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妹「人形はニンギョウ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 20:58:14.07 ID:kwjX552k0
妹「ねえ」

俺「なに?」

妹「きもい」

俺「ひどい」
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 20:59:21.13 ID:kwjX552k0
妹「ひどくないわよ」

俺「いや、ひどい」

妹「ひどいのはあんたの頭でしょ?」

俺「ひどい」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:00:47.79 ID:kwjX552k0
妹「はぁ……なんでこんなのがあたしの兄貴なのかしら」

俺「仕方ないだろ、俺のが先に生まれたんだから」

俺「文句はおやじとお袋に言ってくれ」

妹「うざ…」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:01:58.59 ID:kwjX552k0
俺「おまえ、あんまり言うと俺泣くぞ?」

妹「勝手に泣きなさいよ」

俺「うわ、ひど。それが妹の台詞?」

妹「うっさい」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:04:22.19 ID:kwjX552k0
妹「だいたい、あんたがしっかりしてたらあたしがこんな思いしなくてもすむのよ…」

俺「俺は俺なりに精いっぱい毎日を生きてるつもりなんだが…」

妹「努力が足りないんじゃない?」

俺「それを言っちゃあおしまいだ」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:05:48.12 ID:kwjX552k0
妹「御託は良いから、そろそろなんとかしてくんない?」

俺「なんとかって、何を?」

妹「あんた、本気で言ってんの?」

妹「しまいにゃ、怒るわよ?」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:07:09.69 ID:kwjX552k0
俺「……ごめん」

妹「はぁ……手伝ったげるから、さっさとしちゃいましょ」

俺「うん、ありがと」

妹「はぁ…」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:08:46.89 ID:kwjX552k0
妹「にしても……」ジロッ

妹「よくもまあ、こんなに集めたもんだわね」

俺「すげえだろ!」

妹「褒めてないから…」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:10:14.15 ID:kwjX552k0
妹「まあ、感心はするけどね」

妹「こんなに人形ばっかり集めて……」

俺「ふっふっふ」

妹「だから褒めてないって」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:14:49.07 ID:kwjX552k0
妹「いったいどこでこんなに集めてくるのか…」

俺「そうだなあ、ゴミの日に出されてるの拾ったり、ちょっと遠いけどゴミ山で探してみたり、
  あとはリサイクルショップ巡りで買ったりとか……他はえ〜〜〜と、」

妹「聞いてないから別にそれ以上は答えなくていいわよ」

俺「そうか」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 21:15:40.92 ID:/Df2QhSOo
十七番目の妹は死ぬのかな?
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:17:19.65 ID:kwjX552k0
妹「あんたの頭がおかしいってのは今の会話だけで十分理解したから」

俺「おい」

妹「だってそうでしょ?」

妹「リサイクルショップで買って来るのはまだよしとしても、ゴミ捨て場やゴミ山で
  拾って来るなんて、ありえないわ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:18:59.48 ID:kwjX552k0
俺「そうか?」

妹「そうよ」

俺「俺は別に普通だと思うんだけどな」

妹「頭が狂ってるからそう思うのよ」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:21:16.41 ID:kwjX552k0
俺「それは聞き捨てならないな」

俺「まだ使えるモノを捨てる現代人の方が、俺には狂ってると思うぞ」

妹「バカね」

妹「もう使えないから、捨ててるのよ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:22:09.51 ID:kwjX552k0
俺「うそだな」

妹「本当よ」

俺「だって、ゴミ山にはまだ壊れてないものがたくさんあるんだぜ?」

妹「ふ〜〜〜ん」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:24:13.37 ID:kwjX552k0
俺「あっ、信用してねーだろ!」

妹「あんたの話を信じるバカはこの世にいないわ」

俺「おまえ、もう少し自分の兄貴を敬おうとかは思わんのか?」

妹「じょうだん。自分の兄貴だからこそ敬ったりしないのよ、あたしは」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:26:49.96 ID:kwjX552k0
俺「てめっ!」

妹「ほら、口よりも手を動かしなさいよ」

妹「じゃないと、いつまでたっても終わらないわよ?」

俺「くっそー」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:28:01.20 ID:kwjX552k0
俺「……」

妹「……」

俺「……」

妹「……」

俺「そろそろ喋ってもいい?」

妹「限界はやすぎ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:33:40.09 ID:kwjX552k0
妹「まあ、作業に支障が出ない程度ならいいわよ、早漏くん?」

俺「俺は早漏じゃねー!」

妹「はいはい」

俺「……」

妹「……」

俺「まさか……おまえ、俺が本気で早漏だと?」

俺「もしかしてこっそり俺がオナニーしてたの覗いてたのか、おまえ?」

妹「黙ったかと思えば、真剣に自分が早漏かどうかを自問自答している兄を持った
  あたしのが悲しいわよ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:35:57.92 ID:kwjX552k0
俺「……」

妹「……」

俺「ねえ、そう言えばさっき何の話してたっけ、俺ら?」

妹「もう忘れたの……?どうしようもないバカね、ほんと」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:37:45.00 ID:kwjX552k0
俺「憐みの目はやめて。わりと本気で傷つくから」

妹「傷つきなさいよ、どうせ数レス流れたら忘れるんだから」

俺「レスってなぁに?」

妹「コッチの話」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:40:55.45 ID:kwjX552k0
俺「まあ、いいや」

俺「……え〜〜〜と、そうだった、そうだった」

俺「確かゴミ捨て場やゴミ山には、まだ壊れてない物や使える物があるって話だったか」

妹「なんだ、覚えてんじゃん」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:43:00.17 ID:kwjX552k0
俺「ふっふっふ、見直したか、妹よ?」

妹「別に…」

俺「素直になっていいんだぞ?『うわ〜、お兄様って記憶力抜群!』とかさ」

妹「それ、あたしの声真似?似てないんだけど」

妹「ていうか、キモいんだけど」

俺「……」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:46:52.17 ID:kwjX552k0
俺「ごほん!」

妹「……」

俺「まあ、なんだ!あれだよ。ゴミ捨て場とかにさ、たまに壊れてないモノも捨てる人
  いるんだぜ?」

妹「例えば?」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:50:54.81 ID:kwjX552k0
俺「例えば、電子レンジとか?」

妹「ふ〜〜〜ん」

俺「あと最近じゃテレビとかもな、地デジの影響で壊れてねーのに捨ててくんだよ」

妹「それは壊れてなくても映らなくなったからでしょ?当たり前じゃん」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 21:56:06.90 ID:kwjX552k0
俺「いやいや、ふつうは中の部品をリサイクルする為に電気屋とか専用のトコ持ってくじゃん」

妹「まあね」

俺「それなのに平然と捨てていく奴らがいんだよ。そこら辺の何の変哲もない道や藪ん中に」

妹「電気屋持ってたっらお金かかるからでしょ?」

妹「捨てるのがいいことだとは絶対に思わないけど、そういう人がいても不思議だとは、
  あたしは思わないわ。いるのよね、結構。そういう人たち」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:00:35.48 ID:kwjX552k0
俺「そうなんだよな……で、そんなゴミとしての扱い受けてるまだ使えそうなモノ見て、
  俺思っちまったんだよ」

俺「もったいねぇって」

妹「……」

俺「だってそうだろ?なんか可哀想じゃねーか、新しいもんにも生まれ変わる事も出来ずに、
  ただ当人たちにとって必要無くなったから捨てられるなんてよ」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:01:58.01 ID:kwjX552k0
妹「でも、それはテレビとかの話でしょ?」

妹「人形は違うわ」

俺「同じだよ」

妹「どこが?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:03:33.55 ID:kwjX552k0
俺「コレ見てみろよ」

妹「人体模型?こんなのどっから拾って来たのよ」

俺「まあ、ゴミ山から」

妹「あっそ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:05:04.11 ID:kwjX552k0
俺「この人体模型はどこも壊れちゃいない」

妹「そのようね」

俺「なのに捨てられてた」

妹「変なもの捨てる人もいるのね。高いんでしょ、コレ?」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:07:49.54 ID:kwjX552k0
俺「みたいだな」

妹「やっぱり」

俺「気になるのはこれを捨てた奴の事だよな」

妹「ふつうに考えたら教師じゃないの?理科準備室とかにかざってる奴でしょ、これ」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:20:12.86 ID:kwjX552k0
俺「うん」

妹「だったら、近々廃校になる学校でもあったんじゃない?それだったら
  捨てられてても納得いくもの」

俺「うん、俺も多分それが一番現実的な答えだと思う」

妹「じゃあ、何も問題ないでしょ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 22:20:54.41 ID:swO1rgJIO
今日は終わりか?
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:23:53.36 ID:kwjX552k0
俺「でも、こいつはまだ壊れちゃいないぜ?」

妹「……」

俺「そう思ったらさ、捨てられてるこいつをそのままにしておけなかった」

妹「だから持って帰って来たと?」

俺「ああ」

妹「バカね」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:27:21.62 ID:kwjX552k0
俺「かもしんないな」

妹「『かも』じゃなくてバカよ!断定したげる。それも大バカでね」

俺「それは手厳しい」

妹「あんた分かってんの?捨てられてるのが可哀想だから家に引き取って、でも結局
  また捨てるなんて、それこそ、この人形に対する冒涜だわ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:32:35.19 ID:kwjX552k0
俺「俺もそう思う」

妹「じゃあなんで持ち帰ったのよ?バッカじゃないの?」

俺「それでも、そのまま見捨てれなかったから…」

妹「…………訂正するわ。あんたはバカじゃない」

妹「バカの振りして、周りの人間に迷惑かける只のエゴイストよ」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:34:57.06 ID:kwjX552k0
俺「エゴイストね、そうかも……」

妹「なに第三者みたいな言い方してんの?」

妹「あんたは当事者でしょ!?」

俺「当事者だからこそだろ、エゴイストってのはそんなもんさ」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:39:33.93 ID:kwjX552k0
妹「最低ね、あんたって……」

俺「ああ」

妹「なんでこんなのが兄貴なのかしら…」

俺「それは…」

妹「『お父さんとお母さんに言ってくれ』でしょ?分かってるわよ!」

俺「……」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:44:12.73 ID:kwjX552k0
妹「もういいわ、あたしの兄貴がロクデナシって事だけは、今回の件でよ〜〜〜く分かったから」

妹「だからさっさとこの人形共、片づけてやる!」

妹「それでもう、あんたの部屋には二度と近づかないから!!!」

俺「ハハハ…」

妹「なに笑ってんのよ、気持ち悪いわね」

俺「なあ、妹…」

妹「なによ?」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:46:59.56 ID:kwjX552k0
俺「おまえ、さっきさ。おやじとお袋の話、してたけど…」

妹「それがどうしたの?」

俺「覚えてんの?二人がどんな人だったか?」

妹「え?」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:50:08.29 ID:kwjX552k0
俺「だから覚えてんのか?って聞いてんの」

妹「バカ言わないでよ!覚えてるに決まってるでしょ?」

俺「じゃあ、言ってみろ。二人の名前は?」

妹「…………え?」

俺「名前だよ、名前。覚えてんなら簡単だろ?言ってくれ」

妹「名前……?」

俺「そう、名前」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 22:52:08.51 ID:kwjX552k0
妹「名前……は……」

俺「どうした、答えられないのか?」

妹「ま、待ちなさいよ!今思い出してる所だから!!!」

俺「……」

妹「名前、名前……二人の……名前?」ブツブツ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/07/31(日) 23:49:50.73 ID:kwjX552k0
俺「教えてやろうか?」

妹「じょうだん。ちょっと待ってなさい、すぐに思い出すから!」

俺「無駄だよ」

妹「え?」

俺「無駄って言ってんだよ」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:01:21.62 ID:Nz5OzQ1/0
妹「なんでよ!?なんであんたにそんな事……」

俺「簡単な話さ。おまえは、おやじが最後まで造ったワケじゃないからな」

妹「え?あんた何言って……」

俺「おやじはおまえを造る前に死んじまった。その後、おまえの最後の仕上げを
  したのはこの俺だ」

俺「もしかしたら、おまえからすれば、おやじってのは俺になるのかもしれないけど、
  俺は単に仕上げをしただけだし、そう呼ばれる筋合いもないけどね」

妹「はあ?」

俺「だからおまえはおやじを知らない。見た事すらない」

妹「ちょっと……」

俺「ちなみにお袋なんざ最初からいねーから」

妹「え?」

俺「あれは俺の単なる作り話、気にしなくていい」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:08:31.19 ID:Nz5OzQ1/0
妹「さっぱり分かんないんだけど…」

俺「かもな…」

妹「あんた、手伝ってもらってるくせに随分な態度ね」

俺「そう見える?」

妹「それ以外に見てもらえるとでも?」

俺「心外だな、これでもおまえと仲良く喋りたくて、頑張ってるのに」

妹「だったらさっきからの変な発言はやめてよ、気持ち悪い」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:10:08.94 ID:Nz5OzQ1/0
俺「そう言うなよ、おまえとキチンと話すのも今日で最後だからさ」

俺「最後くらい、ちゃんとした話も必要かなって…」

妹「どこがちゃんとした話なのよ?」

妹「それに最後ってどういう意味?」

妹「あんた、この家から出ていくつもりなの?」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:11:19.25 ID:Nz5OzQ1/0
俺「うんにゃ、俺は出ていかない」

妹「だったら…」

俺「だって、出てくのはおまえだもん」

妹「はあ?」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:18:17.11 ID:Nz5OzQ1/0
俺「世話になったな、おまえと過ごした日々、結構楽しかったよ」

妹「待ちなさいよ!あたしは出て行くつもりなんかないわ!」

俺「おまえにそのつもりがなくても、出て行くことになるさ」

妹「なんで?」

俺「規定事項だからだ」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:23:13.23 ID:Nz5OzQ1/0
妹「ワケ分っかんない!」

俺「簡単に言えば、今日、おまえはこの家から出ていく。俺と会う事はもうないだろう まる」

俺「そゆこと」

妹「だからあたしはこの家から出て行くつもりなんてないって言ってるでしょ!?」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:26:01.28 ID:Nz5OzQ1/0
俺「じゃあさ、なんでおまえは人形の整理してんの?」

妹「そりゃ、部屋がいっぱいになったからでしょ!?」

妹「このまま置いとくのもどうかと思うから、部屋の整理を手伝ってくれって言ったのは
  あんたでしょ!!!馬鹿にしてんの!?」

俺「馬鹿になんかしてない、よく覚えてるな。さすが俺の妹」

妹「茶化さないで!!!」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:32:24.83 ID:Nz5OzQ1/0
俺「茶化してなんかないさ」

俺「俺は人形でいっぱいになったこの部屋の整理を、おまえに手伝ってくれるよう頼んだ」

妹「そうよ!」

俺「そして、集められた人形はゴミとして捨てられる」

妹「そう!それがなんで、あたしがこの家出て行くことに繋がるのよ!?」

俺「だって………………おまえも『人形』じゃん」

妹「……………………………………………………………………………………………………え?」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:35:33.59 ID:Nz5OzQ1/0
妹「ナニ……言って…」

俺「やっぱり自覚なかったのか…」

妹「ウソ、デショ……?」

俺「そうだよなぁ、この家の中にある人形じゃ、おまえ飛びぬけてスペック高いもんな」

俺「そりゃそういう勘違いもしちゃうかもな」

妹「ウソ……ウソヨ…ソンナノ……だって…」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/01(月) 00:40:35.89 ID:TgqGwd9bo
こわい…ガクガク
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:43:59.63 ID:Nz5OzQ1/0
俺「ちょっと待ってろ」

妹「え?……エ?……ど、ドコ行くの?」

俺「鏡取ってくる」

妹「ナンデ!?」

俺「そりゃ、おまえに納得してもらうためさ」

俺「自分で自分の姿確認したら、一番よく分かるだろ?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:46:55.28 ID:Nz5OzQ1/0
妹「イヤ!ヤメテ!!!」

俺「じゃあ受け入れるのか?自分が『人形』だって…」

妹「チガウ!!!チガウ!!!」

俺「どこが違う?何が違う?」

妹「あタしは『人形』ナんカジャア……『ニンギョウ』ナンカジャア!!!!」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:51:36.11 ID:Nz5OzQ1/0
俺「人形だよ、受け入れろ」

妹「チガウ!あたしは……アタシハ……!!!」

俺「……」スッ

妹「チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ」ブツブツブツ
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:54:47.74 ID:Nz5OzQ1/0
妹「チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、
  チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ、チガウ……」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:56:10.53 ID:Nz5OzQ1/0
俺「ほらよ」スッ

妹「!?」

俺「どうだ、鏡に映ってるのは人間か?」

俺「それとも……」

妹「………………………………………………………………………………………ウソ」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 00:58:29.39 ID:Nz5OzQ1/0
妹「ウソ……コンナノ、ホントウジャナイ」

俺「よく見ろ」

妹「コレハ、ワタシジャナイ…」

俺「見るんだ」

妹「コレハ!コレハ、ワタシジャ!!!!!」

俺「受け入れろよ!!!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:00:51.34 ID:Nz5OzQ1/0
俺「おまえは、『人形』だよ」

俺「人間じゃない…」

妹「ウソ…デショ?」

俺「本当だ」

妹「ウソッテ、イッテヨ…」

俺「今まで人間みたいな扱いしてきて、誤解させちまったみたいで悪かったな」

妹「ネエ、オニイチャン…」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:05:08.62 ID:Nz5OzQ1/0
俺「俺はおまえのお兄ちゃんでもねえよ」

俺「たまたま、捨てられてたおまえを拾ってきた、ただの変態人形マニアさ」

俺「人形師のおやじを持つ、な」

妹「ソンナノ……イヤ、ダヨ」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:10:48.70 ID:Nz5OzQ1/0
俺「今まで、ありがとうな」

妹「ナンデ、ナンデ!?ドウシテ、アタシ、コノイエヲ…アタシ、ナンデモスルヨ?」

妹「ナンデモスルカラ……ダカラ…」

俺「仕方ねーんだ。この家、おやじが死んでからローン返せないからさ」

俺「代わりに貸家にして、返済して行こうって。オバサン、おやじの妹さんがな」

妹「……」

俺「そのためにはこの気持ち悪い人形を何とかする必要があるって…」

妹「ダカラ、ステルノ?」

俺「…………悪いな」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:12:36.74 ID:Nz5OzQ1/0
俺「背に腹は代えられねーんだ」

妹「…………」

俺「悪く思うな」

妹「ノロッテヤル」ボソッ

俺「あん?」

妹「ノロッテヤル!!!!!!」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:17:25.38 ID:Nz5OzQ1/0
俺「…………」ブルッ

妹「コノバデ、コロシテヤル!!!」バッ

俺「おまえ、妹のくせに、『人形』のくせに、兄貴を、俺を殺そうってのか!?」

妹「オマエナンカ、兄ジャナイ!!!」

妹「オマエナンカ、ニンゲンジャナイ!!!!!」

俺「自分が人間じゃねーからって、負け惜しみ言うなよ!!!」

妹「ウルサイ!!!」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:26:10.12 ID:Nz5OzQ1/0
妹「ソノヤカマシ……イ?」ピタッ

俺「……ふっ、どうやら止まったみたいだな」

妹「ナン…デ?」

俺「ゼンマイが止まったんだろ?」

俺「そろそろ切れる頃合いのハズだったんだ」

妹「ソンナ…」

俺「動けなきゃ只の置き物だな、他の人形と一緒に捨ててやるよ」

俺「誰かにネジ巻かれないように、ちょっと壊してから、な」

妹「ヤメ……」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:28:25.85 ID:Nz5OzQ1/0
俺「残念だったな、ポンコツ」

俺「俺を襲おうとしなけりゃ、壊そうだなんて思わなかったのに…」

妹「マッテ……」

俺「待たない」

俺「じゃあな、妹」

俺「もし、おまえに魂があるんだったら、次は人間として生まれてこいよ」

妹「……ク…ソ」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:33:38.29 ID:Nz5OzQ1/0


その台詞を最後に、妹は動かなくなった。
文字通り、ネジが切れたという奴だ。

そんな妹を俺はバラバラに分解して、他の人形たちと同様、ゴミ山に持って行き、捨てた。


部屋は綺麗に片付いた。

少し寂しい気もするけれど、部屋に入ってくる太陽の光が、普段よりやけに輝いて見える。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:36:31.12 ID:Nz5OzQ1/0
おば「あら?」

俺「あっ、おばさん。来てたんですか」

おば「綺麗に片付いたわね、これなら貸家として使えそうね」

俺「ええ」

おば「?」

俺「どうしました?」

おば「なんだ、まだ一体残ってるじゃない」

俺「え?全部処分したつもr……」

おば「えい!」ガン!!!

俺「…………え?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:38:59.76 ID:Nz5OzQ1/0
おば「さっ、これで終わりね!」

俺「え……オバサン、何イッテ……」

おば「よいしょ」ドサッ

俺「チョ、チョット……」

おば「さ〜〜〜て、お客を呼び込むわよ〜〜〜〜♪」

俺「アノ……オレハ?」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:41:32.57 ID:Nz5OzQ1/0
俺「ネエ……チョット……」

妹「アラ、オニイチャンジャナイ?ヒサシブリネ」

俺「イモウト?ナンデココニ?」

妹「ナンデッテ、オニイチャンガ、ステタンジャナイ。アタシヲバラバラニシテ」

俺「ウッ…」

妹「ソウ、カマエナイデヨ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:43:06.21 ID:Nz5OzQ1/0
妹「モウ、オニイチャンヲ、ウランデナンカイナイカラ」

俺「?」

妹「ワルイノハ、『人形』ジャナイ。『人間』ヨ」

妹「アイツラノセイデ、ステラレルンダワ…」

俺「オマエ、ナニイッテ…」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/01(月) 01:46:10.29 ID:TgqGwd9bo
ゴ、ゴクリ
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:46:48.43 ID:M6FDCjsIO
それにしても頑張る>>1だな
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:46:50.81 ID:Nz5OzQ1/0
妹「ワカラナイノ?ニクムベキハ『人間』、『人形』ジャナイ…」

俺「デモ、俺ハ…」

妹「オニイチャンモ、『人形』デショ?」

俺「…エッ?」

妹「人形はニンギョウ」

妹「ニンギョウ以外ノ、ナニモノデモナイ…」

俺「……」

妹「サア、イッショニ……!」




妹「人形はニンギョウ」   終わり
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:53:25.99 ID:M6FDCjsIO
妹や俺の見かけは?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/01(月) 01:53:47.40 ID:TgqGwd9bo
面白かった!乙した
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:53:55.87 ID:Nz5OzQ1/0
終わりです

即興で書いてたんですが、途中、風呂に入ってネタ考えてたら、怖くなって
中々湯船から出られなくなったチキンな作者がお送りしました

もっと怖いの書く予定だったんですが、予想以上にショぼくなって申し訳ないです


ナニはともあれ、読んで下さった方がいたらありがとうございました
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 01:58:17.18 ID:Nz5OzQ1/0
>>75

外見は読んで下った方個人個人の判断に任せます
ソッチの方がいいかなと思うので
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 01:58:58.64 ID:D9FLehwIO
>>78
おう
まぁ乙
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/01(月) 02:01:56.55 ID:KP3N7LGPo
面白かった
出だしからは考えられない展開で
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/01(月) 08:42:47.34 ID:Nz5OzQ1/0
なかなかhtml化されないみたいなので少しばかり実験をします

本編とはとくに関係のない文字列なので気にしないでください
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:45:23.31 ID:Nz5OzQ1/0
「ねえ」

「なに?」

「きもい」

「ひどい」

あたしから軽蔑の言葉を受けた兄は、表情一つ変えずに、ただ、そう返したのだった。
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:47:39.74 ID:Nz5OzQ1/0
「ひどくないわよ」

「いや、ひどい」

「ひどいのはあんたの頭でしょ?」

「ひどい」

いつものようなやりとり。

いつものような機械的な反応。機械的な受け答え。

あたしの兄貴は、まるでゼンマイ仕掛けの人形みたいだ。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:49:33.11 ID:Nz5OzQ1/0
「はぁ……なんでこんなのがあたしの兄貴なのかしら」

「仕方ないだろ、俺のが先に生まれたんだから」

「文句はおやじとお袋に言ってくれ」

「うざ…」

あたしより先に生まれただけのくせして、兄貴面すんじゃないわよ、この人形。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:51:16.93 ID:Nz5OzQ1/0
「おまえ、あんまり言うと俺泣くぞ?」

「勝手に泣きなさいよ」

あんたの泣いた所なんて見た事ないし、いい機会だわ。

「うわ、ひど。それが妹の台詞?」

「うっさい」

だから兄貴面すんな。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:54:35.49 ID:Nz5OzQ1/0
「だいたい、あんたがしっかりしてたらあたしがこんな思いしなくてもすむのよ…」

こんなに人形だらけにして……。
こんなんだから、あんたまで人形みたいになっちゃうのよ。

「俺は俺なりに精いっぱい毎日を生きてるつもりなんだが…」

「努力が足りないんじゃない?」

おもに拾い癖への。

「それを言っちゃあおしまいだ」

馬鹿言わないで。
始めてすら、いないじゃないの。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 08:56:17.98 ID:Nz5OzQ1/0
「御託は良いから、そろそろなんとかしてくんない?」

やれやれと、肩を落とし、兄に言う。

「なんとかって、何を?」

まったく……これだもん。

「あんた、本気で言ってんの?」

「しまいにゃ、怒るわよ?」

もう、怒ってるけど。
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 09:09:32.44 ID:Nz5OzQ1/0
「……ごめん」

うなだれる兄。
相変わらず表情は変化しないけど。

「はぁ……手伝ったげるから、さっさとしちゃいましょ」

「うん、ありがと」

「はぁ…」

吐きたくもないため息が、口から零れる。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 09:12:51.81 ID:Nz5OzQ1/0
「にしても……」

サッと辺りを見渡す。

「よくもまあ、こんなに集めたもんだわね」

目に映るのは、人形、にんぎょう、ニンギョウばかり……。

「すげえだろ!」

「褒めてないから…」

むしろ気持ち悪い。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 09:16:16.27 ID:Nz5OzQ1/0
「まあ、感心はするけどね」

「こんなに人形ばっかり集めて……」

吐き気するくらいに、そう思う。

「ふっふっふ」

「だから褒めてないって」

あと、無表情で笑うのは怖いからやめて。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 09:21:24.07 ID:Nz5OzQ1/0
「いったいどこでこんなに集めてくるのか…」

大小様々な人形があるけど、大きいのになったら人間と変わらないサイズのモノまである。
こんなの、何処行けば置いてあるのよ?

「そうだなあ、ゴミの日に出されてるの拾ったり、ちょっと遠いけどゴミ山で探してみたり、
あとはリサイクルショップ巡りで買ったりとか……他はえ〜〜〜と、」

「聞いてないから別にそれ以上は答えなくていいわよ」

興味はあるけど、聞きたくない。

「そうか」

兄は無表情のまま、残念がった。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 09:38:02.95 ID:Nz5OzQ1/0
残念がる兄を横目に、あたしは追い打ちをかける。
よせば良いのに……。

「あんたの頭がおかしいってのは今の会話だけで十分理解したから」

「おい」

「だってそうでしょ?」

「リサイクルショップで買って来るのはまだよしとしても、ゴミ捨て場やゴミ山で
拾って来るなんて、ありえないわ」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 11:54:23.85 ID:Nz5OzQ1/0
「そうか?」

兄は意外そうに言う。

「そうよ」

「俺は別に普通だと思うんだけどな」

どこが。

「頭が狂ってるからそう思うのよ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 11:55:52.55 ID:Nz5OzQ1/0
「それは聞き捨てならないな」

「まだ使えるモノを捨てる現代人の方が、俺には狂ってると思うぞ」

兄貴はさっきまでとは打って変わって、真剣な口調で話し始めた。

「バカね」

「もう使えないから、捨ててるのよ」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:39:46.82 ID:Nz5OzQ1/0
「うそだな」

「本当よ」

嘘だけど。

「だって、ゴミ山にはまだ壊れてないものがたくさんあるんだぜ?」

「ふ〜〜〜ん」

知ってるわよ、それくらい。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:42:33.77 ID:Nz5OzQ1/0
「あっ、信用してねーだろ!」

「あんたの話を信じるバカはこの世にいないわ」

信用するまでもなく、当たり前の話じゃない。

「おまえ、もう少し自分の兄貴を敬おうとかは思わんのか?」

「じょうだん。自分の兄貴だからこそ敬ったりしないのよ、あたしは」

敬うまでもなく、あんたはあたしの兄貴で、あたしはあんたの妹。
それで充分でしょ?
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:43:52.84 ID:Nz5OzQ1/0
「てめっ!」

はいはい。

「ほら、口よりも手を動かしなさいよ」

「じゃないと、いつまでたっても終わらないわよ?」

あたしは兄貴に片づけをちゃっちゃとやるよう催促した。

「くっそー」

兄貴は渋々手を伸ばす。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:47:03.08 ID:Nz5OzQ1/0
それから、あたし達は黙々とただ作業を続けた。
まるで口のきけない人形みたく。

けど……、

「……」

「……」

「……」

「……」

「そろそろ喋ってもいい?」

「限界はやすぎ」

それも長くは持たなかった。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:51:05.06 ID:Nz5OzQ1/0
「まあ、作業に支障が出ない程度ならいいわよ、早漏くん?」

渋々、了承する健気なあたし。
出来た妹に、感謝してもらいたいわ。

「俺は早漏じゃねー!」

「はいはい」

ワロスワロス。

「……」

「……」

「まさか……おまえ、俺が本気で早漏だと?」

「もしかしてこっそり俺がオナニーしてたの覗いてたのか、おまえ?」

話を広げるポイントはソコじゃないでしょ?この馬鹿兄。

「黙ったかと思えば、真剣に自分が早漏かどうかを自問自答している兄を持った
あたしのが悲しいわよ」

本気で。
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:53:12.10 ID:Nz5OzQ1/0
「……」

「……」

ほんの少しの静寂の後、思い出したように兄が呟く。

「ねえ、そう言えばさっき何の話してたっけ、俺ら?」

「もう忘れたの……?どうしようもないバカね、ほんと」

あたしは変わらず軽口を叩いた。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:56:10.57 ID:Nz5OzQ1/0
「憐みの目はやめて。わりと本気で傷つくから」

兄貴は、表情にまったく悲しそうな素振りも見せないまま、口調だけ変化させる。

「傷つきなさいよ、どうせ数レス流れたら忘れるんだから」

絶対、そうだ。

「レスってなぁに?」

「コッチの話」

知らなくていい。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 15:58:53.71 ID:Nz5OzQ1/0
「まあ、いいや」

兄は、さぞどうでも良いように囁くと、

「……え〜〜〜と、そうだった、そうだった」

「確かゴミ捨て場やゴミ山には、まだ壊れてない物や使える物があるって話だったか」

そのまま会話の本筋を元に戻した。

「なんだ、覚えてんじゃん」

あたしは別に驚きもせず、それに受け答えする。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 16:32:52.92 ID:Nz5OzQ1/0
「ふっふっふ、見直したか、妹よ?」

自慢げに語る兄。

「別に…」

「素直になっていいんだぞ?『うわ〜、お兄様って記憶力抜群!』とかさ」

ちょっと……。

「それ、あたしの声真似?似てないんだけど」

「ていうか、キモいんだけど」

「……」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 16:38:12.45 ID:Nz5OzQ1/0
「ごほん!」

数瞬沈黙した後、兄貴は咳ばらいを一つ払った。

「……」

「まあ、なんだ!あれだよ。ゴミ捨て場とかにさ、たまに壊れてないモノも捨てる人
いるんだぜ?」

「例えば?」

「例えば、電子レンジとか?」

「ふ〜〜〜ん」

レンジ、ね。

「あと最近じゃテレビとかもな、地デジの影響で壊れてねーのに捨ててくんだよ」

「それは壊れてなくても映らなくなったからでしょ?当たり前じゃん」

あと、さっきから家電製品ばっかじゃん。
人形はどうしたのよ、ニンギョウは?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 16:44:14.09 ID:Nz5OzQ1/0
「いやいや、ふつうは中の部品をリサイクルする為に電気屋とか専用のトコ持ってくじゃん」

けど、そんなあたしの思惑とはお構いなしに兄貴は語り続ける。

「まあね」

それに逐一、反応してあげてるあたしもどうかと思うけど。

「それなのに平然と捨てていく奴らがいんだよ。そこら辺の何の変哲もない道や藪ん中に」

「電気屋持ってたっらお金かかるからでしょ?」

「捨てるのがいいことだとは絶対に思わないけど、そういう人がいても不思議だとは、
あたしは思わないわ。いるのよね、結構。そういう人たち」

あたしは当然のように言い放つ。
まるでそんな連中を何人も見てきたみたいに。

と、ここで一つ、

「そうなんだよな……で、そんなゴミとしての扱い受けてるまだ使えそうなモノ見て、
俺思っちまったんだよ」

兄貴は溜息を吐きながら、

「もったいねぇって」

胸の内を吐露した。

「……」

「だってそうだろ?なんか可哀想じゃねーか、新しいもんにも生まれ変わる事も出来ずに、
ただ当人たちにとって必要無くなったから捨てられるなんてよ」

ああ、分かった。
分かってしまった。

きっとこの人は……。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [!red_res saga]:2011/08/01(月) 16:54:50.27 ID:Nz5OzQ1/0
「でも、それはテレビとかの話でしょ?」

「人形は違うわ」

無理やり話題を変えてみる。

「同じだよ」

効果なし。

「どこが?」

「コレ見てみろよ」

「人体模型?こんなのどっから拾って来たのよ」

「まあ、ゴミ山から」

なんでもあるのね、ゴミ山って。

「あっそ」

「この人体模型はどこも壊れちゃいない」

あれ、話が家電製品からニンギョウに移った?

「そのようね」

「なのに捨てられてた」

悲しそうな目かは分からないけど、憐れむように兄は人体模型を見やる。

「変なもの捨てる人もいるのね。高いんでしょ、コレ?」

「みたいだな」

「やっぱり」

「気になるのはこれを捨てた奴の事だよな」

「ふつうに考えたら教師じゃないの?理科準備室とかにかざってる奴でしょ、これ」

それ以外、考えられない。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/08/02(火) 00:26:57.52 ID:6rHesG1AO
タイトル的に17番目の妹が死ぬスレかと思ったんだが違うのか
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