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「誰でも一度はヒーローになりたがるよな」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 02:37:53.98 ID:rkgJlpEIO

・オリスレです

・誰得感が満載だと思います

・廚ニ感も満載だと思います

・少し退屈な話かもしれません

・文法力があまりないのでお見苦しい部分が多々ございます。頭痛、吐き気等を覚えた場合は速やかに避難してください

・ぼちぼちやっていきます

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 03:01:41.75 ID:rkgJlpEIO

江戸倉清輝の視線の先には、転がるボールとそれを追う子供の姿があった。
問題は、ボールが転がっていく先にある。
考えている余裕はない。
手に持つ物を投げ捨て、子供のもとへ向かって全力で走る。

あと少しで子供に届く距離まで来た時ーーーー


高速で走るトラックに、清輝の体がめり込んだ。









3 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 03:27:08.69 ID:rkgJlpEIO


「お前もそういう経験、あるだろうが。 ええ?」

顔を紅潮させて問うてくる友人の言葉に清輝は苦笑した。

「いや、ないよ」

「ないわけないだろ」

「ないわけがあるんだよ」

「いや、ある、 絶対に。ガキの頃に考えたことあっただろ? 仮面ライダーになりたいとか、ウルトラマンになりたいとか」

「それはあったけどさ」

こめかみを人差し指でたたきながら 、清輝は考える。
それはあったけど。

「違うんだよ。 ヒーローとは」

「違わねえよ。 仮面ライダーもウルトラマンもヒーローじゃねえか。 成りたいと思ったことあるんだろ、仮面ライダーやウルトラマンに」

「思ったけど」

言葉を途中で区切り、再度こめかみを叩きはじた。これは清輝が考え事をしているときにでてくる癖で、昔から変わっていない。

4 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 03:54:30.64 ID:rkgJlpEIO
「なら、経験有りだ。そうだろ」

そこでこめかみを叩く指が止まった。
顔を持ち上げ、友人の方へ向き直る。

「いや、違う。 確かにそういう物に成りたいと考えた時期はあった。 でも、それとこれとは話が違う」

眉間に皺を寄せ不可解そうな顔をする友人にさらにこう続ける。

「つまり、仮面ライダーやウルトラマンをヒーローと考えるかどうかによるってこと」

「ヒーローじゃなかったら何になるんだ」

「それは人それぞれだと思う。 くだらないと考える人もいるだろうし、面白いと考える人もいるかもしれない。 もしかしたら神様と思う人もいるかもしれない」

「神様ぁ?」

すっとんきょうな声を上げる友人にまたも苦笑しつつ、言葉を続ける。

「例えばの話だよ。 もし、子供のうちから『仮面ライダーは神様だ』って教え続けたら、その子は本当に仮面ライダーを神様と考えるようになるんじゃないかな」

「有り得な……くはないか。 マインドコントロールの話もあるし」

「似て非なる物だけどね。 とにかく、俺はヒーローに成りたいと思ったことは一度もないんだ。 俺にとって仮面ライダーやウルトラマンは特撮用の着ぐるみでしかないから」




5 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 03:55:03.32 ID:rkgJlpEIO
「なら、経験有りだ。そうだろ」

そこでこめかみを叩く指が止まった。
顔を持ち上げ、友人の方へ向き直る。

「いや、違う。 確かにそういう物に成りたいと考えた時期はあった。 でも、それとこれとは話が違う」

眉間に皺を寄せ不可解そうな顔をする友人にさらにこう続ける。

「つまり、仮面ライダーやウルトラマンをヒーローと考えるかどうかによるってこと」

「ヒーローじゃなかったら何になるんだ」

「それは人それぞれだと思う。 くだらないと考える人もいるだろうし、面白いと考える人もいるかもしれない。 もしかしたら神様と思う人もいるかもしれない」

「神様ぁ?」

すっとんきょうな声を上げる友人にまたも苦笑しつつ、言葉を続ける。

「例えばの話だよ。 もし、子供のうちから『仮面ライダーは神様だ』って教え続けたら、その子は本当に仮面ライダーを神様と考えるようになるんじゃないかな」

「有り得な……くはないか。 マインドコントロールの話もあるし」

「似て非なる物だけどね。 とにかく、俺はヒーローに成りたいと思ったことは一度もないんだ。 俺にとって仮面ライダーやウルトラマンは特撮用の着ぐるみでしかないから」




6 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 04:23:58.43 ID:rkgJlpEIO
そこまで言ったところで、友人が待てと言うように手を振った。

「まああれだ、お前に特撮への愛がない事と着ぐるみを目指したことがあるのはわかった。 だが、論点はそこじゃない」

「どこだよ」

言うだけのことは言ったつもりだった清輝が、不服そうに尋ねた。

「お前が正義の味方を目指したことがあるかどうかだよ」

「ウルトラマンや仮面ライダーじゃなく?」

「そうだよ」

「ないな」

「即答だな」

「選択肢が一つしかなくてその一つが正解と知っているなら迷わず選ぶよ」

「ドライな物の見方するな」

「ドライって死語じゃないか?」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/29(金) 09:02:26.63 ID:v9jc3S31o
期待
8 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 13:19:15.86 ID:9ZmdQgJIO
「使うやつがいる限り言葉は死にやしないさ」

「ヒーローの話じゃなかったのか?」

「お前が話をそらしたんだろうが。 ええと……それでだ。 俺が聞きたいのはスーパーマンでも何でもいい……正義を貫き悪を断つ的な存在に憧れたことがあるのかどうか、だ」

「ああ……どうだろうね……」

時計で時間の確認をしながら友人の質問へ浮ついた返事をする。

「お前な、人の質問にはちゃんとした答えを出せって婆ちゃんに聞いたことあるだろ」

呆れ顔で説教する友人を見ながら、5年前から性格も説教も全く変わっていないことに気がつく。
高2のときもヒーローだのなんだのといったことを飽きることなく聞かされていたのだ。

「お前、昔っから変わらないよな」

「何が?」

「その説教とか」

「変わってるよ。 毎日説教のパターンを変えているんだ。 ほら、今日は婆ちゃんを引き合いに出した説教だろ?」

「変わってないさ。 5年前もそう言っていたからな」

「説教のパターン?」

「それから、ヒーローについての話も」

「そうかな」

「そうさ」



9 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 13:52:02.72 ID:9ZmdQgJIO
「俺はそんなに変化がない人間なのか」

肩を落とす友人を見て、すぐに落ち込むところも変わらないな、と思った。

「別にいいんだよ、変わらなくて。 お前は今のままでも十分変わっているから」

「ああ……」

「元気だせよ。 すぐに元通りになるところも変わってないんだろ?」

うな垂れる友人の肩を叩き、イスから立ち上がる。

「帰るか?」

「ああ、そろそろ帰宅の時間だからな」

「そうか。 いや、今日は楽しかったよ」

「俺も久々に会えて嬉しかった。 また暇があったら、な?」

カバンを手に取り、靴を履く。
じゃあね、と言いかけたところで、あ、と口にする。

「アンパンマン」

「なんだ、それ」

疑問符を顔に描いたような表情をする友人に、清輝が返す。

「小さい頃、アンパンマンみたいなヒーローになりたかった」
















10 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 14:17:17.31 ID:9ZmdQgJIO

(うげ)

『お日さまマート』アルバイト歴四ヶ月目の安斎健吾がカウンターの中から目にしたのは、世にも汚らしい男だった。
ガリガリに痩けた頬には涎の跡がついており、虚ろな目は何も捉えていないように見えた。ボロボロのポロシャツからは言いようのない悪臭が放たれ、2メートルほど離れた場所にいる安斎の鼻はねじ曲がりそうだった。履いているジーンズはダメージを受けすぎて原型を留めておらず、これからも酷い臭いが放たれている。二の腕の皮膚は変色しており、どう見ても健康体とは思えない。

(帰れよ、糞ジジイ)

安斎が鬱陶しい客に対して心の中で悪態をつくことはしょっちゅうあったが、この男は別格だった。
店内にいた6人ほどの客が、申し合わせたように手動式の扉を開けて出て行く。

(営業妨害なんだよ、ボケ。 失せろ、汚物)

鼻腔が麻痺するしていくのを感じ、安斎は速やかにカウンター奥へ避難した。

「中村さん、すいません、ちょっといいですか」



11 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 14:41:56.21 ID:9ZmdQgJIO
「ん、なに?」

アルマジロのようなつぶらな瞳をした30代半ばの男が手に持つ湯のみを置き、訊いた。
この中村と言う男は、脱サラ(と本人は言っている)して蕎麦職人へ転向したのも束の間、蕎麦の中へうっかりゴキブリを練りこんでしまい店から食中毒者を出し、おまけにそれが大きく報道されてしまったせいで二度と蕎麦を打たせてもらうことができなくなり、挙げ句の果てコンビニの店員となってしまった悲しみの男である。

「あれ、見てくださいよ」

カウンターの向こうを指差しながら、安斎はアルマジロの目を見つめてくる。

「あんなやつがいたら営業妨害ですよ。 どうします?」

もうすでに答えが決めてあるかのように訊いてくる安斎に、つぶらな瞳を細めながら、どうしよう、と聞き返す。

「ちょっと、本当にどうしようか」

「なんとかしてくださいよ。 俺、あんなのの相手するの嫌ですよ」

「いや、しかしね……」

俺だってあんなのの相手なんかしたくない。 だが、後輩の建前、逃げることはできない。
己の感情か、プライドか。
2つを計りにかけた結果、でた答えはーーーーー

「部下の君がいけ」

なんとも情けないものだった。


12 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 14:59:54.09 ID:9ZmdQgJIO
「ええ、俺ですか!?」

死刑宣告を受けた犯罪者のように愕然とした表情をする安斎に、アルマジロが早く行けと催促する。

「情けない男だな、君は。それでも男かい?」

微妙に矛盾した台詞を吐きながら、情けなさでは同レベルの男がふんぞりかえる。

「そんな……職権乱用!パワハラ!」

「ただ単に上司としての威厳を見せただけだ」

威厳もくそもない態度を取りながらなおも余裕を見せ、言い放つアルマジロ。

「あの汚物を速やかに運び出せ」

三流悪党そのもままの台詞を冷酷に吐くと、冷ややかなアルマジロの目で安斎を見下ろした。








13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/29(金) 15:12:04.99 ID:MJHpgXdAO

長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいま した!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです (正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、 これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じていま す。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸 れたのか、それは人それぞれだと思います。 少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちに なってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にあり がとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお 願いします! ではこれにて。
皆さんお疲れ様でした!
14 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 15:20:51.30 ID:9ZmdQgJIO
四ヶ月もの間あんな情けない上司に仕えて来たのかと悔やむ間もなく、汚物男との距離は縮んでいく。
クビになるか汚物を払うか考えた結果、今の結論に落ち着いたのである。
汚物男のすぐ近くまで来た。凄まじい悪臭に一瞬目眩を起こしそうになるが、口呼吸に切り替えることでなんとか体裁を保った。
汚物男は虚ろな目でドリンクコーナーの前に立っている。
よし、今だ。

「あの、お客様、少しよろしいですか?」

口で息を吸っているせいででてくる奇妙な声で汚物男に声をかける。
だが、汚物男は安斎の声に全く反応しなかった。

「あの、お客様……」

再度声をかけたときーーーー

汚物男が安斎の方へ振り向いた。虚ろな目で安斎を捉え、睨みつける。

「あ……」

こいつ、やべえかも。

汚物男が安斎のシャツの襟を掴み、腕を上げた。

次の瞬間、安斎の身体が2メートル先のカウンターへと突っ込んだ。



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/07/29(金) 15:22:36.72 ID:9ZmdQgJIO
>>13
だ……誰ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!????????
16 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 15:40:56.32 ID:9ZmdQgJIO





「………………え?」

江戸倉清輝は目を開けた。

視界に入ってくるのは、自身が突き飛ばした子供と、その横にいる子供の母親と思われる女性。道路脇に転がるボール。歩道で立ち止まる呆けた表情の人々。

「………………あ?」

声を出す。出せた。
トラックにはねられたはずなのに。

足を前に一歩出す。出せた。立っている。
トラックにはねられたはずなのに。

ふと、背中に違和感を感じ、振り返る。

「………………………………………………………………ああ?」

そこには、
ちょうど清輝の身体がめり込んだかのようにへこんだトラックがあった。

そこで、清輝は気が付く。

自分の身体がトラックと衝突した位置から、ほとんど動いていないことに。
17 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 16:07:15.31 ID:9ZmdQgJIO

一体何がどうなっているのか、全く理解できなかった。

子供がトラックに轢かれそうになっているところを助けようとし、代わりに自分がトラックにはねられたはずだ。

いや、確かにはねられた。

そのときの感覚がわずかながら、残っている。

わずか?

違う、そんなはずはない。

トラックと正面から衝突してそれだけで済むわけがない。

足をまた一歩前に踏み出す。

普通に歩ける。

「い……」

声も出せる。だが……

「いつの間にこんな丈夫になったんだ?」

ショックのせいか、こんなくだらないことしか言えなかった。



18 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 16:37:37.31 ID:9ZmdQgJIO





「うごおああああああぁぁぁぁあああ!!!!!!??」

スガッシャーーーーン

と、ド派手な音ととともに陳列棚が吹き飛ばされる。

「うが……あ……」

カウンターの中の電子レンジにぶち当たり、安斎の肺から酸素が一気に絞り出される。

「ち……ちくしょ……ゴッ!!!??」

ゴガッッッ

四つん這いになり呼吸を整える安斎を、汚物男がカウンター越しに蹴り飛ばした。
粉々に砕け散るレジから硬貨や紙幣が飛び散る。

「こ……のやろ……」

どうやら肋骨を何本かやられたらしい。蹴りが直撃しなかったことが幸いだ。
男が足を振り上げるのが見えた。

(やべえ…!)

カウンターを一蹴りで破壊するほどの威力を持っている蹴りを真正面から受け止めることなど絶対に無理だ。

「くっ!!!」

足が振り下ろされる瞬間、全力で破壊されたカウンターの向こうへ飛び上がった。

ボグッッッッ

男の足が、自身のいた背後の壁を抉りとる音が聞こえた。

「う…わああああぁぁぁぁぁああああ!!!!!」

命の危機に晒されていたという恐怖が、安斎を走らせる。
『お日さまマート』のマークがついている手動ドアに突進し、外へ走り出た。





19 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 17:24:03.33 ID:9ZmdQgJIO
「あああああああぁぁぁ!!!」

『お日さまマート』の前にある道を死に物狂いで逃げる安斎。

(畜生畜生畜生畜生ぁぁぁあああああ!!! こうなるの知ってたら家で大人しくジャック・クリスピンの曲でも聴いてたのにいいいいいいぃぃぃぃ!!!!! あのクソ汚物うんこ野郎ぁぁぁぁあああああああ!!! 殺す殺す殺す殺す!! てか死ね!!苦しんで死ね!!!!百億万兆回死ね!!!!!俺に関係ないところでもがき苦しんで死ねぁぁぁぁあああああああああ!!!!)

罵詈雑言を心の中で吐きながらも足を止めることはない。

(死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぁぁぁぁあああああああああ!!!!僕と契約してあああああぁぁぁぁぁああああ!!!!!誰かああああぁぁぁぁぁあ!!助けてくださぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!ごぁあああああああ!!!!!!だああああああああぁぁぁあああああああああああああああああああああ………)

ヒュッ

そのとき、走る安斎の横を何かが高速で掠めていった。

「あ…………?」

ぎゃすっ

嫌な音が耳に入る。
その音の先には……街路樹を貫通した道路標識があった。

「うわらばわわわわわわわわ!!!!!!!!!!!」

安斎は確信した。
あの汚物野郎は絶対に俺の後ろにいる。俺を狙ってる。
気絶しそうになるほどの恐怖を生存本能で塗りつぶし、一本道を疾走する。

「ふぁぁぁぁああああああああああああ!!!!」





20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/29(金) 17:35:41.28 ID:CYkWB9dAO
期待
21 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 19:26:16.56 ID:9ZmdQgJIO


「なっ…なんてね!」

「……」

「……」

「……」

突き刺さる視線に痛みを感じながら、清輝は歩き出した。
歩道に投げ捨てたカバンを拾うとかるく叩き、左手に持ち直した。

「坊や」

呆然としている子供に手を振り、お元気で、と一言付け足すと、歩道を歩き出した。

「……ママ」

「……なに?」

「……すごかったね」

「……今度お礼しなきゃね」

「……かっこいいね」

「……強かったわね」

「……あんな人になりたいな」

「……無理よ」

「……子供の夢なのに」

「……現実は厳しいのよ」







22 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 19:49:40.96 ID:9ZmdQgJIO




「ずああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」

ビシュッ ビシュッ ビシュッ

凄まじい勢いで飛んでくる標識、自販機、ポストなどのものを、安斎はすべてぎりぎりのところでかわしていた。

「あああもうしつっこいなぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

ギュオッ

轟音と共に巨大な物体がぶっ飛ばされてきた。

「うおおおおおおおぉぉぉぉ!!!???」

咄嗟に身体を右側へ反らし、飛び退く安斎。
左手の甲をわずかに掠め、その物体は落下した。

バゴッ

「くっ、車あああああぁぁぁぁあああ!!!!???? ああああああっぶねー!!! ギリセーフギリセーフ神回避まじで!!!」

全速力を出し息をゼーゼーと切りながらも叫びまくる安斎の背後から、パトカーの音が聞こえてきた。

「やっ、やったあああああああぁぁぁぁああああああ!!!!! 警察だあああぁぁぁぁあああああ!!!! よし撃て!撃て!!撃ち殺せえええぇぇぇ!!!!」











23 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 20:26:26.07 ID:9ZmdQgJIO
だが、彼の期待はあっさり裏切られた。

ギュオッ ギュオッ

飛びくる2つの巨大な物体を察知し、安斎は喚きたてた。

「何あっさりやられてんだ警察こらああああああああああああ!!!!!!!!」

地を蹴り3メートルほど跳び上がり、地面すれすれを飛んできた方を回避する。
そのまま身体をひねり、地上4メートルの位置へ飛んできた方をオーバーヘッドキックの要領で後方へ蹴り飛ばした。

「パトカー最後ぐらい役に立てよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

二回転した後に着地すると、再び走り出した。
すると、後方で何かが壊れる音がし、またもや自販機が飛んできた。

「やられたあああああああああ公安よええええええええええええええ!!!!!!」

自販機を右腕の肘打ちで大破し、回転を利用して後方へ街路樹を蹴り飛ばした。

「死んでたまっかよおおおおおおおおお!!!!!何日てめえから逃げ回ってっと思ってんだこらあああああああああああ!!!!」















24 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 20:41:21.54 ID:9ZmdQgJIO

数ヶ月後…………

ピロリロリロリーン♪

「あ、アツアツチキン2つください」

「ハイ、2つですね」

「いや……懐かしいな……ここも……」

「何かあったんですか?」

「まあ、そんなところです。 あ、中村さんは元気ですか?」

「あの人を知ってるんですか? あの人、やめちゃいましたよ」

「やめた? なんで?」

「サンドイッチにゴキブリを挟み込んでしまって……」

「変わらなかったな……あの人も……」

「あなたは?」

「あー、すぐでてくよ。 連れがくるもんで」

「ははあ、彼女ですか?」

「だといいんだけどねえ……」

ピロリロリロリーン♪

「いらっしゃいま……せ……」

ドガアアアアアァァァァ………………ゴッッッ






25 :(1+1=1)=発明王 [saga]:2011/07/29(金) 21:00:08.62 ID:9ZmdQgJIO

また、別の場所で……

「警部、今の状況は?」

「人質をとって立てこもってる。 オマケにプラスチック爆弾を抱えている。厄介だぞ……」

「上等だ……。 俺は勝つ」



「勝てよ……ヒーロー……!」



TV『突如現れた謎のヒーロー、アイアンクロウの協力により人質は解放され、犯人は全員逮捕されました』

「…………』

「いるんだな……すげえ奴って……』

「俺はヒーローに憧れた、ただの凡人。あいつはヒーローに夢を見なかった、本物の英雄」

「あいつの名前は江戸倉清輝。 通称、アイアンクロウ」

「俺の名前?」

「友人」

「ともひと、さ」








26 :(1+1=2)→(1+1=1)=天才に見られたい人 [sage]:2011/07/29(金) 21:13:17.61 ID:9ZmdQgJIO
こうも170度くらい話の展開がおかしくなるとは思ってもいませんでした
畜生……畜生ぁぁぁあああああ!!!
もうシリアス系は書かねエアああああ!!!
このような駄文でお目を汚してしまい申し訳ありませんでした
やはり、書くのにはある程度の練習と想像力が必要なんですね
わたくしには難しいようです
大変失礼いたしました


27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/30(土) 19:09:42.83 ID:TtIlkOtyo
……えっ
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