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まどか「…ウルトラマン!」 最終回 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:15:47.43 ID:8rPhV+Vl0
まどか☆マギカとウルトラシリーズのクロスオーバーSSです
このスレで間違いなく完結します

あと少しだけお付き合い願います…


前スレ
まどか「…ウルトラマン!」
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [ sage]:2011/08/12(金) 23:21:10.32 ID:6289pBCIO
あと少しか……なんか夏の終わりに一匹だけ鳴いているツクツクボウシににた感じの哀愁を覚えるよ……
3 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:32:45.14 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………



ヤプール「どうだ……準備は進んでいるのか?」


インキュベーター「回収したデータを全インキュベーターに行き渡るにはもう少し時間が掛りそうだね」


ヤプール「そうか……」


インキュベーター「…彼らを仕留める事ができれば…」

インキュベーター「僕達の肉体を改造するために使った分のエネルギーは完全に補える」


ヤプール「……」ニヤリ


インキュベーター「そしたら直ぐに計画の実行といこう!」


ヤプール「ああ…そうだな」


4 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:33:18.90 ID:8rPhV+Vl0


ヤプール「インキュベーター…よく聞け」

インキュベーター「?…なんだい?」


ヤプール「他者を支配し、管理する為に必要な物は『力』だ」

ヤプール「力を持つ者だけが、支配する権利を持つのだ…」


インキュベーター「当たり前じゃないか!今更何を言っているんだい!」

インキュベーター「支配する為に一番効率的な方法は力で抑えつけること!君達のデータから学んだことだろう?」


ヤプール「ふふふ……その通りだ…」

ヤプール「強き者が弱き存在を滅ぼす。それこそが宇宙の真理だ……忘れるなよ…」


ヤプール「ふ…くくく…」






……………………………………
5 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:33:48.74 ID:8rPhV+Vl0


……………………………………





……………………………………





……………………………………





……………………………………






……………………………………




6 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:34:16.28 ID:8rPhV+Vl0


……………………………………


〜決戦前日〜


ガキィン!


杏子(ギア)「おっ…!?」

さやか(ギア)「へへ〜……やっと…止めたよ…!」


ダン「!……」


杏子の強烈な一撃をさやかが剣を前に突き出してで完全に受け止める
鍔迫り合いの形へと持ち込み、お互いに睨み合う


杏子(ギア)「やるじゃねーか……昨日まではコレでぶっ飛ばされてたのに……さっ!!」バッ

ドゴッ!

さやか(ギア)「おぶぇっ!?」



杏子の至近距離からの前蹴りがテクターギアの胸プレートに直撃、
さやかはその衝撃に後ずさる



さやか(ギア)「だ、ダンさん!今のアリなの!?反則じゃん!」ザザッ


ダン「いや、むしろ効果的な方法だ」

杏子(ギア)「そーそー!それによそ見してる暇はないぜ!?」


さやか(ギア)「っ…!?」


7 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:34:45.79 ID:8rPhV+Vl0



特訓を開始して早三日
テクターギアを装備した二人の動きは、すでに通常時の動きを取り戻していた


その激しい特訓の成果は二人の驚異的な戦闘技術の向上、
そして所々に傷をつけたテクターギアが物語っていた




杏子(ギア)「いくぜっ!」ダッ

さやか(ギア)「!……正面から…!!」


正面から突進する杏子がさやかに向かって槍を長く持ち、一直線に突き出す


さやか(ギア)(落ち着いて……目を逸らさずに動きを見て……)チャキッ

さやか(ギア)「ていっ!!」


ドギャッ!


杏子(ギア)「なにっ……!?」



槍はさやかの縦に構えた剣に受け流され、プレートに命中する事はなかった



8 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:35:13.33 ID:8rPhV+Vl0


杏子(ギア)「……なんてな!もう一手だ!」

ジャキン!

さやか(ギア)「!!」



口の端から八重歯を覗かせ、不敵に笑う杏子

次の瞬間、受け流されたはずの槍が多節棍の如く変形し、重々しい鎖がさやかに襲い掛かる



バキィン

さやか(ギア)「くっ…あ!」

杏子(ギア)「得物を奪った!コイツで終わりだなぁっ!!」



鎖はさやかの剣を弾き飛ばし、そのまま得物を狙う蛇の様にさやかの周囲を取り囲む



杏子(ギア)「またアタシの勝ちだな!そぉらぁっ!!」グンッ



9 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:35:50.04 ID:8rPhV+Vl0

さやか(ギア)「いや…違うね!!」シュンッ

杏子(ギア)「!?」


バキャッ!

杏子(ギア)「げっ!!」



杏子が鎖でさやかを捕らえようとするまでの一瞬、
その間にさやかは新たに剣を生成

そのまま逆手に持った剣を一気に振り上げ、鎖を断ち切る



杏子(ギア)「うっ……!」



予想外の反撃に勢い余ってよろめく杏子


10 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:36:31.66 ID:8rPhV+Vl0


さやか(ギア)「もらったぁーっ!!」

杏子(ギア)「!!!」


さやかが逆手から順手に剣を持ち直し、
杏子の黒いバイザーの着いた兜へ一直線に振り下ろす


ダン「…!」

杏子(ギア)「ッ…!!」




シュンッ




さやか(ギア)「あ…ありゃっ!!?」


11 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:37:46.34 ID:8rPhV+Vl0


さやか(ギア)「え…!?な、なに…!?」キョロキョロ



さやかの振り下ろした剣は完全に杏子の姿を捉えていたはずだった


しかし剣の一撃が命中した瞬間杏子の姿は煙の様に消え、
さやかはその姿を見失う




ダン「…あそこだ」

さやか(ギア)「…あ!いつの間に!」



ダンが示した方向へ咄嗟に視線を向ける



杏子(ギア)「…………」



そこには信じられない、という表情で自身の手を見つめ
呆然と立ち尽くす杏子の姿があった


12 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:38:22.60 ID:8rPhV+Vl0


ダン「…ここまでにしよう。一旦休憩だ」

さやか(ギア)「…ちぇ〜……引き分けかぁ…」


ダンの言葉を聞き、分かりやすいくらいに不満を表情を表すさやか


ダン「そう不満そうな顔をするな…」

ダン「それより杏子…今のは一体…?」


さやか(ギア)「そうだよ!あんな魔法隠し持ってるなんて!ズルイ!」


杏子(ギア)「……アタシ……アタシは……」


ドシャッ…


ダン「!?」

さやか(ギア)「ちょ、ちょっとぉ!?」



……………………………………
13 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:38:49.33 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………



杏子(ギア)「いやー食った食った!ごちそうさん!」ポンポン



訓練の終了から一時間後

そこには気絶から目覚め、
マミや北斗、ダイゴ達が作った弁当を満足気に平らげた杏子の姿があった



さやか(ギア)「起きた途端にこれだもんなぁ…」

ダン「そろそろ話してくれないか?さっきの……」


呆れた様子で杏子を見つめ、疑問を投げかける二人


杏子(ギア)「あー……まぁ」

杏子(ギア)「あの魔法…元々アタシが使ってた魔法なんだよ」



さやか(ギア)「元々?」

ダン「…今は使えないということか?」


14 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:39:18.79 ID:8rPhV+Vl0


杏子(ギア)「そう!正解だよ!」

杏子(ギア)「さっき気絶したのは…あれのせいでヤなこと思い出しちゃってさ…」


さやか(ギア)「…?」

ダン「……そこは聞かないでおいたほうがいいのか?」


杏子(ギア)「はは……そっちの方が有り難いね」



遠い目をしていた杏子が二人の顔を見て、精一杯おどけて見せる



杏子(ギア)「とにかくあの幻覚の魔法は…アタシが無意識の内に封印しちゃったみたいでさ」

杏子(ギア)「もう自在に使うことなんて…出来ないと思うな……」


さやか(ギア)「……そっか」

ダン「…」


15 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:39:45.71 ID:8rPhV+Vl0


杏子(ギア)「…あーあ!まったく不便な能力だぜ!」スッ

杏子(ギア)「あんた達ウルトラマンみたいに無敵の力がアタシ達にもありゃあいいんだけどなー」


さやか(ギア)「……」


気まずい空気に耐えかねた杏子が伸びをしながら立ち上がり、
ダンへ視線を移す



ダン「……いや…俺達ウルトラマンも決して無敵というわけでもない」

杏子(ギア)「え…?」

さやか(ギア)「それって?」


ダンの言葉に反応を示す

16 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:40:25.04 ID:8rPhV+Vl0


ダン「俺達もかつて凶悪な怪獣や邪悪な侵略者に敗れ、力尽きたこともあった」


杏子(ギア)「マジかよ!」

さやか(ギア)「うっそぉ…」


ダンの話に目を丸くして食いつく二人


ダン「だがその度に…幾度となく救われた」

さやか(ギア)「ど、どういうこと?」

杏子(ギア)「……」



ダン「信じられる仲間にな………俺達は一人ではなかった」スッ

杏子(ギア)「!!……」

さやか(ギア)「信じられる……仲間…」



話が終わると同時に、
杏子の様に伸びをして立ち上がるダン





ダン「さて、昔話は終わりだ……いよいよ最後は俺との組み手だぞ!準備はいいか!?」

杏子(ギア)「!…よし!やってやるよ!」

さやか(ギア)「一発くらい当ててやるー!」



合図と同時に武器を構えた二人が、ダンへ飛びかかる




……………………………………
17 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:40:56.69 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………


〜廃工場〜


ドガガガッ!!


ぶつかり合う技と技


強烈な閃光


辺りに漂う硝煙が晴れた時、そこに立っていたのは

巨大な大砲の上に立ったマミ

そして左腕を一直線にマミに向け、残心の構えを取るまどか
しかしその手には弓は握られていなかった



まどか「ふぅ……完成…かな?」シューン

マミ「見事ね……教えた甲斐があったわ」シューン


変身を解除し、息を吐く二人


18 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:41:24.99 ID:8rPhV+Vl0


まどか「今日もありがとうございました!……マミさんも忙しいのに練習に付き合ってもらっちゃって…」

マミ「こちらこそ!良い鍛練になったわ…ありがとう」


頭を下げるまどかに優しく返事をする


マミ「可愛い後輩の頼みだもの…ね!」

まどか「!……えへへ」


頬を掻き、照れ臭そうに顔を赤らめ、
まどかが笑う


マミ「それより……はいっ、グリーフシード」

まどか「あ!ありがとうございます」


マミ「今日まででかなりソウルジェムに穢れが溜まったでしょう?」

マミ「それに加えてさっきの魔法……かなり威力上げて撃ったんじゃないかしら?」


まどか「はい…だいたい三分の一くらいの威力で」

マミ「!! さ、三分の一!?」


19 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:41:58.12 ID:8rPhV+Vl0

マミ「私……結構本気で撃ったんだけどなぁ…」

まどか「えっ!?…えっ、あっあ…!ちが、違うんです!」


がっくりと肩を落とすマミ

その姿を見て、自身の失言に気付いたまどかが弁解する



まどか「わ、わたしもここまで威力上げて撃ったのは初めてで……!」

まどか「きっと本気であの魔法使ったら一発でソウルジェムが駄目になっちゃうから…そ、その…えっと…!」


マミ「…………ふふっ」


ポンッ


まどか「あ……」

20 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:42:58.03 ID:8rPhV+Vl0


マミ「優しいのね…鹿目さん」

まどか「あ、あの……」


小さく微笑みかけた後、
マミがまどかの頭にそっと手を乗せ、優しく撫でる


マミ「私との特訓で強くなってくれたんですもの。こんなに嬉しい事はないわ」

まどか「…うぅ」



タッタッタッ…



孤門「…あ」

ほむら「あら、あなた達も来てたのね」


21 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:43:27.10 ID:8rPhV+Vl0


まどか「あっ!ほむらちゃんだ!」

ほむら「二人ともお疲れ様。どう?特訓は」


工場の奥から、特訓を終えて土埃に塗れた二人が現れる


まどか「ばっちり!」

ほむら「!…そう……マミの教えの賜物ね」

孤門「それはよかった……こっちも今終わったところだよ」



マミ「………………」

孤門「……マミさん?」



ぽかんと口を開け、目を丸くして呆然と立ち尽くすマミ


22 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:43:55.47 ID:8rPhV+Vl0


まどか「マミさん?どうしたんですか?」

ほむら「マミ…?」


妙な様子を気に掛けた二人がマミの顔を覗きこむ


マミ「………暁美さんが『お疲れ様』って言うなんて………」

ほむら「………は?」


予想外の答えに、
ほむらは思わず声を漏らし、小首を傾げる


孤門「そ、そんなことか……」

まどか「び…びっくりしたぁ〜……」


何事も無い事が分かり、胸を撫で下ろす二人



ほむら「まったく……驚かさないで」

マミ「だ、だって……」


23 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:45:01.06 ID:8rPhV+Vl0


孤門「まぁ、そんな言葉を掛けられるほど皆に対して好意的になってきたんじゃない?」

ほむら「なっ!?」


まどか「あっ!そっかぁ!」

マミ「へぇ〜…なるほど」


意味ありげな笑みを浮かべた二人に見つめられ、
ほむらは頬を赤く染め、焦った様子で視線を泳がす



ほむら「わ、私はそんな―――」

マミ「そういえば……暁美さんっていつの間にか皆のこと名前で呼ぶようになったわね」

孤門「あ、ホントだ」



ほむら「そ、それは!いちいち戦闘中にフルネームで呼び合うのは時間が掛るからであって…!!」ビクッ


マミ「鹿目さん?どう思う?」

まどか「うっそだぁ〜!」



ほむら「〜〜〜〜〜〜ッ!知らないっ!!」ダッ

まどか「あ」


24 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:45:56.85 ID:8rPhV+Vl0


タッタッタッ…


まどか「行っちゃった…」


畳み掛けられる様に述べられた言葉に、
ほむらは耳まで顔を真っ赤に染めて走り去る


マミ「ほら!鹿目さん、早く追い掛けてあげないと!」

孤門「どんどん離されちゃうよ?」


まどか「はい!…それじゃ、お先に失礼します!」


タッタッタッ…


まどかがどんどん小さくなるほむらの後ろ姿を目指し、駆けだす


25 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:46:35.08 ID:8rPhV+Vl0


孤門「……それじゃマミさん、僕達も帰ろうか」

マミ「……あの、帰りながらでもいいんで聞いてもらえますか?」

孤門「!……なに?」



先程まで柔和な表情をしていた孤門

しかし、深刻そうな声音で話すマミを見てすぐに険しい表情へ変わる



マミ「明日の作戦について……」


孤門「…確かチームを三つに分けるんだっけ?」

孤門「ほむらの特訓に付き合ってたからあんまり聞けなかったけど…」


マミ「はい…まず鹿目さんは…」



二人が話し合いながら、ゆっくりと工場の出口へ歩きだす






……………………………………
26 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:47:01.15 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………


〜マミホーム〜


ハヤタ「……うむ、やはり孤門とムサシは別々の班に分けるべきだな」

ムサシ「はい、僕達はある程度奴らの攻撃方法を把握していますから」

我夢「なるほど…」


円形のテーブルを囲む男達が三枚の紙にそれぞれの名を書き加える
その顔はまさに真剣そのものだった


北斗「しかしそうなるとこっちの班はどうなる?人数が一番少なくなりそうだが…」

ダン「なら杏子とさやかをそこに入れる」カキカキ


名前が二つしか書き込まれていない紙に、ダンが杏子とさやかの名を書き加える


ダン「こいつらは二人揃って真価を発揮する……相当腕を上げたぞ。俺が保障しよう」

ミライ「セブン兄さんのお墨付き……!」ゴクリ



ダンの自身に満ちた言葉にミライが思わず息を呑む


27 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:47:43.75 ID:8rPhV+Vl0


郷「ではここの班は……ほむらとマミか?」

孤門「そうなりますね。それからここに三人加える……っと」カキカキ


完全に名前で埋まる二枚の紙


ムサシ「…あれ?じゃあこれは……」


最後に残った『鹿目まどか』と書かれた紙を手に取り
首を傾げるムサシ



ハヤタ「…我々だな」カキカキ

アスカ「うおお……五人全員かよ」


まどかの名前の下に次々に書き連ねていくハヤタ


ダイゴ「…少し戦力が偏ってませんか?」


28 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:48:13.71 ID:8rPhV+Vl0


我夢「い、いえ。これがベストだと思います」

ハヤタ「うむ…奴らはどういうわけかまどかを我々と同じイレギュラー要素として認識しているようだ」

アスカ「あー!エネルギー取れなくてどうとか言ってたもんなぁ」パシン


納得の表情で膝を手で打つアスカ


北斗「まどかの存在は奴等にとって俺達と同じくらい面倒ということか…」

郷「………こんなところか?」

孤門「決まりですね……」グッ


紙に全員の名前を書き終え、
孤門が腕を伸ばし、体を反らせて伸びをする



アスカ「……あれ?そういえばあいつらは?」

ダイゴ「みんなで風呂に入るんだってさ」




……………………………………
29 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:48:39.71 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………


〜脱衣所〜


ほむら「な、なにも皆で入ること無いんじゃ……!?」

杏子「まーだ言ってやんの……馬鹿みたいな人数なんだから纏めて入っちまった方がいいだろ?」

マミ「ちょっと窮屈だけどね…」


次々に服を脱ぎ、
床に置かれた大きいバスケットの中に放りこんでいく


まどか「なんかわたしこういうの初めてだなぁ…」

さやか「杏子、アンタ前までその日暮らしだったんでしょ?風呂とかロクに入ってなかったんじゃない?」



白い歯を見せ、悪戯な笑みを浮かべるさやか



杏子「ば、馬鹿にすんなぁ!銭湯に忍び込んだりしてだな…」

まどか「ちょ、ちょっと杏子ちゃんそんな暴れて…!」

ほむら「そんな胸を張って言うこと…?」

マミ「いいじゃない!佐倉さんの家はもうここなんだから!」


30 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:49:10.37 ID:8rPhV+Vl0


チャリン…

さやか「ん?まどか……それ」

まどか「?…どうしたのさやかちゃん?」


さやかがまどかの胸元に掛けられたペンダントに気付き、
疑問の声を漏らす


まどか「あ!これ?」チャラ


ペンダントを首から外し、四人に見せる


マミ「あら、不思議な形の………石?」

杏子「なんか地味だな。それ」

さやか「それまだ着けてたんだ!………でも何か色変わってない?」


31 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:49:53.75 ID:8rPhV+Vl0


まどか「……ちょっと無くして戻ってきた時には何故かね」

さやか「ふーん…」

ほむら「なぜそんな物を?」


年頃の娘には到底似合わない、灰色の地味な石ころ

妙に不釣り合いな組み合わせにほむらは疑問を感じる


まどか「うん…なんだか持ってるとほっとするっていうか……」

杏子「お守りみたいなもんか」



マミ「それより…早く入らないと風邪引いちゃうわよ?」

さやか「みんな裸だしね」


まどか「失礼しまーす……」


ガララッ







……………………………………
32 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:50:43.40 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………

〜その夜〜


まどか「ほむらちゃん電気消すよー?」

ほむら「ええ、お願い」


カチッ


まどか「よいしょ…っと」モゾモゾ

ほむら「……」


壁に備え付けられたスイッチを押し、消灯

二つ並べられた布団の片方に潜り込むまどか



ほむら「………ふふ」

まどか「?…ほむらちゃん、どうしたの?」


33 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:51:09.72 ID:8rPhV+Vl0


布団の中で仰向けになり、天井を見上げ、
ほむらがくすりと笑う


ほむら「なんだか……不思議ね」

まどか「え?何が?」


横向きに寝返りを打ち、すぐ隣のまどかの顔を見つめる



ほむら「明日が決戦だっていうのに……」



ほむら「私、こんな時間がずっと続けばいいなって思ってる……」

まどか「!……」



その言葉に気付き、まどかも同じようにほむらの顔を見つめる


34 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:51:46.52 ID:8rPhV+Vl0

まどか「えへへ…それ、わたしも解かるよ」

ほむら「そう?……ふふっ」


お互いの顔を見つめ、笑い合う



ほむら「もしかしたら…あした負けて……死んじゃうかもしれないのにね…」

まどか「!!」



ほむらの笑顔がその言葉を発した途端に悲しい



ほむら「でも……今は…」


ほむら「今だけは……」


スッ


ほむら「!……あ……」


35 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:52:13.05 ID:8rPhV+Vl0

まどか「………」

ほむら「ま、まどか…?」



ほむらの布団の中に入り込むまどかの右手

それがほむらの左手の上に優しく添えられる



まどか「続くよ……続かせようよ…!」

ほむら「え……」


まどかがほむらに微笑み掛ける


まどか「明日を……みんなで乗り切って……!」


まどか「それでこれからも……こんな時間過ごそうよ……」

まどか「みんなで……一緒に!」



ほむら「!!………」


グッ


ほむら「約束だよ……まどか」

まどか「うん……約束!」




お互いの手を強く握り締め、
明日の為に二人はゆっくりと目を閉じた








……………………………………
36 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:52:39.99 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………



さやか「杏子……もう寝た?」モゾモゾ

杏子「……寝たよ」


さやか「起きてんじゃんか!」

杏子「うるせーなー……早く寝ろよ!」


杏子「せっかくマミが部屋と布団用意してくれたのに……」



寝返りを打ち、杏子を見つめるさやか

しかし杏子はさやかに背を向けたまま小さく呟くのみだった



さやか「だってさ……明日もし負けたらさ……その……」

杏子「……死ぬかも…ってか?」

さやか「……ん」コクリ



小さく声を漏らし、頷くさやか



さやか「だからちょっと気になってたこと聞きたくてさ………ダメ?」

杏子「………はぁ〜」


豪快にため息を吐く杏子


37 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:53:24.61 ID:8rPhV+Vl0


杏子「なっさけねぇなぁ………戦う前から負ける心配かよ…」

さやか「う、うっさいな……」


ゴロン


杏子「いいぜ……なに聞きたいかは知らねーけどさ」

さやか「!……ありがと」


寝返りを打ち、さやかと見つめ合う杏子


杏子「………で?なんだよ?」

さやか「うん…えっとさ」



さやか「あたしよく考えたら……」


さやか「アンタがなんであたしを助けに来てくれたのか……まだ聞いてなかった」


杏子「!……それか…」


38 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:53:52.82 ID:8rPhV+Vl0

さやか「うん……何か急に気になってさ」

杏子「……はぁ」


再び小さくため息を吐く


杏子「…………なんかさ、魔法少女になりたてで…意気込んでるアンタ見てたらさ」

杏子「昔のアタシの姿と妙にダブって見えたんだよ」


さやか「昔の……?」


杏子「ああ……」

杏子「………………」スゥ


決意を固めるかのように小さく深呼吸をする


杏子「アタシの親父はさー………教会で神父やっててさ」

さやか「?」


39 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:54:19.42 ID:8rPhV+Vl0

杏子「もうほんっと超が付くほどのお人好しでさ」

杏子「新聞の悪いニュース見るだけで涙流すような人だったんだよ」


さやか「へぇ〜……すごいね」


さやかが小さく驚きの声を上げる


杏子「……でもある時…教義に無い事まで説教するようになっちまった」

さやか「…!」



杏子「当然信者の足はパッタリ途絶えた……アタシの家族はその日の食事も満足に食えない日もあった」

さやか「………」


口を開き、杏子の話に聞き入る


杏子「親父は何も間違ったことは言っちゃいなかった……」

杏子「けど誰も親父の話には耳を貸そうとしなかった」



杏子「だから願ったのさ…奇跡をな」

さやか「!…それって…」

40 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:54:52.64 ID:8rPhV+Vl0

杏子「そう…アタシのキュウべえへの願い…」

杏子「皆が親父の話を真剣に聞いてくれますようにってな」


さやか「……」


杏子「そしたら次の日から信者がポンポン増えてさぁ!アタシも意気込んだよ……」

杏子「アタシの魔法……親父の説教…表と裏から世の中を良くしていくんだってな」

杏子「……でも」



嬉々とした表情で話していた杏子

しかし表情は突如として暗いものになる



杏子「ある時カラクリがバレた」

さやか「!」


杏子「親父はブチ切れて……そりゃあもう殺すかって勢いで殴られたよ」

杏子「その後親父は酒に溺れて……壊れた」



杏子「一家を道連れに無理心中……さ」

さやか「!!…うそ……」


41 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:55:50.27 ID:8rPhV+Vl0

杏子「アタシの願いがみんなを壊した……笑顔を奪った…!!」ギリッ

さやか「……」


過去の出来事に、
きつく歯を食いしばる杏子


杏子「奇跡ってのは……願った分だけ絶望を撒き散らしちまうのさ」


杏子「だからアタシは誓った……もう人の為に魔法を使うことは止めようってな」

さやか「!…だからアンタ……あの幻覚の魔法……」


杏子「…まぁな」ゴロン


再び寝返りを打ち、さやかに背を向ける杏子


杏子「でも………」

さやか「?」


42 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:56:21.93 ID:8rPhV+Vl0

杏子「頑なに誰かの為に……とか言ってるアンタやマミ……」

杏子「それに……一銭の得にもなりゃしないのに誰かの為に戦い続けるアイツら……」


さやか「別の世界の人とかもいるのにね」


杏子「ああ………なんかそれ見てたらさ…」

杏子「もう一度……誰かの為にやってみようかなって思ってさ……」


さやか「……」


杏子「……………とまぁこんな感じだ!」

杏子「わ…笑っちまうだろ…?なんだかんだ言ってアタシも……」



話を終え、明るい口調に戻る杏子
だがその声は明らかに震え、涙声だった



さやか「……」


ガバッ


杏子「っ……!?」


43 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:57:29.78 ID:8rPhV+Vl0

杏子「さやか……?」


さやかが杏子の背中から腹の辺りへ両手を回し、
優しく抱きしめる


さやか「ずっと……独りぼっちだったんだね」

杏子「………」



杏子の耳元で小さく呟く



さやか「へへ………でもこれからは…」


ギュッ


さやか「…あたし達が一緒にいてやるよっ!」

杏子「!!……………」


杏子を抱きしめる手を更に強める




杏子「………」グスッ

さやか「お!?おぉ!!もしかして泣いてんの!?」

ギュゥウ…



急におどけた口調になり、杏子を更に力強く抱きしめるさやか



杏子「!! な、泣いてねぇよっ!もう早く寝ろ!」バッ

さやか「はいはい〜………っと」


さやかを振り払い、布団の中に潜り込む




杏子(………ありがとな)





……………………………………
44 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:58:33.30 ID:8rPhV+Vl0

……………………………………


マミ「……ふぅ」


月明かりの射す、静かな時間の中

マミはベランダに出て夜風に当たっていた


ガララッ


ダイゴ「眠れないのかい?」

マミ「!……ダイゴさん」


マミが振り向くと、そこには窓にもたれ掛かって立つダイゴの姿があった


ダイゴ「まぁ……凄い事になってるからね」



部屋の中を振り返り、小さく笑うダイゴ

視線の先の部屋の中は、ダイゴを除いた九人の男達が雑魚寝状態でいびきをかいていた



マミ「い、いえ!皆さん私の寝るスペースは確保してくれていますし……」

ダイゴ「?……じゃあどうして?」


45 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/12(金) 23:59:15.14 ID:8rPhV+Vl0


マミ「……なんだかいろいろ心に引っ掛かってて」

ダイゴ「……聞いていいかな?」


手すりに手を掛け、マミの横に並ぶダイゴ


マミ「はい……あの、鹿目さんとの特訓で…才能の差ってやつをちょっと感じて」

ダイゴ「才能?……魔法少女の才能って……たしか」


マミ「ち、違うんです……何というか…上手く説明できないんですけど」

マミ「もっと根源的なものというか……」



ダイゴ「……それで?」

マミ「……私は今まで彼女達より長く魔法少女をやってきました」


ダイゴ「確かに戦闘経験には長けてるだろうね」


頷き、マミの言葉に同意する


マミ「でも…」

ダイゴ「?」


46 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:00:29.05 ID:vPHksxx20


マミ「私……多分その先輩って立場に…正直言って自惚れてました」

ダイゴ「……」


視線を逸らし、星空を見上げながら話し続けるマミ


マミ「だから私、最初にアスカさんと会った時みたいなミスしちゃうし…」

ダイゴ「…うーん」


マミ「なんか……こんな自分が嫌になったというか」


肩を落とし、失意の中俯く


ダイゴ「いや……」



ダイゴ「自惚れてもいいと思うよ」


47 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:01:14.45 ID:vPHksxx20

マミ「えっ…?」


ダイゴの返答に驚き、顔を上げる


ダイゴ「力に溺れるとね、必ず自分の力の限界を知る時が来る」

マミ「あ……」


数時間前の特訓の風景がマミの頭を過ぎる


ダイゴ「でも…それは自分の未熟さを知り、初めて自分の立場を実感できるってことだよ」


マミ「……でも、そのせいで事故でも起きたら…」


少し微笑みながら話し続けるダイゴへ、
不安げな顔をしたマミが言葉を投げ掛ける



ダイゴ「うーん…」ボリボリ


考えるように、頭を掻く


48 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:01:55.02 ID:vPHksxx20


ダイゴ「先輩になるって言うのはそんな厄介事を引き受けることじゃないかな?」

マミ「!!……」


ガララッ

窓を開き、部屋の中へ向かうダイゴ



ダイゴ「まぁ一人が熱くなってミスしそうになれば、逆にもう一人は醒めてくるものさ」



ダイゴ「…だけど彼女達相手じゃ君もなかなか熱くなれないかな?………なんてね」

マミ「ぷっ………あはははは…!」


マミの顔に笑顔が戻る


マミ「はぁーあ……」

マミ「………なんだか胸がスッとしました」

ダイゴ「力になれてなによりだよ」

49 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:02:29.14 ID:vPHksxx20

マミ「ダイゴさん達って不思議ですね」

ダイゴ「不思議?どんな風に?」


マミ「んー……」


頬をに指を当て、考え込むマミ


マミ「なんだかお父さんみたいで!」

ダイゴ「ははは…それは光栄」



ダイゴ「冷えてきた………そろそろ寝た方が良い」


マミ「はい!……おやすみなさい」

ダイゴ「おやすみ」



タッタッタッ…



マミ(………私は私に出来ることをやろう)





……………………………………
50 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:03:38.02 ID:vPHksxx20


……………………………………





……………………………………





……………………………………

51 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:05:44.86 ID:vPHksxx20

……………………………………

〜決戦当日〜


ムサシ「……みんなよく眠れた?」

我夢「ええ、そりゃもう」


さやか「まぁね〜」ニヤニヤ

杏子「な…なんだよ」


意地の悪い笑みで杏子を見つめるさやか



さやか「しっかし……このチームは一番少ないんだよねぇ」

杏子「んだよ?怖気づいたか?」

さやか「まっさかぁ!!」



ここに集まった四人はCチーム

三つあるチームの中でも最少人数で構成されていた



ムサシ「……本当にここに来るんですか?」

我夢「…あくまで予想ですけど…奴らがその気になればこの三滝原のどこにでも超獣を送り込めると思いますよ」


杏子「マジかよ!」


52 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:06:23.07 ID:vPHksxx20


ピシピシッ…


さやか「!……来たよ」

杏子「うわ、マジだった…」


空に脈々と血管の様なヒビが入り、
それを見たムサシと我夢が一気に駆けだす


ムサシ「敵の数が分からない以上絶対に油断しないで!」

我夢「先に行くよ!危なくなったらグリーフシードのストック…使う事を躊躇わないでね」




タッタッタッ…



杏子「行っちまった………アタシ達も行くか」

さやか「うん!……必殺技もあるんだし!負けるもんか!」



杏子「……………なぁさやか」


53 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:07:29.62 ID:vPHksxx20

さやか「?……どしたのこんなタイミングで?」

杏子「……アタシ達はなんで二人なんだろうな?」


残された二人

ヒビの入った空を見上げながら呟く


さやか「二人?………う〜ん……」

杏子「へへ……悪い意味じゃねぇよ」グッ


にやりと八重歯を見せて笑い、ソウルジェムを握り締める杏子



杏子「どっちかが挫けたらどっちかが支える」

杏子「アンタと一緒に戦えて、アタシは嬉しいよ」

さやか「……!」



杏子「……なんてな!行こうぜ!」


54 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:07:55.36 ID:vPHksxx20


ビキビキビキッ…!


バッ


空が砕けると共に、走りながら一斉に変身アイテムを空に掲げる四人





我夢「ガイアァアーーーー!!!」

ムサシ「コスモォォオオオス!!!」



タッタッタッ…



杏子「……さやか!」

さやか「杏子、ヘマすんなよ〜!?」



シュゥゥウゥウウン…



バリィィイイイン!




……………………………………
55 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:09:07.86 ID:vPHksxx20

……………………………………


ピシピシッ…


ダイゴ「!……いよいよだ」


待ち構えるBチーム

五人で構成された二番目に人数の多いチーム


アスカ「よぉーし…やってやるぜぇ!」

孤門「……長い一日になりそうだ」シュン



孤門が腰に提げたエボルトラスターを引き抜き、構える



マミ「………よく考えたら…」

ほむら「?」


三人の男達から数十メートル先行した位置
そこに二人の魔法少女が待機していた


56 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:09:33.96 ID:vPHksxx20

マミ「あなた達と初めて会った時からここまで……まさか一緒に肩を並べて戦うことになるなんて思わなかったわ」

ほむら「……」


ほむら(私はあれが初めてじゃないのだけれど……ね)


マミの言葉を聞き、
ほむらの表情が少し悲しげで儚いものになる



マミ「……どうしたの?」

ほむら「!……いえ、なんでもないわ」



その微かな変化を感じ取ったマミに対し、慌ててその場を取り繕う



ほむら「まぁ確かに…さやかや杏子は正反対の考えの持ち主だったわね」

マミ「でしょう?……最初は争っていた者達が解かり合う……なんだか不思議ね」

57 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:10:26.17 ID:vPHksxx20


ピシピシピシッ…!



決戦を間近に控えたにも関わらず、
ほむらとマミの間には穏やかな空気が流れていた


アスカ「なんだぁアイツら……やけに落ち着いてるじゃん!」

ダイゴ「ははは…頼もしいじゃないか……」

孤門「まぁその通りなんですけどね」



バッ



孤門「……うぉぉおおおおおっっ!!!」ギュオン!


孤門がエボルトラスターを空へ掲げ、光に包まれる


ダイゴ「……ティガァァアアアアア!!!」

アスカ「ダイナーーーーーッ!!!」


それに続く様にリーフラッシャーとスパークレンスを掲げ、
変身する二人


58 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:11:00.87 ID:vPHksxx20


マミ「…いくわよ、暁美さん」

ほむら「分かってるわ……と・も・え・マ・ミ」


ソウルジェムを握り、
ほむらがわざとらしくマミをフルネームで呼ぶ


マミ「あ、あら?まだ昨日からかったこと怒ってるの?」


少し心配そうな面持ちのマミが問う


ほむら「……冗談よ」


ほむら「……死なないでね、マミ」

マミ「!…そっちこそ!!」





シュゥゥウゥウウン…




バリィィイイイン!




……………………………………
59 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:11:49.78 ID:vPHksxx20

……………………………………



バリィィイイイン…


超獣「グルルル……」ズンッ

まどか「!……」


空に開いた穴の向こうから出現するインキュベーターをベースとした超獣

その数六体


ハヤタ「我々の人数と同じか…」

ダン「だが気を付けろ。ここから間違いなく次々に送り込まれてくるだろう」

郷「下手に消耗すれば数で押し切られてしまう…!」

北斗「奴らの背後にいるヤプール……それさえ引きずりだせば!」

ミライ「やりましょう!僕達みんなで!」



街の中心部で待機するAチーム
その数六人

まどかが狙われる可能性を考慮してのメンバー構成だった


60 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:12:47.01 ID:vPHksxx20


まどか「……」グッ


超獣の姿を見据えながら、
まどかがソウルジェムを握り締め、身構える


ハヤタ「……落ち着け、まどか」

ダン「我々が纏めて引き受ける。援護を頼むぞ」

まどか「はいっ……」


郷「そう硬くなることはない」

北斗「お前には離れていても共に戦う仲間を感じることが出来るはずだ」



61 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:13:13.32 ID:vPHksxx20

ミライ「…先に行きます!」

バッ

ミライ「メビウーーーース!!!」シュゥン


ブレスを空に掲げ、ミライの姿がメビウスの炎に包まれる



ハヤタ「……………」パシュッ

ダン「………デュワッ!」ギュン

郷「……」バッ

北斗「…………ふんっ!!」キュイン



その姿を確認した後、
覚悟を決めた四兄弟が変身し、強烈な光の中へ




まどか「離れていても…心は繋がってる」



シューン



まどか「……いきますっ!!」



桃色のソウルジェムを握り締めて小さく呟き、
変身したまどかは弓を手に超獣の群れへ一気に跳躍した




62 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/08/13(土) 00:17:45.27 ID:vPHksxx20
前半はこれで終了…
後半は修正とかが完了次第投下していきます

先延ばしばっかりですいません
完結さえすれば>>1はもうナックル星で処刑されようが
アトランタ星送りになろうがジープで轢かれようが構いません

最後までよろしくお願いします
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/08/13(土) 00:20:13.10 ID:5U03CU860
この日をどれだけ待ったか…お疲れ様でしたっ!


>>1が処刑?そんなの、俺らがさせない
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [ sage]:2011/08/13(土) 00:20:45.43 ID:AUgcWchIO
乙!
二人のウルトラマンが気になって眠れない
ガソリンスタンドのあの人は出ないと考えた方がいいのだろうか……
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 00:24:56.86 ID:IkGu6Tuto
杏子に藤宮のセリフを言わせるとはこの>>1やりおる!
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/08/13(土) 00:26:27.55 ID:pOn4IONN0
新作順なら、息子さんとマックスのはず…!
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 00:30:40.21 ID:IkGu6Tuto
ゼロとヒカリだと予想
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 00:31:24.29 ID:yxclBaIko
乙乙!処刑されたって世界中から光を集めてやるさ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/08/13(土) 00:31:27.62 ID:ZcQv5ASL0
乙!!
処刑される前にそいつらを[ピーーー]!!
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 00:32:26.94 ID:yxclBaIko
……きれい好きなあの子は出ないかなー(チラ見)
スペシュッシュラ光線使う人なんだけどなー(チラ見)
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/13(土) 00:32:45.73 ID:Ckb+nwkbo

マミさんの「はい、お帰りなさい」にジーンと来てしまった…
この空気感が堪らないな。まどほむの布団の中のシーンに集約されてる感じがするな。

光の国からの二人に期待!
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 00:34:08.88 ID:HmQ+2+Dl0
>62
そんなのアタシがゆるさない!
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 00:37:55.49 ID:YBQEMnFSO
乙!

…さやかちゃんの必殺技とは!?さぁ来週もみんなで見よう!
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/08/13(土) 01:23:28.11 ID:0UWdAiXpo
お疲れ様でした。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) :2011/08/13(土) 01:31:28.47 ID:M9WKCDni0
俺、コスモスが一番好きだったから、できればジャスティスやリドリアスみたいな味方の怪獣も出てきて欲しかったよ
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/08/13(土) 02:29:35.22 ID:uLK2HJ8ho

杏子とさやかって色的にもまさにガイアとアグルww
あと前スレの郷さんがマミさんを諭す言葉はジャックだからこそ言えるセリフなんだよな

何だか急にBeat On Dream Onが聞きたくなってきたよ
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/13(土) 02:32:17.71 ID:eQ5Ldxuko
ここでまさかのvs仮面ライダーから1号が参戦
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/13(土) 08:07:26.53 ID:IkGu6Tuto
>>76
メビウスにたいしての言葉だったな

この>>1はそーゆーの混ぜてくるからそれはとっても嬉しいなって
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/08/13(土) 08:28:56.98 ID:fvM3O2eAO
待ってるよレオ兄さん!!レオ兄さーん!!
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/13(土) 09:33:58.82 ID:vc/4AIci0
タロウ忘れんな!
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/13(土) 14:52:00.31 ID:5P6NJGw6o
救援といえばゾフィー兄さんだろうに
……出る度にボッコボコにされてた印象あるけど、普通に格好いいんだぞ兄さん
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/08/13(土) 19:14:34.77 ID:w+IWVvex0
ゾフィー兄さんというと、・・・やはり頭を燃やすほどの情熱を(ry)
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 00:10:48.48 ID:JlSfTs310
Gとパワードは…出ないよなぁ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2011/08/14(日) 00:20:21.48 ID:HqO/3Dcyo
誰かがいないと思ってたらマックスとゼノンがいないのか
85 :84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2011/08/14(日) 14:09:41.99 ID:sA3mMYVT0
最終回、とても楽しみにしてます^−^
でも、ノアやレジェンドが登場するなら彼らの格が下がるような描写だけは絶対しないでください。お願いします。
>>77
仮面ライダーは登場しない方が良いかと、ニコ動のあの動画みたいに大変なことになりそうですから。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [ sage]:2011/08/14(日) 17:14:49.93 ID:nWkvjHcIO
>>85
ageんな
あとなんでお前がレス返してんの?
次回で終わりになるのか
楽しみにしてます
作者乙
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/14(日) 17:19:59.89 ID:5/PzQJ87o
>>85
大変なことっつーか…
仮面ライダーはウルトラマンと共演済みなんだよ?
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/15(月) 23:57:51.81 ID:aoYxb/tV0
>>85
ノア・レジェンド・キングは宇宙の神様みたいなもんだから使いどころ難しそうだな
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2011/08/16(火) 09:19:19.96 ID:zebXNFYh0
85で書き込みをした者です。
皆様に不快の思いをさせてしまって、誠に申し訳御座いませんでした。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/16(火) 11:38:08.69 ID:/ROhYkIa0
いいっていいって
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/16(火) 12:00:29.16 ID:W5psl5oOo
まずはsageよう
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2011/08/20(土) 12:03:06.53 ID:mQ4qp2KB0
>>1ィィィィィィィィィィィィィィ
93 : ◆jPpg5.obl6 :2011/08/22(月) 00:33:42.22 ID:n4HN3BTe0
いろいろと考えるとこがあって修正入れてたら時間が掛かってしまったぃ
今日の夜には投下できると思います。ハイ

しかしこの板はようつべのBGM張り付けたりするのは駄目なんだろうか…
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/08/22(月) 00:51:35.81 ID:I9lXfS5/o
まどか達がFF11をプレイ中のスレだと普通に貼って通常営業してるね
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 09:23:25.96 ID:yiaOquoSO
某ジョジョスレでも貼られてたけど特に問題なく進んでたよ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/08/22(月) 11:04:42.91 ID:zYMjuh22o
キター!!!
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 12:33:51.12 ID:QFbRmFBIo
>>93
自分でそのシーン毎に再生してるから問題ないぜ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/22(月) 16:38:02.33 ID:JzwEzD/20
某まどマギ×逆裁でも問題なく進行してたし雰囲気出てて良かったから問題ないと思うよ
99 : ◆jPpg5.obl6 :2011/08/22(月) 18:20:20.40 ID:n4HN3BTe0
ただいま戻りました……
しかし>>1は今すぐ再び出かけなければならないのです
遅くても明日には必ずに投下しますので

予告するたびにこんなんなってる気がする…すいません
100 : ◆jPpg5.obl6 :2011/08/22(月) 18:21:01.48 ID:n4HN3BTe0
ただいま戻りました……
しかし>>1は今すぐ再び出かけなければならないのです
遅くても明日には必ずに投下しますので

予告するたびにこんなんなってる気がする…すいません
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 20:08:46.42 ID:QFbRmFBIo
>>1はんのペースでええんやで
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/22(月) 20:40:48.64 ID:g5sV3aMSO
わたし、待つわ
いつまでも待つわ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 15:59:29.15 ID:Keiwfc120
いつまでも!!
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/24(水) 19:24:24.58 ID:7MffpqZz0
まだだだだだだだ?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/24(水) 21:32:19.16 ID:Keiwfc120
>>104ageんな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 11:57:30.77 ID:WL3IFYTp0
まだか?????????????????????
107 : ◆jPpg5.obl6 :2011/08/26(金) 22:51:46.87 ID:XzsKvJcF0
書き溜めが消し飛んでしまいまして…なんかこんなこと前にもあった気がする
明日の夜には再開できると思います
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/26(金) 23:28:16.80 ID:qNhnRPQIo
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

何度も言うけど>>1はんのペースでええんやで
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/27(土) 01:24:39.25 ID:pSl5Vttq0
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/28(日) 21:05:48.46 ID:2CFuy7ti0
予告どうりに来ないよね
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/08/28(日) 21:46:34.55 ID:qVfxlegAo
>>1ならウルトラゾーンの隣で寝てるよ
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/08/28(日) 22:45:08.49 ID:fiFeq7NLo
>>1

諦めるな!
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/01(木) 10:30:14.49 ID:2ui/71WH0
大概のコラボって「ワルプルギスの夜」戦で全てに決着がついてたけど、その後に怒涛の戦いが続くとはな・・・こういうスタンスってコラボ小説で初めてじゃね?
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/01(木) 17:37:49.42 ID:G9xGn8vn0
>>113
ワルプル倒した後にさらに連戦でラスボス戦とかQB始末とかはあるよ
知ってるまどかとウルトラのコラボ2個はそんな感じだったし
ただこれみたいに間おいて決戦て言うのはないかもしれん
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/01(木) 22:11:17.74 ID:2ui/71WH0
今更な気もするけどココに出てくる人たちの身(全)長って

魔法少女:約1.5m
魔女:2〜30m
怪獣(超獣)&ウルトラマン達:4〜50m

なんだよね。

幾つかのまどか☆マギカとウルトラマンの共通項(ネクサスネタ、80での少年少女の「心の闇」)があるにもかかわらず、(他と比べて)コラボの少ない気がしたのは、多分ソレがネックの一つになっていたのだと思われ(ry・・・

まあ、実際ウルトラセブンとかは人間クラスの大きさになって変身した事もあるからココでの身長は少し違うのかもしれないなw

それに身長差を気にしない位のストーリー展開がそうさせているのかもしれない。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/02(金) 08:57:12.71 ID:tSIV1aW1o
>>115
そんなヤボな事はいいなさんなよ…
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/02(金) 19:41:54.74 ID:5wesF/H60
いんだよ細けぇことは!
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/03(土) 09:56:38.28 ID:v7CO+Spz0
どっかの考察でオクタヴィアちゃん45mぐらい?とかそんな結果が出たとか何とか
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/03(土) 18:24:50.13 ID:d1b5x63z0
他所じゃオクタヴィアちゃんがUキラーぶん殴ってたww
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 01:00:47.89 ID:iS3iW9XSO
>>1は……死んでしまったのだろうか……
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/06(火) 01:09:05.97 ID:vDTmQrSuo
海底で石像に戻ってしまっただけさ……
さぁ、俺と一緒に光を送ろう
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 01:24:56.80 ID:YKvotrjto
>>1はきっと帰ってきます。次もまたSSを書くために、きっと必ず帰ってきます・・・
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/06(火) 02:15:04.71 ID:sz9esIloo
これが……これが光なんだ……!
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/06(火) 02:17:59.66 ID:vDTmQrSuo
ショウさん「光が……広がっていく……!?」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/09/06(火) 04:08:43.62 ID:YSLwV0F7o
ほむら「私も……まどかの中に……!」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:48:31.72 ID:0f1FTSovo
ぼくが>>1だぁー!
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:49:01.17 ID:0f1FTSovo
あたしが>>1よ!
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 20:49:39.02 ID:0f1FTSovo
ぼくが…>>1になってる!
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/09/06(火) 21:01:19.69 ID:Qe9P3eZso
>>1の中あったかいナリィ・・・
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/07(水) 14:01:26.90 ID:jN25fsYlo
>>1が…>>1がいっぱい…
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/07(水) 19:13:03.77 ID:D4u7e6870
これ、現在進行形な話だったのか・・・
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/07(水) 19:36:16.91 ID:T2a1ysG60
>>131
そうなのですよ。

ひょっとしたら虚無エンドかもですが…。
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/08(木) 08:16:51.18 ID:P7qgUzdV0
グリッター>>1のパンチ!!
QBに10000のダメージ!!
しかしQBはまだまだいっぱいいる!!
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/08(木) 18:53:26.09 ID:H9pCCf2q0
今更だけど、マックスいない・・・?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/08(木) 18:54:10.75 ID:H9pCCf2q0
今更だけど、マックスいない・・・?
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/08(木) 18:56:19.04 ID:H9pCCf2q0
間違って2回カキコしてしまった、スマソm(_ _)m
137 :[sage]: :2011/09/10(土) 21:47:41.42 ID:2Mfm0jZc0
>>1頼むからは・や・く・・・
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/10(土) 21:58:43.36 ID:gA19ONS60
レスすらないってことは、それだけ忙しいか、何かあったとみるべきか。
あと、書き溜めが吹っ飛んだとして、書き直しが上手くいってないか
改めて違う展開が思い浮かんで、修正してるということも考えられる

まだ1月もたってないし、もう少し様子をみては?
139 : ◆jPpg5.obl6 [saga ]:2011/09/12(月) 22:17:44.85 ID:jXPmv33j0
二週間前くらい
友人「台風でアパート壊れたからしばらく世話になります」
>>1「えっ」

前スレの最初の方で分かりますが>>1は奈良県民です
居候が復活するまでいろいろと忙しくて書き溜めも飛ぶしうわぁぁああああああ

でも数日中に再開します
ごめんなさい
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/12(月) 22:43:47.09 ID:U+g8uyfYo
ワルプルさんの仕業だったら仕方ない。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/12(月) 23:00:20.19 ID:e48OcLGG0
>>1さんご無事で何より。

ラスト間際に自然災害影響による延期とか
まどか本編とのシンクロが何かスゴイ…。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/13(火) 00:11:43.67 ID:tZBSjhMe0
無事で何よりだ
ウルトラマンならなんとかしてくれると思ってたよ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 09:16:08.94 ID:7j/sku9Ro
ワルプルさんメェ!!!!!
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/14(水) 18:52:59.77 ID:YArgl2pAO
マックスってギャラクシーが無かったらただの最強最速だよな
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/15(木) 09:43:10.88 ID:M4uwFvGwo
武器系の装備なんて基本飾りさ!
ウルトラマンは武器なんかに頼らなくても強い!
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/15(木) 23:38:41.62 ID:PB+otx5vo
>>145
ジャック兄さんディスんな
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/09/16(金) 02:21:22.46 ID:BWl2Lo98o
頭のトサカは武器に入りますか
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/17(土) 09:39:41.04 ID:RwpXo8SQo
頭の炎は最早立派な武器だろ!いいかげんにしろ!
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/17(土) 18:29:09.42 ID:3e1FneP5o
>>148
ゾフィー兄さん、落ち着いてください
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/09/20(火) 07:42:47.23 ID:GCYI0ADAO
ところで>>1は大丈夫なのか
生きてるのか
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/09/20(火) 11:56:40.89 ID:ucqFn45Io
>>1は俺達の心の中で生き続けてるよ…
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 12:09:23.91 ID:VER4wxT0o
西の空に明けの明星が輝く頃、一つの光が宇宙へ飛んで行く。それが>>1なんだ
153 :トロピカルバカ [saga sage]:2011/09/22(木) 22:31:00.47 ID:cbfKnjTAO
>>152
その台詞で思い出したが、ウルトラの世界の地球は自転が逆なんだろうか
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 23:10:09.34 ID:+RMdg97Co
>>152のセリフでの「西の空に」と「明けの明星が輝くころ」を並立と考えるとちゃんと成り立ってることになる。

つまり、
「明けの明星が輝くころ、西の空に一つの光が宇宙に飛んでいく…」

多少おかしいかもだけどこういうことだと思う
155 :トロピカルバカ ◇ES7MYZXRs [saga sage]:2011/09/23(金) 17:07:47.28 ID:065ertcAO
>>154
なるほどね。俺の視野が狭かっただけのようだな
156 :トロピカルバカ ◆0f.4XgOjwI [saga sage]:2011/09/23(金) 17:14:37.37 ID:065ertcAO
酉ミスった…
かっこわるいもうだめだ
157 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:46:31.81 ID:hSmY20Fu0
書き溜めが結構な量になったので消化する感じで投下
もうこんなに期間が空いてしまったけどちゃんと完結させます…
158 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:46:58.52 ID:hSmY20Fu0

……………………………………

〜インキュベーター・母艦〜


ヤプール「始まったか」


現在激戦が繰り広げられている見滝原
そこから成層圏を超えた遥か上空、宇宙空間にインキュベーターの母艦は待機していた



シュゥウウン……


インキュベーター「…よし」

インキュベーター「見滝原全域に干渉フィールドを展開したよ…もうあの街へ外部から侵入することは出来ない」



巨大な球体の宇宙船の一部分
そこには不気味な音を立て、地球へ向けて赤い光を放つ物体

干渉フィールドの放射中枢が設置されていた




ヤプール「ゲートは開いている。これでこちらは一方的に超獣を送り込めるというわけだ」

インキュベーター「それはそうだけど…」

159 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:47:27.82 ID:hSmY20Fu0


ヤプール「?……なにか問題でもあるのか?」


インキュベーター「そのゲート…見滝原以外にも開くことは出来ないのかい?」

インキュベーター「地球の主要都市全てに開くことが出来れば…わざわざ地球周辺に待機させた超獣を宇宙から降下させることもないのに…」


ヤプール「…それも可能だが…その為には五日では足りん」スッ



ヤプールが黒い法衣をなびかせて、
船内に設置されたモニターで戦況を確認する



インキュベーター「もう少し長めに時間を取ればよかったかな?」

ヤプール「いや、長すぎると面倒だ……特に魔法少女共がな」


インキュベーター「?」


160 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:47:58.23 ID:hSmY20Fu0

インキュベーター「……とにかく地球へ母艦を近づけようか」

インキュベーター「そろそろ決着がついた頃なんじゃないかな?」トテトテ


ヤプールの横へ並び、モニターに目をやる


ヤプール「!……どうやらそうでもなさそうだ」

インキュベーター「!?」



ヤプール「見ろ、魔法少女に時間を与えると面倒だという理由……これでよく解かるだろう」

インキュベーター「これは……」









……………………………………
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/27(火) 22:48:13.51 ID:zPYHIMH00
きたああああああ!
162 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:48:24.76 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


ダイナ「ディィアッ!!」ゴォッ

超獣1「クギァアアッ!!」


ティガ「ジュアッ!」ゴォッ

超獣2「ギ…!?」


ドズゥゥウウン


ティガとダイナが投げ飛ばした二体の超獣が別の超獣に直撃し、
大きなな音を立てて地面に倒れる


超獣3「グ……ゥウウウ……」



ティガ『マミさん!今だ!!』


マミ「!……」シュゥウ


163 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:48:54.18 ID:hSmY20Fu0

マミ「…二人とも離れてください!」チャキッ



ワルプルギスとの戦いで使ったメテオールショット

それを以前とは比べ物にならないほどの速度で生成し、
三体の超獣へ、その銃口を向ける



ティガ「!」

ダイナ『おおっとぉ!?』


シュバッ


超獣1「……グルルル…!」


目の前の二人に逃げられた超獣達は、次の標的をマミへと定める



超獣2「グォォオオオ!!」


ズンズンズンッ

164 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:49:37.96 ID:hSmY20Fu0

超獣3「ガァアアアアア!!」シュゥウウ


三体の超獣が口を開き、
マミに向けて光弾を放つべくエネルギーを集束させる


マミ(来たわね…!)


チャキン


マミ「三匹同時に叩くわ!!」



バシュウン!!



超獣3「!!?」

超獣1「グガッ…!」

超獣2「…!!」


165 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:50:02.75 ID:hSmY20Fu0

ドガガガガッ!!


狙い澄まして放たれたメテオールショットの一本の光線

それが超獣の目前で三本の矢の様に分裂し、火花を散らして突き刺さる



ティガ「!……ハァァアアア……」シュゥーン



ダメージを受けて動きの止まる超獣達

その隙を逃さず、ティガが腰を落として両腕を交差、
体内に満ちる光のエネルギーを両腕に集める



ティガ「ジェアッ!!」

バシュゥゥゥウウ



超獣1・2・3「!!!」

166 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:50:33.38 ID:hSmY20Fu0

ドガァァアアン…


ダイナ『よぉし!!』


ティガ最大の決め技、
ゼペリオン光線が三体の超獣の体を貫き、まとめて粉々に爆散させる



ティガ「……」シュー

マミ「………ふぅ」カチャ



L字に組んだ腕の構えをゆっくりと解き、次なる敵に備える



マミ「!……暁美さん達は!?」


バッ

167 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:51:04.33 ID:hSmY20Fu0

ズズン…


超獣4「グルルル……」

超獣5「………」



ネクサス『……ほむら、僕が合図したらすぐに撃って』

ほむら「……ええ」ガチャ



ネクサスの巨体に隠れるようにしてランチャーを握り締めるほむら

二人は二体の超獣に今まさに挟撃を受ける寸前、
睨み合いの状態が続いていた



ズンズンズンッ


超獣4「グォオオオォ!!」

超獣5「ガァァッ!!」


ほむら「!!」
168 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:51:32.95 ID:hSmY20Fu0

痺れを切らした二体の超獣が攻撃を仕掛けるべく、同時に駆け出す



ネクサス『来た!……走れ!!』

ほむら「……」ダッ



指示が飛ぶと同時にネクサスの足の陰から弾かれるように飛び出し、
ほむらは近くの廃墟へ窓から飛び込んだ


ドシャッ


ほむら「よし…!」



超獣4「ガァアアアアアァ!!!」

ネクサス「……シュアッ!!」ダンッ


超獣5「!?」

169 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:51:59.03 ID:hSmY20Fu0

ゴンッ!

超獣4「ガ……!!」


前後から迫り来る二体の超獣が勢い良く体当たりをする、その瞬間
ネクサスが強く大地を蹴って上空へ飛び上がる


目の前の標的に逃げられた超獣は勢い余ってお互いの体をぶつけ合った



ネクサス「ハッ!!」シュパッ


ガシィッ


超獣5「!!?」



飛び上がった直後に空中で姿勢を変え、
右腕の先から放つ光の帯、セービングビュートで二体を拘束する



ズシンッ!

ネクサス『今だ!撃て!!』

170 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:52:30.73 ID:hSmY20Fu0

ほむら「!……」ジャキッ


着地と同時に飛んで来た声を聞き、
動きの止まった超獣に向けてディバイトランチャーで攻撃を仕掛ける



ドガガガガガッ!!



三つの銃口から放たれる強力な魔法弾が爆発を起こし、
超獣の姿が硝煙に包まれる


ネクサス「…………」

ほむら「これで………」スッ


ランチャーを下ろすほむら


超獣4「…………」

超獣5「……」




ズシャアッ……



ほむら「…!」

171 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:52:58.73 ID:hSmY20Fu0

地響きのような音を立て、
土煙を巻き上げながらゆっくりと崩れ落ちる崩れ落ちる超獣の巨体


ネクサス『仕留めたか…』

ほむら「驚いたわね……この銃こんなに威力あったかしら?」



ほむらが驚いた表情でディバイトランチャーに目をやり、呟く



ネクサス『……今までその銃で戦ってきた相手を考えて』

ほむら「?……ワルプルギスの夜に…あの怪物……」


ほむら「!……そういうことね」

ネクサス『相手が滅茶苦茶なだけで銃の威力を実感できなかったんだろうね』





……………………………………
172 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:53:25.57 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


杏子「うぉりゃぁああああああ!!!」ジャキン

超獣1「グァギャッ!?」


ドゴォン!


魔力で巨大化した槍の一撃が、
杏子の数十倍の大きさはある超獣を吹き飛ばす



超獣1「グ……ゥゥゥウ…」

ガラガラ……


杏子「!…させるかよ、続けていくぜ!!」グッ



祈りの形で両手を組み、魔力を解き放つ



シュイン!


超獣1「!?」

173 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:53:52.97 ID:hSmY20Fu0

瓦礫の上から立ち上がろうとする超獣

その頭上に瞬く間に四本の魔力を帯びた巨大な槍が出現する



杏子「ぶち抜けっ!!」バッ

ドシュッ!!

超獣1「ガッ!!」



杏子が腕を振り下ろすと同時に巨大な槍の一つが超獣の体を貫き、
そこから間髪入れずに残りの槍が降り注ぐ


超獣1「!!!」

ドバァン!!


倒れた超獣の体内に流れ込む魔力が爆発を起こし、
辺りに肉片が四散する



チャキン


杏子「よっし!!」


174 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:54:21.17 ID:hSmY20Fu0

超獣2「ギャォアアア!!」バシュシュッ

さやか「!……当たるかあっ!!」


ドカァン!


超獣2「……!!」



蒼い光の粒子を体から発しながら周囲を高速で旋回

超獣の口から放たれた強力な火炎弾はさやかに当たることは無く、
コンクリートの地面を砕き、土煙を舞い上がらせるのみ




さやか「はぁっ!!」


ズバババッ!!


超獣2「ガッ……!?」


凄まじい速さで動くさやか

そこから連続で繰り出される鋭い斬撃が超獣を襲う


175 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:54:50.98 ID:hSmY20Fu0

さやか「いくら図体がデカくても…これだけ連続で喰らえばっ!!」

ズバッ!

超獣2「………!!」



超獣2「ゴォァアアアア!!!」ブンッ

さやか「!! 危なっ……!」ダッ


ドゴゴゴッ


周囲を薙ぎ払う様に振るわれる長大な尻尾

さやかはその攻撃を高く跳び上がって回避する


超獣2「ガアッ!!」バシュン!

さやか「!!」



空中で身動きの取れないさやか
その隙を見逃さず、超獣が火炎弾を発射する


さやか「!……はぁあああ…!!」


シュゥウン…

176 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:55:17.87 ID:hSmY20Fu0

解放される魔力

さやかの右腕に握られた剣
その刀身に光が集束し、自身の数倍の長さを持つ光剣へと変化する



シュイン

さやか「…………んっ!!」ダッ

超獣2「…!!?」



息を止め、魔法で作り出した足場を思い切り蹴り

迫り来る火炎弾へ向かって


さやかは一気に飛び込んだ



ドガァァン……!



着弾と同時に爆煙が辺りに広がる



超獣2「………」



ボシュッ



超獣2「!!」

177 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:55:50.74 ID:hSmY20Fu0

さやか「くらぇええーーーーーっ!!!」



爆煙の中から蒼い光を纏った影が凄まじい速さで飛び出し、
一瞬の出来事で反応の遅れた超獣へ

光剣が横薙ぎに振るわれる


ズバンッ!!



超獣2「!!……………」

さやか「どうだっ!!」スタッ



ズズンッ…



光剣の一撃によって超獣の首は吹き飛び、
残された胴体は一瞬の間を置いて、ゆっくりと大地に崩れ落ちた



さやか「!…………やった!!」グッ


それを見て、小さくガッツポーズ
178 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:56:17.49 ID:hSmY20Fu0

ガイア「ディヤッ!!」

コスモス(C)「デェエアアッ!!」


ドズゥウン!!


超獣3「グギャ!」

超獣4「ガッ!!」



ガイアとコスモスに投げ飛ばされた二体の超獣が空中でぶつかり合い、
地面へと落下


ザザッ


杏子「我夢!ムサシ!!」

さやか「こっちは片付いたよ!」


それぞれの相手を撃破した二人の魔法少女が合流する


超獣3「!!………グルル…!」ググッ

179 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:56:44.80 ID:hSmY20Fu0

超獣3『こんな……馬鹿なことが!』

超獣4『ウルトラマン達だけではなく……魔法少女のデータは揃っていたはずなのに…!!』ググッ


立ち上がる二体の超獣

その巨体からは想像もつかないような声で、人の言葉を話し出す


杏子「お、お前ら喋れんのかよぉ!?」

さやか「……元があいつらだから当然だとは思うけどね」


驚く杏子とは対照的に、落ち着いた口調のさやか



ガイア『未来を掴もうとする者は常に前へ進んでいる!』バッ

超獣3「!!」



Xの字に組んだ腕にエネルギーを集約、
そのまま乗せるような形で額に青い光を宿らせる



ガイア『昨日までのデータなんて……当てにはならないっ!!』シュォオ…


180 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:57:13.31 ID:hSmY20Fu0

コスモス(C)「オォォアッ!!!」シュォオ…


それに続く様に、
コスモスがその赤い身体に宇宙エネルギーを溜め、両腕を振り上げる


超獣3・4「「ガァァアアアアッ!!」」

バシュシュッ


攻撃を阻止すべく、二体の超獣が紫色の光弾を同時に発射する



ガイア「ディァアアアーーーーッ!!!」

コスモス(C)「ハァアアーーッ!!!」


バシュゥウウウッ!!



ガイアが右腕を振り下ろすと同時に一直線に進む光線
青い海の光、フォトンクラッシャー


それに続く様にして放たれるコスモスコロナモードの最強の技、
ネイバスター光線



超獣3・4「「!!!」」



ドガァァァアアン……


181 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:57:40.58 ID:hSmY20Fu0

突き進む光弾を物ともせず、
二人の同時発射した光線は超獣の体を貫き、跡形もなく吹き飛ばす


コスモス(C)「ハァァ………」スッ

ガイア「……」スッ


構えを解き、爆煙を見つめる二人



杏子「やったな、おい!」

さやか「よぉおし!これで……」



コスモス(C)『…待って!まだ新手が来るかも―――』


ズシンッ!


超獣5「………」

超獣6「………」


ガイア『…休んでる暇は無いみたいだよ!』

さやか「あっ……!!」


嬉々としたさやかの表情が一転

その笑顔を曇らせる



杏子「……へっ!上等じゃん!」チャキッ






……………………………………
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/27(火) 22:57:49.69 ID:lk6heYXGo
キタ――(゚∀゚)――!!
183 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:58:11.05 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


〜インキュベーター・母艦〜


インキュベーター「なるほど、成長……か」

ヤプール「そうだ、やつらは時間を与えればその分だけ強くなる」


ヤプール「私が『五日』と言った意味が解かっただろう」


インキュベーター「うん……しかし、僕達はこれまで人間について色々とデータを取ってきたつもりだけど…」

インキュベーター「ここまで能力的に急成長した個体は彼女達が初めてだね」


ヤプール「あのウルトラ兄弟達が色々と吹き込んだのだろう…まったく目障りな連中だ」


インキュベーター「……こうなると少し面倒だね。彼女達を消すのには骨が折れそうだ」


ヤプール「なに、心配することは無い」

ヤプール「奴らのエネルギーは限界に近付いているのだからな…」

184 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:58:37.94 ID:hSmY20Fu0

インキュベーター「まぁ、そうだね」

ヤプール「それにいざとなれば地球の人間達を盾にすればいい」


インキュベーター「こっちは地球を完全に包囲してるんだもんね」

インキュベーター「見滝原以外には転移できずに直接降下になるけどね……」


ヤプール「何しろ数が違うからな」


インキュベーター「まったくだね。それじゃ、どんどん送り込もうか」







……………………………………
185 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:59:03.32 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


シュゥゥン…


???1『……どうだ?必要なデータは…』

???2『問題なく集まった…それにしても凄まじい技術力だな……光の国に引けを取らん』



インキュベーター母艦の船内

壁面に設置された巨大なコントロールパネルから粒子化した二人のウルトラマンが出現する


人間の等身大の大きさにまで縮小した二人が向き合い、状況を報告する



???1『…宇宙延命については?』

???2『ああ、その点についてのデータならある程度回収済みだ』コツコツ



二人の内、片方のウルトラマンが自身の頭を人差し指で突く



???2『元々この問題については光の国でも研究が続けられてきたからな』

???1『うむ…このデータが決め手になればいいのだが…』


186 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:59:29.84 ID:hSmY20Fu0

???2『再び長い研究の日々に戻ることになるな』

???1『…その前に我々は戦わねばならん』


自嘲気味に言い放たれた言葉に釘を刺す


???2『分かっているさ………そっちはどうだ?干渉フィールドは……』

???1『問題ない、無力化済みだ』




???1『これ以上長居すると感付かれる…我々は一度脱出だ』

???2『…アイツはもう潜入しているのか?』



???『問題ない。彼らが配置に着いたと同時に潜入を始めているはずだ』



???2『……分かった』

???1『よし、では行くぞ!ヒカリ!』


ヒカリ『ああ、急ごう…地球の少女達の為にも』


シュゥン


再び身体を粒子形態へ変化させ、艦内からの脱出を開始する








……………………………………
187 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 22:59:59.14 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


超獣1「グギャ……!」

セブン「! デャッ!!」バシュッ


打撃を受け、よろめいた超獣へ向けてエメリウム光線を放つ


超獣1「!!」ドガァン



超獣2「グルル…………」ズシン

超獣3「……」ズシン


まどか「!!……また出た!」



弓を引き絞るまどかの顔が絶望の色に染まる

撃破すると同時に次々に送り込まれる新たな超獣達

無限とも思える圧倒的な物量に六人は追い込まれつつあった



ジャック『やはり物量戦で圧し潰す作戦に出たか…!』バッ


バチチッ!


超獣4・5・6「!!!」
188 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:00:28.32 ID:hSmY20Fu0

ジャックのウルトラブレスレットから発生する電撃が、
三体の超獣の動きを止める


ジャック『エース!!』

エース『!……はい!!』ダッ


呼び声に応えると同時に、三体の頭上へ飛び上がり
両腕を振り上げてエネルギーを凝縮する



エース「ウルトラ……ギロチン!!」


ザシュシュシュッ!!


セブン『……よし!』



敵に目掛けて飛ぶ軌道の異なる三つの光輪が、動きの止まった超獣達の首を切断
その息の根を止める



超獣2「…!!」

超獣3「ギャォァアアア!!!」



マン「!……シュワッ!!」

キュイン!
189 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:00:55.32 ID:hSmY20Fu0

ガシン


超獣2「!?」

超獣3「グ…!」


マンが体を高速回転させて発射したリングが超獣を拘束する


まどか「!……今だ!!」

メビウス「セァアーーッ!!!」


バシュゥゥン!!


超獣2「………!」



メビュームシュートの後を追う様に放たれる光の矢
その二つが超獣に直撃する寸前で重なり合い、強力な合体光線へと変化する


ドガァァァアアン…






……………………………………



……………………………………



……………………………………

190 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:01:22.06 ID:hSmY20Fu0


マン『今ので何体目だ…?』

セブン『分からん。既に相当数倒しているが……』



超獣の爆発と共に舞い上がった爆煙が晴れ、
あたりに静寂が漂う


街のあちらこちらに小さく上がる火の手が生きているかの様に揺らめき、
不気味なくらい平穏な時間が流れる



エース『…?』

ジャック『なんだ…?新手が……来ない?』


突然止まる増援
それを不審に思い、辺りを見渡す一同



まどか「これで…終わり………?」

メビウス『いや…まだ何か……』








シュゥゥウウ……







『その通り。このくらいじゃ終わらないよ』


まどか「あ……!!」





……………………………………
191 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:01:51.69 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


シュゥゥウウ…


ティガ『!?……これは…?』

マミ「倒した超獣が…!?」




辺りに四散した超獣達の白い肉片
その全てが煙のように変化し、風に乗って少女達の頭上へ集まる


やがて一つになった白い塊は、少しずつ巨大な超獣の姿を形作り、実体化


100メートル級の大超獣が、地上目掛けて落下する




ほむら「っ……!!」

ダイナ『これがアイツらの奥の手か!』


ズズゥン…!!


大超獣『……疲れ切った君達を倒すのにはこの姿が一番だと判断したまでだよ』


ネクサス『止めを刺しに来たってワケか……!』








……………………………………
192 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:02:22.16 ID:hSmY20Fu0

……………………………………



大超獣「ギャオアアアアアッ!!」


ドゴゴゴゴッ!!


コスモス(C)「グッ……!!」ドシャッ



地面を抉りながら繰り出される強烈な尾の一撃がコスモスを捉え、
豪快に瓦礫の上へ叩きつける



杏子「ムサシ!!…………こんのやろ…!!」ダッ

大超獣『来るか……!』バシュン


ジャキン


杏子「ッ……!!」




大超獣の口から次々に吐き出される光弾

当たれば確実に致命傷を負うそれを、杏子は紙一重のところで避け、接近する



杏子「いけぇええーーーーーっ!!!」ブンッ

193 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:02:51.63 ID:hSmY20Fu0

ドグシャッ!!


大超獣『む……』



魔力で巨大化した槍の一撃は大超獣の腹を抉り、鮮血を散らす



杏子「さやかっ!あそこだ!!」

さやか「!!…わかった!」チャキッ



宙を舞う杏子が指示を飛ばし、
それに応えたさやかが自身の周囲に大量の剣を出現させる


さやか「そぉりゃっ!!!」ブンッ

大超獣『!!』



シュンッ!!



両腕を振り下ろすと同時に、大超獣へ向けて飛ぶ大量の剣




ドガガガガッ!!

194 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:03:24.79 ID:hSmY20Fu0

大超獣「グギャッ!!ガアアア!!」


投げナイフの様に飛ぶ大量の剣は大超獣の腹部の傷跡にまとめて突き刺さり、
その傷を更に深く抉る


さやか「もう一撃…っ!!」

ガイア「!!……デュア!」ダッ


杏子「!…我夢!」



スドガガガガガガッ!!!



大超獣「!!!!」

さやか「うわ……!」



ガイアが体をドリルの様に回転させ、
そのまま大超獣の腹部へ突撃

そのまま背中へ突き抜ける



ガイア「………」ズシン


195 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:03:53.71 ID:hSmY20Fu0

大超獣「…………」ガクン


ズズン…


ダメージを受けた大超獣は大地に膝をつき、地響きを立てながら崩れ落ちる



杏子「よっしゃあ!」

さやか「やった…!!」


ガラガラ…

コスモス(C)「グッ……」

杏子「!……ようムサシ!もう倒しちまったぜ!」



体に乗った瓦礫を払いのけ、起き上がるコスモス



コスモス(C)『ダメだ…!奴はこんなものじゃ…!!』

さやか「え…?」



バシュゥン!



ガイア「!!」
196 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:04:21.94 ID:hSmY20Fu0

ドガァァァン!!


コスモス(C)「!!?」

ガイア「グッ!?」

さやか「うわぁあっ!?」

杏子「っ…!!」



背後から飛んできた赤黒い光弾が四人のいる地点に着弾、
大爆発を起こし、一同を吹き飛ばす



ズシン…


大超獣『何をしようと無駄。勝敗はすでに決まっている』

杏子「な…に!?」



爆煙の向こうから巨体を現す大超獣
その貫かれたはずの腹部の穴は既に塞がり、完全に再生していた



ガイア『再生……能力…!?』


197 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:04:51.71 ID:hSmY20Fu0

ドガッ!

コスモス(C)「!?」


大超獣が強靭な尾を凄まじい勢いで大地に叩きつけ、
その衝撃で二人のウルトラマンを吹き飛ばす



大超獣『君達、もう限界だろう?』ブンッ

杏子「こ、この……!?うがぁっ!!?」

バキィッ ドゴォン!


さやか「き、杏子っ!!」



杏子が巨大な右足に蹴り上げられ、宙を舞い、建物に激突

そのまま壁面を突き破り、建物内部へと転がりこむ



さやか「……え…!?」

さやか「ここって…………」


ダッ


198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/27(火) 23:04:54.52 ID:lk6heYXGo
倒した→倒してないの法則ですね
199 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:05:27.58 ID:hSmY20Fu0

ガラガラガラ…


杏子「うっ、ぐ……げほっ………」フラッ


血を吐きながらも槍を杖代わりにして立ち上がり、
瓦礫を押し退けて周囲を見回す


杏子「!!……あ………れ?」


転がりこんだ場所
そこはマンションの一室で、見覚えのある部屋作り



自身の状況と今自分がいる場所を理解した瞬間、
杏子の浮かべる表情は焦りと困惑が入り乱れたものとなる



スタッ


さやか「杏子、何ボサッとしてんの!アイツが来るよ!?」


壁に空いた穴から焦り顔のさやかが現れる


杏子「戦ってる内に……この近くまで来ちまったのか…!!」

さやか「杏子っ!!!」

200 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:05:55.80 ID:hSmY20Fu0

さやか「早くここから離れよう!?このままじゃ狙い撃ちに……」ガシッ

杏子「ま、待て!待ってくれ!!」


差し出された手を振り払う


杏子「ここはマミの………アタシ達の家なんだよ…!!」

さやか「………!!」



杏子が手を広げて必死の形相で叫ぶ

室内には壁を突き破ったときの影響で散乱した瓦礫、砕けたテーブル、倒れた食器棚

変わり果てた状態ではあったが、そこは紛れもなく杏子にとって帰るべき場所、
巴マミの家だった



杏子「ここは……ここだけは壊されるわけにはいかない…!」

さやか「ッ……でもっ!!」


ズシン…ズシン…


杏子「!!……くそ…」


201 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:06:28.12 ID:hSmY20Fu0

大超獣『そういえばそこは拠点として使われていた巴マミの家か。潰しておくのが賢明だね』


壁の穴の向こうに見える白い巨体、
大超獣が大地を揺らしながら一歩づつ、確実にマンションへ迫る


杏子「あの野郎…!!」ダッ

さやか「杏子………」


ジャキッ

杏子「こっちに……来るなぁぁぁあああああっ!!!」ブンッ



迫り来る大超獣へ向けて、魔力を込めた槍を投擲



ザシュッ!

大超獣『無駄だってば』シュゥン

杏子「!!」


頭部に深々と突き刺さる槍
しかし、大超獣の再生能力はそのダメージをも瞬時に完治させる

202 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:07:00.90 ID:hSmY20Fu0

ガシッ

大超獣『?』

ガイア『やめろ…!これ以上お前を進ませるわけにはいかない!』ググッ


少しづつ歩を進める大超獣に対し、
ガイアが自身よりも巨大な尾にしがみ付き、その進行を止める


ガイア『ムサシさんっ!!』

コスモス(C)「!……オォォオオオッ!!!」


シュォォオオ


大超獣『………!』



動きの止まった大超獣へ向けて、
立ち上がったコスモスがネイバスター光線を放つべく、残された少ないエネルギーを振り絞り両腕にエネルギーを集中する



ズンッ…


ガイア『…!!』



杏子「!?……ムサシ…?」



しかし、チャージされたエネルギーは光線として放たれることはなく、
やがて霧の様に四散してしまった

203 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:07:43.19 ID:hSmY20Fu0

シュゥン

コスモス「グッ…ウウゥ……!?」

大超獣『エネルギー切れ……まぁあれだけの数を相手にしたんだ。当然だよ』



大地に片手をつき、苦しげに肩で息をするコスモス

限界を超えた戦いを続けた反動によりコロナモードの変身が解除され、
青い通常形態、ルナモードへと変わる



ガイア『そ、そんな…!』

大超獣『…それで?君はいつまでしがみついているつもりだい?』ブンッ


ドガァッ!!


ガイア「グォワッ!?」

コスモス「……ッ!!」



長い尾を振り回し、しがみついたガイアをコスモスへ向けて軽々と弾き飛ばす



大超獣「グォォオオ!!」バシュ

204 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:08:15.52 ID:hSmY20Fu0

ドガァァン!


ガイア「グォ……!!」

コスモス「ウ……アァ……」


ドシャァ


立ち上がろうとする二人に容赦なく放たれる強烈な光弾

直撃を受けた二人は完全に大地に突っ伏し、
二人の胸のカラータイマーは点滅を開始していた




杏子「我夢っ!!ムサシィッ!!!」

さやか「そん……な…」



壁面の穴から眼下に倒れる二人を見下ろし、杏子が叫ぶ


大超獣『さて、次は君達だね』ズシン

シュゥゥ…


杏子「!!」


205 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:09:38.75 ID:hSmY20Fu0

大超獣再び魔法少女に視線を移し、大きく口を開けてエネルギーを集束
壁面の穴に向けて狙いを定める


大超獣『………』シュウゥ


さやか「く、来る…!」

杏子「や…やめろ………」


ジャキッ


杏子「やめろ…やめろっ!やめろやめろぉぉおおっ!!!」


ガシャン



杏子が新たに生成した槍を床に突き刺し、穴の前に障壁を形成

しかし彼女自身も既に限界が近く、作り出した障壁は大超獣の巨大な姿の前にはあまりにも無力に思える代物だった




大超獣「ガァァアアアッ!!!」


バシュゥゥウウ!!


さやか「!!!………杏子っ!!」ガシッ

杏子「うっ……ぁぁああああ!!!」

206 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:10:11.25 ID:hSmY20Fu0

呆然と立ち尽くしていたさやかが我に返り、杏子の手を引き、マントで包み込む


ドガァァアアン!!


杏子「ぐ……っ!!」

さやか「!……っあぁ!!!」




その次の瞬間、大超獣の発射した赤黒い邪悪な色の光線は杏子の作り出した障壁を易々と砕き、
マンションに直撃して大爆発を巻き起こす



二人のいた部屋はおろか、その階層まで吹き飛ばし
そこから連鎖的に音を立てて建物全体が完全に崩壊する




ドゴゴゴ…



大超獣『………さて』



大超獣『これで終わりかな?』





……………………………………
207 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:10:39.43 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


大超獣「グルルァアアア!!」

ズンズンズンッ



地面を踏み砕きながら満身創痍の五人目掛けて突き進む



ティガ「!……ジャッ!!」バシュン

ダイナ「ディェア!」バシュン


バチチッ!


マミ「!!……あれは…」

ネクサス『……亜空間バリアーか……』



大超獣を迎え撃つために放たれた二人の光刃は、
巨体を覆い尽くす障壁に阻まれ、砕け散る



大超獣『その通り…そしてこれを破る力はもう君達には残されていない!』ダッ

ほむら「……!!」

208 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:11:16.05 ID:hSmY20Fu0

大超獣が膝を曲げて空高く跳び上がる

あまりの光景に完全に目を奪われ、反応が遅れる一同


マミ「!!…二人とも!避けてっ!!!」



ドゴォォオオン!



ダイナ「グォアァッ!!?」

ティガ「ウグァ!!」



回避行動が遅れた二人の上に全体重を乗せて急速落下
その巨大な両足で容赦なく踏み潰す


ネクサス「ウォアッ!?」

ほむら「っ……!!」

マミ「きゃあぁっ!!?」


巨体の直撃を免れた三人も落下時の風圧を受け、
その衝撃で一気に後方へ吹き飛ばされる



ほむら「ぐっ……ぅ…!」


209 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:11:43.50 ID:hSmY20Fu0

ほむら「まだっ……やられるわけには……」グッ


唇を噛み締めて、よろよろと立ち上がるほむら



大超獣『………』バシュッ

ほむら「!!――――」



ボロボロに傷つき、立っているのがやっとの体

そこへ容赦無く大超獣の光弾が飛ぶ


バシィン!


ほむら「ぐぅ……ぁ!!」



咄嗟に左腕の盾を突き出し防御

しかし瀕死の彼女はそれを受け止めるだけの力は残されておらず、
衝撃に耐え切れずに凄まじい勢いで吹き飛ばされる



ほむら「うぁああっ!!」

マミ「っ…!」



ダッ


210 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:12:48.11 ID:hSmY20Fu0


ドグシャッ


ほむら「っ……?……マミ!?」

マミ「うっ………ぁっ…!」


吹き飛ばされたほむらはビルに叩きつけられることは無く、
その間に割って入ったマミがその体を受け止めていた




マミ「くっ、ぅぁ……!!」ズキッ




受け止めた衝撃で腕は痛々しく腫れ上がり、
マミはその激痛にに顔を歪ませる



ほむら「!…マミ!あなたその腕…!!」

マミ「ッ…だいっ……じょうぶ………」

キュゥーン…


瞳の端に涙を溜め、傷ついた腕に治癒魔法をかける


マミ(……これ以上魔力を消費し続けたら…グリーフシードのストックが……)

マミ(でも…やつらは力を温存しながら戦える相手じゃない)



マミ「どうすれば……いいのよ…」

ほむら「…………」

211 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:13:16.32 ID:hSmY20Fu0

大超獣『諦めればいいんだよ。どの道これ以上戦っても勝ち目は無い』

マミ「………」

ほむら「っ………」


膝をついたまま動かない二人に向けて囁く


大超獣『君達の頼みの綱のウルトラマン達ももはや虫の息だ』ググッ

ティガ「グッ!…ゥウウウ!」

ダイナ「グァ……!」


足で踏みつけられて動けないティガとダイナ
二人は脱出を試みるも残された少ないエネルギーでは巨大な足を持ち上げることは出来ずにいた


ネクサス「………」


その後方で大地に突っ伏すネクサス


度重なる連戦と超獣達の猛攻で三人のウルトラマンには再び立ち上がるほどのエネルギーは残されていなかった






……………………………………
212 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:13:43.21 ID:hSmY20Fu0

……………………………………


ズン…


メビウス『く……』

ジャック『なんて恐ろしい強さだ…』

エース『このままでは六人全員がやられてしまう…!』



大超獣の容赦の無い攻撃を受けた戦士達

すでにウルトラマン全員のカラーターマーは点滅を始め、限界が近付いていることを知らせていた



そこへ迫る二体の巨大な大超獣の影



大超獣1『………』

大超獣2『君達は特に危険だからね。特別に二体で相手だ』



まどか「つ…強い……」

マン『…………』

セブン『我々に残されたエネルギーはあと僅かだ……なんとかこいつらを倒す方法を…』

213 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:14:11.70 ID:hSmY20Fu0

大超獣1『それは無理だね』

まどか「!!」


肩で息をしながら立ち上がるセブンに、無慈悲にも言い放つ


大超獣2『仮に僕達を倒すことが出来たとしても…既に地球の周りには僕達以外のインキュベーターが待機している』

大超獣1『君達が死力を尽くして倒したのはその中のほんの一部にすぎないんだよ?あとどれだけの戦力を残していると思ってるんだい?』



まどか「ぅ…………」

大超獣1『なんなら今すぐにでも地球全土に向けて降下させてもいいんだよ?』



まどか「!!……っ…!」

マン『貴様……!』ググッ


まどかの顔が恐怖と絶望に染まり、
マンが大超獣の言葉に拳を握り締め、怒りを露にする


大超獣2『そうなると…大勢の人間が犠牲になるね』


大超獣1『こんな戦いが起こっているとは夢にも思わない人々……』

大超獣1『そして鹿目まどか……君の家族や友人も全員ね』



まどか「あ…………」



カツン…


214 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:14:37.56 ID:hSmY20Fu0

ガクン

まどか「………」

メビウス『!…まどかちゃん……!?』



大超獣の言葉に絶望するまどかはその手に握られた弓を落とし、
地面に膝をつき、うなだれてしまった


それと同時にまどかのソウルジェムが黒く濁り始める



セブン『いかん…!』


大超獣1『彼女は悟ったみたいだね…もうどうにもならないことを』

大超獣2『君達には……奇跡も魔法もないんだよ』



バシュゥン!


エース『不味い…あれを喰らえばひとたまりも…!!』

ジャック『まどか!そこから離れろ!』

まどか「……」



仲間の必死の叫びも、絶望に打ちひしがれたまどかの耳には届かない



マン『!! 危ないっ!』ダッ


ドガァァアアン……


215 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:15:05.12 ID:hSmY20Fu0

マン「グウッ………ォ…!!」ズズン

まどか「!!……あ……!」


セブン「!」



まどかを庇い、二体の大超獣の放った光弾を背中で受け、地面に倒れ込むウルトラマン
カラータイマーの点滅が更に速まる


もはや彼に再び立ち上がるほどの力は残されていなかった



大超獣1『直撃だね…』

まどか「あ…ああぁ…っ…!!」


ズシンズシン…


メビウス『!!…マン兄さん!まどかちゃん!!早くそこから離れて!!』



マン『……………』

まどか「わたしの……わたしのせいで…ハヤタさんがっ………!!」ジワッ




メビウスが二人に退避を促すが、
倒れたマンに反応は無く、まどかは手で顔を覆い、泣き崩れるばかりだった


216 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:15:33.30 ID:hSmY20Fu0

大超獣1「カハァァアアア………」

大超獣2「グルルル…………」


シュゥウウン


無防備な二人に向かって接近する二体の大超獣
二体はその大きく開いた口に、二人に止めを刺すべく膨大なエネルギーを集束させる



ジャック『不味い………!!』

エース『く……体に力が入らん…!』ググッ


エースが二人を助けるために行動を起こそうとするも、立ち上がる力はもう残されていなかった


まどか「…………」




ズズッ




マン『…まどか………』

まどか「!……ハヤタさん!?」

217 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:16:07.27 ID:hSmY20Fu0

まどかが顔を上げ、
安堵の表情でマンの瞳を見つめる



まどか「よかった……まだ生きて…」

マン『君は……何をしているんだ……!』


まどか「え……?」


予想外の言葉に口を開け、間の抜けた声を漏らす

218 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:16:33.09 ID:hSmY20Fu0


マン『君は……あの時我々に言ったはずだ………!』


くぐもった、苦しげな声でまどかに語りかける


マン『自分に皆を守る力があるなら戦う……と…』

まどか「!……っ」



マン『そう言った君が…最初に諦めてどうする……!?』

マン『最後まで諦めるな……!!』

まどか「―――――!」



ガシッ



まどか「…………」ギリリッ

マン『………それでいい…』


219 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:16:59.76 ID:hSmY20Fu0

叱咤激励の言葉を受け、
まどかが拾い上げた弓を再び握り締め、迫り来る大超獣へ向けて構える


まどか「そうだ……勝つんだ、みんなで……!!」


シュゥゥン


まどか「最後まで諦めず……不可能を可能にする…!」

大超獣1『!?………』




まどかの手に握られた弓

魔力を集中すると同時に、それが光に包まれて形を変形させる




まどか「く……ぅぅうう…!」シュゥウ




大超獣2『!……早めに叩いておいた方がよさそうだね』

大超獣1『…さよならだ、鹿目まどか!』



バシュゥウウン!


220 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:17:27.33 ID:hSmY20Fu0

セブン『!! 立て!二人とも!』

メビウス『ダメだ…この位置からじゃ……!』



大超獣の口から放たれる強力な破壊光線

それが周囲の瓦礫を吹き飛ばし、地面を砕きながら一直線に二人へ進む



マン『!………』

まどか「ぅぅ…う……!」



まどか(駄目…!間に合わないっ……!!)シュゥウ…






ドガァァァアアン!







……………………………………
221 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:17:56.08 ID:hSmY20Fu0

……………………………………



さやか「っ………く」ピクッ


ガラガラガラ…


さやか「!!……きょう…こ………杏子…!?」



マミのマンションは大超獣の攻撃で見る影もなく完全に崩壊し、
瓦礫の山と化していた


さやかはその大量の瓦礫に埋もれた体を起こして、
杏子の名を叫ぶ




さやか「っ……!!?」




辺りを見回した、目に入ったものは


カラータイマーと瞳の光が消え、
倒れて動かなくなった二人のウルトラマンの姿だった



さやか「くっ…………うううぅ!!」

さやか「杏子!杏子ぉおっ!?」



絶望と不安で混乱しそうになる感情を必死で抑え、叫び続ける

222 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:18:27.27 ID:hSmY20Fu0

さやか「あ……」

杏子「……ぅ……ぅっ……」


ポタ…ポタッ…



小さくむせび泣くような声が聞こえ、その声の方向へ顔を向けるさやか

そこには膝をつき、割れたティーカップの破片を祈るような形で握り締める杏子の姿


破片を握る手からは血がゆっくりと滴り落ちていた




さやか「杏子……アンタ…」

杏子「っ…ちく……しょぉ…………」ポロポロ



さやか「……」


223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/09/27(火) 23:18:30.62 ID:79ScU5/30
もう50レス超えてる
224 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:19:04.78 ID:hSmY20Fu0


杏子「また……無くしちまったよ………アタシ……」

さやか「………」ガシッ



再び自分の帰るべき場所を失い、悲しみに暮れる杏子

さやかはその顔を両手で引っ掴み、息が噴きかかりそうな距離まで顔を近づける



杏子「っ…さやか……!?お前……」

さやか「……あたし達がいるでしょうが!!」


杏子「……!!」



杏子を瞳を真っ直ぐに見詰め、震える声で言い放つ



さやか「だから………ホラ、もう一度立って!」スッ



顔を掴んだ両手を離し、
立ち上がって手を差し伸べる


225 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:19:35.05 ID:hSmY20Fu0


さやか自身、
既にその心は折れそうで、今にも泣き出したかった

しかしこの一ヶ月、仲間達とともに戦い、
培ったものが、ギリギリのところで心の支えとなっていた



杏子(こいつ……いつの間にこんな強く……)

さやか「ホラ早く!」



杏子「あ、ああ……悪い……」


ブンッ


杏子「………!!!」




差し出された手を掴もうとした瞬間、
杏子は猛スピードで接近する巨大な白い物体を視界の端に捉えていた

226 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:20:12.87 ID:hSmY20Fu0

杏子「………どけっ!!」

さやか「わぁっ!?」


ドシャッ


弾かれたように立ち上がり、
杏子は差し出された手を掴まず、さやかを乱暴に突き飛ばす




さやか「ちょっとアンタ何―――」


ドグシャッ!!


さやか「すん……の……」




怒鳴ろうと顔を上げたその瞬間、
さやかの前を通過する大蛇のように長く伸びた白い腕

それと同時に消える杏子の姿



大超獣『捕まえた』シュルッ

さやか「な……!?」

227 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:20:47.73 ID:hSmY20Fu0

さやか「杏子っ!どこ!?どこに行ったの!?」

大超獣『ここだよ』スッ

さやか「…!?」



驚きに見開かれるさやかの目

見せつけるように左の手の平を広げる大超獣
その中心に四肢を埋め込まれ、磔のように固定された少女の姿



杏子「てめぇ!離せこらぁっ!!」

大超獣『駄目だ、君には大いに役立ってもらうよ』


さやか「杏……子…!!」



ズズズッ



杏子「!!…う……ぁぁあああ!?」

さやか「!? やめろ!杏子を離せ!!」


大超獣『まぁ見てなよ』

228 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:21:36.61 ID:hSmY20Fu0

底なし沼に沈み込むような感覚に恐怖し、藻掻く杏子

しかし彼女の四肢は完全に飲み込まれ、いくら暴れようとも脱出は叶わない



杏子「………さやかっ!構うな!!コイツを……」

大超獣『あまり余計なことを話さないでくれるかな』


ズズッ


さやか「!!……お、お前ぇっ!!」


杏子が言い終える前にその体は完全に大超獣の手の平に沈み、
最後の言葉がさやかに届くことはなかった



ズシン


大超獣『さて、美樹さやか……佐倉杏子はこの手の中にまだ生きている』

大超獣『だが僕の意思一つで彼女を今すぐにでも殺すことは容易い』


さやか「ッ…何が……言いたいのよ」


229 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:22:06.03 ID:hSmY20Fu0

大超獣『鈍いな、君は』ブンッ

さやか「!! な……!?」


ドガッ


大超獣の鋭爪の一撃が地面を砕き、
さやかは直撃を免れたもののその衝撃を受け、後ずさる



さやか「この……!!」チャキッ

大超獣『反撃は許さないよ』


さやか「!!」



起き上がると同時に反撃の為に剣を握るも、
前に突き出された大超獣の左手を見せつけられ、動きを止めるさやか



大超獣『この手の中にいる佐倉杏子はいわば人質だ』


大超獣『少しでも抵抗する素振りを見せたら彼女には死んでもらうよ』

さやか「な……何よそれっ!?汚いぞ!!」


大超獣『何とでも言えばいい。君達にとってこれほど有効な手は無いと判断したまでだ』バシュン


さやか「っ!?」


ドガァン!


230 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:22:39.25 ID:hSmY20Fu0

さやか「うわぁっ!?」ズシャッ


さやかが放たれた光弾を身を捩り回避するも、
爆風に吹き飛び、瓦礫の上にその身を激しく打ちつける



大超獣『二人のウルトラマンは倒れ、佐倉杏子はこの手の中………あとは君だけだ』


さやか「く……ぅあ…足が……!」

ポタポタ…



辺りに四散した鋭い瓦礫が脹脛を傷付け、
その痛みに膝を落とし、蹲るさやか


痛々しく溢れ出す血が真っ白なマントを少しづつ赤く染める




さやか「か……回復…早く……」



大超獣『そうはいかない』

さやか「!!」


ドガッ!


さやか「ごふぅっ!!?」


231 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:23:09.17 ID:hSmY20Fu0

巨大な足に乱暴に蹴り上げられ、
凄まじい勢いで壁に激突

なすすべなく跳ね返り、激しく地面に転がる


さやか「うぁ………っは……」ググッ


負傷した片足を庇い、剣を杖代わりにしながら立ち上がる



大超獣『回収したデータ通りだ。君のしぶとさは折り紙付きだね』


シューン…


さやか「………え……?」


ズシンズシン



超獣1「グォォオオオ……!」

超獣2「…………」


さやか「!!………」



再び空が割れ、
赤い空間の向こうから二体の新手が送り込まれる


232 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:23:50.73 ID:hSmY20Fu0

さやか「まだ……来るとか……冗談………やめて……よ…」

大超獣『いい具合にソウルジェムが濁っているじゃないか。もう少しだ』



逃げることも、
戦うことも許されず、敵のされるがままに痛めつけられるさやか

彼女に今出来ることは自身の能力で少しでも体の痛みを癒すことだけだった



超獣1「………」

超獣2「………」


バシュゥウン!


さやか「!………くっ…そ!!」バッ



新たに出現した二体の超獣はさやかの体の回復を待つはずもなく、
容赦なく両腕から雷撃を放つ



大超獣『これで終わりだね……さよならだ美樹さやか』

233 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:24:30.06 ID:hSmY20Fu0

さやか「!!――――がっ!?う゛っ、あ゛あ゛ぁぁあああ!!!」



強烈な雷撃がさやかの体を貫く

周囲に飛び散る火花

崩壊した街に絶叫が木霊する



さやか「あ゛あ゛ぁああ!ぎゃぁあああああっ!!!」


目を大きく見開き、
さやかの体は痙攣するように跳ね上がる


大超獣『……』




シュー…


大超獣『おや?』

さやか「くぁ…………はぁっ……はぁっ…」



舞い上がった土埃が晴れたそこには、
うな垂れて、地面に突き刺した剣にもたれ掛かるように辛うじで立つさやかの姿があった



超獣1「……?」

超獣2「……」


大超獣『………おかしいな』



大超獣『もう君のソウルジェムは穢れが限界に……』


カツン


大超獣『!……』


234 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:25:00.16 ID:hSmY20Fu0

さやかの手から使いかけのグリーフシードが地面に転がり落ち、
小さく音を響かせる


大超獣『なるほどね…攻撃がが当たる直前に穢れを浄化して耐え抜いたか』

ズシン…

さやか「……」



止めを刺すために、ゆっくりとさやかに迫る



さやか「っ…………」



さやか(…は…はは……あたし………なにやってんだろ……)


235 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:25:33.80 ID:hSmY20Fu0

さやか(さんざん特訓して……意気込んで……)


ズシン…


さやか(挙句の果てにこのザマじゃん……)


ズシン…


さやか(殴られるだけ殴られて……なーんにも出来ないでやんの……)


ズシン…


さやか(みんな大丈夫かな……)


大超獣『………』ブンッ


歩を進めた大超獣がさやかの目の前まで接近し、
大きく尻尾を振り上げる




さやか(杏子………ごめん)フラッ




朦朧とする意識の中で捕われの身となった杏子のことを思い、
糸の切れた人形のように崩れ落ちるさやか



そこへ勢いの着いた大超獣の巨大な尻尾が振り下ろされる







……………………………………
236 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:26:11.14 ID:hSmY20Fu0

……………………………………



杏子『…………』



杏子『…………』ピクッ



杏子『さ………や……か……』



杏子『…………』



杏子『馬鹿…やろ…う………が…』






……………………………………
237 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/09/27(火) 23:29:39.23 ID:hSmY20Fu0
とりあえずこのくらいで今日は終わりです

予告通りに投下できなかったり展開変えてみたり…
ほんとどうしようもない奴です、>>1

それでもレスしてくださる方に本当に感謝です
そしてごめんなさい
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 23:30:30.71 ID:FTa2Prc5o
>>237
ただでさえ鬱展開なのにそんな暗いこと言わないでくれよ
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/27(火) 23:31:58.57 ID:kd0Cc6YKo


ヒカリって・・・まさか不死鳥きちゃう?
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/09/27(火) 23:33:04.10 ID:lk6heYXGo
乙です!!!
これからの展開が楽しみすぎるwwww
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/27(火) 23:42:53.56 ID:EWKKgosso
お疲れ様でした。
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/27(火) 23:48:23.06 ID:zPYHIMH00


1が生きててなによりだ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/09/28(水) 00:36:34.18 ID:8SGmJntu0
>>1乙!
ここに来てもなおこれだけの盛り上がり!
あれだけ熱かった対ワルプルギス戦が結局前哨戦とか、
豪勢にも程があるぜ…。


…光の国からの助っ人2名+α…やはり真打は彼か…!?
ごくり…。
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 03:05:59.66 ID:ypjLamejo
この状況…ヤバい状況なのにこの後すかっとする展開がくると思うとワクワクする‼
早くウルトラマンが揃いますように…
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/28(水) 05:16:17.56 ID:ejhg5rBL0
よし、のっとるか
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage dggfgh]:2011/09/28(水) 17:42:23.27 ID:fiO9wn5d0
>>245 絶対にのっとるなよ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2011/09/28(水) 21:25:09.67 ID:t2oSnazzo
>>245
ヤメェロ!! 読んでやるから他所で書いてくれさい
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/09/29(木) 00:42:35.57 ID:6Dp7PoM+o
乙!
絶体絶命のピンチ…ここからどう逆転してくれるのか楽しみでしょうがない
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/29(木) 08:58:19.26 ID:7vZ4SPEr0
とりあえずまどか達魔法少女並の絶望を味わったレオと失恋怪獣と戦ったことのある無敗ウルトラマン(あ、べりアルニ負けたから無敗は途切れたか)こと80、新世界の銀河美少年ガンダムゼロが来てくれれば言うことない!
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 09:02:09.26 ID:/kalNaxao
>>249
アグルとマックスさんとネオス……
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/29(木) 13:46:13.47 ID:4EXp4yjAO
予告では新世界の銀河サイエンティストガンダムが出るはずだが展開変わったということは…
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/29(木) 14:15:31.21 ID:7vZ4SPEr0
>>251
スケットウルトラマンの追加・変更がされたんじゃね?
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage dggfgh]:2011/09/29(木) 21:51:53.75 ID:kt1Ssptm0
潜入している奴まさかセブン21さんか。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/29(木) 22:17:53.74 ID:Xi+dnKyFo
>>249
「地球で」無敗はいまだ途切れてないぜ、80先生
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/01(土) 01:01:56.60 ID:jcEjPzfAo
十字架磔のシーンでアグル復活以外思い浮かばなかった。ヤバいかっこいいとこ見せてよさやか。

ウルトラマンがいるというだけでこの展開なのに安心できる。頑張れええ
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/01(土) 13:41:29.23 ID:oeeBX0qAO
俺はレオ兄さんを待ち続ける
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/03(月) 13:42:54.78 ID:obcv2tUP0
ゾフィー兄さん「俺もいるぞ!(というか私も地球に行ったはずだよね・・・)」
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/03(月) 16:48:03.24 ID:mmIHr5Xd0
>>253sageろ
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/01(火) 14:40:32.88 ID:TJnNuuDgo
ゼァッ!

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/08(火) 12:35:31.91 ID:4D/j41Fj0
どんな絶望の中でも、人の心から光が消え去ることはない!
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(富山県) [sage]:2011/11/13(日) 06:42:31.64 ID:F6Js14bm0
人は・・・光になれる
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/13(日) 08:56:51.52 ID:N700kJmeo
SS速報住人よ!光にぃ!なァァァァれェェェェェッ!



え?違う?
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 13:56:24.43 ID:Zv96sBswo
諦めるな‼
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 22:39:45.79 ID:xcFU1Mcz0
「為政者はいつもこうだ。言葉だけは美しいけれど…」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/22(火) 18:26:46.32 ID:ems+GUmAO
まどか☆マギカが映画化記念カキコ
266 : ◆jPpg5.obl6 [sage]:2011/11/23(水) 22:22:54.72 ID:3VflebBl0
生存報告しときます
早く続き書きたい…
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/23(水) 23:28:44.86 ID:6KStjBMko
>>266
キタ――(゚∀゚)――!!

続き待ってます!!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 00:04:23.88 ID:A3/doJEoo
>>266
諦めるな!
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 09:36:04.36 ID:8IT7tg2ao
>>266
大丈夫あと地球上でなら3分マテルからな!
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/24(木) 23:30:57.49 ID:6i2aiJ+Ao
生存報告だけで嬉しい

保守は任せろーバリバリ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/28(月) 15:05:32.74 ID:GDWkX7oLo
母の奇跡
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/29(火) 01:28:11.69 ID:3h4GBMsAO
>>271
父からの贈り物
273 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 18:29:58.71 ID:5L3XtZbJo
まだか
274 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 08:42:24.97 ID:r3QRtYzAO
☆マギカ
275 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 02:05:44.08 ID:6WM9aodL0
ゼロがいたら新しいチートラマンのサーガが呼べる状況だな
276 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:35:47.76 ID:N0Xv+ICpo
むあああああああだかあああああああ
277 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 14:00:08.69 ID:f2rodyUY0
ゼットン
278 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 14:02:12.85 ID:f2rodyUY0
ゼットン、ゼットン、ゼッ、トントン
279 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 15:03:37.63 ID:ZRU5dHzKo
ウルトラゾーンのゼットン君が面白すぎる
280 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/18(日) 23:10:16.93 ID:S2vPlT9K0
ぬう
やっと明日あたりに更新できそうです
281 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 23:13:10.52 ID:tQeJNQgqo
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
282 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:13:39.00 ID:fyUCPSy/o
期待してます!
283 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:32:25.44 ID:2mkK0LhPo
宇宙…キタああああアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああ
284 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 02:42:07.03 ID:SoIhokJ90
光りながら待ってます
285 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 09:18:12.98 ID:iMS4CXUAO
ウルトラマンが……帰ってきた……!!!!
286 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 09:51:16.00 ID:7MInegs+o
帰ってきた>>1トラマン乙
287 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 14:36:01.09 ID:0PGooHNSo
待ってた甲斐があったわい
288 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 16:42:40.00 ID:+mCIAaEo0
<<283
フォーゼさんは仮面ライダーの世界にお帰り下さい。
<<1乙!!
289 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:46:13.53 ID:ZQVfKf9U0
ぬはー
放置期間長かったせいでストーリーとか台詞とかなんか違和感出そうですけど再開
290 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:47:14.83 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………



さやか「…………」


大超獣『魔法少女はいくら肉体が傷付こうがソウルジェムを砕かれない限り完全には死なない……』

大超獣『だがその体で立ち上がることはもう無理だ』



強靭な尾を打ちつけられたさやか

持っていた剣は粉々に砕け、マントはズタズタに千切れ、
血に塗れた足は異常な方向に曲がっていた




大超獣『もう一撃……それで止めだ』


大超獣『まぁ安心しなよ、佐倉杏子もすぐに――――』







カッ!







大超獣『!!』


291 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:47:45.70 ID:ZQVfKf9U0



超獣1「グルルゥ……」

超獣2「!?」




大超獣『………?』




街の中心部

まどか達Aチームが戦っている地点からの強烈な閃光


大超獣は振り上げた腕を下ろし、完全にその光を見つめたまま動きを止め、
後ろの二体も同じく静止する






……………………………………
292 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:48:49.26 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………



シュゥウウ……



まどか「………っ……え?」

マン『…!!』



きつく閉じた目を見開き、辺りを見回すまどか


大超獣によって発射された光線は二人に当たることは無く、
上空から飛んで来た稲妻のような光線によって相殺され、土埃を巻き上げるだけに終わっていた




大超獣1『なんだ……どこからの攻撃?』

大超獣2『!!……上だ!』バッ



マン『この…砂漠の砂一粒を狙い撃ちにするかのような精度…』

メビウス『まさか…!』 バッ



二体の大超獣が同時に上を向き、
それに続く様に一同が空を見上げ、光線を放った何者かを探す


エース『……ジャック兄さん…あの光線はまさか…』

ジャック『間違いない、Z光線だ………つまり』



エースの問いに現在の状況を完全に理解したような口振りで答え、
空を見続ける



まどか「……!……あ、あれ!!」


大超獣1『!!』

大超獣2『……援軍か…面倒だね』


293 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:49:15.69 ID:ZQVfKf9U0

まどかの指が空の一角を指し示す


そこには光線の構えを解き、上空に留まる巨人の姿



その胸には六対のリベット状の突起、
武功の証であるスターマークが輝いていた



まどか「新しい…ウルトラマン?」

マン『………来てくれたか』




???「…………」




巨人は敵を一瞥した後、
地に伏すウルトラ兄弟と未だに状況を理解できずに呆然と立ち尽くすまどかへ視線を移す






ゾフィー『遅くなった』






……………………………………
294 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:49:56.13 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………


〜インキュベーター・母艦〜



ヤプール「!!………来たか!」

インキュベーター「彼らの仲間……?どうなっているんだ?」


インキュベーター「あの地域には干渉フィールドが……」


ヤプール「……見ろ」



艦内の状況を示すモニターが切り替わり、
粉々に粉砕された干渉フィールドの放射中枢を映し出す



インキュベーター「……やってくれたね」

ヤプール「………」






……………………………………
295 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:50:21.71 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………


エース『ゾフィー兄さん!』

ゾフィー『すまない、エネルギーのチャージに想像以上に時間が掛ってしまった』ズン


ゆっくりと地上に降り立つゾフィー



大超獣1『……』

大超獣2『……なるほど、君は彼らを纏め上げる存在か』

ゾフィー『……私は、M78星雲光の国、宇宙警備隊隊長のゾフィーだ』



大超獣に向かい名乗りを上げるゾフィー
その背中には堂々とした隊長の風格が漂っていた



ゾフィー『インキュベーター……他者の命を弄び、少女達を消耗品の如く扱うその蛮行……見逃してはおけんぞ』

大超獣1『…それで?君達は何が言いたいんだい?』



驚き見開かれていた大超獣の瞳が、ゾフィーを鋭く睨み付ける



ゾフィー『……投降しろ、お前達はやり過ぎた』



あらゆる建物が破壊され、死の街と化した見滝原

その変わり果てた光景の街を流し目で見ながら話し続ける


296 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:50:48.84 ID:ZQVfKf9U0

大超獣2『投降?わけが解からないよ』

ゾフィー『!………お前達はヤプールに唆されているだけだ!』


大超獣は投降勧告を受け入れず、目の前のゾフィーに牙を剥く


大超獣1『違うね、彼の言っていることは真理だ』

大超獣2『強いものが他者を管理する……これ以上無い単純で効率の良いルールだ』


ゾフィー『馬鹿な…それではまたいつか別の脅威が生まれるぞ』


大超獣1『だからこそ僕達の元にヤプールがいるんだよ』

大超獣2『何者にも壊されることのない力を手に入れる……そうすれば他者に脅かされる心配は無いだろう?』




まどか「そんなの……絶対おかしいよ……」

エース『……狂気の発想だな』




大超獣1『……それに僕達はこの宇宙の為にエネルギーの回収を続けているんだよ?』

大超獣2『同じ宇宙生命である君達にもこの宇宙に寿命が近付いていることに気付いているだろう?』


ゾフィー『当然だ、我々の同志達がすでにその事態についての対策を研究している』

297 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:51:17.26 ID:ZQVfKf9U0

ゾフィー『だからこそ我々と君達の技術力を提供し合ってこの事態を……』


大超獣1『君達の手を借りる必要は無いね』

大超獣2『そして人類を間引くことはもう決定している』



ゾフィーが粘り強く説得を試みるも、
大超獣はそれを冷たく撥ね退ける



ゾフィー『…………互いに相容れぬということか』

大超獣1『こっちは最初からその気は無いんだけどね』

大超獣2『もう魔法少女達には絶望しか残されていないんだ。諦めなよ』


シュゥウ


まどか「っ……!!」



目の前の目障りな存在を消すべく、
一方の大超獣が再び光線の発射態勢に入る

298 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:51:46.63 ID:cFg8VDqAO
僕らのゾフィー兄さん来ター!!
299 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:52:50.81 ID:ZQVfKf9U0

ゾフィー『…………ならば』


バッ


メビウス『!……あの構えは!!』

まどか「…?」


ゾフィー『去れ、絶望!!』



言い放つと同時に、伸ばした手の平ををカラータイマーに近づける


その瞬間、両手の間に輝く十字の光
そのまま右腕を手刀の様な構えで大きく振り上げる


キュォオオオン…


大超獣1『これは……!?』



雄叫びの様な音を響かせ、
ゾフィーが右腕に莫大な量のエネルギーが一気に集中する




大超獣2「グォォオオッ!!」


バシュウン!


異様な空気を本能的に感じ取り、
次なる行動を阻止すべく、巨大な破壊光弾を放つ



ゾフィー『そして起これ、奇跡よ!』バッ


大超獣1『なんだ……このエネルギーは…!!』



エネルギーのチャージが完了すると同時に、真っ直ぐに突き出される右腕


そこから強烈な閃光を発しながら放たれる、
ウルトラ兄弟最強の必殺の一撃




ソフィー『M87光線!!!』




カッ!




大超獣2『!!!』

300 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:53:17.74 ID:ZQVfKf9U0

ドガァァアアアアン……



大超獣1『な………!?』

ゾフィー「………」



大超獣に向けて放たれた必殺光線

それはバリアーを易々と砕き、その巨体を一直線に貫く


圧倒的な破壊力を持つ一撃はは大超獣を跡形もなく消し去り、
巨体が立ち塞がっていたその場所には灰が残るのみ



まどか「あれが……隊長……」


ゾフィー「………ジュアッ!」ダッ

大超獣1『?…』



光線の構えを解き、
一呼吸置いた後空へと飛び、一同を見下ろす



大超獣1『何をする気だ…!?』


301 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:53:53.46 ID:ZQVfKf9U0

ゾフィー「ハァァァアッ……!!」

シュィィイイン…



大超獣1『……あの光は!?』



ゾフィーがカラータイマーに添えた両腕にエネルギーを宿し、
そのまま一気に解放


街中に拡散する光の筋

その内の六つが地上に倒れた戦士達へ宿る



セブン『!……』

ジャック『……』

エース『よし……これなら』

メビウス『力が……戻った!』



地に伏し、力尽きようとしていたウルトラ兄弟

しかしその胸に赤く点滅していたカラータイマーは再び青い輝きを取り戻し、
地にしっかりと足をつき、立ち上がる



まどか「体が軽い……!」


ズシン

マン『どうやら助かったようだな』

まどか「!…ハヤタさん……!!」



離れたところで倒れていたとこにいた二人も同様に立ち上がる


302 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:54:24.29 ID:ZQVfKf9U0

大超獣1「グォアアア!!」バシュン

マン「!……シュワッ!」


バシィン!


大超獣1「!!…………」



大超獣の放った光弾をマンは避けようともせず、
腰に手を当て、その分厚い大胸筋で軽々と受け止める



まどか「すっ……ごい……」

大超獣1『本来の力を取り戻したとでもいうのか……!?』


爆煙の中から無傷で現れたマンの姿を見て驚き、後ずさる


セブン『形勢逆転か』

メビウス『……負ける気がしません!』


303 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:54:57.58 ID:ZQVfKf9U0

大超獣1『そんな…彼一人のどこに全員分回復させるほどの力が……』


ゾフィー『光の国の太陽……プラズマスパークのエネルギーを溜めこんできた』

ゾフィー『おかげで時間が掛ったがな』


大超獣1『っ……ならば』


シュゥン…


セブン「!!」



大超獣の周りの景色が歪み、
少しづつ空間にヒビが入り、広がっていく



ジャック「!?」

エース『不味い!増援を呼ぶ気だ!』


大超獣1『それだけじゃないよ…これからインキュベーター全戦力を地球に降下させる』


まどか「えっ!?」


304 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:55:28.31 ID:ZQVfKf9U0

セブン『なんだと……!?』

まどか「やだ……やめてぇっ!!」


まどかが悲痛な叫びを上げるが、
無情な大超獣にその声は届くことは無い



マン『何も知らない人間達を盾にするつもりか!!』

エース『汚いぞ!インキュベーター!!』


大超獣1『何とでも言うがいいさ!なんだったら降伏でもして―――――』





ゾフィー『断る』


大超獣1『!!………そうかい、だったら…!』


まどか「!?…ちょ、ちょっと……!?」

ジャック『ゾフィー兄さん!?人間達を見捨てる気ですか!?』

305 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:55:56.10 ID:ZQVfKf9U0

ゾフィー『安心しろ、地球にインキュベーターが降下することはない』

まどか「え……ど、どうして」



状況が飲み込めないまどかに、
落ち着いた口調で淡々と話すゾフィー



ゾフィー『宇宙には彼らがいる』



マン『!!』

セブン『まさか……地球全域を守れるほどの戦力を…!?』



大超獣1『何を…何を言っているんだ!』

大超獣1『もうじき地球の主要都市は全て火の海に……』



ゾフィー『ならば試してみろ……彼らがいる限りそんなことはさせない』

大超獣1『………!!』





地球周辺に待機するインキュベーターの同胞達

大超獣はテレパシーを使い接触を試みようとした瞬間、
その赤い瞳は驚きに見開かれる







……………………………………
306 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:56:54.26 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………


〜地球周辺宙域〜




真っ暗闇の宇宙空間に青く輝く星、地球

その星の全体をを疎らに覆う白い影、
それはインキュベーターの歪んだ姿である超獣のものだった



超獣「グァギャ!!」

ドガァン!



次々に爆発し、消滅する超獣達


地球への降下が指示される十数分前、
突然地球周辺の各所に出現した赤と銀色の巨人



凄まじい実力を持った歴戦の勇志達に阻まれ、
超獣の姿に変身したインキュベーター達は未だ降下することが出来ずにいた





超獣「クワァアアッ!!」シュン

???『ストリウム………光線っ!!』


バシュゥゥッ!


超獣「!!!」


ドガァァアアン……


妨害を潜り抜け地球へ侵入しようとした超獣に、
気合いの入った掛声とともに放たれた七色に光る光線が直撃し、粉々に砕け散る




超獣『馬鹿な……あれだけいた超獣達がこうも簡単に…』




その光景を目にした別の超獣が驚愕し、
目の前に立ち塞がる赤い火の如き体を持った巨人へと視線を移す



その巨人の頭に生えた二本の雄々しい角は、
太陽の光を受けて鋭く輝いていた





タロウ『インキュベーター!ここは絶対に通さんぞ!』



307 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:57:21.57 ID:ZQVfKf9U0

シュシュンッ



ネオス『タロウ教官に続け!我々も行くぞ!!』


セブン21『ああ、我ら勇士司令部の実力を見せる時だ!』




タロウの放った光線を皮切りに、二人の巨人が名乗りを上げて超獣の群れに突っ込む


その姿は現在地球で魔法少女達と共に戦う戦士、
ウルトラマンとウルトラセブンに酷似していた





超獣『まだだ……!数ではこっちが圧倒的に有利――――』シュン

???「シェァッ!!」




ズババババッ!


超獣『!!……』



308 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:58:08.69 ID:ZQVfKf9U0

自身満々に言い放つと同時に、
あらゆる方向から戦士達に迫る数十体の超獣達


しかし、その全てが超高速で突然飛来した分身したブーメラン状の刃に切り裂かれ、
一瞬の内に動かぬ肉塊と化す



マックス「………」シャキン



高速で回転しながら分身した刃はやがて一つに纏まり、
その持ち主である巨人の頭頂部の突起へ収まる



超獣『は……速い…』


ゼノン『マックス、遠慮することはない!マックスギャラクシーで吹き飛ばせ!!』

マックス『言われなくともそのつもりだ!みんな離れろ!!』シュゥン



後方で戦いながらマックスに呼び掛ける巨人、ウルトラマンゼノン

その声に応えるようにマックスは右腕に装着された不死鳥を模したアイテムから、
自身の身長の数十倍はある光剣を生成



マックス「デェェィイイァアア!!!」

超獣『!!』



ズバンッ!!



仲間達が退避したところを見計らい、
巨大な光剣を振り上げ、周囲を取り囲むおぞましい数の超獣達を、一撃の下に薙ぎ払う



マックス『どうだ……!!』



シュゥゥウ…



タロウ『!…油断するな!合体してまた襲ってくるぞ!!』




……………………………………
309 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:58:35.23 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………



パワード「シュワッ!!」

超獣「グァギャ……!!」


ドガァン…


青い瞳の銀色の巨人が放つ十字架状の光、メガスペシウム光線

その一撃が地球へ向かう超獣達の群れを纏めて蒸発させる



パワード『……まだいるのか…こいつらの全員を相手にするのは骨が折れるな』


超獣『……今だ』バシュン


パワード『!?』




構えを解いた一瞬の間

その瞬間、数体の超獣達がパワードの背後から一斉に光弾を放つ


パワード『しまった…!』


反応が遅れたためにバリアーの展開が間に合わず、
腕を交差させ、防御の構えを取る



310 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:59:10.72 ID:ZQVfKf9U0

シュゥウゥ…


パワード『………?』

超獣『?………あれは……』



グレート「ハァァ………」



一瞬の内に射線に割り込んだもう一人の銀色の巨人

大量の光弾は巨人の目の前の空間で一つに合わさり、完全に停止する



超獣『受け止めた…?この数を……』

グレート「ジェアッ!!」


超獣『!!』


ドガァァァァン…



両腕を前に突き出し、受け止めた大量の光弾を凝縮、
マグナムシュートとして撃ち返す


何倍にも強化された破壊のエネルギーが超獣達を消し飛ばす



グレート『………油断するな』

パワード『ああ、すまん助かった』


311 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 22:59:48.26 ID:ZQVfKf9U0

シュゥゥウウ……


大超獣「………」

パワード『!!……合体だと!?』



宇宙空間に四散した超獣達の肉片が霧のように変化し、
一ヶ所に集まって少しづつ巨大な超獣の姿を形成する



グレート『不味いな……この数が一体に融合するとなるとどれほどの強さに…』



ドガガガッ!



大超獣『!?』

???『ならば融合させなければいいんですよ』


グレート『!……君達は…』



肉体の形成途上の大超獣に直撃する三筋の光線

驚くグレートの背後に三人の新たなウルトラマン




スコット『確かに融合を許してしまえばこいつらは驚異的な強さになる……』

チャック『しかし集まった肉体が固着する前を攻撃すれば…倒すことは容易い!!』

べス『あと一撃……急いでください!』


312 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:00:16.65 ID:ZQVfKf9U0

???『我々に任せてくれ!』シュン



少しづつ完全な姿を形成しつつある巨体に、
怯むことなく名乗を挙げる二人のウルトラマン



80『ユリアン!敵は複数の体を合体させて何倍ものパワーを出している!我々も力を合わせて攻撃するんだ!!』

ユリアン『分かったわ、エイティ!』


シュン ガシッ!




襲い掛かる超獣を蹴って飛び上がり、
高速で交差する二人の体



80「トァアーーーッ!!!」


大超獣『………!!』



ドガガガッ!


超獣「グギッ!!?」




回転によって生み出されたエネルギーが刃となり、大超獣の体を両断

その勢いに乗って一瞬の内に辺りに蔓延る超獣達を殲滅する



パワード『よぉし!!』

グレート『……この辺りは片付いたか。一度合流すべきだな』



80『休んでいる暇は無い!急ごう!』





……………………………………
313 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:01:39.66 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………


〜見滝原〜


まどか「すごい…すごい!…いろんな人達が…!!」

ゾフィー『そう、戦っている……この星のために……君達のために』



ゾフィーが空に映し出したヴィジョンを見つめ、
瞳を輝かせるまどか



マン『希望の光はまだ消えてはいない』

セブン『形勢逆転といったところか……』


ズシン…


大超獣『!!』



小さなまどかを中央にして、
大超獣の前に並び立つ七人のウルトラマン達



エース『インキュベーター……最期の時だ!』







……………………………………
314 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:02:07.39 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………


〜インキュベーター・母艦〜



インキュベーター「なんだこの強さは……数ではこちらが圧倒的に有利だったはずが……」

ヤプール「宇宙警備隊を総動員か……やってくれる」



巨大なモニターに映し出された宇宙空間での激戦

その映像を眺めながら呟く一人と一匹



インキュベーター「……完全に彼らを甘く見ていた」

ヤプール「地球にいる奴等だけなら数で圧し潰すことも出来ただろうに」


ヤプール「一気に形勢が不利になったな。はっきり言って最悪だ」



食い入るようにモニターを見つめるインキュベーターに、冷たく言い放つ



ヤプール「こういった最悪の状況を逃れるために前の時間軸では隠密に事を進めていたというのに…」

インキュベーター「この時間軸でもそのつもりだったさ……」


インキュベーター「そもそもおかしかったんだよ」


インキュベーター「どういうわけか…僕達が鹿目まどかと接触する前に宇宙警備隊の数人が地球に送り込まれていた」

インキュベーター「それだけじゃない。別世界からのイレギュラー……彼らがどのような手段でこの世界に来たのかも解かっていない……」



視線を動かさず、思考を巡らせるインキュベーター

感情の無い声色は言葉とは裏腹に落ち着いていた

315 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:02:37.86 ID:ZQVfKf9U0

ヤプール「さて、どうするつもりだ?こちらの戦力はほぼ壊滅状態だ」

ヤプール「全滅は時間の問題だぞ?」


インキュベーターの小さな体を見下ろし、
口元にいやらしい笑みを浮かべる


インキュベーター「そうだね……とりあえず残りの個体を全て見滝原に送り込もう」

インキュベーター「あそこへのゲートだけは開いている。直接降下させる必要はないから宇宙にいる彼らに邪魔される心配もない」


ヤプール「それでは宇宙にいる敵を誰が抑える?」

インキュベーター「……大超獣に変身した個体が一体いる。時間稼ぎには使えるだろう」



ヤプールの顔を見上げ、表情一つ変えずに答える



ヤプール「……残りの戦力で先に地球を押さえようということか」

インキュベーター「ここまで追い詰められた以上これしかない……それが成功すればこの艦を地球に降下させ―――」




???『聞こえるか!?インキュベーター!!』




インキュベーター「!?」

ヤプール「!……」



母艦の周囲を映すモニターが、
大声で叫ぶ青いウルトラマンの姿を映し出す




……………………………………
316 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:03:06.94 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………



ヒカリ「ヌンッ!!」


ザシュッ!



襲い掛かってきた数体の超獣を右腕の光剣ナイトブレードで斬り払い、
目の前の巨大な球状の母艦へ叫ぶ青い巨人、ウルトラマンヒカリ



ヒカリ『聞こえているだろう!返事をしろ!!』


インキュベーター『……そんなに叫ばなくても聞こえているよ』


ヒカリ『……!!』


艦内にいるインキュベーターの声が、宇宙空間に響き渡る



ヒカリ『インキュベーター!貴様らの狂気に満ちた計画……全て調べさせてもらったぞ』

インキュベーター『……この艦に潜入していたのか』


ヒカリ『そうだ!貴様らが地上の戦闘に気を取られている隙に私はゾフィーとともに潜入し、データを探らせてもらった』


317 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:03:38.96 ID:ZQVfKf9U0

インキュベーター『データを探る…?それだけ?』

インキュベーター『なぜ内側からこの艦を沈めようとしなかったんだい?その気になれば不可能でもないだろう?』


ヒカリ『……お前達に全面的に降伏してほしい』



右腕のブレードを収め、
構えを解いて落ち着いた口調で話し出す



インキュベーター『戦いを止めて投降しろと?』

ヒカリ『……我々はいかな敵同士であろうと命を奪わずに済むことが出来るのならその道を選びたい』


インキュベーター『ふうん……仮に僕達が降伏したとして……それからどうするんだい?』



母艦から姿を見せず、探るような口調で尋ねる



ヒカリ『宇宙の為とはいえ、生命を弄んだお前達の罪は決して軽くは無い』

ヒカリ『だがその罪を悔改め、我々と共に宇宙延命のための別の道を探すというのならばその罪も……』



インキュベーター『…………』


シュゥン……


ヒカリ『……む?』

ヒカリ(超獣が……消えた?)


318 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:04:17.69 ID:ZQVfKf9U0

交渉を続けるヒカリの周りで待機していた超獣達が空間に空いた穴の向こうへ消え、
辺りが静寂に包まれる


インキュベーター『………』

ヒカリ『!!……インキュベーター!これは……』


交渉に応じたと判断したヒカリは歓喜の声を上げ、
完全に警戒を解き、母艦との距離をゆっくりと詰める


しかし…


ドガッ!

ヒカリ『ぐぉあっ!?』


無防備な背中に攻撃を受け、大きく仰け反る


インキュベーター『降伏するとでも思った?』


超獣1「グルルル……」

超獣2「……」


ヒカリ『な…!?貴様ら……!!』


自分を攻撃した二体の超獣を睨み付けた後、
再び目の前の母艦に視線を移すヒカリ

319 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:04:48.94 ID:ZQVfKf9U0

インキュベーター『その申し出を受け入れる気は初めからないよ』

ヤプール『間抜けなやつめ。油断して後ろに現れた二体に気付かんとは』


ヒカリ『!……貴様、ヤプールか!!』


母艦から響く冷厳な声

卑劣な騙し打ちを受けたヒカリは怒りに拳を握り締める


インキュベーター『こちらにはまだ手は残されているんだ。そう簡単に降伏は出来ないなぁ』

ヤプール『貴様が好き勝手に話している間に残りの超獣は見滝原へ向かった……残念だったな』


ヒカリ『卑怯者め……』


バチバチバチッ…


ヒカリ『許さん!!』



怒りのままに掲げた右腕に青い稲妻の光が宿り、
インキュベーターの母艦へ向けて必殺のナイトシュートを解き放つ


ヒカリ「セァアーーーーーッ!!!」

インキュベーター『………』


ドガァァアアン……


320 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:05:27.62 ID:ZQVfKf9U0

ヒカリ『……なに!?』


超獣を一撃で葬り去るほどの威力を持った光線

その直撃を受けたにもかかわらず目の前の母艦には傷一つ付いていなかった


ヒカリ『無傷だと……馬鹿な!』


インキュベーター『外部からの攻撃ではまともに傷を付けることは出来ないよ……一度目に侵入したときに破壊しておくべきだったね』

ヤプール『さぁ遠慮はいらんぞ超獣よ!今すぐそいつを―――』


ドグシャッ!


超獣1「ギッ!!」

超獣2「………!!」


ヤプール『!?』

ヒカリ『!………お前は…』


命令とともにヒカリに襲い掛かろうとした二体の超獣は、
光を纏った強烈な蹴りを受け爆散


赤いマントをなびかせた深紅の獅子がヒカリの前に現れる


レオ『退がれ、ヒカリ』

321 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:05:59.63 ID:ZQVfKf9U0

ヒカリ『レオ!………すまない、助けられたな』

レオ『構わん、それより一旦退くぞ』


ヒカリ『!……なにかあったのか?』


レオの言葉に声を荒げる


レオ『我々の仲間が合体した超獣を相手に手こずっている。加勢せねばならん』

ヒカリ『……やむを得んか』


シュン!


インキュベーターの母艦を一瞥し、
仲間達の元へ飛び立つ二人




……………………………………
322 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:06:31.58 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………


〜インキュベーター・母艦〜


インキュベーター「?……なんだ?やけにあっさりと退いたみたいだけど……」

ヤプール「………」


ドガァァアアン!!


インキュベーター「!?……なんだ!!」

ヤプール「………やはりな、侵入されていたか」



各所で起こる爆発

手を掲げると同時に巨大なモニターの画面が切り替わり、
艦内の一室、機関室が映し出される


そこには艦内を縦横無尽に暴れ回る、
青と赤色の体色をしたウルトラマンの姿があった



インキュベーター「やはり?………君は侵入者に気付いていたのか?何故教えなかった?」

ヤプール「聞かれなかったからな」


インキュベーター「!!……」




……………………………………
323 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:07:18.93 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………


〜機関室〜


ドガガガガッ!


???『ぉぉおおおらぁぁぁあああああ!!!』


重要な機器がむき出しの壁、床、天井

雄叫びを上げながら薙ぎ払う様に光線を放ち、
その全てを徹底的に破壊する


???『へへ……ここまでチマチマ潜入したんだ!思いっきりやらせてもらったぜ!』


燃え盛る爆煙と崩れ落ちる瓦礫の中で、
腰に手を当て、誇らしげに言う



???『さってと……ぶっ壊したらさっさと脱出しろってレオのジジイに言われたしな……行くか』

???『待ってろよ、魔法少女!………あと親父!』



ドゴォォオオオン!



……………………………………
324 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:07:45.35 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………


インキュベーター「まずい……このままじゃ地球に落ちる…!」

ヤプール「……さてどうする?」



激しい振動とともに地球へと進むインキュベーターの母艦

切迫した状況下にも関わらず、
不気味な笑みを消すことなく静観するヤプール



インキュベーター「……君はまるで諦めているみたいだね?」

ヤプール「私はこの状況でお前達がどう判断するのかが気になるだけだ……降伏するか、しないのか」



インキュベーター「………とりあえず反重力装置の復旧が急務だ」

ヤプール「だろうな。だが地上の敵に姿を曝すことは覚悟しておいた方がよさそうだ」



インキュベーター「…………」






……………………………………
325 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:08:17.86 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………



???1『う、うわぁ……なんかすごいことになってる……』

???2『これって協力した方がいいのかな…?』


インキュベーターの大超獣と激戦を繰り広げるウルトラ戦士達

その光景を遠くから眺める二人の赤い巨人


???1『あったりまえじゃん!本物のウルトラ戦士達と一緒に戦えるなんて……あぁ〜!なんてツイてるんだ!!』

???2『戦いが終わってからでいいじゃん』


シュン!


???2『!! ちょっと!?』


相方の制止を聞かず、
片方が激戦地にむかって一気に飛び出す


???1『待ってらんないよ!君も早く!!』

???2『……分かったよ!』





……………………………………
326 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:08:51.40 ID:ZQVfKf9U0

……………………………………

〜見滝原〜



大超獣『……!?』


ググググッ…


ダイナ「ウォォオオオ………!!」

ティガ「ハァァアア……!!」



下敷きになっていた二人に力が戻り、
大超獣の両足が少しづつ持ち上がり始める



ネクサス「…………」グッ



そのそばで倒れていたネクサスの目とエナジーコアに光が宿り、
ゆっくりと、力強く立ち上がる



マミ「なに…?ソウルジェムの穢れが……?」

ほむら「街の中央からの光………あそこで何があったの…?」


街の中心部でゾフィーが解放した光エネルギー

それは離れたところで戦う他のチームの者達にも届き、
再び戦う力を取り戻させていた
327 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:09:20.56 ID:ZQVfKf9U0

ネクサス『……この際深く考えるのはよそう』キュイン

ほむら「!……孤門、あなたも力が……」


シュォォン…

ネクサス(J)「………」



左腕を胸のエナジーコアに当て、光に包まれるネクサスの体

生体甲冑が体を覆うとともに銀を基調とした体色が赤く変化

アンファンス形態から更に力を解放した姿、
ジュネッスへとフォームチェンジする



大超獣『まだ何かするつもりかい……?』


ググググッ…


ティガ『!……アスカ!!』

ダイナ『分かってますってダイゴさん……!!』



大超獣の足に踏みつけられながらもお互いの名を呼び合い、
足を受け止める腕に、より一層の力を込める



ダイナ『本当の戦いは……ここからだぜ……!!』

ティガ「ハァァアアアアッ……!!」



キュイィィン…


328 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:09:48.68 ID:ZQVfKf9U0

大超獣『な……!?』


ズズゥウゥウン……


踏み付けられていた二人の姿は光に包まれ、
それとともに爆発的に上昇する二人の力


大超獣『なんだ…!?このパワーは……』


その力に耐え切れず、仰向けに倒れる大超獣



マミ「!!…あの姿は!?」

ほむら「……これで赤いウルトラマンが三人ね」



呆然と見上げる二人

その視線の先には、
真っ赤な体色で、先ほどよりも筋肉質に変化したティガ、パワータイプとダイナ、ストロングタイプの姿があった


ティガ(P)「………」

ダイナ(S)『さっきまでの借り……千倍にして返してやるぜ!!』

329 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:10:23.17 ID:ZQVfKf9U0


大超獣『………力を取り戻したくらいでいい気にならないでほしいな』

シュゥウン

マミ「!……またバリアーを…!!」


巨体を起こし、
五人の前で再び亜空間バリアーを展開


ほむら「あれがある限り……ダメージを与えることは……」


シュン


ダイナ(S)『だったら力づくでブチ破る!!』

ティガ(P)『……とどめは君達に任せるよ』


大超獣『……』



相変わらず余裕めいた態度を崩さない大超獣に対し、
同じく余裕の態度で進み出る二人



マミ「!…待ってください!あのバリアーは正面からではいくら攻撃しても……!!」

ガシッ

マミ「!?」


330 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:10:56.81 ID:ZQVfKf9U0

ほむら「……」

マミ「暁美さん!?」


二人へ駆け寄ろうとしたマミの肩を掴み、
険しい表情のほむらが無言で首を振る


ほむら「今私達が前に出たところでどうにもならない」

マミ「っ……!で、でも!!」


ほむら「……大丈夫、彼らならきっとやってくれる」ジャキッ

マミ「!……」


ディバイトランチャーを握り直し、
魔翌力を込めながら迷いなくマミに言い放つ



ネクサス(J)『チャンスは一瞬だ。外したら笑い話にもならない』

ほむら「ほら、早く構えて」


マミ「………ええ!」ジャキ



大超獣の巨体を見上げるネクサス

その足元には武器を構えた二人の魔法少女



大超獣『まだ理解できないのかな?このバリアーは……』

ダイナ(S)『やってみなくちゃわからねぇ!!』

シュゥン


331 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:11:26.32 ID:ZQVfKf9U0

ダイナ(S)「ディァァアアア………!!」

胸の前に発生したマグマのように赤いエネルギーを右拳に凝縮
腕を引き、腰を落として構える

ティガ(P)「ハッ!……ハァァアアアア……!!」

そこに続く様に、
両腕を左右から振り上げ、胸の前に灼熱のエネルギー粒子を集約し、
球状に練り上げる



大超獣『たった二人の攻撃で破ろうだなんて甘く見ないでほしいな』シュゥン



目の前でエネルギーを溜める二人に対して怯みもせず

絶対の自信を持つ自身のバリアーを周囲に張り巡らせると同時に、
大きく開いた口にエネルギーを集中



ネクサス(J)「…………」グッ

ほむら「……マミ、大型相手には……」

マミ「わかってる……」チャキッ



互いに目配せする二人

呼び掛けに答えたマミの両手には二丁のメテオールショットが握られていた

332 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:11:53.19 ID:ZQVfKf9U0

ティガ(P)「………ジェアァッ!!!」

ダイナ(S)「ディアァッ!!」


ドシュゥン!


静寂を破り、
二人に腕から一気に放たれる赤いエネルギー弾

熱風を巻き起こしながら大超獣の体を覆い尽くす亜空間バリアーに向かって進む


バチチチッ!!


大超獣「グッ………!!」



爆裂する真っ赤な粒子

直撃を受けた灰色のバリアーの向こうで、腰を落とし衝撃に耐える大超獣



ダイナ(S)『いけぇぇええーーーーーっ!!!』

ティガ(P)「………」


大超獣「グッ!……グッグ……ウゥ……!!!」


ピシッ


大超獣『!!!』


ほむら「!!………」チャキ


333 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:12:23.36 ID:ZQVfKf9U0



大超獣『な…!?あり得ない……!!このパワー……!!』


バキィィン……


驚愕し、よろめく大超獣

二人の攻撃を受けた位置から亜空間バリアーに亀裂が走り、
一瞬の内に全体へと広がった亀裂により、形を維持できずに砕けるバリアー


ティガ(P)『今だ!!』


ネクサス(J)「フンッ!!ウォオオォォオオッ………!!」シュイン

大超獣『!?……く…』



バリアーの消滅と同時に、
ネクサスが両手首を交差させ、エネルギーをスパークさせる



大超獣「ガァッ!!」

ネクサス(J)「ディェアァァアアッ!!!」



バシュゥン!!


334 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:13:04.08 ID:ZQVfKf9U0

バチッ!!

マミ「うっ……!!」


大超獣が咄嗟に口から発射した赤黒い破壊光線

それはネクサスが渾身の力を込めて放ったオーバーレイ・シュトロームと激突、
爆発とともに辺りに閃光が走る


ネクサス(J)「オォオオオオォ!!!」

大超獣『………!!』


バシュン!!



互いの力が拮抗するのはほんの一瞬

一気にエネルギーを解き放ったネクサスの光線は、
大超獣の光線を押し返し、破壊力を保ったまま顔面に直撃する



大超獣「グガァァアアアアッ!!?」


マミ「! 暁美さんっ!!」

ほむら「ええ…!!」ジャキッ



バァン!!


335 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:13:37.24 ID:ZQVfKf9U0

ネクサス(J)「ハァァアアア……!!」

大超獣『か、体が……!!再生能力が……!!!』


なおも光線の照射を続けるネクサス

少しづつ青い光に包まれる大超獣の巨体


そこへありったけの魔翌力を込めたほむらの魔法弾が迫る


マミ「これで………っ!!」

パシュン!

大超獣『!!?』



魔法弾が直撃するその瞬間、
マミの両手のメテオールショットから発射した青く輝く六筋の光が大超獣の上空で交差



マミ「………」チャキッ

ほむら「………終わりね、化物」


大超獣『こ、これは……ワルプルギスの時の……!!』


巨体を完全に覆い尽くす隔離フィールド、
ワルプルギスの夜を葬ったキャプチャーキューブが発動する
336 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:14:08.51 ID:ZQVfKf9U0


ネクサス(J)「…………」


光線の構えを解き、
ゆっくりと腕を下ろすネクサス


大超獣『さ、再生出来ない……!体が……消える……!』


外部から完全に隔離されたバリアー内では、
ほむらの放った魔法弾が大超獣の体を貫くと同時にバリアーの壁面をピンボールのように何度も跳ね返り、
オーバーレイ・シュトロームの直撃を受け、原子レベルにまで分解されかけている体を更に削り取る



大超獣「グ……オォ………!!」


シュゥゥウ……


バリアー内で増幅されたエネルギーを全身に浴び、
青い粒子となって消滅する大超獣
337 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:14:41.48 ID:ZQVfKf9U0

マミ「………倒した……のね」

ほむら「……ええ」


キャプチャーキューブが完全に消え去った後、
風に乗って消えていく青い粒子が勝利を物語っていた


ズシン…

ネクサス(J)『ここは……もう片付いたみたいだ』


シュイン

ティガ『なら話は早い。ほかのチームの救援に行こう』

ダイナ『休んでる暇は無いみてーだな!』


ネクサスが確認するように辺りを見回しながら言い、
それを聞いて通常の形態へとチェンジする二人


ほむら「行くなら街の中心のAチームね……私達を救ったあの光の正体も確かめておきたいわ」

マミ「……なら急ぎましょう!」


ダイナ『おう!』



勝利の余韻に浸る暇もなく、
仲間達の元へと向かう五人



ほむら(まどか………無事でいて……)



……………………………………
338 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:15:16.33 ID:ZQVfKf9U0
……………………………………


〜同時刻〜


シュゥウ…


さやか「……んっ……?」ピクッ

大超獣『!!……』


街の中心から伸びる光がさやかの体に宿り、
ソウルジェムの穢れを浄化、ボロボロに傷付いた体を完全に回復させる


さやか「あれ……?もう治ってる……?」


自身の状況に戸惑いつつ、
完治した足を摩りながら立ち上がるさやか


さやか「なんで?……だってあたしあんなに……」


ズシン


超獣1「グァルルル……」

超獣2「グゥ………」



さやか「う!?……っくそ!!」バッ

339 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:15:43.22 ID:ZQVfKf9U0

考える暇も与えず、
さやかに向けて振り下ろされる超獣の爪

さやかは咄嗟に剣を拾い上げ、手を添えて守りの姿勢をとる


ドガガッ!


超獣1「グッ!!」

超獣2「!?……」


さやか「…………え?」



高速で放たれた光弾が二体の超獣の横っ面に直撃し、攻撃を阻止する



さやか「……あ……!!」


ガイア『……間に合った』

コスモス「………」



恐る恐る目を開けると同時に視界に入り込む赤と青、
二人のウルトラマンの姿

その両名ともがカラータイマーに再び輝きを取り戻していた



さやか「よ……よかった……二人とも無事だったんだぁ……」


力が抜けたかのように、地面にへたり込む


340 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:27:02.42 ID:ZQVfKf9U0

ガイア『大丈夫?さやかちゃん……』

コスモス『怪我は無いみたいだけど………もしかして君も?』


さやか「う、うん……あたしボッコボコにやられてたのに気が付いたら……」グッグッ


目の前の二人の姿を見上げながら、
さやかは体の調子を確かめるように二、三度手を開閉させる


ズシン…


大超獣『やれやれ、また君達を倒さなきゃいけないのかい』


超獣1「………」

超獣2「ガゥゥゥウ……!!!」


さやか「!!……」


大地を踏み拉き、三人を見下ろす大超獣

それに続いて攻撃を受けて倒れていた二体も起き上がり、三人に迫る

341 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:27:31.90 ID:ZQVfKf9U0


ガイア『……それはこっちの台詞だ!』

コスモス『これ以上お前達の好きにはさせない!』


さやかを後ろに退がらせ、構えを取る二人


大超獣『…………やる気十分だね』


大超獣『美樹さやか、止めなくていいのかな?』

さやか「!……だ、駄目っ!!」


ダッ


ガイア「!?」

コスモス『さやかちゃん……?』



攻撃を仕掛けようとする二人の前に飛び出し、
両手を広げて制止するさやか



コスモス『何故……』

さやか「あ……あいつの腕に……杏子が…!!」


342 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:28:08.94 ID:ZQVfKf9U0

ガイア『!?…腕の中に?……それは一体…』

さやか「わ、わかんないよ!!……あたしを庇って……腕に飲み込まれて…」


コスモス「………」シュン



コスモスの目がほんの一瞬輝き、
集中力を高め、大超獣の左腕に視線を注ぐ



コスモス『!……いる……確かに…』



透視能力が発動し、
大超獣の腕の中で胎児のように眠る杏子の姿を見抜く



大超獣『察しのいい君たちならこの意味が解かるだろう?』


超獣1「………」

超獣2「………」


大超獣『もっとも…彼女を[ピーーー]覚悟があるなら別だが』



さやか「!!………」

ガイア『…そんな……』

コスモス『………』



大超獣『どんな手品を使ってエネルギーを取り戻したかは知らない』

大超獣『……だが所詮こんなものさ』


バシュゥン!


343 : ◆jPpg5.obl6 :2011/12/19(月) 23:28:45.98 ID:ZQVfKf9U0

ガイア「!! ディヤッ!」シュイン


発射された破壊光線

ガイアは咄嗟にバリアーを展開し、その攻撃に備える


ドガガガッ!


ガイア「グォアッ!?」

さやか「あ……我夢さん!!」



しかしバリアーは易々と砕かれ、
直撃を受けたガイアは吹き飛び、再び瓦礫の上に倒れる



超獣1「グォアアア!!」

コスモス「!! ハァッ!」ガシッ



動き始めた二体の超獣が一気に襲い掛かり、
迫り来る攻撃をコスモスはひたすらに受け流し続ける



超獣2「ガァッ!!」バシュッ

コスモス「……!?」



ドガァン!


344 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/12/19(月) 23:29:14.63 ID:ZQVfKf9U0

コスモス「グゥア……!」

さやか「む、ムサシさんっ!!」



遠距離から放たれた光弾が背中に直撃し、
倒れたところをもう一方の超獣に蹴り飛ばされる


反撃の許されない二人は防戦一方のまま、
再び追い詰められようとしていた



大超獣『殊勝な心がけだね。よく解かってるじゃないか』

さやか「ッ……く…ぅうう……!!」


唇を噛み締め、大超獣を睨み付けるさやか



さやか(どうすれば………どうすればいいの……!?)

さやか(せっかく力が戻ったのに……このままじゃまた……)



キィィン……



『……さやか!』

さやか「………!?」

345 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/12/19(月) 23:29:41.07 ID:ZQVfKf9U0

さやか「この声……杏子!?な、なんで……!?」

大超獣『……?』


さやかの頭の中に直接響く声

その声の主を探し、辺りを見回す



『おい……まだ生きてるんだろ!?』

さやか(!…そうか……念話だ……!!)



大超獣の腕の中から、魔法少女の能力でさやかの頭の中へ直接語りかける杏子

その呼び掛けに答えるために、意識を集中する



さやか『大丈夫、聞こえてる!』

『!……そうか……まだ無事…か』


さやか『うん、さっきまでへばってたんだけど……なんとか三人とも無事』

さやか『……それよりなんとか脱出出来ないの!?』


『……無理だ。こっちは指一本動かせねぇ』


346 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/12/19(月) 23:30:06.78 ID:ZQVfKf9U0

さやか『……そんな……』

『…………』


わずかな期待を込めた問いはあっさりと否定され、
がっくりと肩を落とすさやか


さやか『……でも大丈夫だから!内側からじゃ駄目ならこっちから……』


ドガッ


ガイア「グオッ!?」

コスモス「ウォアッ!?」



二人の間で念話が交わされている間も攻撃は続き、
絶望的な状況は何も変わらない



さやか「!!……」


347 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/12/19(月) 23:30:49.80 ID:ZQVfKf9U0

『……こっちから外の様子は分からねぇけど…やばいんだろ?』

さやか『!! そ、そんなことないから!絶対なんとか――』


『こいつどうせアタシを盾にして脅し掛けてきてんだろ?』

さやか『っ………!!』


『ほら、図星だろ』



考えを全て見透かしたような、
落ち着いた口調で語りかける杏子

さやかの頭の中に響く声は悲しげで、それでいて何かを決意したかのように力強かった



さやか『……まだ……まだ何か方法が……!!』

『いや、もういいんだ』






『アタシごとこいつを叩き切れ』




348 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2011/12/19(月) 23:35:04.19 ID:ZQVfKf9U0
どこで区切ろうか考えた結果今日はこのくらいで終了です
この辺からウルトラマン無双状態は終わって魔法少女メインにするつもりです
宇宙の人たちはあくまでおまけ
地上組もフェードアウトしていく予感

待たせてしまって申し訳ないです


へへ……俺、これが終わったらさや杏書くんだ…
349 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 23:46:47.38 ID:TxEtF+aKo
ありがとう!ありがとう!乙〜!
350 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 23:46:48.03 ID:hlx1BJOa0
乙ですたー!
今頃はヤプールが呼んだ造園をアンドロメダ支部隊長とその弟が二人で無双して蹴散らしてると脳内補完しつつ
次回を楽しみにさせていただくます
351 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 00:21:44.96 ID:uLy8t8p+0
ひさしブシに更新されてんね
352 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 00:23:28.07 ID:Bj8EsjIwo
お疲れ様でした。
353 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 01:07:06.16 ID:VUOmI+oWo

待ってた甲斐があったー
354 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 01:24:34.64 ID:ojSDC3xn0
俺が大好きだったコスモスが活躍出来なかった
355 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 01:29:05.01 ID:3+f9eXlAO

まさかのオールウルトラマン…だと…

しかしアイツもいるという事は、まさかあの悪のウルトラマンも
356 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 09:14:49.98 ID:u5FbVRpMo
知っているのか>>355!!!
357 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 10:16:26.91 ID:+DH992+AO
レオ兄さんキタァァァァァァァァァ
アストラはまた消息不明か
358 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 16:01:12.99 ID:gnZGWFbI0
アグル…
359 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 19:45:26.18 ID:Sdjd6K4uo
ゾフィー兄さんがかっこよすぎる…

いつものヘタレじゃなくてよかった
360 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 19:54:48.14 ID:FQm+ampc0
パワータイプとストロングタイプの共闘は胸熱だな…両方ともスーアクがメタルドーパントだっけ
これでスプリームが加われば負けようがないな
361 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 21:16:16.79 ID:YJM1KRfT0
超乙!
さすがにウルティメイトフォースゼロは出ないか、でもゾフィーの活躍に胸熱。ストーリー0へのリスペクトもGJ
362 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 01:39:35.35 ID:i19ACD0s0
もうスーパーウルトラマンタロウにもメビウスインフィニティにもなり放題だな
363 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 15:22:42.91 ID:E/JxIfIj0
???1のウルトラマンって「本物のウルトラ戦士と〜」とか言ってるところを見るとナイスさんかな?
364 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 16:07:29.45 ID:W0j2pr4g0
???の二人はゼアスとナイスではないでしょうか?多分
365 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:08:24.92 ID:FrXfmB4Mo
>>356
ゼロとベリアル(アーリースタイル)でしょ?
366 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 14:56:19.99 ID:FrXfmB4Mo
>>364
ズバリあってるよ。
367 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:54:23.30 ID:VTmwNpcWo
今年は龍タイプのウルトラ怪獣の年だよ。
368 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:05:10.16 ID:B9yytxNs0
製作元が違うが、龍タイプの怪獣はどうしてもキングギドラに比べたら見劣りするんだよな。TV番組と映画の差だから仕方ないんだけど
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/10(火) 23:15:56.85 ID:uQL7H/t9o
うおおお、久しぶりに来たらダイナマイトさんが活躍してる…やったぜ
370 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/16(月) 23:05:21.24 ID:6bZfRkZr0
時間経つの早いよ…
明日更新します
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 23:06:44.27 ID:lnYXzZW+o
おお!期待するぜ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/16(月) 23:34:24.15 ID:cWwolm1AO
>>370
ついに来るか
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/01/17(火) 20:41:26.01 ID:4r5oDBpFo
>>1が・・・帰ってきた!!
374 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:05:07.37 ID:NuaZeBsO0
再開再開
375 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:05:46.82 ID:NuaZeBsO0


さやか「は……ぁ……?」


思いもよらない答えに念話の為の集中が途切れ、
さやかの口から間抜けな声が漏れる


大超獣「……?」



『……おい、聞こえたか?』

さやか『なに……言ってんの!?』


大超獣に悟られないよう、
咄嗟に集中力を高め、念話を再開する



『アタシが邪魔で攻撃できないんなら……アタシごと斬りゃあいい』

さやか『や……だ!そんなのいやだ!!』


『どっちにしろこいつらはアンタ達を殺した後、アタシも始末するだろうさ……』

『こうしてる間にも意識が飛びそうだ……早く頼む』


さやか『そんな……そんこと出来ないよ………!!』



『聞け、さやか』


376 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:06:20.03 ID:NuaZeBsO0

『躊躇うな、こいつらは一度上手くいくと今度も同じ手を使ってくる』

『このままじゃアンタ達どころか他のやつらも危ないんだよ』


さやか「………ぅ…ぅぅううう…!!」



耳を塞ぎ、
弱々しくかぶりを振るさやか

それに構わず穏やかに話し続ける杏子



『……帰るべき家……っていうのかな?それもこのクソ野郎にぶっ壊されちまった』

さやか『………』


『でも…最後に残ったアンタ達だけは無くしたくない』

さやか「!……」



『どうせ死んじまうアタシの為に……無駄に傷付く必要はないよ…』

さやか「ば、バカ!なんでそんな……」


377 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:06:41.02 ID:NuaZeBsO0

大超獣『……なるほどね、念話か』

さやか「!?」


『!! 気付かれたか!?』


バチバチッ!


『っぐ!?ぁ……!!』



二人の頭の中に割り込む声

念話に気付いた大超獣は左腕を上げ、腕に埋め込んだ杏子に電撃を流し込む



さやか「杏子……!?杏子っ!!?」

『…さ、さや…か……アンタ達なら……勝つって……』



『信じてる……から…な』

さやか「!!!」



さやかそう言うとともに念話は途切れ、
同時に大超獣の腕に流れる電撃も止まる



さやか「…………」

大超獣『気絶させただけだ。死なれちゃ盾にならないからね』
378 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:07:09.83 ID:NuaZeBsO0

大超獣『それで?今更彼女と話したくらいじゃこの状況を打破する方法なんて―――』

さやか「…………」


シュィン


大超獣『!!』



剣を空へ掲げ、
強烈な閃光が辺りを眩く照らす



さやか「ぅぅぅううう………!!!」

大超獣『なに……!?美樹さやか……君は……』




さやかの叫びに呼応するかのようにソウルジェムから溢れ出す青い光

その光が刀身に纏わりつき、
暗雲に覆われた空を貫く様に一直線に伸びる光の剣


その大きさは大超獣の巨体を完全に上回っていた


379 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:07:43.77 ID:NuaZeBsO0

ガイア『さやかちゃん……!?何をする気だ!?そんなに力を使えばソウルジェムが……』

コスモス『!!……待ってください、あれを!』


光を放ち続けるさやかのソウルジェム

しかしそれは穢れによって黒く染まりきっておらず、
未だに青い輝きを放ち続けていた



大超獣『これほどの魔力を使用してもなおその状態を保っていられるとはね……契約時からここまで伸びるものなのか』

スッ


大超獣『だが君では無理だ。そうだろう?』



さやかを見つめながら、左腕を盾にする大超獣

その余裕が崩れる様子は微塵も無い



さやか「……………」ダッ



ガイア『!?……まさか……』

コスモス「………!」

380 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:08:10.42 ID:NuaZeBsO0

さやか「ぁぁああ………!!!」

ダッダッダッ


大超獣『!!……正気かい…?』



唸り声を上げると同時に目の前の巨体目掛けて一気に駆け出し、
剣の柄が折れんばかりに力を込める



ガイア『よせ!!早まるな!!』



大超獣の攻撃を受け、
地に伏していたガイアが叫ぶも

目を見開き、怒りにまかせて剣を振りかぶるさやかには届かない



さやか「ぁぁぁああああああ!!」

大超獣『馬鹿な…!こちらには佐倉杏子が……!!』



想定外のさやかの行動

そしてその勢いに気圧され、腕を掲げたまま後ずさる


381 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:09:15.68 ID:NuaZeBsO0

凄まじく長大に変化した光剣

さやかは狂ったような咆哮を上げながら、
自身の何倍かも分からない剣を背負うように振り上げる


超獣1「グァガァアアア!!」


ドガァン!


さやか「―――――――!!!」



放たれる光弾

辺りで起こる爆発もさやかの目には入らず


空気を切り裂きながら、叫びとともに

剣を一気に振り下ろす



さやか「うあぁぁあああーーーっ!!!!」


382 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:10:51.26 ID:NuaZeBsO0

ピタッ


大超獣『!』

さやか「っ…く…ぅううう…」


しかし刃は大超獣の眼前で止まり、その巨体を斬り裂くことはなかった


大超獣「今だ…!!」

さやか「あっ!?」

バキン!


その隙を逃さず大超獣は光の剣を打ち砕き、
魔力が拡散した衝撃で吹き飛ぶさやか


さやか「うぐっ!……う…」



383 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:11:21.06 ID:NuaZeBsO0


さやか「っ……く……ぅう………」


地面に顔を擦りつけたままのさやか

声を震わせ、
瞳から零れ落ちる涙が大地を濡らす



さやか「………や…だ……」

さやか「こんなの………やだ……」ポロポロ


さやか「昨日……一緒にいようって………言ったばっかりなのに……」

さやか「あたしが………アイツを…き、斬るなん……て…っう、く……」



さやか「そんなの……やだぁぁああああっ………」ポロポロ



完全に箍が外れ、先程まで怒りに任せて剣を握っていたさやかは膝を着き、
廃墟となった街に響き渡る様な声で泣き出してしまった



さやか「助けて……」

さやか「アイツを………助けて……」


384 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:11:49.17 ID:NuaZeBsO0

ズシン

大超獣『やれやれ』


再び余裕を取り戻した大超獣が迫り、に語りかける


大超獣『美樹さやか。君も、イレギュラー達、もどうしてこう愚か者揃いなのかな?』

大超獣『あそこで止めなければ僕を倒すことも出来たかもしれないというのに』


コスモス「―――――!」バッ



拳を握り締め、力強く立ち上がる



コスモス『大切な仲間を思う彼女達の気持ちを……お前はそれを愚かと呼ぶのか!!』


大超獣『そうだよ。現に今、君達はその無駄な感情のせいで追い詰められようとしている』

大超獣『勝つために必要な犠牲が出ることも考えなよ……こんなふうにね』


ガシッ


超獣2「………」

コスモス「!?」

385 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:12:17.74 ID:NuaZeBsO0


指示するように左腕を掲げる大超獣

それと同時に一体の超獣がコスモスを羽交い絞めにし、
動きを完全に拘束する



大超獣「ガァッ!!」バシュウン

ガイア「!!!」



大量のエネルギーが練り込まれた光弾を、
身動きの取れないコスモスへ向けて発射する




さやか「う、うそ…!?」


ドガァァアアン…


コスモス「!………」

超獣2「ギッ…!!」

386 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:12:59.31 ID:NuaZeBsO0

シュゥウ…


コスモス(C)「…………」

大超獣『この攻撃では止めには遠く及ばないか……それが分かっただけでも十分かな』



舞い上がった爆煙の中から、
間一髪でコロナモード変化して脱出したコスモスが姿を現す

しかしコスモスに組みかかっていた超獣は吹き飛び、原形を留めないほどに爆散していた


さやか「み、味方ごと…撃った……」



目の前で行われた非情な行為に呆気にとられるさやか


大超獣『なにを言っているんだい美樹さやか』

大超獣『もう一歩で君も僕と同じことをしていたんだよ?』



さやか「ッ……!!」



声にならない嗚咽を吐き出しながら、
耳を塞ぎ、頭を抱えてかぶりを振る



さやか「あ、あたし……は……」


さやかの目尻に溜まった涙が、ゆっくりと頬を伝った


コスモス(C)「………!!」


387 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:13:37.10 ID:NuaZeBsO0


コスモス(C)『なぜ彼女達の未来を……笑顔を奪うんだ!?お前達にそんな資格があるのか!!』


さやかを見下ろしていたコスモスが顔を上げて立ち上がり、
目の前の巨体に向けて叫ぶ


大超獣『この宇宙では他者を圧し、支配するための力が全てだろう?』

大超獣『そこに『資格』などというものは必要ない』


ガイア『またヤプールの受け売りか!なぜ自分の意思で考えようとしない!?』

大超獣『考えるもなにも最も合理的で確実じゃないか。ヤプールの力を見れば君達も確信できるよ』



二人の意見を、感情の無い声が嘲笑うように一蹴する



さやか「…………」



頭の上で飛び交う言葉は耳には入らず、
失意に沈むさやかは膝を落とし、うな垂れていた



コスモス(C)『……さやかちゃん』


388 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:14:07.57 ID:NuaZeBsO0


さやか「………?」


不意に名前を呼ばれ、
自分を見下ろすコスモスに視線を移す


コスモス(C)『杏子ちゃんは助け出す。絶対に』

さやか「!! そ、そんなこと出来るの!?」


大超獣『ほう』



コスモスの言葉に、立ち上がって咄嗟に聞き返すさやか



コスモス(C)『出来る…やって見せる』

コスモス(C)『だけどそのためには……君の力が必要だ』


さやか「あたし……の?」


思いがけない答えに声を漏らし、
再び顔を伏せるさやか


さやか「……無理……無理だよ」

コスモス(C)「………」



さやか「いざとなったら何も出来ないあたしじゃ……アイツを助けてあげる事なんか出来ない…」

さやか「あたしには……もう何も……」


震える両手を見つめ、
今にも泣き出してしまいそうな声で話し続ける


389 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:14:33.91 ID:NuaZeBsO0


コスモス(C)『それは違うよ、さやかちゃん』

さやか「……え?」


再び片膝を地面に着き、さやかに語りかける

コスモスに指差されたさやかは戸惑いながらその姿を見上げる


コスモス(C)『思い出すんだ。君が魔法少女として彼女達と触れ合い、手に入れたものを』

さやか「あたしが手に入れたもの……?」


ガイア『………』


大超獣『へぇ、まだ君はそんな事を言っているのかい』




ブンッ


さやか「!?」

コスモス(C)『! しまった…!!』


ガイア『二人とも、危ない!!』


ドガッ!!

390 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:15:06.20 ID:NuaZeBsO0


ガイア「ガッ…!?」


二人を守るために咄嗟に腕を交差させ大超獣の尻尾の一撃を防ぐが、
受け止めきれずに豪快に弾き飛ばされる


さやか「我夢さんっ!!」

大超獣『君達二人もいい加減倒れなよ!』


バチバチバチッ


さやか「う…うわぁああ!!」



目を瞑り、両腕で顔を覆う


大超獣が両腕を突き出して放つ赤い雷撃が、
ガイアへ視線を向けたままの無防備なさやかへ襲い掛かる



コスモス(C)「ハァアッ!!」

バチッ


さやかの体を跨ぎ、すかさずサンライトバリアを展開して雷撃を受け止める



さやか「うっ……あっ!?」

ドシャッ


二つのエネルギーがぶつかり合った事で生まれる衝撃波が、
さやかの体を持ち上げ、枯葉のように吹き飛ばす


391 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:15:34.73 ID:NuaZeBsO0

大超獣『上手く止めたね。でもいつまで持つかな?』


バチバチバチッ


コスモス(C)「グゥッ……ォオオオア……!!」ググッ


バリアーで受け止めてもなお、
押し潰すように両腕から雷撃を照射し続ける大超獣


その勢いに押され、
踏みしめた両脚が地面を削り、少しづつ滑り始める



超獣「クキャアァァアア!!」

ドガッ

ガイア「グォッ!?」


ガイアを超獣が何度も踏みつけ、立ち上がることを許さない


さやか「!……くっ…そぉおおお…!!」ガッ


うつ伏せに倒れていたさやかが窮地に陥った二人の姿を見て、
唇を噛み締めて、握り締めた拳で地面を叩く


392 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:16:03.26 ID:NuaZeBsO0

さやか(どうすれば……どうすれば…!!)


眉間にしわがよるくらいまで目をきつく閉じ、
必死に思考を巡らせる


さやか(今のあたしに出来ること……!?今のあたしに残されたもの……!?)

さやか(あたしがこの一ヶ月で手に入れたもの……)



さやか(――――――!!)


彼女の目の前には追い詰められながらも諦めない二人のウルトラマンの姿



さやか(なんとなく……なんとなくだけど……)


さやか(解かった………かも……)








……………………………………
393 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:16:31.61 ID:NuaZeBsO0

……………………………………


……………………………………


……………………………………






見滝原ではない、どこかの街の寂れた教会

そこかしこに張り巡らされた蜘蛛の巣

壁に取り付けられた大きな十字架は埃で黒ずんでいて見るも無残な状態



杏子「……………」



その教会に並べられたボロボロの長椅子の上で、
一人で膝を抱えて三角座りをして、顔を伏せたまま動かない佐倉杏子の姿があった



砕けた教会の窓から覗く外の景色は、
何も無い、ただ暗闇が続くだけの無の空間




『杏子………佐倉杏子……』


杏子「………」ピクッ



394 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:16:58.92 ID:NuaZeBsO0


頭の中に響く優しい声に、杏子は微かな反応をみせる


杏子「……誰だい?アタシを呼んだのは」


呼び掛けに答える杏子

しかし顔を上げようとはせず、濡れてくぐもった声が響くのみ



『私だ………覚えていないか?私は一度君に声を送った事がある』

杏子「……あぁ…なんか聞いたことあるぞ、アンタの声」


杏子「確かアタシがブチ切れてさやかをぶちのめした時だったっけかな」

『そうだ、私はあの時君を静めるために声を送った』


杏子「ムサシじゃなくてコスモス…か……あったねそんなことも」



疑問が解けたにも関わらず、まったく変わらない声音

なおも顔を伏せたまま動かない



『杏子、立て』

『このままでは君の精神が闇に飲まれて消えてしまう……』


杏子「いや、もういいんだよ」


『……?』


395 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:17:29.02 ID:NuaZeBsO0


杏子「やっぱり……アタシがあいつらといちゃ駄目なんだ」

『………』


膝を抱え込む手に、少しだけ力が入る


杏子「ずっと心に引っ掛かってたんだ。アタシがあいつらと一緒にいて本当にいいのかなって」

『どういう意味だ?』



杏子「アタシは……自分の馬鹿な願いのせいで何もかも失ってさ」

杏子「それで何とかして自分の居場所を手に入れるためにどこまでも進んで……どこまでも走って……」


杏子「今思えば寂しさを紛らわしたかっただけなのかもな」


『………』


コスモスへ向けて、
くぐもった声で淡々と話し続ける杏子


杏子「……それであいつらと出会った」

杏子「さやかもマミも……まどかもほむらも……勿論アンタらだって」

杏子「アタシみたいなやつを受け入れてくれた……」



『そうだ、彼女達なら……』

杏子「でも駄目なんだよ」


396 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:17:56.15 ID:NuaZeBsO0


『……!』


コスモスの言葉を、震えた声で遮る杏子


杏子「今、あいつらは苦しんでる……アタシのせいで……」

『杏子……』


杏子「まるで疫病神だろ…?ここまでくると才能だね……」



自身に対しての皮肉めいた言葉とは裏腹に、
杏子の肩は震え、顔を覆う腕の隙間からは静かに涙が滴り落ちていた



杏子「もし……仮にここを生き延びることが出来たとしても…だ」

杏子「いつかまた……アタシは絶対にあいつらに迷惑掛けちまう」


杏子「だからもう……アタシは―――」


『杏子、それは違う』



397 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:18:26.69 ID:NuaZeBsO0



杏子「…?」


今度はコスモスが杏子の言葉を遮り、話し出す


『迷惑を掛けるというのは違う』

杏子「……どういう意味だ?」


顔を伏せたままの状態で、
張り付いたようにその場から動かない杏子が聞き返す


『彼女達が君を受け入れたのが単に憐れみや同情だけのはずがない』

『君は再び手に入れた大切なものを守ろうとしただろう』


杏子「………!」



一週間前、仲間達と共に戦ったワルプルギスの夜の光景、
そしてUキラーザウルスの攻撃から身を挺して仲間達を守ったときの光景が杏子の頭を過ぎる



『彼女達はそんな君の姿に応えてくれたのだろう』

杏子「………」


『今、君を助け出すために戦っている者達も……迷惑だなんて思ってはいない』

『仲間である君が大切だから……そう『してあげたい』からするんだ』


杏子「アタシの……ために……?」


『そうだ』

『君の最初の願いも……そうだったはずだ』


杏子「!!!」


398 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:18:55.22 ID:NuaZeBsO0

バンッ!

杏子「……!」


勢いよく開け放たれる教会の扉

それとともに外から入り込む強烈な光が薄暗い教会内を照らす


『進め……そして彼女達とともに未来を掴め』

杏子「………」


顔を上げた杏子は眩しさに片手で目を覆い、
細めたままの目で外の光を見つめる


杏子「はは…駄目だな……まーだ頭の中に嫌なイメージがこびりついて…離れないよ……」

『……そうか』


杏子「やっぱり……まだ怖いんだな、アタシは」


自嘲気味な笑みを漏らし、長椅子から立ち上がるも、
杏子の足は震えていた



『だが君になら解るはずだ。その恐怖を乗り越えるために必要なものが』

杏子「………!!」


杏子「……………」スッ




コスモスの問い

その答えを瞬時に理解した杏子は、
小さく深呼吸をして、扉の外の光に向けて一歩づつ進み始める


399 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:19:22.06 ID:NuaZeBsO0


杏子(この怖れを乗り越えるために……)


杏子(あいつらと一緒に前に進むために、今のアタシに必要なもの……)


杏子(それは……)



……………………………………



さやか(今のあたしに残されたもの……)


さやか(みんなから貰った優しさ……ほんのちょっとの強さ……)


さやか(そして………)



……………………………………










杏子・さやか「「……勇気!」」










……………………………………
400 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:19:50.05 ID:NuaZeBsO0


シュゥウ…


さやか「……これは……?」

大超獣『!! ……なんだ!?』



さやかのソウルジェムから伸びる青い光の筋

そして大超獣の左腕、杏子が捕われている部分から漏れ出す赤い光の筋


その二つが、
バリアーを張って攻撃に耐えるコスモスの胸のカラーターマーへ宿り、
眩い光を放つ



コスモス(C)「!……ヌゥアアッ!!」

バチッ

大超獣『……!!』



コスモスが両腕を振り上げると同時にバリアーは砕け、
赤い雷撃は弾けて拡散する


コスモス(C)「ハァァアア………」シュイン



ガイア『!?………何が起ころうとしているんだ……?』

超獣「………?」


大超獣『またデータにない行動を……君達は本当に興味深いね』

401 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:20:27.90 ID:NuaZeBsO0


コスモス(E)「…………」


コスモスがゆっくりと腕を振り下ろすと同時に、
黄金に輝く体に走る赤と青の光のライン


ルナモードの美しい月光の如き優しさ


コロナモードの太陽の如き力強さ


そして二人の魔法少女の勇気が加わり、
エクリプスモードへとコスモスはその姿を変える



さやか「コスモスが……ムサシさんが…新しい姿に…!!」


地に伏していたさやかは立ち上がり、
目を輝かせて感嘆の声を漏らす



超獣「…………」ズンッ

ガイア『!! ムサシさん、敵がそっちに……!!』


コスモス(E)「!………」


力強い様相で大地に立ち、大超獣を睨み付けるコスモスへ、
先程までガイアを踏みつけていた超獣が駆け出して、鋭い爪を振り上げる



超獣「ガァァアアアッ!!」

コスモス(E)「ハァァアア…………」グッ

402 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:20:56.25 ID:NuaZeBsO0


地面を蹴り砕きながら迫る敵

コスモスはそれに怯むことなく、
ゆっくりと腰を落とし、右腕に光のエネルギーを集束させ、腰横に構える



超獣「ガァッ!!」

コスモス(E)「デェイヤァ!!」


ドガッ!!


さやか「あっ!!」

ガイア「!………」



振り下ろされる超獣の爪が体に当たるより一瞬早く、
空気を切り裂き、一直線に繰り出される一撃必殺の拳が

鈍い音と立て、超獣の体に沈み込んだ



超獣「ガッ…………」

バンッ!!

大超獣『ほう』



小さく呻き声を上げたその刹那、
超獣の体は粉々に砕け散り、辺りに肉片が四散する


コスモス(E)「ハァッ!」


正拳突きの構えを取り、大超獣を睨み付けるコスモス


大超獣『おやおや、やる気満々のようだ』


403 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:21:27.95 ID:NuaZeBsO0


大超獣『だが忘れたとは言わせないよ、ほら!』スッ

さやか「ッ……あいつっ…また…!!」


杏子を捕らえた左腕を眼下の三人に見せつけ、
大超獣はなおも余裕を崩さない


コスモス(E)「…………フンッ!!」キュイン



ガイア「!?」

さやか「えっ!?…ちょ、ちょっと……ムサシさん!?」



両腕を交差させたコスモス

十字の光が輝くとともに右腕を掲げ、
渦を巻いたエネルギーが腕に

拳の先に集中する



コスモス(E)「ヌゥゥウウゥ………」


シュゥウ……


大超獣『血迷ったかい?さっき君は美樹さやかを止めたんだよ?』

大超獣『にも関わらず君は……撃つとでも?』



コスモス(E)「ォォオオオォ………!!」


大超獣の問いに答えず、
さらにエネルギーを練り上げ、狙いを定める

404 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:21:53.71 ID:NuaZeBsO0


ガイア『……本当に撃つ気だ……』

さやか「っ……で、でもさっき助けるって……」


ガイア『何か策があるんだろう……あの人が杏子ちゃんを見捨てるなんてあるわけがない』

さやか「……そっか」


さやか「そう……だよね」


目の前のコスモスの姿を見つめたまま、
じっと動かない二人



コスモス(E)「………!!」

バッ


コスモス(E)「ハァァアアアアアーーーーーッ!!!」

大超獣『なに!?』



右拳を前に突き出し

眩い閃光を発しながら

奇跡の光、コズミューム光線を放つ









……………………………………
405 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:22:20.98 ID:NuaZeBsO0

……………………………………


……………………………………


……………………………………



杏子「………それで、どっちに進めばいいんだコレ?」


教会から飛び出し、
果てのない白い世界で彷徨う杏子

自分の後ろにあったはずの教会はいつの間にか消え失せ、
あてもなくただ歩き続けていた



杏子「声も聞こえなくなっちまったし……どうすっかなぁ…」


『………こ…』


杏子「あん?」



頭の中に響く声

だがそれは先程まで話していた声とは別、
自分がよく知る、仲間の声



『こ……きょ…こ……』

406 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:22:48.43 ID:NuaZeBsO0


杏子「この声……」


『きょ…こ!……き……』


途切れ途切れで上手く聞き取れない声

しかしその声が誰のものなのか、
杏子は既に理解していた



『起きろ!杏子!!』

杏子「はいはい……わかってるって」



自分を呼び続ける友の名を、杏子は静かに呟く



杏子「今行くよ、さやか」







……………………………………


……………………………………


……………………………………
407 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:23:18.18 ID:NuaZeBsO0

……………………………………




杏子「ん………くっ」ピクッ

さやか「!!……杏子っ!」


さやかの呼び掛けに反応した杏子は、
彼女の腕の中で目を覚ます


杏子「あれ、アタシは………」

さやか「っ……あはっ……起きた……」


杏子(アイツの腕に飲み込まれたあと……声が聞こえて……)


さやかに抱かれたまま辺りを見回す杏子


コスモス(E)「…………」

大超獣「グッ……ガァァア………!!」


杏子「!!」



離れたところで、光線を発射後、右腕を伸ばしたままの新しい姿のコスモス

そしてその光線受けて、
左腕が粒子となって消滅した大超獣の姿が杏子の目に入り、
ぼんやりとした意識が一瞬にして吹っ飛ぶ


408 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:23:49.66 ID:NuaZeBsO0


杏子「助かった……のか……」


あらためて自分の姿を見る杏子


少し穢れの溜まったソウルジェム

大超獣の体内に捕われていたことにより、全身に付着した水とは異なる不気味な液体

そして自分の体を抱きしめる二本の腕



さやか「!……つぅッ……」

杏子「あ……」



さやかの腕と足に見える擦り傷と痣

高所から落下する自分を受け止めたことにより出来た傷だという事を、
杏子は瞬時に理解した


さやか「う〜〜〜………」

杏子「……さやか、アンタ―――」



胸に顔をうずめたまま動かないさやかに、杏子が手を伸ばす


その瞬間



ゴンッ



杏子「あだっ!?」


409 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:24:22.42 ID:NuaZeBsO0

杏子「いっ……てぇぇええーーっ!!」


杏子の手がさやかの髪に触れようとした直前、
勢いよく繰り出されたさやかの頭突きが杏子の顎をかち上げた


完全に不意を突かれた杏子は痛みと驚きに声を上げる



杏子「なにすんだバカ!」

さやか「うっさい!バカ杏子っ!!」


互いに罵り合い、
腕を離したさやかは拳を握り、杏子の胸を何度も叩く

その間にもさやかの罵倒は続く



さやか「バカ!アホ!小卒!!」

杏子「こ、このやろ……」


さやか「バカバカバカバカバーカ!!」

杏子「あぁもう!!うるせぇ!!」


呼吸を乱し、肩で息をしながらも罵倒し、杏子の胸を叩く


さやか「……ば……かぁっ!!」

トンッ

杏子「………」


再び握り拳を作り、杏子の胸に向けて突き出す

しかし先程までとは違い、その手には全く力は入っていなかった



さやか「く………ひっ……ぅ…」ポロポロ

杏子「さやか………」


410 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:24:50.95 ID:NuaZeBsO0

弱々しく頭を垂れるさやか

髪の間から覗く頬には大粒の涙が伝っていた


さやか「なんで……なんでそんなこと言うのさ……」

杏子「!……」


さやかの言葉に戸惑いながらも、無言で聞き続ける杏子


さやか「仕方ないから死ぬとか……無駄に傷付く必要は無いとか……」

さやか「そんなこと……言わないで……」


杏子「………」


嗚咽混じりで涙を流しながら、
杏子の服の袖を握り締めるさやか



さやか「あたしは…あたしはもう少しでアンタを……」

杏子「っ……でも耐えられなかったんだよ!アタシのせいでアンタ達が苦しむなんて……」


さやか「だったらあたしだって耐えられないよ!!」

杏子「……え?」



無言であることを止め、声を荒げる杏子だが、
その言葉にさやかは更に大きく声を荒げて反論する


411 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:25:20.83 ID:NuaZeBsO0

さやか「あたし達のせいでアンタがそんなに悩むなんて耐えられない!!」

杏子「そ、それは……」


さやか「あたし達はね、もう誰かが欠けても駄目なの!!解るでしょ!?」

杏子「!!……っ……」


驚きで大きく見開かれた目

そこから零れ落ちそうになる涙を、杏子はなんとか堪える


さやか「バカだよ……アンタも……あたしも………」

杏子「…………ごめん」



杏子「ごめんな……」

さやか「うん……うん……っ……ごめん……」



言葉が続かなくなったさやかの頭に優しく手を置き、
杏子は手首で涙を拭った


412 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:25:56.06 ID:NuaZeBsO0

大超獣「グッ…ガ……ァアァアアアア!!!」


ブシュゥッ


さやか「!?」

杏子「!……あいつまだ動けるのか!?」


コズミューム光線で消滅した腕を再生し、
目の前で蹲る二人の魔法少女に迫る



大超獣『……ウルトラマンさえ倒してしまえば君達はどうとでもなるという考え方……』

大超獣『改める必要がありそうだね…!!』


ズシン…



さやか「く……杏子!一旦離れよう!!」ダッ

杏子「ああ…!……っ!?」


ドシャッ


さやか「!? 杏子!!」


立ち上がり、駆け出そうとする二人

しかしさやかとは対照的に、杏子は糸の切れた人形のようにその場に倒れ込む


杏子「わ、悪い……ちょっと…動けそうにないわ……」

さやか「………そ、そうだ!!」


さやか(杏子の体は私達と違って回復出来てなかったんだ……!)ダッ


急いで引き返し、杏子の体を抱き起こす



ズシン


大超獣『二人仲良く踏み潰してあげようじゃないか!!』


さやか「!!……杏子!捕まってて!!」

杏子「く……くっそ!アタシが…!!」グッ

413 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:26:31.96 ID:NuaZeBsO0

さやかの腕に体を預けながらも、
槍を生成して反撃に出ようとする杏子

しかしその腕から槍は生み出されることはなかった


杏子「駄目だ…!魔力もまともに練れない……」

さやか「いいから!逃げるのよ!!」


大超獣『逃がすものか!!』

コスモス(E)「! シュアッ!!」


バシュシュッ!


大超獣「……!!」ブシュッ


コスモスが右手先から放つ矢尻型の光弾が大超獣の頭部に連続して命中

火花が散り、小さな爆発を起こす


大超獣『……そんな小細工ではもう止められない』


コスモス(E)『!?……直撃のはずが…!』

コスモス(E)『やつはもう痛みすらも感じていないのか!?』


頭部の傷は瞬時に再生

咄嗟の攻撃も足止めにはならない



大超獣『佐倉杏子、美樹さやか……終わりだ!!』グオッ

414 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:27:15.79 ID:NuaZeBsO0

大超獣は振り上げた巨大な足を、
自身を見上げる魔法少女達へ一気に振り下ろす


杏子「ッ……!!」

さやか「うぅっ……!」


眼前に迫り来る一撃

当たれば即死は免れないそれに恐怖し、
思わず二人は下を向き、目をきつく閉じる



コスモス(E)『この位置からじゃ間に合わない……!!』


ギュン!


コスモス(E)「!?」




大超獣の元へ超高速で飛ぶ赤い光

コスモスは驚き、駆け出そうとしたその足を止める




ガシィッ!



大超獣『!?……なんだと……!』


さやか「………?」

杏子「え……?」

415 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:27:51.00 ID:NuaZeBsO0

大きな衝突音と自分達へ降りかからない攻撃

そして驚愕する大超獣の声を聞き、さやかと杏子は閉じた目を恐る恐る開く


ガイア「グッ……!ウウゥウ!!」


さやか「……!」

杏子「我夢!!」



二人の目に映し出されたのは、
巨大な足の一撃を背中で受け止め、二本の足でそれを支えるガイアの姿だった



さやか「我夢…さん……」

杏子「お、お前!!」


グググッ


ガイア『……早くそこから離れて!!』


さやか「でもそのままじゃ……」

杏子「アンタ潰されちまうぞ!!」



自分達を庇うガイアの体を見上げ、逃げることを躊躇う二人



ガイア『僕なら大丈夫だから!!』


さやか「!!……杏子!掴まってて!」

杏子「! あ、ああ……」


ダッ



魔力で足場を形成し、
動けない杏子を抱えたまま、近くのビルまで一気に跳躍する



大超獣『くっ……逃げられたか!!』

416 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:28:23.97 ID:NuaZeBsO0


大超獣『……まぁいい、まずは君からだ!!』

グググッ

ガイア「グッ!……ォオオオ…!!」



踏みつける足に力を込める大超獣

ガイアはその超重量に耐え続けるも、
地面に踏ん張る二本の足は少しづつ大地に沈み始める



大超獣『君達の行動は最後の最後までまったく理解できなかったよ!!』

ガイア「グゥウウウ……!!」


グググッ


大超獣『誰かの為に自分を犠牲にするその心?くだらないね!』

大超獣『宇宙生命から見ればそんなものは精神の障害でしか………ないっ!!』グッ


ガイア『!!!』



ガイアを踏み潰すべく、
無情にもその巨体の全体重を片足に集中する


しかし




大超獣『………!?』

417 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:29:05.89 ID:NuaZeBsO0


大超獣『……おかしい……こんなことがあるはずが……!!』


うろたえる大超獣

その足の下には、
全体重を掛けられたにも関わらず、今もなお耐え続けるガイアの姿があった


大超獣『たった一人でこの重量を支え続けるなど……』

ガイア『インキュベーター………僕は……!!』


シュゥウウン…


大超獣『!!』



胸のカラータイマーを中心にガイアの全身に広がる赤い光


大超獣の足を掴む細身の腕

体を支える二本の足


その全てが筋肉質なものに変化し、
赤を基調とした体色に、黒と青のラインが走る



大超獣『そんな……!!コスモスに続き君まで……』


418 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:29:35.47 ID:NuaZeBsO0


コスモス(E)『!?……あの姿は……』


ガイアを援護しようとエネルギーを溜めていたコスモスだが、
目の前の光景に目を奪われ、右腕のエネルギーは大気中に拡散して消滅する


スタッ


さやか「あ……あれって……!?」

杏子「ああ……」



半壊したビルの屋上からその姿を見下ろす二人

目を丸くしたまま見つめ続けるさやか


その後ろで杏子が小さく呟いた



杏子「我夢が………ガイアが変わる…!!」


419 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:30:08.18 ID:NuaZeBsO0


ガイア『僕はっ………!!』シュゥン

グンッ

大超獣『な……に!!?』



一際眩い閃光を放つとともに、一回り大きく筋肥大化したガイアの腕が、
自身の三倍以上はある大超獣の巨体を持ち上げ


そのまま瓦礫の山へ豪快に投げ捨てる



ドズゥウウン…!

大超獣「グガッ!?」



轟音を鳴らし、巻き上がる土埃

その向こうでゆっくりと立ち上がる赤い巨人


体に宿る大地と海の力

全身から漂う先程までとは段違いの気迫



ガイア(SV)『……許さんっ!!!』



スプリームヴァージョンへ強化変身したウルトラマンガイアがその姿を現す


420 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:30:45.29 ID:NuaZeBsO0

ガラガラ…


大超獣「グ…グ……!!」

ガイア(SV)「………」


瓦礫を押し退けて立ち上がる大超獣


自分の身に起こったあり得ない出来事に驚き、
目の前の存在に大きな脅威を覚える



大超獣『こんなことが……こんなことがあるはずがないっ!!!』


ブンッ


ガイア(SV)「!! ォォオオオォ……!」グッ



大きく横薙ぎに振られた大超獣の尾

長く、鋼のように堅いそれは地面を抉り、瓦礫を巻き上げながらガイアに迫る


ガイア「デェァアアアアアアッ!!!」


迫り来る一撃に怯むことなく、
右足を軸に体を旋回

強烈な回し蹴りを繰り出し、巨大な尾を迎え撃つ



ドガッ!!
421 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:31:24.83 ID:NuaZeBsO0


大超獣「グギャァアアアアアッ!!!」


ぶつかり合う二つの攻撃


大きさで完全に勝っているはずの大超獣の強靭な尾は真中から千切れ飛び、
力比べはガイアに軍配が上がる



ガイア(SV)「ディヤッ!!」


勢い余ってよろめく大超獣

その巨体を前に、闘志をむき出しにしたガイアが身構える



大超獣『強さも大きさも……こちらが上回っているはずなんだ……!!』


シュゥウ…


コスモス(E)『!!…まだあれほどのエネルギーが……!』



自身に言い聞かせるように呟く大超獣

その口に集まる最大級のエネルギーの渦



ガイア(SV)『まだ解らないのか!お前達には無い『意志』が僕達にはある!』

ガイア(SV)『それを理解しようとしないお前達が……勝てるはずがないっ!!』


大超獣『ふざけるな!!!』


バシュゥウウン


ガイア(SV)「!! ディヤァッ!」

422 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:31:59.83 ID:NuaZeBsO0

シュゥウウッ……


ガイア(SV)「………」

大超獣『!! と、止めた……!?』


ガイアが展開した回転する円形のバリアーは光線を受け止め、消し飛ばす


大超獣『さっきは……簡単に砕けたのに…!!』

大超獣(全ての能力が爆発的に上昇しているのか…!?)


ズンッ


コスモス(E)「……」

ガイア(SV)「!……」


ガイアの横に降り立ち、並び立つコスモス

二人は顔を見合わせた後、大超獣に向けて再び構えを取る



大超獣『ぅうう……!!』







……………………………………
423 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:32:28.52 ID:NuaZeBsO0

……………………………………


さやか「すっごい………これなら…!」


凄まじい力で大超獣を圧倒する二人のウルトラマン

さやかは杏子を連れ、遠く離れたビルの屋上からその光景を見守っていた


杏子「いっ……つぅ…」ググッ

さやか「!? ちょ、ちょっとアンタもう大人しくしてなよ!後はあたし達で十分だから…!」



杏子「ふざけんな……あの野郎は一発ぶん殴ってやらねーと気が済まねえ!」

さやか「………はぁ」


激昂する杏子を見て、
さやかは額に手を当て、呆れたようにため息を吐く


さやか「杏子」

杏子「……あん?」

さやか「手、出してみ」

杏子「……?」スッ


キュゥウウン…


杏子「!?」

424 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:32:55.18 ID:NuaZeBsO0


杏子「お……まえ…」


上げられた杏子の拳を包み込むように握るさやかの手

その瞬間、さやかの体から伸びた青い光が杏子の体に流れ込み、
その体の傷を癒す


さやか「あたしの治癒能力のちょっとした応用……かな?」

杏子「いつの間にこんな……」


さやか「さぁ?わかんない……でも」

杏子「なんだよ……」


さやか「してあげたい…って思ったから出来たのかな?」

杏子「!!」


杏子「………はは」


微笑みかけるさやかを見て、
杏子の瞳に熱いものが込み上げる


杏子(やば……これまた……)ジワッ

さやか「……んー?」

425 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:33:24.02 ID:NuaZeBsO0


さやか「なにアンタ!また泣いてんの〜!?」

杏子「なっ!?ぶっ、ば、馬鹿野郎!泣いてねぇ!!」

さやか「案外泣き虫なんだねーアンタ」

杏子「お前だってさっき泣いてたじゃないか!!」


意地の悪い笑顔で杏子をからかい、
杏子はそれを必死で否定する


杏子「っ〜〜〜〜〜!!もう行くからな!!」


ダッ


さやか「あ!?ちょっと!!」


赤くなった顔を見られまいと、屋上から一気に飛び立つ杏子



杏子(………ありがとな、さやか)





……………………………………
426 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:33:51.95 ID:NuaZeBsO0

……………………………………



大超獣「ゥ…ウウウウ……!!」


ガイア(SV)「………」

コスモス(E)


睨みを利かせるガイアとコスモス

大超獣はその巨体を起こし、再び二人の前に立ち塞がる


大超獣『あまりいい気になるな……宇宙に待機している別個体達が動けば君達は……』



さやか・杏子「「うぉりゃぁあああああーーーーーっ!!!」」

大超獣『!?』


ドシュッ!


大超獣「グギャァアアアアッ!!?」

ガイア(SV)『!! 君達…!』


コスモス(E)「!……ハァッ!!」キュイン


427 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:34:19.81 ID:NuaZeBsO0


遠距離から投擲された槍と剣

それは大超獣の片目の視界を奪い去り、大きな隙を作り出すこととなった


コスモス(E)「ォォオオオ……デァアアッ!!!」


ドバンッ!!

大超獣「グァッギッ!!?」


その隙を見逃さずに放たれた巨大な三日月状の光刃、
エクリプスブレードが大超獣に直撃

爆発を起こし、強靭な歯が生え揃う下顎を吹き飛ばす



ズズンッ!


コスモス(E)『今だ!ヤツに再生の隙を与えずに攻撃を!!』


ガイア(SV)「!!………ディヤッ!!」キュイン


杏子「行くぜ、さやか!!」

さやか「よっしゃあっ!!」


ダッ


弾かれた様に駆け出す二人の魔法少女


杏子「まずはアタシからだ!骨だけにしてやらぁ!!」ジャキッ

大超獣『!?』


428 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:34:50.42 ID:NuaZeBsO0

杏子「はっ!!」ダッ


飛び上がり、槍を巨大化させる杏子
魔力を帯びたそれを回転させ、大超獣の腹に豪快に叩きつける


杏子「おおっりゃああぁぁああ!!!」

ドゴォン!!

大超獣「グッ……ガァアアア!!」ズシン


絶叫とともに浮かび上がる大超獣の巨体


杏子「必殺・風車………なんてな!」


八重歯を出してしたり顔で呟く杏子

その横を二本の剣を持ったさやかが高速で駆け抜ける


杏子「バトンタッチだ!頼むぜ!」

さやか「よっし!」


ダッ


さやか「続けていくよ!さっきのお返しだっ!!」

大超獣『はっ!?』


ガイア(SV)「ディヤッ!!」キュイン


飛び上がるさやかの後方で、
ガイアが右腕を大きく掲げ、左腕を胸のライフゲージに当ててエネルギーを溜め始める

429 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:35:20.04 ID:NuaZeBsO0

さやか「杏子は返してもらったんだ!もう遠慮しない!特訓の成果見せてやるっ!!」チャキン


空中で二本の剣をクロスさせて大量の魔力を流し込み、
必殺の一撃を放つ


さやか「シルバー……クロォォオオス!!」ドシュン

大超獣『!!』


ドガァアン!!


大超獣「グギャァアアアアアッ!!!」


矢尻状に変化した魔力の斬撃は杏子の攻撃を受けた大超獣の腹に直撃し、
大爆発を起こす


さやか「うげっ!?」ドシャ


そのままさやかは勢い余って地面に墜落する


大超獣「ガ……ァアアアア!!」


杏子「よっしゃあ!当たった!!」

コスモス(E)『今です!我夢さんっ!!』


ガイア(SV)「ハァアアアアッ!!ディヤァァアァアアアアーーーッ!!」

大超獣「!?」



バシュゥゥゥウウ!!

430 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:35:48.45 ID:NuaZeBsO0

大超獣『なぜ……なぜ……こんな…こと……に……』

シュゥウウウ…

ガイア(SV)「………」


ガイアの重ね合わせた両手から放たれる光線、フォトンストリームを浴びた大超獣の体は頭から消滅し、
灰すらも残らなかった


コスモス(E)『…終わったのか……』

ガイア(SV)『はい。どうやらここの増援も今ので打ち止めの様です』


さやか「よっ……と」スタッ


土埃を払い落し、跳ね起きるさやか


杏子「そうと決まればみんなの所へ急ごうぜ!アタシはまだ戦える!」

さやか「杏子」ポンポン

杏子「ん?」


意気込む杏子の肩を叩くさやかに振り向く

431 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:36:21.14 ID:NuaZeBsO0

さやか「はいっ!」スッ

杏子「!………へへ」


右腕を突き出すさやか。それを見て杏子が笑う


ガシッ!


杏子「まだやつらには大将が残ってる。こっから先もよろしくな!」

さやか「うんっ!!」


お互いの腕を交わし合い、勝利の喜びを分かち合う二人


ガイア(SV)『よし、急ごう!街の中央部へ!』

コスモス(E)『とにかく他のチームが気になる!一気に行くよ!!』


さやか「よーし待ってろ〜まどか!ほむら!マミさん!」

杏子「アタシらが行くまでヘバんなよ!」


二人の魔法少女を乗せた巨人達はその場を飛び去り、仲間達の元へと急ぐ

432 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/01/17(火) 21:37:59.28 ID:NuaZeBsO0
とりあえず今回はこんなもんです
あと少し…あと少し…

しかし未だに最後の展開をどうしようか迷っている…
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 21:42:55.25 ID:5Or6ydAIO
乙!!
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/01/17(火) 21:43:54.57 ID:30JByAD9o
おっつー
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/01/17(火) 21:51:28.48 ID:y//iqAvro

ガイアの台詞で挿入歌「ガイア ノ チカラ」思い出した

436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/01/17(火) 21:55:54.50 ID:iNWy/5Vd0
乙!

コスモスさん、さや杏の鬱クラッシュに八面六臂の活躍だな。
慈愛のウルトラ戦士はやはり一味違う。

あとこんなところでウルティメイトのオマージュキター!
こういう小ネタがもう嬉しくてたまらん。
こじ付けじゃなくて
しっかり技の名前と二人の武器の印象がマッチしてるあたり見事ですー。
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/01/17(火) 21:58:16.95 ID:4r5oDBpFo
必殺・風車とシルバークロスが出てくるとはwwwwww

乙です!!
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [saga]:2012/01/17(火) 22:00:33.06 ID:9PPJrZqx0

エクリプスのくだり、格好良すぎた。
ところでスプリームって活動時間一分だけだけどこれは最終回仕様の無制限なの?
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 22:17:18.21 ID:LamFfe3I0
乙!!!
素☆晴☆ら☆し☆い!!!!!
こんな心踊るようなSSは久しぶりだ・・・!
ちょっとpixivの杏さや画像見てハァハァしてくる!!
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 00:02:17.80 ID:vv+Ws1eNo
安定の燃えだなおい!乙!!!

上でも言ってたけど、子ネタが素晴らしくて感激です。これからも頑張ってください
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/18(水) 00:14:42.70 ID:JCDZ64gAo
お疲れ様でした。
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) :2012/01/18(水) 01:58:10.28 ID:T5pkVfHe0
コスモスってまだミラクルナとフューチャー残してるんだよな
モードと技の数一番多いんじゃね?
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/01/19(木) 18:47:30.54 ID:UwMcg4C80
インキュベーターさんこんなことがとか言ってるけど
ガイアのスプリームのデータ取れなかったのは自業自得だよねww
調子こいて力封印したりするからこういうことになるww
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/01/19(木) 20:17:51.26 ID:C1Dnk7JQ0
>>443
>>ガイアのスプリームのデータ取れなかったのは自業自得

! 言われてみれば確かに!!

…偶然かも知れないけど
この作者さんはそこまで計算づくで
シナリオ構成してそうな気がするんだ…。
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 22:36:52.33 ID:6RshrJ6G0
>>444
何だって!?それは本当かい!?
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 02:06:41.90 ID:R94qb7ng0
流石投げの鬼
447 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/04(土) 23:17:27.28 ID:hnujrpjl0
明日には投下できそうです
量は少ないけど
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 09:01:20.29 ID:tW49FuADO
ギリギリまで頑張って
ギリギリまで踏ん張るガイアはやはり格好良いな
449 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:49:21.89 ID:lbTJwDBn0
再開です
450 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:49:54.30 ID:lbTJwDBn0

……………………………………

〜宇宙〜


大超獣「グルル……」


宇宙空間での戦闘
襲い掛かる超獣達を次々に撃破した戦士達

しかし度重なる戦闘でそのエネルギーも限界に近付きつつあった


ヒカリ『くっ……残りの大型はコイツ一体だと言うのに!』グッ

レオ『やめろヒカリ!むやみに突っ込んだところでヤツにトドメをさすことは出来ない!』


飛びだそうとするヒカリを制止する


ヒカリ『ならどうしろというのだ!』


レオ『…幸いヤツ自身もかなりの深手を負っている』

レオ『今のヤツの再生能力を上回る一撃を叩きこむしかないだろう』


80『…しかし今、ここにいる者全員がエネルギー不足です…』

タロウ『……』


シュゥウ…


ネオス『!!…見てください、ヤツの傷が!』


451 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:50:23.70 ID:lbTJwDBn0


大超獣「……」

大超獣が全身に負った多くの傷口が、少しづつ音を立てて閉じ始める


マックス『もう再生が始まったのか!?』

ゼノン『時間が無い!ここは全員で一斉に…』


タロウ『それは駄目だ!コイツを倒したとしてもやつらの戦力はまだ残っている!』

タロウ『ここで全員のエネルギーを使うのはあまりにも危険だ!』


グレート『……ならどうするのです?』


タロウ『……やむを得ない。ウルトラダイナマイトを……』


シューン


しかし、
タロウが決断を下そうとしたその瞬間

二つの真っ赤な光が駆けつける



???1『はいはいはい!その役目、僕達に任せてくださいよ!』

???2『達って……やっぱり僕もやるのか…』



レオ『!?』

ヒカリ『なんだ!?』


452 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:50:57.13 ID:lbTJwDBn0

タロウ『君達は?』


突然現れた二人の赤いウルトラマン
呆気に取られる一同をよそに、元気な声が響く


ナイス『あ…ちょ、ちょっと通りすがった者でして……』

ゼアス『まぁまぁ説明なんていいでしょ!』


ナイスを引っ張り、大超獣の前に立つゼアス


ゼアス『まずあれなんとかしなくちゃ!ね!?』

ナイス『…まぁここまで来ちゃったし』


タロウ『…まったく状況が飲み込めんが…頼めるか?』


ゼアス『任せてくださいって!……いくよ!』グッ

ナイス『…よーし!』グッ


未だに状況が飲み込めない一同を完全に無視した二人が前に進み出て、
大超獣に向けて必殺光線の構えを取る


シュゥウ…


ゼアス『……受けてみろ!』


シュバッ!


ゼアス『スペシュシュラ光線!!』

ナイス『ベリーナイス…光線ー!!』



放たれる光線

しかし…

453 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:51:33.39 ID:lbTJwDBn0

ビュン!

パワード『ぬおっ!?』

べス『あら』


ゼアスのスペシュシュラ光線は何故か後ろ向きに飛ぶ
一直線に飛んで来たそれを間一髪のところで回避するパワード


ゼアス『あ、あれぇ〜……?』

ヒカリ『……おい、真面目にやる気が無いのなら…』

ゼアス『いやいやいや!!久しぶりでちょっとコツが……ね?』


とぼけた雰囲気のゼアスを睨み付けるヒカリ


ナイス『あれ?光線ってどうやって出すんだっけ?』

レオ『……』


ナイスが腕をクロスさせ、なにも起こらない
その様子に呆れる一同


タロウ『…やはり私が!』

ゼアス『だぁ〜いじょうぶですって!!よーし今度こそ!!』バッ

454 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:52:02.61 ID:lbTJwDBn0

ゼアス「ハァァアア………」


気合いを入れてもう一度

精神を集中させ、構えを取るゼアス


ナイス(おかしいな……なんで?)クイッ

バシュッ!!

ナイス『あ!出来た!!』


首を傾げた瞬間、ナイスの腕から勢い良く放たれる光線


ゼアス「セアッ!!」

バシュッ!!


それと同時に再び放たれたゼアスの光線
その二つが合わさり、動きの止まった大超獣へ一直線に飛ぶ


大超獣「!!!」


ドガァァアアン!!


ヒカリ『!!』

レオ『おお……!』

455 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:52:30.57 ID:lbTJwDBn0

合体光線を受けた大超獣は粉々に吹き飛び、
もう二度と再生することはなかった


ゼアス『やったーー!!』

ナイス『ほっ……』


レオ『……一時はどうなる事かと思ったが…』

ヒカリ『ああ、中々の実力を持っているようだ』


予想外の力を見せつけられ、驚きを隠せない一同


タロウ『一働きしてもらったばかりで悪いが…君達が何者なのか説明してくれないか?』


ゼアス『あ、え〜っとですね……』

ナイス『僕達は――』







……………………………………
456 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:53:03.08 ID:lbTJwDBn0

……………………………………

〜見滝原〜


大超獣「ギャァ!!」


ゾフィー『今だ!一気に持ち上げる!!』

マン『まどか!仕上げは君に任せるぞ!』

まどか「は、はいっ!!」グッ


攻撃を受けて倒れ込む大超獣
まどかへ言い放つと同時に大超獣の懐に飛び込む六人


メビウス「セアッ!!」

セブン「デュワッ!」


グンッ


大超獣『!!?』


一気に上空へと運び去られる大超獣

その隙にまどかが最大の技を放つため、魔力を一気に解き放つ



まどか(あれだけ特訓したんだ…きっと出来る)

まどか(マミさんに教えてもらった武器を変化させる能力……その応用……!)

457 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:53:30.90 ID:lbTJwDBn0

まどか「たぁっ!!」パシュ


宙に舞う魔力を帯びた杖

それは光に包まれたまま形を変えてまどかの左腕に集まり、
手首を中心に弓の形を形成する


まどか「よしっ……!」グッ


構えを取り、上空の大超獣を真っ直ぐに見据える
その左腕の弓はネクサスの技、アローレイシュトロームに酷似していた


まどか「はぁぁあああっ………!!」

シュゥウ…


エース『今だ!!』

ジャック「シュアッ!!」


集束するエネルギー

それをみた六人は一斉に力を込めて大超獣を投げ飛ばす


マン『まどか!!』

まどか「っ……たぁぁああーーーっ!!」


ドシュン!!


458 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:55:05.11 ID:lbTJwDBn0

ドガッ!

大超獣「ガッ!?」


落下する大超獣へと飛んだ弓状の光波はその巨体に直撃し、
貫通、桃色の粒子が飛び散る


大超獣「ガッ…カッ……」

シュウウ…


その傷口から広がった光が全身を包み込み、
大超獣は地上へ落下する前に完全に消滅した


まどか「………ふうぅ」ペタン


全身の力が抜け、その場にへたり込むまどか


ズシン

マン『よくやったな。まどか』

まどか「!…えへへ…」



大超獣の消滅と同時に地上に降り立つ六人

マンの言葉にまどかは顔を少し赤らめて、小さく笑う



まどか「でも…これで終わりなんですか?」

セブン『どうだろうな…まだ敵の黒幕を叩いていないからなんとも…』

エース『ヤプール……』


ゴゴゴゴ……


メビウス「!?」

459 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:55:31.09 ID:lbTJwDBn0


ゾフィー『どうやら上手くやったようだな』

ジャック『あれは!?』


一同の遥か上空
暗く曇った空の中に浮かび上がる一際大きな黒い塊

インキュベーターの母艦が姿をその現す


セブン『ここまで落ちてきていたのか…』

ゾフィー(我々の肉眼で確認できるという事は既にダメージを受けているという事か……)


まどか「あの中に…ヤプール達が?」

マン『そうだろうな。ヤツをなんとかしなければ次々に超獣が送り込まれてくるだろう』


シュゥン


ゾフィー『…どうやらさっそくお出ましの様だ』

エース『!!……まだこれ程の数が…』


ズズンッ


超獣「グゥウゥ……」

まどか「あぁっ…!?」
460 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:55:58.78 ID:lbTJwDBn0

地上にいる一同と遥か上空に浮かぶ母艦
その間に阻むように大量の超獣が空間を破り、出現する

その数は今まで撃破してきた数をさらに上回っていた



まどか「そんな……まだこんなに…!?」

メビウス『これじゃきりが無い!!』


まどかの表情がさらなる絶望に歪む


セブン『くっ……こいつらの相手をしていてはいつまでたってもヤツの所へ辿り着けん!』

ジャック『…来ます!!』


ゴォッ


超獣「グギャアアアア!!」

まどか「くぅっ…!」グッ



まどかが弓を握り直し、立ち上がる

一同が休む間もなく、おぞましい数の超獣達が容赦なく襲い掛って来る



しかし…



ドガガガガッ!


超獣「グギャッ!?」

まどか「えっ!?」
461 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:56:24.33 ID:lbTJwDBn0

辺りに巻き起こる爆発

超獣達は怯み、その動きを止める


ネクサス「ハァッ!!」

ティガ「ジュア!」

ダイナ「ディアァッ!!」


超獣「!?……」


上空に現れた三人のウルトラマン達の一斉攻撃を受け、
数体が爆発四散する


セブン『あれは…!』

マン『!! 孤門達、無事だったのか!』


ネクサス『はい!』

ダイナ『全員バッチリ無事だぜ!!』

ティガ『こちらは全て片付きました!あと一息です!』


地上に降り立った三人がマン達に駆け寄る


まどか「……ということは」

超獣「グゥウゥ……」


ドガガッ!


超獣「ギァアアッ!!」


まどか「!!……やっぱり…!」


462 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:56:56.11 ID:lbTJwDBn0

雨の様に降り注ぐ魔力を纏った弾丸

それがの体に当たると同時に連続して爆発が巻き起こり、
まどかの目の前に迫る超獣を撃破する


スタッ


ほむら「………」

マミ「鹿目さん、無事!?ケガはない?」


まどか「来てくれたんですねマミさん!ほむらちゃん!!」


まどかが振り返った先には銃を担いだ二人の魔法少女

マミとほむらの姿があった


ほむら「……まどか」

まどか「ほむらちゃん……」


まどかに駆け寄るほむら


ほむら「私、生きてるよ…ちゃんと」グッ

まどか「!……へへ……うんっ!わたしも!」

マミ「……ふふ」


まどかの手を握り締め、優しく微笑むほむら
その姿を見てマミはくすりと笑う




ズシン…

超獣「ガァルル……」
463 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:57:23.11 ID:lbTJwDBn0

いきり立つ超獣が再開を喜ぶ三人に迫る


マミ「! どうやらゆっくり話してる時間は無さそうね!」

ほむら「来たわ!まどか、あなたは私の後ろに……」チャキッ


銃を構え、超獣を見上げるマミ
ほむらも同じくディバイトランチャーを握り直しまどかを後ろに退かせようとする

しかしほむらの言葉を聞かず、まどかは前に進み出る


ほむら「まどか…?」

まどか「ほむらちゃん、大丈夫だよ!わたしももう戦える!これからも一緒に!」

ほむら「!……ええ、そうね」


小さく笑い、肩を並べる三人が超獣を迎え撃つ


超獣「ガァアアア!!」

マミ「来る…!!」グッ


マスケット銃を構え、超獣の顔面を狙うマミが引き金を引こうとする

その瞬間



ザシュッ!!


超獣「!!!」ズズンッ


まどか「わぁっ!?」

マミ「え!?」

ほむら「……どうやらあっちも来たみたいね」

464 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:57:52.54 ID:lbTJwDBn0

さやか「お待たせ、ちょっと遅くなっちゃった!」

杏子「どうやらアタシ達が最後みたいだな」


背後から斬撃を受けて倒れ込む超獣
舞い上がる土煙の向こうから二人の魔法少女の姿が現れる


まどか「さやかちゃんっ!よかったぁ〜!」ガバッ

さやか「おおっ!?なんか積極的だねまどか…」


さやかの姿が目に入るやいなやすかさず飛び付くまどか
苦笑いを浮かべながらさやかはそれを受け止める


マミ「佐倉さんお疲れ様。無茶はしなかったでしょうね?」

杏子「え、えーっとその……まあなんつーか…はははは…」

マミ「もうっ!!あなたはこの前も…」


ほむら「マミ、あなたも人の事言えないわよ」

マミ「えっ…そ、それは…」

杏子「ほーれみろ!お前だってムチャクチャやったんだろ〜!」


少し怒った顔で杏子に詰め寄るマミ
しかしほむらに指摘され、言葉を詰まらせる

ここぞとばかりに意地悪な笑いを浮かべ、杏子はマミを捲し立てる



再開を喜ぶ仲間達の体には所々に小さい傷があった


465 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:58:23.63 ID:lbTJwDBn0

ズシン


ガイア『君達の負った傷は仲間を守るために負ったものだ。誇ってもいい』

コスモス『マミさんは君達仲間を心配してくれているんだ。そんなに意地悪しちゃいけないよ杏子ちゃん』


さやかと杏子に続いて地上に降りる二人のウルトラマン


杏子「へいへい………まぁわかってるけどな」

マミ「もう…」


コスモスに言われ少し不満気な態度を取る杏子
しかしその顔は少し照れ臭そうにだった

その顔を見て同じくマミも照れ臭そうに視線を泳がせる



まどか「あはは……でもこれで…」

ほむら「ええ」

マミ「ようやく」

さやか「全員集合…」

杏子「…ってところだな」


ザッ


五人の魔法少女がそれぞれの武器を構え、並び立つ


マン『よし…!』

セブン『ああ!』


ザザザッ


マンとセブンがお互いの顔を見合わせ、魔法少女達を背中に庇い並び立つ

それに続く様に他のウルトラマン達も少女達を背に庇う様に並ぶ

総勢十名の巨人たちが魔法少女達を背中に庇い、円を作る

466 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:59:07.24 ID:lbTJwDBn0

ゾフィー『ウルトラマン、セブン!ここは…』

マン『ああ、わかっている。それしかない』

セブン『うむ、彼女達ならやってくれるだろう』


円の周囲から少しづつ迫り来る大量の超獣達
それらに構えつつ、話し続ける三人


まどか「ハヤタさん…?」

杏子「おい、なんのつもりだ!今更アタシ達に守られてろって言うのかい!?」


ほむら「私達の手持ちのグリーフシードはそれぞれ一個づつ……」

ほむら「でもここまできて見てるだけというのは御免よ」


さやか「あの黒ずくめのヤツをやっつけないといけないしさ!」

マミ「そうです!私達はまだ…!」


それぞれが険しい表情で一気に不満をぶつける
しかし三人はいたって冷静で、少女達を見下ろす


マン『これなら大丈夫だな』

セブン『まったく…頼もしいかぎりだな』

ゾフィー『よし……巴マミ!』


ピシュン


マミ「えっ!?」ビクッ


ゾフィーの指先から放たれたとても小さな光の球
それが頭に入りこんだ瞬間、体を大きく跳ね上がらせるマミ


さやか「マミさん!?」

杏子「どうしたマミ!!」

マミ「頭の中に何かが……これは…地図?」


ゾフィー『その通りだ。あの遥か上空に浮かぶやつらの本拠地……そこのな』


空に浮かぶインキュベーターの母艦を指差すゾフィー
そしてそれを見上げる一同


さやか「地図?なんでそんな物を?」

ほむら「!……まさか」


セブン『そうだ。お前達五人でやるんだ!』

マン『この事件の黒幕を倒し、五人揃って帰還する……君達に頼みたい』

まどか「!!」
467 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 21:59:38.83 ID:lbTJwDBn0

さやか「ウルトラマンの力を借りずにあたし達だけで……か」

杏子「へへ……上等だよ」


武器を握り直し、意気込むさやかと杏子


マミ「この地図、どうして私に?」

ゾフィー『君が一番適任だと思ったからだ』

マミ「!!……」


ティガ『厄介事を請負う……君なら出来る。先輩らしいところを見せてやるんだ!』

マミ「……はい!」


ティガに激励され、決意を固めるマミ


ゾフィー『ヤプールは恐らく艦の心臓である機関部、もしくはその周辺にいると思う』

マミ「分かりました!やってみせます!」


ゾフィー『……少し協力者が派手に暴れたからな。艦内に敵が残っているとは考えにくい』

セブン『…?』


杏子「道案内、よろしく頼むぜ〜マミ?」

マミ「ふふ……任せなさい!」

さやか「おぉ……頼もしい…」


杏子が再び意地の悪い笑みを浮かべ、マミをからかうが一向に動じない


まどか「……」

ほむら「まどか…不安?」
468 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 22:00:17.79 ID:lbTJwDBn0

少し表情の暗いまどかを見て、ほむらが顔を覗き込む


まどか「うん、ちょっとね……このお守りも光らなくなっちゃったし」

ほむら「…そう」


首から提げた灰色の石をまどかは悲しげに眺める


まどか「で、でもみんなもいるし!わたし……」

ギュッ

まどか「えっ?ほ、ほむらちゃん?」


まどかの手を掴み、握り締めるほむら
その顔にはとても優しい笑みが浮かんでいた


ほむら「昨日ね。布団の中であなたとこうした時に気付いたの」

まどか「?」


スッ


まどかの手を握る右手に、ソウルジェムの宿った左手を添える


ほむら「手を握ってもらうとね……ちょっとだけ勇気が出る」

まどか「!…ほむらちゃん……」


笑みを浮かべたまままどかの顔を見つめるほむら


スッ


表情を戻し、
長い黒髪をなびかせながらまどかに背を向け、三人の所へ行くほむら


ほむら「それに大丈夫、あなたは私が守るわ」

まどか「……で、でもわたしも――」

ほむら「だからね」


何かを言おうとしたまどかの言葉を遮り、代わりに言い放つ


ほむら「あなたも私を守って…ね?」

まどか「!!…うんっ!任せてよ!」

469 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 22:00:46.91 ID:lbTJwDBn0

笑顔でほむらの横に並び、少し離れた仲間達の所へ行くまどか

それを見守るマンとセブン



マン『さて、肝心の突入方法だが』

セブン『やはり数人に援護してもらいつつウルトラ念力で……』

メビウス『はい。僕達が下手に飛び上がれば超獣達に撃ち落とされてしまうでしょうし…』

ゾフィー『それに加えて地上からの攻撃ではあの装甲には傷は付けられん』



ウルトラ戦士達全員で敵の猛攻を防ぎ、
ウルトラ念力で一気に母艦まで飛ばすという作戦

今もなお迫り続けている超獣の大群がいる以上、これが最善の策……

のはずだったがそれに意見する男が一人



ダイナ『俺に良い考えがある!』

まどか「?」

さやか「……なんかやな予感」


470 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/05(日) 22:03:02.29 ID:lbTJwDBn0
とりあえずここまでです
最後の終わり方まで決まってるのになかなか書き溜めが溜まらない…
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/05(日) 22:03:36.92 ID:TWZXkCVdo
お疲れ様でした
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/05(日) 22:06:33.48 ID:zzbrtpbeo
乙!
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/05(日) 22:33:38.08 ID:TE1yDggco
おっつー!

アスカがコンボイにならないことを祈るばかりだ
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/02/05(日) 23:38:18.29 ID:4uzNjxHe0

ところで>>1はウルトラマン妹についてどう思う?
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/06(月) 01:05:10.55 ID:2y6hjb9AO
乙!
>>473
奇遇だな、俺もそう思った
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/06(月) 20:57:41.31 ID:T94Po3vHo
乙! 次が楽しみ
>>473
何という俺
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/07(火) 20:51:53.17 ID:fh3/+SXdo
QB混ぜてるから無表情な超獣達と元から無表情なウルトラマン達が激しく動き回る
オラわくわくしてきたぞ…
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/09(木) 20:19:45.11 ID:/Dqm3JRIO
まどかがほむほむを守る立場になったか…胸熱
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/11(土) 16:43:07.13 ID:JgnIdGJAO
ジャスティスとアグルェ…
480 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 21:59:10.41 ID:M0rSwljp0
再開します
まだ見てくれている人はいるのだろーか

>>474
情報が少なすぎてまだなんとも
でもあの可愛らしい絵でレオの序盤みたいな展開だったらそれはそれで面白そうだったり…
481 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 21:59:53.76 ID:M0rSwljp0

意気揚々と言い放ち、魔法少女達のそばに屈みこむダイナ


セブン『おい、陣を崩すな!危険だぞ!』

ダイナ『どっちにしろ念力で飛ばすとなりゃあ長いこと陣形は崩れるんだ!』


セブンの言葉にもまるで聞く耳を持たず、ダイナは少女達に右手を差し伸べる


ダイナ『みんな!俺の手に乗ってくれ!』

スッ

杏子「なんだかよくわかんねーけど大丈夫なんだろうなぁ?」

マミ「えっと…じゃあちょっと失礼して」

さやか「う〜ん……」

まどか「どうする気なんだろうね?」

ほむら「さぁ?……けどこの男の性格上ロクでもない策であることは確かね」


少し躊躇いつつもダイナの手の平に飛び乗る五人
その顔はやや不安気


ダイナ『へっへー!ドーンと任せなさいって!』

シュゥウウ…


そんな不安も全く関係なしに立ち上がるダイナ
そしてその右腕にエネルギーが集束させてエネルギーボールを作り出す

当然その中には魔法少女達が


ほむら「はぁ……」

まどか「う、うそぉ…!」


ダイナの考えを理解したのかやれやれと頭を振るほむら
そしてその横にいるまどかの顔が少し引きつる
482 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:00:50.89 ID:M0rSwljp0

杏子「げっ!?」

さやか「うわぁやっぱり!!」

マミ「じょ、冗談…ですよね?」


二人に続き、他の三人もダイナの考えを理解し、焦りの色が浮かぶ


超獣「ギャオオオォ!!!」

ズンズンズン!

メビウス『!! 兄さん達、来ました!』

メビウス『どうやら念力で少しづつ送っていく暇は無いみたいです…!』


押し寄せる超獣の波
それはもう目と鼻の先まで迫って来ている


さやか『帰りは?帰りはどうすればいいの!?』

ゾフィー『協力者が破壊して出来た亀裂が巴マミの脳内地図に記されているはずだ。そこから飛び出せ』

杏子「はぁああ!?飛び出すって…高度何千メートルだよ!?」


マン『……すまん、我々が絶対に受け止める』

ジャック『無茶を頼むがそこだけは安心してほしい』


諦めた様子で話すウルトラ兄弟達


ダイナ『だーい丈夫だって!俺を信用しろよ〜!!』

483 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:01:38.20 ID:M0rSwljp0

ゾフィー『それよりも内部での戦闘だ』

エース『ヤプールの事だ……なにか奥の手を隠し持っているかもしれんぞ』


マミ「……はい、分かっています」

さやか「か、考えはもう変わらないのね…」

杏子「やれやれ……ま、最後はアタシ達が決めるしかねぇってこった」


それぞれの覚悟を決める魔法少女達


まどか「うぅ……」


先程の決意に満ちた表情は何処へやら
ほむらの腕を力一杯に抱きしめるまどか


ネクサス『ほむら。時間停止が使えない以上、戦闘の技術で攻めるしかない』

ほむら「分かってるわ孤門。常に移動と周囲の状況を見ること…でしょう?」


ほむら「あなたとの特訓、中々ためになったわ。ありがとう」

ネクサス『うん。そして君には心強い仲間達がいる……それを忘れずにね』

ほむら「……ええ」


コスモス『杏子ちゃん?孤門さんの言葉は君にも言えることだよ』

杏子「分かってるって!……今更一人で突っ張る気もねーよ」


激励の言葉を受けるほむらと杏子
エネルギーボールの中で向き合う魔法少女達


ダイナ『よっし……じゃあいくぜ!!』バッ

セブン『失敗したら笑い話にもならんぞ……』

ティガ『頼むよ、元ピッチャー』
484 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:02:17.77 ID:M0rSwljp0

魔法少女達の入ったエネルギーボールを右腕に大きく振りかぶり

一同の遥か上空、
高度数千メートルの所に浮かぶ母艦を目掛けて

右腕の光球を豪快に


……投げた


ダイナ『届けぇぇえええええーーーーーっ!!!!』

ゴウッ!

まどか「きゃぁああーーーーーっ!!!」

さやか「うわぁぁあああああ!!!」

杏子「うぉおおおっ!?」

マミ「くうっ!?」

ほむら「っ……!!!」


ダイナ『よっしゃあ!あれは届くぜ!!』

ザッ


再び定位置に戻り、構えるダイナ


エース『ヤプールを倒せばこの超獣達も止まるはずだ!』

マン『頼むぞ…魔法少女達!!』バッ



空の彼方へ一直線で進むエネルギーボールを見送り、
円陣を作ったウルトラ戦士達は

迫り来る超獣達へと向けて必殺光線を放つ
485 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:02:45.30 ID:M0rSwljp0

……………………………………


ゴォォオオ

杏子「は……ははは!!速い速い!もう笑っちまうね!」

まどか「す、すごい……もう地上があんなに遠く……」


超高速で飛び続ける球体
その中で一同は少し顔を引きつらせながらも問題なく過ごしていた


さやか「まどか、大丈夫?この中、結構重力が…」

まどか「あ…う、うん今のところはまだ……」

ほむら「でもあの母艦に今からぶつかるのね……全員が投げ出されたりしないかしら?」


少しづつ距離が縮まりつつある目的の場所を見上げ、ほむらが呟く


マミ「大丈夫。ぶつかると同時に私がリボンでみんなを引き寄せる……固まっていれば問題ないでしょ?」

ほむら「なるほど…ね」

さやか「さっすがマミさん!」


ほむらにウィンクして答えるマミ
そのマミに笑顔で飛び付くさやか


まどか「で、でも大丈夫なんですか?わたし達の今持ってるグリーフシードってそれぞれ一個づつだし……」

さやか「あ……そ、そっか!いきなりマミさんに魔法使わせちゃうのか……」


少しばかり表情を曇らせる二人
しかしマミは笑顔で続ける


マミ「…大丈夫よ。それより鹿目さん?あなたは自分の心配をしなさい」

ほむら「ここはマミの言う通りよ、まどか」

まどか「え……」

486 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:03:13.93 ID:M0rSwljp0

マミ「どうやらヤツらにとってあなたはかなりのイレギュラー要素を含んでるみたいよ……それこそ地上で戦っているみんなと同じくらいね」

ほむら「ヤツらにとってあなたは私達以上に都合の悪い存在ってこと……この意味が解る?」


まどか「優先的に狙われるかも……ってこと?」

さやか「!!」


険しい表情で向かい合う三人が淡々と話し続ける


マミ「その通りよ。そしてあなたは私達よりも実践経験が遥かに少ない……だからあんまり無茶しすぎずに…ね?」

まどか「はい……」


俯き加減で返事をするまどか


マミ「……うん、よろしい!じゃあお堅い話はここまで!」

まどか「?」


マミ「大丈夫よ、鹿目さん。私達は一人じゃない、みんなで戦うの」

ほむら「その通りよ」

杏子「そうそう!それに実践経験で言ったらコイツも大したことねーよ!な、さやか!!」

バシバシ

さやか「な、なんだとー!あたしはアンタから一本取ったんだぞー!!」

杏子「だぁから実践の話しだっての!」


マミ「ちょ、ちょっとあなた達!?ここ狭いんだから……」

まどか「……ぷっ……あはははは!」

ほむら「……」クスッ


さやかの背中を叩きながら話題に乱入する杏子

先程の少し重いムードは完全に消え去り、今は全員が向かい合わせで笑っている

487 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:03:41.55 ID:M0rSwljp0

マミ「さぁ、そろそろ準備を………」


マミ「……………!!!」

杏子「ん?どうしたマミ?」


リボンを手に取り、上を見上げるマミ
しかし突然先程まで笑っていたマミの顔が凍りつく


マミ「………ま……ずい……わ」

さやか「え?」


地上と母艦を交互に何度も見るマミ
その顔色はみるみる内に青くなる


ほむら「………!?」バッ

さやか「わっ!?ほ、ほむら?」

まどか「ほむらちゃんどうしたの?」


マミの反応を見て、ただ事ではないと察知したほむらが身を乗り出し、
マミと同じように地上と母艦を交互に見る


まどか「?……あれ?これって……」

さやか「!……やばいじゃんか!!」

杏子「!! おいおいマジかよ!?」


そしてほむらに続いて状況を理解する三人


マミ「狙いが………狙いが逸れてる!!」




……………………………………
488 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:04:12.27 ID:M0rSwljp0

……………………………………


メビウス『み、見てください!あれ!』


目の前の超獣を吹き飛ばすメビウスが焦りながら空を指差す
その先には母艦目掛けて一直線に飛んでいる

……はずの魔法少女達が入ったエネルギーボールが


ジャック『狙いが逸れているのか!?』

ダイナ『ち、ちっくしょぉおお!!ここからいっきに追いついて……』


ゾフィー『いや、それでは間に合わん!!』

ドゴッ!

超獣『グギャッ!?』


エース『……ならどうすれば!?』


ゾフィーとエースが協力して超獣を退けつつ言い放つ


ゾフィー『こうするんだ!!』

キュイン!

マン『あれは……ウルトラサイン?』


ゾフィーによって空へ放たれた光が弾け、
ウルトラの一族の連絡手段である特殊な文字、ウルトラサインが空に輝く


セブン『!!』




……………………………………
489 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:04:45.14 ID:M0rSwljp0
……………………………………


風を切り、雲を突き抜けながら進むエネルギーボール

その中で焦り、うろたえる五人の魔法少女達

母艦にぶつかるはずの球は既にその横を通り過ぎたにも関わらず、
全く勢いが衰えることがなかった


さやか「うわあ!完全に通り過ぎちゃってるじゃんか!!」

まどか「どうするの!?このままじゃ……う、宇宙に飛び出していっちゃったり?」

ほむら「その前に大気圏で消し炭よ……!!」


杏子「冗談じゃねぇぞ!なんかないのかよマミ!?」

マミ「か、考えてるわよ!!けど……けど!」


必死に思考を巡らせる五人
しかしこんな状況でまともな答えなど出るはずもなかった


杏子「…………くそっ!」シュン

さやか「ちょ、ちょっと杏子!?」


魔法で槍を作り出し、下向きに構える杏子

490 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:05:09.57 ID:M0rSwljp0

まどか「待って杏子ちゃん!何するの!?」

杏子「決まってんだろ!もうこうなった以上内側から割るしかねぇ!」

さやか「なっ!?なに馬鹿なこと言ってんのよ!正気!?」

杏子「このままじゃ全員揃って焼け死ぬぞ!!だったら少しでも可能性のある方に賭ける!」


杏子「ここから出ると同時に魔法で足場を作って一気に飛ぶ!!」


必死に杏子を抑え止めるまどかとさやか
滅茶苦茶な作戦だが杏子の目は覚悟に満ちていた

しかしマミの言葉でその決意は揺れる


マミ「無理よ!ここ地上何千メートルだと思ってるの!?外に出た途端全員別々に飛ばされるわ!」

ほむら「……でしょうね。それに足場を作ったところでここじゃろくに姿勢制御も出来ない」


杏子「っ……なら……ならどうするって言うんだよ!?」

マミ「そ、それは……」


ほむら「………」

ほむら(何か……何か策があるはず……!こんなところで諦めるわけには…!!)


魔法少女達が中で口論している間にも、
母艦との距離はどんどん開いていく


その状況にほむらが唇を噛みしめ、なんとか策を見出そうとした

その時



バシッ!!


491 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:05:38.30 ID:M0rSwljp0

ほむら「ぐっ……!?」

杏子「おおっ!?」

マミ「きゃっ!!」


突然の強烈な衝撃

魔法少女達は球の底に這いつくばり、悲鳴を上げる


さやか「え……え?」

まどか「止まっ………た?」


杏子の上に伸しかかった状態の二人が小さく呟く
先程まで焦りながら口論していた三人もぽかんと口を開けたまま動かない


マミ「ど、どうなったの?」

ほむら「……とりあえずただ一つ分かる事は」

杏子「助かった……ってことか」


大きくため息をつき、球の中から辺りを見回す一同

凄まじい存在感を放ち続けるインキュベーターの母艦

そしてその遥か下にはうっすらと地上の色が見えた


まどか「だけどどうして突然?」


まどかが小さくそう呟いた瞬間、頭の上から呆れたような声が返ってくる



???『片道切符の宇宙旅行たぁ派手なことする奴らもいたもんだな』

ほむら「!?」

492 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:06:14.72 ID:M0rSwljp0

咄嗟に上を見上げ、声の主を見つける魔法少女達
その視線の先には鋭い目つきの青いウルトラマン

ウルトラマンゼロの姿があった


ゼロ『やれやれだな』

さやか「わっ……また新しいウルトラマンだ!」

杏子(?……なーんか見たことある顔のような…)


マミ「あ、あの……あなたが受け止めてくださったんですか?」


ゼロ『ん?あー、ちょっと待ってくれ』

キィイン…

ゼロ『……おい、隊長さんよ。なんとか間に合ったぜ』


ゼロの姿を呆然と見上げる少女達をよそに、
当の本人は右腕でエネルギーボールを支えながら、空いた左腕を耳に当てて地上のゾフィーへテレパシーを送る


『うむ、ご苦労だったなゼロ』

ゼロ『ああ。一旦レオのジジイと合流するために宇宙へ戻ろうとしたらあんたのサインが見えてな』


『ゼロだと!?』

ゼロ『おおっと……この声は親父か!』


ゼロの脳内に響く声、それは彼の実の父の物であった


『どういう事だ!?なぜお前がこちら側の世界に……』

ゼロ『怒鳴るな怒鳴るな。まあ時間が無いから手短に言うとだな……』

493 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:06:41.75 ID:M0rSwljp0

ゼロ『向こうの事件が片付いてしばらくしたらよ、聞き覚えのある声が聞こえてな』

ゼロ『その声がこっちの世界が大変なことになってるって聞いて急いで駆けつけて来たわけだ』


『しかし駆けつけて来たと言っても次元の移動をお前はどうやって……』


ゼロ『声が消えたころにはでかいゲートが開いてたんだよ』

ゼロ『それで今はゲートが閉じないように向こう側の仲間に支えてもらってんのさ』

ゼロ『まあ光の国に着いた頃には親父たちは地球に出発した後だったけどな』


『むぅ……なるほど……やはり今回の一件にはヤプールやインキュベーター以外の何者かが――――』

494 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:07:09.25 ID:M0rSwljp0

自身の状況とこの世界に来た経緯をテレパシーでセブンに語る
しかしそれはあくまでウルトラ戦士同士でのテレパシー会話なので魔法少女達には聞こえない

つまり
今の魔法少女達にとってゼロは突然押し黙った謎の人物にしか見えなかった


さやか「なんなんだろこの人……急に現れたと思ったら黙っちゃった」


杏子「おーいどうした?聞こえてるかー?」ブンブン

ゼロ『! おお、悪いな』


杏子に手を振りながら呼び掛けられ、ようやくゼロが反応する


杏子「おっ、反応した」

まどか「あの……あなたは一体…」

ゼロ『俺か?俺は……そうだな……』


ゼロ『!……へへ』

おどおどした様子でゼロに尋ねるまどか
その問いかけに答えようとしたゼロはまどかに聞こえないくらい小さく笑い、答えた


ゼロ『俺ぁご覧の通りただの風来坊よ!』

まどか「?……風来坊さん…ですか?」

さやか「……怪しさ満点じゃん」


『こ、こいつ……』


自分の胸を叩き、得意げにそう言い放つゼロ
彼の頭の中にセブンの気恥ずかしそうな声が響く


ゼロ『へへ……怪しさ満点だとよ親父』

『昔のことだ!……次の敵が来た、交信は終わりだ!』

ゼロ『ああ、気をつけろよ』

495 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:07:37.16 ID:M0rSwljp0

ゼロ『さぁて!事情は大体把握してる!あそこへ行きたいんだろ?』

ほむら「……この際怪しさなんてどうでもいいわ。あなたの言う通りよ」

マミ「私達は一刻も早くあそこに行ってヤプールを倒さなくては……」


地上との交信を絶ち切り、本題に入る
ゼロの問いにマミとほむらは少し躊躇いつつも答える


ゼロ『ヤプールか……お前らで本当に大丈夫なのか?』

杏子「なんだとぉ!?」

さやか「それっ!どういう意味!?」


ゼロの何気ない言葉に、
眉を吊り上げ、大声で反論する二人

ほむら「聞き捨てならないわね、今の言葉」

そして静かに反論する者が一人


ゼロ「…?」

ほむら「確かにヤプールは恐ろしい敵よ。初めて会った時に肌でそれを感じた」


ほむら「私は……何も出来なかった」

マミ「暁美さん……」

496 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:08:06.15 ID:M0rSwljp0

ヤプールと初めて出会ったあの日

何も出来ず、ただ目の前でまどかが連れ去られるのを見ていることしか出来なかったほむら

その時の事を思い出し、
ヤプールに撃たれた胸を押さえ、目を閉じ、唇を噛み締める


ほむら「けど…今度は負けない」

ゼロ『!!』


目を力強く見開き、ゼロを見上げるほむら


ほむら「どんなに恐ろしい敵だろうとも、どんなに絶望的な状況だとしても……私達は諦めない」


淡々と語るほむら

その目に迷いは無い


ほむら「そうすれば必ず希望が見えてくる事を知っているから」

ゼロ『………』


ほむらの言葉を黙って聞き続けるゼロ
そしてほむらは小さく笑い、振り返る


ほむら「……心強い仲間もいるしね」


まどか「……うん!」

マミ「暁美さん……」

杏子「…ま、アタシ達もようやくほむらに心の底から認めてもらえたってことか」

さやか「あたしもバッチリ鍛えたからね!どんどん頼っちゃってよほむら!」


心強い仲間

その言葉を聞いた四人は少し恥ずかしそうに笑顔を浮かべる

今まで誰にも頼らず、一人で戦い続けて来たほむらの口からその言葉が聞けただけで、
ただ純粋に四人は嬉しかった


ゼロ(仲間……か)


497 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:08:35.11 ID:M0rSwljp0

ゼロ『そっか、悪かったな余計なこと言っちまって』

さやか「……まぁほむらが色々言ってくれたし」

杏子「許してやるか!」


先程まで怒っていた二人が胸を張り、腰に手を当て偉そうな態度を取る


ゼロ『そりゃどうも……さーてお前らをあそこへ送るわけだが』

まどか「?」


顎に手を当てて、まじまじと少女達の姿を見つめるゼロ

彼の瞳に映る少女達
その体には至る所に傷が目立ち、やや頼りなく映っていた


そしてゼロは唐突に左腕のゼロブレスレットを突き出す


ゼロ『……母艦をぶっ壊すために溜めてたエネルギーの余りもんだが……お前らを全快にするくらいはあるだろ』

シュィイイン


まどか「!……体の傷が!」

さやか「わ!?」

マミ「これは……ソウルジェムの穢れまで…」


ゼロブレスレットに蓄えられたプラズマスパークのエネルギーが魔法少女達に流れ込み、
その体の傷を癒し、穢れを浄化する


ゼロ『ま、さっきのお詫びってやつだな』

杏子「サンキュー!あんた良いヤツだな」

ほむら「……助かったわ、ありがとう」

498 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:09:02.64 ID:M0rSwljp0

ゼロ『よし、じゃあやるか!』

ピタッ

ウルトラ念力で球を宙に固定すし、体に力を込めるゼロ


まどか「……あ、あれ?なんか想像してたのと違う…」

さやか「え?ちょ、ちょっと?普通に連れてってくれるんじゃ……」


ゼロ『悪いが俺も急いでんだ。一旦宇宙に戻って仲間を助けなきゃいけねぇ』

さやか「えぇーっ!?」

ほむら「………」スッ

まどか「ほ、ほむらちゃん」

マミ「……」グッ

杏子「…まぁしょうがねぇな」


予想外のゼロの行動に

さやかは驚きうろたえ、
ほむらはまどかを抱き寄せて衝撃に備えるために球の底に伏せる

その隣ではマミはリボンを手に取り、杏子は諦めたような表情を浮かべる


ゼロ『そぉおら行ってこい!!』


ドゴォッ!


さやか「ま、またこのパターン……!」

まどか「っ……!」


ゼロ『頑張れよー!!』


宙に固定された魔法少女達を乗せた球はゼロに豪快に蹴り飛ばされ

地上から飛んできた時よりもさらに勢い良く飛び


ドゴォオオン!


大きな音を立ててインキュベーターの母艦に突っ込む


499 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:09:28.71 ID:M0rSwljp0

ゼロ『突入成功だな!』グッ


魔法少女達へ激励の言葉を掛けたゼロはその行方を見届け、
球が母艦へ無事突っ込んだところを見るとガッツポーズをして喜びを露わにする


ゼロ『よし、急ぐか!』シュン


そして宇宙で戦い続ける仲間達の所へと向かうためにゼロは飛ぶ

しかし彼には一つの疑問があった



ゼロ(しかし天下の大隊長殿も思い切ったことしたもんだ……ほぼ総動員とはな)


ゼロ(たしか銀河連邦の決まりでは宇宙警備隊員がここまで大々的に関わった星の人間は………)





……………………………………
500 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:09:56.54 ID:M0rSwljp0

……………………………………

〜インキュベーター母艦〜


ヤプール「どうやら地上への落下は避けられたようだな」

インキュベーター「そのようだね………それで現状は?」


母艦の中枢部
そこでモニターに目を向けるヤプールとインキュベーター

二人は流れる映像に目を走らせる


ヤプール「宇宙に待機させておいた超獣どもは既に十分の一まで数を減らされているな」

インキュベーター「そうか……地上は?」

ヤプール「次々に撃破されていっているな。勢い付いたやつらを止めるのは至難の業だろう」

インキュベーター「………」

ヤプール「………」


そのやり取りを最後に、モニターを見つめたまま動かない二人

青白い光で照らされた室内に静寂が訪れる


その最中、インキュベーターも気付かないほど静かに笑うヤプールが突然口を開く


ヤプール「……所詮戦闘能力を持たない生命体を超獣にしたところでこの程度か」

インキュベーター「……?」

501 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:10:29.22 ID:M0rSwljp0

インキュベーター「それはどういう意味だい?」

ヤプール「言った通りの意味だ。私はかつて無機物と宇宙怪獣を合成して超獣を作り出していたが……」

バサッ

ヤプール「貴様ら唯一の取り柄である知性も超獣化したところでそれとなんら変わらんな」

ヤプール「対象を殺すための凶暴性を付加させた時点で予想は付いていたがな」


黒衣をなびかせ、
嫌らしい笑みを浮かべながらインキュベーターを見下ろす


インキュベーター「!……」

ヤプール「どうした、それは怒りか?感情でも覚えたか?」


ヤプール「Uキラーザウルスへ変貌したあの個体のように」


あの個体

魔法少女、そしてイレギュラー達と最も長く接したインキュベーター

巴マミの悲しみという感情をほんの少しだけ理解し、
灰となったUキラーザウルスの中へと消えていったあの個体


そのことをヤプールに指摘されるも、彼ははっきりと否定する


インキュベーター「怒りという感情に興味はあるが……それはありえないね」

インキュベーター「そもそもあの個体は僕達にとってイレギュラーだ。もはやインキュベーターとは言えないね」トテトテ


そう言うと同時にヤプールから離れだす


502 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:11:02.03 ID:M0rSwljp0

ヤプール「何処へ行くつもりだ?」

インキュベーター「まぁ逃げ支度というやつかな?」

ヤプール「!……降伏するつもりか」


インキュベーターは振り向き言い放つ

ヤプールは驚いたように目を見開くがすぐにまた表情を作り直し、
再び笑みを浮かべる


ヤプール「ふははは!とんだお笑い種だな!これ程のことをしておいて今更降伏とは!」

インキュベーター「許すはずがない……とでも言いたそうだね?」

ヤプール「当然だろう。こちらは一度やつらの降伏勧告を断っているのだからな」

インキュベーター「……だがまだこちらに交渉の手段が残されているとしたら?」


ヤプール「なに…?」


予想外の答えにヤプールは眉を顰め、インキュベーターを見つめる


インキュベーター「彼らが降伏を持ちかけてきた時、あの青いウルトラマンが言った言葉……」

インキュベーター「宇宙延命のための別の道を共に探そう………ってね」

インキュベーター「そして彼らは一度ここへ侵入してきた時に僕達が集めたデータを少し調べていったみたいなんだ」


インキュベーター「これはつまり向こうはまだその宇宙延命の為の手段も情報も揃っていないと考えられないかな?」

503 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:11:28.62 ID:M0rSwljp0

インキュベーター「彼らは必要なんだよ。僕達の知識と情報が」

ヤプール「ほう?」


饒舌に語りだすインキュベーター
その話を聞きながらもなおヤプールは嫌らしいうすら笑いを絶やさない


ヤプール「つまり知識を交渉材料にして許しを請おうという魂胆か」

インキュベーター「その通り。まぁさすがに全くの御咎め無しというわけにはいかないだろうがね」


トテトテトテ…


インキュベーター「僕はこれから戦闘中の超獣達に戦いを止めるよう指示してくるよ」

インキュベーター「彼らも無抵抗になった相手に攻撃は出来ないだろうからね」


踵を返し、歩き出すインキュベーター
その後ろでヤプールは先ほどとは違う冷たい視線を彼に送り続けていた


インキュベーター「知性も消えてしまった獣だからあの個体達は処分するしかないが……」

インキュベーター「まともな個体である僕とこの艦にあるテクノロジーさえあればいくらでもインキュベーターという種の再興は可能だ」


そう言いながら歩き続けるインキュベーター
その一方で懐に手を忍ばせるヤプール


インキュベーター「……おっとそうだ。君はどうする?」

インキュベーター「ここで滅びるのを待つかい?それとも一緒に降ふ―――」クルッ


思い出したようにそう呟き、振り返ろうとするインキュベーター

しかし





ドギュン!!




504 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:12:03.39 ID:M0rSwljp0

インキュベーター「!!!!」ドチャッ


静寂が支配する部屋に突如鳴り響く銃声

それと同時に真っ赤な血溜まりが広がり、
振り向こうとしたインキュベーターはその中に倒れ込む


ヤプール「この私がヤツらに降伏?笑えない冗談だなインキュベーターよ」

インキュベーター「な……な…?何故……!?」


血に塗れながら床を転がるインキュベーターが向けた視線の先、
それは光線銃を構えたヤプールの姿

未だに状況が呑み込めない彼に、ヤプールが非情にも告げる


ヤプール「お前達はもう用済みだ」カチャン

スタスタスタ…

インキュベーター「わけが……わからないっ…!理解……できないっ…」


その場に光線銃を投げ捨て、瀕死のインキュベーターにヤプールが迫る

朦朧とする意識の中、インキュベーターはある疑問を呟く


インキュベーター「何故…なんだ?降伏すればいいものを……!勝ち目は……無い…んだぞ…!」


息も絶え絶えの状態で、ヤプールに問い掛けた疑問

戦力が不足し勝ち目がほぼゼロに等しい状態でなぜヤプールは降伏をせず、
このタイミングで暴挙に出たのか

インキュベーターには全く理解できなかった


しかしヤプールは余裕の表情で言い放つ


ヤプール「いいや、やつらを消し去る切り札なら私の手の中にある」シュイン

インキュベーター「!!……なに…」
505 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:12:32.50 ID:M0rSwljp0

歩を止めたヤプールが右腕をゆっくりと掲げると、
突如としてその手の上に桃色の球体が出現

それを見たインキュベーターは愕然とする


インキュベーター「それは……まさか!?」

ヤプール「これは鹿目まどかから回収したエネルギー。貴様らが喉から手が出るほど欲したものだ」

インキュベーター「なぜだ!?彼女からは回収できなかったはず…」

ヤプール「あの娘が首から提げていた妙な石ころ……そこから抽出したものだ」

インキュベーター「そんな……そんな……なぜそんな石なんかに…」

ヤプール「理由などどうでもいい。このエネルギーが私の手の内にあるのは変わらんのだからな!」


シュゥウ…


ヤプール「おぉおお……」


右手のまどかのエネルギーをヤプールは胸に押し込み、
その体に取り込む


ヤプール「素晴らしいぞ!このエネルギーが完全に私の体に馴染めば体力を消耗したヤツらなど恐るるに足らん!」

インキュベーター「な、なんて事を…僕達の技術とそのエネルギーが無ければこの宇宙は……」

ヤプール「結構な事じゃないか!この宇宙が滅びようと異次元人は永遠の闇の中で生き続ける!」


ヤプール「貴様らはいい道化だったぞインキュベーターよ!!」


まどかのエネルギーを体に取り込み、歓喜するヤプール


これによりインキュベーターの当初の計画は

この悪魔によって完全に崩壊した
506 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:13:01.02 ID:M0rSwljp0

ヤプール「ぬははははははは!!」

インキュベーター「……」


体中から溢れ出んばかりのエネルギーを手に入れ、高笑いするヤプール
そして血溜まりの中、その姿を見上げるインキュベーター


インキュベーター「そうか……これが…」


感情の無い種族であるインキュベーター

そんな彼の中に、生まれるはずの無い小さな感情が芽生える


インキュベーター「絶望か……」


小さく呟くインキュベーター
彼の視界は薄れ、目の前が暗くなり始める


ヤプール「さて……私はここから超獣共が全滅するまで高みの見物といかせてもらおう」

ヤプール「その頃には私は究極の力を手に入れているだろうからな……」


足元のインキュベーターを一瞥し、モニターの方向へ歩き出すヤプール




ドゴォオオン!



ヤプール「!?」


507 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:14:17.32 ID:M0rSwljp0

ヤプール「なにっ!?」

インキュベーター「……?」


轟音が鳴り響き、突然崩れ落ちる壁
衝撃で砂塵が舞い上がり、視界が狭まる

ヤプールは驚愕し、崩れた壁の向こうを凝視する


ヤプール「!!……貴様らぁ…!」


砂塵が少しづつ薄れ、徐々に現れる五つの人影

ヤプールはそれらを睨み付け、怒りを露わにする


ほむら「見つけた……!!」ジャキン

マミ「どうやらここで正解みたいね」チャキッ



さやか「まどか、アイツで間違いないよね!?」

まどか「うん、間違いない……あれがヤプール……!」

杏子「ようやく王手をかけたってとこだな!」


武器を構えたほむらとマミを先頭に、
五人の魔法少女達が広間へと突入する


ヤプール「鼠どもが……あと少しだというのに」


ヤプールは苦虫を噛み潰したような顔で魔法少女を鋭く睨み付け、拳を握り締める


インキュベーター「……ぁ……あ」

508 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:15:00.93 ID:M0rSwljp0


杏子「!? おい、あれ!」

マミ「…!!」


蚊の鳴くような呻き声

それに反応した杏子が指差した先には、
まさに虫の息といった様子のインキュベーターが転がっていた


インキュベーター「ヤ…プール……た、頼む…は、早く僕にエネルギーを分けてくれ……」

ヤプール「……」

インキュベーター「このままでは……インキュベーターという種が……この宇宙…が…」


息も絶え絶えといった様子でヤプールに懇願するインキュベーター

だがその望みが受け入れられない事は、
その様子を黙って見ている魔法少女達も、インキュベーター本人も理解していた


少しづつ力を失いつつある声が小さく響くだけの広間

しかし突然まどかがマミを見つめ、口を開く


まどか「あの……マミさん」

マミ「……」


まどかが声を掛けるも、マミは神妙な面持ちでインキュベーターを見続ける


まどか「マミさんの魔法ならあの子を助けてあげることも……」

ほむら「!」

509 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:15:35.54 ID:M0rSwljp0

まどかの発言を聞いたほむらが一瞬驚いたように目を見開くが、
すぐさま表情を硬くして事の成り行きを見守る


マミ「それは私も分かってる……けど……」

まどか「……」


インキュベーター「この際……巴マミ…君でも……いい…僕…を…」


杏子「……」

さやか「……っ」


迷い続けるマミ

その後ろではほむらと同じく事の成り行きを見続ける杏子と、
今にも飛び出していきそうなさやかの姿


さやか自身、マミの様に治癒魔法で彼を救う事も出来る

だが仲間達を傷付け、自らの運命を弄んだインキュベーターを許す事が出来ず、
さやかは前に踏み出せなかった



ヤプール「………」



黒い帽子を目深にかぶり、インキュベーターを見下ろすヤプール
その表情は少女達からは窺う事は出来ない


インキュベーター「マ………ミ……」

マミ「……」


マミ「…………分かったわ」

まどか「マミさん……」

さやか「あ……!」

ほむら「……」


マミが頼みを受け入れ、一歩づつ前に進み出る

その姿を見つめる少女達の中、
ほむらだけが目を瞑り、あからさまに眉を顰めていた

510 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:16:02.49 ID:M0rSwljp0

ヤプール「ふっ……くく…くくく」

マミ「?」ザッ


インキュベータへ歩み寄ろうとしていたマミは、
息が漏れる様な笑い声を聞き、立ち止まる


ヤプール「ははははは!!甘い!甘すぎるわ!!」

まどか「!?」

ほむら「……」


突然大声で笑い出すヤプール
ほむらを除いた一同は驚き、身構える

だがヤプールはマミを見つめ邪悪な笑みを浮かべた後

足を少し振り上げ


ヤプール「いつまで喋っているつもりだ死にぞこないめ」

インキュベーター「!! や、やめ――」


グチャッ


マミ「なっ!?」

まどか「あぁっ……!」

さやか「っ!!」


無残にも踏み潰されるインキュベーター

マミは後ろに飛び退き、
まどかは悲痛な声を上げ、さやかは思わず目を逸らす


ほむら「……ふん」

杏子「……やれやれ」


その後ろでほむらは全く表情を変えず、
杏子は予想通りといった顔で手を頭の後ろで組んでいた

511 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:16:32.01 ID:M0rSwljp0

ヤプール「どうした?喜ぶべきことじゃないか!お前達を利用したインキュベーターは消えたのだぞ!」ブンッ

ビチャッ


ヤプールが足の下の動かぬ肉塊と化したインキュベーターを、
まるでゴミでも払うかのように蹴り上げる

音を立て血の赤色が混じった白い肉が壁にぶつかる


マミ「確かにヤツらは酷い事をした……けど」

まどか「こんな……こんな最期って」

さやか「ちょっとだけ……可哀そう」


インキュベーターの死体を見つめ、複雑な表情の三人

そんな少女達をヤプールは嘲笑う


ヤプール「やはり甘いな魔法少女ども!これが優しさというやつか?くだらん!」

ヤプール「その甘さがある限り貴様らは何もできん!何も守ることなど出来んのだよ!!」

ほむら「………」


ヤプール「ぬはははははは!!!」


ころころと表情を変えながら嘲り笑う


俯き、言葉を発する事の出来ないまどか、マミ、さやか
ほむらは依然として無言のまま


しかし、ヤプールの発言に異を唱える少女が一人



杏子「いーやそいつは違うね」


512 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:16:59.41 ID:M0rSwljp0

ヤプール「……なにぃ?」


笑い声は止み、
途端に眉を顰めて杏子を睨み付けるヤプール

その睨みに負けず杏子は前に進み出る


杏子「たしかにコイツらは甘いさ、それこそ笑っちまうくらいにね」

まどか「ぅ……」


そう言いながら振り返り見つめられ、口をすぼめるまどか達


杏子「だがな」ジャキッ


再びヤプールを睨み返し、槍を魔力で生成する
杏子は口を開く


杏子「この優しさが弱さであると同時にこいつらの強さでもあるんだよ!」

杏子「ただ強いだけの力なんてそんなの機械と変わらねぇじゃねーか!」


ビシッ


杏子「優しさがあれば強くもなれる!アタシはそれを知っている!!」



堂々と槍をヤプールへ向けて突き付け、力強く言い放つ


さやか「杏子……」


513 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:17:33.75 ID:M0rSwljp0

杏子「……ま、これは受け売りだけどな。へへっ」

さやか「あらら……せっかくカッコよく決めたのにねえ」


照れ臭そうに笑い、仲間達を振り返る杏子

その顔を見た一同の顔も少し赤かった


ヤプール「なるほど。一匹狼が口だけは達者になったようだな」

杏子「!!」


さやか「くるか!?」チャキ

まどか「……」スッ


ヤプールが一歩前に進み出ると同時に、
棒立ちだったまどかとさやかも武器を構え、ヤプールに対して身構える


ヤプール「さて強くなるなどと抜かしたが、今の言葉は果たして真実かな?」

杏子「へっ……すぐに分かるさ」


ヤプール「ははははは!!まったく笑わせてくれる――」



バァン!



ヤプール「ぬぐっ!?」


まどか「えぇっ!?」

さやか「うわ!!」


514 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:17:59.79 ID:M0rSwljp0

一発の銃声

笑い声を上げるヤプールの胸に撃ち込まれる魔法弾


驚き、一瞬言葉を失う魔法少女達

その静寂の中で、
ほむらの構えたディバイトランチャーから静かに硝煙が立ち昇っていた



ほむら「……その嫌らしい笑い声をこれ以上私の耳に入れないで」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

杏子「……アンタもよくやるねぇ」


ヤプール「………」


突然のほむらの行動に空いた口が塞がらない一同

そんな中、ヤプールは胸に直撃を受けたにも関わらず平然立ち尽くしていた
ただその顔に先程までの笑みは無い


ほむら「ヤプール……私はこれ以上自分を抑えることは出来ないわ」


淡々と話すほむらの瞳の奥は確かな怒りに満ちていた

自分の怒りを全てぶつけることのできる、この戦いの元凶が今目の前にいる


こいつを倒せば全てが終わる―――

普段は物静かなはずの彼女の感情が今、爆発する


ほむら「マミッ!!」ジャキッ

マミ「! え、ええ!」チャキ


ヤプール「!!」


ドガガガガガァン!!


515 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:18:46.96 ID:M0rSwljp0

ほむらの呼び掛けに答えるように巨大な銃を構えるマミ

それと同時に放たれる大量の弾丸がヤプールに向けて飛び、
彼の立つ位置を中心に爆風が巻き起こる

辺りに散らばる瓦礫、舞い上がる煙
ヤプールの姿はその向こうへと消える


ほむら「はぁっ……」

マミ「………」


銃を下げる二人
先程の攻撃は間違いなく何発かは命中した

しかしその場にいる全員が理解していた

ヤプールがこの程度の攻撃で死ぬはずがないと



杏子「まぁこれじゃ終わらねえよなぁ……」

さやか「あー……やっぱり?」

まどか「うん……まだあのどす黒い殺気が消えてないよ」


三人がそう言い終わったほんの数秒の後、
砂ぼこりの向こうからゆっくりと少女達へ歩み寄る一つの影


まどか「!!」ゾクッ

さやか「……本気モードって感じだね」


その影は先程までそこに立っていた人の姿のものではなく、
明らかに異形の姿をしていた


ザッ


ヤプール「調子に乗るなよ……下等な地球のサルどもめ!!」


マミ「!! 姿が変わった!?」

杏子「化けの皮を剥がしたって方が正しそうだなコイツは」


516 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:19:11.99 ID:M0rSwljp0

煙の向こうから完全に姿を現したヤプール

その姿は以前までの黒衣を纏った老人の姿ではなく、
全身が真っ赤に染まり、体中いたるところに毒々しい棘が生え揃い
頭にはアンテナのように二本の角が生え、右手の先端は鋭い鎌状へと変化する

そして薄暗い室内に不気味に輝く緑色の目

人の姿から一転、
恐るべき悪魔の様な姿へと変身する


ほむら「どうやらその醜い化物の姿があなたの正体ってわけね」

ヤプール(ちぃ……あと少しで私は究極の力を手に入れられるというのに!)



まどか「うぅ……」


目の前の怪物に怯むことなく挑発するほむら


杏子「まどか、気持ちで負けたら終わりだ。堂々といこうぜ」ポン

まどか「う、うん!そうだね!」


まどか「みんなを泣かせたあいつを……今度はみんなでやっつけるんだ!!」

さやか「おおっ!!」


杏子に軽く背中を叩かれ、
まどかは自分を奮い立たせる

その姿を見て、さやかもまた心の底から勇気を燃やす



ヤプール「どこまでも生意気なガキどもが!!勝てると思うな!!」


バシュッ!


517 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:19:45.94 ID:M0rSwljp0

マミ「来たわ!みんな散って!!」


ドガァン!


ヤプール「むぅ!避けたか!」


ヤプールの右腕から発射される三日月状の破壊光弾
マミの指示を受け、それを散開して避わす五人

五人の背後で起こった爆発と同時に戦いの火蓋が切って落とされる


杏子「接近戦はアタシ達がやる!三人とも援護は任せたよ!!」

さやか「いくぞーーーっ!!」


さやかが剣を握り直し、その横で杏子が指示を飛ばす
弾かれた様に飛び出し、真正面からヤプールへ突っ込む二人の魔法少女


マミ「鹿目さん、あなたはヤプールから一番遠い位置を取りながら攻撃を!」

ほむら「私とマミはあなたとヤプールの中間の位置をキープしたまま攻撃するわ」


まどか「わかった!行こう!!」


ダッ


さやかと杏子に少し遅れて、
三人も武器を握り直し、散開する


杏子「うおぉおおっ!!」

さやか「うりゃあっ!」


ヤプール「……フン!」

ガキン!

518 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:20:13.86 ID:M0rSwljp0

杏子「ちっ……!」

さやか「こん……のぉっ!!」ググッ


二人の魔法少女が繰り出す剣と槍の一撃
しかしヤプールはその攻撃を軽々と右腕のカギ爪で受け止める


ヤプール「つまらん攻撃だな!拍子抜けしたぞ!!」

杏子「ぐっ?!」

ドガッ

さやか「杏子っ!?……こいつ!!」


槍を受け止められ、動きの止まった杏子が腹に蹴り受け、弾き飛ばされる
それを見たさやかが再び斬りかかるもヤプールには届かない


杏子「っ……んの野郎!!」

ヤプール「そらそらどうした!二人がかりでそんなものか!!」


ガガガキンッ!


杏子も再び立ち上がり攻撃に加わるも、紙一重のところで全ての攻撃が右腕に捌かれる


マミ「二人とも飛んで!」ジャキ

ヤプール「むうっ!?」


杏子「!! さやか!」ダッ

さやか「うんっ!」ダッ

ドガァン!!

519 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:20:39.49 ID:M0rSwljp0
声を聞くと同時に後方に大きく飛び退く二人

その瞬間
マミが抱えた大砲から放たれる砲弾が炸裂し、ヤプールのいた地点は爆風に飲み込まれる


マミ「よし!」


まどか「や、やった!?」

ほむら(決まった…!あのタイミングなら避けようがない!)


スタッ


杏子「攻撃するのはアタシ達二人だけじゃないんだぜ!」

さやか「どうだ!今のは効いたでしょ絶対!」


完璧なタイミングで決まる援護射撃
着地したさやかと杏子は立ち昇る爆煙を見つめ、言い放つ


だがヤプールの声は少女達の予想外の場所から飛んでくる


ヤプール「まさか今の攻撃で私が音を上げるとでも?」

ほむら「! なっ……!?」


まどか「あ……う、後ろ!」

マミ「佐倉さん避けてっ!!」


杏子「はっ!?」

520 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:21:10.82 ID:M0rSwljp0

ヤプール「そらまずは一人目だ!」


完全に意識の外
振り向いた時には既にヤプールはカギ爪を大きく振り上げていた

狙いは無防備な杏子の首元


さやか「杏子!」

杏子「うっ!?」


ザシュッ!


さやか「ぐっ……ぁあ!!」ドサッ


さやかが防御の間に合わない杏子に覆いかぶさる様に割り込み、
強烈な一撃を背中に受ける

その衝撃で二人は吹き飛び床に転がる


さやか「っ……うぅ」

杏子「さやかっ!お前アタシを庇って傷を……!!」


床に倒れ込んだままさやかを抱える杏子

ヤプールの攻撃をまともに受けたさやか
背中はぱっくりと裂け、千切れた真っ白なマントにじわりと血が滲む

だが彼女は苦悶の表情をすぐに塗り潰し、強気な笑顔を杏子に向ける


さやか「……大丈夫だって!あたしの能力、忘れたの?」

杏子「!!……」


青い光が背中の傷口を覆い、少しづつ回復させる


杏子「……すまねえ。この借りは利子つけて返してやるからな」

さやか「ははは……なるべく早く頼むわ」

521 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:21:57.81 ID:M0rSwljp0

ヤプール「味方を庇ったようだが次はどうかな?」


機械の様な緑の瞳を不気味に光らせ、
未だ体勢が整っていない二人に向かってヤプールが一歩づつ迫る


ほむら「そうはさせない…!」

マミ「援護を!二人に近づけさせちゃ駄目よ!」

まどか「さやかちゃん杏子ちゃん!早く立って!!」


バシュシュッ!


二人が逃げる時間を稼ぐため飛び道具を持った三人が一斉に攻撃する

風を切り、魔法の矢と銃弾が三方向からヤプールに襲い掛かる

だがしかし…


ヤプール「……」スッ

まどか「う、嘘!?」


ほむら(速い……!!)

飛んでくる攻撃を一瞥すると、
凄まじい速さでその場から移動し、ヤプールは全ての攻撃を避け切る

ヤプール「うるさい蝿どもめ!」バシュシュッ

ドガァン!

まどか「あっ!?やっ、いやぁっ!!」


左腕からばら撒かれた毒々しい色の光弾
高速で移動しながらであるため狙いは正確とは言えないが、爆風に巻き込むには十分だった


マミ「か、鹿目さ――」

ドゴッ!

マミ「がっ……ぅ…!!」

爆風で宙に舞い上げられるまどかに気を取られた瞬間、
マミの腹に深々とめり込む赤い拳

攻撃を受けた事をマミが理解した時にはもうヤプールの姿は目の前には無く、
次の標的目掛けて移動を始めていた

ヤプール「ふははははは!暁美ほむら、次はお前だぁあ!!」

ほむら「くっ……!!」ジャキ


バァン!


ヤプール「当たらんなぁ!もっと良く狙って見せろ!!」

高速で接近してくるヤプールに何度も魔法弾を放つが、
その全てが残像をすり抜け、ただの一発も当たらない

挑発し、余裕を見せつけるヤプールにほむらの焦りは増してゆく


ヤプール「ふん!!」

ほむら「っ……!」

ガキン!

522 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:22:23.52 ID:M0rSwljp0

ヤプール「ほぉお……受け止めたか」


振り下ろされたヤプールのカギ爪に対し、
ほむらは左腕の盾を突き出して果敢にも正面からそれを受け止める


ヤプール「だがそのか細い腕で何処まで持ちこたえられるかな!?」ググッ

ほむら「ぐっ……ぅううう!」


太い丸太の様な腕を盾の上から押しつけるヤプール
それに対抗するほむらの左腕はあまりにも細く弱々しい

全身に力を込めて耐えるも、
そのまま押し潰されるのは時間の問題だった


ヤプール「ふふふこのまま一気に………む!?」ダッ


ドゴォン!


後方からの殺気を感じ取り、咄嗟に右へ飛び退くヤプール

そこへ一瞬遅れて魔法で巨大化した槍が床を砕き、瓦礫を巻き上げ突き刺さる


杏子「ちぃっ!あと少しで直撃だったのに!!」ズッ


攻撃の張本人が舌打ちを一つ鳴らし、縮小させた槍を床から引き抜く


ヤプール「惜しかったな。今のが私を倒す最後のチャンスだったかもしれんぞ?」

杏子「うるせぇ!まだ勝負はこれからだ!」
523 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:22:59.09 ID:M0rSwljp0

まどか「杏子ちゃん!ほむらちゃんを連れてそこから離れて!!」


杏子「! ほら立てほむら!離れるぞ!!」グイッ

ほむら「え、ええ」


指示を受けた杏子はほむらの腕を引っ掴みその場から飛び退く

二人の退避を確認しつつ、まどかは弓を引き絞る
だが桃色の光を放つ矢の先はヤプールではなく彼の遥か上に向いていた


ヤプール「?……」

まどか「動きが速いなら……これでぇっ!!」シュッ


バシュッ!!

まどかの放った矢はヤプールの頭上で弾け、
細かな光の矢が雨粒のように大量に降り注ぐ

迎撃も、攻撃の範囲外へ逃れることも不可能


ヤプール「なるほど、そうきたか」スッ

ドガガガッ!

まどか「!? そ、そんな!!」


青い残像を残しながらの高速移動

まどかの攻撃も矢と矢の間を縫う様に動き回るヤプールには当たらず、
床を砕いて煙を巻き上げることしか出来ない


杏子「マジかよ!?今のを全部避け切りやがった!!」

ほむら「……不味いわ。ヤツの動きを捉えることが出来なければ全滅よ……!」


室内を滑る様に動き回るヤプールにほむらは焦りを隠せない


ヤプール「その通り。そら、早くなんとかしてみせろ?」シュッ

ほむら「!?」

杏子「なっ…もう後ろに…!」

ドンッ!

524 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:23:28.66 ID:M0rSwljp0

ドシャッ!

ほむら「ぐっ、うぅ!」

杏子「がはぁっ!?」


二人の背後に現れるヤプール
左手から放つ衝撃波を背中に受け、ほむらと杏子は豪快に吹き飛ぶ


さやか「ま、マミさんっ……大丈夫ですか…っ!?」

マミ「くっ……ええ、これくらいの事でっ……」


先程直撃を受けた二人は自身の傷をある程度回復させ、
ダメージの抜け切らない体に鞭打ち、懸命に立ち上がる


ザシュッ!

さやか「ぎっ!?あ、ぁあ!!」

マミ「うぁああっ!?」


ヤプール「ふははははは!!!」

だが再び襲い掛かってきたヤプールのカギ爪に切り裂かれ、
さやかとマミは鮮血を散らしながら宙に弾き飛ばされる

ヤプール「どうしたどうしたぁ?先程までの威勢の良さは何処へ行った!?」


ドガガガガッ!!


さやか「がぁっ!?」

ほむら「うっ………ぐ」
525 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:23:57.95 ID:M0rSwljp0

まどか「み、みんな!!」


攻撃を受けて弾き飛ばされながらも、
必死に立ち上がろうとするほむら、マミ、さやか、杏子

だが室内を縦横無尽に動き回るヤプールに襲われ、何度も叩きのめされる一方的な展開

唯一、最も離れた所にいたまどかはその攻撃を免れていた


まどか「助けなきゃ……このままじゃみんなが…!!」グッ


仲間達を救うため、再び弓を引き絞るまどか

だがヤプールがそれを許すはずもない


ヤプール「! そうはいくか!!」バシュ

ブシュッ

まどか「くっ!?……あ!」


ヤプールがカギ爪から打ち出されたレーザーに肩を貫かれ、
弓を手から落とし、よろけるまどか


ヤプール「ふふふ……」シュッ

まどか「えっ!?」

バキィッ

まどか「うぅっ、あ!!」

手から落ちた弓が床に着くまでのほんの一瞬

その一瞬でヤプールはまどかの目の前まで接近し、驚く暇も与えずまどかを叩き伏せる

まどか「がっ!?」ゴッ

ヤプール「そろそろ終わりだな鹿目まどかよ?」
526 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:24:36.86 ID:M0rSwljp0

倒れ込んだまどかの頭を容赦なく踏みつけ、
彼女を見下ろしながらヤプールが呟く


ヤプール「お前には少しばかり計画を狂わされはしたが……最後に思いがけない贈り物を貰ったから良しとしよう」

まどか「な……何を……」


ヤプール「今から死ぬお前には関係の無い話だ」ググ

まどか「ぐぁ…うぁああっ…!!」ミシッ


頭を押さえつける足に、より一層力を入れるヤプール

それに比例するようにまどかの苦悶に満ちた叫び声が上がり、
まどかの頭が軋むような音が響く


ヤプール「さて?魔法少女は頭が潰されても生きていられるのかなぁ?」

まどか「ぐぅ!?ぁ、っあぁああーーーっ!!!」ミシミシッ


バァン!


ヤプール「……!」シュッ

まどか「かはっ!!……はぁっ……はぁっ……」


突然の銃声
それに反応したヤプールがまどかから離れ、再び移動を開始する


ほむら「……さやかっ!まどかをお願い!!」

さやか「っ……う、うん!」


ほむら「みんな一ヶ所に集まって!!」


床に伏せた状態でランチャーを構えたまま、ほむらが一同に指示を飛ばす


ヤプール「ちっ、あと一歩のところを……」


さやか「まどか、ちょっと我慢してね!」ダッ

まどか「あ、ありがと…さやかちゃん……」
527 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:25:07.87 ID:M0rSwljp0

さやかが倒れ込んだまどかを抱き起こし、仲間達の方へと運び去る

その間にもほむら達三人は苦痛に耐えながらも起き上がり、
全員が部屋の中央に集まっていた


スタッ


さやか「よし着いた……まどか、今治してあげるからね!」

まどか「くっ…ぅ!」シュゥウ


マミ「暁美さん、佐倉さん。あなた達も回復を」

ほむら「私はまだ大丈夫……杏子、あなたが治療してもらいなさい」

杏子「っ……悪いなマミ」シュゥウ


魔法少女達が一ヶ所に集まり、
どの方向からの攻撃にも対応できるように全員で背中を合わせて円を作る


さやか「くっそぉ……あいつ速すぎるよ……」

マミ「動きを止めようにも私のリボンじゃあの動きを捉えきれない…!」

ほむら「……なんとかしてヤツに一撃を喰らわせないと」


あまりにも圧倒的なヤプールの力に思わず弱音を漏らす少女達

その体は少し回復したとはいえ度重なる攻撃で傷だらけで、
ソウルジェムもすでに半分近くが黒く濁り始めていた


ヤプール「何をしようと無駄だ!勝敗はすでに決まっているのだよ!」ザッ

杏子「っ……野郎…!」


動きを止めてヤプールは自身の余裕を見せつける


ヤプール「ウルトラ戦士達を含むお前達の戦闘データは全て把握している!」

ヤプール「魔女やインキュベーターとのここ一ヶ月の戦闘データ全てをだ!貴様らの能力などお見通しだ!!」

まどか「そんな……それじゃこっちの手の内が全部……」


杏子「………」ピクッ
528 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:25:37.86 ID:M0rSwljp0

杏子(ちょっと待てよ?)

杏子(ここ一ヶ月……アタシ達の戦い……全て…?)


顎に手をやり考え込む杏子

必死に思考を巡らせ
ここ一ヶ月の戦い、魔女と超獣達との戦い全てを思い出す


杏子(!!!………これだ!!)


そしてこの絶望的な状況を打開するための案を導き出す


杏子「みんな!聞い……」

ヤプール「ふん!一ヶ所に集まったのは間違いだったな!!」バッ


ゴォオオッ!


まどか「きゃあぁっ!?」

さやか「あつっ……熱いっ!!」


杏子が自分の考えた案を伝えようとした瞬間、
ヤプールが左腕を突き出し、少女達を囲むように火柱を出現させる


マミ「パイロキネシス!?こんなことも出来るの!?」

ほむら「く……ヤツは一体どれだけの能力を…」


ヤプール「はははは苦しめ苦しめ!じわじわと焼き殺してやるわ!!」


杏子「っ……みんな聞いてくれ!!」

ほむら「!?」
529 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:26:06.01 ID:M0rSwljp0
まどか「杏子ちゃん…?」

さやか「何よ、こんな時に!……あちっ!!」


ヤプールの驚異的な能力の数々に驚きうろたえていた一同が、
杏子の声に耳を傾ける


杏子「あったんだよ!アイツをぶちのめす方法がな!」

マミ「! 何か策があるの!?」


杏子「ああ、一つだけな。………だから五分……いや、三分だけ時間を稼いでくれ」

さやか「ちょ、ちょっと!いきなり方法も教えられないまま時間稼げったってそんな……」


突然の杏子の頼みに焦るさやか

だが…


マミ「分かった。時間を稼げばいいのね?」

さやか「ま、マミさん!?」


杏子の真意も教えられないまま、
銃を握り直し、その頼みを快諾するマミ


マミ「私達に出来ることはヤツを攻撃して時間を稼ぐこと……それ以外に余計な事は知る必要は無いと思うけど?」

さやか「それはそうですけど……」


杏子「さやか、これが成功したらさっきの借りはチャラな?」

さやか「……成功したらね」


ほむら「まどか、あなたはいけそう?」

まどか「うん……このままやられっぱなしじゃ地上で戦ってるみんなに申し訳が立たないもん」


未だに不満そうな顔のさやかを半ば強引に納得させ、
全員が武器を握り直し逆転のための策を実行する


ゴォオッ!


ヤプール「むうっ!?」シュッ
530 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:26:41.02 ID:M0rSwljp0
轟々と燃え続ける火柱の吹き飛ばしながら光の矢と銃弾が迫り、
ヤプールはそれを間一髪のところで回避する


さやか「たぁああーーっ!!」

ヤプール「不意打ちのつもりか!?甘いぞ!」ガキン


シュッ


その攻撃に続けてさやかが炎の中から飛び出し、斬りかかる
しかし先程と同じくヤプールは軽々と受け止めると再び高速移動を開始する

まどか、ほむら、マミは三方向へ散開し、
さやかはヤプールの動きになんとか喰らい付こうと、必死でその後を追う


さやか「うぅ〜!やっぱ速いよアイツ!!」

マミ「だったら……!!」チャキ


バンッ!


ヤプール「巴マミ、貴様の考えていることなどお見通しだ!」バシュッ

マミ「!?」


マミの放った銃弾に対し、
ヤプールは避けずそれを素早く光弾で消滅させる


ヤプール「閃光弾だな?つまらん小細工を!」

マミ「駄目だわ……完全に読まれている」


ほむら「……本当にこちらのデータは完全に解析されてるみたいね」


まどか「でも今は攻撃するしかないよ!」

まどか(少しでも時間を稼ぐために!)
531 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:27:05.35 ID:M0rSwljp0
ドガガッ!

さやか「あぐぁっ!!」

ほむら「うっ……!?」


まどか「さやかちゃん!ほむらちゃんっ!?」

マミ「く……鹿目さん、今度は左右から狙うわ!あなたはあっちから回り込んで!!」


ヤプール「何をするつもりかは知らんがまだいたぶって欲しいようだな!!」


ヤプールの鋭い棘が生え揃った体から繰り出される体当たり
それに高速の動きが加わり、ただ動き回るだけで魔法少女達にとっては恐ろしい攻撃となっていた

それでもなんとかして反撃を試みようと、必死に喰らい付く


少し離れた場所で、
杏子は自身の槍を砕けんばかりに握り締め、今すぐ飛び出して行きたい衝動を抑え込む



杏子(耐えろよアタシ……後少し……後少し!)

杏子(周りの音も何もかも遮断して……今はとにかく集中するんだ!)


自分に言い聞かせるようにして、
目を閉じ、頭の中で何度も唱える
532 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:27:30.91 ID:M0rSwljp0

ほむら「うぁ……く!」ドシャッ


杏子がそうしている間にもヤプールの攻撃は続く

ほむらはもう何度目かの転倒、
飛びそうになる意識の中、頭を振ってなんとか自分に活を入れる


ほむら(ここで寝ているわけにはいかない……今杏子が狙われたら……)

ほむら(………?)


床に手を着き立ち上がろうとしたほむらの視界にあるものが入りこみ、
ほんの一瞬だけ彼女の思考が止まる


ほむら「!!」バッ


突然上を見上げるほむら
その先にはゼロの破壊工作により、亀裂の入った天井があった


ほむら(これなら……いけるかしら?)


ドガッ!


マミ「きゃあぁっ!!」

ほむら「え?!」ドシャッ


杏子に続きほむらも一つの作戦を思い付くが、
その瞬間弾き飛ばされて来たマミの下敷にされる

だがそれは今のほむらにとっては好都合だった


マミ「! あ、ご、ごめんなさい!私受け身が……」

ほむら「……いえ、いいタイミングじゃない。ちょっと耳を貸して」

マミ「…?」
533 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:28:03.93 ID:M0rSwljp0
二人の少し離れた所ではまどかがさやかを援護しつつ、ヤプールと交戦している

ほむらはそれを確認すると、
床に落ちた『ある物』を指差しながら自分の考えた時間稼ぎのための策をマミに耳打ちで伝える


マミ「なるほどね……試してみる価値はあるかも」


ほむら「でしょ?ヤツは今、私達を殺すことで頭がいっぱいで周りの状況が見えていない」

ほむら(周りの状況をよく見る……孤門のアドバイスが役に立ったわね)


マミ「とにかくあっちの二人もそろそろ危険ね……さっそく実行しましょう」ダッ

ほむら「ええ、頼んだわよ」


ほむらに指示された位置へ向けて一気に跳躍するマミ

その間、まどかは矢を放ち、さやかはがむしゃらに剣を振り続ける

だがヤプールの姿を捉えることは未だに出来ない


ヤプール「ふはは!暴れろ暴れろ!!そうやって消耗していくがいい!」


さやか「くっそぉおおーー!!避けるな!当たれーーっ!!」ブンッ

まどか「さやかちゃん魔力の消費をもうちょっと抑えて!このままじゃソウルジェムが……」



マミ(この位置……よし)スタッ


シュォォ


マミ(さぁ……頼むわよ暁美さん!)

ほむら「……」ジャキッ


マミがほむらを一瞥

ほむらはそれに答える様に小さく頷く
534 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:28:32.31 ID:M0rSwljp0
ヤプール「ふんっ!!」ドンッ


まどか「うっ……あ!」

さやか「ぐぅうう……まだ…まだ!!」


強烈な衝撃波に襲われ、
なんとか喰らい付いていたさやかとまどかの二人は吹き飛ばされ、大きく仰け反る


マミ「ヤプール!!」

ヤプール「!?……貴様!巴マミ!」


ガコン

マミ「喰らいなさいっ!」


自身の名を呼ばれ振り向くヤプール
その先には巨大な砲台を作り出し、その砲口を真っ直ぐに向けるマミの姿

直撃すれば確実な致命傷を与え得るその技

しかし少女達の想像を遥かに上回るヤプールの動きに、
この一撃を当てることは至難の業だった


ヤプール「馬鹿め!そんな大技が当たると思うか!?」


ヤプール「当てられるものなら当ててみろ!!」ダッ

ほむら(来たっ………このタイミングで!!)ジャキッ


バァン!


ヤプール「!?」
535 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:29:01.82 ID:M0rSwljp0
マミとヤプールとの距離はおよそ20メートル

ヤプールはその距離を詰めるために足を踏み出し高速移動を開始、
真っ直ぐにマミへと向かう

しかし半分までの距離を詰めたところでほむらがディバイトランチャーのトリガーを引く

放たれる魔法弾

しかしそれはヤプールを狙って撃ち出されたのではなく、
ほむらの真の狙いは、マミへと向かう彼の足元に丁度落ちていた『ある物』


ヤプールがインキュベーターに使い、そのまま地面に投げ捨てた光線銃だった



ドバンッ!!


ヤプール「ぬおおっ!?」

まどか「うぅっ…!」

さやか「ぐっ!?」


異次元人が使う強力なエネルギーを秘めた光線銃は魔法弾で撃ち抜かれるとともに、
ヤプールの足元で爆発を巻き起こす

強烈な閃光と舞い上がる土煙

まどかとさやかの二人は一瞬視界を奪われたが、それは当然ヤプールも同じことだった


ほむら「マミっ!今よ!!」

ヤプール「ぐっ、ぅうう………そうはいくかぁああ!!」


シュイン


まどか「バリアー?!」

さやか「!……あ、あいつあんなことも出来るの!?」


視界が回復したまどか達の見たものは、
土煙の中で、自身の周囲に光波バリアーを張り巡らせたヤプールの姿


ヤプール(おのれぇぇええ………し、視界が戻るまでこの中に……)
536 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:29:30.69 ID:M0rSwljp0

マミ「やっぱりバリアーね……私、もうそれは見飽きてるのよ」ガコン


しかしマミはヤプールには目もくれず、
砲口をゆっくりと亀裂の入った天井へと向ける


マミ「私達の狙いは……ここよっ!!」


ドゴォオオオン!!

ヤプール「な、何!ぬぐおぉぉおおおお!?」

ガラガラガラ……


狙いすましたマミの一撃は天井を破壊し、
凄まじい量の瓦礫が降り注ぐ

立ち止まっていたヤプールはそれを一身に受け、
光波バリアーごとその瓦礫に埋め尽くされる


さやか「や、やった!!」


マミ「そもそもあんな土煙じゃあ私も暁美さんも鹿目さんも……あなたにまともな狙いなんてつけられないわ」

まどか「マミさん!ほむらちゃん!す、すごいよ!!」


瓦礫の山の前でガッツポーズをするさやか、
そして砲台をかき消したマミのもとにまどかが駆け寄る


ほむら「けどこの瓦礫も長くは持たない……杏子、早く準備を」


杏子が指定した時間である三分は過ぎた

ほむらは杏子を振り返り、急かす様にそう言う
だが…



ドゴォオン!!


537 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:29:56.65 ID:M0rSwljp0

ほむら「な…?!」

まどか「嘘!?もう出て来た!」

ヤプール「貴様らぁ!!よくもこの私をこけにしてくれたなぁああ!!!」バシュ

ドガァン!!

ほむら「ぐっ!?き、きゃぁああっ!!」


怒れるヤプールの放った特大の光弾は不気味は光を撒き散らしながら大爆発
周囲に転がった瓦礫もろとも少女達を木の葉のように吹き飛ばす

肩で息をしながら少女達を睨むヤプール
そしてほむらの最も恐れていた事態が起ころうとしていた


ヤプール「!……佐倉杏子ぉ……」

ほむら(!!……しまった……)


ヤプール「さっきからこそこそと何かしていたようだが……まだ何か企んでいるのか?」


ヤプールの緑に光る視線の先、
目を閉じたまま槍を突き立て、その場から動かない杏子の姿


ヤプール「おもしろい!ならまずは貴様から殺してやる!!」ザッ

マミ「ぐっ……ぅう……佐倉…さん…」


杏子へ向けて歩き出すヤプール
ここで杏子が倒されれば唯一の希望が失われ、逆転は困難になる


杏子「………」

ヤプール「なんだぁ?先程からだんまりじゃあないか?」ザッ



一歩づつ、杏子に止めを刺すために迫るヤプール

だがそれを阻止するために駆け出した少女が一人…



さやか「こん……のぉぉおおーーーっ!!」ブンッ

ヤプール「!!」


ザシュッ!
538 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:30:23.07 ID:M0rSwljp0
ヤプール「!!」


さやか「あ……あ?」

まどか「えっ!?」

マミ「当たっ……た?」


床に這いつくばったままのまどかとマミが目の前で起きた出来事に驚愕する

ヤプールに飛びかかったさやかが繰り出した斬撃

先程予想外のダメージをを受けたヤプールは錯乱していたためその攻撃を避けることが出来ず、
さやかに角の片方を斬りされた


ヤプール「ぐっ……き、貴様…」

ほむら「! さやか、手を止めないで!もう一撃!!」

さやか「!……そ、そうだ!!」チャキ


ほむらはマミ達と同じく少しの間、思考が止まっていたが、
咄嗟にさやかに指示を送る

さやかはその声に反応し、思い出したように剣を握り直して再びヤプールに斬りかかる


だが


ヤプール「ぬんっ!!」バッ

さやか「あっ!………ぐ?!」ピタッ


一瞬、さやかの体を覆う様に空間が歪み、
振り下ろされたはずの剣はヤプールの突き出された手の前でぴたりと止まる


まどか「さやか……ちゃん……?」

ほむら「さやかっ!なぜ剣を止めるの!?」


さやか「ぐ……ぐぐぐっ!!……ち、違う……体……が……」


当然、さやかが止めたわけではない
ヤプールの念力によって剣どころか体全体の動きをさやかは止められてしまっていた


マミ「!?……ヤプール!まさかまだ能力を隠し持って……」
539 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:30:51.16 ID:M0rSwljp0

ヤプール「その通り………ふんっ!!」

さやか「ごふぁっ!?……が……ぇっ!」ドゴッ

ビチャッ


指一本動かす事の出来ないさやか
そんな彼女の無防備な腹に深々とめり込むヤプールの膝蹴り

強烈な衝撃と骨が砕けたような激痛

さやかは剣を落とし、辺りに血反吐をぶちまける


まどか「さやかちゃぁんっ!!!」

マミ「あの位置!ソウルジェムが!!」


ヤプール「安心しろ。死なれては困るからな……そら!」グイ

さやか「うっ……」


致命的なダメージを受け、血を吐きながらぐったりした様子のさやか

ヤプールはそんな彼女を首を掴み上げて念力で固定し、少女達に見せつける


ヤプール「はははは!!さあ見ろ!銀河中を探し回ってもこんな強力な盾は見つからんぞ!!」

さやか「ぁ…う……」


ほむら「……っ!」


さやかを体に近づけ、盾代わりにするヤプール
少女達の絆を利用した悪魔の発想

その効果は絶大


まどか「……最低っ…!!」

マミ「こんな……酷い…!」


ヤプール「ほーらどうした?攻撃しないのか魔法少女よ!?」

ヤプール「おっと出来るわけがないか……はぁーっはははははは!!!」
540 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:31:25.02 ID:M0rSwljp0

ヤプール「そうだ……いいことを思い付いたぞ。おい鹿目まどか」

まどか「!?」ビクッ


突然名前を呼ばれ表情が強張るまどか
そんな彼女はお構い無しにヤプールは語りかける


ヤプール「こいつを助けたいだろう?お前の大事な大事な友達だからなぁ?」

まどか「当たり前……でしょ」


ヤプール「ふふ……」

ほむら「…?」


まどかが弓を握り締めながら悔しそうにそう答えると、
ヤプールはほむらに一瞬視線を移し、まどかに卑劣な交渉を持ちかける


ヤプール「ならば今すぐその弓で巴マミのソウルジェムを撃ち抜いてもらおうか」

まどか「なっ!?」


マミ「……」

ほむら「!!!」


再びまどかにさやかを見せつけながらヤプールは言い放つ

その言葉を聞いた瞬間にまどかは表情は真っ青になり、
マミはその後ろで目を閉じて歯を食いしばる


ヤプール「どうだ暁美ほむら。なかなか面白い見せ物だろう!」


ヤプールは肩を揺らし、心底愉快そうに笑う

それに対し、ほむらは憎しみと悔しさに拳を砕けんばかりに握り締めていた


ほむら「ヤプール……あなたは本物の悪魔よ……!!」

ヤプール「ははは!負の感情が入り乱れたいい表情をしているぞ!!」


マミ「……」

まどか「や、やめて……そんなの出来るわけないよ!やめてよぉっ!!」

ヤプール「もたもたするな!さぁ、殺せえ!!」


かぶりを振りながら悲痛な叫びをあげるまどか
しかしヤプールにはその声は届かない


まどか「い……いや……」


ヤプール「なるほど。コイツがどうなってもいいと?」グッ

さやか「ぐ……ぎぃっ…!!」

ヤプール「薄情な友を持ったものだな美樹さやかよ?」


首を掴む左手に、より一層力が加わり
さやかは痛みに苦しみ出す
541 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:32:00.52 ID:M0rSwljp0
まどか「いやぁぁあああっ!?」

ほむら(……時間停止さえ使えれば…!!)


さやかの苦痛に歪む顔を見せつけられ、叫ぶまどか

ほむらはそれを見ている事しか出来なかった


マミ「…………」


暫く目を閉じ、深く俯くマミ
そして決心したように声を絞り出す


マミ「か……か、鹿目さん……私を……」

まどか「……ぇ……?」



殺せ―――

そう言いかけた瞬間、
虫の息だったさやかが二人に向かって叫ぶ



さやか「駄目ですマミさん!!まどか!!」

ヤプール「……なにぃ?」


さやか「コイツはっ!!あたしを盾にしてみんな殺すに決まってます!!」

さやか「だからコイツの言うことなんて……っぁあ!?」

ヤプール「よく解ってるじゃあないか。その通りだよ」


さらに力強く首を掴まれ、さやかの叫びはそこで途切れる

彼女の言った言葉を当然のように肯定するヤプール
だが、それを聞いた少女達にはどうすることも出来ない


さやか「みんな………死ぬことなん……て…」

マミ「っ………じゃあ…どうしろっていうのよ!?」



ザッ



ほむら「…?」

ヤプール「む?」
542 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:32:35.44 ID:M0rSwljp0
マミの瞳から涙が零れ落ちそうになったその時、

赤い魔法少女がゆっくりと立ち上がり、
槍を引きずり進み出る


杏子「準備オッケー……またせたね」

ほむら「杏子……」


槍を肩に掛け、今の状況を確認するように杏子は周囲を見回す


ヤプール「佐倉杏子か……どうやらまた何か小細工を企んでるようだが?」

さやか「杏……子…」


杏子「! さやか……」


傷付いたさやかを見せつけられ、
驚きに目を少し見開くが、臆することなくヤプールを睨みつける


杏子(なるほどな……こんどはアタシじゃなくてさやかが人質ってワケかい…)


人質を取り、相手の抵抗を封じる
以前に超獣がさやか達にとった卑劣な戦法

杏子は呆れたように頭を振る


ヤプール「そら佐倉杏子!さっきは大層な台詞を吐いたが……この状況でお前に何が出来る!?」

ヤプール「お前の優しさとやらを見せてもらいたいものだな!!はっはははは!!」


杏子「ゲラゲラ笑うんじゃないよ。超うぜぇ」ジャキ


不快な笑い声を上げるヤプールに対し吐き捨てる様に言い、
槍を構えて腰を深く落とす


マミ「!? 佐倉さんあなた……」

ほむら「攻撃……する気?」

まどか「き、杏子ちゃん……」
543 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:33:06.79 ID:M0rSwljp0
杏子「まあ見てな」ググッ


不安一色の三人に小さく微笑みながら呟き、
槍の先に魔力を集束させる


ヤプール「ほぉ……?美樹さやかよ、どうやらあいつはお前に構わず攻撃するようだぞ?」

さやか「………」


耳元に顔を近づけ、楽しそうに呟くヤプール

うな垂れたさやかの表情は髪に隠れ、誰も知ることは出来ない


杏子「大丈夫ださやか……必ず助ける」

さやか「!………へへ…」


ヤプール(馬鹿が……貴様が攻撃できないことなどこれまでの戦いから理解しているのだよ)


杏子の声に反応したさやかが小さく、息を漏らす様に笑う
ヤプールは頭の中でそんな二人を嘲笑う


杏子「……いくぞぉっ!!」ダッ

ヤプール(攻撃を寸前で止めて回り込む……大方そんなところだろう)
544 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:33:34.01 ID:M0rSwljp0




静まりかえる空間


少女達が固唾を飲んで見守る中


槍を素早く構え、
杏子は床を蹴り、疾風の如く一直線にヤプール目掛けて駆け出す



さやか「………」

杏子「おおおぉぉおおっ!!」グッ



友の言葉を信じ、ゆっくりと目を閉じるさやか

盾にされた彼女と杏子の距離が少しづつ縮まるが、その勢いは止まらない


ヤプール「……!?」

杏子「っだりゃぁぁああああ!!!」


杏子は身体に溜まった魔力を


両腕に

槍に

その矛先に集中させ、


そして―――




ドシュッ!!



545 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:34:00.19 ID:M0rSwljp0
ヤプール「ぐふっ!?」

さやか「ぁ……」


雄叫びとともに杏子の繰り出した槍の一撃は、
友の体ごとヤプールの胸部を深々と貫き、その矛先は背中へと抜ける

蚊の鳴くような小さな声を上げるさやか

そんな彼女の首を掴んだまま、
ヤプールの口からは人間のそれとは程遠い、不気味などす黒い血を吐き出す


まどか「さやかちゃんっ!?」

マミ「佐倉さん…な、なんで………」

ほむら「そんな……杏子、さっきのははったりだったというの…!?」


ヤプール「ば、馬鹿な!ありえん!!ぐっ……き…貴様ぁ……!!」


目の前で行われた信じられない杏子の行動に、
一同それぞれの思考は錯乱する

それはヤプールとて例外ではない


杏子「…………」

さやか「…………」


しかしそんな中、
杏子とさやかの二人はお互いを見つめ合ったまま動かない

その沈黙の間にも槍に貫かれたさやかの傷口からは真っ赤な血が流れ落ちている


546 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:34:31.39 ID:M0rSwljp0

さやか「………そうか……これは…」


先に口を開いたのはさやか
さやかに口から血を流し、虚ろな瞳を漂わせながら小さく呟く


杏子「……借りは返したぜさやか」


その声を聞いて杏子はさやかが何かに気付いた事を感じ取り、
八重歯を見せながらにやりと笑う

それは自身の作戦が成功した事を意味する会心の笑みだった


ヤプール「き、貴様何を笑って………うぐっ!?」


キィイン…


マミ「うっ……何!?あ、頭が……!!」

まどか「これもヤプールが……!?」

ほむら「いや……違う!」


突然一同を襲う強烈な頭痛
視界が崩れる様に歪み、目の前が少しづつ暗くなる

だがそれは魔法少女達だけでなくヤプールすらもその現象に襲われていた


ヤプール「ぬっ……がぁあああ……!!」


唸り声を上げるヤプール

彼の目の前にいる杏子の姿は少しづつ消えてゆく
だが槍に貫かれた胸の激痛は未だその体を襲い続ける
547 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:34:57.17 ID:M0rSwljp0
まどか「っ!?み、見て!杏子ちゃんが!」

マミ「え!?」

ほむら「何が起こったの……!?」


強烈な頭痛に耐えながら、
滅茶苦茶に歪む視界の中、杏子に視線を移す少女達

先程までヤプールとさやかに正面から槍を突き立てていた少女の姿は薄れ、
入れ替わる様にヤプールの背後に赤い髪の少女が少しづつ姿を現す

それに伴い、さやかの胸を貫いていた槍は消え、傷口もまるで元から無かったかのように消える


ヤプール「ぐっ……これ…はぁああ…!!」

杏子「どうだい狐に化かされた気分だろ?」



ヤプールの眼前から完全に消えた杏子

彼女は霧のようにヤプールの背後に出現し、
彼を背中から胸に掛けて貫いた槍をしっかりと握り締めていた




杏子「こいつは幻術だ。お前らのデータは不十分だったってことさ」



548 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:35:28.39 ID:M0rSwljp0


さやか「う……くっ」ドシャ


ヤプールの拘束から解放されたさやかは支えを失い、
そのまま前のめりに倒れ込む

その後ろで、串刺しにされたヤプールは血を吐きながら唸り続ける


ヤプール「う……ごぉおおおお!!」

杏子「このまま………ぶっ倒れろぉおおおおーーーっ!!!」ブンッ


杏子は全身に力を入れヤプールの刺さった槍をゆっくりと持ち上げ、
大きく縦に振り抜く


ヤプール「ぬおぉおおっ!?」

ドガァアン!!

杏子「はぁっ……はぁっ……どうだっ!!」


ヤプールは胸から噴水のようにどす黒い血を噴き出しながら、
辺りに散らばった瓦礫の山に叩きつけられる

それを見た杏子は満足気に言い放ち、
倒れ込んだままのさやかの元へ向かう


マミ「美樹さん、佐倉さん!!」

まどか「あ……わ、わたしたちも!」

ほむら「ええ……行きましょう」


少し遅れて、
頭痛が収まり、視界も元通りになった三人がさやかの元へと駆け出す

549 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:36:08.43 ID:M0rSwljp0

杏子「ほれ立ちな!まだおねんねしてる場合じゃないぜ!」

さやか「いでででで!ちょ、ちょっと!もっと優しくしてよぉ……!」


強引にさやかの手を取り、立ち上がらせる
杏子は彼女を見つめながら悪戯っぽく微笑むが、その瞳は優しかった


マミ「美樹さん大丈夫!?傷口、見せてみなさい!」

さやか「うぅ〜……乱暴者の後だとマミさんの優しさが身にしみる……」

杏子「んだとぉ!?」

ほむら「……冗談を飛ばせるならまだいけそうね」ガシッ

杏子「て、てめー!離せほむらー!!」


さやかがわざとらしくマミに泣きつき、
それを見て怒った杏子をほむらは羽交い絞めにして黙らせる

少女達に一時の笑顔が戻るそんな中、
一人だけ浮かない顔の者が一人


まどか「さやかちゃん……」

さやか「いてて………ん?どしたまどか?」


マミに傷口を触れられながら視線を移すさやか

その先には泣きそうな目をしたまどかの姿


まどか「わたし……わたしさやかちゃんが酷い目にあってるのに……何もしてあげられなくって…」

さやか「……」


まどか「それにわたしヤプールにああ言われて……さやかちゃんとマミさんの命を天秤にかけるようなことを考えて……」

さやか「……でも出来なかったんでしょ?」
550 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:36:39.61 ID:M0rSwljp0
まどか「え?う、うん」

さやか「ならそれでいいじゃん!それがまどかの優しさなんだからさ?」

マミ「……まぁ、鹿目さんはそんなこと出来る子じゃないって私は知ってるし……ね」ポン


まどか「!……っ……うんっ!」


まどかの肩に優しく手を置くマミ

さやかは屈託のない笑顔で心の底からそう言い放つ

その言葉を聞きまどかは瞳からこぼれ落ちそうになった涙を拭い、
お返しとばかりに笑顔をさやかに向ける


さやか「ま、いざとなったら杏子が助けてくれるってあたしは信じてたしね〜!」ガシッ

まどか「ひゃ!?」

杏子「……ばーか」


さやかがまどかと杏子の間に入り込み、二人の肩に手を回す

顔を少し赤らめるまどか、
杏子は悪態をつきながらもその顔はまんざらでもなさそうだった


マミ「ふふっ……」

ほむら「やれやれだわ……」



バシュッ!!



ほむら「……!?」バッ



ドガッ!


551 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:37:13.91 ID:M0rSwljp0
ほむら「っつぅう………!!」

マミ「暁美さん!!……攻撃!?」


辺りに立ち込める土煙、
その向こうから突然飛んで来た光弾をほむらは咄嗟に左腕の盾で受け止める

あまりの衝撃にふらつく足を何とか床に踏ん張らせる


まどか「ヤプールはまだあんなに力を残してるの!?」

さやか「ちょっと杏子!どういうこと!?」

杏子「いや……間違いなく手ごたえはあったしアイツにはあの攻撃は防ぎようは無いはずだ」


先程の雰囲気から一変、
五人の少女達は表情を険しくし、お互いの背中を合わせて再び円を作る


ほむら(次はどこから来る……?!)


全員が目を凝らし神経を研ぎ澄ませながら、
周囲に目を配る



ダッ



マミ「!! 上よ!」

552 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:37:43.30 ID:M0rSwljp0
杏子「なっ!?」

ほむら「!……くっ」


マミの声に反応して上を見上げる一同

そこにはエネルギーを右腕に集束させ凄まじい勢いで迫るヤプール

反射的にほむらとマミは銃を向け撃墜しようとするが、
気付いた時にはもう遅すぎた



ドゴォオオン!!



ほむら「あっ!?」

マミ「きゃぁああっ!!」


五人の円の中心に叩きこまれた強烈な一撃は爆風を巻き起こし、
ほむらとマミは吹き飛ばされ、勢い良く床に転がる


ドゴォッ!

杏子「がぁっ!?」

さやか「うぐぁああっ!!」


さやかと杏子は重なり合う様に吹き上げられ、
二人同時に壁に激突

大きくめり込み、瓦礫が崩れ落ちる


まどか「あっ!?……ぅう」ドガッ


そしてまどかはヤプールから一番遠い真正面の壁に叩きつけられ、
糸の切れた人形のようにぐったりとへたり込む

553 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:38:18.33 ID:M0rSwljp0
さやか「あ、あいつっ……まだあれだけ動けるの…!?」

杏子「っ……!……いや、見ろ!!」


凄まじいまでのヤプールの攻撃に驚愕するさやか

しかし、
杏子は壁際で瓦礫の山に体を預けながら、ヤプールを指差す


ヤプール「はぁ……はぁ……ぬぅううごぉあああああ!!!」ボタボタ

バチチチッ

さやか「!?」


そこにいたのは左腕で胸の傷口を抑え、
狂ったように雄叫びを上げて腕を滅茶苦茶に振り回すヤプールがいた


少女達を一方的に痛めつけ、見下し、楽しみながら弄んでいた悪魔の様な存在

しかし先程までの余裕に満ちた態度は消え失せ、
体の各所から血と火花を撒き散らしながら激痛に苦しんでいた


ほむら「効い……てる?」

マミ「ええ……あと…少しっ……!」グッ


ヤプールをあと一歩のところまで追いつめている

その明らかな事実が少女達の心に最後の炎を灯す


ヤプール「ち……地球の……ガァ…キごときにぃっ!!……こ、これほどまでの……」

まどか「っつぅ……」


ヤプール「この程度の傷……すぐに回復を……ごはぁっ!」ビチャッ

まどか(やるなら……今しかないっ!)

554 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:38:40.62 ID:M0rSwljp0
血と憎悪の言葉を吐きながらふらつくヤプール

それを見たまどかが力を振り絞り、
壁に背を付けながら足を踏ん張り、やっとのことで立ち上がる


まどか「……はぁっ…!」キュイン


床に落ちた弓を光の粒子へと変換し左腕に集中、
手首を中心に出現する光輝く弓

ヤプールにトドメを刺すべく、アローレイシュトロームの発射準備に入る


まどか「はぁぁああああっ……!」シュゥウ


弓を引き絞るごとに輝きを増す必殺の一撃、
それと対照的にじわじわとソウルジェムには穢れが溜まっていく

だが回復している暇はもはや彼女には無い


まどか(ヤツを倒せるだけの力……お願いだから早く溜まってっ!!)


心の中で念じるまどか

しかしヤプールがそれを許すはずがなかった


ヤプール「!!……鹿目……まどかぁぁあああああああっ!!!」


555 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:39:07.67 ID:M0rSwljp0
さやか「! バレ……た!!」

杏子「くっ……まどかぁっ攻撃されるぞ!逃げろ!!」


倒れながらも杏子が叫ぶもまどかはその場から動こうとはしない

そうしている内にもヤプールは右腕のカギ爪に毒々しい色の不気味な光を集中させ、
雄叫びを上げながらさらに力を溜める


マミ「そうは……させないっ!!」バァン

ブシュッ

ヤプール「ぬがぁぁぁぁあああああああああ!!!」

マミ「!?……」バンバンッ!


床に体を伏せたままヤプールの背中に向けて発砲するも
荒狂うヤプールはその攻撃をものともせず、まどかを殺すための力を蓄え続ける


マミ「駄目!もっと威力の高い攻撃じゃないと!」

ほむら「なら私がっ!」


ドクン


ほむら「!?…ぁ…ぅ…」

マミ「あ、暁美さんっ!?」


床に膝を着きながらディバイトランチャーの引き金を引こうとするも、
ほむらはふらつき、マミに体を預けた


マミ「!?………まさか!」バッ

ほむら「こんなときにっ……!!」


マミ「やっぱり……ソウルジェムが……」

556 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:39:34.19 ID:M0rSwljp0


ほむらの体を抱き上げ、マミは絶句する

紫色に輝いていたほむらのソウルジェムには限界寸前にまで穢れが溜まり、
今まさに黒一色に染まろうとしていた


マミ「そ、そんな……このままじゃ!」

ほむら「っ……戦闘中に…回復する暇なんて……無かったのよ……はぁ…はぁっ……」


息を荒げながらも、ほむらは再びランチャーに手を伸ばす


ほむら「時間が無いわ……離して…!」


肩を掴むマミの手を払いのけようともがくほむら
しかしマミはそれを許さない


マミ「やめて!あと一発でも撃ったらあなたは!!」


ほむら「まどかは……私が守るのよ……っ!!」

マミ「!!」


凄まじい形相でマミを睨みつけるほむら
その瞳には揺るがない強い決意の色が宿っていた


マミ「………」

ほむら「さぁ……離しな……さい!……ぐぅっ!」


額に汗を浮かべ痛みに耐えるほむら
そんな彼女の姿を見ながらマミは無言のまま唇を噛み締める



557 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:40:01.12 ID:M0rSwljp0
ヤプール「殺してやる……殺してやるぞぉおおおおおっ!!!」ダッ

まどか(!!……き、来たっ!)


右腕に凄まじいエネルギーを蓄えたヤプールがまどかへ向けて一気に駆け出す

その速さは先程までの高速移動には遠く及ばないものの、
まどかが魔力を溜め終わるまでに攻撃するには十分な速さだった


杏子「くっそ野郎……がぁああっ……!!」ググッ


杏子が瓦礫に埋もれた足を何とか引き抜こうとするも、
抜けたところで今からヤプールに追いつくことはほぼ不可能


さやか「ち……くしょ……足がっ……」フラッ


一方さやかは剣を杖代わりにしながらなんとか立ち上がるも、
先程のヤプールの攻撃で足を負傷し素早く動き回る事ができない状態

自然治癒の能力も穢れの溜まったソウルジェムでは思う様に機能しない


ヤプール「ぬがぁぁあああああああっ!!!」


その間にもヤプールはまどかへ向けて少しづつ迫る

もはや一刻の猶予も無い


ほむら「マミぃいいっ!!!」

マミ「……」





バッ



558 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:40:58.91 ID:M0rSwljp0
ほむら「えっ!?」

マミ「………使いなさい、とにかく全快するまで動かないで」


マミはほむらを押し倒し、
穢れのたまったそのソウルジェムにグリーフシードを押しつける

ほむらは一瞬呆気に取られるも、すぐさまマミに向かって叫ぶ



ほむら「マミっ!あなたどういう―――」

マミ「黙りなさい!!!仲間を大切に思っているのはあなただけじゃないのよ!?」


ほむら「!!………ぁ…」



目を逸らし、大人しくなるほむら

初めて見る本気で激怒したマミの姿にほむらはただ大人しく従うしかなかった


マミ「…………」スッ


そのままほむらに背を向け、
マミは他の三人に対して念話を試みる


キィイン…


マミ『みんな、聞こえる!?』

まどか『……?』

さやか『この声…マミさん?』

杏子『! マミか!念話なんてしてる場合じゃないぜ!?』


マミ『いいから聞いて!』

マミ『恐らくここで大技を撃ってもヤツに回避される事は目に見えてる!それにこちらの手の内は全部晒した!』


杏子『じゃあどうすんだよ!?』


マミ『……トリックプレイといきましょうか』





……………………………………
559 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:41:53.48 ID:M0rSwljp0

……………………………………


〜見滝原〜


大地を砕き、大気を震わせる力のぶつかり合い
十一人の巨人とそれを上回る超獣達が入り乱れての大混戦

それぞれの巨人が放つ必殺の光線が超獣達を撃ち砕くも、すぐさまその後ろから新たな超獣が現れる

感情も無く、理性すらも消え失せた超獣達に死に対する恐怖は無く、
仲間の屍を踏み越えて巨人たちに襲い掛かる


ガイア『こっちはもう少しで終わる……!彼女達は!?』

メビウス『兄さん達!みんなはまだ戻りそうにないんですか!?』


互いに背中を合わせ、迫り来る超獣に備える

敵の数は確実に減り続けているとはいえ、巨人達の体力も既に底をつきかけていた


セブン『こちらから艦内の状況を知るための手段は無い!今我々は我々に出来ることをするんだ!』

ゾフィー(後少しで宇宙にいる仲間達もここへ来る事ができる……そうなればほぼ完全にこちらの勝利だ)


ダイナ『上等だ!だったらこっちを全部片付けてアイツらを助けに行ってやるぜ!!』

ティガ『はは……頼もしいね』



超獣「ギャオァアアアアアアアア!!」

マン『信じろ、彼女達は必ず帰ってくる!』



魔法少女達の帰還を信じながら、
巨人達は死力を尽くし残りの超獣達を迎え撃つ





……………………………………
560 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:43:20.95 ID:M0rSwljp0
……………………………………

〜インキュベーター母艦〜


ヤプールに迫られながらも必殺技を放つための力を蓄えるまどか
だがその場から動く事は出来ない

片足を瓦礫に挟まれ、今すぐには脱出することの出来ない杏子

その横には足を負傷し、まともに走れないさやか

魔力が底を尽きかけ、グリーフシードを使い回復を待つほむら



そしてほむらほどでは無いにしろ、
同じく魔力が底を尽く寸前で大技を放つ事の出来ないマミ

彼女は全員に念話を飛ばし、
ヤプールに仕掛ける最後の攻撃作戦を手短に説明する



まどか『……えぇっ!?』


マミが考えたヤプールに仕掛ける最後の攻撃

その無茶な内容を聞いたまどかは驚き、戸惑いを隠せない


マミ『ここにいる全員がお互いをカバーする……一人でも失敗したら終わりよ!』

さやか『でもこんな作戦……大丈夫かな……』


グイン!


さやか「うおっとぉ!?」

杏子「迷ってる場合かよ!?さっさとやるぞ!!」


杏子が座り込んだ姿勢のまま、
巨大化させた槍の刃を横にした状態で、その上に杏子を器用に乗せる


杏子「いくぜ!上手くやれよ!?」

さやか「……まぁ悩んでる暇も無いしね!」


キィイン…


さやか『まどか、遠慮なくやっちゃっていいからね!!』

まどか『で、でももし失敗したら……』


槍の上に屈んだまま、
さやかは念話でまどかに語りかける

まどかは決意を固めたさやかとは対照的に未だ不安を感じていた


さやか『大丈夫!あんた自身を信じて!………そして……あたしを信じて!!』

まどか『……うん!わかった!!』


さやかはそんなまどかの不安を吹き飛ばす様に言い放つ


561 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:43:58.75 ID:M0rSwljp0

ヤプール「ぬぉおおおおおおおおおおおおっ!!!」


怒りの叫びを上げながらまどかへ突き進むヤプール
その距離はあと十歩程度


マミ「!! 佐倉さん急いで!」

杏子「おうっ!………さぁ〜上手く飛べ……よぉおおおおおおおっと!!」

さやか「……今だ!」ダッ


杏子が歯を食いしばりながら両腕に力を入れ、
さやかが乗った巨大な槍を全力で横薙ぎに振る

それと同時にさやかは傷付いた足に最後の力を込め、
剣を握り締め、全身をバネにして杏子の槍を両足で思いっきり蹴る


ゴォッ!!


杏子「いけぇえええーーーっ!!!」


ヤプールがまどかに到達するまでの距離はおよそ五歩分


遠心力で投げ飛ばされたさやかはヤプールの背中目掛けて一直線

動けないさやかと杏子がお互いの傷をカバーし合い、
攻撃を仕掛ける

562 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:44:30.70 ID:M0rSwljp0

ヤプール「ぉぉおおおおおおおおお!!!」


凄まじいスピードで迫るさやかだが、
ヤプールがまどかに到達するまでの方がやや速い


まどか「………今だっ!!」バッ


ドシュン!


咄嗟に左腕に装着された光の弓を掲げ、
魔力の溜めが完全ではないものの、まどかはアローレイシュトロームを放つ

しかし……


ヤプール「ぬ!?うぉおおおおっ!!」

ピシュン!


まどかの放った光の矢

それの接近をギリギリで察知したヤプールは体を捻り、
肩を少しかすめはしたものの、すんでのところで回避する

命中すれば、
良くて致命傷、悪くて即死の一撃だった


まどか「……!」

ヤプール「馬鹿がぁ!!死ねぇええええっ!!!」グッ


勝利を確信したヤプールが腕を振り上げ、
まどかにその強靭なカギ爪を向ける



バシュィイン!!



ヤプール「?!」


563 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:44:57.48 ID:M0rSwljp0


落雷のような音がヤプールの後方で鳴り響き、

それと同時に青と桃色の光が混ざり合う



「………まどかが狙ったのはあんただと思った?」



ヤプール「!! し、しまっ――」



接近してくる聞き覚えのある声



ヤプールは反射的に振り向き、
不気味な紫の光を放つカギ爪を突き出し、防御の構えを取る



だが、もう遅い

彼の眼前には、
まどかのアローレイシュトロームの力を剣に宿した青い魔法少女が迫っていた




さやか「残念……さやかちゃんで・し・たぁぁああああーーーーっ!!!」ゴォッ




ザシュッ!!!


564 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:45:25.85 ID:M0rSwljp0


ヤプール「!!!」


さやかの振り下ろした渾身の一撃はヤプールのカギ爪を完全に撃ち砕き、
そのまま一気に正中線を斬りつける


攻撃を剣で受け止め、
魔力に変換し、威力を増幅させて繰り出す技

さやかがワルプルギスの夜との戦いで本能的に身に着けていた業だった


さやか「ぐえっ!?」

まどか「きゃああ!?」


ドシャッ!


足を負傷していたさやかは思う様に受け身を取る事が出来ず、
まどかを巻き込みながら豪快に床を転がる



ヤプール「グ……ギャァァアアアアア!!!!」


まどか「ひっ!?」

さやか「うわっ……?」


ヤプール「ぬぅううううガァアアアア!!」


全身から火花を噴き出し、
顎が外れ、喉が破れんばかりの大絶叫

それとともにさやかと杏子から受けた傷口から、血とともに少しずつ光が漏れだす

広い室内に恐ろしい叫び声が響き渡る


ヤプール「こんなっ!!こんなことがあるはずが無いぃいいいっ!!」

さやか「っ……こ、こいつ…!」



シュルルルッ



ヤプール「!!?」ガシィッ


565 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:45:56.07 ID:M0rSwljp0

近くに伏せたままのさやかとまどかを見つけたヤプール

彼は再びその二人に襲い掛かろうとするも、
突然飛来した鞭のようにしなる無数の黄色いリボンがそれを許さない


マミ「捕まえたっ………!!」

ヤプール「!! ガキがぁぁあああっ!!こんなものすぐに―――」


ジャラララッ!


ヤプール「があっ!?」ガシン

杏子「………逃がすわけねぇだろ!」


一瞬遅れて飛んで来た多節槍の鎖がリボンの上からヤプールの体に絡み付き、
拘束は更に強力なものとなった


マミは瓦礫から脱出した杏子と力を合わせ、ヤプールの動きを完全に止める

そして、
マミは体から魔力を絞り出しながら叫ぶ


マミ「暁美さんっ!今よーーーっ!!」

ヤプール「!!?」



マミが提案したこの作戦の最後の仕上げ


ソウルジェムの穢れを完全に取り除き、
完全に回復したほむらによる全力の射撃攻撃


ほむら「………」ジャキッ

ヤプール「暁美ほむらぁああーーーーーーっ!!!」



マミの希望を託す叫びと、ヤプールの憎しみを込めた叫び

二つの相反する感情をその身に受け、
ほむらはディバイトランチャーの引き金を引く



ほむら「ぅうううぁぁああああーーーーーっ!!!!」




ドガガガガガガガッ!!!



566 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:46:28.86 ID:M0rSwljp0


大量の魔法弾は着弾と同時に爆風を巻き上げ、
一瞬にしてヤプールの姿を完全に飲み込む


千切れ飛ぶ鎖とリボン
砕け散る瓦礫と舞い上がる砂ぼこり

ほむらの全力の攻撃は一発たりとも外れることはなく、
その全てがヤプールを完全に捉えていた


さやか「うわぁっ!」

まどか「きゃああっ!!」


ヤプールから一番近い位置にいた二人はそのまま風圧に押され、
またしても床の上を転がる


シュゥウウ……


ほむら「………」ジャコッ


ランチャーを下ろし、
立ち込める土煙をただじっと見つめるほむら

杏子とマミも武器を再び魔法で生成し、握り直す

そこから少し離れたところで、
まどかはさやかに肩を貸し、なんとか立ち上がらせる


杏子「……」

マミ「……」


まどか「……」

さやか「……」



ヤプール「………許さん」


567 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:46:56.42 ID:M0rSwljp0

ほむら「……!」ジャキッ


小さく響く声
煙が晴れ、その中から全身傷だらけでもはや虫の息といった状態のヤプールが現れる

ほむらは警戒し銃口を向けるも、
もはやヤプールに戦う力が残っていない事は誰が見ても明らかだった


ヤプール「必ず……貴様ら全員………殺して…やる……」

まどか「……」

さやか「大丈夫……ただの強がりだよ」


シュォオ…


ヤプール「ぐふっ……」ドシャッ


恨みの言葉を吐き出しその場に倒れ込んだヤプールの体は、
黒い霧の様な粒子となり、辺りに散らばり消えていく


マミ「倒した……の?」

杏子「みたいだな……っと」


ヤプールがいた場所を見つめながら呟くマミ

辺りに漂う張りつめた殺気も消え、
魔法少女達は肩の力を抜き、その場にへたり込む


まどか「ふぅう……」

さやか「やっと終わったんだね……」


568 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:47:28.79 ID:M0rSwljp0

ほむら「……マミ」ヒュッ

マミ「? あ、これは…」パシッ


マミにグリーフシードを投げ渡すほむら
元々は彼女の物だが先程マミの分を使ってしまったため、その代わりとしての物だった


ほむら「それとその……さっきはありがとう」

マミ「……どういたしまして」


目を逸らして気恥ずかしそうに礼を言うほむらに対し、
マミは返事をしながらくすりと笑う


杏子「じゃあアタシも回復すっか……」


まどか「さやかちゃん、わたし達も」

さやか「ん、そうだね………いてて」


マミにつられるように、
ほむら以外の全員がグリーフシードをソウルジェムに押し当て、穢れを浄化する


ヤプールとの戦いも終わり、後は地上へと帰るのみ

少女達はじっくりと回復しながらも、
超獣達と戦っていた仲間達の無事を祈っていた






……………………………………
569 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:47:55.73 ID:M0rSwljp0

……………………………………

〜見滝原〜


ジャック『今ので……最後か?』

エース『そうみたいですね………』


肩で息をしながらカラータイマーを点滅させ、辺りを見回す巨人達

荒廃した市街地に立っているのは十一人の巨人のみ

先程まで彼らに牙を剥き、襲い掛かって来ていた超獣達は全滅し、
周囲にいくらかの肉片が散らばっているだけでもはや一体も残っていない


セブン『……魔法少女達は?』

ネクサス『まだみたいです……もしかしたらあの中でまだ戦い続けているのかも……』


ダイナ『!! そりゃあ大変だ!早く助けに……』




腕を空に向けて伸ばし、
インキュベーターの母艦へと向けて飛び立とうとしたダイナだが、
突然動きを止め、空を見上げる
570 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:48:25.12 ID:M0rSwljp0

メビウス『どうかしたんですか?』


不思議に思った一同がダイナに呼びかけつつ、
彼と同じように空を見上げる


セブン『……あれはなんだ?』


セブンが指差すその先、
遥か上空にに浮かび続けるインキュベーターの母艦

その周りには先程まで無かったはずの、
何か不気味な黒い瘴気のようなものが渦巻いていた


シュォオオオ…


コスモス『!? あれは……』

ガイア『……穴?』


瘴気の発生から少し遅れて、
母艦の上にブラックホールの様な穴が出現する


ティガ『何かが……起ころうとしている?』

マン『………そのようだ』


空を見上げて呟くウルトラマン

彼の言う通り、
ただならぬ何かが今まさに起きようとしていた







……………………………………
571 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:49:00.79 ID:M0rSwljp0

……………………………………


〜インキュベーター母艦〜


杏子「さってと……マミ、そろそろ脱出したほうがいいんじゃないか?」

ほむら「そうね。ヤプールが死んでこの艦は実質私達以外は誰も乗って無いみたいだし……あとは彼らに任せましょう」


グリーフシードで完全回復した一同
立ち上がった杏子がマミに提案し、ほむらもそれに同意する


彼女達の役目には艦の無力化も含まれていたが、
この艦内に彼女達以外の生物がいなくなってしまった以上、ここに残り続ける意味は無かった


マミ「……鹿目さんに美樹さん、二人は大丈夫?」

まどか「あ、はい!わたしは大丈夫です!……さやかちゃんもう立てる?」

さやか「ん〜……もう大丈夫だと思うけど」


さやかは傷口のあった箇所を擦り、
まどかに肩を借りながらゆっくりと立ち上がる


ほむら「……それなら……マミ」

マミ「ええ、脱出しましょう。とりあえず私が先導するからあなた達は―――」





ゴゴゴゴゴ……



572 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:49:32.54 ID:M0rSwljp0

マミ「……!?」


突然の事態に一同の表情に焦りの色が浮かぶ

艦内に設置された用途の解らない大量の危機が一斉に火を噴き爆発を起こす

強烈な揺れとともに壁や天井に亀裂が入り、
次々に瓦礫となって広い室内に雨のように降り注ぐ


インキュベーターの母艦は、
破壊工作と内部での激しい戦闘によって崩壊を始めていた


ほむら「崩れる……!」

杏子「おいおい!ここで死んじまったらしゃれにならねーぞ!?」

マミ「二人とも!急いでこっちに!」


まどか「はい!ほらさやかちゃん、行こう!」グイッ

さやか「ご、ごめんまどか、ほんともう少しで治るから」


マミに呼ばれ、
まどかがさやかの体を支えながら三人の元へ向かう



ドゴゴゴ……!



杏子「うわっ!?ゆ、床が抜けたぞ!!」

ほむら「二人とも!気をつけ………」


ほむら「………?」

573 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:50:33.05 ID:M0rSwljp0

ほむら「……マミ、この広間の下にある部屋って何?」

マミ「?……この下?」

床が崩れ、目の前に巨大な穴が開く

ほむらはまどかとさやかの到着を待ちながらその穴を見つめ、
顔を真っ青にしながらマミに質問する


マミ「確かここが機関部手前だからこの下の部屋はわけのわからない機械がたくさん―――」



ほむらの問いに答えながら、
一緒になって床の穴から下を見下ろすマミ

そこには異星の機械がひしめき合い、
騒々しい音を鳴り響かせる大きな部屋がある


はずだった


マミ「え……?」


ほむらの横に立ち、
穴を見下ろしたまま思考が止まるマミ


マミ「な、なによ…………これ」

ほむら「………」


二人が見下ろした穴の先

そこに見えるのは巨大な機械でもなく、
雲や地上でもない


そこには何も無い

ただ闇だけの不気味な空間が深く、どこまでも広がっていた


ほむら「………」ゾクッ


周囲から飛んでくる爆発や瓦礫の崩れる音も、
その穴からは聞こえない

光も、音も、生き物の気配すらも感じない空間

その奥深くから漂ってくるものは

絶望、怨念、殺意

それらを含めたありとあらゆる負の感情が風のように吹き出してくる

ほむらは目の前の異様な空間を見つめ、
言いようのない恐怖を感じる



ドゴン!



まどか「きゃあ!?」

さやか「う、嘘ぉ!?」


ほむら「!!」
574 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:51:17.39 ID:M0rSwljp0
咄嗟に顔を上げるほむら

床が豪快に崩れ落ち、
まどかとさやかは先の見えない闇の空間へと落ちてゆく


ほむら「なっ!?」

杏子「マミ!リボンであの二人を!!」

マミ「! わ、わかってる!!」


杏子の声を聞きて、
思考の止まっていたマミが我に返り、落ちた二人に向かってリボンを伸ばそうとする


ドゴン!


ほむら「!」

マミ「あっ!!」

杏子「うっ!?ま、マジかよ……!!」


しかし足を踏ん張ろうとした途端に床が崩れ落ち、
魔法少女達は三人はさやかとまどかの後を追うような形で穴へと落ちる


ほむら(死……ぬ?)

ほむら「そんな……嫌よ……ここまで来て……!」


575 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:51:45.72 ID:M0rSwljp0



底の見えない、
何処へ繋がっているとも分からない穴に落ちながら

ほむらは頭の中に浮かぶ自身が考え得る最悪の結末を必死に振り払う

しかしそれは焼き付いたように何度もほむらの思考を支配し、
彼女を絶望へと誘い続ける












……………………………………
576 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:52:11.14 ID:M0rSwljp0
……………………………………


〜見滝原〜


ティガ『どう……なってるんだ?』

メビウス『わ、分かりません……僕達の想像を超えた何かが……』


空を見上げたままうろたえる巨人達

その視線の先にあるはずのインキュベーターの母艦は、
先程発生した黒い瘴気の中に消えたかと思うと

まるで霧のように巨大な穴の向こうへと飲み込まれていた


ダイナ『なんなんだよ!あの穴は!?』


マン『……ゾフィー』

ゾフィー『皆目見当がつかん……あれほどの質量を持った宇宙船がどこへ―――』


バシュン!


ゾフィー『!!』

セブン『避けろ!!』


ドガァン!!


577 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:52:39.54 ID:M0rSwljp0
エース『くっ……!やはりまだ敵が残っていたのか!!』

ダイナ『お返しだ!喰らえ!!』


バシュゥウウ!!


突然穴の向こうから真っ黒に染まった光弾が飛来し、
着弾と同時に黒い粒子を撒き散らす

巨人達はそれをギリギリのところで回避

そこから弾かれた様に飛び出したダイナとエースの二人が、
穴に向かって光線を放つ


しかし…


シュゥウン…

エース『なにっ!?』

ダイナ『き……消えた?』


放たれたソルジェント光線とメタリウム光線は穴に到達する直前、
黒い瘴気に取り込まれるようにして消滅する


ジャック『吸収されたのか……?』

ティガ『というより……あの瘴気に阻まれてかき消されたみたいですね』

ガイア『……ただあの穴に飛び込んだらさっきの光線みたいに消滅させられてしまうかも……』


フシュゥゥウ


コスモス『!?』


穴から突然溢れ出した瘴気が暗雲が立ち込めていた灰色の空を完全に黒一色に染め上げる


ネクサス『ダークフィールド?………いや、違うな』

メビウス『……まどかちゃん達は無事なのか…?』



マン『……ぐぅっ!?』
578 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:53:08.43 ID:M0rSwljp0

セブン『! ウルトラマン、どうした!?』


魔法少女の無事を祈りながら、
空に出現した穴に向かって構えを取り警戒し続けるなか

ウルトラマンが突然胸を抑え、大地に膝を着く


ジャック『!! まさか……』

ゾフィー『不味いな、どうやらこの瘴気……光線だけではなく我々のエネルギーをも吸収しているようだ』


セブン『な、なんだと!?』


カラータイマーの点滅が少しづつ早まり、
周囲の瘴気は少しづつ濃さを増し、広がり続ける


コスモス『そんな!このままじゃ……』

ティガ『……とにかくあのままじゃ闇はこの地球全体を包みかねない』


マン『……ああ、あれを食い止めるぞ!!』


力強く立ち上がり、
十一人の巨人は空に出現した穴を睨みつける





……………………………………
579 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:57:19.87 ID:M0rSwljp0

……………………………………



『絶望し、消えていった魔法少女達の力よ……』


『インキュベーターによって全宇宙から集められたエネルギーよ……』


『そして……鹿目まどかの絶望よ……!!』


『我が血肉となり今一度蘇えるのだ!!』





……………………………………
580 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:57:54.01 ID:M0rSwljp0

……………………………………




……………………………………




……………………………………




……………………………………




……………………………………




……………………………………




……………………………………







「………ら……ちゃ……」



「……ほ……ちゃんっ!」



ほむら「ぅ……う…」



「ほむらちゃんっ!!」
581 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:58:27.69 ID:M0rSwljp0

ほむら「はっ!?………」

まどか「ほむらちゃん!……よかったぁ気がついたんだね!」


心配そうにほむらの顔を覗き込む桃色の髪の少女

まどかに体を揺さぶられ、
気絶していたほむらの意識が戻る


ほむら「……ここはどこ?みんなは?」グッ


全身に走る鈍い痛みを堪えながらゆっくりと体を起こし、
硬い表情のまま辺りを見回す

そして最初に視界に入ったのはマミの姿


マミ「あら、お目覚めみたいね暁美さん。体は大丈夫?」

ほむら「平気よこのくらい……それより……」


ほむらはマミの言葉を軽く流すと、
真っ先に感じていた疑問を投げかける


ほむら「ここは……見滝原………なの?」

マミ「そう思いたいけど……」
582 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:59:07.16 ID:M0rSwljp0
悲惨なまでに破壊し尽くされ荒廃してはいるが、
どことなく見覚えのある風景

彼女達の暮らす町、見滝原

だが回りは夜の闇のように暗く

空を見上げても先程超獣達と戦っていた頃のように暗雲が立ち込める灰色の空ではなく

赤、青、黄、緑

あらゆる色の絵具を水にぶちまけたような酷く不安になる空の色だった


まどか「戻って来れたってことかな……?」


マミ「まさか!あの高さから落ちてこれだけの傷で済むわけがないわ!」

ほむら「ええ、それに……」


マミの言葉に頷きながら再び周囲を見回すほむら

そこには自分達の帰りを待ち続けているはずの仲間達の姿はおろか、
気配すらも感じない


ほむら「……ウルトラマン達がいないわ」

まどか「……だよね」


いくら見回しても巨人達の姿は見えず、
それどころかあれだけいた超獣達の死体、肉片すらも一つたりとも見当たらない


マミ「参ったわね……一体何が何だか」


タッタッタッタッ…


杏子「おぉーい!!」

さやか「みんなー!見て来たよー!!」


マミ「! 二人が帰ってきたみたいね」
583 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 22:59:36.65 ID:M0rSwljp0
半分以上が崩壊した巨大なビルの陰から、
杏子とさやかが手を振り、叫びながら仲間達の元へと帰って来る


ほむら「……とりあえずお帰りなさい」

杏子「おっ、ほむら!目が覚めたみたいだな」

さやか「心配したんだよー?まどかがいくら呼んでもなかなか起きないし……」


マミ「佐倉さん美樹さんお疲れ様、どうだった?」


帰って来て早々にほむらを気遣う二人

マミは表情を変えず、二人に問いかける


杏子「! あ、ああ……とりあえずこの町ざっと見回して来たけど……ここ見滝原で間違いないと思うぜ?」

さやか「あたしもそう思います……だって学校もあたしの家も壊されちゃってるけどしっかり残ってたし……」


マミ「はぁ……やっぱり……」


マミが大きくため息を吐きながら腕を組み、考え込む

その間にも二人の発言は続く


杏子「それとさ!とにかく誰かいないか確かめるためにこの町から出ようと思ったんだけどさ……」

さやか「なんというか……無いんです」


マミ「無い?どういうこと?」
584 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:00:04.45 ID:M0rSwljp0
杏子「どういう意味ったって……なぁ?」

さやか「うん……町外れまで行ったらそこから先が真っ暗で……まるで最初から何も無いみたいで……」


マミ「?……じゃあここは一体どこなのかしら……」

ほむら「……わけがわからないわ」


二人の妙な発言に、
マミとほむらの頭の中はますます状況が呑み込めず混乱する

しかしそこに意見をする者が一人


まどか「あの……もしかしてここってわたし達がいた所とは別の世界なんじゃ……」


マミ「別の?ま、ますますわけがわからなく……」

杏子「……さやか、解かるか?」

さやか「さっぱり」


頭を抱える三人に変わり、ほむらがまどかの話を聞く


ほむら「別次元の世界ということ?」

まどか「うん、わたしってさ……一度ヤプールに攫われちゃったでしょ?」

ほむら「……ええ」


まどか「その時に連れて行かれた空間になんとなく感じが似てるかな〜って……」

585 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:00:33.73 ID:M0rSwljp0
ほむら「例えばどんなとこが似てると思う?」

まどか「ん〜……空のあの変な色とか、この纏わりつくような空気とか……」


別次元の空間

誰一人としてまともな考えが浮かばない中で出たまどかの予想

唯一その世界を体験してきた者の発言はどことなく真実味を帯びて、
一同の心に入り込む


杏子「でもアタシ達あいつを倒したんだろ?」

マミ「そのはずだけど……こんなこと出来るのはヤプール以外にいるとは思えないし……」


さやか「……ちょ、ちょっと待って!じゃああたし達はどうやったら帰れるの!?」

ほむら「それは……」

まどか「………」


全く原因が見えてこないこの不気味な状況に、
さやかだけではなく魔法少女全員が同じ不安を感じていた



マミ「……とにかくもう一度周囲を捜索してみましょう」

杏子「だな。ここでじっとしててもどうにかなるとは思えな――――」





ドガァァアアン!!!


586 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:01:03.27 ID:M0rSwljp0
???『その必要は無い。お前達は全員ここで殺されるのだからな』


突如として歪んだ空から一筋の閃光が町の中心部に直撃

凄まじい大爆発とともに、
風圧で舞い上がる土煙と不気味な黒い粒子

その光の筋は少しずつ太さを増してゆき、
まるで山のような大きさの一本の大樹に似た姿を形成


それとともに崩壊した町中に響き渡る少女達にとって聞き覚えのある声


???『どうだこの空間は?貴様達にふさわしい死に場所を私が作り出してやったのだ』


まどか「この声……ヤプール!!」

さやか「やっぱりまだ生きてたんだ!!」


少女達が驚き戸惑いながらも悔しさを露わにし、
拳を握り締める



???『ふ、ふふふ………どうだ!見ろ!!』


???『素晴らしい!まさかこれほどとは!!私の想像を遥かに上回っていたぞ……!!』


恍惚に満ちた声を上げながら、
大樹の姿は少しずつ、それでいて大胆に変化していく


マミ「Uキラーザウルス………いえ、それ以上ね」

杏子「くそ……化物が」


ほむら「………!!!!」

587 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:01:35.43 ID:M0rSwljp0
武器を構えながらも悪態を吐く魔法少女達の前で、
異常な変化は続く

大樹の根元からはドーム状に次々に根が生え広がり

少女達が見上げる遥か上空、
大樹の先には人の上半身のようなものが出現する

例えるならその姿は人々に救済を与える女神の姿そのもの


マミ「あの姿……魔女?」


ほむら「あ……ぁあああ……」ドサッ


杏子「……ん?」

まどか「ほむらちゃん……?」


突然ほむらの表情が絶望に染まり、
銃を落とし、力が抜けたようにその場にへたり込む

それを見た一同が警戒をしながらもほむらに駆け寄る


さやか「ちょっとほむら!どうしちゃったの!?」

杏子「おいおい…!いまさらビビっちまったなんて言わないよな!?」



少し戸惑いながらもほむらの顔を覗き込み、問いかける二人

しかし返ってきたのは思いもよらない言葉



ほむら「あれには………誰も勝てない……!」
588 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:02:06.17 ID:M0rSwljp0
杏子「はぁ……?」

さやか「ほむら!?あんた何馬鹿なこといってんの!!」


その言葉に杏子は眉を顰め、
さやかは声を荒げてほむらに詰め寄る

しかしほむらは恐怖と絶望に満ちた表情のまま魔女を虚ろな瞳のまま見つめ、
呆然としたまま動かない


まどか「ほむらちゃん……一体どうしたの?」

マミ「暁美さん、まだ諦めるわけにはいかないわよ。私達はまだ戦えるわ」


ほむら「わ、解らないの…!?あれは戦ってどうにかなる相手じゃないのよ……!!」


まどかとマミはほむらを何とか落ち着かせようとするが、
彼女は両手で自身の体を抱き、ただただ震える


さやか「ふざけないでよ!なんであんたが真っ先に絶望して……」

杏子「待てさやか!」


ほむらに掴みかかろうとしたさやかを手で制し、
杏子は落ち着いた声音でほむらに語りかける


杏子「その怯えた様子……ほむら、あんたアイツを知ってるのか?」


ほむら「………」

まどか「……?」


杏子にそう言われた途端

ほむらは一瞬だけまどかの顔を見つめて、
ゆっくりと口を開く
589 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:02:44.78 ID:M0rSwljp0
ゴキゴキゴキッ……


さやか「うっ…!?」

マミ「な、何?!」

杏子「ちっ……」


骨を砕き、皮膚を突き破るような不快な音

それに反応した三人が振り返り、
警戒しながら巨大な魔女の姿を見上げる


ほむら「ひっ……!!」

まどか「ほむらちゃん………」


ほむらは恐怖の表情のまま頭を抱えて蹲る

そこには先程まで力強く戦い続けていた少女の姿はどこにもなく、
ほむらは目に涙を溜め、弱々しい声を上げて怯え続けるのみ


???『ぐふふふふ……これこそ私が求めていたもの!全てを飲み込まんばかりの圧倒的な力!!』


ゴキッ


杏子「!! お、おい見ろ!」

マミ「あれは……?」


少しずつ盛り上がる様に形を変える女神の胸部、
それは次第に魔法少女達にとって見覚えのあるもの

ヤプールの顔面の形を作り出す


さやか「うわ……ヤプールの顔だ」

杏子「あの野郎……怨念だけになっても生き続けるってか?」
590 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:03:55.39 ID:M0rSwljp0

???『さぁて……まずはここにいる虫ケラどもでこの力を試すとするか……』


ドゴゴゴゴ……


湧き出してきた真っ黒な瘴気に包まれ、
巨大な魔女の姿は薄れてゆく

それにともない魔女は下半身の根の部分を触手のように動かし、
周囲の建物や地面を軽々と貫き、その力を見せつける



杏子「ちくしょう……像に挑む蟻の心境だぜ……」

マミ「……近くにいるだけで……殺されてしまいそうね」

さやか「あんなのホントに勝てるの……?」


少しずつ力を解放し始める魔女に対し、
強気だった少女達も不安の色を隠せない


ほむら「…ぁ……」

まどか「ほむらちゃん教えて!あれは何なの!?」

ほむら「あ、あれは………」



ほむら「世界の……終焉」

591 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:05:13.10 ID:M0rSwljp0

???『我ら異次元人は闇より生まれ、全てを暗黒へと染める……』


数多の因果の糸が絡み付いた最強の魔法少女

そのエネルギーを完全に取り込んだヤプールにより、
救済の魔女は全てを飲み込む破壊の悪魔へと姿を変える



???『ウルトラ兄弟……そして魔法少女……』



その悪魔が今、
圧倒的な悪意と怨念

絶望を引きつれて

魔法少女を

世界を

全宇宙を飲み込むべく動き始める




クリームヒルト『……ここで死ぬのだ!!!』



592 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/02/27(月) 23:09:23.80 ID:M0rSwljp0
今日はここまでです
たぶん次で最後かな…?

延びに延びたがあと少し
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/27(月) 23:34:18.27 ID:e+7aBBgy0
乙ーーーー!!!!

す…げ…え…この怒涛の熱血展開…!!
満を持して登場したゼロがチョイ役とか どんだけ贅沢な展開!?

魔法少女たちの戦士としての成長ぶりも素晴らしい!
「さやかちゃんで・し・たぁぁああああーーーーっ!!!」
から続くほむらの全力射撃までのカッコ良さ!(鳥肌)

しかもここまで来て最凶最悪のラスボス出現!?
盛り上がりまさに無限大!!



…んで いよいよ次回はラスト?
冒頭からの伏線が遂に明かされるのか…!?

パソコンの前で興奮冷めやらぬが
とにかく(いつも通り)次回が楽しみだーーーー!
来週…かどうかは判んないけど次回もみんなで見よう!!
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/27(月) 23:41:26.48 ID:EFguQIJAO
なんちゅーしつこさだよ…これぞまさしくヤプールだ
そしてそれをここまで表現する>>1がすげぇ
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 23:41:31.23 ID:kYf8RaYy0
乙!!!!!
くそぉ!!面白すぎるぞゴラァッ!!!!
熱い!修造なんか目じゃないくらい熱い!!
次でラストか!!魔法少女達よ!
絶望(やみ)を切り裂き、希望(ひかり)をもたらせ!!!!!!
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 09:58:18.49 ID:zBQ6yVmOo
あの小物臭あふれていたタロウのころのヤプールさんになぜか会いたくなったわ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 01:54:54.15 ID:6q2AbU2ro
Aでは物語全体のボスで黒幕だったのに、タロウ以降は強豪宇宙人の一人として扱われるヤプール…
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 04:23:03.57 ID:I5Il6sqZo
別の宇宙を攻め落とせるだけの戦力整えたと思ったらベリアルさんに奪われたやプール…
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 14:03:29.27 ID:1ZkjtOM/0
いよいよ、最終回ですか。
現れた最大の絶望、しかしそれを乗り越えた時魔法少女達とウルトラマン達の絆に呼応し
太古より全宇宙の平和を護る伝説の存在“ウルトラマンノア”降臨!
そしてまどかも、アルティメットまどかへと覚醒!
みたいな展開はないですよね・・・。

なにはともあれ、最終回を楽しみに待ってます^^
でも、無理はせずに、ご自分のペースで頑張ってください
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/01(木) 14:52:58.93 ID:iM60JlXg0
これ書籍化しないかな、ホント。
すれば千円以上でも買うね。
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/01(木) 19:48:09.02 ID:1KpQxq0m0
>>600
同意。
というか円谷とシャフトのコラボ企画とかで映像化して欲しい。
(土台無理な願望だということは百も承知だが)
十分劇場作品として通用するボリュームとストーリーだと思う。
いや、1本の映画で済ますにはボリュームあり過ぎるか。

自分に絵心があれば映画化を仮定した宣伝ポスターとか
pixivに巨大サイズで投稿したい気分。
脳内にイメージはあるのだが…。
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/02(金) 14:50:06.56 ID:EQWjFZc40
>>601
描くわ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 17:24:01.79 ID:yKUEoyKx0
>>602
頼むぜ同士
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/02(金) 21:31:50.18 ID:EQWjFZc40
>>603
おk。出来る限りの力を注ぎこむ。 ウルトラマンや魔法少女達のように・・・
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/08(木) 13:18:19.25 ID:0C/ByoSO0
クウォリティはアレだけど描いてみた。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2723222.jpg
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/08(木) 13:55:19.63 ID:pbN45pDF0
ディモールド、べネッ(大変良しっ)!
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 14:04:03.48 ID:MnMdSOM9o
ミレネェ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/08(木) 15:10:15.25 ID:T/YJpppQ0
ざっと読んだけど孤門最終回後は変身できないだろ
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 16:29:59.31 ID:Z+icfDPho
>>608
そんなことはない。レーテは破壊されたけど光そのものは受け継がれているから。ビーストも健在だしね。
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/03/08(木) 18:14:23.86 ID:JJi+ptWA0
>>609
レーテはそもそもウルトラマンと無関係
まあベリアル銀河帝国のときにノアが出てるから分離してるはずって考えるのありといえばありだが
それを言ったらムサシもだしなぁww
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 18:55:27.88 ID:Fi2AbK4Z0
>>605
超GJ!
俺がそれ書こうとしたら全部ゲルトルートになるぞ☆
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/08(木) 20:20:15.77 ID:8ncJwvRK0
>>605
素晴らしい!
ほむらがしっかりディバイトランチャーなのがいいね
力作サンクス!
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [「sage」]:2012/03/08(木) 22:41:25.62 ID:0C/ByoSO0
ありがとう。描いたかいがあった・・・
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 23:00:36.63 ID:S8hyM8QIO
>>610
ムサシはこっちの世界来た時は変身能力持って無くね?
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 08:29:35.94 ID:yqjMZcLb0
消えていたのでもう一度・・・
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2747803.jpg
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/17(土) 15:16:55.99 ID:MSanY94AO
>>601
そんな貴方には現在上映中の映画、「ウルトラマンサーガ」を観に行くべきだと思うじぇ。
(あっちにも女戦士が出てるし)
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 22:25:39.18 ID:dbLB6Ynp0
一気に読み終えました!熱い!!GJ!!
618 :601 [sage]:2012/03/18(日) 00:48:12.86 ID:IiNzk8k/0
>>616
3月18日時点ではまだ上映してないよ。25日公開。
入場料が安くなる4月1日に行くつもり。
でも当日日曜だから混むかなー…。
619 :601 [sage]:2012/03/18(日) 00:54:38.08 ID:IiNzk8k/0
あ、すまん、24日公開だった。
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 17:39:30.62 ID:F4Y7OKGa0
マダカナー
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 02:30:54.95 ID:giGwmf710
待ってるぜ
サーガ面白かったな
622 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2012/05/04(金) 00:30:10.06 ID:O1jACMSJ0
生存報告
もう完成できると思います

まだ待ってくれている人はもうホント…すいません
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/04(金) 07:45:44.37 ID:63S4oBNAO
ゆっくりでいいよ
楽しみにしてる
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/04(金) 12:21:57.23 ID:oaJNT3XOo
とうとう完結・・・?
応援してるよ!!
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 00:26:06.50 ID:f+gqdhpq0
私も応援してます。
本当に楽しみです!!
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/05(土) 12:17:04.51 ID:imIUgiUAO
>>622

ついに来るか。ウルトラマンサーガとのタイアップ?には間に合いそうだなぁ
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 15:59:34.74 ID:auutmrM30
待ってた・・・
この時を待ってたぜ!!
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/07(月) 20:30:56.17 ID:0/cm399q0
超8兄弟の黒い影法師っていまだに何者だったんだろと思う。性質的にはヤプールとよく似てるんだがな
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/09(水) 22:54:05.31 ID:cPUP+4ME0
勝手だけど挿絵描きはじめますた(前回表紙(?)描いた者です)
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/09(水) 23:01:28.26 ID:qaiaEaMZ0
>>629
キタコレ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/05/19(土) 22:25:17.47 ID:fgg2iWuy0
はよ
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/05/28(月) 20:53:17.59 ID:CORNmObAO
>>628

聞いた話だと初期構想にキリエル人を当てる予定だったらしい。
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/31(木) 18:47:50.83 ID:7pbrBjTW0
遅くなって申し訳ない。とりあえず完成した一枚を・・・
ttp://uploda.cc/img/img1313.jpg
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/31(木) 19:53:57.08 ID:pRB49xB50
>>633
乙!そしてGJ!!
緊迫した場面のはずがゼロで台無しだなwwwwww
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/01(金) 19:45:42.59 ID:qvUhAcmW0
>>633
ビッグサイズ乙〜〜!

魔法少女一行の呆れ顔に和む。
モロボシダンの伝説的自己紹介は
半世紀を経て息子のジョークにされてしまいましたな〜。

続き楽しみにしてますよん

>>622もね!
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/06/05(火) 21:16:45.74 ID:6qeigvqa0
みんな・・・あなたを待ってる。
だから・・・蘇って!>1ー!!(マウスを投げる)
♪誰ーよりーも何よりーもー 君ーだけーを守りたーいー・・・
サーガのパロディーです、ごめんなさい・・・
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/09(土) 11:57:59.52 ID:Q7Eyf8FN0
「まどか」の劇場版は前編10月6日公開らしいね。
後編は10月13日。

この微妙な公開日ズラシはどういう意図なのかな。
(意図というより大人の事情か?)
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/11(月) 17:55:24.76 ID:7FWam82u0
前後編とか大抵ずらすだろ
ずしろ一週間しか間開いてないだけマシとも
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/11(月) 19:36:24.24 ID:pLMte1dL0
>>638
前編と後編の同時上映はしないから
2回分入場券買ってねということだった。

理解。
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/29(金) 12:07:37.05 ID:bFmCx2c00
別次元の話だが、このヤプールはヤプール族の中でも最弱の先兵だったらしいな
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/07(土) 03:36:43.03 ID:gchsG0va0
かなり難しいとは思うけど、ウルトラマンジャンヌとウルトラマンアムールも出してもらえないかな
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2012/07/10(火) 12:17:23.51 ID:r4Gw7uXw0
そういえば作者のレスから2か月たつけど。Html化大丈夫なのかな。

作者さんが次スレでやるなら話しは別だけど。
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/11(水) 22:01:03.58 ID:JoYO3hg90
にじファンもつぶれてウルトラマンのクロスはもう数えるほどだからがんばってほしい
644 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/16(月) 21:14:59.50 ID:0hMu93Wu0
なにやってんだあああああああああ
中々更新できなくてすいません…とりあえず生存報告

来週の土日に投下します。それで終われるか妖しいけど…
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/17(火) 01:06:51.37 ID:MGovn3jN0
無理しないでください。量や早さより質ですよ、急いで中途半端なものを書かれたら私たち読者も、なにより作者さんが後々後悔するでしょうから
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/17(火) 09:42:25.14 ID:EXqRU+3io
まあここまで放っとかれてるし、今更だな
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/17(火) 20:08:57.09 ID:oiKN8KQv0
うおおおおおおおおお
生存報告きてたあああああああああ

ご自分のペースで頑張ってください
ここまで来たら最後までお付き合いしますよ!
648 :オメガウェポン :2012/07/17(火) 22:01:33.29 ID:yHefZDYq0
うおおおおおおお!!!!
待ってたかいがあったぜええええ!!!
期待せざるを得ない!!!!
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/18(水) 02:57:38.63 ID:cg0wHSSwo
+(0゚・∀・) + ワクテカ +
650 :オメガウェポン :2012/07/21(土) 18:32:51.23 ID:ufkxul7L0
wktkwktk
651 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/22(日) 21:48:37.86 ID:cYldd8t10
今日投下しようとしたけどちっと厳しいです
明日の夜でお願いします
652 :オメガウェポン :2012/07/23(月) 11:27:26.48 ID:ftr01jrj0
俺はいつまでも待ってるぜ!
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/23(月) 17:07:19.18 ID:XvtiYVz50
挿絵もあともうちょいでニ個くらい投稿できそうです!
654 :オメガウェポン :2012/07/23(月) 18:38:31.34 ID:59vjUkcg0
久々にウルトラのお兄さんの動画を見て来たぜ!
655 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:07:44.71 ID:aC9a1qAf0
再開します
656 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:08:07.94 ID:aC9a1qAf0

……………………………………

〜宇宙〜


地上で戦士達が戦い続ける中

宇宙から地上に降下しようとしていたウルトラ戦士達は突如発生した瘴気に行く手を阻まれ、
事態をどうにか好転させようと瘴気に攻撃を続けていた


アストラ『レオ兄さん!』

レオ『分かっている!ダブルフラッシャーでいくぞ!!』


バシュゥゥウ!!

弟であるアストラの掛声とともに、
兄弟の力を合わせて発射する合体光線ウルトラダブルフラッシャー

稲妻のような赤い光線が見滝原上空を覆う瘴気に向かって放たれる


ゼロ『こいつで……どうだぁああっ!!』ドンッ!


兄弟の合体光線に続きゼロが胸に装着したゼロスラッガーにエネルギーを集束させ、
必殺のゼロツインシュートを放つ

重なり合う赤と青の閃光が漆黒の瘴気に向かって突き進む

しかし


シュゥン……


ゼロ『なっ、なにぃっ!?』

レオ『この攻撃でも駄目なのか……!』


三人の合体光線は闇に飲まれて消滅し、
闇の瘴気はなおも少しずつその範囲を広めて地球の空を侵食してゆく


ヒカリ『くっ……攻撃も通じないうえテレパシーの念話すら遮断されるようだ!』

タロウ『我々の攻撃をことごとく無効化するこの瘴気……一体地球で何が起こっているんだ?』



……………………………………
657 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:08:52.02 ID:aC9a1qAf0

……………………………………

〜異次元空間〜


クリームヒルト「ォォオオオ………!!」


太く、長く、大樹の枝のように巨大な右腕をゆっくりと上げ、
真っ直ぐに立てた人差し指が魔法少女達に向けられる

その指先に集束するどす黒い絶望のエネルギー


クリームヒルト『さあいくぞ!せいぜい楽しませてもらうとしようか!!』

バシュッ!


弾かれるように放たれる闇を纏った毒々しい色の光弾

町の中心部から町の外れにいる魔法少女達を狙った長距離射撃、
だがその巨体ゆえに、距離を全く感じさせない


杏子「なん……だよ!あのデタラメな攻撃!!」

さやか「あの光弾……で、でかすぎるでしょ!?」


指一本分といってもそれは山の様な巨体

クリームヒルトにとっては手を抜いた一撃であっても、
魔法少女達にとっては桁外れの質量をもった恐るべき攻撃だった


マミ「暁美さん!アイツとまともに戦うための方法は!?」

まどか「ほむらちゃんっ!!」


ほむら「そんなもの……な、ない……あれは……倒せない…!」


驚愕するさやかと杏子の後ろでマミとまどかがほむらに詰め寄るが、
彼女はただ蹲り、体を震わせ依然怯え続けていた



ほむら「ここまできたのに……何度もやり直したのにっ……」

ほむら「結局……何も変わらなかった……!」


ほむら「もう私には何も出来ない……運命なんて変えられないっ……!!」

658 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:09:19.14 ID:aC9a1qAf0


杏子「っ……お前ぇ!!」

マミ「やめて佐倉さん!今はそんなことをしてる場合じゃないでしょう!?」


震えながら弱音を吐き続けるほむらに杏子は激昂し彼女の胸倉を乱暴に掴み、
それを見たマミが必死で制止する


杏子「……ちっ!!」

ほむら「……」


さやか「ほむら……なんで……」


杏子の手から解放されたほむらは情けなくその場にへたり込み、
再び頭を抱えて震えだす

その今までのほむらとは違う恐怖に怯えた姿を見たさやかは、
どうしようもない悲しみを感じる

それと同時に、
どんな不利な状況でも戦い続けてきたほむらの諦め切った様子を見て、
一同は現在の絶望的な状況を痛感せざるを得なかった


ゴゴゴゴ…


マミ「!!」

まどか「!……このぉっ!!」パシュッ


そうしている間にも轟音を響かせながら迫る光弾

それに反応したまどかは咄嗟に魔翌力を込めた矢を光弾に向けて放つ


ドバンッ!!


まどか「えっ!?」

マミ「拡散した!?」


まどかの矢が目標を貫くも、
風船のように弾けた巨大な光弾からはさらに小さい光弾が飛びだし、周囲に拡散する


まどか「駄目……止まらない!!」


杏子「くそっ!行くぞさやか!!」

さやか「……分かってる!」

659 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:10:01.92 ID:aC9a1qAf0
武器を構え、
迫り来る光弾に向かって一気に跳躍する二人

剣と槍に魔翌力を纏わせ一心不乱にそれを振るう


ズババババッ!


杏子「だぁあああっ!!」

さやか「止ま……れぇぇええええーーーっ!!」


散らばった無数の光弾はまるで生き物のように向きを変え、
二人の魔法少女に向かって一斉に突撃する

杏子とさやかは空中で身を捩らせながらそれらを避けつつ、
それぞれの武器で次々に叩き落としていく


ピシッ

さやか「!? や、やばっ……」


しかし限界に達するのは体よりも武器の方が早かった

大量の光弾を受け続けた細身の剣には大きな亀裂が走り、
それを狙っていたかのように光弾はさやかへと集中して降り注ぐ


ドガガッ!!


さやか「ぐっ、うぁあああ!!」

杏子「! さや……がはっ!?」


爆発とともに剣は砕け、
その爆風でさやかは豪快に吹き飛ぶ

そしてそれに一瞬気を取られた杏子もまた背中に光弾を受け、
二人は墜落し、地面に叩きつけられる


さやか「ぐ……ぁ」


まどか「危ない!!」ダッ

マミ「くっ……」シュン


ほむら「………」


地面に這いつくばる二人を見て、
まどかは叫びながら駆け出し、マミは焦りの表情を浮かべながら魔翌力で武器を生成する

その後ろで、
ほむらは呆然自失といった状態のままその光景を虚ろな瞳のまま眺めていた
660 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:10:46.42 ID:aC9a1qAf0

まどか「二人とも早く!また光弾が襲ってくる!」


地に伏したままの二人の元へ駆け寄り、
まどかは杏子に肩を貸し立ち上がらせる

苦痛に歪む表情を浮かべる杏子

その背中は光弾の直撃を受け、
黒く焼け爛れた傷跡が生々しくむき出しになっていた


杏子「くっ…ぅ……あ、アタシはいい……それよりさやかを……」

まどか「! さ、さやかちゃんっ!!」


痛みに耐えながら杏子が指で指示した先、
そこには全身に傷を負い倒れたまま動かないさやか


まどか「今そっちに……!」ザッ


まどかは杏子を支えたままさやかの元へと向かうも、
無情にも残りすべての光弾が向きを変えて三人に降り注ぐ


シュシュシュン!

まどか「あ……!」

杏子「ぼ、防御を……ぐっ!?」ドシャ


槍を構えて守りの姿勢を取ろうとする杏子

しかし鋭い痛みに襲われ槍を手放し、
まどかの手から滑り落ちるように地面に倒れる


まどか「くっ!!」ガバッ


杏子「なっ……お、お前!?」

さやか「………」


驚きに見開かれる杏子の瞳

まどかは倒れた二人の魔法少女の上に覆い被さり、
その身を挺して迫り来る攻撃からさやかと杏子の盾となる


杏子「馬鹿野郎!これだけの攻撃が当たればお前……!!」

まどか「っ……!!」


下を向いたままきつく目を閉じ、
まどかは全身に力を入れる


ドガガガガガァン!!
661 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:11:23.48 ID:aC9a1qAf0
周囲の建物を破壊しながら巻き起こる大爆発
そして巻き上がる土煙

まともに当たれば少女三人などバラバラに吹き飛ばしてしまうほどの威力
だが……


まどか「……あ……れ?」

杏子「………ん?」


耳を劈く爆音に反して、
いつまで経っても訪れない体の痛み

訝しく感じたまどかと杏子の二人が恐る恐る目を開き、辺りを見回す


まどか「? これは……」

杏子「……!」


最初に二人の目に入ったのは自分達を囲む青い障壁、
それを見た杏子は一瞬で状況を理解し、起き上がって声を上げる


杏子「このバリアー……マミか!?」


杏子が振り向いた先にはメテオールショットを構え、
額の冷や汗を拭うマミが立っていた


マミ「キャプチャーキューブ……なんとか間に合ったみたいね」


マミによって魔翌力で生み出されたメテオールショットから放たれる複数の光の帯

それが連結して青い多面体のバリアーを形成し、
迫り来る光弾から三人を守っていた


シュゥウ…

マミ「治療をするわ!二人とも傷口を見せて!」


杏子「はぁっ……」

まどか「よ、よかった……」


粒子となって消滅するバリアー

なんとか危機を脱し息を吐く二人

そこへ駆け寄って来たマミが杏子とさやかの治療を始める


杏子「間一髪ってところだな。サンキューマミ」

さやか「っ……ぅ…ん?」ピクッ


まどか「あ!マミさん、さやかちゃん目覚ましたみたいですよ!」

マミ「ええ……」
662 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:11:50.34 ID:aC9a1qAf0
まどか「? マミさん、どうしたんですか?」


さやかの快復をを喜ぶまどかの表情が明るくなるが、
マミと杏子の表情は未だに少し暗い

それを不思議に思ったまどかが問い掛ける

しかしそれに答えたのはマミではなく杏子だった


杏子「ちょっと驚いてんのさ……あの馬鹿でかい魔女の力に」

まどか「え……」


傷が完治した剥き出しの背中を手で擦りながら、
杏子は遠方に山のようにそびえ立つ魔女を睨み付ける


マミ「あの異常なまでの攻撃翌力……長引けばこちらはどんどん不利になるわ」

杏子「アタシもあの飛び散った小さい光弾一発で意識が持ってかれそうになったしな……」


まどか「じゃ、じゃあどう戦えば……」

さやか「……そんなの決まってるじゃん」


不安で怯えた表情のまどかの後ろで、
ゆっくりと立ち上がる青い魔法少女


まどか「! さやかちゃん、もう大丈夫なの!?」

さやか「傷の治りが早いのよこれが」グッ


笑顔を見せながらまどかの肩に手を置き、前に進み出るさやか


杏子「それで?その戦い方ってのは?」

さやか「……一気に懐に飛び込んでひたすら攻撃……かな?」

杏子「……そう言うと思ったぜ」


額に手を当て、
ため息を吐きながらやれやれと頭を振る杏子


杏子「けど……ま、それしかねぇよな」

マミ「というよりこの距離じゃどうしようもないしね……接近しましょう」


それぞれの武器を魔法で作り出し、
立ちあがってクリームヒルトを睨みつけるマミ、杏子、さやかの三人

周囲に立ち込めていた土煙はもう晴れ始めていた
663 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:12:19.84 ID:aC9a1qAf0
マミ「それから鹿目さん……あなたは暁美さんを安全な場所へ連れて行ってあげて」

まどか「えっ!?わ、わたしも一緒に……!」


虚ろな瞳のままぼんやりと虚空を見つめるほむらを見つめ、
マミがまどかに言い放つ

その言葉にまどかは驚き、マミに詰め寄る


マミ「……残念だけど今の彼女は戦える状態じゃない」

杏子「ここもあいつの射程内だしな」

さやか「ほーらっ!今度はあんたが守ってあげな!」


まどか「……うん」


深刻な顔で頼むマミと、
明るい笑顔を作りまどかの背中を叩くさやか

まどかは仲間の頼みを受け、解せぬ思いを抱きつつもそれを受け入れる


まどか「それじゃあほむらちゃん一緒に……」

ほむら「! ひっ……!?」ビクッ


まどかがほむらを立ち上がらせようと手を握った瞬間、
ほむらの体は電流が流れたかのように跳ね上がり、小さく声を上げて再び震えだす

まどかは驚き、思わず手を引っ込める


まどか「あ……ご、ごめん!」

ほむら「う……ぅぅ……」

まどか「……ごめんね」


今度は驚かせないようにゆっくりとほむらの手を取って立ち上がり、
クリームヒルトとは反対方向に体を向ける


まどか「それじゃあマミさん……わたし行きます」

マミ「ええ、お願いね……」

ほむら「………」


まどか「でっ、でもほむらちゃんを避難させたら絶対わたしも戦いますからっ!!」ダッ
664 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:13:25.51 ID:aC9a1qAf0
ほむらを連れて遠くへ駆け出していくまどか

その場に残された三人の魔法少女達はその背中を見送りながら、
それぞれの胸に悲しい思いを抱いていた


さやか「ほむら……どうしちゃったのよ……」

杏子「まさかあいつが真っ先に諦めちまうなんて……想像もしてなかったよ」

マミ「きっと彼女をそうさせてしまうほどあの魔女は恐ろしい存在ってことなんでしょうね……」


三人はやり切れない思いを残しながら、
再び魔女へと向き直る


杏子「まどかを守りたいってあれほど言ってたのにな……信じたくねぇよ」

マミ「彼女のその思いは砕かれてしまったのかしら……」

さやか「………」


マミ「……行きましょう……!」


ダッ


負の感情を振り払う様に声を出し、
遥か遠方のクリームヒルトを目指し、一気に駆け出す


さやか(ほむら……あんたは……あんたはそうじゃないでしょ……!?)







……………………………………
665 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:14:16.63 ID:aC9a1qAf0

……………………………………

〜見滝原〜


シュゥウ…

マン『……駄目だ。いくら光線を撃ったところで全てかき消されてしまう』

ゾフィー『不味いぞ……このままではこちらが一方的に消耗していくばかりだ……』


闇の瘴気に包まれる見滝原

ウルトラマン達は上空の穴に向けてひたすら攻撃を続けていたが、
その全てが瘴気にかき消されて届かない

一同の残り少ない体力ではこれ以上攻撃を続ける事すらも難しい


セブン「デュワッ!!」

ジャック「ジェアァッ!」


シュイン!


セブンが頭部のアイスラッガーを穴に向けて投げつけ、
ジャックもそれに続いてブレスレットを光刃にして放つ

光線とは違う切断能力を持つ技が空気を切り裂き突き進む


バチッ!


ジャック『くっ……』

セブン『これでも駄目か!?』


しかし二人の攻撃は見えない壁に阻まれたかのように弾かれ、
再び持ち主の元へと戻る


エース『どうする……!?こちらの攻撃はもうほとんど……』

メビウス『僕達のエネルギーも吸い上げられていく……兄さん達、このままでは!!』


マン『………』




……………………………………
666 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:14:46.30 ID:aC9a1qAf0
……………………………………

〜異次元空間〜


クリームヒルト『ほう、こちらに向かってきたか』


女神の胸部に位地するヤプールの顔面

その機械のように不気味に光る緑色の瞳が、
ビルとビルの間を凄まじい速さで駆け抜けてくる三人の姿を捉える


クリームヒルト『馬鹿な奴らだ。大人しく殺されていれば苦しまずに済むというのに』


ゴゴゴゴ……


魔女の下半身に生えた無数の触手のような根が、
まるでそれぞれに意志があるかのように動き始める

それらは立ち並ぶ建物の外壁を砕き、地面を突き破り、
砂煙を巻き上げながら、迫り来る三人の魔法少女達を迎え撃つ


クリームヒルト『鹿目まどかと暁美ほむらが見当たらんな……』


魔女がその巨体を駆使して町中を見渡し、
残り二人の姿を探す


クリームヒルト『力を失った鹿目まどかなど取るに足らん存在だが……暁美ほむらはなんとしてでも殺さねばな』


インキュベーターの母艦内での戦いを思い出し、
憎しみを増大させる


クリームヒルト『……まああの三人を見せしめに始末するのもいいだろう』シュン


右腕にエネルギーの塊を作り出し、狙いを定める

その間にもクリームヒルトの体からは、
絶え間なく闇の瘴気が噴き出し、辺りをさらなる暗黒へと染め上げていた





……………………………………
667 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:15:12.83 ID:aC9a1qAf0
……………………………………


ドゴォン!


マミ「!! 来たわ!」

さやか「あれは……木の根っこ?」チャキッ

杏子「どうやら歓迎されてないみたいだぜ!」ジャキン


疾走する魔法少女達の前方から、
無数の根が鞭のようにしなりながら一斉に出現する

それに反応し、
武器を手に取り、足を止めることなく押し寄せる根に少女達は正面から突撃する


さやか「たぁぁああああーーー!!」

杏子「ブッた切れろぉおおーーーーっ!!」


ズババババッ!!


丸太のようなものからホースのような細いものまで、
あらゆる太さの触手が二人の魔法少女の攻撃によって次々と斬り飛ばされ、
一斉に宙を舞う


さやか「どうだっ!!」

杏子「よーし!このまま一気にアイツのとこまで行くぞ!!」


マミ「二人とも、次が来るわ!!」


銃を出現させてマミが叫ぶ

その言葉と同時に千切れ飛んだ根の後ろから、
少女達の前方を埋め尽くすほどの新たな根が押し寄せてくる


さやか「! さ、さっきより多いよ!?」

杏子「ちぃっ……ならここは避けて―――」


ドゴォン!


杏子「なっ!?」


杏子が舌打ちを一つ鳴らしながら右方向のビルに飛び込もうとした時、
待ち構えていたように壁を突き破り、大量の根が出現する


さやか「杏子、避けて!!」

杏子「し、しまった……!」


バァン!!
668 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:15:46.63 ID:aC9a1qAf0
槍を突き出し防御の構えを取る杏子

しかし一発の銃声とともに根は吹き飛び、
杏子に襲い掛かることは無かった


マミ「佐倉さんそこから離れて!」バンッ

杏子「わ、悪い……また助けられちまったな」


すぐさま体勢を立て直す杏子

銃を構え直したマミが杏子に迫る根を次々に撃ち落とし、
その攻撃を許さない


ドゴゴゴゴ……


さやか「!? こっちからも来た!!」


左方向から建物の壁を突き破り、
新たな根が逃げ道を少しづつ削るように出現する


杏子「やべえな……左右の道も塞がれちまってる」

さやか「……もう後ろに退くしかないじゃん!!」


杏子「駄目だ!ここで退いたらそのまま押し切られるぞ!!」

さやか「じゃあどうするの!?突っ込むの?アレに!?」


勢い良く迫り来るおぞましい数の根

前方からは絡み合った根が壁のように迫り続け、
左右からは触手のように蠢く根が今まさに三人に襲い掛かろうとしている

そんな状況にさやかは絶望の声を上げる

マミ「……美樹さん、佐倉さん!援護を!!」

さやか「!?」
669 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:16:20.45 ID:aC9a1qAf0
そんな危機的状況の中で声が飛ぶ

それを聞いて振り返る二人の視界に真っ先に入ったのは、
巨大な砲台を作り出して狙いを定めるマミの姿


杏子「正面突破ってわけか……!!」

さやか「……よぉし!」


ザシュッ!


咄嗟にマミの意図を理解した二人は地面を蹴って彼女の元へと飛び、
マミを狙う根を速攻で斬り落とす


マミ「ティロ……」

さやか「マミさん、お願いします!」

杏子「今だ!いけマミ!!」


マミ「フィナーレッ!!」


ドバァアアン!!

マミの放った魔翌力を纏った弾丸が根の塊目掛けて一直線

鋭い爆音を響かせ、
壁のように密集し、行く手を遮る根に巨大な風穴を開ける


マミ「道が開けたわ!行きましょう!!」

さやか「さすがマミさん!」

杏子「そらいけっ!!」


ダッ!


一斉に少女達は穴に飛び込み、
その数秒遅れで先程まで彼女達のいた場所に振り下ろされる無数の根

弾け飛ぶ周囲の瓦礫と舞い上がる砂ぼこりが、
その破壊力を物語っていた

杏子「よっ……と!」

さやか「アイツのとこまで……あと半分くらいかな?」

マミ「行きましょう……さっきの根が向きを変えて来る前に」
670 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:17:35.37 ID:aC9a1qAf0
穴の向こう岸まで辿り着く三人は休む間もなく、
再び大地を蹴り、一気にクリームヒルトへと向かう
危機を脱した事で少女達の中に小さな自信と希望が生まれ自然と足取りが軽くなり、
先程の根達をぐんぐんと引き離してゆく

しかしその希望も長く続くものでは無かった


マミ「うっ……?」


突然マミが足を止めて立ち止まり、
胸を押さえて小さく呻き声を上げる


さやか「マミさん……?」

杏子「マミ、どうした!?」


前を走る二人も足を止め、苦しげな表情のマミを振り返る


杏子「……まさかお前!さっきの攻撃で魔翌力使いすぎたんじゃ……!!」

さやか「えっ!?」

マミ「い、いえ……そんなはずは……」


ドゴゴゴ…


駆け寄ってくる二人を手で制すマミ

その背後から、
三人の動きが止まった瞬間を狙ったかのように建物から根が飛びだし、
少女達を狙う


杏子「! 危ねぇっ!!」

マミ「あっ……!?」ドシャッ

頭上をかすめる一撃

咄嗟に飛び出した杏子がマミを押し倒し、
二人は間一髪のところで回避に成功した

さやか「マミさんっ!杏子!……くっ……こいつっ!!」チャキッ

蠢く根を睨み付け、
さやかは剣を振りかぶり、その刀身に青く輝く魔翌力を集束させる

そこから繰り出される斬撃は彼女の目の前の根などいとも簡単に切断できる

はずだったのだが……


ガッ!

さやか「な………か、堅いっ……!?」


振り下ろされた剣は根に深く食い込み、切断には至らない

さやかは両手に力を込めて剣を引き抜こうとするも、
中程まで食い込んだ剣はそう簡単には抜けない


シュルルッ

さやか「あっ!?や、やば……」

杏子「さやか!離れろっ!!」

さやか「!!……」

ドガッ!
671 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:18:14.61 ID:aC9a1qAf0
杏子の声に反応し、
剣から手を離し、後ろに飛び退くさやか

次の瞬間、地面に倒れたままの姿勢から杏子が槍を投擲

さやかを狙おうとした根は千切れ飛び宙を舞う


杏子「何やってんだ!あんな根っこさっきまで斬れてただろ!?」

さやか「ち、違うよ!なんかあの根っこ急に堅く……」


起き上がり、
地面に転がる根の破片を視界に捉えながらさやかの手を取り立ち上がらせる


さやか「あ、あれ………?」ガクン

杏子「!……さやか?」


杏子の言葉に反論しようとするも、
さやかは彼女の腕から滑り落ち、地面に膝を着く


杏子「……おい冗談だろ?まさかお前も魔翌力を使いすぎて……!」

さやか「そ……そんなワケないじゃん!あたしはまだ……!」


シュルルッ

杏子「!……んの野郎!!」ジャキッ


間髪入れずに出現する無数の根に対し、
杏子は唇を噛み締めて槍を拾い上げる


杏子「いい加減うぜぇんだ……よぉぉおおーーーっ!!」


ドガガガッ!!


炎のように燃える赤い魔翌力を帯びた槍を横薙ぎに振るい、
衝撃波のように斬撃が飛ぶ

杏子とさやかに迫る根は纏めて吹き飛び、跡形も残らない


杏子「はぁっ……はぁっ……どうだっ!何本来ようが纏めて吹っ飛ばしてやる!!」


周囲に蔓延る根を一掃し、
額の汗を拭いながら大声で捲し立てる


杏子「ッ……はぁ……はぁ……」

さやか「……杏…子?」
672 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:18:41.85 ID:aC9a1qAf0
膝に片手を置き、
汗を滴らせながら肩で息をして、いかにも苦しげな表情の杏子

そんな彼女にさやかは奇妙な違和感を覚える


さやか「ど、どうしたの?あんたどっか苦しいの?」

杏子「っ……馬鹿言え!あれくらいの攻撃でアタシがへばっちまうとでも……」

マミ「……待って!」


心配そうに顔を覗き込みながら手を伸ばすさやか

杏子はその手を払いのけ、声を荒げてさやかに反論しようとするも、
起き上がったマミに制止される


杏子「……んだよマミ」

さやか「マミさん?」

マミ「……周りを見て」


マミに促され、二人は自分達の周囲を見回す

目に入ったのはお互いの姿、根の破片、荒れ果てた町並み
そして……


さやか「なに……?この黒いの?」

杏子「瘴気か……?いつの間にこんな……」


シュゥウ…

杏子「!?……な……に!」


辺りに蔓延するどす黒い闇の瘴気

それが赤い魔翌力を纏う杏子の槍に纏わりつき、
その輝きを奪い去る


杏子「どういうことだ!?アタシの魔翌力が……!」


冷や汗を浮かべ、
杏子は驚きの表情のまま手に持った槍を見つめる


さやか「!……もしかしてさっきのも!?」

マミ「そうよ、根が堅くなったんじゃない……私達の力がこの瘴気に吸い上げられている」



クリームヒルト『はははは!気付くのが少し遅かったな!!』

杏子「!!……」
673 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:19:21.52 ID:aC9a1qAf0
マミ「!! 避けてっ!」


異次元空間全体に響き渡る声

それに反応して空を見上げた少女達の視界に入ったものは、
一斉に降り注ぐ血のように赤いレーザー光線

マミが二人に向かって叫ぶが、間に合わない


ドガァァアアン!!!


さやか「うぁぁああああっ!?」

杏子「ぐっ、ぅうああぁぁ!?」


その場から飛び退いて回避を試みる少女達

しかし凄まじい爆風と衝撃に、
三人の体は風に吹かれた木の葉のように為す術もなく吹き飛ばされる


クリームヒルト『はぁーーーっはははははは!!』

ドゴゴゴゴゴ……


続けざまに空から降り注ぐ無数の閃光は、
建物を次々に倒壊させ、道路を破壊し、街路樹を焼き払う


崩れゆく町並みはまさに地獄絵図


クリームヒルト本体が放つ攻撃は、
たった一度で少女達の見る光景を一瞬にして変貌させてしまうほどの破壊力を持っていた


クリームヒルト『くくく……さぁて何人死んだかな?』


業火に包まれる町を見下ろし、
心の底から悪魔は不気味な笑い声を漏らす






……………………………………
674 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:19:47.74 ID:aC9a1qAf0
……………………………………


まどか「……うっ……く……ぅ?」ピクッ


魔女から遥か遠くに離れた場所、
まどかがさやかや仁美達と毎日学校へ通うための通学路

作り出された偽りの異次元空間だとしても、
道の脇に流れる水路も生い茂る木々もその美しさは変わらない

しかしこの場所も、
魔女の攻撃により酷く荒れ果てた光景に変わっていた


まどか「!……わたし……気絶してた…?」


慌てて起き上がり、
まどかは周囲を見回すと同時にその変貌ぶりに絶望する


まどか「あれ……?」


だが彼女にとって、
本当に絶望的な事実はそこから遅れてやってきた


まどか「ほむらちゃん……?ほむらちゃん……!?」

675 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:20:14.27 ID:aC9a1qAf0
仲間達に頼まれ、
先程まで手を引いて一緒に逃げてきたほむらの姿が

どこを見渡せども見つからない


まどか「ほむらちゃんっ!どこ!?」


体から嫌な汗が滲み出るのを感じ、
まどかは彼女の名前を必死で叫びながらその姿を探す


しかし視界に入るのは、
根元からへし折れて倒れた木々達、滅茶苦茶に散乱した瓦礫

そしてその瓦礫に埋め尽くされ、流れの止まった水路


まどか「どうして!?……た、たしか空から光線がたくさん降って来て……」


まどか「爆発が起こって……わたし達はそれに吹き飛ばされて……」


気絶する寸前の記憶を何とかして思い出そうとするも、
まどかの頭の中は嫌な考えでいっぱいになり、どんどん顔色が青ざめていく


まどか「いや……いやっ!ほむらちゃんっ!!」


まどかは負の思考を振り払い、
ほむらの名を叫びながら走りだす






……………………………………
676 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:20:55.27 ID:aC9a1qAf0
……………………………………


ガラガラガラ……

杏子「っ………生きてるか……マミ?」

マミ「……なんとか……ね」


体に圧し掛かった瓦礫を押し退け、
息も絶え絶えといった様子でゆっくりと立ち上がる杏子とマミ

二人の下に散らばった瓦礫の上には、
全身の傷口から滴り落ちる血の跡が点々と続いていた


さやか「はぁっ……はぁっ……うっ…く……」ドッ


二人から少し離れたところで、
さやかはだらんと垂らした左腕を右手で押さえ、建物の壁にもたれ掛かっていた

大量の血が付着したマントはズタズタに裂け、もはや原形を留めていない


さやか(傷の治りが……遅い……あいつに力を奪われてるんだ……)


激痛に顔を歪ませながら魔女の姿を睨みつける



クリームヒルト『全員生存か……ここまで生き残ってきたのはやはりまぐれでは無いな』


マミ「う……く…」

杏子「ちっ……」

さやか「あいつっ……滅茶苦茶だ……」

677 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:21:49.87 ID:aC9a1qAf0
クリームヒルト『ふぅむ……ここで貴様らを始末することは簡単だが……』


自身の眼下で足掻き続ける三人を見下ろす魔女

絶望に染められながらも、
彼女達の瞳の奥には力強い抵抗の意思が感じられた


杏子「下種野郎……が……」

さやか「なんとかして……先に……行かなくちゃ」


クリームヒルト『どうせならその瞳を絶望で染めてやりたいものだな』

キィイイン…


女神の胸部に位置するヤプールの顔面

その緑の両眼が妖しく輝くと同時に、
鉄の擦れるような不気味な音が町中に響き渡る


マミ「……ぐぅッ!?」

杏子「なっ……!?」

さやか「あ……頭が……!!」


直後、少女達に奔る強烈な頭痛

頭の砕けるかと思うほどの痛みに思わず膝を着く


クリームヒルト『………』シュン


さやか「くぅぅうううぁあああ……っ!!」

杏子「なんっ……だよぉおお!!」


不快な音は鳴りやむが、
三人は激痛に苛まれ、それに耐えられず頭を抱えて地面をのたうち回る

そうしている間にも周囲の瘴気は少女達を蝕んでゆく


マミ「あ……ぅううっ……」

シュゥゥウ

マミ「……!?」

678 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:22:25.56 ID:aC9a1qAf0
朦朧とする意識の中、
薄れゆくマミの視界がありえないものを捉えた

それはマミにとっては一つのトラウマとも言えるもの

自身を追い詰めたお菓子の魔女の姿だった


魔女『………』

マミ「な、なんっ……で……!?」


痛みに耐えつつおぼつかない足取りで立ち上がり、
マミは自分を凝視してくる魔女との間合いを取ろうとする


魔女『………』グバッ

マミ「あ………」


しかしマミが一歩後ろに退いた瞬間

かわいらしい人形の姿の魔女の口から大蛇のような凶悪な生物が吐き出され、
マミの首目掛けて飛ぶ


マミ「い……いや……」ガチャッ


咄嗟に足元の銃を拾い上げ、
大口を開けて迫る魔女へとその銃口を向ける

だが、錯乱した状態でまともな狙いなどつくはずもない


それでもマミは目に涙を溜め、
恐怖に絶叫しながらマスケット銃の引き金に指を掛ける


魔女『………』

マミ「いやぁぁああああああーーーーーーっ!!!」



バァン!!


679 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:22:59.08 ID:aC9a1qAf0
マミ「はっ!?」ビクッ


鳴り響く銃声

それと同時にマミは夢から覚めたように体を跳ね上がらせ、
目を大きく見開く

目と鼻の先まで迫っていたお菓子の魔女の姿は消え去り、
まるで幻でも見ていたかのような錯覚に陥る


杏子「っ……んぅ……?」

さやか「あれ……頭痛が……」


三人を襲う頭痛はいつの間にか消え、
マミの後ろでさやかと杏子が頭を押さえながら立ち上がる


杏子「! おいマミ!どうしたんだ!?」

さやか「マミさん?」


マミ「私は……何を……?」


銃を構えたまま呆然と立ち尽くすマミを心配し、
二人が彼女の肩を掴んで呼び掛ける


クリームヒルト『……今の幻術から抜け出したか』

杏子「幻術だと!?どういうことだっ!」


不意に放った魔女の言葉に食って掛る杏子


クリームヒルト『言った通りの意味だ。佐倉杏子、貴様が私に使った幻術……それのちょっとした真似事だ』

マミ「やっぱり……あれは幻だったのね」

さやか「嘘……あいつそんなことまで……」


クリームヒルト『当然だ。貴様ら人間に出来て私に出来ないはずがないだろう?』


驚愕する二人を見下ろしながら得意げに言い放つ魔女

だがその言葉に反論する少女が一人


杏子「へっ!自身満々なのは結構だがアンタの幻術あっさりマミに撥ね退けられてんじゃねーか!」

クリームヒルト『そうだな。そこで私は考えたのだが……』


ボゴォッ!!


680 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:23:24.65 ID:aC9a1qAf0
三人の魔法少女の背後に響く轟音

道路のコンクリートを突き破り、
地面から高層ビルの高さまで到達するほどの長い根が一斉に出現

まるで一本一本に意志があるかのように横一列に並んだ根は巨大な壁を作り上げ、
少女達の退路を完全に遮断する


さやか「なっ!?」

杏子「!……これで逃げるのは無理ってわけか……」

マミ「どういうつもりなの!?」


クリームヒルト『貴様らを始末し、その全てを私の中に取り込んでやろう』


闇の瘴気を全身に纏いつつ、
慌てふためく少女達を見下ろし悠然と言い放つ


マミ「吸収する……ってこと?」

杏子「ふざけんな!!」

さやか「っ……冗談じゃないわよ!誰がアンタなんかに!」


クリームヒルト『貴様らの意志などどうでもよいのだよ!これは私が決めた事だ』


三人は激しい言葉と態度で向かっていくも、
魔女は一蹴

それ以上の反論を阻止するかのように根の壁がゆっくりと前に進みだす


マミ「!?」

クリームヒルト『どうした?逃げ道は無いと分かった以上貴様らのやる事は一つだろう?』


杏子「く……ちくしょうっ!!」

さやか「!! マミさん、行きましょう!」


ダッ


681 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:23:53.61 ID:aC9a1qAf0
迫り来る壁から逃れるために駆け出す三人

だが彼女達の行く先に待っているのは更なる絶望の塊

少しずつ力を奪われながら逃げることも立ち止まることも許されず、
勝ち目の無い戦いに身を投じる

そんな少女達の唯一の希望は、町の外れへと逃がした二人の魔法少女


杏子「アタシ達が先行する!マミ、アンタは距離を開けてついてこい!!」

さやか「援護お願いします!マミさん!」

マミ「分かったわ……二人とも気をつけて!」


廃墟の町を駆けながら指示を飛ばす杏子

それは少しでも生き長らえるためのささやかな抵抗

しかしそんな彼女達を嘲笑うかの如く、悪魔は囁く


クリームヒルト『おおっとそうだ!いい事を教えてやろう』


さやか「なによっ!まだ何かあんの!?」

杏子「もうアイツの言葉に耳を貸すな!ロクなことにならねぇ!!」


傷付いた体に鞭打ち、
襲い来る根を渾身の力を込めた斬撃で次々に切断し、疾走する三人

そこへ告げられる恐怖の言葉


クリームヒルト『先程の幻術、貴様らはなんとか撥ね退けたようだが……精神が弱りきっているあの女はどうだろうな?』

杏子「……!」

さやか「!!……そ、それって……!」


精神が弱りきった少女――

その言葉を三人は一瞬の内に理解し、
マミが咄嗟に振り返り、叫ぶ


マミ「暁美さんっ!?」





……………………………………
682 : ◆jPpg5.obl6 :2012/07/23(月) 20:25:16.34 ID:aC9a1qAf0
とりあえず今日はこのくらいで
待ってもらった挙げ句にこれだけとは…

今週中にあと二回は投下できるだろーか?
683 :オメガウェポン :2012/07/23(月) 23:52:40.57 ID:ftr01jrj0
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 00:24:04.32 ID:dNNKp8XPo
>>683
sageろ
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 06:55:48.02 ID:37BSdpx8o
乙。いい絶望だな。クリームヒルトというかヤプールさん流石です。

叫ぶ準備はできてる。無理しない程度に続きをお願いします。
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/24(火) 10:42:29.83 ID:HLtN4GmO0
再開待ってました!ちょっと流れを切っちゃうようですが・・・うpします
ttp://cdn.uploda.cc/img/img500dfc9ab3e40.jpg
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 13:57:23.92 ID:nLE5Z+nZ0

>>686ガイアとコスモスの色って赤と青が混じりあってるのが共通なんだよな
赤と青が交じりあう・・・本が薄くなりそうだ
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/30(月) 21:33:16.17 ID:ppTHFlKCo
>>686
サイズがでか過ぎて見れんな
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/11(土) 17:37:34.48 ID:eit8kwMu0
3枚目うpします。サイズが大きすぎるとのご指摘を受けましたので、縮小して投稿します。。。
ttp://cdn.uploda.cc/img/img5026192b3a5ef.jpg
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/11(土) 23:32:54.66 ID:MvaAmP370
>>689
おーつ
マミさんのふとももがエロいです
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/08/19(日) 11:13:56.93 ID:wG6FObyL0
615

:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 08:29:35.94 ID:yqjMZcLb0
消えていたのでもう一度・・・
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2747803.jpg

をもう一度アップデートして貰えませんでしょうか。

すみません。

692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/19(日) 22:12:48.31 ID:Vm0utYLR0
遅れてすいません・・・どぞ
ttp://cdn.uploda.cc/img/img5030e5e1d8125.jpg
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/20(月) 21:09:40.11 ID:gnGl+jRj0
>>692

ありがとうございます。
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) :2012/09/12(水) 19:18:13.81 ID:fj/Orl+t0
1帰ってきてくれー
695 : ◆jPpg5.obl6 :2012/10/17(水) 00:09:29.66 ID:c5cBiVes0
生存報告
完成しかけてたところで自分のミスでHDDぶっ飛びました

ソウルジェム6個くらい砕けました
ちょっと作り変えてます。もうしばらくかかりそうです
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/17(水) 00:22:19.09 ID:LQ86I6dd0
それはもしかして、>>1のパソコンにはDADAが…
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/17(水) 14:09:48.10 ID:1BeaYLnD0
エタるのか?エタるのか?   ああーーエタらない!
って感じでしぶとく生き残っているな。
最早話の内容以上にここが完結できるかの方が気になるな
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/10/17(水) 14:42:11.61 ID:vfF0+HZIo
俺が目をつけたssはことごとくエタるから、ここだけは是非に完結して欲しい
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/25(木) 23:14:23.35 ID:6jkXZmeAO
>>696
いや、カーンデジファーの仕業だ!
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/10/26(金) 19:11:10.15 ID:f7Zk43nZ0
頑張れ!ギリギリまで頑張るんだ>>1
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/26(金) 20:07:28.44 ID:36LQB1CRo
ギリギリまで踏ん張るんだ!
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/27(土) 13:01:25.15 ID:Oyu/0Yq5o
どうにもこうにもどうにもならないそんな時〜♪
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/27(土) 15:28:45.03 ID:MIEC9QhDo
僕と契約して魔法少女になると良いよ!
704 :>>700 [sage]:2012/10/27(土) 16:28:30.97 ID:bPPwAkiC0
>>703
おいw
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/27(土) 21:35:03.89 ID:Oyu/0Yq5o
>>703
ヤメェロ1

マダか?マジか?マジだ!ShowTime
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/10/31(水) 17:40:58.15 ID:ilKNV6Op0
こういう時だけはAKBメンバーのセリフを言いたい。
「みんな…あなたを待ってる!目覚めてー!!」
>>1、待ってるぜ!
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/11/04(日) 03:32:05.80 ID:WUC+O1Kyo
頑張ってくれ>>1
再開を待ってる
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 18:59:30.02 ID:YQGANOsRo
>>706
(いびき)
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/11/24(土) 01:05:33.71 ID:ttUvqekp0
最後まで諦めず…
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/11/24(土) 01:24:39.04 ID:DPnQWgfp0
不可能を可能にする…
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/11/24(土) 02:21:59.89 ID:Pp5eXrZUo
僕と契約すれば、そんな奇跡が待っているよ!
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/01(土) 17:10:50.09 ID:82BcS5FK0
せめて生存報告だけでも・・・
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/12/01(土) 17:57:16.27 ID:Xrw/hPIh0
>>711
おたくの星でR1号の実験していいなら
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/09(日) 16:21:10.13 ID:mTKiK54G0
続き気になる
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 03:02:45.09 ID:avzXLtsSo
来年中に終わるだろうか
716 :オメガウェポン :2013/01/04(金) 13:43:57.53 ID:N3vPMq6Z0
今年こそは完結させて下さい!
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 18:16:28.68 ID:1GMHuaQb0
あけおめです!
早速ですが、表紙(?)的なのが出来上がったのでうp・・・
ttp://uploda.cc/img/img50e69d2ba081d.jpg
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 21:58:58.31 ID:2QLrpyizo
>>717
GJ
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 04:44:14.91 ID:38Xv5dHRo
>>717
いいですね
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