このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

アレイスター「鋼盾掬彦、か……まったく、たいしたイレギュラーだよ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆FzAyW.Rdbg [sage saga]:2011/08/08(月) 17:44:28.90 ID:f2R1d1+30


本作は鎌池和馬先生の「とある」シリーズの二次創作作品です
タイトルはおこがましくも『とある端役の禁書再編(リミックス)』

「とある科学の超電磁砲」に登場する無能力者、鋼盾掬彦を主人公に据え、
彼を交えての「禁書目録一巻」と「超電磁砲・幻想御手編」の再構成作品となります


2スレ目となりますので、前スレにお目を通して頂きたく存じます

 神裂「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です」
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304150567/l50


これより紡がれるは学園都市最下位たる少年の物語
少なからず独自設定、独自解釈、時系列の入れ替え等がございますので、苦手な方はご注意ください


では、どうぞよしなに


【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/08(月) 17:46:09.08 ID:f2R1d1+3o


とある端役の禁書再編 登場人物紹介ver2 (読み飛ばし可)

 ※現時点での登場人物についてのかんたんなまとめです
 ※前スレの>>284-286の改変版となります。物語の推移に従い、いくらか更新してあります
 ※とはいえ原作読者においては既知の情報が八割を超えておりますので、やっぱり読み飛ばし可
 ※残りの二割もそんな大したことないのでどうしようもなく読み飛ばし可
 ※でも読んでくれると嬉しいな!



 鋼盾掬彦 ―――― 無能力者

  とある高校の1年7組に所属する男子生徒
  ぼっちゃり体型とビシッと決まったマッシュルームカットがチャームポイント

  なんの因果か脇役になり損ねた主人公
  名前の読みについて公式のアナウンスはなし。このスレでは「こうじゅん きくひこ」となっております
  こうたてこうしゅんはがねたて……異論は認めるけど、こちとら今更引っ込みがつかないでござる
 
  学園都市には中学校から編入。弱い自分を変えたいと意欲的に能力開発に取り組むも、まったく成果がでず、己自身に絶望する
  以後、抜け殻のように中学校生活をやり過ごすも、進学した高校でよい担任、よい友人に恵まれ、平穏な日々を送っていた
  しかし、街に蔓延る“幻想御手”の噂話と、隣室のベランダに降り立った修道女が、彼の運命を捻じ曲げてゆく

  欠片ほどの能力発現もない、本当の意味での無能力者
  学園都市的には有り得ぬはずのその検査結果が意味するものとは?  

  主人公であり、彼視点で話は進むものの、けしてヒーローではないというキャラクター
  能力もなければ腕っ節もない、それでも、戦うと決めた―――科学と魔術が交差する時、学園都市最下位たる少年の物語は始まる


 上条当麻 ―――― 幻想殺し

  とある高校の1年7組に所属する男子生徒。学生寮では鋼盾の隣に住んでいる。デルタフォースが一角
  ツンツンに固めた髪型と不幸体質、路地裏ライフで鍛え上げられたしなやかボディが特徴。旗男

  主人公ではないものの、相変わらずのヒーロー
  学園都市の人間でありながら、しかしこの街を支配する序列に収まらぬ例外中の例外
  まずはそのふざけた幻想をぶち殺す

  基本的には原作通りの立ち位置、夏休み初日、ベランダを開けるとそこにはシスター
  友人にして隣人たる鋼盾とともに、科学と魔術の交差する物語に巻き込まれることとなる


 土御門元春 ―――― 調停者
 
  とある高校の1年7組に所属する男子生徒。デルタフォースが一角
  金髪とサングラスとアロハとにゃーだぜいですたいの人。腕が異様に長いと言う初期設定は劉備玄徳からなのか

  表向きは普通の男子高校生でメイドと義妹愛のオーソリティ、その正体は裏方に徹する多重スパイ
  ヒーローにはなれそうにもないが、だからこそ見える地平もあるのかも

  語られぬ過去、複雑すぎる立ち位置。飄々と周囲を翻弄しつつ、その実誰よりも世界に翻弄されているのかもしれない人
  余談ですが<背中刺す刃と献身的な仔羊>の初恋設定はこちらでも一応残してます。だれか陰陽目録書かねえかな

  現在舞台裏で暗躍中、とりあえず学生寮の補修の手配から

3 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/08(月) 17:47:22.62 ID:f2R1d1+3o


 青髪ピアス ―――― クラスメイト

  とある高校の1年7組に所属する男子生徒。学級委員。デルタフォースが一角
  青い髪と派手なピアスな身長180pの残念イケメン、誰も本名を言わないのは世界の約束

  能力は身体強化(インナーブースト)で、レベルは1
  テンション次第でレベルの壁を凌駕する可能性を持つ

  本人曰く、あらゆる萌属性を受け容れる包容力の持ち主で、愛の伝道師
  精力的に活動を続けるものの、もう夏だと言うのに未だ春がこない

  夏休みの計画を練りつつ、バイトや補習ライフを満喫中


 吹寄制理 ―――― クラスメイト

  とある高校の1年7組に所属する女子生徒
  身長が高くスタイルにも恵まれた掛値なしの美人であるも、不思議と色っぽさを感じさせぬルックス

  大覇星祭、一端覧祭の運営委員を精力的に務め、クラスでも中心的な人物
  努力家で面倒見のよい姐御肌な性格。愛読書は通販生活のカタログ

  無能力者はこの街でどう生きてゆけばよいのか、突きつけられたその残酷な問いに、
  誰よりも確かに答えを出し、それを体現し続ける強い女の子。俺の嫁

  夏休み中も大覇星祭の運営委員として準備に東奔西走の充実の日々を送っている
  


 その他生徒 ―――― クラスメイト

  とある高校の1年7組に所属する生徒たち
  学園モノの主人公のクラスには、個性豊かでノリのよいモブが溢れてると決まっている
  特に上条を追い詰める時のチームワークのよさは異常

  とある高校は全体的にランクの低い学校であり、学生の殆どはレベル0〜1程度
  誰しも少なからず挫折や劣等感を抱えているも、それでも日々を楽しく過ごしている

  みんな担任の小萌先生が大好き過ぎてヤバイ。超ヤバイ
  あの日の記念写真はみんなの宝物です



 月詠小萌 ―――― 先生

  とある高校の1年7組の担任。担当科目は化学
  超能力の専攻分野は発火能力者(パイロキネシス)であり、超能力全般への知識も深い
  また、社会心理学・環境心理学・行動心理学・交通心理学・等の心理学の専門家でもある

  大の酒好きにして無類の愛煙家であり“山盛灰皿”(ホワイトスモーカー)の異名を持つ

  入学当時の上条に、迷子に間違えられて高い高いをされた壮絶な過去の持ち主
  自己不信に凝り固まっていた鋼盾を掬い上げてくれた人物でもある

  教育熱心で生徒、同僚からの信望も厚い
  都市伝説に語られるほどの異常な若々しさであるも、御年[禁則事項です]才

  上条にインデックスの治療を依頼され、魔術なる埒外の法則に触れてしまう
  心配も焦燥も圧し殺し、朗らかな微笑みを浮かべる小萌先生マジ天使
 
  前スレでまさかのヒロインポジ(?)に!
  ロリじゃねえよアダルトだよ!


 
 雲川芹亜 ―――― 先輩

  とある高校に通う女子生徒。所属不明
  頭脳明晰、黒く艶やかなストレートヘアと「けど」という語尾が特徴

  1年に聞けば「先輩」2年に聞けば「先輩」3年に聞けば「後輩」と答えるが、誰も彼女のクラスを知らない
  ……断じて、ダブっているわけではない、と思う

  先日の一件以来、上条とは奇妙な距離の近さを保っているが、果たして……?
  本人曰く、鋼盾とは意外と馬が合うが、吹寄や土御門とは合わないんだけど、とのこと


4 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/08(月) 17:48:23.22 ID:f2R1d1+3o


 御坂美琴 ―――― 超能力者

  常盤台中学校の二学年に属する女子生徒
  シャンパンゴールドの髪と短パン装備の娘さん
  ↑このシャンパンゴールドって表記って二次SSだけだよな、茶髪とは書きたくないのか

  学園都市の第三位、名門常盤台中学校のエース、超電磁砲
  報われて欲しいのに報われて欲しくない系のヒロイン。片思いと空回りの似合う女の子

  自分が自分らしく居られる場所を見つけてはみたものの前途多難
  鋼盾とは上条を通して知り合いになり、いろいろあって信頼値は既にカンスト
  恋愛値にならない辺りが鋼盾クオリティ

  迷いを断ち切り、超能力者たる覚悟を新たにする


 白井黒子 ―――― 風紀委員

  常盤台中学校の一学年に属する女子生にして、177支部の風紀委員
  ツインテールをリボンで飾った、慎ましい胸の娘さん

  能力はレベル4の“空間移動”(テレポート)
  「ジャッジメントですの!」という台詞は、実は原作では一度も使われていないというトリビア

  幻想御手事件を鋭意調査中
  事件に巻き込まれた鋼盾と佐天を颯爽と救い出す

  一七七支部での謝罪と感謝、美琴への説諭を経て、鋼盾を高く評価する
  鋼盾とふたりで「アレな初恋同盟」を締結


 初春飾利 ―――― 風紀委員

  柵川中学校の一学年に属する女子生徒にして、177支部の風紀委員
  季節によって装いを変える、その花飾りが特徴的な娘さん

  能力はレベル1の“定温保存”(サーマルハンド)
  風紀委員の仕事には役に立たない能力ながら、高い情報処理スキルで業務をこなすスーパーハカー
  電脳世界においての二つ名は“守護神”(ゴールキーパー)
 
  幻想御手事件を鋭意調査中
  黒子への謝罪に訪れた鋼盾に、風紀委員たるの素質を見出す

  佐天涙子の抱えている闇の一端に触れ、彼女のそれを和らげてあげたいと願いつつ
  多くの学生の心を弄んだ幻想御手事件解決への決意を新たにする

  鋼盾掬彦風紀委員化計画を画策中


 佐天涙子 ―――― 無能力者

  柵川中学校の一学年に属する女子生徒
  艶やかな黒のロングヘアーとそれを引き立てるヘアピンが特徴的な娘さん

  初春とは親友と言える間柄で、彼女を通し白井、御坂とも親交を結ぶ
  充実した日々を送るものの、その笑顔の裏には無能力者故のコンプレックスを色濃く湛えている

  偶然にも幻想御手の入手に成功し、友人数名と共に使用する
  現在、仮初の空力使い(エアロシューター)として、夢にまで見た能力の発現に耽溺中

  幻想御手の正体を、未だ彼女は知らない


5 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/08(月) 17:49:13.51 ID:f2R1d1+3o


 Index-Librorum-Prohibitorum ―――― 禁書目録

  イギリス清教は“必要悪の協会”に所属する修道女にして備品
  絶対防御礼装『歩く教会』を身に纏う、銀髪碧眼の美少女

  完全記憶能力と強固な意志力、信仰心、その類稀な素質故に10万3000冊の魔道書をその身に宿している
  彼女自身は魔術を使えないものの、その知識をつけ狙う魔術師に追い回される日々を送っている

  偉業にして異形、威容にして異様、万能薬たる禁書目録はその実あらゆる毒の詰め合わせ
  その在り方を受け容れた尊き聖女であるも、その決意も覚悟も己の名前すら何もかもを忘れてしまった女の子
  “献身的な仔羊は強者の知恵を守る"と嘯くも、その言葉から余人が想像するのは“犠牲の羊”以外に有り得ない

  己を追う謎の魔術結社からの逃亡中、学園都市にて上条当麻と鋼盾掬彦に出会う
  紆余曲折を経て彼らと行動を共にすることとなり、現在は回復魔術の副作用により小萌宅にて療養中
 
  鋼盾や上条との交流を経て、嬉しい時にも涙が流れると知る


 ステイル=マグヌス ―――― 魔術師

  イギリス清教は“必要悪の協会”に所属する魔術師にして神父
  2メートルを超える長身痩躯、赤く染めた髪、バーコードを模した刺青、十指に嵌めた指輪、香水趣味に喫煙癖という、宗教者とは程遠い空気を纏う
  
  齢若くして現存するルーン24文字の完全な解析に加え新たに文字を6つも生み出した、ルーンを極めし天才魔術師
  炎に特化した魔術を武器に、数多の魔術結社を単身で灰にした実績を持ち、また対外交渉のエージェントとしても活動する

  魔法名はFortis931――“我が名が最強である理由をここに証明する”
  尊敬する女性はエリザベス一世で、好みのタイプは聖女マルタ

  禁書目録の回収任務に就いているものの、上条当麻の右手に学生寮にて昏倒、鋼盾に保護される
  幻想御手の件で絶望の淵にいた鋼盾を神父として諭し導き、敵対する間柄と知らずに彼と友誼を結ぶ

  現在はインデックス回収のため、ルーンを刻む下準備中


6 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/08(月) 17:52:55.71 ID:f2R1d1+3o


――――――――――



ここまで

さて、2スレ目です
『とある端役の禁書再編(リミックス)』、これからも頑張って参ります

どなたさまもぜひ、楽しんでいってください
まだまだ未熟な>>1ですが、微力を尽くして参ります

それでは、どうぞよしなに
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/08(月) 17:53:40.43 ID:phqpLfZGo
>>1乙乙
38歳の次はアレイスターか
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/08/08(月) 17:56:09.97 ID:zvJGOw9AO

スレタイ見て特定余裕でした
9 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/08(月) 18:02:29.74 ID:f2R1d1+3o
どうも>>1です

おまえらに>>1000取り合戦とかして貰おうと高らかに宣言したら自分で>>1000踏んでた
これは恥ずかしい……! いつまでも締まらねぇ>>1で申し訳ねえ!

さあ、2スレめです
よろしければお付き合いください!!!

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 18:24:47.06 ID:UtXOZ4Yqo
もちろん待つてますよ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/08/08(月) 20:25:29.25 ID:+7nmOgh1o
ああ、あれギャグじゃなかったのか・・・まあ>>1乙ドンマイです

あとシャンパンゴールドはなぁ・・・!あの表記には夢が詰まってるんだよ!たとえそれがぶち殺されるしかない幻想だったとしてもな!
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/08(月) 20:34:12.14 ID:JVM505C8o
新スレおめでとうございます。
綺麗に1000踏んだんだからいいじゃない!
守りたい3人てのが面白いね。彼は掬彦の言うような意味でのその立場に立ったことは今までなかったよなあ。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/08/08(月) 20:53:59.62 ID:WyL0l7ZAO
スレタイww目つけられたのか、そりゃそうかw
2スレ目乙、これからも更新を楽しみに過ごすぜ!
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 20:55:31.60 ID:s819GiKIO
>>1新スレおめ&乙
そして前スレ>>1000GETお見事!
かっこいい鋼盾くんを見れるのはこのSSだけ!
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/08(月) 20:56:42.54 ID:WyL0l7ZAO
sage忘れたorz
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/08(月) 21:02:33.44 ID:0TgxDzDDO
>>1乙&ドンマイ
前スレ>>1000は皆が>>1に譲った証。愛されてるということさ!

しかし、神裂さんじゅうはっさいといい、逆さの理事長といい、スレタイだけ見れば鋼盾がすごい大物に見えるw
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/08(月) 21:02:55.84 ID:5lmUNLdA0
乙乙。きくひこのような男に俺はなりたい

>>15
同志よ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/08(月) 22:58:03.74 ID:Ip75e0qAO

ついていくぜ
19 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:13:43.72 ID:3EG4qJ5bo
みんなありがとう、力になります

人物紹介だけとかふざけんなよという話なので、むりやり投下します
まだ推敲してないのでゆっくり投下になるかと思いますが、明日にでもまとめて読んでね
半くらいから投下開始します!

んじゃ!
2スレ目早々から、久々に鬱鬱モードだい!
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/09(火) 00:27:52.34 ID:2c9+JMsAO
2スレ目初脱ぎ
めでたいので白ネクタイ装備です

鬱鬱上等!
21 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:33:14.23 ID:3EG4qJ5bo


――――――――――



 黒子と別れた鋼盾は、ひとり小萌宅への帰路へと就いていた。

 ご自宅までお送りしますのよ? と言ってくれた空間移動の少女の心遣いを「ちょっと歩きたい気分だから」と固辞し、

 まだ夕闇には遠い夏空のもと、携帯電話を弄びながらのんびりと歩いてゆく。


 少女たちに送ったメールの文面は、随分と迷った挙句結局シンプルに今日のお礼とわかれの挨拶、そして再会への期待。

 要約すれば「ありがとうさようならまたこんど」のこれだけの文章を打つのに、随分と時間が掛かってしまった。

 女の子へのメール、経験値の低い鋼盾にとってはこれほどの難題はなかなかない。


 ちなみに送信から2分を待たず、全員から返信が届いている。

 女子中学生の打鍵のスピードに戦慄しつつ、各々に目を通してゆく鋼盾。


“今日は本当にありがとうございました! お話頂いたこと、大事にしたいと思います またメールさせてもらっていいですか?”

“佐天さんのことはお任せ下さ! 差し入れ楽しみにしてますからね! いつでもメールください”

“最低限の要点を抑えているのは評価できますが、ウィットとエスプリが足りませんの 今後に期待して65点ですの”


 美琴は感謝を、初春は決意を、黒子は約束通りの添削を。

 鋼盾に合わせてくれたのか、絵文字も顔文字もないシンプルなメールながら、文面から滲み出る“らしさ”に思わず笑が零れる。

 各々への返信にまたも頭を悩ませつつ、ふと鋼盾は己の帰りを待つ友人の事を思い出した。

22 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:34:56.11 ID:3EG4qJ5bo


(……携帯か)


 そういえば、上条は携帯電話を壊してしまったままだ。

 小萌宅に篭もりきりな現状ではあまり必要ではないが、外を歩くようになるならあった方がいいだろう。

 上条に言って修理の手配をさせるか――もしくは急場凌ぎに適当なプリペイドタイプでも買っていこうか。


 インデックスに持たせるのは……難しそうだろうかあの子には。

 でも、物覚えはいいし通話くらいなら、なんとか―――状況が落ち着いたら、用立ててあげるのもいいかもしれない。

 
 幸い手元には黒子が取り返してくれた、幻想御手の対価たる10万円がある。

 少ない貯金から捻り出したお金ではあったが、すっかり諦めていたものなので、感覚的には泡銭だ。

 インデックスへ携帯をプレゼントするというアイデアは、なかなか悪くないように思えた。


23 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:38:05.15 ID:3EG4qJ5bo


 そしてもうひとつ。

 携帯を手に想いを馳せるは、あの夜に別れたきりの友人のこと。


「連絡がとれればいいんだけどな……ステイルと」


 ステイル=マグヌス

 鋼盾の恩人で、インデックスを追う謎の魔術結社の一員。

 彼の神父服の胸ポケットから、ドクロを模したストラップが覗いていたことを思い出す。

 財布も携帯電話も無事だ、と確かに彼は言っていた。

 
 魔術師とはいえ、現代に生きる人間

 なにもテレパシーや式神やらで連絡を取り合っているわけではないらしい。

 番号が分からねばどうしようもないが、どうにかして連絡を取りたいと鋼盾は思案する。


 彼と、魔術師たちと、話をしたい。

 聞きたいことが山ほどあるのだ。


 会合や交渉に応じてくれるとは限らない。

 あの日ステイルと鋼盾が言葉を交わしたのは、お互いが対立する立場にあると知らなかったからだ。

 鋼盾の方には少なからず予感はあったとはいえ確信はなかったし、ステイルは予想だにしていなかっただろう。

 あの日のことなどなかったかのように振舞われる可能性は否定できない。


 近く訪れるであろう再会は、神父ではなく魔術師としての彼ということになる。

 その事実に鋼盾の胃は痛む、ステイルに分けてもらった火が、内側から己を焦がしてゆくような錯覚を覚えた。


24 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:40:23.43 ID:3EG4qJ5bo


 そう、きっと再会は近い

 再開が、近い


 インデックスは明日か、少なくとも明後日には全快する。今だって動けぬわけではない。

 いつまでも小萌の厚意に甘え続ける訳にもいかない、彼女を戦場に巻き込むことだけは、なんとかして避けたい。


 だが、現状自分たちは「待ち」のスタイルしかとれないのだ。


 インデックスを守る、姿勢(スタンス)はそれでいい。
 
 だが、そこに至るための行動(アクション)については、選択肢があまりに少ないのだ。


 その事に悩む鋼盾に、上条は「考えたってしょうがねえよ、まあ、仕掛けてきたところをなんとかするしかねぇな」と笑った。

 実際そのとおりなのだが、あまりにもあっけらかんとしすぎではないかと鋼盾は思う。いや、怯えすぎ考えすぎでは身が持たないとは分かっているのだが。


(でも………それじゃ、足りない)


 上条は、甘い

 いや、甘いというのは語弊があるだろうか。

 
 彼はその身に“幻想殺し”なる規格外の存在を宿しているがゆえ、どうしても他人より異能に対しての危機感が薄いのだ。

 右手を払えばすべての幻想を打払うことができるのだからそれも当然、彼のそれは対異能において圧倒的なアドバンテージ足りうる。


 超能力者たる御坂美琴を完封し、魔術師ステイル=マグヌスを撃退せしめた上条当麻。


 その華々しい戦歴には、鋼盾も思わず夢を見てしまいそうになる。

 彼さえいればインデックスを守れると、そんな夢を見てしまいたくなる。


25 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:41:25.17 ID:3EG4qJ5bo


 夢

 そう、それは幻想「ゆめ)だ

26 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:44:23.91 ID:3EG4qJ5bo


 神すら殺すその右手は、しかし物理的な攻撃に対しては全くの無力。

 弾丸一発……いや、空手や柔道やらの有段者にすら遅れを取るだろう。

 上条当麻は冷静に見れば、ちょっと喧嘩慣れしているだけの男子高校生に過ぎない。

 
 彼は戦闘のプロでもなんでもない、ただの少年――それを忘れてはならない

 ヒーローであっても、スーパーマンではない、改造人間でもない、変身ヒーローの類ではないのだ


 インデックスは魔術の知識は人後に落ちぬものの、身体的には“歩く教会”を喪った普通の少女だ

 そして鋼盾は言わずもがなだ、欠片程の能力すら持たぬどうしようもない、この街で一番無力な羊


 自分たちは、弱い

 もし魔術師たちのこの数日の沈黙が、彼らの分析や戦力補強に充てられている故のものだとすれば

 ステイルの時のように上手くいくとは限らない―――上手く事が運ばなければどうなる?


 ……考えたくもない

 少なくともインデックスの笑顔は、確実に奪われるだろう


 ぼくらには、圧倒的に攻撃力が不足している

 ならば、どこかから戦力を掻き集めるのが最適解

 脳裏に浮かぶはひとりの少女

27 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:46:51.10 ID:3EG4qJ5bo


(……御坂、美琴)


 先程まで共に茶席に興じていた年下の友人の顔を思い出す。

 学園都市第三席たる“超電磁砲”御坂美琴――――超能力者たる彼女。

 軍隊ですら迎撃可能と謳われる、その圧倒的な能力。

 最強の電撃姫


 上条当麻には簡単にあしらわれたと聞いているが、それはおそらく相性の問題に過ぎない。

 幻想殺しは防御特化の盾にして、異能を纏う武器防具のみを破壊する埒外の破壊槌。

 言うなれば常識外のジョーカー、あんなもんはノーカンだノーカン。

 
 ―――そもそも、上条相手にあの優しい女の子がリミッターを外せる訳がないのだ。

 彼女がそうと意識しておらずとも、ある程度の手加減や躊躇があったであろうことは疑いない。

 御坂美琴が望むのは単純な勝利ではなく、その先にあるものなのだから。


 敵は英国清教が誇る精鋭魔術師。

 だが、この学園都市の誇る御坂美琴なら、恐らくは届く、打ち破れる。


28 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:48:48.91 ID:3EG4qJ5bo



 そしてこの計画の肝は、彼女の戦闘力ではない。

 超能力者という存在は、この学園都市において特別な存在だ。

 230万人に7人しかいない至高の才能宝玉、この都市の象徴、夜空に輝く一等星。

 ソレに部外者たる魔術師が手を出し、あまつさえ傷つけようものなら――それは確実に外交問題、下手すれば戦争だ。



 妄想と笑わば笑え、貴様らの出方によっては、少女ひとりの笑顔のために第三次世界大戦が起きるぞ

 その引き金を引く覚悟はあるか外法の魔術師共


29 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:51:21.62 ID:3EG4qJ5bo


 禁書目録はきっと超能力者に匹敵、或いは凌駕するであろう貴重品。

 だが、それでも学園都市と真っ向からコトを構えるのはどうしたって下策の下策。

 ステイルがゲストIDを持っていた以上、彼の所属する英国清教と学園都市の間に何らかの合意がある可能性はある。

 しかしそれは、“必要悪の教会”とやらであっても、学園都市の意向を完全には無視できぬ証左と見てもよいだろう。

 
 敵は絵本に出てくるような、人の世の理など何処吹く風の魔法使いではない。

 携帯電話を使いこなし、きちんとした手続きを踏んでこの地に立つ、鋼盾と同じ人間だ。

 柵に因われ、些細なことで身動きの取れなくなる普通の人間なのだ。


 あるいは其処に、交渉の余地が生じるかもしれない

 
 インデックスの身の安全を

 人道的な扱いを、正当な対価を、上条や鋼盾との交流の継続を


 学園都市の威を傘に盾に、最低限それだけは毟り取る


 それさえ取り付ければこちらのものだ。

 インデックスにのしかかる荷の全ては払えずとも、彼女の笑顔を守る取っ掛りは手に入る。

 そこからは鋼盾と上条の努力でなんとかなる筈だ。


 目的は、果たせる

 インデックスの笑顔を、守れる

30 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:53:26.01 ID:3EG4qJ5bo


 鋼盾が誠心誠意頭を下げれば、きっと御坂美琴は動いてくれる。

 あの優しい少女はきっと、理由も聞かずに動いてくれる……愛しの上条も関わっているのだから、確実だ。


 そして御坂美琴が動けば白井黒子、彼女も間違いなく動くだろう。

 あの誇り高き露払い、空間移動の大能力者が味方に付いてくれるなら、インデックスの安全は十二分に保証される。


 鋼盾も体験した空間移動。

 彼ら彼女ら以外には知覚も認識も出来ぬ11次元を駆け、逃げに徹するテレポーターを撃ち落とす事など誰にも不可能だ。

 数百メートル以上の広範囲を問答無用で巻き込むような攻撃ならば、或いは可能性があるかもしれない。

 だが、そんなマネをすれば……それこそ学園都市への宣戦布告となる。


 黒子がインデックスに随伴してくれる限り、彼女の身は確実に守れる。

 更には魔術師勢にとって、インデックスはこの上ない人質としての価値も持つのだ。

 “交渉に応じねば、彼女がどうなるか”―――そんな安っぽい恫喝も、きっと効果はあるだろう。


 なにせ、“歩く教会”は既に上条当麻の右手によって完全に破壊されている。

 彼女の背を切り裂いたという連中が、それを誰より知っている筈。

 インデックス曰く「法皇級の絶対礼装」たる“歩く教会”が破壊されているという事実は、禁書目録を回収したい英国清教にとっては看過出来ぬ大問題の筈。


 “学園都市に存在するその勢力は、禁書目録の破壊が可能である”

 勿論鋼盾にはそんなつもりは一切ないが……あちらにしてみれば、その事実のみで二の足を踏むであろうことは疑いない。



 そこに、つけこめれば

 あるいは


31 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:56:17.16 ID:3EG4qJ5bo


 認めよう、鋼盾掬彦は弱い

 この学園都市の最下位だ

 だが、それでも戦うと決めた


 拳を振るうばかりが戦闘ではない

 上条にできぬことでも、鋼盾ができることがある


 やさしく強く誇り高い、そんなヒーローとは程遠い、鋼盾掬彦が負うべき役目

 それは卑怯であること、手段を選ばぬこと、手を汚すことを躊躇わぬこと、悪役になることを厭わないこと


 蛇蝎の如く嫌われることを百も承知で

 己の無力を他者に押し付ける無様を千と知りつつ

 劣等感と罪悪感を万と感じつつ、なお厚顔に勝利への道筋をつけてみせる
 


 鋼の盾には遠くとも、せめて泥除けの板となる

 ならねばならない





32 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 00:58:42.14 ID:3EG4qJ5bo


 さあ、明日にも、いやすぐにでも御坂美琴に頭を下げに行こう。

 幸いなことに、連絡先はこの手の中にある。

 笑顔で番号交換を交わした一七七支部での一幕を思い出す。



“そういえば、わたくし風紀委員の同僚以外の男性と番号交換をするのは初めてですの”

“おおー流石は常盤台生! 女子力高いんだか低いんだか……ふふ、これは責任重大ですよ鋼盾さん。
 あ、御坂さんはどうなんですか? 噂の上条さんとは既に交換済みだったり?! きゃー!!!”

“ふぇっ!? し、知らないわよそんなの!!
 というか私とアイツはそんなんじゃないったら!! け、携帯の番号なんて……そんなの、そんな……
 もう! 初春さんになんとか言ってやってください鋼盾さん!!”

“だめだよ初春さん、からかっちゃ。好きな相手の番号は特別なんだから……番号交換イベントはもうちょと先だね。
 というわけだから御坂さん……ぼくは上条くんの番号知ってるけど、教えてあげられないな。
 自力でがんばろう! 大丈夫、上条くん絶対断らないから”

“こ、鋼盾さん……だから、そんな…………んじゃ……”

“お姉様ああああ!? なんなんですのなんですのそのオトメな表情はぁああぁ!?
 どうしてアドレス帳のカ行の一番上を見つめて頬を赤らめてますのぉぉおおおおぉ!!??”
 
“っ! 見てないわよそんなの!! こ、これは鋼盾さんの番号がちゃんと登録されてるか確認しただけで!!!
 つかいい加減黙んなさい!! バカ黒子!!”

“いーえ黙りませんの!!!大体おねえさばびbbbbbbbbbbb!!!!!”

“おお! 的確に対象を打ち据えつつ、周囲の電子機器に一切の影響を及ぼさぬ電撃!!
 流石はレベル5!! 素晴らしいです御坂さん!!”

“うわー…大丈夫なのコレ”

“いつもの事です!! この程度でどうにかなるなら苦労……って鋼盾さん!! 違いますからね! 私はっ!!”

“はいはい、どうせ上条くん用の着信音も決めてあるんだろ”

“おおおおー!! 流石です御坂さん!! 乙女です!! 肖りたいなあもう!”

“私の話を聞けええええぇぇぇぇー!!!!”


33 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 01:01:31.69 ID:3EG4qJ5bo


 あの子たちの信頼を利用しろ

 御坂美琴の真摯な想いを利用しろ

 白井黒子の献身と覚悟を利用しろ

 初春飾利の正義への意志を利用しろ


 インデックスの笑顔を守る為に

 泥に塗れろ全てを裏切れ瑣末は忘れろ縋り付いて泣き落とせ

 
 決めたのだろう鋼盾掬彦

 戦うと決めたのだろう


 さあ

 これがお前の戦いだ

 優先順位を見失うな

 やれることをやれよ、無能力者

 何も持たぬお前は、持っているヤツに縋り付け


 鋼盾掬彦は携帯を開く。

 アドレス帳を辿れば、そこには今日打ち込んだばかりの名前が直ぐに表示された。


 御坂美琴

 第三位、“超電磁砲”

 上条当麻を想う、恋する乙女

 友人を慮って失意に沈み、しかしそれを乗り越えて綺麗に咲った女の子


 利用しろ

 あの子を利用しろ鋼盾掬彦


 縋り付け泣き落とせ頭を地に擦りつけろみっともなく哀れみを誘え

 インデックスに降りかかった理不尽な悪夢をとっくりと語ってやれ

 上条当麻の身に忍び寄る危険をこっそりと匂わせてやれ


さあ

 さあ!

34 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 01:03:31.70 ID:3EG4qJ5bo



 指は動かず、鋼盾掬彦は路上に立ち尽くす。

 周囲は無人、喧騒は遠く潮騒のように。

 世界にまるで自分だけしかいないかのような、圧倒的な孤独感。
 
 

 燦燦たる夏の日差しの中

 歪な覚悟を己に架そうと努める少年は、かわいそうなくらいに震えていた

 
 

――――――――――


35 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 01:17:46.18 ID:3EG4qJ5bo
投下完了!
前回までと一転、なにやら鬱鬱で申し訳ない


御坂美琴、超能力者を引き摺りこめばこの騒動にケリがつく
鋼盾くんの立てた作戦の骨子はそんな感じみたいです

常識で考えれば、英国清教としては外交的に考えて超能力者には手を出せぬはず
実際はアレイやローラがアレですし、神裂もステイルもいよいよとなれば強硬手段にでそうですけど、こんな策もありえるかもですね

無能力者が戦うということはどういうことか
上条さんとも浜面とも違う、こんな戦い方はどうでしょうか
鋼盾くん、ヒーローにはなれそうにないですね

こんどこそ小萌宅でカレーパーリィな予定だったのですが、なぜかこんなことに
スレタイに引っかかってくれたご新規さんに引かれないといいのですが

んじゃ、あらためて本スレでもよろしくお願い致します
……このスレでケリがつきますように!
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 01:22:51.38 ID:hfMt4Yego
乙。待つてた
新スレでも良く鋼盾の葛藤が描かれているな

えっ、このスレでケリがつく?
ハハハ、新約前まで行って最後に鋼盾を爆発させるのがこのシリーズの終わりだろ?
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/09(火) 01:26:59.62 ID:wVH+8qETo

次回も楽しみにしてる
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/08/09(火) 02:16:09.16 ID:7tBGXatNo


土御門もこういうふうに葛藤してたんかね
あいつの場合才能は十分あったけど
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/09(火) 02:16:53.25 ID:RBdouOw9o

次の投下に期待だわさ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/09(火) 07:32:09.93 ID:ySbzPRdIO
鋼盾くんマジ策士
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/08/09(火) 09:04:55.98 ID:wMMDMSsA0

ケリ・・・?
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/09(火) 12:32:51.92 ID:exmY3lJyo


前スレで記憶破壊が・・・と書いたがこの様子だと美琴自体に記憶破壊きそうな雰囲気・・・
これからレベルアッパー事件とインデックス事件、あとポルターガイストもか?とんでもない過密スケジュールで大変だわー
次回楽しみにしてます
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/09(火) 14:57:02.12 ID:2c9+JMsAO
いちいち三人娘が可愛くて困る
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/08/09(火) 19:19:56.48 ID:WD9K1Ays0
乙、遅ればせながらスレたても乙
上条さんでもなく浜面でもなく、ガチの無能力者が戦おうとするとこうなるのか
超能力者を巻き込み外交問題をちらつかせ戦争さえカードにし更にはインデックスを人質に
鋼盾さんマジ策士

問題は美琴をほんとに巻き込めるのかだな、キツイだろ罪悪感的な意味で
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/08/09(火) 19:22:24.72 ID:WD9K1Ays0
あと細かいようだがサテンさんの能力はエアロシューターじゃなくてエアロハンドな
明言されてたかはおぼえてないがウィキとかではそうなってる

・・・・・・紛らわしい!!
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/09(火) 19:45:22.96 ID:Ta/WEHV7o
こら掬彦。
いっぺん燃やされるか殴られるかしてきなさい。
47 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/09(火) 20:57:22.58 ID:3EG4qJ5bo
レス感謝です、レスがある度>>1は喜びの舞いを踊っております。ガチで

>>45
ご指摘感謝……うああ、やっちまったややこしいんじゃボケェ!
テレキネシスとサイコキネシスとかパイロキとファイアスロアーとかややこしいんじゃボケェ!
あとこの場を借りて訂正、以前サイコメトリに念痕読手とか漢字あててみたけど読心能力でいいらしいぜEIJI
都市伝説のくだりでは投影戯画(プロジェクション)とか捏造してました恥ずかしい、グラデーション・エアとかルビんなくてよかったぜ!

>>38
御名答、このシーンのモデルは土御門さんです。匂いを消しきれなかったでしょうか……つうか>>38が鋭すぎる
あのサングラスの奥に、罪悪感と葛藤を湛えた瞳があるに違いないとかすげえ妄想してます
土御門はあと二回ほど登場予定があるのですが、そのへんをガッツリ書くつもりです
……正直、もっとうまい人にこのあたりを書いて欲しいぜ。つうか、かまちー書けよその辺、土御門SS書けよ

書きたいモノに筆力が届かないしんどさは書いてみて初めて解るよな
新スレ立てていい機会だから前スレ通して読んでみたけどその辺を痛感しましたうああ書き直してえ!
まあ反省は反省として過去に囚われず邁進してゆきたいものです

盆は休みを毟り取って旅に出るので更新出来るか不明ですがなんとか一回くらいは!
柵の多い田舎者ですのでなにかと多忙ですが、まあ年一のことですので、務めを果たしてまいりすぜ

では、しばしの御暇を
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/10(水) 00:38:05.75 ID:G2XnwORM0

>“はいはい、どうせ上条くん用の着信音も決めてあるんだろ”
自分もそうだから恋する乙女の気持ちがよくわかるんですねwwwwww
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/10(水) 07:29:14.45 ID:g/D5xd5go
>>47

乙ーん!

前スレ928だが前スレ931に遅くなったが返信をば。
とりあえずクロス物だが
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/ss/1287895213-0.html
二巻をアーカードの旦那がかき回してくれる話だがヘタ錬の救い方(おかしくならない条件)が良かった。
黄金錬金全開に勝てるのは・・・まあアーカードだからな・・・
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/10(水) 21:08:14.69 ID:5ouJqQXlo
ああすまん

http://2syokan.blog.shinobi.jp/Entry/997/

こっちの方が纏めてある分読みやすいな、お口に合えば幸いです
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/10(水) 22:33:08.58 ID:qY/76KtAO
>>50
アウレさんと姫神か
アリだがこれはクロス前提だな。禁書キャラだけじゃやっぱりアウレさん持て余しますよね
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/10(水) 22:45:47.67 ID:cG5845cVo
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1294/12949/1294925094.html
やっと思い出した。これ。
心理戦で勝利するってのがうまいなと思った。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 14:10:54.71 ID:r4yd3NIko
鋼盾ってググるとこのスレでるぞ、すごいな
54 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/11(木) 14:47:49.71 ID:W5PrBKS3o
……よし、ちゃんとsageたな、指差し確認OK、今日は更新ないんだぜ
ふたりともサンクス、どっちも読んだことなかったです

>>50
旦那無双だな、>>1もヘルシング好きなので楽しみました……OVA続き出ねえなぁ
禁書のみでコレやろうとすると、それこそアレイスターやエイワス引っ張ってくるのしか思いつかんぜ

>>52
おお、再構成好きな>>1がどうして今まで見逃してたのか!
上条さんの隣人ポジに主人公を配置したという点で、ウチのとすこし似てると勝手に親近感!
いや実際学園都市第一位と学園都市最下位だから遠すぎだけどね!230万人分遠いけどね!

しかし余所のを見るたび自分のとこの展開の遅さにビビるスレタイ神裂さん未だに出てこないってなんなの?
このペースで2巻3巻とか積み重ねるのは無謀すぎだろ……いっそのこと思い切って8巻当たりまでキンクリかまそうかなと思いついた。
8巻を複数視点にしてしれっと姫神とか一方さんとか風斬とか出しちゃって個々のエピソードは回想編で美味しいとこだけ書く……意外といいかも
『ふふふ、3巻や5巻は飛ばされないと思ってた?』 『姫神はともかく一方通行は大丈夫だと思ってた?』 『甘ぇよ』
……甘いのは>>1の頭のネジです。さっさと更新しろよという話ですね

でも今からバイクに荷を積んで走り出すのです
SUZUKIがおいらの相棒 言うこと聞かないオンボロ

55 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/11(木) 14:53:53.44 ID:W5PrBKS3o
>>53
あ。見逃してたコメント感謝
>>1もこないだなんとなく鋼盾で検索かけてビビッた。かなり上の方にきててテンション上がったぜ
……でも冷静に考えるとそれってマイナーっぷりの証左じゃね?という話

みんなもマイナーキャラで話書こうぜ、あっというまにグーグル先生のオスミ付きだ!
ああそういや新刊、まさか鋼盾が出てくるとは思わなかったな、俺得
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 16:00:13.22 ID:/qWzpq0N0
>>55
>マイナーっぷりの証左

やっぱりそうなりますよねww
仲間がいて良かった
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 16:23:27.65 ID:ppV6WSpAO
前に検索したときより上がってて感動

新刊の鋼盾の活躍には濡れた
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/11(木) 18:26:55.64 ID:yTIhF2opo
かまちーもこのスレ見たのかも
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 20:14:04.32 ID:s9jFdNxKo
>>54
もうみてたかと思ってましたが幸いです。

>禁書のみでコレやろうとすると、それこそアレイスターやエイワス引っ張ってくるのしか思いつかんぜ
この二人いがいだと・・・真の力に目覚めた削板かな。彼の能力は「能力版根性による黄金錬金」だと思うんですよ。
つまり「根性があればなんでもできる」・・・これを具現化した姿が真の削板じゃないかと。

・・・どうでしょね?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/11(木) 20:28:31.56 ID:s9jFdNxKo
ああ、後キンクリ使うならいっそのこと新約二巻まで「とばした」らどうですかね?
一気に展開速度でトップになれますよ!
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/08/11(木) 20:45:21.40 ID:yvppAeKNo
何故だろうDIOと戦う荒木絵のこうやんの姿が見えた…
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/11(木) 20:51:57.77 ID:ppV6WSpAO
鋼盾「おまえは、ぼくを、怒らせた」
空に溶けるステイルと青髪とスフィンクスを幻視した
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/11(木) 21:02:47.61 ID:Pp0wgFCjo
学ラン着た鋼盾君の姿想像してフイタwww
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/11(木) 21:28:27.91 ID:KVKYc5hzo
>>54
ova最近出なかったっけ?
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/12(金) 20:29:01.96 ID:mmhhjs8V0
新刊に鋼盾とか釣り針でかすぎだろと思ったらガチだった件
66 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:12:51.45 ID:H0NUug220
みんなサンクス! 実家だぜ!
背後に家族の気配を感じながらSS書くとか苦行過ぎる……!

投下!
そぉい!
67 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:12:57.92 ID:H0NUug220
みんなサンクス! 実家だぜ!
背後に家族の気配を感じながらSS書くとか苦行過ぎる……!

投下!
そぉい!
68 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:17:17.79 ID:H0NUug220
早速二重投稿だと……!
くそ、専ブラ入れてえ!

失礼しました
以下本編








――――――――――



 白井黒子に言った言葉を思い出す

 この町で、鋼盾掬彦がその身に代えても守りたいのは3人だけ


 どん底で怯える自分を救い上げてくれた上条当麻

 誰より多くを奪われ続けてきたインデックス

 恩師であり想い人でもある月詠小萌


 その3人こそが、今の鋼盾掬彦の最優先
 
 それは掛け値なしの本音


 これほどまでに、だれかを守りたいと思ったのは初めての事だった

 だから、それだけを徹底すべきで、他はすべて余計と割り切らなくてはいけない


 羊に背負える荷など高が知れている、弱い羊なら尚更だろう

 ……だが、その弱いお前は今日一日でどれほどのものを抱え込んだ?

69 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:19:14.66 ID:H0NUug220


“ですから鋼盾さん、どうかこれからもお姉様を支えてあげていただきたいのです”

“それに、鋼盾さんも付いてますもんね、ね! 鋼盾さん?”

“今日は本当にありがとうございました! お話頂いたこと、大事にしたいと思います”


 叶わぬであろう恋に身を焦がし、それでも想い人を守るため強くなると誓った彼女の真摯な言葉

 レベルの壁を乗り越え、盾としてこの街を守ると力強い宣を放った彼女の悪戯な言葉

 この街の象徴として誰より多くの荷を担う、か弱くもしかし誰より強い彼女の覚悟ある言葉


 それに、自分はなんと答えた? なんと答える?

 力になると答えたのではなかったか? 分不相応に偉そうに、年上ぶって笑ってみせたのではなかったか?

 それとも、それは嘘なのか?


 超電磁砲たる御坂美琴を、風紀委員たる白井黒子を初春飾利を味方に抱き込むために?

 彼女らを手札(カード)にするための、口先だけの空約束だったのか?

 女子中学生をだまくらかすための、誠意もなにもない、空言に過ぎなかったのか?

70 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:20:31.58 ID:H0NUug220


 そうだとしたら大したものだ鋼盾掬彦、おまえは強かだ認めてやるよ

 守りたい者を守るため、その他すべてを裏切るその所業、まったくもって見事だよ

 手段を選ぶな、取り繕うな、利用できるものはすべて利用しろ

 それでいい、おまえはそうでなければならない


 なにも成せないおまえには、せめてそういう強さが必要だ

 泥にまみれて嘘にまみれて、それでも前へと進んでみせろ


 そして勝ち取れ、守り抜け

 それが、それこそがおまえの、ぼくの戦いだ

 報酬は充分だろう? 前金だけで立ち眩みしてしまいそうな量だよ



 ―――だが、重ねて聞こう鋼盾掬彦

 あの言葉は、本当に嘘に過ぎなかったのか?


71 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:21:39.56 ID:H0NUug220



「……そんなわけ、ねえだろ」



 そう、そんなわけがなかった

 あるわけが、なかった

 あの言葉には、ひとつだって嘘はなかった


 白井黒子の覚悟に、同調した

 初春飾利の覚悟に、心が震えた

 御坂美琴の覚悟に、涙が出そうになった


 少女たちの覚悟に、鋼盾掬彦は完全に絆されてしまった

 あの少女たちを、守りたいと思ってしまった


 ……それは、なんて分不相応な感情だろう

 潰れてしまいそうだ。余計な荷など、もう藁一本さえ載せられないというのに

 このくそったれな世界で、どうして自分は次々と宝物を見つけてしまうのだろう


72 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:23:44.34 ID:H0NUug220


“優先事項を間違えるな、一番大事なものを見失うな、余計な荷など捨ててしまえ
 二兎を追えると思っているのか無能力者、予言をくれてやる愚か者、そんなことではお前は何もかもをとり零すぞ”

“ふざけえるな馬鹿、誰かを守るために誰かを傷付ける、そんな理屈こそが最も唾棄すべきものだろうよ 
 インデックスが背負わされた宿命こそ、その最たるものだろうに――他ならぬお前がそれを繰り返すつもりか?”

“綺麗事ではなにも成せないぞ、そういうセリフは上条や美琴のような力ある人間の専売特許だ
 身の程を知れよ学園都市最下位、力なきおまえに正義は謳えない”

“上条と共に歩むのだろう? そんなおまえが彼を裏切るのか
 そんな顔してヒーローの隣に立つつもりか? ガタガタ震えて? 笑わせるなよ臆病者”

“だからこそ、おまえは唾棄すべき卑怯者であるべきだよ
 彼にできないことを成すんだ、彼を守れ、たとえ彼に否定されようとも”

“それは逆だ、それは彼から力を削ぐ行為だろう”

“構わない、それでも彼の命が守れる、インデックスの命が守れる”

“御坂さんを生贄にして?”

“死にはしないさ、きっと傷すら負わないよ――彼女は戦いを回避するためのカードだ”

“そんな保証なんてひとつもない、敵はなんだ? 英国の闇そのものだよ”

“じゃあ対案を示してもらおうか偽善者、おまえは上条くんになにもかも押し付けるつもりだろう?”

“考えることをやめるなよ、他に手段があるはずだ”

“時間がないよ”

“それでもだ”


 相反する意見を口にするのは、どちらも正真正銘の鋼盾掬彦

 別に漫画のように、天使と悪魔が頭の周りでくるくると回っているでもなく

 それらはどちらも間違いなく、彼自身の疑いない本音であった

73 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:24:52.02 ID:H0NUug220



 自問自答のその果ては、雁字搦めの自縄自縛

 結局鋼盾は立ち行かぬまま動けぬまま


 握りしめた携帯電話

 省力のため自動的に輝度を落としたそのディスプレイは、クリックひとつで動き出すぞ

 鋼盾掬彦、おまえもそろそろ再起動するといい

 繰り返すが時間はない


 さあ御坂美琴へメールを返信しろ

 文面はどうする?


74 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:26:32.59 ID:H0NUug220



“返信ありがとう、いつでもメールは歓迎だよ。もちろん上条くんのことでもね”


 ああ、怒涛の返信が目に見えるようだ。

 反論して、かわいらしく拗ねて、それでもさりげなさを装って上条くんのことを尋ねる……そんな彼女の姿が目に浮かぶ

 鋼盾のメールに一喜一憂し、上条情報にくるくる翻弄される美琴。

 おもしろくなさそうな黒子、そんな黒子の愚痴メールがおもしろくて仕方ないといった風情の初春。

 今日のお茶会の再現が、携帯電話越しにきっと始まる。


75 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:27:11.36 ID:H0NUug220



“返信ありがとう。ところで御坂さんに上条くんのことで話さなきゃいけないことがあるんだ。
 迷ったけどやっぱりきみの力を借りたい、協力をお願いできないかな?”


 返信はきっと迅雷即信。

 文面はもう見るまでもない。

 上条のため鋼盾のため、御坂美琴は立ち上がってくれる。

 あの誇り高き少女たちは、きっと笑顔で力を貸してくれるだろう。

 反撃の狼煙が上がる、インデックスを守る算段が付く。


76 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:28:23.07 ID:H0NUug220


 
 惑う鋼盾には、どちらも選べない

 携帯の画面は暗いまま、鋼盾掬彦は身動きのとれぬまま

 誰もいない道の上、進むことも戻ることもできずひとり己の影を睨む


 世界すべてが止まってしまったかのようなイメージ

 動けないのは情けない己ひとりなのに、そんな妄想が鋼盾を縛る


 だが


77 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:29:55.13 ID:H0NUug220



 彼を掬い上げるかのように、沈黙を払う音色が響いた

 甘やかなギターの調べ、郷愁を誘うメロディライン


 "Moon River"


 鋼盾にとって、たったひとつの特別な着信音

 彼女に繋がるその歌は、いつだって彼を突き動かす力を持つ
 

 携帯の画面に光が戻ると同時に、鋼盾の目に光が戻る

 バイブレーションが指先を震わせ、それに連動するかのように手に力が返ってくる


 あまりに現金な己の反応に、鋼盾は我が事ながら笑ってしまう。

 夕方には帰ると言って出てきたので、そろそろ家についていなければならない時間だ。

 インデックスにせっつかれた上条が、メモを片手に電話を掛けてきたのだろうか。


 我らが姫様のご機嫌が斜めだ、さっさと帰ってこい

 今日はカレーだ、早くしないとインデックスに全部食われちまうぞ


 上条の声が聞こえた気がした。

 今だけは悩むのをやめて、あの家に帰ろう。
 
 
 しかし携帯に目を落とした鋼盾は、予想外の事態に目を見開くこととなる。

 今朝とは丁度逆の、その状況。


78 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:34:21.92 ID:H0NUug220



 ディスプレイに表示された文字は「小萌先生(携帯)」の文字

 携帯、それはつまり、着信を鳴らしているのは上条でもインデックスでもなく

 他のだれでもない、あのひと



 鋼盾は通話ボタンを押す

 やっぱり、指が震えた



 
79 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:36:50.84 ID:H0NUug220



『もしもーし、鋼盾ちゃん? 小萌先生ですよー。
 今お電話だいじょぶですかー?』



 月詠小萌の、声が響いた


80 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/13(土) 09:37:55.30 ID:H0NUug220







――――――――――

ここまで
墓参りいかなきゃなのであとがきなし

またね!

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 09:51:27.65 ID:dzAEEesD0
まってた
小萌先生マジ天使
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/13(土) 09:57:26.31 ID:GLYdhtSto
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 09:59:25.71 ID:O8P0m8270
乙カレー
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/13(土) 10:04:45.86 ID:dBAOT0/Xo
うおっふう、感動して乳首立ったわ。掬彦かわいいよ。
オフなのにほんとに書くのが楽しそうだなーww
でもあれだぜ今しかできないこともやるべき。透けブラチェックとか。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 10:59:54.21 ID:t7i+VMqAO
乙です

やっぱり水着チェックだろ夏だぜ夏!連載の夏テコ入れ回は水着と昔から決まっとる!


心揺れ動く鋼盾君良いですね〜。

ただ、一つ違和感は「学園都市のレベル0なのにレベル5過小評価し過ぎじゃね?」って気が。ずっとレベルで評価されてきた鋼盾君がレベル5三位の美琴にもっと期待と楽観視を感じないもんなのかな?
例えて言えば万年球拾いな弱小校野球部員が野球する事になって知り合いの名門校のエースに助太刀頼まないような感じというか…彼が慎重主義なんだと言えばそれまでですが。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 11:30:32.75 ID:+Lw5un4AO

このssだと携帯が重要アイテムぽいな

>>85
美琴の戦力は高く評価しつつ、しかしそれを外交カードにすることで交渉を目指したのが策士鋼盾の慧眼

原作じゃ忘れがちだけど、本来腕っ節だけじゃ解決しない問題だよ

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/13(土) 11:51:36.59 ID:mZ+HxOjKo
>>85
レベル5としての評価は絶大だよ
ただ女子中学生としての御坂美琴を目にしてるからこそ楽観視してないだけ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 11:56:21.10 ID:t7i+VMqAO
>>86

あー、俺の文章力が低かったな。すまんね。
言いたかった事は「頼まない」ルートを選ぶのは理由が弱いよねって意味。
無論さっき書いたみたいに慎重な性格なんだといえばそれまでなんだが。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 12:06:02.73 ID:t7i+VMqAO
>>87


それはあるな…それなら分かるわ。

もし「頼まない」を選んだら鋼盾君はいろんなものを失いそうだな…。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/13(土) 12:11:53.72 ID:mZ+HxOjKo
上条が「目に見えるものは全部救う」のなら
鋼盾は「守りたいひとつを多くを失っても救う」スタンスでいいと思うんだ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 12:21:08.19 ID:+Lw5un4AO
頼んでもいろいろ失いそうだけどな センセーの電話でどうなることやら
つうか原作上条さんの楽観ぶりときたら…

俺のせいau東北がいっぱい!紛らわしい!
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/13(土) 13:16:23.47 ID:xFmnAIGf0
それでも非常になりきれない弱さが愛しい
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 19:56:35.29 ID:o9I2l89AO
新潟・東北は、おまえらだけじゃないんだぜ?
1乙
ずっと読んでます!
ここの女の子がすごくツボ、うまく言えないけどとにかくいい!
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 20:30:30.37 ID:t7i+VMqAO
>>93

たしかにいいよな〜。キャラのポイントは押さえながらテンプレートにはなってない所かなぁ?

あと地の文主体でその中でも心理描写に多めに配分してるから青少年特有の不安定な感情を表現できてるのかもね。



…まあその分展開は遅くなるんだけど。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/08/13(土) 22:55:04.17 ID:gSUpxOBAO
新潟・東北まつりと聞いて初レス&乙
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 23:12:46.27 ID:xLvOPEls0
>>95メアド欄にsageって打つと皆幸せになれるよ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県) [sage]:2011/08/14(日) 06:22:14.86 ID:zjU7cBQ10
これは名作
ガチで読み耽ってしまった
98 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/08/14(日) 22:54:30.34 ID:ZjtLVTjw0
どうも>>1です。墓参りと被災地ボラなどに勤しんできました
レスありがとうございます。乙の一文字で踊り狂うわたしですが、内容に深く踏み込んでくれたコメントはほんとに嬉しいです
ご期待に沿えるようにがんばります

>>85-92
質問感想フォローに感謝です、フォローの通りですがちょっと説明をば
己の無力を知るがゆえ、誰より卑怯に酷薄にあろうとする鋼盾くんは、しかし上条もインデックスもしらない敵(ステイル)や利用対象(超電磁三人娘)の心に深く踏み込んでしまっています

そこにあるのは共感やら理解、尊敬、感謝といった肯定的な感情なんですね
だから魔術師に対してイマイチ完全に敵対しきれてないし、三人娘に降りかかる危険や彼女たちが抱える案件(幻想御手事件)とかを気にしまくりで頼りきることもできない

それじゃだめだとわかっている、わかっているけどステイルや3人娘の言葉に彼は救われてもいて
どないせいっちゅーねんという話なのです……難儀ですね主人公。上条さんなら迷いもしないのでしょうが
>>1が書きたいのはその辺だったりします

そんな甘甘な彼に現実を突きつけるのが前スレタイのあの人な予定なのですが……
まだ出てこないってどういうことだよ……つうか早くカレー食えよコラ
>>94のいうとおり遅すぎです。2スレ目は23日からの予定だったのにもう100目前だと?

タラタラ進行ですまんです、次回でようやく22日が終わる予定
パソがあまり使えないのでいつ投下とお約束できないのですが、なるたけ早くに!

長文失礼! ほんと、レス感謝です!

PS 透けブラ? 水着? ……若いな
  >>1はサンダル履きの足指にこそ感じるものがあります
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 00:37:18.24 ID:6ya2CVMIO
ボランティア乙!
どこで活動した?
石巻とかはどんな感じ?
俺が帰る時は虫対策を本格的にどうしようかって時だったから
その辺が心配です
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 00:56:50.93 ID:Wu2fZff/0
サンダル履きの足指に見蕩れた
小さな花咲かせた

あれは恋だった
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/15(月) 01:13:05.98 ID:PcNX9C2Bo
いいえ、それは変です
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 01:26:53.28 ID:Wn0hHP/AO
むしろ愛かもしれません
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 03:13:22.14 ID:PFS2ZvVEo
そこで私がくると?
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/15(月) 06:03:22.58 ID:CWWCtBgAO
でもサンダル履きの指をチェックしてる鋼盾君は見たくないな…
ヘンタイ過ぎるだろ高校生的に考えて…
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 07:56:25.83 ID:Wu2fZff/0
小萌先生の足の指か
なんかやわらかそうだな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/15(月) 08:07:20.89 ID:KBEHC5oBo
小萌先生の踝のあたりを想像するだけでもうね……ふうぅぅううううぅ。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 09:21:26.29 ID:i72pb1fIO
なんか興奮気味の賢者がいるなぁ…
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/15(月) 09:39:28.67 ID:dsYyHLLD0
警備員さんこっちです
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/15(月) 10:01:05.04 ID:ei53tllto
>>1の特殊性癖にどん引きだよ!ペディキュアか!それとも挟んでるのがいいのか!縛ってるのがいいのか!悪くねえな!

黒子は変革のきっかけになった相手、変わるために謝罪を申し込んだ相手でさ。
ここで彼女らを利用するとその謝罪が嘘になっちゃって、それは自分自身を否定するってことなんよね。
この時点で掬彦の冒険は終了なのですよ。
そういう意味では青ピや土御門は利用しても構わない。小萌先生が泣くからできんけど。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/15(月) 10:56:30.22 ID:CWWCtBgAO
青ピや土御門に頼めるような話ならとっくの昔に頼んでるだろ…美琴に頼まないとどうしようもないって考えてるから悩む訳で。

それに鋼盾君が美琴や黒子の性格を知らないわけでないだろ…
もし頼まないで上条に危害が及んだ時にどう思うか…「レベル5なめんな、水臭いってか臭え」ってなる。その位はここの鋼盾君は想像するだろ。

相手を信頼して頼むのは決して裏切る事とは違うと思うんだがなぁ…最初とは関係が変わってる訳だしね。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/15(月) 12:41:39.21 ID:ei53tllto
人として頼む、ではなく、物として使う、になっちゃうと思うんよねー。
他の誰かからそう見えるのではなく、鋼盾掬彦自身から見て、ね。
そこが彼が悩みまくって路傍で立ち竦んでしまってる要因なわけで、これこそがこの物語の醍醐味だと思うんだ。
俺と>>110の感じ方考え方は全然違うんだけど、この話が好きなのは一緒だからあんま戦いたくねえよ。
お互いの視点でこの話がどう進んでいくのか楽しみにしていようぜー。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 13:10:25.72 ID:Wn0hHP/AO
そんなことより足指の話をしようぜ

ペデュキアは無粋だと思います!
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/15(月) 13:26:39.49 ID:CWWCtBgAO
>>111
俺も別に論破や論争が目的じゃないから後は続きを待つよ。俺も楽しみだしね。

元々二重反律な話だから正解は無く…どちらの選択においても彼は自分の想像以上に手の中に残ったモノの少なさにどう向き合うのかね…


しかしもし物として使う事になると考えてるとするならば…哀しいな鋼盾君は。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/15(月) 13:38:13.74 ID:5q40D6Yxo
>>112
だからさっき言ったように指より踝から足首にかけてのラインが大事だっての!

無粋だってのは全面的に同意!
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/15(月) 15:17:08.58 ID:kaybp+nO0
>>112 >>114 
同意、ぺディキュアを塗った時点でそれは生足ではないのだ
だがここの1は無粋に粋を見出す男だった筈、ぺディキュアの真価を俺らが知らぬ可能性はあるな

1が美脚派ならアレだ、対馬さん視点の「とある美脚の天草式」で7巻再構成やろうぜ
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 20:13:37.97 ID:5aF/LS2IO
>>634
更新かと思ったら雑談だったでござる
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/15(月) 22:12:32.85 ID:XM7Gv6qYo
>>634
そんなネタはよそでやるかsageろよ・・・・
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/15(月) 22:27:49.95 ID:g1eMfbkKo
>>634が全部悪い
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 22:37:28.50 ID:Wn0hHP/AO
ああ、すべては>>634のせいだな…
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/15(月) 23:09:19.33 ID:Wu2fZff/0
俺は>>634を評価する
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/16(火) 00:41:58.16 ID:q8P2FqRUo
書き込む前から真っ赤な>>634かわいそ
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/16(火) 05:43:16.45 ID:nQYUOuCC0
武蔵…勿体ない名前だね……今日からお前の名前は>>634だ!!
123 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/17(水) 00:05:11.44 ID:L215EqsAo
※これは>>115のコメントに触発されて>>1のアホが20分ほどで書きなぐった落書きです
 本編ともその未来とも一切関係の無いなげやりな小ネタですので、その点を何卒ご理解いただければと存じます
 本筋の更新ではなくてすみません、適当に読み流して下さい


――――――――――

 対馬、というのが私の名前だ。

 戸籍上の名はまた別にある。ありきたりな姓にありきたりな名前。
 名簿の中に埋もれてしまいそうなほどありがちな、それでも女の子らしい普通の名前。
 紛うことなく己の名前である筈なのに、その名前が己のものだと未だに得心が得られずにいる。

 対馬なる名は、気恥しい物言いになるがコードネームのようなものになるのであろうか。
 天草式の伝統に則り、教団縁の土地の名を与えられた。対馬は長崎に属する島の名前なのだが、実は私は行ったことがない。

 だが、気に入ってはいるのだ。大袈裟に言えば己の魂の名前であると言えるかもしれない。

 建宮、浦上、五和、牛深、香焼、諫早、野母崎……、天草式の人間はみながそうなのだ。
 例外たるは既に袂を別ち、それでも今尚深く繋がっていると断言出来る彼の女性くらいのもの。
 教皇の地位を退いた彼女の後は、建宮が立派に務めてくれている……斎字の称号は重かろうに、それでも飄々と。
 だが、彼は少しばかり奔放に過ぎるような気もしている……なぜかしらないが厄介事はすべて私の方に回ってくるのである。

 そう、今日もまた私ばかりが割を食っている。
 特別任務など、自分にはまだ荷が重すぎるのだ。
 こういった役割は経験豊富な年長者か、それこそ建宮自身が務めるべきであろう。
 イギリス清教の“必要悪の教会”、そんなビッグネームを相手取るには自分は未だ未熟に過ぎる。

 ……解っては、いるのだ。
 己は天草の一員、既に覚悟は決めている。
 若輩であることも未熟であることも受け容れて、なお最善を尽くすことが求められていると知っている。

 だが、それでも。
 それでも身も世もなくここから逃げ出したいと思ってしまう。

 私の対面に座るのは“必要悪の教会”のエージェント、土御門元春。
 土御門……そのあまりに偉大過ぎる姓の重みは、日本に生きる魔術師であれば誰でも知っているであろうものだ。
 金髪、アロハシャツ、サングラス……全くもって胡散臭いその身なりに反して、纏う空気は紛れもない“本物”のソレ。
 男と呼ぶには若すぎて、しかし少年とは絶対に呼べそうもないその人物との会合こそが、私に与えられた使命であった。

 私の腰には『伴天連奉納兼光透晶』、天草が誇る魔術刀が提げられている。
 『草紙断ち』の異名を持つその名刀は、最も重要な任務に就く“剣士”にあずけられるモノだ。
 即ちこの人物から与えられるであろう“仕事”はそれほどのものであるということの証左でもある。
 その重荷に心が傾ぎそうになるも、なんとかどうにか取り繕って土御門の顔を見据える。
 安っぽいサングラスはしかし彼の瞳を完全に隠しており、その奥に宿るであろう彼の本心を窺うことは絶対に不可能であると知れた。


「……その書類にあるように、お前には“法の書”任務とは別に動いて貰うこととなる」


 土御門のいう“法の書”任務とは、十字教世界の秩序を崩しかねぬ大発見を果たしたオルソラ・アクィナスなる修道女の保護を指すものだ。
 天草式のほぼ全員を巻き込むその大仕事に、しかし私は関わることができないという。


「鋼盾掬彦……その写真の人物を守り抜くことが、お前の仕事だ」


 土御門に渡された、護衛対象の写真。
 クラスの集合写真をトリミングしたのであろうか、粒子の粗いその写真には友人と肩を組んで笑う鋼盾の笑顔があった。

 鋼盾掬彦。
 それは先月の一件以来、天草式十字凄教にとってあまりにも大きな意味を持つ名前だった。
 少女ひとり守れぬ己に絶望していた神裂火織に、再び全てを救わんとする魔法名を名乗らせた少年の名前だ。

 かく言う私も、件の少年には複雑な感情を抱いている。
 それは紛うことなき感謝と尊敬、そしてそれすらも凌駕せんとする嫉妬の念だった。
 結局自分たち天草式には成すことの出来なかった、神裂火織の救済を成し遂げたその少年。
 認めたくない、と見当違いの嫉妬を抱かずにはいられない。

 だが、そんな瑣末な感情に踊らされているわけにはゆかない。
 土御門から齎された情報をもとに、教皇代理たる建宮斎字が書き上げた今回の作戦。
 それを成し遂げることができれば、神裂火織の双肩に幾重に圧しかかる重荷をまたひとつ外してあげることが出来るのだから。
 あの幸福(ふこう)な少女を、私たち天草式の手で少しばかり救ってあげられるのだから。


124 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/17(水) 00:12:49.48 ID:L215EqsAo


「……“救われぬ者に救いの手を”」


 それは神裂火織の魔法名にして、天草式十字凄教の掲げる理想そのもの。
 あの日誓った、私の願い。


「天草式十字凄教が一員、対馬の名において誓います。
 その任務、この命に代えても成し遂げてみせましょう」


 私のそんな言葉に、土御門元春は小さく笑い、意外な言葉を口にした。
 裏切りの刃たる彼には、まったくもってそぐわない言葉だった。


「ああ、鋼盾掬彦を、コウやんを、オレの友達を助けてやってくれ。
 ……宜しく、頼む」


 こうして、正史とは異なる物語が幕を開ける。
 科学と魔術の交差する激戦の中、私はどうしようもなく彼、鋼盾掬彦に引き摺り回されるハメになるのだが……

 それはまた、別の話


 
――――――――――



 >>115さん、こんなんでどうですか、わかりません、むずかしすぎです
 つーか>>634の大人気に嫉妬。このスレの未来予知(ファービジョン)の多さは異常
 あとお前らは剥がれかけのペディキュアが醸し出すどうしようもないセクシーさを知るべき

 本編の続きは、今週中に投下致します
 んじゃ、次回もどうかよろしくです
 
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 00:24:31.74 ID:IgfAhHrVo
ここまで>>1が続けるつもりとは知らなかったよ
がんばって!な!
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 02:26:44.91 ID:Vj28TGGIO
まさか塗ったペディキュアを剥がすという所に目をつけるとは……
まさかの視点だぜ
>>1
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/17(水) 07:40:46.05 ID:1L6rgd6AO
対馬ー!!!!俺だー!!!!
結婚してくれー!!!!
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/17(水) 08:02:16.61 ID:YJCb5zAAO
香焼ー!!!!俺だー!!!!
小悪魔エロメイド姿で結婚してくれー!!!!
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/17(水) 09:25:21.21 ID:YJCb5zAAO
いけない、エロメイドじゃなくてロリメイドだっけ!テヘペロッ☆
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/17(水) 11:50:23.64 ID:JoBLfwVl0
ここに至るまでに鋼盾君はなにをやらかしてて、どういうポジションに達してるんだ。
なんか妙な感じに重要人物になってるくさいなww
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/17(水) 21:54:22.67 ID:nXLR2pfRo
>>128
ショタメイドも欲しいところだなwww
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/18(木) 10:39:33.42 ID:h2a1iDMNo
やだこのスレ変態しかいないわ…
133 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/19(金) 00:38:57.01 ID:DmylCtB8o
どうも>>1です、みなさまレス感謝、夏風邪気味ですが元気をもらっております
ふと気づけば500くらいまで落ちてたぜ、流れすんげえ早いのな
負けてられねえ、今日の夜、深夜になっちゃうかもだけど投下します、どうかよろしく

対馬さん話はなかなか難しそうですな
天草式や土御門さんの話はオリジナル魔術や設定をでっち上げるセンスが問われる気がします
書くのは難しいけど楽しそう、もっとそっち系のSSが増えますように

ああ、あとペディキュアは剥がすんじゃないんだ! あくまでも自然に剥がれるんだ!
>>1は別に美脚派というわけではないのです、足指の白さやちょっと不揃いな足爪に少しばかり心揺らされるだけなのです

とか言いつつ木山先生の登場シーンを書いてたらストッキングを脱ぐシーンでものすごっつ暴走してしまった……!
さすがにコレは封印でござる……このSSにお色気要素など不要じゃい!!

んでは、今晩夜に!
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/19(金) 15:12:50.51 ID:GhbHQZsz0
蝶のように舞い、蜂のように待ってる
木山先生のコトも待ってる
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 18:26:13.92 ID:IGJxWlTno
そしてゴキブリのように動き回って待ってる
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/19(金) 18:32:32.79 ID:7lYo3qO50
つ殺虫剤
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 18:42:22.34 ID:YwXczfCAO
ナウシカ「ころさないで!」
138 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 20:23:04.25 ID:DmylCtB8o
……やはり蟲にとりつかれていたか


王蟲との交流はなんだかんだで名曲
1時間以内に書き上げて投下! 己を追い込む予告age!
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/19(金) 20:29:35.98 ID:IOM6T6Kzo
投下か…短けえ夢だったなぁ…






なんてね☆待ってました!とりあえず長靴一杯食べたいよ待機!!
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/19(金) 20:44:38.92 ID:k+yetJvuo
あえて全裸ではなく裸エプロンで待機してるか
期待してるぞ
141 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:21:53.25 ID:DmylCtB8o
>>139 味はともかく、な

>>140 何があったか知らねえが、かわいくなっちゃって まあ……クワトロはいいキャラだよね


結局まだ後半ちょっと書けてないのですが、まあ投下しながら書いて参ります
ゆっくり投下ですいません、まとめて後で読むといいさ!


んでは、参ります










――――――――――
142 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:22:32.06 ID:DmylCtB8o


 甘やかな声は耳に優しく。

 電波を介しても距離を隔てても顔が見えなくとも、なにひとつ損なわれることのない優しい音色。

 いつだって鋼盾掬彦の心を揺らすその声。


 月詠小萌の声が響く

 澱みを払うように、油を注すように

 
143 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:25:02.78 ID:DmylCtB8o

 
『? もしもーし、鋼盾ちゃーん?』

「あ、聞こえてます、えと、大丈夫です。遅くなってすいません、今帰り道でして。
 ……あと30分くらいで戻れると思います」

『そうなのですかー、あのですね、今三人で夕飯のカレーを作っているところなのですよ。
 材料、鋼盾ちゃんが用意してくれたんですね、ありがとうなのです』

「いえいえ……すいません、ぼくもいっしょに作るつもりだったんですけど」

『だいじょうぶですよー、それでちょっとお願いがあるんですが、福神漬を買ってきて欲しいのですよ。
 上条ちゃんが“カレーには福神漬”って口にしちゃったものですから、シスターちゃんがもう興味津々で』

「ああ、目に浮かびます。……あの子のことだから、福神から転じて七福神の話でも始めてるんじゃないですか?」

『……びっくり。大正解なのです鋼盾ちゃん! 今上条ちゃんが講義を受けてる真っ最中なのですよー。
 なんでも“七福神に見られるヒンドゥー教、仏教、道教、日本の土着信仰といった多種宗教に於けるの神々の習合にこそ、
 日本独自の宗教観を読み解くヒントがあると言えるのかも!”とかなんとか」

「はは……んで、上条くんが“うだー”と」

『ええ、“うだー”なのです、ふふ』


 楽しそうに笑う小萌の声。

 昨夜の記憶はまだまだ新しく、小萌とまともに話ができるか内心気が気でなかった鋼盾だったが、どうやら杞憂であったようだ。

 このひととの会話は、いつだって安らぎと喜びに満ちている。

 それはもう、奇跡のように。


144 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:27:06.05 ID:DmylCtB8o


 ……どうすれば、よいのだろう。

 ぼくは、このひとだけは絶対に裏切りたくはない。

 だが、たとえ彼女を裏切るような羽目になったとしても、その身を危険に晒すよりはずっといいとも思う。


 今のままでは、最悪彼女を巻き込みかねない。

 戦闘に巻き込んでしまうかもしれない、人質に取られてしまうかもしれない、重荷を背負わしてしまうかもしれない。

 鋼盾は敵である魔術師を知らない、ステイル=マグヌスの一側面しか知らないのだ。

 常に最悪を想定して動かなくてはいけない。


 小萌の安全を確保するにはどうすればいい?

 自分たちが彼女のところにいることは敵にバレていると見なければなるまい。

 そうすると、能力者には使えないハズの魔術を使ったのが彼女だということも把握されていると考えられる。


 小萌宅を離れるのがまずひとつ、だが、それだけではだめなのだ。

 現状、思いつくのは僅かに3つ。


 ひとつは、魔術師の目的たるインデックスを差し出すこと

 ひとつは、御坂美琴を巻き込んで抗争の位階をブチ上げること

 ひとつは、魔術師たちを打ち破ること


 いずれも様々な問題や許容できぬ犠牲を孕むその選択肢

 選ぶことなどできず、結局己は行き詰まっている


 弱いお前は手段を選ぶなと己に課しておきながら

 大切なものを守るために泥を被ると誓っておきながら

 その舌も乾かぬうちに、手段に迷い汚れを忌う己を見つけてしまう


 ああ

 なんて、無様




145 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:29:25.39 ID:DmylCtB8o



『今日は鋼盾ちゃん、風紀委員さんのところに行ってきたんですね……黄泉川先生に聞いたのです。
 黄泉川先生、鋼盾ちゃんのこと褒めてましたよ。……きちんとけじめをつけられる、強い子だって。
 ……ふふ、先生、いっぱい自慢してきちゃいました』

「……そんなこと、ないです……ぼくは」


 ああ、ほんとうにそんなことはない。

 ぼくは弱い、能力がないだけではなくて、もっと根本的なところでどうしようもなく弱い。


 なにひとつ貫けない

 なにひとつ、切り捨てられない


 月詠小萌、上条当麻、インデックス

 御坂美琴、白井黒子、初春飾利


 なにひとつ、失いたくない

 結局、選ぶことから逃げ出してしまっているのだ

 全てを抱えてゆける筈もないのに、なにひとつ切り捨てることができない

 身動きひとつ、とれそうにない


 確信がある

 このままではきっと自分は、確実になにかを失ってしまう

 取り返しのつかないことになる

 刻限が、迫っている


『……鋼盾ちゃん』

「……はい」


 なのに

 小萌の声ひとつで、どうしようもなく自分は流されてしまう

 何もかもを先送りにしてしまいたくなる

 甘えてしまいたくなる


 そんなこと、許されるはずもないのに

 他の誰がそれを咎めずとも、自分だけはそれを許してはならないと誓ったのに


146 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:32:24.58 ID:DmylCtB8o


『はやく、帰ってらっしゃい。鋼盾ちゃんは、ひとりで抱え込み過ぎなのですよ。
 何もかもを自分だけでなんとかしようとなんて、思っちゃダメなのです……それは強さじゃないと先生は思います。
 先生が貴方たちの事情を聞かないのは、三人がちゃんと支え合っていると感じたからなのですよ』


 電話越しの短い遣り取り。

 それだけで、小萌は驚くほど正確に鋼盾の心を読み解いてしまう。


 あなたはひとりじゃない、小萌が口にしたのはそんな言葉

 それはつい先ほど、鋼盾が御坂美琴に告げた言葉でもあった

 見当違いの孤独に震えるあの子に、共に歩む仲間の存在を忘れて欲しくなかった


 ……小萌には、自分の姿もあんなふうに映るのだろうか

 不安に惑い泣き出しそうな、迷い子のように


147 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:37:10.03 ID:DmylCtB8o


『鋼盾ちゃんは、優しい子です。優しくて、強い子ですよ。
 でも、もしひとりでなにもかも抱え込んでしまうなら、先生も黙ってはいないのです』


 先生の本気、見てみたいですか? まだみなさんにはお見せしたことはないのですよー?
 
 悪戯っぽく冗談めかしたその言葉には、しかし隠しきれぬほど強い感情の色が透けて見えた。


 重ねた経験、揺るぎない芯

 それは、鋼盾掬彦に絶対的に足りないもの


「…………福神漬、買ってきます」


 結局、そんな台詞しか言えなかった

 誤魔化しの言葉ひとつ、浮かばなかった



 月に舞う兎はあまりに遠く、手を伸ばすことさえできない

 泥龜のように低い視点から、彼は天の深さを怨んだ

 


――――――――――

148 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:51:37.52 ID:DmylCtB8o



 適当なスーパーで福神漬と、ついでにラッキョウを購入した鋼盾は、ぼんやりと家路を歩く。

 美琴たちへの返信は、結局当たり障りのない内容のメールで済ませてしまった。

 彼女たちを巻き込まずに済んだことに安堵すると同時に、巻き込めなかった己の甘ったるい弱さへの慚愧。

 苦虫を噛み千切れぬ弱い顎、そんなアンビバレンツ。


(………結局、ぼくは)


 なにひとつ徹底出来ていない

 中途半端で、無様な己


 目的の為に卑怯者になることもできない

 結局は流されるまま、木の葉の如くにうすっぺら

 流れつく先も知らずに、くるくると回り続ける


 小萌は鋼盾を優しいと言ってくれたが、それは違う。
 
 己のそれはけして優しさではなく、ただの甘さで弱さだった。


 少女らを巻き込むことより、あの子たちに嫌われる事が怖くて

 月詠小萌に幻滅されることが怖くて、上条当麻に否定されることが怖くて、インデックスに泣かれてしまうことが怖くて


 嫌われても、幻滅されても、否定されても、泣かれても

 それでも、それでも他ならぬ己がやらねばいけないことだったのに


 また、逃げ出した

 いつかのように、いつものように


 いつまでも逃げ続けることなど、できはしないと解っているのに


「………………く、そ」


 呻く、嘆く、喘ぐ

 吐き気がする

149 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 21:52:32.56 ID:DmylCtB8o


 ああ、漫画とかだったらココはあれだ。

 電柱に拳を打ち込んで血だらけのそれを見て、己の不実を恥じるシーンだ。


 鋼盾はなんとはなしに視線を巡らしてみる。

 未来都市たるこの街において、街の美観を損ねる前時代的な電信柱など既に過去の遺物。

 ケーブル類は全て地下に埋設されており、鋼盾の拳の落としどころは存在しない。


 いつの間にか固く握り込んでいた拳をゆっくりと解いてゆく。

 なにひとつ成せぬその拳、なにひとつ掴めぬその掌


 手から何かがこぼれ落ちる音を聞いた気がした

 ……幻聴だ、オマエはなにひとつ掴んでなどいないだろうに


 ぺたり、と掌を顔に押し付ける

 上条の右手が異能を打ち消すように、この身の弱さを打ち消してくれればいいのに


 結局、妄想に逃げる惰弱

 鋼盾掬彦はひとり、震える手で頭を抱えた




――――――――――

150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 21:59:57.14 ID:admSt8Vi0
もうこの作者で戯言×禁書を書けばいいよ。
割とマジで
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/19(金) 22:01:55.12 ID:IOM6T6Kzo
それはせめて一巻終わってからにして欲しいな…
152 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 22:29:55.01 ID:DmylCtB8o




―――――


 そうして、小萌宅に帰ってきたのがなんのかんのと五時半過ぎ。

 途中で買い物に寄ったとはいえ、あれだけの道のりに随分と時間をかけてしまった。

 換気扇から漏れるカレーの香りは、こんな時だというのに容赦なく食欲を刺激してくれる。

 扉を開けると、今か今かと鋼盾を待っていたのであろうインデックスの笑顔があった。


「おかえりなさいなんだよ!」

「……ただいま、インデックス。
 遅くなってごめんね、はいこれ、おみやげ」

「ふおおおお! これが福神漬! ありがとうなんだよきくひこ!
 あれ? もうひとつなにか入ってるんだよ?」

「ああ、それは」

「ラッキョウ!? HUKUJINNDUKEと並び称される伝説の!?
 ……す、すごいんだよ! とうま! ラッキョウ様が御降臨なされたんだよ!」

「おー、それは大変だな! 七福神対ラッキョウ神……神話の再現だ!」

「……上条くん? インデックスになにを吹き込んだ?」

「すまん、思いの外インデックス先生の講義が長引いてな……ラッキョウ様に縋るしかなかったんだ」

「おい」


153 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 22:36:57.81 ID:DmylCtB8o


 右手に福神漬、左手にラッキョウ、カレーの付け合せトップ2を持ってくるくる踊るインデックス。

 それを優しく見守る上条……まったく、一体どんなトンデモ話を吹き込んだのか。


 ああもう

 なんでこんなに楽しいんだろう

 
 騒ぎを聞きつけて居間から顔を出した小萌と目が合う。

 すべてを見透かすその瞳が、慈しむように自分たちを見ている。

 3人で一緒にいなさいと、笑っている。

 鋼盾は慌てて目を逸らす、逸らした先には湯気を立てるカレーの鍋があった。


「……カレー、美味しそうだね」

「わたしととうまとこもえ、みんなで作ったんだよ! わたしがかき混ぜたんだよ!
 はやく食べようよきくひこ!!」

「おいおいインデックス、鋼盾まだ帰ってきたばかりなんだから急かすな!
 つうかまだ五時半だぞ、早すぎじゃねえか?」

「いや、ぼくはかまわないよ、先生と上条くんがよければ」

「ふふ、実は先生もお腹ペコペコなのです!」

「……ああ、俺もだよ! なんたって昼はインデックのせいでちょっとしか食えなかったからな!」

「むむ! 食卓は戦争なんだよ!」

「テメェはシスターだろうが!」

154 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 23:01:59.48 ID:DmylCtB8o


 途端に楽しそうに口論を始める上条とインデックス。

 それを尻目に小萌が皿にごはんを盛り始め、ならばと鋼盾はおたまを手に取る。


「シスターちゃん、ごはんは大盛りでいいですかー?」

「もちろん!」

「ちったあ遠慮しろバカシスター! ああもう先生! 俺も大盛りで!」

「はいはい、ご飯はたっぷり炊いてありますからねー。
 ……鋼盾ちゃんはどうしますか?」

「……僕も大盛りで。
 インデックス! ほら、福神漬様とラッキョウ様を小鉢に移して」

「だめだ鋼盾! それぞれの皿に分けねえとインデックスに全部食われちまうだろうが!」

「とうま! とうまはわたしの事を何だと思っているのかな! 心外にも程があるんだよ!」

「うるせえ前科持ち! そうめんの恨みは忘れねえぞ!」

「そんなことしませんよねシスターちゃん? 先生も大盛りにチャレンジなのですよー。
 ……はい鋼盾ちゃんお願いします」

「はい、……上条くん、麦茶とスプーン出して」

「おう」

「こもえー、ラッキョウ様の袋が開かないんだよ」

「そこのハサミ、使って下さいねー」


 狭い廊下のキッチンに4人は狭すぎる。

 なのに誰も引っ込まないのは、きっとこのやりとりが楽しくて仕方がないから。


 インデックスは勿論、親元を離れている自分や上条はこうした食卓に飢えている。

 ことによると小萌もそうかもしれない、一人暮らしには多過ぎる食器を持つこのひとも。


 あふれる笑顔

 かさなる声

 ちぐはぐなぼくらの賑やかな食卓


 鋼盾が笑い、上条が笑い、インデックスが笑い、小萌が笑う

 どうしようもなく満ち足りたひととき


 ……だが、4人でテーブルを囲むこの光景は、きっと長くは続かない


155 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 23:05:23.16 ID:DmylCtB8o


 おそらくはあと数日以内、下手をすればこの瞬間に崩れ去ってもおかしくない。

 インデックスの体調もほぼ完治に近い、明日にはきっと全快だろう。


 懸念すべきはおそらくは敵もそのことを承知であろう事実。

 相手は魔術の専門家、インデックスの治癒にかかる時間も把握していると見ておいたほうがいい。

 
 ずっと後回しにしていたが、インデックスの治療という大義名分が失われつつある現状、そろそろ誤魔化しが効かなくなる。

 これまでのところ幸運にして襲撃はなかったが、これからもそうとは限らないのだ。


 明日、小萌宅を辞そうと鋼盾は決めた。

 自宅に3人で篭ることになるだろう、小萌への監視がそれでなくなればいいと儚く祈る。


 もちろん上条とインデックスに相談をしなければなるまいが、彼らもそれを拒みはしないだろうと確信がある。

 どちらかといえば小萌先生のほうが厄介かもしれない、置手紙だけなんて薄情な真似はしたくないが、どうしたものだろうか。


 先ほど交わした電話での台詞を思い出す

 本気の月詠小萌…………ああ、まったくもって絶対に、勝てる気がしない



156 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 23:08:37.03 ID:DmylCtB8o



 今日ではなく、明日。

 結局また先延ばしにしてしまったことについては、気付かないふりをした。


 カレーは美味しくて、団欒は優しくて、3人の笑顔が眩しくて。

 涙が溢れてしまいそうだった。



 せめてこの一時だけは、こころのままに

 誰に宛てるかも知れぬ祈りが、カレーから立ち上る湯気と一緒に溶けていった

 







――――――――――
157 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/19(金) 23:19:57.80 ID:DmylCtB8o
ここまで
タラタラ投下ですまぬ! あ、投下中のコメント感謝です!
>>1は物語シリーズだけで戯言は未読なのですが……なぜ戯言?なんか通じるものでもあるのでしょうか
ともあれまずはこちらを完結させますけん、ご安心くだされ


さて、結局いろいろ中途半端なままですね
ながながと引っ張っといてこんなザマで申し訳ない

非常に徹する鋼盾掬彦、御坂美琴の参戦、親友の変貌に吼える上条、インデックスの涙
失うことから全ては始まる……みたいな展開も楽しそうですが、そうはならなかったようです
>>1の筆力が足りず描ききれてない葛藤やこころの動きも多いので、疑問点などございましたら遠慮なく突っ込んで下さい

まあ、まだ中盤です
鋼盾くんと>>1のアホの今後の成長にご期待下さい

やっとカレーが食えたので22日も終わります
23日がやってきます。順当にいけば青ピ回かな

んでは、次回もどうぞよしなに
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 23:23:07.39 ID:QLHszLGIO
青ピ回か
胸が膨らむな

1乙
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/19(金) 23:23:08.93 ID:k+yetJvuo

やっぱり上条さんは記憶破壊されちゃうのかな?
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/19(金) 23:23:20.66 ID:jXYe8N6AO
乙。できればこの団欒が続いてほしいなあ……
無理なんだろうこど



あと>>150はこないだ終わった戯言クロスを読んでくるといいよ
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/19(金) 23:25:54.82 ID:7lYo3qO50
そうしてらっ教が生まれた
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/19(金) 23:32:45.20 ID:IOM6T6Kzo
乙です!頼まないは「正しい」選択…さて「正しい」選択が「良い」結果を生むのかは…気になりますね!
次回も楽しみにしてますね。


>>161

ああぁん?ここがチーム「七福神」のシマだってわかって言ってんのか、おぉ!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/08/19(金) 23:50:18.85 ID:TPKuPyxto


…ごめん、俺柴漬け派なんだ
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 00:00:01.44 ID:RJAZ8WTAO
生卵派を忘れてもらっては困るな
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 00:26:50.71 ID:8AL2olMio
ヨーグル党
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/20(土) 00:39:27.88 ID:iC4/osXVo
>>164
生卵とは邪道な
やっぱりカレーには目玉焼きだろ
167 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 00:47:41.18 ID:qu1Dmspmo
(やべええ、カレーの付け合せの話題なんて荒れるに決まってんじゃねえかピクルスだろ常考どうにか話題をそらさないと!
 マヨラーが来る前にどうにかしねえとマヨネーズハラスメント略してマヨハラだめゼッタイ!タルタルなら許す!!)
 なーなーおまえらちょっとききたいんだけど、きのことたけのこどっち……嘘です。すいませんです 。味噌汁の時と同じネタですいません

 ところで質問なんだが、おまえら的に小萌先生の年齢って実際幾つくらいのイメージ?
 >>1はなんとなく三十路ちょいくらいなつもりで書いてるんだがどうだろうか
 答えはでないし出しちゃいけないアレっぽいけど、あんまり齟齬があると困るので
 どうかな?
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/20(土) 00:52:03.79 ID:iC4/osXVo
30代前半ぐらいのイメージだが
>>1のSSだから>>1の思うままに書けばいいと思うよ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/20(土) 00:57:36.82 ID:Zm3qvaaO0
>>167
30代後半かなぁ
ラノベやエロゲはあれで20代前半とか平気で言い張りそうだけど

実は4桁生きてる聖人とかトンデモ設定があるかもしれないし言及しないほうがいいとは思う
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 01:00:23.58 ID:0HnAuVNho
前にも書いたがマイ設定はウン千歳。古代エジプトまではいかないかな?全て年の功なんですよー。

まあ>>168の言う通り>>1の思うがままで良いと思いますよ?
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/20(土) 01:02:52.85 ID:T49YxbYB0
128歳だな
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 01:07:01.39 ID:RJAZ8WTAO
黄泉川より上ってくらいしか情報ないよな
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/08/20(土) 10:36:45.22 ID:kvPmeTq30
スサノオより上でアマテラスよりは下
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/20(土) 11:22:48.97 ID:b0A8Cdd+o
悩めよ恋せよ男子って感じだねー。
御坂美琴に放った啖呵が能力を得るために頑張った経験からの拾得物ならば、
今積み上げてるそれはどんな形になるんだろな。

カレーに付け合わせなんて……卵入れていいですか?
小萌先生は黄泉川先生から見て近い先輩ってぐらいのイメージだなあ。
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 11:31:08.63 ID:7AF8+RyIP
自分は30台後半なイメージかな
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/20(土) 12:04:14.76 ID:XtZxvRxAO
乙!

「頼まない」か…まあ実際にイノケンさんやねーちん聖人見てないからこの判断しても不思議ではないか。「甘い」とは思うがまあそれが彼の良い所でもあるからなぁ。
さて鋼盾君は「上条当麻」の死を回避できるかな?今後も期待です。

年齢についてはトンデモ設定も捨てがたいがここは四十前半で。生徒と「親」位の年齢差あるんじゃないかな?


…後な、カレーの付け合わせは千切りキャベツなんだよ!漬け物はカレーの香りの邪魔だし卵は付け合わせでなく具だろ、まったく…
177 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/08/20(土) 12:31:21.40 ID:qu1Dmspmo
レス感謝! 予想通りとはいえ先生の年齢はエラいコトになってますなw てか4桁というと……えーと、↓な感じ?
「神の子? ああ、あの子もとってもいい子だったのですよー。お父さんといろいろ大変だったみたいですけどねー」
「シッダールタちゃんもあれで結構思い込みの激しい子でしたけど……ああ、上条ちゃんとちょっと似てたかもです」

いやー、バラつきましたね。まあ、年齢設定があまり意味を成さないヒトではあります
……本格的に小萌との恋愛話を書くならその辺捏造しなきゃですけど、まあウチはアレですから!
これからも[禁則事項です]才ということで!

>>1の好きにやれ、という寛大なご意見に感謝です、つーか鋼盾主人公な時点で好きにやり過ぎですけどね
でも時々不安になってしまうのです、こうして女々しくご意見を募らせて頂くこともあると思いますが勘弁な!

筆がノリノリにのったので、飯食ったら投下します!
んじゃ、またすぐに!
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 13:04:28.27 ID:0HnAuVNho
>>177を読んで

神の子「あはぎゃはっ!ンなに神殿前で商売したきゃ聖書に載っちまうぐれェこの屋台を愉快なオブジェに変えちまおうかァ!!」

シッダールタ「――――――テメェは、世界中の衆生を助けたくないのかよ?(略)衆生救済は全然終わってねえ!!始まってすらいねえ!!ちっとぐらい長い書きだしで絶望してんじゃねえよ!!(略)いいぜ! てめえが輪廻の迷いを捨てられないってなら まずはそのふざけた煩悩をぶち[ピーーー]!!」

こんなのが思いついてしまった、どうしてくれる。


とりあえず座禅で空中浮翌遊待機。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 13:34:16.93 ID:RJAZ8WTAO
神条さんぱないの!
待ってる
180 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:41:03.95 ID:qu1Dmspmo

>>178
 HKB!HKB! 土御門をユダに、五和をロンギヌスに、マリアはそれぞれ御坂姉妹でさ、書こうぜ!
 シッダールタさんも熱過ぎる、原義的な意味での説教w、弟子は上条勢力で! そぼぶ! 
 浜面をどうするか思いついたら教えて下さい

 でも、神の子が彼ってことはさ……こうなるよな?

神「いやぁ天地創造したいわ。メチャクチャ天地創造したいわー。
  実を言うと前から海とか山とか作ってみたくてたまらなかった訳よ。そりゃまずは光が必要だったし、何より六日くらい掛かりそうだから踏み止まってたけどよお。
  こりゃー駄目だ、やっぱ働かないで呑む酒は不味いんだよなぁ。あー失敗だ。あっはっは、何やってんだかなぁ俺」

 胸熱。いやー、こんな聖書だったら熟読するね!
 >>178先生の今後に期待! HKB!

 んじゃ、投下しますね
 そぉい!






――――――――――
181 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:42:57.49 ID:qu1Dmspmo


 夏休み前日、あの記念写真撮影のあと。

 狂乱のカラオケを経て、それでもまだ騒ぎ足りない連中でファミレスへと雪崩込み、6人がけのテーブルを4つ占拠して早一時間。

 そのうちのひとつのテーブルで、こんな会話が交わされていた事を鋼盾は知らない。


「……およ、そういや青髪のヤツ、帰ったのか? アイツこういう席には必ず居るだろ」

「ああ、バイトだってさ。“うう、なんでこんな日にボクはバイトなんや恨むで店長!”とか言って血涙流してたよ」

「そっかー、いやなんか盛り上がりがおとなしめだと思ったらデルタフォース不在なのよね」

「うん? 土御門はソッコーでフケたけど上条は? アイツさっきまでいただろ?
 ……例によって上条の頼んだヤツだけ注文入ってなくて“不幸だあああ”だったじゃんよ」

「ああ、なんかスキルアウトっぽいのに絡まれて走って逃げてったぞアイツ。
 あっちのテーブルでじゃんけん大会してたな、鋼盾が負けて立て替え係だってさ」

「……上条君のアレ、一体何なのかなあ……そろそろ解明すべきよねあの不幸体質」

「無理でしょ」

「ああ」

「だね」

「うん……しかし濃いよなウチのクラス……一学期ももう終わりだけどよ。
 正直いろいろ有りすぎただろ実際、いや楽しかったけどな」

「まあ小萌センセーからして常識外だもんねー。
 ……うう、私より肌ツルツルなんですけどあのヒト! トゥルットゥルなんですけど!
 今日さんざん撫で回しちゃったんですけど!」

「涙ふけよホレ紙ナプキン……上条のかました“小萌先生高い高い事件”
 思えばアレが高校生活の始まりだったもんなー」

「いやアレはしょうがないよ、
 なんで高校に幼女がいるんだって一年生みんな首傾げてたもん」

「飛級の才女説がまことしやかに流れたもんな……いやこんな高校に才女はこねえよ」

「信じたわよ私」

「僕も」

「だよな」

「あたしもー」

「まあ俺もだけど……そうだ、アレでテンション上がった青髪のアホが学級委員になっちゃったんだよなー」

「……そういやそうだっけ……あれは失敗だっただろ」

「だめよその話しないでおこうよ……それはもう諦めようってみんなで決めたじゃない」

182 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:44:06.91 ID:qu1Dmspmo

「いやー、あの頃はまだお互いのコト全然しらなかったもんねー
 立候補があれば拍手しちゃうでしょ」

「ま、なんだかんだで一応仕事はしてるからな青髪」

「一応、だけどな……実質吹寄が仕切ってるだろウチのクラス」

「せいりんのおかげだよねー」

「吹寄さんはホラ、姉御肌だもん……実際すごいよあの子」

「姉御マジカッケー、見ろあのドリンクバー奉行っぷりを!」

「はは、こりゃ今日はドリンクバーミックスロシアンゲームは封印だな。
 ……まあ上条がいなきゃあんな危険なマネ絶対やんねえけどな」

「……ひどい、事件だったね」

「やめなさいバカ男子……醤油コーラとか何考えてるのよ。
 ここ出禁になったらアンタたちのせいだからね」

「醤油コーラ……だめだ、いちごおでんの威力には程遠いわ」

183 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:44:53.13 ID:qu1Dmspmo

「まあその話は置いといて……やっぱ学級委員は吹寄がベストだったか?」

「うん? いやオレは別に現状でもあんま構わねえけど、まあそうじゃねえの」

「あー、吹寄さんなら間違いないとは思うけど、
 あの子運営委員で忙しいしね、立候補しなかったのもそれが理由っぽいし」

「そうだな……つーか吹寄は吹寄で結構暴走しがちだぜアイツ」

「うーん、あれは9割三馬鹿のせいだけどね」

「人望ならなんだかんだで上条君だけど……上条君はなあ」

「いや、上条はねえよ……あいつがクラスの代表になったら、学年の貧乏クジ全部引いてくるぞ」

「うわあ……ありありと思い浮かぶわ」

「学年じゃ済まないわよ、学校全部の引っ張ってくるわよあのファンタジスタ」

「上条はバツ、吹寄は運営委員で頑張ってもらうとして……じゃあやっぱ青髪でよかったのか?」

「その結論はどうかと思うけど、まあ実際そうかな」

「まあこのクラスはみんな協力的だから、誰でもいいと言えば誰でもいいかも」

「んー、まあそうなんだろうけど……ここでわたしはあえて鋼盾くんを推してみたり」

「……うおお、シブいとこついてくるじゃねーか。……アレ、でもアリか?」

「そういや今日の記念写真は鋼盾の提案だしね、こうしてみんなであつまってるのも」

「雲川事件よりこっちデルタと暴走吹寄を抑えるのはアイツの役回りだもんな……ありだな」

「鋼盾かあ……最初の頃はコイツ大丈夫かなと思ったけどね。
 アイツの通ってた中学ってかなり厳しいトコだったみたいだし……ドロップアウトって形だもんな」

「この街じゃ珍しくもない話よ……ウチの学校に通ってる連中は多かれ少なかれドロップ組だし」

「ま、そのおかげで今があるんだしな」

「底辺校バンザイ」

「割り切れとは言わないけど……自分を許してあげてほしいもんだね」

「だよなあ……」

184 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:45:34.40 ID:qu1Dmspmo


「……だいじょうぶだよ、今日の鋼盾くんの黒板メッセージ、見たでしょ?」

「ああ、あの恥ずかしいヤツ……まったくあんな事書かれちゃね」

「正直うっかり萌えてしまいそうでした」

「←鋼盾になら抱かれてもいい!」

「はいはい、そげぶそげぶ」

「ばーか」

「“みんな揃って二学期を迎えられますように”か……うっしゃあ! 者どもグラスを持てい!!……今日のMVPに乾杯!!」

「「「「 かんぱーーい!!! 」」」」



――――――――――


185 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:46:26.38 ID:qu1Dmspmo



 このとおり、鋼盾掬彦の1年7組における評価というのは、けして悪くはない

 もともと人当たりのよい連中の集ったこのクラスは、月詠小萌の薫陶や吹寄制理の奔走の甲斐あって、今や無類の団結を誇っている

 いじめだ学級崩壊だという暗い話題からは最も離れたところにあるこの学級では、自ずと他者の長所に目が向くのだ


 小太りで冴えないルックス、なにより欠片ほどの能力すら持たぬ鋼盾掬彦

 だが、そんな彼のいいところをクラスメイトはちゃんと知っている

 鋼盾自身の気付いていないところまで、たくさん


186 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:47:52.66 ID:qu1Dmspmo


 さて、このクラスにはデルタフォースと呼ばれる少年たちがいる。

 上条当麻、土御門元春、そして青髪ピアス……押しも押されぬクラスの三馬鹿。

 そこに鋼盾を加えての4人セットでひとくくりというのが、このクラスでの共通認識だ。

 デルタフォース+1、この7組が誇るお騒がせグループである。


 だが、そうなるとひとつ疑問が生まれる。

 プラスワン、なぜわざわざ3人と1人に分けるのだろうか。

 ……『馬鹿四重奏(カルテット)』や『通行止め(フォースアウト)』ではだめだったのか?


 その理由は大きくふたつ。

 ひとつは、鋼盾掬彦自身は模範的な学生であること。

 授業態度は至極まっとう、記憶術系以外の成績もそこそこよろしい。

 素行も良好であり、サボリも無断欠席もなく、日々を真面目に過ごしている。

 そんな彼に“馬鹿”の二つ名を与えることはできないだろう。


 そして、いまひとつは、彼に与えられた役割によるところが大きい。

 いろいろあった一学期を経てすっかり定着してしまった彼のポジション。

 クラスメイトが彼に一目置く、その理由。


 唯一無二たるプラスワン。

 デルタフォースの、制御役。


 三角形に棒を一本足すと、あら不思議、出来上がるのは矢印。

 気ままに暴走する三馬鹿のベクトルを一方向に束ねるのは、なんだかんだで彼が一番適役だった。

 小萌や吹寄ですら、この一点においては鋼盾にかなわないのだ。


187 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:57:26.29 ID:qu1Dmspmo


 本日は7月23日、時刻は午前9時半を目前というところ。

 とある高校1年7組において、これより記憶術の最後の補習が行われる。

 記憶術のみ補習参加を余儀なくされている鋼盾にとっては、これを終えれば補習から開放されるという言わば最後の関門。

 同じ境遇のクラスメイトも多く「ちょっと遅れたけど夏休み本格スタートだぜ!」と開放への期待に自ずとテンション↑なはずなのだが……

 補習生が十余名、常であれば大騒ぎのこの教室が、トンデモなく陰鬱な空気に包まれている。


 原因は、デルタフォースが一角、青髪ピアスだった

 青い髪のくせにブルー(陰鬱)からは一番遠いところにいる、そんな彼らしくもないその異常

 クラスメイトは心配し、理由を聞こうと声をかけ、そのあまりのくだらなさにため息を吐き、今となってはもうイライラを隠せない

 さて、その理由とは?


188 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 13:59:55.82 ID:qu1Dmspmo



「なんでなんや…… なんで小萌センセーが担当やないんや今日の補習……
 このボクの情報網によれば7月のこのクラスの能力開発は全部小萌センセの筈やのに……」

「うああ、グチグチグチグチうるせえんだよ青髪ィ!! ただでさえクソ暑いのに気ィ滅入らすんじゃねえよ!」

「勘弁してくれなんだこの空気、換気しろ換気」

「つーか補習担当まで読んだ上で赤点とってくるってどういうことよ!
 あんたレベル1でしょうが! ぶっちゃけ記憶術なんてパスじゃないの! 舐めんじゃないわよ!」

「あああああ、なんでやねんなんでやねんなんでやねん
 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したボクは失敗した
 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
 失敗した失敗した失敗したボクは失敗」

「……やだ、怖いよ」

「なんなのこいつ、マジでなんなの?」

「ああもう鋼盾! あのバカどうにかしろよ! デルタの手綱はお前の担当だろ」

「お願い!」

「やれ鋼盾!!」 

「ってなんで僕!? 手綱担当は吹寄さんだろ!!」

「いや、手綱はキミでしょ、そんで制理が鞭で先生が飴」

「鞭っつーか頭突きだけどな」

「それに、せいりんが補習にくるわけないじゃん」

「出番だ大将!」

「……ああもう、わかったよ、わかったっての!」

189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/20(土) 14:03:59.07 ID:Kfj4yALbo
失敗した連呼はやめろ青髪wwwwww
190 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:08:25.47 ID:qu1Dmspmo


 レベル0とは言え、全員が補習組というわけではない。

 話題にも上った吹寄制理ら他のレベル0組は、実技評定による不足分を筆記試験によって補っている。

 つまりここに来ているのはペーパーテストも残念だった連中ということだ。


 テストの点如何に依らずこの補習が確定しているのは、真のレベル0である鋼盾上条くらいのもの。

 とはいえ、ここにはいない上条の方は、テストの方も残念過ぎる出来だったのだが。


 彼は相変わらす小萌宅で在宅補習中である、小萌先生とマンツーマンだ。

 ニコニコニコニコな小萌先生にしごかれているにちがいない。

 青ピに知れたら、大変な事になりそうである。


 小萌が今日いないのは、ここ数日のゴタゴタのためにシフトの調整を同僚の先生にお願いしたため。

 つまりはインデックスのため、上条のため、そして鋼盾のためだ。


 ならば、この青髪の鬱鬱暴走は、自身がなんとかしなければならない。

 鋼盾は頭の中でシナリオをまとめると、小さく息を吐いて、青髪に話しかけた。

191 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:29:00.28 ID:qu1Dmspmo


「落ち着いて、青髪くん」

「……コウやん、ほっといてんか
 ボクは、もうダメや、もう、一歩も前に進めへんのや
 ここで消しゴムのカスを机の穴に埋めては穿くることしかできへんのや」

「らしくないね愛の伝道師、小萌先生がこれないのは確かに悲しいことだよ。
 ……でも、これはチャンスだ、普段の授業じゃ会えないひとと会えるんだから」

「……なんやて?」

「代わりの先生が誰か、知らないの?」

「聞いて、へん」

「校内美人教師ランキング、栄えある総合第三位」

「! コウやん!」

「投票者の主なコメントは “罵られたい” “無理してる感がいい” “ふたりっきりになると違う顔を見せてくれそう”」

「……うおお」

「“三角眼鏡がイイ” “ザ・女教師” “恋愛経験値低そう”」

「……おおおお」

「親船、素甘先生」

「お お お お お お!!!! 
 すうあまちゅううあああーーーんん!!!」


 馬鹿、覚醒のち咆哮

 鬱鬱停滞しきった空気を打ち払うその雄叫び

 ……確かに空気は変わったが、こんどは逆方向にウザ過ぎる!!

192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/20(土) 14:32:00.30 ID:Kfj4yALbo
あれ?もしかして即興かい?
193 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:39:01.62 ID:qu1Dmspmo



「だあああ! 鋼盾てめえ! 燃料投下してんじゃねえ!!」

「アホ? アホなの鋼盾? あんた火薬庫の前でなにやってんのよ!」

「素甘ちゃんじゃ青髪は御せないでしょ……普段ならともかくあのテンションは無理よ」

「今の青髪はレベル2以上だぞ……! テンションで跳ね上がる身体強化(インナーブースト)
 ああもう、危険すぎるッ! オレらじゃ抑えきれねえだろ!」


 吼えるクラスメイトたち、その目は恐慌と諦念。

 そう、レベル0が何人いても、確かに今の青髪は抑えきれない。

 ……だが、心配はいらない、全部計算通りなのだ。 


「大丈夫、もう補習開始時刻だから。
 親船先生は自分の手は汚さない……そして、隣のクラスの担当は、誰だっけね」

「……誰だよ?」

「すぐにわかるよ……テンションが上がったならさ、落としてやればいい」


 鋼盾の言葉と同時に、ガラリと教室の扉が開いた。

 ひとりは相変わらずのキメキメのスーツ姿の女教師、白いブラウスが眩しい親船素甘。

 そして、もう一人は。


「………………」


 雄弁なる沈黙、とある高校の最終兵器。

 記念撮影の折はお世話になりました、写真部顧問の巨漢教師。

 災誤先生。


「おはよう皆さん……廊下まで響きわたる声で騒いでたのは誰かしら?」


 怜悧に整えられた美貌に青筋を浮かべつつ、素甘が憤怒を抑えた声で囁く。

 すうあまちゅううあああーーーんん!!をよっぽど腹に据えかねたのだろう。

 ゴリラの威を借るキツネの言葉、とはいえこうかはばつぐんだった。

194 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:40:10.17 ID:qu1Dmspmo

 
 さて、お手を拝借。

 指揮者の如く指を揮う鋼盾に合せ、7組補習オーケストラはひとつになった。

 クラスメイトに四方から指された青髪ピアス、ただ1名を除いて。


 ……否、彼こそが楽団を従える孤独なテノール歌手。

 だが、恐怖に震えるその唇では、碌に唄えはしないだろう。

 それでもなんとか震える声で弁明の歌を紡ごうとした彼を、制する者があった。


「親船先生、お願いします」


 鋼盾掬彦の声が響いた。

 特に大きな声ではないのに、その言葉には抗えぬ何かがあった。

 言葉だけを見ればただの挨拶ともとれそうなその言葉は、しかし確実に誰かさんの退路を塞ぐチェックメイト。

 紡がれたその棋譜の美しさは喩えようもない。


195 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:42:51.33 ID:qu1Dmspmo


「……災誤先生」


 若干戸惑いつつも、然るべき処置をとる素甘。

 彼女の言葉を受け鷹揚に頷いた災誤は、髪だけではなく顔まで青くした青髪ピアスの首根っこを掴んで、廊下へと引き摺っていった。

 ちなみにこの学校、なかなかに時代錯誤なことに「廊下に立ってなさい」くらいは余裕でやる、バケツをもたせるくらい余裕でやる。


「……不幸や」


 自業自得だ、クラス一同が内心でそう突っ込んだ。

 そしてこの状況を完璧に狙い打った、とあるクラスメイトに戦慄する。

 いや、確かになんとかしろって言ったけどさ……やべえ、鋼盾とんでもねえ。

 プラスワンはオンリーワン。

 唯一にして無二。


 不可視の指揮棒を握る手を彼らは幻視した。

 轡の先にあるその手を幻視した。


 それは魔法の指先

 鋼盾掬彦の指先


 一同、戦慄

196 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:46:08.01 ID:qu1Dmspmo


「……それでは、補習をはじめるわよ。……そこの貴方、号令を」


 素甘が指差したのは中途半端な位置に座っている鋼盾掬彦。

 通常であれば前席に座る生徒にその役目を振る彼女であったが、なぜかそうしなければならないと思ってしまった。

 そのあたりの勘働きの良さは、流石教師と言ったところか。


「……はい、えっと、起立!」


 突然号令役に任ぜられたことに戸惑いつつ、役目を果たすべく声を張る鋼盾

 それを受け、皆が一糸乱れぬタイミングで立ち上がる。

 音もない、その奇跡。

 教室を支配するは静寂、弓弦を引き絞るかのような緊張を孕んだソレ。

 
197 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:46:59.80 ID:qu1Dmspmo



「……礼!」


 え、なにおまえら怖い、と軽く戸惑いつつ鋼盾が号令を続ける。


 全員が腰からしっかり30度、文句のつけようのない礼の姿勢。

 卒業式の証書授与であっても、ここまでの礼はなかなかお目にかかれない。


 教壇に向かって放たれる十余名の完璧な姿勢に素甘が戦く……なにこの子たち怖い。

 感嘆と疑念、そしてそれを遥かに凌駕する戦慄に親船素甘は震えた。


198 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:48:23.10 ID:qu1Dmspmo


「……着席」


 それは「最後の号令(ラストオーダー)」

 跳ね上がる指揮棒に合せ、奏者たちは演奏を纏め上げる。


 画竜点睛、残心の美学

 夜空に大輪の花火が咲いて、それが完全な調和と共に闇に溶けた瞬間のようなイメージ

 あとに残るのは墨絵の如き暗闇、静と寂、それは儚くも確かな美の在り方


 たとえ称えられる拍手はなくとも、沸き上がる歓声はなくとも

 この身は知っている、自分たちが己が役を全うした事を


 それは神充たる至福

 それは喜悦、それは法悦、それは愉悦


 常であれば椅子をガタガタさせながらてんでバラバラに席に着き、そのままおしゃべりに移行するであろう彼ら。

 しかし今この時だけは、カカッと一瞬だけ椅子を鳴らす音を立てて即座に席に着いた。

 そのテンションについてゆけず、ガタタと音を立ててしまう鋼盾。

 マエストロのちょっとしたお茶目に文句を付ける者は居ない、皆一様に背筋を伸ばし、教壇に真っ直ぐに目を向けている。


 指揮者の交代。

 さあ、第二楽章がはじまる。

199 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:49:10.10 ID:qu1Dmspmo


「そ、それではテキストの67pを開いて」


 親船素甘はたじろぎつつも、授業を始めるべく言葉を紡いだ。

 それに応じるように、生徒たちは各々ペンを構える。

 鋼盾掬彦に比べればあまりに拙い指揮ではあったが、まあそれも一興。

 我らが演奏でもって、このド素人の位階をブチ上げてご覧に入れよう。



 その日の補習は、実に円滑に進んだという。

 親船素甘が己の教育方針について、若干自信を揺るがしたりもしたらしいが、まあ瑣末なことだろう。


200 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:50:54.50 ID:qu1Dmspmo


 後日。

 補習に参加した彼らは、この現象を誰ともなく「鋼の楽団」(スティーリー・オーケストラ)と呼ばわった。

 遠い目をしてその黄金体験を語る彼らに、補習不参加組は一様に首を傾げることとなる。


 鋼盾掬彦の鋼の指先、魔法の指先。

 その真価が発揮されるのは、大覇星祭を待たなければならない。


 後に伝説となる本年度、いや過去十年間の大覇星祭におけるベストバウト。

 名門長点上機学園史において「屈辱の一戦」と刻まれることとなるその試合。

 底辺校がトップ校を一試合のみとはいえ打ち破るというその偉業に、学園都市中が熱狂に包まれることとなるのだが……



 それはまた、別の話。








――――――――――
201 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/20(土) 14:58:12.58 ID:qu1Dmspmo
ここまで、モブ回です。青髪回は次回に持ち越し!

>>192すまんかったよ!この>>1は書き込む段になってアイデアが湧いてくるのです
なかば即興のようになってしまうことも多々ございますがご容赦ください。

つうわけでほんわかほっこり回なはずが完全なギャグ回になってしまった、なんだよ「鋼の楽団」って……怖い
どうしてこうなった、つうかこんなんに何レス使ってんだ>>1のバカ

補習描写はすっ飛ばして、青ピとファミレスに行く筈だったのにあれよあれよとこんな事態です
こんな事ばっかりやってるから全然話が進まねえんだよ! モブを掘り下げて暴走させてんなよ! 2スレ目で終わんだろうな!

鋼盾くんのいいところ、わたしたちは知ってるんだよ(byモブ)というのが書きたかったのです
後半の事は忘れてください。長点上機云々の当たりは特に!


  △  あ、>>186のあたりはこんな感じ。 デルタフォース+1で矢印!というのはやりたかったネタです
  |  わかりにくいよな! 反省!


んじゃ!
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/08/20(土) 15:16:28.31 ID:LKtdzWnQo
大覇星祭楽しみにしてますよ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 15:22:23.52 ID:cehNXVl80
>>1

いつも楽しみにしてる!
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/20(土) 15:49:53.74 ID:oSbz6IHSo
ど……どいつもこいつもよくそんな名前が思い付くな……
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 17:02:49.17 ID:jcNmJYDgo
乙!面白かった!人心掌握すげえwwこりゃ鋼の怜襟術師だなぁ…二巻はハガレン対ヘタレンで決定だな!

>>180
浜面は・・・
ムハ○マド「楽勝だな、ユダヤ教」
ジブリール「だいじょうぶ、私はそんなムハ○マドを応援してる。」
アッラート「なにしてるのかにゃーん?ムゥハ○マァドォ?」
…これ以上書くとなぜか階段から落ちて死ぬので勘弁して下さいorz


ちなみにHKBって…なんだ?
グルグル先生は「人恋し病」だの「ほか弁」だの「ひがしこくばる」だの言ってるんだが…明らかに違うよな?


206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/20(土) 17:05:15.64 ID:b0A8Cdd+o
これは……ペロ……終わらない味がする…!
どーにもローラみたいになってきてんなww
風が吹けば桶屋が儲かるみたいなバタフライエフェクト的策略を感じるぜ。
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 17:27:03.76 ID:RJAZ8WTAO
>>205 変態! この バカ犬!/// の略
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/20(土) 17:32:33.35 ID:jcNmJYDgo
>>207
おおそうなのか!教えてくれてどうもありがとう!!
ツンデレは私の大好物でしてな、しかもルイズ型とはこりゃたまらんね!!
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/20(土) 17:53:12.57 ID:XtZxvRxAO
乙です!
まてこれは鋼盾の罠だ。か…横山版孔明ファッションに身を包んだ鋼盾君を連想してしまったwwww

>>206

レロレロレロ…終わらない味だな、たしかに。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/20(土) 18:14:33.17 ID:o4jvrSKS0
バナナ臭いスレだな
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/21(日) 04:13:29.29 ID:p9xf08xAO
>>210
ああ、芳醇な香りがするな
ところでなんで埼玉に偽装してんの?
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 10:38:14.30 ID:xh9yrXT5P
ここがヴェントスレですか?
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 19:00:48.60 ID:wHGrGMPk0
>>167
月詠先生は1000年以上生きてると思う。そして若々しいのは吸血鬼だからだと思う。
だから姫神と絡みが多かったんだー! あれは伏線なんだー!!
いつか、吸血鬼と吸血殺しが交わって物語りが始まるんだー!! と妄想を叫んでみる。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/21(日) 19:13:15.71 ID:0PRSdgSto
なるほど吸血鬼繋がりか…それも良いな!

美琴は御坂、能力は電磁。国津神と電磁繋がりで天津甕星(あまつみかぼし)にして光を掲げる者、小萌先生はツクヨミ、姫神は日女神にしてアマテラス…
そんな伏線回収があるに違いない、そう思っていた時期が…いや今もそうだ!
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/21(日) 19:26:09.93 ID:IiHgkARmo
姫神とせんせーの絡み…だと?




ふぅ…
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/21(日) 19:34:39.79 ID:p9xf08xAO
非女神かぁ……








ふぅ…
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/21(日) 19:48:14.12 ID:0PRSdgSto
ざけんな、女神に決まってんだろ!!








ふぅ…
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/08/21(日) 21:05:47.52 ID:YOZrMHUQo
落ち着け、女神じゃねえからいいんだろうが!!








ふぅ…
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 21:10:05.89 ID:kD39zi0IO
そのとおり、天使…マジ天使!!







ふぅ…
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/21(日) 21:58:30.93 ID:nW9Ouv/AO
ここはな、お前らのオ○ニーする場所じゃねえんだ! 他でしろ、なっ!!








ふぅ……
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/22(月) 00:06:31.80 ID:6NkYo/IY0
なんかこのスレはイカ臭いでゲソ
222 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/22(月) 03:38:16.56 ID:UFlX25W6o

空気帝浄機を! 誰か! 空気帝浄機を喚べ!!

前回分を読み返してみるとはっちゃけすぎで凹む……つうかギャグ回滑ってないか心配です
「鋼の楽団」事件は別に鋼盾のカリスマ発露とかじゃなくあくまでもモブのノリの良さを主眼において頂きたいところ
ケレン味マシマシで地の文でボケるという>>1の悪い癖です、吹寄やクラスメイト回はどうしてこうなるのか……自戒!

さて、わりとマジで早くもこのスレじゃ終わらねえ気がしてきた件
正直なところを言うと、前スレの黒子エピからこのモブ暴走イベントまで、カレー食うシーン以外は一切プロットになかったりします
いろいろ前倒しでブチ込み杉だろ……気づけばもう200超えているだと……! あ、コメントはすげえ感謝です! お腹いっぱい食べさせてくれると嬉しいな! 

HKBは「は、はやく 書きなさいよもう ……バカ犬!/// 」の略ですね
数千年の時を生きる存在、ツクヨミコモエの視点から語られる三人の救世主(ヒーロー)の物語……>>178にみんなで期待しようぜ!!HKB

23日は割かし重要イベントが多いのとリアルの多忙さが相まって、ちょっと更新に時間が掛かりそうです
のんびり気長にお待ちください

223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/22(月) 03:56:36.17 ID:PBWmx84po
このスレに空気清浄機が設置されました

     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
    r───────── ┐  |
     | |王三王三王三王三|:. |  | 
.    /| |王三王三王三王三| |  | 
  / /| |王三王三王三王三| |  | 
  / /| |王三王三王三王三| |  o==
  / /| |王三王三王三王三| |  o==
  / /|_________ 」/|
  / /|≡≡≡|// / |≡≡≡|/            
  / / ̄ ̄ ̄/ / / / ̄ ̄ ̄ゴーゴー
  / /  / / / /  / / /
  / // / / /  / / // ゴーゴー
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 12:26:34.21 ID:gd37J2QIO
このスレに空気清浄機が故障しました

     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
    r───────── ┐  |
     | |王三王三王三王三|:. |  | 
.    /| |王三王三王三王三| |  | 
  / /| |王三王三王三王三| |  | 
  / /| |王三王三王三王三| |  o==
  / /| |王三王三王三王三| |  o==
  / /|_________ 」/|
  / /|≡≡≡|// / |≡≡≡|/            
  / / ̄ ̄ ̄/ / / / ̄ ̄ ̄プスん…
  / /  / / / /  / / /
  / // / / /  / / // ガタンゴトン
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/22(月) 13:06:29.84 ID:ivbRov890
このスレに空気清浄機がyzsrtd……駄目だヘッダが足りない

     /gfkfgjfvhjk ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
    r───────── ┐  |
     | |王三王三王三王三|:. |  | 
.    /| |王三gddghj王三王三王三| |  | 
  / /| |王<●>王gyyjujd<●>|  | 
  / /| |王三王三hyukfgu三王三| |  o==
  / /| |王三王三王三王三| |  o==
  / /|_________ 」/|
  / /|≡≡≡|// / |≡≡≡|/            
  / / ̄ ̄ ̄/ / / / ̄ ̄ ̄drujgftijk
  / /  / / / /  / / /
  / // gjkfhk/ / /  / / // cfhyu
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/22(月) 19:19:21.67 ID:aOJ+10CRo

                  i, '  ,. '
      ロロロ_ri‐i ロロロ   i  , ' , '´
       []¬ tーj¬[]7    i/ , '
         ri一‐i  /     ',,'  .,   , '´
         _]rー[ /      ' , '  , ' , '´
        〈ii i三_i/    /|  ヽ., ' , '   ,
        /i ii ̄7i     i |/   ' 、, ', '
       rjj77i ,/ ii.    i |      ヽ、_, '´
     ミ(ミ(ミ(=ip]////ヽ/ i |         ` ''ー-
    ミ((/ 7。。[r一////<. i |
   ノ`ー' /(《。。//卅r〃〃i |i      必ずここへ帰ってくる…待っててくれ…
  /    `ー-=二ffooi丗i |roo_      俺、イスカンダルでコスモクリーナー買えたら結婚するんだ…
 (i            ̄_j |i_  ハ     
  {、 : :        ,  "  ヽ `ヽ、ii
 (ヾヽ、      , ' \, -ーー-、j ヽ!
  ヽ.〉:: :`:ヽ 、_ ,'   /      `v'}
   \:: :: ::::::`{   i    。  ; i,i
     `ヽ、 ::::::i_ __i        ii
       _7`ソ_,,-‐ヽ、_ _ ,. ' , '\
  ー──'´ ./__ゝ::::::ヽ 、 __ , '   \
       /.,' , --、     ゝ- 、     \
.     /  { {、__, .}    {、__, .}      \
   ii/    ``ー‐'     `ー‐'         ゚
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/23(火) 04:15:10.03 ID:Me2NDqmEo
          \                       ヽ           |               /             /
              \                    ヽ          |              /           /
               \                     ヽ           |             /        /
              こ こ は す で に お 前 の 知 る イ カ 臭 い ス レ じ ゃ ね え ん だ よ ! !
                 \                      ヽ               /           /          
              ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
              (/(///// ̄\\. .r───────── ┐  |  .// ̄\\\\\)\)
                    (///// ̄\ \| |未三王三王三王元| |  |/ / ̄\\\\\)
                    (////// ̄\ | |王三王三王三王三| |  | / ̄\\\\\\)    ───────‐
───────‐        (/(/(/(/ ̄ | |●三王三王三王●| |  |   ̄\)\)\)\)
                          (/(// /| |王三王三王三王三| |  o==ヘ \)\)
                          (/(// /| |王三├──┤三三| |  o==ヘ \)\)
                            (/V. | |三三 ヽ、  ノ 三三 | |  o== Vヘ)   `−、、
                 _,,−'             |_________ 」/|            `−、、
            _,,−'                 |≡≡≡|// / |≡≡≡|/                `−、、
         _,,−'                  / / ̄ ̄ ̄/ / / / ̄ ̄ ̄ゴーゴー                 `−、、
      _,,−'                     / /  / / / /  / / /
                              / // / / /  / / // ゴーゴー
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/23(火) 07:08:53.83 ID:buO6MIcAO
ここまで

男ならAAじゃなくて文章で来いや!
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/23(火) 12:30:01.61 ID:PBMtUsRuo
まあ帝淨機くんが来てくれたからな、一件落着だ
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/23(火) 20:55:47.91 ID:pChDGNjIo
元AAがエアコンの室外機とは思えないなw
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/24(水) 03:51:17.86 ID:ef/CnDVPo
あれ?『記憶術』じゃなくて『記録術』じゃなイカ?
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 19:29:11.69 ID:rEKFoV9IO
    ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
    (/(///// ̄\\. .r───────── ┐  | .// ̄\\\\\)\)
          (///// ̄\ \| |王三王三王三王三|:. |  | |/ / ̄\\\\\)
          (////// ̄\ | |王三王三王三王三| |  | / ̄\\\\\\)
          (/(/(/(/ ̄ | |王三王三王三王三| |  |   ̄\)\)\)\)
                (/(// /| |王三王三王三王三| |  o==ヘ \)\)
                  (/V. | |王三王三王三王三| |  o== Vヘ)
                        |_________ 」/|
                     |≡≡≡|// / |≡≡≡|/
                   / / ̄ ̄ ̄/ / / / ̄ ̄ ̄ゴーゴー
                   / /  / / / /  / / /
                    / // / / /  / / // ゴーゴー
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 19:58:38.05 ID:rohgwJlSo
大覇星祭まで書くのかい?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/24(水) 23:40:34.91 ID:FLkZBLwh0
いつまでも書くんだよ。いつまでもな……
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 23:55:08.30 ID:upBxcSTKo
>>223-227
進化してやがるッ……! 「栗林の六賢」も帝浄機には敵わんなw つかこんなスレになんで賢者が沸くのかと小一時間(ry

>>231
ツッコミ感謝です。「暗記術」と混ざったせいみたい……やっぱ原作は手元においとかないとダメかなー

>>233 >>234
一巻以降は未定です。書きたい気も構想もありますが原作未完ゆえ肝心の着地点が見えないのですね
崩れるまで積み上げ突っ走りたい反面、まったく新しいものを書いてみたい気もしてみたり
まあ、一巻完結させてから考えますよって……よければラストまでお付き合いください


リアルが忙しくて書けないぜい! なんとか日曜日には更新したいところ! どうにか週一更新!
236 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/25(木) 00:16:46.42 ID:zCjEelqqo
うおお、↑酉忘れた

そうそうこの酉なんだが、あまり深く考えずに適当な単語で付けたヤツなんだけど、同じの使ってる人がいるみたいなんですな
この板じゃないんだけどどうすべえ変えるべきかな

次回からは青髪さん、そしてあのひと登場です
復習ですが、うちの青髪さんは第六位とかじゃなくレベル1の気のいいあんちゃんですのでよろしく

それでは、いましばらく


237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/25(木) 02:09:40.35 ID:TEvDcMDDo
酉は変えずに酉の前に名前をつければいいと思う
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/25(木) 15:51:09.99 ID:xlt9W2sR0
酉など気にスンナ

失敗した連呼はトラウマ
1はシュタゲやる人なのかな?
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/25(木) 18:44:17.86 ID:97+ahttAO
酉被りね…酉の間に☆自演乙☆って入れておけばいいんじゃね?

まあそれは冗談だけど二巻までは書いて貰えると嬉しいかなと。一巻終わりでひとまず終了、二巻は番外編みたいに書けばできないかな?
240 :1☆自演乙☆ ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/25(木) 23:32:11.20 ID:zCjEelqqo
上司に謎の雑居ビル4Fで飲まされて命からがら帰ってきたでござる酔ったでござる
>>1はしゅたげは小説版で堪能しただけでござる、ござる、でも助手カワイイ超かわいいティーナ

ところでおまえら誘波ちゃん出したいんだけどどんな子にすればいいか教えれ
その妄想をブチ撒けろ!
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 23:40:28.79 ID:Xet3HOkto
日本系魔術師
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/25(木) 23:57:19.69 ID:wivCUNUAO
清楚
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/26(金) 00:05:03.32 ID:qOUjP1580
学園都市統括理事
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/26(金) 00:06:17.49 ID:qOUjP1580
学園都市統括理事
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 00:06:53.93 ID:lS2PMlRho
天然誘い受けエロス
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/26(金) 00:32:23.75 ID:XY+/lnmio
ヤンデレ
元ネタのイザナミっぽく約束破るとおっかねぇの
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/08/26(金) 00:33:00.99 ID:XY+/lnmio
ヤンデレ
元ネタのイザナミっぽく約束破るとおっかねぇの
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 00:42:29.97 ID:RWiWlCkWo
キキ
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 00:43:04.78 ID:RWiWlCkWo
キキ
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 00:44:02.94 ID:IQXr/d9co
クリスティーナ
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/26(金) 01:33:44.28 ID:UVy8yA4Qo
第六位にして原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/26(金) 02:27:04.36 ID:yg7kiQWAO
誘波さん、>>241-251のまとめ

・日本系魔術師
・清楚
・学園都市統括理事
・天然誘い受けエロス
・ヤンデレ
・キキ
・クリスティーナ
・第六位にして原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者

そして原作設定の家出少女(元)
なにこのカオス
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/26(金) 02:56:32.66 ID:UVy8yA4Qo
>>252
> ・日本系魔術師
> ・清楚
> ・学園都市統括理事
> ・天然誘い受けエロス
> ・ヤンデレ
> ・キキ
> ・クリスティーナ
> ・第六位にして原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者
> ・家出少女(元)

整理すると…
パン屋で働く清楚な元家出少女。しかしその正体は第六位にして日本系原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者。
社会的には最年少の学園都市統括理事で頭脳はクリスティーナ級。
性格は普段は清楚で天然誘い受けだがヤンデレ属性持ちである。

こんなところか?なにこのチートキャラ。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/26(金) 05:49:25.20 ID:oMt72jaAO
おいおい、勝手にまとめんなよ!まだ後にも人来るんだからよ!


実は男の娘。外見は短髪和風だな。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 09:05:36.33 ID:eJG0hWUAO
英検準2級
簿記3級
原付免許
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/26(金) 18:35:10.82 ID:8G1K9OjSo
空気清浄機大好き
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/26(金) 20:14:57.90 ID:ffQg6YiTo
実は郭
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/26(金) 21:17:17.37 ID:tOsvlsgPo
> ・日本系魔術師
> ・清楚
> ・学園都市統括理事
> ・天然誘い受けエロス
> ・ヤンデレ
> ・キキ
> ・クリスティーナ
> ・第六位にして原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者
> ・家出少女(元)
> ・短髪和風美少女、実は男の娘
> ・英検準2級簿記3級原付免許所持
> ・空気清浄機大好き
> ・実は郭

段々矛盾してきたぞ…整理すると
パン屋で働く清楚な元家出少女。しかしその正体は第六位にして日本系原典持ち魔導士、心を二つ持つヨモツヒラサカの封印を護りし者。
実は郭は誘波。
社会的には最年少の学園都市統括理事で頭脳はクリスティーナ級。空気清浄機は手放せない。英検準2級簿記3級原付免許はパン屋の履歴書に記入した資格。
性格は普段は清楚で天然誘い受けだがヤンデレ属性持ちである。
外見は和服の似合う清楚な短髪和風美少女。だが実は男の娘である。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/27(土) 05:09:09.73 ID:Wc0sJFNAO
ムリにまとめなくていいんじゃね?もっと付け足したい気もするけど。
260 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:05:28.43 ID:krjuSTWwo
>>241-259
おk把握

えーとレベル5の肉体変化『千変万化』にでもしちまえば容姿性別面での矛盾は解決……いや、それじゃ魔導士設定がああ
いや、能力によって脳構造すらある程度自由にコントロールできるとすれば……だめだ、ツッコミどころが多過ぎる!
うああよつばとーちゃんはもうダメだ……とは言え酔った勢いで書き込んでしまった不始末ですので可能な限りやってみます!
といってもあくまでチョイ役ですので、あまり過度な期待はしないでくださいね

んでは、ちょっとだけ投下!
261 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:09:24.21 ID:krjuSTWwo


 親船素甘の心に甚大なダメージを残しつつも、補習は恙無く終了した。

 あの名状し難い異様な雰囲気についてはノーコメントで行きたいと思う、割と切実に。


 現在時刻は11時半、昼食時である。

 朝のうちに青髪と昼食を一緒に摂る約束をしていた鋼盾であったが、当の青髪ピアスはドナドナから結局帰ってこないままだ。

 校門付近で待っているとのメールを送ってあるものの返信はなく、鋼盾はひとりぼんやりと空を眺めていた。


 昨夜の内に小萌には、彼女の家から出てゆく旨を伝えてある。

 小萌が銭湯に出かけている間に3人で話し合い、帰宅した彼女に鋼盾がそれを告げた。

 ぷんすかと憤り心配に眉根を寄せうっすらと涙を湛え、それでも最後には笑ってくれた愛しいひと。

 一日一度の定時連絡をはじめ、いろいろと約束を取り付けられてしまったが、それでもなんとか説得には成功した。


 本日の夕食をもって、4人での団欒は一旦終了となる。

 願わくば、面倒ごとすべてを片付けてまたいっしょに過ごしたいと思う。


 切に、心底から

 そう願う







262 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:11:22.98 ID:krjuSTWwo


 さて、昼食を外で済ませてくることを上条たちにはまだ知らせていなかった。

 朝は電話をする時間がなかったし、メールも使えないため、直前での連絡となってしまったのが心苦しい。

 履歴から小萌宅の番号を引っ張りだし、発信ボタンを押すと、少しの間をおいて電話が繋がった。

 電話口から溢れた声は、意外なことに。


『ひゃ、ひゃい! こちらInde……じゃなくて! つ、つくよみです!』

「インデックス? ぼくだよ」


 インデックス、機械の類が大の苦手である彼女だった。

 昨日小萌宅の電話が鳴った際に、ベルの音に身を強ばらせ涙目でこちらを見上げてきた少女。

 はて、どういった風の吹き回しなのか。


『きくひこ! こんにちはなんだよ! もう来るの? いつ? 今日のごはんはね……」

「あー、ごめん。もうちょっとかかっちゃうかな、お昼は食べてからそっちに行くから、そう伝えて欲しいんだ」

『……そうなんだ、わかったんだよ』


 しゅん、と受話器の向こうで俯く彼女の姿を幻視する鋼盾。

 “みんなでごはん”を誰より楽しみにしている彼女には、ちょっと悪いことをしてしまっただろうか。

 慌てて埋め合わせを考える……まあ、結局食べ物になってしまうのだけど。

263 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:12:57.79 ID:krjuSTWwo


「……あー、ごめんね。なんかアイスでも買ってくから、おやつは一緒に食べよう?
 それとインデックス、ちゃんと電話に出れたね」

『うう、とうまが「おまえも電話くらい使えなきゃだめだ! 何ごとも経験だ!」っていうんだもん。
 でも、でんわ、心臓によくないんだよ……やっぱり、苦手、かも』


 以前から考えていた“インデックスに携帯電話を持たせる”というアイデア。

 苦手意識は相変わらずのようだが、克服の意志があるなら実行に移すのも悪くなさそうだ。


「えらいよ、インデックス。苦手は克服しなくちゃね。
 そうだ、インデックスがちゃんと電話を使えるようになったら、プレゼントしたいものがあるんだ」

『プレ、ゼント? きくひこが、わたしに? ……ほんとに?』


 プレゼント。

 そんなものが自分に与えられるだなんて信じられない、とでも言わんばかりのその反応。

 記憶を喪ってこちら、何も与えられることの無かったこの子には、可能な限りを分けてあげたいと思う。

 自分が持っているものなど大したことのないものばかりだけれど、それでも。


「うん……あ、でも電話だけじゃだめだな……インデックス、ちゃんとお手伝いもしてるかな?
 掃除機とか、洗濯機とかさ……使い方がわからないかもだけど、教えてもらえればできるよね?」

『掃除機!? 洗濯機!?……うう、でもがんばるんだよ』

「がんばって。んじゃ、3時にはそっちにもどるから」

『うん! アイス忘れないで欲しいんだよ!』


264 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:14:25.85 ID:krjuSTWwo


 了解、じゃあまた後でね、と電話を切る。

 さて、携帯はどんなものがよいだろう、余計な機能のないシンプルなものか、それとも女の子らしいデザインのものがよいのだろうか。

 初めて貰うプレゼントが実用一辺倒の携帯というのも少し色気に欠ける気もするが……まさか花一輪添えて贈るような真似は出来そうにない。

 まあ、ロマンチック担当は上条にでも任せてしまおう、そうしよう。


 電話越しに響いたインデックスの声。

 携帯電話、離れていても想いを届けられるこの偉大な発明。

 耳に残る甘やかな擽ったさを感じつつ、鋼盾はパタリと携帯を閉じる。

265 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:16:51.52 ID:krjuSTWwo



 その瞬間

 ソプラノの残響を駆逐する、鬼畜テノールが響いた


「…………コーーウやーーーん……!」

266 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:25:53.78 ID:krjuSTWwo


 それは怨

 それは呪

 それは嘆


 あらゆる負の感情を歌い上げるはリリコ・スピントの声質

 ああ、彼こそがヘンデルテノール


 青髪ピアスが帰ってきた。


 青髪視点から見てみよう、実に二時間にわたる苦行を乗り越えて命からがら帰ってきてみれば、

 己を売った友人が、携帯片手になにやら女の子とストロベリートークに興じていやがった爆発しろ蒸発しろ。


 うわ、やべえ

 鋼盾掬彦はどうしたものかと一瞬迷い、どうしようもねえやと開き直って笑みを浮かべた。

 実に爽やかな笑顔だった、EDテーマあたりで主人公が浮かべるタイプの笑顔であった。


267 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:41:38.88 ID:krjuSTWwo

「おかえり、親友」

 とりあえずアメリカンに親指を立ててみる。Welcome back! My bestfriend !


「―――ああ、ただいま親友、そしてさようなら」

 鋼盾のソレと対を成すように青髪の親指が立てられ、そしてアメリカンに下を向いた。Good‐bye! My bestfriend !

 まさかの標準語である、ああやべえコレほんとに。


 次の瞬間、アレな方向にテンションが加速した青髪ピアスの体が宙を舞った。

 高く、高く――その跳躍、もはやレベルでいえば3を超えているだろう。

 青髪ピアスの身体強化(インナーブースト) がまたひとつ、殻を破った。


 時刻は昼

 夏空の頂きに居わす太陽を背負う親友の威容を見て、鋼盾掬彦はそれでも小さく笑った。



 2秒後に訪れるであろう天空×字券から目をそらし、笑った。

 せめて、穏やかに



――――――――――

268 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:45:42.06 ID:krjuSTWwo

一旦ここまで、イザナミちゃんもあのひとも出てなくてすいません
次回更新は今日の夜中か明日までに!

酉についてはまあこのままでいいかな、と思いなおしました。
んでは、またすぐに!
269 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/27(土) 18:55:46.60 ID:krjuSTWwo
うあ、天空X字拳の拳を券にしてしまった!
ナムさんすいません!知らない人のために解説を!

天空X字拳(てんくうぺけじけん):

ナムの奥義。
上空へ舞い上がり腕をX字に交差させて、倒れている相手の喉元に向け落下する。
ナム曰く、技を受けると10日間は目が覚めないらしい。
上位版に、超天空X字拳(ちょうてんくうぺけじけん)が存在する。

>>1の友人がこれを小学生の時にやろうとして、ジャングルジムから落ちて骨折した。
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/27(土) 19:11:13.79 ID:PtjBV42/o
とりあえず中乙。

ナムさんかぁ…普通あの技食らったら十日どころか二度と目、覚めないよね。
後で天津飯に一コマでやられたのが子供心にはショックだったなあ…
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2011/08/27(土) 21:23:17.32 ID:40Kuuu3Oo
乙、舞ってる
ランファンさんは決勝まで残ってたら優勝可能だったのにな
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/27(土) 21:37:04.77 ID:2IpnxKVAO

ランファンさんのあのシーンは忘れられない
273 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:31:32.08 ID:7hld8Welo
懐かしいなランファンさん! ぱっふんうりうり
あ、手元にドラゴンボール十巻のあるひとは表紙見てみるといいですよ、神裂さんがいるから!
つーかやっぱこのスレ平均年齢高くね?

さて、投下です
いろいろ突っ込みどころ満載ですが、どうぞよろしく


それでは






――――――――――
274 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:35:21.37 ID:7hld8Welo



 “ぐーちょきパン店”――学園都市第七学区に、そんなふざけ……可愛らしい名前のパン屋がある。

 赤いレンガ造りのレトロで温かみのある店構、寡黙な親方に愛想のいいおかみさん、パンの味にも定評があり、言わば“知る人ぞ知る”隠れた良店だ。

 店舗には、購入した商品をその場で味わうことのできるカフェ・スペースも備わっており、昼食時ということもあってかなりの賑わいを見せている。


 青髪ピアスはこのパン屋で下宿、バイトをしており、本日も15時からシフトとのことなので、ここで昼を食べようという話になった。

 味は保証付きだし、鋼盾もすでに何度か食べに行ったこともある店だ、全くもって否はない。


 “その電話の相手のことも含めてウチで尋問(ダベ)ろうや、ボクのホームグラウンドでなあコーーウやーーーん”

 という誘い文句については全力で忘れる。

 天空X字拳怖い、超怖い。


275 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:37:31.53 ID:7hld8Welo



「……だからインデックスはそんなんじゃないって」


 店長おすすめのタバティエ・オ・バターに舌鼓を打ちながら、何度目になるかわからない弁明を紡ぐ鋼盾。

 といってもインデックスについて説明することなどできないので、なんともスカスカな物言いになってしまう。

 不測の事態に備え、インデックスのプロフィールでも捏ち上げておかねばならないだろうか。

 交換留学の下見に来たとか上条の親戚だとか、なんか適当に……いろいろ口裏を合わせねばならないが。


「ホンマかいな。“プレゼント”“いっしょにおやつ”“カエルコール”……どう考えても只事とは思えんで。
 コウやん、正直に言った方がええでー? 怒らへんから、ボク怒らへんから! 吐け、吐きさらせ」

「ちがうっつーの、上条くんじゃあるまいし……あとメシ時に吐けとかいうな」

「ゲロれ」

「店長ー、おたくのバイトどうなってんすかー」

「今は客やて……まあ、こんなん押し付けられてるんやけど、な」


 売れ残りのバケットに自家製の杏ジャムをたっぷりと塗りつけながら、恨みがましく工房を睨む青髪。

 視線の先には寡黙且つ実直そうな店長と、接客を担当しているらしいウェイトレスが慌ただしく動き回っている。


 青髪の視線に気づいたウェイトレスの少女が、こちらのテーブルに向けて笑顔で小さく「ごめんね」とばかりに片手で略礼&ウインク。

 可愛らしく制服を着こなす黒髪ショートの美少女、清楚で柔らかなその微笑みに、しかし青髪はぞんざいに手を振り返すのみ。


 普段の女性至上主義的な彼らしからぬその行動に、少しばかり鋼盾は疑問を覚える。

 “このパン屋の制服が気に入って下宿に決めたんや”と嘯いていた彼にしてみれば、同僚で同年代の美少女などジャストミートだろうに。

 鋼盾のそんな視線に気づいてか、若干慌てたように青髪が言葉を続けた。


276 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:38:19.30 ID:7hld8Welo



「……まあ、勘弁したろ。
 いやあ、てっきりボクはコウやんがオトナの階段登っちまったんやないかと」

「登ってねえよ」


 まだシンデレラだよ畜生


277 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:40:37.94 ID:7hld8Welo

「いやー、でもコウやんなー。今朝見たときも思ったんやけどなんか違うんや、なんちゅーか雰囲気が?
 ああ夏休み! 清楚だった委員長が突然の変身! 蛹が蝶に!……みたいな感じやねんけど、どない?」


 驚いた。

 確かに、確かに、終業式からこちら、本当にいろいろなことがあった。


 三日前の自分は既に他人のように遠い。

 とはいえそれはあくまで自身内面においての変化に過ぎず、他人の目から窺えるものではないハズで。

 現に他のクラスメイトは一切そのような反応を示さなかった……だが、青髪はそれに気付いたというのか。


「……委員長は君だろうに。そっちこそ、青の次は緑とか赤とか考えてるんじゃないだろうね」

「だからこれは地毛やっちゅーねん。……エラい露骨な逸らしかたやな、らしくないで?
 ホンマ、なんかあったんか? こういうのはカミやんの役回りや思うけど……ボクでよければ話聞くで?」
 

 まったく、普段からその顔でいればさぞやモテるだろうに……この残念イケメンめ。

 常の軽い口調には、隠しきれぬ真剣味が滲んでいた――無理矢理には踏み込んでは来ないが、求めれば必ず助けてくれる。

 それが青髪ピアスという男で、鋼盾掬彦の誇るべき友人だ。


 だからこそ、事情は話せない、話さない

 これ以上誰も巻き込まないと決めたのだから


「大丈夫だよ、大丈夫」
 

 自分でも信じていない“大丈夫”を繰り返し、鋼盾は小さく笑った。

 ああ、本当に自分は友人に恵まれている。


278 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:41:52.43 ID:7hld8Welo



「なら、エエんやけどな……そういやコウやん、カミやんと連絡ってとれてる?
 ボク、昨日今日とカミやんにメール送ってんねんけどさ、さっぱり返事がないんよ……補習にも出とらんし」

「ああ、上条くん夏休み初日に携帯壊しちゃったって言ってたね。
 ん、あと詳しいことは聞いてないんだけど、なんか急に実家に戻らなきゃいけなくなったみたいで、その準備に駆け回ってるみたい」


 携帯については事実だが、実家云々は嘘。

 あらかじめ上条や小萌と打ち合わせておいた、上条の欠席についてのエクスキューズ。

 嘘を吐くのは心苦しいが、自分たち――特に教師たる小萌にとっては必要な名分だった。


「補習に出てへんのはそれが理由かい……いーかげんヤバイで出席日数。
 つーかカミやん携帯壊したり無くしたり何度目なん?」

「さあ……なんか伝言があるなら預かるよ」

「ん、ああ、大したことやないけどな。ホラ、夏休みボクら4人で遊ぼうって話あったやろ?
 アレ、少しくらいは詰めときたいと思ってなー、ボクもコウやんも今日で補習終わりやし、なんだかんだでカミやん次第や」

「あー……え、今日のアレ、出席扱いでいいの?」

「……レポートや」

「御愁傷さま……うん、さっきも言ったとおり上条くん忙しそうだからね。
 ま、用事とやらもそんなに長くは続かないと思うけど……わかった、話しとくよ」

「頼むわコウやん、ボクもこのとおりバイトの身やしね。
 シフトの調整もあるさかい、ま、よろしゅう頼むでー」

「了解」


279 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:45:03.13 ID:7hld8Welo



 会話が一段落し、それぞれパンを口に運ぶ。

 出来立ての明太フランスとカレーパン、どちらも美味しい。

 そうだ、インデックスへのお土産はアイスよりも菓子パンの類の方がいいかもしれない。

 食パンも買って行こう、小萌の分と自分たちの分――ああ、明日の朝には別々の食卓になってしまうのか。


 コーヒーを啜りながら、ぼんやりとそんなことを考える鋼盾。

 ふと気がつくと、自分たちの席のそばにウェイトレスの子が立っていた。


「失礼しますお客様――青髪君、ちょっといいかな?」
 
「ああ誘波ちゃん、どうしたん?」


 先ほどウィンクを投げてきた彼女だ、こうして近くでみるとびっくりするほどに美少女である。

 肩口で切り揃えられた黒髪は鴉の濡羽の如く艷やか、たおやかな和風美の風情、実に着物の似合いそうな女の子だ。


「ん、見てのとおり満席でしょう? ちょっと相席お願いできないかなって思って」

「ああ、……つーかボクら上に行ってもええで? コウやん、ボクの部屋でもかまわへんやろ?」

「ああ、構わないよ」

「ん、でもそこまでしてもらうのは悪いよ……それに、青髪君? 相席のお相手、美人のお姉さんだよ?」

「相席で」キリッ

「ふふ、了解……ありがとね」


 鋼盾の方にも「ごめんね、ありがと」とふわりとした微笑みを向け、足早にレジの方へと歩いてゆく彼女。

 その無意識であろう媚態に鋼盾は思わずドキリとする……なんというか、自分の周りにはいないタイプだ。


280 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:47:40.32 ID:7hld8Welo



「……まったく、相変わらずの天然誘い受けエロスやな……コウやん、惚れたらアカンで」

「いや、それは大丈夫だけど……えとイザナミさんだっけ?」

「ああ、誘うに水の波で誘波や。パン職人志望でな、ひと月位前からここでバイトしとる。ボクらとは同い年やね。
 ホンマ、いい子でな……パン作りの情熱はホンマもんやし、あのとおり接客もお手のもん、びっくりするほど頭もええねんで」

「へえ、随分な高評価だ」

「いや、すごいんよ実際。今ではあっという間にバイトのチーフ的な存在や。
 店長にも気に入られてて帳簿なんかも任されとるし、パンやコーヒーのデリバリーサービスなんかも企画してくれてな。
 まだ試験段階なんやけど、愛車のスーパーカブにあのカッコで跨って配達に行くもんやから大好評やで」

「ふーん、たいしたもんだね」


 ベタ褒めだ、―――だが、やはりおかしい。

 青髪ピアスが女の子について語るときの、あのどうしようもないハイテンションが欠片も感じられない。

 いつもなら“誘波ちゃんマジ天使!”“ああ、生まれ変わるならボクは彼女にこねられるパン生地になりたい”くらいは言いそうなものだ。

 何か、あったのだろうか―――バイト仲間同士の距離感というのは、そういう経験のない鋼盾には掴みにくい。

 思案する鋼盾の内心を察したのだろう、青髪は痛みを堪えるような顔をして、言った。


281 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:49:41.22 ID:7hld8Welo



「……言いたい事、わかるでコウやん。ボクの反応が薄すぎるいいたいんやろ?」

「うん……いや別に、言いたくないならいいけどさ」

「構わへんよ……確かにあの子はドのつく美人さんや、フォーク集めが趣味やったり空気清浄機マニアだったり、ちょい変わったとこもあるけど性格もいい、優良物件や。
 いや、実際ボクもガチで惚れそうになったんよ、つーか惚れた、ガチで惚れた、自分でもびっくりするくらい、夢中になった」


 吐露、それはまるで血を吐くように。

 ……振られて、しまったのだろうか、“今まで通りバイト仲間でいましょう”とかそんな感じに。

 先程の“惚れたらアカンで”は、つまりそういうことなのかもしれない。


 だとしたら悪いことを訊いてしまった、失恋の傷に塩を塗りこむような不躾な行為だった。

 思わず謝ろうとした鋼盾を、青髪は「ちゃうねん」と制し、言葉を続けた。


「ちゃうんやコウやん、そうやない。
 ……そうやないんや。誘波ちゃん、あの子はあの通り掛け値ナシの美少女や、そう、見えるやろ?」

「……うん、そう、見えるよ」


 そう、見える。

 そうとしか、見えない。

 
282 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:50:20.66 ID:7hld8Welo



「だが、男や」

「……え?」


283 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 00:55:07.43 ID:7hld8Welo



「男なんや彼女……ああ違うわ、彼」

「……え、え?」

「男や、雄、メンズ」

「……ホントに?」

「ホンマや、見た」

「何を?」

「ナニを」


 言葉がない。

 ありえない。

 信じられない。


「……染色体仕事しろ」

「ああ、ホンマやで……うう、死にたい」


 さっきのドキドキを返せ、つーか制服! 店長! マジでおたくのバイトどうなってんすかコラ!
 
 思いがけぬ大ダメージに凹む鋼盾、再確認してまた凹む青髪。


284 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 01:01:20.73 ID:7hld8Welo



 男ふたり、失意のどん底に突き落とされて頭を抱えていたところに、渦中のウェイター(らしい)が客を連れてきた。

 ……ダメだ、どうしたって女の子にしか見えない、10人いれば10人がそう言うだろう。

 ニコリと微笑みかけられて慌てて逸らすと、誘波さん(くん?)が案内していたらしい女性と目があった

 件の相席の相手だろう、トレイを手にしたその人物は、先ほど誘波の言っていたとおりに妙齢の美人さんだった。


「お席、こちらになります……ごゆっくりどうぞ」

「ああ、無理を言ってしまって済まない……君たちも相席を受けてくれてありがとう」


 ぺこり、と頭を下げるその女性は、白衣を身に付けていた。

 研究者か、医師か、もしかしたら教師かもしれない。


「いえ、お互いさまですから」

「気にせんといて下さいなお姉さん、いやーこんな美人さんと席を同じくできるなんてラッキーやでえ!」

「はは、世辞でも嬉しいよ、では失礼して」

285 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 01:02:21.32 ID:7hld8Welo



 トレイをテーブルに載せ、青髪の隣に腰掛けるその女性。

 化粧っ気のない顔、不健康そうな隈、気だるげな瞳、落ち着いたアルト。

 退廃的な雰囲気を漂わせる白衣の人物。


 彼女の名は木山春生

 鋼盾が深く関わった“幻想御手”の生みの親

 学園都市の全てを巻き込んで己の目的を果たさんとする執念の女


286 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 01:04:29.70 ID:7hld8Welo



 鋼盾掬彦と木山春生

 被害者と加害者

 無能力者と多才能力者

 モルモットと研究者


 幻想御手

 鋼盾掬彦にとって、既に過去になろうとしていた白き白きその指先、残酷な蜘蛛の糸、釈迦のきまぐれ

 結局手に入らなかったそれが、この邂逅を経て再び鋼盾に絡みつくこととなる


 鋼盾掬彦と木山春生――この後、長い付き合いになるこの二人の出会い

 それは、焼き立てのパンの芳しい薫りが漂うテーブルを挟んでの、至極平和なものだった


287 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 01:07:17.63 ID:7hld8Welo



 神のみぞ知る、その皮肉

 突然の邂逅が、機械仕掛けのこの街の歯車を動かすこととなる


 あるいはそれは、運命だったのかもしれない

 学園都市の闇の足音は、鋼盾掬彦には聞こえなかった





――――――――――





288 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/08/28(日) 01:20:41.99 ID:7hld8Welo


と、いうわけで木山せんせいの登場です、やったね!
鋼盾くんとは切っても切り離せない幻想御手、その開発者ですね
はてさて、どうなることやら


んで、先に謝っておきます
マジすいませんでした、すいませんでした

……だっておまえらのアレがさ、アレなんだもんよ!
誘波ちゃん、こんな事になりました、ほんとにどうしてこうなった

>>1はオリキャラ第6位とか亡びればいいのにと思っているクチなのですが、まさか自分が書く事になるとは!
びっくりです。いやー、でもなんか楽しかったぜ……小萌先生、そいつ男です!家出少女じゃなくて家出少年です!

鋼盾と小萌宅居候トークとかさせたかったのですが、無理でした
出番はもうないかもです、一発キャラですので笑ってください

パン屋さんは魔女宅からお借りしました
魔術師系設定や統括理事設定は表に出せませんでしたが、あとはおまえらの妄想でどうにかしてください


それでは、次回もよろしくお願いいたします


289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/28(日) 01:34:16.20 ID:S3dAfpyCo
「はは、世辞でも嬉しいよ、では失礼して」
ここから何故脱ぎに入らないのかと問い詰めたい、小一時間ほど(ry
あ、乙
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 02:00:44.91 ID:Koebw4eco
では失礼して
で脱ぎ始めるのかと思った
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/28(日) 03:57:46.99 ID:qsGy+2fEo

木山先生は鋼盾にとっては邪悪そのものだよなあ・・・
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/28(日) 04:10:03.45 ID:FPyIbAmuo

うん、>>251書いた者なんだけど明らかに俺のだけ浮いてるね!ごめんね!
ちなみに能力と魔導士は心(イザナミイザナギってとこか)、「自分だけの現実」ごと切り替わるので使える(スイッチ式だね)という脳内設定でした。

男の娘か…でも青ピってショタもいけるんじゃなかったっけ?
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/08/28(日) 04:11:55.41 ID:rVeJbuJzo
良く分からんが女装ショタと男の娘は違うと思う
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/28(日) 04:23:00.42 ID:i28mlF/AO
乙乙。
>>254書いた者だが、ちゃんと男の娘で安心した!やったね!正に俺得!

「女装ショタと男の娘は違う」
…その通り!それは全く似て非なるモノ。愛好者でもそこがわかってない奴が結構いるから困る。
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 09:04:24.89 ID:Gwo+fstAO
誰か絵を!
この子の絵を描いてください!

あ、乙
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チリ) :2011/08/28(日) 14:56:28.21 ID:eI6bOByd0

>>1はシュタゲ好きすぎだろwwどうみてもルカ子

木山先生登場ということは、24日は地獄になるな
木山戦→幻想猛獣戦→神裂戦、うん死ぬなコレ
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/28(日) 17:57:08.08 ID:jJqrEtPlo
そっかー>>1ってそうなんだー。
彼は女装してるだけでノンケってことでいいんでしょうか。
…そっかー。

さてさて目的はあるものの理念は固まってない鋼盾に木山先生はどう映るのか。
楽しみでござる。
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/28(日) 20:10:51.87 ID:i28mlF/AO
男の娘で誘い受けだから受け専門でアリだろ常識的に考えて…その後ヤンデレが待ってる訳だが。
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/29(月) 01:50:23.00 ID:Gd23aTCAO
意外だな、青ピなら男の娘しかも見た目完全に美少女ならむしろ大好物そうなのに。
あの様子だとフラレたんじゃなく青ピ側が無理な感じだし。

しかし今更だけど青ピの能力、少年漫画的なら主人公張れる類いじゃね?w
ベタだけど巨大な敵を前に親友をズタボロにされたりしたらレベル5クラスの出力が出たりしそうだw
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 07:48:07.45 ID:UqvnvL4B0
青ピの守備範囲のうちに、男の娘がないのって不思議だなあ。

確かに、彼の発言のなかで男の娘は守備範囲に入ってなかったけど、
それは昔何かあったんじゃないかって妄想してしまう。

たとえば、その昔青ピが男の娘に告白して、その容姿にコンプレックスがあったその彼を傷つかせてしまったとか。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/29(月) 09:04:42.03 ID:IZdWzwnAO
「このプレッシャー…ヤンデレか!」って額に稲妻が走ったから回避したんじゃないか?ヤンデレはあの一覧になかったはずだし。
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 12:57:47.37 ID:4snHLOCAO
巨根だったんだよ
心を、折られてしまったんだよ
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/29(月) 19:14:16.16 ID:IZdWzwnAO
女装ショタの巨根は良いが男の娘の巨根はたしかにいただけないな…
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/29(月) 20:14:47.93 ID:63hpWOmIO
男の娘?余裕ですむしろご褒美です
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/08/29(月) 22:08:44.49 ID:EHNoLOuxo
毎回更新してるかと思ったらしょうもない雑談だったこのがっかり感
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/30(火) 00:39:38.15 ID:Qe0aeuaio
雑談?失敬な。立派な考察と意見交換会です(キリッ
307 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/30(火) 06:18:13.61 ID:TmuYuHHgo

どうも>>1です
もう300レス越えだと?……これが運命石の扉の選択か

ぐーちょきパン店は、お客様に快適な一時を過ごしていただくため、空調にも心を砕いております。暑くないのです
うん、つまりどうにかして誰かに水を零して貰う必要があるようだぜ……こんな時に上条さんが居れば!

つーかおまえら、そっち方面に食いつき過ぎだろw このスレにエロスとか求んといて!
なんかもうちょっとさー、幻想御手編の象徴たる両者の出会いとかそっちにもさー、とか言いつつレス嬉しいです、マジ感謝です!

まあ、今回の件はどうみても>>1の自業自得ですね
シリアス方面に物語は加速してゆきますので、そちらの方もよろしくですの!

次回はあざとすぎる伏線回になりそうですつかもうそれ伏線じゃなくね?
木山先生がいっぱいしゃべります、わーい

なるたけ早く投下にこれるよう頑張りますが、正直↓つけたまま本編投下したくない件
どうしたもんかね


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 07:51:57.57 ID:mLBHb8nIO
なんだみんな妙な宣伝してると思ったら↓は勝手に付くのか…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagee]:2011/08/30(火) 10:57:46.93 ID:Pn2m6BBs0


「楽勝だ、錬金術師」


--------------------------------------------------------------------------------
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


確かに決め台詞を言った後にこれじゃ、締まらないな。
目欄になんかで消せればいいのに。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 13:31:52.87 ID:tMRGDBqlo
しょうがないから今は書き溜めておけば?
3日も経てば話し合いも終わるだろう
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/30(火) 20:18:55.33 ID:1g8idJ2Eo
ちょっと長い鯖落ち程度に考えてりゃいいんじゃないでしょうか。

幻想御手は鬼畜アイテムのように思われやすいけど、短期間昏睡状態に陥るだけで
あとは完全に無害なシステムなんよね。
木山先生が子供に悪いことするはずないじゃないですかってんだよ俺の嫁なだけに。
鋼盾から見て木山春生は自分を翻弄した悪人だけど覚悟の実行者としては大きな先輩でもあって、
そのあたりが描かれるとうれしいなーと思います。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
312 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/08/30(火) 21:43:31.70 ID:TmuYuHHgo
おお、サンクス。んじゃ書き溜めますよ

周知期間が必要だろうし、しばらくはこんな感じだろうかね
いろいろアレですが、まちがいなく必要なことですな。板が円滑に機能するように願いたいものです

>>311
目的のために手段を選ばないのではなく、周到に選び抜いた上で様々なモノを切り捨てた木山春生の徹底
それは未だ鋼盾が持ち得ぬ種類の「強さ」であり「決意」であり「覚悟」でして、木山路線もひとつの理想像ではあるのかも

さて、当初はストーリーがブレすぎるかなーと木山先生カットの予定でしたが、思い切って出してみました
間延びしてないか心配だけど、個人的には楽しく書いてます。>>1はどうやら矛盾やら弱さやらを抱えたキャラが好きなようです
逆に悩まなそうな連中は書ける気しないんよね、誰とは言わんがアイツとかあの人とかアレとかあの子とかヤツとか

鋼盾がどんな覚悟を決めるのか、ラストまでしっかり書きたいです
んじゃ、状況が落ち着いたらまた来ます




自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/30(火) 22:50:18.00 ID:BpFmUAqAO
待ってる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/31(水) 14:07:03.92 ID:C29tBwnAO
通告期間は何日までなのかね〜、投下少なくなって残念だぜ。

おいおい、幻想御手はとても安全なシステムとは言えんだろ…メトロン星人みたく犯罪者は増産するし、昏倒したらシステム稼動中は回復しないし、危うく原発事故おこしそうになるし…
美琴達が頑張ったから無事に終わったけどな。超電磁組かわいいよーチュッチュッ!

…エンジェルフォールが後で重要になったように幻想御手も後で役割出てくるのかな?偶像理論との組み合わせなんて面白そうだが…どうなんだろ?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/31(水) 14:10:38.30 ID:j+x4xJn+0

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 09:27:34.26 ID:9DICaTyAO

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 09:55:14.30 ID:vYFCglSIO

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/01(木) 12:00:37.65 ID:MLGwPhPwo
ガ


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 14:18:28.37 ID:QAKOw5e40

自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
320 : 【大凶】 [saga]:2011/09/01(木) 20:39:59.66 ID:9/crZxkio
土日に仕事が入ってしまったので更新します。
うああ、台風だってのになんなの? マジなんなの?

告知がウザイかもしれないけど、気にせず行きましょう!
9時過ぎ位までに書き上げてきますぜ!

んでは、しばし



自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
321 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 20:42:18.19 ID:9/crZxkio
うおお、おみくじのままだった!>>1です!
しかも大凶とか! 逆にテンション上がるわ!

んじゃ、おまえらの不幸は俺が引き受けますけん、どうかよしなに!



自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/01(木) 20:45:04.79 ID:MLGwPhPwo
待ってた!そういえば昔おぼっちゃまくんで「大凶」だと思ったら「大メ出たい」だったって話あったなあ…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
323 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:14:52.80 ID:9/crZxkio




――――――――――



 相席、2人以上を定員とする座席に、違う個人や団体を利用させること。

 今の自分たちが置かれている、この状況。

 4人がけのテーブルに2人と1人、鋼盾と青髪、そして見ず知らずの白衣の女性。


 さて、相席の場合、どのように振舞うのが望ましいのだろうと鋼盾は惑う。

 正直はじめての経験である、どうしたものか。


 袖擦り合うのも多生の縁、神のみぞ知るこの偶然に感謝し、談笑を交わすのがスマートなのだろうか。

 それともあくまでも席を共有しただけとして、気にせず振舞うのが粋なのだろうか。


 カフェテーブルは小さく、ちょっと油断すれば爪先が触れ合いそうな距離。

 それはパーソナルスペースといってよいほどに近く、座りが悪いとは言わないが少しばかり気恥しい。

 大人な女性の前で、青髪といつもの馬鹿話に興じるのもなんというか、その、アレだ。


 自他共に認めるシャイボーイであるところの鋼盾は、こういう場面はあまり得意ではない。

 誤魔化すように食後のカプチーノをちびちびと口に含みつつ、こっそりと斜め前に座る女性を盗み見る。





自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
324 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:16:46.67 ID:9/crZxkio




 白衣。

 そう、まず目に付くのがその白衣だった。


 能力開発、もしくはそれ以外の研究に携わる人間か、または医師、薬剤師らの医療従事者。

 あとは養護教諭や……そういえば担任にして化学教師である小萌も、実験の授業の折には白衣に身を包んでいた。

 どうみても給食着を着た配膳係の小学生ですほんとうにありがとうございました、と思ったことは内緒だ。


 研究者か、医療従事者か、教職員か、もしくは栄養士とかそっち系の仕事に就いているのかもしれない。

 見た目からではそれ以上の類推は不可能であったが、そのいずれの職業であっても違和感のない雰囲気ではある。

 ザ・理系の女としか言いようのない白衣の着こなしだ、素敵。

 
 誘波や青髪が評したとおり、整った顔立ちの美人さんである。

 化粧っ気は皆無で、髪の毛も適当、服装は清潔であるものの無難極まりないシンプル。

 それでいて隠しきれぬ素材の良さ、磨けば光そうだなんて物言いはエラそうだけど、事実そう思う。


 唯一難点を挙げるなら、目の下にくっきりと浮かんでいる隈。

 寝不足なのかお疲れなのか、切実にコンシーラーが要りそうだ。


 白衣の女性は鋼盾の視線に気づかず、ちんまりとしたクラブサンドをゆっくりと口に運んでいる。

 マイペースに食事を楽しんでおり、この状況に別段意識を割いているようには見えない。

 ならば、別に無理して話しかけることもなさそうだと鋼盾は結論付ける。

 気にせず先程までと同じように談笑を楽しめばいいのだ、ちょっとばかり音量と煩悩成分を控えめにして。





自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
325 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:17:32.35 ID:9/crZxkio




 そう、青髪くんと…………あ

 やべえ
 

 



自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
326 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:19:37.17 ID:9/crZxkio
 



 
 青髪ピアスである、よりにもよって青髪ピアスである。

 先程の誘波さん(くん、とはどうしても言えそうにない)との会話が大人しめだったのですっかり忘れていた。

 今朝も廊下に響きわたる大声で“すうあまちゅううあああーーーんん!!”とかわめき散らした青髪ピアスである。

 我がクラスが誇る萌の伝道師、エロ男爵こと青髪ピアスその人である。


 美人さんが隣に座っているというこの状況、ぶっちゃけイヤな予感しかしない。

 今のところ絶叫はしてないようだ、今のところは!


 ギギギ、と音を立てて鋼盾は青髪ピアスに目を遣る。
 
 ―――そこには、細い目をカッと見開いて、隣席の女性を視姦する残念イケメンがいた。


(……うわあ)


 ドン引きである。

 いや、自分もこっそり盗み見てたけどさ、でも流石にソレはねえよ、と鋼盾は思う。

 聞くところによるとコイツぼくの親友らしいぜ、うわあマジかよ。


 矯めつ眇めつ、上から下まで、眼光紙背に徹するかのように。

 今のこの男なら、すけすけみるみるくらい楽勝でこなしそうである。

 理論上不可能とされる多重能力者(デュアルスキル)が誕生するかもしれない。


 これは、やばい。

 ほっといたらこのバカ、愛の短歌とか捻り始める、匂いとか嗅ぎ始める。

 鋼盾は慌てて青髪に話しかけ、彼の注意を逸らそうとしたが、一瞬遅かった。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
327 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:21:29.55 ID:9/crZxkio




「……アカン、白衣ヤバイわ」


 うわ、口に出しやがったよコイツ。

 何が白衣ヤバイだ、ヤバイのはお前だ、お前の煩悩だ。

 ダメだこいつ、早くなんとかしないと。


「?……ん、白衣がどうかしたのかい?」

「いやその作業着特有の無骨さと実用性に隠れたエロティシ「自重しろアホ髪」


 アホ髪ピアスにツッコミを入れつつ、走り出した状況に慌てる鋼盾。

 きょとんとしている対面の女性と目が合い、なんとか問いをひねり出す。

 なにがエロティシズムだ馬鹿。


「……あ、えーと白衣ってことは研究者の方なんですか? それともお医者さんとか、栄養士さんとか?」
 
「ん、まあ、研究者だね。大脳生理学の研究をやっている」

「……女博士、やと? アカン……女教師や女医の上を行く萌を見つけてしもうた」 

「もうお前黙れよ、世界の片隅でパンの耳齧ってろよ、そのジャム持って行っていいから」


 求道者モードに入ってしまったどうしようもない友人に再度忌憚ないツッコミを。

 あのドン引き青髪萌目録に新たな項目が追加されてしまったようだ。女博士←NEW!


 ああもう、ええい、しょうがない雑談だ!

 幸いネタはあった、彼女が口にしたその研究分野、それは。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
328 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:23:15.89 ID:9/crZxkio




「大脳生理学、ですか……心理学とかじゃなくて、えと、脳の機能についての学問になるんでしょうか」

「ん、その理解でかまわないよ。
 そうだな、簡単に言えば心理学はこころ(ソフト)で、私の方は脳(ハード)といった感じだろうか。
 ……もっとも心理学も多少は齧ったがね」

「記憶とか、そういったものも範疇に入るんですか?」

「勿論……ん、興味があるのかい?」


 興味はある、すごくある。

 記憶喪失と完全記憶能力という二重苦に囚われたあの子は、鋼盾掬彦にとっての最大の関心事なのだから。


「あ、えーと、この前読んだ本にを“完全記憶能力”もつ人が出てきまして。
 なんとなくそれを思い浮かべてしまって」

「ふむ、“完全記憶能力”か……奇遇なことだ。
 実は私がやっている研究で、そのあたりに多少触れる機会があってね」


 興が乗った、と言わんばかりの表情。

 学者モードというか講義モードに切り替わったのが見て取れる。

 青ピが“ああん論破されたい!”みたいな顔をしているのは無視する。

 悉く無視する。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
329 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:26:42.14 ID:9/crZxkio


「君が読んだその本にでてくる完全記憶能力者というのは、どんなことをしていたかな?」

「……大量の本、それこそ図書館まるごとくらいの本を、一語一句完璧に暗記していました」

「はー、図書館の本全部とは驚きやね」


 魔道図書館を名乗る彼女。

 インデックス。

 彼女の頭には10万3000冊と、ああついでに教科書を数冊と小萌所有の少女漫画が少しばかり、花とゆめ。


「ふむ、大量の本を暗記した人物と言えばアメリカのキム・ピークあたりかな。
 映画のモデルにもなった著名な人物だ、君が読んだ本というのは彼についてのモノだったりするかい?」

「……いえ、えーと恥ずかしながらフィクションです。ただの漫画です。
 ですから、実際の人物とは少し事情が違うかもしれませんね」


 まさかインデックスの話をするわけにはいかず、適当にお茶を濁しておく。

 呪われた魔道書を頭に刻みつけられてしまった悲劇の修道女……いやはや、コミックやライトノベルの世界だ。

 まあ、そんなことを言えばそもそもこの都市自体がどうしようもなくアレではあるのだけど。

 二次元が三次元を侵食してゆく、この調子じゃそのうち四次元ポケットも開発されようというものだ。


「いや、作り話も馬鹿にしたモノじゃなよ。
 ―――だが、事実は小説よりも奇なり、というのも事実だ」


 私も漫画の類は嫌いじゃない、と白衣の女性は淡く微笑む。

 事実は小説よりも奇なり、まったくもってその通りであると鋼盾は思う、いっそ笑ってしまうほどに。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
330 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:31:22.82 ID:9/crZxkio




「驚異的な記憶能力を持つ人間の話は無数にあるが……そうだな、私が一番興味を持った人物の話をしようか。
 君たちは“シィー”……エス・ヴェー・シェレシェフスキーという人物の名前を聞いたことがあるかい?」

「いやー、さっぱり……コウやん、どない?」

「ぼくも、知りません。なんとなくロシア人かなーなんて思うくらいで」

「ん、無理もない、なんたってソビエトの頃の話だ……シィーはラトビア生まれのユダヤ人でね、君のいう完全記憶能力者だよ。
 新聞記者を生業とし、時々その『完全記憶能力』を生かした記憶ショーを副業にして生計を立てていたそうだ」


 ショー、見世物、吃驚人間。

 いつの時代でも人びとは「異なるもの」を見たがるのだろう。

 年に一度の大覇星祭に訪れる「外」の人たちの熱狂を思い出す。

 ……自分は結局見世物にもなれなかったわけだが。


「例えば、黒板にチョークで大量の数字を書いたとしよう、縦に10、横に10の計100の数表をイメージしてくれ。
 シィーは数表を注意深く見つめ、目を閉じ、再び目を開いて……それでもう記憶は完了だ」


 中空に指で数字を書くようなジェスチャーを交えながら、講義は進む。


「黒板に背を向けた彼は、その数表を順方向にも、反対方向にも、対角線の順番にでも言うことができたそうだよ。
 数表が500でも1000でも同様に、ね。まるでカメラで撮影するかのように、彼は全てを記憶してしまう」

「……はー、それはすごい……暗記科目は満点やね。
 パソコンもネットもなかった時代、随分重宝されたんやないですか?」

 
 白衣の女性の語りは、静かで、それでいて染み入るようで、なんとも耳に心地よい。

 鋼盾も青髪も、ぐいぐいと話に引き込まれてゆく。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
331 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:33:46.17 ID:9/crZxkio





「そう、思うだろう?……だが、この力はそんないいものじゃないのさ。いくつもの弊害があり、彼はそれに生涯苦しめられた。
 そのうちのひとつに、彼の持つ異常な“共感覚性”を挙げることが出来るだろうね。……ああ、共感覚性というのはわかるかな?」

「あー、小萌センセがなんか言ってはったような……
 “絶対音感を持つ人は、ある音を聞くと赤い色が見えたり青い色が見えたりするらしいのですよ”やったかな、なんやそんなことを」

「ふむ、それも一例だね。
 もっとも絶対音感のような特殊な能力を持つ人間に限らず、我々のような普通の人間でも少しは体験するものだよ。
 ……例えば、風鈴の音を聞いて涼を感じる、そんな経験はあるだろう?」

「聴覚からの刺激が、他の感覚を刺激すること、ですか?」

「ああ、といっても聴覚刺激からだけではないがね。……シィーはこの“共感覚性”が異常に優れていた。
 彼に50Hzの音を聴かせると“暗い背景に赤い舌を持った褐色の線条が見えます。その音の味は甘酸っぱく、ボルシチに似た味がします”と言ったそうだ。
 彼について研究した学者は、これらの共感覚が記憶の背景を作り出し、彼の記憶の正確さを保証しているのだろうと考えた」

「……音を聞くだけで、そんな」

「そらキツイわー、正直、想像もつかへん」


 目覚まし時計のベルの音を聞けば七色の光が眼前で瞬き

 車のクラクションが鳴れば口腔が鉄錆の味で一杯になり

 電話のベルが鳴り響けば何かが焦げる匂いに捕らわれる


 ランダムに気まぐれに仕掛けられた無数のスイッチ

 彼にとってこの世界は、落とし穴だらけの危険地帯






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
332 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:38:31.11 ID:9/crZxkio





「そう、その異常な“共感覚性”は、彼からあまりにも多くを奪った。
 他人と違うものが見え、聞こえ、感じる……それは実生活を困難にして余りあるものだし、その上誰とも共有できないんだ。
 詩的な言い方になってしまうが、彼は誰より孤独だったのかもしれない」


 シィーはしばしば空想の世界へ絡め取られてしまっていたらしい。

 完全記憶と共感覚性によって形成された空想世界はあまりにも鮮明で、本当の世界との区別が曖昧になることも多かったという。

 彼にとって、現実がどれほどの意味を持っていたのかは、余人には量りがたいものがある。


「脱線したね……まあ、“共感覚性”については置いておこう。専門分野になるとどうしても、ね」


 口数が増えてしまうな、とぼそぼそと呟き、クラブサンドを二口ばかり口にする。

 アイスティーでそれを流し込むと、彼女は再び話を始めた。


「率直に言って完全記憶能力――なにも忘れることができないというのは悲劇だよ。
 忘却は必要な機能だ、脳の構造やらなにやら難しい話は抜きにしても、イヤなことを忘れられないというのは残酷だ」
 

 人間の目は後ろには付いていない。

 忘れてしまうことは、忘れてしまってもいいこと。

 忘れてもいいことを覚えているということは、残酷だと彼女は言う。


「本当に忘れるべきではないことなら、絶対に忘れてしまうことはない。
 それを忘れてしまうのは健忘の類、痴呆や記憶喪失といった、また違う疾患だよ」


 忘れることなどない、と口にした彼女の顔にはある種の強い感情が湛えられていた。

 激しく昂るでもないその静かな言葉の裏に、彼女が負ったであろう痛みが透けて見えるような気がした。

 そう思わせる何かに、鋼盾は少しばかり気圧される。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
333 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:40:23.99 ID:9/crZxkio




「……疾患、そう、完全記憶能力は、語弊を恐れずに言えばある種の疾患だ。
 シィーはその体質に生涯苦しめられていた」

「疾患、ですか。……それは」


 疾患

 脳の誤作動

 形成された異常記憶

 鮮烈な空想、侵食された現実

 他の誰とも違う、彼だけの世界

 それは――






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
334 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:42:12.81 ID:9/crZxkio




「……“自分だけの現実”」


 パーソナルリアリティ。

 鋼盾の脳裏に浮かんだ言葉は、そのまま彼の口から溢れた。

 それを受けて、白衣の女性は目を丸くした。


「……驚いたな。
 ああ、私も最初にこの話を目にしたとき、それを連想したよ」






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
335 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:44:51.53 ID:9/crZxkio




 都市伝説のひとつ

 原石、と呼ばれる天然の能力者たち

 有史以来、いくらでも異能者の報告例は存在する

 それが人とは違った脳の構造に由来するとしたら、あるいは


「育脳、などとこの都市は言うがね。能力開発は、ことによると―――ああ、すまない、また脱線だ。
 ……どうかな、完全記憶能力というのはなかなか難儀な話だろう? 脳についてはわからないことだらけだ。
 それこそこんな都市が作られてしまうほどにね」

「いや、オモロイ話やったです、なぁコウや――コウやん?」

「――あ、ごめん。……ええ、すごく興味深かったです」

「それは何よりだ。話すのはあまり得意ではないのだけどね。
 ……ふむ、なにか、質問はあるかな?」


 白衣の女性の視線は鋼盾に向けられている。

 完全記憶能力についての話を振ったのが鋼盾であるということもあろうが、それだけではなさそうだ。


 目の前のこのひとが、どうしてか小萌や黄泉川とダブる。

 その透徹な眼差しに、思わず鋼盾の口から言葉が溢れた。

 言うべきではないと思ったが、しかし、止まらなかった。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
336 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:48:14.48 ID:9/crZxkio


「……例えばですけど。
 もし、知り合いに完全記憶能力の持ち主がいたら、どうしてあげるのがいいんでしょうか。
 何も忘れることのできないあの子に、ぼくは……」

「……“あの子”、か」

「!……あ、えと」

「ああ、なんでもないよ……そうだね、完全記憶能力者といってもいろいろだ。
 サヴァン症候群のようなものもあれば、単純な才能(ギフト)によるものもあるだろう。
 ――ただひとつ言えるのは、彼らもまた人間だということだよ」


 異常記憶の持ち手であっても、異能の体現者であっても、他人と見ている景色が異なれども

 彼らは間違いなく人間であると白衣の女性は、そう言った。

 自分たちと同じ、人間であると。


「無責任な物言いになってしまいそうだがね、
 ……辛い記憶を忘れることができなくても、それ以上に楽しい記憶で埋め尽くしてあげればいいのではないかな」


 笑顔でいさせてやれ

 守ってやれ


 そう言って、彼女は笑う

 少しばかり、気恥しそうに







自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
337 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:54:53.85 ID:9/crZxkio






“……そうじゃねえ ああ、そうじゃねえよ、わかってる。
 コイツは食いしん坊で、泣き虫で、意地っ張りで、ちょっと記憶力のいいだけの
 ―――ただの、普通の女の子だ”


“決まってる、インデックスを笑顔にすることだ。
 これから先も、ずっと笑顔でいられるようにすることだろ”


“あの子が背負っているものを、先生は知りません。
 結局、聞きだすことは叶いませんでした――先生じゃ、踏み込めないのです。
 でも、上条ちゃんとじゃれ合っているとき、鋼盾ちゃんのお話をしている時のシスターちゃんの目は、違いました”


“あんな優しい子が救われないなんて、許せません、認めません。
 掬い上げて見せてください、鋼盾ちゃん。シスターちゃんを助けてあげてください。
 あなたの隣には上条ちゃんがいます、そして勿論、先生もついていますよ”



 それは、いつか誰かが口にした言葉

 鋼盾掬彦が信じた、守りたいと誓った、彼と彼女の言葉だった



 初対面の女性から、思いがけずかけられたそんな言葉

 それは意外なほどに深く、鋼盾の胸に響いた







自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
338 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 21:56:32.16 ID:9/crZxkio




「はー、なんやようわからんけど……お姉さん、なんか先生みたいやね」


 青髪のそんな台詞に、白衣の女性は虚をつかれたような顔をして、小さく笑った。


「……実は、昔教鞭を執っていた事があってね。小学生の小さなクラスを持っていたんだ。
 と言っても短い期間だったし、たいして良い教師じゃなかったが」

「またまたー、そんな優しい顔して何言ってはるんですかセンセー。
 くぅー! ええなあ、ボクもセンセーみたいな美人教師はんと一緒に小学校生活送りたかったわー!」

「ええ、ぼくもそう思います」

「はは、擽ったいな……だが、今となっては私に教師は務まらないよ。
 ……もう、その資格がない」


 資格がない、そう言って白衣の女性は悲しげに目を伏せた。

 教員免許が云々、という話ではなさそうだと鋼盾は直感的に思う。

 いや、どちらにせよこれ以上は踏み込み過ぎだろう……青髪と目が合う、彼もそう感じているようだった。






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
339 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 22:04:30.12 ID:9/crZxkio


「……せや、今ってお仕事の途中とかなんですか?」


 話題をそらそうと青髪が質問する。

 時間的には丁度昼休みといったところ、この近所に勤務先があるのだろうか。


「ん、まあそんなところかな。
 ……実験結果が出るまでは手持ち無沙汰でね、まあ、昼食がてら気分転換中だよ」


 彼女もこれ以上その話題を引きずりたくはないようで、青髪の質問に笑って答える。

 それと同時に何かを思いついたようで、軽く佇まいを正してふたりに対し問いを投げかけた。


「……ああ、そうだ。
 ちょっと君たちに聞きたいことがあるのだが、いいかな?」

「ええもう、スリーサイズから好みのタイプまで、なんでも聞いてもらって構いませんで!」
 
「はいはい馬鹿……もちろん、オッケーです」


 女性からの質問であればなんでも唄うであろう青髪はもちろんのこと、

 先ほどの会話に救われるところのあった鋼盾としても、可能な限り彼女の力になりたかった。 


「ふふ、ありがとう。 それでは――――」






自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
340 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 22:06:57.42 ID:9/crZxkio






「――――君たちは“幻想御手”というものを知っているかな」


 

 白衣の女性――木山春生のその問いが、鋼盾掬彦に突き刺さった

 あたかも、呪い矢のように







 



――――――――――


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
341 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 22:14:59.01 ID:9/crZxkio




はい、というわけで投下完了なんだぜ
いやー、告知は大事だろうけどちょいウザですな

幻想御手編の重要ワードである“共感覚性”
どうやらオリジナルの概念っぽいみたいで、“共感覚”とはちょい異なるみたいですね
そのへんは適当ですので、雰囲気のみお楽しみください

シィーについても結構適当なこと書いてますので詳しくは↓をどうぞ

ルリア著、天野 清訳、「偉大な記憶力の物語」(文一総合出版)
原著は、1968年モスクワ大学出版局より出版、著者はアレクサンドル・ロマノヴィッチ・ルリア(1902-1977)

木山先生の口調とか大丈夫でしょうか
ご意見等お待ちしております

んじゃ、また来週!





自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/01(木) 22:20:18.65 ID:MLGwPhPwo

木山先生言葉濁してたが能力者はていの良い精神疾患患者だからなぁ…

って事は完全な無能力者たる鋼楯君は完全なる精神健常者ってことなのかね?それもまた違う気もするが…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:10:19.86 ID:9DICaTyAO




ぬるぽ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
344 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/01(木) 23:14:29.69 ID:9/crZxkio
ガッ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/01(木) 23:14:32.25 ID:z6hWLZpVo



>>343


がっ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/01(木) 23:48:27.80 ID:bryHvp7Ko
出てきただけでうれしいっていうかまじ木山先生。
ノーマルモードに続いて次回はポーカーフェイスモードかー。
まさか本人の側から振ってくるとは思わなかったんでどんな流れになるのか楽しみ。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/09/02(金) 02:54:36.02 ID:0dOAceICo

時系列がちょうど幻想御手とペンデックスで重なるのかな?
ペンデックス編の方に関わって欲しいな
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/02(金) 06:33:55.15 ID:RETWSK8AO


ぬるぽ→ガッの流れがまだ健在とは…やはりこのスレ読んでるのは年齢層高めだな。
まあ地の文が多いと年齢層上がるのは全体的な傾向だけどね。
てっきり禁書ルートで決定かと思いきや木山先生登場でまたわからなくなってきたな。さて鋼盾君の選択や如何に?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/02(金) 06:43:18.68 ID:1d+TYkxdo

ぬるぽ ガッ 位夏厨でも知ってるんじゃないか……?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/02(金) 07:36:39.75 ID:Z8/n6vIFo
あまり最近は見ないぞ?夏厨は知ってたとしても使わないと思うが…
しかし息長いよな、もう十年近く前のネタだよな?


自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 07:42:19.22 ID:80ff+HIAO
春生ー!!!!俺だー!!!!
結婚してくれー!!!!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/02(金) 19:25:29.71 ID:eOoTISx/0
隙だらけ素朴な女性美と
科学者としての知的さと
復讐者としての苛烈さと
教師としてのやさしさと
黒幕としての不気味さと

すべてそろった見事な木山先生でした!
感動した!俺の嫁!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/03(土) 22:28:57.46 ID:ufPTg2uN0
鋼盾とはまたマニアックな

いまからよんでくるわ
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/03(土) 23:24:08.40 ID:gCZG0G3AO
俺も読み返してみようかな
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/07(水) 16:31:49.05 ID:NcXFZ4ZF0
ぼくたちは、なかよく>>1乙してるよ 
                        ∧_∧
                   ===,=(´・ω・ ) >>1
                   ||___|_゚し-J゚||_
                ∧_∧/ //.___|^∧_∧
           >>1乙 (´・ω・ ) /||    |口|(´・ω・ ) >>1
                ./(^(^//|| ||    |口|⊂ _)      
  >>1乙      ∧_∧ /./  || ||    |口| ||    ∧_∧    
   ∧_∧     (´・ω・ ).>>1乙..|| ||    |口| ||  (´・ω・ ) >>1乙  
  (´・ω・ )  /(^(^/./     || ||    |口| ||    ゚し-J゚
 "" ゚し-J゚:::'' |/  |/ '' " :: ":::::⌒  :: ⌒⌒⌒ :: ""  `
 :: ,, ::::: ,, " ̄ ̄  "、 :::: " ,, , :::   " :: " ::::



356 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 20:49:12.20 ID:76njGrcmo
お久しぶりです、>>1です。
ちょいと忙しくて週一更新できませんでした、9月忙し過ぎワロタ。
明日も仕事だぜちくしょうめ。

まだ今回分半分も書けてないのですが、今から書きます。
今日中に投下!己を追い込む予告age↑
357 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:43:59.32 ID:76njGrcmo




――――――――――



「れべる、あっぱー? ……いや、聞いたコトないですわ。
 コウやん知っとる?」

「……知ってる。使用者の能力強度(レベル)を上げるものがこの街に蔓延っているっていう都市伝説だよ。
 漢字で書くと幻想の御手、ってね。ここしばらく、ネット上でずいぶんと話題になってる」

「レベルを?……んなことありえへんやろ、時間割全否定やん。
 そもそもどんなカタチしとるん? ちょっと想像も出来ひんわ」

「さあ、説はいろいろだけど、ね。 路地裏で配られる“ふしぎなアメ”やら、とある研究室にあるという“がくしゅうそうち”やら」
 ……でも、実際幻想御手が使われたとしか考えられないような事件が多発してるんだ、風紀委員も動いてる」


 連続虚空爆破事件、偽札騒動、壁新聞事件、腐食強盗事件

 飛行船暴走事件、三学区に跨る騒音騒動、消えぬ落書き、スキルアウトの抗争

 エトセトラ


 幻想御手の関与が疑われる事件は枚挙に暇がなく、白井や初春をはじめとする風紀委員や警備員が対処に奔走している。

 他ならぬ鋼盾もそれらに多少首を突っ込んでしまっている身なのだが、それは口にすまい。

 そんなふたりの反応を受け、白衣の女性は口を開く。


「そう、その幻想御手さ。
 学園都市から大脳生理学者として意見を求められているのだけれど……なんとも雲を掴むような話だ。
 ヒントのひとつでも転がっていないものかと思っているのだが、どうにも芳しくない」

「はーー、それは大変ですな。
 しかし、そんなんでレベルアップねぇ」

「信じがたいだろうが、どうやら事実らしい。
 君たちはどうかな? 幻想御手、興味はあるかい?」

「……興味、ですか」


358 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:48:09.85 ID:76njGrcmo



 なんと、口にしたものだろうか。

 鋼盾にしてみればその単語、幻想御手は既に終わったものであったはずだ、今の今までそう思っていた。


 かつて縋ろうとした蜘蛛の糸

 どうしようもない己の罪過の象徴


 いらないと、捨てたはずのソレ。

 だがここにきて、その名前を聞いて、心が軋んだ。


 お前は吹っ切ったのではない、目を逸らしていただけだという声が聞こえた気がした。


 そう。

 ただ弱い己を認めたくなくて、幻想御手に縋ったあのころとは違う。

 魔術師との激突が懸念される現状、鋼盾は切実に力を求めているのだ。


 わかっている、幻想御手は危険だ。

 仮に効果があったとしても、レベル1くらいがせいぜいだろう―――その程度の力では、たいして足しにもならない。

 わかっては、いるのだけれど……未練があるの、だろうか?


 ……やはり、ぼくは弱い。

 芯がないのだ、ふにゃふにゃでグダグダだ。

 選ぶのではなく、逃げる形での選択しかできない己。

 もう溜息も出ない。


 己の裡にあるその感情を、鋼盾は上手く拾うことができない。

 ピンセットめいた冷静で拾うには重すぎる、それは劣等感と罪悪感とその他もろもろの混成物だ。


 まだ、治りきっていないその瑕罅、今は決意の火を以て焼き直す作業をようやく始めたばかり。

 錆に塗れた弱い屑鉄、未だ鋼に至らぬ己は、こんなにも脆い。

 不意打ちめいたその言葉が、胸に突き刺さる。


359 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:50:45.53 ID:76njGrcmo



 煩悶する鋼盾を尻目に、今はじめて幻想御手を知ったばかりの青髪は、白衣のひとの問に応えた。

 衒いもなにもなく、世間話に興じるかのように。


「んー、正直ピンと来えへんです」

「……ふむ、理由を聞いていいかい? 
 レベルアップは、君たち学生にとっては悲願だと思っていたのだが」


 白衣の女性が青髪の言に首を傾げる、鋼盾としても彼の反応の薄さは少しばかり腑に落ちないものがあった。

 女の子が絡まない噂話には疎い青髪ではあるが、好奇心は十分に旺盛な彼のリアクションとしては淡白に過ぎるきがする。

 2人のそんな反応に青髪は少しばかり苦笑し、言葉を紡ぎ始める。


「ボクはレベル1の身体強化(インナーブースト)なんですけど、これがなんともけったいな力なんです。
 普通の身体強化ならレベルに応じて脚力なり腕力なりが強化されるんやけど、ボクのは亜種やから」


 身体強化(インナーブースト)

 文字通り身体機能を強化する能力であり、高レベル能力者であればそれこそ超人めいた挙動が可能となる。

 ただ、一口に身体強化といっても強化される部位は様々であり、個体差が非常に大きい能力としても知られている。

 身体全域が満遍なく強化される者もいれば、腕力のみだったり呼吸機能だけだったりと様々だ。

 青髪ピアスはその中でも変わり種の、特殊な能力の発現をした稀有な例――あまり、よくない意味での。


「今この状態やとボクの五体は常人の枠に収まる程度の強化レベルやねんけど、
 テンション次第でレベル以上の力を出すことが可能になるんですわ、レベルで言うたら2や……調子がよければ3クラスの」


 青髪の場合、効果範囲は腕力、脚力を中心に身体全域、これはよくある例であるといっていい。

 問題なのは、スイッチが“テンション”という曖昧なものに拠っているという一点である。


「中学時代、ボクをみてくれたセンセーは、君のそれは“暴走”やって言ってはりました、確かに、その通りですわ。
 変な打算や緊張が交じると途端に霧散しよるし、昂ればエエゆうだけの話でもなくて、正直まったく制御はできてへんのです」


 暴走

 それは、欠陥


「大事な大事な身体検査、あないなモンには一切反応してくれへん。ありがたいことにギリッギリでレベル1ゆう評価やけどね。
 ……それすら正当な評価やないと憤ったことも、みっともない話やけど、ある」


 青ピの全力以上の力を、完全に制御している身体強化の上位能力者も存在している。

 彼に対し学園都市が下した評価は“素質があってもそれを制御できない”というもの。

 結果彼はレベル1を余儀なくされ、鋼盾同様この街からは見放されたに近い状況にいる。

 鋼盾ら無能力者とはまた違う種類の苦悩、青髪が抱えているであろうそれの重さは鋼盾にははかり知れない。


360 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:56:11.39 ID:76njGrcmo



「そのレベルアッパアやらを使っても、たぶんやけどなにも変わらん思うんよ、ボクのこれは。
 不便やけど、それくらいで十分や―――ボクに言わせれば、皆能力なんてもんに多くを求めすぎや思う」


 だが、青髪の言葉は意外な方向にシフトした。

 それは鋼盾も聞いたことのない彼の能力開発へのスタンス。

 自分たちの通う劣等生の多い高校では、そういった能力関連の話題は避けられる事が多い。

 白衣の女性という第三者の存在が触媒になったのだろう、青髪はどこか遠い目をして言葉を紡いだ。


「こんなのは、おまけや。誰も彼もエエ歳しておまけ集めに夢中になってる。
 ――――本当に大事なものは、能力なんかじゃ手に入らないのに」


 常の似非関西弁も忘れたその言葉、それはきっと青髪ピアスの本音。

 能力、そんなものはおまけであると彼は嘯く、学園都市の根底を否定する。


 能力など、おまけに過ぎないと。

 お前らは食玩に夢中なバカな子どもだ、微笑ましいと、そんな言葉を口にする。


 その視座を鋼盾は知らない、友人の立つその場所を知らぬことを知り、彼は惑う。

 見たこともない表情を浮かべる友人に、惑う。


 単純な負け惜しみには聞こえない――忌憚なき確信を孕んだその言葉。

 それを受けて、白衣の女性は小さく頷いた。


361 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:57:08.67 ID:76njGrcmo



「ふむ、なかなか興味深いスタンスだね。
 ……ああ、ひとつだけ。君が欲しいものというのは、なんなのかな?」

「そりゃあ勿論、可愛い彼女とかに決まっとるやないですか! いややなあもう!
 正直ボクは神サンなんかに至る階段やのうて、オトナの階段登りたいんですわ! 切実に!」


 そう答える青髪の表情は、常のそれへと既にシフトしていた。
 
 剥がれた鍍金、晒した地金―――そんなものは気のせいだと言わんばかりだ。


 おどけた仕草でごまかしてみせたものの、その言葉は。

 いっそ痛快なほどに、鋼盾の煩悶をやさしく吹き飛ばしてくれる。


 ……まったく、嫉妬してしまう。

 青髪といい、吹寄といい、上条といい、ほんとうに、もう。

 ぼくの友人どもは、どうしてこう、強いヤツらばかりなのだろうか。

 ああもう、ぼくは本当に友人に恵まれているようだ。


362 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 22:58:10.54 ID:76njGrcmo



「はいはい、シンデレラシンデレラ……まったく、君らしいことだ」

「なんやとコウやん! ボクがいつまでもシンデレラやと思うたら大間違いやで!
 刮目せよ! この夏! 迸る熱いパトスで! 少年は! ボクは神話になるんや!」

「はは、なるほど健全だな。
 ……まあ、焦らずに機会を待つといい」


 青髪の発言が予想外だったのだろう、一瞬きょとんとした表情を浮かべた白衣の女性は、しかし笑ってそう言った。

 いやいや、余裕あふれる大人の対応である、お姉さん素敵―――ああ、そんな優しげな顔したらうちのアホが。


「いやいや! ボクとしては是非センセと一夏一夜のアバ「黙れアホ髪」


 調子にのってナンパを始めんとするアホ髪ピアスを制する。

 ああもう、なんなんだこの野郎……なんでも誇るべきぼくの親友らしいですよ畜生。

 
「……まあ、冗談は置いておいて、―――そちらの君はどうだい?
 なかなか詳しいようだったが、幻想御手……君はコレをどうみるかな」


363 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 23:04:24.51 ID:76njGrcmo



 白衣のひとの問の矛先が鋼盾に向く。

 濃い隈の浮いたその静謐な眼差しは、鋼盾の心の裡を見透かすように。

 舌鋒鋭いわけでもなく、例えるなら乾いた地面に水を垂らすかのような、浸透の話術。


「……言いにくいようなら、構わないが」

「いえ、話します――そうですね」


 だが、もうだいじょうぶだ。

 心蔵の電圧が穏やかに下がっているのがわかる。

 方寸自在心身相関、思考はクリア、オールグリーン。


 目が合うも心は揺れず静かに。

 気負わず口を開くと、するすると言葉が零れた。



「ぼくにとっての幻想御手は――――――」






――――――――

364 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/09(金) 23:06:17.36 ID:76njGrcmo






ちょっと中途半端ですがここまで。

半ば以上オリ能力である身体強化亜種の説明回的なアレでしたね。
使用者のテンションに左右されるエラく難儀な能力です。打算が入ってもダメだし、そもそも長時間持続するものでもない。
テンションアゲアゲでぶちかましたら賢者タイムで能力解除でござる! いやー、使えねえぜ。

>>299が主人公向きと言ってくれたましたが……今のところ青ピの参戦予定はなし!
なんか過去に何かあった風なニオイがしましたが、気のせいですとも!
青髪主人公も面白そうですけどね、あ、今更ですが関西弁違和感ないでしょうか、遠慮なく突っ込んでください。

次回は鋼盾くんの番ですね。
それでは、それでは。


365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:18:52.38 ID:zVsSiWzDO
乙乙
青ピかっけえ
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県) [sage]:2011/09/09(金) 23:32:57.54 ID:gNtR/b8So
鋼盾くんはまたひとつ大人の階段昇ったんだな。
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 23:46:33.06 ID:ysU8s/hAO
俺はまだシンデレラさ!
乙!
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 08:07:13.35 ID:li+grEJP0
何故だろう、青ピの声が市丸ギンで再生された
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/10(土) 09:07:26.04 ID:GLvlTkyAO
乙なの!
青ピ…誘波が大人の階段だと思って登ったら途中から急に滑り台になったんだもな……
関西弁については青ピは公式で似非関西弁だからあまり気にしなくても良いかと。しかしよく言う関西弁ってあれ河内弁だよなぁ…奈良の親戚はあんな話し方しないぞ。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 23:14:44.84 ID:Q7tyqNpQo
ぬるぽ
371 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 00:26:53.17 ID:Ypp0t2Kko
ガッ





もう少ししたら投下しますぜい!
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/11(日) 00:44:42.45 ID:NKpmNWb0o
舞ってる
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 00:47:38.44 ID:tQnhHqNAO
脱いだ
374 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 00:54:04.18 ID:Ypp0t2Kko

忘れてた! みなさんコメント感謝です!
市丸ギン、懐かしい! ブリーチは初期の頃は大好きでした。
関西弁で細目糸目でどこか超然としたキャラってのは割とよく見ますよね、
>>1はその手のキャラは苦手ですので、青髪を本格的に書く機会があれば是非彼の弱さとか熱さとかを書きたいです。

んでは、投下。





375 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 00:54:41.17 ID:Ypp0t2Kko

――――――――



「……正直、興味津津でした。都市伝説のサイトを根こそぎ洗ってしまうくらいには。
 身体検査の結果はあらゆる能力に適正のない、本当の意味での無能力者……それは、ぼくにとってどうしようもなくコンプレックスですから」


 それは事実だ。

 未だ嫉妬から抜け出せたわけではない。


「幻想御手の噂を聞いた時は、胡散臭いと思いましたけど―――でも、惹かれた。
 救いの糸に見えたんです……それに掴まれば、ここから抜け出せるかもしれないって、そう思いました」


 これも事実だ。

 みっともなく縋り付いた、無様に救いを乞うた、蜘蛛の糸に手を伸ばした。


「……結局、手に入れることはできませんでしたし、今となっては使おうとも思いません。
 ありがたいことに、こんなぼくを叱ってくれる人がいてくれましたから」


 不良神父の指輪だらけの大きな手

 担任教師の小さくも温かなその手


 差し伸べられる、手があった

 それを、掴んだ

 掴んだ



376 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 00:55:28.97 ID:Ypp0t2Kko



「幻想ではなく、現実の手がぼくを救ってくれました。
 だから、今更幻想に逃げることなんて、しない」


 幻想はいらない

 強がりだと笑わば笑え

 突き付けられたその人差し指を握り潰してやる



377 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 01:04:49.39 ID:Ypp0t2Kko



 思わぬ展開に息を詰めていたらしい青髪が、その言葉を聞いてニヤリと笑う。

 彼は先ほど、能力などおまけだと笑った。
 
 ああ、まったくそのとおりだ。


 ぼくは、ハズレばかりのガシャガシャの前で俯いていた愚かな子どもだ。

 己の不遇を嘆いて、当たりを引いた連中を妬んで、恨みがましく店員を睨みつけて。

 挙句の果てに貯金を切り崩し、なけなしのお年玉を握りしめ、ズルをしようとした。


 金のありがたみも使い方も知らぬ、視野の狭い子ども。

 だが、もうガキではいられない――守るべきものが、守りたいものができてしまった。

 進むべき道を、定めてしまった。


 月の河を目指すその道程を、紫煙棚引く灯台が照らしているのだ

 道を外れている暇などない


 なによりこの街のガシャガシャは実に理不尽な代物だ。

 引き続ければ当たりがでるとも限らないのだ、現にこの街の半分以上の人間は空くじばかりを引かされている。


 それを嘆くことは、もうやめると決めた。

 なすべきものは、他にある。

 能力だけにかかずらってもいられない、囚われてなんかいられない。

 
 戦うと、決めたのだから。

 今更ないものねだりなんてしない、幻想の御手など望まずとも、やれることはきっとある。

 それがなんなのかはまだわからないけど、きっと。


378 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 01:06:16.64 ID:Ypp0t2Kko



「……なるほどね、縋ることを是としないというのも理解できる選択だ。
 いや、そのあり方こそが正しいんだろうね……たいしたものだよ」


 白衣の女性は鋼盾の言葉を受けて笑う。

 その笑みがどこか寂しそうに見えて、鋼盾はすこしだけ慌てた。


「そんなんじゃ、ないですよ……それに、冷静になってみれば幻想御手はいろいろとおかしいことばかりです。
 レベルを上げるということは、脳をいじること……はっきりいって、危険極まりない」

「ん、コウやんの言うことはもっともやね、危ないやろ実際。
 つっても正直信じられへんなー、先生、脳科学的にみてどないなんですか?」
 
「……さてね、現物をみるまではなんともいえないな」


 幻想御手の危険性。

 先日会話をした際に風紀委員たる白井や初春たちが危惧していたのは、レベルの上がった能力者たちが犯罪に走る事や、

 鋼盾が巻き込まれた一件のように、非合法な取引とそれに伴うトラブルといったものが中心だった。


 だが、真に危惧すべきは。

 きっと、こちらだ。


 時間割によらぬ脳開発。

 シィーの逸話を思い出す。

 それは疾患、それは、それは。


379 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 01:09:01.71 ID:Ypp0t2Kko



「……あるいは幻想御手は危険の一切ない、この都市の根底すら揺るがす大発見なのかもしれませんけど、
 もしそうなら、開発者がしかるべきところに届け出れば、そのひとには莫大な富と名誉が約束されるはずです。
 そんな成果を悪戯にばらまくような真似はありえない……他に目的があるとみるのが妥当だと思います」

「……面白い。
 君の思う、開発者の目論見とは一体どんなものかな?」


 この人は、きっと分かっている。

 面白いといいつつ、どこか乾ききったその瞳。

 あるいは、研究者である彼女には、なにか感じる所があるのだろうか。


「………十中八九、実証実験、人体実験でしょうね」


 どんなマッドサイエンティストか、と突っ込みたくなるような内容だが、それが一番しっくりくる。

 さしずめ学生はマウスといったところか、ふざけた話だ。


 釣り餌は極上、それは天上の甘露。

 甘い甘い甘い蜜酒に浸した釣り糸が、蜘蛛の上から降りてきて。


「ことによると愉快犯か、もしかしたらサンタクロース気取りのバカかもしれませんけど。
 どっちにしろ、許せないですよ……人の弱みに漬け込んで、安全かどうかもわからないものをばらまくなんて」


 蜘蛛の糸の先にいるのは釈迦ではなく、人だ。

 だからこそえげつなく恐ろしいし、許せない。


 あるいは、実際にばらまいているのは鋼盾を騙そうとしたスキルアウトたちのような連中で、開発者の意図ではないのかもしれない。

 だがたとえそうであっても、開発をした人物の責は消えない―――消えるわけがない。


380 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 01:22:48.99 ID:Ypp0t2Kko



「……せやね、おっかない話や。
 ウチの学校の連中に塁が及ばんとも限らん。手ェ出すヤツ、おるかもな。
 人体実験、制作者の悪意の有無はともかく、肯定はできん」


 青髪が神妙な表情で言葉を添える。

 鋼盾がそうしようとした通り、それもありえぬ話ではないのだ。


「……といっても、ぼくのコレは正義感とかじゃなくて、ただの八つ当たりですね。
 幻想御手なんてものに縋りつこうとした自分が情けなくて……誰かに押し付けようとしてるんです」

「いや、そう卑下することはないよ。
 君の感じた怒りはもっともな反応だ、まったく唾棄すべき話なのだから」


 白衣の女性は目を伏せて鋼盾を肯定する。

 リトマス紙のような正悪判断、試薬をフラスコに落とすように、悪と断ずる怜悧冷徹。

 メータが止まり、グラフが示し、公式が導く定理のように、味気なく乾いた声が言葉を紡ぐ。


「……ありがとう、なかなか参考になったよ。
 そうだな、君らはそのままでいるといい。幻想の手なんかに、触れずにいたまえ」



 百年の時を経た娼婦猫のような眼差しで

 白衣の女性は、歪に微笑んだ


 ひどく、悲しそうに

 眩しさから目を、背けるように





――――――――


381 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/11(日) 01:28:56.98 ID:Ypp0t2Kko



ここまで

今回で木山せんせいとの邂逅編を〆たかったけど、眠いや。
間延びしてないか心配です。やっとこ次で終わって、いよいよあのひとが登場予定!

決別です、迷いましたが。
木山せんせいが麻薬の売人の如く幻想御手をくれる展開もアリかと思いましたが、こんなんなりました。

あ、誤字訂正。

>甘い甘い甘い蜜酒に浸した釣り糸が、蜘蛛の上から降りてきて。

雲の上、の間違いですね。すみません


んでは、また。




382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/11(日) 01:33:08.21 ID:TswusCp/o

実際問題木山先生は罪が重すぎるよな・・・
幻想御手も学園都市の学生の現状を考えるとホントえげつないし
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 10:22:37.09 ID:Qpn3dSGp0

基山センセーまじ外道
でもそこがいとおしいぜ
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 12:02:29.10 ID:mQO2LUSrP
>>382
症状が出た場所によっては普通に[ピーーー]るんだよな
例えば運転中とか入浴中とか…

385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/11(日) 12:26:22.39 ID:0tHgNMDAO
乙!
木山先生が売人よろしく配るような事態にならなくて本当に良かった……
前に>>314で書いたけどシャレにならんからな…。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/11(日) 15:32:47.73 ID:c6A5+ExNo
生体クラウドコンピューティングの撒き餌機能に対する真っ当な批判を目の当たりにして
己が行動の重さを再確認することになったんだなあ。
植物状態の生徒たちを救うためのこの取引は鋼盾にどう映るか、いやそれよりもその真意に
触れるところまで行っちゃうんでしょーか。
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 20:07:01.94 ID:tQnhHqNAO

初代ポケモンネタにクスッときた
388 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/12(月) 20:43:04.12 ID:MhXIM6w3o
どうも>>1です。コメント感謝ですぜ
一巻長くてちょっとこんがらがってきたので時系列の整理をしてみます

■7月半ば
 ・鋼盾、幻想御手を知る

■7月18日
 ・連続虚空爆破事件
 ・鋼盾、幻想御手の取引を決意する

■7月19日
 ・終業式 1年7組記念写真→カラオケ→ファミレス
 ・御坂の雷により周辺地域で停電や電波障害等が引き起こされる

■7月20日 夏休み初日
 ・上条鋼盾、インデックスと出会う。        
 ・上条補習へ                      ※木山春生、招聘される→超電磁組と出会う
 ・鋼盾、幻想御手の取引へ               佐天さん、幻想御手使用
 ・上条ステイル戦。
 ・小萌宅にて回復魔術
 ・鋼盾、ステイルと語らう

■7月21日
 ・補習
 ・小萌説教
 ・黄泉川
 ・小萌宅訪問
 ・夜の公園にて

■7月22日
 ・小萌宅でのんびり
 ・超電磁お茶会
 ・カレー
 
■7月23日
 ・補習最終日
 ・青髪荒ぶる
 ・パン屋にて木山先生と遭遇 ←いまここ


【正史における今後の時系列】 

7月24日 幻想猛獣事件 木山先生捕まる           神裂さんマジ無双
↓                                         ↓                          
↓                             ・7月28日 ペンデックス戦、上条当麻記憶を喪う
↓      ※冥土帰しが保釈させ、
↓       子供たちの治療にあたる

8月04日 春上さん荒ぶる                    上条さん入院→退院

8月06日 テレス姐さん荒ぶる
↓     美琴さん荒ぶる
↓                             ・8月08日 2巻 ■■事件、アウレ戦

8月09日 きやませんせー、お誕生日おめでとう!

8月10日 布 束 先 輩 初 登 場

8月15日 美琴一方戦

↓     やさぐれ美琴、テロ活動を開始

8月19日 美琴対アイテム 布束先輩捕縛

                    ・8月20〜21日 3巻

                    ・8月28〜29日 4巻
     
                    ・8月31日 5巻 

                    ・9月01日 6巻


こんな感じでしょうか、なんて忙しいんだ……特に美琴がヤバイw
9日以降も木山先生は冥土帰しのところにいるんでしょうか? アニレー見てないのでわかりません、だれか教えてください。

本日はこれだけです、すまんぜよ
次回更新は出張のため日曜か月曜あたりになりそうです

んでは!
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/12(月) 21:49:57.86 ID:eYUduNCuo
アニレー観てないのか!ちょっと俺のBD貸してやるから続きを書く前に早く観るんだ!
そして木山先生!

アニレーは8月9日で終了にございますゆえ後のことはわかりません。
子供たちの救出後はアンチスキル付属病院に入院しててそのままおたんじょうびおめでとう!なので
冥土返しとの関係も全然わかんないねー。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 22:35:25.78 ID:pouO4PoCo
■■言うなチクショーーーーーーー!ひ・め・か・み!姫の神と書いて姫神だッ!!
新約になれば…と思ってたがちょっとしか出番無かったなあ姫神…これも漫画版が悪いんじゃ…
それにしても禁書世界は短い期間に事件詰め込みすぎだよなあ。上条さんや美琴忙しすぎだろ。

ちなみに布束先輩の良さが俺には分らないんだが…誰か産業じゃなくて良いんで教えてくれ〜
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/13(火) 07:17:56.66 ID:0KqC7z5e0
>>390
ひめがみェ……
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/13(火) 08:35:48.67 ID:WleJWuVSo
ギャアァアアアアアアアアアア!!!痛恨のミス!!恥ずかしすぎる……ごめんね姫神…
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 08:45:55.83 ID:f+zLxSyQ0
俺、軍覇をぐんぱだとずっと思い込んでたんだ‥‥‥
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/13(火) 18:31:03.55 ID:rcZH6KWAO
>>390屋上な

そういや木山先生は結局美琴に計画について教えなかったんだよな
395 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 11:38:27.02 ID:R2bQss6To
どうも>>1です。
布束先輩の魅力は語ると長くなるので自重します。
上条さんの告白に頬を赤らめて「Me too」とぼそぼそ呟く先輩とか妄想すればいいと思います。
照れ隠しにローキックをいれたりする先輩とかもいいですね、あと19090号に「おかあさん」とか懐かれているといい。
なんなら改心した天井とくっついてもいいぜ! 原作での今後が楽しみですね。

>>390ドンマイ


昼飯食ったら投下します。
396 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:34:25.51 ID:R2bQss6To


――――――――――――――――







その後はあたりさわりのない談笑が続いたが、青髪のバイト開始が迫ってきたこともあり、この奇妙なランチタイムもお開きとなった。

このご縁をなんとか次に繋げようと、バイト権限で割引クーポンを渡す涙ぐましい青髪ピアスの努力が実るかどうかはわからない。


 鋼盾はインデックスたちへのおみやげとして、パンを幾つか適当に購入する。

 レジもこなす誘波さんの「また来てくださいね」という笑顔が眩しいったらない。

 一見キラー且つ常連ホイホイ、ああパン生地になりたい。

 こねくり回されたい。


「……だが男だ」


 残酷な真実とパンの入った紙袋を抱え、鋼盾はグーチョキパン店をあとにする。

 眩暈のしそうな暑さと蝉の声の満ちる夏の雑踏、その街路樹の木陰に一足先に店を出たはずの白衣の女性が立っていた。

 軽く眼を見張る鋼盾を見て、シニカルに笑ってみせる。


「……やあ、今日はありがとう。おかげで楽しい昼食だったよ」

「いえ、こちらこそいろいろと楽しいお話を、ありがとうございました」


 社交辞令というわけでもなく、事実楽しいひとときではあった。

 陽の下で見る彼女は改めて美人さんだったが、同時に不健康そうな印象もより一層強まる。

 雑踏に浮き上がる白衣、その違和、なんとも青空が似合わない人だと鋼盾は思う。


397 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:35:18.03 ID:R2bQss6To



「お仕事に、戻られるんですか?」

「ああ、もう戻るよ
 そうそう、君にこれを渡しておこうと思ってね」


 そう言って彼女は胸ポケットから革製のケースを取り出した。

 そこから一枚カードを引き出すと、高級そうな万年筆をさらさらと走らせる。


 名刺、というヤツだろう、学生である鋼盾には馴染みのない、大人のアイテムだ。

 ぞんざいに手渡されたその紙片を鋼盾はまじまじと見つめる、4号サイズの個人情報。

 色気のない明朝体で研究所の名前と住所、電話番号、メールアドレス、走り書きの携帯番号、そして


「…ああ、迂闊だったな、そういえばまだ名乗っていなかったね。
 それにある通り私は木山だ、木山春生という。先程も言ったが大脳生理学者で、専門はAIM拡散力場だよ」


 大脳生理学者、木山春生

 それが白衣の彼女の名前だった


「ありがとうございます。
 ぼくは鋼盾掬彦、鋼の盾と書いて、鋼盾です。
 ……さっきの彼は、青髪ピアスとでも呼んであげてください」


 当然ながら名刺の持ち合わせなどない鋼盾は、生徒手帳を取り出して木山にそれを見せる。

 学生にとっての身分証明書といえばこれだろう、名前と学校名に学校印、住所や血液型、そして本人の写真。

 詰襟姿の気弱そうな、覇気のない少年が死人のような目をカメラに向けている……撮影したのは4月、まだ絶望の中にいた頃のものだ。

 鋼盾にとってはあまり人目に晒したくないそれを、木山は懐かしそうに眺めている、なるほど大人になれば目にする機会もないものだろう。


398 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:36:02.26 ID:R2bQss6To



「鋼盾、掬彦……ふむ、いい名前だね」

「……どうも」


 鋼盾はもらった名刺を生徒手帳にはさめ、胸ポケットへとしまう。

 そうして改めて木山の顔を盗み見る―――胸中を占めるは疑問、なぜ自分にこんなものを渡すのか。

 鋼盾のそんな感情を見抜いたのか、木山春生は説明を開始する。


「大したことじゃない、もし君が聞きたいことがあったら答えてあげられるようにと思ってね。
 ……完全記憶能力についてでも、幻想御手についてでもいい―――そんな、なにもかもを抱え込んだような目をするものじゃないよ」


 余計なお世話かもしれないが、と木山は小さく笑う。

 なるほど、やっぱりこのひとは先生だ。

 小萌や黄泉川が鋼盾を見る時と同じようなその視線に、鋼盾は己のどうしようもない幼さをつきつけられたような気分になる。

 そこまで、わかりやすい顔をしていただろうか……初対面の女性に、ここまで言わせてしまうだなんて。


399 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:37:02.29 ID:R2bQss6To
「……ありがとう、ございます。
 ご相談させていただくことも、あるかもしれません」

「ああ、いつでもかまわんよ。
 ………しかし、暑いな」


 本日も学園都市は降水皆無の日本晴れ。

 時刻は二時半で、太陽はまだまだ絶好調である。

 冷房の効いた店内とははっきり言って別世界、立っているだけで珠の汗が吹き出してくる。


「……夏、ですからね。
 というかそれ暑いでしょう? 脱いじゃった方がいいんじゃないですか?」


 白衣とは作業着に他ならない。

 薬品等の付着に耐えるよう厚く細かい綿で織られており、通気性など考えられてはいないだろう。

 それが足元まで覆っているのだ。空調の整えられた室内ならともかく、真夏の太陽の下に相応しい格好ではない。

 制服の役も兼ねている節もあるが、何も外で着ることはないだろう。


「もっともだ、そうしよう。
 ……っと」


 ばさり、と白衣を脱ぐ木山。
 
 外套じみた白衣とはいえ、“女性が服を脱ぐ”という行為が眼前で行われるとシャイな少年としては少しばかり眼の遣り場に困ってしまう。

 白衣のそれとは趣を異にする、糊の効いたブラウスの涼しげな白さが眩しい。


400 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:38:55.51 ID:R2bQss6To



「……ん」


 続いてタイが緩められてゆく。

 木山の細い首をかっちりと拘束していたソレが、しゅるりと引き抜かれてゆく。

 同時に第一ボタンが外され華奢なつくりの咽元が露になり、首筋を伝う汗が吸い込まれるように落ちてゆく。


「……ふぅ」


 甘やかで気怠い溜息。

 心地よい涼感に小さく綻んだ口元。


「ああ、いい風だね……」


 陶然と目を細めるその表情。

 髪を掻き上げるその仕種。


 なんというか

 その

 すごく

 エロい

 です

 というか
 
 え?

 なにこの突然のサービスシーン



401 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 12:43:52.33 ID:R2bQss6To

(省略されました。全てを読むには木山せんせいマジ天使と書き込んでください)

すまん急用一旦離席夜には戻ります
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 13:05:46.64 ID:t+C34oeMo
何故ベストを尽くさない

403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/18(日) 13:40:35.34 ID:xYic+9j8o
尽くさないのか、尽くせないのか、尽くした結果なのかッ!!

一旦乙、再開期待
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/18(日) 13:46:19.60 ID:+QYrKXBHo
わっふ木山せんせいマジ天使
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/18(日) 14:11:19.14 ID:rYyF5tlAO
このスレでエロは期待するなだったような…
さて、木山せんせいマジ天使…っと。

…期待して良いのか?
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/18(日) 15:36:29.63 ID:uWndikeso
木山せんせい俺の天使
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 15:36:42.74 ID:ApYUUghAO
木山せんせい
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/18(日) 16:19:18.03 ID:h1pkvfuIo
木山せんせいマジ天使
409 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:20:37.92 ID:R2bQss6To
中座失礼!
ちょい職場でトラブルがあり、上司に捕まりました。
職場まで徒歩1分のところに住んでいる>>1はいいようにコキ使われる宿命なのです。
窓越しに眼があっちゃ居留守もできねえぜ! 

さて、微力ながら>>1はいつだってベストを尽くしますので笑ってやってください
今はこれが精一杯

浜面仕上:著『どんとこい!超能力者』というネタを思いつきました
どうでもいいですね。

んでは、投下










――――――――
410 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:22:10.96 ID:R2bQss6To
 


 涼しげな木山と対を成すように、鋼盾は己の顔に血が上ってきたのを感じた。

 やばい、イロっぽいどころかエロっぽい、じゃあその真ん中でウロっぽい? なんだよウロっぽいって! 虚か? 洞か? ウロボロスか? 

 青髪がここにいなくてよかった、あのアホこんなの見たら絶対暴走するに決まってる! 絶対だ!

 桃色方向に走り出しそうな衝動を益体のない思考で打ち消そうと、木山から目を逸らしつつ鋼盾は必死に脳味噌を回し続ける。

 円周率、素数、般若心経……静まれ! 我が煩悩よ!! 童貞乙!!!

 だが、鋼盾の口から零れた言葉は。


「ありがとう、ございます」

「……? なぜ、礼を?」

「間違えました。……涼しそうで、なによりです」


 眼福でした。

 ほんとうにありがとうございました。

 童話を紐解くまでもなく、太陽は偉大でした。

 僕はこれから太陽神に帰依しようと思います。


「……ん、だいぶマシになったものの、やはり暑いな」

「夏ですからね、研究所とかなら冷房も効いているんでしょう?」

「ああ、この間の停電では難儀したがね……ああそうだ、そういえば君にもうひとつ、渡しておきたいものが」

「? なんですか」


 うまいこと誤魔化せたようで、雑談へとシフトしてゆく鋼盾と木山。
 
 ……そこまでで、あれば。

 年上おねいさんの無自覚エロスにドッキドキな男子高校生という微笑ましい一幕でカタがついただろう。


411 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:28:20.21 ID:R2bQss6To



 だが、木山春生は、止まらない。

 鋼盾と雑談を交わしながらも、彼女の手は止まらない。


 細い指が第二ボタンを、第三ボタンを第四ボタンを外してゆく。

 その度にブラウスの前ははだけてゆき、当然ながらその中身も徐々に露になる。

 白衣の白ともブラウスの白とも異なる、生きた温もりを孕む肌の白。

 白磁から冷たさと硬さを取り払ったような艶のある白。


 アクセントにはシンプルでシックな薄紫のブラジャー。

 それに包まれたバストは服の上からでは判らなかったが意外なほどに豊かで、やわらかそうで。

 腰周りは細くなめらかにくびれており、一点、臍が控えめにその存在を主張している。

 美人は臍まで美しい、なんだそりゃ。


 ブラウスが、するりと肩から外される。

 手に白衣を持っているため完全に脱ぐには至らず、しかしそれが余計に扇情的ですらある。

 その際にブラジャーの肩帯がズレてしまっているので、余計にやばい、今にもいろいろ零れそうだ。

 なにが? そりゃあ中身とか、あとは鋼盾の劣情的なもろもろとか、いろいろだ。


 えっと、あれ?

 なんだ、これ?


 真昼間、天下の往来

 人通りもそれなりにあるこの状況で

 メランコリック白衣美女による

 ゲリラセミヌードストリップだと……!?


412 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:28:55.08 ID:R2bQss6To




 都市伝説に、曰く

 この街には「脱ぎ女」と呼ばれる謎の美女が出没するという。


 幻想御手に続き、鋼盾掬彦はまたひとつ、都市伝説を目撃した。



413 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:32:23.53 ID:R2bQss6To



「な、なっ、な、なッ」

「な?」


 突然の異常事態に言葉がでない鋼盾掬彦。

 きょとんと首を傾げる木山春生(上半身ブラのみ)。

 その幼げとも言える表情とのギャップが―――いや、それは置いといて!


「な、なにしてるんですかっ!? 服! 服脱いで、じゃなくて着てくださいッ! 早く!!」

「む、脱げと言ったのは君じゃないか」

「言ってねえよ!? いや言ったけど白衣だけだよ!! 当たり前だろ!」

「……そんな大声を出すものじゃないよ、周りの人がなにかと思うだろうに」

「あんたの服装の方が大問題だっ! あああああ、早く! 着ろ!」

「やれやれ、わかったよ」


 そう言って木山はブラウスのボタンをのろのろと留め始める。

 わざとやってんじゃないだろうかこのひと。


414 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:37:01.43 ID:R2bQss6To



「……ふう、これでいいかい?」

「第二ボタンまでは留めてください! っ下着見えてます!」

「以前から疑問だったのだが、どうして同程度の露出なのに水着はよくて下着は……」

「ああもう!」


 鋼盾は木山のブラウスの第二ボタンに手をかけると、手早くソレを留めた。

 切羽詰っていたとはいえあまりに大胆すぎる行動であり、なにより指先が、手の甲が、軽く、その、なんだ。

 触れてしまった。


 どこに?

 聞くな、後生だから


「っ! す、すみません!」

「? どうかしたのかい?」

「え、あ、その、えっと……なんでも、ないです」


 鋼盾の失態をフォローするでもからかうのでもなく、本当になにも判っていない風な木山春生。

 悲鳴を上げられるよりはずっとありがたいとはいえ、恋人でもない男に触れられてそのリアクションというのはどうなのか。


 うすうす判っていたとはいえ、やっぱりこのひとは少しズレている。

 恐らくは嘗てないほどに真っ赤になっているであろう己の顔にぺたりと手を当て、鋼盾はへたりこみそうになるのをぐっと堪える。

 そこでふと我に返り、今の一連の路上ストリップ&おさわり(誓って事故)を誰かに見られてはいないかと慌てて周囲に視線をめぐらせる。


 幸い鋼盾自身と街路樹が上手い具合に壁の役割を果たしていたようで、こちらに視線をよこしている人はいないようだ。

 はっきり言って下手をすれば警備員を呼ばれてもおかしくはない状況だった。公序良俗に悖る、悖りまくりだ。

 露出狂と痴漢(高らかに冤罪を主張)が交差して物語が始まるところであった。

 そんなことになったら小萌が泣く、すごく泣く。


 あぶねえあぶねえ、いやいや、このひとにはどこか遠いところで幸せになってもらいたい。

 具体的には僕の手の届かないところで。


 己の社会的地位がギリギリで守られたらしいことを把握し、鋼盾は安堵に息を吐く。

 ショーの木戸銭は己の社会的信用とか、無茶言うな。


415 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:38:13.85 ID:R2bQss6To




 ―――だが、天網恢恢疎にして漏らさず

     喩え大地が総てを覆い隠そうとも、不実な行いは必ずや衆目に曝されるのだ



416 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:39:14.08 ID:R2bQss6To



「鋼盾、掬彦ッ!」


 テノールの咆哮が響き渡った。

 コックコートに身を包み、両手に持ったトングをバチバチとならすその男の名は!


「あ、青髪くん?」


 青髪ピアス。

 自称愛の伝道師が店のドアを開け放ち鋼盾を睨みすえている。

 常の細目を完全に見開いたその表情はまさに修羅。

 怖い。


 その背後には誘波さんの姿もある。

 羞恥に顔を真っ赤にして鋼盾と木山をチラチラと盗み見ては眼を逸らし「はわわわ……」とか言ってる。

 可憐だ、マジで可憐だ。

 だが男だ。


417 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:48:11.86 ID:R2bQss6To



「裏切ったな! ボクの気持ちを裏切ったな! カミやんと同じに裏切ったんだ!
 そうやってお前らはボクを……俺を、置いていくんだ!! 信じてたのにッ!」


 フルネーム呼び、標準語、一人称ボク→俺―――鍍金剥がれてるどころじゃねえ、キャラ崩壊過ぎる。

 もう誰だよお前……いや、わかってるさ。

 君は、ぼくの親友だ。 

 事故とはいえ、女性の胸に触れてなんのお咎めも無しなんて、だめだよね。


 すべてを受け入れて、鋼盾は微笑む。

 たとえ青髪のその怒りが私怨100%でも、それはそれ。


 罪は罪で

 罰は罰だ


 青髪ピアスは鋼盾を睨め上げながら長身を畳むようにしゃがみこみ、そのまま静止した。

 弓弦を目一杯に引き絞ったかのような静寂、嵐を起こすための雌伏。

 
 これより青髪ピアスは一個の暴力装置と化す


 それは不埒者を打ち据える天意の鉄槌

 リア充爆発しろと轟き叫ぶ、真っ赤に燃える瞋恚の炎



 さあ、雄飛の時は来た!


418 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:52:11.62 ID:R2bQss6To



 轟!! という爆音と共に。
 
 青髪ピアスの身体が遥か上空へと跳ね上がった。

 学校の時よりも更に高く、高く。

 その技の、名は。


「はは、超天空X字拳か……見事だよ、青髪くん」

「……ふむ、これが先程話に出た彼の能力か、すさまじいね。
 む? ところでなにか彼のテンションが上がる要因があったかな?」


 元凶が、なんか言ってる。

 その無自覚は罪だが、女のソレを男が責めるべきではない。

 むしろ愛でるべきものだろう、木山せんせいマジ天使、悪いのはいつだって男だ。


 だが、ひとつだけ。

 言っておきたいセリフがあった。


 鋼盾が今回陥ったこの手のトラブルを、いくつも乗り越えてきた男――上条当麻のセリフだ。

 想像の中で上条がいい笑顔で親指を立てている、こっちみんなバカ。

 まったくもってご利益はなさそうだが、様式美ということで。


 では

 せーの、


419 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 19:53:40.69 ID:R2bQss6To



「ああ……不幸だ」

「ほざけえええええええええええええええええ!!!!」


 天罰覿面。

 はたして青髪ピアスの竜破の落撃が、鋼盾掬彦を金色の暗闇へと叩き込んだ。

 

 ×鋼盾掬彦 VS 青髪ピアス○

 1R 27秒 KO

 (決まり手:頓愚式超天空X字拳)

420 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/18(日) 20:01:14.81 ID:R2bQss6To








――――――――



ここまで

>>1にエロスなんて書けるわけねーだろ! バーカバーカ!
……失礼、取り乱しました。

おっぱいタッチがギリギリです。
本気で頼んだらおっぱいくらいは揉ませてくれるんじゃないだろうかとか思ったのです。

木山せんせいマジ天使!

今回で木山春生遭遇編は終了
次回からはまた別の局面へと参ります。

それでは、また


421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/18(日) 20:22:08.18 ID:rYyF5tlAO
イャッフゥウウウ!誘波ちゃんマジ天使!!「はわわ…」なんて可愛すぎるよー!!!嗚呼、オレもパン生地になりたい!!!!




乙!鋼盾君はまあ、当然の結果だよね。
次はねーちんの番かな?前スレタイトル回収はあるのか、期待ですな。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 20:25:48.59 ID:rgA+TfeT0
寮鑑まじチュッチュッ天使
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/18(日) 22:43:35.83 ID:o3Q6SpgAO
胸などたかが脂肪の固まり云々言って特に気にした風もなく差し出してくれるに違いない!
そしてまわりから制裁を受ける結末が待っているんだろう
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/18(日) 23:54:11.42 ID:ApYUUghAO
マジ天使
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/19(月) 12:46:18.06 ID:tJXgEc7ao

麦野沈利:著「超天才美少女能力者・麦野沈利の全部まるっとブチコロシだ!」が一緒に発行されるんですねわかります。
…浜面も上田と同じなのかなぁ。爆発しろ。
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 16:53:20.76 ID:Sq/YGCpV0
なんていうか……その…下品なんですが…フフ…………
勃起……しちゃいましてね…………乙
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/19(月) 17:01:59.38 ID:F+gzqogwo
>>725
少…?
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/19(月) 17:03:03.97 ID:F+gzqogwo
>>427安価ミス
>>425だた
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 18:37:37.48 ID:xZ1zTGNio
オリアナ「お姉さんはすべてスリットお見通しよ!」

>>425
こんなところに消し炭が…片付けておきますね
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/20(火) 20:25:36.68 ID:RyLj8hFNo
はい。
ありがとうございました。

わっふるわっふる
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/20(火) 21:23:36.57 ID:zsG+m0JAO
メインヒロイン…小萌せんせい

サブヒロイン…木山せんせい 吹寄 インデックス 美琴 黒子 初春

大穴…誘波
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/09/20(火) 23:37:52.91 ID:icsco/PZo
美少女?ババアの間違(ジュ
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/21(水) 02:09:42.07 ID:NYxkWG+so
>>432
こんだけ綺麗に焼いてくれたら掃除も要らんで楽なのにな

[換気扇]ポチッ
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/21(水) 06:12:22.24 ID:9tx0jmhAO
>>431
大穴に佐天さんとねーちん追加で。
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/21(水) 11:04:24.15 ID:NYxkWG+so
>>434
そういえばさんじゅうななさい
はまだ出てないんだよな……
パート1のタイトルなのにwww
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 12:09:24.41 ID:Fx4Ny58v0
そろそろ出るはず、と>>435の肉片を片付けつつ期待
ワイヤー使いはこれだから困る
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 13:11:09.66 ID:Z4Etq7+9P
麦野って高校生だったよね?
あの溢れ出るババァ臭は一部趣味人には大受けだと思う

438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/21(水) 13:14:51.72 ID:qzzTtGzTo
ロリコンの集まるインターネッツでババァ云々言っても説得力がない
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 17:38:39.72 ID:eElW1FIAO
ババァー!!!!俺だー!!!!
結婚してくれー!!!!
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/21(水) 23:25:13.73 ID:k4fcCse2o
>>439
おとこわりします……と思ったらもう死んでた。
つか死屍累々だと…! ( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!みたいな平和なレスを期待していたのに!

ともあれレス感謝です。
TRICKはいいよね。山田上田の関係にニヤニヤ。あとあの頃の鬼束ちひろは神。

できれば今晩、間に合わなかったら明日投下。
己を追い込む予告age!
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:22:37.53 ID:bpAPk5Sjo

――――――――




 誰も彼も忽然と消え、あらゆる雑音が打ち払われて

 時間が止まってしまったかのような静と寂


 月は不在で、星々は弱々しく

 いっそ真闇の方が救いがありそうな、そんな薄暗闇夜


 あらゆる奇跡を否定する幻想殺しの少年は、ただの暴力に押し潰され

 逃げ惑う禁書目録の少女は、襲撃者の掌の上で踊っていることにも気付けない


 
 世界が息を潜めている中で、物語は新たな局面を迎える

 未だ鋼に至らぬ少年と神討炎の聖人とが、この日出会った




――――――――
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:26:56.27 ID:bpAPk5Sjo




 現在の時刻は八時半、小萌の家で最後の夕飯を四人で食べて、鋼盾の家へと向かうその道行。

 インデックスが銭湯に行ってみたいと希望したので上条を彼女に同行させ、鋼盾は明日以降の食料を買いにスーパーへと向かった。


 先日の停電で鋼盾、上条ともに冷蔵庫の中は空っぽである。

 籠城、というカタチになるかどうかはわからないが、兵糧の備蓄は多いに越したことはない。


 さて、三人三食を数日分となれば結構な量である。

 両手に大きなビニール袋をぶら下げて、鋼盾は張り切り過ぎたと早速後悔する羽目になった。

 上条に半分持たせてしまいたいところではあったが、彼の携帯は壊れていしまったままで、連絡手段がない。

 銭湯に向かって行き違いになるのも馬鹿らしいと、溜息をひとつ吐いて家路を急ぐ。


 なに、多少目算は甘かったが、家まではあっという間だ。

 気をとり直して学生寮へと歩き出そうとし―――そこで気づいた。


 音が、しない。


 まだ八時半なのに、静かすぎる。

 夜とはいえまだまだ早い時間、それなのに人の気配も、車の排気音もしない。


 奇妙な静寂に首を捻る。

 これほどの静けさはついぞ記憶にない。

 違和感が、募ってゆく。

 とっくに完全下校時刻は過ぎているとはいえ、この人気のなさは常とは違い過ぎる。



 そうして

 細い路地から片側三車線の大通りへと出たところで、

 その違和感は明確な“異状”へとシフトした


443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:28:28.62 ID:bpAPk5Sjo



 誰もいない。

 誰もいない。

 誰もいない。



 商店は営業中で、電気も点いているのに客も店員も姿が見えない。

 車がひっきりなしに走っているはずの道路は、まるで滑走路のようにガランとしている。


 誰もいない街で、信号だけが律儀に規制を続けている。

 世界に鋼盾ひとりしかいないかのような、圧倒的な寂寥感。


 ぞくり


 背筋に氷柱をつっこまれたかのような悪寒を感じ、鋼盾は走り出した。

 訳が、わからなかった。意味が、わからなかった。なぜこんなにも怖いのか、わからなかった。

 だれでもいい、自分以外の誰かの姿を求め、彼は走り続ける。


 そして。


 はたして、彼の望みは叶った。

 けして望んではいなかった形で。


444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:33:57.56 ID:bpAPk5Sjo


 無人の道路に学生服の少年が踞っている。

 その特徴的なツンツン頭には、見覚えがある。

 見間違える筈がない、隣人で、クラスメイトで、親友。


 上条当麻、その人だ

 いっしょにいる筈のインデックスの姿が見えないが、どうしたのか

 なぜ、地面に蹲っているのか?

 鋼盾は上条に呼びかける。


「上条、くん?」


 応えはない。

 座り込んだまま、動かない。

 動かない。


「……上条くん!!!!」


 慌てて駆け寄ろうとした次の瞬間、鋼盾の眼前に何かが突きつけられた。

 黒い色をした、棒状の物体―――近すぎて焦点が合わないのがもどかしい。


 思わず足を止めてしまった鋼盾は、その棒状のなにかの先、己にソレを突きつけている人物に焦点を移し、

 そうしてようやく自分と上条以外の人間がこの場にいることに気付いた。

445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:35:16.21 ID:bpAPk5Sjo



 女、だ。

 腰まで届く長い髪をポニーテールに括り、白いTシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズという奇妙に扇情的な出で立ち。

 夜の帳の中に確たる存在感を持って浮かび上がるその立ち姿、見るもの鮮烈な印象を与える冷然とした美貌。


 そこで、鋼盾に突き付けられていたモノが外された。

 重さを感じさせぬ所作で腰のホルスターに納められたソレに、鋼盾は眼を見張らずには居られなかった。


 月灯に照らされたそれは、彼女の身の丈より長い日本刀。

 黒光りする鞘に収められているものの、放たれる圧倒的な存在感が本物であると告げていた。

 鋼盾は知る由もないが、銘は七天七刀――常人には碌に振るうことすら出来ない大業物である。


 テレビの中でしか見たことのないような、それ。

 しかし、それは異常なほどに、その女によく似合っていた。

 いや、似合っているというよりも――彼女自身がその芸術品めいた凶器に似通っているのだ。


 日本刀のような、女。

 折れず、曲がらず、よく斬れる。

 鉄塊めいた重厚と研ぎ澄まされた鋭さを矛盾なくその身に宿した、女。


 その形の良い唇が、動いた。

 凛とした声が、響く。


446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:39:28.15 ID:bpAPk5Sjo



「―――ステイルが張った人払いのルーンは、そこの少年と貴方以外を対象にしたものです」


 ルーン。人払い。訳のわからない単語が耳に入ってくるが脳には届かない。

 だが、ステイルというその言葉、赤毛の魔術師の名を、その女は口にした。


「……魔力を感知したのでしょうか―――こちらの少年といっしょに居た時点で、その可能性は高いとは思っていましたが、
 貴方も〈こちら側〉の人間でしたか。それとも……それが超能力、というものなのでしょうか」


 能力については詳しくないもので、と呟く襲撃者。

 超能力――その単語にようやく鋼盾は我を取り戻す。


 なんという皮肉か。

 冗談ではない、超能力から一番遠いところにいるのが無能力者の自分なのだ。


「ステイルは貴方が戦闘能力のない一般人に見えたといっていましたが。
 ………彼を、謀ったのですか?」


447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:41:47.00 ID:bpAPk5Sjo



 無表情で訥々と言葉を重ねる、その女。

 しかし、それどころではない。今にも倒れてしまいそうな上条へと鋼盾は駆け寄り、その身体を支えようとして


「……ッ」


 言葉に、ならない。

 遠目には暗さも相俟ってよくわからなかったが、上条は満身創痍だった。

 頭から、口から、肩から、腹から血を流し、着ている服は引き裂かれ血と埃でボロボロだ。

 なにより酷いのがその右手で、無数の裂傷を刻まれて真っ赤に染まっている。


「……ぁ、こう、じゅ…ん…?」

「上条くん!」


 だが、死んではいない。

 意識はある。


「……逃、げろ、そい、つ……ま、じゅ」

「しっかり!…っ!……インデックスは!?」

「………ぁぐ、れ」


 息も絶え絶え、という風な上条。

 逸れた、と言っているのか―――言葉が形になっていない。

 鋼盾のその問に答えたのは、背後の女性だった。


448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:44:19.99 ID:bpAPk5Sjo



「禁書目録はステイルが追っていますよ。
 ……逃げに徹するアレを捉えるのは至難でしょうが」


 インデックスを追う存在

 “人払い”なる領域外の所業

 ステイル・マグヌスと行動を共にする者


 それが示す答えはひとつだけしかない


「……魔術、師」

「そのとおりです、少年。
 ――私は魔術師、禁書目録を回収する者、つまり、貴方たちの敵です」


 敵。

 なんだかんだで今の今まで明確にイメージすることの出来なかったその存在。


 魔術なる埒外の法則を振るう、十字教の闇

 インデックスを付け狙い、彼女を追い回した連中

 上条当麻を無慈悲に切り刻んだ、眼前の女


 それが、僕らの敵

 打破すべき、障害

 戦わねばならない、相手


449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:48:13.91 ID:bpAPk5Sjo



 決めたはずだった。

 戦うと、決めたはずだった。

 インデックスを、彼女の笑顔を守ると、誓ったはずだった。

 上条当麻の横に立ち、共に戦うと覚悟を固めたはずだった。


 だが

 その決意が、宣誓が、覚悟が、音も立てずに砕け散る。

 
 襲撃者である眼前の女性の冷ややかな視線ひとつで、心が傾ぐ。

 思考が回らない、汗が吹き出してくる、膝が笑う、涙が滲む、声が出ない、呼吸が上手くできない。

 噎せ返るような血の匂いに気を喪いそうになる。

 怖い、恐い、逃げ出したい。


「………っ!」

 
 ……それでも、なんとか。

 砕け散ったものを拾い集めて寄せ集めて切り貼りして取り繕って、なんとか。

 滲む視界に敵を捉え、せめて突破口を探そうと口にすべき言葉を探そうとしたところで。


「――――動かないでください」


 冷然とした声は世界を脅迫するかのように。

 襲撃者は鋼盾を見据えたままで、腰元の凶器から澄んだ鍔鳴りの音を響かせる。

 瞬間、鋼盾の眼前でアスファルトが爆ぜた。


「ひいっ!!」


 跳んでくる細かい破片を身体に浴びて、鋼盾は悲鳴を上げる。

 得体の知れない暴力と、圧倒的な恐怖に腰が砕ける。

 へたり込みながら呆然と視線を上げると、アスファルトに刻まれた七条の爪痕、そして先と寸分違わぬ姿の彼女が佇んでいた。


 尋常ならざる、その所業。

 一瞬七斬、太刀筋どころか抜刀の所作すら鋼盾には捉えることができなかった。

 おそるべき剣術――否、魔術か。


450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:51:23.11 ID:bpAPk5Sjo



「七閃。そこの少年を切り裂いた私の牙ですよ」


 女はその狼狽が己の油断を誘う罠の可能性を警戒してか、鋼盾の醜態を油断無く観察している。

 形のよい唇から零れた言葉は、ぞっとするほど綺麗で、しかし冷たかった。


「……その怯え、演技にはみえませんね。
 やはり戦闘技能を保持しているわけではないのでしょうか。
 それとも、それすらも演技でしょうかね、そうだとしたら見事なものです」


 油断の欠片もない、その透徹な眼差し。

 なすべきをなす、ただそれだけの機械のように。

 アラームをならすように、死刑宣告を放った。


「――次は、当てます」

「!」


 鍔音。

 反射的に鋼盾は頭を抱え地面にうずくまる。口からは噛み殺す事のできなかった悲鳴が零れた。

 しかし――いつまで経っても先刻のような破砕は起きない。


 鋼盾がおそるおそる顔を上げると、襲撃者の冷たい視線に射竦められた。

 それだけで彼の心は圧し折られそうになる。


 ブラフ。

 それにあっさりと引っ掛かり、己は地金を晒してしまった。

 悲しくなるほど浅い、底の底まで読まれてしまった。


451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:58:06.14 ID:bpAPk5Sjo



「……立ち去りなさい少年。
 ここは貴方のような者が足を踏み入れてよい場所ではありません」


 襲撃者―――神裂火織は諭すように勧告する。

 殺気すら伴わぬブラフに身も世もなく怯える少年は、どうみても戦士ではない。

 立ち向かうことすら出来ないものに刃を向けるのは、誇り高き神裂火織の流儀に悖る。


 この程度の言葉ひとつでほうほうの体で逃げ出すだろう。

 追う気などない、逃したところで何も出来ない。


 あれは諦めてしまった人間の反応だ、と神裂は断じた。


 それでいい。

 それが、当然だ。


 折れればいい、自分やステイルとて、折れてしまったのだから。

 お前らも折れてしまえ、インデックスを、あの子を救うことなど出来はしないのだから。


 逃げてしまえ

 逃げてしまえ!

 逃げてしまえ!!


 八つ当たりめいた昏い感情。

 上条当麻にかき乱された神裂の心は、未だ平常とは言い難い。

 あの子を守ろうとする彼らを見ると、どうしようもなく臓腑が痛むのだ。

 
 忘れられてしまうことも知らずに笑う彼ら


 それは嘗ての私たちを見ているかのようで


 心が、軋む

 
 ―――だが、それも瑣末事。

 右手の少年は倒れ伏し、今一人の戦意も挫いた。

 既に、大勢は決まったのだ。


 あとは刻限まで待って、インデックスから記憶を奪えばそれで終わり、そしてまた始まる。

 また、繰り返すだけの話だ。


 彼らは何も成せない

 それでいい、インデックスのことなど忘れ、この街で幸せに生きればいい

 神裂は瞑目し、不幸な出会い方をしてしまった少年たちの未来を、せめて祈った



452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:58:33.79 ID:bpAPk5Sjo



 しかし

 物語は、まだ、終わらない



453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 01:59:32.02 ID:bpAPk5Sjo



「……だ、だ、めだ。 どか、ない」


 どかないと、少年は言う

 盾は守るべきものの前になくてはならない


「もう、にげ、ないっ!」


 逃げないと、少年は言う

 盾は盾、その役割を放棄することなしない


 ふらつきながら、立ち上がる。

 震える足が、それでも前へと進む。


 倒れ伏す上条を庇うかのように、盾のように、神裂との間に割入って。

 うっすらと浮かんだ涙で滲む視界に、立ちはだかる敵を見据えながら、なんとか息を吸い込んで。


454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 02:04:43.44 ID:bpAPk5Sjo




「上条くんに、手を、出すな!!
 ぼくが……ぼくが、相手だ!!!」


455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 02:05:41.43 ID:bpAPk5Sjo



 啖呵、というにはあまりに拙い。

 引き攣ったようなその叫びは、哀願の色すら透ける幼い悲鳴。

 無力な子どもの駄々。


 だがしかし、それこそが鋼盾掬彦が示した、不退転の意志。

 鋼の盾、その名に相応しい男になるという誓いを胸に、上条当麻を背後に庇って。


 無人の街を戦場に、イギリス清教が誇る極東の聖人を前にして少年は吠えた。

 逃げるばかりの過去への決別を示す、覚悟の咆哮であった。


 
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 02:10:06.95 ID:bpAPk5Sjo



――――――――




 炉に、火が灯る

 覚悟の火種、意志の鞴、決意が薪


 錆鉄は火焔の禊を経て

 いつの日か、けして砕けぬ鋼へと至る




――――――――



457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 02:17:59.43 ID:bpAPk5Sjo







ここまで
最後ポエムですね恥ずかしい、深夜のテンションでござる

さて、ようやく! ようやく神裂さんのご登場です!
当初の目論見では1スレ目500くらいで出るかなーという感じだったのですが
気づけば2スレ目450だと……! おのれ魔術師!

スレタイはまだですが嬉しいです!
ようやくだ! いえーい!

あ、そうそう。
>>413の(上半身ブラのみ)という記述は間違いです、ブラウスも一応引っかかってます

んじゃ、またね!
おやすみ!
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 03:01:22.23 ID:J1Uh7fcxo
1スレ目とあわせて一気に読んだ。
こんな面白いSSを今まで見逃していたなんて・・・・・・。
ほんと俺の馬鹿。
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/22(木) 05:11:26.83 ID:xoByDcIso

ここまで来るとifでなくsideストーリーで進むのかな。まあ鋼盾君があまり改変してしまうのも不自然か。
あとねーちん見て鋼盾君が「適齢期過ぎてる」なんて思わなくて良かった・・・

>>458
君たちはいつだってそうさ。折角今出会えた事を喜ぶべきなのに、過去なんて意味のない物に囚われてしまう。わけがわからないよ。
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 12:47:25.58 ID:y+L5dJ410
ねーちんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!
そしてコウやん熱すぎだろ!
GJ!!

>>458
歓迎!

461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/22(木) 22:27:29.94 ID:oPiU/Y7AO
ねーちん!
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/23(金) 13:30:38.17 ID:3HnyyJiV0
ようやく1スレ目のスレタイが来るか・・・
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/23(金) 14:45:22.08 ID:1F6n+55wo
おおー鋼盾に肉が付いてきたー。
しかし昼と夜の温度差が違いすぎるww
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 16:00:52.22 ID:twDWwBwAO
ぽっちゃり系主人公と申したか


しかし仕方ないとはいえ上条さんが不憫だな
ことごとくスキップ食らってる
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/23(金) 18:15:53.49 ID:aujAZFNAO
いや額に文字が付いたのかもしれん。

まあ主人公はあくまでも鋼盾君だからな、本当に不幸な上条さんなのであった。
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/23(金) 20:09:14.17 ID:vBGAxEmFo
ども>>1です。なんとか今日中には投下に来れそうです

まいどコメ感謝、ご新規さん報告感謝です! うれしい!
上条さんはどうしてもハブられがちになりますね…一応原作でやってることは全部やってるんですよ彼
鋼盾視点でもかっこいい上条さんを書けますように!

さて、忘れてましたが神裂襲撃が原作より一日早い23日夜になってます。
構成上の都合ですので、だからどうということはありませんが、そういうことです。

ところで神裂登場に浮かれて筆が走り、神裂ステイルのアホな小噺(2スレ程度)が書き上がってしまったのです
すっげーアホなネタなのでここに投下すると本編(一応リンクしなくもない)の雰囲気ぶち壊しなんだが、投下してもいいものか
総合ですかね

んでは
のちほど
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 20:13:34.80 ID:GZ0pqGMa0
がんばって
この作者には是非完結させて、西尾維新作品(特に人間シリーズ)ととあるのクロスを書いてほしい。
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/23(金) 20:23:48.51 ID:WSJWWiICo
待ってる。
小噺は本編が終わってからでよいのでは?カンフー映画的に考えて。
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 21:11:00.21 ID:twDWwBwAO
問題ない
やりたまえ
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りしま [sage]:2011/09/23(金) 21:53:02.77 ID:cprQQY4f0
脱いだ

ここでもいいけど総合のがレス多いかもな
471 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:33:40.78 ID:vBGAxEmFo
サンクス!
小噺は本編終了後か、もしくは投下開きそうなときのつなぎにとっとくかな?
少なくとも今投下したらブチ壊しだぜ!

>>467
実は>>1は西尾さんのは物語シリーズしかよんでないんだぜ
人間シリーズって面白い? 

んじゃ、投下
472 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:36:15.76 ID:vBGAxEmFo

――――――――






「……わかりました」


 よれよれの咆哮に応える声は凛と涼やか。

 みっともなくも気高い鋼盾の姿に感じるものがあったのか、神裂の声からは冷たさは消えていた。


「貴方の覚悟に免じて私が退きます。こちらの目的は既に達しました
 そこの少年に手当てでもしてあげるとよいでしょう。致命傷は与えていませんから」


 彼女にはもともと上条の命を奪うつもりなどない。

 今回の襲撃の目的は、上条に怪我を負わせることでインデックスの動きを封じることにある。


 目の前の少年の乱入で、当初の予定より少しばかりダメージは浅いが、しかし2、3日は碌に動けぬ筈だ。

 そしてインデックスは傷を負った少年を見捨てて逃げられるほど薄情な少女ではない。


 そのことを、神裂は誰よりもよく知っている。

 かつて誰よりも彼女のそばに居た者として。


473 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:38:47.46 ID:vBGAxEmFo



 そしてもうひとつ。

 異能の右手を持つ少年の真摯な言葉に、そして眼前の少年の拙くも強い眼差しに。

 ―――認めよう、私は、神裂火織は確かに圧された。


 あの子が絡むと、己は平静ではいられなくなってしまう。

 みっともなく愚痴を垂れ、あられもなく激昂し、八つ当たりのように鋼糸を振るい、気まぐれに矛を納める。

 ヒステリックで、情緒不安定で、性質の悪い、愚かな女。

 これで“神の子の似姿”だなんて笑わせる。

 なんという、無様。


 とはいえ最低限、成すべきは成した。

ならばもう、ここに留まる理由はない。


 神裂は鋼盾と上条に背を向け、合流地点へと足を向ける。

 インデックスを追っているステイルも、その嫌な役目から解放してあげなくてはならないだろう。

 連絡用の式を掌に結びながら、思い出したように顔だけを鋼盾に向け、意外な言葉を投げかけた。


474 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:41:58.30 ID:vBGAxEmFo



「……ああ、貴方にはまだ名乗ってはいませんでしたね。
 私は――神裂火織と申します。神を引き裂くと書いて神裂、燃える火を織ると書いて火織です」


 自己紹介。

死神に名刺をもらったって嬉しくはないでしょうが、と神裂は小さく笑う。

 真名たる魔法名は名乗らない、否、名乗れない。


「――貴方の名前も、お聞かせ願えますか?」


 神裂は、既に少年の名を知っている。

 ステイルから聞いているし、学園都市を通して少年らの情報を集めたのは己なのだから。

 だが―――本人の口から聞いておきたかった。


 急な展開に呆然と神裂を見据える鋼盾。

だが、それでもはっきりと、力を込めて己が名を口にした。


「……鋼盾、掬彦。
 ――――鋼の盾と書いて鋼盾、掬い上げるの掬で掬彦だ」

「こうじゅん――鋼盾」


 神裂は舌の上で転がすように少年の名を確かめる。

 そう、それが眼前の少年の名前。


 倒れ伏したステイルに手を差し伸べ、インデックスに笑顔を与えてくれた少年。

 聖人たる己に立ち向かった彼の、真名。


475 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:44:46.32 ID:vBGAxEmFo





「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です。
 鋼のように剛くしなやかで、盾のように傷つくことを厭わず、手を差し伸べることを迷わない」




476 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:49:33.17 ID:vBGAxEmFo



 鋼の盾。なるほどその名は守護者たらんとする眼前の少年に良く似合っている。

 誰かの代わりに傷つくことを厭わぬ覚悟は、尊い。


 だが。


「しかし――私にとっては鋼も紙と変わりませんよ。
 貴方では、貴方たちでは盾にはなれません」


 七天七刀を軽く撫で、淡々と、神裂は言葉を紡ぐ。

 哀しいかな鋼程度では、神すら引き裂く聖人の斬撃を受けることなど叶わない。

 防げぬ盾など重いだけだ、そんな荷物を擲って空手で逃げ出すべき局面というものは、確かにある。

 今回の一件は、そういうものだ。


「あの子を掬い上げる事は叶いません、
 鋼盾掬彦、あなたの掌には……いえ、それこそ釈迦のそれでもない限り、誰の手にも余ります。
 10万3000冊の魔道書。科学の街の住人たる貴方には、想像もつかぬ無窮の咎闇ですよ」


 触れるべきではない。

 貴方たちはひどく真っ当だ、いっそ眩しいほどに。

 自分たちのような異端に巻き込まれるべきでは、ない。


「この場は譲りますが、次はありません。
 貴方も、そちらの彼も。これ以上はこちらに踏み込まないように。
 ―――貴方たちでは、私には絶対に勝てません」


 今代のパートナー(とはとても言えぬほど短い時間ではあったが)である彼らも、何も成せずに終わるだろう。

 今ならまだ傷は浅く済む筈だ、自分やステイルのように手遅れにならずに済んだのだから、彼らは幸運かもしれない。


 忘れてしまいなさい

 悪い事は言いません、あの子のことなど、忘れてしまうのです

 ―――あの子も忘れてしまうのですから


477 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:54:50.36 ID:vBGAxEmFo



「……僕は、僕らは、あきらめない……絶対に、だ。
 あの子の笑顔を守るって、そう、誓ったんだよ」

「……貴方たちでは、不可能だと言っているのです。
 どうか、聞き分けて下さい―――それが、貴方たちのためでもあります」

「なんで、奪うんだ
 ……なんで、インデックスばかりが、奪われ続けなくちゃ、いけないんだ」


 鋼の盾たる少年が、世界を詰る。

 理不尽を、不条理を、少女に絡みつく残酷な運命を嘆くように。


「……どうして、なんでしょうね。才能、宿命、天運……与えられた故の残酷。
 神ならぬこの身ではそのような問い、率直に言って答えかねます。

 ―――――そんなの、私が教えて欲しいくらいです」


 それは、神裂がずっと抱えていた疑問でもある。

 未だ答えを出すことの出来ぬ問いだ。


 なぜ、あの子が苦しまねばならないのか

 なぜ、私たちが苦しめねばならないのか

 それがわからないから、神裂は、ステイルは今、ここに居る

 こんなところで、踊り続けている


478 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 22:56:40.67 ID:vBGAxEmFo



「―――神裂、火織さん。
 ……間違ってたら悪いけど、あなたは“必要悪の教会”の人だよね。
 インデックスの、同僚だ」

「……なぜ、そう思ったのですか?」

「いろいろ、ヒントはあったけど――勘かな」
 でも、当たっているだろう?」


 確信を帯びた言葉。

 気づけば、眼前の少年からは涙も、声の震えも消えていた。

 眼の奥に滾る決意の熱量はそのままに、透徹な理知の色を帯びたように見える。

 その眼がまっすぐに神裂を見据えている。


 それは智者の眼だ、と神裂は評する。

 刀槍振るう戦人ではなく、戦場の渦を見据える参謀の眼。

 なるほど、彼の戦場はそちらだったか。

 
479 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 23:00:46.66 ID:vBGAxEmFo



「……御名答です」


 答えは、是

 そう、この逃亡劇の顛末は

 笑ってしまうことに英国清教の自作自演


 不条理で理不尽な宿命に囚われた悲劇のヒロイン

 それに抗おうとして、結局は諦めてしまった二人の愚者

 インデックス、ステイル=マグヌス、神裂火織の三名が演じる残酷歌劇――いや、滑稽劇の類だろうか
 
 己とステイルは、出番を終えたあとも未練がましく舞台に居座り、みっともなく踊り続けている


 第一幕では何も知らずにヘラヘラと家族ごっこに興じる愚かな道化を

 第二幕では平穏を取り繕い悲劇に酔いしれ反省もなく繰り返す無様な道化を

 第三幕では勝手に絶望して少女の敵として振る舞い傷つける救いようのない道化を


 踊り続けている、踊り続けている、踊り続けている

 第四幕はどうなるのか、また敵対するのか、家族ごっこに興じるのか

 ―――どちらにせよ、繰り返すだけだ


 さあ、いよいよもって第三幕も佳境だ

 あと少しだけ待って、彼女の記憶を奪えばそれで終わる

 白紙に戻る、すべて忘れる、リセットされる、喪われる、奪われる

 一切合切問答無用で、なかったことになってしまう

 私が彼女に傷を負わせたという事実も

 彼女がこの街で得たすべても

 なにもかも

 なくなる


480 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 23:06:48.56 ID:vBGAxEmFo



「英国清教が闇、その最下層たる“必要悪の教会”
 ステイルも私も――あの子と同じくそこに所属しています」


 ああ

 このふざけた舞台に、もうずっと、自分たちは囚われてしまっている

 ヒロインと道化だけの、どうしようもなく救いのない、この物語に。


 さあ、道化は道化らしく、無様に踊ろう。

 此度のゲストである二人の少年、彼らもまた私たちと同じく踊らされている。

 片や異能殺しの右手、片や気高き鋼の盾―――そんな彼らもまた道化を演じることになろう。


 彼らは強い、彼らは優しい、彼らは眩しい、彼らはまっすぐだ。

 なにより彼らは諦めない―――だがそれ故に、絶望を知る羽目になる。


 かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに

 行き着く先は碌なものではない。

 先達たる己が誰よりそれを知っている。


「それが、どうかしましたか―――鋼盾掬彦」


 インデックスは救われないし掬われない

 だから私たちも救われないし掬われない

 貴方たちもまた救われないし掬われない

 
 誰も彼も、救われないし掬われない


481 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 23:15:12.69 ID:vBGAxEmFo



 世界はやさしくない

 ヒーローなど、どこにもいない

 ハッピーエンドなど、私たちには訪れない


 ステイルは最強どころか女の子ひとり救えぬ惰弱で

 無様な私が魔法名を名乗ることなど金輪際有り得ない


 最強たる証明が導かれることは終ぞなく

 救われぬものに救いの手が差し伸べられることもない


 


 神裂火織は、自嘲に塗れた笑みを浮かべた。

 鋼盾には、彼女が涙を堪えているようにしか見えなかった。

 
 
 


――――――――
482 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/23(金) 23:22:38.00 ID:vBGAxEmFo






ここまで

神裂さん
俺、ちゃんとやりましたよ。
スレタイ詐欺と呼ばれ続けて数ヶ月……やっとスレタイ、回収しました
あと、ここに至るまで誰もツッコまなかったけど、前スレの>>1で神崎って書いてすみません

てなわけで、ようやく前スレのスレタイ回収しました!
ふっふっふ……いやー、やっと! ようやく! 遅くてすいません!

てなわけでねーちんです、らしく書けていればいいのですが
いやー、欝欝してやがりますね、なかなか出番が来なかったから拗ねちゃったのでしょうか

まあ、こんな感じです
次回もよろしくお願いします

483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/23(金) 23:23:52.42 ID:RyJti1jXo
乙、ついにスレタイ回収か
それにしてもステイルが情弱に見えて仕方ない
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 06:58:44.35 ID:R3fQexYAO
うむめでたい乙
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/24(土) 07:10:00.82 ID:/Jc0C+ZAO
乙!前スレタイ回収めでたいな!…って事はこのスレタイも回収されるのかね〜?

>>483
なまじ魔術の専門家だから科学的なアプローチが思い付かなかったんだろ。
逆に学園都市側の人が魔術的な問題にあったら同じようになると思うぞ?
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 07:27:41.41 ID:5xziPoJa0
神裂さんの話を聞くと↓の画像を思い出す。・・・
ttp://r0.prcm.jp/gazo/i/9J4aib
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/24(土) 17:12:24.08 ID:6695At5O0
いくら魔術師といえども情弱過ぎる気はするよな
超能力が使えないだけであって、科学知識自体は魔術師にも有用だし
まして完全記憶能力について問題抱えてるんだからそれくらい知ってそうな気もする
ただ、ステイルさんじゅうよんさいだからな
魔術の勉強で忙しいんだろ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 17:25:06.58 ID:R3fQexYAO
とりあえず>>483のコメントは惰弱と情弱って似てるよね、って意味だろうと思うが

こぎのんいい絵描くよなー
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 01:20:15.84 ID:POTbIZyJo
俺も惰弱が情弱に見えたから>>483もそういうことかと思ったんだが。。。
490 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/25(日) 01:40:34.21 ID:qyayeoIdo
レス感謝、ステイルや神裂の情弱云々や科学忌避は本編でも触れますのでお楽しみに
つか>>486の絵が素敵過ぎる!禁書も超電磁砲もコミカライズに恵まれてるよな

ちょっと質問があります、お前ら助けて
本編開始までのインデックスの時系列がよくわからん、↓で合ってる?
インデックスの年齢は15歳と仮定します

約15年前
 インデックス誕生
 本人曰く、生まれはロンドンで聖ジョージ大聖堂で育ったらしい

?年前
 “首輪”と“自動書記”を刻まれ、禁書目録の任務に就く
 魔法名“Dedicatus545”――献身的な子羊は強者の知識を守る、を名乗る

4年前〜3年前(11歳)
 インデックスのパートナーはアウレオルス
 インさんを救えなかったアウは3年間潜伏し、錬金術を極めて2巻に登場

3〜2年前(12歳)
 インデックスのパートナーはステイル(11歳)と神裂(15歳)
 漫画版の回想編エピソードのあたり、何も知らぬステイルと神裂さん
 
2〜1年前(13歳)
 インデックスのパートナーはステイル(12歳)神裂(16歳)
 インさんに忘れられて絶望しきりの2人、アルバムをみせてもゴメンなさいと言われたりする

1年前〜(14歳)
 パートナー不在
 ステイル(13歳)神裂(17歳)、インデックスの敵として接することに
 気づいたら日本で、その後一年に渡り逃亡生活を送るインさん

1巻開始時点(15歳)
 パートナーは上条さん(&このスレでは鋼盾くん)
 ステイル14歳、神裂18歳


覚書&疑問点

・ねーちんは12歳でイギリスに単身渡り、イギリス清教の門を叩いている。
 この時点で土御門10歳は必要悪の教会に所属してる……いつ陰陽博士になったんだ?
 舞夏は8歳、義妹になったのは何時?

・アウレオルスの年齢が18歳という噂があるのだが、そうなると14歳以下の時点で隠秘記録官だと…!

・「歴代のパートナー」というステイルの物言いから鑑みるに、アウ以前も数名のパートナーがいた可能性大
 彼女が禁書目録になったのはおそらく10歳より前っぽい

・つか10万3000冊って一日何冊読めばいいのか

・なんでインさん日本にいるの? 神裂さんが連れてきたの? なんのために?

・ぶっちゃけかまちーの設定が固まってなかった疑惑モリモリ


……ふう、思いの外長くなったぜ
この辺りのことを書くので教えてください。

訂正、補足、ツッコミなどありましたら是非!

491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/25(日) 01:50:12.02 ID:VFLebgVRo
インさんが日本に来たのは十字教の影響が低いからとかこっちで考えるしかねぇからなwwwwww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/25(日) 01:56:10.82 ID:yVA8M9TOo
>>491
だなwwww逃げまわるのに範囲の限られる島国の方が良いんじゃねとか思った
イギリスじゃ魔術師多すぎだしじゃあ日本でいいんじゃね?ついでに神裂の出身国だし的な
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/25(日) 03:27:11.74 ID:7Ah3SJU80
インさんが日本にいる理由は>491+神裂なんかの会話とかイメージが心に残ってた
そんなんだと素敵
更にそのイメージに土御門がうっすらいたりしたら俺に良しお前に良し
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 12:38:01.25 ID:7zYuUR3AO
>>493
みんなによし

でも、気づいたら日本だったってことは、日本で記憶消去が行われたことになるんかな?


つかアウレさん18ってマジか
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/25(日) 13:09:56.16 ID:6ADe6t/uo
教えてくれって言ってもまだ原作でも話してない部分だからなあ…あくまで考察と言う名の妄想で。

>・ねーちんは12歳でイギリスに単身渡り、イギリス清教の門を叩いている。
 この時点で土御門10歳は必要悪の教会に所属してる……いつ陰陽博士になったんだ?
 舞夏は8歳、義妹になったのは何時?
おそらく陰陽博士になったから所属できたと考えるべき、つまり10歳でなったんでしょう(そんなバカなだが…)。
舞夏はその前から、生まれついた時義妹になったってかさせられたんじゃないかな?影のような存在として。

>・アウレオルスの年齢が18歳という噂があるのだが、そうなると14歳以下の時点で隠秘記録官だと…!
「天才ですから。」マジで18歳。ヘタ錬wwなんてバカにされてるけど凄い人なんです。

>・「歴代のパートナー」というステイルの物言いから鑑みるに、アウ以前も数名のパートナーがいた可能性大
 彼女が禁書目録になったのはおそらく10歳より前っぽい
幼い時のイギリス所蔵の本の間はローラ自身が、その他の宗派の時はその宗派の人がいただろうからアウレさん以外は一人か二人位じゃないかな?

>・つか10万3000冊って一日何冊読めばいいのか
七歳から十三歳までの間として六年。一日四十八冊か…ローラマジ鬼畜。

>・なんでインさん日本にいるの? 神裂さんが連れてきたの? なんのために?
…「女教皇」と「吊られた男」の思惑が交差する時子羊は科学の園に迷い込む。全ては二人のチェス盤上の話だった・・・なんて想像してみたり。

>・ぶっちゃけかまちーの設定が固まってなかった疑惑モリモリ
それを言っちゃあおしめえよ。
…一巻の上条さんと美琴のDQNぶりをみるとその疑惑は多分真実でしょう。
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 13:50:23.83 ID:EsYXoJKIO
一日魔法書何冊ってのは
完全記憶で一瞬見た映像を記憶すればいいわけで…



とにかくスレタイ回収GJっす
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/25(日) 15:13:50.14 ID:fapTDt1AO
インさんの完全記憶能力は瞬間記憶はフォローしてないって記述が原作にあったような…まあかまちーの事だから矛盾してる可能性もあるけど。
かまちー世界設定とかキャラ設定は良いと思うし驚異の速筆だけど時々ぬけ作先生だからなぁ……。
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/25(日) 19:55:12.08 ID:nTg8t9th0
>>497
どっかに誤字もあったよな
どちらかというと編集のミスだけど
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/25(日) 21:36:18.69 ID:kUvS4m3po
スレタイ回収だけど神裂さんスレすぎですww
もちっと肉体馬鹿な気がしないでもないww

鋼盾の機微を読み取る能力とその指向性が初春に被って見えたぜー。
500 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/25(日) 22:02:27.01 ID:qyayeoIdo
わーい500だー! ……うん、このスレじゃ終わらねえや!
まあ、うん、なんだ、がんばる

みなさんコメ感謝です
インさんの過去はいろいろ謎が多いよな
とりあえずステイル神裂と2年間一緒に過ごしてその後一年間追われてたってのは正しいよな、うん
いろいろ過去エピソードを捏造しないといけないので整理してみました。ショタ土御門め

神裂さんの鬱々は、上条さんに八つ当たりしちゃったあとなので賢者モードなのです
でも意外とあの子内に貯めこむタイプよね……うん、やっぱりあの番外編は御蔵入りだ!
ねーちんは下ネタなんか言わない!

RTTの時にちょっと触れましたが、初春との類似は意識してます
初春が鋼盾を買ってる要因のひとつとして、親近感というものはあるでしょう

さて、今日は無理ですが明日には投下します
よろしく!


501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 01:18:57.12 ID:etptvkcvo
このスレってペース速いよな
再構成物だってこともあるんだろうけど
オリ展開やら心理描写やらも入れてることも考えるとめっさ凄い

待つてます
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/09/26(月) 10:19:52.10 ID:caxSUM6N0
脱いだ

着た

また脱いだ
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 16:10:58.95 ID:0dYGpbv00
通報した
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/26(月) 19:50:30.50 ID:moP4KAL2o
来た

見た

脱いだ
505 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 21:52:43.08 ID:zys+nLXgo
書いた

書いた

脱いだ

投下する

506 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 21:54:41.28 ID:zys+nLXgo
――――――――



「……いろいろ、考えてはいたんだ。
 “必要悪の教会”があの子を保護しに来ない理由を」


 そう、鋼盾はずっと考えていた。

 かつてインデックスが示したゴール

 彼女自身は覚えていないというホーム


 曰く“必要悪の教会”

 イギリス清教の最暗部

 禁書目録の所有者たるその組織


 なぜ、彼らがインデックスを助けに―――あるいは回収に来ないのかを、ずっと考えていた。

 インデックスが所属するそれが、なぜ彼女を救わないのかが、ずっと疑問だった。


 なにかある、そう思った。

 そこを間違えてはならないという、確信があった。


507 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 21:56:30.69 ID:zys+nLXgo



「ひとつは“必要悪の教会が滅びてしまった”……これはたった今否定されちゃったね」

「……ええ、健在です。盤石ですよ」


 英国清教の闇は厳然と在り続ける、これまでも、これからも。

 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。


「ひとつは“禁書目録が不要になった”から助けに来ない。
 これもないね。それに、不要になったからといって放置しておけるものじゃないんだろう?」

「……勿論。あの子の“完全記憶能力”と“強固な信仰”は得難い素質―――禁書目録は彼女にしか務まりません。
 同じ大きさの金塊程度では、比較にもならない程の価値を教会は彼女に認めています。
 なにより彼女を手に入れた者が悪用すれば、世界のバランスが崩れかねません。放置するなどありえない」


 そう、それはありえない。

 迎えの魔術師は、来ていなければならない。


「ひとつは“必要悪の教会の教会から派遣される人間が、悉く始末されている”
 ……これもどうかな―――簒奪者たちがよほど凄腕なら可能性もあるかもだけど、それならインデックスだって逃げ切れない」

「……そうですね、対魔術師戦闘に特化した英国教会の精鋭……凡百の魔術師では相手にもなりません
 まあ、それでもあの子の知識と逃走能力……植えられたその防衛機能を以てすれば、簡単に捕えることなど叶いませんが」


 そう、それもまたありえない。

 仮にも10万3000冊もの魔導書を抱え込んでいるような組織が、そんな体たらくもあるまい。
 

508 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 21:59:43.46 ID:zys+nLXgo



 必要悪の教会は、未だ健在。

 回収任務に就く魔術師は有能至極で。

 今まさにその任務を遂行している。


 つまり

 神裂火織が、ステイル=マグヌスが

 インデックスが敵と断じた彼らこそが

 あの子の目指したゴールだった


「結論は“迎えは、来ていた”“ただし、敵の姿をして”――――インデックスを“あの子”と呼んだな神裂火織。
 ……最悪だ。なぜ彼女を謀った―――お前と、ステイルと、インデックスは、そんな間柄じゃないんだろ?」


 そう、きっと、彼らは。

 同僚、という言葉では遠すぎるような、もっともっと近しい関係だったのではないだろうか。

 あの子、というその呼び名に込められたその想いは、きっと。



「…………それ、は」


 その疑問に神裂は答えることが出来ずにいる。

 つい先程も倒れ伏す少年に突き付けられた、その疑問。

 それは、己の無様な逃避が招いたもの。


 上条当麻へは激昂と暴力を以て無責任に回答を押し付けたが、冷静になった今となってはそんなことも出来ない。

 なにより、鋼盾掬彦の強い眼差しがそれを許してくれない。

 追い詰められてゆく、神裂火織は、追い詰められてゆく。


509 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:08:36.88 ID:zys+nLXgo



「……そうする必要があったから、そうしたまでのこと。
 貴方には、関係のないことです」
 

 それでも、 それでも。

 神裂は取り繕ろおうとしてしまう、無駄と知りつつ、逃げようとする。

 眼前の男――インデックスを守りたいと喚いた盾の男が、ソレを許さぬことは判りきっている。

 案の定、鋼盾は噛み付くように神裂の言葉を否定した。


「ふざけるな、なんのつもりだ魔術師。
 ……貴方には関係がない? ふざけるな。
 インデックスのことだ、ぼくに関係のないわけがない」


 ふざけるな、と少年は繰り返す。

 神裂火織を否定する、否定の言葉を繰り返す。


「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。
 ―――逃げたな? 神裂火織。……お前、あの子から逃げたんだな?」


 ふざけるな、と

 鋼盾掬彦は否定する

 神裂火織を、ただ、否定する


 許さない

 逃げ出したお前を、ぼくは許さない、と

 インデックスを見捨てたお前を許さない、と


 鋼盾掬彦は、神裂火織を否定する

 その罪を、その欺瞞を、その身勝手を否定する


 


――――――――

510 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:16:34.41 ID:zys+nLXgo


 そんな鋼盾の言葉に、神裂は憤る

 ―――私が許せないのは貴様のその身勝手の方だと憤る

 
 ふざけるな、だと? 逃げたな、だと?

 何様のつもりだ? 何も知らないお前が、なんの権利があってこの私を貶める?


 臆面もなく少女の守護者たると宣言する、その男。

 鋼盾掬彦、無能力者と呼ばれる、なんの力ももたないその男。


 なにも知らぬド素人、空気の読めぬ正義の味方。

 妬ましい、と神裂は臍を噛む……あるいは、羨ましい、だろうか。

 いや、これは怒りだ、憤りだと神裂は断じる。


 ヘドロのようなドロドロとした熱が、神裂の腹に蟠る。

 眼の前のガキを黙らせたいという衝動が、裡より迸る。


「……黙れ、ソレ以上は、ゆるさない」


 殺すぞ、と神裂火織のその眼が語っている。

 視界に入るものすべてを焼き払うような聖人の凶眼が、夜闇の中でも煌々と瞬いている、


 その歪な眼差しで世界を脅迫する。

 もうこれ以上囀るな、と脅しつける。

 
511 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:19:07.37 ID:zys+nLXgo



 だが、そんな聖人の憤怒を、悲嘆を、情念を。

 鋼盾掬彦は鼻で笑った、蔑んだ、扱き下ろした。

 無様な女を嘲るように、どうしようもない正しさを武器に、咎人たる神裂火織を糾弾する。


「……なんだよその目、こんなことしたくなかったとでも言うつもりか。
 インデックスを傷つけたくなかったとでも言うつもりか、あの子を斬ったらしいな神裂火織。
 その刀で斬ったのか? それともワイヤーで? あの子の無防備な背中を?」
 
「黙れッ!……お前に、何がッ!!」

「わからないさ―――わかりたくもない。
 あの子を傷つけるような理屈なんて、ぼくはただひとつだって認めない」


 認めぬ、と少年は言う。

 神裂の事情も後悔も懺悔も自負も覚悟も慟哭も嫉妬も欺瞞も何もかもを、認めぬと言う。

 インデックスを傷つけたお前を認めぬと、許さぬと、少年は犬歯を剥き出しにする。


「ぼくは、ぼくらはお前らを認めない。
 インデックスの笑顔を諦めない、ハッピーエンドを諦めない、ダダを捏ねてやる」


 少年の潔癖、愚者の十露盤、賢者の智謀、守護者の自負


「なんでも、する―――為すべきを、為す。
 お前らがどんな絶望を背負ったのかをぼくは知らないけど、それでもだ」


 真諦、極致、切望、覚悟


「あの子がこれ以上、喪うことをぼくは―――ぼくらは許しはしない、絶対に」


 心臓は鑪、肺は吹子、人体は意志の熱を以て稼働する

 人の宿しうる最大限の熱量、それを突き付けられて怯まぬ者などどこにもいない


512 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:24:25.67 ID:zys+nLXgo



「あの子はぼくらが救う。誰が何を言おうとね。
 ―――――たちえなにがあろうとも、絶対に、だ」


 鋼盾掬彦のその純然たる覚悟に、神裂火織はどうしようもなく怯えてしまう

 たとえ神の子の似姿たる聖人であれど、その魂はどうしようもなく人間のそれ

 神裂火織は、友人ひとり救えぬどうしようもなく無力な女に過ぎない


 私は、聖人だ。

 必要悪の教会所属の、世界の裏を駆ける魔術師だ。

 目の前のこの男など、指一本で殺せる、吐息ひとつで殺せる、視線だけで殺せる

 瞬きをする間に七回は殺せる、十四回殺せる、二十八回殺せる、望んだ数だけ殺せる 


513 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:28:00.98 ID:zys+nLXgo


 なのに

 どうして

 なんで

 なんで


「……無理、ですよ、わたしじゃ、あなたじゃ」


 なんで

 なんで

 なんで


「無理、なんです、だれにも」


 なんで

 なんで

 なんで


 
「無理、なのに」


 なんで

 なんで

 なんで


「……たすけ、てよ」


 なんで

 どうして

 ねえ


「……たすけて」


514 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:30:28.52 ID:zys+nLXgo




「あの子を! あの子が! どうして!
 なぜ私があの子を傷つけないといけない!? どうして私が! 他ならぬあの子を!
 こんな学園都市(ところ)で、こんな無様に! こんなヤツ相手に、どうして私は!」


 七閃

 鋼盾掬彦の髪を、頬を、首筋を、服を、爪先を掠めるように放たれた七重弦撃

 アスファルトすら豆腐のように切り裂くソレを、しかし鋼盾掬彦は意に介さない

 揺るがない


 鋼盾は、怯える神裂火織をただただじっと見据えている

 その眼差しに、神裂は耐えることが出来ない

 ヒステリックに鋼糸が踊る、縦横無尽に、悶えるように


「インデックス! あああ、あ、あぁどうして、なぜあなたが死なねばいけないのですか!?
 どうしてあなたは忘れなければいけない!? どうしてわたしはあなたにわすれられないといけないのですか!?」


 再び七閃

 街灯を、看板を、街路樹を、ガードレールを、マンホールを引きちぎる七頭の蛇

 不可視の怪物による無差別の蹂躙、その最中にあって

 しかし鋼盾掬彦は揺るがない

 揺るがない



 神裂火織のその狼狽を、じっと見つめている

 見つめている


 そして

 
515 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:31:37.34 ID:zys+nLXgo



「インデックスは、あの子は、ぼくが救う」


516 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 22:42:02.96 ID:zys+nLXgo

 そんな言葉を口にする。

 揺らがぬ答えを、繰り返す。


 それだけ、それだけ

 そんな、ことば、ひとつで
 

「うあああああああ、ああああ、ああああ」


 神裂火織の、心が

 聖人たる矜持が、歪に取り繕った覚悟が

 この一年間、必死に必死に塗固めてきた酷薄な仮面が

 
「ごめん、なさい」


 砕けた


「ゆるしてください、いんでっくす」
 

 砕けた





――――――――

517 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 23:03:14.72 ID:zys+nLXgo


 神裂火織の敗走。

 それを見送る鋼盾掬彦。


 神裂から見れば、それこそ悪夢のようですらあった鋼盾掬彦の泰然自若は。

 当人からしてみれば、体中の内蔵すべてを吐き出しかねない程の緊迫に耐え続ける、そんな克己の賜物に過ぎなかった。


 止まっていた時が動き出す


 汗が滝のように吹き出る

 震えが止まらない、四肢が制御できない

 思考が働かない、心臓が壊れている、脳が沸騰している

 いっそ死んでしまいたい程の絶望的な頭痛

 呼吸の仕方すら思い出せない


 極度の緊張からの急激な弛緩で、危うく意識を喪いそうになる鋼盾。

 だが、鋼盾は己にそれを許さない、傷だらけの上条を放置して、すべてを放棄することなど許さない

 学生寮までの道のりを思うと、気が遠くなる

 だけど


 それでも、なんとか、取り繕って

 倒れ伏す上条をどうにかして背負い上げようと、血まみれの手におっかなびっくり手を伸ばそうとしたところで
 


「――――まったく、とんでもねえな。
 “必要悪の協会”が誇る極東の聖人、神裂火織がまるでただの小娘だ。

 …………俺はお前が恐いよ、コウやん」


 そんな声が、響いた


 いやになるほど、聞き覚えのある声

 常のふざけた口調はなりを潜めてはいるけれど

 紛うことなく、その声は 



 鋼盾掬彦の、友人の声、だ

 
聞き間違える、筈がない

 
518 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 23:08:03.19 ID:zys+nLXgo




「―――いい夜だな、コウやん」



 いっそ真闇であったほうが救いがあるとすら思える、そんな薄暗闇の中

 無人の道路の真ん中で、頼りない街灯に晒されたそこに、一人の男が立っていた



 軽薄な金髪にアロハシャツ、夜だというのにサングラス

 鋼盾と上条のクラスメイトである、その少年



 土御門元春が、そこに立っていた。






――――――――――


519 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/26(月) 23:12:55.45 ID:zys+nLXgo










ここまで

バトル? なにそれ? 美味しいの?
……なんともアレなねーちん戦でした、申し訳ない

そしてみんな大好き土御門さんの再登場です
どうなることやら

んでは!
さらば!
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 23:42:53.16 ID:T1HSCS9K0
>>1

鋼盾さん、カッコよすぎだろ
土御門とどう絡むか期待

521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/26(月) 23:56:44.27 ID:zWWVSN8AO
土御門ー!!!!俺だー!!!!
結婚してくれー!!!!
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/27(火) 00:07:46.35 ID:H4ghDdeBo


さぁここでつっちーがどう動くか
そもそもこの時点で上司達がどう状況を把握してるのか……

楽しみで正装を解く気が起きませんね
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/27(火) 00:14:15.23 ID:EO5NIrwn0

だが服を着ろ
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 00:38:06.51 ID:M4+WVWYeP
端折られてるけど一度上条さん相手に爆発したのが大きいと思った
同じ醜態2度は晒せないし
いくらキレようがガチ一般人に逆ギレ暴行とか
それこそねーちんのアイデンティティ崩壊だろうしなぁ

525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/27(火) 01:03:56.13 ID:GhX2sWbAO
コウやんマジパねぇ、絶対にただ者じゃない。
絶対に何かが巣食ってるよコウやんの中に、なんかすんごいものが。
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/27(火) 01:44:45.65 ID:BLDyhnxxo
この世界でのフォックスワードは日村であったか・・・
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/27(火) 02:29:28.07 ID:JnSoy+zBo
乙、脱いでおいて正解だったな…ズボンがびしょびしょになる所だったぜ。
>>524
鋼盾君凄すぎだがまあごっつぁんゴールなのは確かだな。上条さんマジ不幸。
しかしねーちんとステイル、そして土御門にこんなつらい思いさせてもローラは「計画通り」なんだろうなぁ…マジ外道だわ。



528 :pipi :2011/09/27(火) 03:17:17.99 ID:n4606ywi0
働きたくないでごじゃる(*・ω・)☆ http://nn7.biz/image/show.cgi?20110506S004
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/27(火) 06:10:36.83 ID:sEJlnjMAO
乙!コウやん格好良すぎだろwwこれが主人公ってやつか…

>>524
上条は犠牲になったのだ…やこドモードの避雷針と言う名の犠牲にな……
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 07:42:31.38 ID:niVdi9XAO
ごっつぁんゴールのコウやん
ファンタジスタ上条
フィールドの魔術師建宮
守護神初春
サッカーボールカラーの黒子
531 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/09/27(火) 08:15:14.76 ID:rcRDi7B6o
おはようです。深夜のテンションで書いたので誤字とかやべえ、「たちえなにがあろうとも」って何だよ
あと「そのワイヤーで斬ったのか?」という台詞ですが、鋼盾くん七閃の正体知らない筈です失礼。脳内で省いといて下され

コメントいっぱいマジ感謝です……ほんとはあんまりねーちんをいじめるつもりはなかったのですよ…?
ねーちんいじめのシーンはだいたい即興だったりします、ほんとは揺らぎながらもクールに「素敵な悪あがきを」とか言ってたのに!

さて、ごっちゃん野郎との指摘はごもっとも。本作の根底にそれが付き纏います。
仮に上条さんがいなくてコウやんの部屋にインさんが落ちてきたら、ステイルにちょっと焦がされて彼の物語は終わっていたでしょう
上条さんが原作通りの仕事をこなしているから、この物語は動いています
ヒーローではなく、ヒーローのそばにいるだけ……だれより当人がそれを知っているのでしょう

―――だが彼は、その無力のツケを支払わされる羽目になる
そう、ひどく残酷な形で……と、朝から思わせぶりなことを言ってみる
おいしいとこだけかっさらうような展開では終われないようです、南無

ああ働きたくないでごじゃる(*・ω・)☆
でもご飯のために行ってくる


532 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:23:12.41 ID:rcRDi7B6o
あかん、テンションが落ちない
ずっと書きたかったシーンに入れたよろこび

なのに明日から週末まで出張でパソが使えないのです!
うぎゃー! 信じられるか? 携帯も通じねえんだぜ?

ううう
投下します









――――――――
533 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:24:37.82 ID:rcRDi7B6o



 正直に言おう。

 第一印象は、最悪に近かった。


 金髪

 サングラス

 着崩した制服

 胸にはチャラチャラしたアクセサリ

 そんな人間が、同じ教室内にいるという異常事態


 入学当時、鋼盾が土御門に抱いた印象は、率直に言って“不良”というそれだった。

 比較的真面目な生徒ばかりの中学校に通っていた彼にとって、そんな土御門はかかわり合いになりたくない人間筆頭だった。

 ちなみに次点が青髪ピアスだ……ピアスはともかく、青髪て。


 とはいえ

 人の縁というのは不思議なもので


 上条を介して土御門や青髪と言葉を交わすようになり、彼らが見た目に反して優しい少年たちであることを知った。

 いつの間にやらデルタフォース+1と呼ばれるほど、忌憚なく友人と呼べる間柄となった。


 鋼盾掬彦と、土御門元春。

 アホな話をしながら一緒に登校したことがあった。

 一人で行くのは気恥ずかしいとかほざく彼に半ば無理矢理メイド喫茶に連行されたことがあった。

 ファミレスで延々と義妹の可愛らしさについて説かれたことがあった。

 ふたりして一緒に小萌に叱られたことがあった。

 ――そんな、愛しき日々が確かにあった。


 土御門くん

 きみは、僕の友達だ 


534 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:26:45.78 ID:rcRDi7B6o



 ―――ただ、鋼盾は時折、土御門との間に齟齬を感じることがあった。

 名状しがたい距離を感じることがあった。


 何時だって飄飄とした彼は、しかし時折ひどく“ゆらいで”居ることがある。

 気づく者は鋼盾と青髪くらいの些細な揺らぎ、指摘すれば笑顔と冗談で紛らわせられてしまう程度のもの。

 
 それが、ずっと気になっていた。


 鋼盾の知らない土御門元春がいる。

 そんな気が、なんとなくだがしていた。

 
 ……いつか、それを聞かせてくれる時がくればいいと

 そんなことをぼんやりと考えていた


535 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:29:25.44 ID:rcRDi7B6o



 そして決定的だったのがインデックスやステイルと出会ったあの日、消防車と野次馬で溢れ返っていた学生寮前での邂逅。

 サングラスで阻まれた土御門の素顔の一端に触れたような気がした、あの不吉な印象。


 思えばあの時、事情聴取や現場検証すらなく消防車が引き上げたのは、どう考えても異常だった。

 そしてなにより鋼盾がそれをまったくもって“当然のこと”と感じていたこと。

 今の今までずっと、その矛盾を思い出すことすらなかったという、その異常。


 そう、あれは確実に何らかの超常による介入があった。

 例えば精神や認識に介入するタイプの能力者による仕業。

 ―――もしくは、そう、魔術。


 ならば、それを行なったのは、誰だったのか

 なぜ、今になって解かれたのか


 大通りは未だ無人のまま、車の一台すら通らない。

 神裂火織が言うところの人払いの結界は、未だその効力を保っている。


 ならば、なぜ此処に土御門元春が立っているのか

 鋼盾掬彦の友人が、なぜこんなところにいるのか

 ただの一般人であるはずの彼が、どうして


 答えは、明白だ。

 信じたくはないけれど、それは火をみるよりも明らかで。


 倒れ伏す上条にテキパキと応急処置を施しているこの友人は

 そう、間違いなく


536 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:30:08.45 ID:rcRDi7B6o



「……ああ、土御門君、変なこと聞くようだけど、さ
 きみ、魔術師だったりするのかな」

「御名答。オレもあいつら同様、イギリス清教は『必要悪の教会』に所属する魔術師だ
 ……いつから気づいていた?」

「今の今まで確信なんかなかったけど――でも、あの夜にヒントを出してくれてただろ。
 追っ手が二人だけってのも少なすぎるような気がしてたし、他の組織から来ててもおかしくない。
 そもそも――なんだよ“土御門”って。……露骨過ぎて伏線にもなってねえよネタバレ野郎」

「はは、確かにネタバレだな――いや、そんなこと言われたのは初めてだ。
 ……まったく、コウやんはこれだからおっかない」


537 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:31:49.89 ID:rcRDi7B6o



 土御門姓。

 それは平安時代にまで遡る陰陽師の家。

 かの安倍晴明の血脈、旧き呪術の名門 、由緒正しき呪い屋の家系。

 小説や漫画の類にその姓が出てきたら、先ずは異能の使い手と見て間違いない。

 ……フィクションどころか、リアルでもそうなったわけだが……やはりこの世界は、どこか、おかしい。

 だが、それすらももう今更だ。


「びっくりだよ。ステイルや神裂火織と同じなんだね。
…………君も、インデックスを、回収に来たのかな?」

「いや、オレは別の任務についてる。
 学園都市の情報をイギリス清教へと伝える役。所謂、潜入任務というヤツだ」


 簡単に言えばスパイだよ、エージェントだ、と嘯く土御門

 とてもじゃないがスパイには見えない――いや、見えちゃまずいんだろうけどさ。

 とにかくインデックスを追っているわけではない、という彼の言葉を飲み込んでおく。
 

「……学園都市とイギリス清教の間に、なんというか繋がりがあるんだろうなとは思ってた。
 彼らがこの街に入ってこれたのも、インデックスがまだ警備員とかに捕まっていないのもおかしい。
 例えばなにか………なんというか、密約みたいなものでもあるのかな」

「ああ。ステイルと神裂には公式なゲストIDが出ている。
 禁書目録に関してもある程度まではオーケーだ。
 今回のゴタゴタについては“上”の承認を得ているからな」

「……“上”ね」

「ああ、“上”だ」


 上とやらが果たして何を指しているのか。

 鋼盾にはわからないし、土御門も口にはしなかった。

 まあ、そんなことはどうでもいい、それよりも。


538 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:35:48.76 ID:rcRDi7B6o



「ああ、待って……ぼくはまずインデックスの安全を確保しないと。
 神裂はステイルがあの子を追っていると言ってた、放っておけない」

「心配無用だ―――ステイルが禁書目録を追ったのは確保が目的じゃない。
 上条当麻と引き離すためだけだ……というか、率直に言って禁書目録は今世界で一番安全だよ。
 ステイルが、彼女を守る―――あいつは、その為だけに生きているような男だから」

「……………そっか、ステイル、は」


 神裂がそうであったように、ステイルもまたそうなのか。

 かつて鋼盾の部屋で、彼が口にした言葉を思い出す。


 無様に倒れ伏した炎の魔術師は

 しかし折れることなく、鋼盾にその覚悟を、道を示してくれていた


 ああ、彼のことばはすべて胸に刻まれている

 
539 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:36:23.82 ID:rcRDi7B6o



“Fortis931、だよ。うん、僕の出身地に伝わる慣習のようなものでね。
 己の信念や、こうありたいという願いを、自分のもうひとつの名前にするのさ”


“Fortisはラテン語で“強者”を表す言葉だ。
 ……僕は、ある人を護る為に誰よりも強くなりたいと願い、その名を己に冠した”


“僕も盾になりたいよ。
 大切な人を護る盾、その名に相応しい男に”



540 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:37:53.90 ID:rcRDi7B6o



 土御門の言を信じるならば

 ステイルの言う「ある人」がインデックスであるというのならば

 彼は己の真名に誓う程の覚悟を以って、必ずやインデックスを守り抜くだろう

 絶対に、だ

 
 ……だが、そうだとすると

 ステイルは、それほどまでの覚悟を示した彼が、なぜインデックスの敵側にいる?

 命を賭して護ると誓った少女を、なぜ?


 つい先程「ごめんなさい」と繰り返しながらぽろぽろと涙をこぼした神裂火織

 その深い深い悲しみは、きっとそのまま彼女のインデックスへの深い深い愛情そのものだ

 壊れきったその姿についぞ問いを重ねることはできなかったが、恐らく鋼盾はもっとも大切なことを聞き逃した


 ステイル=マグヌスが、神裂火織が

 インデックスを追う理由

 彼女の敵となった理由


541 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:38:53.39 ID:rcRDi7B6o



 ――――いや、わかっている

 もう、わかっている

 ひとつしかない


 護るため、だ

 インデックスを、あの子を護るため

 そのために、ステイルは、神裂は――望まぬ役目に就いている

 インデックスを護るため、インデックスを傷つけている

 
 そして……きっと土御門元春はその理由を知っている

 彼は恐らく、鋼盾にそれを伝えにきたのだ


 ならば己はそれを聞かねばならない

 他ならぬ己が、聞かねばならない


542 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:39:58.66 ID:rcRDi7B6o



「わかった、信じる……それで、どうしてこのタイミングで出てきたんだよ。
 黒幕キャラが表舞台に出てくるのって、なんだかんだで死亡フラグなんじゃない?」

「ハッ、オレなんか黒幕でもなんでもないさ。
 半端者の使い走りだ、科学(このまち)からも魔術(きょうかい)からも軽んじられる立場だよ
 ―――そうだな、今の俺は魔術師でもなんでもない、ただの土御門元春として動いている」


 魔術師もスパイも失格だ、そんなセリフを嘯いて。

 土御門元春は、我が身を呪うように歪に笑った。


「……それは、ぼくや上条くんの友達としての土御門くんということでいいのかな?」

「ああ、いつもの土御門さんということでオッケーですたい。
 ま、コウやんカミやんとの麗しの友情のためだけに動いている訳じゃないんだけどにゃー。
 こっちにも、いろいろ事情があるんだぜよ」


 口調が常のふざけたソレに切り替わった。

 魔術師然とした真面目な口調とのギャップに、こんな状況だというのに笑みが零れる。

 しゃべりながら行われていた上条への応急処置も、どうやら一段落のようだ。


「っし! 応急手当完了だぜい! ……ったく神裂め、無駄な傷をつけやがって。
 ……まあ、一日二日で目を覚ますと思うぜよ、完治は一週間ってとこだが、カミやんならもっと早いかもにゃー」


 彼が傷の治療に秀でていることは鋼盾もよく知っている。

 ……てっきり肉体再生なる能力ゆえと思い込んでいたが、あるいは魔術師であるがゆえに通じざるを得なかったのかもしれない。

 土御門は応急キットをポケットに捻じ込むと、鋼盾へと向き直り、その口を開いた。



543 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:42:39.88 ID:rcRDi7B6o



「すまない、コウやん……オレはこの問題に立場上、どうしても介入できない」


 それは謝罪、それは懺悔

 土御門元春はその立ち位置ゆえに、鋼盾と上条が関わったこの案件に手が出せないという


 あの日、自分は主役にはなれないと苦く笑った彼

 己は端役に過ぎぬと、諦めたように“後始末”へと赴いた彼


「……どうしようもなく雁字搦めなんだよ、オレは、無様なことに。
 神裂とステイルの監視が剥がれた空隙を狙って、学園都市上層部が見逃してくれる程度の助力しかできない。
 ――――こうして会話が出来るのだって、あと十分が精々だ」


 友人の、おまえらの窮地に、この程度のことしかできないと

 彼は悔いるように頭を下げ、恥じ入るように言葉を紡いだ

 ―――それは、鋼盾がいつだって上条に対して抱いている感情とよく似ていた


 無様な己への憤り

 重荷を背負わせる罪悪感

 身勝手な嫉妬


 土御門はその痛みに耐え、鋼盾の前に立っている

 裏方の分を超え、恐らくは己の身を危険に曝して、この場に立っている


 ならば

 それに応えよう

 友達だから

 あたりまえに


544 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:43:14.79 ID:rcRDi7B6o



「……聞かせてくれ、親友」

「すまない、ありがとう……コウやん、どうか落ち着いて聞いてほしい。

 7月28日午前零時―――禁書目録が」


 血を吐くように、振り絞るように、楔を刻むように

 あるいは聖書の一節を歌い上げるかのように


 土御門元春が、言葉を紡ぐ

 さながら預言者のように、鋼盾へと残酷な運命を伝える




545 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 22:46:57.55 ID:rcRDi7B6o






「あの子が、七度目の死を迎える」





546 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/09/27(火) 23:04:36.95 ID:rcRDi7B6o






――――――――


ここまで

てなわけで土御門さん介入です!
わーい俺得

このスレの現時点での捏造キャラ第一位は当然鋼盾くんですが
二位は土御門さんかもしれません、三位は青ピですかね

………え? 誘波さん?やだなあ原作に忠実だよ!


あ、このスレではインデックスの年齢を15歳にしてみました
インさんの年齢については各々イメージがあるかもですが、>>1はタメ年派です
美琴やステイルと同じ14歳派、いやいや13歳派のみなさんには悪いが、ここはわがままを通します

んじゃ
週末には戻ります!
さらば!
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 23:59:47.66 ID:niVdi9XAO
14歳派だが乙!
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/28(水) 00:42:53.61 ID:uGZ8T214o

お仕事頑張って!

インさんに歳なんて関係無いんだよ
永遠に子供のままさ!
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/28(水) 01:01:58.84 ID:KpF7azjTo
まあ永遠のお貧ちゃんだよな
どこがとは言わないがね・・・
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 01:35:55.86 ID:G5yWfCpeo
       iイ彡 _=三三三f           ヽ
        !イ 彡彡´_ -_=={    二三三ニニニニヽ
       fイ 彡彡ィ 彡イ/    ィ_‐- 、   ̄ ̄ ヽ     し  ま
       f彡イ彡彡ィ/     f _ ̄ ヾユ  fヱ‐ォ     て  る
       f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ    い  で
       イイレ、´彡f        ヽ 二 _rソ  弋_ { .リ    な  成
       fノ /) 彡!               ィ     ノ ̄l      .い   長
       トヾ__ら 'イf     u    /_ヽ,,テtt,仏  !     :
       |l|ヽ ー  '/          rfイf〃イ川トリ /      .:
       r!lト、{'ー‐    ヽ      ´    ヾミ、  /       :
      / \ゞ    ヽ   ヽ               ヽ /
      ./    \    \   ヽ          /
   /〈     \                 ノ
-‐ ´ ヽ ヽ       \\     \        人
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/09/28(水) 03:14:44.16 ID:N6bhVi1do
だがそれがいい
インデックスさんじゅうななさいになっても俺は愛で続けるよ
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/28(水) 06:10:22.23 ID:wWaHxbXAo
       iイ彡 _=三三三f           ヽ
        !イ 彡彡´_ -_=={    二三三ニニニニヽ
       fイ 彡彡ィ 彡イ/    ィ_‐- 、   ̄ ̄ ヽ     し  や
       f彡イ彡彡ィ/     f _ ̄ ヾユ  fヱ‐ォ     ち  は
       f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ    ゃ  り
       イイレ、´彡f        ヽ 二 _rソ  弋_ { .リ    い  成
       fノ /) 彡!               ィ     ノ ̄l      .け   長
       トヾ__ら 'イf     u    /_ヽ,,テtt,仏  !     な
       |l|ヽ ー  '/          rfイf〃イ川トリ /      .い
       r!lト、{'ー‐    ヽ      ´    ヾミ、  /       :
      / \ゞ    ヽ   ヽ               ヽ /      :
      ./    \    \   ヽ          /       :
   /〈     \                 ノ
-‐ ´ ヽ ヽ       \\     \        人
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/09/28(水) 18:14:06.48 ID:+EEvooNAO
恋風に
心は揺れど
乳揺れず
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/09/28(水) 18:19:02.53 ID:wlsBc9Jy0
インデックスが無いんじゃない。
無いからインデックスなんだ!!
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/28(水) 18:32:20.21 ID:uGZ8T214o
>>553
胸奥底の
覚悟も揺れず
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/28(水) 20:31:28.31 ID:OrE7b1kAO
十四歳以外あり得んだろ、対が大好きなかまちー的に考えて……とは思うが乙!


美琴もインさんもあと四年後位には胸囲九十オーバーだと思うんだかなぁ、他の人は違うのか?
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/09/28(水) 21:09:19.69 ID:fxFnEUEho
あくまでも”胸囲”なんですね…
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/28(水) 22:10:33.17 ID:OrE7b1kAO
>>557
流石にドラム缶体型にはならんと思ったからああ書いたが……ならバストで良いよ。
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/28(水) 22:26:27.08 ID:uGZ8T214o
>>558
お前わざと言ってるだろwww
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 14:35:39.29 ID:D6NXSAKAO
つ巨乳御手
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/29(木) 23:54:15.36 ID:5hQQcIZSo
久しぶりに見に来れたら全力疾走だったでござる。
補習で見せたような風が吹けば桶屋が儲かる式のサドっぷりでござる。
拙者貧乳ならなんでも良いでござる。
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/09/30(金) 02:04:25.19 ID:ttLLmGqt0
補習が補乳に見えた氏にたい
おや、常盤台のおz
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/30(金) 12:52:41.93 ID:FB80u0cQo
         ,. ‐''三ヾ´彡シ,=`丶、
     /'".:=≡ミ_≧_尨彡三:ヽ、
    //.:;:彡:f'"´‐------ ``'r=:l
    /〃彡_彡′,.=、 ̄ ̄ ,.=、 |ミ:〉
   'y=、、:f´===tr==、.___,. ==、._ゞ{
   {´yヘl'′   |   /⌒l′  |`Y}
   ゙、ゝ)       `''''ツ_  _;`ー‐'゙:::::l{   大きくなったら
.    ヽ.__     ,ィnmmm、   .:::|!   そこでヒロイン終了ですよ・・・・
  ,.ィ'´ト.´     ´`"`"`゙″ .::::;'
イ´::ノ|::::l \         "'   :::/
::::::::::::|:::::l   ヽ、      ..::  .:::/.、
:::::: ::: |:::::ヽ    ヽ、.......::::/..:::/!\\
::::::::::: |::::::::ヽ    ``''‐--ァt''′ |!:::ヽ:::\
:::::::::::::|::::::::::::ヽ、       /i|iト、  |l:::::::ヽ:::::\
:::::::::::::|::::::::::::::/:ヽ、   ∧|i|i|i|〉. ||::::::::::ヽ:::::::\
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 21:01:38.61 ID:eM84Abmzo
           __,..-――- 、             トミ>,ir、i
         //rニミミヽ彡ニミミヽ\        r'三ニ´‐''´:::::| ト、
        ////イミ、ヾ、∨frヽヽ ヽヽ\       `|  〉  :::::::| !ヽ
        l  /| ,,,,, |   |‖  ヽヽヽ      ヽ_/   :::/ r ノ
       |  ‖|  ii / | ;;; |‖    ヘ       |    | i::i
        ! ‖ ||,.ノヘ に,|-、,_|‖‖    ハ,      |    ヽソ
       |ii‖‖ir_rユ〉 、,|∠rュ,|‖‖i i i ii‖      l
      ‖‖ | |ト r'/  `|  ヽ, r|‖‖‖‖||       ',
       ‖‖‖| i ! ト、ー、 |   !i|‖‖‖‖|       ヽ    /
       ‖‖ | | u _二..._ |  ii ‖‖‖‖‖|       ヽ  /       先生
       ‖‖| |   i┘└┴|;  ii ‖‖‖‖‖|        ヽ/_,.-''´
       ‖‖ ||、 '~ ̄ ̄` |  ij|‖‖‖‖ |       ,.-'''´        おっぱい以外のレスも欲しいです……
       ‖ ‖ハ       |_,. -|‖‖‖‖‖|      /
       ‖  ‖ |ヽ、_,. -'"|::: /イ‖     ‖   /
       ‖i i‖‖ハ:::::::::::::::::: | //ノ‖     ‖  /
      ヽヽヽヽヽ ハ ::::::::  レ//|‖‖j j j j jノ_/
       \\>'''ハ        |,>'´    /
     ,.. - ''´     ,.|    / _,. '´     /
    /      //    /      /
   /       / /     >      /
  l      / ,/`ー―''r'´      /
  |      ヽ /` ̄ ̄ ̄|      ,/
  |      |/   ;;;;  |      /
  |       レ    ;;;;;  |    /
         |        |   /

レス感謝です。↑のアレは様式美な! このロリコンども! 愛してるぜ! 帰ってきたぜ!
「乙」の一文字で踊りだす>>1ですので、「おっぱい」ならブレイクダンスに突入いたします

スラムダンク、ちょうど最近読み返しました……未だに自分がゴリより年上とか信じられねえ
しかし監督連中にものすごっつ感情移入してしまった! 湘北に負けが決まった時の田岡監督の表情とか堪らんよね!

できれば今晩、無理でも明日には更新いたします
もし覚えている人がいればですが、いつだったか総合に投下した「背中刺す刃と献身的な仔羊」を読み返してなんか頂けると三割増しで楽しめるかもです

んでは!
己を追い込む予告age!
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/30(金) 21:19:20.23 ID:eM84Abmzo
上げれてなかったでござる
拙者、“もっとも正解に近い”Cカップ好きでござる
でも“Dカップ”という言葉には、得も言われぬ魅力を感じるのを否定できないでござる
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 23:45:15.35 ID:eMLIEk2AO
乙ぱい
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/01(土) 00:16:32.17 ID:hyJtFAJYo
神裂さんのは夢を見過ぎなんですね。わかります。
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:18:41.25 ID:QuzI2tsUo



 インデックスが七度目の死を迎える、と土御門は言った。

 あの子が死ぬという衝撃的な内容にも関わらず、その言葉を聞いた鋼盾が感じたのは奇妙な納得。


 ひどく、その言葉が腑に落ちた。

 なるほどそうだろう、そのくらいのことがなければ、魔術師たちの反応に説明がつかない。
 
 酷薄に過ぎる己の思考に舌を噛み千切りたくなるも、今突き詰めるべきはそこではない。


 七度目、と彼は言った。

 “死”とは誰にとっても一度きり、けして繰り返せるようなものではない。

 それなのに、七度目だと言うのだ、七度も彼女は死んだというのだ。


 そもそも、死とはなんなのだろうか

 今この世界に生きる人間は、誰も死んだことがない

 故に誰一人として、その本質など知り得まい


 それでも、死んだことなどない鋼盾は思考を続ける。

 漠然と思いつく言葉は陳腐極まりないが、“自己の喪失”

 そこに思い至った途端、鋼盾はインデックスの抱えるこの上ない喪失を思い出し、震えた。


569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:20:59.61 ID:QuzI2tsUo



 それは、死にも等しき喪失

 己の存在が消えることが死であるならば、なるほど確かにあの子は既に死んでいる


 “わたしには、一年以上前の、記憶がないから”

 “どうしてあなたは忘れなければいけない!? どうしてわたしはあなたにわすれられないといけないのですか!?”


 記憶喪失

 一年前のソレが、彼女にとっての六度目の死であるとしたら?

 仮にそうだとすれば、“七度目の死”とは、つまり―――


「……あの子が、また、記憶を喪う?」

「………ああ、ほぼ正解だ。
 付け加えるならば、一年周期で記憶を消去しないと、あの子は本当の意味で死んでしまうんだよ」


 土御門が鋼盾のつぶやきに応じる。

 その台詞には、決して聞き捨てならない言葉があった。

 鋼盾は慌てて土御門を問い詰める。


「……ちょっと待って、今、“記憶を消す”って言った?
 インデックスの記憶喪失は――――教会の、仕業なのか?」

「ああ、そうだよ――その通りだコウやん。
 10万3000冊の魔道書は彼女の脳の実に85パーセントもを占有し、のこる15パーセントもその完全記憶能力ゆえに日々削られてゆく。
 故に年に一度の記憶消去処理を行わねば、禁書目録はその命を落とす――そう、教会の上層部はオレたちに説明している」


570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:22:42.80 ID:QuzI2tsUo



 インデックスが小萌の家で、己の記憶喪失とその後の一年間の逃亡生活について教えてくれたあの日

 “こわかった”と繰り返したあの子、その理不尽で不条理な喪失と痛みに、鋼盾は果てのない怒りを覚えた

 もうこれ以上、あの子から何ひとつとて喪わせはしないと誓った


 その理不尽を、その不条理を、その絶望を、追っ手に怯え続け心をすり減らす一年間を

 あの子に押し付けたのは他ならぬイギリス清教であると、土御門は言った


 それを一度ではなく、六度にも、わたって?

 繰り返し、繰り、返した、だと?


「ふざけるな! 
 ……ふざけるな、よ……なんなんだ、それはッ! 土御門ッ!!」

「……落ち着け、コウやん、まだ話の途中だ。
 とは言えその怒りはもっともだよ―――イギリス清教は、俺たちは、それだけのことをしているからな」


 鋼盾の言葉を当然と認め、しかし先を聞けと語る友人の姿に、鋼盾は一旦鉾を収める。

 しかしギラつく眼差しのままに己を睨み据える友人のどうしようもない正しさに、土御門は自嘲に塗れた笑みを浮かべた。


「――続けるぞ、コウやん。一年周期で記憶を消去しないと死んでしまう、それはどうしようもないことだと教会は言っている。
 だが……正直、胡散臭い話だ。しかし事実、あの子は一年ごとに昏倒し、そのたびに教会は記憶を奪い続けてきた。
 そうやってここ七年、オレらイギリス清教は10万3000冊の魔道図書館を維持してきたんだ」


 あまりに残酷な魔道図書館の運営法

 一年ごとにインデックスはすべてを失い、死に、そしてまた生き返ってきたという


「神裂とステイル、あのふたりが就いているのは、そういう任務だ。
 あいつらこの数年、ずっと親友だったあの子を助けるため、彼女記憶を殺し続けてる。
 さっきの神裂への非難は尤もだが………まあ、そんな理由があるんだよ」


 記憶を奪わねば、インデックスは死んでしまう。

 記憶を奪えは、インデックスはすべてを忘れてしまう。


 あまりに残酷なその二択――いや、一択か

 ステイルが、神裂が選ぶのは前者以外にありえまい


 たとえ彼女がすべてを忘れてしまっても、それでも―――それでも生きていて欲しいと彼らは願い、回収任務に赴いたのだろう。

 警戒と恐怖に彩られた友人の姿に、向けられたその眼差しに、あのふたりは一体何を思ったのだろうか。


 ……正直、想像もしたくない

 上条に、青髪に、土御門に、クラスの皆に―――そんな眼差しを向けられたら

 己は絶対に心が折れることであろう、絶対に、だ


571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:24:38.52 ID:QuzI2tsUo



「片や世界に20人しか居ない聖人、片やルーンを極めし天才少年。
 神裂もステイルもどうしようもなく優秀な魔術師だ………だが、あの子が絡むと途端にガキになる。
 感情の制御の利かぬガキ、視野の狭いガキ、己の悲劇に酔いしれるだけの、どうしようもない愚かなガキに、な
 ……まあ、ぶっちゃけ今回限りはオレもあいつらのことは言えそうにないが」


 己もまた愚かなガキに他ならない、と彼は言う

 ステイルや神裂と同じ、インデックスが絡むと途端にダメダメな、愚かなガキだという


 鋼盾もソレに気づいていた、気づかないわけがなかった

 そう、土御門元春は、いつからかインデックスのことを“禁書目録”などという無味乾燥な備品名ではなく、

 “あの子”と、確かにそう呼んでいた


「コウやん、俺もお前と同じだ。
 カミやんとも同じで、神裂やステイルとも同じなんだ」


 鋼盾が、上条が、ステイルが、神裂が、そう呼ぶように

 土御門元春は、インデックスのことを“あの子”と呼ばわった


 愛おしそうに

 大切な人を、呼ぶように


「―――土御門くん、きみは、まさか」


 鋼盾、上条、ステイル、神裂。

 この四者の共通点は、たったひとつ、たったひとりだけ。

 インデックス、あの子ただひとりだけだ。


「そうだよコウやん、オレはあの子の……そうだな、初代のパートナーといったところか」


 今代のパートナーである鋼盾掬彦と上条当麻、お前らと同じ場所に立っていた、と。

 先代のパートナーである神裂火織とステイル=マグヌス、彼らと同じ場所に立っていた、と。


 七年前の、あの日

 オレはあの子のとなりに居た、と

 土御門元春は、何かを思い出すように天を仰いだ


572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:25:35.02 ID:QuzI2tsUo



「あの子はオレの、初恋の女の子だよ。
 銀髪で、翡翠のような瞳をした、嬉しげにオレの名を呼ぶ同い年の少女に、

 ――――オレは、確かに恋をしていた」


573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:28:04.50 ID:QuzI2tsUo



 黒髪の少年と、銀髪の少女

 ステンドグラスが照らす教会に、幼い彼らは忍び込む


 少年は顔を真赤にして、幼くも真摯な愛を歌い上げ

 少女も顔を真赤にして、こくりと小さくうなずいて


 神父はいない

 指輪もない

 ドレスもない

 祝福もない


 そんな、ままごとめいた結婚式ごっこ

 それでもふたりはきっと、せかいでいちばん、しあわせなふたりだった


574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:30:56.46 ID:QuzI2tsUo



 ――そんな幸せな情景が、かつて確かにあった

 だけど、その少女はもうどこにもいない

 土御門元春が、少年が愛した少女はもう、この世のどこにもいない



 忘れてしまった

 死んでしまった


 幾度と無く繰り返される死の、それが一回目

 己を見て、“あなた、だあれ?”と首を傾げた少女に、土御門元春は何一つ言葉をかけることが出来なかった

 失意の彼に甘言を弄すはイギリス清教の実質的な支配者、最大主教・ローラ・スチュワート

 その長い指が、土御門の頭を愛おしむように、嘲るようにやさしく撫でて――――


 かくして少年は英国の深い深い闇へと堕ちてゆくこととなる


 齢七つにして清明の再来と呼ばれた天才少年、既に陰陽博士の座を確約された土御門元春

 後に魔法名『背中刺す刃(Fallere825)』を名乗る彼の、転機たる悲劇


 そんな悲劇を六つほど積み上げて

 そんな死を六つほど積み上げて

 あの子は今、おまえの隣にいるんだよ、と


575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:31:23.51 ID:QuzI2tsUo



 土御門元春は鋼盾掬彦に初恋の話をした

 修学旅行の深夜の一幕のような軽い口調で、実らなかった恋の話をした



576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/01(土) 00:38:09.26 ID:QuzI2tsUo












――――――――


ここまで

ふふふ、男子高校生のコイバナですよ奥さん! 萌え!
……>>1がコイバナ書くとこんな風になります、どうしてくれよう

一応原作でこんなのもありえたんじゃないか、というつもりで書いたのですが
えーと、うん、いやー、その、すごく、捏造というか、なんというか!

さて、>>1がひとりで勝手に熱望している陰陽目録
以前あわよくば誰か拾ってくれないかなーとか思って以前総合にさわりだけ垂れ流しましたが
やっぱり誰も書いてくれねえでやんの、うう、仕方ないのでここで出したりました
いろいろ設定がいい加減ですが、広い心でショタ御門を愛でていただければと思います

俺得ではあるのですが、どうでしょうか
次回で土御門編も終わります。よろしければまたお付き合い下さい



577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/01(土) 00:44:19.71 ID:mBoQrE9AO
おつ

トリ忘れすぎドジっ娘萌え
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/01(土) 09:25:47.11 ID:Yggl89Oro

元春ェ!


元春ぇ……

言葉が出ねぇぜ
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/01(土) 10:26:31.38 ID:Z7NuX00AO
なんでインデックスすぐ忘れてしまうん?




切ないぜ
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/01(土) 12:43:33.00 ID:WN6I1dOWo
インデックスさんマジ魔性の女

乙です
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/01(土) 12:56:08.00 ID:U/S/CPVKo
乙。舞夏は消去法ってか失恋の哀しみで一線越えちゃったのかねえ…そう考えないといけなくなるんで陰陽目録押したくないのよね。

しかしこうなるとローラがあまりに酷過ぎる…マジで魔女ですな。
582 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/01(土) 18:43:30.82 ID:QuzI2tsUo
うおお、やっちまった
なんで>>1酉忘れてしまうん…?

つうわけで名無しさんの正体は>>1でござる
……くそ、おまえらに>>1がDカップに憧れるCカップのドジっ娘だとバレてしまったぜ! 
不覚ッ!

来週も週半ばから出張なので、それまで一回できれば二回、投下したいなあと目論見中
春夏(略し方これでいいの?)ってどこらへんまでガチなんかね?
>>1はなんだかんだで家族愛かなーと思ってたけど、一線超えてるのか…

あ、舞夏でますよ

んじゃ、近日中に!
583 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/10/01(土) 18:47:30.49 ID:QuzI2tsUo
なんで>>1sage忘れてしまうん……?

いつだって書き込みボタン押したあとに気づくのです
>>1なんて大事な場面でその幻想をぶち[ピーーー]とかやって笑われればいいんだ

すまねえええ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/01(土) 18:51:19.30 ID:TSzINkIuo
ヤダこの>>1ドジっ娘可愛い乙
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/01(土) 21:27:14.00 ID:Yggl89Oro
ヤダこの>>1貧乳っ子もえぇぇぇぇl!!
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/02(日) 00:18:54.60 ID:tjI6ozOAO
ヤダこの>>1お持ち帰りたい
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/02(日) 02:49:45.93 ID:2Xuyhbtio
つまりまとめると>>1は貧乳でドジっ子でお持ち帰り出来るようなロリってことか…?
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/02(日) 10:48:10.89 ID:y0wwVGYAO
>>587
それに鬼上司がいるを追加な。
…つまりサーシャか。ロシアから投稿してたとは……
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/02(日) 12:25:15.29 ID:phfFLMSyo
やべえこのままじゃ誘波さんの時の二の舞にッ!
この流れを断ち切るには投下しかないぜ!

8割書き上がってるので、もうひとがんばりして投下します
ロシアより哀を込めて←嘘

あ、訂正。ローラ・スチュワートじゃなくてローラ=スチュアートでござる
ワとア、紛らわしい!と愚痴をたれてみる。あと真ん中の=はステイルでも数回忘れてます。すまんです
590 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 12:26:17.89 ID:phfFLMSyo
そしてまた酉忘れとか……もうだめぽ
しにたい
591 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 13:50:27.78 ID:phfFLMSyo







――――――――



「―――もう随分昔の話だ。オレもあの子も、十にも満たぬガキだった。
 彼女がまだ、禁書目録なんて忌々しい名前で呼ばれる前のことだよ。

 ……もう、オレ以外の誰も覚えていないような話だ」


 土御門の語る恋物語

 あるいは死別より遠いかも知れぬその別離、英国の深い深い闇

 なんでもないことのように僅かに微笑みすら浮かべ、土御門元春は訥々と悲劇を語った


 鋼盾も、おそらくはインデックス当人すらも知らぬ、彼女のほんとうの名前

 しかしそれは今のあの子のものではなく、もういないかつての少女の名前


 土御門元春の愛した少女の名前


 そんな女の子は、もうどこにもいない

 忘れてしまった、消えてしまった、死んでしまった


592 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 13:55:11.35 ID:phfFLMSyo



 Index-Librorum-Prohibitorum―――禁書目録

 イギリス清教の誇る魔道図書館


 その中庭には六つの十字架が並んでいる

 それは墓標、とある女の子たちの墓標

 亡骸はなく、想いだけが埋まっている墓標 


 金髪にサングラスの少年が、一番古い墓の前で立ち尽くしている

 赤髪の神父が、五番目の墓の前で立ち尽くしている

 日本刀を携えた女が六番目の墓の前で立ち尽くしている


 二番目の墓の前にも、三番目の墓の前にも、四番目の墓の前にも

 誰かが立ち尽くしている、立ち尽くしている、立ち尽くしている

 
 誰も彼も、死人のような顔をして

 立ち尽くしている


 そして、その六つの墓の隣には

 七つ目の墓穴が、既に掘られている

 絶望を埋める為の深い虚が口を開ている


 その墓穴の前に立ち尽くしている、無様で無力な男の少年の名は――――


593 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 13:56:54.47 ID:phfFLMSyo



「……まあ、オレのことは別にいいんだよ。
 これからの話をしようか、コウやん」


 悪夢じみた妄想に囚われた鋼盾を、土御門の言葉が引き戻す。

 これからの話、と彼は言う。

 過去はどうでもいい、未来の話をしようと言う。


「さっきも言ったが、今回の神裂の襲撃の理由は、上条当麻の自由を奪うことであの子の逃亡を封じることにある。
 自分のせいで傷ついたカミやんを見捨てて逃亡を図ることなど、あの子には絶対にできないからな。
 ……直にあの子は脳にかかる負荷で意識を喪うことになる、その場所さえわかってさえいれば、あとは簡単だ」


 一年間に渡り、ステイルと神裂から逃げ続けたというインデックス。

 神裂と対峙した今となっては、それがどれほど異常な事かがわかる。


 アレを相手に何をどうすれば逃げ切れるのかなど、全く思いつくことができない。

 鋼盾よりずっと機転がきき、荒事修羅場の類にも慣れた上条を無傷で叩き伏せたその実力。

 その上優秀な魔術師であるらしいステイルもそこに加わるのだ。
 
 
 それを、一年間

 単身にて、逃げ続けたという異常

 
 インデックスの知識量、応用力、最適解を導くその在り方

 魔道図書館の自己防衛システム……教会によって植えられた、というその機能


 神裂は、インデックスの危機回避能力を高く評価していた。

 歩く教会という絶対防御術式が壊れた今でさえ、神裂の警戒は揺らいでいない。


 それ故の、今回の襲撃

 ――――つまり、ぼくらは足枷か


 上条当麻を動けなくすることで、インデックスをこの街に縛り付ける。

 タイムリミットは近い。


 7月28日午前0時。

 もう23日も終わる、実質あと4日といったところか。

 このまま彼女を縛り続けて、そうして―――――
 

594 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 13:58:44.07 ID:phfFLMSyo



「――インデックスの記憶がまた、奪われてしまう。
 ステイルも、神裂も、それを繰り返すつもりなんだね。
 護るために、あの子を殺す……きみも、それをよしとするの?」


 眼前の男、土御門は必要悪の教会の教会の人間だ

 彼は―――彼も、インデックスを、殺すのか

 
 殺さぬために、殺すのか

 魔道図書館の維持のために、ひとりの少女を殺すのか


 あの子を

 あんな普通の女の子を

 ころして、埋めるのか

 おまえたちは

595 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:05:49.26 ID:phfFLMSyo
 


 六番目の墓標の隣には、七番目のための墓穴がある

 その隣には、八番目の墓標のためのスペースがある


 その隣には九番目のためのスペースが

 その隣には十番目が、その隣には十一番目が、

 十二番目、十三番目、一四番目、一五番目、一六番目が


 既に、用意されている

 英国清教の手によって、滞りなく整えられている

 
 無限に続く墓標、増え続ける弔問者たち、積もる絶望


 肉体が役目を終える、その時まで

 その少女は、その女は、その老婆は


 一年ごとに、殺される

 何度も何度も、殺される


 献身の仔羊を生贄に捧げて

 祈りを捧げて救済と愛を語るはイギリス清教

 貴様等の神は其を貪り喰らうのか

 貴様等は其を善しとするのか

 Amen、そうあれかしと

 口にするのか



 そんなにも、この世界は狂ってしまっているのか



 鋼盾のその問いに、土御門は答える。

 初代のパートナーである、彼が答える。


596 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:08:46.58 ID:phfFLMSyo
「そうだな……そう、思っていたよ。
 もうあの子は忘れてしまっているとはいえ、禁書目録を背負ったのは彼女の意志。
 “Dedicatus545”――献身的な子羊は強者の知識を守る、その魔法名の宣誓を、オレは隣で見ていたんだ」


 七年前の、あの日

 倫敦は聖ジョージ大聖堂にて

 ひとつの秘跡が、執り行なわれた


 ―――少女よ、心して聞きなさい

 禁書目録たりうる素養と覚悟を持つ、信仰篤き我が誇るべき同胞よ

 
 おまえは知っているのか

 おまえ往かんとする道には、なにもないと知っているのか


 その道に人としての幸福はない

 その道に人としての達成はない

 その道に人としての成長はない

 その道に人としての救済はない


 なぜならおまえは人間ではなくなる

 もう、その可愛らしい名前すら呼んでは貰えなくなる

 機械に、備品に、戦略兵器に、毒壺に、忌むべき禁書魔道書そのものになる

 世界中の穢れを一手に引き受けるそんな存在に――――人に非ざる化物になる


 人間であれば、ただそれだけで得ることのできる膨大なもの

 人間をやめた私は今でもその喪失を思い身を焦がしている、とインデックスに語るのはローラ=スチュアート


 魔女の中の魔女が、英国清教そのものであるその女が

 己と同じ道を往かんとする少女に最後の確認をする


 今おまえの手の中にあるもの

 それら総てを擲って


 神のために

 人のために

 英国のために

 清教のために


 その生命を、魂を―――捧げてくれるか

 そんな、悲痛な問いかけに


597 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:10:31.79 ID:phfFLMSyo


“献身的な仔羊は強者の知識を守る、
 dedicatus545―――それがわたしの魔法名です”


 
 それだけ、答えて

 あの子は笑った

 
 その微笑があまりにも綺麗で

 土御門元春は、恋に落ちてしまったのだ


「聖女を見た、そう思ったよ………あの子の献身に、オレは神の存在を感じた。
 ――だから、それを受け入れようと思って生きてきた。なんどもあの子を見殺しにしてきた」


 あまりに気高い少女の献身

 その崇高な決意を、己の身勝手な願望で汚すことなど出来よう筈もない

 土御門元春はそう思い、総てを受け入れることにした

 胸は傷んだが、そんなものは少女が背負ったモノと比べることすら出来なかった


598 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:13:26.41 ID:phfFLMSyo



「でもコウやん……コウやんは言った
 “記憶を失ったただの女の子が、覚えてもいない宣誓と宿命に縛られるのが許せない”と」


 そう

 あの子には、理不尽な喪失に怯えるインデックスにはそんなものは関係ない


「そしてカミやんもこう言った
 “俺たちの勝利条件は、あの子の笑顔を守り続けることだ”と」


 そう

 あの子が喪失の恐怖に怯えなくて済むようにしてやらねばならない


「まったく、小っ恥ずかしい台詞だにゃー。素面とは思えないんだぜい」


 誂うように、土御門は微笑む

 優しい声で、言葉を紡ぐ


「……でも、響いたよ、痛快だった…………あれは、ヒーローの台詞だ。
 オレがずっと待ってたヒーローの、オレにはなれなかったヒーローのセリフだ」


 それは確かに自分たちの台詞

 小萌宅で上条たちと再会したあの夜

 ぼくらは確かにそれを誓った、ぼくらは確かにそれを掲げた

 一体どんな手段を用いてか、その会話を土御門は聞いていたらしい

 
「そんな言葉ひとつで、オレは」


 誠実なる裏切り者たらんと誓った少年

 土御門元春、不転を謳った筈の綱渡りのピエロは無様にバランスを崩し、落ちて、

 そして


「もう、取り繕えなくなってしまった」


 土御門はサングラスを外す。

 一学期まるまる共に日々を送ってきたクラスメイトの素顔をみるのは、笑ってしまうことにこれが初めて。

 意外な程に整ったその顔に浮かぶのは、ついぞ見たことのない真摯な表情。

 上条も青ピも小萌も吹寄もクラスの皆も、誰も見たことのないであろう真剣な眼差し。


599 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:16:37.39 ID:phfFLMSyo



「頼む、コウやん。
 あの子を、“     ”だったあの子を救ってやってくれ」


 メイクを落とした道化師

 取り繕うことを諦め、演じることを諦め、偽ることを諦め


 諦めることを、諦めて

 かつて愛した女の子の名前を呼ぶ少年は、救ってくれと嘆願する少年は


 極まりなく滑稽で、この上なく真っ当で、なんともいえず無様で、どうしようもなく直向で

 笑ってしまうくらいに、泣きたくなるくらいに、一生懸命だった


600 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:18:22.14 ID:phfFLMSyo



「時間はもうない。
 あの子に近づくことが許されないオレには、あの子を縛る絡繰を調べることはかなわない」


 禁書目録は世界の均衡を崩しうる存在で

 バランサーはバランサーゆえにバランスを崩すことができない

 土御門元春は己の覚悟と宣誓、なにより守るべきものの為にそれができない


「だが、それが魔術に属するものなら、カミやんの右手で打払えるかもしれない。
 それが体質に由来するものなら、学園都市の技術で取り去ることができるかもしれない。
 あの子を縛る糸を断ち切る、そんな方法があるかもしれないんだ」


 だが、鋼盾掬彦なら、上条当麻なら

 誇るべき我が友人たちなら

 きっと

 きっと


601 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:20:18.89 ID:phfFLMSyo


「……土御門くんは、それでいいの?
 ぼくらみたいな素人に任せて、それでいいのか?
 君が――だれよりずっとインデックスを見てきたきみが、ヒーローにならなくていいの?」


 自分は、上条は、何も知らない無力な子どもに過ぎない

 ずっと戦い続けてきたのであろう土御門元春、きみこそがヒーローに相応しいと鋼盾は思う


「オレにはその資格がない、力がない、覚悟がない
 ――――その道を、オレは選ぶことができなかったんだ」


 だが土御門は頭を振る、鋼盾の言葉を否定する

 ヒーローにはなれないと苦く笑った、あの時と同じ表情で


「……そして何より、今のオレにとって一番は舞夏だ。この件には、これ以上関われない。
 それは揺るがない。この身のすべてはアイツのために使うと決めている。
 だから今回のことは……気まぐれで、感傷だ」


 彼には他に一番が居る

 初恋に殉じ、甘やかな悲劇に酔うだけではいられない

 オレはその道を選べなかった、だけど……だから


「背負わせて、すまない。中途半端で、申し訳ない。
インデックスに笑顔をくれて、ありがとう。……オレたちには、できないことだから。

 ……ああ、もう時間切れだ。オレはもう行く……重ければ、忘れてくれ」


602 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:21:50.88 ID:phfFLMSyo



 鋼盾に背を向け、闇へと歩みだす土御門

 その背に向けて鋼盾は言葉を紡ぐ


「……ぼくは――ぼくも、ヒーローじゃない」


 知っているだろう土御門元春

 お前の友人、鋼盾掬彦はこの街で一番無力な羊

 これまでの人生で、なにひとつとして成し遂げてはこなかったダメなヤツだ


 ああ、でも

 だけど


「だけど、それでもインデックスを助けると決めた」


 誓った

 誓ったのだ


「あがいて、みせる。
 ……これ以上、なにかひとつでも奪うと世迷言をいう奴らがいるのなら―――」


 羊の角

 それは敵を貫くものではない

 鋭くはない、固くもない、先の丸まった、飾のようなものかもしれないが

 それでも、それでも


603 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:22:42.25 ID:phfFLMSyo




「―――そんなふざけた幻想は、ぶち壊してみせる」



604 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:24:18.27 ID:phfFLMSyo


「……ありがとう、コウやん」


 闇の中から途切れるように土御門の応えが帰ってきて、それきり当たりは静寂に包まれた

 タイムリミットまであと4日、残された時間はけして多いとは言えない


 上条当麻は倒れ伏し、インデックスも直に宿痾に侵される

 手札は乏しく、情報は少なく、先行きは暗く、答えは見えず、己は無力で


 だけど、それでも 

 戦うと決めた


 それが、ぼくの誓い

 盾の宣



 鋼盾掬彦は上条当麻を背負い、誰もいない夜の道をゆく

 その足取りは重く、ゆっくりとしたものではあったが、しかし決して揺らぐことはなかった



 どうしようもなく直向に、只管に

 まっすぐ、前を向いていた




――――――――



605 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/02(日) 14:27:58.55 ID:phfFLMSyo

ここまで

と、いうわけで捏造土御門さんでした、あと捏造インデックスさんですね
いやー、やっちまったぜ! “      ” の中には好きな名前を入れてください
もう死んでしまった少女の名前です、もうだれもインデックスをその名で呼ぶことはないでしょう

神裂、土御門との邂逅をもって、一応中盤の山場そのいち、といったところです
もっとスパッ!!どーん!!と盛り上がればよいのですが……うう、未熟

それでも書きたいシーンがかけて満足です
次回はちょっと間が空きそうです、ご容赦くださいね

それでは!
またな!



今回のNG

「頼む、コウやん。
 あの子を、■■■■だったあの子を救ってやってくれ」

 ……いや、最初はこう書いたんだけどさ
 その、アレですよね、なんというか、うまく言えないけど……その、察して下さい





606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/02(日) 16:08:46.12 ID:T/9FhUMB0
乙!
ああ・・・そうだな■■みたいにみえるな・・・
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/02(日) 16:22:40.24 ID:48AIZLe90
■■さんは関係ないだろ乙
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/02(日) 16:48:49.54 ID:SePA6pK/o
かっけえなあ。
たまたま今日知人の結婚式だったんだけど両方の際を見たような感じww
幸せにしてやるんだぜー。
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/02(日) 17:54:43.88 ID:y0wwVGYAO
>>1乙!そう来たか…オレは生まれつき名前がインデックスだと思ってたが。

>>608
知人の方おめでとう。でもこっちはおめでとうになるのかねぇ……
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 20:12:41.70 ID:Ep9++Ir10
コウやんそげぶキタ!
おつ!

インデックスの名前はいつかわかったりするのかなとか思ってたけど
それは今のインデックスにとっては何の意味もない記号なんかもね。
ぶっちゃけ合う名前が思いつかんし。

>>608
知人オメ
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 20:12:41.92 ID:Ep9++Ir10
コウやんそげぶキタ!
おつ!

インデックスの名前はいつかわかったりするのかなとか思ってたけど
それは今のインデックスにとっては何の意味もない記号なんかもね。
ぶっちゃけ合う名前が思いつかんし。

>>608
知人オメ
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 20:12:42.09 ID:Ep9++Ir10
コウやんそげぶキタ!
おつ!

インデックスの名前はいつかわかったりするのかなとか思ってたけど
それは今のインデックスにとっては何の意味もない記号なんかもね。
ぶっちゃけ合う名前が思いつかんし。

>>608
知人オメ
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 20:14:19.33 ID:Ep9++Ir10
連投しちまった、申し訳ねえ
吊ってくる
614 : ◆Vbi8wsZmtY [!orz_res]:2011/10/03(月) 01:36:22.73 ID:05+wEI1io
てすと
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/03(月) 10:46:34.85 ID:gnLNH8uAO
これはよい土御門
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/03(月) 20:42:36.71 ID:mk6wQm93o
とある魔術の禁書目録劇場版公開決定!!!!!
更に新約とある魔術の禁書目録3巻は12月10日に発売決定!!!
劇場版の詳細は10月11日発売の電撃文庫マガジンで!
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/03(月) 21:00:54.18 ID:mk6wQm93o
>>605
あ゛ぁ?誰の事言いたいんだ?■■■■って誰のこと言いたいんだよ、はっきり言えよコ゛ラァ!

空白には[禁則事項です]とか[らめぇぇっ!]とか[ピーーー]とか入れときゃいいんだよ!




















>>1乙です。一日早くなった分幻想御手編に話は移るのかな?次回も期待です。
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 07:02:02.77 ID:Cr9K67s30
>>617 こうですか、わかりません

「頼む、[スペランカー]。
 あの子を、[ヅラ]だったあの子を[ピーーー]ってやってくれ」

「だが、それが[あぼーん]に属するものなら、[アタタタタタタタタタタタタタタタタタ]で[らめぇぇっ!]るかもしれない。
 それが[たぬき]に由来するものなら、[ブーンブン釈迦ブブンブンブンwwwww]で[らめぇぇっ!]ることができるかもしれない。
 あの子を縛る[ネ申]を[切腹]する、そんな[田島「チ○コ破裂するっ!」]があるかもしれないんだ」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/04(火) 07:26:36.12 ID:X4GEIu8Xo
>>618
♪[ピーーー]が[ピーーー]して[ピーーー]なんだぜ、俺はとってもうれ[ピーーー]ぜー!って「二人のハイジャック」思い出した。
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/04(火) 07:27:35.72 ID:/STh9f98o
ヅラだったあの子‥‥
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/04(火) 07:57:17.24 ID:DUxczckAO
>>618
なんという原作レイプ…DMC級だな、おい。
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 09:01:22.33 ID:a1Yf30NAO
鋼盾さんの髪型って、デスメタル的に見てかなり上級者向けのアレだよな……!
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/04(火) 12:58:31.04 ID:WXVtdSt2o
>>622
それだとジャギが丘原でカミュが介旅かなぁ…
624 :618 [sage]:2011/10/04(火) 16:03:50.40 ID:Cr9K67s30
すまん、正直調子に乗ってた
やりすぎた、ごめん


………ぜんぶ>>634が悪いんだ
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 01:46:55.85 ID:FqeH4kUVo
全く、>>634は最低だな。
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/05(水) 05:04:13.66 ID:Q1FnLPu80
「―――そんなふざけた>>634は、ぶち壊してみせる」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/05(水) 10:27:28.49 ID:aMJXtW7AO
とあるスレからきますた
確かに友達思いな土御門さんだwwwwww
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 12:03:33.46 ID:pbDRCBUAO
お、無能力者モノ同盟!
歓迎するぜ!

ただし>>634、オメーはダメだ
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 14:19:21.58 ID:onkMBrOh0
無能力者モノ同盟か……
佐天さんと浜面のとこはなかなか大変な事になってるけどここはどうなることやら
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/05(水) 19:55:59.46 ID:sCIrs7UAO
佐天さんスレからの参戦か…あのスレも見てるがたしかに佳境に入ってるから大変だな。

故に>>634は滅ぼさねばならぬ。
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/05(水) 19:58:06.32 ID:Fha5Hzuno
>>617だけど>>634はありえないと思うの。
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/05(水) 20:31:55.79 ID:jkdd6wZ+o
>>634はこれだから…
633 :!ryokou [sage]:2011/10/05(水) 20:39:00.57 ID:Fha5Hzuno
   /_,,、 .,/ /..、l ハl,l゙lハli、   ゝ
   ぐ´ / ,ニニニ.、ぃニ゙リニi二へ,、   ゝ
     |/ l   .厂゙!、   !,トヾ、 /リ
   r'^ ̄|!リ  ̄ ̄ノ   ̄ ̄´ |'"|/l ゙リ
  |   |ヾ|.   ゛      .、ソリ∨/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ト、」  ヽ  i ̄ ̄i   //レ <  じゃあ取りあえず
 .(.⌒)'ヽ   \└─┘,/|⊥、   \  >>634[ピーーー]
 ( ̄~)イ   /`iヽ--ヘ ノ /     \_______
 ( ̄~)丿 入‐ ̄ ̄ ̄ ̄   >ヽ
         かまちー
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 20:43:04.09 ID:TOMhGiF5P
おまんこ大明神
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/05(水) 20:49:06.14 ID:GZCFhvyfo
お、おう
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 20:56:19.99 ID:pbDRCBUAO
そ、そのさ、俺らも言い過ぎたっつーかさ……調子乗っちゃったつーか、その




ごめんなさい
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/06(木) 00:19:26.01 ID:z5vhtg0so
なんか…その…すいませんでした…
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/06(木) 16:48:56.93 ID:ZXBpPpeAO
無能力者スレが3つ並んだな
639 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/10/06(木) 21:09:21.75 ID:IxfwTi7co
おwwまwwえwwらwwとwwきwwたwwら

……いやー、>>634、やってくれましたね
アンカーという呪い矢に穿たれた……否、己から飛び込んだその蛮勇を、>>1はけして忘れません
おまえらの謎の連携も忘れません、愛してるぜ!

無能力者モノ同盟!
ああなんて素敵な響き! >>1もその2つのスレの大ファンなので光栄です!
……だけど「鋼盾?……いや、つーかおまえは無能力者っつーよりマイナーキャラの括りだろ」って突っ込まれそうで怖いぜ! 
そのふたつと並べられても遜色のないくらいの話を書けるようにがんばります

あとDMC! 公然猥褻カット!
鋼盾丘原介旅の三人なら

C 超電磁
M モブキャラ
D 男子

でDMCならぬCMDでいいですかね!
脇役への愛をしめやかに歌い上げろ!


さて、金土も出張でござる、日曜の更新が怪しいでござる
……しかし、この流れなら以前チラッと話したアホ短編を投下できる!

てなわけで、投下参ります!
ふへへ、アホネタ注意!

んでは、しばし後に!
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 21:18:12.47 ID:ERo56NVYo
本編のシリアスな空気ブチ壊しと聞いて
641 : ◆FzAyW.Rdbg [saga !red_res]:2011/10/06(木) 21:28:47.25 ID:IxfwTi7co


◆CAUTION◆

この短編は本編である「とある端役の禁書再編とは一切関係がありません
馬鹿な描写、阿呆な描写、間抜な描写が含まれています

1スレ目のスレタイを台無しにしているような気もしますが、気のせいです
気のせいったら、気のせいです

時間軸は一巻の、ビルの屋上から神裂ステイルが小萌の家を覗いているシーンの続きより
本編の雰囲気を大切にしてくれる方は、どうか読み飛ばしていただきたく存じます

以上をご了承の上、寛大な御心をもってスクロール願います


それでは
参ります

642 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/06(木) 21:33:22.10 ID:IxfwTi7co




――――――――――




神裂「……しかし上条当麻ですか……ふむ、当麻は討魔で決まりだとして……
   上条は……守城、いや守錠……祇、噛、むしろ魔と対応させて神……ふふ、私とお揃いですね」

ステ「ん? 神裂? 何をブツブツ言ってるんだい?」

神裂「む、興が乗ってきたところなんですから邪魔をしないで下さいステイル。
   ……譲……丈……丞……仗……ジョジョ……むむ」

ステ「……神裂、君のその趣味にとやかく言うつもりはないけどさ、ちょっと空気を読んで欲しいというか……
   今ちょっと良いシーンだったじゃないか、なんというか僕が、インデックスとの過去に思いを馳せつつ健気にソレを圧し殺してさ、
   残酷な運命を呪いながら――それでも、たとえ忘れられてしまっても、僕は彼女のために生きて死ぬ
   ……そんな悲愴かつ印象深いシーンだろう?」

神裂「やかましいこのド素人が!! 天草式の秘奥“勝手に真名判断”の邪魔は許しませんよ!
   日本人相手に戦えるのは久しぶりなんですから……フン、横文字文化の連中にはわからないでしょう」

ステ「……土御門相手にカマして大笑いされたのを忘れたのかい」

神裂「黙りなさい“捨犬”」

ステ「……ちょ、おま、今“ヌ”って言ったな! 聞こえたぞ!
   ただの悪口じゃないか! 何が天草の秘奥だ!」

神裂「失礼、噛みました、“守貞流”」

ステ「……くそ、会話だけじゃどんな字を当てられたのかわからない!
   なんて地味に嫌な真似を……!」

神裂「インデックスを守るために、魔法使いへの道を歩み始めた貴方……。
   その童…道程は厳しいでしょうが、あの子を守るためにも諦めてはなりませんよ」

ステ「……なんでだろう、すごくいいセリフを言われているはずなのに……
   なんかすごい勢いで貶められている予感が沸々と!」

神裂「――あと、十六年」

ステ「何がだ」

神裂「この国に伝わる伝説です。男性が三十年の長きに渡り清浄な……浄……整いました!」

ステ「おい待てその伝説ってまさか」

神裂「黙りなさい“魔愚怒衆”」

ステ「お前今絶対暴走族のチームみたいな字当てたな!? “魔愚怒衆夜露死苦”ってかコラ!
   ……ハァ、もういいよ。……で、なにが整ったのさ?」

神裂「勿論、上条当麻の真名です。フフ、これは自信作ですよ。
   聞きたいですか? 聞きたいですよね? 聞きたいでしょうね? 
   でも残念、本人に一番最初に伝えてやらねばご利益が薄れてしまいます!」

ステ「(うぜぇ…)……それは残念だ……じゃあ僕はそろそろ準備に出ようかな……」

神裂「ああ、“威盧拳帝有珠”の準備ですね、いってらっしゃい」

ステ「………ああ、いってくるよ」

神裂「ふふ、襲撃は三日後でしたか……今から楽しみです。
   そう、人払いの結界の中、誰もいない世界に忽然と現れたミステリアスなわ・た・し!

   “―――神浄の討魔ですか、よい真名です”

   凛とした声で己の真名を看破するその美少女! 濡れるッ!
   やっててよかった天草式ッ!!」

ステ(……今だけは同情するよ、上条当麻)

643 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/06(木) 21:36:48.29 ID:IxfwTi7co


 ステイルは溜息を隠すように煙草に火を点け、街へと歩き出す。

 彼は己の生命線たるルーンを大量に貼りにゆかねばならない。

 これ以上無益な時間など過ごしてはいられないのだ。


 この病気を除けば優秀極まりない相棒は、一人遊びに夢中だ。

 三日後、上条当麻の前でどんなドヤ顔を披露するのかは、想像もしたくない。

 こんな時だけ、常の凛然たる魔術師の顔を崩す相棒。

 ……その笑顔を尊いと思わないでもないのだ。


 だけど

 だけど、さ


ステ(だけどさ神裂……それ、文字にしないと伝わらないよね)


 ステイルにはどうしても指摘することの出来なかった、その真実。

 神裂火織がその残酷な事実に気づくことは果たしてあるのだろうか

 

 襲撃まで、あと三日。

 学園都市は今日もいい天気だった。

 


――――――――――

644 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/06(木) 21:38:52.49 ID:IxfwTi7co



 ………誰が知ろう

 神裂火織という彼女の名が実は彼女の言うところの真名であることを

 本来の字が神崎香織というごくありふれたものであるということを


 己の名前を厨二くさい当て字に改名してしまった己らの女教皇に

 天草式十字凄教がガチでその将来を案じてしまったことを


 その女教皇に「天草式の秘奥“勝手に真名判断”」なる嘘っ八を信じ込ませてしまった建宮の罪の深さを

 “まさかあそこまでハマってしまうとは思わなかったのよ………”と彼がこのときばかりは本気で神に懺悔してしまったことを


 数年後、己が友人たちにつけた真名(笑)を思い返して

 顔を真っ赤にした神崎香織(22歳)が、ソファーのクッションに顔を埋めて、足をパタパタすることになるであろうことを



 誰が知ろう、誰が知ろう、誰が知ろう

 ……実は結構、みんながそんな彼女を生温かい目で見守っているのだということを

 世界は今日もやさしく、そんな彼女を見守っているということを



 「浜面――破魔の字を冠するのですね、よい真名です」

 「婚后光子――金剛密vajray?naを体現した、よい真名です」

 「一一一 ――三位一体を名前で表現するとは見事、よい真名です」

 「白井黒子――陰陽、太陰大極?ですか、よい真名です」

 「10032号――万は永代の象徴、三十二は十六弁八重表菊紋の花弁の数、ですか。よい真名です」

 「服部半蔵――祖先の名に肖ったのですか、よい真名です」

 「御坂美琴――ミサと神と巫女と……いえ、命でしょうか、よい真名です」

 「青髪ピアス――えと、その……よい真名です」



 神裂火織の戦いは終わらない!

 いつか彼女が神崎香織に戻るその日まで!


 終わらないのだ!

 
645 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/06(木) 21:44:35.58 ID:IxfwTi7co


――――――――――


はい、つーわけでアホ短編でした!
ねーちんは「彼は普通の学生です」とか言ってたくらいだし、上条さんの名前を知っていた筈ですよね。
そのくせ例の神浄討魔の時は、いかにも初めて聞いたかのようなリアクション……さては、ねーちん!
そんなわけでこのSSの発端でもある件の台詞でひとネタ。

繰り返しますがこのねーちんは本編とは別物ですのでご安心ください


神裂「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です」
  (鋼の盾とか……元の字がケレン味強すぎて真名が思いつきません! ガッデム!)


とかこっそり思ってないのでご安心ください!




本編はなるたけ急いで書きますので、気長にお待ちください
いつかこんな馬鹿な話でスレを建てたいなあと夢想する、馬鹿な>>1がお送りいたしました


んじゃ、また!



646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 21:50:24.69 ID:ERo56NVYo
まさかこの神崎って
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2011/10/06(木) 22:58:35.85 ID:U1xtN83E0
なんてうざい神崎香織さんじゅうはっさいww
あと黒髪長髪巨乳女剣士だからって「濡れるッ!」とかねーちんは毒島さんに謝るべきww

それはそれとして、成人して中二病から解放される設定だと、一番ダメージでかそうなのは上条さんだと思う
上条「うぉぉぉ!そげぶとか何言ってたんだろ俺ぇぇぇぇ!」
土御門「基本人の話聞き入れずに全部俺論押し付けてただけだしにゃーww」
青ピ「それは知らんけど自分のこと『上条さん』とかゆーとったのも今思えば痛いんちゃうかな」
鋼盾「僕からしてみれば君らも相当だったけどね」
三人「だまれ元公然猥褻カット!髪も体型もすっきりしやがって誰だよお前!」
とかいう飲み屋の片隅を幻視
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 22:59:26.31 ID:pRX/fveAO
台無しww

乙!
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 01:28:51.18 ID:Gx+moQHDO
乙。ねーちんwwwwww

>>646
それ以上いけない
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/10/07(金) 01:37:49.53 ID:CVRyLgYoo
ああ、あのグラビアアイd
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/07(金) 01:40:24.99 ID:cEAAU8/Co
乙、だめだこのねーちんww
>>650
おいやめろ
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2011/10/07(金) 04:30:36.34 ID:NWyBLJvjo
>>1
                   
                       ヘ(^o^)ヘ いいぜ>>650
                         |∧  
                     /  /
                 (^o^)/ てめえがその現実で
                /(  )    俺の幻想を殺そうってなら
       (^o^) 三  / / >
 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  まずはそのふざけた
       現実をぶち殺す!

653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/07(金) 04:43:16.53 ID:LlSuXt250
>>650
それ以上
言わせるわけには
い神崎
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/07(金) 10:30:47.73 ID:3NkjH3hn0
奴は香織ではなく加織だからな!
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 12:18:49.45 ID:UkO8kLQAO
俺の嫁が残念な子に!

656 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 00:13:30.72 ID:iQOnpAWIo
どうも>>1です
……読み返すとつくづくアホな内容で申し訳ねえ
誰も美少女に突っ込まなかったな! よっしゃねーちん! イケるぜ!

>>1は神裂さんも大好きです、それこそスレタイにするくらいに
このSSに登場するキャラには、意図的に原作での一面を掘り下げたり、新たな要素を加えたりしています
ぶっちゃけ>>1の好みを押し出しております、わーい俺得

ステイルなら「神父」「友誼」、小萌は「艶」、美琴は「敬語」「覚悟」、初春は「誇り」「強かさ」といった具合ですね
キャラ改変にならんよう、「らしさ」をうしなわないよう努めてはいるのですが……大丈夫でしょうか
あ、誘波さんは原作通りですね、いやーあの子はいじれねえなー

神裂さんの場合は「情の深さ」「罪」「弱さ」といった重ったるい方面をブートしております
鬱々ねーちんは書いてて楽しいのですが、まあ反動でこんなアホネタを書いてしまいました
いつか、もろもろ乗り越えた真ねーちんをかっこよく書きたいものです


あ、文字化けがありましたね、反省

「婚后光子――金剛密vajrayānaを体現した、よい真名です」
「白井黒子――陰陽、太陰大極☯ですか、よい真名です」


なんとか今日中には投下に参ります
よろしければお付き合いください
657 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 00:26:46.14 ID:iQOnpAWIo
忘れてた! みなさまレスありがとうです!

神崎については前スレ>>1の誤字ネタということで、某グラドルとは無関係でござる
無関係ったら無関係でござる、ござる

>>647
未来ネタ感謝! 上条さんはあのままで突っ走って欲しいなあと思います! 彼はあれでいんだ!
そして鋼盾くん、髪型と体型を変えるとご指摘のとおり、「誰だよ!」の世界ですので、>>1がそれを描くのは難しいかも
ですのですごく感謝です! イケメン鋼盾くん、たまんねえぜ! ……ちょっと痩せさせるくらいならOKかな?

髪 型 は 譲 ら ね え が な !
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 04:55:46.74 ID:t2WyBydro
良かった…中二病のグラドルはいなかったんだね…
期待
659 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 20:59:13.54 ID:iQOnpAWIo
投下します

いえーい








―――――――――
660 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:00:44.36 ID:iQOnpAWIo



「お帰りなさいませ」

「……えーと、ただい、ま?」


 扉を開けたらメイドさん、そんな事態に巻き込まれたら一体どうしたらよいのだろうか。

 去りゆく土御門元春を見送り、気絶したままの上条を背負ってなんとか自室へと戻った鋼盾は、そんな難問に直面していた。


 なぜか鍵の開いていた玄関の隅には磨きぬかれたローファーがちんまりと鎮座しており

 消した筈の電灯が点いており、見慣れた廊下を煌々と照らしていて

 稼働するエアコンによって適温に調えられた空気はやさしく

 そして微笑む見知らぬメイド、というか少女

 
 ……え?

 なにこれ、ドッキリ?


 状況についてゆけず、目をパチクリとさせる鋼盾

 そんな彼に笑いかけ、少女はその口を開いた


「お、背中のソレは上条当麻だなー。
 兄貴の言った通り満身創痍だ、相変わらず愉快な人生を送っているみたいだなー」

「……ん、それは間違いない、かな」


 山積する疑問をうっちゃって、鋼盾は少女の言葉に同意する

 とりあえずは背に負ったライトノベルの主人公のように苛烈な日々を過ごす友人をどうにかしなければなるまい

 上条を観察している少女の横を通り、己のベットへと適当に転がしてみる。


 ほんの数日前、上条に殴られ気絶したステイルが眠っていたそのベッド。

 そこに今、その上条が置かれているというこの状況はなんとも皮肉が利いている。

 ……次はその上条を打ち据えた神裂が、なんて事態にはならないことを鋼盾は祈る。


 己のベッドに美女が躰を横たえるとか!

 そんな事態になったらもう、このベッドで眠れる気がしない

 残り香とかしようものならもうドキドキが止まらない、ロマンティックも止まらない

 その点男どもなら余裕である、さあ泥のように寝るがいい

 ……そしてさっさと目を醒ませ、心配させるな、バカ


661 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:06:11.28 ID:iQOnpAWIo



 そんなアホな思考をしつつ上条を下ろした鋼盾は、あらためて少女に向き直る

 体格は小柄、黒髪のショートカット、姿勢よく洗練された挙措、

 ………何より印象的なのが、そのメイド服


 仕事着としての実用性を優先しつつ、単なる作業着に終わることのない本物特有の雰囲気

 以前土御門に無理やり付き合わされたメイド喫茶で見たような、装飾過多の安っぽい印象とは――――――あ、もしかして

 先ほど別れたばかりのメイド軍曹グラサン男の顔を思い浮かべた瞬間、鋼盾の脳裏で色々なものが繋がった


 メイド

 義妹

 繚乱家政に通う、その少女

 ……土御門元春の、一番

 それは


「あー、もしかして土御……元春くんの、妹さんかな?」


 半ば以上の確信をもって放たれた鋼盾の問に、少女は微笑む

 そして完璧な角度の礼と砕けた口調で、自己紹介を開始した


「そうだぞー、土御門舞夏だ、舞い踊る夏で舞夏。よろしくなー……えーと」

「鋼盾、鋼の盾と書いて、鋼盾だよ。きみのお兄さんのクラスメイトで、友達だ」

「ん、えっと下の名前は」

「掬彦。手で掬い上げると書いて掬彦」


 ふむふむ、と少女―――土御門舞夏はこうじゅん、きくひこと繰り返す。

 たしかふたつ下だったと聞いた覚えがある、ということは美琴と同じ学年になるだろうか。

 彼女との初対面でもこのように名前を繰り返され、気恥ずかしい思いをしたことを鋼盾は思い出す。


 ずいぶん前の事のように感じるが、それもついこの間のことで

 あらためてここ数日の異常なスケジュールを思い知る

 だが、すくなくとも28日までは休むつもりはない


 今までの人生でもっとも過密で得難い数日間

 数日だけで終わらせるつもりは、ない


 インデックスの物語を終わらせない

 続けるために、あがいてみせる



662 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:09:25.48 ID:iQOnpAWIo


「……鋼盾掬彦なー、覚えたぞー。
 というか、噂はいろいろ聞いてるんだがなー」


 土御門と上条あたりの仕業だろうか、変なことを吹き込んでいなければよいのだが

 というか、こっちもこっちでいろいろ聞いている……具体的には深夜のファミレスで5時間くらい、きみの兄貴にな!

 ……結果この子のスリーサイズからシャンプーの銘柄まで把握してしまっている鋼盾掬彦である

 というか土御門くんがヤバイ、性癖を疑うほどヤバイ、スパイらしいので余計にヤバイ


「……ぼくもきみの噂は聞いてるよ、いろいろ。
 なぜだか今まで、不思議と会うことはなかったんだけどね」 

「あー、メイドたる私はここでは馬鹿兄貴に合わせて動く羽目になるからなー
 まっとうに規則正しい生活をしている人とはタイミングが合わないんだぞー」


 上条当麻とはなぜかタイミングが合うんだがなー、と笑う舞夏

 言外に、まっとうで規則正しい生活からは程遠いと評された上条

 ……ちょっと否定はできそうになかった

 まあ、そんなことはどうでもいい


「よろしくね、土御門さん」

「……舞夏でいいぞー、鋼盾掬彦。
 土御門呼びじゃ兄貴とかぶるしなー」

「そうだね、ん、舞夏さん」

「さんもいらないぞー、私はメイドだしなー」

「えと、よろしく、舞夏?」

「うむ、よろしくなんだぞー」


 名前の呼び捨てに嬉しげな笑みを浮かべる舞夏

 彼女を溺愛する義兄から睨まれはしないかと不安になるも、上条もそう呼んでいたことを思い出す

 ………まあ、勘弁してもらいたい……お兄ちゃんだのご主人様だの言わせたわけでもないし

663 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:11:36.02 ID:iQOnpAWIo


「で、どうしてここに?」

「んー? 兄貴から聞いてないのか?
 ついさっきなんだがー、なんでも“友人がこれから数日いろいろ難儀だから助けてやってくれ”って頼まれてな。
 今日はもうこんな時間だし、挨拶だけのつもりできたんだがなー」


 土御門元春が彼女この場に遣わした、ということらしい

 最愛の妹を預ける―――それはおそらく、土御門元春にとっての最大限の信頼の証

 頼んだ本人は“オレには他にやんなきゃいけないことがあるんだにゃー”とどっかに行ってしまったらしい

 ……舞台裏を駆けるイギリス清教の男は、きっと陰ながら動いてくれているのだろう


「これでも繚乱家政じゃ優等生で通ってるからなー
 掃除炊事洗濯裁縫、なんでも任せてくれてかまわないぞー」


 だが、“オレの一番は舞夏だ”と口にした彼が、わざわざ義妹を危険に晒すというのは少しばかり疑問ではある

 同僚たるステイルや神裂の性格を読みきっての判断か、あるいは何があっても自分が護るという自負ゆえか


 それとも

 土御門舞夏―――彼女もまた“土御門”なのだろうか


 メイドに扮した女スパイ?……なんて陳腐な、もうメイドと付ければ売れる時代じゃねえぞ

 鋼盾の直感はそんな妄想を否定しているが、信じられたものではない

 己は結局土御門元春の本質を、見抜き切ることはできなかったのだから


 ―――いや、どちらでもいいのか

 彼女がそれを告げぬ以上、それを追求するつもりは鋼盾にはない

 
 家事はまかせろ! と朗らかに笑う友人の妹

 ブッ飛んだ校風の繚乱家政でそれほどの高評価なら、それはそれは期待できるに違いない

 ――――それでいい、己は当たり前に友人たる彼女の兄を信じるだけだ


664 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:13:18.30 ID:iQOnpAWIo



「そっか、頼もしいな。
 ……でも、いいの? なんというか、そこまでしてもらうのは申し訳ないんだけど」


 そう、土御門の厚意はありがたいが、別段そこまで切羽詰まった状態に置かれているわけではないのだ。

 上条は介助が必要なレベルまでの傷を負っているわけでもないし、そのうちに目も醒ますはず。

 強いて言えば自分が不在の折、インデックスをひとりにするのが不安なくらいだが―――それもたいした問題ではないだろう。

 鋼盾のそんな言葉に、舞夏はゆるゆると首を振って、笑った。


「ああ、まったく気にしなくて構わないぞー。
 私としても実施研修はありがたいしなー、兄貴相手ばかりじゃ成長も新鮮味もないし」


 その実施研修をなにより楽しみにしている土御門が聞いたら、さめざめと泣いてしまいそうなことを言う舞夏。

 そしてもうひとつ、真摯な顔をして付け加えた。


「……それに、兄貴が―――元春が、あんな顔して私に頼んできたのははじめてだから、な。
 誰にも弱みをみせないあのバカが、はじめてあんな顔を見せてくれたんだ。

 ―――私は、それに応えたい」


 義兄の力になりたいと、少女はそんな健気な台詞を口にする。

 “元春”……義兄の名前を呼ぶにしてはちょっと気持ちが入りすぎている気もするけど。

 なんかもう、一端の女の顔をしてやがるというか……よかったね土御門くん、どうやらお前ら両思いらしいぜ。


 
665 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:23:11.15 ID:iQOnpAWIo




「……そっか、じゃあ、あらためて頼むよ。
 よろしく、舞夏」
 
「任されたぞー、ばっち来いだー」


 さて、お願いするからには多少は状況を説明しなければなるまい。

 とはいえ、一体どこまで話したものか。

 まあ、とりあえずはメンツの紹介からだろう。

 一人は絶賛気絶中、今一人は逃亡中という状況であるも、まあ、とりあえずは。


「……ん、すこしばかりいろいろあってね……ちょっとドタバタしてるんだ。
 上条くんはその通りダウン中でしばらくは目を覚まさない。
 そしてもうひとり、インデックスって名前の女の子をここで預かることになってる」

「ほほう、女子寮に女の子を連れ込むとは……」


 何を期待してやがるのか、キラッキラに目を輝かす舞夏

 初春といい、この年代の女の子ならそういう反応になるだろう


 ……思えばインデックスもそんな年頃なのだ

 その残酷な運命故に平穏を知らぬ彼女が、この子たちのように色恋話に興じる日々がくればいい

 いや、そんな日々を掴み取らねばならないのだ―――ぼくが、ぼくらが


「誓ってやましいところはないよ……とはいえ内緒な」

「りょーかい、メイドだからなー、ご主人さまの秘密を漏らしたりはしないんだぞー」


 イタズラっぽくウインクする舞夏

 完璧な所作に砕けた口調、型に嵌らずそれでいて道を外れない

 少女の奔放とメイドの貞淑、それが矛盾なくこの少女の中で調和している

 なるほど、たいしたものだと鋼盾は感心する


「家政婦はウワサ好きとも聞くけどね、信頼するよ。……なんなら口止め料でも払うけど。
 ……そろそろ帰ってくる筈なんだけどね。なかなか難儀な子なんだけど――間違いなくいい子だよ。
 ―――仲良くしてくれると、嬉しい」

「そっか、楽しみだなー」


 願わくば、この少女がインデックスの友達になってくれればいい

 ―――土御門にとっても、それは悪くない話なんじゃないかな、と鋼盾はぼんやりと思った

 


――――――――


666 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:42:18.21 ID:iQOnpAWIo




ここまで

板が重すぎて難儀しました、さっきあとがき書いて投稿したのに反映されず困るぜ
10分経過したので書き直し。もし二重投稿になってたらすまんです

さて、舞夏登場
土イン話のメインヒロインな彼女ですが、この話においては何をするというキャラではありません
強いて言えば小萌の代わりかな

次回はインさん回でしょうか
まだ全然書いてませんが

あの子あの子と毎回のように話題に上がるくせに、いまいち影の薄いうちのインさん
実はこの子も原作とは別方向に進んでゆく予定でござる

んでは、また

667 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/09(日) 21:49:48.33 ID:iQOnpAWIo
ミスった、訂正

>>「ほほう、女子寮に女の子を連れ込むとは……」

男子寮でござる
あやうくTSモノになるところでござった、御免!
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/09(日) 22:11:12.49 ID:4q3XRBMLo
乙&マーベラス!これでまた暫く戦えるぜ!
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 03:55:52.98 ID:QDwysLTAO
乙!

理想の舞花を見た
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/10(月) 08:28:46.53 ID:mN8bDX4AO
>>1乙!
嗚呼、ここのインさんもインなんとかさんになってきたか…

原作とは違う方向…まさか幻想御手編に乱入とか……
671 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:11:24.20 ID:JpBK/k+No
ども、>>1です
……更新といえば更新なのですが、予告したインデックス話ではないのです
前回更新分に入れ忘れたエピソードがあったので、それの補足ということでひとつ
ぶっちゃけこの辺はつなぎ回ですが、よろしくお付き合いください

では短いですが投下
スパイという名のストーカー、有能な土御門元春さんについての小咄でござる





――――――――
672 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:16:36.90 ID:JpBK/k+No



「――しまった。明日からの食材、全部途中に置いてきちゃった。冷蔵庫、空っぽだ」


 早速あしたの朝から任せてもらうぞー、という舞夏の言葉を受けて、鋼盾はそのことに気づく。

 おそらくは先程神裂と対峙した時、上条に駆け寄った際に無意識に放り投げてしまったのだろう。


 スーパーで大量に買い込んだ食材。

 大きなビニール袋を2つ抱えて、自宅を目指していた折に、己は神裂と遭遇してしまったのだ。


 今の今まですっかり忘れてしまっていたが、数日分、数千円分の食材がパアである、凹む。

 しかし、その鋼盾の呟きを受けて、手ずからコーヒーを淹れてくれている舞夏が小首を傾げた。


「ん? さっきチラッと冷蔵庫を見せてもらったんだけど、いろいろ入ってたぞー?」

「……え? いや、空っぽの筈なんだけど」


 先日の停電時に食材を使いきって以降、コンビニや外食で済ませたり小萌宅でご相伴に預かったりの日々。

 ゆえに自室への食材の補給はしていない……入っているのは調味料やドレッシング、マーガリンの類くらいのはず。


 話題に上った冷蔵庫を見遣るも、当然扉が閉まっているため中身は見えない。

 だが、いつもどおりの冷蔵庫の上には、買い物袋に一緒に入れていたグーチョキパン店の袋が置かれている。

 店長入魂のホテルブレット一斤、青髪のところで明日の朝食用に買ってきたものだ

 疑問に思いつつ冷蔵庫を開けると、鋼盾が買ってきた数日分の食材がきちんと整頓されて入っていた。

 投げ出した時に割れたであろう卵は、ボウルに入れられキッチリラップされており、殻も除かれている。




673 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:19:09.98 ID:JpBK/k+No


 なぜ、これがここに?

 いつ?

 だれが?

 ………いや、該当者はひとりしかいないんだけど

 ラップにマジックで“早めに食うにゃー”とか書かれてやがるんだけど


「ん、コレは兄貴の字だな」


 卵かー……パンもあるオムレツがいいかなー、と微笑む舞夏

 メイドさん素敵、頼れる。

 そしてその兄貴、なんなんだお前は。


 鋼盾はまっすぐここに帰ってきた

 上条を背負ってだし、いろいろと考え事をしていたこともあり、その歩みはゆっくりとしたものではあったけれど

 それでもまっすぐ帰ってきた、帰ってきたらこの状況だったのだ


 買い物袋を回収し鋼盾と上条を追い抜いてここに来て冷蔵庫にソレを入れご丁寧に卵をボウルに移しラップを張ってメッセージを残し

 舞夏に鋼盾たちのことを依頼し颯爽と夜の闇へと去っていったと言いやがるのかどんだけ手際いいんだあのグラサン野郎

 
「………何者だよ」


 ああ、英国のスパイでしたね

 エージェントモトハルさんでしたね

 かっこいいです土御門さん


674 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:22:50.84 ID:JpBK/k+No


 それはそれとして

 ……さて、今の今まで目を逸らしていた疑問について、そろそろ尋ねねばなるまい

 鋼盾は冷蔵庫を閉めると、コーヒーをカップに注いでくれている舞夏へと疑問を投げかけ


「………ところで、さ、舞夏。
 この家の鍵って、どうした?」


 入寮時に預かった鍵は二本のみ

 一本は鋼盾のポケットに、もう一本はインデックスに預けたままだ

 他には、ない


 戸締りは入念に行った、開けっ放しだったということもないはずだ

 ならばなぜ、彼女はここに、おのれよりも早く入ってこれた?


 ……まあ

 予想はつくけど、さ



「ん? 兄貴から預かってるけど、どうかしたのかー?」


 ポーチから鍵を取り出して鋼盾に手渡してみせる舞夏。

 まじまじとそれを見る鋼盾、間違いない、毎日見ている己のソレと同じ、この部屋の鍵だ。

 ……しかも刻印を見るかぎり、どうやらコピーではなくマスターである。


 鋼盾が持っている鍵の原本、それがなぜか土御門の手元にあったという。

 恐らくは上条家のソレも、彼の掌中だろう。

675 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:25:35.72 ID:JpBK/k+No



「……まじか」


 なんかもう、言葉もない

 この状況でプライバシーがどうのこうのというつもりはないが、それでも

 ………それでも、それでもさ、なんというか、ねえ? アレだろ?


 あの野郎

 まじか

676 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:28:13.50 ID:JpBK/k+No

 
「……ん、コーヒー入ったぞ―」


 舞夏の声

 音もなく差し出されるカップ

 そこから漂う芳香と湯気

 素晴らしきかなコーヒーブレイク
 
 
 鋼盾は礼を言ってそれを受け取ると、浮かび上がるもろもろの感情と一緒にゴクリと飲み込んだ。

 舞夏の淹れ方がよいのか、鋼盾が適当に選んだ安い豆とは思えぬほどに美味だったが、すこしばかり苦かった。




 ……あるいはそれは、コーヒーのせいだけではなかったかもしれない





――――――――
677 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/11(火) 20:42:09.32 ID:JpBK/k+No



おしまえ


というわけで、土御門さんは頑張ってます
今もきっと人知れず、夜の街を駆けている筈です

蜘蛛の男、土御門元春
謀略の糸、計略の意図、愛しき世界と稚き君がため、暇願わず労を厭わず、天秤の目を持って敵を射通す
……なーんてにゃー

んでは、次回こそインデックスさんの登場です
そのはずです!

>>670
採用

678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/11(火) 20:52:30.53 ID:UAJnoXwCo
「誰だお前はっ!!」
元春「あどけない少女を見守る友の友情にむせび泣く男!シスコン世界チャンピオン!スパイダーマッ!!」デッテレーテレーテレッテレーデッ!!
   「部屋の鍵はすりかえておいたのにゃー!」デッテレーテレーテレッテレーデッ!! 

こうですか分かりました。>>1乙です。
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/11(火) 21:24:18.49 ID:MkjsJy7wo
卵の殻を取り除くために半泣きのねーちんを取っ捕まえて聖人の箸捌きで砂粒一つ残さず綺麗にさせて
ラップさせてついでに他の荷物も一緒に持たせて全速力で届けさせる。
そんな鬼軍曹元春の姿が浮かんだぜ。
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 21:29:37.67 ID:MIFdH9xAO
いとおかし

681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/12(水) 08:23:01.08 ID:8gHPn17co
神裂「七閃」ザザザン!

鋼盾「ああっ! 買い物袋が! あしたからのごはんが!
    どうしようインデックスがお腹を空かしてしまう!」

神裂「すみません、弁償します
    おいくらですか?」

鋼盾「七千」


うむ
朝からなにを書いてるんだか
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/12(水) 08:36:49.30 ID:/DlMuxAEo
インデックス、1日7000円も食いつぶすのか‥‥
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/10/12(水) 09:19:22.45 ID:tVwQCzb8o
>>682
むしろ 7000円で足りるのか?
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/12(水) 09:52:05.22 ID:ur3U55vv0
その三倍はもってこいなんだよ!

つっちーには他に盗聴疑惑もあるしな!
さすがやで!
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 10:06:33.02 ID:ur3U55vv0
ごめんあげた、ゆるして
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/12(水) 20:16:29.61 ID:T6PBiF0AO
許さない
絶対にだ
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 22:53:15.73 ID:TSbWrbhJo
俺の恋人になってくれたら許す
688 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/10/13(木) 08:24:05.23 ID:dgblqEnVo
俺の嫁になってくれたら許す
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/13(木) 12:40:03.54 ID:0aZgSJyHo
あらあら>>1さん、また新しくそんな関係を? まったくこれだから…ふっふっふっふっふっ……
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 13:25:16.45 ID:vRGkmeIIO
まぁ>>1さんったら
私というモノが居ながらまだ嫁を?
マダム百合子が泣きますよ?
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 14:03:09.55 ID:1beWMGLAO
あらあらまあまあ
>>1さんったら、以前から吹寄さんを嫁と公言してらしたのに
ふふ、ふふふ、ふふふふふふ
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/13(木) 20:33:14.97 ID:6crHa9VCo
まぁまぁまぁ。奥さん、ちょっとー。
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/13(木) 20:36:36.64 ID:tqlfqMbPo
ええ、聞きましてよ奥様!>>1さんときたらホントお盛んなんだから。ねぇ?一体何人お嫁さんいるのかしら?
694 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/10/13(木) 20:40:48.46 ID:dgblqEnVo
>>689‐691
ぎゃー! ちょっとした悪ふざけがこんなことに!
マダム百合子? 出せってか? 書くぞ!? 偉いことになるぞ!
あ、吹寄さんは割りと重要なキャラとしてマジで出ますよ俺の嫁
確か2回目の投下で出て以来ですが、結構大事な役割を振ってあるのです


このSSもだいぶ長くなりました、1スレ目で終わるはずだったのに!
当初の予定よりえらく膨らみ、実は結末も当初の予定とは変わってきています
エンディング書きなおしたよ! えらいことになっちまったよ!

へへへ、まだ中盤なんだぜ
こんな延々と一巻やってんの俺くらいじゃね?
なんなのこの>>1、構成力不足にも程があるっての!

愚痴失礼
今日、どうにか投下に漕ぎ着けたいところ

できることからこつこつと

age!
己を追い込む予告age!
695 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/10/13(木) 20:45:51.37 ID:dgblqEnVo
>>682‐693
そして愚痴ってる間にご近所さんの輪が広まってるだと!?
やべえ、回覧板ハブられる! 

うあああ! 
うああああ!

書いてきます
しばし!
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 21:31:01.14 ID:GBYUAi24o
>>1が吹寄の彼氏として出てくるんですねファック
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/13(木) 21:32:13.51 ID:tqlfqMbPo
>>696
彼氏でなく旦那かもしれんぞ?
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/13(木) 21:36:24.24 ID:W6ObLfp2o
もしかすると奴隷かもしれない
699 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:08:27.50 ID:dgblqEnVo
>>696‐698
おまえらw 
俺の嫁発現は語尾と知れ!

このSSにおいて、吹寄さんはある意味最強の無能力者として描かれています
既に葛藤を乗り越えた強い女の子、吹寄制理が再び登場するころにはエンディングも間近でしょう
それまでどうかよろしくお付き合いください

投下ですたい!
くらえ!




――――――――――

700 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:11:22.29 ID:dgblqEnVo


 舞夏が自室へと引き上げるのを見送り、鋼盾はベランダへと出た。

 インデックスはまだ帰ってきていない。

 倒れ伏した上条はいまだ、眼を覚まさない。


 ゆえに鋼盾はひとり、夜の街を見下ろす。

 心は、ひどく静かだ。


 土御門の言葉どおりであれば、ステイルが強硬手段にでることはない。

 鋼盾は彼らを信じている、が、インデックスはそれを知らない。

 危機管理能力に優れたあの子は、おそらく鋼盾の家に魔術師を引き入れぬよう、追手を撒こうと努力を重ねているのではあるまいか。

 遠巻きに、この学生寮を観察しているなんて可能性もあり得るだろう。


 ならば鋼盾がここに出ていれば、あの子は己が無事だとわかる筈だ。

 ここからなら、この学生寮に向かう道の殆どをカバーできる。

 夜目にも目立つであろう教会の白を、ぼんやりと鋼盾は探した。

701 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:14:46.00 ID:dgblqEnVo


 時刻は既に二十三時をまわっている。

 夜は深く、街は静かだ。


 神裂の襲撃から、既に三時間近くが経過している。

 インデックスが逃亡を開始してからも、そのくらいだろう。


 三時間……逃げる身には長い時間だと鋼盾は思う。

 だが、インデックスはもっとずっと長いこと、ひとり逃げ続けていたという。


 一年間

 一口に一年といっても、記憶をなくした人間にとっての一年だ

 すなわち、それは生まれてから今までずっと、ということだ


 それが日常で、それが当然で、それしかしらない

 奪われるばかりの人生、それがあの子のこれまでのすべて


 その事実に、鋼盾は臍を噛む

 そんな理不尽を、彼は忌った

702 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:17:43.04 ID:dgblqEnVo


 出会ったばかりの頃を思い出す

 まだ、互いの距離を測りかねていたあの頃

 インデックスの目には、常に名状し難い翳りがあったように思う

 
 死にゆく聖女のような、終の旅に出る殉教者のような

 目を離せぬほど荘厳で、目を背けたくなるほど陰鬱で

 
 ひどく、アンバランスで

 だから鋼盾は、彼女に惹かれた

 手を、伸ばしてしまった


 触れてしまえば

 あの子は、どうしようもなく暖かくて

 弱々しく震える、女の子で


 だから、守りたいと、思ってしまった

 貧相な羊に過ぎぬ鋼盾の、ぼろぼろの毛皮を押し付けてみれば

 あの子は、あたたかいと笑ってくれた、幸せそうに微笑んでくれた

 こんな幸せは知らなかったと、世界で一番綺麗な涙を流した


 だから己はここに居る

 ここであの子を待っている


 それを誰にも否定はさせぬ

 あの笑顔を、なかったことになどさせないと誓う


 エアコンで適温が保たれた室内とは違い、ベランダは蒸し暑い。

 汗が吹き出るほどではないが、けして居心地の良い場所ではない。


 ……ふと、煙草を吸いたいと彼は思った。
 
 ニコチンなど体内にないくせに、そんなことを思ってしまう己を鋼盾は笑う、ガキめ。

 これは担任教師の影響か、それとも赤毛の神父のせいか。


703 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:21:15.33 ID:dgblqEnVo


 月詠小萌のことを思う。

 恩師であり想い人たる彼女を思う。

 誰より強く、誰より優しい鋼盾の目標たるひとを思う。


 あのひとは今、なにを思っているだろうか

 自分たちのことを、案じてはいないだろうか


 小萌宅を離れる条件として、一日一回電話を入れる約束をした。

 だが、それは明日からで勘弁してもらおうと思う。


 流石に彼女のところを辞した直後に、上条が怪我を負って昏倒し、

 インデックスが敵に追われたまま帰ってこないなどという連絡はできない。

 声音を繕って平静を演じても、きっと彼女は見抜いてしまうだろう。


 そうなれば確実に、彼女の家へと連れ戻されるだろう

 本気の月詠小萌、ああもう、まったく勝てる気がしない


 あのひとを、傷つけたくない

 笑顔でいて欲しい


 それは鋼盾掬彦の中で、もっとも強い願いであり、祈りである

 心の底からそんなことを考えている己を、鋼盾はこっそり誇りに思っている

704 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:22:28.66 ID:dgblqEnVo


 ステイル=マグヌスを思う。

 友人で恩人で、それでいて敵対する立場にあるひとを思う。

 インデックスを守るべく、インデックスから記憶を奪う彼のことを思う。


 強者たらんと望んだ彼は、結局それを貫けなかったのか

 それとも貫いたが故に、今があるのか


 守るために傷つける、奪わぬために奪う

 ―――ほんとうにそうか、ステイル=マグヌス


 上条当麻を襲ったのは、嫉妬ゆえではなかったか?

 インデックスを足蹴にしたのは、苛立ちゆえではなかったか?


 ああ

 きみともう一度会わなくてはならない


 強者たらんと誓った炎の魔術師よ

 きみのいう強さが、覚悟が、もしもその程度のものだというのならば

 ぼくは、きみを否定しなければならない

 

705 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:24:50.38 ID:dgblqEnVo


 神裂火織を思う。

 インデックスを斬り上条当麻を斬った憎い憎い女を思う

 なにより己自身の心を斬り刻み壊れきった、あの哀れなひとを思う


 聖人、と彼女を指して土御門は言っていた

 インデックスによれば、聖人とは神の子によく似た人間の事だという


 世界に二十人といないという、選ばれし奇跡の子ら

 だが所詮、神の子ならぬ人の子だ


 鋼盾の問に、涙を以って答えることしかできなかった彼女

 神裂火織よ、哀れな女よ、かなしいくらいにきみは弱い

 その弱さゆえにきみがインデックスをあきらめるならそれもいい

 否定はしない、責めることなどありえない


 だが、その絶望をあの子に、ぼくらに押し付けるのは許さない

 嘆きのままにその力を振るうなら、ぼくはきみを打ち破らねばならない
 

706 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:26:19.96 ID:dgblqEnVo


 土御門元春を思う。

 クラスメイトで友人で、隣人の隣人たる少年を思う。

 初恋の少女の遺志を抱いて世界の裏側をゆく、魔術師たる彼を思う。


 誰よりも長くあの子を見守っていた初代のパートナーよ

 誰よりも多く彼女を見殺しにしてきた初代のパートナーよ

 今更ぼくはきみを責めようなどとは思わない

 罪も罰も自負も悔恨も涙もなにもかも、それは君自身のものだ


 土御門元春、ぼくの友人よ

 きみはきみの思う道を往け、ぼくはぼくの思う道を往く

 だけどきみの願いは、きみの祈りは確かに届いて、ぼくの力になった

 それだけの、ことだ


 あの子をきっと救ってみせる、幸せにしてみせる、

 おまえはそこで指を咥えて、見守っていてくれればそれでいい


707 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:28:44.99 ID:dgblqEnVo


 上条当麻を思う

 この激動の数日間、誰より鋼盾の傍にあった少年を思う。

 誰よりもまっすぐで誰よりも正しい、ヒーローのような彼を思う。


 彼はけして最強ではない

 異能殺しの右手は、異能しか殺すことができない

 現に彼は圧倒的な暴力に押しつぶされ、倒れ伏している


 だが、鋼盾は知っている

 彼は立ち上がる、彼は諦めない、彼は誓いを破らない


 それが上条当麻だと、彼は信じている

 
 ヒーローと、己は彼を呼ぶ

 その無責任な期待に、しかし彼は応えてくれる

 笑って道を、示してくれる


 ならば己は、どうするべきか

 彼と共に戦うと誓った己は、なにをするべきか


 ……決まってる

 為すべきことを、為すだけだ


 彼に倣って右手を握りしめる

 ――あまりにも似合わなくて、少し笑えた


708 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:32:06.40 ID:dgblqEnVo


 インデックスを思う。

 禁書目録、魔道図書館、10万3000の悪夢を背負う犠牲の仔羊を思う。

 そんな悲劇を背負って猶も花のように笑う、気高くも弱い女の子を思う。


 今日、鋼盾は彼女が忘れてしまった過去の一端に触れた

 彼女が覚えていない過去を知った

 その残酷すぎる宿命を、改めて突き付けられてしまった

 
 神裂火織の苦悩に触れ、土御門元春の苦悩に触れ、両者を通してステイル=マグヌスの苦悩に触れた

 あの子を想う彼らの、忘れられてしまった者たちの苦悩に触れた

 
 インデックスの背負う宿命を取り払う方法は、未だ思い付かない

 神裂相手にあれだけの啖呵を切って、土御門とあんな約束をしておいて、この無様

 己と上条もまた、このままでは彼らと同じ道を歩む事となる

 
 だが、鋼盾には確信がある

 きっと道はある、ハッピーエンドを毟り取る

 ……そう、信じている


 もうこれ以上、あの子からなにひとつとして奪わせなどしない

 そのために己は、彼女に残酷な問を突き付けねばならない

 ―――いや、正直に言おう。ぼくは、

709 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:34:16.33 ID:dgblqEnVo


「……インデックス」


 きみの名を、呼ぶ

 土御門元春から少女の本当の名を聞いたが、それは彼女のものではない

 それはもう死んでしまった少女の名、鋼盾の知らぬ少女の名だ


「インデックス」


 それは禁書目録(Index-Librorum-Prohibitorum)なる物騒な備品名の略称。

 だが鋼盾は、上条は、あの子をそんな略称で呼んでいるわけではない。

 カタカナ六文字インデックス、発音が正しいのかどうかも知った事ではない。


 “わたしの名前は、インデックスっていうんだよ”

 そうきみが名乗ったから、ぼくらはきみをそう呼ぶんだよ


「インデックス」


 はたして

 抑えきれぬ言葉に、意味はあるのか

 それすらもわからぬまま、それは零れた


710 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:38:27.23 ID:dgblqEnVo


「ねえインデックス、ぼくはきみに―――――」

「きくひこ?」


 独白に、応えがあった。

 誰のものかなんて考えるまでもない。


 ……驚いた。


 思考に耽っていたとは言え、目も耳も一切を捉えることはなかった

 神裂が絶賛した彼女の逃走性能の、これが一端か


 振り返る鋼盾の眼に映るのは凄腕の女スパイなどでは断じてない

 泣きそうな顔をして眠る上条を見つめる、白の少女

711 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:40:20.62 ID:dgblqEnVo


「おかえり、インデックス」


 常のように“ただいま”とは答えず

 少女は怯えきった眼をして疑問を口にする


「……どうしてとうまが包帯だらけなの?
 なんで、どうして? わた、わたしのせいなの? また、わたしが?」


 怯えている、震えている、涙を堪えている

 鋼盾はそんな彼女に歩み寄ると、優しくその頭を撫でた


「……落ち着いて、ぼくの眼を見るんだ。
 インデックス、きみに、伝えなければならないことがある」


 タイムリミットについて

 魔術師たちの正体について

 きみの過去について

 
 いくつもの残酷な真実を

 なにひとつ包み隠さず、きみに告げよう

712 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:42:17.78 ID:dgblqEnVo
 

「……その上で、きみに問わなければならないことがある」


 覚悟を問わねばならない

 鋼盾と上条、ふたりと共に戦う覚悟を

 リスクを負う覚悟を、あらゆる可能性を試す覚悟を


 足掻く、覚悟を

 死なぬ、覚悟を

 諦めぬ、覚悟を


「選んで欲しい、選択肢がある」


 ねえ、インデックス

 ぼくはきみに、わすれられたくないよ


 七番目の墓守なんて、ごめんだ

 八番目の君に他人をみるような眼で見られるなんて、耐えられない


 きみはここにいる

 誰にもそれを否定させない


 未来を選んでくれ、インデックス

 ぼくらと一緒の未来を望んでくれ


 きみがそれを望んでくれるなら、ぼくはそれを叶える

 どんな手を使ってでも、そこに至る道筋をつけてみせる


713 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:45:03.57 ID:dgblqEnVo


「インデックス―――聞いてくれるか」


 手加減皆無のその問は、彼女を想う男のひどく我儘な願い

 流されてばかりの少女にとって、それはあまりに重い一撃


 だけど、この子なら

 そう、きっと


「―――きかせて、きくひこ」


 震える声が、応えた

 覚悟の声が、響いた


 紙のように白い顔を晒して

 震える指を隠すように胸の前で組んで

 その唇を固く固く結びながら


 それでも鋼盾の眼を、しっかりと見つめた


714 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:46:46.18 ID:dgblqEnVo




 何も知らぬことを強要されてきた少女は、この日、己の秘密を知った

 彼女を想う盾の男が、それを告げた。

 

715 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/13(木) 22:56:20.72 ID:dgblqEnVo







――――――――――


おしまえ


……あれ? あんまインさん目立ってなくね?
鋼盾くんの独白回じゃね? という感じになってしまいました。ごめん

インさんの羽化は、もうちょい先にもっといい形でお届けしたいなと思っています
そんときはインさんじゃなくてインデックスさん! みたいな感じになればいいと思ってます

次回は土日になんとか!


あ、ちょいと質問
ちょっとしたネタで、インさんの完全記憶能力を能力扱いにしたいんだけどさ
どんな名前がいいと思う?

“完全記憶”じゃありきたりすぎるかな?
御知恵をお貸しください、センス炸裂のルビも添えてくれると助かります!

じゃあの!
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/13(木) 23:00:55.76 ID:K2BkVJ+fo
>>715
乙ー

逆に"忘却不能"とか
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/10/13(木) 23:10:14.14 ID:JCXb7VVPo
おつ
ルビは思いつかないけど永遠知識とかでどうだ?
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/13(木) 23:54:25.63 ID:XJPF+T94o
鋼盾まじSやわー。
これ気持ちよくなってるよね?

わかりやすい能力はわかりやすい日本語にはっちゃけたルビが多いんで、
記録能力”バイオレコード”とかどうでしょうか。
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 23:59:54.08 ID:1beWMGLAO


コウやんマジドS
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/14(金) 07:27:21.18 ID:zVTpjCGAO
乙。禁書キャラでは珍しいSキャラになったか…これからに期待。

知識蚕食か博覧強記かな?
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/14(金) 18:08:58.41 ID:miT/CLVoo

能力名かぁ。

インデックス
禁書目録

じゃそのままだしw
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/14(金) 18:58:38.31 ID:oEDAXPZAO
自動書記(オートメモリ)
ヨハネのペン?なにそれ
723 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/10/14(金) 21:43:34.33 ID:TcbH12NLo
[ピーーー]
724 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/10/14(金) 21:46:03.92 ID:TcbH12NLo
ごめん↑ミスったww
みなさんレスサンクス!

……おいおいお前ら、コウやんがSだって?
アイツはいつもウダウダ自分にダメ出しばっかの自縄自縛系Mですよ
>>1が言うんだから間違いないっすよ…………ん、再現VTR、スタート!



――――――――――――



「インデックス―――[ピーーー]てくれるか」


 手加減皆無のその[ピーーー]は、彼女を想う男のひどく我儘な[ピーーー]

 [ピーーー]されてばかりの少女にとって、それはあまりに重い[ピーーー]


 だけど、この子なら

 そう、きっと


「―――[ピーーー]て、きくひこ」


 震える声が、応えた

 覚悟の声が、響いた


 [ピーーー]のように[ピーーー]い[ピーーー]を晒して

 震える[ピーーー]を隠すように[ピーーー]の前で[ピーーー]んで

 その[ピーーー]を固く固く[ピーーー]ながら


 それでも鋼盾の[ピーーー]を、しっかりと見つめた



 [ピーーー]を強要されてきた少女は、この日、己の[ピーーー]を知った

 彼女を想う盾の男が、それを[ピーーー]た




――――――――――――


……うん、まあ、その、なんだ
つかだいたいアレっすね、人間をSだのMだのに分けたがる事自体がおかしな話ですよね
SとかMとか、二次会くらいになるとそんな話をしだす奴がいますけど、アホかと
RとLの発音の区別も付かないくせに!

あ、こんなSS書いて晒している>>1は当然Mですね
罵ってください、でも放置プレイは勘弁な!
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/14(金) 22:24:59.34 ID:miT/CLVoo
………
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 22:30:20.87 ID:MKIAEsJAO
…………!?
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/14(金) 22:43:34.96 ID:ORPnhFJto
−・・・・・−−・−・−・・−−・−・−・
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 23:14:19.43 ID:k0mCD+4oo
>>727
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/14(金) 23:21:23.58 ID:aybaRccj0
ニア・そっとしておこう
  ・興奮した
  ・私がLです
730 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/10/15(土) 00:54:36.25 ID:/dRenWv3o
わたしがMですの

いやー、>>713>>714が台無しです
でもおまえらの蔑んだ目が気持ちいいッ!!
……すいません、酔ってます

そして能力名考えてくれてありがとうです!
うん、どれも素敵、感謝でござる

『忘却不能』
 ナイスです! あえての「不能」がいいですね。
 以前木山先生が言った「完全記憶能力とは疾患に他ならない」というセリフともリンクします
 読みは………“フォーゲットミーノット”でどうでしょう

『永遠知識』
 思わず「“エターナルフォース”……使い手は一年で死ぬ」と呟いた>>1を許して

『記録能力』“バイオレコード”
 漢字はシンプルな〜〜能力、〜〜使い、の方がなんか夢が広がるな、いいセンスだ!
 でも「バイオハザード」と読んだ>>1を許して

『知識蚕食』
 知識を貪り喰らうもの……流石に“ブックワーム”や“デスウォッチ”はかわいそうかな

『博覧強記』
 これは見た瞬間閃いた。“ディクショナリ”ですかね

『禁書目録』“インデックス”
 まんまww でも能力名で呼ばれるって一方通行とお揃いですね

『自動書記』“オートメモリ”
 よっちゃーーーーん!!!


参考にさせてもらいます!
いつか見てもらえると想いますので、どうかお楽しみに
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/15(土) 12:09:11.07 ID:NxvFS2mAO
今頃素面になって>>724>>730を見て悶える>>1を想像しちゃいましてね…
うふふふ…思わず興奮してレスしちゃいましたよ……
732 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/10/15(土) 14:00:49.70 ID:/dRenWv3o
旅にでます、探さないでください
                   >>1


……嘘です。やっちまったorz
お前らに>>1の正体が「ドM且つえっちなことに興味津々なCカップのドジっ娘」だとバレちまったぜ!
……なんなのアレ、ばかじゃねえの? >>1とかばかじゃねえの? 死ぬの?

まあ、それはそれとして
本日夜にも投下に参ります! いえーい予告age!

さて、いよいよ24日です
次回は誰の回になるのでしょうか


ヒントは「錬金術師」、「黄金練成(アルス=マグナ)」、「我が[ピーーー]は世界のために」


懸命なる読者諸君はもう予想しているかもしれません
バレバレで恥ずかしい限りですが、次回はアイツが大活躍

泰然と投下を待て!
粛然と服を脱げ!

んでは、夜に!
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 15:33:15.98 ID:e5JmVEmWo
一体誰なんだ…
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/15(土) 15:53:20.18 ID:WQ3wC8FEo
全然。わからないんだぜ
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 16:03:16.26 ID:8DN0cwAAO
わからないまま。脱いだ
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/15(土) 17:21:09.59 ID:NxvFS2mAO
惑乱。一体何者なのか…!?
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/15(土) 17:23:35.42 ID:XrqWZDbro
懸命に考えても。分からない。
一体。誰。
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/15(土) 17:52:41.18 ID:bnuXOvcRo
誰かは。わからないけど。嘘は。よくない。

×ドM且つえっちなことに興味津々なCカップのドジっ娘
○ドM且つえっちなことに興味津々な自称Cカップ実はAカップでパッド落としちゃうドジっ娘

739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/15(土) 17:53:31.11 ID:Imce+IAzo
愕然。男のCカップとはただの
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/15(土) 19:11:45.77 ID:eL+fLJMTo
それ以上いけない
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 19:15:30.91 ID:8DN0cwAAO
コウやんがCカップと申したか
742 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:28:17.96 ID:/dRenWv3o
ふふ。まったくもっておまえらときたら。わかってるくせに。
でも。きらいじゃないぜそういうノリ。


粛然、投下せん!
刮目せよ! 貴様らは黄金練成の目撃者となる!




――――――――――
743 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:29:50.42 ID:/dRenWv3o


 錬金術師

 それは、世界の構造を読み解かんとする者

 
 でもそれは、なんのために?

 だれのために?


 当然、決まっている

 それは、この素晴しき世界の為に

 この世界に生きる、愛しき人々の為に



744 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:31:41.12 ID:/dRenWv3o


 フライパンはしっかりと熱しておかねばならない

 決め手はスピード、一気呵成の強火を以って挑め


 カロリーを気にして油をケチってはならない

 十分な油の禊こそ、オムレツを黄金に輝かせる


 卵はかき混ぜすぎてはならない

 十字を切るように優しく、祈りを捧げるように丁寧に


 厨房こそが料理人の戦場

 これまで積み上げてきた経験と知識のみが武器となる

 我こそが至高と確信する、我こそが究極と確信する


 手には菜箸

 心には食材への感謝


 さあ踊れ卵よ

 はばたけ可能性の象徴よ

 無精卵からはなにも生まれぬ、と無知なるものは言うだろう

 なんと愚かな――これよりおまえは一塊の黄金へと姿を変える


745 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:32:43.06 ID:/dRenWv3o



 さあ、満願成就の朝が来た

 新しい朝だ、喜びに胸を開け、大空仰げ

 そーれ、いち、にい、さん


 合図とともにボウルが翻る

 フライパンの上に卵が落ちる


 じゅう


 それだけで美味しそうな音が響く

 部屋いっぱいに良い匂いが広がる



 不可能とされた黄金練成(アルス=マグナ)を、ここに成し遂げる

 刮目せよ無知なる者よ、我こそが錬金術師なり


「“我がメイド道は世界のために”……なんだぞー」


 土御門舞夏が淡く微笑む

 世界の構造を知る賢者のように




――――――――――
746 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:34:06.36 ID:/dRenWv3o



「起きろネボスケどもー、朝ごはんだぞー」


 耳朶をやんわりとノックする甘やかな声

 鼻孔をよろこびで満たす優しい香り

 目蓋を撫でる朝の爽やかな光


 世界は優しく、希望に満ちている

 そう、信じてしまいそうな目覚めだった


「ふふ、起きたみたいだなー。
 朝ごはんだぞー鋼盾掬彦」

「ああ、そっか……舞夏だ」


 寝起きの鋼盾をのぞき込んでいるのは土御門元春の義妹、舞夏

 厄介な状況に直面している鋼盾らのために、手伝いに来てくれているメイド様である


747 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:41:28.11 ID:/dRenWv3o


「そんなところで寝ると体に毒だぞー、
 風邪は……まあ、だいじょぶだろうけどなー」

「……うん、ごめん……寝る気はなかったんだけどね」


 昨夜、インデックスに全てを伝えた後

 インデックスを上条の部屋へと送った後

 ようやく鋼盾は、己の寝る場所がないことに気づいた

 どうしようかと結局思いつかず、ほんの一休みのつもりで上条が眠るベッドに凭れかかり――

 そのまま、眠りに就いてしまったらしい


 そして、気づけば朝

 風呂も浴びずに硬い床で転寝、常であればひどい目覚めになりそうなものであるが

 しかし優秀極まりない舞夏のおかげで、とても穏やかな気分で迎えることができた


 部屋中が美味しそうな匂いで満ちている

 そんな幸福な目覚めは、ここ数年、味わったことがなかった

 
 ほんの一瞬、離れて暮らす母の笑顔鋼盾は幻視した

748 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:43:38.22 ID:/dRenWv3o


「…………おはよう舞夏。朝食、ありがとう……いいにおいだね。
 怒らずに聞いて欲しいんだけど、なんかきみにプロポーズしたい気分だ」

「……それは光栄だなー、メイド冥利に尽きるんだぞー」


 鋼盾の阿呆な台詞に、ちょっぴり頬を染めてにっこりと笑う舞夏

 けして礼を失せず主人の冗談を軽やかに受け流す……まさにメイドの鑑である


「だけどなー、鋼盾掬彦?」


 だが、そんな彼女はあの土御門元春の義妹

 からかうネタを手に入れれば、それを使わないなんてありえない


「だけど、浮気はだめなんだぞー?
 ……ふふ、昨夜はお楽しみだったのかにゃー?」


 まるで義兄のような口調でにやにやと

 舞夏は鋼盾の不義を笑いながら嗜める

 ……浮気? いや、確かに一瞬小萌の顔すら忘れていたが

749 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:45:53.31 ID:/dRenWv3o


「腕の中に女の子を侍らしておいて、他の女を口説くだなんて
 ふふ、鋼盾掬彦は、見た目によらずなかなかプレイボーイみたいだなー。
 ………おにいちゃん? そろそろ気づいた方がいいと思うんだけど」


 ……えーと、腕の中? 女の子

 そういえば、右半身に蟠るようなダルさと喩えようのない暖かな感触がある

 なんだろう、これ


 鋼盾はようやく、そちらに目を向ける

 そこには―――――


「……………………プロポーズ?」ムスー


 なんということでしょう!

 鋼盾によりそうように腕の中へちんまりと収まった!

 涙目かつ憤怒の表情でこちらを睨みつける!

 インデックスさんの御姿が!

750 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:48:07.05 ID:/dRenWv3o


「……ずいぶん、おかんむりさまみたいだぞー?
 その、インデックスさんは」

「……………………あー」


 不幸だ、とは言うまい

 なんでここにいるのかも、聞くまい

 どうして抱きついていたのかも、問うまい

 
 ………こういのは、上条くんのロールだと思うんだけど

 へい、ヒーロー、助けれとテレパシーを送る


 へんじがない いまだ いしきふめいの ようだ

 ……というか無能力者同士じゃこんなやり取り、不毛にも程があるけど


 ヒーローは不在

 残酷な事実を、鋼盾は粛々と噛み締める

 ああ、世界にはヒーローが足りない

751 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:50:25.53 ID:/dRenWv3o


「…………おはよう、インデックス。
 いい朝だね……怖い夢とか見なかった?」


 まずは朝の挨拶

 ……へんじはない ただちに しかばねに するぞ

 と、その目が言っていた、雄弁に


「……………………」


 インデックスの手が伸ばされ、鋼盾の頬に添えられる

 そしてゆっくりと、彼女の顔が近づいてくる

 ああ、まるでキスをせがんでいるかのようだ

 はは、きみからおいでハニー、可愛いぜベイビー


 心臓がドキドキする

 ……胃が、キリキリする

 …………冷や汗が、ダラダラである


 鋼盾はハリウッドスターのように微笑み、目を閉じた

 すべてを受け入れるように、目を閉じた

 死刑囚のように、目を閉じた

 殉教者のように、目を閉じた

752 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:52:16.48 ID:/dRenWv3o


 暗闇に、声が響いた


「―――――おやすみ、きくひこ」


 おいおい、おやすみとはオカシイなハニー

 ごらんベイビー、いい朝だぜ?


「……朝ごはん、冷める前に帰ってくるんだぞー」


 キッチンから舞夏の呆れたような声が届く

 主人たちの愛の営みを邪魔するなんて、メイドの鑑たる彼女にはありえぬ選択肢だ

 つか、避難早すぎだろ……流石です舞夏さん

 ぼくの分の朝食、残しておいてくださいね

 うん、それでは

 
「…………おやすみなさい、インデックスさん」


 ギロチンの刃はすぐそこに、ガチガチと音を立てている

 迫り来るそれを待ちながら、鋼盾掬彦は就寝の――否、終身の挨拶をした


 カァン、と

 舞夏がフライパンをおたまで叩くゴングの音が響き渡って―――――



 本日は8月24日

 雄鶏のような鋼盾の悲鳴が、一日の始まりを告げた

753 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:52:50.47 ID:/dRenWv3o



 ×鋼盾掬彦 VS インデックス○

 1R 14秒 ギブアップ

 (決まり手:噛み付き)



754 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/15(土) 21:57:54.11 ID:/dRenWv3o







――――――――――


ここまで

はい、というわけで厨房の錬金術師、土御門舞夏さんでした
愛用の包丁の銘は、はじまりとおわりの文字を冠する“アゾット”でしょうか
錬金術は厨房から生まれたらしいぜ! 美味しい料理は究極にして至高の魔法

いやー、わかりやすかったかなー
無意味に詳細な卵の描写、明日の朝はまかせろ、オムレツにしようかなという舞夏の台詞
黄金練成はオムレツ錬成、ならば厨房は工房、ゆえに料理人こそが錬金術師
なにより「名誉」と「メイド」って似てるよね、という話です。

……むりやり「おにいちゃん」って言わせてみたけど、イマイチ舞夏には似合わないんだよなこの台詞
可愛らしく書けてればよいのですが


あ、これまでの嘘魔法名ネタ一覧


 上条当麻―――“礎を担いし者”(オリアナ)

 土御門元春―――“我が身の全ては妹の為に”(シェリー)

 青髪ピアス―――“その涙の理由を変える者”(アックア)

 吹寄制理―――“救われぬ者に救いの手を”(ネーチン)

 土御門舞夏―――“我がメイド道は世界のために”(アウレ)


はたして鋼盾くんはどんな魔法名を名乗るのでしょうか、予想歓迎!
……とびきりのネタを用意しておりますので、ぜひお楽しみに!

次回更新は来週末に!
じゃあの!

755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 22:33:33.47 ID:mbbebqqCo
俺の中のこうじゅんさんがすごくイケメンになってきた
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 00:46:10.56 ID:LVuGSawIO


青ピは悲しみの涙を笑の涙目に変え
心の淀みを濾し呆れのため息で吐かせる
そんなオトコだと信じる
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/16(日) 11:15:43.84 ID:M06dmkfAO
愕然、しかし乙
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/16(日) 13:47:25.63 ID:6qL1hk6vo
やっぱり。出番があるかもなんて。本当に馬鹿。
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/16(日) 19:18:32.35 ID:r9pk1YzAO
慟哭。奇跡も魔法も無いものか…!
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/16(日) 19:29:19.31 ID:yZJO1Pw8o
判然。黄金錬成とは禁書目録に笑顔をもたらす物なり。
インデックスかわいーなー。
761 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/18(火) 22:58:42.90 ID:d3eX0ivLo
>>1っす、どもです。更新遅れそうです。
仕事まみれで書けないぜボス、勘弁してくれボス、なんで俺が栃木に出張なんだよボス、明日4時起きだよボス

いやーアウレさん贔屓のみなさんには失礼しました
アウレが一巻に絡んでくるのも面白そうで、そんな妄想もあったのですが収集がつかず封印
幻想御手を利用して黄金練成をカマすという素敵設定……エラいことになりましたぜ
木山先生が「ふむ……吸血殺し、か。使えないな……」とか言ってたかもしれません
ラストは「吸血鬼」対「幻想猛獣」対「超電磁砲」対「聖人」対「黄金練成」対「幻想殺し」とか。無理。

たぶん書かぬであろう妄想2巻以降では、黄金練成のないアウレさんが上条や鋼盾の学生寮の管理人をしていたりします
顔を変え、名前を変えて学園都市でおっかなびっくり。ポジションは世捨て人且つ便利屋、土御門にいいように使われるハメに
偽名は「ヴァン=ホーエンハイム」でインデックスとおやつをいっしょに食べるのが趣味。舞夏に弟子入りする
……いやー、だめだろコレ、ハガレンファンが怒るよコレ、妄想乙

妄言はともかく、いよいよ24日。ここもまた長くなりそうです

あ、すまんが質問
みなさんが小学校3〜4年くらいに歌った合唱曲とかリコーダーで吹いた曲とかでおすすめ教えれ
「風を切って」「パフ」「気球にのってどこまでも」「マイバラード」「茶色い小瓶」「かいじゅうのバラード」「未知という名の船に乗り」
>>1がぱっと思いついたのがこの辺なんですが、お前ら歌える?

お願いします






762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2011/10/18(火) 23:37:04.47 ID:G7yBZN23o
翼をくださいなら小学校2年から中学終わるまで毎年歌ったから完全に覚えてる
リコーダーはもののけ姫を演奏したのが一番記憶に残ってるわ…なんでだろ…
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/18(火) 23:45:48.72 ID:CwrfdwgNo
リコーダーならとりあえずチャルメラだろ…
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 23:48:32.17 ID:MkDPO1oD0
「パフ」って、PP&Mの?
オジサンとしては、ベトナム戦争の反戦のフォークソングのイメージが強いけど……
最近の小学生は単なる童謡としか思ってないんだろうな?

765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/18(火) 23:53:35.45 ID:CwrfdwgNo
合唱なら「勇気一つを友にして」「グリーングリーン」「山賊の歌」とかかな?
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/18(火) 23:58:36.57 ID:he5Npfvto
リコーダーなら「オーラ・リー」だな。今でも吹ける
そういやFFとかマザーの曲は本当に音楽の教科書に載ってるのかな、見てみたい
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/19(水) 00:01:52.30 ID:JjTkQe9AO
パフと聞いて「ああ、AC−47ね」と思ってしまった…
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/19(水) 03:40:26.88 ID:1596t7Zvo
リコーダーなら地上の星とか
合唱は君を乗せてとか瑠璃色の地球とか少年時代とか

いろいろやったな
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 03:42:53.59 ID:RoJOT7MAO
コスモスやビリーブ、時の旅人辺りは高学年かね?

スピッツのチェリーとか歌った記憶がある。あととなりのトトロのさんぽとか
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/10/19(水) 17:40:52.06 ID:ah+8AHMx0
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 07:06:21.54 ID:UZ1HM5tQ0
合唱ならカリブ夢の旅だなー
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/20(木) 07:47:53.82 ID:TCrql919o
>>761
>幻想御手を利用して黄金練成をカマすという素敵設定……エラいことになりましたぜ
>木山先生が「ふむ……吸血殺し、か。使えないな……」とか言ってたかもしれません
>ラストは「吸血鬼」対「幻想猛獣」対「超電磁砲」対「聖人」対「黄金練成」対「幻想殺し」とか。

____   r っ    ________   _ __
| .__ | __| |__  |____  ,____|  ,! / | l´      く`ヽ ___| ̄|__   r‐―― ̄└‐――┐
| | | | | __  __ |  r┐ ___| |___ r┐  / / | |  /\   ヽ冫L_  _  |   | ┌─────┐ |
| |_| | _| |_| |_| |_  | | | r┐ r┐ | | | /  |   | レ'´ /  く`ヽ,__| |_| |_ !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘
| r┐| |___  __|. | | | 二 二 | | |く_/l |   |  , ‐'´     ∨|__  ___| r‐、 ̄| | ̄ ̄
| |_.| |   /  ヽ    | | | |__| |__| | | |   | |  | |   __    /`〉  /  \      │ | |   ̄ ̄|
|   | / /\ \.   | |└------┘| |   | |  | |__| |  / /  / /\ `- 、_ 丿 \| | ̄ ̄
 ̄ ̄ く_/   \ `フ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |   | |  |____丿く / <´ /   `- 、_// ノ\  `ー―--┐
           `´ `‐' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`‐'     ̄          `  `´          `ー'    `ー───-′
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/21(金) 16:45:33.44 ID:E7AEhVOV0
>>771
↓キャプテン↑キッド!

俺は旅立ちの日にとか
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/21(金) 17:05:02.90 ID:qorZ+BZPo
合唱といえば個人的には椰子の実が一番
ただあれは中学生のころに歌ったからちょっと違うか
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/21(金) 18:25:55.59 ID:djjHL4C4o
>>774
島崎藤村?
読みはしたけど歌ってはないな

名も知らぬ遠き島より
流れ寄るヤシの実ひとつ
776 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/21(金) 20:03:20.49 ID:d+RJs0Jdo
>>762−775
みなさんサンクス!やっぱ合唱曲の話は盛り上がりますね!
>>1は縁あって小中学校の合唱コンクールを見に行く機会が多いのです
実は今日も中学校のコンクールを覗いて来ました、いやーよかったぜ!

以前「禁書世界でキャラに最近のアーティスト歌わせたりとか興ざめじゃね?」的なことも書いてましたが
まあ“みんな歌ってきた曲”ということで許してください、ムーンリバーも勘弁な

同じ歌を歌えるってのはいいですよね、音楽の授業は馬鹿にできないぜ実際
インデックスはまだ上条さんや鋼盾くんと同じ歌を歌えないんだなー……とか考えてしんみり

……と思ったら過去のアホネタで一緒にウィアーザワールド歌わせてたというね!
俺のアホ!

参考にさせて頂きます、ご協力感謝

>>772
映 画 化 決 定 ! は割と憧れのAAかもw
でもそのネタは無理だろ……再構成、このくらいはっちゃけた方がよかったかな?
サンクスです

>>770
あ、これ実は>>1の自演、もとい誤爆です。栃木に行って来ましたよ
……もっとちゃんとコメントしろよ馬鹿


どうにか今晩、むりなら明日の昼までに!
予告↑age↑!!


777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 20:59:36.25 ID:loTzy83vo
自分で自分に乙しちゃう男の人って…
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/21(金) 21:21:34.40 ID:7hYBXAeSo
だが、それがいい
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/21(金) 22:54:51.28 ID:OwO2W1Kao
自演乙
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/21(金) 22:58:23.35 ID:53bPOxTAO
やはり酉を自演☆乙にしないといかんな、これは…
781 :自演☆乙 ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 11:58:32.84 ID:XXvKMW5/o
おくれてごめん、自演野郎ですいません
昨晩は筆がノリまくって投下で水をいれるのが勿体無かったのです
んで力尽きて寝てしまったぜ

今回投下はそれほど長くないですが、連日投下イケそうですよ!

んじゃ、投下します



――――――――――
782 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:01:24.74 ID:XXvKMW5/o


「そういえば鋼盾掬彦ー、今日はこのあとどうするんだー?
 なんかさっきあちこち電話してたみたいだけど、どっか行くのかー?」

「……ああ、昼から出ることになるよ。
 インデックス、きみも一緒だ……舞夏、悪いんだけど一応上条くんを
 気にしといてあげて? もちろん自由に出歩いてくれてもかまわないから」

「わたしも?
 ……うん、わかったんだよきくひこ」

「りょーかいなんだぞー
 わたしも片付けておきたい裁縫仕事があるから、午後はここでそれをやらせてもらおうかなー。
 あ、ごはんはどうするんだー?」

「ん、昼は食べてく。夜は……ちょっとわかんないな。
 携帯鳴らす、できるだけ早めに連絡するから」

「まいかまいか! お昼ごはんはなんなのかな!?」

「んー? そうだなー、なんかリクエストはあるかー?」

「なんでもいいんだよ!」

「ぼくも、なんでもだいじょうぶ」

「まったく、なんでもいいが一番困るんだぞー
 ……なーんて凡百の主婦のような台詞をメイドたる私が口にすると思ったかー?
 まかせるんだぞーふたりとも、お昼にも期待しててくれなー」

「ふおおおおおお!
 舞夏に後光が差して見えるかも!」

「ふっふっふ、任せれ……ん、じゃあふたりは昼まではフリーなのかー?」

「ん、そうだね。ぼくはちょっとパソコンに用事があるくらいだから。
 昼までは各々好きなように過ごしてくれて構わないよ」

「ふむ、お、そういえば出かけるならその前に一風呂どうだーふたりとも?
 土御門舞夏特製入浴剤、兄貴の部屋においてあるから持ってくるぞー?」

「あー、そうだね。相手に失礼だし。
 舞夏特製か、楽しみだ」

「うん!」

「ふっふー、そっちも期待しておくといいんだぞー」



――――――――――
783 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:05:01.20 ID:XXvKMW5/o


 寝起きそうそうの甘やかバイオレンスな展開をどうにか乗り越えて

 三人で朝食を摂り、上記のような遣り取りを終えて既に一時間が経過していた。


 あの後すぐにパソコンでなにやら作業を始めた鋼盾であったが、ようやく一段落がついたらしく、

 あぐらのかいたまま上半身のみ後へ倒れこみ、ぼんやりと天井を見上げていた。


 その頭にはヘッドフォンが付けられている

 ワイヤレスのそれは、先ほどまでとある音声を再生していたが、今は無音のままだ

 もう外してしまっていいのに、どうにも億劫だった

 陽は穏やかで、このまま転寝をしてしまいそう


(…………風呂、入ってこなきゃ)


 昨夜、神裂の斬撃により鋼盾は粉塵に晒された

 そうでなくとも夏の日だ、汗もかいたろう……いや、冷や汗の方が多かったかも知れない


 埃まみれの汗まみれ

 ……まったく、よくもインデックスはこんなヤツにくっついてくれたものだ


 さっさと風呂に行こう

 風呂に入ればこの眠気も抜ける、また走りだせる

 舞夏がせっかく用意してくれたのだ、特製入浴剤もきっといい出来だろう

784 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:09:35.41 ID:XXvKMW5/o


 その舞夏は、湯上りのインデックスの世話をあれこれと楽しそうに焼いた後、一旦土御門の部屋に戻っている。

 使い慣れた調味料のある自室で仕込みをするとのことだ


 朝食も美味しかった、鋼盾もインデックスも絶賛だった

 “お昼お楽しみになー”と笑った彼女、楽しみだ。


(……インデックスは)


 倒れこんだまま、視線を巡らす。

 探すまでもなく、己のすぐそばに彼女はいた。


 風呂上りの髪を舞夏に弄ばれ、くすぐったそうにしていた彼女

 その時と全く変わらずに鋼盾と上条の間であるベッドの脇にちんまりと収まり、寝息を立てている

 
 やはり昨夜は眠れなかったのであろう

 無理もない、随分と重い話をしてしまった


 容赦無く、彼女に一切合切をぶちまけた
 
 わけが分からなかっただろう

 怖かっただろう


 この部屋に戻ってきたのも、鋼盾の腕の中に潜り込んできたのもきっとそれが理由

 そして今、鋼盾と上条の間にいるのも、きっと

 不安を少しでも和らげたくて、誰かの熱をかんじたくて


 インデックスの寝顔は、穏やかだ

 安心しきってくれている


 そこが己の定位置と言いはるように、幸せそうに

 ようやく人に慣れた白い野良猫のように、あたたかな陽光を浴びていた

785 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:13:26.50 ID:XXvKMW5/o


 その安らいだインデックスの寝顔を見て、鋼盾も笑顔になる

 自分の存在が、この子を安らかな気持ちにしている

 それを鋼盾は誇らしくすら、思う


 ……ああ、ぼくらの幸せはこんなにも安上がりだ

 きっと上条も同様だ、なんだかんだで彼女が笑っていればそれでいい


 ……少しばかり、緩んでしまった

 締め直さなくては


 腹筋で上体を起こし、あぐらを解いて、足に力を入れて立ち上がる

 耳を覆っていたヘッドホンを外し、まずは大きく伸びをする

 今は休むな

 走れ


 さあ、動き出そう―――鋼盾がそう思った瞬間、腰元に振動

 一拍遅れて着信を告げるベルが響いた

 
 着信だ


 相変わらずの無作法な音、いつもいつも変えよう変えようと思うが、なんとなく変えそこねてしまう

 ……まあ、着信音なんてそんなもんでいいのかもしれない


 少なくとも眠気は飛んでゆく

 現実に立ち向かう気分にさせてくれる

 ……例外は、小萌ひとりで十分だ
 

 ポケットをまさぐり、震える携帯電話を引っ張り出す。

 携帯のディスプレイには少しばかり意外な人物だった。

786 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:17:20.81 ID:XXvKMW5/o


「……初春さん?」


 初春飾利

 花飾の少女

 この街を守る盾たらんと誓う風紀委員

 そんな彼女からの電話


「……なんだろ」


 とにかく電話を取らなければ

 インデックスの睡眠の邪魔をしないよう、鋼盾はベランダへ出る

 後ろ足で扉を閉め、手摺に身体を預け、通話ボタンを押して携帯を耳口にあてる


「……はい、鋼盾です」

『あ、鋼盾さん! 私です、初春です
 おはようございます、電話だいじょぶですか?』


 応えは、まっすぐな声

 朗らかで甘い、彼女の声

787 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:19:51.85 ID:XXvKMW5/o


「うん、おはよう、だいじょうぶだよ。
 待たせてごめんね……えーと?」

『んん、ちょっとお話がしたくてですね……まず、佐天さんの事なんですけど。
 あれからずっと連絡を取ろうとしてるんですが、電話にはでてくれなくて……
 家にも帰ってないみたいなんです。何度か“心配しないで”ってメールは来たんですが……』


 あの日、佐天涙子としっかり向きあうと約束してくれた彼女たち

 ともだちのために、きっと精一杯頑張ってくれたのだろう


 だが、佐天はそれに応えない

 ――――あるいは、応えられない?

 どうして?


「そっか……心配だね。
 初春さんを避けてるとなると……こないだ心配してた通り」

『……はい、可能性はあるかもしれません。
 一応私や白井さん、御坂さん以外のひと……むーちゃん――クラスメイトなんですが、
 その子にたのんで佐天さんに連絡を入れてみて貰ったんです。
 でも―――その子たちも“返信はなかった”って……ちょっと普通じゃないです』

「……うん」


 鋼盾もまた、幻想御手に手を出そうとした人間だ

 反則を犯すことには、当然ながら罪悪感があった


 それは友人を、恩師を裏切る所業

 もし使用してしまっていたら、顔向けできないという気持ちも解る


 佐天涙子は能力者になってしまったのだろうか

 蜘蛛の糸に、手が届いたのか

788 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:23:29.60 ID:XXvKMW5/o


『……でも、それはだいじょうぶです。
 ちゃんと佐天さんと向き合い続けるって決めてますから。
 いよいよになれば、街中の監視カメラをジャックしてでも捕まえてみせます』


 いやー、公私混同ですねえ、血が騒ぎます!

 そんな物騒な台詞を口にし、初春は笑う。

 目的のために手段を選ばぬ覚悟……そういうの、キライじゃないぜ


 ……ああ、黒子の言うとおりだ

 この子は、諦めが悪い

 だからきっと、この子は間違えない

 ならば


「はは、やっちまえ」

『ええ、やっちまいます!』


 きっと、佐天涙子は大丈夫

 自分に小萌やステイルがいたように、彼女には初春が付いている

 黒子も美琴もいる、許されるなら、己も


「頼むぞスーパーハカー、佐天さんの幸せはきみにかかっている」

『ハカーじゃなくてハッカーと言ってください……じゃなくて!
 だれがハッカーですか! 私は……!』


 きみが誰かなんて知っている

 きみが何かなんて知っている


 さあ、無責任に煽ってやれ

 この子はきっと、それを望んでいる

789 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:24:34.14 ID:XXvKMW5/o


「お願いだ風紀委員さん、ぼくの恩人を守ってあげて」

「……もう、ずるいですね鋼盾さんは!
 わかりました! ……風紀委員初春飾利にすべてお任せください!

 …………ありがとうございます、鋼盾さん」


 この街を守る盾たる乙女

 風紀委員の初春飾利が、拗ねたようにもうひとつ、戦う理由を積み上げた

 きっと笑顔で、根をはるように葉を誇るように

 花咲くように





――――――――――


790 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 12:30:09.16 ID:XXvKMW5/o
ここまで

24日の朝、いまだ上条さんは目覚めず
舞夏とインデックスは早くも仲良しですよ

さて、初春さんです。このこも好きですよ
そして、佐天さん……いよいよ超電磁組が絡んできましたね

いやー、しかしうちの佐天さんは影うすいなー
話題の芯の部分にはいるのですが、なかなか出せません
むむ、どうすっぺ

んじゃ、今晩か明日にまた
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 16:22:07.91 ID:FNMhyBF/0
>>1乙━━━(・∀・)━━━ッ!!!!
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 18:09:45.03 ID:fwQqcxyAO
鋼春はありと思います!
乙!
793 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:29:45.79 ID:XXvKMW5/o
さて一日二回投下!
くらえ!




――――――――――
794 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:35:44.02 ID:XXvKMW5/o


『佐天さんのことはそれでいいとして……もうひとつはその、幻想御手のことなんです。
 ……調査は停滞中……わたしたちだけじゃ、どうにも行き詰ってしまって……
 鋼盾さん、あれからなにか気づいたこととかないかなー、なんて』


 幻想御手拡大の阻止、昏睡した使用者の恢復、そして開発者の検挙

 風紀委員たる彼女らの双肩にかかるものはあまりに大きい

 力になってはあげたいが、しかし


「……うーん、といわれてもなあ……話せることは全部話しちゃったし……
 ぼくの方はアレからネット巡りもしてないから、新しい情報もないというか」


 過去をなかった事にするつもりはないが、それでも穿り返すのは嫌だった
 
 小萌やステイルに救われてからというもの、日課だったサイト巡りもやめてしまっている

 あれから数日、状況はそれなりの推移を見せているはず

 既に幻想御手を否定した己には、考えを進めるための材料がない

 そんな鋼盾のことばに何を思ったか、初春飾利の決意に満ちた声音が響く


『……新しい情報、ですか。
 これは鋼盾さんにはお知らせしてなかったですけど……そうですね。
 いくつか、新情報をお伝えします。……ご意見いただけますか?』 


 捜査情報の提供

 それは、機密情報を漏らす行為ではあるまいか


「……えーと、いいのかな聞いちゃって。
 それ、一般人に教えて問題とかにならないの?」

『バレれば、勿論。
 ――でも、安心して下さい。この電話は絶対に安全ですから。保証します。
 それこそ鋼盾さんの家に盗聴器でも仕掛けられてない限り、バレないですよ』


795 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:41:31.15 ID:XXvKMW5/o


 いやー、じつはぼく、同級生の金髪グラサン野郎に盗聴されてる節があるんだよね

 ……とは、流石に言えない

 盗聴を受け入れてるとか、どんだけだ

 どんなプレイだ

 
 鋼盾は少しばかり迷うも、聞かれても問題あるまいと結論づける。

 だが、まあ一応保険をかけておこうか。


「あ、ごめん……ちょっと待ってて?」

『?……はい、わかりました』


 電話から口を離し、おまじないを呟いておく

 なんまんだぶまんまんちゃん


「あー、土御門くん。
 ……内緒ね」


 了解だにゃーと聞こえた気がした

 勿論、幻聴だろう


 さて、それでは

 初春飾利の覚悟と信頼に応えよう

 目的の為に手段を選ばぬきみの、手段のひとつに数えてもらえたのだ

 はたらきますよ、マイマム、マイボス


「お待たせ……んじゃ、聞かせてくれ」

「はい、幻想御手について現時点では―――――


796 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:48:41.98 ID:XXvKMW5/o

――――――――――


「……なるほど、幻想御手の正体は音声ファイルの可能性が高い、か。
 えーと、音声だけ? ……PVとかは付いてない?」

『ええ、音声だけです。
 タイトルがそのまま「LeveL UppeR」で、使用者の持ち物から次々出ているので
 本物の可能性が高いみたいですね』


 幻想御手の正体についてはネットでも様々な説が入り乱れていたが、音声データとは意外にすぎる。

 手軽にダウンロード出来るという点では頷ける部分もあるが、やはりちょっと信じられない。

 音だけでレベルが上がるというのは、少々どころではなくおかしな話だ。


 というか、ありえない。

 この街の能力開発を全否定である。

 
「そっか……うーん、音だけか……」

『……やっぱり、ありえませんよね。能力開発は五感を通して行われるもの
 音じゃ聴覚しか揺らせませんし……単純に1/5とは思いませんけど、
 それでも視覚、触覚、嗅覚、味覚を放ってしまって―――それで能力が目覚めるなんて思えない」


 やっぱり見当違いの方向に行っちゃってるんでしょうか? と初春が不安そうに語る

 不安と不信に少女は喘ぐ……責任の重さが焦燥を加速させているのだろう

 だが、鋼盾はそんな初春の不安を切って捨てる

797 :鯖重すぎる!心が折れるわ! ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:54:40.81 ID:XXvKMW5/o


「ううん、使用者たちからも出ているんだろ……事実とみた方がいいとは思う。
 ただ―――君たちが偽物を掴まされている可能性は?」

『偽物、ですか?』

「うん、例えば……食べるとレベルが上がるふしぎなアメがあったとする。
 ばら撒いた人が「アメを舐めたあと、この音楽を聞け」とその音声ファイルを渡す。
 ―――そうすれば、あとに残るのは音声ファイルのみだろ?」


 アメは溶けて腹の中

 使用者は倒れベッドの中

 音声ファイルはパソコンやポータブルプレイヤーの中

 そして真実は闇の中


『……なるほど、撹乱目的ということですね」

「うん。音声ファイルにきみらが夢中になってる限り、真実には至らない。
 加えてダウンロードサイトが凍結されても無問題ってわけだ
 むしろそちらの監視に人出が割かれるなら、好都合ですらあるよ」

『……絶対とは言えませんが、ないと思います。
 笑顔の白井さんに問い詰められた使用者が隠し通せるとは思いませんし、
 使用者のメール履歴なんかをみる限りでも、“音声データ”以外の要因についての言及はなかったですしね』

「……そっか……うーん、となると」


 なかなか悪くない推理かと思ったが、どうやら初春の言通りだろう

 となると、やはり結論は

798 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/22(土) 23:59:41.62 ID:XXvKMW5/o


「ええ、やっぱりこの音声が怪しいんです。
 ―――とは言え、実際に聴いてみるってわけにも」

「……いかない、よね」


 毒だがどうだか舐めてみよ

 無茶無茶無茶、という話である


「はい……ここでもうずっと行き詰まっちゃうんです」

「……うーん」


 焦燥と疲労、初春の声にはすこし翳りがある

 自分を頼ってくれたなら、どうにか力になってあげたいと思う


 なにかヒントはないものかと

 なんとはなしにパソコンを見て

 そこに映っているものを見た途端


799 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:03:52.74 ID:6wguvQtio


“――――君たちは“幻想御手”というものを知っているかな”

800 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:09:21.49 ID:6wguvQtio


 脳裏に、柔らかで気だるげなアルトが

 天啓のように、響いた


 白衣の女性

 青空が似合わぬ彼女


 目元に隠しきれぬ疲労を湛えて

 それでも透徹な眼差しで前を見据える

 
 あのひとの声が、聞こえた


 インスピレーション

 ドミノのひとつ目が、倒れ


 止まらない

 連鎖が

 
 絵を

 紡ぐ



「…………できるかも」

『……鋼盾、さん?』


801 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:22:53.32 ID:6wguvQtio



“シィーはラトビア生まれのユダヤ人でね”


“君のいう完全記憶能力者だよ”


“……ああ、共感覚性というのはわかるかな?”


802 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:24:00.63 ID:6wguvQtio


「いや―――音だけでなんて、俄には信じがたいけど、
 ……でも、もしかして、ことによると」

『…………あのー』

「ああ、ごめん初春さん。
 ――――ちょっと待って、頼む」


 初春の問いかけを遮り、鋼盾は思考に没入する。

 降って湧いた、そのアイデア。

 これは“あたり”だ、と鋼盾の直観は告げている。


 思い出せ、彼女の言葉を

 一言一句、間違わずに

803 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:24:58.89 ID:6wguvQtio



“……例えば、風鈴の音を聞いて涼を感じる、そんな経験はあるだろう?”


“彼に50Hzの音を聴かせると“暗い背景に赤い舌を持った褐色の線条が見えます。
 その音の味は甘酸っぱく、ボルシチに似た味がします”と言ったそうだ”


“特殊な能力を持つ人間に限らず、我々のような普通の人間でも少しは体験するものだよ”


804 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:26:02.98 ID:6wguvQtio



 あの日、彼女の語ったその話

 五感を揺らす風のような、共感覚性についての話


 風鈴の音に、耳をすませろ


 シィーがそうであったように

 ひとは誰しも、己の目だけでしかこの世界を測れない

 おまえは、おまえにしかなれない

 みんなちがってみんないい

 
 十人十色

 百人百色

 千人千色

 万人万色


 つまりは一人一色

 ひとりにひとつ、ひとつだけ

 ゆえにその名は、“自分だけの現実”


805 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:35:41.75 ID:6wguvQtio


 シィーの孤独

 歪んだ――否、歪んでなどいない

 ぼくらにその理が測れぬだけで、理路整然とした彼の世界


 パーソナル・リアリティ

 ひとりぼっちの現実、自分だけの視点

 だれとも共感できぬ、そんな世界



 そもそも世界とは、なにか


「―――それは、己以外のすべて」


 では、おまえはどうやって世界を捉える?


「―――それは、目で耳で鼻で皮膚で舌で……五感全てを用いて」


 へえ、ではその五感とやらは、はたしてどれほどのものなのだ?

 お前のみている赤は、初春飾利の知る赤と同じだとどうして言える?

 同じ料理を食べて、美味しいと感じる者もいれば、不味いと思うものもいるだろう?

 それはどちらかが間違っているのか?


「―――それは……」


 
806 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:36:45.29 ID:6wguvQtio


 そう、五感なんて信じるには足らないぞ

 それ故にシィーは苦しんだ


 芳しい花の香りは、彼にとっては血のイメージと直結していた

 腐り切った肉の臭いは、彼にとっては輝かしい光のイメージと直結していた

 甘酸っぱい林檎の味は、暖かな暖炉の熱は、雪の白は、空の青は……


 
 そう、

 シィーは苦しんでいた

 世界との齟齬に、生涯苦しみ抜いてきた


 なあ、

 五感など、果たして信じるに足るものか?

 共感覚性は、誰しもが持ちうるものなのだろう?


「――それを、利用すれば」


 できれば

 そう

807 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:37:19.90 ID:6wguvQtio


“育脳、などとこの都市は言うがね。
 能力開発は、ことによると――”


808 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:40:03.63 ID:6wguvQtio


 途切れてしまった、その呟くような吐露

 研究者で、かつては教師でもあったという彼女は

 その後に、一体なんと続けようとしたのだろうか


 それは、もしかしたら

 いみじくもその後の幻想御手についての話題で、鋼盾自身が口にしたように

 この街の学生が、時に自らを含めて揶揄するように

 
 檻の中のネズミ

 五段階のランクが振られた、実験用のマウス


 ああ、ぼくらは

 まるでリトマス試験紙のよう


 試験紙は、使い捨てられる

 何に?―――決まってるだろう?


「―――人体実験、実証実験……」

『っ!?、鋼盾さん!?』


 初春の声我に返る。

 鋼盾の口から零れた物騒な単語に、電話越しに初春がその身を強張らせたのがわかる。

 ぶつぶつ自問自答を繰り返す己を辛抱強く待っていてくれたようだが、流石に驚かせてしまったか。

 
809 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:42:15.51 ID:6wguvQtio


「……ああ、お待たせ初春さん。
 ―――ちょっと思いついたことがあるんだけど」


 聞いてくれる? 鋼盾のそんな控えめな声に

 それでいて、強い確信を感じさせる声に


『はい! 聞かせてください!』


 初春飾利の、期待に弾んだ声が響いた

 


 

――――――――――

810 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/23(日) 00:45:23.21 ID:6wguvQtio


おしまえ

途中までガチで重かった
ここまで重いのは初でしたぜ
1時間とかかかっちまったぜ

次回もよしなに

んでは


811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/23(日) 01:38:07.49 ID:Obankieso
乙!

コウやんの頭ががバァロー並にギュンギュン回ってるんですが!
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/23(日) 01:52:05.88 ID:pn6Yn7eoo
乙ー
ここの鋼盾くんはきっとあれだな
演算能力は足りてるが自分だけの現実がない系男子だな
初春と結婚すればいい
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 12:03:17.08 ID:jDOYpmEh0
乙〜

総合判断力が優れる鋼盾さんと、
情報収集力が優れる初春がタッグを組めば、
こと情報戦に関しては、無敵じゃね?
はよ鋼春タッグはよ



814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/23(日) 18:15:50.81 ID:q11QQuhKo
さらっと笑顔の白井さんとか毒がやべえww
あんまり背中を押しまくるといつのまにか 見られて る人が増えるかもしれないww
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 21:14:23.69 ID:IOd2zmSAO
お前を見ているぞ
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/23(日) 23:25:59.97 ID:Vt51NJet0
コウやんカッコイイなマジで
このカッコよさはブラクラのロックとか思い出す
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 19:56:23.68 ID:2+Z/4q1e0
どうも>>1です
コメント大感謝ですぜ、力になります

>>812−814
うちの初春は結構な強キャラ設定ですの
鋼盾を風紀委員に抱き込む気満々ですの、諦めの悪い女ですのよ
初春の鋼盾獲得大作戦vol.23「逆転!桃色吐息!」を書くのが>>1の夢ですの

>>815
お前は知りすぎた

≫816
「ぼくはね、もう決めてるんですよ。 あなたがそう言った。
 ぼくの名は“鋼の盾”だ」

とかなんとか言ってみる、もう原型がねえよww ロック開放のセリフより
ブラックラグーン、いいですよね、久しぶりに読み返したい
あれにもシスターとかいたよな、禁書のシスター勢もあれくらいやってほしかった

あ、本日投下しますよ
なるたけ早く!
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/24(月) 20:03:11.43 ID:2+Z/4q1e0
とか言いつつブラックラグーンでもうひとネタ!

あ、以下なんちゃってバッドエンドです。ヘンゼルとグレーテルより
23日夜、神裂戦で選択肢を間違えるとこうなります

BADEND13“七つ目の死、七つ目の墓”
神裂にぼこられて目が覚めたら全部終わってましたEND


「くそっ! なんて、なんてことなんだ!」
「みんながよってたかってあの子を禁書目録にしたてたんだ!」
「魔神にしちまったんだ。ちきしょう!」

「コウやん、ああいうものをまっすぐ見るな」
「ここはそういう場所でそれが一番だ」

「ぼくが、ぼくらがっ!」

「あの子を守るか? 無理だ」
「あの子は生き方を変えられないよ」

「誰かがほんの少し優しければ…、あの子は学校に通い、友達を作って幸せに暮らしただろう」
 でも…、そうならなかったんだよコウやん」

「だから、この話はここでお終いなんだよ、コウやん」  

……悪ふざけ了
本編ではどうなるでしょうか
乞うご期待!
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/24(月) 20:18:32.12 ID:icQUQ2eMo
うわつまんね
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/24(月) 22:07:32.09 ID:OsCtwTs40
原作もそうだけど
話術頼みに危ない橋渡りまくってるよね
話術サイドというのは全く誇張じゃない
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/24(月) 22:38:36.89 ID:VFO7xgK4o
魔神って・・・上条さん氏んだなw
822 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 22:48:09.05 ID:2+Z/4q1eo
ふざけすぎました!
不快にさせたならスマンぜ>>819

さて、投下です
推敲まだなんで、ちょっとゆっくり投下になりそうです
ご勘弁を!

では!



―――――
823 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 22:51:35.57 ID:2+Z/4q1eo


「ん、こないださ、例の上条くんと……あと他にもうひとりで夕飯作ってたべたんだけどね。
 上条くんって料理はけっこう上手いんだけど、盛り付けとか器のチョイスが適当というか……
 ……えらく、いいかげんなんだアイツ」
 

 思い出すのはあの再会の夜のこと

 料理を作ったのは小萌だったが、盛り付けは上条と鋼盾のふたりで行った

 煮魚にぴったりないい感じの角皿があるのに、何も考えず原色系の洋皿に盛り付けようとした友人

 マグカップに味噌汁、箸でパスタ、ビーカーでコーヒー

 ……別に悪くはないけどさ


「……今朝は他の人が食事を用意してくれてさ。
 上条くんと違ってちゃんと器とかにも気を遣ってくれて、すごく華やかな食卓だった。
 見ただけで美味しいとわかった、幸せな気分になったよ


 メイドたる舞夏の心尽くし

 計算し尽くされたその盛り付けの美しさ

 器選び、料理の配置、色のバランス、もう非の付けようがなかった


「そして、こないだごちそうになった紅茶だけど、すごくおいしかった。
 いい茶葉なんだろうし、初春さんや白井さんの腕がいいのはもちろんだけど。
 ……でもさ、あの“いかにも”って感じのティーセットの手柄も確実にあると思うんだよね。
 紅茶が紙コップとかで出てきたら、あんなにおいしく感じなかったと思う」

『……すごく、わかります。
 あの“イギリス王室御用達”って感じのあれ、白井さんの私物なんですけど。
 …………なんというか、すごくいいんですよねー』


 華奢で豪奢でそれでいて落ち着いた品のあるそのティーセット

 職人の仕事が目に心地いい、カップと皿の触れる音すら柔らかい

 指にかかる重みが、唇に触れる感触が、紅茶気分を高めてゆく


 そういう小道具、舞台装置の妙

 演出が、五感を走らせる
 

824 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 22:53:02.49 ID:2+Z/4q1eo


「こういうセンスは女の子の方が敏感だろうね。
 食器の素材とか色とか形とかそういうのがさ、料理の味に影響を与えることってあるだろう?
 料理は五感のうちの味覚と嗅覚だけじゃない、視覚も聴覚も触覚も使って味わってる」


 彩り豊かな料理はそれだけで美味しそうで

 鉄板の上で食材が焼けてゆくその音だけで味覚は弾ける

 陽光の下で食べる食事はどうしようもなく特別だし

 手づかみで食べるからこそおにぎりは美味しい


 音が、光が、感触が

 味覚を刺激することがあるだろう、と鋼盾は言う。

 初春も納得するところが大きかったようで、その言葉に『なるほど!』と返した。


『昔テレビの実験番組で、白いごはんを無味無臭の着色料で青くしたら、
 味はまったく変わらないのに“まずい”と感じるひとがたくさんいたんですが、
 ―――そういうこと、ですよね』

「ああ、そうだよ。
 ……初春さん、共感覚性って言葉に聞き覚えはないかな?」

『共感覚性、ですか? ……いやー、初めて聞きました』


 不勉強ですみません、と申し訳なさそうに笑う初春

 鋼盾も「ぼくもこないだ知ったばっかりだよ」と笑った


825 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 22:56:11.63 ID:2+Z/4q1eo


「共感覚性ってのは、簡単に言えば五感が互いに影響しあったりすることかな。
 風鈴の音で涼しくなったり、青いごはんで舌がくるったり
 ……さっきま話してたように感覚ってヤツは簡単に引きずられる、いや、脳が誤認するのかな」

『聴覚への刺激で触覚が、視覚からの情報で味覚がってわけですか。
 なんともいい加減な感じですねー』

「そのいい加減を利用するんだ。
 ……催眠や暗示と絡めれば、あるいは音声のみでも“五感”を刺激できるかも。
 錯覚でもなんでも、脳に電気信号が走るんだったら―――それは現実と変わらない」

 シィーが現実と夢想の区別を失うことがあったように

 やりようによっては、そんなことも可能かもしれない。


「……といっても相当難しいと思うけど。……初の試みだろうしね。
 でも仮に製作者がその辺の知識を持っていたとすれば、意図的に共感覚性の発動を引き起こせるかもしれない。
 ……学習装置だっけ? それと同じような機能を果たすかも」


 それが、鋼盾の紡いだ解

 与えられた条件を満たしうるかも知れぬ、ひとつの回答


『共感覚性を利用した、聴覚刺激による能力開発音声……それが、幻想御手?
 ……たしかに……もしそれが可能なら!』


 捜査は加速する

 そんなことが可能な人間は、自ずと限られてくるに違いない


 閉塞し切ったこの状況を、打ち破ることが可能になるかもしれない

826 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 22:58:21.37 ID:2+Z/4q1eo


「……思い付きだよ、根拠なんてないけど――この状況から考えてみただけだ。
 ん、実は知り合いに、そのあたりを研究してるひとがいる。
 ……よければ紹介しようか?」


 脳裏に浮かんだのは眠たげな研究者

 専門家である彼女であれば、俄鋼盾よりもずっと適任だろう


『んん、そうですね。
 こっちにもそのあたりに明るそうなひとがいますから、まずはそちらに。
 木山せんせいっていうんですけど』

「―――――木山?」


 木山、春生?

 なぜ初春の口から、その名が?


『ええ、木山春生せんせいです。
 大脳生理学の専門家さんで、今回の事件でもいろいろご意見を伺ってるんです。
 そういう脳機能なら……あ、その前に白井さんにも話さなきゃ! きっと驚きますよ!』


 幻想御手について、学園都市から意見を求められているとは聞いていた

 なるほど、その相手は警備員や風紀委員ということになるのだろう

 不自然な点はない


 でも……なんだろう

 この、違和感は

827 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:05:45.41 ID:2+Z/4q1eo


「鋼盾さん?」

「ああ……白井さん、怪我はどうなの?
 アバラが折れたんだよね? 悪化したりしてないかな?


 脳裏に浮かんだ違和感を、一旦棚上げする

 鋼盾の勘はそれを突き詰めろと主張するが、如何せん電話中だ


 それに、黒子の容態も少し気にかかる

 件の歪曲能力者の蹴撃

 鋼盾や佐天を庇って怪我を負い、それでも“いい教訓ですの”と笑った彼女

 本当に無理はしていないだろうか


『ふふ、だいじょうぶですよ白井さんは! ピンピンしてます!
 ……鋼盾さん、本当にありがとうございます』


 ……まあ、再会の日に鋼盾をテレポートジェットコースターで茫然自失に追い込んだ黒子だ

 心配無用だろう……それに、初春や美琴がいる、無理を赦したりはしまい


「たいしたことじゃないさ
 ……でも、捜査がすすむといいね」

「はい! この事件は、絶対に解決して見せます」


 初春飾利が走りだす

 きっと、彼女なら―――彼女たちなら

 クソッタレな開発者の企みを打ち破ってくれるだろう


 ……そうだ

 予てからの懸案をひとつ、彼女に相談してみよう


「ああ、初春さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」

「むむ! なんですか? 白井さんのスリーサイズですか?」


 ちがいます

 ……興味がないとはいいませんが


828 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:09:26.15 ID:2+Z/4q1eo


「ぼく、こないだ外部から学園都市に研修に来ていたっていう神父さんと知り合ってね。
 彼に随分とお世話になったんだけど、碌にお礼もいえないまま別れちゃって」

『ふむふむ』


 嘘は言ってない

 言ってないよな、うん


「方々当たってみたんだけど見つからなくて……なんとか連絡を取りたいんだけど、さ。
 風紀委員の初春さんならいい知恵がないかなーなんて思って」

『ふんふんふん、なるほど。
 人探しなら私の得意分野ですよ! あ、名前とか所属とか言ってもらっていいですか?』

「えーと、名前はステイル=マグヌス。たしかイギリスの神学校に通ってたはず。
 身長は2メートルくらい、赤い髪で目の下にバーコードの刺青がある」


 思いつく限りステイルの特徴を上げてゆく

 ……言葉にすると、ちょっとどころでなくアレだ

 実物はそんなスタイルがハマり過ぎてて、それほど違和もないのだけれど


 メモの代わりか、電話越しにキーボードを叩く音が聞こえた

 凄まじい打鍵スピードだ、鋼盾とて人並みにはこなせるが、初春はモノが違う


『……赤い髪で刺青って……その人本当に神父さんなんですか?
 ―――えーと、むむ、のっ、……あ! 出ました出ました! ステイル=マグヌスさん、十四歳! へー、イケメンですねー』


 なんかバンドでこういう人いますよねー、と無邪気に笑う初春

 どうやら先の打鍵音は、単なるメモではなかったらしい

 そんなにあっけなくステイルの情報が出てくるのも驚きだが、それよりも


 ……今この子、なんかとんでもないこと言わなかったか?


829 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:11:21.09 ID:2+Z/4q1eo


「…………十四歳?」

『? はい、ステイル=マグヌスさん、十四歳。
 イギリス出身で、えーとコレなんてよむんですかね……
 ん、なんちゃら学校に通う学生さんで、確かに学園都市に研修に来てるみたいですね』


 いや、十四歳って?

 え?

 年下?


 どう考えても二十歳超えてると思っていた彼

 ステイル=マグヌスは十四歳らしい

 ステイルさんじゅうよんさいだそうだ


 ……マジかよ

 ………まあ、とりあえずそれは置いておいて


「すごいな……あっという間にわかっちゃうんだね。
 えーと、じゃあ、彼の研修先ってわかるかな?」

『む、む……変ですね、研修先の項目がありません……記載されてないとおかしいんですが……
 あ、でも個人所有の携帯電話の番号が載ってます―――こちらをお伝えしますね。
 ちょっと待っててください……はい、オッケーです。直ぐにPCと携帯の両方にメールが届きますから』

830 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:13:08.94 ID:2+Z/4q1eo


 途端にパソコンの方に着信。

 ……あれー? こっちのアドレス、教えてないよね?

 ぱねえ、スーパーハカーぱねえ


 ……土御門といい、初春といい……なんなんだおまえら

 個人情報プライバシー、ああもう、いいよもう!

 煩悶を押し殺す、死ね煩悶、頼むから死ね、寝てろ


 すぐに開いてみると、三行ほどの個人情報

 いやー、ぼくも他人のプライバシ―を侵してしまっているんですね

 ……そしてタイトルの「このメールは24時間で自動的に消滅します」って……ジョークだよね?


「ありがとう―――助かるよ
 ……でもよかったの? なんというか個人情報とかプライバシー的に、問題なんじゃ……」

『ええ、ほんとはダメなんですけど。鋼盾さんを信用してるのと、先程のお礼ということで。
 あんまり褒められた行為じゃないですけど、ハッキングの証拠は一切残してませんから!』


 ご安心ください! と高らかに歌う初春

 バレなきゃいいんです、と治安を守る彼女は黒っぽく笑っているのだろう

 とは言え非難など出来るわけがない、この身も既に共犯である

 ……頼れるパートナーで嬉しいよ


831 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:35:22.18 ID:2+Z/4q1eo


「恩に着るよ、今度なにか差し入れでも持っていくから」

『いえいえ、お互い様です! でも、そうですねひとつだけ。
 こないだの「風紀委員になりませんか」って話、私本気ですから!
 今日ますます確信しました!』


 先日の一件以来、初春飾利が鋼盾掬彦を評価する最大の理由

 今日、こんな電話をわざわざ掛けた、その理由

 ルールを破ってまで、彼の助言を求めた理由


 それは

 鋼盾掬彦、彼ならば

 この錯綜した状況に、めまぐるしい騒乱に

 きちんと一本、ど真ん中に楔を打ち込んでくれる

 そんな、無責任極まりない期待


 ……我ながらとんでもないムチャ振りだ

 黒子が聞いたら呆れるだろう、もしかしたら怒るかもしれない


 だけど期待通り、期待以上の成果を、彼は紡ぎ出してくれた


 ……確信する。やっぱりこの人は、風紀委員向きだ

 能力ではなく、もっと根幹の部分で―――彼は、鋼盾掬彦は得難い才を持っている

 私に足りない、私が一番欲しいスキル

 
 嫉妬がないとは言わない

 だが――己一人で全てをこなそうと思うほど、初春飾利の歩んできた道は平坦ではなかった


 いかに研鑽に努めようとも、ひとりでできることなどそう多くない

 深く深く根を張り、太い幹を成し、天を穿つが如く枝を誇り、数多の葉を誇ったとしても


 それは所詮一本の大樹に過ぎぬ

 ひとりでは、風を防ぐ林を成せぬ

 ひとりでは、命を紡ぐ森を成せぬ


 ひとりじゃ、だめなのだ

 
 だから初春飾利は風紀委員になった

 仲間とともに、治安を守る立てたらんと日々を生きている

 サポート役こそが、己の本領と知っている


 そして

 見つけた

 
 鋼盾掬彦を見つけた

 初春飾利が、鋼盾掬彦を見出した

832 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:37:43.77 ID:2+Z/4q1eo


「……そうかい、参ったな」


 初春飾利は諦めの悪い女、強い女だと黒子が笑っていたのを思い出す

 先日と今日の会話で、鋼盾もそれを思い知らされた


 目的達成の為に、清濁を併せ呑むその器量

 こわいこわい、男子ならずとも――いや、女子なればこそ刮目すべし


 この子にはあまり借りを作っちゃ駄目そうだ、と直感的に悟る

 感覚的には既に借り1……差し入れはちょっと奮発しよう


『では、これで失礼しますね鋼盾さん! 
 ……あ、丁度白井さんも帰ってきたみたいです」

「ありがとう初春さん、またね。白井さんにもよろしく」


 通話を終える

 自分のちょっとした思い付きが事件解決に寄与するなら、こんなに嬉しいことはない

 幻想御手を使う気はない……とはいえやはり気にはかかりはする

 ―――いや、この件は彼女たちの領分だ

 風紀委員、この街を守る盾たる彼らの領分だ


 自分は幻想御手使用未遂者で、関連事件の被害者Aに過ぎない

 それだけだ、解決をニュースで知って、それで終わりでいい


 今は他に考えねばならないことがある

 ぼくにはぼくの戦いがある

833 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:40:30.02 ID:2+Z/4q1eo


 ともあれ、ステイルの連絡先を入手した

 すぐに連絡を入れるつもりはない、未だ手札は少ないままだ

 だが近く、この番号入手が大きな意味を持つと感じた


 さて時刻は十時半、じき昼になり、午後がくる。


 約束は午後一時半より、AIM解析研究所にて

 土御門元春が語った、イギリス清教上層部の説明

 そのあまりに抽象的な内容―――土御門も胡散臭いと語っていた

 鋼盾にとって魔術など、相変わらずの未知の世界


 だが―――世界は魔術の力だけで動いているわけではない


 いまさら理外神秘外法の法則を否定はしない

 闇の深きを誇るおまえらは、確かに埒外の存在だろう

 だが、いつだってまっとうな人の営みこそがこの世を回すのだ


 奇跡も魔法も、いらない

 この街はなにも超能力だけの街ではない

 魔術師たちとは違う方向からのアプローチがある

 “ひとりで抱えこむな”と淡く笑ったあのひとの力を借りる


 大脳生理学者、木山春生

 脳科学の専門家たる彼女であれば、魔術の蒙昧を払う一手を示してくれるかも知れない

 この街の重ねてきた知識と技術をもって、逆転の目を出してみせる


 迷いはない


 使えるものは全て使って

 インデックスを救いだす、その道筋をつけてみせる


834 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:42:01.93 ID:2+Z/4q1eo



 ―――と、思っていたのだけど

 何やら雲行きが怪しくなってきてしまった


835 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:43:48.77 ID:2+Z/4q1eo


 ……初春のあの調子では、彼女は木山としっかりと連絡を取り合っているようだ。

 鋼盾の拙い仮説に可能性を見出し、それを木山に伝えると息巻いていた。


 共感覚性、鋼盾の示したその知見が

 閉塞停滞した現状を打ち破る一手足りうると、彼女はきっと目を輝かせていた


 ……おかしい

 それは、おかしい


 鋼盾に共感覚性なる概念を教えたのは、他ならぬ木山春生そのひと

 加えてその後の会話で、幻想御手についての話すら出ているのだ


 門外漢である鋼盾ですら、それらを結びつけた

 専門家たる木山春生が、その可能性に思い至らぬことなどありえるのか?

 
 ……ありえない、絶対にありえない

 卵とごはんがあれば誰だって卵かけごはんを思いつくだろう


 ならば、どういうことだろうか

 どうして、アドバイザーたる木山はそれを示唆しない?

836 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/24(月) 23:46:32.23 ID:2+Z/4q1eo


 一番可能性のありそうなのは、木山は既にその可能性に思い当たっており、

 しかし“それは不可能である”という結論を出していたというもの

 素人目には可能に見えても、専門家に言わせれば穴だらけということもあろう

 ……そうだとすれば、初春には悪いことをしてしまった


 ―――だが

 仮に、そうではないとしたら?


 幻想御手の根幹に共感覚性があるという説は正しいもので、

 しかし木山春生がそれをあえて黙っているとしたら?


 それは

 ……それは?


「………………っ!」


 嫌な予感がする

 警鐘が聞こえる


“……面白い。
 君の思う、開発者の目論見とは一体どんなものかな”


 あの言葉が、己の尾を踏んだ者を測るものだったとしたら?

 人体実験であろうという鋼盾の言葉に、彼女はどんな反応を示した?


“君の感じた怒りはもっともな反応だ、まったく唾棄すべき話なのだから”


 あの言葉が、どうしようもない自嘲であったとしたら?

 君たちは幻想御手に手を出すな、と悲しそうに笑った彼女の真意は?



 ――なあ、鋼盾掬彦よ

    おまえは今、いったい何を考えた?


837 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:02:30.85 ID:Iwgy24jBo


「……っ! 妄想だ!」


 ありえない

 ありえない

 ありえない

 ――――本当に?


 考えろ鋼盾掬彦

 逃げるな

 休むな

 走れ


 ああ、そうだ

 考えるのがお前の――ぼくの仕事だ

 働け、無能力者


「―――とりあえず、思いつくのは三つ」


 さて

 まずはあたりさわりのないところから


「………ひとつは、何らかの理由でこの混乱の継続を望んでいる場合。
 理由は金でも好奇心でもなんでもいい……とにかく、この状況に利があるなら、
 積極的に犯人特定に向かわない理由になる」


 なるほど

 木山春生の立ち位置ならば、捜査の方向性を誘導することも可能だ

 その可能性もあるだろう


 だが

 本命はそれではないのだろう?

838 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:07:01.03 ID:Iwgy24jBo

「……ひとつは、彼女が幻想御手の開発者を知っており、その人物を庇っている場合。
 幻想御手が予想通りの代物なら……彼女の同僚や同門が開発者である可能性もある」


 そう、幻想御手の根幹にあるのが共感覚性ならば

 ――――そんな研究を修めている人間の数は、そう多くないだろう

 木山春生が、犯人の特定に至る可能性もあるかもしれない


 餅は餅屋で、蛇の道は蛇

 ……その可能性もあるだろうよ


 だが―――庇うとは?

 確かにありえなくはないだろうけど、なぜ木山春生を円の外に置こうとするんだ?


 彼女を信じたいというのか?

 そのきもち、わからなくもないが―――願望で目を曇らせるな馬鹿


 ……なあ鋼盾掬彦

 もう、わかっているんだろ?


 たとえばの話だけど……共犯って可能性はないのか? 

 いや、それどころかさ―――――彼女が


 木山春生が



839 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:22:44.59 ID:Iwgy24jBo


「……最後のひとつは
 彼女が―――木山春生が幻想御手の開発者である可能性」


 証拠はない

 学園都市に選ばれるほど優秀な人物が、こんな馬鹿げた事件を起こす理由もわからない


 なにより己は木山春生を知っている

 ほんの短い邂逅ではあったが、木山春生の芯に触れた確信がある


 囁くようなアルト

 少しばかり世間知らずで

 ちょっとピントがずれたところもあるけど

 初対面の鋼盾の悩みをなんとかしてくれようとするような

 やさしい先生


 あの人が蜘蛛の糸の繰り手だなんて

 鋼盾は信じたくない、信じられない



 だけど、己は木山春生を知っている

 ほんの短い邂逅ではあったが、木山春生の芯に触れた確信がある

 
 眠たげで、濃い隈が浮かんでいて

 それでいて透徹な、実験器具めいた理知の眼差し

 交わした言葉の端々に感じた確固たる意志と悔恨

 有能な研究者


 あの人が蜘蛛の糸の繰り手だと言われれば

 鋼盾は口では否定しつつ、きっと納得してしまう


840 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:30:58.97 ID:Iwgy24jBo


 そしてなにより

 おそらくは、己だけが知りうることのできるものがある

 それは、木山春生の―――――


「………………」


 鋼盾はベランダから室内へと戻る。

 眠る上条と、寄り添うようにそのベッドに背を預けまどろむインデックスを見て小さく笑い

 そして―――先ほどまで操作していたパソコンへと目を向けた


 画面は相も変わらず

 再生を待ち続けるプレーヤーが起動したまま


 さて、パソコンに外付けされたカードリーダーには、小さなメモリーカードが挿し込まれている。

 それは、カメラやビデオ等の映像機器によく利用される、ありふれたメディアで

 ―――昨日、別れ際に木山から手渡されたものだった


 青髪の制裁を食らって出来上がったタンコブの痛みにのたうち回る鋼盾に、

 木山春生は――――こんな台詞を口にした


841 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:32:43.04 ID:Iwgy24jBo

“……よくわからないが、災難だったな。
 ああ、悶絶中恐縮なんだが、君に預かっておいて欲しいものがある”


“……うう、青髪くんめ、まじかよ。
 超天空?字拳とかシャレになんない……預かって欲しいもの……ですか?”


“ああ、このメモリーカードだよ。
 私にとってはお守りのようなものなんだがね”


“……そんな大切なものを、なぜぼくに?”


“まあ、ちょっとしたきまぐれだね。特に意味はない。
 誓って危険なファイルの類ではないが―――無論、捨ててもらっても全く構わない”


“えっと……とりあえず、お預かりしておきます”


“……ありがとう。
 ―――蜘蛛の糸を拒んだ君に、それを持っていてほしいんだ”


“……わかりました、では確かに”


“恩に着るよ。
 ああ、最後に―――――”

842 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:35:33.47 ID:Iwgy24jBo


 ……預かっておく、だけのつもりだった。

 お守りの中身など、見るべきではない。


 だが―――木山に相談に行くにあたり、見ておいた方がいいだろうと判断した。

 なんとなくだが、木山がそれを望んでいる気がしたのだ



 メディアに入っていたデータファイルはふたつ

 容量もさほど多くはなく、念のため行ったウィルス検査でも白だった

 
 ひとつは、なんの変哲もない動画ファイル

 先ほどまで鋼盾が観ていた、とある幸せな誰かの……教師と生徒の記録

 ……おそらくは彼女が喪ってしまった、愛しき過去の象徴


 もうひとつは、これまた変哲のないアーカイブファイル

 タイトルは英単語の羅列であり、おそらくは適当にキーボードを叩いたものだろう

 どうやら中に入っているのは音声ファイルらしい―――音声ファイルだ

 なにやらパスワードが掛かっていたため、それを知らぬ身には解凍は不可能



 ――だが

    木山春生は

843 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:45:12.25 ID:Iwgy24jBo

“ああ、最後に――ヒントを教えておこう。
 『四曲目』だ……ふふ、何度も言うが、忘れてくれてもかまわないよ」

“……はあ、『四曲目』、ですか”

“ん……それじゃ、失礼するよ。引き止めて悪かったね。
 ――――“あの子”とやらによろしく”


 鋼盾にその鍵を渡していた

 言外に、扉を開けと言っていた
 

「………………」


 四曲目

 鋼盾にはギリシアの乙女くらいしか思いつかなかったが………今なら、その意味が解る


 このパスワードに、彼女はどんな願いを込めたのか

 ……胃がキリキリする、指先がチリチリする、目の奥がチカチカする


 “本当に忘れるべきではないことなら、絶対に忘れてしまうことはない”


 あの日、色のない炎のような激情を孕んだ目でポツリと淋しげに呟いた彼女は

 どんなつもりで鋼盾に、このカードを渡したのか


 “……ありがとう。
 ―――蜘蛛の糸を拒んだ君に、それを持っていてほしいんだ”


 耳を貸すな、とは思う

 甘言、虚言のたぐいだろう―――信じるのは、足りない



 ならば開けるべきではない

 けして開けるべきではない

 絶対に開けるべきではない

 きっと開けるべきでは―――――黙れ



 警鐘を鳴らす理性をねじ伏せ、鋼盾は感情のままにキーボードを叩いた

 千千に乱れる心とは裏腹に、指先は過たずパスワードを紡いでいった

844 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:46:20.93 ID:Iwgy24jBo


  Enter

  パスワード認証

  解凍

845 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:47:39.33 ID:Iwgy24jBo


 開かれたフォルダの中には、ポツリとひとつ、音声ファイルが入っていた

 そのタイトルを見て、鋼盾掬彦は目を丸くした








――――――――――
846 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/25(火) 00:53:10.17 ID:Iwgy24jBo


ここまで

長くてゆっくり投下ですまんです
初春との電話が全然終わんなくて泣きそうになりました

微妙きまわりない伏線回収、誰も覚えてねえよ馬鹿
……>>1も油断すると過去を忘れそうになります……読み返そう、そうしよう

あ、木山先生の名前である春生(はるみ)、これ、変換ででないじゃないすか
最初は「はるうみ→春生み←BS」で出してたんだけど、>>1は新技を編み出したぜ!
なんと、ふふ……「はるお」で出るんだぜ!……ああっ!石を投げないで!
こんな>>1ですが木山せんせい大好きです

………辞書登録使えよという話ですね
でも、降順と打とうとして鋼盾になってしまったこともある件
あぶなかったでござる


次は週末あたりでしょうか
しばし!
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/25(火) 01:07:10.03 ID:uNWtlXY+o
google日本語入力使えよ、捗るぞ乙
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/25(火) 01:11:05.14 ID:p9/bZzTto
春生つ、マジ出たこれ
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/25(火) 02:51:35.01 ID:g3lEhU7AO
むしろ今の今まで「はるお」で読んでたわ……
「はるみ」だったのか……
だ、だって普通に読んだらはるおじゃないか!
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/25(火) 06:16:44.67 ID:1axCNF5xo
乙!
はるみ単体では出てこないけど、木山春生なら出ますね。GoogleJapaneseInput-1.2.831.100
音声ファイルと分かるんならタイトルわかるんじゃないかと思ったけど、よく考えたら学園都市だった。
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 09:02:56.01 ID:2kpnMp2AO
初春ー!!!!俺だー!!!!
逮捕してくれー!!!!

春生ー!!!!俺だー!!!!
幸せになってくれー!!!!
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/25(火) 19:45:23.26 ID:lENfmEhVo
もうはるおにしか読めない
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 09:10:48.92 ID:0XtavIa90
木山ハルオの憂鬱
854 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 21:46:34.50 ID:rWVEal1Qo
>>1です
週末のお約束でしたが無理でした、すまんよ
なんとか今日中に来れますように!

グーグル日本語入力は使ってるんだぜ! でも勧めてくれて感謝!
捗るよな! でもなぜか春生がでないぜガッデム!

んじゃ、書いてきます
855 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:13:36.93 ID:rWVEal1Qo
よっしゃ23時!
まだ推敲してねえけどまったり投下しますでござる!

いえーい!




――――――――――
856 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:16:19.13 ID:rWVEal1Qo


 拳銃

 それは悪意の礫

 それは指差す殺意

 それは人殺しの道具


 そんなものを向けられたのは、初めての経験だった
 
 いらない経験値ばかり加速度的に積み上げている己に、鋼盾菊彦は重い溜息を吐いた


 ああ、もう

 どうしてこう、いつもいつも儘ならないのか



 ――――――――――
857 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:19:34.74 ID:rWVEal1Qo


 
 さて、日本国は世界でも有数の「治安のよい国」として知られている

 いろいろ難儀な問題を抱える国ではあるけれど、そういうところは素直に誇っておきたい

 なんだかんだで、この国は立派だ、良い国だと鋼盾は思う


 この国では拳銃など、特別な職に就かぬ限り手にすることなど皆無であろう

 それを向けられることもまた、そうはあるまい


 学園都市はそんな法治国家である日本に属しているらしい

 ……正直最近疑わしくなってきたけど、とりあえず建前的にはそうらしい


 拳銃どころではない規格外技術による兵器

 拳銃どころではない能力開発の産物たる異能


 まったくもってファンタジー

 うんざりするほどファンタジー


 それが、学園都市

 鋼盾らの暮らす、科学の鎧都


 だが、そんなこの街でも拳銃は立派な脅威であり凶器であり、死の具現だ

 いかな能力者とて、背後から突然ズドンと撃たれれば死ぬ


 認識外からの銃撃の回避など基本的に不可能

 読心系の能力者とて四六時中気を張っているわけでもない

 自律防御でも可能であれば話は別だろうが、そんな事ができる人間はそうはおるまい。


 撃たれれば、死ぬ

 当り前に、死ぬ


 能力者であってもそうなのだ

 況や、無能力者である己など―――考えるまでもないことである

858 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:22:39.11 ID:rWVEal1Qo


「……ああ、すまないね。
 いや、こんな手段はとりたくないのだが」


 白衣の研究者、木山春生

 拳銃を握り締める銃刀法違反の女

 この眠たげな女性に、己たちは命を握られている


 木山の足元には気を喪って倒れ伏している初春飾利

 鋼盾の背後には歩く教会を喪ったインデックス

 狭い研究室には逃げ場などなく、鋼盾と木山の間には身を隠せるような遮蔽物もない


 そんな極まりなく異常な状況で、しかし


「なら、やめてください木山先生。
 正直、全然似合いませんよ……そんな台詞も、そんな拳銃(もの)も」


 平然と、そんな台詞を口にする己はなんなのだろう

 落ち着き払って世間話をするかのように言葉を紡ぐ己は、なんなのだろう


 そんな命知らずな馬鹿を、まるで他人事のように眺めながら

 鋼盾掬彦は、このような状況に至ったこれまでの道筋を、ぼんやりと思い返した


 拳銃を突きつけてくる木山春生の眼をじっと見据えながら

 心静かに、揺らぎもせずに

 

――――――――――



859 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:28:20.13 ID:rWVEal1Qo


 午後一時半、鋼盾とインデックスは、約束通りにAIM解析研究所の扉を叩いた。

 出迎えてくれた木山に彼女の研究室へと招かれ、コーヒーなど振舞って貰って一息ついて、

 さあいざ本題に入ろうとしたところで、木山の携帯電話に着信が入った。


 電話は受付からで、なんでも急な来客が入ってしまったらしい。

 すまないが、そちらを優先させて欲しいと木山は頭を下げた。


 木山の厚意に甘える形である鋼盾らとしては、仕事だと言われてしまえば否はない。

 とはいえこちらも時間がないのだ、日を改めてというわけにもゆかぬ。

 どうしたものかと悩む鋼盾に、木山は「なるべく早く片付けるから別室で待機していてくれ」と言ってくれた。


 そうして通された別室にて、木山の用事が片付くのを待つこと十五分。

 時折漏れ聞こえる扉越しの声から、訪問者が若い女性らしいということは知れた。

 だが、盗み聞きをするというわけにもいかない。


 緊張のためか口数の少ないインデックスをぼんやりと眺めながら

 一時の静寂の中、これからの動きについて鋼盾が考えを巡らしていると


『きゃああっ!!』


 木山たちのいる場所から、絹を裂くような悲鳴が響き渡った

 その声にどうしようもなく聞き覚えがあるような気がして、慌てて鋼盾は部屋を飛び出し――――


 ――そこで、鋼盾が見たものは


 床に倒れ伏す花飾りの風紀委員

 午前中、電話越しに話したばかりの初春飾利と


 右手にスタンガン、左手に拳銃を構えた白衣の女

 やれやれとでもいいたげに溜息を吐く、木山春生の姿だった



――――――――――

860 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:29:29.11 ID:rWVEal1Qo


 木山は右手のスタンガンをポケットにしまうと、左手の拳銃を右手へと移す。

 安全装置を外したのか、なにやらカシャリと音が響いた


 彼女は少しばかり惑うように視線を彷徨わせ、その後に鋼盾へ向けた

 同時に、鋼盾に向けられていた銃口を、とりあえずは斜め下へと外す

 完全には下げぬあたりが、木山の意志を雄弁に示していた


 おとなしくしていれば撃ちはしない

 だが、そうでないならば――


 銃口が、視線が
 
 厳然と警告を告げていた


 ああ―――どうやら

 己の推理は当たっていたらしい

 木山春生は、幻想御手事件の犯人だ


 そしておそらくは、風紀委員たる初春にそれを知られた

 故にその口を封じるべくスタンガンを振るい、初春を昏倒させて

 それを己達に目撃されてしまったのが、この状況


 ―――ああもう

 やるならもっと上手くやれ、この馬鹿

 心中で木山に毒づきながら、しかし鋼盾は冷静に言葉を紡ぐ


861 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:30:39.04 ID:rWVEal1Qo

 
「……それ、しまってもらえませんか?
 そんなものが視界にあると、怖くて碌に話もできやしません」

「眉ひとつ動かさないでそんな台詞を言われてもね。
 ……まったく、一体どうしてそんな平然としているのやら」


 木山の言葉は尤もだ、鋼盾も自身の落ち着きぶりに戸惑っているくらいである

 一体己はどうしてしまったのだろうと惑うも、答えは明らかだった


 ああ、己は既にこんなものではない恐怖に触れている

 銃口よりもずっと恐ろしいものを、既に突き付けられたことがある


 つい、昨晩のことだ

862 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:31:42.66 ID:rWVEal1Qo

 
 式刀の聖人、神の子の現身

 昨夜対峙したその女に比べれば、この程度のプレッシャーなど物の数ではない


 殺意も敵意も薄すぎる

 もっとずっと濃密な“死”の匂いを己は嗅いだ

 呼吸の仕方すら、心臓の動かし方すら忘れてしまうような恐怖を知った


 鼻が、脳が、心が麻痺しているのだ

 この程度では、足りない


 神裂火織


 彼女が己を指させば、それだけでこの百倍は恐ろしい

 存在の規模が違う、密度が違う、格が違う、桁が違う

 アレを見てしまえば、この世界に溢れる恐怖と暴力の殆どは二流以下に落ちる

 
 既に己は、死神と向き合った

 銃口とは比較にならぬほどに、暗い昏い闇をこの眼で見据えた


 ……あの時、己は恐怖も絶望をも圧し殺し、あの聖人から眼を逸らさなかった

 なればこそ、この程度のモノから眼を逸らす訳がない


 鋼盾はじっと木山を見据える

 その一挙一動を、感情の動きを、ひとつたりとも見逃さぬ


 活路を見出すために

 見つめる


863 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:36:06.88 ID:rWVEal1Qo


「……その目が怖いな、恐ろしいよ君が。
 正直なところ、撃っても君が倒れる所が想像できないくらいだ」


 木山が淡々と恐怖を語る

 勘弁願いたい……まったくもって、見当違いにも程がある

 死線を乗り越えたからといって、別段鋼盾が強くなったわけではないのに


「やめてください、当たりますし、死にます」


 当り前に、悲しいくらいに己は弱いままだ

 撃たれれば当たるし、当たれば間違いなく傷を負う

 傷を負えば倒れるし、当たり所によっては死に至ることもあるだろう


 そして、それは歩く教会を喪ったインデックスも同様だ

 この場の支配権は銃の保持者である木山春生にある


 それは否定しようのない事実

 だが、支配者であるはずの木山は、なんとも不安気に視線を彷徨わせる


864 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:38:21.84 ID:rWVEal1Qo


「……それは重畳、ならば余計に私はこれを手放すことはできない。
 ―――正直結構テンパッていてね、あまり私を怖がらせないでくれ」

「怖いのはこっちの方ですよ。
 ……そんなひとが銃なんて持たないでください」


 似合わないにも程がある

 注射器か体温計あたりに持ち替えて欲しいところだ

 否、教鞭の方が似合うだろうか


 ああ

 あのビデオのように、優しい先生でいてくれればよかったのに

 そういえば昨日“私にはその資格がない”と言っていたか


 ……なるほど

 犯罪者に教師など務まるまい


 鋼盾は、少しばかり迷うも言葉を紡いだ

 下手を打てば、この微妙なバランスは崩れかねない

 されど、ずっとこのままというわけにもいかなかった

865 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:42:00.22 ID:rWVEal1Qo


「……幻想御手、ですか。
 初春さんにバレちゃったみたいですね」

「……ああ、まだしばらくは大丈夫だろうと踏んでいたのだがね。
 電話で君の名を聞いたときは驚いたよ、まったく、不思議な縁だな。

 ―――気まぐれに入ったパン屋で偶然出会った男子高校生に、
 まさか尻尾を掴まれるはめになるなんてね」


 あれは昨日の、ちょうど今頃の時間だったか

 青髪との昼食、パン屋で木山と席を共にし、世間話に興じたあの一席

 そんな平和な一時が、今となっては夢のようだ


「……尻尾を掴んだのは初春さんですよ。
 ぼくは事件解決に繋がるヒントを口にしただけ、ただの、脇役Aです」

「―――謙遜を。……いや、韜晦かな?」


 ふふ、と小さく木山が笑う

 試すように、誂うように


「その子の親友が、幻想御手のせいで倒れたそうだ。
 親友を救うため、そうとは知らずに諸悪の根源の元を訪れる。
 ……そして、そんなザマだよ……主人公にはちょっと足りないね」


 主人公の友人――ふむ、もしかしたらヒロイン役かな?

 ああ、君のヒロインはそちらの彼女なのかな……だとしたら失礼したね、などと木山は笑う

 軽口は互いにどこか上滑ってはいたが、それでも会話を重ねることに意味があった
 
866 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:45:20.18 ID:rWVEal1Qo


「……ピンチに陥るのは主人公の常でしょう。
 ここから彼女の大逆転ですよ、お約束です」


 幻想御手に倒れた初春の友人

 それは――十中八九、佐天涙子のことだろう


 鋼盾の恩人でもある少女――無力を嘆いたあの優しい女の子は

 やはり幻想御手に手を出してしまったのか


 無能力者である己を、許してあげることができなかったのか


 胃に重ったるい痛みが走るも、今はソレを無視する

 ……佐天はきっと目を覚まし、初春たちが彼女を支えるだろう


 彼女たちの物語は続く

 これからも

 きっと

 ずっと
867 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:47:08.32 ID:rWVEal1Qo


「はは、確かにお約束だね。
 そんな流れも嫌いじゃないが―――どうかな。
 私に言わせれば、君のほうが余程主人公の器だよ」

「……つまらないことを。
 ぼくには――ヒーローなんて務まらないですよ」


 そう、己はけしてヒーローではない

 腕力がない、能力がない、ルックスもよくない、なにもない

 鋼盾のヒーローは自室で寝腐っている、さっさと起きれ馬鹿

 
 溜息をひとつ零して、木山を見る

 ……いや、この人もちょっと悪役度数が足りてないよなぁ、と鋼盾は思う


 拳銃を持ってなお、人質をとってなお、木山春生は木山春生だった

 そんなオーラの足りぬ悪役が、誂うように言葉を紡ぐ

868 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:48:17.11 ID:rWVEal1Qo


「いやいや、そんなこともないさ。
 偶然の出会い、冴えた推理、そしてなにより今、きみはここにいるじゃないか。
 その事実―――ふふ、脇役Aがこんなところまでくるものか」

「……まったく、どういう因果なんだか。
 おかしな話です。あなたが幻想御手の開発者である可能性は予想してました。
 ―――――だけど、ぼくがここに来た理由はそれを咎めるためじゃない」


 あなたの敵役を望むつもりはなかったと鋼盾は呟く

 十二分に因縁はあれど、この身には既に他の使命がある


 科学と魔術の交差する、波乱万丈の物語

 己は主役ではないと知りつつ、それに全てを費やすと決めている

 クライマックスまでもう時間がない


 悲劇の女科学者の妄執、科学の街を覆う陰謀

 なかなか壮大なスケールの話ではあるが、勝手にすればいのだ

 そんなものに付き合っている暇はない、被害者Aの役は既に果たした


 ああ、やはり己は風紀委員には向いていない

 皆を救おうなんて思えない

 
 この街で、彼がその身に変えても守りたいのは

 三人だけだ


 それでいい

 ヒーローになんか、なれなくてもいい

869 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:50:42.56 ID:rWVEal1Qo


「……インデックスを助けるために、ここに来たんです。
 とはいえどうやら、助力を乞える状況じゃないみたいですね」

「……力になりたいのは山々なんだがね。
 どうやら時間がない、悪いが私にはやることがあるんだ。
 ―――すまないが、邪魔はさせない。拘束させてもらうよ」


 そいつは頂けない

 繰り返すが時間が惜しい


「ぼくにも他にやらなきゃいけないことがあります。
 正直、こんなところで時間を潰している暇なんてないんですよ。
 ……とはいえ、初春さんを放ってはおけません……彼女はぼくの友人です。
 ―――その子を、解放してください」

「それはできない。
 ―――銃口を前にしてその啖呵、たいしたものだがね。
 君はもう少し、客観的に状況を見たほうがいいと思うが」


 睨み合い――というには両者ともに緊迫感に欠ける

 ヒーローになれぬ少年と、悪役らしからぬ女


 そんな間の抜けた膠着を、鈴のような声が打ち破った

 純正ヒロインたる溢れんばかりのオーラを漂わせて


870 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/30(日) 23:59:40.25 ID:rWVEal1Qo


「……だいじょうぶなんだよ、きくひこ」


 高らかに

 涼やかに

 凛然と


「このひと、銃の扱いにぜんぜん慣れてない。
 ―――そしてなにより、撃つ気がまったくないかも」


 ここまで無言を貫いてきたインデックスが、木山春生を評価する

 それに少しばかり驚きつつも、鋼盾は木山から眼を逸らさない


 インデックスは、更に言葉を継ぐ

 主導権は、既に彼女に移っていた


「膂力では、きくひこに分がある。
 それにわたしも……使ったことこそ、ないけど
 それでも素人相手なら、制圧できるくらいの方法は心得てるんだよ」


 紡がれた言葉はヒロインらしからぬ骨太男前

 そこにいるのは、普段の天真爛漫な花の如き少女ではなくて

 魔術師の熾烈な追跡襲撃から、一年にも渡り逃げ続けてきた女だった


 禁書目録たる彼女に植えつけられた自己保全プログラム

 聖人神裂をして“異常”と言わしめたその危機回避能


 Index-Librorum-Prohibitorum

 禁書目録


 かなしい宿命に惑う彼女は、それでも不敵に笑ってみせる


「わたしの合図で腕を狙って、きくひこ。
 だいじょうぶ、この距離なら、迷いのない方が早いんだよ」

871 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:02:55.69 ID:7EDxeJX1o


 ……ああ、きっときみの言うとおりだ

 木山春生は迷っている、この期に及んで銃口をこちらに向けぬのが、その証明

 優しいせんせいには、そんな拳銃(もの)は似合わない


 木山から眼を逸らさずにいた鋼盾は、彼女の眼に強い逡巡を感じ取っていた

 往くも戸惑い、退くも躊躇う……故に彼女は身動きをとれない


 綱渡りめいたアンバランス

 ここがおそらく勘所、と鋼盾は腹に力を入れた


「……と、この子はいってますけど、どうします?
 ぼくはこの子を信じてる、その銃を向けるなら迷いなく飛び込みます。
 ああ、お願いですから、撃つならぼくの方にしてくださいね」


 身体は動く、迷いはない、恐怖もない

 貴様がその銃をこちらに向けるのであれば、その瞬間に

 盾たらんと誓ったこの身は、その右手を引き千切る勢いで突貫しよう


 ―――まったく、似合わぬことを、と鋼盾は自嘲する


 あなたもぼくも、どうみたって荒事には向いていない

 似合わぬ真似などお互いやめておきませんかと、突撃の意志はそのままに眼で問いかける

872 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:08:23.87 ID:7EDxeJX1o


「……まいった」


 ぽつり、と木山のその整った唇から、言葉が転び出る

 
「おっかないな、本当に。
 ――いや、温厚な君と非力な少女なら、銃ひとつで制圧可能かと思ったのだが
 ふふ、どうやら見込み違いだったようだ」


 木山は銃を白衣のポケットへとねじ込み、降参するように両手を挙げた


 だが、それは降参ではあるまい

 銃を捨てた訳ではないし、なにより――その眼から覚悟が抜けていない


 まあ、とりあえず交渉のテーブルに着く、といったところだろうか

 だが、それでも確かな一歩前進ではあった

 
873 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:11:46.99 ID:7EDxeJX1o


「私には、やらねばならぬことがある。
 花飾りの彼女に知られたから、もう時間がないんだ。それをなさねばならない。
 ―――お願いだよ、どうか、道を譲ってくれないかな?」

やらねばならぬこと。
 ……それは、幻想御手を用いて、ですか?」

「ああ、そうだ」


 幻想御手

 この街の学生たちを誑かす蜘蛛の糸

 使用者のレベルを跳ね上げ、然る後に昏倒へと追い込む悪意のプログラム

 ―――製作者たる彼女の、その目的はなんなのか


「……あなたが幻想御手なんてものを創りだしたのも
 それをばら撒いたのも、そのためなんですか?」

「ああ、そうだよ。
 この三年間、そのためだけに私は生きてきた」


 だ、そうだ。

 鋼盾がこの街に来た頃からすっと、木山は戦い続けていたという


 鋼盾が能力開発に必死に取り組んでいた時も

 身体検査の結果に絶望し、抜け殻のように日々をやり過ごしていた時も

 高校に入り、クラスメイトや担任と楽しい毎日を過ごしていた時も


 ずっと

 独りで

874 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:13:07.99 ID:7EDxeJX1o


 ―――行かせてしまえ、これはお前が関わっていい問題じゃない

 木山からインデックスの抱える問題への対処法を聞き出すことは、既に叶わない

 ならばこんなことに関わっている暇などない……と理性は言う


 だが、鋼盾の中のなにかが、それを拒んだ


 それは幻想御手の製作者に対する怒り故か

 初春飾利を焚き付けた者としての責任感故か


 それとも―――木山春生の抱える事情

 その一端に触れてしまったが故か


 渦巻く種々の感情は鋼盾の裡でその内圧を高めてゆく

 いずれの感情も、答えをよこせと声高に喚いている

 
 聞かせろ

 答えろ

 納得の行く解答を、示せ


「木山先生」


 そして、言葉が零れた

 言うべきではない言葉だと理性は断じるが、止まらなかった


875 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:14:03.76 ID:7EDxeJX1o


「――理由を聞かせてください。
 それで、判断します」


 そんな鋼盾の言葉に、なにを感じたのか

 木山春生は小さく笑い、言葉を紡いだ


「ふむ、吝かではないが、時間がない。
 目的地までの道中でよければお聞かせするが」


 時間稼ぎだ、信じるな、ここで聞き出せ

 ……と鋼盾は断ずるも、木山の眼差しは透徹そのもので揺るがない
 
 先ほどまで彼女を支配していた迷霧は、既に晴れてしまっている


「……嫌だと言ったら?」

「撃つ、私も覚悟を決めよう。
 ――そちらの彼女から、撃つよ」


 木山春生はインデックスを撃つと言う

 その覚悟を決めると口にする

 ならば、ここは己が折れるしかあるまい


「……わかりました、同行します。
 移動は……車かなにかで?」

「そうなるな
 ……できれば、彼女たちを拘束させてもらいたいところなんだが」


 目的とやらの完遂を目指す木山としては、それは当然の要求

 だが、鋼盾はもちろんソレを認めない

876 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:16:50.24 ID:7EDxeJX1o


「それは、許しません。
 初春さんは気絶してますし、インデックスには通報はさせないと約束します。
 もし初春さんが眼を覚ますなら、それはあなたの運が足りないってことです。
 ……ここは、譲ってもらいますよ」

「―――いいだろう、付いてきたまえ」


 車の鍵を取りに行ったのか、デスクへと歩み寄る木山

 ソレを目の端で捉えつつ、鋼盾は床に倒れ伏す初春を引き起こし、せめてソファへと預ける

 あわよくば目覚めやしないかと、すこしばかり手荒くその身に触れてみるも、初春の眠りは深く、目覚める気配はない


 メモのひとつでも残してあげたいところだが、それも敵うまい

 鋼盾は背後へと向き直り、連れの少女に指示を出す


「インデックス、きみは初春さんを……
 ――いや、風紀委員に拘束されると面倒だ」


 最優先すべきはこの子のことであるべきなのに、それを棚上げする不実

 そんな矛盾を恥じつつ、しかしそうせずにはいられない己


 ……相変わらず、徹底が足りていない

 背負える荷などたかが知れているのに、余計な荷物を抱え込んでばかりの己


 優しいのでもなく、正しいのでもなく

 それは弱さだと鋼盾は臍を噛む


 だが、止まれない

 もう、止まれない

877 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:20:31.16 ID:7EDxeJX1o


「昨晩説明した通り、魔術師の襲撃はない。
 すまないが、君は一旦家に戻ってくれ、道は大丈夫だね?」


 研究所までの道は、可能な限り安全且つわかりやすいものを選んできた

 完全記憶能力者たる彼女には余計な気遣いだったかも知れないが、迷う余地はない


 せめてこの子は安全なところへ

 己もすぐに戻るからと微笑みかけ、鋼盾はインデックスを送り出そうとする。

 そんな彼の眼をじっと見据えて、しかしインデックスはまっすぐそれを拒んだ。


「だめ。
 ……わたしも一緒にいくんだよ」


 ……言うと思った

 この優しい少女が、拳銃を持った相手と鋼盾を残して帰るわけがない

 だが、鋼盾もまた然り、少女を危険に晒す選択肢など認めはしない


「……ぼくがこのひとに着いて行くのは、ぼくのわがままだ。
 そんな我儘できみを危険に晒すつもりはない……聞き分けろ」


 少しばかり強い語気でインデックスの同行を拒否する鋼盾

 しかしインデックスも譲らない、その宝玉めいた翠緑の眼に灯すは決然たる覚悟

 それに鋼盾は見とれそうになり―――慌てて頭を振る


「だめにきまってるんだよ! きくひこは荒事には向いてないもん!
 わたしが一緒にいたほうが安全にきまってるんだよ!」


 もう、自分の知らぬところで誰かが傷つくのを見たくはない

 上条の負傷がインデックスに刻んだ傷は、深い


 ―――だが、心の傷より身体の傷だ、鋼盾はそう思う

 上条は目覚める、そして己も必ず帰る、だから


「……きみにはもう歩く教会の加護がないだろう。
 そもそも女の子を、きみを危険に晒すようなことをぼくが許すわけがない。
 いうことを聞くんだインデックス」

「……バカにしないでほしいんだよ! 性別なんて関係ないもん!
 そもそもわたしは歩く教会に頼るだけの逃げ方なんてしてないかも!
 あんなのなければないでどうにでもなるんだよ!」


 このわからず屋め!

 互いに一歩も譲らず、鋼盾とインデックスは睨み合う

878 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:21:40.59 ID:7EDxeJX1o


「家で祈ってろシスター!」

「きくひこの隣で祈るもん!」

「神様を経由するんだから同じだろ!」

「じゃあ祈らないんだよ! 
 わたしがこの手できくひこを守るんだよ!」

「不良シスターめ、今きみ信仰全否定しやがったからな!
 ……別に戦いに行くわけじゃないんだよ、だから……」

「わたしが一緒に行っても問題ない、そういうことだね!」

「揚げ足を……! いいから帰れ! 舞夏の手伝いでもしてろよ!」

「手伝いなんていつでもできるかも! 今はきくひこの傍にいる! 絶対」

「駄目だ! 聞き分けろ!」

「きくひこは身の程をしるべきかも!」

「おやつでも食ってろ欠食児童!」

「いいから黙って守られるんだよド素人!」

「ぐぬぬ」

「ぎぎぎ」


879 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:23:55.62 ID:7EDxeJX1o
 

「……時間がないと言ったろう、急いでくれ」


 溜息混じりに、ふたりの口喧嘩に割って入る木山

 こどものじゃれ合いには慣れていると言わんばかりに、教師オーラを漂わせる

 鋼盾はこの雰囲気に弱い、担任たる小萌を思い出してしまうのだ


「……だそうだインデックス、先生を困らせるな」

「うん、だから私をつれていくんだよ、いいよねはるみ!」

「ん、いいよ」

「やたっ!」

「インデックス! っ! 木山先生! 余計なことは!」


 おそらくは面倒臭くなったのだろう木山の適当な肯定に、鋼盾は慌てて反論する

 だが、木山は微笑ましげに喜色満面のインデックスを見つめるばかり。


 黙殺である

 ちくしょうめ

 
 ……いいだろう

 おまえらが女子同盟をもって己の願望を叶えんとするのならば


 まずはそのふざけた幻想を―――!

880 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:41:39.15 ID:7EDxeJX1o


 神算鬼謀

 深謀遠慮


 既に棋譜は成った

 この理不尽な二対一の状況を覆すべく、次手を放たんとする鋼盾掬彦

 それこそが彼の真骨頂


 ……だが、そんな男の算盤は、いつだって女の手でご破算にされるのが世の常である


「む、しまったな。
 ……こうなるとひとつ問題ができてしまった」


 木山がポツリと零したそんな台詞

 それが、鋼盾の発言をこれ以上ないタイミングで制した


「………一体なんですか、先生」


 勝利への道筋を邪魔された鋼盾は、ムスリと先を促す

 木山は顎に手を当てて、深刻そうに問題点を口にした 


「いや、申し訳ないんだがね。
 ―――実は、私の車、二人乗りなんだよ」


 ……それは難題だ。

 いや、己にとっては朗報といっていい。

 
 運転手は木山、これは確定である。

 免許を保持しているのは彼女ひとりだ。


 そしてインデックスには、鋼盾をさしおいて車に乗る理由はない。

 本末転倒どころの話ではない、彼女には鋼盾以外の理由はないのだ。


 ならば助手席にのるのは己。

 自動的にインデックスは留守番。


 それしかあるまい。

881 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:49:24.66 ID:7EDxeJX1o


「……だ、そうだインデックス。
 という訳で同行は不可能です、はい帰れ、すぐ帰れ」


 高らかに勝利を歌い上げる鋼盾

 だが――インデックスは余裕の表情を崩さない

 最後に笑うのはわたしかも! と言わんばかりである


「……ふふーん、きくひこはこれだからダメなんだよ!
 わたしにかかればその程度の問題、簡単に答えが出せるかも!」

「……言いやがったなこの野郎」

「ふむ、興味深いな。
 ―――その答えとやらを聞かせてもらえるかな?」


 さて、問題です。

 ここに二人乗りの車があります。

 この車に三人で乗車するにはどうすればよいでしょうか。



 その問に、インデックスの頭脳はたちどころに解答を用意した

 人類の英知の結晶―――多分に負の方面に偏っているも―――たる少女の面目躍如


 さあ刮目せよ無知なる者よ

 不可能を可能にするのが魔術師の本懐なるぞ


 我こそは叡智の探求者

 理外の理を以って世界の謎を解き明かす者なり


 さあ、高らかに解答を歌い上げよ

 たったひとつの冴えたやり方を―――――!

882 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:51:56.11 ID:7EDxeJX1o


「 き く ひ こ が わ た し を だ っ こ す れ ば い い ん だ よ ! 」


 フンス! と薄い胸を張って

 なにやらトンデモない事を、インデックスは自信満々に宣った


 さながら聖書の一節を読み上げるように

 ドヤ顔で

883 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 00:59:07.16 ID:7EDxeJX1o


「……えー」


 だっこ

 だっこて

 ……久しぶりに聞いたぞ、そんな牧歌的な単語


 はい、アウトー

 道交法的にも倫理的にもアウトー

 ついでに青少年的な理由でもアウトー


 はいはいインデックスちゃんおうちにかえりましょうねー、ねんねしましょうねー

 と、ばかりにその珍解答をギッタギタにしてやろうと鋼盾が口を開こうとした瞬間―――


 またしてもこの上ないタイミングで、それを妨げる者があった


「……っ、っ!」

「……木山先生?」


 木山春生が

 なにやら、苦しそうに息を詰まらせている


 鋼盾が訝しげにその顔を覗き込もうとした瞬間――――

884 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 01:09:37.00 ID:7EDxeJX1o


「っ!……ふっ、ははははっ、だっこ、だっこか!
 それはいいな! ふふ、はははっ」


 木山春生、爆笑

 これまでシニカル系、ニヒル系、大人のお姉さん系、先生系の微笑しか見せてこなかった彼女がまさかの大爆笑


 朗らかに、高らかに

 木山春生が、楽しそうに


 そのあまりに晴れやかな笑顔に

 鋼盾はどうしようもなく見惚れてしまって―――――

 

「……っ、…ふう……よし。
 ……では行こうか、私の車は狭いが……ふふ、彼にしっかりくっついてあげるといい」

「うん! きくひこー、はやくー」


 ――――気づいたときには、既に事態は走りだしてしまっていた

 完全に出遅れて……ああ、もはや、取り返しがつかない


 勝利の女神には前髪しかないという

 なんだそのファンキーな髪型、ふざけてんのか


「……え? ちょっと! 待て! 待ってってば!
 靴はいてんじゃねえよ! 待てよ! 聞けってば!」


 時、既に遅し

 どうやらだっこ確定である

 
885 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 01:12:14.47 ID:7EDxeJX1o


「あああもう! 
 ……運転免許没収されちまえ!」


 鋼盾掬彦の呪いの言葉が、虚しく響き渡った

 客観的に見て、それはどうしたって敗北宣言に他ならなかった


886 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/10/31(月) 01:18:20.87 ID:7EDxeJX1o






――――――――――

ここまで

長かった繋ぎ回を終え、ようやく走り始めましたね
そして長いと言えば投下に時間が掛かり過ぎというね! 
リアルタイムで読んでいてくれた人、もしいらっしゃったら申し訳ない!

ネット接続が乱れたのと、だっこネタを思いついてしまったせいです
すいませんでした

インデックスのいろんな面が書けて、>>1は満足です
かわいくかけてればいいのですが、この子は難しいですね

次回はだっこ回!……もとい、車中問答答え合わせ編でしょうか
重ったるい話になりそうですが、よろしければお付き合いください

んじゃ、また! おやすみ!

887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 01:40:21.07 ID:4s6O0y+Oo
リアルタイム遭遇 乙

だっこ・・・だと・・・おいインデックスそこ変われ
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 03:08:43.15 ID:fkTPqpr8o
ふざけんな身長180cm超の男の俺だって鋼盾くんに抱っこされたいし。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/31(月) 05:11:31.99 ID:llEyMN3No


おい車、そこ代われよ!
エンジンだけは一流ってとこ見せてやるぜ!
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/31(月) 05:54:24.52 ID:dQFZsDIAO
インデックス爆発しろ

乙!
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/31(月) 08:22:15.64 ID:wUIoxh4fo
やだこのスレ男臭い…
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/31(月) 09:03:14.91 ID:VodhGmXAO
>>891
このスレは初めてか?力抜けよ。たっぷり可愛がってやるからな…
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/31(月) 09:08:35.42 ID:jLxqXRjVo
,.、
 i `、 ∧                     )  く   薔  す
 .、 Y !       /`ー--へ    ,. ---、<.  れ  薇  ま
--.i, ゙、 ゙、 ,,......   |   ゙、  ゙、  /  ,.-(,,ヽ  な  以  な
丶 ゙、 `、 >__  `'-!、.  ゙、  ゙゙i,/  / /ノ   い  外  い
 ヾ ヽ.」'((_、 ゙ 、  '\  、   !  /  / く   か  は
ヽ ,.'´丶 ヽ ` 、 丶!    ゙ '  i ' //~~`.)  !  帰
/-., - ー ,..‐'ー  丶          -  L_      っ
   `''‐-,/  --ヽ   ∈∋  i    -- 、/|    て    r
     /  /   ヾ   (i,i,ρ./_________,゙ | ,へ     ,r┘
     ( /       ゝ、,..゙i,i,ノ ,´        レ'  ヽr、⌒ヽ'
-.,    ゙、,,... --- ''' "~~、    l
  "''ー-----‐‐‐、、   ゙、    l
     `''- ,..._   ゙、゙、   ゙i,    l
 ̄~~""'' -- ,...ニー ,..、゙、.  ゙i゙、,._,イ
ー '''"~~""''' --- ,...._゙、゙、   ! ! .! !
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/31(月) 09:44:56.07 ID:crIF/v230


俺だったら年齢詐称の堕天使ちゃんに脅されたら失神して拳銃突きつけられたら取り乱すと言う脇役っぷりを披露出来るのにっ!
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2011/10/31(月) 11:14:46.46 ID:3VjuUy5o0
誰も鋼盾爆発しろとか言わないこの恐ろしさ
インデックスが悪いんじゃなくコウやんがイケメンすぎるのが悪いんだな
まったくコウやんは顔以外がイケメンすぎる
そして気絶したままフェードアウトな花畑さん哀れ
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/31(月) 19:33:25.03 ID:wUIoxh4fo
いやしかし俺内禁書ツートップがまじ素晴らしいっていうか
初春はいい塩梅に黒いしかわいいし木山先生は木山先生だしで最高ですよ。
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/31(月) 20:00:18.55 ID:DZI27bleo

これが新ジャンルほのぼの誘拐…
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/31(月) 20:51:45.53 ID:pfXaGQOfo
上条さんと鋼盾くんのW精神攻撃食らうこのSSの敵が不憫でならない
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県) [sage]:2011/10/31(月) 21:43:45.86 ID:MzdA5hVPo
最初の頃はドンキホーテとサンチョパンサな二人って感じだったのに、英雄とその軍師って感じになってきたね。
かっこよくていい。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/01(火) 12:50:18.15 ID:mGwd1gxAO
技の鋼盾
力の上条

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 15:31:03.36 ID:zbC/nGH1o
この鯖移転ってなんぞ

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/01(火) 16:06:05.73 ID:jR+Dq4mAO
>>900
力(にモノをいわせた勢いによる説教)の上条
技(が光る計算ずくの理論による説得)の鋼盾
ですね、鋼盾さんのは物凄く適当だけど。

度胸と頑丈さとそげぶで活路を拓いて来た上条さんに鋼盾さんマジイケメンの頭脳が加わることによってより良い未来が訪れる事間違いナシ。

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/01(火) 16:54:10.87 ID:Uf1B/xnk0
>>901
今までかなりのロースぺにも関わらず頑張ってた鯖さんへの追悼

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
904 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/11/01(火) 20:29:16.16 ID:Nm+dkxJFo
定例の鯖落ちって月半ばだったよね、と思ったら鯖移動か
運営乙、いつも遊ばせていただいております

んで!やっとこ見れたと思ったらうちのスレが薔薇園になっていた件
「鋼盾爆発しろ」で溢れてると思ってたのに! 男臭いぜくらえ空気帝浄機(AA略

鋼盾かっけえイケメンといってくれるのはすごく嬉しいです! すごく嬉しいです! が心中複雑!
ホントはもっと情けなくもえげつなくてしょっぱくも優しくてダメダメ且ついっぱいいっぱいな歪にかっけえキャラにしたいと思うのです!!
……だが筆力が伴わぬ! うががが、精進します!


さて、皆で紡いで参りましたこのスレも900超えました! 大感謝!
そろそろ次スレについても考えなきゃいけない時期のようです
……三ヶ月で一スレのペースがどうやら>>1のアレみたいですね

あと二回くらいここで書いて、新スレに移行みたいな感じでしょうか
スレタイはどうせ一発でわかると思います。次は誰にしようかね
もう前スレ>>1000のような醜態は晒さぬぜ!

次回更新は土日になんとか!
よろしければお付き合いください!

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 20:45:10.40 ID:zoMp2C9Zo
まあ次はヘタ練が順当だろうな
もちろん二巻もやるんですよね?

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 07:30:49.11 ID:UEyXao52o
           |: : : :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           |:.:.:.:.:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
           |:.:.:.:.:|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
           |:.:.:.:.:|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: !
           |:::::::::| ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
           |:::::::::|‐-  ′‐- ::::::::::: --―|
           |:::::::::|::::::::::::::::::::::―----――::!
           |:::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::′
           |:::::::::|:::::::::::/:::::::::/:::::/::::::::::::::::′
           |:::::::::|、‐-:/::::::::/::::::/:::::/::::::::/
           |:::::::::|'`    ̄_.三:‐-:/_;;::′
           |:::::::::|     廷゚ソゝ/::::::′
           |:::::::::|  ,     `, '::::::::::::!
           |:::::::::|__      ./:::::::::!::: !
: : : : : . . . . . .    |:::::::::|ニ -‐:::ァi´::::::::::::::i::: |
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|/|::|  | ヽ ::::::::::i:::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::| .|::|  !  \ :::::i:::::!
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|/|::!   !    !::::::!::::!
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::| .!::!  ,′   |:::::::::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::| l::l ..′   .:|:::::::::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::| !::! /    !  |:::::::::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|':/./    ,′ .|:::::::::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|//    ′/l::::::::: |
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|/     '/  | ::::::: |
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|    ./:'    |::::::::::|
: : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::|   /:::     |::::::::::|
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/02(水) 17:27:12.81 ID:7VEI4cOq0
>>906
霧島さんに見えた
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/02(水) 18:36:26.17 ID:DQhhQBqAO
>>905
多分次スレでも一巻終わらないと思うんだ…二巻して欲しいのはオレも同意。
って訳で次スレタイトル予想はローザだな。
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/03(木) 08:52:13.64 ID:CQD8zAYAO
FFWとのクロスか
胸が熱くなるな
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/03(木) 12:53:16.42 ID:AcWPw21AO
>>909
「おれはしょうきにもどった!」



…ローザじゃねえよローラだろ。
オレ何間違えてんだ恥ずかしい…
911 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 15:29:11.28 ID:rmk5sWBdo
「“いのり"はイマイチ届かない。けど人はケアルで癒される。
私みたいな白魔道士は、そうやってラストパーティを勝ち取ったんだから! 」

地味に弓矢の強いねーちゃん、ローザ。リディアに負けずに頑張って欲しいですね

>>次回はだっこ回!……もとい、車中問答答え合わせ編でしょうか
とか言ってたらだっこ回になってしまった件。1レスで終わらせる筈の鋼盾の葛藤が10レス以上に
>>1の暴走注意、微エロ注意!こんどこそ鋼盾爆発しろと言わせてやる!車中問答答え合わせは次回に持越し

土日と言っていましたが、うまく行けば今夜にも行けそうです
んでは、またのちほど
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 15:43:21.99 ID:VnY7beMlo
やるじゃん、待ってるよ
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 15:53:37.54 ID:KnGUnPK3o
微エロだと…?
激しく期待
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/03(木) 16:45:49.14 ID:AcWPw21AO
今夜はお赤飯ね!
915 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 19:46:35.11 ID:rmk5sWBdo
微エロとかホザキましたが所詮は>>1、まあ笑ってやってください
なんか接続が不安定なのと、途中ちょっと電話が来るかもなので休憩をもらうかもです
中断が長くなりそうなら断りをいれますので、どうかよしなに

んでは、投下!



――――――――――
916 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 19:51:19.37 ID:rmk5sWBdo


 「だっこ」、ときみは言う

 ……ああ、きみが五歳児だったら問題はないのだけど


 鋼盾掬彦とインデックス、互いに如何せん十五歳児である。

 いつだって己の幼さに臍を噛むばかりの鋼盾であるが、それでも十五歳だ。

 
 同い年、なのだそうだ……インデックスと、己は。

 てっきりひとつか、もしかしたらふたつくらい年下だとばかり思っていたのだが、意外にも。


 つい昨晩、それを知った。

 少女をよく知る土御門元春の口から「同い年」という言葉を聞いた。


 意外といえば意外ではあるが、言われてみればそうかも知れぬとも思う。

 記憶喪失という重荷ゆえか、それとも生来の気質故か、その容姿によるところも大であろう。

 幼気な印象を拭い去ることは出来なかったが、それでも時折見せる眼差しの深さは子どもとはとても呼べぬものだ。

 
917 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 19:57:58.62 ID:rmk5sWBdo

 十五歳、高校一年生。

 現在でこそまだ「子ども」の範疇であるが、昔であれば「大人」として扱われていた年齢だ。

 第二次性徴を過ぎた身体はもう子どもとは呼びがたい、生殖機能を備え生物の本懐を成すことのできる段階にある。


 鋼盾とて健全な青少年である

 シャイな少年だが、男でござる


 己の身体は既に少年から、大人のソレへと近づきつつある

 そしてそれは無論のこと、インデックスも同様であった


 デルタの少年達と下世話な話に興じることもなくはないし、クラスメイトの女の子が見せるふとした色香に心が浮き立ったりもする。

 何をとは言わないが、いろいろと催したりもする。


 具体的には衣替えを迎えて薄く軽く白く輝く夏服とか

 ゆるい校風ゆえ、ちょっとずつ短くなってく女子のスカートとか

 クラスメイトである吹寄制理の圧倒的透けブラとか

 先輩である雲川芹亜の挑発的ヘソチラとか


 クラスの男子連中となにも変わらない、ちゃんと馬鹿でまっとうな男子高校生である。

 そして、インデックスも禁書目録なる任を追わなければ、同様にハイスクールライフを満喫していたかもしれない。


 鋼盾はぼんやりと、己の通う学校の制服を纏うインデックスを夢想した。

 似合う似合わぬ以前にうまくイメージが出来なかったが、それでもそのちぐはぐなコラージュに鋼盾は微笑む。


 出欠確認を受けるインデックス、図書室に入り浸るインデックス、学食で無双するインデックス

 上条と楽しそうに口論し、土御門にからかわれ、青髪をいなし、吹寄と寄り道の計画を立て、小萌の授業を受けるインデックス


 幸せな、どこにでもいそうな高校一年生の女の子

 そんな少女が恋をして、あるいは誰かと結ばれることもあるかもしれない

 いや、あれな! 清らかかつ健全なお付き合いという意味だからな! まだ早いからな!

 ……正直あまり愉快な想像ではなかったが、そういう年頃なのだ、この子は


 本人にどうやら自覚はゼロのようだが、十五歳である

 立派に女である、そしてこちとら男である


 繰り返すが男である

 大事な事なので、何回でも言おう


 ぼくは男で、きみは女だ

 その事実を胸に刻んで、客観的視点を以って、しっかりと「だっこ」の三文字に向き合って欲しい


 ぼくもちゃんと向き合った

 答えを出した、だから聞いて欲しい

918 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:03:20.50 ID:rmk5sWBdo




 な に が 「 だ っ こ 」 だ 、 こ の 野 郎 ! !

 そ ん な ん 背 面 座 位 じ ゃ ね ー か 、 無 茶 言 う な ! !


 

 以上、鋼盾掬彦の心の叫びである

 切実な、祈りの咆哮である


 天に轟け

 地に響け

919 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:05:36.98 ID:rmk5sWBdo


 小萌に知られたら泣きながら説教食らうだろう、正しい男女交際から性教育避妊法までフルコースだ

 惚れた女性にそんな真似されたら、わりとガチで死ねる、いっそ殺せ


 上条に知られたら説教ではすまない、きっと鉄拳制裁だろう

 ヒーローではなくひとりの男として……おそらくだが、上条はあの子の事を―――たぶん


 ああもう

 勘弁してくれ

 なんだよこの状況


 鋼盾は、彼女を「そういう目」で見ることはしなかった。

 もとより華奢な細い身体を、たっぷりとした“歩く教会”の白布で覆っているため、

 普段はこの少女の肢体について、互いの性別について、別段意識を割くことはなかった。


 否、見ないように意識を向けないように努めていた。

 シスターたる彼女をそんな下賎な眼差しで捉えることなどできない。

 守るべき女の子にそんな劣情を差し向けることなどできない。

 
 そんな不実は許さぬと

 少年の潔癖と保護者たる矜持をもって、全力で眼を逸らしてきた


 だが、

 なんといっても、出会い方が出会い方であった。

 
920 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:07:24.32 ID:rmk5sWBdo


 あの、夏休みの初日

 鋼盾と上条がインデックスと出会った、運命の日

 壁越しに響き渡った少女の悲鳴に、慌てて隣室へと駆け込んだ鋼盾が見たものは


 腰を抜かして床にへたり込む、白い白い裸身

 狼狽と羞恥に瞳をわななかせ、うっすらと涙を浮かべたそのかんばせ

 その美貌、その肢体、その白麗


 問答無用の美少女の、問答無用のフルヌード


 ぶっちゃけ、余すとこなく眼に焼き付いている

 多分、地獄に落ちても忘れまい
 
921 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:13:25.15 ID:rmk5sWBdo


 シミひとつないなめらかな背

 その背に貼り付いた銀糸の如き長い髪

 その髪の隙間から見えるのは、肉付きこそ少ないものの柔らかそうな臀部


 力なく投げ出されたその脚は、細くもしなやかに伸びており

 足指の先の爪のかたちすら、芸術品めいた細やかな美があった


 頼りなく震える両腕はその身を掻き抱くように。

 だが、それゆえに無防備に晒された脇腹から腰にかけてのラインが際立ったいた。

 優美な曲線、いっそ暴力的なまでの白。

 
 動揺と羞恥に乱れた呼吸にあわせて動くしなやかな筋肉の動きが、人形めいたその美を人間のものだと主張する。

 その身から、くらくらしそうなほどの生の香りを撒き散らす。


 そして

 必死に隠そうとしていたその控えめな双丘の先端は、しかし

 斜め後ろから見下ろす位置にあった鋼盾からは、しっかりと見えていた

 震える手の内側で、薄桃色の蕾が密やかにしめやかに、その存在を誇っていた



 ―――知っているのだ、己は

     もう、知ってしまった、問答無用で



 その後の上条への噛み付き攻撃まで含めると、もう隅から隅まで見てしまった

 この女が、どれほど男の性を掻き乱すような肢体をしているのか、余す事なく目撃している


 目に焼き付いた白い裸身

 ああああもう、いっそ殺せ



 少女と女性の間にあるような、アンバランスな女性美

 このいとけき“おんな”は―――しかし、己の魅力を知らなすぎる

 己の性別を知らぬ幼子のように、無邪気に男心を掻き回す

 
 それは罪だと鋼盾は思う

 男の身勝手と知りつつ、しかし心底からそう思う

922 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:15:37.16 ID:rmk5sWBdo


 そんな罪な女ことインデックスは

 やっぱり無自覚なままに、鋼盾掬彦を追い詰めてゆく


「ん、よっこらしょっと!」


 どこでおぼえてきたのか、どうにも間抜けた垢抜けぬ掛け声とともに

 先に助手席に座っていた己の右太腿に、なんの躊躇いもなく腰を下ろした


 己のジーンズの硬い布越しであってもなにひとつ喪われることのない感触

 不穢たる修道服を一枚めくれば、そこには――そこには。


 こうなることは、わかりきってた

 流されては、いけなかった


 触れたその円やかな臀部の喩え様もない柔らかさに

 どうしようもなく反応を示してしまう己の無様、男の生理に


 鋼盾掬彦は己の舌を噛みちぎりたくなった

 ……己の“下”を引きちぎりたくなった



――――――――――

――――――――――

923 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:21:24.36 ID:rmk5sWBdo


 二人乗りの車、と聞いた時に鋼盾が想像したのは、恥ずかしながら軽トラの類。

 だが、駐車場に鎮座する木山春生の車は、そんな予想をぶっちぎってとんでもないモノだった。


 車高が低い

 速そう

 値段が高そう

 音スゴそう

 とにかくヤバそう


 語彙が足りないが、それが本音だ

 とにかくヤバそうな車だった、いや、もう車とよんでもいいのかもわからぬ程に


 ……所謂スーパーカー、エキゾチックカーと呼ばれる類だろう

 空気抵抗を極限まで減らしましたよと言わんばかりのそのスタイルは航空機を思わせる

 圧倒的な質感、細部まで作りこまれたボディ、磨き抜かれた車体、滑らかなで流麗なシルエット

 その威容は、こういうものにあまり興味のない鋼盾であっても圧倒されるものがあった


 キラリと輝くエンブレム

 当り前に外国産らしく、助手席は右側である

 ドアはガルウイングとでも言うのだったか、文字通り羽のように上へと開くタイプだ


 インデックスがもの珍しそうに車にぺたぺた触っている

 指紋を付けるにも躊躇ってしまいそうな車であり、鋼盾がそれを咎めようとすると木山が笑って「構わない」と言う

 あまりにぞんざいな扱いに鋼盾が首をひねると「どうせじきに手放すから」と微笑んだ

 目的を果たしたらおそらく、彼女は―――浮かんだ考えは一旦置いておく


924 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:23:37.16 ID:rmk5sWBdo


「……また、すごい車ですね」

「ランボルギーニ・レヴェントン、……似合わぬだろうが、趣味でね」


 若干恥ずかしそうに目を伏せる木山

 意外ではあったが、なかなか素敵な話ではある

 
 だが

 ぶっちゃけそんなことはどうでもいい

 ああ、どうでもいいとも!

 
 都市伝説“レヴェントンの魔女”の噂話なんかしらない
 
 “蒼風”“コナハトの女王”なんて二つ名はしらない

 魔女の纏っていた白いコートが白衣だったという事実なんてしらない


 しらねえってば!

 しらねえよバカ!

 軽自動車でも転がしてろよ!

 ……うう、まじかよ伝説の女がとなりに居るよ!


 走り屋系の連中の間でまことしやかに囁かれる最速伝説、億を超える車を駆る絶世の美女

 確かファンサイトまであり、熱心なファンがその正体を血眼で探していたはずだ

 その正体は! なんと! 知性あふれる女博士でした! びっくり!

 
 鋼盾掬彦は、またも学園都市の噂の真実に至る

 “幻想御手”“脱ぎ女”に次ぐ、三つ目の都市伝説との出会いであった
925 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:24:40.85 ID:rmk5sWBdo


 ……つーか全部お前の仕業じゃねえか木山春生!

 やりすぎだろ! おもしろすぎだろ! どれかひとつにしとけよレジェントおんな!!

 ……そんな荒れ狂う内心をなんとか隠して、鋼盾は努めて冷静に言葉を紡ぐ


「趣味にケチを付けるつもりはないですが―――二人乗り、ですか」

「ふふ、そうだね……さあインデックスさん、君はそちらだ」

「うん!」
 
「……いやー、内装はもちろんシートまでかっこいいですね。引き締まった黒の高級感。
 搭乗者をがっちりとホールドする安全面にも配慮し且つ人間工学に基づいた機能的な構造。
 シートに座るだけで己がまるでパイロットになったかのような特別感、たまりませんね。
 ……つまり何が言いたいかって言うとこんなのにふたりは無理だってんだよこの野郎!!」

「何を今更、……まあやってみたまえ」

「きくひこー、はやくー」

「あああもう、知らねえからな!!」



 そして話は冒頭に戻る

 これより紡がれるのは鋼盾掬彦の葛藤と自己嫌悪、何より克己の物語である

 (ナレーション:森本レオ)


926 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 20:28:07.63 ID:rmk5sWBdo
――――――――――



予告通り、ちょいと出てきます
二時間はかからんと思うのですが、しばしお暇を!
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 20:37:11.23 ID:KnGUnPK3o
コウやんが裏山すぎて鼻血出てきた
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/03(木) 20:56:17.04 ID:YOLYbsLvo
木山先生恐るべし・・・
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/03(木) 21:38:10.80 ID:CQD8zAYAO
ハルオ△
930 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:10:09.30 ID:rmk5sWBdo
ひゃっほう再開!
ちょっと書き直したい部分が出てきたので、ゆっくりになりそうですが
明日にでもまとめてどうぞです!


では!



――――――――――
931 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:10:42.78 ID:rmk5sWBdo
 

 鋼盾の太腿に挟まれているのは少女の臀部

 薄い布ごしに感じる圧倒的な柔らかさを己の内股に感じつつ、鋼盾掬彦は自己嫌悪で死にそうだった


 どうにかソレに触れぬようにと必死に足幅を広げようとしても、助手席のシートは狭い

 碌に動くことなど叶わぬ上、鋼盾が身じろぐたびに少女はむずがるようにその身を擦りつけてくる

 ふよふよと、わざとやってんじゃねえかコイツと疑ってしまうくらいに挑発的に

 その柔らかいものを、擦りつけてくる


 これは、ヤバイ

 これは、危険だ


 鋼盾は左右に逃げるのをやめ、むしろこのまま太腿を以って彼女を拘束する方法を選ぶ

 内腿に感じるその感触は喩えようもなかったが、少女が動かぬならば耐えることは出来るはず

 トータルで見て、きっとこちらのほうが被害が少ないとの判断であった


 もがくから釣り針の返しは食い込み、網は絡みつく

 なればこそ動かぬことにこそ注力すべし


 これは断じて停滞ではない!

 次に繋げるための、雄飛のための雌伏である!

932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 22:11:27.34 ID:rkoCPoy90
乙デス。
933 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:12:15.99 ID:rmk5sWBdo


 だが、インデックスの攻撃はそこで終わりではない

 それは、始まりに過ぎなかった


 抵抗を諦めたの気配を感じたのか、インデックスはその身を鋼盾へと預けてくる

 お気に入りのソファ身を沈めるかのように、なんの躊躇いもなく

 
 とさり、と

 優しい音


 甘やかな重み

 密やかな痛み

 問答無用のぬくもり


 それは畏れに最も近く、懐かしさと共にあるような

 むずがゆく、もどかしく、いとおしく、さからえぬ

 たたらのような、ひとのねつ

934 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:14:58.68 ID:rmk5sWBdo


(ぎゃあああああああああああっ!!!!!
 ギブぎぶぎぶギブぎぶギブギブぎぶギブッ!!!)


 内心で悲鳴を上げる、外に漏らさなかったのは奇跡に近い

 密着度ヤバイ、超ヤバイ、これはヤバイ


 薄い薄い布を挟んで、そのなめらかな背を、腰を、尻を

 鋼盾の胸に、鳩尾に、腹に、そして―――――言えるかバカ!


 ああもう! 恨むぞ木山春生!

 ふと視線を感じ横を見ると、木山が微笑んでいた、あたかも聖母のように


「……っつ!」


 自慰を見られたかのような羞恥

 思わず前に向きなおり、眼を瞑って現実逃避に走ろうとした鋼盾の顎先に、少女の頭頂が触れた

 己の首元に、そのちいさな頭が誂えたようにぴったりと収まるのが解る


 理想の枕を見つけたとばかりに、少女は心地よさげに吐息を漏らす。

 その気配と音は彼の鼓膜を心地よく刺激し、脳をぐにゃりと蕩けさせる。

 フード越しに感じる細く柔らかな髪の感触に背筋が震える。


 近すぎる、その距離

 パーソナルスペースぶっちぎりである

935 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:19:19.32 ID:rmk5sWBdo


 己の吐息が少女を穢してしまうような気さえして、鋼盾は思わず息を詰める。

 だが、暴れる鼓動に突き動かされ、すぐに我慢は限界を迎えた。


 耐え切れずに息を吸い込めば、鼻孔を占めるは甘い甘い芳香。

 同じシャンプーを使ったはずなのに、どうしてこんなにも甘やかなのだろうか。

 少女の汗の臭いや体臭が混ざっているのだろうか。


 あるいは舞夏特製入浴剤に、なにか妖しいアレでも入っていたのではあるまいか。

 そんな妄想を本気で信じてしまいそうになる。


 吐息が、熱を孕む

 情欲が、煽られる

 色欲が、渦を巻く

 耐え難い疼きが、脳を冒す


 いっそトドメを! さあ殺せ! と鋼盾は祈る

 それが通じたのか、トドメは訪れた


 それは慈悲ではなく、新たな試練

 彼が望んだものとは違う形のトドメの一撃が

 インデックスの手によって、訪れた


 アームレストを掴んでいた鋼盾の手を、インデックスの柔らかく小さい手がむんずと掴んみ自らの腰へと誘った

 突然のことに鋼盾は抵抗すら出来ず、ただただ少女の導くままに、彼女の腰に手を回すかたちになった

 
 細い細い柳腰、鋼盾の腕は余り掌が反対の二の肘にまで軽く届くほど

 折れそうな程に華奢で、しかししなやかなその腰、腹と横腹。


 その滑らかな感触は勿論喩え用もなく極上ではあったが、それよりなによりも

 腕を回したことで全身の密着感が数倍に跳ね上がったような感覚に襲われる

 
 彼女の手は回された鋼盾の手に重なり、アームレストがわりにされてしまている

 五体全てを、彼女にやわらかく支配されてしまった

 
 鋼盾の存在を確かめるように優しく撫でるその指先

 銀絹の如くやわらかな髪が、さらさらと腕にかかる


 擽ったい、普段ならそれだけの感想であったはずだが

 今は、感覚器がそんなものでは済まないレベルまで感度を跳ね上げている


 天井知らずの官能

 なけなしの理性が、音を立てて蒸発してゆく

 熱し切った鉄板のように、脳の芯がオーバーロードの狂熱を孕んでいる


 どうしようもなく、熱に浮かされている
936 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:30:41.46 ID:rmk5sWBdo


 性欲よりも、征服欲の方が強かったかも知れない

 嗜虐心など、鋼盾には理解が及ばぬ心の動きだったはずなのに

 それでも―――至高の獲物を目の前にして、雄の本能に火でもついたか


 ああ

 腕の中で場違いに安らうこの女を咎めたくなる

 その無防備を、その無自覚を咎めたくなる

 その罪を、咎めたくなる


 辛うじてこその薄布を服足らしめている安全ピンを引き千切りたい

 邪魔な薄衣を無理矢理にでも剥ぎ取りたい


 そして

 この女を組み敷きたい

 今すぐに



 動物的な衝動

 ――脳の奥底から、それはやってくる



 心は身体は原始へと帰らんとしている

 理性が、それを拒んでいる

 なにやら、喚いている


 だが、拒む理由すらもう思い出せそうになかった

 熱に浮かされている

937 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:46:10.48 ID:rmk5sWBdo


 その瞬間

 視界の端、サイドミラーで何かが動いた


 見れば、インデックスがそれにむかって手を振っていた。

 正確には自分の頭のすぐ上にある、鋼盾にむかって、微笑ながら手を振っていた。


 “くるまにのるのははじめてなんだよ!”とはしゃいでいた少女

 サイドミラーが珍しいのであろうか、それとも


 ―――己とくっついているのが、楽しいのだろうか、嬉しいのだろうか


 今朝、眠る鋼盾に寄り添ってきた時のように

 不安を、絶望をこの一時だけでも

 忘れてくれているのだろうか


 ああ、もう

 なんて安心しきった笑顔をしてやがるのか

 目が合うだけで、どうしてそんなにも


 疎ましいほどまっすぐに

 痛々しいほどまっすぐに


 みつめて、くれやがるのか


 その眼差しが、愛おしかった

 性欲も嗜虐心も、笑い飛ばしてしまえるほどに


 サイドミラーの己と目が合う

 ヘラヘラ笑ってんじゃねえよ不細工が

 お前のような半端者にこの子は渡せぬ

 とりあえずは体重を10s落として出なおしてきやがれ


 浅ましい我が身を引き千切りたくなるも、そんなことをすればこの子が泣くので勘弁しておいてやる

 だが、ノーペナというわけにもゆくまい、ゆくものか


 とりあえず、一撃いいのを入れておこう

 んじゃ、いきますか

 くらえ
 

「……ごめん、インデックス。
 ちょっとだけ、身体を浮かして?」

「? んしょ、……これでいい?」

「うん、ありがとう。
 ――――それじゃあ、逝ってきます」


 せーの

938 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 22:47:56.23 ID:rmk5sWBdo



 ゴ ヅ ッ !!!



 鋼盾掬彦正義のヘッドバッドが、不埒者の頭を打抜いた

 わかりやすくいうと、窓枠へのヘッドバッドであった


939 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:06:54.99 ID:rmk5sWBdo


「ふええええええっっ!?
 ききききききくひこっ!? あたま! あたまだいじょぶっ!?」

 
 鋼盾の自傷行為に大慌てのインデックス

 己が原因の一端と露ほどの自覚もない少女にしてみれば、二重の意味で「コイツ頭大丈夫かいな」という話である


「……おちつくといい、インデックスさん。
 彼は、今己自身の煩悩を打ち払ったのさ
 ついでにきみの敵―――とも言い切れないかもしれないが、それもね」


 鋼盾掬彦の戦いを見守っていた木山春生がインデックスを優しく諭す

 年齢の功である、インデックスよりは多少、男性の生理について理解がある

 ……もっとも“脱ぎ女”たる彼女が本当にそれを理解しているかはわからない


「……男には、いろいろあるんだ、よ、インデックス。
 んでもってお待たせしました、木山先生……出発を」


 ともあれ鋼盾掬彦が、帰ってきた

 すこし大きくなって帰ってきた

 具体的にはたんこぶの分だけ、五ミリくらい


 ……さあ、頭は冷えた

 こっからはシリアスに行きたいのだ

940 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:14:49.48 ID:rmk5sWBdo


「……ああ、よく帰ってきてくれた。
 ―――だがね、無理をすることはないんだよ。
 君にはこの車を降りて、彼女と一緒に家に帰ればいい。

 ……続きを、楽しんでくればいいさ」


 木山は笑みを絶やさずに、そんな台詞を言う

 己になど関わるなと、笑ってみせる


 だが、鋼盾も決意の表情を崩すことなく、獰猛な笑みを浮かべた


「……まさか。
 そんな道は選ばないし、そんな道を己に許しはしません」
 
「艱難辛苦、あえて受難の道を往く、か。
 後悔しなければいいがね―――険しい道の先だけに幸せがあるわけじゃないよ。
 人は誰しもが賢者になれるわけじゃない、そしてえてして愚者の方が多くを掴むものだ」

「……それでも、ぼくは……その道を諦めたくはないんです」


 己の欲望を律しきれぬ者が賢者を名乗るなど烏滸がましい

 その程度の輩は使用済みのティッシュのようにぐしゃぐしゃの愚者だ


 賢者たるものの第一の素質は、克己

 己の弱さ卑しさを知り抜いて尚それに流されぬこと


 認めることと諦めることは似ているようでやはり違う


 劣情に流され、ソレを人間らしさと嘯くような開き直りを己に許してはならない

 悟りきった顔をした俗物を、鋼盾は賢者などとは呼ばない

 
「――無知の知は、言い訳のための言葉じゃない。
 あれはきっと、戒めのための言葉なんです」


 鋼盾掬彦には、目指すと決めた道がある

 鋼盾掬彦は、既に本物の賢者を知っている


 なればこそ、迷いなどありえない


 なんならここで誓え、鋼盾掬彦。

 もう一度、否、何度でも。


941 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:18:29.37 ID:rmk5sWBdo


「己の弱きを認め、しかし強くあることを諦めぬ。
 己の無知を認め、しかし学び続けることを諦めぬ。

 ――ぼくの憧れたひとは、そういう人なんです。
   なればこそ、その道を歩むことを諦めることなんてできない」


 いつか、あのひとのとなりへ

 それは、月を目指すような遠い遠い、道行き


 少年は月を目指す

 標のある幸福を、彼は知っている
942 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:21:03.44 ID:rmk5sWBdo


 木山は鋼盾の言を受けて、儚く微笑んだ

 己が彼に“お守り”を託したのは……これが一番の理由だろう


「灰にまみれてなお気高くあれ。
 ―――ガラスの靴をあえて履かない……そんな選択肢もあるのかもしれないね」


 童話のヒロインは魔法使いの助力を以って幸せを掴んだ

 木山とてかつては少女だった、そんな物語に憧れたこともあったのかもしれない


 ―――もう、思い出せない

 だが、大人になってからこの物語を思い返せば、当時とは異なる感想を抱く

 そして目の前の少年も、どうやら自分と似た意見の持ち主らしい


「……奇跡も魔法もいらない。零時の鐘に怯えるような幸せなんていらない。
 ぼくは、あの話はあまり好きじゃないんですよ。あんな安いハッピーエンドなんて。
 灰を被ったままでも、人はきっと幸せを掴める―――そう、信じたいんです」
 

 灰まみれでも、かまわない

 お仕着せの幻想なんて、いらない

 幸せは誰かが与えてくれるものだなんて

 無知な少女のように、幻想(ゆめ)をみることはできない

943 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:23:51.35 ID:rmk5sWBdo


「……故にきみは幻想の御手にも縋らない、か。
 そうだね……私も結局、絵本にでてくるような魔法使いにはなれなかったよ。
 誰かに不幸を押し付けることでしか、道筋を付けることは叶わなかった」


 ああ、己には魔法の杖など与えられなかった

 この三年を費やして己が為したのは魔法ならぬ邪法の類

 灰姫ならぬ白雪姫を、底のない眠りへと追いやった毒薬のみ

 毒壺の持ち主を、ひとはこう呼ぶだろう


「私は魔女だ、邪な女だよ。
 毒リンゴをばらまいた、咎人だ」


 “これはおいしい林檎だよ”

 “不思議なことに、食べるとレベルが上がるんだ”

 “聖女がその白き御手で収穫した、正真正銘の知恵の実さ”


 そんな甘言を、蛇の如く紡いだ己

 さもあらん、既にこの身は楽園を追われた蛇である

 だが



……だけど、それでもあなたは」

「……ああ、もう止まることはできない」


 蛇は執念深い

 蛇は痛みに強い

 蛇は何もかも飲み込む

 蛇は死ぬまで前進を止めない


 蛇の道を往く

 邪の道を往く
944 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:45:08.26 ID:rmk5sWBdo


「行きましょうか」

「ああ、行こう――――シートベルトを」


 道路交通法ぶっちぎりな現状、今更ではあるが安全第一だ

 無料でかけられる自動車保険、シートベルトを装備しようとして


「……きくひこ?」


 なんとも言えぬ顔でこちらを見ているインデックスと眼が合った

 半ば無理矢理に身体をひねっており、とんでもなく近い


 口付けめいたその距離、吐息の熱、男を狂わす翠緑宝玉

 ――――だが、もう大丈夫だ


「……ああ、ごめんねインデックス。
 その姿勢、きつかっただろ?

 ……もういいよ、おいで」


 おずおずと、どこか控えめに鋼盾に身を寄せるインデックス

 ……ああ、少し不安にさせてしまったであろうか


 鋼盾は微笑を浮かべ、インデックスの頭を優しく撫でる

 インデックスは一瞬びくりと身を捩らせたが、すぐに安心しきったように鋼盾の身体へとその身を預けた

 その重みに鋼盾は微笑む、ミラー越しにインデックスと目が合い、笑みは更に深くなる

 そして鋼盾はシートベルトを装着し、木山に向き直ると小さく頷いた



 それを受けてイグニッションキーが回る

 馬力にして650PS以上の性能を誇る、化物めいた鋼鉄の雄牛が猛き咆哮を放つ

 暴れ牛はしかし、二心のない忠犬のように従順に、コナハトの女王の命に従う


「では、行こう。
 いい気分だ―――すこしばかり、飛ばすよ」


 レヴェントンの魔女が、宣を放った

 過たずシフトレバーが操作され、車体が滑るように走りだした


 
――――――――――
 
945 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/03(木) 23:52:36.73 ID:rmk5sWBdo

ツッコミ役がいないということは

もしかしたら、神様がいないということよりも

かなしいことなのかも、しれません


 (ナレーション:森本レオ)



おしまえ

やっぱこの>>1にはエロスは無理だったぜ!
鋼盾がボケに回るとこのメンツ、ツッコミ不在で困ります
はやく起きてくれ上条さん!

シンデレラ、こんなアホネタに使っちまった!
一応青髪の大人の階段発言のあたりから温めておいたネタだったのに!

最近一回の投下量が多くなってだるい
もっとコンパクトにまとめたいのですが、変なところで区切るのも申し訳ないしなーと

本スレであと一回くらい投下できそうでしょうか
次回こそまじめな話になる予定です

んでは次回
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 23:57:26.07 ID:Eo5V/vQBo

文量が多いのはこちらとしてはありがたいです
もっと増やしてもいいのよ?ごめんなさい冗談です

そして鋼盾、良く耐えたと誉めてやりたいが今回ばかりは言わせて貰おう
鋼盾、爆発しろ
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/04(金) 00:34:23.08 ID:N36fqgIa0
シリアスなはずなのに何故だろう
『使用済みのティッシュ』『賢者』で吹いてしまった

……というか原因はその前の数レスでの雰囲気しか無いけどなww
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/04(金) 00:38:59.64 ID:6tpzC3pwo
太ももの間に人を収めるって……
めっさM字開脚やないですか鋼盾さん!
押忍!
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 01:25:25.08 ID:bTTHQf+DO
マジ爆発しろ……
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/04(金) 02:45:41.80 ID:pyL39ivJo
鋼盾くんの葛藤の影に隠れちゃいるが今回のインデックスまじ可愛い、無防備可愛い
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 03:38:14.33 ID:zJpSMi6IO
本当に無防備か?
実は……いや変な勘ぐりは野暮だな、やめておこう
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 03:51:54.55 ID:Sh1cMJjAO
ノーガード戦法だと…!

インデックスさんマジ魔性の女
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/04(金) 09:17:01.00 ID:Yhf6AcNAO
天才魔術師と天才錬金術師がアップを始めました。

…焼殺斬殺爆殺溶殺圧殺銃殺瞬殺…
君には選択する権利がある、鋼盾君!
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 11:28:37.15 ID:tEM2j4kTo

今更だけど木山てんてーの車ってガヤルドじゃね?
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) :2011/11/04(金) 12:19:09.24 ID:B6xLSGAAO
乙!
なぜか無能力再構成スレって同時に更新くるんだな
嬉しい
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 14:07:47.56 ID:vFAGBuFL0
乙、木山てんてー爆走しろ

>>956
あれだ、やつら三人幻想御手でつながってるとみた
ってのは冗談としても、どの無能力者再構成すれでもレベルアッパー活躍だな

S天はそれを利用しレベルを跳ね上げて、強敵に挑もうと牙を磨く
H面はその本質を知らず配り手となるも、それを乗り越えようと闇の底で足掻く
んで鋼盾は真っ向から否定し、今製作者たるきやまてんてーと向かい合う!
熱い!
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/04(金) 14:15:18.44 ID:YjGwZK+e0
乙です。
鋼盾ってガチロリコンだったんだな…
8時間くらいかけて前スレから一気読みさせていただきました、キャラの掘り下げが深くて面白かったです。
ただ、この時点で小萌先生に思いを定めたのは話の広がり的に勿体無いですね。
上条さんみたいに√を決めないほうが自由度が広がるのに。

佐天さんの参戦前に結果が決まってるのは超残念、佐天×日村は公式のはず。
つか超電磁砲組との絡みが神過ぎるのでそっちも読みたいです。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 18:14:33.43 ID:zJpSMi6IO
いや全てを護り律する上条
一つを守る鋼盾

力と博愛の上条
頭脳と迷いの鋼盾

そういう対比がいいんじゃ無いかなこの作品は……俺キメェ
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/04(金) 19:27:35.18 ID:5+hEHMpWo
>>957
あれ?読者様?
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 20:09:35.90 ID:XdsxFSauo
>>957
>佐天×日村は公式のはず

はっ?
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 20:14:10.09 ID:QTY0EHfBo
佐天x日村が公式ってそれどこ情報だおい
マジでソースくれよソース
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/04(金) 20:55:33.65 ID:6tpzC3pwo
まあまあおまえらここの公式設定は吹寄×>>1÷吹寄だけであって
計算しちゃダメだぞ。
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 00:14:22.15 ID:dyqn+Ids0
>>962
>>1×吹寄×コウやん/ 吹寄
の間違いだろ?
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 07:51:49.84 ID:EVFa+stAO
最終的に初春が口説き堕とすに3000ペリカ
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/05(土) 10:28:32.86 ID:K2jBR18AO
誘波タンendに一万ペリカ!
966 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/05(土) 18:59:01.36 ID:M8Q/uWoMo

木山せんせいが既にデレデレでコブ付きドライブを楽しんでるに100ペリカ

舞夏が“夜のおつとめ”の実技実習とか言い始めるに100ペリカ

美琴がメール履歴見てニヤニヤしてるに100ペリカ

神裂さんが
「あんなに激しく(インデックスの件的な意味で)責められたのは初めてで、正直ものすごく(罪悪感とか責任感とか決意とか反省とか感謝とか的な意味で)感じてしまいました。……鋼盾掬彦……どうか、責任を(取らせてください)」とか言い出してコウやんさらっていくに100ペリカ

>>1が「恋愛なんかこの>>1に書けるわけねーだろ、バーカバーカ」とか言い出すに100万ペリカ


どうも、恋愛なんか書けるわけねーだろ、バーカバーカな>>1です、100万ペリカゲットだぜ!!

もう一回このスレで投下のつもりでしたが、思いの外コメントがたくさんで(感謝!)
次話を投下してしまうとわりとギリギリっぽいので、次スレで投下しようと思います

……べ、べつに詰めれば投下余裕だけどそうするとアンタたちにコメント書いてもらえなくて
ちょっと寂しいだとか、そんなんじゃないんだからねっ!!!

と、本音はともかく、内容的にもアホネタ終わってシリアス入りますのでキリがいいし、
次は割りと大事な回ですのでスレ頭に持ってくるのもありかな、と思う次第なのですと言い訳。

次スレ建ては来週末くらいまでにはなんとか
いい機会なのでこれまでの投下を読み返し、忘れてる伏線とか使えそうなネタがないか見てみようと思います
登場人物紹介も更新せねば!

んでは! どうか次スレでもよろしくです!
967 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/05(土) 19:24:26.92 ID:M8Q/uWoMo

埋めネタがわりに全レス(笑)とかやってみるぜ!


>>946 感謝! 一回が密度濃いのと回数が多いの、どっちがいいんですかね? 鋼盾爆発しろ!

>>947 シリアスじゃないっす、ギャグっす
    ドピュドピュしといて賢者はねーよ、とふと思ったあの日の賢者タイム

>>948 残念ながら>>1には「美女の駆るスポーツカーの助手席で美少女と背面座位」
    なんて素敵な経験はありませんのでいろいろアレですが、まあノリということで! 
    愛車スイフトくんの助手席で幻想を抱きしめながら鋼盾爆発しろ!

>>949 マジで爆発すべき

>>950 すげえ嬉しいです。インさんもっとかわいく書いたげたいぜ!

>>951-952 イン「 計 画 通 り 」ニヤリ ……かどうかは神のみぞ知る世界

>>953 やはり爆殺でしょうか

>>954 アニメではガヤルドですが原作ではレヴなのです。「レヴェントンの魔女」の方がかっこいい気がしてつい……
   浜面がこの「レヴェントンの魔女」にぶっちぎられて以来彼女の大ファンという裏設定があるのですが、多分活かせないでしょうね

>>955-956 シンクロニティ!
      なにが悲しいって俺のだけこんなアホネタという事実!

>>957 おお、ご新規さん! 読んでくれて感謝です
    しかし8時間かー、長いよなー……もっと短くびしっとまとまったのが書けるようになりたい!
    まあそれは二作目以降の課題として、このSSでは書きたいこと全部書こうと思います
    よろしければお付き合いください!

>>958 上条さんと同じ方向を向きつつも対をなす、そんな主人公を書きたい(キリッ ……うん俺キメェ
    鋼盾くんはいろいろなキャラと対を成す位置に置いたつもりです、木山せんせいとか露骨過ぎかな

>>959-961 公式云々はともかく、アニメの講習回はGJでしたね……でも実は観てない>>1
      鋼盾くんの声を未だしらぬ>>1でござる、……いいかげん見なきゃなー

>>962-963 ふむ、>>1×吹寄=∞、∞÷吹寄=∞、つまりは∞だな
      ゆえに>>963の方も答えは∞ということになるな、論理的に考えて
      吹寄は論理的に俺の嫁(キリッ

>>964-965 ところでペリカってなんだっけ?


ほんとうにコメント感謝です、3スレ目にいけるのも皆様のおかげですたい
あと30スレはどうすべえ、なんか思い付きで小ネタとかアンケとかするかもです
雑談、ご質問、ご感想、ご意見、ご要望なんでもどうぞ
968 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/11/05(土) 19:30:59.14 ID:M8Q/uWoMo
30スレじゃねえよ! 30レスだよ俺のバカ!
あとageてごめん!
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 19:35:08.88 ID:HTKN0myno
許さない、北!と思ってスレ開いた俺のwwktkを返せ
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 19:56:53.90 ID:AOgGH8jao
30スレやってくれるのか!
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟県) [sage]:2011/11/05(土) 20:10:40.10 ID:0xOSNy4Bo
30スレも小ネタにアンケ……恐ろしい物書きだ……
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/05(土) 20:51:30.13 ID:K2jBR18AO
ニスレで7ヶ月だったんだぞ…!
単純計算で105ヶ月。年にして九年強かかるな…鋼盾達は九年以上ドライブしないといけないのか…!
某三巻王にして御大の三州公じゃないんだからさ……
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/06(日) 01:05:23.09 ID:u5BhG4aO0
なんかもう一番の萌えキャラはコウやんじゃなく>>1な気がしてきた
ドジっ子の>>1と文句を言いながらもその世話を焼く吹寄か……あると思います

コウやんは煩悩含め色々なことに悩みながら頑張ってほしい
悩んで悔やんで泣きそうになりながら先に進もうとうする人ってカッコイイよね
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 03:02:44.14 ID:Wz5spDAAo
>>1×上条さん
>>1×こうやん

うーん…甲乙つけ難い
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 06:01:31.54 ID:7f+ch0FIO
>>1×975 これで決まりだな
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 08:05:56.59 ID:TmK56PdB0
>>1
青少年の懊悩全開文章がいいよ、エロいから安心するといい、1はとても変態だ(褒め言葉)

>>975
自分を受けにもってくるか、上級者だな
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/06(日) 09:13:58.90 ID:C8r5KQAro
やはり>>1は自称Cカップ測定値Aカップのドジっ娘だったか…そして嫁は吹寄…!

\       /: :/;;; : : : : : : : : : : 〉 ゝ'、_\: : ),  く  百 
  \    /: : : : : : : : : : : : : : : : :.\斗 ::ヽ_: く   だ  合 
     i` Y: : : : 〃: : : : : : : \: : : : : : i__   >:ヽ,  さ  以 
`ヽ、   `y' : : : : : ハ: : : ヽ: :\: ヾ: : : :〈 l ヽ'": : :,ノ い .外 
     {: : : :!: : { ヽ: : :、ヾ: :, : ミ、: }:|: : :i: : : |: :く  で  は  
``''ー-  |: : : {: :!!:ヽ. ヽ: : ;_,イ从|`v'レrうヽ: : :|: : :)  す  帰 
     |: : : ∧|: : ハ レ从ノ,,ィ禾;ソ   ツ .j: : :|: : :L  の  っ
     l:l、: :{: :7;;┼'\   " ゞイ   _,/:/'、/: : : :| !. て   r
≡=-.  |\N: :.\《;沁         .i Y  i: : /: :.| ,へ    r┘
,、yx=''".   ヽゝ: :.`、゙''" ′       __ト、/: /: :/.レ': : ,'ヽr ⌒
         i: : :i: : :ヽ    つ   ノ/  /: /i::/ i: : :/
  _,,、-     i: : i: .;ィ: `!' ‐ - ィ ^/  /i: :i i:iヽ/: :/
-''"_,,、-''"   i: :i / i: : :|     /_/  .i: /ヽi:i /: :/i
-''"    /  /:// i: : :|   /     i: i: : :V: ::ハ:i
   //   /: :/ /: :从   / ̄\   ゞ:i : : x: :i  \
 //   ./: ://:/ `ヽ /     \  \: :.i i::ヽ | }
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 14:35:38.72 ID:KE86HGBVo
                      --  ,
                    ´  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ヽ `  、
.               / ̄ ̄`     /  、       \  \
           /         /   \       \  \
              ,      '⌒ヽ   ⌒ 、                \
          /     〉      /\    \           ヽ
           /,     / /          ,ヘ      \   厂ヽ    |
.          //    / /   i     、    ヽ     \  i  i  ヽ  !
         /  h  / /  / |    | \   |  _,√ ,ヘ| _l厂 } |   百合といえばこの人!
.        /    ̄ /―/ , __  !   \  |      {  { _}、-‐'| !
       i   !  /  / / | | |  ||     \!     癶-'|   \! 、   鋼盾×鈴科に10万ペリカですの!
       | |  |  ∧/ |  ! ! ! |  |!、     |\   '   ! |!  }  !
       | |  | / | i  | |/ ! !   | \   | l \     弋ノ`ーハ |
       | |  | '  | ト、 |ー-、∧  |!ー―、 ' | |  \ ト、      / !/
       | ト. !    ! |ィ≦三ミュ、\|'  ィ≦三ミ、 |  i  \   、 /   {
       |/ }/|   ∧ | 戈ソ    !   戈ソ | |  |   | | 、 !/
       {/ }/l  |  !////     ///! !   |   i l ! |\_
       /    ! |  !  \              | /   |l   !ノ ∧!
         , i/! |  |了    `     u  ,/ !   !l / | / }
            | |/!  !| \  r――v-、   / /   ' |/_|/リ
             ! |  li    \  ̄ ̄ ̄  . < l / //////7ァ、____
                |/| |__/7>、__ <: : :  !/ //////////////,/::ヽ
              !//////////// }      /|//////////////⌒ヽ::〉
               /!////////////_、     //////////////      |::\
           / {/////////_/: : : :\ /////////////,/       |::::::::\
             /  !////////,|: , '⌒ヽ: : ://///////////        |::::::::::::::\
.            /  ∨///////|: /:⌒: ー://////////,/             |::::::::::::::::::::\                 
 
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 16:47:13.58 ID:7f+ch0FIO
>>976
まて>>1×975であって
>>1×>>975とは書いてない……
つまり自称Cカップ(略)娘975人による濃厚な百合!!
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/06(日) 17:09:30.53 ID:V4KJqFMAO
>>979
天 才 現 る !

ここが花と蜜溢れる約束の地(カナン)であったのか……!!
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/06(日) 23:12:17.92 ID:u5BhG4aO0
というかなぜこんな>>1に対するカップリング談議にwwwwww
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 00:27:42.55 ID:c5r6qoJ4o
>>969 めんご、今回はsageたぜ!

>>970-972
おまえら……>>968で先んじたじゃん! 誰よりも早くセルフツッコミ入れたじゃんよ!
貴様らの所業は……喩えるなら切腹した武士に斬りかかるような武士道の風上にもおけぬ……あれ? 介錯?
>>1の苦痛を和らげるための……つまり、愛? くっ……かたじけないでござる!

>>973-981
そして雑談モードに入った途端このノリ! おまえらこわい
つっこまねえぞ! なんなんだ……あれ? でもいつもとそんなにかわらなくね? 平常運転じゃね?
あれー?


とはいえ>>1のカップリングなど>>1的には誰得の極み! 吹寄に決まってんだろ!
つーわけで埋めネタがわりに、以前封印したボツネタを。
最初のスレ、終業式の日のあたり、モブがいっぱい出てきたあたりだったでしょうか

モブキャラの口調をこっそり一方さんとかアウレとかサーシャとか混ぜたら面白くね?
「吹寄さンマジすげェ」とか「慄然、吹寄ぱねえ」とか「第一の回答ですが……吹寄さんヤバイです」とかやったら面白くね?

とか思って試しにやってみたら当然の如くカオスって収集がつかなくて封印
当時書いたのは消しちゃいましたが、せっかくなので>>183あたりから再現!

くらえ!
983 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/11/07(月) 00:31:23.24 ID:c5r6qoJ4o

―――――

「まァその話は置いといて……やっぱ学級委員は吹寄さンがベストだったかねェ」

「……ふむ。私は別に現状でもあまり構わないのであるが、まあ、そうであろうな」

「(英単語)、吹寄さんなら間違いないとは思うけど、
 あの子は運営委員で忙しいでしょう、立候補しなかったのもおそらくはそれが理由ね」

「そっかァ……まァ吹寄さンは吹寄さンで結構暴走しがちだしなァ」

「うーん、でもあれ9割は三馬鹿のせいよね。
   あの三人の迸る熱いパトスを受け止めきっちゃうなんて……うふふ、吹寄さんったら」

「……ツッコミは放棄させて頂くのである。
   人望ならなんだかんだで上条ではあるが……奴ではな」

「いや、上条はねェだろ……アイツがクラスの代表になったら、学年の貧乏クジ全部引いてくンぞ」

「うわあ……ありありと思い浮かぶのよな」

「(英単語)、学年じゃ済まないわね。
   学校全部の引っ張ってくるわよあのファンタジスタ」

「上条はバツ、吹寄は運営委員でがンばってもらうとして……実際、青髪でよかったンかねェ…」

「その結論はどうかとは思うが…、まあ実際そうであるな」

「まあこのクラスはみんな協力的だし、誰でもいいと言えば誰でもいいのよな」


「んー、まあそうなんだろうけど……ここでお姉さんはあえて鋼盾くんを推してみたり」

「……ふむ、なかなかにシブいところをついてくるのであるな。……む、とはいえ意外に……」

「(英単語)、そういえば今日の記念写真は鋼盾の提案よね、こうしてみんなであつまってるのも」

「雲川事件よりこっちデルタと暴走吹寄を抑えるのはアイツの役回り……ありなのよな」

「鋼盾かァ……最初の頃はコイツ大丈夫かよと思ったけどなァ。
 アイツの通ってた中学ってかなり厳しいトコだったみたいだし……なンだかンだでドロップアウトって形だもンな」

「(英単語)この街じゃ珍しくもない話ね……
   ウチの学校に通ってる連中は多かれ少なかれドロップ組だし」

「ま、そのおかげで楽しい今があるのよな」

「ハッ、底辺校バンザイってかァ? ……あァ、悪くねェよな実際」

「然り。無理に割り切れとは言わないであるが……自分を許してあげて欲しいものではあるな」

「……そうね」

「……ふふ。だいじょうぶよ、今日の鋼盾くんの黒板メッセージ、見たでしょ?」

「あァ、あのクソ恥ずかしいヤツ……まったく、あンな事書かれちゃよォ…」

「正直うっかり萌えてしまいそうだったのよな!」

「←鋼盾になら抱かれてもいい、なのである!」

  「はいはいそげぶ、なンちゃって」

「ふふ……あのメッセージで実はお姉さん濡れちゃたの。
   ……見てみる? 下着までびしょびしょだよ?」

「fuck……ばかなこと言わないで頂戴。
   男子連中が本気にしたらどうするのかしら?」

「あーあー聞こえなーい、女どものセクハラなんてきこえないのよー!
   ……“みんな揃って二学期を迎えられますように”か……うっしゃあ! 者どもグラスを持つのよな!!
   今日のMVPに乾杯!!」

「「「「 かん(ン)ぱーーい!!! 」」」」



――――――――――
984 : ◆FzAyW.Rdbg [sage]:2011/11/07(月) 00:36:18.07 ID:c5r6qoJ4o


……ふむ、これくらいはっちゃけてもよかったかな?
あ、笑いどころは(英単語)です。>>1の英語力の低さに戦慄せよ!
……だれか布束さんが使いそうな単語一覧を作ってくれ!

こいつらみんな小萌先生が大好きな15歳です
微笑ましいな!


アンケートはいいのが思いつかん
お気に入りのシーンとか、このシーンはイマイチとかあったら教えてください

次スレ誘導用にちょい残しておいてくれると嬉しいですが
そんなこと書いといてこの後誰も書き込まなかったりすると
>>1は恥ずかしくて次スレを建てられないのでおまえら埋めてくれ

今週中には3スレ目を!
では、しばし!
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/07(月) 07:52:10.26 ID:2MNe+zhAO
なにこのテーブル混ざりたい。セクハラされたい

やっぱり神裂戦が燃えたかな
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/07(月) 19:09:55.68 ID:Io1IJrdAO
お気に入りはステイルとの会話
あの交流があったからこそコウやんはここまで来れたんだと思ってる
実のところあの場面を読んでいるとき少し泣いた

イマイチというか先が気になって悶々としたのがレベルアッパー買いに行った場面


まあなんだかんだいって一番のお気に入りはこの作品そのものなので今後も楽しみに舞ってる

987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 19:17:21.75 ID:+OPRy9eIO
私たちは待機時間に踊るように設定されているんです!
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/07(月) 19:41:13.84 ID:xvVn3cYRo
美琴と鋼盾の上条談義のあたりだなあ。
このあたりでこれは来たわと思った。

今ちょっと流し読みしたら
座学、投薬、電極、暗示、エトセトラエトセトラ。
のところで 座薬 とよんでしまって感銘を受けたのは内緒ですよ。
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/07(月) 21:17:59.60 ID:6oDO7bJ50
超電磁砲との絡みが一番好きだなぁ
きくひこ格好よくなってて嫉妬しちゃった

>>1は俺が美味しく頂きました
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/08(火) 18:08:39.68 ID:kqtORFKY0
鋼盾さんが自分の名を誇れるようどのように行動するか、
それがこの物語の醍醐味だと思う。

個人的には、禁書目録編・幻想御手編が終わっても、
鋼盾さんの活躍がみたいな。
まあ、>>1のものなら何でも見るんですけどね。
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 07:34:24.82 ID:uawQA3mF0
は、か、た、の、しお!
は、が、ね、の、たて!
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/09(水) 21:59:38.26 ID:3rifeSfU0
今更だが名前は「こうたて」でもおかしくないんじゃないかね
高坂京介、桐乃みたいな呼び方もあるし
逆に「こうじゅん」のほうが違和感ある

禁書メンバーよりレールガンの面子との絡みが見たいね
993 : ◆FzAyW.Rdbg :2011/11/10(木) 20:54:31.96 ID:6hlIUYRMo
レスサンクス!

皆さんが挙げてくれたシーンは、>>1も筆が乗った場面だったように思います
やっぱ楽しんで書かなきゃな!

皆のコメントを読むと、コウやん、鋼盾、きくひこ、鋼盾さん……いろんな呼び方で呼んでもらってますな
>>1の欲目でしょうが皆さんの中に彼が息づいているかのようで嬉しいです

>>992の指摘は>>1としてもスレ立て時に随分迷いましたが!
>>1は最初見たときこうじゅん、と読んだのでその直観を信じてみました
こうたてきくひこだと「たてきく」のあたりで唇が若干迷うのです!
もしかまちーから公式アナウンスがあればもちろんそれに従いますが……ねえんだろうなー


今晩、新スレ立てようと思います
本編投下分は若干矛盾を見つけてしまったので、訂正が間に合えば今夜中に
間に合わぬようなら明日にでも!

んじゃ!
最後の仕上げに行ってまいります!
一時間以内に、新スレにて!
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 23:39:38.11 ID:GgYuRrySo
仕事の出来るだじっこ…だと…
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 23:41:27.76 ID:GgYuRrySo
だじっこってなんだよヴェッテルかよ
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/11(金) 00:15:19.42 ID:kq3pcC+AO
スレたってる?
997 : ◆FzAyW.Rdbg [saga]:2011/11/11(金) 00:22:41.12 ID:1KidJeSd0

どうも>>1です
さて、3スレ目立てて来ましたよ

上条「行こうぜ鋼盾―――みんなで、素敵な悪あがきだ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320936113/

こんなスレタイと相成りました
変わらず鋼盾くんの物語を紡いで参ります

このスレはもう店仕舞
>>1にとってはふたつめのスレ、感無量です

続けてこれたのはみなさまのおかげ
続けてゆけるのもみなさまのおかげ

初心を忘れず次スレでも頑張ってまいります
よろしければリンクを辿り、共に物語を紡いで参りましょう

んでは! 今度こそ!
>>1000取り合戦っ、はーじーまーるーよーーー!!!
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/11(金) 00:36:37.02 ID:C4xckBYyo
虎視。眈々。
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) [saga]:2011/11/11(金) 00:40:22.37 ID:yKg3LgLn0
>>1000なら鋼盾及び>>1は俺の嫁
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/11(金) 00:49:50.72 ID:7Zgag/qDO
くっせぇぇぇええ〜!!このスレくっせぇぇぇええ〜!!!
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                     ___, - 、
                    /_____)
.                    | | /   ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
                    |_|  ┃ ┃  ||  
                   (/   ⊂⊃  ヽ)        /  ̄ ̄ ̄ \
  \僕はSS!/           \_/  !        ( ( (ヽ     ヽ
                   ,\ _____ /、       | −、ヽ\     !  <私は二次創作
   ゝ/  ̄ ̄ ̄ \     /. \/ ̄\/   .\     | ・ |─ |__   /
   / _____ヽ    |  |  _┌l⊂⊃l  |  |    ┌ - ′  )   /
   | | /  ─ 、−、!    |  |  / ∋ |__|  |  |    ヽ  /   ヽ <
   |__|─ |   ・| ・ |    |  /`, ──── 、 |  |     ` ─┐  ?h ̄
   (   ` ─ o−i    ヽ /         \ .ノ_      .j ̄ ̄ |
    ヽ、  ┬─┬ノ / ̄ ./            ヽ- 、\    /   ̄ ヽ\
  // /ヽ─| | ♯|  /   i  ぼくオリジナル   | ..) ) \  i  ./   |\\
  | |  /  `i'lノ))┘/ , ─│             !-l⊂⊃l┐__ヽ__/\ / |   | |
  | |  | ̄| / /| / ( (... .ヽ              / |____|∈  __./ .|   | |
  |_|/ヽ、_/  ./   ` ─ /\           /ヽ      ̄ \-──| \|_|
   | |  |───/____i  l=======l  |_____ __\  |\ | |
   |/ ヽ── |______\  l二|^|二二|^|二l 丿______ |_丿 \|
  l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | |      | |.  | |   | |  | |         | |  ̄ ̄ ̄ l
   | ̄| ̄ ̄ ̄ ̄.| |────| |.  | |   | |  | |.──────| | ̄ ̄ ̄| ̄|
                                                       SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
                                                          http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
ここだけ全員焼肉店(今年の風邪は凶悪です) 482店舗目 @ 2011/11/11(金) 00:37:00.57 ID:1cuyXf6SO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1320939420/

魔法少女とその考察 @ 2011/11/11(金) 00:29:11.91 ID:feyAtIv+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320938951/

上条「行こうぜ鋼盾―――みんなで、素敵な悪あがきだ」 @ 2011/11/10(木) 23:41:54.20 ID:6hlIUYRM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320936113/

男「もしも…」 @ 2011/11/10(木) 23:41:51.32 ID:MMHNoCsAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320936111/

梓「1/365日」 @ 2011/11/10(木) 23:28:03.99 ID:u6k/fNrM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320935283/

オーキド「お前たちの股間にモンスターがおるじゃろう」 @ 2011/11/10(木) 20:28:42.96 ID:Xg6JPtISO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320924522/

ヴォルデモート「小娘、この俺様がお前のサーヴァントになってやろう・・・・」 @ 2011/11/10(木) 17:48:43.73 ID:ui7oJZBX0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320914923/

ポケモンシリーズSS総合スレ @ 2011/11/10(木) 16:13:20.35 ID:dXXMzd720
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1320909200/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/

585.01 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)