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男「量子力学の講義についていけない」男友「はぁ?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/06(火) 21:04:00.20 ID:M6ROIUps0
男 「大学に入学して早1年以上経った。無事2年生にもなれた。」 
男 「とうとう量子力学の講義が始まった……。ずっと楽しみにしていた量子力学の講義……。」
男 「どこで何を間違えたんだ……。」

男 「い つ の 間 に か 授 業 に つ い て い け な く な っ て い た 。」

男 「もう講義が始まって2ヶ月目だ。今ならまだ間に合うはず!」
男 「むしろ今何とかしないと来学期がやばい。」
男 「ということで誰かに助けを求めたいわけだが……。」

男  「おっと、丁度いいところに友人Bが現れた!助けを求めようじゃないか。」バシッ

男友 「さっきから何ブツブツ言ってんだ?みんな引いてるぞ。」

男  「ノートで叩くのはやめたまえよ!そして君に頼みがあるのだ。」

男友 「頼みがあると言う割に偉そうなのはこの際スルーしておこう。で、なんだ?」

男  「おっといいのか?簡単に頼みを聞くなんて碌な人生にならないぜ?」

男友 「……」スタスタ
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/06(火) 21:15:37.08 ID:M6ROIUps0
A 「……俺が悪かったから待ってくれ。」

B 「じゃあさっさと言え。俺も暇じゃない。」

A 「仕方ないな〜。じゃあさっそくだけど本題に。」

B 「おいなんでこんなに偉そうなんだ。」

A 「実はさ〜量子力学の講義が全然理解できなくてさ〜。」

B 「おいなんでこんなに楽しそうなんだ。」

A 「教えてほしいんだ〜。」

B 「……」

A 「……聞いてた?」

B 「まあ要は量子力学のノートを貸せばいいんだろ?」

A 「おいなめんなよ!ノートはちゃんと取っている。
A 「ちゃんと取っているのに分からないから助けを求めているんじゃないか!」

B 「自慢することじゃないな。じゃあどうすればいいんだ?」

A 「1から教えろよ。」

B 「アン?」

A 「……教えて下さい。」

B 「……まあいい。実際何が分かってないのかが俺には分からないからな……。」
B 「まずはどこまで理解できているのか復習しながら確認していくか。」

A 「おー!!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/06(火) 21:19:56.78 ID:M6ROIUps0
と言うわけで(?)量子力学を学んでいこうというSSスレです。
以前製作速報で頓挫した結果、自分書いてみようということになりました。
方向性も若干変わって、量子力学の基礎的なことを学ぼうという趣旨です。

以前は誰でも分かるような内容にする予定でしたが、結局今回のSSは、
基本的に高校物理を履修した人向けになっています。
物理を学んだことのない方には、???な箇所があるかもしれません。
質問、指摘等はどうぞ御自由に書き込んで下さい。
SS初挑戦なので、おかしな点があった場合も是非ご指摘ください。よろしくお願いします。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/06(火) 21:21:41.04 ID:M6ROIUps0
いきなりやってしまった…
A→男
B→男友
ということにしておいて下さい。頭からミス申し訳ありません。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 21:25:50.60 ID:ODBG02xDO
結局自分でやることにしたのか
期待
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/06(火) 21:27:36.70 ID:03Ulg21O0
物理懐かしいな
大学入ってからもうだいぶ忘れてしまった
期待
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/06(火) 21:36:23.13 ID:M6ROIUps0
>>5
製作速報の方をご存じの方ですか。
結局自分でやってみようということになりました。
趣旨も大分変ってしまいましたが、出来る限り頑張ってみます。

>>6
正確かつ面白くなるように頑張りますが、どこまで頑張れることやら…。
8 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:10:01.53 ID:M6ROIUps0
男友 「量子力学の講義についていけないって話だが。」
男友 「去年の力学の講義は理解できてるのか?」

男  「舐めてもらっちゃ困るぜ。」
男  「これでも力学はAだったんだ。」

男友 「そうか。ならラグランジアン辺りの話は大丈夫なのか。」

男  「らぐらんじあん?」

男友 「……おい。」

男  「そう言えばそんなの有ったような無かったような。」

男友 「あったんだよ!」
男友 「ラグンランジアンがどういうものなのか一から説明していたら日が暮れる。」
男友 「とりあえずラグランジアンを使って運動方程式を導出するところまで復習するか。」

男  「でさ、ラグンランジアンってなんだっけ?」

男友 「それでよくAもらえたな。春休みにどれだけ遊んでいたらこうなるのか知りたいものだ。」

男  「お前は姑か!?

男友 「違う!」

男  「……分かってるよ。お前は真面目か。とりあえずラグランジアンって何だ?」
9 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:12:15.25 ID:M6ROIUps0
男友 「……ラグランジアンがどうやって導出されるのかはひとまず置いておくが、簡単に言えば運動エネルギーから
ポテンシャルエネルギーを引いたものだ。式で表せばこんな感じになる。」

   L = T - V     (1,1)

男友 「Tは運動エネルギー、Vはポテンシャルエネルギーだ。Lはもちろんラグランジアンだ。」
男友 「ポテンシャルエネルギーは、高校では位置エネルギーなんて呼ばれ方をしていたかもしれない。」
男友 「全く同じものではないが、同じようなものとして見ても構わないだろうな。」

男  「ふむふむ。まあなんてことない式だな。」
男  「確か、これがなんか凄く役に立つものだったような……。」

男友 「まあ確かにその通りなんだが、本当に講義を受けていたとは思えないほどの曖昧さだな。」
男友 「まあいい。実はこのラグランジアンの変分は、ある時刻t1から時刻t2で積分すると、0になる量なんだ。」
男友 「式にするとこんな感じになる。」

   δ∫[t1→t2] L dt = 0

男  「???」
10 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:13:01.22 ID:M6ROIUps0
男友 「まあそう言われてもピンとこないよな。ちょっと不正確な表現かもしれないがこんな風に考えてみてくれ。」

男友 「例えばボールが1個あるとする。これを誰かが宙に投げれば、当然ボールは何かしらの運動をするわけだ。」
男友 「このとき時間に着目すれば、この間にボールはある時間からある時間まで運動するわけだな?」

男  「それはそうだろうな。」

男友 「じゃあたとえば時刻0にボールを真上に放り投げたとしよう。で、時刻Tに手元に丁度ボールが戻ってくることを考えよう。」

男  「うむ。」

男友 「ニュートン力学を学んでいれば、これは当たり前のことだよな?」
男友 「だがこれをこんな風に考え直してみてくれ。」

男友 「『ボールが実際に運動する経路は、そのラグランジアンをほんの少し動かしても変わらないような経路しかあり得ない。』って。」
11 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:13:29.45 ID:M6ROIUps0
男  「うん?なんか分かるような分からないような……それがさっき言っていたこととどういう関係があるんだ?」

男友 「さっき言ったことを言いかえると、『ラグランジアンを微妙に変化させたその差を積分しても0だ』ってことなんだ。」
男友 「ラグランジアンを微妙に変化させるってことは、具体的にはボールの座標を微妙に動かすことを意味している。」

男  「ふむふむ。ラグランジアンは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの差だから、座標をずらせば微妙に値は変わるよな。」

男友 「その通りだ、その微妙に変化した変化量、つまり変化したラグランジアンから変化前のラグランジアンを引いたものは、
ある時刻からある時刻までで積分しても0になるんだ。」

男友 「つまり、具体的なモデルを基にラグランジアンを計算すると、ラグランジアンをちょっとずらしても、
その時間積分は変化しないんだ。」

男  「うーむ。難しいな。」

男友 「まあこのことを、ハミルトンの原理と呼ぶ。」
男友 「この辺りの理解は重要ではあるんだが、計算する上ではそれほど重要じゃない。」
男友 「ラグランジアンがどう便利なのか復習しようじゃないか。」

男  「そうだよ!なんかすげー便利なものだった記憶はある。」

男友 「だからその曖昧な記憶はなんなんだ。」
12 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:19:59.30 ID:M6ROIUps0
男友 「まあいいか。さっき話したハミルトンの原理を使うと、オイラー・ラグランジュの方程式が得られる。」
男友 「この導出はそれほど難しくはないんだが、ここでは数式を書くのが大変かつ見にくいから、省略する。」

男  「え?ここって何の話だよ?」

男友 「うるせー。ちょっと黙っとけ。」

男  「……」

男友 「オイラー・ラグランジュの方程式は、次のように書ける。」

   ∂L/∂q - (d/dt)(∂L/∂(dq/dt)) = 0
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:23:24.40 ID:Bm2f4BeIo
既に心が折れそうです
14 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:25:36.28 ID:M6ROIUps0
男友 「qは座標、dq/dtは座標の時間微分、つまり速度を表している。ラグランジアンは、位置と速度の関数になっていて、
この2つは独立な変数として扱う。」

男  「なんか突然意味不明だな。」

男友 「まあな。ここはそういうもんだと思ってくれた方がいいな。普通は、位置と速度はお互いに関係ある量なんだが、
ここでは無関係だって考えようってことだ。」

男  「う……。」

男友 「実はこのあたりが一番難しい話なんだ。具体例を見た方が楽かもしれない。」
15 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:31:02.46 ID:M6ROIUps0
男友 「一番簡単なのはばねの単振動かな。ばねの単振動を表す運動方程式は分かるな?」

男  「舐めてもらっちゃ困るぜ。それくらいは分かるさ。こうだろ?」

(d^2/dt^2)x = -kx/m

男友 「kはばね定数、mは質点の質量だな?」

男  「おうよ。xは質点が運動する座標だ。」

16 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:41:30.26 ID:M6ROIUps0
男友 「左辺は質点の加速度で、右辺はフックの法則から分かるように力を質量で割ったものだから、ニュートン方程式になっている。」

    a = F/m

男友 「ラグランジアンがすごいのは、オイラー・ラグランジュ方程式を使えば、簡単にこの方程式が得られるからなんだ。」

男  「なんか思い出してきたぞ……。」

男友 「実際に定義にしたがってラグンランジアンを計算してみよう。」

男  「運動エネルギーはこうだな。」

   T = m{(dx/dt)^2}/2

男友 「ポテンシャルエネルギーはこうだ。」

   V = k(x^2)/2
17 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:49:34.34 ID:M6ROIUps0
男 「ということは……」
男 「ラグランジアンはこうなるんだな?」

L = T - V = m{(dx/dt)^2}/2 - V = k(x^2)/2

男友 「そういうことだ。計算するのは簡単だろ?」

男  「うん……。さっきの話はなんだかぼんやりしていたが…。」

男友 「まあ本当はちゃんと理解するに越したことはないが、ちゃんと計算できることも重要だからな。」

男  「これをオイラー・ラグランジュ方程式に代入すればいいんだな?」

男友 「そうだ。ただ、偏微分やらなんやら出てくるから、計算する際には注意が必要だ。」
18 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:50:39.35 ID:M6ROIUps0
男友 「あとは計算するだけだから、あとは自分でやってみろ。」

男  「おう。」

男友 「今日はとりあえずここまでだな。まだ量子力学には入ってないが。」

男  「え?まだ入ってないの?」

男友 「お前何度も聞くが、本当に講義に出てたのか?」

男  「出ていたともさ。安心してくれたまえ!」

男友 「本当に大丈夫なのか……?」
19 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 22:54:27.86 ID:M6ROIUps0
ってなことで今日はここまでです。まだ1章の半分くらいです。ゆっくり進みます。
実はラグランジアンは便利かつ計算もしやすくて素晴らしい反面、
ちゃんと導出するのは結構難しいです。しかも、物理的に何を表しているのか
いまいちよく分かっていないのです。
ごちゃごちゃ書いたことはあまり気にせず、ラグランジアンを計算して、
オイラー・ラグランジュ方程式に代入することで運動方程式を求めることを優先して下さい。
ばねの例も、ぜひ計算してみて下さい。先に書いた方程式が得られたらOKです。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/06(火) 22:58:07.01 ID:Bm2f4BeIo
              -― ̄ ̄ ` ―--  _
          , ´         ,    ~  ̄、"ー 、
        _/          / ,r    _   ヽ ノ
       , ´           / /    ●   i"
    ,/   ,|           / / _i⌒ l| i  |
   と,-‐ ´ ̄          / / (⊂ ● j'__   |
  (´__   、       / /    ̄!,__,u●   |
       ̄ ̄`ヾ_     し       u l| i /ヽ、
          ,_  \           ノ(`'__ノ
        (__  ̄~" __ , --‐一~⊂  ⊃_
           ̄ ̄ ̄      ⊂ ̄    __⊃
                   ⊂_____⊃
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/06(火) 23:18:50.43 ID:fnV/DxMwo
先生、最小作用の原理はわかるんですがLがなんでT-Vになるのかがわかりません
22 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 23:28:36.88 ID:M6ROIUps0
>>21
ここを説明するのが難しい。
仮定として、ダランベールの定理とよばれるものを前提にしています。
ダランベールの原理は、仮想仕事の原理を応用したもので、次の式で表されます。

   [↑F - m(d^2 ↑r/dt^2)]・δ↑r = 0

↑はベクトルです。これは、『質点に力が働いており、
つりあいの条件を満たしているならば、質点をほんの少しずらしたときに生じる
仕事の総和は0である』ことを表しています。これを適用してやれば、
結局運動エネルギーとポテンシャルエネルギーをそれぞれ時間で積分したものの変分が
等しくなっちゃうね、ということです。

先にも説明したように、ラグランジアンが何を表しているのか、
対応する物理量がないので、なぜT-Vで表されるのか、具体的に述べることは出来ません。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/06(火) 23:39:25.09 ID:J/ws9Cvu0
何というためになるSS
乙です
24 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/06(火) 23:52:08.81 ID:M6ROIUps0
>>23
ありがとうございます
頑張ります

予定ですが、合間合間に知識のあまりいらない話も入れていこうと思っています。
ちょっとした質問でも答えますので気軽にどうぞ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/07(水) 00:11:45.38 ID:14Nf/CWb0
俺中三だけどなんとなく分かった


ような気がしたけどやっぱりダメだったぜ!

今後のために覚えとこうと思う
26 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 00:13:42.90 ID:3/VSGasE0
>>25
高校で物理勉強すればもっとすんなり入ってくるかもしれません
とりあえず
○ラグランジアン
○オイラー・ラグランジュ方程式
の2つがニュートンの運動方程式を再現する、くらいの認識でいいと思います。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/07(水) 00:22:52.89 ID:ZN5Ghfuoo
中学でわかったら相当凄い
でもわかった気分になるだけなら誰でも出来るよ
28 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 00:59:36.48 ID:3/VSGasE0
>>27
まあまあそう仰らず。
分かった気になってそのままだとまずいですが、
苦手意識を持つよりはいいと個人的には思います。
分かった気になっているだけだと、必ずあとで???となるんで、
そのときにもう1度読みなおしてもらえればいいと思います。
29 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:12:37.77 ID:3/VSGasE0
時間があったので第1章が書き上がりました。
今から投下します。
30 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:13:21.45 ID:3/VSGasE0
----翌日-----------------------------------------------------------------------------------

男  「ではではつづきをおねげえしますでごぜえめす。」

男友 「なんでこいつはこんなに腹立たしいやつなんだ?」

男  「まあまあいいではないか。」

男友 「(まさかキャラが固まっていないd)」

男  「なんか失礼なことを考えているのは分かった。で、続きを頼む。」

男友 「……了解。」
男友 「昨日はラグランジアンの復習をしたわけだ。」
男友 「だが!ラグランジアン自体は量子力学ではほとんど登場しないのだ!」ババン

男  「……」

男友 「……」
男友 「いやリアクションなし?」

男  「男友よ……。つまり貴様は親切に教えるふりをして時間を浪費させたのだな。」

男友 「ねーよ!そんなアホなことするかよ。ラグランジアンは使わないが、ハミルトニアンを定義する上で必要なんだ。」

男  「ハミルトニアンなら知ってるぞ!この前の講義でもなんか言ってたし。」

男友 「その程度の認識で講義を聴いているのか。心配になってくるぞ……。」
男友 「まあいい。とりあえずハミルトニアンを導入しよう。これが終わればようやく量子力学に入れるからな。」

男  「おう!」

男友 「ここまで見てきたラグランジアンは、独立変数として位置座標と位置座標の時間微分の2つを含んでいたよな?」

男  「確かに。ばねの例でも運動エネルギーの変数は位置座標の時間微分で、ポテンシャルエネルギーの変数は位置座標だったな。」

男友 「だがしかし!」
男友 「ハミルトニアンは違う。」

男  「どういうことだ?」
31 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:14:33.49 ID:3/VSGasE0
男友 「運動量って分かるか?」

男  「質量と速度をかけたものだろ?こんな式で表される。」

     m(dx/dt)

男友 「その通りだ。でも、ハミルトニアンを扱う上で、この定義とはちょっと違う『運動量』を定義するんだ。」

男  「いまいちよく分からないな〜。」

男友 「いや、お前去年の講義でやったんだからな?」

男  「テヘッ☆」

男友 「……」イラッ
男友 「…… ハミルトニアンは、位置座標ともう1つ「共役運動量」と呼ばれる変数を持つんだ。」

男  「見事にスルーしてくれましたね〜。」
32 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:16:48.53 ID:3/VSGasE0
男友 「まずは共役運動量を定義してみよう。」
男友 「共役運動量pは次のように定義される。なんでこうなるのかはあまり考えない方がいい。これでうまくいくと考えてくれ。」

p = ∂L/∂(dx/dt)

男友 「Lはラグランジアンだ。」
男友 「つまり共役運動量は、『ラグランジアンを位置座標の時間微分で偏微分したもの』と言える。」

男  「ふむ……。」

男友 「この共役運動量を使って、ハミルトニアンHは次のように定義できる。」

H = p(dx/dt) - L


男友 「pは共役運動量、Lはラグランジアンだ。」

男  「なんか見覚えがあるぞ。」

男友 「でないと困るんだけどな。何はともあれ、ハミルトニアンが定義できたわけだ。」
男友 「これだけだとなんのこっちゃ分からないだろうから、具体例を計算してみよう。」

男  「おう!」
33 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:17:29.45 ID:3/VSGasE0
男友 「昨日の続きで、ばねの単振動を例にしてみよう。」
男友 「昨日は言わなかったが、ばねに質点がついただけの簡単なモデルを、『調和振動子』って呼ぶんだ。」

男  「それくらいは知ってるよ〜。」

男友 「それはよかった。みんなも覚えてくれよな!」キリッ

男  「(今日の男友のテンションは謎だ……)」

男友 「調和振動子を例にまずは共役運動量を計算してみよう。」
34 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:20:20.68 ID:3/VSGasE0
男 「調和振動子のラグランジアンはこんな感じだったな。」

L = m{(dx/dt)^2}/2 - k(x^2)/2

男友 「これを位置座標の時間微分で偏微分してやるんだ。」
男友 「これが分かりにくいと思うときは、位置座標の時間微分をyとか新たに置きかえて、yで偏微分してやればいい。」

男  「こんな感じになるな。」

p = ∂L/∂(dx/dt) = m(dx/dt)

男友 「あとは代入してやればいい。」
35 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:22:39.35 ID:3/VSGasE0
男友 「結果はこうなる。」

  H = m(dx/dt)(dx/dt)- (m{(dx/dt)^2}/2 - k(x^2)/2)
   = m{(dx/dt)^2}/2 + k(x^2)/2

男  「あれ?」

男友 「なんだ?」

男  「ハミルトニアンの変数は位置座標と共役運動量だったよな?」

男友 「いい質問だ。実はさっきの計算は間違っていないが、不十分なんだ。」
男友 「位置座標の時間微分を共役運動量に書き換えてやればいい。」

男  「つまり……?」
36 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:24:17.14 ID:3/VSGasE0
男友 「こういうことだ。」
男友 「共役運動量と位置座標の時間微分の関係はこうだったよな?」

dx/dt = p/m

男友 「これを代入してやればいいんだ。」
男友 「結果はこうだ。」

H = (p^2)/2m + k(x^2)/2

男友 「簡単な計算だから自分でやってみろよ。」

男  「ういーっす。」
37 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:24:43.45 ID:3/VSGasE0
男  「おい……。すげーこと気付いたんだけど。」

男友 「ハミルトニアンが全エネルギーに等しいことか?」

男  「……」
男友 「……」

男  「。・゚・(ノД`)・゚・。」ダッ

男友 「……」ポツーン
38 :第1章 ラグランジアンとハミルトニアン :2011/09/07(水) 01:25:42.10 ID:3/VSGasE0
-----------------------------------------------------------------------

皆さんはお気づきになりましたか?共役運動量で書き換える前のハミルトニアンを見て下さい。
ハミルトニアンは、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和になっていますね。
これはつまり、調和振動子のハミルトニアンが、調和振動子の全エネルギーに等しいことを意味しています。

ややこしいので証明は省略しますが、ハミルトニアンは系の全エネルギーに等しいのです。
今は調和振動子の場合しか見ていませんが、実はどのような系(物理的状態)を考えても、同様のことが言えるのです。

このことは、量子力学を考える上で非常に重要になってきます。
是非覚えておいて下さい。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/07(水) 01:32:23.76 ID:3/VSGasE0
これで第1章は終わりです。
ここまでは量子力学に入るための導入としての章です。
直接量子力学に関係はないのですが、大事な部分です。

次回からは少しずつ量子力学に入って行きます。

---補足---------------------------------------------------------------------------
ハミルトニアンを用いても、ラグランジアン同様に運動方程式を導くことができます。
しかし、この方法で運動方程式を導出することは、オイラー・ラグランジュ方程式を
用いる方法に比べると頻度は低いので、ここでは紹介しません。気になる方は、
『正準方程式』で調べてみて下さい。統計力学という分野ではたまに登場します。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/07(水) 01:52:40.24 ID:ZN5Ghfuoo
pを先に定義するんじゃなくてLをルジャンドル変換してHにする過程でpを決めるってじっちゃが言ってた
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/07(水) 01:55:20.00 ID:3/VSGasE0
>>40
確かに。ごもっともですね。
が、その方法だと説明することがてんこ盛り…。
また、個人的にその方法はあまりよく知らないので、
天下り的な方法で定義しました。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 11:49:41.63 ID:z9VWIU2DO
11まで読んだんだが
高校の物理からして理解してない俺には理解できないということがわかった
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/07(水) 13:45:09.20 ID:3/VSGasE0
>>42
基本的にはニュートン力学は理解していないと難しい内容になっています。
合間合間に、基礎知識をあまり必要としない番外編をお送りする予定ですので、
そちらなら理解していただけるかもしれません。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/09/07(水) 14:08:31.76 ID:Jbt2AIym0
理系ってかっこいいからとっても期待。
だから番外編まで待ちまっする。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 21:50:24.55 ID:1ElRNhiWo
後期の授業が始まる前に量子力学の再試験があるからすげーためになる!
>>1乙!!
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/07(水) 22:39:39.20 ID:i+J6SYLko
高校物理では微積分は使わなかったと思うからおじさんちんぷんかんぷんだ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/07(水) 23:23:16.53 ID:3/VSGasE0
>>46
そうですね。
微積分を知らないと苦しいかもしれません。
番外編は微積分の知識も必要ないようにします。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/08(木) 00:28:57.77 ID:IDzRY8j7o
もう単位落としたよ(´;ω;`)遅いよ(´;ω;`)

来年の7月まで時間はあるから付きっきりで教えてくだちい(´;ω;`)
49 :番外編 :2011/09/08(木) 00:49:37.53 ID:NHhMjUjS0
いきなりですが、番外編をお送りいたします。
SSを書く計画を立てた当初は、こういった話題を中心にしようと思っておりましたが、
紆余曲折あり現在の趣旨のSSになりました。

番外編は、基礎知識が無くても極力分かるような内容にしておりますが、
やはり説明が足らずによく分からない、という点があるかと思います。
質問は投下後に受け付けますので、気軽に書きこんじゃってください。
それでは投下スタートでござい。
50 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:50:22.60 ID:NHhMjUjS0
??? 「量子力学を学んでいると、日常的な感覚とかなりずれた現象に遭遇することが多い。」
??? 「その中でも多くの人が驚いたのが『二重スリット実験』だ。」

??? 「今回はこの『二重スリット実験』を紹介するとしよう。」
??? 「諸君!この実験「おい!」」

??? 「なんだ?うるさいぞ」

男   「男友、お前さっきから何ぶつぶつどころか大声で叫んでるんだ?」

男友  「……よくぞ正体を見破ったな。男!」

男   「(キャラが固まっていないのをいいことにやりたい放題やってやがるぞ。こいつ……。」

男友  「今回はちょっと脱線して、量子力学の面白い話をしようと思うんだ。」
男友  「スレ訪問してくれた人の中には、物理があんまり分からないから内容が頭に入ってこないって人が……」

男   「わーわーわー!それを言ったらもうなんでもありだぞ!?」

男友  「(自分で面白い話って言っちゃうところには突っ込まないんだな……。」
男友  「まあ何はともあれ、今日は『二重スリット実験』についてだ。」

男   「普通に始めやがった。(俺もその話はなんとなく知ってるけど……。)」

男友  「実際の発言と心の声が逆という使い古されたボケをかまさないでくれないか?」
男友  「作者の力量がもうばれちゃうだろ。」
51 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:51:03.55 ID:NHhMjUjS0
男   「で、二重スリット実験ってどんなんだっけ?」

男友  「せっかくだから、この方に講義していただきましょう!」ババン

先輩  「どうも。先輩です。」

男友  「先輩さんをお呼びしました。よろしくお願いします。」

先輩  「よろしく。」

男   「(誰!?この美人の姉ちゃん!)」
男友  「(先輩だ。)」
男   「それだけ!?」

先輩  「そこうるさいよ。」

男   「あ、すいません。」
男   「(お前の彼女なの?ねえ彼女なの?)」
男友  「(だから先輩だと言ってるだろう!)」
男   「(リア充爆発しろ!……ってえ?)」
男   「(彼女じゃないの?)」
男友  「(しつこいな……違うって言ってるだろう。)」

先輩  「……」

男&男友「すいません……。」

先輩  「じゃあ、男友くんに頼まれた話を早速始めるけどいいかな?」

男友  「すいません。よろしくお願いします。」
男   「しゃーしまーす!」

先輩  「じゃあ始めるよ。」
52 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:51:49.58 ID:NHhMjUjS0
先輩  「と言っても、この話を理解するために、いくつか復習しなきゃいけないね。」
先輩  「まずは光が波の性質を持っていることを思い出そう。」

男   「光は電磁波の一種だから……、波の一種ですよね?」

先輩  「その通りだよ。」

男   「フヒヒヒ」

先輩  「……」キモッ

男   「……」

先輩  「……」オホン
先輩  「光が波としての性質を持っていることを確かめるためにこんな実験があったことを思い出そう。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93

先輩  「これはヤングの干渉実験とよばれるものだ。」
先輩  「あんまり詳しいことを言っちゃうと時間がかかっちゃうから大雑把に説明するけど……。」
先輩  「波の性質として、干渉と回折っていうのがあるんだ。」

男友  「高校でやりましたね。」

先輩  「そうだね。なんで干渉が起こるのかはここでは説明しないけど。」
先輩  「干渉っていうのは、簡単に言えば波と波が互いを強めあったり弱めあったりする現象だったよね。」

男   「そうでしたね。水面をたたいて実験した記憶があります。」

先輩  「そうそう。それと同じようなことをこの実験は光を使ってやってるんだ。」
先輩  「図を見てくれ。」
先輩  「ヤングの干渉実験では、細い2つの隙間、これをスリットって呼ぶんだけど。」
先輩  「この2つの隙間に光を当てるんだ。」

先輩  「すると、2つの隙間からそれぞれ漏れ出た光は、互いに干渉するんだ。」
先輩  「一番右下の図の、observedと書かれた部分を見てほしい。」
先輩  「これは光が干渉したことによって出来た『干渉縞』とよばれるものなんだ。」

男友  「なつかしいですね。つまり、光が干渉して、強めあった部分と弱めあった部分が縞模様になるってことですね?」

先輩  「うん。その通りだよ。」
先輩  「この実験結果から、ヤングは光が波だと主張したんだ。」
先輩  「本当はなんで干渉によって縞模様ができるのかをちゃんと説明した方がいいんだけど……。」
先輩  「ちょっと時間がかかるからここでは省略するね。」

男   「は〜い!」

先輩  「……」
53 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:52:29.28 ID:NHhMjUjS0
先輩  「ところが、20世紀に入ると、みんなご存知アインシュタインさんが『光電効果』を発見したんだ。」

男   「これも高校でちょろっと習った気がします。」

先輩  「この光電効果も奥の深い話で、実はこの光電効果でアインシュタインはノーベル賞をもらっているんだよ。」
先輩  「でも、これも話すと長くなるから、次のことだけ頭に入れておいてくれ。」

先輩  「光電効果の結果を見ると、『光が粒子である』としか考えられないんだ。」

男   「え!?でもさっき光は波だって……。」

先輩  「うん。実は昔から光が波なのか、粒子なのかっていう論争が続いていたんだ。」
先輩  「ヤングの干渉実験で一旦は波だろうってなってんだけど、光電効果のせいで光は粒子でもある、っていう結論になったんだ。」

男友  「つまり、光は粒子であり光である、と?」

先輩  「そういうことになるね。そもそもどちらか一方でなければならない理由なんてなかったんだ。」
先輩  「でも、粒子であり波であるものなんて日常的な感覚ではピンとこないでしょ?」

男   「なるほど。光は粒子であり、波であると。」

先輩  「で、実はこれは光に限った話ではないことが分かったんだ。」
先輩  「ミクロなスケールでは、粒子であり波である、ということは当たり前の事実だったんだ。」

男   「ふむ……。」

先輩  「まあこのあたりはよく分からないってのが実際だから、深く考えない方がいいよ。」
先輩  「『こういうものなんだ』、って思った方がいい。観測事実を上手く説明するにはこうするしかないっ、てね。」

男友  「うーん。難しいですね。」

先輩  「そろそろ本題に入るよ。」
先輩  「電子って知ってるかな?」
54 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:52:57.74 ID:NHhMjUjS0
男   「えっと……。原子の周りを回っている……。」

先輩  「そうそう。まあもうちょっとちゃんと言うと、原子を構成している成分の1つだね。」
先輩  「原子は中心部分にある原子核と、その周りの電子からなっているんだ。」
先輩  「原子核は陽子と中性子となっていて……。」

男友  「電子はマイナスの電気を帯びているんでしたね。」

先輩  「そうそう。電子っていうくらいだから、電子も粒子の1つなんだ。」
先輩  「で、科学者は考えたわけだ。」
先輩  「『光は粒子であり波なんだから、電子も波としての性質を持ってるんじゃないか』、ってね。」

男   「なるほど!」

先輩  「私も詳しい実験方法はよく知らないんだけど、その頃には電子を放出させる技術は出来てたんだね。」
先輩  「光を当てる要領で、電子を二重スリットに当てたんだ。」

男&男友「ふむふむ……。」

先輩  「すると……。」
先輩  「電子でも干渉が起こったんだよ!」

男&男友「おお〜〜!」

先輩  「もうちょっと詳しい実験方法についても説明するね。」
先輩  「まあ簡単に言えば、スリットの向こう側には電子が当たると感光によって色が変わる写真乾板が置いてあるんだよ。」
(※ 以下、写真乾板はスクリーンと呼びます。)

男   「つまり、電子が当たったところに跡が残ると?」

先輩  「その通り。」
先輩  「で、ちょっと量子力学的にこの現象を説明したいんだけど……。」
先輩  「一旦、スリットの数を1個にした状態を考えてみよう。」
先輩  「もし、電子がニュートン力学にしたがって運動すると仮定したらどうなるかな?」
55 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:53:38.61 ID:NHhMjUjS0
男   「うーん……。」
男友  「電子はスリットを通り抜けてスクリーンに到達するんですよね?」
男友  「ニュートン力学では、初速度と初期位置が分かっていれば任意の時刻の位置と速度が1つに決まるはずです。」

先輩  「その通り。だから、電子が到達する場所は同じ場所になるはず。」
先輩  「もちろん、放出される電子の初期条件を揃えるのは難しいから、なかなかそうはいかないね。」

男   「まあそれはそうでしょうね。」

先輩  「でも、もしそうなら、電子の到達する場所は完全にランダムなはずだよね?」
先輩  「でもそうはならないんだ。これが量子力学の不思議なところなんだ。」

男   「と仰いますと?」

先輩  「電子の到達する場所はランダムじゃなかったんだ。」
先輩  「スリットから垂直な位置に最も多くの電子が到達して、スリットから遠いところに当たる電子の数は徐々に減るんだよ。」

男友  「つまり、スリットに一番近いところに当たる確率が最も大きいってことですか?」

先輩  「今いいワードが出たよ。」
先輩  「量子力学の不思議なところは、運動が確率でしか表せないところなんだ。」
56 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:54:42.82 ID:NHhMjUjS0
男   「え?」

先輩  「そう。みんな最初はそう思う。むしろ、今でもそれがどういうことなのかよく分かっていないんだ。」

男   「そうなんですか?」

先輩  「何はともあれ、量子力学の主張は、初期条件が決まっていても、電子がどこに到達するのかは決定できない。」
先輩  「分かるのは、どこにどのくらいの確率で到達するのか、ということだけなんだよ。」

男   「うーむ。」

男友  「つまり、電子をスリットを通してスクリーンに当てる場合も、スクリーンのどこに当たるかは
厳密には分からないってことですよね?」

先輩  「そういうことだね。でもその確率は、スクリーンのどの場所にどのくらいの数の電子当たったかで分かるよね?」

男   「確かに。電子の数を増やせば増やすほど分かりやすくなりますね。」

先輩  「そうだね。2,3個の電子じゃ何も分からないからね。」
先輩  「電子がスクリーンのどの場所に来るかは確率的に決まるってことを頭の片隅に置いておいて。」
先輩  「スリット2つにした場合を考えてみよう。」
57 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 00:55:30.77 ID:NHhMjUjS0
先輩  「結果を見た方がいいね。図を見てくれ。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E5%AE%9F%E9%A8%93

先輩  「『二重スリット実験の結果』、という4つの写真が並んだ図を見てほしい。」
(※ ネタバレしちゃうので、この先を楽しみたい方はWikipedia本文は読まないで下さいね。)

先輩  「電子がたくさんあたって白い部分と、電子がほとんど当たらずに黒い部分があるのがわかるかな?」

男   「くっきり見えますね〜。」

男友  「スクリーンに当てた電子の数を少しずつ増やしたってことですね?」

先輩  「その通り。一番右下の写真を見れば、やっぱり干渉縞が表れているのが分かるね。」

男   「なるほど。でも、結局これって電子が波の性質を持っていることが確かめられただけですよね?」
男   「それってそんなに不思議なことなんですか?」

先輩  「ほほう。君はまだ本当の不思議には気付いていないみたいだね。」

男   「え?」

男友  「ちょっと分かった気がします。つまり、電子が波だとしたら、どんな風に干渉が起こってるのか、ってことじゃないですか?」

先輩  「いいところついてるよ。」

男   「え?でも、電子をどんどん放出させていくわけですから、2つのスリットから出た電子同士が互いに干渉して……。」

先輩  「そう。みんな最初はそう思ったんじゃないかな。」
先輩  「……じゃあさ、1つ質問するよ?」

先輩  「もし、電子を1個ずつゆっくり放出させたらどうなる?」

男   「2つのスリットのどっちかを通ってスクリーンに到達するわけですから、
干渉は起こらない?」
58 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 01:01:07.61 ID:NHhMjUjS0
先輩  「おっと。いいところだけど今日はここまでにしとこうかな。」
先輩  「いよいよ核心に迫るところなんだけど……。」
先輩  「男くんの言ったことが正しいのか、考えてみてね。」

男&男友「「ありがとうございました!」」

先輩  「うん。じゃあ続きはまた今度ね。」
先輩  「それじゃ。」バイバイ

男&男友「「さよなら〜!」」

-------------------------------------------------------------------------------------

男  「にしてもすごい美人!またあの人に会えるのか〜……(これから、ってところだったのにちょっと残念だな。)」

男友 「天丼はスルーです。」

男  「チッ」

男友 「あからさまに感じ悪いなおい!」

59 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 01:05:56.25 ID:NHhMjUjS0
と言うことで、ここからってところなんですが、今日の投下はおしまいです。
番外編なのに前篇後篇、って時点でペース配分が出来ないことがばれてしまいますね。

先輩が言ったように、男くんの言ったことを考えてみて下さい。3択問題にしてみましょう。

<問題>
『一つずつ、十分な時間間隔をおいて放出された電子は、』
1.どちらか一方のスリットを通るはずだから、干渉縞はできない。
2.なぜか理由は分からないが、干渉縞ができてしまう。
3.電子を一つずつ放出するなんてことは出来ないから、結果は誰にも分からない。

さあどうでしょうか?答えは次回冒頭で。まああまりクイズになってない気もしますが……。
Wikipediaには答え書いてるんで、読まないでね。
60 :番外編1 二重スリット実験 :2011/09/08(木) 01:07:21.94 ID:NHhMjUjS0
>>48
遅かったですか。
すみません。
量子力学は慣れないととにかく???な科目だと思います。
じっくり勉強することをお勧めします。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/08(木) 21:48:33.28 ID:s19h01QJo
前期で解析終わって後期から量子だからありがたい
だが解析の部分があまりにも適当だなぁ
まぁlatex使えるわけでもないししゃーないか
期待してるぜー
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/08(木) 22:56:05.24 ID:NHhMjUjS0
>>61
基本的には量子力学をメインにしたかったので、かなり簡略化してしまいました。
申し訳ないです。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 07:38:01.91 ID:jchoVy7So
たぶん、量子力学をまだ学習してない人たちに興味を持ってもらおう
ってのがコンセプトなはずだから、過度に期待するのは良くないのかもしれないね

でも期待しちゃう!(ビクンッビクンッ)
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 00:50:58.52 ID:xalLv122o
光電効果を説明したのはアインシュタインでも、発見したのは別の人じゃないか?

>>55
> 先輩  「その通り。だから、電子が到達する場所は同じ場所になるはず。」
> 先輩  「もちろん、放出される電子の初期条件を揃えるのは難しいから、なかなかそうはいかないね。」
>
> 男   「まあそれはそうでしょうね。」
>
> 先輩  「でも、もしそうなら、電子の到達する場所は完全にランダムなはずだよね?」

スリット幅に対して十分な距離を取った位置から電子を打ち出してればスリットを通過する際の運動量の向きはかなりの精度で整えられるから
ニュートン力学しか考えてないのであれば、電子の到達する場所は電子銃とスリットを直線でつないだ先に限定されるはず
だから完全にランダムってのはおかしいと思う
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/10(土) 02:48:32.10 ID:Ydi7aQeP0
>>64
発見したのは別の人ですね。申し訳ありません。

スリットの高さについては言及しなかったので、スクリーンの高さ方向についてランダムだ
という意味でした。横方向にはほとんどばらつきがないと考えた方が自然ですね。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 13:14:34.84 ID:KmbxMqvIO
>>38
ハミルトニアン=全エネルギー
って理解は気持ち分からなくもないが、間違ってるぞ。
外部から仕事が加えられるような系ではハミルトニアンは保存するが全エネルギーは保存しない。

まぁ保存力のみの初等の力学場なら違いは現れないけど、一応せっかくよい場所だと思うので老婆心ながら書いておく。

応援してるので頑張ってくれ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/10(土) 15:14:51.33 ID:Ydi7aQeP0
>>66
摂動などを考えると確かにそうなんですが、ここではシュレーディンガー方程式への
導入、あるいはハミルトニアン演算子がエネルギー期待値を固有値にもつ演算子であることを
説明するために、
ハミルトニアン=全エネルギー
としました。ご指摘ありがとうございます。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 15:26:54.20 ID:U6W6pPlIO
>>67
なるほど、意図は理解できました。若干見当違いで重箱つつきのような指摘をしたようで申し訳ない。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/10(土) 16:59:38.69 ID:Ydi7aQeP0
>>68
むしろ細かいところをして頂けた方がありがたいです。
勘違いしていたり、書こうと意図したことがうまく伝わっていないことも多々ありますので、
是非これからもご指摘ください。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 23:31:38.54 ID:aRIr87eIO
面白そうですが理解が追いつかない

微分積分未履修なので出てくると思考停止しますよ……
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/10(土) 23:36:28.74 ID:AN+7jq4wo
微積なしで物理とか想像つかないな俺的には
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/12(月) 00:14:06.86 ID:HnKjDiZR0
>>70
ヒント:やる夫で学ぶ
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/14(金) 17:50:55.41 ID:g5yi0Yqpo
>>1は大学が忙しいのかな 待ってるぜ
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