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西條拓巳「ど、童貞の妄想力をなめるなよ…」一方通行「…クソッタレが…」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:53:00.35 ID:AUIGIPVm0
まず注意。


禁書×カオスヘッドのSS。

需要?何それおいしいの?って感じのうp主得妄想SS。

カオスヘッドからは拓巳と七海。それ以外は学園都市勢。

一方通行のトラウマは無し。そのため、実験阻止から開始。

書き込み中にもどしどし書き込んで下さい。

カオヘ勢にはオリジナル設定多い。(ニュージェネだの何だのは無し。拓巳最初から最強。)

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:55:26.74 ID:AUIGIPVm0
拓巳「ま、超機動少女カナミンく、クオリティ高杉!こ、これは絶対子供向けアニメじゃないね!作画、脚本、音楽、共に今期最高レベルだよ!さ、流石ブラチューのスタッフが再集結して作ったアニメだけあるよ!

    これはBD購入決定だろ、常識的に考えて。…予約は…まだ開始されてねーよ!くっそ氏ね!」






ぼ、僕の名前は西條拓海。「脳」の研究を行っている、学園都市に住む高校一年生。

長点上機っていう名門に通ってる。も、もちろん僕の頭はいけど、名門に通っている理由はそれだけじゃない。


拓巳「た、ただ、僕はロリもいけるけど、星来たんみたいな巨乳キャラの方が好みなんだよな…ふひひ…」


僕の妄想は強力だ。妄想するとすぐに、目の前にピンク色の髪をたなびかせ、白い衣装に身を包んだ僕の嫁、星来=オルジェルが具現化する。



星来「おはようタッキぃ☆んもぉ〜。今何時だと思ってるの〜?ぼ・け・な:すっ。」


拓巳「ぁあ…星来かわいいよ星来ぁ…って朝!?や、やばい!」


エンスーしてたり、カナミン見直してたりしてたらもう朝かよぉ!くっそ今日は学校だ!ぁぁぁ鬱だぁ…


現在の時刻は…五時少し過ぎ…なんだ、まだまだ余裕じゃないか…
3 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:55:55.86 ID:AUIGIPVm0
拓巳「シャワーでも浴びるか…じゃあね…星来…またあとでね。」


星来「うんっ。またねタッキー!」



僕はこの学園都市でもちょっと名の通った能力者なんだよね…ふ、ふひひ…


ふひひ…週一回の研究協力費が美味しいんだよね。おかげでエロゲとかグッズ代には困らないし、授業に出る日数も最低限ですむ。


おかげでずっとヒキこもってエンスったり、エロゲしたり、アニメ見たりできるんだ。まったく学園都市は最高だよ。


…ん?人恋しくならないのかって?ならないよ。だって僕、三次元に興味はないから。……嘘じゃないからな…



じょ、常識的に考えて、ぼ、僕のことミジンコみたいに扱うあんな奴らに興味があってた、たまるかよ。


…………


シャワー浴びよう。


4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/05(金) 23:56:55.18 ID:b+at08fv0
期待
5 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:57:17.36 ID:AUIGIPVm0

______




拓巳「…や、ややっと終わったよ…長かった…」


学校は嫌いだ。多分、能力がどうだろうと、僕は馴染めないね。ふひひ。…キモオタだよ、どうせ…


拓巳「あ…メール来てるし…どーせ七海だろ……ほら…や、やっぱり」



七海は一つ下の妹で、学園都市の棚川中学に通っている。


拓巳「ん?…晩御飯…い、イラネ!きょ、今日は帰ってからずっと外の世界から遮断して、エンスるって決めてるんだよ!」



…あ、叫んでしまった。つ、ついいつもの癖で独り言が…



拓巳「あ…ま、周りからの視線がい、痛い…ち、畜生…」


さっさと帰って憂さ晴らしにエンスるんだ…ふひひ…


???「あの…」


拓巳「……」


???「あの…と、ミサカはそこの男性に呼びかけます。」


拓巳「……へぁ…?」
6 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:57:50.52 ID:AUIGIPVm0

???「そうそうそこのあなたです。と、ミサカは肯定します。」


拓巳「ぼ、ぼぼぼぼくのこと…?」


???「はい、そうですが…何か問題でもありましたか?とミサカは不安になりながら問いかけます。」


拓巳「……」


お、お嬢様学校で有名な常盤台中学の制服だ…


頭に変なゴーグルしてるけど……ミリオタ…?…!!てててて、ていうかこの三次元女…!!!!


拓巳「みみみみみみみ御坂美琴ぉ!」


???「半分正解。と、ミサカは答えます。ミサカの検体番号は一号です。」


拓巳「…お、おまいは一体何を言っているんだ…」


ミサカ「現在は研究施設外での研修期間です。ちなみに期間は七日です。と、ミサカは至極簡単に説明します。」


拓巳「……な、なんの罰ゲームだよ…」


ミサカ「……へ?」


拓巳「ばばば罰ゲームなんだろっ!?そそそそうにきまってる!じゃ、じゃなきゃこんなキモい僕にキミみたいな可愛い子が話しかけてくるはずない!


   ど、どこだよ!周りで見てるんだろ!?こんなことして楽しいかぁ!?ぼぼぼ僕を怒らせると、た、大変らぞぉ!」
7 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:58:21.87 ID:AUIGIPVm0

ミサカ「か、可愛いなんてそんな…そんな言葉を貰ったのは生まれて初めてです…と、ミサカは感極まります…///」


拓巳「…へぁ?」


な、なんだこの女…ちょ、ちょっとタイプかも…おとなしいし……イヤイヤイヤも、もちつけ西條拓巳!


三次元女なんてDQNとビッチしかいないって旧約聖書から決まってるんだ!っくそ!また騙される所だった!


ミサカ「ところで、ミサカはマクディなるところに行ってみたいのですが…道を教えていただけないでしょうか?と、ミサカは丁寧に質問を投げかけます。」


拓巳「じ、自分で丁寧とか言うかよ常孝…マクディなら、し、しってるけど、ちょっと遠いよ?」


ミサカ「…そうですか、遠いのですか……」


拓巳「……」


ミサカ「…なら、もしよろしければ、ですが…マクディまで案内していただけないでしょうか?と、ミサカは上目づかいで頼み込んでみます…ダメ?」


拓巳「うっ……!」



ややyや、やばい!三次元に可能性を見出しそうだ!ききき気持ちを強く持つんだ西條拓巳!三次元女に期待なんてしてどうする!


拓巳「ぼぼ、僕はい、今…い、忙しくて…」


ミサカ「…ダメですか…?」じーっ
8 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:58:47.31 ID:AUIGIPVm0

拓巳「だ、駄目じゃ、ないです。」


ま、まあしょうがないよね。困った人に手を差し伸べるのも大事だよ。


疾風迅雷のナイトハルトたる者、こ、これくらい当然だよ。ふひひ。








拓巳「こ、ここだよ。」


ミサカ「おー。と、ミサカは感嘆の声を挙げます。」


この三次元JC…マイペースだな…道中も「あれは何ですか?」だの、「あれは何と言う名前なのですか?」とか聞いてきたし…


し、調べてみるかな…ぼ、僕の情報網なら…どんなことだって…ふひひ…


ミサカ「あ…」


拓巳「ん…ど、どうしたの?」


ミサカ「お金がありません…と、ミサカは落胆します…」


拓巳「こ、これはひどい…な、なんか食べたかったの?」


ミサカ「噂に聞く…フィッシュバーガーという物を食したくて…と、ミサカは…ミサカは…」


拓巳「…ちょちょっ!おまっ!」


おいおいおいおい大袈裟ってレベルじゃねーぞっ!バーガーひとつ食べれないだけで泣きそうとかっ!



こここ、これだから三次元女はっ!汚い!さすが三次元汚い!

9 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:59:25.71 ID:AUIGIPVm0


拓巳「わわ、わかったから!僕が奢ってあげるから!泣くな!なくなよぉっ!」


ミサカ「…本当ですか…?と、ミサカは…」


拓巳「ほ、本当!ナイトハルト嘘つかない!」


ミサカ「あ、ありがとうございます!感謝の言葉もっ…と…ミサカは…ミサカは…」


拓巳「ひぇあっ!?」


ってっててて手をに、握って!?やあらかい…じゃなくって…!


ミサカ「では、早速向いましょう。と、ミサカは駆け出します!」


拓巳「ちょっ!手を引いたまま走るとかっ!いたい!いたいって!」



この三次元女…無表情だけど…


わかりやすいな…






ミサカ「美味しいですっ!と、ミサカは滲み出る感情を抑えきれません!」


拓巳「…」
10 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/05(金) 23:59:54.78 ID:AUIGIPVm0

ミサカ「どうかしたのですか?と、ミサカは問いかけます。」


拓巳「い、いや…ぼ、僕の妹の大好物なんだよ。そ、それ。」


ミサカ「ほう…気が合いそうですね。ぜひ会ってみたいものです。と、ミサカは__」


拓巳「…あ、メール…はあ…どうせ七海だよね…」


携帯が鳴った。鞄からそれを取りだす。


ミサカ「こ、これはっ!」


拓巳「…?あ、ああ、このマスコット?き、キモいでしょ?」


ミサカ「そんなことありません!と、ミサカは反論します!」


拓巳「うぉぉ!」


びびびびっくりしたぁ…そんな激しくくいつくなよ!


ミサカ「名前はなんて言うのですか?と、ミサカは詳細を希望します!」


拓巳「げ、ゲロかえるんっていうんだ…今は別のカエルが流行ってるみたいだから…もう売ってないんじゃないかな…」


ミサカ「…で、では…それをどこで…?」


拓巳「い、妹から貰ったんだよ…」


ミサカ「なおさら貴方の妹さんに興味がわきました…と、ミサカはうなだれます…」ショボーン


拓巳「う、そ、そんなに気になるなら連絡先教えてあげようか?」


ぼ、ぼくは何を言ってるんだ…三次元女なんかに…


ミサカ「…ほ、本当ですか…?と、ミサカは__」


拓巳「ほ、ほら!早く携帯だせよ!」


ミサカ「は、はい!」
11 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:00:31.90 ID:mQaJ+vrp0


互いの携帯端末のデータを交換しあう。


ミサカ「あ、先に貴方のからお願いします。と、ミサカは懇願します。」


拓巳「い、いちいち大袈裟なんだよ…」


ミサカ「あ……タクミ…というのですか?」


拓巳「い、いきなり下の名前かよぉ!?」


ミサカ「悪かったでしょうか?」


拓巳「……いや…別にいい…僕は何と呼べばいいの?」


ミサカ「何とでもお呼びください、と、ミサカは無い胸を張ります。えっへん。」


拓巳「じ、自分でない胸とか…じゃ、じゃあ僕はミサカって呼ぶね…」


ミサカ「あ…」


拓巳「こ、こんどはどうしたの?」


彼女は、ほんの一瞬、無表情な顔を変化させた。


ほんの少しだけの時間だけでも、彼女と過ごした。


僕はその中で、彼女の表情を読み取る力でも身につけたのかもしれない。


ミサカ「あの…この番号…あと七日しか通じないので、と、ミサカは報告します。」


彼女は、少しだけ、寂しそうだった。


拓巳「…え?それってどういう__」


ミサカ「……」じーっ


拓巳「へぇぁう!!」
12 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:01:01.68 ID:mQaJ+vrp0

ゲロかえるんをガン見していやがる…ダメだこいつ…はやく何とかしないと…



拓巳「…こ、これ、欲しい?」


ミサカ「…で、でも…妹さんからもらった大事なものなのでしょう?と、ミサカは躊躇うそぶりを…」


拓巳「…あ、あげるよ。いくつも持ってるし…」


ミサカ「ほ、本当にいいのですか…」


拓巳「い、いいって…ぼ、僕には似合わないし…」


ミサカ「あ、ありがとうございます!タクミっ!い、一生大切にしますっ!」


拓巳「そ、そんな…大袈裟でしょ。常識的に考えて…」


ミサカ「大袈裟では断じてありません!…タクミは…優しいのですね…」


うっ…///


拓巳「…そ、そう…喜んでもらえて嬉しいよ…」


なな、なんだ今の破壊力はっ…せ、星来たんに匹敵するレベルだろ…常考…
13 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:01:34.29 ID:mQaJ+vrp0

ミサカ「あ、そろそろ研究所に戻らないといけないので…今日はありがとうございました、と、ミサカは深々とお礼をします。」


拓巳「え、あ、うん…じゃあまた…あ、けけ、研究ってなんの?」


ミサカ「…すみません…言えないのです…」


拓巳「あ、そ、そうなんだ…」


ミサカ「ではっ!今日にでも連絡ください!と、ミサカは念を押します!また会いましょうタクミ!」



…いってしまった。


三次元女も悪くないな…


……っは!うわあああああああああああああああああ!!!!どどどどうしたんだあああああああああ!!!



……くっそ…これは機関の精神攻撃にちがいない…


ぼ、僕くらいの能力者となると、…それくらい当然の話だ…
14 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:02:08.70 ID:mQaJ+vrp0

……


なんて冗談はいいとして…ちょっと彼女のセリフ、気になるな…七日間って…



……疾風迅雷のナイトハルトの本領発揮だ…



研究所の研究員に話でも聞いてみるか…



探りを入れてみよう…たまにはこういうのもいいか…



エンスーは最強になりすぎてツマンネ、だしね。
15 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:07:34.31 ID:mQaJ+vrp0
あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ…


み、ミサカの関わっている実験が思いのほかや、やばかったんだぜ…


な… 何を言ってるのか わからねーと思うが、おれも何がなんだかわからなかった…


_______________________________


三日後、某研究所。


僕が実験に協力している研究所だ。


今日は学校をサボタージュして、早めに実験を終わらせに来た。


あれからミサカとは毎日会っている。


じ、じつは僕ってもうリア充なんじゃね?ふひ、ひひ…


あの子は、二つほど年下だと思うが、子どもっぽく、無邪気だ。


普通の女の子っぽくは絶対にない。それに、実験のこととなると決まって口を閉ざす。


そう、必ず寂しそうな表情を浮かべて。
16 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:08:17.36 ID:mQaJ+vrp0


実験協力が終わって、向うのは、研究所長の部屋だ。


部屋の前で指紋と網膜読み取り式の生体認識セキュリティをくぐり、入室する。


拓巳「に、西條です。」


一息おいて、声が聞こえる。


所長「入りなさい。」


低い、押し殺したような声だ。


や、やばい…ちょ、ちょっと怖くなってきた。



や、やめようかな…七日って言葉は不穏だけど、死ぬわけじゃないだろうし…でも_____



こ、この僕に、あんな風に接してくれた人間は…い、いなかった…



ここで、また逃げたら___



もう、あんな子にあえなくなっちゃうかもしれないんだ…



うああああああああああああ!!!き、決めたんだろ西條拓巳!



いつもやってるエロゲの主人公は、こういうとき、ビシィッ!!っと決めれる男じゃないかぁっ!



決意を新たにする。能力の使用を決断する。
17 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:08:51.01 ID:mQaJ+vrp0

も、もちつけ!クールになれ!西條拓巳!ぼ、僕ならできる!



鞄の中に忍ばせておいた、星来のフィギュアを握りしめる。…ふう…ゆ、勇気がわいてきたぞ…



僕の能力発動に、演算だとか面倒な事は必要ない。



ただ__妄想する。それだけだ。



拓巳「(妄想シンクロ。思考を盗撮__)」


拓巳「よ、四日後から行われる、大規模な実験について、は、話があります。」



所長「…キミに話すべきことなど何もないよ…」


(絶対能力進化計画のことか…どこから漏れたんだ?)


ふひひ…考えてることがダダ漏れだよ…


拓巳「ぜ、絶対能力進化計画という計画の事です…そ、それに御坂美琴が深く関わっていることもし、知っています。」


所長「……っ!!」


(どこまで知っている…?この小僧…?クローン計画のことも…?一方通行も…?)
18 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:09:20.54 ID:mQaJ+vrp0

さ、最強の超能力者の話がここで…?おいおいおいシャレになってないでしょマジで…


そうか…やっぱあの子…クローン…よし、もうひと押しだ…


数々のエロゲでの尋問シーンをこなしてきた僕にす、隙はなかった…ふひひ…




拓巳「ざ、残念だけど…全部知っているんだ…ちょ、ちょっと興味があってね…


    ここに来たのは、一方通行についての情報を得る為なんだ…」



___そして、僕は全てを知る。



この都市の裏側に、始めて足を踏み入れる瞬間が、この時だったのかもしれない。
19 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:09:50.69 ID:mQaJ+vrp0

___________________________________




……


………


…………


げ、現在に至る。


ど、どうしよう…


これはヤバい…ぜ、絶対ヤバい…


僕は、学生寮で布団をかぶって一人震えていた。


一方通行。妹達。[ピーーー]。レベル6.絶対能力。


……彼女が…


…彼女が、四日後に、死ぬ。



拓巳「どどど、どうしよう、せ、せいらぁ〜。」


僕の妄想である星来に声をかける、決まって僕の相談相手は彼女だ。
20 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:10:41.33 ID:mQaJ+vrp0
いつだってそうだった。彼女の言葉は、僕を落ちつけてくれる。


星来『たっきぃ〜。そんなこと言って、もうどうするか決まってるんでしょぉ?ぼけなすぅっ。』


拓巳「え、え?どういうこと?」


星来『タッキーは、この実験を止める気、そうなんでしょ?』


拓巳「で、でも…死ぬとか[ピーーー]とか…ぼ、僕には…」


星来『タッキー?…タッキーには、力がある。そうでしょ?』


拓巳「…………」


星来『それで、その実験は悪いこと。止めない理由なんてないよっ!』


拓巳「…で、でも…」


迷いが消えない。これから、きっと怖い音が起こる。


星来『タッキー?』


拓巳「………」


星来「ミサカちゃんが…あの子が…死んでもいいの?」


拓巳「……っ!!」


そうだ。彼女が、死ぬ。



ひきこもりで、挙動不審で、相手の目もまともに見れない。


童貞をこじらせて、二次元にしか興味が無いとか虚勢を張って。


女の子になんて相手にされない。中学の時は、DQN達の格好のいじり相手だった。


未成年のくせにエロゲばっかやって、他に趣味の一つもない。
21 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:11:08.13 ID:mQaJ+vrp0

__僕を、こんな僕を。



「____タクミは、優しいのですね____」



彼女は、そう言った。そう、いってくれたんだ。



拓巳「…ありがとう。星来…」


星来『うんっ。それでこそタッキーだよっ☆』


僕は、決意する。


助ける、助けてやる。


うん。何かのキャラが言ってたじゃないか、女の子の為に体を張れる機会なんて、一生に何度もないって。



こんな非リアでキモオタの僕にも、そんな機会がまわって来たんだ。



晴れ晴れとした気分だ。まるで、自分が主人公にでもなった気分だ。



…しゅ、主人公…て、テンションあがってきたああああああああ!うぉおお!いいだろう!やってやる!やってやるさ!



拓巳「ぼ、僕はすっごく強いんだ。……最強だろうが何だろうが…あれくらいの能力…ぼ、僕にかかれば…ふひ…」
22 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:23:53.80 ID:mQaJ+vrp0


タクミから、急遽来るように、と、呼び出しの連絡があったため、初日に来たマクディにやって来た。


ミサカ「…これ以上の生を望むのは…いけないことなのでしょうか…?とミサカは…」




そう、ミサカは、四日後、死ぬ。これは避けられない運命だ。



何故だろう。あの西條拓巳という少年にあってから、どうもおかしい。



胸のあたりが、苦しいような、それでいて悪くない感覚。



これが何かはわからない…しかし…



ミサカ「そうです。ミサカは…贅沢だったのです。」
23 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:24:23.12 ID:mQaJ+vrp0


手もとのフィッシュバーガーを口に運ぶ。




ミサカ「…おかしいです…と…ミサカは…」



大好物のはずのそれは、美味しくなかった。



拓巳「み、ミサカ…」



彼がやってきた、接近に気がつかなかったとは、ミサカとしたことが…



ミサカ「た、タクミ…今日は急にどうしたのですか?と、ミサカは尋ねます。妹さんを連れてきてくれたのですか?」


拓巳「い、いや、七海には、また今度会わせてあげるよ。」
24 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:25:05.96 ID:mQaJ+vrp0









拓巳「__うん。来週にでもね。」


ミサカ「え…?とミサカは…」


彼は、何を言っているのだ?ミサカは、来週には…


拓巳「み、ミサカ。僕は、全部知ってる。」


ミサカ「タクミ…貴方はなにを…」


拓巳「絶対能力進化計画のことも、キミの事も、ぜ、全部だ。」


ミサカ「そうですか…」



嫌われてしまったのでしょうか…当然です。



ミサカは単価十八万円のクローン体なのですから…



拓巳「それを踏まえて、き、聞くよ?きみは__」
25 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:25:35.00 ID:mQaJ+vrp0







「_________キミは、生きたい?__________」






26 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:26:22.51 ID:mQaJ+vrp0

どうしたのですか、タクミ?



そんな自身に満ち溢れた、何かを決めてしまったかのような顔をして。



いつもの、ばつの悪そうな、でもって優しそうな顔はどこへいったのですか?




拓巳「み、ミサカ。君の周りの状況がどうだとか、そんなのはどうだっていい。キミは、生きたいの?」



その、その顔です。どうしてそんな顔をするのですか?



ミサカ「み、ミサカは…」





「__________________生きたいです。____________________」







拓巳「そう…なんだ…」
















拓巳「その言葉が聞きたかった。」
27 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:26:48.51 ID:mQaJ+vrp0

彼は、笑った。


ニヤリ、と。


まるでその言葉を言いたかったかのように。



拓巳「ぜ、全部終わったら、報告するから、ここで待っててね。ぜ、絶対だよ?」


ミサカ「た、タクミ…貴方はなにをっ!?」





俯いた顔を挙げると、そこに彼はいなかった。
28 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:27:23.59 ID:mQaJ+vrp0


__________________________________________



一方通行は、うんざりしていた。



一方通行「…やれやれェ…何だ…何だよなンなンですかァ?」



絡んでくる不良どもをノしたあと、これである。



しかし、現在目の前にいるのは、ブレザーをきた、気弱そうな少年だ。



背丈は自分と同じくらいか、少し高いくらいだ。



少年は口を開く。




拓巳「よ、四日後の実験を、ちゅ、中止するんだ。言う事を聞かないと、体で、分からせるぞ。」



一方通行「…はァ…?」



こいつ、アホか。一体何を言ってやがる。




一方通行「あのォ?俺が誰だかわかって言ってやがりますか?」


拓巳「も、もちろんだよ。学園都市最強。能力はベクトル操作。」


……


一方通行「そこまでわかってンなら__」


拓巳「彼女は…ミサカは、僕の…友達だ。[ピーーー]のは許さない。」
29 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:27:49.59 ID:mQaJ+vrp0


こいつ…ここまでタンカきるとは…



一方通行「そいつはできねェ相談だなァ…どうするんだ?ッハ…まさか実力行使とか__」



拓巳「そうだ。」




…は?コイツ今なンつった?




拓巳「ごたくはいい。かかってくるんだね。ぼ、僕は強いよ。」




一方通行「……ぁあ…」




この野郎…




一方通行「そうさせてもらいますよォっ!!!!!!!!!」



地を蹴る。距離を一瞬で詰め、少年の体に触れる。



終わりだ。そう、最強は確信した。
30 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:28:35.69 ID:mQaJ+vrp0

______________________________________






タクミの携帯の電波をたどった先、着いたのは、広大な空き地だった。




嫌な予感は的中した。かの優しい少年・タクミが対峙するは、学園都市最強のはず。




ミサカ00001号は、気が気ではなかった。もし、彼の身に何かあったらという事を考えると、心臓が止まりそうになるほどだった。




彼の中に、ここまでものがあったとは、ミサカは、驚きを隠しきれません…





彼女が、視界に入れた光景は、驚くべき光景だった。





_____こ、これは……!?________




西條拓巳が、一方通行を圧倒していた。



いや…違う…互いにまだ無傷。西條拓巳に余裕があるだけそう映るのだ。
31 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:29:39.00 ID:mQaJ+vrp0


だけどどうやって一方通行の「反射」を…?





一方通行「なンでだ…なンで攻撃が通らねェっ!!!!」



一方通行の手が、拓巳の体に触れる瞬間、彼の手は、見えない力によって弾き飛ばされるのだ。



拓巳「『ベクトル操作』の攻撃を無効化する壁を『妄想』し、リアルブートした。もう君の攻撃は通用しないよ。」



一方通行「ならッ!これはどうだァッ!!」



一方通行が足をふみならすと、近くに周囲に散乱していた木材が、一挙に西條拓巳に襲いかかる。



ミサカ「あぶないっ!」



木材は、西條拓巳の体と言う体を、これでもか、というほどに貫いた。



一方通行「(終わりかァ…ったく…何だったンだ…さっきのは…)」



しかし…
32 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:30:27.27 ID:mQaJ+vrp0

拓巳「…痛覚は遮断した…」



一方通行「ッ!!??」



木材はことごとく抜け落ちる。おびただしい血液は、傷へとトンボ帰りをする。



そう、文字通り「再生」したのだ。



ミサカ「そんな…」



一方通行「ありえねェ…」



拓巳「…僕も、本気で行かせてもらうよ…」
33 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:32:35.52 ID:mQaJ+vrp0


その刹那、西條拓巳は空へと手を伸ばす。



拓巳「一度、見えたから…もう引き抜くのは簡単なんだよ…」




そして、彼の手は、何かを掴む。そう、人知の及ばぬであろう「何か」を。



拓巳「いくよ。最強。」



引き抜いた。青く輝く、それを。




一方通行「…なンだよ…それ…」



西條拓巳の手に握られるそれは、二メートル近い長剣。無駄な装飾は存在しないが、青い刀身は、これでもかと言うくらいに存在感を放っていた。




一方通行「なンなンだよそれはァッ!!!!!!」


西條拓巳は、笑う。
34 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:33:03.09 ID:mQaJ+vrp0


拓巳「ふ、ふひ、ふひひ…童貞の妄想力を舐めるなよ…これを抜いた僕は…まさしく新世界の神っ!」


一方通行「…クソッタレが…」


(どうしてだ…学園都市最強のこの俺が…)


拓巳「学園都市最強?…ふひひ…厨二病、乙。」


一方通行「…テメエ…」


(まさか…心を…?精神系の能力まで…?)
35 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:33:33.53 ID:mQaJ+vrp0

拓巳「そうだよ…そもそも最強とかあてにならないでしょ…常識的に考えて…ぼ、僕なんて週に2,3回しか家からでないし…」


一方通行「ふざけやがってッ!!テメエ…一体何だ…俺の能力を無効化した奴は、今まで存在しねえ…それをこうも簡単に…」


拓巳「ふひひ…あとで教えてあげるよ。びょ、病院のベッド上のでね…」キリッ


一方通行「…」


(こいつ…ぜってェ、決まった…!とか絶対考えていやがる…あの顔…)


拓巳「ちょ!おま!そんなことかんがえてねーよぉ!」






次の瞬間、拓巳の姿は一方通行の目前にあった。



一方通行「っなにィ!」



拓巳は、青い長剣を振りぬいた。



一方通行「っぐっはッ!ど、どうしてっ!は、反射の壁をッ!」



拓巳「安心しろ。み、峰打ちだっ。」
36 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:35:17.10 ID:mQaJ+vrp0


最強の能力者は、敗北した。




_____最強のキモオタの前に。




拓巳「ふ、またつまらぬ物をき、斬ってしまった。」



ミサカ「あ、あなたは…一体…ミサカは驚愕の色を隠しきれません。」



拓巳「あ、後で話すよ…それより、ミサカ…」



ミサカ「ひゃ、ひゃいっ!?」



(ち、近いですっ。とミサカは…ミサカは…)



拓巳「き、キミは僕が守るよ…絶対に殺させはしないから。」



ミサカ「……あなたは…ずるいです…」ギュッ



拓巳「ちょっ…」




ミサカ「うっ…み、ミサカが…どれだけ心配したと…ふ、ふぇぇぇ…」




ミサカ00001号は、自らの憂いを一気に吐き出すかのように慟哭した。



西條拓巳は、それを受け止める。
37 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:37:13.68 ID:mQaJ+vrp0





拓巳「(あ…すごく…柔らかいです…ふひ…)」




彼女には、その時の西條拓巳の表情は、見ることができなかった。

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/06(土) 00:38:10.79 ID:a/5Ez8v40
カオヘあんまり知らないけどものっそ面白い
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/06(土) 00:41:27.00 ID:0WOUDd69o
ナイトハルトさん強すぎワロタw
これは惚れるわ
40 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 00:41:45.30 ID:mQaJ+vrp0
はいっ!今日はここまで!
皆さん、シュタゲだけじゃなくて、カオヘも思い出してあげて下さい!…アニメは…ゲフンゲフンっ!
一方さんはメインキャラになります。悪友ポジ。時系列は突っ込まんといて下さい…
インデックスさん我らが最強のキモオタ西條さんのもとに来るかどうか迷い中…あ、記憶は消しません。
次来るのは、早くて三日以内。遅くて一週間後です。コメント、どんどんください!ではっ!
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/08/06(土) 00:42:57.73 ID:a/5Ez8v40

このssで俺はカオヘノアを買うことを決意した
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 00:49:38.28 ID:1KJ/rgTKo

面白かったぜ!

厨二病乙。は吹いたwwwwwwwwwwww
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/08/06(土) 01:18:51.60 ID:Ebw4TFPAO
流石最強主人公で名があがるだけはある
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [age]:2011/08/06(土) 01:29:01.66 ID:4wO7aSYY0
ギガマニってつまるところパーソナルリアリティの完成型、未現物質の究極だからな。
性質としては軍覇に近い。初見は勿論、現実逃避したくなる暴力で襲っている限り一方も出し抜かれ続けるだろう。

何が凄いってこれが方程式として確立してるって事の方なんだが・・・
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 02:01:37.02 ID:kET9JcIy0
俺は今感動している
現在進行形のカオヘSSをみれるとは
これは本気で応援させてもらいます
だから絶対に完走してくださいお願いします
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 02:55:48.30 ID:l8/+0DjIO
痛覚は遮断した
本編で一番好きな台詞だ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/06(土) 05:06:49.43 ID:+f52Ke1AO
>>1
乙っす
久しぶりにカオヘの文字を見たよwwww
とりあえず、今度からはメール欄にsagaで頼む
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 09:05:05.15 ID:224eu9nco
乙です。
カオヘアニメはコキュートスwwがアレだけど、割と嫌いじゃないな。

てかミサカが00001号だったのに一番驚いた。2万人全員生存コースかww
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/06(土) 10:59:32.41 ID:TvvM1pOLo
一方通行を三住くんポジにだな・・・
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 13:10:37.63 ID:ddlUlKGDO
コメントじゃなくてレスな
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 15:13:39.16 ID:oUJ4oeKM0
カオヘ見た事無いから
ギガロマニアックス=本人が想像した物・現象が現実になる
って考えてるんだが…本当はどうなの?
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/06(土) 16:07:10.62 ID:moRO7c7Ro
ギガロマは人の意識の死角に妄想を埋め込んで現実に妄想を持ち込む能力
アルスマグナと某死神漫画の鏡花水月を足したようなインチキ能力をイメージして貰えればいい
学園都市製超能力者とは正反対でギガロマに覚醒するには精神が壊れる必要がある
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/06(土) 16:29:36.51 ID:KReH5JZAo
アウレオルスみたいな感じか。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) :2011/08/06(土) 17:32:25.17 ID:puJ7wVC10
ところで、リアルブートの副作用設定はどうなってるの?
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/06(土) 19:04:16.99 ID:4IIcQkMro
きんしょ?っていうのはよくわからないけど
わたs咲畑梨深ちゃんは当然でますよね たはは・・・
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 19:08:16.83 ID:rv2lUH640
>>55
うるせえピンク黙ってろティヒヒ
57 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:27:56.37 ID:mQaJ+vrp0
どうも!>>1です!早いけど来ちゃったんだぜ!
多数のレスありがとうございます!今回は皆の妹登場!
今回で絶対能力進化実験はお終いです!
では投下!
58 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:28:39.96 ID:mQaJ+vrp0

…僕は、勝った。最強の能力者に。



日常に飽き飽きしていた少年(?)が出会ったのは、薄幸の少女…



ボーイ・ミーツ・ガールの果て、少年は、命を掛けて、少女の為に戦う……これ、なんてエロゲ?



……………


……


…で。



拓巳「…ど、どうしようか。…こいつ。」


ミサカ「…放っておく、という選択肢は存在しないのですか?と、ミサカは提案します。」
59 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:29:23.53 ID:mQaJ+vrp0

拓巳「い、いや…そういうわけにもいかないでしょ…コイツいないと、実験終わんないっしょ…常孝…」



完全にノびてるけど…っち…よく見たらコイツ、イケメンじゃねぇかよ…



[ピーーー]っ!氏ねじゃなくて[ピーーー]っ!



ミサカ「…タクミ…?」


拓巳「な、何でもないよ…って!この白髪…まだ反射が効いてる…お、往生際の悪い…TOVのザギかよ…」



能力を発動して、「『ベクトル操作』を通さない『縄』」を生成する。



それで…こいつを…と。……完成。



っくそっ!何が悲しくて男なんてしばらなきゃならないんだよ…
60 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:29:54.49 ID:mQaJ+vrp0



拓巳「と、とりあえず…ウチにいこうか。そ、そこで尋問しよう。僕のことも話すよ。」



この子なら、僕のオタグッズを見せても問題ないだろう…た、多分…



ミサカ「わかりました。ミサカはタクミの家が楽しみです。」



半ば引きずる形で、白髪の最強を自宅に連れていく僕らであった…



…反射って、便利だなぁ。全然汚れてないし…


_________________________________




ミサカ「わお…すごいです…お人形さんが一杯…こ、これはゲロかえるんまでっ!ミサカは感動のあまり回り出しますっ!」



拓巳「お、落ち着けっ。……あ、目を覚ましたみたい…」



一方通行「おいおい…これは一体何の冗談ですかァ……それになんだこの縄は…」



拓巳「ひィッ…!」



なんだこいつ…寝顔はイケメンだったけど、起きるとただのヤバい人だ…
61 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:31:00.58 ID:mQaJ+vrp0


ミサカ「タクミっ!ファイトです。」



拓巳「う、うん…じ、実験はやめてもらうよ…いいね?そして話すんだ。全てを。」



一方通行「…イヤっつったらどうなるンですかね…?」



拓巳「む、無駄だよ。僕はやろうと思えば人の記憶が覗ける。」



一方通行「はァー。…なンでもありですか…仕方ねェ…話してやるよ。」






___________________________________________




一方通行の話を聞いた。彼の話は、思考を読みつつ聞いてみたが、どうやら本当の話のようだった。




拓巳「…つ、つまり…どういうことだってばよ…」



一方通行「計画破綻の決め手は、『樹形図の設計者』の破壊だ……いくらバケモノのテメエでも、これは流石に不可能だろ?」



ミサカ「…そ、そんな…一体どうしたら…」



一方通行「話は終わりだ。…次はこっちの質問だ。…テメエ一体なにも___」



拓巳「…があるなら…」
62 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:31:26.86 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「…あン?」



拓巳「映像があるなら、こ、壊せるよ…多分。」



ミサカ「は…?」



ミサカ・一方通行「「はあああああああああああああああああああ!!!!????」」




___________________________________________




ミサカ「み、見つけました…これでいいですか?」



拓巳「う、うん。充分だよ。」



インターネットに樹形図の設計者のライヴ動画が存在して助かった…よし…つ、次は…



拓巳「星来ぁ〜!俺だー!来てくれー!」



星来『なぁに〜?タッキー?』



一方通行「はァッ!!??」



ミサカ「ええっ!?」




具現化した星来に、驚きの色を隠せないようだ…ふひ…ぼ、僕の自慢の嫁だからね…
63 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:32:40.56 ID:mQaJ+vrp0



拓巳「あの人工衛星を、こ、壊してきてほしいんだ。出来る?」



星来『うん。いいよー。』



一方通行「即答かよォっ!」




拓巳「う、うるさいな!三次元は黙ってろ!!!!…ふひひ…あんなもん…イラネ…」




星来を使った妄想なら、得意中の得意だ…ふひひ…



星来が関係してるなら、僕には彼女の筋肉ひとつひとつの躍動すら妄想可能…そ、それは言いすぎかな…




ディソードを空から抜き放つ。



妄想…開始。






次の瞬間、映像に星来=オルジェルが現れた。



そして、手に持つ金棒、サムライ☆コンデンサを振り下ろす。
64 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:33:17.34 ID:mQaJ+vrp0




ミサカ「信じられません…」



粉々になるおりひめ一号。



これを見た者は、誰もが目を疑うだろう。




星来『たっだいま〜☆なのさ!タッキー、これでいいの〜?』




拓巳「あ、ありがと星来!っさ、流石僕の嫁!ひひひひ!」




唖然とする二人が見つめるディスプレイには、粉々になった樹形図の設計者が宇宙空間を漂う映像が垂れ流されている。




そして、拓巳の嫁こと星来=オルジェルは、あたかもお使いから帰って来た後かのような振る舞いで、この部屋に舞い戻って来た。




一方通行「おい…テメエ…タクミ…とかいったなァ…」



拓巳「そ、そうだけど…」



一歩通行「説明しろ…テメエのその____」






「________何でもありの能力についてな。」
65 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:33:45.94 ID:mQaJ+vrp0

_______________________________________




僕は説明した。



僕が、学園都市で第八位とされるレベル5の超能力者であること。



能力名は、「妄想具現<ギガロマニアックス>」であること。



ディソードの事。



その能力は、「妄想を具現化する」事だと言う事。



妄想系の能力者は、僕と妹の、二名しかいないこと。



星来は、僕の嫁だと言う事。



超機動少女カナミンは、今期一のアニメだと言う事。



以上の事を、分かりやすく、かつ細やかに解説した。
66 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:34:17.05 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「能力名しか知らなかったからな。…だが…まさか、これほどとは…後半はどうでもいいンですけど…」



ミサカ「まさに…チートですね…と、ミサカは息をのみます…ふむ、カナミンですか…なるほど…」



ふひひ…自慢する相手がいなかったからね…き、気分がいいよ…



ミサカ「しかし…どうしてこんな何でもありの能力が第八位なんでしょう?」


拓巳「れ、レベル5内の序列は、能力の強さより、それによって生み出される利益に依存するからね…


   ぼ、僕の能力は、それに当てはめると他の能力には敵わないんだ。」



一方通行「………」



一方通行は、眉間のしわを一層深めている。



「最強」の名を冠してきただけあって、何か思うところでもあるのかな?
67 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:34:58.92 ID:mQaJ+vrp0


拓巳「次は僕の番だ。あ、一方通行。何でこんな実験に参加しようとしたの?リアルJCを二万人[ピーーー]とか、正気の沙汰じゃないっしょ。

   
   じょ、常識的に考えて…」






少しの間黙り込んでいたが、観念したのか一方通行は言った。




一方通行「…『最強』だけじゃ、足りなかったンだよ…」



拓巳「…へ?」



一方通行「欲しかったンだ…誰もが挑むことを馬鹿馬鹿しく思うくらいの、絶対的な力がな…」



一方通行は、絞り出すような声をあげた。



どうしてだろう…こいつの言葉は、何か…琴線に触れるようなところがある…



でも…



拓巳「そ、それだけ…?」



一方通行「………」



………


…えっ?ま、マジでそれだけ!?
68 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:35:49.31 ID:mQaJ+vrp0


拓巳「ちょっ!そ、それだけじゃ分からないって!つ、続きは!?」



一方通行「…ねェよ…お得意の記憶盗撮はどォした?」



拓巳「…お、お前の記憶なんて見たくないし…つ、つーかお前厨二病すぎだろ!格好つけんな!」



ミサカ「た、タクミ、落ち着いてください。と、ミサカは荒ぶる貴方を心配します。」



一方通行「オイ…さっきからそのチューニビョーってのは何だ?」



拓巳「思春期にありがちな病気だよ!お、お前みたいに『自分の事なんて誰もわかっちゃくれない』とかお、思いこんで、



   反社会的な行動を取ったりするやつのことだよっ!!」



一方通行「て、テメエ…いわせておけば__」



拓巳「ふ、ふふん!凄んだってどうせ動けないんだろ?ふひ…ふひひ…レベル5何だから悩みなんていくらでもあるだろうけど、


   だからって無関係なJC[ピーーー]とか…あ、ありえないね…論外だねっ!実際のところ、悩みなんて、リア充になりたかったとかそんなんだろ!?」




ミサカ「タクミ…」



一方通行「ッ!…テメエの言葉は何言ってンのか分かんねえんだよ!日本語で喋ってくれませンかァ?」



こ、こいつ…!余裕ぶりやがって!

69 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:36:27.67 ID:mQaJ+vrp0



拓巳「は、半年ROMれ!お前だって非リアのくせに、ちょ、ちょっとくらいイケメンだからって偉そうなんだよ!」


一方通行「うるせえ!テメエもテメエで寂しく暮らしてやがったンだろォ!?」


拓巳「ふ、ふん!一緒にするな!僕にはミサカという友達もできたし!もう立派なリア充だ!お、お前みたいな邪気眼野郎とはちちち違うのだよっ!」


一方通行「て、テメエ…許さねえ!…オイ…この縄解け!!」


拓巳「嫌だね!それに僕はキミみたいに悩んだりしない!いざとなったら二次元がある!」


一方通行「解け!クソッタレがァ!!!!!」







説教(?)が、ただの口喧嘩になって来た辺りに、玄関の方から声が響いてきた。

70 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:36:55.69 ID:mQaJ+vrp0



「_____−−い。おにーーい。いるんでしょ〜?開けるよ〜?」





拓巳も、ミサカも、一方通行も、声の先、開いたリビングの扉に目をやった。






こ、このタイミングで出てくるとか…空気嫁よぉ…







棚川中学の制服に身を包み、頭に黒いカチューシャを乗せた少女は、目を瞬かせながら、呟いた。








「生存かくに〜ん☆っと!……あ……えと……お、おにいと…………誰?」
71 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:37:37.04 ID:mQaJ+vrp0


ど、どうしてこうなった…


あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ…


最強(笑)を論破してやろうとしていたら、妹が踏み込んで来たんだぜ…


な… 何を言ってるのか わからねーと思うが、おれも何がなんだかわからなかった…



拓巳「な、七海…」



ミサカ「…タクミ…?あの女性は誰ですか?と、ミサカは問い詰めます…」



ひ、ひぃ。…み、ミサカ何か…コワイ…



拓巳「ぼ、僕の妹だよ。…名前は西條七海。」



ミサカ「そ、そうですか…ならいいのです。と、ミサカは胸をなで下ろします。」



何がいいのか分からないけど、許してもらえたみたい。…よ、良かった…
72 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:38:20.49 ID:mQaJ+vrp0



七海「…お、おにい?この人たちは?」



拓巳「か、彼らは…僕の…僕の______」



七海「おにいの…?」




「________________と、ともだちだよ。」





七海「………友達…?おにいの…?」


ミサカ「(信じてもらえるでしょうか?)」


一方通行「(…無理があるだろォ…クローンがともかく、俺はな…)」


七海「……………っか…」









七海「歓迎しますっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
73 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:40:40.96 ID:mQaJ+vrp0



___びびび、びっくりしたっ!!!な、なんて声出すんだよ!!!アホ妹!!!!!!!







ミサカ「び、びっくりしました…」


一方通行「……はァ…?」



七海「はぁ…よかった…おにぃにも友達と呼べる人がいたんだぁ…」



こ、こいつがアホで良かったよ。



おかげで面倒なことにならずに済むよ…ふう…



七海「私、おにいの妹で七海って言いますっ!!始めましてっ!!」



ミサカ「私はミサカといいます。御坂美琴は…ミサカの姉です。と、ミサカは先手を打っておきます。」



七海「へぇー!通りで良く似てると思いました!っふっふっふ〜。でも、おにいもレベル5なんですよ?」



ミサカ「聞きました。素敵なお兄様をお持ちで羨ましいです。あ、敬語の必要はありませんよ。ミサカのほうが多分年下ですので。」



七海「えー!おにぃがす、素敵ぃ!!///…まさか…おにぃの…」



ど、どうした…こいつ…様子がおかしい…
74 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:42:25.19 ID:mQaJ+vrp0


七海「………うん!わかった!じゃあミサカちゃんでいい?よろしくね!」


ミサカ「よろしくお願いします。七海さん、と、ミサカは頭を下げます。」


七海「そんな!大袈裟だよ!あと、呼び捨てでいいよ!よろしくね!」




こ、これが女子のコミュ力っ…!…おそるべしっ!




七海「それと、あなたは____」



一方通行「(ァー…面倒くせえ…)」



七海「っちょ!怪我してるじゃないですか!血が出てる!」



一方通行「え?…いや…これは」



七海「しかも…おにぃ〜?」



拓巳「な、なんだよ…」



七海「悪ふざけが過ぎるよ!仲が良くても、けが人を縛るのはよくないんだからね!おにぃのバカっ!バカバカバ〜カっ!!」



拓巳「ちょ…七海…これには理由が__」



僕が止める間もなく、七海は縄を解いてしまった。
75 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:42:52.01 ID:mQaJ+vrp0


あの最強(笑)すら、何が何だか、といった顔をしている。ぷぷぷっ。ワロスwwwwww




七海「…よし。ほどけたっ。はいっ!これ、濡れタオルです!ちょっと待ってて下さいね?」


一方通行「あ、あァ……」



七海は、薬箱をどこからともなく持ってくると、すぐに戻って来た。



七海「染みますよ?あ、あたし七海って言います!よろしくお願いします!…えと_」


一方通行「…鈴科だ。」


七海「鈴科さんですか!よろしくお願いしますね!おにいがお世話になってます!」



オイイ!!ど、どっちかっていえば僕がお世話してるっつーの!



つ、つかなんだよ鈴科って…始めて聞いたぞ!



七海「…と、これでよし!終わりましたよ!」



一方通行「……………すまねェな。」



七海「い、いいえ!大したことじゃないですよ!」




あ、一方通行が…デレた…だと…
76 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:43:20.42 ID:mQaJ+vrp0


七海「あ、みなさん!折角ですからここでご飯食べていきませんか?あたしの寮、はす向いなんで、食材はありますし!!」



拓巳「ちょ、勝手に__」



ミサカ「大賛成です!!!と、ミサカは参加の一票を投じます!」



拓巳「ってこら!」



七海「鈴科さんも賛成ですよね!」



一方通行「オイ…俺はまだなんとも…」



七海「帰っちゃうんですか…?」



一方通行「っう…」



拓巳「ちょっ!押されんな!」



こ、こいつ…七海に甘すぎだろ…




ぼ、僕はこれからTOGのトロフィー集めする気だったのに…
77 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:43:47.78 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「…分かりましたよォ…」



七海「やった!じゃあ食材取ってきますね!」




七海の行動は早かった。その言葉と共に背を向け、玄関を出ること風の如し…



って、感心してる場合じゃねえよ!



拓巳「ど、どうしてこうなった…う…鬱だ…」



ミサカ「楽しみですっ♪ミサカは左右に揺れて喜びを表現します!!」



一方通行「………」







________________________________________________




ミサカ「ごちそうさまでした!ミサカは満腹です!!」



七海「お粗末さまです!味はどうでした?鈴科さん?」



一方通行「…まあまあだな。」



拓巳「ふひ、ふひひ…なんて言ってるけど…素直じゃないよね…二杯もおかわりしちゃってさ…」



一方通行「ァあ?」



拓巳「ひぃっ!じじ、事実だろ!はい論破ぁ!!ツンデレ乙!」
78 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:45:25.04 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「テメエ…」



こ、こいつって思ったより単純な奴だよね…




七海「二人とも仲良いんだね〜っ♪」



拓巳・一方通行「どこがっ!!!」



七海「ほらぁ!息ぴったりじゃないですか!」



ミサカ「…確かに…」



拓巳「そ、そろそろさっきの話の続きを済ませちゃおうよ…ど、どっかのバカのせいで話がそれたからね…」



七海「どっかのバカってナナのこと〜?ぶーっ。」



一方通行「あァ…樹形図の設計者が無い今、研究施設が無くなれば研究は終わる…はずだ。」



ミサカ「研究所の破壊…ですか…」



七海「あれぇ?…なんかおにぃ達危ない話してる?」



拓巳「ふひひ…か、簡単じゃないか…あ、一方通行。任せた。」



一方通行「全フリかよォ…つか俺にはそンな義理は…」




…………黙り込んだ。…怒った?













一方通行「いや…なンでもねェ…」



ミサカ「…やってくれるのですか?み、ミサカは信じられません…」



あ、一方通行が…協力を?…いえない…ネタのつもりで振ったなんて…
79 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:46:52.23 ID:mQaJ+vrp0


七海「おにぃ!危ないことなら!おにぃも協力してあげなよ!」



拓巳「へぇぁっ?い、いや…最初からそのつもりだよ。の、乗りかかった舟だしね…」



ミサカ「タクミ…///あ、ありがとうございますっ。」



拓巳「と、当然だよ!い、良いとこだけ取られちゃ、た、たまんないしね。」



一方通行「…ふン。だが、身分が分からねェように変装が必要だな。」



ミサカ「変装…ですか?」



七海「はい!何が何だか分からないけど、ナナの部屋に、良いものが丁度二つあるよ!」



一方通行「すまねェな。」



七海「い、いえいえ!お安いご用です!おにぃをよろしくお願いしますね!」



ミサカ「あ、あれ…なんかキャラが違う…と、ミサカは疑問を口にします…」



拓巳「…七海が相手だと、や、やけに素直だね…ふひ、ふひひひ…」



一方通行「…っぶ、ブチころすぞ?」



拓巳「お、脅しは通用しないぞ!ぼ、ぼぼぼ、僕の方が強いんだからな!」
80 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:47:24.01 ID:mQaJ+vrp0


ミサカ「…はぁ…時間はどうするのですか?」




ここは、研究員が多く存在する午前から日中の方が良いだろう。



拓巳「あ、明日の正午前でいいんじゃないかな?」



一方通行「…異論はねェ。」



じゃあ…今日は解散だな。



はぁ…長い一日だったぁ…明日の研究所襲撃が終わったら、思う存分引きこもってやる。




拓巳「み、ミサカ…今日は七海のところに泊まるんだ。い、いいね?」


ミサカ「あ、はい。…でも、宜しいのですか?」


七海「ナナは大歓迎だよっ。おにいの話聞かせてよ!」


ミサカ「はい!喜んで!…では、ミサカはお世話になります。」


拓巳「だ、だが一方通行。お前はダメだ!」


一方通行「ハナっからそんな気はねェよ!!」



ミサカが研究所に帰るのは良くないだろう。

81 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:47:52.74 ID:mQaJ+vrp0


後のことは研究所を締めあげれば分かるはずだ。


ミサカの体の事は、いざとなったらあの医者を頼ればいいしね。



拓巳「明日は十時半にここに集合!い、異論は認めない!」


一方通行「…ねェよ。」







さて…



やり残したことは…





拓巳「っぅあ!!!!」



ミサカ「どうしたのですか!?」


一方通行「どォした?」


七海「おにい!?」











拓巳「ま、超機動少女カナミンの録画するの…わ、忘れてたよ…危ない危ない…こ、これぞ孔明の罠だね…ふひひひひい…」










「「…………………………」」





一方通行「おい…こいつ…なぐっていいかァ?」



七海「お願いします」



拓巳「ひ、ひぃぃっ!!!ちょっ!おまっ!しゃ、シャレになってないって!」
82 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:49:08.23 ID:mQaJ+vrp0










〜某日 絶対能力進化計画・推進研究所内



ごぉん。ごぉん。



広大な研究施設のどこにいても聞こえるような轟音は、全ての研究員に危機感を与えるには十分すぎるものであった。



「し、侵入者は二名!エリアG-2からGー11のゲートは陥落!研究員を蹂躙して回っています!こ、ここも時間の問題です!」


「に、逃げるんだ!」


「で、出口に通じる隔壁が全て閉鎖されてるんだよぉ!!」



至るところから、所属研究員達の絶望の声が響いてくる。


それは、ここ所長室も例外ではなかった。




所長「侵入者の情報はどうした!?映像を回せ!!」


研究員「は、はぁ…これは、監視カメラの画像なのですが…」


所長「よこせ!…っ!!!な、なんだこれは!!!!!!!」




奪い取った写真には、誰もが目を疑うであろう光景が映り込んでいた。




そう、そこに映り込んでいたのは___







___研究所を蹂躙しつくす、無慈悲なカエル二匹の姿だった。
83 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:49:49.18 ID:mQaJ+vrp0





______________________________________________




襲撃は、今のところ順調だった。




僕と一方通行は研究施設の破壊と、研究員の尋問を平行して行っている。




一方通行は尋問を主に行う。



僕は主にディソードによる備品破壊を担当する。



「妹達」関連で重要と思われるシステムや備品はきちんと避けた。



口を割らない研究員の尋問も僕が行うつもりだったが、その必要はないみたいだ。




…それにしても。




拓巳「お、お前…こういうこと手慣れすぎだろ…ど、どこで間違えたらこうなるんだよ…」



一方通行「あはっ。ぎゃははははっ。」



「「ひィィィィィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」



き、聞いちゃいない…駄目だコイツ…早く何とかしないと…
84 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:50:20.05 ID:mQaJ+vrp0


それにしても…






拓巳「この格好…しゅ、シュールすぎるだろ…」




…遡る事、朝十時過ぎ…



_________________________________________




拓巳・一方通行「「………………………」」




…これはひどい。




七海「おー!似合ってるよ!………ん?どうしたの?おにい達?」



ミサカ「…ぷ…ぷくく…///」



拓巳「…に、似合ってるよ…最強(笑)改め、ゲロかえるん…」



一方通行「テメエのその…なンつったけ…?ゲロ太?」



ミサカ・七海「ゲ・コ・太!!!!!!!」



一方通行「げ、ゲコ太っ!!そう、ゲコ太だ…良くお似合いだぜェ。」




そう、七海が用意した変装とは、名高いキモキャラ、「ゲロかえるん」と「ゲコ太」だったのだ!!!!



な、なんだってッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!






…………
85 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:50:49.21 ID:mQaJ+vrp0


_________________________________________________




か、回想終わり。



ミサカは念のため、七海についてもらっている。



あいつもほんの少しくらいだけど戦えるのだ。



拓巳「ね、ねぇ…一方通行。」



一方通行「なンだよ。」



拓巳「お前は、こ、この実験に参加した身なのに、どうして今は、こ、こうしてるんだよ。おかしいじゃないか?」



そう、これは昨日から気になっていたことだ。



最初はただの白髪DQNキ○ガイかとおもったけど、昨日今日と接して、彼への恐怖は消えていた。



しかし、彼の行動原理だけは理解できないのだ。
86 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:52:13.01 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「………わかンねェ。」



拓巳「ちょっ!わかんねえって…なんぞそれ…?」



一方通行「本当にわかンねェンだよ。…ただ…ただな…ッはは。」





一方通行は、ひとつ大きく溜息をついた。



そして、自嘲気味の笑みを浮かべ、言った。





一方通行「テメエらみてたらよ…何もかもどうでもよくなってきたンだよ。」



拓巳「……そ、そう。…」




…こ、こいつ…そこまで悪いやつじゃ…ない?



まあ、馬鹿にされてるような気もするけど…




拓巳「ま、まあ…僕はこれからも変わらないけど…ひ、非リア同士だし、相談くらいならいつでも乗ってやるよっ。」





……………うっ。は、はずい…


ちょっと、格好付けすぎたかな?い、いや!リア充なら!エロゲの主人公とかならこれくらい当然だ!!




一方通行「…はッ!そうかい。____」








                  「_____考えとくよ。タクミ。」
87 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:52:38.77 ID:mQaJ+vrp0

______________________________________________




拓巳「…ここがしょ、所長室?」



一方通行「…あァ。間違いない。」




情報は取れるだけ取った。




研究員は痛めつけた。…数名逃がしてしまったけど。




研究室の扉を開けると、そこにいたのは、倒れ伏す中年男性と、机に腰掛けコーヒーをすする若い女だった。




一方通行「…芳川か…」



芳川「…その声…一方通行ね。貴方が噛んでるのはなんとなく予測できたわ。それにしても…ふふっ。」



芳川と名乗る女性は、薄い笑いを口に浮かべつつ、こちらに視線を移した。



う…ちょ、ちょっとだけタイプかも…



芳川「す、すごい衣装よね…それ…で、そっちの子は?」



拓巳「ぇ…えと…あ、あの…」



一方通行「…こいつのことはいい。…俺達は研究所を洗いつくした。結論だけ言え。実験は止まるのか。そこの男は所長だな?」

88 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:53:09.92 ID:mQaJ+vrp0


芳川「ええ。もう終わったわ。確実に。貴方が『最強』じゃないことが証明されただけではなく、『樹形図の設計者』までオシャカだもの。」



拓巳「や、やった!じゃあミサカはっ!」



芳川「__ええ。間違いなく助かるわ。ふふっ。知ってる?このニュース。」



彼女は、腰かけている机の上にあった新聞をこちらに手渡した。そこには__




『おりひめ一号大破。犯人は人気アニメのキャラか?』




拓巳「っぶひゅ!!!!」



一方通行「っぶ!」




む、麦茶吹いたwwwwww



星来ぁ…き、キミの姿が世界に発信されたよ…ぁあ…星来かわいいよ星来ぁ…




芳川「…一方通行が誰かと組むなんてこと…誰も想像してなかったでしょうね。でしょ?西條君、だったかしら?」


拓巳「し、知ってたの?」


芳川「ええ。改めて礼を言うわ。実験を止めてくれてありがとう。…もっとも、加担していたに等しい私がいうのも…おかしわよね…」


拓巳「…いえ。」


一方通行「おい芳川。クローンどもの延命措置はどうなってやがる?」


芳川「問題ないわ。学園都市最高の名医に依頼してあるわ。」


拓巳「よ、良かった…」



肩の力が抜ける…これで…終わったんだ…
89 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:53:44.06 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「…オイ芳川。携帯端末を出せ。」



芳川「あら。あたしの連絡先なんて知ってどいういうつもり?」



一方通行「茶化すンじゃねェ。俺とタクミの番号を送る。『妹達』関連で何かあったらすぐに教えろ。いいな。」



芳川「…わかったわ。約束する。必ずよ。」



一方通行「…あとはまかせたぞ。」



芳川「一方通行。追って、所属の学校か、研究所の変更の通知が来るはずだから。」



一方通行「あいよ。」



芳川「あと_西條君。」



一方通行「彼と、ミサカ0001号を、お願いね。」



拓巳「は、はぁ…善処…します。」



芳川と名乗る女性は、心底一方通行を心配しているようだった。




…う、羨ましい奴め…い、イケメンはイイデスヨネー。
90 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/06(土) 21:54:11.43 ID:mQaJ+vrp0


一方通行「…行くぞ。タクミ。」




拓巳「…う、うん。…へぇぁ?い、いつから僕のこと…名前で…」




一方通行「…置いて行きますよォ…」






……




これが、僕達が経験する「最初」の事件であり、



ひとまず、ミサカの命は救われた。



ここは、喜ぶべきだ。絶対そうだ。















と、ともだちもできたしね。
91 : ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/08/06(土) 22:00:28.33 ID:mQaJ+vrp0
以上です!次は一週間以内!
sagaってこれでいいのかな?ご忠告痛み入ります!
時系列はマジ勘弁!まだ実験開始段階だった…みたいな…
ではっ!ありがとうございました!
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/06(土) 22:16:40.39 ID:7GVzZYsAO
乙。カオスヘッドと禁書両方好きな俺には夢のようなスレですなあ。カオスヘッド自体、ロクにSSないからほんと、嬉しいよ。
後、拓巳って、禁書に組み込むとエイワスとかアレイスターとかあのレベルだよな…
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/06(土) 22:17:26.43 ID:v8URTzuno
たぶん西條もイケメンだよね
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/06(土) 22:24:38.64 ID:zkEA66aR0
星来たんニュースになってるwwww
鈴科ってことは百合子かな?気になる。
面白かったですよー
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/06(土) 22:36:32.76 ID:LkoA8Eh1o
乙なんだよ!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/08/06(土) 23:47:07.58 ID:Q0NAlrHGo
>>92
ヘタ錬よりちょっと強いぐらいじゃね?
似たような能力だし
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/07(日) 00:30:21.16 ID:HIflaI1AO
>>96
強制と任意では天と地の差があるのです
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 00:46:12.56 ID:Wl8h0nrV0
西條の二人は渋谷から学園都市にきたの?
それとも最初からこっちにいたの?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2011/08/07(日) 00:46:14.65 ID:pdKbgmP6o
乙ですの!
侵入者がカエルとかシュールすぎるww

sagaは「殺す」「死ね」といったキーワードを表示させたいレスの
目欄全てに入れる必要があるのぜ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/07(日) 02:02:10.23 ID:02cwaftKo
>>1には是非学園都市に来たverも書いて欲しい
他のギカロマガールズも入れて
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/07(日) 02:30:45.45 ID:n9wuUbmMo
読みやすいしこれは良いSS
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 02:41:30.70 ID:GE4ag/5wP
まさかカオヘのSSが読める日が来ようとは…
禁書も好きだし超期待
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/07(日) 11:24:53.19 ID:prA0yW+b0
セナしゃんの出番がない以上、このSSに未来はにぃ;;
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/07(日) 11:47:11.57 ID:NYA2oHwx0
こずぴぃを出さないなーいとドカバキグシャーってしーちゃうよ?
Z指定になっちゃうのら♪
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/07(日) 11:52:57.49 ID:Wl8h0nrV0
>>98ですがよく見れば>>1にニュージェネは無いって書いてありましたね
すいませんでした。よく目を通してなかったようです。
>>98は忘れてください
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/08/08(月) 08:43:49.63 ID:VXrOudTbo
理想郷の奴がエタって以来の禁書カオヘクロスなんてものを再び見ることになろうとは
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 22:06:49.90 ID:0ZCO9D/V0
今日シュタインズゲートの動画を見て、ふらっとカオスヘッドのSSを検索した

このスレに運命を感じざるを得ない
108 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:45:24.92 ID:SVDlDnyC0
投下します!
本日は超電磁砲編です。実験の中止により、時系列がずれていると解釈してください。
このSSは科学サイドメインなので、そこのところ宜しくお願いします!
109 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:46:09.73 ID:SVDlDnyC0


鬱だ…



ミサカ「タクミ、似合いますか?と、ミサカは一回転して制服のキュートさを強調します。」



拓巳「よ、よく似合ってるよ…」




棚川中学の制服に身を包んだミサカが微笑む。…ふひひ。あ、ありだな…



今までの僕では考えられなかった光景だ。リア充じゃね?きっとそうだろう。そうに違いない。



…で、でも…




七海「へっへぇ〜?すごいでしょ!さあ!学校行くぞーっ!」



ミサカ「おーっ!」



お、おまいが偉そうにしてどうするんだよ…




…そう、リア充は素晴らしきことかもしれない。
110 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:46:38.05 ID:SVDlDnyC0


__しかし。




拓巳「ぼ、僕にあ、安息はないのか…」





………あれから、一回もPCの前に座っていない。




____________________________________________


七海「おにぃ?ちゃんと学校行くんだよ?いこ!ミサカちゃん!」


ミサカ「はい。タクミ、頑張ってくださいね。」



二人とは道が違うので、通学途中に分かれることになる。



あの事件以前で、外の世界と接触した「妹達」はミサカだけだったため、彼女は少しだけ特別扱いを受けた。



戸籍を手に入れ、学校にも通えるようになったのだ。



七海と同じ棚川中学校に通う事が決定し、現在は七海の隣の部屋で生活している。



他の妹達は世界中の学園都市協力機関で生活している。各々平穏に、人権を認められた生活を送っているらしい。



あ、ちなみに「妹達」の中で、ゲコ太とゲロかえるん、そして星来は、メシアの如く崇拝されているみたい。



自分達にとっての、「救済」の象徴だからね…ふひひ…
111 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:47:58.16 ID:SVDlDnyC0

一方通行については、あれから一週間ほどたったが音沙汰がない。



元気にやっているのだろうか。…少し、残念な気もする。




拓巳「…つ、着いてしまった。きょ、今日は最低登校シフト表によると、登校しないでも良い日のはずなのに…」




今すぐ帰りたいが、七海達の言葉を不意にするのも気が引けたので、僕は嫌々ながら校門をくぐった。



拓巳「た、たまには、しょうがないか。」




そうだ。ウジウジしていても、仕方ないのだ。



拓巳「ぼ、僕は、リア充になったんだからな!」



先の事件で、僕は、少しだけ前向きになれた。



そんな気がした。
112 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:48:33.16 ID:SVDlDnyC0


_______________________________________________





「…鈴科です。宜しくお願いします。能力はレベル5の『一方通行』です…」




前言撤回。


ど、どうしてこうなった…




て…転校先がよりによってここだと!?



しかも…が、ガン見するなよ。こ、こっちみんな!





一方通行「………」



拓巳「……………」




く、クラスの空気がお通夜のようだ。どうしてこうなった…



担任もどうしたらいいのか分からないといった様子で、視線を僕と一方通行の間で行ったり来たりさせている。



担任「と、とりあえず…席について貰えるね?」




………




……く、クラスでの孤立が、さらに深刻になりそうだ。




学校でのリア充化は不可能だろうな。




そう悟った朝だった。
113 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:49:39.86 ID:SVDlDnyC0

_______________________________________________




一方通行「あァ…どうしてこうなった…マジで信じらンねェ…」



拓巳「そ、それはこっちのセリフだぁ!ぼ、僕のぼっち加減が輪をかけてヒートアップだよ!」



一方通行「はン。安心しろ、俺もどうせそうなる。」



拓巳「っくそ!お、落ち着きはらいやがって…く、クソッタレが!」



一方通行「テメエ…馬鹿にしていやがンのか」



拓巳「な、何だよ?…ふひ、ふひひ…きゃ、キャラ作りだったの?」



一方通行「わかった。[ピーーー]。」





僕達は今、長点上機学園からの帰路の途中だ。




一方通行は、あの事件以来、個人的な研究協力がしばらく不可能になってしまったらしい。




学校は芳川さんの独断で決定させられてたらしい。芳川さん曰く、




「学校ちゃあんと行かないと、奨学金でないわよ?」




ということらしい。
114 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:51:19.36 ID:SVDlDnyC0


……………




まあ、話し相手ができたし、良いとしようか。





あれ…?あれは…




自販機の前で、ミサカが思い悩んだような表情を浮かべて突っ立ている。




…どうしたのだろうか。





僕が彼女に声をかけようとした、次の瞬間______





「ちぇいっ、さぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」






っちょっ!おまっ!!





しかも、し、下に短パンなんて穿きやがって!り、陸上部かおまいは!





拓巳「お、おい!!何やってるんだよ!」



一方通行「…………」




い、いきなり自販機蹴っ飛ばすなんて、DQN以外の何物でもないだろ!じょ、常識的に考えて!




ミサカ(?)「…ん?あんただれよ?」





ひぃっ!そ、そんな!言葉遣いまで変わってる!だ、駄目だ!まるでなっちゃいない…
115 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:52:30.05 ID:SVDlDnyC0


拓巳「じょ、冗談はその辺にしておきなよ…あ、い、一緒に帰る?この白髪もいるけど…」



ミサカ(?)「…アンタ…何言ってんの?あたし、アンタのことなんて、これっぽっちも知らないんですけど?」




へぁぅ?な、なんか様子がおかしいぞ?…あれ?なんでまだ常盤台の制服なんだ?





一方通行「おい…タクミ。…こいつ…たぶん…」




たぶん……………っ!ままま、まさかっ!!!!!!




拓巳「お、オリジナルぅっ!?」



一方通行「っ!馬鹿野郎!」



ミサカ(?)「っ!!ちょっとアンタ!今なんて言った!?」




みみみみみみ御坂美琴!!!!!!!!




拓巳「ななな、何も…いってないアルヨ。ね、ねえ?一方通行?」



美琴「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



一方通行「っかやろォ!!!!テメエ本当にレベル5かよォ!!!!」



美琴「っえ!?」



拓巳「っておい!お、お前も何余計な事言ってんだよ!の、脳細胞も髪の毛みたいに老化しちゃったの!?」



一方通行「あ。」




だ、駄目だこいつ…早くなんとかしないと…

116 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:53:37.98 ID:SVDlDnyC0


その時、言い争う僕らの背後から腕がにゅっと伸びる。



そして、その両手は、しっかりと僕の首を掴んだ。




拓巳「ぐぇ。」





ミサカと同じ顔をした少女は、無表情のまま、こう言い放った。…め、目が据わっている。





「知ってること、全部、話してもらうわよ?」





_______________________________________________





は、話したんだぜ!



だ、だけど、一方通行に関しては、面倒くさいことになったら嫌だから、強制的に実験に参加させられたってことにしたんだぜ!



このDQN二人が暴れたら、もう厄介どころじゃないんだぜ!











神妙な表情を顔面に張り付けつつ、御坂美琴は、テーブルの上のレモンスカッシュを見つめている。



ここは、公園のすぐ近くにあるファミリーレストランである。



僕の話に最初は半信半疑だった御坂美琴だったが、研究機関へと確認を取らせた所、ようやく信じてくれた。



手間のかかる三次元女だよ…まったく。
117 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:54:23.55 ID:SVDlDnyC0



美琴「西條…さん。あなたには感謝の言葉もないわね。」



拓巳「い、いいよ…そ、それより、妹に会ってあげなよ。こ、これ、住所と連絡先。」



携帯端末で情報を送る。



美琴「ありがと。助かる、助かります。」



次に彼女は一方通行に目をやった。



美琴「…アンタには、正直複雑な気持ちだけど…実験の存在をつい最近まで知らなかった私にとやかく言う資格はないわね…」



一方通行は、いつも通りの仏頂面を崩さない。



一方通行「…好きなだけ糾弾してくれていいンだぜ?俺はよ、コイツが現われなかったら実験を開始していたンだからなァ…」



美琴「……………話は終わりよ。さ、ここは奢るわ。西條さん、妹の所に案内してくれる?」



拓巳「う、うん。わかったよ。」



ふう…一方通行が余計な事言わなくて本当に良かった。



これにて、一件落着かな?
118 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:55:38.95 ID:SVDlDnyC0


「おっねえっさまぁー…?こんな所で何をなさっていますの?」




美琴「ぶっふう!!!!!!!!!!!!!!」




拓巳「ちょっ!」



一方通行「反射ァ。」




御坂美琴が口からレモンスカッシュを噴き出した。


あ、一方通行めっ!反射しやがったな!


か、かんべんしてくれ…僕とてそこまでレベルの高い変態じゃないんだ。



美琴「く、黒子…」



黒子「昨日の晩から様子がおかしいと思ったら、今日は殿方と密会ですの?…黒子は…!黒子は悲しいですのっ!」



黒子とよばれたツインテールの少女は、これ見よがしに大きなため息をつくと、僕達を見定めるかのような視線をこちらによこした。



黒子「…そちらの方々は…見たところ長点上機の学生の方のようですけれど、お姉様とどういった関係で?」



拓巳「お、お姉様って…」




ちょ、リアルにそう呼ぶのかよ…ま、マ○みて乙。
119 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 20:58:24.76 ID:SVDlDnyC0

美琴「え、え〜と…この人たちはねえ…」



だ、ダメだこいつ…はやく何とかしないと…目が泳いでるし…



レベル5って残念な人しかいないのかよ…



黒子「…まあ、今はそれどこじゃありませんの。」



一方通行「ァ?それどころじゃねェってどういう事だ?」



黒子「ま、ガラの悪い方ですこと!…このファミレスで重力子の爆発的な加速が観測されましたの。」



美琴「っ!また!?」



拓巳「あ、ああ…一部で話題になってる連続虚空爆破事件ってヤツね。そ、それがここで?」



@ちゃんねるで見たことがある。最近学園都市で頻発している爆破事件だ。



彼女の腕に風紀委員の腕章が取りつけてあるのに今更気付いた。



黒子「流石に良くご存知ですのね…ま、この話はあとでゆっくりと場所を変えて致しましょう?ささ、すでに避難はほとんど完了しておりますの。急いでいただけますか?」



辺りを良く見ると、僕ら以外の席はすでに空っぽになっていた。僕らの避難で最後なのだろう。
120 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:02:02.44 ID:SVDlDnyC0

一方通行「…解せねェな。」



拓巳「…うん。」



この状況に違和感を感じつつも避難を急ぐ。



そして、テーブルの下、僕らの足元のこれまた不自然な位置に、ぬいぐるみがひとつ落ちていた。



黒子「あら、何なんですの?これ?」



黒子と呼ばれた風紀委員がそれを拾い上げた。



黒子「…ぬいぐるみ、ですの…?」



…こんなところに?



………いけない!!!!!!!




拓巳「だ、駄目だ!それを投げるんだ!!!!!!!」




黒子「へ?」





次の瞬間。





____________


__________________


____________________________光がはじけた。


121 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:03:22.86 ID:SVDlDnyC0



_______________________________________________________________________________


__________________________


_________________



拓巳「だ、大丈夫?い、痛いところとか、ない?」



黒子「…え、ええ…」




あ、危なかった…



ぬいぐるみが突然の圧縮を引き起こし、すぐさま爆発したのだ。



一番近くにいる黒子とかいう風紀委員の子は何とか庇えたが、一方通行や御坂美琴は平気だろうか。



い、いや今はそれどころじゃないっ…!ふひ…



り、リアルJCたまらんぞコレっ!ひひひひひ!



あ、ありのまま今現在の状況を話すぜっ!



爆弾が爆発したと思ったら、ロリ系お嬢様風紀委員を押し倒していたッ!



何を言っているか(ry



いいっ!!…いい匂いするよぉっ!!!ふひひひひひひひひひ!!!



撫で回したい!黒子ちゃんの良い匂いする頭を小一時間ほど撫でまわしたい!!



ほ、ほとんどおっぱいの感触が存在しないのもい、イイよ!さ、三次元ロリも悪くないかもね…ふひひ…



ていうか最近の僕主人公補正ついてね?ぼ、僕の時代来たんじゃね?



ktkr!僕の時代ktkr!



うはwwwwwwみなぎってきたwwwwwwwwww
122 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:04:22.68 ID:SVDlDnyC0


黒子「…あ、あの…?そ、そろそろ放してくれませんか?///」



拓巳「あ、ご、ごめん!!」




…い、いかんいかん。拙者、忘我の状況にあったようでござるよ。








黒子「た、助けていただいてありがとうございますの。」



拓巳「き、気にしないでいいよ。それより…」



一方通行「…無事か?タクミ。」




一方通行と御坂美琴がやってきた。…心配の必要もなかったようだ。





拓巳「だ、大丈夫だ。問題ない。…そっちも平気そうだね?」



一方通行「ッは。俺を誰だと思っていやがる。」



美琴「黒子!アンタ平気なの?」



ま、まあ、腐ってもDQNでもレベル5だからね。



このくらいじゃあ余裕だよね。常孝。
123 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:08:11.78 ID:SVDlDnyC0


黒子「お姉様っ!この通り黒子は無傷ですのっ!…そこの殿方、えと、タクミさん…?に助けていただいて…」



美琴「すまないわね…何から何まで。」



拓巳「い、いいって。気にしないで。」



周囲を見回すと、僕らのほかに被害者はいないようだ。



一方通行「オイ。超電磁砲。…この事件について知ってること話せ。」



美琴「…アンタ偉そうね。すごく納得いかないわ…」



拓巳「ぼ、僕からもお願いする。もう被害者になったんだし、知る権利はあるはずだよね?」



僕も気になっていた。



この事件にはどこか納得がいかない。



…ていうか、学園都市治安悪すぎだろ常識的に考えて…



黒子「お姉様、黒子が説明します。…助けていただいたのですし…」



美琴「分かったわ〜。お願い、あたしそんなに詳しくないしね。」
124 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:09:10.74 ID:SVDlDnyC0


___________________________________________________




黒子「驚きましたわ…私以外はみんなレベル5なんて…」



自己紹介をすますと、黒子は非常に驚いていた。



まあ無理もないだろう。



黒子「__着きました。ここですの。」



黒子は僕達を風紀委員の第百七十七支部に案内してくれた。



…ていうか、ここ棚川中学じゃん。七海とかに合わないといいけど…



黒子「ま、部外者を入れるのは褒められた行為ではありませんが、背に腹は代えられませんの。」



拓巳「お、お邪魔します…」



一方通行「………」



協力するのを許してくれたのは、御坂美琴への借りがあるからだ。



頼み込んだら「それだけで済むのなら…」と、黒子に頭を下げ、許可を取ってくれた。
125 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:10:39.59 ID:SVDlDnyC0


黒子「初春。こちら西條拓巳さんと鈴科さんですの。捜査協力のため来ていただいてますの。…固法先輩には内緒ですのよ?」



初春「宜しくお願いします!西條さん、鈴科さん!あ、御坂さんこんにちは!」



棚川中学の制服を来た女がPCをいじっていた。…あ、あたまに花畑が乗ってるし。



拓巳「よ、よろしく。長点上機一年の西條だよ。の、能力はレベル5の『妄想具現』だから…」



一方通行「おなじく鈴科だ。能力はレベル5の『一方通行』だ。」



初春「え…?」




もうこの流れ面倒だな。




初春「えええええええええええええええええええええええええええええええええ!!??」




___________________________________________________




一方通行「…やっぱりおかしいな。」



拓巳「…う、うん。」



黒子「おかしいってどこがですの?」




僕らは風紀委員の支部で事件のデータを閲覧させてもらっている。




拓巳「じゃ、風紀委員に被害者が多すぎるんだ。」



一方通行「あァ。ここまで来ると偶然には思えねェ。」



美琴「そう言われてみると…」



初春「…たしかに。爆発での負傷者はほとんど風紀委員です。」



あの時の爆発もきっと黒子を狙ったんだろう。
126 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:11:54.15 ID:SVDlDnyC0


黒子「…確かに多すぎますわね。事件開始から二週間ほどしか経ってないのにも関わらず…」



拓巳「き、きっとさっきの爆発の狙いはキミだよ。これから風紀委員は用心するべきだね。ご、護衛が必要なら言ってよ。」



ここまできたなら最後までやる覚悟はあるしね。



黒子「は、はい。わかりましたの…。」



初春「さっすがレベル5の方は一味違いますね〜♪…ところで白井さん?やけに素直ですね?」



黒子「なっ!なにをおっしゃいますの!?///き、聞き捨てなりませんわ!!」



初春「ちょっ!やめてくださいよ白井さん!」



一方通行「…タクミ。テメエって…」



拓巳「へぇぁ?」




一方通行がこっちを見てる。…どうしてだ?



や、やめろ。男のジト目なんて僕は興奮しないぞっ!!僕は変態紳士を自称してるけど、同性に興味なんてないんだ!



黒子「しかし…この能力を発動可能な人間は限られてくるのですが、それに当てはまる人間は現在意識不明で入院中なんですの…これはどう説明すればいいのか…」



一方通行「そいつは大能力者あたりか?」



黒子「ええ…でも、『量子変換』のレベル4は学園都市に一人しか存在しないんですの。」
127 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:12:56.76 ID:SVDlDnyC0

拓巳「じゃ、じゃあソイツではないんじゃね?で、でも、同じ能力に変わりはないんだから、それで絞っていくしかないよ。」



短期間でレベルが上がるという可能性も捨てきれない。



げ、現在持っている手段で調べ上げるしかないしね…



初春「そうですねー。容疑者は絞っておきます!はい!」



だ、駄目だ。この女…花畑にばかり目が行ってしまう。



美琴「はぁー…とりあえず今日はお開きにしましょう?よかったじゃない。親展があって。あたしなんか疲れたわ…」



黒子「…そうですわね。」




とりあえず、連絡先を交換し合いお開きになった。



事件に親展があったら教えてくれる約束を交わして。
128 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:13:55.45 ID:SVDlDnyC0


次の日の放課後、黒子から連絡があった。(この日も登校させられた)



重力子の爆発的な加速が観測されたらしい。



場所は第七学区の洋服店『セブンスミスト』ということだ。



拓巳「ち、近くにいるから向うよ。キミはどこにいるの?」



一方通行のヤツはセブンスミストに先行している。



僕は周囲を固めると言う意味合いも含めて、遅れていくという形になった。



黒子「わたくしはもうセブンスミストの近くに_____」



通話しつつ移動していたが、セブンスミスト付近の通りを歩いていると、前方にツインテールの少女の分かりやすい後ろ姿が見えた。



拓巳「い、今あなたの後ろにいるの。」


黒子「っひゃっ!」


拓巳「ひぃぃっ!」


黒子「………あなたが驚いてどうするんですの。」



黒子はふぅと溜息をつくと、現在の様子を話し始めた。



黒子「現在は避難誘導中ですの。内部にはお姉様と初春がいます。」



拓巳「じゃ、風紀委員は初春さんだけ?」



黒子「ええ。でも初春はお姉様が護衛してくださってますから安心ですの。」



拓巳「…そ、そう。」
129 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:16:28.35 ID:SVDlDnyC0



例の能力者は間違いなく風紀委員に恨みを持っている。



爆発の様子を目にしたいと思っているはずだ。



以前確認した『量子変換』の能力者が、必ずこの中にいる。…それを探すんだ。




拓巳「く、黒子。僕から離れないで…」



黒子「へ?」



どうしてですの?と、黒子は首をかしげる。



拓巳「ね、狙いは風紀委員なんだ。一人で行動するのは絶対にイクナイ。うん。」



黒子「でも、私は大丈夫ですのっ!護衛なんかなくっても…」



拓巳「き、キミが狙われてるんだよ?そういうわけにもいかないでしょ?あ、でも手伝ってもらうことはあるかも…」



黒子「…仕方がありませんわね。」



拓巳「あ、安心してよ。傷一つつけさせやしないから。」



黒子「え、ええっ。お、お願いいたしますの…//」



セブンスミストへの道中、一方通行からの電話が鳴った。



スピーカーをONにして通話状態にする。
130 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:21:04.95 ID:SVDlDnyC0


一方通行『おいタクミ。データバンクに記載してあった『量子変換』の能力者を店の入り口で見かけた。こいつで間違いねェ。』



拓巳「ま、マジで?い、今どこ?」



一方通行『奴は人ごみにまぎれやがった。公園通りの方に向ったンだが…』



ちょっ!見逃すとか!



拓巳「わ、わかった!特徴を教えて!」



運よくこっちに向ってきているらしい。



一方通行『名前は介旅初矢。『量子変換』のレベル2だ。地味な顔立ちにメガネ面だ。あとはそっちで確認しろ。』



拓巳「わ、わかった。」




端末でデータを確認する。



ちょ…こういうタイプかよ。



僕らみたいな人種の肩身がまた狭くなりそうだな…マジで勘弁してくれ。



黒子「レベル2…ですの?」



拓巳「そ、その話は後にしよう。…あ、いた。」



データと損分の違いのない顔がこちらに向って走ってくる。
131 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:21:33.80 ID:SVDlDnyC0

黒子「ジャッジメントですの!介旅初矢さん。あなたが虚空爆破事件の犯人だと言う事はお見通しですの。おとなしくお縄についてくださいな!」



介旅「っく!う、動くな!動くとこれを爆発させるぞっ!」



動揺した様子の介旅は、ぬいぐるみを取り出した。



あ、あれは!



拓巳「せ、星来ぁ!!」



黒子「え?」



く、糞…この外道め…



僕の前で星来を人質に取るとは…




拓巳「ゆ、許さない…絶対にだ!!」



黒子「…タクミさん?」



介旅「お、脅しても無駄だぞ!こ、これは今までの爆弾とは力の入れ方が違う!この辺りの人間はコナゴナだぁっ!」



拓巳「……黒子。」



黒子「は、はい。」



拓巳「僕が合図したら、『空間移動』でなんとかできる?か、必ずスキをつくるから。」



黒子「わ、わかりましたの!」
132 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:22:16.32 ID:SVDlDnyC0

黒子はすぐに同意してくれた。



僕の真剣な様子をくみ取ってくれたようだ。



拓巳「て、テメエは俺を怒らせた…」



介旅「な、なにをするつもりだ!良いのかっ!?そんな態度で!」



妄想開始。



幻覚を見せるくらいなら、ディソードは必要ない。



その瞬間、介旅初矢の眼前に現出するものがあった。




星来「…いたいよぉ。」



介旅「…え。」



そう、介旅初矢の眼前に、身体中の至るところにアルミ製の物体をはやした、血だらけの星来・オルジェルが現れたのである。



アルミ製の金属は、星来の体を突き破り、いたるところから突き出ている。



その様子は、目を覆うのに十分な光景だった。



星来「ひどいよォ…からだが…いたい。いたい…いたい…いたいい…」



介旅「ひ、ひぃぃぃぃ…やめろぉぉ!くるなああああああああああああ!!!」
133 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:25:16.68 ID:SVDlDnyC0



拓巳「今だ!!」



黒子「っ!」



合図の直後、黒子の姿は介旅初矢の背後、その中空にあった。



そして、彼女の鋭い蹴りが、錯乱し我を失う介旅の後頭部に突き刺さる。



介旅「________ぁ。」



介旅の意識は刈り取られ、ぬいぐるみが手元からこぼれおちる。




黒子「やりましたの!」




拓巳「ッ!ま、まだだ!」




その刹那、星来のぬいぐるみが、一気に圧縮された。
134 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:26:35.25 ID:SVDlDnyC0


拓巳「っ!」




星来…悲しいけど…




拓巳「う、うぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」




キミがどこぞの馬の骨にバラバラにされる所なんて見たくない!!!




拓巳によって虚空から引き抜かれたディソードは、その勢いのままぬいぐるみに襲い掛かる。




その様子はさながら抜刀術のようであった。




黒子「や、やりましたの!」




星来のぬいぐるみがバラバラに引き裂かれ、爆弾は効力を失った。




拓巳「…ごめんよ。星来。」




拓巳は、誰にも聞こえないような声で、たった一言、呟いたのだった。
135 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:27:38.15 ID:SVDlDnyC0


____________________________________________________





拓巳「ぁぁ…星来ぁ…」



黒子「た、タクミさん?どうされましたの?」




介旅の身柄を警備員に引き渡した後、この事件のヒーローと呼ばれてしかるべき西條拓巳は、悲しみに打ちひしがれていた。




初春「白井さーん!無事でしたかー?」



黒子「お姉様!ご無事で何よりですわ!」




そこに駆け付けたのは御坂美琴、初春飾利、一方通行の三名だった。




一方通行「…おい。コイツに何かあったのか?」



美琴「え、ええ。怪我は無いみたいだけど。」



黒子「そ、それなんですが…」




黒子が事の顛末を説明する。




一方通行「あァ…どォりで…」
136 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:28:37.66 ID:SVDlDnyC0


拓巳「星来ぁ…」



美琴「げ、元気出しなさいよ!たかがオモチャじゃない?ね?ほら、アンタの私物ってわけじゃないんだし!」



拓巳「っ!『たかが』オモチャだとぅ!?い、いいか!?星来はぼ、僕の嫁なんだぞぅ!?」



美琴「ひ、ひぃぃ!?よ、嫁!?」



初春「ああ、そう言う嫁ですか!わかりますよ!はい!」



拓巳「そ、それを僕は介錯せざるを得なかった!その気持ちが分かってたまるかぁああああああああああ!!」



しきりに頷いている初春を除き、謎の迫力に気圧される一同。



この迫力はまさしくレベル5、誰もがそう思ったという。



黒子「た、タクミさん?元気を出してください。こうして事件は解決したわけですし…」



拓巳「…………か、かけがえのないものを失った…」
137 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:29:22.20 ID:SVDlDnyC0


黒子「きっと…その…セイラ?さんも喜んでいますの!何しろタクミさんの手によって天寿を全うとしたのですから!」



拓巳「…ほ、本当?」



黒子「ええ!間違いありませんの!」



拓巳「そうか…ありがとう、黒子…」




そう言うと拓巳は、黒子の手をぎゅっと握りしめた。




黒子「い、いえっ///お、お安いご用ですのっ!」



美琴「…ふぅ〜ん…」



一方通行「いいのかァ…?こんな終わり方で…」



初春「それにしても驚きました!西條さんも顔に似合わずそういう趣味があるんですね!」



一方通行「…顔に似合わず、ねェ…」





セブンスミストでの爆破が起こらなかったおかげで、一人の少年の見せ場が失われたことを、彼らは知らない…

138 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/11(木) 21:33:10.51 ID:SVDlDnyC0
今日はここまでです!あ、カオヘ知らない人の為に言っておくと、拓巳さんは原作でもこんなです。
美琴のこととかさんざんいってますけど、うp主は美琴大好きです。
やっぱカオヘヒロイン出すかもしれません。物語に絡めやすい人だけかもわからないですけど…
次回更新は一週間以内!新約二巻読みました!…一方さん…魔術使ってた…よね…?
ありがとうございます!
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 21:42:28.78 ID:RL2pX+250
乙です
自分はカオヘの人間は今のままでも良いような気もしますよ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 22:55:29.28 ID:c8XxMiYDO
おつビシィ☆(・ω<)

141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/12(金) 01:32:38.77 ID:u6e9jft00
>>1
ここはうp主なんかいないし「。」も避けたほうがいい
普通は「書き手(筆者)」か「1」の二種類

SS速報に限らずニコは他所で嫌われてるから気をつけて
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 01:41:27.08 ID:i97D1S6co
>>1
乙。
ビシィさんは、ビシィさんも出るんですか!?

>>141
横からでごめん。うp主はわかるけど、「。」ってなに?
まさか文末の句点「。」のこと?
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/12(金) 13:38:18.09 ID:YmqpLqnK0
>>1
超面白かったぜ!

一方通行もいるんだし、もちろん下半身は綺麗な黒夜ちゃんを回収しますよね?
回収するに決まってる、回収しなきゃおかしい、回収しないなんていわせない、回収す る よ ね?
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/12(金) 18:47:16.76 ID:7L/CaBFBo
>>143
そういうのは目障りだぞ大阪国民
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/12(金) 19:24:56.21 ID:YmqpLqnK0
>>144
すまない、新約2巻読んだ勢いで書いたんだ

勢いに任せたレスは駄目だな、反省のためromに回るぜ
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/13(土) 00:09:24.07 ID:eu1QYzQKo
>>1
超乙
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/13(土) 02:41:18.45 ID:9KK1EK2u0
カオヘと禁書のクロスは珍しいですね。某所に連載してたのは長いこと止まってる(作者がめだかのSSを連載しているので)ので期待です。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/13(土) 22:30:23.71 ID:YbpZrChU0
149 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:30:46.16 ID:dg4+JgI50
来ちゃいました。本日は短いですけど番外編の投下です。
>>139->>148
レスありがとうございます!至らないところもあると思うので、どんどん指摘お願いします!
では投下。
150 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:31:33.15 ID:dg4+JgI50


___番外編・こずぴぃ




一方通行「おいタクミ。あのベ○セルクって漫画はいつ終わンだ?」



拓巳「し、知らないよ…僕らが生まれる前からやってるからね…」




僕らは学校に来ていた。



学校に来るのは二日ぶりだ。



最低登校シフト表にそって登校していた僕だが、最近は七海とミサカが起こしに来るので毎日来ている。(どうしてこうなった)



昨日は行く予定だったのだが、ウチに来た一方通行が漫画を読み始めてしまい、結局一日中読んでいていけなかった。



拓巳「さ、作者も一生懸命書いてるとかいってるけど、ほ、本当のところどうだかわかんないね。アイ○スばっかやってるって話もあるし…」



一方通行「詳しいなァ。」



拓巳「じょ、常識だよ。ファンの間じゃ触がピークとかいう人もいるけど、僕からしたらそれ以降の方が好きだね。お、女の子も可愛いし、


   触までが好きって言う人はほ、ホモかなんかでしょ?じょ、常識的に考えて…ふひひ…」


一方通行「…あンまし言いすぎンなよ…。マジで…。」
151 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:32:07.90 ID:dg4+JgI50


くだらない話をしていると、担任がやって来てHRが始まった。



言うまでもないが、僕らはクラスで超浮いている。まあしょうがないのだよ。レベル5だしね。


れ、レベル5だしね…





あっという間にHRは終わった。


生徒達は思い思いの席に移動し、談笑し合う。


………ん?見かけない顔がいるな?


それは、小柄な少女だった。


僕らと同じくクラスから浮いているようだ。


誰のグループにも属さず、一人机を見つめてじっとしている。
152 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:32:50.56 ID:dg4+JgI50

拓巳「ね、ねえ一方通行?あんな子いたっけ?」


一方通行「ァ?俺が知るかよ。」


拓巳「だ、誰かに聞いてみてよ。」


一方通行「テメエで聞けよ。面倒臭ェ。」


拓巳「べ、ベ○セルク貸してあげるからさ!まだ途中でしょ?」


一方通行「……オイ。そこのテメエ。」


生徒A「は、はひぃっ!?何でしょうか!?」


一方通行「あの女ァ誰だ?」


ビビらせすぎだろ常孝…僕の方がまだ上手くやれそうだよ。


生徒A「て、転入生の折原梢って子です!」



道理で見ない顔だった訳だ。これなら納得がいく。


…どうしてひとりぼっちなんだろう?


僕らみたいに高位能力者なのかな?
153 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:33:17.18 ID:dg4+JgI50

拓巳「…ひ、ひとりぼっちみたいだけど、何かあったの?」


生徒A「え、え、えとっ!…なんか、あの子一言も喋らなくって…それで…」


拓巳「…ふ、ふ〜ん…」



喋らない…か。



…僕はこうして一方通行っていう話し相手がいるけど、一人ぼっちの子を見てるとなんか収まりがつかない…


そう、かつての自分を見ているようで…


…い、いや!イカンぞぉ!ああいうタイプは、こうやって情けをかけられるのが一番イヤなんだ!


ぼ、僕だってそうだったじゃないか!


一方通行「オイ、どォした?あァいう女がタイプなのか?」


拓巳「ちょっ!ち、ちげーしっ!」


一方通行「そうだよなァ…ミサカも白井もああ言ったタイプだしなァ…なンつーの?ああいうの。」


拓巳「し、知らんがな!」



こいつも最初に比べて無駄口が多くなったな。
154 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:36:28.03 ID:dg4+JgI50

____________________________________________________






アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!







っという間に今は昼休みなんだぜ!


ご飯の時間なんだぜ!


拓巳「…いつもコーヒーばっかで、あ、飽きないの?」


一方通行「あァ。飽きねェよ。もうクセになっちまってやがる。」


僕たちはいつも屋上で食事を取っている。


いつものように階段を上がり、屋上の扉を開く。



「ちょっと!どう落とし前つけてくれんの!?ちょっと可愛いからってチョーシのってんじゃねーよ!」


「てゆーかウザすぎ…黙ってたって誰も助けてくれねーんだよ。」
155 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:36:55.77 ID:dg4+JgI50


……こ、これはひどい。


三次元女三人が、誰かを囲い込んで集中攻撃しているようだ。屋上はその現場となっていた。


ここからじゃ誰が苛められているか見えないな…


こ、これだから三次元女は嫌いなんだっ!


会話の内容からすると、惨事女の男が、いじめられてる子に言い寄ったことが原因らしい。


見てられないよ…まさに『惨事』だな!…ふひひ…



「(…たすけてっ。…たすけて!)」 



拓巳「…さ、最悪だよ…絶望したっ!三次元女の現実に僕は絶望したっ!……一方通行?」


一方通行「…タクミ、テメエ、聞こえねェのか?」


拓巳「へぁ?」


一方通行「頭ン中に声が響いてやがるだろォが!?聞こえねェのか!?」


拓巳「…お、おまいは何を言っているんだ?」
156 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:37:27.40 ID:dg4+JgI50


一方通行がおかしな事を言いだした。



どうしたんだろう?厨二病でもこじらせたのかな?



そんなことを考えているうちに、一方通行はDQN三次元女達のもとに向って行ってしまった。



拓巳「って!ちょ!おまっ!あ、一方通行!?」


一方通行「おい。テメエら。」



女子生徒A「何だよアンタ…って、ええ!?」


ファイ○ーさんも真っ青な、一方通行のにらみつける!


一方通行「…ジャマだ。失せろ。」


女子生徒A・B・C「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



こ、こうかはばつぐんだ!
157 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:37:55.50 ID:dg4+JgI50

一方通行「ほらよ…言われたとォりにしてやったぜ。」


梢「…ぁ…ぅ。(あっりがとーーーーーーーーー!!なのらーーーーーーーーーっ!!)」


一方通行「なんだそりゃァっ!?」


梢「………ぇっ!?ぁ…(えっ!?こずぴぃの声が聞こえるのーーー!?)」


一方通行「あァっ!!うっるせェ!もう少し静かに喋りやがれ!うっとォしい!」


拓巳「え…?どうしたの?さ、さっきから一人で何言ってるの?」


一方通行「…面倒臭ェ。ちょっと待ってろ、あとで説明してやる。…質問に答えろ、いいな?」


梢「…ぅ…!(わかったぽ〜んっ!)」


一方通行「…調子が狂うぜェ。」




な、何が何だかわからない。
158 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:39:36.21 ID:dg4+JgI50

_______________________________________________




拓巳「て、『念話能力』?」


折原梢はこくん、と恥ずかしそうに頷いた。あ、やべ、ちょっと萌えた。


一方通行「で、レベルは1らしい。…脳の波長のある一部の人間となら自由に話せるレベルだとよ」


拓巳「ふ、ふぅん…それに一方通行が合致した、ってことだね…じゃ、つ、通訳はまかせた」


一方通行「何で俺に波長があったのかはわっかンねェけどな」


梢「ぁ…(『こずぴぃ』って、呼んでほしいのら〜♪)」


一方通行「はァっ!?……『こずぴぃ』って呼べだとよ…」


拓巳「え…マジで…?」


一方通行「何で俺が嘘つかなきゃなンねーんだよォ…」


拓巳「お、怒るなよ…よ、宜しくね…こ、こずぴぃ?」



うあああ!なんか呼ぶの恥ずかしいぃ!



梢「……ん。(よろしくなのらーっ!タクミしゃんっ♪)」


一方通行「…『よろしくなのらーっ!タクミしゃんっ!』だとよ。」
159 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:40:08.44 ID:dg4+JgI50


…ホントかよ。



梢「…ぁ!(あくせらしゃんもよろしくねっ♪)」


一方通行「…あいよ。」




こずぴぃはそれ以降、僕らの学校での数少ない友達となった。



___________________________________________






梢「んっ…!(まったねぇーっ!あくせらしゃーん!たくみしゃーーん!)」


一方通行「…あァ。」


拓巳「じゃ、じゃあね、こずぴぃ。」



結局帰り道も一緒だった。


あれから休み時間となると、こずぴぃは一方通行にべったりくっつくようになっていた。


一方通行も口では嫌がっているが、決して邪険にはしなかった。まんざらでもないのかもしれない。
160 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:40:37.95 ID:dg4+JgI50


拓巳「…ず、ずいぶん好かれたもんだね…り、リア充乙。」


一方通行「…テメエが言うンじゃねェよ。」



以外に面倒見がいいのかもしれない…こいつ。



拓巳「…こずぴぃ、言葉は…どうしたのかな…」


一方通行「さァな。どちらにしろ、楽しい話にはなンねェだろうよ。」



それは間違いないだろう。



レベル5たる一方通行には、痛いほど分かるはずだ。



僕は比較的恵まれていたレベル5だったはずだ、しかし、学園都市の第一位たる一方通行はそうではない。



あんな実験に参加しようと思うほど、一時は追い詰められていたのだ。闇という闇を見てきたはずである。
161 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:41:42.16 ID:dg4+JgI50


一方通行「…ま、アイツが自分から話してきたら、そン時聞いてやりゃあいいだろ。」



拓巳「…そうだね。」




…なおさら学校が休めなくなっちまったぜ!ちっくしょおおおおお!!



拓巳「こ、こずぴぃのロリ声もぜ、ぜひ堪能したいしね…ふひひ…」



一方通行「…ロクでもねェ…」




ぼ、僕最近リア充化してね?…ふひひ…
162 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/15(月) 20:42:54.77 ID:dg4+JgI50
短ェ!
今日は番外編!次回更新も一週間以内!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/08/15(月) 21:09:56.02 ID:/aCNBlHmo

タクが実にキモオタだなぁ(褒め言葉
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) :2011/08/16(火) 02:27:13.74 ID:7gFSx1BAO
フヒヒwwww乙wwwwでござるwwwwwwww
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/16(火) 02:27:48.75 ID:7gFSx1BAO
さげ忘れスマソ
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/16(火) 02:28:21.91 ID:7gFSx1BAO
さげ忘れスマソ
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/16(火) 16:54:02.08 ID:5nkXPYne0
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 13:09:28.48 ID:AZ0f+wf60
乙です。
あと野暮な突っ込みだけど長点上記も常盤台と同じでレベル3以上じゃ無いと学力が有っても入学出来ないじゃなかったっけ?
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/17(水) 18:54:05.21 ID:/Yei3n8mo
>>168
長点はある意味一芸入試みたいなとこだから大丈夫だと思うが?
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 22:08:36.75 ID:X3Hq+M6J0
宇宙の果てのこと知ってるー
      そこはガラス張りの、行き止まりー
ガラスの向こう側、そこにみえーる景色はー
      目を閉じてる時に、見えるものと同じー
171 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:28:36.54 ID:uN7ghZJl0
来ちゃいました!
今日はちょっと長いっす。
どんどんレスくださいね?
本日のヒロインはあの子!今回はちょいシリアス!…かな?
劇中で時間が進んでるとこは番外編扱いでやりますんで!じゃ!投下!
172 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:31:12.54 ID:uN7ghZJl0



拓巳「ふひ、ふひひ…」


一方通行「どォしたンだよ…今日はいつも以上にキモチ悪いぞ」


梢「んっ(タクミしゃん幸せそうなのらーっ!)」


一方通行「『幸せそうなのらー』と言っているゥ」


拓巳「…い、いい加減なれたよ、それ。…いや、ね?じ、実は…」


一方通行「…実は?」


拓巳「ぶ、ブラチューのblu-rayDVDボックスが、発売されることがケテーイしたのだよ!しかも一期と二期同時発売だよ!


   うはwwwwwwみなぎってきたwwwwwwww」



一方通行「…テメエは幸せもンだよ」


梢「んっ♪(良かったのら〜♪)」



一方通行は大げさにため息をついている反面、こずぴぃは自分のことのように喜んでいる。


ふんっ。ちょっとはこずぴぃを見習いなよね。



拓巳「…ちっ!…こ、これだからリア充は…」


一方通行「テメエがそれを言うのかよォ…」
173 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:31:43.90 ID:uN7ghZJl0

梢「…(あっ。カマキリなのらー)」


拓巳「き、キサマっ…スタイル抜群お姉さんと、ミステリアス系お姉様と、元気系幼女と同居しといて何を抜かすかぁ!」


一方通行「あン?テメエだって白井とかミサカとか色んな女に手ェ出してやがるじゃねェか。つーかよォ、七海もいるンだろ?」


拓巳「あ、あんなションベン臭い妹なんて数に入らないねっ!」


梢「…(…お肉食べたいのらー)」


一方通行「はァっ!?テメエには相応しくないほど良い妹だろォがよ!!」


梢「…(…あくせらしゃんにまた奢ってもらおっかなー)」


拓巳「え、ちょっ…ま、まさか七海に気があるの…?」


一方通行「ち、ちげェーしっ!話逸らすンじゃ___あ、電話」♪杭を〜打て〜 杭を打て〜



一方通行の携帯端末が着信の音を立てた。



表示された名前を見て、隠す気すら見せず顔をしかめてみせた。



一方通行「…何なンですか?…え?休み?ンなの知らねえよ。」



一方通行「…過労死する?っち…考えといてやる…車ァ?ああ、売っちまったわ。チャリで帰れ。切るぞ」ピッ


174 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:32:22.23 ID:uN7ghZJl0


拓巳「誰?」



一方通行「天井」



拓巳「あ、天井ね…ど、道理で…」




研究者・天井亜雄は、あれからキッツイお灸を据えられたらしい。(一方通行曰く)



莫大な借金はすべて一方通行が肩代わりし、罪も許すように一方通行が根回ししてくれたらしい。



しばらくの間は、特定の組織から命を狙われるだろう天井さんの護衛もするらしい。なんだかんだ言って面倒見は良い奴である。



ただし。




一方通行「クカカ、あいつは、一生俺の奴隷だからな。自由なんてやンねえよ」




とのことらしい。



現在もなんらかの作業を強制されているらしく、給料の受け取りも一方通行を介するということだ。



彼はそれなりに優秀な研究者であり、学園都市の暗部にも顔が利くらしい。それを徹底的に利用しようという腹らしい。
175 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:34:16.83 ID:uN7ghZJl0


天井亜雄、カワイソス…



あの事件以降、一方通行は真っ当な研究には協力し、コネクションを広げているという話だ。



僕にも影響はあった。実験協力で研究所に出向くと、やけに研究員の腰が低いのである。



彼の身の回りにいるというのは、それだけで危険が伴うものである。一方通行は、自分と、その周囲の居場所を守るため、手を尽くそうと必死だ。



…僕も、協力しないとね。






拓巳「じゃ、この辺で…また明日ね」


一方通行「おォ」


梢「んっ!(まったねぇ〜♪たっくみしゃ〜ん!)」



無言で手を振るこずぴぃに、手を振り返し、別れた。



…さて、帰る前に本日発売の『ナ〇レオン〜覇道進撃〜』を買っていこうか。
176 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:34:54.78 ID:uN7ghZJl0



_________________________________________________










第十六学区の通りを歩く。



放課後とあって、人通りは大変多い。



アニメ〇トは、大通りに面していない。



細い路地裏を抜け、裏道のようなところにポツンと佇んでいるビル。その三階が目的地だ。



丁度入り口に近づいたときである。ビルの階段の入り口周辺を、顔を真っ赤にして行ったりきたりしている少女がいた。



非常に目を引く風貌だ、気になるのも仕方のないことだろう。




(…な、何してんだ?)



少女は、年の程は七海と同じくらいか、拓巳と同い年くらいで、非常に美しい金髪を持っていた。



頭にベレー帽のようなものを乗せているおしゃれな少女だ。



(…外国人…かな?あの髪の色)
177 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:36:49.15 ID:uN7ghZJl0

さほど離れていないところからジロジロみている自分に気付いたのか、少女はこちらに近づいてきた。



歩き方も堂々としており、自分に対し満ち溢れる自信を表現するかのようにも伺えた。




金髪の少女「ちょっとアンタ!さっきからジロジロと!結局、何か言いたいことでもある訳っ?」



拓巳「ひ、ひぃっ!?」



金髪の少女「って、ええ!?そ、そんなビビんないでよ!」



び、びっくりした…



少女の顔を改めてまじまじと見つめる。



金髪に碧眼の整った顔立ちだ。




金髪の少女「…あ、アンタ、このビルに用があるの?」



拓巳「へぇあ?」



金髪の少女「だ・か・ら!このビルに用があるんでしょ!?って聞いてる訳!」



拓巳「そ、そうだけど…」
178 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:38:03.96 ID:uN7ghZJl0



いきなり金髪美少女に絡まれる西條拓巳。以前の女性に対する免疫ゼロの彼ならどもって逃げて御仕舞いだっただろう。



しかし、最近リア充を自認している彼である。少しは経験を積んだのだ。人並みに近いレベルまでコミュ力は付いてきているのである。



拓巳「さ、三階に用があるんだ。漫画を買いにね」



金髪の少女「…ふ、ふ〜ん…そうなんだ///」




顔が赤い。それも真っ赤。



その時、西條拓巳のHENTAIハートに火がついた。




最近のリア充っぷりに忘れているかもしれないが、彼は変態だ。



妄想する力だけなら学園都市、いや、世界で一番かも知れない男である。



彼は、頬を歪め、目を細め、捻り出すように笑顔を作った。



拓巳「え、えっちなオモチャでも欲しいの?ふひ、ふひひ…」



金髪の少女「はぁっ!?ち、違うわよ!何アホなこと言ってる訳よっ!!!///」
179 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:40:07.18 ID:uN7ghZJl0


拓巳「ふひ…ひ…じゃ、じゃあ何が欲しいのかなぁ?お兄さんに言ってみなさい!」



金髪の少女「……かん」



拓巳「聞こえないなぁ〜。おじさん歳のせいか耳が遠くってねぇ〜」




金髪の少女「…だからぁ///」




拓巳「ん〜?」



















金髪の少女「結局っ!サバ缶が欲しいって訳よぉおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜っ!!!!!!」













…………



………………





…へあ?
180 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:40:36.32 ID:uN7ghZJl0



__________________________________________________






金髪の少女「いっやぁ〜っ!お蔭様で超助かったって訳よ!あ、混じった」



拓巳「…よ、良かったね…」




いきなりサバ缶が欲しいとか涙目で言い出したときは頭にウジでも湧いてるんじゃないかと思ったけど…



金髪の少女「ふっふ〜ん♪アジトでゆっくりたぁ〜べよっ!いっやぁ〜!どうしようかと思った訳よ!あんな所入ったことなくってさ!」



拓巳「へぇー。で、でも、そんなにビビることなの?」



金髪の少女「う、うん…///は、恥ずかしながら…//…う〜ん…何でだろうね?どんな物騒なところでも平気なのに…」ブツブツ



拓巳「?」




いいところのお嬢様なんだろうか?金髪だし。貧乳だし。







彼女は、アニメショップ限定サバ缶を買いに来たらしい。



ちなみにそれは、「超機動少女カナミン」の敵役、ナックルダスター宍戸の好物仕様の物だった。



しかし、慣れない雰囲気に気圧され、入るのにためらっていたところに…
181 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:42:58.69 ID:uN7ghZJl0



金髪の少女「アナタが来たっ!って、訳よ!」



拓巳「…解説、乙。」



金髪の少女「それにしても…アンタ…えと…」



拓巳「に、西條拓巳だよ」



金髪の少女「ん、タクミは結構あーゆーとこ来たりするわけ?」



拓巳「う、うん。まあね。こ、この通り僕はキモオタだから…」



金髪の少女「…う〜む。どのへんがキモオタなのかよくわかんないケド…」




僕らは大通りを歩いていた。



僕はこれが帰り道なのだが、彼女も一緒なのだろうか?




金髪の少女「ま!いずれにせよ助かった訳よ!このアニメのシリーズのやつは美味しいんだよねぇ♪えと…なんだっけ?」



拓巳「…ナックルダスター宍戸?」



金髪の少女「そ!宍戸!」
182 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:43:32.38 ID:uN7ghZJl0


例のサバ缶は、カナミンのキャラである、ナックルダスター宍戸の好物として商品化されている。



ちなみに、ナックルダスター宍戸は、カナミンで一、二を争う人気キャラだ。



金髪の少女「う〜ん…前はコンビニで見っけたんだけどな…」



拓巳「そ、そんなにサバ缶好きなの?」



金髪の少女「当然って訳よ!これがなきゃ仕事に身が入らないんだよね〜」



拓巳「仕事?」



金髪の少女「うん!あ、仕事の話はNGね?上司にブチ殺されちゃうっ」



拓巳「ふ、ふぅん…ま、なんだか良くわからないけど、が、頑張ってね」



金髪の少女「当然って訳よ!」





彼女は薄い胸を精一杯張って答えた。



彼女は、眩しいほど明るい子に見えた。



外国人ということで、近寄りがたかった様な空気も確かに存在したのだ。しかし、それも気付かぬ間に吹っ飛んでしまっていた。
183 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:45:31.82 ID:uN7ghZJl0





金髪の少女「……タクミ?」



拓巳「…ん?ど、どうしたの?」



金髪の少女「…タクミは、学生なの?」



拓巳「?そうだけど…」




彼女の表情が、一瞬だけ曇った。




一体どうしたのだろう…?





金髪の少女「…そっか。」



拓巳「……一体どうし___」



金髪の少女「なんでもない!あ、そうだ!またあのサバ缶買う時付き合ってよ!ほらっ。携帯だすって訳よ♪」



拓巳「えっ?う、うん…」




いったいなんだったのだろう。そう思いつつ連絡先を交換する。




金髪の少女「へへ…///よぉし!んじゃ、また会おうって訳よ!あ、忘れてたっ」



拓巳「こ、今度はどうしたって訳よ?」



やべ、うつった。



金髪の少女「フレンダ!!」



拓巳「ええっ?」
184 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:46:11.43 ID:uN7ghZJl0




「あたしの名前って訳よ!フレンダ=セイヴェルン!じゃ、またねっ。タクミっ♪」









そう言い放ち、彼女は、僕と反対の方向に走り出した。





…何だったんだ、一体?



フレンダ。フレンダ=セイヴェルン、か…








__拓巳が彼女の事を深く知ることになるのは、思っていたよりずっと早かった。
185 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:48:20.24 ID:uN7ghZJl0

__________________________________________________








ボブカットの少女「何やってるんですフレンダ。超遅いです!麦野来ちゃいますよ!」


フレンダ「はっはは〜!待ったぁ〜?」


ジャージの少女「…フレンダ、なんか機嫌いい。なんかいいことでもあった?」


フレンダ「えっ?あ、わかっちゃう〜?うっしし〜♪」


ボブカットの少女「…フレンダ超キモいです。麦野に言いつけます。フレンダがキモい。っていうか気持ち悪い、って」


フレンダ「っええ!?あたし、結局何かしたぁ!?」




「なぁ〜に騒いでるのよ?そろそろブリーフィング始めるわよ?」





少女たちが姦しくするここは、彼女たちには似つかわしくない黒いバンだ。


リーダー格と思われる少女の到着により、少女たちの表情が切り替わる。ただ一人を除いて。




フレンダ「麦野ぉ〜!絹旗がぁ〜」


麦野「フレンダうっさい。」


フレンダ「ひどっ!」


絹旗「麦野、今日の仕事は何なんです?」


麦野「なぁに、ショボい仕事よ。」
186 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:48:47.44 ID:uN7ghZJl0


リーダー格の少女は、背中にまで達する長い髪の毛先を弄りながら、冷たい声で言い放った。






「______おイタがすぎた研究者の暗殺よ。なぁに、夕飯までには終わるわ。」
187 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:49:18.34 ID:uN7ghZJl0

一方通行が天井を通して持つ、暗部のコネクションから、天井の身が危ないとの連絡が来たのは帰ってすぐのことだった。



僕と一方通行は第十学区の研究施設に急行した。




天井亜雄、淀んだ瞳にぼさぼさの黒髪、やせ気味の研究者は叫ぶ。




天井「うぁぁぁぁぁっ!お終いだぁ!私は終わりだぁぁっ!畜生!こんな実験に関わったばっかりにぃぃ」


一方通行「黙れクズ」ベクトルキック


天井「っぐほぁぁァぁぁァああああああああああああああああああ!!!!!」


拓巳「……え、えと…ところでキミは…」


ミサカ00029「も、申し送れました。ミサカはミサカ00029号、と申します。あ、天井の監視を担当しています、と、ミサカは物陰から自己紹介します…」


拓巳「よ、よろしく…」



…シャイな個体なのだろうか?こ、これは僕以上だろ…




ミサカ00029「よ、宜しくお願いします…///あ…あの…MNWから得た情報と照らし合わせて…あ、あの…聞いて…」


一方通行「………」←ベクトルチョップ


天井「ぐっぼぁァァァぁぁあああっ!!!!!!」


拓巳「お、おい一方通行。いい加減にしろよ」


一方通行「…ァあ?ったくしょうがねェな…」
188 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:51:16.03 ID:uN7ghZJl0

ミサカ00029「…で、でわ。は、恥ずかしながらこのミサカ00029号が、じょ、情報の確認をさせて頂きます///」




ミサカ00029号の話によると、天井を狙うのは学園都市の暗部組織の連中らしい。


詳しい戦力は不明。


しかし、天井は一方通行の大事な駒だ。失う訳にはいかない。


この研究所の入り口は一つ。そう、入り口さえ守りきれば進入を許すこともないのだ。



一方通行「…これ終わったら、本格的に天井をどォにかしねえとな…おい、タクミ」


拓巳「な、何?」


一方通行「入り口は俺がどうにかする。テメエは天井を任せた」


拓巳「う、うん。わかったよ」


一方通行「__任せたぞ」


拓巳「ま、任された。」




そういい残して一方通行は言ってしまった。



…アイツが負けるのは考えられないし余裕だろう。



ていうかそこらの能力者じゃ僕らにはかなわないっしょ、常識的に考えて…
189 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:51:45.49 ID:uN7ghZJl0

_______________________________________________







麦野「___研究所の入り口は一つ。」






第十学区、バイオ医研開発研究所。



黒いバンの中、「アイテム」のメンバーは息を殺していた。




麦野「ま、対した護衛なんて付いてないかもだけど…念には念を押す。…フレンダ?」


フレンダ「うーっす!」


麦野「アンタは別ルートから潜入。ここの下水道は広いの。第二研究棟につながる道なら簡単に忍び込める。OK?」


フレンダ「えーっ!?げっすいどーっ!?ちょっと待ってよ麦野!私は__」


麦野「…OK?」


フレンダ「…お、OK…ま、任せてくださいッス!バンバンっす!バンバンっすよ!」


滝壺「…大丈夫。下水にまみれて臭くなるであろうフレンダを、私は応援してる…」


フレンダ「は、ははは…はぁ…」ガックシ


絹旗「麦野?ほかのメンバーは超入り口でいいんですか?」


麦野「ええ。問題ないわ。フレンダ、安心して?歩兵部隊が一個小隊ほどアンタのとこにつく予定だから」


フレンダ「小隊?なんでそんなに…。戦力超過じゃあないの?」
190 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:52:13.21 ID:uN7ghZJl0

麦野「…上の考えることはわかんないわよ…それより、確実にアンタがしとめること?撃破ボーナスもあるのよ?気合入れなさい?」


フレンダ「マジっ!?よっしゃ!燃えてきた!」


絹旗「…」


滝壺「…絹旗?」


絹旗「い、いえ!超なんでもないです!さあ仕事です!張り切っていきましょう!」


麦野「あたしは後詰にまわる。万が一失敗したときは、フレンダのサポートにつくから」


フレンダ「むっぎの〜♪頼りにしてるからねぇ〜!」


麦野「フレンダウザい」


フレンダ「ふぇ〜ん」






少女たちは知らなかった。



おそらく、学園都市で最強であろう二人が、一人の研究者を護衛しているということを。

191 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:53:40.99 ID:uN7ghZJl0


_______________________________________________





地が割れるような音が響いた。



近い。入り口の方向ではない。



西條拓巳は、その音をはっきりと耳にした。



それと同時に、入り口が一つしかないという考えが短絡的であるということを彼は直感的に悟った。



拓巳「(…この音…近いじゃん…一方通行使えねー!)」



ミサカ00029「あ、あの…」



拓巳「ど、どうしたん?」



ミサカ00029「ひ、非常に申し上げにくいことなのですが…」



拓巳「い、言ってみて?」



ミサカ00029「あ、あの…第二研究棟付近から、多数の武装した熱源が接近しています。その数三十ほど。と、み、ミサカは…え、えと…」



拓巳「え」



ミサカ00029「は、ははは…い、急いだ方がよろしいかと…み、ミサカはゴーグルを引っ張ったり伸ばしたり…あいたっ」




…どうしてこうなった。つか、多いな。




僕は、第二研究棟に向かった。

192 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:55:05.72 ID:uN7ghZJl0



______________________________________________





〜第二研究棟




金髪の少女、フレンダ=セイヴェルンは、頬に無邪気な笑みを浮かべていた。



彼女は、前方に先行させている一個小隊の黒ずくめの歩兵を率いる立場にもあり、ボーナスに最も近い存在であることに、一種の満足感のようなものを感じていた。




フレンダ「ひっひっひ〜っ♪結局、私が一番乗りな訳よ!」





しかし、一方で。





フレンダ「…あ。…いやいやっ!何考えてんのよ私!今は仕事中だってば!」




彼女の脳内では、昼間に会った少年・西條拓巳のことが思い出されていた。



ほとんど偶然で、特筆するような出会いではないのかもしれない。



しかし、フレンダは、彼にどこか不思議なものを感じ取っていた。



闇から切り離された、たかが一人の少年のことが頭から離れない。彼が特別なのだろうか?それともフレンダが歳以上に初心な少女なだけなのだろうか?




フレンダ「…どっちにせよ…」




彼女はあっけらかんとした少女である。フレンダは、彼女の仕事が『闇』の世界のものという意識も強く持っていたわけでも無かった。



特別な仕事をしているというプライドも存在しなかった。それに、良くも悪くも前向きすぎる少女だった。



自分の居場所を失わないためというのもあるが、彼女は自己の立ち位置に疑問を抱いたこともなかったし、深く考えたこともなかった。
193 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:56:01.92 ID:uN7ghZJl0



____しかし。






フレンダ「(…このままで、いいのかな?)」





暗部組織にかかわりのない人物で、自分と歳のそう変わらない異性。そんな存在と話した機会など、彼女にはほとんど無かった。




昼間の少年との出会いは、彼女に現状を再認識させるのには充分な機会であった。




フレンダ「(…いや、とりあえず…今は)」




頭から余計なものを取り除く。年端のいかない少女に見えても、彼女はプロフェッショナルだ。




フレンダ「(また…会えるんだから、ね?…ってあれ?)」




先行していた部隊の通信に、大きな動揺が見られたのは、そんなときだった。
194 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:57:03.46 ID:uN7ghZJl0


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妄想、開始。





(一個小隊、約三十の人間…)




西條拓巳は、妄想する。




ミサカのレーダーが捉えた小隊のイメージを強く、強く。




彼の誇大妄想なら、小隊の兵装が視認できた瞬間、能力が発動可能だ。





(…発動イメージは…ベースを右手のディソードに、攻撃方法は…)





拓巳は、オタクである。それは今更確認するまでもない。





彼の妄想は、アニメや漫画をベースにしたものが多い。
195 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:57:54.08 ID:uN7ghZJl0



(封神演〇の、スーパー宝具・『禁鞭』をイメージ。能力は…)






だがしかし、それこそが彼の強みである。





彼の超強大な妄想の力は、「想像しうるもの」を現実にしてしまうのである。





そう、生来の内向的な性格と、その能力が交わったとき。






「…半径数キロ以内の敵を、打ち据えるッ!!!!」





___彼は、「最強」足りうる存在となる。





黒づくめの武装歩兵が彼の視界に入る。その刹那、拓巳の右手にさがったディソードがその輝きを増す。
196 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 22:59:44.35 ID:uN7ghZJl0



「___学生と思われるシルエットを発見。ただちに___っ!?」






小隊の先頭の男に鞭のようにしなる嵐のような連撃が襲い掛かった。





「(…ま、まず一人)」





しかし、拓巳にとって、それは「全員」の撃破と同義であった。





拓巳「…い、一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか?」





そう、拓巳にとって、妄想しうることはすべて「現実」と同義でなのある。





拓巳「ふひひ。ま、そんな暇、ないよね…」



197 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:00:37.09 ID:uN7ghZJl0




比喩ではなく、まさに「一瞬」であった。





拓巳の視界に入らずとも、同じ兵装のものは一瞬でその場に崩れ落ちることとなった。





神出鬼没な鞭による直接の打撃。シンプルであるが、故に防ぎにくいそれが、歩兵たちに一斉に襲い掛かる。そう、一切の情け容赦無く。





運よく「妄想」の境を逃れたものも、拓巳の視界に入れば同じ末路をたどった。




拓巳の頬が醜く歪む。




拓巳「ふひ、ひひひ、ひははふひゃははひゃははははははっ!ざまぁないぜ!」




西條拓巳は、まさに「化け物」であろう。




第二研究棟での戦いは、「戦い」ですらなかった。
198 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:02:05.35 ID:uN7ghZJl0


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一方通行「クソッタレが…」




一方通行は吐き捨てる。そう、彼の考えは甘すぎたのだ。



一研究者者の暗殺と見くびっていたが、この襲撃は大規模すぎる。




第五研究棟付近の入り口で、絹旗最愛、滝壺理后らを撃破した一方通行は、天井亜雄のところに向かっていた。




一方通行「(…命を奪わないようにしたら、余計に時間がかかっちまった)」




ミサカ00029号から連絡があったのだ。熱源が複数接近していると。





タクミも別方向の敵を迎え撃っているらしく、今天井傍にはミサカ00029号しかいない状況にである。





一方通行「(…陽動に陽動を重ねるか…一体何が狙いだ?俺たちの存在がバレてンのか?)」




いずれにせよ、天井とミサカ00029号が危険である。





一方通行「…見えてきた。っ!…畜生ォ…カス共が…」

199 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:03:36.76 ID:uN7ghZJl0





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フレンダ「い…」




まさに、一瞬の出来事であった。




フレンダ「一体どうなってるって訳よっ!?」




天井のいるであろう第二研究棟を駆けるフレンダ。


足元には、黒尽くめの兵士たちがいたるところに横たわっている。




フレンダ「しょうがない…ここはあたしがっ…って」



兵士たちの姿に沿って走ると、学生服の少年が歩いていた。



拓巳「へ?」



フレンダ「え?」





「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!??」」
200 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:04:19.15 ID:uN7ghZJl0


拓巳「ふ、フレンダ!?」



フレンダ「タクミぃ!?」






フレンダの前に現れたのは、昼間の少年・西條拓巳。




さきほどまで彼女の心をかき乱していた張本人である。




フレンダは、このときばかりは神様というものを呪いたくなった。




運命を呪う。これは、暗部組織という学園都市の闇に生きている彼女ですら、初めてのことだった。




それと同時に彼女は再び不思議に思った。どうして一度会っただけの少年に、ここまで感情移入できるのか、と。





フレンダ「…なんで?」



拓巳「そ、それはそっちのセリフだよっ!」
201 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:06:38.59 ID:uN7ghZJl0


フレンダ「どうしてっ!?」



拓巳「っ!」




彼女の顔は恐怖と悲しみに満ちていた。




拓巳に対する恐怖ではない、場合によっては拓巳を殺さなくてはならない、その事実に対する恐怖、それがフレンダの心を満たしていたのだ。




拓巳「…ふ、フレンダ。キミは一体何をしにきたんだ?」



フレンダ「当然、答える必要は無いって訳よ!…タクミ、そこを通してくれる?」



拓巳「…そういうわけには、い、行かない…」



フレンダ「どうして!?何か理由があるの?」



拓巳「っ…守らなきゃ…いけない…いや…違う」



フレンダ「…」



拓巳「ま、守りたい…。僕は守りたいんだ!」



フレンダ「…まもる、って…?」



拓巳「それは…」

202 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:07:38.43 ID:uN7ghZJl0


沈黙が場を支配する。



拓巳はフレンダに今の気持ちをうまく伝えられないのだ。



拓巳自身、現状に混乱していた。何がなんだかわからないのである。




拓巳「フレっ」


フレンダ「動かないで」





彼女はどこからともなく黒光りする拳銃を取り出した。



発した声は冷たく、昼間と同一人物とは思えなかった。



フレンダ「…貴方に、どんな理由があるのかは、知らない、わかろうとも思わない。でも__」



銃口を拓巳に向け、彼女は言い放つ。



フレンダ「…結局、こうするしかないって訳よ…タクミ?動いたら撃つからね?」



拓巳「…ふ、フレンダばかな事は__」



フレンダ「っ!」





たん。




そんな音と共に、銃口が、火を噴いた。

203 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:08:56.54 ID:uN7ghZJl0




天井「くそっ!くっそぉ!」



ミサカ00029「…あ、あの…」



天井「あんな実験に…関わったり…しなければ…」ブツブツブツ




天井亜雄は、逃げていた。傍らには、ミサカ00029号が並走している。




天井「…はぁっ。はぁっ…」



ミサカ00029「み、ミサカは…ミサカ…は…」



天井「さっきからうるさい!一体何なんだ!?」



ミサカ00029「え、えと…それは…こ、このままの道を行くと__」




その時、突き当たりの通路から、黒尽くめの兵が現れた。




歩兵A「っ!目標を確認した!こっちだ!」



ミサカ00029「__せ、接敵します。と、ミサカは____」



天井「それを早く言ええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」
204 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:11:02.90 ID:uN7ghZJl0

引き返し、複数の前の曲がり角を曲がる。少し敵を引き離したかのように見えた。


その時。


ミサカ00029号「ぅあっ!」



天井「っ!ど、どうしたのだ!?おい!?」




敵の機銃の弾丸が、ミサカ00029号の右足を貫いたのだ。



命に別状は無いだろう。しかし、これでは走ることは不可能だ。



鮮血が、白いソックスを汚してゆく。




天井「おいっ!立て!立つんだ!敵が来るぞ!殺されるぞ!」


ミサカ00029号「____って…」


天井「何だ?」


ミサカ00029号「行ってください。と、ミサカは微笑みかけます。」


天井「そ、それではキサマが__」


ミサカ00029号「ミサカの使命はアナタの護衛です。ここでミサカが足手まといになっては本末転倒です」


天井「しっ…しかしっ!」


ミサカ00029号「行ってください!!」


天井「っ!」
205 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:11:36.43 ID:uN7ghZJl0

敵はすぐそこに迫っている。



天井達は、確実に発見されただろう。



今ここでこうしているうちに、タイムリミットは刻々と近づいてきていた。




ミサカ00029号「い、行ってください…生まれたばかりのミサカに、監視という名目で、け、研究の手伝いをさせてくれて、ありがとうございました。」




天井亜雄は、迷っていた。




ミサカ00029号「怒鳴られることがほとんどでしたが、ミサカは…い、一生懸命生きることができて、嬉しかったですよ?」



彼女は、そう言って、笑いかけてきた。




天井「(どうしてだっ!?)」




天井は、彼女にした仕打ちを思い出す。




彼女は監視が主な任務だが、カモフラージュとして、天井の研究や、コネクションの為の手伝いを行っていた。




手は決して上げなかったが、彼女に対する態度は正直、辛辣と言って良いものだった。




自分の一生を踏みにじった実験の結晶である、彼女。




一方通行の手先のような存在である彼女に、天井は何度も何度も怒鳴った。




臆病な個体となったのも彼の影響であろう。




それなのに…
206 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:12:21.63 ID:uN7ghZJl0




天井「(どうしてこんな顔ができる!?悪くなかっただと!?私は…私はっ…!)」




彼女の無邪気さに、彼は、酷い自己嫌悪に陥る。



そして、考える。今までの行いを。



天井「(…私は、最低の人間だ)」



彼は、非人道的な実験も、「好奇心」というものを大義名分として、平気で行ってきた。



天井「(…こんな私を、理由はどうあれ、救おうとしてくれる人間がいる。)」



「好奇心」?なんて薄弱な理由であろう、彼はこう心中で反芻した。



天井「(『人間』か…私も、自暴自棄になってしまったのか?)」



彼は、「人間」という言葉を使った。そう、彼女を「人間」と称したのである。



その瞬間、ミサカ00029号を、ただのモルモットとして扱うことは、到底できなくなっていた。




天井「…体の力を抜け。」



ミサカ00029号「えっ…あ、天井っ!?な、何をっ///」



天井「黙っていろ!」



ミサカ00029号「は、はい!」
207 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:12:58.88 ID:uN7ghZJl0


天井亜雄は、彼女を抱きかかえる。



彼の眼は、もう淀んではいなかった。




天井「これ以上、勝手に傷つくのは許さん!しばらく黙っていろ。いいな?」



ミサカ00029号「ふぇっ!?…は、はい…と、ミサカは…ミサカは…///」




天井「(…いつ以来だろうな…非論理的な行動を、感情に任せた行動をとるのは…)」




天井は、思い出す。



若かったあの頃を。そこらに溢れる少年たちと同じように、彼にもなりたいものがあった。



天井「(…若さ…か…)」



彼は頬に自嘲の笑みを浮かべつつも、ミサカ00029号を抱えて駆ける。



その姿には、覚悟が滲む。一切の迷いは感じられない。



天井「…私はね、まだ二十代なんだ。若さというものは残っていても良いはずじゃあないか?」ボソッ



ミサカ00029号「え?な、何か言いましたか?ミサカは今はなった言葉が非常に気になります」
208 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:15:21.96 ID:uN7ghZJl0



天井「…なんでもない。それより、舌をかまないようにしろ。」



ミサカ00029号「へっ?」



天井「飛ばすぞ?意外に、体力には自信があるのだよ」





ミサカを担ぎなおし、天井はスピードを増す。



口元には、微笑。白衣は、血で汚れている。





天井「一週間、貫徹したこともあるのだ。これくらい、屁でもない」





少女をいわゆる「お姫様だっこ」で抱える研究員。




そこにいるのは、決して、人生に絶望したマッドサイエンティストなどではなかった。










_____そう、彼は、少女を救う英雄そのもの。かつてのなりたかったもの、そのものであった。
209 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:15:52.15 ID:uN7ghZJl0

__________________________________________________






フレンダ「どうして…?」




フレンダ=セイヴェルンのはなった銃弾は、西條拓巳の左足をとらえた。



鮮血で、彼のズボンが赤く染まった。





フレンダ「…どうして動くの?命がいらない訳!?」




拓巳「…わかったよ。理由が。僕が、ここをどいちゃいけない理由。」




フレンダ「お願いっ!お願いだから逃げてっ!あたしは貴方を殺さなきゃいけなくなる訳よ!それだけは絶対にいや!」




拓巳「フレンダ?」




フレンダ「貴方がこれを一人でやれるくらい強くても、麦野には敵わないっ!あたしが見逃しても、麦野は絶対貴方を[ピーーー]!」




フレンダが、冷静さを完全に失う。




もう涙を隠そうとすらしない。




拓巳「ふ、フレンダ。聞かせて欲しい。キミは、どうしたいの?」



フレンダ「な、何言って___」



拓巳「僕は、キミがずっとこのままでいたいと思ってるとは思えない。キミはどうしたいの?」



フレンダ「タクミ?わ、訳がわからないって___」



拓巳「フレンダ?」
210 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:16:33.81 ID:uN7ghZJl0


どうしてか、フレンダには、彼が自分の願いを叶えてくれるランプの魔人のように見えた。




彼の表情は、昼間と大違いだ。自信に満ち溢れ、傲慢といっても良いほどかもしれない。











フレンダ「あ…あたしに願いなんて…」



拓巳「嘘だ」



フレンダ「っ!」



拓巳「ふ、フレンダ。キミは…き、キミは悲しそうにしてた。」



フレンダ「あ、あたしは悲しくなんか__」



拓巳「気付いてないだけだよ。フレンダ?キミはどうしたいの?」



フレンダ「あ、あたしは…」



211 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:17:00.47 ID:uN7ghZJl0


何なんだ?彼はどこかおかしい。



会ったばかりの女に、どうしたいか?だって?



あたしのことなんか知らないくせに。



どんな思いで日々を暮らしているかなんて、想像もできないくせに。













___________どんな思いで、貴方と話していたか、知らないくせに。










フレンダ「っ!助けて欲しいに決まってるわよぉおおおおおおおおおっ!!!」




もう我慢できなかった。



ああ、あたしは何を言っているのだろう。



あったばっかの素人に助けろだ?笑えてくる。



自分は今、おかしなことを口走っている。そんなことは百も承知だ。しかし。




フレンダ「なにが暗部よ!なにが殺しよ!なにが置き去りよ!そんなんどうでもいいのよ!」
212 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:17:40.14 ID:uN7ghZJl0


言葉は、堰を切ったように流れ出す。




フレンダ「あたしは、あたしはねぇっ…!」



息を大きく吸い込む。






フレンダ「結局、のんびりダラダラ!面倒なことをさけてゆーーーーっくりしたいだけな訳よっ!!!!!!!!!」






……


………


沈黙。拓巳は、驚いたような様子を隠そうとしなかった。




フレンダ「…(ドン引き、されたよね…あはは…)」




叫びたいだけ叫んだ。しかし、それで何だというのだろう?



彼は、なにをするつもりなのだろうか?



涙と鼻水でくしゃくしゃになっただけの価値が、果たしてあるのだろうか?



フレンダがそう自問自答していると、拓巳はこう言った。







「_________ふひ、そ、その言葉が、聞きたかった。_____________」
213 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:19:46.42 ID:uN7ghZJl0


そう言って、拓巳は、自分の傍らを通り、逆方向に歩んでいく。




フレンダ「え?ちょ、ちょっと待つってわけよ!アンタ、何言って____」




拓巳「り、理由。」




フレンダ「えっ?」




拓巳「理由、言ったでしょ?ま、守りたいって。」




拓巳は、振り返る。




そして、恥ずかしげな、ぎこちない笑顔で、下手糞な笑顔で、こう言った。







「____キミも、その一部なんだよ?フレンダ。_______」






フレンダ「っ///た、タクミっ!ちょ_____」





だが、その言葉は最後まで言えなかった。



フレンダの意識に霞がかかる。




フレンダ「(…け、結局、ずるいって訳…)」




214 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:20:18.64 ID:uN7ghZJl0




一方通行「あン?何だこりゃあ?また随分とユカイなことなってンじゃねえか」



天井を追跡する追っ手を一人残らず蹂躙した一方通行は、必死にミサカ00029号の応急処置を行っている天井の様子に顔をしかめた。



天井「…う、うるさい。そんなことより、追っ手は殲滅したのだな?」



一方通行「誰に向かっていってやがる。あとは、拓巳だな…おい、クソ中年。」



天井「私はまだ二十代だ…!一体なんだ?」



一方通行「…お姫様のコトは頼ンだぜェ?」ニヤニヤ



天井「…馬鹿を言うなっ!さっさと行ってしまえ!」



ミサカ00029号「………///」



一方通行「ハイハイ…」




茶化すような言葉を最後に、一方通行は踵を返す。




一方通行「(…あの、天井亜雄がねえ…)」




あのクソ野郎に関わったものは、皆こうなっちまうのだろうか。




そんなことを心中で呟きつつ、一方通行は拓巳を追った。
215 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:22:55.67 ID:uN7ghZJl0



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麦野「…絹旗たちからの連絡が無い。こりゃあやられちまったかね?」




第三研究棟のホールで、麦野沈利は呟く。




麦野「やっぱ、あんた達の仕業なのかにゃ〜ん?…ねぇ?第八位?」



拓巳「……」



どうやら、麦野沈利は僕の名前を知っていたようだ。




(ど、どうしよ…こういう女苦手だ。)





麦野「フレンダも、絹旗も、滝壺も、み〜んなアンタが殺したの?」



拓巳「さ、三人とも生きてるよ。僕は、キミたちを止めに来た」



麦野「『キミたち』だぁ?どういう意味かにゃ〜ん?怒んないから、お姉さんに説明してごらん?童貞野郎」



(い、いや…もう怒ってんじゃん。)




(て、ていうか何故僕が童貞だと知っている!?)
216 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:23:26.37 ID:uN7ghZJl0



拓巳「…ふ、フレンダの居場所であるキミたちを、こんなことばかりさせてはおけないよ。さ、さあここは引いて?僕たちなら____」



麦野「…ふざけんなよ」



拓巳「っ!」



麦野「いきなり何だテメエは?上から目線もいいところだ。『コンナコト』?どんなことだよクソが。アンタにあたしらの何がわかるってんだ?」



拓巳「…な、何も、知らないよ」



麦野「だったら__」



拓巳「でも」






拓巳の眼が、空気が一変する。



気弱な学生は、学園都市230万の頂点、八人のレベル5へと変貌する。





拓巳「僕にとって、そんなの問題じゃない」



瞬く間。



拓巳の体は、麦野の目の前にあった。



麦野「っ!クソがぁ!」



麦野はバックステップの要領で、すぐさま後ろに飛ぶ。



そして、距離をとりつつ『原子崩し』の本領である粒機波形高速砲を放った。
217 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:23:58.00 ID:uN7ghZJl0


拓巳「っ!?」





拓巳の腹部を光線が貫く。



拓巳の腹に、大きな風穴が空く。普通の人間なら即死だろう。





麦野「ってあれぇ?もう御終いかよツッマンねえ!…ったく口ほどでも____」





そう、普通の人間なら。




拓巳「…か、完全に油断してたよ。痛覚の遮断が間に合わなかった…い、痛かった…」



麦野「なっ…!?」



化物。その一文字が麦野沈利を支配した。



拓巳「…これは、やり方を変えるしかないな…」
218 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:26:17.68 ID:uN7ghZJl0




麦野「っ!?(普通じゃない!?どうして生きてる!?高位の『肉体再生』!?いや、そんなレベルじゃない!!)」



拓巳「…話しにはなんないっぽいし、ぼ、僕は説教するってガラでもないしね…」



麦野「っく、来るなァあああああああああああっ!!!!!」




麦野沈利は、ありったけの光線を放つ、そのことごとくが、西條拓巳の体という体を貫いた。




しかし。




拓巳「…無理だってば。い、痛くもかゆくも無いしね…」



麦野「ばっ…化物ぉっ…」




血を流し、腕が、足が、首が、臓腑が、何度も何度も吹き飛ばされる。




だが西條拓巳は立ち上がる。何度でも。まるで、何も無かったかのように。




拓巳「あ…そ、その顔いいね?興奮してきたよ…強気な子が時折見せるそういう表情はたまらないです。ご、ご馳走様です。…ふひひ」




麦野「ふぇっ…こ、来ないでよぉ…お願い…お願いだから…」




化物と呼ばれ、恐怖を与える立場であった彼女が、涙と鼻水で顔をグシャグシャにして、必死に命乞いをしている。




拓巳にとって、これはご褒美以外の何ものでもなかった。
219 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:26:51.25 ID:uN7ghZJl0


拓巳「あ…や、やばい…これは萌える。ひひひ…そうだね。ひとつ、いいコトを教えてあげる。」




麦野「たすけっ…助けてよぉ…」




血にまみれ、完全に再生の終わっていない体を引きづり、拓巳は、麦野に近づく。




そして、息のかかるほどの距離にまで、顔を近づけ、こう言い放った。










「________バケモノっていうのは、僕みたいなコトを言うんだよ?_________」






220 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:27:18.25 ID:uN7ghZJl0

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フレンダ「…はぁっ…はぁっ…」



フレンダは研究所内を駆け回っていた。



どれくらい意識を失っていたのだろう?



拓巳は?麦野はどうなった?



簡単に意識を刈り取られた自分に腹が立った。



フレンダ「…タクミの能力だと思うんだけど…って、いた!タクミ!平気!?」



拓巳「あ、フレンダ。」



一方通行「また女かよ…」ハァ



フレンダ「麦野は…?」



拓巳「あ、あそこ…」



拓巳が指差す先には、体育座りのような格好でうずくまる、麦野沈利がいた。
221 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:27:54.32 ID:uN7ghZJl0


フレンダ「…むぎの?」



麦野「ふぇ…?ふ、ふれんだ〜!」



フレンダ「ってええ!?ちょっ!麦野!ああっ///やめてやめないで!!」



(あ、あの麦野がこの様子っ!?タクミは一体何したのよぉっ!?)



拓巳「…弱気むぎのん陵辱の薄い本でたら十冊買う…」ブツブツ



一方通行「なァにブツブツ言ってンですかァ?…」



フレンダ「ねぇ…?拓巳…結局、麦野に何したって訳?」



拓巳「え。ちょ、ちょっとだけ脅かしただけだよ…ひ…ふひひ…」



フレンダ「ふぅん…?」ジトー



一方通行「…相変わらずだな、タクミ。おい、テメエら。アイテムの連中はウチで保護してる。しばらくはここにいろ」



フレンダ「…アンタ達は、一体どうする訳?」



一方通行「…決まってンだろ?なあタクミ?」ニヤ



拓巳「…怯えるむぎのん可愛いよ…ハァハァ…」



フレンダ「…タクミ?」ジトー



拓巳「えっ!?あ…うん!おうともさ!」



一方通行「はぁ…ンじゃ、さっさと行くか」



フレンダ「行くってどこに?」





一方通行・拓巳「「アイテムを、ぶっ壊しに」」



222 : ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/18(木) 23:28:42.92 ID:uN7ghZJl0




フレンダ「…え?」
223 : ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/08/18(木) 23:32:05.77 ID:uN7ghZJl0
今日はここまで!
フレンダさんがヒロインでした!
次回はほのぼのになります!
天井に関しては、pixivのとある絵にインスパイアされてやっちゃいました!
拓巳さんはシリアスだとどうもイケメンになりがちですが、許してください!
次回更新は一週間以内!
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/18(木) 23:34:28.25 ID:ugycxA2go

このSSが最高すぎるのでカオスヘッド買うよ
でも化物は二文字だよな
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/18(木) 23:35:13.49 ID:jiI5faEAO
乙!タクのキモカッコよさがいい味出してるわwwww
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/18(木) 23:37:55.49 ID:9+/fhAbco
乙!拓巳マジかっけぇ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/18(木) 23:44:17.51 ID:Vfqx50jo0
乙乙!
天井がカッコいいSS初めて見た気がする

>>1は禁書勢の中で誰かに「剣」を手に入れさせる予定ある?
それともう一つ
わざわざメ欄にageって入れなくても上がるぞ?
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/19(金) 00:55:39.65 ID:8rEJu+BAO
野呂瀬ポジのキャラはどいつだッ!
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/08/19(金) 01:08:44.24 ID:nQMx0XzAO
やっぱ麦野はイジメられるのが可愛い
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 01:56:32.46 ID:NRl7DitIO
拓巳すでにレベル6でもおかしくないな
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/19(金) 04:19:52.57 ID:+5IDnH7Vo
弱気むぎのんかわいいよ
それにしても拓巳強すぎだな
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/19(金) 11:40:05.14 ID:BTjcPonAO


宿敵たる幻想殺しとの対決が気になるな

星来たん消されたりしたら…
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 17:02:06.40 ID:Wl7kGggIO
>>232
さすがに上条さんは登場しないだろう
よしんば出てきても敵にまわる理由がない。
まぁ作者の性格改変具合で、敵勢力にまわっている可能性もあるが…
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/19(金) 20:17:28.48 ID:IOM6T6Kzo
まあガチで対戦することはないだろうけど、勘違いでならありそうだな〜。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/21(日) 20:38:00.82 ID:ZW/OY9Dao
>>230
ぶっちゃけトップレベルだもんな
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/08/21(日) 21:03:36.15 ID:0ZWBzoIAO
一人じゃリアルブートできないとはいっても
逆説的に言えば周りに誰かいれば何でもありだからな
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:10:09.19 ID:4WEYtp9Z0
スレチの話題だがシュタゲ8bitのあらすじ見てクソ吹いた
ナイトハルトさんなにやってんだよ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2011/08/21(日) 21:18:50.63 ID:RvI7GcgAO
世界全てを萌えで支配すれば引きこもらなくていいんじゃね的な
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:27:01.93 ID:T7ry8phIO
>>238
それを演算しうるほどの耐久力はないと思われ
第一位である一方通行だって、世界中の現象をベクトル操作するなんて芸当はたぶんムリそうだし…
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/21(日) 21:33:34.64 ID:0PRSdgSto
>>239
別スレの話ですぜ、ダンナ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 14:09:33.36 ID:g+X989/t0
このssじゃあ演算必要ないって言ってなかった?
242 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:38:03.78 ID:OwAYSLvX0
来ちゃいました!これで名前つくのかな?
レスたくさんついててうれしい!
拓巳の能力については、他の能力と体系が異なってる感じで、たぶん演算とか必要ない感じです。
かまちーもあんま考えてないから大丈夫だよね?
今日は二編!その後と一方さんのお話!
243 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:39:19.49 ID:OwAYSLvX0



第七学区。



巨大な面積を誇り、寮に学校、ショッピングエリアなど、雑多な建築物が立ち並ぶ学区である。



その中央地に佇む、異様な空気を醸し出す巨大な建造物を、人々は「窓の無いビル」と呼んでいた。




そこには、ひとりの人間がいた。



彼は、緑の手術衣に身を包み、常に微笑を含ませたような表情を浮かべる。



一見しただけでは年齢が、いや、性別さえも読み取ることができないだろう外見をしていた。



弱アルカリ性培養液で満たされたビーカーのなか、逆さまに浮かび続けるそれは、学園都市で最も大きい権力の持ち主だった。





244 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:39:54.61 ID:OwAYSLvX0


統括理事長・アレイスター=クロウリーは、思考の海に沈む。



眼前には「滞空回線」によって映し出される外の様子が鮮明に映し出されている。



彼の声が、部屋中に響く。



「…やれやれ。厄介なことだな」



そう一人ごつ先には、別々の映像に映し出された老若男女十人ほどの顔が見える。



彼らこそ学園都市統括理事のメンバー。これを眺める彼を除き、この都市で最も大きい権威をほこる重要人物たちである。




「この中の何人が『あちら側』なのか…」



そう呟きつつ、眼を別の映像に向ける。



そこには、気弱そうな少年が映っていた。
245 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:40:20.85 ID:OwAYSLvX0


一見普通の学生にしか見えない彼こそ、学園都市の頂点・レベル5の一人、西條拓巳である。



「暗部組織の解体に、一方通行を始めとする多数の能力者との太いパイプ。捨て置くわけには行くまい。」



__しかし。



その言葉をアレイスターは飲み込んだ。



少年は危険すぎたのだ。



「強さ」という物差しで計れば、学園都市で一、二を争う実力者であろう。



彼の能力は、実験のもたらす利益という側面から見ればたいしたことは無いかもしれない。



レベル5の「第八位」という地位は、当然そこにも起因している。



しかし、彼が「第八位」であるのには、もう一つの理由が存在した。



246 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:40:59.34 ID:OwAYSLvX0


「…私が。この私が恐れるか、一人の学生風情を」




自嘲の笑みと共にアレイスターはそうこぼす。




そう、彼の力は危険すぎる。




「プラン」の前の無視できない要因となるにしろ、アレイスターほどの人物が動けずにいるのだ。



彼が「第八位」たりえたのは、金銭的、待遇的な面で彼を満足させ、何にも興味を抱かせないようにするという目的も含まれていた。




「まったく、お笑い種だよ。この私がどうにもできないなど…」




彼の表情は諦観からくるものではない。



微笑をはっきりと「笑み」と言えるものに変化させ、彼は別の方向に眼を向けた。




「…利用できるものは利用させてもらうよ?さあどうするかな西條拓巳。私としてはキミの姿ももう見納めになっても良い頃合いだとおもうのだがね」




オレンジ色のビーカーの中、光の無い青い視線の見つめる先には___







________NOZOMI__________










そう書かれた文字列が、怪しく光っていた。
247 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:41:34.31 ID:OwAYSLvX0

________________________________________________________






拓巳「…お、おまいは何を言っているんだ?」




???「わかんねえのか第八位。俺も仲間に入れてくれって言ってるんだ」




一方通行「…」ペラ





…も、もうポルポルネタは止めよう。




学校から帰ってエロゲをプレイしてたら、いきなりチャラ男が訪ねてきた。



て、ていうか、なんか最近不測の事態に対し耐性が付いてきた。なぜかうちで我が物顔で漫画を読んでる一方通行は顔を上げさえもしない。




拓巳「き、キミみたいなチャラ男シラネっ。で、出ていけよ。ここはキミみたいなヤリチン野郎が来るところじゃあないんだっ」



こういったチャラ男にはいい思い出が無い。



???「…なんだそんなことか。やれやれ…安心しろ。俺は童貞だ」



拓巳「っか、かくいう私も童貞でね」







………



ま…マジで?




今の言葉が本当なら話くらいも聞いてやっても良いだろう。
248 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:43:23.30 ID:OwAYSLvX0



拓巳「…で、用件は?い、今いいところなんだから手短にね」



???「いやよ…責任取れって話だよ。テメエらが暗部解散させやがるから家も無くなったし、仕事もねえんだよ。今の俺はニート同然。一体どうしてくれる?」



僕らが暗部組織を解体したのち、解散した暗部の連中、は学校へ通ったり、思い思いに過ごしているらしい。



組織としての体裁を保ったままのところもあるらしく、アイテムはそのいい例で、警備員の協力などを行っているらしいのだが、コイツは違ったのだろう。



拓巳「し、知らんがな…が、学校でも行けば?」



???「あ、それもそうだんだがな…俺が言いたいのは___」



一方通行「おいタクミ。このビーダマンってのはこンなに威力があるもンなのかァ?危なすぎンだろ?」



拓巳「い、いや漫画だし…そんなに威力あるはずないっしょ、常識的に考えて」



一方通行「ふぅン」



???「っておい!ナチュラルにさっきからシカトかましてんじゃねえよ第一位!」



一方通行「うっせェな…今いいとこなのによォ。あ?テメエどこのどいつだ?」



???「気付いてさえいなかったの!?俺泣いていい!?」



…さすがに可哀想になってきた。名前くらいは訊いてやるか。
249 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:43:53.78 ID:OwAYSLvX0



拓巳「…で、だれ?何で、ぼ、僕んちしってんの?」



???「はっ!そんなの天下の第二位たる、この垣根帝督にかかればちょちょいのサッだ!」



拓巳「へ、へぇ…第二位ね。で、なにしに来たん?」



垣根「俺もテメエらみたいに女の子とイチャイチャしたい」



拓巳「だが断る」



垣根「っええ!?はええよ!つーか何でだよ!」



拓巳「…だ、だってお前チャラそうだし…も、モテんだろ?マジで[ピーーー]よ」



一方通行「…最後のほう殺気がこもってたぞ。つゥかテメエが言うなよタクミ…いいかげんにしないと後ろから刺されンぞ」



垣根「はっ!だから言ったぞ童貞だって!モテませんんんんーーーーッ!!!ビックリするほどモテませんんんんん!!!!!!」




ええ…ひ、必死すぎるだろ…
250 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:44:33.07 ID:OwAYSLvX0



垣根「つーかイケメンだからモテるって時代は終わったんだよクソボケ!俺がモテねえのがいい証拠だ!」



一方通行「自分で言うなよ。[ピーーー]」



垣根「お前ら俺の扱い酷すぎだろ…ああもう!勝手に来るからな!来るなっていっても来るからな!」



一方通行「タクミ。打ち止めがビーダマン欲しがってたンだけど平気かなァ」



拓巳「ゆ、ユンカーユニコーンとノーチラスポセイドンだけは止めとけ」



一方通行「わかったァ」



垣根「話きけよ!?つーか知らない人多いよ!?」



一方通行「じゃあこのゴールデンビーダマンはァ?」



拓巳「そ、それは仲間のターゲットが映りこむから止めとけ」



垣根「だからわかんねえって!?ポカーンってなるネタ止めろ!!」



一方通行「さっきからうっせえな…」



垣根「ふんっ…第一位よ。テメエも童貞だろ?仲良くしようぜ?」



一方通行「きめえ。話しかけンな」
251 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:47:00.51 ID:OwAYSLvX0


さ、さっきからこのチャラ男は童貞にコンプレックスもちすぎだろ…



垣根「よし。童貞三人だから…そうだな、天使のように穢れ無き男達っ!名づけて天使同mぐっはぁ!!!!!!!!」



一方通行「それ以上言うなァ。死にてえのか」



垣根「いってえ…おいタク。なんか案はねえのか?」



拓巳「え…?た、タクって僕のこと?」



垣根「お前意外に誰がいるんだよ?ほら、意見だせよ」



拓巳「…」





あだ名なんて初めて聞いた。



こ、コイツ意外にいいやつじゃね…?
252 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:47:35.84 ID:OwAYSLvX0



垣根「オイ?聞いてんのかよ?…おーい」




その日から、僕の悪友はまた一人増えた。




拓巳「う、えと…じゃ、じゃあ…」




垣根帝督。




こんなバカもひ、一人くらいいてもいいよね?




拓巳「…ち、チームガッツとか?」




垣根「…お前…」




一方通行「風のビリーマジかっけェ」




253 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:51:00.29 ID:OwAYSLvX0


〜番外編〜




           通行止めときどき天井
254 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:52:19.01 ID:OwAYSLvX0


        「くっだらねェ…」



夜の街、明かりの完全に息絶えた裏路地で、『最強』の超能力者は吐き捨てる。


『最強』、それもかつての話であるが。


「…何もかも、変わっちまったように見えたンだがなァ」


誰に向けたわけでもなく、かつての『最強』、彼、一方通行は呟いた。


足元には呻き声を搾り出すだけの肉体と化したスキルアウト達が転がっている。


「……帰って寝るか。」



一方通行は、西條拓巳に敗北した。


それと共に、彼の生活も一変した。そう、まさに、一変だった。


「普通の」学生としての学校生活。


利害関係のない「友達」。


そう、今の彼を包み込むのは平穏な生活。


かつての彼に現在の状況を話してみたとしたら、間違いなく笑い飛ばすだろう。


少なくとも、今の彼はそう思っていた。
255 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:54:43.44 ID:OwAYSLvX0

しかし、変わったといっても彼を取り巻く状況の大枠は不変である。


以前のように『最強』の名に群がる人間は吐いて捨てるほどいる。


実際、今地に横たわっているのがその証拠といえよう。


「変わった…変わった、ねェ…」


西條拓巳やその妹七海、ミサカ00001号、その他の顔ぶれを思い出す。


今日は拓巳が新作エロゲーをやるらしく一緒ではないが、明後日には彼の部屋の片付けを手伝ってくれるらしい。


丁度引越しを考えていた彼にとっては渡りに船という所であったのだが、一方通行は性格上遠慮した。


しかし、七海の強い要望によって押し切られてしまったのだ。


「はァ…めでたいこった……ン?ありゃ何だ?」


彼の思考は打ち切られた、それもそのはず、目の前で、とても穏やかには見えない事態が繰り広げられていたからである。


「は、放してっ!ミサカは抗議してみるぅ!い、痛い!」


「暴れるなクソガキ!」



毛布をかぶった小さな人影に、陰気そうな白衣を着た男性が言い寄っている。


「…もしかしなくても変態だよなァ…」


一方通行は彼らに近づく。
256 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:55:11.59 ID:OwAYSLvX0


拓巳も「し、真のロリコンとは、て、手荒な真似はしないんだ。」とか言ってたし。とか、考えながら。


しかし、次の瞬間。



「いい加減にしてーーーーーーーーーーっ!」


「おおっと!!!キ、キサマら用の対策を施してないとでも思ったか!!」



小さな人影は、体から高出力の電流を放った。


しかし、研究者の様な姿をした男には通用しない。



「…ふうっ。ミサカはミサカは一安心してみる……って、あれ!?つ、通じてないの!?」



「……。(その電流…そして、『ミサカ』だと?)」



怪訝に思った一方通行は彼らに近づく。そして_



「…あ!あなたはっ________________!」



「…オマエ、頭から被ってるその毛布取っ払って顔みせてみろ」



「あく…ってええ!?ミサカはミサカは突然往来で服を脱げというあなたに困惑しつつ__」



「いいから早くしやがれッ!ってあァッ!?な、何だこりゃァ!?」



一方通行が取り払った毛布の向こうには、逸しまとわぬ姿となった少女がいた。
257 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:55:40.95 ID:OwAYSLvX0


「っやぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



「……」



案の定、彼女は御坂美琴と同じ顔をしていた。



「き、キサマっ!!あ、一方__」



「テメエは寝とけ。」



「ぐぁ!」



一方通行の拳が研究者の鳩尾にめり込む。



研究者は、その一撃で意識を完全に刈り取られた。



…いや、研究者とかどうでもいい!



「か、返してっ!み、ミサカはこの扱いに徹底的に抗議してみる!」



「…コイツ…どォしよ…」


258 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:59:09.76 ID:OwAYSLvX0



_______________________________________________






一方通行「なァるほど…天井亜雄か…どっかで見た顔だと思ったらあいつか…」


打ち止め「うんうん!…ねえ?デザート頼んでもいいかな?って、ミサカはミサカは上目遣いで尋ねてみるっ!」


一方通行「ァ?…しょうがねェな…店員さーン」



打ち止めと名乗った少女は、すべてを話した。


芳川に電話したら、明日まで預かってほしいとのことだ。


今彼らはファミリーレストランで楽しくお食事中だ。



例の研究者の名前は天井亜雄。「妹達」の実験に深くかかわっていた男だ。



一方通行「(…ヤツとは話をする必要がありそうだなァ)」



天井は回収させたので勿論ここにはいないが。
259 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 20:59:43.66 ID:OwAYSLvX0


一方通行「…はァ。まァいっか…」


打ち止め「なんか、情報よりアナタって断然いい人なのねっ!ミサカはミサカはびっくりした!」


一方通行「いい人ね」オマタセイタシマシター


打ち止め「わぁーい!」


一方通行「(ま、これで『妹達』関連も終いだろ)」


一方通行「オイ。今日はウチに泊まれ。」


打ち止め「っええ!?…えと…//も、物事には順序ってものが…ってミサカは…///」


一方通行「変な勘違いすンなよォ!とりあえずだ。明日以降はどうなるかわかンねェよ。それ食ったら行くぞ。」


打ち止め「はーい」


一方通行「まァったくよ…ツイてるンだか、ツイてねえンだか…」


打ち止め「ん?ひゃんかひっは?」


一方通行「なァンでもないですよ。…もっとキレイに食べれないンですか?」


打ち止め「あっ///だ、大丈夫だよっ!自分で拭けるぅっ!」


260 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 21:01:25.10 ID:OwAYSLvX0


___________________________________________





一方通行「眠ィ…」


拓巳「ど、どうしたん?今日は疲れてるの?」


一方通行「…色々あったンだよ。一昨日から…な」


七海「ちゃんと寝ないとダメですよ?おにぃみたいにゲームばっかやってるとゲーム脳になっちゃいますよ?」


梢「んっ(そっの通りなのら〜♪)」


拓巳「はぁっ?げ、ゲーム脳はか、科学的に存在しないって証明されてるからねっ!こ、これだからゆとりは…」


ミサカ「そのとおりです。タクミの言っていることは正しいことです、と、ミサカは同意します」


一方通行「テメエもゆとりだろうが」


七海「そんなことよりっ、今日は鈴科さんのお部屋を隅々までキレイにしちゃいますよ!ねっ?梢さん!」


梢「んっ!(ピッカピカなのら〜っ!)」


一方通行「…『ぴっかぴかなのらー』と、言ってる」


ミサカ「…ホントかよ…と、ミサカは「なのらー」とか言ってる一方通行を訝しみます…」


拓巳「………」


い、いい加減慣れたけど、ホントにそんなこと言ってるのかよ…
261 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 21:01:55.43 ID:OwAYSLvX0


そんなこんなで一方通行の家に到着した。


遠めからでも荒れに荒れている。



一方通行「私物はほとんどねェから、あるもの全部処分してくれて構わねェ。」


七海「き、聞いてはいましたけど…」


拓巳「ま、まさに世紀末…」


ミサカ「どうみても廃屋レベルですね…」


一方通行「ちょっと待ってろ、見てくるから。……梢、テメエもだ」


梢「っ…(ひぎゅう〜)」





こずぴぃが残念そうな表情を浮かべる。


一方通行は一人でさっさと先に行ってしまった。






七海「だ、だいじょうぶなのかなぁ…?や、やっぱりおにぃも言ってあげたほうが…」


拓巳「あ、あんなんでも第一位なんだよ?し、心配ないって…」



「な、なんだこりゃァァァァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」



「「!!!!!!!!!!!」」



そんな時、一方通行の叫び声が木霊した。



七海「おにぃ!」


拓巳「う、うん!」


262 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 21:05:36.83 ID:OwAYSLvX0



僕ら四人は駆け出した。階段を二段飛ばしで上る。



あっという間に一方通行の部屋に到着した。



近くでみると一層荒れ方の酷さがわかる。



拓巳「あ、一方通行!」


七海「鈴科さん!」


梢「っ!(あくせらしゃん!)」


一方通行「く、来るンじゃねえええええええええええ!!!!!」



酷く慌てふためく一方通行の声を無視し、彼の部屋に踏み込んだ。



するとそこには____




打ち止め「いらっしゃいっ!って、ミサカはミサカはご挨拶っ!」




裸エプロンの幼女が、正座していた。





拓巳「……」


七海「……」


ミサカ「……」


梢「……」




一方通行「ち、違う!これは誤解なンだよォ!!そ、そンな目で俺を見るなァァァ!!!!!!!!」




263 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 21:06:25.66 ID:OwAYSLvX0


ミサカ「…梢に懐かれてるあたりから疑ってはいましたが…」


七海「…す、鈴科さんが…そんな…」


梢「…(…あくせらしゃん?説明してくれるのら?問答しだいでは…ドカバキグシャーしちゃうのら?)」


一方通行「オイ…ちょ、ちょっと待て…」


打ち止め「もう!アナタったらぁ!照れなくてもいいのに!一昨日なんてあんなに激しくミサカの衣服を剥ぎ取ったのに!


     って、ミサカは頬を染めつつ恥らってみる///」イヤン



拓巳「なん…」


ミサカ「だと…」


七海「ははは、はぎ、はぎとったって…///」


梢「…(…もーう許さなーいのらー♪…)」



一方通行「テメエ!誤解を招くようなこと言うんじゃねェ!大体何でこんなところにっ…ってちょっと?ェ?」




七海「…鈴科さーん?ナナ、ちょぉっとだけお話があるんだけど、聞いてくれない?」


梢「…(…あくせらしゃん?こっちきてドッカバキグシャーしよっか♪)」



264 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/22(月) 21:07:27.08 ID:OwAYSLvX0




まぁ…しょうがないよねこの流れは…



拓巳「ど、どうみてもロリコンです。ほ、本当にありがとうございました」







一方通行「ちっくしょォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」






その後、一方通行の誤解が解けた時には、彼の数少ない私物は、全て使い物にならなくなっていた。



265 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/08/22(月) 21:09:19.20 ID:OwAYSLvX0
今日はここまでです!前回の後日談的な感じと、ちょっとちがった一方さんの出会い。
ネタは許して…?
次回更新は一週間以内!ありがとうございました!
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/22(月) 21:18:43.58 ID:J6uBkphpo
激しく乙!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/22(月) 21:53:39.05 ID:fo30q3INo
乙でした!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/22(月) 21:59:20.77 ID:jpLYHCWSo
乙乙ビシビシィ!
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/22(月) 22:57:56.16 ID:FZQ+yFi40
おつなのらー
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/23(火) 03:34:35.10 ID:Kdq4pWMAO

ビーダマンとか懐かしすぎだろ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/23(火) 06:25:08.45 ID:Xw8pE6nLo
これがワイのワイルドワイバーンや!
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/23(火) 07:01:47.32 ID:/txA6NmLo
>>250
打ち止めがビーダマン欲しがってるって
この時打ち止めと一方通行会ってなくね?
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2011/08/23(火) 07:10:26.28 ID:9nWAyCHNo
>>272
お前の読解力うんぬん
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/23(火) 14:04:40.91 ID:tw5ZbhrAO
金ビーダマンが欲しくてしょうがなかったあの頃を思い出した
しかし実際に撃ってみるとショボくてなけるんだなこれが・・・
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/23(火) 16:20:34.34 ID:OKoK8psAo
ビーダマンとか懐かしくて涙出そうになる
スタッグスフィンクスのトリガーがポッキリ逝ったのはいい思い出
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 01:13:02.60 ID:aOZxL+eDO
コバルトソードとかシュレッドカイザーしか覚えてないや
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 16:22:04.52 ID:gL1U8B0l0
ノーチラスポセイドンてあれだよな、照準みたいの付いてる奴
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/25(木) 11:27:22.69 ID:RlKS27yAO
>>277
玉が発射されるのではなくこぼれていくぐらいの威力しか出ないやつか
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/27(土) 19:21:17.90 ID:5KTSeXjAO
本当にいいな。
カオヘとかマジ俺得。しかもハッピーだけでグダらないのがすごい。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 00:33:54.42 ID:zCgW+vo/0
>>1
このSSでの一応のオチ、というかエンディングは考えてあるのか?
できれば無視せずに答えて欲しいのだが
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/29(月) 14:17:46.07 ID:IL2y7CBAO
>>280
お前何様のつもりなんだ?
仮に考えてないと答えたら偉そうに説教でもするのか?自分に甘くて他人には厳しい典型的ニート気質だな
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/29(月) 15:19:15.90 ID:DdVsLqAto
キリッ
283 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:10:34.67 ID:/w2WKOHD0
レスありがとうございます!励みになリます!
どんな質問でも基本的には答えるので構いませんよ?
終わり方は二通りほど考えてあります。ただ、アイデアが浮かぶだけ続けたい所存です。
では投下!
284 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:11:12.66 ID:/w2WKOHD0



佐天「コキュートス!!」ビシィッ



「「……………」」



お…おまいは一体何を言っているんだ…?



佐天「なっ、なんですかもう!その反応は!まさか知らないんですか!?」



拓巳「し、知らないよ…何ぞそれ?」



佐天「えー?タクミさんTVとか見ないんですかぁ?FESですよFES!!」



垣根「あん?知らねえなぁ。初春、知ってるか?」



初春「勿論ですよ。垣根さん、レベル5なのに知らないんですか?ま、垣根さんじゃあ仕方がないかー」



垣根「おい。どーゆー意味だ」



ファミリーレストランでこんな風にだべるのが当たり前になるなんて、思いもしなかった。


きょ、今日は、ちょっと変わった面子だけどね。


今日は花畑女こと初春さんと、その友人佐天が一緒である。
285 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:11:47.40 ID:/w2WKOHD0


ファミリーレストランでこんな風にだべるのが当たり前になるなんて、思いもしなかった。


きょ、今日は、ちょっと変わった面子だけどね。


今日は花畑女こと初春さんと、その友人佐天が一緒である。


一方通行は七海にこずぴぃ、そして打ち止めちゃんと一緒にお料理教室らしい。


垣根も一緒にいるのは、このアホも長点になんだかんだ言ってやってきやがったからだ。


佐天たちがいるのはたまたま会ったからであって、示し合わせたわけではないんだぜ!


なんか女の子と遊んでばっかじゃね?ぼ、僕って超勝ち組じゃね?




初春「学園都市を中心に活動してきて、最近では学園都市の外でメジャーデビューもしたんです!すっごく有名なんですよ?」



拓巳「ぼ、僕は…テレビとか見ないからね」



垣根「右に同じく」



佐天「やっぱレベル5の人って世間ずれしてるのかなー。そのバンドのヴォーカルがFESっていうんですけどね?___」





…ここからは非常に長かった。



この佐天って子はよくしゃべるなぁ…



っていうか、ほ、本当に中一かよ…去年までランドセル背負ってたんだよね…?
286 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:13:27.42 ID:/w2WKOHD0


拓巳「…」



天真爛漫に話す彼女のことを嘗め回すように視姦する。



なんていうか…は、発育よすぎだろ…常考…



拓巳「な、なんと…これはけしからん…ふひ…」



佐天「なんていうかすごい人なんですよ!歌も勿論すごいんですけど__ちょっとタクミさん?聞いてます?」



拓巳「へぁ?も、もちろんだよ。な、なんかいろいろすごいけしからん!そ、そうだよね?」



佐天「?…まあいいですけど…こほん。えー…なんというか…そう!神秘的なんです!すっごく!」



垣根「神秘的?」



佐天「そう!神秘的!ライブの雰囲気もすごいらしくって!そのFESの決め台詞がこれですよ?…コキュートス!」キリッ



初春「こきゅーとすっ」ビシィッ

287 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:14:18.92 ID:/w2WKOHD0


垣根「ふぅん…そいつ女なの?」



初春「そうですよ?すらっと背が高くって、冷たい感じですけどすっごく美人です!」



垣根「よしタク。見に行くぞ」



拓巳「よかろう…ってえええ!?い、いきなり何言ってんだよこのヴォケ!のっ、脳みそあんの!?」



急に眼の色を変えた垣根がアホなことを言い出した。



こ、こいつ女に飢えすぎだろ…



垣根「…なんか、お前最近一方通行みたいになってきたね…うん。もう慣れたからいいけどね」



初春「会いに行くって垣根さん。ツテでもあるんですか?FESのバンド・ファンタズムのライブチケットは、プレミア付いてて滅多なことじゃ手に入らないんですよ?」



垣根「ふん。俺に常識は通用しねえ。手に入れてやるさ…なぁタク?」



拓巳「…ぇ。ぼ、僕が協力すんのかよ…」



垣根「頼むよぉ〜タクぅ〜同じ女を愛した仲だろぉ〜?」



拓巳「きっ、キモいこというな!分かった!わ、分かったから離れろぉ!くっつくな!」



初春「…////」
288 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:14:58.31 ID:/w2WKOHD0



こ、こいつ…調子付きやがって…



あ、ちなみに同じ女を愛したって言うのはエロゲの話ね?



…ていうか初春さんの様子が変だな…ど、どうしたんだろ?



佐天「おぉう!垣根さん輝いてるぅ!」



初春「は、はい!その台詞をドヤ顔で言う垣根さんをはじめて格好良く感じました!」



垣根「っふ。今更気付きやがったか」



拓巳「い、いや…どう考えても褒められてないっしょ…」




初春さんよりよっぽど頭の中花畑だよこいつ。




佐天「垣根さんステキ!最高!超イケメン!」



初春「太っ腹ぁ!美男子!メッルヘ〜ン!」



垣根「はッ…仕方がねえな。テメエらの分もチケット用意してやる!首を長くして待っていやがれ!」キリッ



佐天・初春「「やったぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ♪」」



拓巳「…………」




…だ、駄目だこいつ…は、早く何とかしないと…!




ていうか…コイツのツテていうか、僕のツテじゃねえかよ…
289 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:17:29.14 ID:/w2WKOHD0



_________________________________________________






数日後、僕は第七学区のとあるライブハウスの前に来ていた。



ほ、ホントに、どーしてこうなった…って感じだよ。



人の多いところは苦手なのに…




垣根「奴らおせえな。タク」



拓巳「そ、そうだね…はぁ…」



垣根「おいおいおい?どうした?これからライブなんだぜ?こういうときは…何だ?アゲアゲっつーの?」



拓巳「う…その言葉、いみじく不快なんだけど…」



垣根「そうか?まぁぶっちゃけライブなんて来た事ねえからな…あ、来た」





もともと小規模のライブを頻繁に行ってきたようなバンドであったからか、今回は小さめなライブハウスが会場だ。



開場時間も近づいてきた中、大勢の人の姿が見られる。




初春「遅くなりましたぁーっ!」



黒子「も、申し訳ありませんの!」
290 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:21:28.28 ID:/w2WKOHD0



垣根「俺を待たせやがるとはいい度胸じゃねえか。つーか佐天はどうした?」



初春「佐天さんは急用で来れなくなっちゃって…代わりに白井さんに来てもらいました!」



黒子「私が代役では不満でしょうか?垣根さん?」



垣根「そうは言ってねえだろ!」



拓巳「や、やあ黒子」



黒子「タクミさん!あの…えと…」



初春「白井さん!ファイト!」



黒子が来ているのには少し驚いた。



あまりこういうライブに似つかわしくない女の子に見えたからだ。



拓巳「く、黒子はこういうの結構来たりするの?」



黒子「ふぇっ?///あ、じ、実を言うと私このような場所はあまり来たことがなくって…」




黒子は、僕の中で最も第一印象と実際の性格がズレている子だ。



さ、最初はなんかこう…もっとハシャいでる感じの子だと思ったんだけど…



顔を真っ赤にしているこのシャイな様子はとても微笑ましい。ていうか正直萌える。ふひ。
291 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:22:01.14 ID:/w2WKOHD0


拓巳「じゃ、じゃあ僕と一緒だね。はぁ…よかったよ」



黒子「よ、良かったんですの?」



拓巳「うん。ぼ、僕だけ浮いてたらどうしようかと…」



これは本当だ。



な、なんか場違いな気がしないでもないし…



垣根と初春さんはなんだかんだ言って楽しみ方知ってそうだしね。




黒子「そんなことありませんの!」



拓巳「え?そ…そう?」



黒子「そうですの!今日は楽しみましょう!拓巳さん!」



拓巳「う、うん。」




ど、どうしたんだろ?急に元気になって…




初春「そうです!楽しみましょう!折角のダブルデートなのですから!ね?白井さぁん♪」



拓巳「へぇぁ?そ、そうなん?」



黒子「う、初春!何を言ってますの!///」



垣根「何だそうだったのかよ〜。全く…そんな遠まわしにしなくてもいつでも付き合ってやるぜぇ?初春ぅ?」



初春「な、何言ってるんですか!そういう意味で言ったんじゃありません!」



垣根「えぇー…冷たい…」シュン
292 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:25:29.99 ID:/w2WKOHD0


こういうこと平気で言えるあたりこいつはすごいのかもしれない…



か、垣根恐るべし…これでモテないとは…リア中の世界は奥が深い…




黒子「あっ。そろそろ開場時間ですの」



垣根「行くか」






ライブハウスは薄暗かった。人混みは嫌いな僕だが、何かが行われようとしているイベント会場のような雰囲気は嫌いではなかった。



観客にはさまざまな人種が存在した。



僕らのように落ち着いた格好をしている客は、恐らくメジャーになってからのファンの割合が多いのだろう。



逆に、比較的パンクな格好をした客は、古参のファンだろう。



割合的には半半といったところだ。きっと会場が会場だけに古参のファンが多いのかもしれない。




初春「わぁ〜。こういうところ来るのは初めてです!」



垣根「なんだ。テメエもライブとか来た事ねえのかよ」



初春「ありますけど、こういった狭いところでみるのは初めてなんですよぉ〜」



黒子「たまにはこう言った空気も悪くはありませんの」



拓巳「げっ…ど、ドリンク高杉…ヴォルビック500円って…」



黒子「足元見すぎですの!」



垣根「ナメてやがるな」



初春「…あのですね。こういうところは高いというのが決まってるんですよ?」
293 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:27:17.05 ID:/w2WKOHD0


そんなこんなでくだらない話をしているうちに時間がやって来た。




会場が暗転し、青白く仄暗い光がステージを満たす。




垣根「おっ。始まるみたいだぞ」




会場が歓声に包まれる。す、すごい熱気だ…



ステージの真ん中、最も目立つ位置に髪の毛をショートボブにした少女が立った。彼女がFESだろう。



会場の熱気を自らのものと自覚したような無表情で、彼女は言葉を紡いだ。





FES「よく来たわね…大いなる意思に導かれて…」




………






拓巳「…へぇぁ?」




い、いきなり何を言っているんだ。
294 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:29:07.54 ID:/w2WKOHD0


FES「世界の均衡が…崩れ去ろうとしている…」




…やっぱりだ…



いや…僕がおかしいのかもしれない。



みゅ、ミュージシャンとかはライブになると皆こういう事言うのかも…



こ、こういう人はみんな突き抜けなきゃいけないんだろう…きっとそうだ…うん。







FES「世界に安定が齎されるその時まで、私は歌うわ…『コキュートス』ッ!!」キリッ




拓巳「出たああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」




思わず叫んでしまったが、同時に演奏が始まったので目立つことは無かった。



どうやら「コキュートス」は曲名だったみたいだ。



黒子「…なにやら名状しがたい…変わった方ですのね…」



拓巳「そ、そうだよね…」



うん。やっぱり。



僕はおかしくなかった。
295 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:29:35.59 ID:/w2WKOHD0


聞いていた通り、曲調はかなり激しい。



演奏の上手い下手はわからない。僕は音楽なんてやらないから。



でも____



初春「わぁぁぁ!すごいすごい!」



黒子「…」ボー



垣根「こりゃあすげえ…」




音楽を耳でしか聞いたことの無い僕にとって、体全体で音を感じるのは初めてだった。



音が胸を、腹を、心臓を打つ感覚。



観客全体でシンクロする、一種の陶酔状態。



気付けば僕も、音楽に没入していた。



考えることも、忘れて。
296 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:30:56.63 ID:/w2WKOHD0

___________________________________




FES「ふう…今日は調子良いわ…とても空気が澄んでいる…」




ライブも一時間半ほどが過ぎ、最終局面にさしかかろうというところだった。



僕も含めた観客は、誰もが演奏の虜になっていた。これは間違いないことだ、僕にすら理解できる。



彼女の曲をほとんど聴いたことすらない僕がここまで熱中できるんだ…か、彼女には…天性の才能があるのかもね…ふひひ…






FES「それじゃ、最後の曲、密教の___」





その時、会場が暗転した。



「っぁ?どうした?これ演出?」



「ッ!おいっ!ぐぁ!」



「どうし_ぎゃっ!」




同時にステージの方から動揺の声が聞こえる。



不測の事態であることは、もはや観客に隠すことはできまい。
297 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:31:41.55 ID:/w2WKOHD0


垣根「…こりゃあ何かあったな…」



拓巳「う、うん…」



初春「って!ちょっと垣根さん!どこ行くんですか!?」



黒子「勝手な行動は謹んで__」




と、時すでに遅し…



垣根はにわかに背から六枚の光り輝く羽根を出すと、ステージの方へと飛んでいってしまった。



「お、おい!天使だ!天使がいるぞ!」



「FESの黒ミサについに堕天使が降臨したんだ!」



「こ、コキュートスへの門が開いたというの!?」




あ、あいつはアホちゃうんか!?



さらに会場が大騒ぎジャマイカ!ど、どうしてくれんだウンコクズ!

298 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:33:05.42 ID:/w2WKOHD0

黒子「むっきぃ〜!!あの人はぁぁぁ!!!初春!私もステージに向かいます。観客の方々を落ち着けてくださいな」



初春「はい!わかりました!」



黒子「残念ですが…非常時ですので…では拓巳さん。行ってきますの」



拓巳「う、うん…」




そう言い残し、黒子はステージへと向かった。



拓巳「…」



ま、全く…どうしていつもこうなんだ…



さ、最近の僕は呪われてるのかと…おかしいでしょ…常識的に考えて…



そ、そうだ!きっと僕のリア充っぷりに嫉妬した高位能力者で構成されたどこぞのそ、組織による仕業なんだ!



じゃ、じゃなきゃこう出かけるたびに面倒くさいことになる…わ、訳がないんだぁ!



そうだ…そうに決まってる…



う、欝だぁ…許さない…許さんぞぉ…



て、てめえらは僕をお、怒らせた…

299 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:33:34.39 ID:/w2WKOHD0

…………



……




僕が殺意の波動に取り付かれているうちに、会場は照明の機能ををとり戻した。



黒子たちの働きで、会場も落ち着きを取り戻しつつある。



そして、ステージに行っていた垣根が帰ってきた。




垣根「おいタク。ちょっとばかり面倒なことになったぞ…」



拓巳「ど、どうしたの…?」




垣根は、普段僕らに見せないような、皮肉交じりの人の悪い笑みを浮かべ、こう言った。











__________「FESが、誘拐された。」____________











300 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:34:13.19 ID:/w2WKOHD0





_________「へぇぁ?」___________





301 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/08/29(月) 16:36:32.86 ID:/w2WKOHD0
短いですけどここまでです!
カオヘヒロインは、物語には絡ませていく方針になりました!
登場して、拓巳たちに絡ませやすかったらレギュラー化、みたいな感じにしていこうかと。
九月はいろいろ忙しいので、更新ペースが遅くなってしまいますが、これからもなにとぞ宜しくお願いいたします!
302 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/08/29(月) 16:37:16.12 ID:/w2WKOHD0
何度もすみません!次は一週間以内にこれます!
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 16:49:15.95 ID:VVZ7bzrIO
乙っす!
また1週間後に会いましょう!
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/29(月) 17:11:55.60 ID:HkRiTKzSo
五條さんェ…
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/29(月) 17:12:28.73 ID:HkRiTKzSo
五條さんェ…
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/29(月) 17:19:07.83 ID:HkRiTKzSo
五條さんェ…
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/08/29(月) 18:32:28.03 ID:rn3mFjjk0
五條さんェ…
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/08/29(月) 18:32:54.76 ID:rn3mFjjk0
五條さんェ…
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/08/29(月) 18:33:20.54 ID:rn3mFjjk0
五條さんェ…
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 19:58:41.91 ID:4HyUs0ico
おいwwwwww
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/29(月) 22:28:44.43 ID:Vos5IjpAO
>>304-309いったい何がおきてるんだ・・・
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 22:36:30.48 ID:VVZ7bzrIO
五條さんってイナイレの…?
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/30(火) 06:46:24.61 ID:uer2mqwAO
乙!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
314 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:26:51.31 ID:+76GO+fJ0
遅くなりました。投下します。
315 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:27:38.89 ID:+76GO+fJ0



FESの誘拐事件に対し、本腰を入れて捜査をすることに決めたのは、垣根と初春さんの強い要求が直接の原因だった。



垣根「俺は絶対あの女を見つけ出してやる。あの女の歌はなくなっちゃいけねえ」



ほ、ホントかよ…



う、胡散臭い…そのキメ顔とかもう、見てらんない…



垣根「や、やましい気持ちなんて別に無いんだからねっ////」



おまいの言いたいことは分かった…



垣根はともかく、風紀委員である黒子と初春さんは、立場上、調査に加わるのを強く主張した。



僕らは今、僕の家でひとまずの作戦会議を行っている。



垣根「一方通行たちは呼ばねえの?」



拓巳「あ、あいつはたぶん協力してくれないっしょ…こういうの、興味なさそうだし…」



垣根「そおか?たぶんテメエの頼みなら喜んで聞くと思うが…」

316 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:28:31.81 ID:+76GO+fJ0


黒子「しかし…これからどういたしましょう?風紀委員のネットワークでは彼女の足取りは掴めませんでしたし…」



拓巳「あ、ああ。それなら問題ないよ。そろそろ、れ、連絡が入って来るはずだから…」



黒子「え?それはどういう__」



フレンダ「たっくみぃ〜♪」



ばん、と大きな音を立てて、僕の家のドアを盛大に開け放ったのはフレンダ=セイヴェルンだった。金髪碧眼のぴちぴち高校生。



拓巳「ちょっ!?お、おまっ、直接来てなんていってないでしょ!?」



フレンダ「だってぇ〜…結局、拓巳の顔が見たくなっちゃったって訳よ!!」



拓巳「は、はぁ?」



黒子「…拓巳さん?何なんですの?この頭の足りてなさそうな金髪女は…?」



拓巳「ちょっ!?いいきなりどうしたんだよ、く、黒子…」



何だ何がどうした!?わ、訳が分からないよ!

317 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:29:48.05 ID:+76GO+fJ0



フレンダ「…ふ〜ん…アンタ、中学生な訳?ごっめ〜んなさーい、声からしてどう考えても成人してるかとおもったわ〜」



黒子「…見たところ、あなたも中学生ですの?間違いありませんの。…そのまっ平らな胸を見る限り、まっさかわたくしより年上というわけはないでしょう?」



フレンダ「…」



黒子「…」



拓巳「…」



うおぉぉい!何でぇ!?ど、どうしてこうなったぁ!た、助けてよ星来たんんんん!



三次元女超こわいお!



初春「はいはい。その辺にしておきましょうよ二人とも。喧嘩してると、タクミさんに嫌われてしまいますよ?ね?タクミさん?」



拓巳「へぇぁ?ぼ、ボク?」



これ、ぼ、僕になんの関係が…?関係…あるのか?



黒子「…ふぅ。ここはタクミさんに免じて許してあげますの…申し訳ありませんの…タクミさん。みっともないことを見せて…」



拓巳「い、いいよ。気にしてないって…」



正直、お、おしっこ出そうでした…こ、怖くて…
318 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:30:13.51 ID:+76GO+fJ0

フレンダ「あぁーーっ!ずるいずるい!タクミ!あたしも反省してるからね!」



拓巳「うぁっ!ちょっ!く、くっつくなよフレンダ!」



黒子「っ!フレンダさん!そればかりは許しませんの!な、なんとうらやまっ…!止めなさぁ〜いっ////」



垣根「…はぁ。」



初春「どうしました?垣根さん?」



垣根「初春ぅ。俺を慰めてくれるか?」



初春「お断りします。」

319 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:31:11.26 ID:+76GO+fJ0


___________________________________________________





統括理事や、その参加の暗部組織を利用したネットワークによって、この事件は僕らが思っていたより巨大なものだという事実が判明した。





拓巳「統括理事長が…?」



フレンダ「うん。間違いないって訳よ」



一体何が起こっているのだろう。



この事件は、どう考えても外部の学園都市協力機関の仕業だった。



しかし…



垣根「…アレイスターの野郎…一体何のつもりだ?」



拓巳「…」



『暗部組織をふくめた全ての組織は、今回の案件に介入することを一切禁じる。』



これが統括理事長・アレイスター=クロウリーの決定であった。



黒子「いったいどういうことですの…?学園都市のトップが、いち誘拐事件に対して直接発言するなんて…」



初春「…」



暗部や統括理事とのコネクションについて、非常に驚いていた黒子たちだったが、そのことについては後で話をすることを約束し、今は聞かないでもらった。



そんなことより…
320 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:33:00.58 ID:+76GO+fJ0

(…こ、これは、イヤな予感がする。偶然?そんなことありえない…)



統括理事長が、僕と統括理事たちとのつながりを察知していないはずがないだろう。




この情報が僕に対して漏洩した時点で、僕が介入しないことを選ばないはずがないんだ…つまり。



拓巳「み、みんな。ここは僕達だけにまかせてもらえないかな?」



フレンダ「えぇっ!?どうしてよタクミ!」



初春「いきなりすぎますよ!納得できません!」



黒子「そうですの!私達にもできることが__」



拓巳「う、うん。もちろんたくさんある。君たちに手伝ってもらえば、すごく、心強い。で、できれば、そうしたいよ」



黒子「それなら__」



拓巳「でもね?」



黒子「っ!」



拓巳は、柔らかに微笑む。



自分のまわりに、こんなにも自分を心配してくれる存在がいる。



その事実を噛み締め、やさしげに頬を歪める。
321 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:33:41.60 ID:+76GO+fJ0


拓巳「それでも、今回は連れて行くわけには行かない。連れて行ったら、僕はきっと公開することになる。」



黒子「…」



フレンダ「…」



初春「…」



拓巳の目には、決意が込められていた。優しげな、いつもの拓巳の瞳だ。



しかし、そこには三人が何も言い返せなくなるほどの迫力が詰まっている。



この優しい彼が、こうやって頼んでいる。



フレンダ「はぁ…ま、仕方ない、って訳よ。タクミ?あぶないことしちゃ駄目よ?ま、タクミなら問題ないいよね?」



拓巳「ありがとう…安心して?」



黒子「タクミさん…」



拓巳「黒子?」



拓巳「タクミさんの気持ちは分かりましたの…でも、それでも…黒子は…」



垣根「心配いらねえよ」



先ほどまで黙り込んでいた垣根が励ましの言葉を送る。



垣根「闇には闇だ。…俺がついてんだ。そもそも、こいつは学園都市で一番つええ学生なんだぜ?」



黒子「…タクミさん」



拓巳「…う、うん。垣根もいるしね?こんなんでも。レベル5の第二位だよ?」
322 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:35:13.30 ID:+76GO+fJ0


黒子「…」



垣根「任せろ。なぁに、ショボい仕事だ」



初春「垣根さん?」



垣根「ぁあ?どうした?」



初春「何度も何度もしつこい垣根さんに朗報です」



垣根「は、はい!何ですか!」



初春「帰ってきたらデートしてあげます。だから、がんばってくださいね」



…わお。



黒子「…ほぉ」



フレンダ「ま」



垣根…これ、死亡フラグじゃね?



垣根「うおっしゃぁぁぁぁぁ!約束だぞ!?言ったな!?破ったら許さねえからな!」



初春「女に二言はありませんよ。…あ、あと、垣根さん…」



垣根「っしゃ!ん?あと、何?」



初春「垣根さんは、もう、闇なんかじゃないんですからね?」



垣根「…おぅ///」



黒子「…」



フレンダ「…」
323 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:35:59.66 ID:+76GO+fJ0


…なんか、もう爆発しろ。



つーか垣根ェ……中一の女の子に尻にしかれるとか…



ほ、ホント、見た目ってアテにな、ならないよね…



拓巳「じゃ、い、いくよ垣根。し、死亡フラグをぶち[ピーーー]んだ!」



垣根「今の俺に常識は通用しねえぇ!!行くぞタク!」



垣根と僕はベランダに出る。垣根の背中から、六枚の白い羽根が現出する。



拓巳「じゃ、あ、一方通行と七海に宜しくね?」



黒子「お任せくださいな!お気をつけて!」



初春「垣根さぁ〜ん!タクミさんの足を引っ張らないでくださいね〜」



垣根の背の上、僕の家がもう点だ。



誰も触れない夜空で、僕らは激情を持て余す。



怒りや義侠心で動くのではない。



あくまでこれは、自分達のための戦いだった。



拓巳「ふひっひひひひいひっ!!!!ま、待ってろ…キツネ狩りだ…今日はメロン記念日だぜェ!!ひゃっほう!!」



垣根「…お、おい…?大丈夫か?お前…?」
324 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:37:42.09 ID:+76GO+fJ0


__________________________________________________





希テクノロジーが経営する、精神衛生研究所。



学園都市が、一企業に研究協力しているとは言え、規模としては並だろうか。



学園都市のいたるところに点在する研究所と風貌的には全く変わらない。



何をするにしても、木を隠すなら森、ということなのだろうか?



垣根「…セキュリティーが全部アンロックの状態だ。どう考えてもおかしすぎる…しかも、人っ子一人いやしねえ。一体どうなってやがる?」



拓巳「…」



待っているぞ、さあここまでやって来い、とでも言いたいのだろうか?



最低限の照明のみが残された、薄暗い研究所を進む。



長い長い廊下を行き、突き当たりで、仰々しいゲートが見えた。



僕たちがそこへたどり着くと、ゲートはすんなり開く。



廊下より、はるかに眩い光が、二つの影を映し出した。



一つは、椅子に縛り付けられたFESのもの、そしてもう一つは、見知らぬ男のものだった。



「ようこそ。西條拓巳くん。歓迎するよ?」



低いが、よく通る声だった。
325 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:38:43.30 ID:+76GO+fJ0

拓巳「…」



声の主は長身痩躯の男性だった。



髪は綺麗に脱色された金髪で、素人目にも仕立ての良いとわかるスーツの上に、チェスターフィールドコートを羽織っていた。



歳は、二十代にも、三十代にも映った。



もしかしたら四十代かもしれない、年齢の推し量りにくい顔立ちをしていた。



野呂瀬「申し遅れた。私は野呂瀬玄一というものだ。」



野呂瀬と名乗る男は、芝居がかった動作で鷹揚に礼をした。



あたかも、自分の舞台にようこそ、とでも言っている様だった。



垣根「はあそうかい。じゃあ野呂瀬さんよ、さっさとそこの女を渡して、全裸になって土下座しろ。そうすりゃ見逃してやる。」



野呂瀬「垣根帝督君、だったな?キミには用などないんだ。少し、黙っていてくれるかな?」



垣根「…」



ただでさえ肌寒かった、このだだっ広い室内の温度が、さらに十度ほど下がったように感じられた。



レベル5の第二位である、彼の崇高なプライドを傷つけたのだ。



垣根の眼が、表情が、一気に酷薄なものへと形を変える。
326 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:39:22.43 ID:+76GO+fJ0

そして、次の瞬間。



垣根「___。」



音一つ立てず、垣根の背中の六枚羽根が表出した。



羽根の表出と共に、熱を収束させた光線が、野呂瀬に向かって一直線に伸びる。



常人なら目で追うことすら敵うまい。



しかし、



野呂瀬「…ほう」



野呂瀬に迫った熱線は、彼の前で突然現れた「何か」によって阻まれる。



拓巳「…なッ!?あ、あれ…は…」



拓巳は、その「何か」を知っていた。



しかし、野呂瀬の眼の前に突然出現したそれは、拓巳が知っているものとはあまりにもかけ離れた形状をしていた。



野呂瀬「ふ、はははははっ!その顔!キミは当然知っているだろう西條拓巳!そう!キミの目の前のこれは、キミがよく振り回しているオモチャと一緒だよ。」



拓巳「ま、ま…まさか…あ、アンタも…」
327 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/09/05(月) 19:40:29.55 ID:+76GO+fJ0

呼吸が荒くなる。目の前の状況が理解しきれない。



同じギガロマニアックスというだけならまだ良い。



だが、何だアレは?アレは違う。



アレがディソードであっていいはずがない。



だって、アレではまるで___



垣根「タク!おい!タク!!」



拓巳「っ!?」



拓巳が正気に戻ったとき、二人は、黒ずくめの駆動鎧によって包囲されていた。



対戦車仕様フルオートライフル・メタルイーターM5。



黒い銃口が口を空けている。



超能力者二人を相手にするのだ、これくらいの武装は当然のことだろう。



野呂瀬「第二位は殺してもかまわんが、西條拓巳は私に任せろ。撃て」



野呂瀬の合図と共に、この世のものとは思えない轟音が響き渡った。



機甲師団を歩兵でねじ伏せるという目的で作られた鉛の嵐が、垣根帝督という、一人の人間に襲い掛かった。
328 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:41:21.42 ID:+76GO+fJ0


拓巳「かき__っぐ!」



野呂瀬「キミの相手は私だよ!西條拓巳!」



黒い「何か」を槍のように構えた野呂瀬玄一が、拓巳の臓腑をえぐるような突きを繰り出してきた。



とっさにディソードで防ぐが、室外に弾き飛ばされてしまう。



FESはまかせろ、そんな声が室内から聞こえたような気がした。



拓巳「くっ…!」



衝撃を受けた拓巳は、地面に転がり衝撃を[ピーーー]。



顔を上げると、悠々とした足取りで、野呂瀬が部屋から出てくるところだった。



野呂瀬「はははははあッ!流石、流石……。だが、範疇外の力を得たギガロマニアックスの戦いはこうではない。…わかるだろう?」
329 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [age]:2011/09/05(月) 19:41:48.07 ID:+76GO+fJ0


拓巳「…」



拓巳は確信する。



同じである。自分と同じ存在だ。



剣と呼ぶには相応しくないほど巨大なあの物体は、恐らくディソードであろう。



野呂瀬「お手並み拝見、と行こうか?『二人目』のギガロマニアックスくん…?」



拓巳「…ど、どうやら、長い夜になりそうだね…は、はは…」



自分を奮い立たせるために、精一杯の軽口を叩く。



暗闇に響く声は、震えを抑え切れていない。



拓巳「FESはまかせた、よ?垣根?」



真っ赤な夜が、始まりを告げた。


330 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [saga]:2011/09/05(月) 19:44:15.98 ID:+76GO+fJ0
今日はここまでです!最近短くてすみませんね!
野呂瀬タン登場。しゃべり方とか、おかしくないですかね?
次回の更新は、ちょっと長期間旅行に出るもので、二週間くらい空いてしまいます。
毎回楽しみに見てくださっている皆様には申し訳ありませんが、ご了承ください!
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2011/09/05(月) 20:26:23.80 ID:8sQzUN3Ko
メールの所にsagaって入れると殺すとか打てるようになるはず
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/09/05(月) 20:51:50.56 ID:PyzyfHvLo
二週間は長いな…
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/05(月) 23:55:31.65 ID:/PvQgmOAO
に、二週間ぐらいなら…時間感覚をい、イジればよくね?ふひひwお、俺って天才かも…!
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 09:07:04.10 ID:VkM8Nx1IO
>>333
野呂瀬「させると思うかい…?君には2週間生き地獄を味わってもらうよ」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/07(水) 22:06:36.28 ID:Mfxm1RgAO
>>334

コキュートス!相手は死ぬ
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/09(金) 19:38:51.93 ID:3PJHem/+0
>>335                                 妄想シンクロ
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 19:51:08.97 ID:piOE9bDfo
カオへでタクを頃してるのはビシィさんだけなんだぜ……?
つまりビシィさんがラスボス
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/11(日) 20:20:54.06 ID:mkWup1oQo
諏訪ッスか名もないポーターさんかそれに操られてた人か忘れたけど
セナ√(ビシィさんは逆に補助してくれた)やこずぴぃ√(その前に下駄箱)でもタクは殺されてたような…
ただトゥルーENDを迎えるためにはラスボスだな
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/11(日) 21:08:59.47 ID:1XkzwzyAO
垣根の声が小野Dで再生される…
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 00:19:19.10 ID:oFQoHzrDO
垣根は神奈延年が合うと思うけどどうあがいてもスレチ
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/12(月) 00:52:52.24 ID:jdgxoA+AO
>>340
ヒント:三住くんの中の人
まああいつは普通にヤリチンぽかったけど
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/13(火) 06:52:11.57 ID:vwg3jaPAO
そういやらぶchuchuでは完全ハーレムなんだよな。ねじ切れろ。
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/14(水) 00:31:53.24 ID:sP7IkJQ7o
ハーレムがいいのにこずぴぃが……
つーか百合子ちゃんじゃないのかよ
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/14(水) 20:12:30.01 ID:Hgeyq8Jlo
あと初春も冷蔵庫なんかに……
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/16(金) 18:20:24.52 ID:p1ClXgxAO
三次元の恐ろしさに気付いてしまったからだろ……
346 :猛牛 ◆r3vckS1wEQ [sage]:2011/09/21(水) 15:08:52.36 ID:2GVDqvI50
生存報告です。
少し遅れます…申し訳ないです…立て込んでて
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 16:40:13.44 ID:Bq6tyc+co
ゆっくりでええよ
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 04:11:44.15 ID:Qx+qPo9DO
まだかい?
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/11(火) 01:56:40.36 ID:zjVqvIADO
まだか
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/13(木) 00:58:10.36 ID:JjfyE80eo
気楽に待つよん
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 11:08:13.28 ID:HEOFLCTDO
まだか!?
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/24(月) 22:38:01.02 ID:T9hwLbN3o
いや遅すぎね?www
大丈夫か?>>1
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/26(水) 22:01:33.58 ID:t4K96Wsg0
せっかくの俺得スレだったのだが…
まぁもうちっとだけ期待してみるかー。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/26(水) 22:18:43.64 ID:P0GobH5ho
立て込みとやらが続いてるのかな?
とりあえず再開待ってるよ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/01(火) 18:59:21.29 ID:cWPA4DyF0
マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

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356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/01(火) 23:08:33.16 ID:7d7hak2D0
そういやこの板のルールが変わって、作者自身の書き込みが
二ヶ月ない場合もHTML化の対象となるんだぜー。
続きを書くなら早くするんだぜー。

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 14:57:59.36 ID:BwsQDEFbo
まだかにゃー
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/27(日) 11:24:16.49 ID:qq45fE7eo
まだかー
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/12/02(金) 11:14:09.65 ID:7pSAwClwo
>>1
まだですか
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