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山田のなく頃に  中編 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 10:46:48.57 ID:CsFvv6Zj0
まさに鈴木は決死の作戦に踏み切ろうとしていた。

そして、ときを同じくして山田はというと……。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ!」

走っていた。

それも全速力で。

息も絶え絶えになりながらも。
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 10:50:41.04 ID:CsFvv6Zj0
「俺がやらなきゃ、誰がやるんだ!!!」

山田は誰に訊ねられたからでもなく、ひとり叫ぶ。

叫ばずには、いられない。

田中が、佐藤が、安田が!!!

あいつらがここまでお膳立てしてくれたのに、自分がやらないでどうするんだ!?


山田の頭の中はそんな考えでいっぱいだった。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 10:55:35.11 ID:CsFvv6Zj0
しかし、そのせいで注意力が散漫になっているのに山田は気付かない。

彼の背後にぴったりとついてくるその影に、まるで気付いていない。


ちなみにその影の正体は……そう、佐々木である。


先刻、通りを走っている山田を見かけ、こっそり後をつけていたのだ。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 10:59:04.25 ID:CsFvv6Zj0
佐々木は山田を見つけた時、山田にただならぬ雰囲気であったのを感じ取り
ずっと尾行していた。

当然、佐々木も先の殺人現場も目撃しているのだが、あえてそこで姿を晒す
ような真似はしなかった。

なぜか?

単純に、今はまだ後をつけるべきだと思ったからだ。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 11:06:19.05 ID:CsFvv6Zj0
いくら旧知の仲である山田が相手だったとしても、あれから3年。

いや、あのときは互いの姿を一目見ただけなのだから、会話するとなると、
ゆうに5年の月日が経過しているのだ。

5年も経てば人も変わる。

佐々木は、山田が今回の事件の首謀者でも間違いないと踏んだのだ。


……確かに、佐々木の予想は概ね正しい。

5年も経てば考え方も変わるし、人も変わる。


ただ間違いなのは、変わったのは山田ではなく鈴木の方ではあるが。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 11:11:33.14 ID:CsFvv6Zj0
しかし、誰も佐々木を責められはしないだろう。

まさかあの鈴木が、こんな馬鹿げた事件の首謀者であるだなんて、誰が
想像できただろう?

自身に疑いを掛けられた山田ですら、未だ信じきれていないのだ。

山田が犯人かもしれないと、ずっと懸念していた佐々木にとっては、まさに
寝耳に水である。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 11:14:13.21 ID:CsFvv6Zj0
まあ、もっとも。

佐々木が鈴木が犯人であるという事に気がつくのはまだ時間が必要ではあるが。


さて、その頃の高木はというと。


「おおおおあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


咆哮しながら、少女に向かって突進していた。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 11:18:05.10 ID:CsFvv6Zj0
どうやら二人は戦闘中のようだ。


少女は、突進してくる高木に対して、石つぶてを放り投げる。

「っち!?」

顔面に迫りくる石を間一髪でかわす高木。
そしてそのまま横にスライドして、再び距離を取る。

「くそっ!」

「ふぅ……ふぅ……しつこいわね……」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:32:13.66 ID:CsFvv6Zj0
「しつこいのはそっちだろ?いい加減どいてほしいもんだぜ」

「あんたが死んでくれたら、通してあげるわよ」

「へっ」

「はっ」

二人は笑う。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:34:41.98 ID:CsFvv6Zj0
笑って、そして……

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「でやぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

再び向きあい、戦闘を続ける。

決着は、まだまだ掛かりそうである。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:38:07.70 ID:CsFvv6Zj0
場面は変わって再び山田へ。


「やっと……ついた」


山田は高木が少女と戦闘している間に、とうとう鈴木のアジトの目の前まで
辿り着いていた。

当然、佐々木も後をつけて、ついて来てはいるが。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:42:52.46 ID:CsFvv6Zj0
山田がソッとドアノブに手を近付ける。

ようやくこの惨劇に幕が降りる。

そんな気持ちと共に。


だが……。

「惜しかったね〜〜〜♪残念だったね〜〜〜〜♪」


ドアの奥から聞こえてきたのは、鈴木の声ではなかった。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:54:57.45 ID:CsFvv6Zj0
「なっ!?」

聞きなれない声に反応し、ドアから離れる。

正しい判断だった。

なぜなら……


「くぅっ!?」


ドアが激しい爆裂音と共に木っ端微塵に吹き飛んだためである。


「てめぇ……」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:56:32.83 ID:CsFvv6Zj0
山田はアジトの方に向き直り睨みをきかす。

「きゃははははは♪こわ〜〜〜〜〜い♪」

中からは女性の声。

どうやらドアを吹き飛ばしたのは彼女のようだ。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 12:58:03.83 ID:CsFvv6Zj0
「いまの、殺すつもりだったな?」

吐き捨てるように山田は言う。

一方、女も

「あったり前じゃん。これ、戦争なんだよ?」

「戦争に汚いも汚くないもない。殺すも殺さないもない」

有無を言わさぬ口調で言い切る。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 13:02:31.76 ID:CsFvv6Zj0
山田は女が言いきる前に臨戦態勢を敷いた。

互いの関係が分かり切っているからだ。

そう、刈られるモノと刈る者。
今となってはどちらも刈る者ではあるが。

だがそんなことはどうでも良い。

両者は完全に敵対関係にあった。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 13:04:51.55 ID:CsFvv6Zj0
ただ一人、本来この場にいるべきではない人物、佐々木を除いて。


佐々木は突然の出来事に驚いていた。

山田が触れようとしたドアが爆発で吹き飛んだ事もそうだが、それをあたかも
事前に分かっていた事のように軽々と交わした山田に。

あいつ、いつのまにあんな動きを……?
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 13:08:46.62 ID:CsFvv6Zj0
佐々木はあんな動きが出来る山田を知らない。

山田はもっとどんくさい奴だった筈……。

そこまで考えが至った瞬間、ある疑問が脳裏をよぎる。


そうだ!

何故自分が全力疾走しなければ山田に追いつけなかったのか?
やもすれば、置いて行かれそうな勢いだった。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 13:10:34.34 ID:CsFvv6Zj0
これでも自分は中学、高校、大学と常に陸上部に在籍して、大学駅伝には
レギュラーメンバーとして参加した事すらあるのだ。

その自分が置いて行かれそうになった?

まさか、そんな……。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/08/22(月) 15:29:17.12 ID:BuFZjJfx0
触れてはいけないスレな気がする・・・
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 16:41:28.67 ID:CsFvv6Zj0
疑問が疑問を呼ぶ。

いったいこれは……。


と、佐々木が思考を巡らせている瞬間にも、戦闘は既に始まっていた。

「せいっ!」

「はぁっ!」

激しい怒号が飛び交う。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 16:43:36.70 ID:CsFvv6Zj0
そんな怒号と共に、二人の身体が交錯し、火花を散らす。

「だてにここまで来てないね!」

「当り前だ!」

二人は互いの力量を確認するように、けん制し合っていた。

恐らく敵の隙を突き、一瞬で倒してしまう算段なのだろう。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 16:46:47.30 ID:CsFvv6Zj0
流石にこの戦争をここまで勝ち抜いてきた猛者同士。

考える事は同じだ。

隙を見せればやられる。
頭で理解するまでもなく、身体が充分すぎるほどに理解していた。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 16:51:16.96 ID:CsFvv6Zj0
この場において、それが理解できていないのは一般人である佐々木のみ。

しかし、佐々木も事ここまで来てようやく分かり始めてきた事があった。

まず、山田とあの嫌らしい恰好をした女性は敵対関係にあるということ。
山田は誰かを追ってここまで来たといこと。
そんな山田を、あの女は有無を言わさず爆死させてしまおうとしたということ。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 16:55:38.75 ID:CsFvv6Zj0
佐々木は持ち前の勘の良さで、急速に真実に近づきつつあった。


今回の一連の事件が山田の手によるものだとすれば、なぜあの女は山田を
殺そうとするのか?

山田が死ねば、それで解決するような事件でもないというのに。
むしろ事件の首謀者が死ねば事態さらにを悪化させかねないのではないか?

この事件はそういう事件だったはずだ。

それなのに山田を殺そうとするなんて……。

少なくとも、あの女は警察関係者や公安関係者とは違う。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 17:02:20.89 ID:CsFvv6Zj0
もしくは報道機関が流した情報がデマだった可能性。

はたまた山田に親しい者を殺された復讐者……いや、単なる敵討ちだとしたら、
あの戦闘に慣れた様子はおかしい。

ふたりとも、戦い方が一般人が喧嘩をするそれとは、根本的に違う。
あれは相当訓練を重ねていないと出来る動きではないだろう。

一朝一夕で身につくような動きではない。

目で追うのもやっとなのだ。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/22(月) 17:05:05.66 ID:CsFvv6Zj0
しかし、そうだとすると……。

「くそっ!」

佐々木は小さく、しかし確実に苛立ちと怒りを込めて、呟くように吐き捨てる。

「いったい、なにがどうなってるんだ……なぁ、山田よぅ」

佐々木は今までの自分の考えに、決定的にどこか間違いがあったのを認めざる
を得なかった。

そして、それは……。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/08/22(月) 17:38:08.83 ID:RxDp/PVW0
>>27
ここってさるさんとかないの?
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/26(金) 05:54:08.29 ID:uYWg2Smo0
その頃、鈴木は。

「くくくくく」

「ふふふ、ふはははははははははははは!!!」

勝利に酔いしれていた。

まさに完璧。

まさに完全勝利。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2011/08/26(金) 05:56:26.54 ID:uYWg2Smo0
立ち向かう者など、もう山田達以外誰もいない。

世界中の人間が鈴木にひれ伏した。

「は〜〜〜〜〜〜はっはっはっはっはっはっはっは!!!!!」

「計画通りだ」

鈴木はボソッと言い放つ。
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