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藤木「最近さぁ、「2ちゃんねる」にハマッてるんだよね」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 09:53:46.73 ID:VsP7IYaY0
藤木「最近さぁ、「2ちゃんねる」にハマッてるんだよね」
http://blog.livedoor.jp/date_o/archives/51231557.html

元スレ
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/campus/1269105235 (大学生活板)


01
永沢「?!!」
強張らせた顔を徐々に解きながら、
永沢「……へぇ、君がね。…まぁ、君にはピッタリの趣味だね」
藤木「どうしたんだい? いま、さっき…」
永沢「何でもないよ! 底辺の君にはお似合いだって言ったんだよ!!」
藤木「な、何を怒っているんだよ。僕、何か悪いことでも…――」
永沢「きっ、君が低俗な話題を振って来るのがいけないんだ!!」
藤木「なっ、永沢君? ちょ、ちょっと待っておくれよぉ」

永沢は先に行ってしまった。
いつものことだ。
肩を怒らせて歩く永沢の後ろ姿。そんな後ろ姿も藤木にとっては見慣れていたもので、これもいつもの事だと、呆れた溜息を吐いた。
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 09:59:17.88 ID:VsP7IYaY0
02
寧ろ永沢は動揺していた。
でなければ、いきなり怒り出すわけがなかった。

自宅に帰った永沢は母親の問い掛けも振り切って、そのまま自室に篭もってしまった。
机に向かい、画面の前。パソコンの画面を目の前に、永沢は蹲った。
頭を抱えていた。
永沢「(――どうして藤木君が2chを…?)」
永沢「(いや、そんなことよりも…―、僕がコテを名乗ってることがバレたら…―)」
永沢「(うわぁあああ!! もしも知られたら全てお終いだああ!!)」

心の中で呻く永沢。
画面の中には、1から凡そ700の、青と紫のスレッドタイトルが縦一列に並び、ウィンドーのタイトルバーには「大學生活@2ch掲示板@スレッド一覧」とあった。
そう。永沢は大生民であり、とある固定を使用していた。

永沢「うぅ…、しばらく名無しで書き込むか…」
そう呟くと、書き込み欄に表記された自分の“名前”を削除した。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:01:37.00 ID:VsP7IYaY0
03
永沢と藤木は15年来の友達である。
同じ小学校や中学校、高校までずっと一緒で、入った大学は違ったけれど、腐れ縁に友情を感じるところから三日と空けずに会っては、陰湿な永沢が、臆病な藤木に意地悪を言って、でも藤木が永沢を持ち上げることで、これまでその奇妙な友人関係を守られてきた。
二人が大学に入るまでは。

永沢は地元のCランク大学に進学し、藤木は、同じく地元のFランク大学に進んだ。
最初、永沢は自分よりも下の大学に入った藤木を馬鹿にして満足していた。
が、それも一年の後期までだった。
藤木は大学に入ってから変わってしまった。
自信の無さそうな、おどおどとした態度は相変わらずであったが、髪は茶金髪に染まり、服のセンスも格段に良くなり、いつだかはサークルの友達と旅行に行ったことを楽しそうに話して、充実した大学生活の爽やかな気配を漂わせていた。
居酒屋でバイトも始めたらしく、金を貯めて車を買うだの言っていた。
一方、永沢はと言うと、もう入学して一年半が経つのに、新入生のオリエンテーションの時から誰とも話していない。永沢は学内に友達がいなかった。
最後に話したのは学生事務課の職員である。それも友達がいないことで情報の伝達が上手く行き届かず、提出物が遅れたために、学生課の職員から呼び出されたのだ。
バイトの経験はなし。親から貰う月2万の小遣いでちまちまやっている。

永沢は「ぼっち」でかつ「非リア」だった。
今まで自分が見下してきた藤木の方が高い適応能力を持っていた。
だから、卑屈で考えの歪んだ永沢は、学校やバイト先の人間関係に順応する藤木を、流され易く自分を持っていない奴だと言って、さらに見下していた。
でも、どうしてなのだろうか。空虚なんだ。すーっ引いていくような虚しさがある。
あんなに藤木は楽しそう。あんなに面白そうにしている。
それが何よりもつまらなかった。

永沢は孤独だった。
いつしかその心の中の蟠りを、「2ちゃんねる」にぶつけるようになった。
名無しでいたのは僅か数日。すぐに固定を名乗ったのは、自分のこのモヤモヤする思いの所在を明らかにしたかったからだと思う。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:03:23.45 ID:VsP7IYaY0
04
永沢は固定を名乗り始めて最初のころ、板ではそれなりに上手くやっていた。
それなりに上手くやっていけたのは、それなりに持ち上げてくれる人が居たからで、自ら光を発してネタを振り撒かない限り、固定というのは孤独なものだった。
要求されるものはセンスとクオリティ。さらに流れを無視したマジレスや、ボケネタの鈍り、誤字や脱字、表現の誤り等々、いちいち突っ込まれてしまうものだし、特に固定のレスは名無しとは違って、批判の対象になり易い。
永沢は、二次創作による某国民的アニメのSS(ショート・ストーリー)を発表したところ、それが意外な形で固定の知名度を上げ、華々しい2ch固定デビューを飾った。
いや、訂正しよう。
飾ったかのように思われた。――と、そうなのだ。
それほど適応能力が高くない永沢にとって、何をレスするにしても我を押し通そうとするので、いつもマジレスしか出来ず、笑いのセンスに乏しい性質にとって、ネタでボケるのも、どこか垢抜けていない、凡そ「wwwwww」を多用するだけの味気の無いものだった。
書き込む内容は性格が表出した通り、陰湿で捻くれていて、ネガティブなものばかり。

永沢はすぐに批難の対象になった。
「つまならない」「おもんない」
「糞コテ」「空気」
「ツマカス」「才能がない」
しかも煽られる度に発狂してしまう肝の小さい永沢は、煽られる度に反応してしまうことから、その批判は、いつのまにか悪質な誹謗中傷になっていった。
「煽り耐性がない」
「[ピーーー]」「きもい」「うざい」
「自殺しろ」「消えろ」
華々しいデビューをしただけに、その後の落ち込みは凄まじいものだった。

「2ちゃんねる」を始めて2ヶ月。
永沢はその板の中で最も嫌われた固定となった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:06:34.52 ID:VsP7IYaY0
05
嫌われ者の固定というだけなら、まだどうにでもなる。
問題は、いつだか煽られたときに自分の顔写真をうpしてしまったこと。
のみならず、話題に乏しい永沢は、自分の私生活や行っている学校、家族構成、とにかく永沢君男という人間の個人情報の八割を「2ちゃんねる」にばら撒いていること。
もしも藤木が「2ちゃんねる」の中の大生板に来ていたら。
大生民となって、自分の存在に気付き、自分の最たる汚点を知られてしまったら。
ああ。あああ…。
永沢は机に突っ伏した。

いま過去に書き込まれた文章を読み返してみても、チクリチクリと心が痛む。
人から「●ね」と、しかも大勢の人から言われることの、その精神的な疲弊は計り知れない。
「2ちゃんねる」をすると、自分と似たような、人を人と思わない奴等とばかりと遭遇する。自分を映す鏡のようで、それもまた腹立たしかった。
それでも「2ちゃんねる」に縋り付いているのは、どうしてだろう。
居場所がないから、他に行く当てがないから。
友達が…、(一瞬、藤木の顔が浮かぶ)―――いないからなのだ。
頭を掻き毟り、脳裏を掠めた「リア充」の顔を掻き消した。てっぺんの髪の毛が少し抜けた。
孤独で寂しいのだ。
誰か人を求めてここへ来たのに、ここに来た所為で人がどんどん嫌いになっていく。

永沢はまたも心の中で呻いた。
永沢「(糞お…。僕はどうしたらいいんだ……)」
永沢「(とにかく…、藤木君が2chでどの板を覗いていたのか気になる……)」
永沢「(それを確かめなければ…)」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:08:47.99 ID:VsP7IYaY0
06
数日後。夕方の駅前。
顔をしかめ、ポケットに手を突っ込み、ともすると貧乏ゆすりをする永沢。
勝手に怒り出して帰ったとしても、こうしてまた普通に待ち合わせを出来るのが、この二人の奇妙な友人関係を示すところだった。
藤木「遅れてごめんよ。待ったかい?」
永沢「…。いや、いいよ」
藤木「どこか店に入らないかい?」
永沢「え…、あっ…」
藤木「マックにでもしようか?」
永沢「マ、マックなんて中高生じゃないんだから、恥ずかしいな、君は…!」
藤木「え…じゃあ、ファミレスなんて」
永沢「それも却下だね!! 君ごときでファミレスは勿体無いよ!」
永沢「―そこのコンビニで何か飲み物でも買って、近所の公園で話そうよ!」
藤木「…あぁ、分かったよ」
二人はファミマでファミチキや飲み物をそれぞれ買い込んだ。

永沢は持ち合わせがないことを素直に言い出せなかった。
いや、それだけではない。永沢はファーストフードなど、飲食店に入ることが出来ないのだ。
容姿に対するコンプレックスがあることや、人が大勢いる場所が苦手な永沢は、それ自体、そして今を活発に生きようとする藤木に引け目を感じて、神経質になっていた。
そう。永沢は藤木に、いつだって本音で話せたことがなかった。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:09:52.85 ID:VsP7IYaY0
07
夏の盛りを感じさせる七月の夕暮れ。蝉が鳴いている。
子どもたちが群れ遊ぶ公園の一角のベンチに座り、しばらく二人は無言だった。
口火を切ったのは永沢だった。
永沢「久しぶりだね。こうやって話すの…」
飲み物のストローを口から離し、
藤木「―っじゅぱ。先週も会ったばっかりじゃないか」
永沢「え…。そうだった?」
藤木「そうだよ。僕が「2ちゃんねる」の話をしたら怒って帰っちゃったじゃないか…」
永沢「……」
藤木「何か傷付けるようなことでも言ったのかと思って心配したよ…」
永沢「いや…、僕が悪いんだ…」
永沢「…と、ところで藤木君。君は2chをやってるって言ってたけど、どの板に居るんだい?」
藤木「僕もまだ始めたばかりだから、色んな所を見て回ってる感じかな…」
永沢「ふん…。まったく君は鈍臭いなぁ…」
藤木「ははは…。―でも面白い板が一つだけあって――」
永沢「え…?」
この滴り落ちる脂汗は夏の暑さの所為なのか。
どこの板なんだ。早く言え。
もしかして…大生板。そんなのは困る。駄目だ。やめろ。やめてくれ。
他の板であってくれ。他の…。

藤木「大學生活板って言うんだけど、大学生だし、ここが良いかなって…」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:10:56.57 ID:VsP7IYaY0
07
夏の盛りを感じさせる七月の夕暮れ。蝉が鳴いている。
子どもたちが群れ遊ぶ公園の一角のベンチに座り、しばらく二人は無言だった。
口火を切ったのは永沢だった。
永沢「久しぶりだね。こうやって話すの…」
飲み物のストローを口から離し、
藤木「―っじゅぱ。先週も会ったばっかりじゃないか」
永沢「え…。そうだった?」
藤木「そうだよ。僕が「2ちゃんねる」の話をしたら怒って帰っちゃったじゃないか…」
永沢「……」
藤木「何か傷付けるようなことでも言ったのかと思って心配したよ…」
永沢「いや…、僕が悪いんだ…」
永沢「…と、ところで藤木君。君は2chをやってるって言ってたけど、どの板に居るんだい?」
藤木「僕もまだ始めたばかりだから、色んな所を見て回ってる感じかな…」
永沢「ふん…。まったく君は鈍臭いなぁ…」
藤木「ははは…。―でも面白い板が一つだけあって――」
永沢「え…?」
この滴り落ちる脂汗は夏の暑さの所為なのか。
どこの板なんだ。早く言え。
もしかして…大生板。そんなのは困る。駄目だ。やめろ。やめてくれ。
他の板であってくれ。他の…。

藤木「大學生活板って言うんだけど、大学生だし、ここが良いかなって…」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:12:20.11 ID:VsP7IYaY0
08
永沢はリプトンミルクティーを口から吹き出した。
ハンカチを差し出しながら、
藤木「なっ、永沢君…。大丈夫かい…?」
永沢「ゲホッ、ゲへッ、ウエッヘ…― だ、大丈夫だよ。気管に入った―ゲホッ―だけだよ…」
一呼吸置いて、
永沢「…で、そのダイガクセイカツイタはどんな感じのところなんだい?」
藤木「そうだなー。他の板とかに比べて固定が多いって感じかなぁ…」
永沢「…」
永沢「…こ、固定がね」
藤木「でも大学生は少ないみたい。ほとんど既卒か無職なんだよ。可笑しいだろ?wwww」
永沢「あ…はは。まったくだね…」
永沢「固定は…、どんなのが居るんだい?」
藤木「有名らしいのは――って人、―――って人とか、あと―――って人とかね」
藤木「個人的には――――――という固定が面白いから好きだよ」
永沢「そう…。ほ、他には?」
藤木「固定が多い故に、大人数で一人の固定を締め上げる祭りがあるのは嫌だなと思う…」
永沢「…ふうん…。じゃあ、そのダイガクセイカツイタに今後も行くのかい…?」
藤木「そのつもりだけど…」
永沢「……」
―――
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:14:06.88 ID:VsP7IYaY0
09
家に帰った永沢は深く後悔した。
どうして自分から「2ちゃんねる」の話を振ったのか。
もっと上手に、もっと何気ない自然な感じを装えなかったものか。
それにあんなに平静を失ってしまっては、藤木も何かおかしいと気付くのではないか。
しかも話を変えようと夏休みの予定を聞くも、藤木はリア充だから、バイトが忙しくて、サークルの仲間と海に行ったり、イベントに出掛けたりするらしく、そんな夏の楽しい予定に胸を弾ませながら話す彼を見て、ますます永沢は墓穴を掘ってしまった。

ジリジリというパソコンの起動音が響く。
暗室の一角にディスプレイの光だけがぼやけていた。
永沢「……」
永沢「―!!」
永沢「まただ!!」
永沢は唇を噛み締めた。

ツマカス空気糞コテ・キンタマねぎ男を潰すスレ
1 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:14:38 ID:―――
   こいつがいるとレスする気が失せる
   潰そうぜwwwwww
2 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:15:56 ID:―――
   こんなつまらん糞がどうして固定やってんのwwww
3 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:17:37 ID:―――
   コテスレ立てんな

永沢「…っく!!」
握り締めた拳を机に叩き付けた永沢は、すぐにキーボードに指をセットした。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:18:22.09 ID:VsP7IYaY0
10
12 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:29:04 ID:―――
    マジレスいくない><
13 :キンタマねぎ男◆Pyfafvna256:2010/07/08(木)02:31:30 ID:―――
    お前等は馬鹿か
    固定に面白さなんて求めんなよ
    僕は僕の思ったことを僕の判断でレスするだけだから
14 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:35:14 ID:―――
    13 :キンタマねぎ男◆Pyfafvna256:2010/07/08(木)02:31:30 ID:――― 
       お前等は馬鹿か
       固定に面白さなんて求めんなよ
       僕は僕の思ったことを僕の判断でレスするだけだから

       ↑wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwクソワロタ
15 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:37:24 ID:―――
   <<13
    ほんとにおもんないわ
    まじで●ねよ いらねえから
16 :キンタマねぎ男◆Pyfafvna256:2010/07/08(木)02:38:50 ID:―――
   <<15
    お前が●んどけって 屑がよ
    僕よりも劣っていると自覚してるから名無しなんだろ?wwww
17 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:39:59 ID:―――
    <<16
    ハァ?
    まじこいつうざいわ
18 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:42:01 ID:―――
    <<16
    <<16
19 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)02:44:03 ID:―――
    キンたまねぎの固定生命は終わったなwwwwプゲラ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:20:46.23 ID:VsP7IYaY0
11
207 :キンタマねぎ男◆Pyfafvna256:2010/07/08(木)03:58:50 ID:―――
      <<204
      僕が嫌ならNG設定にでもしてりゃいいだろ
     頭悪いな
208 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)03:59:48 ID:―――
      http:●●●●●●●●●●●●●●●●.Jpg
   ↑ブサすぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
209 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)04:01:43 ID:―――
    <<208
    キンタマネギってこんな顔してたのwwwwww
    きめぇえええwwwwww
210 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)04:04:33 ID:―――
    なにこのたまねぎ顔wwwwwwwwww
    キモすぎて吹いたwwww
211 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)04:05:39 ID:―――
    <<207
    NG設定以前の話してるんだけど
    つまらないから消えろって言ってんだよ
212 :キンタマねぎ男◆Pyfafvna256:2010/07/08(木)04:07:40 ID:―――
    何で僕が消えるんだよ うるせえよ
    僕の勝手だろ 君の糞うざい指示なんて受けない
    お前が消えろよ ●ね●ね
213 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)04:10:09 ID:―――
     ほんとに煽り耐性がないし
     だからツマカス糞コテって言われるんだよ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/05(金) 10:22:19.01 ID:VsP7IYaY0
12
永沢は汗だくだった。
息も荒い。額を拭いながら、その嫌に滑り気のある汗を憎んだ。
汗で湿った手でクーラーを付けた。
永沢「(…ちくしょう」」

煽り耐性がない。永沢はこの言葉に嫌悪感を持っていた。
永沢が「2ちゃんねる」を始めたキッカケは日頃の鬱憤を晴らすためであった。だから寧ろ「煽り耐性がない」方が良いのだ。
溜め込むのではなく、心に思ったことを外に吐き出すために、そもそも「2ちゃんねる」があるのだと永沢は考えている。どんな誹謗中傷にも耐えてスルーできる「煽り耐性がある」と、かえって胸の中のモヤモヤが増長してしまい、精神衛生的に良くない。
だから永沢は凡そマジレスしかして来なかったし、煽られても我慢することをしなかった。
しかし煽りにも逐一受け答えをするということは、それはそれでストレスが溜まるものだった。

永沢「(ここも僕の居場所ではない…)」
永沢「(こいつ等は糞だ。僕を馬鹿にしている…)」
永沢「(許せない。何か手酷い復讐をしてやらなければ気が済まない…―)」
永沢「――!」

222 :学生さんは名前が無い:2010/07/08(木)04:23:23 ID:―――
    みんなやめろよ
    寄って集って卑怯なことするなよ
    キンタマねぎ男、ぼくは割りと好きな固定なんだけどな
    間違ったことは言って無いし、君達みたいに誰かを責めたりしないだろ
     キンタマねぎ男はぼくと似てる
    なんか友達になれそうな気がするんだ 

永沢「…あ」
誰だろう。自分の側に付いてくれた人は。永沢は先程までの暗い怒りを忘れ、画面の向こうで自分を擁護してくれる誰かに引き寄せられていった。
画面はすぐに222に対する安価が付いて、自演するなとか何だとか飛び交っていったが、そんなことに目くじらを立てる暇さえないほど、永沢は心素直に惹かれていたのだ。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/05(金) 14:01:32.36 ID:cKXuL1OLo
わくてか
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/05(金) 21:29:16.91 ID:V3vphtgAO
藤木いいやつだな、しかし永沢も大学板以外にも板はたくさんあるだろうに
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/05(金) 23:53:50.01 ID:FFjaj76Go
生まれながらの士のほうの藤木かと
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/09(火) 17:49:10.18 ID:u/MK/NYro
wktk
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/08/09(火) 20:44:30.19 ID:YpM2teVAO
>>17
上げたから来たかと思ったじゃねぇか
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:17:39.71 ID:P/9JOCcc0
13
七月の末。
大学生にとっては前期期末試験の時期である。
学内には試験問題の答え合わせをする者たち、課題のレポートに勤しむ者たち、試験が終わり、待ちに待った夏休みを如何に過ごすかを話し合う者たちが、それぞれの時間を過ごしていた。
学生たちのガヤガヤとしたお喋りが学内を包んでいた。
雑踏の隙間から永沢が出てきた。試験が終わって、明日から夏休みらしい。
永沢は爛々としていた。

二週間前の締め上げ祭りで突如として現れたキンタマねぎ男の擁護。
永沢はそれ以来、その擁護してくれた名無しと自スレにて文字の交流を続けていた。
キンタマねぎ男は自演、馴れ合いのレッテルを貼られ、どのスレにレスをしても、無視などの冷やかな対応がされるばかりであった。だが、一人でも心通じ合える相手と知り合えたことで、その怒りは帳消しになった。
その名無しはキンタマねぎ男のスレ内で「ブルーリップス」と名乗っていた。
不思議なことにキンタマねぎ男はブルーリップスには何でも話せた。
学校や私生活のこと、ここでの嫌な体験、自分の内面や感情など、包み隠さず話せた。ブルーリップスも彼と似通った性質を持っていたようで、多くのことを共感してくれていた。
まさに心を開けた相手だったのかもしれない。

永 沢【――今日はそろそろ落ちるよ】
ブルリ【そう。それじゃあ、またね】
永 沢【ああ。おやすみ】

熱帯夜の寝苦しさも永沢には心地良く感じられた。
話せる友達が出来たという幸福感に満たされていたのだから。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:18:33.73 ID:P/9JOCcc0
14
―――
藤木「最近、ぜんぜん連絡をくれないじゃないか」
永沢「あぁ。僕も忙しいからね…」
藤木「忙しいって、何かバイトでも始めたのかい?」
永沢「…君には関係ないだろ」
藤木「ぼ…僕たちは友達じゃないか!」
行ってしまおうとする永沢の肩を掴んだ藤木。
引き止められて振り返った永沢は、
「――…まぁ、君よりも大切な友達が出来たからね!!」
と、痛烈な嫌味を言い放った。
藤木「そんな…。そんな言い方酷いじゃないか、永沢君!」
永沢「何だよ。君も「2ちゃんねる」をやっているなら、そこで気の合う相手でも見付ければ良いじゃないか!」
藤木「そんな顔も見えない遣り取りで一体何が分かるって言うんだよ!」
藤木「やっぱり会って話せることの方が重要だよ!!」
永沢「―!!」
永沢「もういいよ!!」
藤木「…くっ」
永沢に話せる友達が出来て以来、藤木とは疎遠になっていた。
そして数週間ぶりに顔を合わせた途端、こんな風に喧嘩をしてしまったわけだ。
非は永沢の方にある。が、当の本人はそれを認めたくないようだ。

またやってしまった、と永沢は思った。
が、藤木との友人関係を解消しよう、とも思っていた。
藤木を切り捨ててしまえば、もしも藤木がキンタマねぎ男の存在に気付いても、友達を失う悲しみを知る前に、逃げ切ることが出来る。
そんな冷徹な計算をする永沢だが、何せ肝の小さい彼は、内心、先ほどの藤木との言い争いで情けないくらい動揺していた。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:20:39.88 ID:P/9JOCcc0
15
永沢家。自室。パソコンの画面の前で憮然とする永沢。
永沢「(いいんだ。これで……)」
永沢「(藤木君も僕と離れて気兼ねなくリア充生活を楽しめることだろう………)」
永沢「!」

ブルリ【どうしたの? 何か今日は元気が無い感じだね…】自スレにレスが付いた。
永 沢【ああ。ちょっとあってね】
ブルリ【何かあったの? 話してみて】
永 沢【いや、ちょっと連れと喧嘩をしたんだよ。あんなのとは絶交だけどね】
永 沢【十五年も付き合ってるけど、あいつを信用したことはないね】
永 沢【今日、縁を切れて清々したよ】
それは本心からではなかった。もっとも虚勢の強がりである。
ブルリ【……】
永 沢【?(何だ今の間は)】
ブルリ【それって、男の子? それとも彼女…?】
永 沢【男だよ】
ブルリ【よかったぁ。たまねぎ君に彼女がいたわけじゃなくて‐^^‐】
永 沢【え…? それはどういう?】
ブルリ【ぼく実は女のなんだ…】
永 沢【え…】

永沢は驚いて立ち上がった。椅子が倒れた。
永沢「…えっ…、こ、これはどういうことなんだ??」

永 沢【“ぼく”って言ってたから、ずっと男だと思ってたよ】
ブルリ【ごめんなさい。たまねぎ君とお友達になりたくて男の子を装ってました><】
永 沢【そうだったんだ…いや、ビックリしたよ】
ブルリ【いまイメピタで顔写真をうpするね^^】
永 沢【えっ!?】
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:21:34.13 ID:P/9JOCcc0
15
永沢家。自室。パソコンの画面の前で憮然とする永沢。
永沢「(いいんだ。これで……)」
永沢「(藤木君も僕と離れて気兼ねなくリア充生活を楽しめることだろう………)」
永沢「!」

ブルリ【どうしたの? 何か今日は元気が無い感じだね…】自スレにレスが付いた。
永 沢【ああ。ちょっとあってね】
ブルリ【何かあったの? 話してみて】
永 沢【いや、ちょっと連れと喧嘩をしたんだよ。あんなのとは絶交だけどね】
永 沢【十五年も付き合ってるけど、あいつを信用したことはないね】
永 沢【今日、縁を切れて清々したよ】
それは本心からではなかった。もっとも虚勢の強がりである。
ブルリ【……】
永 沢【?(何だ今の間は)】
ブルリ【それって、男の子? それとも彼女…?】
永 沢【男だよ】
ブルリ【よかったぁ。たまねぎ君に彼女がいたわけじゃなくて‐^^‐】
永 沢【え…? それはどういう?】
ブルリ【ぼく実は女のなんだ…】
永 沢【え…】

永沢は驚いて立ち上がった。椅子が倒れた。
永沢「…えっ…、こ、これはどういうことなんだ??」

永 沢【“ぼく”って言ってたから、ずっと男だと思ってたよ】
ブルリ【ごめんなさい。たまねぎ君とお友達になりたくて男の子を装ってました><】
永 沢【そうだったんだ…いや、ビックリしたよ】
ブルリ【いまイメピタで顔写真をうpするね^^】
永 沢【えっ!?】
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:23:32.92 ID:P/9JOCcc0
16

ttp://●●●●●●●●●●● ←元スレでは手書きのイラスト

ブルーリップスはすぐに自分の顔をうpした。
画像は写真を切り抜いたものだった。
ショートボブの黒髪に色白の肌、大きな二重の瞳は万人を惹き付けるアイドル性のようなものを秘めており、特徴的なアヒル口が可愛らしく、またイマドキの雰囲気もあるが、どちらかというと清楚で、まだ穢れを知らないといった印象の女だった。
服のセンスもお洒落で可愛らしい。
それは永沢の好みの女性そのものだった。
キンタマねぎ男はその画像の女がブルーリップスと信じて疑わなかった。
そして惹かれていった。

永 沢【本当にうpなんてしちゃっていいのかい?】
ブルリ【すぐに消すから大丈夫だよ】
永 沢【いや、でも驚いたなぁ…君が女の人だったなんて】
ブルリ【これでお互いに顔見知りになれたね‐^^‐】
永 沢【あ…、うん…///】

永沢は困惑というよりも、寧ろ不思議な喜びに満ちていた。
女子との触れ合いに飢えに飢えていた永沢君男、21歳。童貞。
彼はいま色恋の春風に吹かれていた。
永沢「…そうかぁ。リップたんって女の子だったんだぁ………」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:24:44.57 ID:P/9JOCcc0
17
それから二人は更に交流を深めていった。
ひと夏の思い出には最適のロマンスであった。もっとも永沢はひと夏だけではなく、あわよくば一生物にしたいと願っていた。
日増しにブルーリップスに対する思いを募らせていく永沢。

永 沢【リップたんは週に何回くらい[田島「チ○コ破裂するっ!」]するんでつか??】
ブルリ【[田島「チ○コ破裂するっ!」]なんてしないよ><】
永 沢【嘘だあ! 僕は1日3回は必ずします(キリ】
ブルリ【やだぁ。えっちぃ。…ぼくは2日に1回くらい…かな…】
永 沢【べへぇぇえええ!! はぁはぁ…そうなんでつか! そうなんでつか!!】
永 沢【リップたんとちゅっちゅしたいでつ‐^З^‐】
永 沢【てか、2日に1回って女の子にしては多い方だよね??】
永 沢【多い日ってどんくらい血が出ちゃうんでつか??】
ブルリ【まだお昼だよ、たまねぎ君…///】
永 沢【僕ったら変態すぐる!! デュクシッ、デュクシッ!!wwwwwwwwww】
永 沢【ああああっー!! セクスしたいよおお!!】
ブルリ【…たまねぎ君、えっち過ぎだよ! めっ!】
永 沢【あはぁああん!! 怒られちゃったし!! 勃起しちゃったし!!】
ブルリ【え? いま勃起してるの?】
永 沢【うん! うん! うん! いますんげぇテント張ってるwwwwww】
永 沢【チャーHはやばい。チャーエッチはwwwwやwwwwwwwwwwばwwwwwwwwっうぃwwww】
ブルリ【^^】
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:26:41.77 ID:P/9JOCcc0
18
遣り取りは順調だったが、永沢には一抹の不安があった。
日常の何気ない会話ではそこそこ盛り上がることができたが、キンタマねぎ男が個人情報を提供する以外に、まず話題のレパートリーがなかった。
それにブルーリップスが都内の大学に通う20歳の女子大生で、キンタマねぎ男の好みの容姿をしているということ以外、キンタマねぎ男は彼女について何も知らなかった。
それが永沢を不安にさせた。
もっと踏み込んで聞いても良いのではないか。隠しているわけでもなさそうだし。

永 沢【――リップたんの友達にはどんな人がいるんだい?】
ブルリ【……そうだなあ】
ブルリ【嫌味っぽくて意地が悪くて、それでいて暗くて陰気で…最低の奴】
ブルリ【…その人しか友達いないんだ…】
永 沢【酷い友達だね。そんな奴と一緒いる必要なんて無いよ】
ブルリ【ぼくがいなくなったら、そのヒト、一人になっちゃうから…】
永 沢【へぇ。優しいんだね。でもそれじゃ、相手のためにもならないよ】
永 沢【そういう奴は切り捨てるのが一番さ。自分のためにもね】
ブルリ【……。前に絶交したっていう友達とも、そんな風に切り捨てたの…?】
永 沢【ああ。でも彼は切り捨てる以前の問題でね】
永 沢【考え方が卑怯だし、いちいち臆病だし、元から僕をイライラさせる奴だったんだ】
永 沢【だから最初から友達とも思ったこともなかったね】
またも強がってしまった。本当に嫌な性格だ。
藤木に対する罪悪感よりも、ブルーリップスの心証が悪くなるのではないかと心配していた。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:28:41.60 ID:P/9JOCcc0
19
ブルリ【……】
ブルリ【そうなんだ。その友達は今どうしてるの?】
永 沢【彼はリア充だからね。バイトにサークルに忙しくも楽しい時間を過ごしてると思うよ】
ブルリ【どうして分かるの? 本人から聞いたの?】
永 沢【え? …いや】
永 沢【いつも楽しそうに大学やバイトの話をするからさ】
ブルリ【ちゃんと話したことある? その友達と】
永 沢【話さなくても分かるよ。だって彼は僕に自慢したいだけなんだ】
ブルリ【何でそうやって決め付けるの?】
永 沢【決め付けるってわけじゃないよ。彼はもう僕とは違う人間だから】
永 沢【いずれにせよ友達の賞味期限の切れた奴だよ】
ブルリ【そう……】
―――
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:29:43.21 ID:P/9JOCcc0
20
親から用事を頼まれた永沢は駅前に来ていた。
お盆の買出しなんて僕に頼むなよ。心の中で愚痴を零しながら、ある商業ビルの前を通った。
そのビルの二階には居酒屋のテナントが入っていた。藤木のバイト先である。
永沢「(藤木君…どうしているんだろう?)」
永沢「(四時過ぎだから開店準備中ってところか…)」
永沢が通り過ぎようとしたとき、
「馬鹿野郎が!! いつなったら仕事を覚えるんだよ!!」
「お前みたいな使えない奴は初めてだよ!!」
永沢「(な、何だ??)」
その捲し立てるような罵声は一階裏の搬入口から響いてきた。
塀と街路樹の隙間から視線を覗かせる永沢。
先輩らしい男の背中が見えた。どうやらこの先輩が後輩に説教しているようだった。
怒られている人物は男の背中に隠れてしまっていて見えない。
永沢は角度をずらしながら更に様子を窺おうとした。
永沢「!!?」
永沢「(あれは藤木君じゃないか……)」

先輩「今日こそハッキリ言ってやるよ!! お前はお荷物なんだよ!!」
藤木「すっ、すみません…本当にすいません!」
先輩「早く辞めてくれない? みんなマジでそう思ってるよ?wwww」
藤木「そ、そんな…。一生懸命働きますから…!!」

先輩の足許に縋り付いて泣きそうな藤木を永沢は見ていられなかった。
それは衝撃の光景だった。藤木も大変なのだと永沢は理解した。
不憫で可哀想すぎて胸が痛んだ。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:31:57.17 ID:P/9JOCcc0
21
翌日の深夜。
永 沢【―っていうことがあったんだ】
ブルリ【でもその友達のこと心配しているんだね】
永 沢【心配? 違うよ】
永 沢【本当は物凄い要領の悪い癖に出来る振りをしている。僕の前でリア充風を吹かせていたのだって、つまりそういうことだよ。虚栄心ってやつさ】
永 沢【無能でグズの癖に出しゃばった事するからいけないんだ】
ブルリ【…だけどバイト頑張ってるじゃん。そこは認めてあげないの?】
永 沢【彼の頑張りと僕とは関係ないよ。認めるとかそんなことは興味ないね】
ブルリ【その友達が怒られてる所を見て何か思った?】
永 沢【何も? ちょっと可哀想だと思ったけど、やっぱりダサい奴だとも思った】
永 沢【結局、ダメなやつが虚勢を張っても無駄ってことさ】
ブルリ【…その友達には突っ掛かるよね】
永 沢【え? そんなつもりはないけど…】
ブルリ【自分と似てるから、自分と同じタイプの人間だからそんなに嫌悪してるの?】
永 沢【そういうわけじゃない。ただ何となくむかつくだけ】
―――
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:32:59.66 ID:P/9JOCcc0
22
二人が文字の交流を始めて一ヶ月半が経った頃、どちらからともなく会うことを切り出した。
永 沢【本当にいいのかい?】
ブルリ【うん】
永 沢【本当に、本当にいいのかい?】
ブルリ【ぼくは嘘吐かないよ^^;】
永 沢【何か今から緊張するな…】
ブルリ【ぼくも緊張する…】

キンタマねぎ男とブルーリップスは新宿の駅前某所で待ち合わせることになった。
いまや誰からも相手にされなくなった憐れな固定とその取り巻きの密会など、誰も興味がなかろうが、当人以外の人が来て邪魔をされたら困るので、一応の備えをしておいた。
待ち合わせには二人だけのルールを用いた。

九月某日の昼過ぎ、静岡から電車を乗り継いだ永沢は、期待に夢と股間を膨らませて新宿の駅に降り立った。
この時点ではまだ詳しい待ち合わせ場所は決まっていない。
携帯から「2ちゃんねる」に接続してしばらくすると、ブルーリップからレスがあった。
アルタ前まで行き、歩道側に停車してあるタクシーに乗るように指示された。タクシーの運転手には既に行き先が告げられているらしい。そこにブルーリップスが居るという。
夏が過ぎ、秋を迎えた都会の景色が車窓に流れていた。
タクシーに揺られること十分。高田の馬場方面に向かっていた。

タクシーはラブホテルの前に止まった。
永沢「…えっ?!」
永沢は生唾をごくりと飲んだ。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/10(水) 16:33:39.65 ID:P/9JOCcc0
重複すみませんでした。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 22:39:01.73 ID:o1S06MyZo
>>30
いやいいよ
面白かった
ってかブルーリップって(笑)
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 22:51:48.19 ID:C8Kattboo
ブルーリップスで腹筋崩壊
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/14(日) 18:11:29.15 ID:GO93s1d90
書き溜め中かね?
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:17:37.12 ID:abykpcgl0
23
タクシーを降りてすぐにブルーリップスからレスがある。
建物の中に入ってという。八階の802号室に居るから、受付でチェックを済ましてから入って来てくれという。
今日が童貞脱出の記念日となるのか。鼓動が絶えない。
しかし、こんな事も在ろうかと長風呂に入って身体中を清潔にしたことは良かった。
おちんちんの剥き癖を付けたし、これでもかってくらいに香水を塗り手繰った。
生まれて始めて美容院に行ったことや、メンズ・ファッション雑誌を見ながら服装を選んで、お洒落にも気を遣った。
そう。準備は万全だったが、――まだ心の準備は出来ていなかった。
緊張していた。永沢は顔を真っ赤にしながら、入口の周りをグルグルと歩き回ったり、腕を組んで貧乏ゆすりしたりして煮え切らなかったが、今までの快晴が急に陰りを見せ、厚い灰色の雲が覆って来たのを機に、ついにホテルの中に入る決心が付いた。

ずっとブルーリップスに恋心を寄せていた。
あの画像の、あの女の子こそがブルーリップスで、自分を慕ってくれている唯一の女の子だと、永沢は強く思い込んでいた。そしてそれを信じて疑わなかった。
何度も卑猥な妄想に彼女を汚して[田島「チ○コ破裂するっ!」]に耽った。
その女の子と今日……。

外には雷鳴が鳴り響いていた。降り付ける雨音も聞こえた。
しかしそんなことはどうでも良かった。八階に上がるエレベーターの中の永沢のおちんちんはフル勃起の状態。雨で路面が濡れる前に、永沢のおちんちんは我慢汁でグショグショだった。

心臓がバクバクである。深呼吸をする永沢。
802号室のドアの前に立って、いま震える指でインターフォンを押した。
すると中から、
「たまねぎ君? どうぞ。入ってください…」

永沢はそろりとドアを開けた。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:18:49.48 ID:abykpcgl0
24
ドアを開けた瞬間、永沢の甘い幻想は一気に吹き飛んだ。
動揺と混乱。大津波のような衝撃が永沢の心を浚って行った。
ビンビンだったおちんちんは急激に萎え撓り、ドアの前に崩れ落ちる永沢。
やっとのことで壁に手を掛けた、
永沢「どっ、どうして君がここに…なんで?! あっ、ああっあっ…―!!??」
永沢「えっ…?! どうして…?! えっ、えっーっ!?」

ベッドに座っていたブルーリップスはキンタマねぎ男の驚愕に冷やかな一瞥を送ると、ゆっくりと立ち上がった。
ムードのある暗がりの室内から“彼”はその姿を露にした。
「初めまして。たまねぎ君…」

永沢「どうして…、藤木君が……?!」
藤木「そう。ぼくは藤木しげる。君の友達さ…」
永沢「なっ、何だと!!」
永沢「そ、そうじゃない!! ブッ、ブルーリップスという女は――」
首を傾げて鼻で笑う、
藤木「くくくっ…。ぼくがその“リップたん”だよ…」
永沢「そ…、そんなぁああ…――」
永沢は放心したまま、灰のように沈んだ。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:19:29.55 ID:abykpcgl0
25
外の雨は一層ひどくなっていた。
水槽のコポコポという水泡の弾ける音が始終流れている。いやらしい形の水晶のオブジュが七色に発光していた。
永沢「ふ、藤木君。ど、…どうしてこんなことを?!」
藤木「全て君がいけないんじゃないか…」
弱々しく目線を上げながら、
永沢「えっ? ぼ、僕が何かしたっていうのかい!?」
藤木「白々しいよ、永沢君。君がぼくという唯一の友達を大切にしないから…―」
藤木「君がぼくを邪険にするから……蔑ろにばかりしているから…―」
永沢「な、何を言っているんだよ!! 君には大学にもバイト先にも友達や知り合いが沢山居るんじゃないのかい?!」
永沢「僕がいなくても―――」
永沢の言葉を遮って、
藤木「そんなの口から出任せだよ!!!」
永沢「…え?」
藤木「そんなの全部、…嘘さ」
藤木「考えれば分かるだろ? ぼくなんかが“リア充”になれるわけ無かったんだよ…」
これほどまでに藤木の三角の瞳が悲しく見えたことはなかった。
永沢「ふ、藤木君……」

藤木は永沢に全てを打ち明けた。
藤木は大学進学を機に自分を変えようと決心した。いわゆる「大学デビュー」というやつだ。
服装や身嗜みなど、センスに磨きを掛けると同時に、明るく爽やかな好人物を演じながら、積極的に誰とでも関わっていった。合コンにも参加した。サークルにも入ったし、バイトも始めた。
そんな甲斐もあってか、友達も徐々に増え、交際の幅も増えた。
自分はもう臆病で卑怯者呼ばわりされる過去の藤木しげるじゃないのだと自信さえ持った。
だけど、そんな確信は長くは続かなかった。
要領の悪い“非リア”気質の藤木に“リア充”の振りをする演技が上手く続けられる筈も無く、次第にボロを出していった。
メッキの剥がれた藤木に友達は冷たかった。
入学して半年後、藤木は周囲から孤立していった。今では「ぼっち」で不登校の有り様。
藤木の大学デビューは無残にも失敗に終わったのだ。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:20:08.00 ID:abykpcgl0
26
永沢は黙って聞いていた。
藤木「――だけど、だけどあの居酒屋のバイトだけはどうしても続けたかったんだ…」
藤木「ここから逃げたら、本当に自分はダメになるって思ったから…」
永沢はいつだったかの藤木を思い出した。
先輩に縋り付いて土下座をしていた憐れな藤木の姿を。
永沢「だから必死にしがみ付いていた…」
藤木「そうさ。失いたくなかったんだよ。バイトも君も――」
藤木「だから「2ちゃんねる」で“君と出会えた”のは絶好の機会だったんだ…」
藤木「友達としての君の真意を確かめる、ね…―」
永沢「―!!」
永沢「じゃ、じゃあ、僕が大生で固定を名乗っていたのは、…知ってたの…か?」
溜息を吐きながら、
藤木「あぁ。…大分…前からね…」
永沢「……」


―――半年前。
大学のサークル仲間からハブられ、バイト先でも失敗を重ねて、先輩等から疎ましがられていた藤木は、その孤独の矛先を「2ちゃんねる」に向けた。
適当に板を徘徊していたところ、大生板で見覚えのある顔を見つけた。
藤木「キンタマねぎ男…? ――!!」
藤木「これは永沢君じゃないか…――!! どっ、どうして?!」
藤木は、「2ちゃんねる」の大生板で固定を名乗るキンタマねぎ男なる人物が、自分の幼馴染の永沢であることを知った。永沢もまた、心の孤独を「2ちゃんねる」で癒す一人だったのだ、と。
某国民的アニメのSS(ショート・ストーリー)を書いて、一時的に持て囃された永沢だったが、その後、悲惨なまでに零落れて、大生板では最も疎ましがられた固定となっていた。
予てより藤木は永沢の内面に迫ってみたいと思っていた。
いつもの自分に対する辛く当るような嫌味な言動や、その悪態の限りは、果たして不器用な性格からなのか、それとも本心からなのか、それを確かめてみたいと思った。
藤木はキンタマねぎ男に擁護の名無しとして自然な形で近付き、永沢の心を探ろうとした。
思ったよりも簡単に永沢は心を開いてくれた。
現実で会っている時には決して見せない素顔を見せてくれた。そして何でも話してくれた。
だけど、――だけど。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:20:46.77 ID:abykpcgl0
27
―――
永 沢【いや、ちょっと連れと喧嘩をしたんだよ。あんなのとは絶交だけどね】
永 沢【十五年も付き合ってやっているけど、あいつを信用したことはないね】
永 沢【今日、縁を切れて清々したよ】
藤木は永沢のその言葉を本心からだと受け取った。やはり永沢は自分を見下していた。
悔しい。こんなに馬鹿にされていたなんて…。友達だと、―――友達だと思っていたのに!!!
藤木は深くショックを受けると同時に憤りを覚え、永沢に対して、言葉では言い表せないほどの復讐心のようなものが芽生えてくるのを感じた。
『永沢を懲らしめてやろう』
そんな暗い思いを巡らせるよりも先に、藤木はネカマを演じていた。

ポツリと呟くように、
藤木「――ブルーリップス。…青い唇」
永沢「――あっ!!」
永沢は「ブルーリップス」が藤木の青い唇を意味するものだと、いまやっと気付いたようだ。
自分の唇に指を這わせ、
藤木「ほら…。やっぱり君は…、ぼくのことなんてちっとも見てないんだ」
藤木「ぼくはこんなに君のことを知りたいのに…」
永沢「…っ。じゃあ、あのイメピタの画像の女の子って誰なんだよ…?!」
藤木「あぁ。―あれはね…」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:21:26.02 ID:abykpcgl0
28
二年前の春、藤木は新入生歓迎コンパでその女と知り合った。
場の雰囲気に馴染めず、ソワソワしていた藤木に優しく接してくれた。藤木は一目惚れした。
それ以来、記念で撮った写真の切り抜きを持ち歩いていた。
どうしてもお近付きになりたくて、ストーカー紛いのこともした。
相手から気持ち悪がられる前に告白をしたけど、当然の如く振られてしまった。
精一杯の気持ちを伝えたつもりだった。
「やだぁ…きも…来ないで…」
そう言って、彼女は行ってしまった。
これが大学の仲間内で広がって変な噂が立ち、藤木は周囲から追い遣られてしまったのだ。

藤木「―永沢君はさ、こうも言って馬鹿にしたよね」
藤木「周囲に順応しようと必死なぼくを「流され易く自分を持っていない奴」だって…」
ハッと息を呑んだ、
永沢「あっ、あれは違うんだ…その…―」
藤木「ここまで言われる筋合いは無いと思ったよ。だから…」
藤木「君の前では“リア充”を演じ続けた。君が羨ましがるほどにね…!」
永沢「そんなつもりじゃ…」
藤木「君の前では虚勢を張っていただけさ…」
永沢「……」
藤木「ぼくらは似た者同士の友達だったんだ…なのに…―」
藤木「君もぼくも虚勢の張り合いで、お互いに―そう、向き合うことを忘れていた…」
永沢「む、向き合うって何だよ…?」
藤木「―本音で話すことさ」
―――
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:22:20.46 ID:abykpcgl0
29
永沢君、君は言ったよね。心の内を話してくれたよね。
永 沢【考え方が卑怯だし、いちいち臆病だし、元から僕をイライラさせる奴だったんだ】
永 沢【だから最初から友達とも思ったこともなかったね】
永 沢【いずれにせよ友達の賞味期限の切れた奴だよ】
永 沢【無能でグズの癖に出しゃばった事するからいけないんだ】
永 沢【やっぱりダサい奴だとも思った】
永 沢【結局、ダメなやつが虚勢を張っても無駄ってことさ】
永 沢【ただ何となくむかつくだけ】
いま思い出してみても、チクリチクリと心が痛む。
親友から手酷く裏切られたことの、その精神的な疲弊は計り知れない。
永沢と一緒に居ると、自分と似たようなところに親近感も覚えたけれども、人を人と思わない冷酷さとも付き合っていかなければならない。それがまた悲しかった。
それでも永沢に縋り付いているのは、どうしてだろう。
他に友達がいないから、永沢以外に話せる相手が居なかったから。
孤独で寂しかったからだ。

藤木「――ぼくは悲しくて泣いたんだよ…」
永沢「あっ、あれは違う! リ、リア充の君が羨ましかったからっ…!!」
永沢「きっ、君が僕を置き去りにして飛び立っていこうとするからいけないんだよ!!」
永沢「君を深く傷付けたことは謝る!! あっ、謝るからーっ!!」
永沢は息急きを切るように一気に吐き出した。
藤木「……」
藤木「でももう遅いんだよ…永沢君」

藤木は後ろ手に隠していたナイフを取り出して、瞬時に永沢の鼻先に向けた。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:22:53.98 ID:abykpcgl0
30
いまどこかに大きな雷が落ちたようだった。
ジワジワと永沢を壁際に追い遣り、
藤木「君が「2ちゃんねる」で受けた誹謗中傷の嵐は――」
藤木「―まさに因果応報だったと思うんだ」
藤木「ぼくを深く傷付けた君は「2ちゃんねる」によって深く傷付けられた…」
足をガクガクと震わせながら、
永沢「ひっ、ひぃいいっ…!! やめてくれ…た、助けて……」
藤木「…まだ足りないよ。ぼくは15年もの長きに渡って君に虐げられて来たんだから…」
永沢「なっ、何でもするよ!! 何でもするから、た、助けて…!!」
永沢の頬にナイフの刃先を当て、
藤木「君がブルーリップスに藤木しげるを友達だと認める旨の発言があれば…ね…」
永沢「…えっ、あっ、ぁぁああ…」
藤木「だけどもう流石に遅すぎるよね……」
永沢の首筋に塗りたくられた香水の匂いに気付いた、
藤木「へぇ…。永沢君も香水なんて付けるんだね。もしかして今日、やれるとか思ってた?wwww」
永沢「…くっ」
藤木「きっとこっちもビンビンだったんだろうね」
藤木は永沢の股間を優しく触った。
優しくそして強く、永沢の股間を弄り始めた藤木。
永沢「ふ、藤木君…。な、何を…?」
藤木「ふふふ。やり損じゃあ、あまりに可哀想だからね」
―――
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:23:20.08 ID:abykpcgl0
31
藤木は無抵抗な永沢の唇に自分のその青い唇を重ねた。
熱い口付けと共に永沢を強く抱きしめた。
舌を入れ、クチュクチュという湿った微音が、このムードある静かな室内に浸透していた。
藤木「…っちゅぱぁ…。…どうだい? 初キスの味は……」
永沢「ハァハァ…ふ、藤木君……」
藤木「ボーッとしちゃってるところ見ると落ちた感じかな…?」
永沢「なっ、何を言ってるんだよ!! …ぼ、僕は…」
必死に否定する永沢に藤木は「いいんだよ」と言って、また永沢の股間に手を伸ばした。
永沢の穿いていたズボンを下ろし、ペニスを引っ張り出した。
藤木「いま大きくしてあげるよ…」
藤木「あれ? これはチンカスかな…?」
永沢「チ、チンカスなんか付いているわけ無いだろう!! …ちゃんと洗ったよ!!」
藤木「また強がっちゃって…(はぁと」
永沢「っていうか、これ以上はやめておくれよ!!」
藤木「さっき、何でもするって―ふふ…――-言ってくれたよね?」

―――
永沢「わっ…ふ…ふぁ…あっ…あぁ……」
藤木「チュパ…クチュ…レロレロ…チュポチュポッ……ジュルジュルッ…ジュポ」
永沢「も、もう…ハァハァ…イッちゃいそう…だよ…」
ペニスの愛撫をピタリと止め、
藤木「…ふふ。まだイカせてあげない☆」
永沢「そ、そんな意地悪はよしてくれよぉ…!」
藤木「いつもとは逆で滑稽だねwwwwwwじゃあ、こっちはどうかな…?」
藤木は永沢のまだ未開発のアナルを中指で責めつつ、挿入に向けて望ましい状態を馴染ませた。
永沢「ひゃうぅ…!! そ、そこはダメだよ、藤木君!!」
藤木「ふふ…」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:23:52.93 ID:abykpcgl0
32
二人は縺れ合うようにして、ベッドシーツの純白の中に落ちていった。
藤木は永沢の頭を撫でた後、彼の汚らわしい太ももを持ち上げ、自分のペニスを挿入した。
優しく挿入したのは初めだけで、暴れ馬のように激しく動き回った。凄まじいピストン運動だ。
永沢「ひぎぃぃい!! 痛い!! 痛いじゃないか、藤木君!!」ギシギシ
藤木「ぼくの…ハァハァ…心の痛みに比べれば…ハァッ…こんなの何でもないだろ…ハァハァ」フンフン
永沢「あっ…ああっ…――アッー」ギシギシ 
藤木「ああああ!! イクよ!! イクよ!! な、永沢くぅうううん!!!」ドピュッドピュッ

―――
藤木「それじゃ、次は永沢君の番だよ…」
永沢「えっ?…」
藤木「えっ?って、さっきから君、ちょっと驚きすぎだよ…」
藤木「初釜を責められて、君もまんざらでもないって感じだったじゃないか…?」
永沢「――/// …い、言わないでくれよ…///」
永沢の側に尻を突き出し、自らの指で肛門を広げた、
藤木「さぁ…! ぼくが“親友”の童貞を貰い受けてあげるよ…!!」
永沢「で、出来ないよ…こんなこと出来ないよぉ…」
藤木「大丈夫だよ…。ほら、まずペニスを扱きながら勃たせて、…押し当ててごらん」
永沢「出来ない!! 出来ない!! 僕には出来ないよぉ…――」 
ベソをかいて泣き出しそうな永沢に、
藤木「マンコだと思ったら挿入すんだろうがよ!! …ウジウジしてねぇで、さっさとファック決めろってつってんだよ!! この糞タマネギ野郎!!!」
永沢「ひぃっ!」

藤木「…ごめんよ。両手の親指でぼくの肛門を拡張しつつ…―あっ…」クチュウ
藤木「そう…ハァハァ…そんな感じ…腰を動かすんじゃなくて…そう……身体を揺する感じ…―」ズチュチュ ジュポ
藤木「あっ…ハァハァ…クゥ…良いよ…上手じゃないか…ハァハァ……」グチュ ズチュポ
永沢「…あっ、あっ、あっ、あっ…温かいよ、藤木君…ハァハァ!!」
永沢「―きっと―ハァハァ―あの女の子のマンコの中もこんな風に温かかったんだ…―ふぁああっ!!―――」ドピュ ドピュピュ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:24:36.01 ID:abykpcgl0
最終章
全てが終わったあと、二人はベッドに横になりながら、しばらく無言だった。
プルルルルル。沈黙を破ったのは部屋の呼び出しベルだった。
ずっと鳴り響いている。2時間の料金プランで入ったから、もう出なくてはいけない時間が迫っていた。きっと延長するかしないかを聞くためだろう。
永沢「…鳴ってるけど…出ないのかい…?」
藤木「もう少しこうして居たいな…」
永沢「……」
藤木「ぼくは君に友情以上の何かを感じていた…。それは確かだ…」
永沢「え…?」
永沢の方に寝返りを打って、
藤木「こんな風になったのは残念だけど、こうして肌を重ねてられたのは良かった…」
藤木「これで友情も他の何かも深められたのかな…」
永沢「藤木君……」
ゆるゆると起き上がりながら、
藤木「ほら、延長の断りを入れるから、シャワーを浴びて来なよ…。ベタベタだろ?」
永沢「あぁ。じゃあ、先に浴びて来るよ…」

永沢はタオルや着て来た服を持って、シャワー室に入っていった。
鳴り響いている呼び出しベル。藤木が最後までそのベルの受話器を取ることはなかった。

藤木しげるは建物の最上階から飛び降りて死んだ。
享年21歳。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/15(月) 09:27:52.39 ID:abykpcgl0
お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
下の空いたスペースにサザエさんのSSも載せたいと思います。
良かったら見てやってください。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/08/15(月) 09:43:10.55 ID:7NrXKx9AO
ど う し て こ う な っ た
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/15(月) 10:19:52.52 ID:g05d+Z7/o
想定外すぎたぞ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 12:22:54.80 ID:z3u83u9IO
どうしてこんなことに……
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/15(月) 14:16:23.16 ID:7YGPb4t/0
これはひどうい
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) :2011/08/15(月) 14:22:14.66 ID:dQlk86rt0
納得しない
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 18:20:02.23 ID:BDYA5DAwo
予想外だった
面白かったけど
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 18:45:53.59 ID:xUpuJTaAO
31から吐き気を催した
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) :2011/08/15(月) 22:15:26.85 ID:orDThQmWo
[田島「チ○コ破裂するっ!」]
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/15(月) 23:16:16.69 ID:hGXYxYeAO
サザエさんを読んだらそれ以上の事が……
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:23:38.44 ID:XZuY3SHF0
【完全収録】中島「ワカメちゃん、ほら、いつものだよ」

http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/campus/1263507846/(大学生活板)


01
中島からそれを受け取ったワカメは、せっつくように自分の腕に突き刺した。
ワカメの腕は注射痕だらけだった。
ワカメ「ぁぁああぁあああ! この感覚! 素敵!!」
中 島「じゃあ、今日は諭吉さん5枚な」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:27:13.38 ID:XZuY3SHF0
02
薬物の悦びを覚えたワカメは更なる悦びを求めて、中島に縋った。
ワカメ「ねぇっ! もっとちょうだい!」
中 島「しょうがないなぁ…じゃあ、20枚くれたらいいよ」
ワカメ「えっ、そんな大金…」
中 島「それじゃあ、ダメだよww」
ワカメ「…分かったわ…」

家に帰ったワカメはカツオの貯金箱、サザエのヘソクリ、フネの積み立てタンス貯金まで掻き集めた。
罪悪感などない。あの快楽が欲しい。その一心だった。
ワカメ「どういうことなの…2000円もないじゃない!!」
ワカメ「…!!」
ワカメは波平の給料日が今日であることを思い出した。
身体は欲しているのだ。あの悦びに出会えると思うと次第に昂奮していった。
ワカメは台所から包丁を持ち出し、今夜きっと波平が通るであろう、裏路地の暗闇の中に消えていった。
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:28:15.92 ID:XZuY3SHF0
03
波 平「うぃっく…ん〜♪」
波平だ。一人。マスオもいない。しかもかなり酔っている様子。
これはチャンス。もう今しかない。
ワカメは波平の後を静かにつけ、暗い人通りのない角を曲がったところで背後から包丁を突き刺した。
波平は酔いが覚めるより早く、吐血と嘔吐をしながら、もがき苦しみ前に突っ伏した。
素早く波平の懐の中に手を入れ、給料袋らしきものを探した。
ワカメ「…ハァハァ…っ…どこ? …ん…」ガサゴソ ガサゴソ
ワカメ掴み取ったのは給料袋ではなく、リボンの付いた小包袋だった。
ワカメ「これは…」
ワカメは今日が自分の誕生日であることを思い出した。
良く見るとリボンの隙間に「ワカメへ」と波平の文字で書かれていた。
ワカメ「父さん…」
ワカメは包丁を落とし、冷め冷めと泣き出した。

波 平「…ハァハァ…ワ、ワカメか…ぐぅぅ…」
ワカメ「…っ、父さん…わ、わたし…ヒ、ヒグッ…エグッ」
波 平「…グゥ…と…父さん、ハァハァ…暴漢に刺されちゃったよ…」
ワカメ「……父さん…父さん…わたし、ごめんなさい…あの…ヒグッ…エグ…」
波 平「ワカ…メは無事か…? な、何ともないか…?」
ワカメ「うぅっ…わたしが…ああ…」
波 平「ははっ、…そうか、ワカメが無事ならそれでいい…」
波平は息絶えた。享年54歳。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:28:48.61 ID:XZuY3SHF0
04
磯野家で何やら事件が起きたらしい。
門前にはパトカーが並んで止まり、近所の人々が人垣を作っていた。
うちの母親と父親も駆け寄っていった。
不気味な笑みが薄く開いたカーテンの隙間から覗かせていた。
甚 六「…くくく」
プルルル。ガチャ。
甚 六「―もしもし」
花 沢「そちら方は上手く行きましたかしら?」
甚 六「はい。今、大変なことになってますよ…くくく」
花 沢「そう。わかったわ。ありがとう」
甚 六「…くくく」
花 沢「くふふふふ…」
甚 六「はーっはっはっはっはwwwwwwww」
花 沢「あはははははははwwwwwwwwwwww」

花 沢「(磯野家が一家離散すれば磯野君は私という存在無しでは生きられなくなる筈よ)」
甚 六「(…本当にこの女の言う通りにすれば、かおりちゃんと付き合えるのだろうな?)」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:29:24.32 ID:XZuY3SHF0
05
花沢の実家は地元の中堅不動産屋である。
ふとしたキッカケから花沢の父親が麻薬の裏売買に関わっていることを知った。
予てから意中のカツオに猛アタックするも、花沢の思いは届かず、カオリや早川といったビッチに靡いてしまうカツオを、どうにか自分の方へ振り向かせたいと考えていた。
そして思い付いたのである。
カツオを自分の物にする方法。抜け目ない作戦を。
磯野家を陥れ、家族を失っていくカツオの悲しみを優しく癒し、カツオを自分無しで生きられないようにするための。
花 沢「…この白い粉が役立ちそうね」
花沢は粉を入った袋をお手玉のように弄んだ。

花沢はカツオの親友である中島に話を持ち掛けた。
こいつはカツオと親友の振りをしているが、実は心の中ではカツオを物凄く嫌っている。
そして中島は磯野家に出入りするノリスケの妻、タイコに淡い恋心を寄せてもいた。
脈はありそうだ。利用できる物は利用しよう。
中 島「…で、でも、そんなことしたら…犯罪じゃ…」
花 沢「犯罪? どうして? 成功すればタイコさんは中島君の物になるのよ?」
中 島「…で、でも…」
花 沢「…じゃあ、あなたのお祖父さんがどうなってもいいの?」
中 島「じっ、祖父ちゃんは関係ないだろ?!」
花 沢「私の家は不動産屋だけど、それは表向きの話で、裏では暴力団と密接な繋がりがあるのよ」
花 沢「あなたの家なんて簡単に潰すことだって出来るのよ?」
中 島「…うぅっ…」
花 沢「いいじゃない!! あなたさえ協力してくれれば何もかも上手く行くの!」
中 島「……」
花 沢「小耳に挟んだのだけれど、タイコさん、離婚したいそうよ」
中 島「…え」
花 沢「チャンスじゃない!! タイコさんが中島君の物になるのよ!!」
中 島「…僕のもの…」
中 島「や、やらせてください…」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:30:04.57 ID:XZuY3SHF0
06
花沢の包囲網は中島だけに留まらず、磯野家の隣人、浪人生の甚六も視野に入れられていた。
ある日の午後。公園にて予備校をサボっている甚六。
甚 六「ふぁ〜、何か面白いことないかな〜」
甚 六「まーた予備校サボっちゃったし…、今年も浪人かな〜」
甚 六「ん!?」
甚六の視線の先には犬の散歩をしているカオリの姿。
甚 六「…ゴクリ」
夏場のこの季節、薄着のうえに、肩を出したキャミソールが少女の魅力を引き立ていた。
犬に引かれて伸び縮みする二の腕に微かに見えた脇の下。
まだ男を知らないその純真な横顔。そして何よりカオリの可愛らしさ。
甚六はロリコンだった。
甚 六「!?」
甚 六「…(くそっ! もう勃ってやがる!!)」
甚 六「(あんな娘とやりてぇ!! ってか僕まだ童貞だしよ〜! 糞おお!!)」

木の陰から現れたのは花沢。
花 沢「出来ますよ?」
甚 六「!!?」
花 沢「カオリちゃんとえっち…」
甚 六「あははっ、な、何を言ってるのか僕にはさっぱり分からないな〜」
花 沢「テント張ってるのが何よりの証拠じゃないんですか?ww」
甚 六「…こ、これはっ!!」
花 沢「私の言う通りにすれば叶いますよ? どうしますか?」
甚 六「…ゴクリ」
――
こうして花沢は年上の浪人生をも懐柔したのである。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:30:40.74 ID:XZuY3SHF0
07
花沢は順調に外堀を埋めていった。
磯野家の一件は新聞でも大きく取り上げられていたが、波平がワカメに刺されたことはまだ露見していなかった。
波平は搬送先の病院で亡くなった。警察には「娘に」とは言わなかったのだろう。
表記には「54歳会社員、暴漢に刺殺さる」とだけあるのみだった。
ワカメは事件から十数日経った今も学校に来ておらず、噂では事件のショックで精神に変調を来たし、どこかの精神病院に入院したと囁かれていた。
カツオもずっと学校へ来ていなかったが、今日、久しぶりに登校してきた。
クラスの誰もがカツオを気遣い、心ばかりの慰めの言葉を掛けた。
当のカツオはあっけらかんと快活に振舞い、いつもと変わらぬ様子だったが、やはり無理をしているようでもあった。
カオリ「…磯野君…大変だったわね……グス」
カツオ「あははっ…、カオリちゃん…ありがとう。心配してくれるんだね」
早 川「磯野君…私たちに出来ることがあったら何でも言って」
カツオ「早川さんも…」
西 原「元気出せよ! みんなお前の味方だからさ!!」
橋 本「そうだよ! また野球しようぜ!!」
中 島「…イソノ…」
カツオ「橋本…西原…みんな…」
橋 本「そうだよ! また野球しようぜ!!」
橋 本「そうだよ! また野球しようぜ!!」

クラスメートの全員がカツオを取り囲み、思い思いの言葉を交わしていた。
一方、クラスの隅で花沢は悶々としていた。
花 沢「(くっ…これじゃあ、私が磯野君に近付けないじゃない!!)」
花 沢「(中島君もちゃっかり輪の中に入ってるし!!)」
いつもの花沢ならお節介なほどに入り込んでいくが、今日は違う。
いつものようにカツオに接することが出来ないのだ。
いや待てよ。花沢は考えた。
こういう感じの慰めは一対一の方が効果がある。
今は皆に取り囲まれているカツオだが、一人でいる時の方が本音を言ってくれるかもしれない。
花 沢「(私の胸で泣けばいい。私は磯野君の優しい止り木になるわ…)」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:31:21.62 ID:XZuY3SHF0
08
放課後。
花沢はカツオと二人きりになる機を狙って後を付けた。
夕暮れ時。人気の無い校舎裏。
体育館の裏に早足で向かっていくカツオ。
花 沢「…?」

カオリ「磯野君…可哀想な磯野君…」
カツオ「カオリちゃん…慰めてくれるんだね…」
カオリ「んっちゅぱ…んぐっ…ハァハァ…ぺろぺろ…」
カツオ「チュパ…んぐっ…ん、レロレロ」

花 沢「な"っ…?!!」
花 沢「(ん"ん"ん"ん"ん"ん"〜〜!!!)」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:32:03.70 ID:XZuY3SHF0
09
花沢の自室。深夜。
思いもせぬカツオとカオリの逢瀬を目撃してしまった花沢は怒り狂っていた。
花 沢「くうぅ〜!! 私というものがありながら!!」
花 沢「大体、何よ!! あの糞ビッチ!! 私の磯野君に色目なんか使って!!」
花 沢「―! そうだわ…いい事思い付いた」

プルルル。ガチャ。
甚 六「…はい。伊佐坂ですが」
花 沢「もしもし。花沢ですが――あ、甚六さん?」
甚 六「うん、僕だけど」
花 沢「カオリちゃんの件、明日にでもセッティングするわ」
甚 六「えぇっ! 本当?」
花 沢「近くのマンションにとっても良い空き部屋があるの」
甚 六「…でも、騒がれたりしないかな?」
花 沢「あはははwwww大丈夫よ。まだ新築で誰も入ってないの。
頑丈なSRC構造だから防音設備も万全よ」
甚 六「で、でも…どうやってカオリちゃんを連れて来るっていうんだい?」
花 沢「なぁに? 甚六さん、あなた気が小さいのねぇ?wwww」
花 沢「大丈夫よ。首尾良くやるわ――でも、その代わり…」
甚 六「な、何?」
花 沢「ウキエさんに協力してもらいたいの」
甚 六「ウキエに?!」
花 沢「そう。交換条件よ。どうかしら?」
甚 六「…わかった。君に従うよ!」
二秒で即答。性欲には勝てなかったようだ。
花 沢「ふふwwじゃあ、明日、楽しみにしていてね☆」
甚 六「…ゴクリ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:32:45.12 ID:XZuY3SHF0
10
その翌日。
カオリには適当に理由を付けて例のマンションに来るように言った。
カオリはビッチの雌犬なのだ。花沢はこれから彼女に起こるであろう不幸を嘲笑った。
カオリ「へぇ〜綺麗な眺めじゃない」
花 沢「でしょ? 夜景はもっと綺麗なのよ」
カオリ「わぁ〜ステキ〜」
花 沢「そうだ! 今日、泊まって行きなさいよ?」
カオリ「えっ? 良いの?」
このマンションの一室はモデルルームとして使われていたため、家具だの家電だのが残っている。
最新型の薄型テレビもある。ベッドもフカフカだし、冷蔵庫の中には幾らかの食料もあった。
最も睡眠薬入りの飲み物は今日になってから持ち込まれたものだが…。
花 沢「喉渇いたでしょ? ジュースでもどうぞ」
カオリ「あ。ありがと〜ぉ^^」
花 沢「どう? おいしい?」
カオリ「…あれ? 何だか…少し眠くなって…き…」
花 沢「疲れているのよ。少し休みなさいよ」
カオリ「…ん…ムニャムニャ」パタン
花 沢「…ふふww」

甚 六「…カオリちゃん…ハァハァ」
花 沢「そんなにガッつかなくともカオリちゃんは逃げないわよww」
甚 六「…ハァハァ…大丈夫なんだろうね、本当に…本当に?」
花 沢「それじゃあ――私はお邪魔のようだから外に出ているわ」
花 沢「終わったら、声を掛けてちょうだい」
花沢はそう言うと部屋から出た。
花沢が出て行ったのを確認した甚六は、
「…ハァハァ…ムラムラ…カ、カオリ…カオリちゃあああん!!」
「ハァハァ…キレイな太もも…触るよ…ハァハァ…」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:33:27.61 ID:XZuY3SHF0
11
甚六はカオリの太ももを少し舐めると、緊張した手付きでスカートの中に手を伸ばした。
白い綿の少女らしいおぱんちゅを履いていると思いきや、どこかの通販で買ったのだろうか、大人っぽいエロくて可愛い下着を着けていた。
甚 六「こ、こここんなエッチなパンツを!? けしからん!!」
しかしおぱんちゅなど、ずり下げてしまえばただの布。おまんまんが露になれば不用なのだ。
甚 六「わぁ〜☆ すごぉい…ハァハァ」
甚六は目を見開いた。
カオリの女性器はまだ幼い少女の雰囲気を保ちながらも、恥丘に沿って生え揃った恥毛が見事なハーモニーを奏でていた。
まだピンクの色をしている。上から見るとWの形をしている。
ぎこちなく、しかし優しく滑らかにカオリのおまんまんを弄りながら、反対の手で自らのペニスを刺激した。
甚六「はっ…はうあうあ…うっ!!」
二秒であった。甚六はロリコンでかつ早漏なのだ。
次に甚六はペニスをカオリのおまんまんに擦り付けながら、前のめりに彼女の乳と唇を貪った。
カオリ「…ん…ムニャムニャ」
甚 六「…ちゅぱー…レロレロ…ぷちゅぷちゅ…ハァハァ」
甚 六「ぺろぺろ…ちゅぽ、ちゅぽ…ぶちゅーっ…ちゅっぽん…レロレロ…ハァハァ」

それはさながら一人人形遊びに興じる童貞のキモオタのようだった。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/16(火) 11:34:05.31 ID:XZuY3SHF0
12
ジー。ジジジジジ。微かな機械音がする。
ビデオカメラのレンズがドアの隙間から光を発していた。
画面には甚六がカオリをひたすら犯している様子が映っている。
花沢「……(甚六さんも間抜けねwwまぁ、これでより確実な口止めと更なる脅しのネタが出来たわ)」
花沢「……(カオリちゃんも可哀想ww良い格好ねwwww)」

花沢は急にビデオカメラを止め、部屋の中に入っていった。
甚 六「はっ!? …まだ待ってくれないか? 今、…ハァハァ…良い所なんだ…」
花 沢「良いの。続けてちょうだい」
甚 六「…?!」
花沢は後ろに隠してあったビデオカメラを甚六に見せ付けた。
花 沢「浪人生が小学生の女の子を犯したと知れたら、どうなるかしら? 
それも大作家の伊佐坂先生の息子だと知れたら…?」
甚 六「…ぐぅ…嵌めたな!!」
甚六は花沢に掴みかかったが、花沢の腕力の方が上で、甚六は壁に追いやれた。
二人はバタバタと揉み合いながら、
花 沢「落ち着きなさいよ…これであなたも立派な共犯て事よ!!」
甚 六「…糞おお!!」
甚六はビデオカメラを取り上げ、壊そうとしたが、
花 沢「それを壊しても無駄よ。さっきPCで動画を転送したの、私の自宅にね!!」
花 沢「ネットに流せば、誰かがまたコピーして動画はずっと消えないわ!」
甚 六「…ぐっ!!」
花 沢「今までは交換条件ということでお互いに中立的な関係だったけれど…」
花 沢「もうこれからは、甚六さん…あなたは私の下僕なのよ!!」
そう言い放つと、花沢は甚六を突き飛ばした。

花 沢「もう十分楽しめたでしょう? カオリちゃんと」
花 沢「たっぷりと働いてもらうわよwwwwwwあはははwwwwww」
甚 六「うっう…ううぅぅぅ…」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/17(水) 21:08:39.25 ID:Ry+BEHAAO
終わり……なのか?
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:19:01.02 ID:CfqekgnI0
13
数時間後。甚六はいない。
カオリはベッドの上で目を覚ました。
カオリ「ムニャムニャ…ん…!」
花 沢「あら、カオリちゃん、起きたかしら?」
カオリ「あれ…私…どうして」
花 沢「ごめんなさ〜い>< 実はあのジュース、間違って出しちゃったの〜><」
カオリ「え?」
花 沢「父ちゃん、不眠症でお医者さんから睡眠薬を処方されてるんだけど、いつもジュースに溶かして飲む癖があるのよ〜」
花 沢「そのジュースとお客様の物を間違えちゃったみたい><」
カオリ「そうなの? 何か急に眠くなってきたから―」
花 沢「でしょー? 私も何か変だなって思ったんだけど、いやいや本当にごめんね〜><」
カオリ「…んっ!?」
花 沢「…どうしたの?」
カオリ「…何だか、お股のとこがヌルヌルするんだけど…//」
花 沢「…あはははっwwwwカオリちゃん、もしかしてそれORIMONOじゃない??」
カオリ「おりもの…?」
花 沢「そうそう!! 保健の授業で習ったじゃない?! 生理になる前の現象だって」
カオリ「…じゃあ、私もついに大人の身体になるってことぉ?」
花 沢「そうよ〜! すごいじゃない、おめでとう〜!」
カオリ「わぁ〜☆ ステキ〜」

花沢の機転の良さと強引なこじ付けで何とか本人にはバレずには済んだ。
あんな気持ち悪い浪人生の性欲の餌食になっていたことを。悲劇を。
でも決して花沢はカオリを気の毒に思っているわけではない。
いや、寧ろ面白がっているのだ。心の底から。
花 沢「次はお赤飯ねwwww(馬鹿で助かったわ)」
カオリ「わぁ〜☆ お赤飯ステキ〜」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:19:37.13 ID:CfqekgnI0
14
花沢は甚六に磯野家の様子を監視させ、随時報告するように強いた。
次の作戦を遂行するために。
花 沢「―で、何か変わったことは?」
甚 六「…はい、只今から報告致します…」
花 沢「余程、私が怖いのねww」
甚 六「…いや、ああの…えとえと…ブルブル」
花 沢「何しているの? 時間が勿体無いわ。早く言ってちょうだい」
甚 六「はひぃ!!」
甚 六「…実は最近、マスオさんが少し変なんです…」
花 沢「どういうこと?」
甚 六「マスオさん、真っ直ぐ家に帰らず、近所をぶらぶらしてから帰るそうです…」
甚 六「今日も家の周りを10周位してから家に入っていきました」
花 沢「まぁwwあんなことになっちゃったわけだから、帰り難いのよ――でもぉ」
花 沢「私の思った通りだわぁ〜ww」
甚 六「…?」
花 沢「これから言うことを良く聞いてもらえる?」
―――
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:21:33.91 ID:CfqekgnI0
15
伊佐坂家。ウキエの自室。
コンコンコン。ガチャ。
ウキエ「…きゃ!? 何よ兄さん、勝手に入ってこないでよ!!」
甚 六「ご、ごごめん…」
ウキエ「何? 私、忙しいんだけど…」
甚 六「す、少し話さないか」
ウキエ「?」
甚六は出来るだけ自然な振る舞いを心がけ、ウキエと磯野家のことについて話し合った。
事件のこと。波平のこと。ワカメのこと。特にワカメとは小さい頃に遊んだことがあるウキエは、時折、涙を浮かべて見せた。
ウキエ「…うっうっ…本当にワカメちゃん、可哀想…小父さんもまだ若いのに…」
甚 六「うん…」
甚六はこんな時でも、ウキエのミニなスカートから伸びる太ももや豊かな乳の膨らみをチラチラ見ては、あのカオリちゃんのとの猥褻を思い返して、勃起してしまっていた。
甚 六「で…だ。マスオさんのことなんだけど…」
ウキエ「マスオさん?」
甚 六「最近、家に帰り難いみたいで、いつも外をウロ付いてるんだ」
甚 六「だからウキエがちょっと行って、話し相手になってやればいいと思うんだけど…」
ウキエ「まぁ! 兄さんも気が利いたことを言うのね☆」
甚 六「うん…いつもお世話に…なってるしね…」
ウキエ「分かったわ。明日のハチの散歩の時間にマスオさんに声を掛けてみるわ」

16
また同じ門の前に来てみたものの、どうも家の中に入る気がしない。
マスオは深い溜息を吐きながら、また何度目かの踵を返した。
波平の死、ワカメの入院以来、すっかり磯野家は雰囲気が変わってしまった。
空気が重いのだ。フネは絶えず悲しみに暮れ、サザエからはあの明るい笑顔が消えて、タラオは癇癪を起こすようになった。
それでもまだカツオが皆のことを気遣って、明るく振舞っているのが救いだった。
が、もう波平は戻ってこない。ワカメも壊れてしまった。
と、そんなことを考えながら家の門前まで来ると、そのまま家を通り過ぎたりしてしまうのだ。
マスオ「…ハァ…」
マスオ「…どうしたもんかなぁ」
マスオが外の塀に寄り掛りながら、煙草を吸っていると、
「マスオさん…?」
と若い女の声がした。
隣人の伊佐坂先生の娘のウキエだった。
ハチの散歩中らしい。
マスオ「あぁ、お隣の…」
ウキエ「どうされたんですか?」
マスオ「あはは…ちょっとね…」
ウキエ「あの…もし私で良かったら、何でも話して下さい。聞くくらいは出来ると思いますから…」
マスオ「ウキエさん――」
―――
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:22:43.09 ID:CfqekgnI0
17
この日を境にマスオはウキエと会うようになった。
穴子から飲みに誘われても断り続けている。流石に怪しまれるだろうか。
家に帰るまでの僅か30分の立ち話。それは会社帰りの密かな楽しみとなっていた。
そして意識するようになっていた。サザエに申し訳ないと思いながらも、マスオはウキエを求めていた。
マスオ「僕の結婚は失敗だったんだ…」
ウキエ「え? そんな…私は理想の夫婦だと思いますよ…」
マスオ「いいや…今ハッキリと分かったんだ」
マスオ「僕はウキエさん、…君が好きになってしまったんだ!!」
マスオ「もうこの気持ちはどうしようもない!!」
ウキエ「…マスオさん、…い、いけませんわ!」
マスオはウキエを熱く抱き締めた。
純情一途なマスオの不器用に震える様をウキエは可愛らしく思った。
ウキエもマスオを意識していたのかもしれない。マスオの気持ちを全く拒んでいない。
ウキエがマスオに唇を許したとき、二人の激しい愛撫が始まった。
マスオ「んはぁ…ちゅっちゅ…んんっ、ぶちゅ…れろれろ」
ウキエ「レロレロ…ちゅぽちゅぽ…んっ、くちゅう…れろれろ」
マスオ「切ないよ、ウキエ…ハァハァ」
マスオ「どんなに愛しても好きでいても僕らの関係は決して許されないんだ…」
ウキエ「ああっ…マスオさん!!」
マスオ「僕と一緒に遠くへ逃げよう!!」
ウキエ「ああっ…ステキ…どこまでも付いていくわ!!」
二人は甘い情欲の世界に墜ちていった。

パシャ。パシャ。パシャ。
高速でカメラのシャーターが切られた。
しかし二人はまるで気付いていないようだった。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:23:25.20 ID:CfqekgnI0
18
翌日の昼間。
玄関で掃き掃除をしていたサザエは、ポストの中に何やら投函されているのに気付いた。
無造作に放り込まれた白い封筒。宛名も差出人も書かれていない。
サザエ「…あら、…何かしら?」
サザエ「…これは!?」
中に入っていたのは、マスオとウキエが熱い抱擁をする写真。抱擁の果てにお互いの恥部を弄り合い、蕩ける水飴のような口づけを交わす写真だった。
サザエは衝撃を覚えるよりも早く、息を静めて押し黙った。
サザエ「……」

その日の夕方、サザエはマスオを駅まで迎えに行った。
サザエ「あなた〜」
マスオ「サ、サザエ…!?」
サザエ「買い物で近くまで来たものだから」
マスオ「…そ、そうかい?」
サザエ「家に帰ったら話があるの…」
マスオ「え”ぇ″ーっ?! はっ、話があるのかい?」
サザエ「今日は…真っ直ぐ帰りましょう…ね!」
マスオ「え”ぇ″ーっ?!……」
それから二人は一言も会話をせずに帰宅した。途中、ハチの散歩をしながら、不自然に磯家の門前を行ったり来たりするウキエと鉢合わせになった。
ウキエ「…!!」
マスオ「…あっ…!」
サザエ「さっ、早く行きましょう、あなた!!」
マスオはサザエに腕を掴まれながら玄関の中に引き摺られていった。
ウキエはこれから磯野家に起こる修羅場、いや、自分もその当事者なのだということを考えた途端、怖ろしくなって足を震わした。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:24:08.29 ID:CfqekgnI0
19
ガラガラガラガラ。ガシャン。
けたたましい音で閉められたドアがサザエの抑圧された怒りを解放した。
マスオ「…サ、サザエ…?」
サザエ「……あ」
サザエ「あなたーっ!! 何、こんな大変な時に浮気なんかしてんのよーっ!!!」
サザエは奇声にも似た怒鳴り声を発すると、瞬時にマスオの首根っこを掴んだ。
サザエはマスオの首を締め上げながら、
サザエ「うぎーーっ!! 悔しいわーっ!! それも何よおお? 
お隣のウキエさんとだなんてー!!! 何、ふざけた真似してんのよおおっ!!!」
サザエ「ぎゃあああああああ!!! ブッ殺してやるわあああっ!!」
マスオ「…ぐ、苦しい…サザエ…落ち着い…ぐえええ」
サザエ「これが落ち着いていられるもんですかぁあああ!!」
マスオ「おっおげええええっ…」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:24:43.53 ID:CfqekgnI0
20
二人の異変に気付いたフネとカツオ。玄関に駆け付けた。
フ ネ「な、何ですか?! 二人とも!!」
カツオ「姉さん!! …やめてよ!!」
止めに入ろうとするフネだったが、サザエの怒りは凄まじく、娘の振り上げた腕に当たって、激しく吹っ飛ばされた。
フ ネ「…うっつ!!」ドタッ
フネは玄関の靴箱の角に頭をぶつけて気を失った。
カツオ「か、母さん…!! ちょっと、ねぇ!!」
タラオ「わああああん!! うるさいですうう!!! ああああん!!」
カツオ「タ、タラちゃん…こっちに来ちゃダメだ…!」
カツオは、泣き叫ぶタラオに両親の惨事を見せまいと抱き締めて、視界を伏せさせた。
しかしサザエの怒りは未だに鎮まらない。
サザエ「私がどんなに尽くしてきたと思ってるのよおおお?!」
サザエ「あああああ!! もう離婚よぉぉぉ!! 離婚!!!」
マスオ「く、くげぇえええっ…」
タラオ「わあああああん!! ママが怒ってるですううう!!」
サザエ「うっせええええっ!! ビービー泣くんじゃねえよ!! クソガキがよおおっ!!」
タラオ「…ひっ!!」
タラオ「…う、っうわあああああああああん!!」
マスオ「もえぇぇっ、…もええ…」
サザエ「もうこの家はお終いよ!! あはははははははwwwwwwwwwwww」
カツオ「やめてよ! やめてったら!! 姉さんってば!!」

カツオ「ぼ、僕は…どうすれば…父さん…グズッ」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/17(水) 23:25:50.72 ID:CfqekgnI0
21
同日。同時刻。
受話器を持ちながら、部屋の窓から磯野家の修羅場の声を聴いていた甚六。
甚 六「―でも、流石にあの写真を撮って、送り付けたのは不味かったのでは…」
花 沢「あははwwwwこれで良いのよ」
花 沢「まぁ…そんなことよりも、あなたの家も大変なんじゃないの?」
甚 六「…ウキエ…ですか?」
花 沢「そう。修羅場は伊佐坂家にも訪れるわww」
甚 六「く…」
花 沢「大丈夫よ〜ww甚六さんは私が守ってあげるわ!」
甚 六「えぇっ? ほ、本当かい?」
花 沢「ええ」
花 沢「だって、…ふふ。伊佐坂先生もこちら側の人間なのだから…」
甚 六「…ど、どういうこと?」
花 沢「買ってるのよ、私から」
甚 六「な、何を?」
花 沢「ふふ。とぉっても良い薬を、よ」
甚 六「まさか…父さんが…」

伊佐坂一物。有名小説家の彼はかつて無い程のスランプの真っ只中にいた。
最近では部屋から一歩も出ず、カーテンも締め切っている。イライラがピークに達すると突然奇声を上げ、部屋の中で暴れては、就寝中の家族を驚かしていた。
伊佐坂「…書きたい…でも、書けない…」
伊佐坂「だけども…ハァハァ…今はこれだけが私を癒してくれる頼みの…綱…」
伊佐坂「っはぁああーっ…くううっ…いいっ」
伊佐坂もまたワカメと同じように薬物に溺れていた。
いつも着流しを羽織っている伊佐坂の腕が露になることなく、また家族の誰もがそれに気付いていないようだった。あの鬱陶しくも目敏い編集者のノリスケでさえも。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/17(水) 23:26:17.94 ID:nXLR2pfRo
カツオが唯一の良心だな
タラオがウザすぎるwwwwww
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/19(金) 00:36:38.12 ID:SK5hrmCM0
懐かしい作品じゃないか一年ぶりだな
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:32:13.16 ID:4NgCyHj10
22
同日。同時刻。
伊佐坂家。一階の洋間。
オカル「…それはどういうことなの、ウキエ!!」
ウキエ「ううっ…私が全部悪いの…私がマスオさんと…グズッ…」
オカル「そんなことフネさんたちに知れたら…! あぁっ…どうしましょう!! 
作家・伊佐坂一物の名誉に傷が付いてしまうわ!! ああっ!!」
オカルは旧友のフネの家庭が崩壊していく心配よりも、夫の立場を気にして取り乱した。
ウキエ「…うぅ…」
オカル「と、とにかく…この事は…まだ他の誰にも言わないで!」
ウキエ「…ああっ…マスオさん…うぅっ…」

甚六は二階の階段の踊り場から顔を出し、一階の様子を、ついにうちにも修羅場の火種が飛んできたことを確認すると、電話口の花沢に告げた。
甚 六「…ウキエが母さんに言ったみたいです」
花 沢「そう。あなたは堂々としていればいいわ。変に動いちゃダメよ」
甚 六「…あの、本当に大丈夫なんでしょうか…」
花 沢「私を誰だと思ってるの? 花沢花子よ!! この町を裏から牛耳る花沢不動産の娘よ!!」
甚 六「…」

花 沢「(これでなおのこと磯野君は心の拠り所を求めているに違いないわ!!)」
花 沢「チェックメイトよ!!」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:32:56.65 ID:4NgCyHj10
23
数日後の早朝。
マスオは物置小屋で首を吊って死んでいた。享年29歳。
発見したのはサザエで、マスオの悲しそうに顔を歪めた死に顔を見ると、すぐさま崩れ落ちた。
遺書には震えた走り書きの文字で、
『ごめんなさい。全て僕の所為です。お隣のお嬢さんを誘ってしまったのは僕です。
ウキエさんには何の罪もありません。ごめんなさい。ごめんなさい。全て僕の所為です。
僕はサザエと出会えて、結婚できて幸せだった。
タラちゃん、僕の子として生まれ来てくれてありがとう。
お義父さん、お義母さん、カツオ君、ワカメちゃん、…みんな皆、ありがとう。
素晴らしい家族に恵まれた。迷惑を掛けて本当にすみません。
先立つ不幸をお許し下さい。ごめんなさい。』
と、あった。
所々に手の汗か、涙の跡か、湿って滲んだ部分があった。
ウキエのことについても近所には漏らぬように徹し、磯野家と伊佐坂家で内々に処理した。
通夜、葬儀には沢山の人々が来てくれた。波平の急死から間もなく起こった不幸に、人々は磯野家の残された人々を不憫がった。

三度、磯野家を襲った醜聞に、不謹慎にも密かに心を躍らせた人物がいた。
伊佐坂一物だ。彼は波平の死、ワカメの精神崩壊と入院、そして婿養子のマスオの自殺、これらに鋭いインスピレーションを得たのである。
伊佐坂は創作意欲に駆られていた。麻薬の力も相成ってテンションはアゲアゲだった。
マスオの葬儀への参加も程ほどに済まし、すぐに自室の机に向かった。
伊佐坂「ひゃあああああ!! 書けちゃうううう!!」
伊佐坂「これだ! これだよ!! 私が本当に書きたかったものは!!」
伊佐坂「あひゃあああああ!! すんごいのおおお〜☆」
伊佐坂「でゅっでゅっでゅっ〜♪ シュワッシュワァ〜♪ シュワッシュワァ〜♪」
伊佐坂は甚六からニコニコ動画というものがあるのを教わっていた。
そしていつも執筆時には動画を視聴していた。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:33:38.77 ID:4NgCyHj10
24
さて、こうなると、いよいよ磯野家に対する周囲の不信感が高まってきた。
明るく楽しい近所でも評判の家族を襲った相次ぐ不幸に心を痛める者も多かったが、中には卑しい疑惑を向けるものまた多かった。
買い物に出掛けたサザエはいつもそんな好奇の目に晒されていた。
サザエ「…あの、このお魚頂けるかしら」
魚 屋「へ? へい…ど、どれにいたしやしょう?」
主婦A「…っ! ちょっとあれ磯野さん家の奥さんよ〜!」ヒソヒソ
主婦B「あら、ヤダッ! もう大丈夫なのかしら〜?」ヒソヒソ ヒソヒソ
主婦A「なんでも、旦那さんのマスオさん、ずっと女を囲ってたそうなのよ〜!」ヒソヒソ
主婦C「違うわよ〜。会社の同僚とデキてたって聞いたわよ? 
しかも男の! 聞いた話だと、何か唇の厚い中分けの人だって!」ヒソヒソ
主婦A「それ完全にホモってことじゃないwwww」ヒソヒソ
主婦B「それ私も聞いたわ! ぶるあああって言う人でしょ〜やだぁ!ww」ヒソヒソ ヒソヒソ
サザエが魚屋から出てくると、この主婦等三人と目が合った。
サザエ「…どうも。こんにちは…」
主婦達「……」
主婦A「あ、あら〜…サザエさん…どうも〜」
主婦B「あははは…こんにちは〜」
主婦達は軽く挨拶を交わすと、気不味さからそそくさと立ち去った。
サザエ「…うぅっ…グスッ」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:34:15.60 ID:4NgCyHj10
25
一方、カツオの通う学校では子どもらしい素直な気遣いがあった。
生徒A「――5年の磯野ってさー」
生徒B「近くにいると不幸が伝染するかもしれねーよな?wwwwww」
花 沢「ちょっと!! あんたたち、今、磯野君の陰口言ってたでしょ!!」
花沢は一目散にカツオの陰口を言う生徒に駆けていくと、物凄い勢いで掴み掛かり、5メートルくらい投げ飛ばした。
カオリ「そうよ! 酷いわ! 謝って、磯野君に謝って!」
早 川「花子、少し落ち着いて」
西 原「お前等は何も考えないで言ったかもしれないけど、磯野は傷付いてんだよ! 分かれよ!!」
中 島「そうだ!! そうだ!!」
橋 本「そうだよ!! また野球しようつってんだよ!!」
そんなクラスメートの遣り取りを物陰から見ていたカツオは温かい涙を頬に浸した。
カツオ「…みんな。僕を庇ってくれるんだ…ありがとう…」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:34:43.44 ID:4NgCyHj10
26
全ては花沢の思惑通りだった。
次第に目立つようになっていった、近所の人々の磯野家に対する心無い言葉も花沢の予想するところで、それこそが彼女の思惑の真髄だった。
花沢は近所の家を一軒一軒訪ねて、磯野家に対する差別的な発言や考えを控えて、温かい目で見守ってやってくれとお願いして回った。それはまるで善人の、誠実で慈悲深い、人情に溢れた活動だった。
磯野家のためなら、どんなに骨を折ろうとも構わないという健気さをアピールしたのだ。
花沢のこんな活動は、必ずや磯野家やカツオの耳に入り、自分の存在が磯野家にとって、カツオにとって無くてはならない存在になると踏んでいたのである。
だが…、いくら花沢がカツオに尽くそうとも、カツオは花沢の愛を受け入れようとしなかった。
大空カオリがいたからだ。
花 沢「…くっ!! カオリちゃんめ!! 憎い!! 憎いわあっ!!」
花 沢「…こうなったら…もう…!」
甚 六「えっ!? カオリちゃんを…!!」
花 沢「…そうよ。[ピーーー]のよ…」
甚 六「そっ、そんなこと、…きょ、協力できるわけ無いだろ!?」
甚 六「人殺しなんて僕は――」
花 沢「バラされたいんか?!! おぉ? なぁ!! おんどりゃーっ!! 
あの画像ばら撒かれたいんか?!! 捕まりたいのんか?! ゴラァッ!! 甚六!!」
甚 六「…ひいっ」ビクッ
花 沢「殺らないと、私たちもヤバイのよ…」
甚 六「…え?」
花 沢「甚六さんに犯されたこと、カオリちゃん、薄々感付いているみたいなの…」
甚 六「…えっ?! それは…」ガクガク ブルブル
甚 六「ぼ、僕も捕まっちゃうの?! 嫌だ! 僕は…捕まりたくない!!」ガクガク ブルブル
花 沢「じゃあ! 私の申し出は断れない筈よ!!」
花 沢「甚六さんは車を出してくれるだけでいいの――だから」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:35:15.16 ID:4NgCyHj10
27
中島は花沢の行動を密かに探っていた。
何故ならワカメを薬物で陥れた一件以来、何の指示も無ければ、また何の見返りも与えられていなかったからである。
探りを入れていた中島は甚六も自分たちの共犯であることを知った。
それも甚六は自分よりも後に加わったくせに、早々と報酬(カオリちゃん身体)を得ていたことも。
中島は憤った。
中 島「何だい! 花沢さんの奴! 
僕は危険を顧みずにワカメちゃんを陥れる作戦に快く協力してやったのに!!」
中 島「甚六さんも隅に置けないんだ!! あのカオリちゃんと…」
中 島「ああ…タイコさん…あなたの大人の魅力溢れる豊満な身体に包まれたい…」
中 島「はぁぁ…タイコさん…――ん!!?」
中島は視線の先に花沢と甚六を認めた。
花沢と甚六は何か大きな布で巻かれた荷包みを車に積んでいた。甚六は辺りをキョロキョロしていて、落ち着きの無い様子だった。
中 島「…(何をやってるんだ…二人とも…?)」
車は繁華街とは反対方向の郊外へ走っていった。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:35:48.04 ID:4NgCyHj10
28
深夜、車中にて。もう日付も変わる頃だ。
地元を出てからもう5時間が経つ。
今は中央道を抜け、Y県H市の某山林の中を走っている。
カオリ「ン”ーン”ー!!」モゾモゾ モゾモゾ
甚 六「…もうすぐ…着くけど…」
花 沢「…苦しそうだから、目隠しとガムテープだけ取ってあげるわ…」
カオリ「ん”ん”っ…ビリリッ…んはっ…いやーっ、下ろして!! お家に帰してよー!!」
花 沢「…カオリちゃん」
カオリ「はっ花子!!? …これは、これはどういうことなの?! 何で? え、えぇ!?」
涙目のカオリ。声を震わして、驚愕に表情を凍らせていた。
助手席に座っていた花沢はカオリがこちらを向くと目を反らして、
「…全部、あなたが悪いのよ…」
カオリは反射的に、
「わ、私が悪いって何が…私が何をしたの…?!」
と、訊き返した。花沢は再びカオリの方を見て、彼女に顔を近付けて睨むと、
「あんたが磯野君を取ったんじゃない…私の磯野君をををを……」
と、恐ろしいほどに低い声で言った。
カオリは花沢の鬼気迫るものに戦慄を覚えて言葉を失った。
甚 六「…あっ…」
花 沢「何? どうして急に止まったの?」
甚 六「…もうここで…道が終わりみたいですが…」
花 沢「丁度いいわ…。ここで殺りましょう!」
カオリ「!!!?」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:36:45.85 ID:4NgCyHj10
29
カオリ「いや!! 離して!! いやーっ!!」
甚 六「ほ、ほら、そんなに騒がないでよ! カオリちゃん!」
花 沢「大丈夫よ!! ここは山奥!! 人っ子一人いないわ! どんなに叫んだって誰も助けに来やしないのよ!!」
甚六は暴れようとするカオリを後ろから羽交い絞めにし、地面にねじ伏せようとしたが、カオリと肌が触れ、あの時のことを瞬時に思い出した。いや、あの時のカオリは寝ていた。
だが、今はリアルに感じる吐息と、生きた少女の生々しい声、男の粗暴な腕を拒む女という柔な性が、またとない性欲の上昇を甚六に齎した。
甚 六「わっ、わあああああああ!!」
カオリ「?!」
花 沢「?!」
甚 六「ね、ねぇ?? ハァハァ…さ、最期に一発良いかなぁ?? ハァハァ…ねぇ??
___実はね…ハァハァ…、この前のエッチのとき…ま、まだ本番はしてなかったんだよ…!」
カオリ「…い…やぁ…」ガクガク ブルブル
花 沢「ちょっと、甚六さん、あなた何を言って――!!?」
甚 六「じゃあ、このカチンカチンになったチンポどうしてくれるって言うんだよおお!!!」
自分の勃起したペニスを指差し、猛々しく逆切れした甚六。
カオリ「ねぇ、お願い!! 花子、助けて!!」
カオリ「私は磯野君なんか好きじゃないのよ!! ただ磯野君が可哀想で…だから!!」
花 沢「!!」
花 沢「……ちょっと…それ、どういうこと?」
カオリ「磯野君を慰めてあげようとしただけで……本当は好きでも何でも…ヒグッ…エグッ…」
花 沢「ふざけないでよおおおおお!!!」
甚 六「…ひっ…」ビクッ
花 沢「あんたは磯野君の純粋な気持ちを蹂躙していたのね!! 益々、許せないわ!!」
花 沢「おい、甚六!!!」
甚 六「はひぃ!!」ビクッ
花 沢「さぁーさ、思う存分に楽しんでちょうだい♪」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:37:27.51 ID:4NgCyHj10
30
甚 六「はぁぁぁん!! すごぉい!! やっぱり処女は良いなぁーっ!!」
カオリ「やぁあああっ!! やめてぇっ!! …ひぎぃっ…いやぁ、痛い、痛いよぉ…!!」
甚 六「ああ!! 出ひゃうぅ!! 出ちゃうよ、カオリちゃああん!!」
カオリ「やめてーっ! 痛いから動かしちゃ、嫌ぁぁあああ!!」
甚 六「――っくぅ!! うっ!!」ドピュ ドピュ ピュ
カオリ「いやああ!! 何か熱いのが?! あっあっあっー!!」
甚 六「……ハァハァ…ハァハァ…」

甚六とカオリの情事の後、花沢は持っていた拳銃でカオリを射殺した。
大空カオリ。享年11歳。
某山林は自殺スポットしても有名な場所で、人を殺して隠しても、そうそう見つかるような場所ではなかった。二人はカオリの死体を窪み地になっている所に遺棄して、木や葉っぱ、付近に散乱したゴミなどで覆い隠した。
これで誰にも見つかるまい。
花沢はほくそ笑むと同時に胸を撫で下ろした。
――――――――――――
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:37:56.91 ID:4NgCyHj10
31
後日、学校ではカオリの突然の失踪に全校集会が開かれた。
クラスでは学級のアイドル的存在の彼女がいなくなったことで、特に男子生徒や、仲の良い友達は悲しんでいる様子だった。
早 川「ああっ…、グスッ…カオリちゃん……エグッ…今どこで何をしているの…?」
カツオ「カオリちゃん…、早くクラスに戻って来ておくれよ……」
西 原「きっと戻って来るって!! 皆、そんなにしんみりするなよ…!」
中 島「…カオリちゃん」
橋 本「…また…野球…しよう……ぜ」
皆がカオリの行方を心配し、その安否を気遣っていた。そして彼女も。
花 沢「うわあああああん!! カオリちゃん…!! 
___わたし、私…カオリちゃんの身に何かあったら…と思うと…、うわああああん!!」
大声で咽び泣いて見せた花沢。それは少し大袈裟かもしれなかった。だが、この演技こそが彼女の見せる表現のアリバイなのだった。
それに引っ掛かった周囲は花沢に優しく声を掛けるだろう。何の疑いもなく、ほら。
早 川「…グスッ…大丈夫よ、花子…。カオリちゃんはきっと戻ってくるわ…」
西 原「そうさ! 戻ってくるとも!! 皆で無事を祈ろう!!」
橋 本「そうだよ! また野r(ry」
花 沢「うぅっ…絶対にそうよね? カオリちゃん、絶対に無事でいるわよね??」
中島はただ一人、そんな大袈裟な素振りを見せる花沢を静観していた。
こいつは何か知っている。数日前に花沢と甚六を見掛けたことも気に掛かっている。
もしや…と、中島は思った。
中 島「……」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:38:28.66 ID:4NgCyHj10
32
放課後。
中島は花沢を呼び出した。
花 沢「なぁに? 中島君が私に用なんてww」
中 島「この前さ…」
花 沢「?」
中 島「…甚六さんとさ」
花 沢「…う!!」
花 沢「…それがどうかしたの?」
中 島「車でね…」
花 沢「く、車で…?」
中島のいやらしい陰湿な攻めに痺れを切らした花沢は急に快活になった。
花 沢「…あぁー、この前ね。偶々、甚六さんと会ってー。
___久々に会ったもんだから、長々と話し込んじゃってねぇー、あははははwwww」
中 島「それ本当?」
花 沢「お前…見てたな、全部」
すると急に中島は横柄な態度を取るようになった。
中 島「あーあーあー。甚六さんばかりイイ思いしちゃってー…、ズルイよなぁ…―」
中 島「カオリちゃんとあんなことや、こぉーんなことだってしてるんだからなぁ…―ねぇ?」
花 沢「何が望み?」
中 島「僕とのプロミスー、まさかフォゲットしてないよねぇ?」
中島はニヤリと笑うと、花沢の肩にポンと手を乗せた。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/20(土) 23:39:14.00 ID:4NgCyHj10
33
その日の深夜。花沢の自室。
花沢は頭を掻き毟り、力任せに部屋の物に当り散らした。
バリン。ガシャン。ドガン。ガンッ。
花 沢「糞おおおおお!! なっかじまあああああ!!
___この私が、この花沢花子が、あんな刈り上げ糞眼鏡なんかに強請られるなんてーっ!!」
花 沢「…こ、これでは私の華麗な計画が台無しになってしまうわ…ゼェゼェ…」
花 沢「侮っていた。…もう少し早く手を打っておくべきだった……ブツブツ」

プルルルル。ガチャ。
花 沢「…はい。花沢で――」
甚 六「たっ、たた大変ですぅ!! うちの親父の書いた小説に…――」
花 沢「な、何ですって?!」
―――
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/08/21(日) 08:00:49.13 ID:rQdGGDMAO
良いところで中断しやがって…
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/24(水) 08:04:14.69 ID:X0oMcr9AO
逃げたか
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/24(水) 12:19:45.89 ID:zPZMpkvAO
お、おいマジかよぉ…!?夢なら醒め……ッ!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:25:58.13 ID:IlvjGS240
34
花 沢「――それじゃ、今、伊佐坂先生が書いてる小説が?」
甚 六「…はい! 今の荒廃した磯野家を題材にしているみたいなんです…!」
花 沢「磯野君の小父さんやワカメちゃん、自殺したマスオさんも出てくるのね…?」
甚 六「そうです! それよりも問題は…!!」
甚 六「問題は推理サスペンス物で、犯人が僕や花沢さんっぽいって設定なんですよ!!」
花 沢「!!」
甚 六「が、我欲のために“薬物”で周囲を陥れる悪女とか、…その手下の浪人生とか!!」
花 沢「………」
甚 六「小説の登場人物が、…僕らの関係を暗に示してるっていうか…―」
花 沢「そんなの偶然よ! っか、考え過ぎじゃないの?!」
甚 六「勿論、架空の人物に架空の物語ですよ!! 偶然かもしれません!! 偶然―」
甚 六「でも…でもこれがもし出版されたら、…誰かに気付かれでもしたら……僕たち…」
花 沢「時間の問題…」
花 沢「疑われて、捕まるのも時間の問題ということになるわね…!!」
甚 六「…いっ」
甚 六「嫌だああ!! 強姦殺人なんて嫌だああ!! 僕、死刑になりたくないよおお!!!」
電話の向こうでビービーと泣き出だす甚六には構わず、花沢はこれから自分がどう出るか、頭の中で冷徹な計算を繰り広げていた。
花 沢「…わかったわ。伊左坂先生には私から話してみるわ!」
甚 六「…ヒック…エグッ…グズズ…ふえぇ…?」
花 沢「私に任せなさい! きっと大丈夫よ! 上手く行かせてみせるわ!!」
――
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:26:37.57 ID:IlvjGS240
35
これは困ったことになった。
翌日、花沢は伊佐坂と薬の受け渡しを兼ねて、伊佐坂家を訪問した。
ウキエは学校。甚六は予備校へ。オカルはフネとお芝居を観に行ったらしい。
大抵、二人が会うのは午後で、伊佐坂家の家族が外出中という条件の揃う時であり、その時には原稿を待つ編集者たちもいないといった珍しい日であった。
暗がりの書斎。カーテンの隙間から僅かに光が差す。床には書き損じの原稿が多々。
伊佐坂「ささっ、…中へ入ってくれたまえ。待っていたよ、君が来るのを…」
花 沢「今回は運び屋が捕まったみたいで、そんなに量を多く持ってきてないのだけれど―」
伊佐坂「構わない。構わない。また…持ってきてくれるのなら……」
伊佐坂は花沢の説明を聞き終わる前に彼女が持ってきた覚せい剤を手に取り、腕捲りをすると、素早く注射針を腕に押し当てた。
花 沢「…よっぽど、これが好きなんですね」
伊佐坂「はぁあああ! きたぁぁああ!! くうぅぅっ!!」
伊佐坂「ハァハァ…でもねぇ…ハァハァ…くうぅ、最近は…スランプも…抜け…出して、順調に書ける…ようになったんだよ! …この薬の…はうぁっ…お陰かな……」
花 沢「…それは良かったですね」
伊佐坂「それに…ゆのっちも私を応援してくれているんだ…!」
花 沢「(ゆのっち?)」
花 沢「お知り合いか誰かですか?」
伊佐坂は徐にノートパソコンの画面を花沢の方に向けた。画面には何やらアニメの動画が流れている。頭にバッテンの付いた小さな体躯の少女がメインで映っていた。
伊佐坂「彼女は…天使なんだよ…守ってあげたいくらいに小さくて可愛い…天使…ハァハァ」
伊佐坂「そんなゆのっちはひだまり荘というアパートに住んでいてね……」
花 沢「……(アニメの話? 二次元の少女を真顔で語るなんて…この人……気持ち悪っ)」
伊佐坂「…美術科のある高校に通ってて…ルームメイトにはヒロさんという炊事係がいて…」
伊佐坂「それがまた肉厚でエロ・ティックな身体をしているんだ……そしてなずなずが――」
花 沢「あのー、それ長いですか? …差し支えなければ、もう話を戻しても良いでしょうか?」
伊佐坂「!?」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:27:36.70 ID:IlvjGS240
36
伊佐坂「…ふむ。君は流石だ。今、私の書いているものを一言で言い当てるなんて…」
花 沢「ええ。要領と勘は人一倍良いもので」
伊左坂「まだ誰にも話してないに、いやぁ、不思議だなぁ…」
花 沢「ええ。スランプ中の作家なら身の回りに起きたことをまず書くと思いましたから…」
伊左坂「うーむ。大したものだ」
花 沢「でも、…先生の書いた小説の中の“薬物”というワードが危ないのです!!
___世間は確実に先生が薬をやっていると思うでしょう!! …考えても見てください? 
___こんなにリアルな描写の薬物依存、…やっている本人にしか分からない筈です!!
___引いては先生にその疑いが掛かり、今まで築き上げてきたものは全てパア!!
___地位も名誉も富も、…作家、伊佐坂一物の名は地の底に落ちてしまうんですよ!!!」
花沢は捲くし立てるように言った。伊左坂の表情も次第に曇ってきた。
だが余計なことは言わない。花沢はあくまで“薬物”のところにだけに焦点を当てた。
麻薬のブローカー以外の、例えば甚六と共謀し、カオリを殺害したこと、中島を使ってワカメを陥れたこと、マスオを自殺に追い込んだことなど、多くの悪事が露呈する恐れがあったからだ。
それに伊左坂が甚六の犯罪や、最もまだ何にも気付いていないのが救いだった。
まさか小説で息子の犯罪を無意識のうちに暴き出していたとは夢にも思わなかったろう。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:28:18.92 ID:IlvjGS240
37
伊佐坂「ぐぬぬ…。でも…これはどうしても書きたい話なんだ…」
伊佐坂「それと…君、私の名前はイチモツじゃなくて…難物だよ…」
花 沢「おっと! ―それは失礼」
花 沢「ではこう言い直したほうがいいでしょう。この小説原稿を破棄するのと、この薬のどっちを取るのか、と」
伊佐坂「私が小説を書くのを止めない限り、この薬は売って貰えないということなのか…?」
花 沢「残念ですが…」
伊佐坂「ははっ…、だ、第一、私の書いた小説云々で君の悪事がバレるわけじゃなかろう?」
花 沢「君の? まだ分かってないのですね? あなたも同じ穴の狢じゃありませんか?」
花 沢「脅すのは好きじゃないんですが…まぁ、そういうことになっちゃいますね」
伊左坂「…!!」
伊佐坂「ま、待ってくれ!! 
___小説家が小説を書くというのは麻薬と同じくらい中毒性があるんだ!!
___打たずにはいられない麻薬があるように、書かなくてはいられないものなんだ!!
___込み上げるほどの情熱が、突き上げるような衝動が、私にペンを走らせてくれた!!
___だから、小説だけは…、これだけは!!」
花 沢「それでは薬の方は今日で最後ということですね?」
伊佐坂「あっ、ま、待ってくれ…!」
花 沢「それでは例の小説の原稿は破棄していただけますね?」
伊佐坂「…くっ、分かった。もう書くのを止めよう。編集者にも別の原稿を渡すよ…」
花 沢「……(ふぅー)」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:28:56.97 ID:IlvjGS240
38
伊佐坂は花沢との約束をあっさり破った。
例の小説の原稿を書き上げ、編集者の波野のり助に手渡した。
伊佐坂「…(くっ、この作品をどうしても世に出したいんだ…!)」
伊佐坂「…まぁ、別から買えばいいか……」
のり助「んっ、何か言いましたか?」
伊佐坂「…いや…何でも…」
のり助「いやぁー、先生! これ、久しぶりの新作じゃないですか!
    ようやくスランプから脱却したんですね? いやぁー、良かったー。あははは」
伊佐坂「…うむ」
のり助は伊佐坂から渡された原稿を見るなり、表情を強張らせた。
のり助「…!? こ、これは…もしかして磯野家を題に…取ったのですか…?!」
伊佐坂「…そうだが」
のり助「ひっ、酷いじゃないですか、先生!!」
のり助「磯野家は僕にとっても家族同然なんですよ!! こんな風に書かれちゃ…」
伊佐坂「…い、嫌なら、もう君のところでは書かんよ!!」
のり助「そ、そんな…」
伊佐坂「大体、何も君等一族の名前を出したわけじゃない! 皆、架空の話だよ…」
伊佐坂「…少々、参考にはさせてもらったが…」
のり助「…わ…分かりました…。…推敲と変更点は後でFAXします…」

社に戻ったのり助は伊佐坂の原稿のチェックに取り掛かった。
主人公の女はある目的から知人の一家を崩壊へと導くが、中々、その目的が達成しないことから、次々と新たな悪事に手を染めていくという物語だった。女は麻薬の売人でもあり、いつも手下の浪人生を従えていた。人の弱味に漬け込み、非道な行いをする女と書かれている。
伊佐坂の久々の原稿。伯父の一家の悲劇を題材にしたのは気に障ったが、読み進めるうちにのり助は物語の妙にリアルなものを感じていた。
磯野家でご馳走が出れば、その時を狙って透かさず登場していた目敏いのり助。
早くも甚六の懸念が顕現したのかもしれない。
のり助「……これは…まさか…」
―――
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:29:27.63 ID:IlvjGS240
39
花沢はタイコが欲求不満からセフレを探しているという情報を手に入れた。
すぐさま中島にそれを告げ、次いで円滑に事を行うための指示をした。花沢は中島に幼児プレイをするように言ったのだ。
中島は兄と祖父の三人暮らし。母親とは幼い頃に死に別れた。そんな愛情に飢えた家庭環境をタイコが知れば、心優しい彼女は中島を憐れに思って、必ず胸を貸して甘えさせてくれるに違いないというのだ。
タイコ「中島君はお紅茶でよかったかしら?」
中 島「は、はい…」
タイコ「せっかく遊びに来てくれたのにイクラが寝ちゃって…ごめんなさいね」
中 島「い、いえ。そんなお気になさらずに…」
タイコ「じゃあ、二人で何かお話でもしましょうか^^」
中 島「はい…あ、あの…僕――」
タイコ「?」
中 島「僕…、お母さんとかいなくて…、そのタイコさんを見てると、…その……」
中 島「死んだお母さんを思い出すんです……」
タイコ「……中島君」
タイコ「…よかったら、こっちにいらっしゃい」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:30:04.82 ID:IlvjGS240
40
中 島「…え…//」ドキッ
中島はタイコの豊満な胸の中に包まれた。タイコは心地良い声で子守唄を歌いながら、優しく中島の頭を撫でた。そして中島のペニスは180度の勃起を観測した。
中 島「(…おっぱい…柔らかい…ハァハァ…ハァハァ)」
タイコ「〜♪ …!!?」
中 島「(あっ、やばい、気付かれたかも…ふへへへ)」
タイコ「…中島君、…あなた?!」
中 島「ばぶーっ! ばぶばぶぅ! ママァ! おちんちんが突っ張ってて痛いよぉ!!」
タイコ「…な、中島君…」
中島の豹変に驚いたタイコだが、彼女は今、それよりも理性と本能の狭間で葛藤していた。
夫・のり助がインポになって半年。若い婦人の身体は性に飢えて火照っていたのだ。
[田島「チ○コ破裂するっ!」]も幼い息子がいる前では憚られた。
目の前の中島に母性本能をくすぐられてもいた。
でも相手は小学生。しかも親戚の子の友達。そんな男の子に手を出したと周囲に知れたら、もうこの街では暮らしていけない。
衣服の上からタイコの乳にむしゃぶり付いた中島。
タイコ「…んっ、ああっ! だ、だめよ、中島君!! イクラが起きちゃうわ!」
タイコ「あっ、ああーっ!!」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:30:52.36 ID:IlvjGS240
41
波野家からは婦人の甘い声が漏れていた。
タイコは中島を台所の椅子に座らせ、突っ張って盛り上がった彼の短パンに手を掛けた。
中島は昂奮で涎を垂らした。タイコも顔を赤らめてボーっと中島のペニス一点を見つめている。
中 島「ばぶぅばーぶぅ!! 何か、おちんちんがビクンビクンってするよ、ママァ!!」
タイコ「……よしよし、い、いま気持ちよくしてあげますからねー…」
中 島「(はははっ、…すっげぇや!!)」
タイコは優しい手付きでホックを外し、チャックを下ろすと、ブリーフに包まれた中島のペニスを引っ張り出した。
タイコ「…まぁ! 半分くらい剥けてるのね!」
中 島「ばぶばぶぅ! あーん、何かおちんちんのとこが変だよ、ママァ!!」
タイコは「今、楽にしてあげる」と言い終わる前にペニスを口に含んだ。
抜群のフェラテク。のみならず、タイコは器用に両乳房を用いて中島のペニスを刺激している。
中島はすぐに果てた。
中 島「…ハァハァ…ハァハァ……」
タイコ「……ハァハァ」
タイコはサイドボードの中からコンドームの入った箱を取り出した。そして淫靡な息を漏らしながら、ゆっくりとスカートをたくし上げた。
タイコ「…ふふ、もっといい事しましょうか…」
中 島「…タ、タイコさん…」

四十八手の一つ背面座位。椅子に座る中島の上に腰を下ろす形で挿入を誘った。
タイコ「…あっ、あぁ、挿ってくわ…あ…」ニュル ジュポポ
中 島「…はっ…くぅぅ、…んっ」ジュッポ ジュポ
タイコ「ねぇ、…おちんち…ん…んぁ、先、擦れても痛くない?」チュク クチュクチュ
中 島「……」
中島は眼前の太くて丸いタイコの尻に釘付けになると同時に、忽ち理性というものを失った小猿のような淫猥な本能を露にした。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:31:41.62 ID:IlvjGS240
42
磯野家。午前。
のり助は久しぶりに磯野家を訪問していた。
サザエ「え? 伊佐坂先生の様子?」
のり助「ええ。何か変わった事などありませんか?」
サザエ「んー。…あ! そうだわ!」
のり助「何ですか?」
サザエ「つい一昨日なんだけど、伊佐坂先生、お散歩中みたいだったの!」
サザエ「それで挨拶しようと声を掛けたんだけど…」
サザエ「何か視点が定まってないっていうか、虚ろな表情でフラフラしてたのよ…」
のり助「え? それは本当ですか?」
フ ネ「そういえば私もオカルさんから妙な事を聞きましたね…」
のり助「妙な事…?」
フ ネ「何でも、伊佐坂先生。ここ最近、様子がおかしいらしいのよ」
のり助「どう、おかしいんです?」
フ ネ「オカルさんが書斎を掃除しているとき、睡眠薬のような白い粉が出てきたらしくて…」
フ ネ「それもお医者さんになんて掛ってないのに、変だわねって言ってたのよ」
のり助「…うーん」

のり助は直感で察した。
やはり伊佐坂は裏で麻薬の類をやっている。
元々はほのぼの恋愛小説家だった伊佐坂が、スランプを空けて書いた新作が推理サスペンス物の、しかも“麻薬”にキーワードにした穏やかでない作品だったこと。
作中の妙にリアルな描写、そしてその人間関係。これは何かある。
そんな確信を得ると、のり助は磯野家を後にした。
のり助「…先生、一体、どうしちゃったっていうんですか…」
のり助「…!?」

磯野家の門を出たのり助は、伊佐坂家の戸口の前でウロウロする人物と遭遇した。
三河屋の三郎だ。
のり助「…あの、どうかされましたか?」
三 郎「あ…、確かのり助さん…ですよね?」
のり助「そうですが」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:32:14.82 ID:IlvjGS240
43
のり助は三郎と少し話した。
三 郎「ああ…いや、伊佐坂先生の家に花沢不動産のお嬢さんが出入りしてるみたいなんです…」
のり助「え…、それが何か?」
三 郎「ええ。…あの実は変な噂がありまして…」
三郎は近所で実しやかに囁かれている変な噂をのり助に話した。
どうやら花沢不動産の主人は裏で麻薬の売買をしているというらしいのだ。何故、彼が伊佐坂邸の中を覗いていたのかというと、花沢の娘・花子が何やら定期的に物を届けに来るらしいという。
それも不自然な装いで、だというのだ。
三 郎「僕、一度だけ花沢のお嬢さんが伊佐坂先生の家から入ってくのを見た事があるんです…」
のり助「え…、それは本当かい?」
三 郎「何か大きなリュックを背負ってて…」
三 郎「その日は先生以外は皆さん、外出されていたそうで…あ、これは奥様から聞きました」
三 郎「で…、それで出てきた所で声を掛けようとしたんですが、すごい早足で逃げるように行ってしまったんです…」
のり助「…やっぱり!」
のり助「ありがとうございます、三郎さん!」
三 郎「って、あれ、の、のり助さん?」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:33:15.78 ID:IlvjGS240
44
のり助は伊佐坂の家に駆け込んでいった。
張り飛ばすように伊佐坂の家の玄関を開け放ったのり助。
のり助「失礼します!!」
オカル「まぁ、のり助さ―ちょ、どうされたんですか? あ、勝手に、ああっ」
のり助「先生!! ちょっと宜しいでしょうか!!」
伊佐坂の書斎に飛び込んだのり助は、暗室のソファーに腰を下ろして煙草を燻らす伊佐坂を問い詰めた。
伊佐坂「――なっ! どうしたんだね、のり助君!! 今日は締め切りじゃ…」
のり助「ちょっと見せてもらえますか、腕を!!」
伊佐坂「あっ、な、何を!! やめなさい、のり助君!!」
のり助は伊佐坂の腕を掴むと、裾を捲って腕の関節を確認した。
伊佐坂の腕には無数の注射の跡があった。これは…。
のり助「こ、これは!? 先生、まさか、薬をやって…!!」
伊佐坂「…ぐぅぅ…」
のり助「先生、どうしてこんなことを!!?」
伊佐坂「……むぅぅ」
オカル「ど、どうされたんですか?! 落ち着いてくださいませ、のり助さん!!」
オカル「ひ、ひぇっ…」
オカルはのり助に引っ張られた伊佐坂の腕の先を見た途端、卒倒した。
―――
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/25(木) 08:33:50.11 ID:IlvjGS240
45
のり助「…まさかと思いますが、花沢のお嬢さんから買っていたんですか?」
伊佐坂「!!」
のり助「どうなんですか!!」
伊佐坂「……そうだ…彼女から買っていたんだ…」
のり助「…そんな!」
のり助「じゃ、じゃあ、例の小説の仲の悪女っていうモデルも…」
伊佐坂「そうだ…」
のり助「それじゃあ、磯野家の人々を陥れたのも彼女だって言うんですか??」
のり助「何か知ってるんなら、全て話してくださいよ!!」
伊佐坂「そ、それは知らんよ! そこは私の妄想の範疇で…小説のオリジナルだよ!!」
のり助「…お願いです…、自首してください!」
伊佐坂「嫌だああ! 自首などするか!! 捕まってしまったら私の作家生命は終わる!!」
伊佐坂「かっ、金が欲しいなら幾らでもやる!! だ、だから見逃しておくれよ、のり助君!!」
のり助「ふざけないで下さい!!」
のり助は伊佐坂の胸座を掴んで、目に涙を溜め込みながら訴えた。

予備校から帰宅した甚六。
何やら家の様子が変だ。玄関前には三河屋の三郎が家の中を覗き込んでいて、家の中からはのり助と思しき男の怒鳴り声が聞こえた。これは何か不味い予感がする。
一先ず甚六は助けを求めて花沢の下に駆け出した。
甚 六「(…や、やばいよ…やばいよ!)」
―――
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/25(木) 15:07:17.80 ID:FHXz7XIAO
小学生なのかよ!!wwww
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/27(土) 12:04:04.79 ID:gJnV2h8AO
や、やばいよ…やばいよ!┗(^o^ )┓三

             ┏┗   三
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/28(日) 21:55:15.91 ID:9HoIqQiAO
終わっちゃったのー?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:24:59.77 ID:IHkyxDJL0
46
花 沢「な、何ですって?!」
甚 六「ハァハァ…、は、はい、今さっき家に帰ってみたら…」
プルプルと震え出した花沢は、鬼のような形相で一点を見つめ、いきなり壁を殴り付けた。
花 沢「くっ…糞おお!! これじゃあ、もうここで詰みが確定なの??」
花 沢「そんなの嫌だわ!! 私は磯野君と…磯野君とぉぉぉぉ…!!」
花沢につられて甚六も慌てふためいた。
甚 六「ど、どうしましょう?? 僕達…あっ、僕…わああああああああああ!!」
甚 六「嫌だああ!! 僕、捕まりたくない…!! 僕まだリカちゃんともしたかったのに!!」
花 沢「うるせぇんだよ、甚六っ!!」
甚 六「わっ…ぐへぇっ…」
花沢は甚六をどついた。その弾みで甚六は道路の上に転がり、電信柱に頭をぶつけて伸びた。
花 沢「(冷静になって! 考えるのよ!! 私なら出来る筈!! 私なら…―)」
花 沢「(もう…ダメだわ…! ど、どうしたら良いの??」」
花 沢「…あぁ…もう…逃げるしか…」

もう日も落ちる時間帯だ。蝉が煩わしく鳴いていた。
花沢は自宅に戻ると貯金通帳や現金、パスポートなど掻き集め、逃亡する準備を整えると、すぐに家を出た。ポケットの中には護身用の拳銃が入っている。カオリを銃殺したやつだ。
甚六を放ったらかしにし、一人だけで逃げるらしい。果たして当てはあるのか。
花 沢「(父ちゃん…母ちゃん……うぅ…)」
花沢は薄暗くなった町内を走った。だれにも気付かれず、この町から出るつもりらしい。
学校とも、友達とも、あの愛しいカツオにさえ別れを告げないで。
花 沢「…ふふ…あはは…」
花沢はおどけたように泣き笑った。
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:25:42.55 ID:IHkyxDJL0
47
のり助「花沢さんのお嬢さんだね…!!」
民家の暗がりの塀伝いに身を潜めていた花沢は、誰かから手を掴まれて、街頭の明かりの前に身を晒された。
花 沢「…!! なっ!!」
のり助「…逃げる…つもりだったんじゃないだろうね?」
のり助の後ろには三河屋の三郎や近所の大人達がいた。そして大人達に囲まれて縛り上げられている甚六がいた。
のり助「自首して欲しい。そうすればまだ罪も軽くなる…」
のり助「甚六君が…全て…素直に話してくれたよ。…マスオさんのことも…君の失踪したお友達の事も…」
花 沢「なぁっ!! …じ」
花 沢「甚六―っ!! てめぇ、裏切りやがったな!!!!」
甚 六「…あっ、み、皆、こ、この人が僕を脅して、それで弱味を握られていて…」
甚 六「だ、だから…、僕は悪くない!! 全部、嫌々、やらされていたんですぅぅ!!」
花 沢「ち、ちくしょおおお!!!!!」

花沢はポケットの中から拳銃を取り出して、のり助たちに銃口を向けた。
のり助や周囲の大人達は、後退りをしている。
花 沢「動いたら、こ、[ピーーー]ぞぉ!! あっああああああ!!」
のり助「お、落ち着きなさい! そ、そんなことしてなんになるんだ!!」
花 沢「のり助さん…ハァハァ…、あなた他人の心配なんてしている余裕はあるの…?」
のり助「な、何?!」
花 沢「今頃、タイコさん、…ハァハァ…淫らな娼婦になってるかもしれないのに…??」
花 沢「…あなたが欲求不満の妻を放ったらかしにしてるから…ふふふ―」
花 沢「…若いボーイフレンドと危うい火遊びの最中かもしれないわよ……!!!」
のり助「な、何だってーっ!!」
周囲達「…ざわ……ざわ…ざわ…ざわ……」
のり助「タ、タイコーっ!!」
のり助は妻の名前を叫ぶと、花沢を振り切って走って行ってしまった。
花 沢「あなたたち、私に手を出したら撃ち[ピーーー]わよ!!」

花沢は銃を構えながら少しずつ周囲と距離を置き、ダッシュで逃げ出した。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:26:21.33 ID:IHkyxDJL0
48
もう全てお終いよ。何もかも。こうなったら、どこまででも逃げてやるわ。
商店街の裏通りを通り抜け、どこかでタクシーを拾ってしまおう。
花沢は直走っていた。が、そのとき。
カツオ「…あれ? 花沢さんじゃないか?」
花 沢「!! い、磯野君?!」
カツオ「どうしたんだい? そんなに急いで? 何か急用? 大荷物みたいだけど」
花 沢「…いや…あの…」
カツオ「あはははwwww変な花沢さんだなぁ〜ww」
花 沢「……」
花沢は思った。カツオと会えるのもこれで最後かもしれない。
まだちゃんとした形で想いを伝えていなかった。言うなら、きっと今しかない。
花 沢「あの…磯野君…!」
カツオ「何だい?」
花 沢「わ、私…い、磯野君のことが好き…なの…!! ず、ずっと前から!!」
カツオ「え…!?」
カツオ「……」
花 沢「……」ドキドキ ドキドキ
カツオ「嬉しいよ、花沢さん」
花 沢「…え!?」
カツオ「花沢さんは僕や僕の家族のために色々と尽くしてくれる…」
カツオ「家が憂き目に遭ってるとき、身体を張って近所に取り入ってくれたろう」
カツオ「学校でも、いつも僕を味方してくれて…とても感謝してるよ」
花 沢「……磯野君」
カツオ「へへっ…// 照れ臭いけど、お嫁さんにするならカオリちゃんよりも、やっぱり花沢さんかな//」
カツオ「姉さんたちも花沢さんなら大歓迎だって!!」
カツオは照れ笑いをしながら言い切った。それは花沢を心から信頼している表情だった。
それとは対照的に花沢は悲しそうに表情を歪ました。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:29:51.66 ID:IHkyxDJL0
49
花沢は自分の愚かさに気付いた。
何て私は馬鹿なの。今まで私は何て酷い事をして来たのだろうか。
花沢は壮絶な後悔に襲われた。それは落雷が大木を穿つような凄まじい衝撃だった。
何も非道なやり方でカツオを手に入れようとしなくとも、カツオはちゃんと自分を想ってくれていたではないか。杞憂だった。
花沢は泣き崩れた。
花 沢「うぅっ…うわああああああああ〜!!」
カツオ「ど、どうしたの、花沢さん?! 花沢さん?! ねぇ?」
花 沢「…ヒック…グズ…うぅ…い、磯野君…」
カツオは不器用に花沢の肩に手を掛け、そっと抱き寄せようとした。
カツオ「花沢さん、ちょっと変だよ。急に泣き出すなんて!」
花 沢「わ、私――」

大人A「いたぞー!! こっちだー!!」
大人B「おまわりさーん!! ここにいましたーっ!!」
花 沢「あっ!!!」
カツオ「花沢さん??」
花 沢「さよなら…磯野君…」
花沢はカツオの手を振り払って、来た方向と反対方向へ駆け出した。
零れ落ちた涙が風に靡かれ、切なくきらめいていた。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:31:26.88 ID:IHkyxDJL0
50
花沢は朝日が丘の駅でタクシーに乗った。
行き先を告げず、「早く出して!!」とせがんだ若い女の客に運転手は違和感を覚えた。
環状線から東名高速に乗り、途中海老名ICで下りると、逆方向に伸びる中央道に入った。
車内ではラジオからニュースが流れてきた。
花 沢「すいません…、音楽にしてもらえるかしら…?」
運転手「はい…」
花 沢「FMがいいわ! 早くして!」
運転手「…おや、おかしいな。…ダイアルの調子が……」

ジジジジジ。ガガガ。ジージー。ジジジ…ガガ…。
――緊急ニュース速報です。
只今入りました情報に寄りますと、警視庁○○署は、東京都世●谷区●新町在住の大空カオリさん(11)の失踪事件に絡み、大空さんとは同級生で、同町内の不動産屋の長女・花沢花子容疑者(11)を、殺人及び、麻薬取締法違反の容疑で緊急指名手配しました。
花沢容疑者、今日の午後5時頃から行方が分かっておらず、逃亡した可能性が高いと見て捜査を続けています。また近隣住民の話では――

花 沢「…うっ!!?」
運転手「朝日が丘って地元じゃないですかぁ!? 嫌っすねぇ!! きめっすねぇ!!」
花 沢「……ハァハァ…ハァハァ」
運転手「…お、お客さん…?」
花 沢「も、もうここでいいわ! 下ろしてちょうだい!!」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:32:06.53 ID:IHkyxDJL0
52
引き寄せられていた、いや、それは偶然なのだろうか。花沢がタクシーを降りた場所は、あのカオリを殺害したY県H市の某山林の入口に程近い私道だった。
花 沢「……ハァハァ…ゼェゼェ…ハッ…ハッ」
花 沢「…ハッ…ハァハァ…」
花沢は息を切らし、森の奥へ奥へと入っていった。
西の空には陽が沈み、それを覆うように碧い空が被さっていった。緩やかに。
大分、森の中へ入ってきた。無我夢中だった。すると、もう目の前の道は消えていた。
花 沢「…ここで、私はカオリちゃん殺したのね……」
花 沢「…カオリちゃん…本当は大切な…私の友達だったのに…」
花 沢「…うっ…うぅっ…〜〜〜っ!!」
花 沢「カオリちゃん…カオリちゃん……うぅっ〜!!」
花沢は逃亡で疲れたのか、そこに腰を下ろして荷物を枕代わりにすると、いつのまにか眠ってしまっていた。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:33:07.88 ID:IHkyxDJL0
52
花沢は夢を見ていた。
小学校の低学年の頃の夢だった。
カオリは東京のとある町から転校してきた。児童なのにも関わらず艶やか女の雰囲気があり、それが最も同学年の男子達には「可愛い」「清楚なお嬢様」といった好印象を与えていた。
そんなカオリはよく男子からちょっかいを出されて、泣いていた。
カオリ「…う、うわあぁぁん!!」
男子A「ぐへへっ、カオリちゃん、パンツ見せろよ〜」
男子B「ほーら、スカート捲ってやるぜ!!」
カオリ「きゃ!! 嫌ぁああ!!」
ダッダッダという足音がすると同時に、
花 沢「こらーっ!! あんたたちーっ!!」
男子A「うわ、花沢ブー子だ!ww」
男子B「やべぇ、殺されちゃうよwwww」
花 沢「何ですってー!!!」
花沢は男子Aに腹パンチを素早く決めると、続いて男子Bにラリアットを咬ました。
男子は負け犬の遠吠えを吐き捨てながら、お互いに縺れ合って去っていった。
花 沢「今度、カオリちゃんをいじめたら、あんた等の前歯へし折ってやるからな!!!」
カオリ「………//」
花 沢「もう大丈夫よ、カオリちゃん」
カオリ「花沢さんって強くて格好良いのね、ステキ^^」
カオリのニコりと笑った顔は確かに可愛かった。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/08/28(日) 22:34:12.76 ID:IHkyxDJL0
53(最終話)
それから二人は友達になった。
一つ学年が上がると同じクラスになり、三日と空けずに会っては、どこかへ遊びに行ったり、楽しいおしゃべりをしたり、友達という時間を謳歌した。時には喧嘩もした。けれど、ちゃんと仲直りをして、その都度に友情を深めていった。
だけど…、――。
だけど私の想いを寄せていた幼馴染の磯野君はカオリちゃんのことが好きだった。
きっと発端はそれだった。年が上がるにつれ、カオリちゃんを妬ましく思うようになった。
カオリ「ど、どうしたの、花沢さん…?! 急に冷たくだするなんて…」
花 沢「…悪いわね…今日は忙しいのよ…」
わざと距離を置いてみたりもしたわ。でも卑屈に考えれば考えるほど、自分が惨めになっていくようで堪らなかった。
いつからかカオリちゃんを貶めても、自分が磯野君によく想われたいって考えるようになった。
いつからか、いつからか――。

と、そこで夢は覚めた。

朝だ。ここは深い森。朝靄の立ち込める不気味な朝だった。
辺りを見渡せば、木、木、木だらけ。薄緑の幕が一体に広がっていた。
ポケットの中に何かの感触を覚えた。拳銃だ。
花沢は拳銃を持ったまま、更に奥に進んだ。窪み地になった所にゴミや葉っぱが無造作に敷かれていた。
花 沢「…カオリちゃん」
花沢は覆っているものを跳ね除け、下にいるカオリを探した。
土と歯に埋もれたカオリだが、まだ腐食しておらず、可愛らしい顔のまま残っていた。
花 沢「ごめんね…ごめんね…うぅっ…」
花 沢「カオリちゃん…磯野君……」

花沢は自分の拳銃を頭につき付けると引き金を引いた。
森の中にドオンという音が木霊した。それは一瞬の出来事だった。
花沢花子。享年11歳。


中島「ワカメちゃん、ほら、いつものだよ」「完」
116 : :2011/08/28(日) 22:35:42.04 ID:IHkyxDJL0
お付き合いくださり、
どうもありがとうございました
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/08/28(日) 22:45:27.84 ID:QvERBEGAO
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/29(月) 02:08:23.92 ID:zMws078vo

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/29(月) 11:30:04.84 ID:rzsRCidAO

120 :ぎゃぁてぃ :2011/09/03(土) 20:29:32.10 ID:ES0uEITF0
なんぞこれww
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) :2011/09/26(月) 12:27:54.37 ID:rdvO+U8Zo
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