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梓「ラリホー」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:15:41.60 ID:3C6vmmBSo
ひょんな事からドラクエの魔法が使えるようになった梓。
合宿で魔法を使ったいたずらをして以来、軽音部のメンバーにも周知の事実となった。
そんな梓達のある日のお話。



澪の部屋

澪(…眠れない)


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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:18:27.69 ID:3C6vmmBSo
部室

紬「どうしたの?澪ちゃん。ここのところ元気なさそうな気がするんだけど」

澪「実はここ最近ほとんど眠れなくて」

律「そういえば、澪最近ぼーっとしてること多いよな」

澪「そうなんだよなー。授業もあまり耳に入らないし」

梓「今も眠いですか」

澪「うん、かなり」
3 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:19:38.73 ID:3C6vmmBSo
梓「私、人を眠らせる魔法も使えますよ。良かったらかかってみませんか?」

澪「本当か!うーん害とかないかな?」

梓「大丈夫です」

澪「じゃあ、お願いしようかな」

梓「はい、じゃあ澪先輩以外の皆さんは少し離れててください」

唯「おっけー」

唯達は部屋の隅の方に移動する。

梓「それではいきますよー。ラリホー!」

澪のまわりを紫色の霧が渦巻く。
こてっ
4 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:20:34.85 ID:3C6vmmBSo
澪「…」

澪は静かな寝息を立てて眠り始めた。
すーすー

唯「おおー」

梓「うまくいったみたいですね」

紬「気持ちよさそうに眠ってるわ」

唯「ほんとだねー」



5 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:21:40.65 ID:3C6vmmBSo
梓「澪先輩、私の顔は実はパンでできてるんです」

澪「なんだってー」

梓「ほっぺのところ、少しだけなら食べてもいいですよ」

澪「えっ、いいの?」

梓「特別ですよ」

澪「じゃ、じゃあ、一口だけ。いただきます」

かぷっ

梓「きゃっ、くすぐったい」

もぐもぐ
6 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:22:53.85 ID:3C6vmmBSo
澪「おいしい。梓はクリームパンだったんだ」

梓「喜んでもらえてなによりです」

唯「あずぱんまん、新しい顔だよー」

律「おーい澪、起きろー」

律「澪、そろそろ起きないと学校閉まっちゃうぞ」

澪「うーん、あずぱんまん」

律「澪ー」

澪「はっ、えーっと、律?」
7 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:23:46.38 ID:3C6vmmBSo
律「そうだよ。目は覚めたか?」

澪「うん、はーっ、すっきりした」

澪「ありがとう梓。久しぶりに良く眠れたよ」

梓「どういたしまして、それは良かったです」


8 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:24:53.62 ID:3C6vmmBSo
三日後

先生「では、この問題を秋山さん」

澪(ぼーっ)

先生「秋山さん!」

澪「はっ、はい。えっとどこでしたっけ?」

先生「…もういいです。では、中島さん」

澪(しょぼーん)


9 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:26:26.89 ID:3C6vmmBSo
放課後

律「でさ、澪があてられたんだけど、澪のやつぼーっとしててさ、答えられなかったんだよ。私もやばいと思ったんだけどさ」

澪「もう!律っ!」

梓「へぇ、そんなことがあったんですか」

紬「そうなのよ。澪ちゃんが答えられないなんて珍しいわ」

澪「私としたことが、授業中にぼーっとしてしまうなんて…」

唯「大丈夫だよ、澪ちゃん。私なんか授業中に当てられて答えられない事なんてしょっちゅうだよ」

律「私もたまに答えられないぞー」

澪「うー、補修組と同レベルかぁ」

律「補修組とはなんだー!」

唯「なんだー!」
10 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:27:46.60 ID:3C6vmmBSo
梓「それじゃあ、澪先輩が眠れないのってまだ続いてるんですか?」

澪「うん、そうなんだ」

澪「梓が魔法をかけてくれた次の日は結構楽だったんだけどな」

澪「でもやっぱり眠れないから、しばらくすると元に戻っちゃって」

律「私から見ても、最近の澪は元気ないんだよな。」

唯「私の大福半分あげるから、澪ちゃん元気出して」

澪「あ、ありがとう、唯」

梓「唯先輩が自分から大福を半分差し出すとは…。これはよっぽどのことですね」

紬「そうだ!」
11 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:28:54.19 ID:3C6vmmBSo
律「どうした、むぎ?」

紬「いい事を思いついたわ。澪ちゃんと梓ちゃんが一夜を共にすればいいのよ!」

澪「ななな何を言いだすんだ、むぎ///」

梓「そうですよ!むぎ先輩」

紬「もとい、梓ちゃんが夜寝る前に魔法をかけてあげればいいのよ」

澪「なんだぁ」

梓「そういうことですか」

ほっ

紬「それに、私は澪あずもアリだと思うわー」

うふふっ
12 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:31:44.69 ID:3C6vmmBSo
律「あー、でもそれはいい案かもな」

澪「うーん、でも帰ったら勉強しないといけないし」

律「たまには気分転換って事でいいんじゃないか?」

澪「うーん…、確かに私もぐっすり眠りたいし…。一日だけならまぁいいかな」

梓「本当にいいんですか?迷惑じゃないですか?」

澪「うん、受験勉強の事がなければこっちから頼みたいくらいだし、構わないよ」

梓「あっ、でも今日は家に来るのはちょっとまずいんだった」

澪「今日はパパはいないから、家に来ていいよ」

梓「では、澪先輩の家にお邪魔します」

唯「せっかくだから、みんなで澪ちゃん家行こうよう」

梓「唯先輩は本気で勉強しなきゃヤバいじゃないですか」

紬「それに、二人の仲を邪魔したら悪いわよ、唯ちゃん」

澪、梓「えっ」

紬「うふふっ、なんでもないわー」

13 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:32:53.89 ID:3C6vmmBSo
放課後、帰り道

澪と梓がいっしょに歩いている。
てくてく

梓「澪先輩の家に行くなんてなんだかドキドキします」

澪「そうかな?唯の家に行くときもそんなにドキドキするのか?」

梓「唯先輩の家に行くときは全然ドキドキしないです」

澪「そうなの?」

梓「はい、なんというか唯先輩の家は割とオープンな感じで…憂もいるし」

澪「そっか」

梓「はい」

澪「…」

梓「…」

澪「…」

梓「…」
14 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:34:03.79 ID:3C6vmmBSo
梓(なんだか、気まずい。何か話さないと)

梓「そういえば、バクマンどんどん新巻出てますよね。読んでますか?」

澪「ごめん、バクマンは読んでないんだ」

梓「そうですか、すいません」

澪「…」

梓「…」

梓(うわぁ、よけい気まずくなっちゃったよ)
15 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:35:17.06 ID:3C6vmmBSo
梓「…」

澪「ところでさ」

梓「はい?」

澪「梓は…悩みとか、ある?」

梓「悩み、ですか?そうですねぇ、最近ギターの上達が伸び悩んでるというか」

梓「ちょっとスランプなんです」

澪「そっか、梓は熱心なんだな」

梓「そんな事ないですよ。そんな事言ったら、澪先輩だって熱心じゃないですか」

澪「私は…梓程じゃないよ」

梓「でも、唯先輩や律先輩と違って、部室でも真面目に練習してる事多いし…」

澪「でも、放課後ティータイムの中で梓が一番音楽に対してひたむきだと思うな」

梓「そうですかね?」

澪「うん」
16 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:36:24.17 ID:3C6vmmBSo
梓「澪先輩だって頑張ってるじゃないですか」

澪「それはそうだけど、やっぱり梓には敵わないよ」

梓「そんな事ないですって!私、澪先輩が一生懸命なの知ってます」

澪「いや、私は…」

梓「澪先輩は頑張ってます!」

澪「…梓は一度言い出すと引かないよな」

梓「だって…」

澪「いや、いいんだ…ありがとう」

少し微笑む澪。

梓「お礼を言われるような事は言ってません」
17 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:37:29.49 ID:3C6vmmBSo
澪「うん…、そうだな」

梓「そうです」



澪「着いた。ここが私の家だ」

梓「はい」

澪の家は二階建ての、割と普通な感じの木造住宅だ。

梓(ここが澪先輩の家かぁ)
18 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:39:23.53 ID:3C6vmmBSo
澪「ただいまー」

梓「おじゃましますー」

澪達は二階にある澪の部屋に上がって行った。

澪「ここが私の部屋だ」

梓「わぁ」

澪の部屋は物が全く散らかってなく、整然と整頓されている。
掃除もきちんとされているようだ。
家具はシンプルな物が多く、それらが壁に据えられている。
一辺の壁の中程にはテレビが置いてある。

梓「素敵な部屋です」

澪「うーん、ちょっと汚いかな?」

梓「全然汚くないです。これが汚いなら唯先輩の部屋はゴミ置き場です」

澪「前から思っていたけど、梓は唯にはホント手厳しいよな」
19 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:40:22.02 ID:3C6vmmBSo
梓「澪先輩だって律先輩には厳しいじゃないですか」

澪「私が律に厳しいのとはちょっと違うんじゃないかな?」

梓「そんな事ないです」

澪「うーん、そっか」

梓「でも、全然汚くないですよ。なんだかいい匂いもする気がしますし」

澪「おととい、消臭剤を撒いたからその匂いかな?」

梓「そうだと思います。澪先輩の部屋は憂の部屋と同じくらい綺麗です」

澪「あー、確かに憂ちゃんの部屋は清潔そうだな」

梓「そうなんです。平沢家は憂の部屋と唯先輩の部屋が隣同士とは思えません」
20 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:41:33.21 ID:3C6vmmBSo
澪「唯の部屋ってそんなに汚かったっけ?」

梓「それは憂が唯先輩の部屋を頻繁に掃除してるからです」

澪「あー、なるほど。憂ちゃんのおかげなのか」

梓「憂のおかげです。以前、憂が『お姉ちゃんの部屋はすぐに散らかって掃除しないといけなくなるから、お姉ちゃんの部屋に入る理由ができて嬉しいな』って言ってました。」

澪「う、憂ちゃんらしい…」


21 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:42:42.32 ID:3C6vmmBSo
澪「ところで、梓、夕飯までもう少しかかるらしいから、先にシャワーを浴びてきたらどうだ?」

梓「はい。ではお言葉に甘えて、そうさせてもらいます」

澪「着替えは私の服を着るといい。流石に下着までは貸してあげられないけど」

梓「はい、ありがとうございます」

澪「風呂場まで案内するよ」

梓「はい」

階段を下りる二人。

澪「じゃ、私は部屋にいるから」

梓「はい」


22 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:44:02.34 ID:3C6vmmBSo
ざー
ぷしゅぷしゅ
ごしごし
ざー
ぷしゅぷしゅ
ごしごし
ざー
ぷしゅぷしゅ
ごしごし
ごしごし
ざー
すりすり

梓(あー、すっきりした)

梓(予想はしてたけど、澪先輩の服ぶっかぶかだなぁ)


23 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:44:57.13 ID:3C6vmmBSo
梓「澪先輩、上がりましたよー」

澪「うん、じゃあ、私も入ってくる」

梓「はい」


24 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:51:39.89 ID:3C6vmmBSo
夕食後

梓「って、何澪先輩の入浴シーンカットしてるんですか!」

澪「恥ずかしいじゃないか///」

梓「何恥ずかしがってるんですか、せっかくのサービスシーンでしょう!」

澪「それに同じ描写を二回繰り返しても退屈じゃないか」

梓「繰り返すのが嫌なら澪先輩の方を描写しましょうよ!少しは読者の需要も考えてください」

澪「そんな事ないよ。梓にも需要はあるさ」

梓「どんな需要ですか!」

澪「ろ、ロリ好きとか、ひ貧乳好きとかー///」

梓「恥ずかしがりながらひどい事言わないでください!それに、貧乳じゃないです!」

澪「ごめん///」

梓「もう」
25 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:53:02.20 ID:3C6vmmBSo
梓「ところで、ホントに勉強しなくても大丈夫なんですか?何だったら、私、マンガでも読んでますよ」

澪「流石に、来てもらっておいてそれは悪いよ」

梓「私に遠慮しなくてもいいんですよ」

澪「いや、遠慮とかじゃなくて…、礼儀かな」

梓「礼儀ですか…。わかりました、じゃあ遠慮なく居させてもらいます」

澪「うん、それに一日勉強しなかったくらいじゃ、そんなに成績は下がらないからな。また、明日からちゃんと勉強するさ」

梓「まぁ、澪先輩なら大丈夫ですね。唯先輩がそんな事を言ったら、全力でツッコミますけど」
26 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:54:12.08 ID:3C6vmmBSo
澪「うん、でも『明日からちゃんと勉強するよ』って、いかにも唯が言いそうなセリフだな」

梓「実際、似たような事言ってましたね」

澪「やっぱりか」

梓「はい」

澪「ところで、梓は勉強の方は大丈夫なのか?そろそろ進路とか考え始める時期じゃないか?」

梓「私はそこそこです。純ほど悪くはないけど、憂ほど良くはないって所でしょうか」

澪「そうか。まぁ、言っても、梓ならそんなに心配はしてないけどな」

梓「はい。でも、憂なんかすごいですよ。この間なんか、学年でトップになるくらいですから」
27 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:55:06.93 ID:3C6vmmBSo
澪「おおー、流石憂ちゃんだな」

梓「ええ。さながら、桜高の夜神月です。あるいは、桜高の羽川翼です」

澪「そんなに凄いのか」

梓「…、ちょっと言い過ぎました。憂は確かに凄いけど、流石に全国模試でトップを取った事はないそうです」

澪「でも、憂ちゃんは十分超人って言えそうだけどな」

梓「シスコンさえ何とかなれば完璧なんですけどね」

澪「まぁ、そこも憂ちゃんらしいけどな」
28 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:56:09.28 ID:3C6vmmBSo
澪「ところで、梓、何か音楽でもかけようか?」

梓「ん、いいですね」

澪「じゃあ、適当にかけるね」

梓「はい」

澪はCDラックからCDを取り出し、プレイヤーに入れ、再生する。

梓「澪先輩、このバンド知ってるんですね」

澪「うん、結構好きなんだ」

梓「私も好きです」

梓「澪先輩も知ってるなら今度合わせてみたいですね」

澪「そうだねぇ」
29 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:57:02.33 ID:3C6vmmBSo
梓「そういえば、私達のバンドってオリジナルしかやらないですよね」

梓「なんででしょう?高校生バンドってコピーもやってる事がほとんどじゃないですか?」

澪「うーん、梓が入学する前の初期の頃はコピーもやってたんだけどな」

梓「そうなんですか」

澪「ぶっちゃけた話、アニメで他のバンドのコピーを流したら、著作権使用料がかかったり、権利関係が大変だったりするからだろ」

梓「ぶっちゃけすぎです!」

澪「まぁ、そのおかげで私は作詞を、むぎは作曲をする事になったんだがな」

梓「それって結構すごいですよね。作詞とか作曲って難しいんじゃないですか?」

澪「うーん、私は割とフィーリングでやってるけど、むぎはああ見えてかなり勉強したらしいぞ」
30 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 22:58:17.26 ID:3C6vmmBSo
梓「むぎ先輩って、普段はぽわぽわとしてますけど、結構勤勉家ですしね」

澪「うん、学校の成績もいいしな」

梓「そういえば、澪先輩の作詞は定着してますけど、作曲がむぎ先輩ってあまり知られてませんよね」

澪「うん。和も『あれ?作曲はむぎなんだ。私はてっきり作曲も澪がやってるんだと思ってたわ。まぁ、消去法でいけば、軽音部で作曲しそうなのはむぎか澪なんだろうけども』って言ってたな」

梓「唯先輩はともかく、律先輩は意外と作曲できそうですけどね」

澪「律の曲は酷いぞ。昔ふざけて律が曲を作った事があるんだが、音が飛んだり跳ねたり宙に舞ったり虚空に消えたりして、とても聞けた物じゃなかったな」

梓「そうなんですか。それはそれで、なんとなく想像できる気がします」
31 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:00:19.93 ID:3C6vmmBSo
澪「梓は曲とか詩とか作ってみたりしないのか?」

梓「私?私ですか?うーん、考えた事なかったなぁ」

澪「そっか」

梓「ギターを弾いてる時、いいフレーズが浮かんだりする事はあるけど、曲にまではならないですね」

澪「良かったら梓が一曲作ってもいいんだぞ」

梓「うーん、遠慮しときます。やっぱり、放課後ティータイムは澪先輩が作詞で、むぎ先輩が作曲が一番しっくり来ると思いますし」

澪「そうか、梓の曲もちょっと聞いてみたかったな」

梓「すみません」
32 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:01:32.36 ID:3C6vmmBSo
澪「ところで、何で私のベースはエリザベスって言うんだろ?」

梓「また唐突ですね。唯先輩にしか分からない事ですが、たぶん、エリザベスのベスとベースをかけてるんだと思います」

澪「やっぱり、そういう事なのか。でも、それだったらベスでいいんじゃないか?」

梓「ベスってエリザベスの愛称らしいですよ」

澪「そうなのか。まぁ、実はエリザベスって結構気に入ってるんだけどな」

梓「澪先輩ならどんな名前をつけるんです?」

澪「私?そうだなぁ…、いちごちゃんとか」

梓「甘い!ショートケーキの上のいちごのように甘い!」
33 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:02:13.58 ID:3C6vmmBSo
澪「変かなぁ?じゃあ、まろんちゃん」

梓「甘い!モンブランにコーティングされている栗のように甘い!」

澪「うーん、将来は玉の輿ちゃん」

梓「甘い!30過ぎてまだ夢見てる独身女性のように甘い!」

澪「真ん中高めのストレートちゃん」

梓「甘い!解説の人が『これは不調だねぇ』って唸っちゃうくらい甘い!」

澪「いちごちゃんもいいけど、やっぱりエリザベスだな」

梓「エリザベスですね」
34 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:02:44.50 ID:3C6vmmBSo
澪「梓のギターは、確かむったんって言うんだったよな?」

梓「むったんですね」

澪「何でむったんって言うんだ?」

梓「ムスタングだからむったんです」

澪「ああー。でも、言っちゃ悪いが…、安直だな」

梓「甘々なネーミングセンスの澪先輩には言われたくないです!」

澪「そうか?私のネーミングセンスはそんなに酷くないだろ」

梓(自覚無い!)
35 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:03:43.08 ID:3C6vmmBSo
梓「むったんってかわいいじゃないですかー」

澪「いちごちゃんの方がかわいいー」

梓(エリザベスがいちごちゃんになってる!)

澪「エリザベス一護ちゃんってかわいい名前じゃないか!」

梓(どこの日系外国人ですか!)

澪「…」

梓「…」

澪「すまない。取り乱した」

梓「もう、しっかりしてください」
36 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/19(金) 23:05:43.95 ID:3C6vmmBSo
今日の投下はここまでです。
続きは明日投下します。
明日で完結します。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 23:07:34.49 ID:RGII0NlDO
メタが少々寒いが、乙。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/19(金) 23:13:48.87 ID:q9glbCnSO
乙だが、ドラクエの魔法を絡めてまでの、百合やイチャラブは勘弁な。

やらないと思うが



梓「メラ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2011/08/20(土) 01:00:56.54 ID:VElMBuh7o
私はいっこうにかまわん
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/08/20(土) 10:42:49.73 ID:WaSBmBK40
期待してるぜ
41 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:14:54.87 ID:KpiRbNCVo
今から続きを投下します。
42 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:16:22.88 ID:KpiRbNCVo
梓「そうだ、何かゲームでもしませんか?」

澪「うーん、トランプとゲーム&ウォッチぐらいしかないけど…」

梓「なんでゲーム&ウォッチなんて持ってるんですか!今かなりプレミア付いてるんじゃないですか?」

澪「うん、たまたま落ちてるのを拾って…、これなんだけど」

梓「うわっ、ホンモノだ。私、ゲーム&ウォッチなんてスマブラでしか知らないです」

澪「ただ、これ、一人用なんだ…」

梓「まぁ、そうですよね」

澪「すまないな」
43 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:17:25.36 ID:KpiRbNCVo
梓「じゃあ、トランプをしましょう」

澪「おっけー、じゃあ、トランプの何で遊ぶ?」

梓「うーん、ポーカーとか?」

澪「ポーカー…か」

梓「ん、嫌ですか?」

澪「いや、いいけど。珍しいなと思って」

梓「二人で遊べる定番のトランプゲームってそんなにないですからね。スピードくらいでしょうか。私が知らないだけかもしれませんが」

梓「三人以上集まれば大貧民が定番なんですが」

澪「私は大富豪って呼んでたなー」
44 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:18:27.07 ID:KpiRbNCVo
梓「そうでしたね、私と唯先輩が大貧民派で、澪先輩と律先輩が大富豪派でしたね」

澪「むぎは『私は神経衰弱とババ抜きしか知らないわー』って言ってたな」

梓「あはは、むぎ先輩らしいですよね」

澪「それなのに、ルールを覚えたむぎは強かったなぁ」

梓「そうですね、唯先輩の実力をあっという間に越えちゃいましたからね」

澪「むぎはだいたい上位争いに食い込んでたな」

梓「むぎ先輩は運もいいですからね」

澪「むぎの強運は伝説になるくらいだからな」

梓「いくつかありますね、むぎ先輩の伝説」
45 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:19:15.58 ID:KpiRbNCVo
澪「大貧民だったむぎが超強い手でいきなり大富豪になった時は戦慄したなぁ」

梓「あの試合は大富豪だった律先輩の手がかなり悪かったのも大きかったですね」

澪「ああ、あの時の律の悔しそうな顔は忘れられないな」

梓「そうですね」

澪「それから、むぎの八回連続大富豪伝説!」

梓「麻雀だったら役満ですね」

澪「ん、何の事だ?」

梓「いえ、なんでもないです」

澪「そっか」

梓「あの時はその八回しか大富豪しなかったから、むぎ先輩が最初から最後までずっと大富豪だったんですよね」
46 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:20:09.32 ID:KpiRbNCVo
澪「そうだねー。唯とか最後の方はうんざりしてたなー」

梓「むぎ先輩はトランプで大富豪なだけでなくて、本当に大富豪ですからね」

澪「うん、その辺、格が違うよなー」

梓「流石ですよね。ところで、ポーカーですが」

澪「うん、そうだったな」

梓「何か賭けませんか?」

澪「ん、何を賭けるの?」

梓「うーん、考えてなかったなぁ」

澪「うーん」
47 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:21:18.56 ID:KpiRbNCVo
梓「そうだ!賭けとはちょっと違うけど、負けた方がエッチな話をするとかどうですか?」

澪「ん…まぁ、いいよ」

梓「おっ、乗ってきますね。澪先輩なら断られるかなと思いました」

澪「うーん、まぁ少しぐらいなら」

梓「ちょっと意外です。じゃあ、早速やりますか」

澪「うん」

澪「じゃあ、トランプ出すね」

梓「はい」

澪は引き出しからトランプを取り出し箱を開ける。
絵札に有名なキャラクターが印刷されてあるトランプだ。
がちゃ
48 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:22:34.05 ID:KpiRbNCVo
梓「私も詳しくは知らないんですが、ポーカーって実際には、賭け金をせり上げたり、勝てそうになかったら降りたりしたり、色々駆け引きがあるそうです」

澪「うーん、あんまり難しいのもわからないから、そういうのはなしでいいんじゃないかな?」

梓「はい」

澪「ジョーカーは入れる?」

梓「うーん、じゃあ一枚いれましょうか?」

澪「ん、わかった。じゃあ、切るね」

梓「はい」

しゃかしゃかしゃか
しゃかしゃかしゃか

梓「おおー、澪先輩切るの上手ですね」

澪「ん、そうかな?」

梓「手先が器用なんですね」

澪「うーん、あんまり器用とか関係ないと思うけどな」

澪「もし、関係あったら、楽器やってる人はみんなトランプを切るのがうまいって事にならないか?」
49 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:23:28.01 ID:KpiRbNCVo
梓「あー、それはそうか」

澪「うん、慣れだよ」

澪「じゃあ、配るね」

梓「はい」

さっさっ

澪「5、5、よし配ったよ」

梓「はい」

梓(ストレートリーチだ、揃ってないのは端の方か)
50 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:24:17.31 ID:KpiRbNCVo
梓「先に交換していいですか?」

澪「ん、いいよ」

梓「では、一枚交換します」

さっさっ

梓(うわぁ、ハズレ)

澪「じゃあ、私は三枚交換」

さっさっ

澪「ワンペアだ」

梓「ノーペアです」
51 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:24:50.24 ID:KpiRbNCVo
澪「勝ったー」

梓「あーあ、負けちゃった」

澪「えっと…、エッチな話だったよな」

梓「はい…」

澪「…」

梓「うにゃー、いいだしっぺなのに負けたー」

orz

澪「あははっ」
52 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:25:25.13 ID:KpiRbNCVo
梓「やっぱ、話さないとダメですか?」

澪「約束は約束だからな…」

梓「わ、分かってますって」

梓「で、では…」

こほん

梓「私、よく唯先輩に抱きつかれるじゃないですか」

澪「うん」

梓「それで、この間、長い時間抱きつかれたんですよ」

澪「どれくらい?」

梓「10分くらいかな」
53 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:26:24.51 ID:KpiRbNCVo
澪「長い!」

梓「うん、それでですね、私も最初のうちは普通に抱きつかれてたんですけど」

梓「しばらくして、ふと、『唯先輩の髪いい匂いだな』とか『唯先輩のおっぱい当たってる、意外とあるんだな』とか思ったんです」

梓「そしたら、何だかドキドキしちゃって、顔が赤くなってきて、えっ何これ?と思って『離してください!』って言ったんですけど離してもらえなかったんです」

梓「それで、もうしばらくしてやっと離してもらえたんですけど、その時…、私、興奮しちゃって、体火照っちゃって、唯先輩の事…ちょっと意識しちゃいました///」

澪「わー///きゃー///」
54 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:27:00.92 ID:KpiRbNCVo
梓「な、なんで澪先輩が恥ずかしがってるんですかー!///」

澪「だってー///」

梓「話したこっちは余計恥ずかしくなるじゃないですかー///」

澪「ご、ごめん///」

梓「そんな、恥ずかしそうに謝らないでください!///」

澪「うん…ごめん///」

梓「だから、顔、真っ赤にして謝らないでください!///」

澪「うん…」

梓「もぉー」
55 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:27:57.88 ID:KpiRbNCVo


澪「うん、落ち着いた」

梓「満足ですかっ?」

ちょっと怒った感じの梓

澪「うん、満足。ごめん」

梓「だから、謝らないでくださいよー」

澪「うん」

梓「じゃあ、次の勝負いきますよ、今度は私に切らせてください」

澪「うん、いいけど。イカサマとかしてないぞ」

梓「別に疑ってないですけど…、気分の問題です!」
56 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:28:32.76 ID:KpiRbNCVo
そう言って素早く場のトランプを整理する梓。
そして、無言で切り始める。

しゃか・しゃか・しゃか
しゃか・しゃか・しゃか

梓「じゃあ、配りますよ」

澪「うん」

無言で配る梓。
さっさっさっ

梓「配りました」

澪「うん」
57 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:29:04.10 ID:KpiRbNCVo
梓(ワンペアかぁ)

梓「三枚交換します」

さっさっ

梓(うーん、ワンペアのままだ)

澪「ふふっ、私はこのままだ」

梓(…終わった)

梓「ワンペアです…」

澪「ストレートだ」
58 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:30:26.85 ID:KpiRbNCVo
澪「ふふっ、悪いな梓」

梓「…、待ってください。これ、ダメです」

澪「えっ?」

ざわざわ

梓「澪先輩の手、QKA23ですよね。KとAが繋がるのは10JQKAの時だけなんです」

澪「えっ…、嘘だろ?」

梓「いえ、ホントです」

澪「…、ちょっと調べてみていいか?」

梓「はい」

そう言うと、澪は携帯を取り出して調べ始める。
ぽちぽち

澪「…、ホントだ。梓の言うとおりだ」
59 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:31:24.91 ID:KpiRbNCVo
梓「なんか申し訳ないですけど、私の勝ちです」

澪「むぅ、この勝負はノーカンにしないか」

梓「罰ゲームがかかってるので、流石にそれはできません」

澪「まぁ…、そうだよな」

梓「じゃあ、エッチな話をお願いします」

澪「…どうしよう」

梓「エッチな話ですよ、澪先輩」

澪「話さないと…ダメか?」

梓「約束は約束です」

澪「うん…」
60 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:31:56.72 ID:KpiRbNCVo
梓「…」

澪「…」

しばらくの間、沈黙が続く。

澪「…私の話はおもしろくないぞ」

梓「いいから話してください」

澪「うん、じゃあ」

梓「…」

澪「私のファーストキスは…その…律…なんだ///」

梓「!!!、えっー!」
61 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:32:37.18 ID:KpiRbNCVo
澪「そんなに驚かないでよぅ///」

梓「はっ、はい。すみません」

澪「うん…、あれは中学二年生の時だったな。私が律の家に遊びに言った時の事だ」

梓「はい…」

澪「その時出されてたお菓子の中にたまたまプリッツがあって…、ふざけて律とプリッツなんだけどポッキーゲームをする事になったんだ」

梓「…」

澪「はじめは、私がすぐに口から離したんだけど、律が『澪のチキンー』って言うから、私もムキになったんだ」

澪「それで、三回目くらいの時、私も我慢して距離が近づくまで待っていたんだ」

澪「そしたら、律の奴、少し距離がある所から、いっきにぱくって近づいて…、その…、口と、口が、くっ…、くっついたんだ///」

梓「す、ストーップ!」
62 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:33:13.30 ID:KpiRbNCVo
澪「えっ///」

梓「もう十分です。大満足です!」

澪「いっ、いや、それで私は、『きゃー』って悲鳴を上げて、律を突き飛ばして、本気で律を殴ってやったんだ!」

梓「…、なんか安心しました」

澪「私あの時、律を殴りながらずっと泣いてたな」

梓「なんというか…、お疲れ様です」
63 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:33:43.64 ID:KpiRbNCVo
澪「うん…///私の話はこれで終わりだ。どうだった?これで…、いいかな?」

梓「十分過ぎです。何ていうか、ちょっとショックです」

澪「うん…、ごめんな」

梓「謝らないでくださいよぉ」

澪「うん」

梓「でも…、おもしろかったですよ」

澪「うん、良かったぁ」

安堵する澪。
64 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:34:32.40 ID:KpiRbNCVo
澪「ところで、梓…。これは提案なんだが」

梓「ん、なんですか?」

澪「うん、これ以上やっても、お互いの傷が深くなるだけだと思うんだ」

梓「私はそんなにダメージないですけど」

澪「…、だから、あの…、この辺で休戦協定を結ばないか?」

ちょっと涙目の澪。

梓「…、まぁいいですよ。その協定、調印します」

澪「あ、ありがとう」

梓「そんな目で見つめられたら、断れませんって」

澪「すまない」
65 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:35:13.27 ID:KpiRbNCVo
梓「いえ、私も疲れた所でしたし」

澪「私も…、疲れた」

梓「今、何時だろう…?」

梓が時計を見る。
時刻は11時を回っている。

梓「結構時間経ったなぁ」

澪「そうだねぇ」

梓「ちょっと早いですけど、そろそろ横になりませんか?」

澪「ん、そうしよっか」
66 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:35:46.74 ID:KpiRbNCVo
澪「じゃあ、布団敷くね」

そう言うと、澪は押入れの方に行く。

梓「私も手伝います」

澪「いいよ。梓は座ってて」

澪は押入れから布団を一つ取り出して部屋に敷き、また、押入れに行き布団をもう一つ取り出す。
67 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:36:25.23 ID:KpiRbNCVo
澪「パジャマ、着替えよっか」

梓「私はこのままで大丈夫です」

澪「そうか。だったら、私もこのままでいっか」

澪「じゃあ、電気消すから、魔法をかけてくれるか?」

梓「その前に、一つ聞いてもいいですか?」

澪「なんだ?」

梓「澪先輩は…、どうして眠れなくなったんですか?」
68 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:37:10.02 ID:KpiRbNCVo
澪「んっ…」

梓「…」

澪「…」

梓「…」

しばらく沈黙が続く。

澪「…、まぁ、梓にだったら話してもいっか」

梓「…」

澪「うん…、私な、みんなと同じ大学を志望する事にしたじゃん」

梓「はい」

澪「それで、別の大学の推薦を蹴った事は知ってるか?」

梓「知ってます」
69 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:37:55.22 ID:KpiRbNCVo
澪「その事でなぁ…、パパに思いっきり怒られた」

梓「ああー」

澪「夕食の時から二時間くらいずっと説教喰らっちゃってなぁ…」

澪「今でこそ折れたみたいなんだけど、納得はしてないみたい」

梓「それは…、大変でしたね」

澪「うん…」

梓「…」

澪「それから、その事で明らかに失望した感じの先生もいて」

澪「その先生はあからさまに態度が変わった」

梓「うわぁ」

澪「さわ子先生でこそ理解してくれたみたいなんだけど、さわ子先生も最初のうちは『考え直したら、澪ちゃん』って言ってたり」
70 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:38:44.59 ID:KpiRbNCVo
梓「…、それは澪先輩の事を心配してだと思いますよ」

澪「それはわかってはいるさ。わかってはいるけど…」

梓「…、先輩方には話したんですか?」

澪「…、いや、話してない」

梓「どうしてですか!?」

澪「…、みんな心配するかなと思って。受験勉強の邪魔になっちゃいけないし」

梓「いいじゃないですか!心配かけたって、邪魔になったって!」

澪「…」

梓「先輩方なら、澪先輩の悩みを、理解してくれると思いますよ」

澪「…、うん」
71 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:39:15.42 ID:KpiRbNCVo
梓「それに私、言ったじゃないですか。澪先輩は頑張ってるって!」

澪「…」

梓「部活だけじゃないです、勉強だって頑張ってると思いますよ」

澪「うん…」

梓「だから、大丈夫です。あまり無責任な事はいえませんが、澪先輩なら大学を変えたってうまくいくと思います」

澪「うん」

梓「それに…、ギリギリになって大学変えちゃう所って、結構澪先輩らしいです」

澪「私らしい…か?」
72 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:39:58.60 ID:KpiRbNCVo
梓「はい、澪先輩らしいです。澪先輩ってライブの終わりにコードに引っかかってこけてパンツ見せたりしたり、結構ドジな所があるじゃないですか」

澪「それは…関係ないだろ」

梓「でも、あれだって、そのおかげで澪先輩ファンクラブができたりしたじゃないですか」

澪「…」

梓「だから、雨降って地固まるです。今回だって、最終的にはきっと良くなりますよ」

澪「…うん」

梓「だから…、大丈夫です。私は、応援してます」
73 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:40:35.26 ID:KpiRbNCVo
澪「うん…、ありがとう…、梓」

涙ぐむ澪。

梓「いえ」

澪「…、うん、ぐすん、うっうっ」

梓「澪先輩…」

澪「あずさぁ…」

梓「…」

梓はそっと澪に近づく。
そして、梓は静かに澪の頭を撫で始めた。

梓「澪先輩は…、頑張りました」

なでなで

澪「あずさぁ…、うっうっ…」
74 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:41:08.23 ID:KpiRbNCVo
梓「澪先輩」

なでなで

澪「ぐすん…」

梓「よしよし」

なでなで

澪「うっ…」


しばらく、二人はその状態が続いた。
75 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:41:47.48 ID:KpiRbNCVo


澪「…うん、もう大丈夫だ」

梓「はい」

澪「じゃあ…、今度こそ寝ようか」

梓「はい」

澪「電気消すね」

梓「いえ、そのままでお願いします」

澪「ん」

梓「呪文がかけにくくなりますから」

澪「わかった」

澪「横になってればいいのか?」

梓「はい」

澪は横になる。
76 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:42:20.39 ID:KpiRbNCVo
澪「じゃあ、お願い」

梓「はい。では、いきますよ。ラリホー!」

澪「…」

梓「…」

澪「…」

梓「しかしMPが足りない」

澪「ここまできて、それはないだろ!」

梓「午前中にMPを使いすぎました」

澪「何にそんなに使ったんだ」
77 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:43:11.29 ID:KpiRbNCVo
梓「純にスカラとルカニを交互にかけ続けました」

澪「何ていう無駄遣いなんだ!節電のこのご時世に電気だったら非難浴びるレベルだぞ!」

梓「失礼、冗談です」

澪「…、驚かせるなよ」

梓「すみません。実は、催眠術と同じで補助魔法もリラックスしてた方がかかりやすいんですよ」

澪「ああ…、なるほどな」

梓「澪先輩、さっきの話の後からちょっと強張ってましたから」

澪「そっか…。ふふっ、気を使わせてすまないな」

澪、微笑する。

梓「いえ。では、改めて…」

澪「…」
78 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:43:46.05 ID:KpiRbNCVo
梓「ラリホー!」

梓がそう唱えると澪のまわりを紫色の霧が渦巻く。


すーすー

梓「おやすみなさい、澪先輩」
79 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:44:33.07 ID:KpiRbNCVo


梓【それから、澪先輩は軽音部の先輩方や和先輩に事情を話しました】

梓【先輩方は澪先輩の悩みをおおむね理解して、励ましたり、ねぎらいの言葉をかけたり、お菓子をサービスしたりしました】

梓【澪先輩は、私や先輩方に話して肩の荷が下りたのか、不眠もだいぶ軽減されたようです】

梓【まだ寝つきが悪かったり、寝が浅かったりする事もあるそうですが、夜にきちんと眠れるようになったみたいです】


80 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:45:18.07 ID:KpiRbNCVo
ある日の放課後

梓「ニフラムっ!ニフラムっ!」

がらっ

澪「よっ、梓、もう来てたのか。どうしたんだ?」

梓「ゴキブリです。Gがでました。」

澪「ひゃー!早く退治してくれ」

梓「メラゾーマをぶちこむべきでしょうか?」

澪「気持ち的にはそうして欲しいが、そんな事したら学校が大変な事になるぞ」

梓「冗談です。それに、流石にメラゾーマは使えません」

澪「そうか、ちょっと本気にしちゃったぞ」
81 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:46:07.18 ID:KpiRbNCVo
梓「では、学校で炎を扱うのはまずかったですから…」

梓「ヒャド!」

梓がそう唱えると、氷の結晶がゴキブリを襲う。
かちん

梓「今のはマヒャドではない。ヒャドだ!」

澪「見れば分かるよ」

梓「言ってみたかっただけです」

澪「それより、ゴキブリの残骸を早くどこかへやってくれ」

梓「そうですね」

梓は、はけとちりとりを取り出し、氷漬けのゴキブリをごみ箱に捨てる。

梓「ふぅ、これでやっと落ち着ける」
82 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:46:51.73 ID:KpiRbNCVo
澪「うん。ところで、話は変わるが、この間はありがとうな」

梓「いえ、どういたしまして」

澪「梓の魔法もすごいけど、梓自身魔法みたいだったな」

梓「へっ、どういう意味ですか?」

澪「梓のおかげで救われたって事だよ。あれから梓はうちには来なくなったけど、毎日梓がラリホーをかけてるみたいに眠れるよ」

梓「それは良かったです」
83 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:47:38.68 ID:KpiRbNCVo
澪「梓、ちょっとこっち来てくれるか?」

梓「はい、なんでしょう?」

そう言って梓は澪に近づく。

澪「梓、ありがとう」

なでなで



終わり
84 : ◆7S7/ozHvAA [saga]:2011/08/20(土) 22:48:15.96 ID:KpiRbNCVo
以上です。
お読み頂きありがとうございました!
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/20(土) 22:58:51.18 ID:28aUAuo9o
乙。終わってみたらいい話じゃないの
疑ってごめんよあずにゃん
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/21(日) 14:55:21.97 ID:MYqTj4zDO
おつ
いい感じの澪梓でした
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