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【多重】とある無限のリリカルなのはAlaRubrA【クロス】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:13:35.67 ID:EBJlWRCAO
初SSです。

とある、なのは、無限フロ、ネギまの多重クロスです。

2部構成の予定です。

※注意点

以下の中で気に入らない点があったら他の方のSSを楽しんだほうがいいです。

上条さんが主役です。また、原作よりほんのり強くなってます。更に上条さんと土御門は武装強化します。じゃないとPT相手じゃ確実に死んじゃうし。

例によって彼なのでフラグ乱立します。

ナギ、ラカンは原作通りのチートキャラです。

実は作者、なのはは無印とStS漫画版、vividしか読んでません。間違いあったら指摘お願いします。

現段階で上げられる時系列、設定の改変は
とある→ロシア編後、上条さんは無事帰国。右手に独自解釈有ります。

なのは→StSプロローグちょっと前の中2〜中3くらい(StS本編は2部予定)

無限フロ→基本無印ですが、アクセル登場、代わりに零児達は九十九計画前(そっちは2部予定)なので裏で動いてる沙夜とは出会いません。

ネギま→紅き翼編。ネギ君達の出番はありません。

携帯からの更新になります。見にくかったら御免なさい。

週に2〜3回くらいの投下を目指しますが所詮目標にすぎません。
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:16:08.59 ID:EBJlWRCAO
―プロローグ―

???

「問題…アリ…」

「混迷…崩壊スル…セカイ…」

「ゼロニ…」

「イレギュラー…ヤハリ…コノセカイハ…」
3 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:18:00.55 ID:EBJlWRCAO
―学園都市―

窓の無いビル―そう呼ばれる場所に、土御門元春はいた。

目の前の液体の中に手術服を纏い逆さまに浮かぶ学園都市統括理事長、アレイスター・クロウリーに呼び出されたからだ。

「何の用だ、アレイスター。」

そう言いつつも、土御門は目の前の男に違和感を覚えていた。

普段は常に余裕を見せ、手の内が全く読めないこの男から、今ははっきりと焦りの色が見てとれる。

「本来ならばもう少し時間を掛け、進めていく予定だったが…予想以上に動きが早い。こうなった以上こちらも手をうたなければ…」

アレイスターは誰にでもなく苦々しげに吐き捨てると、土御門の問いに答えた。

「君『たち』にはこれから時空管理局に出向して貰う。拒否権は―ない。」
4 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:18:57.50 ID:EBJlWRCAO
『森羅』本部

日本古来から度々人間を脅かす「異界の住人」。

科学が発展し、その存在が迷信とされている現代においても、その脅威がなくなったわけではない。

そんな異世界からの脅威に対抗する為の『影』の組織、その名を特務機関・森羅。

本来の退魔に加え、魔術や能力者と言った対超常全般にその役割を広げながら、現代にも公的機関として存在していた。


その組織のエージェントである有栖零児とシャオムゥはここ最近多発する『ゆらぎ』に頭を悩ませていた。

「また、か。『あの日』以降、あっても年に数回程度しか無かったものが、ここ数日で既に数十回起きている。…今までのような偶発的要因によるものではなさそうだ。」

「しかも、見慣れた連中でなく、骨々だったり植物みたいな連中だったしのう。妖力はなかったし、かと言って異世界の生物という感じでもなかったの。…あからさまに厄介事に巻き込まるフラグじゃな。」

ヤレヤレ、と言ったふうに首を横にふるシャオムゥ。それを見た零児は、

「フラグとか言うな。…とは言え、これから忙しくなるのは間違いない、か…」

ふぅ、と密かに溜め息をつくのだった。
5 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:20:26.88 ID:EBJlWRCAO
エンドレスフロンティア。

様々な国が次元を結ぶ『クロスゲート』によって繋がる不安定な世界。

異世界から物や人、時には国や世界そのものが流れ着く場所。その全貌を知る者も、その成り立ちを知る者も居ない。

そのエンドレスフロンティアの国の一つ、ロストエレンシアの賞金稼ぎハーケン・ブロウニングは1人の『来訪者』の言葉に困惑していた。

「記憶喪失、だって?おいおい、それはマジで言ってるのか?」

眉をひそめるハーケンに対し、オレンジ色のわかめ髪の男は、悪びれた様子もなく答える。

「マジもマジ、大真面目なんだな、これが。嘘だったらもっとマシな嘘をつくって。」

実際に確かめる手段がない為、ハーケンはそれ以上追及はしなかった。

「OK、記憶喪失ガイ。だが、流石に名前くらいは思い出せないのか?このままじゃ本当に呼び方が記憶喪失ガイになっちまうぜ?」

そう言われてもな〜、とわかめ髪の男は腕を組んで思い出そうとしている。

「名前…名前…ねぇ。アホセル…じゃねぇ、アクセル…アクセル・アルマー。これが俺の名前なんだな、…多分。」

若干自信がなかったのか、断言できなかったようだ。ハーケンとしてはとりあえず相手の呼び名があれば何でもよかったので特にツッコミを入れることはしなかったが。
6 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:21:28.42 ID:EBJlWRCAO

「アクセル、か。それじゃあこれからはそう呼ばせて貰うぜ、アクセル。」

「おう、よろしくなハーケン。」

2人が握手を交わしていると、部屋に緑髪の女性が入ってきた。

「艦長、このボンクラワカメ野郎から少しでも有益な情報は手に入りましたか、とアシェンは問いかけます。」

敬礼のポーズをとりながらさらっと酷いことを言ってのける緑髪の女性にハーケンはオーバーにお手上げのリアクションをしながら答える。

「いや、このヘタレヘアーガイは自称記憶喪失でな。名前以外は何も覚えてないらしい。…あとアシェン、その特徴的で面倒くさい語尾はなんだ?」

敬礼のポーズを崩さないままアシェンと呼ばれた女性はアクセルを一瞥し、小馬鹿にしたように鼻で笑うとまたハーケンに視線を戻す。

「このみかんの皮頭は随分なメルヘン野郎ですね、とアシェンは呆れたように嘲笑します。あと、この語尾は無機質系毒舌キャラとしてのアイデンティティーと出番を奪われないように、相手の
7 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:25:23.36 ID:EBJlWRCAO
>>6

早速ミスった…改めて


「アクセル、か。それじゃあこれからはそう呼ばせて貰うぜ、アクセル。」

「おう、よろしくなハーケン。」

2人が握手を交わしていると、部屋に緑髪の女性が入ってきた。

「艦長、このボンクラワカメ野郎から少しでも有益な情報は手に入りましたか、とアシェンは問いかけます。」

敬礼のポーズをとりながらさらっと酷いことを言ってのける緑髪の女性にハーケンはオーバーにお手上げのリアクションをしながら答える。

「いや、このヘタレヘアーガイは自称記憶喪失でな。名前以外は何も覚えてないらしい。…あとアシェン、その特徴的で面倒くさい語尾はなんだ?」

敬礼のポーズを崩さないままアシェンと呼ばれた女性はアクセルを一瞥し、小馬鹿にしたように鼻で笑うとまたハーケンに視線を戻す。

「このみかんの皮頭は随分なメルヘン野郎ですね、とアシェンは呆れたように嘲笑します。あと、この語尾は無機質系毒舌キャラとしてのアイデンティティーと出番を奪われないように、相手のアイデンティティーである面倒くせぇ喋り方をパクりつつ先制攻撃を仕掛けただけですのことよ、艦長。」

ハーケンはふぅ、とこれも大げさなリアクションで溜め息を吐きつつ、立ち上がった。

「これから鞠音博士に診てもらうから案内してやってくれ。…あと、お前には既におかしな敬語と言う特徴があるんだ。それ以上おかしくなったら余計に面倒だからやめろ。」

「了解したのことよ、キザ野郎。この縮れ毛男を鞠音博士のもとに案内すればよろしいのでごんすね?」

2人に連れられ(というより引き摺られ)部屋を出たアクセルは

「あんたら、人のことボロくそに言い過ぎだろ…」

心で涙を流すのだった。


ちなみに学園都市

「…何やらミサカの立場が危うくなっている気配がします、とミサカは危機感をあらわにします…!」
8 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:27:40.76 ID:EBJlWRCAO

???

「イチチ…んで、ここは何処だ?」

赤毛の少年が頭を掻きながら周囲を確認する。そこには草原と海、そして桜の花が舞い散る美しい森があった。

「これは素晴らしい景観ですね、ナギ。先程までの岩と砂埃だけの荒野とは雲泥の差です。」

いつの間に現れたのか、ナギの隣には2人の男が立っていた。

裾がボロボロになったローブを纏った赤毛の少年、ナギ=スプリングフィールド。

長身で黒髪の「刀」を持った剣士、近衛詠春。

そして丁寧な口調と物腰ながら、どこか腹黒さを滲ませるアルビレオ=イマ。

後に仲間を増やし「赤き翼」の名で英雄となる男達は今、エンドレスフロンティアの神楽天原にいた。

「ナギ、お前はもう少し慎重に行動しろ!謎の機械門《ゲート》を調べもしないで飛び込むな!その先が危険な所だったらどうする気だったんだ!」

勝手な行動をしたナギに説教を始める詠春。

「無事だったんだからいいじゃねぇか。細かい事気にしてたら禿げるぜ、詠春。」

一方説教なんぞ何処吹く風のナギ。ぎゃあぎゃあ騒がしい2人を放置し、アルは機械門を調べていた。

「ふむ…こんなタイプの機械門は見たことありませんね…それにこの場所、魔法世界とも旧世界とも違うようです。しかし困りましたね、これでは…元の場所に戻ることはできないようです。」

戻れないと言う言葉を聞き硬直するナギと詠春。

「ナギ…覚悟はいいか…?」

「ま、待て、俺が悪かった、それは謝る、謝るから!そろばん責めはやめて、マジで痛いからぁぁ!」

後ろでまた騒ぎ出す2人に苦笑をこぼしながら、まぁなるようになるでしょう、と今は目の前の美しい風景を楽しむアルだった。
9 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:28:33.48 ID:EBJlWRCAO
アースラ艦

「学園都市からの人員補充、か…まったく、上の連中も学園都市の連中も何を考えているんだ…」

書類を読んでいたクロノ・ハラウオンは苦々しげに呟く。そもそも学園都市と時空管理局の関係は良好とは言えない。

管理局の権力を持った連中がイギリスやロシアの宗教勢力と繋がっており、それらの勢力と緊張関係にある学園都市に裏でちょっかいをかけていたのだ。

上層部の腐敗、それはクロノにとって非常に頭の痛い話であったが、それはともかく。そんな相手がこちらにすり寄るような真似をするとは思えないのだが―

(ロシアの敗戦で、上の力関係が変わったのか?)

つい先日までロシアと日本、正確にはロシア正教と学園都市が戦争をしていた。結果、学園都市側が勝利し、ロシア正教はその力を大幅に削られることとなった。

「だとしても、学園都市がこちらに力を預ける理由にはならない筈だが…」

こちらからすり寄ったのなら向こうがこちらに譲歩する理由はない。まして、いつ裏切るかわからない連中に自分たちの戦力を渡すような馬鹿ではないだろう。

色々考えを巡らせながら書類を読み進めるクロノだが、その中の一文に驚愕する。
10 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:29:15.74 ID:EBJlWRCAO
―高町なのは、フェイト・T・ハラウオン、八神はやて並びにヴォルケンリッターと学園都市からの補充人員を、クロノ・ハラウオンを指揮官とする特殊部隊に配属とする。

このような過剰戦力を有するような部隊など、上が認める筈がない。更に、その部隊に学園都市の能力者を組み込むなど絶対にあり得ない。

しかし、現実として正規の書類に記述されている以上は紛れもない事実。

(上がそれを認めなければならない程の事態が起こっている…?)

痛む胃を抑えながら、クロノはこの先のことに考えを巡らせるのだった…
11 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:40:12.26 ID:EBJlWRCAO
以上まとめてプロローグとなります。

第1部
無限フロ無印、紅き翼、StSプロローグのみ
第2部
無限フロ(というかナムコ×カプコン)九十九計画、StS本編

の予定です。とあるは当初はロシア編予定してましたが作者の技量的に無理でした。今後新約とあるで進展あったら第2部とかにねじ込むかも。

後言い忘れましたがここのアレイ☆さんは善人ではないですが悪人でも無いです。

とある勢からは

上条、イン、一方、美琴、土御門

が参加確定してますが、以降たまに安価でとある勢から参戦キャラ増やそうと思ってますので、もし読んでくれてる方がいればよろしくお願いします。
12 :めけめけ :2011/08/10(水) 00:45:47.71 ID:EBJlWRCAO
とりあえず安価下
無効な安価は下

アイテム、グループ、黒子、ステイル、神裂の中から1人
(浜面は滝壺とセット)

安価は基本的に話の内容に大きく関わるものではないので気楽にどうぞ。

次の投下まで無ければ適当に選んで進めます。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/08/10(水) 00:48:01.45 ID:1iUcGE5AO
超絹旗
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/10(水) 00:54:03.73 ID:RQkf2uM6o
神裂
15 :めけめけ :2011/08/10(水) 14:05:09.52 ID:EBJlWRCAO
>>13


絹旗、超了解しました。

今日は仕事の後とある新刊読むので更新は明日か明後日になります。

ちなみに、今回の安価は管理局に出向する補充人員の1人、でした。
16 :めけめけ :2011/08/10(水) 18:37:31.42 ID:EBJlWRCAO
>>13


絹旗、超了解しました。

今日は仕事の後とある新刊読むので更新は明日か明後日になります。

ちなみに、今回の安価は管理局に出向する補充人員の1人、でした。
17 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:05:49.01 ID:AJv01DyAO
とりあえず今書けたとこまで投下します。


学園都市のとある男子寮

「…というわけで、カミやんとインデックスを嬉し恥ずかし時空管理局お仕事体験ツアーにご招待するんだぜい。」

金髪に短パンアロハシャツ、おまけにネックレスにサングラスといかにもそのへんのチンピラのような格好をした男、土御門の言葉に上条とインデックスはポカンと間抜けな顔をしたまま硬直していた。

そんな2人を無視して土御門は話を続ける。

「期間は不明、上の『命令』に付き拒否権はなし。インデックスのほうは『向こう』のトップにはもう話を付けてるので問題はないぜよ。」

話を続ける土御門に対し、ようやく我にかえった上条は慌てて話を遮る。こればっかりは避けたい事態が目の前に迫っているのだ。

「色々突っ込み所が多すぎるがとりあえずスルーする。そんなことより、この前の戦争のおかげで上条さんには留年へのカウントダウンという切実な問題があるのですが!?」

元々の成績の悪さに加え、出席日数の不足。数々の『幻想』を殺してきた彼も、留年の危機という『現実』は殺せない。寧ろ重くのしかかる現実に殺されそうである。主に精神のほうが。

その反応を予想してたのか土御門は笑いながら答える。

「安心するんだにゃーカミやん。向こうに行ってる間は全て出席扱い、更に出席日数の不足も特例扱いで不問だぜい。あ、ついでに所属は学園都市だが一応管理局の一員でもあるんでちゃんと給料もでるんだにゃー。」

勿論正規職員よりは安いけどにゃー、と付け足す。

一方上条は、今回のこの対応に疑問を抱いていた。

これまで自分が何者かの思惑のもと、事件に関わっていたことには薄々気付いていた。

そして、これまでは上条が自分から事件に首を突っ込むなり、巻き込まれるなり、そうなるように仕向けてきていた。

しかし今回は土御門のような部下でもなく、『闇』の人間でもない、表向きはごくごく普通の学生でありしかも『無能力者』である上条に拒否権のない『命令』を出してきた。

そして恐らくその命令を拒否した場合、自分ではなく親や友人と言った自分の周りの人間に『不幸』が訪れるのだろう、と予想する。

そしてそれがわかってる以上、確かに自分にはそれを受け入れる以外の選択肢はない。

が、問題はそこではない。
18 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:06:21.70 ID:AJv01DyAO
自分がそれを受け入れれば、少なくとも不幸なのは自分だけですむのだから、それはいい。

問題なのは、これまで回りくどい方法を取ってきた人間が、今更になって何故こんな脅迫じみた手段を取って自分に干渉してきたか、だ。

考えられるのはこの人物がこれまでの人物とは別人であるか、それとも取り繕う余裕が無かったかと言った所だが…

その辺は土御門に聞いたほうが早いだろう、と上条は質問したのだが…返ってきたのは突拍子もない話だった。

「俺も詳しいことは知らないが…異世界からの侵略者から世界を守る為、だそうだ。」



上条とインデックスの2人は、再び硬直したのだった…
19 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:07:11.26 ID:AJv01DyAO

その後我に帰った2人と土御門ですったもんだあったが土御門に説得され今、管理局に合流するため、転送設備のある施設にいた。

手続きの為の書類にサインしつつ、上条は土御門に尋ねる。

「そういや今回は俺達だけなのか?」

片や『幻想殺し』、片や魔術師とは言え、表向きはただの『無能力者』であり、基本的に魔術も能力も使えない自分たち。

そして、10万3千冊の魔導書を記憶しているとは言え、まともに戦闘を行えないインデックス。

これだけでは戦力と呼ぶには余りにも頼りない。そんな風に考えていると、土御門は笑って奥の部屋を指差す。

「勿論俺達だけじゃないにゃー。向こうの部屋にもう先に着いてるのが3人いるぜよ。つーかお前らがモタモタしてたから完全に遅刻、俺らが最後ぜよ。」

よし、と手続きを終了した3人は部屋に向かう。そして開いた扉の先にいたのは…

常磐台の制服に身を包んだ少女、学園都市第3位の超能力者御坂美琴と、美琴に良く似ていて、美琴のお姉さんといった外見をした番外個体、小柄で小学生くらいに見える少女、絹旗最愛の姿だった。
20 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:07:58.90 ID:AJv01DyAO
―上条たちが合流する少し前―

「…うん、そう。ミサカも『妹達』の1人だよ、お姉様。」

番外個体は先に部屋で待機していた自分を見て動揺し、混乱していた自分たちの『オリジナル』、御坂美琴に自分が生みだされた理由と、これまでの経緯を説明していた。

やはりまだ動揺しているのか、真っ青な顔で呟く美琴に対し、番外個体は話を続ける。

「大丈夫だよお姉様、その計画自体はもう破棄されて結局ミサカ以外は生産されてないから。」

よくわかんないけど上のほうはもうそれどころじゃないみたい、と続けると、ようやく少し落ち着いたらしい美琴が椅子に座った。

「私に対する『報酬』が『妹達』に関する情報、計画の全廃棄ってのはこういうことだったのね…それにまさか一方通行が『妹達』を助けてたなんて…ね。」

「…お姉様は、あの人を嫌いでも、憎んでいていいと思うよ。あの子を助けたのも、その結果1人じゃ何もできなくなったのも、罪に対する罰と贖罪だから。赦されることを望んでないよ、あの人は。」

それと、と番外個体は付け足す。

「ミサカはミサカネットワークで『妹達』の負の感情を集めやすいように調整されてるんだけど…お姉様のことを恨んでる子はいないよ、ミサカを含めてね。」

俯いていた美琴は顔を上げて番外個体を見た。

「…私、顔に出てたかな?」

うん、ばっちりと答える番外個体に思わず溜め息がこぼれる。今度から気を付けよう。そう思いつつお茶を飲んでいるとと番外個体は悪戯な微笑みを浮かべていた。…母親が自分をからかっているときの顔にそっくりな。

「まぁお姉様に対する負の感情がないわけではないけどねー、あの人の側に居れてずるいーとか、あの人のこと大好きなのに素直になれないお姉様にヤキモキするーとか☆」

ぶふぉっ、とお茶を吹き出し盛大にむせる美琴。顔を真っ赤にし、ニヤニヤいやらしい笑みを浮かべる番外個体に反論しようとするが、いつもの1割も頭が回っていない。

「にゃ、にゃに言ってんのよ!だ、だ、誰があんな鈍感で唐変木で女ったらしで、でもいざって時には助けてくれて頼りになって優しくて…」

最後はゴニョゴニョと聞き取れなくなっていたが、途中からはただ褒めているだけである。
21 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:08:45.51 ID:AJv01DyAO
顔を真っ赤にしながらあうあうやってる自分のオリジナルを見て、なんてテンプレ通りの反応…と思いつつも楽しくなってきたので、追い討ちをかける。

「あっれー、ミサカは別にあの人としか言ってないんだけどなー、お姉様は一体誰のこと想像したのかな、きゃは☆」

「な、な、な…」

テンプレにはやっぱりテンプレで、とニヤニヤしながらからかう(さすがに下ネタは自重しているが)番外個体と、先程より更に顔が赤くなりもはやまともに反論もできない美琴。

じゃれ合う2人の様子はまるで本当の姉妹のようだった。…そしてその様子をずっと見ていた絹旗はぽつりと呟く。

「…会話に入れません。というか私、超空気なんですが。忘れられてますよね、絶対。」

絹旗がそんなじゃれ合いを観察していると、部屋のドアが開き3人が入ってきた。

その中の2人は顔を見合わせると、声を揃えて質問する。

「えーと…御坂(短髪)は何でそんな憔悴してるんだ(のかな)?」

番外個体にからかい尽くされ、頭から煙を吹いている美琴の姿に疑問を抱くのだった。
22 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:09:27.47 ID:AJv01DyAO
「さて、これで全員集まったわけだが、初対面の人間もいるだろうから皆ここで自己紹介をすませておく。まずは俺からだ。」

美琴が落ち着いたところで、仕事モードに切り替わった土御門が話をこの場を仕切る。

「このチームのリーダーになった土御門元春だ。超電磁砲《レールガン》には舞夏の義兄、絹旗には元『グループ』、番外個体には一方通行と同じ暗部のリーダーだったと言ったほうがいいか。」

こんなところか、と次の人間に自己紹介を促す。

それに美琴が応え、土御門に続く。

「私は学園都市第3位、超電磁砲こと御坂美琴よ。土御門のお兄さん以外は、お互い多少は知ってると思うけど。…というわけだからアンタ、いい加減私を名前で呼びなさい。」

とインデックスに振る。インデックスはムッとした顔で美琴に反論する。

「わかったけど…みことだって私のことアンタって呼んでるかも!私にだってIndex-Librorum-Prohibitorumって名前があるんだよ!インデックス、ってちゃんと呼んで欲しいんだよ!」

と噛みつくように言うインデックスに、それ本当に名前だったのね…と驚く美琴。

そんな2人の様子を伺いつつも、絹旗がインデックスにあの、横から申し訳ありませんがと前置きして訪ねる。

「あなたの衣装は超シスターに見えるのですが、コスプレですか?…まさか、そこの超ツンツン頭コンビのどっちかに強制されてるとかじゃあ…」

ピク、と絹旗の言葉に反応する。正確にはコスプレ、という単語にだったが。

「コ、コスプレなんかと一緒にしないで欲しかも!私は正真正銘イギリスの敬虔なるシスターなんだよ!」

その気迫に押された絹旗は思わず後退りつつ、インデックスに謝罪する。

「ちゃんと謝ったから許してあげるんだよ。え〜と、あれ?そういえば名前まだ聞いてないかも。」

絹旗はちょうどいいので次は私が自己紹介しましょう、と咳払いをする。

「私は大能力者、『窒素装甲』絹旗最愛です。…さいあい、ですから。もあいとか呼んだら超ぶち殺し確定ですよ。」

何かコンプレックスでもあるのか、微妙に頬を引きつらせ、物騒なことを言う。

「わ、わかったんだよ、よろしくなんだよ、さいあい!」

笑顔で手を握って挨拶するインデックスに戸惑いながらも、少し嬉しそうによろしくお願いします、と返す絹旗。
23 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:10:00.72 ID:AJv01DyAO

「えーと、じゃあ次はミサカが自己紹介するね☆…と言っても、ミサカにも事情があるから質問には答えないけど。」

と断りを入れ、続ける。

「見た目こんなでもミサカはお姉様の妹で、便宜上の名前は御坂真琴だよ☆レベルは4で、お姉様と同じ系統かな。んじゃ最後はヒーローさんだね。」

話を振られ、ボーッと成り行きを見守っていた上条は、んあ?と間抜けな声を漏らす。

「あー、上条当麻、無能力者です。一応右手には『幻想殺し』って能力はあるけど。…うーん、それくらいか?俺はただの学生だしなぁ。」

そんな上条の言葉に、土御門、インデックス、美琴、番外個体は溜め息をつき、絹旗はジト目で上条を見る。

「…あぁ、ばか面が師匠と呼びたい、とか言ってたのがあなたですか。何でも、同時に10人以上の女の子を部屋に連れ込んだとかいう超最低野郎ですね。」

その言葉に美琴とインデックスが反応し、臨戦体制に移る。上条は慌てて絹旗の言葉を否定する。

「いやちょっと待って!?連れ込んだと言うより強引についてきたんですよ!?って御坂、ビリビリやってるけどそん時お前いたよね!?お前も無理矢理ついてきた側だよね!?」

今にも攻撃してきそうな2人を必死で宥めつつ、上条は土御門に話し掛ける。…それが絹旗にとっての地雷とは知らずに。

「そ…それは後でゆっくり説明させて貰うとして。土御門、絹旗は大能力者らしいから多分俺より強いんだろうし、暗部ではそんなの当たり前なんだろうけど…いくら何でも小学生に危険なことやらせるのはどうかと思うぞ。」

瞬間。絹旗の周囲の空気が凍りつく。

土御門はあっちゃー、と言う顔をし、他の3人はキョトンとしている。

「私を小学生扱いとは超いい度胸ですね、ぶっ飛ばしてやるからそこに直れやこの三下がァァァ!」

突然口調が一方通行みたいになったと思えば、絹旗は右腕ひとつで上条の体が持ち上げられる。

「ご、ごめんなさいぃぃ!色々小さいしつい小学生くらいだと…ってぎゃああああ、謝る、謝るから床に叩きつけるのはやめて!上条さん死んじゃうから!」

上条の余計な一言が絹旗の怒りに油を注ぐ。絹旗は暗い笑みを浮かべ、一応死なない程度に手加減しつつ床に叩きつけてやろう、と考えていると、抵抗する上条の右手が触れた。
24 :めけめけ :2011/08/11(木) 22:10:41.16 ID:AJv01DyAO
絹旗が上条を片手で持ち上げたのは、絹旗の能力『窒素装甲』のおかげであり、絹旗が怪力の持ち主と言うわけではない。

絹旗は能力が無ければ年相応の女の子の力しかない。

そしてその『窒素装甲』に上条の『幻想殺し』が触れた。

当然『窒素装甲』は解除される。そして、絹旗には上条を片手で支えられるような力はない。結果―

「いつつ、おい絹旗大丈夫か―って」

あぁ、このパターンはいつものフルボッコフラグか―自分の置かれた状況に気付き、諦めにも似たような感情が支配する。

咄嗟に絹旗を庇おうと伸ばした左手は絹旗の尻の下じきに、右手は絹旗の未成熟な胸と自分の体の間にあった。

インデックスがガチガチと歯を鳴らし、美琴と何故か番外個体がビリビリと帯電し、土御門が指をポキポキ鳴らし、そして絹旗が一拍置いて悲鳴をあげ―

「ふ、ふ、ふ…不幸だぁーーーっ!!」

遅れて騒音と、上条の悲鳴が響くのだった…
25 :めけめけ [sage]:2011/08/11(木) 22:31:56.26 ID:AJv01DyAO
今回はここまでになります。

…ぶっちゃけここまでだとただの禁書SSですね、すみません。

次回、ようやくなのはたちと合流するのでご容赦を。

あと、もしかしたら次回から戦闘パートや個別視点、ラブコメパート以外は台本形式になるかもしれません。

要するにインターミッション部分は簡潔にするかも、ってことですね。

地の文とか入れてると話が進まない…まだ半日も消化してないのに驚きました。



因みに、本当は一方さんをここで出す予定だったのですが。

考えてみたら一方さんMNWなきゃ動けないし、打ち止めか番外個体とセットだとキャラ増えて面倒だし、安価で絹旗来たし…と言うわけで学園都市でお留守番、代わりに番外個体に出て貰いました。

美琴に一方通行の現状の説明も消化しときたかったし、美琴と番外個体の絡みもやりたかったし。代わりに絹旗との絡みができなかったけど。

最後の上条さんのラッキースケベ、やっぱりお約束は大事だと思うのです。

安価

なのは、フェイト、どちらか1人選んで下さい。

日が変わるまでに多かったほうになります。安価なかったらなのはで進みます。
26 :めけめけ :2011/08/11(木) 23:02:35.47 ID:AJv01DyAO
安価訂正

なのは、フェイト、はやて

誰か1人を選んで下さい。

明日の01時まで、一番多かったキャラが選択されます。

安価なかったらなのはで進めます。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/12(金) 11:23:50.78 ID:bjl8DdDt0
フェイト
28 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:31:18.12 ID:+PEmBsCAO
>>27

安価ありがとうございます。

他に安価ないのでフェイトで行きます。

では、投下。
29 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:32:04.12 ID:+PEmBsCAO
アースラ艦

クロノ「…遅い。もうとっくに時間は過ぎていると言うのに」

なのは「うーん、何かあったのかなぁ?」
はやて「それなら連絡くらいはくるんちゃう?」

フェイト「でも、何の為に私達だけじゃなく学園都市の人達まで集めて部隊なんて作るんだろうね?」

はやて「私たちがひとつの部隊に、っちゅうのもおかしいもんなあ」

なのは「もしかして、何か大きな事件が起きたのかな…」

はやて「それに該当するようなもん、あらへんけどなあ。もしくは、これから起きるのかもしれへんね。」

フェイト「何事もなければいいんだけど…多分、何かあるんだろうね…」

そんな話をしていると、シグナムとヴィータが入ってきた。

シグナム「学園都市からの補充人員が到着しました」

続いて、ヴィータと学園都市の6人(?)も入ってきた。

土御門「土御門元春以下6名、着任した」
クロノ「…ご苦労、君達の上司になるクロノ・ハラウオンだ。予定時刻を大幅に過ぎているのだが、その理由は…その前にそこに転がっている彼は大丈夫なのか?」

上条「」プスプス

学生服のあちこちが焦げ、噛まれたような痕があり、顔には青タンが出来ていた。

無論、先刻の暴挙に対する制裁の結果である。

土御門「遅刻の理由はそこの男が絹旗…最年少のそこの少女を押し倒した上尻と胸を揉みしだいたから、その制裁だ」

管理局側の全員が倒れてる男を白い目で見る。

上条「待て、仕事モードでさらっと捏造すんな!あれは事故だ、そもそも揉みしだく程のボリューム何てどこにもな…あれ?もしかしてまた地雷踏んだ?」

インデックス「…」ガチガチ

美琴、番外「…」ビリビリ

絹旗「…超ぶち殺し、確定」←涙目

上条「」チーン
30 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:33:02.24 ID:+PEmBsCAO
――――――
―――――
――――

クロノ「…では、痴漢行為云々は冗談だと?」

土御門「押し倒して胸と尻を触ったとこまでは事実だけどにゃー。カミやんにそんな甲斐性も勇気もないぜよ」

クロノ「(頭と胃が痛くなってきた…)まぁいい、こちらも時間が惜しい。まずは軽く自己紹介をしたあと、模擬戦に移るぞ。…ではこちらから、なのは」

なのは「はい、時空管理局武装隊 戦技教導隊 教導官、高町なのはです」

フェイト「時空管理局執務官、フェイト・T・ハラウオンです」

はやて「時空管理局特別捜査官、八神はやてです、皆よろしゅうなー」

シグナム「次は我々だな」

シグナム「私は剣の騎士、シグナム」

ヴィータ「鉄槌の騎士、ヴィータだ」

シャマル「湖の騎士、シャマルです」

ザフィーラ「盾の守護獣、ザフィーラ」

シグナム「我ら4人はヴォルケンリッターとも呼ばれるが…主はやての部下と思ってもら「家族や」えれば…」

はやて「家族や、皆は」

シグナム「…だ、そうだ」

嬉しそうに微笑む4人を見て、学園都市側の人間ははやてとの関係を大体理解する。

クロノ「この7人が、君達と共に前線に出る仲間だ。あとはエイミィ、君も自己紹介を」

エイミィ「通信司令、エイミィ・リミエッタです。任務中の皆さんへの通信は主に私が担当しますのでよろしくお願いします」

土御門「んじゃ次はこっちか、まずは―」

皆一通り自己紹介が終わり、残るは上条だけとなる。

土御門「おいカミやん、残りはお前だけだ、いい加減起きろ」

上条「いや、お前らのせいだろ…えーと、上条当麻、無能力者で…って上条さんの顔に何かついてますか?」

今までボコボコにされぶっ倒れてたのでここでようやく管理局の人達と顔を見る。…うん、美形ばっかだ、男も。ちくしょう。
31 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:34:56.08 ID:+PEmBsCAO
しかし、皆が上条の顔を見た途端驚いた表情になり、名前を聞いて更にそれは顕著になる。

上条(俺また何かしたか?でも自分の名前言っただけだよなぁ…)

訝しげにしていると、フェイトの口から無意識に言葉が溢れる。

フェイト「…お兄、ちゃん?」

上条「…はい?」

その台詞に硬直する上条たち。

そんな中始めに口を開いたのはクロノだった。

クロノ「…フェイトも、なのは達も聞きたいことがあるのだろう。だが少し待ってくれ」

クロノ「君の能力は『幻想殺し』、あらゆる異能を無効にする右手、で合っているか?」

上条「あぁ、そうだけど…」

クロノ「やはり、そうなのか…?だが…それにしては余りにも…」

上条「?」

クロノ「疑問に思うかも知れないが、いや、こちらも疑問だらけなのだが…少なくとも我々は、君と同姓同名で、同じ容姿、同じ能力を持った人間を知っている」

クロノ「しかし、我々が上条当麻と出会ったのは4〜5年前…当時の上条当麻が高校1年と言っていた。つまり、今の君と丁度同じ歳なんだが…心当たりはあるか?」

突然妙なことを言われて混乱する上条だったが、冗談を言っている雰囲気ではない。
チラ、とインデックスと美琴の方に目配せすると、2人は頷いた。

上条「えっと…少なくとも『今』の俺には、時空管理局の知り合いはいないし、心当たりはない」

今と言う部分を強調し、続ける。

上条「俺は…7月21日以前の記憶がない。所謂記憶喪失…ってやつだな。だから、もしそれ以前に会ったことがあっても…悪いけど、わからない」

フェイト・はやて「っ…」

ヴォルケンリッター「…」

なのは「…そう、なんだ」

インデックス・美琴「…」

記憶喪失、という話を聞き周囲は動揺する。特に、フェイトとはやての動揺は大きく、その表情は、今にも泣きそうなものだった。

またヴォルケンリッターやなのはも2人程ではないが、やはりその表情からは悲しみが滲んでいた。

そして…その様子から何かを察したのか、上条の記憶喪失を知るインデックスと美琴もまた。

クロノ「そうか。それはすまなかった…。まぁ、年齢が合わないということもあるし、君ではない可能性も充分にあるだろう」
クロノがフォローを入れるが土御門がそれを否定する。
32 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:36:31.14 ID:+PEmBsCAO
土御門「残念だが容姿や名前だけで無く能力も同じならその可能性は考えにくいな。『幻想殺し』なんて特異な力を持つものがそうそういる筈はない」

フォローを台無しにする物言いにクロノは苛立ちをおぼえる。が、次には普段の軽い物言いで


土御門「とは言え、だ。フェイトちゃんやはやてちゃん達とカミやんがどう関わったかはわからんが、安心するにゃー。少なくともカミやんが学園都市に来てから記憶喪失になるまでの間に、そっちと接触したという事実はないぜい」

上条「いや、何でお前にそんなことがわかるんだ?」

土御門「カミやん、俺はスパイぜよ?重要人物と舞夏の動向は過去から現在まで全部チェックしてるにゃー」

上条「すげぇ嫌なこと聞かされたんだが。…あと、職権濫用して義妹のストーカーしてんじゃねぇよ!この変態ロリコンシスコン3重苦野郎!」

土御門「んなっ!シ、シ、シスコンちゃうわ!」

2人が脱線しいつもの漫才を始めたことで周囲の空気が多少和らいだところで、クロノが話を始める。

クロノ「…まぁこの件については後にしよう。予定より大幅に遅れたが、まずは各人の実力を把握するために模擬戦を行う」
33 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:41:00.72 ID:+PEmBsCAO
クロノ「これから組み合わせをモニターに出す。今回は互いに能力や魔法とはどういうものか理解する為に能力者対管理局の組み合わせになる。皆、気を引き締めるように」



――――――
―――――
――――

対戦表

絹旗 VS ヴィータ

絹旗「窒素装甲を超簡単にぶち抜かれるとは思いませんでした…悔しいです」

ヴィータ「すっげぇ馬鹿力かと思ってたらそれが能力だったのかよ…まぁ、あたしの敵じゃあなかったけどな!」

ザフィーラ「…その割には随分時間がかかったな。それにあちこちボロボロだが」

ヴィータ「う、うるせぇ!」


美琴 VS なのは

なのは「能力者って1つの能力しか使えないって聞いてたのに〜」

美琴「あたしの売りは応用力だしね。電気って結構色々出来るのよ?」

なのは「身を以て知りました〜…砂の津波なんて初めて見た…」

美琴「あはは、こっちも大技使いすぎて電池切れだけどね…」


番外個体 VS はやて

番外個体「…いや、それ反則だって。ミサカ武器もないのに空飛んでる相手に勝てるわけないじゃん」

はやて「負けたんやからそれは認めなあかんよ?負け犬の遠吠えはみっともないで〜」

番外個体「…もしかして、こいつ腹黒?」

土御門 VS シグナム

土御門「」

シグナム「…ふむ、相手が徒手空拳にも関わらずここまで手こずるとはな」

土御門「」

シグナム「しかし…これでは対能力者の訓練にはならいのだが…御坂美琴、私の相手頼めないか?」

美琴「無茶言うなバトルマニア」


上条 VS フェイト

フェイト(…本当にお兄ちゃんなのかどうか、戦ってみれば記憶が無くても癖とかで少しはわかるかもしれない)

フェイトが戦う意思を固め、こちらを見据えている。…のだが、上条はイマイチ乗り気ではなかった。

(や、やりにくいな…まさか模擬戦で女の子を本気で殴るわけにもいかないし)

これまで彼は数多くの強敵を拳1つで倒してきた。

美琴と『妹達』を救う為に学園都市最強と命を掛けて戦った。

たった1人の、出会ったばかりのシスターを助ける為に武装した200人以上の戦闘シスター相手に単身殴り込みを掛けた。

インデックスを助ける為に第3次世界大戦中の戦場を駆け、戦った。
34 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:42:29.48 ID:+PEmBsCAO

彼の戦う理由は誰かを救う為であり、その為ならば意識を絶たれるまでどんなに満身創痍であっても立ち上がり、拳を振るってきた。

故に…戦う理由がないのに女の子を相手にしなければならないこの状況に彼は戸惑っていた。

避けられないないのならやるしかないか、と覚悟を決めた次の瞬間―目の前に、フェイトが迫っていた。

「おわっ!?」

咄嗟にサイドステップでフェイトの持つ斧―バルディッシュを回避する。

しかし、息をつく暇もなくすぐに次の一撃が上条を襲う。辛うじて攻撃をしのぐものの、次から次へと繰り出される斬撃にあっという間に追い詰められていく。

(このままじゃまずい!まずは距離をとって立て直さないと)

一方、フェイトは上条をあっさり追い詰めたことに困惑していた。自分の知っている上条はこの程度は軽くしのげた筈だが…

余計なことを色々考えていたことで若干集中力が乱れたのか、単調になった攻撃をかわされ距離を置かれる。

(…今は、戦いに集中しよう)

(『幻想殺し』に魔法は通じない…ならば、それを目眩ましにして一気に片をつける!)

フェイトの周囲に雷雲が集まる。そして―

「いきます!」

――――――
―――――
――――

「いきます!」

なんとかフェイトの隙をつき距離をとって立て直した上条だが、今度はフェイトの周りに雷雲が集まっているのを見て驚愕する。

(そんなことまで出来るのかよ!)

間もなく、フェイトの宣告と共に頭上からいくつもの雷が落ちる。

咄嗟に自分に直接落ちてきた雷は右手で防いだものの、周囲に落ちた雷が閃光と轟音を撒き散らした。

視覚と聴覚を一瞬にして奪われ、平行感覚を失う。

(ぐっ…このままじっとしてたらいい的だ!)

まだ視覚も聴覚も取り戻せていないが、構わず体を投げ出すように倒れる。直後、自分の体をバルディッシュが掠める。

「―っ!?」

今のをかわされるとは思っていなかったのか、フェイトの動きが一瞬止まる。その間に倒れた体を起こし、フェイトの位置を確認する。

(耳はまだちゃんと働いてないけど、目は大丈夫だな)
35 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:42:59.46 ID:+PEmBsCAO
バルディッシュを構え直し、再び間合いを詰めるフェイト。その動きは速く、上条を一瞬で間合いに捉える。

そしてそのまま、バルディッシュを横に薙ぐ。が、その直前、上条が大きくバックステップしたことでバルディッシュが上条を掠めるものの、ギリギリでかわされる。

そして、その先には、自身の体をつっかえ棒に見立て、右手をつき出す上条の姿。

フェイトはその勢いを[ピーーー]ことが出来ず、自ら待ち構える上条の右手に突っ込む。自身の突進力がそのまま自分に跳ね返…る前に、その勢いに負け上条の体が横に弾ける。

一方のフェイトも、途中で力が分散したとはいえ相応のダメージを受け、地面に転がる。

(途中までは上手くいったのに…や、やっぱり漫画で見たことあるのを真似してみたけど駄目だったー!)

起き上がり、再度こちらに向き直るフェイトを見て焦る上条。

漫画のパクり技…「退歩」を使ってみたものの、肘や肩、膝関節に負担がかかり過ぎ、途中で吹っ飛んでしまった。

万事休すかと考えていると、とんでもないことが起きた。

フェイトの纏っていた服…バリアジャケットが、上条の目の前で粉々に砕け散った。
当然、その下のフェイトの裸体が露になる。

綺麗な肌、年齢の割りに大きめの胸、やけに肉感的で生々しい腰回りやふともも、そして髪の色と同じ金色の茂み―

思わずごくり、と生唾を飲み込む上条。しばしお互いに硬直していたが、我に帰ったフェイトが涙目でこちらに猛烈なスピードで向かってくる。

(あぁ、何か前にもこんなことがあったような気がするなぁ、覚えてないけど)

「不幸だ…(でも今回は少し得した気もする)」

目の前で降り下ろされるバルディッシュを見ながら、いつもの台詞を呟くのだった。
36 :めけめけ :2011/08/13(土) 17:48:37.11 ID:+PEmBsCAO
本日は以上になります。

やっぱり地の文はくどくど書かないほうがいいですね、これからは少し減らしていきます。

バリアジャケットの破壊はお約束ですね。
ちなみに今回上条さんが使った技、退歩は史上最強の弟子ケンイチから拝借しました。実際にアレやろうとしたら関節への負担が凄そう…

ではまた。
37 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:07:03.85 ID:Y6RmVO2AO
読んでる人はいないかも知れませんが、投下します。
38 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:07:57.22 ID:Y6RmVO2AO

土御門「で、俺が残されたのは何の用件だ?」

クロノ「無論、上条当麻についてだ。…我々の知っている上条当麻と比較すると戦闘能力はやや低いが…やはり、過去に会った上条当麻と同一人物としか思えん。そのことについてお前の見解を聞きたい。…特に、フェイトとはやて達にとっては重要なことなのでな」

フェイト・はやて一家「…」

土御門「…わかった。まずお前達が過去に出会った上条当麻は、間違いなく今の上条当麻と同一人物だろう。アレイスターの情報が確かなら、『幻想殺し』はあらゆる世界の特異点であり、それと同じものは他に存在しないらしいからな」

クロノ「…しかし彼は我々のことを知らなかった。記憶喪失と言っていたが、本当なのか?」

土御門「それは事実だ。…詳しいことは俺の口からは話せんが、他人を助けた代償に、な」

フェイト「…あの、お兄…いえ、上条さんは本当に記憶喪失以前に私達と会ったことはないん、ですか…?」

土御門「それに関しては断言できる。学園都市に来てから記憶喪失に至るまでの上条当麻の動きは完全に把握しているからな。お前達が出会ったのが今と同じ年齢の上条当麻ならば尚更だ」

はやて「ちょう待って、なんや混乱してきた…私達が会った当麻と今の当麻が同じ人やのに、何で私らのこと知らんの?それに、もっと小さい頃あっとるのに、何であの頃と変わってへんの…?」

クロノ「…土御門、実際にそれは可能なのか?それに彼の右手は異能をすべて打ち消すのだろう?」

土御門「…人為的に、狙って起こすのは不可能だ。だがそれが本来の目的とは異なる、暴走などによるものならば、或いは」

土御門「そして幻想殺しは異能にしか反応しない。機械が原因であれば可能性としては無くはない。実際エンドレスフロンティアでは時折、明らかに時代にそぐわないものが転移してくるしな」

クロノ「成る程、確かにそれを考慮すればゼロではないのか…」

土御門「あぁ、恐らく上条当麻は過去のお前達の世界へ『時間跳躍』した」
39 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:09:31.64 ID:Y6RmVO2AO
シグナム「信じがたいが…仮にそれが事実だったとして何故上条当麻がそれを知らない?」

土御門「それは簡単だ。まだ起きていないから、お前達の見た上条当麻の年齢を考慮するとこれから先、近い未来にそれが起きるんだろう」


ザフィーラ「…成る程な、思い返せば奴は初対面にも関わらず我らの名を知っていた。戦闘スタイルも含めて、な」

ヴィータ「だが奴は私達やフェイトのことは何も知らなかったぞ」

シャマル「多分、下手なことを言って未来が変わらないように、私達が言わなかったのでしょうね」

クロノ「実際そうであると決まったわけではないし、無用な混乱を避ける為にもそのことは言わないほうがいいだろう」

土御門「だな。…さて、ついでだ、これからのことについてだが…」

―――――――
――――――
―――――

なのは「…はやてちゃん、大丈夫?」

はやて「…ちょっとショックやったけど、私は大丈夫や。今思えば、そんな素振りもあったしな。私よりも、フェイトちゃんのが心配やけど…」

なのは「…うん、フェイトちゃんの一番辛かった時に側で支えてくれた人だもんね。家族の絆を繋ぎ止めてくれた、大事な人」
なのは「これから起きるかもしれないとはいえ、そんな人の中に今、自分がいないっていうのは…きっと、辛いよね」

ヴィータ「そう、だな…もしはやてがあたし達のことを覚えてなかったら、すごく…辛いもんな…」

シグナム「だが、いつまでもそれを引き摺るわけにもいかんだろう。…その日が来るまでに奴が死なぬように、我々が鍛えてやらねばならん」

シャマル「え?」

シグナム「明日からしばらく、私とヴィータが奴と絹旗の教官をやることになった」
ヴィータ「あたしも…?」

シグナム「そうだ。…例の砕けぬ魔法石に謎の生物の件もある。本来なら有り得ぬ規模の戦力を一ヵ所に集中させた理由、学園都市からの増援…もしかしたら、事態は我々の知らぬところで深刻な方向に向かっているのかもしれん」

シグナム「その為にも、まずは手持ちの戦力の底上げをする必要がある。…仲間を失わない為にも、な」

ヴィータ「…そうだな、よし!そうと決まれば早速どんなことをさせるか考えないとな!」

はやて「せやな、こうして考えても仕方ない、まずは今自分に出来ることをせな」
40 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:10:27.35 ID:Y6RmVO2AO
―――――――
――――――
―――――

…私は、真っ暗な自分の部屋で、処理しきれない感情に翻弄されていた。

フェイト「…お兄ちゃんは、まだあの頃の私と出会ってない…私のことを知らない、か…」

フェイト「…私は、どうすれば、いいんだろう。お兄ちゃんと、どうやって話せばいいんだろう…」

涙が零れそうになる。そうやって思考がループして、何もできずにいると、誰かが訪ねてきた。

美琴「えっと…フェイトさん。御坂美琴だけど…ちょっといい?」

なのはかと思っていたら、訪ねてきたのは御坂さんだった。

フェイト「…え?」

予想外の人が訪ねてきたことに戸惑っていると、もう1人、別の人の声が聞こえた。

インデックス「とうまのことについて、なんだよ」

インデックスさんの言葉に反応する。―なんだろう、と思いつつ、部屋のドアを開ける。

フェイト「え、と…とりあえず中にどうぞ」

お邪魔します、と2人が入ってくる。お客さん用のお茶を用意して、3人でテーブルにつく。

美琴「単刀直入に聞くけど…あなたも、あの馬鹿…じゃなかった、上条と…と、と、当麻に救われたの?」

インデックス「本人もいないところでただ名前呼ぶだけなのに…どもりすぎなんだよ、みこと」

御坂さんがお兄ちゃんの名前を呼ぶだけで、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしているのが可愛らしい。

フェイト「…う、うん…あの、『も』ってことはその、貴女も…?」

美琴「う、うん…正確には私だけじゃなくて、この子もなんだけどね」

インデックス「…うん。でも、あいさとかかおりとか、とうまに救われた人は沢山いるんだよ…」

そう言う2人から黒いオーラが見える。そしてその気持ちは凄くよくわかる気がする。

美琴「あの馬鹿はどんだけ人助けしてはフラグ立ててんのよ、って話はともかく…結局、あなたの恩人はあいつ、ってことでいいのかな?何か複雑…というか謎な点がいくつかあるみたいだけど」

その言葉に頷く。…どうやら、あのときの私の様子を心配してくれていたみたいだ。
…本人には言わないで、と前置きしたうえで私はさっきクロノ達が話していたことを2人に伝える。
41 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:10:55.41 ID:Y6RmVO2AO
美琴「『時間跳躍』、ね…俄には信じがたいけど…状況的には、それが一番信憑性あるのね?」

フェイト「うん…本当にそうなのかは、その時がこないとわからないけど…」

インデックス「一応、魔術の中には時越えの事例もいくつかあるんだよ。…全て術の暴走の結果で、それ自体を目的とした魔術の成功例はないけれど」

それを確かめる術がない以上、仮定の話でしかない。…でも私はせめてそうであって欲しい、と思う。でなければ、私を支えてきたものが、全て崩れてしまいそうで―

インデックス「あのね、フェイト。とうまが記憶喪失になったのは、私のせいなんだ」

フェイト「…っ!?」

インデックスさんの言葉に、思わず声が詰まる。私が何も言えずにいると、インデックスさんは話を続ける。

インデックス「とうまは、わたしですら諦めてたのに、ただ1人最後まで諦めないでわたしを救ってくれたんだよ。…でもその時にわたしを庇って、頭に魔術を受けて…それより前の記憶を、なくしちゃったんだよ…」

インデックス「だから、とうまはその時わたしを救ってくれたことは覚えてないんだ…結局、その後別の事件のときにまた助けてくれたんだけどね」

インデックス「それを知ったときは、ショックだったけど…でも、記憶を失っても結局とうまはとうまなんだよ」

美琴「知らない振りをしていればそれで済むのに、人の気も知らないで毎回厄介事に首を突っ込んでは人助けをして、その度に無茶して、怪我して…あなたの知る上条当麻は、そんな人だった?」

2人の言う「上条当麻」は、まさしく私の知るお兄ちゃんそのものだった。

そんな義理なんて無いのに、私の為に、お母さんのために、はやてちゃんの為に、みんなの為に。自分の危険を省みず、守ってくれた。

インデックス「…とうまが、自分の支えになってくれた人が、自分のことを知らないってのは辛いかもしれないんだよ。でもね、とうまが、とうまであることは変わらないんだよ」

美琴「さっきも言ったけど、あいつはさ。無謀で、いつも怪我して。…一度、それで行方不明になったことがあって、ね」

美琴「その時は、あいつのことしか考えられなくて…あいつの姿を求めて街をふらふらさ迷って…たくさん、たくさんの事を後悔したの」
42 :めけめけ :2011/08/14(日) 00:12:23.71 ID:Y6RmVO2AO
美琴「結局、あいつは無事帰ってきたんだけどね。その時決めたの。こいつは放っておいたら、いつか本当に死んじゃう。だから私は、こいつの側にいる。こいつの側にいて、こいつの力になるんだ、って。もう、後悔しかできないのはゴメンだから」

2人の話を聞いて、わかったことがある。
例え私のことを知らなくても、やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんで変わらないと言うこと。

そして、後悔しないように出来ることからやっていこう、ということ。

まだ全部心の整理がついたわけじゃない。でも2人のおかげで、前に進めるようになった。

フェイト「ありがとう、御坂さん、インデックスさん」

美琴「美琴でいいわよ、フェイト」

インデックス「私もさんはいらないんだよ!」

フェイト「…うん、美琴、インデックス」
43 :めけめけ [sage]:2011/08/14(日) 00:14:59.90 ID:Y6RmVO2AO
ここまでです。

次回の投下は2、3日後を予定してます。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/15(月) 15:22:58.24 ID:N0A+JERj0
乙!
45 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:39:21.58 ID:bkU1y4yAO
思ったより早く書けたので、投下します。
46 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:39:56.09 ID:bkU1y4yAO
???

土御門「異変はこちらの世界だけではなく、すでに複数の世界で起きているようだ」

アレイスター「もっとも進行が早いところは?」

土御門「現段階だとエンドレスフロンティアだな。こちらでは2種しか観測されていないアンノウンが既に5種観測され、ミルトカイル石も多数出現している」

アレイスター「ふむ…まだ様子見と言ったところか…まだ本調子ではないのかもしれんな…」

土御門「…アンノウンもそうだがミルトカイル石とは一体なんだ?貴様は何を知っている?」

アレイスター「ミルトカイル石はアンノウン発現の為の魔翌力散布の副産物だと考えているが…詳しいことは私にもわからんよ。アレは人の手でどうこうできるものでもないしな」

土御門「…まぁいい、こちらからは以上だ」

アレイスター「御苦労、例のものは既に手配した。明日の訓練には間に合うだろう」
47 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:41:54.28 ID:bkU1y4yAO
―翌朝

土御門「これで全員かにゃー?んじゃ訓練に向かう前にそれぞれ渡しておくものがあるんだぜい。まずは御坂姉妹」

美琴「何コレ?端末みたいだけど」

土御門「なのは達が使ってるデバイスってやつだぜい。エネルギーは魔翌力ではなく電力だがな」

土御門「番外個体にはネットワークの中継装置も渡しとくぜい」

番外個体「これがないとあのモヤシこっち来ても動けないもんね」

土御門「んで絹旗にはこいつだ」

絹旗「なんですかコレ」

土御門「簡易AMF発生装置だぜい。簡単に言うと魔法を無力化する装置だにゃー」

絹旗「へ?そんな便利なものがあるのなら魔法の存在価値はあまりないんじゃ…」

土御門「そうでもないぜい。カミやんの右手同様魔法は無力化できても、魔法によって飛ばされた岩とかは無力化できないんですたい。単価も高いし、普通に銃や剣で攻撃されたら意味がない。欠点も多いんだにゃー」

絹旗「なるほど、私の窒素装甲と組み合わせることで欠点を補って防御力を超強化するんですね」

土御門「あくまで簡易装置だから過信は禁物だがにゃー。なのはクラスなら軽くぶち破れるぜよ」

土御門「んでカミやんにはこれだぜい」

上条「ジャケットに手甲、グローブ…っておい、これ拳銃じゃねぇか!?しかもライフルまであるし…」

土御門「どれも学園都市の最先端技術でできてる専用装備だにゃー。ジャケットに手甲、グローブはライフル弾程度は軽く止められる強度だぜい」

土御門「更に右手のグローブは簡単に一瞬で着脱できるギミック付きだ。…銃は対人用の非殺傷用の特製スタン弾と機械兵や魔物用の通常弾頭に分かれてるから安心しろ、カミやん」

上条「そうか…ってそもそも上条さん銃なんてまともに扱ったことないんですけど」

土御門「何言ってんだにゃー、警備員の車両やヘリを狙撃して無力化したくせに」

上条「なんでそんな黒歴史を!?いや、あれは巻き込まれて仕方なくやったのであって…」

土御門「そういうことにしといてやるかにゃー、時間だしそろそろいくぜい」



ふと、上条はレイヴィニアの言葉を思い出す。

―だからお前には導入が必要ない。情報を収集し接点を作る努力もなく中心に立つ

上条(こんだけのモンを用意してるってことはやっぱり何か起こってて、これからそれに巻き込まれていくんだろうな…ならせめて、少しでも周囲を守れる力をつけよう、その時がくるまでに、少しでも)
48 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:44:46.94 ID:bkU1y4yAO
―夕刻―

上条「」

シグナム「よし、今日の訓練はこれまでだ。続きはまた明日だな」

ヴィータ「明日から本格的にはじめっからな、夜更かしなんかすんじゃねぇぞ」




フェイト「と、当麻、大丈夫?」

上条「大丈夫じゃない…俺だけ通常訓練のあとあの2人と特別訓練って…流石の上条さんも死んじゃいますよ…」

絹旗「超ボコボコでしたね」

美琴「あんた、そんなに弱かったっけ?」

上条「能力とか魔術とか使わなくても普通に強い奴から見りゃ俺はただの学生だぞ…」

はやて「要は相性ってことやな」

なのは「逆に言えば魔術や能力を主軸にした人達には脅威ってことだよね」

インデックス「そうだね。でも、とうまの本当の強さは精神力の強さかも。あとは言葉だね」

なのは「言葉?」

インデックス「うん、とうまは馬鹿で無鉄砲で考えなしのお人好しで、その時思ったことを素直に相手にぶつけるから、相手に響くんだよ」

フェイト「…うん、そうだね」

上条「あの…インデックスさん、何か褒められてるようでボロくそに言われてる気がするんですが…」

インデックス「ちゃんと褒めてるんだよ。とうまを貶す言葉っていうのは、身の程知らずの礼儀しらずで大馬鹿で鈍感の唐変木で天然ジゴロで、やっぱりとうまはとうまなんだよ!っていうのをいうんだよ?」

上条「もうやめて!上条さんのライフはとっくに0よ!」

フェイト「あ、あはは…」

美琴「でも全部当たってんじゃない…」

上条「せめて否定して!?」
49 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:47:21.77 ID:bkU1y4yAO
土御門「ようカミやん、女の子に囲まれて嬉しそうなんだぜい。…後で覚えてろこの野郎」

上条「一部始終見てたくせに何言ってんだ!」

土御門「まぁそれは半分冗談としてだ、カミやん、ちゃんとテスト勉強はしとくんだぜい?じゃないと赤点落第、来年は俺が先輩になっちまうんだにゃー」

上条「…へ?いや、俺の『報酬』は?」

土御門「何言ってんだカミやん。お前の報酬は出席日数の不足を不問にするってだけで、俺達はちゃんとテストをこっちで受けるんだぜい?」

上条「」

土御門「1学期の段階で赤ばっかだから、今回も赤点なら相当厳しいんだにゃー」

上条「ど、どうしろってんだよ!授業受けてないから範囲すらわからない!ふ、不幸だ…」

土御門「教科書と試験範囲のプリントはここにある。勉強は…何ならこの子たちに教えて貰ったらどうだ?」

フェイト「え?でも美琴や最愛含めて私達は中学生ですよ?」

絹旗「それ以前に私は義務教育すら受けてませんが」

なのは「にゃはは、流石に高校レベルの問題はわかんないと思いますよー」

土御門「大丈夫だにゃー、カミやんは理系はまだマシだが、文系科目は下手すりゃ小学生レベルだから」

インデックス「…そういえば、日本人のとうまが、伊能忠敬も知らなかったんだよ…」

美琴「あー…そういや前にアンタの宿題見てやったっけ…」

一同「…」

上条「」

美琴「…ま、まぁそういうことなら私が勉強教えてあげようか?」

上条「是非ともよろしくお願いいたしますミサカせんせー」ドゲザッ



この日から、上条当麻の日課に『勉強』が加わった…
50 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:48:49.68 ID:bkU1y4yAO
『休日編』


上条「今日は久々の休暇か…ここんとこ訓練と勉強で殆ど自由時間無かったからなー、どっか遊びに行きたい、でもこの辺の地理全然わからん…どうしよ」

フェイト「あの、当麻いるかな?」

上条「んー?フェイトか?。鍵空いてるから入っていいぞー」

フェイト「うん、折角の休みにごめんね」

上条「別にそれはいいけど。んで、何か用か?」

フェイト「今日は時間空いてるかな?暇ならちょっと付き合って欲しいんだけれど…駄目、かな?」

上条「やることなくて困ってたしいいぞ。で、何処行くんだ?」

フェイト「それは歩きながら話すね、行こう?」

上条「おう、わかった」



――――――
―――――
――――

フェイト「それがきっかけで、私がエリオの保護者になってるんだけど…男の人にまだ馴れなくて。私のまわりの人は殆ど女の子だし、クロノは忙しいから悪いし…」


上条「…それ、いきなり俺が行って大丈夫なのか?かなり酷い目にあってたみたいだし、逆効果にならない?」

フェイト「クロノなら誤解されるかもしれないけど、当麻なら大丈夫だよ。クロノと違って愛嬌とかもあるし」

上条「褒められてんのかそれ?」

フェイト「ちゃんと褒めてるよー」

上条「そういうことにしときませう…そういや結局目的地は何処なんだ?」

フェイト「海鳴市の私の家だよ。…当麻達が来てから忙しくて全然帰れなかったから久し振りかな」

上条「ん?その間エリオはどうしてたんだ?」

フェイト「お母さんに見てもらってたの」
上条「あぁ、まぁそりゃそうか。…というか普通は中学生が保護者ってあり得ないよな…小学生が局員って時点でどうかと思うけど」

フェイト「あ、あはは…まぁその辺はあんまりつっこまないで…それにそんなこと言ったら、学園都市だって私達から見れば異常だよ?子供たちの脳を弄ったり、変な薬を使ったり」

上条「う、確かに。その辺考えてくと色々(作者的に)面倒になりそうだし止めとくか…」

フェイト「そうだね。あ、着いたよ。…ただいま、お母さん、エリオ」

プレシア「お帰りなさい、フェイト」

エリオ「お帰りなさい、フェイトさん…あ…」

上条「えっと…フェイトの友達の上条当麻です。よろしくお願いします」
51 :めけめけ [saga]:2011/08/15(月) 19:50:33.33 ID:bkU1y4yAO
――――――
―――――
――――

(あんたがやってんのは、ただの我儘だ。アリシアの為と言い訳して、アリシアの死から逃げてるだけだ。フェイトを人形と言って、自分の過ちから目を逸らしてるだけだ)

(黙れ…!お前に私の苦しみが…悲しみがわかるものか…!)

(お前にだってフェイトの苦しみが、悲しみがわかってねぇじゃねぇか)

(黙れ!人形なんぞの気持ちなど知ったことか!私にはアリシアがいればそれでいい…!それでいいのよ!)

(お前の知ってるアリシアは、そんなことをして喜ぶのか?フェイトを、妹を犠牲にして、何も感じないようなやつなのか?今のお前はアリシアの前で胸を張って母親だって言えんのかよ!答えろ、プレシア!)

(黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!私には…私にはもうこの道しか残されていない!それを邪魔するなら、容赦はしないわ!)

(いいぜ…アンタがそれでも妄執《ユメ》に逃げるって言うんなら…まずはその、ふざけた幻想をぶち殺す!)
52 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:52:08.24 ID:bkU1y4yAO
プレシア(フェイトから話を聞いてはいたけど…まさか、こういう形でまた会うことになるとはね…)

プレシア「…フェイト、貴女は辛くない?」

フェイト「…うん、もう大丈夫。友達に、当麻のこと色々教えて貰ったから。私達のことは知らなくても、当麻は変わらない。鈍感で、無鉄砲で、いつも女の子と一緒にいて…。でも、優しくて、頼りになって、いつも誰かの為に頑張ってる。だから―」

プレシア「だからやっぱり当麻くんのことが大好き、かしら?」

フェイト「ふぇっ!?い、いやそうわけじゃなくて!?」

プレシア「フフッ…はいはい、わかってるわ。それより、そろそろ戻らないと。当麻くんとエリオ、いつまでも2人にしておけないでしょう」

フェイト「うぅ…」


上条「あ、プレシアさん、フェイト。エリオとちょっと公園まで行ってきます。それじゃ行くか、エリオ」

エリオ「はい!行ってきます、プレシアさん、フェイトさん」

プレシア親子「え?あ、はい、いってらっしゃい…」

プレシア「私達がいない間に、もうなついちゃったわね…」

フェイト「確かにもう最近はだいぶ人に慣れてきてたけど。当麻、一体何やったんだろう…」
53 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:52:38.97 ID:bkU1y4yAO
―夕刻―

上条「それじゃ、お邪魔しました」

フェイト「本当に送ってかなくて大丈夫」
上条「大丈夫だって、寧ろ女の子に夜道歩かせるわけには行かないのですよ?折角家族といるんだし、のんびりしてろって」

フェイト「う、うん、わかった」

エリオ「上条さん、また来てくれる?」

上条「おう、また今度遊ぼうな」

エリオ「うん!またね、バイバイ」

プレシア「当麻くん、…フェイトのことお願いね。この子は、寂しがり屋で、脆いところがあるから…」

上条「…はい。出来る限りのことはします」

プレシア「ありがとう。それじゃあまたね」

上条「はい、また。お邪魔しましたー」

フェイト「あ、そうだ当麻。寄り道とかしちゃ駄目だからね。買い食いも駄目だよ。絶対だからね!」

上条「?あぁ、わかった…?」




上条「ふー、今日は疲れたー。やっぱ子供って元気だなー。さて、後は飯食って…「とうまーっ!」…何だ?」

インデックス「とうまとうまとうまとうまとうま!」

上条「わかった聞こえてるから落ち着けインデックス!一体何のようでせうか?」

インデックス「と、とうまはまだ晩御飯まだだよね?」

上条「今帰って来て風呂入ったばっかだしな、これから食おうかと…」

インデックス「な、なら一緒に食べるんだよ!ほ、ほらこっち!」

上条「わ、わかったから押すなインデックス。ったく、そんな腹へってるならいつもみたいに先に食ってりゃいいのに…一体何なんだ?」
54 :めけめけ :2011/08/15(月) 19:59:04.42 ID:bkU1y4yAO
今回はここまでです。

次回は今回の続き、休日編のインデックス&美琴です。


そしてここでアルフとリィンの存在を忘れてたことに気がついた…どうしようかなぁー…


次回は2〜3日後の投下を予定してます。読んでくれてありがとう、ではまた。
55 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:21:39.55 ID:VVPBEN8AO
少し短いですが、投下します。
56 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:22:43.00 ID:VVPBEN8AO
―少し遡って前日―

インデックス「というわけなんだよ、美琴」

美琴「あいつの為にご飯を作ってあげたい、ね…何で私なのよ?」

インデックス「はやてとなのははお仕事だし、フェイトはお家に帰るみたいだし、シャマルは駄目だって本能が告げてるんだよ!」

美琴「はぁ…わかったわよ、それで何をつくりたいの?」

インデックス「かれーなんだよ!初心者向けって聞いたし、量もあるし!」

美琴「…まぁ妥当なとこかしらね。今日はもう遅いから明日ね。あの馬鹿もあんたも明日は休みなんだし、材料買わなきゃいけないしね」

インデックス「わかったんだよ!…あ、でもできれば直前までとうまには秘密にしておきたいかも…」

美琴「どっかに出掛けてもらう、とか?そういえば明日はフェイトが家に帰るのよね。…フェイトに頼んでアイツを連れ出して貰ったら?フェイトが良かったら、だけど…」

インデックス「それなんだよ!じゃあ早速フェイトにお願いしてくるんだよ!」

美琴「無理強いはしちゃ駄目よ」

インデックス「わかってるんだよ、みこと!」

57 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:23:14.65 ID:VVPBEN8AO
―休日―

インデックス「とうま達は出掛けたし、材料も買ったし、準備はバッチリなんだよ!」

美琴「…あんた修道服のままで作る気?汚れるしひらひらしてるのは危ないから着替えなさい」

インデックス「うー、わかったんだよ」



インデックス「では改めて始めるんだよ!」

美琴「当たり前だけど料理の前に道具や材料を水洗いしなさい。指とか切らないように気を付けなさいよ」

インデックス「わかったんだよ!…終わったんだよ、次は?」

美琴「いいつつ野菜を切ろうとすんな!まずは野菜の皮を剥くの!あぁ包丁でやんなくていい、皮剥き器使え!絶対怪我するから!」

インデックス「むぅ…」

美琴「あんたね…折角便利な道具あるんだからそれ使いなさい。ろくに包丁持ったことない人間がいきなりやろうとしても怪我するオチしか見えないっつーの」

インデックス「でも…」

美琴「いい?料理でも何でも積み重ねが大事なの。その積み重ねがない人間がいきなり積み重ねてきた人を真似できるはずないの。あんたはまず料理の流れから勉強しなさい」

インデックス「流れ?」

美琴「そう。あんたにもわかりやすく言うと、火をおこしたい。でその為に必要な方法が全然わからないのがアンタ」

美琴「それに対して、火をおこすにはライターをつかえば一番簡単だって知っているのが私。更に他にも色々な方法を知っていれば、ライターがなくてもマッチがあればいい。それがなくても―って言う風に色々代用できるわけ」

美琴「火をもっと強くするにはこれを入れれば、逆に火を弱くするにはこれ、火にガソリンを入れたら危険、明かりとして火を使うなら電気を使ったほうが効率がいい、と言う風に」

美琴「経験と知識があれば色々と応用が効くの。ここは省略しても大丈夫、ここはちゃんとしないと失敗する、そもそもここはこれよりもこれを使ったほうがいい、ってことが自然と理解できてくる」

美琴「あんたは記憶力あるんだから、それをフルに活かしなさい。その為にもまずはそもそも火ってのは何なのか、ってのを理解するとこから始めるの。それがわかってなきゃ、いくら火をおこせても無意味でしょ」
58 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:27:19.42 ID:VVPBEN8AO
インデックス「…わかったんだよ、みこと」

美琴「よろしい。…っと、ちゃんと剥いたわね?そしたら次はたまねぎ以外の材料を均等な大きさに切りなさい。ちゃんと揃えないと、生煮えになったり味がまばらになったりしちゃうわよ」

インデックス「…上手くいったんだよ、次は?」

美琴「…今回はたまねぎをみじん切りにする方でいくわ、とにかく細かく切りなさい」

インデックス「目が!目が痛いんだよ美琴!」

美琴「たまねぎの硫化アリルって物質が気化して粘膜を刺激するせいね」

インデックス「そんなのより対処法を教えて欲しいかも!?」

美琴「要は粘膜と接触させなきゃいいのよ。ゴーグルと鼻栓である程度防げるわ。…見た目かなりアレだけど。まぁ良く切れる包丁なら断面も潰れずに綺麗に切れるから殆ど飛ばない筈だけど」

インデックス「それは対処法じゃなくて予防法じゃないかな!?」

美琴「換気よくして我慢してりゃそのうちどっかいくわよ、みじん切りにしたら飴色になるまで炒めなさい」

インデックス「うぅ…色が変わったんだよ…」

美琴「そしたら次は肉を表面の色が変わる程度に炒める」

インデックス「…できた!」

美琴「以下略」

インデックス「えぇ!?」

美琴「いやだって、考えてみたらこれ料理SSじゃないし」



インデックス「できたんだよ!味は…うん、普通に美味しい!」

美琴「まぁルーも市販のだし、手順も極普通のカレーだしね」

インデックス「後はとうまが帰ってきたらまたあっためるだけなんだよ!」

美琴「その時はちゃんと下のほうも混ぜなさいよ、焦げるから」

インデックス「ありがとなんだよ、みこと!」

美琴「それじゃ私は部屋に戻ってるわ、後は頑張んなさい、インデックス」
59 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:28:23.32 ID:VVPBEN8AO
―当麻帰宅後―

インデックス「はい、とうま!今日の晩御飯はカレーなんだよ!」

上条「おう、ありがと。…んじゃ」

2人「いただきます」

インデックス「…ど、どうかな、とうま…美味しい?」

上条「ん?普通に美味しいと思うけど…どうした、何かさっきからそわそわして」

インデックス「実はね…そのカレーは、その、私が作ったんだよ!」

上条「…へ?」

インデックス「だ、だから私が作ったの!」

上条「え、ほ、本当に、インデックスがこれを?な、何で?」

インデックス「…私は、みことやフェイトと違ってとうまと一緒に戦ったりはできないんだよ。…だからせめて、とうまの負担を減らして、喜んでもらおう、って…」

上条「インデックス…」

上条「ありがとな、インデックス。すっげぇ嬉しい。元気でた」ギュッ

インデックス「と、とうま!?さ、さすがにそれは恥ずかしいかも…えへへ…」

上条「よし、元気も出だし上条さんは明日からまた頑張りますよー!」

インデックス「わ、私ももっと練習して、とうまの為に頑張るかも!」
60 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:29:14.45 ID:VVPBEN8AO
―美琴の部屋―

美琴(はぁ…私何やってんだろ)

美琴(恋敵に塩贈るようなことをして)

美琴(でも…あの子達は素直にアイツに接してるのに、私は…)

美琴(素直になれないし、かと言って積極的に何かしてるわけでもない)

美琴(…結局、アイツの側にいるって決めても、側にいても何も変わらない)

美琴(フェイトと一緒で…楽しんでたのかな…)

美琴(あの子の手作りご飯…きっと喜んだろうな…)

美琴(それに比べて、私は…本当、何やってんだろ)

美琴(何か、悲しく…)

美琴の頬に、涙が一筋流れる…と、そのとき、部屋の外から声を掛けられる。

上条「御坂ー?いるかー?」

美琴「…え?えぇ!?な、何!?何の用!?」

上条「いや、ちょっとな…用があるなら後にするけど」

美琴「い、いや、大丈夫!大丈夫だからちょっと待ってて!」

慌てて起き上がり、部屋のドアを開ける。

美琴「お、お待たせ…それで何の用?」

上条「いや、これをお前にって…おい、御坂、泣いてたのか!?何があった!?」

慌てていたので、涙を拭うのを忘れていた美琴。そしてそれを見て、また何か1人で問題を抱え込んでいるのでは、と慌てる上条。

美琴「あ、これは違うの、さっき足ぶつけちゃって…」

上条「あぁ、それで何かどたばたやってたのか…良かった…」

上条「でも、お前は『妹達』のときもそうだけど、1人で抱え込んで思い詰める性格だからな…頼むから、あの時みたいになる前に、俺に相談してくれよ」

美琴「私のこと、心配…?」

上条「当たり前だろ、俺の周りの中でも特にお前は危なっかしいし」

美琴「それ、アンタにだけは言われたくないわ。でも、ありがと、心配してくれて。…ところで、アンタは何の用なの?」

上条「あぁ、そうだ。これ、お前にと思って」

渡された小さな紙袋の中にあったのは…ゲコ太のヘアピンだった。

美琴「へ?ゲコ太のヘアピン!?こ、これアンタが私に?」

上条「あぁ。勉強見て貰ったり、インデックスが色々世話になってるからな。…確かゲコ太が好きって言ってたから、今日の帰りに見かけて買ったんだけど…」

思ってもみない突然のプレゼント。向こうからこうして何か贈ってくれたのは初めてかもしれない。

美琴「…えへへ、ありがとう、すっごく嬉しい…」

上条「お、おう。喜んで貰えて良かった。それじゃ、また明日」
61 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:30:00.03 ID:VVPBEN8AO
美琴サイド

先程まで悩んで、涙まで流していたのが嘘のように、美琴は機嫌がよかった。

(アイツから、私に…)

(私のこと、心配してくれてるって)

(…良かった、嫌われてなかった)

(えへへ…)

そして上条からのプレゼントを身に付ける。

(今日は、いい日だったなぁ。お休み、当麻)

本人の前では絶対に呼べない、彼の名前を呼び、眠りにつく。その寝顔は、とても幸せそうだった―
62 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:31:35.57 ID:VVPBEN8AO
上条サイド

(考えてみたら俺、御坂の純粋な笑顔って殆ど見たことなかったかもな)

先程の美琴の笑顔を思い浮かべる。

(…正直、すげえ可愛かった。かなりグッときた。あれはかなり危険だ、俺の理性的な意味で)

(今日はフェイトの家族と仲良くなれたし、インデックスの手料理も食えたし、御坂の笑顔も見れたし。珍しくいい日だったな)

(これから先、何が起きるのかわからないけど…今日得たものを、大事なものを守れるように、明日からまた頑張ろう)


改めて、決意する上条だった。
63 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:32:29.23 ID:VVPBEN8AO
上条サイド

(考えてみたら俺、御坂の純粋な笑顔って殆ど見たことなかったかもな)

先程の美琴の笑顔を思い浮かべる。

(…正直、すげえ可愛かった。かなりグッときた。あれはかなり危険だ、俺の理性的な意味で)

(今日はフェイトの家族と仲良くなれたし、インデックスの手料理も食えたし、御坂の笑顔も見れたし。珍しくいい日だったな)

(これから先、何が起きるのかわからないけど…今日得たものを、大事なものを守れるように、明日からまた頑張ろう)


改めて、決意する上条だった。
64 :めけめけ :2011/08/17(水) 23:33:34.31 ID:VVPBEN8AO
以上です。

次回は2〜3日後を予定しています。
65 :めけめけ [sage]:2011/08/18(木) 00:32:17.40 ID:VDHdVGaAO
うん、正直初心者なのに色々欲張りすぎた。明日発売のゲームあるしこのスレ落として今度素直にとある×なのはStSで書き直すかもしれない。
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