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女「神なんているわけない」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/18(木) 13:49:03.13 ID:OLBNKVDqo
・初SS
・俺の妄想ワールド
・文章力かなり低い
・シリアス多め
・エロ?ねぇよんなもん
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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]: ID:???
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=^・ω・^= ぬこ神社 Part125《ぬこみくじ・猫育成ゲーム》 @ 2024/03/29(金) 17:12:24.43 ID:jZB3xFnv0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711699942/
VIPでTW ★5 @ 2024/03/29(金) 09:54:48.69 ID:aP+hFwQR0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711673687/
小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/
満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/
旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/
にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/
にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/18(木) 13:51:11.26 ID:OLBNKVDqo
ビョオォォオゥ・・・
男「はぁ…なんて吹雪だ…」
男「しかももうすっかり夜だ…」
男「しかしこれ程の視界の悪さなら奴等も追っては来ないだろう」
男「いくら逃げ易いからと言って吹雪の中こんな森奥まで来てしまったのはあまり良い選択とは言えないが…」
男「うぅ寒い…もう体力が…」
男「ん?明かりが…見えるぞ…」
男「幻覚か何かじゃないよな。…まぁ、行ってみないことには…」ザッザッザ
男「小屋か。明かりが点いているってことは中に誰かいるよな」
男「ちょっと窓を覗い…って、結露してて見えないな」
男「ってことは中は暖かいとみた。体力がもう限界だし中に入らない他ない。中に奴等が居たとしても…」
男「念のため銃を構えながら入るか」スチャッ
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2011/08/18(木) 13:52:36.60 ID:OLBNKVDqo
ガチャッ…ギィィ…
男(暖かいな、暖炉があるのか。それとあの子は…?)
女「……あ…あぁ、お、おまえは……」ガクガクブルブル
男「?」
女「お前等は…私の…かぞくをぉ…家族を…!」スチャ…
男(ヤバイわこれ、何か向こうも拳銃持ってるし凄い形相だし)
女「私の…家族を…」
男「お、おいまずは落ち着いてほs」
女「返せぇええぇえええ‼‼」
ガチャッバタン‼
バンッバンッ…
男「…撃たれ…てない撃たれてない。ドアを直前に閉めておかなければ即死だった…」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:54:40.97 ID:OLBNKVDqo
女「あれ…もう、弾が…」カチッカチッ
シーン…
男「…弾切れか?」
ガチャッ…ギィィ…
女「ハッ…」
…バタン
男(まずは落ち着かせないと…)
男「いいか、俺は君には一切何もしない。神に誓って」
女「神なんているわけない」
男「ははっ、俺だってそう思うよ。俺は君に絶対に何もしないってことだよ」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:56:10.87 ID:OLBNKVDqo
女「だ、だったら外に出てってよ」
男「いや、そこをなんとk」
女「出てけッ‼」
男「…取り敢えず、俺のこの銃は外に捨てておくよ」ガチャッ…ポイッ…バタンッ
女「…」
男「頼む、少しの間でいい。ここで休ませてくれ!この通り!」(土下座)
女「……本当に…何もしない?」
男「ああ、本当だ!信じてほしい」
女「……B国の兵士は気に入らない事があるとすぐに銃を向けてくる…そして、私みたいなのを見ると襲ってくる…」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:57:26.04 ID:OLBNKVDqo
女「あなたはB国の兵士なのに、私を襲おうとしないの?殺そうとしないの?」
男「ははっ、何言ってんだ。襲う理由が無い。そして俺は脱走兵だ。そもそももうB国の兵士なんかじゃない」
女「えっ」
男「自分の国のやり方、いや、軍のやり方に嫌気が差してね」
男「君も知っての通り、奴等はここC国の罪無き人々に対して虐殺・暴行・強姦を度々起こしている」
女「…私の家族だって…」
男「…そうか…それは済まなかった…」
女「…あなたに謝って貰っても仕方がないよ…」
男「それはそうだけど謝らずにはいられないんだ」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:58:35.94 ID:OLBNKVDqo
男「現に俺は脱走する前まで幾度となく罪の無い人達が暴行・虐殺を受けているのを見てきた」
男「だけど、いつも見てるだけしかできなかった…」
女「そこで止めようとしたらあなたも殺されちゃうからでしょ?」
男「ああ、B国の場合、懲罰部隊送りになることもある」
女「ちょ、ちょうばちぶたい?」
男「懲罰部隊。あまり知らない方がいいかもしれない」
男「…それより少しだけ横にならせてくれないかな?」
女「…」
男「お願いだ」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 13:59:32.61 ID:OLBNKVDqo
女「…ぅん、少しの間だけ…」
男「ありがとう」
男(…少しは信頼してもらえただろうか…)
男(しかし大きめの箱が沢山置いてあるな)
男(…なんだか横になった途端、瞼が重く……)
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:02:00.45 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~
小屋のすぐ外
※1「おい、こんな所に小屋があるぞ!」
※2「見りゃわかる、今日はここで吹雪が止むまで捜索中断だな」
小屋の中
女「……ねぇ、ねぇ、起きてってば」
男「……うう、ん?いつの間にに寝てたんだ俺」
女「そんなことより誰かが来たみたいなの…!微かに声が聞こえる」
男「なんだと、こんな森奥に人が来るって事は…」
男「…俺を捜しに来た奴等である可能性が高い。だとしたらこんな夜遅くまでご苦労なこった」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:03:15.45 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~
小屋のすぐ外
※1「おい、こんな所に小屋があるぞ!」
※2「見りゃわかる、今日はここで吹雪が止むまで捜索中断だな」
小屋の中
女「……ねぇ、ねぇ、起きてってば」
男「……うう、ん?いつの間にに寝てたんだ俺」
女「そんなことより誰かが来たみたいなの…!微かに声が聞こえる」
男「なんだと、こんな森奥に人が来るって事は…」
男「…俺を捜しに来た奴等である可能性が高い。だとしたらこんな夜遅くまでご苦労なこった」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:03:50.18 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~
小屋のすぐ外
※1「おい、こんな所に小屋があるぞ!」
※2「見りゃわかる、今日はここで吹雪が止むまで捜索中断だな」
小屋の中
女「……ねぇ、ねぇ、起きてってば」
男「……うう、ん?いつの間にに寝てたんだ俺」
女「そんなことより誰かが来たみたいなの…!微かに声が聞こえる」
男「なんだと、こんな森奥に人が来るって事は…」
男「…俺を捜しに来た奴等である可能性が高い。だとしたらこんな夜遅くまでご苦労なこった」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:05:15.50 ID:OLBNKVDqo
ごめんなさいミスりました
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:10:24.69 ID:OLBNKVDqo
ここから続き
女「…ね、ねぇ、大丈夫なの…?」ガクガクブルブル
男(震えてる…余程怖い目にあったのだろう)
男「あ、ああ、だだだ大丈夫だだ、あんししんろ」
女「」ジトー…
男「…」
※1「ん、ドアの前に銃が埋まってやがるぞ」スチャッ
※2「俺達のやつと同じライフル銃だな」
男「(いかん、声が近い、もう少しで入って来る。君はそこの物置だかなんだかに入って隠れていてくれ)」
女「…」(頷く)スタタタッ…キィィッ…パタン
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:12:53.20 ID:OLBNKVDqo
男(俺はこのナイフを持って箱の後ろ側に隠れよう)スタタッ…サッ
※2「中に脱走兵が居るかもしれない。用心して入れ」
※1「了解だ」
ガチャッ…
※1「…誰も居ない」
※2「隠れている者は出て来い!」
シーン…
※1「あの物置の中を調べてみる」
※2「わかった、俺はドア付近で外を見張ってる」
男(チラッ)(やはりB国の兵士か)
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:14:20.10 ID:OLBNKVDqo
男(つかこのままではあの子が危ない!)
男(ここからでは物置付近の奴は少し遠すぎる、ドア付近の奴を人質に…!)ササッ
B兵1(※1)(キィィ…)「!」
女「ぁぁ……」ガクガクブルブル
B兵1「おい、ここに女の子が居たぞ」
女「ひぃ…」
B兵2(※2)「おっ、まじkうぐッ‼」
バシッギュッ‼
男「おい、ここに無能兵士がいたぞ」
B兵1「!」ナンダッテー
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:19:41.99 ID:OLBNKVDqo
男(なんとか人質にできたか)
B兵1「だが残念ながらこちらにも人質がいるんだなこれが」スッ
女「きゃぁ!」
バシッギュッ‼
男「やめろ!こいつの喉を掻っ切ってもいいのか⁉」
B兵1「じゃあこいつの喉を掻っ切ってもいいのか⁉」
女「ぅぅ…」グスンッ
男(あともう少し俺が動くのが早ければ…!くそっ、どうする…⁈)
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:23:54.89 ID:OLBNKVDqo
B兵1「…し、しかし良い身体してんなァ…どれ」スッ…
女「やめて…ッよ!あぁ!」
B兵1「胸はまだこれからってところか…まぁ、見た目も15、6ってところだしな…」
男・B兵2(うらやまけしからん)
男(いやいやそうじゃなくて、何かいい方法を…)
男(…ん、こいつ、腰の辺りに何かかたいものがあるぞ)ゴソゴソッ…カチャリ
男(拳銃じゃないか)
男(向こうはナイフでライフル銃こそあるものの、人質をとりながらだから構えることは出来ない)
男(相手は拳銃も持っていなさそうだ)
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:25:29.20 ID:OLBNKVDqo
B兵1「いつまでこうしているつもりだ」
男(だけど拳銃なら片手だけで扱える。これは少しだけ有利だ)
男(スチャッ!)
B兵1「ハハッ、それでこいつごと俺を撃つってか?」
女「……て……はな…して」グスンッ…
B兵1「ん?」
女「はな…して!離してぇえッ‼」ガサゴソ!
B兵1「お、おい暴れるな!」ヨロッ
男(よし、奴の体制が崩れた今しかない!)カチッ
パアァン‼
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:29:02.56 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小屋の中
B兵2「」
男「……この紐で縛って…」スルスル
男「…これでよし」ギュッ
女「ちゃんと気絶してるの?」
男「銃床で殴ってみたらピクリとも動かなくなったわけだけど…」
女「そいつも死んだ?」
男「真顔で言うななんか恐いから。もう1人は即死だったがこいつは……」
男「脈はあるし、呼吸もしてるから気絶だ気絶」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:31:09.91 ID:OLBNKVDqo
男「はぁ、ついに俺も人殺しか…ってそりゃ軍人だから仕方ないよな…。ここは戦場だし」
女「あなたは…ああっ、えっと、名前は?」
男「男だ」
女「お、男は悪くないよ!少なくも私を守ってくれた」
男「え…?」
女「私、男がいなかったら今頃この2人に酷いことされてた」
女「だから、その…自分が悪い人だなんて思わないで、ね?」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:33:00.05 ID:OLBNKVDqo
男「君、名前は?」
女「女、女だよっ」ニコッ
男「…女…ありがとう…」グスンッ
女「今は泣いてもいいんだよ?」
男「…い、いや、泣いてたまるか、人1人殺したぐらいで」
男(何強がってんだ俺…)
女「へぇ、そこで強がっちゃうんだ?」ニヤニヤ
男「正直泣きたい。でもここで泣くべきではない。涙は人のために流すべきだ(キリッ」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:34:59.37 ID:OLBNKVDqo
女「そうだね、男の言う事が最もかもね…」
男(急に暗くなったな……)
男(もしかすると、女の方がこの事についてはよくわかっているのかもしれない…)
男「あー…取り敢えず、向こうの死体は外に埋めておくかな」
男「ここに置いておくのもなんだし…」
女「あ、シャベルならここに…」スタタッ…ガタッ…スタタッ
女「…はいどうぞ」サッ
男「どうも…だけどまずはこの死体を外に運び出さないといけないな」メンドクサイ…
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:41:43.50 ID:OLBNKVDqo
男(しかし…この兵士にもおそらく家族というものがあるというのに…)
男(いかんいかん、これはやむをえない事なんだ)
女「じゃあ私も手伝うね」スタタッ
女「私はこっち側持つから」
男「さんきゅ、じゃあ俺はこっち側をっと…」
男「よし、準備は出来た。せーので持ち上げるぞ」
女「うん」
男「せーの、」ヨイショ
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:43:47.95 ID:OLBNKVDqo
女「…」
女(重い…)
男「よし、このまま外まで運んで行くぞ…」
女「…ぅん」
ガチャッ…ギィィ…
男「お、雪は降っているが、風は大分弱くなったな」
女「この明るさはもうすぐ夜明けかな…」
男「えっと、一旦置こうか…」
男(女キツそうだし)
女「ぅん…」ドサッ
女「…重かった」ハァハァ
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:46:07.63 ID:OLBNKVDqo
男「男1人の身体だ、無理もない」フゥ…
男「…で、何処に埋めるかだけど…」
男「お、あそこなんてどうだ?」(指差す)
女「あそこはだめ、その…えっと、苗木があるから!」アタフタ
男「?」
男(雪が積もっているから見えないな)
男「そうか、なら仕方が無いな。やっぱりここ周辺の土地って女のものなのか?」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:51:12.27 ID:OLBNKVDqo
女「うん、正しくは私のお父さんのなんだけどね。」
女「食糧とか普段使わないものは全部ここの小屋にあるの」
男「そうだったのか…こんな所まで厄介事を持ち込んじゃって悪いな…」
女「ははっ、さっきも言ったけど男が悪いわけじゃないんだからいいんだよ」ニコッ
男「…あぁ」
女「ほらっ、早く運ぼ?えっと、向こう側なら大丈夫だから」(指差す)
男「よし、じゃあ持つぞ。いっせーの…」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:55:43.42 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
女「…や、やっと終わったね」ハァハァ
男「ああ、雪がある分穴掘りが相当キツかったな…」ハァハァ
女「すっかり夜が明けちゃったけど、追手は来ないの?」
男「いずれにしてもここに居れば来ることは間違いない…」
男「早い内に行かないとな」
女「行くって…何処へ?」
男「A国側に亡命しようと思う」
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 14:58:41.07 ID:OLBNKVDqo
女「A国って…B国からこのC国を解放すると言っておきながら攻め入ってきて、」
女「実際はB国としてる事は変わらないって噂を聞くんだけど…」
男「だが今更後戻りは出来ない。C国に留まっていてもどちらかに捕まるのは目に見えている」
女「…そうだね」
女「この国がA国とB国に全域支配されるのも時間の問題だしね…」
男「噂だってB国の兵士が脅しに流しただけかもしれない」
女「…なるほど」ウンウン
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 15:01:07.84 ID:OLBNKVDqo
男「という事で」
女「ということで?」
男「その…だな…」
女「そのだな?」
男「…一緒に…行かないか?」
女「…」
男「他に行く宛が無ければだけど…」
女「…」
女「…ぅん…行きたい。私、もう誰も頼る人がいなくて…」
男「そうか…」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 15:05:05.44 ID:OLBNKVDqo
女「お父さんはこの国を守るために兵隊になって何処かへ…」
女「兄さんはレジスタンスになるとか言って何処かへ…」
女「お母さんは……家にいたとき……B国の…」
男「もうそれ以上はいい」
女「姉さんは…」
男「もういい、何も言わないでいい、小屋に戻って休め」
女「やだ…男の近くにいる」ぎゅっ(必殺袖掴み)
男「な⁉……わ、わかった」テレッ
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 15:07:17.67 ID:OLBNKVDqo
男(これは…守ってあげたくなるな)
男(…女…相当辛い目にあってたんだな…)
男(一晩でここまで仲良くなってくれたのも、家族を失った寂しさからだろうか)
男(きっと拠り所を求めていたんだろう…)
女「グスンッ」
男「泣いてもいいんだぞ?」
女「また泣いたりなんか……泣いたり…なんか……」グスッ
男「その涙は人のための涙だ。泣いていい」
女「…う…ぅぅ…」グスンッ
女「うわあぁぁああん…」ボロボロポタポタ
第一部 完
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 15:14:01.20 ID:OLBNKVDqo
うわぁ…一気に投下し過ぎた
ともかく、第一部はこれで終わりです
台詞回しが臭かったりうざかったりすると思いますが、反応があればまたいつか投下します
↓一応、設定みたいなもの
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 15:22:36.47 ID:OLBNKVDqo
ー世界観ー
架空の国 A国、B国、C国が舞台(このSSではほぼC国が舞台)
国の位置は西からB、C、Aの順
ー状況ー
B国がC国に民族差別&侵略。そこで元々B国と仲の悪かったA国がC国をB国から解放するためにと言ってC国に軍事介入
ー時代風景ー
第二次世界大戦みたいな
ーその他ー
男(19) B国出身で元B国兵士
女(15)C国出身で小さな村の住民
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/18(木) 15:28:48.73 ID:OV7P5VmIo
乙
見てるぞ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/18(木) 15:30:15.39 ID:Ol7drl7Po
乙〜
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 21:45:12.09 ID:OLBNKVDqo
反応ktた
やっぱり誰かが見てると安心しまする
書き溜めした分がまだ少しだけ
あるので、少ししたら投下します
ほぼトークだけなので物語の進展は
あまりありません
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(茨城県)
[sage]:2011/08/18(木) 22:02:29.85 ID:6A65BweOo
見てるよ乙
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:08:28.59 ID:OLBNKVDqo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「そろそろ落ち着いたか?」
女「…うん…ごめん…」ヒック
女「こんなに泣いたの、多分赤ちゃん以来」エヘヘッ
女「…なんかよくわからないけど、安心したら急に涙がでてきちゃった」
女「でもスッキリしたよおかげで」ニコッ
男「ははっ、そっかそっかそれはよかった」ニコ
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:10:58.52 ID:OLBNKVDqo
男(…女がこの先、生きていくには少なくとも心の拠り所が必要だ)
男(今は俺がいて大丈夫そうだからいいが…)
女「…ねぇ、男…」
男「なんだ」
女「その…付いて行ってもいいんだよね?」
男「もちろん、っていうか無理矢理にでも連れて行くさ」
女「む、無理矢理って、ちょっと強引過ぎる気が…」
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:16:10.06 ID:OLBNKVDqo
男(…女がこの先、生きていくには少なくとも心の拠り所が必要だ)
男(今は俺がいて大丈夫そうだからいいが…)
女「…ねぇ、男…」
男「なんだ」
女「その…付いて行ってもいいんだよね?」
男「もちろん、っていうか無理矢理にでも連れて行くさ」
女「む、無理矢理って、ちょっと強引過ぎる気が…」
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:17:46.83 ID:OLBNKVDqo
ま、またミスorz サーセン
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:19:15.25 ID:OLBNKVDqo
ここから続き
男「はいはい、お持ち帰り決定」
女「お、お持ち帰りって……」
女「…やっぱりお前は…B国の兵士の1人にすぎん…」ジロッ
男「いやいやいや!冗談だからやめてください動物が野性に目覚めたような顔をするのは!」
女「…ならやらしい事は言わないでよもう」プンプン
女「まだ会って間も無いんだから…」
男「以後気を付けます」
男(冗談の通じん奴だ…)
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:21:01.64 ID:OLBNKVDqo
女「それはそうと、付いて行く事は決定したんだし、早目にここから出て行った方が…」
男「ああ、そうだった、だけどこのB国の兵士の格好のままじゃあな…」
女「あ、それなら小屋の中に良いのがあるからちょっと付いて来て」ザッザッザッ
男「なんと」ザッザッザッ
ガチャッ…ギィィ…
女「…あれ?」
男「どうした?」チラッ
女「兵士が…」オロオロ
男「居ない…だと…?」
男「いつの間に逃げたんだあいつ?」スタッスタッ
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:22:20.41 ID:OLBNKVDqo
男「…ん?これは…!」
女「何?どしたの?」スタタタッ
男(地下への入り口があったのか…)
男「女、この小屋、地下があるって知ってたか?」
女「あ、こんな隅っこにあったんだ。地下道」ダイハッケン!
男「地下道⁉って事はあいつここから…。」
男「地下道の存在は知っていたのか?」
女「うん、お父さんが自分1人で掘ったって言ってたけど、」
男「すげぇ…」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:24:59.55 ID:OLBNKVDqo
女「お父さん以外の家族全員が危ないからって言ってて」
女「末っ子の私だけ場所教えてもらえなかったんだよね…」
男「お父さん…よく頑張ったよあんた…1人で掘るなんて…」
男「だが、残念ながら敵に利用されてしまっては…」
男「元も子も無いじゃないかああぁぁあ!」ドンッ!(壁叩き)
女「男!落ち着いて!」
女「この小屋もお父さんが作ったものだから壁叩きなんてしたら崩れちゃう!」
男「父さん信用無いなおい!」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:27:03.60 ID:OLBNKVDqo
男(…ん?でも一つだけ丈夫であるとわかるものがッ!)
男「女、俺はそのお父さんが作ったドアを盾にして生き残ったんだぜ⁉お前の銃撃からなッ!(キリッ」
男(これは紛れもない事実)
女「あ、ドアは外注ね」
男「」
男「」
男「えっと、この地下道はどこに通じてるんだ?」
女「私の住んでいたところ」
男「女が住んでたところって?」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:28:26.24 ID:OLBNKVDqo
女「村Aだよ。もうB国の兵士達に占領されているね…」
男(ってことは……)
男「今にもB国の兵士がここから出て来るぞ!今すぐ閉めよう!」
バタンッ
男「…あれ?これロックはどうすれば…」
女「ロックの機能なんて高性能なもの、お父さんが付け忘れないわけないでしょ」
男「君の父さん信用ないわ」
女「わかればよし♪」ニコッ
男「仕方が無い、そこにある大きな箱を上に…」ヨッコラセ…
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/18(木) 23:35:18.81 ID:OLBNKVDqo
以上で書き溜めした分は終了です
ここまでこんな駄文書いてごめんね
でも終わり方とかは考えてあるので
おそらく意地でも完結させます
初SS投稿なんで、なにか指摘があればお願いします
質問は常時受け付けます
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/19(金) 00:03:06.89 ID:YjLuR3ggo
乙した
完結させてくれればどんなものでも構わないよ
それに今のところ俺は期待してる
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage saga]:2011/08/19(金) 08:48:00.82 ID:SI7VXM8uo
さっさとセックスしろよ
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/19(金) 20:11:20.64 ID:13XFQo+yo
>>49
がんばるお
>>50
落ち着いて
>>1
を読んで頂きたい
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「ふぅ、これでまず下からは開けられないだろ」
女「…これだけ大きくて重いもの乗せればね…」
男「さぁ、休んでいる暇はない。役立ちそうな物は持っていけるだけ袋の中にでも詰めておけ」
女「うん、わかった」ササッ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「…こんなもんかな…。意外と非常用の食料とかがあって助かるな」
男「こっちは準備OKだ。そっちはまだか?」チラッ
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/19(金) 20:13:33.92 ID:13XFQo+yo
女「あ、あとちょっと待ってて」ウ〜ン…
男(何か迷っているようだな…)
女(このぬいぐるみ…夜寝るとき重宝したんだけどなぁ…)
女(…でも今は男がいるし、だいたい私、15にもなってぬいぐるみなんて持って行ったら…)
女「ああ、これは間違いなく馬鹿にされる…!」
男「え、何だって?」
女「何でもないです!」
男「…お、おう。」ナンダ?
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/19(金) 20:15:14.21 ID:13XFQo+yo
男「まぁいいや」
男「なぁ、女、さっき俺の着る物かなんかで良いのがあるとか言ってたよな?」
女「あぁ、ごめんね忘れてたよ」スタタッ
女「確かこの辺に…」ガサゴソ
女「…あった、けど埃っぽい」ケホッ…ケホッ
男「どれ、」タッタッ
女「はい、どうぞ、ポンチョだよ。中は毛皮だから暖かいよ」
男(バサァッ)「おお、モフモフだな…ケホッケホッ…」
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/19(金) 20:17:09.40 ID:13XFQo+yo
男「…一度…ケホッ…外ではたいた方が良さそうだな…」
女「はははっ…」
男「でもこれでこの軍の上着を着ないで済むな」
男「これだけ暖かそうなら内側はシャツとセーターで十分だ」
女「それはよかった」ニコッ
女「…じゃあ、私も準備出来たし、そろそろ出発しよ?」
男「ああ、そうだな」
男「だけどその前に、」ガサガサッ
女「ぅん?」
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/19(金) 20:19:34.71 ID:13XFQo+yo
男「拳銃持ってたよな?ほらっ弾。B国の兵士が持っていた予備の弾倉だ」サッ
女「え、あ、うん、ありがとう」
男「型が同じだから使える」
男「あとちゃんと安全装置は掛かっている?」
女「え、安全装置…?」スチャッ
男「…掛かってないな、ほらっちょっと貸してみ」カチャリ
男「ここをこう………
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/19(金) 20:24:50.50 ID:13XFQo+yo
少しだけ投下しました
話がまるで進まない
次回でやっと小屋を卒業か…
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/20(土) 15:08:17.03 ID:9WNbk5dDo
乙した
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/20(土) 18:40:08.63 ID:0zVxYOmKo
第二部完結まで投下
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森の中
ザッザッザッ…
男(小屋にあった地図を見たところ、この森を抜けたところに別の村があるらしいから、)
男(まずはそこを目指す)
男(運が良ければA国軍がいるかもしれない)
男(ここの地方のB国軍の進行は村Aで補給待ち)
男(先回りなんて事はありえないだろう)
男「…」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/20(土) 18:41:52.17 ID:0zVxYOmKo
男(一般人の振りをしないと駄目だから、武器は隠し持てる物しか持って行けなかったな…)
男(…だからと言って、ライフルを持って行っても下手に怪しまれるだけだからいいか)
男「ちょうど日の出が見えるな」
女「…」
男「このまま東の方向へ向かえばいずれA国の兵士に会えると思うが…」
女「…」
男「…どうした、いきなり無口になって」
女「…え、えっとね、男もやっぱり軍人なんだな〜って思ってたり」
男「ん?ああ、銃の操作の仕方くらい軍人は知ってて当たり前だからね」
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/20(土) 18:43:34.39 ID:0zVxYOmKo
女「うんそうだよね、私、正直、ついさっきまで男が軍人だって事を忘れてたから…」
男「なんで?」
女「だって、他のB国の兵士なんてすぐこっちに銃向けてくるのに」
女「男は私が丸腰になった状態でも銃を向けてくるどころか」
女「『俺は君に何もしねーぜベイビー…』って言ってくるんだもん」
男「そんなの俺じゃない」
男「そんなの俺じゃない」
男「…まぁ、要するに何で俺はB国の兵士なのにこんなにもやさしいのか。という事だな?」
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/20(土) 18:45:34.95 ID:0zVxYOmKo
女「やさしいとか言った記憶ないんだけどね」
男「ぬぅ…」
男「…答えは簡単、俺はもうB国の兵士じゃないからだ」
女「…なんか簡単すぎてよく…」
男「つまりはB国の兵士を辞めた事によってB国の兵士のやるべきことから解放されたんだ」
女「その…兵士のやる事がなんで罪なき人を襲う事なの?」
男「それは…女も知っての通り、B国の兵士はC国の人を差別するように言われているからな…」
男「それがどんどんエスカレートしているんだよ」
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 18:46:55.82 ID:0zVxYOmKo
女「…」
女「……やっぱり私にはよくわからないな。なんでそういう事がするのかなんて」
男「…まぁ、俺もよくわからないんだけどな…」
男「この話はやめにしようか…」
女「うん…」
パキュゥゥン!パシュッ!
女「きゃっ⁉雪が舞い上がって…」
男「攻撃か⁉」
女「えっ!どこから?」キョロキョロ
男「わからん、走れ!」ザッザッザッ
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 18:48:17.32 ID:0zVxYOmKo
女「」ザッザッザッ
男「くそ…雪に足をとられてうまく走れない…」ザッザッザッ
女「男!あの岩の裏に隠れよう!」(指差す)
男「ああ!」ザッザッザッ
女「…あともう少し」ザッザッザッ
男(女の方が雪に慣れているのか走るのが速いな)ザッザッザッ
女「よし着いた…男もはやくッ!」ハァッハァッ…
男「あと数歩…」ザッザッザッ
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 18:50:49.68 ID:0zVxYOmKo
パキュゥゥン!ザシュッ!
男「なっ」ドサッ!
女「男ぉ‼」
女「今引っ張るよ!」ザーッ…
女「…んしょ、男、大丈夫⁉何処か撃たれた⁉」
男「…大丈夫、どこも痛くない…服の何処かをかすったんだ」
男(かすった跡があるはず…)
女「ね、念のためポンチョ脱いで!」
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 18:52:45.68 ID:0zVxYOmKo
男「…いや、大丈夫だ、見つかった。ポンチョのここに穴がある」
女「どれ?」
男「ほら、右端下のところ」
女「…ほんとだ…綺麗に空いてる…」
男「俺達の体に空かなくてよかったよ」フゥ…
女「ほ、ほんとだよ…」ホッ…
男「…さて、ここからどうするかだな…」
女「…確かこのまま真っ直ぐ行けば傾斜があったはず」
男「傾斜…か。…角度は?」
女「結構急で高さもあるけど気を付ければ歩いて行けるくらいだよ」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 18:54:09.98 ID:0zVxYOmKo
男「うーん…」
男「よし、じゃあ今から言う事をしっかり聞いてくれるか」
女「どぞ」
男「おそらく敵はほぼ真後ろだ」
女「うん」
男「撃ってきた弾はたったの2発だから敵は多分1人だ」
女「うん」
男「だから二手に分かれて、所々木に隠れながら傾斜のところまで行くんだ」
男「傾斜の下まで着いたら合流だ」
女「…なにそれこわい」ビクビク
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:08:04.48 ID:0zVxYOmKo
男「大丈夫だ、ギザギザに進めばまず当たらないはずだ」
男「時々フェイントかけたりしてな」
男「それに、この空いた穴の大きさから察するに、木を貫通できる程の弾じゃない」
女「えっと…つまり話をまとめると、」
女「ここから二手に分かれつつ、木に隠れながら進んで傾斜の下で待ち合わせ?」
男「大体そんな感じだが、待ち合わせってちょっと違う気がする…」
男「…まぁいいや、よくわかってるようだし」
女「えっへん」
男「…出て行く合図はそっちに任せる。俺は右側から行くよ」
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:10:05.29 ID:0zVxYOmKo
女「え、私が合図するの?」
男「ああ、女の心の準備ができてからって意味で」
女「……うん、わかった」
女(大丈夫…大丈夫…)
女(男の言う通りにしていれば…)
女「…すぅ……はぁー…」
女「…じゃあ、いちにのさんで行くよ?」
男「おう、いつでもいいぞ!」
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:11:35.27 ID:0zVxYOmKo
女「いち…」
女(大丈夫…)
男「…」ゴクリ…
女「にの…」
女(だって…)
男「…」
女「さんっ!」ザッ
女(私できる子だから!)
男「」ガタッ
男(何でか転ばなきゃいけない気がした)
男「いかん、出遅れた!」
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:13:20.59 ID:0zVxYOmKo
男(って、…俺が右側行くって言ったのにあいつが右側行ってやがる…)
男(あいつダメな子だろ…)ザッ!
男「仕方が無いから俺が左側に!」ザッザッザッ
パキュゥゥン!パシュッ!
男「うおっ!」ヨロッ
女「ちょっと男大丈夫⁉」チラッ
男「大丈夫だ、女は先に行け!立ち止まるな‼」
女「…コクッ」ザッザッザッ
男(敵は俺狙いか)ザッザッザッ
男「くそ…このままじゃ、俺の方がダメな子だろ…」ザッザッザッ
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:14:30.13 ID:0zVxYOmKo
男(あそこの木に隠れよう)ザッザッザッ
男「…」サッ…
男(…女は相変わらず速いな…。追い付けそうにない…)
パキュゥゥン…!ゴシュッ!
男「ひぇえ…木に撃つとか…
・・・
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:16:05.05 ID:0zVxYOmKo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
傾斜の下
男「はぁ…はぁ…」
女「遅い」
男「…ごめん」
女「なかなか来ないから心配したよっ!」
女「待ち合わせに遅れるとか男としてなってない!」
男「仕方ないだろ…敵が俺狙いだったんだから…あ、これ言い訳ね」
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:17:28.68 ID:0zVxYOmKo
女「…本当だったら私が少し遅れて、『ごめん、待った?』って言って…ブツブツ」
男「はいはい、愚痴ってる暇があるならとっとと行くぞ」ぐいっ
女「わわっ!わかったから手は離してっ、転んじゃう!」
男(ぱっ)「じゃ、行くぞ」ザッザッザッ
女「…うん」
女「…」ザッザッザッ
女(…やっぱりそのままがよかったかも…)
男(しかしなんでこの格好で攻撃されたんだ…?)
男(ズボンがそのままだから脱走兵とばれたとか?)
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:19:27.85 ID:0zVxYOmKo
男(いや、だが灰色のズボンだからというだけでばれる筈がない…)
女「どうしたの?今度はそっちが黙っちゃって」
男(やはりアレか、練習標的にされたのかな)
女「ぉ~ぃ」
男(あいつらここの人間の事はなんとも思っちゃいないからな…)
女「おーとーこー」
男(まぁ、全員がそういうわけじゃないんだけど)
女「あれ…ひょっとして…怒ってたり…?」
男「えっ、なんで?」
女「…怒ってないならいい」
男「そうか…」
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:21:43.35 ID:0zVxYOmKo
男「…女、これは言っておくけど、」
女「ぅん?」
男「B国の兵士の皆が皆悪い奴というわけではないんだ」
女「知ってる」
女「男とか」
男「ああそうだ俺とかな」エッヘン
男「…でも俺以外にも本当は沢山いるんだ…」
女「…」
男「B国の…俺の国の兵士はほとんどが洗脳されているんだ…」
女「洗脳…」
男「勿論、正しい考えを持った奴はいる」
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:23:12.00 ID:0zVxYOmKo
男「だけどそういう奴等も軍の上官や憲兵共に脅されて、」
男「仕方なく、残虐なことをしているに過ぎない」
男「そして何時の間にかそれをするのが当たり前と洗脳されていくんだ」
女「…だからと言って」
女「…だからと言ってそんな事をするのは人として許されない」
男「ああ、だから中には反抗する人だっている」
女「…」
男「だけどそういう良い人から早く死んでいくのが今の俺の国の現実なんだよ…」
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 19:26:52.99 ID:0zVxYOmKo
女「…なんでこんな世の中になっちゃったんだろうね…」
男「こんな世の中だからこそ、俺は女を守らないとな」
女「えっ…」
男「それこそ、神に誓って」
女「…」
男「…う゛わあああ!何て臭い台詞なんだ!」ゲシゲシ!
女「…ううん、ありがと…」
第二部 完
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/20(土) 23:48:00.01 ID:0zVxYOmKo
今後の方針についてちょっと書いておきます
エンドまでの大まかな流れは大体決まっているのですが、
何せ無駄な部分が多くなりそうなのでもしかしたら500レスオーバーするかもしれません
出来るだけつまらないギャグ等は省いていこうと思います
ペースについてですが、おそらく9月になると幾分か落ちると思います
つまらないSSですが、ここまで読んで下さった方はもし良ければ今後ともお付き合い下さい
べ、別にレスなんて欲しく(ry
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/08/20(土) 23:53:28.94 ID:+6u+63sro
ここは落ちないし完結させてくれればどんなに長くても構わないです
中には20スレ以上使ってる人も居たりするわけだし
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/20(土) 23:55:38.09 ID:7ZwEBnn1o
もう数日で1スレとか
追いつけない奴もあるし
ここはゆっくりやっていけばいいと思うよ!
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/21(日) 13:38:38.91 ID:tIifTj8DO
ギャグパートを期待してるやつもいるって事を忘れないで欲しい乙
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/21(日) 21:00:24.85 ID:Jkbcdvulo
レスありがとうございます
無理せず自分のペースでやっていきたいと思います
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
正午過ぎ
ザッザッザッ…
男「はぁ…大分歩いて来たな…」
男(回りの木が少なくなってきたな)
男(日当たりが良いのと低地になってきたおかげで雪もさっきよりかは大分少なくなってきた)
女「お腹減った…」
男「小屋から持って来た果物でも食べれば?」
女「うん、そうする…」ガサガサ
男「…」
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/21(日) 21:02:09.78 ID:Jkbcdvulo
男「お?村が見えるぞ」
女「あ、ほんとだ」カプッ
男「多分、地図に載ってた村Bだな」
女「もぐもぐ…」
男「…」ガサガサ…
女「おほこ、どおひはの?」(男、どうしたの?)モグモグ…ゴクン
女「早く行こうよ」カプッモグモグ…
男「ちょっと待っててくれ、この双眼鏡で村の様子を見るから」
男「…雪は殆んど無いし、座ろっか」
女「うん」モグモグ…ゴクン
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/21(日) 21:03:29.41 ID:Jkbcdvulo
男「よいしょ…」サッ
女「んしょ…」サッ
男(さて覗いてみるか)
男「…」ジーッ…
女「…」ササッ…ピタッ
男「何故くっつく」ジーッ…
女「へっ、ははれてほひい?」モグモグ…
男「何言ってるかわからん」ジーッ…
男「リンゴ一個俺にくれ」チラッ
女「いひよ」モグモグ…
男「って顔近い近い!」ドサッ!
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/21(日) 21:05:14.14 ID:Jkbcdvulo
女「…」ガサガサ
男「ったく…引っくり返っちゃったじゃねーか…」
男(…悪いが少し距離を取ろう…)
女「はひ、りんほ」モグモグ…ゴクンッ
男「…さんきゅ」カプッ…モグモグ…
女「…」カプッ…モグモグ…
男「…」ジーッ、モグモグ…
男「どほやらあんせんほうはな」ジーッ、モグモグ…ゴクンッ…カプッ…
女「へ?ほういひどいっへ」モグモグ…
男「へっ、なんはっへ?」モグモグ…
女「へっ?へっ?」モグモグ…
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/21(日) 21:08:35.01 ID:Jkbcdvulo
男「…」
男(これは酷い)
男(お互いに噛み合ってて、お互いに噛み合ってない)
女「ごめんなさい、これわざとです」
男「いえいえ、実は私もでして」
女「んで、様子はどうなの?」
男「A国軍は見当たらないけど、住民も普通に生活しているように見えるな」
女「そう…。じゃ、安心して行けるね」
男「ああ、このリンゴを食べ終わったら出発しようか」
女「うん」カプッ…モグモグ…
男「…」カプッ…モグモグ…
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/21(日) 21:11:28.70 ID:Jkbcdvulo
以上で今日は終了
明日は少しだけ忙しいので投下できるかどうかは微妙
88 :
VIPに変わりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/21(日) 21:13:12.57 ID:8Db1dvdKo
カプッ←なんか可愛い
89 :
VIPに変わりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/21(日) 21:14:40.51 ID:8Db1dvdKo
あ、乙した
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/22(月) 00:29:50.86 ID:Upe7yGRZo
亀だけど乙
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/23(火) 18:25:54.12 ID:w7uu/hgQo
昨日の分もまとめて
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
村B
ワーワー…ガヤガヤ…
女「なんか、トラックや馬車に荷物積んでたりしている人がいて慌ただしいね」
男「ここにもB国軍が来るって情報が伝わったんだな」
女「皆逃げる準備をしているんだね…」
男「ぽいな」
女「はぁ…」
女「…私の家族ももう少し早めに逃げる準備をしていれば…」
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/23(火) 18:26:51.21 ID:w7uu/hgQo
男「…後悔先に立たずだ」
男「悔やんでばかりいては駄目だぞ」
女「…わかってるよそんな事…」
男「…そっか、それは済まない…」
女「…いいよ、それより、」
女「私、ここに来た事あるような気がするんだけど…。」
女「少しだけ見覚えがある」
男「そりゃ隣村だしな」
女「確か私が小さいときに何かの用事で…」ウ〜ン
女「あ、思い出した!」
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/23(火) 18:28:12.88 ID:w7uu/hgQo
男「…」
女「ここの村、お父さんの知り合いがいるんだよ」
男「へぇ」
女「興味無さそうな返事…」
男「いや、まぁうん、こちらとしては、へぇとしか言いようがないな」
女「…まぁ、そう言わずに。どうせ他に行くところ無いでしょ?」
男「そんな事はない、東だ!A国軍が見つかるまで東へ進む!」
女「…そろそろ休憩が必要だと私は提案します」
女「お父さんの知り合いのところなら休ませてくれると私は思います」
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:29:15.87 ID:w7uu/hgQo
男「…そうだな…俺が村Aに居た時、
男「B国の補給物資がC国軍の攻撃のせいで大幅に遅れているとの情報も聞いたしな…」
男「一晩くらい、身を休めてもいいかもな」
女「えっ、ちょっと待って。男って私の村に居たの?」
男「えっ、言ってなかったっけ、そういえば」
女「初耳」
男「…気になるだろうが、この話はまた今度だ」
男「で、女のお父さんの知り合いさんは、本当に俺達2人を休ませてくれるのか?」
女「大丈夫、私の家と同じで宿屋だったから」
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:32:05.52 ID:w7uu/hgQo
男「…そうだな…俺が村Aに居た時、
↑」の付け忘れですサーセン
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:33:33.53 ID:w7uu/hgQo
男「『だった』?」
女「…小さい頃に行ったきりだから、」
女「今も宿屋をやっているかどうかは…わからないの…」
男「…こんな状況だし、そもそも営業しているかどうかも微妙なところだしな」
女「…うん」
男「でも行くだけ行ってみよう。場所はわかるのか?」
女「うん、私の記憶が正しければ多分こっちだよ」ぎゅっ、スタッスタッ
男「わかった、そのまま案内してくれ」スタッスタッ
女「任せて〜」ぐいぐい
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:35:08.23 ID:w7uu/hgQo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スタッスタッ
女「多分…」
女「…ここかな?」
男「不確かなのかよ!散々迷った挙句、ゴールなのかどうなのかも不確かなのかよ!」
女「しょーがないでしょ!ここに来たのも何年か前なんだから!」プンプンッ!
男「わかった、わかったから俺の腕を掴んだまま自分の手をぶんぶん振り回すなっ!」
女「…」ぱっ
男「素直で助かるよ…」
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:36:49.84 ID:w7uu/hgQo
男「…まぁ、宿屋の看板が立ててあるから間違いは無さそうだな」
女「最初からそう言ってよもう!だいたい、私が一緒に居なきゃ…ブツブツ」ブーブー
男「はいはい、悪かったよ」
女「…むぅ」
男「取り敢えず、入るぞ」
ガチャ…
チリンチリンッ…
バタン…
男「ごめんください」
女「…」
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:38:17.73 ID:w7uu/hgQo
宿主「客か?済まないが、カウンターの奥まで来てくれないか?」
男「はい」タッタッ…
女「…」タッタッ…
男(奥の部屋の中にいるのか)
男「…」タッタッ…
男(ん、このベッドに寝ている人か?)
宿主「いや本当に済まないね、私は病気で寝たきりなもので…ゴホッゴホッ!」
男「いえいえ、私達もこんな状況にも関わらず来てしまって…」
宿主「いいんだよ、私ももう長くはないが、」
宿主「このような慌ただしい状況にも関わらず、客が来てくれるなんて嬉しい限りだ」
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:39:13.40 ID:w7uu/hgQo
男「そうですか…」
宿主「…ところで、そこのお嬢さんは?何処かで見た事があるような気がするのだが」
女「!」
宿主「私の勘違いかな?」
女「私の名前は女です!父の名前は女父と言います」
女「ご存知無いでしょうか?」
宿主「ああ、あの女ちゃん…。勿論知っているし覚えているよ。大きくなったものだな」
宿主「貴女は私を覚えていなさそうだがね…ゴホッゴホッ!」
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:40:38.21 ID:w7uu/hgQo
女「……ごめんなさい。その、居たということしか覚えてないです…」
宿主「良いさ、もう何年も前だ。君も小さかったからね」
宿主「私は君のお父さんとは古い付き合いの親友でね」
女「そうなんですか!」
宿主「して…君は誰なのかね?女兄君では無さそうではあるが…」
男「あ、えっと…」
女「男は私の…」
宿主「彼氏さんかね?」
女「ふぇ⁉」
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:42:14.41 ID:w7uu/hgQo
男「ち、違います!誰がこんな奴と…」
女「」ムッ
ビシッ‼
男「いってええ!」
男「何も叩かなくても…」
宿主「はっはっはっ、仲は良いようだね」
女「私達、相性だけは良いようなんです」フンッ
男「…否定はしない」
男(まだ知り合って間も無いのに)
男(もう気軽に話しかけ合う仲だしな…)
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:43:45.58 ID:w7uu/hgQo
男「えっと…女とは遠い親戚です。女の住んでいる村Aから一緒に逃げてきました」
宿主「という事は…B国軍が来るというのは本当だったのか…」
男「はい」
宿主「女ちゃん、家族は無事なのかい?」
女「…残念ながら、母と姉はもう既に…」
宿主「それはすまない…」
女「いえ、いいんです」
女「おそらく父と兄はまだどこかで生きてますから…」
宿主「きっとどこかで女ちゃんのために今も戦ってくれている事だろう…」
宿主「…だから女ちゃん、何があっても生きるんだ」
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:45:39.96 ID:w7uu/hgQo
女「はい…!」
宿主「よい返事だ」
宿主「えっと、男君と言うのかな?」
男「はい、そうです」
宿主「君も同じだ、何があっても生きるんだ」
宿主「そして女ちゃんを守るんだ」
男「ええ、守ります、何があっても」
女「男…」
宿主「うむ」
宿主「それはさておき、宿屋に来たという事は泊りに来たのかい?」
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:46:35.63 ID:w7uu/hgQo
男「そうなんですが…」クルッ
男「(なぁ女、お金ってあるのか?)」ヒソヒソ
女「(…無いれす)」ヒソヒソ
男「(なんだってー)」ヒソヒソ
宿主「ああ、お金ならいらないよ」
男「あ、聞こえてましたかお恥ずかしい…」
男「って、えっ」
宿主「おそらく貴方方が最後のお客だ、無料で泊まって行きなさい」
男「え、でも」
宿主「なに、遠慮はいらんよ」
男・女「ありがとうございます!」
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:48:29.31 ID:w7uu/hgQo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「…」キュッキュッ
女「…」サッサッ
男「女〜」キュッキュッ
女「なに〜?」サッサッ
男「なんで俺達掃除なんてしているんだ?」
女「仕方ないでしょ〜?」
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:50:31.52 ID:w7uu/hgQo
女「宿主さんずっと前から動けなくなってて、」
女「泊まる部屋も埃だらけなんだから」
男「…まぁ、無料なんだからこれくらい構わないけどさ」
女「食事とかもセルフサービスだけどね」
男「…無料だからさ…」
女「あ、洗ってない食器とか大分溜まってたよね?」
男「…無料…ねぇ…」ガックリ
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/23(火) 18:52:20.91 ID:w7uu/hgQo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
午後7時
男「わーい!女の子の手料理きたぁぁあああ!」
女「…て、照れるよ…。そんな事言われると…」モジモジ
男「では、いただきます」
女「め、召し上がれ」ドキドキ
男「あむっ…もぐもぐ」
男(これは…)
女「どどどどう?」ドキドキ
男「もぐもぐ…もぐもぐ…」
男「グスンッ…」
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:53:55.07 ID:w7uu/hgQo
女「えっ!えええ?ごめん泣く程不味かった?」
男「ごくん…。違う」
女「えっ」
男「美味すぎて思わず涙が出た」
男「こんなに美味い食事は久しぶりだよ」
女「…なんだ…良かったぁ」ホッ
女「まぁ、一応宿屋の娘だし?これくらいは出来て当たり前みたいな?」エッヘン
男「おう、今のお前は十分威張っていいぞ」
女「ふっふ〜ん」
女(よかった…ほんとによかった…)
男「後で宿主さんにも分けてあげないとな」
女「そうだね」
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:55:55.91 ID:w7uu/hgQo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2時間後
ガチャリ…
女「ああ〜久し振りのシャワースッキリした〜」
バタンッ
男「おう、俺も今上がったところだ」
男「っていうか、ここは俺の部屋だぞ、女は隣だ」
女「いいじゃん別に。まだ寝るにも早いような時間だし」
男「…お前会った時と比べて警戒心無さ過ぎだろ…」
女「男は男でも男は信用できるからね」
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:57:18.26 ID:w7uu/hgQo
男「ははっ、勝手に信用しとけ」
女「それでね、聞きたい事があるんだけど良いかな?」
男「構わないが俺はもう…」ドサッ
男「寝る」グッタリ
女「男って…どうしてB国の兵士を辞めたの…?」スルー
男「…前にも言ったと思うけど、自分の国のやり方に嫌気が差したからだよ」
女「そうじゃなくって」
女「出来ればもっと具体的に言って欲しいというか、経緯を説明して欲しいというか…」
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 18:59:16.25 ID:w7uu/hgQo
女「私の住んでた村になんでいたのとかも出来れば…」
男「…」
女「…」
女「その…男の家族とか大丈夫なのかなって…」
男「どこから話したらいいのやら…」
女「質問多すぎてごめんね」
男「…まず…俺には家族というものがいない」
女「え…?」
男「生まれて間も無い頃に、孤児院に捨てられていたんだとさ」
男「…だから、家族なんていうものは…俺には居ないんだ」
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 19:00:44.63 ID:w7uu/hgQo
女「…ごめん」
男「いや、いいんだ、むしろ家族が最初から居ない俺と、」
男「途中から家族を失ってしまった女と比べたら、」
男「俺はまだ幸せな方なのかもしれない…」
女「…」
男「B国の奴等から逃げるなんて事ができたのも、」
男「俺には自分の命以外、もう何も失うものが無いからってのが大きい」
男「勿論、他にも色々な事があっての決断だったが…」
男「…これ以上は話が長くなりそうだけど、いい?」
女「うん、良かったら遠慮無く話して」
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/23(火) 19:04:15.01 ID:w7uu/hgQo
本日は終了
ほんわかしすぎ、シリアスが来い
次回から過去編の予定です
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 18:58:54.50 ID:7cWTLm/Bo
― ― ― ― ― ― ― ―
とある街
『志願兵募集中』
男「志願兵…か」
男「…A国が介入して来たもんだから」
男「少しでも軍事力を高めるために必死だな」
友「そりゃそうだろ、A国だってなかなかの軍事力らしいぜ?」
男「…なぁ友」
友「ん、どした」
男「一緒に、志願…しないか?」
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:00:13.74 ID:7cWTLm/Bo
友「…」
友「大丈夫かお前」
男「大丈夫じゃないかもしれない」
男「だけど、居場所のない俺達にはぴったりな仕事だと思うんだ」
友「仕事って馬鹿じゃないのかお前は」
友「志願兵って…戦争だぞ!戦争!」
男「ああ」
友「死にたくないだろ?」
男「そりゃ勿論さ」
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:01:29.48 ID:7cWTLm/Bo
男「だが、どうせ俺達には家族というものがいない」
男「俺が死んだって悲しむ人は誰も居ない」
友「俺が悲しむ」
男「誰も困らない」
友「俺が困る」
男「…」
友「なんて悲観的な考えだ…」
男「…だから、せめて国のために戦って死んだ方がマシじゃないか?」
友「…」
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:03:15.75 ID:7cWTLm/Bo
男「言っておくが、俺はマジだ」
友「マジですか…」
男「マジですが」
友「さいですか」
友「…ならば」
友「てめぇのケツは俺に任せろ!」
男「やめてなんか変な意味に聞こえてしまって気持ち悪いから」
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:06:17.26 ID:7cWTLm/Bo
―そんなこんなで俺と友はB国陸軍に志願兵として入隊した
―今思えば、俺1人で行けばよかったと後悔している…
―まぁ、友とは孤児院に居た時からの幼馴染で
―俺が1人で行くって言っても、あいつは付いて来ただろうがな
―そして短くも辛い訓練期間を終え、
―ついに俺と友は共にC国へと向かわされた
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:08:44.37 ID:7cWTLm/Bo
C国のとある村付近
ガタガタ…キュラキュラ…
男「寒いなここ…」
友「もう大分時間経ったよな。トラックに乗ってから」
男「ああ、もうそろそろ着く頃だと思うがな…」
ドオォォォン‼
男・友「!」
「C国軍の待ち伏せだ‼」
ダダダダッ!ダダダダッ!
ガチャッ!
上官「おい!新兵共!村を制圧しにいくぞ!」
上官「わかったら後に続け!」
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:10:37.89 ID:7cWTLm/Bo
友「了解!」サッ
男「りょ…了解」サッ
友「早速手荒い歓迎だな」ザッザッ
男「ははっ…」ザッザッ
―心底、俺は初めての戦場でかなりびびっていた
―顔を出して銃で狙いを定めるにも、
―次々に銃弾が近くに飛び込んできてそれどころじゃなかった
―結局、俺は何も出来なかったが、味方が頑張っていたため、
―何とか前進し、村の制圧に成功した
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:12:48.00 ID:7cWTLm/Bo
―それまで俺と友は自分達の軍に悪い印象等は全く無かった。それまでは。
―…だが、村を制圧したすぐ後の事だった
憲兵「村に残っている者は皆殺しだ!かかれ!」
男「…え?」
友「…まさか、女・子供まで?」
憲兵「当たり前だ!」
憲兵「奴等は爆弾を隠し持っている可能性だってある!」
憲兵「それにいつ我々に歯向かって来るかわからんからな」
憲兵「何せ奴等は劣等民族だからな」
憲兵「わかったらさっさと行かんか!」
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:14:48.38 ID:7cWTLm/Bo
男・友「…」トボトボ
友「…おい、どうするよ?」
男「…流石にただの村人を殺すなんて事…」
友「…出来るはずがないよな…」
男「丸腰の一般人を殺すなんて脳がイカれてる」
上官「お前達、丸聞こえだ」
男・友「!」ギクッ
男・友「すみません!」
上官「…まぁ、お前達の言っている事はよくわかる」
上官「俺がまだ新米だった頃もそう思っていた」
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/24(水) 19:16:52.65 ID:7cWTLm/Bo
男「はあ…」
上官「だがな…お前達、憲兵の奴等に一度でも歯向かってみろ」
上官「…後は、わかるな?」ザッザッ…
バァァン!ダダダダッ!
「うあああああああああ‼」
「キャアアアアアアア‼」
ドドドッ!ダダダダッ!
「お母さん逃げて‼」
「うえぇぇえぇん」
友「…ほんとに始めやがった…」
男「イカれてる…本当にイカれてる…」
友「…こんなはずじゃ…」
男「……ウッ」
友「お、おい、男。大丈夫か?」
男「」
―俺はその後吐いた
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/24(水) 19:23:58.51 ID:7cWTLm/Bo
そろそろ読者さんが付いて来れてないかな?
内容もややこしくつまらないのでここまで来れた読者さんは尊敬します
第三部は長くなります
一部と二部が短か過ぎただけかもしれませんが
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/08/24(水) 23:40:28.74 ID:3YMBNe5Ko
乙した
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/08/25(木) 23:18:58.34 ID:tkl4aY9No
乙
見てるよー
楽しみにしてる
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:26:35.90 ID:1xkHONoYo
>>126
>>127
( ∵ )ゞビシッ‼
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その夜
村のB国軍キャンプ
友「男、落ち着いたか?」
男「あ、ああ。悪かったな…」
友「雪が強くなってきたな…」
友「ほら、これでも飲め。暖まるぞ」ホイ
男「ありがとう」
男「…」ズズズッ…
友「…あんときは俺ももらいゲロしそうになった」
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:27:58.33 ID:1xkHONoYo
男「…よくしなかったな」
友「全くだぜ」ヤレヤレ…
友「そんで…お前が休んでいる間にブリーフィング聞いて来たんだが、」
男「おう」
友「明日は隣の村Aを攻略するらしい」
男「ふむ」
友「でだ…」
男「なんだ?」
友「俺は先遣隊に任命された」
男「…俺よりも先に行くって事か」
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:29:37.03 ID:1xkHONoYo
友「つまりはそういう事だな」
友「先遣隊を送る理由としては現状の俺達の部隊の物資が不足していて、」
友「今の状態では本隊丸ごとを送るのが厳しいからだとよ」
男「なるほど」
友「それにプラス、物資の補給部隊もどうやら攻撃にあったみたいでね」
友「大幅に遅れるみたいよ」
男「それは痛いな…」
男「俺達の部隊は今日の戦闘で予想以上に弾を使ってしまったったんだな」
友「まぁそういう事だな。」
友「ここ付近でのC国軍はあれがほとんどらしい」
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:31:12.95 ID:1xkHONoYo
男「ここで食い止めようとしたんだな…」
友「だな」
友「…それで俺達新米には隣の村Aの制圧に成功した後、」
友「何かの試験があるらしい…」
男「試験…?」
友「ああ」
男「…悪い予感がするな…」
友「試験の内容は教えてくれなかったが、」
友「俺達が今後、B国の兵士として使えるかどうかを判断するための試験らしい…」
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:33:37.55 ID:1xkHONoYo
男「…」
友「…」
―悪い予感は見事に的中した
―翌々日、先遣隊が村Aを制圧したとの報告を受け、
―俺のいる本隊も村Aに向け、出発した
―丁度日が沈んだ頃に俺が村Aに到着した
―そのすぐ後の事だった…
ガチャッ!
ビョオォォオゥ・・・
男(うお…凄い吹雪だ…)
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:35:28.95 ID:1xkHONoYo
上官「新兵共!この吹雪がどうした!早くトラックから降りろ!」
男・他新兵「おいっす!」ササッ!
上官「…村の制圧は先遣隊だけで完了した」
上官「奴等C国軍の力も弱まりつつあるのだろう」
上官「…それはさておき、早速貴様ら新兵共に試験がある!」
上官「あそこに灯りを持った憲兵と、手を頭につけて跪いている愚民共が見えるだろう」
上官「今直ぐそこまで走れ!」
男・他新兵「…」
男(まさか…)
上官「どうした、俺の言う事が吹雪で聞こえなかったのか⁉」
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:37:22.62 ID:1xkHONoYo
上官「わかったらさっさと行け!」
男・他新兵「了解!」ザッザッ
・・・
憲兵「この吹雪の中よく来たな、勇敢なるB国の“仮“騎士達よ!」
憲兵「…私の言っている意味がわかるな?」
男(おい……おい…)
憲兵「そう、今ここに何匹か跪いている人間ではない何かを楽にさせる事によって、」
憲兵「今日諸君等は、“仮“騎士から正式な由緒正しい騎士となるのだ!」
男(何が由緒正しいだ…!)
男(ただの虐殺じゃないかよ…!)
135 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:39:21.88 ID:1xkHONoYo
憲兵「…そして、私の後ろに立っている者達は」
憲兵「今さっき、既に立派な騎士となった兵士達だ」ザッザッ
友「…」ビシッ…
男「友っ⁉」
憲兵「?」
憲兵「お前の親しい者か?」
男「…っ!」
憲兵「安心しろ、お前もここでこいつ等を1人楽にするだけで」
憲兵「こちら側へと行けるのだからな」
男「…っ」
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:41:12.46 ID:1xkHONoYo
憲兵「…では始めるとしよう」
憲兵「まずはお前からだ」
男「…はい」
男(おいおい、まさか友の奴、このなんの罪も無い人を殺したっていうのか⁉)
友「…」
他新兵「…」ゴクリ…
憲兵「こいつの前に来い、そして銃を構えるのだ!」
男「…」カチャリ
―銃の先は…優しそうな女性だった…その女性は…
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:43:39.78 ID:1xkHONoYo
村人女「…お母さん、先に逝くけど、元気でね…女、女姉…」ボツボツ、ポロポロ
村人女「…女…女姉…少しでも長く、生き延びるのよ…」ボツボツ、ポロポロ
―……女…?
―――――――――――
男「はッ!」ビクッ!
女「え、何どうしたの…⁉」
男「…あ…あ…」
男(気付いてしまった)
男(気付いてしまった…!)
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:45:48.20 ID:1xkHONoYo
女「お、男…⁉」
男「…ご…」
女「ご?」
男「…ごめんな…女…」
男「救えなくて…」
女「え?どういう事なの…?」
男「…俺が…銃を向けていた女の人…」
女「…ぇ?」
139 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:47:27.78 ID:1xkHONoYo
男「お前の名前言っていたんだ…」
女「」
男「…」
男「…女の姉の名前は?」
女「…女姉」
男「…ああ、確かにその名前も言っていた」
男「…間違いない」
男「君のお母さんだよ…」
女「っ‼」ジワァァァ…
140 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/26(金) 18:48:51.30 ID:1xkHONoYo
男「ごめんな…。本当に救えなくてごめんな…」
女「…ぉ、お母さんはその後どうなったの…?救えなかったって…」ウルウル
女「まさか…男が殺したの…?」
男「そんなまさか!撃つわけがないだろ!」
男「…俺が人を殺したのはあの小屋での出来事が最初だ…」
女「じゃあ…どうなったの…?」
男(女…本当は自分の母親がどうなったのか知らなかったんだ…)
男「…わかった、これから話すよ」
男(辛いだろうが、真実は伝えねば…)
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/26(金) 18:52:55.10 ID:1xkHONoYo
今日は以上で終了
過去編長すぎかも…
過去編は女の分もあるんじゃよ…
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2011/08/27(土) 00:24:40.06 ID:UfaWm94go
しえん!
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:46:46.54 ID:DNGkM8Ooo
― ― ― ― ― ― ― ―
男「…」ガクガク
憲兵「…どうした、早く撃たんのかね」
村人女「…っ」ボロボロポタポタ…
男(…折角、兵士になって誰かの役に立てるかと思ったらこれだ)
男(くそったれ…)
憲兵「撃てるのか?撃てないのか?」
男「…っ」
男(…俺は…ここで撃つ事も出来ない臆病者だ…)
男「…俺には…撃てません」カチャ…
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:47:31.18 ID:DNGkM8Ooo
憲兵「本当か、それは」
男「はい」
憲兵「…ならば、致し方無い」スチャッ
男「あ…」
村人女「…!」
憲兵「…」カチッ
パァァン!
村人女「」ドサッ
ダラダラドクドク…
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:49:23.32 ID:DNGkM8Ooo
―一発の銃声が鳴り響き、
―その女性は人形になったかのように、
―力無く倒れた
―辺りは暗かったが、
―頭からは鮮血がこぼれ落ち、
―その色は雪に染みてどんどんと広がっていくのが見えた
―これが…女の母親の最期だった…
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:51:04.95 ID:DNGkM8Ooo
―――――――――――
女「…よかった…」
男「え?」
男「確かに俺は女のお母さんを撃ちはしなかったが、」
男「お前のお母さんは…憲兵に…殺されたんだぞ…!」
女「ううん、いいの。勿論お母さんは男が殺したわけじゃ無くて良かった…」
女「それに…お母さんが死んだのか生きているのかはっきりした事は」
女「これからの思い切りになると思う」
男「思い切り?」
女「うん、思い切り」
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:52:15.28 ID:DNGkM8Ooo
女「私、お姉ちゃんと一緒に村Aから逃げた時にね、」
女「お姉ちゃんからこう言われたの…」
『お母さんはもう死んだの!助けに行こうなんて馬鹿な事は考えないで』
『これからは私達2人で生き抜いていくのよ』
女「って…」
女「多分、お姉ちゃんは…」
女「これからはお母さん無しでも生きていって欲しいって、」
女「私に踏ん切りをつけて欲しいと、遠回しに言っていたんだと思う」
女「…でもね、私、本当はお母さんが生きているんじゃないかって、」
女「何度も何度も事あるごとに思ってて…」
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:53:33.64 ID:DNGkM8Ooo
男「…」
女「…だから…」
女「お母さんが…」グスッ
女「お母さんが死んだって…」
女「はっきりして…」グスッ、ポロポロ
女「…良かったのお…」ボロボロポタポタ
男「…」
女「…また涙が…止まらない…」ボロボロポタポタ
女「ごめんね…まだ話の途中なのに…」ボロボロポタポタ
男「…」
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:55:31.52 ID:DNGkM8Ooo
男「いいんだ」
男「その涙が、お前の思い切りそのものだ…」
女「…またそこでヒック…かっこいい事言って…」ポロポロ
男「ははっ、たまには臭い台詞を言わせてくれよ」
・・・
女「もう…ヒック」ポロポロ
女「早く話続けて」ポロポロ
男「続きは明日でもいいんだぞ?」
女「いや、涙も止まってきたし…」グスン
女「気になるから今がいい」グスン
男「…はいはい」
男「んじゃ、続けるぞ」
150 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:57:08.34 ID:DNGkM8Ooo
―――――――――――
村人女「」ダラダラドクドク…
男「…っ!」
男(なんの躊躇も無く撃ちやがって…)
男(こいつこそ人間ではない何かだろ!)
憲兵「次は貴様だ…!」スチャッ!
男「!」ビクッ!
友「!」
男(…やっぱりな。人ひとり撃てない俺は殺されても当然だ…)
友「やめて下さい!」カチャリ!
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/27(土) 23:59:32.82 ID:DNGkM8Ooo
憲兵「?」
男「友っ⁉」
他新兵・兵士「!」
憲兵「ん?貴様は何故私に銃を向けるのだ?」
友「…すみません、そいつ、俺の連れなんで」
友「殺されちまうと、俺がやってけないんすよ」
男「なっ」
男(惚れてしま……いやいやいや、そんな事ありえねぇありえねぇアリエッティ)<イミフ
男(まず落ち着こう)
男(…このままでは俺か友、どちらかは殺られてしまう…!)
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:02:16.08 ID:l7//AseFo
憲兵「はっはっは!面白い!」
憲兵「ならば、貴様も後で一緒に地獄へと送」
友「」カチッ
バァァン!
…
憲兵「」ドサッ!
男・周り「‼」
友「こいつ、俺が頭狙ってんの見えてないのかよ」
友「さて逃げるぞ!男!こっちだ!」ザッザッ!
男「あ、ああ!」ザッザッ!
友「あの森の中に逃げこむんだ!急げ!」ザッザッ
男「わかった!」ザッザッ
153 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:04:09.24 ID:l7//AseFo
B兵「裏切り者‼」カチッカチッ
B兵「って弾がねぇ!」
他新兵「…」ポカーン
B兵「おい貴様等何ボーっとしてんだ!」
B兵「奴等は裏切り者だ!撃て!」
他新兵「り、了解」「了解!」「…」
バン!バン!バン!
男「うお!」
ヒュンッ!パシュッ!ヒュンッ!
友「撃ってきやがったか」
154 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:05:09.64 ID:l7//AseFo
友「奴等に見えなくなるまで逃げるぞ!」
男「おう!」
ザッザッザッ!
・・・
友「この森奥まで来れば…」
バン!ダダダダッ!
ヒュンヒュンッ!ズシュッ!
友「ぅぐッ‼」ドサッ!
男「友?友⁉」ザッ!
友「…構わん、先に…」
男「置いてなんて行けるか!」
155 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:06:41.60 ID:l7//AseFo
男「何処か撃たれたのか⁉」サッ
友「…くッ…うぅ…」
友「…はは…俺…1人…村人を…殺しちまって…」
友「多分…その罰だ…くッ‼」
男「いいんだよ、それはそうするしか無かったんだろ?」
男「でもお前はその代わりに憲兵を1人倒したんだ…!」
男「…お前は悪を倒したんだ!」
友「…」
男(右胸を撃たれている…)
男(出血を抑える布か何かは…⁉)
156 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:08:00.79 ID:l7//AseFo
友「…早く…行け…お前だけでも…」
男「馬鹿野郎!」
男「俺だってお前無しじゃ生きていけないんだぞ!」
男「頼むよ!俺が死ぬまで生きてくれよ!」
友「…お前…それ…プロポーズ……」
男「違ぇよ!」
男「とにかく、意識は失うなよ!」
友「…ぁぁ……」
友「…」
友「」
157 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:09:15.85 ID:l7//AseFo
男「っておい、友?」
友「」
男「友ぉ!」
友「」
男「寝ちまったのか?」
友「」
男「起きろよ兄弟」
友「」
男「おい!寝てんじゃねーぞ!」
友「」
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 00:13:56.81 ID:l7//AseFo
男「起きろよ!」
ペシッ!
友「」
男「起きろよ!」
ペシッ
友「」
男「起きろよぉ…!」
ペち…
友「」
男「…」
男「…」にぎっ
男「………………」
男「…………眠れ、安らかに。我が親友よ」
159 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/28(日) 00:21:32.28 ID:l7//AseFo
―そこで握り締めた友人の手は
―冷たかった
ーーーーーーーーーーーーー
切りがいいので取り敢えずここで終了
続きは明日か明後日
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 20:18:02.54 ID:l7//AseFo
―――――――――――
男「そして俺は友の亡骸を置いて何とか敵を撒き、」
男「女が立て篭もっていた小屋に辿り着いたんだ」
女「…よかったね…」グスッ
男「えっ?」
男「確かに俺は生きていて助かったが、」
男「友という大切な人間を失ったんだぞ…」
女「ち、違うよ、そういう事じゃ無くて」
男「じゃあどういう事だってんだよ」
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 20:19:46.58 ID:l7//AseFo
女「男がその…」
女「大切な友さんが死ぬ前に…」
女「プロポーズできて良かったね、と思って…」ポッ
男「」
男「もうお前とは二度と口を利かない」クルッ
女「ちょ、ちょっと待ってってば!冗談だから!ねっ?」
男「何で俺があいつにプロポーズなんかすんだよ…男同士だろうが…ありえねえだろうがアリエッティだろうが…ブツブツ」
女「アリエッティって…」
女(まさか…予測変換で出てきたのを適当nいやなんでもないよね)
女(ってそんな下らない事に気付いてる場合じゃ無くて!)
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 20:21:40.92 ID:l7//AseFo
女「ほんとに冗談だってば!」
男「このシリアスな空気の時に冗談言うとか!」
女「即口利いたね」
男「」
女「…というか冗談を言ったのはシリアスな空気だからこそだよ」
男「人が死んだ話をしているのに冗談を言うなんて、」
男「不謹慎極まりない!」
女「…ああ、それは流石に…」
女「ごめんなさい」
男「それとな!」
女「?」
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/08/28(日) 20:22:48.54 ID:l7//AseFo
男「俺はホモじゃない」
女「ははっ、なんだそんなk」
男「俺はホモじゃない」
男「いいか」
男「俺はホモじゃない」
女「わかったってば…」
男「大事な事だからもう一度言うぞ」
男「俺は」
女「いーかげんだまれ」バシッ!
第三部 完
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/08/28(日) 20:36:40.42 ID:l7//AseFo
第三部まで終わりました
このSSは六、七部構成を予定しています
(予定変更で更に増える可能性アリ)
続きについてですが、読み易さや矛盾点の見直しをしっかりとするために、これからは一部一部が完成してから投下しようかと考えています
ですので次の投下は
一週間以上後になるかもしれません(下手したらそれ以上)
すみませんが宜しくお願いします
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/08/28(日) 20:50:02.68 ID:/oicxwspo
おつおつまっつる
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/08/29(月) 16:13:22.55 ID:U4vgHGxDO
乙
あんまりレスしないが頑張ってくれ
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/08/29(月) 22:59:35.62 ID:O42DS3xSo
乙
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/04(日) 21:30:21.58 ID:HHS96jmCo
一週間経ちましたが、まだ2/3程しか書けていないのでもう暫くお待ちを
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:33:33.01 ID:6nXk6j+9o
やっと書けた…大変お待たせしました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝
チュンチュン
男「……ふわぁ…」
男「…朝か」バッ
男「…うぅ…やはり朝は少し冷えるな…」ブルブル
男「……」チラッ
女「すー…すー…」zzz
男「結局隣のベッドで寝てやがるし」
女「……ふひ…ふひひ」zzz
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:34:47.65 ID:6nXk6j+9o
男「…?」
女「…男…」zzz
男「!」ドキッ
男(ね、寝言で俺の名前を…!)
女「…ふひひ…ふふふ…」zzz
男(こ、こいつ…一体どんな夢を…⁉)ドキドキ
男(若干笑い方が気持ち悪いが)
女「…男と友さん…」zzz
男「友…だと…?」
女「……ご結婚…」zzz
男「…」
女「…おめでとう…」zzz
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:36:29.58 ID:6nXk6j+9o
女「むにゃむにゃ」zzz
男「…なっ…」
男「…あ、あれ程俺はホモじゃないと…」
男「ホモじゃないと…言ったのに…」
男「…貴様の脳内では既に俺は立派なホモとして認識されてしまったらしい」
女「すー…すー…」zzz
男「…あぁ…朝から最悪だ…」
女「……ふひひ…男…」zzz
男「おっとお前の妄想はそこまでだッ‼」
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:37:55.89 ID:6nXk6j+9o
男「毛布を無理やり引き剥がしてやる!」
バサッ!
女「…ぅう…?」
女「って、さむっ!」ブルブル
女「ちょっとお兄ちゃ…」
女「…じゃなかった」
女「男!起こし方が強引すぎるでしょ!」
男「…ほう、お兄ちゃんと言いかけたな」
女「なっ」ギクッ!
男「いつも兄に起こされていたのかね?」ニヤリ
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:39:23.22 ID:6nXk6j+9o
女「そんなわけないでしょ!」
女「いつもは毎朝姉さんに起こされてるけど」
女「たまに兄さんが今みたいに強引に起こしてくるの!」
男「いつも他の人に起こされているという事は否定しないんだな」
女「!」
女「あ、朝くらいいつもひとりで起きてますぅ!」
男「…」
男「さっきと言ってる事が矛盾してるぞ」
女「…」
女「…あぁ…朝から最悪だ…」
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:41:06.23 ID:6nXk6j+9o
女「…主に男のせいで」
男「…お前、自分で墓穴を掘っといてそれはない」
女「…むか〜」
男「それと朝から最悪なのは俺の方だ」
女「今むかむかするけど、一応聞いておくね、」
女「なんで最悪なの?」
男「……」ジトー…
女「……?」
男「はぁ…自覚もないから困る」
女「…へ?」
女「どういう事なの?」
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:42:05.65 ID:6nXk6j+9o
男「…いや、なんでもないよ。いきなり起こして悪かった」
男「ただ、これだけは言わせてくれ」
女「どぞ」
男「俺はホモじゃない」
女「……えと、」
女「…ここでその言葉が出てくる意味がわからないんだけど」
男「……」ジトー…
女「……」
男「…………」ジトー…
女「もうやだこの人」
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:44:22.84 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宿主「そうか、もう出て行くのか」
男「はい、残念ですが…」
女「宿主さんもはやく逃げた方がいいんじゃないですか?」
宿主「いいや、私はここに残る事にするよ」
男「え?」
女「な、なんでですか?ご家族は心配なさらないんですか?」
宿主「私は今も昔も独身さ。両親ももうお釈迦だしね」
女「あ、その、ごめんなさい…」
宿主「いいんだ、でも君達を見ていると何だか嫉妬するよ」
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:45:19.83 ID:6nXk6j+9o
女「⁉」
男「!」
宿主「君達、本当は付き合っているんじゃないのかね?」ズキューン
女「…ふぇっ⁉」カァァァ…
男「なっ……」カァァァ…
男(ここで否定して叩かれたんだよな、昨日)
男(だが、肯定するわけにも…)
男「……」
男(…残るは沈黙のみ)
女「も、もう!何か言ってよ男!」
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:47:04.54 ID:6nXk6j+9o
バシッ!
男「いてっ!」
男「…ぬう…」
男(黙ってても叩かれるか)
宿主「はっはっ、うむ、相変わらず仲の良いことで結構、結構」
男(……宿主さん、絶対からかって楽しんでるだろ…)
宿主「…それはそれとして、」
宿主「私は昨日も言った通り、いつご臨終してもおかしくない状態でね…」
男「あぁ…」
宿主「だからいっその事、ずっと過ごしてきたここで一生を終えようと思っているのさ」
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:48:07.06 ID:6nXk6j+9o
女「そんな…」
宿主「無理矢理連れて行かれたところで私はどうしようも無いしね」
宿主「…まぁ、そういう事だ」
男「そうですか……」
宿主「…それで、」
宿主「君達はこれからどこへ向かうのだね?」
男「…A国軍が見つかるまで東へ行こうと思ってまして」
宿主「A国軍か…。確か、もう近くまで来ているという噂を耳にしたが…」
宿主「保護してもらうつもりなのかい?」
男「はい。因みに…A国軍に関しては良からぬ噂を耳にしますが…」
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:49:15.86 ID:6nXk6j+9o
女「B国軍よりはまし」
男「…という事でして…」
宿主「そうか…。私も知り合いのレジスタンスからA国軍についての悪い噂を聞いていてね…。」
宿主「…だが、虐殺をする程野蛮では無いと私は思うのだが」
男「A国はあくまでも、C国をB国から解放するために軍事介入してきたわけですし」
男「そうであれば良いのですが…」
女「ちょっと心配だね…」
男「……ま、何とかなるさ」
女「……なればいいけど…」
宿主「君達達2人ならきっと上手くやっていけるような気がするよ」
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:50:44.51 ID:6nXk6j+9o
女「またまた…」カァァァ…
男「心強いお言葉です」
男「…さて、」
男「俺達はもう出発しますが…」
男「宿主さん」
宿主「何だね?」
男「昨日と今日の2日間、ありがとうございました」
女「あ、ありがとうございました!」ペコ
宿主「いやいや、こちらこそ。女ちゃんの料理、とても美味しかったよ」
女「そ、それほどでも…」エヘヘ
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:51:41.19 ID:6nXk6j+9o
宿主「あ、出て行く前にちょっと待ってくれないか」
男「?…なんです?」
宿主「男君の丁度後ろにある引出しをから黒い箱と鍵を取ってくれないかね?」
男「はい、いいですけど…」クルッ
男(なんだろうな?)
男「……」
ガタッ…
男(この箱と鍵か)ヒョイ、チャリッ
男(ってこの箱意外と重いな…)ンショ
男「…」スタッスタッ
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:53:01.59 ID:6nXk6j+9o
宿主「悪いね」
男「いえいえ、どうぞ」サッ
宿主「ありがとう。だが、この鍵は男君に譲ろう」チャリ
男「え?」チャリ
宿主「それは私の車の鍵だ」
男「ああ、車の鍵ですか。って、えっ?どういう事です?」
宿主「だから君に車を譲るという事だ」
男「いやいや、無料で泊めて頂いた上にそこまでしてくださらなくても…」
宿主「…私には無用の物だ、持って行きなさい、車ごと。遠慮はいらないさ」
男・女「…」ポカーン
184 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:54:17.74 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宿屋前
男「……」
女「…随分良くしてもらっちゃったね…」
男「ああ…」
男「いつか、恩返ししないといけないな…」
女「男……言いたくないけどそれは無理だよ……」
女「宿主さんはもう長くはないって自分で言ってるし、」
女「もうすぐここにはB国軍がやって来る…」
185 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:55:16.48 ID:6nXk6j+9o
女「ここを出てから宿主さんにもう一度会うなんて……まず無理だよ…」
男「………わかってるさ」
女「……」
男「…ただ、」
男「…こうやってまた俺は友と同じ時のように借りを返せないのかと思うと……」
男「どうしても悔しくてな…」
女「……男、それは違うよ」
女「宿主さんも友さんも、直接見返りを求めているわけじゃないんだよ?」
男「…」
女「…私達が少しでも長く生きていって、幸せになる事自体が、宿主さんや友さんの願いであって…」
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:56:47.16 ID:6nXk6j+9o
男「それ自体が恩返しになると…」
女「うん。そういう事じゃないかな」
女「きっと天国にいる友さんだってそう思っているはずだよ…?」
男「……そうだな…女の言う通りかもな…」
女「『かも』じゃなくて、絶対にそうなの!」
男「はははっ、はいはい、そうだな」
男「悔やんでいても仕方ないしな」
女「うんうん」
女「さぁ、張り切って行こぉ!」
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 22:57:41.86 ID:6nXk6j+9o
男「それ自体が恩返しになると…」
女「うん。そういう事じゃないかな」
女「きっと天国にいる友さんだってそう思っているはずだよ…?」
男「……そうだな…女の言う通りかもな…」
女「『かも』じゃなくて、絶対にそうなの!」
男「はははっ、はいはい、そうだな」
男「悔やんでいても仕方ないしな」
女「うんうん」
女「さぁ、張り切って行こぉ!」
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:01:45.14 ID:6nXk6j+9o
・・・
宿主の車の中
バタンッ
男「エンジンちゃんと掛かるかな…」
女「どきどき」
男「…」カチャリッ
ギィギィギィ…
ブォォォン!
男「おお!掛かった掛かった」
女「いいねいいね」ワクテカ
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:03:24.67 ID:6nXk6j+9o
女「…今更だけど男、免許って勿論取ってあるよね?」
男「……」
女「…何で無言?」
男「………」
女「ねぇ……」
男「…………」
女「…………まさか」
男「…安心しろ、いつも他人が運転しているのを見てたから」
女「」
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:04:53.55 ID:6nXk6j+9o
男「アクセルはここだな…」グイッ
ブォォォォォォォォン!
女「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」
男「無免許運転は大変危険ですので決して真似しないように」テヘッ
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:05:47.88 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宿主「……」
宿主「…あの子達はもう行ったか…」
宿主「さて…」
宿主「…」ガサガサ
宿主「…」パカッ
宿主「…」カチャッ
宿主「…」カチャリ…
宿主「…………」
宿主「………元気でな」カチッ
パァァァン…!
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:07:29.01 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
村B郊外の草原の車道
女「……田舎でよかった。ほんっとに田舎でよかった」
男「おいおい、そんなに俺のドライブテクが信用出来ないのか?」
女「ドライブテクとか、信用とか、それ以前の問題だと思うの…」
男「…まぁ、正直言うと俺も田舎道で良かったと思っている」
女「うんうん」
男「街とかだったら……」
女「…危ないもんね」
男「飛ばせないからなっ!」グイッ!
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:09:23.24 ID:6nXk6j+9o
女「うんうん。って…」
女「ちょちょちょちょっと⁉」アタフタ
ブォォォォォォォォン‼
ガタガタガタガタ!
女「しし振動がががしゅごご」
男「ヒャッハァァァアア‼」
ガタガタガタガタ!
女「…おお願いだから、ス、スピードを……」
男「え?」
女「…おお男、わ私死ぬかも…」
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:10:17.88 ID:6nXk6j+9o
男「え、何だって?」
女「……ぅう」
女「………ぁぁ」
女「」チーン
男「…」チラッ
男「あ」
男「あちゃー…」
男「度が過ぎたか…」
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:12:09.81 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~
暫くの後
ブロロロ…
カタカタ…
女「このまま安全運転でお願いね」
男「…正直すまんかった」
女「おふざけにしても冗談じゃすまないよ……あれは…」
男「無免許運転している時点で洒落になってないけどね……ははっ…」
女「笑ってる場合かっ!」バシッ!
男「いてっ」
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:12:57.83 ID:6nXk6j+9o
男「…運転中、流石に平手で叩くのは控えてくれないか!」
女「……むぅ」ギロッ
男(睨まれてもな…)
女「!」ピンポーン
女「……ちょ、」
男「ちょ?」
女「チョップ!」ビシッ!
男「……」
男「いや、だから叩くのはやめろと」
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:13:50.13 ID:6nXk6j+9o
女「……平手じゃなくても駄目なの?」
男「手で叩く事自体が駄目なの!」
女「……ぐぬぬ」
女(いやわかってるけどね。叩いちゃ駄目って事くらい)
女(…ただ…何か今日の男は朝から変な事ばかりしてきて…)
女「気に食わないのよね…」
男「はい?」
女(まだ叩き足りない…)
女(手で叩くのが駄目と言うのなら…)
女(これしかない…!)ガサガサ…
女「…」スチャッ
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:15:16.71 ID:6nXk6j+9o
男「…おい今スチャって音したぞ」
女「斯くなる上は…」
男「…なんだなんだ?」
女「この拳銃という名の鈍器でッ!」
ブンッ!
パシッ!ぎゅっ
男「あっぶねぇな!どんだけ俺を叩きたいんだよ!」
女「あー、止められちゃったか」
男「伊達に元軍人ですから」ぱっ
女「ぐぬぬぬ……」
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:17:17.14 ID:6nXk6j+9o
男(まだ何かするつもりか)
女「よし…」
女「それなら本来の使い方で…」カチャッ
男「やめてください死んでしまいます」
男「っていうか銃口を俺に向けるな」
男「安全装置が掛かっているとはいえ、もし何かの間違いで弾が発射されたら俺はどうなる?」
女「ハッ!」サッ
女「…ごめん」
女「私もちょっと度が過ぎちゃったね…」
男「ははっ、いいさ。これくらいふざけないとこれから先やって行けないしな」
女「うん…」
男「勿論、限度はあるけどな」
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:18:33.20 ID:6nXk6j+9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
正午過ぎ
ブロロロ…
カタカタ…
女「男…」
男「何だ?お腹が減ったなら勝手に横で何か食べてていいんだぞ」
女「ありがと、でもそうじゃなくてね…」
男「うん?」
女「…昨日の夜、男が私と出会う前の話をしてくれたでしょ?」
男「ああ…」
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/08(木) 23:19:49.47 ID:6nXk6j+9o
女「運転しながらでいいから、私の話も聞いてくれたらいいなって…」
男「……俺は構わないし寧ろ気になるが…」
男「無理して話さなくてもいいからな。辛い体験してきたんだろ…?」
女「それはそうだけど…」
女「……男も辛い目に遭ったのに、その話を私にしてくれた」
女「だから今度は私の番ってことで…ね?話させて?」
男「……わかった、しっかり聞くよ」
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/08(木) 23:24:22.13 ID:6nXk6j+9o
今日はここまで
明日、過去編を投下して第四部は終わりです
え?シリアスが無いって?
これから落とすんだよこれから…
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2011/09/09(金) 03:07:11.19 ID:DJurSf0uo
きたいしつる
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:31:04.01 ID:N/zXLQAUo
― ― ― ― ― ― ― ―
朝
村A、とある宿屋の一室
…ガチャッ!
女姉「女!」
女「わっ」ビクッ
女「ノックしてよ!」
女姉「今はそんな事を言っている場合じゃないの!」
女「え?」
女姉「B国軍が来たわ!逃げるわよ!」
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:33:11.72 ID:N/zXLQAUo
女「え?お姉ちゃん、本当?」
女姉「いいから早く着替えて!」
女姉「私とお母さんは下で待っているからね」
バタンッ
タッタッタッ…
女「……」
―わけがわからなかった
―姉さんは私にそれだけを伝えるとすぐにドアを閉めて部屋から出て行ってしまった
―ちなみに姉さんは私より3つ年上の18歳で、男と同じくらい
―私と姉さんは村の中でも仲の良い姉妹としてよく知られていた
―え?兄さん?兄さんは……
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:34:37.34 ID:N/zXLQAUo
―私は姉さんに言われた通り、すぐに着替えて、
―2階の自分の部屋から1階まで急いだ
―宿屋だから1階には受付カウンターがあって、その目の前に出入り口が、
―そしてカウンターの奥に裏口があるの
―姉さんとお母さんは丁度そのカウンターと出入り口との間で私を待っていた
女「…お待たせ」
女(ドッキリとかじゃないよね…)
女母「女も来たね、これで3人揃った」ヨシ
タタタタ…!バン…!バン…!
「きゃぁあああああ…‼」
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:35:40.41 ID:N/zXLQAUo
女「い、今の…」
女姉「…まさか…虐殺?」
女「そ、そんな…ほんとにB国軍が来たなんて…」
女「私達も殺されちゃうの?」
女姉「だから逃げるのよ!」
女姉「お母さん、女も来たし早く逃げよ?」
女母「ええ、そうね……まずは小屋の方まで逃げるのよ!」
女姉「そこで最低限の物とかを調達していくのね?」
女母「そうよ」
女姉「小屋に行くんだったら、家の外にある地下道を使ったらどう?」
女母「…そうしようかしらね」
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:36:31.64 ID:N/zXLQAUo
女「やった!そうするならやっとお父さんの作った地下道の場所がわかる!」
女姉「…」
女母「…」
女姉「…やっぱり、やめておいた方が良いんじゃない?」
女姉「あそこ、女には危険な場所だと思う」
女「……そろそろ子供扱いやめてくれないかな」
女姉「…そういう意味じゃなくて、本当にあそこはいつ崩れてもおかしくないというか…」
女母「…そうね…あの人の作ったものなんて信用出来ないし…」
女「……とか言いつつ、小屋は物置としてしっかり機能してるじゃん」
女姉「…信用出来ないから物置として機能させているんじゃない」
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:37:27.09 ID:N/zXLQAUo
女「……なるほど」
女母「…お父さんには悪いけど、」
女母「あの地下道への入り口へは、向かっている途中でB国の兵士に見つかってしまうかもしれないし…」
女姉「うん…あそこまで行くのはちょっと危険だよね…」
女「……あそこってどこですか」
女(私だけ場所を知らないなんて理不屈……)
女母「……となると…森の中を通って直接行く事にしましょう」
女姉「おっけ、そうと決まれば」
ガチャッ!
女・女姉・女母「!」
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:38:38.01 ID:N/zXLQAUo
B兵「」ササッ!
B兵「」カチャッ!
女「ひぃ…⁉」
女姉「(…女!私の後ろに!)」ぐいっ
女「わっ」
B兵「おい、動くな」カチャッ
女母「…」
女母「……私達に何故銃を向けるのですか?」
B兵「黙れ」
女母「…貴方は…罪無き人々を殺してまで祖国の為に戦うのですか?」
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:39:27.10 ID:N/zXLQAUo
B兵「黙れと言っているだろ!」
女姉「お母さん、言う通りにして!」
女母「……」
女母「兵士さん、本当はこんな事したくないんでしょう?」
B兵「……」
女「……」
女姉「……」
B兵「…」ガタガタ
B兵「……くそっ、黙れってんだよこの糞アマ…」カチャリ…
女(よかった、銃を下げてくれた…)
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:40:27.36 ID:N/zXLQAUo
B兵「…俺だってこんな事するために来たんじゃないんだよ本当は…」
女母「…」
B兵「俺の大事な連れがどうしても戦争に行きたいって言うから」
B兵「俺はそいつのケツを守りに来ただけなんだよ…!」ブルブル…
女母「貴方は優しいのですね…」
B兵「…違う…臆病なだけだ…」
女母「いいえ、ある人の為に命を懸けて付いて行くなんて、」
女母「臆病者ならとても出来ない事です」
B兵「………」
B兵「……お前達…早く逃げろ」
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:41:44.94 ID:N/zXLQAUo
B兵「今は俺1人だが、じきに憲兵隊も来るだろう…」
女母「…はい、ありがとうございます」クルッ
女母「女姉、女、裏口から逃げるのよ!」
女・女姉「…」コクッ
女・女姉・女母「…」タッタッタッ
憲兵「おい!」タッタッタッ
B兵「!」
憲兵「貴様!なにぼーっと突っ立っているんだ!逃げられるぞ!」スチャッ!
バン!
女・女姉「ひゃあ!」「きゃっ!」
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:43:07.16 ID:N/zXLQAUo
女母「…」ピタリ
女母「…」クルッ
女姉「⁉」
女姉「お母さん⁉何で立ち止まって…」
女母「私はいいから早く行きなさい!」
女「え、そんな…」
バン!
女「ひぃ!」
女母「お母さんは大丈夫だから!」
女姉「………女、行くわよ!」ぐいっ!
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:43:59.58 ID:N/zXLQAUo
女「……ぅん」
タッタッタッ…
―お母さんを見たのはこれが最後
―無事私達は裏口から出て、小屋から逃げる事ができた
―今思えばお母さんは、私達が小屋まで逃げ切れるようにB国の兵士達に時間稼ぎをしてくれていたんだと思う
―そうでなければ、私達はきっと小屋に向かっている途中で捕まっていた…
―…お母さんは私達の為に命を犠牲にしてまで助けてくれたんだと思う。いや、きっとそう
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:44:57.08 ID:N/zXLQAUo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロ…
カタカタ…
男「……君のお母さんは立派だよ」
女「…うん」
男「我が子を守りたいが故に自分を犠牲にしたのか…」
女「……」
男「あ、すまん!つい悪い感じな言い方になってしまった」
女「ううん、何ひとつ間違ってないからいいよ」
男「…そうか…お前の母さん、ちゃんとしたところでもう一度会って話でもしたかったな…」
217 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:45:47.52 ID:N/zXLQAUo
男「…でもそんな資格、俺にはないか…」
女「ううん、天国にいるお母さんはきっと、男に少しの間だけでも、殺さなくてありがとうって感謝しているはず」
男「……ははっ、そんな事で感謝されてたまるか」
男「……もし、俺があの時救う事が出来たなら感謝されてもいいけどな…」
女「…」
男「…あとさ、話を変えるが、お前の家に最初に入って来た兵士って…」
女「……ひょっとしたら友さんかもね…」
男「何か特徴とか覚えているか?」
女「ごめん、私、あの時は怖くてよく見てなくて……特徴とかは…」
男「そっか……」
218 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 19:46:48.33 ID:N/zXLQAUo
男「だが、仮に友だとしても、そうじゃないにしても、そいつへの感謝を忘れずにな」
女「うん、わかってるよ」
女「……そろそろ話の続きをするとしますか…」
男「わーわー」パチパチ
男「…」サッ
女「……」
男「……」
女「…今、ハンドルから手離したよね…」
男「……気のせいだ」
女「……」
219 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:03:19.34 ID:N/zXLQAUo
― ― ― ― ― ― ― ―
正午前
小屋
タタタタン……ドォン……!
女姉「銃声が沢山聞こえる…。本格的に虐殺が始まったんだわ…」
女「ね、ねぇお姉ちゃん…」
女姉「なぁに?」
女「お母さんは大丈夫なの?」
女姉「……」
女姉「……きっと、大丈夫よ」
220 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:04:05.13 ID:N/zXLQAUo
女「何なのその間は…」
女「お母さん、もう何時間も待っているのに来ないし…」
女姉「……女」
女「?」
女姉「最悪、何時まで待っていてもお母さんが来ない場合は、」
女姉「私達2人だけでも何処か遠いところへ逃げるわよ」
女「そんなっ!お母さんを置いてなんていけるわけないでしょ!」
女姉「…万が一の場合よ。あくまでも」
女「……お母さんは必ず来る」
女姉「……」
221 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:05:44.41 ID:N/zXLQAUo
―その後も数時間待ち続けた
―姉さんは冷静だったけど、その時の私にとってはそれが逆に怖かった
―どうしてそんなに冷静にいられるのかがわからなかった
―そんな疑問を胸の内に仕舞い込みながらも、夜になると身体の疲れからか、急に眠気が襲ってきた
―私は何時の間にか眠ってしまっていた
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌朝
女「……ぅぅん…」
女「…おねぇ…ちゃん?」
222 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:06:46.39 ID:N/zXLQAUo
女姉「ふふふ、女の寝顔があまりにも可愛かったもんでつい膝枕しちまったぜい」ニコニコ
女「…ははは、お兄ちゃんだったら今この場でアッパー食らわしてたよ」
女姉「おーこわいこわい」
女「…起きるね」バッ
女「…」キョロキョロ
女「暖炉…あったかいね…」
女姉「そうね。まさかここでお父さんの作ったものが役立つなんてね…」
女「はは…」
女「……ところでお母さん、まだ来てないの?」
女姉「…うん」
223 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:10:43.77 ID:N/zXLQAUo
女「そう…」
女「………はぁ」
女(…お母さんは…きっとまだ生きているよね…)
女(…すぐに来ないのは、何かの理由があるはず)
女姉「……女」
女「なに?」
女姉「……あまり…言いたくないんだけどね…」
女「…」
女姉「…もう…お母さんはここには来ないと思うの…」
女「……どうして」
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:11:56.47 ID:N/zXLQAUo
女姉「……銃声はもうしないし、人の悲鳴も止んだ…」
女姉「…それなのに…お母さんは来ない…」
女姉「……B国の兵士は私達を容赦なく殺すって聞くし…」
女姉「…お母さんは……もう……」
女「そんな事あるわけ無いでしょ⁉」
女姉「っ…」
女「私達がお母さんを信じないで、誰が信じるの⁉」
女姉「……」
女姉「…女…時には諦める事も肝心なの」
女「っ!」
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:13:54.25 ID:N/zXLQAUo
―この言葉に私は我慢ができなかった
女「お姉ちゃんはお母さんの事を見捨てるの⁉」
女姉「そうじゃなくて…」
女「…もういいよ…お姉ちゃん」
女「お姉ちゃんは1人で逃げて」
女姉「え?何を言ってるのよ?」
女「もしかしたら、お母さんはまだ生きているかもしれない」
女「……違う。生きている」
女「私、村に戻ってお母さんを探してくる」タッタッタッ
女姉「女!無茶よ!よく考えなさい!村にはまだB国軍がいるのよ!」
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:14:36.64 ID:N/zXLQAUo
女「…だからって見捨てるわけにはいかないでしょ…」
ガチャッ…ギィィィ…
ビョオォォオゥ・・・
女「……私達の家族なんだから」
女姉「女!待って!」タッタッタッ
女「…」ザッザッザッ
女姉「寒い…凄い吹雪……」タッタッ、ピタッ
女姉「女!今すぐ戻りなさい!無駄よ!そんな事しても!」
女「…」ザッザッ
女姉「もう…普段なら言うこと聞くのに…」
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:20:06.50 ID:N/zXLQAUo
女姉「……お母さん…どうしたらいいの?」
女姉「……だめだめ。お母さんはもう…いないの」
女姉「私が1人であの子を守ってあげないでどうするのよ…!」
女姉「まずはあの子を止めないと…!」
女姉「女!」ザッザッザッ
女「…」ザッザッザッ
女姉「…本気出すか」ザッ!
女「…」クルッ
女「!」
女「…速い…!追い付かれちゃう…!」ザッザッザッ
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:20:51.70 ID:N/zXLQAUo
女姉「…」ザッザッザッザッ
女「はぁ…はぁ…」ザッザッ
女姉「……」ザッザッザッザッ
女(足音がどんどん近くに…)ザッザッ
女「…はぁ…はぁ」ザッザッ
女(…はぁ…なんで私お姉ちゃんから逃げてるんだろう)ザッザッ
女(…よく考えなくても、私1人じゃどうする事も出来ないって事くらいすぐにわかるのに)ザッザッ
女姉「つ…かまえたっ!」ぎゅっ!
女「っ…」
ドサッ!
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:21:35.34 ID:N/zXLQAUo
女姉「……はぁ…はぁ…」
女「…はぁ…はぁ…」
女姉「女!お母さんはもう死んだの!助けに行こうなんて馬鹿な事は考えないで!」
女「これからは私達2人で生き抜いていくのよ!」
女「……」
女姉「!」ハッ
女姉「ご、ごめん…。死んだと決めつけるなんて…最低だよね私…」
女「…」
女姉「…生きている事を信じるのが普通なのにね…」
女「お姉ちゃん……」
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:22:24.79 ID:N/zXLQAUo
女姉「……最低だよほんとに…」グスッ
女「……」
女姉「ごめんね女。こんなお姉ちゃんで…」グスッ
女「………ううん…いい…」
女姉「……うう…グスッ」
女「……私もごめんなさい…」
女姉「うぅ……」グス
女姉「……女までいなくなって欲しく無いの…!」ぎゅっ
女「……それはお互い様」ヨシヨシ
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:23:13.75 ID:N/zXLQAUo
―その後、小屋に戻ってから姉さんは私に話してくれたんだけど、
―姉さんは冷静に見えたけどそれは私を安心させる為であって、
―実は内心ではとても焦っていたらしく、
―姉さんはそのせいで物事をリアルに受け止め過ぎてしまい、
―ついにはお母さんが死んだと決めつけるまでに至った
―と、姉さんはいつも通りの冷静さを取り戻してそんなような事を言っていた
―…程無くして仲直りを果たした私と姉さんは、悩みに悩みぬいた結果、
―開き直って私達2人だけで逃げる事になった
―しかし、外は吹雪
―流石にこの悪天候で出発するというのは酷というもの
―この吹雪ならB国の兵士もここまでは来ないだろうと判断して、吹雪が少し弱まるのを待つ事にした
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:24:51.44 ID:N/zXLQAUo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
正午過ぎ
小屋内
女「……吹雪、ちっとも弱まらないね…」
女姉「うん…。まったく…女と違って全然素直じゃないな。この吹雪は」
女「……どっちかって言うと、この吹雪はお兄ちゃんみたいに粘り強いかな」
女姉「ああ、兄ちゃんは確かにそうだね。良い意味でも悪い意味でも」
女「異常に諦めが悪いんだよね…」
女姉「そうそう、それでレジスタンスになるとか言ってこっちの言う事も聞かずに出て行っちゃって…」
女「……ただ単に強情なだけかもしれないね」
女姉「ふふっ、そうね」
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:25:35.22 ID:N/zXLQAUo
ザッザッ…
※「こ……ある…じゃないか」
※「な…に……れか………か?」
女「お姉ちゃん、人の声が…」
女姉「ちょっと窓から覗いてみるね」タッタッ
女「そっとね…」
女(村人ならいいんだけど…)
女姉「…」チラッ
女姉「!」
女姉「(女!今すぐ何処かに隠れて!)」
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:26:33.47 ID:N/zXLQAUo
女「(え?もしかして兵士?)」
女姉「(ええそうよ、早く)」
女「(地下道の場所は?)」
女姉「(近くに来てるから教えている暇はないわ!箱の裏とかに隠れて!)」
女「コクッ」ササッ
女姉「(私はこっちの箱の裏に隠れるからね)」ササッ
女姉(あ、果物ナイフみっけ)
女姉(いざという時に…使えるかな?)カタッ
ガチャッ!…ギィィッ!
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/09(金) 20:28:01.87 ID:N/zXLQAUo
憲兵1「…」カチャッ!
憲兵2「…」
憲兵2「奴等は?」
憲兵1「…誰も見当たらないが、暖かい」
憲兵2「ついさっきまで人がいたようだな」
憲兵1「隠れているなら出てこい!」
憲兵1「今出て来れば、楽に死なせてやらない事もないぞ!」
憲兵2「……そんな脅しで出てくる馬鹿がいるかよ…」
憲兵1「いや、C国人は低脳だからな。すぐに自分の命を諦めて出て来ると思ったんだが」
憲兵2「いや、奴等は意外としぶと聞くぞ」
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:29:26.01 ID:N/zXLQAUo
憲兵2「まぁ、例えるならばゴキブリと言ったところか」
憲兵1「ははっ、それは奴らにはぴったりな例えだな」
憲兵2「だろ?」
憲兵1「ああ」
憲兵1「……取り敢えず、誰かが隠れていないか見てくる」
憲兵2「わかった、後ろは任せろ」
憲兵2「それと、『誰かが』じゃなくて『何かが』だろ?」
憲兵1「おっと、そうだったな」
女姉(…C国の人達をそんな風に思っているなんて…)
憲兵1「…」スタッ…スタッ…
憲兵2「…」スタッ…スタッ…
237 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:31:54.10 ID:N/zXLQAUo
訂正
>>235
憲兵2「いや、奴等は意外としぶと聞くぞ」
しぶと→しぶといと
238 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:33:10.62 ID:N/zXLQAUo
女「…」ドキ…ドキ…
女(こ、このままじゃ…私もお姉ちゃんも見つかって…)
女(…殺される…!)
憲兵1「…」スタッ…スタッ…
憲兵2「…」スタッ…スタッ…
女姉(……私のところを通り過ぎた…)
女姉(…でも、向こうには女が…!)
女姉(どうするの私⁉どうすればいいの私⁉)アセアセ
女姉(このままじゃ…女が…女が……)
殺される…!
239 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:34:22.41 ID:N/zXLQAUo
憲兵1「……ん?」ピタッ
女「!」
憲兵1「お」
―…その時、私と兵士の目が合ってしまった
女「…ぁぁ…」
憲兵2「…どうした」チラッ
憲兵1「……ゴキブリを一匹発見した」
女姉「!」
女姉(…女が…殺されちゃう…!)
女姉(…そ、そうだ、このナイフで……後ろからあいつ等を……)ギュッ
240 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:37:54.71 ID:N/zXLQAUo
女姉(…そうするしか…女を助ける方法は…ない…!)
憲兵1「…拳銃で十分だな」スチャッ
女「…ひッ!」ガクガクブルブル
憲兵2「…楽に死なせてやれ」
憲兵1「ああ」
女姉「っ!」サッ!
憲兵2「⁉」
女姉「」タタタッ!
サクッ!
憲兵2「う゛ッ…!」
女姉「……」
241 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:39:11.85 ID:N/zXLQAUo
憲兵1「!」
憲兵2「がはッ…」ドサッ!
憲兵1「どうした⁉」クルッ
女「お姉ちゃん!」
女姉「…逃げて!女!」
女「!」
女(だめっ、ここで逃げたらお姉ちゃんが危ない!)
女(こいつの持っている拳銃を奪えば…!)
女「…ふんっ!」パシッ!ギュッ!
憲兵1「うぉっ⁉」
カタンッ!
242 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:41:00.28 ID:N/zXLQAUo
女姉「女!何をして…⁉」
憲兵1「しまった、拳銃を落として…」
女「今のうちにっ」スチャッ!
女「…」
女(……後は…引き金を引くだけ…)
女(……なのに)
女「……」カタカタ…
憲兵1「はは…お嬢ちゃん、手が震えているじゃないか…」
女「……ぅぅ」カタカタ…
女(……引き金を引くだけなのに…)
243 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:42:15.13 ID:N/zXLQAUo
憲兵1「お嬢ちゃん、良い子だから、その銃を下ろしてくれないかな…?」
女「……」カタカタ…
憲兵1「下ろしてくれたら君達にはもう何もしないと約束する」
女「……」カタカタ…
女(…だめ…私には人を殺すなんて事はできない……)
女「……」カタカタ…
女「…」サッ…
憲兵1「よし、良い子だ」
憲兵1「…では…」
憲兵1「」ヒュンッ!
ベシッ‼
244 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:43:35.98 ID:N/zXLQAUo
女「きゃッ‼」パッ
カタンッ!
女(あ、銃が…!)
憲兵1「…」スチャッ!
憲兵1「…とり返したぞ…」
憲兵1「……この…糞餓鬼が!」
女姉「っ!」サッ!
サクッ!
憲兵1「ぐッ‼」
女姉「…」パッ
245 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:44:22.89 ID:N/zXLQAUo
憲兵1「う゛う゛…はぁっ…」
憲兵1「はぁ…はぁ…うああっ…」
憲兵1「…ぅぅ……あぁぁ…」ドサッ!
憲兵1「」
女姉「……死んだ…」
女「……」
女姉「…女、大丈夫?怪我は無い?」
女「う…うん…なんとか…」
女姉「そう…よかった…」
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:45:11.51 ID:N/zXLQAUo
憲兵2「…くっ……」カチャッ…
女「!」
女「お姉ちゃん後ろ!」
女姉「え?」
バァァァン!
女姉「ッ」
女姉「」ドサッ
女「お姉ちゃん!」
247 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:46:46.04 ID:N/zXLQAUo
―…姉さんは私の目の前で力無くその場に倒れ、
―それと同時に姉さんを撃った兵士も力尽きた
―私はすぐに姉さんに駆け寄って何度も呼びかけたが、
―ついに返事が返ってくる事はなかった
―…私の頭の中は悲しみというよりも孤独感で一杯になり
―頭がおかしくなりそうなのを必死に抑えた
―私はまたいつかB国の兵士が来るかもしれないという恐怖に怯えた…
―だけど1人で逃げる決心がなかなかつかず、結果的に私は拳銃を常に抱えこんで小屋に引き篭もっていた…
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:49:01.53 ID:N/zXLQAUo
―が、小屋の中は姉さんと兵士2人の亡骸
―そのままにしておくのは姉さんにも悪いし、何よりも目の前に死体があるという事実に私の精神は我慢ができなかった
―なので私は兵士2人の死体と姉さんを身の凍えるような寒さの中、土葬をし、
―小屋中に生々しく飛び散った血を雑巾に雪解け水を濡らして拭き取った
―この『作業』をしている最中、私の頭の中はもう何もかもがどうにでもよくなっていたせいか
―涙を一滴たりともこぼす事は決して無かった…
―…あの時の私は、男に会って助けてもらうまで、
―本当の私とは言えなく、
―もはや別人のようだった
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:50:26.94 ID:N/zXLQAUo
―― ― ― ― ― ― ― ―
ブロロロ…カタカタ…
女「…その吹雪の日の夜、私は男と出会ったんだよ」
男「……」
男「すまん…言葉がでない…」
女「はは…」
女「あとね…」
女「…私達で小屋の外に死体を運んでいた最中、」
女「私が、」
『あそこはだめ、その…えっと、苗木があるから!』
女「って言ったでしょ?」
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:51:16.71 ID:N/zXLQAUo
男「…ああ」
女「…もうわかってるかもしれないけど…」
女「……ほんとは苗木なんかが植えてあるわけじゃないの」
女「…あそこには…姉さんが眠っていてね…」
男「……」
女「…出来るだけ姉さんをB国兵士から遠ざけてあげたくて…」
女「兵士の死体は全て姉さんとは少し離れた場所に埋めてあるの…」
女「男と一緒に埋めた死体もね…」
男「……そうだったのか」
女「ごめん、今まで隠してて…」
251 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:52:37.69 ID:N/zXLQAUo
男「…隠してたわけではなくて、話す機会が無かっただけだろ?」
女「…それもあるんだけど、話しにくかったのは事実」
女「……でも、これでフェアだね」
男「…お互い、もう辛い出来事は話したもんな」
女「うん…」
男「……こういう事言うのもなんだが…」
男「俺達結構お似合いじゃないか?」
女「ははっ…そうだね」ニコッ
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 20:53:49.98 ID:N/zXLQAUo
男「⁉」
男「……いや、そこは否定してくれよ…」
女「えっ」
男「…ボケのつもりだったんだよ…」
女「…」
女「」カァァァ
女「……チョップ」ビシッ
男「いてっ」
第四部 完
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/09(金) 21:01:41.34 ID:N/zXLQAUo
なんてこった
ざっと10日近く掛かかってしまった
実行しておいてなんだけど、やっばり切りのいい所まで書き溜めて投下した方がやり易いかもしれぬ
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/12(月) 19:24:13.50 ID:1DTx9TUlo
もしもし特有の誤字に誰の突っ込みも無くてワロタwww
ワロタ…
気まぐれに少しだけ投下
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/12(月) 19:25:24.30 ID:1DTx9TUlo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夕方
男「…」カチャッ
キィキィキィ…
男「…」カチャッ
キィキィキィ…
女「エンジン、掛からないね…」
男「……ここまでか」
女「燃料が尽きたちゃったんじゃ仕方が無いよ…」
男「…戦争中なんだし、この車に少しでも燃料が入っていた事だけでも幸運だったんだ」
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/12(月) 19:26:46.12 ID:1DTx9TUlo
女「うん、そうだね」
女「そもそもこの車を使えたのも渡りに船みたいなもの」
女「それに十分な距離をこの車で移動できたし、同時にB国軍をより引き離す事もできた」
男「うむ、そうだな」
男「さて……」
男「どうするかな……」チラッ
男「……」
男「綺麗だな…夕日が…」
女「うん……」
男「……こういうのを眺めていると、戦争が起こっている事なんて忘れてしまいそうだ…」
女「…少なくとも今ここでは起こっていないよ」
257 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/12(月) 19:30:45.15 ID:1DTx9TUlo
男「ははっ、厳密に言えばな」
女「……ふぁぁ…」
女「なんだか眠くなってきちゃった…」
男「俺も…」
女「……」クラッ…クラッ…
男「明日はまた徒歩だろうし、今日はもう寝て明日に備えようか」
女「…ぅん……お休み……」
男「そのまま寝ると冷えるぞ」
女「……」
女「……くかーっ」zzz
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/12(月) 19:32:02.46 ID:1DTx9TUlo
男「…寝るのはえーよ」
男「仕方ない…車に毛布を積んで来たから、かけてあげるか…」
男「…」ガサゴソ
バサッ…
男「……これでよし」
女「すー……すー……」zzz
男(……なんて安心しきった顔だ)
男「……俺も寝るか」
男「おやすみ、女」
女「……」zzz
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/12(月) 19:35:21.22 ID:1DTx9TUlo
続く?
…IDがDTて
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)
[sage]:2011/09/12(月) 21:53:06.19 ID:P9+YhFzKo
おっつおっつ
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/14(水) 22:47:49.25 ID:bKkvlA4jo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜明け
男「………んー」
男「…大分寝てしまったな……」
男「おい、女…」チラッ
男「⁉」
男(いない…)
男「どこへ行ったんだ?」キョロキョロ
男(外がまだ暗くて、よく見えないな…)
262 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/14(水) 22:48:48.40 ID:bKkvlA4jo
男「あ!」
男(居た! けど、様子が…)
?「大人しくしてろ…!」ガシッ
女「ーっ! ーっ!」ジタバタ
男(……どう見ても拘束されているじゃないか!)
男(口は布で締め付けられている!)
男(助けないと!)バッ!
ガチャッ!
男「…」スタタ
男(あいつが着ているのは軍服か?)
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/14(水) 22:49:41.84 ID:bKkvlA4jo
大男「!」ササッ
大男「…」ガシッ!
男「うがっ!」
男(しまった、後ろにもう1人居たか…!)
大男「…」ギュッ!
男「っ!」
女「ーっ!」
男(くそっ、こいつ後ろから首を絞めてきやがる…!)
女「ーっ!」ジタバタ
?「……暴れるな!」ドスッ!
女「ッ!」
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/14(水) 22:51:41.08 ID:bKkvlA4jo
男「!」
男「おい…! やめろ…!」
?「そいつは気絶させておけ」
大男「…」コクッ
大男「…」ガシッ!
ブンッ!
ドサッ‼
男「ぐはッ!」
男「……くっ…」チラッ
大男「…」ジーッ
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/14(水) 22:53:24.21 ID:bKkvlA4jo
男(ッてぇ……)
男(顔面から地面に叩きつけられちまった…)
男(身体が思うように動かない…)ググッ…
大男「…」スタッスタッ
男(それにしてもなんだこの身長の高さとがたいの良さは…)
男(格好は普通の農夫に見えるが…)
大男「…」カチャッ
男(おい……今度は銃床で殴るってか?)
女「ーっ!」
大男「」ヒュンッ!
ドゴッ‼
・・・
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/14(水) 22:55:15.15 ID:bKkvlA4jo
また近日中に投下しますね
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/16(金) 19:22:29.19 ID:3ezREFs3o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…………?
…ここは……どこだ…?
友「…」
…友⁉
友「…」
……友なのか⁉
友「…」
おい! 何とか言えよ!
友「…男」
おおう⁉
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:23:17.04 ID:3ezREFs3o
友「どうした、そんなに驚いて」
いや、てっきり無言のままで通すかと思ってたからさ…
友「はははっ……死人は口開くなってか?」
すまない、そういう意味じゃ無いんだ
友「…無言のままじゃ、俺がお前の目の前に現れた意味が無い」
…じゃあ何か忠告でもしに来たっていうのか?
友「まぁ、そんなところだ」
なんだ、さっさと言ってみろ
友「…わかった」
友「……お前と一緒にいる女って娘がいるだろ…?」
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:24:07.04 ID:3ezREFs3o
ああ、羨ましいだろ
友「……お前もわかっているだろうが、あの娘は誰か頼れる、つまりは縋れる人が居ないと生きていけない人間なんだ…」
……ああ、だから俺が今、その『縋れる人』になっているんじゃないか
友「そうだな……。だがな…」
友「…悪い事は言わない。その娘の事を思うなら、その娘に長く生きて欲しいなら…」
友「その娘にとって別の『縋れる人』を探すんだ」
…何でだ? 俺じゃあ、守りきれないっていうのか?
友「……理由は…言えない」
……
友「…すまない」
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:25:23.81 ID:3ezREFs3o
……いや、良いさ。俺だって女には幸せに強く生きて欲しい…
…言えないって事はそれなりの事情があるんだろ?
友「……うむ、その通りだ…」
…だったらやむなしだ
友「…すまないな」
…友、話を変えるが…
友「何だ? 手短かに頼む。もう時間が無いからな」
そうか…なら一言で言おう
………あの時、救えなくてごめんな…
友「……」
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:26:11.10 ID:3ezREFs3o
それだけが言いたかっただけだ
許せとは言わない
友「……許すも何もお前を恨んじゃいない」
友「…ただ…これだけは言わせてくれ」
…
友「最期まで…強く…生きろ」
友「…そして、あの娘に強く生きて欲しいのなら、さっき俺の言った事を強く胸の内に仕舞っておけ。いいな?」
…ああ。しっかりと胸に刻んだよ…
友「……もう時間だ」
もうか。
…じゃあな、友よ
友「ああ、さらばだ…」
・・・
272 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:27:43.40 ID:3ezREFs3o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブロロロ…
ガタガタ…
男「……ぅぅ…」
男(今のは…夢…?)
男「……ここは…?」キョロキョロ
男(どうやら俺はトラックの荷台に乗っているようだな)
男(で、何だこの人達は…)
男(見たところ、皆民間人っぽいが…)
※「おはようさん」
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:28:45.06 ID:3ezREFs3o
男「…あ、おはようございます」
※「お前さん、随分と寝ていたな。もう覚めねえかと思ったぜ」
男「……いきなりですまないが単刀直入に訊く」
※「おう?」
男「このトラックは何だ? どこへ向かっているんだ?」
※「……お前さん、その様子じゃ、気絶させられて無理やり連れて来られたようだな」
男「…!」
男(ああそう言えば、俺は銃で殴られてそれから……)
男(……思い出せない。おそらくその後すぐに気絶したんだろう)
※「何もわかってねえようだし教えてやるよ」
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:30:27.02 ID:3ezREFs3o
※「…このトラックはA国軍のトラックだ」
男「え、A国軍だって⁉」
※「ああ」
※「そして行き先は…」
※「……地獄だ」
男「」
男「…地獄?」
※「ああそうさ、俺達はこれからその『地獄』へ行って、兵士様方の奴隷となるのさ」
※「辛く過酷な労働が待っているぞ」
男「……なんてこった…」
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:31:24.64 ID:3ezREFs3o
A兵「おい! 貴様ら、口を慎め!」
A兵「B国軍から守ってやってんのはどこの誰だと思ってんだ⁉」
A兵「答えてみろ!」
しーん…
A兵「……むぅ」
A兵「…我々A国軍だ」
A兵「だから貴様らC国民が俺達のために労働をするのは当たり前の事なんだよ」
A兵「命を奪わないだけまだましだと思え!」
男「……」
男(…確かにB国よりかはましだが…)
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:32:11.08 ID:3ezREFs3o
男(…これはこれで最悪なパターンだ)
男(あの見張りのA国兵がいる限り、このトラックから飛び降りて逃げるのも不可能に近い…)
男(飛び降りた途端に蜂の巣だろうな)
男(………あれ?)
男(何か忘れているような…)
男「…」ウーン…
男「!」ハッ!
男(そうだ、女だ! あいつどこにいるんだ?)
男「…」キョロキョロ
男(……居ない。訊いてみるか…)
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:34:07.70 ID:3ezREFs3o
男「な、なぁ、ちょっといいか」トントン
※「なんだ?」
男「俺がここに運び込まれる時に15、6の女の子を見なかったか?」
※「…さぁ、知らんな。俺がこのトラックに乗り込んだ時に既にお前さんがいたが、」
※「女性は1人も見ていない」
男「そうか……」ガックリ
男(…別のトラックに乗っているのか?)
男(無事でいればいいんだが…)
※「そもそも、女・子供は俺達男とは違う別の場所に送られるらしいが」
男「そうなのか」
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:35:31.28 ID:3ezREFs3o
※「周りを見たって、野郎ばっかりだろう?」
男「…」キョロキョロ
男「そう言えばそうだな」
男「…女・子供も働かされるのか?」
A兵「勿論だ、男には男の仕事。女・子供にはそいつ等の仕事がそれぞれ用意されている」
男(…さりげなく口を挟みやがった)
男「教えてくれてどうも…」
A兵「…別にお前のために教えた訳じゃねえよ」プイッ
男(女・子供もタダで保護してくれるわけじゃないんだな…)
男(向こうの方も過酷な労働じゃなきゃいいが…)
・・・
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/16(金) 19:38:32.33 ID:3ezREFs3o
続く
ふぇぇ…最近レスが少ないよう…
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/09/16(金) 19:51:05.68 ID:K2nMGvRBo
ふぇぇ…乙だよう
281 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2011/09/16(金) 20:09:33.84 ID:Ou9S2dz9o
>>279
>>1
よ、良い事を教えてやろう
この板の住人の大半はROM専だ
「1レスあたり100人のROM専がいると思え」
なんて言葉があるくらいだからな
いいか?これから俺は「乙」と一文字だけうつがこれは俺一人の激励の言葉じゃない
100人分の乙だっ‼
乙
282 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2011/09/18(日) 02:38:44.81 ID:aykiQZXFo
>>1
乙
べ、べつに
>>1
が寂しそうだからレスしたんじゃないんだからねっ///
283 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:00:14.00 ID:Am9USByyo
ありがたや…
こうしてレスを貰うのも嬉しい反面、書き手としてなんか情けないな
10レスくらい投下します
284 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:01:49.21 ID:Am9USByyo
ダァァン!ダダダッ!
※「銃声だ!」
男「⁉」
※「身を低くするんだ!」
他民間人「…」サッ
男「一体誰が…」サッ
ダダダンッ!
A兵「なぁに、こっちは車なんだ、すぐに逃げ」
ズシュッ!
A兵「ぐあっ!」ヨロッ
ドサッ!
ゴロゴロ…
285 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:04:40.36 ID:Am9USByyo
男「…」
男「見張りがいなくなった訳だが…」
※「なんだかわからんが、逃げ出すチャンスだな!」
男「…だが、揺れすぎて立つ事すらままならないぞ」
ダァァン! ダダダッ!
パリーンッ!
「うわぁああ!」
男(硝子の割れる音……運転席が撃たれたのか?)
ガタンッガタンッ
民間人「なんだ、道を外れているのか⁉」
286 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:05:31.16 ID:Am9USByyo
ガタンッガタンッ
男「おい、何処かにぶつかるんじゃないか⁉」
ガタンッガタンッ
…ガシャァァン‼
・・・
男「……ゲホッゲホッ」
「ゲホッ…ゲホッ…。横転しちまうとはな…」
男(木にぶつかったのか…?)
男「……お、おい、大丈夫か?」
※「」
287 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:06:39.97 ID:Am9USByyo
男「……」
男(頭から血を流している…)
男(トラックが横転した時に打ったんだろう)
男「…」にぎっ
男(脈が無い。死んでいる…)
ざわざわ…
「ゲホッゲホッ…おい、今のうちだ。トラックから出て逃げようぜ」
「いや、駄目だ。攻撃してきた連中がどんな奴等かわからないから、下手に逃げようとすると撃たれるやもしれん」
「っ…」
男(一体誰が攻撃を…。ここまでB国軍は来てないはずだが…)
・・・
288 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:08:17.08 ID:Am9USByyo
?「…」タッタッタッ
男「!」
男「来たか…」
男(ましな連中である事を祈ろう…)
?「大丈夫か⁉」タッタッタッ
?「我々はレジスタンスだ!」タッタッタッ
男(レジスタンス…⁉)
?「貴方達を助けに来た!」
「レジスタンスか…。助かった…」
「運が良かったな俺達」
289 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:09:01.99 ID:Am9USByyo
?「少しばかり派手にやってしまった」
?「怪我人はいないか?」
「怪我人どころか巻き込まれて死んだ奴がいるんだが」
?「どこだ⁉」
男「俺の隣で寝ているのがそうだ」
?「…」スタッスタッ
※「」
?「……」ジーッ
男「…?」
?「……ほっ」
男「ほっ?」
290 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:09:52.73 ID:Am9USByyo
?「…いやすまない、不謹慎にもちょっぴり安心してしまってね…」
男「どうしてだ?」
?「身内じゃなかったからだ」
男「ああ…」
?「俺達の攻撃で死んだのか?」
男「…直接弾が当たった訳じゃないが、残念ながらそうなる」
?「…」ジーッ
※「」
?「…申し訳ない」
291 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:10:35.33 ID:Am9USByyo
「おい、そこの若いレジスタンスさん、そいつは運が無かっただけだ」
「あまり気に病むんじゃねぇ」
?「…ああ」
「そんなことより、俺達何所に行けばいいんだ?」
?「おっと、すっかり言うのを忘れていた」
?「このトラックから降りてすぐ左手に進めば、俺の仲間が待機している」
「そこへ向かえばいいんだな」
?「そうだ。貴方達に銃を向ける事は無いから安心して行ってくれ」
「わかった」「おう」「うい」
?「…あっ、やっぱりちょっと待ってくれないか?」
292 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:11:43.76 ID:Am9USByyo
「なんだ」
男「?」
?「…」ガサゴソ
?「…この写真に写っている人達を知らないかな?」ペラッ
「…知らないな」
「…見てない」
「…わからん」
?「そうか…すまない、行っていい」
「…」スタッスタッ
?「君は?」
293 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/09/19(月) 18:13:26.92 ID:Am9USByyo
男「どれ…」
男「…」ジーッ
男「!」
男(女…?)
男「少し貸してくれ」
?「…はい」ペラッ
男「ありがとう」
男(……うん、間違いない。写っている人達の中の1人は女だ)
男(それに、女の左隣に写っている女性は…)
男(…あの時憲兵に殺された…今は亡き母親か…)
?「心当たりがあるのか?」
294 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:14:59.12 ID:Am9USByyo
男「家族写真か?」
?「ああ、そうだが。」
?「左から順番に父、母、おんn…妹2人、そして俺だ」
男「…そうかそうか」
?「?」
男「君が女のお兄ちゃんか」
?「なっ! 君、女の事を⁉」
男「…昨日まで一緒にいた」
?「き、昨日までってどういう事だい?」
?「女は大丈夫なのか⁉」
男「……わからない」
?「何でだよ! くそっ!」
男「」ビクッ
295 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:15:59.83 ID:Am9USByyo
男「おいおい、落ち着いてくれ…」
?「落ち着いていられるなら落ち着いているさ」
?「で、女は何所にいるんだ?」
男「それもわからない」
?「…っ」
男「…だが、まずお前が落ち着いてくれたら、俺がどうして女と一緒だったのか、そしてどうしてはぐれたのかを話してもいい」
?「………」
?「取り乱して悪かった」
?「やっと俺の家族について知っている人に会えたんだ」
?「その話を是非とも聞きたい」
296 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:17:06.66 ID:Am9USByyo
男「…」
男(…もう何人も尋ねたんだろうな)
?「…レジスタンスのキャンプまで付いて来てくれ」
?「話はそこで聞かせてくれないか?」
男「…わかった」
?「…名前は?」
男「男だ、お兄ちゃんは?」
?「やめんかその呼び方は。歳も結構近そうだし…」
男「すまん」
?「…俺の名前は女兄だ」
297 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/19(月) 18:18:16.13 ID:Am9USByyo
男「歳は?」
女兄「20だ」
男「俺はひとつ下の19だ。…よって、」
女兄「?」
男「お兄ちゃんよろしくね」
女兄「ぶん殴るぞこの野郎」
・・・
298 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/19(月) 18:21:30.43 ID:Am9USByyo
IDがUSBとな
では続きはまた近日中に
299 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:14:12.35 ID:LJzhNXgGo
少し投下
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜
女「……」
女「…?」
チャリ…
女「手、手に鎖?」
女「…棒に繋がれている」
女(他にも繋がれている人がいる…)
女「…」ぐいぐい
女「……って無理に決まってるよね」
女(私の力じゃ、外す事も、棒ごと抜いて逃げ出すのも無理かな…)
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:15:53.95 ID:LJzhNXgGo
女「…ここは…どこなの?」キョロキョロ
女(見たところ、何かのキャンプかな…?)
女(沢山人がいるけど……)
女(皆女の人…?)
女(…でもないか。幼い男の子もちらほらいるし)
女(それにしても…皆虚ろな目をしている……)
女(…まるで生きる希望を失っているみたい……)
女(あとは、銃を持った人が2、3人……。B国の兵士じゃあなさそう…)
女(ひょっとして、A国の兵士?)
女「あっ!そうだ。男は何所にいるんだろ…?」
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:17:37.29 ID:LJzhNXgGo
女「……」キョロキョロ
女「…見当たらない」
女兵士「お、お目覚めかい? 新入りちゃん」
女「」ビクッ
女兵士「すまないね。鎖なんかで繋いじゃって…」
女(女性の兵士…⁉)
女「…」オロオロ
女兵士「怯えないで。私は見張りだが君が何もしなければ私も何もしないから」
女「…」
女兵士「……とは言っても、君を仕事場まで連れて行くくらいの事はするけどね」
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:19:01.73 ID:LJzhNXgGo
女「え? し、仕事場? 私に仕事があるんですか?」
女兵士「そう、君には負傷者の看病、手当をしてもらう事になっているんだ」
女「……ふしょうしゃ?」
女兵士「私達A国のね」
女「…え、A国?」ポカーン
女「ここって、A国の何ですか?」
女兵士(混乱しているのか?)
女兵士「ここはC国の東部のA国軍のキャンプ。言わば駐屯地みたいなものだ」
女「A国軍の駐屯地…」
女(どうして私はそんな所に居るんだろう?)
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:19:53.59 ID:LJzhNXgGo
女「すみません、記憶が混乱していて…。少し思い出させて下さい…」
女兵士「……そうか。思いだしたらその……良かったら私に話してくれ」
女「えっ? 別に構わないですけど……何でですか?」
女兵士「……あー、えっとね」
女兵士「軍に入ってから周りが男ばかりでね…」
女兵士「なかなか溶け込めないせいでまともな雑談とやらを暫くしていないんだよ…」
女「あー…」
女兵士「やっぱり女同士の方が話し易いっていうのが身に染みてわかったよ…」
女「それ、私もよくわかります…」
女兵士「…だよね〜」
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:21:16.51 ID:LJzhNXgGo
女「ははっ…」
女兵士「……他のC国の人に話し掛けてもなんか素っ気なくてね…」
女兵士「良ければ私の愚痴に付き合ってくれれば良いなと…」
女「…」
女兵士「まぁ迷惑か…」
女「そんな事無いです!」
女「今はちょっと一人にしておいて欲しいですけど、訊きたい事もいっぱいあるので」
女兵士「そうかいそうかい。それはありがたい」
女兵士「…でも一人にしておいて欲しいという事ならば、私は少しの間ここを離れる」
女兵士「すぐ戻って来るが、その間に記憶の整理が出来ていると祈っているよ」
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/21(水) 23:23:30.49 ID:LJzhNXgGo
女「はい。ありがとうございます」
女兵士「…少しずつ、ゆっくり思い出しても構わないからな」
女「はい…」
女兵士「それじゃ…」タッタッタッ
女「……ふぅ〜」
女(…あのお姉さんは悪い人じゃなさそう)
女「あっ、そうだそうだ…」
女(思い出しておかないと…)
女(えーっと、確か……)
・・・
306 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/21(水) 23:26:42.30 ID:LJzhNXgGo
今日はここまで
次回から酉付けようと思うのでてすと
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/09/21(水) 23:34:33.62 ID:+vcqtLPco
乙
酉あると色々捗る
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2011/09/24(土) 22:26:57.81 ID:R5CEqIkPo
乙
309 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/25(日) 23:53:53.95 ID:cJxFwcKBo
三連休なのに一度も投下できなくてごめんなさい
どんどんペースが落ちてきてますね…
言い訳すると、ダークソウルがだな…
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2011/09/26(月) 01:53:15.42 ID:62uF7Kufo
ペースは人それぞれだし生存報告してくれれば何スレ使っても何ヶ月かかっても気にしないよ
今回楔の神殿みたいに完全に落ち着ける場所がないから止まらないよね
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/09/29(木) 20:27:34.51 ID:0e0YIF8Mo
~~~~~~~~~~~~~~~~~
同じ頃
とある森の村
女兄「…俺がいつも寝泊まりしている隠れ家まであと少しだ」
男「この村、やけに静かで誰も居る気配がないんだが…」
女兄「ここの村人達は皆A国軍に強制連行されてしまったんだ」
男「そうか…」
男(これがB国軍だと虐殺だがな…)
女兄「そして、皆A国の奴隷さ」
男「『守ってやってんだから』を口実にな…」
男「この村には再びA国軍が来る心配は無いのか?」
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:28:39.43 ID:0e0YIF8Mo
女兄「それが幸いな事に、A国軍はここを拠点にはせず、あれから一度もここには来ていないんだ」
女兄「多分、木が沢山あって軍隊にとっては色々と不便なんだろう」
男「木が多いとトラックや装甲車が通り難いからか?」
女兄「大方そんな理由なんじゃないかな」
女兄「おかげで、この村はもうレジスタンスの巣窟さ」
男「いくつかの家が隠れ家なのか?」
女兄「そうだ」
313 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:30:57.31 ID:0e0YIF8Mo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
隠れ家前
女兄「…ここが俺がいつも使っている隠れ家」
女兄「男も入り方は覚えておけ」
男「入り方?」
女兄「こうノックするんだ」
タンタタタッタ…タッタン
男(何そのリズム)
…カチャ
男「おっ、誰かが鍵を開けたのか?」
314 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:32:08.12 ID:0e0YIF8Mo
女兄「いかにも」
ガチャッ…
キィィィ…
少年「よう、おかえりシスコン」
女兄「」ブンッ!
ドゴッ!
少年「だはッ!」
男「…」
女兄「その餓鬼は門番だが放っておいて良いぞ、男」タッタッタッ
男「…あ、ああ。お邪魔します」
315 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:33:35.30 ID:0e0YIF8Mo
少年「…新入りさん…歓迎します……」ピクピク
男「…どうも」タッタッタッ
女兄「地下に下りるぞ〜」
男「なんで地下なんだ?」
女兄「夜は1階や2階で明かりをつけていると敵にバレちゃうからさ」
男「ああそうか。少し考えればわかる事だったな」
女兄「…ま、昼でも結局地下で過ごしている事が多いんだけど」
男「安全だからなのか?」
女兄「うん、1階や2階で過ごすよりも声が外に漏れにくいからね」
・・・
316 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:34:39.57 ID:0e0YIF8Mo
隠れ家地下
男「この地下、結構広いな」
大男「よう、新入りか? ってお前!」
男「あっ! お前あの時の巨人!」
女兄「えっ?」
大男「てんめぇぇええっ!」ドスンドスンドスン
女兄「おい、大男……」
ガシッ
男「くっ…」
317 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:37:06.01 ID:0e0YIF8Mo
大男「おめぇ、B国兵士のクセしてなんでこんなところに来てんだよ?」ぎゅっ…
男「⁉」
女兄「お、おい、いきなり男の胸倉を掴んで何を言って…」
男(な、何故俺がB国兵だとばれたんだ?)
男(正確には『元』B国兵だが…)
大男「あ?答えろよこの糞野郎。どうせスパイでもしに来たんだろ?」
男(……確かこいつ、A国軍の軍服を着た奴と一緒に行動していたよな)
男「少し聞きたい事がある」
大男「上等だ言ってみろよ」
男「……女をどこへやった?」
318 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:38:36.06 ID:0e0YIF8Mo
女兄「!」
大男「女?」
男「いや、それ以前にどうしてお前はA国軍の軍服を着た奴と行動を共にしていた? と訊くべきか」
大男「……」
女兄「おい、どういう事なんだよ2人とも……」
大男「……誤解を生まないためにも一応話しておいてやる」ぱっ
男「……ふぅ」
男(…こんな巨大な男に胸倉掴まれるなんて怖すぎる)
319 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/09/29(木) 20:44:47.13 ID:0e0YIF8Mo
最初の2レスに酉付け忘れすまぬ
一応週に一回は投下するつもりです
それが出来なさそうな場合はまた報告します
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/10/06(木) 22:47:51.07 ID:z8Tv6j2To
>>319
乙!!
いつまでもwktkしながら待ってるからな!!
321 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/06(木) 23:36:28.12 ID:5eTTbTwao
大男「逃げ出そうとしたら容赦しねぇぞ」
男「わかってる」
大男「俺が何でA国軍の奴らと一緒にいたかと言うのかはだな……」
女兄「いや、ちょっと待ってくれないか。話に全く付いていけないんだけど」
女兄「男、君がB国の兵士だっていうのは本当の事なのか?」
男「……」
女兄「……なんとか言ってくれよ」
男「…正しく言えば違う」
大男「はぁ?」
女兄「つまり…?」
322 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/06(木) 23:37:19.96 ID:5eTTbTwao
男「言っても信じてくれないだろうけど俺はB国軍の脱走兵だ」
男「…だから、もうB国の兵士なんかじゃないんだ」
大男「女兄、騙されるなよ。あいつは俺達の仲間を装って、俺達レジスタンスの情報を敵に垂れ流しにするつもりだ」
女兄「……」
男(やばい状況になってしまったな…。なんとかして誤解を早く解かないと女を助けに行く以前に俺自身が危ない)
大男「そうなんだろ?」
男(…冷静になれ。まずはこいつが何で俺がB国兵だとわかったか、何でA国軍の奴等と一緒にいたかを訊き出さないと)
女兄「おい、本当にそうなのか? 男」
男「んなわけ無い。大体俺は訓練期間が一年も経たずしてつい数日前にこの国に送られてきた新米だ」
323 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/06(木) 23:39:02.09 ID:5eTTbTwao
男「そんなひよっこが諜報・工作任務に務まると思うか?」
大男「ああ、だから今お前正体バレちまったんだろ?」
男「……信じてくれないならもういい。…だけど何故お前が俺をB国兵である事を知っていて、何故お前がA国兵と一緒にいたかは話してくれないか」
女兄「大男、俺も何があったか知りたいから話してくれないか?」
大男「……仕方ない。ここは女兄に免じて、今日の夜明けに何があったか話す事としよう」
大男「…言っておくがよ、俺は決してA国のスパイとかそういう類の奴じゃねえからな」
男「お前も怪しいじゃねえか」
大男「黙って話聞かねーとお前の足の小指にタンスの角ぶつけんぞ」
男「すみませんでした」
女兄「……今日の夜明けって事は確か、今日とは別の場所でA国軍のトラックを待ち伏せしたその帰りの時か?」
324 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/06(木) 23:40:05.18 ID:5eTTbTwao
男(昨日も待ち伏せしていたのか)
大男「そうだ。帰りに俺が小便に寄ってから帰るって言っただろう?」
女兄「ああ。…そう言えば帰って来るのが遅かったな。小便にしては。やっぱり何かあったのか」
大男「……実は無事小便を済ませた後にな…A国兵の奴に見つかっちまってな…」
大男「銃の弾が切れていた俺はなす術が無く、そのまま連行されちまったんだ」
大男「その途中にだ。ある車が無防備にも道の上で停まっていたんさ」
男(……あの時はむしろA国軍に見つけて欲しかったからな)
女兄「それで?」
大男「中に2人乗っているのが確認出来たが、2人共寝ているようだった」
大男「A国兵は車の右側からドアを開けて中を調べ始め、俺はA国兵からよく見える、その反対側の場所に車とは逆方向に向かされて立たされた」
325 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/06(木) 23:42:05.85 ID:5eTTbTwao
大男「開けた場所だったもんだから、逃げるのは不可能に近かった」
女兄「逃げようとしたらすぐに銃で撃たれてしまうだろうな」
大男「うむ。……程無くしてA国兵は肩に背負っていた無線を使い、仲間を呼びやがったんだ」
大男「通信が終わると、どうしたことかA国兵は俺に近づいてヒソヒソと耳打ちをしてきた。勿論このとき、俺の背中には銃が突き付けられていた」
大男「そしてこう言ってきたんだ…」
『この中にいる内の1人はB国兵だ』
大男「ってな」
女兄「それが男か?」
大男「そうだ。この糞野郎だ」
男「……」
326 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/06(木) 23:43:00.36 ID:5eTTbTwao
大男「……A国兵は証拠に車の中にあった袋からB国兵士の上着と認識証を俺に見せてくれた」
男(……なるほど、そういう事か)
大男「俺は半信半疑だったが、振り向いてそいつってかこの糞野郎の下の格好をよく見てみると、数ヶ月前に見た事のあるB国兵と殆ど同じだったんだ」
男(俺と女が爆睡している内にA国兵が袋の中を調べ、その中から俺の持っていたB国兵の上着と兵士の認識証を見つけた)
男(おまけに、俺は今だに下半身B国兵士の装備のまま…)
男(そりゃばれるよな…)
男(……B国兵士に絡まれたときの為に上着は持って来ていたんだが……)
男(それが裏目に出てしまうなんて……迂闊だったな…)
327 :
◆AyjrC5NWrU
[sage]:2011/10/06(木) 23:49:35.31 ID:5eTTbTwao
せふせふ
って言ってもたったの6レスだけど…
また来週までに投下します
328 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/08(土) 02:49:56.18 ID:421iV14Io
乙
楽しみにしてます!
329 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 19:49:17.33 ID:Rrsmukcxo
今回の三連休は何レス分か書き溜めたのでその分を投下します
330 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/11(火) 19:54:06.94 ID:Rrsmukcxo
大男「その後にA国兵は言った。仲間が来るまでそのB国兵を拘束するのを手伝ってくれたら俺を見逃してやるってな」
大男「元々A国軍よりもB国軍に恨みや憎しみを感じていた俺は一瞬でOKと答えそうになったが、」
大男「車の中にいるもう1人の少女がどうなるのかが気になった俺はその事を尋ねてみたんだ」
女兄「大男、少しだけ話をストップ」
女兄「男、その少女ってのはもしかして……」
男「…ああ、お前の妹だ」
大男「なんだと」
女兄「そうか…。大男、続きを話してくれ」
大男「…女兄…すまんが結果的に言うと、お前の妹はA国兵に連れて行かれちまった……」
女兄「……」
331 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 19:55:15.88 ID:Rrsmukcxo
女兄「……だけど殺されたわけじゃないんだろ?…」
大男「ああ」
男「……」
男(女兄は女以外の家族がどうなったか知っているんだろうか)
大男「…話を続けるぞ」
大男「A国兵はその俺の問いに対して、『勿論連れて行って、向こうで働かせる』と答えた」
大男「…出来れば女兄の妹を助けてやりたかったが、丸腰の俺は言われるがまま、奴に従うしかなかったんだ…」
大男「そんで、てめーは俺に気絶させられてA国兵に連れて行かれた訳なんだが……」
男「どうも」
大男「なんでこんなとこ来てんだ?あ?」
332 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 19:59:37.91 ID:Rrsmukcxo
女兄「待て待て、大男」
大男「…まだこいつを庇うのか?こいつは俺達が憎むべき敵国の兵士なんだぜ?」
男「『元』兵士なんですが」
女兄「大男、俺の妹は男のすぐ隣で寝ていた。そうなんだよな?」
大男「…ん、ああ。運転席にはこの工作員。助手席にはお前の妹と思われる少女が座っていたが…」
男「誰が工作員だ。誰が」
女兄「俺の妹は爆睡していたのか?」
大男「ああ。無理矢理A国兵士に引きずり降ろされるまで目を覚まさなかった」
女兄「無理矢理引きずり降ろされただと⁉……いやいやそこじゃなくて…」
女兄「俺の妹がそこまで爆睡していたという事はな、要するにその場で身を落ち着けられる程に安心していたって事だ」
333 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:00:20.62 ID:Rrsmukcxo
大男「……」
女兄「つまりだ、俺の妹はこの男を信頼していたって事じゃないか?」
男「ナイスフォローだ!」
大男「ぐぬぬ……」
女兄「俺はこの男が嘘を言っているとは思えないんだよ」
大男「……」
男(お、何とかなるか?)
大男「…女兄。1つ、根本的な事を忘れているぞ」
女兄「?」
大男「こいつは……俺達の最大の敵である穢れたB国軍の一兵士なんだぞ。これだけはこいつも認めている」
334 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:01:37.84 ID:Rrsmukcxo
男「(だから『元』兵士だっての)」ボソボソ
女兄「フフッ、そんなの関係ないさ」
大男「…っ?」
女兄「敵であれB国兵士であれ、俺の妹を助けてくれたんだろ? な? 『元』B国軍兵士さん」
男「……ん? まぁ、確かに助けたは助けたが…。俺はまだその事については話していないぞ。どうしてわかったんだ?」
女兄「……勘だよ勘。女が見ず知らずのお前と一緒にいたって事は、お前が何かあいつに恩を着せたんじゃないのかって思ってね…」
男「……」
大男「……」
女兄「大男。こいつ、男は悪い奴じゃない。暫くはここに居させてやってくれないか?」
男「別にそこまでは…」
335 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:02:40.76 ID:Rrsmukcxo
大男「……」
女兄「…何かあった時は俺が責任をとる」
男「……」ゴクリ
大男「……チッ……勝手にしやがれ」スタッスタッ…
女兄「……」
男「いいのか、本当に」
女兄「いいさ。……だが、」
男「?」
女兄「話はきっちり聞かせてもらうぞ」
男「…わかった」
336 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:03:41.80 ID:Rrsmukcxo
大男「……女兄、1つ言い忘れた事がある」クルッ
女兄「ん? なんだ」
大男「A国兵が言っていたが、おそらく、お前さんの妹がいる場所はここから東南にある駐屯地だ」
女兄「それは本当か⁉」
大男「さぁな。俺はもう寝る」スタッスタッ
ガチャッ…バタンッ…
女兄「うぉぉ……今すぐにでも助けに…」スタッスタッ
男「お、おい」がしっ
男「お前1人で助けに行ったって無駄に決まっているだろ」
男「まずは俺の話を聞くんじゃないのか」
337 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:05:03.87 ID:Rrsmukcxo
女兄「……う、うむ。そうだったな」
男「…」ぱっ
男「……妹思いなんだな」
女兄「ち、違う! シスコンなんかじゃねえぞ! 家族思いなんだ!」
男「お、OK…。家族思いなんだな」
男(誰もシスコンなんて言ってないんだけど)
女兄「……村AがB国軍に襲われたって聞いたときから本当に心配で心配で仕方がないんだ…」
男「……」
男「(…ははっ……家族のいない俺にはその気持ちなんてわからないな)」ボソボソ
女兄「ん? 何か言ったか?」
338 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:06:01.44 ID:Rrsmukcxo
男「いや、ただの独り言だよ」
女兄「そうか…」
男(……いや待てよ。家族の事がそんなに大切なら普通村Aに留まるよな)
男「なぁ、女兄」
女兄「なんだ」
男「……どうしてお前、村Aを出て行って、レジスタンスなんてやっているんだ?」
女兄「…っ」
男「家族がそんなに大切なら何故…家に残らなかったんだ?」
女兄「……」
男「……」
女兄「…そこの椅子に座って話そうか」
・・・
339 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:06:56.75 ID:Rrsmukcxo
女兄「……俺が1人で家を出て行ったのはな……」
男「ふむ」
女兄「あれだよ、勢いで出て行っちゃったっていうか……」
男「ふむ」
女兄「我慢できなかったっていうか……」
男「ふむ」
女兄「まぁ、そういう事だ」
男「ふむ」ピキピキ…
女兄「……あれ、もしかして怒ってたり…?」
男「……あのな、家に女3人残したまま出て行くか? この戦争中に」
340 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:08:04.03 ID:Rrsmukcxo
女兄「それは他の人にも言われた」
男「そりゃ言われるだろう…」
女兄「……この事は正直…後悔している…」
男「……」
男「…きっと他にも理由があったんだろ?」
女兄「……なんていうかさ、俺、下らない理由なんだけどさ…」
男「うん?」
女兄「俺の家の宿屋、女が働くようになってから俺の立ち位置が怪しくなってしまってね。仕事という仕事が殆ど無くなってしまったんだ…」
女兄「やる事と言えば、小屋から色々な物を持って行ったり来たりの仕事くらいだったんだ」
男「仕事があるならまだいいじゃないか」
341 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:09:04.25 ID:Rrsmukcxo
男(俺なんて毎日生きるために必死に仕事探してたっけな)
男(……その果てが軍だったわけだが)
女兄「ところがな、その仕事は荷車を引くだけの女性でもできる簡単なお仕事な上、週に一度程しかないんだ」
男「料理とかはしないのか?」
女兄「出来ない事はないが、父さんに似て不器用な俺は料理には向いていない」
男「……」
女兄「すぐに料理の腕は妹2人に抜かされましたとさ」
男「oh……」
女兄「…という事で宿屋ではろくに仕事の無い俺は、せめて国の役にでも立とうと思ってレジスタンスに入ったわけ」
342 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:10:05.03 ID:Rrsmukcxo
男「…」
『…だから、せめて国のために戦って死んだ方がマシじゃないか?』
男「………」
女兄「どうした? 男」
男「ん? ああすまない」
男「……なんだが俺と似てるなーって思っててな」
女兄「そうか…お前も苦労しているんだな」
男「まぁ…な」
女兄「ところでさ、女から他の俺の家族がどうなったか聞いていないか?」
男「!」
343 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:11:27.86 ID:Rrsmukcxo
女兄「…知っていそうな反応だな」
男(どうしよう…。こういう時って、やっぱり本当の事言った方が良いのか……?)
女兄「聞いたのか?」
男(……いや、やっぱり今言うべきではないだろう。女を助けてから直接聞かせよう。うん、それがいい)
男「残念ながら…聞いていない」
女兄「本当か?」
男「本当だ」キリッ
女兄「……」
女兄「女とは何日間一緒にいた?」
男「大体3日だな」
男(体感時間はもっと長いような気がするけど)
女兄「3日も一緒にいたならそれくらい普通聞かないか?」
男(むむ、鋭いな…)
344 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/11(火) 20:20:24.61 ID:Rrsmukcxo
女兄「……お前、やはり工作員で女といたっていうのは嘘なんじゃ……」
男「すみませんでした!本当は貴方の家族がどうなったのか知ってます!」
女兄「よし。構わん、遠慮なく話せ」
男「……」
男「…女から聞いた話ではな……」
・・・
男「…というわけで…残念ながらお前の妹である女と父親以外は………」
女兄「……構わん、次はお前と女が何故一緒にヒック…いたのか話してくれ」グスッ
男「おい、泣いてんのに無理すんなよ」
女兄「馬鹿か、俺が泣くわけがないだろう。これでも長男だぞ」ヒック
男「いや、俯いて誤魔化そうとしてんのバレバレだからお前……」
女兄「うるせぇ!」
男(……むしろ、泣いて当たり前だけどな…)
・・・
345 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/11(火) 20:22:47.31 ID:Rrsmukcxo
次からやっと場面変更かな
また近日中に投下します
346 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 08:04:23.64 ID:8HrU1Dr4o
乙
楽しみにしてるぜ
347 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/13(木) 22:55:22.19 ID:bVGrwxywo
乙
348 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/15(土) 23:58:13.78 ID:Jx/MBUc9o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
深夜
A国軍駐屯地
女「―――それでいつの間にか私は意識を失っていて……」
女「男もいなくて……」
女兵士「そうか……。それで君は今ここにいるわけだね」
女「はい……」
女兵士「大変だったね……そんな遠くの村から2人で逃げて来たなんて……」
女「もう、ほんとですよ……」
女(一応男がB国兵士である事は言わないでおこう)
349 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/15(土) 23:58:58.70 ID:Jx/MBUc9o
女兵士「うーむ……『君』って言うのもなんだか余所余所しいし、名前教えてくれる?」
女「……女と言います」
女兵士「女ちゃんね。私は女兵士。呼び捨てでいいからな」
女「わかりました、女兵士姉さん」
女兵士「!」ビビッ
女兵士「いいなその呼び方っ!」
女兵士「うっひゃ〜っ!、あたしにもこんな妹がいたらなぁ!」
女「……」
女兵士「―――あーっと……コホン……ごめんね女ちゃん」
女(冗談半分で言ったつもりが随分喜ばれた)
350 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/15(土) 23:59:48.47 ID:Jx/MBUc9o
女兵士「話を戻そうか」
女「はい」
女兵士「……実を言うと、女ちゃんをここまで運んで来たのは私なんだ」
女「へぇ。へぇっ?」
女兵士「今日の夜明け、ここから北西に少し歩いた場所を偵察していたんだけど」
女兵士「途中、無線で仲間からの連絡を受けてね、すぐさま向かったんだ。君の居た車の場所にね」
女兵士「私がそこに着いた時には意識を失った君と男の人が寝かされていたんだけど」
女「それが男です」
女兵士「ああやっぱりそうか。もう片方、もの凄くスケールの大きい農夫の格好した男がいて、すぐに逃げ去っちゃったんだけど……」
女兵士「とにかく、私は女ちゃんをおんぶして、途中トラックに乗せて、ここまで運んで来たわけだ」
351 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:01:32.93 ID:xi2oiXEdo
女「ええっ⁉ 重くなかったですか?」
女兵士「よゆーんよゆーん。軍の下で暫くの間、鍛え抜かれたこのあたしを甘くみちゃいかんぜよ……」
女「凄いですねっ!」
女兵士「……そんで、女ちゃんの話によると、その農夫の格好をした大男が男さんを気絶させたんだね? 」
女「はい、多分」
女兵士「私の仲間がどうもそいつについては話してくれなくてね、何でそいつが女ちゃんのボーイフレンドを気絶させたのかもよくわからんのだ」
女「ボーイフレンドなんかじゃないですっ!」
女兵士「あ、だったらさ、あたしが――」
女「なっ! それは駄目ですっ!」
女兵士「」ニヤリ
女「あ」
352 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:02:25.72 ID:xi2oiXEdo
女兵士「まだなーんにも言って無かったんだけどな〜」フヒヒ
女(不覚にも……)
女兵士「やっぱり好きなんでしょ? そうなんでしょ?」
女「……」
女兵士「そうじゃないなら、わたくしめが、取ってしまいますぞ〜」
女「……」
女兵士「ぞ〜……」
女「………」
女兵士「………」
女「………」
353 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:03:14.79 ID:xi2oiXEdo
女兵士「……なんかごめん。女同士で久し振りに話すからつい舞い上がっちゃって……」
女「……好き」
女兵士「⁉」
女「……なのかも」
女兵士「……ああ、自分でもよくわからないってやつか」
女「うん……なんて言うか、本当によくわからなくて……」
女「男に初めて会った時の私は家族を失ったショックのせいで何も悪くない男を警戒していたんだけど」
女兵士「うん」
354 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:04:40.87 ID:xi2oiXEdo
女「B国兵士から助けてもらった後は、自分でも信じられないくらいに打ち解けられて――」
女兵士「うん」
女「私の話を真剣に聞いてくれて――」
女兵士「うん」
女「神に誓ってまで私を守るって言ってくれて――」
女兵士「うん……」
女「ふざけあったりする仲にまでなって――」
女兵士「……」
女「一緒にいた時間は実際とても短かったけど、とても長く感じられて――」
女兵士「……」
355 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:05:43.23 ID:xi2oiXEdo
女「……私はそんな……そんな男に支えられたから……今を生きていて――」
女兵士「……」
女「少しね……おかしいかもしれないけど」
女「……好きかどうかなんてどうでもよくなるくらいに――」
女「会いたい……」
女兵士「……」
女「男に……会いたい……」
女「会いたいよ……」
女「ひとりは……いや……」
女「わたしにはもう……男しか……」
356 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/16(日) 00:06:29.37 ID:xi2oiXEdo
女兵士「……」
女「ぐすん」
女兵士「女ちゃん……」
女兵士「……はい……ハンカチ」サッ
女「……ありがとう……ございます」グスッ
・・・
357 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/16(日) 00:10:37.74 ID:xi2oiXEdo
…←これの多用を避けられない
そこで、
―←ようやくこれを取り入れる
ではまた近日中に
358 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/17(月) 00:58:03.91 ID:n6V0echNo
不定期更新で内容も忘れがちになり易いと思うので、
ちょっとしたあらすじっぽい物を投下しておきます
元々自分用に書いたものだから、読みにくいのは仕様です
359 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/17(月) 01:00:04.30 ID:n6V0echNo
大まかなあらすじ
ー第一部ー
男が小屋に辿り着く
男がB国兵士から女を守る
2人で東のA国軍の下まで逃げる事に
ー第二部ー
小屋を出る
VS狙撃兵
ー第三部ー
歩いてA国の占領下へ
宿屋に泊まる
男の過去回想
ー第四部ー
車を貰い、ひたすら東を目指す
女の過去回想
ー第五部ー
車の燃料無くなる
一旦休む
寝ている間にA国兵士等に2人とも拉致られる
男と女は別々の場所へ
男はレジスタンスである女の兄達に助けられる
女はA国軍のとある駐屯地で奴隷にされる
女の記憶の整理がつく
男は誤解を解き、女兄にあれこれ話をする←今ここ
あれ? 第五部だけ長く見えるぞ…?
360 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/17(月) 20:00:06.64 ID:eU7zFigeo
乙
まってるよ〜
361 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:52:22.80 ID:ydaZMtLmo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日
朝
レジスタンスの某隠れ家地下
大男「―――他の仲間から作戦に協力して欲しいとの連絡が来た」
女兄「作戦?」
大男「ああ。今手薄になっているここから東南にあるA国軍の駐屯地に攻撃を仕掛け、」
男・女兄・他「……」
大男「囚われの身となっている我等C国の同胞達を解放するとのことだ」
「東南の駐屯地って女・子供が捕まっているって聞いたが」
大男「ああ、そこで捕まっている人々は殆どが女性や子供だ」
362 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:53:06.38 ID:ydaZMtLmo
大男「助ける事が出来れば、男ばかりでむさ苦しいここ周辺の隠れ家も華やかになるだろう」
「おお……」
「やるしかねえな」
「女性のためなら命なんて惜しくないぜ!」
大男「……と、言いてぇところだが」
男「なんだ?」
大男「お前は黙ってろよ」
男「いい加減認めろよ……」
大男「だが断る」
363 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:56:26.73 ID:ydaZMtLmo
「B国野郎は黙って話聞いてりゃいいんだよ」
「そうだ、俺達に口答えすんじゃねえ」
「せっかく隠れ家に入れてやってんのに何様のつもりだ? あ?」
男「(´・ω・`)」ショボーン
女兄(こりゃ完全に皆大男に吹き込まれたっぽいな)
女兄「男、あいつ等は俺が後でフォローしておいてやるから。そう気を落とすな」
男「……どうせ俺は嫌われ者のB国人ですよ〜だっ」ブツブツ
女兄「……」
男「あーイラつくわ〜、B国人であるだけでこんなにフルボッコされるとかマジやる気失せるわ〜」ブツブツ
女兄「駄目だこいつ、キャラが崩壊してやがる……」
364 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:57:06.89 ID:ydaZMtLmo
大男「ゴホン……話を続けるぞ」
大男「助け出した民間人をここで保護しておきたいところだが、」
大男「あまり多くの人をここに住まわす事は出来ない。何せ、この村は小せぇからな」
女兄「人が多くなれば多くなる程、敵にバレるリスクも大きくなるしな」
大男「うむ。そこで、今ここから丁度南に行った港町には安全な異国へと向かう難民船が定期的に出ているらしい」
大男「そこまで助けた民間人を連れて行くんだとよ」
「出来るのかそんな事……」
「無理だろそんなの! 大体それ以前に奴隷を全員助けられるのか?」
大男「北の方面でB国軍との交戦を始めたA国軍はさっきも言ったが、あらゆる面において手薄だ」
365 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:58:18.43 ID:ydaZMtLmo
大男「チャンスは今しかないんだ。やるしかないだろう?」
「……」
大男「それに、俺は解放した民間人をわざわざ徒歩で港町まで連れて行けとは言っておらん」
「まさか、トラックでも奪うって言うのか?」
大男「おしい」
「?」
大男「……列車だ」
大男「例の駐屯地に停車しているA国軍の蒸気機関車を奪う。……らしい」
「ぶっ飛んでんなその作戦」
「誰だよ考えたの。本の読み過ぎじゃねぇのか?」
「全くだ。成功するとは到底思えない」
366 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 20:59:19.66 ID:ydaZMtLmo
大男「……だが、もし成功させる事が出来れば、一気に100人以上もの人間を地獄から救う事が出来る」
大男「……この作戦は強制じゃあない。だが、1人でも多くの勇士が参加してくれれば勿論成功率は格段に上がる」
大男「勇気ある者はこの村の役所に集合しろ。そこで、詳しい作戦の内容を話すとの事」
大男「……話は以上だ」
「……」
大男「…」タッタッタッ
ガチャッ……バタン……
女兄「……」
男「……」
367 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 21:00:23.56 ID:ydaZMtLmo
女兄「勿論行くよな? 男」
男「女を助けるのなら、この作戦は渡りに船だ。参加しないわけが無い」
女兄「ああ……。待ってろよ女、すぐに兄ちゃんが助けてあげるからな……」
男「……ところでお前ってさ、女に何て呼ばれているんだ?」
女兄「え?」
男「女がさ、お前の事を話すとき、普段は『兄さん』って言ってて、素が出たようなときに『お兄ちゃん』って言ってたからちょっと気になって」
女兄「……あー、えっと、最近は『兄さん』ばっかりだったな。昔はよく『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って呼んでくれたものなんだけど」
男「ほう」
女兄「いつからか、何故か女が他人の前で『お兄ちゃん』って呼ぶのを恥ずかしがってな……」
女兄「遂には『兄さん』で統一されてしまいましたとさ」
368 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/21(金) 21:01:12.93 ID:ydaZMtLmo
男「……『お兄ちゃん』の方が良かったのか?」
女兄「当たり前だ。『兄さん』だとどうしても距離が離れた感じがする」
男「まぁ、いいじゃないか。世の中には名前で呼び捨てにされるのはまだいい方で、例えば『おい』が呼び名になってしまうお兄ちゃん達だっているんだぞ?」
女兄「どこの世界だよそれは……。俺が女から『おい』なんて呼ばれた日には自殺する」
男「……」
女兄「どうした?」
男「これはシスコン呼ばわりされて当然だなって思ってた」
第五部 完
369 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/21(金) 21:03:19.50 ID:ydaZMtLmo
完結の兆しが見えてきた
ではまた
370 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/10/22(土) 11:03:14.00 ID:hZTzL8o30
大丈夫 まだいける
乙
371 :
◆AyjrC5NWrU
:2011/10/22(土) 22:34:00.49 ID:hqt3Lz5uo
うわあああああああ
>>356
と
>>361
の間に投下されているべき文章が投下されていない事に今更ながら気付いたたた
という事で申し訳ありません
その部分を投下します
372 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/22(土) 22:38:59.33 ID:hqt3Lz5uo
・・・
女兵士「すまんな……気に障る事を聞いてしまって……」
女「いえいえ私が勝手に喋って勝手に泣いただけですから」
女「あの、ハンカチありがとうございます」サッ
女兵士「うむ」
女兵士「じゃ、私は用事があるから、今日はもう寝ておいた方がいい」
女「……眠くないんですけど」
女兵士「……ついさっきまで寝ていたもんなぁ」
女「はい」
女兵士「でも明日からは、君にとってとても過酷な日々になるだろうから」
女兵士「出来るだけ力を蓄えておくんだよ」
女「……はい」
373 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/22(土) 22:44:18.84 ID:hqt3Lz5uo
女兵士「うん。じゃあ私はちょっと用事があるから」
女「そうですか……」
女兵士「お休み、女ちゃん」
女「お休みなさい、女兵士さん」
女兵士「……」
女「……」
女兵士「……」
女「……ど、どうしたんですか?」
女兵士「(何故『姉さん』を付けなかった……。その方が良かったのに……)」
女「え? 何か言いました?」
女兵士「いやいやなんでもないよ。ただのひとり言」
女兵士「じゃあ」タッタッタッ
374 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/22(土) 22:48:28.54 ID:hqt3Lz5uo
女「……」
女「…」チャリ…
女「はぁ……」
女(ここ、見たところ屋内だけど、扉が無いせいで風が通ってきて少し肌寒いな)
女(……男……今頃どうしているかな)
女(お父さんやお兄ちゃんも今頃は何してるんだろ?)
女(神様、どうか皆を無事でいさせてください……)
・・・
女兵士(しかし……)
女兵士「…」スチャ
女兵士(どうしてあの娘がB国軍の拳銃なんて持っていたのかね……)
以上です
鯖重い…
375 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/24(月) 21:03:47.73 ID:JlR/hOkro
>>368
の続き
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
同日、夜9時頃
A国軍駐屯地
スタッスタッ……
女(や、やっと仕事が終わった……)
A兵「おらッ!手を出せ、鎖をはめるぞ!」
女「……はぃ」
ガチャッ…
女「…」チャリ…
女兵士「おいお前」
A兵「ん? ……ああっ、軍曹殿⁉」
376 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/24(月) 21:04:37.70 ID:JlR/hOkro
女「……?」
女兵士「奴隷とは言え、私達と同じ人間だ。疲れているだろうし乱暴な扱いはするな」
A兵「はッ! 申し訳ありません!」
女兵士「持ち場に戻れ」
A兵「はッ!」スタッスタッ
女「……」
女兵士「すまない、ああ見えても本当は皆良い奴ばっかりなんだ」ヤレヤレ
女「……女兵士さんって」
女兵士「?」
女「偉い人なんですね……」
377 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/24(月) 21:07:25.68 ID:JlR/hOkro
女兵士「ははっ、でも軍の中じゃあまだまだ下の方の階級だよ」
女「……私には軍の階級とかはよくわからないけど、」
女兵士「うん」
女「女兵士さん、かっこいーです……」
女兵士「いや、それほどでも」
女「ははは……」
女兵士(……疲れきって元気がないな。よし、ここはひとつ冗談でも)
女兵士「女ちゃんのボーイフレンドよりも格好いいかい?」
女「はい!」
女兵士「そうかそうか。……えっ?」
378 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:08:46.09 ID:JlR/hOkro
女「はい?」
女兵士「ぉぉ……」ニヤリ
女兵士(……ついに男とかいう人のことが好きだと認めたんだな)
女兵士「うむ。素直でよろしい」
女「はい……」
女兵士「……お仕事、大変だったでしょ?」
女「はい……」
女兵士「女性に死体運びまでさせるって、ちとキツいよな」
女「はぃ……」
379 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:09:40.20 ID:JlR/hOkro
女兵士「全く、うちの軍もどうかしちまってんのかね……」
女「…はぃ……」
女兵士「可愛い女ちゃんにそんな事やらせるなんてねぇ……」
女「………」
女兵士「上の奴らに物申したい気分だよ」
女「………」
女兵士「ってさっきから反応薄いぞ?」
女「………」
女兵士「あれ? 女ちゃん?」チラッ
女「………」
380 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:10:23.91 ID:JlR/hOkro
女兵士「えっ、まさか……」
女兵士「近くに寄ろう」ササッ
女「……すーっ……すーっ」zzz
女兵士「なんだ寝てただけか」
女兵士「……これではただの独り言ではないか」
女兵士「しかし、この寝顔を見ていると不思議と癒されるな」ジー
女「すー……すー……」zzz
女兵士「…」ニヤニヤ
381 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:11:02.70 ID:JlR/hOkro
A兵「……」ニョキッ
女兵士(暫くむさ苦しい男ばかりの中だったからなぁ……)ニヤニヤ
A兵「……」ジーッ
女兵士(……むっ、視線を感じる)
女兵士(そこか!)ジロ
A兵「……」
女兵士「……」
A兵「……ププッ」
A兵「……軍曹殿、顔が幸せそうにニヤついたままになっています……」クスクス
382 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:12:23.87 ID:JlR/hOkro
女兵士「なっ⁉」
女兵士「」キリッ
A兵「……」ジーッ
女兵士「な、なな何じっと見てんだ! さっさと持ち場へ戻れ!」
A兵「も、申し訳ありません!」タッタッタッ
女兵士「……ったく」
女兵士(それにしても……何故だかわからんが、胸騒ぎがするな……)
女兵士(何か大変な事が起こらなければいいが……)
383 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/24(月) 21:19:03.97 ID:JlR/hOkro
完結するまでペースアップしてやるです
384 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/27(木) 00:29:02.11 ID:Mrn/uO6Uo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―数時間後の深夜
女「すやすや」zzz
・・・
ドォォォォォォォン‼
女「!」ハッ
女「……な、何? 今の大きな音は?」
ざわざわ……ざわざわ……
「一瞬周りが明るくなったぞ」
「おい、向こうで炎が上がったぞ!」
「なんだ⁉ B国軍が来たってのかっ⁉」
「わからん。上からの命令を待とう」
女(何かが爆発したのかな……?)
・・・
385 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/27(木) 00:33:34.46 ID:Mrn/uO6Uo
―A国軍駐屯地周辺の高地にて
「おっし、作戦が始まったか」
「ステンバーイ……ステンバーイ……」
男「皆やる気出してるなぁ……」
女兄「ああ、今回は大規模な作戦だからね」
女兄「それでどうだ、男。基地の警備は厳重か?」
男「……双眼鏡で見る限り、敵兵はぽつん、ぽつん、といるだけであまり厳重には見えないな」ジーッ
女兄「うむ。やはり手薄だというのは本当だったのか」
女兄「サーチライトはいくつあるかわかるか?」
男「確認できるのは基地の四隅に1つずつ。つまり4つだ。」ジーッ
386 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/27(木) 00:34:37.33 ID:Mrn/uO6Uo
男「見ての通り、まだ点灯はしていないようだが……」
……ピカッ
男「お、1つ点いたな」
女兄「よし、勿論照らしている方向は……」
男「爆発させた方向だ」
……ピカッ
女兄「もう一つ明かりが点いた」
男「十分に注意を引けているな」
女兄「ああ」
男「……なあ」
女兄「ん?」
387 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/27(木) 00:35:34.90 ID:Mrn/uO6Uo
男「俺はなんでA国兵士の格好をしているんだ?」
女兄「知っているくせに聞くなよ」
男「なんで俺が先に1人で基地に進入して行かなきゃならんのだ?」
女兄「はぁ……。いいか? もう一度作戦について説明するぞ」
女兄「まず、基地から少し離れた場所で大男達が爆発を起こす」
女兄「そうすると、敵は勿論そっちに興味が湧く」
女兄「んで敵兵が何人か出て行った後でお前の出番だ」
男「……」
女兄「A国兵士に粉したお前がこの無線機が仕込まれたリュックを持って、あの基地に進入する」
388 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/27(木) 00:36:31.60 ID:Mrn/uO6Uo
女兄「そして、基地の状況を随時報告し、安全を確認の上、俺を含めた本隊が突撃」
女兄「その後に奴隷解放。列車に乗せて発車。無事に送り届けて作戦終了」
女兄「ね、簡単でしょ?」
男「どこがだ」
男「そもそも何で俺がそんな要務をやることになってんだよ!」
女兄「それは……工作員だからなお前」
男「まだそれを引っ張るか」
女兄「……とにかく、決まってしまったものは仕方がないと思って行ってこい」
男「はぁ……」ガックリ
389 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/27(木) 00:37:24.91 ID:Mrn/uO6Uo
男「地雷がある可能性は?」
女兄「A国軍はC国本土で地雷は使わないと公言しているから大丈夫だ」
男「優しい国じゃん」
女兄「表だけはな」
女兄「ちょっと双眼鏡をよこせください」
男「はいよ」ホイ
女兄「…」カタ
女兄「……」ジーッ
男「様子はどうだ?」
女兄「敵兵が何人か出て行ったな……」
390 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/27(木) 00:38:00.84 ID:Mrn/uO6Uo
女兄「今なら基地内はガラ空きだ。行ってこい」
男「うっわ、緊張するな」
女兄「あとできれば女を出来るだけ早く見つけて俺に連絡な」
男「はいはい。……じゃ、行ってくる」ガサガサ…サッ
女兄「絶対に生きて合流だぞ!」
男「おう」
男「…」タッタッタッ
391 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/27(木) 00:43:35.85 ID:Mrn/uO6Uo
今回はここまで
また近日中に投下します
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2011/10/28(金) 23:28:57.62 ID:i7NZwHeUo
大男『状況はどうだ』
女兄「今男が基地に向かったところだ」
大男『………あいつ役に立つかな』
女兄「それは今にわかるさ」
大男『そうだな……』
大男『おや、敵さんのお出ましのようだ』
女兄「そうか、手厚く歓迎してやれ」
大男『おう!』
大男『だが、そっちも早めに行動しておけよ?』
大男『こっちも余り長くは持ちこたえられないからな』
393 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/28(金) 23:30:00.92 ID:i7NZwHeUo
女兄「ああ、分かってる」
大男『それじゃ、暫くの間切るぞ』
女兄「ああ」
プツンッ
ザー……
女兄「……」
女兄(頼むぞ男……)
・・・
394 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/28(金) 23:32:04.42 ID:i7NZwHeUo
数分後
A国軍駐屯地のバリケード付近
男(俺が今五体満足ってことは、女兄の言う通り地雷は無かったってことだな)ホッ
男(さて、このバリケードにカッターで抜け穴を開けないとな……)サッ
チョキチョキ……
男(これでよし、後はA国兵士になりきって堂々と行くのみ)
スタッスタッ……
・・・
男(皆慌てているおかげで全く怪しまれないな)スタッスタッ
男(陽動が上手くいっているのか、兵士は少ない)スタッスタッ
男(隠れる場所を探して、早速女兄達に報告しよう)スタッスタッ
男「…」ピタッ
男(この建物は……)
395 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/28(金) 23:33:06.54 ID:i7NZwHeUo
男(ざっと500人以上は入れそうだな)
「ふええええん……」
男「!」
男(子供の泣き声……?)
男(……ということは、ここは……)スタッスタッ
男「!」
『捕虜・民間人留置所』
男(ビンゴ! 早速中に入ろう)スタッスタッ
男(……って入り口にドアが付いていないじゃないか)
男(こちら側としては好都合だがな)
396 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/28(金) 23:34:02.58 ID:i7NZwHeUo
男(お邪魔しまーす)スタッスタッ
男(大きいが至ってシンプルな建物だな)
男(パイプで骨組みを作ってその上から丈夫そうな布を被せた、言わばテントだな)
A兵「ん? お前は誰だ?」
男「‼」
A兵「見ない顔だな……」
男(し、しまった!)
男(中に見張りが1人や2人いることくらい想定しておけよ俺!)アタフタ
A兵「えーっと……二等兵か」
男(この軍服の階級章二等兵なのかよ! もっとましな階級章の軍服無かったのかよっ⁉)
397 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/28(金) 23:35:15.50 ID:i7NZwHeUo
A兵「何の用だ?」
男「あーはい、あのー、あれですよアレ」アタフタ
A兵「……」ジトーッ
男(やばっ、怪しまれてる!)
男「だ、だからあれですってア・レ」
男(もう駄目だこれ)
A兵「……あぁ。……はいはい。あれねアレ」
男(えっ)
男「そそそそうですアレなんですよ!」
A兵「わかったわかったあれだなアレ……」
398 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/28(金) 23:36:22.16 ID:i7NZwHeUo
男(これは……行ける…)ゴクリ
A兵「……ってアレってなんやねんこらぁ‼」ノリツッコミ
男(はずもなかったか)
A兵「お前怪しいぞ! 凄く怪しいぞ!」カチャッ
男「なっ……」
男(銃向けられちゃったよ)
A兵「お前はどこの所属だ? 3つ数える内に答えなければ撃つ」
男(やばいぞこれ)
A兵「さん」
男(どうすんのこれ)
A兵「にー」
男(死ぬんじゃないのこれ)
A兵「いち」
399 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/28(金) 23:38:42.58 ID:i7NZwHeUo
なんだろう、ペースを上げた途端のこの独走している感じは…
400 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:22:20.50 ID:eH6DXYnlo
?「――まった‼」ザッ
男「⁉」
A兵「ぐ、軍曹殿⁉」
女兵士「そいつは……今日新しく配属された新米だ」
男(えっ)
A兵「で、ですが私はそのような報告は受けておりませ――」
女兵士「臨時だ!」
A兵「はあ、そうでありますか……」
女兵士「わかったら、とっととその銃を下げろ」
A兵「はいっ」サッ
401 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:23:07.49 ID:eH6DXYnlo
男「……」
男(た、助かったが一体これはどういうことだ……?)
女兵士「……では新米、私の後ろに付いて来い。今はちょっとした緊急事態だが、すぐに治まるだろう」スタッスタッ…
男「りょ、了解です」スタッスタッ…
男(もしかしたらこの人もレジスタンスの一員とか?)スタッスタッ…
男(……いや、さっきのA国軍兵士は知っているようだったから違うか)スタッスタッ…
A兵「ど〜も怪しいな……」カリカリ
402 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:23:57.08 ID:eH6DXYnlo
・・・
―留置所奥
男(沢山の女性や子供達が鎖に繋がれている……)
男(皆生きているようだが、生気がない……)
男(きっと相当酷い扱いを受けているのだろう……)
男(奥の方には牢屋も見えるな)
男(おそらく、ここで鎖に繋がれている人達はその牢屋に入りきらなかった人達だろう)
女兵士「さて……」クルッ
男(ん?)
女兵士「…」スチャッ
男「!」
403 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:24:41.23 ID:eH6DXYnlo
男(また銃を向けられてしまった)
女兵士「手を頭の後ろに回せ」
男「ぐぬぬ……」サッ
女兵士「君は誰だね? 一体何が目的でそんな下手な変装をしてこんなところまで?」
男(……やっぱりバレバレだったか)
男(だがこの女性兵士は何故俺をこの場所まで連れてきたんだ?)
女兵士「君の答えによっては……」
男「……」ゴクリ
女兵士「この拳銃の引き金を引くことになる」
男(……よく見たらB国軍の拳銃じゃないか。何でこいつが……?)
404 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:25:35.25 ID:eH6DXYnlo
男(いや、今はそんなことを考えている暇はない!)
男(こいつの言うことを聞かなければ俺は無駄死にするだけだ!)
女兵士「さぁ、答えろ」
男(……だけど、真面目に作戦のことを話してしまえば……)
――女兄『絶対に生きて合流だぞ!』
男(……駄目だ。仲間の期待を裏切ることになってしまう……)
女兵士「お前の目的だ! 早く言えっ!」
男(お前の……目的……)
男(俺自身の……目的……)
405 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:26:29.90 ID:eH6DXYnlo
男(そうだ……。この作戦のことを話すわけじゃなく、俺自身の目的を話せば良いんだ)
男「俺は……」
女兵士「……」
男「……ここに捕まっていると聞いた……とある少女を助けること……」
女兵士「……」
男「……それが、俺の目的だ」
女兵士「ふむ……」
女兵士「……君、名前は?」
男「男だ」
女兵士「ふふっ……そうか」ニヤリ
406 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/10/30(日) 21:27:27.75 ID:eH6DXYnlo
男「な、何がおかしくて笑っているんだ?」
女兵士「黙れ」
男「はい」
女兵士「……今からとある場所に連れて行ってやる」
男「とある……場所?」
女兵士「ああ。頭に手を回したまま私の言うことを聞け。案内するから」
男「……わかった」
・・・
407 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/10/30(日) 21:31:51.85 ID:eH6DXYnlo
500レス前後で完結すると予測
ではまた
408 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/01(火) 20:28:37.55 ID:xW2M1C49o
↓の告知消えるまで投下は自粛した方が良いのかね……?
取り敢えず今は書き溜めだけしておくかな
サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:
http://vs302.vip2ch.com/
409 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/08(火) 19:47:33.13 ID:Rp2NAMbko
タッタッタッ……
女兵士「とある場所というより、とある人物と言った方が妥当かな」タッタッタッ
男「えっ、それってまさか……」タッタッタッ
女「あっ!」チャリッ
男「あっ!」
女兵士「あっ!」
女「……いやなんで女兵士さんまで驚いてるんですか」
女兵士「ノリだ」
男「ノリか」
男「……それはともかく、やっと会えたな。すご〜く心配したぞ」
410 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:48:53.98 ID:Rp2NAMbko
女「え? ああそう? 私は全然男の心配なんてしなかったけど」
男「なん…だと…」
女「それにたった2日程度会えなかっただけじゃん?」
女「2日も我慢できないで私のところまで来るなんて……ダメダメじゃん」
女「普通こういうのはもう少し遅れて来るものだよ」
女「ちなみにそこで『待たせたな』って言うのがお約束」
女「全くわかってない。相変わらず」
男「……ねぇ、軍曹さん。この女殴っていい? 奴隷だし構わんよな」ゴゴゴ…
女兵士「構わん」
男「よし」スタッ…
411 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:49:41.85 ID:Rp2NAMbko
女「えっ、ちょっと冗談だって……」
男「」スタッ…
女「女兵士さぁん……」
女兵士「」プイッ
女(そっぽ向かれた……おわた)
男「せやぁっ!」
ぎゅっ
女「……ぇ」
女兵士「はぁ……。そこで抱くとは予想通りにも程があるぞ、男君」ヤレヤレ
女兵士(本当に殴っていたらこの拳銃ぶっ放してたけど)
412 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:50:34.58 ID:Rp2NAMbko
女「…お、男……?」カァァァ…
男「お前ってさ……」
女「……」
男「会ったときからたまに素直じゃないよな」
女「……」
女「……ごめん」
男「まっ、そのくらいが1番可愛いってもんだ!」
男「それにこっちも謝らないといけないな」
女「え?」
男「……あの時、お前を守ることができなかった」
413 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:51:33.63 ID:Rp2NAMbko
男「はは……神にまで誓ったっていうのにな……」
女「いいよ、そんなの。無事に今ここで会えたんだから……」ぎゅぅぅう
男「ちょっ⁉」
女「いきなり抱きついたのはどちらの方でしたか?」
男「そ、そうだけど――」
「ねぇねぇ、お母さん。あの2人なんで抱き合ってるの〜?」
「シッ! 感動のご対面を邪魔しちゃいけません! 静かにしていなさい!」
「爆ぜろ」ボソ…
女兵士「はぁ……。祝いたいけど……なんだろ、このもやもやした気持ち……」
女兵士「あー、ベタだけど私もああいうことしてみたい!」
414 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:52:31.50 ID:Rp2NAMbko
女「男、もうそろそろ……」
男「ああ。他人の視線があるのをすっかり忘れていた」
女「……ははは」
・・・
女兵士「さて……」
女兵士(ここでこのラヴァーを逃がさなければ私は完全に悪役のレッテルを貼られることだろう)
男「……」
女「……」
女兵士「」ガサガサ…チャラ…
女兵士「」ポイ
チャリンッ!
415 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:53:12.10 ID:Rp2NAMbko
女兵士「あれ? どこかに鍵を落として失くしてしまったようだ…」アチャー
女兵士「大変だ。今すぐ上官に報告しないとな」クルンッ
タッタッタッ…
……
男「……」
女「……」
男「……あっ! こんなところに鍵が落ちてるー! ラッキー!」チャリッ
女「まぁ、なんて偶然なんでしょう!」
男「ウフフ」
女「その鍵で私を解放してくれるのですか?」
416 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:54:30.44 ID:Rp2NAMbko
男「あははっ。もちろんさー」
カチャリ……
女「自由きたー」
男「自由きたー」
他「……」ジトー…
女「……」
男「……」
男「……人の視線が痛い」
女「一旦人の目がつかない場所へ行った方が……」
男「そうだな、見張りが来るかもしれないしな」
・・・
417 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:56:16.03 ID:Rp2NAMbko
―厠
男「……」
女「ちょっと、なんでトイレなの?」
男「人目のつかない場所と言えばここしか思いつかなかったんだからしょーがないだろ」
女「……変なことしないでよ?」
男「するかアホ」
女「……流石にトイレで初はないよね」
男「ああ、初めてでこんなとこ……ってお前何の話に持っていこうとしているんだよ?」
女「ごめん。今の無し。記憶から消しておいて」
男「わかった。お前の兄貴にお前が俺に下ネタを振ってきたって伝えておくよ」
418 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:57:32.31 ID:Rp2NAMbko
女「やめてね、ほんとにやめてよねそれは」
女「っていうか私の兄さんなんてまだ会ったこともないでしょ?」
男「ははっ、冗談だ」
男(超会って超話したけど、そのことは後で話すか)
男「さて、真面目な話をしよう……」
女「ま、まま真面目な話ってまさか……付き合うとか?」フワー
男「はいっ?」
女「えっ?」
男「いや……普通にこれからどうやって逃げるのかとか、他の民間人はどうするかとか……」
419 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:58:30.61 ID:Rp2NAMbko
女「あぁ……」
男「……」
女「はずかしいッ‼」カアアア
男「……今のも聞かなかったことにしておいてやるから」
女「うぁあぁああぁぁ……」
男「……まず、他の民間人については勿論逃がそうと考えているが」
女「……んー……でも、」
女「せっかく女兵士さんが気を使って私達を逃がしてくれたのに、」
女「それ以上のことをしていいのかな……」
男「……女。女兵士さんがくれたこの鍵、やたらジャラジャラしているだろ?」
420 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 19:59:47.97 ID:Rp2NAMbko
女「うん、他の牢屋とかを開けるための鍵でしょ?」
男「要するにあの軍曹さんは『他の人達も逃がしていいよ』って暗示しているんだと思うぞ」
女「うーん、女兵士さん何も言わなかったからな……」
男「元々俺……いや俺達はここに捕まっている民間人を全員解放して連れ出すことが目的なんだ」
女「『俺達』?」
男「ああそうだ」
男「かくかくしかじか俺はレジスタンスがここの民間人を解放するのを手伝うことになったんだ」
女「レジスタンス? それらしい人影はまだ見てないけど……」
男「それはな……」ガサガサ
男「これからこの無線機で呼ぶのさ」ガチャ
421 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:00:33.95 ID:Rp2NAMbko
男「これで呼んで、無事ここまで来たら他の民間人と共に近くに停車している列車で逃げる」
女「わーお」
男「さて、繋がればいいが……」
男「おい、誰か聞こえるか」
女兄『おおっ! 男、待ちわびたぞ! 近くの列車の確保はもう完了したとの連絡が入った』
男(よかった、きちんと繋がった……)
男「そうか、それはよかった」
男「あと女兄、遅れてすまなかった」
女「えっ、 女兄? 兄さん?」
女兄『おい今女の声が聞こえたぞ』
422 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:01:21.62 ID:Rp2NAMbko
男「ああ、女なら今俺の隣で聞き耳を立ててるよ」
女兄『くっ! 今すぐ話をさせろ……と言いたいところだが、まずは基地内の状況を詳しく。こっちの方が作戦としては重要だからな』
男「……よくこらえたな」
女「ははっ」
男「……基地内の状況についてだが、敵影は少なく、警備は甘い」
女兄『そうか。絶好のチャンスだな』
男「奴隷の居場所はそちらから見て、一番奥の大きいテントだ。俺と女も今そこにいる」
女兄『OK、これ以上大男に陽動をさせるのも危険だし、直ちにそちらへ向かう』
男「了解」
423 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:02:15.76 ID:Rp2NAMbko
女兄『よし、お前達! 行くぞ!』
『うおおおおおお‼』
プツンッ……
ザー……
女「まさか、兄さんに会っていたなんて……」
男「……世の中偶然ってあるもんだよな。知り合いの兄貴に助けられるなんてさ」
女「兄さんが男を助けたの?」
男「ああ、あいつが居なけりゃレジスタンスに助けられたとしても今頃B国兵とバレた時点でまずい事になっていただろうな」
女「えぇっ⁉ バレたって……」
男「でもお前の兄貴にフォローしてもらったおかげで難を逃れられたんだ」
女「そうだったんだ……」
424 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:03:00.23 ID:Rp2NAMbko
男「……良いお兄ちゃんじゃないか。大切にしてやれよ?」
女「うん、ちょっと見直した……こともないこともない」
男「はっきりしろ」
男「……よし、俺はすぐに逃げられるようにするために、民間人の人達を鎖から外して牢屋も開けておこう」
女「私も手伝う」
男「無理するな」
女「大丈夫大丈夫」
男「……じゃあこの鍵を外してっと」カチャリ
男「この鍵で手に鎖を繋がれた人達を解放してくれ。出来るだけ静かにな」サッ
女「わかった」チャリ
425 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:03:41.32 ID:Rp2NAMbko
男「俺は奥の牢屋の方をやっておく」
男「民間人は仲間が来るまで外に出さないようにな」
女「外に出しちゃったら敵にバレちゃうからね」
男「ああ、仲間が来るまでに敵にバレてしまうと面倒だ」
女「仲間は何人来るの?」
男「ざっと30人近く」
女「そんな沢山……」
男「さ、グズグズしてはいられない。行くぞ女」
女「うん!」
タッタッタッ……
・・・
426 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:04:34.42 ID:Rp2NAMbko
男「いいですか? 今からここを開けますが、仲間がすぐに駆けつけてくるから、絶対に今はそこを動かないでください」
「わかりました」
「わかった〜」
ガチャッ
男(よし、牢屋はこれで全部開けたな)
男(女の方を見に行くかっ)
男「…」タッタッタッ
?「動くな」スチャッ
男「‼」ピタッ
427 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:05:11.45 ID:Rp2NAMbko
男「ぐ、軍曹さん……」
女兵士「ふふ……男君、さすがの私もここにいる奴隷に皆逃げられてしまっては困るんだけどな」
男「ぅぅむ……」
女兵士「今すぐその鍵を私に返して、女ちゃんとだけ逃げるのならここでお前を撃たないでやる」
男「……」
男(さすがにここは兵士として見逃してくれるわけないか……)
女兵士「ちなみにこの拳銃、女ちゃんが持っていたものなんだけど、」
男「そうなのか……」
女兵士「これで撃たれて死にたくはないだろう?」
男「……」
428 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:06:39.86 ID:Rp2NAMbko
男(やはりここは素直に従って――)
女「あ、男。……って女兵士さんも?」
男「女⁉」
女兵士「女ちゃん……」
ダンッ‼……ダンッ‼……
女「きゃッ⁉」
男「⁉」
女兵士「んっ?」
男(外から銃声? もう女兄達が来たのか?)
タッタッタッ……
男(足音がだんだん近づいてきている……)
女兵士「敵かっ⁉」
429 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:07:53.02 ID:Rp2NAMbko
?「伏せろッ‼ 男‼」スチャッ
男(あれはっ!)ストンッ
女兵士「後ろかっ!」スチャッ
バンッ‼ バンッ‼
女兵士「……」
男(どうなったんだ……?)
女兵士「……くッ」フラッ
女兵士「……」ドサッ
男「軍曹……さん……」
女兄「男! 大丈夫か⁉」タッタッタッ
430 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:08:34.52 ID:Rp2NAMbko
男「あ、ああ」
女兄「ほらっ、手を」
グイッ
男「……」
男「ぐ、軍曹さん」タタタッ
女兄「え?」
女「女兵士さんッ⁉」タタタッ
女兄「女まで⁉」
女兄「……も、もしかして撃ったら駄目だった……?」
男「軍曹さん!」
431 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:09:58.35 ID:Rp2NAMbko
女兵士「……男君、この拳銃を………」サッ
男「ああ」カチャッ
――ドクン
男「ッ⁉」
男(な、なんだ今のは……)
男(拳銃を受け取ったときに何か……)
男(いや、それよりも今は軍曹さんが……)
432 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:10:57.58 ID:Rp2NAMbko
男「軍曹さん、裏切るようなことをしてしまって本当にすまない……」
女兵士「いいんだ…。私なんて……祖国を裏切ったようなものだ……死んで当然……ガフッ…」
男(だったら俺はとっくに死んでるよ!)
女「女兵士さん……!」ササッ
女兄「女……俺は……」
女「兄さんは黙ってて‼」ギロッ
女兄「っ……」
女兵士「……女ちゃん」
女「はい」
女兵士「おかしなこと…なんだけど……最後に……女兵士姉さんって……呼んで……?」
433 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:13:16.21 ID:Rp2NAMbko
女「……女兵士姉さん、本当にありがとう……」
女兵士「……ははっ…ガフッ」ピチャッ
女「血が……」
男「おい、あまり喋ると……」
女兵士「……はぁ……はぁ」
女兵士「息が……はぁ……はぁ」
女兄「男、これを……麻酔だ」サッ
男「…」カタッ
女「そ、それって……」
男「……楽にしてやるだけだ」
女「そんな……」
434 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:14:37.37 ID:Rp2NAMbko
女兵士「はぁ…はぁ…」
男「」プスッ
女「ごめんね、女兵士姉さん、今楽になれるよ?」
女兵士「ぁぁ………」
女兵士「はぁ…はぁ…」
男「……」
女兵士「はぁ…はぁ…」
女「……」
435 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/08(火) 20:16:27.60 ID:Rp2NAMbko
女兵士「…はぁ……ぉか…」
女兄「……」
女兵士「…ぁさ……」
女兵士「…ん…」
女兵士「……」
女兵士「」
男「……」
女「ぁぁ……女兵士さん……」ウルウル
女兄「す、すまないが、」
女兄「駄目だったのか……? 俺がやったことは」
男「……いいや、お前は何も悪くない」
女兄「……そうか」
女「……ぅぅ」ウルウル
436 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/08(火) 20:20:06.90 ID:Rp2NAMbko
書き溜めはまだあるけどまた今度
437 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:44:14.89 ID:wBWI7+X3o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―数分後(深夜)
―A国軍駐屯地周辺
ぞろろろ……
「列車まで走れぇぇえええ‼」
「子供は手を繋いではぐれないように‼」
「あと少しだぞ‼」
ダダダダッ……
バンッ…バンッ…
「きゃああああっ!」
438 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:44:59.01 ID:wBWI7+X3o
男「おい奴等撃ってくるぞ!」
女兄「民間人に当たってしまう! こちらからも撃って牽制するぞ!」
男「わかった! 女、先に行け!」
女「えっ⁉ そんなっ」
男「必ず後で追いつく」
女「……」
男「狙撃兵に狙われたときだってちゃんと来ただろ?」
女「……ぅ、うんっ、わかった! でも今度は絶対に遅刻せず来てね!」
男「おう!」
女「あと兄さんも!」
女兄「任せとけっ!」
女「…」タッタッタッ
439 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:45:52.13 ID:wBWI7+X3o
男・女兄「…」カチャッ
ダンッ‼……ダンッ‼…ダンッ‼…
・・・
―岩の裏にて
ダダダダッ……ダダダダッ
ヒュンッヒュンッ……パシュンッ
女兄「民間人はもう全員行ったようだね」
男「そのようだが……」
バンッ……バンッ……
パシュンッ……パキンッ……
女兄「サーチライトに照らされている上に敵の攻撃が激しくなって身動きがとれないな」
440 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:46:26.94 ID:wBWI7+X3o
男「出たら蜂の巣になっちゃうなこれは」
女兄「うむ……」
男(こりゃ遅刻確定だな)
女兄「ところで男」
男「なんだ」
女兄「列車で港まで民間人を送り届けたらどうするつもりだ?」
男「まさに今絶体絶命だってのにそんな事を聞くか」
女兄「どうせ今は出られそうにないんだ。別にいいだろ?」
男「……そうだな」
男「まずだ、俺は正直このレジスタンスには場違いな気がしてならない」
441 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:47:15.04 ID:wBWI7+X3o
女兄「そんな事はない。お前は今回の作戦で十分な仕事ぶりを発揮してくれた」
女兄「だからこれからも是非……」
男「すまないが、それはやめておく」
男「俺は元々、B国の兵士だ。今の俺の国の軍のやり方は残酷非道ではあるが、これ以上母国の邪魔をするわけにもいかない」
女兄「……腐っても自分の国だからか」
男「ああ……。だから俺もあの民間人達と共に異国へ渡ろうと思う」
女兄「そうか……。それなら女も一緒に頼む」
男「え?」
女兄「お前になら妹を任せても大丈夫そうだからな」
男「いや、だったらお前も……」
442 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:47:53.47 ID:wBWI7+X3o
女兄「さてっ! 長居しすぎたな。一か八か全力疾走で列車まで走るとするか」
男「人の話聞け」
ブォォオオン……
女兄「ん?」
男「車の音か?」
女兄「敵のジープか? やばいぞ!」
男「…」チラッ
男「いや、様子がおかしいぞ」
ブォォオオン……
ガチャッ…
ズガガガガガガガッ‼
男「あのジープ、A国軍に向かって機関銃ぶっ放してるぞ!」
443 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:48:38.05 ID:wBWI7+X3o
女兄「仲間なのか⁉」
男「わからんがこっちに来るぞ!」
ブォォオオン!
ガガガ……
大男「よお! お前等。なにそんなところでうずくまってんだよ?」
女兄「大男!」
大男「列車までタクシーしてやるからとっとと乗れ! ほらっ、そこの工作員もだ!」
女兄「恩に着る!」ササッ
男(やだ、かっこいい……)
男「助かった!」ササッ
444 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:49:31.09 ID:wBWI7+X3o
大男「運ちゃん、安全運転で頼む」
運転手「……」コクッ、b
ブォォオオン‼
ガタガタッ!
女兄「うぉおおっ⁉」
女兄「どこが安全運転なんだ⁉」
ガタガタッ!
大男「敵の銃弾を避けながら運転すんのが、本当の安全運転ってもんよ!」
女兄「なんか違っ」
ガタガタッ!
男「ヒーハーッ‼ いいぞ、飛ばせ飛ばせぇ‼」
大男「うぉぉぉ‼ ホント戦場は地獄だぜフゥハハハーハァー!」ズガガガガッ‼
445 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:50:18.49 ID:wBWI7+X3o
女兄「……なんなんだこいつらのテンションは」
・・・
―列車付近
ガタンッ……ガタンッ……
大男「見ろ、もう走り出してるぞ!」
男「飛び乗ろう!」
女兄「そうするしかないようだな」
大男「運ちゃん、列車にスピードを合わせてくれ!」
運転手「……」コクッ
ブォォオオン!
446 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:50:59.58 ID:wBWI7+X3o
男「いいぞ……あと少し」
大男「!」ハッ
大男「いかん! 敵のジープが数台後ろから来やがったぞ!」
女兄「まじかよ急いでくれ」
大男「クソッ……さっき舞い上がって機関銃の弾全部ばら撒いちまった」
男「……よし、行けそうだ。そこの扉が開いている場所へ飛び乗るぞっ!」
女兄「先に行け男」
男「ああ……!」
447 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:51:34.67 ID:wBWI7+X3o
男「」ヒュンッ
男「」ゴロンッ
男「……よし、女兄! 次はお前だ!」
女兄「わ、わかった」ガクガク
女兄「ひぇぇ……」ガクガク
大男「早くしろ! 女兄!」
男「おい、どうした」
女兄「ああもう知らん! 行くぞッ!」
男「おう、来いッ!」
448 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:52:12.53 ID:wBWI7+X3o
女兄「」ヒュンッ
女兄「」スタッ
女兄「おわっ」フラッ
男「おっと」パシッ、ギュッ
男「」グイッ
女兄「うぉぉ……落ちるところだった。ありがとう」
男「今ので借りは半分くらい返した」
女兄「はいはい」フゥ…
大男「おい、お前等!」
女兄「どうした大男」
449 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:52:54.61 ID:wBWI7+X3o
大男「後ろから敵が5、6人列車に飛び乗ったぞ!」
女兄「なに⁉ ……わかった。後は俺達だけで何とかする。大男と運ちゃんはもう戻れ」
大男「了解した。無事を祈っているぞ!」
運転手「…」b
男「この恩は忘れない。無事でな」
大男「…………男、」
男「!」
男(あいつが俺を名前でよぶなんて……)
大男「この袋はてめぇのポンチョが入っている。お荷物だから渡す」ポイッ
男「…」ガシッ
男「ありがとう」
大男「達者でな」
ブォォオオン……!
450 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:53:33.88 ID:wBWI7+X3o
男「あいつ、ようやく名前で呼んでくれたか」
女兄「よかったじゃないか男。ついに認めてくれたみたいだな」
男「……俺はもうレジスタンスには戻らないけどな」
男「この軍服のままじゃなんだし、ポンチョを羽織っておくか」バサッ
女兄「それ俺のじゃん」
男「え? そうだったのか」
タッタッタッ…
男「仲間が来たか」
仲間「お前達、無事だったのかっ!」
女兄「ああ、なんとか」
451 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:54:40.03 ID:wBWI7+X3o
ダンッ! ダンッ!
仲間「ぐぁッ‼」
仲間「」ドサッ
女兄「うぁっ⁉」
男「隠れろっ!」ササッ
女兄「…」ササッ
女兄「おい、大丈夫か君⁉」
仲間「」グッタリ
女兄「駄目か……」
女兄「……敵が何人か後ろから乗り込んでたんだったな」
男「ああ。ここで食い止めよう」カチャッ
女兄「はぁ……そうするしかないようだな……」カチャッ
男「…」サッ
ダンッ! ダンッ!
・・・
452 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:58:34.87 ID:wBWI7+X3o
ダダダダッ!
ダンッ! ダンッ!
男「おい、もう5人以上は倒したよな?」
男「それなのに、一向に敵の勢いが弱まらないぞ」
女兄「っていうかむしろ激しくなってきてるな」
男「元から何人か乗っていたのか?」
女兄「発車する寸前で駆け込まれた可能性も否定できない」
仲間「おい、あんた達。一体何をやって――」タタタッ
ダダダダッ!
男「危ない! 隠れてろッ!」
453 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:59:11.05 ID:wBWI7+X3o
仲間「おぅッ⁉」ササッ
ヒュンッ! バシュッ!
仲間「なんか後ろの方が騒がしいから来てみればこのザマかよ……」
女兄「俺達だけじゃ無理だ。もっと仲間を呼んで来てくれないか」
仲間「了解だ!」ササッ
仲間「あっ。ここから1両前にある車両は爆薬が沢山置いてあったから注意しておけよ」
女兄「わかった」
仲間「…」タタタッ…
男「なあ、これ敵を車両ごと切り離しておさらばすればいいんじゃないか?」
454 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 21:59:49.76 ID:wBWI7+X3o
女兄「うむ……。この状況だと後ろの方の車両の物資は諦めてそうするしかないか……」
ダダダダッ!
ヒュンッヒュンッ
ズシュッ!
女兄「ぐッ‼」
男「!」
女兄「……くっ……くそ、撃たれた……」ヨロッ
男「女兄! 大丈夫か?」
女兄「肺を……やられた……っ」
男「――!」ハッ
――ドクン
455 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:00:41.97 ID:wBWI7+X3o
友『……お前もわかっているだろうが、あの娘は誰か頼れる、つまりは縋れる人が居ないと生きていけない人間なんだ…』
『……ああ、だから俺が今、その『縋れる人』になっているんじゃないか』
友『そうだな……。だがな…』
友『…悪い事は言わない。その娘の事を思うなら、その娘に長く生きて欲しいなら…」
友『その娘にとって別の『縋れる人』を探すんだ』
(
>>269
)
456 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:01:27.29 ID:wBWI7+X3o
女兄「はぁ……クッ……はぁはぁ」
男(女が縋れる、俺以外の別の人間……)
男(……ここで女兄を死なせてはいけない……!)
女兄「はぁ……いかん……駄目かもしれない……」
女兄「俺を置いて……」
男「……いや、死ぬのは許さんぞ」
男「お前が死んだらお前の妹はどう思う?」
女兄「っ!」
男「……いいか? あの娘はな……女にはな……」
女兄「……はぁ……はぁ」
457 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:02:37.55 ID:wBWI7+X3o
男「俺以外の縋れる人間が必要なんだよ!」ササッ
ダダダダッ!
ヒュンッ ヒュンッ
女兄「……お…い」
男「それに、」がしっ
男「まだ、」ぐいっ
女兄「……」ザザー
男「久しぶりに自分の妹に会ったっていうのに、」ぐいぐい
男「ろくに話もしてないだろ」ぐいぐい
女兄「……」ザザー
458 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:03:19.23 ID:wBWI7+X3o
ダンッ! ダンッ!
ヒュンッ ヒュンッ
男「少しは残された人の事ぐらい、」ぐいぐい
男「考えろ」ぐいぐい
男「……シスコン野郎」
女兄「……誰が……シスコンだ……ガフッ」ビチャッ
・・・
―1つ前の爆薬車両
女兄「はぁはぁ……男……どのみち俺はガフッ!」ビチャッ
女兄「あと数分も……もたん……」
459 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:03:56.06 ID:wBWI7+X3o
男「おいさっきの俺の話聞いてなかったのか?」
男「お前が生きなけりゃ、女はまたひとつ、生きる事への意欲を失う事になる」
女兄「……すまないが……もう痛みすらも……感じなく……なって……」
男「むしろいいじゃんか」
女兄「……よく…ねぇよ」
男「……」
女兄「……おと…こ……」
男「……」
女兄「ここに……俺を……置いて行け……」
男「駄目だ」
460 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:04:34.60 ID:wBWI7+X3o
女兄「最後の……頼みだッ!」ゴゴッ
男「っ……」
女兄「ガフッ!」ビチャッ
女兄「このマッチ棒で……爆薬に……火をつけて……」
女兄「花火でも見せて……やるよ」
女兄「それで…奴らを……道連れに……」
男「……駄目だそんなの」
女兄「だから……この車両ごと……切り離して……くれ…」
女兄「お願いだっ……」
男「……」
461 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:05:11.64 ID:wBWI7+X3o
女兄「……」ガサガサ
女兄「……あと……この写真を……」サッ
男「……」
男「くっ……女に渡しておく」カサッ
女兄「……ありがとう……」
男「代わりにこのポンチョを返してお――」
女兄「いい」
女兄「俺の…形見だと…思って……持って行け」
男「………」
男「…」コクッ
462 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:06:22.26 ID:wBWI7+X3o
女兄「さぁ……俺の意識が……途切れる……前に……ガフッ!」
女兄「……はやく行けッ‼」
男「…………」
女兄「女を……頼む…!」
男「お前の事は、絶対に忘れない」
女兄「はは…」ニッコリ
男「…」ダッ
タッタッタッ……
463 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:07:01.61 ID:wBWI7+X3o
―車両連結部分
男「……ちくしょう」ガシッ
ガギギギギ……
男「……畜生」
ガチャッ
男「……畜生畜生畜生」
カパッ
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
464 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 22:10:25.95 ID:wBWI7+X3o
―友人をのせた列車が離れていく
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
―どうしてこうなってしまったのだろう
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
―彼を救うことができたかもしれないのに
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
―折角自分以外に女が縋れる人だっだというのに
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
465 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/13(日) 22:11:50.20 ID:wBWI7+X3o
―俺はただ言われるがまま
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
―彼を見捨てた
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
…………………………
…………………………
…………………………
ドォォォォオオオオオオンッ!!!
男「う゛わぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛」
第六部 完
466 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(福島県)
[sage]:2011/11/13(日) 22:54:21.29 ID:aQdzjrhco
機種依存文字使われると読めなくて萎える
467 :
◆AyjrC5NWrU
[sage]:2011/11/13(日) 23:14:14.36 ID:wBWI7+X3o
>>466
ごめんなさい
スマホなもので
出来ればどこの文字が正しく表示されて
いないかkwsk
468 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/13(日) 23:47:42.57 ID:wBWI7+X3o
PCでざっと確認したところ
文字化けは見当たらなかったけど
場合によっては
『‼』と『⁉』が正しく表示されない事があったので、
以後『!!』と『!?』に統一します
469 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(東海)
[sage]:2011/11/14(月) 13:04:39.63 ID:aYtEFgEAO
乙?
470 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/16(水) 23:30:11.70 ID:KodXLjn1o
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―列車の最後尾の車両
仲間1「おい、工作員」
男「……」ボーッ
仲間1「どうやら車両がここで切り離されて、向こうが爆発したようだが……」
仲間1「一体ここで何が起こったんだ?」
仲間1「他の仲間はどうなっちまったんだ?」
男「……」ボー
仲間1「うなだれているだけじゃ、何も前進しないぜ?」
男「……」ボー
471 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:30:55.75 ID:KodXLjn1o
男(また人を1人死なせてしまった)
仲間1「なあ、頼むよ……」
男「……」ボー
男(俺はこのまま人に借りを返せないまま生きていくのか)
仲間1「……あ、そういや、女とかいう奴がお前の事を心配していたぞ」
男「!」ハッ
男(そうだ……女……)
男「…」ダッ
仲間1「あ、おい!」
男「…」タッタッタッ…
仲間1「……なんなんだあいつ」
・・・
472 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:31:28.55 ID:KodXLjn1o
男「…」タッタッタッ
仲間2「おお、あんた無事だったのか!」
男「民間人はこの扉の先か?」
仲間2「ああ、そうだが」
男「ありがとう」サッ
ガラッ
「あっ、牢獄にいたときの……」
「助けて下さった方……」
男(女は……)
女「男!」
473 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:32:07.12 ID:KodXLjn1o
男「いた!」
女「…」タタタッ
女「……もう……また遅刻してるじゃん」
女「もう来ないかと思った……」
男「……っ」
男「……すまん」
男「大事な話がある。少し場所を移そう」
女「え?」
・・・
474 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:32:50.28 ID:KodXLjn1o
男(ここなら人もいなくて話しやすそうだ)
女「こ、こんな人気の無い場所に私を連れ込んで一体ナニを……」
男「……おい、お前の台詞の一部分が若干卑猥なことになってんぞ」
女「気のせい」
男「……はぁ。 ガチな話だから落ち着いて聞いてくれると助かる」
女「が、ガチ……」ゴクリ
男「座って話そう」ストンッ
女「うん」ストンッ
男「よし、いいか……お前の」
女「……」
475 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:33:33.50 ID:KodXLjn1o
男「……兄さんは」
女「……」
男「残念ながら……」
女「……」
男「……」
女「どうなったの?」
男「……助けることが出来なかった……」
女「……」ウルッ
男「……本当にすま――」
女「謝らないで」
476 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:34:13.36 ID:KodXLjn1o
男「?」
女「……そこで自分を責めちゃダメ」
女「……なんでもかんでも自分のせいにしちゃダメなの」
男「……」
女「私は……そこが男の悪い癖だと思う」
女「何かあるとすぐに謝る癖も……」
男「あぁ……」
女「この癖は大抵、自分の責任から逃れようとする人がする癖だけど」
女「男は全く逆」
女「人に気を使い過ぎ」
女「自分に責任を感じすぎ」
男「……」
477 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:35:06.28 ID:KodXLjn1o
女「死んでしまった人達は所詮死人」
女「いくら悔やんでも生き返ることはない」
女「……もっと自分のことを考えたらどう?」
男「……」
男(まさかここで説教されるとは……)
女「それに私は、男が兄さんを助けられなかったからといって嫌いにはならない」
女「人の死なんて避けられないときは避けられないもの」
女「男は何も悪くない」
男「……」
女「……だから、その、つまりね……」
478 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:35:42.76 ID:KodXLjn1o
女「もっと自分に気を使って、正直になって」
女「……以上」
男「もう……お前の方が大人なんだな」
男「……強くなったな」
男「兄さんが死んだっていうのに……俺に説教するなんて」
女「ははは、いつまでも泣いてなんていられませんから……」
男「……そっか」
女「……」
女「……本当は凄く泣きたい」
女「でも私、もう泣きすぎて」
女「涙、枯れちゃった」
479 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:36:36.43 ID:KodXLjn1o
男「……」
女「でも、本当の泣かない理由としては……」
男「?」
女「……男がちゃんと、帰って来てくれたからかな」ぎゅぅう
男「おぉう?」ビクッ
女「帰ってきてくれて……ありがとう……」
男「……遅刻、したけどな」
女「無事ならそれでいいの」
女「でも、もう離れないで欲しいかも」
女「待っている途中、心配で心配で……それこそ泣きそうだったんだから……」
480 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:37:29.17 ID:KodXLjn1o
男「離れないさもう」
女「神に誓って?」
男「はははっ」
男「ああ、もちろん」
・・・
女「ところでこの列車、どこへ向かっているの?」
男「南の港町だ。そこから異国行きの難民船に乗る」
女「私と男も?」
男「そうだ。C国はもうどこにいても危険だ」
女「……出来ればこの国を出たくはなかったんだけど、」
481 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:38:06.94 ID:KodXLjn1o
女「こんな荒れ果てた状態なら仕方ないもんね……」
男「……戦争が終わって平和になったらまた来ればいい」
女「……うん」
女「お母さんや姉さん、兄さんのお墓も建てないといけないしね……」
男「っ……」
男(せめて女兄の骨だけでも拾うことが出来ればな……)
男「父親の行方は?」
女「わかんない」
男「……きっと無事さ」
女「……ぅん」
・・・
482 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:38:38.87 ID:KodXLjn1o
女「ねぇ、男」
男「……なんだ。もうそろそろ寝たいんだけど」
女「女兵士さんから私が持ってた拳銃、受け取ったよね?」
男「……ああ」
女「よかったら、渡してくれないかな?」
男「……」
女「役に立った事はまだ一度も無いけど、」
女「少しでも男の足手まといになりたくないから……」
男「……わかった。渡しておく」
男「でもな……」
483 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:39:13.67 ID:KodXLjn1o
女「何?」
男「俺は女の事を今まで一度も足手まといだと思った事はない」
男「むしろ、足手まといなのは俺だ」
女「ほら、またそうやって自分を責める……」
男「……一言余分でしたすんません」
男「えっと、拳銃拳銃」ガサゴソ
男「あった」スチャッ
484 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:39:56.47 ID:KodXLjn1o
男「はい」サッ
女「ありがとう」カチャッ
――ドクン
男「うっ……!?」クラッ
女「男っ? どうしたの?」
男「くっ……また……」
女「!」
女「ひょっとして男!」
男「へっ?」
女「どこか撃たれたんでしょ⁉」
485 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:40:31.77 ID:KodXLjn1o
男「いや、どこも撃たれてませんが」
女「ダウトッ!」
女「今撃たれたところが痛んで喘いだんでしょ?」
男「だからどこも――」
女「ほら、またそうやって他人に心配させないように隠そうとする!」
男「隠そうも何も撃たれとらんわ!」
女「じゃあ……上半身の服を脱ぎましょうね」
男「えっ」
女「そうすれば嘘か本当かわかるしね〜」
男「断じて断る」
486 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:41:08.73 ID:KodXLjn1o
女「……むむむ」
女(では力尽くにでも……)
女「とりゃッ!」ガバッ!
男「うわっ、おいやめろあああああああ」ジタバタ
・・・
女「………血も傷口もない」
男「だから言っただろ」ガクブル
男「……それより寒いんだけど」ガクブル
女「……じゃあ、下半身か」
男「!!」ビクッ
487 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:41:45.45 ID:KodXLjn1o
男「おいおいおいおいおい」
女「早く脱いでっ」
男「お前わざとだろ⁉」
女「何がわざとなの? 傷口があるかもしれないから見せてもらうふひひただそれだけ」
男「今笑ったよな」
女「そいやッ!」ガバッ!
男「ちょちょちょさすがに下半身はアウトだって」ジタバタ
男「撃たれてないっ撃たれてません神に誓ってうわあああああ」ジタバタ
女「神なんているわけない」
男「こんな場面でタイトル言っちゃらめぇぇぇええええ!」
488 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:43:06.95 ID:KodXLjn1o
ガラッ!
仲間2「どうしたッ! 敵かッ!?」バッ
男「!」
女「!」
仲間2「……」ジーッ
仲間2「ウホッ!」
仲間2「……じゃなくて、」
仲間2「お楽しみ中でしたか」
489 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:43:36.96 ID:KodXLjn1o
男「違うッ!! 誤解だ! 断じて否!!」
仲間2「それではごゆっくりと……」
バタンッ
男「……」
女「……」
ガタンッゴトンッ……
ガタンッゴトンッ……
男「……服返してくれ」
女「……うん」サッ
490 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/16(水) 23:45:37.40 ID:KodXLjn1o
次回の投下で多分最後
ちょい多めになるかも
491 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2011/11/17(木) 03:10:50.97 ID:kTyHxj0go
乙
次で最後か。なんか寂しくなるな。
492 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/17(木) 13:34:20.58 ID:ECLfhDgIO
乙
どうか二人には幸せになって欲しい
493 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(新潟・東北)
[sage]:2011/11/18(金) 12:31:58.27 ID:yNg6NS1AO
がんばれ
494 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/18(金) 20:28:00.94 ID:7z1F8fyOo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―なんだ……ここは?
ザー……
ザザー……
―どこかの……砂浜?
女「……」
―女……?
女「…」スチャッ
―あれは……渡した拳銃……?
女「……今、いくからね」
―『いくからね』って……
女「……」スッ…
―おい、なんで自分の頭なんかに向けてんだよ……!?
女「……」
―女っ! やめろ! まだ希望はある!
女「……ッ」カチッ
―やめろぉぉぉおおおお!!
495 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:29:29.72 ID:7z1F8fyOo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―翌日早朝
―港町
女「私達以外にあんまり人、居ないね……」
男「……ああ」
女「皆もう国外に避難したのかな?」
男「……多分」
女「……」
・・・
C国兵「民間人がこんなに沢山……」
男「遠くの村から来た。是非難民船に乗せて欲しい」
496 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:30:05.52 ID:7z1F8fyOo
C国兵「……よかったな。丁度今日、一隻だけ出港する予定の難民船がある」
C国兵「それに乗って行くといい」
男「ありがとう」
男「だ、そうだ。皆に伝えてくれ」
仲間「おう」タタタッ
男「……」
女「……」
女「男、朝から元気が無いけど……」
男「……そうか? いつも通りだけどな」
女「そう……。ならいいけど……」
497 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:30:40.88 ID:7z1F8fyOo
男「……」
男(女があの拳銃で自殺をする夢を見た……なんて言えるわけがない……)
男「……」
男(あの夢は一体何だったのだろう……)
男(もしかして、あれが女の未来だとでも……?)
男(……そうだ、念のために女から拳銃を返して貰おう)
男(正夢にはさせない)
男(……いや、だが理由を聞かれてしまうな)
女「……」チラッ…チラッ…
女(男、1人でずっと考え事をしているみたい……)
498 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:32:26.91 ID:7z1F8fyOo
女(無理に聞き出すのもなんか悪いし……)
女(ここは自分1人だけでも明るく振舞っておこう)
女(そうしてればそのうち男もいつもの状態に戻るよね)
女「ふんふんふんっ」♪〜
男「……」
男(ううむ……)
男「!」
男「ひらめいたっ」ピンポーン
女「はぇっ?」ビクッ
男「すまん、ただ言ってみたかっただけだ」
女「さ、さいですか……」
499 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:34:07.32 ID:7z1F8fyOo
女「……いやいや。なんで言ってみたかったの?」
男「……」
男(うむ、これなら理由も聞かれないだろう)
男(銃に疎い女の事だ。どうせ暫くは気付きもしない)
女「無視するなっ!」ビシッ!
男「いてっ!」
男「チョップはやめんか」
女「ぃてて……チョップって難しい……」ナデナデ
男「……お前の方がダメージ受けてどうする」
男「……女」
女「……」プイッ
500 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:34:47.43 ID:7z1F8fyOo
男「女」
女「……」
男「女!」
女「……」シーン
男「はぁ……。わかったわかった」
男「無視して悪かった」
女「……じゃあ、向こうに着いたら何か奢って」
男「金が手に入ればいつでも奢ってやるよ」
女「やった。話し掛けていいよ」
男「……お前は餓鬼か」
女「ああん?」ギロッ
501 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:35:47.74 ID:7z1F8fyOo
男「すみません前言撤回」
女「……じゃあ約束ね。何か奢るの」
男「……」
男「……お前なら一生奢ってやるよ」
女「……?」
女「……!」ハッ
女「…」カァァァ…
女「ばか……」ぺちっ
男「いてっ」
・・・
502 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:36:31.08 ID:7z1F8fyOo
男(さて、)
男「でだな、昨日渡した拳銃を少し貸してくれないか」
女「?」
女「なんで?」
男「……ちょっと弾が入っているか確認するだけだ」
男「あと、安全装置が掛かってるかどうかとか」
女「安全装置くらい掛かってますぅ!」スチャッ
男「さすがにそれは覚えたか」
男「んじゃ、次は弾が何発入ってるか確かめるから」
女「……はい」サッ
男「…」スチャッ
男(よし、後は―――)
カチャカチャ……
・・・
503 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:37:13.13 ID:7z1F8fyOo
―数分後
―難民船乗り場の桟橋
ウォオオオオオオォォン……
男「サイレン音?」
女「えっ? 何?」
仲間「B国軍の爆撃機が来たらしいぞッ!! 早く船に乗り込めっ!」
C国兵「難民船を臨時で今出港させるとの事だ! 乗る人達は今すぐに乗船しろ!」
「わかりました!」
「ほらッ! 急ぐのよ!」タッタッタッ
「ママぁ! まってぇぇ!」タッタッタッ
「やっとこの国から逃げられるというのに、死んでたまりますかッ!」タッタッタッ
ぞろぞろ……
504 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:37:55.74 ID:7z1F8fyOo
男「俺達も早く乗った方が良さそうだな」
女「は、早く乗らないと後ろのあの人達の邪魔だよ! 轢かれちゃうよ!」アタフタ
―とある場所にて
ガチャッ
ジャキンッ!
?「……やっと見つけたぞ」
?「……B国の裏切り者めが」
?「すぅ……」
?(あの森では仕留め損ねたが……)
?(ここで制裁を下す)
?(……村Aでの仇だ……!)
?「」カチッ
505 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:38:44.81 ID:7z1F8fyOo
―桟橋にて
パキュゥゥン!
ズシュッ!
男「ぅッ!?」ヨロッ
男(………えっ?)
女「!?」
男(駄目だ……力が抜けて……)
男「くッ……」フッ
ザッパアアンッ!!
男「」ブクブク…
女「ぇ……お、男……?」
506 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:39:24.45 ID:7z1F8fyOo
………
―なんだ。友が言っていたのはこういう事か
女「――――!!」ササッ
―俺以外に、女の頼れる人間を探さなければならないっていうのは、
―つまるところ………
―俺が死ぬから
―友、そういうことだろ?
女「―――ッ!! ―――ッ!!」
507 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:40:00.38 ID:7z1F8fyOo
―ごめん、女。
―お前も……約束も……家族も……全部守れなかった……
―……
―結局のところ、俺がここまで頑張れたのは女のおかげ
―女が俺を縋る以上に
―俺は心の支えに女を必要としていたのかもしれない……
―…………ははっ……
―……情けないな俺……
―祖国の役に立とうと親友を巻き込んでまで軍に入った
―だが俺は祖国を裏切り、その親友を犠牲にしてしまった
508 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:40:50.85 ID:7z1F8fyOo
―たった1人の少女を守るにも、俺には力不足
―色々な人の思いまでもが犠牲に……
―傍から見ればとんだクズじゃないか……
―だけど……
―いや、だからこそ
―このまま死ぬなんて……
―……駄目なんだ
―ここで死んでは駄目なんだ
―……畜生
―死んでも……死にきれない……!
―まだ何1つやり遂げていないじゃないか!
509 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:41:29.47 ID:7z1F8fyOo
―………くそっ……なのに……
―もう力が……
―はい……らない……
―………
―女………
―…………
―……
―…
―
510 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:42:09.89 ID:7z1F8fyOo
………
女性「水に飛び込むのは危険よ! やめなさい!」がしっ
女「嫌だッ! 男が死んだら私ッ……」ジタバタ
女性「あの方は残念ながらもう助からないわ! あなたまで死に急ぐ事はないの!」
女「なんでッ……なんでそんなことっ……」エグッエグッ
女性「ほらっ! 行きましょう?」ぐいぐい
女「やだぁ……そんなの……ぐすんっ……男がいないなんて……」ザザー
女性「辛いでしょうけど……頑張って……」ぐいぐい
女「やだやだやだ……こんなのって……ぐすっ」ザザー
女性「……」ぐいぐい
女「……いやだッ……いやだっ……こんなの夢だっ……ぐすんっ……」ザザー
女「うわあああああ!!―――」
・・・
511 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:42:59.17 ID:7z1F8fyOo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―一月後
―早朝
―異国の海辺の修道院
修道女1「あの不思議ちゃんをここで保護してからもう一ヶ月経ちますが……」
修道女2「名前すらも全く喋りませんね……」
修道女1「一体C国でどんな辛い目に遭ったのでしょうか……」
修道女2「……わかりませんが、難民船がC国から渡って来る日に限って、この修道院を抜け出す事は確かです」
修道院1「誰かと生き別れになってしまって……その誰かが来るのを待っていたり?」
修道女2「……とにかく、あの娘が普通に人と話せるようになるまで私達も頑張りましょう? シスター」
512 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:43:34.49 ID:7z1F8fyOo
修道女1「そうですね……」
修道女1「私、不思議ちゃんに朝食を運んでいきます」
修道女2「わかりました」
修道女1「では」スタッスタッ
・・・
―個室前
修道女1「…」コンコン
修道女1「……不思議ちゃん、入りますよ〜」
ガチャッ……
キィィ……
513 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:44:06.13 ID:7z1F8fyOo
修道女1「あれ? 朝からいない……」
修道女1「……?」
修道女1「あの紙は……」スタッスタッ
修道女1「ひとまず朝食を置いて……」カタッ
修道女1「……置き手紙ですか」
修道女1「不思議ちゃんが書いたのかな……」
修道女1「どれどれ……」サッ
修道女1「涙がこぼれた様な跡が……」
514 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:45:14.88 ID:7z1F8fyOo
―修道院の皆様へ
私、不思議ちゃんこと女と言います。
お世話になった修道院の皆様に謝っておきたい事があります。
まずは皆さんもご存知のように、私が何も喋らない事。
ごめんなさい、これについての理由は自分勝手です。
C国で何が起こったかを私がただ言いたくないからなんです。
聞かれたくないからなんです。
あそこで何があったかなんて聞かれてしまえば、途端に私は泣き出してしまうでしょう。
今これを書いているときも、辛い思い出が甦ってきて涙が止まりません。
515 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:45:52.72 ID:7z1F8fyOo
でも、そんな無口な私に皆さんは分け隔て無く接してくれました。
このことについては本当に感謝しています。
きっと誰もが私のことを心配してくれていたのでしょう。
誰もが私が喋ることを期待したでしょう。
ですが、皆さんの期待に応えることは出来ません。ごめんなさい。
私はもう決めたのです。
ある人達の元へと旅立つことを。
516 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:46:43.28 ID:7z1F8fyOo
私はこの修道院で過ごした日々を決して忘れることはありません。
もう会うことは二度とないでしょう。
最後に皆さん、神様がいると信じていますか?
私はいないと思います。
では、今まで本当にありがとうございました。
さようなら。
―女より
517 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:48:18.44 ID:7z1F8fyOo
修道女1「なんてこと……」
・・・
―砂浜
ザー……
ザザー……
女「……」
女「男……遅すぎるよ……」
女「あのときは2日で駆けつけて来てくれたのに……」
女「もう、待ちくたびれちゃったよ……」
518 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:49:04.06 ID:7z1F8fyOo
女「……」
女「男……ひょっとして天国にいるの……?」
女「天国で、私を待っているの……?」
女「……」
女「……そう、なんだね……?」
女「…」スチャッ
女「……今、いくからね」
女「……」スッ…
519 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:49:48.45 ID:7z1F8fyOo
女「……」
女「……ッ」カチッ
シーン……
女「……」カチッ
女「……」カチッカチッ
シーン……
女「なん……で」
女「なんで弾が出ないの……」
女「なんで弾が出ないのッ!」
男「自殺防止のためだ! 許せ!」
女「!?」クルッ
520 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:51:55.83 ID:7z1F8fyOo
男「待たせたな!」ザッザッザッ
女「……ぁ……あ……あ」ドサッ
男「はははっ、どうした、びっくりして腰が抜けちまったか?」ニヤニヤ
女「……ゆ……夢……じゃない……ぅう……」ホロリ
男「……その拳銃はもう、不必要だな」
男「没収だ」サッ、スチャッ
男「こんな物、あってはならないんだ……」
男「そいッ」ポイッ
……ポチャンッ
521 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:52:51.68 ID:7z1F8fyOo
男「ほらっ、いつまで腰が抜けてんだ。起こすぞ……」ギュッ
女「……」
男「……よいしょっ」グイッ
男「ってお前、酷い顔してんな……」
女「…」ばっ
男「おわっ」
女「……だれの……せいだと……ぅ…うぅ…ぐすっ」ぎゅぅぅぅ
男「……ごめんな。本当はもっと早く来るつもりだったんだが……」
女「ぅう……ばかっ…ばかぁっ!」ビシッバシッ
男「ついこの間まで目を閉ざしたまま、生と死の境目を彷徨っていたもんでね……」
女「ぅぅ……ぐすっ……」ボロボロ
522 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:53:31.76 ID:7z1F8fyOo
男「……その生と死の境目にいたときな、色々な人達が見えたんだ」
男「宿主さんや軍曹さん、女兄や友」
男「……言っておくが、冗談じゃないぞ? 本当の事だからな?」
女「……ぅん……」ボロボロ
男「それで言われたんだ、」
男「『お前は借りを作り過ぎた。自分で生きる事によってその対価を支払え』ってな」
女「ぐすんっ……その通りだよ……」ボロボロ
男「……それを言われた途端に目が覚めたんだ」
女「うっ……ぅぅ……」グスッ
523 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:54:08.89 ID:7z1F8fyOo
男「それで、まだ話す事がある」
女「なに……?」グスッ
男「…」ガサガサ
男「…」ペラッ
女「写真……?」グスッ
男「この写真、お前に渡しておくつもりだったんだが、すっかり忘れていた」
男「女兄から貰った写真だ。海水に濡れてシワシワになってしまったが……」
男「渡しておく」サッ
女「…」ペラッ
女「この写真……ぐすんっ……家の前で皆で……撮った写真だ……」ボロボロ
524 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 20:59:35.21 ID:7z1F8fyOo
男「裏を見てごらん」
女「?」グスッ
女「…」ペラッ
女「……!」
女「これ、お父さんの字だ……」
男「俺が女兄から貰ったときには真っ白だったから、多分俺が寝ていたときに書かれたものだろう」
女「……ぐすんっ」ジーッ
525 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 21:00:52.73 ID:7z1F8fyOo
―私はこの写真の一番左に写っている者だ。
君を海の中から助けたときに偶然この写真を見つけた。
私は君が誰であるかは知らない。
だがこの写真を持っているという事は君は私の家族に何か関わりがあるのだろう。
もしそうなら、私の家族を守ってやってほしい。
私からのお願いだ。
526 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 21:02:00.37 ID:7z1F8fyOo
男「写真のスペースが少ないからそれだけしか書いてなかった」
女「……お父さん」グスッ
男「はは……どうやら俺は女の兄と父にそれぞれ一回ずつ助けられてしまったらしいな」
女「男」
男「ん? もう泣き止んだのか」
女「……お父さんも守ってくれって言ってるし、」
女「もちろん……今後もその……」
女「一緒にいてくれたら……」
527 :
◆AyjrC5NWrU
[saga]:2011/11/18(金) 21:02:56.02 ID:7z1F8fyOo
男「……ああ」ニコッ
男「もう絶対に離れない」
男「一生守ってやるよ」
女「……」カァァァ
女「………うんっ!」ニカッ
……
―そのとき俺は
―この少女の最高の笑顔を最期まで守ると
―神に誓った
女「神なんているわけない」 完
528 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(沖縄県)
[sage]:2011/11/18(金) 21:07:20.39 ID:qKIds14Vo
乙
弾抜いといてよかった!
529 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
[sage]:2011/11/18(金) 21:09:12.67 ID:AmfgurNIO
乙
ハッピーエンドはやっぱりいいねえ
530 :
◆AyjrC5NWrU
[sage saga]:2011/11/18(金) 21:14:26.50 ID:7z1F8fyOo
今まで見て下さった方々は
この様な駄文に最後までお付き合い頂き、
ありがとうございました
補足説明として、
最初のB兵2=後の狙撃兵=最期に男に撃った敵です
途中、gdgdになったり弱音吐いたりして
申し訳なかった
HTML化依頼は来週中に出します
531 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(千葉県)
[sage]:2011/11/18(金) 21:53:16.49 ID:+YHjpZIzo
乙です
一瞬だけ全員死亡の俺得鬱展開になるかと思ったけどハッピーエンドも嫌いじゃない
532 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(埼玉県)
[sage]:2011/11/19(土) 10:47:50.64 ID:X9Q3gryoo
乙乙!!
追っかけてて良かった
533 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)
(愛知県)
:2011/11/20(日) 01:33:02.59 ID:QQyZhuoi0
乙?
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