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とある騎士の守護物語 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/05(金) 02:40:38.43 ID:X4sRuXuQ0

おいィ?俺はちょっと僅かに古代からいる貧弱一般ブロンティストなんだが、なんかブロントさんが物凄くカッコイイクロスオーバーSSを呼んだらしく


「すごい!」「こんなにカッコイイブロントさんもいるのか!!」「書きたい!」「イケメンなメイン盾書きたい!!」


と、どうやら哀れにも頭がヒットしてしまったらしく「もしもブロントさんが禁書の登場人物として最初からいたら」という、原作沿いのなんか訳分かんないSSを書いてしまったらしい。




注意



1 カッコいいブロントさんを書く事を目的としている為「こんなのブロントさんじゃない!!」という意見があるかもしれません(勘弁してくだしゃあ;)

2 原作沿いの物語改変ストーリーなので、ブロントさんが活躍するとこ以外は原作仕様、そのまんまという事で「書きません」(どうやって俺が手抜きだって証拠だよ!!)

3 FFキャラは基本ブロントさんしか出てきません。それっぽい人の発言は出てきますがモブキャラの言葉です(でも例外もいるかも)

4 不定期更新です(えちょwwエターならないように頑張りますww)
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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2 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/05(金) 02:49:23.81 ID:X4sRuXuQ0




序章  助けを呼ぶ声にカカッと反応するのがナイト







「おいィ?お前ら、今ナニしたか分かっちぇるわけ?」



自らの髪の色と同じ白銀の鎧に身を包んだ長身の男は、上から目線と取るしかない態度と言葉で大胆不敵に言い放った。
言い放たれた不良たちが物凄いガンをくれてきてもその口調と態度は止まらない。

その数、実に9人

「あぁん!?なんだなんだ兄ちゃんよお?なんか文句でもあるってのか?」

不良たちの頭らしきスキンヘッドの男が鎧の男にグイッ、と歩み寄って凄ませようとするが



「あるぞ」
「え?」


少しも凄まず、あっけらかんと鎧男は告げた。



「お前らがぶつかったせいでそこの助詞厨の征服にジュースが掛かっちぇまったんだが?クリ代払ってもらおうか」



は?と、鎧男の指が指し示す方向を見てみると、鎧男の後ろ10メートル位に、黒髪の中学生と思わしき制服を来た女子が若干震えながら立っていた。
その制服は、濡れて透けているのが一目で分かる。

しかしまさか、それだけの為に?

この学園都市第7学区のこの辺りでは有名なスキルアウト集団である自分達に話しかけてきたというのか?いや違う。鎧男の態度や口調はどう見てもケンカを売っているそれに他ならなかった。


こっちは自分を含め9人もいる。だが向こうは鎧男ただ1人。人間のケンカなんて物は普通に考えれば、3対1を超えたら話にならない。
鎧男が高位の能力者と考えられなくも無いが、その身を鎧に身を包んで保護している以上、仮にそうだったとしてもそこまでレベルの高い能力者ではないだろう。
何よりこの男からは自分達と同じ「不良」独特の臭いがしていた。



「あ、あの!もう良いです、大丈夫ですから…………っ!」


おっかなびっくり近づいてきた少女は、鎧男の右手を掴み、不良たちから遠ざけようと引っ張るが鎧男はそれを優しく振りほどくと笑顔を見せて


「心配しちぇくれて『ありがとう』でも大丈夫だから下がってるべき、巻き込まれたくなかったら見てるべき」

「でも……!!」

「んだこらぁ!!人前で彼女といちゃつくとか良い度胸だなテメェ!!」

「お前らツルンでる男女みたらすぐ「爆発しろ」とか言う馬鹿ですか?だいちゃい俺とこいつは今日始めて合ったんだが?たった今会ったのでNAMEも知らぬぇ、英語で言うとナイスチューミーtyうツー」

「ちょww今日始めて合ったのにいちゃつくとかwwwwナンパ成功テラウラヤマシスwwwwwwww俺もかわいこちゃんとちゅっwwちゅっwwしたいおwwwwwwww」

「ナンパとかいつの昭和だよ。そんなので彼女が出来ると思っている浅はかさは愚かしい。お前らもう家に帰って妄想でもしてろよINH野郎」



その一言を言い終わると同時に不良たちが鎧男の周りをぐるりと囲いこむ。
ろくな事を考えてないであろうそのいやらしい顔がいやに癇に障った。



「お前さぁ……この状況分かってんのか?俺らはこの第7学区じゃちょっとは知れたスキルアウt」

3 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/05(金) 02:52:13.17 ID:X4sRuXuQ0



その言葉を言い終える事は無く、鎧男の右拳を顔面に食らった1人の不良が路地裏へと勢いよく吹き飛ばされていった。あまりに凄い勢いだったからか、はたまた路地裏が暗いからか、飛んでいった不良の位置を、目では確認できなかった。

呆然とするスキルアウトと少女を尻目に、鎧の男は語りだす。


「口で説明する位だったら牙を剥くべきだったな。本当に強い奴は強さを口で説明しないからな、口で説明するぐらいなら俺は牙を剥くだろうな。俺、パンチングマシーンで100とか普通に出すし」

「て、テメエ!やりやがったな!!」


野球バットを両手に持った不良の1人が鎧男の頭を目掛けてバットを振り下ろすが、鎧男はそれを僅か一歩身を捩っただけで完全に回避する。
むしろバットを思い切り振り下ろした男は、地面に直撃したバットから伝わる振動で両手を痛めたらしく、哀れにもバットから手を離して両手をブンブン振っていた。


「そら」
「えちょ!」

追撃とばかりに鎧男に足を掃われてバランスを崩し、顔と地面が勢いよくぶつかり音を立てる。


「ガアアアアアアアアッツ」

「哀れにも鼻血ブー垂れた哀れなモブ不良がいた」


鎧男はそれを鼻で笑う。


「テッ、テメェら!!もう遠慮はいらねえ!!こいつをぶっ殺せええええええ!!!」


スキンヘッドの合図と共に、怒声を挙げて襲い掛かる不良達を鎧男は哀れな目で見て









「ナイトにケンカ売るとか……どうやら常識的な格の違いから教えなければ駄目なようだったという確信」









「な、ブベシ!!」

「アブフぁ!!」

「ゴばァ!!」

「グふォあ!!」

「アwベwシw!!」

「がボハ!!」

「ボフォあ!!」

「ウボアァー!!」



溜息をつくと同時に拳を下した。



「え………?」

「………おいィ………ちょとあまりにも弱すぐるでしょう?五分リンでももう少し根性あるだろうなという確信」

4 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/05(金) 02:54:37.43 ID:X4sRuXuQ0


鎧男は向かってくる不良達に対して腕を振り回しただけ。たったそれだけで、全ての不良は文字通りなぎ倒されてしまい、
気を保っている者は、運良く不良達を盾にしたスキンヘッドただ一人。
だがその体はグラグラと四方八方によろめいていて、どう考えても戦える状態じゃない。


「腕パンどころか腕回し一発でKOとか……カッコつけてタバコやらアルコールに手を出し続けた結果がこれ」

「お、お前………高位能力者だったのか………」


これだけの人数を一度に戦闘不能にしたのだ。1や2じゃない。最低でも3、もしくは4
…………そして恐らくは肉体強化か何かの戦闘特化系………


「ま、参った………だから」スッ

「ハイスラァ!!」

「え、ちょ、ドワァアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


スキンヘッドが言葉を言い終える前に、その顔に右ストレートを叩き込んでやる。
なんか勢い良く吹っ飛んでいったが先に手を出したのは俺じゃなくて…………


「お前らだという事実」


鎧男はなんか気絶してるスキンヘッドの右ポケット辺りをごそごそと探り、黒くて固い立派な物を取り出した。



「あ……け、拳銃………」

「こんな物で至高のナイトである俺に傷をつけようとする浅はかさは愚かしいが、周囲の危険が危なくなるという事実でおれは速攻で叩き潰すだろうな」


鎧男は両手で拳銃をしっかり持つと自らの膝へと打ちつけ、粉々にそれを粉砕した。
もう使い物にならなくなったそれをバックから取り出したビニール袋へと入れ、最後に人差し指で不良達を指差して一言告げる。









「お前ら調子ぶっこきすぎた結果だよ?」





5 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/05(金) 03:01:39.14 ID:X4sRuXuQ0
投稿終了序章終わり(短かっ!!)

それはそれとして皆さんにお聞きしたいんですが…………



地の文減らしてセリフ多くしても構わないでしょうか?orz 文
才の無い>>1にとっては地の分は地獄の宴と言う事実。そうすると投稿スピードが上げられるんだけどな〜(チラッチラッチラッ)

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 03:07:43.33 ID:PUOI3Hrlo
もうおわったのか! はやい! メイン投下終了きた! これで乙る!

>>5
俺は読者の好みを気にするのはどちかというと大反対だな
自分のやりやすい方法でやった方がいいのは確定的に明らか
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/05(金) 06:40:47.96 ID:D5SA3h+Po
一度の投下量増やしてくれたら、それはとっても嬉しいなって
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/05(金) 06:50:29.05 ID:2GPbD3sAO
>ブロントさんが物凄いカッコイイクロスオーバーSS

よければkwwsk
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/06(土) 00:40:49.19 ID:dMQd6OHAo
クソワロタ

ワケもわからず叩くやつが出てきそうだなここwwww
10 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/06(土) 02:11:27.61 ID:W670rpjn0
なんとか24時間以内に投稿できた感。

俺は貧弱一般人だからよ、眠気がマッハだから寝落ちするし、不定期に更新もする
11 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/06(土) 02:12:48.84 ID:W670rpjn0


数時間後



「う〜ん、相変わらず派手にやるじゃん」


機動鎧に身を包んだ黄泉川は溜息をつくと、警備員の同僚達に連行されて行くスキルアウト達に目をやる。
表立ったけがはこれと言って無いが、全員が


「あまりにも存在が大きすぎた」「これじゃ何も出来ない」


と、気味の悪い独り言を上の空の様にぶつぶつと呟いている。何と言うか戦意がゴッソリ削り取られていた。
まったく………あれでも十分手加減しているんだろうがもうちょっと色々考えてほしいものだ。

と、一瞬思考するが


俺が迷っている内に他の誰かが死ぬ事になるなら俺は容赦しないだろうな。後の祭りという名台詞を知らないのかよ


とかまあ似たような言葉で返されるのが確定的だったため、やめた。言うだけ無駄だし。
それに余計な手間と被害が減るだけこちらとしても助かる。
加えて言うならあのスキルアウト達は、先日銃やら合法麻薬やらの秘密ルートから物を仕入れた可能性があり、警備員の方でも捜索がされていた者達だった。
あの騎士はそれを知った上でケンカを売ったのだろう。


「あ、あの」

「ん?ああ、確かあいつらに絡まれたっていう」


黄泉川に話しかけてきたのはこの事件(?)の被害者(?)である女子中学生だった。
びしょ濡れだった制服はある程度乾いているが、それでも炭酸飲料の臭いが漂ってくる以上、本人はさぞ気持ち悪い事だろう。


「い、いえ!そんな大した事じゃないんですけど……あの人たちとぶつかっちゃって、倒れた拍子に持ってたジュースを服とかカバンにこぼしちゃったらその……」

「偶然通りがかった銀髪隻眼で長身浅黒肌の白銀鎧男が助けてくれた………と。で、とんずらしてもうここにはいないと」

「はい………あ、それで、その人が警備員が来たら渡してくれって、これを」


少女は生徒カバンからビニール袋に入れられた拳銃(と言っても原形を殆どとどめてはいないが)を取り出すと、黄泉川に手渡した。
まったく、ここまで粉々だと銃の出所を捜すのにも一苦労しそうだ。


「ん、ありがとな、助かったじゃんよ。まったく………後処理するこっちの身にもなれってんじゃんよあのナイト」

「いえ、そんな………って、あの人とお知り合いなんですか?」

「ん?ああ、知り合い………なのか?まああいつが色んな事件に首突っ込んでくる以上顔を合わせることは少なくはないじゃん」


と、言うかあいつ自身がトラブルメーカーになる事も少なくない。


「そ、そうですか………」

「………なんだ、惚れちまったか?」

「な/////////ち、違います!!………その、助けてもらったのに、名前も聞けなかったから………」


ああ、何だそう言うことか………と、建前上、そう思ってあげる事にしよう。
少なくともこの少女はナイト派閥の波に飲み込まれてしまったことは確定的に明らかなのだから。








「あいつはな………自称謙虚なナイト「ブロント」さ」

12 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/06(土) 02:18:54.38 ID:W670rpjn0









「さんを付けろよデコスケ野郎!!」









と、突然大声でここにはいない筈の誰かに向かって叫んだ。当然、誰の耳に届く事無く、宙へと消える。
なんか知らないが、過去の誰かが自分の事をさん付けで呼ばなかったような気がしたからだ。


「ほむ……なんか嫌な感じがしてつい大声を出しちぇまったが今は総長なためボリュームを落とすのが大人の醍醐味」


キッチンに立っている長身の男「ブロントさん」は気を取り直して後片付けを続ける。

本日の朝食はカツオとニボシで出汁を取った豆腐の味噌汁に、カツオのタタキ、サラダ風〜ゆず故障とポン酢のドレッシングを添えて。
土鍋で炊いたほかほかの白米に、それとよく合う自家製きゅうりのぬか漬け。



以上のメニューが二人分。


そう「二人分」


これは別にブロントさんが大食いで毎回これぐらいの量を平らげる事とは無関係(本人曰く、食べようと思えば9人前くらいは余裕らしい)
今日は特別腹が減っていたとか、朝早くから誰かが遊びに来ると言った事でもなく、彼にとって、ほぼ日常的な朝食の量だった。


何度も言うが、これはブロントさん一人で平らげる訳ではない。半分は自分の部屋から数えて九つ隣に住んでいる、とある少年の物である。
なんか昨日も「不幸だー」とか言って自分が作った夕飯も食べずにむぎゅんと寝てしまった為、相当腹が減っているだろう。


最後の洗い物が終わると、料理が盛られた皿を次々と大きくて四角いおぼんに載せ
片手、否、一本の人差し指だけでいとも簡単にそれを持ち上げた。腕力は勿論、かなりのバランス感覚が無い限り難しい筈なのだが
ブロントさんは余裕綽々でなんか鼻歌を歌いながら玄関へと向かい、足だけで器用に靴を履くとドアを開けて廊下へと出る。


「フフフフフフ〜フフフフ〜フ〜フ、フフフフフフ〜フフフフ〜フ〜フ♪(深紅)」


お気に入りの曲を軽やかに歌いながら、12メートル(9メートルで良い)先の部屋を目指す。
当たり前だが、歌い終える前には辿り着いてしまっているわけで………

「もう着いていたと言うか鬼なる。はやい!もう着いたのか!さすがナイトのMOVは馬の力と………おいィ?」



……君の………当な・ら・………

……等だ………で言うなら………じゃねえか!


なんか部屋の中がいやに騒がしい、ここにはあの少年しか住んでいない筈なのだが。
聞き覚えがある少年の声は良いが、もう一方の声は高くて幼いであろう事が想像できる少女の声だ。



(………はぁ、どうやらまた厄介事を抱え込んでいるみたいだった。不幸だなとは思いますがおるは………)




フッ、と、いろんな意味がこもった笑みを浮かべると、合鍵でドアを開け勢い置く部屋へとのりこむ。


13 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/06(土) 02:23:22.20 ID:W670rpjn0





「おい!とんま!!今度はどんな不幸………………を………………………」

「あ………………………………………………………………ブ、ブロントさん?」






部屋の中にはブロントさんの予想通り、この部屋の本来の住人である少年は勿論







「え?………………………………………………………………え、え?」





一人の少女がいた。


一目で外人だと分かるその少女は、自分より数段綺麗な色の銀髪を持ち手で、宝石のような碧眼を見開いて呆然と少年とブロントさんを見つめている。
その姿はまるで、上等な着せ替え人形のようで、なんだかシスター服や純白のワンピースとかがとても似合いそうだなと思った。






そう、まるで上等な着せ替え人形のように、正確には「着替えさせてもらう前の着せ替え人形」の様に…………まあ要は全裸な訳で。
下着の一つも身に着けず、真っ白な肌を少年とブロントさんに晒していた。






「………とんずらあァァァァ!!」


わき目も振らず、猛ダッシュで部屋を飛び出てドアを閉める。
だがこんな時でも料理への気配りは忘れてないようで、目にも止まらぬ速さで移動しても、味噌汁の一滴もこぼす事は無かった。絶妙なバランスである。




「ちょ、ちょっと待ってくれブロントさん!これには深い訳が………て言うか助けt」


なんか後ろからなんかわめいてる奴がいるが時すでに時間切れ。すぐさま少女の悲鳴と少年の悲鳴がほぼ同時に聞こえて来たが、中で壮絶で一方的な攻撃が行われているのは確定的に明らかで………








「ああ、とんまもついに大人の階段を上るのだなと嬉しさと寂しさと何かよく分からぬぇ感情で胸がいっぱいになってしまった感。このままでは朝食が残されて骨になっちまいそうだな………おっと、何か目から水がこぼれてきたがこれは心の汗であって涙とは無関係」

「訳わかんない事言ってないで助け、痛ててててててててててててて!!助けてくださいお願いします;」






必死な顔してなんか言ってきたが、ほとぼりが冷めるまで待とうと思った(謙虚)


14 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/06(土) 02:29:10.50 ID:W670rpjn0
投下終了です。大体1回分の投稿がこれ位になりそうです。


>>8 「謙虚な使い魔」って言う、某ラノベとのクロスで、二次ファンで「ブロントさん」で検索すれば出てくるらしいぞ?(この辺りの気配りが人気の秘訣)

だが最近投下されて無いようであまりの悲しみに絶望が鬼なった。(本当にいい作品です。是非見てみてください)
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/06(土) 03:57:56.30 ID:WY4JOJ1AO
>>14
そうですかありがとうこのSSすごいですね
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/08(月) 19:47:23.43 ID:DzasM7qro
ブロ語が不自然に感じるな
意識して使うのではなく使ってしまうのがなんたら

>>1はFF11未プレイなのかな
17 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/08(月) 22:58:05.82 ID:W0i32IBX0
今来たのか!遅い!!

>>16 hai!未プレイでsう;;調子ぶっこいてすみまえんでしたorz(謙虚な使い魔に倣い、誤字的なブロ語はなるべく使わないようにします(例、そrえで良いのか?、など)
18 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/08(月) 23:08:10.19 ID:W0i32IBX0







パクパクムシャムシャガツガツモグモグ
バクバクシャクシャクゴクゴクグビグビ






ブロントさん手作りの朝食セットA(何を持ってAとするかは不明)二人前が少女の胃に次々と納まっていく。
13、4歳である少女の腹の中によく収まる物だ、ブラックホールか。


先ほど自分が与えたビスケットや缶詰やらでは、自称倒れ死にの(死んでもいないのに)
少女の腹が満たされなかったのは分かるが、それでもこの勢いは(自称)シスターとしてどうなのだろうと上条当麻は思う。


あと服を後回しにして飯を優先させるのもどうかと思う。いや、その肝心の少女が着ていた修道服をバラバラに引き裂いてしまったのは自分なのだが(不本意)
現在、素っ裸に大きめの毛布に包まっただけの少女は、わき目もくれずカツオのサラダを口いっぱいに頬張っていた。



「ほう、見事な食いっぷりだと感心はするが、どこもおかしくはない。やっぱ成長期は飯いっぱい食べれなきゃ駄目かー」


ブロントさんは自分が作った料理を少女が美味しそうに食べてくれるのが嬉しいのか
先ほどから喜々とした表情で、バラバラに引き裂かれた修道服に回復魔法(裁縫)をかけて復活を促していた。
料理と言い裁縫と言い。二メートルを超す巨体や、ゴツゴツした男らしい指にも拘らず、器用なものである。



「腹いっぱい食べる→成長期なので色んな所がスクスク育つ→頼もしく成長→彼女が出来る。小食→栄養が少なく体が満たされない→疲労で表情や心がマッハ→いくえ不明」


育つ所がキチンと育てばいいんだけどな〜、と小洒落たジョークを言おうとして、止めた。流石にもうあの熱烈な捕食行為(噛み付き)はご遠慮願いたい。
上条の二の腕や脛。顎や頭のてっぺんにまで、クッキリと少女の歯形の跡が刻まれていた。


この自称シスターの少女は怒ったりテンパッたりすると人に噛み付く癖があるらしい。ブロントさんが朝食を持って登場してくれなければ、あのまま捕食されていたのではないかと、半分くらい本気で思う。



最後に味噌汁を一気に飲み干す。
どうやらこの少女には日本特有のわびさびを楽しむとか、そう言う精神は無い様だった。



「う〜ん、おいしかったあ!これが本当の東洋の国、日本の朝食って奴なんだね!!さっき君が出した粗品とは大違いかも」

「『ぐぬぬ』人が強く出れない事情がある事を言い事に………………大体あれは不可抗力だろうが!お前、俺の『幻想殺し』の事、全然信用してなかったじゃねーか!!」






幻想殺し(イマジンブレイカー)






それが異能の力であるならば、大地を焼き尽くす灼熱のマグマだろうが、音速の三倍で打ち出される超電磁砲だろうが、はては神話に出てくる神様が創り出した奇跡だろうが、問答無用で打ち消す力。


少年が生まれたときから右手に備わっている『異能を打ち消す異能の力』
19 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/08(月) 23:14:34.26 ID:W0i32IBX0




「『むむむ』そ、それとこれとは関係ないかも!大体、ここは科学の街『学園都市』なんでしょ!?」

少女は少年に顔をグイッと近づける。同時に羽織っていた毛布がヒラリと着崩れてしまい、小さな何かとても素晴らしいものが見えそうになる。少年は顔を真っ赤にして目を逸らした。


「『科学』の街なのに『魔術(オカルト)』の存在をあっさり信じるなんて馬鹿にされてるとしか思えないかも!!」

「おいィ、さっきからなにお前らだけ分かる話をしちぇるんですかねぇ?このままでは俺の頭が混乱でマッハなんだが?経過を話すべき、死にたくないなら話すべき」チクチク

「あ、うん。実は………………………」












                                                     少年、事情説明中………












「なるほどな。朝起きてふとん干そうと思ったらふとんの変わりにこの女子………インデックスだったか?が干されていちゃつー訳か」チクチク

「「………驚かないの?」」

少年とインデックスの声が被ったのを見て、少しばかり頬が緩む。
ブロントさんは胡座を掻きながら、何でも無いかの様に服の修復を続けていた。


「おみィの事だ。空からいきなり魔法女子がメテオすてもなにも不思議じゃないし、いつの間にか世界の中心っぽい立場にいてもどこもおかしくはない(予知夢)」チクチク

「やめてくれよ………ブロントさんの(予知夢)はシャレにならないって」

「………………………………………………俺は別に冗談でイッちぇるわけじゃぬぇんだけどな」(ボソッ)

「ん?何か言った?」

「気のせいじゃないかな?まあ空耳論でね?そんな事よるm」チクt(ry

「ちょ、ちょっと待って!!」

「なにか用かな?」チ(ry

「あなたも私(魔術(オカルト))の事………信じてくれるの?」


少女は、不安そうに尋ねた。その瞳には、少しばかりの恐怖と不安が混じっていて、ブロントさんは

(ほう………これじゃ確かにとんまはほうっちぇおけぬぇだろうなと思った(優気)。それにログを聞く限り、どうやらこのシ☆は………)

と、少々考え込んでからゆっくりと顔を上げ



「………信じるぞ」t(ry

「え?」

20 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/08(月) 23:20:06.40 ID:W0i32IBX0




真剣な瞳で少女を見つめ、確りと頷く。
これは少女だけではなく、少年に対する返事でもあった。大切なフレである、少年への。






「ブロントさん………」


「俺は古代からいるナイトなんだが、どうやらフレの部屋のベランダに引っ掛かっていた女子が『魔術世界から来た』『自分は十万三千冊の禁書を持っている』と言い出した。普通なら「厨二乙^^」と無視するのが全員だろうがフレは無視できなかったらしく、部屋に招き入れて回復アイテムを奢った後「信じるぞ(キリッ)」とカッコ良く言ったにも拘らず女子は「不安が大きすぎる」「馬鹿にされてるんじゃないのか」とネガネガしだしたので俺も「信じるぞ」と言ってやるとシ☆は黙った。これで1対2。俺たちがお前の事を信じているのは確定的に明らかとなったので以下レス不要です。ほれ、直ったぞ」


ブロントさんは丁寧に修復を施した修道服を少女に手渡す。
短時間であっという間に裁縫を施してしまうナイトの手芸スキルはさすがA+と言った所かな。



「え、えっと………う、うん、ありが、と;?」

インデックスは何とも言えない表情をしながら、戸惑いつつも修復が施されて 完 全 回 複 した修道複を受け取った。


「ブロントさんの口調、最初は凄く変でびっくりするかもしんねーけど、すぐ慣れっから気にすんな」

「oi misu みうす 人の口調が編とかお前マジぶ殺しよ? まあ良い、許してやる、俺は優しいからな。そんな事よりお前も後ろを向くべき、追撃の捕食を食らいたくなかったら後ろを向くべき」




ナイトの謙虚な忠告を受けて、少年は慌てて後ろを向いた。

21 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/08(月) 23:30:03.66 ID:W0i32IBX0
投下終了です。もう少し早く、スムーズに展開が進められる様になりたいorz
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/16(火) 14:14:40.93 ID:orzta/RAO

ブロントさんSSとか面白すぐるでしょう?
>>1は続きを書くべきそうするべき
続きが気になる事によって俺のwktkが有頂天に達したこのwktkは収まる事を知らにい
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/08/20(土) 01:16:39.65 ID:hwWNPFGAO
>>1放置とかちょとマジsyれならんしょ?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) :2011/08/21(日) 18:17:15.42 ID:3a9fFzbk0
続きはやくきてーはやくきて;;
25 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:14:52.61 ID:Bor7iMT50
俺はただの貧弱一般人なんだが、最近リアル生活がマッハでネタも思いつかないと言うある様の中、2週間でSSを書き上げて急遽UPすると

『やっときたのか!』『遅い!』『来た!貧者一般SS来た!!』

と、大不況状態だった(マジですみまえんでした;;orz)
26 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:23:24.36 ID:Bor7iMT50




「はぁ………」


上条は溜息を付いて教卓を見つめる。もうこのクラスになって一学期経つが、未だにありえねぇと思う。

一年七組の担任、月詠小萌は教卓の前に立つと首から上しか見えなくなるというとんでもない教師だった。
その身長は135cmで、安全面の理由からジェットコースターの利用をお断りされたと言う伝説まで有り、初見は誰でも小学生と勘違いしてしまうだろう(合法ロリ)


そう言えばブロントさんが初めて小萌先生に会った時ひどく驚いた様子で「こ、この世界にも樽たる族がいんのか!?いあ、そんnあ馬鹿な………」とか、先生が教卓に立った姿を見て「リアルゆっくりwwwwwwwww」と爆笑してたりしたが一体なんだったんだろうか?





「おしゃべりは止めないですけど先生の話は聞いてもらわないと困るですー。先生、気合い入れて小テスト作ってきたので点が悪かったら罰ゲームはすけすけみるみるです」


なんだか名前だけだと「いやらしい………(コリブリ)」に聞こえるかもしれないが、その実態は目隠しポーカーで10回連続で勝たない限り帰れないと言う、どこぞのバラエティー番組も真っ青な驚きの企画である。
透視能力はもちろんの事、そのそもの能力に目覚めていない貧弱一般人(レベル0)のカテゴリーに納まっている上条にとってはまさに地獄の宴である為、それを講義したのだが



「はいー。でも上条ちゃんはそもそも「記録術」の単位が足りないのでどの道すけすけみるみるですよ?」


と、返され、必死に言い訳を探そうとしたが、何も言葉が見つからなかった。
哀れにも上条は深い悲しみに包まれた。



「ちくしょう……小萌先生は馬鹿だ………;」と悲しみが鬼なっていると隣の席に座っていた青髪ピアスが

「……むう。あれやね。小萌センセはカミやんがかわゆーて仕方がないんやね」




とか訳のわからない事を言ってきたので




「hai?お前はあの背伸びする小学生体型(身長135cm)に悪意は感じられんのか?お?ロリコンは度が過ぎると病院に送られて栄養食を食べる羽目になるぞ」

「・・・なに?カミやんってナース属性やったっけ?確かにそれもええな〜。ナースコスの小萌センセにいじられながら付きっ切りで看病されるとか………すてきやん?」

「訂正。お前が行ったら病院が逃げるわ。つーかロリコンに加えてMとか救い様がねーぞ」

「あっはーッ!ロリ『が』好きなんとちゃうでーっ!ロリ『も』好きなんやでーっ!!」

「うわぁ………」

「はーいそこっ!それ以上一言でもしゃべりやがったらコロンブスの卵ですよー?」


27 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:27:12.21 ID:Bor7iMT50



コロンブスの卵と言う名言は、大航海時代においてキリスト教世界の白人として、最初にアメリカ海域へ到達したひとりであるコロンブス(間接的とは言え大殺戮者でもある)が、新大陸発見を祝う凱旋式典で



「誰でも西へ行けば陸地にぶつかる。造作も無いことだ」


などと成功を妬む哀れな貧弱一般人たちに対し


「ほう、奈良誰かこの卵を何の道具も使わずに机に立ててみるんだな(突然ですが)」


と言い、誰も出来なかった後で軽く卵の先を割ってから机に立てた。


「そんな方法なら誰でも出来る」と粘着してくる輩に対し、コロンブスは


「人のした後では造作もない事。お前らは攻略サイトを見ないとゲームクリアすら出来ない貧弱一般人。ゆとり乙」と返した。


これが「コロンブスの卵」の逸話であり、「誰でも出来る事でも、最初に実行するのは至難であり、柔軟な発想力が必要」「逆転の発想」という意の故事で今日使われている。しかし、ヴォルテールは『習俗論』にてこれは建築家フィリッポ・ブルネレスキの逸話が元になった創作だと指摘し、会話の内容などもそのまま流用されていると説明した。



哀れにも後世にはただの作り話であった事が判明した訳だが、そんな事は良いんだ。重要な事じゃない。





問題は、学園都市のカリキュラムで言う「コロンブスの卵」が『逆さにした生卵を、手も、道具も、何にも使わずに机の上に立ててみろ』と言う物だという事だ。



念動力(サイコキネシス)専攻の人間だって脳の血管が有頂天になりそうになるまで踏ん張って、ようやく卵がコケない様にする事が出来る。(念動力が強すぎても卵を割ってしまう為、生半可な能力者にはまね出来ない)



例によって成功しなければ朝まで生居残りが待っている。マジ震えてきやがった………怖いです;;






「おーけーですか?」

「「hai!!」」



うはようじょこわい;;;;;;;;;





28 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:35:18.26 ID:Bor7iMT50




はぁ………と、溜息を付いて窓の外をボーッと眺める。小萌先生には悪いが、こんな無駄な補修だったらインデックスの盾にでもなっててやるべきだったと思う。


あの後、ブロントさんは「ちょと用事があっからよ。夕方には戻るます」と言って出かけてしまい、肝心のインデックスも、謙虚にも上条の誘いを断り、家を出て行ってしまったのだ。



「私の魔道書を狙う魔術師に狙われている」とか「家ごと爆破されたくはないよね?」とか「イギリス清教の教会に匿って貰うから大丈夫」とか言っていたが、実は不安で仕方ないのがバレバレで………


ちなみに彼女は家を出るときフードを家に置き忘れていた。
なんか廊下に通りすがりの清掃ロボットとぶつかった時に落としたと勘違いしてしまったらしく、カカカカッ、と追いかけて行ってしまったのだ。



問題は、何故すぐに追いかけて行ってフードを返さなかったか。そしてそれ以上に、なんで教会まででも護衛をしてやらなかったかなのだが、1つ目は彼女の笑顔があまりにも完璧だったからだと思う。


インデックスは影も曇りもない完璧な笑顔で「私と一緒に地獄の底まで付いてきてくれる?」と言った。
それは裏TELで「こっちにくんな」と言っているような物だった。


ブロントさんだったら持ち前の支離滅裂で理解不能(と言ったらメガトンパンチを奢られそうだが)な言葉と共に「いいぞ」と速攻で頷くんだろうが、今の上条にはそれが出来ない。
否、少女の完璧すぎる笑顔が、上条の心にストップを掛けていた。文字通り、動けなかったのだ。





そして2つ目の理由だが………










(ああ。そうだよなくっそ………)

29 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:36:37.42 ID:Bor7iMT50



上条はフードを『返せなかった』のではない。例えインデックスの姿が見えなくなっても、本気で探せば恐らく見つかっただろうし、もし見つからなかったら今もフードを片手に街中を走り回っている筈である。



繋がりが欲しかったのだ。彼女が、忘れ物を取りに上条の住む学生寮に戻って来るかもしれない。
そんな、あるかも分からないような希望にすがりたかったのだ。

怖かったんだと思う。彼女が、あまりにも完璧な笑顔を見せるから、何か繋がりを残しておかないと、幻のように消えてしまいそうで。


話は変わるが、上条は何も鵜呑みにインデックスの話を信じた訳ではない。
世の中には科学だけでは説明できない幾つかの力、と言うか法則がある。という事を彼女に合う前から『知っていた』のだ。

あくまで『知っている』だけであり『理解している』訳ではない為、上条には魔術が使えない。(と言うか右手に妨害されて終わりだと思うが)
それに彼女の言っていた『魔術』と、自分の知っている『魔法』は何かが異なるような感じがした。根拠がないただの勘だが。





(ああくそ。俺は何のために今日まで)

「センセー?上条クンが窓の外の女子テニス部のひらひらに夢中になってまース」


実は米所出身である青髪ピアス(偽造乙)の無理矢理関西言語に「おいィ?」と上条の意識が教室の中にバックステップすると





「………」



小萌先生が沈黙している。
授業を聞いてくれない上条当麻君にものすごくショックを受けているらしい。なんだかサンタさんの正体を知ってしまった十二歳の冬みたいな顔をしている。
と、思った瞬間、子供の人権を守るべくクラス中の敵意ある視線が上条当麻に突き刺さった。







上条の防御力がさがった。(ポ○モン話)


30 :貧弱一般人 [saga]:2011/08/22(月) 22:39:58.87 ID:Bor7iMT50
投下終了なんだが?
hai!これからはもう少し早くUPできるようししまうs;;
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/23(火) 13:40:44.96 ID:tw5ZbhrAO
来た!メイン>>1来てた!これで乙る!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/24(水) 08:12:20.84 ID:uMDUUO1ko
>教室の中にバックステップすると

なぜここは、バックステッポじゃないんだ!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/01(木) 20:59:39.52 ID:t83QRDhG0
うpまでに10日も掛かるとか・・・・・・・・・orz
投下します
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
34 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:01:37.51 ID:t83QRDhG0




上条は思う。夏休みの補修と言う物は完全下校時刻まで拘束する必要があるものなのかと。



「………、不幸だ」

夕焼けを受け銀ギラぎんに輝く風力発電の3枚のプロペラを眺めながら上条は呟いた。
学園都市は基本的に電車やバスの最終便を完全下校時刻に合わせてある。

夜遊び厳禁という、不良にとっては嬉しくない設定な為、自称永遠の不良であるブロントさんは「どちかと言うと大反対だな」と言ってカカッと何処かへ出かけたかと思うと、90分後に2台の真っ黒なバイクを持って帰ってきた。


上条が「買ってきたんですか?」と聞くとブロントさんは





「造った」


「え?」

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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35 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:03:33.42 ID:t83QRDhG0





「俺は謙虚なナイトなんだが、何か学園都市の大人達が夜遊びをさせない為とか言って電車やバスの最終便、英語で言うとファイナルレター、を早めてきた。「なにいきなり制限してきてるわけ?」言いたかったが、どこの誰に言えば問題が解決すると言う物ではなかった為、急遽バイクの闇系廃棄工場へと向かって格安で幾つかのパーツを買い取った。哀れにもフレアで溶かされて転生させられそうになっていた廃バイク達は「助かった、終わったかと思ったよ………」「もう一度風を感じたい『バイクに転生』はい『お願いします』と言ってきたので、俺はそいつらがナイトが乗るに相応しいバイクに転生させてやった。これはたった今日起こった話で英語で言うとダイジェスト」




「………そうですかありがとう。そういう許可書やら免許やら持ってますか?」

「持ってるよ」

「え?」

「許可書も免許も持ってる」

「………え?」

「つーかお前のバイクも悪化らよ。今から免許とりにいくぞ」

「え、ちょ、ま」

「教習所にのりこめー^^」

「ふ、不幸だー………?」




今の回想は実際にあった事で証拠で言うと過去ログ。

ちなみにその後、ブロントさんと、なんか教習所にいた熱血コーチ(女)の指導により、どうにかこうにか二輪免許(紙(ペーパー)だが)を習得した上条であるが、その際に持ち前の不幸スキルをはっ騎士、なんども転んで大怪我一歩手前まで行きそうになるわ、学校の勉強を犠牲にして頑張った為、自信があった筆記試験が電車のトラブルの為に遅刻してしまい、内容とはまったく関係がないのに大きく減点を食らうわ、免許を習得出来たは良いものの、そもそも上条の通う高校はバイク通学禁止である事を知り(事前に調べておけよww)あまりの不幸に絶望顔になるわと、まあ色々あったが説明するのが面倒臭いので省略する事にした(メタ話)


バイクを持っているのに使えなかった。何を言ってるのか(ry
な少年上条当麻は、終バスに逃げられ、延々と続く灼熱の商店街を歩いていたのだが


「あっ、いたいた。この野郎!ちょっと待ちなさ………ちょっと!アンタよアンタ!止まりなさいってば!!」


夏の暑さで頭がおかしくなって死にそうになっている上条は、常時スロウ状態のドラム缶型清掃ロボを見ながら、そういえばインデックスは探し物を追っかけてどこまで旅に出たんだろうかと考えていた為、初めそのTELが自分に向けられた物だと気づかなかった。




おいィ?と振り返る。そこにいたのは厨学生の女子だった。
そして上条はこの女子を知っている。つい何時間か前にもこの女子と模擬戦闘クエ(強制)を行っていたのだから。





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36 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:06:37.95 ID:t83QRDhG0




「………おいィ………、またかビリビリ厨学生」

「ビリビリ言うな!私には御坂美琴ってちゃんとした名前があんのよ!いい加減覚えなさいよ、アンタ初めて会った時からビリビリ言ってるでしょ!あとその変な口調もなんかムカツクからやめろぉ!!」



何か一方的に捲くし立ててきたが、初めて会った時からという単語に上条は、ほう………と、ログを確認する。

そうだ。確か初めて会った時、この女は不良(悪)共に粘着されていた。


そこで上条はある故事に習い



これこれ貧弱一般不良共、寄ってたかってリアル女子のサイフ盗もうとするとかお前ら絶対忍者だろ………と、浦島太郎的天界に持ち込もうとした所、おいィ?なに人のケンカ邪魔してきてるわけ?お前サンダーでボコルは………と、何故か女子のほうに逆ギレされたが、右手ガードで固めた上条に隙は無かった。哀れにも電撃は裏世界でいくえふめいとなった事が女子としては不思議らしく、おいィ?なんでサンあdが効かない訳?じゃあコルは?おいィ〜?と、こんな感じで現代にいたる。




「………あれ?何だろう。悲しくないのに涙が出るよお母さん」

「なに遠い目してんのよアンタ………」



上条は補修でHPもMPもマッハでやばいので目の前のビリビリ女を適当にあしらう事にした。



「何やら呆れ顔で上条の顔を眺めている女は、昨日もぽpした超電時報女だ。どうやらたった一度のケンカに負けたのが相当悔しいらしく、それから上条に粘着しては返り討ちにあっているのだ」

「………誰に対して説明してんのよ?」

「性格『気が強い』『負けず嫌い』に思わず目が行くが、実は『寂しがりや』でもある為、クラスの動物委員を務めているらしい(笑)」

「勝手に変な設定考えんな!露骨に笑ってんじゃないアンタ!!」



両手をヒュンヒュン振り回す御坂に道行く人々が注目する。まぁ無理もない。美琴の着ている一見何も変哲がなさそうな装備(夏服)は、実は学園都市でも五本の指に入る名門(エース)常盤台厨学生徒専門の限定装備なのだ。ラッシュ時の駅の中でも何故か目立っちyえしまうという、あの気品力バツ牛ん!!の常盤台のお嬢様が、電車の床に座ってケータイいじっている人間と同じ風に動いていたら誰だってホンの僅かにビビる。




「でー、何のようなんですかビリビリ?つーか7月20日なのになんで制服装備?補修ですか?」

「ぐ………う、うっさいわね」

「動物小屋のウサたんが気になったの?」

「だから勝手に動物属性付け加えてんじゃないわよ!それよかアンタ!今日と言う今日こs」

「『お断りします』」

「最後まで聞きなさいよ!あと何d」

「動物委員じゃないから」

「こ―――――――――の。っざけてんじゃねーぞアンタぁ!!」







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37 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:12:23.73 ID:t83QRDhG0



ドン!と、中学生は勢い良く歩道のタイルを踏みつける。
瞬間、辺りを歩いていた人達の携帯電話が一斉にバキンと凄まじい音を立てた。商店街の優先放送がプツリと途絶え、そこらを走っていた警備ロボットがビギンと嫌な音を鳴らす。

パリパリ、と。厨学生の髪が静電気のような音を立てる。
生身の体一つで超電磁砲を扱う超者能力の少女はなんか獣のように犬歯をむき出しにして笑い



「ふん。どうよ、これでようやく腑抜けた頭のスイッチ切り替えられた?―――――――――むぐっ!」

と、余裕綽々の御坂美琴の顔面全体を覆い隠すように、上条は慌てて片手で口を塞ぐ。


(だ、黙れ、うるさい黙れ、お願いだからその口を閉じて黙っテ!ケータイ焼かれた人間みんな怒りが有頂天に達してるからっ!!バレたらみんな弁償で上条さんのお財布は氷河期を超越した無限ノ絶対零度(エターナル・フォース・ブリザード)に包まれるからっ!!)



上条はここにブロントさんがいなくて本当に良かったと思っていた。ブロントさんは何故か電波障害や、通信電波の類に非常にうるさいのだ。

以前2人で数人のPTメンとオンラインゲームをプレイし手の所、なんか鯖がハッキングの類の妨害を受けたらしく、今までの冒険の書的もの(セーブデータ)や自分達の分身、その装備、挙句の果ては世界そのものが突如として裏世界でひっそり幕を閉じる羽目になった。
上条があまりの不幸さに絶望顔になっていると、ブロントさんは何も言わずに部屋から出て行って、9分後ぐらいに帰ってきた(無言)。
なんとなくテレビをつけるとなんか緊急特番的なものが突如として組まれたらしく、ほう、と意識をやると、テレビに顔面をボコボコにされたブリーフ一丁の男が5人。路地裏のビル側面に逆さまに貼り付けられている画像が映し出されていた。
おいィ!?と一瞬混乱が鬼なった上条だが、5人のすぐ近くに立てかけられた看板がアップされるとそこには




『○×サーバーを△時□◇分にハッキングしたのは僕たちdえす。迷惑掛けてすみまえんでしたorz』



と、書かれていた。何かテレビはダークヒーローが云々かんぬん言っているが、上条は犯人が一人しか思い浮かばなかった。

とまあ、ブロントさんは電子類のハッキングや妨害などには微塵の容赦もない。徹底的に★を洗い出して殺す(社会の恥的に)のだ。










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38 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:15:13.32 ID:t83QRDhG0




考える間でもなく美琴との愛称は最悪だろう。美琴の行ってきた事をブロントさんが知ったら、どうなるか………想像もしたくない。
正直上条にとっては、ザマぁwwwwな展開でもあるのだが、何せこうなった時のブロントさんは何をしでかすか分からない。ブロントさんは手加減はするが、容赦はしないような人だった。



そんなこんなで何となく銀髪のシスター少女を思い浮かべながら、上条はブロントさんから聞かされている神様達に向かって必死で祈りを捧げてみる。
と、祈りが通じたのか、誰も上条と美琴に詰め寄るような事はなかった。



助かった、終わったかと思ったよ。と、上条は(微妙に美琴を窒息させつつ)安堵の溜息をつく、と。







『―――メッセージ、メッセージ。エラーNo.100231−YF.電子法に接触する攻撃性電磁波を感知。システムの以上を確認。電子テロの可能性に備え、電子機器の使用を控えてください』






幻想殺しと超電磁砲はひややせ掻きながら恐る恐る振り返る。
ぷすぷす、と。煙を噴いて歩道に転がるドラム缶がよく分からない独り言を呟いて、次の瞬間、警備ロボットは甲高い警報を当たり一面に鳴り響かせた(サイレン)













もちろん逃げるに決まっていた。(とんずら)





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39 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/01(木) 21:19:04.95 ID:t83QRDhG0
投下終了です。


なんか原作と変わりなく話が進んでますが、次回からオリジナル要素がホンの結構出てくるので注意するべきそうすべき。


>>32すみまえんでしたORZ;;気をつけまsう;;
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40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/02(金) 19:46:51.32 ID:vs0YRs0AO
>>1乙!次も期待して待ってます。
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41 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:02:16.91 ID:2AWmuUu50
2週間以上放置するSSとか効いた事ないんで抜けますね^^;;
(すみまえんでしたorz)

今回は後書きで色々説明(言い訳とも言う)させて頂きます。
42 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:08:55.16 ID:2AWmuUu50







今日び320円では牛丼大盛りも頼めない。






文庫本サイズのお弁当をおハシの先でちょこちょこ食べてる女子にはご理解できないだろうが
育ち盛りの汗だく野郎にとって牛丼並盛なんぞは『オヤツ』にしかならないのは確定的に明らか。



………………………が、上条当麻にとっては些細な問題に過ぎなかった。



確かにお財布には320円しか入っておらず、バリ2の金欠状態ではあるがそもそも今上条の腹はブロントさんお手製の生姜妬き弁当で満たされている。
確かにホンの少々腹が減ってはいるが、寮に戻って適当におやつを食べれば余裕で夕食まで持つだろう。




御坂美琴(ビリビリ女)をおっpらった上条は、陽の落ちた学生寮の前まで戻ってきていた(HP)


学生寮LSメンは勿論、人の気配は無い。
おそらく夏休み初日で『封印が解けられた!!』頭がhitしてしまい、みんな街に出て遊び呆けているんだろう………………と、考える奴がぜnいんだろうが





「………………………おいィ?」



上条の察知スキルはかなりやばいレベルで凄いのでホンの僅かな異変にも気づく。

43 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:14:43.96 ID:2AWmuUu50





上条が住んでいる学生寮は、見た感じ典型的なワンルームマンションだ。スクエア形ビルの壁一面に直線通路とズラリと並ぶドアが見える。鉄子牛のような金属の手すりに『身に巣か覗き防止用』のプラ痛が張ってないのは、ここが『男子寮』だからだろう。



入り口は確かにオートロックになってはいるが、両隣のビルとの間隔はそれぞれ2メートル(9メートルで良い)。
今朝インデックスがやったように、多少運動スキルが低い雑魚でもビルからビルに飛び移る事で簡単に侵入できてしまうというあるさま!!この寮はもう駄目かな、セキュリティがこんなんでは持つ筈がない。


と、そんな貧弱一般寮に漂う異様な空気を上条は鋭い直感で感知。
この直感は上条の『不幸』スキルによって日々鍛えられている物で、生半可な罠は哀れにもその存在がバレてしまう。


まず見た目に注目するのだが、幾らなんでも学生寮だけじゃなく『周囲を見渡しても人っ子一人いない』のは流石におかしい。
感覚スキルでも、周囲に人の気配が全く無いという裏を取ったという意見。これだけでも十分怪しさは確定的なのだがさらに攻撃は続く。


これは上条だからこそ分かるのだが、なんとなく『あの世界』と感覚がホンの僅かに似ている感じがした。
それはあくまでも極々弱いものだが、確かに肌で感じ取った紛れも無い違和感であると言う意見。



そして何よりも、小さい頃から付き合ってきた自分の圧倒的な不幸スキルと直感スキルが上条に不穏な空気を確信させていた。







「ん?」



ふと顔を上げる。考え込んでいた上条はようやく気付く事が出来た。
9階。上条の部屋がある階の通路を、なんか片足を引きずる様に歩いている真っ白な服を着た少女がいる事に。


見覚えのある白色Tカップ布装備を、それと認識するまでも無い。












「インデックス………?」


44 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:20:56.51 ID:2AWmuUu50




何か、嫌な予感がした。背筋を伝うように、ゾクリとした寒気が這い上がってきて上条の体を震わせる。



『不幸』なんてもんじゃない。今自分が感じた悪寒は『そんな生易しい物ではない』


                         .............
考えるより早く体が動いていた。オートロックを抜けて『管理人質と呼ばれる物置』
の横をすり抜けてすぐ横にある螺旋階段を一気に駆け上る。
まるで自己ベストの更新を目指す陸上選手の如く、上条はインデックスの元を目指す。




慌てて足元を滑らせてしまい、何度か転びそうになったが、それでもかなり早く急遽9階に辿り着く事が出来た。



「はぁ………はぁ………」


何時もなら、この位の事では息切れしない筈程度には体力が付いている筈なのに
上条当麻の服は汗でぐっしょりと濡れている。先ほどの悪寒は、いまだ消える事無く上条の体を冷やし続けていた。





「インデックス!お前何し………………………え?」



上条は一瞬、本当に一瞬だが完全に固まった(石化)。
まるで、世界中の時が止まってしまったかのようにも感じられる(ザ・ワールド)


不思議魔術少女、インデックスは、上条の部屋の前でうつ伏せにぶっ倒れていた。
しかしここで「また空腹だよ(笑)」とかぬかす奴がいるなら上条はそいつを容赦無くぶっ飛ばすだろう。

うつ伏せに倒れたインデックスの背中………ほぼ腰(英語で言うとウエスト)に近い辺りが真横に一閃されていた。
まるで定規とカッターナイフを使ってダンボールへ一直線に切り込みを入れたみたいですねと言われた事もある。

腰まである長い銀髪の毛先は綺麗にカッティングされていて、その銀髪も傷口から溢れ出す赤い液体に染め上げられていく。
どうやら刀傷のようで、一瞬あのネガ侍が頭に思い浮かんだが、何か色々腹が立ったのですぐに破棄した。





上条が一瞬でそこまで思考して、そして、ようやく時が動き出した。



45 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:25:27.58 ID:2AWmuUu50





「………ッつ!!おい!しっかりしろインデックス!!」


物凄い瞬発力で、瞬時にインデックスの元へと駆け寄る。
しゃがみ込んで右手に触り、脈を診ると、ひどく弱くなっているものの、確かに動いていた。
次に彼女の顔に耳を近づけて呼吸の有無を確認すると、こちらもひどく静かで、絶え絶えとした様子だったが、確かに息をしている(確信)。





彼女は、インデックスは確かに生きていた





「………よし!」


上条は9秒掛からずにそれらを確認し終えると、続いて学生カバンの蓋を開け、
裏地の部分にある幾つもの小物入れの中から1番右と、その隣のポケットに収められている物を取り出す。
濃い緑色をした、自転車のハンドル部分より少し小さめな大きさに丸めてあるそれは、ブロントさんが作ったナイト特製の包帯だった。


上条はインデックスの修道服を上手く捲ると、ザックリと切られた傷口に沿う様に、手早く包帯を巻き付けていく。

ブロントさん曰く「幾つもの厄草と秘伝の合成方が備わり最強に見える。
ナイトのケアル程の回復は残念ながら『ありません』が、コストも安いし凡庸性も高い」らしい。


上条もこれに何度もお世話になっている為、その効力は実証済みだ。当然ながらこれだけで完治とまでは行かないだろうが、さらに回復は続く。

上条はインデックスの頭を抱き締めるように抱えると、小瓶に入った淡い黄金色に輝く液体を、少しずつ、慎重に、その小さな口へと流し込んでいく。


液体の名を『光酒』同じくブロントさんはからもらった物で、生命の源みたいなものだと言っていた。

色々な事に役立つ、BAN能の回復薬にもなりますが、大怪我をしている奴や衰弱している奴にイッキに飲ませると
なんか生命力がバーサクして余計に命がマッハになるからそうゆう時は謙虚にゆっくりとやるべきそうすべき。とも。


光酒はなんとも表現しがたい香りがするのだが、凄くおいしく、上条が1日1回。
寝る前に欠かさず飲んでいる日課であり、楽しみでもある。(ちなみにお酒っぽいものであるだけであって飲酒とは無関係)


46 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:28:45.26 ID:2AWmuUu50





なんでインデックスがこんな哀れな状態になっているのか理解不能状態で頭がおかしくなりそうな上条は、それでも懸命に手当てを続ける。




「ふざけやがって………ッ!!」


彼女は言っていた「君だって家ごと爆破されたくは無いよね?」と。
それはつまり彼女をこんな目に合わせた『魔術師』とかいうやつがいるという証拠であると言う意見。

つまりインデックスはこんな目に遭うであろう事が予想できたにも拘らず、上条とブロントさんを頼ろうとしなかった。
むしろ、巻き込まない様に遠ざけていた。




「ふざけやがって、ちくしょおォォォォォォォォォ!!」



思わず大声を出して叫んでいた。あまりの怒りに頭がおかしくなりそうだ。

彼女をこんな目に合わせた魔術師に
上条やブロントさんを頼ろうとしなかった彼女に




そして………彼女の傍にいてやらなかった、自分自身に。騎士(ナイト)の役目を果たせなかった、自分自身の無能さに。









怒りながらも、上条はその手を決して緩める事無く、彼女の治療を進めていった。


47 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:44:23.51 ID:2AWmuUu50

投下終了です。


Bronnt<何かいう事はありまうsか?

1<季節の変わり目って忙しいよね?

Bronnt<そうですかありがとう、てゐルズ新作おもしろいですか?

1<hai!!………あ

Bronnt< ^^

1< ^^;;………バッツクステッp Bronnt<ハイスラァ!!1<アーッ!


9月にゲームの新作が大量発売されるのはずるい。



ていう半分冗談はさておき、本当の言い訳を(半分は本当かよwwww)

48 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/17(土) 03:49:09.81 ID:2AWmuUu50


え〜とですね。まず>>1で「FF11及び東方有頂天キャラは特定の人物を除き、出さない」と言ったな。「あれは嘘だ」


出したほうが面白くなりそうなシナリオが思いついたのでご出演頂く事にしました。ですが東方キャラはそこまで出現率は高くありません。どちかというとFF11、ネ申寄りです)


その為にシナリオを構成しなおしてたらこんなに遅くなってしまいました(でもそれって只のいい訳ですよね?)
こんな貧弱一般SSで良ければこれからもお付き合いください。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/18(日) 14:35:56.75 ID:2lbd9+iAO
乙!このSSを読んだ事によって俺の楽しみが有頂天に達して喜びが鬼なった。
>>1さん頑張ってくだしあ。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 03:23:16.20 ID:CyCHTSSco
まだか
51 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/29(木) 01:27:59.23 ID:8qZEOm//0
すみません本当すみまえんorz

番外編(上条さんの過去的な何か)を書くのが楽しくて楽しくて夢中になっている間にまたこんなに空いてしまったと言うあるさま!

明日か明後日には必ず投下します。
52 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 22:57:12.52 ID:Uhf99wxI0
投下します。
53 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:07:01.49 ID:Uhf99wxI0



光酒を全て飲ませ、1回目に巻いた包帯を取り替え、2回目の包帯を巻き終えた頃、ようやくインデックスの呼吸が整ってきた。




よかった………と、上条は一瞬だけ安堵して、体の中に溜まっていた鬱を吐き出すように溜息を漏らす。
混乱した頭と体を整える様に大きく深呼吸して新鮮(と言えるかどうかは分からないが)な空気を体内へと取り込んだ。

余談ではあるが、この呼吸法も教わった物だった。単なる深呼吸ではなく、特定のタイミングとリズムで呼吸する事により、体長を整え、HPや状態異常を回復する事が出来る


………らしいのだが、今の上条の実力では身を落ち着かせるのが精一杯である。


なんとかコンディションを整える事に成功した上条の心をまず支配したのは、やはり怒りの感情だった

彼女をこんな目に合わせた魔術師とか言うナメた野郎は勿論、こうなる事を知っていて上条やブロントさんに何も言わなかったインデックス。
そしてリアル女子の盾にすら成れなかった無力な自分に、上条は怒っていた。


「くそ、くそっ!!」

誰に届くわけでもないのに、上条は叫んでいた。


「何だよ、一体何があったんだ!?ふざけやがって、一体どこのどいつにやられたんだ、お前!!」











「うん?僕達『魔術師』だけど?」


54 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:09:43.64 ID:Uhf99wxI0



返る事が無いと思っていたQに返答するAは、思わぬ所からやってきた。


当然ながら、酢タンしているインデックスの声ではない。殴りかかるように上条は体ごと振り返る。エレベーター………ではない。その横にある非情階段から、男はやってきたようだった。
普段の上条であれば、声を掛けられる前に、その存在に気付いただろうが、混乱した頭で必死になってインデックスの治療を続けていた為、気づく事ができなかった。

2メートル近い身長の白人の男の顔は、上条より幼そうに見える。歳は………おそらくインデックスと同じ十四、五だろう。
その高い身長は外国人特有の物だ。服装は………教会の神父が着ているような、漆黒の修道服装備だが、コイツを『神父さん』と呼ぶ人間は世界中を捜しても誰1人として存在しないと思う(確信)。

15メートル以上はなれた距離からでも漂ってくる甘ったるい香水の臭い。
肩まである金髪は、逢魔が時の日を思わせる赤色にジョブチェンジし、左右10本の指には銀色の塊で出来た鉄の指輪(塗装話)がメリケンの様にギラリと並び、耳には毒々しいピアス、ポケットからは携帯電話のストラップが覗き、口の端では火の付いたタバコが揺れている。



極め付けには右目の瞼の下にバーコードの形をした刺青が刻み込んであって、上条は一瞬、スーパーやコンビニのレジにあるバーコードを読み取る機械を押し付けてみたい感覚に駆られた(9円で良い)




神父と呼ぶにも、不良と呼ぶにもミステリーな男。通路に立つ男を中心とした、当たり一体の空気は明らかに『異常』だった。



貧弱一般人が使ってきた常識が全部通用しないような、全くもって別のルールが支配しているような、そんな感覚が、氷の触手(触手プレイとかいやらしい………)のように辺り一帯に広がっている―――――――――










――――――――――――――――――のだが、上条当麻は少しも動揺していなかった。








実を言うとほんのちょっと僅かに戸惑ったのだが、これ以上の物を上条当麻は見た事がある。
この男が放っている異様な雰囲気が跡形も無く消し飛ぶほどの物を、世界を、存在を、上条当麻は知っている。



………まあ要は慣れていただけの話だ。目の前の魔術師はあまり動揺しない上条に僅かながらに不審の目を向けるものの、その興味はすぐに倒れているインデックスへと変化した。



「うん?うんうんうん、神裂が切ったって聞いたからもっと派手に血を撒き散らしているものだと思っていたんだけどねぇ?」

口の端のタバコを揺らしながら、魔術師は上条をさほど興味が無さそうな目線で見つめる。

「随分落ち着いてるみたいじゃないか。君が治療したのかい?素人とは思えないし、君、医学生か何かなのかな?」

「何で………」

「うん?ああ、彼女がここまで戻ってきた理由かな?さあね?忘れ物でもしたんじゃないのかな。そう言えば昨日背中を切った時点では被り物があったけど、あれってどこで落としたんだろうね?」

目の前の魔術師が言った『戻ってきた』と言う単語に、上条は強く反応する。

インデックスは言っていた。一級装備『歩く教会』は絶対(法王級)の強度を誇るメイン装備だと。
そして魔術師達はインデックスの『歩く教会』が持つ『異能の力』的なオーラに感知を掛けてストんキんぐしてくると。



55 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:13:11.75 ID:Uhf99wxI0


粘着される事が分かっていながら、インデックスは『歩く教会』を装備し続けた。その圧倒的な盾スキルに頼ってきた。
けど、それはもう過去の話。今の『歩く教会』は、上条の右手によってその力を失った、ただの貧弱布装備に過ぎない。

上条がまだ右手で触ってない、インデックスが上条の部屋に忘れた被り物を除いて―――――――――






『………じゃあ。私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?』






不意に、全てが繋がった。

つまりはそう言うことだ。


インデックスが上条の部屋に忘れたフードを探知して、魔術師がやって来てしまうのではないかと彼女は考えた。
だから、危険を冒してわざわざ『戻ってきた』。



間接的とは言え、上条の盾になる為に………




「………、ばっかやろう」

そんな事をする必要は無いと言う意見だった。『歩く教会』を壊したのは上条の不手際だし、部屋に忘れた被り物にしたって上条は気付いていながらわざと部屋に放置しておいた。そして何より―――――――――

インデックスは、上条の人生を守り抜く義理も義務も権利だってありはしないはずなのに。

それでも、彼女は引き返さなければ気が済まなかったのだろう。
赤の他人の、出会って30分(90分で良い)も経ってない上条当麻の事を。
命を掛けて、魔術師達との戦いに巻き込ませないために。
戻ってこなければ、気が住まなかった



「―――――――――ばっかやろうが!!」

ピクリとしか動かないインデックスの背中が、妙に癇に障った。
上条が不用意に右手で彼女に触らなければ、『繋がり』なんぞ求めなければ、あの時、あの瞬間、キチンと彼女が落としたフードを返していれば。


そして何より………あの時、彼女の盾になると言う決断をしてさえいれば


「うん?うんうんうん?嫌だな、そんな目で見られても困るんだけどね」

魔術師は口元のタバコを揺らし


「ソレ、を切ったのは僕じゃないし、神裂だって何も血まみれにするつもりなどなかったんじゃないかな。『歩く教会』は絶対防として知られているからね。本来ならあれぐらいじゃ傷もつかないはずだったのs「何か必死こいて言い訳してきたがそんな事はどうでもいいという意見」

上条は魔術師の長ったらしい台詞を強引に断ち切る。この男の持っている情報は欲しいが、無駄話にまで付き合う必要は無かった。

魔術師はつまらなさそうに、はぁ、と溜息を付いただけだった。

56 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:17:36.97 ID:Uhf99wxI0


「1つ、答えろよ」

答えを期待してないにもかかわらず、上条は問った。


「何でだよ。お前たち魔術師にだって正義と悪ってモンがあるんだろ?守るものとか護る者とかあるんだろ………?」

そんな事、偽善使いで未熟者の自分に言えた義理ではないのは良く分かっている。
上条当麻は、去っていくインデックスを見捨てて、そのまま日常へと帰ったんだから。

それでも、言わない訳にはいかなかった。


「こんな小さな女の子を、寄ってたかって追い回して、血まみれにして。これだけの現実を前に!テメェ、まだ自分の正義を語ることができんのかよ!!」

「だから、血まみれにしたのは僕じゃなくて神裂なんだけどね」

なのに、魔術師は一言で断じた。微塵も欠片も、響いていなかった。


「もっとも、血まみれだろうが血まみれじゃなかろうが、回収する物は回収するけどね」

「回収?インデックスをか?」

「うん?ああそうか、魔術師なんて言葉を知っていたから全部筒抜けかと思ってたけど。ソレは君を巻き込むのが怖かったみたいだね」

魔術師はタバコの煙を吐いて


「そう、回収だよ回収。正確にはソレじゃなくて、ソレの持ってる10万3千冊の魔道書だけどね」

「おいィ?いい加減な事いってんじゃねえ、どこにインデックスが10万3千冊も本持ってるって証拠だよ?」

「持ってるのさ。ソレの頭の中に」

サラリと。魔術師は当然のように答える。






「『完全記憶能力』って知ってるかな?」


57 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:23:53.72 ID:Uhf99wxI0


その言葉を聴いた途端、上条の中で1つのパズルが組みあがった。

前にブロントさんから聞かされた事があったのだ。魔術でも超能力でもなく、特殊な体質を持った人間と言うのは、少なからずこの世界に存在する。そして『完全記憶能力』の持ち主は『一度見た物を一瞬で覚えて一文字一句を永遠に記憶し続ける程度の能力』の持ち手だと。初めて聞いたとき上条は、テストのときすげー楽そうで良いなぁ………と羨ましく思っていた。


インデックスが本当に『完全記憶能力』の持ち手なら、10万3千冊はおろか、一兆冊だって余裕で記憶できる訳だ。






さて、聞き出せるであろう情報は大体聞き出した。





魔術師は上条の変化に気付かず、インデックス自身は魔力を練る力を持ってないから無害だの、使える連中に連れ去られる前に保護にやってきただのペラペラペラペラくっちゃべっているが、上条はもうそんな事に大して興味は無かった。







興味があるのは、ただ一つ、やる事も、ただ一つ。







ダンッ!! と言う音が、廊下に響いた。






「………は?」

魔術師は一瞬なにが起こったのか分からなかった。自分と相手の少年の距離は約十五メートルもある。
幾ら相手が学校の体育で好成績をたたき出しそうな男子高校生であろうとも、自分との距離をゼロにする為には6歩はかかる距離だ。事実、上条は6歩で魔術師との距離を0にした………




問題はそのスピードだった。




一瞬………とまでは流石にいかないが、上条は一般人ならばありえないスピードで魔術師との距離を0にする!!




「ッつ………!!」

何か慌てて修道服の中に手を突っ込んで何かやろうとしているようだが時すでに時間切れ。


「メガトンパンチ!!」




ブロントさん直伝の必殺の拳が、魔術師の体を勢い良く吹っ飛ばした。

58 :貧弱一般人 [saga]:2011/09/30(金) 23:36:57.85 ID:Uhf99wxI0
投下終了です!次回からはもうちょっと早く投下出来そう………かも。


さて、もうお気づきかと思いますが、ここでこのSSの要点&告げていなかった事をまとめたいと思います。


まず『このSSの主人公はブロントさんではありません』

このSSは、あくまでも『カッコ良いブロントさん』を書くのが目的な為、ブロントさんは大活躍しますが、出番が全く無い回が続く事もあります。あくまでも『主人公は上条さん』です。


次に『上条さんのスペックを原作より大幅に上げています』

上条さんのスペックが上がった理由は………まあ言わずもがなでしょうwwww
そもそも基本スペック以上のことをやりますしね上条さんはwwそのための理由付けでもあります。

それではまた次回に。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/02(日) 19:49:29.69 ID:8UrDlJ2AO
おお来てた。乙です。
ブロントさんの出番が多いと皆から一目置かれるらしいまあ一般論でね。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/12(水) 10:56:02.82 ID:SruEQ/xAO
俺は古代からいるブロンティストなんだが>>1のSSを見て「ほう・・・」というか鬼なったがアワレにも更新が遅く想像を絶する悲しみが俺を襲った
>>1はなるべく生存報告してくれませんかねぇ?「>>1がいないスレに未来は無い」「楽しみがなくなる」的な考えが頭の中をひゅんひゅん飛ぶんですわ?お?
61 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 21:43:47.03 ID:ljVHGJ1c0
本当にすみませんorz

俺はこのSSを書いている貧弱一般人なんだが哀れにもリアルがとんずらで、生存報告が遅れてしまい、挙句の果てには心配させてしまうあるさま!!
俺も言い訳をしようと必死になって頭を回転させたが何も思いつかなかった。

エターなりはしません。(断言)

とりあえず投下
62 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 22:48:19.18 ID:ljVHGJ1c0



「ふっ!はっ!!てりぃりゃああああ!!」

「ぐ、がッッ!!」



魔術師の頭は目の前で起きている事が理解できずにいた。



上条の拳が、脚が、的確に自分の体へと打ち込まれていく。それも、物凄いスピードと威力でだ。

ここは科学の街「学園都市」だという事は魔術師も十分理解していた。その、現代より2,30年ほど進んだ科学技術によって、人の脳を改造する事で超能力者と呼ばれる存在を創り出しているという事も、勿論知っている。(常識)

だからこそ、インデックスに接触したこの少年の事を事前に調査し、喧嘩っ早いだけの「レベル0(無能力者)」という事が確認できたからこそ、自分一人でインデックスの保護へと赴いたと言うのに。


「追撃の………!」

「つッ………!」

必死になってマントでなんか回転しながら攻撃をかわそうとしているが、ソレは無駄な努力と終わる。
上条は勢い良く地面を踏み抜くと、激突するかの様な勢いで左手を魔術師の胸目掛けて打ち付ける!



「グランドバイパァアアアアアアアアア!!」



マントその物をぶち抜くかの様に放たれた迅く、キレのある一撃は、魔術師の体の芯を的確に打ち抜いていた。



「ごッ………は………っ!」

9メートルほど通路を跳んだ魔術師は地面に突っ伏し、そのまま動かなくなった。


「たっく、手間掛けさせやがって………面倒くせぇからそのまま寝てろよ?」

上条はダルそうに言うと、地面に突っ伏したままの魔術師に背を向け、ゴソゴソとズボンのポケットから画面にヒビが入った携帯を取り出した。
今朝インデックスが上条の部屋を出る際、不幸にもポケットから滑り落ち、そのまま踏み付けてしまった為、液晶画面は哀れにも砕け散ってしまっているが、幸い通話機能は生きていた。


「えっと………とりあえず警備員(アンチスキル)………は、駄目、か?何か色々複雑な事情があるっぽいし。………ブロントさんが協力してくれると良いんだけど」

不幸だ………、そう呟いて小さく溜息を吐いた。

上条は自分の体質を良く理解している。その、今まで何度も修羅場を潜り抜けてきた経験を生かして言うと、今回のは特にヤバイ、マジでヤバイ、上条オリコン修羅場ランキングTOP100(99で良い)に入るぐらいヤバイ。

何より、事に一段落付ける為だけに、謙虚なナイトの力を借りなければいけない状態にある。なまじケンカが強いだけの高校生である自分ができる事など、限られているのだから。
上条は自分の実力と力(スキル)をしっかりと把握できる男だった。


とりあえずブロントさんにTELを入れようと携帯の番号を090− 






63 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 22:52:52.07 ID:ljVHGJ1c0









と、そこまで打ち終わって








64 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 22:58:47.48 ID:ljVHGJ1c0



「――――為せ―――――――――ッ!!」

「ッ!!?」


上条はとっさに大きく前方へ跳んだ。直後、今まで上条がいた場所が巨大な炎柱に包まれる。
轟!! と空気を一気に取り込んだ炎の柱は、深紅に燃え盛り、重油のような黒くドロドロとした物が芯になっていた。

それは、人間の形をしていた。上条にはその姿がまるで、タンカーなどに積まれている真っ黒な重油に漬け込まれた人間が、火あぶりにされているように見えた。だがその刑は決して終わる事はない。その者は永遠に燃え続ける運命にある。

その名は『魔女狩りの王(イノケンティウス)』その意味は『必ず殺す』

地面に突っ伏しながら上条を睨み付けている魔術師ステイル―マグヌスが放つ、文字通り必殺の一撃だった。
轟々と燃え盛る炎の巨神は両手を広げ、それこそ砲弾のほうに上条当麻へ突き進み、







「アーイ……キャーン………………フラー――――――――イ!!!」

「………は?」







ダン!!と。
まるでバンジージャンプを跳ぶかのような手軽さで、スカイダイビングをするかのような勢いで。
上条当麻は『飛んだ』跳んだ、では無く『飛んだ』。炎神が上条に熱い抱擁を交わそうとする一瞬前。両足に力を溜めて、思いっきり左後ろ上方へと飛んだ。学生カバンを忘れずに持ちながら。

一階下の手すりに捕まり、通路に体を乗り上げる………なんてチャチなレベルでは無い。手すりを大きく飛び越え、本当にそのまま大空へ羽ばたくかのような勢いで、上条当麻は大空へと飛んだ。

が、当然鳥のような翼もなければ、ロケットを積んだ万能型アンドロイドでも無い上条は、重力という世界の法則に逆らえる事無く、下へと落下して行く。
命綱も為しに7階から飛び降りれば普通の人間なら高確率で死が待っているのだが、上条当麻にその常識は通用しない。

落下中、その脚で器用に学生寮の壁を思いっきり蹴り、学生寮の敷地内に生えている常緑樹(丁度3階位の高さ)の枝が密集している地帯に大きく体を突っ込んだ。………が、枝が折れる音はしない。




数秒もすると、まるでサルの様にスルスルと木の幹を伝い、地面に降り立った上条がいた。


65 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:08:40.67 ID:ljVHGJ1c0



「くそっ!ふざけやがって!!」


ステイルは烈火のごとく苛立っていた。

結局あの後、上条はステイルの方をじっ………と少しの間見つめただけで、そそくさと学生寮の敷地外へととんずらしてしまったのだ。
拍子抜け、肩透かし、なんてものじゃない、一瞬呆然としたステイルを次に襲ったのがとめどない苛立ちだった。
『魔女狩りの王』は使い損。余計な魔力を消費した上、騒ぎを大きくされ、(恐れがある)おまけにボコボコにされたお返しは微塵も出来ないまま。


「今日は厄日だ………」

大きく溜息を吐く。
ステイルとしてはせめて上条の部屋のありとあらゆる物を焼き尽くしてやりたい気分だったが、今の自分にはそんなクソの役にもたた無い事をしている暇など無い。


「………だけど、まぁ、いいさ」

ステイルはそっと微笑む。そうだ、まぁ良い。こうしてインデックスは無事回収できるんだから。
ぶっちゃけ上条に傷だらけのインデックスを盾にされていた場合、ステイルの勝算は薄かった。だが上条はこの場から逃げた。
警備員とかいうこの街の警察っぽい物を連れて戻ってくる気かもしれないが、戻ってきた時にはすでにこの学生寮はもぬけの殻だ。

ステイルは上条に殴られた部分を摩りながら、極々小さな声で呟いた。






「………この傷は、彼女の治療代の肩代わりとして貰っておいてあげるよ」



























「………なんて展開にでもなってんのかねえっと」


66 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:15:59.91 ID:ljVHGJ1c0



当の上条本人は、一定の距離を置いて作られた学生寮郡の間にある僅かな隙間。
上条が暮らしている学生寮の死角からステイル達のいる学生寮を見つめていた。


「もう戻ってきたのか!」「はやい!」と、状況だけ見た貧弱一般人はそう思うかもしれないが、警備員の影などどこにも無い。正真正銘、上条ただ一人だ。
そもそも上条にフレを見捨てて逃げる気など元から無い。あれは「逃げたふり」であって「退却」とは無関係である。

それにしても学生寮の7階から紐無しバンジーをしたと言うのにまったく動揺が無い。まるで何でも無いかのように平然としている。
普通では動揺なんて表現では済まない位の状況だというのに、上条には少しの混乱見え無えなかった。

いや、上条本人から言わせて見れば「十分動揺しているし混乱している」のだが、なにかと

「これ以上のヤバイ状況になった事が何回かある」為、それほどでもない状況に思えてしまうのだった。




………まあそのヤバイ修羅場と言うのが主に、というか殆どブロンさん達の「修行」による物だと考えると目からなんか熱い物が流れそうになるのだが。




「にしてももすげえ数だなありゃ、あれがルーンカードって奴か」

今上条がいる学生寮の死角からでも、それは見えた。(視力A+)
床、天上、ドア、消火器の腹、7階以下のありとあらゆる場所に、テレホンカードぐらいな大きさの紙切れがセロハンテープで貼り付けてある。

紙には一つ一つに「X」「P」「B」だの、所謂「ルーン文字」が記されていた


因みにルーン文字(ルーンもじ、Runic alphabet)とは、ゲルマン語の表記に用いられた文字体系で、スカンジナビア語やゴート語が源。「神秘」「儀」などを意味する。音素文字である。


実を言うと、上条はルーン文字を使った魔術を見るのは、これが初めてではない。(上条が以前見たものとは随分違うが)

故に、あの炎の巨神が再生(∞リレイズ)持ちだという事と、あれが貼り付けてない場所ではあの巨神は行動できないのだろうという事。そしてあれが汚い魔術師が使っている魔術の元、MPそのものなのだろうという事は一発で分かった。






ならば、それを使えなくしてやれば良い。







(俺に良い考えがある。まぁ見てなw)


67 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:23:39.74 ID:ljVHGJ1c0



上条はとんずらを使い、魔術師に見つからないよう腰を低く、植木の陰などの物陰に隠れる様にしながらカカカカッ!と急遽学生寮玄関口へと戻る(HP回帰)

玄関を抜けてすぐの所に、それはあった。何のことはない、ただの火災報知機なのだが、これは素晴らしい切り札だった。



「火災報知機を鳴らす→スプリンクラーが起動してあたり一面水日だし→貧弱コピー用紙がさらに貧弱に→魔女狩りの王 (イノケンティウス)弱体化→追撃のインク落ちでさらにダメージが加速→魔女狩りの王(笑)」


とりあえず俺の勝ちは決定した。とばかりに火災報知機のボタンに右手を伸ばす。さあ、後はあの汚い魔術師を殴りに行くだけ………………






「………?」





おかしい。確かに上条の右手の人差し指により、火災報知機のボタンは深く押されているにも拘らず、カチッ、と言う音がする意外何の変化も無い。
9回程続けて押してみるが、その度にカチッ、と言う音が響くだけだった。




「お、おいィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!こんな時に限って故障とかちょとsyレならねえだろこれは!?管理人は何やってんだよ!:えwちょw管理人がサボリストな寮とか聞いた事無いんで抜けますね^^;」



どうする!?と、上条は再びその頭のネジを締め、考え始める。ぶっちゃけあの程度の魔術なら「強引にバラバラに引き裂く事も出来なくは無い」のだが、何分リスクを伴う上、効率的では無い。上条としてもなるたけ真正面からやりあうのはゴメンだった。





そして、激しい思索の末、編み出した策が………





















建物中に設置されたスピーカーから、機械的な音声が一斉に鳴り響いた。


68 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:49:51.91 ID:ljVHGJ1c0



「!?」








『この学生寮にいたいけな少女を拉致監禁しようとしている『変体の』高レベル能力者が出没しました。寮にいる皆さんは、速やかに外へ非難してください。繰り返します。この学生寮にいたいけな少女を拉致監禁しようとしている『変体の』高レベル能力者が出没しました。警備員が駆けつけるまで、寮にいる皆さんは、速やかに外へ非難してください』










思考が一瞬だけ停止し、それを再開した時、魔術師は頭中の血管がブチ切れるかと思った。
いや、実際キレた。ステイルは手直にあったスピーカーの一つを、右手に生み出した炎剣でバラバラに引き裂く(融解)



「………やってくれるじゃないかあのクソ野郎………!!」


恐らく警備員に通報した上条が、自らの意思でそう放送を流してくれと頼んだのだろう。出なければこんなに悪意がこもった警告文が流れる訳が無い。
あの少年なりの、ホンの僅かな抵抗なのだろう。この時、魔術師ステイル―マグヌスの私用に、上条当麻の抹殺。が追加された。


だが何はともあれ、まずはインデックスの回収だ。厄介な事になる前に此処を立ち去らなくてはならない。
上条を殺し尽くす事など、いつでも出来る。かなり体を鍛えているみたいだが、それでも人の領域を出ていない限り、殺す魔術など幾らでもある。


ステイルは、まだ息が荒いインデックスを両手に抱きかかえると、丁度7階に止まっていたエレベーターに乗り込んだ。



キンコーン!



数秒もしないうちに1階へと着き、電子レンジのような音がなって、がこがこ、と。ガラクタみたいな音を立ててエレベーターの扉が開く。

一応、人がいないかどうか確認すると、ステイルはゆっくりと玄関口から外へ出る。








―当初の目的を忘れ、怒りに震えるなどと言う愚考を、ステイルはしなかった―――――――――が











「おいすー^^」

69 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:55:40.91 ID:ljVHGJ1c0



「なッ、ぶふぉォアッ!!」



一瞬の油断が命取りとなった。
玄関口から外に出た途端、何者かにコートを鷲づかみにされ、思いっきり顔面をぶん殴られたステイルは2、3メートル程弾け飛ぶ。

顔から地面激突し、顔面を擦りむいたステイルは、ヒリヒリと痛む顔を上げて驚愕した。
認めたくは無いが、体の内側が小刻みに震えていた。



「よしよし、インデックスには被害0だな。………良かった」



上条当麻が、そこにいた。




「まったく………火災報知機が故障してなけりゃ、もっとスマートに片が付いただけ、不幸だよなあ。たっく」




不敵に。無敵に素敵に宿敵に、そして何よりも天敵として―――――――――立っていた。




「でもま、こっちの方が確実っちゃあ確実か。ナイフなんかで文字刻まれてたら意味ねぇもんな」

「な、にを………」

「え?だってあんたの魔術ルーン文字使ってんだろ?だったら話は簡単だ。そのルーンを使えなくしてやるか「そもそもルーン文字が貼られて無い場所」まで誘導してやりゃあ良い。少なくとも此処なら、イノケンティウス(あいつ)にタイマンの邪魔される心配はねえし」


なんだ、どういう事だ。ステイルは上条の言っている事が理解できない。上条は魔術側の人間ではない筈だ。
そもそもこんな降誕祭(クリスマス)を交尾(いやらしい……)の日としか感じないようなとぼけた国に神裂が女教皇として所属していたという「天草式」以外の魔術師なんている筈が無い。



なのに何故そこまで自分の魔術の仕組みを完破出来ている?




「つーかあんたもHだな〜。もう分かってると思うけどあの放送、俺が管理人室のマイク使って流したただの悪戯(デマ)だぜ?ま、機械に声帯変化機能があったのは珍しく幸運だったけどな」


ステイルはもはや上条の言葉が殆ど耳に入っていなかった。

目の前の少年からは魔力を感じない。魔術師ならば、一目見れば分かる。あれには魔術師と言う「同じ世界の臭い」がしない。
そもそも魔力を持たないインデックスが魔術師と手を組めば………………



「お前、まさかとは思うけど、俺が魔術師じゃないからインデックスを助けた訳が分からない。とか言うんじゃねぇだろうな?」

「………」


ステイルは、喋る事すら出来なかった。


「確かに俺はお前らの言う「魔術側」の人間じゃねぇし、ほんの僅かに経験地が高いだけの一般人だけどさ」




上条は、真っ直ぐに、魔術師の方を見つめて、言った。


70 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/23(日) 23:59:38.82 ID:ljVHGJ1c0









「俺が俺でいる限り、今の俺がどんなに貧弱一般人だったとしてもお前の前に立ち塞がったと思うぜ。」









強く、その不屈で絶対の意思を示すかのように、魔術師の汚い陰を貫くかのように。
ステイルは、その真っ直ぐな瞳が鬱陶しいほど眩しくて、目を背けるのが精一杯だった。








「さて、と………………………覚悟はいいですか^^」


上条は、満面の笑みで、そう告げた。だがその声はあまりも冷静で、残酷だった。悪魔にでも話し掛けられた様な感覚に全身に悪寒が走ったステイルは、ほぼ反射的に上条の方に顔を向け直す。


「えっ………?」

「お前はあの巨神にタゲ取ってもらわないと戦えない貧弱一般人。その貧弱一般人が俺のフレに舐めた行為をした事によって俺の怒りが有頂天になった。さっきは9割程手加減したらあのザマになっちまったからよ。今度はほんの僅かに本気出すわ………」

上条はゆっくりゆっくりとステイルの元へ歩みを進めてゆく。上条が一歩一歩こちらに近付いて来るたびに体中から嫌な汗が噴き出してくる。


(い、いや待て、落ち着け!今のあいつは油断しきっている………)

先ほどとは違い、ゆっくりとその歩を進めて来る上条からステイルが取った印象は「余裕」だった。もう自分の勝ちが決定していると確信している時にしか現れる事が無い表情を上条はしていた。



(馬鹿が………戦場において、それは油断と何も変わらない。僕の魔術が『魔女狩りの王(イノケンティウス)』だけだとでも思ったか!)



あの時何の反撃も出来なかった事が、逆に幸いしたかもしれない。例えどんなに強かろうが人間としての領域を出てない限り炎の剣で叩ききればそれで終わりだ。




魔術師はニヤリと笑みを浮かべ、神父服の内側に手を突っ込んで………














「………?」


71 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/24(月) 00:07:41.38 ID:wNSkpZ0o0



おかしい、確かこの辺に………と、今度はその視線を移して確認する。が、肝心のルーンカードはどこにも無い。



「!!?」

慌てて反対側も確認するが、こっちにも無い。予備用にと、後ろに潜ませておいた物すら跡形もなく無くなっている。

もう本当に頭がおかしくなって死にそうなステイルは、まるで下手なコントのように服中のありとあらゆる場所を確認するが、自分が使っているルーンカードは、1枚残さず無くなっていた。



「な、ぜ………」

「^^」

「あ」

「メガトンパンチ!!」


上条当麻の拳が、魔術師の顔面に思いっきり、突き刺さる。
魔術師の体は、それこそ竹とんぼの様に回転しながら、10,20,30………40メートルほど吹き飛んでようやく止まった。




「ああ、わりぃ。言い忘れてたんだけどさ………………………」

魔術師が吹っ飛んでいく様子を見ながら、上条当麻はさも忘れてたかのようにポケットに手を突っ込み、そこからクシャクシャになった紙束を取り出した。
もう字が歪んで殆ど読めないが、そこには様々なルーン文字が記されている。上条はそれを破り捨てながら、あっけらかんと言い放つ




「俺、サポシだから気を付けた方がいいぜ?」


一瞬、ステイルがインデックスを背負って学生寮から出てきたその一瞬。上条がステイルを殴り飛ばす直前、上条はステイルの修道服を思いっきり引き、一瞬で全てのルーンカードを抜き取っていたのだ。直後に思いっきり衝撃を与えてやる事で、ステイル自身には全く気付かれずに


………まあ全部抜き取れなかった所で恐らく意味無かっただろうな。と、上条は自分の右手を眺め、はぁ。と、溜息を付いた。


「さ、て、と」

上条は地面に投げ捨てられた自分のカバンを拾うと、スタスタとステイルの方へ歩いてゆく。
助け起こすためか?否、むしろまだまだ殴り足りない気分だ。では追撃をしに行くのか?それはもっと違う。倒れている相手に追撃をするなんて恥知らずにも程がある。

















ちょっと僅かにITAZURAをするだけだ。


上条は、無邪気な子供のように、ニヤリと頬を歪ませた。

72 :貧弱一般人 [saga]:2011/10/24(月) 00:11:21.92 ID:wNSkpZ0o0
とりあえず今回はここまで。今度こそ!今度こそ早くうPできる様にがんまるます;;
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/24(月) 22:49:59.05 ID:xOdIgELAO
hai!>>1さん乙です!
これからもカカッと更新頑張っテ!
74 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/04(金) 00:18:44.31 ID:8VT6zE8V0
また1週間以上間が開いてしまったという事実;;今回から間を短くしてこまめに投稿する事にしmあす;;

と、言うわけで短いですが投下
75 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/04(金) 00:23:27.91 ID:8VT6zE8V0







夜(英語で言うとナイトフィーバー)








表通りから消防車と救急車のサイレンが響き渡り―――――通りすぎた。




が、別に火災報知機を鳴らした訳でもなければヒャッハー!!汚物は放火だー!!した訳でも無い為、上条の学生寮に向かっている訳では【ありません】【無関係】原作?なにそれ?

部屋にあったフード(スキル【発信機】付き)は、そのスキルを上条の右手でかなぐり捨ててから持ち出した。
スキルを破壊せずに適当な所に捨てれば「禁書かと思ったか?俺だよ!!」的な空蝉代わりになったのだが、彼女が

「フードが無い修道女に未来派にぃ;;」的な事を言い出したので仕方なく持っていく事にした。(このあたりの妥協が人気の秘訣)



上条当麻は路地裏を走っていた。その背におぶったインデックスは、背中の出血がかなり収まってはいるが、未だに瀕死状態である事はバレバレで………今の彼女ならどんな貧弱一般人でもあっさりとバラバラに引き裂く事ができるだろう。


だが、インデックスを救急車に乗せたりする事はできない。


学園都市は基本的にLSメン以外の人間を嫌う傾向がある。そのために街の周りを壁で覆い、下段ガードを固め、さらに三機の衛星が二十四時間常に監視の目を光らせているというあるさま!
コンビニに入るトラック一台にしたって専用のIDが無ければ【お断りします】状態だ。

そんな所に、IDを持たない別鯖の人間が病院で栄養食を食べる事になれば、アーッ!!と言う間に情報が漏れる。追撃の恥知らずな敵組織が奇襲する可能性でさらにダメージは加速した。




守護対象を増やすのは勝手だがそれなりの増やし方がある。本来戦いに関係ない一般人を巻き込むような恥知らずなまねを、上条当麻はしない。









けど、だからってこのままほっておくという選択肢はもっと無い。

76 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/04(金) 00:25:43.20 ID:8VT6zE8V0



「どこに……行くの?」

いつの間に起きたのか、さっきまで上条の背中で気絶していたインデックスがいきなり話しかけてきた

「そうだな〜、さしずめ、知る人ぞ知る隠れ宿って所か」

にっ、と笑って返す。相手が辛い時は一緒になって嘆くのではなく、笑顔を見せ、相手に元気を分けるべきだと上条当麻は思っている。インデックスは上条の見事な笑顔を見て落ち着いたのか、やんわりと笑った。





まあこれも上条が尊敬する一級廃人の一人が言っていた受け売りなのだが。





「………安心しろ」

「え?」

「お前を狙って卑怯な不意だましてくる魔術LSメンは一人残らずメガトンパンチを奢られて病院で栄養食を食べる羽目になるだろうな。あいつらはお前さえ手に入れれば世界をGetできると思ってるのかもしれないけどそう言う恥知らずな悪役の末路は大抵が裏世界でひっそり幕を閉じるという事実(お決まり)」

上条当麻は言葉を紡ぐ。ブロントさんは言っていた。真のメイン盾とは、体だけじゃなく心も守ってしまうものだと。
ネガネガした心の闇や雰囲気すらバラバラに引き裂けるものだと。



だったら、自分も少しでも………









「俺はまだまだメイン盾には程遠い貧弱一般人だけどよ、守りたいと思った女子一人を守るための努力ぐらいは出来るからさ」




「………………………」

インデックスは答えない。何も言わない。その限界を超えた体力ではそもそもの思考すら難しい為、上条が言った言葉を理解出来ていないのかもしれない。ただ、少しだけ、自分の肩を掴む彼女の小さな手の力が強くなったような気がした。

上条当麻はそれに答えるかのように彼女をしっかりおぶり直すと、両足に力を込め、少しばかり走る速度を速めだした。

77 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/04(金) 00:28:54.84 ID:8VT6zE8V0
投下終了です(もう終わったのか!早い!!)

すみまえん;;でもこの長さな2日に一回くらいはうpできそうなので許してくだふぁい;;
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/05(土) 11:41:11.95 ID:UwKsMioAO
乙する事により充実したSS生活が認可される
79 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:39:52.22 ID:1r8SOvaF0
以前よりは早く投下できた感(もっとはやくしちぇいでうs;;)

投下します
80 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:43:05.42 ID:1r8SOvaF0





「………ここさ」



路地裏から歩いて数分と言う所に、それはあった。

何と言うか、それはかの東京大空襲も乗り切りましたと言わんばかりの超ボロイ木造二階建てのアパートだった。
通路に洗濯機がドカンと置いてある所を見ると、どうも風呂場という概念は存在しないらしい。因みに上条のクラス担任である小学生(体型)先生、月詠小萌もここの2階に住んでいるのだが、目的地はそこではない。

上条は一階の一番奥のドアまで歩いて行くと、まるで何かの儀式の様にぴんぽーんぴんぽーん、と2階チャイムを鳴らした後、ドアノブを3回(左手で)右にひねり、最後にドアの中心に向かって右手を叩きつける。

バキン! と、ガラスが割れるような音があたりに響くものの、別段ドアが壊れた訳ではなく、一見すると何の変化も見られない。

しかし上条が「封印が解けられた!!」と言わんばかりにドアノブを回すと、鍵がかかっていた筈のドアがかちゃりと開く。
ゆっくりと部屋の中に入った上条の眼前に広がるのはボロアパートならではのお世辞にも良いとは言えないたたずまい………ではなく、南の島のどこかにある高級リゾート施設を思わせるかのような、まさしく『楽園』だった。

部屋の許容量を圧倒的に上回る広大な敷地。
上条の足元には、どこまでも続いているような感覚を覚える広い広い砂浜があり、それに面しているのがそれ以上の広さがある広大な海
陸地に目を向ければ、生半可な別荘では真似出来ない、と言うか比べ物にすらならない程立派なコテージ(でっかいプールつき)があり、その奥にはかなり標高が高いであろう事が伺える山が幾つも並んでいるのが見える。
極めつけは現時刻は間違いなく夜な筈なのに、部屋の中では未だに太陽がサンサンと輝いていた。

3D映像や幻術やら、そんなちゃちな物では断じてない。
上条はもう三年半ほど学園都市で生活しているが、今の学園都市に此処までリアルな映像や、感覚を覚えさせる事ができる施設など無い。

そのありえない筈の景色に、上条は特に驚いた様子も無く、進んで行く。
インデックスが再び気絶してくれていて良かったと心から思う。
今、上条はインデックス側の事情に足を突っ込んでいる訳だが、『こちら側の事情』に彼女を巻き込む必要など無いのだから。



砂浜をズンズン進み、巨大なコテージの傍にある、日除け用に作られた円柱型の休憩所に入ったところで、息を大きく吸い込み、叫ぶ。



81 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:45:21.38 ID:1r8SOvaF0












「はやくきてー;はやくきてー;;」











82 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:48:00.45 ID:1r8SOvaF0








〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪〜カカカカッ!








83 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:52:15.83 ID:1r8SOvaF0


「俺は謙虚なナイトなんだがどうやら弟っぽい存在であると馬が力を貸して欲しいらしくとんずらを使って普通なら付かない速度で急遽参戦すると」

「もう来たのか!早い!来た!盾来た!!メイン盾来た!!これでかつる!!」

「と大歓迎状態だった」

いつの間にやら、鎧にも見える純白の服を着て右手に酒瓶を持ったブロントさんが上条の後ろに立っていた。
気配も、無ければ足音もせず、いつ、どのタイミングで、どうやった此処へ来たのか上条にはさっぱり分からないが、
いつもの事なのであんまり気にしてはいない。ブロントさんだから仕方ないのだ。


「ブロントさん、インデックスを………!」

「ほむ、HPがマッハだな.みしちぇ見るべきそうすべき」

上条はコクリと頷くき、インデックスを降ろして仰向けに寝かせると修道服をテキパキと脱がし始める。
普段なら女性の服を脱がせると言う行為に僅かな羞恥と歓喜を覚える上条だが、今は少しもそんな感情は湧き上がってこなかった。


「………よすよす、傷口は地獄の宴だが緑属性の包帯でキチンと舞ちぇるから出尻は殆ど抑えられてる感。光酒も飲ましたな?ちゃんと治療用の手順どうり飲ませられ照る、応急処置としては完璧だな」

「あ、うん………ブロントさん、何してるんだ?」

上条がインデックスの服を脱がし、包帯を解いていく中、ブロントさんはインデックスの頭をまるで子猫を撫でるかのように右手で優しく触っていた。
ブロントさんの事だから何かしらの意味があるのだろうという事は分かっていたが、その理由を聞いて上条は己の未熟さを激しく恥じる事になる。


「ん、こるか?光酒である程度体力が回復してるって事は痛覚やその他の器官ももどっちぇるッつー事だよな、だからそう言った感覚にスリプル掛けた。例えるなら全身麻酔を掛けてるみたいなもんkあ、痛みで起きられて暴れられたら困るでしょう?手術の常識だべ?」

「あ………」

そうだ、あの時上条は焦っていて気付かなかったが、もしブロントさんが麻酔をかけていなかった場合、インデックスは再び激痛に身を震わせる事になってしまっていた。


「………ッ!!」

「そんなに気負うこと『ありません』お前がいなきゃ淫Dxは裏世界でひっそり幕を閉じる事になってただろうな(確信)次からは気を付ければ良い問題なんですわ?お?そんな事より俺のバックとって下さいますか^^;治療できないので;;」

丁度上条の真後ろに置かれている小さ目のバッグを手渡されたブロントさんは、バックの封を解き、中から大きめの硝子ビンのような物を取り出した。その形は、スーパーなどでよく見るジャムビンを大きくした物によく似ている。
ブロントさんはそのガラス瓶の中に入っていた灰色でドロッッとした液体を人差し指と中指に適量取ると、背中の傷口に沿って優しく塗りたくっていった。


(………………………)

「『ケアル』使っても構いませんが、あれは戦闘中、それもある程度体力、もしくは気力が残っているPTじゃないとヤバイ。いきなり体の調子が良くなると色々支障が出て逆に体の調子がマッハ」

見透かされた。上条は心の中で溜息を付いた。ブロントさんが使う不思議な魔法の一つ『ケアル』を使えば、大抵の傷は一瞬で直す事ができる。が、それは通常ではありえない法則を使って一瞬で体の傷を癒すものの為、ある程度体が出来ているか、そう言う魔法に対する耐性があるか、はたまた数少ない例外か出ないと逆に体の調子が悪くなってしまう事が稀に良くあるのだった(Batスターテス)





が、やはり辛い。インデックスが一瞬でも早く元気になる方法があるなら、それを実行してやりたいのだ、例えそれが………




84 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 01:56:27.20 ID:1r8SOvaF0









「おす、治療完了だべ」

たった一瞬の差だったとしても。






85 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 02:01:09.15 ID:1r8SOvaF0


ふぅ………と、上条は今度はリアルに溜息を吐いた。数秒、たった数秒だ。上条がブロントさんと合流(?)してからまだ一分も経ってはいない。

なのにインデックスの背中の傷口は、よーく目を凝らしてもどこにも見当たらず、完全に塞がっていて、紫がかっていた唇や、白っぽくなっていた顔色はかなりマシな色を取り戻していた。
耳を澄ますと、すう……すう、と言う可愛らしい寝息まで聞こえてくる。


「後は一日ゆっくり休めばinデックうsの体調 完 全 回 復!……………おいィ?」

ブロントさんはホンの僅かに顔を顰める。
何時もならばここで「もう直ったのか!早い!!さすがナイトは格が違った!!」的なテンプレが上条から返ってくるのだが、今回はそれが無い。上条はパブロフの犬(分かりやすく言うと反射的)状態にテンプレを返す筈なのだが?

そう疑問に思い、ひゅいと上条の方に目をやると




「………………………」

上条はその右手でインデックスを優しく撫でていた。その幻想を殺す右手で、彼女の存在が幻想のように消えない事を祈りながら。
その不器用かつまだまだ未熟な、されどメイン盾に必要な心をしっかりと持った少年が、一瞬、安らいだ症状を見せる瞬間。














その横顔は、自愛あふれる神の様にも、まだまだ子供な少年のようにも見えたのだった。



86 :貧弱一般人 [saga]:2011/11/07(月) 02:28:06.13 ID:1r8SOvaF0
投下 完 全 終 了!!



*此処から先は作中で書き切れなかった事実を説明する補足コーナーです興味の無い人は全力でバックステッポウ!するべき。




@ブロントさんのケアルがインデックスのケアルより凡庸性低いとかちょとsyレならんしょ………原作では普通にケアルで治療してた筈なんですわ?お?

えっとですね、ネタバレになら無い様にご説明させていただきますと、ブロントさんとインデックスのケアルは(インデックスのケアルについては一巻参照)そもそもの法則は勿論、質がまったく違うものとして扱っています。
なので貧弱一般人がブロントさんにケアルを奢られた場合、頭がおかしくなって死………まあこれは言いすぎですね、ブロントさんも手加減できるでしょうし、ケアルを使わなかった理由は他にもあります。

まあ単純に、ブロントさんのケアルはえごすぎて貧弱一般人には受けきれない。と言う考えで問題ないと思いますがww


A oi misu みうす 幻想殺しとかその辺の設定はどうなってる訳?

作中で「これ幻想殺しで消せるんじゃね?」的なものの数々ですが、ちょっと訳あり、特別、製名ものばかりなので今の所スルーして頂けると助かりますorz



では、また2、3日後に
87 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:09:20.71 ID:egE4Acuf0
約一ヶ月も放置して本当にすみませんでしたあああああああああああああああああああああ!!!
もう本格的に駄目だな、こんなうP主では持つ筈も無い。

投下します。
88 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:17:25.11 ID:egE4Acuf0






一夜明けると、インデックスはほんの僅かに風とよく似た症状が出た。




ブロントさんの治療が幾ら素晴らしいものだとは言え、やはりあれだけの怪我をしていたのだから当然といえば当然だが。鼻水や喉の痛みが無いのはウイルスによるものではなく、それはあくまで『足りない体力を自動回復』させているだけで、それはつまり、幾ら風邪薬を飲んだ所で効果がない事を意味していた。

まあそれでもかなり元気が戻っている為、ブロントさんが言っていた通りほんの1日ほどゆっくりしていけばすぐに完全回復するだろう。


「………、で?なんだって下パンモロしてんだお前」


インデックスは布団の中の蒸し暑さが許せないらしく、片足を布団の横から上条に向け手でろっと飛び出させていた。上は淡い緑色のパジャマ装備のくせに根元まで見えている太股は目が潰れるぐらい眩しい(フラッシュ)肌色で、気のせいかほんのりと桜色に上気している。



「………上条ちゃん。先生はいくら何でもあの服はあんまりだと思いました」

「なんだ急に話しかけてきた『小萌先生』、まあその意見にはどちかというと大賛成ですけど」


あの後、インデックスの治療が謙虚なナイトによって完全終了してすぐ、上条はインデックスを背負ってあの空間を出た。
設備の関係や、安全性のことを考えると、あの秘密のリゾートで数日過ごしたほうが圧倒的に良いのだが、ブロントさん達との『約束』や
『機密』を考えると長居は出来ない。それに『あちら側』の事を知ってしまえば、今のインデックスが背負っているネガネガした物よりも何十倍も厄介な事情に巻き込んでしまうことになるかもしれない。それだけは、出来ない。

リゾート地に来たときと同じ様に砂浜にポツンと立っている違和感バリバリのドアを潜ると、そこは夏の短い夜の闇に包まれた、いつもの学園都市(の、とあるアパートの一室前)だった。

さて、ここから寮に戻れば完全下校時刻は早くも終了している為、警備員に見つかってしまえばインデックスは勿論上条の寿命もマッハだし、何より敵魔術LSに待ち伏せされている可能性がある。あの赤ロン毛をか殴り捨てた以上、次はもっと強い奴が出てくるのは確定的に明らか。不意ダマで命ロストしたくない上条は、この貧弱アパートの二階に住んでいる小萌先生の家に泊めて貰うという妙策で不意ダマを回避した。


89 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:20:28.66 ID:egE4Acuf0



「まったく………昨日その子をおぶって突然たずねて来た時は本当にびっくりしたんですよー?」


と、むぅ………と、可愛らしく頬を膨らませながら愚痴る。その姿はどこからどう見ても小学生だった、ひじょうに今更な気もするが。
一方で着慣れた修道服を奪われたインデックスも、頬を膨らませながら何かぶつぶつ言っている。その姿は不機嫌な猫に見えた。


「………、ところで、何でビール好きで愛煙家の大人(笑)な小萌先生のパジャマがインデックスにピッタリ会っちまうんだ?年齢差いくつなんですかねぇ?」

なッ、と小萌先生(年齢不詳)は絶句しかけたが、追撃のインデックスによる追い討ちでさらにダメージは加速した。


「みくびらないでほしい。私も、流石にこのパジャマはちょっと胸が苦しいかも」

「なん………馬鹿な!バグってるです、いくら何でもその発言は舐めすぎです!」

「おいィ、そもそもその体で苦しくなる胸なんてあったんか!?捏造は犯z」

「「………^^」」

「^^;;;;;;;;;、すみまえんでした;;」


レディ二人ににらまれた上条は反射的に魂の土下座モードへ移行


「ですです。ところで上条ちゃん、結局この子は上条ちゃんの何様なんです?」

「妹」

「上条ちゃん?^^」

「義理なんでうs;;」

「もしもし警備員さん?この人d」

「冗談です!英語で言うとジョーク!!分かってますよ『義理』はマナー違反で『実』はルール違反ですよあーもう!!」

「上条ちゃん」


と、何かいきなり先生モードの口調で言い直してきた

上条も黙り込む。まぁ、小萌先生が事情(ログ)を確認したがるのも無理は無い。ただでさえ得体の知れない外国人を連れ込んでいるし、しかも上条は数年前から『ちょっとした』事件に巻き込まれる(?)所を小萌先生に何度か間接的に見られている為、今回も何かや倍事件にでも巻き込まれているのではないかと言う思考に辿り着く確立は100%だった。これで沈黙してろと言うほうが無理難題というものだろう。



「hai!小萌先生!!質問があるんですが」

「何かようです〜?」

「事情を聞きたいのはこの事を警察(国家権力)や学園都市の理事会にTeLする為ですかねぇ?」


です、と小萌先生はあっさり首を縦に振った。
何のためらいも無く、人を売り渡すと、自分の生徒に向かって言い捨てた。ここで「あまりにも残酷すぎるでしょう?汚いなさすが小萌先生汚い」と何も考えずに愚痴るのは貧弱一般ザ子供だけである。


「上条ちゃんたちがどんな問題に巻き込まれてるか分からないですけど」


小萌先生はにっこり笑顔で





「それが学園都市で起きた以上、解決するのは私たち教師(大人)の役目です。子供の責任を取るのが大人の義務です、上条ちゃんたちが危ない橋を渡っていると知って、黙っていられるほど、先生は子供ではないのです」





小萌先生はそう言った。
何の能力(スキル)も無い、力も貧弱一般人、そして何の責任も無い筈なのに、ただ真っ直ぐに、あるべきところにあるべき一刀を通す名刀のような『正しさ』で、言った。


90 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:25:00.14 ID:egE4Acuf0



「本当に………」


素晴らしい教師だ素晴らしい。と、上条は心の中だけで呟いた。
こんなドラマの中に出てくるような、映画の中でも見なくなったような『先生』なんて上条は十数年を生きてきたそれなりに長い人生の中でもたった二人しか見当たらない。『先生』以外なら結構いるが。



だから




「先生が野良PTメンだったら遠慮なく巻き込んでるけど、先生には色々借りがあるんで、巻き込みたくないんです」




上条も、真っ直ぐと告げた。


もう、無償で誰かの盾になるような人間が、目の前で傷つく所なんて、見たくなかった。それじゃあ何のために今まで………



小萌先生はちょっとだけ、黙った。



「むう。何気にかっくいー台詞を吐いてごまかそうったって先生は許さないんですよ〜」

「許されないんですかー;;………っておいィ?何だいきなり立ち上がったりして何処へ行くのか『興味があるます』」

「執行猶予です。先生スーパー行ってご飯のお買い物してくるです。上条ちゃんはそれまでに何をどう話すべきか、きっちりかっちり整理しておくんですよ?それと、」

「それと?」

「先生、お買い物に夢中になってると忘れるかもしれません。帰ってきたらズルしないで上条ちゃんから話してくれなくっちゃダメなんですからねー?」


そう言った小萌先生は、笑っていたと思う。

バタン、とアパートのドアが開閉する音が響き、部屋には上条とインデックスの二人だけだ取り残された『システムメッセージ:komoeがPTを抜けました』


(気を遣わせちまったかな)


何となく。あの何か企んだ子供のような笑顔を見ると、もう『スーパーから帰ってきた』小萌先生は『全部忘れていた』事にしてしまうような気がする。
それでいて、後からやっぱり相談したとしても『どうして早く言わなかったんですか!?先生綺麗に忘れてました!』とかぷりぷり怒りながら嬉しそうに相談に乗ってくれるんだろう(予知夢)



91 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:26:35.94 ID:egE4Acuf0




ふぅ………と上条は布団の中のインデックスの方を振り返る。




「さて、次はお前の番だな」

「………えっ?」



インデックスは訳が分からず首を傾げた。



「小萌先生はともかく俺は引き返せないとこまで巻き込まれちまったからよ、事情を話すべきだと思うぜ?きちんと話す事で充実したリアル生活が認可される。事情を話す→信用される→素晴らしいヒロインだ素晴らしい→彼氏が出来る。事情を話さない→疑心暗鬼でストレスがマッハ→追撃の敵襲でダメージがさらに加速→BAD END」



突如として口調が大幅に変わった上条に「まただよ(変な言葉遣い)」と、呆けるインデックスだが、上条としては半分以上日常会話のつもりだ。


「………いい加減話してもらえねぇか?お前が抱えてる事情をよ」


インデックスを、じっと見つめる上条は、話してくれと言ってる割に、語らない。
これは交渉でもなければ取引でもない、自分自身のエゴだ。一方的に情報を寄越せといっているような物なのだ。



『インデックスの事情をある程度把握できてしまっているからこそ、それ以上にヤバイ世界に巻き込まないために』



上条当麻は知っている。魔道書という物がどんな存在であるかを。それを記録、使用するという事がどういう事を示すかを。上条当麻は知っている。

知りたい?と、彼女はようやく口を開いた。
静かな声は、いつもポジポジしているインデックスだからこそ、より一層の『決意』を思わせた。


「私の抱えてる事情、ホントに知りたい?」


インデックスと名乗る少女は、もう一度言った。
上条は、当たり前の様に頷いた。

上条にしてみれば、インデックスの抱えてる事情なんて『興味』『ありません』状態なのだ。どんな事情があるにせよ、見捨てるなんて出来る訳が無い。

ただ、彼女を『本当の意味で護りぬく』為には、クエの全体像をキチンと把握しておく必要があるのだ。
それが例え、彼女の古傷を抉るかもしれない様な事でも。







「………俺のメインジョブはプリーストじゃないんだけどなぁ?」








なんていうかその姿は、罪びとの懺悔を聞く神父さんみたいだった。

92 :貧弱一般人 [saga]:2011/12/03(土) 04:31:15.54 ID:egE4Acuf0
すみません本当にすみませんorz

話や設定を作りこむって事がどれだけ大変か良く分かったよ。SS感謝。

東方からの登場人物や設定を練ってたらプロットがマジでとんでもない量に………
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/12/04(日) 22:46:20.20 ID:n6KXoDnAO
久々の更新乙
94 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 01:25:49.82 ID:3NmcHfQAO
カカッ!と書くべきそうすべき
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/02/08(水) 23:53:56.06 ID:gXsNDFiAO
おいィ?>>1はリアルモンクに病院送りにされたのか?あもりにも更新が無いと雷属性のパんチが壁ドンなんだが?
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/21(水) 17:00:51.80 ID:AJdB49Bao
はやくきてーはやくきてー
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/22(火) 00:38:51.30 ID:hxuV98/f0
更新を稀代して毎日見ている俺の怒りが有頂天 この怒りはしばらく収まることを知らにぃ
いい加減更新しないと病院に送られて栄養食を食べる羽目になるぞ
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