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新米プロデューサー天海春香と落ち零れアイドル! - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆1jqaeM3vSE [sage]:2011/08/13(土) 20:45:48.04 ID:+FFU1Ui+0
〜プロローグ〜

その日外は大降りの雨だった。
ついこの前までの癖で、いつ雨漏りするかとビクビクするもののもうそんなことはないのだと思い直して
春香はほっと息を吐いた。最近は765プロ全員が売れに売れてきており、事務所も広い土地に新築したのだった。
たまにそのことを忘れてしまうけれど、もちろん春香自身はもうトップアイドル目前で自信に満ち溢れている。
ただ、所属アイドルの人数の割にはプロデューサーは律子ともう一人の女性プロデューサーのみで、春香はもう
ほとんどセルフプロデュースという形になっていた。

そんな中、春香は高木に呼ばれて会議室の前に立っていた。
先ほどから小一時間はこの前で待たされている。一体なんのために呼ばれたのだろう。そんなことを考えても、
次のオーディションの話以外何も思いつかない。しかしこのところのオーディションは随分詰め込んでいたため
しばらくお預けになっていたはずなのだ。

(うーん……私、何か怒られるようなことしたかなあ)

考えてみるけれどやっぱり何も浮かばず、結局春香は考えることをやめにした。
暇潰しにうーんっと思い切り身体を伸ばしたときだった。

「やあ天海君、待たせてしまったね」
「あ、社長!ほんとですよ……って」

やっと来たと思った高木のほうを向いた春香はびくっと固まってしまった。
頭から足の先までびしょ濡れになり、青白い肌をして長い真っ黒な髪をした女の子が、長い前髪の間からじっと
春香を見ていたから。
ひっ、と思わず声に出さなかっただけマシだろう。

「あ、あの、社長?」
「紹介するよ、天海君。この子は今日からうちのアイドル候補生となる久遠朱里君だ」

久遠、朱里。
春香はじっと、彼女の瞳を見詰め返した。

(この子が今日から新しい仲間――)

「そして、君には久遠君のプロデューサーになってもらうよ」

そして、私がプロデューサー――私が?)

「えええええええええええええええええっ!?」


◆始めに
※アイドルマスターの二次創作
※オリジナルキャラクターを主軸に、765プロ所属アイドル全員を出す予定です
※設定等が無茶苦茶ですが目を瞑っていただきたい
※百合要素あり
※書き溜め無しのために、亀更新になることは間違いなし
それでも良いという方は、どうぞいつになるかわからない最後までお付き合い下さい!
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:05.72 ID:A9RjOWcxo
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:05:29.13 ID:9l741hD4o
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2 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 20:59:16.72 ID:+FFU1Ui+0
〜第一章〜

ちょ、ちょちょちょちょっと待ってくださいよ社長っ!
そんな言葉も届かず、今春香と新しいアイドル候補生だけがだだっ広い会議室に押し込まれていた。外に出ようにも高木が外から鍵をかけてしまったのか、ドアが開かない。
どうやら春香がプロデューサーをすると承諾するまで出してくれるつもりはないらしかった。

(うぅ……どうすればいいの〜?)

確かにアイドルからプロデューサーに転向した律子の姿も見ているものの、自分がプロデューサーになるなんて考えたことがなかった。第一春香はまだ現役アイドルなのだ。セルフプロデュースをしているものの、人のプロデュースまでうまく出来るとは思わない。

高木は「これは天海君のためにもなることだよ」と言っていたが、本当にそうなのかと疑いたくなる。特にあの社長の言うことだもん……と春香は頬を膨らましつつ後ろに立ったままでいるアイドル候補生のほうに振り向いた。

春香「あ、あの〜」

朱里「……」

とりあえず、何か話さなきゃ。
何か言葉を搾り出そうとしたとき、春香ははっと気が付いた。朱里というらしいその少女は、ずぶ濡れのままだ。
3 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 21:05:03.98 ID:+FFU1Ui+0
春香「ね、ねえ朱里、ちゃん!」

朱里「……」

春香「そ、そのままじゃ風邪引いちゃう!ちょっと待って」

何も言わずに春香を見るだけの朱里に返事も聞かずに、春香はドアの前から離れて会議室の奥にある収納スペースの扉を開けた。
前ここに高木がへそくりを、小鳥が何かよくわからない本を隠しているのを見たことがある。あと、タオルとか救急道具とかもここに入ってたはずだ。

春香「えーっと……」

がさごそ、がさごそ。
奥のほうをかき回していると、ようやくタオルを見つけて取り出した。
そのタオルは誰のかわからないイニシャルが入っていたけど、まあ気にしないでおこう。
4 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 21:10:10.82 ID:+FFU1Ui+0
春香「はい、これで拭いて」

朱里「……」

春香「朱里ちゃん?」

朱里「……」

タオルを手渡しても、朱里は何も言わずに相変わらず春香をじっと長い前髪の隙間から見ているだけだった。ただわずかに、タオルを持つ手の力が強くなっただけで。

春香「……朱里ちゃん?」

やっぱり、何も言ってくれない。
春香は迷ったものの、痺れをきらして朱里の手に持たせたタオルを取ると、朱里の頭にばさっとかけてごしごしと拭き始める。

春香「アイドルは身体が大切なんだから!」

朱里「……」

春香「風邪、引いちゃ、だめだよ!」
5 :sage :2011/08/13(土) 22:15:36.12 ID:gwzkaKfAO
期待
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/08/13(土) 22:16:15.29 ID:gwzkaKfAO
ミスった
7 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:21:40.86 ID:+FFU1Ui+0
朱里の頭、そして顔、首、胸、と拭いていき、とりあえず雨粒が滴り落ちなくなるくらいには乾いてくれた。けど服は濡れたままだし、このままでは本当に風邪を引いてしまう。

春香「どうしよう、替えの服はさすがにここにはないよね……」

便利な収納スペースがあるものの、さっきざっと見た限り高木や小鳥のガラクタばかりが詰まっているようだった。というか、どうして事務所にあるのか謎なものばかり。

春香「あー、もう社長ったら何考えてるんですかー!」

バンバンッ、バンバンッ
扉を叩いても返事はない。このままじゃアイドルが風邪引いちゃうんですよー!でもだめ。
一体どうしろというのか。

春香「しゃちょーっ!」

朱里「……別に」

春香「へ?」

不意に、誰かの声が聞こえ春香は振り向いた。
初めて聞く朱里の声は、暗く沈んでいたものの、一度聞いただけではっとするくらい綺麗な声。
その声で、朱里は言った。

朱里「……別にうち、アイドルなんてできひんし」
8 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:26:55.86 ID:+FFU1Ui+0
春香「えっと、朱里ちゃん……?」

朱里「もううちはアイドルなんてせーへんって言うたのに」

春香「ちょ、ちょっと」

元気はないのに、やけにはっきりとした物言い。
おまけに聞きなれない方言だ。
ライブで何度か訪れたことのある関西で、何度か聞いたことのある言葉遣い。

朱里「もう大阪帰るって言うてんのに、なんで社長さんはうちをここに連れてきたんよ!」

バンバンッ、バンバンッ
今まで動きもしなかった朱里は、突然春香を押し退けるようにドアの前に立つとそう言った。あまり大きな声でもないのに、かすれてしまっている。大きい声を出すのが苦手なのかもしれない、と春香はぼーっとそれを見ながら思った。
9 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:32:56.98 ID:+FFU1Ui+0
朱里「帰る!うち、帰るって言ったら帰るんやっ!」

バンバン、何度も力いっぱいドアを叩いたままでいる朱里に、ようやく春香ははっとして朱里の背後に立って朱里を押さえつけた。
うおっふぉん、うおっふぉんとドアを挟んで遠くのほうで高木のわざとらしい咳払いが聞こえた。

(社長、最初からこんな子だとわかってたんじゃ――)

どうやら面倒ごとを押し付けられたらしい。
春香はそう思いながら、なんとか朱里をドアから引き離した。あまりの力にせっかく新しくなったドアが凹んでしまってはたまらない。
10 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:37:34.72 ID:+FFU1Ui+0
朱里「離しーやっ」

暴れる朱里をなんとかして落ち着かせようと、春香はぐっと腕に力を込める。
端から見れば背後から抱き締めているようにも見えるだろうけどこの際そんなこと考えていられない。朱里の濡れた服のせいで春香の身体まで湿ってくる。

朱里「は、離して……っ」

さすがの朱里でも、この状態じゃ強いことは言えないらしい。
暴れる力も次第に弱くなってくる。

朱里「春香さ、ん……」

ほっとした。
ようやくおさまってくれたらしい。大人しそうな見た目からは想像もしなかった力だったが、朱里自身も慣れない事だったのか大きく息を切らせている。
11 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:47:32.03 ID:+FFU1Ui+0
春香は腕をほどくと朱里の肩を持ちくるりと自分の方に向かせた。
朱里の長い前髪をそっと指で払う。現れた朱里の顔は、アイドルらしく端正な顔立ちをしていた。表情はなんとも言いがたい恐ろしい形相だったけど。千早やあずさタイプの美人が律子の怒ったときの表情と似た形相をしている、といった感じかもしれない。

それでも春香は、安心させるように朱里に微笑んだ。
「私の名前、社長も言ってなかったのに知っててくれたんだね」
朱里の視線が泳ぐ。

春香「今もう帰るって言ってたけど、アイドルが嫌いなわけじゃ、ないんだよね?だって私の名前、ちゃんと知っててくれたんだもん」

朱里「……」

春香「どこでうちの社長と出会ったのかわからないけど、とりあえずどうして大阪に帰りたいのか、どうしてさっきアイドルできないなんて言ったのか、教えてくれないかな?」

朱里の言い方だと、朱里はアイドル候補生らしいがまったくの新人ではないのだろう。
大阪に帰るということは、何年かここでアイドルとしてやっていたはずなのだから。
12 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:48:01.03 ID:+FFU1Ui+0
春香は腕をほどくと朱里の肩を持ちくるりと自分の方に向かせた。
朱里の長い前髪をそっと指で払う。現れた朱里の顔は、アイドルらしく端正な顔立ちをしていた。表情はなんとも言いがたい恐ろしい形相だったけど。千早やあずさタイプの美人が律子の怒ったときの表情と似た形相をしている、といった感じかもしれない。

それでも春香は、安心させるように朱里に微笑んだ。
「私の名前、社長も言ってなかったのに知っててくれたんだね」
朱里の視線が泳ぐ。

春香「今もう帰るって言ってたけど、アイドルが嫌いなわけじゃ、ないんだよね?だって私の名前、ちゃんと知っててくれたんだもん」

朱里「……」

春香「どこでうちの社長と出会ったのかわからないけど、とりあえずどうして大阪に帰りたいのか、どうしてさっきアイドルできないなんて言ったのか、教えてくれないかな?」

朱里の言い方だと、朱里はアイドル候補生らしいがまったくの新人ではないのだろう。
大阪に帰るということは、何年かここでアイドルとしてやっていたはずなのだから。
13 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:48:58.54 ID:+FFU1Ui+0
>>12連投すいません
14 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 22:54:29.92 ID:+FFU1Ui+0
朱里「……」

黙り込む朱里。
その代わりに、またドアの向こうでうおっふぉんという咳払いが聞こえた。

春香「あ、社長!」

高木「それについてはこちらから説明しよう、天海君。久遠君は461プロでアイドル候補生としてやっていたのだよ」

春香「461プロ?」

聞いたことがある。
確か、最近突然表に出てきた事務所だ。あまり大きな事務所ではないが、かなりの大物新人アイドルを多く抱えていると聞いたことがある。(どれも最近竜宮小町をプロデュースし始めピリピリしている律子の話だが)

高木「古い友人がやっているものでね、うちのアイドルを一人引き取ってくれないかと言う話で」

春香「それが朱里ちゃんなんですね?」

アイドルを引き取ってくれなんて話、今まで聞いたことがない。
どういうことなのだろう。
15 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 23:02:37.28 ID:+FFU1Ui+0
朱里「うちがまったく役立たずで無能やからやろ……」

春香「朱里ちゃん……」

ぼそりとした朱里の声。
けれど小さかったのか、ドアの向こうの高木には聞こえなかったらしい。高木は構わず話を続けた。

高木「461プロは最近かなりのアイドルを抱えているようで、そう何人もアイドルを所属させていられないらしい。そこで切り捨てられたのが彼女だということだよ」

春香「き、切り捨てられたって……!」

高木「でも、完璧に捨てられたわけではないだろう。こうして765プロが引き取ったんだから」

朱里「だからそんなんよけいなお世話や――!」

朱里がまた爆発しそうになった。
しかしそんな朱里の声を遮るようにして、高木が言った。

高木「どうして久遠君を引き取ったかわかるかね、天海君」
16 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 23:08:21.67 ID:+FFU1Ui+0
461プロは最初から何もないアイドルをとるわけがない。
少なからず、何か才能や伸びる可能性があるのなら――

高木「天海君なら彼女に対して、何か感じるものがあるはずなのだが」

春香「感じる、もの……」

言われて、あぁ、と思った。
声だ。
朱里の声は、最初思ったとおりに綺麗で、声量はないかも知れないが歌に関してはレッスンを重ねれば必ずぐんっと伸びるに違いない。

高木「うちは現在、プロデューサーが足りない状況だ。けれど、もう多くのアイドルはプロデューサーなしでもやっていける。君もその一人だね。そこで、歌を売りにしている君に彼女のプロデュースを頼みたいんだよ。もちろん、君自身の力を伸ばすためにも」

春香「でも歌なら……」

高木「如月君が承諾するとは思うかね」

うっ、と春香はしぶしぶ開きかけた口を閉じた。
千早がプロデューサーを承諾するなんて、地球がひっくり返ってもありえないだろう。
17 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 23:13:31.54 ID:+FFU1Ui+0
春香はそっと朱里の表情を窺った。
せっかく払った前髪も、いつのまにかまた前方におりてきて表情を隠してしまっている。
それでもドアのほうをギリリと睨む鋭い瞳ははっきり見えた。

春香「……」

高木「天海君」

なんだかやっぱり面倒ごとを押し付けられたような気もするけれど。
「朱里ちゃん」
春香は高木に返事をせず、朱里の名前を呼んだ。びくりと朱里の身体が震えた。

春香「朱里ちゃんは、アイドルが好きなんだよね?」

朱里「……」

否定も肯定もしない。
けれど、その目が揺らいだのを春香は見逃さなかった。
帰りたいと言っているわりには、まだ諦めがついていないのかも知れない。
春香はさらに尋ねた。

春香「歌うこと、好き?」
18 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 23:18:08.47 ID:+FFU1Ui+0
やっぱり朱里は何も言わなかった。
それでもその手にぐっと力を込めて、春香をじっと見詰めた。ただひたむきな視線だった。

(参ったなあ……)

そうは思いながらも、その視線を受けた春香の心はもうすっかり決まってしまっていた。
プロデュースするなら一人でも二人でも大して違わない。もう一人は自分とは違う他人になるけど。

春香「何も言わないってことは肯定ってことにしちゃうよ?」

そう言って笑うと、春香は朱里の手を握った。
「ってことで、これからよろしくね、朱里ちゃん!」

新米プロデューサー、天海春香の誕生。
19 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/13(土) 23:19:44.55 ID:+FFU1Ui+0
本日の投下はこれにて終了です
このようにゆっくりぐだぐだですが、見てくださる方がいたら嬉しいです
(ちなみに461プロは“しろい”プロです)

それではまた
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/08/13(土) 23:55:44.23 ID:wKQ41b3AO
春香さんは扱いやすいな〜

期待してるよ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/08/14(日) 00:32:07.35 ID:j9gulF4AO
22 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/14(日) 10:18:22.65 ID:Hi21HyoB0
◆―――――

高木「うおっふぉん。と、いうわけで」

朱里の身体が前面に押し出される。
事務所にいた全員が、「おぉっ」と声を上げた。

高木「本日から新しい仲間の、久遠朱里君だ。天海君プロデュースのもとだが、皆も何かあったら手伝ってあげてくれたまえ」

「はーい」

翌日の765プロ。
昨日とは打って変わり、空は晴れ渡っていた。高木が出て行くと、事務所の応接室いっぱいに集まったアイドルたちがわっと朱里(と春香)に詰め寄った。

真「ねえ君、ボク、菊地真って言うんだけど、朱里って呼んでいい?」

亜美「あ、ずるーい!亜美は双海亜美だよ!」

真美「真美は双海真美!よろしくね、あかりん!」

響「自分は我那覇響だぞ!沖縄出身なんだ!で、こいつはハム蔵で――」

やよい「私は高槻やよいですっ、お家は貧乏なんですけど……」

春香「あーもうっ、うるさーい!」
23 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/14(日) 10:29:00.00 ID:Hi21HyoB0
皆興奮しているのか、わあわあと朱里に話しかけている。
聖徳太子でもないのに何を言っているかわからないし、何より朱里は怯えたように突っ立っている。

春香「みんな興奮しすぎだよー!」

真「あ、そうだね……ごめん」

亜美「でも、はるるんがあかりんのプロデューサーなんでしょ?」

真美「気になるに決まってるじゃーん」

春香「うっ、どういう意味!?」

あわあわとしていると、さっきとは正反対の冷静な声が聞こえた。
伊織が「もう」と腕を組みながらやよいを朱里の傍から離すと、言った。

伊織「でもあんた、本当に大丈夫なわけ?」

雪歩「春香ちゃん、前に結構セルフプロデュースは大変だって言ってたよね。それなのに他の子もプロデュースするなんて」

便乗するように雪歩も心配そうな声でそう言う。
近くで見ていただけの貴音も同じようにして春香を見ていた。
24 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/14(日) 10:38:51.60 ID:Hi21HyoB0
春香「それは……わかんないけど」

伊織「そんなこと言ってたら律子に怒られるんじゃないの?」

春香「うぅっ」

(勢いに任せて引き受けるって言っちゃったんだもん!)

雪歩「伊織ちゃん……」

伊織「でも、まあ春香がやるって言ったんならやんなきゃいけないんだし。この子も怯えてるし?」

朱里「……」

伊織「無理に引き受けるもんじゃないわよ、プロデューサー業なんて」

春香「伊織……」

伊織「ほら、行くわよやよい。次のレッスン」

やよい「え、伊織ちゃん〜?」

雪歩「あわわ」

真「なんだよ伊織のやつ……あんな言い方しなくてもいいのに」

真美「はるるんも気にすることないって!」

春香「……う、うん」

貴音「でも、確かに伊織の言うことも一理あります、春香」

響「貴音」

貴音「引き受けてしまったのはもう仕方の無いこと。これからのあなたの行動が、久遠朱里のアイドルとしての人生そのものに繋がっていくことを忘れてはなりません」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/14(日) 11:12:24.53 ID:MWfi64uDO
期待
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/08/14(日) 13:08:01.98 ID:uY3VTHjAO
わくてか
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/19(金) 00:22:52.14 ID:vkc2mvzAO
待ってる
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/08/28(日) 23:59:31.94 ID:9DbhdhLAO
>>1はまだか、まだなのか!?
29 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 15:45:52.37 ID:AxKDdrX30
真ちゃんお誕生日おめでとう!
ということで遅くなりました、
待ってる方がいらっしゃったならすいません。続けます
30 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 15:50:16.01 ID:AxKDdrX30
窘めるような響の声を無視して、貴音がそう言い放った。
その言葉は春香の胸にぐさりと突き刺さる。

春香「貴音さん……」

貴音「久遠朱里、そして春香。あなた方が共によい道に進めるよう祈っております」

「もちろん、そのために私たちも出来ることはお手伝いいたします」
そう付け足して、貴音はさっと身を翻した。
慌てて響も後を追う。

響「じゃあな春香、みんな!自分たち今からレッスンだし……貴音の言い方きついけど気にしないでやってほしいぞ!」

ばたばたばたと足音が遠ざかっていく。
春香はほうと溜息を吐いた。
31 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 15:55:04.91 ID:AxKDdrX30
雪歩「春香ちゃん……」

真「春香、ボクたちも貴音の言う通り手伝うからさ」

亜美「んっふっふー、そうだよはるるん!」

真美「真美たち、765プロみーんなで手伝っちゃうんだから!」

春香「みんな……」

じわっと春香の瞳に涙が浮かぶ。
その隣で、朱里はやはりただ、突っ立っているだけだった。

春香「あ、朱里ちゃ……」

朱里「……」

フォローの仕方がわからない。
慌てる春香を他所に、雪歩がすっと前へ出た。

春香「雪歩?」
32 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 15:57:47.86 ID:AxKDdrX30
雪歩「あ、あのね、朱里ちゃん」

朱里「……!」

雪歩「へっ……?」

真「二人とも吃驚した!?」

亜美「面白い」

真美「ですなあ」

雪歩「も、もう!真ちゃんは黙ってて!」

真「えっ!?は、はい……。ていうかボクだけ?」

春香「真」

真「う、うん」
33 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 16:03:38.67 ID:AxKDdrX30
雪歩「朱里、ちゃん。あのね、私たち、あなたのこと、歓迎してないわけじゃ、ないんです」

朱里「……」

じっと、疑うような視線が雪歩に向けられる。
それを真直ぐに受け止める雪歩を見て、春香は雪歩も自分が知らない間に成長したんだなと、そんなことを考えた。それは真も同じらしく、そんな雪歩をきらきらとした目で見ていた。

ばしっ

真「い、いったいなあっ!何するんだよ春香!」

春香「あ、ごめーんつい」

雪歩「真ちゃんうるさい!」

真「は、はいっ」

雪歩「皆こんなふうだし、伊織ちゃんや四条さんだってあなたのことを嫌いだとか、そんなふうには思ってないです、絶対に」

朱里「……でも」

雪歩「伊織ちゃんも四条さんも優しいから、ていうか四条さんはそれはもう優しくて綺麗でかっこよくって……!」

朱里「……!?」

亜美「ゆきぴょん話ずれてるよ」
34 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 16:11:37.72 ID:AxKDdrX30
雪歩「ひいっ、私ったらまた!穴掘って埋ってますぅ!」

春香「ちょ、ちょっと雪歩ー!?」

真っ赤な顔をしてスコップを取り出した雪歩。
けれど、それを持ったまま雪歩は最後の言葉を言い切った。

雪歩「みんな優しいから、だから久遠さんのことを心配してるってことなんです……」

朱里「心配、なんて……そんなん」

雪歩「もし……」

真「もし心配されたくないなら、頑張って頑張って、トップアイドル目指せばいいんじゃないかな?春香プロデューサーと一緒にさ。もちろん、ボクたちとも一緒にね!」

雪歩「真ちゃん、私の台詞とらないでー!」

真「わあ、ご、ごめん、雪歩!ごめんってばあー!」

朱里「トップ、アイドル……?」

僅かに、朱里の瞳の色が変わった気がした。
春香はそっと、朱里の肩に手を置いた。以前の春香のプロデューサーが、春香に頑張れと言ってくれるとき必ずそうしてくれたように。

(みんな、みんなもいてくれる……。だから私、ううん、私たちきっと、大丈夫、だよね?)

春香「そうだよ、朱里ちゃん。トップアイドル、一緒に目指そう」

朱里「……」

春香「私たち二人で、頑張ってみよう」
35 : ◆1jqaeM3vSE [saga]:2011/08/29(月) 16:12:41.24 ID:AxKDdrX30
短いながら時間のため本日はここまでです
また来れる日に
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/10(土) 16:59:38.69 ID:NHs8+aOAO
待ってる
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/16(日) 16:35:31.36 ID:U7JRFv55o
待ってた
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