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姫「侍、侍はどこじゃ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:25:53.23 ID:gmX2TcPDO

姫「侍、侍はどこじゃ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1311320329/


無性に続きが書きたくなったので書きます

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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/25(月) 19:28:17.14 ID:M74af16ko
期待します
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:30:05.32 ID:gmX2TcPDO
〜次の日の朝〜

女中「姫様、おはようございます」

姫「うむ」ムニャムニャ

女中「朝の用意が整っております、どうぞこちらへ」

姫「うむ……そういえば侍は登城しておるのか?」

女中「いえ……」

姫「そうか、まぁ昨日怪我もさせてしまったしの」

女中「はい……」

姫「父上様は?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:32:42.43 ID:gmX2TcPDO

女中「朝一の用事がございまして、先におすみです」

姫「そうか、なら今日は兄上様達しかおらぬのか」

女中「いえ……ご子息様達も既におすみです」

姫「なんじゃと?なら、なぜわらわを起こさぬかったのじゃ、独りの飯は旨く無いというのに」


女中「それは姫様が昨日の件でお疲れであろうとの事で」

姫「……女中よ」

女中「はい」

姫「顔を見せよ」

女中「はい」ビクッ

姫「……なにか隠しておる顔じゃな」

女中「いえ、なにも」

姫「……まさか」

女中「姫様いけません」

姫「離せ、このたわけ」バッ

女中「誰かー姫様をお止めください」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:35:04.21 ID:gmX2TcPDO



侍「……」

殿様「此度の裁きを言い渡す」

侍「はい」

殿様「棒打ち10回に一ヶ月登城を禁ずる、棒打ちはこの場にて、兄1が実行するものとする」

侍「はっ、寛大なるご配慮ありがたく存じます」

殿様「うむ、腕の怪我もある、一ヶ月しっかり療養してくれ」

侍「はい」

兄1「侍、上を脱げ」

侍「はっ」

兄1「お前がよくやってることはわかっているが家臣の手前、示しがつかないのでな悪く思うなよ」

侍「はい」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:36:43.10 ID:gmX2TcPDO

兄1「きっちり一ヶ月で治るように手加減はしてやる」

侍「はは」

兄1「しかし、一ヶ月お前がいぬと妹がどれだけ機嫌を損ねるか……」

侍「心中お察しします」

兄1「まぁよい、妹が来ぬうちに、さっさと済ますぞ」


女中「姫、そこはなりませぬ」

バターン

姫「待ったー」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:38:41.05 ID:gmX2TcPDO

侍「姫……」

兄1「あぁー」

姫「父上様、これはどういった事でございますか」

兄2「妹よ、今は裁きの最中であるぞ、軽々しく入ってくるでない」

姫「なんじゃと?」

兄2「早々に立ち去れ」

姫「立ち去りませぬ」

兄2「なんだと」

姫「そもそも、こんな裁き無効でございます」

兄2「戯れ言を……」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:41:34.27 ID:gmX2TcPDO

姫「戯れ言ではございませぬ」

兄2「口を慎め」

姫「ならば問わせて頂きます、なぜこんな早朝なひっそりと、それも当事者であるわらわを呼ばずに裁きを下すのですか」

兄2「それは……」

姫「それは……なんじゃ」

兄2「……お前がいるとややこしくなる」

姫「なっ、言うに事欠いてその言い分はなんじゃ」

殿様「はぁー、お前たち少しは気を静めろ」

姫「父上様。父上様ともあろうお方がなぜこのような事をなさるのですか」

殿様「姫よ」

姫「はい」

殿様「これは我と家臣の問題じゃ、お前には関係がない」

姫「しかし」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:43:40.17 ID:gmX2TcPDO

殿様「我は侍にお前を守り、あまり外に連れ回すなと命じ侍はそれに違反した。故に罰する」

姫「侍はわらわを身を呈して守ってくれました、それに外出を禁じられたわけではこざいませぬ。侍が何の罪を犯していましょう」

殿様「皆までいわずともわかっておる」

姫「ではっ」

殿様「既に裁きは下し、侍も受け入れた。裁きはすんでおる」

姫「ならば、わらわにも同じ裁きを」

兄1「何をいっておる」

姫「当然のことじゃ、侍はわらわに命じられて罪を破ったのじゃ、つまり、わらわと侍は共犯。同じ罰を受けるのは必然というものじゃ」

兄2「いい加減にしろ」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:45:28.76 ID:gmX2TcPDO

殿様「わかった」

兄1「父上様、妹が棒打ちに耐えられるとは思いませぬ」

殿様「わかっておる、棒打ちの変わりに尻をうたせる。兄2お前が10回打て」

兄2「はい」

殿様「それに一ヶ月屋敷にて謹慎を命ず、わかったな?」

姫「うぅ……」

兄2「当てが外れたな、今なら間に合うぞ、許しをこうてはどうだ」

姫「わらわも父上様の子、そんな情けない真似はせぬ」

兄2「よう申した、では尻をだせ」

姫「……」

兄2「ではいくぞ、泣きわめいてもよいからの」

姫「そんなはしたない真似はせ……キャン」

バシッ

兄2「どうした?」

姫「喋っている途中に叩くとは卑怯じゃ」

兄2「こうでもせぬとお前は口をつぐまぬからな」ニッ

姫「ぬぬ……」

兄2「ほれ、次じゃ」

バシッ

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:47:38.14 ID:gmX2TcPDO


兄2「これで最後じゃ」

バシッ

姫「くぅ……」

殿様「よう耐えた、次は侍じゃ」

兄1「はい……待たせたな」

侍「風邪を引いてしまうかと思いました」

兄1「ここで軽口をたたくとわ、変わらぬな……ではいくぞ」スッ

バキッ

侍「ぐぁ」

妹「あ、あれでは侍が死んでしまう」

兄2「動くな」

妹「しかし……」

兄2「兄上様もその辺は心得ておる」

妹「ですが……」

兄2「あれぐらいでないと他に示しがつかぬ、我慢するのじゃ」

妹「侍……」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:49:42.34 ID:gmX2TcPDO


兄1「これで10」

バキッ

侍「ありがとうございました」

殿様「見事じゃ、よう耐えた」

侍「ありがたき御言葉……」

バタン

姫「侍っ」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:52:35.43 ID:gmX2TcPDO


侍「……はっ」

兄1「気づいたか」

侍「これは兄1様」

兄1「よい、そのまま寝ておれ」

侍「はい、して……ここはまさか」

兄1「屋敷じゃ……我らのな」

侍「そんな滅相もありません」

兄1「仕方がない」

侍「仕方がない?」

兄1「うむ、お前が気絶したあと……」

侍「面目ございません」

兄1「何を申す、常人なら三、四発で気を失っておるわ、それぐらいの力で殴ったからの」ニヤッ

侍「はは」

兄1「でじゃ、妹が暴れてなお前の看病をすると言うて聞かず、結局父上が根負けしての看病することを許した」

侍「姫様が……」

兄1「そうじゃ、なので一ヶ月お前は新たな罰として妹に看病されなくてはならない」

侍「それは大変な罰で……」

兄1「じゃろうな、父上様もこれで妹が抜け出さずに一ヶ月平和に謹慎するじゃろうと安堵しておる」

侍「はは」

兄1「そういうわけじゃ、お前も一ヶ月は登城を禁じられてる身、ここで大人しくしておけ」

侍「はい、ありがたき幸せ」

兄1「あいつには鬼の形相で散々嫌味を言われたからの、父上様も気を落としておられた」

侍「それはお気の毒に」

兄1「妹は頭が回る故口がたつから困る」

侍「はは」

兄1「では、しっかり休めよ」

ピシャッ

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:55:09.22 ID:gmX2TcPDO
〜数刻後〜

バタバタバタ

女中「姫様はしたのうございます」

ガラッ

姫「侍!起きたか」

侍「姫、はしたないですよ」

姫「そんなことはどうでもよい、大丈夫か」

侍「一応生きてます」

姫「なら、大丈夫じゃな」

侍「姫こそお尻は大丈夫ですか?」

姫「うむ、兄上め加減なしに叩きよって、まだ痛いわ」スリスリ

侍「それは災難でしたね」

姫「うむ、あれは失敗じゃった。もっと上手い手があったのかもしれぬ」

侍「はは……」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:57:26.14 ID:gmX2TcPDO

姫「そもそも、父上様も父上様じゃ、何回も戦場でお前に命を救われているというのに、その恩を忘れあのような酷い罰を与えるとはの」

侍「お館様のお命を守ることは我等馬廻り衆の役目ですから」

姫「それに兄上達も大概じゃ、小さい頃はお前の世話になっておったというのに異を唱える所か罰を施行するとは、少しは手を抜いてやってもよいというものじゃ」

侍「いえ、兄1様には手を抜いていただきました」

姫「死にかけてもか」

侍「えぇ」

姫「本当にそう思うのか」

侍「勿論です、そもそも私の腕の怪我が治るまで一ヶ月程度かかるそうです、そして、一ヶ月の登城禁止に、棒打ちによる怪我も兄1様の加減で一ヶ月以内には治るでしょうし」

姫「つまり、お前の怪我が治る期間内に罰が収まるように配慮されたというのか」

侍「流石姫」

姫「しかし……」

侍「あまり、お館様や兄上様方の責めないでください、他の家臣の手前罰っせなくてはいけなかったのですから」

姫「……」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 19:58:53.49 ID:gmX2TcPDO

侍「勿論姫が私の身を案じて下さっているのはわかっていますが、それによって姫の顔が曇られたり、しかめられるより、なにが起きても笑顔を見せていただける方がありがたいです……姫様には笑顔の方が似合いますから」

姫「では……ひとつ聞くが、お前は父上様や……その他の者を怨んでおらぬのか?」

侍「あれは私の不注意故に起きた事、誰も怨んではおりません……勿論、姫の事も」

姫「本当か?」

侍「えぇ……」

姫「そうか……良かった。お前に嫌われるのが一番こたえるからの」

侍「……姫」

姫「……なにせ、わらわのワガママを一番聞いてくれるからの」ニッ

侍「姫……ワガママであるという自覚はあったのですね」

姫「うむ」

侍「そうでしたか、ならばこれからは……」

姫「聞いてくれるじゃろ?この笑顔の為にも」ニコッ

侍「いや……はい」

姫「それでこそ侍じゃ」

侍「はぁー」

姫「そうじゃ、喜ぶがよい」

侍「なんでしょうか」

姫「お前の怪我が治るまでわらわが看病してやる」

侍「ありがとうございます」

姫「なんじゃ驚かぬのか」

侍「はい、兄1様から聞いてましたので」

姫「兄上が来ていたのか」
侍「はい、私の身を案じて下さいました、お優しい方です」

姫「そうか、兄上がお前の身をの……そうじゃ、用事を思い出した」

侍「?」

姫「くふ、お前は大人しく寝ておれ」

侍「あっ姫、どちらに」

姫「うん?寂しいのか?可愛い奴め」

侍「そういうわけでは」

姫「案ずるでない、父上様や兄上の所じゃ、悪態をついたからの謝らなければならぬ……寂しがるでないぞ、直ぐに戻ってきてやるからの」ニコッ

侍「ごゆるりと」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 20:02:51.90 ID:gmX2TcPDO
今日は以上です

もう少し1レス内に行を詰め込めたと反省

とりあえず
兄1→一応跡取り
兄2→二番目の兄
馬廻り衆→親衛隊

あざーした
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/25(月) 21:03:54.51 ID:DVbRl47+0
前見て来ました
面白いよ そのまま頑張って完結希望
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/26(火) 01:13:48.91 ID:ndJKOowfo
この感じいいなぁ、先が楽しみさ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 12:59:49.63 ID:hMNeMIXDO



姫「侍、起きておるか」

侍「はい」

姫「喜べ、柿をもって来てやったぞ」

侍「これは見事な柿ですね」

姫「うむ、炊事場に寄ってのわけてもらったんじゃ」

侍「わざわざ、ありがとうございます、してお館様方の反応はいかがでした」

姫「ん?父上様か元気にしておったぞ」

侍「それで?」

姫「驚いて微妙な顔をしておった」ニシ

侍「でしょうね」

姫「わかるか」

侍「はい」

姫「なので去り際にちゃんというたぞ」

侍「どのように」

姫「謹慎は明日からにします……と」ニヤッ

侍「はは、お館様のお顔が目に浮かぶようです、謝罪しにきた姫を無下に追いやるわけにもいきませんから」

姫「うむ、特に兄2が苦虫を噛んだような顔で黙っておったのが見ものじゃった」

侍「そうですか」

姫「あの様子じゃと、わらわの悪口を言っておったのじゃろうな、成りは小さいくせに態度はでかい……とかな、クックック」

侍「はははは……っ痛」

姫「笑いすぎじゃ、傷に響くぞ」

侍「すいません」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 13:00:47.20 ID:hMNeMIXDO

姫「まぁ、よい……わらわもお前の笑顔が好きじゃからな……あまり見せてくれぬが」チラッ

侍「はは」

姫「ただ、その苦笑いはあまり好かぬ」

侍「はい」

姫「うむ、で……どうじゃ」

侍「どうと申しますと?」

姫「わからぬのか?ほれほれ」ズイッ

侍「さて?いつもと変わらぬ、お美しい顔ですが……曇りもなく」ニッ

姫「そうか!」

侍「はい」

姫「ならよい、そうじゃ柿でも食わぬか」

侍「いただきます」

姫「ほれ」

侍「ありがとうございます、では……」アーン

姫「……」ニヤニヤ

侍「……姫」

姫「ムッ……なんじゃ」

侍「やはり、姫より先に頂くのは気が引けます」

姫「気にせずともよい」

侍「そういうわけには、どうぞ」ズイッ

姫「ウッ……つまらぬ奴じゃ」

侍「はは」

姫「女中」

女中「はい」スッ

姫「ほれ、こっちならよいじゃろ」

侍「いただきます……ンー」バクッ

姫「あははは、引っ掛かりおったわ」

侍「姫……ウゥ」

姫「此方が渋柿じゃ、因みに最初の方はこのとおり……」パクッ「甘い」

侍「……」

姫「侍よ、策に溺れたか?」

侍「参りました」

姫「うむ、わらわを信用せぬからじゃぞ」ニヤニヤ

侍「はい」

姫「くふ」

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 13:01:43.46 ID:hMNeMIXDO
〜刻がたち〜

女中「姫様」

姫「なんじゃ?」

女中「そろそろ、時間です」

姫「もうか?」

女中「はい」

姫「時が経つのは早いの……そうじゃ、忘れておった」

女中「?」

姫「わらわも療養せねばならない」

女中「なにを申されてるのですか」

姫「わらわも刑を受けた身、尻が痛い。うむ、急に痛み出したわ」チラッ

女中「ならば、姫様のお部屋で……」

姫「怪我人は纏まっていた方が看病するほうもやりすかろう、ここでよい」

女中「……侍様」

姫「こら、女中、侍に助けを求めるのは卑怯じゃぞ」

女中「……」

侍「はぁ……で、姫」

姫「むっなんじゃ?」

侍「そのお怪我は、いつになれば癒えますか」

姫「そうじゃな、大体一月程」

侍「ならば、私は直ぐにここを出て療養所に行きましょう」

姫「なぜじゃ」

侍「私を看病してくださる方がいませんから……」

姫「うっ」

侍「……で、姫のお怪我が癒えるのに幾らかかるのでしょうか」

姫「一週……」

侍「……」

姫「あーわかった、一日で癒える、だから今日ぐらいはよいじゃろ女中」

女中「はい、ありがとうございます……あっ姫、夜は……」

姫「わらわを見くびるでない、そこまで、たわけではない」

女中「し、失礼しました」

姫「ふん」

侍「はは……」

姫「なにを笑っておる」ジー

侍「いえ……」

姫「たわけがこれで勝ったと思うでないぞ」

侍「負けてくださったんですよね」

姫「わかっておればよい」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/26(火) 13:05:56.45 ID:hMNeMIXDO
レスくれた方ありがとう励みになります

短いですが、ここまで次回更新はちょっと間が空くかも

一応前スレのログ速
http://m.logsoku.com/thread/hibari.2ch.net/news4vip/1311320329


あざーした
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/26(火) 14:11:09.04 ID:agyiYUjyo
乙した
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/26(火) 14:22:38.90 ID:kApjEE+o0
お、来てた おつ〜
自分が納得できるまで考えると良いよ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/26(火) 20:22:30.61 ID:UnWyJ6gAO
前も楽しませてもらったよ
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:34:05.07 ID:a1FCAo/DO

〜次の日の朝〜

ガラッ

姫「入るぞ……ん?何をしておる」

侍「あっ姫、今から背中の包帯を変えてもらおうかという所です」

姫「ふむ、そうじゃ、わらわがやってやる」

侍「いえ、大丈夫ですから」

姫「たわけ、お前はわらわに看病される為にここにいるのではないか」

侍「それはそうですが……姫には刺激が強いと思います」

姫「何を言う。わらわも武家の娘、傷の一つや二つなんとも思わぬ」

侍「しかし……」

姫「……あぁ、急に尻が痛みだした、わらわも療養せねば……」チラッ

侍「……わかりました、お願いします」ハァ

姫「最初っからそう言っておればいいものを」

侍「はい」

姫「とういうことじゃ、医者よ、指導よろしく頼むぞ」

医者「はい……では、姫先ずは古いさらしをお取り下さい」

姫「うむ、こうか?」クルクル

医者「えぇ、次に布をお剥がし下さい」

姫「よし……」ベリベリ

侍「あぐっ」

姫「ウッ……」

医者「……姫様、変わります」

姫「大丈夫じゃ」

医者「お顔が真っ青ですよ」

姫「大丈夫……じゃ」

医者「いえ、限界です。次は傷口を洗浄するのですよ?堪えられますか?」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:35:36.97 ID:a1FCAo/DO

姫「……わかった、情けない」

医者「姫様、落ち込むことはありません、皆最初はそうなのですから」

侍「そうですよ……姫ありがとうございました」

姫「……うむ」サワッ

侍「なにか?」

姫「看病できなくてもここにいてくれるのか?」

侍「はい、それに傷の手当てだけが看病ではありませんから、姫には他の事をお頼みします」

姫「……うむ」

医者「では、傷口を洗浄しますので、姫様は侍様が暴れないように、そのまま手を持っていて下さい」

侍「医者殿……そんな子どもみたいなことは……」

姫「うむ、侍よ暴れるで無いぞ、わらわが手を握っておいてやるからの」

侍「……はい」

〜治療後〜

姫「手が痛いんじゃが」プラプラ

侍「すいません、そんなに力を込めたつもりは無かったのですが」

姫「いや、込もっておったぞ」

侍「すいません……」

姫「こんなにもな」ギュー

侍「……?」

姫「うむ?痛くないのか」

侍「心地よいぐらいです」

姫「そうじゃ、もっと強かったの……このぐらいに」ギュー「どうじゃ」

侍「……痛いです」

姫「……嘘じゃろ?」

侍「……すいません」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:37:58.51 ID:a1FCAo/DO

姫「まぁ、よい……わらわは華奢じゃからな……少しの事で傷ついてしまう」

侍「まことに」

姫「わらわは守りがいがあるじゃろ?」チラッ

侍「えぇ、過分に」

姫「そうか……なら、これからも守ってくれるか」

侍「……多少耳が痛いですが」

姫「くふ、誰がなんと言おうがわらわはお前に守られたと思っておる」

侍「姫……ありがとうございます」

姫「うむ、これからも頼りにするからの」

侍「はい、喜んで」

姫「……」ニッ

侍「……」ニコッ

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:39:47.01 ID:a1FCAo/DO


女中「失礼します」

姫「入れ」

女中「侍様のお食事をお持ちしました」

侍「ありがとうございます」

姫「なんじゃ、今頃朝飯か」

侍「昼も兼用ですので、この時間に」

姫「食べぬと治らぬぞ」

侍「まだ怪我をしたばかりですから」

姫「そんなものか?」

侍「はい……あぁ、すいません女中殿、そこに置いといて下さい」

女中「はい」

侍「姫……」

姫「なんじゃ」

侍「いえ、食事をするので……」

姫「食べさせて欲しいのか?」

侍「滅相もない、姫もお忙しいでしょうからお戻りに……」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:40:49.70 ID:a1FCAo/DO

姫「遠慮するでない食べさせてやる」

侍「い、いえ……」

姫「大丈夫じゃ、女中飯をここへ」

女中「はい、どうぞ姫様」

姫「うむ」フーフー「ほれ、食え」

侍「勘弁してください姫」

姫「何を恥ずかしがっておる、そもそも右手が使えぬのじゃろ」

侍「左手でも食べれますから」

姫「聞こえぬな、ほれ観念して口を開けるのじゃ」

女中「……」クスクス

侍「女中殿も笑っていないでお止め下さい」

女中「私がですか?無理でございます」

侍「女中殿」

姫「ほれ、気にするでない」ズイズイ

侍「しかし」

姫「案ずるでない、こう見えても慣れておる」

侍「他に経験でも?」

姫「うむ、鳥の雛にこうして餌をやっておった」

侍「私は雛ではございません」

姫「似たようなものじゃ、ほれ観念して口を開けよ」

侍「うぅ……」アーン

姫「そういう素直な所は好きじゃぞ」

侍「……」モグモグ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:42:04.22 ID:a1FCAo/DO

姫「例えるなら、お前はトンビの雛じゃな」

侍「鷹ではないのですか」

姫「鷹は父上様や兄上じゃな」

侍「さようで」

姫「うむ、お前みたいによく口が回る奴はトンビがお似合いじゃ」

侍「ならば姫もトンビですね」

姫「たわけ、わらわは鷹の娘じゃから鷹じゃ」

侍「それは失礼を」

姫「うむ。してどうじゃ?旨いか?」

侍「はい」

姫「それはそうじゃろ、なにせ……」

侍「炊事場の者の腕が確かなのでしょうな」

姫「こやつ」

侍「さぁ、姫もういいですか?」

姫「なにがじゃ」

侍「器をお渡し下さい」

姫「なぜじゃ?最後まで食べさせてやる」ニヤッ

侍「はぁー」

姫「ほれ、あーん」

侍「あーん」

姫「なんじゃ、もう恥ずかしがらぬのか」

侍「二度も三度も同じですから」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/28(木) 21:42:44.04 ID:a1FCAo/DO

姫「つまらぬの」パクッ

侍「姫、それは私の食事ですが……」

姫「味見じゃ味見」

侍「左様で」

姫「うむ」モグモグ

侍「美味しいですか?」

姫「普通じゃな」

侍「そうですか」

姫「おっ全部食べてしまうとこじゃった、お前に食わしてやらぬとな、ほれ、口を開けよ」

侍「……まだやるんですか?」

姫「まだとはなんじゃ、ずっとやってやるぞ、明日も明後日も治るまでずっとな」

侍「……」

姫「嬉しいじゃろ?」ニコッ

侍「……女中殿、これから飯は何時も通りの時間でお願いします」

姫「女中、飯は今日と同じ時刻にだすのじゃぞ」

女中「えっ……あの……」

姫「女中わかっておろうな」ニコッ

女中「は、はい、姫様の仰る通りに」

姫「うむ」

侍「なっ」

女中「すいません、侍様。私は用がありますのでこれで」

侍「あっあの……」

姫「さぁ、続きじゃ口を開けよ」

侍「はい」

姫「……」

侍「どうかしましたか?」

姫「こうしてみると、本当に雛みたいじゃな」

侍「……左様で……どうせなら鳴いてみましょうか」

姫「ほう、なんと鳴く」

侍「勘弁してください、と」

姫「珍しい音(ネ)じゃの」

侍「えぇ、確かに」



34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/28(木) 21:44:37.65 ID:a1FCAo/DO
今日は以上です

レスありがとうございます、このスレからの方も前レス見てくれた方もよろしくです

今回はサクサク出来たので予想よりも大分速い投下になりました

では、あざーした
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/07/28(木) 22:37:12.73 ID:41q5NGA1o

不思議なほのぼの感だな。なんか癖になってついつい読みふけっちまう
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/29(金) 01:48:21.26 ID:4kXuGzMX0
おつ〜
侍が食べてるのお粥か雑炊かと思ったら腹減ったww
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:03:11.49 ID:qyFHM0ZDO


ガラッ

姫「侍〜」

侍「……」クー

姫「ん?寝てるのか?」ツンツン

女中「姫様」

姫「わかっておる、起こしはせぬ」

姫「しかし、こんな身近で侍の顔を見たのは初めてじゃの」マジマジ

女中「そうでこざいますか」

姫「うむ、しかし、普段とは違い、涎を垂らして寝てる姿はまぬけじゃの」

女中「そうでございますね」

姫「……そうじゃ、女中あれを持ってこい」

女中「あれと申しますと」

姫「化粧箱じゃ」

女中「しかし……」

姫「はよう持ってまいれ」

女中「はい」

姫「綺麗にしてやるからの」ククク

侍「う〜ん」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:04:44.01 ID:qyFHM0ZDO


女中「姫持ってまいりました」

姫「うむ、でかした」

女中「勝手に持ち出して怒られませんかね」

姫「わらわが庇ってやるから気にするでない……おっ色々入っておるな、最初はなんじゃ?」

女中「最初はこの白粉でしょう」

姫「ほう、こうかの」パタパタ

女中「お上手です」

姫「こんなものか」

女中「はい、次はこれで眉を最後は紅です」

姫「うむ、横だと中々難しい……どうじゃ」

女中「素晴らしいです姫様」

姫「うむ、我ながら上出来じゃ、綺麗になったの」

女中「はい」

姫「……しかし、なにかもの足りぬの」

女中「そうですか?」

姫「うむ、こうなにか足らぬ……おぉ、これじゃ」カキカキ

女中「それでは、歌舞伎みたいですよ」

姫「こっちの方が格好がよい、ほれほれ」カキカキ

女中「うふふ、姫様やり過ぎです」

姫「あはは、確かにやり過ぎたのまるで化け物じゃ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:06:25.47 ID:qyFHM0ZDO

侍「う〜ん……うん?姫?」

姫「なんじゃ、もう少し寝ておれ」

侍「何をなさってるのですか?」

姫「首化粧の練習じゃ」

侍「首化粧……私はまだ死んでいませんが」

姫「だから、練習だといっておる。ほれ、動くでない」カキカキ

女中「……」クスクス

侍「では、私が討ち死にしたら姫が首化粧をしてくださるのですね」

姫「お前は殺しても死ななさそうじゃがの」


侍「……で、この化粧箱はどちらから」

姫「武器庫からじゃ」カキカキ

侍「本物ですか……」

姫「うむ、そう青くなるでない」

侍「ならば、赤くなりましょうか」

姫「冗談じゃ許せ」

侍「……」

姫「……お前じゃから甘えるんじゃ」ツンツン

侍「……はぁー」

姫「くふ、だからお前は好きじゃ」

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:09:59.44 ID:qyFHM0ZDO

ガラッ

兄2「侍、入るぞ」

姫「あっ兄上」

侍「これは兄2様」

兄2「うおっ……何しておる」

侍「姫様の玩具になっております」

姫「練習相手じゃろ」

兄2「そうか……大変だな」

侍「いえ……して、私に何かご用ですか?」

兄2「あぁ、お前が書庫から借りていった書物読み終わったら此方に持ってきてくれ」

侍「それでしたら直ぐに」

兄2「いいのか?まだ、途中だろう」

侍「はい、一度読んだことがありますので」

兄2「そうか……後、女中」

女中「はい」

兄2「それは軍備品であろう、勝手に持ち出すな」

女中「すいません」

姫「兄上、女中に持ってくるように頼んだのはわらわじゃ」

兄2「そんな事はわかっている」

姫「なら、わらわに直接言えばよかろう」

兄2「お前に言うと言葉が倍になって返ってくるからな」

姫「そんな事はないじゃろ、そもそも……」

兄2「はいはい。じゃな侍、早く治せよ」

侍「はい、ありがたきお言葉」

姫「むぅ、逃げるのか兄上」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:10:38.61 ID:qyFHM0ZDO

侍「まぁ、姫。落ち着いて」

姫「ふん」

侍「ところで続きは如何しますか?」

姫「興が冷めた、終いじゃ」

侍「では落としていいですね」

姫「好きにせい」

侍「女中殿、手拭いを」

女中「はい」

侍「ありがとうございます」フキフキ

姫「……」

侍「姫まだ怒ってるんですか」

姫「当然じゃ、あんな卑怯な言い方許せぬ」

侍「まぁまぁ」ギュッ

姫「手なぞ握ってどうするつもりじゃ」

侍「心が荒れていらっしゃるので鎮めてさしあげようと」

姫「たわけ」

侍「まぁまぁ」

姫「……」

侍「そういえば姫は化粧をしませんね」ジー

姫「……まぁの、重要な場で紅を引くぐらいじゃ」

侍「なるほど」

姫「はぁ……もうよい」

侍「なにがです」

姫「手を離すのじゃ、もう気は鎮まった」

侍「そのようで」パッ

姫「そもそも、こんな事せずともお前の顔を見るだけでよい」

侍「そうですか」

姫「お前のたわけた面を見ると気が抜けるからの、ほれ、まだ化粧が残っておるぞ」グイッグイッ

侍「ありがとうございます」

姫「手間のかかる奴じゃ」

侍「姫には敵いません」

姫「どちらの意味でいっておるのじゃ」ジロッ

侍「さぁどちらでしょう」

姫「たわけ」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:11:17.80 ID:qyFHM0ZDO

侍「まぁ、姫。落ち着いて」

姫「ふん」

侍「ところで続きは如何しますか?」

姫「興が冷めた、終いじゃ」

侍「では落としていいですね」

姫「好きにせい」

侍「女中殿、手拭いを」

女中「はい」

侍「ありがとうございます」フキフキ

姫「……」

侍「姫まだ怒ってるんですか」

姫「当然じゃ、あんな卑怯な言い方許せぬ」

侍「まぁまぁ」ギュッ

姫「手なぞ握ってどうするつもりじゃ」

侍「心が荒れていらっしゃるので鎮めてさしあげようと」

姫「たわけ」

侍「まぁまぁ」

姫「……」

侍「そういえば姫は化粧をしませんね」ジー

姫「……まぁの、重要な場で紅を引くぐらいじゃ」

侍「なるほど」

姫「はぁ……もうよい」

侍「なにがです」

姫「手を離すのじゃ、もう気は鎮まった」

侍「そのようで」パッ

姫「そもそも、こんな事せずともお前の顔を見るだけでよい」

侍「そうですか」

姫「お前のたわけた面を見ると気が抜けるからの、ほれ、まだ化粧が残っておるぞ」グイッグイッ

侍「ありがとうございます」

姫「手間のかかる奴じゃ」

侍「姫には敵いません」

姫「どちらの意味でいっておるのじゃ」ジロッ

侍「さぁどちらでしょう」

姫「たわけ」
43 : ◆ieQwxKz.Js :2011/07/31(日) 22:14:40.13 ID:qyFHM0ZDO
うおっ最後連レスになり申し訳ない、一応確認したんですが……

レス励みになります、ありがとうございます

とりあえず今日は以上です

あざーした
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/31(日) 22:41:52.70 ID:KbUtaxTI0
おつ〜
失敗は誰にでもあるから気にしない
そのまま頑張ってな
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/31(日) 22:42:21.83 ID:KbUtaxTI0
おつ〜
失敗は誰にでもあるから気にしない
そのまま頑張ってな
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/07/31(日) 22:43:07.21 ID:KbUtaxTI0
ミスった 連爆すまん><
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/31(日) 23:00:53.62 ID:b4APxqDro
>>1おつう

ID:KbUtaxTI0の優しさに抜…泣いた
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/02(火) 17:44:15.78 ID:S+5771xzo
乙した
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 20:42:12.77 ID:NQZTMeoDO



ガラッ

姫「入るぞ」

侍「どうぞ」

医者「これは姫様」

姫「また治療をしてるのか?」

医者「はい」

姫「そうじゃ、わらわがやってやる」

医者「しかし」

姫「何事にも慣れが必要じゃろ、今度は大丈夫じゃ」

医者「姫様にはまだ早いと思いますが」

姫「なに」

侍「……何事も経験ですので姫にやらせてあげてください」

姫「侍!」

侍「姫気分が悪くなるようでしたら素直に言ってください」

姫「うむ」

医者「そこまで言うのでしたら……姫様とりあえず……」

姫「全てとればいいんじゃな」

医者「はい」

50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 20:43:07.79 ID:NQZTMeoDO

姫「できたぞ」クルクル


医者「少し失礼を。腫れも収まってますし、患部の熱も引いたみたいですな、順調に回復しています」

侍「そうですか」

医者「これなら早く癒えますよ、多分跡も残らないでしょう」

侍「ありがたい」

医者「姫様、気分はいかがですか?」

姫「大丈夫じゃ」

医者「そうのようで」

姫「次は傷の洗浄じゃったか?」

医者「はい、なるべく優しく、血が固まってるところは触らないように」

姫「うむ」フキフキ

医者「次はこれを」

姫「なんじゃこれは?」

医者「薬草です、これをこう汁がでるまで揉みます」コネコネ

姫「ほう……」コネコネ

医者「そして、傷に張って、清潔な布を当ててさらしを巻けば完了です」

姫「こうか?」クルクル

医者「はい、後は小まめに取り替えてれば治ります」

侍「ありがとうございます」

医者「では私はこれで」

姫「ご苦労じゃったな」

医者「いえ、姫様ほどでは、では失礼いたします」

ガラッ
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 20:44:37.70 ID:NQZTMeoDO

侍「姫様もありがとうございました」

姫「うむ、しかし、この薬草は臭いの、まだ、匂いが残っておる」クンクン

侍「そんなものですよ」

姫「それに苦い」ペロッ

侍「姫お手を、拭いて差上げますから」

姫「うむ。しかし、お前にはちょうど良いかも知れぬな」ニッ

侍「甘味に苦味を足しても無くなりませんよ?甘苦い味になるだけですから」フキフキ

姫「なら、拭いたら取れるかの、この手のように」

侍「拭いて取れるのは苦味です、そもそも私の場合染み付いてますから」

姫「ふっ、そうじゃの」

侍「はい、姫のお口に合うように」

姫「確かに苦いより甘い方が好みじゃな、どれ、どんだけ甘いか味見をしてみよう」ズイッ

侍「姫」

姫「くふ」

侍「はぁ、しかし、治療はお見事でした……初めの頃が嘘のように」ニッ

姫「あれは……肌は紫になって血が滲んでおったからな、初見では少し気分を害す」パッ

侍「倒れるのかと心配しましたよ」

姫「それは済まぬかったな、ただ、そこまでお前の体に引かれはせぬ」ギュッ

侍「ははは」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 20:45:55.03 ID:NQZTMeoDO

女中「失礼いたします、お食事をお持ちしました」

侍「どうぞ」

ガラッ

侍「ありがとうございます、そこに置いといて下さい」

女中「はい、それと明日からは普通の食事でいいと医者様がおっしゃっておりました」

侍「そうですか」

女中「では、失礼します」

姫「嬉しそうじゃの」

侍「えぇ、正直もの足りなかったですから」

姫「そうじゃったのか」ヒョイパクッ

侍「特に姫が居られるときはこうしてつまみ食いされますから」

姫「毒味じゃ」

侍「どうだが」

姫「なんじゃ、厳しいの」

侍「どうやら、薬草が体に染み付いてきてしまったようです」

姫「なら、拭き取ってやろうか」ニコッ

侍「結構です」ニコッ

姫「しかし、寂しいの」

侍「何がです?」

姫「普通の食事ならわらわと食事の時間が被るじゃろ」

侍「そうですね」

姫「そうじゃ、昼はここで食うことにしよう」

侍「それは……」

姫「よいじゃろ?昼は父上様や兄上達が忙しくなかなか時間が合わなくて、時々独りで寂しい飯を食べておるのじゃ」

侍「しかし」

姫「の?」

侍「はぁ、卑怯ですよ姫、そんな目で見られたら頷くしかないでしょう」

姫「くふ」

侍「私も甘いですね」

姫「わらわは苦いより甘い方が好みじゃぞ」

侍「左様ですか」

姫「うむ」
53 : ◆ieQwxKz.Js [sage]:2011/08/03(水) 20:48:44.33 ID:NQZTMeoDO
今日は以上です

レスありがとうございます励みになります、後優しさに泣いた

短めなのはご勘弁を

では、あざーした
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/03(水) 20:51:53.61 ID:NQZTMeoDO
アゲ忘れた……すいません、連レスします
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/03(水) 21:31:09.18 ID:T8krE33Eo
乙でした!
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/03(水) 21:36:45.05 ID:rEDaL5jBo
おお、NIPに来てたのか
乙乙
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/08/04(木) 00:55:40.86 ID:KxuYwF/b0
おつ〜でした
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/04(木) 12:29:16.58 ID:VKzx26Tuo
乙した!
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:13:02.44 ID:XtVZ8CIDO


女中「失礼します、お食事の用意をしに参りました」

侍「どうぞ」

ガラッ

侍「……やっぱり、二人分なんですね」

女中「はい」カチャカチャ

侍「それで姫様は?」

女中「先ほど稽古が終わられましたので直ぐにいらっしゃると思います」

侍「わかりました」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:15:00.16 ID:XtVZ8CIDO

パタパタパタ

侍「いらっしゃったようで」

女中「そのようで……」ハァー

姫「侍、待ったか」

ガラッ

女中「姫様、あれほど廊下は走られないように申し上げましたのに」

姫「走ってはおらぬ、あれは早歩きじゃ」

女中「またそんな事を」

姫「見てもいぬのに何故そんなことが言えるのじゃ、それより飯じゃ」

女中「……はい」

侍「姫、お疲れ様でした」

姫「うむ、待ったか」

侍「もう少し早く来るものかと」

姫「稽古が長引いての、しかし、これでも急いできたのじゃぞ……早歩きでな」

侍「引っ掛かりませんか」

姫「たわけ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:16:43.26 ID:XtVZ8CIDO

侍「すいません、で今日は何の稽古を」

姫「踊りじゃ」

侍「踊りですか、お得意ですものね」

姫「うむ、踊りは好きじゃ、特に多くの者の前で踊る時は胸も踊る」

侍「頼もしい事で……」

姫「まぁ、踊りは見てても楽しいからの……後、踊らすのもな」

侍「踊らさせられてる方はたまったもんじゃないですが」

姫「いつも楽しそうに踊っておるではないか、この手のひらの上での」ニッ

侍「ならばこれ以上踊らさせられないように、その手を握っておきましょうか」

姫「ならば残った手の方を使うまでじゃ。どうする?お前は今片手しか使えぬのであろう」

侍「それでしたら潔く踊りましょう。ただし、姫も一緒にですが」

姫「手を握られておるからの」

侍「えぇ」

姫「食えぬやつめ」

侍「食事前にものを食べられてはたまりませんから」

姫「そうじゃな、腹が一杯になって飯が食えなくなる」

侍「ははは」

姫「ふふふ」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:17:33.77 ID:XtVZ8CIDO

侍「では、食事にしましょう」

姫「うむ」



姫「いただきます」

侍「いただきます」

姫「お前は握り飯に漬け物と汁だけか?」

侍「はい、まだ右手がこれですので炊事場の者が気をきかせてくれたのでしょう」

姫「にしてもでかいの」

侍「此ぐらいなければ食いごたえはありません」

姫「ふむ、……じゃが量の割には貧相な飯じゃの、わらわのとは大違いじゃ」

侍「これでも庶民にしてみれば豪華なのですよ、玄米が混じっているとはいえ、炊きたての白い米に塩を効かせて握ってますですからね」

姫「ほう」

侍「外で食べる冷たい握り飯も美味しいですが、温かい握り飯も違う美味しさがあります」

姫「確かに外で食べる握り飯は旨かったの」

侍「食べてみますか?」

姫「よいのか?」

侍「勿論、どうぞ」

パクっ

姫「ほう、これはなかなか……塩がちゃんと効いてて米の旨味を引き出しておる」

侍「それは良かった」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:18:51.40 ID:XtVZ8CIDO

姫「どれ、もう一口」

侍「ダメですよ、姫。それ以上食べられては姫に用意された食事が食べられなくなります」

姫「ケチじゃの」

侍「ダメです」

姫「わかっておる、ちゃんと食べる……そうじゃ、これをやろう」

侍「なりません、姫様方は国にとって特別お方、故にお食事も特別なものを用意しているのですから私ごとき頂くわけには」

姫「わらわにとってお前は特別な者じゃ、故にこれをやる」

侍「姫」

姫「お前の飯も食べてしまったしの」

侍「ですが」

姫「さぁ、食え。遠慮するでないぞ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:19:34.63 ID:XtVZ8CIDO

侍「姫、もしかして……それお嫌いですか?」

姫「……」

侍「やはり……」

姫「そんな事はない」

侍「では、食べてみてください……出来ますよね?嫌いでなければ」

姫「う゛一口だけじゃぞ」

侍「はい」

姫「……」パクッ

侍「美味しいですか」

姫「う、うむ」

侍「では、全てお召し上がりを姫の好物を頂く事などできませんので」ニコッ

姫「お前……」

侍「なにか?」

姫「ようわかった、お前はわらわの好意を無にするんじゃな、わらわを嫌いになったのじゃな」

侍「そんな事は……」

姫「なら、これを全て平らげ証明してみよ」ニヤッ

侍「はぁー……わかりました」

姫「何がわかったのじゃ」

侍「踊らさせていただきます」

姫「独りで踊るのじゃぞ?何せわらわの手には箸が握られておるからの」

侍「はい」

姫「くふ」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/05(金) 19:23:34.88 ID:XtVZ8CIDO
今日は以上です

レスありがとうございます、励みになります

後1、2回投下で怪我は治りそうですが……その後のネタがどうなるのか

あざーした
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 19:23:59.30 ID:euc3OlEjo
おつおつ
いいね
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/05(金) 20:05:56.22 ID:4hT+dpHco
乙した

かわえかった
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/08/05(金) 20:49:53.61 ID:2gMSptMe0
おつ〜
怪我の完治後は、侍がどうしてお殿様や兄たちとの出会ったのか
その後、姫との出会いみたいな?
スルーしてくれてOK
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:12:21.06 ID:SmwtyifDO
〜治療中〜

姫「痛くはないか?」ゴシゴシ

侍「はい、姫も随分慣れた手つきに」

姫「そうじゃろ、しかし、気になっておったのじゃがお前は傷だらけじゃの」チョン

侍「わっ」

姫「なんじゃ変な声を出しおって」

侍「すいません、急でしたので」

姫「ほぉ〜」ツー

侍「ぐふっ姫」

姫「これは面白い、色々な声で鳴きおる」ニヤニヤ

侍「ひ、姫」

姫「くふ」ツンツン

侍「ッツ、もう治療は結構です、誰か他の者にやって貰う事にします」

姫「すまぬすまぬ、そうヘソを曲げるでない」

侍「……本当に勘弁してください」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:14:01.39 ID:SmwtyifDO

姫「うむ、で、この古い傷は大丈夫なのか?」

侍「えぇ、なんとも」

姫「そういえば背中の傷は恥じゃと聞いたが……」

侍「普通はそうですが、私の場合はお館様や兄上様方をお守りした時に出来た傷ですから寧ろ誇りです」

姫「この背中の大きな傷もか?」

侍「はい、その傷は五年前野盗から兄1様をお守りした時に、その時は三日三晩意識が無く大変でした」

姫「そんな事があったのか」

侍「はい、しかし、父には大層誉められました」

姫「薄情な親じゃの」

侍「はは、まぁ、私の家は代々馬廻りをしておりますから、刻み込まれてるのかもしれません
しかし、そのお陰で小さい頃から平時は兄1様のお世話をし兄2様そして今の姫とお世話させていただいております」

姫「おかしいの、今わらわはお前の世話をしておるのじゃが」

侍「そうですね、ありがとうございます」クスッ

姫「うむ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:15:14.37 ID:SmwtyifDO

侍「では、続きをお願いできますか」

姫「急かすでない、もう少し眺めさせてくれぬか」

侍「構いませんが面白いですか?」

姫「うむ、父上様がよく酔っては傷を見せて武勇伝を聞かせてくれるからの」

侍「お館様らしいですね」

姫「で、この傷はどうしたのじゃ?」

侍「どの傷ですか?」

姫「これじゃこれ……触ってもいいのか」チラッ

侍「……えぇ、でもくすぐらないで下さい」

姫「もうくすぐりなどせぬ、くすぐって聞こえてくるものはお前の悲鳴ばかりじゃからな、わらわは他のものが聞きたい」

侍「武勇伝と言うほどのものはありませんよ?」

姫「構わぬ」

侍「では、うたいましょう」

姫「では、これじゃ」ツン
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:18:01.81 ID:SmwtyifDO

侍「それは昨年の夏受けた矢傷です、右下のもそうですね」

姫「これか?」ツン

侍「えぇ、お館様は勇猛果敢なお方でよく先陣を切られるのですが
これは相手方武将の首を取って陣に戻られるお館様の背後を守って走っていると後ろから射られまして」

姫「父上様から聞いたことがある、首を取り戻そうと山のように矢を射られたとか言っておられた」

侍「大体、そんな感じですね」

姫「では、これはなんじゃ」ツン

侍「それは兄1様の初陣の時ですね、途中からお館様と別行動をとられたのですが」

姫「あぁ、前に出すぎて敵に囲まれそうになったと聞いたの」

侍「はい、その時目付けとして付いて行くようお館様に言われまして、なんとか制止をし進路を変えたので助かりました」

姫「兄上は父上様に似て気性が激しいからの制止するのも大変じゃったじゃろ」

侍「えぇ、斬りかかられるかと思いましたよ」

姫「くふ、これはまた歪な傷じゃな」ツン

侍「それは、兄2様が乗馬されてる最中馬が暴れたので押さえようとしたら引き摺られて石にぶつけてしまいまして」

姫「想像しただけで痛そうじゃ……これはなんじゃ」ツン

侍「それは……」

姫「ん?なんじゃ」

侍「幼少の頃柿の木に登って落ちた時に付いた傷です……」

姫「ふふ、お前もそんな時があったのか、意外じゃの」

侍「勿論です、私も幼い頃は色々失敗しました」

姫「可愛かったんじゃろうな」

侍「それはもう……」

姫「今と変わらないぐらいに」ニッ

侍「……そうですね」

姫「おぉむくれよって、可愛い可愛い」ナデナデ

侍「はぁー」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:18:56.06 ID:SmwtyifDO

姫「くふ。ん?脇腹にも傷があるの」ツン

侍「それは、馬廻りとして始めてお館様のお側に居たときに槍で貫かれた傷です」

姫「貫かれた?」

侍「えぇ、前の方から貫かれまして、ほら此方から……」

姫「これか……確かに貫かれておる」ヒョイ

侍「幸い内臓には当たりませんで九死に一生を得ました」

姫「……前の方が傷が多いのか」

侍「稽古によって付いた傷も沢山ありますから、この辺の細かい傷はお館様方との稽古ですね」

姫「その割りには面にはあまり傷が無いの」ジー

侍「そう言われてみれば」

姫「面の皮が厚いからか?」

侍「かもしれませんな、何せ姫の冷たい言葉にも顔が凍る事もありませんから」ニコッ

姫「たわけ」ガリッ

侍「痛たた」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:19:41.11 ID:SmwtyifDO

姫「……」ガリッ

侍「……姫そんなに怒っているのですか?」

姫「あぁすまぬ、怒ってはおらぬ」

侍「どうかしました?」

姫「うむ、お前の体には父上様や兄上達との絆が刻まれておるのだなと思ってな」

侍「そんな大層なものでもありませんよ」

姫「大層で無くてもわらわにはそれが羨ましくみえてな」

侍「だから、引っ掻いたんですか?」

姫「うむ、我ながらたわけた事だと思うがの」

侍「ははは」

姫「だから、たわけた事だと言っておろう、そう笑うでない」

侍「確かに背中の傷もあとが残らないといわれましたが、私はあとが残らなくて幸運だと思いましたよ」

姫「……」

侍「何故なら少しでもあとが残るとお優しい姫はずっと気になさり、ご自分を責めるでしょうから。例え名誉の傷とされるものでも」

姫「……そう……かも知れぬの」

侍「えぇ、それにご安心を、私の心には姫との絆が刻まれていますから」

姫「心は見えぬじゃろ」

侍「では、感じてください、いつでも心は開けますから」

姫「ふふ、そうじゃの、お前の言う通りじゃ……お前も良いことを言うの、たまにじゃが」

侍「姫、私も少しは傷つくんですが」

姫「ならそれを絆として刻んでおいてくれ」

侍「わかりました」

姫「くふ」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/08(月) 15:26:01.58 ID:SmwtyifDO
今日は以上です

とりあえず最後までの骨格が決まりました、スピードは変わらないと思いますが

後、レスありがとうごさいます、励みになります

>>68
過去話はいいですね、今回早速消化してしまいましたが、姫との過去は終盤にいれようかなと思っています

では、あざーした
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 15:48:16.94 ID:ee53CN/ro
おつつ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/08/08(月) 16:33:40.80 ID:Nz3G+IfV0
来てた〜
おつ〜 最後まで楽しみだ〜
期待してるよ 後、過去話は 〜回想〜 みたいな感じが個人的には良いかな〜
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:10:58.58 ID:hP3Ulp7DO
侍「160……170」ヒュンヒュン

姫「侍、もう体はよいのか?」

侍「あっ姫。えぇ、お陰さま背中の痛みは引きました、右手の方はもう少しかかるみたいですが」

姫「そうか、しかし、体を動かすのは早すぎではないのか?」

侍「体がすっかりなまっておりますから、元気な所から鍛えませんと」

姫「そういうものか」

侍「はい、して姫今日のお稽古は?」

姫「全て終わらせたわ、今日は朝早くから読経に写経と文字ばかり見ておった気がするの」

侍「大事なお務め御苦労様です」

姫「うむ、だが疲れた。特に写経の時は白い紙全て墨で塗りつぶしてやろうかと思った程じゃ」

侍「ははは」

姫「しかし、こう一日文字漬けだと全てが白黒に見えてきそうじゃ」

侍「それは大変ですね」

姫「うむ、お前の腹の内が黒く見える」

侍「おぉ、それは怖い」

姫「おっ顔が白くなったの」

侍「ははは」

姫「ふふふ」

侍「さてと、私もこの辺で」フキフキ

姫「ん?そんな中途半端な数で終わりなのか?」

侍「えぇ、止める時期をどうしようか考えてたぐらいですから、姫がいらして丁度良かったです」

姫「たわけ、お前の腹の内ぐらい見えるわ」

侍「そう言えばそうでしたね」

姫「わらわに遠慮する事はないんじゃぞ」

侍「今日は様子見ですから」

姫「そうか」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:12:20.63 ID:hP3Ulp7DO

スタスタ

侍「これは兄1様」

姫「兄上」

兄1「なんだもう終わりか?侍」

侍「はい、そろそろ終わりにしようかと」

兄1「連れないことを言うな、お前が傷を癒し体を鍛え直してると聞いて一つ手合わせをしてやろうと来てやったのに」

侍「左様ですか」

姫「兄上、侍はまだ右手の傷が癒えておりません、剣もろくに振れぬ状態で手合わせなど卑怯ではございませんか」

兄1「何を言う、だからこそ良い機会ではないか、相手が弱ってる時に叩くのは立派な兵法」

姫「ならば、逃げるのも立派な兵法です」

兄1「侍、お前は逃げないよな?」

侍「はい……」

姫「侍っ」

兄1「それでこそお前だ、お前に貸した借りを纏めて返してもらうぞ」

姫「侍、無理することないぞ」

侍「大丈夫ですよ」

姫「しかし、右手が使えぬと満足に振れぬのでは……」

侍「剣は左手で降るものですから」

姫「じゃが……」

兄1「妹よ、侍はやるといっているのだ、いいから合図をしろ」ビシッ

侍「ほら、姫」

姫「どうなっても知らぬからな」

侍「はい」スッ

姫「はじめ!」

兄1「おぉ」

侍「やぁ」

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:13:06.94 ID:hP3Ulp7DO


姫「……でじゃ、結局兄上が五勝で侍が三勝じゃと」ペタペタ

侍「ははは」

兄1「うむ、いい勝負だった」

姫「兄上情けなくなりませぬか?」クルクル

兄1「何を言う、侍はこうみえて父上様守り続けた実績を持つこの国指折りの使い手だぞ、勝ち越しただけで満足だ」

姫「はぁー情けない」クルクル

兄1「そういうな普段は勝てぬのだからな、そうだ侍、明日もやるからな」

侍「はい……」

姫「はい、兄上終わりましたよ」ポンッ

兄1「おぉ、お前も治療が上手くなったの」

姫「本当ですか兄上」

兄1「あぁ、上手だ。だが本当に侍を看病してたのだな、兄2から聞いた話では玩具にしてるだけとの話だったからな」

姫「あやつめ」

兄1「はは、そうむくれるな」

姫「ふん。ほれ、次はお前じゃ」

侍「はい」

兄1「では、そろそろ戻るか」

侍「はい、お疲れ様です」

姫「もう行くのですか」

兄1「あぁ、お前らの邪魔をしては悪いしな」

姫「大丈夫です兄上、邪魔ならもうされています」ニコッ

兄1「……そうか、侍邪魔したな」

侍「はい」

兄1「……お似合いだよお前ら」

侍「冗談でございます、また明日お待ちしております」

兄1「あぁ」

スタスタ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:13:42.31 ID:hP3Ulp7DO

姫「……」ペタペタクルクル

侍「……」

姫「よし、終わりじゃ」ポンッ

侍「お疲れの所すいません」

姫「なに玩具を弄るのに疲れなどたまらぬ」

侍「まだ気にしているんですか」

姫「気にしてはおらぬ、あながち間違いでも無いしな」ニッ

侍「左様で」

姫「うむ。しかし、侍よ。お前は強かったのだな」

侍「それなりに」

姫「そういえば、片手で戦うのが随分様になっておったが」

侍「えぇ、片手で戦う機会が多少経験がありましたし、いざというときの為に訓練もしてました」

姫「ほう、人は見かけによらぬな」

侍「……姫の目に私はどう写ってたのでしょうか」

姫「一言でいうなら白じゃ」

侍「それは嬉しいですね。やはり、私の潔白の性根が姫の目にそう写すのですね」

姫「たわけ、白紙の白じゃ」

侍「そうですか、なら、私の腹が黒いのは姫の手によって塗りつぶされたからですね」

姫「そうかもしれぬな」

侍「ははは」

姫「くふ」
82 : ◆ieQwxKz.Js :2011/08/12(金) 01:15:08.00 ID:hP3Ulp7DO
今日は以上です

レスありがとうございます励みになります

ではあざーした
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:27:42.63 ID:ncr/DDHSo
おつおつ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 22:03:11.97 ID:+FJPg/Eo0
おくれたけどおつ
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/08/14(日) 11:20:28.79 ID:GO3UQo4R0
おつ〜
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:40:38.40 ID:LjN/PeaDO

ガラッ

姫「侍……居らぬのか?」

姫「侍はどこじゃ?」キョロキョロ

ガラッ

姫「ここにも居らぬ、庭にも居らぬかったしどこに行ったのじゃ?」

兄2「何をしてるんだ?」

姫「兄上、侍を知りませぬか?」

兄2「あぁ、あいつなら腕の怪我も治ったし自分の屋敷に行ったぞ」

姫「そんな……」

兄2「大方お前に飽きてきたのだろう」

姫「なんじゃと?そんなことはないわ」

兄2「おっと俺に当たるなよ」

姫「うーもうよい、今から侍の屋敷に行く」

兄2「止めた方がいい、お前は今謹慎中の身だ……まさか自分で言い出した事を反故にしまいな?」

姫「うっ、なら侍だって」

兄2「あいつは登城禁止、お前と違って自由に歩ける」

姫「……ぐっ」

兄2「それにわざわざ現実を知って悲しむ事も無いだろ」

姫「黙るのじゃ」

兄2「ははは、後数日大人しくしとけよ」

姫「うぬ……」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:41:50.66 ID:LjN/PeaDO

〜姫の部屋〜

姫「はぁ、折角半日暇になったから遊ぼうと思ったのに侍め」

姫「そもそもわらわに挨拶も無しに屋敷に戻るとは不義理な奴じゃ」

姫「……それとも兄上が言うようにわらわに嫌気がさしたのであろうか……」

姫「侍……」

姫「はぁ……何もする気がせぬ」グダグダ

女中「姫様お昼の用事が整いました」

姫「いらぬ」

女中「しかし……」

姫「腹が減っておらぬ」

女中「少しでもお食べに……」

姫「独りにしてくれぬか?」

女中「わかりました」

姫「すまぬな」

女中「いえ、ではお腹が空きましたらお声をかけてください」

姫「わかった」

女中「失礼します」

姫「はぁ……寒い」ゴソゴソ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:42:55.10 ID:LjN/PeaDO

〜夕暮れ〜

侍「遅くなってしまった、夕食の時間までに戻る予定がすっかり日が影って……」

女中「これは侍様お帰りなさいませ」

侍「ただいま戻りました……どうかされました?」

女中「はい、姫様が体調を崩された様で昼間から部屋に籠られておりまして……」

侍「それは心配ですね、お食事は?」

女中「昼から何もお召し上がりになっておりませぬ」

侍「風邪ですか?」

女中「誰も寄せ付けないものでして詳しくはわかりません」

侍「そうですか……姫様に用事があるのですが明日にしたほうがいいですかね」

女中「出来れば様子を見ていただきたいのですが……姫様も侍様なら大丈夫だと思いますので」

侍「了解しました」

女中「よろしくお願いいたします」

侍「はい」

89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:43:53.80 ID:LjN/PeaDO
〜姫の部屋〜

侍「姫、侍でございます」

姫「……」ムクッ

侍「姫?入りますよ?」

姫「……」

侍「……失礼します」

ガラッ

侍「お体の様子はいかがですか?」

姫「何をしに来た」

侍「姫のご様子を伺いに……お元気そうですが」

姫「どうせ女中辺りに泣きつかれたのであろう」

侍「ははは」

姫「やはりの。己の屋敷から呼び出されてさぞや大変だったであろう」

侍「何を仰られているのですか?」

姫「無理するでない、わらわのような者に構うのも飽きたのであろう?下がってよいぞ」

侍「姫?」

姫「わらわは疲れた、独りにしてくれぬか?」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:44:55.81 ID:LjN/PeaDO

侍「姫いじけているのですか?」ギュー

姫「何をするのじゃ」

侍「まぁまぁ」ナデナデナデナデ

姫「えぇーい子ども扱いするでない」

侍「まぁまぁ」ナデナデナデナデ

姫「そう乱暴に撫でるでない、髪が乱れるじゃろ」

侍「よーしよしよし」

姫「……たわけめ離れるのじゃ」ハァハァ

侍「まだ甘えたりないのですか?」ギュー

姫「……」ハァー

侍「……」

姫「……お前は変わらぬな。……侍」ギュー

侍「はい」

姫「己の屋敷に帰ったのでは無いのか?」

侍「いえ、その様なことは」

姫「わらわに飽きたのでは無いのか?」

侍「まさか、誰がその様なことを?」

姫「兄2兄上じゃ」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:46:04.46 ID:LjN/PeaDO

侍「何かの思い違いでしょう」

姫「よい、わかった……もう許さぬ、兄2めわらわが性根を叩き直してやる」

侍「姫お待ちを」ギュー

姫「離すのじゃ、今度と言う今度は許さぬ」

侍「冷静になって下さい、敵うわけないです」

姫「しかし、腹の虫が収まらぬ」

侍「でしたら、私にお任せを」

姫「お前がそう言うなら任せる……」

侍「はい」

姫「では聞くがお前は己の屋敷に戻らぬのだな?」

侍「一ヶ月はここにいるように兄1様から言われております故」

姫「ほう、何と言われたのじゃ」

侍「はい、一ヶ月お前は新たな罰として妹に看病されなくてはならない、と」

姫「わらわの看病は罰なのか」ニコッ

侍「私の頬を叩いて褒美といったのと同じですよ」ニコッ

姫「うっ……そうんなこともあったの、なら一日中どこに行っておったのじゃ」

侍「話すより見せる方が早いと思いますが……姫お腹は空いていませんか?」

姫「収まった虫が鳴きそうなぐらい……」

侍「それは良かった、女中どの」

女中「はい」

ガラッ

女中「こちらに」

侍「ありがとうございます」

姫「なんじゃ?」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:47:10.08 ID:LjN/PeaDO

侍「ヤマメです、女中殿に言って下処理と炭をお願いしました」

姫「おぉ」

侍「姫との約束ですから、馬の試乗も兼ねて山まで行ってきました」

姫「覚えていたのか」

侍「勿論……まぁ一日粘って一匹しか捕まえれませんでしたが」

姫「なら半分こじゃな」

侍「いえ姫に食べていただく為に捕ってきましたので……」

姫「お前は時々肝心な所が抜るの、わらわはお前と食べたいと言った筈じゃ、数などさほど問題ではないわ……さほどな」

侍「さほどですか……姫がそう言われるのでしたら半分づつで」

姫「うむ」

侍「姫、外で焼きますのでこちらに……」

姫「楽しみじゃの」

侍「えぇ」

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 19:47:42.16 ID:LjN/PeaDO


ジュー

姫「よい匂いがしてきたの」クンクン

侍「もう……いいですかね、では切りましょうか」

姫「たわけ、こういうのは串のまま食うのが旨いのじゃ」

侍「それはそうですね、では姫先ずは一口」

姫「うむ」パクッ

姫「はふっはふっはふっ」

侍「いかがですか?」

姫「うむ、美味じゃ。ほれ侍」

侍「では」バクッ

姫「あっ食べすぎじゃ」

侍「一口は一口です」ホフッホフッ

姫「むーお前の口はでかすぎるのじゃ、わらわの二口に相当しておる」

侍「ははは」スッ

姫「ふんっ」パクッ

侍「ほら、口に欠片が」ヒョイパクッ

姫「それも一口じゃな」

侍「……はぁー、姫には敵いません。ではもう一口どうぞ」

姫「そらそうであろう、なにせお前の一口はわらわの二口じゃからの、口で敵う道理がない」パクッ

侍「そうですね」

姫「うむ」
94 : ◆ieQwxKz.Js [age]:2011/08/15(月) 19:49:54.08 ID:LjN/PeaDO
今日は以上です

レスありがとうございます励みになります

これで取り合えず治療編は終わりで、次は新編です

ではあざーした
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 20:55:55.38 ID:Oclst1U4o
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/15(月) 21:02:16.89 ID:dXU/WREAO


楽しみにしてる
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/16(火) 01:33:05.90 ID:eyqxS6bFo
すげぇほのぼのww
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/18(木) 10:31:45.99 ID:ztK+P0r+o
乙した

姫かわええのう
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 18:02:24.71 ID:AhkoG0YDO


殿様「侍、そういえば今日から登城か」

侍「はい、この度はご迷惑をお掛けしました」

殿様「よい、それより調子は良さそうだな」

侍「はい、姫様のお陰です」

殿様「そうか。これからもよろしく頼むぞ」

侍「はい、誠心誠意お仕えさせて頂く所存でこざいます」

殿様「そう言えば姫は明日までだったな……まぁよい、姫をここに」

側近「はい」


姫「父上様、お呼びでしょうか」

殿様「あぁ、お前に用事を頼みたい」

姫「なんでございますか」

殿様「隣国東の国に嫁いだ姉からお前宛に宴の招待状が届いておってな、行って貰いたい」

姫「わらわ宛ですか?」

殿様「うむ」

姫「わかりました父上様。恥無きよう立派に果たして参ります」

殿様「頼んだぞ。で、侍」

侍「はい」

殿様「お前には姫の護衛を申し付ける」

侍「……はい、お任せを」

姫「父上様……」

殿様「なんだ?」

姫「よろしいのですか?馬廻りである侍を父上様の元から離しても」

殿様「うむ、問題ない。」

姫「わかりました」

殿様「では頼んだぞ」

姫「はい」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 18:03:24.49 ID:AhkoG0YDO


姫「侍」

タッタッタ

侍「姫、この度は大任を任されましたね」

姫「まぁ姉上からの招待じゃけどな、国に恥をかかさぬ様に努めるつもりじゃ」

侍「私も出来る限りご協力します」

姫「うむ、それよりじゃ兄2兄上の事聞いたぞ」ニッ

侍「あぁ、姫に任されましたからそれなりに」

姫「かなり激しく稽古をつけたのじゃな、すっかりまいっておったぞ」ニヤッ

侍「少しやり過ぎたのではないかと思っているのですが……」

姫「わらわが受けた衝撃を考えるとあれぐらいが丁度よいわ」

侍「ですかね、まぁ久しぶりに姫のあの様な様子を見ましたが」

姫「そうか?」

侍「えぇ、あの悪意剥き出しの態度それに……」

姫「もうよい、あまり掘り返すでない、顔が紅くなるではないか……ん?なんじゃ少し様子がおかしいが、体の調子が良くないのか」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 18:04:40.04 ID:AhkoG0YDO

侍「……いえ、別に」

姫「いや、この一月お前の様子を間近で見続けてきたからわかる、調子が悪いのか?」

侍「……」

姫「侍?」

侍「ご心配無く」

姫「侍、さては拗ねておるな?」

侍「何を……」

姫「みなまで言うでない、わらわが慰めてやる、おーよしよし」ナデナデ

侍「姫お止めください」バッ

姫「あー、逃げるでない。お前がいつもやってる事であろう」

侍「それはそうですが……」

姫「はぁーお前はワガママじゃの、わらわにはやる癖に自分はやられたく無い」

侍「うっ」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 18:06:21.98 ID:AhkoG0YDO

姫「まぁよい、しかしそんなに気にすることは無いと思うぞ」

侍「何がです」

姫「誤魔化すでない、大方馬廻りの自分が父上様の側にいれぬのを嘆いているのじゃろ」

侍「いえ、そんな事はありません」

姫「……」ジー

侍「……わかりました、その通りですよ」

姫「それでよい、しかし、重ねて言うが嘆く事は無い、信用をしてなければ目のつくとこに置くじゃろうし、なにより此度は父上様も何か考えがあっての事じゃろ」

侍「それはわかりますが……」

姫「えぇい女々しいの、君主の考えが計れぬなら信じ全霊をかけ使えるのがお前のやるべきことじゃろうが」

侍「……その通りです。療養明けでどうかしてました、姫のお陰で目が覚めました。ありがとうございます」

姫「うむ、わかればよい……それに」

侍「それに?」

姫「最悪わらわの側に居ればよい」

侍「ありがとうございます」

姫「うむ、だから此度の間はわらわを君主と思い使えるのじゃぞ」

侍「誠心誠意お仕えさせていただきます」

姫「よろしく頼むぞ」

侍「はい」

姫「……しかし、お前のそんな様子初めて見るの」

侍「そうですか?」

姫「うむ、まるで父上様に恋い焦がれてる乙女みたいじゃ」

侍「そうですか……なら此度は姫に恋い焦がれましょう」

姫「くふ、それは嬉しいの」
103 : ◆ieQwxKz.Js :2011/08/21(日) 18:07:49.39 ID:AhkoG0YDO
今日は以上です

間隔が開いてすみません
レスありがとうございます励みになります

ではあざーした
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 18:24:15.06 ID:CUHVxWBbo
おつおつ
105 :[sage] :2011/08/21(日) 19:26:19.41 ID:sotk0xZx0
おつ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/22(月) 04:50:30.08 ID:2EYuBDvTo
乙した
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 19:58:05.32 ID:jCiTh8ADO
〜明け方〜

姫「うー、眠い」ムニャムニャ

侍「ほら、姫しっかりして下さい」

姫「まだ、日が昇っておらぬではないか……」ムニャムニャ

侍「仕方がありません、約束の時間までに着くには此ぐらいに出なくては」

姫「ふぁ〜」

侍「さぁ、御駕篭に……」

姫「う〜ん」

侍「あっ、お館様」

姫「父上様〜わざわざ見送りに来てくださったのですか〜」

殿様「うむ、道中気をつけて行ってこい」

姫「お任せ下さい〜」

侍「では、お館様これで。ほら、姫しっかりして下さい」

殿様「侍頼んだぞ」

侍「はい」

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:00:47.79 ID:jCiTh8ADO


姫「もう〜歩けぬ〜侍〜抱っこ〜」ショボショボ

侍「御駕篭までもう少しですから」

姫「無理じゃ〜」ヘニャ

侍「後少しですから」

姫「……」ムニャ

侍「わかりました、しょうがないですね」ヒョイ

姫「ふふふ」ギュ

侍「はぁー」

姫「わらわは担ぎやすいじゃろ?」

侍「えぇ、姫はお綺麗ですし正直者で軽いですから担ぎやすいですね」

姫「くふ、今は素直に担がれといてやろう」

侍「……姫、目が覚めてませんか」

姫「……急に眠気が」ムニャムニャ

侍「はいはい」



侍「ほら、着きましたよ。中でしっかり寝て下さい」

姫「うむ〜」

パタン

侍「……では、出立します。皆よろしく頼みます」

「はっ」

「姫様の御出立」

ギィー

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:02:21.87 ID:jCiTh8ADO


姫「ンー、よく寝た……ちと腹が減ったの」

カチャ

姫「女中」

女中「はい、ここに」

姫「腹が空いたのじゃが」

女中「それでしたらこれを」

姫「うむ、すまぬ。して今はどの辺りじゃ」モグモグ

女中「……詳しくはわかりません」

姫「お前では頼りにならぬ、侍を呼べ」

女中「はい」


侍「姫、お呼びですか?」

姫「うむ、今はどこじゃ」

侍「城をでて一刻ぐらい経ちましたかね、まだ我等の領内ですよ」

姫「して、いつ着くのじゃ」

侍「後一刻半ぐらいで峠の国境に着きます、そこから相手の案内の下、二刻ぐらいです日のある内に姉様の城に着きますよ」

姫「まだ、三刻半もあるのか……」

侍「えぇ」

姫「暇じゃ」

侍「我慢してください」

姫「馬に乗りたいんじゃが」

侍「ダメですよ」

姫「相手の領内に入ったら満足に窓を開ける事もできぬ、な?侍お願いじゃ」

侍「……わかりました。この辺は見透しもよいので特別に、ただし、峠に続く山道からは危険ですから御駕篭に戻って下さい、いいですね」

姫「それで構わぬ」

侍「では……一旦休止させますのでその後に」

姫「うむ!」

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:03:43.31 ID:jCiTh8ADO


侍「姫、そろそろ行きますので此方に」

姫「うむ」

侍「上掛はどうなされたのですか」

姫「折角のものが汚れても困るからの駕篭の中に置いてきた」

侍「馬上は御駕篭と違って寒いですよ」

姫「お前は身を呈して守ってくれるのだろ?」

侍「限界があります、しょうがない私の上着でも羽織っててください」

姫「それではお前が寒いじゃろ」

侍「この程度問題ありません、それに姫をこう懐に抱えれば寒さも和らぎます」

姫「ほぅ、ならもっと引っ付いてやらぬとな」ギュー

侍「ッ姫、他の者も見ておりますので」

姫「そう照れるでない」ギュー

侍「はぁー」

姫「周りの者など気にするでない……うん?」

侍「どうかしました?」

姫「いや、見慣れぬ顔がちらほらと……」

侍「あぁ、私の配下の者です」

姫「ほぉー頼りになるのか?」

侍「幾度もお館様をお守りした歴戦の者達なのでご安心を」

姫「父上様を……そういえば、お前は一軍の将なのだな」

侍「一応、なので……」

姫「家来に違った一面を見せたいと」

侍「違います」

姫「くふ……ん?お前は誰じゃ?」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:05:06.79 ID:jCiTh8ADO

家来「あっはい、此度は同行させて頂く家来と申します」

姫「そうか、よろしく頼むの」

家来「はい、姫様に安心して旅をして頂けるように尽力を尽くします」

姫「それは心強いの……で、お前は何故わらわを眺めておるのじゃ?」

家来「え……あの……」

姫「わらわの身の安全を考えるのなら外に目を向け警戒すべきではないのか?」

家来「あっ……はい」バッ

侍「姫、あまりいじめないでやってください」

姫「くふ、すまぬすまぬ。青いのを見るとつい触ってみたくなっての」

侍「左様ですか」

姫「うむ」

侍「しかし、家来が姫ばかり見るのもわかる気がします」

姫「わらわは美しいからの」ニコッ

侍「警戒すべきだからです」

姫「ムッわらわが旅を妨害していると言うのか」

侍「姫に安全に旅をして頂くという観点に置いては」

姫「なら、わらわから目を離すでないぞ」

侍「体だけでは足りませんか?」

姫「しょうがない、今回はこれで良しとしてやる……少しはお前をたててやらぬとな」

侍「ありがとうございます」

姫「うむ」
112 : ◆ieQwxKz.Js :2011/08/26(金) 20:08:01.58 ID:jCiTh8ADO
今日は以上です

レスありがとうございます、励みになります

それではあざーした
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 20:40:21.30 ID:4GlQvsq/o
おつおつ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/29(月) 01:42:38.25 ID:dgWl/BcPo
たまらん

乙した!
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:47:05.98 ID:E7Sw7PpDO



姫「菓子」

侍「……」

姫「モグモグ……茶」

侍「……」

姫「コクコク……ふぅー口」

侍「……」フキフキ

姫「うーん、空は高く地は広く解放感に溢れておる」ンー

侍「ほら、姫そんなに伸びをされては落ちますよ」

姫「おぉっと、ふふ」ダキ

侍「ずいぶんご機嫌ですが」

姫「うむ、久し振りに外に出れて最上に気分が良い」

侍「それは幸いです」

姫「勿論、お前と一緒じゃからだぞ」

侍「ッ」

姫「ふふ、ほれ、菓子」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:48:13.65 ID:E7Sw7PpDO

侍「はぁーそろそろご自分で食べられては?」

姫「何を言っておる、これは貸しを返してもらってるだけじゃ」

侍「貸し……ですか」

姫「うむ。貸しを菓子によって返す」

侍「……笑えば良いのですか?」

姫「ふふふ、どちらでもよい。」

侍「左様で……して、この貸しは高くつきそうですが」

姫「勿論じゃ、なにせわらわ自らの手食べさせ……」

侍「うわっ」バッ

姫「んーんー」モゴモゴ

侍「姫、具体的な事は内密にと……」

姫「……」

ガブッ

侍「っ痛」

姫「わらわの求めに応えず、口を塞ぐとはどういう了見じゃ」

侍「すいません、かしを忘れておりました」

姫「たわけがつまらぬわ」ニッ

侍「これは失礼」

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:49:17.79 ID:E7Sw7PpDO
〜昼飯〜

侍「そういえば、そろそろ山道ですね」

姫「もうか」モグモグ

侍「えぇ、なので昼食が終わりましたら御駕篭に戻って下さい」

姫「了解じゃ」

侍「意外に素直ですね」

姫「たわけ、わらわも最低限の分別はわきまえておる」

侍「最低限ですか」

姫「うむ、どこまでならお前が怒らぬか探るのも楽しみの一つじゃ」

侍「……怒りますよ」

姫「怒られたら宥め許してもらうのも楽しみの一つ」

侍「はぁー姫には敵いません」

姫「うむ」

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:50:06.13 ID:E7Sw7PpDO
〜峠〜

姫「国境はまだか?」

侍「そろそろですよ、あっ相手の迎えが見えてきました」

姫「此方からは幾人行くのじゃ?」

侍「私に女中殿それに後私の配下五人の計七人ですね」

姫「では大半がここで引き返すのか、面倒じゃの」

侍「まぁ習いですから。では窓を」

姫「うむ……侍下手をするなよ」

侍「お任せください」

姫「ふふふ」

パタン

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:51:32.99 ID:E7Sw7PpDO
〜国境〜

武士「姫様御一行とお見受けいたす」

侍「如何にも姫様一行である」

武士「拙者は東の国武将が家臣武士と申す、御迎えに上がり申した」

侍「拙者は中の国当主が馬廻り武士と申す、出迎え御苦労」

武士「此よりは拙者らが御案内いたす」

侍「承知いたした」

〜東の国・城〜

「姫様御一行御到着」

武士「……では拙者はこれで」

侍「ありがとうございました」

武士「……」ペコッスタスタ

侍「ははは」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:52:08.63 ID:E7Sw7PpDO

姫「侍、もう出てもよいのか」

侍「はい、どうぞ」

ガラッ

姫「侍……寒い……」

侍「お手を」ハァーナデナデ

姫「うむ、少し暖かくなってきた。やっと一息つけるの、息が詰まって死ぬかと思った」

侍「道中皆無言でしたからね」ナデナデ

姫「うむ、わらわもなるべく音をたてぬように身を固めておった、お陰で体が強ばっておる」ウーン
姫「窓の隙間から景色だけでは暇が埋まらず、暇すぎて死ぬかと思った」ハァー

侍「それは危うく葬儀になるとこでしたね」

姫「あの様子じゃと大して違ってはあるまい」

侍「ははは」

姫「ふふ、にしても案内役の奴は無愛想じゃったな」

侍「武士殿ですか?」

姫「うむ、もう少し愛想を振ってもよいものを」

侍「確かに……しかし、緊張して固くなってたのでしょう」

姫「小さい奴じゃ」

侍「ははは」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/05(月) 19:53:06.28 ID:E7Sw7PpDO

姉「姫ちゃーん」

姫「ん?あの声は……姉上じゃ」

姉「姫ちゃん」

姫「姉上お久しぶりです」

姉「お久しぶり。姫ちゃんが着いたと聞いて急いで来たの、元気そうで良かったわ。他の皆は健在?」

姫「はい、父上様や兄たちも相変わらず健在です」

姉「それはなにより、ささっ取り合えず私の部屋に、挨拶はその後ね」

姫「はい」

侍「……」

姉「……あら、なんでお前がここに?」

侍「此度、姫の護衛を仰せつかりました」

姉「……お前が?」

侍「はい」

姉「そう……いえ、ごめんなさい」

侍「?」

姫「父上様が特別に付けてくれたのですが、何かおかしいのですか?姉上」

姉「少し噂と違ったから」

姫「噂?」

姉「噂……後で話してあげます」

姫「?」
122 : ◆ieQwxKz.Js :2011/09/05(月) 19:56:14.29 ID:E7Sw7PpDO
今日は以上です

間が空いてすいません、これから間隔はこれぐらいになるかもしれませんが、よろしくお願いします

レスありがとうございます、励みになります

では、あざーした
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/06(火) 01:31:26.76 ID:+MuAvjuMo
おつおつ
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/10(土) 03:23:45.19 ID:d3OSy2bEo
乙した!
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 13:25:46.23 ID:f1f1co7DO
〜姉の部屋〜

ガラッ

姉「姫ちゃんどうぞどうぞ」

姫「姉上、お邪魔いたします」

姉「ふふ、座って座って」ポンポン

姫「はい」スッ

姉「ほら、姫ちゃんの為に沢山菓子を用意したのよ」

姫「ありがとうございます」

姉「ほら食べて」

姫「あっその前に姉上」

姉「ん?な〜に」

姫「此度は、おめでとうございます」ペコッ

姉「ふふ、ありがと。これでやっと安心できるわ」

姫「はい」

姉「姫ちゃんも道中無事でなにより、暇じゃなかった?」

姫「多少は暇でした」

姉「でしょうね、特に案内役が融通がきかないから」

姫「やはり姉上もそう思いますか」

姉「えぇ、もう少し愛嬌あったらいいのにね」

姫「確かに……それで姉上……」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 13:27:00.52 ID:f1f1co7DO

姉「噂の事?」

姫「はい」

姉「確か……姫が侍にそそのかされて逃避行を行い、山狩りのすえ崖下に潜んでいたのを見つけられたとか言われてて」
姉「それでね、結局それに激怒した殿様が侍を激しく罰した後牢に入れ、姫は心が深く傷つき屋敷に閉じ籠っていると」

姫「……くっくっく、あはははは」

姉「姫ちゃん?」

姫「すいません、姉上。あまりにも滑稽すぎて」ハハハ

姉「やっぱり嘘だったの」

姫「あり得ません」

姉「噂ってそういうものよね、それで真実はどうなの?」

姫「物見遊山の途中に崖下に滑り落ちました、後は父上様が侍を罰されましが牢には入れられておりません」

姉「閉じ籠ってたとかも?」

姫「あれは謹慎を受けておりました」

姉「そう、良かった」

姫「はい」

姉「では、わざわざ招かなくても良かったわね、私は姫ちゃんが落ち込んでいるから気晴らしにでもと思って」

姫「いえ、久しぶりに姉上と会えて嬉しいです」ニコッ

姉「そう?ならは良かった」

姫「はい」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 13:27:39.78 ID:f1f1co7DO

姉「でも、噂が噂だけに、まさか護衛役に侍が付くとは思わなかったわ」

姫「あっ」

姉「どうしたの姫ちゃん?」

姫「いえ、此度父上様がなぜ侍を同行させたか謎が解けました」

姉「?」

姫「噂の払拭です」

姉「……あぁ成る程ね、侍が同行してる姿を見れば誰もが噂は嘘だと思うものね」

姫「はい、下手に言い訳を重ねるより効果的だとお考えになったのでしょう」

姉「そうね、侍は色々有名だから早めに火消しをしたかったのでしょうね」

姫「有名なのですか?」

姉「あら、知らないの?」

姫「はい」

姉「確かに私も此方に来てから知ったしそんなものなのかな?他国から侍は達人侍という字で呼ばれているの」

姫「達人侍……ですか」

姉「えぇ、何をやらしてもそつなくこなす事から付いたらしいけど」

姫「そうは思えません」

姉「ふふ、でね。噂では、色々な所から家臣にならないかー娘を嫁に貰ってくれないかー婿にこないかー養子にならないかーと言われてるとか……」

姫「そうなのですか」

姉「噂だけどね」

女中「……失礼します、面談の準備が整いましてございます」

姫「直ぐに行く、では姉上失礼します」

姉「えぇ、後で」

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 13:29:33.74 ID:f1f1co7DO


侍「あっ姫お待ちしてました」

姫「なんじゃ、お前も同席するのか」

侍「はい、一応役目ですので」

姫「そうか。そうじゃ侍何故お前が此度同行する事になったかわかったぞ」

侍「本当ですか?」

姫「うむ、後で教えてやる」

侍「ありがとうございます」

「殿がお見えになります」
侍「はい」
129 : ◆ieQwxKz.Js :2011/09/11(日) 13:32:50.34 ID:f1f1co7DO
今日はここまで

レスありがとうございます、励みになります

今回侍との絡みが少ない……

ではあざーした
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 13:39:35.63 ID:jb22YRcFo
おつおつ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/11(日) 15:46:06.00 ID:yHdr5GZAO

まあ、ゆっくり書いてくれ
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/12(月) 09:05:30.51 ID:hrHmpjMxo
乙した

ワクテカ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/18(日) 22:23:36.33 ID:xjUo4oNDO
ガラッ

東の国の殿様(以下東殿)「……」ドスッ

姫「お初にお目にかかります、央の国当主が娘、姫にございます」

東殿「よう参られた」

姫「此度は当主ご就任おめでとうございます、我が殿に成り代わりお祝いを申し上げます」

東殿「うむ」

姫「つきまして我が殿より親書と祝いの品をお持ち致しました」

東殿「ありがたい」

姫「はい」

東殿「……して、脇に控えているのは侍か……久しいな」

侍「お久しぶりでございます東殿様、此度はおめでとうございます」

東殿「応、やっと当主になれたわ、でお主は何故ここにいるのだ」ニッ

侍「姫様の護衛の任を任せられております」

東殿「ははは、そうかそれは大任だな。そういえば、剣術大会をやるのだが出てくれないか?」

侍「はい、お断り致します」

東殿「即答か」

侍「はい、万が一に怪我でもしては姫様の警護が続けられません故」

東殿「それもそうだが……一度くらいはこの目でお前の実力が見てみたいのだがな」

侍「ご容赦を」

東殿「相変わらずな奴だ」ハー
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:26:26.03 ID:xjUo4oNDO

姫「……東殿殿がそこまで言われるのでしたら、侍参加しなさい」

侍「はい、姫様の仰せの通りに」

東殿「……おぉ、そうか出てくれるか。姫殿これは有り難い」

姫「他ならぬ東殿殿の頼み、両国の友好の為ですから」ニコッ

東殿「……ははは、これは借りができましたな」

姫「ふふふ」

東殿「それでは部屋を用意させてあります、ごゆるりと寛いで下され、姫殿」

姫「お心遣いありがとうございます、それでは失礼を」

〜部屋〜

姫「……」ニコニコ

侍「ご機嫌がよろしいようで」

姫「そう見えるか?」ニコニコ

侍「はい」

姫「ふふ、わらわに託された仕事の大半は終わったからの」

侍「お見事でしたよ」

姫「そうか。しかし、面白いものじゃの、あの短い間にこちらに探りや駆け引きを入れてくるのじゃから」

侍「はは、姫も負けていませんでしたよ」

姫「半分はお前のお陰ではないか」

侍「私はただ姫に従ったまでですから」

姫「謙遜するでない、最初は子どもの使いみたいな扱いじゃったがお前がわらわに従う姿を見せてから変わりおった」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:27:46.86 ID:xjUo4oNDO

姫「それでじゃ……侍……怒っておらぬか……」

侍「何をです?」

姫「無理に剣術大会に参加させた事じゃ」

侍「それも含めてお見事でしたよと申したつもりですが」

姫「そうか!うん、そうじゃな」ウンウン

侍「……多少は気に掛けて下さったのですか?」

姫「少しだけじゃ……それにお前の言い分が正しいのは誰でもわかる」

侍「大丈夫ですよ、怪我をしない様に上手くやるつもりですから」

姫「……お前が大丈夫と言うと大丈夫な気がするから困る」

侍「お任せください」

姫「ふむ、今思うと父上様はこの事も見越してお前を同行させたのかもしれぬ……なにせ家臣の中で一番わらわに従順じゃからの」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:29:17.35 ID:xjUo4oNDO

侍「それは光栄です。そう言えば、姫が言われていた私が同行を命じられた訳とはなんだったのですか?」

姫「あれか、多分噂の払拭じゃ」

侍「噂の払拭……ですか、それでどのような噂で?」

姫「それはの……。」

侍「姫?」

姫「う〜ん……」

侍「どうかされたのですか?」

姫「……」ジー

侍「?」

姫「侍、少し近くに寄れ」コイコイ

侍「はい」ズィ

姫「ふむ」ムニュ

侍「何をっ」

姫「さて、どうしたものか……」

侍「……そんなに悪い噂だったのですか?」

姫「まぁ、双方に取って良い噂では無いの、そのままにしとくと今後に悪影響を与えそうな噂じゃ」

侍「それで難しい顔をして何を迷っておられるのですか?」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:30:23.44 ID:xjUo4oNDO

姫「うむ、お前に噂の内容を伝えるかどうか迷っておる」

侍「そうですか」

姫「う〜ん」ムニュー

侍「……では、言われなくて結構ですよ」

姫「……良いのか?」

侍「えぇ、噂の払拭という事だけ知れば十分です。後は姫を信じますので」

姫「……わかった」

侍「はい」

姫「お前に噂の内容を伝える」

侍「えっ?姫?」

姫「お前がわらわを信じたように、わらわもお前を信じて伝えよう」

侍「はぁ」

姫「それに言わなくてもよいと言われたら言いたくなるのが人の性じゃ」ニッ

侍「……左様で」

姫「うむ」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:31:18.19 ID:xjUo4oNDO

侍「して、どんな内容でしたのですか」

姫「うむ、なんとわらわとお前が恋仲でな逃避行を企てたという事らしい」

侍「……」

姫「しかも、父上様がお前を拷問にかけ牢へ閉じ込め、わらわはそれに心を痛め部屋に閉じ籠ったという」

侍「成程、そんな噂がたっているのであれば国の為にも早急に静める必要がありますね」

姫「うむ」

侍「しかし、姫と私が逃避行ですか……」

姫「そうじゃ、笑えるじゃろ?」ククク

侍「とても」クスッ

侍「しかし、何故伝えるのを躊躇ったのですか?」

姫「うん?それはの……」

侍「それは?」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:32:06.18 ID:xjUo4oNDO

姫「……これを伝えてお前が余計な噂がたたぬように、わらわから距離を置かぬか心配じゃったのじゃ」

侍「ははは」

姫「むっ、笑い事ではない」

侍「すいません」ククク

姫「たわけが、もうよい」プイッ

侍「……しかし、そんな心配は無用ですよ、他の人が何を言おうが影響される事はありません」
「仕えるべき大切なお方が信頼し分かって下さっていれば、私はそれで良いのです」

姫「……その仕えるべき大切なお方とは代理の者も入るのか」チラッ

侍「無論」

姫「では許す……」

侍「ありがとうございます」

姫「……」

ギュー

侍「ひ、姫なにを」

姫「この辺りで主従関係をはっきりさせておかぬと思うてな」

侍「それと首に腕を廻して抱きつくのと何の関係があるのですか?」

姫「ん?……首輪の代わりじゃ」

侍「私は犬ですか」

姫「犬に巻くほどわらわの首輪は安うない」

侍「それは失礼しました」

姫「うむ、時々こうして首輪を巻いてやるから、変わるでないぞ」ニコッ

侍「はは、姫には敵いません」

姫「くふ」ギュー
140 : ◆ieQwxKz.Js :2011/09/18(日) 22:33:30.50 ID:xjUo4oNDO
今日はここまでです

レスありがとうございます、励みになります

前回の分まで絡み増やしてみた

ではあざーした
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 22:58:02.70 ID:EbeQLYpLo
おつおつ
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/21(水) 12:53:48.15 ID:ndat2Enao
乙したああああ

かわいいー
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 22:29:39.66 ID:trq/QELDO
〜真夜中〜

姫「……」

姫「……」ゴロゴロ

姫「……」モソモソ

姫「……」

姫「……ダメじゃ、眠れぬ」ムクッ

姫「うむ、朝夕と駕籠で寝すぎたみたいじゃ、目が冴えてたまらぬ」ハァー

姫「女中」

……

姫「……うん?」ゴソゴソ

姫「女中?」スーッ

女中「……」クークー

姫「完全に寝入っておる……」

姫「しょうがない奴じゃ」ピシャ

姫「……星でも見るか」

ガラッ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 22:30:35.28 ID:trq/QELDO

姫「おぉー満天の星空じゃ、綺麗だの」キラキラ

侍「姫、どうかなされました?夜風はお体にさわりますよ?」

姫「ッツ……なんじゃ、お前か。驚かすでない」

侍「すいません、姫の姿が見えたもので」

姫「なんじゃお前も眠れぬのか?」

侍「いえ、寝ておりましたよ。ただ、姫の部屋から戸の開いた音が聞こえたらもので気になって様子を」

姫「寝ておっても聞こえるものなのか?」

侍「物音などは」

姫「それは凄いの」

侍「戦場にいる者なら多かれ少なかれ誰でも出来ますよ」

姫「そうか、まぁ起こしたのであればすまぬかったな」

侍「いえ。そう言えば女中殿は」キョロキョロ

姫「うん?よく寝ておる、日中は歩き通しじゃったからの疲れが出たのじゃろ」

侍「しょうがない人ですね」ハァー

姫「まぁ、良いではないか」

侍「それで姫は日中寝すぎて寝れぬのですか?」

姫「たわけ」

侍「すいません」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 22:32:01.61 ID:trq/QELDO

姫「わらわは繊細じゃからの、枕が変わると眠れぬのじゃ」

侍「朝、御駕篭で寝ていませんでしたか?」

姫「……」

侍「……すいません」

ビュー

姫「クシュン」

侍「姫、体を壊しますのでお部屋に」

姫「まだよい、それに今は星を見ておる」

侍「星ですか」

姫「うむ」

侍「しかし」

姫「なら、お前の懐を貸せ」ゴソゴソ

侍「っ姫」

姫「うむ、これこそ慣れ親しんだ枕じゃ」

侍「はぁーわかりました、姫が寝るまでお貸ししますよ」

姫「くふ」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 22:32:38.13 ID:trq/QELDO

姫「……」

侍「……」

姫「……侍」

侍「はい」

姫「星や月はどこで見ても同じなのか?」

侍「星は知りませんが、私の知る限り月は何処でも同じですよ」

姫「そうか……」

侍「はい」

姫「……ならばよい」

侍「姫?」

姫「……なんじゃ?」

侍「いえ、別に……」

姫「ふふ、変な奴じゃ」ヒシッ

侍「ははは」

姫「綺麗じゃの」

侍「……えぇ、心があらわれるようです」

姫「ん……」



姫「……」スースー

侍「……寝たのですか?」

姫「……」スースー

侍「よっ、軽い軽い」

ガラッ

侍「では、よい夢を」ナデナデ
147 : ◆ieQwxKz.Js :2011/09/24(土) 22:34:52.31 ID:trq/QELDO
今日は以上です

レスありがとうございます励みになります

ではあざーした
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/24(土) 22:42:12.01 ID:/IJTdNqAO

雰囲気好きだよ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/25(日) 02:45:19.68 ID:N9JwFH3Io
乙した

ニヤニヤとワクテカが止まらない
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 23:29:02.88 ID:Hs9LEryDO

侍「姫、侍ですが入ってもよろしいですか?」

姫「よいぞ」

ガラッ

侍「失礼します……身仕度中でしたか」

姫「もう終わる……そう言えば朝から姿を見かけぬかったが何処にいたのじゃ?」

侍「警備状況の確認や私が出てる間の姫の警護の指示をしていました」

姫「そうか……」

侍「はい」

姫「まぁよい」

女中「姫様、出来ましたよ」ポンッ

姫「うむ。どうじゃ、侍変なとこは無いか?」クルクル

侍「いつも通り……」

姫「……」ジー

侍「……可憐ですよ」

姫「ふふ、そうか」ニコニコ
姫「で、何用じゃ?」

侍「はい、そろそろ時間です」

姫「もうそんな時間か、なら、お前に構っている暇など無いの」

侍「ははは」

姫「女中、あれはどこにやった」バタバタ

女中「あれならこちらに」バタバタ

侍「……私は外に居ますので」

姫「うむ。ほれ女中はようせい」

女中「ただ今っ」

侍「……」クスッ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 23:30:15.42 ID:Hs9LEryDO

ピシャ

侍「あっ……これは姉様」バッ

姉「姫ちゃんは?」

侍「もう少し身仕度に時間がかかるようです」

姉「そう」

侍「はい、お美しい姉様の隣にいても負けぬ装いにと」

姉「まぁ、口が上手なのね」

侍「いえ、私は真実しか口にしません」

姉「本当かしら」

侍「えぇ、本当です。屋敷居られました時より一層美しくなられました……」

姉「ふふ、いいの?姫ちゃんに怒られるわよ」

侍「大丈夫です。何せ姉様は姫様の憧れのお方、そのお方を讃えて何故怒られるのでしょうか」ニコッ

姉「そんなに褒めても何もでないわよ」

侍「はは、姉様の笑顔を見れるだけで十分です」

姉「ッ……そうそう結婚はしたの?」

侍「いえ、中々良縁に恵まれません」

姉「引く手あまただと思うけど、まだ遊び足りないとか?」

侍「そんなことは無いですよ、姉様のような良縁が来るのであれば直ぐにでも」

姉「ッ」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 23:32:26.94 ID:Hs9LEryDO

ガラッ

姫「それはいかんな」

侍「姫」

姉「姫ちゃん」

姫「姉上お待たせしました」ペコッ

姉「ふふ、大丈夫よ」

侍「では、参りましょう」
姉「えぇ」

姫「うむ。しかし、いかんな」スタスタ

姉「何がなの?」スタスタ

姫「侍の話です」スタスタ

侍「私ですか?」スタスタ

姫「そうじゃ、まだ結婚もしておらぬとはな」

侍「姫、盗み聞きされていたのですか?」

姫「たわけ、盗まずとも障子一枚だと勝手に入ってくるわ。それとも聞かれてはいけぬ話じゃったのか?ン?」

侍「いえ、そんな事はありません」

姫「しかし、配下を抱えてると言うことはそれなりに録はあろう」

侍「人並み以上には」

姫「体は丈夫で家柄もしっかりしておる、名声もあって……侍少し近くに寄れ」

侍「はい」

姫「ふむ、顔も悪くない」ガシッ

侍「ありがとうございます」

姫「ならば、原因はそのよく回る口か、それともこの曲がった性根かの」ムニュ-

侍「ひ、ひへ」

姫「案ずるでない家臣を正すのも主君の役目、わらわがお前を正してやろう」パッ

侍「いえ、結構です」

姫「遠慮するでない」

侍「結構です」

姫「……先ずはそのよく開く口を閉じぬとな」

侍「それは大丈夫です。姫を見ていると口が閉じますゆえ」

姫「美しくさでか?」

侍「図々しい態度に呆れてです」

姫「それは良かった、美しさは直ぐに増す事は出来ぬが図々しいさはいくらでも増す事が出来るからの」

侍「え、いや……はぁ〜」

姫「くふ、それでよい」
153 : ◆ieQwxKz.Js :2011/10/02(日) 23:33:29.11 ID:Hs9LEryDO
今日は以上です

レス励みになります

途中から姉が空気に

ではあざーした
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 00:29:15.29 ID:vwjWftQJo
おつおつ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/03(月) 09:26:12.62 ID:itGNy/YAO
乙姉さん切ねえ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 20:50:33.98 ID:1VBlNb2DO

〜回想・姫の部屋〜

侍「姫様、失礼してよろしいでしょうか?」

姫「誰じゃ?」

侍「はっ兄2様に付いております侍と申します、兄2様の代理で参りました」

姫「……兄2兄上の代理と言われたら入れぬわけにはいかぬな、入ってよいぞ」ハァー

侍「はい、失礼します」ガラッ

姫「……しかし、兄2兄上も代理など寄越さずともよいものを……大変じゃのお前も」

侍「いえ、私から兄2様に強く申し出たものですから……何せ兄2様は姫様の性根を叩き直してやると木刀まで持ち出しておりましたから」ハハハ

姫「ハッそんな気概は無いくせに。して、何用じゃ?代わりにわらわの性根を直しにきてくれたのか?」

侍「いえ」

姫「ふ〜ん」

侍「何か?」

姫「いや、感心しておるのじゃ」
157 : ◆ieQwxKz.Js [sage]:2011/10/10(月) 20:54:07.56 ID:1VBlNb2DO
すいません最初の1レス飛んだみたいです
最初から投稿するので一部重複になります
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 20:55:28.71 ID:1VBlNb2DO
〜剣術大会会場〜

侍「姉様、姫様。お席はこちらです」

姉「ありがとう」

姫「うむ」

侍「いえ、それでは私は出番があるのでこれで、後の事は配下の者に任せてありますので」

姫「そうか」

侍「姫、何かあれば、ちゃんと甘えてくださいよ?」

姫「それは断わる」

侍「では、頼って下さい」

姫「……仕方がない」

侍「それは良かった。では、私はこれで」クスッ

姫「あっ……」

侍「んっ何か?」

姫「いや、まぁ、適当にやるのじゃぞ」

侍「はい、適当に」

姫「うむ」

侍「では……」スタスタ

姉「ふふふ」

姫「どうかされました?姉上」

姉「いえ、姫ちゃんと侍とのやり取りがおかしくて」

姫「そうですか?」

姉「えぇ、とても。……でも私が居たときは兄2くんに付いてたわよね」

姫「はい、姉上が嫁がれて少ししてから、わらわに変わったのです」

姉「そう。何か事情がありそうだけど?」ニヤニヤ

姫「それは……」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 20:57:04.81 ID:1VBlNb2DO

〜回想・姫の部屋〜

侍「姫様、失礼してよろしいでしょうか?」

姫「誰じゃ?」

侍「はっ兄2様に付いております侍と申します、兄2様の代理で参りました」

姫「……兄2兄上の代理と言われたら入れぬわけにはいかぬな、入ってよいぞ」ハァー

侍「はい、失礼します」ガラッ

姫「……しかし、兄2兄上も代理など寄越さずともよいものを……大変じゃのお前も」

侍「いえ、私から兄2様に強く申し出たものですから……何せ兄2様は姫様の性根を叩き直してやると木刀まで持ち出しておりましたから」ハハハ

姫「ハッそんな気概は無いくせに。して、何用じゃ?代わりにわらわの性根を直しにきてくれたのか?」

侍「いえ」

姫「ふ〜ん」

侍「何か?」

姫「いや、感心しておるのじゃ」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 20:59:10.33 ID:1VBlNb2DO

侍「私にですか?」

姫「そうじゃ、父上様の馬廻りをこなしながら次期当主である兄1の相手を立派に勤め果たしたお前にな」

侍「いえ、そんな事はありません」

姫「じゃろうな、立派に勤め果たした筈なら任を解かれる筈がない」ニヤッ

侍「……」

姫「なぁ、侍よ。教えてくれぬか?次期当主に仕える栄誉を無くし予備である兄2に仕える事になった気持ちを」

侍「……」ジー

姫「つまらぬ兄妹喧嘩の仲裁をかって出る羽目になり、しかも片方の代理になり、年端もいかぬ女に責められる気持ちを?」

侍「……」ジー

姫「その胸に秘めるのは恨みか?失望か?諦めか?それとも自身の不甲斐なさを嘆きんでおるのか?」
姫「ん?どうした?答えれぬのか?それとも怒りで声が出ぬのか?」ケラケラ

侍「……」ジー

姫「……先程から黙りおって薄気味悪い」

侍「……」ジー

姫「なんじゃ、その目は何が言いたい?何がしたい?お前は兄2の代理なのであろう?何なりと申してみよ」ニヤニヤ

侍「……」ジー

姫「申せと言っておる!」ヒュッ

バシッ

姫「あっ……避けぬお前が悪いんじゃからな!」

侍「……」ジー

姫「ッなんじゃ!わらわが悪いと思うのなら申せばよかろう!」

姫「どいつもこいつもわらわを腫れ物を扱うように接しおって!」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 21:00:45.42 ID:1VBlNb2DO

侍「……成程、ようやく姫様が見えて参りました」

姫「なんじゃと!」

侍「ようは拗ねておられるのですね、誰かに構って欲しい甘えたい、故に他人に当たる」

姫「そんな事はない!」

侍「寂しいお方です」

ギュー

姫「な、なにをする」

侍「姫様を温めているのです、拗ねている者には人の暖かさが一番ですから」

姫「離すのじゃ」

侍「ははは、嫌です」

姫「離せ、このたわけ」

侍「私の方からほどく事はありません、嫌だというのであれば、私の腕を振りほどいて下さい」

姫「……なっ」

侍「振りほどかないのですか?」

姫「……」

侍「ではこのまま」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 21:02:38.61 ID:1VBlNb2DO



姫「……こんなに」

侍「……?」

姫「こんなに、誰かに近づけたのは初めてじゃ、心の音まで聞こえてきそうじゃの」ヒシッ

侍「……体と一緒に心も抱いていますから」

姫「……くふ、そうじゃの」ギュッ

侍「……姫様、姫様の置かれた立場や心情は私には計り知れません……しかし、独りで抱え込まず少しは周りに甘えて下さい。その為に私たちはいるのですから」

姫「……うむ」

侍「それは良かった……」

姫「……姫様は嫌じゃ」

侍「はい?」

姫「甘える相手に固苦しく姫様と呼ばれては存分に甘えられぬ」

侍「……わかりました、では、姫とお呼びしましょう」

姫「うむ!」

侍「ただし、時と場合は選びますが」

姫「それでよい」ニコッ
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 21:03:48.26 ID:1VBlNb2DO
姫「侍よ……」

侍「はい、なんでしょうか」

姫「先程は……その……すまぬかった」

侍「いえ」

姫「許してくれるか?」

侍「はい、気にしていません」

姫「そうか……後兄2兄上に詫びを入れに行こうと思う……付いてきてくれるか?」

侍「喜んで」

姫「ふふふ、すまぬ」

侍「いえ。こうして徐々に周りに甘えていけばよろしいんですよ」

姫「ん?何を言っておるのじゃ?」

侍「徐々に周りに……」

姫「そこじゃ」

侍「何かおかしいですか?」

姫「うむ、わらわはお前以外に甘える気は無いぞ」

侍「えっ何故ですか?」

姫「何故も何も甘える相手など一人で十分じゃろ、それに誰にでも甘えるなど節操が無い」

侍「そうですが、しかし……」

姫「なんじゃ、存分に甘えても良いという先程の言葉を違える気なのか」ジー

侍「いえ、そんな事は……はぁー、わかりました」

姫「うむ、それでよい」ニッ

侍「はぁー」

姫「これ、そんなにため息ばかりついておると幸せが逃げるぞ」

侍「姫に甘えてもらえるという幸運を手にしているのです、独り占めするのではなく、少しばかりは外に逃がしてやらぬと他の者に悪いですから」

姫「ほぅ、幸運をふいて回ると言うのか」

侍「これは失礼」

姫「くふ」

164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 21:04:28.71 ID:1VBlNb2DO
〜剣術大会会場〜

姫「それは……」

姉「それは?」

姫「秘密です」

姉「えぇー、教えてよ姫ちゃん」ツンツン

姫「ダメです」

姉「減るものじゃないじゃない」

姫「減ります」

姉「何が?」

姫「わらわの美しさが」

姉「?」

姫「姉上がわらわの美しさに嫉妬すると言うのであれば話しますが」

姉「何かよくわからないけど……相変わらず生意気であるとだけはわかったわ」ムギュー
165 : ◆ieQwxKz.Js :2011/10/10(月) 21:07:38.05 ID:1VBlNb2DO
今日は以上です……えー大変お見苦しい事になったのを謝ります

レスありがとうございます励みになります

回想はもっと終盤方に入れる予定だったけど、ここしかないだろと

では、あざーした
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 21:26:43.17 ID:ujs5CkIVo
おつおつ
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 00:47:05.00 ID:FbTTfKhto

続きが楽しみじゃ
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:21:05.06 ID:R45kbTEDO
「此より剣術大会を開催致します」

ゾロゾロ
ゾロゾロ

「第一回戦、第一試合両者前へ」

姫「姉上、侍は何時出るのですか?」

姉「確か次の二回戦からの筈よ」

姫「二回戦からですか?」

姉「えぇ、一回戦は予選を勝ち抜いた仕官希望の浪人ばかりだって二回戦から家臣とかが出場するそうよ」

姫「しかし、よく枠が空いてましたね」

姉「家臣に無理言って空けさせたと思うわ、確実に一人は泣いてるわね、晴れの舞台なのに可哀想」

姫「東殿殿は強権なのですね、頼もしい事です」フムフム

姉「……姫ちゃんも頼もしいわよ」

姫「そうですか?」

姉「えぇ、とても」

姫「ふふ、素直に喜んでおきます」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:23:13.45 ID:R45kbTEDO


「二回戦第八試合両者前へ」

侍「はい」

浪人「応」

姉「ほら、姫ちゃん侍よ」
姫「わかっております」ワクワク

姉「ほら、手ぐらい振ってあげたら」フリフリ

姫「姉上、公共の場ではしたないと思いますが」

侍「!」フリフリ

姉「あっ振り返してくれた」

姫「……二人とも緊張感が足りませぬ」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:24:10.03 ID:R45kbTEDO

姉「いいじゃない、他の家臣の方も自分の配下の時に応援してたし」

姫「立場が違います」

「西、侍。東、浪人」ザワッ
「時間無制限一本勝負、始め!」

姉「固いんだから」ツンツン

姫「はぁー、侍より姉上の方が心配です」

姉「むっ姫ちゃんに心配される程では無いわ」

姫「だと良いのですが」

姉「ちょっ……」

「そこまで西、侍の勝利」バッ

ワァァァワァァァ

姫「あっ」

姉「……終わったわね……御免ね、姫ちゃん」

姫「いえ、姉上のせいではありませぬ」シュン

姉「ほら、お菓子あるわよ」

姫「……ありがとうございます」パクッ

「これより昼休憩を挟みます」

姉「そうそう、お昼お昼。ほら、姫ちゃん内へ」

姫「はい……」

171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:25:23.55 ID:R45kbTEDO
〜昼食後〜

姫「美味しかったですね、姉上」

姉「ふふ、そう言ってくれると腕を奮った料理人も喜ぶわ……少しは機嫌治った?」

姫「はい、いつまでも子どもみたいに引き摺っていてもしょうがないですから」

姉「子どもの癖に……そうだ、侍を労いに行かない?」

姫「それは遠慮します、侍に余計な気を使わせたくありませんし、何より……」

姉「はしたない?」

姫「はい」

姉「そう、じゃ先に行ってて」

姫「姉上はどちらに?」

姉「労いに……一応奥方の努めてだから」

姫「わかりました、先に席に戻っています」

姉「えぇ」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:26:41.92 ID:R45kbTEDO

〜控え室〜

「奥方様!」ザワザワ

姉「皆の者、先ずは突破おめでとう、殿も期待しています、午後もこの調子で思う存分力を発揮して下さい」

「「有り難きお言葉」」

姉「……所で侍の姿は見えませんがどこに?」コソッ

役人「はい、奥にて……その……寝ておられます」

姉「そう、案内を」

役人「はい、こちらです」

173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:27:48.33 ID:R45kbTEDO


役人「こちらの幕の向こうにおられます」

姉「ありがとう、下がっていいわよ」

役人「はい、失礼します」

姉「さて」ピラッ

侍「……何かご用意ですか」

姉「キャッ、なんだ起きてたの」

侍「今起きました」

姉「お邪魔だったかしら」

侍「まさか」

姉「そう、なら良かった。先ずは突破おめでとう、見事な戦いだったわ」

侍「ありがとうございます」クスッ

姉「何?」

侍「いえ、別に何でもありません、それで奥方である姉様がわざわざ控えに来るとは珍しいですが、どう言ったご用で?」

姉「そんなことより姫ちゃんから聞いたわよ」

侍「何をですか?」

姉「二人の出合い、なかなか刺激的だったみたいね」ムフッ

侍「……嘘はいけませんよ?」ニコッ

姉「うっ……嘘じゃないわよ」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:28:23.27 ID:R45kbTEDO

侍「ははは、ともかく私から話す事はできません、聞きたければ姫様からどうぞ」

姉「……その姫ちゃんが話してくれないのよ」

侍「やはり」

姉「いいじゃない、触りだけでも……ねっ?」

侍「だから、姫様からと」

姉「嫌よ、姫ちゃんに聞いたらわらわの美しさに嫉妬してるの?とかいうんだもの」

侍「?……あぁ、姫様らしいですね、それでなんと返されたのですか?」

姉「生意気ね、とつねってあげた」

侍「そうですか」クックックッ


姉「では、お前ならなんと返すのかしら?」

侍「私ですか?私ならこう手を取って。大丈夫です、秘密を纏わなくても姫は十分お綺麗ですよ……と、このように」スッ

姉「ッツ……」

侍「どうかされました」

姉「別に……しかし、姫ちゃんがなつくのも分かる気がするわ」

侍「そうですか?」

姉「えぇ、普通の人だと手に余りそうだもの……二人とも」

侍「そんな事ありませんよ、手に余るのならば私の手を貸しますから」

姉「本当にお似合い」ムギュー
175 : ◆ieQwxKz.Js :2011/10/18(火) 20:30:22.35 ID:R45kbTEDO
今日は以上です
レスありがとうございます、励みになります


では、あざーした
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:36:20.26 ID:cY92ioJOo
大儀であった!乙!
楽しみにまっておるぞい
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 21:01:35.61 ID:+1TVKOaXo
いいものだ
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 20:47:56.23 ID:z4EheaTDO
姉「じゃ、私は戻るけど姫ちゃんに何か伝言ある?」

侍「まさか姉様に伝達を頼むなど恐れ多いこと出来ません」

姉「私がいいと言ってるの」

侍「いえ」

姉「はぁー面倒くさいわね……なら、姫ちゃんに何か伝言を残しなさい」

侍「……もしかして命令ですか?」クスッ

姉「えぇ」ニコッ

侍「その辺りはお館様と変わらないのですね……」

姉「なにか言った?」

侍「いえ、なにも……では姫様にこうお伝え下さい。次は手も振ってくださいと」

姉「ふふ、わかったわ」ニヤニヤ

侍「出来ればそのまま伝えていただけるとありがたいです」

姉「了解、じゃ頑張ってね」

侍「はい」

179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:49:39.98 ID:z4EheaTDO
〜剣術大会会場〜

姫「あっ姉上、おかえりなさい」

姉「ただいま」

姫「どうでしたか?」

姉「滞りなく、それより伝言を預かってるわよ」

姫「侍からですか?」

姉「勿論」

姫「……姉上に伝言を頼むなど侍め」

姉「ふふ、気にしなくていいわよ。私が命令したのだから」

姫「そうですか、なら良いのですが」

姉「うん。で侍からは、次は手も振ってくださいっだって寂しかったのじゃない?姫ちゃんが手を振り返してくれなくて」

姫「……姉上、侍は本当にそう言ったのですか?」

姉「?えぇ」

姫「手を、ではなく手も、と」

姉「そうよ」

姫「はぁーあのたわけめ、相変わらず目端がきいておるの」

姉「どういうこと?」

姫「……たわけは次は脇目を振らず見といて下さいと言っているのです」

姉「あー成程……ん?」

姫「どうかされましたか?」

姉「と言うことは……」

姫「?」

姉「……あいつ。姫ちゃん……あまり言いたくないけど侍っていい根性してるわね」

姫「今気づかれたのですか?」

姉「……」

180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:51:51.83 ID:z4EheaTDO


姉「次は侍の番ね」

姫「はい」

姉「あれ?どうしたの?」

姫「いえ、侍の言伝を聞いたら何か力が抜けてきて」

姉「そう」クスッ

「三回戦第四試合、両者前へ」

侍「はい」

家臣「はっ」

姉「侍、手を振ってるけど応えなくていいの?」

姫「……嫌です」

姉「ふふ、意地っ張り……あっ審判から注意された」

姫「なっ……はぁー恥さらしめ」

姉「ふふふ」

「西、侍。東、家臣」ワァーワァー
「時間無制限一本勝負、始め!」

バシッ

「そこまで西、侍の勝利」バッ

オォォオォォオォォオォォ

姉「あっと言う間に終わったわね」

姫「はい、本当に言葉通り」

姉「しかし、侍ってこんなに強かったのね。あっさり八強に」

姫「そういえば片手で兄1兄上に勝っておりました」

姉「片手で兄上に?」

姫「はい」

姉「そう……この様子だと優勝してしまいそうね」

姫「さぁどうでしょう」

姉「またまた、謙遜しちゃって」ツンツン

姫「しておりません」

181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:53:08.75 ID:z4EheaTDO


バシッ

「そこまで西、侍の勝利」バッ

ザワザワ

姉「準決勝もつつがなく」

姫「はい、そういえば決勝の相手は誰なのですか?」

姉「えぇ〜と、決勝の相手は武士よ」

姫「武士といえばわらわ達の案内役を勤めた者ですよね、たしか武将の配下の」

姉「えぇ、この国の重臣である武将の面子もあるから相当気合い入ってるでしょうね」

姫「そうですか……」

姉「どうしたの?姫ちゃん」

姫「いえ」

「続いて決勝を行います」

姫「直ぐにですか?」

姉「そうみたいね、多少不公平だけど……まぁ侍にはあまり影響無いみたいだけど」

姫「確かに影響は無いと思います……」

姉「なに?さっきから何か引っ掛かってるみたいだけど?」

姫「いえ、そう言うわけでは」

姉「ほら、始まるわよ」

182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:54:19.09 ID:z4EheaTDO

「最終試合決勝、両者前へ」

侍「はい」

武士「はっ」

姉「ほら、見ないの?よそ見をしてるとまた何か言われるかもよ」ツンツン

姫「あまり見る必要はありませぬ」

姉「何故?」

姫「十中八九侍は負けますので」

姉「やってみないとわからないじゃない」

姫「やってみなくても、あのたわけならわざと負けましょう」

「西、侍。東、武士」ワァーワァー
「時間無制限一本勝負、始め!」

姉「ほら、姫ちゃん」

姫「気が乗りませぬ」

カンッカンッカンッ

姉「中々いい勝負じゃない」

姫「傍目には」

サッビシッ


「そこまで東、武士の勝利」

ウォォォォウォォォ
パチパチパチパチ

姉「あら、本当に負けたわね……わざとなのかしら?」

姫「多分」

姉「あっ侍が帰ってきた」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:55:26.10 ID:z4EheaTDO

侍「すいません、姫様負けてしまいました」

姫「たわけ」ニッ

侍「……わかりましたか」コソッ

姫「うむ」

姉「やっぱりわざと負けたの?」コソッ

姫「ここで侍が優勝してもわらわ達に得はありませぬ、下手をすれば反感を買う恐れすらあります。
ならば当主着任初主催である東殿殿の国の者にゲン良く勝ちを譲っておこうと……そんなとこでしょう」

姉「そうなの……あっ貴方」

東殿「ご苦労だったな、侍」

侍「これは、東殿様。ご期待に添えませんで」

東殿「何を言う、期待通りの働きだ」

侍「ありがたき幸せ」

東殿「して、姫殿」

姫「はい、なんでしょうか?」

東殿「これは姫殿の指示ですかな?」

姫「さぁ?どうでしょう?」

東殿「ははは、おっとあまり、勝者を待たせても悪いので、この辺りで失礼させて頂く」

侍「わざわざありがとうございました」

東殿「良い、此方も多少は見せぬといかぬからな」ニヤッ

姫「ふふふ」

東殿「姉よ、引き続き姫殿を頼んだぞ」

姉「はい」

東殿「では後で」

姫「はい」

スタスタ

侍「流石、東殿様。気づかれておりましたね」

姉「勿論よ」

姫「の割りにはあまり動揺しておらぬ所を見ると、分かる者に分かる程度に手を抜いたみたいじゃの」

侍「わかりますか」

姫「うむ、お前は狡いからの。まぁ、何も考えずに優勝する程度の者ならわらわがとっくの昔に振っておるわ」ヒラヒラ

姉「まぁ」フフフ

侍「……姫には敵いません」

姫「くふ」
184 : ◆ieQwxKz.Js :2011/10/24(月) 20:58:02.06 ID:z4EheaTDO
今日は以上です
レスありがとうございます、励みになります

試合描写なんて無かった

ではあざーした
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 21:27:30.04 ID:DK/O8HWvo

毎回楽しみにしてる
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 07:57:03.35 ID:3FxUaNeDO
乙であります
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/30(日) 17:58:13.57 ID:C9b4Pl1DO
〜夜・宴会場〜

アッハハハハ
ガヤガヤ

「ささ、どうぞ」

侍「ありがとうごさいます」ゴクッ

「中々いい飲みっぷり、もう一献」

侍「いえ、もう結構です」

「そんな事言わず」

侍「では」

「しかし、惜しかったですな」

侍「いえいえ、武士殿はお強かったですし、私は十分満足です」ゴクッ

「ははは、謙遜されて。杯が空ですな、注ぎましょう」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 17:59:22.76 ID:C9b4Pl1DO

武将「よいか」

「これは武将様」

侍「えぇ、どうぞ」

武将「……」ジロッ

「あぁ、私はこれで失礼を」

武将「では失礼する」ドスッ

侍「まずは一献」スッ

武将「うむ」グイッ

侍「相変わらずいい飲みっぷりで」

武将「ほれ、侍殿も」スッ

侍「ありがたく」ゴクッ
侍「ふぅ……どうぞ」スッ

武将「すまぬ」グイッ
武将「注ぐか?」

侍「いえ、私はもう……なにせ任務が残ってますから」ニコッ

武将「そうか……今回はお姫様の護衛役であったな」

侍「はい」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:01:04.31 ID:C9b4Pl1DO

武将「先ほど挨拶をして参ったが、あの御歳で国の代表としての勤めを任されているのだから、姿以上に聡明な御方のであろう」ゴクッ

侍「それはとても。あっどうぞ」

武将「おっすまぬ……」ゴクッ

侍「それで……どういった用件でしょうか?」

武将「ん?面倒な奴に絡まれておったからな、助けてやったのだ」ニッ

侍「はは、ありがとうごさいます」

武将「それに幾つか礼も言わねばならぬからな」

侍「礼ですか?」

武将「あぁ、此度は殿に無理を言われて出場されたのであろう」

侍「いえ、姫様に言われて出ましたのでお気遣いなく」

武将「はは、そうか。では、武士にわざと負けたのも姫様に言われての事か?」

侍「……さぁどうでしょう?」

武将「ははは、わざと負けた所は否定せぬのか」

侍「えぇ、武将殿なら恩義を感じてくださるでしょうから」

武将「抜け目の無い奴め、他に見抜いた者はいるのか?」

侍「他にも気づいた者はいるでしょうが、直接だと三人目です」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:03:21.71 ID:C9b4Pl1DO

武将「誰だ?」ムッ

侍「……東殿様と……後は秘密です」

武将「おぉ、殿もか」

侍「えぇ、試合が終わって間もなく」

武将「ふはは、そうであろう。いや、そうで無くては困る」ウンウン

侍「はは……どうぞ」スッ

武将「おう。実に気分がよい」ゴクッ
武将「まぁ、そちらのお姫様に遅れを取られても困るがの」ニヤッ

侍「……そうですね。っと申し訳ないですが……席を外しても」

武将「ん?どうした?」

侍「酔いを冷ましに厠に。そろそろ姫様を救出せねばならないので」

武将「おぉそうだな、その方が良い。酒も深まってきたし自慢が始まる頃だ」

侍「えぇ、姫様の目には毒ですから」

武将「はははは。次会った時はゆっくり飲みあかそう」

侍「喜んで、では」

スッーパタン

191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:06:34.75 ID:C9b4Pl1DO


姫「ありがとうございます」フフフ

「うんうん、嘘ではござらぬ」

姫「わかっております」

「おぉ、そうです。少し酒を召されてみてはいかがですか?」

姫「いえ、わらわにはまだ早いですので」

「いえいえ、酒を飲めてこそ一人前、何事も経験ですからどうぞどうぞ」

姫「わらわだと国の代理としては不十分だと言われるのですか……」シュン

「ははは、いいですから。さぁ」ズイッ

姫「ダメじゃ、酔っぱらいに言葉は通じぬ」ボソッ

192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:08:03.19 ID:C9b4Pl1DO
ヒョイ

姫「!」

「何をする、それはお姫様に注いだ酒だぞ」

侍「これは、失敬。しかし、我が姫はまだ酒をたしなむ事を知りませぬ」

「ならば経験していただければよかろう、酒を飲めてこそ一人前、酒を飲めぬは半人前だ」

侍「大分酔っておられるようですが……ならば、その半人前の下につき、ご指示を頂いて大会に出場した私も半人前なのですかな」
侍「だとしたら、大会にて私に打ち負かされた者達は半人前以下となります」

「そこまではいっておらん」

侍「私にはそう聞こえましたが?」

「えぇい、ざれ言を言うな」

侍「ならば、その身で半人前に仕える者の力を味わってみますか?……余興としては面白いでしょう」

「……なに」ズイッ

193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:08:44.53 ID:C9b4Pl1DO
姫「これ、侍言い過ぎじゃ」ペシッ

侍「姫様」

姫「侍、杯を」

侍「……どうぞ」スッ

姫「災いの元になる、この杯に注がれた言葉如何しますか?」スッ

「……」バッ

ゴクッ

姫「お見事……して、侍よ、言葉は腹の奥にしまわれました。お前はどうするつもりですか?」

侍「言葉を腹にしまうのであれば何も言えませぬ。これまでの非礼を詫びましょう」ニコッ

「……いえ、お気遣いなく。こちらも酔いが過ぎたようだ」

侍「ありがとうございます」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:10:06.74 ID:C9b4Pl1DO
パンッ

東殿「アッハハハハ、二人とも呑まれおった」

姫「これは、お見苦しい所を」ニコッ

東殿「そんなことはない、中々面白い余興だった」

姫「そう言って頂けるとありがたいです」ニコッ

侍「姫様、そろそろお戻りに」

姫「もうか?」

侍「はい」

東殿「ん?害したか?」

侍「いえ、そういうわけでは。皆様酔いも回って来たみたいですし、そろそろ自慢大会が始まる頃合い」

東殿「確かに姫殿にとっては酒よりも毒かもしれんな」ニッ

侍「えぇ、というわけで失礼を」

東殿「おぉ。では、姫殿今宵は此にて」

姫「はい、申し訳ありませんが失礼致します」

パタン
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 18:10:42.18 ID:C9b4Pl1DO

姫「……」

侍「……」

姫「たわけ」

侍「……後悔はしておりません」

姫「お前は過保護過ぎるのじゃ、あんなことで怒りおって」

侍「私にとっては十分過ぎます。それにふりです」

姫「どの口で言う、わらわが納めぬかったらどうするつもりじゃ」

侍「いえ、姫なら必ず納めてくれると信じておりました」

姫「……目はそう言っておらぬわ、どうせ違う算段もあったのであろう」

侍「ははは、しかし、最良でしたよ」

姫「まぁ、よい。そうじゃ、わらわには酒より毒なものとはなんじゃ」

侍「あぁ、酒が深まると傷の自慢大会が始まるので」

姫「ほう、して?」

侍「……最終的には裸踊りに」

姫「ふふ、そうか。確かにそれは毒じゃの……少し味わって見たい気もするが」

侍「姫」

姫「冗談じゃ」
196 : ◆ieQwxKz.Js :2011/10/30(日) 18:12:05.01 ID:C9b4Pl1DO
今日はここまでです
レスありがとうございます、励みになります


ではあざーした
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 19:16:00.40 ID:8LRoZ1YCo
乙乙!
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 23:04:37.35 ID:cACLwBFFo
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/05(土) 20:16:26.41 ID:TaJ7NYx9o
乙したああああ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:38:20.49 ID:bWFdy95DO
姫「にしてもじゃ」

侍「何か?」

姫「試合前のあの態度はなんじゃ、緊張感の欠片も無い」

侍「……そうですね」

姫「終いには注意を受けよって、恥ずかしい」

侍「それはすいません」

姫「はぁー道中の民の前ではちゃんとした態度じゃったのにの」ジロッ

侍「そう言われると、姫と反対ですね」

姫「わらわは分を弁えておるだけじゃ」

侍「私もです」

姫「ほぅ」

侍「主君が出ているときは引き、引いてるときは出る。堅い時は柔らかく柔らかい時は堅く」

姫「なんとも都合のいい答えじゃの」

侍「そうですか?」

姫「で、本音は?」

侍「所詮筋書きを決めたお遊びの大会」

姫「じゃろうな」

侍「ははは」
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:39:51.06 ID:bWFdy95DO

姫「おぉ、そうじゃ姉上がお前の事を言っておったぞ」

侍「姉様ですか……なんと?」

姫「いい根性してる、と。どうじゃ?」

侍「姉様もやっと気づかれましたか」

姫「プッ……」

侍「……姫?」

姫「ククク、アハハハ」

侍「笑いすぎです」

姫「おぉ、すまぬ……フフ」

侍「はぁー」

姫「そう怒るでない」フフフ

侍「……」

姫「なんじゃ、まだ怒っているのか?」

侍「姫様、私の後ろに」スッ

姫「どうしたのじゃ?」

侍「……誰です」

202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:43:05.72 ID:bWFdy95DO
ガサガサ

武士「……」

姫「なんじゃ武士ではないか」ホッ

侍「……こんな夜分にこのような場所にいるとは迷われましたか?」

武士「……」

姫「侍なにを身構えておるのじゃ」ヒョイ

侍「出てはいけません」ガシッ

姫「ッ」

侍「武士殿、ここは我が姫が東殿様より用意された一帯、おいそれと立ち入る場所では無いことも重々承知でしょう」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:45:24.52 ID:bWFdy95DO

武士「……無礼はお詫び致します、重てお願いがあります、侍様」バッ

侍「ッ」

武士「拙者と勝負をして下され」

姫「勝負?」

武士「……先の決勝、勝ちを譲られたのはわかりました」

侍「あぁ……不満だと?」

武士「滅相もない、ただ男として力を試したく……」

侍「その為にわざわざ?」

武士「はい」

姫「成る程、襲いに来たわけか。モテモテじゃの侍」ポンッ

侍「面白がらないで下さい」

姫「ふふ」

武士「それで……」

侍「勝負ですか?お断りします」

武士「なっ何故」

侍「何故って……私にはやる理由が見当たらないからです」

武士「それはそうですが……お願い致します」バッ

姫「侍……、土下座までしておるのじゃ受けてやれ。理由が欲しければ命じててやる」

侍「姫……はぁー、わかりました。姫のままに」

姫「うむ」

武士「あ、ありがとうございます」

姫「よい、遺恨は残したく無いからの」

武士「はい」

侍「では、すぐやりますか?お互い酒が残っているでしょうが」

武士「いえ」

侍「では、明日日が昇る刻にここで待っております」

武士「はい、では失礼を。姫様ありがとうございました」

姫「気にするでない」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:45:52.49 ID:bWFdy95DO

侍「真面目な方ですね」

姫「うむ、お前も少しは見習ってはどうじゃ」

侍「ああいうのが好みで」

姫「う〜ん……想像したら息がつまりそうじゃ。やはり、お前はそのままでよい」

侍「ありがとうございます」

姫「それにさっきみたいに真面目な所もあるしの」

侍「ははは」

姫「そう言えば、お前が真面目になる時は、わらわ絡みじゃの」

侍「えぇ、大事な方ですから」

姫「父上様の時でも同じなのか」

侍「残念ながら」

姫「ふふ、たわけ……あの酒の対応でもか?」

侍「勿論、上の者が酒を断っているのに執拗に勧めるのは無礼、見過ごしては面目に関わります」

姫「なら、何故さっきそれを言わぬのかったのじゃ」

侍「え……まぁ……私が気を付ければ良いことですし、まだ姫にその辺りを求めるのは刻ですし」

姫「……そう言う時は子ども扱いするんじゃの」ムギュッ

侍「はは」

姫「ふんっ、お前のそういう変に気を使うところは嫌いじゃ」

侍「ははは、すいません。さて、早く部屋に戻りましょう」

姫「……疲れた」

侍「急にどうされたんですか?」

姫「疲れたと言うておる」

侍「はぁー子ども扱いされるのは嫌いではないのですか?」

姫「嫌いじゃ、じゃが扱いをさせるのは好きじゃ」

侍「左様ですか」

姫「うむ、ほれ」

侍「はいはい」ヨイショ
侍「これでよろしいですか、姫?」

姫「うむ」
205 : ◆ieQwxKz.Js :2011/11/06(日) 23:48:03.60 ID:bWFdy95DO
今日は以上です、レスありがとうございます、励みになります

山場や見せ場になりそうでならなかった

ではあざーした
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(富山県) [sage]:2011/11/06(日) 23:51:02.70 ID:x+2jADqAo
おつおつ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:55:12.82 ID:YV5xDBKzP

一応突っ込み刻→酷じゃね?
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:57:07.92 ID:rRt1dNIpo
おっつ!
209 : ◆ieQwxKz.Js [sage]:2011/11/07(月) 09:29:34.82 ID:9aqdQWiDO
>>207
間違ってる
指摘ありがとうございます
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/08(火) 17:46:34.90 ID:PKSy46cYo
乙した
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:39:55.50 ID:AK8vM8zDO

〜朝〜

侍「……っ痛」フキフキ

姫「その痣どうしたんじゃ?」

侍「!姫……」

姫「ん?すまぬ、驚かしたか?」

侍「いえ」

姫「負けたのか?」

侍「武士殿にですか?まさか、勝ちましたよ」

姫「では、どうしたのじゃ?まさか転けたわけではあるまい」

侍「事故……という点では一緒かも知れませんが」

姫「言えぬのか?」

侍「聞きたいですか?」

姫「お前が言いたくなら深くは聞かぬ」

侍「今朝は妙に柔順ですか、どうかされました?」

姫「……そんなことは無い」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:40:43.78 ID:AK8vM8zDO

侍「もしかして……責任を感じられてます」

姫「……知らぬ」プィッ

侍「でしたら、見に来られたらよろしかったのに」

姫「……男として勝負するというのなら……その場に女子どもは相応しく無いじゃろ……」

侍「気にすることはありませんよ、私は姫の命によって受けるのですから」

姫「……わらわは気にする」

侍「はは、そうですか」

姫「うむ」チラッ

侍「……そうですね、では、ご報告申し上げます」

姫「良いのか?」

侍「勿論、報告するのは義務ですから」

姫「そうか」

侍「では、始めから」

姫「うむ」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:41:43.02 ID:AK8vM8zDO

侍「昨日の約束に従い、日の昇る刻にあの場所に参りました、まぁ予測通り武士殿は着いておりましたが……」

姫「が?」

侍「脇には武将殿が」

姫「武将じゃと?」

侍「えぇ」

姫「なぜじゃ?」

侍「詳しい経緯は知りませんが、どこかで嗅ぎ付けたようで見届け人として付いて来たようです」

姫「しょうがない奴じゃ」

侍「はは、武士殿も申し訳ないと顔に書いてありました」

姫「それで?」

侍「取り合えず武士殿と勝負をし、勝利しました」

姫「武将が出てきて2対1か?」

侍「ははは、半分当たりです。実際は武将殿が出てきただけですが」

姫「受けたのか?」

侍「えぇ」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:42:52.30 ID:AK8vM8zDO

姫「なぜじゃ、お前は得にならぬ事はせぬのではないのか?」

侍「それは相手が知らぬ人の時です」

姫「武将は違うというのか?」

侍「えぇ、武将殿は友人ですから……少し歳は離れてますが」

姫「友人?」

侍「はい、以前お館様の援軍要請に応えて参って頂いた時に仲良く」

姫「そうじゃったのか」

侍「武将殿の力量も知っておりますし、怪我はないかと思い受けました」

姫「では、これはなんじゃ」ツンツン

侍「っ痛」

姫「あっすまぬ」

侍「いえ、まぁ下の者の手前負けられませんから、余計な力が入ったのでしょう、後で謝られましたよ」

姫「そうか……手当てしてやろうか?」

侍「大丈夫です、冷やしておけば直ぐに痛みも引きます、それに姫の優しさは後が大変そうですし」

姫「なら、もう少し冷たい言葉をかけてやればよかったの」ムッ

侍「はは、最初驚いて冷やしましたので十分ですよ」

姫「もうよい」フンッ

侍「拗ねないで下さい、それに普段お寝坊な姫が私を思って早起きして下さっただけで十分ですから」

姫「……」

侍「ねっ?」

姫「はぁー」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:43:52.53 ID:AK8vM8zDO

侍「良かった、そうそう、今日の催しは舞台だそうで」

姫「そうみたいじゃの……そうじゃ姉上から聞いたのじゃが、なにやら珍しい踊りがあるようじゃ」

侍「珍しい踊りですか」

姫「うむ、なにやら海の向こうの遠い国からやって来たらしい」

侍「異人ですか?」

姫「異人?」

侍「えぇ、そう呼ぶらしいですよ」

姫「お前は見たことあるのか?」

侍「残念ながら、聞いた事はあるのですが」

姫「他にどんな事を知っておるのじゃ」

侍「全く異なる言葉をはなし、外見は肌は豆腐の様に白く、髪は稲穂の様に黄金であると」

姫「うむ、それを表現した者はさぞかし腹が減っていたであろう、今のわらわの様に」

侍「はは、では朝食を早くするように言ってきます、私も腹が減りましたし」

姫「それがよい」
216 : ◆ieQwxKz.Js :2011/11/13(日) 23:44:44.41 ID:AK8vM8zDO
今日は以上です、レスありがとうございます、励みになります

では、あざーした
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/13(日) 23:47:07.95 ID:xZFU1BIQo
おつおつ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:48:50.18 ID:8WKdqPTmo
乙っした!
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/14(月) 03:58:23.93 ID:rmWybQ0Qo
おつー
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:27:26.58 ID:AyOI2j1DO
〜夜〜

姫「ふふ、災難じゃったな」

侍「えぇ、本当に」

姫「姉上に事あるごとに痣を触られておったからの」

侍「姫が姉様に伝えなければ、こんな目に合わなかったと思うのですが」

姫「わらわは姉上に侍は怪我をしておるから触らぬようにと伝えただけじゃ」ニヤニヤ

侍「はぁー」

姫「そもそも、姉上があんな行動を取るとは余程気に入られたのであろう、反対に喜んではどうじゃ」

侍「気に入られたのですか……私には反対のような気がしますが」

姫「ふふ、気に入っておる」

侍「そうですか」

姫「うむ、気に入らぬ奴の体にベタベタ触らぬと思うしの」

侍「それはそうですが……」

姫「それに姉上はあの通り器量が良い、触られて嫌ではなかったじゃろ?」

侍「……まぁ。しかし、東殿様に勘違いされて無いと良いのですが」

姫「大丈夫じゃ、心配するでない。久しぶりに姉上がはしゃいでいる所を見て喜んでおられた」

侍「器の大きな方で」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:28:29.13 ID:AyOI2j1DO

姫「うむ、姉上は良縁に恵まれたの」

侍「まことに」

姫「……」

侍「……姫?」

姫「わらわも……わらわも姉上の様に良縁に恵まれるかの?」

侍「大丈夫ですよ」

姫「本当か?」

侍「えぇ」

姫「しかし、わらわは姉上の様な素直な性格でもないし、体も立派でない……」

侍「ははは、確かに」

姫「ムッ、そこはそんな事ありませんよ、とか、成長すれば姉上の様になりますよ、と言うべきじゃろ」

侍「言って欲しかったのです」

姫「……もうよい、たわけ」

侍「ははは」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:29:25.35 ID:AyOI2j1DO

姫「うー、お前のせいで急に不安になってきた、嫁ぎ先が無かったらどうしようか?」

侍「大丈夫です、成長すれば姉様の様に恵まれますよ」

姫「ど・う・し・よ・う・か?」ジ-

侍「……その時は私の所にお嫁ぎ下さい」

姫「……」

侍「……」

姫「プッ」

侍「はぁー」

姫「フフフ、アハハハ。何を言っておる」

侍「姫が言わせたのでしょう」

姫「わらわは何もしておらぬ、お前が勝手に言ったのであろう」フフフ

侍「左様ですか」

姫「じゃが嬉しかったぞ」ニコッ

侍「それは良かったです」ニコッ
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:30:45.30 ID:AyOI2j1DO

姫「えぃっ」ピョン

侍「姫、足が汚れますよ」

姫「くふ、今は気分が良いのじゃ、細かい事は言うでない」

侍「しかし、庭に出てどうするおつもりですか?」

姫「うん?昼の踊りに影響されたのか急に踊りたくなっての……」

侍「皆、見事でしたからね」

姫「うむ。お前はどの踊りが気になったのじゃ?」ヒラヒラ

侍「やはり異人達が披露した踊りですかね」

姫「わらわもじゃ」ニッ
姫「音楽もさることながら男女二人でクルクル廻る様は楽しそうじゃった」


侍「そうですね」

姫「うむ、ほれ異人の踊りじゃ」クルクル
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:32:29.55 ID:AyOI2j1DO

侍「姫、転びますよ」ギュッ

姫「ん?なんじゃ」

侍「そもそも、異人の踊りは独りでは格好がつきませんでしょう」

姫「くふ、一緒に踊ってくれるのか?」

侍「ついで……ですが」

姫「たわけ」

侍「ははは、……今宵は月の明かりが一際強いですね」

姫「そうじゃの……踊りに最適な夜じゃ」

侍「では、姫」

姫「うむ」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:33:17.25 ID:AyOI2j1DO

クルクル

ムギュ

姫「あっ」

侍「ははは」

クルク……ムギュ

姫「むぅ、なかなか難しいの」

侍「そうですね」

姫「もう一度じゃ」

侍「はい」

クルクル クルクル

姫「おぉ、今度は大丈夫そうじゃな」

侍「大部コツが掴めてきました」

姫「コツ?」

侍「えぇ、姫の動きをこちらで主導し重心を操作すると自然と足の動きが決まりますから……武術の応用みたいな感じですかね」

姫「武術の応用?」

侍「はい、まぁ武術だと足を払いますけど」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:34:01.87 ID:AyOI2j1DO

姫「……」

ムギュ

侍「あれ?」

姫「どうした」ニヤニヤ

侍「いえ」

姫「ふふ」

クル……ムギュ

侍「姫……」

姫「なんじゃ」

侍「わざと踏んでませんか?」

姫「そんな事はない」

侍「そうですか?」

姫「ほれ、もう一度じゃ」

侍「はい」

ク……

姫「えぃっ」ムギュ

侍「姫」

姫「くふ」

侍「姫がそういうつもりならば……」

姫「?」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:34:39.89 ID:AyOI2j1DO

侍「よっ」グイッ

姫「これ持ち上げては、足がつかぬではないか」バタバタ

侍「これでわざと踏む事は出来ません」

姫「たわけ、踊れぬではないか」

侍「こうすれば変わらないでしょう」

グルグル

姫「おぉ」

侍「はは、どうですか?」
グルグル

姫「アハハハ」

侍「ははは」

グルグル……

……グルグル

侍「ハァハァ」

姫「侍、もう終わりか?もっとじゃ」

侍「姫、勘弁して下さい。目が廻って……」

姫「情けないの」

侍「はは」

姫「まぁよい、戻るか。ほれ」

侍「まさかこのままですか?」

姫「うむ、わらわを持ち上げたのじゃ最後まで責任を持て」

侍「わかりました……しかし、こちらに来てから毎夜こうしてるような気がするのですが」

姫「何を言う、ここにいる間は担いでくれると言うておったではないか、当然の事じゃ」

侍「……姫には敵いません」

姫「くふ、当然じゃ。わらわを主導できると思うでないぞ」

侍「振り回されるのは私の役目ですか」

姫「うむ」
228 : ◆ieQwxKz.Js :2011/11/20(日) 22:36:32.76 ID:AyOI2j1DO
今日は以上です、レスありがとうございます励みになります

日中を書こうと思ったけど何か違う気がしてやめた

ではあざーした
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:39:37.22 ID:Q7mc4kUBo
おつおつ
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 22:51:12.23 ID:nEeWP+yxo
おつおつ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:05:02.64 ID:yhKDDPIRo
おつおつ
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 11:41:55.88 ID:qXC0Dkvco
おつおつ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 00:17:49.23 ID:w16ULV+DO
〜朝〜

姫「眠い……」ムニャムニャ

侍「おはようございます」

姫「うむ……相変わらず早いの」

侍「姫が遅いだけですよ」

姫「そうじゃの」ムニャムニャ

侍「ははは」

姫「うん?機嫌が良さそうじゃの、何かあったのか?」

侍「顔に出てますか?」ナデナデ

姫「いや、何となくじゃ」

侍「そうですか」

姫「で?」

侍「大したことではありませんよ、今朝武将殿に勝ったものですから」

姫「なんじゃ、今朝もやっておったのか」

侍「はい、お誘いがありまして」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 00:18:42.95 ID:w16ULV+DO

姫「大方そうなるように仕向けたのじゃろ、何せお前は負けず嫌いじゃからの」

侍「そうですか?」

姫「うむ、何時も必ず何か返してくる、負けたままなどみたことがない」

侍「嫌ですか?」

姫「好きじゃぞ」

侍「それは良かった」

姫「ふふ。しかし、もう帰国か、あっという間だったの」

侍「えぇ、午前中には発ち夕方には我らの国です」

姫「出るときもこのぐらいの刻に出ればよいのにな」

侍「はは、そうですね」

姫「しかし、短い間じゃったがいざ出ていくとなると感慨深いものがあるの」

侍「そうですね、色々ありましたから……」

姫「ん……」

侍「……」

姫「……」

侍「さて、姫あまり浸っていると時間が逃げていきますよ」

姫「ふふ、そうじゃの」

侍「えぇ、私は出立の確認をしてきますので、姫もご仕度を」

姫「うむ」

235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 00:19:18.06 ID:w16ULV+DO


侍「これで用意は万全ですね」

姉「侍」

侍「これは姉様」

姉「忙しい?」

侍「いえ、大丈夫です」

姉「良かった、じゃ姫ちゃんの所まで一緒に」

侍「わかりました」

236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 00:19:57.12 ID:w16ULV+DO


侍「それでどういったご用件でしょうか」スタスタ

姉「うん?ただ話がしたかっただけ」スタスタ

侍「何か怖い気がしますが」

姉「ふふ、冗談ばかりね、お前は」

侍「ははは」

姉「しかし、城に居たとき、お前が私に付いて無くて良かったわ」

侍「そんなに嫌いですか」

姉「反対。絶対に惚れてたと思うから」

侍「今は?」

姉「幸せよ」

侍「ごちそうさまです」

姉「いえいえ。それで姫ちゃんの事なんだけど」

侍「はい」

姉「あまり深入りさせないようにね、辛くなるのはあの娘だから……」

侍「大丈夫です、姫様なら」

姉「……ならいいけど」

侍「それを言われるためにわざわざ?」

姉「まぁ……」

侍「お優しいのですね」

姉「一応姉だから」

侍「それを差し引いてもです」

姉「ッ……兎に角言ったからね」

侍「はい、もしそのような事があれば私から身を引きましょう」

姉「うん、よし」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 00:20:22.73 ID:w16ULV+DO

ガラッ

姫「大丈夫じゃ」

姉「キャッ」

侍「姫、聞いていたのですか」

姫「じゃから障子一枚ぐらいだと聞こえてくると言ったであろう」

姉「そうだったわね……で、姫ちゃん大丈夫って?」

姫「はい、わらわもちゃんと己の役目はわかっております」
姫「わらわはいつの日か政治の道具として嫁に出されるでしょう、それは明日かもしれません」

姉「姫ちゃん……」

姫「一時は嘆きましたが、嘆いた所で変わりはせぬと、ならば自由な間に目一杯悔いなく楽しもうと」
姫「そして別れの時は笑って別れまする。侍に世話になったなと言葉を残し」

侍「姫……」

姫「じゃから侍」

侍「はい」

姫「悔いなく別れれるように、これからも甘えさせてくれ」ニコッ

侍「……ズルいですね、はいとしか言えないじゃないですか」

姫「くふ、お前を真似てみたのじゃ」

侍「はぁーわかりました、存分に」

姫「うむ、これからもよろしくの」

侍「はい、こちらこそ」
238 : ◆ieQwxKz.Js :2011/11/28(月) 00:23:10.88 ID:w16ULV+DO
以上です、レスありがとうございます、励みになります

凄い迷った。完、が凄い似合いそう。取り合えず東国編は終わりです

では、あざーした
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/28(月) 00:50:25.15 ID:A+HCahIBo
おつおつ
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 16:50:49.69 ID:8auUQgg0o
おつおつ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:03:33.07 ID:VK38j60DO
姫「むぅ〜」

侍「あっ姫」

姫「むぅ〜」

侍「書物を歩きながら読むと危ないですよ」

姫「おっなんじゃいたのか」

侍「はい、先程から。しかし、何の書物を一生懸命読んでいるのですか?」

姫「ん?書物という程のものでもない、挿絵ばかりじゃ。ほれ」

侍「どれどれ……姫これはどこから?」

姫「兄1兄上から貰ったのじゃ、お前も一人前と認められたのだから知っといた方が良いと」

侍「兄1様らしいです」

姫「で、これは何の為のものじゃ?」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:04:35.31 ID:VK38j60DO

侍「男女の営みを描いたものですよ」

姫「男女の営み?」

侍「まぐわいです、子を成すためにする行為ですよ」

姫「ほぉー、しかし、こんなに手順があるのか」

侍「ははは、それは技みたいなものですから覚えなくても大丈夫ですよ」

姫「そうなのか?しかし、一度は経験した方が良いかの?」

侍「いえ、武家の女にとっては経験してない方が価値があります」

姫「そうなのか?」

侍「えぇ」

姫「ならよい」

侍「はい」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:05:22.57 ID:VK38j60DO

姫「しかし、その言い方だとその他の女は経験してないといけないみたいじゃが」

侍「農民はそうみたいですね、反対に経験してないと何か問題があるのでは?と思われますから」

姫「そうなのか、色々じゃの」フム

侍「真に」

姫「ほれ」ポイッ

侍「?」

姫「わらわには無用みたいじゃから、兄上に返しておいてくれ」

侍「わかりました」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:06:19.56 ID:VK38j60DO

姫「うむ。しかし、暇じゃ」ンー

侍「そう言えば、以前みたいに野や山に行きたいと言われなくなりましたね」

姫「うむ、立派に代理を果たし一人前と認められて自由に出れるようになったら急に魅力を感じぬようになっての」

侍「あぁ、わかりますよ。脱け出すという所に魅力を感じていたのでしょう」

姫「お前も覚えがあるのか?」

侍「えぇ」

姫「そうか」フフフ

侍「押さえつけられると反発したくなりますから」

姫「うむ、やめてくれと言われると余計にやりたくなるが、自由にしてよいと言われるとやめたくなる」

侍「……そうですね」

姫「……侍」

侍「はい」

姫「今、お前が考えた事当ててやろうか?」

侍「いえ、結構です」

姫「お前はこう考えた筈じゃ、わらわを自由に甘えさせると飽きるのではないかと」

侍「はぁー」

姫「で、わらわに言いたい事はないか?」

侍「どう言おうと答えが決まってませんか?」

姫「さぁの?ほれ」

侍「……自由に甘えて下さい」

姫「そうか、そう申すなら仕方がない甘えてやろう」

侍「先程の話はどうなったのですか?」

姫「くふ、知らぬ」
245 : ◆ieQwxKz.Js :2011/12/04(日) 21:09:53.87 ID:VK38j60DO
今日は以上です、レスありがとうございます、励みになります

短くてすいません、変わったようで変わらない、でも変わる普通の日常

では、あざーした
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:42:03.83 ID:MJYe703Lo
おつおつ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/12/05(月) 23:17:53.00 ID:y+XYT9Qio
乙乙
248 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:03:07.21 ID:jge9ohJDO
姫「……」プラプラ

兄2「暇そうだな」

姫「兄上」クルッ

兄2「暇なら町にでも下りてみたらどうだ?」

姫「連れていってくれてるのですか」

兄2「生憎これから用がある、女中にでも頼め」

姫「女中だとつまらなさそうで嫌です」

兄2「俺だとつまらなくないのか?」

姫「女中より、まだマシです」

兄2「はっ、なら侍にでも頼め」

姫「侍は今日は登城しておりませぬ」

兄2「あぁ、そうか……なら、侍の屋敷に行けばいい」

姫「侍の屋敷にですか?」

兄2「そうだ、独りで行くのも新鮮だぞ」

姫「兄上……」

兄2「なんだ」
249 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:03:55.71 ID:jge9ohJDO

姫「わらわは侍の屋敷に行ったことは無いのですが……」

兄2「以前飛び出して行こうとしてなかったか?」

姫「……」

兄2「しょうがない奴だ、まぁよい地図を描いてやろう」

姫「ありがとうございます」

シュッシュッ

兄2「ほら」

姫「はい……」

兄2「なんだ?」

姫「あみだですか?」

兄2「地図だ」

姫「しかし、線しかありませんが」

兄2「それで十分だろ、ここが正門でここが屋敷、これが角の数だ」

姫「はぁ……他に目印とかは無いのですか?」

兄2「無いな」

姫「まさか兄上……」ジー

兄2「たわけ、妹を危険に晒す真似などするか」コツン

姫「すいません」

兄2「まぁいい」

姫「では、行って参ります」

兄2「あぁ、行ってこい」

姫「はい」

250 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:04:50.03 ID:jge9ohJDO
〜正門前〜

姫「さて、地図だと先ずは真っ直ぐ行って三つ目の角を左か」テクテク

姫「次は四つ目を右」テクテク

姫「うむ、順調順調、この感じだと直ぐに着きそうじゃの」

姫「ふふ、あいつの驚いた顔が目に浮かぶようじゃ……」

ニャー

姫「ん?」

猫「ニャー」

姫「おぉ猫じゃ」ナデナデ

猫「ニャー」ゴロゴロ

姫「お前は可愛いの、どこに飼われておるのじゃ?」

猫「ニャー」ダッ

姫「あっ……走って行きおった……少しぐらいなら、寄り道していってもよいよな」

姫「よし、待つのじゃ猫」タッタタタ

猫「ニャー」

姫「ふふふ、観念してわらわに撫でられるのじゃ」ジリジリ

猫「ニャー」ダッ

姫「あっまた」タタタ

251 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:05:36.30 ID:jge9ohJDO


姫「うむ?見失った」キョロキョロ

姫「はぁー、仕方がない戻るか」テクテク

姫「ここじゃった様な気がするが?」タッタタタ

姫「いや、ここか?」

姫「……ダメじゃ、全然わからぬ、情けないが一度城に戻るか」テクテク

姫「ムッ、行き止まりじゃ、ではあっちに」テクテク

姫「城を正面に捉えていたのに、いつの間にか右手に……」

姫「……もしかして本格的に……いや、そんな事は無い、城は見えておるのじゃ、大丈夫大丈夫」

姫「……」トボトボ

姫「歩き疲れた……少し休むか」スッ

姫「はぁー、まさか城下で迷子になるとは……」

姫「父上様……侍……」グスッ

姫「侍……」



姫「……日が傾いてきおった」

姫「恥を忍んで何処かの屋敷に寄ってみるか……」スクッ
252 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:07:55.83 ID:jge9ohJDO
「姫ー」

姫「!あの声は」クルッ

侍「姫!」ダキッ

姫「なっ」

侍「姫、ご無事でしたか」ギュー

姫「侍……痛い」

侍「あぁ、すいません」パッ

姫「ふぅー」

侍「しかし、ご無事で良かったです」

姫「探してくれてたのか?」

侍「えぇ、兄2様から無事に着いたか?と連絡を頂きましたのに姫がいらっしゃらないので」

姫「兄上が……」

侍「はい。しかし、幾ら待てど姫が来られ無かったので、身になにかあったのではと」

姫「そうか」

侍「はい、見たところ道に迷われただけのようで安心しました」

姫「迷惑をかけたな」

侍「いえ。しかし、案内人ぐらいお付けになられても」

姫「いや、兄2兄上から地図を描いて貰ったのでな、不用かと思ったのじゃ、ほれ」ピラッ

侍「どれ……流石兄2様、正確な地図を描かれます。しかし、姫」

姫「なんじゃ」

侍「この地図でよく迷子になれますね」

姫「うっ……」
253 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:08:30.73 ID:jge9ohJDO

侍「大方、寄り道でもして道がわからなくなったのでしょう」

姫「猫じゃ」

侍「は?」

姫「じゃから猫がおってな、それはそれは愛らしい姿をしておってな」

侍「つまり、猫を追いかけて迷子に?」

姫「うむ、しかしじゃ、わらわも城に戻ろうとしたのじゃぞ」

侍「さらに迷子に」

姫「まぁの……しかし、なんでこんな難儀な配置にしておるのじゃ」

侍「簡単ですよ、敵兵を迷わせる為に」

姫「なるほどの、痛いほど実感した」

侍「それはご苦労様でした。取り合えず私の屋敷に」

姫「うむ」

侍「では、手を……」

姫「手など繋がなくともよい」

侍「ダメです、姫が可愛いものを見つけてもどこかに行ってしまわぬように」ギュ

姫「それは大丈夫じゃ」

侍「そうですか?」

姫「うむ、何せお前が一番可愛いからの」ニッ

侍「……」

姫「わらわを見つけて駆け寄った時は特に愛らしかったぞ」

侍「左様ですか……」

姫「うむ」
254 : ◆ieQwxKz.Js :2011/12/11(日) 23:09:15.31 ID:jge9ohJDO
今日は以上です、レスありがとうございます、励みになります

では、あざーした
255 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:10:36.75 ID:47R6/rsio
おつおつ
256 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:36:29.15 ID:EcktkTSoo
着地点が見えないSSだな、本当に
257 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:03:15.52 ID:K2Y0WR5co
おつおつ
258 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 07:16:25.03 ID:JGHEwKbvo
おつ

>>256
日常ののほほんとしたストーリーなのがオレは好きだよ
>>1が飽きるまで続けて欲しい
259 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:10:18.48 ID:Ei9H626DO
侍「では、私が案内しますので後に」スタスタ

姫「うん?侍、今来た道とは逆の方向じゃが」

侍「此方の方が近いので」

姫「そうか……しかし、よく道がわかるの」

侍「慣れですよ、塀の並びや城の見え方で大体わかります」

姫「なるほどの、しかし、大恥をかかずにすんだ」

侍「ははは」

姫「特に兄2兄上に知られたら、ずっとバカにされ続けるじゃろうからな」

侍「そうですかね、兄2様はあれで姫の事を大事にしていると思いますが」

姫「それはわかるが、これとそれとは話しは別じゃ」
260 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:11:06.87 ID:Ei9H626DO

侍「ははは、左様ですか。そう言えば姫、なぜ私の屋敷に」

姫「うん?お前に会いたかった、と言うのは理由にならぬか?」ニコッ

侍「それは光栄です、あっ姫ここを右に」

姫「うむ」

侍「して、本当の理由は?」

姫「ふふ、わかるか?」

侍「会いたいだけなら城に呼びつけるでしょうから」

姫「うむ、町に連れていって貰おうかと思っての」

侍「町ですか……何か見たいものでも?」

姫「特には無い……というかわからぬ」

侍「そう言えば姫はあまり町には行かれないですよね?」

姫「うむ、城に居れば事足りるからの」

侍「しかし、そう言う訳なら同じ女である女中殿の方が適任と思いますが?」

姫「女中は、はいしか言わぬからの、連れて回ってもつまらぬ、その点お前は違うから楽しい」

侍「そうですか……ならこのまま町にでも行きますか?」

姫「うーん、よい。日が沈んで来ておるしな」

侍「気も沈んだと」

姫「まっそんなとこじゃ。そんな事より、まだかお前の屋敷は」

侍「もうすぐですよ」
261 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:11:34.84 ID:Ei9H626DO
姫「疲れたんじゃが……」

侍「おぶって差し上げましょうか」

姫「よい、自分の足で行きたい」

侍「そうですか。しかし、姫を見つけた時は、うずくまっていたので何かあったのかと心配しましたよ」

姫「たまにはあんな姿も可愛いじゃろ」

侍「心臓が止まるかと思いましたよ、それに姫はいつも可愛いですよ」

姫「ふふ。あれは思案しておったのじゃ、どうやって帰ろうか」

侍「そうですか、そう言う時は少し遠回りですが一旦城外に出て搦め手の方から戻るのが簡単ですかね」

姫「出るまでに迷いそうじゃが」

侍「構造上、城から出るのはまだマシですよ」

姫「そういうものか」

侍「えぇ、姫も一度引かれるということを覚えられてはいかかですか」

姫「そうじゃの、そうするか」

侍「はい」

姫「侍」

侍「はい」

姫「ん」スッ

侍「何でしょうか?」

姫「引いてくれぬか」

侍「……はい」ギュッ

姫「くふ」

侍「はぁー」
262 : ◆ieQwxKz.Js :2011/12/18(日) 23:12:34.66 ID:Ei9H626DO
今日は以上です レスありがとうございます、励みになります

では、あざーした
263 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:15:19.83 ID:QFl5FI1do
おつおつ
264 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:51:18.53 ID:8/MwovrAo
おつおつ変わりばえしないがそれがいい
265 : ◆ieQwxKz.Js [sage]:2011/12/28(水) 22:49:41.64 ID:GVUo7ADDO
すいません、多忙で新年明けるまで時間取れそうにないです
次回は年明け以降だと思います
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:07:58.41 ID:W2NPTOiDO


侍「そろそろ、私の屋敷です」

姫「もうか、二人じゃとあっと言う間じゃの、少し物足りぬ気がせぬでもない」

侍「では、もう一周でもしますか?」

姫「たわけ、何事も八分がよい」

侍「そうですか、で本音は?」

姫「疲れた」

侍「私もです」

姫「ふふ」

侍「はは。さぁ、着きました。我が屋敷です」

姫「うむ」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:09:33.80 ID:W2NPTOiDO
〜侍の屋敷〜

侍「ただ今戻りました」

姫「邪魔をするぞ」

使用人の男(以下使男)「これは姫様ようこそ」

姫「うむ」

使男「おい」

使用人の娘(以下使娘)「はい、姫様お足失礼します」
姫「うむ」

侍「使娘、私は着替えてきますので姫様を奥にお通しして差し上げてください」

使娘「はい」

侍「あっ姫様」

姫「ん?なんじゃ」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:10:09.55 ID:W2NPTOiDO

侍「夕食は如何致しますか?」

姫「食べていってよいのか?」

侍「えぇ、といっても特別なものはありませんが」

姫「よい、お前と一緒なら全てが旨く感じる」

侍「私は調味料ですか」

姫「うむ、うんと甘い」

侍「はは。と言うことで夕食は姫様の分も追加で」

使娘「はい」

侍「後、使男。すいませんが城に行って此方で夕食をとる旨を……それに兄2様に無事着きましたとの伝言を頼みます」

使男「了解致しました」

使娘「姫様ご案内いたします」

姫「うむ」

269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:11:06.44 ID:W2NPTOiDO


スタスタ

使娘「こちらでございます」

姫「うむ」

使娘「何かあればお申し付け下さい」

姫「下がってよいぞ」

使娘「失礼します」

スーパタン

姫「これが侍の屋敷か」キョロキョロ

姫「微かに侍の匂いがする」クンクン

姫「ふふ、何故か心踊るの」

270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:11:54.36 ID:W2NPTOiDO
侍「姫、お待たせしました」

ガラッ

侍「ん?何をしているんですか?」

姫「何もしておらぬ」フフ

姫「それより、屋敷の中に人気が感じられぬのじゃが」

侍「ここは、いわば別邸ですから」

姫「別邸?」

侍「はい、一応拝領しておりますので、そちらに本邸を構えており他の者もそちらに」

姫「では、ここには侍だけか?」

侍「春秋以外はここにいますので、先ほどの使用人達と三人で住んでいますね」

姫「寂しく無いのか?」

侍「お館様に仕えてからずっとですので慣れました」

姫「そうか……」

侍「それにこうして訪ねて下さる方も多いですから」

姫「ふふ」

侍「それで姫、今からどうします?」

姫「この屋敷を見て回りたい」

侍「特段に面白いものは無いと思いますが、姫が望むのでしたら」

姫「うむ」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:13:04.83 ID:W2NPTOiDO


姫「ここは?」

侍「私の部屋です、隣は書庫件作業室です」

ガラッ

侍「どうぞ」

姫「うむ。しかし、何も無いの」キョロキョロ

侍「普通ですよ」

姫「つまらぬ……この刀は?奇妙なこしらえじゃが」

侍「あぁ……これですか。見たことありませんか?」

姫「そう言えば、兄1兄上も似たようなこしらえの刀を持っておられた、流行っておるのか?」

侍「はは、そうでは無く、兄1様から頂いた刀です」

姫「兄上から?」

侍「はい、まだ私が兄1様の側に居たときに、これを……よく帯刀して二人で町に出たものです」

姫「……持ってよいか?」

侍「どうぞ」

姫「……重いの」

侍「手をお貸しします」ソッ
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:13:32.07 ID:W2NPTOiDO

姫「しかし、派手じゃな」

侍「私もそう思います」

姫「お前が帯刀してる所を見てみたいの、帯びてくれぬか?」

侍「はい……どうですか?」

姫「うむ、中々似合っておるぞ」

侍「そうですか?」

姫「うむ。お前は少々派手で綺麗なものの側に居た良いと思うぞ」

侍「少々派手で綺麗なものですか……」

姫「うむ」

侍「この刀以外で少々派手で綺麗なものは一つしか知りません」

姫「何じゃ」

侍「姫……ですかね」

姫「くふ、たわけ」

侍「側に居てもよろしいですか?」

姫「うむ」フフ
273 : ◆ieQwxKz.Js :2012/01/09(月) 21:15:29.20 ID:W2NPTOiDO
今日は以上です、レスありがとうございます、励みになります

半月近く空いてすいません
ではあざーした
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/01/09(月) 21:26:04.24 ID:PST2t7DEo
乙乙
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 21:41:09.57 ID:awH1JG7IO
のっつー
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:49:44.91 ID:pKHmuo2DO
〜食後〜

姫「馳走であった」

侍「お粗末様でした……甘いものでも召し上がりますか?と言っても干し柿か栗しかないですが」

姫「甘いものか!食う」

侍「では、どちらを」

姫「無論、両方」

侍「はい、わかりました。柿と栗を」

使娘「はい」

侍「そう言えば、お味はいかがでした?」

姫「ん?良かったぞ。意外に城の味に似ておったのに驚いたの」

侍「それはよかった、喜びます」

姫「まぁ……例え不味かったとしても無理を言うて用意してもらったものじゃ、文句など言わぬは」

侍「あはは、ご立派です」

姫「じゃからといって不味かったというわけではないぞ」

侍「わかっています」

姫「ならば良い」

使娘「持って参りました」

姫「おぉーきたか」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:50:45.40 ID:pKHmuo2DO
「おーい、侍おるか」

姫「あの声は……」

侍「はい、只今。すいません、姫少し席を」

姫「それは構わぬが……」

侍「では」



ガラッ

兄1「なんだ、居たのか」

姫「やはり、兄上」

兄1「邪魔だったか?」

侍「少し」

兄1「ははは」

侍「食事は?」

兄1「あれが食いたい」

侍「わかりました、すぐ用意を」ザッ
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:51:34.59 ID:pKHmuo2DO

兄1「おう」ドスッ

姫「あれ、とはなんですか?」

兄1「ん?鍋だ」

姫「鍋?」

兄1「あぁ、余り物を適当に放り込んで雑炊にしたもの」

姫「そんなものを食べるのですか?」

兄1「城では食わして貰えぬからの、食えるとしたら戦場かここだ」

姫「戦場の……」

兄1「あぁ、中々のもんだぞ、お前も食べてみるがいい」

姫「はい」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:52:21.08 ID:pKHmuo2DO

兄1「で、お前は干し柿か」ヒョイ

姫「わらわのです」

兄1「甘いのものは苦手なのはお前も知っているだろう」

姫「そういえば……」

侍「兄1様、お待たせしました」

兄1「おう、きたきた」

侍「では、今から作りますので」

姫「お前が作るのか?」

侍「えぇ」

姫「そう言えば魚も上手に焼いておったし、お前は何でも出来るの」

侍「はは、これはお舘様に仕込まれまして」

姫「父上様に?」

兄1「そうだったのか」

侍「はい、私が入って直ぐの頃に食の管理がしやすいだろうと」

姫「なるほどの」

兄1「まぁ大方、糧食の味付けが好みでは無かったのだろう」

侍「ははは」

姫「そうなのか?」

侍「さぁ?まぁ、そういった経緯がありまして、城の料理を学ぶことに」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:53:02.60 ID:pKHmuo2DO

姫「じゃから、先程の飯も城の味がしたのか」

侍「えぇ、あれは使用人が作りましたが……さぁ出来ました。どうぞ」

兄1「おぉ」

兄1「うむ、これじゃ」ハフハフ、ズルズル


姫「侍、わらわも」

侍「姫もですか?」

姫「うむ」

侍「先程食事をしましたのに、食べれますか?」

姫「大丈夫じゃ」

侍「わかりました」チョロ

姫「もっと」

侍「ダメです」

姫「なんじゃ、辛いの」

侍「食事には塩辛いのも必要ですから」

姫「わらわは甘い方が好きじゃ」グィ

侍「あっそんなに」

姫「ふっふっふっ」

侍「はぁーしょうがないですね」

姫「うむ、雑炊など初めて食べたが中々いける」ハフハフ

侍「それは良かった」

姫「……」ピタッ

兄1「どうした」

姫「いえ……」

侍「……お腹一杯ですか?」

姫「……」コクッ

兄1「さっき侍の言うことを聞いておけば良かったものを」

姫「うぅ……」

侍「いいですよ、私が食べますから」ヒョイ

兄1「お前は甘いな」

侍「そちらの方が姫様の好みですから」

姫「だから、お前は好きじゃ」
281 : ◆ieQwxKz.Js :2012/01/16(月) 00:53:45.03 ID:pKHmuo2DO
今日は以上です、レス励みになります

では、あざーした
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:58:08.55 ID:Wjv4alN5o
おつおつ
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 01:01:47.11 ID:pbndLp07o
おつおつ
284 : ◆ieQwxKz.Js [sage]:2012/02/12(日) 20:38:53.03 ID:Vk4af3YDO
一ヶ月近く音沙汰無しでごめんなさい
次いつ書けるかわからないです

すいません
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 21:12:49.12 ID:RNhvXIeyo
待ってる
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 21:04:27.43 ID:9sBIrPlOo
まもなく1ヶ月か・・・
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/07(水) 23:56:35.12 ID:uC5o1RnC0
まだまだ待ってるよ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/22(木) 23:03:24.94 ID:a5d8Bhaco
まっとるよ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 23:51:45.24 ID:8vQBs8aMo
このスレが落ちてしまうとは…
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/04/20(金) 10:27:22.29 ID:/iYobaNJ0
まだ俺は待つ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 22:05:40.48 ID:2ohlIxrvo
俺も待ってる
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