはまどかを襲ったんだよ。もうそんなことも忘れたの?)

    (何考えているのまどか。そいつは、敵だよ。最低な奴なんだ。分かってるでしょ?!)


マミ「美樹さん? 美樹さん、聞いてる? 美樹さん!」

さやか「…」ギリッ






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523 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:22:27.72 ID:OQi//pzz0

まどか「杏子ちゃん。お願いだから…!グイッ

杏子「邪魔すんな!」バッ

まどか「きゃ…!」

ほむら「ほむ?!」

さやか「! まどか!」ダッ

マミ「ちょっと、美樹さん?!」



さやか「まどかに何するんだ!」ガシッ

杏子「てんめ…離れろ!」ジタバタ

さやか「あんたなんか…あんたなんか!」グイグイ

杏子「友達面してんじゃねぇよ!」バタバタ

さやか「黙れ!」ガッ

杏子「! アタシのソウルジェム! テメッ、返せ!」

さやか「こんなもの――!」






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524 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:23:40.21 ID:OQi//pzz0



  ポイッ



まどほむ「!」

ほむら(杏子のソウルジェムがトラックに…!)

杏子「アタシのソウルジェムが!」

マミ「美樹さん! なんてことを…」

さやか「これであんたは、魔法少女になれない…!」
    もう、魔法少女にはなれないんだ!」

杏子「この――! …?」

杏子(え…?)

杏子「や…ろ……う―――」

ほむら(マズイ!)






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525 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:24:22.20 ID:OQi//pzz0





ほむら『まどか、へんし「ほむほむ! 変身するよ!」






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526 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:25:22.48 ID:OQi//pzz0
ほむら(…え?)

まどか「早く!」

ほむら『え、ええ!』カッ!

マミ「鹿目さん?!」

まどか「マミさん。わたしがソウルジェムを取り戻します!
    だから、さやかちゃんと杏子ちゃんをお願いします!」ダッ

マミ「え? ええ!」

ほむら『まどか。まだ間に合う。時間停止を繰り返して追いつくわよ!』

まどか「うん!」



ほむら(…それにしても)

ほむら(さっきのは、一体…)






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527 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:26:07.68 ID:OQi//pzz0

さやか「…ちょっとなによ」

杏子「…」

マミ「…!」

さやか「何、急に寝てんのよ。ふざけてんの?」

杏子「…」

マミ「そんな…どういうこと?!」

さやか「何とか言いなさいよ。また、そうやってあたし達を油断…」

マミ「美樹さん!」

さやか「…」ビクッ

マミ「あなた…、佐倉さんに何をしたの?!」




マミ「彼女…死んでるじゃない!」

さやか「…え?」






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528 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:27:26.52 ID:OQi//pzz0



  ブロロロロロロロロ

  カシャ カシャ カシャ カシャ



まどか「見えた!」

ほむら『荷台の上ね。時間を止めている間に登って回収するわよ』

まどか「うん!」カシャ

ほむら『道路に落ちて、車に轢かれなかったのが不幸中の幸いね。そうなっていたら…』

まどか「うん、考えたくないよ」ノボリ

ほむら『…』

まどか「? どうしたの、ほむほむ」

ほむら『いえ、何でないわ』


ほむら(やっぱり…。でもどういうこと?)

ほむら(まどかは知らないはず。…一体どこで?)

ほむら(キュゥべえ? でもそんなことをする理由が…)






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529 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:28:12.45 ID:OQi//pzz0

まどか「あった!」

ほむら『本当? 傷は無い?』

まどか「うん。特に無いみたい。良かったぁ…」ヘタリ

ほむら『何よりだわ。早く、マミ達のところに戻りましょう』

まどか「わかった。じゃあ急ぐよ!」カシャ

ほむら(おそらく、マミたちは残酷な事実に直面しているはず)
   
ほむら(何事もなく、というわけにはいかないでしょうね…)






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530 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:30:24.73 ID:OQi//pzz0

―歩道橋―

QB「ただの人間と同じ、壊れやすい身体のままで、魔女と戦ってくれなんて、とてもお願い出来ないよ。
 
QB「魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」

さやか「なによ…それ…」ガタガタ

マミ「キュゥべえ…何を言っているの?」

さやか「杏子はどうなったっていうのよ! 何で…なんでこんなことに!」

QB「僕の話を聞いてなかったのかい? さやか。佐倉杏子なら、今さっき君が投げ捨てたじゃないか」

QB「そっちは抜け殻。本体がいなくなったら、体が動かなくなるのは当然だろう?」

さやか「あ…あ…あ…」




QB「さやか、君は杏子のことを憎んでいたんだろう?」

QB「ならよかったじゃないか。これは君が望んだ結末だ」

QB「杏子は死に、君の目の前からいなくなった。君が望んだ、まさに最良の結果じゃないか」




さやか「うわああああああぁぁぁぁぁ!!!!」ダッ

マミ「美樹さん!」






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531 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:31:10.06 ID:OQi//pzz0

QB「何が気に入らないのだか。まったく、わけがわからないよ」

マミ「キュゥべえ…。騙していたのね、私たちを!」

QB「人聞きの悪いことを言わないでほしいな。
  僕は魔法少女になってくれって、きちんとお願いしたはずだよ?」

マミ「だからって、こうなるなんてこと、一言も言わなかったじゃない!」

QB「訊かれなかったからさ。知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね」

QB「事実、今の今まで君だって気が付かなかっただろう? 
  日常生活に支障はないし、魔力で体も修理できるから戦闘も有利に進めることができる」

QB「むしろ感謝するべきじゃないのかな? 君たちにとってこれほど便利なことはない」

マミ「便利…ですって?!」

マミ「そんなわけないじゃない! こんな…こんなこと…」






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532 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:33:19.91 ID:OQi//pzz0

QB「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」

マミ「当り前よ! 魂を抜かれて、死人になるなんて誰が喜ぶというの?!」

QB「死人ではないね。むしろ逆の存在だ。ソウルジェムが砕かれない限り、君たちは不死身だよ」

マミ「そんなの死んでいるのと同じことよ! 
   殺されても生き続けるなんて、キュゥべえはそんなことも理解できないの?!」

QB「価値観の相違はお互い様だろう? なぜ僕だけ非難されなきゃいけないのかな?」

QB「僕は君が望んだから願いを叶えたし、その体に造り替えてあげた」
 
QB「それとも君は、仕組みを説明されたのならあそこで死ぬことを望んだのかな?
  なら、今すぐ自分のソウルジェムを砕けばいい。そうすれば時間はかかったけど簡単に望みは叶うよ」

マミ「そ、そんなこと…」

QB「どんな形であれ、生き続けるのが君の祈りだったはずだ。さやかと同じさ。これが君が望んだ結果だったはずだよ。
  感謝されることはあれど、非難されることはないはずなんだけどな」

マミ「…」
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533 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:34:11.28 ID:OQi//pzz0

マミ「…ねぇ、キュゥべえ。一つだけ教えて」

QB「何かな? マミ」

マミ「私、あなたのこと本当に大切なお友達だと思ってたのよ?」

マミ「あなたは私のこと、どんなふうに見ていたの?」

QB「『友達』というのはつまるところ、利害の一致している関係と考えるべきかな?」

QB「それなら、僕も君のことを『友達』だと思っていたよ」

QB「体を造り替えさせてもらえて、魔女と戦ってくれる貴重な存在を『友達』と思わないわけないじゃないか」






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534 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:35:49.82 ID:OQi//pzz0

マミ「…消えて」

QB「?」

マミ「もう消えて! もう私の目の前に現れないで!」

QB「うん。君がそういうのなら、そうさてもらうよ」

QB「バイバイ、マミ。長い間一緒だったね。僕にとってもそれなりに有益だったよ」タッ


マミ「…」

マミ「…本当に」

マミ「…本当に、友達だと思っていたのよ…?」

マミ「…」

マミ「…」ヒック

マミ「…」ヒック グス ヒック





まどか「マミさん!」






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535 :1 [saga]:2011/09/03(土) 23:37:48.94 ID:OQi//pzz0
今日の投下はここまでです。
遅くなった割に量が少なく、申し訳ございませんでした。

次の投下は月曜日になると思います。
ご拝読ありがとうございました。




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536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/03(土) 23:39:49.75 ID:jaL+Hjyko
お疲れ様でした。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/03(土) 23:43:35.53 ID:8yOHNfHco
乙でした・・・・盛り上がってきたな・・・・これからどうなるのかワクワクしてきたぜ……
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538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/09/04(日) 00:13:07.29 ID:lE+SEujk0


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539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/04(日) 00:15:20.21 ID:ZqnWUFlvo

まさかこれは、変身の副作用かまどっち
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540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/04(日) 01:04:52.81 ID:1zI5KHiR0
杏子=他人の為に祈った末路がこれかと納得するが、魔女化の危機
マミさん=生きる事を希望にしているので気持ちを取り直すのに多少時間が掛かるが復活、どこか陰りができる
さやか=杏子以上に魔女化する可能性が高いが杏子に対する引け目がどう働くか分からない
本当に先が読めなくなってきた。
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541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/09/04(日) 03:04:30.44 ID:ftTRWE2w0
>>540
妄想は止めたほうが良いと思うぜ…見ているこっちが恥ずかしい位だ
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542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/09/04(日) 04:13:16.90 ID:dsQkEI6V0
続きが気になるな
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543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/04(日) 04:28:24.66 ID:Zcvv/7Jso

まどかの事も気になるしさやかの今後も気になる…
今回ちりばめ過ぎww
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544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/04(日) 05:10:34.29 ID:XKFhz0Ra0
>>1
乙乙
こんな素晴らしい作品を見落としてたなんて、俺ってホントバカ

・・・本当に今更なんだけどさ
家族が死んだとき、どうして杏子は魔女化しなかったのかな
それなりに絶望はあったはずだけど・・・
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545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 09:17:51.11 ID:8TySyhS0o
予想はよそう
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546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/04(日) 21:38:34.82 ID:KW0DFlTC0
乙ですたー
TV本編とそれぞれの立場を組みかえるって言うのは本当に予想外ですた
次回も楽しみにてます
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/05(月) 18:53:36.83 ID:3BWvJ2B1o
今日は月曜日。そろそろ正座するべきか
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/05(月) 20:21:12.05 ID:qVHdvTLY0
蝶ネクタイにブーメランパンツの紳士スタイルで待機
549 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:40:55.95 ID:5uJxiD600
毎度のことながら、レスありがとうございます。
もう少し、投下期間を早くできればいいとは思っているのですが、なかなか…。

続きを投下します。
550 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:42:13.63 ID:5uJxiD600

―マミ宅―

まどか「杏子ちゃん、大丈夫?」

杏子「ああ。体の方はもう問題は無いみてーだ。
   痛みも何もないし、動かないとことかもねーよ」

まどか「よかったぁ…」

マミ「でも佐倉さん。無理は禁物よ?
   一時的とはいえ、死んでしまったのだからどんな不調が出てもおかしくないわ」

杏子「大丈夫だよ。もしそんなことがあっても魔法で直せるんだろ?
   造り替えた本人の、お墨付きなんだからさ」

マミ「…」


551 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:44:20.94 ID:5uJxiD600

杏子「にしても、ソウルジェムがそんなもんだったとはなぁ。まどかは知ってたのか?」

まどか「ううん。わたしもついさっきほむほむに教えてもらったばかりだよ」

杏子「てことは、そいつは知ってたのか。このこと」

ほむら「ほむ…」

杏子「そんな顔すんなよ。別に攻めてるわけじゃねーぞ。ほむほむ」ナデナデ

ほむ「…」

まどか「ほむほむが言うには、今まで説明しても、誰も信じてくれなかったって」

杏子「そりゃそうだろうな。こんなこと、いきなり説明されても実際に見るまでは信じらんねーもん」

マミ「そうよね…。未だに信じられないくらいだもの。信じたくない、というのもあるけれど」

杏子「なあ、まどかもこんな体になっているのか?」

ほむら「ほむほむ。ほむむ」

まどか「わたしは違うみたい。その、キュゥべえと契約していないから。
    ほむほむと離れていても、今まで体はなんともなかったし」

杏子「そりゃよかった。安心したぜ。
   覚悟も無しにこんな体にされる人間なんて、少ないほうが良いからな」

まどか「杏子ちゃん…」

ほむら「ほむ…」

マミ「…」

552 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:46:04.45 ID:5uJxiD600

マミ「佐倉さん。あなたは、平気なの…?」

杏子「ん? 何が?」

マミ「キュゥべえに、半ば騙されるような形で…、こんな体にされて」

杏子「んー、ショックじゃねぇと言えば嘘になるな。
   あの糞野郎。今度会ったら八つ裂きにしてやる」

マミ「…そうよね」

杏子「でも、まあいいかとも思ってるんだ」

マミ「え?」

杏子「何だかんだでこの力を手に入れたから好き勝手できてるわけだし、後悔するほどのことでもないってね」
   結局、無理矢理奇跡なんてものを望んだ罰ってことさ。自業自得だな」

マミ「自業自得…」

杏子「ああ、これはアタシがアタシに言っていることだからな。別にアンタを非難しているわけじゃねェよ」

マミ「…」


553 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:47:14.76 ID:5uJxiD600

マミ「…いえ、そうかもしれないわね」

まどか「マミさん?」



マミ「そう。これは家族を見捨てて自分だけ生き残った私への罰なんだわ」

   「あのとき、『家族を助けて』ってそう願うことも出来たはずなのに。私は自分が助かることだけを考えてしまった」

   「そんなことも忘れて、正義の味方の真似して、街を守った気になっていて…」

   「これじゃあ、パパやママだって怒るわよね…。見捨てたことも忘れて、生きているんですもの」

   「こんな体になったことだって、そんな私への…」



まど「…」

杏子「…」


554 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:47:57.93 ID:5uJxiD600



ほむら「っむ!」タッ

マミ「え?」

ほむら「ほみゃ!」キック!

マミ「痛いっ…」

ほむら「ほむほむ!」

マミ「な、何するの…? ほむほむ」



杏子「…いや、よくやったほむほむ。グッジョブだ」

まどか「そうだね。ナイスツッコミだよ、ほむほむ」

マミ「あ、あの二人とも…?」


555 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:49:02.61 ID:5uJxiD600

まどか「そんなことないです!」

マミ「鹿目さん?」ビクッ

まどか「マミさんのご両親が、そんなこと思うはずないじゃないですか!
    マミさんが生きていることを怒るなんて、そんなはずがありません!」

マミ「でも私は…」

まどか「マミさん。マミさんのお父さんやお母さんは子供が死んじゃったら、喜ぶような人だったんですか?」

マミ「そ、そんなことは…」

まどか「だったら、罰なんて言わないでください!
    そんな、悲しいこと…」

マミ「鹿目さん…」


556 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:50:57.47 ID:5uJxiD600

杏子「少し違うが、アタシも同意見だね」

マミ「佐倉さん…」

杏子「アタシはアンタの両親が何考えていたかなんて知らないし、アンタがその体をどう思おうがアンタの勝手だ」

マミ「…」

杏子「だけども、その理由を死んだ人間に押し付けるんじゃねーよ」

マミ「押し付ける…?」

杏子「そうさ。人間死んだら、そこで終わりだ。考えることも、ましてや人を呪うことなんてことも出来やしねぇ。
   死んだら、人間は無力なんだ。喜ぶことも、悲しむこともねぇんだよ」

マミ「そんな…」

杏子「だからアンタのしていることは、無力な人間に責任を押し付けているのと同じだよ。死人にさらに鞭を打っているようなものさ。
   自分の体がそうなった責任を、アンタは死んだ両親に押し付けて楽になりたいだけなんだよ」

マミ「そんな、わたしは…」

杏子「無力なのをいいことに、そいつらの姿を都合のいいように歪めて、責任も押し付ける。そんな奴は、アタシは大っ嫌いだ。
   次にそんなこと言ってみろ。あの糞害獣より先に、アンタを八つ裂きにするからな」

マミ「…」


557 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:52:10.61 ID:5uJxiD600

まどか「ほら、マミさん。杏子ちゃんも、マミさんのご両親はいい人だって」

杏子「はぁ? んなこと言ってねーぞアタシは」

まどか「でも、『同意見だね』って」

杏子「あれは泣き言いってるマミが間違っているってことだよ! まぁ、そりゃ良い人だったのかもしれないけどよ…」

まどか「やっぱり優しいね、杏子ちゃん。さすがだなぁ…」

杏子「んなっ! 優しくなんてねーよ! つーか何だ流石って!」

まどか「だって、いつもなんだかんだ言いつつ優しくしてくれるし…」

杏子「アタシのどこをどうみたらそう見えるってゆーんだ! アタシは生きるためなら何でもやる悪いやつだぞ!」

まどか「本当に悪い人なら、自分のことを悪い人だなんて言わないよ、杏子ちゃん」

杏子「うっ…」

ほむら「ほむむ」

まどか「やっぱり、ほむほむもそう思う? 優しいよね、杏子ちゃんって」

ほむら「ほむ」

杏子「てめぇら、いいかげんにしろ!」

ほむら「ほむほむ」

まどか「あ、ほんとだ。杏子ちゃん顔真っ赤。りんごみたい」

杏子「がー! うるせー!」

マミ「…」


558 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:52:54.27 ID:5uJxiD600

マミ「…ふふ」

まどか「マミさん?」

杏子「お、元気になったな」

マミ「ありがとう、三人とも。おかげで少し元気が出てきたわ」



マミ(…まだ、全てを受け入れられたわけじゃないけれど)

   (でも、今の私は一人じゃないもの。大丈夫、乗り越えて見せるわ)

   (それが、死んじゃったパパたちに報いることになるのよね、きっと…)


559 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:54:10.79 ID:5uJxiD600

マミ「ところで佐倉さん」

杏子「おう。なんだ?」

マミ「こうして話せる機会が出来たから、折り入ってあなたにお願いしたいことがあるんだけれど…」

杏子「ああ、ワルプルギスと戦うんだろ? 協力してやるよ」

マミ「え? そ、そんなあっさり?」

杏子「ただし、見返りはもらうけどな」

マミ「それは…、まぁ良いのだけれど。
   本当にいいの? 勝てるかどうか分からない相手なのよ?」

杏子「いいもなにも、もうまどかと話はついてるんだ。後はやるだけさ」

マミ「鹿目さんと? そういえば、妙に親しげだなとは思っていたけど…」

杏子「まぁ、色々あってな」

マミ(本当に何があったのかしら…?)


560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/05(月) 22:55:55.98 ID:YowyFsXBo
これで後は青だけか……
561 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:56:33.56 ID:5uJxiD600

マミ「鹿目さん、休むように言っていたでしょう。約束を破って、勝手に動くのは感心しないわね」

まどか「ご、ごめんなさいマミさん…」

マミ「ほむほむも。ちゃんと鹿目さんが無茶しないように止めてもらわないと」

ほむら「ほむぅ…」

まどか「マ、マミさん! ほむほむは悪くないです! ただ偶然杏子ちゃんを見かけたから、わたしがチャンスだと思って…」

マミ「それでも、連絡の一つはしてほしかったわ鹿目さん。
   交渉が決裂したら、最悪、襲われる可能性だってあったのだから。そうなったら、あなたの身が危なかったのよ?」

杏子「おい、いくらアタシでもそんなことしないぞ。というかそんな目で見ていたのか」

マミ「ごめんなさい。でもあの時点じゃ、あなたのことそんな風に見えていたから」

杏子「失礼な奴だな。金にもグリーフシードにもならない無駄な争いは、基本しねぇっつーの」

マミ「とにかく、鹿目さん。何か行動を起こすときは、ちゃんと言ってもらわないと…」

まどか「ごめんなさい…」


562 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:57:45.52 ID:5uJxiD600

マミ「でも、今回は佐倉さんがこっちに来てくれたら良しとしましょう」

まどか「え…?」

マミ「ありがとう、鹿目さん。あなたのおかげで心強い仲間が増えたわ。
   正直、佐倉さんの勧誘は難しいと思っていたの。でも、これでまた一つワルプルギスに対抗できる可能性が出てきたわ」

まどか「そ、そんなことないですよ。わたしのしたことなんて…」

杏子「あー、なんか悪いな。アタシのせいで怒られちまって…」

まどか「杏子ちゃんのせいじゃないよ。元はといえばわたしが…」

マミ「その話はもういいのよ、鹿目さん。でも、今度からは注意してね」

まどか「は、はい」


563 :1 [saga]:2011/09/05(月) 22:59:51.72 ID:5uJxiD600

マミ「じゃあ、佐倉さん。『ワルプルギスの夜』との戦いの件。改めてお願いするわ」

杏子「おう。引き受けるよ」

マミ「ありがとう。私達だけじゃ手に余る相手だもの。あなたのような強い人が協力してくれるのは心強いわ」

杏子「けっ、褒めても安くしねーぞ。もらうもんはもらうからな」

マミ「それにしても、あなたが協力してくれるなんてね。
   てっきり、割に合わないって言って断られると思っていたのだけれど」

杏子「そう思うなら、ちゃんと割に合うもん用意してくれよ?」

マミ「といっても、何がいいかしら…」

杏子「そうだな、ここら辺の縄張りの3割とか…、どうだい?」

マミ「ええ、それくらいなら構わないわ」

杏子「ホントか?!」

マミ「ただし、ちゃんと使い魔も退治してくれるという条件が付くけれどね」

杏子「それじゃもらう意味がねーよ。きっちりグリーフシードは稼がせてもらわねーと」

マミ「じゃあ、だめ。私の後任を引き継ぐなら、ちゃんとやってもらわないとね」

杏子「だろーな。はてさて、じゃあ何をもらうかね…」

マミ(協力してくれることには、変わらないのね)


564 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:01:29.98 ID:5uJxiD600

杏子「んー、今は思いつかねーな。後でもらえそうなもん考えておくよ」

マミ「それなら、こちらでも何か案を用意しておくわね」

まどか「あ、それなら一つ提案があるんですけど…」

杏子「お、なんだまどか?」

まどか「杏子ちゃんをマミさんの家にしばらく泊めてもらうというのはどうでしょう?」


マミ杏「え?」


まどか「だって、杏子ちゃん。お家も携帯電話もないから連絡取るの大変だし。
    それにいつも外でぶらぶらしているっていうのはやっぱり…」

マミ「ちょ、ちょっとまって鹿目さん!」

杏子「そうだぞ、まどか。いくらアタシでもそこまで厚かましくは…」

マミ「佐倉さん、家がないの?!」

杏子「…あー、そっちか」


565 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:03:15.20 ID:5uJxiD600



マミ「泊まりなさい」

杏子「…いや、いいって。もう慣れてるし」

マミ「いいから、泊まりなさい! まったく、女の子が外で寝泊まりしてるなんて何考えているの?!」

杏子「いやいつも野宿してるわけじゃないぞ? 大体はホテルの空き部屋とかそういう場所を探してだな…」

マミ「…」ジー

杏子(うわ、こぇぇ。何か母さんみてーだな)

マミ「佐倉さん。そういう生活をしていたら、間違いなく体に良くないわ」

杏子「いや、アタシ魔法少女だし」

マミ「体だけじゃなく、精神的にもよくないの。いつも緊張してるから疲弊する一方だし、そんなことじゃいつか擦り切れてしまうの。
   ましてや、これからワルプルギスの夜と戦うことになるんですもの。出来るだけ、体も心も休めるときに休めておかないと」

杏子(…反論できない)

マミ「どんな返事に関わらず、あなたには今日からここで寝泊まりしてもらいます」

杏子「既に決定かよ…」

マミ「当然よ。それに健康上の問題だけじゃなく、いつでも連絡の取れる場所にいてほしいの。
   安心して。これは見返りじゃなくてワルプルギスを倒す作戦上の問題。あなたの言う見返りは別に用意するわ」

杏子「そういうことなら、まあ…」

マミ「そしたら、明日買い物に行くわよ佐倉さん。下着とかいろいろ用意しないと」

杏子「い、いーよ! そこまでもしなくても」

マミ「だめよ。どうせ、替えなんて持っていないのでしょう? 女の子としてそんなことは私が許しません」

杏子「面倒くせぇなぁ…」





まどか『二人とも、仲良くできそうだね』

ほむら『ええ。仲違いの心配はなさそうだわ』

566 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:06:51.70 ID:5uJxiD600

杏子「さてと、じゃあ残る問題は…と」

まどか「さやかちゃん…だね」

杏子「キュゥべえの奴の話を聞いて、ショックで逃げちまったんだっけか」

マミ「ごめんなさい。本当なら、私があそこでちゃんと追いかけるべきだったのに…」

杏子「あん時はしかたねーよ。アタシもぶっ倒れてたし、アンタだってショックを受けてたんだ」

マミ「でも、結果的に美樹さんを一人にしてしまった。これは私の責任よ」

杏子「アタシこそ悪い。あんな風に事を構える気は無かったのに、いつの間にか互いにやり合わなきゃいけない流れになっちまってた」

マミ「そういえば、佐倉さんはどうして美樹さんと? 鹿目さんに連絡を受けて急いだから、経緯がよくわからないのだけれど」

杏子「…ちょっと、忠告するだけのつもりだったんだけどな。それが、感情的になっちまってさ。
   全部アタシのせいだ。さやかのことは、アタシが責任を取るよ」

まどか「杏子ちゃん…」




マミ「とにかく、美樹さんのことは心配だわ。精神的なダメージが大きすぎる」

マミ(私も…そうだけど)

杏子「一人にしておくのはマズイかもな…。まどか、さやかと連絡つかないのか?」

まどか「それが、何度もメールや電話をかけてるんだけど、何も返事がなくって」

マミ「あんなことがあった後だもの。何とか佐倉さんが無事だってことだけでも、伝えられたら良いのだけど…」

杏子「そうか、アイツはアタシを殺しちまったと考えてるのか」


567 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:09:29.70 ID:5uJxiD600

杏子「…悪ぃ。ちょっと外行ってくる」

まどか「杏子ちゃん?」

杏子「見つかるとは限らねぇし家に戻ってるかもしれないけど、それでも早く会って少しは安心させてやりたいんだ」

マミ「佐倉さん…。でも、あてはあるの?」

杏子「いんやちっとも。でも、アタシのせいだからな。まどかはさやかの家に行ってみてくれよ」バタン

まどか「あ、杏子ちゃん」

マミ「鹿目さん。佐倉さんも、じっとしていられないのよ」

まどか「…はい」

マミ「あなたはもう家に帰ったほうが良いわ。これ以上遅くなると、お家の人に心配かけてしまうわ」

まどか「はい…。それじゃあ、今日は帰ります」

マミ「ほむほむ、鹿目さんのこと頼んだわよ?」

ほむら「ほむ」

まどか「マミさん、杏子ちゃんの言うとおり帰りにさやかちゃんの家に行ってみます。
    もしかしたら戻ってるかもしれないし、とにかく話をしてみないと…」

マミ「ええ、頼むわ鹿目さん」

まどか「それじゃあ、マミさん。また明日」

マミ「ええ、また明日ね」


568 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:10:26.07 ID:5uJxiD600




ほむら(しかし、美樹さやかは家には戻っていなかった)

ほむら(そして、翌日。学校にも姿を見せなかった)



569 :1 [saga]:2011/09/05(月) 23:11:31.96 ID:5uJxiD600
今日の投下はここまでです。

次は木曜日になると思います。
ご拝読ありがとうございました。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/09/05(月) 23:11:53.65 ID:agEWBF2no
乙でした
どうなるか…
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/05(月) 23:14:47.53 ID:2mCKJUig0

さやか…
一体どうなるんだ
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 23:16:31.25 ID:HdYdE+FI0
乙ですたー……
さやかエ…心配かけるなよぉ…
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/05(月) 23:21:54.63 ID:enFYkMq9o
さやかちゃん、皆の反対を押し切って更に心配かけてどうするんですかー
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/05(月) 23:44:12.50 ID:hBArMiJ/o
おつ乙
ハラハラする展開が続きますなぁ
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/05(月) 23:50:18.96 ID:u4VcUGzpo

このスレではマミあんが以前共闘していた設定は無いって事になってるんだっけ?


……申し訳ないが、なにぶん読んでるスレが多いもので 申し訳ない
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/06(火) 00:00:29.50 ID:PS0AeknKo
お疲れ様でした。
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/06(火) 00:34:17.28 ID:r4rmp7UZo

マミさんの所でまず1番にほむほむがツッコミ入れたのすごくよかった
さやか…

>>575
371では噂程度の知識だから、その設定は無いんじゃないかな
でも253の杏子はマミさんの事知ってる風なんだよなw
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/06(火) 01:57:20.01 ID:RFre17Jao
まどかってほむらから杏子が家なき娘って説明受けてたっけ……
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/09/06(火) 14:39:05.10 ID:CexcU8Yc0
保守
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/06(火) 14:52:00.84 ID:elteUyA1o
[ピーーー]
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2011/09/07(水) 02:18:11.51 ID:KPwwNa5V0
保守
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 19:49:04.21 ID:q660gfX5o
保守とかいらねーよ
583 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:20:52.27 ID:7Js+sg4X0
>>575
書き初めにその情報がなかったので、その設定はありません。

>>577
個人的な見解だったのですが、杏子ちゃんは他の縄張りを隙あらば狙っていて、キュゥべえから随時他の魔法少女の動向を把握していたと考えていました。
つまり、マミさんはあまり知らなくとも杏子ちゃんはマミさんを知っていたということです。


続きを投下します。

584 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:21:55.81 ID:7Js+sg4X0

―結界内―

さやか「…」

使い魔「…」

さやか「おうりゃぁっ!」ザシュ

使い魔「…」シュー

さやか「…ったく…手こずらせるんじゃ…ないわよ」

585 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:22:24.57 ID:7Js+sg4X0




QB「ただの人間と同じ、壊れやすい身体のままで、魔女と戦ってくれなんて、とてもお願い出来ないよ」

QB「魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」




さやか(今のあたしはただのゾンビ…)

さやか(死んだ体が、魔女と戦うために動いているだけ…)

さやか(そんな…そんなのって…)



586 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:23:30.81 ID:7Js+sg4X0





QB「戦いの運命を受け入れてまで、君には叶えたい望みがあったんだろう?」

QB「それは間違いなく実現したじゃないか」





さやか(知らない…そんなこと知らない!)

さやか(こんな体になるなんて聞いてなかった…)

さやか(こんなことなら、魔法少女になんか…)

さやか(なんか…?)


587 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:24:12.28 ID:7Js+sg4X0





上条「ごめん、さやか」






さやか(違う…あたしは本当に恭介の腕が治ってほしかった)

さやか(その為に奇跡が必要なら、どんな運命だって背負うって決めたんだ)

さやか(この願いを叶えたことに後悔なんてない…)

さやか(後悔なんか…するもんか)


588 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:24:46.27 ID:7Js+sg4X0




杏子「ここの坊やに愛してもらいたんだろ?」

杏子「そうしてほしいなら、最初からそうなるように願えばよかったんだ」

杏子「じゃあ、なんでこんな場所で呆けてるさ? 本当は愛が欲しいんだろ、坊やの」






さやか(違う! 違う!)

さやか(あたしは見返りなんて望んでない!)

さやか(ただ、恭介が元気になったのならそれでいいんだ!)

さやか(それだけで…!)


589 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:25:37.78 ID:7Js+sg4X0


使い魔「…」
使い魔「…」
使い魔「…」


さやか「…今日は、随分たくさん出るじゃない」

使い魔「…」

さやか「アンタらのご主人様も近くにいるの?」

使い魔「…」

さやか「じゃあ、それも倒さなきゃね…!」




さやか(そうだ…あたしは見返りなんか求めない…!)

さやか(そんなものを必要としない、正義の味方に…)

さやか(まどかやみんなを守る、正義の味方になるんだ…!)


590 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:26:10.72 ID:7Js+sg4X0




杏子「アンタは、アイツを弱い人間だと思ってる。自分より下に見て、優越感に浸ってるんだよ」

杏子「街を守るなんて言っているのも同じ気持ちだ!祈りを捧げた坊やのことも!
   守ってやることで、自分がアイツらより上だと思いたいだけなんだ!」

杏子「さやかは…最低だ」




さやか(うるさい! うるさい! うるさい!)ダッ

使い魔「…!」ザシュ


591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/09/08(木) 22:26:23.35 ID:SoOx5Nk0o
さやか…
592 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:27:06.80 ID:7Js+sg4X0



さやか「…」ハァハァ

さやか(流石に…疲れたかな)

さやか(でも、これで誰かが使い魔に襲われることもなくなったんだよね)

さやか(うん。なら、これは良いことなんだ。絶対)

さやか(あたし、誰かを助けることが出来てるんだよね?)




さやか(はぁ…、学校も行ってないなぁ)

さやか(まどかやマミさん、どうしているんだろ?)

さやか(それに杏…)



593 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:27:42.29 ID:7Js+sg4X0


   「彼女…死んでるじゃない!」


さやか(…)

さやか(学校になんか…行けるわけないよ)

さやか(普通の生活に…戻れるわけがない)

さやか(だって、あたし人を殺したんだよ?)

さやか(知らなかったなんて、そんな言い訳できない)

さやか(だから、あたしは魔女を倒す魔法少女しかなることができない)

さやか(もうそれしか…意味がないんだ)


594 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:28:20.89 ID:7Js+sg4X0

さやか「はぁ…」トボトボ

さやか(…あれ?)

さやか(あれは…恭介? と…)



上条「―…―」
仁美「…―…」



さやか(仁美?!)

さやか(な、なんで恭介と仁美が…)

さやか(しかも何で…あんなに…くっ付いて…)


595 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:29:21.88 ID:7Js+sg4X0



上条「―?」
仁美「…―!」



さやか「…」

さやか(…ああ、そうか。そうだったんだ)

さやか(あたしなんか、最初から恭介の心にはいなかったんだ)

さやか(でも、仁美じゃ仕方ないよね。良い子だし。うん、恭介も幸せになってくれるよね)

さやか(…仁美。恭介のこと頼んだよ)



さやか「…っ!」ダッ


596 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:30:24.41 ID:7Js+sg4X0

上条「…ごめん、志筑さん。急に眩暈なんかおこしちゃって」

仁美「いえ、まだ退院したばかりですもの仕方ないですわ」

上条「まぁね。でも、そうも言ってもいられないから。鹿目さん達は?」

仁美「まどかさんは先輩の方と一緒らしいですわ。何でもさやかさんとも親しかった方だとか」

上条「そうか…僕も頑張らないと」

仁美「…あの、やはり」

上条「ごめん。でもじっとしてられないんだ」

仁美「…そうですわよね」

上条「ごめん、付き合ってもらっちゃって。迷惑かけてるよね?」

仁美「いえ、私から言い出したことですし…。それに私も心配ですから」

上条「ありがとう。志筑さん。それにしても、どこに行っちゃんたんだよ、さやかのやつ」

仁美「そうですわね…」




597 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:31:00.23 ID:7Js+sg4X0



さやか「うぉりゃぁぁぁぁぁっ!」

使い魔「…!」ザシュ




598 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:31:50.90 ID:7Js+sg4X0

―電車内

  「言い訳とかさせちゃダメっしょ稼いできた分は全額きっちり貢がせないと。
   女って馬鹿だからさ。ちょっと金持たせとくとすっぐ下らねぇことに使っちまうからねぇ」

さやか「…」

  「いや〜ほんと女は人間扱いしちゃダメっすね 犬かなんかだと思って躾けないとね。アイツもそれで喜んでる訳だし
   顔殴るぞって言えば、まず大抵は黙りますもんね」

さやか「…」

  「ちょっと油断するとすぐ付け上がって籍入れたいとか言いだすからさぁ。甘やかすの禁物よ。
   ったくテメーみてーなキャバ嬢が10年後も同じ額稼げるかってーの。 身の程弁えろってーんだ。なぁ?」

さやか「…」

  「捨てる時もさぁホントウザいっすよね。 その辺ショウさん巧いから羨ましいっすよ。俺も見習わないと」

さやか「…」



599 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:32:35.90 ID:7Js+sg4X0


  エー、ツギハー


  「―で…――の」
  「いや――…で―」 

さやか「…」タッ


  ハッシャシマスー


さやか「…」 



600 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:34:34.07 ID:7Js+sg4X0

さやか「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ダッ

魔女「…」ズドドドドドドド

さやか「あははははははっ、ホントだキュゥべえの言うとおりだ!
    その気になれば痛みなんて…あはは。完全に消しちゃえるんだ!」

魔女「…!」

さやか「痛くない。痛くない。痛くない!」ザシュ

魔女「!!」


   ザシュ ブチッ グシャ ベチャ


さやか「ほらほら…あんたももう…終わりだよ…」

さやか「あたしと…いっしょだ…」




まどか「さやかちゃん!」



601 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:35:27.77 ID:7Js+sg4X0

―路地裏―

さやか「…」

まどか「さやかちゃん、随分探したんだよ?」

さやか「…ひさしぶり」

まどか「うん、ひさしぶり。ほら、ほむほむも一緒」

ほむら「ほむ」

さやか「…」



さやか(ああ、なんか腹が立つな、ほむほむを見てると。なんでだろ…)

さやか「元気そうだね…まどか」

まどか「うん。マミさんも、元気だよ。あと杏子ちゃんも」

さやか「杏子?」

まどか「そう。さやかちゃん、杏子ちゃんは無事だよ。それで、協力してくれることになったの」

さやか「…そうなんだ。よかったよ」

まどか「うん。だから、あとはさやかちゃんが戻ってくれば、みんな揃うんだよ?」

さやか「…」



602 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:36:22.66 ID:7Js+sg4X0

さやか「…ダメ。あたしは戻れない」

まどか「さやかちゃん?」

ほむら「ほむむ…」

さやか「あたしはやることがあるの。だから一人にして」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「ワルプルギスの夜がきたらちゃんと戦うからさ、ほっといてよ」



603 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:37:01.37 ID:7Js+sg4X0

まどか「…ごめん。それはできない」

さやか「…なんでよ」

まどか「だって、今のさやかちゃん。危ないもん」

さやか「…危ないって何よ」

まどか「さっきの戦い方だってそう。自分をあんな風に扱って、あんな戦い方ないよ」

さやか「だって痛みを感じなくしてるんだもの。あれなら負ける気がしないわ」

まどか「でも、それだと何が危ないのかも分からなくなるよ?」

さやか「…」

まどか「あんなやり方で戦ってたら、今は勝てたとしても、そのうち続かなくなる。だから危ないの。今のさやかちゃんは」

さやか「…あたし、才能ないからさ。ああでもしないと勝てないんだよ」

まどか「適当な言い訳、しないで。才能がないなんて誰が言ったの。それにあの戦い方は才能以前の問題だよ」

さやか「…」ギリ


604 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:38:58.18 ID:7Js+sg4X0

さやか(じゃあ、あんたが全部戦いなさいよ)

    (あんたに、あたしの何がわかるの?あんたは普通の体のままじゃない)

    (まずあたしと同じ立場になってみなさいよ。無理だよね? 当然だよね? ただの同情で人間やめらるわけないもんね?)

    (優しいあんたの代わりに、あたしがこんな目に遭ってるの。知ったような事言わないで)

    (ねぇ、何であんたは弱いままでいてくれなかったのよ。そうすれば、あたしは…)



まどか「ねぇ、さやかちゃん。みんなのところに帰ろう? そうすれば、あんな戦いかたしなくても…」

さやか「…もういい」

まどか「え?」

さやか「まどか、ありがとう。ひさしぶりに顔見れて良かったよ。危ないことしないようにね」スタスタ

まどか「…」ギュ

さやか「…なに?」

まどか「言ったよ。今のさやかちゃんを一人にはできないって」

さやか「…大丈夫だよ」

まどか「大丈夫じゃないよ」

さやか「…まどか、離して」

まどか「…ダメ」


605 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:40:30.42 ID:7Js+sg4X0

さやか「…っ」ポロポロ

さやか「お願い…だから…離して…」

まどか「…さやかちゃん?」

さやか「…まどかといる方が、あたしは辛いの」

    「あたし、今なに考えていたと思う? まどかに対して酷いこと考えたんだよ?」

    「もう、今のあたしは前のあたしとは違うの」

    「自分でもよくわからなくなっちゃった。何がしたいのか、何がしたかったのか」


まどか「そんな…、さやかちゃんはさやかちゃんだよ」

    「…ううん。もうまどかの知ってるような、あたしはどこかに行っちゃったんだ」

    「当然だよね? 魔法少女になって、ゾンビにされて、変わらないほうがおかしいんだ…」

    「前のあたしだったら、こんなこと考えるわけなかったのに…」

    「おかしいんだよ? 今だって、まどかに対して、嫌なこと考えてるの」

まどか「…!」ビクッ



606 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:41:37.70 ID:7Js+sg4X0

さやか「…なんで、こんなこと考えるようになっちゃったんだろうね、あたし」

    「口には出さないよ、絶対。でもいつまで我慢できるかもわからない。もう自分がどうなるのかも、わからないの」

    「それでも、あたしはまどかの友達だから…、今はまだ本当にそう思えているから」
    
    「こんなこと、絶対に言いたくない」

    「…ごめん。今のあんたはあたしに何もできない。一緒にいても苦しくなるだけなの」

    「…だから、まどか」




さやか「あたしを…、友達を傷つける救いようのない人間にしないで…」

まどか「…っ」パッ


607 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:42:16.07 ID:7Js+sg4X0

まどか「あ…」

さやか「…ありがと、まどか」

まどか「ち、違うの…これは…」

さやか「もう、見かけても近づかないほうが良いよ。あたしは前のあたしのゾンビだからさ」

まどか「ま、待って…」

さやか「…それじゃあね、まどか。元気でね」

まどか「さやかちゃん…待って……」

ほむら「…!」テテテ


608 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:42:56.81 ID:7Js+sg4X0

さやか「…なによ」

ほむら「…ほむ」

さやか「ついてこないで。あんたが大事なのは、あたしじゃなくてまどかでしょ?」

ほむら「…」

さやか「…ついてくるな」

ほむら「…」

さやか「ついてくんなっ!」

ほむら「…!」ビクッ

さやか「…っ」タッタッタッ


609 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:43:31.08 ID:7Js+sg4X0

まどか「さやかちゃん…」

ほむら「…ほむむ」

まどか「追いかけなきゃダメだったのに。手を離しちゃ、いけなかったのに…」

ほむら「…」



610 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:44:21.01 ID:7Js+sg4X0




さやか「――――!」

使い魔「!」



611 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:45:29.67 ID:7Js+sg4X0

―マミ宅―

杏子「…とにかく、まどかは少しさやかから離れたほうが良いと思う」

まどか「そんな…でも…」

杏子「気持ちはわかるけど、そんなこと言った手前、アイツの方もまどかに顔を合わせづらいだろ。
   それにその様子を聞くと、アンタと会うことは今のさやかのやつには逆効果だと思う」

ほむら「ほむ…」

まどか「ほむほむも、そう思うの…? でも、さやかちゃんを一人にはできないよ…」

マミ「それなら、私が行こうかしら。どんな言葉をかけたらいいのかわからないけど、それでも…」

杏子「いや、マミは少しでも魔女や使い魔を狩って、戦いの勘を取り戻したほうが良いと思う。
   アイツの指導をしていて、まだイマイチ勘が戻ってないんだろ?」

マミ「それは、そうだけれど…」

杏子「ワルプルギスの夜が来るまで、もうあまり時間がねぇんだ。貴重な戦力なんだから、勘を取り戻すことを優先すべきだよ」

マミ「でも、美樹さんのことはどうするの? 放っておくことはできないわ」


612 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:46:18.36 ID:7Js+sg4X0

杏子「…さやかのやつは、アタシが行く」

まどか「杏子ちゃんが?」

マミ「いいの、佐倉さん? あまりこんなことは言いたくないけれど、美樹さんは貴方のこと…」

杏子「でも、アタシがまどかやマミたちに協力することになったことはアイツも知ってるんだろ?」

まどか「うん。それは伝えたけど…」

杏子「じゃあ、大丈夫だろ。さすがにまどかの言葉を信じないってことはないだろうし。
   それに、もし襲いかかってきても、アイツの癇癪ぐらい受け止めてみせるよ」

まどか「杏子ちゃん…」

マミ「…そうね。もしかしたら、今の美樹さんには親しかった私たちより、
   佐倉さんのような赤の他人に近い人の方が、話をできるのかもしれないわ」

杏子「そうだよ。それにこうやって本当に生きてる姿を見せれば、少しは安心してくれるかもしれねーしよ」



613 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:47:31.64 ID:7Js+sg4X0

マミ「それじゃあ、佐倉さん。美樹さんのこと、頼んでもいい?」

杏子「おう」

まどか「また、前みたいに戦ったりしちゃだめだよ?」

杏子「あん時のことは反省してる。二度とやらねぇ。
   喧嘩売られても、何もしねぇさ」

まどか「約束だよ?」

杏子「ああ、まどかはマミの手伝いをしてやってくれ。手助けしすぎると、練習にならないからほどほどにな」

まどか「わかった」

マミ「佐倉さん。美樹さんのことは心配だけど、あなたも自分を大切にしてちょうだい。
   もう、仲間なんだから」

杏子「わかってるよ。ワルプルギスが来た時にリタイアしてて戦えませんでしたじゃ、シャレにならねーしな」

まどか「杏子ちゃん、さやかちゃんのことをお願い。
    …今のわたしじゃ、力になれないみたいだから」

杏子「おうよ。まかせておけ」

ほむら「ほむほむ」

杏子「ほむほむも、安心して待っててくれよ」ナデナデ


614 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:48:12.27 ID:7Js+sg4X0

マミ「それにしても、彼女、美樹さんのことに関しては積極的ね」

まどか「杏子ちゃんも、さやかちゃんのこと好きなんですよ、きっと」

マミ「そうかしら。あまり互いにいい印象を持ってないように見えたけど…」

まどか「…もしかしたら、似てるのかも」

マミ「え?」

まどか「さやかちゃんと…杏子ちゃん」


615 :1 [saga]:2011/09/08(木) 22:48:50.77 ID:7Js+sg4X0
今日の投下はここまでです。

次は土曜日になると思います。
ご拝読ありがとうございました。
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/09/08(木) 22:51:34.58 ID:SoOx5Nk0o
乙でした
崖っぷちを進んでる感じで不安だ…
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/08(木) 22:53:57.33 ID:yhp3g3mao
ほむおつ

あんこちゃん、ほむほむの事を気に入ってない?ww
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/08(木) 23:25:51.77 ID:fpETUbK7o
まーたさやかはひとにめーわくかけてっ
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 23:43:57.85 ID:wisK4wxPo
いろんなまどかSSみるけど青い子って基本だめだよね
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/08(木) 23:45:11.84 ID:e7eJ3bMwo

さやかの事、この杏子なら大丈夫そうな安心感があるな

ほむほむナデナデしてる杏子想像して萌えた
>>617思ったww
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/08(木) 23:46:40.75 ID:yqZ0aAzjo
さやかちゃん、悪いことしたならまず「ゴメンナサイ」しなさいよ。
誰も頼んでいないことひっそりやって罪を償った気になる前に。
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/08(木) 23:49:05.49 ID:OmhAex27o
お疲れ様でした。
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/08(木) 23:53:31.24 ID:pVJY8JCV0
乙ですたー
まどかはやっぱり、さやかが思いつめると話を聞かないし止めても止まらないって理解してるんだろうな…
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/09/09(金) 00:35:05.16 ID:6HOQn1k1o
乙っちまどまど
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 13:44:53.07 ID:vuZUaZKIO
もうさやかのソウルジェム奪ってワルプルギスが来る日まで動かなくしておけばよくね?
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/09(金) 19:26:31.45 ID:puUZJVI+o
>>625
濁ってって魔女化しそう

あ、定期的にグリーフシード当てればいいのか
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/09(金) 20:32:12.15 ID:HXyq9geF0
手段を選ばずにやればすぐに濁りそう。
魔女化した場合はマミに魔法少女が魔女化する事は伏せて置けるなら伏せておいて、戦力低下を避けるべきだろう。
二週目でもマミ=おそらく戦死、まどか=消耗から魔女化だった。
628 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:35:54.96 ID:ssZVjmht0
>>621
本編でも見ていて思いましたが、魔法少女の真相を知った後のさやかちゃんは自分の存在理由が欲しくて必死なのでしょう。
だから、自分を否定する人間は誰であれ排除しようとしてしまうんです。

続きをを投下します。
629 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:36:49.50 ID:ssZVjmht0

――――


さやか(…今、何やってたんだっけ?)

さやか(ああ、使い魔倒してたんだ)

さやか(弱いなぁ…。こんなんじゃ、人を襲っても大して被害を出さなさそう)

さやか(もっと、強いのはいないの? そういうのじゃないと、街を守った感じがしないじゃない)



630 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:37:21.47 ID:ssZVjmht0





杏子「さやか!」





さやか(痛みがないって、ホント楽)

さやか(負ける気しないなぁ…。勝っても何も感じないけど)

さやか(ほら、あたしこんなに頑張ってるんだよ。何も感じなくなって、それでも頑張ってるんだよ)

さやか(だから、褒めてよ。ねぇ、だれか…)


631 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:38:03.95 ID:ssZVjmht0
杏子「…」ボロボロ

さやか「バカじゃないの? いつもいつも、あたしにズタボロにされてさ。何がしたいのさ、あんた」

杏子「…そんなことしに…来たわけじゃ…ねェ」

さやか「それで、しつこく帰って来いって言ってくるわけ? ウザイよ。あんた」

杏子「…さや…か」

さやか「死んでよ、いなくなってよ。あたしのために何かしたいならさ、前の時みたいに」ドスッ

杏子「うぁ…」

さやか「できないよね。結局、あんたは自分が一番大事なんだもんね。ほら、あんたはそういう人間なんだ」

杏子「…」

さやか「なによ。気絶しちゃったの? 全く、何でこんなのに一度負けたんだか」

杏子「…」

さやか「あたしはあんたと違って、使い魔も倒さなきゃいけないんだから、無駄な力使わせないでよね」


632 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:38:36.38 ID:ssZVjmht0

さやか(もっと、魔女や使い魔を倒さないと…)

さやか(それにしか、あたしに意味なんてないんだから)

さやか(…何で、倒さなきゃいけないんだっけ?)

さやか(恭介のため? そんなわけない。恭介はあたしに何もしてくれなかったんだから)

さやか(世界を守るため? そんなわけない。だってこんな世界なんて、守る価値なんてないんだから)

さやか(…あれ)

さやか(じゃあ、何であたし…)


633 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:39:03.56 ID:ssZVjmht0

さやか「ねぇ、あたしが戦う理由を教えてよ」

杏子「…」

さやか「何でこんなことになってるのよ。あたし何で、魔法少女なんかになったの?」

杏子「…」

さやか「何でゾンビにされなきゃいけなかったの? 何で、まともに生きられなくならなくちゃいけなかったの?」

杏子「…」

さやか「何で、あたしこんな目にあってんの? あたしがいる意味なんてあるの?」

杏子「…」

さやか「ねぇ、お願い…教えてよ」


634 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:39:29.48 ID:ssZVjmht0

さやか(…ああ、そうだ)

さやか(まどかだ)

さやか(まどかを、守らないと)

さやか(弱いまどかが戦ってて可哀そうだから、あたしは魔法少女になったんだ)

さやか(いけない…また、どこかで戦ってるんだろうなぁ)

さやか(待っててね、まどか。あたしが、守ってあげる)




さやか「まどか、今行くからね…」フラフラ

杏子「…」



635 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:40:06.06 ID:ssZVjmht0

―魔女空間―

まどか「…――…」
ほむら「―――…?」
まどか「――!」

魔女「…」




さやか(いた…! しかも魔女と一緒)

さやか(全く、魔女を前にしてほむほむと話してるなんて。ホント抜けてるというかほっとけないっていうか…)

さやか(まどか…今守ってあげるからね…)

さやか「まど…」



636 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:40:35.94 ID:ssZVjmht0



まど「」フッ 

 ガガガガガガガガガガ バシュバシュバシュバシュバシューン チュドーン

魔女「…――」



さやか(あれ…?)


637 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:41:36.50 ID:ssZVjmht0

――――

まどか「マミさん。調子はどうですか?」

マミ「ええ。ようやく実戦の勘が戻ってきた感じよ。もう問題なさそうね」

まどか「ごめんなさい。わたし、魔女に集中しててあまり援護できませんでした…」

マミ「ふふっ。相手は使い魔ですもの。そこまで遅れは取らないわよ。
   まぁ、ここしばらくは情けない姿を見せていたもの。鹿目さんが心配するの仕方ないわよね」

まどか「そ、そんなことないですよ」

マミ「いいのよ。ソウルジェムのこと、ショックじゃなかったと言ったら嘘になるし。まだ、気持ちの整理がついたとも言えないわ。
   でも、大丈夫。なんてったって先輩ですものね。これ以上、かっこ悪い姿は見せられないもの」

まどか「…無理しないでくださいね。
    その、普通の体のわたしが言えたことじゃないかもしれませんけど…」

マミ「気にしないで。それよりも、鹿目さんこそ無理はしないでね」

まどか「ほむほむにも、よく言われます」

ほむら「ほむむ!」

マミ「ワルプルギスの夜まで、もうあまり時間もないのだもの。もし鹿目さんがいなかったら、戦いは苦しくなるわ。
   お互い、万全の状態で挑めるようにしないとね」

まどか「はい!」


638 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:42:53.96 ID:ssZVjmht0

マミ「それにしても、まさか鹿目さんがここまで強くなるなんてね…」

まどか「えへへ、ありがとうございます」

マミ「さっきの魔女なんて、時間を止めてすらいなかったじゃない。凄いわ」

まどか「できるだけ、魔力は消耗しないようにするって決めたんです。
    その…ソウルジェムはほむほむそのものだから、あんまり穢れとか溜め込みたくないなって…」

ほむら「ほむ…」

マミ「…そうよね。自分に汚れが溜まるなんて、あまりいい気分じゃないものね」

まどか「それに、あんまり能力に頼るのもどうかなって。
    ほむほむにアドバイスをもらって、武器に魔力をこめたり、体を強くする配分を変えてみたり色々やってみたんですけど…」

マミ「ええ。確実に成果は出ていると思うわ。というより、もしかしたら鹿目さん、もうわたしより強いのかも」

まどか「えっ、そ、そんなことないですよ。わたしなんてまだまだ…」

マミ「あら、なって数週間で魔力の配分を考えるまでになるなんて、凄いことだわ。
   魔法少女になって一か月も経ってない後輩に抜かれちゃうなんて、ちょっとショックかな?」

まどか「マ、マミさ〜ん…」

マミ「ふふっ、冗談よ。でも鹿目さんはもう間違いなく戦力としては一級品よ。
   何だか変身するたびに、魔力も能力も上がっているみたいだし、キュゥべえが言っていた『才能がある』っていうのも本当だったみたいね」

まどか「そうだとしても、わたし一人の力じゃないです。
    ほむほむがいて、マミさん達がいてくれたからここまでこれたんだと思います」

マミ「それでも一番はあなた自身の力よ。もっと自信を持っていいわ」

まどか「そうでしょうか…」

マミ「そうよ。だからしゃんとしなさい、鹿目さん。
   あなたはもう立派な魔法少女なんだから、ね?」

まどか「はいっ!」


639 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:44:07.45 ID:ssZVjmht0



さやか「…」



さやか(なんだ…そうだったんだ。もう、守る必要なんてないんじゃん)

さやか(もう、まどかはあたしを必要としてないんだ…)

さやか(あはっ…あははははっ)

さやか(じゃあ、あたしが魔法少女でいる意味って何?)

さやか(ねぇ、だれか教えてよ)

さやか(だれか…)


640 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:44:40.76 ID:ssZVjmht0

さやか(…)

さやか(…そうだ、あんたのせいよ)

さやか(あんたがいるから、こんなことになったんだ)

さやか(あんたが…、魔法少女になんか…こんなことに…)

さやか(…)




さやか「…キュゥべえ、いるんでしょ? 出てきなさいよ」

QB「呼んだかい?」


641 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:45:15.51 ID:ssZVjmht0

―帰り道―

まどか「魔力を弾丸に込めるのは上手くいったね」

ほむら『ええ。目に見えて魔女への効果が上昇したわ。やはり、単なる物理衝撃よりも魔法の方が効果があるようね。
    私はそこまで魔法の扱いが上手くなかったからできなかったけど、まどかの才能なら問題なく使っていけそうよ』

まどか「でも、気を付けないとね。弾をたくさん撃つやつだと、魔力も一気に消費しちゃうみたい」

ほむら『そうね。フルオートで撃つ時は注意しましょう』

まどか「本当は、弾を全部魔法で造って撃ちだせればいいんだけど…」

ほむら『それだと、魔力の消費量が大きくなってしまうわ。やはり、このやり方が一番よ』

まどか「そういえばほむほむ。前から気になってたけど、この武器とか弾ってどこから…」

ほむら『巴マミは一人パトロールをすると言っていたわね。一人で最後の復帰の調整をしたいのでしょう。
    心配でしょうけど、ここは彼女の意思を尊重しましょう』

まどか(露骨にはぐらかされた…)



642 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:46:07.62 ID:ssZVjmht0

まどか「…大丈夫かな」

ほむら『今日の戦い方を見る限り、もう一人でも大丈夫でしょう。魔女と遭遇しても、問題ないわ』

まどか「マミさんじゃなくて…、さやかちゃんと杏子ちゃん」

ほむら『…そうね。確かに心配だわ』

まどか「杏子ちゃん。体に傷跡が残っているよね。魔法で直しているみたいだけど、隠しきれてないよ…」

ほむら『美樹さやかね。考えるまでもなく。あの杏子が遅れを取るとは思えないから、おそらく癇癪に付き合っているのでしょう』

まどか「ねぇ。やっぱり、わたしが…」

ほむら『だめよ、まどか。美樹さやかは貴方の助けを拒絶した。今の自分の醜態を見られたくないとも言っていたわ。
    貴方が彼女にしてあげられることは、何もない。辛いだろうけど、我慢して頂戴』

まどか「そんな…」

ほむら『そもそも、こういった問題は本人がどうにかしなければいけないの。佐倉杏子が美樹さやかに付いたのは、そういった意味では適格だと思うわ。
    彼女は甘やかせるようなことはしないし、かといって見捨てるようなこともしない。今の美樹さやかには杏子のような存在が一番必要なのよ』



まどか「…くやしいなぁ」

ほむら『まどか?』

まどか「友達なのに、こんな時役に立てないなんて。くやしいよ」

ほむら『…こういったことには、状況によって向き不向きがあるから仕方ないわ。
    美樹さやかが、自身に折り合いをつけられるように祈りましょう。それくらいしかできないもの私たちにはね』

まどか「…うん、そうだね」



643 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:46:36.35 ID:ssZVjmht0



   RRRRRRRR



まどか「あ、電話…。え?」

ほむら『どうしたの?』

まどか「さやかちゃん…から」

ほむら『! とりあえず出てみましょう。受け答えは、慎重に選ぶのよ?』

まどか「う、うん」



644 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:47:10.62 ID:ssZVjmht0

まどか『…もしもし、さやかちゃん』

さやか『…まどか? 今大丈夫?』

まどか『うん、大丈夫だよ』

さやか『…ごめん、あんときのあたしどうかしてた』

まどか『いいの。気にしてないよ!』

さやか『ううん、友達のあんたにあんなこと言っちゃって…。だから、ちゃんと謝りたいの。
    だから、これから会ってくれない?』

まどか『え? 今から…?』

さやか『お願い。今、謝らないときっと後悔するから…』

まどか『…わかった。じゃあ、どこで会おうか?』

さやか『そのことだけど…』


645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/09/10(土) 21:47:16.83 ID:SIYMGVXjo
心が痛い…
646 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:48:12.70 ID:ssZVjmht0



  Pi



ほむら『美樹さやかは、なんと…?』

まどか「えっとね。謝りたいから、会いたいって。場所は、ここからあまり離れていないところだけど…」

ほむら『今から…?。電話じゃだめだったの?』

まどか「酷いことしたから、直接会って謝りたいって。それから、一人で来てほしいって」

ほむら『一人で?』

まどか「うん。わたしに以外、情けない姿見せたくないって言ってたんだけど…」

ほむら『…』


647 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:48:50.79 ID:ssZVjmht0

まどか「ほむほむ?」

ほむら『怪しいわ』

まどか「え?」

ほむら『心境の変化が急すぎる。佐倉杏子の説得が上手くいったのかもしれないけれど…』

まどか「電話じゃ、杏子ちゃんのことは一言もなかったよ?」

ほむら『一人で来い、という内容だものね。杏子が一緒なら、私がいても問題はないはず』

まどか「でも、もしかしたら…」

ほむら『…まどか。気持ちはわかるけれど、今の美樹さやかには慎重に行動したほうが良い。
    佐倉杏子の傷を見ても、不安定になっているのは確か。下手をすれば、襲いかかってきてもおかしくないわ』

まどか「そんなこと、さやかちゃんはしないよ!」

ほむら『でも彼女も言っていたでしょう。「もう、見かけても近づかないほうが良い」と。
    彼女自身、分かっているのよ。今の自分がまどかを傷つけてしまうとね』

まどか「…」


648 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:49:38.79 ID:ssZVjmht0

まどか「…それでも、わたしは行くよほむほむ」

ほむら『…そう』

まどか「あの時、さやかちゃんの手を離しちゃったから、今度はちゃんと掴んであげたいの」

ほむら『危険すぎるわ。何が起きるかわからない。それほど、美樹さやかは不安定なの。何が起きるか…』

まどか「うん。でもね、わたしに会いたいって言ってきてくれたのはチャンスだと思うんだ。
    誰かに会いたいって思ったのなら、そこからまた一人じゃなくてみんなと居たいって考えてくれるかもしれないから」

ほむら『…そうね』




まどか「止めないんだね、ほむほむ」

ほむら『貴方は頑固だもの。一度言いだしたら聞かないことくらい、理解しているわ』

まどか「…ごめんね」

ほむら『パートナーだもの。このくらいはなんてことないわ。
    でも、一人で行かせるのは反対。近くで待機するわ。何か少しでも不穏な気配があったら、すぐにテレパシ―で呼ぶこと。時間を止めてすぐに駆けつけるわ』

まどか「ふふっ、ほむほむも頑固だよね。絶対に引かないもん」

ほむら『責任感と言ってほしいわね。私にはまどかを守る義務があるのだから』


649 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:50:18.42 ID:ssZVjmht0

まどか「…責任感だけ? わたしを守ってくれるのは、それだけなの?」

ほむら『え?』

まどか「寂しいなぁ、わたしはほむほむのこと好きだったのに。
    ほむほむはわたしのこと、責任があるから守ってくれるだけだったんだね」

ほむら『え、あ、いや、その…』

まどか「わたしの片思いかぁ」

ほむら『…』



ほむら(ど、どうしよう…)

ほむら(いっそのこと、好きだと…。でも、それじゃあ別れるときに辛く…)

ほむら(な、なにか良い返答の仕方は…)


650 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:51:20.35 ID:ssZVjmht0

まどか「…ごめん」

ほむら『え?』

まどか「な、何か変なこと言っちゃった。困らせる気なんかなかったのに」

ほむら『…』

まどか「あ、あやまるから…。機嫌なおして…ね?」




ほむら『…私も』

まどか「ご、ごめんさい…」

ほむら『貴方のこと好きよ。まどか』

まどか「あの、その。…え?」

ほむら『私も貴方のこと好きだといったの』

まどか「え!? あ、え?」

ほむら『あら、随分動揺するのね。それとも、私のことを好きだというのは嘘だったのかしら?』

まどか「う、ううん。それは、その…本当」

ほむら『ありがとう。嬉しいわ』

まどか「は、恥ずかしいよ」

ほむら『あなたから振ったのよ、それくらい我慢しなさい』

まどか「うう…」



651 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:52:05.08 ID:ssZVjmht0

ほむら『ほら、いつまでも悶絶していないで、早く美樹さやかのところに行ってあげなさい』

まどか「う、うん…」

ほむら『…まどか、私は貴方のことが好き。大事だわ。
    だから、貴方のことを守らせて。お願いだから、無茶はしないでね』

まどか「…わかった」

ほむら『くれぐれも気を付けて。何かあったら、直ぐに呼ぶこと。いいわね?』

まどか「うん。それじゃあ、行ってくる」



ほむら(…これで、よかったのよね?)



652 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:53:53.45 ID:ssZVjmht0


―公園―


ほむら(ここなら、美樹さやかの指定した場所からテレパシーも届くし、この時間なら人もいない)

ほむら(届いたら、一回の時間停止ですぐに駆けつけられるし、待つにはうってつけね。何事もなければ、それでよいのだけれど…)



ほむら(…それにしても)

ほむら(まどかに好意を口にしてしまった…)

ほむら(やはり、マズかったかしら。ワルプルギスを倒したら、姿を消さなきゃいけないのに。
    そうしたら、別れる時辛くなってしまって…)

ほむら(…いえ、もうこのような関係になっている以上、それを言っても仕方ないわね)



653 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:54:53.86 ID:ssZVjmht0

ほむら(…そういえば、別れるときはどのようにきりだしたらいいのかしら)

ほむら(これまでずっとワルプルギスの夜のことばかり考えていて、そのことを深く考えたことがなかったわね)

ほむら(…いえ、考えたくなかったというほうが正しいのかしら。この世界では、これまで以上にまどかと一緒にいられたから)

ほむら(いえ、だからこそ別れる時のことを考えないと)

ほむら(ようやく、約束を果たせそうなんだもの。最後になってまどかの心に傷を残すようなことになってはいけないわ)




ほむら(…でも)

ほむら(まどかが傍にいてほしいというのなら)

ほむら(それならいっそ、できるだけまどかの傍にいてあげたほうが…)


654 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:55:40.72 ID:ssZVjmht0




   「暁美さん」

   「もう大丈夫だよ、ほむらちゃん」

   「さよなら。ほむらちゃん。元気でね」

   「やったぁ〜、すごい、すごいよほむらちゃん」

   「ほむらちゃん、やっと名前で呼んでくれたね。嬉しい…な」

   「えっと…わたしとほむらちゃんってどこかで会ったことあるのかな?」

   「ほむらちゃんだって、ほむらちゃんのことだってわたしは忘れないもん! 昨日助けてくれたこと、絶対忘れたりしないもん」




   「暁美さん」
   「暁美さん」
   「暁美さん」


655 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:56:18.26 ID:ssZVjmht0

ほむら(…何を考えているの、私は)

ほむら(私はまどかとは、もう違う時間を生きてることを忘れたの?)

ほむら(今更、こんな膨れ上がったズレを、埋められるわけないじゃない)

ほむら(何度、時間を巻き戻したというの。どれくらい、失敗を繰り返したか覚えているでしょう)

ほむら(もう、誰も私のことを理解できる人なんていない。同じ時間を過ごした人なんて、どこにも…)

ほむら(そんなこと、わかってたのに…。分かっていたはずだったのに…)

ほむら(こんな、大好きな人に自分を理解してもらえないなんて)

ほむら(こんなこと…)



656 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:56:46.56 ID:ssZVjmht0

ほむら「…」グス

ほむら(ごめんさい、まどか。私、貴方と一緒にはいられない)

ほむら(まどかと一緒にいれば、私は貴方に他の世界の思い出を求めてしまう。
    そして、それが叶わないと認識してしまえば私はそのことに絶望するだろう)

ほむら(でも、そんなことはしたくない。まどかを絶望の原因になんて、させたくない)

ほむら(だからお願い。私がいなくなっても、悲しまないで)

ほむら(貴方を、私にとっての希望でいさせて…)

ほむら(お願いだから…)


657 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:57:49.15 ID:ssZVjmht0



  ヒュン




ほむら「?!」

ほむら『な…?』

???「夜の公園のベンチに無防備に座ってるなんて。怖い人に捕まったらどうするの?」ケラケラ

ほむら「…」

???「にしても、こんな簡単に上手くいくなんてね。ちょっと、勘が鈍ってるんじゃない? ベテランの名が泣いているよ」

ほむら「…」

???「ま、しかたないか。あんたは、まどかに全部押し付けた卑怯者だもんね」

ほむら「ほむむ…」

ほむら『…あなたは』


658 :1 [saga]:2011/09/10(土) 21:59:42.49 ID:ssZVjmht0




さやか「さて…死んでもらうよ」

ほむら『美樹…さやか…』



659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 22:02:16.64 ID:wfIQPOq60
SGが濁りきり魔女化寸前じゃないか。
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/10(土) 22:03:36.41 ID:Kgj6rBlmo
ほんとだめなこねさやか
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 22:04:44.20 ID:DNSvCQhxo
さやか自体ダメダメだろ
662 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:06:14.11 ID:ssZVjmht0

ほむら(くっ…体を握られて、身動きが取れない…!)

さやか「もがいてるもがいてる。でも無理だよ、もう完全にあんたはあたしの手の中だから」

ほむら(これじゃあ、時間を止めても…)

さやか「時間を止められると厄介だからね。こうさせてもらったわよ? これなら、止めても何の意味もないでしょ」

ほむら「…」


ほむら『まどか、返事をしてまどか!』

QB『無駄だよ』

ほむら『…! キュゥべえ!』

さやか「ああ、まどかを呼ぼうとしても無駄だから。キュゥべえのやつが止めているからさ」

ほむら(なっ…)

QB『君たちの念話は僕が管理している。残念だけど、君の声がまどかに届くことはないよ』

さやか「アイツも、あんたのことが目障りだったみたいでさ。あんたをまどかの前から消すことを提案したら、すぐに乗ってきたよ」


ほむら(くっ…)

ほむら(油断した…。なにかあるとは感じていたけど)

ほむら(私の方を狙ってくるなんて…)



663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/10(土) 22:06:34.82 ID:fhyUZBilo
なんでさやかすぐ濁ってしまうん?
664 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:06:58.62 ID:ssZVjmht0

さやか「何で、ここにいるのかって顔してるわね。安心しなさい。まどかは生きてるわよ」

ほむら「…!」

さやか「今頃は、ちょっと待ちぼうけ食らってるけどね。まどかには何もしてないよ」

ほむら「…」ホッ


さやか「…何、ほっとしたような表情してるのよ」

ほむら「…?」

さやか「あんた、まどかを危ない目に合わせてる張本人でしょ? そんな気持ちがあるなら、まどかの隣から姿を消しなさいよ」

ほむら「ほむ…?」

さやか「…そうだ。あんたがいるからいけないんだ。
    あんたさえいなければ、まどかだって危ない目に合わなくて済んだし、強くなることだって…!」

ほむら(何を…、何を言っているの?)


665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/10(土) 22:07:22.40 ID:xRrqO60Zo
もうまともな判断も出来なくなってるのね
666 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:07:28.70 ID:ssZVjmht0

さやか「あんたさえいなければ…」

ほむら「ほ…むっ?!」

さやか「あたしは、まどかを守り続けることができたのに…!」ギリギリ

ほむら「ほっ…むっ」ジタバタ

さやか「苦しい?でも我慢してよ。これくらいの八つ当たり」

ほむら「むーむー!」

さやか「おーおー、あがくねぇ。でも無駄無駄」

ほむら「むみゃ!」ガブ

さやか「あははは、噛みついてるよ。でも残念でした。今のあたしは何にも感じない身体だから、そんなんじゃ怯みもしないよ」

ほむら「…」ギリ

さやか「悔しい? 悔しいでしょ。でも、あたしの方が悔しかったんだよ。あんたに役目を取られてさ」

ほむら「むっ…むっ!」ジタジタ

さやか「ったく、ウザったい…。いっそのこと、頭もぎ取ってやろうかしら」ガシ

ほむら「…!」

さやか「おとなしくなったね。まあ、いい心がけだと思うよ。今のあたしは、文字通りあんたの命を握ってるんだからさ」

ほむら「…」ブルブル


667 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:08:08.21 ID:ssZVjmht0

さやか「あんたはまどかを傷つける」グッ

ほむら(ぐっ…)

さやか「あんたがいる限り、まどかは危ない目にあい続けるし、あたしはまどかを守ることができないの」ググッ

ほむら(あ…う…)

さやか「あんたに分かる? 守りたい相手が自分よりも強くて、何の役にも立たないこの気持ちが」

ほむら(なん…とか…隙を…)

さやか「もうあたしには、まどかを守ることしか存在する価値がないのに。なんなのよこの仕打ちは」

ほむら(腕は…動く…。何か…武器…)

さやか「消えてよ。あんたがいなくなれば、まどかは危ない目にも合わないし、あたしもまどかを守ることができるんだ」

ほむら(怯ませ…られれば…)

さやか「そうなれば、わたしが魔法少女になった意味があるんだ」

ほむら(火器じゃ…無…)

さやか「まどかを守れないわたしは、もう何の価値もないんだからさ」

ほむら(…!)


668 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:08:55.46 ID:ssZVjmht0

ほむら(…ふざけないで)

ほむら(まどかが、どれだけあなたことを心配していたか、知っているの?)

ほむら(どれだけ大切に思われていたか、貴方は知らないでしょ!)

ほむら(それを自分に価値がないなんて考えるなんて、まどかを馬鹿にしているの?!
    あなたを心配したまどかの気持ちは全部無意味だっていうの!)



ほむら「ほむほむほむほむほむほむほむほむ!」

さやか「…うるさいな。ここに来て命乞いでもしてるの? ホント、あんたはどうしようもないね」

ほむら「ほむむほむほむほむほむ!」

さやかもう、いいや。痛め付けるのも飽きた。バイバイ」

ほむら(うっ…ぐっ…)カチッ

さやか「?」

ほむら(貴方なんかに…)

さやか「何、悪あがきしてんの? 時間でも止めるつもり?」

ほむら(殺されるものか…!)



669 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:09:22.63 ID:ssZVjmht0




   ヒュッ




さやか「え?」

ほむら(閃光手榴弾。サイズは小さくても、この距離なら…!)バッ


670 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:09:51.51 ID:ssZVjmht0



   カッ キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!



さやか「あぎゃ」

ほむら(拘束が緩んだ!)パッ

さやか「!!!!???!!?!?!??!?!?!」

ほむら(く、こっちもダメージが大きい。でもっ!)

さやか「こらっ、逃げっ…!」

ほむら(早く時間を止め…)



671 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:11:07.16 ID:ssZVjmht0

さやか「っざけんなぁぁっ!」ビュン

ほむら(! 蹴り、避け…)




   バキッ!



ほむら「――」


672 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:11:50.93 ID:ssZVjmht0

さやか「ったく、油断も隙もありゃしない…」

QB「大丈夫かい、さやか?」

さやか「キュゥべえ、あいつは? ちょっと目と耳がやられちゃって何もわからないんだけど」

QB「君のキックを受けて、地面に横たわってるよ。ピクリとも動かない」

さやか「…もしかして、死んだ?」

QB「いや、かろうじて息はあるみたいだ。といっても、虫の息だけどね」

さやか「…ああ、目が直ってきた。こういうときには便利ね。ゾンビの身体って」

QB「戦うための体なんだ。当然のことだよ」




ほむら「…」

さやか「ホントに生きてるのコレ? 何か手足ヤバくない?」

QB「少なくとも死んではいないよ。それにこれくらいじゃ魔法少女は死なない。それじゃあ、魂をソウルジェムに変えた意味がないからね」

さやか「…ま、いいか。ソウルジェムを砕けばいいんでしょ、要は」ジャキッ

QB「全く。始末をするなら、最初からこうすればよかったんだ」

さやか「まあね。でも、ちゃんと話をしておく必要があると思ったから」

QB「話?」

さやか「ムカツク奴とはいえ、まどかを守ってくれてたのは事実だし」

QB「やれやれ、これから殺す相手にそんなこと考えるなんて、人間は相変わらずよくわからないよ」

さやか「別に、こいつの為じゃないわ。あたしのけじめの為。でもそれももう終わり」



さやか「一思いに、楽にさせてあげるわ」


673 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:12:22.63 ID:ssZVjmht0

さやか「今まで、まどかを守ってくれててありがと。そこは感謝してる」

ほむら「…」

さやか「でも、もうまどかが戦って傷つく姿を見たくないの」

ほむら「…」

さやか「あんたの事は忘れない。あんたは私が魔法少女になったきっかけのひとつだし、命の恩人でもあるしね」

ほむら「…」

さやか「だから、ごめんね。謝っても謝りきれることじゃないけど。そのかわり、まどかはこれからはあたしが守るから」

ほむら「…」

さやか「じゃあね。ほむほむ」





ほむら(ま…ど…か…)




674 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:13:02.02 ID:ssZVjmht0










まどか「ほむらちゃん!」









675 :1 [saga]:2011/09/10(土) 22:13:53.87 ID:ssZVjmht0

今日の投下はここまでです。

次の投下は月曜日になります。
ご拝読ありがとうございました。
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/10(土) 22:15:23.72 ID:fhyUZBilo


ここからさやかが幸せになる展開が見えない
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/10(土) 22:16:43.17 ID:xRrqO60Zo
ちょっと!そこで止めるの!?生殺しもいいとこだよ
次も期待して待ってるからね
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/10(土) 22:16:55.13 ID:2RpG36oKo
乙  安定のグレさやかですね
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 22:19:48.78 ID:wfIQPOq60
これでさやか、魔女ったな・・・
恭介への恋心が人魚に変えたけど、この場合、どんな姿になるのだろう。
さやかが求めているのは恭介より存在の肯定してくれる誰かだし、思い出に浸る属性は変わらないだろうけど、姿形に変化が出そう。
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/10(土) 22:20:02.89 ID:ldqBx+hFo
俺は勘違いをしていた・
このスレでいちばんひどいあんちくしょうは、>>1だ!
こんな所で切らないでくださいよぉぉーーーっ!!

そして、最後のまどかのセリフは一体どういうことなのか
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 22:48:50.10 ID:DNSvCQhxo
なんでさやかすぐ八つ当たりするん?
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/10(土) 23:21:52.24 ID:rZM0zAJ5o

さやかあああああああ!!
ほむらちゃん瀕死状態ってどういう事だおい…
このさやかをどう許すのか想像つかない…マジで魔女化してしまうんだろうか…

月曜日楽しみだな
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/10(土) 23:32:39.91 ID:PS4R4hvQo
全員生存とかの縛りあったっけ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/10(土) 23:49:54.92 ID:rZM0zAJ5o
どうだろう。縛りとかは>>1しかわからないしねw
マミさんが生存しただけに期待はしちゃうけど…この展開じゃな〜ww
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 23:56:10.79 ID:puvDMLWlo
お疲れ様でした。
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 00:07:58.31 ID:h2MEOrMDO
うわぁ・・・
胸糞が悪くなるくらい酷いさやかヘイトだな
わずかでも>>1に期待してた俺が馬鹿だった
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 00:19:15.57 ID:w+GQjGnOo
なんでや、、、なんでここで切るんや・・・!
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/11(日) 00:34:47.46 ID:sRF2LXe20
良くも悪くもさやかは誰かに褒めてもらいたい感謝されたいと思う普通の子だしな・・・
描写からギリギリの心理状態が窺えるし、話の流れ的に無理が無い。
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 00:43:57.33 ID:WJIok/qIO
まだ魔女になってないから改心のチャンスは残ってるし!!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 01:06:37.04 ID:xxWLvSw6o
途中までは面白かったのに残念臭が漂ってきたな
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 14:01:24.24 ID:BUPv7YW40
まずは乙
そしてまだ絶望するには早いぜ
俺は追い詰められたものの心境としては自然な流れとは思ってる
まぁQBと結託したり、異常に小物臭がするように感じるのは否定しないがな

ここからの逆転展開に期待する
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 14:27:03.65 ID:KFLrvuxSO
>>674
ほむらちゃん…だと?
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/11(日) 14:52:57.79 ID:AD5SA0SCo
さやかちゃんが改心しちゃうと
「絶望した! 今までのあたしの行いに絶望した!」パリーン
ってなっちゃいそうなのが超問題なんだよねえ
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/11(日) 15:02:44.13 ID:8oDoXUEuo
>>693
いつも自殺失敗してる人っぽい言い方だからなんとなーく無事で済みそうな感じがする
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 17:16:41.50 ID:ww4JEYYno
とりあえず青い子しね
俺の妹を傷つけた罪は重いぞ
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/11(日) 17:27:16.23 ID:xD2e1y0Ko
@SSにマジになるなよ
Aお前の妹じゃねぇよ
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/11(日) 19:44:08.14 ID:TrobRXfY0
ゴ美樹さやかスという言葉を思い出したんだが
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 21:34:22.53 ID:ZgjwIgy1o
さやかちゃんは悪い子じゃないんだ、ただちょっと爆弾抱えてる分絶望に転びやすかったり、
良くも悪くもがむしゃらに一直線だったり、人の話を聞かないで誤解したまますれ違うことがよくあるだけなんだ……
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 22:12:42.89 ID:FnrN9HDDo
さやかも心配なんだが杏子も心配なんだよな。
こんな事さやかがしたと知ったらきっと後悔する。
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/11(日) 22:25:01.65 ID:DBmOSeXTo
>>698
それ全然ダメダメじゃないですかー
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/11(日) 23:44:38.41 ID:sRF2LXe20
自分の取柄の為だけに契約したまどか、願いが単純明快なマミさんと比べればさやかの願いは不純な分類になる。杏子並みの芯の強さがないと願いと現実との齟齬で破滅する。願いが恭介が欲しいでも後ろめたさから破滅…マミさんと同じ「死にたくない」でも魔法少女の真実を知り生きる事に疑問を持ちそうだし、さやかの性格は完全に魔法少女に向いていない気がする。
願いが不純で芯の強さが人並みだと、こうなっても不自然さはないし、さやかの状態になったら関係無くても逆恨みしかねない。

マミさんの場合、願いの属性からシャルロットにマミられた後、マミホームでどや顔でゆっくりしていても問題は無い。
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 23:47:10.26 ID:w+GQjGnOo
結局ほむほむは俺の妹ということだね
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/12(月) 19:52:21.37 ID:QLP5OYp50
>>702
わけがわからないよ
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 20:21:01.53 ID:Hnz4o57mo
>>702
寝言は済んだか?
705 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:37:28.29 ID:muo+N4Nn0
色々な意見、ありがとうございます。
話の方針ですが、ハッピーエンドを目指す予定です。

続きを投下します。
706 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:38:48.44 ID:muo+N4Nn0

さやか「なっ、まどか?!」

まどか「ほむらちゃん! しっかりして、ほむらちゃん!」

さやか「ちょっとキュゥべえ! 何で、まどかがここに!」

QB「知らないよ。僕は何もしていない」

さやか「なにとぼけているのよ! あんたがテレパシーを使えるようにしたんでしょ?!」

QB「まさか。そんなことをして、一体何の意味があるんだい? テレパシーの制限はかけたままだよ」

さやか「じゃあ、なんでまどかがここにいるのよ!」

QB「さあね。どうやって彼女がここに来たのか。僕も興味があるよ」

まどか「待ってて、今治してあげるから!」ポウ

QB「…凄いね、お互いの傷なら治療できるようになったんだ。思ったより状況は進行してるみたいだ」

さやか(これじゃあ…。こんなはずじゃあ…)

まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃん!」


707 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:39:31.73 ID:muo+N4Nn0





まどか「…さやかちゃん」





さやか「…っ」

まどか「何してるの…。何なのこれ…」

さやか「ち、違うの…。これは…その…」

まどか「どうしてさやかちゃんが、こんなことしてるの…?」

さやか「ま、まどか、話を聞いて…」

まどか「こんなことするのが、さやかちゃんのやりたいことだったの…? さやかちゃんはみんなを守りたいんじゃなかったの?」

さやか「ま、まどか…。だって、そいつは…。まどかを…」

まどか「弱い者いじめをするなんて、そんなのさやかちゃんらしくないよっ…」

さやか「…」

まどか「なんで…こんな酷いこと…」


708 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:40:08.38 ID:muo+N4Nn0

さやか「…るさい」

まどか「…さやかちゃん?」

さやか「…うるさい」

まどか「…え」

さやか「うるさいうるさいうるさい!」


709 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:42:33.61 ID:muo+N4Nn0

さやか「あんたにあたしの何がわかるっていうのよ!

    あたしはね! 恭介のことが好きだった! マミさんみたいに街を守りたかった! まどかが傷つくのが嫌だった! それだけなの!
    それが何?! 何でどれも上手くいかないの! 何で誰もあたしを認めてくれないのよ!
    恭介は仁美が好きだったし、街の人は誰もあたしに感謝なんかしてくれない! 挙句に、あんたまであたしのことを否定するの?!

    あんたはそいつに戦わされたんでしょ?! 辛かったんでしょ! だったらあたしが、何とかしてあげるわよ! いつもそうだったもんね! あんたは優しくて、貧乏くじばっか引いてさ!
    あたしがあんたを守ってるのよ! それなのに、あたしのことを責めるの?! ふざけるんじゃないわよ!

    何で…何で、みんな、あたしを必要としてくれないの!」



710 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:43:33.79 ID:muo+N4Nn0

まどか「さやかちゃん…」

さやか「…まどか、そいつをこっちに渡して」

まどか「…だめだよ」

さやか「そいつがいなくなれば、まどかは苦しまなくてすむんだ。
    魔女と戦うことになったも、こんなふざけた運命に巻き込まれたのも、全部そいつの都合でしょ?」

まどか「…」

さやか「まどかがそんなことに付き合う必要なんてないじゃん。だからさ…」




まどか「…勝手なこといわないで」




711 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:45:03.78 ID:muo+N4Nn0

まどか「きっかけは確かにほむらちゃんだよ。でも魔法少女になるって決めたのは、わたし自身なの」

さやか「違う! まどかはそいつのせいで…」

まどか「ううん、他の誰でもない、わたしの気持ち」

さやか「そんなことない! だってまどかは優しいから、そいつの身代わりになろうとしたんでしょ?!
    辛かったんでしょ! 止めたかったんでしょ! だからあたしは…っ!」

まどか「…違うよ。それに辛いこともあったけど、それは全部自分で決めたことだから。誰のせいでもないの。

    さやかちゃん。さやかちゃんからみたら、わたしは状況に流されているように見えたのかもしれない。
    でも違う。こんなことがなくても、わたしはきっと魔法少女になっていたと思う」

さやか「…」


712 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:46:35.06 ID:muo+N4Nn0

まどか「さやかちゃん、魔法少女になったのは誰のせいでもない、わたしの意思。
    自分で始めたことだから、その運命も因果もわたし自身がなんとかしなきゃいけないの。

    わたしが魔法少女になって守れたものがあって、でもその一方で苦しんだり泣いている人がいるのも確かで。
    だからこそ、そのことは自分でなんとかしなくちゃいけない。

    わたしはわたしの始めたことについて、責任を取らなきゃいけない。
    そのことをさやかちゃん押しつけるようなことはできないよ。

    わたしが…頑張らなきゃ」



713 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:47:23.28 ID:muo+N4Nn0

まどか「さやかちゃん。ほむらちゃんは傷つけさせないよ」

さやか「…」

まどか「ほむらちゃんも、わたしのせいで苦しんでる人の一人だから、助けたいの」

さやか「…」

まどか「だから、さやかちゃんお願い。こんなことはもう止めて」

さやか「…」

まどか「ほむらちゃんのせいじゃない。全部、わたしが決めてはじめたことだから…」

さやか「…」


714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/12(月) 22:48:03.73 ID:Qc30dgroo
あ、これ切れたか?
715 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:48:04.49 ID:muo+N4Nn0

さやか「…ああ、そう」

まどか「さやかちゃん…!」

さやか「…つまり、こういうことでしょ」





さやか「あんたも、あたしがいらないんだ」




716 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:48:45.71 ID:muo+N4Nn0

まどか「…!」

さやか「あんたも他の奴と同じだ。あたしのこと必要ないんでしょ?」

まどか「違うよ、さやかちゃん! そういうことじゃないの! さやかちゃんは友達なの!
    友達だから、甘えちゃいけないの! 自分で決着をつけないと!」

さやか「…まどか、そいつを渡さないなら。力づくでも、いくよ?」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「もうまどかは戦わせない…。こんなふざけた現実、まどかに必要ない…」

まどか「…ほむらちゃんはこれ以上、傷つけさせないよ」

さやか「まどかはわたしが守る…。守るんだ…」

まどか「…さやかちゃん」


717 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:49:52.28 ID:muo+N4Nn0

さやか「…まどか。最後だよ。そいつをこっちに渡して」

まどか「できないよ。さやかちゃん」

さやか「…あ、そう」ジャキッ

まどか「…」ギュッ

さやか「…手間かけさせないでよ。あたしにこれ以上まどかを傷つけさせる気なの?」

まどか「ごめん、さやかちゃん。でも…」




まどか「ほむらちゃんは、やらせない」

さやか「…っ!」





さやか「――――――――――――!」
まどか「…」



718 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:50:37.89 ID:muo+N4Nn0




   ガキン




杏子「何やってんだ! さやか!」バキッ

さやか「あうっ…!」ドサ

まどか「杏子…ちゃん?」

杏子「まどか! 大丈夫か!」

さやか「杏子…!」

杏子「おい、ほむほむが…!」

さやか「またあんたは、あたしの邪魔を…!」



719 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:51:23.32 ID:muo+N4Nn0

杏子「いい加減にしろ!」

さやか「っ!」ビクッ

杏子「何だよこれは!」

さやか「あんたには関係ない! これはあたしとまどかの…」

杏子「さやかはまどかの友達だろ! 友達に何しようとしてたんだよ!」

さやか「違う! あたしもこんなこと…したく」

杏子「どんな理由があったら、まどかを傷つけるっていうんだ!」

さやか「…あたし…だって…」

杏子「まどかを守るっていうのは嘘だったのか! そんなことも忘れちまったのかよ!」

さやか「!」



720 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:52:11.20 ID:muo+N4Nn0

杏子「自分が何をしたのか見てみろ!」

まどか「さやかちゃん…」

ほむら「…」

杏子「まどかは斬りつけられる寸前だったし、ほむの奴はボロボロだ。酷い有様だ!」

さやか「…そんな…の…」

杏子「全部お前がやったことだよ! 友達を傷つけようとしたのも、弱い奴に暴力をふるったのも全部!」

さやか「ち…ちが…」

杏子「正義の味方なんじゃなかったのか! さやか」

さやか「あ…あ…」




杏子「これが…正義の味方のやることかよ!」

さやか「う、あ…」



721 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:53:38.00 ID:muo+N4Nn0




    (あたしは見返りが欲しいわけじゃない)

    (それにこれは、まどかを助けるためでもあるんだから!)



    「当然です! だって、ここで願いを叶えなくちゃ絶対後悔するって思ったんですから!」




    「だから、まどかは安心していいよ。これからはアタシも街の平和を守るから!」



    「マミさん、あたし決めました。あたしはあんな魔法少女には絶対になりません」





さやか「あああああああああっ!」ダッ




722 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:54:28.22 ID:muo+N4Nn0

杏子「待て逃げんな、さやか!」

まどか「杏子ちゃん!」

杏子「あっ…くっ…まどか、ちょっと待ってろ。マミの奴を探して…」

まどか「わたし達は、大丈夫だから! それよりさやかちゃんを!」

杏子「でも…っ!」

まどか「さやかちゃんを追いかけて! 今のわたしじゃ追いつけるかわからないけど、杏子ちゃんなら間に合う!」

杏子「まどか…?」

まどか「今追いかけなきゃダメなの! じゃないとさやかちゃんが…、本当に…手遅れに…」


723 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:55:27.63 ID:muo+N4Nn0

杏子「手遅れ? 手遅れってなんだおい!」

まどか「わたしは、手を離しちゃったから…」

杏子「え…?」

まどか「お願い、杏子ちゃんは手を離さないで上げて! さやかちゃんの傍にいてあげて!」

杏子「まどか…」

まどか「杏子ちゃん!」

杏子「…わかった」

まどか「さやかちゃんのこと、助けてあげて…」

杏子「任せろ! あいつの首根っこ捕まえて、まどかの前で土下座させてやるからな!」シュタッ



まどか「…さやかちゃん」





724 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:56:45.96 ID:muo+N4Nn0

―駅―

さやか「…」

杏子「こんなとこに居やがったか。どっか遠くにでも逃げるつもりだったのか?」

さやか「…」

杏子「少しは頭冷えたか?」

さやか「…」

杏子「とにかく、反省しろ。んでもって、まどかに謝りに行け。気まずいなら、アタシも一緒について行ってやるからさ」

さやか「…無理だよ」

杏子「無理じゃねェよ。ったく、ホントお人よしだぜ。あんなことになっても、まだアンタのこと心配してるんだぜアイツ」

さやか「…あはは、まどからしいや」



杏子「でも、アタシはそれくらいじゃ許さねえ」

さやか「…うん、そうだろうね」

杏子「とりあえず、謝るときは土下座しろ。ほむほむには元気になるまで不眠不休で看病だな。
   あと、しばらくお前を監視するからな。変なことをしようとしたら、マジでしばらく再起不能になるまでボッコボコにしてやる」

さやか「…はは、厳しいね」

杏子「当たりめぇだ、バカ。とにかく、一人にはしないからな」

さやか「…」

杏子「…だからさ、もう帰ってこいよ」

さやか「…」

杏子「アンタは一人じゃないよ。気付いてないかもしれなけど、アンタを必要としてくれる人が一杯いるんだからさ」


725 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:57:40.60 ID:muo+N4Nn0

さやか「…ダメなの」

杏子「え…?」

さやか「もうだめなの…あたし」

杏子「おい、大丈夫か…?」

さやか「一体何が大切で何を守ろうとしてたのか、もう何もかも、わけ分かんなくなっちゃった」

杏子「おい! しっかりしろ、さやか!」

さやか「挙句の果てに、まどかを傷つけて…。おかしいなぁ…あたしはまどかを守るはずだったのに」

杏子「今からでもいいじゃねーか! 一度の失敗くらいで諦めんなよ! 失敗したんなら、もう間違えることもないだろ!」

さやか「結局あたしは何もわかってなかったんだ。正義の味方がなんなのかも、自分が何を望んでたのかも」

杏子「おい、こっち見ろ! どこ見てんだよ、さやか!」



さやか「その結果が…このありさま」



726 :1 [saga]:2011/09/12(月) 22:58:56.64 ID:muo+N4Nn0

杏子「おまっ…」

杏子(ソウルジェムが…穢れでどす黒く…!)

さやか「はは…。これあたしなんだっけ」

杏子「待ってろ! 今グリーフシードを…」

さやか「恨みや妬みで汚れきって…、これがあたしなんだね」

杏子「早く貸せ! これじゃあ、お前…!」

さやか「本当…自分が嫌になる」

杏子「さやか!」





さやか「あたしって、ホントばか」




727 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:03:01.75 ID:muo+N4Nn0



QB「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?」

QB「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」




728 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:03:42.41 ID:muo+N4Nn0

―魔女の結界内―

杏子「んなっ…!」

杏子(魔女の結界?! さっきまで何も感じなかったんだぞ…!)

魔女「ooooooooooooooooooooooo!!!!!!」

使い魔「waaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」

杏子「何だテメェ…」ジェムショウカン

魔女「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

使い魔「waaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」

杏子「さやかに何しやがった!」シュッ



729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/09/12(月) 23:03:50.38 ID:Cz0QjPQn0
いや呼ばせねーよ?
730 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:05:14.01 ID:muo+N4Nn0

魔女「uuuuuuuuuiiiaaaaaaaaaaaaa!!」

杏子(騎士…? 馬鹿でかい剣振り回しやがって!)

使い魔「waaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」
使い魔「waaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」
使い魔「waaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!」

杏子(それになんだ…? あの使い魔、こいつを応援してんのか?)

魔女「iiiiiiiiiiiaaaaaaaaaoooooo!!!」バシュバシュ

杏子(おまけに変な車輪まで…。くっそ、近づけねェ…!)

さやか「…」

杏子「おい、さやか! なに寝てんだ!」

魔女「nnnnnnnnnnooooooooonnnnnnnuuuuuuuuuuu!!!」

杏子(畜生…! さやかにやられた傷のせいで…調子も…)

魔女「qqqqqqqqqqaqaaaaaaaaaaaaafffffffffuuuuu!!!」

杏子(さやかをここから連れ出さなきゃならねェってのに…!)


731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 23:05:24.99 ID:dCHUs1wJ0
結局魔女化しちゃったか
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:06:25.13 ID:eMYpG2NIO
えー?
733 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:06:27.12 ID:muo+N4Nn0



   ドンドンドンドンドン


魔女「gggaaaaaaaagggggaaa!!」

マミ「佐倉さん! 平気?!」

杏子「! マミか!」

マミ「パトロールをしていたら、魔女の急に気配が出て来てみたんだけど…」

魔女「uuuuuuuuuuuiiiiiiiiii!!!」

マミ「もう動けるの?! かなり撃ちこんだのに!」

杏子「あの野郎…、さやかと話していたら急に現れやがった」

マミ「美樹さんと?」

杏子「ああ、さやかのやつはあそこに…っく」

マミ「佐倉さん、その傷…!」

杏子「ちょいと、またさやかのやつとやりあってな。おかげで調子がでねぇ。
   正直、ヤバかった。来てくれて、サンキューな」

マミ「そう…。でも私もあまり余裕があるとは言えないわ。今日は、もう何回か戦ってきたところだし…」



734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/12(月) 23:06:56.15 ID:NLGc78qwo
ある意味さやかも安定してるなぁ
735 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:07:19.12 ID:muo+N4Nn0

杏子「…しかたねぇ、逃げるか」

マミ「…そうね、それが懸命だと思うわ。美樹さんも倒れていることだし」

杏子「一発、デカいのかましてくれ。その隙にアタシはさやかのやつを」

マミ「ええ、お願いね。出来るだけ、派手に行くわ」

魔女「mmmmmmmmmmmmmmmhhhhhhhhhhaaaaaaaaa!!!」

杏子「来やがった!」

マミ「佐倉さん、上に投げて!」

杏子(おっしゃ、槍を巻きつけて…)ジャラジャラ

杏子「どぉうりゃ!」ブオン

マミ「ティロ・フィナーレ!」


   ドォォォォォォォォン!


マミ『佐倉さん!』

杏子『っし、逃げるぞ!』ダダダダ

魔女「aaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」



736 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:07:56.22 ID:muo+N4Nn0

―線路―

杏子「…」ハァハァ

マミ「なんとか…結界から抜けたわね…」ゼェゼェ

杏子「っぐ!」

マミ「ちょっと待って、今傷をふさぐから…」ヒール

杏子「悪ィいな…。やっぱり、傷を治すのはマミの方が上手だな」

マミ「そういう祈りで魔法少女になったのだもの、当然よ」

杏子「アタシはもういい。それより、さやかのほうを…」

マミ「…ええ」


737 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:08:36.99 ID:muo+N4Nn0

さやか「…」

マミ「おかしいわ…。外傷は何もない。体に特に問題は無いわよ?」

杏子「んじゃあ、やっぱりソウルジェムに何かあったのか…」

マミ「そういえば美樹さんのソウルジェムは? どこにも見当たらないけれど…」

杏子「わからねぇ…急に何か起きたと思ったら、いきなりあの魔女が現れて…」

マミ「じゃあ、ソウルジェムが体から離れているのかしら。この感じ、あなたの時とそっくりよ」

杏子「じゃあ、あそこにあるのか? くっそ、魔女の奴が他の場所に移ってるといいんだが…」



738 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:09:46.82 ID:muo+N4Nn0

QB「無駄なことは止めたほうが良いよ」

マミ「…キュゥべえ」

杏子「無駄だと? ふざけんな、さやかを探すことのどこが無駄なんだよ」

QB「杏子。君はもしかしたら、とっくに事実に気が付いているんじゃないのかい? だったら、現実を見つめるべきだよ」

杏子「…!」

マミ「佐倉さん、何か知っているの…?」

杏子「違う! そんなわけねぇ! そんなこと…」

QB「やれやれ、じゃあ僕から言わせてもらうよ。その方が君も認識しやすいだろう」

マミ「…キュゥべえ、何か知っているの?」

QB「ああ、美樹さやかの居場所をね。といっても、君たちがついさっき戦っていたんだけど」

杏子「…」

マミ「え?」




QB「美樹さやかは、穢れを溜め込み過ぎて、ソウルジェムをグリーフシードに変化させた。魔女を生んで消滅したよ」

マミ杏「…」

QB「さっきの魔女が生まれ変わった美樹さやかだよ。といっても、もう彼女は何も覚えていないだろうけどね」




739 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:10:37.56 ID:muo+N4Nn0

杏子「てめぇ…」

QB「その死体は早く処理してしまったほうが懸命だと思うな。君たちの社会でも、確認されていない死体の処理は面倒なんだろう?」

杏子「そんなこと、今まで黙ってやがったのか!」

QB「魔法少女と魔女の関係のことかい? 聞かれなかったからね。それに警告はちゃんとしたから、非難される道理はないと思うけれど」

杏子「ふざけんな! これがテメェの目的か…! アタシ達を同士討ちさせることが、狙いだったんだな!」

QB「それは目的でなくて手段だよ。そのおかげで、僕たちは自分たちの目的を達成できる。教えてあげるよ、これは君たちにとっても有益な話だしね」

杏子「…!」

QB「君たちの…」ザシュ


740 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:11:09.86 ID:muo+N4Nn0



  ザシュズブザシュザスドスドスブシュ



杏子「…んなもん、聞きたくねぇ。どうせ、ロクでもないもんに決まってる」

QB「…」

杏子「畜生、さやか…」



741 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:12:53.45 ID:muo+N4Nn0


   シュル


杏子「?!」

杏子(リボンが…体に巻きついて!)

マミ「…」

杏子「おいマミ! どうしちまったんだ!」

マミ「…うっ…うっ」ジャキ

杏子「ちょっと待て! 冗談きついぞ!」

マミ「…うっ…あ…」ポロポロ

杏子(やべえ、ショックがデカすぎたのか?!)

マミ「あ…ああ…うあああ」ポロポロポロ

杏子(っていうか、人のこと考えてる場合か! これじゃあ避けられねぇぞ!)

マミ「ああああああああああ」




742 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:13:24.77 ID:muo+N4Nn0




マミ「ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!」

マミ「あなたも、私も…!」




 ドン



743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/12(月) 23:13:37.71 ID:NLGc78qwo
さやかの魔女化で忘れてたけどそういやマミさんもやばかった!
744 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:14:07.44 ID:muo+N4Nn0




杏子「うぉりゃ!」シャッ




マミ「きゃっ!」

杏子(あぶねェ、寸前でリボンを切れたぜ…。武器が刃物でよかった)

マミ「離して! 離してよ!」

杏子「離したら、また心中しようとするだろ! いいから大人しくしろ!」

マミ「だって私たち、みんな魔女になるのよ! どうしようもないじゃない!」

杏子(完全に錯乱してやがる…。ひっぱたくなり、なんなりして落ち着かせねーと…)

マミ「魔女になんかになりたくない! なりたくない!」

杏子(くっ、両手は抑え込んでて使えねーし。何がショックを与えられる方法は…)

マミ「もうやだあぁ、やだよぉ!」

杏子「あああああああああああ! もう!」


745 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:15:17.27 ID:muo+N4Nn0




   ムチュ




マミ「!!!!?????!!!!」

杏子(ちくしょう、こんなやり方しか思いつかなかったじゃねーか!)

マミ「んー! んー!」

杏子(あっ、こら逃げんな!)ガッシ

マミ「?!?!?!?!?!?!?」バタバタ

杏子(ええい、こうなったら)チロ

マミ「??!!!??!!……」

杏子(…ついでに)ペロペロ

マミ「…――」

杏子(初めてだったんだけどなぁ…)

マミ「―」



746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:16:20.03 ID:oOK/Kvkho
キマシタワー
747 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:16:24.30 ID:muo+N4Nn0

杏子「ぶはあっ!」

マミ「…」

杏子「この…、やっと大人しくなったな」ゼェゼェ

マミ「…」

杏子「ったく、何でこうアタシのまわりはこう面倒なやつが多いんだ…」

杏子(まあ、こいつが錯乱したからこっちは冷静になれたけどよ)

マミ「…」

杏子「さて、こいつも連れてまどか達と合流しねーと」


748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/12(月) 23:16:39.98 ID:NLGc78qwo
いきなりベロいったあああああああああああああああああ
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/12(月) 23:16:53.02 ID:IWLzgXBjo
(゜д゜)
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/12(月) 23:16:58.98 ID:GAga/IRCo
あらやだ奥さん! ベロチューですわよ、べろちゅー!
751 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:17:04.87 ID:muo+N4Nn0




さやか「…」

杏子(さやか…)




752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:17:41.87 ID:oygzqFDLo
まさかのここから杏マミとな
753 :1 [saga]:2011/09/12(月) 23:17:57.81 ID:muo+N4Nn0

今日の投下はここまでです。

次の投下は水曜日になります。
ご拝読ありがとうございました。



754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:18:09.53 ID:eMYpG2NIO
さやかは犠牲になったのだ・・・杏マミの犠牲にな・・・。
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/12(月) 23:18:40.60 ID:IWLzgXBjo
乙。
なるべくしてなってしまったというところですな
そろそろほむほむの秘密も明かされる頃か?
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/12(月) 23:19:26.13 ID:NLGc78qwo


まさかの杏マミとは・・・大した奴だ
あとベロチューのインパクトで流されてるけどまどか、もしかして記憶が・・・?
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/09/12(月) 23:21:31.94 ID:b+ByYUfM0
杏マミは予想外だった
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:21:49.63 ID:sKtaCTIQ0
乙ですたー
いや、ベロチューに流されなくても前回のラストで今まで「ほむほむ」だったのが「ほむらちゃん!」って…
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/12(月) 23:22:03.36 ID:GAga/IRCo
乙まみ
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/12(月) 23:23:22.48 ID:QLP5OYp50
杏子ちゃんマジ王子様
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 23:25:13.01 ID:LguzfwKgo
お疲れ様でした
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:27:09.04 ID:4NAZeoyHo
乙乙
色々と大問題のバーゲンセールだが、まどほむ側の方も気になるな……QBも不穏なセリフ吐いてやがったし
ジョーカーエクストリーム!
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/12(月) 23:27:39.15 ID:nKiuYSOw0
乙!

さやかって本当に面倒くさいなとか思ってたのが、杏マミで全部吹っ飛んだ
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/12(月) 23:30:19.69 ID:aIOMbgeSo
乙!!

わっふるわっふるぅぅぅぅ
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/12(月) 23:33:20.40 ID:oTwUJj41o

頭突きでもするのかと思ったら斜め上のベロチュー!
さやかはもうダメなのかな…まどかの記憶は…また今回もちりばめ過ぎww

関係無いが過呼吸のシンジをキスで治すカヲル浮かんだww
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 00:15:31.37 ID:JARxeG6DO
キャラ叩きを容認してる時点で無駄とは思うが
次があるなら注意書きくらいはしっかりしといてくれ
なるだけ不快なのは見たくないからな
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/13(火) 00:39:23.43 ID:FVOBxiSDo
キャラ叩いてるのは、感想で色々言ってる連中だと思うが。
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/13(火) 02:20:18.12 ID:rY5RnzyPo
ほむらがほむほむになる様な世界だ何が起こったって驚かんよ
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 02:23:11.02 ID:A5fUf3rno
これは一筋縄ではいかないな…
思ったより長引きそうだ
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 10:31:53.68 ID:b6iWRxMSO
ついでに、じゃないだろ杏子ちゃんww
しかし各方面の展開が見逃せんなこれは…
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/13(火) 12:35:05.75 ID:KBxL/MD20
これたぶん最善手だよな
両手塞がってて、物理的な衝撃は痛覚遮断で効果がないおそれがあるし
百合展開はあまり好きじゃないんだが、これは全然問題なかった
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 14:26:43.20 ID:JsGoQRvK0
>>766
注意書きってどうしろと・・・
さやかが聖女じゃありません→もともと一般的な小市民代表です
さやかが魔女化します→ネタバレ。へたすれば原作否定
杏マミ展開です→ネタb(ry
俺はさやか好きだが、QB(しかもゾンビ説明後)とグルになるとこに違和感がある以外は
丁寧に描写してくれてると思うんだがなぁ

773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/13(火) 14:29:16.90 ID:5neuoKi/o
お客様にエサを与えないで下さい。
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/13(火) 16:55:21.05 ID:SINRHH8Do
>>766
一生ROMってろ
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 21:04:45.26 ID:BtVeO3mGo
>>771
キス固め(リップロック)って実際に存在するプロレス技なんだぜ。別名ときめきメモリアル。
本来は精神的ダメージを狙った技だが、ここの場合完全にキマシだな。
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/14(水) 12:27:32.32 ID:WETYZ9SAO
そういえば聞いたことあるな。
女子プロレスならまだしも男がやったら観客にもダメージが行くなw
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 19:54:19.39 ID:Q5R+t78IO
アーーーーーーッ!!!
778 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:39:46.37 ID:qvmU5e160
続きを投下します。
779 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:40:29.01 ID:qvmU5e160

―まど部屋―

ほむら「…」

まどか「…ほむらちゃん」

ほむら「…」

まどか「さやかちゃん、止められなかった…」

ほむら「…」

まどか「こうならないように、頑張ってきたはずだったのに…」

ほむら「…」

まどか「ほむらちゃんはずっとこんな気持ちで戦ってたんだよね。何度も何度も」

ほむら「…」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「…」

まどか「わたし諦めないよ。きっと、さやかちゃんを元に戻す方法はあるよ。ほむらちゃんが諦めなかったように、わたしも諦めない」

ほむら「…」

まどか「もちろん、ほむらちゃんのことも絶対」

ほむら「…」

まどか「だから、早く元気になって。ほむらちゃん」


780 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:41:12.97 ID:qvmU5e160

―マミ宅―


マミ「あの…、そろそろソウルジェムを返してほしいのだけれど…」

杏子「うるせぇ、豆腐メンタル」

マミ「と、豆腐メンタル?!」

杏子「ショックだったとはいえ、いきなり心中しようとしやがって」

マミ「あ、あれは…その…」

杏子「とにかく、ソウルジェムはこっちで預かる。また、錯乱して無理心中されるのは勘弁してほしいからな」

マミ「学校はどうするのよ! まさか、ついてくるつもり?」

杏子「あのなぁ…、もう呑気に学校なんかいってる場合じゃねーだろ。今日と同じく当分休め。どーせ、大した用事なんか無いだろ」

マミ「…」ズーン



781 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:42:13.32 ID:qvmU5e160

マミ「…鹿目さんは?」

杏子「ほむらの看病してるよ、まだ目を覚まさないんだとさ」

マミ「ほむら?」

杏子「ああ、マミにはまだ言ってなかったな。ほむほむの本名だと。暁美ほむら」

マミ「そういえば、ほむほむも本当は普通の人間だったのよね。すっかり忘れていたわ」

杏子「まぁ、あんななりだしな」

マミ「考えたら何も知らないのよね、あの子のこと。喋れないからというのもあるけど」

杏子「まぁ、何か色々あるのは確かだろうな。魔法少女が魔女になることも、知っていたみたいだし」

マミ「え?」

杏子「まどかがあんまりショック受けてなかったからな。こっちはマミん時みたいになるんじゃないかと、ヒヤヒヤしてたっつーのに」

マミ「そう…なの」



782 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:42:58.30 ID:qvmU5e160

杏子「ほむほむ知っていたのかもな。魔女と魔法少女のこと」

マミ「そうね…。そういえば、ソウルジェムの浄化に関しては、私が言わなくても特に念入りしていたような気がするわ。美樹さんはサボることが多かったのに」

杏子「そっか。まあ、知ってりゃそうなるわな」

マミ「ええ。誰しも魔女になんかなりたくないものね…。絶対に」

杏子「まあ魔女の正体に関しては隠して正解だと思うけどな。
   こんなこと実際に直面しないと信じられないし、マミは豆腐メンタルで受け入れられないしな」

マミ「それはもういいでしょ!」



783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/14(水) 22:43:06.62 ID:i89Ofhn7o
あんこちゃんの「ほむ」って呼び方好きだったのに……
784 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:43:46.46 ID:qvmU5e160

杏子「だっていきなりリボンで縛って、銃向けてられたんだぜ。文句の一つも言いたくなるっつーの」

マミ「だ、だって仕方ないじゃない! あ、あんなこと急に知らされたら誰だって…」

杏子「納得いくか、そんな理由! 正気に戻すのに、スゲー苦労したし」

マミ「…!」

杏子「あん? 何顔赤くしてんだ?」

マミ「あなたがそんなこと言うからでしょ! そ、それに…あんな方法で」

杏子「ああ、ちゅーか」

マミ「っ…!」カァァァァァァァァァ

杏子「言っておくけど、アタシはファーストキスだったんだ。こっちだって失うもんがあったんだから文句いうなよな」

マミ「ファ、ファ、ファ…」

杏子「あー、でも昔妹と遊びでちゅーしたっけか。家族相手じゃノーカンなんだっけ?」

マミ「知らないわよ!」

杏子「なんで怒るんだよ? 理不尽だぞ」

マミ「もういいからこの話は!」

杏子「ああ、そうだな。じゃあこの件はもう、蒸し返さないってことで」

マミ(キスなんて、わたしだって初めてだったのに!)



785 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:44:37.86 ID:qvmU5e160

マミ「…美樹さんは」

杏子「…向こうの部屋に体はある」

マミ「そう…」

杏子「魔法で状態は保ってるけど、所詮は一時しのぎだ。いつかは…」

マミ「それ以上はいいわ、佐倉さん」

杏子「悪りぃ…」

マミ「いえ、辛いのはわたしも同じだもの。こんなことに、巻き込んでしまった身としては、ね」


786 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:45:10.63 ID:qvmU5e160

杏子「…なんとかならねーかな」

マミ「今まで魔女が魔法少女の成れの果てなんて、聞いたこともなかったわ。
   それだけ情報が少ないのだもの。恐らく前例はほとんどないでしょうね。戻れるとしたら、それこそ奇跡みたいなものでしょう」

杏子「奇跡か…。アタシ達魔法少女はテレビじゃ奇跡を起こせる存在だったんだけどな」

マミ「現実は上手くいかないものよね。奇跡を起こすどころか最後は…」





QB「可能性がないわけじゃ――」



787 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:46:56.19 ID:qvmU5e160




   ドン





杏子「声を聞いただけで瞬殺かよ」

マミ「気持ちはちゃんと表現しないと伝わらないわよ」

QB「酷いなあ、マミ。話くらいは聞いたらどうだい? 代わりはいくらでもあるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね」

杏子「まあ、死なないみたいだしな」

マミ「それでも、こちらの意思は十分伝わったでしょう。きっと」

QB「こんなことしなくても、僕は君たちのことは理解できるよ。そのように努力しているからね」




杏子「…で、どの面下げてきやがった、テメェ」ジャキ

QB「僕は君たちに有益な情報を持っているかもしれないんだよ? 少しは、歓迎してもらいたいものだね」

マミ「これまでの自分の振り返ることね。キュゥべえ。そうすれば、口が裂けてもそんなことは言えないと思うけれど」

QB「まったく、認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね。理不尽と言わざるを得ないよ」

マミ「認識の相違を自覚しておきながら、事が有利に運ぶように黙っていたのなら、憎悪されても仕方ないと思うけれど?」

QB「自らの優位性を保つように行動するのは、当たり前だよ。それが合理的というものだ」

マミ「そうやって自分のことしか考えない人間は嫌われるわ。といっても、あなたは人間じゃないから人間関係のことなんて理解できないのでしょうけど」

QB「わかっているじゃないか、マミ。多くひしめく君たちが、どうして単一個体に大騒ぎするのか。その価値基準こそ、僕らは理解に苦しむなあ」

マミ「私も、あなたの考えは理解に苦しむわ」

杏子「そんな話をしに来たのか、てめぇは。それなら、無意味にその体を潰してやるけど」

QB「話をしてきたのは、君たちも同じじゃないか。まったく、理不尽だよ」


788 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:47:56.77 ID:qvmU5e160

マミ「有益な情報と言ったわね。それは美樹さんのことについてかしら」

QB「まあ、そうだね。魔女になった美樹さやかは、この街に結界を張って暴れているよ」

杏子「…!」

マミ「…それだけ? あまり有益とは言えないわね」

QB「他にもあるけれど、さっきも言った通り、僕と君たちでは価値基準が違うんだ。何が有益になるかは、そちらが質問してくれないと分からないよ」

杏子「じゃあ、答えろ! さやかを元に戻す方法はあるのか!」

QB「魔女が元の人間に戻った前例は、僕の知る限りでは、無いね」

杏子「っ…」




マミ「『僕の知る限りでは』と言ったわね。じゃあ、可能性はあるということかしら?」

QB「魔法少女は条理を覆す存在だ。君たちがどれ程の不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない。
   さっきも言った通り、前例はないから方法はわからないけれどね。こればかりは助言のしようがないよ」

マミ「そう…、もういいわ」

QB「そうかい? 聞かれれば、まだ答えられることもあると思うけれど?」

杏子「役立たずは帰れっつってんだよ、糞害獣」

QB「酷い言われようだね。こっちは君たちの言う善意で来てるというのに。じゃあね」タッ



789 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:48:57.98 ID:qvmU5e160

杏子「…どう思う?」

マミ「…たぶん、罠ね」

杏子「だよなぁ?」

マミ「希望があるような言い方をしてたけど、その実、具体的な案は何も無し。
   目的は分からないけれど、私たちに美樹さんの救出を行わせて、そして失敗してほしいのでしょうね。キュゥべえは」

杏子「やっぱ、むかつくな。アタシも引き裂いてやりゃよかった」

マミ「それよりも…、どうするの?」

杏子「…」

マミ「美樹さんのこと」



790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/14(水) 22:49:28.56 ID:i89Ofhn7o
頭に血が上ってないマミさんは頼りになるなぁ
791 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:50:16.42 ID:qvmU5e160

―まど部屋―


まどか(ほむらちゃん、まだ起きない)

まどか(どうしよう…、このまま起きないなんてことないよね?)

まどか(怪我の方は、魔法で治した。だから、大丈夫だよね?)

まどか(ほむらちゃん…)



  コンコン



まどか「?」

杏子「まどか、いいかい?」

まどか「あ、杏子ちゃん…」

マミ「こんにちわ、鹿目さん」

まどか「マミさんまで…、玄関から上がってもらえばよかったのに」

杏子「バカ野郎。アタシはともかく、マミのやつは学校に行っている時間なんだぞ。怪しまれるだろう」

まど「あ、そっか…」

マミ「ふふっ。後輩の家に窓からお邪魔するなんて、なかなか無い体験ね」

杏子「あのなぁ、遊びに来たんじゃないんだぞ?」

マミ「わかっているわよ。ちょっと言ってみただけ。じゃあ、鹿目さん。入るわね」

まどか「あ、はい」



792 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:51:43.62 ID:qvmU5e160

まどか「さやかちゃんを助けに行く…?」

マミ「ええ」

杏子「おう」

まどか「何か方法が見つかったんですか?」

杏子「確実というわけじゃないが、一応、作戦はね」

マミ「考えたのだけれど、魔女になったとしても、あれは美樹さんに変わりはないわ」

杏子「だからさ、ひたすら呼びかけてみようと思うんだ。呼びかけるのはアイツが憧れていたマミで、アタシはそのフォロー」

マミ「もしかしたら、これで美樹さんの意識を呼び覚ませるかもしれない。それでグリーフシードがソウルジェムに戻るかはわからないけれど…」

杏子「なあに、あれだけ頑固なやつだったんだ。魔女になったところで、そう簡単に意識が消えやしねぇよ。そのままグリーフシードがソウルジェムの変わりになるかもしれねぇしな」

マミ「とにかく作戦はこれ。後は状況に応じて出たとこ勝負ってところね」

杏子「まあ、もしかしたら、あの魔女倒したら中からさやかのソウルジェムがひょっこり出てくるかもしれないし。そうしたら万々歳。上手く行くことを祈っててくれよ、まどか」


まどか「でもそれは…」

杏子「…ああ、わかってるよ」

マミ「ええ、万に一つの可能性も無いでしょうね」

杏子「でもだからって、諦めることはできないからな」



793 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:52:30.86 ID:qvmU5e160

まどか「…もしかして、キュゥべえに何か言われたんですか?」

マミ「! どうして、そう思うの?」

まどか「キュゥべえは魔法少女の祈りと、絶望して魔女になったときのエネルギーを集めているんです。
    もし、マミ達やほむほむが居なくなったら、ワルプルギスと戦う為にわたしがちゃんとした魔法少女になるしかないから…」

マミ「…成る程、辻褄はあうわね」

杏子「これでアタシたちがやられれば、まどかが魔法少女になってまたエネルギーが得られる。まどかはすんげぇ才能があるんだよな」

マミ「ええ、キュウベエが見てきた中では一番の才能といっていたわ。恐らく、得られるエネルギーも膨大なものになるのでしょうね」

杏子「ついでにさやかの奴を戻せなくてアタシ達が絶望すれば、そっちのエネルギーも回収できて一石二鳥ってわけか。くっそ、腹立たしい」



794 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:53:29.01 ID:qvmU5e160

マミ「…それでも、やるわ」

杏子「…ああ、そうだな」

マミ「そうだとしても、美樹さんを見捨てる理由にはならないもの」

杏子「キュゥべえの奴の手の平の上ってのは気に食わないが、さやかが戻れば何の問題もねぇ。
   それに放置するわけにもいかないしな。魔女になったとはいえ、さやかに人を襲わせるわけにはいかないんだ。
   …アイツはそんなこと、望んでなかったはずだからな」

マミ「貴方も美樹さんを見捨てるつもりは無いのね」

杏子「当たり前だ」

マミ「不思議ね。あんなに仲が悪そうだったのに。てっきり、見捨てて退治するものだと思ってたわ」

杏子「こっちにも色々あるんだよ。見捨てる気はねェよ」

マミ「…」


795 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:54:28.65 ID:qvmU5e160

杏子「まどかは、悪いがここでほむほむの面倒を見ててくれ」

マミ「そうね。酷なようだけど、今の変身出来ない鹿目さんを守れるほど、こちらには余力がないわ。
   只でさえ、下手に攻撃を加えられない相手ですもの。魔法少女じゃないと…」

杏子「ま、足手まといだな」

まどか「…」

マミ「ちょ、ちょっと…」

杏子「何だよ、こういうことははっきりしておいたほうが良いだろ?」

マミ「それはそうだけど、もうちょっと言い方を…」

杏子「まぁ、確かにまどかも一緒に語りかけてくれれば、少しは可能性が増えるとは思うんだがな。
   今回はダメだ。おとなしく、そいつの面倒を見てやってくれ」

マミ「鹿目さん。あなたはその子の側に付いていてあげて。美樹さんのほうは私達に任せて、ね?」



796 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:55:22.73 ID:qvmU5e160



まどか「…だめです」



杏子「まどか?」

まど「だめ…です。そんなんじゃ、マミさんや杏子ちゃんを…行かせるわけに…は」

マミ「鹿目さん? あなた…泣いて?」

杏子「…無謀だとはアタシも思うよ、まどか。でも、さやかの奴を魔女にしたままにはおけないんだ。
   どんなに上手くいく目が薄くても、やるしかねぇ。ほんの小さな可能性でも、そこにかけるしか今のアタシ達には…」

まどか「…可能性…なんて…な…い」

杏子「え?」

まどか「あの時だって、みんなで…一生懸命、呼びかけたの。でも、どうにもならなくて…結局…ほむら…ちゃんが…」

杏子「あの時?」

マミ「ちょっと待って、鹿目さん何の話をしているの?」

まどか「それで…みんな…死んじゃって…。ワルプルギスの夜には勝ったけど…、わたし、ほむらちゃんに…お願いを…」

マミ「ほむら…さん? それってほむほむの…」

杏子「ああ、本名だけど…」

まどか「…ひっく…ひっく…」


797 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:56:22.39 ID:qvmU5e160

マミ「…鹿目さん、前々から気にはなっていたのだけれど」

まどか「…はい」

マミ「あなたは何を知っているの?」

まどか「…それ、は」

マミ「もしくは、貴方たち、ね」

杏子「どーいうことだよ、おい?」

マミ「鹿目さん、別にあなたを敵だとかそういう風に言いたいわけじゃないの。そんなことないのは、出会ってからのあなたを見ればわかるわ
   ただ、何かを隠していることがあるのは、…その、あまりいい気分ではないわ」

杏子「おい、マミ。隠し事の一つや二つくらいいーじゃねーか。そこまでおおっぴらにするのもどうかと思うぞ」

マミ「悪いけれど、今回はそうもいかないの。もし魔法少女と魔女に関する情報があるなら、美樹さんを戻すためにも聞かなければいけないわ」

杏子「…そりゃ、そうだけどよ」

まどか「…」

マミ「鹿目さん、あなたどうして美樹さんにこの作戦が通用しないことを確信しているの?
   美樹さんを元に戻すために役立つ情報があるなら、教えて頂戴?」



798 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:57:50.89 ID:qvmU5e160

杏子「いや、マミ。やっぱりやめとけよ」

マミ「佐倉さん…、でも」

杏子「まどかはさやかの友達なんだ。そんな情報があるなら、隠しゃしねーよ」

マミ「それは、そうだと思うけど…」

杏子「言えないなら、言えないなりの理由があって、それがアタシたちのためでもあるんだろ。
   まどかにあの糞害獣みたいに都合よく物事隠して、事を運ぶような頭はねーよ」

マミ「酷いことをさらりと言ってるわよ。でもまあ、そうね…。鹿目さんはそんな子じゃないわね」

杏子「だろ?」

マミ「…いいわ。鹿目さんごめんなさい。聞きづらいことを聞いてしまって」

まどか「そんな…」



杏子「でも、話せるようになったら話してくれよ? 何か気になるし」

マミ「…結局、貴方も気になるんじゃない」

杏子「だって気になるじゃんよ。善人まっしぐらのまどかが隠し事だぜ? こりゃ、明日にも槍の雨が降るな」

マミ「貴方が降らすんじゃないでしょうね? 気になってウズウズするとかで」

杏子「ワルプルギス用にアタシもそんな必殺技考えてみるかなー。『槍・フィナーレ!』なんつって」

マミ「…」

杏子「おい、何かいってくれよ。けっこー辛い」

マミ「…全く。これから美樹さんを助けに行くっていうのに、貴方ときたら…」

杏子「肩に力を入れ過ぎると、ロクなことにならないからな。これくらいがいいんだよ」

マミ「貴方はもっと、ギラついた野獣のような子だと思ってたのだけれど。私の勘違いだったみたいね」

杏子「野獣だって、屋根の下で三食付きの生活をすりゃ、少しは余裕も出て来るさ」

まどか「…」



799 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:58:50.48 ID:qvmU5e160

まどか「ごめんさい」

マミ「鹿目さん?」

まどか「マミさんも、杏子ちゃんも。わたしのこと信用してくれてるのに、何も言えなくて…。
    ほむらちゃんにも、仲間に隠し事はダメだって言ったのに…」

マミ「気にしないで。でも、言えるときになったら言って頂戴ね?」

まどか「…はい。でも、ダメなんです。全部わたしが何とかしないと。絶対に。みんなを巻き込んじゃ…」

マミ「…」


800 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:59:20.33 ID:qvmU5e160

マミ「鹿目さん、少しいい?」

まどか「…はい」

マミ「貴方は私たちに話せないことがある…いいわね?」

まどか「…」コク

マミ「それは、あなたとほむほむに関係すること」

まどか「…」コク

マミ「それを話してしまうと、私たちを何かに巻き込んでしまう」

まどか「…」コク

マミ「そして、それは絶対にやりとげなければいけないこと」

まどか「…」コク

マミ「…そう」

まどか「…」


801 :1 [saga]:2011/09/14(水) 22:59:52.12 ID:qvmU5e160

マミ「鹿目さん」

まどか「…はい」

マミ「貴方が何をしようとしているのか。何をしなければならないのか。それは分からないわ」

まどか「…」

マミ「でも、馬鹿にしないでくれる?」

まどか「え…?」

マミ「言えないだなんて、私たちが役立たずだとでも言いたいの?」

まどか「ち、ちがいます…そんなんじゃ…」



802 :1 [saga]:2011/09/14(水) 23:01:55.38 ID:qvmU5e160

マミ「だったら、私たちを頼りなさい」

まどか「え…?」

マミ「私たちは、鹿目さんの先輩なの。貴方が何か困っているなら力になりたい。こういうときに頼られて押し付けられてしまうのが、先輩の役割よ」

まどか「でも…」

マミ「人間、一人でできることなんてそう多くないわ。魔法少女でもそう。だから、みんなでどうすればいいか考えましょう?」

杏子「そうだぞ、まどか。難しいことがあるなら、誰かに押し付けて巻き込んじまえ」

まどか「杏子ちゃん…」

杏子「絶対にやらなきゃいけないことなんだろ? 
   だったら周りを利用でも何でもして、ちゃんと達成しろよ。手段なんか選んでんじゃねぇ」

まどか「…」

杏子「幸い、ここには巻き込まれても平気だって言ってるやつが二人いるんだからさ。頼っちまえよ。こんなチャンスは滅多にねぇぞ」


まどか「本当に、いいんですか…? 全部、わたしがいけないのに…」

マミ「かまわないわ。後輩に頼られないなんて、悲しいもの」

杏子「先輩なんて、後輩にしてみりゃ面倒押し付けるくらいしか役に立たないんだからさ。遠慮する必要はないよ」




803 :1 [saga]:2011/09/14(水) 23:02:37.56 ID:qvmU5e160



まどか「………」

まどか「……」

まどか「…」




まどか「わたしは…――――」



804 :1 [saga]:2011/09/14(水) 23:04:04.82 ID:qvmU5e160

今日の投下はここまでです。

次は金曜日に投下します。
さやかちゃん関連は次で終わる予定です。

ご拝読、ありがとうございました。
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/14(水) 23:05:04.96 ID:i89Ofhn7o
乙ほむ
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 23:06:25.69 ID:mcHnZHUV0
乙ですたー
マミさんも杏子ちゃんも良い先輩だなぁ・・・
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 23:16:04.12 ID:yzIytwRDO
乙!!

ぬぉぅ…金曜日がまちきれないぜ…
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/14(水) 23:36:34.44 ID:Pa3wHbIuo
お疲れ様でした
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/14(水) 23:40:53.31 ID:k58zz9WG0
乙!

さやかはどうなるんだろうか
アニメ通りにいくと殺してしまうことになるんだが・・・

810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/14(水) 23:41:19.28 ID:lO2w91ze0
乙ー

冷静なマミさんマジハイスペック
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/14(水) 23:44:56.43 ID:elCVkw/Yo


冷静に考えると記憶が戻ったと思ったら親友が小動物になってたって凄い状況だ
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/15(木) 00:51:45.61 ID:Rz20oVk/o

奇跡…か
さやか戻ってこいよごめんなさいしろよー

共闘の記憶無いのに、この杏マミも息ぴったりだなww
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/15(木) 02:03:19.24 ID:49AazHbE0
原作だとさやかへの語りかけも、ほむほむがQBに可能性が無いことを確認したのも最終ループだったよね
にも関わらずまどまどがそれを過去形で語っている…だと?
まさか、まさかそういう事なのか?
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/09/15(木) 03:20:52.91 ID:xaVitBEAO
>>813
みんなで呼びかけたってのとまどかがほむほむにお願いしてるらしいから3周目だと思う
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/15(木) 04:47:19.36 ID:Bnz6TVcAO
冷静な時のマミさんはホント頼もしいな
慢心してない時は因果が集まりに集まってチート化したまどかを除けば総合力でトップクラスだろうし
816 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:09:41.88 ID:eP3VFy740
続きを投下します。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/16(金) 22:10:38.21 ID:pEr6AqK9o
きたか……!
818 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:11:19.52 ID:eP3VFy740

―魔女結界内―


マミ「美樹さんは、ここね」

杏子「間違いねェ、魔力のパターンが昨日と一緒だ。この先にいるのは間違いなくアイツだよ」

マミ「…」

杏子「なんだよ、急に黙っちまって。怖気づいたのか?」

マミ「そうじゃないけど。…元々穴だらけな作戦だったけど、さらに以前失敗したって聞かされると、ちょっとね」

杏子「そうは言っても、他に考えが浮かばなかったしなぁ。かといって、さやかをこのままにしとくわけにもいかねーし」

マミ「…ええ、美樹さんを魔女のままにするわけにはいかないわ」

杏子「ああ、アイツは正義の味方を目指してたっていうのに。そんな残酷なことはさせられるもんか」

マミ「…やっぱり、私が」

杏子「…ごめん、そこは譲れないよ」

マミ「でも…」

杏子「いざとなった時の、止めはアタシが刺す。それがアタシのけじめだ。マミは優しい先輩のままでいてくれ」

マミ「…」


819 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:12:13.29 ID:eP3VFy740

杏子「それよりも、大丈夫だよな?」

マミ「何が?」

杏子「ソウルジェム。返したけど、またいきなり発狂なんてなったら困るんだけど」

マミ「大丈夫よ、もう」

杏子「嘘じゃないよな?」

マミ「…死ぬことはいつでもできるけど、生きることは今しかできないもの。
   それに、まだやり残したことがあるのに死ぬのは勝手すぎる。鹿目さん達との約束もあることだしね」

杏子「それからはどうするんだよ?」

マミ「…」

杏子「やることが終わって、ワルプルギスの夜を倒したら、マミは死ぬのか?」

マミ「少なくとも、魔女になる前には、ね。ソウルジェム…砕かない…と…」


820 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:12:46.71 ID:eP3VFy740

杏子「…悪い。意地悪だったな」

マミ「ごめんなさい。やっぱり、まだダメみたい。その時のことを考えると…」

杏子「死ぬ時のこと、考えると怖いよな。アタシも小さいころ考えてよく泣いてたよ。親父があやしてくれたけどな」

マミ「…そうなの」

杏子「やれ、いいことしてりゃ天国に行けるだのなんだの言われたけど、話の中身よりも、親父の声を聞いたら安心して怖くなくなっちまったなぁ。懐かしいよ」

マミ「…」



821 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:13:43.35 ID:eP3VFy740

杏子「だからさ、マミ。一人でいるのはもう止めることにしようぜ」

マミ「え?」

杏子「誰かと居りゃ、怖いことなんて何もないよ。魔女になりかけても、きっとそいつがソウルジェムを砕いてくれるだろうし、人を襲う前に退治してくれる。
   死ぬ時のことを考えて怖くなっても、誰かが声を聞かせてくれたり手を握ってくれれば、怖くなくなるよ、きっと」

マミ「…そうね、そうかもしれない」

杏子「ワルプルギスの夜を倒しても、一緒に戦おうぜ。倒したら、アタシ達は最強の魔法少女だ。怖いものなんて何もないよ」

マミ「ふふっ、じゃあ魔法少女カルテットの誕生ね」

杏子「おー、それならさやかのやつが戻ってくれば、ちょうど五人でヒーローになれるな! もちろん、レッドはアタシだぞ!」

マミ「私はイエロー? あんまり、いいポジションじゃないわね」

杏子「いやいや、その胸のおかげでポジションはぴったり…。じょ、冗談だよ冗談」

マミ「あんまりつまらない冗談を言うと、撃ち抜くわよ?」

杏子(やっぱり、ジェムを返すのは早まったかな…)



822 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:15:47.58 ID:eP3VFy740

マミ「そういえば、佐倉さん」

杏子「何だ?」

マミ「あなたは、どうして美樹さんをそこまで気にするの?」

杏子「やっぱり変か?」

マミ「鹿目さんは『似た者同士』って、貴方と美樹さんのことを言っていたけど」

杏子「まどかも失礼な奴だな。アタシと似ているなんて言ったら、さやかが可哀そうだよ」

マミ「必要以上に自分を卑下するのは、感心しないわね。で、どうなの。本当のところは?」



823 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:16:54.23 ID:eP3VFy740

杏子「マミは、昔ヒーロー物のテレビとかアニメ、見てたか?」

マミ「? 魔法少女ならよく見てたけど…」

杏子「アタシは何とかレンジャーとかも好きだったな。親父が厳しいから、あんまり見れなかったけど」

マミ「確かに佐倉さんはそういうの、好きそうよね。でもそれが…?」

杏子「アタシはさ、ああいうのになりたかったんだよ。きっと」

マミ「そうなの?」

杏子「そ。悪と戦う正義の味方。みんなを守る無敵のヒーローってね。アタシと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって、魔法少女になった時はそうやって息巻いてたよ」

マミ「…それで」

杏子「大失敗。親父は一家心中図って、生き残ったのはアタシだけ」

マミ「…え?」


824 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:20:10.48 ID:eP3VFy740

杏子「アタシの祈りでみんなぶっ壊れちまった。あんなこと、望んだはずじゃなかったんだけどな」

マミ「そんな…。そんなの…」

杏子「それからは見ての通りだよ。二度と他人のために魔法を使ったりしない、この力は、全て自分のためだけに使い切るって誓って、マミの知ってるアタシの完成」

マミ「そう…ごめんなさい。貴方のこと、誤解していたわ。そんなことがあったなんて」

杏子「別にいいよ。誤解も何も、過去に何があったってアタシはアタシだ。マミの印象で何も変わらないよ」

マミ「でも…」

杏子「そんなこと言いたいんじゃないんだ。それで、アタシはヒーローになることを諦めちまった。そんなこと、やるのはバカしかいないってね」

マミ「…」




杏子「そんなとき、ヒーローになろうとしてるバカが目の前に現れた。それがさやかだったんだ」

マミ「美樹さんが?」

杏子「最初はバカにしてた。次に止めさせようと思った。アタシの二の舞になる奴がいるなら、止めるのがアタシの役目だと思ったんだ」

マミ「…」

杏子「で、アイツの口論になって気付いちまった。ヒーローになれなかったアタシは、アイツにヒーローにほしかったんだってね」

マミ「ヒーローになってほしかった?」

杏子「そ。本当はアタシはヒーローが居てほしかったんだよ。悪い奴に罰を与えて、正しいことをする奴が報われる様にしてくれるヒーローがね。
   親父のために戦ってたのが、その証拠さ。親父は正しいことをしていたのに、報われなかった。だから、アタシはヒーローになろうと思ったんだ。世の中にヒーローが居ないなら、なってやろうってね」

マミ「…でも、なれなかったのよね。佐倉さんは」

杏子「そう。だからアタシはさやかに本物のヒーローになってほしかった。希望だったんださやかは。
   だから、アイツがヒーローらしくないことしたから、あんなに腹が立ったんだろうな」

マミ「そうだったの…」

杏子「アタシが勝手にアイツにヒーローをやらせようとしちまったんだ。ヒーローなんて他人の面倒を押しつけられる貧乏くじ以外の何でもないのにな。
   そんなもん、押し付けられた方はたまったもんじゃないよ」

マミ「…」

杏子「…ああ、やっぱりまどかの言う通りかもな。さやかの奴はアタシに似てたから、アタシが出来なかったことをしてもらおうと思ったんだ、きっと」

マミ「…」

杏子「ホント、バカはアタシだよ。ちゃんと止めてやりゃ、こんなことにはならなかったのかもしれないのに…」




825 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:21:06.80 ID:eP3VFy740

マミ「…美樹さんは」

杏子「うん?」

マミ「あなたが何もしなくても、美樹さんは正義の味方になったと思うわ。それが、彼女のやろうとしていたことだもの」

杏子「…そうかもな」

マミ「だから、佐倉さんだけのせいじゃないと思う。何か一つに原因を求めるのは間違いよ。だから、佐倉さんがそこまで背負い込む必要はないわ」

杏子「…ありがとよ」

マミ「ちょっと、怖かったから。美樹さんのことで思いつめていたみたいで」

杏子「そうかもしれねぇな」




マミ「それと、ヒーローが欲しいなら、まず自分がなるべきよ、佐倉さん」

杏子「え?」

マミ「美樹さんにヒーローになったほしかったのなら、貴方が手本を見せればいいのよ。
   好きだったんでしょ? ヒーロー物。じゃあ、その心得をあなたが美樹さんに教えないと」

杏子「ば、馬鹿言え! アタシは失敗したんだぞ! アタシがヒーローなんて…」

マミ「一度、失敗したから何だというの? だからといって、正義に味方になれない理由にはならないわ。元悪役が改心してヒーローになるのも王道でしょ。
   それにトラウマがあるのかもしれないけれど、ヒーローが欲しいというのがあなたの願望でしょう? そこを何とかしないと、また同じことを繰り返すわ」

杏子「…」

マミ「誰かが正義の味方になれば、それはあなたの望む正義の味方になるの? 結局、貴方が欲しい正義の味方になれるのは貴方だけじゃないかしら」

杏子「…」



826 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:21:46.07 ID:eP3VFy740

マミ「…お喋りはここまで見たいね」

杏子「ああ、扉の向こうから音楽が鳴り響いてやがる」

マミ「ここまで来た道、劇場の廊下みたいだったわね」

杏子「この先にいるんだろうな、さやかの奴。自分を必要とする奴の応援を聞きながら」

マミ「佐倉さん…」

杏子「確認するぜ。アタシがおとりでマミが説得役。マミはとにかく呼びかけることに集中な」

マミ「…失敗したら、退治ね」

杏子「ああ、そのときはアタシがやる」

マミ「絶対に避けるのは、ここで私と貴方、片方でも脱落することね」

杏子「ああ、さやかだけじゃない。アタシ達には、助けてやらなきゃいけない後輩が、まだいるんだからな」

マミ「それじゃあ、行きましょう」




827 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:22:20.09 ID:eP3VFy740

杏子「…ヒーロー」

マミ「え?」

杏子「これで、さやかの奴助けられたら、ヒーローみたいだよな、アタシ達」

マミ「そうね。ヒーローアニメって、絶対こういう時成功するものよね」

杏子「…じゃあ、行くぞ」

マミ「準備はできてるわよ」

杏子「じゃあ…」





  バタン





魔女「uuuuuiiiiiiiiaaaaaaaaoooooo!!!!!」

使い魔「waaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

杏子「今助けるぞ、さやか!」



828 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:23:14.15 ID:eP3VFy740

―まど部屋―


   「ねぇ、ほむ――」


   「できれば、わたしはさやかちゃんに魔法少女になってほしくない」

   「魔法少女は祈りによって存在している。何かを祈って、その祈りでソウルジェムを輝かせる。そういう契約」

   「杏子ちゃんを、仲間にできないかなって」

   「…いなくならないでね?」

   「なんか、こう、踊るみたいな感じのがあったと思うんだけど…」

   「わたしね、色んな人に迷惑かけて生きてきたって最近分かったんだ」

   「ほむほむ! 変身するよ!」

   「…追いかけなきゃダメだったのに。手を離しちゃ、いけなかったのに…」



   「ほむらちゃん!」




829 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:23:43.90 ID:eP3VFy740

ほむら『…ん』

まどか「! ほむほむ!」

ほむら『…まどか?』

まどか「そうだよ、ほむほむ! 良かった…起きてくれて」

ほむら『…ここは』

まどか「わたしの部屋。昨日、ほむほむはひどい怪我を負って…、それで…」

ほむら『覚えているわ。美樹さやかに私は…』



830 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:24:12.43 ID:eP3VFy740

まどか「ほむほむ?」

ほむら『…まどか。美樹さやかは?』

まどか「…さやかちゃんは、魔女に」

ほむら『…そう』

まどか「…今、マミさんと杏子ちゃんが向かってる。さやかちゃんを助けるって」

ほむら「…」

まどか「あ、ごめん。お腹、空いてるよね? 何か持ってくるよ。ちょっと待ってて」



831 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:25:03.92 ID:eP3VFy740

ほむら「…まどか」

まどか「ん? なに、ほむほむ?」




ほむら(思えば、おかしなことはいくつもあった)

    (たぶん、心のどこかでは薄々勘づいてた。それでも何も聞かなかったのは、期待を裏切られるのが怖かっただけ)

    (もう自分を理解してくれる人はいない。そのはずだったから)

    (だから、この有様。もっと早く、この質問をするべきだったのに)



832 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:25:37.04 ID:eP3VFy740





ほむら「貴方は、わたしを知っているの?」











まどか「…うん、ほむらちゃん」





833 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:26:23.52 ID:eP3VFy740

―魔女の結界内―


杏子「くっそ、さやか! いい加減にしろ!」

魔女「oooooooooooeeeeeeeeiiiiii!!!」

マミ「美樹さん! あなたがしたかったのは、こんなことじゃないでしょう?!」

魔女「aaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」

使い魔「waaaaaaaaaaaaa!!!!!!」
使い魔「waaaaaaaaaaaaa!!!!!!」
使い魔「waaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

杏子(使い魔の応援がうるさい…! 伝わる伝わらない以前に、本当に聞こえてんのか…?
   かといって、あの周りの応援している使い魔を倒したら、きっとさやかは…)

杏子(畜生…。でも、これくらいしか方法は…)

マミ「街の人たちを守るんじゃなかったの! 鹿目さんを助けたかったんでしょう! 思い出して、美樹さん!」




834 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:27:28.53 ID:eP3VFy740

魔女「vvvbbbbggggggggggaaaaaaaa!!!!」

杏子「! マミ、あぶねェ!」

マミ「きゃっ!」


  ガラガラガラガラガラ!!


杏子「悪い! あの変な車輪を捌ききれなかった」

マミ「こっちは大丈夫。佐倉さんは…」

杏子「アタシもまだ行けるよ。大丈夫だ」

マミ「役割を交代しましょう。私が車輪を処理するから、佐倉さんが美樹さんを引き付けつつ呼びかけて!」

杏子「わかった!」



835 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:27:57.53 ID:eP3VFy740

杏子「おい聞け! さやか!」

魔女「ggggggggggaaaaaaaaaaa!!!」

杏子「正義の味方になるんだろ! 誰かに幸せになってほしかったんだろ!」

魔女「vvvvvvvvviiiiiiiiiieeeeeeeee!!!」

杏子「弱い人たちを守りたかったんだろ!」

魔女「xxxxxxxxxuuuuuuuuuggeeeeeeee!!!!」

杏子「魔女から守りたいって! お前が魔女になってどうするんだよ、さやか!」



836 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:28:44.27 ID:eP3VFy740

杏子(…全く、本当に世話が焼けるね)

   (力もないの突っかかってきたり、人の忠告聞かなかったり)

   (でも、こんなことしたくなる気持ちもわかるよ)

   (許せないんだろ? まどかを傷つけた自分が。何がしたかったのか、見失った自分が)

   (癇癪くらいは受け止めてやるからさ。だからさ、いい加減戻ってきなよ)

   (まどかは許してくれるよ。マミだって迎えてくれる)

   (助けを欲しがっている、ほむらみたいな奴だって、いるんだぜ?)

   (気が済んだら目ェ覚ましなよ。なぁ、さやか…)




837 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:29:17.97 ID:eP3VFy740

――――――

魔女「oooooooooooooooooooooo!!!」




杏子「…悪い。限界だ」

マミ「…こっちも、そうみたい」

杏子「これ以上は本当にダメだ。ワルプルギスと戦えなくなる」

マミ「グリーフシードの余裕ももうない…。ここまでね」

杏子「…畜生」

マミ「…やっぱりわたしが」

杏子「いや、大丈夫だよ。もう、覚悟は決めた」

マミ「…ごめんなさい」

杏子「あやまることはないよ。全部、アタシの勝手だ」

マミ「…」




838 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:29:59.41 ID:eP3VFy740

杏子「あと、アタシ。やっぱりヒーローになれそうにないや」

マミ「え?」

杏子「友達を救えずに殺す奴なんて、ヒーローになれるわけないもんな…」

マミ「佐倉さん…」

杏子「…援護してくれ、頼むよ」

マミ「…」ポロポロ

杏子「…泣くなよ」

マミ「だ、だって…こんな結末…」

杏子「アタシだって嫌さ! でも、仕方ないじゃねぇか!
   アイツに人殺しなんて…そんなこと…させるわけには…」

マミ「…ご、ごめん…なさ…」

杏子「…行くよ。援護できそうなら、援護してくれ」

マミ「…」コク

杏子「…ありがとな」




839 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:30:52.49 ID:eP3VFy740



まどか「だめだよ。杏子ちゃん」
マミ杏「…!」




マミ「鹿目さん?!」

杏子「まどか?! お前何でここに…」

ほむら「…」

マミ「ほむ――暁美さんまで…」

まどか「マミさん、杏子ちゃん。少しの間でいいから、さやかちゃんの動きを止めることはできますか?」

マミ「え…。それは…できるけど」

杏子「おい、まどか! 何するつもりだ! さやかの奴を殺すなら、アタシがっ…!」




840 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:31:27.96 ID:eP3VFy740

まどか「…違うよ、杏子ちゃん。そんなことしないよ。
    とにかく、動きを止めて。そうすれば、もしかしたら…」

杏子「…」

まどか「杏子ちゃん、お願い」

杏子「…アタシは、友達が友達を殺すところなんて見たくねぇぞ」

まどか「…うん、わたしも同じだよ」

杏子「…」



841 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:32:17.09 ID:eP3VFy740

マミ「…もしかして、美樹さんを救う方法があるの? 鹿目さん」

杏子「何だって?!」

まどか「…わかりません。さっきほむらちゃんと二人で思いついたことだから。上手くいくかどうかも分からないし…」

マミ「でも、可能性はあるのね?」

まどか「…はい」

ほむら「…」

マミ「佐倉さん。私がリボンで拘束するから、あなたは…」

杏子「ああ、周りを何とかするよ。まどかは悪いけど、自分の身は自分で守ってくれ」

マミ「それじゃ」シュ

杏子「…頼むぜ」シュ

まどか(…ありがとう)



842 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:32:59.88 ID:eP3VFy740

ほむら『…まどか』

まどか「うん」

ほむら『正直な所、上手くいく保証はないわ』

まどか「そうだね」

ほむら『でも、変身するたびにあなたの魔法少女としての力は上がっていった。その可能性に賭ける価値はあると思う』

まどか「うん。諦めたくないもんね。絶対に」

ほむら『…そうね』

まどか「それに、これが上手くいったら証明できる。不可能なことなんてないって。そうすれば、ほむらちゃんも…」

ほむら『…後で聞かせてちょうだいね。まだ、全部聞いていないから』

まどか「うん。約束するよ」

ほむら『じゃあ、まどか…』



843 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:33:42.31 ID:eP3VFy740




まどほむ「『変身!』」カッ!




――――

―――

――





844 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:34:35.28 ID:eP3VFy740

杏子「魔女が、消えた…?」

マミ「鹿目さん…、いったい何をしたの?」

杏子「グリーフシードも落ちてない…。本当に消えたのか…?」

まどか「…消えたんじゃありません。戻したんです」

マミ「戻した…?」

まどか「とにかく、さやかちゃんの所に。まだ、上手くいったかどうかわからないし…」

マミ「よくわからないけれど、鹿目さんの作戦はこれで終わったのね?」

杏子「そ、そうだな。とりあえず、マミの家に行ってみよう!」




845 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:35:24.95 ID:eP3VFy740

―マミ宅―


マミ「美樹さんに呼吸が戻ってる…!」

杏子「ほ、ホントか?」

マミ「ええ、心臓も動いているし体は健康そのものよ」

杏子「それじゃあ…!」

マミ「…でも、どうすればこんなことが…」



846 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:36:55.44 ID:eP3VFy740



まどか「…時間を戻したんです」



杏子「え…?」

まどか「わたしとほむらちゃんの能力は時間を操作することだから…。
    もしかしたら、応用すれば誰かの時間も戻せるんじゃないかって、それで…」

マミ「まさか…! それを、魔女に使ったの?!」

まどか「…はい」

マミ「…普通の人間が魔法少女になって、ソウルジェムに魂が変わる。
   そして、ソウルジェムはグリーフシードになって魔女が生まれる…のよね?」

まどか「だから、魔女の時間を戻して、その前の状態までに…」

杏子「そんなことが、出来たのか?」

まどか「ううん、出来なかったよ。最初の変身じゃ能力そのものが使えなかったし。
    でも、変身を重ねるうちに、能力も戻ってどんどん魔法でできることが増えていったから、今のわたしならもしかしたらって」

マミ「確かに鹿目さんは才能の持ち主だけど。でもこんなことまで出来るなんて…」

まどか「ほむらちゃんが、今のわたしの能力と才能なら出来るかもって言ってくれたから」

ほむら「…」



847 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:37:41.03 ID:eP3VFy740

杏子「ちょっと待て! 時間を戻したんだよな、ソウルジェムはどこにいったんだ?!」

マミ「落ち着いて考えましょう。時間を戻すということは、今のプロセスを逆に辿っていったということ。だとしたら…」

杏子「…もしかしたら、さやかは」

マミ「魔法少女じゃ…なくなった?」





さやか「…う…うん…」





848 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:38:28.30 ID:eP3VFy740

杏子「さやか!」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「え…あれ…?」

マミ「ちょっと、二人とも気持ちはわかるけど落ちついて!」

さやか「…あれ…あたし…ここは?」

杏子「おい、さやか! さやかなんだよな!」

さやか「え…あ…?」

まどか「さやかちゃん…。よかった…よかったよ…」

マミ「美樹さん。体は大丈夫? どこか、おかしいところはない?」

さやか「あ…あの…」






さやか「あなた達…誰?」




849 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:39:14.01 ID:eP3VFy740




QB(まさか、魔女を元の人間に戻してしまうなんてね。恐れ入ったよ、まどか)

QB(とはいえ、美樹さやかの魔女化のエネルギーは手に入ったし、マミと杏子も相当に消耗した。こちらとしても有益な出来事だったね)

QB(…さて、予定通り状況は上手く進んだみたいだ)



850 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:39:45.25 ID:eP3VFy740






QB(まどか。君はもう変身できないよ)






851 :1 [saga]:2011/09/16(金) 22:41:02.72 ID:eP3VFy740
今日の投下はここまでです。

次は日曜日になると思います。
長く話が続きましたが、9月中には終わりそうです。

ご拝読ありがとうございました。


852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/09/16(金) 22:43:18.63 ID:gb0C5+ano
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/16(金) 23:01:16.37 ID:PXLoovVoo
お疲れ様でした。
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 23:02:13.31 ID:sRqKcnOC0
乙ですたー
なるほど、時間を戻す効果を目標を指定してかけるのか
しかし、もう変身できないって…QBぇ…
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/16(金) 23:06:42.99 ID:pEr6AqK9o
乙。なかったことにしたかー
そうせざるをえんかったといえ、さやかちゃんにはまどかたちに謝ってほしかった
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/16(金) 23:10:29.95 ID:7NQORDmVo


魔女っていうかグリーフシードの時間を戻して魔女になる前魔法少女以前に戻したら魂の時間も戻るからそりゃ記憶も消えるか
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 23:37:03.62 ID:/ShTSt+Co


・・・・恭介の腕はどうなった?
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/16(金) 23:56:26.20 ID:HsSXH7VTo
乙!!
このQBはまどかとほむらの事をどんだけ知ってるのだらうか・・・


>>857
たんにオクさんからノーマルさやかに戻っただけだから、腕は関係ないんじゃね?
願いがチャラになったわけでもないだろうし
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/17(土) 00:27:03.30 ID:DthuX5/Jo

あなた達って杏子だけじゃなくまどか達もわからないんだよな…
魔法少女にかかわるすべての記憶が消えたのか?
この能力は他の魔女にも応用できると思ったら最後のQBェ…

>>857,858
エネルギーは吸収してるみたいだし、魔法少女自体無かった事にしたんじゃなくて、どこかのさやかまで戻したって事になるのかな

何はともあれ続きに期待。ワクワクすっぞww
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/17(土) 12:38:29.24 ID:VYeUnueRo
乙、だがどこまで巻き戻ったんだ…?
861 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:43:03.93 ID:XWzemqKO0
>>857
恭介の腕は治ったままです。

続きを投下します。
862 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:44:18.28 ID:XWzemqKO0

―翌日 マミ宅―


マミ「ただいま…」

杏子「おう、お帰り。飯、できてるぞー」

マミ「ありがとう、さっそくいただくわ」

杏子「飯はカレーな。これしか、作れなくてよ」

マミ「ううん、ありがとう佐倉さん。疲れちゃって、とても夕飯を作る余裕がなかったの」

杏子「ほれ」ゴト

マミ「…佐倉さん、これ」

杏子「カレー味なら大抵のもんは食えるからな。食い物を粗末にしない良い料理だ」

マミ「…冷蔵庫の残り物、全部入れたわね?」

杏子「不味かったか?」

マミ「味の方なら、たぶん」

杏子「食おうぜ。もしかしたら奇跡が起きるかもしれないしな」

マミ「奇跡が起きないと、おいしくならないものを入れたのね…」

杏子「まぁ、そういうなよ。奇跡を起こすのが魔法少女なんだから」

マミ「…とりあえず、いただくわね」



杏子「で…、さやかは、どうだった?」





863 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:45:03.95 ID:XWzemqKO0

杏子「じゃあ、何とかなったんだな?」

マミ「ええ。警察には道端で倒れていたのを家に運んだということで、押し通したわ」

杏子「…さやかの様子は?」

マミ「記憶がないこと以外は、健康そのものらしいわ。ただ、情緒が不安定で泣いていることが多いらしいの」

杏子「やっぱりアタシも見舞いに…」

マミ「それは我慢して。目を覚ました時にいたことは、美樹さんも覚えているだろうし。
   下手に警察にそのときの事情を聞かれて、天涯孤独の身だってバレたら、面倒なことになるわよ?」

杏子「あー、くっそ。見舞い一つ行けないなんて。何もできないのかよ」

マミ「今度、会えるような隙を見つけてみるわ。美樹さんも、目覚めた時にいた私たちに会いたいといっていたようだし、何とかしてみましょう」



864 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:48:55.88 ID:XWzemqKO0

杏子「しかし、何で記憶喪失なんかに…」

マミ「…ソウルジェムに関してはわからないことも多いわ。これが私達の魂だっていうけれど、そもそも記憶とかも魂に含まれるのかどうかもわからないし。
   時間を戻したことが原因でバグみたいなものが起きてこうなったのか、それとも記憶はあくまで肉体の問題で長い間死んでしまっていたことが原因なのか。  
   とにかく、真相はわからないわよね…」

杏子「まどかは?」

マミ「今日は学校を休んだみたい。暁美さんがついているから、大丈夫だと思うけど…」

杏子「…あんときのまどかは、見てられなかったな」

マミ「そうね…。泣き叫んで、何度もごめんねって美樹さんに謝って」

杏子「どうすりゃいいんだ。あのまま、魔女として退治されるよりはマシだ、って言っても…」

マミ「でも放ってはおけないわ。辛い状態にあるんですもの。何とかしてあげないと」

杏子「そうだよなぁ」

マミ「明日、鹿目さんの家に行ってみましょ? とりあえず今日は美樹さんの状態は電話で伝えておくわ」

杏子「ああ、頼むよ。これで少しは元気になってくれるといいけど」



マミ「もう、時間もないのよね」

杏子「…そうなんだよな」



865 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:49:57.30 ID:XWzemqKO0

―まど部屋―


まどか「…はい…はい。…そうですか。…はい。…ありがとうございます。
    …わたしは大丈夫です。…はい、おねがいします」


   PI!


まどか「…」

ほむら『…まどか』

まどか「…さやかちゃん。お父さんやお母さんのことも思い出せないんだって」

ほむら『…そう』

まどか「ご飯の食べ方とか、言葉とか。そういうことは大丈夫だけど、自分のことは何にも憶えていないんだって」

ほむら『…辛いわね』

まどか「誰も知ってる人がいなくて、不安で眠れないんだって。マミさんが言ってたの。怖くて、泣いてるんだって」

ほむら『…』

まどか「わたしが悪いんだ。もっと、何かできたはずなのに…。わたしが…」

ほむら『まどか、あなたはやれるだけのことはやった。魔女を人間に戻すなんて、それまで不可能だったこともやり遂げた。
    美樹さやかは十分救われたわ』

まどか「…救われてなんかいないよ。好きだった上条君のことも忘れちゃって、他にも色んなものをなくしちゃって」

ほむら『…じゃあ、貴方は美樹さやかはあのまま魔女として死んだ方が良かったとでも言いたいの?』

まどか「違う! そんなの絶対違うよ!」

ほむら『まどか。貴方は神様じゃない。出来ることと出来ないことがある。何でも出来ると思っているのなら、それは傲慢だわ』

まどか「でも、もしかしたら他に良いやり方があったかもしれないんだよ? これじゃあ、さやかちゃんが可哀そうすぎるよ…」

ほむら『可哀そうなんかじゃないわ。美樹さやかは救われた。呪いを撒き散らすこともなく、魔法少女の運命からも解放されて、普通の人間として生活を送れるようになった。
    あの状況から、ここまで戻れたのが奇跡よ』

まどか「でも…」



866 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:51:27.62 ID:XWzemqKO0

ほむら『…いい加減にして』

まどか「…ほむらちゃん?」

ほむら『まどかのおかげで確かに救われた人がいる。なのに貴方はその人を否定するの? あなたは不幸な人間ですって』

まどか「…そんな、わたしは」

ほむら『貴方は人を助けたの。貴方に救われた人がいるの。でもまどかは『あなたは不幸です』ってその人に言うの?
    ふざけないでよ。救われたのに、救われてなんかいないって言ってもう一度絶望させるの?』

まどか「…それは」

ほむら『…助けられたわ。美樹さやかも、そして私も』

まどか「…!」

ほむら『…ねぇ、貴方と出会ったのは間違いだったの? あそこで魔女に殺された方が、私は幸せだったの? 
    貴方と友達にならないほうが、私にとっては良かったの?』

まどか「…ごめん」

ほむら『わたしだって…、貴方に助けられたのに…。助けてくれて…嬉しかったのに…』

まどか「…ごめん、ごめんね」

ほむら『それが間違ってるだなんて…そんなこと…言わないで』





まどか「…ごめん、ほむらちゃん」

ほむら『…私は貴方を助けるって…、でも、まどかを助けることが出来なくて…、でも、貴方を死なせたくなくって、それで…』

まどか「…うん、全部知ってる。ほむらちゃんのソウルジェムが教えてくれたから」




867 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:52:18.53 ID:XWzemqKO0

まどか「最初はね、夢だと思ってたの」

ほむら『夢?』

まどか「うん。会う前に見たほむらちゃんが、何か怖いものと戦ってる夢。
    でも、最初に変身したときから、その夢が妙に鮮明に思い出せるようになって…」

ほむら『…それは、たぶん』

まどか「うん。夢じゃなかったんだって、マミさんからワルプルギスの夜のことを聞いたときに分かったの。
    話の中の光景と夢が、あんまりにもそっくりだったから」

ほむら『…前の世界の戦いね、きっと』

まどか「…実はね。あのときに、ほむらちゃんの名前、もう知ってたんだ」

ほむら『え?』

まどか「結構、大変だったんだよ? 何度も『ほむらちゃん』って言いそうになっちゃって。
    でも、ほむらちゃんは自分のこと隠してるみたいだし、どうしてほむらちゃんの記憶が見えるのか自分でも説明できなかったから、言い出せなくて」

ほむら『そうだったの…』



まどか「それからね、変身するたびに自分の知らない記憶が思い出せるようになったの。
    さやかちゃんが魔法少女になってて戦ってたり、杏子ちゃんが一緒に戦ってくれてたり。杏子ちゃんのことを思い出したのは出会った後だったけど」

ほむら『…まさか、以前の世界の記憶? でも、どうして…』

まどか「ちょっとちがうよ、ほむらちゃん」

ほむら『え?』

まどか「だって、その記憶の中にほむらちゃんがいなかったもん。
    居たのは、わたし。ほむらちゃんに守られたり、魔法少女になって戦ってたりしてたわたしだった」

ほむら『ま、まさか…』

まどか「うん、わたしは記憶を思い出したんじゃない。ほむらちゃん記憶が見えるようになってたの」





868 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:53:02.70 ID:XWzemqKO0

ほむら『…まどか』

まどか「なに?」

ほむら『…恥ずかしいわ』

まどか「ふぇっ?! だ、大丈夫だよ! 魔法少女に関係あること以外は触れないようにしているし…」

ほむら『…でも、見たのでしょう?』

まどか「な、何でも見えるわけじゃないの。ほむらちゃんが忘れているよな記憶はわたしもわからないし」

ほむら『…』

まどか「見てほしくないような記憶や見ちゃいけないような記憶はわかるから見てないよ、ホントだよ?」

ほむら『…まどか』




869 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:54:21.22 ID:XWzemqKO0






ほむら『どうして…打ち明けてくれなかったの?』





870 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:55:53.13 ID:XWzemqKO0

まどか「…言えるわけないよ」

ほむら『どうして?』

まどか「ほむらちゃんは、わたしを助けるために何度も何度もやり直して、何度も泣いて、それでも諦めなくて」

ほむら『…』

まどか「わたし、そんなほむらちゃんの気持ちも知らないで魔法少女になって、その気持ちを踏みにじってたんだよ?」

ほむら『え…?』

まどか「最低だよ、わたし。こんなに心配してくれてた友達がいたのに、何も気がつかないで勝手なことばかりいって」

ほむら『違うわ、貴方は知らなくて当然よ! 私も何も言わなかった。貴方が責任を感じることなんて…』

まどか「…関係ないよ。結局、ほむらちゃんをこんなに苦しめたことには変わらないもん」

ほむら『まどか…』



871 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:58:37.93 ID:XWzemqKO0

まどか「だからね、わたしはほむらちゃんの友達でいちゃいけないんだって思った」

ほむら『…え』

まどか「ほむらちゃんの友達でいる資格なんてわたしには無いもの。

    でも、ほむらちゃんをこんな運命から救ってあげたかった。繰り返しから助けてあげたかった。
    だからわたしは、ほむらちゃんと契約した魔法少女のわたしは、ただほむらちゃんを助けるだけの存在でいようって決めたの。

    ほむらちゃんがわたしに他の世界のわたしを重ねてくれても構わない。わたしを見てくれなくても、それでいいって」

ほむら『他の世界の…まどか?』

まどか「うん、ほむらちゃんがこれまで会ったわたしは違うわたし。
    今のわたしは、何も知らずに友達を苦しめてきた、最低な人間なんだよ…」

ほむら『違う…そんなことないわ…』

まどか「うん、ほむらちゃんは違うって言ってくれるかもしれない。
    
    でも、わたしはわたしを許すことができない。ほむらちゃんのことを知ったら、わたしは悪くなかったなんてことは言えないから。
    
    だから、全部を知ったわたしは、ほむらちゃんの友達のわたしになっちゃいけない。
    ただほむらちゃんに助けられる、何も知らないわたしのままでいようって決めたの」

ほむら『…』

まどか「…それが、わたしがほむらちゃんにしてあげられること。だから、何も言わないで、何も知らないままでいるつもりだった。
    
    そのままワルプルギスを倒して、みんなで明日を迎えて笑えるような日常を送れるようになって。
    わたしはほむらちゃんの望むわたしになって、…ほむらちゃんに少しでも幸せになって…欲しかった…のに」




872 :1 [saga]:2011/09/18(日) 22:59:42.71 ID:XWzemqKO0

ほむら『…貴方は馬鹿だわ』

まどか「…うん。ほむらちゃんをこんなに苦しめてきたんだから」

ほむら『違う。こんなことで私が喜ぶとでも思ったの?』

まどか「…ううん。ほむらちゃんは優しいから。喜ばないことも分かってた。
    でも…、わたしにはこれしか…だから、こんなこと知ってほしくなかった…のに」

ほむら『…』

まどか「ボロボロのほむらちゃんを見たとき、頭が真っ白になっちゃった。
    死んじゃっているって思った、そうしたら、何もわからなくなって、気が付いたら名前を呼んでて…。
    だめだな…わたし。また、ほむらちゃんを傷つけただけ。結局、わたしが出来ることなんて…何も…」



873 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:01:05.03 ID:XWzemqKO0




   ぎゅっ




まどか「え…?」

ほむら『小さい体でごめんなさい。今は、これでお願い』

まどか「…抱きしめられる価値なんて、ないよ」

ほむら『そんなことない。貴方を救いたいのが私の気持ちなの』

まどか「わたし、ほむらちゃんに守ってもらえるような、人間じゃ…」

ほむら『貴方は何も変わらないわ。自分より他人のことを考えてしまって、自信が無くて、でも自分ができることを一生懸命探す女の子』

まどか「…それは他のわたしだよ」

ほむら『他のまどかなんていない。まどかはまどか、貴方一人だけだわ』

まどか「そんなの…違うよ」

ほむら『違わない。貴方はいつだって、変わらなかった。こんな不器用な私に優しくしてくれた。そうやって、他人に優しくあろうとする姿もみんな同じ。
    まどかだから、私は助けたいの。どんなまどかでも、私は守りたい。それが私の願い』

まどか「…」

ほむら『貴方が死んでしまう運命が嫌だった。どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して』

まどか「…」

ほむら『色々頑張ってくれたんだよね。嬉しい
    でも、貴方が苦しんでどうするの。私の望む都合のいいまどかなんて私には必要ない。
    貴方は、鹿目まどかのままでいてくれれば、それだけでよかったのに』

まどか「ほむら…ちゃん…」




874 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:02:19.50 ID:XWzemqKO0

ほむら『私ね。迷子だったんだよ?』

ほむら『繰り返せば、繰り返すほど、貴方は私を知らなくなっていって、想いもズレていって』

ほむら『だから、もう諦めてた。まどかを助けても、もう世界には私を知っている人なんて誰も居なくて、ずっと一人ぼっちなんだったて考えてた』

ほむら『でも、まどかは見つけてくれた。貴方は私を知ってくれた』

ほむら『だ、だから…私嬉しくて…』

ほむら『ありが…とう』




まどか「…ほむらちゃん!」




875 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:03:10.97 ID:XWzemqKO0

ほむら『…まどか』

まどか「…ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら『私こそ、ごめんなさい。まどかに、こんなことをさせてしまって』

まどか「…いいの」

ほむら『私ね。今度こそ、ワルプルギスの夜を倒せると思うの。
    まどかと、こんなにもわかり合えた。力だってある。まどかには、また迷惑かけちゃうけど…』

まどか「気にしないで。わたしもほむらちゃんやみんなを助けたい。気持ちはほむらちゃんと同じだよ。
    マミさんや杏子ちゃんだっている。頼れる仲間もいるんだもの。負けるわけないよ」

ほむら『そうだよね。きっと…勝てるよね?』

まどか「うん。大丈夫だよ。みんなで頑張ろう? 一緒にワルプルギスの夜を倒そう 」

ほむら『…まどか』

まどか「えへへ。あの時は、わたしがほむらちゃんに励ましてもらえたから。今度はわたしの番」

ほむら『…うん。頑張ろう。そして、今度こそ運命を二人で――』




876 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:04:14.04 ID:XWzemqKO0




QB「それは止めたほうが良いと思うな」

まどほむ「!」




877 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:05:32.25 ID:XWzemqKO0

QB「実に興味深い話だったよ。暁美ほむら。時間を操ることから予測はしていたけど、時間遡行者をこの目で見るのは初めてだ。
  君たち人類は本当に驚かせてくれるね」

ほむら『インキュベーター…。どうして、私の言葉が…』

QB「ようやく、君のその言葉から思考を読み取ることが出来るようになったのさ。時間はかかったけどね」

ほむら『…盗み聞きとは破廉恥ね、インキュベーター。あなた達には感情だけでなく、プライドすらもないのかしら?』

QB「合理的な判断と行動をするためにはそんなものは不要だと思うけれどね。その前に自尊心も感情の一部だから僕たちには理解できないのだけれど」

ほむら『消えなさい。無理解を正当化する生き物に用はないわ』

QB「やれやれ、君達といいマミ達といい嫌われたものだ。僕らのしていることは君達人類の為でもあるんだけどね」

ほむら『ふざけないで。まどかを人類滅ぼす魔女に変えても何もしない連中に、そんなことを言う資格はないわ』

QB「なるほど。まどかがちゃんと魔女になった未来も存在するんだね。それは良い情報だ」

ほむら『…』ギリ




QB「でも、今回は帰るわけには行かないよ。僕は君達にお願いがあってきたんだ」

まどか「お願い…?」

ほむら『それを私たちが聞くと思って?』

QB「もちろん、ただの要求なら今の君達の関係を考えたら無理だろうね。でも、これは違う。何せ君達にも意味のある要求だ」

ほむら『…意味ですって?』



878 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:06:37.67 ID:XWzemqKO0

QB「暁美ほむら。どうしてまどかがこれだけの力を持っているか考えたことがあるかい? 

ほむら「…?」

QB『魔法少女の資質はその身に背負い込んだ因果の量で決まる。でも、ごく普通の少女であるまどかに、どうして最強の魔法少女になるだけの因果があるのか。それがわかるかな?」

ほむ『…何が言いたいの?』




QB「原因は君だよ、暁美ほむら」




ほむら『…え?』

QB「君が時間旅行者ということで一つの仮説が成り立つ。
  君の行動はまどかを中心にして成り立っていた。その君が時間旅行を繰り返すことで、まどかに本来集まるはずのない、因果の糸が収束したのさ
  もしかしたらまどかは、君が同じ時間を繰り返す毎に、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかな?
  それはね、君が繰り返してきた時間――その中で循環した因果の全てが、巡り巡って、鹿目まどかに繋がった事が原因さ。あらゆる出来事の元凶としてね」

ほむら『…!』

QB「結果は見ての通りだ。まどかは君のソウルジェムを通して時間逆行現象を起こせるような、奇跡のような存在になった」



879 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:07:39.95 ID:XWzemqKO0

ほむら『そんな…そんなの。じゃあ、私のしてきたことは…』

QB「ああ、君の考えている通りだよ。まぁ君にとってはマイナスの要因かもしれないが、僕らにとっては非常に有益な事実だ」

ほむら『あ…あ…』

QB「感謝するよ、暁美ほむら。君がまどかを、最強の魔法少女に育ててくれたんだ」

ほむら「…!」ガクッ




まどか「ほむらちゃん!」

ほむら『まどか…。私…私は…』

まどか「大丈夫、まだ結果なんて出ていない。わたしは魔女なっていないし、ワルプルギスの夜だって倒せないって決まったわけじゃない。
    絶望する必要なんて無い。無いんだよ…」

ほむら『まど…か…』

QB「うん。確かに君の手にかかれば、ワルプルギスの夜など問題にならないだろう。何せ最強の魔法少女だ。契約していないから魔女になる危険もない。暁美ほむらにとってはこの上なく都合の良い存在だろうね」
  でも忠告する。まどか、君はこれ以上暁美ほむらの力で変身するのは止めたほうがいい。これは君達のためにもならないよ」

まどか「…どういうことなの、キュゥべえ」

QB「事態は君たちが思っているよりも、深刻だということさ。僕たちにとってもね」

まどか「…?」




880 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:08:50.68 ID:XWzemqKO0

QB「まどか。君は暁美ほむらのソウルジェムによって、魔法少女に等しい能力を手に入れた。
  
  なぜ、こんなことが起きたのか。それは僕にもわからない。
  
  もしかしたら、暁美ほむらが辿ってきた世界が関係しているのかもしれないけど、当の本人にも理由は分からないみたいだし、こちらは推測の立てようもない。
  
  まぁ、原因はたいした問題じゃない。問題はそれによって現れた君の変化だ。
  君自信、変身を続けたことで起こった変化が、記憶の共有だけだとは思っていないんだろう?」

まどか「…」

ほむら『どういうことなの! まどか、貴方に何が起こっているの?!』

まどか「…それ、は」



881 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:10:44.64 ID:XWzemqKO0

QB「言いにくいなら、僕が言ってあげるよ。
  
  まず起きたのは先ほど君が言った通り、記憶の共有だ。ただし、魂がソウルジェム化していないから、暁美ほむらには君の記憶は見えないみたいだけれどね。
  
  次に起きたのは因果の力が暁美ほむらの能力を増大させたこと。本来、時間の停止・遡行だけだったはずの能力が、今では他の物質にまで影響を及ぼすまでになった。これだけの能力、まどかの因果の力が関わっているのは明らかだ。
  
  最後に起きたのが、感覚の共有さ。もっともこれも、暁美ほむらは感じ取ることができないようだけど」



ほむ「感覚の…共有ですって?」

QB「覚えているかい? 美樹さやかが君を襲った時のことを。あの時、まどかは君の危機に現れた。
  でも、どうやってそれを感じ取ったのかな? 僕の方で念話は使えないようにしていたのに。 
  念話が使えない以上、別の何かでそれを察知したと考えるのが妥当だ。さて、あの時君が思考以外で送れた『異常』と呼べる信号は何があったかな?」

ほむら『痛…み? まさか…』

QB「信じられないかい? でも、それしかない。思考を読み取れるなら、さやかが現れた時点でまどかは駆けつけることができたはずだ。なにせ、それほど距離はなかったしね。
  それ以外で、君に明らかに異常と呼べる強い信号が出たのは、さやかに重傷を負わされた時だ。実際、あの後まどかは君の下に駆け付けた」
  何なら、試してみるといいい。痛みは異常を知らせる信号だ。強い刺激を与えれば、嫌でも反応が体に出るよ」

まどか「…その必要はないよ。ほむらちゃん」

ほむら『まどか…。じゃあ…』

まどか「…うん、キュゥべえの言うとおり。
    全部ってわけじゃないけど、ほむらちゃんに何か強い痛みが走るとわたしにも伝わるの。あの時もそうだった」

QB「やはりね」




882 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:11:28.12 ID:XWzemqKO0






QB「さて、これで判断材料は大体出そろった。
  
  記憶と感覚の共有・まどかの因果による暁美ほむらの能力を拡張。
  
  これらから、まどかに起きていることについて一つの仮説が成り立つんだ」






883 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:12:14.61 ID:XWzemqKO0


ほむら(やめて)


QB「君らは二人で一人の魔法少女だ。暁美ほむらの能力と、まどかの体・才能で一つの存在となる」


ほむら(聞きたくない)


QB「それを繰り返すうちに僕が本来行うようなことが、まどかに起きていたんだろうね」


ほむら(知りたくない)


QB「おそらくより効率よく魔力を運営するために、暁美ほむらのソウルジェムが本来異物であるはずのまどかの魂を最適化させていったんだろう」


ほむら(お願いだから)


884 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:13:12.84 ID:XWzemqKO0






QB「まどか、君の魂は暁美ほむらのソウルジェムと一体化しつつあるんだよ」





885 :1 [saga]:2011/09/18(日) 23:14:32.58 ID:XWzemqKO0
今日の投下はこれで終わりです。

なんというか、説明で終わってしまいました。

次の投下は火曜日になります。
ご拝読ありがとうございました。




886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/09/18(日) 23:17:16.75 ID:kPnkvpTAO
おつまみ!
ちょうど更新中だった
相変わらず面白いねぇ
続き楽しみにしてます
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/18(日) 23:22:35.46 ID:dnj00amZo


さやかの記憶全部リセットや魂の融合と相変わらず気になる展開ばかりだ
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/18(日) 23:23:39.28 ID:Uhc/J0SFo
乙。
しかしここまできてほむらが小さくなった理由は分からんままなのか
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 23:27:05.17 ID:UXDraPvDO
乙!!

火曜日が待ちきれないぜ…
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/18(日) 23:30:28.05 ID:tPZ9uO6a0
まどかとほむほむが融合して、小人まどほむが誕生するだと・・・
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/18(日) 23:41:11.35 ID:KQm739X+0
乙ッ!
魔法少女に変身して戦うほど魂の同化が始まってたのか…なんという欝展開…
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/19(月) 00:00:53.46 ID:d9bv4u2To
お疲れ様でした。
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/19(月) 00:03:07.06 ID:O/7JZh0w0
乙!

一体どう収拾つけるんだこれ
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/19(月) 00:30:00.07 ID:OaHhk+nT0


魂が同化するとどうなるんだってばよ…
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/19(月) 00:40:10.39 ID:sCXEqldXo
まどかとほむらが一つになっちゃう!

……問題ないんじゃねとか思ってしまった
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/19(月) 00:48:36.35 ID:bKKprxy4o

途中まどかの台詞が、ちょっと前のさやかとだぶった…
魂の一体化か。ソウルジェムの濁り以上に枷が出来てしまったな
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/09/19(月) 02:04:11.17 ID:ub2XHaj5o
つまり、ドラゴンボールですねわかります


あしゅら男爵は勘弁な!
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 05:42:39.24 ID:hlr0fHWIO
つまり、
やってる事 W
状態 ブレイド 剣崎
こんな感じなのか?
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/19(月) 09:37:14.90 ID:Zerfcp0io
つまり、
まどら になるのか

ほむか になるのか
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 10:09:23.23 ID:fpWU+PfKo
>>899
素直にまどほむでおk
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/09/19(月) 10:22:50.03 ID:HC7XktWPo
ほむらとまどかが合体とかキマシ
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 15:49:19.03 ID:gjamTryJo
1万年と2千年前から〜
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 13:49:34.49 ID:6Jkvegd6o
ちんぽこぽん
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/09/20(火) 18:05:36.05 ID:8dDXSvhU0
さやかの素質自体は残ってるんだろうか
記憶を取り戻すためにもう一度QBと契約するなんてことになったら・・・
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/20(火) 19:26:03.51 ID:E86FacYAo
この周を諦めてフュージョンした状態で次周行ったらハイパーほむらタイムになるんかね
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 21:05:43.27 ID:HpepnQF8o
さすがに肉体は別々のままだと思うけど
907 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:08:08.75 ID:qQsEJ0Z50
>>893
一応、考えてはあります。

続きを投下します。
908 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:09:51.73 ID:qQsEJ0Z50

―マミ宅―


杏子「じゃあ、ここで待機だな。ここなら、アタシらの足ですぐに駆けつけられる」

マミ「それじゃあ、ここで。予測が正しければ、ワルプルギスの夜が現れてもこれで対応できるはずよ。そうよね、鹿目さん?」

まどか「大丈夫です。この範囲内を越えて現れたことはありませんから」

マミ「じゃあ、あとはグリーフシードの配分ね。確認するけれど、7対3で私が多めに所持するということで、本当に良いのね?」

杏子「おう。聞く限り、でかすぎてアタシの槍じゃダメージを与えられそうにないからな。ほむの奴が用意した仕掛けを使ったら、あとは使い魔の相手をさせてもらうさ」

マミ「その間に、私が出来うる限りの射撃を撃ち込む。これでいきましょう」

杏子「ああ、二人に減っちまったが、これで何とか対応できるだろ」

ほむら「…」



909 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:12:16.62 ID:qQsEJ0Z50

まどか「ごめんなさい。最後の最後で何もできないなんて…」

マミ「そんな顔しないで、二人とも」

杏子「アタシらが大丈夫だって言ってんだ。後輩は黙って従えばいいんだよ」

まどか「でも…」

マミ「貴方たち二人に生きていて欲しいのは私たちも同じよ。魔法少女になってほしくないし、永遠にさ迷うようなことにもなってほしくない。
   私たちが全力でこの街を守るわ」

杏子「それにさやかの時はこっちが助けられたんだ。今度はアタシ達の番。ここいらでちゃんと恩を返さねーとな」

ほむら「…」



910 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:19:47.57 ID:qQsEJ0Z50

――――

QB「鹿目まどか。君は契約せずとも、本来の魔法少女になりつつある。
  今の君の能力は、他の物質にまで時間干渉を行える状態だ。もうかなりのレベルまで同化は進行している。
  恐らく次の変身で君の魂は完全にソウルジェムと一つになるだろう」

QB「暁美ほむらのソウルジェムと同化すれば、一体どうなるのかな。魂の同化なんて、僕も初めてだよ。
   君の自我と暁美ほむらの自我が混ざり合うのか。それとも、強いほうが残るのか。はたまた、全く新しい自我が生まれるのか。
   何せこんなことはこれまで例がない。どうなるか、誰にも分からないね。

QB「まあ、そんなことは僕らにとってはどうでもいんだけどね。重要なのは、強大な力を持った最強の魔法少女が誕生するということだ」

QB「うん。それだけなら、僕にとって有益な話で終わったんだけどね」

QB「問題は君達が扱う魔法だ。
  君達の時間操作の魔法。これがまどかの膨大な魔力係数によって発揮されたらどうなるか。想像できるかい?」

QB「恐らく、君達はありとあらゆる時間を操れるようになる。限定的でない過去や未来への移動なんて序の口さ。
  時間を意のままに操るということは、すなわち時間の枷から外れることと同義だ。
  時間の楔から解放されればソウルジェムが変化することもない。君たちは魔女化もしなくなり、永遠に存在し続けることになるだろう」

QB「わかるかい? 永遠に生きつづける君たちは、全ての時間移動の可能性をその身に受け止め、過去と未来あらゆる時間軸に存在するようになるんだ。
  そうなれば、もはやそれは人間でも魔法少女でもない。人間としての存在は消滅し、今の時限とは違う高次元の生き物だ。
  それが、どんな存在のかは分からない。そんな存在は僕らの科学力でも認識できないからね」

QB「そうなるのを避けたいのは僕も同じさ。まどかのエネルギーを回収出来ないどころか、そんなわけのわからない存在が生まれたら、僕らの目的を達するのに支障が出る危険もある」



911 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:20:48.15 ID:qQsEJ0Z50
QB「さて、鹿目まどか。君はどうする?」


QB「君に残された道は三つだ。

  暁美ほむらを巻き込んで永遠の時間遡行者になるか。

  巴マミと佐倉杏子の二人がワルプルギスの夜を倒す無いに等しい可能性にかけるか。

  それとも…」


QB「まあ君が何を守りたいかを考えたなら、選択の余地は無いと思うけど」

QB「鹿目まどか。僕と契約して本物の魔法少女になってよ」



912 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:21:58.31 ID:qQsEJ0Z50

――――


杏子「ったくあの野郎。何が『無きに等しい可能性』だ。ワルプルギスを倒して、絶対に一泡吹かせてやる。なぁ、マミ」

マミ「ええ、そうね。びっくりさせてあげましょう。それこそ、びっくりしすぎて感情が生まれるくらいにね」

杏子「そりゃいいや。そうすれば、もう魔法少女なんて必要なくなるかもな。なにせ、自前でエネルギーを作れるんだし」

ほむら『…』スッ

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら『少し寄るところがあるの。作戦の確認も終わったし、先に戻らせてもらうわ』

まどか「あ、うん…」

ほむら『それじゃあ、まどか。お先に。私がいないからって無茶しちゃダメよ』

マミ「あら、暁美さんは帰るの?」

杏子「明日はまどかと大人しくしてろよ。ワルプルギスなんか、ちゃっちゃと片付けてやるからさ」

ほむら「ほむ」タッ



913 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:24:29.33 ID:qQsEJ0Z50

マミ「…暁美さん。辛そうだったわね」

杏子「肝心なときに何も出来なくなっちまったんだ。無理もないよ」

マミ「やっぱり、信用されてないのかしら、わたし達」

杏子「端目に見りゃ状況は絶望的だしな。ベテランとはいえ、戦力は二人。相手は最強の魔女ときてる」

まどか「…」

杏子「まどかもそう思うか?」

まどか「そんなことは…」

杏子「ま、アタシは負ける気は無いけれど。この街にはさやかの奴だっているし、意地でも負ける訳にはいかないんだ」

マミ「私も同じよ。暁美さんには、他の世界じゃ迷惑かけてしまったようだし。その分も助けてあげないと」

杏子「ああ、勝てば全部解決だ。さやか達だって守れるし、まどか達の問題もなくなる」

マミ「そうね、これで全部終わらせましょう。宇宙のためじゃない。人を助ける魔法少女がいてもいいはずだもの」



914 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:24:56.84 ID:qQsEJ0Z50




まどか「…マミさん、杏子ちゃん」

杏子「ん? どうした、まどか?」

まどか「…ちょっと、いいですか?」



915 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:27:16.38 ID:qQsEJ0Z50

――――


ほむら(結局、私のしたことは、まどかを追い詰めただけだった)

ほむら(守るどころか、危険に晒しただけだった)

ほむら(わかっている。私はまどかと一緒にいかった。一緒に戦ってくれるといってくれて、嬉しかった。だから、その言葉に甘えたのだ)

ほむら(何度もまどかが死ぬところを見て、その度に時間を遡り、それでも運命を変えることは出来なくて)

ほむら(一人時間の迷路に迷い込んで、出口なんて見えなくて、失敗するたびにまどかを犠牲にして、涙も渇れ果てて)

ほむら(だから、まどかの優しさにすがったのだ)






ほむら(でも、もう助けなんて要らない)

ほむら(もう誰にも頼らない。もうまどかには戦わせない)

ほむら(こんな当たり前の事、とっくの昔に決意したはずだったのに)

ほむら(ワルプルギスは私が倒す。たとえ、どんな犠牲を払っても)



916 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:27:52.22 ID:qQsEJ0Z50

―ワルプルギス戦当日―


まどか「…」



To ほむほむ
件名 まどかへ
私の家で待ってます。



まどか「ほむらちゃん…」



917 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:28:52.10 ID:qQsEJ0Z50




   ピンポーン




まどか「…」



   ガチャ



まどか「!」

ほむら「入って、まどか」

まどか「ほむらちゃん、その体…」


918 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:29:48.26 ID:qQsEJ0Z50

ほむら「ごめんなさいね。避難で忙しくて、来るのは大変だったでしょうに」

まどか「久しぶりだよね、ほむらちゃんの家。てっきりもう引き払われてたんだと思ってた」

ほむら「ここは私の両親の持ち家だから。引き払われることはないの。鍵さえあれば自由に入れるわ」

まどか「そうなんだ。知らなかったよ」

ほむら「貴方は、私の記憶が見れるのではないの?」

まどか「プライベートなのは見ないようにしてたから。何でも知っている訳じゃないよ」

ほむら「…」

まどか「…それで、どうしたの? 体も元に戻ってるし、一体…」


919 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:30:48.82 ID:qQsEJ0Z50






ほむら「まどか。貴方との契約を終わりにするわ」






まどか「え? それって…」

ほむら「この通り、私は新しい体を手に入れた。もう貴方がいなくとも魔女と戦うことができる」

まどか「新しい体って…。ほむらちゃんは元に戻ったんじゃないの?」

ほむら「いいえ。元に戻る方法が分からないから、新しく別の肉体を一から作ったの。小さいほうは別にあるわ」

まどか「…そうなんだ」

ほむら「貴方を早く魔法少女の戦いから解放するために、以前から準備はしていた。
    苦労したけれど、ようやく完成させる事ができたわ」

まどか「…」

ほむら「まどか。貴方との契約はこれでおしまい。今までありがとう。ここからは私一人で戦うわ」



920 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:31:40.42 ID:qQsEJ0Z50

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「貴方をこれ以上戦わせるわけにはいかない。永遠の時間をさ迷うことも、魔法少女にもさせない。
    ワルプルギスの夜は、私がカタをつける」

まどか「…でも」

ほむら「わかってる。勝てる可能性は高くない。勝てても何かしらの犠牲は避けられないでしょうね」

まどか「…」

ほむら「でも、そんなこと関係ない。ワルプルギスを倒してまどかの運命を変える。絶対に」



921 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:33:01.42 ID:qQsEJ0Z50

――――


ほむら「まどかは、魔法少女にはさせないわ…。絶対に」

QB「でも、それ以外にワルプルギスの夜に対抗する手段があるのかな?」

ほむら「巴マミも佐倉杏子も生存している。勝ち目はゼロじゃない」

QB「以前ならともかく、今はマミも杏子も本調子じゃない。さやかのことで相当に消耗したからね。
   おまけにグリーフシードの余裕もなし。君だって分かっているんだろう?」

ほむら「…」

QB「まぁ、勝ち目のあるなしに関わらず、君は戦うんだろうけどね。君にはそれしかない。
   君にとって、最早立ち止まることと、諦めることは同義だ。希望を持つ限り、君はこの勝ち目の無い戦いを続けるんだろう。
   何度でも性懲りもなく、この無意味な連鎖を繰り返すんだろうね」



まどか「…無意味なんかじゃない」

ほむら「まどか?」

まどか「ほむらちゃんのしてきたことは、絶対に無意味なんかじゃない」

QB「ああ、無意味というのは語弊があったね。暁美ほむらのおかげで、君が最強の魔法少女になることができた。その点では意味があったよ
   でも、それは暁美ほむらが望んだ結末じゃないんだろう?
   そして、君がどんなに暁美ほむらの行為に価値を感じていても意味はないよ。結局、彼女はまた過去に戻ってやり直すのだから」

ほむら「…」




922 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:34:21.65 ID:qQsEJ0Z50

QB「理不尽だと思うかい? まどか」

QB「でも、これは全て君たちの願いがもたらした結果さ。
   暁美ほむらは君との出会いをやり直すことで、君という最強の魔女を作り上げ、君は守るために変身を繰り返した結果、何もできない無力な存在となった」

QB「ある意味、この状況は君たち魔法少女の運命の縮図とも言えるね」

QB「数え切れないほど大勢の少女が、僕たちとと契約し、希望を叶え、そして絶望に身を委ねていった。
   祈りから始まり、呪いで終わる――これまで、数多の魔法少女たちが繰り返してきたサイクルさ」

QB「彼女たちを裏切ったのは他でもない、自分自身の祈りだよ」

QB「在りもしない希望を求めて、条理にそぐわない祈りを捧げる。それが歪みを生み、災厄を引き起こすのは当然のことさ。
   これを不条理だというのなら、そもそも希望を求めたのが間違いなんだよ」

QB「暁美ほむらの結末も、君の結末も、過去の全ての魔法少女たちと同じさ」   

QB「希望を持つ限り、救われない。この状況が、それを何よりも証明しているじゃないか」



923 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:37:05.05 ID:qQsEJ0Z50

――――


ほむら「本当は、何も言わずに行こうって思ってた。でも貴方との約束があったから」

まどか「約束?」

ほむら「『何も言わずにいなくならない』。貴方との約束よ」

まどか「…覚えていてくれたんだ。ほむらちゃん」

ほむら「貴方との約束ですもの。忘れるわけない。もう一つの方も絶対に守って見せる。だから安心して」

まどか「そんなの…無理だよ。このままじゃ勝ち目なんて…」

ほむら「…どちらにしろもう後は無いの。やり直せば、それだけまどかの因果が増える。
    それに状況を見ても、おそらくこれ以上の戦力の増強は望めない。今回でケリをつけないと」

まどか「…」

ほむら「貴方のおかげで、巴マミや佐倉杏子の協力を得ることができた。美樹さやかも生存した。もう十分、貴方は頑張ったわ。
    だから、今度は私の番。後は私が頑張らないと」

まどか「…」

ほむら「大丈夫。これまでの時間で、ここまでうまく事が運んだことはなかった。誰も死んでいないし、貴方も契約していない。
    流れはこちらにある。あとは、ワルプルギスの夜さえ倒せば、全てが終わるわ」



924 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:39:01.97 ID:qQsEJ0Z50



  「君にとって、最早立ち止まることと、諦めることは同義だ」
  「希望を持つ限り、君はこの勝ち目のない戦いを続けるんだろう」
  「何度でも性懲りもなく、この無意味な連鎖を繰り返すんだろうね」
  「結局、彼女はまた過去に戻ってやり直すのだから」




ほむら「…そろそろ、行くわ。私が増えたことで作戦も少し見直さなきゃいけないし、マミ達と合流しないと」

まどか「…」

ほむら「まどか、最後に貴方と話せてよかった」

まどか「…」

ほむら「じゃあ、また――」

まどか「…ほむらちゃん」







まどか「ごめんね」





925 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:40:19.50 ID:qQsEJ0Z50



    シュン



ほむら「な?!」

ほむら(体が…縛られた?!)

まどか「…」

ほむら「まどか! 貴方なにをしたの?!」

まどか「ごめん、ほむらちゃん。でも、これ以上ほむらちゃんに辛いことをさせたくないから」

ほむら(一瞬で、体が縛られて。…まさか)

ほむら「まどか、あなた…まさか」

まどか「…」

ほむら「変身せずに、時間を止めたんじゃ…」

まどか「…うん、そうだよ」

ほむら(そこまで、能力が増大してるなんて…)



926 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:41:11.38 ID:qQsEJ0Z50

まどか「ほむらちゃん。わたしね、考えたんだ」

    「わたしに何ができるんだろうって。ほむらちゃんが何度も助けようとしてくれたわたしは、一体何をすればいいんだろうって、考えたの」

    「わたしね。これ以上、ほむらちゃんが悲しむ姿を見たくない。
     ううん、ほむらちゃんだけじゃない。さやかちゃんやマミさんや杏子ちゃん。
     それに希望を信じた沢山の魔法少女のみんな。そんな、みんなをもう泣かせたくないの」

    「だから、わたしは…」



927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 22:41:36.39 ID:6Jkvegd6o
リアルタイムきてたー
928 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:41:54.39 ID:qQsEJ0Z50

――――


マミ「…鹿目さん。それがどんなに恐ろしい願いかわかっているの?」

マミ「ううん。貴方はわかってないわ。未来と過去と、全ての時間で、あなたは永遠に戦い続けることになるのよ?」

マミ「そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる。
   死ぬなんてことすらできなくなるわ。未来永劫に終わりなく、魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうのよ?」

マミ「鹿目さん…」




杏子「…いいんじゃねぇの」

杏子「やれるもんならやってみなよ」

杏子「それがやりたいことなんだろだろ? 逃げないって自分で決めたんだろ? 
   なら仕方ないじゃん。後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ」




929 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:44:15.90 ID:qQsEJ0Z50

――――


ほむら「そ、んな…」

まどか「これが、わたしのやりたいこと。希望を信じた魔法少女のみんなが絶望で泣くこともない。そんな世界をわたしは作りたいの」

ほむら「それでどうなるか分かってるの?! 巴マミの言う通りなら貴方は…!」

まどか「うん。でも希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、わたし、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せる。
    きっといつまでも言い張れる。だからね、決めたの」



まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去る。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で、って」



930 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:46:07.26 ID:qQsEJ0Z50

ほむら「ダメ! そんなのダメ! そんなことしたら…」

まどか「うん、わかってる。でもね、これしか思いつかなかったの。
    これなら、ほむらちゃんのこれまでの頑張りも無駄にしない。もう魔法少女が泣くこともない。みんな、希望を持てる」

ほむら「希望なんてないわ! まどかがそんなことになる世界なんて、私は…」

まどか「ううん。こうすれば、ほむらちゃんが絶望して死ぬこともない。ほむらちゃんが、ちゃんと明日を迎えられるようになるの」

ほむら「私のことなんてどうでもいいの! 貴方はどうなるの?! 貴方を大事に思ってた人たちはどうなるのよ!」

まどか「…」

ほむら「大切だって、言ってたじゃない…。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だって…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「帰る場所もなくなって…、大好きな人たちとも離れ離れになって…、そんな…そんなことって…」



931 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:48:53.49 ID:qQsEJ0Z50

まどか「泣かないで。ほむらちゃん」

ほむら「お願い、まどか…。契約しないで…」

まどか「ごめん、ごめんね」

ほむら「これじゃあ、私は何のために…。貴方に普通に生きてほしい、ただそれだけなのに…」

まどか「死ぬわけじゃないよ。多分わたしは世界のどこにでもいる存在になるの。
    一人になるわけじゃない。ほむらちゃんことも、ずっと見守ってる」

ほむら「でも…貴方は…」

まどか「わたしはきっと大丈夫。だからお願い。希望をもって、ほむらちゃん」

ほむら「まどか…」



932 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:49:20.40 ID:qQsEJ0Z50

まどか「じゃあ、約束」

ほむら「え?」

まどか「ほむらちゃんは、わたしとの約束を守ってくれたから、今度はわたしがほむらちゃんと約束する」

ほむら「私、結局貴方との約束なんて…」



まどか「ううん。ほむらちゃんは守ってくれた。わたしとの約束。
    だからわたしはキュゥべえに騙されていないし、何度も私をも守ってくれた」

    「だから、今度はわたしが約束するよ。また必ず、どこかで会えるって。そうすれば、ほむらちゃんも希望が持てるから」

    「大丈夫。難しいことなんかじゃないよ。友達と会うことなんて、難しいことなんかじゃない」

    「それに、ほむらちゃんはわたしの最高の友達だから。絶対にわたしは忘れない。どんなことがあっても、絶対に」



ほむら「う、うあ…。うあああ。まどか…まどかぁ…」

まどか「ずっと、ずっと友達だよ。ほむらちゃん」ギュッ

ほむら「まどかぁぁ…」



933 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:56:40.09 ID:qQsEJ0Z50


    「わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで」

    「いいって。だから、わたしもほむらちゃんって呼んでいいかな?」

    「えー? そんなことないよ。なにかさ、燃え上がれーって感じでカッコいいと思うな」

    「うん? そんなのもったいないよ。せっかく素敵な名前なんだから、ほむらちゃんもカッコよくなっちゃえばいいんだよ」



934 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:57:24.44 ID:qQsEJ0Z50

まどか「…行かないと」

ほむら「…!」

まどか「マミさん達が待ってるんだ。決意が変わらなかったら来てほしい、って」

ほむら「やだ…」

まどか「それにワルプルギスの夜が来る。あの子も助けてあげないと」

ほむら「やだ…行っちゃ、やだ…!」

まどか「ほむらちゃん。大丈夫、ほんの少しお別れするだけだから」

ほむら「待って…行かないで…」

まどか「…ごめん」

ほむら「謝らないで…」

まどか「これでみんな助かる。やっと本当に自分が出来ることが見つかったの。ほむらちゃんに望まれたわたしが出来る本当のことが。
    ほむらちゃんの戦いを絶対に無駄にしない。無駄だったなんて誰にも言わせない。それがわたしの戦いなの」


935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/09/20(火) 22:58:02.13 ID:i4ZAm37m0
それじゃ、駄目だ。

絶望を「断ち切って」しまったら、その魂が回帰すべき希望も、繋がっていた絆も断たれてしまう。
そんなもの、遺される人々は救いだなんて認めはしない!根源を見過ごして、大切なものを奪う手助けをしてはいけない!
輪廻させなきゃ駄目なんだ!望みある少女達に浄土は要らない!絶望と懐古に縛られた種から、再び
希望と未来を芽吹かせなきゃならないんだ!
936 :1 [saga]:2011/09/20(火) 22:58:24.30 ID:qQsEJ0Z50




まどか「じゃあ、『またね』。ほむらちゃん」

ほむら「まどかあぁぁぁぁ!」




937 :1 [saga]:2011/09/20(火) 23:00:39.40 ID:qQsEJ0Z50
今日の投下はこれで終わりです。

次は水曜日になります。
ご拝読ありがとうございました。


938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/20(火) 23:00:58.00 ID:8ZwCVW5Jo
お疲れ様でした
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 23:08:25.74 ID:6Jkvegd6o
乙乙
毎度いいところで切るなぁwwwwww
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/20(火) 23:20:27.56 ID:E86FacYAo
本編と同じ終わり方したらハッピーエンドなんて絶対に認めないからな
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [saga saga]:2011/09/20(火) 23:41:49.99 ID:bkh4nxdv0
乙です
気になる引きだ、次回が待ち遠しい……!
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/20(火) 23:52:33.25 ID:AEa8SqGHo


これはほむらのソウルジェムが濁りかねない
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/21(水) 00:13:02.95 ID:PF6ky1is0
乙!
>>935>>1のレスに見えてしまったぜ

これまたすごい所で切ったが、次スレ行かないといけないな
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/21(水) 00:55:07.58 ID:2OuGNUeKo

本編と似てる様で全然違うような似てる様なww
どうなるんだろうか…

新しい別の肉体って何だ?
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 02:04:20.18 ID:qBXL5O02o
>>944
外付けのハードウェアだろ
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/21(水) 06:46:55.05 ID:wWgvgwJCo
QBから真実を聞かされて、肉体について割り切ってるほむほむだからこその芸当だな

しかし、まだこの作品最大の謎が明かされていないまま……どうなることかな
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/22(木) 00:36:43.43 ID:KGR6eQtno
>>945
そんな感じでいいのか
自作ってのにビックリしてしまったw
948 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:11:10.17 ID:3JxX8uwh0
すみません。木曜日の投下のつもりでしたが、読み直すと水曜日になっていました。
途中まで投下して、次スレに移行します。

続きを投下します。

949 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:13:05.46 ID:3JxX8uwh0

―迎撃地点―


マミ「…」

杏子「おーい、今から気を張ってもしょうがねーぞ」

マミ「今、気を張らないでいつ気を張るのよ。この街を守るのが私の役目なんだから」

杏子「そうだけどさ。天気は荒れてるけど、魔女も使い魔も気配はなし。
   少し休もうぜ。ほむらの情報通りなら、現れるまでまだ時間がある」

マミ「…」

杏子「『いざという時に戦えませんでしたじゃ、困る』だろ?」

マミ「…そうね。少し休ませてもらうわ」

杏子「ほれ、パンや何やら持ってきた。少し腹に入れようぜ」



950 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:19:41.42 ID:3JxX8uwh0

マミ「…」ムグムグ

杏子「…」モッチモッチ

マミ「…ねえ、鹿目さんは、来ると思う?」

杏子「来るだろ、多分。アイツ意外と頑固だし、一度決めたら考えを変えないんじゃないか?」

マミ「そうよね…」

杏子「まだ、納得いかないのか?」

マミ「当たり前じゃない。鹿目さんに、全部背負わせて解決するなんて、そんなの残酷だわ」

杏子「アイツ自身がそうしたいって決めたんだ。アタシらがとやかく言うことはできないよ」

マミ「でも…」

杏子「アタシだって、残酷だと思う。でも、願いをかなえたらどうなるか、そのことを一番理解してるのはアイツさ。
   全部、知った上で決めたんだ。じゃあ、アタシ達が口を出せること何て無いだろ」

マミ「それでも、私はこんなのおかしいと思うの。一人の女の子に押し付けて平和になりました、
こんな結末希望も何もないじゃない」

杏子「そうだよ。魔法少女に希望なんて無いんだ。だから、アイツが希望になるんだよ。魔法少女のな」


951 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:20:33.11 ID:3JxX8uwh0

マミ「じゃあ、鹿目さんの希望はどこにあるの?」

杏子「…」

マミ「人間ですらなくなって、何者でもなくなって。彼女は何に希望を持って魔法少女を救えばいいの?」

杏子「…じゃあなにか? アイツがしようとしてることは間違いだっていうのかよ」

マミ「間違いじゃないわ。これで、魔法少女に救いが生まれて魔女がいなくなる。
   でも、貴方だって本当は鹿目さんに全て背負わせることに、納得してるわけではないのでしょう?」

杏子「…」



952 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:21:24.34 ID:3JxX8uwh0


杏子「アイツが願いを叶えたら、魔法少女が希望を持てる世界になる」
   
   「でも、誰もそのことを覚えちゃいない。まどかは一人で戦い続けるのに、誰も感謝しないし、そのことを知らないんだ。
    こんな話があるかよ。全部背負ったのに誰もそのことを知らなくなるんだぜ。もしかしたら、アタシ達だって」
   
   「だから、アタシはせめて今だけでも、まどかのすることを誉めてやりたいんだ。正しいことだ、ありがとうって」
   
   「そうじゃなきゃ、寂しすぎるだろ」




マミ「佐倉さん…」

杏子「だから、アタシはアイツのすることが間違いだなんて言わない。アイツに感謝してやれるのは、アタシ達しかいないんだから」

マミ「…」



953 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:24:18.30 ID:3JxX8uwh0

マミ「…ねえ」

杏子「あんだよ」

マミ「本当に私達が出来ることは、それしかないのかしら」

杏子「他に何があんだよ。まどかの力に比べたらアタシ達の力なんて、無いようなもんさ」

マミ「力の有る無しじゃないの。鹿目さんに希望を与えられるようなこと、何か出来ないかしら」

杏子「何かって…」

マミ「佐倉さんの考えも正しいと思う。でも、何も出来ないって諦めるのは早いんじゃないの?
   そうやって諦めて生きていたら、それこそ鹿目さんのすることの否定になってしまうんじゃないかしら」

杏子「それは…」

マミ「鹿目さんに頼るだけじゃなく、私たち自身も希望を持てば世界は変わるんじゃないかしら」

杏子「…」



マミ「うん。決めたわ。私は鹿目さんの希望になるような魔法少女になる」

杏子「え…?」

マミ「どんなときでも、諦めない。希望を振り撒くような魔法少女にね」

杏子「…決意したって無駄かもしれねえぞ。まどかが世界を変えたら、アタシ達はそのことを忘れちまうかもしれないんだ」

マミ「その考え方が既に諦めよ。もしかしたら、憶えているかもしれない。だったら私はそっちの可能性にかけるわ。
   私は、鹿目さんの希望になるの。みんなの希望になる女の子を悲しませない希望にね」

杏子「…」



954 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:25:03.67 ID:3JxX8uwh0

マミ「バカだと思う?」

杏子「うん」

マミ「でも、諦めないわ」

杏子「そうかい」

マミ「だから、貴方も素直になりなさい。みんなの希望をになって女の子を助けるなんて、ヒーローの十八番じゃない」

杏子「…そうか、そうだよな」


955 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:26:01.69 ID:3JxX8uwh0

杏子「なんかウジウジ考えてたのがバカみてーだ」

マミ「そうよ。貴方は自分のしたいように生きるんでしょ? らしくないにもほどがあったわ」

杏子「アタシだって迷うことくらいあるんだよ。
   でも、これでスッキリした。アタシもその話に乗るよ。まどかにヒーローとしての生きざまを見せてやる」

マミ「その調子よ。世界が改変されようが、関係ない。鹿目さん一人に苦労はさせないわ」

杏子「ほむらの奴も誘おうぜ。アイツは絶対にまどかのこと、忘れないだろうからな」



956 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:26:47.14 ID:3JxX8uwh0

マミ「…鹿目さん、ちゃんと暁美さんと話が出来たかしら」

杏子「…さてな」

マミ「…暁美さんには、辛い選択になってしまうわね」

杏子「二人は親友同士なんだ。きっといつか再会できるよ。そんなことも許さないほど、神様は厳しくないさ」

マミ「そうよね…」

杏子「…」

マミ「…」


957 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:27:28.27 ID:3JxX8uwh0





まどか「マミさん、杏子ちゃん」






マミ「…鹿目さん」

まどか「ごめんなさい。少し遅れちゃいました」

杏子「家族と一緒に過ごせたか?」

まどか「うん。パパやママとお話ししてきたよ。たっくんとも遊べた。ありがとう、時間をくれて」

杏子「そうか。そりゃ良かった」

マミ「鹿目さん。暁美さんは…」

まどか「…やっぱり、泣かせちゃいました」

マミ「そう…」

まどか「マミさん、杏子ちゃん。一つお願いがあるんですけど、良いですか?」

杏子「言ってみな」

まどか「ほむらちゃんのこと、頼みます。しばらくわたしは一緒にいてあげられないから…」

マミ「わかったわ。暁美さんのことはまかせて。いつかきっと再会できるわ。だから貴方も希望をなくさないで」

まどか「ありがとうございます。マミさん」




958 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:28:24.25 ID:3JxX8uwh0

杏子「こっちも頑張るよ、まどか。お前一人が頑張らなくても、みんなが希望を持てるような世界を作るよ」

まどか「杏子ちゃん…」

杏子「だから、挫けそうになったら、アタシ達の姿を見てくれ。
   まどかが魔法少女の希望になるなら、アタシらがまどかの希望になる。マミとそう決めたんだ」

マミ「ええ。鹿目さん、私達にあなたような力はない。
   でもそんなこと関係ないの。あなたが希望を持つような魔法少女になるわ。それが先輩として私達にできることだから」

まどか「マミさん…」

杏子「ほむらのやつもきっとそうすると思う。だから三人で頑張るよ」

マミ「世界が変わろうがこれだけは絶対に忘れないわ。
   だから鹿目さん、あなたも希望を無くさないで。希望になるだけじゃなくて、貴方にも希望を持ってほしいの」

まどか「はい。わたしも絶対に忘れません。どんなことがあったって、わたしには沢山の仲間や友達がいるってことを、絶対に」



959 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:29:33.39 ID:3JxX8uwh0


     ピタ



マミ「!」

杏子「風が止まったな。いよいよおでましか」

まどか「…キュウベエ。いるんでしょ?」

QB「ああ」

まどか「わたし、契約するよ。貴方と」

QB「やっと、その気になってくれたんだね、まどか。有難う、これで宇宙は救われるよ」

まどか「わたしなら、どんな願い事でも叶うんだよね」

QB「もちろんだよ。君は最強の魔法少女になる子だ。今の君に叶えられない願いはないはずだよ」

まどか「…」




QB「さて、鹿目まどか。あまたの因果をその身に背負い、君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?」

まどか「わたしは…」




960 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:30:30.94 ID:3JxX8uwh0



まどか「全ての魔女を消し去りたい。過去と未来、全ての魔女を生まれる前に!」

QB「! その祈りは」


961 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:31:23.01 ID:3JxX8uwh0

―――――

QB(やれやれ、これまでしてきたことは無駄になったようだね)

QB(まさか、こんな結果になるなんて。これが運命というものなのかな)

QB(まあいいさ。またエネルギーを集めよう。宇宙の存続は僕らインキュベーターの使命だ。止めるわけにはいかないからね)

QB(鹿目まどか。君と暁美ほむらとの出会いは非常に興味深かった)

QB(予定していたエネルギーは手に入れられなかったけど、君らは条理を覆す魔法少女の可能性を見せてくれた。
  これだけでも、有益だったよ)




962 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:32:38.35 ID:3JxX8uwh0

QB(…それにしても)

QB(全ての魔女を消し去る、か)







QB(そんな願い、叶うと思っているのかな)





963 :1 [saga]:2011/09/22(木) 21:38:13.94 ID:3JxX8uwh0

次スレに続きます。
ご拝読ありがとうございました。


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316695007/


964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/23(金) 03:04:17.00 ID:s3G35vuso
うぇっ!?
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 05:58:28.80 ID:/y1z+1x+o
ちゃんと>>1000まで使って行けよ
966 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:36:17.55 ID:tlkuSAx90
中途半端にスレが残ってしまったので、短編を書きます。
967 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:37:42.11 ID:tlkuSAx90

(まどかが、一人で魔女がしている時期)


―まど家―


ほむら(はぁ…、まどかの負担にならないように最近は学校について行っていないけど…)


ほむら(やっぱり心配だわ…)


ほむら(最近、特に無理をしているし。なんとかもうちょっと楽をさせる方法はないかしら)


ほむら(巴マミが復帰してくれるのが一番ありがたいのだけれど、まだ時間がかかる。何か手を打たないと…)




968 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:38:36.11 ID:tlkuSAx90

ほむら(…それにしても、静かだわ)


ほむら(昼間は武器の調達にも行けないし、学校にも行かず、魔女狩りにも行けないとなるとこんなに時間って余るものなのね)


ほむら(ずっと、まどかを助けるために動いていたから、余計に長く感じるわ)


ほむら(病院では、ずっとこんな感じだったから。懐かしいともいえるわね)


ほむら(本当は、こんなことをしている場合じゃないのだけれど)


969 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:39:43.34 ID:tlkuSAx90

ほむら(さて、今日も部屋の掃除でも始めましょう)


ほむら(まどかが頑張っているんだから、せめてこれくらいのことはしてあげないと)


ほむら(ああ、朝の時間がなかったのか下着が出しっぱなしだわ。ちゃんとしまわないと)


ほむら(この前みたいに、下着の山の中で埋もれないように気をつけましょう)


ほむら(それが終わったら、まどかのアルバムの続きでも見ましょうか。部屋の小さいころの写真があったのは僥倖だったわね)


ほむら(小さいころのまどか…天使のようでとってもかわいかったわ…)ホムホム



970 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:40:11.40 ID:tlkuSAx90

―昼―


ほむら(…)ホムホム


ほむら(…)ホムホム


ほむら(あら…? いつの間にかこんな時間に。時間が経つのは早いわね)


ほむら(じゃあ、まどかが用意してくれたパンをいただきましょう)


ほむら(小さくきってあって食べやすいわ。ありがとう、まどか)ムグムグ


ほむら(でも、カレーパンは止めてほしかったわ。このサイズだと油がキツイわね。パンとカレーを混ぜるのも大変だし)



971 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:40:53.17 ID:tlkuSAx90

ほむら(ごちそうさま。おいしかったわ、まどか)


ほむら(さて、アルバムの続きでも見ましょう)


ほむら(ちょっと冷えるから、まどかの寝巻にでもくるまりましょうか)


ほむら(次は海水浴に行った時の写真のはず。メインイベントね)ホムホム



972 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:41:47.43 ID:tlkuSAx90

   ガチャ


タツヤ「ねーちゃ! ねーちゃ!」


ほむら(あ)


タツヤ「…う?」


ほむら「…」


973 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:42:15.52 ID:tlkuSAx90

ほむら(し、し、し、しまった…!)


ほむら(確かこの子は、まどかの弟のタツヤくん…!)


ほむら(聞いてはいたけれど、会うのは初めてだわって、そうじゃない!)


ほむら(ど、どうしましょう。こうなったら一か八か人形の振りを…)


974 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:42:44.47 ID:tlkuSAx90

タツヤ「あ!」テクテク


ほむら「…」


タツヤ「にんにょ! にんにょ!」ガシッ


ほむら「…!」ビクッ


タツヤ「さいくろん、じょーかー!」


ほむら「…」ブルブル


タツヤ「しょちょー! しょちょー!」


975 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:43:10.15 ID:tlkuSAx90

ほむら「…」


タツヤ「…」


ほむら「…」




タツヤ「ぬぎぬぎー!」


ほむら「ほむーーーーーーーーーーーー!!!!」



976 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:43:55.25 ID:tlkuSAx90

ほむら(貞操の危機に思わず叫んでしまったわ…)


ほむら(でもしかたないわ。タツヤくん、この身はまどかに捧げているの。ごめんなさいね)


タツヤ「にんにょ! おはなしー!」


ほむら(さて、どうしましょう…)



977 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:44:22.21 ID:tlkuSAx90

ほむら「ほ、ほむ?」


タツヤ「ほむ?」


ほむら「ほむむむ」


タツヤ「ほむ? ほむ?」


ほむら「ほむむ、ほむむ」


タツヤ「ほむー! ほむー!」キャッキャッ


ほむら(…伝わっているのかしら?)



978 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:44:52.15 ID:tlkuSAx90

ほむら(私は暁美ほむらよ。タツヤくんよろしくね)


タツヤ「ほむー! ほむー! ほむー!」


ほむら(と言っても、分からないわよね。『ほむー』でいいわ)


タツヤ「ほむあー! ほむあー!」


ほむら(え…?)


タツヤ「ほむあー!」


ほむら(そう、ほむらよ! タツヤくん!)


ほむら「ほむっ、ほむっ!」


タツヤ「ほむあー!」キャッ キャッ



979 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:45:43.27 ID:tlkuSAx90

ほむら(流石まどかの弟さんね。私との相性は抜群だわ)


タツヤ「ほむー! ほむー!」


ほむら(今日はこの子と遊びましょうか。お父様の助けになるかもしれないし、子守くらいはこの体でも…)


タツヤ「あー、ねーちゃ!」


ほむら(ああ、アルバムが出しっぱなしだったわね。片付けないと)



980 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:46:20.38 ID:tlkuSAx90

タツヤ「あいー?」


ほむら(あら、タツヤくん。アルバムが見たいの?)


タツヤ「パパ―。ママー!」


ほむら(ええ、貴方とまどかのご両親ね。機会があればご挨拶したいわ)


タツヤ「あい? だれ、これー?」


ほむら(これは小さいことのまどか。あなたに似ているわよ)


タツヤ「ねーちゃ?」


ほむら(そう、まどかよ)


タツヤ「ねーちゃ! ねーちゃ!」


ほむら(そう、かわいいわね…)ホムホム


981 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:46:57.42 ID:tlkuSAx90

タツヤ「ほむあー、ほむあー」


ほむら「ほむ?」


タツヤ「ねーちゃ、すきー?」


ほむら「ほびゃ!」ブッ


タツヤ「すきー? すきー?」


ほむら(な、な、なにを…)///



982 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:47:22.90 ID:tlkuSAx90

ほむら「…」


ほむら「……」


ほむら「……ほむ」


タツヤ「ほむあー、ねーちゃ、すきー!」キャッ キャッ


ほむら(伝わるものね…)


983 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:47:55.45 ID:tlkuSAx90

タツヤ「たちゃーも、ねーちゃすきー」


ほむら(ええ、私も大好きよ)


ほむら(でも…私はその大好きな人を守れなくて、何度も何度も…)


ほむら(挙句の果てに今はこのザマ。本当に何をしているのかしらね…)


ほむら(守るどころか、何もできない体になってしまって…)


ほむら(本当に…、なにを…)



984 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:48:24.67 ID:tlkuSAx90

タツヤ「ほむあー?」


ほむら(え?)


タツヤ「ほむあー、だいじょぶー? どこかいたい?」ナデナデ


ほむら(タツヤくん…)


タツヤ「とんでけー。とんでけー」スリスリ


ほむら(ええ、大丈夫。挫けたりなんかしない)


ほむら(必ず、まどかを救って、成長した貴方と会えるようにするわ)


タツヤ「わらったー! ほむあー!」キャッ キャッ



985 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:49:01.99 ID:tlkuSAx90

――――――

タツヤ「さいくろん! じょーかー!」


ほむら(ええと、この人形と戦えばいいのかしら?)


タツヤ「どーぱんとー! うぇざー!」


ほむら(とりあえず、えい)ホムキック


タツヤ「まきまむどらいぶー!」ボカッ


ほむら(あふっ! なかなかダメージが大きいわ…)



986 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:51:37.84 ID:tlkuSAx90

――――――

タツヤ「たーとーばー! たとばーたーとーばー!」


ほむら「ほーむーむー」


ほむら(変な歌ね…)


タツヤ「うヴぁ―。こそこそー。ごきぶり―」


ほむら(ゴキブリがいるのかしら? 始末しないと)


987 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:52:31.79 ID:tlkuSAx90

――――――

タツヤ「ればー! へちんー!」


ほむら(そう、変身って言ってレバーを入れて! こう!)


タツヤ「うちゅー! きたー!」


ほむら(こんなこともあろうかと視聴しておいてよかったわ)



988 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:55:20.24 ID:tlkuSAx90

―夕方―

まどか「ただいまー!」


知久「お帰り、まどか。今日は早かったね」


まどか「うん。でも今日はこれからまた出かけるの。友達が待ってるんだ」


知久「そうなんだ。あんまり遅くならないようにね。最近、ちょっと多いよ?」


まどか「うん、気を付けるね」


まどか(今日は何もないといいな…)







989 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:55:48.17 ID:tlkuSAx90

タツヤ「ねちゃー、おかえり―」


まどか「あ、たっくん。ただいま」


タツヤ「ほむーほむー!」


まどか「え?」


タツヤ「ほむあー、あそんだー」キャッキャッ


知久「そういえば、今日はタツヤはまどかの部屋でずっと遊んでいたね。何か面白いものでもあったのかな」


まどか(ま、まさか…)


990 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:56:19.76 ID:tlkuSAx90

まどか「ただいまー、ほむほむ。今日たっくんと…って!」


ほむら「…」ピクピク


まどか「ほ、ほむほむ?」


ほむら(お、おかえりなさい…まどか…)


まどか「な、何かいい感じに汚れた感じになってるけど、大丈夫?」


ほむら(幼児のパワーを侮っていたわ…。最後は結局着せ替え人形に…)


まどか「ご、ごめん! ウチのたっくんが取り返しのつかないことを…」


ほむら(償いは…貴方の膝枕と…頬すりで…がくっ)


まどか「ほむほむー!」


991 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:56:49.92 ID:tlkuSAx90

タツヤ「ほむあー、だいすきー!」


知久「楽しそうだね。新しい友達でもできたのかな」


タツヤ「ねーちゃすきー、ほむあー!」キャッキャッ



992 :1 [saga]:2011/10/07(金) 02:57:35.89 ID:tlkuSAx90
投下終了です。

ご拝読ありがとうございました。


993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/07(金) 03:00:33.84 ID:va7Po2LAO
おつおつ
着せ替えシーン見たかったなぁ(チラ…
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/10/07(金) 03:09:43.78 ID:HrscfT8lo

ほむらちゃん一人の時そんな事してたんですか可愛いww

結末を知ってるだけに、
>ほむら(必ず、まどかを救って、成長した貴方と会えるようにするわ)
このセリフは来たな…
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/07(金) 07:15:25.99 ID:r8A20TqJo
おつー
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/07(金) 07:44:55.81 ID:GKlKvmwSO
ほむら「体が縮んだわ…」まどか「じゃあ代わりにわたしが頑張るね!」 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316695007/

ここであえて次スレURLで埋め立てほむほむ
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/10/07(金) 07:49:46.43 ID:DzGvo36Co
埋め
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/07(金) 08:02:57.33 ID:S+pu7kiW0
●<ゴキブリはオーズだろうが(50人的意味で)
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/07(金) 08:03:02.30 ID:ICKckZ7s0
●<ゴキブリはオーズだろうが(50人的意味で)
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/07(金) 08:03:04.33 ID:mIONXTnM0
●<ゴキブリはオーズだろうが(50人的意味で)
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                     ___, - 、
                    /_____)
.                    | | /   ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
                    |_|  ┃ ┃  ||  
                   (/   ⊂⊃  ヽ)        /  ̄ ̄ ̄ \
                   !   \_/  !        ( ( (ヽ     ヽ
                   ,\ _____ /、       | −、ヽ\     !
   ゝ/  ̄ ̄ ̄ \     /. \/ ̄\/   .\     | ・ |─ |__   /
   / _____ヽ    |  |  _┌l⊂⊃l  |  |    ┌ - ′  )   /
   | | /  ─ 、−、!    |  |  / ∋ |__|  |  |    ヽ  /   ヽ <
   |__|─ |   ・| ・ |    |  /`, ──── 、 |  |     ` ─┐  ?h ̄
   (   ` ─ o−i    ヽ /         \ .ノ_      .j ̄ ̄ |
    ヽ、  ┬─┬ノ / ̄ ./            ヽ- 、\    /   ̄ ヽ\
  // /ヽ─| | ♯|  /   i              | ..) ) \  i  ./   |\\
  | |  /  `i'lノ))┘/ , ─│             !-l⊂⊃l┐__ヽ__/\ / |   | |
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そんなこと言ったっておまえら朝起きたら石原に生挿入してたらどうするよ? @ 2011/10/07(金) 06:27:23.57
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VIP-World TRPG 灰色のくま2ch版 Part742 @ 2011/10/07(金) 02:06:38.73 ID:G1XoRrXto
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親愛コミュニティー → 株式会社親愛 ※ま〜た世間を欺く社名変更 @ 2011/10/07(金) 01:23:43.56 ID:GQljZsUQ0
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新宿駅の伝言板にXYZって落書きされてたけど @ 2011/10/07(金) 00:15:20.42
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澪「ねぇ律、私にそんな夢、みさせないで」 @ 2011/10/06(木) 23:56:51.99 ID:5AnmmV7I0
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