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上条「……お前のことが心配だからに決まってるだろ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/07/18(月) 18:39:32.28 ID:QPD93zZZ0
・とある魔術の禁書目録SS
・15.5巻をイメージした構成物
・構成上16巻以降のキャラは出番なし(話の構成上美琴の出番もなし)
・トンデモ解釈あり
・オリキャラが登場します
・つーかオリキャラ物です
・コンセプトは上条さんが関わってない事件に間接的に関わる
>>1はルビ振りが下手糞ですずれてても見逃してもらえると助かります
>>1はスレ立て初めてです
・ペースはまったり

以上の点に充分に注意してください

他至らぬ点も多々ありますがよろしくお願いします
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 18:40:58.72 ID:QPD93zZZ0
序章 とある平和な非日常 -I'm home-


死ぬかと思った。

学園都市に帰ってきた上条当麻はまずそんな事を思った。

彼はついさっきまでアビニョンにて魔術師と激突し、音速旅客機(最大時速7000キロオーバー)によって

帰宅してきたばかりである。

時刻は午前、この時間から学校は遅刻確定は間違いなしだろう。

とはいえ、基本的に上条は学校をさぼったりはしない(出席日数がやばいからサボれないともいう)

(とはいえ、このテンションで学校いっても間違いなく倒れる自信があるぞ…)

なにはともあれ、軽い物でもなんか食べないとなーと思って傍と気づく。

…向こう行くときにコインロッカーどうしたっけ?

数分後コインロッカーの前で頭を抱える少年がそこにいた。



とりあえず、寮に帰ると誰もいなかった。

「インデックスー?帰ったぞー」

いつも帰ってくるとやかましいシスターさんの反応が今日はない。

部屋に入ってみると見事にもぬけの殻だった。

不在という事態に上条は一瞬いやな汗をかくが…

隣からバタンバタンとドアをぶち破るような勢いで開いたような音が鳴ったとほぼ同時

「とーー―ーうーーーーまあああああああ」

白い物体が上条の頭に齧りついた。

「いってええええええええええ!まて!インデックスさん!今回は舞夏が御飯作ってくれたから特に問題はないはず!」

「ご飯はすっごく美味しかったよ!もう一杯おかわりしたもん!いつまでも食べたいかも!でも、それとこれとは話が違うんだよ!」

「ちくしょーーーー!こちとらコインロッカーの冷蔵サービスが何故か壊れた挙句料金はきっちり取られて、未だに飯食ってないというのに!

不幸だ――ー――!!と少年の絶叫が寮に木霊する。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 18:42:54.48 ID:QPD93zZZ0
第一章 補習という名の放課後授業(じかんわり) -School days-


とりあえず午後の授業には間に合った。

担任の月詠小萌にがっつりとお説教を食らった上条は今朝の事も相まって既にグロッキー状態である。

「おーカミやん、随分と遅い御出勤ですにゃー」

ニヤニヤとした顔で、自分にそんな口を利くのはグラサンに制服を着崩した土御門元春。

一緒にアビニョンにいたはずの彼は、何故か普通に登校してたようで上条は

こいつ俺置いてさっさと帰りやがったんじゃないだろうなと睨みつけるが相手はどの吹く風だ

尤も、上条は知る由もないが彼は学園都市暗部に関わっている為、さっさと帰った後にも上条同様色々死線を潜っている訳だが

「小萌センセにお説教食らったんやって?ええなあ…ボクも一緒に行けばよかったわあ」

                         デルタフォース
などと気持ち悪い事をのたまっているのは青髪ピアス、三馬鹿共は今日も元気である。

「ったく、好きで俺だって遅刻してるわけじゃねーよ、つーか大丈夫なの俺?マジで出席日数とか足りてるんだろうな…」

まさか学校を休む理由が魔術師と死闘を繰り広げての入退院ですだなんて言えるわけもなく(言うつもりもないが)上条は独りごちる

(まあ、今回の件はもう大丈夫だって五和も言っていたし、ローマ正教も暫くは大人しくしてるだろう)

などと呑気な事を考えつつ、結局今の今まで有耶無耶になってた御飯にようやくありつく上条、放課後は補習言い渡されているので

今ぐらいはノンビリしようと考えるのだった。

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 18:45:05.54 ID:QPD93zZZ0


そして放課後、補習を受けるために上条は一人教室に残っていた、珍しく土御門と青髪の姿がないが、理由は単純で本日の補習担当が月詠先生ではないからである。

暦も10月に入り日が沈むのが早くなったからか、既に外はうっすらと紅く染まってきている。

(こんな時間に一人って物凄く空しいよな…先生早くこね―かな…さっさと帰りたいし)

夕焼けが射す教室に一人というのは、なんというか凄くノスタルジックな気分になるものである。

一人でボーっとしてても仕方ないのでとりあえず、上条はこれまでの事を考える。

(神の右席…テッラもヴェントもとんでもない奴だった…あんなのが後二人もいる…それに…)

9・30事件…前方のヴェントを倒した上条の前に現れた筋骨隆々とした男後方のアックア、彼は聖人であるとも言っていた。

聖人の凄さは神裂の戦いぶりを見て上条も重々承知している、あれはまさしく化け物だ、相対すれば間違いなく無事では済まない

土御門はあまり気にするなとは言っていたが、それでも自分だけ蚊帳の外というわけにはいかないだろう。

そんな風に思考をまわしていると不意に後ろから声がかかった。

「あんれ〜?かみじょーくん、なんでここにー?って補習に決まってるか私もだし」

と、一人で喋って一人で納得している。

                  ・・・・・・・
上条は後ろを振り向きその見慣れない友人に向かって答える。

「お前のその自己完結っぷりは相変わらずだな…紅月」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 18:46:36.87 ID:QPD93zZZ0

紅月春風(あかつきはるかぜ)は、上条のクラスメイトの一人である。

腰まで長く伸ばした髪に背は上条よりも低いぐらい、何より特徴的なのは左目にしている眼帯だ。

彼女の左目は大きな三日月で覆われていた

「いやいや、今日は私一人だと思ったからね、ホラ小萌センセじゃないし」

「あの馬鹿共の行動理念はクラスメイト周知の事実か…まあ今更ではあるが」

その馬鹿どもには君も間違いなく含まれてると思うよ、という紅月の言葉に上条は「…不幸だ」と机に突っ伏す

「それにしても、お前が補習なんて随分珍しいな…いつも全く見ないし」

紅月春風という少女はそこまで頭が悪いわけではない、大体中の上と言ったぐらいである。

特別良いわけではないが補習を受けるほどではないはずだ。

だが上条は別の事を思っていた。

              LEVEL3
「何よりお前、確か強能力だったろ?そんだけの実力あれば補習なんて免除されるんじゃねーの?」

その言葉を聞いた紅月が一瞬顔を俯かせた事に上条は気付かなかった。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 18:50:21.40 ID:QPD93zZZ0
ひとまずは以上です
ルビってみんなどうやって上手くそろえてるんだろう…
そして投下量の多い他の作者に軽く戦慄を覚えた…

こんなSSでよろしければご付き合いくださいませ
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/18(月) 19:33:58.14 ID:azRIU7EH0
あれ?上条の学校はレベル2で最高じゃなかったっけ?
まあ期待する 上条×オリキャラなら俺得すぎる
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 19:34:25.81 ID:azRIU7EH0
すまん上げてしまった
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2011/07/18(月) 19:50:13.77 ID:gR8bY8Ee0
ああこの厨二感溢れるネーミングセンス……
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/18(月) 19:58:41.90 ID:TNsHqx9AO
>>9
「チート・ばっかーズ」の悪口はそこまでだ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/18(月) 19:59:30.27 ID:hUqqC+1h0
かまちーとは違う方向に中二くさいネーミングだな
リアル中学生文芸部のペンネーム的な

期待してる
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/07/18(月) 21:06:58.75 ID:HmWZYzfAO
ロン毛眼帯厨二ネーム……

ぐおっ…右腕の紋章がうずく…!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 22:56:36.99 ID:QPD93zZZ0
みなさんレスありがとうございます

厨二ネームは褒め言葉!一応他の禁書キャラと地味に関連性持たせようとしたらこんな名前になりました

残念ながらXは多分つかないんだ…あくまでもオリキャラの方が副産物なので…

それでは数レスほど投下していきます

トリとかは別にいらないよね?
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 22:57:55.49 ID:QPD93zZZ0
「お疲れさまでした―っと」

うだーっと伸びをしながら上条は先生を見送る

横では紅月が同じ様に伸びをしていた。体を反らしてる割にはあんま胸が強調されねぇなとかなり失礼な事を考える。

が、得てして女性というのはこういうことには結構目敏いもので

「見てた事には特に何も言わないけど、一体君は何を考えてたのかな?小さいとか思ってたんだよね?」

「おおおお思ってない!誤解だ!というか自己完結するな!釈明のチャンスをおお!!」

ずさー!と勢いよく土下座する上条、ある意味土下座の時点自白してるようなものではあるが、そんな事にまでは当然頭は回らない

ちなみにこの時点で上条は、ある程度の制裁は覚悟していた、なにしろ自分の周りのオンナドモはそろいもそろって凶暴なのである

五和は例外だけどなー、上条さんだけに優しかったりするとちょっといいんだけどなーと

男子高校生的には健常な事を考えながら待っていると、全くその気配はやってこない。

恐る恐る上条は顔を上げる、そこには楽しい玩具を手に入れたような素晴らしい笑顔の紅月がいた。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:00:59.09 ID:QPD93zZZ0
「あ…あの、紅月さん?なんでそんなににこにこ顔なのでせう?」

「いやー良い感じにテンパってるなーと思って、どうせだから私の能力(ちから)でちょっと落ち着かせてあげようか?」

そう言って、指を上条に向けてクルクル廻し出す

「いや、お前の能力を疑うわけじゃないけど遠慮しとくよ、今の遣り取りでも落ち着いたからさ」

「なんだつまんなーい、どうせだから発狂でもさせようかとおもったのに」

お前は俺に何をさせるつもりなんだよ!と上条は噛み付くが紅月は笑って受け流す。


16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:03:52.73 ID:QPD93zZZ0
                          マインドウェーブ
紅月春風―――精神操作系能力者 能力名は『脳波振動』

脳波の波を操り相手の感情を操作する能力、 脳波の波を激しく短くすれば人は興奮しやがて発狂する

逆に長くゆっくりにすれば落ち着きやがて鬱になる

他にも自分の波の波長に対して対象者の波長を逆位相にすれば、相手から自分は見えなくなるらしい

とにもかくにも、色々と便利な能力である。

実際に大覇星祭の時は彼女が影で頑張っていた場面もある。

唯でさえあの時は小萌先生の為にみんな色々頑張っていたのだ、彼女はそれを少しだけ補助していた。

飽くまでも補助である、だから精々疲れを感じない程度のものだ。

「じょーだんだよ、じょーだんそんな事するわけ無いじゃないの、私は能力が能力だし自分勝手好き勝手に使うのは大嫌いだから」

そして、何より彼女は人がいい、上条が彼女を嫌いになれないのは彼女のこういう性格も相まっての事だろう

ほんとどこぞの超能力者も見習ってほしいものだ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:04:36.75 ID:QPD93zZZ0




「あ、でもむかついたから、この後ちょっと付き合ってよ」







訂正、やっぱり女はみんな自分勝手だ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:05:31.53 ID:QPD93zZZ0
結局一緒に買い物に付き合うことになった。

何を買うつもりなのかと問うと、彼女は自分の左目を指す。

眼帯なんてそんな選ぶもんじゃねえだろと言ったら

「眼帯じゃありませんー!アイパッチっていうんです!これも立派なオシャレです!」

と、よく分からないキレ方をされた


今ではどこでも結構なんでも売ってるもので、目的の物はすぐに見つかった

彼女はファンシー製のコーナーで物色中

手持無沙汰な上条もちょっと商品を見てみる。

男性用のアイパッチもそれなりにあるが明らかにどこぞのアニメに使われてたものがあるのはやはり男性用だからか


(…まさかとは思うが本物と同じように機能しねえだろうな)


無いとは言い切れないのが学園都市製である。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:07:21.25 ID:QPD93zZZ0

上条が件の物に手を出すか出すまいか悩んでいると、丁度買い物が終わったのか紅月が戻ってきた。

「おまたせー、いやーいい買い物ができたよーかみじょーくんありがとー」

「ああ、どういたしまして?」

ほとんど何もしてない気がするが…アイパッチなので荷物持ちにもならない


「それにしても、ファッションとは言っても片目隠すって結構大変じゃないか?見えてない訳じゃないんだろ?左目」

彼女は左目が見えない訳ではない、脳波の波長を『視る』為には視覚に負荷がかかる

時には無意識で視てしまうこともある為、両目を常に使っていたらあっという間に自分に限界が来てしまう

                  パーソナルリアリティ
自身の能力を操る自分だけの現実がまだ上手く構築できていない。

                
故に強能力者、能力制御が万全ならおそらくは大能力者にはなっていてもおかしくない彼女が、このクラスなのはこれが理由であった

「あははー、慣れれば大したことないよー、少なくとも視えすぎるよりは全然マシだよ」

「ふーん…やっぱレベル高いとそれはそれで結構大変なんだなー」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:08:00.53 ID:QPD93zZZ0
無能力者の自分には彼女の悩みはいまいちわからない、まあ彼女自身が悩んでる分けじゃないから自分が気にしても仕様がないのだが

ふと見上げれば、すっかり暗く空には星が瞬いている。

ぶっちゃけ完全下校時刻ギリギリどころかアウトである。

「ギャーー!!ここんとこあっちこっち色々してたから、時間の感覚完全に狂ってたー――!」

「あ、じゃあ私の寮あそこだからもう帰るね、かみじょーくんも遅くならないうちに帰りなよ―」

「アウトなんだっつうの!もう既に遅くなってるんだっつうの!くっそ歩いて帰れる距離とはいえ見つかったら補導だぞ…
 ていうか。インデックス!特売!夕飯!!やべえ夕飯が何もない!」


不幸だーーー!と叫びながら上条は夜の都市を疾走していく
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:10:19.19 ID:QPD93zZZ0
本日は以上です
全力で厨二能力全開ですが気にしない!
この先の展開を考えるとこういう能力にせざるを得なかったんだ!!

と、言い訳しつつ今日はおやすみなさい

次は早くて三日後、遅くて来週になりそうです
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/18(月) 23:13:07.02 ID:QPD93zZZ0
書き忘れた…上条さんの高校LEVEL2までだったかー
がっつり読み直したつもりだったのに見逃してたorz

ぶっちゃけ彼女のLEVELはあまり重要じゃないのでどうでもいいんですがw
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/07/19(火) 22:43:25.05 ID:KsZYLd5u0
三日後といったな…すまんありゃ嘘だ…

問題が先送りになったので三日後に投下できる分を本日投下

あと、ルビずれがあまりにひどすぎるので、これからはルビではなく≪≫で表記します

例→自分だけの現実≪パーソナルリアリティ≫

…強調点の変わりはどうしよう

それと、今回で第一章が終わりますので、今回だけageます。

第2章より後はsage進行で行きたいと思いますのでよろしくお願いします
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/07/19(火) 22:44:30.16 ID:KsZYLd5u0

上条を見送り紅月は寮へと入る。

あの馬鹿なクラスメイトは今頃夜の街を疾走している事だろう。

想像すると笑いがこみあげてきたので慌てて口元を隠した。

あの学校に転入してから毎日が本当に楽しく感じる、自分が想像してた学校というのはもうちょっと殺伐とした空間だ

だがあのクラスは違ういい意味でみんな馬鹿だ、何しろ誰かが肉が食いたいと呟いた途端

クラス総出ですき焼きパーティーを開催するのだ、普通に考えても馬鹿しかいないだろう

(まぁ、勿論その馬鹿には私も含まれるんだけどね)


部屋に入り先ずは私服に着替える、強能力者程度の寮なので別段そこまで変わった部屋なわけではない

どこにでもあるような普通の女の子の部屋だ。

彼女は早速今日買った新しいアイパッチを取り出し繁々と眺める。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:45:05.09 ID:KsZYLd5u0

(そういえば今更だけどかみじょーくんと放課後ずっと二人きりだったんだよね…)

本当に今更である。とはいえ彼女は彼にそういう気持ちは一切持っていない

まあ他の子達の何人かは彼にお熱な子もいるが、どちらかというと彼女は中立的な方だ。

ぶっちゃけからかってる方が楽しいのである。

それに正直な所、上条は他人に対して警戒心が無さ過ぎるきらいがある。

恐らくそういう所に女子達――ひいては男子達――は惹かれるのだろう

しかし彼女はそうは思わない、紅月は上条には打算があると考える何故なら

(無条件に優しい馬鹿なんているわけがないじゃい、私自身がこんなにも打算的なんだし)

彼女自身今日の事は断られないだろうと計算しての行動だ、自分はこれからもこうやって生きていくとあの日から誓っている。

嫌な女だな…と自嘲気味に彼女は呟いた。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:45:53.79 ID:KsZYLd5u0

翌日、上条が学校に行くといきなり殴られた。

殴ったのは青髪ピアスと土御門元春、当然の事だが上条は殴った二人に詰め寄る

「いきなりなにしやがんだよテメェら!流石の上条さんも理不尽な暴力には対抗いたしますよ!」

「「うっせぇ!リア充は滅びろ!」」

ドタンバタンと教室の机が荒れ狂う、その様子をちょっと遠巻きに視てた吹寄がキレた

「黙れ!馬鹿共!貴様ら朝っぱらからうるさい!」

あっという間にクラスは阿鼻叫喚の嵐に包まれる、月詠小萌がHRに来た時には

3人の馬鹿が一人の女に跪いてる姿が目撃された。

「って!なんかデジャヴなのですよー!ほんのついこないだ同じ様な事が起きた気がするのです!」

その様子を遠巻きに見つめる紅月、表情にはありありとめんどくさそうな表情が見て取れる

「…意外な伏兵…眼帯キャラなのに全く目立ってないから油断した…」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:46:22.17 ID:KsZYLd5u0

そんな謎の言葉が聞こえてきたので振り返ってみると、姫神が自分の事をじっと見ている。

「…誤解だよ?なんでバレたのかはこの際置いとくけど私はかみじょーくんにそんな気は一切ないから」

だから安心してねと告げると彼女は顔を赤くしながら

「ふふ…安心も何も…私は影の女…やはり貴女のような個性がないとダメなのかも…」

ぶつぶつと自分の世界に入り込んだ姫神、あれ?この子こんな子だったかなあ…

いっそ能力使ってハイにしてあげようかなあと思うが、思い止まる

能力はできる事なら余程の事がない限り使いたくない。

隔して、クラスは平常通りに進んでいく
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:47:12.36 ID:KsZYLd5u0

お昼休み――上条は弁当(久しぶりに自作)を食べていると、横から吹寄と姫神がやってくる

「むむ、最近は弁当ブーム?」

「また美味そうなもんだな…トレードするか?」

「…したいのは山々だけど二の鉄は踏まない」

「?」

前回のブラホック事件は姫神の記憶にはまだ新しい、また同じ目にあったら堪ったもんではない

そしてその事を察した吹寄が

「一応言っておくけど私は今日もフロントホックだからね」

よく分からない事をのたまった。


「そういえば、紅月さんと放課後デートしたのは本当?」

唐突に姫神がそんな事言いだしたので思わず上条は口に入れたものを吹き出しそうになる。

「な!なんでそうなる!?買い物に付き合ってやっただけだ!昨日の補習で一緒だったし」

これを本気で言ってるのだからとことん救いがない。

「それにしても、貴様とあの子そんなに仲良かったっけ?私あの子が誰かと一緒に遊ぶイメージが全くないんだけど」

吹寄のその言葉に上条は少し顔をしかめる
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:48:07.58 ID:KsZYLd5u0

よって上条にはクラスメイトとの距離感が全く持ってよく分からない、幸いにも孤立したりしている人間はいないようだが

それでも友達の距離間というのは存在するだろう…現に吹寄や姫神はこうして自分とお昼御飯を食べている―姫神は夏休み中に知り合った友人だが―

だから上条は新学期頭にまずクラスメイト一人一人に声をかけた、その時になんとなくの距離感は掴んだと思う。

かといって別に選り好みをしていたわけではない、仮に自分が嫌いな人間に馴れ馴れしくされたら相手だっていやだろう。

勿論例外もある、現に吹寄は上条があまり好きではない―と、上条は思っている―がこうやって話しかけてきたりする。

こういうのも含めて距離感を図ろうとしたのだ

では、夏休み前の紅月と自分の距離間はどうだったのだろう?

紅月は最初からとっつきやすく、話しかければ普通に喋ったりもする。

教室で話す程度の仲だが、以前の自分は彼女とそこまでコミュニケーションを取ってなかったのだろうか?

(って、前の事を考えてもしょうがねえか、今はこうやって仲良くしてるんだし)

「そんなに変か?あいつの性格だと、割と誰とでも仲良くしてそうなもんだけどな?」

その言葉に吹寄は少し顔を顰める、言うべきか言わないべきか悩んでいるようだった

「確かに明るい子だし、すぐに誰とでも仲良くなれそうな雰囲気を纏っているけど…」

次の言葉に上条は耳を疑った。

「あの子、話はすれど誰かと一緒に遊んだりとかは一切した事無いらしいのよ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:48:54.47 ID:KsZYLd5u0

昼食後、時間が余ったのでなんとなくブラブラしていると小萌先生にばったり出くわした。

なにやら荷物を大量に持っている。正直危なっかしい。

見ててハラハラするので、声を掛けると何故かこっちに向かって躓かれた。

「!!先生あぶねぇ!」

すんでのところで小萌を受け止める上条、荷物は散乱したが小萌に怪我はないようだ。

「わわわ!?上条ちゃんありがとうなのです」

子供サイズの小萌は上条にすっぽりと収まるように抱き留められている。

当然、上条がそんな事態になっていると…

「あー!かみじょーくんなにして…なにしてるの?」

不幸にも知り合いに目撃された。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:49:32.74 ID:KsZYLd5u0

なんとか誤解を解いて、散乱した荷物を拾い先生の手伝いをする二人

「お二人とも助かったのですよ―、正直一人では大変だったのです」

「いえいえ、小萌センセにはお世話になりましたし、これぐらい遠慮しないでください」

「お世話って、なんだ?能力開発の補助でもしてもらったのか?」

上条がその言葉を放った瞬間、紅月の顔にピシリとひびが入る。

小萌の表情もかなり暗い。

「あ…いや別に、大したことじゃないよ…じゃ…じゃあ私教室戻るね!」

「あ!おい!紅月!」

上条が呼びとめるも紅月はそれを無視してかけだしていってしまう。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:55:55.12 ID:KsZYLd5u0

「小萌先生…あいつ一体どうしたんですか?俺なんか変な事聞いたのかな?」

「上条ちゃんは悪くないのです、ただちょっと紅月ちゃんにとっては触れて欲しくなかった事なのですよ…」

小萌は何か知っているのだろうか…そういえばさっき吹寄が言っていた事も気になる。

「先生…よかったらいいんで…あいつの事の聞かせてくれませんか?その吹寄から聞いたんですけど…」

そう言って先ほどの事を小萌に相談する上条、小萌は少し悩んでいたが

「上条ちゃん、一つだけ聞かせてもらえますか?」

小萌の真剣な瞳に上条はしっかり目を据えて頷く

「それは好奇心からですか?それとも友達が心配だからですか?」

そんなもの答えなんて決まり切っている。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:56:34.96 ID:KsZYLd5u0

放課後に職員室に来てください。

あの後小萌にそう言われたので、上条は言われた通り放課後職員室を訪れた。

職員室に入り小萌の姿を見つけ声をかけると、食堂へ移動しましょうと言われたので大人しく付いていく

食堂に付き誰もいないのを確認してから、小萌はゆっくりと口を開いた。

「上条ちゃん、一つだけ言っておきます、先生は上条さんを信用しているからお話しするのであって、本来なら個人のプライベートな事は当然易々は言えません、他言は無用でお願いします」

ジッ…と小萌は上条を見据える、その外見からはとても想像がつかない、大人の風格が漂っている。

上条もまた真剣に小萌を見つめ続きを促す。

「分かっています…どんな事だって受け止めて見せます…あいつは俺の友達だから」

上条のその言葉に一瞬にこりと小萌は微笑んだ、すぐさま真剣な表情にもどし改めて口を開く

「…紅月春風さん…彼女は、夏休み前に先生が路地裏で保護しました…最初は家出かと思いましたが違いました…彼女は」

置き去り≪チャイルドエラー≫です、と小萌は告げた。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:57:38.12 ID:KsZYLd5u0
行間1

夕日が沈みゆく道を一人の少女が歩く、ちょっと耳を傾ければ、小さい子供達が戯れる声が聞こえてくる

歩いているのは"元"アイテム構成員、絹旗最愛

とある無能力者によって組織は壊滅し根無し草状態になってはいるのだが

暗部抗争事件にて比較的軽症(本人的には)に済んだ絹旗は復帰直後すぐさま依頼を受けることになった。

正直復帰祝いに、映画館に洒落こもうとしてた彼女はすこぶる機嫌を悪くする。

「しかも、復帰直後の任務がいきなり海外ですか超バカンスじゃないのが逆に超ムカつきますね」

さらに言うと任務内容が絹旗的に言うと、超調子に乗った超雑魚の超後始末だ。

こんなんでテンションが上がるはずもない。


ふと彼女は子供の声が聞こえる方も見て思う、もし自分があの場所にいたらこんな腐った居場所など知らずに居られたんだろうなと…

35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 22:58:39.81 ID:KsZYLd5u0

(超つまらない感傷ですね、それにどの道あの実験は、私とあいつで完全に潰しましたし)

今更何を考えてもしょうがない、施設を潰したとはいえあの実験で、何十人もの置き去り達が死んだ

その事実は変わらないし、目を背くつもりもない、いや…そもそも彼女を含めあそこの子供達には

そんな仲間意識など皆無だった。あるのはただひたすら生き延びる為の意志のみ、そして彼女は生き残った。

ただそれだけの話であった。

(そういえば、私とあいつ以外にも一応あの施設から生きて出られた奴が一人いましたね)

生きて出られた…とはいっても、勿論いい意味でではない、実験失敗によって生きてはいるが、使い物にならなくなった子供を
                           
別の施設に移動させられただけだ。絹旗本人はこの事を胸中で御引越≪リサイクル≫と呼んでいたが、どの道地獄の先は地獄だろう。

(まあ、仮に生きていたとしても所詮は失敗作ですし今頃も地獄の中で喘いでるでしょう)


そう思い絹旗はふと気付く、成功作である自分も地獄の中で喘いでいるという事に

B級どころかC級映画並みのクソッタレた人生だなと彼女は思った。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/19(火) 23:02:31.39 ID:KsZYLd5u0
本日分は以上です

次の投下はちょっと未定…なるべく早くこれるようには頑張りたいと思います

…思ったよりレス消費が少ない、500もいかないうちに完結しそうだな…まあ別に問題はないか

それではー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/07/19(火) 23:39:58.08 ID:yA8qGTzAO
ふむ
実に厨二くさい展開だ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/20(水) 00:32:21.01 ID:itJPZ04E0
いいね
どういう関わり方をしていくのが楽しみ

ていうか紅月さん、まさか……
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/20(水) 01:50:49.29 ID:jOGKZFNH0
すみません、読み返したら1文抜けがあった

>>29の頭に以下の文が入ります



上条当麻は記憶喪失だ…故に夏休み以前の記憶が一切ない、完全なるリセット

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 03:29:43.27 ID:AyvLd5rDO
句読点の使い方おかしくね?
本来「。」のところに「、」があるのが読んでて凄い読みにくいってか気になる


上条当麻は記憶喪失だ…故に夏休み以前の記憶が一切ない、完全なるリセット

例えば↑の文だと↓の文のようになっていないとおかしい

上条当麻は記憶喪失だ。故に夏休み以前の記憶が一切ない。完全なるリセット。


地の文でやるなら句読点の使い方くらいちゃんとしる
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:32:44.94 ID:I/WkMIKj0
こんにちは、あるいはこんばんは
1週間ぶりです。

ご指摘を受けて、自分なりに勉強してきたので思ったより遅くなりました
今回は試験的に今までと全く違った文体で書きこんでいきます

勉強してこの程度かよ!な、内容ですが、よろしくお願いします
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:36:04.70 ID:I/WkMIKj0
第2章 想いは強く 思考は深く -Child_Error-


置き去り≪チャイルドエラー≫
それは、学園都市に住む者にとっては聞き慣れてるほど深刻な"社会現象"。
学園都市に預けられ、そのまま親が行方を眩ましてしまい身寄りのなくなった子の事をいう。

「私が彼女を見つけたのは、誰も寄り付かないような路地裏だったんです」

小萌にはある趣味がある。時折路地裏などに足を運び、家出少女などを家に招き保護するのだ。
紅月も同じ経緯で保護したという。

「紅月ちゃんは、置き去りということは本人から聞きました。しかし彼女はそれ以外の事は一切話してくれませんでした。」

置き去りにされた子供達は運が良ければ、保護施設に預けられる。運が悪ければどうなるかは、考えるまでもないだろう。
上条は、紅月は運が良かったのかと思うが、置き去りにされた時点で運がいいも何もないだろうと思い直す。

ただ…と小萌は続ける。

「彼女の年齢とLEVEL的に考えて、置き去りとはいえ、既に施設を出て寮生活をしているはずです。
 にもかかわらず、彼女は路地裏でひっそりと座っていたんです。」
まるで何かに脅えてるようでしたと、彼女は続ける。そしてその予想は当たっていた。

「紅月さんは、大人に異常に脅えていました。それこそ大人が近付いただけで頭を抱えるほどに」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:37:21.31 ID:I/WkMIKj0

上条は顔を歪める。大人を見ただけで脅えるほど植えつけられた恐怖心。そして彼女が置き去りという事実。
恐らくだが、紅月が施設で虐待を受けてたことは想像に難くない。


小萌が紅月を保護出来たのは、一重にその容姿が幼いおかげだったのだろう。この時ばかりは、小萌は自分の体型に感謝した。
保護をした時の紅月は本当に酷い有様で、大人には脅え、それ以外の対象にはひたすら無関心で、食事の際は機械的に口に運ぶのみ。
だが、小萌は諦めずとにかく真摯に彼女に接した。そうしているうちに紅月も徐々に喋るようになり、現状に至る。
今の紅月があるのは彼女のおかげなんだと上条は思う。
しかし、小萌は首を横に振る。

「確かに表面上は、元気になったように見えます。ですがね上条ちゃん、元気になるのと元気に振舞うのは、全くの別物なのですよ?」

どういう事だと上条は思う。空元気でも元気になろうとする精神は普通に凄い事ではないのか?

「あの子のアレは空元気ではないのです。上条ちゃん…彼女は大人に脅え、それ以外に無関心と言いましたよね?」

上条は頷く。

「それは今でも全く変わっていません。ただ対応を変えただけで、今でも彼女はそのトラウマに悩まされているのです」

トラウマ―心的外傷後ストレス障害―昨今ではやたらと軽く使われる言葉だが、実際はそんな軽々しいものではない。
生半可な事では治療できず、それこそ一生付き合って生きていくことがほとんどだ。

「トラウマは、心の傷です。簡単に向き合えるものではありません。そしてそれ故に彼女は人を信じられなくなっています。」

その結果が今の状態だと小萌は言う。

「その…原因はやっぱり施設の虐待とかですか?」

恐らくは…と小萌は答えた。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:37:49.32 ID:I/WkMIKj0

だが、二人には知らない。
置き去り≪チャイルドエラー≫にとって、"保護"される事が更なる地獄に落ちているという事があるという事を
学園都市では、実験の街でもある。日々研究者<おとな>達が実験を行い、社会貢献をする。
能力者<こども>達はその為に実験に付き合い、同じ様に貢献するのだ。
だが、実験には人には言えないモノも存在する。当然公にはできないその実験はどうやって行うのか。
そう、置き去りを"使う"のだ。
置き去り達は身寄りが既にない。言ってみればそれは、学園都市から姿を消しても誰も気にとめないという事。
たとえ死んだとしても誰も困らない。置き去りとして実験に利用されたその時から、子供達の運命は決まっていたようなものだった。
そして、紅月もその例にもれなかったのである。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:38:59.95 ID:I/WkMIKj0
同じ頃、紅月春風は繁華街にいた。
特に目的はなく、ただブラブラとしているだけだ。
彼女は一人暮らしだが、料理はできない――そもそもしようとも思っていない――
よって、スーパーで買い物するのも、既に出来上がった惣菜物やあるいは、カップメンが主だ。
私服なども一応持ってはいるが、これだってサイズとか全然考えなく、ただ家で寝るだけの寝まきだけである。
つまりは、ほんとに歩いているだけである。

 ただ、今現在彼女の脳裏を占めるのは昼間の出来事、上条と小萌の一件だ。
"小萌に能力開発の補助を受けたのか?"そう聞かれた時、あの光景と共に軽く頭痛を覚えた。
あの頃から自分は全く何も変わっていない。必死に忘れようとしても、こうやって強烈に思い出してしまう。
自分は今こうして生きている。それは素晴らしい事だと紅月は思う。

"色々"あったがこうして生きているのは自分が幸運だからで、後は過去の事をドブに流せばいいはずだ。
だが、捨てられない。過去は過去として彼女を苛める。
そして、それ以上に彼女を苦しめるのは、ほかでもない現在<いま>
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:39:46.36 ID:I/WkMIKj0

(私は…今ちゃんと生きてるの?)

そう自問自答する。自分は今現在何かをしているかと思う…驚くほど何もしていない。見事に空っぽだ。
この事を小萌に相談すれば、彼女は自分の為に色々尽力してくれるだろう。
いい先生だ、と彼女は思う。なにせ、相談しなければ、"生徒の事を思って何もしない"という気がきく先生なのだ。
そして紅月は打算で考える。相談すべきか否か。
他の大人は論外、目が合ったら間違いなく卒倒する自信がある ―授業中は小萌以外は目を合わせないか自身に能力を使っている―
散々悩んだ末に、彼女はやっぱりやめとこうと思った。
結局自分の事は自分でなんとかしようと、そう思った末の決断だった。
そして、そんな紅月に。声がかかる

「…おや?超もしかして紅月ですか?」

振りかえると、年下の"知り合い"がいた。

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:41:19.70 ID:I/WkMIKj0
学校を出た上条は頭を抱えていた。紅月の話を聞いてからずっと彼女の事を考えている。
小萌に最後に言われた事が引っかかっている。

「上条ちゃん、紅月ちゃんについては先生からは何もできません。何故ならどれだけ真摯に接しても、
 それは先生と生徒という立場から"対等"ではないからです。ですが上条ちゃんは違います。」

確かに自分は友達という"対等"な立場だ…しかし無関心な彼女に対して自分は何かできる事があるのか?
そう聞くと小萌はにっこりと笑って答える。

「上条ちゃんは、紅月ちゃんと放課後デートをしたそうですね?無関心な彼女がそんな事をするとは思いません、
 少なくとも上条ちゃんは彼女に少なからず興味を持たれてるはずですよ?」

その言葉は衝撃的だった。

(だけど、だからといって俺に何ができるってんだ、事情を知ったから遠慮なく接しろ?そんなの大きなお世話だろ…)

しかも、紅月はこっちの事情は全く知らない。変に対応したら、逆に嫌われてしまう…それどころか
今度こそ彼女は心を完全に閉ざしてしまう。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:42:39.83 ID:I/WkMIKj0
ただ、引っかかる事もある。彼女は何事にも無関心といった。なら何故彼女はアイパッチに御洒落を見出したりした?
いや、それ以前に無関心なら、何故中途半端に他人と接する?
本当に無関心なら、それこそクラスで孤立して平然としているだろう。

(まあ、下手に孤立すると余計なお節介に絡まれたりするもんな…特に吹寄なんかは放っておかなそうだ)

ならば、多少煩わしいとはいえ、仲が良い仕草を見せた方が効率的だ。

(…あれ?)

何かがおかしいと上条は思った。

"無関心"なのに"煩わしい"?

これは矛盾していないか?無関心というのは、本当に何も思わない事だ。
なら、何故煩わしいと思いながら接しようとする?
もう一つある、彼女のアイパッチだ。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:43:14.55 ID:I/WkMIKj0
アイパッチをする人間なんて滅多にいない、それは当然注目を浴びる。
勿論武骨よくみる黒い眼帯であったなら、そのうちみんな慣れてくるだろう。
しかし、彼女の"ソレ"は毎日のように変わりあまつさえ本人は"お洒落"と称している。
それは注目を浴びたいということではないか?

(あいつはトラウマの所為で人が信じられなくなっているから、人と関わろうとしていない。
 だけど、その一方で…人と関わりたいと思っている?)

きっと置き去り≪チャイルドエラー≫なのを隠しているのも、
忘れたい過去だからなのはもちろんだろうが、奇異な目で見られたくないとかそういう理由も含まれているのだろう。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:44:43.20 ID:I/WkMIKj0


(だとしたら…あいつは大馬鹿だ)


結局の所、紅月は自分が一人だと思い込んでいるだけだ。
他人が信じられないという固定概念の所為で、自分で閉じこもっているだけ。
勿論トラウマが深すぎて、その殻酷く強固なのは理解している。
だがその一方で

(あいつは自分で殻を破りたがっている!)

それなら、上条がやるべき事は一つだった。

(自分で破るのを外か応援するか、それがダメなら引きずり出す!)

しかし…と上条は思ってしまう。

(俺にそんな事する権利があるのか?)

置き去り≪チャイルドエラー≫である事を隠しているの紅月
そして上条も隠している事がある。自身が記憶喪失である事を、今でもそれはバレていない
それは今の今まで、彼の知り合い全てを騙しているという事。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:45:18.84 ID:I/WkMIKj0







(・・・嘘つきの俺に…他人を信じられないあいつを、救うことはできるのか?)






52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:47:02.00 ID:I/WkMIKj0

  行間2




そこはいつも薄暗かった。
聞こえるのは大人達の声だけで、子供の声はすすりなきすら聞こえていない。
文字通り自分達は実験材料≪モルモット≫で
無慈悲に、自分達の脳を開発されていく。
彼女は自分が能力を常に使っているのではと錯覚した。
何故なら、大人たちはいつも狂気に包まれていたし、子供達はいつも消沈していた。

明らかに異常に違いないのに、もはや"当たり前"と思える光景に
ああ、自分もどこかおかしいんだなあと、幼いながらに彼女は思った。

53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:47:43.97 ID:I/WkMIKj0

ある日、いつもと違う実験を行うと大人達に言われた。
むしろ今までのはこの為の準備期間だとも言っていた。
要するに、準備と称した奮いに掛けられていたんだと理解した。
脱落者の末路は、言うまでもなく真っ赤に染まっていて自分は偶々無事であった。

脱落者に対して感慨は何もわかなかった。どれだけ地獄にいようとも、自分は死になくなかったから
唯ひたすら生き残っている事に安堵していたのを覚えている。

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:48:17.46 ID:I/WkMIKj0

意外にも、自分のほかに生き残っている子供もいた。誰もが自分よりも年下だったので
思わず声を掛けてみた。
反応したのは、栗色のショートカットの女の子だけで、その子は絹旗最愛と名乗った。

だけど、彼女は名乗る以上の事は決して口を開かず、それ以降はほかの子供たちと同じ無関心に前を見るだけだった。
ただ、直感的に思った。
この子もきっと生きる事に執着している子だと。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:48:57.30 ID:I/WkMIKj0

そして実験…通称『暗闇の五月計画』が始まる。
…今でも思う。あれは最悪だった。
正直死んだと思う。いや死んだ方がマシだったと思う。
死にたくないと思う一方で、早く殺してと叫ぶ私がいる。
そして、幸か不幸か私は生き残った。実験は成功したのだ。

横を見ると、他にも数名生き残りがいる(あの絹旗も生き残っていた)
実験終了後は、頭に酷い違和感が残った。まるで自分じゃない何かがいるような、自分には違いないけど
自分じゃない何か、ある意味においてそれは間違いじゃ無かった。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:50:34.61 ID:I/WkMIKj0

実験後、実験結果が大人達に言い渡される。
正直結果なんてどうでもよかった。よく分からないまま実験されて
何が成功で何が失敗だか私にはわからない…だからこそ、私は残酷な現実を知る。







大人達は、誰一人として私を見ていなかった。


57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:51:21.34 ID:I/WkMIKj0
当然、私は大人達に詰め寄った。私は生きている。実験は成功なのでは?
大人達が振りかえる。その時の大人たちの表情は私は一生忘れないだろう…
見下されたような目ではなかった。落胆の目でもなかった。
例えるならそう、ゴミ捨て場に嫌なゴミを運んでる時のヒトのような目
そんな目をしながら大人達はこういった。




「失敗作が喋るな、なんで死んでくれなかったんだ」




一言そう言うと、彼らは"成功作"についてすぐに話し合いを始めた。
ふと成功作を見てみると、栗色のショートカットの女の子だった。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:52:12.70 ID:I/WkMIKj0

その後の生活は、生活ではなかった。私は何もさせてくれなかった。
最初は実験をしなくてラッキーとか思っていたけど、何もないというのは、想像以上に辛い。
まるで、だれも私がいる事を忘れているんじゃないかと錯覚さえした。
正直言ってそれはきっと正しかったんだろう。

結局私は"失敗作"で、失敗という実験"結果"が出てしまっているので、ここの研究所ではもう役立たずなのだ。
だけど、それでも私は死にたくなかった。なにがなんでも生きたかった。なんでか分からない、ただ死ぬのは恐かったのだ。

その思いが通じたのか、ある日大人達から外に出るように言われた。
もしかして自由になれたのかと、淡い期待を募らせる。


「良かったな、お前を"使って"くれる研究所があるそうだ」


現実は地獄の先は地獄だという事を知った。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:52:38.74 ID:I/WkMIKj0






新しい実験内容は『暴走能力の法則解析用誘爆実験』というものだった。





60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/07/27(水) 16:56:16.00 ID:I/WkMIKj0
本日は以上です。

なんというか、全部終わるころには200もいかなさそうな分量ですが
とにかく完結まではしっかりやっていきたいと思います

それでは、次回は未定ですが今後ともよろしくお願いします
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/06(土) 22:39:58.45 ID:uDrwFJrH0
こんばんは、やっぱsageだと見にくくなるのかな?
更新頻度少ないとすぐ埋もれますね

最初だけageにしてあとsageるほうがいいかしら?

本日分、あまり量は無いですが投下させていただきます
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/08/06(土) 22:40:52.77 ID:uDrwFJrH0
第三章 成功者と失敗者 -Failure & Failure-


紅月春風と絹旗最愛、暗闇の五月計画被験者の成功者と失敗者
お互い顔を見せたのは一度だけであったが、紅月は絹旗の事を覚えていたが、相手が覚えていたとは思いもよらなかった。

「お久しぶりですね、正直生きてるとは思ってもいませんでしたが」

二人は今、とある公園のベンチに腰かけている。
時間も時間なのか人通りは無い(人がいたら話せるような話題ではないが)

「酷いな―、お互い様だと思うけどね、いやーそれにしてもびっくりだ」

「…?何がですか?」

「絹旗が私を覚えていた程度には気にしてた事が」

何しろ会ったのはたった一回、しかも一言名前を名乗り合っただけの間柄だ。
ましてや、失敗者の事を成功者が態々覚えてるとは普通は思わない。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/06(土) 22:41:32.42 ID:uDrwFJrH0

「…あの実験で特徴的でしたし貴女は、『まともに生き残った事のに失敗のデータがでた被検体』なんて貴女だけでしたし」

暗闇の五月計画の実験内容、それは学園都市第一位の演算方法の一部分を意図的に植え付け、対象者の能力の向上を測る。というもの
実験の被検体となった者のほとんどが、第一位の演算能力に耐えきれずか、あるいは実験の負荷に耐えきれずで、ほとんどの者が死亡している。
絹旗最愛―――彼女はその実験によって、能力にとある変化が起こった。
それにより実験は成功とみなされ、彼女は成功者となる。

対して、紅月春風―――彼女は、第一位の演算能力を植え付けるという試みに成功はしたにもかかわらず、能力に何も変化がなかった。

「生き残ったのは、ほんと偶々だろうけどね…私の能力と第一位の演算方式の相性が良かったとか、そんな感じ」

自嘲気味に紅月は呟く。
絹旗はそんな彼女を鋭く睨みつける。

「超つまらない嘘ですね、いえ…話自体は超本当でしょうけど、貴女が生きているのは、そんな超つまらない理由ではなく」

もっとつまらない理由だろう?と絹旗は言った。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/06(土) 22:42:00.65 ID:uDrwFJrH0
上条当麻は商店街にいた。紅月の事で悩んではいるが、今日の夕飯の事も考えなくてはならない。
夕飯の事考えられる程度には余裕あるのかな―?と上条は思いつつ、今日の献立を考える。
何しろ、昨日は夕飯が遅くなったせいで腹ぺこシスターに酷い目にあっているのだ。
今日はちょっと無理をしてでも、彼女の機嫌を取った方がいいだろう。

(そうだ、どうせだからインデックスにリクエストしてもらうか)

ロクな物注文しそうにないだろうがなー、と半ば諦めモードで上条は携帯に手をやる。

『ははははははいい!い…いんで…違った!上条のお宅です!』

「落ち着けインデックス…俺だよ」

「…なんだとうまか…なに?私もうお腹空いてるんだけど?」

「貴女はほんとに二言目にはソレばっかりですね!?」

「そんなことないかも!それはとっても失礼なんだよ!?」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/06(土) 22:42:28.18 ID:uDrwFJrH0
いつも通りの遣り取りをしつつ、上条はインデックスのリクエストに答えていく。(5回ぐらい妥協してもらったが)
他愛もない事を話していると、ふとインデンクスが聞いてきた。

『そういえば、とうま今日は補習ないって言ってたのに、なんでこんなに遅いの?』

「ん?ああ別に大したことじゃないよ…友達の事でちょっと小萌先生と話してただけ」

『…また女の人?』

あっれー?なんかインデックスさんの機嫌が悪くなってますよ―?と上条は冷や汗をかきながらも答える。

「あ…ああ、そうだけど、いや別にお前が気にすることじゃねーから問題はないよ」

『でも、とうまは気にしちゃってるんだよね?』

「う…そりゃ友達の事だし…大丈夫だってそんな大したことはないからさ」

『大したことないなら、当たり障りない程度になら相談して欲しいかも』


なんか今回は随分食い下がるなあ…と、上条は思う
相談するべきかどうか悩んでいるとインデックスが続きを言う。

『私はシスターなんだから、迷える子羊を導くんだよ、それはとうまだって例外じゃないんだから、だから相談して?とうま友達を救いたいんでしょ?』
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/08/06(土) 22:44:19.62 ID:uDrwFJrH0
今回は以上です
たった4レス分orz

時期が時期だから書く暇全然ない…次回はできれば近いうちに
ありがとうございました。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/12(金) 18:36:58.65 ID:Ff5Ry9cH0
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 00:57:31.90 ID:VfW1FHH70
こんばんは
遅くなってもうしけありません
投下いたします今回の次で3章が終わる予定なのでageるのはその時に
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 00:58:17.43 ID:VfW1FHH70

絹旗の視線に紅月は目を逸らす。
別に後ろめたい訳じゃないが、何故か紅月はそうしてしまった。

「別に隠すほどのもんじゃないけどね、言うほどほんと大したものでもないけど」

私はさ、と紅月は続ける

「ただ、生きたかった…ほんと理由なんてないんだよね。生きてどうしたいとか、生き延びてどうこうとか
 そんなの全然考えてなかった。でも絶対に死にたくなかったんだ」

普通なら、そこまで生きたいと思うなら何かしら動機があるはずだが、彼女にはそれが一切なかった。
故に…"実際に生き残ってしまった"彼女は今をどうすればいいのかが分からない。

「でも、絹旗もさ…それは一緒でしょ?」

過去に一回だけ…たった一回だけ二人は邂逅している。
しかもその邂逅は互いに一言自己紹介しただけのものだ。
普通に考えて、それは出会いでも何でもない、それこそ今の今まで互いに忘れていた程度の知り合い。
だが…方や計画の成功作、方や生き残りの失敗作。二人は互いを思い出した。"思い出す程度に互いは覚えていた"
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 00:58:54.56 ID:VfW1FHH70

「そうですね、私も超死にたくはなかったですから、その点には超同意します。」

二人の共通点は"死にたくない"と思う執念そこに理由はない、あるいは絹旗には何かあるのかもしれないが
それは紅月にはどうでもいい事だ。

「それで?貴女は私に一体何の用なの?」

「おや?用が無ければ話しかけては?」

「悪くはないけど私らに限ってそれは無いでしょ」

紅月の言葉に絹旗は目を逸らすが、暫くすると再び彼女を見据え言う。

「別に…ただちょっと憐れな超失敗作を見かけたからちょっと超声を掛けてみただけです」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 00:59:35.48 ID:VfW1FHH70

絹旗は続ける

「死んで廃棄される事もなく、かといって生きていても何の意味もなく、最終的に御引越≪リサイクル≫されて
 ぼろぼろの憐れな失敗者の末路がどんなものか気になったもので」

その後も絹旗は続ける。生きている価値もないだの、死んだ方が楽だったんじゃないか?だの
生きようとする意志だけではどうしようもないだの
そんな彼女の言葉を紅月は一言一言噛み締める。
そして、絹旗の言葉が止まりこちらから目を逸らした瞬間にこう返した。

「ねぇ、絹旗さん」

―――私を鏡にして自虐しないでくれないかなあ?

瞬間!
ゴバァ!という音と共に紅月の身体が十数メートル吹っ飛んだ。

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 01:00:08.82 ID:VfW1FHH70

「…話は大体わかったんだよ…」

上条の話を聞きインデックスは思う。この少年は本当に優しいと。

「一つだけ聞きたいんだけど…」

なんだ?上条は返す。

「いつものとうまなら、考えるまでもなく声をかけに言ってると思うんだけど、どうして今回は悩んでるの?」

「それは…今までと違ってさ、俺が一方的に知って一方的に助けたいと思ってるからでさ、なんていうか今までの奴らは
 間違ってる事を正すなんていうと凄く偉そうだけどさ、そいつが間違ってるから俺は、その幻想を消そうと、がむしゃらになってたんだけど
 今回はさ、別にあいつがなんか悪いことしたけじゃないし、今までのそうだけど、それ以上にお節介なんじゃないかなって」

それにこれはかなりデリケートな問題だしな…とも付け加える。
それを聞いたインデックスの返答は。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 01:00:43.28 ID:VfW1FHH70




「…………はぁ」




長い溜息だった。

「…インデックス?」

上条は何故彼女が、溜息をついたのか分からない。
こんなため息をつかれては…まるで、悩むまでもないと言われたようなものではないか。

「ねぇ…とうま」

インデックスの声は間違った事をする子供に諭すような声だった。

「とうまはさ、私の友達を助けてくれたよね?2回も、自分の友達だとも胸を張って言ってくれたよね?」

インデックスの友達…そう聞いて一人の少女を思い出す。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 01:01:28.92 ID:VfW1FHH70


学園都市でインデックスが初めてできた"友人"
そして…"人間ではない存在"――――風斬氷華

「とうまは、ひょうかを助けた時にそんなに悩んだの?違うよね?だってひょうかは友達だもん」

インデックスの言葉が上条の胸に響く

「相手がなんだって、友達は友達だもん!なんでウジウジ悩んでるのとうまは!お節介でもなんでも助けたい!力になりたい!
 そう思うならそれを言えばいいんだよ!」

そんな簡単な事でいいのか?

「言いに決まってるんだよ!とうま!」

見習いシスターは迷える子羊に道を示す。

「頭で考えた言葉じゃなくて、心で出した声をとうまの友達に届けるんだよ!それなら絶対に届くから!」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 01:04:00.73 ID:VfW1FHH70
本日分は以上です。
絹旗がやたら冷たい気がしますが、この子アイテムで一番ドライな気がします。
ある意味、麦野より冷たい印象

それでは、見てくれている方々どうもありがとうございました。
次はできるだけ早いうちに…これるといいなあ
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2011/09/08(木) 00:40:04.30 ID:BtuFrjhAO
続き待ってるよ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/07(金) 02:04:51.89 ID:eOwHozHo0
まだかな?
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